以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:33:44.98 ID:ExID/JwJ0<>『試しに1回やってみる?』
『一緒にいるだけでぜんぜん話もしないでのーんびり……あ、それただの昼寝になるコースだ』
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469176424
<>「北条加蓮と高森藍子が、静かなカフェテラスで」
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:34:20.41 ID:ExID/JwJ0<> ――まえがき――
レンアイカフェテラスシリーズ第28.5話です。
以下の作品の続編です。こちらを読んでいただけると、さらに楽しんでいただける……筈です。
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
〜中略〜
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「虹を見に行きましょう!」
・高森藍子「加蓮ちゃんの」北条加蓮「膝の上に」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「夏景色のカフェテラスで」
たまにはこんなひとときを。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:34:50.09 ID:ExID/JwJ0<> ――おしゃれなカフェ――
高森藍子「〜〜〜♪」クルクル
北条加蓮「…………」ジー
ニコニコと笑いながら、抹茶ラテをくるくるとかき混ぜてる。
何してるの? と聞いたら、何にも、と。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:35:20.31 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「〜〜〜♪」クルクル
加蓮「…………」ジー
分からないままで悔しいって思いが生まれたから、じっと眺めてみることにした。
いつの間にか、悔しさはなくなっていた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:35:49.79 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「〜〜〜♪」クルクル
加蓮「…………」ジー
何しているの?
何にも。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:36:19.95 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「〜〜〜♪」ゴク
加蓮「…………」ボー
子供みたいな無邪気な笑顔を、頬杖をついて眺める。
楽しそうだね、藍子。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:36:50.10 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「〜〜〜ふふっ♪」
加蓮「…………」
何も言っていないのに、何かが伝わったのかな。
藍子が、またちょっと嬉しそうに笑った。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:37:19.87 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「〜〜〜♪」ゴク
加蓮「…………」ボー
夏の日のカフェテラスは思ったよりも暑くはない。気温が高いことに変わりはなくても、快適だ。
たまに風が吹いてくれるのが、たまらなく気持ちいい。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:37:49.78 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「〜〜〜♪ ……?」
加蓮「…………」
ずっと見ていたら、小首を傾げられた。
2回、3回、まばたきをする姿が少しだけ間抜けに見えて、からかい気味に笑ったらますます不思議な顔をされた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:38:19.76 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「〜〜〜♪」
加蓮「…………たはは」
かさり、と葉が揺れる。
頬の汗がくすぐったくて、ハンカチを出すのが少し億劫で、服の袖で拭く。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:38:49.85 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「あっ……気持ちいい風……♪」
加蓮「風鈴とか欲しくなるよね。ほら、テレビでやっててさ――」
遠くで何かを書き留める音がした。あぁ、目を遣らなくても分かる。いつもの店員だ。何かハラハラしてたみたいだけど、ケンカはしてないよ?
ああ、それより。また次に来る楽しみが増えちゃった。バレないように口元を隠してみたら。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:39:20.21 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「加蓮ちゃん、今わらった!」
加蓮「そお?」
隠すとか隠さないとか関係なくて、そしてつられて笑顔が1つ増える。
本当に、笑うことが大好きなんだから。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:40:19.87 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「私、何もないのに思い出し笑いとかしないよ? 藍子じゃないんだから」
藍子「それってどういう意味ですか〜」
次の言葉はなんとなく分かる。
何かあったって気付いて、それから教えてほしいって言う。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:41:20.09 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「ってことは、何かあったってこと……? 教えてくださいよ、加蓮ちゃんっ」
加蓮「藍子風に言うなら、小さな幸せ? こういうのはほら、自分で見つけてこそでしょ」
小さな幸せを独占していたわたしの頃の癖が、まだもうちょっとだけ続いている。
でも藍子は何も言わないで、ゆるやかに目を細めてから、唇に指を置いた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:41:50.32 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「何か、見つけたんですね。……うーん、何だろ? 気になっちゃいますよ」
加蓮「ふふっ」
頬を膨らませながら、またカップへ手を伸ばした隙に。
口角をちょっとだけ上げたのは、見咎められなかった。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:42:20.54 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「店員がね、あっちでメモってた。私が風鈴って言った時に」
藍子「へ? ……あ、店員さんがばれちゃったって顔をしてる。ふふ……♪」
ほらもう、また私の思ったことをそのまま言う。
幸せをわけあったらまた自分に戻ってくる。思えばちっぽけなことかもしれない、けど。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:42:49.84 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「…………」
藍子「〜〜〜♪」クルクル
あ、また抹茶ラテをかき混ぜだした。
飲むんじゃなくて、かき混ぜる。……面白いのかな? 聞いてみたいような、見ていたいような。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:43:20.46 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「…………」
藍子「〜〜〜♪」クルクル
私だけ手持ち無沙汰だ。何かしてみようか。
コーヒーはもう飲み終えたし、スマフォはちょっと嫌かなぁ。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:43:49.77 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「…………」
藍子「〜〜〜♪」クルクル
うん、と背伸びをしたら、夏の空気がいっぱいに入ってきた。
蝉はやっぱり煩くて、風はやっぱり気持ちいい。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:44:19.77 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「…………」
藍子「〜〜〜♪」クルクル
……。
…………。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:44:49.78 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」ゴク
加蓮「…………」
あ、飲み始めた。いっぱいかき混ぜた後には、どんな味になってるんだろう。
気になったけど、美味しそうに飲んでいる藍子の姿を見たら、ちょうだい、という言葉が引っ込んだ。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:45:20.29 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「…………」
藍子「〜〜〜♪」ゴク
さあ、どうしよっかな。
外を見てもいいし、藍子を見てもいいし。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:45:49.84 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「ごちそうさまでした」コトン
加蓮「んー」
お粗末さまでした。
……それはちょっと違うかな?
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:46:20.71 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………?」
加蓮「んー……」
訝る目を向けられたら、つい意地悪なことを言いたくなる。
頬を膨らませてわーわー言われて、じゃれついて。そういうのが、最近、とてもとても楽しい。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:46:49.75 ID:ExID/JwJ0<> 加蓮「見てただけー」
藍子「見てただけ?」
少しだけ身を乗り出してきた。何か話したい。そんな雰囲気が生まれた。
私はただ見ているだけにした。今日はこうして、ゆっくりしたい気分。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:47:20.67 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「じゃあ、私も見てるだけです」
加蓮「どうぞ」
藍子の目は不思議だ。
ふにゃりとしているようで意外と鋭くて、眩しいけれどどこか気高い。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:47:49.74 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………」ジー
加蓮「…………」ジー
かちゃん、と表の方でドアの音がする。
視線を少し、移してみた。舌の先ほどの冷気が伝わってくる。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:48:19.89 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」ニコニコ
加蓮「…………」ボー
涼しいカフェテラスなのに、少し暑くなった気がした。
外とか、暑いし。歩くだけでしんどくなるし。事務所に戻った時とか、すぐにクーラーの温度を下げて怒られる。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:48:49.90 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」ニコニコ
加蓮「…………」
じゃあ、私達も中の席に移動する?
違うんだよね、そういうことじゃない。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:49:19.86 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」ニコニコ
加蓮「…………」ジー
藍子はさっきより楽しそうにしている。
何も喋っていないし、何もしていないけど。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:49:49.88 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「……♪」
加蓮「ふぁ……」
さっきのお客さんは……室内の席から出てくることはないみたい。
ここは暑そうに見える? そんなことないよ。もしかしたら一緒にいる人によるかもしれないけど。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:50:19.78 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「あ、メールだ……」ポチポチ
加蓮「…………」パラパラ
話したいこと、何かあったっけ。
メニューをぱらぱらめくりながら、のんびりと記憶を辿ってみた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:50:49.90 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「ふんふん……」
加蓮「…………」パラパラ
ああ、まぁ、あったような気もするし、なかったような気もする。
いいや、ゆっくりしよ。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:51:19.99 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「送信っ♪ ……あっ、ごめんなさい加蓮ちゃんっ」
加蓮「いーよいーよ。なんにもしてなかったし」
申し訳無さそうな顔は、すぐにへにゃりとした笑顔に変わる。
次第に覗きこむ目になって、私をずっと見ている。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:51:49.93 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」ニコニコ
加蓮「…………」ボー
一瞬だけ違う方向から視線を感じた。
店員かなぁ。それとも、店の中のお客さん? <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:52:19.90 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」
加蓮「…………」ウーン
ここには私と藍子の世界があります。どう見えますか? なんて。
私達、なんにも喋ってないけどね。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:52:49.89 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」ニコニコ
加蓮「…………」ボー
今日、カフェに来て、あれこれおしゃべりしていたのは10分くらい。
どちらからともなく何も言わなくなって、何もしなくなって、そんな時間が只々続く。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:53:19.91 ID:ExID/JwJ0<> 藍子「…………♪」ニコニコ
加蓮「……ふぁ」
話したいことがあって、ここでしか話せないことがるなら、とっても勿体無い時間。
でも、こうして藍子とゆっくり過ごすのも、今だけの時間。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:53:49.99 ID:ExID/JwJ0<> ……。
…………。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:54:20.06 ID:ExID/JwJ0<> 「昼寝にはならなかったね」
「わ、もうこんな時間……!? 加蓮ちゃん大変っ、もう7時です!」
「ホントだ、いつの間にこんな時間。ふふっ、私もびっくりした」
「……でも加蓮ちゃん、すごく落ち着いているような?」
「じゃ藍子。晩ご飯を食べて帰ろっか」
「私は……軽めに済ませちゃいますっ」
これは、続いていくなかの、たったそれだけのワンシーン。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 17:54:50.09 ID:ExID/JwJ0<> ――あとがき――
おしまい。
読んでいただき、ありがとうございました。
たまにはちょっとだけ後書きを。
いつもお付き合い頂きありがとうございます。コメントを頂いた時なんて気持ち悪いくらいニヤニヤしてます。本当に感謝です。
膝枕編第3話(シリーズ第19話)を書いた時、もうまったく会話なんてしなくていいって関係を描きたくなって。
いつもの雰囲気と文量ではまずできそうにないので、今回、0.5話扱いということでこのような形にしてみました。
私には私の世界がありますけれど、皆さんにもちょっとだけ想像してほしいなって思います。
加蓮と藍子が、一緒にいるところを。楽しそうにしていてもいいし、喧嘩していてもいいし。
そんな想いも込めた、0.5話でした。
では改めて。ここまで読んでいただきありがとうございました。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/22(金) 20:49:13.38 ID:CNPF8tGko<> いつも楽しませてもらってます。
ちょっと気になったのだけど、前スレ(28話)のタイトルって、
> 高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「夏景色のカフェで」
だと思うんだけど、正しい?
それとは別に、
> 北条加蓮「藍子と」高森藍子「夏景色のカフェテラスで」
このスレタイのスレがあるのかしら?
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/07/22(金) 20:59:11.26 ID:ExID/JwJ0<>
>>42
ぎゃー!
ご指摘ありがとうございます。第28話は、
高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「夏景色のカフェで」
が正しいです。申し訳ございません……。
>>2 過去シリーズのタイトルを一部修正
誤:・北条加蓮「藍子と」高森藍子「夏景色のカフェテラスで」
正:・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「夏景色のカフェで」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/07/22(金) 22:59:59.00 ID:uu22JL0F0<> ああああ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/07/23(土) 00:54:41.32 ID:uq4Fx/xDO<> おつです
いつもあなたの世界、楽しませてもらっています
これからも大切に、触れていけたら嬉しい <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/07/23(土) 21:37:42.55 ID:4Y+o8yYXO<> おつおつ。
貴方の好きなように書いて下さい。
貴方の世界が何よりも楽しみで、癒されるので。 <>