以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:24:54.75 ID:buzch6Qc0<>【艦これ】提督「最高練度に達した艦娘が、ことごとく無気力になっている」の設定を使用しています。
独自の設定がいくつかありますが、気にしないでください。おねがいします。
・人は艦娘を恐れる。
・金剛型は人と仲良くしようとして、出来なかった。
・霞と霰は、空からの攻撃にトラウマあり(でも覚えていない)。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468171494
<>【艦これ】提督「最高練度に達した艦娘が、本気を出すそうだ」【それゆけ朝潮型】
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:27:33.83 ID:buzch6Qc0<> 霰「・・・」
てくてく。
霰が、町を歩く。
今日の霰は、交代での休日だ。
朝潮型は交代での休日は、なるべく単独で行動するように決めている。
朝潮「朝から晩まで、ずっと一緒じゃダメになるかも」
実際、霰は「皆でいられるなら、それでいい」と思っている。
特にやりたいと思うことも、ない。
霰「・・・」
朝の散歩を終えて、霰は皆の予定を思い返す。
朝潮:防空射撃演習
大潮:防空射撃演習
満潮:防空射撃演習
荒潮:防空射撃演習
霞 :休み←防空射撃演習参加します
霰 :休み
霰「・・・司令官は、たしか」
提督:午前執務 午後釣り
霰(港に行こう) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:29:04.75 ID:buzch6Qc0<> てくてく。
すれ違う人から声をかけられる。 あられちゃん、おやすみかい?
丁寧にお辞儀し、挨拶を返す。
てくてく。
漁船の猟師から手を振られる。
ぶんぶんと手を振り返す。
てくてく。
港へ歩く。
霰「・・・いた」
提督が波止場の先端に座り、釣り糸を垂れている。
とててて。
少しだけ早足に、提督の下に行く。
霰「・・・司令官」
脅かさないように、そっと声をかける霰に、提督は笑顔を返す。
提督「やあ霰、今日は休みだったね」
霰「うん・・・、隣、座っていい?」
提督「もちろん、どうぞ」
こぶしひとつ分の隙間。
くっつきたいが、照れくさい。
でも、なるべく近く。 そんな距離。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:36:40.36 ID:buzch6Qc0<> 「戦いの後も、考えてほしい」と話したその後。
提督は、町の港の波止場で釣りを始めた。
提督「これも仕事なんだよ」
サボるなという、艦娘の抗議も笑って受け流す。
提督「軍人は忙しくちゃ、いけない」
だから、
提督「暇そうにしてる姿を、見せるんだよ」
その姿を見ることにより、危険ではないと認識するのだ、と。
提督「サボってるとか、バカ扱いされるのは仕方ないね」
個人の評価など、瑣末なこと。
町と、仲良く。
人と、仲良く。
間に立てるのは自分だけだから、と笑う。
そう言われると、勘娘たちは止められない。
自分たちのためとわかったから。
半月ほどそうやって提督一人で波止場で釣りをして。
「あっちの軍港の軍人がサボって釣りしてるぞ」と少しだけ噂になり。
そして、艤装を外した艦娘を連れて、町を歩くようになった。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:41:37.33 ID:buzch6Qc0<> テレビの放送で艦娘が紹介される。
制海権を奪われ、少しずつ窮屈に、不便になる生活。
それをごまかすため、対抗手段となる艦娘を大々的に宣伝しているのだ。
提督「はー、派手だねぇ」
番組では、妙高型の四姉妹が揃って砲撃を行っている。
美しい姿。
重厚な装備から放たれる砲弾。
砕け散る的。
金剛「こんな番組に出るなんてすごいデスネー」
霧島「姉さま、私たちも出ていますよ」
金剛「えっ」
榛名「4人で、廃棄処分される船を沈めろって言われて・・・」
金剛「あー・・・」
あったかも。
金剛「で、でも、インタビューは無かったデスよね?」
妙高型の4人が並んでインタビューを受けている。
比叡「ありましたよ」
金剛「えっ」
霧島「私がアフレコしました」
金剛「えっ」
霧島「姉さまがしゃべると、エセ外人みたいだからって」
金剛「なんだとぅ!?」
榛名「姉さま、落ち着いてください」
提督「でも、これじゃあな」
無言で観ていた提督が、ぼそりと呟く。
提督「ダメだろ」
金剛「テイトク?」
提督「これで伝わるのは、艦娘の”強さ”だけだ」
金剛「・・・」
提督「艦娘は、優しく、綺麗で、柔らかく、暖かいことが伝わらない」
提督「人と艦娘の距離は、縮まらない」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:44:37.69 ID:buzch6Qc0<> 金剛「テイトク」
いつもの笑顔が、陰る。
金剛「ワタシたちに求められるのは、”強さ”だけデス」
ずっと遠くを見る。
金剛「それ以外は求められマセン。 戦って、戦って、戦って、そして消えるのデス」
提督「・・・金剛、それは」
金剛「わかってマス。 提督は、それ以外を考えろと言ってくれマシタ」
比叡「そうです、私たちはそれが本当に嬉しいのです」
霧島「・・・でも」
金剛「そう、それは、ごく一部の人。 私たちが知る限り、テイトク一人だけデス」
比叡「私たちも、なんとかしようとしました。 でも、出来ませんでした」
以前に在籍した鎮守府では。
榛名「私たちは、無理だと思ってしまいました」
霧島「思ってしまった私たちでは、これ以上は進めません」
金剛「でも、駆逐艦の皆さんなら・・・」
それでも、信じたい。
だから、託す。
提督に、駆逐艦に。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:47:26.00 ID:buzch6Qc0<> 艤装を外した駆逐艦ふたり。
手をつなぎ、・・・いや、しがみつくようにして、提督について歩く。
彼女たちは、鎮守府の外に出たことが無い。
提督以外の人を見たこともない。
ただ、人の居る町を歩くだけで、怯え切っていた。
人と艦娘は違う。
交わることは、ない。
そう思ってきた。
住民も同じだった。
テレビで見る、戦艦の人。
船を吹き飛ばす砲撃。
なんだあれは。
むこうで勝手にドンパチしてくれ。
こっちには来ないでくれ。
町で、人と艦娘が出会う。
見られる。
目が合う。
反らされる。
繰り返され、更に怯えた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:50:29.86 ID:buzch6Qc0<> そうやって数日が過ぎ、提督と朝潮、荒潮が歩いていた時に、その事件は起こった。
荒潮「ひっ・・・」
荒潮の体が、恐怖にすくむ。
爛々と輝く瞳、
尖った牙が口からのぞき、
そして四肢の鋭い爪。
何頭もの獣が、荒潮を囲むように寄って来たのだ。
荒潮「あ、あ、あ・・・」
朝潮「荒潮、落ち着いて!」
ざあっ!
襲い掛かる獣に、
荒潮「いやぁぁあああ〜〜〜〜!!!」
荒潮は逃げた。
朝潮「荒潮!待ってー!」
朝潮が、パニックを起こした荒潮を追う。
キャンキャンキャン!!
それを追う、三頭の子犬。
<コナイデー
<アラシオ!マッテー!
<キャンキャンキャン!!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:53:34.00 ID:buzch6Qc0<> 提督「あー・・・」
艦娘の全力疾走に、提督はまるで追いつけない。
それでも追おうとしたところに、様子を見ていた漁師たちが声をかけた。
「な、なあ、あんたあっちの軍港の人だろ?」
提督「え? あ、はい、そうです」
「じゃあやっぱり、さっきのは戦艦なんだな!?」
恐怖。人以外の存在。
怒り。なぜここにきたのか。
困惑。犬を怖がり、あれはまるで・・・。
提督「はい、艦娘です」
「やっぱり!」
「なんでここへ連れていた!」
「あんな恐ろしい奴らを町へなんて」
提督「・・・恐ろしい?」
漁師が気圧される。
提督「恐ろしかったですか?」
「「「・・・」」」
提督「人に怯え、犬に怯え、泣いているだけですよ。
皆さんも、見ていたでしょう」
「「「・・・」」」
提督「今、皆さんが思ったこと。 それを大事にしていただきたい」
ぺこりと頭を下げて、
提督「私は彼女たちを追いますので」
走り出した。
「・・・」
「・・・なあ」
「・・・ああ」
「・・・」
「もうちょっと、見てみるか」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 02:57:57.34 ID:buzch6Qc0<> 逃げた朝潮と荒潮だが、波止場に追い詰められていた。
いかに足が速いとはいえ、ろくに前も見ずに走り回ったせいだ。
キャン!
朝潮「ひっ」
ハッハッハッハ!
荒潮「もういやぁ〜・・・」
三匹の子犬は、遊んでもらっていると思っているので、ハイテンションでふたりの周りをぐるぐると走る。
朝潮「あ、荒潮を食べると言うのなら!私を食べなさい!」ガクガクブルブル
荒潮「だめ〜危ないよ〜逃げて〜・・・!」ガクガクブルブル
朝潮が荒潮をかばい、
荒潮が朝潮をかばう。
その声に反応するように、子犬たちがとびかかる!
そこへ、
提督「わんっ!」
キャンキャンキャン!
提督の大声に驚いた子犬が逃げ出した。
提督「はあっ、ぜー、はあっ、ぜー・・・」
提督「け、怪我無いかな」
朝潮「あ・・・」
荒潮「でいどぐ〜〜〜!」
とびかかるように、抱きつく。
しゃがんだ提督の首に腕をまわし、ふたりでぶらさがる。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 03:00:51.61 ID:buzch6Qc0<> 提督「こわかったな、もう大丈夫だから」
朝潮「・・・」コクリ
荒潮「・・・」コクリ
なだめるように、ゆっくり髪を撫でる。
なでなで。
さらさら。
朝潮「・・・」
荒潮「・・・」
なでなで。
さらさら。
朝潮「・・・」
荒潮「・・・」
なでなで。
さらさら。
提督「・・・もういいかな」
朝潮「・・・」フルフル
荒潮「・・・」フルフル
しがみつき、提督の首筋に顔を埋めながら、さらに撫でることを要求する。
朝潮「足りません」
荒潮「怖かった〜」
提督「・・・いい加減にしなさい」
ペチン
朝潮「ぶー」プクー
荒潮「もう〜」プクー
朝潮がここまで甘えるのも珍しい。
名残惜しさをひきずりながらも、ふたりを降ろした。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 03:02:34.12 ID:buzch6Qc0<> そこへ、子犬を捕まえた漁師がやって来た。
全部見ていた。
犬を怖がり、涙目になって逃げるところ。
妹をかばう姉。
姉をかばう妹。
抱きついて大泣きするところ。
甘えるところ。
「・・・まるっきり、ただの子供じゃねえか」
「ああ・・・」
幼い頃の妹、娘、孫。
どこが違うというのか。
「だいじょうぶかい、おじょうちゃん」
年長の漁師が、優しく声をかける。
もう、気味悪さは感じなかった。
「ほら、こいつは犬ってんだ。」
「こわくねえよ、あかちゃんだよ」
朝潮「いぬ・・・」
荒潮「あかちゃん・・・」
差し出された子犬に、そっと触れてみる。
ハッハッハッハ クーン
朝潮「ちっちゃい」
荒潮「ふわふわ〜」
「な、こわくないだろ」
朝潮「はい!」ニコッ
荒潮「はい〜」ニコッ
「「「・・・」」」
「こんなのが怖いってんだから、艦娘ってのもたいしたことないな」
「ほんとほんと、ただのガキと同じだわ!」
「なんも怖くねえわ!」
「「「あっはっはっは!」」」
笑い出した漁師達に、朝潮と荒潮はぽかんとした顔を向ける。
なんだかすごく失礼なことを言われてる気がする。
朝潮「むぅー」
「すまんすまん、悪く言ってるんじゃないんだよ」
「ちょっと考えすぎたかなーってな」
朝潮「・・・? そうですか」
よくわからないが、いいらしい。
なら、抗議する必要も無い。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 03:07:56.65 ID:buzch6Qc0<> 「しっかし、こんな小さなナリで”あれ”と戦うんだな」
提督「”あれ”・・・?」
まさか、と。
提督「遭ったことがあるんですか!?」
「そりゃそうだよ」
「あんたらが来るまでは、誰もいなかったんだから」
「漁場が荒らされて大変だったよ」
提督「・・・そういえば、そうですね」
出来たばかりの、小さな鎮守府。
つまりそれは、それまで戦力が何も無かったということ。
鎮守府が無くても、”敵”は来るのだ。
「ま、ここらは辺境だから、たまにだし」
「はぐれたちっこいの、くらいだったけどな」
提督「・・・それでも、ご無事なのはすごいですね」
「あいつら硬いんだよな!」
「ああ、(ピー)も(ピー)も効かねえんだよ」
「(ピー)を(ピー)しても跳ね返しやがって!」
提督「・・・戦ったんですか」
一部不穏な言葉が聞こえた。
いや聞こえない。聞いてない!
「一番効いたのは、酢と醤油だな!」
「口ん中に突っ込んでやったらビックリしてやがったよ!」
「「「はははははは!!」」」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 03:09:55.60 ID:buzch6Qc0<> 提督「ふむー・・・、とんでもないな・・・」
あきれた。
海の男って一体。
が、影響を受けたのがひとり、ふたり。
朝潮「す・・・、すごいです!」
荒潮「生身で戦うなんて〜、素敵ね〜」
「そ、そうかい?」
朝潮「はい! もっと聞かせてください!」
「仕方ねえなぁ〜」
身振り手振り、大げさに話す漁師。
真剣に聞く、朝潮と荒潮。
盛りすぎと笑う仲間。
笑顔。
輪になって、笑って話す艦娘と人。
提督「・・・ちょっとは進めたかな?」
みんなで笑える世界へ。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/11(月) 03:13:54.94 ID:buzch6Qc0<> 今日はここまでです。
時系列は、
>>2->>3 現在
>>4 過去1
>>5->>6 過去2
>>7->>14 過去1→過去2→過去1の続き
<>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/11(月) 03:19:29.60 ID:buzch6Qc0<> 日をまたぎそうなので、念のため。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/11(月) 03:24:15.17 ID:P+9VSErAO<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/11(月) 03:32:07.29 ID:SxWVKUhnO<> 可愛いなぁ……でもこれが鎮守府きっての武闘派なんだよな、許せない相手を徹底的に叩き潰すって……いや結局可愛いか。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/11(月) 14:25:00.12 ID:eVBm/RLbo<> ヤバイめっさ可愛い <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/12(火) 01:38:05.61 ID:W9C/IzUAO<> できれば酉をつけてもらえないだろうか <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/12(火) 03:15:20.42 ID:mNaDqRJIo<> >>20
>>16 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:00:37.41 ID:6JIeznkE0<> そして、朝潮型が子犬を毎朝散歩するようになった。
提督が飼い主の漁師に頼み、快諾された。
朝潮と子犬たちが一列に並んで行進する。
龍驤「群れを統率しとる」
提督「リーダーだね」
大潮は子犬たちと走り抜けていく。
龍驤「競走相手やん」
提督「ライバルだな」
満潮は数十メートルごとに犬たちを撫でまわす。
龍驤「甘やかしとるなぁ」
提督「おぉ…尻尾がぶんぶんじゃなくてぐるんぐるん振られてる」
荒潮のまわりを、跳ね回っている。
龍驤「犬は大好き光線出しとるけど…、荒潮は若干ヒいとるな」
提督「最初が最初だからねぇ」
先導するように前を歩き、時々振り返って霰がついてきていることを確認している。
龍驤「子犬に保護されとる…」
提督「お姫様だー」
霞は群れから離れようとする一匹一匹を連れ戻し、細々と説教している。
龍驤「ママやね」
提督「ママだな」
犬を連れて歩く姉妹に、住人達は徐々に慣れ、挨拶もできるようになってきた。
??「くくく…、美少女と子犬のセットに堕ちぬ奴などいるものか」カシャーカシャーカシャー
龍驤「提督、写真はやめとこか」
提督「はい」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:06:04.60 ID:6JIeznkE0<> 提督「次はお店だな」
人気を獲るには、動物と食べ物がいいという。
犬とのセットで馴染んできたふれあい作戦も、第二段階に移る。
小料理屋”鳳翔”。
提督「ここで、鳳翔さんの手伝いをしてもらいます」
満潮「あたしたち、艦娘よ! なんで接客なんか!」
提督「言ったろ? ”戦う”以外を考えてほしいって」
満潮「…でも!」
提督「きっかけになれば、それでいい。 嫌ならすぐに辞めてもいいから」
おねがいだよ、と頭を下げて。
提督「ちょっとだけ、こんなこともあるんだって、そう思ってくれればいいんだ」
頼まれると、弱い。
自分たちのことを考えてくれているのも、よくわかっている。
満潮「う〜…、わかったわよ!」
提督「うん、ありがとう」
笑顔を向けられる。
優しい、自分のためだけの笑顔。
満潮「〜〜〜〜!」
なんだか猛烈に、なんというか、恥ずかしい。
満潮「ふんっ!」
ペチーン
提督「痛い!なんで蹴ったの!」
満潮「うっさいうっさーい!」
<>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:13:41.26 ID:6JIeznkE0<> そして店の手伝いが始まり。
鳳翔「はい、3番の席にお願いね」
満潮「…」
そーっと、ゆっくり、倒さないように。
受け取った料理を運ぶ。
「ありがとよ」
満潮「…っ」
ぺこり。
とてててて。
何かを言おうとして、言えず、小走りで戻り。
ぎゅう。
隅で見ていた提督に抱き着いた。
提督「よく、できたね」
満潮「…」コクリ
提督は背中をぽんとたたき、
提督「さ、行っておいで」
送り出す。
満潮「…」コクリ
とてとて。
また鳳翔の元にもどり。
そーっ。
運んで。
とてててて。
ぎゅう。
また、提督に戻ってきた。
なぜか、姉妹6人が同じことをした。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:19:06.64 ID:6JIeznkE0<> そうやって幾日が過ぎ、常連客となった漁師たちとも顔見知りになり。
やっと、本来の彼女たちの調子が戻ってきた。
元々身体能力が高く、学習能力も高い。
未経験の恐れと、人見知り(?)さえ克服すれば、難しい手伝いではないのだ。
美少女が真面目に働くだけでも人気となるのに、
満潮や霞に「叱られるオプション」を喜ぶものも出始めた。
「満潮ちゃーん、きたよー」
満潮「また来たの!? いい加減にしなさいよ!」
「訳すとー?」
朝潮「来てくれるのは嬉しいけど、ほどほどにしないと体に悪いですよ」
満潮「訳すんじゃないわよ!」
朝潮による、”満潮語翻訳サービス”も大人気だ。
提督「訳すなとは言うけど」
鳳翔「違うとは言わないんですよねぇ」
くすくす、と笑う鳳翔。
それがわかっているからこそ、客に毒づく満潮を叱ったことは無い。
霞「いい? 3本までだからね!」
「もっと飲ませてくれよう」
霞「ダメに決まってるでしょ! 明日も仕事あるんでしょ!」
提督「ママや」
鳳翔「負けてられません」
提督「えっ」
謎の対抗心を燃やしつつ、やはり霞も叱ったことは無い。
少しずつ、仕事にも慣れ。
少しずつ、人にも慣れ。
少しずつ、艦娘にも慣れ。
小料理屋”鳳翔”の夜は過ぎる。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/12(火) 21:21:14.30 ID:rG4/R4Yh0<> かわいい <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:23:19.32 ID:6JIeznkE0<> ”満潮語翻訳サービス”は公式四コマからお借りしています。
野分ちゃんを気遣う満潮ちゃんが可愛いです。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:31:06.68 ID:6JIeznkE0<> 閉店後に、店から寮までを送るのは、提督から願い出たものだ。
霞「子供じゃないのよ…」
さすがに呆れた霞に、ジト目を向けられる。
提督「うん、わかってるんだけど、なんか心配で」
霞「…」ジトー
提督「ねっ?」
霞「はあ…仕方ないわね」
提督「うんうん」
霞「見た目で損ってこういうことよね」
提督「損って?」
霞「なんでもないわよ」ジトー
大潮「とーへんぼく」ジトー
霰「ぼくねんじん」ジトー
荒潮「おばかさぁん」ジトー
提督「ひどいな!」
文句だらけで始まったお送りだったが、やってみると、案外いいものだと気づいた。
ふたり一緒とはいえ、完全に邪魔が入らない時間を手に入れることができるのだ。
その時間を使い、内緒話をしたり、ひたすら愚痴をこぼしたり、提督の愚痴を聞いたり。
挨拶をしてもらえることが増えたこと。
おばさんから飴をもらったこと。
鍛えられた子犬の尻がプリプリで可愛いこと。
お店の手伝いでうまくいったこと、失敗したこと。
楽しかった。
こんなにゆっくり、たくさん話したことは無かったかも知れない。
店の手伝いも楽しみ、提督と一緒の帰り道も楽しみ、結局、辞めたいと言い出すものは、いなかった。
そうやって、提督以外の人とも顔を合わせ、話し。
「”戦う”以外を考えてほしい」という提督の言葉を、ようやく理解できるようになってきた。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:40:08.82 ID:6JIeznkE0<> そんなある日、鎮守府に救助要請の無電が入った。
提督「はぐれ駆逐に、漁師の皆さんが襲われているそうだ」
満潮「…くっ」
朝潮「満潮、待ちなさい!」
駆け出す満潮を、朝潮が止める。
満潮「離して!早く行かないと!」
提督「満潮、落ち着いて」
満ち潮「これが落ち着いていられるか!」
朝潮「満潮!」
ペチーン
満ち潮「…っ」
取り乱す満潮の頬を、朝潮が叩く。
そして、叱る。
朝潮は、お姉ちゃんなのだ。
朝潮「満潮!言え!私たちは何だ!」
満潮「…」
朝潮「何が出来る!どうすればいい!」
満潮「…助けに行く」
朝潮「そんな!ことは!」
朝潮「あたりまえだ!」
満潮「…あ」
提督「満潮、心配なのはみんな同じだよ」
満潮「…わかったわよ」
提督「…よし」
皆を見回し。
提督「朝潮、大潮、満潮、荒潮、霞、霰!」
「「「はいっ!」」」
提督「出撃準備!」
「「「はいっ!」」」
満潮「…はいっ!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:48:28.64 ID:6JIeznkE0<> ヴィー ヴィー ヴィー
『出撃準備! 出撃準備!』
妖精さんの手を借りて、出撃準備。
燃料の補給。
弾薬の補給。
艤装の装備。
装備する艤装は…。
満潮「何? 主砲ひとつと魚雷!?」
提督『そうだよ』
満潮「これじゃ、火力が!」
提督『わかってる、でも、これが最善と判断する』
主砲の替りに装着されたのは増速用の装備、艦本式缶。
金剛姉妹の危機に、間に合わない恐れがあった。
あの時は、なんとか間に合った。
でも、次は間に合わないかもしれない。
だから、用意していた。
満潮「これは…」
提督『今回は速度重視だ。 …必ず間に合わせろ』
満潮「はい!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 21:53:39.73 ID:6JIeznkE0<> ヴィー ヴィー ヴィー
『出撃準備完了! 出撃準備完了!』
『点呼!』
朝潮「一番!旗艦!朝潮!」
大潮「二番!大潮!」
満潮「三番!満潮!」
荒潮「四番!荒潮!」
霰「五番。霰」
霞「六番!霞!」
提督『どうか、皆さんを助けてくれ』
提督『それと』
提督『全員、無事に帰れ』
「「「はいっ」」」
提督『行け!』
ヴィー ヴィー ヴィー
『出撃!出撃!』
朝潮「朝潮艦隊!出撃します!」
<>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:06:16.17 ID:6JIeznkE0<> ざあっ!
姉妹が出る。
全開加速。
加えて、追加装備による増速。
霞「くっ…、速い…」
霰「ん…っ」
大潮「おっ! とっと!」
朝潮「霰!遅れないで! 大潮!まっすぐ進む!」
さすがに皆、未知の速度に戸惑う。
が、
満ち潮「関係ない!」
力尽くで、暴れる舵を抑え込む。
わずかの戸惑いで、隊列は安定する。
最大戦速。
間に合わせる。
皆を無事に。
提督と約束したから。
港で声をかけてくれた。
お店で笑ってくれた。
護りたい。
助けたい!
満潮「行けええ!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:09:06.94 ID:6JIeznkE0<> 走る。
疾る。
大潮「見えた!」
煙。
そして、爆発音。
荒潮「船は6隻のはずだけど〜…」
霰「よっつしか…、見えない」
満潮「くっ…」
間に合わなかった?
満潮の視界が涙でゆがむ。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:15:43.21 ID:6JIeznkE0<> 満潮「みんな!無事!?」
必死で追いつき、無事な漁船に声をかける。
「おおっ? 満潮ちゃんかい!?」
満潮「けが人は? 行方不明者は!?」
「船はやられたがあ! みいんな生きてるよ!」
「くっそう! あんなデカい”はぐれ”は初めてだあ!」
なんとか間に合った。
ほっとする。
ほっとしたら、また視界がゆがむ。
乱暴に目元をこする。
泣いてる場合じゃない!
満潮「あんたたちは下がってなさい!邪魔よ!」
「「訳すとー?」」
朝潮「みんな無事でよかったね、あとは私たちにまかせて」
満潮「訳すんじゃないわよ!!」
とっとと下がれ、と船を蹴って。
「すまねえ!頼む!」
「がんばってなー!」
満潮「まったくもう…、締まらないったら」
”敵”に向き合う。
今度は、こっちの番だ。
満潮「面白いことしてくれたじゃない・・・! 倍返しよ!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:22:58.13 ID:6JIeznkE0<> ”敵”は沈めた漁船を噛み砕き、暴れまわっていた。
大きい。
霞「”はぐれ”どころか、”群れ”の奴より大きい!」
小型の単独なら殴りかかる漁師たちでも、さすがにこれは無理だろう。
それどころか、油断していると艦娘といえども―――。
朝潮「たたきつぶすぞ!」
「「「おおっ!!」」
関係ない。
知るものか。
満潮「私たちを怒らせたこと!思い知れ!」
護るべきもの。
そうじゃない。
護りたいもの。
それを傷つけられた。
…許さない。
許さない。
許さない!
朝潮「突撃!!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:30:46.65 ID:6JIeznkE0<> ―
――
―――
荒潮「疲れた〜」
霰「ちょっと、休む…」
朝潮「みんな、怪我は?」
はぐれ駆逐を撃退した朝潮姉妹だが、さすがに疲労を隠せない。
へたりこんだ姉妹に、それでもしゃんと立つ朝潮は被害の確認をする。
大潮「無事です!」
満潮「無事」
荒潮「無事よ〜」
霰「無事」
霞「無事」
朝潮「被害なし、と」
全員無傷。
さすがの朝潮姉妹である。
\オーイ!/ \ダイジョウブカー/
満ち潮「んなっ!?」
周囲の警戒をしていた満潮が、引き返してくる漁船を見つけて怒り出す。
満潮「ちょっと! なんで戻ってきたのよ! バカじゃないの!?」
「「訳すとー?」」
朝潮「みんな危ないよ、ちゃんと避難して」
満潮「訳すなって言ってんでしょ!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:37:59.80 ID:6JIeznkE0<> 満潮「…あっ」
はっと、気付く。
艤装を付けた自分たちを見られるのは、初めてだ。
武器を背負い、海を走る自分たちを…。
―― 艦娘は人とは違う――
嫌われる。
怖がられる。
避けられる。
―― 人は艦娘を恐れる――
怖い。
怖い。
満潮「あ、あの」
人の優しさを知ってしまった。
人の暖かさを知ってしまった。
知らなかった自分とは、違う。
失う怖さを知ってしまった。
拳を握る。
下を向く。
皆を、見られない。
満潮「わた、し、」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:42:49.53 ID:6JIeznkE0<> 「すまねぇなぁ」
満潮「…えっ」
顔を上げる満潮。
船から見える漁師たちの顔は…、いつもの笑顔だった。
「あぶないこと、任せちまってよ」
「ったく、情けないわ」
「でもな、おかげで助かったよ」
「「「ありがとうな!!」」」
視界がゆがむ。
もう、今度は我慢できない。
満潮「ばがぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
涙が、止まらない。
「「訳すとー?」」
朝潮「みんな大好き!」
満潮「やぐずな〜〜〜〜」
「「おれたちも大好きだよー!」」
満潮「うるざい〜〜〜〜」
泣き笑い。
泣いて。
笑って。
無事を喜んだ。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:50:27.79 ID:6JIeznkE0<> 第二陣として駆けつけた金剛と榛名は、すこし離れてそれを見ていた。
まぶしくて、近付けない。
金剛「よかったデスネー…」
金剛たちが目指して、それでも出来なかったこと。
人との交わり。
金剛「羨ましいデス」
榛名「姉さま…」
でも、彼女たちが見せてくれた。
彼女たちは、出来た。
ならば、自分も。
自分たちも。
金剛「また、がんばりまショウ」
榛名「…はい、また」
やってみよう。
もう一度。
金剛「周囲を警戒!哨戒を続けマスヨ!」
榛名「はい!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 22:55:52.02 ID:6JIeznkE0<> 朝潮たちに護衛されて帰還した漁船を、町の住人たちは大勢で出迎えた。
「無事でよかった!」
「とーちゃーん!」
「大丈夫かー!」
もみくちゃにされる漁師たち。
黙って帰ろうとした朝潮たちだが、
「みんな、ちょっと聞いてくれ!」
助けられた漁師が声を出す。
「おれたちは、朝潮ちゃんたちに助けてもらったんだ!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 23:04:03.37 ID:6JIeznkE0<> 視線が海に向く。
沈黙。
次いで、ざわめき。
「海に立ってる…」
「大砲背負ってる」
「テレビに出てた戦艦の…」
満潮「…っ」
唇を噛む。
だめかな。
「ありがとうな!」
満潮「あ…」
「助けてくれてありがとう!」
「かっこいいよー!」
「ありがとう!」
歓声。
喝采。
体が震える。
胸が熱い。
涙が、出て。
朝潮「ほら、拭いて」
満潮「…うん」
姉妹全員で住人達に向き直り、
朝潮「旗艦朝潮以下、大潮、満潮、荒潮、霰、霞!」
ばっ!
敬礼。
朝潮「ご無事で何よりです! それでは、これで帰還します!」
\アリガトヨー!/ \マタネー!/ \バイバーイ!/
人々の声を背に、帰還の途に就いた。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 23:11:42.22 ID:6JIeznkE0<> 霰「…」
ちらっ。
くるり。
ぶんぶん。
振り返って、手を振る。
霞「ちょっと!前見てないと危ないわよ!」
霰「うん…」
霰「…」
ちらっ。
くるり。
ぶんぶん。
また振り返って、手を振る。
霞「危ないったら!」
霰「でも…、みんな手を振ってる」
霞「ああもう!」
霰と手をつなぎ。
霞「引っ張ってあげるから、もうずっと手を振ってなさい」
霰「うん…、ありがとう」
ぶんぶん。
霰は、ずっと手を振っていた。
人が見えなくなっても。
港が見えなくなっても。
鎮守府に着くまで。
ずっと、手を振っていた。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 23:19:45.46 ID:6JIeznkE0<> 戻ってくる朝潮姉妹を、提督はずっと港で待っていた。
朝潮「旗艦朝潮以下、大潮、満潮、荒潮、霰、霞!
全員無事に戻りました!」
提督「うん、おかえり。
無事で何よりだ」
ひとりひとり、怪我の確認しながら。
そっと頭を撫でる。
提督「朝潮、旗艦ご苦労だった」
朝潮「はい!」
朝潮は、直立不動で撫でられる。
提督「大潮、大戦果だな」
大潮「はい!」
大潮は、むしろ頭を掌に押し付けてくる。
提督「荒潮、よく皆を守ってくれた」
荒潮「うふふ〜」
なぜか荒潮だけはイケナイ気分になるのは提督だけの秘密だ。
提督「霰、がんばったね」
霰「…うん」
目を細め、されるがままに撫でられる霰。
提督「霞、君がいてくれてよかった」
霞「…、ふん、当然でしょ」
耳まで真っ赤になりながらも、拒否はしない霞。
提督「…」
満潮「…」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 23:26:09.58 ID:6JIeznkE0<> いつもは「子供扱いするな!」と怒る満潮だが…。
提督は、今日は、今日だけは、声をかけたかった。
提督「…満潮、今日、皆が無事だったのは、君のおかげだ」
満潮「…う、ぐすっ」
しゃがみ、視線を合わせて。
提督「ありがとう」
満潮「うぁ〜〜〜〜」
提督に抱き着き、泣いた。
満潮「みんなも、ありが、とう、って」
提督「うん、うん、よかった」
満潮「よがっだの〜〜〜」
提督「満潮が、みんなが、がんばったからだよ」
満潮「うん、うん、ひぐっ、ずーっ」
提督「朝潮も、大潮も、荒潮も、霰も、霞も、ありがとう」
優しく、優しく、抱きしめ、髪を撫でた。
今日だけは、満潮も、そうさせてくれた。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 23:29:31.04 ID:6JIeznkE0<> 翌朝。
満潮「忘れなさい」
提督「えっ」
満潮「き、昨日のアレは、なにかの間違いよ!」
提督「えー…」
満潮「わ、す、れ、ろ!!」フミフミ
提督「わ、忘れるものか!」
満潮「なら記憶を消してやるー!」フミィィィ
提督「な、なにをするきさまー!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 23:32:55.68 ID:6JIeznkE0<> 今日はここまでです。
満潮ちゃんがえらく泣き虫になっちゃった。
>>2->>3にどうやって戻すのか、寝たら忘れてしもうた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/12(火) 23:35:14.79 ID:Ac4ObAyto<> いい <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/12(火) 23:44:33.81 ID:6JIeznkE0<> >>29
満ち潮「これが落ち着いていられるか!」
↓
満潮「これが落ち着いていられるか!」
満ち潮「…っ」
↓
満潮「…っ」
>>32
満ち潮「関係ない!」
↓
満潮「関係ない!」
>>36
満ち潮「んなっ!?」
↓
満潮「んなっ!?」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/12(火) 23:44:35.45 ID:GNE5efoqO<> そいや曙がデレるSSはよく見るが満潮がデレデレになる作品て見たことない気がする <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/07/13(水) 00:04:09.09 ID:m0eTko5po<> デレデレって…これはツン2デレ98ぐらいだろ… <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:06:49.28 ID:fhGk3urb0<> 提督が波止場で釣りをするようになって、数ヶ月。
住人に受け入れられ、ついたあだ名が「お地蔵さん」。
その理由は――
霰「司令官」
提督「ん〜?」
霰「釣れてる?」
提督「ん〜、ぼちぼちかな」
霰「ぼちぼち」
ぱか。
クーラーボックスを開ける。
霰「・・・」
提督「・・・」
ぱたん。
閉じる。
霰「ぼちぼち」
提督「ごめんなさい、見栄張りました」
提督は、今まで一匹も釣ったことはなかった。
へたっぴなのである。
いつも数匹は持ち帰っている。
が、実は漁師や、同じく釣りをしている子供が分けてくれているのだ。
ただ座っているだけの提督に、「お供え物」と笑いながら。
だから、お地蔵さんなのだ。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:10:00.83 ID:fhGk3urb0<> 提督「いいんだよ、魚が目当てじゃないんだから」
いくぶん拗ねながら、強がりを言う。
提督「一度くらい釣ってみたいな〜・・・」
直後に本音が漏れる。
このへっぽこさよ。
霰「釣り、嫌なら、やめてもいい・・・」
私たちのため、ならと。
提督「嫌じゃないよ」
間を置かず、返される。
提督「ここにいるの、好きだし」
霰「・・・うん」
提督「それにほら、今日は霰が来てくれた」
霰「・・・うん」
胸の中がぽかぽかする。
こぶしひとつ分の隙間を、詰める。
もっと近くに、いきたい。
提督「うん」
ぴったりくっついても、提督は笑顔で応じる。
霰「・・・えへ」
自分も、きっと、笑ってると思う。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:15:27.85 ID:fhGk3urb0<> 霰「今日は、犬を洗った」
提督「犬を」
霰「うん、来週、霰たちが秘書艦だから」
提督「うん、・・・うん?」
提督「秘書艦と、犬と、どう関係あるのかな?」
霰「・・・一緒に秘書艦するから」
提督「聞いてないんですが」
霰「・・・みんな知ってる」
提督「うん、君たちは知ってるかもね、仲良くて何よりだよ」
霰「・・・うん」ドヤァァァ
提督「褒めたけどね? 褒めてないよ?」
霰「・・・秘書艦の間、散歩に行けないから」
提督「おおう流された」
霰「犬も、鎮守府に泊まる」
提督「聞いてないんですが」
霰「・・・みんな知ってる」
提督「だろうね〜」
霰「みんなと、犬で、一緒に寝る」
提督「へえー」
提督「そんな大きな部屋、あったっけ」
霰「ある」
霰「八畳和室」
提督「ほうほう」
霰「布団以外、何も置いていなくて」
提督「・・・ほう」
霰「執務室も、近い」
提督「それ、私の部屋だよね?」
霰「・・・うん」
提督「聞いてないんですが」
霰「・・・みんな」
提督「知ってるんだよね!」
霰「うん」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:25:04.55 ID:fhGk3urb0<> 提督「今日は、霞も休みだよね」
霰「うん・・・、でも、防空射撃演習に参加するって」
提督「・・・そう」
防空射撃演習。
航空隊を対空火器で攻撃する演習。
提督「大丈夫かな、と言ったら失礼だけど、それでも」
霰「・・・うん」
霰と霞は、以前の所属地で、味方からの砲撃と爆撃で大怪我を負った。
ほとんど記憶に無いとのことだが、回復後しばらくは飛行機を見るだけ竦み、動けなくなっていた。
今でも、夜にうなされているので、朝潮姉妹が交代で一緒に眠るようにしている。
霰「霞は・・・、すごいね」
視線を遠くに、まぶしい物を見るように。
霰「霰は・・・、今でも、ちょっと怖い」
怖いという気持ちをねじふせ、少しでも苦手意識を克服するかのように。
霞は、積極的に防空射撃演習に参加する。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:32:42.47 ID:fhGk3urb0<> 提督「霰、おいで」
ひざをぽんぽんとたたいて。
霰「・・・、うん」
提督のひざに乗る。
すっぽりと小さな体が、納まる。
提督「霰だって、すごいよ」
霰「え・・・?」
優しく、抱き寄せ。
提督「だって、霰も、逃げたこと無いじゃないか」
怖いという気持ちを受け入れ、それでも逃げずに。
提督「どっちも、すごいと思うよ」
霰「司令官・・・」
目を背け、怖くないフリをすることもない。
怖いからと、逃げることもない。
提督「どっちも、すごいよ」
霰「ありがとう・・・、嬉しい、です」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:37:03.67 ID:fhGk3urb0<> 気づいたら怪我をして、ベッドにいた。
隣には、同じく怪我をした霞がいた。
それが、霰の一番古い記憶。
それ以前は、よく思い出せない。
でも、ぼんやり覚えてることもある。
『行こう。 帰ろう』
『私たちの、家に』
抱き上げられ、そう誘われた。
提督の腕、提督の笑顔、遠くに見える夕陽・・・。
霰(帰ろう、って言ってくれた)
霰(私たち、って言ってくれた)
思い出せない、が、おぼえている。
霰(ここが、居場所)
提督のひざにのり、その胸に顔を埋める。
今でも提督は、霰と霞だけを抱き上げる。
まさに子供扱いの「だっこ」だが、霰も霞も、文句は無かった。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:45:47.22 ID:fhGk3urb0<> 提督「霰、どうした?」
声に誘われ、顔を上げると・・・。
目の前に、提督。
大好きな人。
大好き。
その気持ちが大きくなって、どんどん吸い寄せられて。
提督「・・・」
霰「・・・えへ」
キスをしてしまった。
霰「お嫁さんだし・・・、いい、よね?」
提督「・・・」
へんじがない。
提督の胸に、耳を当てる。
どんどんどんどんどん。
明らかに心拍数が上昇している。
霰「どきどき、してる」
提督「・・・そりゃ、ね」
霰「・・・えへ」
なんとなくだが、嬉しい。
霰「・・・もう一回」
顔を上げ、目を閉じ、おねだり。
気配が、近づいてくる。
霰「ん・・・」
提督「・・・」
霰「・・・」
霰「・・・ほっぺた」
提督「・・・」
霰「・・・許す」
提督「・・・どうも」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:51:16.07 ID:fhGk3urb0<> 提督「みんなを迎えに行こうか」
霰「うん」
そろそろ演習が終わり、帰投する時間。
霰「・・・ぼうず」
提督「いつものことだからね、気にしないよ!」
クーラーボックスを肩に掛け、振り返った先に。
「・・・」
魚を持った漁師たちがいた。
提督「こんにちは」
霰「・・・こんにちは」
「あ、ああ」
なぜか携帯電話を構えている。
「・・・お供えを持ってきたんだが」
提督「いつもありがとうございます」ペコリ
霰「・・・ありがとうございます」ペコリ
「いや、それはいいんだが」
漁師たちがざわついている。
「通報したほうが、いいのかなって、皆で相談してて」
提督の目つきが変わる。
提督「何かありましたか!」
緊急用の通信機を取り出す。
提督「すぐに準備を・・・」
「ああ、いや、そうじゃないんだ」
鎮守府に連絡しようとする提督を、あわてて止める。
「通報しようと思ったのは」
ゆっくり、漁師たちが指差すのは。
「「あんただよ」」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 02:56:10.20 ID:fhGk3urb0<> 提督「まったくもう!」
ぷりぷり。
怒っている。
提督「激おこだよ。 激おこぷりぷり丸だよ」
霰「ふふ・・・、ニセモノっぽい」
鎮守府までの道を歩き。
提督は怒っていたが、霰はご機嫌だった。
ょぅι゛ょをたぶらかすHENTAIとして通報されそうになっていたのだ。
提督は大慌てでケッコンカッコカリの説明をして。
漁師たちの怒りを余計に買い。
酒を奢る約束までさせられていた。
提督「ひとりにしろとかなぁ・・・。
そりゃそうだけどなぁ・・・」
霰「ふふ・・・」
提督「霰さんはご機嫌ですね」
霰「うん・・・、だって」
嬉しくて仕方ない。
『霰は、私の嫁だからおっけーなんです!』
霰「ちゃんと、言ってくれたから」
提督「そっかー」
提督「その後、みんなの名前言うから、怒られたけど」
霰「仕方ない」
霰「たくさん・・・、がんばって、ね」
提督「はーい」
霰「ふふ・・・」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/15(金) 03:01:12.77 ID:fhGk3urb0<> 今日はここまでです。
寝るたびにテンション変わってキャラがブレるが、気にせんでくだちい。
もうちょっとだけ続くんじゃよ。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/15(金) 07:48:22.92 ID:blZCxEt5o<> 乙! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/15(金) 09:06:35.98 ID:2gvgOVroO<> キュン死しそうだ…
乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/15(金) 09:44:19.26 ID:dt+Sl1MNo<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/15(金) 12:59:58.27 ID:bEVbzC7Xo<> 可愛e <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/15(金) 13:16:58.88 ID:U8TcOzyo0<> 勲章モノだ!(定型文 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/15(金) 17:34:10.43 ID:mbl4lpGjO<> 霞はよ <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 01:59:58.52 ID:IAuUAQ5m0<> 朝潮型の秘書艦初日。
流石に6人は多すぎると、3人は鎮守府の掃除にまわる。
今日の担当は―
事務:大潮
提督補佐:朝潮
食事:霞
大潮「はー!」
提督「・・・」
大潮「どーん!」
提督「・・・」
大潮「ど 提督「大潮、もうちょっと静かにやろうか」 ・・・」
机にかじりついての、事務処理。
なぜこれほどの掛け声が必要なのか。
提督「ごめんな〜、ちょっと二日酔いで・・・」
大潮「わかりました!」
大潮「・・・ドーン・・・」
大潮「・・・ドー・・・」
大潮「・・・」
提督「・・・」
大潮「・・・」
しょんぼり。
明らかにテンションが下がっている。
大潮「・・・」
提督「大潮、掛け声おっけー」
大潮「いいんですか!」
提督「ああ、おかわりもいいぞ」
大潮「はいっ!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:07:20.04 ID:IAuUAQ5m0<> 霞「大潮姉さんの邪魔しないでよ」
霞が味噌汁を運んできた。
提督「あ〜、コーヒーでいいんだけど」
霞「だ・め・よ! 朝はちゃんと食べなさい!」
提督「う〜、わかったよ、かーちゃん」
霞「誰がかーちゃんか!」
霞「ほら、シジミの味噌汁は二日酔いの朝にいいのよ」
提督「ずず・・・、はぁぁ、しみるー・・・」
うまい、と呟いて。
提督「霞はいい嫁になるな」
霞「ふふん!そうよ!」
得意げに、胸を張り。
びしっ!と提督を指さす。
霞「あんたの嫁よ!」
提督「・・・うん、いい嫁だ・・・」
霞「食べたら、ちゃんと仕事するのよ!」
提督「は〜い」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:12:06.40 ID:IAuUAQ5m0<> 霞「じゃ、あたしはお昼を作るわね〜♪」
ご機嫌で、執務室隣の調理場に入る霞。
ここで提督と朝潮姉妹の昼食を作るのだ。
執務室隣の調理場。
簡易的なものでなく、むしろ一般家庭のキッチンより大きい。
これは、ほぼ強制的に着任した提督が、唯一希望したものだ。
提督(カレーのにおい)
調理場から流れてくる独特の香り。
すでに煮込みに入っているようだ。
提督(たのしみ)
もうカレーのことしか考えられない。
提督「ぬおおお!」
大潮「おお、提督がものすごい勢いでハンコを!」
提督「大潮!私はやるよ!」
大潮「アゲアゲですね!」
提督「アゲアゲだー!」
提督「・・・アゲアゲって何?」
大潮「知りません!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:18:41.22 ID:IAuUAQ5m0<> そもそも、秘書艦は独りでするものだ。
しかも規模が小さく特殊な任務も行わないため、もともとの仕事が少ない。
さらに専任だった大淀によって、長期計画がすでに立てられている。
秘書艦未経験の龍驤ですら、初日に「することがない」と言い切ったほどである。
そんな中での”提督補佐”という、とってつけた仕事。
朝潮「・・・」
「「「・・・」」」
提督「・・・朝潮、暇じゃない?」
朝潮「いえ!お声がかかるまで!ここで待機しています!」
提督「・・・そうかい」
提督の執務机のすぐ横。
というか、提督の膝元。
持参した座布団に正座し、朝潮が待機している。
すぐ横には、三匹の子犬。
なぜか同じように”お座り”で、待機している。
提督「その犬たちは、そう躾けたの?」
朝潮「いいえ! 私の真似をしていると思われます」
提督「そう、じゃあ散歩の縦列行進も?」
朝潮「はい、私の真似をして着いて歩いてるようです」
提督「そっかー」
提督(やっぱ群れのリーダー扱いなのかな) <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:24:24.12 ID:IAuUAQ5m0<> ちょっと遊んでみよう。
提督「お手」
右手を差し出す。
朝潮「はい!」
「「「キャン!」」」
ビシッと小気味良い音を立てて、朝潮が右手を出す。
子犬も同じように右手を乗せてくる。
ひとりと三匹、見事な”お手”だ。
提督「おかわり」
朝潮「はい!」
「「「キャン!」」」
ビシッ。
四匹・・・いや、ひとりと三匹、見事な”おかわり”
提督「た・・・」
提督「楽しい!」
なでなでなで。
猛烈な勢いで、忠犬あしゃしおの頭をなでまわす。
朝潮「はぅぅ」
されるがままの朝潮。
恥ずかしそうに頬を染めて俯くが、嫌がる様子はまるで無い。
霞「遊ぶな!」
ペコーン
お茶を運んできた霞に、お盆で殴られ。
霞「朝潮姉さんも!」
朝潮「えー」
「「「キューン」」」
霞「ああもう!こっち手伝いなさい!」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 02:27:44.78 ID:zz7jJRkoO<> あれ?本気出して迫るのがこのSSでまだケッコンしてないよね?
何かわかんなくなってきちゃった <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:32:33.08 ID:IAuUAQ5m0<> してないよー
迫ってるだけ <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:34:25.25 ID:IAuUAQ5m0<> 念押しとおもっていただければ。
「おめー、わかってんだろうな?」
みたいな。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:35:12.33 ID:IAuUAQ5m0<> いつものように午前でほぼ仕事が無くなり、昼食。
メニューは、煮魚だった。
提督「・・・」
霞「どうしたのよ」
提督「・・・カレーじゃ・・・、ない・・・」
どよよよよよ。
この世が闇に覆われたような、絶望。
霞「あれ、明日の分よ」
提督「なっ・・・!?」
霞「一日おくと、美味しくなるのよ」
知っている。
知っているが、許容できるかは話は別だ。
提督「かれー・・・かれー・・・かれーえー・・・」
霞「ああもう!」
カレーだけを支えに仕事をしたのだ。
もう、立つこともできないかも知れない。
霞「あとでちょっとだけ食べさてあげるから」
ぱあああああ。
光がさす。
世界は美しい・・・!
提督「いただきます!」
提督「魚、おいしい!」
霞「そうでしょ、鳳翔さんに習ったんだから」
カレーはおやつにおいしく頂きました。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:42:24.19 ID:IAuUAQ5m0<> 夜、提督居室。
提督「ほんとに、皆で寝るんだ」
すでに布団が持ち込まれ、和室は布団の海になっていた。
霰「ちゃんと、そう言った」
提督「うん、聞いたね」
問題は、布団7人分。
提督「私も?」
霰「・・・司令官の部屋だから」
提督「隣の部屋でもいいんだけど」
霰「だめ」
一緒に、と。
霰「みんな一緒が、いい」
提督「・・・わかったよ」
満潮「司令官の隣は、私でいいわね」
自分が皆を守ると。
提督「守るて」
抗議は流される。
荒潮「あら〜、私は提督の隣でもいいわよ〜?」
大潮「大潮も大丈夫です!」
霰「隣、いきたい」
無言の長女も、拳を突き出す。
霞「いいわ。 戦うことが私たちの宿命」
ゴゴゴゴと効果音を背負っているかのような緊張感。
提督「・・・ごくり」
6人の姉妹がその拳で決着を!
「「「じゃーんけん!ぽん!」」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:46:54.61 ID:IAuUAQ5m0<> 勝者は霞だった。
提督(すごい戦いだった)
提督には手が見えない。
なのに彼女たちはお互いの手が見えるので、あいこを100回以上繰り返した。
とんでもない運動能力と、動体視力である。
提督(そういえば、今まで一度も勝ってなかったよ)
気づくのが遅すぎる。
霞「こっち向いたら殺すからね」
提督「・・・はい」
望んで隣に寝るはずなのに、この仕打ち。
提督は涙で枕をぬらしていた。
皆のパジャマが可愛いと褒めて。
唐突に始まるファッションショー。
綺麗なポーズをとる荒潮。
なぜか睨みつける満潮。
じっと立ってコメントを待つ霰。
やっぱり犬がついて歩く朝潮。
助走をつけて提督に飛び込む大潮。
「なんで私まで」と文句を言いつつも参加する霞。
「誰が一番可愛いか」を言わせようと始まりかけた姉妹戦争だが、
22時を過ぎるとぱたりと眠ってしまった。
規則正しい生活を過ごしている艦娘は、夜更かしなぞしようとしても出来ないのだ。
提督「夜戦とか遠征とか、海だと平気なのになぁ」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:50:02.41 ID:IAuUAQ5m0<> 夜も更けて、皆が寝静まっている。
が、さすがに提督は眠れなかった。
提督(なんかすごいいいにおい)
眠れるわけがない。
そんな風に過ごしていると、寝言が聞こえてきた。
霞「・・・うぅ・・・」
寝言ではなかった。
提督の隣で、静かに眠っていた霞が、うなされていた。
提督(そういえば、霰と霞はうなされて眠れないときがあるって)
霞「・・・うぅ・・・」
涙を浮かべ、眉間にしわをよせ、歯を食いしばって。
提督(こんなにつらそうなのか)
はじめてみる、うなされる姿。
霞「・・・あ」
目を覚ました霞と、目が合う。
提督「・・・大丈夫?」
霞「・・・えぇ」
いつものこと、と呟き。
霞「ちょっと、外に出ましょ」
提督「うん」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:53:41.60 ID:IAuUAQ5m0<> 提督と霞は屋根にあがり、毛布にくるまって月を見上げる。
霞「・・・いい月ね」
提督「そうだね」
霞「驚いたかしら?」
うなされる姿を見て。
提督「うん・・・、あんなにつらそうとは思わなかった」
霞「そう」
提督「昔のこと、憶えてないんだよね」
霞「・・・」
提督「・・・」
霞「・・・憶えて、なかったわ」
提督「まさか」
ずっと以前の対空演習の時に。
爆撃機からの攻撃を受けた時に。
霞「思い出したのよ」
それまでは、ただ怖いだけだった。
何故怖いかわからず、イライラしたこともあった。
それが、演習とはいえ、爆撃を受けた時に、突然、鮮明に思い出した。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 02:55:53.06 ID:IAuUAQ5m0<> 提督「まさか、霰も・・・?」
霞「ううん、霰姉さんは多分思い出していないわ」
そのほうがいいと、思う。
霞「思い出して、いいことなんて何もないわ」
提督「・・・味方からの攻撃」
霞「えぇ」
何も知らず、低い練度での出撃。
対峙する、”敵”。
突然の、攻撃。
敵が居ないはずの、後ろからの攻撃。
霞「霧島さんがかばってくれたから、助かった」
提督「うん」
いきなり目の前が炎で埋まる。
爆発。
圧倒的な力の何かが飛来するのが、音だけでわかる。
敵も味方も関係なく、その何かが貫き、砕き、引き裂いた。
でも、と首を振り。
霞「あたしが怖いって思うのは、それじゃないの」
提督「・・・」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 03:00:24.13 ID:IAuUAQ5m0<> 貫かれ、砕かれ、引き裂かれ。
そうやって沈む直前まで、こっちを見ていた。睨んでいた。撃とうとしていた。
霞「あいつらは、あたしたちと同じだ」
戦うための存在。
霞「あたしは、あいつらと、同じ」
人とは違う。
提督「霞、それは」
霞「わかってるの、でも、同じなの」
あの目に。
自分を最期まで見ていた目に。
引きずられる。
霞「違うって否定しても、あの目が同じだって言うの」
提督「・・・」
霞「それが、怖いの」
提督「霞」
後ろから、霞を強く抱きしめる。
そうしたくて、仕方なかった。
霞「ん・・・、どうしたのよ」
提督「・・・」
困ったような笑顔で、それでも霞は拒みはしなかった。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 03:04:02.64 ID:IAuUAQ5m0<> 霞「あそこで、あたしは死ぬはずだった」
提督「・・・」
炎の渦の中で、敵味方諸共に。
霧島が連れて逃げてくれなかったら、間違いなく。
霞「きっと、次で死んでいた」
怪我をして、中破のままで待機させられた。
おそらく、次の出撃で。
提督「・・・でも、ここにいる」
霞「そうね」
霞「金剛さんと、霧島さんと、榛名さんと、みんなのおかげね」
それに、と続けて。
霞「あんたの、おかげよ」
手を差し伸べて。
抱き上げて。
帰ろうと言ってくれた。
霞「この手が、あたしを助けてくれた」
提督の手をとり、掌を頬にあてる。
霞「・・・ありがとう」
提督「・・・うん」
霞「これだけは、思い出してよかったって思うわ」
提督「・・・うん」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 03:07:33.35 ID:IAuUAQ5m0<> 霞「あんたに助けられて、この手で助けられて」
目を閉じ、頬に当てた手の感触に酔う。
霞「あたしは、もう一生分の幸せを貰ったの」
提督「・・・霞」
霞「あたしは、あんたより後に死ぬつもりは無い」
霞「あんたのために、あんたを生かすために、死んでやる」
提督「霞」
霞「あの夕陽を思い出すだけで、あの幸せの中で、笑って死んでいける」
提督「霞!」
霞「あんたの、ために、あたしは、」
これ以上は聞いていられない。
聞きたくない。
涙を流して、笑っている霞に、これ以上言わせたくなかった。
霞「んっ」
唇を塞ぎ、黙らせる。
霞「・・・んぅ」
提督「・・・」
霞「・・・」
霞「ぷはっ・・・」
提督「・・・謝らないからね」
霞「・・・どこで、こんなの憶えたのよ」
くく、と笑い。
霞「なんだか、死にたくなくなっちゃったじゃない」
提督「それでいいよ」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 03:09:56.43 ID:IAuUAQ5m0<> 生きて欲しい。
提督「もう、死ぬなんて言わないで」
強く、力いっぱい、抱きしめる。
力加減なんて、知るもんか。
提督「もっと、もっと、一緒に、生きよう」
霞「はぁ・・・っ」
きつく抱きしめられて、苦しくて、それでも嬉しい、ため息がもれる。
幸せを全部貰ったと思っていた。
でもこの贅沢者は、もっとくれると言う。
なら、もらおう。
霞「ちゃんと、責任、とりなさいよ」
提督「もちろん」
あの夢は、また見るだろう。
でも、きっと、もう大丈夫だ。
<>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 03:11:25.69 ID:IAuUAQ5m0<> 今日はここまでです。
明日には終わる予定。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 03:32:07.62 ID:hb3XyPF+O<> まだだ…まだ憲兵=サンの出番じゃない… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 03:48:10.65 ID:xVbR2IXPo<> 必要なのは憲兵ではなく仲人 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 04:10:26.23 ID:0q3OdrtBo<> 式場も必要か <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 04:38:35.52 ID:ZpSSvRxK0<> 乙です。
憲兵「両者合意のものであり、艦娘の方から迫っているならば我々の管轄外である」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 05:17:41.28 ID:zz7jJRkoO<> いやキスしちゃうのかよ
本気出して提督を落とすんじゃないのかいw <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 08:41:36.41 ID:wblsiMTcO<> 乙
経緯が経緯だけに霞ママも今の提督にはツン成分ほぼ無いのね
こういう霞ママも可愛いなあ
前のトコでクズ言おうもんなら… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/07/17(日) 15:44:54.05 ID:sIj2pmhl0<> 確か全員とケッコンは確定でいっちばーんが誰かを競ってるんだっけね
てか本気だしてるのは提督じゃないか(歓喜) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 15:45:28.29 ID:sIj2pmhl0<> ごめん、sageわすれた <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 18:34:47.13 ID:6giBTDUmo<> 時系列的には
大淀から説明してもらってケッコンシステム理解したよーの後なの?前なの? <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/17(日) 19:23:23.74 ID:vzPPHj3Yo<> 金剛型も軽空母勢も何も無いのに駆逐艦が提督とチューしてるとはのう <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/17(日) 19:39:58.79 ID:IAuUAQ5m0<> 自分でも思った
金剛型や軽空母とのバランスおかしいよね
一部修正します <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage <>2016/07/17(日) 21:14:40.16 ID:E7rP4JbSO<> 修正は金剛軽空母の方でもええんやで <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:29:58.62 ID:qrmOWNyA0<> 一部修正します。
>>57
提督「霰、どうした?」
声に誘われ、顔を上げると・・・。
目の前に、提督。
大好きな人。
大好き。
その気持ちが大きくなって、どんどん吸い寄せられて。
提督「・・・」
霰「・・・えへ」
キスをしてしまった。
霰「お嫁さんだし・・・、いい、よね?」
提督「・・・」
へんじがない。
提督の胸に、耳を当てる。
どんどんどんどんどん。
明らかに心拍数が上昇している。
霰「どきどき、してる」
提督「・・・そりゃ、ね」
霰「・・・えへ」
なんとなくだが、嬉しい。
霰「・・・もう一回」
顔を上げ、目を閉じ、おねだり。
提督「・・・しないよ」
霰「んー・・・」
おねだり。
提督「・・・」
霰「・・・ぶー」プクー
提督「可愛い顔しても、だめ」
霰「・・・」
霰「・・・かわいい?」
提督「うん・・・、可愛いよ」
霰「・・・許す」
提督「・・・どうも」
<>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:34:17.72 ID:qrmOWNyA0<> 一部修正します。
>>83
霞「あんたに助けられて、この手で助けられて」
目を閉じ、頬に当てた手の感触に酔う。
霞「あたしは、もう、一生分の幸せを貰ったの」
提督「・・・霞」
霞「あたしは、あんたより後に死ぬつもりは無い」
霞「あんたのために、あんたを生かすために、死んでやる」
提督「霞」
霞「あの夕陽を思い出すだけで、あの幸せの中で、笑って死んでいける」
提督「霞!」
霞「あんたの、ために、あたしは、」
これ以上は聞いていられない。
聞きたくない。
涙を流して、笑っている霞に、これ以上言わせたくなかった。
提督「霞」
指で唇を塞ぎ、黙らせる。
霞「・・・大事な話を、してたつもりなんだけど」
提督「だめだよ」
霞「・・・あたしの、覚悟をっ」
提督「そんな覚悟は、欲しくない」
霞「あ─」
心の中の、炎に染まる海が消える。
霞「・・・もう」
くく、と笑い。
霞「でも、なんだか、すっきりしたわ」
誰にも話せなかった。
一番、聞いて欲しい人に聞いてもらえた。
霞「もう、死にたくなくなっちゃったじゃない」
提督「それで、いいよ」
<>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:36:19.00 ID:qrmOWNyA0<> 続きです。
>>84の翌朝からです。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:38:11.44 ID:qrmOWNyA0<> 朝潮型の秘書艦二日目。
事務:荒潮
提督補佐:霰
食事:満潮
荒潮「提督〜、ここ、よくわからないんだけどぉ」
提督「どうしたの?」
荒潮「昨日の分なんだけど、なんだか途中で字が乱れちゃってて」
提督「あー・・・、大潮がテンションダウンした時かな」
荒潮「ふふっ・・・、大潮姉さんはテンションで仕事が変わっちゃうから〜」
やるときはやるんだけど、とフォローも入れて。
荒潮「提督、手伝ってぇ」
提督「手伝いたいのは山々だけど」
膝の上に、霰。
霰「すやぁ・・・」
提督「ごめん、動けないよ」
荒潮「うふふ」
荒潮が、霰のほっぺたをつついて、
荒潮「ぷにぷに〜」
提督「起こしちゃ、だめだよ」
荒潮「仕事中だけどぉ」
提督「あ、そうだった」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:42:32.70 ID:qrmOWNyA0<> 荒潮「じゃあ、私も提督の膝にのるしかないわねぇ」
よっこいしょ、と。
荒潮「お邪魔しまぁす」
霰を左に、荒潮を右に。
提督「なんだか、すごいことになってないか」
荒潮「うふふ〜」
笑って受け流して、
荒潮「お仕事、お仕事♪」
髪を束ね、ポニーテール。
提督「・・・ぽにーてーる」
荒潮「お仕事の邪魔になっちゃ、いけないし」
それに、と上目遣いで。
荒潮「提督、好きでしょぉ?」
提督「んぐ」
荒潮「うふ〜」
荒潮「鳳翔さん」
提督「う・・・」
荒潮「よく、見てるわよねぇ」
提督「・・・」
荒潮「あらぁー、効果あり、かしらぁ♪」
霰「すやぁ・・・」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:45:42.92 ID:qrmOWNyA0<> 一方、調理場では。
満潮「むぅ・・・、霞のカレーがあるから、メインはいらないわね」
せっかくのアピールチャンスだが、仕方ない。
満潮「ゆでたまごとマヨネーズ」
たまごを刻んで、マヨネーズで合えて、レタスで巻いて。
満潮「こんなのが好きなんて、ほんと子供なんだから」
でも、食べるあの人を想像すると。
満潮「ふふっ」
自分も、笑顔になる。
満潮「ん、おいしい」
味見。
薄口な提督に合わせて、マヨネーズは少なめに。
満潮「あいつにも、味見してもらおうかしら」
少しすくって、おにぎりに入れて。
満潮「ちょっと司令官、たまごの味見を──」
霞と、荒潮の二人を膝に乗せてる提督が居て。
満潮「なんじゃこりゃー!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:48:13.19 ID:qrmOWNyA0<> 満潮「どういうつもりよ! こ、この、クズ司令官!」
荒潮「それ、霞ちゃんのセリフ〜」
満潮「やかましいわ!」
霰「・・・うるさい」
満潮「あんたも!寝てんじゃないわよ!」
吠える。
怒れる大怪獣ミチシオの襲来である。
提督「業務上、仕方なかったんや・・・」
満潮「仕方ないって!」
荒潮「ねぇ、霰」
霰「・・・うん」
ふたりで、提督の膝から降りて。
「「どうぞ」」
満潮「ふえっ?」
荒潮「みんな平等に♪」
霰「・・・乗れば、わかるから」
満潮「え、ちょ、私は別に」
おろおろ。
わたわた。
霰「・・・いらない?」
荒潮「いらない?」
提督「いらない?」
三人そろって、小首を傾げる。
満潮「・・・ああ、わかったよ!」
負けられないから。
満潮「・・・乗れば、いいんでしょ!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:50:15.24 ID:qrmOWNyA0<> 満潮「・・・」
提督「・・・」
耳まで真っ赤になって、かちこちに固まって、それでも満潮は提督の膝から降りない。
霰「・・・おきゃくさん、どうですか」
満潮「・・・」
やっぱり、顔は真っ赤なままで。
満潮「・・・ちょっと、よくわからないから」
提督の腕を、ぎゅっとだきしめて。
満潮「もうちょっと、ここに居るわ」
荒潮「墜ちたわぁ」
霰「作戦成功」
ふたりで、ハイタッチからのサムズアップ。
荒潮「提督、もっとぎゅーって」
提督「ん・・・、こうかな」
ぎゅう。
満潮「ふわぁぁぁ」
満潮(これは・・・、だめになる)
ニコニコニヤニヤする荒潮と霰にも気づかず、満潮は昼になるまでずっと提督の膝にいて。
掃除から戻ってきた朝潮たちの抗議をうけることになるのだった。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:56:43.12 ID:qrmOWNyA0<> 朝潮型の秘書艦三日目。
今日は姉妹6人揃っての緊急ミーティング。
大潮「ミーティングのテーマは、これ!」
ホワイトボードに書き込む。
”朝潮姉妹の 提督の扱いの差について”
提督「・・・なにこれ」
大潮「言葉通りです!」
姉妹を見回して、
大潮「扱いに差があるんです!」
提督「・・・無いと思うけど」
大潮「あります!」
きゅきゅきゅと更に書き込む。
大潮「これは、偶然ぱんつを見てしまった時の、提督の反応です」
提督「んなっ!?」
超くいつく:荒潮
見たいけど見ちゃいけないああどうしようチラッチラッ:朝潮 霞
特に反応なし:満潮 霰
大潮「こうです!」
ばん!とボードを叩き、
大潮「由々しき事態です!」
じとりと提督を睨み、
大潮「なにか異論は?」
提督「・・・」
大潮「無いようですね?」
提督「・・・」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 01:58:17.94 ID:qrmOWNyA0<> 朝潮「これは・・・、どう反応すればいいのでしょう」
霞「わかんないわよ・・・」
荒潮「うふふ〜♪」
霰「・・・司令官」
満潮「お、怒っていいの? いや、なんか違う・・・?」
勝ち誇る者、混乱する者、打ちひしがれる者、怒る者。
その全ての視線を受けて、提督の汗が止まらない。
大潮「我々も、司令官から指輪をもらう身として!
現状を把握し、対処しなければいけません!」
荒潮「・・・それはいいけどぉ」
大潮「なんですか、勝者さん!」
霞「勝者て」
荒潮「大潮姉さんだと、どうなるのかしら?」
大潮「・・・えっ」
朝潮「・・・」
満潮「・・・」
霰「・・・」
霞「・・・」
だっ!
朝潮「逃がすな!」
逃げ出した大潮だが、あっという間に取り押さえられた。
同じ性能の姉妹に囲まれ、逃げられるはずが無いのだ。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 02:03:57.17 ID:qrmOWNyA0<> 大潮「は、放せっ」
霰「ていっ」
ぴらり。
大潮「あ・・・」
((・・・司令官の反応は!?))
提督「・・・」
しーん。
((特に反応なし!))
内心でガッツポーズをとる姉妹だが・・・。
大潮「はああぁぁぁうぅぅぅ」
真っ赤になった頬をおさえ、床に座り込んでしまった。
大潮「恥ずかしいよぉ・・・」
提督「・・・」
提督「み、みんな! だ、だめだよ、こういうことはっ」
「「なっ!?」」
大潮「うううぅぅ・・・」
提督「見てない、見てないから!」
大潮「・・・ほんとう?」
提督「っ・・・、ほ、ほんとうだとも」
大潮「よかったぁ」
にこぉぉ。
提督「・・・」ズキューン
荒潮「・・・ギャップ萌え」
朝潮「え? 何ですかそれ?」
満潮「くっ・・・、やるわね」
朝潮「え? どういうこと?」
鎮守府は、今日も平和です。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 02:07:48.80 ID:qrmOWNyA0<> 夜。
満潮「・・・」
満潮「これを、着れば」
霞「・・・満潮姉さん」
満潮「はっ!?」
手に持ったモノをあわてて隠すが。
霰「・・・スケスケ」
霞「山も谷もないのに、そんなの効くわけ無いでしょ・・・」
満潮「ぐっ・・・」
シースルーのネグリジェ。
霰「・・・やりすぎ」
満潮「ぐぐっ」
正論に打ちのめされる。
満潮「じゃ、じゃあどうすればいいのよ!」
霞「ふふん」
霰「・・・じゃん」
キグルミパジャマ。
満潮「おぉ・・・」
霞「子ども扱いされるなら、それを逆手にとるのよ」
霰「インパクトで勝負」
霞「私は猫、霰は犬で」
霰「はい、狸」
満潮「なんで狸ー!?」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 02:08:52.98 ID:qrmOWNyA0<> 駆逐艦・朝潮型。
戦うことを宿命付けられ、戦う。
でも。
それ以外も、あってもいいかな。
あの人が、そう言ってくれたから。
”戦う”以外を。
あの人と、一緒に。
朝潮「一番!旗艦!朝潮!」
大潮「二番!大潮!」
満潮「三番!満潮!」
荒潮「四番!荒潮!」
霰「五番。霰」
霞「六番!霞!」
朝潮「朝潮艦隊!出撃します!」 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 02:11:04.98 ID:qrmOWNyA0<> 終わりです。
ヘタレで無能と評判の提督ちゃんなので、一部修正しました。
こっちのほうが、らしいかな。
この数ヶ月、順番にレベルング艦隊の旗艦をしていたので、書きたかった。
キャラブレは気にしないでね。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/18(月) 02:32:53.37 ID:espQZEDPo<> とてもよかったのです
このシリーズすごくすきなのです
次回も楽しみなのです <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/18(月) 02:38:46.76 ID:4ZoYojfAO<> 乙
さて次は誰かな? <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 02:41:03.76 ID:qrmOWNyA0<> 時系列は、
>>2->>3 現在
>>4 過去1
>>5->>6 過去2 (過去1の同時期、別の場所)
>>7->>14 過去1→過去2→過去1の続き
>>22 過去1の後日談
>>23->>28 >>22の後(過去3)
>>29->>44 過去3から数週間後(過去4)
>>45 過去4の後日談
>>51->>59 現在の>>3からの続き
>>67−>>109 >>59の翌週、秘書艦週間
>>110 EDっぽいもの
過去は全てシステム理解前、現在は理解後です。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 03:17:08.32 ID:qrmOWNyA0<> 藍川琉々さんの「朝潮型(全員改二IFバージョン)」を眺めながら書きました。
もうほんと可愛いったらないよね。
朝潮型はイイ! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/18(月) 06:18:58.93 ID:x6P/d2kZo<> 乙
キグルミパジャマいいなぁ
洗うの大変そうだけど <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/18(月) 06:49:24.24 ID:Sn/0ceGBO<> 乙です。
次も楽しみにしてますね。 <>
◆wWS/LadavY<>saga<>2016/07/18(月) 08:38:39.08 ID:qrmOWNyA0<> >>103
霞と、荒潮の二人を膝に乗せてる提督が居て。
↓
霰と、荒潮の二人を膝に乗せてる提督が居て。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/07/18(月) 10:28:50.41 ID:BONdlHOK0<> 乙です <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/18(月) 10:45:27.76 ID:mLDxd7D5o<> お疲れ様です <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/27(水) 01:31:00.96 ID:r5iTdlP20<> 【艦これ】龍驤さんの無限の可能性
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469550253/
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/27(水) 20:57:15.37 ID:HUwS61fno<> 【艦これ】提督「最高翌練度に達した艦娘が、ことごとく無気力になっている」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1466274797/
【艦これ】提督「最高翌練度に達した艦娘が、本気を出すそうだ」【金剛シスターズ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1466874620/
【艦これ】提督「最高翌練度に達した艦娘が、本気を出すそうだ」【軽空母勢】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467478467/ <>