◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:33:44.13 ID:p/GW0CyRo<>来ました。
今回は村上春樹チックな純文学を目指せたらよかったのになぁ。
例によって奏さんの淑女度高いです。
碧いです。
紳士度低い方にはほんとお薦めできない。
気を付けて服用してください。
それでは、よろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1466091223
<>奏 「赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんでしょ?」
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/17(金) 00:34:29.91 ID:K1JUewc2o<> そんなアホウドリ <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:34:50.48 ID:p/GW0CyRo<>
「………今夜何をするか、もうわかってるわよね?」
「…………」
しかり。
婦女子の褥に招かれて、野暮を騙る自分ではない。
武人然としながら、プロデューサーは奏と向かい合う。
「ふふ……素敵な瞳……あなたのその眼に見つめられた時から、私は時のない世界に落ちてしまったのよ」
伸ばされた食指が、プロデューサーの髭の生えた顎を撫でる。
誘うように唇を舐める舌が、17歳という年齢にそぐわぬ妖気を纏う。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:35:32.80 ID:p/GW0CyRo<>
「………」
「あら? ご不満かしら? ……ふふ、じらされるのはキライって顔ね」
士道に生きる我が身なれば、こういったことは不得手なのだ。
察してくれ。
「どうしようかしら……あなたの誠意、次第ね……♪ あんっ」
「………」
プロデューサーの武骨な手が、奏の細腕を掴み、引き寄せる。
厚い胸板に押し付けられて、髪が乱れ、玉汗の浮いた額に張り付く。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:35:59.73 ID:p/GW0CyRo<>
「もう、待てないの……? ふふっ、ごめんなさい、あんまりあなたがかわいいものだから、意地悪、しちゃった♪」
「………」
そんなに自分で遊ぶものではない。
ただでさえ、焦がれる女と共の寝床にいるのだ。
あまり苛めてくれるなよ。
「そうね……私もあなたを感じたい。 ねぇ、勿論わかってるとは思うけれど。 ココに、ちょうだい……♪」
「………」
柘榴色のグラスが引かれた唇を指差す奏。
プロデューサーは堕天使の誘惑に惹かれるまま、その身を堕としていきーーーー <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:36:29.26 ID:p/GW0CyRo<>
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああんッッッッッッ?!」
「………」
そして、いつもの如く、速水奏〈17歳、思春期真っ最中、処女〉のカリスマブレイク。 いや、テクノブレイクか。
一部の層には間違いなくご褒美である、速水水の暖かさを感じながら、プロデューサーは今日も床で寝ることを物思うのであった。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:36:57.83 ID:p/GW0CyRo<>
この物語は、〈狂悦なる口蛇の魔性〉を自称する速水女史と、現代に生きる武士である奏プロデューサーが、様々な人々の力を借りて初夜を成し遂げる。
サクセックストーリーである。
ーーーーープシャアアアアアアアア <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:37:28.74 ID:p/GW0CyRo<>
奏と奏プロ、彼等の初性交を描く前に、いかにして彼等が出会ったのか語らねばならないだろう。
場面は二人の出会いの日へと遡る。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:38:16.69 ID:p/GW0CyRo<> ーーー水平線の彼方、輝き疲れた太陽が、大海へ身を沈め羽を休める。
大海との抱擁を阻む鉄柵に手を添えながら、物憂げにその情景を見つめる少女。
沈む夕陽に照らされて、その瞳はトパーズに似た光沢を得る。
陽の届かぬ深海にも似た髪色と相まって、ほぅと息が漏れるほど美しい。
「………海はいいわね。 私の小さな悩みなんて全部拐ってくれるもの……」
髪をかきあげて、溜め息。
いっそこのまま消えてしまえたらどれだけ楽だろう。
思春期特有の物思い、少女はそれを自覚している。
しかし、理解したからといって霧散霧消するものでもない。
理解(わかる)が、操れ(わから)ない。
始春な心は、とかく度し難いものだ。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:38:48.23 ID:p/GW0CyRo<> 「……あの月の向こう側に行ければ、重力の枷は私を解き放ってくれるのかしら」
現在は、太陽が潜水していく時刻。
繰り返すが、夕暮れである。
少女ーーー速水奏が見ているのは妄想の月面である。
奏は心赴くままトリップし、世界を構築していく。
「この世に満ちているのは、『嘘』。 人々の唇から溢れて零れる偽物は、私の『真実』を覆い隠すほど、巨大で、多勢」
例えるなら、ローマに足跡を残していこう、という妄想染みた感覚か。
舗装済みの道路に足跡など、独自世界を持たねば生まれ得ぬ発想であるが、今の奏はそれに勝るとも劣らぬ『碧』であった。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/17(金) 00:38:55.91 ID:WygKl2jUo<> お前こないだのSSがR板の方に飛ばされてたぜ <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:39:18.13 ID:p/GW0CyRo<>
「ならいっそ、私の唇でみんなの口を塞いでしまえば、『真実』は実をつけるのかしら」
つぅ、と鉄柵を愛撫するように優しくなぞる。
景観、時、全てを奏の碧さが支配していた。
「でも、駄目ね。 私にそんな力は、勇気はないわ。 枯れて。堕ちて。 私はそう、ただ待つだけの勿忘草」
消えていく夕陽が、海面に顔を映し込む。
時と共に狭まるその円は、奏の世界の収束をも意味していた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:39:53.84 ID:p/GW0CyRo<> 「あぁ、だけど。 忘れられないものもある。 この唇に灯る微かな『熱』はきっとこの世が氷に包まれ停止しても、消え去ることはないのだから」
言葉と共に周囲の気温も下がるかのようだ。
無論、痛さで。
「ねぇ、聴こえているんでしょ?」
唐突に、海へ語りかける。
ついに碧さが限界を突破したか、見えてはいけない第六世界が見えているかのどちらかだ。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:40:29.95 ID:p/GW0CyRo<>
「海の精霊さん、この弱き訴えをどうか聞き入れて。 これ以上、私と世界が混ざってしまわないように……私の手錠に鍵をかけて、月の丘の裏側へ、拐っていって、今すぐに」
大仰に頭を振り、舞台を締める奏。
海の精霊などという妄言がこぼれたが、彼女は未だ地球人だ。
だが、しかし。
ある意味、彼女の訴えは叶う。
「………あれは、何かしら?」
斜光が大いなる円を形どり、徐々に輪郭を小さくしていく。
そして、その下から覗く謎の影。
奏が注視しようとつとめたその瞬間ーーー
ーーー海の精が、円を突き破って、飛び出した。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/17(金) 00:40:47.21 ID:NL1xXmb0o<> はっきり言おう
これは失敗してると思う
やり直せ <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:40:58.70 ID:p/GW0CyRo<>
「………あなたは」
「……」
海の精霊は、ファンタジーやメルヘンと異なり小さくデフォルメされてはいなかった。
むしろ真逆。
その二の腕は太く、脚は丸太のように高密度。
胸板厚く、筋骨隆々。
極めつけは誇らしく巻かれた褌一丁。
夢見る少年少女に生涯癒えぬ傷を与える、筋肉の精霊がそこにいた。
「………」
「………」
奏と精霊は互いに言葉を発さない。
ともすれば幻覚症状のような現状は、
ぼたぼたぼたと、精霊の体からやかましく落ちる海水で現実だと思い知らされる。
そして膠着を、奏が打ち破った。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:41:36.08 ID:p/GW0CyRo<>
「やっぱり、そうね……そうなのね」
「……」
何だろう、15メートル以上も飛び上がってきた海坊主を、通報でもするのだろうか。
はっきり言って変質者なのだからそれもやむ無しだ。
「あなたーーー」
そうして奏の口から飛び出したことばはーーー
「海の精霊さんね!」
ーーーやはり碧かった。
ちなみに精霊はヒテンミツルギスタイルとタイガーアイスタイルの修行をしていただけである。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:42:09.36 ID:p/GW0CyRo<>
「ついに毎日捧げた祈りが届いたのね……ふふ♪」
こんな狂態を毎日晒していたのか、末恐ろしい。
いや何より、現状を受け入れていること自体がもはや狂気だ。
「それで? 精霊さん? 私たちはどうやって契約するのかしら? やっぱり、ココ、かしら? うふふ♪」
唇を指差す仕草は艶かしいのだが、言動との不一致が酷い。
「さぁ早くしましょう。 今この瞬間、世界は再編され、この世に真実が広がるのよ」
何故か世界規模の話が勝手に進んでいる。
正直内容がふわっとし過ぎて、本物の精霊であったとしても困るだろう。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:42:36.78 ID:p/GW0CyRo<>
「さぁーーー私の『世界』を変えてちょうだい」
「………!」
そのことばに反応し、直立不動であった精霊が動く。
ずぶ濡れの体のうち唯一隠された褌に手を突っ込み、ナニかを取り出す。
「………めい、し?」
「………」
現れ出でるは精霊の名刺。
名前、プロダクション、住所、連絡先。
至極全うな名刺だ。
犯罪的な取りだし方と褌単品であることを除けば。
いや、一番の戦慄は何一つ動じない奏か。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:43:03.54 ID:p/GW0CyRo<>
「そう、わかったわこれが契約なのね」
「………」
一言も話さない精霊の意思を汲み取る奏。
事実、奏には敏感すぎる唇によって自然と芽生えた読心術ならぬ、読唇術がある。
本来とは異なり、唇の微妙な変化、質や形や濡れ方から心を読むという半場異能染みた能力である。
「いいわ、乗ってあげる。 これから私とあなたは『共犯者』。 この世界の隅から隅まで改変するまで、私たちは止まらない。いいえ、停められないわ」
「………」
既に奏は鉄柵から手を離し精霊と向き合っている。
陽は落ち、妄想でない本物の月が二人を照らし劇場を作る。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:43:43.34 ID:p/GW0CyRo<>
「さぁ行きましょう精霊さん。 時は待ってはくれない。 世界の針は動き始めてしまったのだから」
「……」
月明かりに背中を押され二人は歩き出していく。
奏の足取りは軽く、精霊が乾いた海水で噴いた塩を踏み鳴らし続いていく。
これが二人の出会い。
誰に話しても精神鑑定を勧められるサイコで逮捕待ったなしの出会いである。
ところで実際に、夜中に褌の精霊と歩いていたため当たり前に補導された。
そこでようやく精霊がプロデューサーなることを知るのだが、とりあえず今は関係ない。
それから、はじめてのステージや、速水が実は塩見だったとかなかったとか、ヒテンミツルギスタイルを体得しフタエノキワミ、アーッ!したりしたが、そこも割愛する。
今回の主題はあくまで、男女の肉体交流の話である。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:44:42.55 ID:p/GW0CyRo<> ここまで。
溜めてないですがそんな長くはならいと思います。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/17(金) 00:47:56.81 ID:p/GW0CyRo<> >>11 大分反省し、直接表現やめました。 ヤりすぎは良くなかったですね…
>>15 もう少し猶予を……!
頑張るので…!
また溜まったら置きに来ます。
見てくださる方々ありがとうございます。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/17(金) 03:05:42.40 ID:qfK1oxMuo<> おつおつ
楽しみに待ってるよ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/17(金) 08:50:12.55 ID:n6hHNWf7O<> >至極全うな名刺だ。
>犯罪的な取りだし方と褌単品であることを除けば。
褌が名刺で脱いで渡したのかと思った <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/17(金) 18:23:12.43 ID:nuj96/oEO<> 地の文が下手すぎる <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:21:20.58 ID:z/cTkrjQO<> 遅くなりました。
賛否あると思いますがお突きあいいただけると嬉しいです。がちで。
出します! <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:21:46.73 ID:z/cTkrjQO<>
第69回目の失敗の翌日、奏は事務所のソファーで美嘉と向き合っていた。
奏は頬を膨らませハムスターのよう。
対する美嘉は鉄格子を見、昂った己を慰めていたら監守に見つかったような。
互いに普段の凛とした姿からはあり得ない表情であった。
「………納得いかないわ」
「な、なにがー?★」
苦笑い。
奏はぷくーと無駄に空気を滞留させたまま続ける。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:22:19.11 ID:z/cTkrjQO<> 「美嘉、あなたの事を荒立てない性格は好ましいけれど、今の私には不適よ……」
「あー。 ごめん。 ちょっとこの先のことを考えると憂うつというか……」
「憂うつ? 貴女は自分のプロデューサーさんとよろしくできてるじゃない……憂うつなのは私よ、もう……」
「あはは……★ だからこそというかセキニンを感じてるというか……」
「……? おかしなことを言うのね」
城ヶ崎美嘉。
奏がコウノトリが赤ちゃんを運んでくると盲信するようになった元凶である。
そして今日、奏を軌道修正すると誓った挑戦者でもあった。
「フレデリカ、志希、美嘉が為し遂げてるっていうのに私がまだなのよ? 何かの作為的意思を感じるわ……」
ぷすぅー。 しゅるるる。
自分で自分の頬を突いて空気を出し、吸うを繰り返す。
妖艶さの欠片もない、殻を破りたてのひよこのような生娘。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:22:54.12 ID:z/cTkrjQO<>
「……っていうかほとんどアタシのせいなんだけどね、あはは……」
ぼそりと、かつての悪手を恥じ入る美嘉。
既に正真正銘のカリスマギャルデビューを果たした美嘉だが、以前の自分以上のブレイクを前に、竦んでいた。
「ところで……私に連絡してきたからには、何か用があるんでしょう? 」
「そ、そうなんだよねー。 ね、ねぇ奏ちゃん? もし、もしだよ? If Ifね?赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんじゃないって言ったらどうすーーー」
その時、美嘉は見た。
先程までハムスターの可愛さを纏っていた奏から突然溢れ出すオーラ。
目は落ち窪み、深淵の底の底のごとく。
『深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』
美嘉の脳に有名な一句が走った。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:23:24.29 ID:z/cTkrjQO<>
「This way......」
「ぴぇっ?!」
「……ねぇ、美嘉……」
「ひゃ、ひゃいっ! なんでしょうか、カナデさん?!」
「まさか、まさかないとは思うのだけれど。 カリスマギャルの美嘉に限ってあり得ないことだとは思っているのだけど……」
ズズズズ、と奏を中心に事務所内で風が吹いていく。
その面貌は暗く、輝る二つの眼が美嘉を捉えている。
美嘉の脚はぷるっぷる。
決壊寸前のダムを必死で抑えつけている。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:23:53.31 ID:z/cTkrjQO<> 「恥ずかしい事実を覆い隠すために、『赤ちゃんはコウノトリが運んでくる』なんて……嘘八百を私に吐き……」
普段と段違いに勘がいい奏。
その差は美嘉にとって、死へと繋がるデスロードである。
「フレデリカ、志希、美嘉、周子、そして何より私のプロデューサー。 その目の前で赤っ恥をかかせた……」
図星のロシアンルーレット。ペイント弾にすり替えなど不可能。
全弾装填、致死率100%。
既に美嘉のピンクショーツには、黄金色のアップリケが現在進行形で縫われつつある。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:24:31.27 ID:z/cTkrjQO<> 「ーーーなぁんてこと、ないわよ。
『ね え ?』」
「あばばばばばばばばばばばばばば」
ーーーFirst comes rock。
奏がそう呟いた瞬間。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:24:58.44 ID:z/cTkrjQO<> 「な、ないです……」
カリスマがポキリ、と折れた。
「あらそう。 よかったわ」
「はい……アタシも……よかった……です」
負の空気はぶっ飛び、つんとしたアンモニア臭だけが場に残った。
流れる液体と共に誇りも流れ落ちていっている。
「ふふ♪ 美嘉ったら変な冗談言うんだもの……少しだけ、ホ ン の 少 し。 気持ちが昂っちゃった」
「そっすか……」
茫然自失。
カリスマナシヶ崎の戦いは終わった。
が、まだだ。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:25:26.55 ID:z/cTkrjQO<>
「ね、ねぇ……奏? プロデューサーさんと上手くいってないんだよね……?」
「えぇ。 悔しいけれど、打つ手なしってところだわ」
敗北したが、反攻する。
カリスマの意地にかけて。
「だったら、さ。 インターネットで調べてみれば、いいんじゃないかな? あ、ほら! アタシが恋愛相談受けてるのと同じでさ! 参考になることがーーー」
「ネットなんて不確かな情報信頼できるわけないじゃない。 親友の美嘉とは違うんだから」
反攻失敗。
美嘉の迷言は信じる癖に、無駄な常識を持つ奏は強かった。
「ごめん志希ちゃん……アタシじゃ駄目だったよ……」
少し黄ばんだ白に燃え尽きた美嘉。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:25:57.62 ID:z/cTkrjQO<> 「けれど……まぁ」
唇を押さえ、呆けた美嘉をちらりと見る。
「美嘉がそこまで言うなら……参考には、してみるわ」
「〜〜〜〜〜っっ! かなでぇぇえええ!」
思わず奏を抱き締める美嘉。
親友の嬉しそうな表情に奏もつい頬を緩め、衣服に染みが移ることにも気づかないほどだ。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:26:42.06 ID:z/cTkrjQO<> 「あらあら♪ カリスマギャルが台無しよ、ふふっ」
「うぅぅう、ごめんね、ごめんね、かなでぇぇええええ」
ひしと抱き合い友情を確かめる二人。
つんとした香りの蔓延した事務所の中で、二人はずっとそうしていたーーーー
ーーーーピコンッ
明日のためのその@『ネットに頼れ』 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/18(土) 16:27:20.62 ID:z/cTkrjQO<> ここまでです!
R飛ばないよう紳士的にいきます! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/18(土) 16:40:36.29 ID:oj7Z8IWpo<> R飛んだら>>1はurl発見出来るのかしら?乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/19(日) 21:30:42.97 ID:e0gCDI94o<> できるよ
だからまぁ多少過激目でもいいだろ <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:45:12.72 ID:zUejnYU4o<> 難産。
うぶな心って難しいですね
出します!
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:45:52.04 ID:zUejnYU4o<> 「ーーーというわけ。 美嘉が言うにはネットで調べてみるのも手じゃないかって」
カリスマ助言を受けてから数日後、再び奏はプロデューサーと彼の寝室にて向き合っていた。
「………」
「ええ、あなたの言う通り。 インターネットは手軽に情報を集められる半面、信頼がおけるかという点では怪しいわ。 美嘉にもそう伝えたのだけれど、どうしてもってせがむものだから……ふふっ」
実際には、半泣きにまで追い込まれたカリスマがせめてもの反撃として、発射寸前ぎりぎりまで抽送をやめないという、ファンキーなモンキーがベイベーするような必死さから産み出したものであったが。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:46:28.68 ID:zUejnYU4o<>
「………」
仲睦まじいことだ。
ユニットの垣根を越えた友情にはいつも感服する。
「もう! あなたはいつも大袈裟なのよ……それがいいところでもあるんだけど。 ………話を戻すわ。 ネットの活用法を変えればいいと思うのよ。 既に書かれた情報じゃなくて、生の情報を探るのよ。 新鮮な空気を唇に触れさせるみたいに、ね♪」
「………」
的を得んな。
つまりはどういうことなのだ?
「つまりは、こ・れ」
疑問符を浮かべるプロデューサーに、悪戯っぽく微笑みながら奏は携帯の画面を彼に見せる。
そこには大手アプリケーション、『twitter』の文字。
「SNSを使うのよ♪ 私が質問を発信して、リアルタイムで返事を貰えれば、きっと正解も見つかるはずでしょう?」
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:46:56.80 ID:zUejnYU4o<>
「………」
なるほど一理ある。
無論、べつあかなるものを使うのだろう?
「ええ、私の公式アカウントじゃなくて、裏アカを使うわ」
そう言って奏が示したアカウントは、〈失楽せし楽園の寡婦〉という、高二病満載の奏らしい名前であった。
彼女は誇らしげに、意外にもLIPPSの中で最大である86の胸を張る。
「フッ……どう? 10万人のフォロワーなんて、公式にも迫る勢いなのよ♪ 私の魅力が電子の海を飛び越えて、みんなを痺れさせちゃってるのかしら……なんてね」
実際は数々の迷ツイートのせいで完全に身ばれしているため、二人の思うような展開ではけしてない。
察しの悪いプロデューサーとうぶなねんねの奏は、女優を素人と思い込む青少年のごとく気づかないが。
「それじゃ早速ツイートしてみましょ。 レスポンスが早いといいのだけれど」
そして、つつつと軽やかに指を動かしメッセージを発信。
広大なネットの海に、恥部のスタートラインが引かれた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:47:48.79 ID:zUejnYU4o<> 失楽せし楽園の寡婦@1.2.kisskiss
彼との情事がうまくいかないのだけれど、みんなの意見が欲しいわ
当たり障りのない、経験はしてますよアピールが透けて見える。
ネット上でもやり手の女を自称しているため〈本人は真剣〉、恥歴ばかりが重なる速水の明日はどっちだ。
「……ん、よしっ。 後は待つだけーーー」
「Chuッ」と奏の通知音が鳴る。
わざわざアプリを使って音を変更しているが、録音と違い実際にキスが成功したことは一度たりとてない。
「……驚いた。 早いわね」
「……」
それだけ人気ということだ。
「そうね。 そうよね♪ さ、確認してみましょ」
開いてみれば、既に3通。
ちょっとした喜びを噛み締めつつ、処女と武士は目を通していく。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:48:18.23 ID:zUejnYU4o<> マッドマックス@hshsprprbikunbikun
@1.2.kisskiss kwsk
狐やコンコン♪@*anuki
@1.2.kisskiss kwsm
ピンクレディ@buddist
@1.2.kisskiss @*anuki
わかるわ
「あら、偶然ね。 よくメッセージくれる人達ばかり。 うーん、詳細求むってことね……」
「………」
心当たりしかないアカウント達ばかりなのだが、やはり二人は気づかない。
真剣に悩み、そして少し恥じ入りつつ投降。
失楽せし楽園の寡婦@1.2.kisskiss
@hshsprprbikunbikun@*anuki@buddist
返事ありがとう。 彼と口づけを交わすと、何故だか意識を失ってしまうのよ。 こういったことってみんなあるのかしら? <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:48:48.58 ID:zUejnYU4o<>
「こんなところね。 ……それにしても本当にわからないわ。 キスするだけで意識を失うなんて……赤ちゃんが不用意にできないための人体の神秘なのかしら?」
「………」
自分にも皆目検討つかぬ。
女人はみなそうなのではないだろうか?
「そうなのかしらね……早くあなたとの子供を授かってコウノトリさんに運んできてもらいたいのに」
「………」
ーーー奏プロデューサー。
彼もまた、うぶなねんねである。
現代社会日本において、武の道をひた走り、武家を継いだ彼の歪みの弊害が性知識の偏りとなって表れていた。
処女と童貞。
この二人、似合いに過ぎる二人である。
「Chuchuchu」
連続キス音が返事を告げる。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:49:20.43 ID:zUejnYU4o<> マッドマックス@hshsprprbikunbikun
@1.2.kisskiss
あたしもあるかなー。 あたしの場合は下のお口だけど〜♪ 掻き回されると、こう、ふにゃあぁぁぁぁ?!ってさ〜♪
狐やコンコン♪@*anuki
@1.2.kisskiss
どっちかっていうとあたしは飛ばす側かなぁ。 意識なくして、ぴくぴくしてるのつんつんすると楽しいよ〜♪
ピンクレディ@buddist
@1.2.kisskiss
後光で意識なくすことはあるかな……。 でも失神しちゃうならキスは後回しにすればいいんじゃない★
「下の口、飛ばす……? よくわからないわね」
失楽せし楽園の寡婦@1.2.kisskiss
@buddist
キスをなくしたら赤ちゃんが出来ないじゃない。 コウノトリさんに運んできてもらうために、他になにかすることでもあるの?
恐ろしい。
一度明るみに出た情報はけして消えないこの現代社会。
その時代においてこれほどの純真さを見せつける、〈狂悦なる魔性の口蛇〉。
夢精パンツを母親に洗われるより、ナプキンを捨てる様を父親に見られるより、赤面後に青ざめ必死。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:49:49.88 ID:zUejnYU4o<>
「Chuchuchu」
マッドマックス@hshsprprbikunbikun
@1.2.kisskiss @buddist しくじったか、ピンクレディ!
狐やコンコン♪@*anuki
@1.2.kisskiss @buddist ケジメ案件。ガォンならぬシュゴォォォォされて、どうぞ。
ピンクレディ@buddist
@1.2.kisskiss@hshsprprbikunbikun
@*anuki
ちょ、待って! 報告しないで! 今度こそ涅槃に連れてかれちゃうから! あぁ!? 窓から光が!?
窓に! 窓に! まd
「………なんだか、悪いことしたのかしら」
「……」
カリスマが自身のPにより、天昇させられてしまったが、今は問題解決が先だ。
奏と武士は、残った二人とやり取りを続けることにした。
そのためには、まず考えることが必要だ。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:50:23.77 ID:zUejnYU4o<> 「……下の口……飛ぶ……この二つがキーなのかもしれないわね」
「………」
……もしや。 下の口、そして飛ぶとは何かの比喩なのではないか?
「……はっ! ありえるわ! 赤ちゃんを授かるんだもの! コウノトリさんに戴くだけじゃなく、恩返しのような、何かをする必要があるのかも……! そうよ! 閃いたわ!」
唐突に胸ポケットから小型の虫眼鏡を取りだし、さらには可変式の玩具パイプをくわえる。
名探偵速水奏の再登場である。
助手も前回同様乗り気である。
「………」
「ええ、『下の口』、『飛ばす』。とは、恐らく貢ぎ物の隠語ね。『下の口』とは、しりこ玉のような意味。 つまり、生け贄を求めているのね。『飛ばす』も似た意味ね。恐らく、過去には首をはねるほどの強烈さがあったんだわ」
コウノトリが名探偵の手によって血みどろの邪悪の化身へと仕立てられていく。
並行世界でも覗くつもりなのか、奏は虫眼鏡で虚空を凝視し、続ける。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:50:54.30 ID:zUejnYU4o<>
「けれど現代社会でそんなことはできない。 だから……」
そこで奏は言い淀む。
唇は固く結ばれ、表情には苦。
「……」
無言のまま抱き寄せれば、小さな少女はすっぽりと収まった。
胸板に感じる鼓動と温もりが、愛おしい。
守る。 弱き彼女を自分が、絶対に。
「………優しいわね、あなた。 でも私は、いいえ私たちは向き合うのよ。 それがどれだけ辛く厳しい道でも、あなたとなら乗り越えていける」
愛。
二人を固く結ぶその絆は、何者にも砕くことは出来ない。
そして、イブは解答を述べる。
「コウノトリは、赤ちゃんと引き換えに私達の死ぬほど恥ずかしい写真を要求するんだわ……!」
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/06/21(火) 22:52:02.92 ID:zUejnYU4o<> これだけ。
終盤まで紳士成分は恐らく多分きっとないです。
高まったらまたきます!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/21(火) 23:03:41.64 ID:uioKYZ/+o<> この作品の名探偵ほんと大好きww <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/06/22(水) 22:51:51.53 ID:VQ9NyaxCo<> 高まらなくていいです <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/01(金) 13:43:05.35 ID:HiSPJKb9O<> まだですか <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:49:20.66 ID:ztaZg0YLo<> 小股せしました……。
ビリーに入隊して発散されすぎました。
森久保さんとビリーの雑コラ作って遅れたのは内緒。
出します! <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:49:52.69 ID:ztaZg0YLo<> 男は、武士であった。
生まれは名古屋、慶長末から連綿と続く由緒正しき武門の家である。
凄まじいのが、この家。
現代社会で何を勘違いしたのか、装束を纏い、帯刀。
通常ならば即お縄なのだが、優秀な護衛を幾人も国に輩出しているため、逆刃刀を用いるということでなんとかお目こぼしされている。
しかり権力に取り入るのがうまいのだ。
ところでまた、家族構成が不味い。
生きた鯉を踊り食いしながら小豆笊に顔を突っ込む父と、仕置きと称して逆刃刀で殴ってくる兄。
およそまともでない家と環境に囲まれた彼は、自然、守りに特化せざるを得なかった。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:50:29.31 ID:ztaZg0YLo<> 精神と肉体、その両方に。
何者にも侵されぬ鋼の肉体と、傷つけられぬよう鋼の奥にしまいこんだガラスの精神。
その結果、彼は人前で極力声を出さぬ現在の武人となった。
そんな彼だからこそ、出会った瞬間に彼のすべてを受け入れてくれた速水奏に対しては、ある意味崇拝に似た愛情を抱いているのである。
その彼は、今。
凄まじき責め苦に心をすり減らしていた。
「ひ、一思いにやってちょうだい……!」
「………」
武士の手に摘ままれたるは、あずき。
滑らかな光沢を帯びる楕円は、最高品質である。
無類の小豆好きゆえ、彼の家にあったこれは、本来はぜんざい用だ。
だが今、小豆は本来の役目からは程遠い役割を担っていた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:51:08.51 ID:ztaZg0YLo<>
「………」
苦渋。
言葉は発しない、が。
額にぷつぷつと浮かぶ玉汗に、痛いほど噛み締められた唇。
指で挟んだ小豆に伝う震えが、彼の心を如実に表している。
「は、はやくしてちょうだい……! 私のココロが揺らぐ前に……!」
面を天にむけ、その美しい鼻梁の呼吸穴が二つのぞく。
荒い鼻息が繰り返され、奏もまた苦しんでいる。
「………!」
武士が意を決し、煉獄に身を焼かれんとした瞬間、chuっ、と場違いに奏の携帯が喘ぐ。
更新されたTwitterには、煽り。
マッドマックス@hshsprprbikunbikun
@1.2.kisskiss ピッチャービビってるー! HEY!HEY!HEY!
狐やコンコン♪@*anuki
@1.2.kisskiss マンモーニなんだよっ! 写メを撮ると決めたときには! 既に写メは撮り終わってるんだ…… <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:51:42.67 ID:ztaZg0YLo<>
「………」
くぅ……!
他に道はないのか。
自分は、自分は……!
「……うぅ……」
目を噛むがごとく閉じられた瞼から、ぷくと膨らむ涙。
武士は彼女から目を逸らさず、しかし無力なまま、おのが運命を呪った。
「………」
まさか、まさか赤子を得るために恥ずかしい写真を……!
それも、愛すべき女の鼻に小豆を突っ込んだ写真をを撮らねばならぬとは……!
童貞と処女は勘違いに勘違いを重ね、無駄な責め苦に喘いでいた。
発端は数分前に遡るーーーー
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:52:19.65 ID:ztaZg0YLo<> 失楽せし楽園の寡婦@1.2.kisskiss
@hshsprprbikunbikun @*anuki
わかったわ!
赤ちゃんをコウノトリさんに授かるには、恥ずかしい写真を撮ればいいのね!?
「………我ながら恐ろしい考察だわ。 まさか、コウノトリさん……いえ、コウノトリが魔鳥だったなんて……」
閃きをネットの海に垂れ流しつつ、奏は人差し指で、唇を押さえる。
自身以外に触れられれば、失神即失禁の敏感さは、残念ながら彼女の思考にまで鋭さを与えはしなかった。
「………返信が遅いわね……はっ! なるほど……つまりは私達が自力で導き出した事実におののいているんだわ! ふふっ……世紀の名探偵を越える21世紀の名コンビね、私達って♪」
「……」
武士は己の伴侶の聡明さに感服して何度も頷き、気を良くした美少女は得意気にパイプを吸う。
21centuryホームズとワトソンは、斑の紐にくびり殺されること間違いなしだ。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:52:51.85 ID:ztaZg0YLo<>
「でも、恥ずかしい写真を撮ったからといって……どうやってコウノトリに伝えるのかしら?」
「………?」
自分にも検討がつかぬ。
「新たな謎といったところかしら……」
迷問を造り出す奏とプロデューサーを尻目に、やっとキス音。
確認した二人の顔に刻まれるは、驚愕の線。
狐やコンコン♪@*anuki
@1.2.kisskiss
よくわかったね! それじゃあ、早速恥ずかしい写メ撮って、挙げてみよっか♪
マッドマックス@hshsprprbikunbikun
@1.2.kisskiss @*anuki
ハイハーイ! アタシからていあーん♪ 並行世界のアタシがした恥ずかしーことなんだけどー。 お鼻の中に、キノコの山ならぬ、小豆を突っ込むのはどうでしょー! <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:53:26.82 ID:ztaZg0YLo<>
「……なん……ですって……?」
「………」
ぽろり、と奏の口からパイプが落ちる。
からんからん、と乾いた音が、二人を現実へ堕としていく。
「は、鼻に小豆を入れて……あ、あまつさえ、その写真をTwitterに挙げる……? り、理解……不能……」
「………!」
くら、と後ろへ倒れこむ奏の背後へ縮地で回り込み、支える武士。
廻る廻ーるメリゴーランドする額を右手でおさえながら、奏は呟き続ける。
「いえ、でも辻褄は合っている……ネット上に写真を挙げることで、コウノトリの目につき、そして赤ちゃんを届けてくれる……。 恥ずかしいことの一部にキスが入るなら、美嘉の言葉も頷けるわ……」
まだまだ迷推理は続く。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:54:00.94 ID:ztaZg0YLo<> 「けれど、小豆? 小豆は食べ物よ? 鼻に入れる物じゃけしてないわ……。 あなたと楽しむぜんざい……その中核をなす奇跡の食物なのよ……?」
「………」
武士の家には、探求者たる青少年達が生涯に使い捨てるティッシュを越える量の小豆があった。
それは彼の生まれがなす業。
染み付いた三食ぜんざい。
ちなみに、マッドとフォックスが小豆を知っていることから身内であることはバレバレなのだが、感の悪い二人は微塵も気付かない。
「………」
武士が思い出すのは、奏と食べたぜんざいの味。
常人ならば糖尿まったなしのぜんざいを、超人的な舌でねぶり、飽き果てる
ことなく食らった奏。
小豆とは二人にとって、運命ともいうべき豆なのだ。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:54:31.43 ID:ztaZg0YLo<>
「くっ……これはキスも満足にできない不甲斐ない私への罰だというの……?!」
「………」
「ええ……わかってるわ。 覚悟なら、とうにしていたもの。 押してダメなら引いてみろ……キスでダメなら鼻小豆……。 皮肉なものね……私達の大好物にこうして苦しめられるなんて……」
「………」
儚げで、今にも砕けそうな硝子細工の微笑み。
武士は無言のまま、奏を抱く力を強める。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:54:57.58 ID:ztaZg0YLo<>
二人に、もはや言葉はいらなかった。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/01(金) 21:55:17.04 ID:xlgNBP0zo<> >>62
並行世界のアタシって元ネタ何? <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:55:30.67 ID:ztaZg0YLo<>
奏は愛しき者の手を名残惜しそうにほどいて、立ち上がった。
そして、勝手知ったる台所へ行き、いつもの扉を開く。
小豆だ。
「………」
まるで産まれた赤子を扱う母親のように、慈しみながら、二粒。
(あた、たかいわね……)
奏は驚いていた。
ただの食材のはずの小豆が、今はこんなにも熱を持っている。
(いえ、きっと違うのね……私が気づかなかっただけ。 貴方はいつも……)
どくんどくん、と鼓動までも伝わってくる。
奏が運んでいるのはもはや小豆ではない。
命をもたらす、方舟なのだ。
(もう、なにも怖くない……!)
某フラグ建築少女のような思考と共に彼女は力強く踏み出していく。
プラシーボ効果とはかくも恐ろしい。
そうして勘違いしたまま、掌に乗せた新たな命の種(※あずき)を、恋する男へと手渡した。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:56:00.47 ID:ztaZg0YLo<>
「…………私達の赤ちゃんを、作りましょう?」
「………」
子を産む母の、なんと強きことか。
男もまた種の頂点たる微笑みに、決死の覚悟を固めたのだった。
そして、舞台は冒頭へ舞い戻るーーー
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:56:34.40 ID:ztaZg0YLo<> 「ひっひっふー! ひっひっふー!」
奏はお産の準備声をあげる。
たかが小豆を鼻に詰めるだけなのだが、彼女はいたって真剣だ。
「………」
武士は、その姿にココロのなかで感涙しつつ、しかしまだ迷っていた。
それは、自身の無力さ。
彼女にだけ背負わせてよいものなのか。
「もし、その手を、離したら……! すぐにいなくなるから……! 手錠に鍵をかけて……! 今夜……今夜……今夜……!」
「………」
お産という未知への恐怖をまぎらわすため、目を閉じながら持ち歌を口ずさむ奏。
二人で世に送り出した曲。
いわば、二人の赤子ともいうべきーーー
ーーー武士は、その瞬間、本当の意味で覚悟を決めた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:57:09.23 ID:ztaZg0YLo<>
「………!」
ずぼっ!と何を思ったか自身の鼻に一粒小豆をぶちこむ武士。
一心不乱に歌う奏は気付かない。
これが、彼の覚悟。
恥を載せるというのなら、その半分を分かち合おう。
「そう……Just the two of us……!」
二人だから、愛し合える。
二人だから、支え合える。
「Chuっ」
煩わしいキス音。
見れば、更なる煽り。
マッドマックス@hshsprprbikunbikun
@1.2.kisskiss
Hurryhurryhurryhurryhurryhurryhurry! どうした失楽?!
狐やコンコン♪@*anuki
@1.2.kisskiss
はーな小豆! そーれはーな小豆! あ、よいしょ! はーな小豆!
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:57:41.48 ID:ztaZg0YLo<>
「……!」
どんどん重なるキス音と共に、増えていくマッドとフォックスからの煽り。
ならば、見せてやろう。
武士は、今にも小豆をすぽーん!と鼻から打ち出さんばかりの勢いで、子種を振りかぶり、伴侶の子をなす穴へと入れんとしーーーー
たおられちゃったフルール@japarise
@1.2.kisskiss
それ間違いだよ
ーーー寸でで、止まった
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:58:39.24 ID:ztaZg0YLo<>
「………」
ま、ち……が……い?
たおられちゃったフルール@japarise
@1.2.kisskiss
もーネットに踊らされちゃダメじゃん〜! 恥ずかしい写真なんて嘘! そんな必要ないないなーい!
「………」
ぽろ、と武士の目から涙。
「1……2、kisskiss……! あ、あなた? 焦らし過ぎじゃーーー」
「………!」
武士は薄目を開けた奏を正面から抱き締めた。
ずっぽーん!
彼の鼻息は荒く、穴に押し込まれていた小豆が、高速でぶっ飛び、跳弾と化して部屋で舞っている。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 21:59:08.99 ID:ztaZg0YLo<>
「………え、うそ、なの? 私達の勘違い……ですって?」
「………」
何度も頷く武士。
奏自身もまた、大粒の涙が浮かぶ。
「なによ……じゃあ、こんな必要……なかったって、ぐすっ。 ことじゃ……う。 うぅ……」
「………」
二人は無意味な試練を回避し、何物にも憚らず泣いた。
弾丸のように躍り狂う小豆も今は二人を避けて飛ぶ。
Chuっ。
キス音。
たおられちゃったフルール@japarise
@hshsprprbikunbikun @*anuki
にっこり(o^−^o)
マッドマックス@hshsprprbikunbikun
@japarise
っべー
狐やコンコン♪@*anuki
@japarise
ひえっ
鬼改め悪魔@usokuigod
@hshsprprbikunbikun
花摘みにいってから長いと思えば……調教が足りないみたいですね
動物愛護@animalemperor
@*anuki
つAV(animal video)企画 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 22:00:06.06 ID:ztaZg0YLo<>
「……ぐすっ………ふふっ……悪い人たちも成敗されたみたい、ね……」
「………」
「………ええ、勿論。 小豆は失敗だったけれど……〈ココ〉は間違い、ないわ……」
Chu
キスの、音。
けれど、今度は。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 22:00:57.28 ID:ztaZg0YLo<> ーーーパシャンっ。
広がる黄金の泉、そしてそこに突っ込みやっと止まる悪戯の種。
コウノトリさんへ届くことはなかったけれど、小豆は生暖かい湯船の中で、二人の奇跡を見届けていた。
プラシーボだろうとなんだろうと、どうでもいい。
子をなす覚悟をした彼女は、ついに意を失うことなく。
ただただ愛する男のココロを〈唇〉に感じていたのだった。
明日のためのその@
『ネットに頼れ』成功……? <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/01(金) 22:05:56.06 ID:ztaZg0YLo<> こっこまで!
>>67 R板の天才的スレ様からのインスパイアです。
素晴らしいので、是非。
あとちょいで終わると思います。
次回からド紳士なのでRいったらすみません。
〈奏さんの誕生日に棒ぐ〉
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/01(金) 22:07:37.48 ID:xlgNBP0zo<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/01(金) 22:55:51.27 ID:5JcUW6mso<> おつおつ、毎度楽しく読んでます
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/01(金) 23:20:21.84 ID:iDTCJcfc0<> 誕生日に鼻に小豆突っ込まれて失禁する女の子…… <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:32:43.94 ID:5xO2G7kQo<> キス=妊娠。
ニコイラでも速水処女来てますね。
流行れ。流行らせ。流行ってください。
出します!
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:33:49.19 ID:5xO2G7kQo<> ーーーーついに成功した初ちゅーからしばらく後。
自室のトイレット内部、碧のカバーがかけられた便座に座りながら、奏は震えていた。
その手にあるのは、速水水をひっかけて判定する検査薬。
無情にも、判定窓は真っ白だった。
「どういう……こと、なの」
ぷるぷるぷると、力む手が震え、同時に残尿がぴゅぴゅっと飛び降りる。
「生理予定日から一週間……個人差があるとはいえ、こうも無反応だなんて、おかしすぎるわ……」
後ではなく、前後一週間である。
赤ちゃんがコウノトリに運ばれるという盲信を除いて、何故だか性知識に詳しいカナーデ=ウーブ=ネンネ。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:34:32.74 ID:5xO2G7kQo<>
「毎日調べてるのよ? 測り漏らしはあり得ない……ま、まさか」
彼女の脳内には、今や新たな疑念が生まれていた。
だがしかし、それは到底信じたくない事実である。
「あ、赤ちゃんはキスでは、できない……?」
遂にその解に辿り着いた速水奏。
渡り鳥の伝承までは至らなかったが大きな前進であり、そしてまた後退でもある。
「も、もしこれが事実なら……私今までなんて恥ずかしい勘違いを……!」
耳まで真っ赤に出来上がり、縮み上がる体がぴゅぴゅっと放尿。
性知識は前進したものの、プライドは王国編の飛び降り詐欺社長のごとく大後退である。
「確認よ! 今すぐ! ええっと……フレデリカは……駄目よなんだか凄く申し訳ない声をかけられそうだわ……!
美嘉は……駄目、ネットの話題へ飛び火しそう……!
周子は……駄目駄目。 間違いなく煽ってくるわ。 一月はいじられちゃう……! だとしたら、やっぱり」
持ち込んでいた携帯を取りだし、性天使へと繋がる6969を押す。
二、三度のコール音のあと、繋がった相手は。
「志希? 貴女に確認したいことがーーー」
『ーーーはい、もしもし、千川ですが、どち〈あぁん! ご主人様、早く憐れな豚めに、お恵みおぉおお! 志希ちゃん、お布団に、千の川描いちゃうう!!! 志希ちゃん志ッ希ンしちゃぅぅぅぅう! せんのかーわーにー! せんのかーわーにーなーってー! ここにワタシはイッテませんんんん! さ、サウザンドリバー! 〉うるさいぞ! 豚ぁ! 』
あっ。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:35:11.53 ID:5xO2G7kQo<>
「志希、プロデューサー……? 私、間違えて……」
『あぁ、いえね。 新婚旅行真っ最中だったんですが、えぇ。 志希の着信音が非情に鬱陶しかったのと、今調教ちゅ〈あっれ〜? 志希ちゃん、悲しいにゃあ〜♪ 折角着信、キミの愛のさ・さ・や・き☆ に変えたのにー。 あ、わかった! 恥ずかしがり屋さんなんだ! もー! かわいいんだか……ひぐうっっっっ!?〉』
電話先から、どちゅっとナニかが、水分を含んだモノに刺さったような音。
『はぁ、はぁ、はぁーーーふぅ。 そこで棒でもくわえこんでなさい、ったく。……あぁ、それで? 志希は少しばかり忙しいので、用件なら私が聞きますよ速水さん?』
「え、えぇ……お邪魔して、ごめんなさいね」
深くは聞くまい。
詮索ダメ絶対。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:35:49.33 ID:5xO2G7kQo<>
『ーーーふぅん? 赤ちゃんが出来る方法を教えて欲しい、ですか』
「そうなの。 どうやら私、重い勘違いをしてたみたいで……ほんとは妊娠してる志希なら、って予定だったのだけれど」
『それはそれは。 妻を信頼していただいて夫冥利に尽きますね』
その妻は現在失神、ベッドに千の川を描く前衛芸術真っ最中である。
「貴方も、知ってるのよね?」
『当然。 教えてあげましょうか?』
「! ほんとう!? 是非聞きたいわ! どうすれば赤ちゃんが出来るの?!」
トイレの中で大興奮のSSアイドル。
食い気味で、電話の主に尋ねていく。
『それはですね……』
「それは……?」
ごくり、と奏の喉が鳴る。
ついに、世界の秘密を知るときが来たのか。
名探偵は真実の暴露に胸を高鳴らせる。
『ーーーーお互いを罵りあうんです』
真実は、またもや歪められた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:36:39.45 ID:5xO2G7kQo<> 「えっ…………?」
奏は呆然自失。
ナニを言われているか理解できず、三度の便器への水属性ダイレクトアタックをかます。
志希プロデューサーは、電話越しに母親めいた笑みをたたえながら告げていく。
『勘違いしないでくださいよ? これには理由があってですね。 罵声は普通、傷つけ合うだけのものですが、愛し合う互いは、罵ることすら喜びに変えられないといけないんです。 いやぁー美しいですねぇ……艱難辛苦を乗り越えた男女が授かる結晶体! うんうん、美しいです』
嘘八百を美談めいて話すことで虚偽に真実のベールを被せていく。
普通信じるはずもないことに、コウノトリが赤ちゃんを運ぶと信じる奏は、ちょろっちょろに騙されていく。
「………確かに、困難を乗り越えた男女が赤ちゃんを授かっているシーンはアクション映画のラストでもよくあるわ………なんてこと。 こんな真実が……ぶつぶつ」
『……………………まあ、新婚旅行邪魔された腹いせなんですけどね』
「えっ? 何かいったかしら?」
『いいえ、何にも』
悪魔の本音を聞き逃す様は、まさに難聴系主人公。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:37:15.88 ID:5xO2G7kQo<>
「ありがとう志希プロデューサー! いえ、千川さんと呼んだ方がいいのかしら? ふふっ♪ 志希ちゃんの選んだ旦那様は、流石ね♪ あんな結婚式あげるだけあるわ♪」
『あーーーーーその節はイロイロと、どうも?』
「いいのよ。 親友の晴れ舞台だったもの。 どうってことなかったわ」
『…………』
さすがに気が咎めたのか、悪魔もヒントは出しておく。
鬼の目にも涙、ともいう。
『まぁ。 これも一礼なので、もし他の手が欲しいなら、恋愛映画を見るといいですよ。 お薦めはアイズ・ワイド・シャット、ですね』
「恋愛映画は苦手だけれど……ええ、わかったわ。 ありがとう千川さん」
『ん、お役にたてたなら嬉しい限りです。 では、私はこれで。 ………ほら、いつまで寝てるんですか志希。 まだお仕置きは済んでませんよ? さっさと起きないならもう一本ーーー』 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:37:47.32 ID:5xO2G7kQo<> ぷつっと切れる携帯。
幸せそうな親友夫婦に心が暖かくなった奏は、新たに見えた光明に対しても、頬を緩ませるのだった。
「つらく、苦しい道なのね……でも、できるだけ頑張らなくちゃ! 罵るのはあれだけど……恋愛映画くらいなら頑張れるもの……!」
未知への挑戦を誓い、明日のための一歩が始まる。
とりあえず、トイレットペーパーでお股を拭こう。
そう思いながら、奏はからからからと芯を回し始めた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/06(水) 02:38:31.64 ID:3Ss2A5/Vo<> 相変わらず志希にゃんの扱いひでえ…… <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/06(水) 02:43:43.29 ID:5xO2G7kQo<> ここまで!
ラストまで構想できたので、もうちょいで終わります。
異臭漂うss見てくださる紳士淑女ほんとありがとです。
見てもらえるとヤル気びんびんなりますねやはり。
あと、こんな形ではありますがちゃんとLiPPSメンバー全員大好きなので。
歪んでますが許してくれデリカ
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/06(水) 02:44:18.98 ID:3Ss2A5/Vo<> 乙乙 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:30:41.40 ID:JzAJgkPCo<> 夏のss交流会もうすぐ結果発表ですね。
読んだことある物が多かったですが、こう、繋がる感じはいいもんですね。
夏冬とか、定期的に開催されたりとかしたら紳士嬉しい。
だからR18部門も作ってください(血涙)
では、最後まで一気に逝きます!
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:31:15.21 ID:JzAJgkPCo<> 人はみな、何かを求め、さ迷っている。
それは人生を捧げたいと思える無邪気な女神かもしれないし、狭い世界を壊してくれるイカれた鬼っ子かもしれない。
一生見つけられないかもしれない。
もしかしたら勘違いかもしれない。
けれど、それでも人は求めるを止められないのだ。
では、どこにでもいる普通の女子高生。
速水奏は、何を求めていたのだろう?
とりあえずのところ、現状を求めてはいなかっただろうとは、言い切れるが。
「それで……何か釈明はあるのかしら?」
志希プロデューサーから知恵を授かってさらに数日。
奏は、How to make babyという真実の扉に挑もうとしていた。
だが、彼女のプロデューサーもまた歪む以前の知識から彼なりの最善を尽くしていたのだった。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:31:48.47 ID:JzAJgkPCo<>
「………」
プロデューサーが無言のままに手渡したもの。
それは奏の心を、17歳のうら若き乙女の。
花の高校生のプライドをへし折るのに充分な力を持っていた。
「こんな……こんな屈辱……生まれてはじめて、いえ、正確には二度目だろうけれど!」
それはムー○ーマン。
赤ちゃんのお尻を守る。
ユニ○ャームの決戦用商品。
これをこの場で、この状況で出されるという事実。
倒錯した、歪な性癖でも持たぬ限りけしてありえない選択肢。
それが眼前に突きつけられたという事実に、奏は顔を赤らめることしかできなかった。
「………」
武士の表情は、暗い。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:32:23.71 ID:JzAJgkPCo<>
「ええ、いいわ! いいわよ! 穿けって言うんでしょ?! 穿いてやるわよ……! その代わり、ちゃんと、見てなさいよ?!」
半場自棄である。
緩んだネクタイを取り去り、流れで制服の上下を脱ぐ奏。
本来晒される必要がなかった、黒のフリルシースルーブラが露になる。
色合わせのブラックショーツと相まってセクシーアイドルそのもの。
が、その手が掴んでいるのは○ーニーマン。
「………」
目を逸らさず、奏の履き替えを見る武士。
「こ、こんな物……わたし、にかかれば着こなせない、はず………」
「………」
なんということでしょう!
少しおませなクールアイドルが、ほぉら!
お洒落なブラジャーとは似ても似つかないオムツは、最先端をひた走るベビークール!
魔改造、劇的ビフォーアフター!
「…………」
「…………」
「…………」
「…………ぐすっ」
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:33:08.86 ID:JzAJgkPCo<> 武士なりに、考えてのことだった。
キスしても意識を失わなくなったとはいえ、失禁は避けられない。
それ故に奏は、心のどこかで赤子を作ることに負い目を感じているのではと。
ならば、その負い目を払いたい。
存分に出せる環境を作ろう。
頭が固く、愚かな男なりの精一杯の愛情表現。
それがムーニー○ンだったのだ。
「………」
けれど、結果は失敗。
愛しき人を泣かせてしまった。
履かせるオムツどころか、泣かせるオムツだ。
武士に、もはやプロデューサーいや、それ以前の権利すらもあるわけもなく。
「ひっく………ぐすっ………? あなた、なに、を」
「………」
おもむろに立ち上がり、そして床の間へと歩き出す。
足取りは真剣の立ち会いにおける足運びのように、軽くも深い。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:33:38.48 ID:JzAJgkPCo<>
「…………」
そして、武士は床の間に飾りし、一本の脇差しを手にする。
一尺七寸。
ーーーすらりと抜けば、中脇差しに近しい刀身が露となる。
「………綺麗」
オムツを履いていることを忘れるくらい、刃は美しかった。
雪解け水のような透明感のある刃に、二匹の蝶が舞い踊るが如く伸びやかな刃紋。
武士は刃を鏡を覗くように凝視し、そして逆刃をひらりと、返す。
「………」
武士の目が刃から一瞬離れて、二人の視線が交差した。
ーーーーーどくんっ。
瞬間、恐ろしい予感に身を打たれ、気づいた時には武士の頬に紅葉を咲かせていた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:34:25.85 ID:JzAJgkPCo<>
「はぁ、はぁ……。 あなた……いま、何をしようとしたかわかってるの……?」
「………」
二度目の平手打ち。
打たれた武士の頬も、打った奏の掌も、共に赤く染まっている。
じんじんと、どちらのものとも知れぬ痛みが鈍く。
「そんなことして、私が喜ぶとでも思ったの………? 馬鹿なヒト。 私はね、あなただからアイドルになったのよ。 そのままのあなただから、賭けたのよ。 そんなあなたが………!」
三度振りかぶられる掌。
甘んじて咎を受けんと、目を閉じる罪人。
しかし、次の瞬間。
彼は思わぬ抱擁を受けていた。
「まげを剃ろうだなんて……許せるわけないじゃない!」
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:35:01.90 ID:JzAJgkPCo<>
「………」
「馬鹿よ……ほんとに大馬鹿よ。 武士失格とでも言いたかったの? それこそ、武士失格よ……。 いい機会だから、ここではっきりさせておくわ」
きつく、抱く腕に力が入る。
逃げ場などない、私はここにいる、とまるでそう主張するような。
「あなたは、武士よ。 大真面目で、不器用。 それでいて女心のわからない大馬鹿者。 だけど、だけどね」
きっ、と顔を上げて、武士の目を見つめる。
釘の打ち足りないテーブルの足みたいに、彼の瞳は揺れている。
それは鋼の体に備わる、ガラスの心。
ヒビだらけで、継ぎ接ぎだらけ。
それでも二人が出会ったあの日。
確かに見えた、その奥で燻る魔法を操る妖精の素質を。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:35:42.34 ID:JzAJgkPCo<> 「あなたは私のプロデューサーなのよ……!」
「………!」
武士が喋らないのは怖いからだ。
外界を遮断せねば未熟な心は潰れてしまう。
それでも奏や事務所の皆は受け入れてくれた。
心地よく、だから逃げ続けた。
けれどもう。
「………」
「………プロデューサー?」
武骨な手が奏の小さな頭を撫でる。
乱雑な触り方のせいで、ターコイズブルーの髪の毛はぐしゃぐしゃ。
不思議そうに首を傾ける奏。
そして、武士の、いや『プロデューサー』の口が初めて開かれんとしーーー
「奏ィアンマン……」
「あぁん?」
しくじった。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:36:19.77 ID:JzAJgkPCo<> つい常日頃から唇に出さぬよう閉じていた言葉が漏れてしまった。
先程まで潤んでいたはずの奏の双眸が、雷撃呪文連打直前の天才魔物使いじみたでろでろとした闇を纏っている。
取り繕うため、プロデューサーは奏を抱き返し、全力で目を逸らす。
「すまなかった。 自分は、ずっと甘えていたのだな……。 言葉を発さずとも口元力ませる関係。 聞こえはいいが、奏達に気付かせるばかりで、自分の努力が足りなかった」
「そうよ……ずっとあなたの声、聞きたかったんだから……。 だけど、もう、いいのよね?」
「あぁ。 随分……待たせた。 自分はもう、武士ではない。 いや、これが駄目なのか。 ははは……。 そうだなぁ……」
「なにを悩んでるのよ。 今までどおり、武士兼プロデューサーでいいじゃない」
「確かに。 だが」
「だが?」 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:36:51.91 ID:JzAJgkPCo<>
「奏のプロデューサー兼、武士だ」
「なぁにそれ……ふふっ」
「ははは……」
「「あはははははは!」」
唇を介さず、その奥の奥。
心〈ココロ〉の臓腑から二人は笑いあい、そして仲間はずれの唇を寄せあったのだった。
そんな二人の様に、ムーニーマ○は、吸いきれないぞ、と溢れでてくる黄金色の輝きに文句を漏らすのであった。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:37:19.13 ID:JzAJgkPCo<>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:37:46.47 ID:JzAJgkPCo<>
「………なんだか罵り合う気力なくなっちゃったわ」
「ん? なんのことなのだ?」
「ううん、いいの。 大したことじゃないから。 それより、ねえあなた。 私これ持ってきたのよ、一緒に見ましょう?」
「あいず、わいど、シャット?」
「そ、志希プロデューサーがお薦めしてくれたの。 ここに赤ちゃんができる方法がのってるらしいの」
「なんと?! それはまことか! ならば至急確かめねば!」
「ふふっ大声出しちゃって♪ こんないい声ならもっと早くに聞きたかったわね」
「そ、それは………」
ぽりぽりと頭を掻くプロデューサーを尻目に微笑みながら、奏はDVDをセットする。
動くたびに、オムツがふわっと擦れてくすぐったいが、今は何だか気持ちいい気分だ。
再生を押せば、予告や宣伝が始まっていく。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:38:15.85 ID:JzAJgkPCo<>
「それにしても、恋愛映画とはな。 奏も……心変わりといったところか?」
「さぁ、どうかしら。 少なくとも、あなたに出会った日から私は何も隠してはいなかったのだけれど?」
「…………すまなかった」
「……ふふ、冗談♪ 」
「堪忍してくれ……」
辟易と、今までにない豊かな表情を見せる彼氏に、彼女はつい心が弾む。
映画はまだ長い宣伝。
飛ばせばいいことなのだが、今はそれが少し惜しい。
「ねぇ、プロデューサー。 出会った日のこと、覚えてるわよね?」
「勿論だ。 忘れようにも、忘れられぬ」
「うふふ。 ………私、プロデューサーに隠してることがあるの」
「隠し事……? 今更ではないか?」
「もう、茶化さないで! 確かに秘密は女の子を綺麗にするけれど、それとは別よ。 もう……」 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:38:46.84 ID:JzAJgkPCo<> 映画が始まり、ニコール・キッドマンが肢体を惜しげもなく晒す。
視聴者の心をいきなり掴む演出だが、奏のハートは別の場所へ飛んでいた。
時を越え、あの日へと。
「実は私、あのとき別にあなたじゃなくてもよかったの。 私の世界を広げてくれるなら、誰でもよかった……」
「怖いことを言わないでくれ……心臓が縮みあがりそうだ」
「ガラスのハートだものね? くすっ♪ ……けど、本当よ。 あの日は本当に誰でもよかったの。 きっと怖いお兄さんにだってついていってたわ、馬鹿な私は」
重力の鎖を解いて、月の裏側まで。
彼女はそう、唄った。
「私って変でしょ? ふふ、そんな顔しなくてもいいわ。わかってるもの。 だけど、学校じゃ真面目なのよ。 本当に。 本当に真面目なの……」
「真面目なのは、いいことだ」
「あなたはそう言うでしょうね。 けれど私にとっては違うの。 私はもっと自分をさらけ出したかった……。私の『真実』を皆に見てもらいたかった……」
「…………」
速水奏。
碧い少女。
彼女もまた。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:39:15.71 ID:JzAJgkPCo<> 「けれど私も臆病だから。 一人で月へは行けなかった……」
映画は進む。
トム・クルーズとニコール・キッドマン、二人の夫婦が写し出される。
「だから、あなたの瞳を見たとき、鏡を見るようで。 ……卑怯ね、今更こんな話」
「卑怯者は自分の方だ。 奏はむしろそれを『魅力』と、そう呼ぶべきだ」
「ううん、違うの。 結局のところ、私が言いたかったのは……もし、私がホンの少しでもあなたを変えることができたなら」
彼女が求めていたものとは。
それは、自分と同じくらい臆病で、けれど武士のような一本筋の通った。
「私に魔法をかけてくれて、ありがとう……海の妖精さん」
そんな、大変な変態だったのだろう。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:39:42.07 ID:JzAJgkPCo<> と、奏は神妙な表情から一転、くすくすと笑いを溢す。
「……なぁんてね♪ 一度言ってみたかったのよ、映画みたいな台詞。 あ! ほら見て! トムとニコールが何か始めるわよ!」
「………自分は舞台を整えただけだ。 偶像を作るのはいつだって、それ自身、だ」
「………」
「だからありがとうは、こちらの台詞だよ、奏」
ちっちゃく。
だけど、また二人は笑う。
今回は、山なく落ちなく。
ただ二人の男女が秘密を分かち合う、シンプルなストーリーだったのだ。
それきり言葉は世界へ溶けて、二人は映画の世界へと入っていく。
そうして、物語は三流映画みたいに終わりを告げーーーー
ーーーーられたらよかったのに。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:40:24.32 ID:JzAJgkPCo<>
「………ん?」
「………お?」
映画の中の夫婦。
トム・クルーズとニコール・キッドマン。
アイズ・ワイド・シャット撮影中、彼等は現実でも夫婦だった。
映画をご存知ない方にも配慮しておくと、これはいわば、性交とはいかなるものかを綿密に描写したものである。
そのため、無論、ベッドシーンは濃厚。
一説では、二人は本当にいたしていたというものまである。
つまり、どういうことかというと。
この映画は、赤ちゃんはコウノトリが運んでくると思っている処女と童貞に、無修正のポルノを見せつけるような、そんな起爆剤である。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:40:56.51 ID:JzAJgkPCo<>
「ひゃ、ひゃあっ?! な、なによこれ?! 二人は何してるの?!」
「 」
「ってあなた失神してる?! や、やだ! こんな空間に私を一人にしないでよ! ねぇ?!」
ガクガクとプロデューサーの体を揺するも、彼は既に時のない世界へ白目を向いてGO AWAY。
奏は一人、濃厚なエロシーンを見ることとなる。
「えぇ……うわぁ……あんなこと、やだっ、うわぁ……」
手で顔を覆うも、指の間から見るのは止めない。
中学もしくは小学生並みのうぶな反応である。
「うっそぉ……まじ? 人類の夜明けだわ……はっ?!」
口調がぶち壊れるほど余裕がなくなりつつも、閃光のように走るある予感。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:41:32.37 ID:JzAJgkPCo<>
「……もしかして、これが赤ちゃんを作る、方法、なの?」
思い返せば、幾つも機会はあった。
美嘉の涙混じりの過剰な反応。
Twitterでの返事の遅れ。
フレデリカや志希達の死んだ回遊魚の目。
そして、この映画。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:42:05.34 ID:JzAJgkPCo<> (わた、しは………)
気付くと、奏は真っ暗な世界にいた。
ぽぅ、と何処からともなく照らされたライトが前方の闇を丸く切り取り、そこに鏡が現れる。
鏡に映るのは、かつてのドレスを纏う自分自身。
鏡の中の偶像は薄く笑い、口を開く。
『貴女がうぶなのはわかってた。 狂悦なる口蛇の魔性を気取るんだもの、言葉は選ばないと不味かった』
『でも貴女は、ついに自力でたどり着いた』
『赤ちゃんは、コウノトリが運んでくるんじゃ、ないわ』
偶像と彼女。
クレイジーリップは、唇を淫靡に歪ませる。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:42:56.51 ID:pq/5prZfO<>
『知識より、想像力よ』
「ヒントはあらゆるところに散りばめられていたわ。 事実と想像をすり合わせ、捨て……残していく」
フレデリカ、志希、美嘉、周子。
そしてプロデューサー達。
彼等が言外に伝えていた断片。
『男女の喜びと痛みを伴って赤ちゃんはできる。 そして下の口。 口と言えば唇だと思っていたけれど』
「そう。 私達には陰口があった」
『ここからは想像よ。 私は何故男女で体の作りが違うのかを見落としていた』
「それは、何故ちんことまんこがあるのか……でしょう?」
『その通り。 もし赤ちゃんをコウノトリさんが運ぶなら、その差は必要ないもの。 だけど、英語では男女の差をこう表すわ』
いつのまにか、偶像は柘榴を手にもっていた。
みずみずしいその実をかじる振りをしながら、二人は声を重ね合わせる。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:43:35.52 ID:JzAJgkPCo<>
「『Sex」』
『男女の体の違いも』
「志希が志希プロデューサーとしていた上下運動も」
『この映画が示すベッドスポーツも』
『どれと擦り合わせても、この事実はピッタリと子作りに当てはまるわ……』
ついに名探偵は、前座から主役へと。
斑のひもを、解決への糸を手繰り寄せた。
「でも、これはあくまで推測……」
『大丈夫。これを否定する材料はまだない……子作りは、Sexよ』
「………わたしに、できるかしら……?」
偶像は笑う。
気づけば、鏡などはそこになく。
手には一口かじられた柘榴。
奏は、笑った。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:44:11.04 ID:JzAJgkPCo<>
「できるわ。 彼も言っていたじゃない……偶像を創ったのは、器たる私自身なんだから……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:44:38.08 ID:JzAJgkPCo<>
「ーーーーはっ?!」
いつのまに気を失ったのか、覚醒したプロデューサーは慌てて辺りを見渡す。
既に終わった映画。
床に転がる逆刃の刀。
そして、ベッドに座り込む恋する乙女。
「すまない、奏……いつのまにか自分は……」
「しっ……」
唇に指を立てて、静寂を求める彼女。
左手で手招きし、プロデューサーを傍らへ呼びつける。
その表情は、生きた人形のようで、どことなく体温を感じさせない。
プロデューサーは、恐る恐る、彼女の隣へ腰かける。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:45:20.81 ID:JzAJgkPCo<>
「奏、一体なにが? どうも様子がおかしーーーむぐっ?!」
唐突に唇を奪われる。
触れるだけでも、保つだけでもない、荒々しい熱いベーゼ。
舌が口内を蹂躙し、粘膜と粘膜が混ざり溶け出す。
黄金は、広がらない。
「ん……んちゅ、れる……ちゅぽっ………はぁ、はぁ」
「か、かなで……なにを……?」
交わした唇は人形からはほど遠い、煮えたぎるマグマのような熱を帯びていた。
胸を押され、抵抗もできずプロデューサーはベッドへ背中をつき、その上へ彼女は覆い被さっていく。
柘榴色に妖しく輝くLipが、言葉を紡いだ。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:46:05.25 ID:JzAJgkPCo<>
「…………ねぇ、プロデューサー。私達やるべきことがあるんじゃない?」
「それは、一体……?」
するり、と偶像と器が混ざり、そして弾けた。
「『セックスよ」』
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/07(木) 13:51:38.31 ID:JzAJgkPCo<> 本編終わりでっす!
案の定、後日単予定してますが、途中なのでまた出します。
奏さんは元々完成されてる感じあるので全体的に歪になってしまった……猛省。
ではまた!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/07(木) 15:27:06.96 ID:WJ0RgxgMO<> おつおつ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/07(木) 16:43:41.81 ID:XsVT3H0gO<> 笑いすぎて勃たねぇよ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/07(木) 17:11:43.43 ID:YjVtR32Mo<> 9割方キャラは崩壊してるはずなのに
とてつもなく魅力的なんだよね、この奏。乙ですー <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/07(木) 23:04:37.01 ID:UTz0C9RDo<> ぶっ飛びすぎるあまりに3周くらい回って成立してる感じ すき <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:29:10.79 ID:jj3wBK7Lo<> 皆さん、イイ笑顔です……
ありがてぇ……ありがてぇ……!
毎回刺されんじゃね?って思いながら書いてるんで、紳士P笑ってもらえて嬉しいナス!
後日譚できたので、さらさら出しきって、終わります!
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:29:55.28 ID:jj3wBK7Lo<> コウノトリが赤ちゃんを運ばなくなった次の日。
夕暮れ、窓から差し込む太陽光線がオレンジっぽく変わる時刻。
プロデューサーは、案の定いない。
ちひろさんも、同様。
やっぱりたまたま三人のアイドルだけがソファに座って、肩を寄せ合い並んでいる。
けれどそこに、いつもの彼女はいない。
金、碧、桃。
赤紫でない、艶やかな三色クレヨンがはまっていたのだ。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:30:38.60 ID:jj3wBK7Lo<>
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
沈黙。
碧ーーー奏が、顔色を窺うように横を向く。
パリジェンヌ、フレデリカは満面の笑み。
Goのサインが張り付いていた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:31:33.28 ID:jj3wBK7Lo<>
「………か、奏ちゃんクーイズ」
「いえーい☆ ひゃっほー! ばんばんばーん♪」
「ひゅ、ひゅーひゆー……★」
「ど、どうして私は……気まずそうな表情をしているのでしょうか……?」
「うーんなんでだろ〜ねー? ミカちゃんわかる? フレちゃん的には、カナデちゃんがついに大人の階段の登り方を知ったはいいけど、今までの自分にわお! るーじゅたっぷり大爆発!
恥ずかしくてお嫁にいけナーイ♪
じゃあ絶対ないとは思ってたりしないんだけどね?」
「かはっ!?」
「フレデリカ?!」
怒濤のラッシュに碧コーナ速水はグロッキー。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:32:43.77 ID:jj3wBK7Lo<>
「あれー? どったのカナデちゃん? だいじょび? じょばない? じょーばいろじょばいろ? 〈狂悦なる口蛇の魔性〉、クレイジーリップちゃんおーけ牧場?」
「ぐはっ?!」
「もうやめて! 奏のライフはとっくにゼロだよ!?」
傷口に粗塩を練り込んでいくスタイル。
レディ=フレデリカは、スパルタなのだ。
「フンフンフンフン♪ フフン、フレデリカ〜♪」
「って聞いてないしー!?」
「……ふふ、ねぇ美嘉、フレちゃん……燃え尽きたわ……真っ白に……」
「あー!? なんか見たことあるカンジでぐったりしてる?! ダメだよ、奏! そっち行っちゃダメー?!」
がぐがく、と奏の肩を揺する美嘉。
白目を剥いて、昇天するクレイジーリップの口の端しから魂みたいななんやかんやが漏れていた。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:33:15.72 ID:jj3wBK7Lo<> 「あ、見て見てカナデちゃんミカちゃん、シキちゃんからメール♪ あ、違ったライーン♪ どっちでもいいけど☆」
「え、なになに? 志希からって、グループの方? ………って、話逸らさない! 今は奏が……」
「あら、志希から写真が来てるわね」
「復活はやっ?!」
顎をあんぐりあける美嘉を尻目に、スマホを触ってる奏様。
この3人で集まったときのお決まりのやり取り。
フレデリカ>奏>>>>>>>>(越えられない壁)>★>美嘉。
LiPPSヒエラルキーは非情である。
<>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:33:49.65 ID:jj3wBK7Lo<>
「へぇ………随分幸せそうね」
「うんうん♪ シキちゃん噂のはっぴーぴーぽーの仲間入りだね♪ あれ、ぱーりーだっけ?」
「なんかでもこの写メ違和感あるんだけど……? 志希の座ってる椅子、なんか見たことあるような……?」
送られてきた写真には、満面の笑顔を見せてピースサインを飛ばす、ワンピースon白衣姿の志希。
可愛い鬼と猫のアップリケがついているのだが、その腰部分が乗っている所に真っ黒の椅子みたいな何か。
「あ、追加ラインだ。 ふむふむ………『二人で新婚旅行満喫なう♪』 わーいいなぁー。 アタシも旅行、行きたい行きたい、行きたいなぁ〜」
「二人? うーん……『プロデューサーさんはどこ?』っと」
奏への返信は、『むぇ? 写ってるよー』とのこと。
「あっ」
美嘉察し。
志希プロデューサー、絶賛調教なう。
が、言及せずに、美嘉は話題を変えていく。
触らぬSMに祟りなし。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:34:16.27 ID:jj3wBK7Lo<>
「え、えーっと★ 幸せそうだね! アタシもあやかりたいなー、なんちゃって……あはは」
「あら、美嘉ならもう幸せじゃない。 それも仏級の」
「そーだよミカちゃん。 罰当たりなこというとアーメンだよアーメン!」
「それを言うなら南無阿弥陀仏っしょ……」
「南無阿弥陀仏といえば……私の処女膜、お陀仏になったわよ」
「えぇ……カナデちゃん、そのぶっ混みかたはちょっとのーしるぶぷれかも……」
「恥ずかしがってたのはマジなんだったの……」
止まっちまった回遊魚再び。
悪びれもせず、奏は続ける。
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◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:34:52.76 ID:jj3wBK7Lo<>
「別に良いじゃない。 私達だけしかいないんだし。 処女膜くらい朝飯前よ」
「うーん。 ある意味ポルノ見る前の方が健全だったかも?」
「だね……なんかアタシもう追い抜かれたってカンジ……。 ……ん?」
美嘉の視線の先には奏の耳たぶ。
夕日は当たってないのに、ほんのり、桜色。
ぽくぽくぽくぽく、ちんちーん!
美嘉の中で一休さんが服を脱いだ。
「ところで奏〜。 致したっていうならさー。 どんな風にしたか聞いてみたいなーアタシ。 他人がどうやるのか気になるっていうか〜♪」
「えっ? それは、まぁあれよ。 く、口で説明するものじゃないわよ」
「………? およよ? ミカ殿、これはもしかしてもしなくても?」
「だね、宮もっち★」
「な、なによ……ニヤニヤして……二人して気味悪い……」 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:35:22.32 ID:jj3wBK7Lo<> によによと笑いながら、奏へ顔を寄せるゴールドとピンクの悪魔。
耳元へ囁くように、二人は呟く。
「……プロデューサーの逞しい体」
「ひうっ?!」
「……グロテスクなキノコ」
「ひゃいっ?!」
「「そして近づく彼の顔ーーー」」
「わぁぉぁぁぁぁぁあ?!」
ぶんぶんぶんと、腕を振り回して奏はソファから勢いよく立ち上がり、そして悪魔から距離をとる。
事務所のドアに背中を預けるその姿は、目に涙、耳は真っ赤、顔はゆでダコ。
冷静さの欠片もない、可愛らしい女子高生がいた。
悪魔達はそれを見て、破顔した。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:35:51.91 ID:jj3wBK7Lo<>
「あははははははははは!」
「ひ、いひっ、か、かなで、ぷふっ! やっぱり、ふふ、じゃん! 澄ましたカオで、あはははは! 背伸び丸わかりー!」
「な、なによっ!? 悪いっ!?」
「だ、だって、おっかしーんだもん、あはは! コウノトリが赤ちゃん運んでくるって信じてた頃より、なんか、うぶ、なんだもん! あははは!」
自身が教えたことなど棚にあげて、美嘉は大爆笑。
仏もこの仕打ちには三度も耐えられまい。
が、当の奏は動揺しまくって小動物化している。
「仕方ないじゃない……なんていうか、その。 赤ちゃん意識したらすごく恥ずかしくなってきて………」
「あはははははははははははははははははははははは!」
「フレデリカは笑いすぎよっ?!」
ソファで笑い転げる二人に噛みついてみるも、全く効果なし。
タイプ不一致。
貫通済みアダルトと貫通済みうぶねんねでは、戦いにならなかった。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:36:18.17 ID:jj3wBK7Lo<>
「もう! そんなに笑わないでよね! 貴女達だって初めは絶対ーーーー」
ーーーと、事務所の扉から夕日が差し込む。
三人の世界に入り込んでいたせいで階段を上がる音を聞き逃したようだ。
がちゃり、と開いたそこから顔を出すのは、奏のプロデューサー兼武士。
「あっ、お帰りなさいあなた」
「ああ。 ただいま奏」
「あはは……お帰り、奏プロデューサー………ん?」
「ぷふっ………お帰りぷろ………ん?」
同時に固まる金と桃。
一瞬互いを見合い、そして再び異邦者に向き直る。
その表情は、奏の狼狽っぷりを遥かに越える、大大大爆発。 <>
◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:36:51.78 ID:jj3wBK7Lo<>
「「しゃ、しゃべったーーーー?!」」
「え、ナニこれナニこれ?! フレちゃんドッキリ真っ最中?! カメラさん、いちカメにカメさんカメラ?!」
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏………り、リアルだ、あは、あはは………★」
錯乱してる親友二人をほうって置いて、奏は帰ってきたプロデューサーへ抱きつく。
「……全く、あなたが喋るのがそんなにおかしいのかしら。 失礼しちゃう」
「はは。 仕方のないことだ。 自分は無口で通っているしな」
「あら、そう? 口が無いだなんておかしな言葉。 だって……」
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◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:37:32.87 ID:jj3wBK7Lo<> と、フレデリカと美嘉がトリップから戻る。
そして、眼前の光景に、二人は目を疑った。
「えっうっそーん……フレデリしょっく……」
「わ、わ! 事務所でなんて……そんな!」
黄金とは、輝く未来を暗示する。
そう思えば、この未来も必然だ。
輝く未来は手にいれた。
だからもう黄金色には染まらないで。
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◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:38:40.25 ID:jj3wBK7Lo<>
開いたドアから差し込む夕日が、二人に舞台を切り取って、新しい色を与える。
ターコイズブルーとオレンジが深く混ざって碧を作り、意地悪な二人に見せつけるようにして。
「あなたの唇は、私とキスするために咲いてるんですもの……♪」
奏と『恋人』兼プロデューサー兼武士は熱いキスを交わすのだった。
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◆4C4xQZIWw7k3<>saga<>2016/07/08(金) 01:50:06.55 ID:jj3wBK7Lo<> ほんとに終わりです!
気づけば三作、出すの早いですね……
次回は、美嘉「仏滅エスカレート」を予定してたんですが、後日譚があまりに書いてて楽しいので、一旦台本形式に近い、設定引き継ぎ、異臭少なめファブリーズ常備の
〈つれづれ〉フ「L」志「i」奏「P」美「P」周「S」
を満足するまでやりたいと思ってます。
毎度見てくださる紳士紳士の皆様
次回もまたお突き合いいただけたら
謝謝 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/08(金) 01:52:49.03 ID:asNU3GTVo<> おつおつ
あんたのLIPPSssがスタンダードになる日も近い(適当) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/08(金) 04:32:40.01 ID:Tzd/WPnOo<> 仏滅エスカレートワロタ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/08(金) 05:25:09.59 ID:n2VN233W0<> 変態に文章力を与えた結果がこれ
おつ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/08(金) 18:30:09.12 ID:HNkU9kpU0<> あんたのLiPPS最高だよ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/08(金) 21:24:01.20 ID:nycRNJU10<> 乙
笑いが止まらない
Pンコツは読んだけど二作目読んでねぇ···読まなきゃ <>