◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 00:45:44.65 ID:xta4dzyIo<>
 1/3


 【原作キャラ崩壊】

 京太郎
 のどっち
 不定期
 非安価
 10レスAASS
 ※サイコ要素あり

 頂いた雑談から書きます
 リクエストOK。既存カプのみ

 基本は単ヒロイン
 四コマ漫画感覚でどうぞ


 まとめwiki
 http://www27.atwiki.jp/miyanagake/


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474040744
<>【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「はおまけ!」咲「おまけじゃないよ!」
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 00:46:26.71 ID:xta4dzyIo<>
 2/2


 ・前スレ

 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ?」咲「京咲だよっ!」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443023066/

 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」咲「京咲!」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444022970/

 【咲-Saki-】京太郎「一家団欒」咲「宮永家!」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444232227/

 【咲-saki-】京太郎「みやながけ」照「京咲照」咲「京咲でしょ!」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445021542/

 京太郎「みやながけ」咲「平行世界」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449129501/

 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「京淡!」咲「京咲だし!」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453294261/

 【咲-Saki-】京太郎「霞色の空」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458730218/

 【咲-Saki-】 京太郎「みやながけ」 淡「だったスレ」 咲「えっ!?」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462023444/

 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」和「のどっちスレ!!」咲「(否定できない……)」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468929553/


 ※ 『みやながけ見てたけど霞色の空って何?』って人へ
   前シリーズで予告してた京霞。京玄の続きはそのスレで終わらせました
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 00:46:56.16 ID:xta4dzyIo<>
 3/3


 ・完結済み。後日談系統

 みやながけ次元
 京和次元
 京照次元
 京淡次元
 京白次元
 京霞次元(霞色の空)
 京穏次元
 京玄次元
 ダルてる次元
 のどアコ次元
 京咲照次元
 京淡ネリ次元
 新訳:京霞次元


 ・継続中

 京優次元
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 00:47:24.97 ID:xta4dzyIo<>  新スレ記念にリクエストあればどうぞ
 シロのシチュエーションとか…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 00:49:23.75 ID:0jLsV/zM0<> 京シロ 寝惚けたシロが京太郎を抱き枕 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 01:00:27.55 ID:LQmYSvMc0<> 一発ネタのお金持ち次元で愚痴り大会 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 01:19:22.22 ID:x3CujQTuo<> お姉ちゃんシロとダルシロが混線 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 01:53:32.21 ID:xi3j+lzMo<> 立て乙
淡ネリ次元で頻繁に泊まりにくる淡ネリ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 02:03:34.35 ID:6bN7yk6MO<> 最近知って来たんだが
>リクエストOK。既存カプのみ
って有るけどリクエストOKの既存カプってどんなカップリングがあるの? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 02:06:33.83 ID:m3V1d3J4O<> >>9
>>3
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 02:17:21.92 ID:jit1yArHo<> 問題はのどアコ次元(カップリングは京玄)みたいなのがあるからタイトルでは判断できないんだよな……
そもそもここで求められてるリクエストは即興安価スレみたいな思いつきじゃなくて
既存作の関係性をもとに発展案募集みたいな性向が強いから、とりあえず流し読みでも過去ログ・まとめを読んでからリク検討した方がいいと思う <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 06:38:54.64 ID:Iwa5E0QnO<> 乙です
シロを抱っこ(?)しながら麻雀の稽古をつけてもらう京ちゃんとか?
もしくは、一緒に宮守勢に結婚報告をするシロと京ちゃんで <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 07:27:07.16 ID:yuEYc3Aoo<> 乙です
京淡次元のロッカー見たいな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 10:03:55.39 ID:D2jH22/T0<> 乙
霞次元同士が混線 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 10:31:31.17 ID:osPAE6xUO<> 京太郎チャレンジ!(※ただしプロは除く) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 12:04:31.55 ID:iXBJW5cVO<> こういうクソみたいなスレタイに、まるで本命の合間に性欲処理の便器みたいに咲を扱った内容で何本もSS書いといて掌返ししたかの如く純愛モノの京咲とか書くんだからお前らって凄いよな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 12:04:36.40 ID:Q66nMWAZ0<> マホちゃん、先輩を落とすための努力編 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 12:35:18.72 ID:BmNz1ZseO<> 京白 京太郎が風邪をひいたので、ダルいダルい言いながら凄い看病をする白望

京穏 オープンキャンパスに行く <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 13:48:53.58 ID:0jLsV/zM0<> 京霞次元でアラサー同士+1(すこ、はや、レジェ、イタコ)の激突で幼くなってしまった(記憶も)京太郎に母性と保護欲を覚醒させる霞とはっちゃん
アラサーと同席して幼くなってしまった(純粋に戻った)イタコプロがのどアコをイタコって深淵に染まる <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:06:58.20 ID:xta4dzyIo<>
 1/10

 6
 【お金持ち次元で愚痴り大会】-単発次元- ※サイコ系 ※マジ注意


 龍門渕透華は王者の家系である。と自負している。

 優秀な血筋に教育、そして有数のお金持ちである。

 そんな彼女がインターハイ以上に気合を入れているものが一つある。


 「ふふふ、今年こそは、今年こそは負けませんわよ!」


 彼女は何よりも目立つことに拘りを持っている。

 そのためにインターハイでは原村和に正面から勝負を挑むつもりだ。

 しかし、その前に決着をつけなければならない敵がいる。

 それは透華が生まれてから十年以上苦渋を飲まされ続けた相手だ。


 「弘世菫と辻垣内智葉……ッ!」


 そう、彼女に近い年齢である『お金持ち』の二人だ。

 彼女たちは幼い頃から社交界で交流している。

 仲が良い、というほどの仲ではないが顔見知りだ。

 そんな彼女たちに透華は一方的に因縁を覚えている。


 「今年こそ、今年こそ龍門斑の名に恥じぬように……」


 去年を思い返すと未だに体が震える。

 そう、あれは惨劇だった……。

 しかしそんな自分に喝を入れ、今年こそ二人を上回ると言い聞かせる。

 そのためにこの一年間研鑽を積んできた!

 万に一つも負けだってない!


{   `                                         /,ヽ
ヽ    \                                   _, -‐ ´ 論
  \     ヽ                              / \ /λ ヾ 、
   \     へ                          /  |iミ V.彡} l   } ヽ
       、     ー 、                     j   |l  ノ  j| |   ゝ 〉
        >、      ` ヽィュ_                    |i   ハ ゝ,  {| ヘ   \i
        /    \       \``ゝ,                }.   / ヾ、ヽ ヽゝ `,   ヽ
      /  |    , -‐       ` ヽ \           ノ. ∠`へ, '  ノ x弋 ヾミ 、 \
    〈  ',. |    }  }        \ }´`ゝ〜 ュ _ . 〃  i'〈弋::リ`   ´{テ:::} 〉ヽハ   ,
    ヽ  }. |   ´  / ,,_       ゝ,,._      \ゝ 从 ,,    ,   ` ,,, / 从  /    「さぁ、行きますわよっ!」
     ′. ヽ ヘ.__, -‐ ト _ >、        ̄ ` ヽ   .\ ', ヘ  ャー― ,   . /ヘ ゙,ソ /j ゝ
      ゝ  ー,,ュ, -‐ ´ ー´,,   ` ー-  ,      }  ヘ   ` ヾ , ヽ  ノ , ´{| ゝ /ノ\ `ゝ、
        ̄            ゝー‐< ,,  _`` ‐- ´   }     ヽ ー < | f メ C \  \  `\
                       , -‐  `>ー- ェ   〉     \ /V ,ヘー- ュ  ゝ   ゝ、  ` ,,
                      /   /´´      \  \    .`  ひ二つ ∧   `ヽ  } ー 、  \
                  , -‐ ´    /  '      / ヘ            〉 \  |  、  ノ  ヘ  ヽ   }
                /       ノ ノ         〉、       /   i  \ ',  {   〉  \  \


 今日この日から龍門渕透華の伝説は始まるのだ!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:07:27.99 ID:xta4dzyIo<>
 2/10


 ……
 …


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.    /:::/:::::ーr‐  ´/:::::::::ハ:::::::|i:::::::::|       '%    「どうも、白糸台のシャープシューター須賀菫です」
   /::::'::::::::_.ノ〕  .:::::::::://> :::::::::|
   .:::::::〔´  /   ':::::::::/     `ヽ
  ':::::::〃 /   /::::::::::'         \
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/ ::::::::::::| .′/::::::::/       /     ヽ


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         /-‐y'"  ,ヘ ヽ  / ∧   \
          /     ! \ヽ/ //i     ヽ
           ,:!.     |'"´`゙ y''"´ ´|      i
            | |     i |   /′   | i    .|
.           i |     ハ|   〈.!    | |    |
          !/   / |!   ヾ、   |ハ    |
          /    廾ー-_、__,  )!、_,._-‐┤  .゙、
         /   /./ fr、))  /′ fr、i) ゙、   `、
       /.イ   ∧|  ゛'"     `゙'"  ト、    丶    「ーーッ!!!?」
.      ///    ハ._ヾ⊂⊃      ⊂⊃ !人   ヾ、、
      i/ i ,i  〈  `,!             / .リ )  i、 ヽ!
.   /リ 、ソ   Y´;/i\.  ∠ニゝ ,..イ   /   |ノ ノ
  /      >、  ヽ!   `ー---イ´|:.:.:`ヽ/    / \
/   /:Y´:.:.:\   \       / |:.:.:.:/     イ、   \


 いきなりヤバかったかもしれない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:07:57.02 ID:xta4dzyIo<>
 3/10


 会場に入るとそこには何食わぬ顔で偽名を使った自己紹介をしている菫の姿。

 本人はすごく楽しそうだ……。

 すでに去年を思い出して心が折れそうになっているが、なんとか奮い立たせる。


 「お、透華じゃないか。

  久しぶりだな」

 「お、お久しぶりですわね、弘世菫!」

 「?

  ああ、すまない。旧姓で呼ばれると戸惑ってしまうんだ。

  あはは、いつまでたっても新婚気分ですまない」


 なにを いっているのか わからない

 すでに折れかけている心を奮い立たせようとするが、菫は幸せそうに微笑みながら近づいてくる。


 「ど、どうした?

  体調が悪いならば人を呼ぼうか?」

 「いえ、施しは無用!

  ところで須賀菫とはどういうことで?

  いつの間にか婚約されたのですか?」

 「ああ、私の脳内で告白してな。

  昔から両思いだったことが判明したから、晴れて婚約したということだ」

 「自分で脳内って言っていますわよ!?」


 そう、これだ。

 弘世菫は重度の妄想好きで、妄想モードに入っているときは話が通じない。

 もっとも、菫が妄想モードに入っていない時を透華は見たことがないのだが……。

 全てハギヨシに調べてもらった結論である。


 「それでそこで旦那さまが言ったんだ。

  『菫、お前は縄で縛って尻を叩くとよく鳴くんだよ……』って」

 「DVじゃありませんの!?」

 「何を言う。

  これも一つの愛の姿だ。

  妻である私が旦那さまのことを許容しているならば何の問題もない」

 「それ、典型的なDVを受けている女性の言い分ですわよ……」


 気づけば去年のようにツッコミを入れてしまっている。

 脳内ならば好きにしろ、と放置できないのが透華の悩みだった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:08:26.29 ID:xta4dzyIo<>
 4/10


 「何だ、私と旦那さまの愛の話を聞いてくれるのか?」

 「そっちが勝手に喋ってるだけですわよ!?」

 「それならば仕方ない。

  いくつかエピソードを語ろうか」

 「弘世菫の妄想披露会になってしまいますわよ!?」

 「あれは数年前、いや前世の話だったか」

 「振れ幅が大きすぎません!?」


 結局放置できずに話に巻き込まれる。

 龍門斑透華、早くも陥落寸前である。


 「冷静に考えてみてほしい」

 「?」


 いいか、透華
        ( ゚д゚)
       (| y |)

 弘世と菫では単なる弘世菫だが
  弘世  ( ゚д゚)  菫
    \/| y |\/ 

 須賀菫ならばSSとなる
      ( ゚д゚)  SS
      (\/\/


 「これは私と旦那さまが前世から結ばれる因縁と言える」

 「言えませんわよー!」


 もうこれは医者に見せた方が早いのではないか。

 というか家族はなぜこれを放置しているのか。

 様々な疑問が浮かんでは消え、浮かんでは消える。

 とりあえずロクでもない理由な気がした。


 「ふふふ、相変わらずおめでたい考えだな。弘世菫」

 「な、お前は!」

 「この声は!?」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:08:55.38 ID:xta4dzyIo<>
 5/10


                          ___
                       ..::.::.::.::.::.::.::.::.::.`丶、
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                    /.::.::.::.::.::.::.::.  イ:.::.::.::.::.::.::.:.::.
                   .::.::.::.::.::.::.::/  |::丶.::.::.::.::.::.::.:.
                    |::.::.::.::.:_::/     \{\ .::.::.::.::.:|
                    |.::.::.::./|/`丶     /\ ::.::.::|
                  _,,..、¬冖づ庁外、   斗劣、ハ::.::.|
                   / ヘ. } し小 うソ ノー{ うソ/ /:/|/
                     /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行
                    ノ  八‐:、    ′   厶|
              丿  ´__/  \丶、  ‐‐    イ |/     「私だ」
              /    / ______〕: |> _. イ、_______
                /    //二ニァ¬ア_]       |¬r<二,¨¨ ̄\
            /   /´ ̄/ /  〔∧     〕 ∧   | ̄ ̄\〉
                    /     |      |--  --|   |   |  \ \
              /    /    [ │     マ¨¨¨¨¨ア  |   |    ヽ  \


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
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  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
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  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|    「お前だったのか」
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<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:09:24.75 ID:xta4dzyIo<>
 6/10


 「ゲェー!?

  辻垣内智葉!?」

 「レディの悲鳴とは思えないな、龍門斑透華」


 そこにあったのは忌々しい宿敵の姿。

 去年のインターハイで臨海で負けた……ことはこの際置いておこう。

 とにかく宿敵ったら宿敵なのだ。


 「今更何しに来たんだ、智葉。

  すでに私が須賀菫である証拠は提出したはずだが」

 「確かにその理論は完璧だ」

 「ならば智葉に付け入る隙はないこともわかるだろう」

 「ふふっ、それはどうかな?」

 「何……?」

 「私と須賀は前世から繋がる仲だ」

 「(今年は前世系統が流行ってますの?)」

 「あれは私が須賀と戦争をしていた時の話だ。

  エルフの姫騎士だった私は須賀に囚われの身になってな」

 「ほう……?」

 「その時に嫌がる私を無理矢理手篭めにされたというわけだ。

  死を乞うても許されずめくるめく快楽の道に誘われてしまった」

 「なんだと!?

  そんな羨ま……コホン。

  しかしそれは証拠がないぞ。

  私のような決定的な証拠が」

 「(弘世菫のどこに証拠があったのでしょう……?)」

 「まだわからないのか?

  私の名前は辻垣内智葉」

 「それがどうし……。

  ま、まさか!?」

 「ようやく気付いたようだな」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:09:53.55 ID:xta4dzyIo<>
 7/10


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     |   人::::::Y´:::::::::::/  八_/_/    |.       l|
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    l|| || |   |./::/⌒}:::::::l     {:::::::::::::::>  ||   }  :| l| | |


              ,r'´ ̄ ̄ ヽ
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      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ   「だから何なんですの!?」
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:10:23.30 ID:xta4dzyIo<>
 8/10


 「これで同格というわけだ」

 「私の他にも女を作っているとは……。

  くっ、さすがは旦那様。あそこの味も一味違うということか」

 「その発言はさすがにアウトですわよ!?」

 「ふむ。

  何より彼は胸の大きな年上のお姉さんが好みということらしい」

 「何だ、私のことか」

 「……ふっ、お前も盛っているだけだろう」

 「無に言われる筋合いはない!」

 「というか、その性癖はどこで聞きつけたんですの!?」

 「?

  私も智葉も部下を常にストーキングさせているだけだが?」

 「さすがに犯罪ですわよ!」

 「何、彼の前ではそういう面を一切見せていないのだから問題あるまい」

 「そうだそうだ。

  私も智葉も彼にとっては『頼れる格好いいお姉さん』だ」

 「いつボロを出すかわからなくて怖いんですわ……。

  貴女たちは見えそうで見えないところや聞こえそうで聞こえないところでそういう会話をするんですから」

                ,. -‐ 、
            ,. /  ∠`ヽ 、‐= 、
        / /   /     `ヽハ
       / //   /         ’.
          /    |─+ ミl /  l|
    /  .:,′   |_|_イイ   |_  ’
    .′  |     |《ん_ミ`¨¨`jハ_`  |
    i    |     | ゞ-'     ィ=r、`|_|!
    |   |└┬ー┘      ヒソ/ ′ |
   .′     |            '   :    |     「だがそれが興奮する」
    | l | l  小      _      i   |
    | l | |   | ト、       `   人___|
   .′l   |   | |  丶.      イ
.  /  l| l |   | |     r‐ ´  l|
 /  l,.≦:   V、     |    i|
./  /ニ=-人   V\.   |    ||


     / /       /    ├-、
    / /    /     ノ     レi 〉
   //    /    /      N ' /
  /;'   /   //    / /!|.| /
// // r='/   ,   ナメ ハ!.| i
/.//   《/     i,.cイナソノノ ! ト、
//     メ、      !  `′{ リ ノ !))
/    //メ、!    | __ ノ/ /  ノ(
.   ///ノ,ハ   |_ / ノ /_/
 //-‐=<\ ゙、  |/ / /
// ∧  \\\ハ  i! 〈 (
/   /  \  \! i |. | 丶、ヽ    「少し自重なさい……!」
 、 /    \\ト-V ノ    ヽノ
  \    \ 〉/ /    ノ
    ヽ      ヾ、(
     ゙、  \  Vイ
      ゙、  \ Y!
        i    ` ! ゙、

 ーー根強い説得で、少し大人しくすると約束させました
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:10:52.06 ID:xta4dzyIo<>
 9/10


 ……
 …

 ・数時間後


                           \
                       ハ
                     / /
                         > >
                     | <
                    _|  \__
                   . -‐<     \ >‐-、
               /       \    /    \
               /        \ / ,.へ      \
            〈         /ヽヽ∨///∧     ヽ
           ∧        /``〉 7‐'='='≠!      ∧
           i !   ' / /   ' /        |      / i
           | ノ   / / '  ' ,′       |i    {  |
             /   / /ハ{  |i        |i    ヽ.ノ
.         //  / //ヽ. \八{       八       \
          / /  / /ァ=≧ミ ヽ \ (、ー-‐<ノ ヽ      ヽヽ
        〃 /   , //ヽ弋r'シ^ヽ  )  ァ=≧ミハ      ハ
.       〃 /   i //{   `          弋r'シノ ∧    ∧ !
       {{ '     i 人_  :::::.:.:::   ,     :::.:...   / } }     :. j   「今日の私は頑張ったのですから、頭を撫でなさい!」
      ∨人   ヽ 从              /_,ノハ     l }
       // /ヽ    \ 个 ..    へ      .イ__ノ ノ  ノ ノノ
.      // /  /\    ヽ /{`  .    ._ r<´    ` < イ∧
     //__/_/___ヽ   ∨ \  ` /./|ヽ._,ノ、     `ヽ ハ
   /         }    }   ∧ ∧ ヽヽ`二フ  \     }\
  /  }          ノ  ノ  /ヽ∨,ノ\)ー―'^ ー-へ.. __ /  


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //     「なんだかよくわからないけれどわかりました……?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 強く優しいお金持ちのお姉さんたち

 その中でも透華はみんなのまとめ役(強制)

 変態が京太郎に悟られないのは透華のおかげ。

 そんな龍門斑透華は意外と甘えん坊。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:11:38.91 ID:xta4dzyIo<>
 10/10


 ……
 …

 ・京ちゃんの日常


           /:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
             .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
          /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
.           {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
            .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
         r ‐、 :::::::, =‐ 、:::::::::::, - 、::l!
            { ::::::ヽ:::::、  o 〉:::::::::、 o V
         、::::::::::::::::::: ̄:::::::::::::::{:::=´/  ←弘世組
             ヽ、 ::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::/
           ハ:::::::::::ヽニニニニ7, '
             /:::::ヽ、::::::: ̄ ̄ ̄ :,′
          /:::::::::::::::\:::::::::::: /     「京太郎さん、いつもお疲れ様です!」
        ,x<::::::::::::::::::::::::>-<
-‐==::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::>
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::‐- 、
:::::::::::::::::::::: ̄:::::::::::‐-:::::::、::::::r‐=:::: ̄::::::::::::::::::::::ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ


       _________________
     /                        /
     |      ./`ー _         ,ヘ  /
     |     /::     ─ _    / ヽ/
     |    ./::::          ─ _/   ヽ
     |   /:::::::::ミ_ ─ _            /'〃
     |   \::::::::::  ─ _ ─ _      /::/ヽ
     |    \::::      ─ _|||    ||:::/   ヽ    ←辻垣内組
     |  /⌒l ━┳━━━━━━━━━━━━┓
     |   |:i⌒|::|:::::|   :::illlllllllllllllll|━━|   ::illllllllll|
     |  |:l⌒| |::::: |  :::iillllllllllllllll/  ::::::| :::iillllllllllノ
     |  |::「]| |::::: \::iillllllllllllllノ/   :::::| :iillllllllノ
     |.  \_.l |:::::::   ̄ ̄ ̄ ::/    :::::|  ̄ ./
.   ./|     N::::::::::       (_  ::::_:丿  /
  ./::: |    /: :|:::::::::          ー    /
 / :::::: |.  ./:: ::|:::::::    ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄) /   「今日はスーパーで特売らしいですよっ!」
/:::::::::::::|  ./::::  ::|:::::      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
: : :::::::::::::|.../:::    ::|::::        __   /
: : :::::::::::::|/::      ::l::        ::::::::   /\
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                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Yィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/     「いつもお疲れ様です」
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:12:41.94 ID:xta4dzyIo<>
 埋めネタようだったのでサイコ度高い


 ・リクまとめ

 寝ぼけたシロが京太郎を抱き枕
 お姉ちゃんシロとだるシロがレクイエム
 あわネリ次元で頻繁に泊まりに来るあわネリ
 シロを抱っこにしながら麻雀の稽古をつけてもらう京ちゃん
 宮守勢に結婚報告(付き合った報告)をする二人
 霞次元が混戦
 マホ、ギャルになる
 シロ、看病する
 京穏でオープンキャンパスへ
 京ちゃん幼児化する

 ロッカーは京淡次元本編でやってるのでどうぞ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 17:31:02.67 ID:xi3j+lzMo<> 乙
もしやSSは前世に結ばれた証…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/17(土) 17:53:07.51 ID:/Kl4rzLDO<> 乙です。

リクエストまだ受け付けてるんなら、いつかの掲示板で旦那/彼氏自慢みたいのが見たいです。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 18:05:36.06 ID:95MbdBhTO<> 乙です
だが

× 龍門斑
○ 龍門渕

だな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 18:34:04.98 ID:PtsNi13fO<> 乙

>>31
塞、咲、爽、白望、健夜、漫、セーラ、誠子
結構いるなSSw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/17(土) 19:11:33.20 ID:/Kl4rzLDO<> >>34
純代と星華を忘れてるぞ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 19:32:38.10 ID:xi3j+lzMo<> >>34
城菜、桜子、澄子、ソフィア、史織、聡、秋一郎とまだまだ居るよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 20:28:23.31 ID:/1Z8G+I8O<> >>34
穏乃も抜けとる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 20:51:58.59 ID:X/hwA95EO<> しかしこれだけSSが居ると特別感が薄くなるなw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 20:54:04.75 ID:BFdMgF4ro<> 菫「シャープシューターを付けられるのは私だけだ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 20:56:54.93 ID:V4NYCFVio<> おつかれ
何か悩みがあったら聞きますよ? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/17(土) 22:35:19.64 ID:dNkbZBW80<> オツカレー
ぐ、愚痴り大会...? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/18(日) 00:55:34.04 ID:iTXSnobk0<> お金持ち次元の透華はのどっちをどう思ってるんだろうか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/18(日) 04:49:14.87 ID:+h0xvRk5o<> 乙です
お金持ち次元が最高すぎるwww <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 22:57:52.87 ID:i+hDB+OPo<>
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 【みやながけでダンガンロンパ!】-一発ネタ-  ※サイコ系


 気づけば知らない天井で目が覚めた。

 ここはどこで、自分が誰だかもわからない。

 いや、名前だけは思い出せる。

 俺の名前は、須賀京太郎だーー


 「清澄高校の麻雀部に入って……」


 ダメだ。頭が痛くて思い出せない。

 いったい何があってこの建物にいるんだろう?

 起き上がってみると、自分の体に違和感を覚える。

 何だろう。いつもと景色が僅かに違うような……?


 「おはよう、京ちゃん」

 「おぅ、咲か。おはよ……!?」


.   / :.:.:.|:.:.:.: /^l:.: : ||:.:.:.:.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:.ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.ヽ:.::.:.::.
  /  .:.:.:.|:.:.:.:.|  :.: : ||:.:.:.:.:.:.:| |:.:.\ | :.:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
  /  .....:.|:.:.:.:.| /: :.:|ト:.:.:.:.:.:.| |:./_\:/|:.:.:.:.:.:.:八:.:.:.:::
. /  .:.:.:.: |:.:.:.:.|  \||:.:\:.:.::. ィX笊竺心j:/|:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|
/    イ从:.:.:| ィ/笊匁、 \:.:..   ノ{:::::::ハ |:.:r-x:.:.:.:.:.: |
ー    |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ      乂ー-ソ j/  V:.:.:.:.:|
      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
      |:.:.:.:.:.:.∧      ′    ""     /:.:.:./
      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/
      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/
      |:./  \:.:{\          /  |:.::/         「どしたの?」
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
                  __]       {___
                _/三l       /三三三≧=-__
           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>
.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \      『超高校級の文学少女』


 そこにいたのは微妙に見覚えがあるようでない女性の姿。

 ちんちくりんだったはずの咲が妙に大人びて見える。

 妙に艶っぽくて、髪の毛も知っている時より伸ばしている。

 それに今まで見たこともないような薄い化粧。

 童顔なのは変わっていないが、『大人の女性』の雰囲気を醸し出していた。


 「咲、イメチェンしたのか?」

 「えっ、頭壊れた?」

 「それとも失恋したのか?」

 「はいはい。京ちゃんが捨てなかったらしませんからー」


 いつもならば『嫁さん違いますっ』と言ってきそうなネタにも乗ってこない。


 「ほら、裁判が始まるんだから早く行こう」

 「えっ、裁判!?」

 「うん、そうだよ」


 聞き間違いかと思ったらそうではないらしい。

 そしてそのまま流されるように大人びた咲に手を引かれて着いていった……。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 22:58:22.53 ID:i+hDB+OPo<>
 2/10


 ……
 …


 ーーそしてそこで須賀京太郎が見たものとはっ!


          /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
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       八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く}        ト/.:/
       \{──<´ ̄  \\      |:イ \_
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    /             `、     :::∨::/           ∧    『超高校級の雀士』



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 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
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  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /
  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|
  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |    「ホント、キョータローは寝坊助だよねっ!」
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ X__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶    『超高校級のマネージャー』


            _ -─‐-  ..._
        ,  '"´. . . . . . . . . . . . . . . .、
       /. . . . . . . ..................... . .. . . . . . .、
     , '. ./. . .. .:::::::::::::/::::::::::::::::::::\::\ . . ヽ
.     / . ./. .:/..:::::::::::::/::::::::::::::!:::::::::::::゙.::.ヽ.::. ゙.
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   ,',イ . .!..::!::|::_::-─ |:|:::::::::::l::!ゝ--!、:::::l:::::..l:゙.. .l
   ,'/ !. . |.:::!;ィ´:::::!:L. |:l!::::::::::l::{-ヽ::|ヽ`::l:::::::.l::!. |
   |l |. .::|.:::!:|\:::||L,,.ヾ\:::::ヾ:;ァ=リxzレ!:::::::l::!: !
   || l. .::|::::トゝ,ィ'ヌ :::`ト \`ーY´{c::::。i} !:::::::l:|: |
    \Y:::|::::|ゝ{! {c:::ク|      込_ク λ::::::i|:.:!
.      |:l::!::::! ゙. ` ー‐''       ,, ,,  ,' |!::::::|!:.:!
.      リ|:|::::l\! " "   ′      jイ!:::::::i!:.:|
     0::|:::::l::::|ヽ    「  ̄j     ...イ|::|j:::::::l!:. !    「もっとゆっくり寝ていてもいいんだよ?」
    /|:|::::l::::::l:::l:::::>....._` ‐   ィ、:::::|:!:/:::::::|!:.:.|
.    {iλ!:::|::、:::l:l:::::,':::::∧| ー ´/ \ヽl:::::/!':|:.:.:!
    `ハ::::!\、ヾ/:::ノ  〉-r<     〉:::/:/::':::::.!
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.   / .::; r‐'|:l::::::::::!.... ̄.フt≦ ̄ ̄.7´/:::::::::::,'  ` 、:、
  / .:/ |  !|::::::::::|........,イrト、.........../ :::::::::::::,'     ゝ、
. / .::,' ハ ||:::::::::l|─''....八...ヽ_ノ、 |:::::::::::|     /  l
../ .:::::!. !: Уi!::::::,ィ|-、..../ ヽ_..ィ_/ .!::::::::: |   ヽ ./ j  !
' ::::::r'|. l:.:./ /:://,'/   `l  /      |::::::λ!   |/ ./  |ヽ
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:::::::/ ::.Y  .!:|      ヽ       \::ヽ、  |:/:.  | /:::::\     『超高校級の〆※×⊆』
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 22:58:52.05 ID:i+hDB+OPo<>
 3/10


 見覚えのない女の子たちの集まりだった。

 どうやら見る限り年上のようだが、全く覚えがない。


 「なぁ咲。これはどういうドッキリなんだ?」

 「それ、私たちも京ちゃんに聞きたんだけど」

 「えっ?」


 隣にいる咲に聞いてみても要領を得ない。

 しかし相対する少女たちは仲良さそうに京太郎に近づいてくるのだ。


 「あ、あの、これは一体?」


 恐る恐る声をかけてみる。

 もちろん声をかけるのは好みの胸の大きなお姉さんだ。

 隣にいる咲がムッとするが自分の意思には逆らえないっ!


           ___/ / /        \   \
           ⌒フ / ,  /   l 〈     \\ \
           /  / /  /  /| \      ∨ \ \
         /  / /  /-〜/-| {  \〜ー 、'   \ )
           〈 /   |  |八Ν__八{   | _\  ∨  l|′
          /    l|  l ァ┼ ┬ \N┬‐┬  | |  リ
        〃   / l|\_从 乂゚_ノ     乂゚ノノ}∧l/}
          八/ / ,八 入         、   ,,, ,′ ト、ノ
.             { /   }\__              ′ |
.            从  八{ 込、   ∠>  . イ^| }八
                ∨  \从_}> . __ イ 八jノ  )    「説明するのダルい……」
                   / \__  Κj/
                    _/  //〉_∧ ‘,
               /:.∨ ,///   ∨ }: : ..
            . .:´: : : : :∨//\__//∨: : : : : `ト、
             /∨: : : : : : : :∨\:i:i:i/ {:.: : : : : :.:| \
          {  ∨: : : : : : : :\/:i∧\{:.: : : : : :.:|   ∧     『超高校級の姉』


        /   : : : : : : : : : : : : :\  : \
          /   . : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :.
        ′  .:.:.:/.:.:.:./:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
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       l :::::::::::::|::::::: |/\::|-\{- |::::::::::/l/ -、 И/::::::::::|
      !::::::::::::::|::::::: | ,,xぅ气芹ミ,ノ::::/ 斗ぅ冬,, ノ:::::::::::::|
.        !:::::::::/!::::: |〈 lh__,j刈   ̄    |h_j | 》/:::::::::::::|
.       !::::::八 ‘:::::: | 乂辷ソ        乂_ソ ;:::::::::::::::;
.         ‘:::::::::::::\}:::::|   、、、      ,   、、 ,:::::::::::::::;
        ‘:::::::::::::::::|:::::|              ′:::::::::::;     「ふふっ、そんなことを言ったら京太郎さんが困ってしまいますよ」
        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/
        ‘:::::::::::::|:::::|:::::l` .        . イ::::|::::::::::::/
.           ‘:::::::::::|:::::|:::r|   `  ┬=≦l |:::::|:::::::: /
          \::八::::|:∧\     l| |\ノ |:::::|:::::::::|
              _\:::::|':::∧、\   l| |  ⌒i|:::::|:::::::::|
            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
          /     \:: ∧ \ソ' |     \::::::: | \    『超高校級の巫女』
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 22:59:21.35 ID:i+hDB+OPo<>
 4/10


 彼女たちの説明を聞く限りでは、みんなこの『学校』に閉じ込められていること。

 そして『犯人』を当てない限り外に出られないことがわかった。

 咲の他にも見覚えのある人がいて安心する。

 しかしその女性たちもやはり京太郎の知る人とは少し性格が違っていた。


 「和だよな?

  知ってる人がいてよかったよ」


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
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!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////    「昨夜は私とお楽しみでしたねっ!!」
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////    『超高校級のクソコテ』


          . :´ . : . : . : .`: .
        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪_}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{    「和ったらやるじゃない! 大人の女性ね!」
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .E\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}      『世界一位の女子校生』



   / : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : /     | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
.  / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト .,   | : : |  |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
.  .: : : / : : : :   | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ.  |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
  ′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト,   |/  .斗=ミ|::| : :W ∧:: : :::|
 | : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈  {h:::iノ }       ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
  : : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :,  .乂こン        {h:iノ}  ゚: : :| : : | : : :/
.  \八|  |:: :::|: : : : : : : : :,   .,.,.,.      , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
       |: :\! : : : : : : : : :,              ,.,.,  : : : : |/
       |: : : : : : : : : : : : : :,     ゝ    ,      } : : : |
       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/
       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :      「おう、同じコマに入れんなだじぇ」
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨      『超高校級のタコス』


 やっぱり知らない人です。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 22:59:50.57 ID:i+hDB+OPo<>
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            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Y /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从         「なんだこれェェェーー!?」
////////\///    、   .  ´
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/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧     『超高校級の雑用』
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 23:00:20.19 ID:i+hDB+OPo<>
 6/10


 『やあ、残念ながら事件が起こってしまったね。

  この犯し合い学園生活もこれからが本番だよ』

 「あっ、これ赤土先生の声じゃない」

 「知っているのですか憧!?」


 なにやら館内放送が流れる。

 いや、正確には流れているようだ。

 周りの人たちの反応からそう判断するしかない。


 「え、俺なにも聞こえないんだけど」

 「こんなに大きな放送なのに。

  お姉ちゃん、何かわかる?」

 「これは男性には聞こえない周波みたい」

 「なんだそれ……」

 「まぁなんにせよ、犯人を探さなきゃ」

 「犯人?」


 なにやら自分の理解できない超理論があったようだが、周りのみんなはスルーしている。

 俺か? 俺がおかしいのか!?


 「覚えてないの?」

 「ああ、さっき目が覚めて……。

  清澄高校の麻雀部に入ったところまでは覚えているんだけど」

 「……なに言ってるの京ちゃん?」

 「え?」


 咲が信じられないようなものを見ているような顔をしている。

 凄まじい剣幕で京太郎に詰め寄った。


 「もうあれから十年経ったでしょ?」

 「……え?」


 咲の言葉を理解することを脳が拒否した。

 十年、十年とは一体どういうことだ?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 23:00:49.53 ID:i+hDB+OPo<>
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 「異議あり!

  インターハイから三年の間違いだよ!

  大学100年生のあわいちゃんが言うから間違いない!」

 「……金髪の子の言う通り。

  京は今大学一年生でしょ」


 何人かのグループが三年説に同意する。

 それに対して咲は困惑の表情を浮かべるばかりだ。


 「ううっ、やっぱり京太郎さんは高校生活に未練があるんですね。

  でも、フランスでの生活も楽しいですよ」

 「あの、あなたは?」

 「?

  もう、京太郎さんったら。あなたの妻ですよ」

 「ありがとうございますっ!?」


 好みど真ん中の巫女服美人はそう言って柔らかに笑ってくれた。

 もうこのままこの人についていっていいんじゃないかな?

 あ、咲。脇腹つまむな痛い痛い!


 「私と須賀君は13年後に再開したんです!

  あれから三年しか経ってないなら私は断のどっちスレをして人生をやり直します!

  そういうぬか喜びはさせないでください!」


 知らない人は咲よりもっと時間が経っていると言っている。

 和によく似ているけれど、咲よりもっと大人びた美人だし別人だろう。うん。


 「みんな何言ってるんだじぇ?

  まだインターハイは始まってないじょ」

 「優希?」

 「なぁにしょぼくれた顔をしてるんだじぇ。

  ほら、元気出せ! タコス食うか?」


 自分の知っている、この中で唯一変わらない少女はそう言って笑った。

 しかしやはり彼女も不安なのだろう。僅かに肩が震えている。


 「と、とにかく、話をまとめないと!」

 『ではこれから、孕ませ裁判を始めたいと思います!』

 「!?」


 京太郎には何も聞こえていないが、周りの空気が変わったことだけはわかった。

 何やら殺気に溢れている。

 一体どういうことだ!?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 23:01:18.34 ID:i+hDB+OPo<>
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 『この中に一人、#℃君を逆レイプした人がいます!』

 「って言ってるよ、京ちゃん」

 「ハァァァァ!?」


 何が何だか理解できない。

 何だその馬鹿げた話は!


 「もう面倒臭いから私が説明するね。

  この中で誰かが京ちゃんを逆レイプした。

  その人は孕んでいるらしいんだ」

 「この時点で何かおかしくないか!?」

 「お菓子は美味しい」

 「お姉ちゃんちょっと黙ってて!

  これは由々しき事態だよ京ちゃん!」

 「もし本当ならば大変なことだけど!

  信じられるわけねーだろ!」

 「絶対に許せない!

  一緒に犯人を捕まえようね!」

 「何かよくわからないけど犯人を捕まえればいいのか?」

 「うん。

  もし外れた場合は犯人は京ちゃんと一緒にここから外に出られるんだって」

 「あれ、それって俺にデメリットがないような」

 「京ちゃんの浮気者!

  それに京ちゃんは最後まで残らなかった場合、とんでもない罰ゲームを味わうことになるらしいよ!」

 「なんだろう。

  何の根拠もないのにすごく嫌な予感がする」

 「というわけで、一緒に生き残ろうね!」

 「ううむ……」


 確かにこの知らない人だらけの面子の中で、咲だけは信頼できる。

 このちんちくりん……というには大人の女性になっているが、こいつと一緒に行動するのは悪いことじゃないはずだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 23:01:47.39 ID:i+hDB+OPo<>
 9/10


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          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ      「(外に出てからいっぱいすればいい話だもんね)」
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            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ         「悪寒が……?」
                   Yム    -  -    イ //
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<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/18(日) 23:02:17.45 ID:i+hDB+OPo<>
 10/10


 ……
 …


                 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
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             |:.:.:|:.:.:ト、.|:::::::::::    '     ::::::::::::::|_.ノ :.:.: | |
             |:.:.:|:.:.:l: 人              人|:.:.:.:.:.:| |
             |:.i.:|:.:.:|:.:.:个:.    (⌒⌒フ    /:.:.:.|:.:.:.:.:.:| |    「あ、あの、女子高生の小鍛治健夜です!」
             l八|:.:.:|:.:.:.:|:i:.:.`:...       イ:.:|:.:.:.: l:.:.:.:.:.ハ:}
                  |:.:.:|:.:.:.:|:|:|:.:.:.:rケ  ー   {〉:.|:.:.l:i:.:.:/:.:./:/
                    乂 |\:从|_/ \     / \_从l/}/}/
              _,. -┬<⌒j    ><    |⌒>┬- 、
              /    |    |     /|  |ヘ.    |    |   ヽ
           /  ヽ   |    l   ./ :|  | ヽ  |    |   / }    『超高校級のアラフォー』


                 ,........-――--....、
            ,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、
           / : : : : : : : : ,: : : : : :\: : : :\: \
          ,:': , : : : /: : :/: :{: : : : : : ヽ:ヽ、: : :ヽ: :、
            /: /: , : //: :/:/:∧: :ヽ: ', : |: :|:ヽ : ,:∧: :.
        /: /: /: //: :/:/:/  マ: :|_:|__:|: :|: l:∨: :,:|: : .
        |: ': /: //: ̄|`|'   |:´}:∧: }: :,: }: |: :/:}: : :',
        {:{: :{l: |:{从_:{__{    }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
         从:八:{ム,イ _斧`    イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
          \{从{ Vり       Vzソ  |:/ Y: : : : : : : |
              |: }      '         |:l 'ノ: : : : : : : :|
              |圦    _  ,    ,ィ|:|イl: : : : : : : : |   「高校級とは一体……?」
              |:/  .        イ_,/イ |:|: : : : : : : :
             }'    `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
               _,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/
            /:::::::|:`=={j====イ:::/::::`ヽ: : : : : ,
              ∧::::::::::\:::::l|:::::::::::::イ::::::::::::::::∧: : :/    『超高校級の常識人』

 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/09/18(日) 23:02:46.64 ID:i+hDB+OPo<>
 数レスの埋めネタ用だったけどこれも供養
 明日からは通常運行に戻ります。リク消化メイン

 >>32
 把握。リクはいつでもOKですよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/18(日) 23:58:05.33 ID:lov2hIgVo<> センセー
これ全員犯人だったらどうなんるんですか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 00:15:24.12 ID:DFY0wnnm0<> 一スレ目が立ってからもうすぐ1年なのか…と言うわけで、タイトル通りみやながけで1周年ネタやろうぜ! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 00:16:53.23 ID:I3tROGPZ0<> 乙

犯人はのどアコすこの内のどれかか

のどアコ次元で未来から京太郎の娘 金髪の玄(?)と金髪の宥(?)がやってくる
オチ達が(すこやん、のどっち、世界一位)未来の自分達と遭遇する(同族嫌悪か共鳴か) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 02:29:46.29 ID:t/UkNdDx0<> おつ
ハルちゃんは京太郎の名前すら呼べないのか……
アラフォーの呪いは恐ろしいな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/19(月) 08:02:39.79 ID:cwZ4wT0DO<> 乙です。 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:51:19.98 ID:1586Tagpo<>
 1/10

 12
 【シロを抱っこしながら麻雀の稽古をしてもらう京ちゃん】-ダルてる次元-


 「あれ、今日は早いですね」

 「……」


 麻雀部に向かっていると、そこには白望がいた。

 いつもならばダルいダルいと言いながらサボっていたり、京太郎が迎えに行くまでじっとしているはずだ。

 自分からサークルに向かう白望は非常に珍しい。


 「何かお菓子でも食べます?」

 「何があるの?」

 「ポッキーとかトッポとか、チョコばっかりですけど」

 「……」


 常日頃から照のお菓子役として持ち歩いているものだ。

 もはや持ち歩いていることに自分で違和感を覚えなくなってしまっている。

 主に甘い物が多い。そのせいか、京太郎のカバンからは微妙に甘い匂いがしている。

 照がその匂いに釣られて鞄の中に頭を突っ込まれた時には頭を抱えた。

 そんな苦い記憶を思い出していると、ほっぺたを突かれた。


 「なにすんですか」

 「別の女の子のこと考えてる」

 「……!?」


 白望は非常に勘が冴える。

 それはオカルトによるものなのか、少し前に問うてみたところ『ただの女の勘』らしい。

 照相手だけに関わらず、他の女の子と喋った話やアクシデントが起こったことに鋭い。

 一方、照は何の話かわからずオロオロしていた。女の勘は女の子全てに備わっているものではないらしい。


 「ほら、また考えてる」

 「うぐっ」

 「照」

 「!?」

 「やっぱり」


 拗ねたような声を出して顔を逸らす。

 どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。

 こうなってしまっては少し時間がかかる。

 照ならばお菓子を……と考えてしまい反省する。これがダメなんだよな。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:51:49.06 ID:1586Tagpo<>
 2/10


 「ごめんなさい。

  何でもしますから」

 「……なんでも?」

 「うぐっ、出来る範囲でお願いします」


 白望は無茶を言わない。

 出来なそうで出来る範囲を上手くコントロールされる。

 これが姉さん女房なのかとちょっと頬を緩ませていると白望が顔を赤く染めていた。

 年上のお姉さんに尻に敷かれるのは京太郎の憧れである。


 「ちょいタンマ」

 「(やべぇ)」


 白望は頬に手をついて考えだす。いつものオカルトのサインだ。

 最近、というよりは照と絡んでからの話らしいが、白望のオカルトは未来予知に等しいものにまで発展したらしい。

 本人曰く『そんな便利なものじゃない』らしいが、確実に白望にとって良い方向に進むという。

 他にも照と協力して迷い家を作っているとかなんとか言っていたが、京太郎にはわからない話だった。

 迷い家だかなんだか知らないが、こっちは迷子一人探すので大変なんだ。


 「決めた」

 「何なりと、お姫様!」

 「京、麻雀をして」

 「はい?」


                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ      「俺がやるんですか?」
                   、 └―┘ ィ/∨
                  「¨>-- rく「 ̄ }
             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}
                {/{////// \∧ r'  ヽ }' {///////
                |l∧////////Y,〈      | |///////|
                |/∧/////////|l∧     ,l |///////|
                |//∧/////////() \//∧}///////

 「そう」


 それだけ伝えると、説明するのも面倒臭い。と言わんばかりにだらけ始める。

 それが白望にとって何の報酬になるのか見当もつかない。


 「私が教える」

 「はぁ」

 「京はサークルに入っているのにあまり打っていいない」

 「これはこれで楽しいんですけどね」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:52:19.00 ID:1586Tagpo<>
 3/10


 気を遣ってくれているのは嬉しいが、京太郎としては不便していない。

 確かに京太郎は麻雀が好きだが、人生の一部にするほどではない。

 むしろエンジョイ勢としてやっているので、それをきっかけにいろんな人と知り合えるのが楽しいのだ。

 例えば清澄麻雀部。あの面々だって麻雀がなければ親しくなれなかっただろう。

 そして照と白望。この二人も……。


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人     「(麻雀なくてもお世話してたんだろうなァ……)」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|
    {///////}////////////////∨'//////////////|//|
      |///////|///====//////l///////////////|//|
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      |///////|/////////////////l///////////////|//}


                    _,,.. -=Z__
                . -‐=二..,,_ '"´⌒``ヽ、
         . -‐=く             `ヽ、
        /                  `ヽ、    `ヽ、
.      , ´   '~ア   ,      \     `ヽ、    `ヽ、
     , ´ / /    :|      ヽ、     `、    ー-ミ
     ,′ イ  :|    :|\      `ヽ、  `、 `ヽ、 {
    {/ ;ノ|  . :|   :,  j|  `ヽ、     `、   `、  \;
     {/:ノ  ;八  { 八( ̄ ̄\    〈\} }\`,    `、
.     {: .;ノ|:┼‐ \ \_Z斗≠=ミ\ヽ、! } } :}j    ;
.      乂l 人」斗=ミ\Ζ 乂_,ノ  }ハノ `,丿      \j
      人 ハ}乂丿               |  \ `;(\ノ
       \ハ   ,                 ノ   `:, }ミ、
.           }                厂`、   :}}  ;ハ
         ∧             . : ! ;   从 ;八j   「いいから早く座る」
          / /\   '⌒      . : . : . j j ;,:仏イ
.        / / : : ;ヽ、      _...:::ア . :/|人ノ
.         {ー|: :/{: : : : :Tニニア¨}:/___/ /⌒\
.         人:{  \_(\_厶ミ{∧    ,:    \__
                _//{ ∨⌒;〉 . ´       /⌒\
               ,:´:| ,′〉に)/ ∨      / .   \
               _/ :丿 j/ ∧ \/        ,: . . .     ‘,
           /.:/  {___/ }____ノ        .′. . .    |


 そういえばシロさんはうちのサークル入ってないんだよなぁ、なんて考える。

 うん。やっぱりこの二人との関係は麻雀が関係ない気がする!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:52:47.87 ID:1586Tagpo<>
 4/10


 「でも、まだ集まってませんよ?」

 「ネトマをすればいい」

 「それもそうですね」


 最近はネトマをすることも少なくなっていたし、たまにはいいか。

 特に考えずに席に座り、PCの電源をつける。



          〃-‐‐-----‐'/´
       ,, - ''       ー '、 
       ´             ヽ\
      /   /    |    |  ヽ \
    /   ,/     /|   l    _<
   ィ    /  十/┤  十ト l  ハ   ヽ
     ̄|   {   示芸 \ |示芸!   }   〃
      j   Y\|廴 リ    廴リ,!リ ノ 
     /    廴 ///   /// | }
      {/ヽ|\、, > ___ _-__,  イN/     「んっ」
           /  〉 | 〉、 "
         /`ヽ::ヽ〈 V/l::ハ
        ,'   |:::::ヽ「」/::::::ヽ,
        l    !:::::〈/ヽ〉:::::::::}
        └t-ィ:::::::::::::ヽ:::::::::イ


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /      「やわらかぁぁぁーい!?」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 ーーなんと、白望が乗っかってきた。

 人生で味わったことのないような柔らかさが京太郎を襲う。

 体に感じる微妙な重みすら心地よい。

 少しでも手を動かせば白望の体の柔らかさを感じられる。


 「あ、あのあのあの!?」

 「この位置が見やすい、から……」

 「そ、そうなんですか」

 「横から見るのは、だるい」

 「そ、そうですよね!」

 「お約束、だから」

 「そうですよね!!」


 ここで白望を制することが出来る奴は、男じゃない。

 俺は目の前の柔らかい肢体に勝てるような聖人君子じゃないんだぁー!

 顔を赤くして伏せる白望にツッコミを入れることを放棄し、幸せに浸る。

 いつもクールな白望が恥ずかしがっているところもまた、京太郎の心を刺激する。

 今日はなんてついているんだ!!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:53:17.12 ID:1586Tagpo<>
 5/10


 「麻雀も、ちゃんとやる」

 「はい」


 もう頭の中はそれどころではないのだが、ない頭を必死に絞って麻雀をする。

 高校一年に始めてからずっと続けているものの、実力は未だに芳しくない。

 その実力はというと、『普通の中級者』だ。

 常識的な考えならば何も悪いことはないのだが、いかんせん周りの実力がかけ離れすぎている。

 宮永咲を始めとした清澄メンバーに、大学最強の雀士の名を欲しいままにする宮永照。

 あとは麻雀の垣根を越えてオカルトが発展したため、照と普通に打てるほどになっている小瀬川白望。

 どうしても自分が劣っていることを認識せざるを得ないのだ。

 もっとも、それを特に気にしていることはない。ただ、自分はあまり上手くないと思ってしまうだけだ。


 「また雑念が混じってる」

 「あうあう」

 「京?」

 「なんでもないです、はい」


 ーーその雑念は目の前の白望さんが生み出しているんですがねぇ!

 心の中で叫ぶが伝わらない。いつだって肝心な時だけ伝わらない!

 男は女心がわからないと言われるが、女の子だって男心がわからないだろ!


 焦りが熱を生み出し、京太郎の頬を赤く染める。

 それを知ってか知らずか、白望は身じろぎをしてベストポジションを探し出す。

 触れる体。擦れる柔らかい肢体。刺激する女性の匂い。

 全てが京太郎を欲情に誘う。

 そもそも白望はいつも無防備すぎるのだ。

 どうせ自分のことをお世話がかりか何かとしか思っていないくせに、こんなことをする

 いや、これは誘っているのではないか?

 どう考えても誘っていると思う。

 白望は誰にでもこういうことをするような痴女ではない、と思う。


 「京、息が首筋にかかって……っ!」

 「!?」


 恥ずかしそうに喘ぐ白望。

 普段のクールな姿がどこかに行ってしまっている、誰にも見せたことのないだろう姿。

 ギャップにやられそうになりながらも、必死に牌を切る。


 こ、これはヤバい……ッ!!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:53:46.81 ID:1586Tagpo<>
 6/10


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.       i: : : : |:::::::ハ  气l∪iリ:::::::::::::::::::::::::::气l∪ikリ       バタン!
.       l: : : : |:::::::i l{',、 乂Zソ          乂ZZソ
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             ´ {  ヽハ、{i  佞i「ヽ. ハ{\{zュ.jYハ }  〉ハ    ヽ.
             ∨   ハ `  ̄   \{ ヽ `芒!リイ ノ /イ     ハ
              ヽ { j! !    、     } ヽ!  〈 /フ   j!  / リ
               `ヘハ ト          j       /´j}   ハ ノ       「……チッ」
                  `  \  ゚ `   /    / ノ j_ノ ´
             _ -=ニ7⌒ヽ __ .. イ    / `7=ュ。_
            イ  「ニニニ7   人j  ハ   〈  /ニニニ´⌒ヽ
           ´ i  ニニニ{  /l] `Y  ',   V /ニニ/    '.
               l  ニニニ、/!  [! (   '.   Vニニ7       }
      /     ハ  ニニニニニ|  マ、  ィハ    Vニ7        ′
     /       ',  ニニニニニ|  マ、ィ´  。    V       /


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
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        .:'    '  /__/   ,      |   \__
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     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
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       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´           「あああああ、いやこれはですね照さん!」
//////////\{    /`¨¨ 、
////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:54:16.04 ID:1586Tagpo<>
 7/10


 「何も悪いことはしていない。

  最近のお礼に麻雀を教えていただけ」

 「そ、そうなんですよ!」

 「京ちゃんに座る必要はない!」

 「わぁ、何も言い返せない!」


 プンスカ怒りながら照さんがこちらにやってくる。

 思えば、最初に来たのが照さんでよかったかもしれない。

 他の一般生徒に見られたらもっとヤバかった。


 「京ちゃんもなんでなされるがままなの」

 「こ、これはですね……」


 ーー若さゆえのノリと勢いと女の子の柔らかさにやられました。

 いや、そんなこと言えるわけねぇ!


 どう言い繕ったらいいかと考えるも、妙案は浮かばない。

 照もどうしたらいいものかと京太郎と白望を順番に見る。

 白望はもう興味を失ったのか、いつものような無表情でボーッとしている。


 ーー助けてシロさん!


 目で訴えると、やれやれと首を振りながら照に声をかけてくれた。


 「その辺にしてあげて」

 「白望はいつもずるい。

  抜け駆けはずるい」

 「……ちょいタンマ」


 そう言うと白望は先ほどのように思考する。

 それならもう大丈夫か、そう考えて一つ気づく。


 「(あのオカルトって、シロさんの都合の良いようになる感じだよな?)」


 詳細はわからないが、京太郎はそのように捉えている。

 それはつまり京太郎にとって都合の良いこととは限らないわけでーー


      //ア    /  / イ   :ト、    \      \        \   \
.     // /     /  /  |    | \    \      \       \   \
.      /′i    /  /i   |    │  \      `ヽ      `ー- 、      Y⌒ヽ}
     {  |  ,:イ   :ハ`¨´`T´   |  、  \ト、  ヽ `ー- 、    \_   }
         |  | |  ト、ハ≫=zzz、   !   `¨´`¨´`¨´`¨´   |  |\    ヽ`ヽノ\
.      人  | |  |  代 {  __} \|    ィ=- ..,,__\ト、 j │ \    }     \
         \! 〉、 !  :. 乂_フ     ´下¨¨“_卞ゝ  jイ  ノ    ヽ  ノ      i
           /  ヽ ハ             弋  `フ ノ  j/`ヽ    j/       |
.           / /   / :.    ,      `¨¨´        ノ      ト、   ト、  }
         i  |  i :从                       /  ト、   | ヽ.  ; } /
         l 人  ト、  ト、    _          rー-イ  イ ! \ !   } / j/  「照も同じように麻雀を教えてあげればいい」
         ∨  \! ∨V .>   `       イ {ス人jヽノ jノ    jノ  j/
               , ´∠ニニ>、 _ ... イ   /  \
                  / /ニニニニニ7   λ    /    /入
              /  {ニニニニニ7/「八.  /     //二\
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:54:45.47 ID:1586Tagpo<>
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                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、
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           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
           /: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
          , : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Y : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/    「ゆるす」
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \   「(ええええええ!?)」
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
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.            从  八{ 込、   ∠>  . イ^| }八
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:55:14.79 ID:1586Tagpo<>
 9/10


 ……
 …

 今日は珍しく白望が一人で家に帰った。

 いつもならば京太郎に運んでもらうなり、付き添ってもらうなりしている。

 場合によっては照と一緒に京太郎の家でゴロゴロすることだってある。

 しかし、今日は一人で家に帰った。

 そう、今日はもうキャパシティオーバーなのだ。


 「……」


 ボフンと枕に顔を埋める。

 いつもならばこのまま眠ってしまうところだが、とても眠れそうにない。

 パタパタと足をベッドに叩きつける動作はまるで年頃の乙女のよう。

 白望の年齢的には何もおかしくはないのだが、普段の白望を知る者からすれば目を点にして見るだろう。


 「……ちょい、たんま」


 考え込む。

 流石にやりすぎだったか。

 いや、それも計算づくだ。

 本当に誘惑するならば、京太郎の家で二人きりの時にやればいい。

 しかしそこまではしなかった。

 あえて見つかりやすくて、必ず誰か来るだろう部室で行っていた。


 「それは、まだだめ」


 頭の中がグルグル回る。

 京太郎の息が首筋にかかっていた。

 彼が興奮していたのも伝わった。

 少しずつ体が熱を帯びていたのもわかった。

 それだけ近くに密着していたのだ。


 ーー何かが当たっていたのだって、わかってしまうわけで
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/19(月) 19:55:44.14 ID:1586Tagpo<>
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      ', ! ', 、ー    >               |
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              ̄      -|  `  ‐      | 八
                  / ヽ!         /   ヽ
                 /    \      イ      |::::<..
             ,, - ''"|       ` ヽ  / 、         l:::::::::::::::::::...<


 何のことはない。

 小瀬川白望もヘタレである。



 カン
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/09/19(月) 19:56:13.67 ID:1586Tagpo<>  そういえばもう一周年か…
 何すればいいのやら <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 20:25:59.03 ID:0TVF1Oolo<> 乙です!
一周年とはめでたい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 20:38:27.28 ID:/LBVNFmPO<> じゃあまず身長と体重を教えてもらおうかな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 20:42:54.14 ID:wDY1meeQO<> 乙ー
一周年はめでたねーオチがないのどアコなんてどうかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 22:37:43.78 ID:Z50l9gnh0<> 一周年おめでとうございますー!
シロ可愛い…! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 22:50:38.12 ID:d1Y9BRnSO<> 乙
一周年記念に新しい次元開拓しようぜ! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 22:53:06.24 ID:L8jLbWQ00<> 京咲夫婦の一周年記念ということで結婚記念日ネタとか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 23:04:24.45 ID:VuwBkUVG0<> ネタと言えばバニー和のおもち あれ絶対肋骨えぐれているだろうと思うおもちの乗り方

のどっち時空でのどっちが強制的にきょうちゃんに確かめさせるシチュエーションください <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 23:19:38.73 ID:dYV2ymCJo<> 新次元は期待したい、大変だとは思うけど
あとはやっぱり原点に立ち返って、おまけなんて言わせないみやながけが見たい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/20(火) 00:10:19.52 ID:p51qbHu90<> 乙
新次元・・・京恭次元とか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/20(火) 09:00:12.73 ID:eB5bXAop0<> 菫智(としうえのおねえさん)にひたすら愛される京ちゃんが見たいです

あ、中身はSSで <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/20(火) 15:40:33.20 ID:SdU0t51+0<> 京マホ、もしくは京後輩次元が見たい… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/20(火) 15:51:25.40 ID:NIuqCH6/O<> 京ネリ次元が見たいです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/20(火) 18:28:13.34 ID:lqJe74LDO<> ナースさん次元とか見てみたいなーなんて言ってみたり。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/20(火) 19:39:22.90 ID:V7Nw9fHko<> 豊音が見たいけど今までで登場してないしなあ…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/20(火) 23:11:33.57 ID:4jN4LeU30<> ここでまさかの悪待ち次元 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/21(水) 08:45:07.54 ID:dQlL7A6Q0<> たまにはアラサーが報われたっていい・・・自由とはそういうものだ(アラサー=すこやんとは言ってない) <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:09:11.71 ID:Y+t+YpzBo<>
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 【霞次元が混戦】-京霞次元-


 今日も石戸霞は妄想する。

 今回の妄想は度重なる実家の妨害に遭いながらも京太郎と添い遂げる夢だ。

 京太郎と出会ってからあまりに酷すぎる妄想こそ減ったが、乙女の範囲内で夢を見ることはある。

 仕方ない。乙女だもの。


 「ぐへへへ、京太郎さぁん……」


 おおよそ大和撫子が出してはいけない声を出しているが仕方ない。

 乙女だもの。ノーカンである。

 最近は周りに被害を出すことも少なくなってきた。

 かつての負の遺産が暴れていることに関しては霞の範疇外である。


 「ううっ、なんですぐに会えないのかしら」


 私用で山ワープをすることはもちろん禁止されている。

 そうなればここから長野まではあまりにも遠すぎる。

 しかし本当ならば毎日でも会いたいと思うのが乙女である。

 適度に距離をとった方が何かと良いという理屈すら目に入らないのが乙女である。


 「せめて一週間に一回とか二週間に一回とか……」


 現在、それすらもかなわない。

 長期休暇の時に頑張れば会えるくらい距離だ。

 メールなどは欠かさないが、それでも不安になる。

 ゴロゴロとだらし無く布団の上を転がり続ける。


 「孕みたいわぁ」


 そしてなんか大変なことを言い出した。


 「京太郎さんの子供が出来ちゃって、可愛い娘が出来て、一緒に暮らしたいわ……」


 それは紛れもなく本音。

 実際に出来るかどうかはともかく、会いたいという思いが引き出した本音なのは間違いない。

 少々過激だが、乙女だから仕方ない。


 「もう、寝ましょう」


 ふて寝すると言わんばかりに布団を被る。

 頭まで被って、最初こそグチグチ文句を言っていたが、割とすぐに寝た。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:09:40.87 ID:Y+t+YpzBo<>
 2/10


 ……
 …

 「かかさまー、かかさまー」


 懐かしい言葉が聞こえる。

 そういえば本当に小さい頃、私が母親を呼ぶ時に使っていた言葉だ。

 物心ついてからは矯正されたが、ちゃんと覚えている。


 「かかさまおきてー」


 そして自分の布団が揺さぶられる。

 まだ眠っていたい。久しぶりの休みなのだ。

 毎日修行修行で大変なのだから、休みの日くらいゆっくりしたい。


 「ふぇ……」


 しかしその声はだんだん曇っていった。

 実際に見ているわけではないが、声の主が泣きそうなのが伝わってくる。


 「もう……」


 仕方なく布団を捲る。

 幼い声に心当たりはないが、どこかから親戚の子供でも来ているのだろうか?

 とりあえず状況を把握して、二度寝しようと起き上がるとーー


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        /::丿, '     /!:::::::::::;' /    /     !


 小さい頃の自分そっくりの少女がそこにいた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:10:10.23 ID:Y+t+YpzBo<>
 3/10


 「かかさま!」


 嬉しそうに自分の胸の中に飛び込んでくる幼女。

 体が小さいため、自分の胸に埋もれてしまっている。

 ちょっと窒息しないか不安である。


 「えーっと?」

 「?」


 一瞬こちらを見てポカンとするが、すぐににこやかに笑ってこちらを見てくる。


 ーーやだ、かわいいわ!

 その純粋無垢な笑顔が嬉しくて思い切り抱きしめてしまう。

 幼女特有の甘い匂いが鼻を刺激する。

 思えば妹分の明星はいたけれども、こんなに小さい子と接するのは初めてだ。(初美は除く)


 「うげー」

 「あ、あら、ごめんなさい」


 しかし思ったより勢いが強かったせいか、胸で呼吸ができなくなったせいかうめき声を上げてしまう。

 やりすぎたと反省していると、ドアの扉が開いた。


 「霞さん、目が覚めました?」

 「……京太郎さん?」


 そこにいたのは、どこか少年のような雰囲気を取り払って大人の魅力に満ち溢れた男性。

 しかし、乙女アイが叫んでいる。

 あれは自分の想い人である、と。


 「あ、あの、これはどういうことですか?」

 「へ?」


 目の前の男性はポカンとしている。どうやら事情がわかっていないらしい。

 しかし目の前の幼女は嬉しそうに男性に向かって走り出した。


 「ととさまー!」

 「こら、飛びつくと危ないだろ?」


 思い切り走って飛びつくが、男性は身じろぎもしないで完全に受け止める。

 相当な衝撃があったと思われるが、体幹が凄まじいようだ。

 その後、幼女の頬にキスをしながら頭を撫でている。

 どうやら幼女の言う通り父親らしい。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:10:39.69 ID:Y+t+YpzBo<>
 4/10


 「(でもちょっと待って?)」


 あの幼女は自分のことを母親だと言った。

 そしてあの京太郎似の男性のことを父親だと言った。

 これはつまり、そういうことではないか?

 思えば男性は京太郎にそっくりだ。

 (霞にとって現在の)京太郎は若干童顔だが、それが年相応に育ったらこんな面構えをすると思える。

 霞が知るより、ちょっと背が高くて体ががっしりしている。

 いわゆる、霞の想像する『大人になった京太郎』そのものである。


 「(これはつまり私の妄想が産み出した夢ね!)」


 石戸霞、その結論に達するくらいはポジティブである。

 夢、それはつまり自分の世界。

 つまりこれは京太郎さんに飛びついて思いっきり甘えてもいいわけね!?

 さっきの幼女みたいに思い切り飛びついて首筋にちゅっちゅしてもいいわけね!?!!?

 男の人のしっかりした首筋ってすごく萌えるわよね!!!?

 それに私と京太郎さんの子供だなんて……!!

 よし、夢を見ているうちにもう一人増やしましょう!

 さぁ京太郎さん。私を受け止めーー


 「……って、霞さんなんだか若返った?」

 「はぇ!?」


 危ない。あと数秒遅かったらルパンダイブならぬカスミダイブをしていたところだった。

 青年は抱っこしていた幼女を下ろすと、霞に近づいてくる。

 思ったよりも圧迫感があってビビる霞。


 「(壁ドン!? 床ドン!?)」


 いや、思ったより余裕がありそうだ。


 「なんだか高校生の頃にそっくりだなァ。

  ……本当に霞さん?」

 「へぇ!?」


 青年の先ほどまでの温和な笑みが崩れる。

 愛するものを見る目から、最大限の警戒をする視線だ。

 なんだかヤバそうな気配を感じる。この青年、確実に修羅場を超えている雰囲気だ。


 「あの、実は……」


 その気配に押され、素直に説明することにした。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:11:08.80 ID:Y+t+YpzBo<>
 5/10


 ……
 …

 「なるほど!

  そういうわけなんですね」

 「……え、信じてくれるの?」


 オドオドしながらもなんとか説明する。

 相手が京太郎似でなければどもり症が発病していただろう。

 しかし京太郎はたどたどしく喋る霞にゆっくりと付き合った。

 決して急かしたりせず、喋れなくなった時にもじっと待ち、先ほどの詰め寄るような雰囲気もどこへやらだ。


 「それはもちろん。違う世界でも霞さんは霞さんです。

  自分の嫁さんを信じない旦那さんがどこにいますか?」


 キュンときた。めっちゃ抱かれたくなった。

 一瞬、自分も石戸霞だから浮気に入らないのではないかと思ったが、あまりに真剣な彼の表情に冗談すら言えそうにない。


 「先ほどはすみませんでした。

  その、ちょっと口には言えない状況でして、追っ手かと」

 「追っ手?」

 「ははは」


 軽く説明するがそれ以上は決して口に出しそうにない。

 朗らかに笑っているが、相当な修羅場を潜っているのだろう。

 明らかな人生経験の違いを感じさせた。


 「俺は嫁さんを探さないといけないんですが、何か心当たりはありますか?」

 「そ、そう言われても……。

  あ、それなら神様に聞いてみますね」

 「神降ろしが出来るんですか?」

 「?

  ええ、もちろん」


 『石戸霞』なら出来て当たり前だと思うが、彼はどこか寂しそな顔をしている。

 しかしその表情を見せたのは一瞬で、すぐにまた微笑みを向けてくれた。キュンとした。濡れた。


 「でも、なぜか神様との繋がりが薄くて……。

  全く途切れていないわけではないんですけれど、か細い線で繋がっているような感覚なんです」

 「もしかして、神降ろしって日本じゃないと出来なかったりします?」

 「え、ええ」


 京太郎が何を言っているのかわからない。

 バツが悪そうに頭を掻いている。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:11:37.73 ID:Y+t+YpzBo<>
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    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /      「ここ、フランスです」
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:12:06.46 ID:Y+t+YpzBo<>
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 ちょっとまって。

 いろいろと予想外すぎて頭が回らない。


 「まー、いろいろと事情がありまして、フランスにいるんですよ」

 「そ、そうなんですか」

 「んー、日本はちょっと危ないけど行くしかないかなぁ。

  ちょっと伝を当たるんで待っていてもらいますか?」

 「は、はい」

 「かかさま?」

 「ほら、あまり迷惑かけちゃダメだぞ?」

 「えー?」

 「あ、あのあのあのあの!

  私で良かったら母親代わりに遊んであげてもいいれふか!?」

 「でも迷惑じゃ……」

 「迷惑じゃありませんっ!」


                  ... ----- ...
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                |::::::|:::抖ぅ竿   ´竿冬、 l::::::/ |
                |::::::l从乂ツ    乂ツ'仏イ:::;
            ‘::::∧{ 、、   '   、、 }∧:::/
                 ∨::八    ┌‐┐    八:::/   「そ、そのそのその、私も元いた場所ではきょ、京太郎さんと恋人で……」
.             ∨::::::::...   ` ´   . イ::::::/
              ∨:::::|:::〕iト -- i〔|:::|::::/
                _|=ミl/´ |    ll |:/::/
               / /:::/|  |    /l |:::::{ ̄ ̄`丶      ※脳内設定である。
             / /∠..._ |  |\_,// :|:::::|\   }∧
           {/´       `ヽnm/´|:::| ̄`丶{ ∧
           /         r|| l〈   |:::::|    \ :|
.          /         /l:|| | ∨八::::\    ‘,|
.          ,′       / ノ|l |  \::::\   !
.           |      /  /  !   ',     \::::\  |
.         从     /   _/  |   ',__    \::::\|
         {/∧     { .//  .人   \\   \:::}八
       /} \__/ /  /_\   }  \__,/|  \
       / /´ ̄ /  {/{三三三≧=ヘ    \  |   \

 「……そっか」

 「あ、あの」


 京太郎は嬉しそうに笑った。

 京太郎は相当頑張って今の幸せを得たのだ。

 別の次元でもまた、石戸霞という存在を愛していることがなんだか嬉しかった。


 「それじゃ、よかったらお願いします」

 「は、はい!」

 「いいかー?

  『かかさま』を困らせちゃダメだぞ?」


 そう言って娘の頬にキスをする。

 娘はわかっているのかわかっていないのか、頬をスリスリして答えた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:12:36.01 ID:Y+t+YpzBo<>
 8/10


 ……
 …

 「ふ、ふふふふふ」


 京太郎がいなくなった部屋で一人笑う。

 決して悪巧みをしているわけではない。いつも通りの妄想に耽っているだけだ。


 「京太郎さんと私が夫婦……夫婦……っ!!」


 夢にまで見た設定だ。

 しかも理由はわからないがフランスに住居を構えて暮らしているらしい。

 軽く家を見回ってみると、そこそこ裕福そうな暮らしをしているようだ。


 「これはつまり、私のいる世界でもこうなるということね!」


 都合の良い方に考える脳内である。初美のお墨付きだ。


 「それにそれに、子供がいると言う事は……」


 そういう関係、そういう行為に及んだということだ。

 自分も戻った世界でそういう関係になるのだろうか? 否、なるのだ!!!!


 「かかさま?」

 「あら、なにかしら?」


 そう考えていると娘に声をかけられた。

 なんだか不安そうだ。子供ながらに母親に違和感を覚えたのだろうか。

 それは困る。霞は残念な子だが、今の石戸霞は京太郎からこの子を預かっているのだ。

 母親としての責務を果たさなければならない。


 「おっぱいをあげればいいのかしら……」


 だが霞は残念な子である。

 子供相手にどう接したらいいのかわからないのだ。

 この無駄に大きな胸はこのためにあるのだろうかと思ったが、あまり変なことをして京太郎に引かれるのだけは避けたい。


 「ねーねー?」

 「どうしたの?」


 しかし子供は気分屋だ。

 霞が迷っている間にもくるくると思考を変えてくる。

 でも、今の娘の瞳は違った。

 まるで霞の心の中を見通すような、透明な瞳だった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:13:05.93 ID:Y+t+YpzBo<>
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 「かかさま、しあわせ?」

 「ーーーーー!?」


 それは自分のことを指しているのだろうか、それとも母親のことを指しているのだろうか。

 子供は鋭い。それに自分の母親を間違えることはないだろう。

 本当はここにいる霞が本当の母親でないことに気づいているのかもしれない。


 「どうしたの?」

 「……」


 そう尋ねてみても答えは返ってこない。

 胸に顔を押し付けてグリグリするだけだ。

 ほんのちょっと、『ああ、胸が好きなところは京太郎さんに似たのかな』なんて思った。


 「そうねー。

  『かかさまはね』」


 自然と言葉が出てきた。

 いつものような感覚とは違う、何かに引っ張られるようだ。


 「『こうやって、抱っこしているのが好きよ』」

 「ムー」


 納得がいかないらしい。

 先ほど、京太郎はフランスにいる理由を濁した。

 おそらくはその辺りに理由があるのだろうが、その理由までは察せない。


 だけど、その質問には答えられる。


 娘が聞いてきたこと、それが自分のことか、この世界の自分のことかはわからない。

 しかし、どちらにせよ答えは決まっているのだ。

 私は石戸霞です。だからーー


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        ‘:::::::::::::::::|:::::|              ′:::::::::::;    「『ええ、幸せよ』」
        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/
        ‘:::::::::::::|:::::|:::::l` .        . イ::::|::::::::::::/
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          \::八::::|:∧\     l| |\ノ |:::::|:::::::::|
              _\:::::|':::∧、\   l| |  ⌒i|:::::|:::::::::|
            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
          /     \:: ∧ \ソ' |     \::::::: | \


 石戸霞ならば、全てを失ったって京太郎の一緒にいることが幸せだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/21(水) 20:13:35.02 ID:Y+t+YpzBo<>
 10/10


 ……
 …


 ・新訳:京霞次元


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   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ     ←世界が違っても初美と話せて嬉しい
   |:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈   `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
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   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
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.      |.:| 小 乂こソ    .乂こソムイヽ.||
.      |.:| .Y  ,.,.  ′    ,.,.,.,     ノ |.:|
.      |/ .圦    r        イ¨  |/       「いえいえ、おかまいなく(もうこのまま交換しちゃダメですかねー?)」
.        个    V  ノ   イ
.             ≧。.,_   < {.,_
           -‐   ´j          ̄ ̄\
       /                   \
      ___/   、               __    \ /\
   /{:::/     }                 {\   /   \
.  /.  \   /{              }  \/      \

 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/09/21(水) 20:14:04.11 ID:Y+t+YpzBo<>  また新しい京霞次元を書きたくなってきた <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/21(水) 20:24:46.30 ID:MNRP4PpI0<> 乙です
この霞さん達が直接対面するとどんな反応が起きるのやら <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/21(水) 20:25:55.07 ID:p1m7zCtL0<> 乙
ああこれ残念な方は逃避行次元のはっちゃんとの関係知った辺りでショック受けるんだろうな
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/22(木) 00:13:00.36 ID:NPkCkepl0<> >>99
妄想で言ってた掟だの絶縁だのがマジで起きてて親友と一時期絶交状態だったと知ったらショックだろう
まあシリアス次元のはっちゃんが残念霞さん見たときの方がもっとショックだろうけど <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/22(木) 00:40:48.40 ID:H/BdVjlB0<>
戻ってきたらはっちゃんの忍耐力が崩壊しちゃう

案外戻った時、娘に浄化されて永水の常識人枠になるのかな?

霞色の空、のどかな大地(オチ力0の和)とかないかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/22(木) 00:50:58.67 ID:NPkCkepl0<> 今更だけど「はおまけ」が「はおま家」だと思って誰だ「はおま」? と勘違いした人私以外にいるかね?  <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/22(木) 02:07:58.24 ID:hivS7SiMo<> 「ハオ負け」なら……
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/22(木) 22:20:42.74 ID:oYRLJNa40<> これは予想以上に面白い。残念霞さんと霞色はっちゃんとの絡みは見てみたいな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/22(木) 22:35:51.26 ID:ZVYSALdA0<> はっちゃんと気兼ねなく仲良く出来るのが嬉しくてはっちゃんにベッタリな霞色次元の霞ちゃんと、むこうでのはっちゃんとの関係にショック受けて帰ったらずっとはっちゃんにベッタリな残念霞さんか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/23(金) 08:57:52.03 ID:BHIfkJ6Y0<> 乙
新訳霞さんと霞色はっちゃんが遭遇してのやりとりから霞色エピローグでのはっちゃんとの再会に繋がるとか妄想してもうた <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/24(土) 02:58:39.33 ID:1VV5QXf40<> そういや子供が居る次元って京咲と霞色しかないのかな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/24(土) 03:09:59.29 ID:PNGUPjNao<> 他の次元は子供作れるような歳じゃないし
え?のどっち次元? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/24(土) 05:00:22.96 ID:1VV5QXf40<> 子供作れる年じゃないけどアラ三幻神の衝突の余波でのどあこ次元で未来から宥ねぇやクロチャーの娘とか
デジタル次元で性格が母親に似ていないツッコミ属性の和の娘とか
京初次元ですでに母を超えた(背丈とかサイズ)はっちゃんの娘とか <>
◆Y.lj54HWGU<>sage<>2016/09/24(土) 12:14:41.33 ID:5tiHx9hRo<> 一周年記念にMac逝った
バックアップあるしwindowsから更新出来るから停滞はしないけどちょっと遅れます <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/24(土) 14:17:53.56 ID:jsihtbMtO<> >>1、イキテ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/25(日) 18:34:40.81 ID:gqEXJTxsO<> アラフォー次元書かないからイッチはすこやんに呪われてしまったんだよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/25(日) 18:43:44.65 ID:MUIibUFBO<> 京咏それかカツ丼書こう(提案)
付き人京太郎をアラフォーやノーウエイの魔手から守るの <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:18:23.95 ID:fNvcXefZo<>
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 【はっちゃんにべったりな霞さん】


 自分がいきなり違う世界に飛ばされたらどう思うだろうか。

 少なくとも冷静ではいられないだろうし、困惑することもあるだろう。

 それも彼女の場合、非常に似通っているが決定的なところが違っている世界だった。

 自分の世界との齟齬に困惑する。だから私が支えてあげよう。

 そう思ったのだ。つい先ほどまでは……


 「眠いですよー……。

  みんなの朝食を作ったら二度寝しましょうか」

 「あら、おはようございます」

 「おはようですよー。

  ……って」


 ここで自分よりも早く起きるものは少ない。

 六女仙は自分たちで自分たちのことを済ませる必要がある。

 だが、真に残念ながら現在の六女仙に自分でやろうとする者はいない。

 その結果、初美が割を食うことになっていたのだが、その日は違った。


 「霞ちゃん!?」

 「朝早く起きられるようになったのね。

  朝食は出来ているわ」

 「霞ちゃんが料理を!?」

 「あっ、初美ちゃんったら寝癖が出来ているわ。

  こっちに来てくれる?」

 「あっ、はい」


 なんだかとても嬉しそうに近づいてくる彼女は、自分の知っている親友とはかけ離れていた。

 そもそも自分より早く起きないということは置いておいて、身だしなみに気を遣っている。

 朝早いというのに、彼女はまるでこれからデートに行くかのように美麗だ。

 主婦のようにエプロンを着こなし(サイズがあっていないのでキツキツだ)。

 長い髪の毛は邪魔にならないように首元で結んでいる。

 おたまを片手に楽しそうに味見している。


 ―――うん、誰だこの人

 二度見どころか三度見しても親友と同一人物とは思えなかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:19:14.34 ID:fNvcXefZo<>
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 「〜♪」

 「(すごい上機嫌ですねー)」


 櫛を使って丁寧に髪の毛を梳いていく。

 まるで小さな子供相手には手馴れているようだ。


 「いつもみたいに結ぶのもいいけれど髪の毛を伸ばしてもかわいいと思うわ」

 「や、やめてくださいよー。

  恥ずかしいじゃないですか」

 「初美ちゃんも女の子なんだから恥ずかしがる必要なんてないわ」

 「でも、私ってこんな体型ですし」

 「女の子が身だしなみを気にするなんて普通よ。

  ほら、ポニーテールもかわいいわ」

 「わわわ、勝手に何やってるんですかー!」


 あまりの気持ちよさにボーっとしていたところ、自分の髪型が改造されていたようだ。

 うなじの部分で結ばれ、小さなポニーテールを作っている。

 なんだかむず痒くて恥ずかしい。


 「ううっ、霞ちゃんの癖にナマイキですよー」

 「あらあら、ごめんなさいね」

 「ぐぬぬ」


 ―――これが本当の大人の余裕って奴ですかねー

 六女仙のセーブ役として日々を過ごしていたが、本物の大人には敵わない。

 何をどう魔改造したら『アレ』が『コレ』になるのか小一時間問い詰めたいところだが、何を聞いてもはぐらかされる。

 元の世界の状態についてもあまり語りたくないようで、あれやこれやと会話の主導権を握られてしまうのだ。

 初美もそれが心地よくて流されてしまう。

 変な感覚だが、『本来の二人のあり方はこうである』と、そんな感じがした。


 「あれ、霞さん?」

 「巴ちゃん?

  おはよう。お寝坊さんね」

 「あれ、今朝は霞さんが作ったの?」

 「ううん。初美ちゃんが頑張ってくれたの」

 「!?」


 本人曰く、『この世界の私に悪いから』ということでやってきたことを全て初美の功績にしてしまっている。

 普通ならば素直に喜ぶべきことだが―――


 「私より美味しい!?」

 「良かったわ」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:19:47.25 ID:fNvcXefZo<>
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 そう、元の世界でどう鍛えたかわからないが、霞の料理スキルはこちらの巴すら上回っている。

 料理なんて誰が作ってもそんなに味は変わらない。そう思っていたのを覆されてしまった。

 本人曰く、『誰かのために作りたいと思っているだけよ』とのことだが、納得できない。


 「ハッちゃん。乙女ゲーにハマっている間に腕を上げたね」

 「あ、いえ、これは私では……」

 「うふふ、巴ちゃんも負けてられないわね」

 「うん。

  明日からしばらくは私が料理当番をします」

 「!?」

 「巴ちゃんのご飯は美味しいから楽しみね」

 「ハッちゃん、負けないからね!」

 「あの……」


 初美の意見はどこへやら、巴が謎の闘争心に芽生えてしまった。

 それはそれとして乙女ゲーはやるのか、さっさと食べ終わって部屋に戻ってしまった。


 「いや、確かに朝食を変わってもらえるならすごく楽ですけど……」

 「そうね。巴ちゃんのご飯美味しいから楽しみよ」

 「そうではなく」


 この霞はどこか天然なのか、巴の奇行を目にしてもぼんやりしている。

 まるで巴や初美と話しているだけで嬉しいようだ。


 「いやいや、巴ちゃんがご迷惑をかけて申し訳ないです……」

 「ううん。とっても楽しそうに話していたから私まで楽しくなっちゃったわ」

 「えぇ……?」


 乙女ゲーの熱が高まったのか、永遠に語り続ける巴をニコニコと見ていたのは記憶に新しい。

 その意味まではわからなかったのか、後々初美に聞きにこられたことが難点だが。

 一応、誤魔化しておいた。この霞にそういう知識を植えつけるのはなんだかいやな予感がしたのだ。


 「巴ちゃんったらゲームが好きなのね」

 「ええ、少しは卒業してほしいものですよー」

 「そんなことないわ。

  何か一つのことに熱中できるってとってもいいことじゃない」

 「うぐっ」


 そしてこの霞に口で勝てた試しがない。

 口論しようと思ったわけではないのだが、何でも肯定的に捉える霞が眩しすぎるのだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:20:17.76 ID:fNvcXefZo<>
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// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|    「(やべぇ)」
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<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:20:52.17 ID:fNvcXefZo<>
 5/10


 あまりにも穏やかな時間が流れていたので忘れていたが、永水の問題児は一人ではない。

 というか、ある意味ラスボスがやってきた。

 本人曰く20歳は過ぎているらしいが、霞の見た目があまりにも変わらないので周りには入れ替わっていると伝えていない。

 霞曰く、『少し楽しみたいから』とのことだ。

 そうなれば小蒔や巴が普段どおり接してくるのは予想できる。

 だが、予想できたところで誰が止められるだろうか。

 もはや初美に出来る事は小蒔のBLミームに汚染されないことを祈るのみ。


 「昨日お婆さまたちと絵を描いていたんです!」

 「あら、楽しそうね」

 「ええ、お婆さまったらとっても詳しくて楽しかったです!」

 「それはよかったわ」

 「(心臓が止まりそうですよー!)」


 核心に触れないギリギリのラインで会話が進んでいるのが非常に怖い。

 無理やり止めようものなら小蒔のBLお説教が一晩中続くのが目に見えている。

 ここで自分の身を犠牲にしてまで止められるほど初美は聖人ではない。


 「それでですね、霞ちゃんにも……」

                ---
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           ハ::::::::ハ从 ', 乂| リイ ,'::イ:::::::,'::::',
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           ム:::⌒l.  l」     l」  'イ⌒,:::::}
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             ',乂::ヽ、  ⊂ニ⊃ U .イ-'::ノ }!   「ふにゃっ」
             ゙ゝ::;>   _  .<::,イ   ノ′
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         7_}-.{.  /  ./         }─ヘ┤
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:21:28.84 ID:fNvcXefZo<>
 6/10


 何を思ったのか、霞は小蒔を抱きしめた。

 まるで幼子を抱くように柔らかな抱擁。


 「霞ちゃん?」

 「小蒔ちゃんたら本当に元気ね」

 「はい?」


 小蒔は何が起こったかわからずなされるがままだ。

 霞は小蒔の頭をゆっくり撫で始める。


 「少しだけこうしていてもいいかしら?」

 「ふにゅぅ……」

 「ふふふっ」


 小蒔は気持ちよさそうに目を閉じる。

 どうやら寝てしまったらしい。


 「相変わらずどこでも寝ちゃうのね」

 「いや、それされたら寝ちゃいますよー」


 霞に抱きしめられて頭なんて撫でられた暁には、気持ちよすぎて寝てしまう。

 この肢体を自由に出来る男性なんてそれだけで人生の運全てを使い切ってしまっているのではないだろうか。

 ああ、『こっちの霞』に好かれている京太郎は、『アレ』に好かれて運を使い切ってしまったのか。なんて考える。


 「小蒔ちゃんったら何を言おうとしていたのかしら。

  あとで聞いてあげないと」

 「いや、それはいいですよー。

  私がやっておきます」

 「そう?

  なんだかわからないけれど任せるわ」


 手櫛で小蒔の髪を整えながら返事をする。

 初美の推測だが、子供の扱いに慣れすぎている。

 まるで一児の母のようだ。

 それにしてはあまりにも若すぎる。見た目はほとんど高校生時代と変わらない。


 「初美ちゃんもどう?」

 「いえ、私まで寝ちゃいますから」


 考えを止める。

 必要ならばそのうち語ってくれるだろう。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:21:56.78 ID:fNvcXefZo<>
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     .├ ┤ ┬‐‐┬ー' ― '┬‐‐┬::_:!:::::/:/:/   チュパチュパ ペロペロポリポリチュパチュパペロペロペロチューペロ
       ..!::::::!  .)///!     ,)///!  |::::::|:::〈
        |:::::::|  ゝ/_ノ     ゝ//ノ  |::::::|::::::}    「(おそらくこの人は私の知る石戸霞ではない……)」
      !::::从 '''             |::::::l::/
      ',::::::! \     -(     ィニ|::::/´
       l:::::|   >   _ _  <   |::/::>
       ,:::|   __ /|   |ハ _   .|/::<
          /∧  ',  / ∧ヽ  〃
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                |::::::|:::抖ぅ竿   ´竿冬、 l::::::/ |
                |::::::l从乂ツ    乂ツ'仏イ:::;
            ‘::::∧{ 、、   '   、、 }∧:::/
                 ∨::八    ┌‐┐    八:::/    「もう、春ちゃんったらほっぺたに汚れがついているわよ?」
.             ∨::::::::...   ` ´   . イ::::::/
              ∨:::::|:::〕iト -- i〔|:::|::::/
                _|=ミl/´ |    ll |:/::/
               / /:::/|  |    /l |:::::{ ̄ ̄`丶
             / /∠..._ |  |\_,// :|:::::|\   }∧


 ―――突如現れた裏ボスにも対処。

 本人は天然なのだろうが、幸か不幸か彼女が永水女子の裏を知ることはなかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:22:24.84 ID:fNvcXefZo<>
 8/10


 ……
 …

 「話をあわせてくれてありがとう。

  とっても楽しめたわ」

 「霞ちゃんの悪戯にも困らされましたよー。

  もー」

 「ふふふ、ごめんなさいね。

  でも本当にありがとう。

  また初美ちゃんとこうして話せるなんて思っても見なかったわ」

 「……どういうことですか?」


 別れの前に、霞が初めて隙を見せた。

 少し考えた後、語り始める。


 「私の世界では、初美ちゃんと喧嘩しちゃったの」

 「そうなんですか」

 「仲直りする前にお別れすることになってしまって……。

  だからこうしてお話できたことが嬉しいの」

 「うーん。こんなに優しい霞ちゃんと喧嘩するなんて、あっちの私はわかってないですねー」

 「ううん。

  それは私も悪いの。譲れないものがあったとはいえ、喧嘩しちゃったから」

 「でも、喧嘩したなら仲直りすればいいんですよー」

 「……それもちょっと難しいの。

  きっと許してくれないわ」

 「そんなことないですよー!」


 ここまで話していたからわかる。

 年齢を重ねても、石戸霞は何も変わっていない。

 自分の知る霞のままだ。

 それならば、私だって霞に対する思いは変わらないはずだ。


 「霞ちゃんが仲直りしたいって思っているなら、私だって思っているはずです」

 「……!」

 「私を信じてあげてください。

  いつかきっと仲直りできますから」

 「そう、ね。

  ありがとう、初美ちゃん」

 「それに、もしそっちの私がわからずやだったとしたらこっちの私を思い出してください」

 「?」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:22:55.08 ID:fNvcXefZo<>
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.      |.:| .Y  ,.,.  ′    ,.,.,.,     ノ |.:|    「年が違っても世界が違っても
.      |/ .圦    r        イ¨  |/
.        个    V  ノ   イ            私たちは親友ですよー!」
.             ≧。.,_   < {.,_
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/25(日) 23:23:24.52 ID:fNvcXefZo<>
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 ……
 …

 ・後日




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          /: :|: : : : : :|: l: :|:.l |八: : : :|  |八:.|‐-\: : : : ∨\ ̄ ̄`丶
         /: : :从: : : : : |八人Nノ \: :l   ⌒|   |: : : : :!`丶     \
         /: : ://:/\ : 从   __,,.  \   ≦三≧ル^Y:.\|    \
       /: : :/ /:/  |: ∧l,r≦彡'´   ,       てノ| }|\: |
.      /:.:/   /:/   :|/〈∧てノ、、   ______   `` |_ノ  ‘:|
     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |   「あっちの霞ちゃん帰ってきてぇぇぇーーっ!」
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
                    . .-=≦___   __≧=- . .
                  / :  :    ` ´   :  ::  \
                 /   ::  :          :  ::    |
                --┤ Y::  : . . . . . . . . . .:  : Y   |‐―┐
                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/09/25(日) 23:23:57.57 ID:fNvcXefZo<>  創作環境変わりすぎてとってもつらい
 でも更新ペースは戻したい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/25(日) 23:33:45.45 ID:0O4zsO3Ko<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/25(日) 23:55:08.29 ID:LHWUPNSpo<> お疲れさま


霞さんは異世界に行ける超越者ですか
腐っても鯛ですね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/26(月) 00:14:55.89 ID:FFR2wEyE0<> 乙

霞さん次元旅行から帰る
新訳次元の霞さん京ちゃんに娘が欲しいとか言い出すんだろうな
霞色の霞さんは新訳の京ちゃんと遭遇してないのかな
はっちゃんの霞さん(霞色の霞化)聖人計画はじまるかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/27(火) 08:49:19.55 ID:sG1AfaC60<> おつ
霞さんマジ女神 はっちゃんも女神 なんだ永水は女神のおわす聖地だったのか・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/27(火) 13:02:35.64 ID:ZBfHHy+5O<> 女神(腐) <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:54:28.53 ID:xemnfHPPo<>
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 80
 【年上のお姉さんにひたすら愛される京ちゃん-菫編-】-お金持ち次元2-


 小さい頃からお嬢様扱いされてきた。

 家がそれなりのお金持ちで、社交界などにも参加してきた。

 常に油断せず、周りに良く見られるように立ち振る舞いを学んだ。

 それがおかしいことだとは思わなかったし、苦労したとも思っていない。

 その分だけ家の力で楽をしてきたことも事実なのだから。


 「少し疲れたな……」


 それでも社交界を生き抜くには菫は幼かった。

 共に過ごせる友達も少なかったし、その数少ない友達だってライバルのようなものだ。

 小学生にあるまじき口調と振る舞いを捨て、どこかに逃げたい気持ちになる。

 そんな時だった。


 「ほら、こっちこっち!」

 「?」


 顔を上げると、そこには金髪の少年の姿。

 社交界のために着てきたであろう服は乱れきっている。まるでここまで走ってきたようだ。

 その姿はお世辞にも似合ってると言い難く、無理に背伸びした七五三のようだ。


 「ねーねー!

  あそぼーよ!」

 「私と、か?」

 「うん!」


 ニコニコと笑いかけてくる。おそらくは年下だろうか?

 ここの荒波に揉まれているにしては口調が幼い。

 ここにいる同年齢は自分と、龍門渕透華と辻垣内智葉。みんな背伸びをしたような口調ばかりだ。

 そんな中、年相応の笑みを浮かべる少年が眩しかった。


 「でも、ここじゃ遊ぶものもないだろう」

 「あるよ!」

 「?」


 少年はボールを見せてくる。サッカーボールではない、なんだろうか?

 解せない顔で少年を見つめると、嬉しそうに笑っている。


 「これをね」

 「おい、こんなところでボールを……」


 都会の公園でボール遊びは禁じられている。

 だが、好奇心溢れる子供にそんなルールは関係ないのだろう。

 少年はボールを思い切り壁に投げつけて、戻ってきたボールを捕まえた。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:55:15.84 ID:xemnfHPPo<>
 2/10


 「蹴るんじゃないのか」

 「なげるんだよ?

  ハンドボールだもん」

 「ハンドボール?」


 菫が知らないのも無理はない。ハンドボールは一般的にはマイナー競技だ。

 他の子供に比べて博識ではあるが、球技などサッカーや野球くらいしか馴染みがない。


 「知らないの?」

 「うん」

 「そっかー。楽しいのに」

 「……」


 先ほどまでの元気の良さが消えてしゅんとする。

 別に悪いことはしていないのに、とても罪悪感を覚えた。


 「こ、こうか?」

 「?」

 「そらっ!」


 少年からボールを受け取り、壁に向かって思い切り投げる。

 思い切りバウンドしてきた球は……。


 「わふっ!」

 「うわっ、大丈夫か!?」


 少年に当たった。

 それも完全に意識の外から顔面直撃だ。

 明らかに年下の少年が泣いてしまうのではないか、そんなことを考えると泣きたくなる。

 菫は自分よりも年上の大人の相手をすることが多かった。

 それゆえに年下の男の子相手に何をしていいのかわからないのだ。


 「えへっ」

 「だ、大丈夫か?」

 「うん。ハンドボールなら当たり前だよ」

 「それは違うと思うが……」


 泣きそうなのを我慢しているのが見て取れる。

 この時の菫には気づかなかったが、いわゆる男のプライドと言うやつだろう。

 小さいなりに女の子の前で泣きたくない、そんな思いが京太郎の涙を止めていた。


 「ほら、拭いてやるから」

 「うん」


 明らかにそういう使い道をするべきでない高級感あふれるハンカチを取り出した。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:55:45.05 ID:xemnfHPPo<>
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 しかし菫はそんなことを気にせず、公園の蛇口でハンカチを水に浸して京太郎の顔を拭う

 血が出ていないのでしみることはないだろうが、いきなり冷たいものを顔に当てられて驚いている。


 「こらっ、動くな」

 「冷たいよー」

 「ほら、男前が台無しじゃないか」


 子供を相手にすることを慣れていない菫は強く擦りすぎてしまう。

 しかし京太郎は気にせずされるがままだ。


 「痛くないか?」

 「へーきだよ」


 最後に全体を拭ってやると、京太郎は元気に返事をした。

 そしてボールに駆け寄り、また持ってくる。


 「またやる?」

 「いや、十分だ。

  少しスッキリしたよ」


 半分はお世辞だが、半分は本当だ。

 ストレスを込めて思い切り投げてみたら案外スッキリした。

 なんだかんだで小さな子供。毎日のお嬢様教育がストレスだったのだろう。


 「一人で帰れそうか?」

 「うっ……」

 「大丈夫だ。

  もし心配なら私も一緒について行ってあげるさ」

 「本当?」

 「うん、本当だ。

  君の名前は?」

 「きょーたろー!

  すがきょーたろー!」

 「ああ、須賀家の子か。

  私の名前は……」
 
                ,. -‐ 、
            ,. /  ∠`ヽ 、‐= 、
        / /   /     `ヽハ
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          /    |─+ ミl /  l|
    /  .:,′   |_|_イイ   |_  ’
    .′  |     |《ん_ミ`¨¨`jハ_`  |
    i    |     | ゞ-'     ィ=r、`|_|!
    |   |└┬ー┘      ヒソ/ ′ |  キリッ
   .′     |            '   :    |
    | l | l  小      _      i   |
    | l | |   | ト、       `   人___|    「菫お姉ちゃんだ」
   .′l   |   | |  丶.      イ
.  /  l| l |   | |     r‐ ´  l|
 /  l,.≦:   V、     |    i|
./  /ニ=-人   V\.   |    ||
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:56:13.80 ID:xemnfHPPo<>
 4/10


 ……
 …

 ・それから数年後


 「弘世さん。お久しぶりです」

 「なんだ京太郎。

  ずいぶん他人行儀じゃないか」

 「いや、あれは恥ずかしいって」

 「そんな呼び方じゃ反応してやらないぞ。

  ほら」

 「う……ぐっ……。

  菫お姉ちゃん……」

 「そうだ、それでいい」

 「あー!

  笑ってるじゃんか、くっそー!」


 京太郎が中学1年生。菫が中学3年生の話だ。

 あれから二人は社交界を通じての奇妙な交流を続けていた。

 京太郎からすれば菫は『しっかり者のお姉ちゃん』として。

 菫からすれば『目の離せない弟分』として。

 少なくとも周りからはそう見えていたようだ。


 「京太郎はいつもドジだからな。

  私がいないと何かしら忘れているだろう」

 「そ、そんなことねーし」

 「ほら、襟を正せ。

  一応社交界なんだからな」

 「こ、子供じゃねーんだから大丈夫だよ」

 「そんなことを言っているうちはまだ子供だ」


 有無を言わさぬ迫力で京太郎に詰め寄る菫。

 京太郎からしてみれば子供扱いが恥ずかしいとともに、年上のお姉さんである菫が近くに寄ってきたことが気恥ずかしい。

 近づくだけでいい匂いがする。菫はそんなことを一切気にしていないように見えるのが大人っぽい。

 中学生といえば、わずか2年の差でも大人のように見えてしまうのだ。


 「ほら、男前になったじゃないか」

 「そ、そーかな」

 「ああ、京太郎は格好いいぞ。

  自信を持て。

  男児たるもの自信を持ってこそ女を惚れさせられるんだぞ?」

 「ほんとかぁ?」


 菫の言うことを話半分に聞いている。

 いつだってノせてくるのだ。なかなか信じられないのも仕方ない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:56:43.10 ID:xemnfHPPo<>
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 「本当だ。

  京太郎は格好良くなった。自信を持て」

 「へへ、菫姉さんに言われると嬉しいな」

 「ああ、私好みだ」

 「いっつもそうやって冗談ばっかり」

 「……ふふ」


 菫が妖艶に笑ったように京太郎には見えた。

 見ての通り、京太郎は年上には非常に弱い。

 特に菫は何かと面倒を見てくれているため、強く言い出せないのだ。

 一人の男としてもう少し何とかしたいとは思っても、菫の前では弱くなってしまう。


 「ああほら、さっき食べたものの食べかすまでついているぞ」

 「えっ、嘘だ」

 「ほら、これだよ。

  全く、私が見ていないとだらしないな」

 「ぐぐぐっ」

 「そんなに唸ってもダメだ。

  まだまだ『菫お姉ちゃん』からは卒業できそうにないな」


 ヒョイとご飯粒を取り、そのまま口に運ぶ。

 その動作に何の迷いもなく、京太郎の方が恥ずかしくなってしまう。


 「す、菫姉さんは弓道してるんだっけ」

 「ああ」

 「俺、菫姉さんの弓道好きだよ。

  何だかしなやかでカッコいいじゃん」

 「そうか。君にそう言われると嬉しいな。

  だが私としては君のハンドボールも男らしくて好きだ」

 「!?」

 「ふふっ、私の上を取ろうなんて10年早い」

 「くっそー!」


 何度悔しがっても、京太郎は菫の上を取れない。

 まるで掌の上で転がされているみたいだ。

 これが最近知り合いになった同級生相手ならば逆なのだが、どうしても菫には弱い。

 小さな頃からの教育の賜物だろうか。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:57:51.49 ID:xemnfHPPo<>
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'  / /イ Y :.  Y    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /     「次はゼッテー負けねーから!」
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       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
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. i::}::.:l:.::.:::.::}>:..  _. .: '.:{.::.::.:i::.i}::!
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. {::.i::.:{  ::.. i≡ヾ   :.iノメ.ヾ、::i.i::i
,メi:::i : !   :i.:  :.ゝ  i./:. ヽ,冫i::i
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 ・心の中

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 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:58:20.49 ID:xemnfHPPo<>
 7/10


 ……
 …


 「なんだ、京太郎。

  いつもの威勢の良さはどうした?」

 「だってハンドボール負けちゃったし」

 「県大会決勝まで行ったんだ。十分じゃないか」

 「ハンドボールはマイナー競技だからそれくらいすぐなんだよ」

 「ふふっ、それでも私は知っているぞ。

  最後まで諦めずにもがいていたじゃないか」

 「えっ、見てたのか!?」

 「可愛い弟分の見せ場だ。見に行くのが姉の役目だろう?」

 「でも、日付教えてなかったのに」

 「ああ、それはうちのモノが……」

 「?」

 「……君の母親が教えてくれてね」

 「来てたなら話してくれればよかったのに」

 「チームメイトと泣きたいときだってあるだろう。

  その辺りは弁えているよ」

 「なんだよ、それ。

  なんか大人っぽくてズルい」

 「私なんてまだまだ子供だよ。

  でも、君より少し年上なんだ」

 「……そっか」


 ……
 …

 ・心の中

       !:.::.:::: :: ::|.....::::|::::::::::::::|:::|:!:|__!........|:.   ゙、:、::ヾ、
     |   ..::::::::i::::::::::|:|::::::::::::|:::|:「!::::i:!:`ヽ!|::::::::::.:.i: i. ト、!
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     i:.:.::::::::::::::::i::::::::i::|:|::::::::::::::i:::|! ー-'..ヾ::::::::`iヽ!ノ;ノ:;i |
      ! ::::::::::::::::i|:::::::::|:|:|:::::::::::::::i::::!    :::::::::::iァ::....!ヾノ
    i.:::::::::::::::::i:|::::::::i::|:|:::::::::::::::::i:::i       ヾ :::: |
     |:::::::::::::::::i:i:::::::::i::|:|:::::::::::::::::::i:::i      /::::.:.|
.    !::::::::::::::::!:!:::::::::i:::|:|::::::::::::::::::::゙、i   _,...._ l::::::.::|
.   i::::::::::::::://::::::::/::/`ー^-、:」i_:::゙、   `" /:::::::.i.|
    i::::::::::::::://; ' ´ ̄ ̄`ヽ     ̄     /:::::::::::|:!
  /::::::::::::::://'           \  r-、__ ノ:-、_;::|i|
  /::::::::::::::::/        :::::::::...\::::|:::::::|:::|   `ヾ!    「(まぁいつでも旦那様の子供を孕む準備は出来ているが)」
 /:::::::::::::::/          ::::::::::::...ヽ ::::::|:::|
../::::::::::::::/ :::..         \:::::::::::::.i ::::|:::!
/::::::::::::::/ :::::.            \:::::::::! :/:/
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 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:58:49.26 ID:xemnfHPPo<>
 8/10


 「高校に入っても続けるのか?」

 「いや、辞めるよ。

  俺、麻雀部に入るんだ」

 「麻雀?

  なんでまた」

 「菫姉さんって麻雀強いんだろ?」

 「まぁ、強い高校に居るだけさ」

 「だから俺もやってみたくなったんだ」

 「今までやったことはないんだろう?」

 「そんなこと関係ないよ。

  これで菫姉さんを倒すんだ」

 「……!?」

 「菫姉さんってなんでもできて、綺麗で、悔しいんだよ」

 「そんなことはないよ」

 「俺から見たらそーなの!

  いっつもカッコよくて、俺の憧れなんだ」

 「ほう……」ジュル……

 「だから勝ちたい。

  絶対に勝ってやる」

 「ふふっ、期待して待っているよ。

  ところで麻雀は男女混合ではないぞ」

 「ほら、透華姉さんと智葉姉さんも麻雀できるって言ってたし。

  ちょうど四人だろ?」

 「いいのか?

  二人もなかなか強いぞ」

 「へへっ、三人ともまとめて倒すんだ。

  いつまでも子供扱いさせないぜ」

 「……そうだな、京太郎は本当に大きくなった」


___,.へ
:::::::::::::::::::.
::::::::::::::::::::::‘,
::::::::::::::::::::iノ‘,
::::::::::::::::::::l::-┤
ニニ二二!::::::|
::::::::::::::::::: 廴:i!
:::::::::::::::::::::|
:::::::::::::::::::::|     「本当にーー(食べごろになったな……)」
:::::::::::::::::::::|
:::::::::::::::::::::|
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:59:18.72 ID:xemnfHPPo<>
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                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
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     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Yィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /    「なんでもいいから菫姉さんに勝ってやるんだ」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、


       /: /: /: : : : : : : : : : : : ヽ: :ヽ : ',
        /:./: : /: : : : :/: : : : : : : : : : :',: : ', : :.
      : :/: : /: :|: : :/ : : : : : !: : : : : : }: : i: : i
      トl!: : :'_||: : |: : : : : :/: : : : : : : : : } : :
      ||_|__r _¨_:::‐-:: : :__ イ: : : : : !
      || ̄「弋_ ノ¨ ̄ ::::::::::::::::::::: /: : ;′: |
      ||: : l::::: ||::::::::::;:::::::::::::::::::::::/ : : ヘ: :./  ̄ \
      |廴:l  |l            /: : :/イ: /
      |: : : ゝ    __     厶斗′: :l   ア
      |: : : ::::> ._´‐-'    _ ィ: : : /: <   リ
      |: : : ::::::斗ヘ!¨  T¨、:::: : : l: : : : |   だ
        斗 ´    l ̄` |  ` 、: l: : : : |   な
      /- 、.、     l ̄ ̄l     ヽl: : : : |
.    /   ‘, 、   l   ′   , ィ ^ 、: : :.、
.     /  l  ヽ 丶  ! /  , ´ /  ‘, : \___/     「(麻雀に負けて組み伏せられて泣き叫ぶ私か……)」
   人  V   ` ‐-`_、∨ ≦-‐ ′V  人: : : : |
.  /  ヽl       / {!}`ヽ     !/  ヽ : : |
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/27(火) 21:59:47.86 ID:xemnfHPPo<>
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 ……
 …

 ・裏事情(現代)

      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
     /:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
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  i......:.:|.....:.:.|:.:.:.|:.:ハ|:.:.:.:.:.:| |:.|:.:|......... |
  |:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
  |:.:|:.:.:.:.Tイ示气   ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
  |:.:|:.:.:.:.:∧           :.:.::.|:.:.|
  |:.:.\:.:.:.∧     '    .::\:|:.:.|
  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、     イ :.:.:.:.:.|:.:.|    「泣くのを必死に我慢するショタ旦那様が可愛くて可愛くて濡れてしまってな」
  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|:.:.::.:.:>-j     f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|>イ  く       }l |:.:.:.|:.:.|
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                     /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行
                    ノ  八‐:、    ′   厶|     「なんとうらやましい」
              丿  ´__/  \丶、  ‐‐    イ |/
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              /    /    [ │     マ¨¨¨¨¨ア  |   |    ヽ  \


              ,r'´ ̄ ̄ ヽ
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      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧    「小さい頃から何やってんですの!?」
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/09/27(火) 22:00:33.42 ID:xemnfHPPo<>  windowsまで壊れるとは考慮しとらんよ。Mac復旧させたわ
 まさかのお金持ち次元の続き。次回はリク通り智葉編 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/27(火) 22:01:26.57 ID:oh+Q9a4no<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/27(火) 22:24:58.25 ID:7mwhxjcjo<> まっとうにラブコメしてる…と思ってたら最初から壊れてたでござるの巻 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/27(火) 22:55:03.02 ID:/K37TS6DO<> 乙です。
ネリかわ。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/27(火) 22:55:52.24 ID:/K37TS6DO<> すまん、誤爆。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/27(火) 23:07:09.46 ID:/K37TS6DO<> 改めて乙です。
外面と内面の差がひでぇwww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/27(火) 23:46:20.04 ID:zRfo0nWg0<> 乙
のどアコの相手(穏乃)かお金持ちの相手(透華)をするのどっちがマシだろうか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/28(水) 00:00:20.03 ID:PAg/fGIAO<> 腐った女神…霞さんはイザナミだった…?

ネリカワスレはどこだろう。
気になる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/28(水) 00:10:34.30 ID:SrojsWkA0<> 金持ち次元で子供の頃に他の2人とも絡んで欲しい
んで落としたのに気づかない京太郎と落とされた三人の絡みが見たいな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/28(水) 01:02:31.52 ID:92SWiCbQ0<> >>147
R版のポ○モンss <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/28(水) 08:37:10.16 ID:gbgmCZ540<> 透華お嬢様のなんだかんだで常識人っぽさ好きなんだぁ・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/28(水) 17:06:38.18 ID:K6ICzDuTo<> 乙です
お金持ち次元最高や!
続きも楽しみにしてます <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/29(木) 08:26:36.91 ID:e7XES2ce0<> 年上組は拾ってもらえたぜ
やったぜ

菫エ……最高や! <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:46:44.81 ID:OInxPeORo<>
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 【年上のお姉さんにひたすら愛される京ちゃん-智葉編-】-お金持ち次元3-


 辻垣内智葉は強い女だった。

 それは幼少の頃から変わらない。

 家の事情で強くあるべきだった、それだけではない。

 彼女の家族は無理に『その道』を強要はしなかったし、可愛い可愛い娘を甘やかしていたからだ。

 しかし、彼女は甘やかされたお嬢様に育つわけでもなく自分を律し、しっかり者へと成長した。

 強い男たちの背中を見てきたからこそ、自分もそうなりたいと思ったのだろう。

 だから彼女は弱い男が嫌いだった。


 今日、この日まではーー


 「全く、肩が凝るな」


 見世物のように様々なところを回れば気疲れもする。

 それでいて凛とした表情を崩さない彼女は年齢にしても大人びている。

 まだまだ遊びたい盛りだろうに、それを感じさせない強い女だった。


 「おい、そこのおまえ!」

 「?」

 「お前だよ、男女!」

 「ああ、私のことか?」


 自分より大柄の子供が声をかけてきた。

 何人か後ろに取り巻きを連れている。この辺りのガキ大将だろうか?


 「ここは俺たちの敷地だぞ!」

 「そうか。すまなかったな」

 「あやまればいいってもんじゃないぞ!

  つうこうりょうを払え」

 「随分お高い通航料だ」


 やれやれと首を振る。

 目の前の少年がどんなに大きく乱暴だろうと、智葉が見てきた男たちの足元にも及ばない。

 その道の人とガキ大将を比べるのは、さすがにガキ大将がかわいそうと言うものだが……。


 「それで、払わなかったらどうなるんだ?」

 「ああ?」


 普通ならば堅気に手を出すなどありえない。

 だがこの時の智葉は大人びているとはいえ、『子供』だった。

 普段から憧れている大人たち、そして時代劇で見るような人たち。

 何もしていない自分もその一人と思ってしまっていた。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:47:13.89 ID:OInxPeORo<>
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 「(ここで格好良く活躍するんだ。

  ごくせんの先生のように!)」


 そう思ってしまうのは少女心に悪いことではないだろう。


 「女だからって容赦しないぞ!」

 「こっちはたくさんいるんだぞ!」

 「……ふっ、来い」


 今か今かとその瞬間を待ち構える。

 だが、少年たちの突撃が智葉に届くことはなかった。


 「わーっ!!」

 「!?」

 「なんだお前!」

 「お姉ちゃんに手をだすな!」


 見覚えのない金髪の少年が飛び出してきたのだ。

 相手を殴ったり、そうする余裕すらない体当たり。

 真っ先に相手のボスに飛びついて押し倒す。

 一切手加減のない全力疾走からの体当たりだ。いくらガキ大将が大柄でも抑えきれれるものじゃない。


 「(一体誰だ?)」


 思わず呆然とそれを見つめてしまう。

 その間にも少年は果敢に飛びかかるが、多勢に無勢だ。

 少しずつ引き剥がされ、取っ組み合いになる。

 そうなれば少年に勝ち目はない。

 何人かに殴られてボコボコだ。


 「おい、お前ら」

 「なんだよ!

  女は手を……」

 「『少し黙れ』」


 仮に智葉が取っ組み合いに参加したところで勝ち目は無かっただろう。

 しかしガキ大将たちは智葉のーーというか後ろに控えている黒服たちのーー視線に気づき、一気に離れる。


 「子供じゃないんだから付きまとうな」

 「ええ、子供の喧嘩でしたら関わるなと言われていましたが、そちらのご子息の問題もありますので」

 「そうか」


 もう見る影もないくらいボロボロだが、そこそこの身なりをしている。

 この近くでこんな服を着ているとなれば、もしかしたら同じ社交界に出ていたのかもしれない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:47:43.09 ID:OInxPeORo<>
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 「なぁ、君」

 「……ぐすっ。

  泣いてないぞ」

 「ああ、君はよく戦った。

  しかしこの人数差では勝ち目もないだろうに、なんで私を助けた?」

 「お、女の子を守るのは男の役目だって、とーちゃんが言ってたもん」

 「……そうか」


 必死に泣くのを我慢している。体は所々擦りむけて血も出ている。

 しかし、少年は決して泣き出さなかった。

 名誉の負傷だ。泣いてもいいと智葉は思ったのだが、それでも泣かないのが男のプライドなのだろう。

 目の前の少年は子供ではあるが、智葉が見てきた『男』となんら変わらない魂を持っていた。


 「君の名前は?」

 「きょーたろー……」

 「そうか。

  おいお前達。この子にシャワーを浴びさせるから場所を用意しろ」

 「はい。

  それなら私たちが……」

 「私 が や る」

 「……は?」

 「治療も全て私がやる。

  シャワーで体を隅々まで洗うのも私がやる。

  消毒液をガーゼにつけて拭うのも私がやる」

 「いや、医者を用意して……」

 「いいか。これは堅気に手を出した私の不始末だ。

  これ以上私に恥をかかせるな」

 「はぁ……」

 「さっさと密室……コホン。

  治療室を用意しろ」


 黒服たちは言いたいことも疑問もたくさんあったが、お嬢には逆らえない。

 要するにケジメをつけて自分でやると言っているのだ。

 それならば止めることもあるまいと、とっとと場所を用意してしまった。


 「?」

 「ああ、君は何も気にしなくていい。

  智 葉 お 姉 ち ゃ ん が し っ か り 診 て あ げ よ う」


 これが須賀京太郎と辻垣内智葉のファーストコンタクトである。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:48:12.10 ID:OInxPeORo<>
 4/10


 ……
 …

 ・それから数年後


 「まだまだだな、京太郎」

 「うっく……。

  なんなんだよ智葉姉さんの強さは」

 「しっかりと武術を学べば一対一なら体格差を誤魔化せるさ。

  お前も学べばすぐに私くらい超えられる」

 「いいよ、俺は……。

  ハンドボールやるし……」

 「ふふっ、そうだな。

  お前はそうやって真正面からぶつかるのが似合っている」

 「バカだっていうんだろ。

  うるせー!」


 京太郎は不貞腐れながら道場に寝転ぶ。

 智葉はやれやれと視線を外した。


 「随分と根性がないものだ」

 「なんだとー!?」

 「女一人手篭めに出来ないとはな」

 「手篭めってのはなんか違う気が……?」

 「いいからかかってこい」


 智葉に焚き付けられて構えて飛びかかるも、あっさりと投げ飛ばされる。

 圧倒的な身長差や体格差をモノともしない。

 もっとも、京太郎は今日まで一切そういった訓練をしたことがないから当たり前なのだが。


 「く、くっそー」

 「もう少し頭を使うんだな。

  例えば、複数人でかかる(というシチュエーションが私は好きだ)」

 「いや、それはおかしいだろ。

  智葉姉さんでも冗談って言うんだな」

 「ふふ……(冗談ではないんだが)」


 弟分が必死になっているのを見て思わず笑ってしまう。

 その素直さが嫌いではない。

 愚直に突き進む、それが彼の良いところだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:48:41.07 ID:OInxPeORo<>
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 とはいえ、京太郎からしてみればたまったものではない。

 際限なく甘やかしてなんでもしてくる姉が菫だとすれば、その逆が智葉だと考えている。

 智葉は京太郎にとにかく厳しい。

 出会えば何かと試練を化してくるし、今日だって武道場で武術の訓練だ。

 いくら京太郎の体格が同級生に比べて良いとはいえ、武道は完全な素人である。

 家のこともあり普段から鍛えている智葉とは比べ物にならない。

 力を見事に利用されて跳ね飛ばされるのがいつものことだ。


 「智葉姉さんは厳しいよなー」

 「何を言う。

  いい男になるのならばこれくらいはやって見せろ」

 「そんなこと言ってー、俺のこと嫌いなんだろー」

 「そうか?

  私は大好きだが」

 「!?」


 真顔でそんなことを言われると、言い出した京太郎の方が恥ずかしくなってくる。

 智葉は何を恥ずかしいことを言ったのかとキョトンとしている。


 「じょ、冗談はやめろよ!?」

 「冗談じゃないんだが……」

 「全く、智葉姉さんは……」

 「?」


 相変わらずキョトンとしている智葉に対して、顔を真っ赤にして逸らす京太郎。

 いつもこうだ。智葉な何かと無防備だ。

 だからこそいつもの無茶振りもなんだかんだ言ってこなしてしまう。

 嫌がらせやいじめでやっているわけではないとわかっているからこそ、頑張ってしまうのだ。


 「京太郎だって強くなりたいだろう」

 「そりゃそうだけどさ。

  いきなりは無理だって」

 「大丈夫だ。

  私は信じている」

 「へぇ!?」

 「京太郎なら、いつか私だって倒せるさ」

 「そ、そんなこと言うなよ」

 「組み伏せることだって簡単だろう?」

 「組み伏せたりしないよ!?」


 それだけ言うと、智葉はなぜか残念そうな顔をした。

 幸か不幸か顔を背けている京太郎はそれを見ていない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:49:10.11 ID:OInxPeORo<>
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 「さて、もう一本だ」

 「まだやるの!?」

 「ああ、そろそろ寝技の練習をするか」

 「なんで寝技!?」

 「技の一つだからだが……。

  嫌なのか?」

 「嫌ってわけじゃないけれど……」


 言ってはなんだが、智葉は起伏がある体とは言えない。

 かといって女性と密着することに抵抗がないわけではない。

 それどころか、智葉はちゃんとした女の子だ。

 こうして組み手をしていてもなぜかいい匂いが香ってくる。

 汗の臭いとは違う、女の子の匂いだ。

 それと密着して間近にいるなど、中学生男子の京太郎には刺激が強すぎる。


 「だ、だってさ」

 「?」

 「さ、智葉姉さんは嫌じゃないのか?」

 「私は全然構わないが」

 「!?」

 「ほら、いいから練習するぞ」

 「ぐぐぐ……」


 菫相手とは別で智葉にはかなわない。

 京太郎にとってまったくコントロールできない相手なのだ。


 「(あっちは意識してないのがなんか悔しい)」


 姉としての感情しか抱いていないとはいえ、子供扱いされているのが悔しい。

 まだまだ子供の考えの京太郎。それに対してーー


 「(うむ、このまま力づくて孕まされるのも悪くない)」


 しっかり意識している智葉だった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:49:39.32 ID:OInxPeORo<>
 7/10


 ……
 …

 「麻雀を始める?

  なんでまた」

 「だって、智葉姉さんって強いんだろ?」

 「ああ、強いぞ。

  日本で三番目に強い」

 「それってめっちゃすげーじゃん!

  俺、自慢しちゃうよ」

 「よせ、一番でもないんだ」

 「いやいや、フツーそんなところまで行けないって!」


 この麻雀ブームの世の中で日本で三番目に強い女子高校生。

 それは凄まじい快挙なのだが、智葉はそれを鼻にかけることもない。


 「すげー人数の中でそれだけ強いんだ。

  俺もやってみたくなってさ」

 「そんなに甘いものじゃないぞ」

 「いやー、智葉姉さんに組み合いで勝つよりは運も絡むから勝てるかなって」

 「ふむ……」


 京太郎の体格ならば真面目にやればすぐに智葉など組み伏せられるのだが、どうやらわかっていないらしい。

 だが、自分が青春をかけている麻雀に興味を持ってくれるのは嬉しい。

 趣味の共有。同じ話を出来るようになるということは嬉しいのだ。


 「それなら、私が教えようか」

 「いーよ。

  智葉姉さんは遠いんだから、麻雀部で強くなるし」

 「今はネットもあるが……」

 「ネットでも出来るの?

  それなら教えて欲しいかな」

 「ああ、任せろ。

  お前を日本一強い男子高校生にしてやろう」

 「いくらなんでもそれは無理だって」

 「私に勝つならそれくらいの意気込みを持ってやれ、と言うことだ」

 「相変わらず智葉姉さんはきびしーな」

 「京太郎ならばそれくらい出来る。

  私を信じろ」

 「へへっ、ノせるのがうまいな」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:50:08.66 ID:OInxPeORo<>
 8/10


 「あっ、そうだ。

  菫姉さんと透華姉さんも麻雀やってるの知ってる?」

 「知っているどころか、菫はライバルだし透華は前回のインターハイで当たった。

  そんなことも知らないのか」

 「うっ……。

  ほら、俺もできるようになったら四人でできるかなって」

 「それも楽しそうだな」

 「それに、麻雀なら数人がかりでやれるんだろ?

  智葉姉さんに勝てるかも!」

 「!?」


 智葉の目つきが驚愕に染まる。

 何をそんなに驚いているのか京太郎にはわからないが、すぐに平静に戻ったようだ。


 「なるほど……。

  いい考えだ」

 「あの、冗談だよ?」

 「ん、ああ。

  気にするな。こっちの話だ」

 「そっか。

  俺と智葉姉さんと、菫姉さんと等価姉さん。

  四人で遊ぶなんて久しぶりだし、楽しみだなー」

 「……ああ、そうだな」


               /⌒ _>、/⌒ Y¨¨¨  、
             /´> ´   ,    }      \
             , ´    /     :    、   ヽ
            /     /  '      |  |   ∨    :.
          ー‐イ' /  /  | | l     }  | |  |     .
                / '   ' / |{ |    / /| }  l  |    |
           // / { |-+-|、  | ,-}/-}/- /  }    {
             / ,..イ , 从,ィ=从{ l / ィ=tミ}イ/ /_   从
            ̄´  |∧  {  Vリ ∨'   Vり /' /- }  / }
               / 从ム   ,      ム,イ-、/l ,
                  :.            r ' /|/
                 八   __ _     / /     「いっつも俺、負けてばっかじゃん。
                     、         イ Y
                    \___  イ   |ヽ      でもさ……」
                   「 、 |    r <///|
                   |/}_」    |//(_)//|_
               , <///〈      ,」////イ////> 、
          r--- <////////∧   /////////////////> 、_
         //////////////〈/ }---{///////////////////////ハ
          {//|////////////Y   |////////////////////////}
          |//|//////////////|  /////////////////////////l|
          |//|//////////////{__/////=====///イ///////|
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:50:38.16 ID:OInxPeORo<>
 9/10


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
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            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Y { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ      「麻雀ならきっと智葉姉さんに負けないぜー!」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
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                   {|___ノ  __|[_]//∧_
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    {:::::::{ヽ /\::::|ヽ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     ∨:::∧ /灯  /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     \\∧∨   ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __
       \. 〉      ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、    「(策を弄して手篭めにするスタイルで来たか。
          ノ       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
          ヽ -    /::::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ̄ `ヽ::::::',  いいセンスだ)」
            ` - ./::::∧ //\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  ヽ::::',
               {/|::} 〉/////\::::::::::::::::::::::::::::::::::',\  〉::}
               |} |///////// \:::::::::::::::::::::::::::::::', ヽ }:/
                  |/////////////ヽ:::::::::::::::::::::::::::::',
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/09/29(木) 19:51:07.41 ID:OInxPeORo<>
 10/10


 ……
 …

 ・裏事情(現代)


                          ___
                       ..::.::.::.::.::.::.::.::.::.`丶、
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                    |::.::.::.::.:_::/     \{\ .::.::.::.::.:|
                    |.::.::.::./|/`丶     /\ ::.::.::|
                  _,,..、¬冖づ庁外、   斗劣、ハ::.::.|
                   / ヘ. } し小 うソ ノー{ うソ/ /:/|/
                     /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行
                    ノ  八‐:、    ′   厶|     「という姫騎士スタイルだ」
              丿  ´__/  \丶、  ‐‐    イ |/
              /    / ______〕: |> _. イ、_______
                /    //二ニァ¬ア_]       |¬r<二,¨¨ ̄\
            /   /´ ̄/ /  〔∧     〕 ∧   | ̄ ̄\〉
                    /     |      |--  --|   |   |  \ \
              /    /    [ │     マ¨¨¨¨¨ア  |   |    ヽ  \


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
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  |:.:|:.:.:.:.Tイ示气   ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
  |:.:|:.:.:.:.:∧           :.:.::.|:.:.|
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  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、     イ :.:.:.:.:.|:.:.|    「うむ、王道は悪くない」
  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|:.:.::.:.:>-j     f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|>イ  く       }l |:.:.:.|:.:.|
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              ,r'´ ̄ ̄ ヽ
       /丶  _//∧      l'⌒ヽ-、_
      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧    「あなたら一体なんなんですの!?」
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l

 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/09/29(木) 19:51:36.44 ID:OInxPeORo<>  お金持ち次元はシチュを貰えたら続く
 某スレを見て『京ちゃんがホストで稼いでくるのを家で家事しながら待ってるクロチャー』を見たいと思った <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/29(木) 19:59:14.29 ID:5D84RwxDo<> 乙
二人の相手で疲れた透華が幼児退行気味に京太郎に甘えるのとか見たいです。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/29(木) 20:07:16.58 ID:i2UF2koKO<> >>163
重いです(重いです) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/29(木) 20:19:28.19 ID:CXE+n79WO<> 乙です
ここで颯爽と衣おねーちゃん参戦とかしないかなー(チラッ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/09/29(木) 20:40:00.60 ID:iEiHVjoDO<> 乙です。
相変わらずこの次元はオチが酷い(誉め言葉)

今1スレ目から読み返してるんだが、オチ要員が登場してからはあまりやってないまたこいつら盛ってるが久しぶりに見たいなーなんて。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/29(木) 21:08:26.41 ID:DF9c+hoPO<> 乙
お金持ちの相手で疲れてる純くん一ちゃんともきーを癒す京太郎 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/29(木) 22:13:41.52 ID:/DEVDtmRo<> 乙です
お金持ち次元の冷やし透華のツッコミはすごそう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/29(木) 22:38:00.02 ID:fSKi/OC7O<> 乙です
次は透華のターンかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/30(金) 00:59:21.01 ID:96u6XdiZ0<> 乙です
客が問題だな
1.ヤンデレ  桃子
2.ヒロイン力 淡、宥、白、霞
3.玄の天敵  照
4.オチ組   のどっち、世界一位、世界二位、SSSS、智葉 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:08:08.12 ID:cbnDSDS5o<>
 1/10

 【年上のお姉さんにひたすら愛される京ちゃん-透華編-】-お金持ち次元4-


 龍門渕透華は目立つのが好きだ。

 誰よりも目立つことを目的として、そのためには若干常識外れな行動すらとる。

 しかし、そんな彼女にも弱点があった。


 「果たしてあの二人より目立つことは正しいのか……」


 そう、菫と智葉の存在である。

 二人とも対外的には完璧なお嬢様を演じながら、その中身は生粋の変態である。

 それはそれで被害は出ていないのだが、なぜかいつも透華だけが巻き込まれる。

 そして今、必ず人の上に立つという透華の信条を脅かしているのだ。


 「それもこれも全て京太郎のせいですわ!」


 透華からしてみれば京太郎は無防備で危なっかしいのだ。

 果たして何度あの二人に連れ込まれそうになったのか、数えるだけでも憂鬱になる。

 その度に止めに入る身にもなってほしいというものだ。


 「しかしまぁ、可愛い弟分ですもの」


 執事やメイドといった上下関係ではない。

 かといって家族というわけではない。

 ではクラスメイトや知り合い。これでは少し遠すぎる。

 では、透華にとって京太郎とはどういう存在だろうか?


 気になる男の子? いや、そういう関係ではない。

 確かに年々男の魅力は上げてきているとは思うが、幼い頃から身近にいたせいかそういう感情は覚えていない。


 「うん、弟ですわね」


 結局、透華にとって京太郎は『とっても可愛い弟』に尽きるのだ。

 自分のことを姉のように尊敬し、犬のように尻尾を振って甘えてくる弟だ。

 主人として従者に命令するわけではない、ある意味では愛玩動物にも近い存在。

 一たちからは『甘やかしすぎ』と言われるが、可愛いものは仕方ない。


 「そう、私は姉ですわ。

  だからこそーー」


 弟の身辺はしっかりしなければならない。

 これは全て京太郎のためなのだ。

 彼のためなら入りものは用意するし、彼が望むなら理想の恋人だって探してあげようと思う。

 出来れば友人たちも自分の知り合いで囲ってしまいたいが、それをすれば『アレ』の同類になってしまう。

 とにかく、透華は京太郎の『姉』なのだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:08:37.44 ID:cbnDSDS5o<>
 2/10


 ……
 …

 「京太郎!

  膝枕をなさい!」

 「はいはい。

  てか男の膝枕なんか楽しいの?」

 「硬くて少し高すぎですわね。

  首が痛くなりますわ」

 「じゃあやめとけばいいのに」

 「それはそれ、これはこれですわ。

  いいから言う通りになさい」

 「はいはい」


 小さい頃、事あるごとに二人は一緒だった。

 親同士がどこかに行くと言えば、だいたい二人セットで置いておかれたのだ。

 年齢が一つしか違わないからだろか、親も安心して二人にしていたし、二人もそれはそれで楽しかった。

 大体は透華の無茶振りに応える京太郎、それが周囲の反応だった。


 「足ばかり太くなってますわね……。

  前はもう少し寝心地がよかったですわよ」

 「そりゃ男だし」

 「言い訳無用ですわ。

  では腕枕にしますわ」

 「腕ぇ?

  まぁいいけど、俺別に眠くないよ?」

 「京太郎の眠気なんて関係ないですわー!

  弟は姉に従うものですもの!」

 「横暴だ!?」


 透華はいつだってマイペース。

 やりたいことは必ず通す。

 時々は京太郎が呆れるほどに猪突猛進でもあったが、京太郎はそんな透華のことを嫌いではなかった。

 だから幼い頃から透華の後ろをトテトテと歩いてきたし、言葉にはしないが親分のようだだと思っている。

 自ら道を切り開くのが好きと言っていたが、京太郎はそんな透華の後ろについていくのが好きだ。

 膝枕、腕枕なんて安いもの。文句こそ言うが大抵のワガママは通してしまう。


 「(全く、透華姉さんには俺がいないとなー)」


 にへらと顔を崩す。

 透華は自覚のあるブラコンだったが、京太郎は自覚のないシスコンだった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:09:06.91 ID:cbnDSDS5o<>
 3/10


 「京太郎も中学生になりましたし、恋人を作るべきですわよ」

 「えー、欲しいけど出来てないよ。

  俺モテないもん」

 「そんなことないですわ。

  京太郎はなかなか男前ですもの。

  恋人の一人や二人、男の甲斐性」

 「二人て……。浮気じゃん」

 「あら、それくらいの甲斐性は見せてくださいな。

  とはいえ、刺されない程度の遊びにしておくのですのよ」

 「だからそんな相手いねーって」

 「よく話をしている『宮永咲』さんはそういう関係ではないのですの?」

 「咲かァ。

  咲とはそーいう関係じゃないけどなァ」


 ちなみに透華、咲のことを知らないようでいておそらく京太郎より詳しい。

 このブラコン透華は京太郎のクラスメイト及び交友関係を全て把握している。

 弟に変な虫が寄らないように徹底しているのだ。

 もちろん、それを弟に気取られるような真似はしていない。

 また、そのくせ常識を持っているので仮に少し危なっかしい相手でも許容している。

 あくまで京太郎の自主性が第一で、それのフォローにまわっているつもりなのだ。

 もっとも、そのために奔走しているハギヨシその他数名からしてみればたまったものではない。


 「えーっと、読書が好きだとか」

 「あれ、透華姉さんに言ってたっけ?」

 「い、言ってましたわよ?」

 「そっか。

  あいつは本の虫でさー。

  放っておくとご飯も食べずに本読んでるんだよー。

  ダメダメだよなー」

 「しかし最近珍しい文学少女ですわ。

  それに海外ミステリー好きとはなかなかいい趣味をしていますわよ」

 「え?

  咲ってそんな本好きなの?」

 「!?

  あ、間違えましたわ。

  私の知り合いに似た人がいますの!」

 「そっかぁ。

  あいついつも難しい本読んでるからよくわかんないんだよね」


 ーーなお、バレないのが奇跡レベルのザル会話である。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:09:36.38 ID:cbnDSDS5o<>
 4/10


 「(それもこれも、あの二人のせいですわ!)」


 そう、透華も最初はこんな風ではなかった。

 少し強引ではあるが京太郎の姉として普通に過ごしていたはずだった。

 あの二人、弘世菫と辻垣内智葉と会うまでの話だ。


 「(あの二人が私兵を京太郎に寄越すから、こちらも監視せざるをえないんですわ)」


 放っておくと何をしでかすかわからない。

 思い出すだけで頭が痛くなる所業の数々だ。


 「透華姉さん?」

 「最近、あの二人はどうですの?」

 「あの二人?

  ああ、菫姉さんと智葉姉さん?」

 「そうですわ」

 「どうって言われても、いつも通りなんかあったら会うくらいだよ。

  あ、でも一月に2回か3回くらいは会ってるかな」

 「(県が違うのに3回も会う方がおかしいですわよ!)」


 どうせ事あるごとに遊びに来ているんだろう。

 幼少の頃は親の用事が被らなければワガママも言いにくいだろうが、ある程度自分で行動できるようになれば話は変わる。

 ここ最近の長野はやけに黒服が多いだとか、それに囲まれて少女が歩いているといった噂を聞く。

 普通ならばただの噂や都市伝説として笑い飛ばすところだが、詳細がなんとなくわかってしまう透華は笑えない。


 「んー、菫姉さんはいつもいつも母さんみたいに心配性なんだよね。

  逆に智葉姉さんは厳しいからさ」

 「何かされましたの?」

 「何かされたって言うか、やれ男は強くあるべきだってさ。

  この前なんか投げ飛ばされちゃったよ」

 「まぁ、それくらいでしたら男の子なんですから頑張りなさいな」

 「そのあとは寝技を鍛えるんだーって数時間付き合わされるしさ」

 「前言撤回ですわよ!

  拒否しなさい!」

 「えっ、なんで?」


 全く、油断も隙もない。

 こちとら一人を見るのでも大変なのに二人掛かりでは到底でも足も出ない。


 「全くもう、恋人でも作ってくれたら」

 「何の話?」

 「何でもないですわ」


 ため息を吐く。これも京太郎のせいだ。

 嫌なことばかり思い出してしまう。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:10:05.69 ID:cbnDSDS5o<>
 5/10


 ……
 …

 ・状況その1


                ,. -‐ 、
            ,. /  ∠`ヽ 、‐= 、
        / /   /     `ヽハ
       / //   /         ’.
          /    |─+ ミl /  l|
    /  .:,′   |_|_イイ   |_  ’
    .′  |     |《ん_ミ`¨¨`jハ_`  |
    i    |     | ゞ-'     ィ=r、`|_|!
    |   |└┬ー┘      ヒソ/ ′ |
   .′     |            '   :    |
    | l | l  小      _      i   |    「雨が降ってきたからあのホテルで休もうか」
    | l | |   | ト、       `   人___|
   .′l   |   | |  丶.      イ
.  /  l| l |   | |     r‐ ´  l|
 /  l,.≦:   V、     |    i|
./  /ニ=-人   V\.   |    ||


    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Y              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从   「休憩とか宿泊って書いてあるよ?」
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/
            、__   ´    } イ从/
               |        |/
              「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
              |//l|     |//////// 、
        ,. <// ∧      |//////////> 、


          / \_/\-―‐-y'´ \
         /-‐y'"  ,ヘ ヽ  / ∧   \
          /     ! \ヽ/ //i     ヽ
           ,:!.     |'"´`゙ y''"´ ´|      i
            | |     i |   /′   | i    .|
.           i |     ハ|   〈.!    | |    |
          !/   / |!   ヾ、   |ハ    |
          /    廾ー-_、__,  )!、_,._-‐┤  .゙、
         /   /./ fr、))  /′ fr、i) ゙、   `、
       /.イ   ∧|  ゛'"     `゙'"  ト、    丶   「お待ちなさいっ!!」
.      ///    ハ._ヾ⊂⊃      ⊂⊃ !人   ヾ、、
      i/ i ,i  〈  `,!             / .リ )  i、 ヽ!
.   /リ 、ソ   Y´;/i\.  ∠ニゝ ,..イ   /   |ノ ノ
  /      >、  ヽ!   `ー---イ´|:.:.:`ヽ/    / \
/   /:Y´:.:.:\   \       / |:.:.:.:/     イ、   \


 ーー雨が降ったとホテルに連れ込もうとしたこともあった。

 なお、ホテルの従業員は全員身内を仕込んでいた模様。

 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:10:34.72 ID:cbnDSDS5o<>
 6/10


 ……
 …

 ・状況その2

      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
      /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    |:::::::| \:::::::::::,__::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
    {:::::::{ヽ /\::::|ヽ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     ∨:::∧ /灯  /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     \\∧∨   ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __
       \. 〉      ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、
          ノ       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、    「くっ、足をくじいて立てなくなってしまった。
          ヽ -    /::::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ̄ `ヽ::::::',
            ` - ./::::∧ //\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  ヽ::::',   あそこ(の個室トイレ)に連れてってくれないか」
               {/|::} 〉/////\::::::::::::::::::::::::::::::::::',\  〉::}
               |} |///////// \:::::::::::::::::::::::::::::::', ヽ }:/
                  |/////////////ヽ:::::::::::::::::::::::::::::',


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //    「えっ、どこ?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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           __        /|
     , -、____/,、  \   r‐' ̄_/
    / |\\|//|   | ̄ r‐'
    |  |ミミァ‐''''"|    |   \
    |  | /   |    |    |
    / / 〈   _,`ィヽ、   |   |
  / /`ー、Y", -‐'iヽ |  \  |      「何してるんですのっ!!」
  / ,イ !、ii〕'!、`┸" ノ 〉  i  ) \
. (  |>r‐'  ,二、" /  //、   \___
  \ 、!(三ニ´ー〜)(  <   \ ___     ̄`ー--、_
   \ ゞ、"゛  ̄ _, ゙、   h_/ ̄_, -‐ヽ      `ー-、`ー-、
     ) r≧ーtく /\ )   /    ト、    `ー-、 `ヾ 、_ \
     /ノ|   .| ,个、  ノ  /  / ./ \      丶   \ ヾi
   /人|\  !' ∧ V"  V /   |   \__    \  | .|
  /   |  \ /| |\ ===|/     /、 \   |\    |  | .ノ
. /    ζ | U| .|`U   〉     | \  \  丶 \  |  |
/ /  / | .{  ハ |     /    /、 \  \  \ \ | |
|/|  /  |  ゙、  ゙、    ./     / \  ゙、  ゙、  ゙、  | ノ|
| |  |  ,|  ゙、  人   /     /    >  |   |   |  | /
  \ |  | ゙、  ζ  入 |     /   /  |     |   |  ノ/
   \ | ゙、 <  /  V.    /  /\  ハ   |  /  /


 ーーせめてもう少しまともな理由を考えるべき。

 なお、周囲から人を離れさせる準備をしていた模様。

 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:11:03.96 ID:cbnDSDS5o<>
 7/10


 とまぁ、過去に色々とあったのだ。

 だからこそ透華は警戒心を強め、京太郎のクラスメイトの身辺調査なんかをしてしまっているのだ。

 もしいなければ……、いや、やっぱりやっていたかもしれない。


 「姉さん、腕痺れてきたんだけど」

 「これくらい平気ですわ」

 「いや、俺の腕なんだけど」

 「弟の腕は姉のものですわよ」

 「ジャイアン理論!?」

 「もう、男の子なんですからもう少し頑張りなさい」

 「えーっ。

  じゃあ透華姉さんも姉らしくしてよ」

 「私は十分姉らしいですわ」

 「なんか妹みたいに甘えてるからさー」

 「い、妹!?」


 それは聞き捨てならない。

 透華はあくまで『姉』なのだ。

 『妹』では下に見られているではないか。

 透華は上でなくてはならないのだ。


 「ふ、ふふふ……。

  目に物見せてやりますわ」

 「ヤッベェ。地雷踏んだ」

 「ハギヨシ!」

 「はっ」

 「あっ、ハギヨシさんお疲れ様です」

 「いえいえ。京太郎君も頑張ってください」

 「んで、それ、何?」

 「耳掻きですわ!」

 「……誰がやるの?」

 「私がやりますわ!」

 「と、透華姉さんが?」

 「そうですわよ」

 「今までやったことは?」

 「ありませんわ」

 「死んじゃう!?」

 「ハギヨシ」

 「はっ」


 逃げ出そうとする京太郎を一瞬で縄で縛るハギヨシ。

 いったいどこでこの技術を学んだのだろうか。執事だから仕方ない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:11:32.68 ID:cbnDSDS5o<>
 8/10


 「こ、ここまでする!?」

 「京太郎から逃げるからいけないんですわよ」

 「に、逃げるんだよぉ!

  エビのように! エビのように!」

 「まぁ、衣が好きそうですわね。

  こう、コロッと揚げてしまいましょうか。

  冗談はさておき、あまり動くと手が滑りますわよ?」

 「やめてー!」


 そんな透華の無茶な言い分にも諦めたのか、京太郎は動かなくなる。

 恐る恐る透華の膝に頭を乗せると、存外柔らかい感触に少し落ち着いた。

 雰囲気こそまだまだ少女だが、女性特有の包容力にはかなわないものだ。


 「寝てしまっても構いませんわよ」

 「こ、怖くて寝られねぇ」

 「失礼ですわね……」

 「あっ、普通に気持ちいい」

 「耳掻きくらいできますわよ。

  その、あんまり奥まではやめておきますわ」


 これが他の相手ならば傍若無人の限りを尽くしただろう。

 しかし、相手は可愛い可愛い弟分だ。

 その辺りは慎重にこなすようにしている。


 「なんかこう、菫姉さんのとは感覚が違う」

 「当然ですわー!

  この龍門渕透華の耳掻きは京太郎にしかしてあげませんわよ」

 「えっ、そうなの?」

 「将来の伴侶や子供にはするかもしれませんわ。

  でも、今は京太郎だけですわ」

 「将来の伴侶かぁ」

 「?」

 「いや、透華姉さんも結婚するんだなぁって」

 「嫉妬していますの?

  もう、姉離れが出来ていませんわね」

 「ち、ちげーよ!

  別に寂しくなんて……」


 慌てて誤魔化そうとする京太郎だが、もう遅い。

 無闇に動けば耳が危ないし、そもそも簀巻きにされていて動けない。

 顔を真っ赤にしたまま固まるしかないのだった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:12:02.24 ID:cbnDSDS5o<>
 9/10


 龍門渕透華は子供のような性格だ。

 非常に負けず嫌いで、誰よりも上を目指す。

 だからこそ目立ちたがり屋で、今は『のどっち』を越えようとしている。

 だがしかし、そんな彼女が唯一母性を出せる相手がいる。

 それが弟分、須賀京太郎だ。


 「寝てしまいましたわね」


 布団に包まれているせいか、京太郎は寝てしまった。

 女性を待たせて寝てしまうとは何事かと思うが、それすらも愛おしく思えて髪の毛を撫でる。

 こんな気持ちになることなんてなかった。いつだって自分が主役だった。


 「ふふっ、まだまだ子供ですわね」


 それでも、弟分の前でだけは姉らしくしよう。

 主役にだって弟はいるし、愛でる相手はいるはずだ。


 「京太郎が幸せになるためには、相応しい恋人を探す必要がありますわね」


 しかしやはりお金持ち、環境も相まって変なところに思考が変わる。


 「宮永咲、宮永照……。何人か親しい知り合いは聞いていますわ」


 宮永照ならば将来有望な雀士だ。

 適性が良ければ考えてみるのも悪くないかもしれない。

 しかし、それは全て自分が見極めなければいけない。

 それが『姉』としての役目なのだ。

 そのためには龍門渕の財力と権力と人脈を全て使い、リサーチすることも厭わない!


                  / /        ./ ヘ Y.           \   |  j
                 / /        /   ヤ |      -―‐t `  |. /
                    /      .//\ /,ヘ .|   イ  7  | ヽ レ
                  ’/..     /,イ   /へ レ       /  ハ
              / /      \ /./    /′  ̄`ー‐-≦7.    ハ  ’
                 / /      /ヽ/   /'            .::  /  .ヘ  }
            / /      不、 lハ   {|            .::: /    }
            //       / { ;;;≧x、V |        /  /.    / ’
           //       ./. 弋__ツヘ  | ー=--――十 ./    / /
          //         ,イ  """      ノ   て≧芯x_ノ ./    / /
.       / ./  //     |               弋;;;__ ツクイ     / /
    /  ./  //    |. ハ       r:      """/介     ヤ /
   /   /'  / i     |.  ヽ    ト、         /"/ |    マ
 /   /{   { . |     ||./{ >、 ヽ ` ァ   ー‐' /__ ヤ   |. ヽ    「京太郎の相手は、この私が見極めますわっ!」
    _廴_込 ヽ、   | |´   ヘ \  __  _チ'´ _. ヽマ    ヽ
    {      ヽ  `  .ト.!     ヘ      / ∨「〈.', マ¨ :.  マ     ハ ト、
    λ         マ  } .ハ ヽ    ヽ  /_  .| | マ、 ー-、  ヽ  / .l ! ::._
   / ハ.       /ヤ /ハ| ) /ミ≧≦チ_,マ  ヽ` く ̄¨¨¨.    \,.へj ̄`ヽ
.  / / ヤ    /   У′ リ / ィチ>二<< マ  フ`ーへ   ヽ    `ソ `ヽ ヘ
 / /  ヤ   /   /   / レ// / 厂|、ヾ、\、/    />  _`ー  /   `マヘ
  /     マ  .i   /  /  / /  / /  | ヽヘヽ \  ,イ /   // ̄`ヽ{     マ ヽ
      ヽ 八  .{       | .|  ./ /|   | iマヘ. > >/ | λ.  |.{三三/       .〉`
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/02(日) 21:12:31.68 ID:cbnDSDS5o<>
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 ……
 …


 ・現代


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
     /:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
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  |:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
  |:.:|:.:.:.:.Tイ示气   ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
  |:.:|:.:.:.:.:∧           :.:.::.|:.:.|
  |:.:.\:.:.:.∧     '    .::\:|:.:.|
  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、     イ :.:.:.:.:.|:.:.|    「だが待ってほしい。
  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|:.:.::.:.:>-j     f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|     ヒロインが多ければその分プレイに幅が出るのではないか?」
  |:.:.:.|>イ  く       }l |:.:.:.|:.:.|
  |:/      \_  __|l i:.:.:.|\
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                   / ヘ. } し小 うソ ノー{ うソ/ /:/|/
                     /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行
                    ノ  八‐:、    ′   厶|     「確かにヒロインの数だけ穴はある」
              丿  ´__/  \丶、  ‐‐    イ |/
              /    / ______〕: |> _. イ、_______
                /    //二ニァ¬ア_]       |¬r<二,¨¨ ̄\
            /   /´ ̄/ /  〔∧     〕 ∧   | ̄ ̄\〉
                    /     |      |--  --|   |   |  \ \
              /    /    [ │     マ¨¨¨¨¨ア  |   |    ヽ  \



              ,r'´ ̄ ̄ ヽ
       /丶  _//∧      l'⌒ヽ-、_
      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧    「わ、私が守りますわ……!!」
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/02(日) 21:13:15.34 ID:cbnDSDS5o<>  次回からまたリク消化します
 京咲も書きたいなぁ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/02(日) 21:25:41.22 ID:PTyfVXQIo<> 一応女性として女=穴とか考えちゃうのはどうなんですかね…
透華もヤバいけどグラチャー以上に本人に気取られてないのでセーフ、か? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/02(日) 21:31:55.98 ID:On1P2qlso<> 乙
果たして透華のお眼鏡に叶う人はいるんでしょうかねえ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/02(日) 22:00:50.87 ID:P4siW7lDO<> 乙です。
これもう透華が恋人になればいいんじゃないかな(名案) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/02(日) 22:22:09.60 ID:E3AH/3CuO<> 乙です
これは透華による京太郎の恋人候補格付けチェックが見たいなw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/02(日) 22:23:10.03 ID:9LSrwjwLO<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/02(日) 22:46:08.47 ID:okgTymkEo<> 乙ー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/02(日) 23:44:02.41 ID:OrkpkRH5o<> 乙です
これは透華姉さんの苦労がしのばれる…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/02(日) 23:48:33.11 ID:OrkpkRH5o<> というか京ちゃんと透華が知らないだけで密かにお互いの両親によって外堀が埋められていそう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/03(月) 00:32:45.48 ID:UF9J8UQi0<> 透華のアホ毛はオチレーダーで出来ていた <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/03(月) 09:14:34.68 ID:8G+7MbSc0<> 乙
もう透華お嬢様が京ちゃんを婿に取ればみんな幸せになるよ(若干名除く) <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:22:11.35 ID:0uPwMkw6o<>
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 【京太郎の家を占拠するあわネリ】-あわネリ次元-


 「キョータロー喉乾いた!」

 「キョウタロウお腹すいた」

 「はいはい……。

  じゃねぇぇぇぇぇ!!」


 注意、ここは京太郎の家である。

 一人暮らしだがそこそこの家賃で2DKの部屋だ。

 一人で暮らすには十分広いが、こと三人いるとなると話は変わる。

 それも人の布団を奪って二人で包まって、ポテチを摘みながらゲームをしている。

 自分の部屋でもここまでだらけないのではないだろうか。

 少なくとも、京太郎の女子の部屋への幻想が崩れた瞬間であった。


 「もー、キョウタロウはワガママだ」

 「ねー」

 「ねー、じゃない!

  ほら、布団から出ろ!」

 「やー。

  今いいとこなの!」

 「ネリーはお金がないからゲームなんてしたことない。

  だからキョウタロウは許してくれるよね」

 「うぐっ、……ってお前哀れまれるの嫌いじゃないのかよ!」

 「ゲームのためならプライドなんて安いよ」

 「ずいぶんフランクになってるな!?」


 少し前の憂鬱ネリーはもういない。

 最近では日本文化にハマりつつあり、淡以上にゲームに手を出している。

 自分では買わず、人の家にやりにくるあたりがネリーらしい。

 ちなみに、もうやらなくなった携帯ゲームを貸してあげたら永遠にやっていた。

 『物持ちがいい』と言うのだろうか、あまり新しいゲームを買わない人種は古いゲームを永遠にやりこむものである。

 ネリーからはそんな気配が感じ取られ、不覚にも『可愛いな畜生』と思わされた。

 一方淡は新しいゲームをどんどんやりたがるタイプだ。


 「キョータロー!

  新しいの買った!?」

 「買わねーよ。何を買うんだよ」

 「ほら、なんとか5って出たんでしょ?」

 「もうなんの話かわかんねーよ。最近だとメタルギアソリッドなのかペルソナなのか……」

 「聖剣伝説!」

 「まず4が出てねーよ(真顔)」


 そろそろ新作出て欲しい。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:22:40.26 ID:0uPwMkw6o<>
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 「アワイ。目を離さないで」

 「えー、あわいちゃんの手にかかればカービィなんてお茶の子さいさいだもん。

  もっと新しいゲームやろうよー」

 「ネリーはこれがいい」


 二人がやっているのはWiiUのバーチャルコンソールである『星のカービィSDX』だ。

 昔から名作で有名である。

 なぜこれをプレイしているのかといえば、二人の仲を取り持つために二人プレイできるゲームを探していたためだ。

 最近のゲームだと二人協力は意外と少ない。よってわざわざこれを選んだというわけだ。

 ちなみにもう一つの選択肢としてバイオハザード5を提案したが、ネリーに猛反対された。

 淡は乗り気だったが、ネリーの顔は蒼白。どうやら怖いものは苦手らしい。


 「……カワイイ」

 「ん?」

 「なんでもないっ」


 先ほどからネリーは1Pのカービィを使っている。

 何度か淡が交換しようと言い出しているのだが、決して譲らない。

 時々カービィに並々ならぬ目線を向けているし、思わず言葉も漏れている。

 どうやら可愛いもの好きらしい。おまかわ。


 「淡はどんなゲームが好きなんだ?」

 「ピカチュウ!」

 「ポケモンか」

 「えっへっへー。

  ピカチュウ可愛いよね!」

 「まぁ、確かに」


 あの黄色いフォルムにまん丸な体型(初期基準)

 手足が短く太ましいネズミ。思えばアレに似ているのではないか?


 「カピバラかっ!」

 「何言ってんの?」

 「淡。俺も好きだ」

 「おー、キョータローも淡ちゃんの魅力に気づいちゃった!?」

 「ピカチュウって可愛いよな!」

 「ピカチュウに負けた!?」

 「うるせぇカピバラ可愛いだろぉ!?」

 「何の話!?」

 「ねぇ、ピカチュウって何?」

 「え?」


 ネリーが手を止めておずおずと聞いてくる。

 ピカチュウと言えば世界的大スターだ。ネリーも見たことはあるはず。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:23:10.07 ID:0uPwMkw6o<>
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 「……」

 「(っていうか見たことあるだろ?)」


 しかしネリーは?を赤らめてこちらを見るだけだ。

 そんなことを気にしない淡はスマホを広げ、ピカチュウの画像を用意する。

 初期の太ましいピカチュウを用意するあたり、淡はなかなかわかっているようだ。カピバラに似ているしな!

 もしスリムピカチュウを出していたらグリグリの刑だ。


 「これだよ!」

 「こ、これ……」

 「ネリー?」

 「……」


 淡からスマホを受け取ると、ネリーはじっとそれを見つめる。

 口の端がニヤけるのを抑えているのがこちらでもわかる。

 ああ、なるほどね。


 「気に入ったのか?」

 「べ、別に!」

 「えー!

  ピカチュウかわいいじゃん!」

 「淡。ちょっとこっち来い」

 「あわー!?」


 あわいの耳を引っ張ってもう一つの部屋に連れ込む。

 おい、顔を赤らめるんじゃない。そういうのじゃないから!


 「えっ、あわいちゃん襲われちゃう?」

 「違うだろっ。

  ネリーは可愛いと思うのが恥ずかしいんだよ」

 「えっ?

  なんで?」

 「いやまー、淡にはわかんないよな」

 「なにそれムカつく!」


 決してバカにしているわけではない。

 淡は『あざとかわいい』を地で行く少女だ。

 通常ならば『あざとい』と言われてしまう仕草もいちいちかわいい。

 かわいいものを見つければ『カワイイー!』と言う。

 しかし、ネリーのように素直に表せない人もいる。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:23:40.37 ID:0uPwMkw6o<>
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 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /
  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|
  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |   「わかった!
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|    あわいちゃんがピカチュウになればいいんだ!」
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 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:24:09.47 ID:0uPwMkw6o<>
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 「そうと決まれば突入ー!」

 「おいちょっと待て!」

 「……二人して何やってるの?」


 何も考えずに突入した淡を追いかけると、呆れ顔のネリーの姿。

 どうやら話は聞こえていなかったらしい。


                        ____
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               | i  i:  :. "       ""  ; :| .:|  i :.
               | i:. ∨込.  マ::::フ   / イ :リ  i  :.     「ぴっかー!」
               人八 ∨ 个ト  ,,_  <「∨ :/i   i  :.
                    /\[  |  __j_」   ∨∠:リ  リ   ::、
                /  リ jレ'´ 乂    У∨   ∧     \
                  /  /  /ー  --/ /  /⌒>、    \
                  / / /  /   广⌒゙ア  /  ///⌒\   \
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /     「マジでやりやがった」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:24:38.04 ID:0uPwMkw6o<>
 6/10


 「……えっ?」

 「ああ、ネリー。これはだな……」

 「ピカピカ、ぴっかー!」

 「アワイ。頭が弱い子にしか見えない」

 「なんだとー!」

 「終わるのはえぇ!」


 淡なりの気遣いだったんだけれども、わかるはずもない。

 というか、馬鹿にされているようにしか見えないだろう。


 「だって、ネリーはピカチュウ好きなんでしょ?」

 「す、好きじゃない」

 「えー!

  かわいいじゃん!」

 「ネリー、別に好きなものは好きって言っていいんだぞ」

 「……嫌いじゃない」

 「だからあわいちゃんがピカチュウになるの!」

 「それはおかしい」


 ネリーに同意するしかない。

 どうしてその発想になるんだ……。


 「それより、俺のお古のポケモン貸してやろうか?」

 「貸してくれるの?」

 「ああ、ネリーに貸してる携帯ゲーム機で出来るからね。

  俺のデータは消しちゃっていいから」

 「……うん。

  その、ありがと」

 「ネリーばっかりずっこい!

  私にもなんかしろー!」


 ネリーを贔屓すると淡が暴れ出す。

 うん、これもいつも通りだ。


 「なんかって言っても、ゲーム借りたいのか?」

 「パフェでいいよ!」

 「なんで奢る話になってんだよっ!」


 こ、こいつ、抜け目ないな。


 「じゃー出発!」

 「キョウタロウ。早く行こう」

 「こういう時ばっかり連携するなよ!?」


 女の子って怖い。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:25:06.94 ID:0uPwMkw6o<>
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 ……
 …

 「そんな流れでポケモンセンターに来たわけだけど」

 「すっごーい!

  カワイイー!」

 「……わぁ」


 淡は全身で嬉しさを表現しているし、ネリーは喜びを抑えきれていない。

 女子大生にもなってこういう反応をしていれば疎ましさも覚えるだろうが、それを感じさせない。

 淡はなんか許せるタイプだし、ネリーは小さいからだろうか。

 美少女って有利なんだなぁ。


 「ほらほら!

  おっきいぬいぐるみだよっ」

 「あんまり汚すなよ?」

 「だいじょーぶっ!

  キョータローの家に来る前にちゃんとシャワー浴びてるから!」

 「えー……」


 顔が赤くなるのを感じる。ついでに店内の視線も感じる。

 ちょっと待て、それは大いなる誤解を与えるのではないだろうか。


 「……」

 「ネリー?」

 「これ、ピカチュウ?」

 「ああ。1分の1ピカチュウか。

  40cmなんだぜ」

 「実にネリー6.5人分んだよっ」

 「その換算になんの意味が……?」


 テンションが高そうな淡とアイコンタクトをする。

 淡もウインクを返してくれる。どうやら伝わったかな?


 「YES枕!」

 「そうじゃねぇ!」

 「なにそれ」

 「ああ、気にしないでいいよ」


 それはそうと、店員を呼ぶ。

 ネリーは一人留学して頑張っている。

 そんなネリーの喜ぶ顔が見たいと思うのは、友人関係としては重いだろうか?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:25:35.93 ID:0uPwMkw6o<>
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                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/     「んじゃ、特別にプレゼントだ」
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
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          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく     「私もお金出すよーっ!」
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:26:05.83 ID:0uPwMkw6o<>
 9/10


 「……えっ?」

 「実はさ。

  この前の麻雀大会でいい結果出しただろ?

  そのお祝いをしようって淡と話してたんだよ」

 「優勝おめでとー!

  次はあわいちゃんが勝つけどね!」


 ネリーにとっては留学生として成績を残すことがすべてだ。

 だからこそ誰よりもお金に執着しているのは知っている。

 ただの友人関係としてはあまり施しをするのは良くないだろうけれど、俺は世話焼きなんだ。

 たまのプレゼントくらい、いいだろ?


 「ほ、本当にいいの?」

 「その代わり、私が勝ったら私にもなんかおごれー!」

 「おいおい。

  ネリーは大変なんだから、そんなこと……」


 そこまで言ったところで、ネリーに裾を引っ張られた。

 思わず言葉を止めると、淡に向き合う。



           「 ̄`ヽ-―‐---、__
           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
           {ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|!  }!'^゙
           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
            |:::|:i| "  '_   " .!::::.{! o|!、
             |、::|ハ:.,、  、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、
         /.:ヽハ!:r‐` T"´  !イ':":.:.:.:.:\i!     「……ありがとう。
       r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、   ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ     その時は絶対にお返しするから」
        ∀  ! `Zf┬‐-≧ーイ:.:r'´       |_)i::}
      / .,.:彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ::::..       !::、:::i!
      <  ̄  ノ''"   ...::::..... ::::::::.   ,.ィ:::::i!:::|
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 それはネリーにとって、最大の感謝だった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/04(火) 22:26:35.62 ID:0uPwMkw6o<>
 10/10


 ……
 …

                 ,  ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   \
                /                  `\
            .>一'                   |
            ,  ´                    __  /`!
       /     {       __        〃'⌒ 〈  |、
       /     〈⌒ヽ    ,ィ==ミ    tゥ    〈  }  ! \
.    /      // }  ',  -‐= _           /   い ヽ、 \
  ∠、    /  { |   ヽ. --、 `ヽ\_,ノ⌒ ー'   lノ     ヽ
 /三二ニ=ァ'´   /) ヽ   卜、::::\   }             !         l     「……」
. {三ニ=‐ '´     {  /|     \::::|            |       |
            〉           lノ           ∧      |
            、        |           /  \ /´ ̄ ̄`\
               l   /´ ̄ ̄`\        /}.   /    / ̄/\
             \/     ___\―-、      \ /    ////////,\
                /   ////////∧  \     /    /////////// \
                 /    ///////////∧   \_,  |     ////////////// \
             |    /////////////∧     く  |     ///////////////// \


 自分の部屋に、一つの新しいぬいぐるみ。

 大好きな二人の友達が買ってくれたプレゼント。


 「……ネリーは物持ちがいいから、大事にしないと」


 言い訳のようにつぶやくが、ニヤけが止まらない。

 ぬいぐるみをギュッと抱きしめる。

 そのままベッドに潜り込む。

 ああ、今日はゆっくり眠れそうだーー



 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/04(火) 22:27:04.30 ID:0uPwMkw6o<>
 投下終了

 ・残りのシチュ
 寝ぼけたシロが京太郎を抱き枕
 お姉ちゃんシロとだるシロがレクイエム
 宮守勢に結婚報告(付き合った報告)をする二人
 マホ、ギャルになる
 シロ、看病する
 京穏でオープンキャンパスへ
 京ちゃん幼児化する
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 22:27:40.67 ID:pvQrRmtDo<> 乙。ユウジョウ!
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 22:28:26.12 ID:dyJHjJH4o<> 乙
ネリあわいい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 22:29:29.89 ID:sqYH+RymO<> 乙です
ネリーとお化け屋敷いきたい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 22:30:01.62 ID:3ilf3BYCo<> 乙!物持ちが良くてゲームやりこむならディスガイア貸してあげよう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 22:35:38.06 ID:3JbGSs/Do<> >>207
それこそ永遠に終わらなくなるだろwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 22:46:47.40 ID:+fVeDNf+O<> 乙です
聖剣伝説4……LOMの事かな?(すっとぼけ) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 23:48:25.89 ID:78f/o9Lho<> お疲れさま
今のピカチュウは絵柄が違うのか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 23:52:35.96 ID:FMj/r2oD0<> 京太郎が夜なべしてピカチュウの帽子とか着ぐるみをネリーに渡すんかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/04(火) 23:58:14.05 ID:3ilf3BYCo<> >>210
結構前から変わってスリムになってるよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/05(水) 00:22:56.23 ID:zf1x5nKzO<> サトシもアローラの姿になるし……… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/05(水) 03:59:41.50 ID:eXzLJhKDO<> 乙です。
ピカチュウもだけど、諭しも微妙に変わってきてるよな…… <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:06:56.00 ID:/f8etpB+o<>
 1/10

 【だるシロレクイエム抱き枕】-だるテル次元-


 今日も照さんがうちに来てだらけている。それはいい。

 いや、よくないんだけれど、もう二人のお世話をしていないと禁断症状が出てしまうからそれはいいんだ。

 だが、問題はそこじゃない。

 シロさんの様子がおかしい。

 家に来たと思ったら周囲を見渡し、いきなり片付けを始めた。

 俺と照さんがポカーンとしているうちにシロさんらしからぬ手際で部屋が片付いていく。


 「あ、あの、シロさん?」

 「京。洗濯物がちゃんと畳まれていない」

 「え、ええぇぇ!?」

 「シワになっちゃうからアイロン貸して……。

  色物と白いシャツは区別して……。

  それから……」

 「ちょっ、ちょっとシロさん!?」

 「白望がこわれた……」


 照さんも圧倒されてないでください!?

 確かに、これは天地が入れ替わったとしか思えない出来事だ。

 中身が別の人になっているんじゃないか?


 「……宮永照?」

 「し、白望?」

 「大体わかった。

  照、その格好で寝そべるのはだらしない」

 「白望!?」

 「シロさんが言うのかそれ!?」


 おう。

 ちょっと待て。

 ここにキャラクターとしての記号があるじゃろ?

 そこにシロさんがいるじゃろ?

 そうなれば『だるい……』と言いながらゴロゴロしたり俺におぶさって来るわけだ。

 それが俺たちにとってのシロさんだ。

 しかし、こんなにキビキビと働いているシロさんはシロさんと言えるだろうか?

 これは果てしなく哲学的な問題である。

 哲学者を目指しているという高鴨穏乃さん(インハイで知り合った友人である)に是非聞いてみたい。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:07:25.16 ID:/f8etpB+o<>
 2/10


 「京ちゃん京ちゃん。

  白望がこわれた」

 「俺も壊れそうですよ。

  何か悪いものでも食べましたか?」

 「昨日は私の作ってきたお弁当を食べた……。

  わたしのせい?」

 「いえ、それなら俺もおかしくなっているはずです」

 「例えば?」

 「照さんにお菓子をあげなくなります」

 「それはダメ」


 混乱の極みにある状態で照さんと話しても何の改善もしない。

 シロさんはこちらを一瞥するがあまり気にせず掃除に戻った。


 「っていうか、俺たちめっちゃ失礼なこと言ってますよね……」

 「た、たしかに……」


 シロさんをチラッと見るが、別に怒っていないようだ。

 さすがに少し控えた方がいいかもしれない。

 ……でもシロさんが積極的に家事をこなしているんだ。

 確かに、照さんが言うにはシロさんはなんでもそつなくこなせるらしい。

 しかし、そつなくこなせるがやろうとはしない。いわゆる本当の意味での『やればできる子』なのだ。

 もっとも、俺の前ではそういう面を見せてくれることはないんだけれども……。


 「……何?」

 「いや、あの、失礼なこと言っちゃってすみません」

 「……別にいい。

  そう思われているのは知ってる」

 「うぐっ」


 ものすごく胸が痛い。

 俺たちはシロさんに勝手なレッテル貼りをしてしまっていたのではないか?

 実は色々できるのに、たまにやってくれるだけでこの反応だ。

 そうだ。子供は褒めて伸ばすべきだ。

 おかしくなったなんて失礼なことを言ってはいけない。


 「照さん、俺たちはひどいレッテル貼りをしていたみたいです……っ!」

 「?」


 しかし照さんはポケーッとしている。

 くそっ、俺が罪悪感に満ち溢れている時に!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:07:54.28 ID:/f8etpB+o<>
 3/10


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./.:.  '"   |i:.:.リ.:.:.:ハ ´""  ′        __/::}.:.:.:.:.:|:.:.|
´      |i:/.:.:.:.:.:::::::.             /:::::i|::/.:.:.:.:.i|.:.:|    「普段の白望がだるがりなのは変わらない」
        /.:.:.:.:.:.:.:.:.:込、    ´ '      イ:::::::リ/.:.:.:.:.:八:i|
      i:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:|:::::::.....       /|::::::/.:.:.:./  :リ
      |.:.:.:.:.:.ト.:.:.:.:.|:::::::::::::>.、_     |:::::/.:.:./   ′
       八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く}        ト/.:/
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               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人      「それもそうっすね」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|
    {///////}////////////////∨'//////////////|//|
      |///////|///====//////l///////////////|//|
    {///////|/////////////////l///////////////|//|
      |///////|/////////////////l///////////////|//}


 うん、何も間違っていなかったわ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:08:23.72 ID:/f8etpB+o<>
 4/10


 ……
 …

 京と照が混乱しているのがよくわかる。

 塞辺りが私を見たら同じような反応をするだろう。

 でも、まだ教えてあげない。


 『今日1日入れ替わろう』


 迷い家で交わしたそんな冗談。

 あれは夢だったのかどうかすら定かではない。

 しかし、こうして自分の知っている京とは違う部分を見られるのはなんだか楽しい。

 だからこうしていつもより頑張って家事をしてみる。

 するとやっぱり二人は目を見開かせてこちらを見る。

 ……楽しい。


 「あの、シロさん。

  俺たち何か悪いことをしましたか?」

 「しろみ、しろみ。

  京ちゃん分けてあげるからゆるして」

 「ほら!

  照さんが平仮名を喋り始めましたよ!?」


 ……そんなの文字じゃないとわからないのに、何を言ってるんだろう。

 でも、京を分けてもらえるのは魅力的だ。

 私は素直に甘えられない。

 いつもは京が犬のようにすり寄ってくるから気にしない。

 でも、たまには甘えたくなる時もある。

 そんな理由で入れ替わってみたのだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:08:53.61 ID:/f8etpB+o<>
 5/10


 ……
 …


     /        /      ,                        \
    /      /       /|       |        ',      ',      ヽ
  γ/     /        /  .!        | \ヽ\   ',        ,      ヽ
  ./_    __/ /    /   _ !        | _  ヽヽ ヽ  ,         '      、 \
      ̄   〃    /〜 ´`´ ',      |´`  ヽ〜 、 .!     ! ',\    ヽ\、
      / !/ {  〃          !     !    ヾ  ヽ|      |ヽ   ヽ、   }
       /  , ./ ! _ ≧==== ヽ! \  _|=====≦   ||l   | | |    ヽ, /
    ./      、{ ! ̄{::::o::::::}          {:::::o::::::::} ミ、| l    ' 〃      ',
   /     〃  |  弋::::::::ノ        弋::::::::::::ノ  〃 |  /  \       '
        //   .!                     /  ムイ    \    |
   !,'!   /, '     .|   ' '     '       ' '           ヽ      、ヾ |
   |!%  /,'  ,'    |                        {   、     ', ,/
    % |!'  !   '                       / .|       !
          l   ヽ       ,-‐-‐--,             ノ   ヽ    |
         ,!    ヽ       ̄ ̄          ィ--    |  ヾ  | |     「こっちの京はお世話してくれる」
          丶  {   |  、             イ  /l    '  | | / '
           \!  !  !     _   < |/! /   !   イ  / }/ /
               ヾ _|  |           ! V   ムイ
         ._        ヘ--!    ----―‐、
       /  <三三ニ>'" ', !  /|      ヽ--==ニ> ̄ ̄`ヽ
     /   /三三>'"    V /  |      /三三三"      ヽ


                    _,,.. -=Z__
                . -‐=二..,,_ '"´⌒``ヽ、
         . -‐=く             `ヽ、
        /                  `ヽ、    `ヽ、
.      , ´   '~ア   ,      \     `ヽ、    `ヽ、
     , ´ / /    :|      ヽ、     `、    ー-ミ
     ,′ イ  :|    :|\      `ヽ、  `、 `ヽ、 {
    {/ ;ノ|  . :|   :,  j|  `ヽ、     `、   `、  \;
     {/:ノ  ;八  { 八( ̄ ̄\    〈\} }\`,    `、
.     {: .;ノ|:┼‐ \ \_Z斗≠=ミ\ヽ、! } } :}j    ;
.      乂l 人」斗=ミ\Ζ 乂_,ノ  }ハノ `,丿      \j
      人 ハ}乂丿               |  \ `;(\ノ
       \ハ   ,                 ノ   `:, }ミ、
.           }                厂`、   :}}  ;ハ
         ∧             . : ! ;   从 ;八j      「……」
          / /\   '⌒      . : . : . j j ;,:仏イ
.        / / : : ;ヽ、      _...:::ア . :/|人ノ
.         {ー|: :/{: : : : :Tニニア¨}:/___/ /⌒\
.         人:{  \_(\_厶ミ{∧    ,:    \__
                _//{ ∨⌒;〉 . ´       /⌒\
               ,:´:| ,′〉に)/ ∨      / .   \
               _/ :丿 j/ ∧ \/        ,: . . .     ‘,
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 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:09:22.35 ID:/f8etpB+o<>
 6/10


 普段の私なら『こちらの私』のように生きるのが正しいんだろう。

 小瀬川白望はダルいダルいと言いながらちゃっかり生きていくはずだった。

 そのはずが、こんな乙女な思考を持ってしまったのだ。

 全部全部、京が悪い。


 だいたいなんだ。

 こちらの京は私と宮永照のどちらかを選んでいないのか。

 なんというヘタレだ。男としてどうなんだろう。

 一人を選べない男を好きになる女の子なんているはずない。

 いるはずないけれど、嫌いになれない。

 これが惚れた弱みなんだろうか。


 「えーい、なんだかむず痒い!

  シロさん! 今日は俺がお世話しますから座っててください!」

 「京ちゃん。私も」

 「照さんは後でお菓子あげるんでちょっと待っててください」



       -─===‐-ミ
   ´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: \
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :ト、: .: .: .: .:`、
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.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:|   -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/  |.: .:八ノ    ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/  ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: |   三 | :::::|  .'.:.::|
.:{    '└─┘    ̄ └‐┘ l.: .:|
人_    u              j.: .:|       「!?」
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_  \|     |/ ハ
  / ヽ >   |    ノ / ∧


 宮永照のあんな顔、初めて見た。

 私たちからすれば天上の存在だった宮永照も乙女ということか。

 でも、これはチャンスかもしれない。

 今日の私は京に甘えにきた。

 いつもの私じゃ甘えられないから、わざわざこんな手間をかけた。

 それをあちらから提案してくれているわけだ。


 「……」

 「あの、シロさん?」


 京が困っている。

 このまま困った顔を見ているのも悪くないが、それは意地悪すぎるかな。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:09:51.34 ID:/f8etpB+o<>
 7/10


            --   >   ̄   ` 、  __
         /     ム __      `/    ヽ  _
        ム      >   | '' <  ,'  お  ,´ -- `
         >   ´  ..-||  ̄T  ニ二 !  .ん   |   ヽ
      /     Y:::。::|| i | -―― |   ぶ   | \
      ,         乂:::::||/ =-    /   し  |   ヽ
.      /          〃/      ̄!  て  |
     /      `      /  -‐ ''"/  ',   :  | ヽ
     l  !}            i/    ∧.  :  /  l
    ',           __  〃|    / 、___/ }  |     「……わかった」
   / 、        Y:::。::|| //!   イ   /   ,'  !
 ̄ \   \        乂:::::|| 〃 イ/    '    /   、
\  \_ \          ||// /  /   /  ヽ
  \ ´   ヽ>x        /   ./!    / /ヽ 、
  /         \ ヽ  ー、 /    /     / /  ヾ  、
  /           ヽ / ー‐/ 〃  / /   ' .{/ヽ   } } !ヽ
. /            |!〃  !‖  / 从   | |!  l  j  リ }


 今日は思い切り甘えてみよう。

 京と出会う前の『小瀬川白望』に戻ろう。


     /: : : /.: :/: : ::j: :| ト :|.     |: : : :|: :|   _i: :∧: :|i: :
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       |: : / 乂|:∧:::| 、::::≧=   ___   <---


 宮永照には悪いが、今日はそういう日だ。

 後日、ちゃんと『こっちの私』と決着をつけてもらうとしよう。


 「えっと、おんぶすればいいですか?」

 「……えっ」

 「今言ってたじゃないですか」

 「……言葉の綾」

 「いつもは色んなところに運ばせるのに!?」


 なんということだ。

 『こっちの私』は結構大胆らしい。

 でも、今日は甘える日だ。


 「わかった。それでいい」

 「……?

  わかったよ」


 ちょっと不審がられたかもしれない。

 でも、付き合ってもいない女の子をおんぶするなんて京はたらし。

 そういうのは良くないと思う。

 でも、嫌いじゃない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:10:20.85 ID:/f8etpB+o<>
 8/10


 ……
 …

 「ベッドでいいの?」

 「うん」

 「他に何かして欲しいことはある?」

 「……」

 「いつもなら何となくわかるけれど、今日のシロさんは何だかわからなくて」

 「そう」


 いつもの私ならわかるのだろうか。

 それはちょっと嬉しい。


 「じゃあ、耳かき」

 「えっ、前にしたばかりだよ?」

 「……それでも」

 「わかった!」


 何ということだ。

 『こっちの私』は耳掻きをさせていたのか。

 今からさせようという私が言えることではないか……。


 「気持ちいいかー?」

 「……うん。悪くない」

 「今日のシロさんは頑張ったから、俺も頑張ってお世話するぞー!」

 「……京は、私のお世話をしていて楽しい?」

 「前にも言ったけれど、シロさんと照さんのお世話をするのは生き甲斐だよ」


 それはそれでどうなんだろうか。

 ついでに、人の耳掻きをしている最中に他の女の名前を出すのも許せない。


 「アイタタタタ。

  耳引っ張らないで」

 「お仕置き」

 「なんでぇ……?」


 情けない声を出さない。

 男の子でしょ。


 「今日は」

 「?」

 「甘える、から」

 「なんだー。いつものことでしょ」


 いつものことなのか。それはそうか。

 うん、今日は思いっきり甘えよう。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:10:50.34 ID:/f8etpB+o<>
 9/10


                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
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     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Yィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /     「なんたって、俺はシロさんのお世話がかりだぜっ」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
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                                     <
     //      ´   !       丶、        \      \
    / /    /     !  ',    ヽ  ヽ           \      \
  /        ,'    l  ',       \  ヽ、      ヽ       \
  '        ,'       !',,  ',       ` 、、 ヽ      ヽ       ヽ
  {l ,'      l      . l   ヽヽ       ヽヽ ヽ               \
   /  ,'    l      |  \  \ヽ"'' - ,,   ヽ〜\     ヽ
          ! |    !|   \   < 〜 "' 、 ',  ! ヽ     ,   \     ヽ
  ,' /!      .∧  __  〜ー  ヽ    <   ,,x≦ }ヾy、',   /            }
  ,'  l ,'!   l !l 、〜  ',丶--    `   ̄彡ヤ"::o:::::}  }/ }/i /   \   ヽ ,'
  { ,'  !|   |! ∧ヾ __ ≦ ===ミ        弋:::::::::ノ      ./、     ヽ   |/
  、 . ! |   | | ∧ .|l ヤ:::::o::::}          ¨       ! }  \    ',
         、| |.∧ 、 廴::::::ソ                | /    ヽ   ,
          | 、∧           ,           |'   ヽ   ヽ  /
     |  |    ヽ ',   ///       ///    /   ',ヽヽ  }     「ーーわかった」
     |    ',    ∧                      ,' } ヽ! /
       / \ヽ    、           ,-_‐、       イ ヽ! //
      ', ! ', 、ー    >               |
       丶 丶、  \     >        イ  .!__
              ̄      -|  `  ‐      | 八
                  / ヽ!         /   ヽ
                 /    \      イ      |::::<..
             ,, - ''"|       ` ヽ  / 、         l:::::::::::::::::::...<


 ーーさあ、何をしてもらおうか?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/05(水) 22:11:19.57 ID:/f8etpB+o<>
 10/10


 ……
 …

 ・京白次元


          〃-‐‐-----‐'/´
       ,, - ''       ー '、 
       ´             ヽ\
      /   /    |    |  ヽ \
    /   ,/     /|   l    _<
   ィ    /  十/┤  十ト l  ハ   ヽ
     ̄|   {   示芸 \ |示芸!   }   〃    ギュッ
      j   Y\|廴 リ    廴リ,!リ ノ 
     /    廴 ///   /// | }
      {/ヽ|\、, > ___ _-__,  イN/    「京。じっとしてて……」
           /  〉 | 〉、 "
         /`ヽ::ヽ〈 V/l::ハ
        ,'   |:::::ヽ「」/::::::ヽ,
        l    !:::::〈/ヽ〉:::::::::}
        └t-ィ:::::::::::::ヽ:::::::::イ


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
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          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Y { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ      「ウッヒョォォォォーーーッ!
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/         なんだか知らないけど白姉がデレてるッ!」
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、
                     ///// |   /////////////////> 、
               /////// { //////////////////////}
             //////////∨///////////////////////|


 ーーこっちはそれなりに相性がいいらしい。


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/05(水) 22:11:48.35 ID:/f8etpB+o<>  投下終了 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/05(水) 23:08:10.08 ID:I844UhhAO<> はぁ…シロさんかわゅ… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/06(木) 00:21:44.20 ID:qN6KciIx0<> 乙です
シロさんを抱き枕にして一緒にお昼寝したい…! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/06(木) 01:19:29.75 ID:1TRiC+Wb0<> 乙です
宥ねぇを抱き枕にしてこたつに入りたい(冬限定) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/06(木) 22:00:41.81 ID:GtRxgzhUo<> ちょっとこれは読み直さないとな、お疲れ様です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/06(木) 23:00:37.45 ID:YpDTJVtEo<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/06(木) 23:16:15.41 ID:mhyv4cJq0<> 宮永姉妹がクォーターという重大な情報がさらっと判明したんだけど <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 02:39:18.53 ID:a1uFHiyz0<> 判明しても別に二人のおもちが大きくなる訳でも無いし <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 03:13:59.61 ID:/ZnJqn0Ko<> おもちがクォーターだろ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 07:26:57.88 ID:mHAa1H7R0<> うわ、誰だこんなとこにミンチ捨てたの

きたねぇな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 14:52:01.74 ID:rywv2iBtO<> おもちはクォーターもないだろ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 19:51:33.60 ID:ixR5yqcIO<> 咲さんのおもちがクォーター
……咲さんのおもちは本来の1/4しか表に現れてなかった? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 20:13:24.27 ID:gC9KdB18O<> まあ、京ちゃんと咲ちゃんがいつも盛ってる事実は変わらないよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/07(金) 20:22:58.95 ID:59anNxdDO<> 一応名前とハーフってことは分かったし、これでおかんに出番が来る可能性が微レ存? <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 22:59:29.02 ID:vI7KhSS7o<>
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 【新事実判明!】-みやながけ次元-


 かわいいかわいい須賀咲ちゃんです!

 このスレの名前を言ってみろぉ! 京咲スレです!

 最近同人界隈でも京咲が出ていて大満足な須賀咲ちゃんです!

 そんな咲ちゃんに新事実判明!


 「京ちゃん、クォーターだよ、クォーター!」

 「?」

 「もー! 京ちゃんったらおバカなんだから」

 「えっ、なに言ってんの」

 「クォーターって言ったら、アレでしょ?」

 「クォーターパウンダーチーズ?

  あれ、美味しいよな」

 「そうそう咲ちゃんも美味しく……って違うでしょ!

  ほら、もっと人間に当てはめて!」

 「ドラゴンクォーター?」

 「空を見に行く……じゃないよ!

  もー! わざとやってるの?」


 京ちゃんの胸ぐらを掴んでゆらゆらしているのに暖簾に腕押し。

 あまり興味がないみたい。


 「自分のお嫁さんがクォーターなんだよ?」

 「ああ、咲がクォーターってことね」

 「さっきから言ってたじゃん!

  誰かさんがクォーターパウンダーチーズとかワンコインの神ゲーとか言っててさ!」

 「わりーわりー」


 全く反省してる素振りが見えないよ!

 ほら、早く咲ちゃんかわいいして!


 「つまり、咲は海外の血が混ざっていると」

 「そーだよ!

  男の子にとってそーいうのってかわいいポイントなんじゃないの?」

 「えー……?

  でも咲だしなァ」

 「なにそのずさんな対応!」

 「本ばっかり読んでる日本の文学少女がクォーターって言われても……」


 うぐぐっ。言い返せない!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 22:59:58.96 ID:vI7KhSS7o<>
 2/10


 「ほら、実は伏線が張られてるんだよ!」

 「えっ?」

 「それではここで咲ちゃんクイズです!

  宮永咲ちゃんは……」

 「須賀咲だろ」

 「えへへ……。そうでした!

  じゃない! 誤魔化されないよ!

  咲ちゃんは誰もが認める文学少女ですが、その中でも特に好んで読む分野はなんでしょう!?

  制限時間は10秒です!

  10、9、8、7、4、3、……」

 「海外ミステリーだろ。

  何年付き合ってると思ってるんだ」

 「えへへ……。

  そーだよね長い付き合いだもんね!

  ってネタ潰しするのやめてよっ!」

 「それで?」


              ,. . ―――. .、
             ,. :´ : : : : : : : : : : \
            /: :,: : :,: : :|: : :、 : 、: :、:ヽ
          .': /: /: : /: :/|: : : |: : ∨:',: :.
         /:.ィ: : ': _,/ィ:/{:{: : : }、:_|:|: :|: :|
         /' |: : {: /从:{ 从 : / }:/ |: : : :{
            {: :/从 ○   }/ ○ }イ|: 从
           W乂{ ""      "" ム':/
              人 u r‐ - ‐v  人}'    「『海外』ミステリー好きということでひとつ……」
              >`二二´<
            /::::::::::{   r/:::::::::\
             ∧::、:::::::::、__/::::::::::::::∧
          /| \\::::::、/::::::// |
            /_|  l{:.\\:Y:::/:イl/  |
          ̄ |  |\:.:.:ー∧':.:./   |
            |  |   ̄`二イ   |   |
            |  |  /:.:.:./    |   |
            |  | /:.:.イ:/    {  |


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /    「無理があるだろ……」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:01:13.36 ID:vI7KhSS7o<>
 3/10


 「もー!

  京ちゃんは可愛いお嫁さんにクォーター属性がついて嬉しくないの!?」

 「別に、咲は咲だろ。

  そんなの気にしないよ」

 「うへへへへへ……!

  ……はっ! それじゃダメだよ! 嬉しいけどダメなの!」

 「嬉しいならそれでいいだろ……」

 「ほら、名前とかに絡めてさ!」

 「いやまぁ、それ言い出したら俺の名前なんて散々ネタになってるけど日本の中心だぞ」

 「なんか巫女さんに拉致される気がするからその話題はダメっ!」

 「どうしろと……」


 もー! 京ちゃんは相変わらず女心がわかってないんだから!

 そこはおとなしくクォーター咲ちゃんかわいいしておけばいいの!

 ほら、早くぎゅっとして頭を撫でるの!


               ̄ ̄ ̄
         ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
      : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧
     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .,
.    /: : : : :〔 :/ !: : | : : :ト、: : : : | : : : : | : :i: : : ′
    ′: : : : ∨  | : i| : : :| ´ ̄ :}: : i| : }i: :|: : : : :.
   .:: : |: : : : :〔´⌒ヽ八: : :|  ∨リ : : |: :八_|: : : : : .
.   /:: : :|: : : : i{   __   \{ ,イ庁不、〕/   }: : : : : :.
  /__! ト、: : {ィ芹示、     乂:ソ  ′ 人: : : : : :
     八| \{  乂ソ          ,r: :´: :|: : : : : ::    「話は聞かせてもらった」
       /: : ∧    `         /: : i: : :|: : : : : :i
       .′::/: : .       _     _: : : :|: : j : :! : : l|
      .: : :/: : :个    `    イ〔_: : リ: /|: : |: : ::リ
     : : : :l/ i|: :! : : :≧. . .-r ´    ヽ\/: !: :ノ,イ:/
.    / : | /  {: : ∧: : :ト、=´〕      /  =‐- .,_ '
      〔′  ヽ〔 _,. -‐ ' |     /    γ⌒ヽ
           ∧      :|__,. イ     /
             / 丶     :|   /'      /    i



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   /: : : : : : : : : |: : : |ヽ:斗====ミ|.八: : : |  斗====ミ、 X: i|: : : : : :i
.  / : : : :__|: : :i|: : : |〃 ,イ斧心 ′ \: |    笊i心.  ヾ | : リ: : : : : :|
  ´ ̄ ̄   il : :八: : :|″ ._)::::::hi}    ヽ   ._)::::::h}   |: /: : :/ : : |
       |i: : : |r\|   乂___ツ         乂___ツ  . |/: : :/: : : :j
       |i : : :|l`ハ  `ー       ,      ─‐ :' /: : ,イ: : :|: ,
       |i ,: :∧    """"               """"  厶イ'/:|i /|/   「来ると思ったよ!」
       l/|: : :人__                     ,__/: ル' '′
         { |: 八: : 从        ー─         /: : /'′
        |/  \: : \    /´        ヽ     ,イ: /
        '     \ ト、: ,   _,   ─   ノ   , : : /
                 ヽ \:>         _ <: /
                     ヽ: : 〕   ─   〔: :/l: /
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:01:42.72 ID:vI7KhSS7o<>
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 そうだよね。

 私がクォーターということはお姉ちゃんも同じだもんね!


 「これはつまり私と京ちゃんは結ばれる運命。QED」

 「途中計算式全部吹っ飛ばしたね!?」

 「とりあえず京ちゃんお菓子」

 「はいはい。

  まぁ照さんは咲よりクォーターっぽい面影がありますよね」

 「やっぱり私がナンバー1。

  ふんす」

 「ム……」

 「それにすれ違う描写では明確に胸の大きさの差を強調していた。

  これはつまり私の方が胸が大きいのは確定的に明らか」

 「京ちゃん! 騙されちゃダメだよっ!

  あれくらいならPADで騙せるんだからねっ!

  服の上から胸のサイズなんてわからないんだから!」

 「そんな咲はシャワーシーンで絶壁なのが確定している。

  つまりどうあっても私の方が上」

 「ムー!

  Aカップは希少なんだもん!」

 「はいはい。

  喧嘩しないでください……」


 なにさなにさー!

 京ちゃんは私よりお姉ちゃんに甘いんだから!

 お嫁さんがいじめられているんだから助けてくれてもいいでしょー!


 「というわけで京ちゃんと熱い一夜を……」

 「……ふふっ、お姉ちゃん。

  お姉ちゃんはクォーター設定で失われたものがあるんだよ?」

 「咲の胸は失いようがないね」

 「今その話題は関係ないでしょ!?」

 「そんなものはない。

  私と京ちゃんは限界チャレンジで結ばれている。これは公式」

 「……でもね、お姉ちゃん」

 「?」


 お姉ちゃんはとっても大事なことを忘れている。

 そう、お姉ちゃんのアイデンティティに関わる話だ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:02:12.50 ID:vI7KhSS7o<>
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  / イ|:l': : : :{: | ,ィチ雫ミ  \_:、 ィチ雫ミ: |: }: :| : |
     l'|: : : :∧{{ _)::刈      _):刈 V|/: /: : |
     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |
     |: :∧:乂l}         ,         /イ ノ/}/    「クォーターの天照大神って意味わからないよ?」
      l/ \叭                 ムイ://
           ゝ     ´`      イ}: /}'
            \>       </|/
            从 :|  `´  |: :/
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:02:41.41 ID:vI7KhSS7o<>
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 「お姉ちゃんは自ら繋がりを捨ててしまったんだよ」

 「そ、そんなことはない」

 「というか、二人とも血筋なんだなぁ。

  よく似てるよ」

 「私に妹はいない」

 「私にお姉ちゃんはいないもん!」

 「まぁまぁ、喧嘩しない喧嘩しない……」


 ふーんだ。おねーちゃんなんて知らないもん。

 京ちゃんだって知らないもーん。


 「ほら、そんな脹れるなって」

 「ふにゅっ。

  ほっぺたつつくなぁ」

 「京ちゃん京ちゃん。私にも」

 「照さんはまた今度です。

  ちょっとお嫁さんをかまいますね」

 「わかった」


 あれ? お姉ちゃんがやけにあっさり引き下がった。

 いつもならやってもらうまでじーっと京ちゃんの前で待ってるのに。

 それに、なんだかんだでお姉ちゃんより私を優先してくれたことが嬉しい。

 まー、当たり前だよね! お嫁さんだもん!


 「私は子供達を見ておくから」

 「照さん、お願いします」

 「えっ?」


 お姉ちゃんがふらふらと手を振りながら去っていく。

 そこまでしてくれるとは思わなかった。

 これは久しぶりの夫婦水入らずなのかな?

 えへへ、京ちゃんに甘えてもいいよね。


 「もー、京ちゃんはもっと反応してくれてもいいのに」

 「だってなァ。

  クォーターってもっとこう、ボンキュッボンのイメージがあるから……イデデデデ」

 「そんなことを言う口はこれか! これか!」


 もー! 甘やかしてくれるんじゃないの!?

 なんで茶化しモードに入ってるのさ!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:03:10.55 ID:vI7KhSS7o<>
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 「意外っちゃ意外だよ」

 「でしょ」

 「まー、正直咲の家族関係ってほとんど知らなかったしな」

 「高校の時に初めて言ったんだっけ」

 「おう。初めて聞いたよ。

  それがなくても咲は咲だし、その、一緒にいるのが当たり前みたいに思ってたから」


 ?

 ……!?

 これはデレてるのかな!?

 あっ、京ちゃんが顔を逸らして頭を掻いてる!

 これは照れてるサインだ!


 「えへへー」

 「なんだ急に」


 なんだか嬉しくなって頭を胸板にこすりつけてみる。

 最近、こんな風に恋人っぽい甘え方してなかったんだもん。


 「私もその辺りの家庭環境、聞かないでいてくれた京ちゃんが嬉しかった」

 「そっか」

 「麻雀部に入った時、お年玉取られたこと教えたでしょ」

  その時、京ちゃんなんて言ったか覚えてる?」

 「……なんだっけ?」

 「もー!

  『くだらねーこと』って言ったんだよ」

 「……あ、ああ。そーだったな」

 「あれ、すっごく怒ったんだからね」

 「そりゃすまなかった」

 「でも、さ。

  そーいう環境を聞いても同じ立ち位置で茶化してくれたことが嬉しかったんだ」

 「……そっか」

 「父子家庭とか、普通の人だったらちょっと距離を置かれちゃうし」

 「そっかぁ?」

 「そーだよ。

  こっちが気にしなくても、あっちが気を遣ってくれるの」

 「(咲にそこまでの話をする友達いたっけか?)」

 「和ちゃんとか優希ちゃんだよ!」

 「えっ、声出てた!?」

 「顔を見ればわかりますー!」


 お嫁さんだもん。

 京ちゃんの顔を見れば失礼なことを考えてたってことくらいわかるよっ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:03:39.61 ID:vI7KhSS7o<>
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 「咲も照さんも麻雀つえーわけだよ」

 「そうかな」

 「そーだよ!

  麻雀プロと小さい頃から打ってたんだろ。

  すげーよな!」

 「私は実感ないなぁ」


 受け入れられるようになったとはいえ、あれは私の中でのトラウマだ。

 すべてを肯定的に捉えられるようになるまでにはもっと時間がかかりそうだ。


 「英才教育ってやつ?」

 「今思えばそーなのかもね。

  お姉ちゃんはプロになったし」

 「それじゃ、咲をプロにさせなかった俺は実は恨まれてたのかな。

  結婚するって言った時とか、内心怒ってたり」

 「それはないんじゃないかな」


 京ちゃんには言わないけれど、お母さんは私に対しての興味を失っていた気がする。

 それこそプラマイゼロを始めて、お姉ちゃんを連れて東京に行った時には……。

 この辺りに言及するとちょっと胸が痛くなるから忘れよう。


 「……あー、それはそれとしてな」

 「うん?」


 なんとなく察してくれたのか、雰囲気を変えてくれた。

 京ちゃんのそういうコミュ力、本当にすごいと思う。

 そんなところが好きなんだよ。えっへん。

 本人には言えないけど……。


 「界さんはお義母さんと結婚したわけだろ?」

 「まぁ、私たちが生まれているわけだし」

 「それはハーフと結婚したってわけじゃん!

  くー、羨ましいー!」

 「ム……」


 脇腹を突く。

 でも、あまり強くはしない。

 京ちゃんが話題を変えようと道化を演じてくれているのはわかっているからだ。

 それはそれとして嫉妬してしまうのは仕方ない。

 でも、あのお母さんだしなぁ。


 「……それとは別に、すごく気になることがあってさ」


 今更何を言い淀んでるんだろう?

 意を決したのか、京ちゃんは呟いた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:04:09.86 ID:vI7KhSS7o<>
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            /  、 八 U   _ _   人
               }イ/|\        /      「界さんはハーフの麻雀プロとどーやって知り合ったんだ?」
              「<l|  `  .__/_
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          个 . ー― ‐'   个从{     「そ、そういえば……」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/07(金) 23:04:39.80 ID:vI7KhSS7o<>
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    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!
.          | ヽ        ィイ:::::|      「点棒も精も搾り取られてな……」
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
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           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/07(金) 23:05:15.90 ID:vI7KhSS7o<>  みやながけ次元崩壊の危機かと思った
 母親の名前は宮永アイさんでいいのかアレ? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 23:19:41.62 ID:dXJ+OMCyo<> ほんの一時期だけプロだったドイツ人雀士と結婚する界さんの謎よ
少し上の世代はきちんと結婚できてるのになんでアラフォーは… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 23:20:16.83 ID:dXJ+OMCyo<> ドイツ人じゃなくてハーフだったなスマン <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 23:35:00.87 ID:6eci8sMZ0<> 乙です
咲ちゃんはAカップじゃなくてAAAだと思うの <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 23:55:59.67 ID:t8k4IBb8o<> 点棒が隠語にしか思えん… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/07(金) 23:57:34.84 ID:uIhiezIoo<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/08(土) 00:44:24.29 ID:axQsHjJa0<> 乙!
今後の展開によってはみやながけ次元Rebootの恐れもありそうww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/08(土) 01:02:08.42 ID:IhLr2wIA0<> 乙です
照と咲は大魔王モードを超えればおもちが4倍(or+4カップ)になるんかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/09(日) 20:20:40.41 ID:BQwqBcYDO<> ゼロにはいくつかけてもゼロやで(無慈悲) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/09(日) 21:41:10.89 ID:R/UrDTcLO<> クォーターだったとしてもおもちはクレーターだよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/09(日) 22:47:14.81 ID:aMmX8gSg0<> (おもちの大きさが平均の)クォーター姉妹か… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/10(月) 09:17:40.99 ID:Ral2A8JDO<> そういえば最近ネキとセーラ見てないなーと過去スレ見ながら。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/10(月) 16:33:35.73 ID:wglfN94m0<> え? マジでお母さんハーフなのか? 京太郎は金髪云々でハーフだったりクォーターだったりにさせられてるけど
そこからエイちゃんと親戚とかよくある2次設定とか <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:14:20.78 ID:xHTfa5k5o<>
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 【清澄カルテットとっても好き】-単発次元-


 最近、誤解が広がっている。

 主に『京ちゃんが私の面倒を見ている』という話だ。

 全く以て納得できない。誠に遺憾である。


 「そこのところの修正を求めるよ!」

 「そんなことを言いに来たのか」


 麻雀部の部室でビシッと京ちゃんを指差す。

 そんな反応をしても今日は負けません!

 隣にいる和ちゃんと優希ちゃんがポカーンとしているけど気にしない!


 「でもなぁ。

  咲ちゃんだし」

 「そうですね。

  咲さんですし」

 「優希ちゃんならともかく和ちゃんまで!?」

 「最近、迷子になった貴女を探しているのは誰だと思っているんですか」

 「う、うぐっ、言い返せない」

 「そーなんだよなー。

  最近は和が探してくれるから楽で楽で」

 「やはり前からこうだったんですか?」

 「おー、そうだよ。

  全く咲はあの時とか……」

 「わーわー!

  その話はなし! だめー!」


 開口一番、みんなに否定されてしまいました。

 ちょ、ちょっと迷子になるくらい別におかしくないよ!

 わかりにくい建物の構造が悪いんだよ!

 私は悪くないもん!


 「そういう普段の咲ちゃんを見ていれば、中学時代もなんとなく想像出来るじぇ」

 「失礼だよっ。

  そんなことないもん」

 「そこに須賀君がいるわけですし、実際に聞いたほうが早いのでは?」

 「それはダメッ。

  そんなことしたら京ちゃん有利に話すでしょ!」

 「失礼な。事実しか話さねーよ」


 嘘だ。どーせ私が悪者みたいに喋るんだ。

 もうこーやってからかわれるのは今日が最後だよっ。京ちゃん覚悟!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:14:50.62 ID:xHTfa5k5o<>
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 「まず、私が京ちゃん依存症じゃないことを確認するよ」

 「お、おう」

 「最近は迷子になっても和ちゃんが来てくれるから違うよっ」

 「その発言は何の解決にもなってないのでは」

 「私依存症になってるだけじゃないですか」

 「いつか和ちゃんにiPS棒生やされちゃうじぇ」

 「そんなことしませんから!?」

 「そ、それは置いておいて!

  そもそも中学時代から京ちゃんが私に依存してたんだよ!」

 「えー、俺がー?」

 「何だか意外です」

 「ほほぅ。

  それは京太郎を弄るネタが出来そうだな!」

 「アレェー!?

  一転して味方が消えたっ」

 「ふふん」


 そうだ。

 京ちゃんが私のあんなことやこんなことを知っているように、私も京ちゃんの痴態を知っているのだ!

 これで状況は五分だよ!

 それどころか、普段から私の……その、ちょっぴりドジなところを見ている二人は京ちゃんの話に興味津々。

 特に悪友の優希ちゃんは気になるみたい。

 これは私有利と言ってもいいんじゃないかな!?


 「まず、みんなも知っての通り京ちゃんはお昼ご飯を私と一緒に食べます!」

 「そういえばよく一緒に食べていますね」

 「レディースランチが好きなんだっけか?

  京太郎のくせに生意気だじぇ」

 「うるせー。

  なんで男はレディースランチを頼めないんだ。男女差別だ」

 「そう!

  京ちゃんは私がいないとレディースランチを頼めないんだよ!

  これは一つの理由に当たるよ!」


 どやっ。

 綻び一つない完璧な理論!

 まずは牽制の一発でみんなを味方につけるよ!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:15:19.63 ID:xHTfa5k5o<>
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             / ,..イ , 从,ィ=从{ l / ィ=tミ}イ/ /_   从
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               / 从ム   ,      ム,イ-、/l ,
                  :.            r ' /|/
                 八   __ _     / /     「和ー。レディースランチ頼んでくれー(棒)」
                     、         イ Y
                    \___  イ   |ヽ
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:15:49.17 ID:xHTfa5k5o<>
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 「お、どーしました咲さん。

  咲さんが頼んでくれないから和に頼むだけなんだが」

 「別に頼まないとは言ってないじゃん!」

 「京太郎!

  この優希様が頼んでやろうか!?」

 「持ってくる途中でタコスに代わってそうだから」

 「そうですね……」


 なぜか二人は呆れ顔。

 優希ちゃんは京ちゃんに飛びかかって抗議している。

 なんで私が弄られているのかな!?


 「いや、咲がそんなに嫌がっているとは思わなくてさ(棒)」

 「そうですね。仕方ないですから私が頼みますよ(棒)」

 「嫌だとは言ってないじゃん!

  これはあくまで京ちゃんが私に依存していることの証明で……。

  もー!

  次に行くよっ、次!」

 「(逃げたな……)」

 「(咲さんかわいい)」

 「(京太郎京太郎。横の雌に気をつけるんだじぇ)」


 ま、まだまだネタはあるもん!

 京ちゃんのあんなことやこんなことを知っているんだから!


 「ほら、麻雀部入りたての時の話だよ。

  和ちゃんや優希ちゃんとご飯を食べたいから混ぜてくれって私に頼んでたじゃん!」

 「ほー、そんなことを言ってたのかー。

  優希ちゃんとご飯を食べたかったのかー」

 「優希は入れてなかったけどな」

 「表でろー!」

 「ふむ。須賀君は私とご飯を食べたかったんですか?」

 「あ、いや、その……」


 あ、京ちゃんが恥ずかしがってる!

 これは追撃チャンス!


 「京ちゃんはコミュ力高いって言われているけど、なんだかんだで私に頼ってるんだよね!

  私をダシにして話のタネを作ったりもしてるし。

  ほら、やっぱり私がいないとダメなんだよっ」


 ーー決まったっ!!

 これならみんな納得するはず!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:16:18.23 ID:xHTfa5k5o<>
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       / /  ./  ,ィ          ヽ ヽ_
        / /  ./  //   /!  |l!   .lY'::::::::::)
      ; i  くlハ //,ィ  / .|  リ! j  l }::::::::::l!
      |イl!  ' _`Vメ、 l  / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
      ゝゝ| ;´んィ:!`    =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
      ||  l 弋_丿     'んィ:!.ヽ// ,'   !  } }
      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/
      ||  l     '   、、、 // ./イ  |
      || ::ゝ.    __     // ./. !   |
      ||  | l > ´‐-'   _イ//‖| l  |
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.‖ll! l  |     「次から私に直接言ってくださいね。
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !      一緒にご飯を食べましょう(棒)」
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
.     /  l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、   \  |
   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
.  /  ヽl     l  ! [__] / .l     i/  ヽ|


    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Y              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从    「おー、そーだなー(棒)」
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/
            、__   ´    } イ从/
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:16:47.20 ID:xHTfa5k5o<>
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 「ちょっとどうしてそーなるのかな!?」

 「えっ、だって咲はダシにされるのが嫌だったんだろ?」

 「私としても須賀君やゆーきとご飯を食べるのは何も問題ありません」

 「全く、のどちゃんのグラマラスボディに釣られるとは。

  発情した犬は困るじぇー」

 「うるせー。

  逆に考えろ。

  和が悪くね?」

 「うむ。一理ある」

 「ゆーきまで何言ってるんですか!?」

 「も、もー!

  私の話を聞いてよー!」

 「わかってるよ、咲。

  これからはお前に頼らなくても和を誘うからさ(棒)」

 「そうですね。咲さん抜きでも仲良くできるように頑張ります(棒)」

 「いやー、私がのどちゃんと京太郎の仲を取り持たなきゃいけないなー(棒)」

 「だ、だめだめだめー!!」


 なんでそーなるの!?

 京ちゃんは私に頼りきりじゃないとだめでしょ!


 「咲ちゃん、なんでダメなんだ?」

 「そうですね。

  部員同士の仲が良くなることはとてもいいことですよ」

 「つーか、咲が麻雀部に来る前から知り合ってたんだけどなー」


 うぐ、うぐぐぐぐ。

 で、でもそれは高校に入ってからだもん。


 「それは高校に入ってからでしょ。

  中学時代の京ちゃんがおっぱいを追っかけてた時は違ったじゃん!」

 「うわぁ、京太郎……。

  ドン引きだじぇ」

 「須賀君、さすがにそれは……」

 「咲ィ!

  形勢が悪いからって事実無根なことを言うなよ!?」

 「ホントのことですー!

  ハンドボールの応援に来てたチア部の人の鼻伸ばしてたじゃん!」

 「いつの話だよ!

  時効だ時効!」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:17:16.79 ID:xHTfa5k5o<>
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 「つまりそうしていたのは事実ということですね?」

 「あ、いや、その……」

 「ほら、京ちゃんは私に依存してるんだよっ!」

 「いや、それはそれでおかしいじぇ」


 なんだかたくさん自爆した感じもするけれど、これにて大勝利!

 京ちゃんは私に依存している、QED!


 「そーやってさー。

  私なら何してもだいじょーぶって思ってるでしょ。

  ほらー、合ってるじゃん」

 「いやまぁ、そう思ってるのは否定しないけど」

 「ふーんだ。

  都合の良いときばっかり頼ってきても知らないもーん」

 「えぇ……。そこまで言わなくても」

 「でも、話を聞いていて須賀君も咲さんのことを信頼しているのがわかりましたね」

 「本当だじぇ。

  意外と咲ちゃんがいなかったら探し回るんじゃないかー?」

 「あー、否定できねーや」


 ーー!?

 きょ、京ちゃん。なんでこんな場所でプロポーズしてるの!?

 だ、だめだよそういうのはやっぱりデートの後に綺麗な夜景が見える場所で!


 「ゼッテー迷子になって彷徨ってるだろうし……」

 「ああ、私でも探しますね……」

 「清澄麻雀部全員で探すじぇ」

 「なんで私が悪者になるのー!」


 こんなの絶対おかしいよ!


 「それにしても、須賀君はハンドボールなんてしていたんですね」

 「『サッカーとか野球なんて一般人がやるやつダセーよな!』って言ってマイナー競技に走ったんだよね」

 「お”ま”っ!?

  それ教えるか!?」

 「ほほぅ。

  咲ちゃん、そういう系をもっと話すんだじぇ」


 えー。

 他になんかあったっけ。

 そんなの覚えてないんだけどなー。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:17:45.54 ID:xHTfa5k5o<>
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 「『大人の味ならブラックコーヒーだぜ』って言ってむせてたり」

 「おい!」

 「のどちゃん京太郎を抑えるんだじぇ」

 「こうですか?」

 「へっ、高校生男子を女子高生が抑えられると思って……。

  柔らかいっ!?」

 「ム……。

  他にも!

  『夜の学校に忍び込むぞ!』とか言って私を付き合わせたりとか!」

 「やっぱり発情してるじぇ」

 「……学校」

 「のどちゃん?」

 「『女子の球技を見に行きたいから付き合えよ』ってダシにしたりだとか」

 「わー、京太郎。

  その辺りはやりすぎだじぇ」

 「最後はしてねーから!?

  あれは別のやつに誘われただけだからな!?」


 あれ、思ったら京ちゃんの面白い話いっぱいあるんだよね。

 ふふん。なんだか勝ち誇った気分。


 「殺せ……。

  いっそ殺せ……」

 「犬よ。

  死んだらその腕の感触も味わえなくなるじぇ」

 「俺、生きるよ」

 「やっすいな……。

  咲ちゃん咲ちゃん。

  他にもないのかー?」

 「まだ続けるのか!?」

 「えー、あとは何かあったかなー」


 割と毎日が刺激的だったからたくさんあるんだろうけど、いざ思い出そうとすると難しい。

 うーん、他にもあったっけ。


 「京ちゃんって結構モテてさ」

 「……え”。咲ちゃん、嘘はいけないじぇ」

 「でも、確かにモテそうですよね」

 「ほらなほらな!?

  わかる人にはわかる俺の魅力!」

 「でも、その話から何に繋がるんだ?」


 えー、あとこれくらいしか話がないんだけど。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:18:14.91 ID:xHTfa5k5o<>
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     l'|: : : :∧{{ _)::刈      _):刈 V|/: /: : |
     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |    「それなのに、告白されたら胸が大きい子相手にも断るんだ。
     |: :∧:乂l}         ,         /イ ノ/}/
      l/ \叭                 ムイ://      『好きな人がいるから』なんて嘘まで言って、ヘタレだよね?」
           ゝ     ´`      イ}: /}'
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  ̄ ̄ ヽ、!w;丶、          ,.-、__,へ7 ソ/: : //: ノ;ノ'"__
           `ー-、_ 〜〜〜'´     _ ノ-― ´'"´       ̄ ̄ ̄   「はいはい、ごちそうさまだじぇ……」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:18:43.90 ID:xHTfa5k5o<>
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    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
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     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////    「それはそうと咲さんの非常ベルをピンポンダッシュしましょう!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


   / : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : /     | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
.  / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト .,   | : : |  |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
.  .: : : / : : : :   | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ.  |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
  ′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト,   |/  .斗=ミ|::| : :W ∧:: : :::|
 | : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈  {h:::iノ }       ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
  : : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :,  .乂こン        {h:iノ}  ゚: : :| : : | : : :/
.  \八|  |:: :::|: : : : : : : : :,   .,.,.,.      , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
       |: :\! : : : : : : : : :,              ,.,.,  : : : : |/
       |: : : : : : : : : : : : : :, u   ゝ    ,      } : : : |
       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/    「あー、薬が切れたみたいだじぇ」
       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //     「(『Aカップ 非常ベル』でググってはいけない)」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
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        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/10(月) 20:19:13.06 ID:xHTfa5k5o<>  おもちクォーターとかクレーターとかみんなセンスありすぎる…
 読み直してくれるとか超嬉しい。ネキとセーラは書きたいんだけどね…。ネタがない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/10(月) 20:24:43.48 ID:WcIV8FvuO<> 乙
ネキとセーラはネタが被りそうだから合わせてやるとかは? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/10(月) 20:31:55.08 ID:BKinT3jLo<> 乙です
京咲はいいなあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/10(月) 20:32:19.34 ID:hWdRV7R10<> 乙!
みやながけシリーズも読み直すけど、霞色の空が凄い好きでよく読んでるわ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/10(月) 20:45:43.94 ID:Ral2A8JDO<> 乙です。
この次元にももちろん例のお三方はいるんですよね? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/10(月) 23:02:08.57 ID:Ob6HFfS/O<> 乙ー
笑えるのどアコが好きだけど、霞色の空の霞とはっちゃんの和解が一番好きだね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/10(月) 23:49:26.96 ID:u5PC3MJlo<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/11(火) 00:21:20.20 ID:TTkArYono<> 乙
おもちクォーターとか言うからピザが食べたくなったじゃないか…そういやピザも平べった(ゴシャアッ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/11(火) 01:11:16.13 ID:1jcPhoD80<> 乙
シリアス切れて元に戻ったか
霞色が好きだな
京竜次元で金の斧 泉=道頓堀、泉の精=泉、のど、あこ、すこ、カーネル人形(呪)が入って泉と阪神がバグる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/11(火) 08:12:23.66 ID:zt1HhwUA0<> 乙
オチ村じゃない和とか逆に新鮮で良いなぁ、と単発次元だとノンキしていたらお薬の力だったのね…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/11(火) 08:50:45.69 ID:dclinK4A0<> 乙
何の話が好きかと聞かれれば俺はのどっち(アラサー)と霞色の二強
京ちゃんのイケメン感が強いからか? <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:15:11.72 ID:WCItu6Dro<>
 1/10

 【動物に例えてみよう】-単発次元-


 いつものように平和な清澄麻雀部。

 大会のための熱気も薄れ、同好会のようなまったりとした雰囲気で部活を行っている。


 「京ちゃんってさー」

 「んー?」

 「犬みたいだよね」

 「……犬?」


 そんな中、咲が爆弾発言をする。

 一年四人組はいつも仲が良い。

 誰かが中身のない話をしだせば、みんながそれに乗ってくるのだ。


 「咲ちゃんわかってるじぇ!

  犬は犬! 間違いないじぇ」

 「うるせー。

  俺のどこが犬なんだよ」

 「ご主人様のために尻尾を振ってるとこだじぇ!」

 「なんだとー!

  お前の方が尻尾振ってそうじゃねーか」

 「何をー!」


 いつもの漫才コンビが軽い取っ組み合いを始める。

 とはいえ、本気で組み合いをしたら優希が京太郎に勝てるはずもないので、軽いじゃれ合いのようなものだ。

 それをやれやれと遠目で見る和に対して、咲はなんとも言えない表情を浮かべていた。


 「咲さん、どうしました?」

 「んー、京ちゃんは犬なんだけど、優希ちゃんが言うのとはちょっと違う気がする」

 「そうですか?」

 「他のみんなは何になるのかな」

 「のどちゃんは牛だじぇ。間違いないじぇ」

 「ああ、間違いないな」

 「誰も否定意見がないね」

 「どこを見て言ってるんですか!

  民主主義の暴力は反対です!」


 思わずカッとなって椅子から飛び上がる和だが、他のみんなは納得してしまっている。

 もちろん視線は和の胸に収束する。

 うん、これは仕方ない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:15:41.45 ID:WCItu6Dro<>
 2/10


 「そうやってみんな私を弄っていればいいと思っているんですから……」

 「のどちゃんは真面目だから弄りやすいんだじぇ。

  もう少しはっちゃければ弄られなくなるじょ」

 「はっちゃけ……ですか?」

 「あー、確かに。

  キャラが濃い人って弄れないもんね」

 「咲なんかは弄りやすいんだけどな。

  うりうり」

 「もー、やめてよー。

  京ちゃんだって薄いじゃん」

 「俺がぁ?

  これでもクラスの中心人物なんだぜ?」


              _____
          ,. . : ´: : : : : : : : : `: : . 、
        ,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ、
      /: : : : : : : : , : ,: : : : : : : : : :\: \
     /___,__: : : /: /__{:|: : :|: : : : : ヽ: ヽ
    ' __,./_/___/_/|:|__|--==: V : : : V: ::.
    /: :,: : : l : |: :|{ -| |-:l:| : : |l{,:-|--:|、|: : : :V: :
   ' : /:/: : : : |´八: { {: 从: : :{ \} 、}|:∧: : : | : |
  / イ|:l': : : :{: | ,ィチ雫ミ  \_:、 ィチ雫ミ: |: }: :| : |
     l'|: : : :∧{{ _)::刈      _):刈 V|/: /: : |
     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |    「キャラというより存在が薄いというか……」
     |: :∧:乂l}         ,         /イ ノ/}/
      l/ \叭                 ムイ://
           ゝ     ´`      イ}: /}'
            \>       </|/
            从 :|  `´  |: :/
             /⌒ |      |⌒\
           /.........∧     /...........\


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
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        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Y /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从       「ぐえーっ!」
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、
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/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
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/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧


 ーー悔しいけれど何も言い返せなかった!


 「確かに、特にインターハイの京太郎はどこにいるのかわからないくらいだったじぇ」

 「うん。

  なんか席座らないで立ってたし」

 「あのなぁ、俺もあの女子だらけの場所は結構居づらかったんだよ!」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:16:11.19 ID:WCItu6Dro<>
 3/10


 「そういえばケーキバイキングにも行こうとしませんでしたね」

 「ああいう甘いの、京ちゃん好きそうなのに」

 「男のくせに甘いもの好きとか情けないじぇ」

 「男子差別だー!

  いいだろ、俺がそういうの好きだって」

 「京ちゃんって小さい頃お子様ランチ食べてたでしょ」

 「うるせー!

  お子様ランチが嫌いなお子様なんているか!」

 「私はその時からタコスを食べてたけどな!」

 「私はあまり外食をしませんでしたので」

 「あんまり味方がいないっ!?」


 確かにこの清澄麻雀部内ではキャラが薄いかもしれない。


 「それで、犬の話と何が繋がるんだよ」

 「そうだじぇ。ご主人様の褒美をもらいたくて尻尾を振ってるのが京太郎だじぇ」

 「そうですね。

  咲さんはどう思ってるんですか?」

 「こう、家に帰ってくるときに扉の前で待ってる感じかなぁ」

 「なんだかわかる気がします」

 「俺ってそんなイメージなのっ!?」


            ,. : : : ̄ ̄ ̄ ̄: : : : .、
            /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ー: イ
           ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :<´
         .': : : : : : : : : : : : : : : |: : : ,: : :、: : :
         /: : : : : : : : : : : : : : : :{: : :ハ: |:|: : {:|
        .' : : : : : : : : : |: : : : : : :W:{´ 从}: : :\
        |: : : : : : : : : : {: : : : : : :|ィ斧ミ  Y:{ー'
        |: : : : : : : : : : :Y: : : :从 マソ  乂_〉
          ,: : : : : : : : : :r \∧: : \     }
         |: : : : : : : : : 乂 `    ̄      /   「私たちがどこかに行っても、最後には京ちゃんのとこに帰ってくる。
         Y:∧: : : : : : : : ー 、      ´, 
        从{  、: : ,: : : : :从 > ..___/     それに京ちゃんは待っててくれる。そんなイメージがあるんだ」
              ∨ `ヽ: : {     ,
                __}Y    {
           / ̄一-- ̄ \  |`ヽ
          /  ,..:::―- 、 \ \ ∨}∧
        /   /::::::::::\:::\ \ \'/ }
         {   /:::::::::::::::::::、:::::` 、   ヽY
        、  ,:::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::..、  〉
            Y::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::r<_{:、
            {::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| |::::::::}
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          ` T¨¨ヽ、:::::::_」::::::::::::::{__}::::::,
            |     ̄| ::::::::::::::::::::::::::::::|
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:16:40.75 ID:WCItu6Dro<>
 4/10


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :   「おおぅ、咲ちゃん爆弾発言だじぇ」
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
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.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨


      / : : : : : : |i : : : |i : : : : : :|i : : :|i :| : : : :| : : : : : : : : : : :∧
     . : : : : : : : : : |i : : | |i: :|: : :|: :|i : : :|i :| : : : :| : : : : : : : : : : : : :.
     /: : : : : : : |: : : |i : : |_||__|_:|ノ|i: : : |\,.___: :ト、 : : : : :|: : : : :.
.    /: : : : : : : : |: : : |/´l.八_|: : :| |i : : :||八: : : :|/|/\ヽ: :i: :| : : : : :.
   /: : : : : : : : : |: : : |ヽ:斗====ミ|.八: : : |  斗====ミ、 X: i|: : : : : :i
.  / : : : :__|: : :i|: : : |〃 ,イ斧心 ′ \: |    笊i心.  ヾ | : リ: : : : : :|
  ´ ̄ ̄   il : :八: : :|″ ._)::::::hi}    ヽ   ._)::::::h}   |: /: : :/ : : |
       |i: : : |r\|   乂___ツ         乂___ツ  . |/: : :/: : : :j
       |i : : :|l`ハ  `ー       ,      ─‐ :' /: : ,イ: : :|: ,
       |i ,: :∧    """"               """"  厶イ'/:|i /|/   「ーーああっ! ち、違うのそういう意味じゃなくてっ!!」
       l/|: : :人__                     ,__/: ル' '′
         { |: 八: : 从        ー─         /: : /'′
        |/  \: : \    /´        ヽ     ,イ: /
        '     \ ト、: ,   _,   ─   ノ   , : : /
                 ヽ \:>         _ <: /
                     ヽ: : 〕   ─   〔: :/l: /
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:17:09.70 ID:WCItu6Dro<>
 5/10


 「優希ちゃんや和ちゃんだって言ってたでしょ。

  部室にきたら安心するって」

 「そ、そんなこと言ってないじょ」

 「そ、そうですよ。覚えがないです」

 「染谷先輩とか竹井先輩はやっぱり先輩だし、やっぱり京ちゃんのおかげなのかなぁって」

 「さすがに面と向かってそう言われると恥ずかしいな……」

 「ぐぬぬ……、調子に乗るんじゃないじぇ!」

 「ゆーき、そんなことを言ってはいけませんよ」

 「ううっ、それじゃあ私は動物に例えると何なんだじぇ?」

 「お前はタコスだろ」

 「むしろ名誉だな!」

 「お前はそれでいいのか……」

 「そうなると、最後は咲さんですね。

  一体なんでしょう?」

 「寂しくと泣いちゃうからウサギと見たじぇ!」

 「な、泣かないよ!」


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八    _ _   人     「咲は猫だろ?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
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 決して大きい声ではない。

 でも断言するその声に、部室が静まり返った。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:17:38.93 ID:WCItu6Dro<>
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 「ぅひ。

  何言ってるの京ちゃん!?」

 「意外だじぇ。

  咲ちゃんに猫っぽいところなんてあるかー?」

 「咲さんが須賀君のことを断言したんです。

  須賀君の咲さん評も気になりますね」

 「えーっ?

  普段から猫っぽくないか?」

 「私たちにはあまりわかりませんね」

 「そうだよっ。

  別に猫っぽくないでしょ」

 「咲ちゃんはなんで猫っぽいって言われてそんなに焦ってるんだじぇ?」

 「むしろ猫なら可愛くていいと思いますよ。

  私なんて牛ですよ……」

 「私なんて生物ですらないじぇ」

 「だってさー。

  咲って気まぐれじゃんか」

 「「あー」」

 「なんで二人とも納得するの!?」


 京太郎に挙げられた理由を聞いて二人は納得した。

 そう、咲は文学少女らしい外見とは裏腹にマイペースなのだ。

 友達にお昼ご飯を誘われても気分が乗らなかったら行かない。

 それどころか誘われたことを忘れて昼寝する。

 一人でうどんを食べて幸せに浸る。

 大人しい咲のそんな一面は、二人にも深く刻まれている。


 「でも、それだけじゃ理由としては弱いですよ」

 「そうだじぇ。

  咲ちゃん大人しいし、猫っぽい人ってもっと振り回す感じのイメージがあるじょ」

 「えー?

  咲って結構振り回してこないか?」

 「ちょっと京ちゃん!?」


 咲が止めようとするが時すでに遅し。

 京太郎は話を続ける。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:18:07.63 ID:WCItu6Dro<>
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           ,  ⌒ ー   ̄ ̄  、
         /_,. -            \
        /´ /     /⌒\      ヽ
        , ´ ,         V     :.
       /  /  /  / /      | V : V |
     /-- ´' / /  / l|{     | l| | | {
        / イ  {  ':|_,斗| |  、_l__/_ィ  |l∧
         /  ,: ∧ | {∧{ {  、 /}/}/ } /∧|
       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/     「コイツ、自分の甘えたい時にばっかりすり寄ってくるんだよ。
               从      '     八/
           -〈〈/\  v-っ  イ》く__       そのくせこっちから構ってやると離れていくし」
        /////∧\} > -- < |//}///> 、
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             ヾ!、::ヽ ヽ!ヾ ""::::::::::::::::::::"" i:::,、::::|       「わーわーわーわー!!!」
            ヽ、:`:ー:::、   ! ̄ヽフ   /,ノ \i         ,、
               ヽiヽi、` , 、 ` ̄´ /             /./ /フ
       r、            ヽ|  ` ーイー-――ァー,-、    _   /./// ,.-,
.   ヾヽ.  | i     _,....-‐:.:'〔'   _/:.:.:.:.:.://  ヾi  |i ノ ´ ∠- '/
   ,...__ヽ丶 | .!  ,イ、、:.:.:.:.:.:.:.ト._´/:.:.:.:.:://   r-、|  | ´ 、    ∠.._
   `ー-、`ヽ`  Vヽ.,、 、\:.:.:.:.:i   /:.:.:,;.:."イ  | /  ゙、  ヽ   ヽ  ,ィ―ー‐'
   ⊂二     ー' ,イ >ー`ー-ヽ./-‐"-‐'ノ==  レ'     ヽ√i    ,ノ
      ヽ /   / .V `ー-┬'`i'ー―'´  ヽヘ      ;ヘ,メ、   /〉


               ____
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     イ ′ / | { | 从、|  } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
.     { | l l―‐ {(リ八「―‐メ、 彡个rイト、
      リ、_! l リィチfト   '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
      l_,以 { ヒtリ    ヒztリ  |f リ| |:.:| |:.:|
      「 l 「ト    '         _,イ | |:.:| |:.:|
      } } ハ    _     ,ィ' ) ,j リ 刀 「
     / /,イ| |l>、    ,ィ |ノイイ / リ |     「」
      / /リ |:! !仏ィ_〕¨     》,// / /| !
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    〈 イ ∧V /:.:.: :|__´_./: :./ /:.:.:.:.>))
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:18:37.22 ID:WCItu6Dro<>
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 「おおぅ、咲ちゃんはそーだったのか」

 「そーだよ。

  中学の時とか部活で疲れてる時に限って本の話してくるし」

 「京ちゃん!?」

 「いろいろ終わって帰るかーってなったら寄りかかって寝てくるし、動けねーの」

 「へー、そーなのかー」


 咲が顔を真っ赤にしているが、京太郎は苦労話を語るのを辞めはしない。

 優希は少し楽しんでいるが、和は真顔だ。


 「かといって一緒にメシ食おうって誘っても来ねーじゃん」

 「わかるじぇ。

  私とのどちゃんも約束ブッチされたし」

 「ご、ごめんね?」

 「それじゃ何してるのかなーって見てると木に寄りかかって寝てんだぜ。

  あぶねーのなんの」

 「咲ちゃん咲ちゃん。

  うら若き乙女がノーガードすぎるのは問題だじぇ」

 「だって本読んでたら眠くなって……」

 「子供かお前は……」


 咲の無防備ぶりに呆れる部員。

 しかし、同時に疑問が浮かんでくる。


 「京太郎はなんでそれを知ってるんだ?」

 「え、大丈夫か心配で見回ってんだよ。

  最近はお前らがいるからあんましてねーけど」

 「京太郎。やっぱお前は犬だじぇ」

 「はぁ?」


 京太郎もどうやら自覚していないらしい。

 周りはいい迷惑だ。


 「つまり、基本こっちから構おうとすると本読みたいって言われて、忙しい時にこっち来るんだよ」

 「あー、間違いなく猫だじぇ」

 「最初は猫のイメージがありませんでしたが、猫で固まりました」

 「ううっ、だってぇ」

 「だっても何もないだろ」

 「うぐぐ」


 弄りすぎたのか俯いてしまう。

 とはいえ、長い付き合いだ。あまり気にしてはいない。

 さて、そろそろ話を変えようかと思ったところーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:19:06.85 ID:WCItu6Dro<>
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            _,.......---............_
         ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :` : : . 、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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    |: : :ハ: |: : : ハ: / /:イ  }: :/:/ }: ∧:/: : : : ト、}: :.|
    {: : {-从: : :{/ ̄ テ雫ミ/イ /イ }イ雫}: : /:/:| リ\}
    八:{、:、__ \:lヽ  Vり         ヒり/:イ:/: :|
      `\}、: 、    /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{
     , --r--,\ ,-- 、_____  人: /  \〉     「だって、夜に京ちゃんが素っ気ないとなんだかムラムラして……」
      /  |::| |::::::>  ____ソイ⌒∨
    {   ,::, {::::::::::::∧-,  r/:::::://|   }
    |   \、\::::::::::∨- /:::::://:/
    |     { 、、\:::::::∨/::::://:∧    |
    |     | \__>、_}'__>´/}   |
    |     |    `ー=-r-- ´ ,:   |


/r"´`ヽ ./   / /i  / / i   |  : : :!: ! : : : : :l O   l': :、: : ヽ、: .`ヽ
ハ 、  ノ/   /  l i  ,ハ ハ |  i.|: : |: :ハ : |.:!: : i: :ト.、._ ,.イ|i: : .\: :ヽヾ、:
: //:7:r' ヽ:i: : :i.!: : :|:!,.-|-|、.! !|i: : !.! :‐!-|-!、|_ト、: :!: ゙、: : : :|:|:、: : : :ヽ: : ゙、 ヽ
/ l:/: :ゝ イ!: : :|!: :/|i: : i-!-| !:、: |、!: :|;ナ |: ハ|`!、!|: : !: : : !:|: i: : : i ハ : : i
 |': : : :ト、!O: : !i: : :!:!ヽ、.! ヽ!   ヽ! ゙、!  |/ リ |:ノ !: /i: : :/:i: |: : : :i| i: : :|
 !: : : : |、/゙:\:! \:|   _,         、      リ |/ /: : : / /i : : :i|ヽ| : i|
 ゙、.:: : .レ: : : : :! ≡≡三彡       ミ三≡==、  /: : ノ ;/:/: : ///.!.: ;l
  i: : /; : : : :/ :::::::::::::::::         ::::::::::::::::::  //` ‐:´ / : :/'"//: :ハ
-- ヾ/ハ:i : : f  """"""          """"""  /ィ: : : : ノ,. イ://:,ノ  ゙、    「あー、はいはい。せーのっ」
__  |ハ:|、: :i.、                  /:/: : : イ´:i: :l.|――‐----
  ̄ ̄ ヽ、!w;丶、          ,.-、__,へ7 ソ/: : //: ノ;ノ'"__
           `ー-、_ 〜〜〜'´     _ ノ-― ´'"´       ̄ ̄ ̄
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. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////     「こいつらいつも盛ってんな!!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/13(木) 18:19:35.72 ID:WCItu6Dro<>
 10/10


 ……
 …


 ・別次元で電波を受信した宥


              , r ───−- 、
           r '´ : : : : : : : : : `ヽ、
         ./ : : : : : : : : : : : : : :\
        / : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : ヽ
       ./ : / : : / : : : : : :|: : : : : : :ハ: : :ヽ : ヽ :ヽ
      / : / : : : /: : : : :l: ::j: :|: : : : : | }: : : :ヽ: ::ヽ : ヽ
      / : :{ : : : ::{: : : : :ノ:ノ}:::ル: : : : リ、}::ハ: : ヾ,: ::}: : ハ
     .{ : : | : : : 」; 斗七´/.}:/.}: : : :リノ }`ト;、: :}:}:: l ; ;} }
     ! { : :! : : : :!: : :ノ':/`/' .j: : : ://  .リ |: 外|: :l: : ト|
     .|::l : ::| : : : |:/,r=≠ミ /: : ノ ' ,r=≠ミ/ |リ:: :| :ハ}
     .|::|: : :| : : : | 《{////゚} ´    .{//゚/}.ヾ|: : : :|/' '
     .|::| : ::|: : : ::| ヾゝ//ソ       リ゚/ソ‖!: : ::Y|
     .|::|: : :l: : : : |  , , ,      ,   , , ,  .j:::: : :|:|
     !:l : : :{: : : :{                l: : : :|::!
     }::l : : :l: : : ::{               .j : : :リ: |    「玄ちゃんは亀かな……」
     .}::i : : :l: : : ::ト、.     ⊂⊃    .ノ: : : ::j: :|
      l: 〉: : :〉: : : :V>、         rl'´リ: : : :/: リ
     .} :∧: : :W、: :ゝ、_.|_` ー __, ィr<、: |:/': : ::/ : /
     ノ : : :ヽ: : :ヽ:\ヽ   ̄ ` ヽ、{ _, r'  フ: ::/:: /
   / : : :r‐'ヽ: : : : ∧           /:/: : :∧、
 ,/': : : ::/  .∧: l: : ::ヽー-        ./: : : : :∧: : \
//: : : , r'ー-  ∧l: : : :ヽ   ー-−  j: : : : ::/ ) 、::ヽ::ヽ
/./::/     `> 〉: : : : }         l: : : : /r'´  `ヽヽ:)
! {:/ヘ        ノ:,: : : : :ト--  ___, -{: : : : {     ハ V
 V ∧      ノ' .|: : : : :}   `ー-'´ ヽ、: : l:ゝ   /.}



                 ____             ___
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.     / : : | : : :|丁¨{丁{│:.:..: : i| ¨v:丁¨`:|: : : :|: :.゚
    i: i: : |: : : |ハ!ハl リ い、 :小 乂{\: |: : : :|: : i
    |:ハ :|: : : | ,ィ宍ミト } \:..゚。ィ宍ミトぃ..: : :|: : |
    || |: |: : : |〈 _)トJi:|    `¨ _)トJi:| 〉|: : : |: : |
    || |: |: : : l ,込rク      込rク  :.: :...|: : |
    リ |: |: : : |i 。            。 |: : : |: : |     「ふぇっ?」
.       {: } : : ト:.:':':':     ′   :':':': イ: : :.l: : |
        C|: : : |:ハ      へ      /::|: : :。.: : !
      /:||i: : :{: 个: .     ̄       イ: :,゚: :.,゚: : :.|
       |: ||ハ: : :。: : : i >  ___  ィ: : : :i{: /: :/: : : j{
       |: ||: :゚。: :゚。: : i r‐|     |┐: : }/: :/: : : :ハ
       |: ||: : :゚。: :゚。/ \   / \:/: :/: : : :.,゚: :゚,
       |i ゚。>''ゞミ{    ,八八    ノイ、|: : : : |: : :|
     ィリゝヘ    r=====ミ___,ィ=====ュ  |: : : : ト、:..|


 ーー亀は万年、待ち続ける。



 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/13(木) 18:20:04.18 ID:WCItu6Dro<>  こま盛を見たいってリクがあったし京咲書きたかった
 霞色の空が人気で意外だけど嬉しい。またあんな感じのシリアス書きたい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/13(木) 20:45:34.17 ID:836J06zdO<> 乙
タイトルを見て読み始めたら、一行目の「清澄麻雀部」を「清澄動物園」に空目した
飼育員の京太郎が頑張る話かな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/13(木) 21:37:12.62 ID:V/OvAHVk0<> おつー

そうか、クロチャーは玄武だったのか…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/13(木) 23:36:02.12 ID:qvfVyahdo<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 00:19:02.73 ID:zuRx4LkEo<> 玄武チャーとな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 01:33:17.23 ID:PhEi/4yE0<> 乙
クロチャーは玄(クロ)猫で宥も猫(こたつ)淡も猫(気まぐれ)、霞さんは牛でシズは犬、のどあこは兎(365日発情)だと思う
ある日、目が覚めたら各次元で獣耳が生えていた(イタコとはやりんとアラフォーの余波) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 02:54:28.79 ID:bFfwZ3fWO<> 乙
ネリーも猫だよね警戒心強いとや懐いたら甘えてくるとことか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 07:40:32.75 ID:+/sAIVVA0<> >>もう少しはっちゃければ弄られなくなるじょ

あっ……(察し) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 08:40:36.85 ID:jTvW9+W10<> 乙
ガチで1万年とか寿命がもつなら待ってそうなクロチャー重カワイイ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 12:22:49.99 ID:I6F+KhDmO<> 八千年過ぎた頃からもっと恋しくなっちゃうのかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 16:46:23.89 ID:XrBkU/fgo<> 一万と二千じゃないので⊂(・∀・)⊃セーフ <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:15:24.62 ID:0X66KYFzo<>
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 【マホ、先輩のために頑張る】-単発次元-


 高校生になるということはどういうことだろうか。

 少なくとも今までの中学生活よりは少しだけ大人になったということだ。

 大人にとっての一つ違いと青春時代の一つ違いは大きく違う。

 みんな年上のことを大人だと思いこんで成長していくのだ。

 そう、彼女にとってみればみんなが頼れる先輩であり、大人だった。


 「マホ、またチョンボだじぇ」

 「ひえぇ」

 「全く、何年やっているんですか」


 清澄高校麻雀部。

 彼女たちがインターハイで名を上げてから二年後の話。

 夢乃マホは憧れの先輩たちを追いかけて同じ高校に来た。

 すでに少し有名になっていた清澄高校麻雀部には知らない人たちが多くいたものの、それでも彼女は楽しかった。

 元よりレギュラー争いとは無縁の身。少し悔しくはあるけれど、毎日が楽しかった。

 そして彼女が毎日を楽しんでいる理由がもう一つある。


 「うーっす。遅れたー」

 「京太郎! 遅いじぇ!」

 「ゆーき。

  須賀君にも事情があったんでしょう」

 「わりーわりー。胸の大きな新入生を追いかけてたらこんな時間に」

 「ゆーき」

 「部長権限でタコスの買い出しを命じる!」

 「ふふふ、そうくると思ったぜ。

  部長、お納め下さい!」

 「なぬ、すでにタコスを持ってきているとは……。

  お主も悪よのう。賄賂の褒美にのどちゃんのおっぱいをやろう」

 「やったぜ。

  和、部長の許可は出たぜ」

 「副部長(わたし)の許可は出ていないからダメです。

  というか新入生に示しがつかないからやめてください」


 憧れの先輩たちのコントを見守る。

 自分と同じく清澄高校に進学した室橋裕子もそうだ。

 もはや日常の一環となっているコントに呆れている。


 しかし、マホの目に映るのは先輩たちのコントではない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:15:53.60 ID:0X66KYFzo<>
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 「じー」

 「どしたんだ、マホ」

 「にゃ、にゃ、にゃんでもないでしゅっ!」

 「いや、めっちゃ擬音付きでこっち見てただろ」

 「マホ、口に出してました!?」

 「おー、出してたぜ。

  マホはあざといなー」


 あうあうあうと顔を真っ赤にしてしまう。

 友人たちや先輩がこちらを見ている。これもまた呆れ顔だ。


 そう、見ての通り夢乃マホは恋をしている。

 その相手は二つ年上の先輩。須賀京太郎だ。

 別に何か特別なイベントがあったわけではなかった。

 麻雀部に入って、自分の憧れの先輩と親しい男の人がいて、なんとなく目で追っていた。

 理由はそれだけだった。気づいたら先輩よりもその男の人が目に入るようになっていた。


 「あ、あざとくないですっ」

 「そっかー?

  まぁ『じぇじぇ』言い出す奴よりはマシだよなっ」

 「私がこの語尾を辞めたらただの釘宮になるじぇ。

  アニメ銀魂最終話の釘宮みたいな標準語で喋っていいのか」

 「むー」


 とは言っても、戦果は芳しくない。

 彼にとってマホは一人の後輩に過ぎない。

 誰にでも親しい彼は奥手なマホにもびっくりするくらいのアグレッシブさを見せるが、その想いに他意はないのだろう。

 『親しい後輩』以上の想いはないだろうし、彼は誰にでもこのように接するのだ。

 特に親しいのが自分の憧れの先輩の一人、片岡優希だというのもなんだか複雑だ。

 もちろん先輩同士の仲がいいことは悪いことではない。

 しかし、わかっていても、自分の中に感じたことのないドス黒さが湧いてくるのを感じる。

 今までまともな恋愛をしてこなかったマホはその感情に折り合いをつけられない。

. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、
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: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
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: : : : |                 ,':´:!: : . .!   「……」
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ      凵@    .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/      7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
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ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ  ヽヽ::::::::::::|!`!    |: : !: : : : . | リ
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:16:22.95 ID:0X66KYFzo<>
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 ……
 …


 ・その日の夜

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    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////    「マホ! 須賀君を落としましょう!」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
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         /: : ./:.:.i:. :.:| :.|、..! ヽ:.ハ:.:.:.Y´ ̄:::`ヽ、
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       i:イ i i|:A:.川:.:.!ヽ! ;=≠ミ、リi:.:.:ト、::::::/
        |:!|.:.|:.!リ ,.ゝ=ミ、!   f:::::i ゙i |ノ-、:.Y
       !|.!:人:|イ f::ヽ....:::::..弋ン.    ⌒ }:.|
  .f'i 「ト、  メレ:.:.ヾ ! ゞン::;:::::::::: " "  __ノ:.:|
n i | i i | |:|:.:.:.:.:.:.i " " _,..-‐'^ヽ   人:.i:.ト:!    「うえぇぇぇ!?」
.| U ゛ |、 | |.:.:.:.:.:.:.!、  !   ,.--┘ /  ヽノ
.ヽ    ! 〉レ|.:.|:.:.:.:.:.|`ー-二´,.==ミ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
 _!,..--、_.|  |:/!:.:.:.:ト!   / ̄`ヽ ヽヽ        `ー、
 |::::::::::::::::i  |ハ:.:.:.:!  /-‐ニ二 \ヽヽ       \
 .!_;:--―┴、   \:|!  !-‐'´     ゙、゙、゙、        \
  |     rへ   ゛ /  ,..--―   〉 ゙、゙、        ヽ


 憧れの先輩に呼び出されたと思ったら、なんか言い出した。

 少なくとも自分の知る憧れの先輩とはかなり違った。


 「ど、どういうことですか!?」

 「マホは須賀君のことが好きなんですよね」

 「な、なんでわかったんですか!?」

 「ふふふ、モテカワ系女子高生テクニックを身につけた私に隠し事は出来ませんよ」

 「す、すごいですっ」


 マホは自分の内心が見通されて心底驚いていた。

 少なくとも、この思いは誰にもバレていないと思ったのだ。


 「やっぱり原村先輩ってモテるんですよね……」

 「どうしたんですか、マホ」

 「羨ましいです。

  マホも原村先輩みたいに美人だったら……」


 巷の男子高校生が悩殺される犯罪ボディ。

 ちんちくりんの自分は憧れていた。というか、同年代のみんなが憧れている。

 原村和は完璧超人。上級生から下級生までモテモテ。

 もしも自分もそうだったのならば、京太郎は振り向いてくれただろうか。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:16:52.48 ID:0X66KYFzo<>
 4/10


 「そんなことはないですよ。

  マホだってとっても愛くるしくて可愛いですよ」

 「うう、原村先輩に言われても」

 「須賀君だってマホのことを可愛いって言っていましたから」

 「本当ですか!?」

 「ええ、ですからマホはもっと可愛くなりましょう。

  せっかくの女子高生なんですからオシャレが大事です」

 「原村先輩ってオシャレですよね。

  やっぱり気を遣っているんですか?」

 「私もマイノリティな趣味を持っていましたが、最近は親友がアドバイスしてくれているんですよ」

 「親友?」

 「ええ、その子もとっても可愛くて流行の最先端を進んでいるんです」

 「ほぇぇ」

 「五年連続でランキング1位らしいですよ」

 「なんのランキングですか?」

 「そこまではわかりません」


 ……
 …

                _. .-. . . . ̄. .゙. . . 、
             , '´: . . . . /. . . . . . . . . .ヽ
            /:;ィ´: : : : :/: : : : : : . . . .ヽ. .\
        _,-─tァヽゝL:_/_:,': : : : : :|: : : : . . .゙ . . ヽ
      ,〃,r‐'7ハ: レ!__,'_ : ;イ | : : : /!!: : : : : ヽ. l . . .、
      /:〃  l: ト、|:.|: ハ Tハ!:|: : : :{ ||: : : :.|: |:゙. .!_l |ミヽ、
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   ,' :|::!ミ、 | >、ゝ.|´ヽ ヽヽ:ヽ-、 ,.r!::>‐'{ | |ノ|ノ7: |:.:.ヘ.   ,':.:|!
   |,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`|::::\_ヽ_!__! .| /|: :.!:.: ∧ ./:.:.:!i!
   |i| !:|  |\,ゝ       |: :ヽ  |::::/´   /` ̄ヽ: |:.: :.∧/:.:.:.:||i!


 …
 ……


 「その人から教わった女子高生としての立ち振る舞いをマホにも伝授しましょう」

 「本当ですか!?」


 マホとしては願ったり叶ったりだ。

 憧れの先輩に自分が近づける、そう考えるだけで気分が高揚してくる。

 須賀先輩だって原村先輩のような女の子っぽい女の子の方が好きなはずだ。


 「マホ、ギャルになりますっ」


 かくして、一人の少女の成長が始まった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:17:21.10 ID:0X66KYFzo<>
 5/10


 ……
 …


 「須賀先輩、須賀先輩!」

 「なんだマホ?」


 聞きなれた呼び声に反応して振り向くと、そこにはマホがいた。

 相変わらずちんまいし、どこか彼と馴染み深い少女を思い出させる。

 だから彼もなんとなくマホにお節介を焼いてしまうのだ。


 「マ……ホ……?」

 「どうですか、先輩!」

 「いや、どうと言われても……」

 「マホはギャルになりましたっ!」


 そこには立派にギャルになった……とは言えない。

 なんだかよくわからなくなっているマホがいた。


 まず、上下がつけまつ毛だ。

 身長や長さを合わせてつけまつ毛にしているわけではないし、マホ特有の雰囲気の幼さが抜けていないせいで異様な姿だ。

 そして、金髪のウイッグをつけている。染めていなくてよかった。

 さらに、胸元が開いている……を通り越して和の私服によく似ているものを着ている。

 いや、和がやっていても問題だが胸が咲レベルのマホがやったらそれはもうモロ出しだ。

 どこぞの永水女子のお方を思い出すレベルである。

 さらに、よく見るとネイルをつけている。星マークなどで煌びやかだ。

 さらにさらに、顔はいつものようなナチュラルメイクではなく濃い化粧をしている。

 最後に極めつけて、キツめの匂いの香水をつけている。

 一通り眺めて、京太郎は結論づける。


 「マホ、それはギャルじゃない。

  年増のおばさんか何かだ……」

 「ええっ!?」


 マホは混乱してしまったのか、思わず振り向いた。

 その視線の先をよく見てみるとーー

       {   !         ____ |
ィ彡三ミヽ  `ヽ         ,.' ´        |
彡'⌒ヾミヽ   `ー   {少′  / ,i  l ト、 |
     ヾ、       Y    /// | l| | ハ|
  _    `ー―'  イ   / | { | 从、| }|
彡三ミミヽ         { | l |ィ爪 {(リ八「ノ.|
彡'   ヾ、    _ノ.リ、_! l リィチfト::::::::::::'行|
      `ー '      l_,以 { ヒtリ:::::::::::::::ヒz|
 ,ィ彡三ニミヽ  __ノ...「 l 「ト'"   '     '|
彡'      ` ̄      } } ハ   -=-   |
        .___ノ ./ /,イ| |l>、    ,ィ|
   ,ィ彡'       / /リ |:! !仏ィ_〕¨   . | 、/
ミ三彡'       /⌒/ / r廾 .|「{: |-、  __| |  /
      ィ=- '   〈 イ ∧V /:.:.: :|__´__(二つ/
    ,ィ彡'.      ..} } /`Y'| {:.:.:.:.:.l    /(二⊃―、
  / /.       /.j/ }`ー冫j\:.:.:|  /.:: ト、二)
彡'     __,ノ    ト ン′`ヾ >-r'< `ト-' \
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:17:51.20 ID:0X66KYFzo<>
 6/10


 OK。原因はわかった。

 アレが何を考えているかわからないが、あの異様を見るにアレが原因なのは間違いない。

 アレで身内の不幸を喜ぶ人ではないので、おそらく何かやらかしているのだろう。

 しかし、ここで一つ問題が判明する。


 「(どうやってマホを傷つけずに元に戻せばいいんだ)」


 そう、これである。

 マホも何だかよくわからなくなってるみたいで涙目だ。

 ここで後輩を説得し、かつ前の状態に戻すにはどうしたらいい。

 少し考えたが、あまりいい案は浮かばない。


 ーーええい、こうなればヤケだ!



: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「俺は前のマホの方が可愛いと思うぞー」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


     /: : : : : : : : : : :`ヽ、 /::::::::ヽ
  //:.:.:/:.:.:./:.:,:.:.:.::... :. .y'::::::::::::::|
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 !./:.:i:.|:.i |ハ:.:| |:.:.!:|、|:.:!:.!:.:.:l:::::::::::::::|
 |ハ.:.:|:|:.!',二、! ヽハ|_|ナiメ!:.:.:|ヽ :::::::/
  |.i:.ヽ!ィf,´`!   'f,´`iヽ:.:リ:.:ハ:/
  |:|..:.:.| Uー'′,  ーU !ノ`)'
  |.|.:.:.|:! ""      "" ,、.イ|
  !;!、.:.!:i゙' 、  ~´~   /:.;ノ'"    「……本当ですか?」
  ノハ:.:|、!-ヘ〕ー-‐ 'i/ !ノ
 /⌒ヽヽ  `ヽ-、 ,_!ー-、
 !   i |i    ヾ ̄|  |iヽ


 ーーチョロかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:18:20.10 ID:0X66KYFzo<>
 7/10


 ……
 …

 そんな記憶は、マホにとって苦い思い出だ。

 あれから数年。マホは成長した。

 あの時のように背伸びしているのではなく、自然に大きくなったのだ。

 ーーもっとも、肝心な部分は成長しなかったが、そこは置いておこう。


 「せーんーぱーいー!」

 「……マホ?」

 「はい、起きてくださいっ」

 「お前、また勝手に入ってきて」

 「そんなこと言うなら一人でちゃんと起きられるようになってくださいっ」


 大学生になったマホは、京太郎を追いかけて進学した。

 勉強も苦手だったけれど、一生懸命頑張った。

 結局、高校1年間では告白できなかった。

 しかしマホは諦めきれず、ひたむきに追いかけ続けた。

 麻雀もあの時に比べれば少しは上手になったはずだ。トレースだって頻度が上がった。

 そして何よりーー


 「ほら、朝ご飯できてますよ」

 「いつも悪いな……。

  ってそこまでしなくていいのに」

 「いいから早く食べちゃってくださいね。

  朝遅れちゃいますよ」

 「お、おう」


 普段は大人しいマホの剣幕に圧倒される。

 かつての後輩らしいマホはもういない。

 そこにいるのはまるでーー◯◯◯、その人そっくりの夢乃マホだ。


 「それじゃ、私は本を読んでいますから」

 「マホって本好きだっけ?」

 「ええ、須賀先輩がいなくなってからいろんな本を読むようにしたんですよ」

 「へー、えらいな」

 「最近は海外ミステリーが好きなんです」

 「ミステリー?

  恋愛小説とかかと思った」

 「えへへ」


 京太郎は気づかない。

 なぜマホが本を読むようになったのかを。

 京太郎は気づかない。

 なぜ海外ミステリーを読んでいるのかを。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:18:49.05 ID:0X66KYFzo<>
 8/10


 「それにこんなにいろんな種類のおかずを作るの大変だっただろう?」

 「でも先輩、レディースランチが好きだって言ってたじゃないですか」

 「なんだか悪いな」

 「ふふ……」


 先輩が好きなものだって知っている。

 だから気を遣って色んなものを作ったのだ。


 ここ最近、マホは変わった。

 ナチュラルメイクを覚え、幼い外見ながらも色気を出している。

 自分の魅力を損なわないワンピースなんかを着てみてアピールすることもある。

 ちょっぴり勇気を出してスカートを短くしてきたこともある。


 そして色々と試してから、マホは一つの結論に達した。

 それらの格好をしつつ、とある仕草を取れば彼はこちらを気にかけてくれる。

 それも後輩や妹に向ける目線ではなく、明確に女として意識しているのがわかる。


 「最近のマホ、麻雀上手くなったんですよ。

  須賀先輩にも負けません!」

 「へー、チョンボはなくなったのか?」

 「ちょ、チョンボは治りませんけど。

  人の真似が上手くなったんですよ」

 「ああ、そういうの好きだったな。

  じゃあ和や優希の真似もできるのか」

 「意識しないとできないですけれど……」


 そう、その二人は意識しないとできない。

 しかし最近、あまり意識しなくてもコピーできるようになってきた人がいる。

 それは彼があえて挙げない名前の人のこと。


 ーー◯◯◯


 「須賀先輩にも見せてあげますからね」

 「?

  おう、マホが強くなったなら少しやってみるか。

  サークルでやればいいしな」

 「はい!」


 元気に返事をして、愛想よく笑う。

 ーーああ、いけない。ここはこうじゃない。

 もっと不機嫌そうに、それでも内心は嬉しそうにしないと。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:19:18.66 ID:0X66KYFzo<>
 9/10


 「えへへ、見ててくださいね。

  マホの『嶺上開花』」

 「咲の真似かー。

  あれも高校生の時にやってたよなー」


 そうだ。もっと完璧にコピーしよう。

 もっと先輩に依存してもらって頼られるようになってからが本番だ。

 先輩が誰かに頼る癖をつけてしまえば、あちらから声をかけてくる。

 そうしたらちょっと素っ気なく対応しながら、それでもちゃんとこなしてあげる。

 友達はいらない。なるべく少ないほうがいい。

 マホもまた彼しかいないように、閉じたコミュニティの中でいたほうがいい。


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                       ´       `丶、
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                  |八:: ::..|Y ん゚い 八:: ::N≫ーミ|:: :: ::.|   /
                   / :\:从弋:::ツ  \| ん゚いノ:: ::/:リ   〉
                     / :: :: ::(| 、、、   ,  弋:::ツ7イイ\/
                  / :: :: :: :从            、、、/_ノ:│
                ;: : | :: :: :: | \  (  )    イ:: ::.:|│     「ーー『京ちゃん』」
                 |: 八ト、 ::.:| _,,〕ト  _,,... <:: :: :: ::人|
                 |/∠⌒\]I⌒∀   厶イ::/]/
              xz‐=ニマ  \┃ ∧   \〕く_
           〈/_   ̄\_ ┃   ー-、 ‐リ  ニ=┰x
          ___/  `ヽ ∨^〉|┃   マ⌒∨    ┃|∧
         /   〈_ノ }__ノ //|┃    , /       |│
.         / 〈  │ }ー   マ  / i|┃    ∨       ┃|   \
       \ ヽ、{ _λ    `≪__i|╋━━__厶__━-   ┃|    \
         ー宀ー'^ー=ミ  `ヽ ̄ ̄  V7⌒ニ=ー╋|/
                 |个ーァ'’     爪    / ̄
                 [ノ          { |ハ  〈\


                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ    「?」
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、



 「マホ、なんか言ったか?」

 「いえ、なんでもないですよ」


 ーーいつかこの言葉を使えるようになるまで、彼の側にいればいい。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/14(金) 22:19:47.39 ID:0X66KYFzo<>
 10/10


 ……
 …

 ・高校時代


       / /  ./  ,ィ          ヽ ヽ_
        / /  ./  //   /!  |l!   .lY'::::::::::)
      ; i  くlハ //,ィ  / .|  リ! j  l }::::::::::l!
      |イl!  ' _`Vメ、 l  / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
      ゝゝ| ;´んィ:!`    =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
      ||  l 弋_丿     'んィ:!.ヽ// ,'   !  } }
      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/
      ||  l     '   、、、 // ./イ  |
      || ::ゝ.    __     // ./. !   |
      ||  | l > ´‐-'   _イ//‖| l  |    「咲さんのことを教えて欲しい?
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.‖ll! l  |
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |     任せてください!!!!!!」
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
.     /  l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、   \  |
   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
.  /  ヽl     l  ! [__] / .l     i/  ヽ|


                                     ,ィぃ
                     _, -――- ,_      ,ィマママム
                   ,  '": : : : : : : : : : : : : ` ,  ,イママママム
                   /.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :vママママママム
               ,: : : : : :/: : : :/: : : : : :ヽ: : : : /マママママママム
                  /: :/ : : //: : : :/: : : :ト、 : : 丶: :付寸ママママママム
              /: :/.: : :///| : : |: : : : |: :丶 : :ハ: :寸マママママメメ、
              |: :l : : _jレ代ト、: :ト、: : :.ト、 ,ハ: :ト、i: : 寸ママママママ
              |: :| : : |    ハ|∧  l ` 'l: :l: :l: : : 寸マママママ
             人∧,ハl         \l   l: :i: :| i : : :.寸ママママ
                l : : 刈,r==く      ,zx、ノノイ / : ::/`マママ
                | : : : :| l/l/  ,     ⌒ヽ.   レ⌒Y
                | : : : :|   ┌ ―┐  l/l/l ノんノ
                | : : ,仆、   マ. 丿     rく__/|    「よろしくお願いしますっ!」
                l : : !i ト、「>rf^h_, ィ ノ|人|: :/
               /イ: :|寸〈V j i  |   i匕>、 レ′
               人| ,rく〉V l i  | ̄>′  \`
                    〉 i_〉⊥i, hく      ∧
                  ∧/ ,r一'   |rヘ、   /ヽ',
                  / r| 〈 / ̄ヽ  >く   l∧
                   / 〈 \レ': : : :/ `ヽノj_, /  !
                    /  | `ー\::/      ̄`ヽ ト一
                  V     ∧        `|
                 V     / \         |
                〉ー<     \    , イ
                /           >---く  |


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/14(金) 22:20:16.69 ID:0X66KYFzo<>  京ちゃんを求めて咲ちゃんの私生活を完全にトレースするマホください <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 22:23:01.19 ID:YXx+UU3wo<> 乙
なんか怖いww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 22:24:09.12 ID:g3x3CVG4O<> 乙です
まったく出てこなかったけど、咲はどうしてるんだろうか…
そして、モザイクがある方が卑猥ないつも通りの一位 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 22:27:20.36 ID:9YhO5b3AO<> 乙
五年連続でランキング1位ア〇チャーはついにモザイクがかかったかww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/10/14(金) 22:46:32.08 ID:dFp88Kfh0<> 乙です
世界一位さんはスゴイですねw
マホちゃんは……頑張れと言っとく <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 22:48:45.65 ID:KVfoZUHOO<> 乙です
咲ちゃんの真似をしてるマホじゃなくてありのままのマホちゃんが好きなんや <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 22:54:11.63 ID:gZnvuXEzo<> あれに師事するしかないという絶望
知らないとはかくも悲しきことか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 23:20:20.01 ID:UFeVwW0F0<> 乙です
やっぱり自分のお題が書いてもらえると嬉しいっすね〜
マホちゃん…健気…なのかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 23:34:20.32 ID:sLF/5xo6O<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/14(金) 23:49:33.14 ID:QukjCcAUo<> 乙ー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/15(土) 00:48:10.51 ID:kwj+fN2+0<> 乙
おもちクォーター因子もコピーしてしまったのか
和のおもち因子+咲の幼馴染ぱわー+タコスの声+久の小悪魔属性+京ちゃんの女子力=パーフェクトマホ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/15(土) 04:22:39.67 ID:8ahdwSZuO<> >>324
おい、ワカメのスタンド能力・・・じゃなくて、マトモな人間性を忘れてるぞ。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/15(土) 13:34:32.83 ID:epUfDjBS0<> 乙

つまり咲さんを主軸に清澄全員で京ちゃんを共有し囲うことで最高の環境が出来上がる・・・!?(オメメグルグル <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/16(日) 01:03:29.90 ID:CYRWEyXe0<> 和のおもち因子+咲の幼馴染ぱわー+タコスの声+久の小悪魔属性+京ちゃんの女子力+ワカメの眼鏡(人間性)=マホ完全体? <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:37:23.49 ID:0YnPbxt5o<>
 1/10

 18
 【京穏でオープンキャンパスへ】-京穏次元-


 自分の部屋で携帯を見つめる。

 いつもこの時間は頭を悩ませる。

 そう、京太郎からラインが来ているのだ。

 穏乃としては電話の方が気楽でいいのだが、世間一般的には違うらしい。

 確かに、恋人でもない男女が毎日電話をするというのもおかしな話だろう。

 
 「うーっ……」


 やはり、考えたことをそのまま喋る方がよっぽど楽だ。

 相手の声を聞いてどんな表情をしているのかを想像できないのは難しい。

 文章だけだとまるで怒っているように思われてしまうかもしれない。

 もっと気楽に楽しめればいいのだが、そうもいかない。

 ーー恋する乙女だから


       ,. :´: : : : : : : : : : : : :`:ヽ、-.、
      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ:\
    /: : : : : : : : ∧: : : : : : : : : : 、 : : :ヽ:ヽ
   / : : : : : : : : : / ヽ: : : }: : : : : : ヽ: : : ヘ: ヽ
  /: :/ : : : : / : /  ヽ: : :}: : : : : : :ヽヽ: : }: : :ヽ
  {: /: : : ト、ハ: /    '; :人: :_レ: : : ',V/: }: : : :ヘ
  {:ハ: : : :i: i`'ト:L__  vi:,レへ:{\: : : }:!: :/: : : : :ヘ
   ハ: : :ハ! V      レ   ` V: /:}:./: : : : : : ハ
    ヽ: ハ 三三      三三三 i:V: :.ハ: : : : : : : : :ヽ
     V: } ww       ww   }: : : レi: : : : : : : :ハ:ヘ
       i:{     、_,、_,、_,    u イ: : :/ !: : : : : : : :ハ:i
      V>. 、_ ー―'  z≦  !:. :/  }: j : : : : : :} ヽ
        ヽヽ: ヽ {::::エニ彡:::::ニ:}_/l: :/  |:∧: : : : /:}
          _ゞくトニiiニニ-:´ノ::::レく   レ i: : : :ハi    「恋する乙女かぁ……」
        /::::::::::::ヽjj:::―::: ̄:::::::::::::::::ヽ   }: : / ノ
        /:::i:::::::::::::《::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i   !: /
      j::::::!:::::::::::〃:::::::::::::::::::::/:::::::::::}  レ'
       l::::::V::::::::::ll::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::;
.      j:::::::{:::::::::::ll:::::::::::::::::::::/:::::::::::::::/


 柄じゃないのは自覚している。

 しかし、そう考えても転がり回らなくなったところは成長したと思う。

 前までの自分だったらこんな風に変わってしまったことを自覚するたびに走り回っていた。

 今は少し落ち着いて携帯を眺めることが出来る。

 まぁ、憧や晴絵がいたならば真っ赤になって反論したのかもしれないが。


 「『今日も勉強大変だったよー』」


 送信するのは取り止めのない話。

 最初はどんな話題がいいか憧に相談していたのだが、今は一人でも出来るようになった。

 日常の話をしているだけでも楽しい。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:37:52.99 ID:0YnPbxt5o<>
 2/10


 『そっかぁ。穏乃は勉強苦手そうだもんなー』

 「『うるさいなー。京太郎だって麻雀は苦手だろー』」

 『うぐっ、それを言われると弱い』


 こういう弄り合いが出来るようになるまでも時間がかかったものだ。

 このくらいならば相手が不快に思わないと信頼できる。

 その距離感が何だか擽ったくて嬉しくなる。


 『でも、今から大学の心配するなんて意外』

 「!?」


 思わず返信が止まる。

 ーーなんて答えよう?

 あなたと一緒の大学に行きたいからーーなんて考えて顔を赤くしてベッドの上を転がり回る。

 違う、そうじゃない。まだそんなこと言えないよっ。


 「え、えっと、

  『行きたい大学があるから』」

 『そうなんだ。

  どこの大学?』

 「うぇぇぇぇ……」


 ーー京太郎の志望校だよっ!

 そう言いたいのを抑える。言ったところで聞こえるわけではないが。

 どう濁したらいいものかわからない。

 和が京太郎の志望校を聞いてくれているが、イマイチわからないようだ。


 「『東京の方とか』」


 とりあえず、ある程度の学力の目安にしている学校を思い浮かべる。

 何となくそっちの方で京太郎と会いたい気持ちもある。

 送信から数分。既読は付いているけれど返信はこない。


 「な、何かミスった!?」


 焦って追撃をかけようとするが、文面が浮かばない。

 目がグルグルと渦を巻き、混乱の極地に陥る。

 どーしよーどーしよーっとベッドの上を転がりまわっている時に、返信が来た。


 『じゃあ、今度○○大学のオープンキャンパスに行かないか?』

 「……うぇひ」


 思わぬお誘いに変な声が出た。

 ーーもちろん行くよっ!!

 大声で叫びたい気持ちだったが、静かに返信して布団の中に潜り込んだ。

 顔が熱い。でも、やっぱり嬉しかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:38:21.78 ID:0YnPbxt5o<>
 3/10


 ……
 …

. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
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i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////    「お久しぶりですッッッッッ!!!!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


          . :´ . : . : . : .`: .
        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪_}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{     「へー、なかなかいいところじゃない」
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .E\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}


                 ,........-――--....、
            ,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、
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        {:{: :{l: |:{从_:{__{    }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
         从:八:{ム,イ _斧`    イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
          \{从{ Vり       Vzソ  |:/ Y: : : : : : : |
              |: }      '         |:l 'ノ: : : : : : : :|
              |圦    _  ,    ,ィ|:|イl: : : : : : : : |    「(私のヘタレ……)」
              |:/  .        イ_,/イ |:|: : : : : : : :
             }'    `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
               _,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/
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<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:38:51.52 ID:0YnPbxt5o<>
 4/10


 「穏乃も新子さんも久しぶり。

  つっても穏乃とは結構連絡とってるから久しぶりな気がしないや」

 「うぇひ」

 「あらあらー、しずったら積極的」

 「立派なメスですね」

 「何言ってるんだよー!!」


 二人きりでオープンキャンパスに来ればいいものを、憧と和を誘ったのは穏乃である。

 ーーだって恥ずかしすぎて無理!

 相談した時の憧は本気で呆れた顔をしていた。

 しかし、なんだかんだで付いて来てくれるのは嬉しい。

 麻雀から勉強から、何から何まで迷惑をかけっぱなしだ。


 「まったく、しずったら」

 「なんかあったのか?」

 「それがね……」

 「わーわーわーわー!

  そ、それは置いておいて早く行こうよ!」


 とりあえず声を出して憧を遮る。

 こっちを見てにやにやしている。くそう、やられた。


 「つっても何見るかなぁ。

  やっぱりサークルとか気になるよね」

 「須賀君は運動をしたりしないんですか?

  咲さんからハンドボールをやっていたと聞きましたけれど」

 「もーブランクありすぎて無理。

  でも新しく何かやって見るのも悪くないか?」

 「え……っ」


 京太郎が運動できるのは嬉しい。

 私が走り回っても付いてこれる体力。そんなの京太郎じゃないと無理だ。

 でも、麻雀という繋がりが消えるのも寂しい。


 「しずー、面倒臭いこと考えてるでしょー」

 「わわわっ、何だよ!」

 「そーんな玄みたいなグラビティっぷりで拘束しちゃダメでしょ」

 「してないよっ。

  それに玄さんはこういう重力とは違うだろっ」

 「あー、確かに」

 「穏乃がそういう話をするのは珍しいですね」

 「ここ最近そーいう話ばっかりしてるからねー。これでも立派な女子高生よ」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:39:21.11 ID:0YnPbxt5o<>
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 「何の話してるんだ?」

 「なーんでもない」

 「須賀君に麻雀続けて欲しいってことですよ」

 「和!?」

 「せっかく私が気合を入れて教えているわけですからね。

  ……おや、穏乃。どうしましたか?」

 「うぐぐぐぐーっ!!」


 二人して私をからかっているのがよくわかる。

 まぁ確かに東京までわざわざ付き合ってもらっている以上、からかわれるくらい甘んじて受けなきゃいけない。

 でも、いいように取られているのは悔しい!


 「そういうみんなはどーすんだ?

  麻雀続けるんだろ?」

 「そうですね。

  私は大学に入っても続けようと思っていますよ。

  ただ、学業が疎かにならない程度にはなりますね」

 「私もインカレ目指そうと思ってるわよ。

  折角だし大きなサークルでやって見たいからね」


 二人が即答してびっくりした。

 まだ大学生活のイメージができていない私と違って、二人はちゃんと考えているらしい。

 もちろん、私だって麻雀は好きだ。

 でも、私の『好き』は二人とは違う。


 和ともう一度遊びたいから、小学生の頃のように楽しみたいから始めた麻雀。

 それを地元とは違う場所で続けられるのかわからない。

 和ともう一度会うという目標、そして憧も玄さんもいない麻雀部で続けられるのだろうか。

 憧も和もこのオープンキャンパスには一緒に来ているけれど、もっと偏差値が高い大学を目指している。

 もし憧と一緒にやるとすれば、次は敵同士。


 「(そっか。また離れ離れになるんだ)」


 胸が痛んだ。

 前のように奇跡的に集合することもない、本当の離れ離れ。

 これから先は道が交わらないことだってありえる。

 そう思うと胸の痛みが治まらない。


 憧がそんな私を見て溜息を吐く。

 そして声をかけようとしたところを和に制された。

 ーー和?
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:39:50.33 ID:0YnPbxt5o<>
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    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Y              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/    「俺も知り合いがいたら続けるかなァ。
            、__   ´    } イ从/
               |        |/        穏乃とかさ」
              「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
              |//l|     |//////// 、
        ,. <// ∧      |//////////> 、


             . .――┴: <: : : `ヽ、
         , . : :´: : : : : : : : : : : : : <: : : `ヽ
          /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `: 、: : : \
.       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : \: : : :\
      .´: : : : : : : : : : ∧: : : : : : : : : : : : :ヽ: : jヽ: : : : ヽ
    ´: : : : : : : : : : : / ヽ : : : : : :ヽ : : : : ヽ:/: ハ: : : : : ヽ
   /: : : : : : : /: : :/:/  ヽ: : : : :}:ハ: : : : : :V: :ハ : : : : : ヽ
   /: : : : : : : :ハ:_:{:{   i:イ: ̄:7ート、: : : : ': /: :}: : : : : : :ハ
   {:{: : : : : :ィl´V: :ハ:{   jノj:/j:ノ }:ハ: : : :!/: : }: : : : : : : : ,
.  {:{; : : : :/: :.{ ヽ:ヽゝ  ノノ  ノニzzj_ V: : }: : 〃: : : : : : : : :',
   iハ: : : : : N _三_       "ん/:心ヾ}: :N:ノ:/ : : : : : : : : : ハ
   ヽ ヽ:ト: i:ヽ〃ん/心      込//ソ "!: } V1: : : : : : : : : : :ハ
    ヽ ヽ\: ゝ弋//:ソ          ̄  }: } ノ } : : : : : : : : : : : '
         {: :ハ   ̄   '      :':':':   }: }イ::::\: : : : : : : : : :!:',   「それなら私も続けるっ!」
       l: :.ハ :':':':  、__ ー一、   U :/::::::::::::::::::\: : : : : : }:.}
          !: :{::ヽ     (    )   イ:./:::::::::::::::::::::::::ヽ: : : : ハ:}
.         ∧: :{::::> _  ー―  イ:://:/:::::::::::::::::::::::::::::::ヘ: : :ハ}
      /::::i: :{::::::::::::::\::::ニ_彡::/彡/::::::::::::::::::::::::/:::::::i: :/ }}
      {::::::Vヘ:::::::::::::::::::ー=ハ彡::":::レ::::::::::::::::::::::;:´:::::::::::::∨ 〃
      {:::::::::ヾゝ::::::::::::::::::::ヽイ:::::::::::::::::::::::::i:::::::::/:::::::::::::::::::} /
      ヽ::::::::::::、::::::::::::::::::::::{ {::::::::::::::::::::::::::i::::::/:::::::::::::::::::::j /


 ーーどうやら、私は私が考えている以上に単純らしい。

 考えるより先に口から言葉が出ていた。

 あっ、憧と和が笑ってる! うるさいな!


 「穏乃はこっちの方に来るのか?」

 「そ、その予定だけど……」

 「それなら俺もこっちにするかなぁ。

  どーせ和や新子さんレベルの大学には行けないし」

 「そ、そーなの?」

 「そりゃ学力じゃ置いてかれてるよ。

  麻雀でも勝てないけどさ」


 今まで私が悩んでいたことをポロポロと話してくれる。

 そっか、京太郎はこっちの大学目指すんだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:40:19.15 ID:0YnPbxt5o<>
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 「じ、実は私もそうなんだ。

  憧は頭が良いから、大学どうしよっかなって」

 「そーなのか?」

 「うん……」


 しかし、ここから勇気が出ない。

 もう一歩、もう一歩踏み込めれば全部わかるのに、俯いてしまう。

 俯いたまま辺りを見回すが、憧と和は少し離れたところにいる。

 ーーわかってるよ。これは私が自分で聞かなきゃ行けないことだ。


 「あ、あの」

 「なぁ、穏乃」

 「な、なに?」


 意を決して喋った瞬間、声が被ってしまう。

 やっとの思いで出した勇気が霧散して、聞き手に回ってしまう。

 これで話題が逸れてしまったらどうしよう。もう戻す勇気はない。

 ちょっと泣きそうになりながらも話を聞いてみるとーー


                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /    「俺、穏乃と同じ大学行こうかな」
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、


.        /: : : : : : : : : : : : : : : :\:`丶: : :\
         : : : : : : : ∧: : : : : : : :.|: : : : ':,: : :\: : \
       /: : : : : : : :;′',: : : : :.|: : ト、: : : : ',/.: :':,: : : \
.      / : : : : |:.:|: :|  |: :.}.: :.|: : | ', : : : } : : : ∧ : : : : :..
.     : : : :|: : :|:.:|: :|  |: /: ,.ィ^´| ̄|: : : ; : : :/.: :', : : : : : :..
      i: : : :|: : 」斗‐ト  l//,.ィ示ミ、 |: : :/: /: : : :} : : : : : : :.
      |: : : :|: : :|: x=ミ      {hiい 》|: :/| : : : : ,': : : : : : : : :.
      ∨: : ',: : l《 {i:い     Vrツ 厶イ: :|⌒ヽ: / : : : : : : : : : :.
.        \|\ゝ Vり      ,,   | : |   ,}/ : : : : : : : : : : : :.
.           ハ ,,, ′ ,. -- 、   u | : |_/.: : : : : : : : : : : : : : :.
        __| |   「/    }     ,|: /  | : : : : : : : : : : : : : : : :.
      _┌〈__|: :ト    、   _ノ   / j∧  |: : :/| : : : : : : : : : : : : :.   「ーーえっ!?」
    { (「_}_ノ |: :l n >  ̄ _,. <ニ//l  |: :/ :|: : : : : : : : : : : :|: :|
.    ∧ \ 〈\l.ノ }   「冂ニニ//ニ/⌒丶 |: : : : : : : : : : : :|: :|
   {  \ \| |  ノ7ニ|{_}二二/ニ//    ',: : :.|: : : : : : : : :|∨
   ト、      |//ニニY{ニニニ∠ニ/     } : : |.: : : : : :/: :;
.   \       | l/ニニニ//ニニニニ/      ; : :./: : : : : / : ;′
     \     :|/ニニニ//ニニニニ/      /: :./| : : : : /|: /
.      /  ,     マニニ//ニニニニ/      /l/ l: : :/ |/
     /   ',    マニ//ニニニニ/      /    |/


 ーーそれは本当に予想外の言葉だった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:40:48.35 ID:0YnPbxt5o<>
 8/10


 「ほら、知り合いも誰もいないとこ行くの寂しいし」

 「そ、そうだよね。

  私もちょうど良いところに一人で行くの、不安だったし」

 「……」

 「……」


 妙な沈黙が降りる。

 私としては願ったりな展開なんだけど、ものすごく気まずい。

 チラチラと京太郎の方を見てみるけれど、目をそらして頭を掻いている。

 も、もしかして照れているのかな?


 「……サークル見て回るか」

 「そ、そうだね。

  あ、あれ、憧と和は?」

 「……あれ?

  どこ行ったんだあいつら」

 「待って、今連絡して……」

 「……あ、いいや。

  あいつらも積もる話があるんだろうし」

 「?」


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               ,   ´     /  `  < ⌒\
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              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人    「良かったら、二人で周らないか?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
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           .´: :/: /: : : :∧: : :ヽ: : : : : ヽ
         /: : / : :/ : : : / ヽ : : ヽ: : :',: :ハ
           /: : :,': : /: : : /,′ }:i: : : !: : : i: : :';\
        ': !: : !: _ハ:{: : ハ!   }ハ: :_:レ: :}}: : : ! : ヽ
        {:i: : :{: :/Tニヽ {!   jイ:ノハハハノ : !:}: :ヽ:ヽ
        i:ハ: :ハ: i/ん:ハ`   ゙ん:ハヽi: :i :ハ}i: : : ヽヽ
           iハ: ハゝ 辷ソ    辷ソ "ハ:レ: ノ: : : : ヽ:ヽ
             /人 !       '       /.ィ:}: : : : : : : ハ:.}
             {:{  ', "" r――┐ "" ′V}: : : : : : : } }:}
          {:{  ゝ,  ヽ  ノ   イ  ∧: : : : : : :/:/
            ,ヾく: ̄::i:::::ェ- --ェ彡!: ̄::::ハ}: : : : : //    「ーーうんっ!」
.           /:::i:::::::::::::ヽ\::YY:/:丿::::::::´::ハ} : : : //
         /:::::::へ┐::::::\:::l l::::/::::::::::::::::j:::V : ノ
         ノ:::/ヽ‐二>、:::::::::`:l l:´:::::::::::::::::::V:::::Vノ
      ノ::ィ::ヽ::`<´,.)::::::::::::l l::::::::::::::::::::::::!:::::::ハ
       /::/:::\:ヽヽ:::フ::::::::::::::l l::::::::::::::::::::::::}::::::::::ヽ
.      /:ノ::::::::::::::::ー:Y:::::::::::::::::! !:::::::::::::::::::::::j:::::::i::::::ヽ
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:41:17.64 ID:0YnPbxt5o<>
 9/10


 ……
 …

 阿知賀から東京までは遠すぎるから、観光がてらホテルに泊まっている。

 京太郎も近くのホテルに泊まっているらしい。

 だから、明日は東京巡りをする約束なんかを取り付けた。


 「デート。デートだっ」


 嬉しい。本当に嬉しい。

 まさかこんなことになるなんて思っても見なかった。

 先が見えない辛い勉強のゴールが見えた気がする。

 これならきっと、頑張れる。


 「麻雀だってもっともっと上手くなる」


 京太郎に教えられるくらい上手くなるんだ。

 今までは自分で打つしかできなかったけれど、今度は京太郎と一緒に遊びたい。


 「それに、いろんなレジャー施設にも行きたい」


 やっぱり体を動かすのは好きだから、それもやりたい。

 京太郎は付き合ってくれるって言ってた。とっても楽しみだ。

 ああ、やりたいことが多すぎるよっ。


 「まだまだ時間はあるけれど」


 大学受験はまだまだ先だ。

 それでも、今日の思い出で頑張れる。

 またちょっと憧に迷惑かけちゃうかもしれないけれど、勉強だって頑張るぞ。


 「憧と言えば……」


 まぁ、憧と和なんだけれども……。



  /: :/: : /: : :/: : : : /: /   ヽ: : : : : : ヽ: : : : : :V: : :V: : : : :ヽ
  /: :/: : /: : :/ : : : /: :/    ヽ:、: : : : : i : : : : : : V: : V: : : : : ヽ
 /: /: : :/: : :/< : : ハ: !     }:ハ: : : : :ハ: : : : : :ヽ: : } : : : : : : ハ
 : // : /: : :ハハ:\:! {:{     }:レイ: :√}: : : : : i: }: : !: : : : : : : :ハ
. {:ハ: : l: : : ハハ: : i ̄{{     ̄/ ハ:ノ  !:!: : : :ハj : ;′: : : : : : : ハ
 Vハ: :ハ: : ハ〃rV/云       〒冗示ミ j:ハ: : /: : : ': : : : : : : : : : :}
    ∨ V: ハヾ{7///}      {7///} 〉 /:/ヽ: :/: : : : : : : : : : : }
        ハ:ハ 弋//ソ       弋//ソ イ: !  }:/: : : : : : : : : : :}: :}
       {: :ハ ,:,:,:,:,        ,:,:,:,:,  }: :} /: : : : : : : : : : : : ハ: }
       |: :| !      ′       u }: jイ: : : : : : : : : : : : : :} }:j
       |: :| ヽ     、_,、_,        /}:.j ヽ: : :! : : : : : : : : : ! i:}   「二人とも、どこ行ったんだろう……?」
      l: :l   >    ヽ ノ      ´ト //  !: : j: : : : : : : : : : W
      ヽ:ヽ   r≧....._  <..-‐: ̄//}  }: : ハ: : : : : : : : : :}
       ヽヘ   〉::::::::゙Y ̄::::::::::::::::::::彡::ヽ j: :ノ }: : : : : : : : : :}
      __ゝ.イ:ヾ===ハ====:::"//::::/::::::::<__: : : : : : :j
    /  ll::::::::::::::::::::::::::::〃::::::::::::::::::::::´:/::::::::::::::::/  ̄ \: : :/
.   /    ll:::::::::::::::::::::::::::《::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/     V:/
   ,     ll::::::::::::::::::::ー::《:: ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      V


 東京だし不安だけれど、何度か連絡しても問題なかったし大丈夫ーーのハズ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/17(月) 18:41:47.17 ID:0YnPbxt5o<>
 10/10


 ……
 …

 ・昼間

                    .. ------ ..
                  ...::´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`::..、.  -――┐
           ┌―‐ 、/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:./- 、    /
            八   /:/:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\{   ‘,  <..
            /} /:/:.:.:. ∧:.:.:.:∧:.:.\:.:.:.:.:.: \___ノ   }:.\
              /└/:/:.:.:. / ∨:.:.:∧:.:.:.:.\:.:.:.:.: l:\ ┌┬':i:.:.:.:.
           //:./l:l:|:.:.:|:.l´ ̄ ∨:.:.:.:\ :.:. l\:.:.リ:.:.:「¨:.:.:|∨:.:.:.:.:.
.          //:.∧l从l:.:|:.{  -、 \{\:.:\:.|__,∨:!:.:.:!:.: : :||.:.:.:.:.:.
         //:.: : ∧ l:}八芹芋ミ  \ァ芋苧ミ |:.:|:.:.:|:.:..:. ||.:.:.:.:.:.|
.         / {:.:.:.:.:.:.:.| l:∧{ {.:J刈      i.:::J刈'|:.:|⌒!:.:: : ||:.:.:.:.:.:|
        { {:.:.:.:.:.:.:.| l:.:.:.| 乂_ツ      乂__ツ !:.:!ノノ:.: : :||:.:.:.:.:.:|
        { ∨:.:.:.:.:.| l.:.:.:l:. ,,,,   ' _  ,,,  |:.リイ|:.:.:.:.:||:.:.:.:. リ
        {  ∨:.: : :| {\{:.:.、   V  }   ...イ/:l:.|:|:.:.:.:.:||:.:.:.:/     「君たち、良かったらアイドルにならないかなっ☆」
        \ ∨:.:.:.| |:.:.:.|.:.个::.... _  ̄ _   {-/ 、:l:.|:|:.:.:.:.:||.:.:/
.            ∨:.リリ:.:.:リ:.:.:|:./⌒ヾく{___/ /⌒'i:.|:|:.:.:.:.:|八:.:{
.             |:.//----、:.l∧‘,‘,: : : {  {   } -=ニ二乙':.{
           |//にニ=- / ∧_}  } : : -{  {   / }__{乙)':.
.             //ノ^ソ ,ノ/ /: : `ー': : : : :`ー`イ  {   {‐┴、) \        /i
.  \------=彡'//: : にソ 乂: : : : : } : : :__  ‐┘ ̄{\,ノ: : : :.   \____彡'
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: |: : |: : : |: : :____: : : : : :/: :. : :./ :}ア∧:\:. : : :. : : :.|
: |: : |: : : |/:. : : : :.X :/}: :/:. :.://}:./  〈 : /| : : : i : |、
: |: : |: : : |:, :./)/)/ ̄}:/}: : /  ≠ミ  ∨:.| : : : | : |: \
: |ミ |: : : |//ア⌒ヾ  / :}: /   '|: r :|   : :.| : : : l: /\: :\
: |、 |: : : |   : 「 :|   }/    | 」:l   {: :| : : /|/  丶: :丶
: |  |: : : |   |  」 :|         乂シ  {: :| : /: |     : : ::
: |  |: : : l    乂__,ソ       /////,: : イ: : |     |: : :|   [] 〔rァ〕
: |丶|: : : |//////       ′      ′: |: : :|     |: : :|   o  o′
: |ゞ |: : : |       〜 ー〜ヘ⌒        从: |: : :|     |: : :|
: l:.〕i|: : : |      .′       \|    /:. : :.|: : :|     |: : :|   「ふきゅっ!?」
八:.:.|: : : ト      l           |   /:|: : : : :|: : :|     |: : :|
: : \: : 八   〕ト !          ノ. . : : : |: : : : :|: : :|\   |: : :|
: :. : :.\: : \    ≧=-  r<:. : : : : : :.|: : : : :|: : :|:. :.\  |: : :|


       / /  ./  ,ィ          ヽ ヽ_
        / /  ./  //   /!  |l!   .lY'::::::::::)
      ; i  くlハ //,ィ  / .|  リ! j  l }::::::::::l!
      |イl!  ' _`Vメ、 l  / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
      ゝゝ| ;´んィ:!`    =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
      ||  l 弋_丿     'んィ:!.ヽ// ,'   !  } }
      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/  / ̄ \
      ||  l     '   、、、 // ./イ  |     |  ア  |
      || ::ゝ.    __     // ./. !   |      |  リ  .!
      ||  | l > ´‐-'   _イ//‖| l  |    <.  で  |
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.‖ll! l  |     .|  す  !
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |     .!  ね .!
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !    \__/
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
.     /  l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、   \  |
   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
.  /  ヽl     l  ! [__] / .l     i/  ヽ|


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/17(月) 18:42:15.59 ID:0YnPbxt5o<>  もうちょいでリク消化完了だー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/10/17(月) 18:46:22.55 ID:4CsjHd0e0<> 乙
和と憧が問題行動をしないのは違和感あるなw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/17(月) 19:43:03.72 ID:gleg6lvUo<> 乙
恋する穏乃やはり可愛い、応援したくなる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/17(月) 20:38:01.38 ID:7ck2fOeDO<> 乙です。
オチ要員がオチてない……だと? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/17(月) 21:26:24.70 ID:7eHEctDyo<> まあこの次元だと思いっきりやらかした前科があるからな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/17(月) 21:50:55.07 ID:8dINqyD/O<> 乙です
穏乃が可愛かったり、京太郎が男らしかったり、ブラックコーヒーが進みそうですありがとうございます

オチ要員がオチてないのは、ここから別ルートでのどあこアイドル次元が始まり、盛大にやらかしてくれる前触れの可能性
声を掛けたはやりんの胃がやられてしまうのか、はたまたはやりんも… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/17(月) 21:52:28.68 ID:xqqMpR0Q0<> 乙ー
>>343
新訳京霞次元の根本の元凶をお忘れですか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/18(火) 01:20:54.65 ID:y3bob6JRo<> 微笑ましくて非常によろしいです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/18(火) 01:31:09.57 ID:NZsNz7Ka0<> オチの更なるパワーアップの為今回のオチはチャージ中(オチが3体来るぞイッチ)か

うたわれラジオ的な流れで小蒔が京ちゃんを口説く宣言とかどうだろか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/18(火) 11:43:24.98 ID:qQ24U9rW0<> 乙
玄さんはいつどんな次元、どんな場所、どんな空間でもグラヴィティ、ちぃおぼえた <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/18(火) 12:33:32.57 ID:m2hIlzO2O<> 乙です
リク消化ありです
微笑ましい二人の進展に期待 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:47:40.63 ID:zz18GOyJo<>
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 260
 【江口セーラと……】-単発次元-


 江口セーラはとても活発的だ。

 なぜ麻雀部に入っているのかわからないくらいアクティブなのが彼女の特徴。

 同じく活発的な愛宕洋榎や愛宕絹恵とも仲が良い。

 サッカー部だった絹恵に混ざってサッカーをやっていたこともある。

 待っているなんて愚の骨頂。攻めて攻めて攻めあるのみ。

 そんな彼女はもちろんプロ志望だ。大学に行くつもりもない。

 それだけの実力とキャリアがあるし、関西のチームは洋榎とセーラどちらを取るかで話題は持ちきりだ。


 ーーしかしそんなセーラもインターハイが終われば少し暇になる。

 そのほかの大会もいくつかあるが、やはり練習に身が入らなくなる。

 どうしても次の年のメインになる2年生が頑張るべきところだし、そこに茶々を入れるのも悪い。


 「雀荘に行くかー」


 それならばと腕まくりして向かう先を決める。

 プロになってしまえば雀荘で気軽に打つこともできまい。

 プロなのにカツ丼食べながら雀荘で打っていてはプロの立場もないだろう。きっと……。


 「暇なんですか?」

 「おー、下級生に茶々入れるのもなんかな……」

 「それならこれでも見てみます?

  江口先輩、運動好きと聞いたので」

 「おー、俺はスポーツにはうるさいで!

  また絹のやつとサッカーやりたいなぁ」

 「あちらさんも気に入ってる動画ですよ」

 「絹が?

  そら楽しみやな!」


 本当ならば動画など見ていないで自分で行動したい。

 しかし後輩が自分のためを思って見せる動画だ。それに付き合うのが先輩の役目。

 セーラは『先輩』としての立ち振る舞いにはうるさい。

 体育会系のようなノリは一見嫌われそうで、それでも好かれているのはセーラの人徳だろう。


 「この前フナQが見せてくれた動画も爆笑やったしなー。

  今回も楽しみにしてるで」

 「ええ、きっと気に入りますよ……」


 キラン、と眼鏡が光った。

 そして渡されたタブレットを持ち、電源をつけるとーー
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:48:09.98 ID:zz18GOyJo<>
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 ……
 …


 【高校一年生。ここまで鍛えましたっ!】


         ,. ' ´ ̄>、八 ,, テ彡',、 _`ヽ
         /  〃∠  ミy-'' ´7⌒Y ``゙`ヽ、
       { N、/i´⌒>y'′  ハ   :   }  ハ
     /´``-'y   ミノ    八  ',   ,.._,.._!
      i /  〜ヘ   〕   _, -へ、≫-‐、ノ  ',ハ
    ノく  \、 ゝ、...ノヽ<     , {  (   n  ハ
     iー-、.. `〈^〉 ノ´-、`ヽ-‐‐´∧ヾ、.  ハ   }
    } '`  `` `>、.._   ` 彡´`ヽ>´^,' ⌒',   !     ムキッ!
    \``ー‐- -‐、  `` ヽ  _./ _,..-‐-y ノ!
      `丶--‐"て_⌒ハ. }. } }彡  _´,,..  '´/_ノ
           (`´,... } } .!.ノ三三__,,..-‐'"
           `、-‐'"^^^'´ノ  ',   ∧
            )-,..-‐'' ⌒',  }   ', i
            ν´    / .ノ  ,...、 }
           /      ノ 〃     !
           /      / /      /
            /    / / /      /
        ノ   ノ  /  /    /
          ∧     / /´` 7´
         /ハ    /,. '"´   ,/
       }  `  //ー-彡'/
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        Y´ ', `   '<´


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:/ /: : : : :|: : :.:十―八: : :.:|  V─一: : : :.|: :\: : : :.
  /: : : : : :|: /|:/=ミ、 \: | r=≠ミ、: : : :.|: : : :\ : :.
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                          __ -‐         , : :| :.|:.:.:.:.:.:.:.:.:|    |:.      「どうです?」
                、  `¨´            /: : :.| :.|:.:.:.:.:.:.:.:.:乂__ノ:.:
                             /  : : : | :.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
                   个:::...       /   : : : |:.:乂:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:


 …
 ……


 ※ サイコ注意!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:48:39.66 ID:zz18GOyJo<>
 3/10


 「な、ななななな何見せとんねん!」

 「えー、江口先輩なら気にいるかと」

 「何言うとんのや!

  こ、こんなん見て喜ぶ奴なんているわけないやろ!」

 「でもさっきから両目を覆ってるくせにチラチラ見てはりますよね」

 「!?」

 「そこに映し出されたのはーー肉体美。

  そう、それはあまりにも美しかった。

  無駄が省かれたスタイル。

  脂肪など一切見えない。

  まるで漫画のようなそれは江口セーラを魅了してーー」

 「変なモノローグ入れんなや!

  お、俺は興味ないわ!」

 「えー、うちのにはウケたんやけどなぁ」

 「えっ……ヒロ?」

 「下の方」

 「絹か……」


 気づけばいつもの千里山。

 どんちゃん騒ぎが始まっていろんな人が集まってくる。

 特にセーラがからかわれる側となれば非常に珍しい。


 「ほら、メスの顔しとると集まってきますよ」

 「しとらんて!

  筋肉なんか興味ないわっ」

 「この人、ハンドボール部らしいですよ。

  江口先輩球技好きですよね?」

 「おかしいやろ!?」

 「そうですね。

  ボディビルダー用の筋肉って実戦向きじゃないらしいですし。

  つまりこの筋肉は見せる筋肉ではなくハンドボールで培ったものと」

 「突っ込んだのはそこじゃないわ!」

 「この人に突っ込まれたら江口先輩もヒーヒー言わされそうですね」

 「何、なんなん!?」


 浩子は面白いおもちゃを見つけたとばかりに眼鏡を光らせる。

 江口セーラ。男らしい性格とボーイッシュな外見とは裏腹に、純情である。

 実は中身が乙女思考と言うわけではなく、あまりにも恋愛話から遠ざかっているせいでどう反応したらいいかわからないのだ。

 そうとわかれば浩子のおもちゃだ。弄り倒される。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:49:08.51 ID:zz18GOyJo<>
 4/10


 「ほら、動物は自分より強い人に惹かれるって言うじゃないですか」

 「それとこれは関係ないやろ!?」

 「関係ありますよ。

  考えて見てください。

  普段は元気一杯で男に混ざって運動する江口先輩。

  しかし江口先輩の手にかかれば軟弱な男はついていけない。

  そんな時にこの人が現れて抑え込むんです。

  いくら江口先輩でも女の子。

  こんな筋骨隆々の人相手じゃ敵いません。

  抑え込まれる江口先輩。

  そんでーー」

 「やめ、やめーや!」


 普段の凜とした雰囲気はどこへやら、わたわたと焦りながら浩子に抱きつく。

 口を押さえつけてしまえば力の差で浩子にはどうにもならない。


 「こんな感じになるんですねー」

 「まだ言うか!」

 「せやけどセーラも女の子やし、そう言う出会いがあってもいいんちゃう?」

 「怜まで何言うとんのや……」


 ため息を大きく吐く。

 怜もからかう側なので救援は期待できない。


 「そー言うのは泉にやれや」

 「私ですか!?」

 「えー、泉は弄り飽きたんやもん」

 「じゃあ竜華でもええやん。なんで俺やねん」

 「竜華はエア彼氏と遊ぶので忙しいらしいから……」


 部室の端っこの方で『京くん、京くん』と人形に向かって呟いている竜華を見る。

 一瞬視線が集まるが、すぐにみんな見なかったふりをした。


 「もー、俺は帰るで。

  打たないんやらここにいてもしゃーないし」

 「つれないなぁ。ガールズトークしようや」

 「俺には向かへん」


 怜がにじり寄るも、バッサリ切り捨てる。

 竜華なら甘やかしてくれるんやけどなーっと呟く怜だったが、セーラは帰り支度をしてしまう。

 無造作にその場にあるものをカバンに詰めると、脇目も振らず部室を後にした。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:49:37.80 ID:zz18GOyJo<>
 5/10


 ……
 …

 「ガールズトークってなんやねん……」


 自分には無縁のものだとセーラは自嘲する。

 今まで男勝りで生活に困ったことなどない。

 むしろ女子校だからか女の子から告白されることが多い。

 それを鬱陶しいと思うことはあれど、自分が男の子に恋するなんて考えたこともなかった。


 「しかもこれ、こんな筋肉で……」


 なんの冗談だ。いや、マジで。

 いつもの浩子の冗談にしては度がすぎる。


 「絹が見てるって言うのもどーせ嘘やろ……」


 そう呟いた途端、携帯が震えた。


 ……
 …

 差出人: 愛宕 絹恵
 宛先: 江口 セーラ

 見た!?
 20XX年X月X日 17時05分

 見た、見た!?

 この人球技やってるらしいんよ!

 すごいで、ほんますごいで!

 あー、サッカーやったら良かったのになぁ!

 先輩もこう言うの好きですよね!?

 もっといっぱい動画あげてくれへんかなぁ!!


 …
 ……


 「がっつり見とるんかい!」


 隣に泉がいたらハリセンで思い切り叩きたい衝動に駆られる。

 どうやら愛宕の可愛い方が堕ちているのは本当のようだ。認めたくなかったッ!


 「せやけど俺は興味ないし……」


 動画もほとんど見ないで消してしまった。

 タブレットもそのまま置いてきたからもう縁がないだろう。

 絹恵は残念だったと思って諦めよう。愛宕のおもろい方をからかうネタにでもしよう。


 「……アレ?」


 そこで気づく。

 先ほど無造作にカバンに物を放り込んだ時、タブレットが混ざってしまっていたことにーーッ!!!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:50:07.60 ID:zz18GOyJo<>
 6/10


 「……入っとるやん」


 周囲を見回す。

 もう家に帰ってきているので、誰もいない。

 今日は親の帰りも遅いと聞いている。


 「まぁ、俺には関係ないし」


 明日浩子に返せばいいだけの話だ。

 きっとからかわれるだろうが、適当に対応すればあちらも飽きるだろう。

 変に反応するからいけないのだ。こちらが適当に話せば相手もつまらなくて飽きるはず。

 泉はそれができないからいつまでも弄られるんだよな、と思考を逸らす。

 逸らそうとするが、視線はタブレットに向いている。


 「まぁ、絹がハマっとるくらいやし、話題を合わせてやるのも先輩の役目やし……」


 口から勝手に言い訳が飛び出ながらもタブレットの電源をつける。


 「こんなん合成やろ。見せるための筋肉なんて球技に使えるわけないやん?」


 ……
 …

            ,>、__,.彳 人 `` ー 、
        _,ノ´、,  ,..>、リ,. -- 、. ヽ--、
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      /   〃,..     'r  _,.. 、}>、.. r-{.
     /、  _,..イ´      ト. ´   i  ´   }
     /  ゙ー'´ }ヘ     _,..ノヘ`ー- ...ィ! ',  ハ {
    ,' ,'     リヾニ=ニ´ ,. ‐'' h ー 、 ハ リ  ノ}
   ,'八  ,  / \ミヽ、ヽ.   |!  } 彡N  ', ハ
   }  (.,/    ∨ ヽ('' ´`` /´`'!,∨ ! ,.'  i
   ,ハ',  ii      {   入__ _ノ.__,ノ |  ∨  ,{
   i : v リ     /、  {   ゚ ´,| |   |,   }
   { Y, ,'    ィ‐‐-ミ、_`',      リ }   ,'   ヽ
    iヽ !   ,' :   ハ`ヽ、..__,/-',〉-‐‐y    ,}
    }. ∨   ./ ノ  /  ∨' ,.  _,./ !  `''"i ', {ノ'′
    ',  `ヽ_,..{,'  ノ   i   /´ 、  ヽ、.__ ,〉 ト,)
    ',  r‐ヤ  '     人ノ    >‐‐イ / ` }
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:50:36.54 ID:zz18GOyJo<>
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       // | ////      ////  ,‐´::|`ー丶     「うわぁ……うわぁ……」
       ´   丶、  ┌―‐,     ノ i、:::|
              ` ‐ `ー‐_  -‐ ´N` \|
              ,┌/   iニヽ- 、
               ,-‐´;;;;/`ー‐´|;;;;;;;/;;`ー、


 凝視。

 凝視、凝視、凝視。

 それはセーラにとって未知の世界。

 そもそも女子校に通っていたセーラには男性に対する免疫がない。

 それでも元々男性が苦手というわけではないはずだが、こんな筋骨隆々な姿なんて見たことない。


 「えっ、筋肉ってこうなるん?

  おかしいやろ……」


 セーラも筋肉はついている。

 同年代の女子に比べればかなり力がある。

 だが、これはその比じゃない。

 紛れもない雄の肉体に、セーラは圧倒されていた。


 「俺も腹筋くらいはイケるけど……」


 そういうレベルではない。

 きっと浩子の言うとおり、抑え付けられたら手も足も出ないだろう。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:51:05.33 ID:zz18GOyJo<>
 8/10


 「これ、コメント出来るんか?」


 動画主に感想を送ることができるらしい。

 ツイッターのダイレクトメールのようなものだろうか。


 『最近は動画投稿者にコメントするのが流行ってるんですよ』


 ずいぶん前に浩子が言っていたような気がする。

 やれ配信者がどーのこーのと言っていたがよく覚えていない。


 「『すごい筋肉やな。

  球技をやっていたって本当か?』」


 当たり障りのないコメントを送る。

 別におかしいことじゃない。おかしいことじゃないと何度も自分に言い聞かせる。

 他の人だって送っているはずだ。もっとも、他の人のコメントが見えるようにはなっていない。


 『ええ、中学時代にハンドボールやってましたよ』

 「返信はやっ!」


 しかし思ったよりも早く返信が来た。

 そういえばこの人は高校生とか言っていたか。


 「『高校生なん?』」

 『はい。恥ずかしながら高校一年生です。

  まだまだ筋肉道としては未熟なばかりですが』

 「『そんなことないで!

  そ、その、高校一年生でこんな筋肉なんてめっちゃすごいやん!』」

 『そう言って貰えると嬉しいです!』


 なんだか楽しくなってくる。


 「(こんなごっつい筋肉つけてるのに後輩なんか……)」


 顔がにやける。

 年下のくせにやるやん、などと余裕が出てくる。


 「『なんや、ほんまに年下なんやな』」

 『ははは、高校一年生だと感想くれる人のほとんどが年上ですよ』

 「『俺は三年生やで』」

 『えっ、結構歳が近いんですね。

  この前二年生の人もいたし、意外と見ている人いるんだ』」


 ーーそれ、絹恵やん?

 心の中で思ったが、確認する勇気はなかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:51:34.66 ID:zz18GOyJo<>
 9/10


 『やっぱり同じような部活やってるんですか?』

 「『違うわ!

  俺は麻雀やってるんや』」

 『本当ですか!?

   実は俺も麻雀部なんですよ』

 「『嘘つけっ!!』」


 思わず声にも出てしまう。

 この筋肉で麻雀部とは何の冗談だ。


 『本当ですよー。

  まぁめっちゃ弱いんですけど』

 「『そらまぁ才能の無駄遣いやろうなぁ』」

 『そっちは強いんですか?』

 「『おー、めっちゃ強いで』」

 『いいなぁ。今度教えてくださいよ。

  三年生って言ってましたよね。そう考えると男子インターハイで当たらないだろうから残念です。

  あっ、俺そこまで勝てないか』

 「……あっ」


 そこで気づく。

 どうやらこの人はこっちが女性だと気づいていないらしい。

 一人称が『俺』で関西弁なんて使っていればわかるはずもない。

 しかし、何だか恥ずかしさが湧いてくる。

 江口セーラは相対してのコミュニケーションなら得意だが、ネットを挟んだコミュニケーションは知らない。

                  , '{    _,,
                 ./::,'  , ィ ン´
           `ヽ- 、  ,': :{/:/r-‐.‐.‐. . ,__
             ,_>、`ヽ: : : '"´: : : -=ニ,_'"´
         , . : '": : : : : : :.∨: : : : : : : : : : : : `: . . 、
       ,. :´: : : ; ィ'": : : : ´:^:`: : : : : : : : : : : : : : : : : \
     ,ィン-‐ '"ン": : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ、: : :ゝ.、
     '´   /: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : : :ヽー- - 、ゝ
       , ': : : : : /: : : : : :./: : : : : : i!: : : : : :ヘ: : : : : : :ヘ
       , : : : : : /: : : : : : : /: : : : : : : i!: : : : : : : : : : : : : : : :,
     /: : : : : :/: : : : : : : /{: : : : : : : :iヘ: : : : : : : : ヘ: : : : : : .
    , : : : : : ;,/: : : : : : /,_,、: : : : : : :iー-ヽ: : : : : : : : : : : : : :ヘ
    , : : : :.//: : : : :./ ,,_  ヽ: : : : : {  __,,,,ヽ: : : : : :ヘ\: : : : ,
   γ '"´ ,': : : :./,ィ'"て沁、\: : : { ち 心_、: : : :}ヘ ヽ: : : ,
   ´     {: :.〆ヘ ゝ ∨ リ   ヽ: { .{   リ  }:`゙:ゞ}: ヘ `ー-ゝ
        i: /i:ヽ6ヘ   ゝ,シ    ヾ  `ー° ,':,,ン´、: : ヘ
        i/ !: : '>ヘ /i/i/   ,   /i/i/  /ノ   ゙ ー-ゝ
          i: /  }、             ,
          レ"  }: iヽ    ー     ,ノ}       「お、女だってバレたらマズいよな?」
             },ノ 从:`. ァ    , ィ: :ハ{
                ヽ: }   ̄   {ノ
              _, ィ '彡!       ',`゙≧ x 、
          ,ィ≦壬ニニニ{        }ニニニニニ≧s。
         ,ヘ’ニニニニニニニi! ‐- 、  ,, -‐i!ニニニニニニニマヘ
       /  ヘニニニニニニニi! ,,ィー‐ 、  .i!ニニニニニニン  ,


 ーーとりあえず、そんな発想に至った。

 果たして江口セーラは女だとバレずに謎の筋肉男Kとコミュニケーションを取れるのか!?

 頑張れ江口セーラ!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/19(水) 22:52:04.07 ID:zz18GOyJo<>
 10/10


 ……
 …


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
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              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Y { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/      「やったぜ咲! ネットで友達出来た!」
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
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   '´   |: 八: :| ((__))     ((__)) |: :/} : ハ:|
       |: 人\〉:.:.       :.:/:イ ノ: , }'
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          个 . ー― ‐'   个从{     「う、うん……」
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           _,..イ,'    V:\
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       {少′  / ,i  l ト、  i   ,ィマ、
      Y /  /// | l| | ハ  辷='/|:..ヽ\
     イ ′ / | { | 从、|  } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
.     { | l l―‐ {(リ八「―‐メ、 彡个rイト、
      リ、_! l リィチfト   '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
      l_,以 { ヒtリ    ヒztリ  |f リ| |:.:| |:.:|
      「 l 「ト    '         _,イ | |:.:| |:.:|
      } } ハ    _     ,ィ' ) ,j リ 刀 「    「(部活友達の筋肉がヤバい件でVIPにスレ建てしましょう)」
     / /,イ| |l>、    ,ィ |ノイイ / リ |
      / /リ |:! !仏ィ_〕¨     》,// / /| !
.    / / r廾 .|「{: |-、  __ / // ,ヘ〔 .j {
    〈 イ ∧V /:.:.: :|__´_./: :./ /:.:.:.:.>))
    } } /`Y'| {:.:.:.:.:.l    /: : 〈 〈:.:,イ´ /{,


 【江口セーラと筋肉】-筋肉次元-


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/19(水) 22:52:32.61 ID:zz18GOyJo<>  これで子供達を解放するんだな! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/19(水) 23:08:39.15 ID:UOLRiD6Mo<> 単発の割にはまた濃い次元が…
りゅーかはどうしてそうなっちゃったの? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/19(水) 23:24:16.66 ID:k+j3Kc390<> なんかしれっとオチ村さんやグラチャーよりもヤバイの居てワクワクが止まらない
単発の脇に置いておくには勿体無い <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/19(水) 23:24:28.19 ID:87/460cwo<> おつおつ
りゅ、りゅーか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/19(水) 23:34:27.75 ID:mdik6UxPO<> 乙です
この京太郎は対局中に空気椅子してそう(その為、麻雀に集中出来ず、弱いままの模様)
あとは、読書している咲ちゃんを背中に乗せて腕立て伏せが日常風景 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 00:24:43.03 ID:+xeW64gS0<> 乙
竜華と筋肉が余りに濃すぎてセーラの影が薄くなっとるww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 00:27:23.12 ID:8jKEDUs4o<> 乙
この次元は京太郎もちとヤバい気が、軽く引く <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 01:01:06.81 ID:D4ajwRrf0<> サイコってそこかよ
正直興奮した <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 01:48:40.32 ID:smhRo0zq0<> 久にナニカされ続けられたんだな(ダンベル、電動麻雀卓、プロテイン) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 02:06:03.96 ID:3KozSZwY0<> 女だとバレないように仲良くなっていくとかすごくロマンスなのに筋肉道やらエア彼氏やら一部おかしいせいで笑いしか出ない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 07:11:58.86 ID:zfl8aTCA0<> ※367
この次元の京太郎ならむしろ喜んで受け入れるな(確信) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/10/20(木) 12:38:13.52 ID:vFlRA4WuO<> 雌顔のセーラの魅力やばい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 19:01:34.22 ID:UwZpxjFz0<> なんか京ちゃんの知らんところでえらい勢いで拗らせてる人がおる様に思うんじゃが
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:03:05.38 ID:TqUpmlHVo<>
 1/10

 【江口セーラの憂鬱】-筋肉次元2-   ※ 筋肉注意


 時は少し遡る。

 須賀京太郎が清澄高校麻雀部に入部した時の話だ。

 京太郎は悩んでいた。己の筋肉の限界に。

 ハンドボールで培った筋肉は人を犠牲にした。

 接触プレイの多いハンドボールではどうしても怪我人が出る。

 それも須賀京太郎の筋肉と真正面からぶつかり合うとピンボールのように人間が弾け飛んでしまうのだ。


 「どうすりゃいいんだ……」


 須賀京太郎は苦悩した。

 彼が人生をかけて開発している筋肉は人を傷つけるためのものではないっ!!

 しかし、彼がハンドボールをしている限り傷つく人は増えていくだろう。

 その事実に気づいてしまってから、彼はもうハンドボールを続けることができなくなってしまっていた。


 「もうこれ以上誰も傷つけたくないんだ」


 結果、京太郎が反則で退場した後のハンドボール部は県大会決勝で敗北。

 全国への道は閉ざされた。


 「でも、このまま帰宅部になるのは良くないよな」


 高校に入ってから何かしようと考えたが、やはり接触競技はダメだ。

 では、他に何をすればいいか。

 京太郎はこれまで筋肉と付き合ってきた。それ以外の生き方を知らないのだ。


 「咲ー、すき焼き頼んでくれよ」

 「自分で頼んでよ。

  それにお肉ばっかり食べてさ」

 「そんなことないぞ。

  朝は生姜焼き、昼はすき焼き、夜は焼肉でちゃんとバランスに気を使ってるしな!」

 「ああ、うん……」


 腐れ縁である咲に昼飯を頼むのはいつものことだ。


 「それより、また何か持つものないか?」

 「ないよ、もー。

  この前なんか本買った私ごと持ち運んで、あんな目立つのもうやだからね」

 「えー、咲じゃ軽すぎて負荷になんねーしな」

 「あんまり筋肉つけすぎると故障するよ。

  ちゃんとジムに通って適正の運動をしないと……」


 宮永咲。京太郎に付き合っていたせいか筋肉トレーニングに詳しくなってしまった。

 京太郎のサポートをするのが日常になってしまったのだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:03:34.90 ID:TqUpmlHVo<>
 2/10


 「重い物持ちたいなら雀卓でも運びなよ。

  うちの雀卓処分しようと思ってたし」

 「雀卓って重いのか?」

 「だいたい45kgあったかな?

  あっ、それでも変に持つと怪我するから……」

                
                     
          ,.--,- '" ̄``ヽ、
        ノ′{´ /⌒ヽ ', ヽ    ←京太郎
      /   ∨.__   ∨ ,リ,゙i
       ノ.-‐ ‐-/,'   }  ,/',´// リ   「それだっ!!」
    /´    { i   {  ( .>、.._}'´ ̄
   /     ,..ハ  : 人_,,._-``ー 、..__
    i〃⌒''''"´  ! `ヽ‐-、..._ ``     ̄`ヽ、
   .|     '" 人_ ィヒ..             .ノ `ヽ-=...、
    |    ,ノ"´  ゙ヽ、_       _,,..ィ''">‐--、 \''"
   !  , '" -‐‐-'"⌒', ` ̄ ̄丁´ ,とノ´     `ヽ-'
    { ノ´ ,.. --      ゙レイ'⌒{ ゙Y
   i  /´       爪,人 .ノ}  }
    .|/          》 、  Yノ .リ
   .{             《 `ヽ.ノ} _ イヽ、
   ノ        `ヽ._ ヽ  ノ′ヾ、 ヽ
   /    ,      `ヽ`ヽ、 }      \
  i    {        \ ヽ}、       \


         ,. : :´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、
      ,. : :´: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : ヽ
     --/: : : : : : /: : ': : : : : : :V: : : ∨: : ',
     / : : : /: ': /l:|: :|:!: : :!: :、: |: : l: : :V: : :
   /': : : /: ': :{:/ハ七从: : |\:`lー/: : : | : : |
    /: :イ7: :{: :从{ __ {/\{  _从ハ : : /: : :.|
   '´   |: 八: :| ((__))     ((__)) |: :/} : ハ:|
       |: 人\〉:.:.       :.:/:イ ノ: , }'
       |/  `ム   , ‐--‐、   ムイ: /
          个 . ー― ‐'   个从{     「はっ?」
           \:}`}>-<{:/}/
           _,..イ,'    V:\
        r<:´::::::::::::{--、 , -|:::::::::`ーr-、
       / ∨:、::::::::::∧, ---、/::::::::::::::/::/∧
       ∧ \:\:::::::∧  /:::::::::::///
        l  ヽ \ー<、_∧ ,:::::::::> ´ィ´   }
        |   } \//ヽ、∨/´/// }     |


 咲の言葉を聞いた京太郎は覚醒した。

 頭の中の靄が晴れたようだった。

 今まで何を悩んでいたのか、自分のやるべきことが見つかった。


 「咲、その肉とっといてくれ!」

 「いや、私食べないし……。早く食べないと冷めるよ?

  それにさっき運動したんだから30分以内にプロテイン飲まないと」

 「それは移動中に飲むわっ。

  じゃっ!」

 「ちょっと、京ちゃん!」


 咲が制止するも止まるわけがない。

 京太郎は風になった。

 疾風迅雷。筋肉の身でこの極地にたどり着いたのだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:04:04.48 ID:TqUpmlHVo<>
 3/10


 ……
 …

 いつものように気だるげな午後、竹井久は一人で麻雀部の部室を守っていた。

 維持しているのは数名の幽霊部員。

 染谷まこは実家の手伝いであまり部活に参加できない。

 それでも、一縷の望みにかけて幽霊部員の力を借りて麻雀部を存続させてきたのだ。

 そんな彼女に転機が訪れる。


          ,≠⌒¨ >==-、J,.-=‐-`‐-‐‐-、
     ,. -‐'    ,     `}r'´   ` 、    ヽ.._
    / ノ `ー=ヽィ{.      人    ヽゝ.. _.ノ ヽ. ヽ.    「麻雀部に入りまーす!!」
   /f⌒ 、   リノヘゝ--‐‐'r-‐、`‐- ィ´八 {   r `ヽハ
  {. ヘ   ヽ ヘ.  ,'  ,r ⌒; : ⌒ 、ヽ Y  /ゝ/ ノ フ ,ハ
   ヽ-、 ` -'、 \{ 〈i r¬ ,'゙ヽ∧ リ/ ,ノ'´  ,. /´
     ゝミ   \_.⊥.ヘ:  } {   ,'´,∠...≠ ,.. 彡 '
        `丶、    λ{、 ゙ ` 'r {   ,. -‐ ´
          ` ー,イ:、ヽ   //, >.ィ ´
            / 〉ヽー-=-‐/i `リ
            ,'./! ヘ   / ;\ ',
             !  :ノ   ゝ.ィ   {;  } i
          ハ  /   }   {    ハ
             | '. ハ   {  ハ ,'  |
             ', } ;  ', | ;  i    ;
              ', ヘノ  ∨!/   ',ノ /
           ヽ、}.    i !   リ、./
              ∨ゝ .ノi ',、.ィ′,'
            }`   リ  } 〈  }
                ハ  ハ .,'ヽ ; ,ハ
             {  . i  } {  .  }
                i   i / ', !   !
              ',  : !  ! :   i
              ',   i   i  ,'
               ',  {   i  ,'
                 }  }  ハ {
                /  ハ  } ,=ゝ、
          ⊂ニ-‐‐='   ゝ-、っ⊃



    /: . : . : . : . : . : イ: . : . : . :/: . : . : . : . \
   . : . : . : . : . : . :イ: . : . : . : .//{: . 从:ヘ: . : . : . .
   /: . : . : . : . :/: . : . : . :.//  { ヽ:.{ ヾ}V: . : . : . ,
  . : . : . : . : . : . : . : . :.:./. 〃  ヽ ヾ  ノ V: . : . : . ,
  . : . : . : . : . : ./: . : .:/   〃   ヽ      V: . : . : ..
  . : . : . : . :{. :/: . : ./    /    、      V: . : .ヘ:.,
 {: . : . : . : .i:./: . : ./_,,, ィチ'"     ``'' ‐-- ∨: . : ヘ:,
 : . : . : . : . {/: . : /´   {      ,,_    ,': . : . : } ヾ,
 : . : . : . : . レ'": 7  __,,ニ      `''''ii!ー‐ i: . : . : .,   i}
  ,: . : . : . : .',: ..7¨ ̄ ii!          ii!   ,: . : . : .,   i!
  . : . : . : . : ヘ: {.     ii!          i!   ,: . : . : .,  i!
  : . : . : . : . : ヘ{.     ”               ,: . : . :7  ノ
  ,: . : . : . : . : .ヘ   u      '    u   i: . : . .7
   ,: . : . : . : . : . ハ      u     u    ノ: . : ./
   .V: . : . : . : . : . }  u   _ _    /: . : ../      「………………?
    \; ヘ: . :i: . :.ノ `,、   ´     ` イ: . : . :/
      .\;ヘ:.i; , /  ,  .>   __   ヽ=="         ーーーーーーーー!!!!?!?!?!?」
        }==={  _j       {_  i: . : ヘ
        i: . : .ヘ'"{ノ       i、:;:;:;ヽ{: . : . ヘ
       ノ: . : . :ヘ〈         }:;:;:;:;:ヘ. : . : .ヘ、


 その時、竹井久は感じた。


 ーー押し倒されたら孕ませられる


 そして次に感じた。


 ーー入る部活間違ってますよ
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:04:33.76 ID:TqUpmlHVo<>
 4/10


 「あのー、ここ麻雀部ですよね?」

 「は、はい! 麻雀部ですよ!? ウェイトリフティング部じゃないからあ!」

 「良かったぁー。間違っちゃったかと思いましたよ。

  入部しようと思うんです」

 「入部っ!?

  ここは麻雀をする場所ですよ!?」

 「?

  麻雀するために入部するんじゃないですか。

  あっ、何も知らない初心者なんですけど、もしかしてダメですか?」

 「そんなことはないわよ。……運動系と間違えてない?

  脳みそまで筋肉になってない?」

 「最終的には脳も筋肉で構成したいですね!」

 「(えっ、なに?

   新手の嫌がらせ?)」


 もちろん、竹井久としては断る理由はない。……やっぱりいっぱいあった。

 しかし、初心者だろうと麻雀をやりたい人間を追い払う理由はない。


 「わ、わかったわ。

  人の少ない風通しのいい部活でよければ、これからよろしくね」

 「よろしくお願いします!

  早速雀卓を運びますね!」

 「運ぶ必要ないわよ!?」


 この時、久は知らない。

 彼の存在が、久の悲願である清澄高校麻雀部の全国優勝へと導くーー。


               __  /⌒ヽ
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          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
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           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/      「いやー、断られたらどうしようかと」
                     `     ゝ - '   イ   |/
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:05:02.86 ID:TqUpmlHVo<>
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           /     {ヽ、__ノ 〉    \
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      /  /!    ノノ )  ̄ヽソ´ ̄   ハ   〈    i
      ∧  /    /,'´/ 彡  >`ヽ \   }   l    }
      /,ヘ  i   / ∠三彡´ 〉−- 、ヽ ヘ   《ゝ  ノ\
    i,'  入__,=、∠イく  ー==三个ミミ    >ヘ //ノく  ヽ    ゴゴゴゴゴ……
   / /     λ } ∧      十     /ノ / 厂`´   ,  ∧
   i ハ、   / 人_へ、__,ノ个<、__彡八 _ ,   )ミ  i
   { ⌒ =ミ⌒_ン  |  ',         /〃 ∧、 ,ラ  >  i
   ! > <  `〈     !  l       イ   '  |ン  , 、_, }
   ! \    ヽ   \ i            /   / / 〈
   \  、_   ∧   八     _  ノ   ノ  彡´´ ノ  ノ
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      `ー-、_ ヽ、`く⌒ヽ>)<ヽ、_   ゝ  ____,, -‐''
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           i      /   Y              i


 ……
 …

  |            | o  マ`ー '  7´         " .::⌒ヾト/ // |   /     /
  |            |  とつ_`ー― '           /::::::::::ハ ヘYイ /  /    /
  |            |  〃   `¨            {o{:::::::爿 || |,/  /    /
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. / i!         i!  ii                    /    i!   !   「な、なぜ涙が流れるのだ?」
/  |            ト、  ii                  .イ     |   i!
  ,!        i  | \!i                   . <  i!    .i!   |
  /!       |  |   じゝ.          . <   \i!    |   !
. / i!       |  |      > ,. _ . <   \   |      !   |
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 ……

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      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|
       } |/|::: {. ハ (⌒)==''         ///  |/}:::::|
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               {  ∧    |   /    /   / ∧ {
                } / {\/⌒)_∠__/|    / ∧
              /  ゙T{  二(__ `ヽ        _ヽ

 …
 ……


 そう、須賀京太郎の存在がーー

 この一ヶ月後に入部する宮永咲が、天江衣と宮永照を打破するキッカケとなるとは、誰も知らない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:05:32.84 ID:TqUpmlHVo<>
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 ……
 …

 ・現代


 江口セーラは女子高生である。

 しかし、おおよそ女子高生の知識はほとんど持っていない。

 ガールズトークなんてしたことはないし、竜華や怜の話も左から右に聞き流している。


 「あのー、江口先輩。

  私のタブレット知りません?」

 「し、知らんわ。

  俺に聞いてもしゃーないやろ」

 「そうですか」


 セーラがそっぽを向いて顔を赤く染め、浩子がメガネを光らせる。

 実は浩子はセーラがタブレットを持っていることを知っている。

 最近のGoogle Chromeは同期機能があり、別の場所で何を開いているのか丸分かりなのだ。

 そして江口セーラは嘘が苦手だ。

 その二つの要素を組み合わせてみると、結論はよくわかる。


 『江口セーラは高校生男子にハマったが、それを言い出せない』


 「(これは海老で鯛を釣った感じやなぁ)」


 怜と一緒にからかうネタが増えた。

 最初は男の裸を見て顔を赤らめるセーラを見られればいい程度に思っていたが、どうやらハマってしまったようだ。

 愛宕絹恵もそうだが、スポーツ好きが惹かれる何かがあるのだろうか。


 「セーラも乙女やなぁ」

 「誰が乙女や!」


 怜が楽しそうに割って入ってくる。

 プロ志望ではない以上、部室に来てセーラをからかうのが最近の怜の楽しみだ。

 竜華は部室の隅で自作の自分の人形にに自分の髪の毛を入れている。怜は見なかったフリをした。


 「えー、昨日のアレが気になっとるんやろ?」

 「き、気になってなんかないで……。

  た、ただちょっと……」

 「ん?」

 「お、女とバレないようにメールのやり取りって、どうやるんや」


 顔を真っ赤にして怜に問いかける。

 怜、浩子、泉の三人は目を見開いた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:06:01.57 ID:TqUpmlHVo<>
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 「どーしたんですか!?

  熱でもあるんですか!?」

 「う、うるさいわっ!」

 「別に女だとバレてもいいんじゃないですか?」

 「そやそや。

  なんなら思いっきしおめかししたセーラの写メを送ればええやん」

 「そ、そんなん嫌や」


 モジモジと胸の前で指を弄る。

 とてもいつものセーラとは思えないが、可愛いと思わされるのは顔立ちが整っているからだろうか。

 三人がニヤニヤしながら見つめる。


 「あっち、俺のこと男と勘違いしてんねん。

  俺も変に気ぃ使いたくないし、このままやり取りしたいんや」

 「江口先輩が乙女してますよー。

  これはデータに取れますわー」

 「こら、フナQやめい。

  女心は複雑なんやで」

 「先輩がそんな顔しとんの初めて見ました。

  なんだか憧れます」

 「憧れるってなんや……。

  もー、俺らしくなくて嫌や……」


 別に恋心を抱いているわけではない。

 相手の顔も声もわからないのだ。

 そう、セーラにわかるのは筋肉だけ。

 しかし相手の筋肉が語っている気がする。


 『俺と仲良くなりましょうよ』


 彼はメールで言っていた。


 『筋肉は口ほどにモノを言うんですよ』


 それが本当ならばーー


 「アホか俺ェ!」

 「ノリツッコミ!?」


 ーーないない、それはないっ!!

 なんとか自分を抑えるが、あの筋肉が脳裏に焼き付いて離れなかった。


 ーーこれが恋? そんなわけあるかっ!

 筋肉から始まる恋も、あるのかな?
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:06:34.63 ID:TqUpmlHVo<>
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 「もー、騒がしいやん。

  どしたの」

 「あ、竜華……。

  そ、その、大丈夫なん?」

 「?

  怜は変なこと言うなぁ。

  別になんともあらへんよ?」

 「そ、そか。

  それならええんやけど……」


 竜華が怜にひょっこり近づいてくるが、怜は少し後ずさる。

 『変な怜やなぁ』なんて呟きながらソファに座る。

 一気に空気が重苦しくなった。


 「セーラかて女の子なんやから気にせんでええのに」

 「アホか!

  顔もわからん相手に惚れるほど安っぽくないっちゅうねん」

 「気になっとるのは認めるんですねー」

 「泉ィー……。あとで覚悟しとけや」

 「なんで私だけ!?」

 「セーラもなんでわざわざ隠そうとするん?」

 「聞こえてたんかい。

  まぁ、その、なんや。女だってわかって態度変えられたら嫌やし」

 「それなら気をつけないとなぁ。

  確かに、配信なんてしとるんやし」

 「そうですよー。

  配信者は囲いを食べるってよく聞きますし」

 「お、おう。

  そうなんか?」

 「あくまで噂ですよ。噂」

 「そ、そか。

  絹恵にも言ってやらんとな」


 とりあえず自分ではないと話題を逸らそうとするが、まだ周りの視線はこちらに向いている。

 なんだか居づらい。


 「俺、帰るわ」

 「気をつけて帰るんよー」

 「竜華もな」

 「私は彼氏とイチャイチャしてから帰るわー。あっ、惚気をーー」

 「そ、そか。気ぃつけてな! 帰るわ!!」


 詳しいことは聞かない。千里山の暗黙のルールである。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:07:03.61 ID:TqUpmlHVo<>
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 ……
 …

 「別に普通にしてればバレへんよな……」


 少しドキドキしながらメッセージを送る。

 あちらにしてみれば数多くの視聴者のうちの一人だろう。

 普通にしていれば女だってバレることはない筈だ。

 それに、女性の視聴者だっているかもしれない。いや、少なくとも一人はいるわけで……。


 「俺、何考えとんやろ」


 なんだか不機嫌になる。

 別にこの人がどう考えてようが知ったことではないのに。


 「チャラチャラした女が言い寄って来てるかもしれんな」


 でも、自分は違う。

 あくまで最初は興味本位で、それからは彼のコミュニケーション力に惹かれたのだ。

 なんとなくメッセージを送っていて楽しい。相手の話題の引き出しも多い。

 それに、スポーツが得意らしい。だから話していて楽しい。

 それだけのはずだ。


 「あーもう、考えるのは苦手や」


 やっぱりメッセージのやり取りは性に合わない。

 通話でもなんでもしてしまった方が気が楽だ。

 でも、今はこの距離感が心地よい。


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          ィニニニ∧      、    `ー--  .,,__        /.|  ヽ ∨: : /
     /二ニニニニ∧       \             >=} } } ∧ 乂/      「『今日何してたん?』っと……」
.   /ニニニニニニ=∧       丶         <二二//    ∧
.  /二二二ニニニニニ∧       / > -- <二二二二//     \
/ニニニニニニニニニニ∧         / }ニニニニニニ//        |
 <二二ニニニニニニニニ∧__    /   |二二二ニニ//   /     |
ニ>  <ニニニニニニニニ∧   `   /|ニニニニ/イ  /      \


 ネットでしか知らない関係。

 今までセーラが味わったことがない距離感。

 慣れないメッセージのやり取りも、趣があると言うものだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/20(木) 19:07:33.11 ID:TqUpmlHVo<>
 10/10


 ……
 …

              ,-‐ハ、____ ノ'\
         ,. ' ´ ̄>、八 ,, テ彡',、 _`ヽ.
         /  〃∠  ミy-'' ´7⌒Y ``゙`ヽ、
       { N、/i´⌒>y'′  ハ   :   }  ハ
     /´``-'y   ミノ    八  ',   ,.._,.._!
      i /  〜ヘ   〕   _, -へ、≫-‐、ノ  ',ハ
    ノく  \、 ゝ、...ノヽ<     , {  (   n  ハ     「どう、咲?
     iー-、.. `〈^〉 ノ´-、`ヽ-‐‐´∧ヾ、.  ハ   }
    } '`  `` `>、.._   ` 彡´`ヽ>´^,' ⌒',   !      このポージングおかしくない?」
    \``ー‐- -‐、  `` ヽ  _./ _,..-‐-y ノ!
      `丶--‐"て_⌒ハ. }. } }彡  _´,,..  '´/_ノ
           (`´,... } } .!.ノ三三__,,..-‐'"
           `、-‐'"^^^'´ノ  ',   ∧
            )-,..-‐'' ⌒',  }   ', i
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           /      ノ 〃     !



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      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/    「んー、ちょっと角度が悪いかなぁ。
      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/
      |:./  \:.:{\          /  |:.::/        もうちょっと顔を右に傾けて」
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
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         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \


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  . : . : . : . :{  ,ィ'仍芝_、      / つ ::: } 〉、} ',i: . : .:
  ,: . : . : . :', {! ち .::: } `       乂ュ少 ′ !〉}: . : .,
  V: . : . : ..ハ ヽ 乂ュ;;ノ               レク: . : 7
   V: . :.ヘ: ..ハ                       川: . : .    「ここ、部室なんだけど……」
   V: . : ヘ: .ハ         ,          ,': /: . :/
    ヽ: . : . :..:ハ  u               ノ: . : .:./
     \: . : . ヘ       __  --、     /: ../: . ,
        、: . : }>..、           イ、: . {/: .ノ
         )===7`} 、     < { ヽ==ヘ
       , イ: . : /: 7 .i    ¨      i__}: . : . :\
     /: .イ: . /: . : {‐-、!            {:;:;:;i. : . : . : ..\
    ./:/ {: ./{: . : .ヘ:;シ          、7:;ヘ. : . : . : . : }


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/20(木) 19:08:05.15 ID:TqUpmlHVo<>  実はプロットだけ投下したいネタがいっぱいある <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 19:08:34.70 ID:fos6WF/eo<> 乙
ころたんの涙の理由が知りたいです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/20(木) 20:40:03.44 ID:snn/XvMDO<> 乙です。
竜華は前出たときもあんな感じだったが、あれもレジェンドと同じで全次元であんな感じなんだろうか…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 21:28:16.54 ID:+nvnimeHO<> りゅーか前に出てたっけ? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 22:05:19.90 ID:IGUaT2AcO<> おつおつ
咲も手遅れなんだなって…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 22:42:55.45 ID:70Q0yo3f0<> 乙です
咲ちゃんはイイ嫁さんだなァ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/20(木) 23:06:12.42 ID:wcRXIoFvO<> よく分からんがメタルマックスを思い出しました <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/21(金) 00:32:02.77 ID:eg9XwSUU0<> これもう強ちゃんだな... <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/21(金) 02:35:02.99 ID:9qjpu7C80<> 乙
当たり牌を引かされる能力 ➡ 筋力 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/21(金) 05:08:46.83 ID:cRdxhJHxo<> 乙
京太郎キレてるよー! <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:23:21.14 ID:vRAucd/do<>
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 【最強のライバル登場!】-京優次元3-


 片岡優希は一途である。

 その自由奔走な性格とは裏腹に、好きな人には素直になれないいじらしい面を持つ。

 初めて会った時はそんな感情を持っていなかった。

 運動して活躍している彼を見て、胸が高鳴った。

 それから地道にアピールをしているが、成果は芳しくない。


 「でも、まだまだ時間はあるじょ」


 最強のライバルと思われる原村和は恋愛に興味がなさそうだ。

 将来的にお嫁さんになりたいと思ってはいるようだが、目の前の京太郎は見えていない。


 「今部活で京太郎と一番親しいのは私だじょ!」


 距離感を詰めるのは得意だ。

 時々京太郎が和にデレデレしているのは気に入らないが、それでも京太郎は優希を邪険にしない。

 そんなところも好きだーーとまで考えて身悶えする。


 「ううーーっ!」


 どうしていいかわからず、とにかくスキンシップを取っている。

 いつか告白する時のために、少しでも仲良くなりたい。

 恋愛観なんてわからない。押して押して押すのみ。

 それが片岡優希の生き方だ。麻雀だって恋愛だって変わらない。


 「部長に聞いてもアレだし……」


 良さそうな答えが返ってこないのは目に見えている。

 なんだかんだでからかわれるのはごめんだ。

 表面的には誤魔化せるだろうが、結構傷つく自信がある。


 「今は時間をかけて、インターハイが終わったら……」


 個人戦で結果を残して、そこで告白するのもありかもしれない。

 そうやって大舞台で思い切りのある行動をするのが『自分らしい』

 よし、そう考えれば麻雀だって頑張れる。

 団体戦には出られないけれど、個人戦には出られるんだ。


 「待ってろよ、京太郎!」


 片岡優希のスタイル!

 最初から最後まで、攻めて攻めて攻めるのみ。

 だから今は、まだ時間があるからのんびりとーー
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:24:19.58 ID:vRAucd/do<>
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 ……
 …

 ・後日


                        ____  ,- 、_
                       ⌒>    `  ヽ  ` 、
                       /,      ,   | l   ヽ
                     /イ  ,/ / |{  | | | l |   .
                       / イ { /{-从 }/}-}イ |  |
              r-、_         V从 ィ=ミ∨ィ≠ミ| / , ∧
          ,. : : : ̄:´ゝく)、        ヽム   '     |/イ V }
        /: : : : : : : : : : : \          }∧ v  ァ  'r-イ       「カモ連れて来たぞーっ!」
         ,: : :,: : : :/:}: : :|: : |: : ヽ         _、__  イ/}_/
       : : : |: /-'{: |: : 从: }: : 、: .    ___ {// }   r≧7}
        | : : |: ィ雫 |/ィ雫}:/:∧:} <//////////  「/////>- 、
        l : r从 ゞ'  , ゞ'{イ: :{/}'///////////{l _|//////////\      「もー……、強引なんだから……」
        从乂:、 u:.:.:  :.:人//////////|/////∧:: ////////////// 、
         }/ハ>  _´ イ///////////////////∨////////|//////∧
       ,......-.ノ   V -.乂___,..---- {////////o//r====、 }、//////∧
      rく.、.......{    }...........7 、       |/////// ///////// | ∨/////∧
      ∧ \....\  /....../l/ }       |////////o////////{  ヽ./////∧
      { V  ` rミ ∨=≦ 〈 ⌒Y     |/////////////////|  /⌒////〉
      |  {    ` [二]´  「二二}      |////////o////////| ////////
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      |  |    、:.:.:|   ヽ    ノ     |/////////////////|///
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      |   '             V       //////// //∨/////∧_ノ
      { V、          〉      〈/////// / |/| \///// 〉
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       |: : : : : : : : : : : : : :, u   ゝ    ,      } : : : |
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       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :      「……えっ?」
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                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
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.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:24:48.90 ID:vRAucd/do<>
 3/10


 それは優希にとってあまりにも衝撃的な展開だった。

 あの京太郎が女の子を連れて来た。

 いや、麻雀をやる人数を合わせるためには嬉しいけれど、その衝撃は大きかった。


 「こいつ麻雀できるらしいからさー」

 「無理やり連れて来て何さー」


 表面上は気にしていない。

 それどころか積極的にこの子に話しかけていく。

 焦っていると、京太郎に思われたくない。


 「学食でタコス買って来たじぇ!」

 「またタコスか……」


 この子と京太郎の関係が気になる。

 しかし、それを気づかれないようにする。

 そして、京太郎の関心をこの子から自分に移したい。

 自分の中の心が濁っていくのを感じた。


 「のどちゃんはモテモテなんだじぇ!」

 「誰かさんとは大違いだな」

 「む……」


 原村和の話になった時も、積極的に話題に参加する。

 ーーきっと、和は気づいていない。

 彼の視線がこの子に向いている。

 この子をからかっている彼がとても楽しそう。

 そして、この子も嫌そうな顔をしているくせに、やっぱり楽しそうなのだ。


 ーーでも、麻雀は初心者みたい。


 「(もろ初心者だじぇー)」


 なんだか少し安心した。

 醜い嫉妬だというのは自覚していた。

 しかし、同時に一つ気づいてしまった。

 麻雀部という括りでしか京太郎と関わっていない自分と違い、彼女は麻雀部と関係ないところで京太郎と仲が良いのだ。


 気になる。気になる。

 表面上は普段通りのはずだ。

 京太郎もこちらの様子に気づいた様子はない。

 でも、内心気になって仕方ない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:25:18.11 ID:vRAucd/do<>
 4/10


 「(まぁ京太郎だし、女の子の一人や二人と普通に仲が良くてもおかしくないじぇー)」


 何もおかしいことじゃない。

 京太郎は誰相手でも仲が良いし、自分と同じように仲が良い人がいてもおかしくない。

 自分だけが特別でないことは悔しいけれど、自分だって負けてはいない。

 高校生活で一番ウエイトを占めるのは部活動。そして同じ部活に入っている以上リードしているのはこちらだ。


         ,  ´    /V    <⌒`
        /,     /   ∨      ̄\___
       ' /       '     ∨   、 < ̄ ̄´
       / /    ,  |      V   l | V \
     '  .'  / l |  | l     | } 、 | }  、`
     |  |  { |{ |  {∧ l   |//V /   \
     } ∧ ∨从>-、从  |'___}イ }、r----
     /イ' 从 {  =====∨\ }  ̄  |ノ `\   ____
      乂  \           リ    |  ,. : :´: : : : : : : : : :`: : : .
       \__、              人/: : : : : : : /: : : : : : : : : :`: 、
     /⌒7/{込、  ,  ―--‐  イ/: : ,: : : : : :/: /: :/: : : : : : : : : : ヽ
     /////\\//≧   __ ィ///: : : :/ : : : /|_/: :/: :/: :/): : : : : : : .  っ
    {////// V///// ̄} //////,--、/: : :/_ /`ー'--'-/-く: : :/: : : : : :.  っ
    ///>-//}/////// ()//// 〈  {: /  ===   /:イ: //\': :/: : : : :|
   ,'////////≧=--- 、////////⌒ー--}         |://:/}:\: / : : ,    「ごめ」
   {////////////////// ̄}¨´  r‐―ノ       /' /、/イ: /`/: :
   ` <_////////////// |    〉               ヾ>jイ:イ: : /
      |//// -=<__()__ノ--≦:く     ,....::⌒\        /: : : : :,     「素人にも程があるよっ!」
      |////////////////////乢\  `ヽ、:.:.:У     ,:⌒V:∧: :{
      |////////////()//// ̄Vノ >,   __      ,イ_ノ/ \|
      ////////rく(ヽr,// く...、......∧---/........\/: イ ̄ }://イ
      //////// し'--く/  {:.:`\....、 /........//r、/ )-、
      ,'/////////ノ---' \  ` ー-`、∨.....イ/r'-、 ーく
     //////////∧            [二] ̄  ∧_二}´


 ーーいや、やっぱりこの距離感はおかしい。

 自分も過剰なスキンシップをとっているけれど、それは全て『自分から』だ。

 こんな風に京太郎から色々と気にしているなんてことはない。

 そしてこの子はそれを嫌がっていない。

 女の子にとって、親しくない男の子に触られるのはもはや恐怖の対象だ。

 優希としても頭を撫でて良いのは京太郎だけだと思っている。

 親しくない男に頭を撫でられるなんて、おぞましくて考えたくないレベルだ。

 それが許されるのは漫画だけ、それこそトラウマになったっておかしくはない。

 でも、この子は『それ』を許容している。

 こんな風に密着して、ほっぺたを突かれても成されるがままだ。

 おそらくは、これが彼らの距離感なんだろう。


 ーー胸の奥がチクっとした。


 部長が起きたと同時に彼女が帰って、少し安心した。

 しかし、優希にとっての悪夢はこれから始まる。

 そう、三連続プラスマイナスゼロ。

 自分より強くて、京太郎に気にかけてもらえる存在。

 心中穏やかでないのは、和だけではなかったーー。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:25:47.91 ID:vRAucd/do<>
 5/10


 ……
 …

 それからまぁ、色々あって宮永咲は麻雀部に入った。

 得難い戦力と、優希にとっては最強のライバル。

 麻雀だって負けたくないけれど、今の優希にはもっと負けたくないものがあった。


 「(なんでこんなに仲が良いんだじぇ)」


 曰く、昼食は一緒に食べる。

 暇があれば声をかける。

 特に何もなくても横で本を読んでいる。

 中学からの付き合いで、友達には『嫁さん』なんてからかわれている。

 唯一の救いは咲がそれを否定していることだけれどーー


 「こんなのってないじぇ……」


 正直、勝てる気がしなかった。

 須賀京太郎のことを好きになったから気づいてしまう。

 彼が原村和を見ているのはあくまで憧れ、俗な言い方をすれば性欲の対象。

 でも、宮永咲を見ているのは親愛の情なのだ。

 それはもしかしたら恋愛の先の感情なのかもしれない。

 二人一緒にいるのが普通で、いなくても特に心配はしなくて、最終的に帰ってくる。

 きっと二人はそんな関係なんだ。


 「……でも、負けたくない」


 そんな理屈で考えられるほど大人じゃないし、片岡優希はそういうスタイルではない。

 感情のまま、攻めて攻めて攻め抜く。それが片岡優希の速攻。


 「恋愛なんて、攻める方が勝つに決まってるじぇ」


 そうだ。幼馴染は敗北フラグだ!

 この人なら大丈夫だろう、なんて楽観視していたら横取りされるなんて現実でも良くある話。

 ちゃんと気持ちを言葉にして相手に伝えることが重要。

 ーーもしくは


 『想いを伝えられるのは言葉だけじゃないよ』


 プレイしたゲームの迷言を思い出して悶絶する。

 ーーも、もっと積極的に行くべきなのかな?

 未経験の優希にはわからない。

 とにかく、明日履いて行く下着はそれとなく可愛いものにしよう。そう誓った。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:26:17.17 ID:vRAucd/do<>
 6/10


 ……
 …

 ・後日


                       _,.......-―--...、_
        ,..=ニ二二ヽ,. ‐-.、,....:.:':´ : : : : : : : : : : : : `ヽ、 _  ,..-:.ニニ:丶
          ,..-‐: ':´(  /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \ Y∠.-‐-.、 `ヽ
         /: : : : : ;: : >': : : : : : :i: : : |: : : : |: : : i: : : : : : : : :∨、: : : : : : :\
       /: :/ : : //  i   !  |  :ハi : : |i: : |i: : : :|: : i: : :ヽ \:、ヽ: 、: : ヽ
       /: /: : : :ィ/ i: / .i | !i: : :|: : | i!: : : :|.!: . .| i : : |: :.!: : i: }  ヽiヽ: :i: : : :i
        { /: /: / !| l.i! : !: :!: !:|―|、Τ`ト、: ::i`!: ̄!`!ー!-: :} : ::!:|   i:! ヽ: !: : :}
       !ハ: i: / リ 人j、: !: :i: N>ィ==ミ、 \{ ヽ;ィ=キ;ィ'|: ノ!/ ;ィノ   |:!  ヽ!: : !
.       ハ从!  ./:/: : ヾーヽ!メ. r':::::; }       _,}::::: i゙ヽiイ:ノ ヽ:゙、  リ   |: :/
            ヽ! .i:/: : : i| : :ハ (.__)--u:::::::::::::::::::uー-(_.)/|': : : : :i、:i      }ノ
            仆: : ::|: i ト、_! . " " "  '   " " " i .,! i: :i: : |i }
 __          リ、: : i、 !:| :.丶            /' :|:ハ: ! : }リ           _
ヲー-ユ、_        \{ `ー!、|、:`;..、⊂ニニニニ⊃.ノ:,:.:.リjイ;ノ;ノ        rニ巳⊂二ヽ
   ̄-―{            __`二ニー----‐πフj;丿'"__ '"        (_,.--‐     \
    -イ            ,,ィ' i::!i:::::::::::::|~~^^^~~|:::::::::::::i.!::/)i、         ヒ_ー         \
    ,.イ´         r' |! i::゛、::::::::::匸_)(二)::::::::::;;":/ .iハ             )ー---、_
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:::::::::::/! ダ 今  i::::',. ' ,' ; _    \',    ';::::::::::::::::  i::::ii::i:::::::i:i::i:!::::::i:::i';::
:::::::::::!:| メ は  i:::::', /::::::::..ヽ       ヤ:::::::::::::'  i::::!i:i:::::::i;'::i:i:::::::i:i::i
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /    「(なにがだー!?)」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >



 ーーヘタレた!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:26:46.17 ID:vRAucd/do<>
 7/10


 ちょうどその前に和のことを考えている京太郎が気に食わなかったとか。

 それを見ている宮永咲が嫉妬している表情なのに気づいてしまったとか。

 だから『のどちゃんは男より麻雀』なんて言ってこっちに気をとらせて。

 こっそり肉まんを奪って構ってもらおうとした結果がこれだ!


 「(せ、せめてホテルとか、二人がいないところならっ!)」


 京太郎が起き上がった後に思うけれど、時すでに遅し。

 とりあえずみんななかったことにしてご飯を食べるのを再開する。


 「(ぐぬぬ……、やらかしたじぇ)」


 幾ら何でももう少し手順を踏んで欲しかった。

 出会って一ヶ月で体を許すような女の子だと思われたくないという複雑な乙女心。

 でもそれくらい積極的じゃないと勝てないという直感。


 「今年はのどちゃんを擁する清澄の一年がそいつらを倒す!」

 「咲もいるしな」


 彼のさり気ない発言が心に突き刺さる。

 宮永咲の天然で、保護欲を擽ぐるところが京太郎は気になるんだろう。

 些細な会話でわかってしまう。


 「(どーしよ、どーしよ)」


 とりあえず迷った結果、メイド服を着て誘惑して見た。

 パンチラまでしたけれど効果は薄かった。


/r"´`ヽ ./   / /i  / / i   |  : : :!: ! : : : : :l O   l': :、: : ヽ、: .`ヽ
ハ 、  ノ/   /  l i  ,ハ ハ |  i.|: : |: :ハ : |.:!: : i: :ト.、._ ,.イ|i: : .\: :ヽヾ、:
: //:7:r' ヽ:i: : :i.!: : :|:!,.-|-|、.! !|i: : !.! :‐!-|-!、|_ト、: :!: ゙、: : : :|:|:、: : : :ヽ: : ゙、 ヽ
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  ̄ ̄ ヽ、!w;丶、          ,.-、__,へ7 ソ/: : //: ノ;ノ'"__
           `ー-、_ 〜〜〜'´     _ ノ-― ´'"´       ̄ ̄ ̄
                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 後から考えて恥ずかしくなった。

 ちょっと泣きそうになった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:27:15.00 ID:vRAucd/do<>
 8/10


 ……
 …

 よく見ればまだまだチャンスがあるのはわかっている。

 二人は友達以上恋人未満の関係だ。いくらでも付け入る隙はある。

 でも、やっぱり焦ってしまう。

 咲がいると京太郎は咲を目で追うしーー本人曰く、危なっかしくて目が離せないとかーー構ってくれなくなる。


 「最近、京太郎と遊んでないじぇ」


 咲が来る前は和と京太郎の三人で遊ぶことが多かった。

 しかし、今は和と咲の三人で遊ぶことが多い。

 さすがの京太郎も女子が多くなると居づらいのか、クラスメイトの男子と遊ぶことが多くなる。

 もともと男子高校生なんて男友達と遊ぶ方が気楽だろうし、これから接点が減ってしまったらどうしよう。

 考えているうちに、声に出た。


.  /_, -‐.:´..:..:..:..:..:..:..:..:..:.\、_
   ̄/:..:..:..:..:..:.._, -----、..:..:| | /ー- 、
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.     ゙、      |..:..:..:..:/    _      ゙、
.    ,  |     .|..:..:..:./   / | \     ゙、
   /  |    /..:.|..:/    /   ^ー、. \    |
   |   |   /|..:..ハ..|    \   \ ゙、   /   「京太郎! たまにはタコス屋に付き合えー!」
   |   |   ,イ |..:|_,レ'´` 、  `ー-、_ `  )/
    |   | /. |  |..|.;、..:∧/`ー-、_    ̄ _,<
   |  |/   | />ハハ;|       ̄ ̄
   |  /    / /' /|
    V    / / /   |


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人    「お、おう。良いよ?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|
    {///////}////////////////∨'//////////////|//|
      |///////|///====//////l///////////////|//|
    {///////|/////////////////l///////////////|//|
      |///////|/////////////////l///////////////|//}


 ーー意外な回答に、こちらが面食らった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:27:43.45 ID:vRAucd/do<>
 9/10


 「へ?」

 「ん?

  いや、お前が誘って来たんだろ?」

 「そ、そうだけど……」

 「最近部活仲間と食いに行ってないしなー」

 「あっ……」


 それは困る。

 確かに一年生四人で食べに行く方が自然だ。

 でも、今日はヤダ。

 今日くらい独占したい。


 「のどちゃんと咲ちゃんは先に二人で帰ったじょ」

 「マジ?

  じゃあ二人で行くか」

 「良いのか?」

 「なんだよ。いつもはもっと強引だろ?」

 「それはそうだけど……」

 「ほら、行くぞー」

 「あっ……」


 ーーもしかして、いつもの強引なやり方を嫌ってなかったのかな?


 そう考えるとニヤケ顔が止まらない。

 京太郎はこういうやつだった。咲がいたって和がいたって自分のことを虚ろにしない。

 誰とも仲が良いというのはそういうことだ。

 自分が特別じゃないのは少し寂しいけれどーー


     ィ' "´  : (   )   : /:: ./: :  :/|:       \
   / /    :: ∧-彳  : : : : : .: : : : : : : : : :    :   ヾヽ─- 、,
  /  /   ::/:: /:: /  : ://: :: ./ /: ://: /|: :|: }: : !:  ヾ  ∨ミ 、
. /  /  : :::/: 〃::/   :://」__./_/__/./: / .!: :! :!:!: !: : |    ',:  `
 ′  {  : : :{/||,: : i  : : |ナ´|::/ .{:::/ メ:/ ,' /|: |:|: |:|  |. |    ',:.  、 ',
    !  : : :|{::\ :|  : : !  レ′.!/゙// ./::/ .i/|ィ‐ト|、...|. | |..  }:  |ソ
    ヽ{  : {: /: :::|  : : ! イ爪沁ミ、 ∠イ / / j//}:少丿. ! |/::   |
      \: :\: : :!  :i: Kん:::::cソ ゙.    ィ庁ヾ、 レ彡  ノ ./:: :  |
       |>=イ: !  :|: !.ゞー‐″     ん::::ソ./ /ー=彡イ:  |: ノ
.       ',人: !: ト、: :!゙\ xxxx      , ヽ-.″ /: : : :|: :丿: ノ/
         ヾヽ!vヽ'.,            xxxx /: : : :/|ィ゙/,/    「〜♪」
            イ゙ヘミ\    `ー〜  Π7ノ: : : :/ハイ
            |V゙\  > ,  ,.ィ゙_,二二つ/j//  '
    _,. -‐──ー゙\  .`´Χヾ/ ´-‐┼|.|゙. , _
   /ー-、, ミ、::::::::::::::::::\  /__/   ─《゙¨::::::::: ̄`.
  〃/∠\\ \.:::::::::::::ィ─/{    /゙u_〉.::::::::::::|::::}


 ーーそれでも良いと思う自分は、案外チョロいかもしれない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/23(日) 22:28:12.47 ID:vRAucd/do<>
 10/10

 ……
 …

 ・帰り道


              _____
          ,. . : ´: : : : : : : : : `: : . 、
        ,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ、
      /: : : : : : : : , : ,: : : : : : : : : :\: \
     /___,__: : : /: /__{:|: : :|: : : : : ヽ: ヽ
    ' __,./_/___/_/|:|__|--==: V : : : V: ::.
    /: :,: : : l : |: :|{ -| |-:l:| : : |l{,:-|--:|、|: : : :V: :
   ' : /:/: : : : |´八: { {: 从: : :{ \} 、}|:∧: : : | : |
  / イ|:l': : : :{: | ,ィチ雫ミ  \_:、 ィチ雫ミ: |: }: :| : |
     l'|: : : :∧{{ _)::刈      _):刈 V|/: /: : |
     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |
     |: :∧:乂l}         ,         /イ ノ/}/    「あれ、京ちゃんかな?」
      l/ \叭                 ムイ://
           ゝ     ´`      イ}: /}'
            \>       </|/
            从 :|  `´  |: :/
             /⌒ |      |⌒\
           /.........∧     /...........\


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
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 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////    「咲さん! 早くファミレスに行きましょう!
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////     秘伝のドリンクバー術をお見せします!!!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////




 ……
 …

              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
     . : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈
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    /:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|
.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :
.  ,: : : : : :|: Y斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|
  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|    「(ゆーき、私は中立です。
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |     でも今日は頑張ってくださいね!)」
::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/23(日) 22:28:41.27 ID:vRAucd/do<> 咲の一巻を好きすぎて読み直しまくってる。清澄一年生かわいいよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/23(日) 22:54:20.19 ID:Kjja3imZO<> 乙!
これはオチ村さんじゃなくインターミドルチャンピオン原村和さんですわ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/23(日) 23:09:19.86 ID:4ZlrBP5mO<> 乙
オチ村さんといえばオチ村さんなんだよなー
世界一位さんに秘伝のドリンクバー術を教わったに違いない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/23(日) 23:17:40.01 ID:ynCskudMo<> 乙
優希かわいい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/23(日) 23:59:41.75 ID:W6csZTIzo<> 中立(京ちゃん咲ちゃんどちらもOK) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/24(月) 00:46:39.17 ID:UOaEXZ5y0<> 乙
タコスが頑張りすぎて世界一位化しなきゃいいが <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/24(月) 01:59:08.62 ID:UMkWamXzO<> 乙
あの頃の一年生四人組は…もう…(´;ω;`) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/24(月) 05:25:46.82 ID:s7wlVwmDO<> 乙です。
オチ村さんがオチてないだと!?(驚愕) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/26(水) 14:33:13.21 ID:u6/PfbaY0<> 乙ですのだ!!(^з^)-☆Chu!! <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 19:57:24.14 ID:CZpGMEr8o<>
 1/10

 【前日だよ。みんな京咲書けよ】-単発次元-


 「何するかなー」

 「須賀くん?」

 「おー、京太郎。

  何に悩んでるんだじぇ?」

 「ほら、明日の咲の誕生日。

  何してやろうかなーって」


 部室の空気が凍った。

 普段爛漫な優希も、クールな和も固まっている。


 「あれ、みんなどしたの?」

 「さ、咲ちゃんって明日誕生日なのか!?」

 「なんでもっと早く言ってくれなかったんですか!?」

 「お、おう。

  いや、みんな知ってると思って……」

 「あの咲さんが自分から自分の誕生日なんて教えるわけないじゃないですか!」

 「和も染まって来たな……」

 「咲ちゃんなら自分の誕生日を忘れてるまであるじぇ」

 「それ、去年やってたわ」


 兎にも角にも一つ確実なことは、『誰も咲の誕生日の準備をしていない』ということだ。

 京太郎は毎年何かしら簡単なものをプレゼントしていたが、二人は高校からの付き合いだ。

 ただでさえ自分のことに無頓着な咲がわざわざ二人に誕生日のことを教えるはずもない。


 「京太郎、これは重罪だじぇ」

 「つっても、最近の咲は俺より二人と長くいるし、てっきり知っているものかと」

 「えっ、最近の咲さんは私たちと一緒にいませんよ……?」

 「あれ?

  昼とかいなくなるからてっきり一緒に食べているのかと」

 「それなら京太郎も誘うじぇ。

  あー、女子三人に囲まれるとプレッシャー感じるヘタレだけどな!」

 「うるせぇ。視線が痛いんだよっ。

  それじゃああいつ何処行ってんの?」


 三人とも大きなクエスションマークを浮かべる。

 咲の交友関係は壊滅的だ。ここにいる三人が限界である。

 人見知りの咲が新たに友人を作れるとも思えない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 19:57:53.31 ID:CZpGMEr8o<>
 2/10


 「まさかあいつ、まーた一人で飯食ってんのか……」

 「昔はそうだったんですか?」

 「俺が声かけなきゃ外で木に寄りかかって昼寝してるよ」

 「おおぅ……。女子高生としてそれはどうなんだじぇ」

 「……また気をつけるか。

  それはそれとして、明日どうするかを考えないと」


 どうやら咲はまた人付き合いが面倒くさくなって一人でゴロゴロしているらしい。仙人か。

 その問題の解決も重要だが、目下の問題はそこじゃない。


 「咲さんは本を読みますから、ブックカバーなんてどうでしょうか」

 「それ、去年あげたわ」

 「じゃあ私はしおりでも買うじぇ」

 「三年前にあげたかな」

 「……寒くなって来ますし、マフラーなんてどうでしょう」

 「懐かしいなぁ。二年前にあげたっけ」

 「「……」」

 「本関連が浮かばないと、何喜ぶかわかんねーんだよなぁ」


 本気で悩む京太郎にジト目を向ける二人。

 しかし京太郎は気づかない。


 「これ、アレだじぇ。

  最近距離が離れがちな嫁さんに何をプレゼントしていいかわからない旦那の図」

 「アリですね……。

  仕事とか自分の付き合いを優先して嫁さんに構ってあげないからこうなるんですよ」

 「いや、二人とも何言ってんの!?

  だって夏辺りから和が咲の面倒見てくれるから自分の時間が出来てさ」

 「……嫁さんが、じゃなくて娘が学校に通いだして距離が出来た図の方が合ってますね」

 「京太郎の未来図が見えるじぇ。

  気が利かないで娘が反抗期を迎え、『おとーさんと一緒に洗濯しないで』なーんて」

 「だぁー!

  なんでそーなるの!」


 コソコソと唇を手で押さえて小声で井戸端会議の真似をする二人。

 しかしその声はしっかり京太郎に聞こえるようにするのがポイントである。

 清澄一年生ズ、特に和がここまで男性をからかえる図は珍しい。


 「のどちゃんも悪よのぉ」

 「いえいえ、ゆーきも」

 「和が染まってしまった……」

 「のどちゃんは元からブラックジョーク好きだじょ。iPSとか」

 「まだその話引っ張るんですか!?」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 19:58:22.90 ID:CZpGMEr8o<>
 3/10


 「引っ張るも何も、あんな冗談は忘れられないじぇ。

  一生弄れるネタだじょ!」

 「待て、優希。

  冗談じゃないかもしれないぜ?」

 「えっ……?

  その、私のどちゃんはとっても可愛いと思うしお嫁さんとしてはいいと思うけれど、ノーマルだし……。

  でも、友達としてなら仲良くしような!」

 「和、茨の道かもしれないけど、応援するから!」

 「私だってノーマルですから!」


 イェーイと京太郎と優希が手を叩き、和は重い溜息を一つ吐いた。


 「ほら、また咲さんが空気になってるじゃないですか」

 「いやー、コントやるならこの三人の方が向いてるじぇ」

 「やらねーから。

  えー、じゃあいくつかピックアップしていこうか」


 わざわざホワイトボードまで持ち出して思案する。

 あまり時間をかけてしまうと買いに行く時間もなくなってしまう。

 早めに決めて、早めに買いに行こうと決めた。


 「咲の趣味は読書、昼寝、麻雀だな」

 「何かこう……アレだな!」

 「ゆーき、人の趣味にケチつけるのはいけませんよ」

 「私何も言ってないじぇ。

  のどちゃんもそう思ってるって事だじぇ」

 「そ、そんな事ありませんよ。

  いいじゃないですか、昼寝……」

 「読書関係のは結構プレゼントしたことあるし、残り二つが妥当かな」

 「読んだことある本だったらプレゼントできませんしね」

 「じゃあ、枕か」

 「結構いいと思うじぇ。

  咲ちゃんどこでも寝るし、のどちゃんみたいにマイ枕を持っててもいいんじゃないか」

 「渡したら渡したでどこでも寝そうで困りますね……」

 「そんな、どこぞの神代の巫女さんじゃないんだから」


 京太郎はやけにキャラが濃かったインターハイの巫女集団を思い出す。

 曰く神様が降りるとどこでも寝るだとか夏の戦場に舞い降りた天才と聞いたが、割愛する。

 巫女さんのコスプレイヤーがいると思ったら本物だった記憶は筆舌にし難い。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 19:58:52.32 ID:CZpGMEr8o<>
 4/10


 「じゃあ私は枕にしますね」

 「私はタコスにするじぇ」


 気づけば二人のプレゼントは決まったらしい。

 相談していたはずなのに、京太郎のプレゼントだけ決まっていない。


 「ちょっと待ってくれよ。俺、まだ決まってないよ」

 「いや、京太郎は他人に聞いちゃダメだじぇ」

 「そうですよ。須賀くんがじっくり考えないとダメです」

 「え、えー?」


 本当に二人とも帰り支度を始める。

 最初は冗談かと思っていたが、どうやら本気らしい。


 「須賀くんが決める、ことが重要なんですよ」


 最後に、人差し指を唇に当てて小悪魔のような笑みを浮かべる。

 和らしくないなと思いながらも、優希に視線を向けるが相手をしてくれない。


 「教えないじぇ」

 「なんでだよー」

 「それくらいしないと、私ものどちゃんも納得できないからなー」

 「なんだよ、それー」


 納得できないとはどういう意味だろうか、きっと京太郎だけがわからない。

 そんな意味深な言葉を残され、京太郎もまた部室を後にする。

                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
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       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/      「染谷部長、先に帰りますねー」
  //////////〉        込、  __    ,.: /
  ///////// /          }>、   ` イ |从
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.     〉:::ハ   __/i  /  / |::::;N
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 19:59:22.13 ID:CZpGMEr8o<>
 5/10


 ……
 …

 「そんなこと言われてもさー」


 帰り道、ぶつくさと文句を言いながら歩く。

 とにかくショッピングモールにでも寄って考えようと足を向けた。

 しかし、相変わらず何も浮かばない。


 「ネタがないんだよ、ネタが」


 この三年間、無難なものばかり選んできた。

 咲に本をプレゼントするのは難しい。すでに読んでいる本の可能性があるからだ。

 その点、しおりやブックカバーなら安定だ。

 ちょっと背伸びしてマフラーをプレゼントしたこともあったが、あれは恥ずかしかった。

 それからしばらく咲がずっと同じマフラーをしてきて、周りからからかわれたものだ。


 「無難なのないかな」


 ネックレス、イヤリング、……咲には合わない。

 それに、なんだか意味深で恥ずかしい。

 そーいうのじゃなくて、フツーなのがいい。

 そんなことを考えて歩いても、考えはまとまらない。


 「アレ?」


 ーー見覚えのある、栗色の髪の毛。


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             ヾ!、::ヽ ヽ!ヾ ""::::::::::::::::::::"" i:::,、::::|    「京ちゃん!?」
            ヽ、:`:ー:::、   ! ̄ヽフ   /,ノ \i         ,、
               ヽiヽi、` , 、 ` ̄´ /             /./ /フ
       r、            ヽ|  ` ーイー-――ァー,-、    _   /./// ,.-,
.   ヾヽ.  | i     _,....-‐:.:'〔'   _/:.:.:.:.:.://  ヾi  |i ノ ´ ∠- '/
   ,...__ヽ丶 | .!  ,イ、、:.:.:.:.:.:.:.ト._´/:.:.:.:.:://   r-、|  | ´ 、    ∠.._
   `ー-、`ヽ`  Vヽ.,、 、\:.:.:.:.:i   /:.:.:,;.:."イ  | /  ゙、  ヽ   ヽ  ,ィ―ー‐'
   ⊂二     ー' ,イ >ー`ー-ヽ./-‐"-‐'ノ==  レ'     ヽ√i    ,ノ
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 19:59:50.86 ID:CZpGMEr8o<>
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 ワタワタと不審者じみた歩き方をしている咲がいた。

 下校してから会うなんてすごい偶然だ。


 「迷ったのか?」

 「迷子じゃないよ!

  そ、その、本屋に行こうと思って」

 「……方向、逆だぞ」

 「ぅひ」

 「ほら、ついてこいよ」


 呆れて溜息を吐くと、咲はむすっとこちらを見た。

 ーーそんな目で見られても呆れるしかないだろ。

 そう思っても口には出さない。お姫様の機嫌を損ねてしまうのがわかっている。


 「京ちゃんこそ、なんでこんなとこにいるのさ」

 「俺かぁ?

  俺はその、買い物だよ」

 「それはわかるよっ。

  何買いに来たのって聞いてるの」

 「えっと……」


 咲へのプレゼントだよ、と言おうとして息がつまる。

 これって結構恥ずかしいことではないだろうか?

 今までは特に意識しないで渡していたが、必死にプレゼントを考えているところを見られるのは……。


 「(それって、結構恥ずかしくね?)」

 「京ちゃん?」

 「……迷子のお姫様の気配を感じてさ」

 「あー!

  そういうこと言うんだ!」


 とりあえず、誤魔化した。

 何やら抗議の声を上げているが、それは気にしない。


    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Y              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从    「あー、咲」
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/
            、__   ´    } イ从/
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              「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 20:00:20.24 ID:CZpGMEr8o<>
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                 |'  |:/|、|弋zソ     ん::::(_ ∨:}: : :/: : /
                  |Y :.:.:.:  ,  弋こソ l/|: :イ: : ,
                    人   、     :.:.:. /: j' ,ノ/:/
                      、    ´    ム:イ-' /:イ     「何?」
                      / ::`:::-,--==≦「イ:/:イ
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            ,  ´  {::::{{ ̄::::::::::、 \  l         |    ノ

 「……」


 さっきまで文句を言っていたにもかかわらず、くるりと振り向いた顔は怒ってはいなかった。

 急かすわけでもなく、隣を歩きながらじっと京太郎の一言を待っている。

 いつもと何ら変わらないひと時だったが、何だか負けた気がした。


 「最近どんな本読んでるんだ?」

 「変わらないよー。

  海外ミステリーが多いかな」

 「そ、そっか。

  麻雀部はどうだ」

 「何それ。変な京ちゃん」

 「何だよ」

 「まるでお父さんみたいな聞き方してるよ」

 「そうか?」


 話題がなくて、一問一答のような問いかけ。

 娘とのコミュニケーションを測れない父親とはこのような感じだろうか。

 和と優希のからかいを思い出して何となく困ってしまう。


 「麻雀部って、京ちゃんもいるじゃん」

 「最近昼飯を和や優希と食べてるのかと思ったら、一人で食ってんだろ?」

 「……あっ」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 20:00:49.58 ID:CZpGMEr8o<>
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           ,  ⌒ ー   ̄ ̄  、
         /_,. -            \
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       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/
               从      '     八/      「ほら、やっぱり」
           -〈〈/\  v-っ  イ》く__
        /////∧\} > -- < |//}///> 、
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   {//{////////////〈 ∧    }///////////////////}
   |//|/////////////V/\ //////////////////'//|


 バツの悪そうな咲の顔を見て、何となく察した。


 「どーせ寒いからとか、他のクラスに行くのが面倒だとかで一人で食べてるんだろ」

 「うぐっ」

 「それで食べたら本を読む時間が出来るとか考えてるんじゃないか?」

 「そ、そんなことないもん」

 「おら、俺の目を見て言ってみろ」

 「京ちゃん、近いって」

 「あっ、悪い」

 「いや、別に嫌じゃないんだけど……」


 何だか妙な雰囲気になってしまう。

 そういえば近づいた時に、咲の匂いがしたような気がする。

 これ以上考えると泥沼に浸かる気がしたから思考を切り替える。


 「(寒いなら、手袋とか買ってやるか)」


 この前はマフラーだったし、ちょうどいいかもしれない。

 周りを見て、どのお店にも手袋が置いてある。

 探すのはそんなに難しくなさそうだ。


 「どしたの」

 「いーや、何でもない」

 「そっか」


 とりあえず、目の前のポンコツにそれを悟られないようにするべきだ。

 どーせ自分の誕生日も忘れているだろう。そう思ってーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 20:01:19.59 ID:CZpGMEr8o<>
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                  ,. : : : : :  ̄ ̄ ̄: : : .、
               ,. : ´: : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
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              {:/  ' : : {: |/' Y  \  / '   }: : :, : : : }
              {: :,: :从 ィ=ミ     ィ≠ミ/: : /-、: /
              |:/: : :{` :.:.:. '     :.:.:.:. ム: :/ Yl}ィァ
               ∧: :从     __   _   /:イ__///ア   「誕生日プレゼント、楽しみにしてるよっ」
               ∨  、   V  ノ 、 ヽイ: : ////
                   ` .   ....:::}  }'/ 〃- く
                ___   `T ´/:|    /, - }-、
                /:/::::::`ー-´l/::イ}   とイ-、 ノ、\
                 /:/:::::::/-/:/:.:八      / ∨ \
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              , Y::::,/:/:.:./   /__/::::/∧  ,
              {  {:.∨:イ:.:./    ∨二二 イ:::∧  :.
              | ∧:.}':.:./       \__,/  、 ,
                 Y 「 ̄}         乂        \
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        .:'    '  /__/   ,      |   \__
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     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Y /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \    「……うげっ」
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、
////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧


 不意を突かれた。

 深く考えて言った一言ではないだろう。

 しかし、ちょっと意識してしまった自分には十分すぎる破壊力だった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/26(水) 20:01:49.18 ID:CZpGMEr8o<>
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 ……
 …

 ・みやながけ次元だとどーなるの?


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   「明日は咲さんに子種をプレゼントするんですよね!?!!!!?」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
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            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人     「いや、あの、それ昨日と変わらな……あっ」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
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 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/26(水) 20:02:18.39 ID:CZpGMEr8o<>  明日の咲ちゃんクイズが楽しみです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/26(水) 20:55:22.65 ID:wLuy59ZDo<> 乙です
やっぱり京咲がナンバーワン!

ん?今咲ちゃんクイズ次元書くって言ったよね? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/10/26(水) 21:12:47.18 ID:m5HRsdcr0<> 崩壊から生まれる
明日を <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/26(水) 21:29:27.19 ID:r751BQGiO<> 乙です

崩壊→ほうかい→法改→法改正で幼馴染みは結婚しないといけなくなって内心は嬉しいけど素直になれないツンデレ咲ちゃん次元? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/26(水) 21:57:31.94 ID:EDJvhm7S0<> 乙 咲ちゃんクイズ…咲ちゃんのお婿さんは誰でしょう?
1 京太郎
2 京ちゃん
3 金髪長身でタコスの作れる咲ちゃんの幼馴染 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/26(水) 22:36:00.59 ID:Kj7Wl63q0<> 乙!! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/27(木) 00:21:06.74 ID:3F0WC8P2o<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/27(木) 01:35:14.89 ID:mvjPCNhr0<> 乙
プレゼントはGPSでいいんじゃね? <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/28(金) 19:50:41.61 ID:ZvXP6JFqo<>  不調なのでリク募集

 ・把握済み
 宮守勢に結婚報告(付き合った報告)をする二人
 シロ、看病する
 京ちゃん幼児化する
 掲示板で彼氏・旦那自慢 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 19:52:32.45 ID:5nxv+W8po<> きれいなのどっち <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 19:58:26.83 ID:keU12dZ6o<> あわネリ次元でプレゼントのお返しは何がいいか悩むネリー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 20:22:18.98 ID:zE6QaADz0<> きれいな姫さん
麻法少女恭子 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 21:17:59.06 ID:99v2GYF30<> 幼なじみの喫茶店の看板娘・まこねぇとかどうよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 21:26:04.10 ID:qVMS0xPD0<> 京ちゃんがおもちスキーになったきっかけとか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/28(金) 21:55:12.59 ID:ybsZXKhDO<> ハロウィンネタってもうやったっけ?

あと裏世界に突っ込む咲とそれを支える京ちゃんのヘルカイザー次元という謎の電波を受信したんだが疲れてるのかな。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:07:33.44 ID:kYCq8Eq0O<> 幼妻初美 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:11:28.69 ID:jVVUi8GtO<> 京ネリ次元が見たいです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:12:12.07 ID:49FoWPFh0<> 前スレ>>889-898からの派生で、
玄に対して「京太郎がいかに浮気性であるか」を具体例を挙げながらこんこんと説く宥姉と、
京太郎の行動をとことん好意的に解釈してしまうために、姉の言葉が悉く京太郎を称賛する言葉に聞こえてしまう玄の姉妹対決 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:18:26.24 ID:6Mw6iOjoO<> 京和次元ネット住民を呼んだ結婚式 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:19:21.27 ID:YE1Rm2GnO<> 京太郎無自覚に女の子を口説きまくってしまう、学校の日々編 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:19:33.39 ID:wN24KHxLo<> 冷やしトーカ光臨@お金持ち次元 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:45:53.60 ID:pi7oY7V/O<> 京太郎知識技能試験@団体部門 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:46:45.50 ID:KKqOLrCjO<> はっちゃんルートの続きの幼妻はっちゃん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 22:53:05.98 ID:I/PNnBTDO<> 衣おねーちゃん参上@お金持ち次元 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/28(金) 23:22:23.48 ID:vKuZJGP3O<> 京穏次元の続きをお願いします
オープンキャンパスが春頃?なら、次は夏休みの追い込みかな?

あと、派生ののどあこアイドルを(レイプ目) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 00:24:39.78 ID:3hJ86YfUo<> まだ、咲の誕生日当日編が書き終えていませんよ? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 00:56:32.45 ID:XCq3Z3lQo<> 京ちゃんと照さんが長野に居て、咲ちゃんが東京へ行った世界線 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 00:57:51.11 ID:nBBWNWoiO<> 姫様浄化からのヒロインルート <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 01:21:10.94 ID:ipmBiyk00<> のどっちと京ちゃんの結婚生活
もしくはお金持ち時空での京透とか見たいです! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 01:23:35.69 ID:PI2LFsUaO<> はやしこにロックオンされる京ちゃん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 01:36:06.83 ID:OsAwrGNUO<> 決勝戦大将次元はよ
同じアパートに住んでるのに自分の部屋に戻らず、京太郎の部屋に入り浸る、もとい住み着く四人の少女達と、それらの面倒見る京太郎とのハートフル(ボッコ)ストーリー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 07:24:14.53 ID:XbsZEHCso<> 塞さんの心の穴を埋める尻ASSな物語 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/29(土) 19:12:33.47 ID:ex3yfVJ50<> 息子・娘「お菓子くれなきゃいたずらするぞ〜」
照「おかし(ダブルミーニング)くれなきゃいたずらするぞ〜」
みたいなハロウィンみやながけが見たいです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 00:35:30.72 ID:TEUmLjYpo<> 京霞
筋肉次元 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 01:21:01.89 ID:BC3YkhTL0<> 霞色次元2週目 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 04:15:02.06 ID:RuCXXMUr0<> たまにはヒッサを
京ちゃんが2年早く生まれたifで久と二人っきりで1年間麻雀部
ときどき幼馴染てるてる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 05:26:14.22 ID:EfhG8Yh+O<> 実はあわあわに養ってくれる人がいることが判明して麻雀プロ勢に激震が走る@あわあわ次元 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 08:27:13.10 ID:/y1yYxzOO<> 京太郎がハギヨシの下で修行し執事となって色々なプロ雀士や家業の手伝いにいく京ハギ(ヨシの下で修行)次元 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 08:35:10.87 ID:jnO67bbFo<> 新しい次元開発ええの?
なら、素直に人を信じて騙されやすい豊音を助ける京豊次元 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:20:48.11 ID:X5EX0zwso<>
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 【ネリー、買い物する】-あわネリ次元-


 ネリーは倹約家だ。

 高校から多くのお金を手にするようになったとはいえ、その精神に変わりはない。

 無駄遣いはせず、必要ならば他人のお中元すら貰い、毎日の食費すらケチっている。

 信じられるものは自分だけ。そんな自分にすら厳しい。

 仮にお中元をもらったとしても、返すことはしない。

 あくまで自分の中で完結している。相手の好意は受けるが返すなどと約束した覚えはない。


                 ,  ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   \
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 /三二ニ=ァ'´   /) ヽ   卜、::::\   }             !         l     「……」
. {三ニ=‐ '´     {  /|     \::::|            |       |
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 小さなベッドの上でぬいぐるみを抱いてゴロゴロする。

 最近、何より癒される時間だ。

 大事な日にはぎゅっと抱きしめてから出発するようにしている。

 すると不思議なことに、『流れ』を掴んで大勝することが出来るのだ。

 普段のネリーならば不調時には無理をせず、勝ちもせず負けもしない戦い方をする。

 しかし、そんな不調を吹っ飛ばすように調子が良いことも多い。

 留学生として呼ばれた大会でも好成績を残し、スポンサーも大喜びだ。

 だから、最近は小金持ちになってしまった。

 いつもならば質素倹約を主とし、いつも通り母国に仕送りを送って自分は貯金する。

 しかし、よく考えてみよう。

 このお金はいわゆる『あぶく銭』だ。本来、ネリーは流れに沿っていれば勝てなかった試合に勝ってしまった。


 「返す、なんて言ったことないし」


 調子が良い。

 それを『自分の力ではない』と認識できるほどネリーは強い。

 だからこそ、自分の心に渦巻く何かに気をとられる。

 何も気にせず、いつも通りにしていれば良いのにそれができない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:21:18.02 ID:X5EX0zwso<>
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 「お前、アワイみたいだ」


 アニメで見たポケモンを思い出す。

 最初はツンツン、気分屋を経て、最後にデレデレ。それに黄色い。

 大星淡に似ていると言ったのは、あながち間違いではないのかもしれない。


 ポケモンは世界共通だ。

 余談だが、全世界でピカチュウのみ『ピカチュウ』という呼び方に変わりがない。

 日本で二番目に有名だろう海外ニックネーム(偏見)でいえば『Garchomp』。これはガブリアスのことを指す。

 しかし、ピカチュウのみ呼び方が変わらない。世界のピカチュウなのだ。

 海外でもピカチュウは子供達に大人気。もちろんネリーも例外ではない。


 小さい頃から憧れていた。

 みんなが持っているピカチュウのぬいぐるみ。

 京太郎にも淡にもポケモンのことを知らない振りをした。

 でも、彼らは察してくれた。

 貰った時は涙が出るほど嬉しかったのだ。

 あの時は手が届かなかったピカチュウのぬいぐるみが手の中にある。

 それが自分の一番目に好きな人と二番目に好きな人からのプレゼント。


 もう、あの頃とは違う。


 「プレゼント、貰っちゃった」


 裕福な日本人にはわからない感覚。

 ネリーは嬉しくて、嬉しくて、どんな顔をして良いかわからない。

 誰かに自慢したくて仕方ないけれど、それも恥ずかしいから辞めておく。

 しかし、思わず親に漏らしてしまった。

 すると帰ってきた答えはーー『お返ししようね』だった。


 「プレゼントのお返し?」


 ネリーはいわゆる守銭奴に近いガメツさを持っているが、一般常識を持っていないわけではない。

 今までもらえるものはもらっておくスタイルだった。

 誰かを信用することもないから、未来への投資なんかしたことない。


 要するにネリーは、誰かのためにプレゼントを買ったことがないのだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:21:47.79 ID:X5EX0zwso<>
 3/10


 ……
 …

 『大星淡へのお返し?』

 「……うん」


 小さくなって、帽子で顔を隠しながら智葉に電話で相談する。

 智葉はやれやれと首を振るが、電話越しのネリーに伝わるはずもない。


 『二年ぶりの連絡がそれとは、ネリーも随分変わったな』

 「う、うるさいな」

 『まぁ臨海卒業なら仕方ない。

  麻雀と関わらなくなれば自然に疎遠になるか。

  他の人たちはどうしてる?』

 「知らないよ。

  たまに世界戦で当たるくらい」

 『なんというか、本当にドライだな』


 臨海の留学生は決して仲が悪いわけではないが、一つの線を引いた先には進まない。

 いわゆる相談事や手助けといった概念とは無縁だった。

 インターハイさえ終われば今の味方も明日の敵。

 だからこそ自分の手の内は監督にだって晒していない。

 そんなネリーが相談事を出来る相手は数少ない。


 須賀京太郎と大星淡。主にこの二人はネリーの『線の内側』に入ってくることを許している。

 しかし今回のプレゼントの相手はこの二人だ。二人に相談するわけにはいかない。

 散々悩んだ末に、ネリーが出した答えが智葉だった。

 日本3位の実力を持ってして麻雀プロには進まずに家業を継いだ。

 それはすなわち、ネリーの敵ではない。

 現在進行形で世界戦で当たる『敵』よりは幾分か相談しやすかった。


 「ジャパニーズ『落とし前』は得意でしょ?」

 『それは間違った日本の知識だよ……。

  プレゼントとは呼ばない』

 「そうなの?

  それならどうしたらいい?」

 『相手の好きなものをプレゼントするのはどうだ。

  私はその二人について詳しくないが、ネリーならばわかるんじゃないか?』

 「好きな、もの?」


 最近の淡との関係は良好だ。

 というか、淡が勝手にマシンガントークしてくる都合上、放っておいても話は続く。

 だからこそ知ろうとも思っていなかった淡の個人情報をたくさん知っている。

 もちろん、淡の好きなものだって知っている。

 ーーだが
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:22:17.08 ID:X5EX0zwso<>
 4/10


 ……
 …

     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /
  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|
  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |    「キョータロー!」
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ X__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


 …
 ……


 「ダメ、それはあげられない」

 『えっ、なぜだ』

 「世界に一つしかないから」

 『お、おう?

  何が何だかわからないが、好きなものがダメとは……』


 お返しはするが、それとこれは話が別だ。

 須賀京太郎をあげるつもりはない。そこは譲れない一線だ。

 それに京太郎には何をあげればいいのだ。胸か。胸でもあげればいいのか。


 『私は二人のことをよく知らない。

  あとは手袋なりマフラーなりの無難なもの。

  手帳やボールペンなどの普段使うもの。

  あるいは』

 「あるいは?」

 『ネリーが貰って嬉しいもの。

  ネリーが考えたものだ』

 「私が考える?」

 『そうだ。

  ネリーはプレゼントをもらって嬉しかったんだろう。

  必死に考えてプレゼントをもらったら、誰だって嬉しいものだよ』

 「……そっか」


 仮にもらったのがピカチュウじゃなかったらどうだろう。

 それでも嬉しかったに違いない。

 二人が考えてくれたならば、それだけで嬉しいんだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:22:46.40 ID:X5EX0zwso<>
 5/10


 「わかった、やってみるよ」

 『成果くらいは連絡してくれよ。

  夜も寝られない』

 「嘘ばかり」


 携帯の電源を切る。

 智葉の電話番号を数秒見つめる。

 こっそり、フォルダを『友人』へと変更した。

 これで『友人』フォルダは三件目だった。


 ……
 …

 「小物がいいかな、それとも何がいいかな」


 一人で目的もなくウインドウショッピング。

 今までのネリーならば考えられないことだった。

 最近になってようやく淡と二人でウインドウショッピングを覚えたところだ。

 それまでは必要なものだけを買っていた。

 何を買うか決めないでデパートを歩くなんて考えられない。

 そんなネリーが誰かのために巡っている。

 そう考えて、自分で恥ずかしくなってしまった。


 「借りは返す」


 帽子を深くかぶって誤魔化す。

 どうせ店員は子供が一人で大人びた店に来ていると思っているだろう。

 しかし、何を今更だ。

 二人の喜んだ顔を見られるなら、それくらいなんともない。


 「アワイはなんだか女子っぽいの。

  キョウタロウはどうしよう」


 そう、問題はこっちだった。

 淡のほしいものはなんとなくわかる。普段から一緒に店を回っているし、分かりやすい。

 正直、何をあげたって喜ぶだろう。

 しかし、京太郎は異性であり、何も予想できない。


 「喜ばれなかったらどうしよう」


 そう考えるが、そんなことを考える自分がなんだかおかしかった。

 喜ばれなかった時のことより、喜ぶ顔が目に浮かぶ。

 そうだった。京太郎も単純だし、何をもらったって喜んでくれるだろう。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:23:15.96 ID:X5EX0zwso<>
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 「アワイは前に欲しがっていたネックレスでいいかな」


 少しお高いネックレスを選んで買った。

 自分用ならば絶対に買わないものだ。……似合わないし。

 プレゼント用の包装をしてもらったのも初めてだ。

 専用の包装にお金がかかるのは知らなかった。二人がいなかったら今後も知ることはなかっただろう。


 「キョウタロウは、麻雀が上手くなりそうなものでいいかな」


 麻雀の教本でもいいかと思ったけれど、それならば自分が教えればいい話。

 それにどの教本がいいかわからない。幾ら何でもそこまで日本語に詳しくない。


 「小鍛治プロ監修、婚期が良くなる占い……。

  牌のお姉さん監修、アイドルを目指す女の子へ」


 自分でも知っているプロの名前があったが、麻雀となんら関わりがなかった。

 前者はなんでこんな本が出ているのかわからないくらい不吉だし(呪いがかかってそうだ)

 後者はなんだか世界一位っぽい女の子とピンク色の髪の女の子がツーショットを撮っている。

 どちらも胸が大きい。ある意味京太郎は喜びそうだが、それはなんだか嫌だった。


 「……どうしよう」


 途方にくれた。

 やはり男の子のプレゼントを考えるのは荷が重かったかもしれない。

 もうこうなったら直接連れて来て選んでもらおうか。

 それならデートにもなる。


 「……デート」


 顔が赤くなったのを感じて帽子を深く被った。

 違う、そうじゃない。ただのプレゼント選び。

 いや、一般的にそれはデートか。


 「智葉ならわかるかな」


 三人しかいないフォルダを開け、電話をかけようか迷う。

 しかし、こんなことで連絡するのも気がひける。

 そして、昨日の会話を思い出した。


 「ネリーが貰って嬉しいもの?」


 名案が浮かんで、顔を上げた。

 淡へのプレゼントとは値段の差がついてしまうが、これしかないと思った。 

 店の場所はすでにわかっている。

 靴を整え、嬉しそうに走った。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:23:45.57 ID:X5EX0zwso<>
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 ……
 …

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         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく    「わー!
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ    何これすっごい!!」
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕


 淡にお返しを渡すと、やはり盛大に喜んでくれた。

 バイトをしない苦学生には手が出ないようなブランドだ。


 「これ、高かったよ!」

 「別に、この前勝てたお金のあぶく銭」

 「ネリー! ありがとー!!」

 「くっつくなー!」


 胸で顔が埋もれる。許さない。

 少しは分けて欲しいと思い始めたのは内緒だ。


 「あれはネリーの戦勝記念だったし、気にしなくていいのにさ」

 「キョータローわかってない!

  貰ったものは素直に喜ぶんだよ!」

 「お、おう。

  そうだな。ごめん」

 「あっ、もしかしてキョータローのもあるの!?」

 「お返しを求めていたわけじゃないけど、淡にしかなかったら凹むわ!」

 「うにょーん!?」

 「うりうり。よく伸びるほっぺたやのう」

 「やめろー!」


 ムッとする。せっかくプレゼントを買って来たのに二人でイチャイチャしないで欲しい。

 でも、京太郎にプレゼントしたら喜んでもらえるかもしれない。

 さっきの淡みたいに抱きしめてくれるかもしれない。

 そう考えるとなんだか照れくさくて帽子を深く被った。


 「っつーか、そのでっかいのだよな」

 「何あれでっかい」

 「うっ……」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:24:14.74 ID:X5EX0zwso<>
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,,:‐レリ    _       ̄ /     「……ヌメラ?」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
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           「 ̄`ヽ-―‐---、__
           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
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           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:24:43.76 ID:X5EX0zwso<>
 9/10


 「わー! ヌメラだ、かわいー!」

 「ぐぬぬ……、俺の小動物好きを見抜くとは……、かわいいなこいつ!」

 「カピバラ飼ってるんでしょ」

 「おー、よく覚えてたな」

 「ヌメラー! かわいいー!

  ねぇねぇ、これキョータローの家に置くなら淡ちゃんも可愛がっていいんだよね!」

 「うん」

 「やったー!」

 「貰った俺の許可はなし!?」

 「ほらー、ゴツい男子大学生がヌメラかわいいーってしてたら問題だよねー!」

 「うん」

 「貰ったのに!?」

 「でも、なんでヌメラなの?」


 淡が何かに感づいたようで、ネリーに問いかけた。

 しかしこれに対する回答は考えて来てある。


 「ヌメラ、ドラゴンポケモン。

  一番弱いドラゴンポケモン」

 「グッハァァァァァ!?

  なんでプレゼントしたのにカウンターされてるの俺ェ!?」

 「アッハッハ!

  ネリーはセンスいいね!

  キョータローは麻雀弱いもんねー!」

 「うるせー!

  俺だって頑張ってるんだよぉ!」

 「悔しかったらここでリベンジしていいよー!

  三麻で徹麻やろー!」

 「やだこの子、俺ん家に居座る気満々」


 淡はヌメラを京太郎に押し付けて、抱きしめさせた。

 『淡ちゃんの匂いがついてるよ!』なんて言いながら、ちょっと恥ずかしそうにネリーに近づく。


 「きっと、強くなるもんね」

 「……!?」


 いたずらっ子の笑みを見せて、ネリーの耳元で呟いた。

 どうやら、淡には敵わないらしい。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:25:12.87 ID:X5EX0zwso<>
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 ……
 …

 「ヌメラ、ドラゴンポケモン。

  世界で一番弱いドラゴンポケモン」


 得意な技は、『がまん』


 雨の中我慢して、いつか進化して、ヌメルゴンになる。

 とても人懐っこくて、優しくて


 そして、強くなる


                __     _ , -‐ 、
           ,  "´      ` 丶 { (    ]
          ,                   人 ヽ._/ }
       ./          _,.  -‐ァ     `丶
      〃         ,   ´ / /   _/⌒ヽ--L_
      /        /    / ,:   ∩'´  , - 、   ヽ
     ./       /     / /   , U  /   ` ーァノ
    /      〃       i '  ∩    {    )ノ/
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   ,      /          ,'  /     ィ  { /
    l       /         l  ;     /l l }
    |     /            |   |       N {_ノ
    |     ,'         |  !       ', ー'
    l    ,'          八  -、     ',ー- .,_
   ',   |              /   ヽ     ',‐-- 、`ヽ
    ',   |          /       ',    丶 ゝ--‐'
    ',   |         ,'  ヘ  | |      ヽ‐ 、
    _,j  |           l   八  | /       ヽ 丶、       , -―- 、
   / J  '         |  l l `T´ヽ         ヽ  丶、   /    ‐- 、〉
  八   ノ           {  | し'    ',        \  `¨´    ァ一= '´
   `¨´               ',   し'     i          ヽ     /|
                  ',    /   }           ',   / l |
                 >-‐'´    /              ',‐'´ しヘ_ノ
                /      /             ',


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/10/30(日) 21:25:42.14 ID:X5EX0zwso<>  もうみんなもリクエストするネタないだろうな → 30レス → ( д) ゚ ゚

 ど、どこにこんなにいたんだ……。ありがとうございます! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 21:42:40.39 ID:jnO67bbFo<> 乙
お返しに「プレゼントはわたし」はしなかったか(世界一位並感) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/10/30(日) 21:44:37.38 ID:shMVovvDO<> 乙です。
どうしよう、名前すら出てないのにあの二人の存在を臭わす描写があっただけで笑っちゃった…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 21:46:44.97 ID:Y+nKzpyeO<> 乙
ネリー良い子だなあデートすれば良かったのに <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 22:01:47.64 ID:7ugd9JhN0<> 乙!
ネリーが可愛くて満足 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 22:04:42.41 ID:s4tmjzD/O<> あの二人だとプレゼントがああなるからな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 23:42:03.64 ID:zb5C1z2Co<> すこやんの本は売れねえだろ… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/30(日) 23:46:02.29 ID:Oj+5+xRgO<> 乙
すこやんの本の占いって晴絵にする方法じゃね? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/31(月) 01:34:57.14 ID:lz+QvKyx0<> 乙
見ただけで世界一位を認識すろとは
すこやんの本→狙いは京ちゃん→女子麻雀ハルマゲドン→アラフォーはオチの中で最弱 世界一襲来→クロチャー京ちゃんGET <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/10/31(月) 09:11:58.99 ID:9TAoYYyY0<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage sag<>2016/10/31(月) 16:28:30.95 ID:edhkM9PDO<> ネリーがD○Dやったらどうなるかなってふと思った。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/01(火) 00:43:06.93 ID:Y8LveJqy0<> 乙!!!!!
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/01(火) 13:12:02.67 ID:TQxhqKRwO<> すこやんの本は的中率0%、つまり逆にとらえればいいとかで人気ありそうだな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/01(火) 13:41:11.59 ID:mqqbTuEtO<> 逆張りしたら呪われそう(偏見) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/01(火) 19:07:12.09 ID:t4HH2gR+0<> すこやんの本か、なんだかナンバーワンになれそう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 00:11:46.33 ID:nB68bty1O<> 女子力高くなりそうなすこやんの本 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 00:23:44.07 ID:8oxvOJ3I0<> 次元の壁を越えても存在してそうなすこやんの本 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 00:45:26.19 ID:/OlzOLSE0<> すこやんの本知ってるよアラフォーの聖書だろ
汝の隣人の男を奪えよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 06:28:58.92 ID:OEIVOJTqo<> 奪えないし男と話すらできないからアラフォー <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:14:32.73 ID:oSC/JdPfo<>
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 【かかあ天下】-単発次元-


 朝は旦那より早く起きる。

 もともと修行のために早起きだったから、最近はその時より遅くまで寝ていられる。

 しかし、その修行は身についている。

 早く起きても二度寝したいと言う衝動に負けず、お布団の誘惑に負けない。

 横で眠る旦那の寝顔を流し眼で見る。忙しい朝の清涼剤だ。

 自分が早く起きたから叩き起こしたいと言う衝動に駆られるが、同時に外に稼ぎに行っている大事な旦那様でもある。

 一分一秒でも長く休んでほしいと言う母性が優った。


 「さぁて、今日も張り切って行きますよー!」


 薄墨初美は『お嫁さん』である。

 どこにでもある一般家庭に嫁いできて、旦那との二人暮らしを経験し、子宝にも恵まれた。

 現在、ローンで買った一軒家を取りまとめるお嫁さんだ。


 「まずは洗濯からですねー」


 永水で培われた良妻賢母の条件は体に染み付いている。

 常日頃から花嫁修行をしていた甲斐もあってか、どこに出しても文句の一つも出ないだろうお嫁さんに進化した。

 朝のルーティンワークは主婦にもよるが、初美は旦那よりも先に起きることを目標としている。

 毎日激務のサラリーマンである旦那を労わるためでもあるが、何より一家を取りまとめるモノとして示しがつかないからだ。

 要するに、『私はこれだけ頑張っているから旦那さんも頑張ってくださいねー』と言うことだ。

 現に旦那ーー須賀京太郎ーーは初美に対して手も足も出ない。

 財布の紐は固く閉じられ、交遊費も雑費も厳しい。

 そのお陰か須賀家の貯蓄は他人より恵まれている。

 しかし、日頃の旦那の『お小遣い増やしてよー』攻撃には負けない。質素倹約こそ須賀家の家訓なのだ。


 「あっ、また脱ぎ散らかしてますね……」


 基本的に前日のうちに洗濯物はまとめておくのだが、時折京太郎や子供達が予想外のところに放り投げてあることがある。

 そう言う時は帰ってからお小言の一つを用意しておくのだが、朝はそんなことを考えている余裕がない。

 とにかく、気持ちを切り替えて旦那たちを外に出す準備をする。


 「今度やったらお小遣い減らすように言いますかー」


 もっとも、本当に減らすつもりはないのだが。

 どうせ旦那も小言を言ってもらいたくてこんなふうに意地悪をしているのだ。

 確かに面倒だが、怒るほどでもない微妙なライン。

 子宝に恵まれておいて、まだ嫁さんに構ってもらいたいのだ。あの旦那は。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:15:02.47 ID:oSC/JdPfo<>
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 「この微妙なライン取りが腹たちますねー」


 そう言う初美の顔は明るい。

 須賀家の家庭環境が良好な理由の一つに、夫婦円満がある。

 どうしても外で仕事をしていると嫁のことを構えない男の人は多いのだが、旦那はこうして不器用な愛情を向けてくれる。

 それを呆れこそしても、本気で怒ることなどできない。

 なんのことはない。初美も旦那にちょっかいを出してもらえて嬉しいのだ。


 「それはそれ、これはこれですよー」


 洗濯機を回せば次の仕事だ。

 顔を洗い、身だしなみを整える。

 どうせ忙しい朝の中では崩れてしまうとわかっていても、最低限の身なりは忘れない。

 一度忘れてしまえばそのままズルズルと女を捨ててしまいかねないからだ。


 「この季節、シャワーだけじゃ寒いと思いますし」


 旦那は朝にシャワーを浴びるのが日課だが、この季節は風邪をひいてしまいかねない。

 予め残り物のお湯を沸かし、数分だけでも浸かるように言っておく。

 大黒柱が倒れてしまえば一家が立ちゆかないからだ。

 もっとも、初美は十分な貯蓄を用意してあるし、万に一つも旦那が倒れたら自分も働く覚悟はある。

 しかし、そんなことは起きて欲しくない。


 「カーテンを開けて、朝食も用意して……」


 換気扇を回して火をつける。

 朝はシンプルな目玉焼きとお味噌汁だ。

 旦那も歳をとれば血糖値が気になってくるだろう。あまり多くのものは食べさせない。


 「ほら、旦那さん。

  起きてくださいよー」

 「ううっ、あと五分……」

 「それでいつも起きないじゃないですかー。

  ほら、布団引っぺがしますからね」

 「やめてぇ……」


 どうも旦那は朝が弱い。

 特に寒くなるこの季節、起きたからずに布団を被っている。

 もちろん許すわけないので、無理やり布団を引っぺがすのだ。

 これも旦那が構って欲しいだけな気がするが、そろそろ時間も危ういので構っていられない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:15:31.44 ID:oSC/JdPfo<>
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 「とっとと私たちのためにキリキリ働けですよー」

 「やだー、もう働きたくないー」

 「はいはい。定年まで働いたら休んでいいですよー。

  それまでは死ぬ気で働きやがれです」

 「お、横暴だ……」


 京太郎も軽快なやりとりで目が覚めたのか、すんなり起きてくる。

 仮にも一家の大黒柱だ。あまり寝てもいられない。

 何より、子供達に示しがつかない。……と本人は考えている。

 毎日毎日嫁さんに叱られている以上、今更示すものも何もないのだが。


 「朝ごはん出来てますよー。

  お味噌汁も温めてあります。今よそいますね」

 「そろそろ寒くなってきたし、おでんが食べたいなぁ」

 「それじゃ、今日一日頑張ってきたらおでんを作ってあげますよ」

 「マジか。よっしゃ」

 「まぁ一度おでんを作ったらしばらくおでんで楽できますからねー」

 「子供たちに文句言われそうだなー」


 一度おでんを作れば、あとは具材を継ぎ足し継ぎ足し。

 しばらくの食卓はおでんで占領されるので、子供達には評判が悪い。

 しかし、大人にしてみれば出汁が染み込んでくる後半にこそ旨味が出る。

 そのあたりの加減が非常に難しかった。


 「よし、おでんがあるってわかったらやる気が出てきたぞ」

 「はいはい、うちの旦那様は単純で良かったですよー。

  そんなにおでんが好きならコンビニで買えばいいじゃないですか」

 「嫁さんの作ってくれるおでんが一番うまいんだよっ」

 「えっ……」

 「そ、それに、コンビニでおでんなんて買ったら一月のお小遣いなくなるし」

 「そこは最後まで格好つけてくださいよー!」


 背中をバシッと叩く。大げさにむせているが、どうせ演技だ。

 50cm近く身長が違う旦那に一発ぶちかましたところで揺らぎすらしない。ムカつく。


 「まぁ、やる気になってくれたならいいんです。

  じゃあ今日も一日キリキリ働いてきてくださいねー」

 「おう。

  服は……」

 「はい、ここです。

  とっとと、着替えてくださいねー」


 翌日の準備は前日の夜にあらかじめ済ませてある。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:16:00.75 ID:oSC/JdPfo<>
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            ∨:/:∧芹ミ:.\: :. _)J刈〉:∨/´Y:.l:| |    リ
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                  `ト : : ー:': : : : : :.{′  /
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                | |ノ / /    ∨ /   ∨ /    \
                / {{/ /        ∨     }/     \
          / / /        ‘,    {       /


 旦那のネクタイを締め、スーツの背広を着せてあげるのは初美の仕事だ。

 そのくらい自分でやれと思いつつも、いざ忙しい時に全部一人でこなされると少し寂しさが漂う。

 とにかく、朝の一仕事が終わった。

 旦那と子供達を仕事と学校に送り出せばしばらくは初美一人の時間だ。


 「とは言っても、今日はやること多いんですよねー」


 主婦の仕事を年収に換算すると1000万円だと聞いた覚えがある。

 初美はそれに対して、『半分合ってて半分間違っている』と感じた。

 要するに、主婦の仕事なんてサボろうと思えばいくらでもサボれる。

 しかし、逆に言えば突き詰めれば終わりなんてないのだ。

 そして初美は後者、主婦の仕事は突き詰める派だ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:16:29.47 ID:oSC/JdPfo<>
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 「もー、お布団がぐちゃぐちゃじゃないですかー」


 布団のシーツを取り、敷き布団は外に干す。

 こんな時、自分の小さな体が恨めしい。

 もう少し大きければこう言った作業も楽なのに。


 「まずは上からですねー」


 布団だけで結構な時間がかかってしまう。やっぱりもう少し身長が欲しい。

 なんとか終わらせ、次は掃除だ。

 常日頃から使っている場所から、あまり使わない場所まで雑巾で軽く拭く。

 汚れを下に落としたあとは掃除機でまとめて吸い取る。


 「あー、今日は家計簿もつけないといけないですねー」


 須賀家の財布は初美が握っている。

 もちろん、家計簿をつけているのも初美だ。

 旦那の交遊費以外の費用は全て領収書を保管し、数字を合わせる。

 旦那の交遊費に関しては何にお金を使っても一切関わらない。それが初美の決め事だった。


 「そりゃそーいうお店とかに使ってたら怒りますけどねー」


 趣味にかかるお金は干渉しない。それが夫婦円満の秘訣だと思っている。

 いつもお小遣いをねだってくるが、一体何に使っているのだろうか。

 旦那も旦那であまりお金を使わないし、物が増える様子もない。

 お菓子などもあまり買わないように言ってある。老後のためだ。


 「まぁ、あんまり気にするのも良くないですね」


 気持ちを切り替えて通帳とにらめっこ。

 着実に増えていく貯金に、思わず破顔する。

 初美には一つ夢があった。


 「これで、大学に行って欲しいですねー」


 そう、それは子供を大学に入れるための貯金だ。

 初美は小さい頃から厳しい家庭環境に置かれ、高校卒業後も巫女の務めなどで大学に入っていない。

 そんな初美の夢は自分の子供を大学に入れることだった。

 叶うのならば思いっきり大学生活を謳歌して欲しいと考えている。

 もっとも、普段の子供たちには厳しい母親であることを務めている。

 旦那も含め、誰も知らないだろう初美の夢だった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:16:58.71 ID:oSC/JdPfo<>
 6/10


 「あれ、霞ちゃんから連絡が来てますね?」


 家計簿をつけ終わり、スマホを確認すると一通のライン。

 嫁入りしてからも連絡を取り合っているのは霞と巴くらいだ。

 やはり永水から離れてしまえば連絡を取ることもなくなるが、この二人は同年齢ということもあって何かと相談している。


 『初美ちゃぁぁぁぁん!

  冬コミの売り子手伝ってぇぇぇーーーッ!』

 「くたばりやがれですよー」


 すごくどうでもいい話だった。

 まだまだ二人とも未婚で、サークル『永水女子』を立ち上げているらしい。

 なんだか闇が深いのであまり関わらないようにしている。

 たまにこのようなメッセージがくるが、適当に返信しておく。


 「こちとら旦那と子供の世話で手一杯ですよー」


 一足先に春を掴んだ身としては少しだけ罪悪感があるが、霞のアレは自業自得だ。

 その後も婚活を続けているが、結果は芳しくないらしい。

 巴に至っては『私は二次元と婚約済みなので、重婚する気はありません』などと真顔で言っていた。

 姫様はそんな巴の話を聞いて二次元と結婚できる法律を作ろうと出馬しているらしい。

 ……忘れよう。うん。


 「って、今日はまだまだやることがあるんですよー」


 スーパーに行ってタイムセールで戦い、おでんの具材も買う必要がある。

 タイミングを合わせなければ子供達も帰って来てしまう。


 「まったく、忙しいったらないですねー」


 しかし、そんな忙しさが幸せだと感じる。

 ささっと外に出る準備を済ませ、出陣だ。

 スーパーのタイムセールは戦場である。

 小さな体の初美には不利でも、旦那のために頑張らなくてはいけない。

 確かに少しの値引きではそんなに差はつかないが、これはこれで『主婦をしている感じ』がして楽しいのだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:17:28.31 ID:oSC/JdPfo<>
 7/10


 ……
 …

 「ううっ、今日もダメでしたねー」


 やはり相手も歴戦の猛者。

 小さな体の初美では負けてしまう。

 こんな時に霞の胸があれば弾力で相手を弾き飛ばしてくれるのではないかと考えるが、もう仕方ない話だ。


 「あっ、からし……」


 おでんに使うカラシを買い忘れてしまった。

 仕方なく帰り道のコンビニに立ち寄って済ませることにする。


 「ついでに何か新しい漫画でも出てませんかねー」


 軽く物色してみるが、面白そうなものはない。

 どうも自分の青春時代の漫画が終わってしまうと新しい漫画に手を出す気が無くなる。

 しかし、たまには読みたくなるものだ。

 最後に漫画の隣にある雑誌コーナーを物色し、そろそろ帰ることにする。

 読んでいた結婚雑誌『イチイィ』(表紙はツインテールの女性二人だった)を置いてレジに向かう。


 「やっぱりウエディングドレスも憧れますねー」


 自分の時は家の関係で和式だったから着れなかった。

 もっとも、このサイズのウエディングドレスなんて用意するのが大変かもしれない。


 「とにかく、旦那様に美味しいおでんを作りますかー」


 とにかく、今の自分の任務は美味しいおでんを作ることだ。

 旦那も帰って来たら疲れているだろう。少しはマッサージでもしてあげようかと考えながらコンビニを後にした。


 ……
 …

 トイレ掃除などの雑務を済ませ、シャワーを浴びてお風呂掃除。

 旦那がすぐに入れるようにお風呂を沸かしておくのも忘れない。

 洗濯物は取り込んでおかないと夜に湿ってしまう。

 帰ってからもやることはたくさんあって大変だ。

 適度に子供達に手伝わせるのも忘れない。いずれ独り立ちした時に必ず役に立つはずだ


 「ただいまー」


 そんなこんなで準備に追われていると、愛しい旦那の声がする。

 急いで準備を済ませ、玄関口まで走っていく。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:17:57.68 ID:oSC/JdPfo<>
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        . :/| | ∨ 弋炒`   rテミく/  ハ  }!
        | ||! ∧ト  "   ,  炒ノムイ  | /   「お帰りなさいですよー。
        |リ    /  \ ー    イ7/|| j!/
          ーイ   />ー 、   / }ノ        ご飯もお風呂も準備できてますよー」
       /   `ー-  /  ヽ }ヽ
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    r<二ヽ__l!_      | | |  ー――――  、
    ∨        \    {八ト   \ー―    \
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               /////// { //////////////////////}
             //////////∨///////////////////////|


 「アホなこと言ってないで早くお風呂に入って来てください」

 「はい……。京太郎、風呂に入ります……」


 一刀両断。

 時には旦那のデレを潰すことも必要である。

 というか、新婚初期にこれに付き合っていたら何も終わらず次の日になってからはしっかりと手綱を握ると決めたのだ。


 「今日も大変だったでしょう。

  おでん出来てますからね」

 「やたっ」


 適度に飴を与えるのも忘れない。

 もっともこの旦那、わかっていてあえて手綱を握られているのだろう。

 旦那がそう考えているのも初美は分かっている。

 お互いを尊重するのが夫婦円満の秘訣だ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:18:27.44 ID:oSC/JdPfo<>
 9/10


 ……
 …

 夕食をとる。

 もっとも、初美は早めに済ませてあるので旦那が食べているのを横で見るだけだ。

 ダイエット用の食事をしていると旦那が何かとうるさいのだ。

 早めに食べたと言っておくと楽でいい。


 「あー、その、初美」

 「!?

  な、なんですかー?」


 久しぶりに名前で呼ばれてびっくりした。

 昔は『初美さん』と言い、最近は『嫁さん』とばかり呼んでいる。

 呼び捨てにする時は大切な話の時だ。


 「その、今週の土曜日ちょっと出かけようか」

 「?

  子供達とどこかに行きますかー?」

 「いや、その、二人で行くとこがあってさ。

  もう予約は済んでるんだけど」

 「えっ、それ、私が予定空けてなかったらどうするつもりだったんですか?」

 「うっ、そこまで考えてなかった」

 「もう……」


 呆れはするが、久しぶりの二人きりのデートだ。

 子供は実家に預け、思い切りイチャイチャするのも悪くない。


 「それで、どこの予約をとったんですかー?」

 「あー、写真撮影」

 「?」

 「初美、さんのウエディングドレスの……」

 「……!?」


 驚いた。ちょうど今日そんな雑誌を読んでいたところだ。


 「な、何言ってんですかー!?」

 「だって、結婚の時は和式だったろ?

  ウエディングドレス着たいかなーって」

 「いや、私そんなこと言ってませんし」

 「えっ、ヤベー、失敗した?」

 「……そんなことないですよ。とっても嬉しいです」


 内心、付き合い始めの時のように心臓がドキドキしている。

 でも、おくびにもそれは出さない。分かってしまえば優位性がなくなる。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/02(水) 15:18:56.73 ID:oSC/JdPfo<>
 10/10


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  r≦//////////////////////////////ヽ
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  |///∧////////l|///////////////|/////|
  |//// }////////l!///////////////}/////}


 ーー旦那さんの顔? 見せません!

 だってこんな赤くて可愛い顔、嫁さん専用ですからっ!



 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/02(水) 15:19:25.68 ID:oSC/JdPfo<>  投下終了 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 15:37:00.28 ID:WR2rb+wY0<> 何故俺には家で帰りを待ってくれる合法ロリの嫁さんが居ないのだろうか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 19:09:19.16 ID:DA3fTLQuO<> 乙です
はっちゃんは良い嫁さんだなぁ
そして、永水の闇は深い <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 19:58:35.73 ID:KLe/wIijO<> 乙
このはっちゃんは理想の嫁さんだね
永水・・・大丈夫かww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 20:04:16.71 ID:ouVnzDEYo<> 乙
はっちゃんはいい嫁さんだなー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/02(水) 20:42:44.41 ID:lb+CMuXDO<> 乙です。
はるるどうしてるか気になるが、相変わらず黒糖チュパチュパしてるんだろうか…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/02(水) 21:24:28.73 ID:QEbO5PFc0<> 窮屈そうではあるがそれでも憧れるわー……

正直姉さん女房に手綱握られて家庭円満になるなら管理されてぇ……

しかしイチイィといい永水といい、女性雀師の闇は深すぎる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/03(木) 00:07:31.43 ID:akykV9Yr0<> 京×初=(子供)母より大きくなる子?(子=親、初=子と勘違いされる?)
京×霞色霞=(娘)ぐう聖
京×玄=(娘)金髪のクロチャー(父は執事属性だから娘はメイド属性か?)
京×淡=(娘)目つきが緩い淡
京×和=(娘)中和されてまともです
京×憧=そんなルート存在しません
京×すこ=世界の法則が乱れる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/03(木) 01:19:53.71 ID:WH35j82A0<> 本妻のはっちゃんいるしやっぱスレタイ通り宮永家はオマケだなww <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:00:24.14 ID:05brleHMo<>
 1/10

 441
 【冷やしトーカ降臨】-お金持ち次元-  ※サイコ要素アリ


 弘世菫と辻垣内智葉の争いは当人である京太郎以外は周知の事実だ。

 しかし、この二人は直接的に京太郎を誘惑していない。

 時々ラブホテルや個室トイレに誘っているが、あくまで『事故』を装っている。

 それもこれも全て彼女たち三人の間に結ばれた『須賀京太郎協定』のおかげである。

 条文は数多くあるが、わかりやすく伝えると『京太郎が結婚できる年齢まで直接想いを伝えるのは禁止』ということだ。

 もしもこの協定がなければ京太郎の貞操は今にも無くなっているだろう。

 そして次の日には憧れの姉の痴態を目の当たりにして精神崩壊した京太郎の姿が浮かぶだろう。


 あの弘世菫と辻垣内智葉を最後の線引きで抑える協定、それが結ばれた背景。

 それこそが普段はツッコミとしてセーブ役を担っている龍門渕透華の活躍あってしてのものだった。


 ……
 …

 時は須賀京太郎が中学一年生。

 同じくして龍門渕透華は中学二年生、辻垣内智葉は中学三年生の頃だった。

 この時、既に二人のアプローチは年々苛烈なものとなっていた。

 歳を経ることに彼女たちの知識は増え、しかし本人には尻尾を掴ませない。

 あくまでお姉さんとして接しつつ、別に性癖は隠さない。

 これまで京太郎が気づかなかったのは奇跡、および透華の頑張りと言えるだろう。


 「なぁ、菫。

  ここに首輪と鞭がある。

  君ならどうする」

 「愚問だな。

  自ら首輪を嵌め、旦那様に鞭を手渡すに決まっているだろう」

 「わかっているじゃないか。

  しかし考えてみよう。

  京太郎は年々男らしい体つきになっている。

  普段から道場で触り放題の私が言うんだから間違いない」

 「続けたまえ」

 「そんな京太郎が首輪に繋がれ、裸で鞭を受ける図。

  ……どうだろうか」

 「……天才か」

 「いい加減にしなさいっ!!」


 二人の性知識は年々増えていく。

 それに対して知りたくもない知識が増えていく透華は限界を迎えていた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:00:54.11 ID:05brleHMo<>
 2/10


 「しかしだな、透華。

  父上と母上がこれを使用しているのを見たんだ。

  いざ結婚した時に求められた際に適応できる準備は必要だろう」

 「辻垣内組は大丈夫なんですの!?

  それは絶対に黙っているように!

  バレたら明日にでもお家が取り潰されますわよっ」

 「智葉、ちなみにどちらがどちらをシバいていた?」

 「無論、母上が父上をシバいていた」

 「だから黙りやがれですのー!!」

 「やれやれ、透華は少しお固いな。

  菫の家だけはない。私の家だって夫婦円満の秘訣は三角木馬と蝋燭だ」

 「何言ってんですの!?」

 「お金持ちの道楽など、極まってしまえばどこも同じと言うことか」

 「辿り着く先は人間か。

  やれやれ。私は絶頂した」

 「う、うちは違いますわよ!

  そう。まさかうちの両親に限って……」


             ,..-/:.:.:::.:/.::::..:!:..:.:..:.:\
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         | !ノi::::::i::!:|.ャ伝テ、:けメ、迂テァ∧|::::|
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           | !ハ!ハ丶    ′   /::::/レ' リ     「……」
             | ′ iヘ丶 `  ̄´ イ:/レ′
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     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧     「ハギヨシっ!
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ     意味深な無言はおやめなさいっ!」
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:01:22.94 ID:05brleHMo<>
 3/10


 「そうなると、そろそろ考えどきかもしれないな」

 「菫?」


 菫が顔を俯かせる。

 目元はテーブルの上に置いた自分の手のひら。

 行き場なさげにモジモジと指を絡めている。


 「そ、その、旦那様に告白すると言うことだ」

 「!?

  そ、そうだな。

  まずは京太郎の気持ちを考えなければならない」

 「そ、そうだ。

  中学生のうちはいい。

  しかし来年から私たちは華の女子高生。

  女子高生が終わればもう結婚もできる歳だ」

 「わかるぞ。

  や、やはり青春時代は思いっきり青春したいものだ。

  いきなり結婚しては学生同士のイチャイチャを楽しめない」

 「うむ。

  そ、その、旦那様が望むならば体を差し出す覚悟はできている。

  むしろバッチコイカモンカモンと言ってもいい」

 「し、しかし手を繋ぐデートというのも乙なものだ。

  別のところを繋いでデートするためにもだんだんとステップアップをだな……」

 「そうなると告白が必要だ。

  争わないためにも順番を考える必要があると思うのだがーー。

  ーー透華?」


 二人でいつも通り話していると、気づけば透華の気配が消えていた。

 いつもならば適度にツッコミを入れてくれる透華は貴重な存在だ。

 二人ともセーフティが外れていることは若干ながら自覚している。

 透華が最後の歯止めとなってくれるからこそ、二人の『あぴーる作戦会議』は潤滑に進むのだ。


 「もう知りませんの!

  私はジュースでも飲みますわ……」

 「お嬢様。それはお酒ですよ」

 「このような場です。少しならば無礼講です。

  止めるのは無粋ですわよ」


 どうやらワインに口をつけているらしい。

 社交界ともなれば、少しくらいは飲めなければやっていけない。菫も智葉も少しならば経験がある。


 ※ 未成年飲酒は絶対にやめましょう
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:01:51.99 ID:05brleHMo<>
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 ……
 …


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     // 〈    i /|i::::::::::::::::::':::::::::::::::::::::::/|      i、 |     「京太郎。私とおセックスなさい」
     (  ゙、   | ソ丶   r―‐、    ,イ/       人リ
        /\  ヾ、 / ゝ、 `ー―' _/レ'/    /   \__,ノ
、       /  |   Y /r‐|` ー ' |`V /    /     ー-<
. ヾ===ァ'´ __/_)   |-'´  `゙ヽ ./  |    .∠____   )
   // / 、 /   /|   /ヽ∧  !   /      \ i
  (  i  |  /  , -'´  ヽ  /  / i゙、゙、  ゙、  (   /   i \_,ノ
  )   | ( .,ヘ      V   / ,ハ | \/ \ \//    /  ̄`ヽ


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
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                   Yム    -  -    イ //     「えっ、ごめん聞こえなかった。なんか言った?」
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     |:::::i{で;       !::::: |:::::::::::.
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     ∨::::ハ..  ´ ノ Λ/ト-!`ー―rへ
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:02:21.20 ID:05brleHMo<>
 5/10


 「と、透華!

  少しこっちに来ようか!」

 「あ、菫姉さん。

  透華姉さんの顔が赤くて。

  風邪かなぁ?」

 「何、京太郎は心配ない。

  こういうことはお姉さんがやるから気にするな」

 「ちぇっ。抜け出せるかと思ったのに」

 「智葉。京太郎の相手をしてくれないか」

 「わかった」


 京太郎はぶつくさ言いながら挨拶回りに戻っていく。

 菫は急ぎ透華の腕を引っ張り、声をかける。


 「少し飲みすぎたんじゃないか?」

 「そんなことありませんわ。

  私は至って正常です」

 「言葉が綺麗すぎて逆に怖いぞ……。

  それならば何故あんなことを言い出したんだ?」

 「あんなこと?」

 「きょ、京太郎とせ、せ、ックスするなどと……」


 菫は恥ずかしそうに俯きながら問いかける。

 何を今更である。


 「決まっていますわ。

  練習のためです」

 「れ、練習?」

 「京太郎はいずれ結婚し、私の元から離れていくでしょう。

  もちろん、相手はしっかりと品定めするつもりですが……。

  しかし、京太郎が選んだならば私たちが文句を言える筋合いはありませんわ」

 「お、おう」

 「でもそれは京太郎視点のお話ですわ。

  もし、京太郎がフラれてしまったらーーああ、それはなんて悲しい」


 何故か芝居がかった口調で話す透華に菫は圧倒される。

 いつもならば菫と智葉の会話についてこれない透華だというのに、今この瞬間は菫がついていけないのだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:02:50.69 ID:05brleHMo<>
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              //    ト、ヾ、 /// !      ゙、
              i |      ト、ヽ.V///i     |
                |  i    |゛゛゛゛/""´//     ゙、
                  |   !    丶   |   |.ハ     ゙、
             | /    i   \.!   || !_, -‐   ヽ
              !.//i  /    ヾ、 ーニ、´、 _   ヽ
           , .,ノ  !  /     i ハ ,::t==ァノ'´、    、\
        , -‐ ´'´/  / /.      /ノ::::i:..... ̄ 、、iヾヽ   、 、\    「京太郎のHのテクが未熟でフラれることないように、
      /   // ./ /     //::;::ノ::::::   /) }| `   ゙、 丶ヽ
      i   ./.  //      //_  __   /_ノ| |     }  ヾi    今から仕込む必要がありますわ」
       _ ‐'/ /´.    //、 `  ´  / l | //    ∧.   |
..----― '-‐.´ /     /,.イ | .!`:..、_,...::' |、| | |./    /、 `ー-ノ、_
フ ´  ̄    /     / / /,ィ'´ `ー- 、,、‐'´ .\./    /   \..ノ   ̄`ー-、__
      , -‐´i     i  l ̄\   ,イ、_|,_>、  /  / 丶   丶、       `ー
  _, -‐ ´    >、     \|   \//ハヾ、>' .//ヽ   \r-、  `ー-、_


          ____
        ´:::::::::::::::::::::::::::` 、
    /::::;r─‐::::::::;r─:、:::::::\
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  i|:::::::::i|人|::::|::从::::儿;;八|::::::::::|::|
  i|:::::::::i| /モテ   モテハ::::::::::|::|
  i|:::::::::i|     ,     i|::::::::i|::|
  .八::::::八       u  リ ::::::リ::|
   ヽ/:::i:::...   r  ュ   ,.イ::::}/i:::|   「なん……」
    |:::::i::::::::>   <| l:::::i:::::i:::|
    |-=''"  ノ      人  `'=-|
  /、     ト=======/      \
 /⌒\   ハ       /     /⌒ヽ、


                          ___
                       ..::.::.::.::.::.::.::.::.::.`丶、
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                    |::.::.::.::.:_::/     \{\ .::.::.::.::.:|
                    |.::.::.::./|/`丶     /\ ::.::.::|   ←気になって見に来た
                  _,,..、¬冖づ庁外、   斗劣、ハ::.::.|
                   / ヘ. } し小 うソ ノー{ うソ/ /:/|/
                     /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行      「だと……?」
                    ノ  八‐:、u   ′   厶|
              丿  ´__/  \丶、  ‐‐    イ |/
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:03:20.13 ID:05brleHMo<>
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 「だ、旦那様はマジ○ル○ンポを持っているはずだ!」

 「そ、そうだ。

  頭を撫でれば女が堕ち、頬を触れば顔を赤らめ、抱いてしまえばどんなエルフもオトせるという……」

 「そんなものは貴女達の幻想に過ぎませんわ。

  今の京太郎はまごうことなき童貞に過ぎませんわ」

 「ば、バカな……。

  それでは私たちの計画が破綻してしまうではないか」

 「頭を撫でれば髪が乱れますわ。

  頬を触れば化粧が乱れますわ。

  抱いてしまっても未熟なテクではすぐに終わってしまいますわ。

  全ては幻想に過ぎませんわ!」

 「ば、バカな。

  旦那様は早漏なのか!?」

 「そんなことはないっ!

  女性を縛り上げ自分の思う通りに調教するオーク気質なはずだっ」

 「ですから私が手ずから教育しますわ。

  それまでは何方にも手出し無用」

 「くっ、それならば私たちでもいいはずだ!

  この辻垣内智葉お姉ちゃんの手によって精通してもいいはずだっ」

 「そうだそうだ!

  透華ばかりずるいぞ!

  そ、それに嫁入り前の体に傷をつけるのは良くないぞっ」

 「ええ、そうですわね。

  ーーだというのに貴女達は誘惑することばかり。

  真に弟の成長を願うならば、することがあるでしょう」

 「……そうだな。

  菫、透華。私が間違っていた」

 「言うな智葉。

  私たちは同志だ」

 「ええ、これからは手出し無用。

  これから京太郎をーー」


              /ヽ/  //            //|      |
_  __,.. --‐ー--==ュ/ / `//、           //|       |
. `ヽ  _,.....--‐rr‐イ=ィ'´   //.....\         /  |     |
  //|-‐    ̄ |├,イ::::`ヾ=、、 丶:::::ヽ      __/-‐'  |       |
 /  _|_,.....--‐i┘っ!:::::::::|:.:.:iヾ、ヽ       ..:-‐/___ |     ゙、
_/‐ ´     r-!ヾ、 !..゙、;;oノ:.:/  ヾ        ,:イ'´::://ヾ  |      丶
    / ̄ ̄  ヾ `、:;,;,;,ノ          ´っ:::://  / / |       ゙、
   / i                        弋,;,ン ノ / |       |
  /   i                           / |  |        |
_ノ    ゙、                   、      / | |        |
       丶、       、           `     /i  |  | /      |   「童貞にして女性をオトせる
       \`ー 、    `ー- 、            //  |  |/|      |
          \`          ̄     , ' /   |   /     |     超絶テクニックに仕上げますわよっ!!」
\             \           _, - '´l  i   |   |       |
  \             ト、      _,   ´l    |  |  |  |     |
 / \           ! ` 、_ , '´     ゙、  |  |    |   |      |
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:03:49.65 ID:05brleHMo<>
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  :/_:|:::从        /:::::::/:::/:::/:::::::::::/
  〔 |_:/ハ  t  ァ /___::/:_/:::::':::::::::::/   .*゚
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    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
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                  / /        ./ ヘ Y.           \   |  j
                 / /        /   ヤ |      -―‐t `  |. /
                    /      .//\ /,ヘ .|   イ  7  | ヽ レ
                  ’/..     /,イ   /へ レ       /  ハ
              / /      \ /./    /′  ̄`ー‐-≦7.    ハ  ’
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            / /      不、 lハ   {|            .::: /    }
            //       / { ;;;≧x、V |        /  /.    / ’
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          //         ,イ  """      ノ   て≧芯x_ノ ./    / /
.       / ./  //     |               弋;;;__ ツクイ     / /
    /  ./  //    |. ハ       r:      """/介     ヤ /    「さぁ、イキますわよっ!」
   /   /'  / i     |.  ヽ    ト、         /"/ |    マ
 /   /{   { . |     ||./{ >、 ヽ ` ァ   ー‐' /__ ヤ   |. ヽ
    _廴_込 ヽ、   | |´   ヘ \  __  _チ'´ _. ヽマ    ヽ
    {      ヽ  `  .ト.!     ヘ      / ∨「〈.', マ¨ :.  マ     ハ ト、
    λ         マ  } .ハ ヽ    ヽ  /_  .| | マ、 ー-、  ヽ  / .l ! ::._
   / ハ.       /ヤ /ハ| ) /ミ≧≦チ_,マ  ヽ` く ̄¨¨¨.    \,.へj ̄`ヽ
.  / / ヤ    /   У′ リ / ィチ>二<< マ  フ`ーへ   ヽ    `ソ `ヽ ヘ
 / /  ヤ   /   /   / レ// / 厂|、ヾ、\、/    />  _`ー  /   `マヘ
  /     マ  .i   /  /  / /  / /  | ヽヘヽ \  ,イ /   // ̄`ヽ{     マ ヽ
      ヽ 八  .{       | .|  ./ /|   | iマヘ. > >/ | λ.  |.{三三/       .〉`
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:04:18.17 ID:05brleHMo<>
 9/10


 ……
 …

 「ううっ、頭が痛いですわ……」


 透華は酔ってしまうと記憶が残らないタイプだった。

 先日、いつものように菫と智葉の話を聞いて頭痛がしたのは覚えている。

 そのあとのことを考えても思い出せない。


 「そろそろ何かしらの手を加えないといけませんわね……」


 暴走続きの二人を止めるために色々と考えているが、止まる気がしない。

 可愛い可愛い弟分のためとはいえ、そろそろ疲れて来た。


 「いえ、負けてはいられませんわ」


 ここで負けてしまえば龍門渕の名が廃る。

 そう自分に言い聞かせてなんとか考える。

 そろそろ京太郎もそう言うことに興味を持ち始める年齢だ。

 二人の誘惑に乗ってしまう前に止めなければーー


 「お嬢様。失礼ながらこちらを」

 「ハギヨシ?

  これは……『須賀京太郎育成計画』?」

 「弘世菫様と辻垣内智葉様からの伝言です。

  『協定は破らない』と」

 「はぁ……」


 なんのことだかわからないが、また頭痛の種だと言うことは予想できる。

 とりあえず軽く目を通して見るとーー


 「『京太郎の高校卒業までは手を出さない?』」


 願ってもない協定が書いてあった。

 しかも菫と智葉の血判まで付いている。


 「なんだかわかりませんが、自重してくださるのですね」


 ホッと一息ついた。

 そして初めて気付く。自分の指がチクリと痛んだ。


 「?」


 絆創膏が貼ってある。親指をケガでもしたのだろうか。

 あまり気にせず、血判状を仕舞う。


 龍門渕透華は気づかない。

 ーー血判は、三つあったことに
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:04:47.29 ID:05brleHMo<>
 10/10


 ……
 …

         ,  ´    /V    <⌒`
        /,     /   ∨      ̄\___
       ' /       '     ∨   、 < ̄ ̄´
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     /イ' 从 {  =====∨\ }  ̄  |ノ `\   ____
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 ーーなお、義姉の計画とは関係ない場所で女性慣れはしていた模様


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/06(日) 20:05:16.23 ID:05brleHMo<>  某京咲四コマ最高だった
 姫子→哩→京太郎→姫子の三角関係とか書いてみたいけど口調がネック <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/06(日) 20:17:33.16 ID:9t/JszhGo<> 乙
それ読みたいです
多少の違和感なんて脳内補正でどうとでもなるし <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/06(日) 20:42:25.48 ID:fPQZEMQDO<> 乙です。
博多弁は咲ssを書いてれば誰もがぶち当たる壁だと思う。
最悪多少の違和感は無視して方言翻訳アプリニキに頼ると言う手も…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/06(日) 20:50:36.49 ID:p8Y/qw900<> 乙
伏兵宮永
のどっちと世界一位でオチ慣れもするんだろうな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/06(日) 21:35:51.16 ID:JPo96Lqxo<> 乙です
お金持ち次元ほんと好き <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/06(日) 22:37:08.18 ID:+OE0JV/A0<> 乙でした
博多弁とか言う咲SS界のラスボス <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/06(日) 23:59:20.58 ID:T0l0NpVP0<> 乙です
何その新道寺次元読みたすぎる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/07(月) 03:24:03.29 ID:CsOSvZTp0<> 乙!!

相変わらず凄く面白い!
まとめられないかなぁ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/07(月) 07:20:26.45 ID:7TmT4h0t0<> 乙

そして数年後ころたんが4つ目押すんですねわかります <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/07(月) 18:49:50.42 ID:V/Rdht4jO<> 乙です
「おセックス」に草生える <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/09(水) 01:01:55.77 ID:IZFBEfQD0<> 乙でした。 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:44:18.19 ID:4zXbpoyPo<>
 1/10

 【私は友達がいない】-京桃次元-


 夏のインターハイから三年。

 まるで夢のように充実した青春だった。

 しかしどんなに楽しい青春も過ぎ去ってしまえば返ってくることはない。

 『昔は楽しかった。あの時に戻りたい』、そう思わない人はいないだろう。

 彼女ーー東横桃子もまたその一人だった。


 「今日の講義も憂鬱っすねー」


 誰に伝えるわけでもなく呟く。

 仮に近くに誰かがいたとしても気づかれることは少ない。

 桃子は大学生になり、高校生活から環境が大きく変わった。


 「元々、高校生活が恵まれていただけっすよね」


 自分に言い聞かせるように呟く。

 『東横桃子は友達が皆無』

 そんな漫画のタイトルで作品を作れそうだな、なんて益もないことを考える。笑えない。

 大学生になれば高校の友人と仲が続くことは少ない。

 各々、就職に向けてやりたいことが異なるのだ。

 憧れの先輩たちと離れ離れになった桃子はまた一人ぼっちに逆戻り。

 麻雀部に入る前の、誰とも会話しない状態に戻ってしまった。

 話す相手がいなければ、自然と独り言も増えてしまう。

 そんな自分に嫌気が差すが、癖になってしまったのだから仕方ない。


 「ステルスモモも麻雀を打てなきゃただのぼっちっすね……」


 元々活発な性格ではない桃子は大学デビューすることもできなかった。

 いくつかサークルを見てみたり、麻雀のサークルも見てみたがやはり空気が合わない。

 そもそも見に行っても反応してもらえない。

 高校時代、『君が欲しい』と直球で言われた。

 あの時のような運命を求めてしまう程度には、東横桃子は夢見がちだった。


 「こんなんなら、ずっと一人のままの方が気楽っすねー」


 青春の高校時代、あれだけ楽しむことがなければこの苦しみもなかったかもしれない。

 最初から誰かと触れ合う喜びを知らなければ、こんなに悲しく思うこともなかった。

 自然と目頭が熱くなる。


 ーー泣いてしまおうか、なんて考える。どうせ誰もこちらに気づかない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:44:47.13 ID:4zXbpoyPo<>
 2/10


 「ったく須賀はさー。

  そんないろんなサークルに手ェ出してると忙しいだろ」

 「別に本格的に入部してるわけじゃないぜ。

  体験入部だよ。どこも楽しそうでさ」

 「いろんなところから声がかかってるんだろ?

  可愛い子いた?」

 「えー、高校で目が肥えちゃったからなー。

  これと言った人は……」

 「ったく、いつまでも失恋を引きずってんじゃねーぞヘタレ」

 「し、失恋なんてしてねーし!?」


 後ろの席の会話がうるさい。

 大学の講義は物にもよるが、基本的に座る場所は自由だ。

 しかし毎日繰り返していると自然に定位置が生まれる。

 そんな中、東横桃子は隣の金髪の男子の隣に座ることが多かった。


 「(けっ、リア充が。うるさいっすね)」


 神様の気まぐれだろうか。

 どの授業でも彼の近くに座ることが多い。

 最も、彼の近くに座っていなくても彼は非常に目立つ。

 大学は高校と違い、クラス間での交流はないに等しい。

 積極的に友達を作りに行くか、あるいはサークルが同じでないと話しかけることもない。

 そんな中、『彼』はいつもグループの中心にいた。

 孤独の極地にいる東横桃子とは正反対の存在だ。


 羨ましい。

 妬ましい。

 その目立つ金髪も、高身長も、微妙にいい声なのも、ちょっと顔が整っているのも気に入らない。


 目立つから自然と目に入ってしまうし、近くにいるから声もよく聞こえてしまう。

 そうだ。鬱陶しいから目に入ってしまうんだ。

 近くに座ってしまうのもたまたまだ。他意はない。


 「(……他意はないっすから)」


 ーー例えば、こんな人気者は普段何をしているんだろうとか。

 友達のいない自分にはとてもわからない。

 桃子は一人で時間を潰すのが得意だが(というかそれしかないのだが)、彼はどうしているんだろうとか。

 一人の時間がないのは心苦しいと思うけれど、大丈夫なんだろうかとか。

 そんなことばかり考えるのは、たまたま近くの席に座っているからだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:45:16.24 ID:4zXbpoyPo<>
 3/10


 「(彼女いないんだ)」


 聞いていると、彼は男女ともに多くの友達がいるらしいが、特定の異性はいないらしい。

 全く。たまたま近くにいて目立つから彼についての変な知識ばかり入ってしまう。

 しかし、桃子も一人の女の子だ。

 恋愛についての話を聞けば、まるでエルフのように耳を大きくして聞き入ってしまう。

 やれ、憧れの先輩にとてもいい彼氏が出来ただとか、そんな話を聞いた時にはすごく嫉妬した。

 何せ、完璧のように思っていた先輩が恋する乙女の顔をして惚気てくるのだ。

 100年の恋も冷めるというものだ。

 正確には、とても羨ましかった。


 「(あー、私も彼氏が欲しいっすね)」


 友達すらいないのに高望みをしている気がする。

 でも、女子大学生という身の上で彼氏を求めない方がおかしいと思う。

 東横桃子に異性の友達はいない。

 彼氏の話など、夢のまた夢だ。

 ーー気になる人なら、まぁいないわけでもない。


 「それじゃ、レジュメを配ります」

 「あっ……」


 講義用のレジュメが配られる。

 いつもならば講義前に自分で取りに行くスタイルになっている。

 しかし、今日は教授が用意し忘れたようだ。後々から助教授が印刷して持ってきた。


 「……」

 「ん……?」


 特に意識せず無言で後ろにプリントを渡したが、なんだか妙な反応をされた。

 思わず顔を赤くしてすぐに前を見る。


 「もしかして、東横桃子さん?」

 「!?」


 思わず身体中を震わせた。

 ーーな、なんで名前をっ!?


 「おい、須賀。

  ナンパしてんじゃねーぞ」

 「いや、ナンパってわけじゃ……。

  ただ知ってる顔だっただけで」

 「知ってる顔だっただけで声かけるのは十分軟派だよっ」


 後ろでそんなやりとりをしているのが聞こえてくるが、教授に睨まれて押し黙った。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:45:46.41 ID:4zXbpoyPo<>
 4/10


 ……
 …

 「おーい、東横さん」

 「な、なんっすか。つーか誰っすか」


 講座が終わったと同時に話しかけられた。

 こっちは金髪の彼のことを少し知っているが、そんな素振りは見せないように受け答えをする。


 「あー、一方的にこっちが知ってるだけなんだ。

  清澄高校麻雀部だったからさ」

 「清澄……、あのおっぱいさんがいるところっすか」

 「ああ……、和か……。

  ってかその呼び方はどうなんだ……」

 「それで伝わるってことは、そう思ってるってことじゃないっすか?

  助平さん」

 「うぐっ。辛辣すぎる」


 なぜか口から嫌味が出てくる。こんなことを言うつもりはないのに。

 むしろ久しぶりに人に話しかけられて気分は有頂天だ。

 しかし、同時に警戒もしている。相手はどう見てもチャラ男だ。

 ーーそんなチャラ男に簡単になびくようなチョロインじゃないっすよ!


 「大学、同じだったんだね」

 「そうっすね。

  と言うか、よく覚えてたと感心するっすよ。

  普通、他校の生徒の顔なんて覚えますか?」

 「へっへっへー、俺、他人の顔を覚えるのは得意なんだぜ。

  東横さんは(胸が)印象に残ってたから一発でわかった!」

 「そ、そうっすか」


 『印象に残る』なんて言われたのは初めてだ。

 憧れの先輩ですら自分を探す時には声を出す必要があった。

 もしかしたら、この人は自分のことを見つけられるのかもしれない。そんな淡い希望が浮かんだ。


 「……って、確か女の子の顔は忘れないとか言ってたっすね」

 「い”い”っ!?

  なぜそれを」

 「毎日毎日、隣の彼と話しているのが聞こえてくるんすよ。

  近くの席だから」

 「た、高久田ァ!

  って、いない!?」

 「あっ、俺のことは気にしないで続けてどーぞ。俺は先に帰るぜー」


 長身の彼は、楽しそうに逃げていった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:46:16.22 ID:4zXbpoyPo<>
 5/10


 「い、いや、可愛い女の子の顔を忘れないのは男として当然だろ?」

 「そうやって、彼女でもない女の子に可愛いって言うのはマイナスっすよ。

  だからモテないんじゃないっすか?」

 「な、なぜモテないことを知ってるんだ」

 「いや、毎日聞こえてくるから……」


 悪口を言うつもりはないのだが、どうもツッコミ気味になってしまう。

 何より、自分がはしゃいでいるのがわかる。

 本当に誰かと話すのが久しぶりで、距離感が掴めないのだ。


 「毎日って、そんなに目立つか?」

 「そりゃ、その金髪に身長は目立つっすよ。

  席も近いし」

 「ありゃ、席近かったっけ?

  おっかしーな。それならもっと早く東横さんに気づくと思うんだけど……」


 少し、悲しくなった。

 先ほど感じた淡い希望はやはり泡のように消え去った。

 彼が自分に気づいたのは、たまたまだったのだろう。

 モニターを通して顔を覚えていて、プリントを配る際に目があって思い出した。

 その程度の存在、だったのかもしれない。


 「私の特性、知ってますか?」

 「えっ?」

 「『ステルスモモ』って、呼ばれてるっす」


 ふらっとその場を立ち去った。いわゆる、『オカルト』を使用して、だ。

 高校時代から『オカルト』は強化されている。

 桃子がその気になって姿を消せば、例え目の前で話していたとしてもーー


 「あ、あれ?」


 彼はまるで白昼夢でも見ていたような顔をしていた。

 目の前からいきなり女の子が消えたのだ。

 実際、すでに移動しているので彼の目の前にはいない。


 しかし、これでわかってしまった。


 「(やっぱり、私のことを見つけられるわけじゃないってことっすね)」


 熱された気分が冷めていくのを感じる。

 もしかしたら、なんて淡い希望。

 桃子のことを見つけてくれる、『王子様』。

 そんな存在など、いないのかもしれない。

 桃子は寂しそうに立ち去り、困惑顔の『彼』だけが残された。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:46:45.44 ID:4zXbpoyPo<>
 6/10


 ……
 …

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         |! ヽ::::トレ::|斗イ/ / }     _| ';|::l:::!:::://::::/:/


 自宅に戻り、ベッドに顔を突っ伏す。

 中二病は卒業したと思っていたがーーどうやら根深い問題のようだ。

 別に理想の彼氏じゃなくてもいい。と言うか普通に友達が欲しい。

 それこそ、『彼』は誰とでも親しいし、こんな自分とも友達になってくれた可能性が高い。


 「うわぁぁぁぁーーーっ!!」


 若さゆえの過ち、と言うにはあまりにも代償が大きすぎだ。

 一体なんだ。自分のオカルトを披露して颯爽と消えるなんてどこの敵キャラだ。

 むしろ最初は敵キャラだけどどこかで味方になりそうだ。

 最後に主人公をかばって死にそうだ。嫌だ、死にたくない。


 「って、そうじゃないっすよ!!」


 とりあえず、これからの大学生活を考える。

 無理に彼の近くに座る必要はないわけで、別に大学生活で関わり合いになる必要はない。

 しかし、あまりにも第一印象が最悪すぎる。

 相手からすれば、『散々人のことを罵倒したと思ったら、なんか厨二発言をして消えた女の子』だ。

 無害な分、某千葉県民のぼっち女子高生の方がマシかもしれない。いや、あれも時々有害か……。


 「せ、せめて謝罪を……」


 人としてごめんなさいの一言くらいは言いたいが、今日のことを思い出して顔が火照る。

 『ステルスモモ』とキリッっとした顔で消えるーーうん、ないわ。


 「もうこのまま、関わり合いにならないで過ごすべきっすかね」


 桃子の隠れた中二病歴史として抹消するべきか考える。

 もしかしたら今後の大学生活で友達が出来るかもしれなかっただけに、非常に惜しい。

 謝れば、もしかしたらーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:47:13.93 ID:4zXbpoyPo<>
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    .l:!:::::::l !::::::::::l::::l!:::::::::::j ヽ>  ..__.. <ノ.∨!:::::!:::/::::::j::::::::;':!l:::://
      !∨::::! ∨::::::::!:::ヽ:::; イ!: : : ヽ、__  _,..イ: : ヘヽ:::::/:::::::::!::::::;'/ l:://
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 そうだ。彼は友達が多い。

 友達になれば、友達の友達は友達理論で他の友達を増やせるかもしれない。

 それに、彼には女性の友達も多かった。

 そう考えると、一番欲しい『女の子の友達』が出来る可能性は非常に高い。


 「これ、すごくゲスい考え方っすよね」


 立場を逆にしてみよう。

 可愛い女の子とお近づきになりたいから、その友達に声をかける男子。

 ーー最低だ!


 「ええい、こちとら手段は選べないっすよ!」


 本当に申し訳ないとは思うが、将来のステルスのせいで本気で困っているのだ。

 生まれ持ったこの体質、改善の余地は一切ないらしい。

 そう考えるとこのくらいゲスい考え方でないとやっていけない。

 幸い、『彼』は女の子とお近づきになりたいらしい。

 それも胸の大きな女の子が好きらしい。近くにいるから聞こえてきた。

 他意はない。決して彼のことを知りたくてこっそり聞いていたわけではない。


 「……セーフっすよね」


 最近大きくなってきた胸を見下ろす。

 これで釣って友達になろう。うん。

 ちょっと変な視線で見られるかもしれないけれど、『見られないよりマシ』だ。

 誰より『見られない』経験をしてきたから言い切れる。はずだ。


 「でも、そうなると問題が……」


 あの第一印象の中二っぷりをどう覆すか……。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:47:43.45 ID:4zXbpoyPo<>
 8/10


 「あぁーっ!」


 結局、話はそこに行き着くのだ。

 一体なんて話しかけよう。昨日はごめんなさい?


 「そもそも、男の人となんて会話したらいいんすかね」


 今日は少し会話が弾んだと思う。(弾んでいたはずだ!)

 しかし、男性と会話した経験なんて数えるほどしかない。

 と言うか、同年代の友達との距離感すらわからないのだ。どうすればいいのやら。


 「こ、こうなったら……」


 パソコンを立ち上げ、インターネットの海に潜る。

 困った時には先生に聞けばいい。最近は便利になったものだ。


 「えーっと、のどっちスレのどっちスレ……」


 常駐しているスレを開く。

 かつて麻雀で争った『のどっち』のいるスレだ。

 こちらだけ一方的に知っているのはどうかと思うが、これも有名税だと思って欲しい。

 実際、『のどっちスレ』とは言うがのどっちの話をすることはあまりない。

 住民が雑談したり、アニメの実況をしたり、たまに麻雀したり、咲ちゃんクイズを出したりするカオスなスレだ。



 ……
 …

  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:momoko

 第一印象で中二発言をブッパした相手と仲直りするにはどうしたらいいっすかね


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 またこれはレベルの高い相談だな……


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 大丈夫。俺たちにはのどっちがいるだろう?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 ほら、『のどっちよりマシ』って思い込んで謝ってきな


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:momoko

 ありがとうっす!


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 せめて私も相談に乗らせてくださいよっ!!!!!!!!!


 …
 ……

 よし、準備は整った。あとは勇気を持って話しかけるだけだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:48:12.76 ID:4zXbpoyPo<>
 9/10


 ……
 …

 ・後日


            _,...---、_,.、
           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`     「東横桃子さぁぁぁぁぁん!!」
      /:::..     |  ,. _/
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
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 ーー計画が全部吹っ飛んだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/11(金) 01:48:41.96 ID:4zXbpoyPo<>
 10/10


 「ちょっ、何してるんすか!」

 「あっ、いたいた。

  いやー、昨日どっか消えちゃったからさー。

  探しても見つからないし、もう呼びかけるしかねーなって」

 「その発想はおかしいっすよ!?」

 「なんか悔しいだろ!?」

 「悔しくてもフツーはそう言うことしないっすから!

  相手が迷惑だとか思わないんすか!?」

 「迷惑だったらごめん」

 「あ、いや、そこで謝られると……」


 ーー全くもう。なんなんだこの男は

 昨日まで赤っ恥をかいてベッドの上で足をバタバタさせていたのが馬鹿みたいだ。


 「いやー、赤っ恥かいた。

  もう恥かきたくないから逃げないでくれよ」

 「えっ」


 もしかして、気を使ってくれたのかな。ーーなんて、そんな風に考えてしまうのは、乙女だから仕方ない。

                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
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     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Yィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'    「よろしく、東横さん」
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
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   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:{` { {_)|!::::::c:::|           {__)::::::|!:::}  }|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:|',  ヽ|!:::::::::ノ           ヽ:::::::|!ノ  |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ,    |!`¨              ¨'|!    |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|、',   |/l/l/     '       /l/l/|!   ,'|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|   「……仕方ないっすね」
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|:.:.:,  |!                   |!   八.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!.:.:.:ヽ |!      、 ____ ,       |! , イ:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.::|
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!´:/: : \                /: !:`:7.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
   |.:/!.:.:.:ハ.:.:|.:.|:/: : : :/ |`: . 、         , .イ: :|! :.|: :/.:.:.:.:.:.:/.:./--、


 ーーそう、仕方ない。

 こんなお馬鹿さんを見たら、顔がにやけてしまうのも仕方ないのだ。


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/11(金) 01:49:10.93 ID:4zXbpoyPo<>  もしかしたら続く。リクも順次投下予定
 某非安価スレが建ってとっても嬉しい。うちもホスト京玄書きたい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 02:02:50.30 ID:/pVOkpFKo<> 乙でした
寝る前にのどっちスレの建ってるのがNaNじぇいだと知ってよかった <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 02:18:18.01 ID:8sN9hasBo<> 乙です
のどっち次元でもIDがステルスしてるだけでこっそり混じってたんだろうか、モモww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 03:19:16.14 ID:lYyEoMcT0<> 乙
モモ聖帝ルート回避か(愛などいらない)
のっどっちよりマシ = 世界一位よりマシ = アラフォー実家暮しよりマシ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 04:47:54.07 ID:z/e6e2WFo<> 乙
しかし、のどっちスレでなんで解決すると思ったのか
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 06:01:53.48 ID:AGu1JboMo<> 今じゃのどっちスレ見て笑ってるもんな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/11(金) 07:04:32.46 ID:w0n4jXQDO<> 乙です。
のどっちよりマシは果たして解決と言えるのだろうか…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 07:33:09.60 ID:YKkqeruGo<> のどっちスレならカウンセラーくらいいてもおかしくない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 09:30:13.12 ID:AMecWQxm0<> おつー
で、この次元で咲ちゃんクイズ書いてる業の深いやつ誰だよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 14:45:51.02 ID:oiPj/2Xko<> のどっちスレ行った時はもうダメだと思ったわww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/11(金) 20:07:07.52 ID:5jvVnT4mO<> 乙です
「私は友達がいない。だが、彼氏がいないとは言っていない」ってなるんやろ楽しみ
のどっちを見る事により、自分より下の人間がいるんだなって安心する下方比較を行ってるんですね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/12(土) 01:28:36.62 ID:fJtSlUls0<> 逆にのどっちの方がマシとなった場合、それは誰なんだろ?(のどっちを超えし猛者) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/12(土) 01:56:34.61 ID:9sB/WSUEo<> そらアラf… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/12(土) 02:07:03.27 ID:lgdq3ffUO<> そりゃ世界一位・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/12(土) 17:05:27.43 ID:sw6QQfkDO<> ふと晩酌でカンする京咲と言うネタが思い浮かんだ。
ここでのカンはビール缶を開ける効果音のことです。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/13(日) 16:50:00.08 ID:QftjiqBkO<> 燗だろ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/13(日) 18:51:22.94 ID:XvmlPHez0<> みやながけ次元での咲ちゃんはいい嫁さん兼しっかり者のお母さんだけど
そんな咲ちゃんが酔いつぶれちゃったりしたらどうなるんだろう
普段はぽんこつなてるてるがしっかりするようになるのかな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/13(日) 19:32:39.27 ID:zhxLIYiDO<> なら燗の栓をカンで。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/14(月) 01:35:38.30 ID:R9z7Gsrq0<> >555
あれだぽんこつと方向音痴が抑えていた魔物モードが前面にでるんじゃね? <>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/15(火) 21:09:00.74 ID:To91tLwBo<>
 1/10

 【私にも友達が一人いる!?】-京桃次元2-


 友達、と言うのはどう言う距離感で接したらいいのだろうか。

 東横桃子は数少ない人生経験から考える。

 例えば、高校時代の友人は同性である。

 須賀京太郎は最近知り合ったばかりの異性の知人である。ーーまだ友達とは言えない。

 正直、どうやって接したらいいかわからない。


 とりあえず、目の前でキョロキョロしている彼は何をしているのだろうか?


 「須賀、何やってんの?」

 「いや、東横さんを探してるんだけど見つからなくてさ」

 「ここにいるっすよ!?」

 「「おぉう!?」」


 思わず横から飛び出して声をかける。失礼な。

 彼ー須賀京太郎ーは相変わらず桃子のことが見えないらしい。

 目の前に立って話したりすればわかるのだが、それ以外では見事なまでに『ステルス』が発揮している。困り物だ。


 「いやー、ごめんごめん。

  探したつもりだったんだけどさぁ」

 「最初から隣にいたっすよ!」

 「おっかしぃなぁ……?」


 それも、彼にはオカルトの適性が全くないらしい。

 いや、むしろ他人のオカルトを強化している節でもあるのだろうか?

 近くにいても、桃子が声をかけないと見つけてくれないのだ。

 初めての異性の友達がこれでいいのか不安になるが、そもそも会話してくれるだけで十分なのだ。

                ______
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           .::::::::: !::::::|::::|l::|l::|:::::i:::!  从::_i斗:::::::|:::::.
           .′:::::i:|:::`T::八代{\!::「 ̄ ̄ }::l:::i::::::: !:::::::.
.         /:::::::::::i:ト、ィ芹丐`   ヾ '´芹丐刈|i:::::::i:::::::::::.
       .′ ::::::::i:|  乂ツ       乂ツ|i |i:::::::|:::::::!::::.
       |:::|::::::::i从 :::::::::   '    :::::::|i::,小:::::!::::: !::::::.
       |:::|::::::::|::込、     Y⌒(      |l.::::|::::: !::::: !:::::::   「むー」
       |:::|::::::::|:::|:::个ト _        _  个::::|::::: !::::: !:::::::|
       |:::|::::::::|:::|:::::|::|:::::::|:::〕  ̄ 〔:::|::::::|::::::|::::::川{::!ヽ:::i
       |::从:::::|:::|:::::|::|::::斗へ  /`7: リ、::::!:::/i::ハ{ i:/
       i/  ヽ:!´\ ̄: :iハ ハ_ハ /: / i ノ' : : ̄{  ノ'
         〈 : : : : : \: :{ : ∨`{i:i:}´V : : : }/: : : : :|


 ーーとはいえ、ムッとするのは確かなわけで
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:09:30.94 ID:To91tLwBo<>
 2/10


 「わりーわりー。

  昼食でデザートおごるからさ。許してよ」

 「そーやって安易にデザートに頼るのは良くないっすよ!

  ダイエット中だったらどうするつもりっすか!」

 「えっ、ダイエットしてた?」

 「してないっすけど……。

  でも、女の子ならそれなりにカロリーには気を遣ってるんすよ」

 「そっかァ。

  じゃあいらないか?」

 「それとこれとは話が別っす!」


 本来ならば初めての異性の知り合いと言うこともあって緊張するのだろうが、なぜか彼には気を許してしまう。

 とても話しやすい性格をしているし、少しこちらが弄るような言い方をしても応えてくれる。

 いつもは弄られ役だった桃子にとって、とても新鮮あった。


 「(でも、甘えてばっかりじゃ良くないっすよね)」


 しかし、あまり頼ってばかりだと愛想を尽かされるかもしれない。

 友達同士とは何か、調べたわかったことがある。


 ……
 …

  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:momoko

 異性の友達ってどう言う距離感で接したらいいっすか?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 フツーに話して楽しければいいんじゃね?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 ふふふ、私には異性の友達がいるのでお答えしましょう!
 私の場合、男の人が率先して会話を探してくれましたよ!
 意図したわけではないですが、胸を見られてデレデレされましたが、それも慣れました。男の人なら仕方ないですよね。
 あとは男の人が何かしてくれたら率直のお礼を言ったりしていました!
 アレは私に惚れているに違いませんね! あなたたちとは違うんですよ!


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 のどっちのどっち。現実を見よ?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 まぁたいつもの脳内彼氏か……


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 マジレスすると、友達同士なんてお節介焼いても仕方ないでしょ


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 そうそう、深いこと考えずに楽しいように過ごせばいいんだって。相手もそんな深く考えてないよ


 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:10:00.10 ID:To91tLwBo<>
 3/10


 「(普通に、って言うのがわからないっす……)」


 桃子は友達が少ない。ーー皆無、ではないだけ成長したのだろうか。

 友達といえば高校時代の知り合いのみだ。

 それも部活仲間という面が強く、そう言った関わりとは違うプライベートな知り合いは皆無だ。


 「そ、そういえば須賀さんは麻雀部らしいっすよね?」

 「おう、そうだな」

 「清澄の男子部員なんて聞いたことないっすよ」

 「あの時は俺一人だったからなァ。

  次の年からは人も増えたけれど、あんまり強くなかったからね」

 「あのリンシャンさんとおっぱいさんがいるなら強くなりそうっすけど」

 「あー……」


 京太郎がバツの悪そうな顔をする。何か悪いことを言ってしまったのだろうか?

 隣の長身の男子。ーー名前は覚えていないーーがニヤニヤと笑っている。


 「実は女子目当ての部員も多くてさー。

  顧問もついたんだけど、いまいち上手くいかなくてさ」

 「えっ」

 「ほら、顧問だって実績が欲しいから始めた感じのやる気ないタイプで……。

  なんというか……、その……」

 「まぁ、身内の恥なんだ。あんまりコイツを虐めないでやってくれ」

 「……そうだったんすね」


 多くは聞かないが、なんとなく察した。

 おそらく、彼にとって心地よい空間がなくなってしまったんだろう。

 それは同じく弱小零細麻雀部だった自分も同じだ。

 気になって入ってきた新しい部員との温度差。

 楽しくないとは言わないが、自分が本当に求めていたものとは違ったのだ。


 「だから新しくサークルも入らねーんだよなー、コイツ」

 「うるせー」


 新入部員に部活の雰囲気を押し付けてしまえば、そこに溝が出来る。

 今までの楽しみを持続したい既存部員と、自分のやりたいことを求めて入ってくる新入部員。

 彼もまた、その摩擦に擦り切れてしまったのだろうか。


 「というわけで、コイツ暇なんだよ。

  良かったら東横さんが構ってやってくれ」

 「え”っ」

 「んじゃ、俺はバイトだからお先ー」


 今日は1、2限のみの講座だ。お昼を食べて帰ろうと思ったが、押し付けられてしまった。

 京太郎も困ったような顔をしてこちらを見ている。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:10:29.22 ID:To91tLwBo<>
 4/10


 いつもならば話題をリードしてくれる彼のこんな表情、初めて見た。

 なんとなく、放って置けなかった。


 「それじゃ、お昼食べに行きますか」

 「えっ、いいのか?」

 「いいも何も、奢ってくれるって言ったじゃないっすか」

 「そういやそうだな」


 本当は連れ出すキッカケが欲しかっただけ。

 桃子は京太郎のことを何も知らない。

 きっと、友達同士ならば深いことを知ろうともしないのだろう。

 でも、彼は桃子にとって初めての異性の友達。

 気にかけてしまうのは仕方ないことだろう。


 ……
 …


 せっかく半日で終わるのに学食というのも味気ない。

 そんな理由で近くのファミレスにまで来て見た。

 学食だとおいしそうなデザートが限られる、というのも一つの理由だ。

 彼が財布を見て悲しそうにしていたが、あえて遠慮はしないことにする。


 「須賀さんはバイトとかしないんすか?」

 「日雇いはたまにしてるよ。

  週に何回かって決めちゃうとサークルに入りにくいし」

 「あれ、でもまだ入ってないって……?」

 「なんかイマイチいいところが浮かばないんだよね。

  どうせ麻雀は弱いし、ハンドボールないし……」

 「運動できるんすか?」

 「まぁそれなりに?

  現役で続けてるやつには勝てねーけど」

 「なんだかもったいないっすね」


 パスタを巻きながら京太郎の顔をじっと見る。

 彼は注文したハンバーグに夢中だ。何やらいろんなおかずがついて来ているのに注目したらしい。

 まるでお子様ランチのような見た目だが、彼が気に入っているのならばいいだろう。

 大きな図体をして、こんな一面もあるのかと思わず笑ってしまった。


 「なんだ?」

 「なんでもないっす」


 なんだか、友達を独占できているのが嬉しかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:10:57.99 ID:To91tLwBo<>
 5/10


 「そういう東横さんはバイトとかサークルとかやんないの?

  麻雀、強いんだろ?」

 「それ、私の体質を知ってて言ってるんすか?」

 「あー、ごめん」


 ちょっと意地悪な言い方だったかもしれない。彼はシュンとしてしまった。


 「あ、いや、そんなに落ち込まなくても……。

  自虐ネタっすよ」

 「そ、そうか?」


 少し滑ってしまったのかもしれない。

 確かに気にしているが、もっと冗談も交えて話したいものだ。

 それこそ、こちらが彼を弄るときにはもっといろんな冗談を言っている。

 それなのにこんなに気にすることないのにーーそんな風に思うが、どう伝えていいかわからない。


 「あー、その……」

 「ん?」


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          |::l::::::l::::::| ル≧ハ::l:|  |i≦!:i ::: ::::: :::}
          |::l::::::l::::::|〈r'必! ノ从 メ必ト.!..............リ
          |::l::::::l::::::| 烈 '     烈 l| ::: ::::イ
          |::l::::::l::::::|u      ' | リ:ルルi|
          |::l::::::l::::::ト、   r─┐ ノ /リ ::: リ::l|
          |::l::::::l::::::| \   ー ' . イ /:::::/l|::l|   「もっと弄ってくれてもいいっすよ?」
.           /|::l::::::l::::::ト、  }>-<: : !/:::::/ | リ
         /: : 从 :: :!:::: !. \ノ∧: \ : :|:::::/  ル'
.     / : : : : |人:ハル'\ ∧∧: : 〉: レ' {
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     {: : : : : :.\: : >-/: : :{ \:::{∧: : i: :/: ∧
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              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人    「?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
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 ーーなんか言ってしまった!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:11:27.57 ID:To91tLwBo<>
 6/10


         . : ´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` :.
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      |::::|:::::::l|::::l|::::::::|::::::l|::::l|::|:::l|::|::::::|l:::|  っ つ
      |.:::|:::::::l|从|\八:::::l|::::l|八:l|::|::::::|l:::| っ つ
      |::::|:::::::l| 芹芋 \|\| ー-ト|::::::|l:::|
      |:从::::::l| 廴zノ    -=≠彳:::八:|
      |:::::::\l|////    ,   //}i/|/::::::|  「あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ーーっ!
      |::::::|::|八            }i 从|:::::::|
      |::::::|::|:::::丶   ー--ァ   /:::: l::::|::|   ち、違っ、これは違くて!」
      |::::::|::|::|:::::个o。  __  (\::::::::::l::::|::|
      乂::|人|\j|/ } _{  \\イ|ノ|ノ
          , イi:i:i/  У/∧   〔__ \人
      /i:i:i:i:i:i:i:\/∨//_ノ〔__   }⌒ヽ
     /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:i:/∧i:i:∨i:i:i} ̄ ̄{i:i:i:i:‘,
.    /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〈i:i:i:i:///∧i:i:i〉i:i:{i:i:i:i:i:i}\i:i:i:|
   /i:i:i:i:i:i:i{i:i:i:i:ii:i∨i:i:{////}i:i/i:i:i乂i:i:i:i:i:i:i:i\!


 「お、落ち着け!

  目立ってる目立ってる!」

 「どうせ私は目立たないから須賀さんだけ目立つんすよ!」

 「それもなんか嫌だ!?」


 直球で伝えようとしたが、なんか間違った言葉が出てしまった。

 うん、これじゃあ意味深な意味にしか聞こえない。

 幸い、目の前の彼はそう思っていないようだ。

 しかし某スレで下ネタに鍛えられた桃子は自分で言ってて恥ずかしくなってしまう。


 「そ、その、なんか余所余所しいというか」

 「そうかな?」

 「さっきのもそうっすけど、別に存在感がないことで弄られるのは慣れてます。

  そんなに気にしなくていいっすよ」

 「うーん?」

 「それに、その、自分で言うのもなんなんすけど、弄る側というよりかは弄られキャラというか……」


 拙い言葉で伝えようとするため、どんどんボロが出てくる。

 これではなじってくださいと言わんばかりの変態さんだ。


 「んー、それってつまり」

 「……」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:11:57.07 ID:To91tLwBo<>
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    ヽハ∧//⌒ |::::| Z\  /  \ \  }リリ
.       /     リソ  ∧ }个―−   ,
      /  \   ', | 人 ∨/ノ ||  } |
      |     ',   ', ', \>‐┐  ||   ヽ
      |     ∨  \\ヽへ  |。|    ',
     ノ       イ     \\ミハ ||    '',   _
    |      /        \\ミノ |       }  / / 〉
    /      { _「 二つ  \\イ      ノr┤イ_イ 〉
    |      ノ/ /二フУ 〉   ヽo}   / ハ ヽ У 〉


 ーーそれは違うっすよ!?


 「何言ってんすか!?」

 「だって自分から弄られキャラになろうとするなんて、いやー意外だなー」

 「なんでそーなるんすか!」

 「いーや、もう決めたね。決定!」

 「ちーがーうー!」

               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Y { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/    「東横さんの扱い方がわかったぞーっ」
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:12:26.50 ID:To91tLwBo<>
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 「まっ、確かに東横さんはちょっと近づきがたい雰囲気もあったからさ」

 「そーっすか?」

 「孤高の狼っていうの?」

 「ただのぼっちっすよ……」


 一人でいることが好きなのではなく、一人でいるしかなかったのだ。

 もしかしたら、その雰囲気を察されて友達が出来なかったのもあるのかもしれない。


 ーーしかし、一つ疑問が出来た。


 「そ、それでっすね」

 「おー、どうした?」

 「わ、私たちって……ですよね……?」

 「?」

 「そんな難聴系スキルはいらないっすよ!」

 「いや、本当に聞こえないんだけど……」


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       |:::::::::::::::::::::::{∨ !/ニニ- .`iヘ|\|  ヽ:| / /二二-. \j::::::::::::::::::::::::
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       |::::::::::::::::::::::::\ |{....ヒ::リr'|            _)..ヒ::リ::|   |::::::::::::::::::::::::
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       |:::::::::::::::::::::::::::〉.|          __        u   | .〈::!::::::::::::::::::::::::   「わ、私たちって、友達っすよね?」
       |:::::::::::::::::::::::::::::::\      └ `           |'´:::::!::::::::::::::::::::::::
       |::::i::::::::::::::::::::::::::::::::`ト             イ:::|::::::::!:::::::::::::::::::::::::
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: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「?」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
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 彼の呆然とした顔に不安になる。

 やっぱり、厚かましかっただろうか。

 彼には友達が多いし、私はただの知り合いの一人なのかもーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:12:55.81 ID:To91tLwBo<>
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                     ____
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      ̄  {〃  Yィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'    「なぁーに言ってんだ。
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/       とっくに友達だろ、『モモ』!」
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
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      j:.:.::::::::::::ハ ヽ,イ,ィ::::ヽ` ヽ!   ヽ!´.,ィ:::ヽ`ヽl j::::/::::::::::.:∧
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     ハ.:::::::::::::::::::::::, j!  `¨             ¨´  V::::::::l::::::::::::::::.:.ハ
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     ! ∨::! ∨::::::!::::;.イ.:.:.|: : : : : : ハVハ: : : : : :j.:.:.メ、::::::/:::::/  j/
      ∨! _,∨イ:/.:.:.:.:.:.:!  : : :〈:::::::::::〉: : : : :!.:.:.:.:.:';.:.:`>..、
     -‐'".:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.!   / 〉::::::〈 ヽ  /.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`>-.._


 彼が言ってくれたその名前は、先輩たちに呼ばれていたものと同じ。

 それが何よりも、友達の証明だと思えたーー!






   ,′.:.:/.:.!.:.:.:.|.:.:!.:.:.|.:.:.|.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.|    }.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
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   |.:.:|.:.:.:.:.:.l.:.:.:!.:.lヽ!x竓芹ミx、.|! \:::', ) )',,x竓芹ミx、/ |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:ヽ.:.ヽ〃ん|!:::::::::ハ    \! 〃ん::::::::|:ハ ヽ|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:{` { {_)|!::::::c:::|           {__)::::::|!:::}  }|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:|',  ヽ|!:::::::::ノ           ヽ:::::::|!ノ  |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ,    |!`¨              ¨'|!    |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|   「よろしくっす!
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|、',   |/l/l/     '       /l/l/|!   ,'|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|:.:.:,  |!                   |!   八.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|    『京さん』!」
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!.:.:.:ヽ |!      、 ____ ,       |! , イ:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.::|
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!´:/: : \                /: !:`:7.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
   |.:/!.:.:.:ハ.:.:|.:.|:/: : : :/ |`: . 、         , .イ: :|! :.|: :/.:.:.:.:.:.:/.:./--、


 とっさに思いついたあだ名は、なんだかとってもしっくり来た。

 一寸先は闇だった大学生活、これからは楽しくなりそうだーー!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/15(火) 21:13:24.79 ID:To91tLwBo<>
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 ……
 …


      .  ´  ̄ :::::::: ̄ `丶
    /:::::::::::::::::::::::::; ':::ハ::::::::ヽ
    /::::::::::::::::::::::::::: /::::/::i V::::::::: .
.   .':::::/::::/:::/::/:://::::/::l l |::i::::i::::: .
  l:::::i::::::l:::::l:::l:::l::i:::::/:::;L! |::l::::l:::::::i
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::レル´リル ノムノ:::::::|
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| l!ィ云  ィ笊ル:イ
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| イt_ソ   !r'リ::::i::|
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| l! ""  ."".ハ::l::|
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| l! 「 ̄ノ. イ:::i l::|
.  从::l::::::l:::::l:::l:::l::|> -- く:::i::l::::l::l::|                               //
   人!:::ハ::ルjレj人〉ルイ::レルハ:ノ                           / /
  /: : : : |: :.∨\___∧:∧                              /  /
 /: : ⌒\: \:∧. |::::∨:!:∧               _______ /   /___    「私、初めての友達が出来たっす!」カタカタ
 !: : : : : : :\: :Y∧|::::: l: |: : }                /             /〉    /
 |: :、: : : : : :.\!: ∧:::::|: ト.j:ハ             /              //    /
 |: : \: : : : : : :.ヽ:.∧: !: !: :∨\ _ __    /         ___//    /
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                // | ll ムムハ |ト、 ト-レH |_,ィ个 、く     /^i
                    ハ!_!.! !トレテト ヾ` 行ヒくリノ}/  ハ  〉   /  |
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       | |       // i / l` ┬ ' ´ | ./  ! ハ i ハ  !   !    「そんなオカルトありえませんっ!」カタカタ
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  |.      | |     { { / /  |:     / l.| /イ      i iハ .i    |
  |.      | |       X! ! ノ、 ! / /  !| i {_ _ _ _ _ _|_i ハ.    !
  |.      | |     {_ V >-ミ7ヽi/ニエエ式 lハ_i_i__i_,i_ィン〈 }  |
  |.      | |    シ./ {   >{二}<   /\、ゞ  /  ノ /   |
  |.      | |    ノ {  \___/ハ\`  /   廾≠イ=0コ i   |
  |.      | |   ./  ヽ.   / ハ ハ ̄   , ィ' |  /〈!ト'  i   |
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__.,!.      | |二--   `/ i \_|.  |_./  i! /  ノ    |   i ./ ̄7i
       | |/\ _ ノ ir'⌒ i!`  ー--才´^⌒)==/=.〉. i/  //
       | |__  `  ノ- 〈..,,__ヾi    / , ィテ/    ノ ./  //
______.i._リ  <>ヽノ    _  ̄ ̄ """""''''''''''''''' ‐‐‐‐‐---
互互互互互互互互互互互互/l
≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠//


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/15(火) 21:13:53.47 ID:To91tLwBo<>  【咲ちゃんお酒飲む】も把握
 書けるものから書くスタイルなんで気長にお待ちを <>
◆HACkWQpQbk<>saga<>2016/11/15(火) 21:14:19.63 ID:OGwYTnpP0<>  攻め時と引き際さえ弁えていれば恐れることはない。
 無事に元の百倍の一千枚まで増やしてヘンリーに見せびらかしてやった。
 ヘンリーがお前って意外と利口屋なんだなと云うので、どういう意味だと問うとてっきり猪突猛進して行くものとばかり思っていたらしい。
 確かに私は無鉄砲で向こう見ずな所はあるが、愚かに邁進して滅びるほど馬鹿ではない。
 堅実に守り、退くべき所で退き、機を逃さず大胆に行動を起こせば百戦危うからず。
 そう訓示を垂れてやるとほへーと王子らしからぬ顔をする。
 俺、今までお前のこと見くびってたよ、やっぱり偉いんだなと見逸れているので今更気づいたかと胸を張ってやった。
<>
◆HACkWQpQbk<>saga<>2016/11/15(火) 21:16:54.00 ID:OGwYTnpP0<> ごめんなさい……誤爆です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/15(火) 22:31:25.36 ID:6Gyed4xD0<> 乙ー!
あれ、もしかしてプロ? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/15(火) 23:58:17.22 ID:6RgoMsVU0<> 京ちゃんはモモに奢ってモモのおもちを育成するのか?

居心地が悪くなった清澄か・・・もしかして京ちゃん争奪戦(勝者の居ない戦い)が開幕したのか? <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:47:37.75 ID:pRjkU90do<>

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 【京太郎の浮気を疑う宥と都合よく解釈するクロチャー】-のどアコ次元-


 前々回、京太郎は松実館に遊びに来た。

 前回、世にも奇妙な物語で玄と宥が入れ替わってしまった!

 数時間後に症状は治まったところから物語は始まる。


 ……
 …

 それは、夜のことだった。


 「やっぱり、京太郎くんは浮気性だよ」

 「なんでそうなるの!?」


 なんとか入れ替わり事件も解決し、その日は無事にデートできた。

 しかし、二人でデートをするのではなく三人でのデートとなった。

 それもこれも宥が『玄ちゃんのことが心配だから』と言ってついて来たせいでもある。

 なお、松実父は血涙を流しながら京太郎のことを見ていた。


 「だって、普通なら彼女とデートするのにお姉ちゃんが同伴するなんてありえないよ」

 「か、彼女だなんて。えへへ……。

  って、お姉ちゃんが勝手について来たのに!?」

 「あそこは断るくらいの甲斐性が必要だよ。

  あわよくば姉妹丼って考えているかもしれないよ」

 「そんなことないよっ!?

  それに、彼女のお姉ちゃんが来るって言い出したら断る方が難しいと思う……」

 「玄ちゃんは優しいからそう考えちゃうんだよね。

  でも、そこは断って男らしく『今日は彼女と二人で遊びますから』って断るべきだよっ」

 「そ、それじゃただの面倒臭い子だよぉ。

  首謀者がお姉ちゃんだから納得できないよ……」

 「玄ちゃんが悪い男の人に騙されないように、ちゃんと教えてあげるからね」

 「う、うん?

  でも京太郎くんはそんな人じゃないよっ」

 「ううん、男の人は怖いんだよ」


 宥なりに心配しているのだろうが、やはり玄は納得できない。

 首謀者が姉でなければその言い分も少しはわかるが、さすがに理不尽だろう。


 「それに、玄ちゃんだって彼氏さんが他の女の人と喋っていたら嫌だよね?」

 「嫌じゃないよ?」

 「ほら、玄ちゃん騙されてるよ」

 「ええっ!?」

 「女の子は彼氏が浮気してたらとてもムカムカするって憧ちゃんが言ってたもん」


 ソースは新子憧。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:48:06.63 ID:pRjkU90do<>
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 「でも、私は別に大丈夫だよ?

  普通にしてたら京太郎くんだって女の子と会うだろうし、そんなにおかしいことじゃないよ」

 「おかしいことだよ!

  それじゃあ玄ちゃんは京太郎くんが他に女を作っていても大丈夫なの!?」

 「うーん……。

  それはとても悲しいけど、京太郎くんはそんなことしないし、京太郎くんが嬉しいならそれでもいいかなって」

 「そんな都合のいい女みたいな考え方しちゃダメだよっ」


 会話の論点がズレてしまうのは、宥もおかしいが玄もおかしい。

 二人とも父子家庭で育ったトラウマが起因なのだが、それはそれだ。


             r ' ´: : : : : : : : : : :`ヽ..、
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      }: :::::!:::::::!、l      /´  ヽ      .j/!::::::::l:::: :/    「玄ちゃん。
     .ヽ::::::!::::::::!::\    {    j     .ノ::j::::::::j::: :/
      〉、: ::!::::::!:ゝ、 ゝ、  ゝ-- ' ___ r '_/::/:::::::/::::人     お姉ちゃんが色々と教えてあげるからねっ」
     ./: ::〉、::V,:::!::ヽ` ー'`- ' ´     ./::j: :://:/:::: ::ヽ
    ノ'´´/ \:::ヽ::r-っ       rv-、/::/:ノ::/.〉`ヽ: ::\
  ,/::/   ` ゝ 、.}::/__./_ )-、_   rヘ´ヽ. ヽ::::::::/ r'´  .ヽ: : : :ゝ
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Y      ` ./ ` ヽ、 __   l l __  ,, '  ヽ         }/
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. /:::|            ヽ::::∧i    } 」   i::| l|


 ーーかくして、宥お姉ちゃんの浮気性の男講座が始まった
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:48:35.49 ID:pRjkU90do<>
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 ……
 …

 ーーやっぱり、玄ちゃんには幸せになってほしいもん。

 お姉ちゃんとして、頑張らないと!


 「まず、浮気性は治らないものだって研究結果が出ているんだ。

  浮気をした人の中で一度しか浮気をしたことがないという人は僅か16%しかいないんだよ!」

 「う、うん?」

 「まず、浮気性に見られる特徴からだね。

  『誘いを断ることができない』!

  特にコミュニケーション能力が高い人ほどこうなる傾向があるよ」

 「ふむ……」

 「今日のデート、京太郎くんは私が一緒に行くって言ったのに断らなかったでしょ。

  ほら、当てはまるよね?」

 「でも、さっきも言ったけれど、か、か、彼女のお姉ちゃんが行きたいって言ったら断れないよ」

 「もう、玄ちゃんったら良い女の子みたいなこと言っちゃダメっ」

 「良い女の子なら褒め言葉だよ?

  京太郎くんにも褒められたんだー。えへへ」

              , r ───−- 、
           r '´ : : : : : : : : : `ヽ、
         ./ : : : : : : : : : : : : : :\
        / : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : ヽ
       ./ : / : : / : : : : : :|: : : : : : :ハ: : :ヽ : ヽ :ヽ
      / : / : : : /: : : : :l: ::j: :|: : : : : | }: : : :ヽ: ::ヽ : ヽ
      / : :{ : : : ::{: : : : :ノ:ノ}:::ル: : : : リ、}::ハ: : ヾ,: ::}: : ハ
     .{ : : | : : : 」; 斗七´/.}:/.}: : : :リノ }`ト;、: :}:}:: l ; ;} }
     ! { : :! : : : :!: : :ノ':/`/' .j: : : ://  .リ |: 外|: :l: : ト|
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     !:l : : :{: : : :{                l: : : :|::!
     }::l : : :l: : : ::{               .j : : :リ: |
     .}::i : : :l: : : ::ト、.     ⊂⊃    .ノ: : : ::j: :|    「男の人の言う『良い女』って言うのはね。
      l: 〉: : :〉: : : :V>、         rl'´リ: : : :/: リ
     .} :∧: : :W、: :ゝ、_.|_` ー __, ィr<、: |:/': : ::/ : /     男の人にとって『都合の良い女』なんだよ」
     ノ : : :ヽ: : :ヽ:\ヽ   ̄ ` ヽ、{ _, r'  フ: ::/:: /
   / : : :r‐'ヽ: : : : ∧           /:/: : :∧、
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//: : : , r'ー-  ∧l: : : :ヽ   ー-−  j: : : : ::/ ) 、::ヽ::ヽ
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    li     /::′  \:::::::: ヽ从 乂 r` 丁 }乂____V} ::::::::}/ |
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:49:04.94 ID:pRjkU90do<>
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           | .:| .: i.:.!.: o|: .: .: |     {  ∨   .:'|.: .: .:|  「あっ、でも『都合の良い女』でも京太郎君にとってはいいことだよね!」
           | .:| .: i: ∨八|.: .: |> .   __ノ  イi |.: .: .:|
            j.:│ .: .:│ .:∧| .:{__`_ ┬<: .:Vi |.: /| |
          ,'.: .: : .: .: |/l人人 :∨゙   \ト∧.: .: :i |:/ :|/
           / .: .: .\.: .: .: .: \ヽ{     「∨トヘ: .: ∨
        /.: .: .: .: .:.i\.: .: .: .: ヽ \.  |_」儿_∧.: .: :.
          /.: .: .: .: .: .:i/\ . : .: . ヽ \人≫、}レ'ヘ:.: .: :.
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        / .: .: .: .: .: :/{/   `ヽ \ . : .: :.  マ´ _八_.ム.: .: :.
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    .i: : : : : ii: : : : |: /: ::/::/ .j:::/  |: : : : : : /1:/ !: ::/iヽ、::リ: : : ::|:::ヽ
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   .ゝ:::|: : : : :|: :ヽ: : : |、       / ̄ ̄ ̄ヽ     ノ: : :ノ::|    「玄ちゃん!?」
    ヽ:|: : : : :|: : ヽ: : ::|.ゝ、     ゝ-------'__ -- ' /: : /: : ヽ、
    〉::!: : : : :|: : :>: : ::i  ` ヽ------- ' ´  __, --/: : :/: : : : : :ヽ
    /: !: : : : :i: :/ ヽ: ::i、        __ - '   ,,ノ::/::<: : : : : : :i:::ヽ
   ./: : :ヽ: : : :Y   〉、:ヽ、__,     ´    _ -´ // .ヽ: : : : ::iヽリ
  /: : : : :ヽ: : : ::|  ./ \ゝヽ      _, r ´      r⌒ヽ: : ::ノ レ
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 「京太郎君にとってプラスならそれでいいんじゃないかなぁ?」

 「玄ちゃんは自分のことももっと考えないとダメだよ!」


 このままでは可愛い妹が危ない男に引っかかってしまうと、宥は危機感を覚えた。

 もちろん、宥も意地悪でこんなことを言っているのではない。

 宥にとっても玄は大事な家族である。また、母親を失ったのは宥も同じだ。

 それこそ玄にとっての母親代わりにもなっている。

 普段は宥がだらし無い面を見せて玄がそれをお世話しているが、精神的な支えになっているのはやはり宥なのだ。

 玄が可愛くて可愛くて仕方ない、そんな宥が盲目になってしまうのはーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:49:34.14 ID:pRjkU90do<>
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、 __ ヽ: : : : : : : : : ゝ 、   ゝ::\           _ ,,,ノ: : :,r.〈ノ. ヽ


 玄の無防備さにある。

 無償の奉仕と言えばまるで聖人の様だが、生憎玄は聖人ではない。一人の女の子だ。

 待っているのは得意と言いつつも、その精神をすり減らしてしまうのは目に見えている。

 何よりも責任感が強い玄は、準決勝で失点した時にもとても心を痛めていた。

 それこそ、浮気性の相手と付き合えば『自分に何か至らないところがある』と日に日にやつれていくだろう。


 「(玄ちゃんの目を覚まさせないと!)」


 ーーとは言え、宥もまた聖人ではない。

 本来、娘の味方になるべき『母親』という立場は、『恋愛』や『結婚』をという経験から培われる。

 その重要なプロセスが抜け落ちている宥は、想像や知人の知識に頼るしかない。


 そんな中、宥には心強い味方がいた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:50:02.87 ID:pRjkU90do<>
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  ′: . : . : .。: . : . : . : .E\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
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 新子憧である。

 宥の恋愛観や男性観は新子憧によってもたらされた物が多い。

 宥にとって憧は『恋愛経験豊富』な『イマドキ女子高生』というやつなのである。

 自分にわからないことは人に聞く。

 玄に恋人が出来たと聞いた時、姉としての心配から憧に色々と聞いたのだ。


 もっとも、大問題なのは当の新子憧に恋愛などした覚えはなく、大抵がネットの知識や少女漫画の知識であることだ。

 更に言えば、憧はまさか宥が玄と京太郎の恋愛に口を出すつもりだったなどと思っていない。

 それもそのはずである。


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       ./: :{: : : : ::! !: : : :l         ん.v/.}ノ::ノ': /'
      ./: : :〉: : : : ト-!: : : :!        ゝ.乂./: : :/:ノ
      /: :/´∧: : : :!`|: : : :|       `   ./: : :/イ
    ノ -‐'  .ヽ: : : {. {: : : :!   r−-,    ./: :!: : : :j  「ね、ねぇ憧ちゃん。
 , r:'´'´     .∧: : :∧.、: : :{.`ヽ、  ̄´   ノ: !リ: : : リ
´: : :/,r ‐ .、   .∧: : :∧ヽ: :ゝ  `ヽ -‐<r‐-、': : : /   女の子の敵みたいな男の人を見分ける方法ってあるかな?」
: : :/r.⌒ヽ、 `ヽ、 ∧: : :∧、\ゝ     ̄ /./Y !: : :/
: : {     ヽ  〉、∧: : ::∧` ,v‐ー-、   / }l | {:/
::/.!.     ヽ ‖} `}: : |: ::ヽr' ´   >./ /j' j .!
' .!      ∨' l  .}: :l: : ::Y´  r'´ r./ 〉'  { .ト,
  |      ‖ .j  l::j: : : ::}ゝ-{ / \    .' }、
  l      .‖∨  }/: : : : }  ∨   \   .∧

: |: : |: : : |: : :____: : : : : :/: :. : :./ :}ア∧:\:. : : :. : : :.|
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: |ミ |: : : |//ア⌒ヾ  / :}: /   '|: r :|   : :.| : : : l: /\: :\
: |、 |: : : |   : 「 :|   }/    | 」:l   {: :| : : /|/  丶: :丶
: |  |: : : |   |  」 :|         乂シ  {: :| : /: |     : : ::
: |  |: : : l    乂__,ソ       /////,: : イ: : |     |: : :|   [] 〔rァ〕
: |丶|: : : |//////       ′      ′: |: : :|     |: : :|   o  o′
: |ゞ |: : : |       〜 ー〜ヘ⌒        从: |: : :|     |: : :|
: l:.〕i|: : : |      .′       \|    /:. : :.|: : :|     |: : :|
八:.:.|: : : ト      l           |   /:|: : : : :|: : :|     |: : :|   「(宥姉に先越された!?)」
: : \: : 八   〕ト !          ノ. . : : : |: : : : :|: : :|\   |: : :|
: :. : :.\: : \    ≧=-  r<:. : : : : : :.|: : : : :|: : :|:. :.\  |: : :|

 ーーかくして憧は、一切の悪意なくネットの知識を宥に教えてしまった。それだけである。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:50:32.11 ID:pRjkU90do<>
 7/10


 ……
 …
        /:/: : : : : /:. :. : : : :.八:. :. :. : :. :.| |: : : : : : : : |:. : : : :|: : |: : : : : :‘,
       ' /: : : : |: :|: : : :|:. : :.| |: : : : : : : | |\: :_: : : : |:. : : : :|: : |: : : : : : :‘,
.      i ハ: : : : |: :| : : ∧: : :l ハ: : : : : : T〔 ̄「 :|: : : :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :无Τ: :Г| ト、: : : : :N  ヽ|\: :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :| V \ l |/  \: :| ,ィc宥ミx |:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | V:. : :|: :V |〃示芯ミx    \| ♭  Л Ч: : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
      ヽ| V: : |: :ヽ癶{ ♭_,Л         乂こシ 个: : : : |\|:. :. : : : : :.|
          \ |: : : :メゝ弋こソ             |:. : : :.| |:. : : : : : : :.|
             |: : : :ハ     ,      /i/i/i/i  |: : : : : | |:. :. : : : : : :′
             |: : : : :} /i/i/i             |:. : : : :.|ノi : : : : : : : ,
             |: : : : :.                 |:. :. : :/: :/:. :. : : :. :./    「清澄高校の麻雀部は男子が一人だったんでしょ。
             |:. : : :込、       .--         |:.:. :.:/: :/ : : : : : : イ
             |: : : : : :兮 、              /|:. : /: :/: : : : : : : : |      そんなの、絶対に下心があったんだよ」
             |:. :. : : : : :. :.>            イ__,./:. :厂7:. : : : : : : : :.|
             |:. : : : : : : :.「 ̄. . ≧=一≦¨´.. .. ../:. :// : : : : : : /ヽ|
             ヽ:. : : : : : :.|.. .. . . . . . . . . . . . .. ../:. :〃:. :. : : : :./. . . . \
              ∧: : : : : : |.. .. . . . . . . . . . . .. ../:. :/!:. :. : :. :./ー───‐\
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   rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三    三ミメ.|:/|:.ト{ \
   /:{ V:|::.|::.:.|´i             `|:: |:.|
   |:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__   /// |::.i!:.!
   {i:{:: :ハ::.: 込{. __  (__ ノ    .ィ}:リ|:       「えへへー! みんなを支えてたんだって!
   乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
 /:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/|   ( )    すごいよねぇ!」
イ.:/::.:.:.:. /  /\     {      {:小{  (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ       |!    人.}:.{  て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人       ,八      ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、    /  乂   /:.:|


 「そ、そういうことじゃなくてね?」

 「なんか親近感を覚えちゃうんだ!
  私も一人でお掃除してた時期があったからーー
  あ、でも私の場合は好きでやってたから一緒にしたら京太郎君に悪いかな?
  ううん、やっぱり違うよ。
  私はあくまで私の目的のためにやってたんだもん。
  京太郎君は麻雀部みんなのために雑用を引き受けてたんだって。すごいよね!
  私もそんな風になれるかなぁ?」

 「玄ちゃん!」

 「へけっ?」


 可愛い女の子に囲まれて男子は一人。

 女の子の視点から普通に考えれば下心があるとしか思えないシチュエーションだ。

 ーーもっとも、男の視点から考えれば針のむしろでしかないのだが、二人にそんな知識はない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:51:01.28 ID:pRjkU90do<>
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            l: : :|: : : : : l: { : : : 「:7: : ア: ;' }: : : : 7 T: : : ァ: : : : : :'
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            |: : :|: : : : : {^{ : : : {ィ芹苅^       芹苧ミ/: : /
            |: : :|: : : : : ', { : : : | ヒ)ツ      ヒ)ツ 厶イ: :|
            |: : :|: : : : : : ,{ : : : |                 / : : : l
            l: : :l: : : : : : :{ : : : |           '    ,: : : : : ,
           人: : ', : : : : : :',: : : {      __      /: :/: : :,'   「憧ちゃんや和ちゃんみたいに、
           /: /⌒ ,: : : : : :‘; : 个s。        ィ: : /: : :/
          /: : :,     ,: : : : : : ',: ',⌒≧=-=≦   j{ : /: : :/}     彼女でもない女の子を下の名前で呼ぶのはおかしいよ?」
       ,: : : : :/      ',: : : : : \:j           j{: 〈: : :/:,'
       ,': : : : ,'       ',: : : : : : ',__       j{: : :\{/{
      ,: : : : :i{__      ',: : : : : : ',⌒\   /i{: : : /  }
       {: : : /⌒ ̄ ̄⌒=- ',: : : : : : ',      ̄ ´  i{ : : {__/',
       {: : / ̄⌒\      ',: : : : : : ',         i{ : : { |  ',
      V: {      \    ∧: : : : : : :',__  イi{ : : {\、   ,
        v{         、  〃 ',: : : : : }⌒「⌒「  { : : {  \、 ,


                    ____
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          ′::::i::.. 从 :乂:.ヾ:::::ハ.i|≧ミ∧..`:|: : : :|: :
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       |::|l::::ハ.:.:.} 、、、  ′   、、、 ,i::: : : : :|: : |
       |::|l::/.::::..小.   r―      イ. : :.|: : : |: : |    「誰とでも仲良くなっちゃうんだよ! すごいよね!」
       |::|l:{.i:::::.: 込.     ..ノ    .イ. }: :..:.: :...|: : |
        `O′:::.(:. ノ介ト __  <{从 /: :..|: : : |: : |
        /::j |:::::_≧=ー : 〕  .....{  j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
       .{:::/ |::::.:.:广.../レ  〃ヽ  /: : :/:.:|: : :。.: : !
       .|::{ .从:..:|....┴ヘ. イー|. :/: : :/^`ア⌒ヽ:,
       .Y /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/


 「く、玄ちゃんだって京太郎君が他の女の子と仲良くしてたら嫌だよね?」

 「うーん……。
  確かにちょっと胸が辛くなるかもしれないけれど、でも京太郎君には京太郎君の付き合いがあるよ。
  むしろ、あの男の子が苦手な和ちゃんや憧ちゃんを名前呼びできるコミュニケーションがすごいよ!
  普通の女の子より人と仲良くなるのが早いんじゃないかなぁ?
  えへへー、私は京太郎君以外の男の人はよくわからないんだけどね?
  でも、自分の彼氏がそういうことが出来るってなんだか誇らしいよ!
  あ、彼氏なんて言っちゃった……。な、なんだか恥ずかしいね」


 恐るべき早口で言い切った。

 前から好きなことに対しては熱中してしまう玄だが(主におもちの話である)、それに匹敵するスピードだ。


 「む、むぅー!」

 「ど、どうしたの、お姉ちゃん?」


 何かを言い返したくても玄の勢いに勝てる気がしない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:51:30.29 ID:pRjkU90do<>
 9/10


 「それに、私だって下心はあるんだよ?」

 「玄ちゃん?」


 玄は真面目な顔をして宥を見据える。

 いつもは少し視線を下げて胸ばかり見ているから新鮮だなーーなんて思ってしまった。


 「京太郎君が喜んでくれれば、京太郎君が私のことを好きになってくれるかもしれないって」

 「そ、それはそうだけれど……」

 「えへへ……。それにね?」

                 ......-‐……‐-.....
               .......................................................、
            /...........................................................\
            /.........................:.:.:.:....:.:.:..............................\
          .................:.:.:.:.:::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:....\....................
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        |i  |::::l::l|:::::iΝ:   \:::∨ ≫ぅ弌ミj|:::::::::|::l:::::::::|:::|
        {;  |::::|八::::i≫ぅ斥   \  r'::ノrい》:::::::::Ll:::::::::|::::
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         |::::l::::::::::  V(ソ          |::::::::::|:!:::::::::|:::::′
         |::::i::::::::小 ,,,   ,     ''''  |::::::::::|j::::::::::|::::::::
          乂j::::::::::い                |::::::::::|:::::::::::l:::::::::
          [_] :{::::::::i:人      ー  '     |::::::::::}:::::::::::}::::::::|   「私がやりすぎないようにお姉ちゃんが見てくれたら安心だもん」
         /:::{ :{i:::::::i:::::::>...       /  }::::://::::::::::/:::::::::|
         |:::{ 八:::::{::::::::::::i::::::≧ァr     /::://::::::::::/::::::::::::|
         |::::::\|\:::::::::::::i::::::::/{_j _/厶イ,::::::::::::::|::::::::::::::|
         ∨\;;|::i:::\:::::/::::::// 廴厂〉    :|::::::::::::::l\:::::::::|
             |::i::::::::::厶イ /| |  :/∧   |::::::::::::::|  ニ=-
             |/::::::::/   ∨ | |  厶=ーx' |::::::::::::::|      \
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           | |::::::|   {     ノ八    |  |:i::::::::::::|.    /      i
           | |::::::|  ∧_/ /| \__,ノ  |:i::::::::::::||  /        |
           | |::::::|: /     // :|     }  |:i::::::::::::||  ,         |


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    i{ : l: : ! : {: : : イ´      ', : : : \: :', V',: 、: : : : :',: : : : :| : : :
    i{ : l: : ! : {: : : / __   ',: :ト、: : :{V _\{\:\:l: : : : :| : : :|
    ',: l: : !: : ',: '斗芹芋苧ミ V  \{斗r芋苧ミx、、:〉 : : : :| : : :|
    V\l\{:{\l { {f示刈         {「云刈 〉〉}^| : : : :| : : :|
      |: :|: l: : :{^,   ∨)ツ           V)こり 〈/ ' r| : : : :| : : :|
      |: :|: l: : :{ ',                    ,  | : : : :| : : :|   「玄ちゃん……」
      |: :|: l: : :{   ,             ,           ,' /| : : : :| : : :l
      、 :|: l: : :{:≧=,                      /=彳| : : : :|: : :,
     `|: l: : :{ ̄⌒`丶、     r ,    _ -‐  ̄⌒': : : : : : /
      i{: l: : :{     / ̄ ̄/ ̄⌒`丶、     /: : : :/: : {
     ハ:{ : : ',__  ,    ,        ',  __,': : : :/: : : {
    /: :∧: : : :',⌒/    /         V⌒7: : : :/: : ∧:\
_ -: : : /  ',: : : 'v^{     {            {⌒\: : /: : /  ',: : : .、
: : : : : (     ', : /      {             } /: : /   , : : : \
: : //^\   , : {       {                 ノ : : / _ /',\: : : :\
//{    ⌒  、: 、       ',            / : : :,'⌒   ∧   、: : : \


 まだまだ納得はできそうにない。

 やはり可愛い妹だ。あんな金髪君に簡単にあげていいものではない。

 それでも、やっぱり可愛い妹だ。妹の恋愛は応援してあげてもいいかな、なんて少しだけ思えた。


 ーーなんのことはない。宥も玄を取られて寂しいのだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/17(木) 15:51:59.67 ID:pRjkU90do<>
 10/10


 ……
 …

 ・横目で見てた


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人      「なぁ穏乃。どっちが正しいと思う?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|


                 ,........-――--....、
            ,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、
           / : : : : : : : : ,: : : : : :\: : : :\: \
          ,:': , : : : /: : :/: :{: : : : : : ヽ:ヽ、: : :ヽ: :、
            /: /: , : //: :/:/:∧: :ヽ: ', : |: :|:ヽ : ,:∧: :.
        /: /: /: //: :/:/:/  マ: :|_:|__:|: :|: l:∨: :,:|: : .
        |: ': /: //: ̄|`|'   |:´}:∧: }: :,: }: |: :/:}: : :',
        {:{: :{l: |:{从_:{__{    }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
         从:八:{ム,イ _斧`    イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
          \{从{ Vり       Vzソ  |:/ Y: : : : : : : |
              |: }      '         |:l 'ノ: : : : : : : :|    「どっちも頭おかしいと思うよ」
              |圦    _  ,    ,ィ|:|イl: : : : : : : : |
              |:/  .        イ_,/イ |:|: : : : : : : :
             }'    `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
               _,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/
            /:::::::|:`=={j====イ:::/::::`ヽ: : : : : ,
              ∧::::::::::\:::::l|:::::::::::::イ::::::::::::::::∧: : :/


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/17(木) 15:52:28.80 ID:pRjkU90do<> 難易度高かった <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/17(木) 15:57:50.64 ID:KekPFNuUo<> 乙
確かにこれは難易度高いわ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/17(木) 16:00:54.89 ID:3cHaEQSZO<> 乙
クロチャーはかわいいなあ(思考停止) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/17(木) 16:16:46.93 ID:ykp0G47TO<> 乙
先ずは誰か憧を止めろよぉ…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/17(木) 16:22:28.40 ID:gj874c0Ko<> ここのシズは哲学者になったんだっけか…
このシャレにならん話聞いててもまともでいられてしまうのはあの二人のせいなんだろうな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/17(木) 17:04:59.92 ID:K9b4rMg5o<> 乙

これもう穏乃と二人で逃げたほうが精神的に楽になるんじゃ…?
その後の罪悪感とか諸々は考慮しないとしてもww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/17(木) 17:37:12.28 ID:8b8bf91ao<> ここのシズは哲学者なんてもんじゃない

聖人だ……(トオイメ) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/17(木) 19:02:16.65 ID:Xs/HKtDTO<> 乙です
>>579の
> 「へけっ?」
を見て、よくある?誤ってる「ですのだ」口調以外でハム太郎化してる!?って思ってしまった
みやながけの玄はハム太郎でも食べておかしくなってしまったのだろうか…
松実姉妹の闇は深い <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/18(金) 00:02:39.56 ID:OXhaBq1c0<> 乙
のどあこ次元で温泉旅行でトラブルで京ちゃんの京ちゃんを見て夜も寝られないクロチャーと京ちゃんの京ちゃんを触れて温かくなりすぎて夜も眠れない宥ねぇとのどあこが夜這いしようと互いに牽制(物理)しそれに巻き込まれ夜に眠れないシズと実家でぐっすり寝てるアラフォー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/18(金) 03:54:50.80 ID:VsCN+Z7s0<> 乙
新訳京霞で京太郎の嫉妬するところが見て見たいと思って不本意な許嫁ができたと嘘をついたら京太郎が予想以上に反応して嘘だと言い出しづらくなった霞さんが見たい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/18(金) 09:49:02.76 ID:72lB4kGI0<> おつー
松実さん家の姉妹はどちらもかわいい(思考停止) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/18(金) 13:00:45.58 ID:Y35dVDV3o<> >>590
確か原作中のどっかで普通に使われてたような……。
アコチャーがふきゅるのとそう変わらんラインではあると思うが。 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:31:39.91 ID:lYR9NCJvo<>
 1/10

 592
 【霞さん、自爆する(日常)】-新訳:京霞次元-    ※サイコ注意


 ぐふふふふ、石戸霞よ!

 今日はこっそり山ワープを使って長野にお邪魔しているの。

 なぜか知らないけれど、今日は長野に行きなさいって天命(リクエスト)が来たの!

 こうしてはいられないと思い立ったら即行動!

 きっと京太郎さんとのフラグが落ちているに違いないわ!

 行動しないヒロインに勝ちはない!

 現実はヒロインは決まっていないんだから、どんどんアタックしていかないといけないわ!

 それに、京太郎さんとはこんなに離れて暮らしているのだからたまには会いにいかないと忘れられてしまうわ。


                ...-―――-...
               /:::::::::::::::::::::::::::::::::\
             /::::/:::::::::::::::::::::::::ト:::\::\
           /::/::/:l::::l::::|l::l::::::::::::i‘:::::::ヽ::::ト、
           .:::::l::::l:l:l::::l::::リ:ハ:::::::::リ-‘:::|::|l:::|i|
            |:::::l::::l从/i::// }::::::/__ l::|::リ:::|i|
            |:::::l::::|,斗≠ト 厶イ,斗=ミル::::::|i|
            l::八:::l〈 V炒    V炒 〉|l::::::リ |
            |:::::个ト、 ,,    、  ,,, ,小::/ !
.          ‘::::::i:∧      __     //::/  ノ
             ‘::::i::::分、   ` '   ...:i/::/i
             ‘::∨:::::::i〕i=-  -≦::/::/:::|    「実家はきっと初美ちゃんが誤魔化してくれているはずよ!」
            ‘::i:::::l:::|∧   l ∨:/::::::|
             /‘:::::l:::| ∧_// ∨:/::::|
            /  /‘卅li   ∨/  W:::::::ト 、
        ∠   i  |:i::l|\   /  |‘::::::::|   \
.        ∧ `ヽ l _|:l::リ_ヽ./  / ‘:::::|\  i‘.
       ′'.   V´ ノ::/  / ̄\/   ‘:::\\i i
.           \ //:::/  /   /⌒ヽ   ゞ===ニ≧ミi
        i    \::::/  /   /     ∨/      ∨ノ
        i     -==ミヽ /_  /      }'         ‘.
        |  〃    / ̄ `丶       i         i
       〈  {i   〈 ,ィ  、   \  ノ        ノ
        |\八   ∨⌒ト、 〉 ! ! i/        /{
        |  \\   ヽ  }/}_j_j_,ノ⌒>=-- -=≦  |


 ……
 …

 ・永水
                     _____
                 . : ´: : : : : : : : : : : : :`: .
                /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                   /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.\___
               /: : : : : : : : : : : : : : : ト、: : : : : : : : : : ∨: :二ニ=‐-
                 /: : : : :./: : : : :|: : : : : :| ': : :.:.l : : : : : : ∨: : :.`丶
             |: : : : : :|: l: :|:.l |: l: : : : | _|:l : :l\: : : : : :∨: : : : : :\
          /: :|: : : : : :|: l: :|:.l |八: : : :|  |八:.|‐-\: : : : ∨\ ̄ ̄`丶
         /: : :从: : : : : |八人Nノ \: :l   ⌒|   |: : : : :!`丶     \
         /: : ://:/\ : 从   __,,.  \   ≦三≧ル^Y:.\|    \
       /: : :/ /:/  |: ∧l,r≦彡'´   ,       てノ| }|\: |
.      /:.:/   /:/   :|/〈∧てノ、、   ______   `` |_ノ  ‘:|
     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |   「お祖母様ぁー。霞ちゃんが(また)逃げましたぁー!」
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
                    . .-=≦___   __≧=- . .
                  / :  :    ` ´   :  ::  \
                 /   ::  :          :  ::    |
                --┤ Y::  : . . . . . . . . . .:  : Y   |‐―┐
                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|

 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:32:09.28 ID:lYR9NCJvo<>
 2/10


 そうよ。これは日々頑張っている自分へのご褒美。

 たまには飴がないと修行もやっていけないもの。

 そう、日々の修行ーーー花嫁修行のためにも!

 花嫁修行するお祖母様たちからは許可を取っていないけれど、今の永水は(姫様のせいで)無法地帯だから大丈夫よ!

 それに、嫁入りは女の子の夢。

 それを実家の都合で台無しにするなんて時代錯誤よね。


 「これでも毎日頑張っているんだから」


 そう、最近はお嫁さんとして頑張るために頑張っているの。

 主に料理上手で永水でお嫁さん適性が一番高いと噂の巴ちゃんに師事を仰いでいるわ。


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::::::::l:::l::l'´|:::::/::::/ |:::::: /l/ ´ ,,____|:::::::::::::|
::l:::::l:::l::l l: /l:::/  :|::/ ,x≦斧⌒|:::::::::::::|
::l:::::|八{ l/´|/,,_ノ´   h_刈   |:::::::::::::|
::l:::::|  x≦芹⌒`     辷ソ  |:::::::::::::|
::l:::::l /{h_j刈           '''  |:::::::::::::|   「ちゃんと毎日えっちな本や薄い本を読んで勉強しているわ!」
八从{ 乂_少^        、     |:::::::::::::|
ー ||                      八::::::::::
`ー:||、             _     /::::::::::::/
:::::::l|::\        ‘’  /:::::::::::::::/


 日々の性活が大事って巴ちゃんも言っていたわ!

 か、肝心の料理はもうちょっと時間を頂けると……。

 え、えっちな方向も実践はまだなんだけど……、いや、でもお姉さんとしてリードしないといけないし……。


 「そうよね。私は年上なの」


 京太郎さんはとっても格好良くてしっかり者だけれど、私より二つも年下。

 まだまだ可愛らしいところだってあるし、少年らしさが抜けていない。ーーそこがいいんだけれど!

 『年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ』なんて言葉もあるわ。

 やっぱり男の人って年上の女の人に憧れるだろうし、日常生活もえっちなこともリードできた方がいいのかしら!?


 「ふぅ、これが実家のしきたり(妄想)に従っていたらーー」


 きっと、好きでもないおじさんと結婚させられていたに違いない(妄想)

 もしくは、すごく年下のショタに淫魔のごとく扱われていたかもしれない(妄想)

 どちらにせよお父様もお母様も私の意志よりしきたりに従うに違いない(妄想)


 ーーああ、それならばいっそ、駆け落ちしてしまうのもアリなのかしら。


 妄想の世界に嵌っていく。

 最近はなかった感覚。ーー流石に控えていた。

 でも、寝る前に自分の都合の良い世界を妄想するなんて誰でもすると思うわ。

 それが溜まりに溜まってしまったんだもの。発散するのも悪くはないわね。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:32:39.06 ID:lYR9NCJvo<>
 3/10


 「そうね。今日の設定は王道で行きましょう」


 捻りに捻った設定も悪くはないけれど、私はやっぱり王道が好きよ。

 エンディングの五分前には奇跡が起こってハッピーエンドになっても許す派ね。

 ちなみに巴ちゃんはもっとエグいリアルな昼ドラの方が好みらしいわ。ーー人って分かり合えないわね。


 「やはり巫女という設定を活かさないといけないわ」


 妄想にも現実的な要素を入れることによってリアリティが増す。

 そしてリアリティは興奮をくれる。ーー巫女で良かったと思える数少ない点ね。


 「私たち巫女は悪い悪霊を退治する使命を背負っているの」


 姫様を筆頭に血筋を活かした巫女の力(適当)を持って戦う私たち。

 しかし、私たちは日々の修行からプライベートなんてなかった。

 そんな中、私は幼馴染の京太郎さん(ご都合主義)に心の安らぎを求めていたわ。

 あっ、やっぱりプレイベートがなかったって設定は無くして、数少ないプライベートにしてもいいわね。

 いや、京太郎さんは幼馴染兼お付きの人にしてもいいわね。

 とにかく、秘め事の恋。誰にも知られない恋をするの。

 二人は徐々に接近して行き、京太郎さんは戦いに疲れた私を癒してくれる(二度目)

 しかし、私と京太郎さんが一定の仲になることはない。

 でも、魔物との最終決戦を前に京太郎さんと話す私。

 生きて帰ってこれるかわからない私に対して情熱的なプロポーズをする京太郎さん。

 それでそれで、強引に唇を奪われて押し倒されちゃったりしてーー。

           ,  ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::..ヽ
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.         l::::: :::.l.    ャー‐ッ     /:::l:/::: :.l   「ああっ、京太郎さん!
         l:::: ::::::>...            イ:::::/ :: ::::::l
.          l:::: :::::::::::::>.....___ <  |:l:/:::: ..::::::'    私には婚約者がいるの!」
          l::: .:::::: :::::/:::::l     /:::::::::.:::::: /
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        /::丿, '     /!:::::::::::;' /    /     !


 ーーなーんていやよいやよも好きのうち。みたいなことを伝えちゃったりして!

 それでそれで、一緒に駆け落ちしようなんて言ってもらったりしてーー
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:33:08.12 ID:lYR9NCJvo<>
 4/10


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \   「は、はぁ。
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //        そーだったんですか?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
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   |:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ    从::::リ:::::::: 八 j
   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ
   |:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈   `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙  乂廴ソ        乂_ソ ,′:::::::|
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::::|               ,      ,′:::::::::|
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   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八   「ーーゑ?」
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
   |:::::: -‐ ‘:::::::::::: |  \\   .//.     / / / / .八 |
 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、


 ーーなんで妄想の京太郎さんが私の前に出て来ているのかしら?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:33:37.50 ID:lYR9NCJvo<>
 5/10


 ーーそうだ。さいきんこんなはなしをきいたことがある。


 『二次元に突入するためにあえて頭をトリップさせる』ことだ。

 いわゆる、非合法なあれやこれを使ってなんやかんやすると目の前に二次元のキャラクターが出て来るとかなんとか。

 もしかして、私が妄想を決めすぎて巫力(適当)が暴走して京太郎さんを作り出してしまったの!?

 そうなると私が作った京太郎さんと前からいる京太郎さんで3P……、やだ、体がもたないわ!


 ーーそんなふうにわたしがげんじつとうひしているのに、めのまえのきょうたろうさんはれいせいだった


 「あっ、どうもっす。

  薄墨さんから霞さんがこっちに来るって連絡があったので迎えに来たんですが……」

 「は、はつみちゃぁぁぁん!?」


 い、いつもならグッジョブだけれど! グッジョブだけれど!

 なんで今日はこんなタイミングなのー!?


 「もー、ダメっすよ。

  ちゃんと俺に直接連絡してくださいね。

  薄墨さん、心配してましたよ」

 「は、はは……。

  初美ちゃん、心配してた?」

 「ええ、そりゃ女の子の一人旅なんて危ないですし、心配するのはおかしくないですよ」

 「初美ちゃん……」


 そう、心配させちゃったみたいね。

 体の心配までしてくれるなんて、本当に初美ちゃんはいい子よね。

 ……
 …

 ・永水

       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
      /::.::./::./::.::.ハ::|::.|::.:|::.:i::.:::.. _ _
   ≦::.:,.........|::/|::.:: | |::|::.|::.:|::.:|::|::.:f::.::.::.::.::≧
  /::.::.j/::.::.::.:|;__jヘハ| j/)/j/jハノ::|::.:|\:\::.\
. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}
// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|   「霞ちゃんの頭が心配ですよー」
     i:{      |   |      乂
           イ     \_
       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /

 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:34:06.47 ID:lYR9NCJvo<>
 6/10


 「そ、それはそうと京太郎さん」

 「?」

 「そ、その……」

 「どうしました?」

 「あの、えっと……」


 な、なんでこんなに冷静なのかしら?

 私のイロモノ行動(自覚アリ)を見ていたならば、なにかしらの反応があるはず。

 むしろ無いってことは……。


 「(脈なし!?)」

 「霞さん?」


 それは困るわよ!

 少しでも脈があるなら、残念そうな表情を見せてくれたっていいじゃない。

 それすらも無いならば、もうこれは女の子として見られていないってことで……。


 「それは困るわ!」

 「霞さん!?」

 「あ、いや」


 あら、声に出ていたの?

 な、なんとか挽回を。


 「ちょっと忘れ物を……」

 「ああ、なるほど。

  こっちで貸せるものとかならいいんですけど、大丈夫ですか?」


 自分の機転にガッツポーズする。ーーもう色々手遅れだとか言わないで!

 それに、やっぱり京太郎さんは優しいわ。

 って、今はそれどころじゃないわね。


 「ああいや、大丈夫よ。

  心配かけてごめんなさい」

 「いきなり大声出すからビックリしちゃいましたよ」

 「そ、そう?」


 こっちは驚くのに、さっきの発言は驚かないの!?

 それはそれでどうなの!?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:34:35.73 ID:lYR9NCJvo<>
 7/10


 色々と考えたけれど、絡め手は思いつかない。

 どう考えてもどんどん悪い方向に繋がってしまうに違いないわ。

 もう、直接聞いてしまいましょう。


 「そ、その、さっきの聞いてた?」

 「ああ、婚約者がどうこうってやつですか?」

 「え、ええ」


 京太郎さんの表情に変化はない。

 やっぱり、京太郎さんは私のことなんてどーだっていいんだわ……。

 少し泣きそうになっていると、京太郎さんはイタズラが成功したような顔でにっこり笑った。


          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
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       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__
.      / / :|  ::|/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `「⌒:.
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.   /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:′_,ノ⌒ヽ::|  、    、      _  -‐'     /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:.::/:.:
 /\:.:.:.:.:.:.:r‐ ' ´     ∨\/ ̄ )  ̄ ̄        /   /.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:/:.:.:./:.:.:    霞さん、俺を驚かせようと思ったでしょ」
/:.:.:.:.:.:.\:.:.ノ  ----- 、  ∨/   / 、          /   ,/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:/:.:/:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.: /        ‘,  ‘, ./、 \       /   /.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.://:.:.:.:.:.:.:.:
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:/:.:.:.:.:.:.{: .    . :    ‘, 人U{:.:.:.:.:.:.:.|:\        /:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.―‐┐:/        \:.:
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.       |: : : : : ::::::::::::::::: : 八:::::::|:::::|::::::::斤i「 ノ|/}/
.         |: : : : ::::::::::::::::::::::::/|\八人:::: | ヒリ  |
        |: : : ::::::::::::::::::::::::::{  |:::::::::::::::|\|     乂_
.       |: : : ::::::::::::::::::::::::::::\|:::::::::::::::|   ``   /
.         |: : : ::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::|   U    , j
        |: : : ::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::|        /   「う、うん?」
.       |: : : :::::::::::::::::::::::::::::: /:|:::::::::::::::|: : : . .__/
      |: : : ::::::::::::::::::::::::::::_/: :|:::::::::::::::|/⌒|:::::::::
        |: : : ::::::::::::::::::::::: /⌒゛┃ ::::::::: |-、从::::::::|
.       |: : :::::::::::::::::::::::: /    |::::::::::::::| | ト、\::::.
      |: ::::::::::::::::::: -‐く    ‘ :::::::::: ト、j_j \\:._
       |::::::::::::::/    ゚'*。  ‘::::::::::::| ゚'*。  ヽ⌒\
       |::::::::/        ゚'*。‘::::::::::|   ゚'*。 ',   }
       |::: / -- 、      |    ‘:::::: |     ゚'*{ \\
       |::/     \     l    ‘:::: |゚'*。     ゚'*。\\
       l/       丶    ',    l:::::|   ゚'*。    ゚'* \\


 「ほら、やっぱり!」

 「?」


 思わず頷いてしまったけれど、どうやら肯定と取られたらしい。

 私にとって都合が良すぎる展開に困惑を隠せない。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:35:04.35 ID:lYR9NCJvo<>
 8/10


 「俺、薄墨さんとも結構話しているんですけれど」

 「あ、そうなの?」

 「実はですね……」


 ……
 …


.        ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
      /.:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.ヽ
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     /.:.:.:.:.:./.:.:.:/:.:.:.:.:.:.|\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{{.:.:. \
..   / :.:.:.:. ∧.:.∧.:.:.:.:.:.:| ⌒.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.|.:|\.:.\
  //{.:.:.:.:/ ∨ .\ .:. |   \.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:|  \.:.\
//   .:.:./ xャ笊ト  \| xャ笊て_ .:.:.:.: |.:|   \.:
.      |∨ 〈 r'i:i:ハ     r'i:i:i:iハ }.:.:./.:/|.:|
.      |.:| 小 乂こソ    .乂こソムイヽ.||  「霞ちゃん、ああ見えて人を驚かせることが好きなんですよー。
.      |.:| .Y  ,.,.  ′    ,.,.,.,     ノ |.:|
.      |/ .圦    r        イ¨  |/   突飛なことを言い出したら霞ちゃんなりのギャグだと思ってくださいねー」
.        个    V  ノ   イ
.             ≧。.,_   < {.,_
           -‐   ´j          ̄ ̄\
       /                   \
      ___/   、               __    \ /\
   /{:::/     }                 {\   /   \
.  /.  \   /{              }  \/      \

 …
 ……


 「さっき色々と思案していた見たいですし、驚かせようと思ったんじゃないですか?」

 「そ、そうなの!

  もう、京太郎君がいると思わなかったからビックリしちゃって」

 「へへっ、俺が逆にビックリさせちゃいましたね」


 確かに、初美ちゃんはやけに京太郎君のことに詳しい。

 それにフォローも入れてくれるけれど、そんなに仲が良かったなんて。

 ちょっと嫉妬しちゃうわ。


 「霞さんってすごく真面目なイメージだから、なんか意外です」

 「そ、そうかしら!?」

 「ええ、冗談苦手なんですね」

 「お、驚くかなぁと思ったんだけれど」

 「きっと薄墨さんに言われてなかったらものすごく驚いていたと思いますし、……ショックだったかもしれません」

 「?」


 京太郎さんの最後の言葉は消え入りそうで、聞き取ることができなかった。

 でも、誤解が解けて(妄想してた部分は誤解じゃないけど)安心していた私はそこに追求することなんてできなかった。


 「やっぱり、京太郎さんって大人ね」

 「そんなことないですよ。周りにも子供っぽいって言われますし」

 「ううん、私も頑張るわ」


 本当に、理想の年上女房になれるように頑張ろう。

 京太郎さんのためにも、応援してくれる初美ちゃんのためにも負けられないわ!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:35:33.05 ID:lYR9NCJvo<>
 9/10


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        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/   「ふふっ、じゃあ今度はどうやって京太郎さんを驚かせようかしら?」
        ‘:::::::::::::|:::::|:::::l` .        . イ::::|::::::::::::/
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            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
          /     \:: ∧ \ソ' |     \::::::: | \


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         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
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      / ,          |/} ∧ }`ー`
       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /   「俺にだって、唐突な発言にビックリすることはありますよ……」
         |' ,} \__/イ__ /
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       l/       丶    ',    l:::::|   ゚'*。    ゚'* \\


 ーーなんかすっごく悲しい目をされた
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/18(金) 19:36:02.05 ID:lYR9NCJvo<>
 10/10


 ……
 …

 ・仲違いのない平和な原村家


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
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!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
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 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:  「インターハイで優勝しなければ東京行きの次は、
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////    婚約者を連れてこないと東京行き!!?!!?
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////    どこまで卑劣なんですか!!!?!?!?!?」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////

                   ,..、__
               ,.ィ:、フ、: : \:`:ヽ.、
              / :ハ:!-‐i: 、:ヽヽ-、: ゙、
                / /:ハ: 、 }ハ:j!`、i!ト、:、\
             i.i : | __,...__ iリ _ル.._|:i:iー-ゝ
                 |:!_:i! rェ:ェ、,. /ィ:ェ、 };!!
              {^}j 、     i   !}
              !、_, i     ,. 〉   'i
                i: i !  , _.. .._  /
               ゙i"\ ` 二  /    「(どっちも言ってない……)」
                 /i_   \___,.イ
             _/   \_  /,ノ\
          _,..-'′\    /―<    ト、_
     _,....-‐''"       \ ∧::_::;!\  |  `ー--、
    /'"               `′ヽ::::i  `゙′      \


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/18(金) 19:36:31.07 ID:lYR9NCJvo<> のどっちは思春期 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/18(金) 20:47:57.40 ID:CidVpAUhO<> はっちゃんが苦労人過ぎて癒してあげたい…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/18(金) 21:16:21.33 ID:L+BrtWFDO<> 乙です。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/18(金) 21:56:28.44 ID:QEp+WGRDo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/19(土) 00:01:42.54 ID:htf1pVUTO<> はっちゃんの株は上がり続くのはなぜだろう?はっちゃんは幸せになってほしい・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/19(土) 00:06:30.94 ID:OhvSYYbp0<> はっちゃん自分の次元でも働きものだしできた子過ぎるww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/19(土) 01:17:22.21 ID:8AJPRSSt0<> やっぱのどっちのオチ力は高いな

>婚約者を連れてこないと東京行き!!?!!?
相手は・・・咲? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/19(土) 01:52:17.52 ID:OROIkjHd0<> もうこののどっちのAAは見るだけで笑いそうになるwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/11/19(土) 10:24:37.70 ID:1/BuehhnO<> http://doujinantena.com <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/21(月) 12:42:46.54 ID:BYln3QcI0<> 貧乳になればなるほど増していく安定感(霞色の霞さんは例外)
つまり や咲N1 なんだなぁ・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/21(月) 14:49:36.38 ID:mPmBQCqfO<> >>614
胸に栄養が行き過ぎて、頭に栄養が回ってないって事か <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/21(月) 15:01:18.34 ID:CcuEt/GRO<> つまりアコチャーはおもちの急激な成長の所為であんな事に…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/21(月) 19:57:41.51 ID:KaNke8DDO<> つまり最近成長が著しいあわあわもそのうち…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 00:34:32.22 ID:cKDmL3JI0<> むしろあわあわや霞色霞のオチ成分はダイソンのようにのどあこアラフォーにオチが吸引されるんじゃね?(のどあこの更なる進化) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 02:09:40.39 ID:sayF0foK0<> 今日は良い夫婦の日だじょ! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 08:14:00.51 ID:nMBg8Qpf0<> ほら、あわあわは最初からややアホの子気質だから <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 08:44:22.09 ID:9CYwArP70<> いい夫婦、つまりわた・・・ゲフンゲフン須賀(になる予定の)和さんと京太郎君の日ということですね! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 10:17:23.92 ID:LWWP7pXLO<> 同じことしても
和憧→ざんねん
あわあわ→かわいい
になるから問題ないし <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:43:11.24 ID:hgJn1J/oo<>
 1/10

 555
 【いい夫婦の日+咲ちゃんお酒に酔う】-みやながけ次元-


 宮永家の大黒柱は京太郎と界である。

 例え年収では二人束になっても照に及ばないとしても、彼らがいるから宮永家は回っている。

 だが、いざ『家を守っている』のは彼らではない。

 仕事に出ている四人に代わり、主婦としての仕事を全うしているのが咲だ。

 彼女がいなければ、ー例えば麻雀プロになっていればーこんなにうまく家庭は回らなかっただろう。

 つまり、咲は宮永家における生命線である。

 彼女が倒れてしまえば家事一つすらボロボロになってしまい、立ち行かなくなってしまう。


 つまり、だ。


    ∨: : ::/: : : : ::/: ; ≠/77─.-: /!: | !: : :‐ト l、!: : |: : : : ',: : : : : : |: :  ',
    ∨: /: : : : イ´: :/ // : : : : :/ : :! |: : : l l::!l:`:ト、: : : :! : : : : : | : : \
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     ト、: : : : : j: / /   /: :/. ,':   l: ::/   リ レ  lヘ: : :|: : : : : :l:ト|: : : : ヽ
     | :!: : !: : V |_ 三!∠、  /   : :/--_./-   ヽ ',: :! : : : : :, :!  ヽ: : :\
      |: : l :| /{:::;、:::::::::::/ト     レ' イ::::::三::::ト、  ヽ:!: : : : :/::l       ̄
      ト、: ',:l ヽ 廴Y二!ニヽ .::::::::::::::.... 廴Y::ノ::イ` ゞ/:y: : :ノ:/: : !
.       ∧:',:!         :::::::::::::::::::::::    ̄ ̄   {イ: /:': : : :{
      :|  \   /////      '    /////⊂ レ イ:i 、: : ::
      :|   !:ト、                    ,'  /::/ \: ',
 |      ::|   ',:li:ヽ      `ー --         ノ: :{     \
 ',     :|    l::li::::'.,                ノフ ヽ:',
  ',    :|     ::li:::::::ト              <{: /   丶    「うぇっへっへー、咲ちゃんですよー!」
      :|   /∧::li::::::ヽ >       イ    `
   ',       // ',::::li::::::::\  ` - ´  ,'
    ',.    //  ∨:li::::::::::::\       {.、


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //    「ヤベース」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 宮永家に嵐が吹き荒れる。

 咲は理性が吹き飛んでしまったのか、支離滅裂な言動を繰り返している。


 「きょーちゃんきょーちゃん。いいふーふランキング1位をめざそー!」

 「お、おう。どんなランキングなんだよ……」


 咲ちゃん、お酒に酔うの巻。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:43:40.86 ID:hgJn1J/oo<>
 2/10


 ……
 …

 事の起こりは昼間の話だった。


         ___ -= : : ̄ ̄ =- .    _
         /:::/  . : : :       \ /::::人
      r‐:::::ヘ/   : : : :      r─=ミ/::::〈
     ノー─/                  |:::::::::::::》-=ミ}___
    〉:::::/   /: :/ : : | . : :. : :|   i \::::::::::|\:::::::::::::>
     |::::/ . : : : :| : i: :| : : :| i : | : i :i  {::::::::ノj:::::\厂ヽ: : : : :ニ=-
     |_/  i: :|: : :| : i: i| : : :| i : | : i__i  i⌒´| |:::::::/\  \: : : : : : : : : :=-
.      |   i: :| :i ]「 :ト八: : :|:T:Τ八八 Y^i: ,| ⌒j゙\: :\  \=- : : : : : : :
    八  i: :| :iァテ外 \:| ァテ笊芥ハ:i ル' |: : 八: \: :\  \  =-
.   /::::::\{八从 V(ソ  \  V (ソ ム/  八: : . \ : : : : \ニ=- _
   '⌒¨¨|: : i :∧ ::::::  、   ::::::: /{ミx   \: : . \ : : : : : : : : : : .  ̄    「咲さん、お邪魔します」
.        |: : .i rj入   _ _     /  /ニニ=-  \: : . \ : : : : : : : : : : :
      |  i / :|ニニ>  __ ,.     :/ニニニニ=-. \: : . \: : \: : : : : :
        ,  i | :|ニニニニト、 ヽ _/二ニニニニニ\\: : . \: : \ : : :
.      /   ∧八二ニニニ|=‐----/ニニニニニニニ=-ヘ, \: : . \: : \
     /  / ∨ \ニニニ|    /ニニニニニニ=- /⌒i   \: : . \: : :
.    /   /   ∨\\,ニ|   /ニニニニ=-.:/ /    \  \: : : : : :


                      -≦.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶、
                    /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
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                 /.:.:.:.:.:.:.:.:斗-ミ:.i:.i{:.::.ナナメ、.:.:}:.:!.:.:.:.:|
            /  イ:.:!.:.:ト(∨}八トY'´V  l仆.:i :.:.:.:|
                  i:八:.:lx=ミ    x==ミ 八.:i、:.:.:|
                  l.:.:个ト::::::. ,   .::::::. /〃:ハ:.:.:|
                  |/レ从    __     厶イ 丿ハl    「夫婦の邪魔をするなら帰ってよ?」
                     |人   ∨__ノ    ィ´ ̄.:/′
                      __n> __,.     |人ト/
                  //^>、_.」    h___
                    l   /〉}j     八:i:i廴__
                  r≦|   /:i|-、  -/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧x
                  ∧i从___八:| ̄ ̄/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/:i∧》
              /ヾ Y:i:i:i:/:i:i:i|   ./:i:i:i:i:i:i:i:i:/:i/  ヾ


 「まだ何もしていませんよっ!?」

 「ちょっと待て。

  まだって何さ、まだって」


 和ちゃんが仕事休みだと言うことで、私の家に来ていた。

 今日は(この世界では)祝日。本来ならばみんなお休みのはずである。

 しかし京ちゃんやお姉ちゃん、あとどうでもいいけれどおとーさん達はみんな仕事だった。

 今時、祝日に休める仕事って少ないらしいね。

 これだから公務員は、もー。


 「ちょっと待ってください。

  逆です。公務員がブラックな働き方をしていたら社会が成り立ちません。

  社会が公務員に合わせるべきですからね?」

 「うん。和ちゃんに正論吐かれるとすごくムカつくね」

 「理不尽!?」


 今日の須賀咲ちゃん。とっても虫の居所が悪いです!

 まぁ私と和ちゃんは親友と書いてゲボクと読む仲だから平気だよ!

 それもこれも、全部京ちゃんのせいなのっ!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:44:11.80 ID:hgJn1J/oo<>
 3/10


 「聞いてよ、もー。

  京ちゃんったらね。今日はお休みとってくれる予定だったのに、急な仕事で休めなくなっちゃったんだって」

 「はぁ、そうですか」

 「この前、『いい夫婦の日にあやかって出かけに行こうか』なんて照れ顔で言って来た時にはすごくいい感じだったんだよ!

  すっごく京ちゃん可愛くて、思わずそのまま三ラウンドくらい搾り取ったんだけれど」

 「京太郎君死んじゃいますよ!?」

 「せっかくおかーさんに子供達を任せて準備万端だったのにー。

  いや、仕事ならしょーがないってわかるんだけどさ」

 「ま、まぁ、女の子の気持ちがわかってない京太郎君が悪いですよね」

 「だよね」


 女心の前にはどんな正論も無意味だよ。

 『京ちゃんが悪い』と言う結論から始まって理由をつけて行くんだもん。


 ーー理由から結論を出す男の人はモテない by阿知賀のワールドスター


 つまり、どんな理由があろうと女の子を怒らせた時点で京ちゃんが悪いの。

 そりゃー、京ちゃんは普段からそう言うところ気をつけてくれるけどさ。

 むしろ私以外にも気をつけるせいでお姉ちゃんがベタ惚れだし。

 まぁ京ちゃんのそんなところが好きになったんだけれどさ。


 「どう思う?」

 「ははっ、爆発すればいいと思いますよ」

 「もー、和ちゃんだって百合百合とか旦那NTRとかしてないでとっとと結婚しなよー」

 「(きょ、今日は我慢。今日は我慢です……っ!)」


 あー、私がボケて和ちゃんが砂糖吐いてるの久しぶりな気がする。

 でも今日は遠慮しないもん。

 子供達をおかーさんとその知り合いさん達に任せたせいで家で一人ぼっち。

 何を着て行くかまで決めてあっただけに落差がひどい。


            ,. : : : ̄ ̄ ̄ ̄: : : : .、
            /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ー: イ
           ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :<´
         .': : : : : : : : : : : : : : : |: : : ,: : :、: : :
         /: : : : : : : : : : : : : : : :{: : :ハ: |:|: : {:|
        .' : : : : : : : : : |: : : : : : :W:{´ 从}: : :\
        |: : : : : : : : : : {: : : : : : :|ィ斧ミ  Y:{ー'
        |: : : : : : : : : : :Y: : : :从 マソ  乂_〉
          ,: : : : : : : : : :r \∧: : \     }
         |: : : : : : : : : 乂 `    ̄      /
         Y:∧: : : : : : : : ー 、      ´,    「もー、京ちゃんのばかばかばか」
        从{  、: : ,: : : : :从 > ..___/
              ∨ `ヽ: : {     ,
                __}Y    {
           / ̄一-- ̄ \  |`ヽ
          /  ,..:::―- 、 \ \ ∨}∧
        /   /::::::::::\:::\ \ \'/ }
         {   /:::::::::::::::::::、:::::` 、   ヽY
        、  ,:::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::..、  〉
            Y::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::r<_{:、
            {::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| |::::::::}
            |::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| |::::::::|
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:44:41.72 ID:hgJn1J/oo<>
 4/10


 ……
 …

 ・おかーさん達のとこ


          ,. ‐''ミ゙「「「「「「゙〃ァ;、
            ,.' '⌒ヾミ_i|l il|j_リノ⌒ヾ;、
         // ijv - 、  ̄..::::,:::-:::::::::i.i
          ,'テ==:- 、:::`:ー:'´:,: -:==キ|
.         i l ::ニ二`ヽヽ.:::ij~//二ニu:l l
        |{. 、ー== 、ヽ!! lレ ,'´== ァ }|
      r'ニl.|. ヽ、 °>,‐:_く ° ,〃 |lニヽ
       |.に|| ijヾミ≡彡'l :l::ヾ≡彡'ノ ||こ!|
.        l しl|. ,ニ二ノ ::l !:vヽニ二、|し'ノ    「いいじゃないか……っ!!
.      `゙T.l , --、 〈. | | ノ ,. -- 、.lT´
    _.. -‐''7|l l |l⊥⊥エ`トイエ⊥⊥l」 l |ヾ'ー- .._ お小遣いを百万円くらいあげても……っ!!!」
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彡ソ'/  i、 | く                l     /::::::::::`ニン
   l.::从,.弋 ヽ           ⌒ '"      ./::::::::::::ミ
   乂 l|lヽ  ヽ、     `''ニニ''''''''''''''''フ″  /: :lリ \l   「ダメです。
      |三:.\  ヽ         ̄ ̄ ,,.    /ソノ
      |三三 >,,, ヽ       ゙"''''""    /           この子達の金銭感覚を狂わせないでください」
     ノ三三三三>ミ\            イ
  斗≦三三三三三三三≧          付
≦三三三三三三三三三三三>     ノ三式_
三三三三三三三三三三三三三三三三三三|三三三≡≡==ー-


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          ,ゝ ̄ `  ′゙,∠.._
       /´ " " " ゙ ゙ ゙ .<`
       7 " " " " , ゙ ゙ ゙  、\
.      i " " " ゙,.ィ / \ ゙ ` ゙ \
.        | " " ,ィ/‐l/、  ,ゞト、゙ 、゙ヽl
       | r=、 l.f´_・_j!_ ,f´_・_j! ゙ N
.      | {にl l ` ̄  _ \´ハN
       ,l ヾ=lノ  __ ‘ ‐  ゝ    「この人鬼(おに)……っ! 悪魔……っ! 竹井久……っ!!!」
   _./:l "./ ヽ. ..二ニ7/
‐''"´:/::::::| /    \   一 /、
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 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:45:10.72 ID:hgJn1J/oo<>
 5/10


 「ちなみに、お母さんはどちらに行ったんですか?」

 「古い知り合いのトコだって。場所まではわからないよ」

 「それじゃあ追いかけられないですね」

 「それはともかく、あのお母さんが一人で目的地にたどり着いたかどうか調べるの怖いし」

 「追いかけた咲さんまで二次遭難しそうですね」

 「うぐっ」


 ーー宮永家の迷子比率。実に五分の四である。

 京太郎がいなければお出かけもままならないのであった。


 「咲さんのお父さんとお姉さんはどうしたんですか?」

 「仕事だよー。

  お姉ちゃんは麻雀の取材とかなんとか」

 「お姉さん、忙しそうですよね」

 「そうなんだよねー。

  それなのに、家だとそんな素振り見せなくてさー。

  一番稼いで家にお金も入れてくれているし、私に気を遣ってくれてるのはいいんだけどさー。

  おねーちゃんが体調を崩したら元も子もないよー」

 「……へぇ」

 「なに?」

 「いえ、咲さんもよく見てるんだなぁ、と思いまして」

 「もー、うちの体調管理は私がしてるんだからね。

  京ちゃんは夜にラーメン食べたがるし、お姉ちゃんはお菓子食べすぎるし、おとーさんはビール飲みすぎるし」

 「ふふっ、咲さんがしっかり者っていうのもすごく違和感がありますね」

 「あ、ひどいっ」


 そりゃ、私は主婦なんだから家のことはしっかりしないといけないもん。

 それにしても、ちょっと喋り過ぎちゃったかな。

 こんなこと言うつもりなかったんだけどなぁ。

 やっぱり京ちゃんが悪い。今日は全部京ちゃんが悪い!


 「まぁまぁ、今日は残念でしたけれど、次がありますよ」

 「ほんとかなー。最近京ちゃん忙しそうだもん」

 「私が愚痴ぐらい聞きますから、ね?」

 「今日は甘えちゃうよ」


 知らないもーん。

 今日は家事もしないもーん。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:45:39.45 ID:hgJn1J/oo<>
 6/10



 「ふふっ、それはそうと、京太郎君達に差し入れがあるんですよ。

  渡しておいてくれますか?」

 「その大きな袋?」

 「はい。同僚にお酒を頂いたんですが、私はお酒が苦手でして……」

 「お姉ちゃんは飲めないけど、京ちゃんとおとーさんは飲めるから大丈夫かな」

 「ありがたいです。

  咲さんは飲めないんですか?」

 「何回か飲んだことがあるはずなんだけれど、覚えてないんだよね」

 「なるほど」


 何より、酒癖の悪い京ちゃんの介抱で忙しいから飲まないんだよね。

 私が潰れちゃったら誰も片付けできないもん。


       / /  ./  ,ィ          ヽ ヽ_
        / /  ./  //   /!  |l!   .lY'::::::::::)
      ; i  くlハ //,ィ  / .|  リ! j  l }::::::::::l!
      |イl!  ' _`Vメ、 l  / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
      ゝゝ| ;´んィ:!`    =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
      ||  l 弋_丿     'んィ:!.ヽ// ,'   !  } }
      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/
      ||  l     '   、、、 // ./イ  |
      || ::ゝ.    __     // ./. !   |
      ||  | l > ´‐-'   _イ//‖| l  |   「それなら、ストレス発散代わりに飲んでみますか?」
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.‖ll! l  |
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
.     /  l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、   \  |
   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
.  /  ヽl     l  ! [__] / .l     i/  ヽ|


    ,':.:.:.:.:': :.:. :.:.| , イ:.l | ̄`丶:.|:.: .|  , -‐-、 | |  :i:.:.:.:.:\
   ,' : : :! :.:.:.:.:.:/:.:.:.:!',| |:.:|__|:.:.:.j:.:.:j|:.:.:.:.:|:.:.|:.:\:|:... i     ヽ
   ! : :.:.:.| :.:.:.:.: !:.:!:.:.:.:| i| ヽ| j:.:./|:./ !:.:.:.;'j:.,'|:./ |:.|:.:.:.:.|:.:.    i
   ! .:.:.:.:.| : :.:.:.:.', |ヽ:.:ヒニ三≠/ j/ j:.:.///_j/ j/|:.:.:.:' i:.:.:. .  i
   | :.:.:.:.:.! : .:.:.: ヽイ X::::::::ハ `  / ///"ィハ,`ヽ f:.:.:/:.:i` 丶 、i
.   !: :.:.:.:.:!:.:.:.:.:.\{{ {: {:::::::kd       i{::::::r! }} /:.:/:.:.:i|
   !:.:.:.:/ ヽ:.:.:.:.:.:!ヽ.マOイ ソ         Y) イ!.ノ//:.:.:.:.:i
.   ;.:.:.:{{  \:.:.ヽ  `¨¨´         、 `¨´  {:.:.:.:.:.:.:.:i
    ',:.:八   `丶\ ゙゙゙゙゙             ゙゙゙゙゙ l:.:.:!.:ト、:. i
     ヽ|ヽヽ.                      !:::ハ| ヽl
.        \.ー\        ⊂ニ  つ     .イj/  !  |   「えっ?」
        ヽiヽ::}丶    , ---- 、    <
.          ヽヽl    ./   /\ \イ
            l    / / , ヘ.Y´
            ,xへ|   // / ,.へ.\


 「お酒を飲んで忘れると言う言葉もありますし、こう言う時くらい良いのでは?」

 「そーだね!

  よーし、飲むぞー!」

 「あ、でもお酒の飲み方がわからないですね」

 「だいじょーぶだよ。

  京ちゃんやおとーさんが飲んでるのを見てるから。

  こーやってお湯で割って飲むんだよね」

 「うちの父もそう言う飲み方をしていたような気がします。アリですね」


 そんなこんなで、時間は過ぎーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:46:12.38 ID:hgJn1J/oo<>
 7/10


 ……
 …


                     _....................._
                ,. : ´: : : : : : : : : : `: : .、
                , :´: ,. : : : : : : : : : : : : : : : :\
               /: :/: : : :,: : ´: : : : : : : : : : : : :ヽ
            /: :/ : : : /: : : ,: : : : ,: : : : : : : : : : .
            .': :/ : : : : /: :/: :/: : ,.イ: /: : : : :|: |: : : :.
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            }'.': : :/^/: :/ {:/ {:/ /: /: :/: :}: :|: |: : :|: : :.
            {: |: { |: ,: /' /' /イ//':-/、:': : : : :ト: : ::.
            Y : 、{/ィ=ミ、   /' / イ: :/: :,: : : | \|
             |:从::.  :.:.:.:.      _ /イ: :/: :,: :.|
             / Y      '   `ヾ / イ: :/}: /
        ______|  、 「  v    :.:. イ: :/:イ/イ    「ランキング一位を目指すために首輪をつけるぞーっ!」
       /<_:::::::::::::::::::\_  `ーr---- =彡j/
       {¨7=ミ、< 、::::::::::::::\___〉>、
     _| ,   ∨、:` < 、:::::∧  |::::::::::ヽ
 / ̄::::::://     |  }、:.:.:.:\、::::::. |:::::::::::/〉、
 \___ 〃     | / \:.:.:.\、::Y:::::/イ ∧
     ̄¨/       ∨    `ー ≧='-´:/ ハ :.
      /      /           {二「   } |
    '      ∧         /:.:∧    ,
   /      / }       /:.:.〈:.∧  {  |
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               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人   「和。なにがあったの?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,            u   /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   「須賀君マジごめんなさいっ!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////

 ーー思わず昔の呼び名になってしまったと、後に語った
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:46:41.66 ID:hgJn1J/oo<>
 8/10


 「まさか咲さんがこんなにお酒に弱いなんて……」

 「一升瓶開けりゃ誰だって潰れるだろォ!?」

 「止まらなかったんですよ……。止めたんですよ! 必死に!

  その結果がこれなんですよ!」

 「えへへー、首輪にリードにー。ほら、京ちゃん持って!」

 「どっから持ってきたの、ソレ」


 ……
 …

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   |:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::i-l:: l‐::::::::::::: |::| ---|:::::::|l:::::::::::|   |
   |:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::|八::|:::l:::::::::::::|::|__,  |:::::::|l:::::::::::|   |
   |:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ    从::::リ:::::::: 八 j
   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ
   |:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈   `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙  乂廴ソ        乂_ソ ,′:::::::|
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::::|               ,      ,′:::::::::|
   |::::::::┃ : :::::::::::::::::|    ``         `` ,′:::::::::::|   「白望ちゃん白望ちゃん。私の首輪知らない?」
   |:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\  U     r‐ ┐    人::::::::::::: |
   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
   |:::::: -‐ ‘:::::::::::: |  \\   .//.     / / / / .八 |
 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、




                    / / `ヽー、     ー、   `ー /´
               _ -‐ァ'/       ´⌒ヽ  、 ヽ、_ 彡 ´
              /⌒ィ'´ /            ',  \  ヽ
                /´ア´ /  / /       !   ',   ヽ
            ({ /  ノ  / /       ! l    \   、   \
             `Y ィ´   / /    i l  '.   、 ヽ.  ',_  `ー-
             / /    /イ/i{    j{ j  、      \ ヾ  ̄´
            , ィア,' イ  /`7〜ヽ   ハ 八  (ヽ    ト、 }  ー、
           j/ / { { イzx、_エ、  j |〜〜、 ヽ Y`ヽ }! ソ \}⌒j
             ´ {  ヽハ、{i  佞i「ヽ. ハ{\{zュ.jYハ }  〉ハ    ヽ.
             ∨   ハ `  ̄   \{ ヽ `芒!リイ ノ /イ     ハ
              ヽ { j! !    、     } ヽ!  〈 /フ   j!  / リ
               `ヘハ ト U        j       /´j}   ハ ノ     「……」←言葉にならない
                  `  \  ゚ `   /    / ノ j_ノ ´
             _ -=ニ7⌒ヽ __ .. イ    / `7=ュ。_
            イ  「ニニニ7   人j  ハ   〈  /ニニニ´⌒ヽ
           ´ i  ニニニ{  /l] `Y  ',   V /ニニ/    '.
               l  ニニニ、/!  [! (   '.   Vニニ7       }
      /     ハ  ニニニニニ|  マ、  ィハ    Vニ7        ′
     /       ',  ニニニニニ|  マ、ィ´  。    V       /

 …
 ……


 「大丈夫大丈夫。京ちゃんなら連続で5回くらいいけるよ」

 「いけないよ、死んじゃうよ!?」

 「あっ、私はそろそろお暇しますね」

 「和ァ!?」

 「あとは夫婦で解決してくださいごめんなさいぃぃぃーーっ!」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:47:10.51 ID:hgJn1J/oo<>
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:,;.:;.;.;;.:,;.:;,::,:::.;,:..;:,;.,:.;    |Λ:〔ト、'.ニニヽ|-ニニノイノ .ノ    }. 斗'        ::;:;,.
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:.;,:.;:,:.,::.:,:.;,:;.:,;:;.:;:    `    }Λ{:.>r--- ´l<_                   ,:,;.:;   「二人っきり、だね?」
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,,:‐レリ    _       ̄ /     「(アカン)」
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 /               l::./::.::.::.::.:/::.::.::.::/::/::.:/::/::.::.:!::.ヽ\::.\::.::ヽ
∧               ,イ/::.::.::.:-≠─ァミイ:./::.::.::/::/::.::.::.|::、::'.::.::ヽ::.:ヽ::.:ハ
l              ハ::.::.::.::./::.//:::/气、::,イ::./}::.::.::/::.:}::.!::.::.:!::.::.ハ::.::.!
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                  イ:://r斧≧x,∠::-‐.:::´///::.::.メi、/::.::/::.::.:j::.::.::.:|::. !
                / |//:{{ 沂c才心、::::::/ ̄:::/::./::/イヽ:/::.::.:/::.::.::.::j ::.|
       /      / W  .:`¬-t少   ...::://:`:/´/::}:ハ::.::/::.::.::.::/::.::.|
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     /     /  //:|           , :::::.. 、んcテ心:::/|::.::/::.::.::.::/::.::.::.::|
      /      /   //::::|       ,       ..:ヾ幺:k}}::l::./::.::.::.::厶イ::.::.::|
     ,′     _,.イ7{::::::l     \      :::::::::`¨"チィ|イ::.::.::/:/ヽ、::.|
     i     / /:::|::::::ト、       `        /∠ イ/:/   \|   「いただきまーすっ!」
     |   /    l:::::!::::::! \            / /::ハ::.::.:/
     | 〃     }::::|::::∧  ` ー──ァ──ァ彳ーィ::./ }::./
    ノ}/      ∧::|::::::∧      /     /'´   |/    l/
  /イ       /  ヾ、::::::ハ   /ヽ、


 研究、咲ちゃんがお酒に酔うとどうなるか?

 ーー結論。咲さんになる。


 しかしよく考えれば京太郎が絞られると言う『結果』はなにも変わらないのであった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/22(火) 18:47:39.59 ID:hgJn1J/oo<>
 10/10


 ……
 …

 ・子供と迷子の母親を引き取りに行った照


     |┃三   _─-、 -‐;z.__
     |┃    > ` " ゙  <
     |┃  / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙\
 ガラッ. |┃   " " ", ,ィ バ i ゙、 ゙、ヾ
     |┃    " "ノlノメ、 |ノjムヘ. N
     |┃三  r,コ| =。=  ,。==ハリ
     |┃    |ヒ.j|   ̄ r_ \7
     |┃   j `ァヘ ⊂ニニァ7    「て、て、て、照さん! サインくださいっ!」
     |┃三 ∨ :::\ = ∧
     |┃三  ヽ.   ::::\,.イ |`'''‐- 、.._
     |┃三   \   :::::/ │     ハ
     |┃     ,ヘ 〉   |へ、|    l. l


 `ー≠彡7アイ介、ミ≧ー フ、_ァメハ イア′
 ーァ7 个´{  ハ ハ        彡´ }/ / 八スィ
 彡ノ ,イ 八  人 ゝーァォスー个ァー彡≧ }7
  个7} }イ />ー' トミ_zォ´ 7 }/ j { リ小、ーァ彡
  ノ 7 八{レ{ ! 从rァ' O ノ   /イ 川ハ`j/_フ
 彡イノトzュミ、{、弋´ニー‐ ´   (ハ从八{ 人水
 ァ' 7{ (´、__Oz} `ー         ヾ{ Y7ハ
 八人/个 ̄  j!             7ソトハ   「わ、私にも一つお願いしますっ!」
  乂ノjハ、  i               U /  {!入
  ⌒ ´{ハ .ヘ  L_ ´  _.. −'       ;: Уニ
     ソ八ヘ ー= ´          -ニニニ
     ノ  `ハ `ー       /  -ニニニニ
          '、        / -ニニニニニ
           \    ,,イ -ニニニニニニ
              ー '「ニニニニニニニニ
                 `ニニニニニニニニ

       -─===‐-ミ
   ´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: \
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :ト、: .: .: .: .:`、
.: .: .: .: .: .: .: .: .|.: .: .: .:| \.: .: .: .: ',
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.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:|   -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/  |.: .:八ノ    ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/  ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: |   三 | :::::|  .'.:.::|
.:{    '└─┘    ̄ └‐┘ l.: .:|
人_    u              j.: .:|   「ここ、どこ……?」
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_  \|     |/ ハ
  / ヽ >   |    ノ / ∧


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/22(火) 18:48:08.29 ID:hgJn1J/oo<> グッダグダですまない
咲ちゃんの代わりに家事で四苦八苦するてるてるは後日

のどアコの真似をするあわあわ把握 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 19:37:14.06 ID:LWWP7pXLO<> 乙
なんか拾われた <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/11/22(火) 20:15:00.70 ID:UjVk39wDO<> 乙です。
おかーさんはいったいどうやって昭和の怪物と知り合ったんですかねぇ…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 20:26:16.70 ID:HCFwifGGo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/22(火) 23:57:36.33 ID:cKDmL3JI0<> 乙
のどアコ真似あわ か普通にヒロイン力が上がりそう(相方はネリー?)
京淡次元で結婚式(アラファーから後輩を守護る為に立ちはだかる照と友人とライバルの為にはやりに立ち向かうシズ) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/23(水) 00:46:19.66 ID:Z1TlL08Lo<> 乙です。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/23(水) 15:29:48.33 ID:Z7pruikYo<> 乙
何気にみやながけ次元で会長が出てきたのって初めてか…? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/25(金) 02:07:29.62 ID:5244znxt0<> 乙
君の名は的にヒロインと入れ替わる京太郎とか? 次元はおまかせ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/25(金) 03:03:43.34 ID:9GmU/vRl0<> (一応)ヒロイン
京太郎=春
京太郎=世界一位
京太郎=のどっち
京太郎=すこやん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/25(金) 14:16:45.34 ID:4RtPXakLO<> おつおつ

>>640
すこやんと入れ替わったら、雀力と記憶を犠牲にコミュ力を得たとか言われそう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 00:50:07.59 ID:FRAGdo550<> オチと入れ替わったら社会的な死と人生の墓場へ逝きそう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 00:51:04.58 ID:KjPq+g+S0<> >>642
つまり京太郎側はあらゆるものを捨てて雀力を得たことに
それなんてヘルカイザー? <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:43:17.93 ID:4sL1ETnso<>

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 456
 【文学少女と須賀京太郎】-単発次元-


 須賀京太郎には幼馴染がいる。

 それも一般的に見て可愛い女の子だ。

 彼女は本を読むのが好きで、いつも図書室にこもってばかり。

 人と話すことが苦手なのか、滅多に喋ることもない。

 それは幼馴染の京太郎相手でも同じことだった。

 しかし、それでも京太郎は彼女に対して話しかけ続けていた。


 「おーい、もうすぐ暗くなるんだから帰ろう」

 「……」


 京太郎が声をかけても彼女はピクリともしない。

 本を読むことに集中しすぎているせいだろうか。


 ーーあいつ、こうなると長いんだよなぁ。


 心の中で呆れて、現実ではため息を一つ吐く。

 見捨てて一人で帰ってしまってもいいのだが、夜遅くに女の子を一人で帰らせるのも気がひける。

 下手をすれば学校が閉まるまでずっと本を読んでいるのではないか。

 いや、帰り道に本を読みながら歩いて電柱にぶつかるかもしれない。

 そうでなくても彼女には迷子癖がある。

 ーー考えれば考えるほどドツボにハマる。


 「あー、もー」


                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /    「『照さん』、帰りますよー!」
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、

<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:43:47.38 ID:4sL1ETnso<>
 2/10


               ̄ ̄ ̄
         ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
      : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧
     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .,
.    /: : : : :〔 :/ !: : | : : :ト、: : : : | : : : : | : :i: : : ′
    ′: : : : ∨  | : i| : : :| ´ ̄ :}: : i| : }i: :|: : : : :.
   .:: : |: : : : :〔´⌒ヽ八: : :|  ∨リ : : |: :八_|: : : : : .
.   /:: : :|: : : : i{   __   \{ ,イ庁不、〕/   }: : : : : :.
  /__! ト、: : {ィ芹示、     乂:ソ  ′ 人: : : : : :
     八| \{  乂ソ          ,r: :´: :|: : : : : ::   「ーーん」
       /: : ∧    `         /: : i: : :|: : : : : :i
       .′::/: : .       _     _: : : :|: : j : :! : : l|
      .: : :/: : :个    `    イ〔_: : リ: /|: : |: : ::リ
     : : : :l/ i|: :! : : :≧. . .-r ´    ヽ\/: !: :ノ,イ:/
.    / : | /  {: : ∧: : :ト、=´〕      /  =‐- .,_ '
      〔′  ヽ〔 _,. -‐ ' |     /    γ⌒ヽ
           ∧      :|__,. イ     /
             / 丶     :|   /'      /    i


 やっと声が届いたのか、本を閉じて顔を見上げる。

 目が疲れたのか、何度か目をこすって京太郎の方を凝視する。なんだか気恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。


 ーー彼女の名前は宮永照。

 なんの変哲も無い女子高生だ。強いて言えば、本が好きでとても無口と言うくらいだ。

 京太郎とは小学校からの付き合いである。

 学年が二つ上であるにも関わらず、なんとなく彼女のそばにいることが多かった。


 「(だって、放って置けないしな)」


 照を一言でまとめると『天然』に帰結する。

 放って置けば思うがままにフラフラと消えてしまいそうな感覚があった。

 実際、迷子になることが非常に多い。その場合探すのはいつも京太郎だ。

 京太郎がいない間の二年間、どうやって学校生活を送ったのか疑問である。


 「ほら、もう遅いから帰りますよ。

  明日読めばいいじゃ無いですか」

 「……」

 「ダメです。『もーちょっと』は聞きません」

 「うん」


 保護者か何かかと自分に問うが、悲しくなってくるのでやめておく。


 「じゃあ、家まで送りますね」

 「……」


 コクリと頷いたのを確認すると、照のカバンを持ち上げる。

 照はそれを奪い返そうと手を伸ばすが、長身の京太郎には届かない。


 「どうせ今日も借りた本で重いんですから、俺が持ちますよ」


 どちらが言い出したわけでも無い不文律。

 照が本を借りるため、京太郎がカバンを持ってあげることが多い。

 そうなれば当然照は手持ち無沙汰になってしまうわけで、両手の行き先に困っている。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:44:16.91 ID:4sL1ETnso<>
 3/10


 「ほら、行きますよ」

 「……」


 コクリと頷くと、早歩きで京太郎の横に並ぶ。

 手ぶらで歩くと言うのも未だに慣れず、両手を胸の前でモジモジと動かす。

 しかし京太郎はそんなことには気付かず、照の歩幅に合わせて歩いていた。


 「照さん、結局部活には入らなかったんですねぇ」

 「……」

 「俺ですか?

  清澄にはハンドボール部がないから考え中です」

 「……」

 「他のスポーツはなんかしっくり来ないんですよね。

  バスケとかルールの違いで難しいし、足使って運動もしたことないから」

 「……」

 「文系の部活に入ろうかなー。

  そう言えば旧校舎にも部活があるって聞いたっけ」


 京太郎が一人で喋り続け、照は隣を歩くだけだ。

 時々京太郎に目線を向けたり、頷いたりしているので聞いていないわけではないらしい。

 しかし京太郎は意にも介さず一人で喋り続けている。


 「……」

 「なんですか、照さん?」

 「別に……」


 照が俯いてしまったので声を掛けるが、取り付く島もない。

 こうなってしまうのは珍しいことではないので、京太郎も特に気にしない。


 「それじゃ、この辺で大丈夫ですよね。

  照さん、また明日」

 「あっ……」


 いつもの別れの場所までの道のりはやけに遠く感じられた。

 何も変わらない日常。京太郎はいつも照のお世話を焼いている。


 「京、ちゃん……」


 ボソリと呟いた言葉は背中を見せた京太郎には届かない。

 また、伸ばした手も京太郎が気づくことはなかった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:44:46.34 ID:4sL1ETnso<>
 4/10


 ……
 …

 ・宮永家

           :_,.  -─……─-  :
       :
      .:´........................................................\:
   :/.......................|........ト、..............................ヽ:
 : /....................| |...i|........| \...........|....|............
:/.........../ .....|.._|_八......|   \__....|............i:
: ̄ ̄ ̄|...|....| [   \|    \|....|............|:
      :|...|....|┬─┬    ┬─┬ |............|:
      : |...ト..| 乂:::ノ     乂:::ノっ|............|:
    :i|...|....|                 |............|:
     :||...|..人     , _       人.......l..|:    「また、やってしまった……」
      八Λ.....>      _   .   <......../|/
      \|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒>‐-ミ:
      ;/ ̄ |:\ ∧ /  /:::::/  \;
       :/   |:::::::\ ∨_/:::::::::/   ハ:
      :/     \:::::::Χフ:::::::::/
     /        ̄/:Τ:< ̄        ',;
     ;\   |    〈::::∧:::〉       |  /:


 自分の部屋にまで帰ると、カバンを雑に放り投げてベッドに飛び込む。

 先ほどまでの態度が嘘のように口から後悔の言葉が漏れ出してくる。


 「京ちゃん、私のこと嫌いになるかな……」


 ぐぬぬとベッドを叩くも、弾力に弾かれるだけ。

 むしろ拳の握り方も知らない照は若干拳を痛めてしまう。


 「京ちゃん……」


 ーーそう、照は別にコミュ障ではない。

 それこそ高校に入る時の面接やらなんやら、同い年の友達と喋る時にも普通に喋る事は出来る。

 ただ一人、京太郎と喋る時だけあのようになってしまうのだ。


 「どうすればいいんだろう」


 毎日のように一人反省会を開いているが、進展した試しはない。

 照は京太郎に好意を抱いている。ーーそれは間違いない。

 キッカケなんて覚えていない。こんな自分の隣にいてくれただけで十分だった。

 しかし、それを認識したところでどうしていいかわからない。

 とりあえず最初はとにかく嫌われないようにと考えていた事は覚えている。

 その結果ーー


 「まともに、喋れない……」


 何を喋っていいのかわからなくなってしまった。

 一度無口キャラになってしまえばもう引き返せない。

 いきなりキャラを変えたならば不審に思われるに違いないだろう。

 それに、なんで今まで無口キャラだったのか聞かれてしまうかもしれない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:45:15.58 ID:4sL1ETnso<>
 5/10


 「それだけは避けないといけない」


 確実に『変なやつ』認定されるのは間違いない。ーーこの際、すでに思われているかもしれない事は思考の外に置いておく。

 時間がたてば経つほど打ち明けにくくなっていく。

 幸か不幸か、京太郎はとてもコミュニケーション能力が高い。

 照が喋らなくても信じられないほど話題が豊富で、その話は尽きることがない。

 やれ今日はこんなことがあったとか、こんなご飯を食べたとか、些細なことでも話題にしてくれる。

 それに甘えてずっと聞き入っているとまた無口キャラ認定が濃くなっていく。

 自業自得とはいえ、酷い悪循環だった。


 「それに、この前だって」


 照が意を決して一年の教室に向かったことがあった。

 昼食を誘うことによって、自然に会話を引き出そうとしたのだ。

 しかし、その作戦は失敗に終わる。


 ……
 …

 「須賀ってすげーよな。

  あんな無口な宮永先輩とずっと一緒にいられるんだろ?」

 「そうか?

  別にフツーじゃね?」

 「宮永先輩は美人だけど近づきがたいイメージあるしなぁ」

 「まぁ、それはわからなくもない。けどーー」


     /: : : /.: :/: : ::j: :| ト :|.     |: : : :|: :|   _i: :∧: :|i: :
   /: : : : /.: : :|: : : :i: :| |.:/ `ヽ  |: : : |i: :|  '´ |:/  V .|::
  /: : : : : : !: : : :i: : : :|ヾ| , ィ, ニ、ヾ、 .|: : :八/ ,=ヾ,ニ、ヾ、 |::
/: : : : : : : : |.: : :八: : :| 〃 /少iハ ヾ|/ ミ、 /少L心 ヾ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|: : : : |:\{ !  {斗ニ刀:::::::::::::::::::::::::::{斗ニj
.       i: : : : |:::::::ハ  气l∪iリ:::::::::::::::::::::::::::气l∪ikリ
.       l: : : : |:::::::i l{',、 乂Zソ          乂ZZソ
       |: : : : |:::::::j         ,
        |: : : : |:::::::{
        |: : : : |::::::::ヽ      ,ィ⌒ー'⌒ヽ.
        |: : : /|: |:::::::::::> .   `−⌒ ⌒'‐′      . <   「……!?」
       |: : / 乂|:∧:::| 、::::≧=   ___   <---

 …
 ……


 ご覧の有様だ。

 そこから先は聞いていられなくて戦略的撤退を決め込んだ。これは敗走ではない。

 京太郎の友人関係に影響が出るのも嫌だし、京太郎に近づき難い人と思われるのはもっと嫌だ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:45:44.90 ID:4sL1ETnso<>
 6/10


 その件があってから緊急対策委員会(総員1名)を開くも、未だ良い結果が出る事はない。

 ベッドにあるカピバラぬいぐるみを抱きしめる。

 超大型サイズで、京太郎の家のカピバラにそっくりだ。


 「京ちゃんともっとお話ししたい……」

        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!   「よし、おとーさんがアドバイスしてやろう」
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


       -─===‐-ミ
   ´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: \
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :ト、: .: .: .: .:`、
.: .: .: .: .: .: .: .: .|.: .: .: .:| \.: .: .: .: ',
.: .: .: .: .: .: .: : |.: .: .: .:|   \|.: .: : :.
.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:|   -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/  |.: .:八ノ    ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/  ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: |   三 | :::::|  .'.:.::|
.:{    '└─┘    ̄ └‐┘ l.: .:|
人_    u              j.: .:|    「!?」
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_  \|     |/ ハ
  / ヽ >   |    ノ / ∧

 物思いに耽っているところに父親乱入である。最悪だ。


 「な、なに!?」

 「一応言っておくけど、ノックはしたからな。

  返事がないから何かあったのかと思って」

 「えっ」


 どうやら集中しすぎて聞き逃したらしい。


 「米が炊けたって言おうと思ったんだけど」

 「う、うん」

 「ありきたりな話だけどさ。もっと素直になっていいんじゃねーの?」

 「そうかな」

 「言葉にしないとわかんねーもん。

  やりたい事やっとけよ」


 俺みたいになるぞ、と自嘲する。

 少しだけ悲しくなった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:46:13.81 ID:4sL1ETnso<>
 7/10


 ……
 …

 いっぱい話したいことがある。

 例えば、実は照は麻雀がとても強いことだとか。

 別の場所に住んでいるが、妹がいる事だとか。

 好きなお菓子だとか、京太郎に知ってほしいことがいっぱいある。

 いつもいつも話を聞いてばかりで、京太郎のことは詳しくなれた。

 しかし、今度は自分のことを知ってほしいのだ。


           . :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ` 、
         . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
        ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
.       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :′
.        /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ′
.       ∧: : :.i.: : : : : | : : : : i|: : : : : : : : :.:|: : : 、 : : : : : : : i
     /_\ |: : :.|: : | : : : : i|: : : : : : : : :.:|: :| :ハ: l : : |i : |
    ./: : :,イ: :'|: : :.|: :_|_: : : : il: : : : : :ト、: :.:| }/_, ∨: : :|i : |
   /: :/' |: :l|: : :.|_l: |__ x、八.: : : : :| \} '",,_ i´) : :|i : |
  .//   |: 八: : | 乂_弋ツ>\: : :|<弋ツ.ノ .:::∧: リ.: :|
  ′    |: : : \|:ハ::::::: ̄:::::::::::: \{:::::::: ̄´:::::::/: ::∨: : |
        |l: : : : : : λ       ,        ハ: : : : : : :|
        i|: : : : : : :込、   __   __,.   ,イ: ! : : :、 : :|     「今日、やる」
       __|: : : : : : : : :|__,.    ー‐ ´  ./|:|: : : : : ハ: :|
-‐= '      |: : :.l| : : : : | .::/>       . イ.>|: : |: : :/ ‐ :|
          |l : :八: : : : |.:::′          /:::::|: /|: :/_   '}
        八:/  \: : |:::|-- 、     --/ .:::::|:/ |:/
               \|:::ト-========イ    }' .ノ'

 決意を新たに図書室に入っていく。

 受付の図書委員の子にビビられた。失礼な。


 こうして京太郎を待っていると、彼は必ず来てくれる。

 一体授業が終わった後に何をしているのかわからないけれど、最後は必ず図書室を覗いてくれるのだ。

 それがとても嬉しくて、約束したわけでもないのに図書室で待っている。

 そう、今日だって同じだ。

 彼は絶対にーー


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //    「まーた、遅くまで帰らないつもりですか?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 ーー来てくれるんだ
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:46:43.53 ID:4sL1ETnso<>
 8/10


 「は、早い」

 「ああ、今日はちょっと部活の体験入部しなかったんで……。

  先に図書室覗いたら照さんがいたので、一声かけようかなと」

 「あ、あの」

 「?」

 「……かえ、ろ?」

 「今日は早いんですね。

  送りますよ」


 ーーダメだ。これを『会話』と言うのは無理がある。

 もうちょっと、もう少しだけ進展したい。


 「カバン、持ちますよ。

  今日も借りたんじゃないですか?」

 「……!」


 ふと、思いついたことがある。

 それは小さい頃からの夢で、実は最近も悩んでいて、ずっと考えていたことだった。


 「今日は、大丈夫」

 「?」

 「何も借りていない」

 「へ、そうなんですか?

  珍しいですね」

 「う、うん。だから、ね?」


                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、
            /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
           /: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
          , : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Y : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/    「京ちゃんの片手、空いたよ」
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:47:13.01 ID:4sL1ETnso<>
 9/10


                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ     「ーーー!?」
                   、 └―┘ ィ/∨
                  「¨>-- rく「 ̄ }
             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}
                {/{////// \∧ r'  ヽ }' {///////
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     ′  ./ .:::::/ .::::::/::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::. : ::::. ハ:::::: i
     ′:. / ::::/ :::::::/:::::::::/ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::, :::::::: i::::: |
.    /:::::::: ′.:::/:::::::::/:::::::::/:从:::::::::::::::::::::::::::::::::::::. . ...i:::::.i
   /::::::::::′:::::′  .′:::/:i:::i::i::::::::::::::::::::::::::    ...::::::::|::: :|
.  /::::::::::::i::i::::::i:::::::::.i  从:: i::i  ::::  .::::::::::::::::::::::::::i:::::i::::::i
.  /:::::::/.i::i::::::i::::::::::i:::::::i::::i:::i:::i::::::::i:::::::::::::::::::::::::::i::::::i:::::i::::::i   「ダメ?」
 /:::/  |::i:::::i:::::::::i:i::::::i:i::i:::i::::i::::::::l:::::::::::::::::::::::::::l:::::i::::::l:::::i
.//    ヾi:::::i:::::::i:i:i:::::i:i:::i::|:::::i::::::::i'::::::i::::::::::::::::::′i:::::/:::::i
.´     少:::::::',:::::l:i::i:::::i:゙、ト:|::::ヘ:::::::i:'::::|:゙::::::::::::/i::/i::/::::::::i\
    /  |::::::::::、:ハ ヾ:i  、.i   ヘ::::i::',::i ゙、:::::/ iノ. i/::::i:::::i  \
  /   |::::::::::ハ ヾ ゞ.    ,丶i ゙:j  ヘ/ / 厶::::ハ:::i    丶
 ∧ヾ   |:::::::/    ヽ.、   ._ ヾ.,    イ   /::/i::::′      ゝ_
../ ∧ヽ.  |::::/.      i > _  ̄ . r  ./.  // i:/         /.:/i_
.i  ∧ヽ  |:/       丶    ̄    /  /  レ         /.:// ヽ


 答えが怖くて、俯いてしまう。

 いきなりこの要求はハードルが高かったかもしれない。

 でも、毎日思っていたことなのだ。

 京太郎が自分のカバンと照のカバンを持ってしまえば、両手がふさがる。

 肩にかけても安定のために持っていなければいけない。

 そして照は、両手が空いている。

 いつもいつも、寂しく自分の両手を繋いでいた。

 でも、京太郎の片手が空いているならばーー
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/27(日) 01:47:42.16 ID:4sL1ETnso<>
 10/10


             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`
       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /   「い、行きますか」
         |' ,} \__/イ__ /
         //////////∧
        _,.{///////////|
     -=≦//////|////////≧=-- 、_
  r≦//////////////////////////////ヽ
  |//l///////////|///////////////////∧
  |/∧//////////l|///////////////|/////}
  |//∧/////////l|///////////////|/////|
  |///∧////////l|///////////////|/////|
  |//// }////////l!///////////////}/////}


               /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           /: : :/ : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : : : ヽ
             /: : :/: : : : : : : :./|: : : : : :| : : : : : : :ヽ : : :.
         /: : : i: : : : : : : |: | |: : : : : :|ヽ:.:i: : : : : :i : : i
            ′: : :|: : :i.: : :./|: | |: : : : : :| i:.|: : : |: :.| : : |
          / : : : : |: : :|:|i: :|‐|‐ト: : : :|i:斗‐|┼: i:.|: :.| : : |
.         /: : :/|八 : |八 |_.レ'.._|: : :八/__.}/∨}/: : | : : |
        厶イ  |: : ヽ{{ 午不か}/  午示下}.: : :| : : |
           |: : : :| 弋__ソ       弋__ソ  レ': : : |
           |: : : :|ハ                /| : : : : |   「ーーうんっ!」
           |: : : :|ヽ} ///   '   ///  /´| : : : : |
           |: : : :|: :人    _    /.: :.| : : : : |
           |: /i: |: |: : `: :._     ィ: : i: : :.| : :i.: :.|
           {/.人{: |/}: :厂}   ー  .{ア}_l_: : |: : i :. ′
            ,. -‐乂¨ ̄{¨       ¨}   ¨八/}/
          r<. 、       |          |        >、
       /   \\      |          |    //  \


 彼から差し出された手のひらを握る。

 恋人つなぎとはいかないけれど、しっかりと手は繋ぐことが出来た。

 これでもう、手持ち無沙汰じゃない。


 その日の帰り道はいつもと違い、京太郎が話しかけてくることはなかった。

 でも、飽きることはなく黙って歩いた。

 ずっとこの時間が続けばいいのに、そう思って歩いた。


 ふと、俯いていた顔を見上げてみた。

 どうやら京太郎も顔を逸らしていたようだ。


 そんなことにすら気づかなかったけれど、よく見ればーー

 ーーなんだ、彼も夕日のせいか、顔が赤くなっている


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/27(日) 01:48:10.83 ID:4sL1ETnso<> てるてると咲ちゃんトレードのリクがあったのでこんな感じでいいかな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 01:48:51.20 ID:pyBYupf7o<> 乙
テルーかわいいなあもう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 01:54:51.45 ID:vK43e0Cxo<> 乙
ラブリーテッル <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 07:44:31.92 ID:aJ09/SRNO<> 乙です
テルー可愛い! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 08:44:18.62 ID:trzkFb3jo<> 乙
その頃の咲はコンクリートジャングルでどうなっているんだろうか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 09:02:09.77 ID:g1hVSkqho<> 咲さんは道に迷ってアラサールートに入るやろなぁ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 17:55:52.46 ID:klcaYEeFo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/27(日) 20:58:37.75 ID:FRAGdo550<> >660
人生の道に迷ったのか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/29(火) 21:46:03.48 ID:nlk87HmFo<> 乙です
京照最高や <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/30(水) 01:12:14.78 ID:HGTTNr6/0<> 乙!
咲…アラフォールート不可避とは哀れな…
ま、それはそうとやっぱり京照はNo.1やなって <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/30(水) 09:48:05.68 ID:w7/m+6pc0<> や京照N1 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:09:54.34 ID:y4QCiZAwo<>
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 453
 【ハロウィン】-みやながけ次元-


 「なんか大々的にやってるなぁ」

 「みんなイベント好きだからね」


 京ちゃんが帰宅して、夕飯を済ませる。

 今日は珍しく早く帰って来れたみたいだから私も嬉しい。

 そして今日はハロウィンだ。

 今更ハロウィンだからとイベントごとにはしゃぐ年でもないけれど、世間一般は違うらしい。


 「駅前でハロウィンパーティーやってるところもあるらしいよ」

 「そーいえば帰る時に電車に仮装姿の人がいたなぁ」

 「そーなの?

  どんな人がいた?」

 「ドラクエ5の主人公とか」

 「それはハロウィン関係ないでしょ!?」

 「俺に言われてもなぁ」


 ハロウィンだけでなく、クリスマスやお正月も含めてイベントならばなんでもいいのだろう。

 私と京ちゃんはそこまでイベントに拘りがある方ではないので、ハロウィンは大人しくしている。

 ま、まぁ、クリスマスとかはたまに頑張っちゃうんだけど。


 「たまに早く帰れるってのもいいなぁ」

 「もー、いつも残業ばっかりじゃ大変でしょ」

 「そうは言っても、一般サラリーマンじゃこんなもんだよ。

  照さんみたいに一般人とはかけ離れていりゃ違うかもしれないけど」

 「お姉ちゃんかぁ」


 そう。我が家には一般人からかけ離れているアイドルが二人いる。

 一人は私のお姉ちゃんである宮永照と、私のお母さんだ。

 お姉ちゃんは現役で日本ランカーの麻雀プロだし、お母さんは元麻雀プロ。

 今はなんやかんやしつつよくわからない仕事をしているらしい。


 「照さんならお菓子が欲しくてイタズラしてきたりしてな」

 「もー、いくらお姉ちゃんでももうアラサーなんだよ?

  まさかそんなことしてくるわけないじゃん」

 「それもそうか」


 だいたい、お姉ちゃんの収入ならお菓子くらい買えるもんね。

 もっとも、買ってきたお菓子は私が管理するんだけどさ。

 だってお姉ちゃんに任せたら不摂生な生活を送っちゃうし……。

 もー、お姉ちゃん。いい年なんだからご飯の代わりにお菓子なんて食べてたら体調崩すよ?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:10:23.76 ID:y4QCiZAwo<>
 2/10


 「でも、子供たちにはいろんなイベントを経験させたほうがいいよなぁ?」

 「そだね。

  なんかおとーさんが企んでるみたいだから期待していいんじゃない?」

 「お、そうなのか?

  じゃあお菓子を用意しないとな」

 「はい、コレ。

  私が準備しといたから何かしてきたら渡して」

 「サンキュー咲!」


 今日は早めに帰宅したおとーさんが子供達を連れてどこかに行った。

 おとーさんの性格からして、何か企んでいるに違いない。

 とりあえず親としてちゃんと対応してあげないとね。

 あ、おとーさんまで仮装してたら張り倒すけどね!


 「パパ!」

 「ママ!」

 「お、噂をすれば……」


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    V:::| |         \:::::ス<、::::::::::::, ン::::::::/     ./ /:::::::::::::: :/    「トリックオアトリート!!」
     V::{ l           ` >:::::ヽ::::::/:::-ハ、      / /::::::::::: ::::/
      ヽ:ヽヽ       /^r‐/ ̄`l‐¬< ̄ ̄ヽ   / /::::::::::: ::::/
       、:\\     rl  |/ l:  | ,  ヽ.    >_./ /::::::::::::::/
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     l ̄:| ト、 \\\.l/  |    /   レ´/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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,,:‐レリ    _       ̄ /    「わぁお……」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
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 ちょっと待ってどこから用意したの!?
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:10:53.24 ID:y4QCiZAwo<>
 3/10


 「おとーさん!

  どこでこんなの用意したの!」


 息子がつけているのは、確か和ちゃんが好きだったアニメの衣装だったかな?

 子供向けのサイズではないのでダボダボで、衣装を引きずって歩いている。


 「いや、ほら?

  孫が欲しがってたら買ってあげたくなるというか」

 「もー!

  そうやって小さい頃から欲しいものをあげてちゃダメって言ったでしょ!」

 「そ、そんなに高くなかったし」

 「大体これ、普段どー使うの……」


 私が呆れながらおとーさんに説教をしている横で、京ちゃんは息子の頭を撫でている。

 正確には仮面を撫でているんだけれど……。


 「まぁまぁ、咲。

  たまにはいーじゃんか」

 「さっすが、京ちゃんは話が分かる!」

 「二人がそうやってだだ甘だから私が怒ってるんだよ!」

 「とりあえず、イタズラされちゃかなわないからお菓子なー」

 「わーい!」

 「大体これどこに仕舞えばいいと思って……って聞いてるの!?」


 私が説教している間にハロウィン用のお菓子詰め合わせを渡す京ちゃん。

 買ってしまったものは仕方ないけれど、次も同じようなことをしないように注意しないと。

 全く、誰が家の掃除をすると思ってるのさ。


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             { /:::::/:::::/i{  |{ ̄~|圦:::; i/ j/-j::::/:::|::::::il::: |l
                /7::::i::::/ ィ 弌ト、.   乂/'-/=ミ::/ j::i:::::::|l::::リ
          _ / |{::::ト::{〈 ら:::::::}`     ´んぅト/ /!::::::リ::/
.               八:::|从とつー '        ら::::/ 〉 ::::;:イ:::{
              >、 } 〃〃   ,   ` ーrっ// ノ::八    「……うー」
                 /⌒              〃〃/}_rくノ )}
             /::::::::::/\   ^ ` 〜 、    / >=へ
                {:::::从:{   >        _  < /:i:::::::::::ヽ
                  ゝ:::(八    _}>-=≦/{_    {八::::::::ハ::}ト
                   /i |   `>/::::\    }::/ レ'
              ---=ニ¨:::::::い  / '::::::::::入   ´
       __  /      i:::::::::ヾ/ ':::::::::::/  `ヽ


 はしゃいでいる息子の横で壁に隠れている娘の姿を見つけた。

 でも、なんだか様子がおかしい。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:11:21.85 ID:y4QCiZAwo<>
 4/10


        ,. . . -――- . . .、
      ,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
    ./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
   /: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ
   /. . . . . . . .    / l: : : : : ト、 : : : : : :.
  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
  ,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :!  ',: : :l: : : : :.
  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
  !: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ  l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
  ',: : f⌒\{  {l   l}    {l  l}Y : 、 : : !
  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :} \ノ
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ      「あれっ?」
    ヽ{\ : : _      ̄   ,, ''
       `^≧|   ┬ァiフ¨
      ///∧   Kヽ、
     //////∧    }//> , 、
    / \//////∧ー―l///// }


 娘の方は仮装していないみたい。

 しかもなんだか涙目だ。どうしたんだろう?


 「あー、なんでもいいって言ったのに恥ずかしがってさー」

 「もー、お兄ちゃんが買ってもらってるんだからそんなこと気にしなくていいのに」


 今更後悔しているのか泣きそうだ。

 とりあえず抱っこしてあげようと手を広げるが、逃げられてしまう。


 「えっ?」

 「『仮装してトリックオアトリート』って教えたから、仮装してないとお菓子貰えないと思ってるんじゃないか?」

 「そんなこと気にしなくていいのに」


 それでもお菓子は欲しいのか、京ちゃんの手元のお菓子袋に目が移っている。

 普通にあげてもいいんだけれど、本人が遠慮してしまっている。

 どーしようかな……。


 「……よしっ」

 「京ちゃん?」

 「咲、これ持っててくれ」

 「う、うん?」

 「ほら、ちょっとあっち行くぞー」


 お菓子袋を受け取ると、京ちゃんは涙目の娘を抱っこして別の部屋に行ってしまった。

 なんだかニヤニヤと笑っていたから、何か企んでいる気がする。

 でも、京ちゃんのことだし放っておいても大丈夫かな?


 「ちなみにおとーさん、お姉ちゃんは知らない?」

 「え、知らないぞ?

  咲、かーさんは?」

 「……さっき迷子になったから今日はホテルに泊まるって連絡が来たよ」

 「そうか……」


 あ、おとーさんの目が死んでる。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:11:50.87 ID:y4QCiZAwo<>
 5/10


 ……
 …


                  ____
              ,. : :´: : : : : : : : : :` : : 、
           , : ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : \
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         /: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : ヽ: : : : : ::ヽ
       :': : : : : /: /: /: :|: : : |: : : : : : : : ∨: : : : : .
        ' : : : : : ': :/: :.| : ||: |: :|: |: : :| : : : : V: : : : : :   ←娘
     /: : :,.:: :|:_:|__|:_ノ| : ||: |、|: |: : :|: | : : : | : : : : : |
      /: ィ/|: : |: :|从:{∧: :|}/|:ゝ、_:/:.:| : : : | : : : : : |
       l' |: : :V:,イて雫ミ:{ 从{/:_イ: :/|: : : :, : : : : l: |
        |: : ,:从{cVり \  イて雫V}: : :/-、: : /}/
        |: :ハ: { ""  ,     Vzりつ': :/ }) }: /
        |/  }:人          ムイ- く:/     「……と、とりっくおあとりーと?」
          '      ヽ::っ     イ: :/{∨
                `   . __ .  ´  |/}'
                 /}    /⌒\
               /.../  /..................\


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         ,. : : : : : : : : : : : : : : .、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
       .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、
      ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ   ←咲
     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.
     .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、: : :.
     {: : ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}: : l: 、
     |: :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /): :|: : |、: :.
     |:∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ{∧:|:|: : | \〉
     }'  、: : : : : : : : : : : : : : : : l: / Y/∧: :!
       ∨:、: : : : : : : : : : : : :/イ  u |/  ∨    「!?」
          }:/\:|: : : : : : : : /    人
          /   -从-----イ{     イ
     _,.::―/:::::::::::::::::::::::::::≧≦--r---、
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.   i  /     |  | |       |  | |、 i  ゙、 、 \_     _>
   |  i   | i  |  | |       |  ハ ハ _i!_ i   \ ヽ` ̄ ̄
   |  |   |+--|、_|! |   | i! ,/.ィ'|"i´ ハ  | i  ヾ 、 ヽ
   |  |   |.|ヽ |、_|王!ー  |./i .;"´/=、!/ | ! |   \ 、i      人
.   !. r|   i.|、!,,ィ'":::._iミi!  |/ /彳:::: r:!ヽ,| ,イ | 、_   \      `Y´
.   | |^!.  N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ
    ! | i、i、 ゙、  ` ̄ ̄   メ(        /^|イ `、|
   ノi \ヾi:.、、         i!      i ノリ   `
    |  ヽ__i                 |イ|/
    ヽ i、  i    ____....,     |/    「ドヤァ!」
      ヽ!、  i\   `ー-- ―'´  /、!
       i !i 、 \     ̄´  /!/       人
         |ハ,i、! 、 \      / ./.|       `Y´
         ト、! ゙、  `ー---'′ /|V


 ーーそこには、学生時代の私の制服を着た娘がいた。

 もちろん、サイズはダボダボだし、髪の毛をショートに見せるために無理をしている。

 しかし、まるで鏡を見ているかのような感覚すら覚えた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:12:20.38 ID:y4QCiZAwo<>
 6/10


 「うー」

 「ほら、咲」

 「あ、そうだ。

  はい、おかし食べていいよ」

 「!」


 仮装というよりコスプレ、……いや、コスプレと言っても無理があるけれど娘を納得させるためだったんだろう。

 『お母さんの真似』なんて言って、こんな無理な格好をさせちゃって……。

 でも、自分にそっくりな娘を見たことがなんだか嬉しくて、そんなことを考える気にもなれなかった。

 それに、仮装なんかしなくたってお菓子はあげるつもりだったしね。


 「驚かせればいいんだよ、って言ってさ。

  納得してくれたみたいだ」

 「もー、すっごく驚いたんだからね」

 「俺も驚いたよ。

  ほんと咲そっくりだな。京ちゃんナイスだ」

 「俺は咲の小さい頃まではわからないんですけど、やっぱり?」

 「おう、小さい頃の泣き虫咲そっくりだ」

 「おとーさん、誰のせいで泣いてたと思ってるの?」

 「マジごめんなさい」


 ーーまぁ、私が泣かされてたことをこういう冗談にできるくらいにはなったということで。

 特別に、許してあげようかな。


                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Yィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/    「ま、これにて一件落着ってとこかな?」
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、

        ,. : : ―――-- 、
       /: : : : : : : : : : : : : ヽ、
        .': : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
     /: ,: : : : :{: |: : ,:l: : |: : }: : : : :,
     .': :.|: : :|: :/_j:_/:.!: : |-/、: : : : : :.
     {: : |: : :|イ} }:/}/|: /}/ }:ハ:| : {、: :.
     |: : :、 : 从ィ斧  /  イ斧Y:{: | ヾ}
     |∧: r从:{ Vり     Vリ |∧{
       Y、 \ :.:.:.:  '   :. 八 リ    「もう、京ちゃんったら……」
       ヽ}`ー、   ` ´  イ
          从}≧=-- く
      ,-r―--イ}     |::〉--―、:、
      / {、::、::::::〈___/::/イ   ヾ


 ーーいや、ちょっと待って
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:12:49.22 ID:y4QCiZAwo<>
 7/10


                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
            /                         /
              / {         ニニ二三三二ニニ       /
          /  \     ニ二二三三三二二ニ    /  イ
            /\_ \ ___   ニニ二三三二ニニ   ∠ イ |
        /  ,ィ   ̄ ̄三三|:ニニ三王 三l 三|ニニニ= | | |
.        厶イ |  i  二| 三トニ二三ト、三ト、 ト、ニニ= | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、ニ王ニ{{ o }}ニ=  | !    「それはそうと、女の子のタンスを勝手に漁ったのは許さないよ?」
                 |  ト、圦乂| 乂| \{ \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´
               -=ニ`ト .    −    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人    「き、緊急避難ってことで」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
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        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!    「まぁ、制服プレイはするよな。な、京ちゃん」
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


 ーーおとーさんは締め落としました
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:13:18.80 ID:y4QCiZAwo<>
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 ……
 …

 なんだかんだで咲に怒られて、許してもらった。

 子供には小さな頃からいろんな経験をさせるべきらしい。

 それはクリスマスであったり、今回みたいなハロウィンであったり。

 アニメや映画を見ないで育てば、感受性が育たないらしい。

 そうはなって欲しくないから、これからは可能な限りイベントを企画しようかな。


 ーーなーんて、考えていた時だった。


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 やけに顔を赤くした照さんに息を吹きかけられた。

 あまりに驚いて声をあげそうになるが、照さんの手に遮られる。


 「こんな夜中に大声を出しちゃだめ」

 「いや、なんでそんなにーー」


 距離が近いんですか。そう言おうと思った時にはもっと接近されてしまった。

 まるで首筋を舐めるかのように抱きつかれている。

 抱きつく、というよりは疲れ果ててのしかかられている感じだ。


 「……酒飲んだんですね?」

 「ハロウィンのテレビで」

 「飲めないって言わなきゃダメじゃないですか……」


 照さんはお酒に弱い。前後不覚になってしまうようだ。

 ビールのような苦いアルコールは一切ダメだが、甘いジュースのようなアルコールは飲める。

 今日も仕事の都合で少し飲んだんだろう。


 「今日はハロウィンだね」

 「そうですね」


 お菓子をもらえるなんてイベント、照さんが見逃すはずがない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:13:47.65 ID:y4QCiZAwo<>
 9/10


 「トリックオアトリート」

 「あー、ごめんなさい。

  子供達にお菓子をあげちゃったから余ってないんですよ」

 「……そう」


 照さんは黙り込んでしまう。

 あー、明日お菓子を買って帰らなきゃダメかな。

 しかし照さんは、今までに見たことがないような妖艶な笑みを浮かべていた。


 「じゃあ、イタズラしなきゃいけないね」

 「……?」

 「ん、京ちゃん」


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从 : : ∧: : :| }'    \       ,ィ-く       く
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  |     \ /       `<
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  |   , -/       ,. <>´/⌒,ム
  |   /      ,. <> ´ イ     マム
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 ィ介ヽー― ´> ´イ:.:.:.:.:.:./        ∨}


 そう言って照さんは、どこからともなくポッキーを取り出した。

 それを咥えると、もう片方を俺に差し出してーー


 「ん」

 「いや、ダメですよ!?」

 「イタズラ……」


 どうやら完全に酔っているようだ。

 結構強引な感じで体に乗りかかってくる。

 これは、非常にまずい!


 何より、後ろから殺気がするのがーー!!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/11/30(水) 22:15:04.26 ID:y4QCiZAwo<>
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           ゝ     ´`      イ}: /}'    「おい」
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    .'  |八 :\\__| .!>  __ . イ´ 、__フ‐<ヽ.: :| \:|    「えへへー、京ちゃん犯し!」
.     .′ V.rヽ _|___       |   /_〔 ̄ | V    〕
        //.へ`ー-:.、Υ   八      l  |
        |{/´ ̄〕    !、___/ヽ    /' \
.         八   '′   l    /  ∧  〈 、   \
      /   \    .'.  /   /_   ∨´   \
     / -‐== /   ∧  / /   :_   :./⌒ヽ. >
    \............./    =- V / -‐=':._    ∨ヽ__/
      Υ⌒/    .′.:〔二〕´     :._    V´/
      |ニ/    :   ∧〔\    八    ∨
      |_V      .! :/ N'  \    个:、_/


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/11/30(水) 22:15:32.79 ID:y4QCiZAwo<> ほのぼの宮永家 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/30(水) 23:38:04.78 ID:b7UUqM0q0<> 超すばら!!! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sagesaga<>2016/11/30(水) 23:38:40.13 ID:LvOzihbA0<> 乙。

一応ほのぼの?(一部除く)


で、京の旦那は咲ちゃんに悪戯(意味深)したのかな?

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/30(水) 23:51:08.23 ID:+RNeyIvzo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/11/30(水) 23:57:51.77 ID:Ss3i7h/ho<> そろそろ原点回帰もいいよね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/01(木) 01:58:03.00 ID:cr1gYWqN0<> 乙です
や京咲N1! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/01(木) 02:44:01.93 ID:8d6DS5PP0<> 乙
イタズラする松実姉妹とか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/12/01(木) 21:12:05.76 ID:He+Q62TDO<> 乙です。

仮装で仮装大賞思い出したから年始にそれ見て子供が出たいと言い出す話とか。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/05(月) 00:18:47.26 ID:wYQlzVWM0<> 咲がスク水とネコミミが似合うアラフォー実家暮らしの仮装をする? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/05(月) 17:21:18.79 ID:/hdTOtmP0<> ああ^〜 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:48:24.70 ID:kFyDAuQpo<>
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 【衣おねーちゃん参上!】-お金持ち次元-


 ある日、龍門渕高校に激震が走った。

 それは京太郎からの一通のメールが原因だった。


 『透華姉さん。うちも女子団体戦に出られそうだよ。

  これでそっちとはライバル関係だな!』

 「……な、なんですって!?」


 驚愕する。清澄高校の女子麻雀部は廃部寸前だったはずだ。

 京太郎には悪いが、京太郎が全国に来ることはないと思っていた。

 約束は覚えている。『全国で姉たちと麻雀をする』と言っていた。

 しかし現実は甘いものではない。麻雀慣れしていない京太郎が全国に来るのは不可能だと思っていた。

 個人的に龍門渕の付き添いで連れて行くくらいならば構わないかーーそうタカを括っていた。


 そう、今年の夏は『他の姉二人』に振り回されないと思っていたのだ。

 自分のいないところであの二人が京太郎と接近する。考えるだけで恐ろしい。

 おそらくは全国大会の会場でR-18展開が行われ、ついにこのスレもR-18板へ移動となってしまうだろう。


 ーーだからこそ、京太郎が全国に行く確率が可能な限り低いことに安心していたのだ。


 「ハギヨシ」

 「はっ」

 「今すぐ清澄の女子部員を調べなさい!」

 「畏まりました」


 いや、落ち着け。

 深呼吸を一つして、ハギヨシに指令を出す。

 京太郎の恐ろしいコミュ力で女子麻雀部員を連れてきたとしても、精々人数合わせが関の山だ。


 「この龍門渕透華率いる龍門渕高校を破って全国に行けるはずがありませんわ!」


 自分の強さには自信があるし、切り札もある。

 万に一つだって可能性はないはずだ。

 ーーだが、万に一つなくても那由他の彼方に一つの可能性があるならば


 「それだけは、防ぐ必要がありますわ!」


 絶対に、阻止しなければならないのである。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:48:53.80 ID:kFyDAuQpo<>
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 ……
 …


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         | !ノi::::::i::!:|.ャ伝テ、:けメ、迂テァ∧|::::|
           |::!::|:::!ハ      iハj   iイ /|:::!:!   「入部したのはインターミドルチャンピオンの原村和。
.              |ハ|::|:ト、!       ;      !ノ::|::ハ:!
           | !ハ!ハ丶 u  ′   /::::/レ' リ    宮永照の妹の宮永咲、こちらは元プロの娘だそうです」
             | ′ iヘ丶 `  ̄´ イ:/レ′
                 )|__\_/__K
               /:L_\ /_/\
           ,...-イ::::::∧  ̄7::!< ̄ /:i:::::\-、
    __,...-‐':´:::::::/::::::::i::::i  /:::||:::、 /::::i:::::::::丶::`ー-..、
   /::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::i /::::| |::::Y:::::::|::::::::::::゙、:::::::::::::`:::...、
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       /丶  _//∧      l'⌒ヽ-、_
      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧    「どうしてこうなった……」
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l


 ハギヨシが一晩でやってくれました。

 思わず普段の畏まった口調すら崩れてしまうほどに動揺する。


 「な、なんでそんな漫画みたいな展開になってるんですの!?」

 「そこまでは……」

 「それに宮永咲といえば、京太郎のお友達と聞いていました。

  まさか麻雀ができるなんて思いもしませんでしたわ」

 「以前お嬢様にお伝えした内容は宮永咲の性格ですので……。

  過去や家族構成まで調べてみると麻雀の申し子としか言えません」

 「なんで! 京太郎が! 入部した時に限って!

  そんな展開になるんですのー!?」

 「須賀様も何かを引き寄せる力を持っているのかもしれませんね」


 とりあえず状況は最悪らしい。

 自信はある。しかし相手もまた強者だ。

 原村和には幾度となく煮え湯を飲まされているし、『あの宮永照の妹』となれば警戒せざるを得ない。

 一体どうすればーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:49:22.31 ID:kFyDAuQpo<>
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          Z::::::|  ./:::::::::/
          ∨::::|  /::::::/
          _.. -‐∨:「 7:::/-.、
      /  x≦Y/;.くx    \
    ./   ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`    ヽ
   ./    /  /           ハ
   //    !  ハ   | ト.  ハ ヽ   ',
  i,イ / / |r‐ T!   |!TT ヽ i!  !  !
  { | |! |イハ .ハ   ト、!ヘ  `ト} |  |
   ! i! | |.,イ乞ぅヘ  { ィ乞ぅxリ .,'   !
   ト从 N《 う:::r} `ーヽう::::r} 》イ   !    「騒がしいな」
   |  \{_.乂zン      乂zン ||   ∧
   l   圦      '       .小    ∧
  ./   /'  \   ‐   . イ |∧    ∧
  /   /      `ト  -‐ .i´  i! i! ∧    ∧
. /   /    /^ ァ v ャ ^\ i! |./ ∧    ∧

 「……衣?」

 「透華。どうしてそんなに焦っているのだ?」


 視線を下ろしてみれば、そこには金髪の少女がいた。

 その体格の小ささに似合わず、同等とした立ち振る舞い。


 「そ、そうですわ。

  龍門渕高校には衣がいますわ。何も焦る必要はありませんわ!」

 「透華、だから説明を……」

 「いえ、大したことではありませんわ。

  衣のライバルが出て来るかもしれない、それだけですわ」

 「ほう……」

 「衣、京太郎のためにも決して負けられませんことよ」


     /       |  | __/_」ト.   i! ハ_   .! i! |  |   ',
      i   !   || |/「 /  Z   W´ヽ  ̄`トハ i!   !   |
      |  | |  ||ヘ. W  ヽ ヘ  !  ´ }  /!| | |  !|   i!
      |  | |  ||  x≠≡ミ  \ { x≠≡ミxリ }!|  リ / |
      |  | |  |i! 〃ん::::::ハ   `\ん::::::ハヾ. ,リ / i!  i!
     Y i!ト、 从《 う:::::::oリ     う:::::::oリ 》//   |   |
       Zハ`ト、ヘ. マZン      マZZン /イ   .!  i!
         }从八 `トヽ xxx        xxx   /    |   ∧
      /   iト、{      r:::7 ̄ ̄ !    /{     |   ∧    「京太郎が来るのか!?」
       /    |! 人      ∨   ノ    ,イ |    |   ∧
      ./    i!/  > .   ` ー ´  _ イ | |    |    ∧
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 『京太郎』の名前を聞いた途端、花が咲くような笑顔を見せる。

 見た目相応の子供らしさとも言えるだろうか。

 透華は内心、『かわいいなちくしょう』と思いつつも咳を一つして表情には出さない。


 「京太郎も麻雀を始めたそうですわ」

 「ほう、衣『おねーちゃん』に対抗するつもりか?

  生意気な『弟』だ」


 ニヤリと笑みを浮かべ、『おねーちゃん』と『弟』という単語を強調して発声する。

 衣は高校二年生。京太郎は高校一年生。

 決して埋めようのない差が存在する。

 どんなに京太郎が大きくなろうとも、衣の背丈が変わらないとしても、衣が姉であることには変わりがないのだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:49:51.72 ID:kFyDAuQpo<>
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 ……
 …

 2年前の話だ。

 京太郎と透華は同じ長野住まいと言うこともあって気軽に交流できる。

 その辺りは他二人の姉よりも優れている。

 最も、その二人の姉も頻繁に長野に来るので油断はできないのだが。

 この日は京太郎を龍門渕に招いて世間話などをしていた。


 「透華姉さん、社交界って面倒だよなぁ」

 「そんなことを言っているといい男になれませんことよ。

  清濁飲み干してこその大人ですわ」

 「難しいこと言われてもわからないよ。

  挨拶周りも面倒だし。

  あ、でも菫姉さんと智葉姉さんに会えるのは嬉しいかも」

 「……本人の前では言ってはいけませんわ」

 「なんで?」


 天然タラシ、というには子供っぽい部分が多い。

 そんな京太郎でも、あの二人にとっては何かの琴線に触れたらしく、ベタ惚れの様子。

 一度惚れてしまえば理由なんて関係ないのだろうが、その辺りの機微は透華にはよくわからなかった。

 とりあえず、その発言をしたら最後、ホテルに連れ込まれてもう帰ってこれないことだけはわかった。


 「……あ、透華姉さん。

  こんなところに子供がいるよ」

 「えっ?」

 「俺もあれくらいの時から連れてこられてさぁ。

  やっぱり面倒だったなー」

 「……衣!?」


 そこにいたのは天江衣。透華の親戚だ。

 やんごとなき事情で龍門渕で引き取り、幽閉されている。

 京太郎と引き離す意図はなかったのだが、自分の父があんな少女を幽閉していると言う事実を教えたくなかった。

 そんな気持ちからこれまで京太郎と衣が出会うことはなかった。


 「子供ではない!」

 「へっ?」

 「子供ではない、衣だ!」


 京太郎の発言に気がついたのか、気づけば怒りながらこちらに走ってきていた。

 衣は子供扱いされることを極端に嫌う。

 それは本人の容姿であり、過去が原因であるのだが京太郎にそんなことがわかるはずもない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:50:21.16 ID:kFyDAuQpo<>
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 「透華姉さん。この子は?」

 「子供ではないと……」

 「京太郎。衣は私と同い年ですわ」

 「……えっ!?」

 「なぜ驚くのだ!」

 「だって、さぁ?」


 京太郎は同年代の男子の中でも長身に当たる。

 対して目の前の少女は非常にちんまい。腰をかがめなければ見下ろす形になってしまう。


 「トーカ、この無礼者は何だ!」

 「私の弟分ですわ」

 「なんかこそばゆいな」


 京太郎は何だか恥ずかしそうに頬を掻いている。そんな京太郎を見て透華も何だか恥ずかしくなってしまった。

 それを隠すように京太郎から目を背けると、衣に向き直る。


 「衣にとっても弟のようなものですわ。

  良かったら仲良くしてあげてくださいな」

 「ふん、無礼者に語る礼などない」

 「うーん……」


 透華としては衣と京太郎に仲良くしてほしい。

 衣は事情があって幽閉されている。透華としては何とかしてあげたいものだが、こればかりはどうにもならない。

 今は屋敷に友人を集めることによって衣の相手をさせている。

 京太郎もその一人になってもらえればと思ったのだが、肝心の衣がヘソを曲げてしまった。


 「京太郎様」

 「ハギヨシさん!?

  ど、どこから」

 「少しお耳を」

 「はい。

  つーか様付けとかやめてくださいよ……」


 どこからともなくハギヨシが湧いて出たかと思うと、京太郎に耳打ちする。

 透華としては何が何やらと思ったが、ハギヨシにならば任せてもいいだろうと納得する。

 その間にでも衣の気持ちを変えなければならない。

 京太郎のコミュニケーション能力ならば、きっと良い関係になれるはずなのだ。

 それは衣にとってもいいことだし、透華もいろんなストレスから解消される。

 そんな後ろ暗い打算を考えてしまうことを嫌に思いつつ、ハギヨシに任せた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:50:50.23 ID:kFyDAuQpo<>
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                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //     「『衣おねーちゃん』?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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  /           ∠  -───-ヽ \
  /     /     ´              ヽ
. /      /      /          \  \   、
/      /      /   /     l     \ヽ、\  ハ
     .′   | /  / ,イ   |   }  } ハ  ヽ  !
     l     | {  ハ/ |   ,!   ノ Xハl | l } |
      ′    { 「¨丁≧ト、/|   イ小 } | } イ ′
    /       `ト ァ=テ≠ミ、7}  .;ィ≦ア// /レ }/
    /      /《  ん.:cl  // !:cjレイ / /
   ,/       ∨    ヒ'tツ    ┴'イ/ィ′
   ハ      l   : :::::: :    ' :::::八 |
  〃イ      ; ト 、 u    __ _  イ   !     「!?」
  l| |     l |  丶、  ´    <「|  |
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  || |     | |__/`Yヽ、 }}」- ─┐∧
  || |     | l─ >r─r≦─── | ヽ'.
  || |     | |  -‐}  j二ヽ、    /   ハ 、
  || |     l∧/ _ノハーf ̄   \ イ   l: | \


 衣がピクリと反応する。

 京太郎はハギヨシに言われた言葉をそのまま口に出しただけだったが、思いの外効果が大きそうだ。


 「男」

 「俺?」

 「い、今何と言った?」

 「えー、こ、衣おねーちゃんって」


 恥ずかしそうに頬を掻いている。

 中学二年生ともなればそう言う関係を恥ずかしがる年頃でもあるし、自分より年下にしか見えない少女にそれを言うのも恥ずかしかった。

 しかし、そこはコミュ力の化け物たる須賀京太郎である。

 透華の反応、ハギヨシの言葉、そして少女を怒らせてしまったと言う事実。

 数少ない情報から『怒らせてしまったし言う通りにしよう』と言う結論にたどり着いたのだ。


 「も、もう一回」

 「衣おねーちゃん」

 「もう一回!」

 「衣おねーちゃん。……ってもう勘弁してよ」

 「名は何と言う?」

 「須賀京太郎だけど……」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:51:19.67 ID:kFyDAuQpo<>
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            //        /     ヽヽ `     ',
              // / / / /  / |  i!  ', ', ハ ハ  i!
           ' ' / / /_/  /!/!  ハ  |!|i!_ ',  i! ∧
           |.ハ ! /|  i!|「 >く/' !  ./ハ /リリ} !i リ  ∧
           |! i! i!ハ !  i!{xィ乞ミト/ イィ乞ミxリ ./!   ∧
           {∧ |i 从  l《 う::::r'}'    う:::r'} 》 / .!   ∧
          /  从. `ト、{ 乂zン     乂zン/イ  |    ∧   「トーカ! 衣もきょーたろーを弟にするぞ!」
        /  /    ト.ハ      _'_      /i!  !     ヽ
       /   /,. -―-._ 込、  f´:::::::::`i  ,.イ i!  i!`ヽ    \
     //  //       ||:| > ゝ._ .' <`Y´|  i!!  \.  \\
    //  / /    / i i:i    >v<   〃 .!  |ハ ヽ ',.   \\
  , ´/   /  /   /   f=ニニニ=.r‐r=ニニニ=|  ∧  \!_    \\
 ./ ,/   /  /ヽ_/   i! {: : : : ≠=|: :|こヽ: : : : : !   ∧     \    \\
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              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人     「?」
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              「<l|  `  .__/_
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 めっちゃチョロかった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:51:48.50 ID:kFyDAuQpo<>
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 「きょーたろー!

  衣おねーちゃんが何でもしてあげるぞ!」

 「あ、あのー、透華姉さん?」

 「京太郎。何となく察して弟になりなさい」

 「あー」


 重ねて言うが、京太郎も年頃の男の子である。

 多感な時期に見た目幼女な姉が出来ることは恥ずかしい。

 しかし、透華とハギヨシの真剣な眼差しを断れるほど気は強くない。


 「わ、わかったよ」

 「うむ! それでいい!

  衣を呼ぶときは必ず『衣おねーちゃん』と呼ぶのだぞ!」

 「い”ぃ”!?

  せ、せめて衣姉さんじゃダメ?」

 「ダメだ!

  衣はおねーちゃんだからな!」

 「と、透華姉ぇー……」


 思わず透華に助けを求めるが、透華は穏やかに笑うだけで取り合わない。

 非常に単純だが、衣がこんなに嬉しそうに笑うところを初めて見た。

 衣の過去、そしてコンプレックスを考えれば自明の理である。

 常に子供扱いされることを嫌っている衣が、自分より大きな男の子に姉と呼ばれた。

 チョロいとしか言いようがないが、衣の心の隙間を埋めるには十分だったようだ。


.    /!/////////|´     , イ三三/三二ニト、  \
   / :!/////////:,     /彡' ´         `ヽ   \
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    l////////.∨     :!        :| |   :! | ::', V  l ::l .::',.ヘ
   ',/////////     :| l ::l |  :|l :| !   | |∨_!_ :l ::|  .:| i
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     V////:7   :|   ! ,' イ!/,'  / j,' |  l j!イ ,/ ! ハ ,' | l !|
     ',:////l|  /!   V| / ´ !/ /   .::/ ' j/_ j/!l /j i :/ /'
      V://. li   l´    i.|,'  ´_== j/   /⌒` |/|//
      ∨| ||  ', l   l  /'´ ⌒`      /// l /
.      ',:!. ,:!  iN   .:',   ////      `      j |    「きょーたろー、衣おねーちゃんのおかずを分けてあげるぞ!」
.         | , |  i i   :',          _,    イ :|
.         ハl   :| :!  :ヘヽ       ̄      イ:|
          ハ:j   :| :!   ::', l >  _  _  <  ! !   |       l!l!l!!
.         ハ   i  |   :',j       「!  |  :| |   .ハ     j!l!l!|
         ハ   :|      |      ::ト---ヘ‐L::」 _  .:ハ    /  '
       ハ  _,' イ|    |       `   _∧∨  ヽ ',  l /
      ,' /   ー:i    ::!_        /  ! |    ', ', //
      / /       |   :| `ヽ    /      | |     l r∨/


 衣が自分の大好物のエビフライすら分けてあげている。

 最も、さすがの京太郎も遠慮はしているが、衣が喜んでいるのが伝わってくる。


 「何だか、私まで嬉しくなりますわね」


 透華の中に残っている、衣に関する罪悪感。

 少しだけ楽になれた気がした。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:52:17.83 ID:kFyDAuQpo<>
 9/10


 ……
 …

 それから京太郎が龍門渕に呼ばれるたびに、衣は京太郎と遊んでいた。

 衣にとっては麻雀と関わらない相手というのも新鮮だったのだろう。

 まるで本当の姉弟のようにーー兄妹に見えてしまうのはご愛嬌ーー二人は仲良く過ごした。

 京太郎もおおらかで、恥ずかしいだろうに受け入れてくれたことも大きい。


 「本当、自慢の弟ですわ」


 透華は鼻が高い。

 幼い頃から『格好いい男の子』になるための教養を身につけさせてきた甲斐があったというものだ。


 「ふむ、きょーたろーの高校もインターハイを目指すのか」

 「ええ、手ごわいですわよ」

 「ふふっ、衣おねーちゃんに敵などいない!

  きょーたろーには姉の威厳を見せてやろう!」

 「頼もしいですわ。

  確かに。衣がいれば百人力ですわ!」


 そうだ。牌に愛された子である衣がいれば負けなどあり得ない。

 仮にインターミドルチャンピオンの原村和が相手であれ、宮永照の妹が相手であれ、衣の方が強いに違いない。

 それに、透華とて負ける気は無い。

 透華の理念は目立ってナンボ。原村和より目立って完全勝利するつもりに変わりはない。


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     l   l   ll   〃 {_}:.:.j .l     {_}} ,ノノ/'/ /
    .l   l   l l   l  ゝニン     l::.ノ/ l  l
    /   /   l .l   l        丶  i .l  ll   「大船に乗ったつもりでいるといい!」
   /    /   l l   l      、__   ノl l  l.l
  ./    /    l l   l. >、     <l l .l  l l
. /    /     l l   .lヽ_.`i - ´ }  l l ',  l i
/    / . -- _ - ´l    l__7-ミ-<⌒ l l  ヽ ヾ
    //´    ヽ l    l:.:.:.:.:.Y::ノ--、:.:`ヽリ\ ヽ ヽ  /⌒⌒\-、

                   l´    ,'::\ヽ∨//_ ヘ:l:.   ',
                   l     !| ̄  ̄/' ´     ',ト::    ',
.                    ,'   Y    /'        l!∨   ',
                  /   :,'_!|__.{(   _≦千‐<へヽ
.                 //レ//「 ',l -- ´ \   ‐‐ /  ',iヽヘ`ト、
                 //ノヘ // -ヽ_‐   |  , ====ミ  !|:: :: `\
               //  :::i! ! '´ ̄ ̄`  /      ` jレi::: :::.  ', \
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.             l ! ヽ   :::\.ヘ    ',::::::::::::::::,'     -'/:::  /ヘ. j!
              ヾ / \   ::ヽ人    ヽ:::::; -'-‐っ /「/:::  :::   ∧
.              ∨  ::\  ∨!>   . /, ィ≦ イ  /:  ∧::    ヘ    「これで一安心ですわ!」
              /   ::/ ヽ :∨::_レ ´ ヽ _.,ィl }┤ ::|:::  / ∨    \
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/06(火) 01:52:47.33 ID:kFyDAuQpo<>
 10/10


 ……
 …

 ・夜、スカイプにて


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
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  |:.:|:.:.:.:.Tイ示气   ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
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  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、     イ :.:.:.:.:.|:.:.|    「ほう、天江衣とは是非話してみたいな」
  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|:.:.::.:.:>-j     f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|>イ  く       }l |:.:.:.|:.:.|
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     ∨:::∧ /灯  /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',   「京太郎を弟にするならば協定を守ってもらわなければいけないな」
     \\∧∨   ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __
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          ノ       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
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          / \_/\-―‐-y'´ \
         /-‐y'"  ,ヘ ヽ  / ∧   \
          /     ! \ヽ/ //i     ヽ
           ,:!.     |'"´`゙ y''"´ ´|      i
            | |     i |   /′   | i    .|
.           i |     ハ|   〈.!    | |    |
          !/   / |!   ヾ、   |ハ    |
          /    廾ー-_、__,  )!、_,._-‐┤  .゙、   「ーーーー!!!?!?!?!?!」
         /   /./ fr、))  /′ fr、i) ゙、   `、
       /.イ   ∧|  ゛'"     `゙'"  ト、    丶
.      ///    ハ._ヾ⊂⊃      ⊂⊃ !人   ヾ、、
      i/ i ,i  〈  `,!             / .リ )  i、 ヽ!
.   /リ 、ソ   Y´;/i\.  ∠ニゝ ,..イ   /   |ノ ノ
  /      >、  ヽ!   `ー---イ´|:.:.:`ヽ/    / \
/   /:Y´:.:.:\   \       / |:.:.:.:/     イ、   \


 ーーなお、守るべき人が増えて、透華の胃は壊れた。


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/06(火) 01:53:16.41 ID:kFyDAuQpo<> とーかおかーさん、情操教育に必死
京一とか好きなんだけどシチュが浮かばんなぁ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/06(火) 02:00:51.88 ID:MxOE0tDHo<> とーか頑張れ…
しかしこのころたんだと最初は慢心しててもお姉ちゃんパワーで覚醒しかねないがどうやって勝つんだ…? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/06(火) 02:09:57.94 ID:fdnPMK4To<> 乙
ころたんかわいい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/06(火) 02:48:51.67 ID:Thvih8tN0<> 乙
更にのどっちと言う地雷も抱え込むのか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/06(火) 06:56:04.00 ID:e0lulr3Uo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/06(火) 18:07:51.36 ID:3byuALbD0<> 乙です
お姉ちゃんパワー満タンの衣をどうこうするには、咲が完全に魔王化でもしないと…(どう足掻いても闇堕ち) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/07(水) 01:09:06.32 ID:uNeFJny20<> 乙でした!! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/07(水) 02:06:14.72 ID:TtOvPQ3l0<> 乙です
京小で傾国な九尾を降ろしてしまった姫様がイケ魂である京ちゃんをロックオン <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/07(水) 08:20:17.70 ID:3z7EUMAn0<> おつー
>>703
その九尾、あわあわ言ってませんかねぇ…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/07(水) 08:53:56.93 ID:DS8z56Hn0<> 迫られるとあわあわしだすチョロさに定評のある方の九尾様だな(確信 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/09(金) 14:50:22.26 ID:HRGk8rQXo<> 乙です
お金持ち次元まってました!
とーかには本当に頑張ってほしい <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:43:12.11 ID:/bw8oZ8Fo<>
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 【夏休みの追い込み!】-京穏次元-


 受験生にとっての夏休みは遊ぶ時間ではない。

 自分の考えた進路に向かって頑張る時期だ。

 もちろん、高鴨穏乃にとっても例外ではない。


 「ここはこうで、こうしてこうで……」

 「しずー、終わったー?」

 「あー! 憧が話しかけてくるからわからなくなったじゃん!」

 「私が話しかけたくらいで集中力が途絶えてるならまだまだよ。

  本番じゃ緊張するんだから、手癖で解けるようになっときなさい」

 「うぐっ。

  憧のくせに正論を……」


 1日の授業を終えて勉強するのと、1日中自由な時間から勉強時間を捻出する。

 人によってどちらが大変かは分かれるだろう。

 時間があるからこそ遊んでしまったり、自分を制御できなかったりする。

 穏乃はそういうタイプに当てはまる。家の手伝いなど、忙しい時には頭が働くのだが、時間があるとサボってしまうのだ。


 「ほら、須賀くんと一緒の大学に行くんでしょ?」

 「うー」

 「一年の頃から頑張ってたんだからもう少しじゃない」

 「憧はすごいよなー。

  そんなに余裕で……」

 「ま、私は私で目標があるからね」


 穏乃が勉強している後ろで呑気に女子高生向けの雑誌を読み漁っている。

 ベッドに体を預け、薄いワンピース一枚のみを羽織っている。

 暑いからか棒アイスを咥え、足をパタパタと動かしている。


 「憧、なんか……」

 「?」

 「なんかやらしい」

 「はぁ!?

  そんなこと言う口はここかー!」

 「なんだよー!  自分ばっかり成長してー!」

 「どこ見て言ってるのよ!」


 もちろん胸である。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:43:40.99 ID:/bw8oZ8Fo<>
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 「憧は私と同じ持たざる勢だったのにさー」

 「ふふん。バストアップ体操のおかげかもね」

 「私もやろうかな」

 「須賀くん、おっきいのが好きそうだもんねー?」

 「それは関係ないだろ!?」

 「胸の大きさ気にしてるのってそれが原因でしょ?」

 「そ、そう言うことも……あるけどさ……」

 「はいはい沈まない沈まない。

  穏乃は穏乃の良さで須賀くんの好感度は高いんだから」

 「そうかな」

 「そうなの」


 思い切り伸びをしてシャーペンを放り投げる。

 なんだか勉強する気分じゃなくなってしまった。


 「そーいえばさー」

 「んー?」

 「憧の胸が大きくなったのって、東京行ってからだろ?」

 「そういえばそうね」

 「都会に行って胸が大きくなるのかぁ」

 「しずも行ったじゃない」

 「なんで大きくならないんだろ」

 「そんなこと言われても」


 都会に行くと胸が大きくなる(意味深)


 「大学に行くときはさ」

 「うん」

 「思いっきりおめかしして行きなさいよ?」

 「なんで?」

 「ギャップ萌えって奴よ。

  須賀くんが穏乃に対してどう思ってるにしろ、いきなり女の子らしい格好を見せたらドキッとするでしょ」

 「そうかなぁ」


 穏乃は少し考えてみる。

 まずは女の子らしい自分を想像してーーダメだ、この時点でうまくいかない。

 とりあえず自分の親しい知り合いが急に女の子らしい格好になるところを想像してみる。

 男の子顔負けで遊んでいた女の子が、急に女の子らしい格好になる。

 あれ、なんだかデジャブがーー
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:44:10.63 ID:/bw8oZ8Fo<>
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  /: :/: : /: : :/: : : : /: /   ヽ: : : : : : ヽ: : : : : :V: : :V: : : : :ヽ
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. {:ハ: : l: : : ハハ: : i ̄{{     ̄/ ハ:ノ  !:!: : : :ハj : ;′: : : : : : : ハ
 Vハ: :ハ: : ハ〃rV/云       〒冗示ミ j:ハ: : /: : : ': : : : : : : : : : :}
    ∨ V: ハヾ{7///}      {7///} 〉 /:/ヽ: :/: : : : : : : : : : : }
        ハ:ハ 弋//ソ       弋//ソ イ: !  }:/: : : : : : : : : : :}: :}
       {: :ハ ,:,:,:,:,        ,:,:,:,:,  }: :} /: : : : : : : : : : : : ハ: }
       |: :| !      ′       u }: jイ: : : : : : : : : : : : : :} }:j
       |: :| ヽ     、_,、_,        /}:.j ヽ: : :! : : : : : : : : : ! i:}   「それ、憧じゃん」
      l: :l   >    ヽ ノ      ´ト //  !: : j: : : : : : : : : : W
      ヽ:ヽ   r≧....._  <..-‐: ̄//}  }: : ハ: : : : : : : : : :}
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         |:|/{: : : :/ゝイ ∨\      \\: :∨:/   「ふきゅっ」
          |/: : : /  イ {,∠‘,         \',:|:|
       //: : /  {⌒YY´   人        \|:|
.     /  ′:/   /l_/Т\_i: : :\         ̄ヽ
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.    /   八: :|′    o    八: : : { \        |
  _/_彡   ヽ{           \: :\ |:\       /
 /       人                ̄ |: : :l>―┬
./       /  }     o         |: : :l : : : : |


 「なんで私なのよ!」

 「だって、小学生時代から考えたらビックリしたよ」

 「普通の女子中学生ならオシャレに目覚める年でしょ!?」

 「そうかなぁ……。

  玄さんとか宥さんとか灼さんとかあんまり変わらないイメージが」

 「そのあたりは特殊だから忘れなさいっ」


 女子だけで集まってしまえば、二つのパターンに分かれる。

 一つは自分たちの想像の中の男の子に合わせるためにオシャレを磨くパターン。

 一つは女同士だからと女磨きを忘れる喪女パターン。

 悲しいかな。部活という空間に隔離されてしまっていた阿知賀女子は後者のパターンだった。

 逆に環境の変わる女子校に行った憧は前者のパターンだ。

 最も、彼女はもともと自分の想像の『王子様』を妄想する癖があったのだが。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:44:40.29 ID:/bw8oZ8Fo<>
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 「とにかく、男はギャップ萌えに弱いの!

  これは間違い無いんだから!」

 「なんかイマイチ例えがダメだった気がする」

 「宥姉がデートのためにちょっと生足が出るような格好をして来たらグッとくるでしょ?」

 「熱でもあるのかと思うよ」

 「……そうね。私もそう思うわ。

  じゃあ玄が頑張って……、いや、なんでも無いわ」

 「玄さんならドン引きするくらい前準備しっかりしそうだよ」

 「あえて言わなかったのに……。

  じゃあ、普段私服のセンスが壊滅的な灼さんがデート用のちょっと小洒落た服を着てくるのはどう!?」

 「あー」


 それならなんとなくわかる気がする。


 「普段からクールで付き合っている彼氏にもデレないんだけど、デートの時だけはちょっと奮発して頑張っちゃうのよ」

 「それは確かに可愛いかも」

 「でしょ。

  女の子らしい服装をして、表面上はいつもと変わらないクールな表情を見せているの。

  でも、よく見ていると顔を赤らめて俯いている感じで」

 「憧、なんか少女漫画みたい」

 「うっさい!」


 なんだか灼さんに謝らなければいけない気がしてきた。

 卒業してからは連絡を取っているわけじゃないけれど、彼氏が出来たりしたんだろうか?

 あの灼さんに彼氏が出来て、そんな女の子らしい一面があるってわかったら。

 ーー確かにそれは可愛いかもしれない。


 「でも、それって私でもできるのかな」

 「出来るわよ。

  だってしず、普段着飾らないじゃない」

 「動きづらいもん」

 「ファッションなんて我慢してナンボでしょ。

  冬の女子高生がどれだけ寒いのを我慢して生足見せてると思ってるのよ」

 「あんまり寒いと思わないから」

 「そりゃアンタは動き回ってるから寒くないんでしょ!」


 適当に会話を誤魔化しながら考えてみる。

 ちょっと無理して可愛い格好をして見たら京太郎はどういう反応をするだろう?

 会っていきなり褒めてくれたりして。

 いや、それは恥ずかしすぎる。

 灼さんみたいに一見興味なさそうだけど、顔を赤らめてたり。

 こっちかもしれない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:45:09.29 ID:/bw8oZ8Fo<>
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 そんな風に考えていたら、憧がニヤニヤしながらこっちを見ているのに気づいた。


 「しずー」

 「な、なんだよ」

 「百面相しちゃって、だーいーたーんー」

 「な……っ!」


 顔に出ているのをしっかり見られたようだ。

 一体どんな顔をしていたのだろう。


 「まったく、どっちが『少女漫画みたい』よ。

  しずのほうがリアルに少女漫画みたいな付き合いしてるくせに」

 「う、うるさいな」

 「須賀くんが喜んでくれるなら、ちょっとやってみない?」

 「い、言われなくても」


 和から色々聞いていると、京太郎は女の子らしい女の子が好みらしい。

 今の自分を無理に変えようとまでは思わないけれど、ちょっとくらいのお洒落ならするつもりだ。

 さすがに憧ほど気合を入れたものとなると難易度が高いけど。


 「そーいえば、憧は勉強大丈夫なの?」

 「ボチボチってとこね。

  そんなに躍起になって行くようなレベルの場所じゃないから」

 「あれ、憧って頭いいからすごいとこ狙うのかと思ってた」

 「偏差値は高いわよ。

  でも、大学以外にも目標出来ちゃったからね」

 「へぇ?」

 「だからとにかく頭いい大学に行こうって気は無いの」

 「そうなんだ」


 ちょっとだけ一緒の大学に行きたいな、なんて思ったけれど口には出さない。

 口に出さないあたり自分でも成長したと思う。

 かつて中学時代、憧に無理を言って阿知賀に来てもらった負い目がある。

 あの時は前だけ見て突っ走ってしまったが、こうして勉強し始めるととんでも無いことをしてしまったと思うようになった。

 大学受験は人生の転換点だ。その後の人生にも大きく影響する。

 それなのに『和と遊びたい』なんてふわふわした理由で誘ってしまった。

 後悔とまではいかないが、ちょっと負い目に感じてしまうのも仕方ない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:45:38.06 ID:/bw8oZ8Fo<>
 6/10


 「なにテンション下げてるの?」

 「別に下げてないよ」

 「しずはわかりやすいんだから、誤魔化すのなんて無理よ」

 「……憧が晩成行ってれば、憧の受験はもっと楽だったのかなって」

 「そうしたらアンタは須賀くんに会えなかったし、こうして勉強もしてないでしょ」

 「うぐぐ」

 「私も楽しかったし、これで良かったの」


 憧としては阿知賀に来たことを後悔していない。

 確かに予定は狂ってしまったが、阿知賀に来たからこそ得られたものがある。

 この親友に振り回されるのも、これはこれで楽しいのだ。

 乙女しずなんてレアなもの、こうしなければ見られなかっただろう。


 「そう思うなら、大学に行って須賀くん落として来なさいな」

 「わ、わかってるよ」

 「おっ、恥ずかしがらないか」

 「今更だよ。

  私だって、初めて会ってから二年間ずっと想ってるんだ」

 「なんだか焼けちゃうわね」

 「もう散々からかわれてるんだから、少しは耐性つくよ」


 この二年間、本当に大変だった。

 遠距離で、片思いで、初恋。穏乃はこの気持ちに散々振り回された。

 とにかく一緒の学校に行きたいという思いから勉強だって頑張った。

 今までの人生で考えたことがないような毎日が始まった。


 「もし、和の麻雀を見なかったらさ」

 「うん」

 「きっと、憧と再開しないで、阿知賀に行っても玄さんと再開しなかった。

  灼さんと宥さんと会うこともなかった」

 「そうね」

 「インターハイに行って、京太郎と会うこともなかったんだね」

 「ふふっ、まだ勘違いしてる」

 「?」

 「しずったら、大学合格がゴールじゃないでしょ。

  須賀くんと付き合えるかどうかはしず次第なのよ」

 「ーーあっ」


 なんだか感慨に耽っていたけれども、その時初めて気づいた。

 そうだ。同じ大学に行くことだけを考えていたけれども、それがゴールじゃない。

 一緒の大学に通って、交流を深めて、付き合うところまでいかないといけない。

 そして付き合った後はどうするのか?

 そんなことまで考えたこともなかった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:46:07.03 ID:/bw8oZ8Fo<>
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 「う、うー」

 「はいはい。心配しなさんな。

  しずが須賀くんを想って三年間頑張ってたって真正面からいけばイチコロよ」

 「そうかなぁ」


 穏乃は自分の容姿に自信がない。

 目の前にいる憧や宥、家庭的な玄が周りにいるからだ。

 平均的なレベルが高いと、自分に自信が持てなくなる。


 「しずなら深く考えないで突っ込むくらいでちょうどいいの」

 「なんだよそれ。

  私だって色々考えてるんだからさ」

 「はいはい」


 憧にしてみれば京太郎もなんとなく穏乃を気にかけていることに気づいている。

 そもそも、二年間もメールや電話がメインで付き合いが続いているのだ。

 数度会って遊んだだけの相手でそれだけのことが出来ると言うことは、悪い思いは持っていないはず。

 そう考えると大学入学がゴールと思っていた穏乃はあながち間違ってないだろう。

 最も、面白いから今はそれを教えてあげないけれどーー。


 「これでも、お菓子くらいなら作れるし」

 「須賀くんってタコス作れるらしいわね。

  料理上手だったりして」

 「え”っ」

 「合格が決定したら、今度は花嫁修行ね」

 「あ、憧ー!」


 思いっきりからかえるのはきっと今だけだ。

 大学が変わってしまえば今みたいな付き合いはなくなる。

 もしかしたら中学時代みたいに疎遠になってしまうかもしれない。

 だからこそ、今のうちにたくさん遊んでおきたい。憧はそう考えていた。

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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:46:36.45 ID:/bw8oZ8Fo<>
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 「憧も東京の大学行くんだろ?」

 「そうね」

 「それなら、今みたいに遊べるかな」

 「今みたいにってのは無理じゃない?

  でも、お互い誘えば遊べるでしょ」

 「うん……」


 前のように疎遠になるのが嫌なのか、穏乃は寂しそうに憧を見ている。


 「私は和と一緒の大学だから、呼べば三人で会えるわよ」

 「はは、それは勘弁したいけど」

 「なんでよ」

 「憧、和と組むと暴走するし……」

 「何よ。須賀くんを落とすためのオトナの女性のテクニック、知りたくないの?」


       ,. :´: : : : : : : : : : : : :`:ヽ、-.、
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   / : : : : : : : : : / ヽ: : : }: : : : : : ヽ: : : ヘ: ヽ
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  {: /: : : ト、ハ: /    '; :人: :_レ: : : ',V/: }: : : :ヘ
  {:ハ: : : :i: i`'ト:L__  vi:,レへ:{\: : : }:!: :/: : : : :ヘ
   ハ: : :ハ! V      レ   ` V: /:}:./: : : : : : ハ
    ヽ: ハ 三三      三三三 i:V: :.ハ: : : : : : : : :ヽ
     V: } ww       ww   }: : : レi: : : : : : : :ハ:ヘ
       i:{     、_,、_,、_,    u イ: : :/ !: : : : : : : :ハ:i
      V>. 、_ ー―'  z≦  !:. :/  }: j : : : : : :} ヽ   「大丈夫かなぁ……」
        ヽヽ: ヽ {::::エニ彡:::::ニ:}_/l: :/  |:∧: : : : /:}
          _ゞくトニiiニニ-:´ノ::::レく   レ i: : : :ハi
        /::::::::::::ヽjj:::―::: ̄:::::::::::::::::ヽ   }: : / ノ
        /:::i:::::::::::::《::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i   !: /
      j::::::!:::::::::::〃:::::::::::::::::::::/:::::::::::}  レ'
       l::::::V::::::::::ll::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::;
.      j:::::::{:::::::::::ll:::::::::::::::::::::/:::::::::::::::/


       , . : ´: : : : : : 、: : : : : :r_:_: : : `ヽ
      , : : : : : : : : : : : : ヘ: : : 彡}i!:.ヾ`ヽ: :ヽ
     , : : : : : : : :{!: : : :i、: :ヘ: : : :〃:ミ: ヘ `゙ 、:.ヽ
    ,ィ:/: :{、: : : : :{ヘ: : : !ヽ: :ヘ: : ノ: ::} : :ヘ   ヾヽ
   /: i!: : :iヘ: : : : :{ ヾ,ィチニゞ:ヘ: : : : i}: : :ヘ    ヾヽ
  ,': ,ィ: : : {ニュ、: : ヘ イら::::v ト,:ヘ、/^ヾ: : :.ヘ    ヾヽ
  7: { レヘ: .仍_ヾ: :ヽ 乂;シ'' ヾヘ} 9 }: }: : ヘ     ヾヽ
  {: :i .{ ヾ:{ v::リ `゙`^  , , ,  i!:}冫ノ:.7: : : ,     }:}
  i: :i ヾ `} `” 丶         i!:iノ: :7: : : : .,     .i: :i
  l: :l    ', ' '  r-、      ,i!:i: : 7: : : : : : ,    i: :i
  l: :l     ,   v_ソ    / i!:i: 7: : : : : : : : ,   i: :i
  l: :.l     }: : . ,    /  /i!:i:7: : : : : : : : : i   i: :i   「失礼ね!」
  ヘ: :i     i: : : : /`ー '  //: i!i`ー-  ,_; : : : i  .i: :i
  ヾ:.i     }:/: /:./ゝ}  r、 7: : i:i      `゙ 、  i: :i
   ヾヽ    ソ: :., イ{/ヘ,,,ノ }.7: : /ii    /    , i: :i
    ヾヽ  /: : :/-、7ヽ/≦7: : , i   , '     }  i: :i
     ヾ.∨: : /;;;;;;;ゝ=;;;;;;;;}7: : :,     {      , ノシ
      /: : :./{;;;;;;;ンニ、;;;;;;7: : :{   {  ,'      l‐'"
    ,ノ: : :ノヾヘ;;;ノ ヾヽ;;{: : : {   ヘ/       ,
  , ': : :,   `゙^〃  `'"ヽ: : :i   ミ{i
ノ:´:イ: : :,    〃     ヽ: {   ゝ}      ,
'"´ {: : :{    〃 ',      ヾヽ   ,'{


 「こちとら少女漫画と恋愛雑誌を読んで百戦錬磨なんだから!」

 「それ、模擬戦だけじゃん……」


 前に色々あったことをもう忘れたんだろうか。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:47:05.11 ID:/bw8oZ8Fo<>
 9/10


 「なんにせよ、疎遠になりたくなかったらしずから誘いなさいよ」

 「うん、そうする」

 「麻雀だってまだまだやりたいし、インカレでは敵同士だからね」

 「憧と敵になるのかァ。

  それはそれで楽しそう!」

 「もうフォローはしてあげられないわよ?」

 「わかってるって!

  それはこっちも同じだし」

 「どー言う意味よ」

 「そのままの意味だよ……」


 確かに穏乃を嗜める憧という図は多かったが、憧の恋愛脳を嗜める穏乃という図もまた大きい。

 それはそれとして、今度は憧と敵同士で戦う。

 穏乃の闘争本能に火がついた。


 「絶対、負けない!」

 「こっちも彼氏持ちには負けないわよ」


 少し気が楽になった。

 さて、勉強に戻ろかと思ったが一つ気になることがあった。


          /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`:ヽ.、
          /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
       /: : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
      ,:´ : /: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
       /: : : ': : : : : : : : : : / : : : : : : : : : ∧: : : : : : : : : : :ヽ
      ,:´: : : :!: :ヽ: : : : : : :/ : : : : /: : : : :/ ヽ:、: : :ヽ: : : :ヽ:ヽ
    /: : : : : :!: : ヽ: : :\:/: : : : : ィ: : : : :/  ヽ:レ:‐:┼: : : : ハ:,
.   /: : : : : : :V: : : \ : / : :_∠i:l―: !:!    iハ: :ハ: : : : :ハ!
  /: : : : : : : : :V:、: : : : :i:i: : : :/ {ハ: : ハi    _レzレ !: : : : ハ!
  /:/: : : : : : : : :ヽ:\: : :ハ: : : i _彡示i      ん゚:}"/: : ノ:ノ ′
 /:/: : : : : : : : : : :∨⌒ヾ!`N:〃ん/ハ      {r:ソ ,: :ィ レ
. /:/: : : : : : : : : : : :ハ     !:.{゙ 込/ソ      `´,,, i: : j
./:/: : : : : : : : : : : : { \   {: !  ,,,      `  ハ :/   「そういえば、憧の言ってた目標って何?」
i:.ハ: : : : : : : : : : :/: |   ̄>: !     ┌‐  7   イ/:/
{:ハ: : : : : : : : : :/: :{  _/iハ:!ヽ     ヽ ノ ∠__/:/_
{:! !: : : :>::: ̄::: ̄::/:::/  ヽ i:!  `7―-,イ::::::::::::レ::::::\
{:! V: /:::::::::::::::::::::::/::::/    \   ノ  }::ヽ:::::::::::::::::::i::::l
`ヽ ∨:::::::i:::::::::::::::/:::::::i    / ヽ/ \  }::::ヽ:::::::::::::::::i::::}
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                                   ヽ
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          /: :,'   |八:|: |八二|\|八 : : |/\:|: :|:│//: : : :|   ; :│
         : : |    |:\ハ 《 _)汽   \イ忙汽トミ|:│7: : : : :|   | : |
       |: : |    │:| :i   乂ツ      乂)ツ彳: |^| : : i : |   | : |
       |: : |    │:| :ト i /::/  ,     /::/:: | : jノ| : : i : |   | : |
       |: : |    │:| :|八     ___      |: : :│: : i : |   | : |   「聞いて驚きなさいっ!」
       |: : |    厶,| : : : 丶  ∨::::ノ   ィリ /: :゙: : : i : |   | : |
       |: : |  〃 八: ∨: /i:i> _..   ´ W:∧/ : : : :!: :|   | : |
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/10(土) 21:47:34.45 ID:/bw8oZ8Fo<>
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 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪_}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }   「大学生活しながらアイドルも兼業ね!」
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .E\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
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        {:{: :{l: |:{从_:{__{    }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
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              ∧::::::::::\:::::l|:::::::::::::イ::::::::::::::::∧: : :/


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/10(土) 21:48:03.09 ID:/bw8oZ8Fo<> ここ一ヶ月くらい咳と吐き気が止まらなくて不定期更新になってすまんなー
次いつこれるかわからんからリクエストも募集するよー。新次元でもいいけど出来るかわからん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 21:48:04.84 ID:UVpGPvsuo<> 乙。

シズが一瞬で真顔になったwwwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 21:52:05.82 ID:dkEfsUxRo<> 乙
勧誘されてたなww

それはそれとして京豊次元を所望する <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 21:53:02.08 ID:UVpGPvsuo<> 腐じゃないひめさまとの京蒔次元を! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 21:54:38.74 ID:wOtwyuyxO<> 乙です

リクエストあったはずなんだけどど忘れした
取り敢えず京ネリー次元が見たいです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 22:01:01.51 ID:0gKAgqzNO<> 乙
おねーちゃん風をビュービュー吹かすころたんが見たいです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 22:05:31.45 ID:dkEfsUxRo<> 純真で何でも素直に信じる豊音を守護る京豊次元で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/12/10(土) 22:11:01.79 ID:ysVKt9/DO<> 乙です。

いろんな次元が混線しちゃってカオスな全国大会とか面白いんじゃないすかね。知らんけど。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 22:13:31.25 ID:wOtwyuyxO<> 乙です
牌のお姉さん候補のまま終わってくれると平和なんだけどなあw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 22:14:13.88 ID:zoqu/XOzo<> あれ?ここのアコチャーやらかしてたよな?なんか真っ当なんだけど…と思ってたが根本的には変わってなくてある意味安心
他の次元でも単発でもいいから京一見たい

咳だけ続いて吐き気までしてるとかだったら気管支の痒みやアレルギー、喘息なんかが考えられるし病院行った方がいいよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 22:15:02.19 ID:wOtwyuyxO<> 初めてID被った <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/12/10(土) 22:15:15.13 ID:ysVKt9/DO<> リクした後で思い浮かんだが、そういえば明確な肉体関係らしきものがあるのって京咲と京淡と京霞(新訳じゃない方)だけなんだよね。
他の次元のその辺の関係も気になるなー何て。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 22:21:18.13 ID:44nTwjffO<> 乙です
……ハルちゃんの事も言及してあげてw
京咏次元と言うだけ言ってみる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 23:27:59.67 ID:VSDIshqDo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 23:43:51.27 ID:IwpC0VJ0o<> 乙です。
この二人のどっちかが牌のお姉さんになったら絶対やらかすだろww
やべぇよやべぇよ。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/10(土) 23:43:52.77 ID:Y0TTKdZTo<> 乙ー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/11(日) 01:36:13.68 ID:3C329nswO<> おつー

そして、病院行って下さいそれ
ジジババ相手のとこより、比較的設備の新し目のとこで見てもらった方がいいかも <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/11(日) 01:51:54.53 ID:4ovLhYEa0<> 乙
未来のアラフォー候補か
リク
・霞色次元和解後で親子で温泉旅行
・のどあこ次元でアルコール入りのジュース(?)を飲んで酔った松実姉妹が京ちゃんの布団に入る、酔ったすこはやとのどあこが宮永家の麻雀卓で決定戦 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/12(月) 00:36:38.82 ID:+sv0dMUJ0<> 乙です

京永水次元で京ちゃんときれいな六女仙達が幼馴染でインハイの手伝いで永水勢と共に行動(姫様を起こし春には黒糖料理を出し霞さんと一緒に買い物に行きはっちゃんを迷子の呼び出しで呼ぶ)し清澄と遭遇(魔王降臨!恭子ちゃんが飛んだ!すこやんのリミッターが外れた!) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/12(月) 22:50:32.88 ID:LwEhGdQf0<> 京明華次元 中学時代に知らない少女明華をかばい怪我をしてハンドボール生命を絶ってしまった京太郎とその事で慕情と後悔に悩む明華に明華なんかに絶対に負けないと気負う咲さんの三角関係 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/12(月) 23:10:53.70 ID:gyTmDdBSo<> 徐々にNo.1に調教される京ちゃんがみたい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/13(火) 00:45:58.14 ID:lhI98in8o<> どの次元でもいいからアコチャ−が恋愛面で大勝利する次元を <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/14(水) 02:21:07.11 ID:T1yervHy0<> 京春良次元でポスターになった悪夢を見た京ちゃんがお祓いに行き春と良子と出会う <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/14(水) 09:29:20.64 ID:UXWaRmQn0<> ユウチャーが最愛の妹を悪漢(勘違い)から守護るため自分の身体を代わりに差し出すところから始まるはーとふる京宥ストーリーwithクロチャー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/15(木) 00:43:38.86 ID:SIhOW+rY0<> 京蒔次元ですこやんが原因でVRネト麻からログアウト出来なくなった京太郎と姫様のほのぼの、ログインして異能が使用できなくて涙目な咲さん <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:52:12.12 ID:noxy7825o<>
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 【あの人に一目惚れ】-単発次元-


 少女は天才だった。

 幼くして世界ランカーとして活躍し、『風神』の異名を与えられた。

 魑魅魍魎巣食う麻雀の競技において、世界戦で活躍できるのはほんの一握り。

 しかし世界、と言うと規模が大きすぎて検討がつかない。


 例えば、野球だとどうだろうか?

 一つの市ですら数年間野球を頑張ってきた少年が手も足も出ないほどの格差が出る。

 いわゆる運動神経のいい少年たちですら、県の強豪には何も出来ない。

 その県の強豪たちもまた他の強豪たちとしのぎを削り合う一つでしかない。

 その時点でどれだけの数の野球少年の上に立っているのか検討もつかない。

 さらに代表となって甲子園に出るとどうなるだろう。

 その甲子園の中ですら格差が生まれ、『甲子園のスター』なんて呼ばれるのは数人いるかいないかだ。

 ではその甲子園のスターの中でプロ野球で活躍できるのは何人いるだろうか?

 多くの甲子園のスターもプロ野球に入って即戦力として活躍できるものは少ない。

 天才の中の天才の中の天才の中の天才が、最新の技術と経験を持って努力をする。それがプロの世界だ。

 その日本のプロでさえ、世界に行けば埋もれてしまうのが大多数。

 世界で活躍できたスターなど片手で数えられるくらいだろう。


 長くなったので割愛しよう。

 要するに、この年齢で『世界ランカー』として活躍する。

 常人離れした雀明華の才能。彼女は同年代の少女たちとは大きく違っていた。


 「暇ですね……」


 そんな彼女は今来日していた。

 今の彼女は中学三年生。これからどこの高校に行くか考える時期だ。

 もちろん母国で活躍するのもいいのだが、最大限麻雀の特待を活かせる場所を探している。

 現在は東京にある『臨海女子』を当たっており、その間日本中を観光して回ることになっていた。

 彼女にとって日本と言えば裕福で恵まれているイメージ、そして臨海女子は留学生を多く受け入れている。

 世界戦には優先して出ることが出来る条件もつけてもらっている。

 条件としては破格で、彼女としても満更ではなかった。


 「しかしここ、長野は何もないですね……」


 東京の喧騒に疲れて全国を観光しているが、長野には彼女の興味を引くものがなかったようだ。

 トレードマークの傘を開いて日光を遮る。

 物珍しいのか通行人からの注目を集めるが、彼女はそんなことを気にしない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:52:42.01 ID:noxy7825o<>
 2/10


 「回せ! 絶対に取られるな!」

 「……?」


 そんな中、怒号のような唸り声が彼女の耳を貫いた。

 どこかぼんやりしている明華にとってそれはふらついてしまうほどの気迫を感じた。


 「ハンドボールをやっているんですね」


 少しだけ興味を抱いた。

 彼女の母国であるフランスではハンドボールが人気だ。

 もちろん、日本のハンドボールが強豪とは言えないことは彼女だってわかっている。

 それによく見てみると中学生のハンドボール大会らしい。それほど規模も大きくない。

 それはそれとして、他にやることもなかった明華はそこに顔を出した。

 父兄が見学できるようにするためか、特に呼び止められることもなかったのが幸いした。


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 不覚にも見入った。

 決してレベルが高いわけでもない。それもそうだ、マイナー競技の中学県大会レベルだ。

 緊張しているせいかみんな動きが硬く、ミスも多い。

 明華が普段見ているテレビの中の世界とは違う競技がそこに合った。


 「声出せぇーっ!」

 「オオオオーーッ!」


 それでも少年たちにそんなことは関係がない。

 彼らは別にプロを目指しているわけでもない、ただの部活動の一種だ。

 しかしここを抜ければ全国という大きな壁の前にいる。

 一人一人が持てる力の全てを出し尽くし、声を出す。

 その光景は上手さとは別の衝撃を明華にもたらしていた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:53:11.59 ID:noxy7825o<>
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        /  /    人 ', ',{            }ノ          }/   / ハ/
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                    }  ∧                        / //    「声を出して行けーーーっ!
                       \{ 込、    ___           /{ ィ/
                     _ -=\   に ̄ ̄_)       {从      気迫で負けんなァーーーっ!!」
                      〃    }N\            /   j_ノ_}Y
                       ri{      i{   、          /_ -=ニニニニ|
                       |ム      i{    ー―― r≦ニニニニニニニ=|
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          l | {   |斤苧i从  :|,斤苧ミ l   | |\  )ノ
           八{ 八  八 ヒ)ソ  \:{_ ヒ_)ソ^》  | | |  \
           \ i\从|\    ,   、、、、/  /}ノ |   }
              /   人 u    _     フィ^   l|   ノ
               /   / /个ト ../)´ '/)、.. イ  | |   ,      「すごい……」
           /   / / //⌒// ///-- .  | |   ′
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     / / {二ニニニニニニ |   /___Y⌒V/二二ニ \   \
    / /   {二二二二}ニ'  /二ニニ|  ∨二\二ニ、 \   \
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   {{    / {二二二二′  ,ニニニニニ|   ∨二ニ∨/    \   \


 プレイの上手さとは別のモノ。

 今まで世界戦で戦ってきた気迫とは別のモノ。

 明華にとってとても言葉にし辛いモノ。

 あえて言うならば『青春』だろうか。


 きっと今の彼らにとってはプロを意識しているわけではない。

 この試合に負けたからと言ってお金がかかっているわけではない。

 それでも、彼らは戦うのだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:53:40.83 ID:noxy7825o<>
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 「あの金髪の人、とても声を出していますね」


 その試合の中で一際目立つ少年がいた。

 この大会が中学生の大会ならば、自分と同い年だろうか?

 あるいは一つ下くらいならばレギュラーになれるかもしれない。

 彼はこの大会において頭一つ抜けた動きをしていた。

 もちろん動きは荒削りだし、見ていて才能があるなどとは思わない。

 しかし誰よりも走り、誰よりも食らいつき、誰よりも声を出していた。

 それは上手さとは別の部分で彼が目立っていることの証明だった。


 「が、がんばれぇ。京ちゃぁん」


 気づけば隣の女の子が声を出していた。

 とても恥ずかしそうで、顔は真っ赤だ。

 その声だって怒号響くこの場では彼に届くはずもないだろう。


 しかし彼はプレイが落ち着いた時に、彼女に向かってピースを一つして見せた。

 そう言ったパフォーマンスは日本では嫌われると聞いたが、勇気があるみたいだ。


 「彼、すごいですね」

 「ぅひ」

 「あ、いきなり話しかけてしまってすみません。

  私は雀明華と言います」

 「ぁぅ…、宮永咲……です……」


 咲は消え入りそうな声で返事をした。

 どうやらかなりの人見知りらしい。


 「(ミヤナガ?)」


 明華はどこかで聞いたような日本語を頭の中で繰り返した。

 しかし答えが出なかったため、ひとまず思考の外に置いておくとする。


 「今、点差では負けているようですが」

 「ぁぅ……」

 「それでもアレだけ走って声を出すなんて、凄いです」

 「うん、京ちゃんは凄いんです」


 自分の話でない時ならば人見知りが出ないのだろうか。

 あるいは『京ちゃん』に自信があるのだろうか。

 彼女は先ほどの消え入りそうな声ではなく、自信を持って答えた。


 「でもこの時間でこの点差は……」

 「ぅぅ……」


 現実的に見て、とても逆転できる点差ではなかった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:54:10.40 ID:noxy7825o<>
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 確かに彼の動きは凄いし、声も出している。

 しかしチームプレイである以上、一人でどうにかなる問題ではない。

 時間が過ぎるにつれ彼のチームメイト達の動きが悪くなっていくのを感じる。

 どうやら諦め始めているらしい。ーー無理もない話か。


 「(私ならどうするだろうか)」


 明華にとって世界戦で戦うことは仕事だ。

 父親を早くに亡くし、母子家庭で育ってきた。

 母親の雀博士にはどれだけ感謝してもしたりない。

 だから早く自立をして恩返ししたいと考えている。

 麻雀はそのための手段であり、仕事だ。

 もちろん麻雀が嫌いなわけではないし、情熱を持っているのも否定はしない。

 しかし負けが決定してしまえばあとは敗戦処理として立ち回り、手の内を隠すだろう。


 「先輩! 諦めないでくださいよ!」

 「言うじゃねぇか須賀ァ!」

 「声出していきましょう!」


 しかし彼はそんなことを考えていないようだ。

 勝てる、負ける。そんな次元の話ではない。

 ただ目の前の勝負に真剣に取り組んでいる。

 きっと負けてもいいから全力を出す、などと言った考えをしているわけではないのだろう。

 今から本気で勝ちに行く。ーーあれはそう言う目だ。

 明華は何人もそう言うプロを見てきたのだ。


 「ーー試合終了」

 「あっーー」

 「京ちゃん!」


 しかし試合は無慈悲にも終了する。

 相手チームはこれで全国出場が決まったからだろうか、みんなで抱き合って喜んでいる。

 一方『京ちゃん』のチームは意気消沈して、泣いているものもいた。


 「ぁぅ……」

 「宮永さん」


 釣られてしまったのか、隣にいる少女まで泣き出している。

 さて、どうすればいいだろうか。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:54:39.90 ID:noxy7825o<>
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 「スンマセン、先輩。

  俺、先輩達に泥を塗って……」

 「何言ってんだ、須賀。

  お前のおかげでみんな最後まで諦めないで戦えたじゃねぇか」


 部長らしき人も涙を隠しながら京太郎に声をかけている。

 悔しいのか、みんな部員が京太郎に集まってくる。


 「凄い、人気者なんですね」

 「京ちゃん、誰とでも仲良くなっちゃうから」


 ハンカチで涙を拭ったのか、咲も会話をする余裕ができたようだ。


 「これがジャパニーズ『青春』なんですね」

 「はい?」

 「凄い。感動しました」

 「あっ、外国の方だったんだ」

 「あんな風にパフォーマンスもして、みんなを盛り上げて」

 「あのー?」

 「私も青春を味わいたいです!」

 「も、もしもーし」


 もともと内向的な咲は泣きそうになりながらも声をかけ続ける。

 しかし明華はどこか一人の世界に入ってしまったのか、咲の問いかけに気づかない。


 「彼の名前はなんて言うんですか?」

 「ふぇっ?

  す、須賀京太郎って言いますけど……」

 「スガキョウタロウ。

  覚えました。ありがとうございます」

 「あの、どういうことですか?」

 「いえ、一目惚れしただけですよ」

 「あ、それなら仕方ないですね。

  ーーって」
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    {  、: : : : : : : r、: :  ̄「`\  ̄       ,
      \__: 、 ∨: 从   ::......___,..イ==- 、
        `ー-_、\ }: : { \    / ̄´:::// `_ヽ::\
       と二二_ヽ ∨、:ミ    /:::::::::::// /  \::\
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:55:09.32 ID:noxy7825o<>
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 今まで小声でしか喋ってなかった咲が初めて大声を出した。

 それもそうだ。

 海外だとアピールが過剰という知識はあるが(漫画知識である)、ここまで直球なのはビックリした。


 「もしかして咲が恋人なのですか?」

 「うえぇぇぇ!?」

 「それなら困ってしまいます」


 しゅんと気落ちする明華。

 そんな動作すら可愛げがあるあたり、美人とは恐ろしい。

 そして焦った咲はいつもの言葉を言ってしまう。


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             ヾ!、::ヽ ヽ!ヾ ""::::::::::::::::::::"" i:::,、::::|    「よ、嫁さん違いますっ! ただのクラスメイトです!」
            ヽ、:`:ー:::、   ! ̄ヽフ   /,ノ \i         ,、
               ヽiヽi、` , 、 ` ̄´ /             /./ /フ
       r、            ヽ|  ` ーイー-――ァー,-、    _   /./// ,.-,
.   ヾヽ.  | i     _,....-‐:.:'〔'   _/:.:.:.:.:.://  ヾi  |i ノ ´ ∠- '/
   ,...__ヽ丶 | .!  ,イ、、:.:.:.:.:.:.:.ト._´/:.:.:.:.:://   r-、|  | ´ 、    ∠.._
   `ー-、`ヽ`  Vヽ.,、 、\:.:.:.:.:i   /:.:.:,;.:."イ  | /  ゙、  ヽ   ヽ  ,ィ―ー‐'
   ⊂二     ー' ,イ >ー`ー-ヽ./-‐"-‐'ノ==  レ'     ヽ√i    ,ノ
      ヽ /   / .V `ー-┬'`i'ー―'´  ヽヘ      ;ヘ,メ、   /〉


 「それなら安心ですね。

  これからアタックしましょう」

 「本気!?」

 「ええ、本気です」


 明華にとって足りない物を見せてくれた。

 いや、恋愛に理屈をつけることなんて不毛なだけだ。

 近い歳の男の子が格好いいところを見せてくれた。

 それだけで十分だろう。


 「しかし、今声をかけるのは無粋といったところですね」

 「え、ええ?」

 「私ももっと私を磨いて、日本に留学します」

 「ほ、本気で留学する気なんだ……」


 咲の視点からみればいきなり留学を決めたアグレッシブな少女に見える。

 実際には留学はほぼ決まっていた話なのだが、それは置いておこう。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:55:37.88 ID:noxy7825o<>
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   ¨ニ_         _tj^     ,:/               \‘'vtj tj         Tヒ_
.   ¨ニ_       _tj^        ツ       ,          _ヽ Ytj          ^tj_
     ¨ニ_    _tj^      _,.″   / |   :i   ハ_    ^vトL,tj_           ^tj_
     ¨ニ_ _tj^       .-ノ    // 人i Uい  ヒ_   i V「ltj^`ヽ           ^tj_
       」tj^     ____彡'ノ   / ,斗ヒ 丁小 トif厂^ぅトi    _`'tj   }i          ^tj_       _ニ¨
     o「^¨ニ_   i{   ,;'´  狄  ハ|i 」十八 V十iLハ| 圦 [_ ^’ , \                ^tj_     _ニ¨
          ¨ニ_   〃 ノ゙ ノア ]i 斗桃妝, \V桃抃以ぃ j^t トぃゝ_\__              ^tj_   _ニ¨
             ¨ニ人r f^{ i:小l トfメ小     ^Tfメ升 ]小 ⌒人 トj ¨`〜ヽ              ^tj_ _ニ¨
               ¨ニ乂 ^'人 L_ ¨ ^     ´ ^  j~  t  ^‘ij     ^}           ^tj[
                   ¨ニ_ リ  ⌒ヽ"  `    ""  '  カッ   ‘,     ,リ       _. -ニ¨ ̄ ]o
.                   ¨ル  /人´   - -    xリ  ソ^j:  ‘.   '′   _ -ニ¨
                 え゙ , ア介y,       .ィi^ア  ,’ v   ッ,  _ -ニ¨
                ,fy~ ,^ ノjfメ ^i: ぅt-   [_.:′ ,′ ^j:   j, 'tヤ¨
               ,ャ?ソ   jfメy斗fy~リ     ヒ7   ふ_  ^'.  ^j, ~y,
               _:^ ' _,厶jfメ√  j^       ア  , n‐=tェ」j_    ^:_
             y^ j_,t^n゙jfメ    i~^ヽ  ,.:'"_t  /,'~   ¨ア式ヒ, y,¨;_    「京太郎。また会いましょう」
            _jッ ソ「入^vjfメ    tャ'"´ ̄`'ソ′ _y    '~ /^圦 :^t_^t_
           _y^ ソリ  `'jfメ      i[    ´  ;ァソ  /_ ィi^   リ  ふ ^:,,
         ,;ァ¨ , ~ j「  jfメ_ ヽ、   ‘  /  イjえ '´. ィソ      L_ ^'jx -_
        _, " _y゙ ,圦  jfメvjぃ_  、  _jッ ´_, -'^_n _y'´ jリ       ¨弌 ` ヽ ゙y_
      _-~  _ァ  厂^ ,jfメ ソ ^`:,_ )y'´ _,.れィ _^ '~  ¨  /;         」i、 ャ,`  ^ッ_
    _,ヽ  _え’  人  jfメtッ′    ^tj , '⌒jyツァ^     ,i v′  、    _j仇   ¨    X:、
  _っ'^   yて   _^,沁jfメLア      ヤ[  ,^ (       i以  _,. jyx_rf'~   え ヤt   ^ty,
,ッニ~   -ソ^   ッ犲ぇv二;」;      ノ;   ィぇ       ,ッj^衣¨^  "才   ]八  ^え,  ~ふ


 恋はハリケーン。

 奇しくも明華は風神の異名を持つ。

 それならば、恋の風だって操ることができるのかもしれない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:56:06.75 ID:noxy7825o<>
 9/10


 ……
 …

 ・二年後、インターハイにて


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      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
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      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/
      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/     「京ちゃん、あとであの人に会いに行こう」
      |:./  \:.:{\          /  |:.::/
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
                  __]       {___
                _/三l       /三三三≧=-__
           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>
.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //    「えっ!?」
                _ヽl\       //イ__
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                |////|  :.   / |/[__}/|
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       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 普段人見知りな咲がこんなことを言い出す、それだけで京太郎は驚いた。

 しかし咲の今までにない強さを持った表情を前に何も言えなくなる。


 「負けないもん」

 「???」


 どうやら物語は、当事者を置いて進んでいくようだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/15(木) 00:56:35.61 ID:noxy7825o<>
 10/10


                 ,...:'.´へ\ ,..-、____
                //'"´ ̄ ̄´ ̄`ヽ、ー-、ヽ、
             _// / /  ハ   、  \ ヽヽ
        ,..-‐==ニ二ノ   / /  / }.i  i i 、 ゙、 ヽ、`ヽ
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      し,....:'´,...:',.イ {! i.ハ .ハハ {´` !ハ ハ|_ !ハ  ゙、 ij、 ヽ、
      /-‐'"_イ .//λ { i′-、!j__.,,  } / _!.`トjハ  }、 i | 、 i
     /'"/´  //i // i`! |     ゙̄`::::レ::..    jハi ハ|i }ノ| ヽ .!
      { /   // レ//^|! | |         :::ヽ=,、/ 人.| }ハ.!  リ   「〜♪」
.    {(   //{ |! i 、_|!. | |    r―-.、     {ィ''" | !|  !|                         nf h
     i:! / / ! V //!|. i|   !  `V    ハ 、!||  リ                         f:| .|. ||
     ゝ' / / \V/ |.| .| |\  `ー-'′   ノ  i  iリ                           i:i | ||
   / / __./_  )メ .!.| .! !. ` 、_    ,..イ  i  i  |                       i: i ! | .!
 / /,.::┴\\、 ̄ヽ!| トi |    `T ´|  |   i  i  |                      ./:      |
'" / /::  '" ::.\\、 | | .i !、    〈-、 |  |  i   i  |                           /:       i}
./ /::     ::ヽヽ!\、!ト、.| ! \_,..---、 \_i!   丶 丶゙、                      /:     /
 /  /=\ i  :.:.:..V:.:.:.:.:.!|/i ! ̄ ̄`ヽ┴-、  ̄`ーn、丶.゙、                        /::    /
.,ハ∠===、 \ :.:.:.:.:|:.:,. -'|.!  i |   __ 、\\   ノハ`ヽ.:゙、                  i::::    /
}'( /   \ ヽi );..-'"   .!.! _,!.!'"´  \\) `ー'=''",ノ.:.:.:.:.\                      /::::    /
ヽ/  _,..-‐''"´        ,.リ'" ||     ヽ ヽ' ̄ ̄\   :.:.`rー-.、             /    /
./,..:'"          / ノ   リ      ヽ 丶    ヽ  :/  ::::::i          /       /


 傘と風を使い、空中から現れる。

 そして歌い、注目を集める。

 世界ランカーたるもの、パフォーマンスだって必要だと明華は考えを改めた。


 ーー最もそれは、好きな男の子に少しでも近づきたいという、女の子らしい考えだった




 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/15(木) 00:57:04.65 ID:noxy7825o<> 明華は原作でもうちょい出番増やして欲しい。ハンドボールネタ好きなんだけどねー
体調はちゃんと病院行って薬も飲んでるのによくならない。アレルギーかなー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/15(木) 01:07:53.95 ID:DDM/Vd1lo<> 乙!
咲ちゃんは改めて宣戦布告しに行くのかな?

吸入薬とかなら流石にすぐには収まらないよ
一月くらい様子を見ていかなきゃ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/15(木) 01:21:14.81 ID:SIhOW+rY0<> 乙です
これはあわあわとネリーが黙っていないな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/15(木) 08:06:57.18 ID:yuPmMmYl0<> 乙
これは良い明華
そして同じくらい、良い咲ちゃん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/15(木) 12:33:56.28 ID:/oQZPoG/O<> 乙ー
この明華は単発にするのはもったいないなぁーこれは続きが気になる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/16(金) 00:15:24.35 ID:/ydOyBUJ0<> 乙
続きが気になる
京明華次元で京太郎が明華と出会う話と咲さんが明華に対抗する為に軍師のどっちと世界一位スレを味方につける <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/17(土) 15:04:22.72 ID:rTE3ydC70<> 京明次元 仮面舞踏会
のどアコ次元 熱で寝込んだ京ちゃんを松実姉妹が看護する <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:07:51.87 ID:Q9W2whb7o<>
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 726
 【過去の約束】-お金持ち次元-


 人は歳をとるにつれて時間の流れを早く感じるようになる。

 小さな頃の思い出は忘れずにいつまでも残るのだ。


 「こんにちはー」

 「おや、京太郎様」

 「いや、ハギヨシさん。敬語はやめてくださいって」


 自分よりも年上の完璧超人に敬われるのは慣れていない。

 当たり前のように接することが出来る透華姉さんはやはり凄いなぁなどと思った。

 もっとも、透華にそれを伝えれば『精進が足りない』などと叱られることは間違いない。


 「お話は伺っております。

  どうぞ中へ」

 「全く、透華姉さんは何考えてるんだろ」


 今日は透華からのお呼び出しだ。

 何やら用事があるらしい。姉が思いつきで行動をするのは珍しいことではないが、要件も言わないのはどういうことか。

 また何か驚かせようと思っているのだろうか、目立ちたがりな彼女のやることは読めない。

 ーー全く、透華姉さんも菫姉さんや智葉姉さんくらい落ち着けばいいのに


 そんな思いが飛来した。

 内情を知ればそんな思いは出来ないはずだが、あの二人の情報工作は完璧である。

 悲しいかな。京太郎にとって問題児二人は『完璧な姉』であり、透華こそが『放っておけない姉』なのであった。


                 , /´___
       ,, -::───:::- /://:.:.:.:_二ミヽ
.     /.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : \∠´--  、`ヾ
    ./.:.:.:.:.: : : : : : : __ : : : : : : \ :ヽ: `丶、ヽ
  r´¨ '' -r┬=''-¨´ __ }:.:ヽ: : : : : ヽ:::',:.:.:. : \
  }  ̄,,`{ー_ヾ、- ,,  `}.:.:.:丶 : : : : ',:.:.l\.:.:.: :ヽ
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  .l.:.:.:l:.:./l: :l: : : :lヽ.:.:\.:.\',: : l', : : : l.:.: l.:.:.:.:iヽ.:.l
  l.:.:.:l: :.{ l.:.:{: : : : i丶.:.:.ヽ.:.:.ヽ: :l::i: : :/.:.: :lヽ:.:.l i::l
 ll.:.:.:l小≠ヾヽ:::::::l ヽ州リヾ::l::::l:::l:.:.:.: : :/ } : :l リ
. il.:.:.:l.:. riヽ ヾ\ゝ.z≠≠ミ、リ:.:.:l: :lヽ:.:.:/ /}:::/
.l l.:.:.l.:.: { l:::ヽ   〃 { {:::::o} ヾ:.:l:.:.l }:/ //''
l .l.:.:l.:.: ハヽc:}      C:.:.:j j /l:.:l:.:.:lソ/
l l.:.l.:.: :.ハ ー      ー ´ l:.:l.:.:.:ll      「……」
l l.:.l.:.: : lハ"  ' _ _    ★ィ:.:.l.:.:.:l:l
  l:.l.:.: : l 丶、       ∠ リリ.:.:.lリ
  l.:l.:.: : jr -ー >,  .ィ ´  ノ 川リ
  ヾ 小ヽ:. :. :. :. /  Y´ /´  /. `丶、
    ノ:. r -─ ┴ヾAV´     /:. :. :. :. :.\

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「あれ?」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:08:21.05 ID:Q9W2whb7o<>
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 もはや龍門渕の屋敷は勝手知ったる自分の家のようなものだ。

 普段はハギヨシに案内されているが、京太郎一人で歩いたとしても問題はない。

 それに加え、京太郎は人とコミュニケーションをとることに長けている。

 長くの間通っている龍門渕の使用人とも親しい。


 「あの子、見た覚えがないな」

 「……」


 静かに窓を拭いているメイド服の少女。

 その横顔を今までここで見た覚えはなかった。


 「(透華姉さん、まーた無茶苦茶してんなぁ)」


 『衣の友達を作る』なんて言って同年代の少女を集めていた覚えがある。

 もしかしたらあの子もその一人なのかも知れない。

 透華の無茶振りに付き合わされるなんて可哀想なもんだと思いながら声をかけてみる。


 「あのー」

 「……」

 「初めまして、ですよね?

  俺、須賀京太郎って言います」

 「……」


 窓を拭く手をピタリと止めて、横目でこちらを見る。

 姿を確認したかと思うと、ペコリと一礼してきた。

 京太郎も一礼を返すが、少女は頭をあげる様子がない。


 「あ、あの、そんな頭下げないでください」

 「透華……お嬢様の友人ですので」

 「いや、俺なんてただの透華姉さんのパシリと言うか……。

  敬語とかもやめてください」

 「そう」

 「……ん?」


 相変わらず無表情だが、意図は伝わったらしい。

 顔を上げ、こちらをまっすぐと見据えてくる。

 しかしその顔を見て違和感を覚えた。

 この屋敷で会った事がないはずなのに、どこか見覚えがある。そんな感覚。


 「もしかして、どこかで会った事がある?」

 「それってナンパ?」

 「い”ぃ”!?

  ち、違いますよ!」


 相変わらず愛想の一つもない返答。取り付く島もない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:08:49.57 ID:Q9W2whb7o<>
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 「っかしーなー。

  俺って顔を覚えるのは得意なはずなんだけど」

 「それで、何か用ですか?」

 「あ、いや、ここの人には一言挨拶するようにしてるんです。

  結構な頻度で呼ばれるんで」

 「そうですか。

  これからも透華……お嬢様をよろしくお願いいたします」

 「あ、はい」


 相変わらず愛想の一つもない。

 最近入ったにしては固いな、などと思う。ぎこちなさを感じない。


                                __
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      / '::::/乂_,...イ´::::::/:\ ̄ \ ,イ::::::::∨:::, :::::::|:::::ヽ ヽ:::}
      { |:::/:/::::_//::::|:::::::/:::/ |:\_∧}::::::::: ∨::::::::::}:、、::|   Y
         W::{:::::/ {\:{::::::| {::l |:::' !: |::|:|:|::::::::::::|:::::::::: ':::| }:|   リ
       /::::::从{汽≧从:::| 从-}/-|:/-|:|:|::::::::::::|::::::::/:::::| /
        ,:::::::::::::}  _,刈 \  ィ==ミ://:|::::::::::::|::::::/::::::,
         {::::::::::::::  Vソ      _ノ刈ヽ:イ ::::::::: |^Y}::::::/
         |::::::::::叭     ,      Vzソ ノ |:::::::::::::|ノ/::::イ
         |::::::::::::|   、  __      __∧,ィ|:::::::::::::| /´     「ーー掃除、続けてもいいですか?」
          、::::::::|   \ ‘ ー`    〉:,、〈,:::::::::::::,
          \:从     ` ー r-==≦ | /:::::::::/
            \    ,ィ⌒|      /:::::::イ⌒\
             /´:./:/     /´:./:./`ヽ:.:}


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              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人
               }イ/|\        /     「あ、はい」
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|


 少し会話して仲良くなろうと思ったが、どうやら忙しそうだ。

 仕事の邪魔になると言うならばこれ以上話すのも悪いだろう。

 透華を待たせるわけにもいかないし、ここでお暇することにした。


 「うーん?」

 「……」


 しかし、頭のどこかに引っかかりを抱えたままとなってしまった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:09:18.88 ID:Q9W2whb7o<>
 4/10


 ……
 …


                i{ /{/::::::::::::::::::::/       __
                 ____У__:::-===-:::::∠__ -=ニ ̄:::::::::::::::ニ=-
           r=ニ二 ̄ `ヽ:::::::::::::::::::::::: / ̄二ニ=‐┐:::::::::::::::::::::::::::::::\
           }///     \______/       //{/ ̄ ̄二ニ=-:::::::: \
          /{///         「///}           //} ̄二ニ=- 、  \:::::::|
       / .:て ̄二ニ=-  ___{///」 ____ -=ニ二 ̄く\⌒\:::::: \   \ |
        / .:::::::)//        厂 ̄乂       ///} :::.\  \:::::: \   }!
      ′.::::::::{/r─‐‐    /:::::::::::::::`ヽ___彡イ:::::::::::. \  \::::: |
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    ノイ ::::::|:::| |l |  │l|   |    |   |l   !     V::::::::::::.: ,  }!
     |  :::::|:::| iト!::::::::八|::::::l|:::::::::::: i|:::::::|l::::::: |::::::::: :. ∨:::::::::::. ,
     |  :::::|l::| |l |:::: /  |:::::;i|::::::::::::/|:::: ノ|:::: /!::::::::::::.   ,:::::::::::. ,
     |  ::::八| |i |:::/   i| :/ |::::::/ !/ l|:::/ |l∨:::::: :.   ,  :!::::,
     |  : :::: |  フ了癶T l/ l|/  ,斗f癶Y  |l ∨::::::::.   , .:|Y: !
     |  : :::: |i 人 ヒzZノ        ヒzZノ  i|l  }::::::::: :.  ‘ .::| l:::|
     |  : ::::: |l                  l|__ノ|::::::::::::::.  ∨::| l:::|
     |  : ::::::::|i           ‘        厂|:::|:::::::::::::::.   V ! レ′
     |  : : ::::::圦               ′ |:::|:::::::::::::::::.   }
     |  : : ::::::|i `       -‐   ̄         iノ!::::::::::::::::::  .′
        : : : :::l|!     ト       ィ´       i|:::::ノ|:::::: : /     「ばーか」
      \ ::{ : :|l\   |         |        ノ/ l:::|:::: /
.     ____\{\|i_____ノ         八_______i|/|:::/
   /´          ∧∨            ∨∧         У
.  '         ∧∨ `   ー-   -‐  ∨∧       ‘,
  {          ∧∨                ∨∧         }



 京太郎が見えなくなったのを確認すると、彼女は一言呟いた。


 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:09:48.60 ID:Q9W2whb7o<>
 5/10


 ……
 …

 それは何年も前。

 京太郎がもっともっと小さい頃の話だった。

 普段から活発な京太郎は、親に連れられて何処かに行く事が多かった。

 家でゆっくりしているよりも外で遊ぶ方が好きな京太郎としては、親とのお出かけはいつも楽しみだった。


 「今日はどこに行くの?」


 京太郎のその問いにいつも親は答えない。

 微笑みながらどこかに手を引いて連れて行く。

 その場所は海であったり、山であったり、いつも京太郎が楽しめる場所だった。

 だからこそ、今回も京太郎は親のことを疑わない。

 親ならばきっと楽しいところに連れて行ってくれるはず。そんな信頼があったのだ。


 今回連れられて行った場所は小さなレストラン。

 いつもアグレッシブに動いている京太郎は少し落胆した。

 自分が誰かを引っ張って行くのは得意だが、じっとしているのは苦手だ。


 「(なんでこんなところに来たんだろう)」


 京太郎がそう思うのも無理はない。

 しかし両親はニコニコと京太郎のことを見ているだけだ。

 子供の考えは大人にお見通しということだろうか。

 京太郎はそんな親になんだか反抗したくなるが、じっと我慢する。


 「お久しぶりです」

 「今日はよろしくお願いします」


 両親は誰かと挨拶をしている。

 なんだか社交界に連れていかれた時を思い出して、『今日はハズレかな』なんて落胆する。

 しかし両親と挨拶していた男性がこちらに声をかけて来た。


 「何か食べたいものはあるかな?」

 「ないよ。それより遊びたい」

 「アハハ。元気だね」

 「ねー、外で遊んで来ていい?」

 「ごめんね。少しおじさんに付き合ってくれるかな?」


 京太郎は活発だが、大人に対しては素直な子だった。

 今にでも飛び出して行きたい体をグッと抑えて、男性と話すことを選ぶ。


 「外で遊ぶのが得意なのかい?」

 「うん。だって家の中にいてもつまらないもん」

 「手厳しいな。例えばこういう折り紙みたいな遊びはしないのかい?」

 「そんなの、女の子の遊びじゃん」
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:10:17.21 ID:Q9W2whb7o<>
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 目の前で丁寧に折り紙を始める男性を訝しげに見つめる。


 「女の子の遊びかぁ。手厳しいな」

 「うん」

 「でも、意外と難しいものだよ。ほら、プレゼントだ」

 「!?」


 男性が折り紙を開くと、折り紙から綺麗な花が飛び出した。

 京太郎はその花を受け取ると、目をパチクリさせて男性を見つめた。


 「すっげぇー! どうやってやったの?」

 「それは秘密だね」

 「おじさん、魔法使い?」

 「お、おじ……」


 項垂れる男性を尻目に、京太郎は嬉しそうに騒いでいる。

 そんな京太郎を見て両親も嬉しそうだ。


 「すごい、おじさん有名になれるよ!」

 「そう上手くはいかないんだけどねぇ」


 京太郎の反応とは裏腹に、おじさんは寂しそうに笑った。

 男性の苦労は子供の京太郎にはわからない。


 「今日は色々と見せてあげるから、是非楽しんで行ってくれよ」

 「うん!」


 好奇心旺盛な京太郎は色々な手品が観れると聞いて顔を輝かせる。


                  ,...ィ
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  .i:::::::::::::| マぅリ      マうン ' !:::::::::|' /'
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 そんな京太郎を見つめる、一つの視線があった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:10:46.03 ID:Q9W2whb7o<>
 7/10


 ……
 …

 「すごかったなぁ」


 その後も色々な手品を見せてもらい、京太郎は満足だった。

 どうやら連れて来てもらった場所はマジックレストランで、彼はそこの雇われ手品師だったそうだ。

 いつかは有名になりたいと頑張っているそうだが、芽が出ないと話しているのを聞いた。

 しかし幼い京太郎にとってはそんなことは分からず、ただただ男性の起こす魔法のような手品に魅せられた。

 詳しく手品を知る人が見れば子供騙しと言われるだろう。しかし一人の子供を笑顔にできた事実は間違いない。


 「バッカみたい」

 「うん?」


 両親が食事をしている間、京太郎はレストランの外に出ていた。

 色々見せてもらったせいかいてもたってもいられなくなり、外でボール遊びを始めたのだ。


 「あ、それ……」


 何やら呟きながら折り紙をしている少女を見つけた。

 ベンチに座り、一心不乱に折り紙を折っている。


 「あれは……」


 しかし、折り紙を包む最中に花が飛び出して来た。

 先ほどの手品をもう一度見れて、京太郎は少女に近づいていく。


 「ねぇ! それすごいよね!」

 「!?」


 京太郎が近づいて来ていることに気づかなかったのか、少女は驚愕する。

 京太郎は屈託のない笑みを浮かべる。


 「君もできるんだ! すごいね」

 「……これ、失敗だよ」

 「え?」


 くしゃくしゃになってしまった紙に花が挟まっている。

 京太郎には失敗の区別がつかないが、どうやらハミ出てしまったらしい。


 「こんなのやってたって有名になれないのに」

 「そうなの?」

 「こんなの、子供騙しだよ」


 少女はさっきの手品を見ていたのか、苦々しい顔を浮かべた。

 京太郎にとっては十分すごかったのだが、少女にとっては納得できなかったようだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:11:15.23 ID:Q9W2whb7o<>
 8/10


 「でも、凄かったよ」

 「ううん。本当の手品はもっとすごいんだ」

 「もっと凄いの!?」

 「そうだよ。

  例えば、あの箱に人間が入って、そこに剣を刺すんだ」

 「そ、そんなことをしたら危ないよ!」

 「それに箱を二つに分けて、胴体を切り離すんだ」

 「い、痛そうだよ」

 「最後に二つの胴体をくっつけて、もとどおりに戻せるんだよ」

 「う、嘘だ!

  そんなこと出来ないよ!」

 「出来るよ。それが本当の手品なんだから」

 「そんなこと出来ないって!」


 自信満々に少女は断言するが、京太郎は信じない。


 「それに比べればさっきのなんて子供騙しだよ。

  あんなことしかできないからいつまで経ってもこんなところでバイトして……」

 「そんなことないよ!

  ホントーに凄かったもん!」

 「……」


 熱を入れて凄かったことを強調する京太郎に、少女は驚いている。

 他の人にとっては大したことはない手品でも、手品に触れたことがない京太郎にとってはそれが全てなのだ。


 「ねぇ、お父さんの手品すごかったかな」

 「お父さん?

  さっきの人なら、すごかったよ」

 「そっか。

  ……ねぇ、僕の手品も見てくれる?」

 「え、君も出来るの?

  見せて、見せて!」


 少女は神妙な顔をしてコインを取り出す。

 京太郎は今度こそ目を離すまいとコインに目を奪われる。

 少女はまずは小手調べとコインを手の中で弄り回し、指から指へと跳ねさせる。

 京太郎にとってはそれだけでも十分手品染みているのか、キラキラとした目で見つめている。


 「これを……こう!」

 「あっ!」


 最後にコインを強く握りしめたかと思うと、その掌を開く。

 掌からはコインが消えていた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:11:44.40 ID:Q9W2whb7o<>
 9/10


 「スッゲー!

  どこにやったの?」

 「それは秘密だよ」


 抱きついて来そうなくらい迫る京太郎にウインクを返す少女。

 京太郎は大人だけでなく自分と近い歳の少女が手品をしたことに驚いたのか、興奮は先ほどの比ではないようだ。


 「まだこれだけしか出来ないんだけどね」

 「それなら、もっと出来るようになったら見せてくれる?」

 「……見てくれるなら、君には特別に見せてあげる」


                     -=
             >  ̄`       `ヽ
           /
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     ///  , /  /  //   i     !         ',.  \
   /ニ∠ニ= イ/ ,/  // / イ     i     i  i ヽ ̄
  /ニ三三イイ/ //  ≠{‐y-/、|   i  i     |  i厂
  /三三三/∠ ィへ| /| .| /∨|{ i //.{ i /-.i_ i.   |  |!\
.../ニニ三三{ニニニi fヽ|/ !/iム_  i! ∨/| .!/|//i } .!  i i. |i‐-`-
イ三三三三{ニニ∧、〈i ≦ニ==ミ、  ∨i __|/ } ハ |  } |! ト!
ヽ三三三三{三Υヽ  ..:.:.:.:..     、!≠==ミ、 }| /! | |
 }、ニ三三三{三i  ト        ,   :.:.:.:.:.:.`/ }/.:| ハ|
 ニヽ三三三{三i‐-{∧   r-          /彡//!       「やった! 約束だよ!!」
  ニニYニ三三寸  i∨ヽ  丶   フ    イ三// i
=ニニニ}ニ三三三\八ム、 \        イ三ニ// /
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=ニ三}三三三ニ寸三ニヽ \{、  //. : . :/三/
ニ三三三三三三寸三ニ \ ヽ,/'. : . : . /三〈i
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ニニ三三三三三三三寸>-‐´: . : . :イ彡'


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         |:i::::::i!::::::::i    ヽ        " ,,. '/ン:::::::i::::::::i
         |:i:::::ii::::::i:::!////        ___   , ' i:::::::i:::::::;
         |:i;::::ii';::::i';:i、              `ヽ./ ,':::::::i::::::;'   「あ、あんまり期待しないでね?」
         ';:.';:::', ';::',';:丶   ,- _      ///// .,'::,:::::,:::;';'
          '; ' ;::', ';::, ';:|\  !    ̄フ     ,,   ,.'::;'i::::::::;''
    ,, ''  ̄,, ̄  \、 ''、\ \ ー-_"_   _''_., - , ':; ' ,.':::::; '
   /     ヽ、  i`   ヽ、 ゛ / ,_ \  ,_ './ヽ,.'::::;''
  ./        i  ,,!-‐――-`、-レ'/_`_  ヽ    ,..'::,.<


 幼い頃の、二人だけの約束。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/18(日) 20:12:13.59 ID:Q9W2whb7o<>
 10/10


 ……
 …

 少女にとって、父親を認めてくれた人は彼一人だけだった。

 少年にとっては数多の出会いの一つに過ぎなかったのかもしれないが、少女はずっと覚えている。


 「ばーか」


 手でコインを弄り、最後に強く躙りしめる。

 コインは綺麗さっぱり無くなっていた。


 「今度は続きだってあるんだから」


 今度はもう一度掌を握りしめる。

 掌を開くと、そこにはまたコインが現れていた。



      ´ ̄ ̄ `>:::´::::::〈 ̄ ̄ ̄ \::::_,.>――- 、
       ,.: ̄/::::::::::::::::::::〉'    `ヽ}  }  _,      〉
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    .'::::::::/{:::::::::::/:::::::::::/ 从:{ /イ   }::::::/   }/:イ/}::::/::/::::} }:|
    |::::::/:∧:::::{l′ :::::: |ィ笊斧芹ヽ / イ ィチ斧ミ、 ム:::::/}::イ /'
    |::::/イ  、::'::::::::::::: |{ 比し(_      ヒし(_  }/}:イ:/::::|
    {:/ {   ,:::::::::|::::::|  Vこzソ      Vこソ  '::::::::::::::::|
    |     | |:::::::::|::::::|   , , ,     ,   , , _ム:::::::::::|:::|
          l |:::::::::|::::::|、               〉:∧|::::::::::|:::|
           Y::::::::|::::::|、::,、    「  フ    {:イ l::|::::::::::|:::|   「思い出してくれないと、見せてあげないよ」
           |::::::::|::::::|Y      ` ´    <  ,:::|::::::::,:|:::|
          _l∧:::|:::从ノ     ` r-=≦-、_,.._/::イ::::::/ |:/
      /⌒:.{:.:.:\:{:.、  - _  |`¨ヽ:.:.:.:}:.:.:.:.:.〉/::::イ /
       ,:./⌒ヽ、:.:.:.:.:.\:.ヽ   `     }:.:./:.:.:.:.//イ
     /:.:,    `ヽ、:.:.:.\:.}         |:./:.:./,  |
.     {:.:.:{      }:\:.:.:Y        |':./∧{  |


 あの時と今とは身分が違うけれど

 少女は今も、約束を忘れない



 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/18(日) 20:12:42.65 ID:Q9W2whb7o<> 某京一同人の支援。京一増えないかなぁ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/18(日) 20:18:37.50 ID:3n8xXBdLo<> よっしゃ京一ヤッター!
意外とどういう方面でも調理しやすそうだよね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/18(日) 21:25:59.26 ID:Baw3RNcdo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/18(日) 23:22:53.42 ID:JPUDKdnP0<> 乙です
一ちゃん可愛い…! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/19(月) 15:09:26.92 ID:hXpbl0w+o<> 乙です
そして京一同人とは??? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/20(火) 10:35:48.38 ID:MA1rGo2xo<> 乙です
お金持ち次元の選手層の厚さがすごい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/22(木) 00:47:42.99 ID:Qf24UrAM0<> >>773
渋で京太郎で検索してみ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/24(土) 02:22:51.46 ID:pns1DOml0<> のどあこ次元で京サンタが松実旅館へプレゼントを贈りに来る 露出の激しいはやのどあこサンタと他人の振りをするシズと実家でクリスマスするすこやん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2016/12/24(土) 06:17:14.71 ID:MmiD2/kDO<> 京咲で子供がサンタさんが来るまで起きてるとか言うけど結局寝ちゃうやつってやったっけか。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/24(土) 11:35:58.46 ID:ZWW0hCHyO<> 京淡ネリで
サンタクロースを信じてる淡と信じて無いネリー
なお枕元に置かれたプレゼントを見てテノヒラクルーする模様 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 00:41:13.67 ID:7iMF8oKk0<> 京霞で京ちゃんに自分をプレゼントする霞さん <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:01:47.09 ID:LV62y1O+o<>
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 【クリスマス特別編】-のどアコ次元-


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     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////     「クリスマスと言えば!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


          . :´ . : . : . : .`: .
        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪_}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{     「クリスマスパーティーね!」
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .E\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}



                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //     「なぜ俺はここに……ッ!!」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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 クリスマス女子会編!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:02:21.10 ID:LV62y1O+o<>
 2/10


 「何よー。男一人寂しいクリスマスを送ってそうだから誘ってあげたんじゃない」

 「(ふふふ……、誰かと一緒のクリスマス!

   もうのどっちスレ民にバカにされることもありません!)」

 「俺は……、俺は玄さんとイチャイチャクリスマスを過ごす予定だったのに……ッ!!」


 元気な二人に対し、京太郎の慟哭が響く。

 須賀京太郎。ついに内縁の彼女を手にいれて独り身のクリスマスから卒業する予定だった。

 内縁の彼女と言うのは、今まで京太郎は明確に玄に対して付き合おうと伝えたことがないからである。

 京太郎としてはクリスマスに合わせて玄に告白し、この曖昧な関係を確固たるものにしようと考えていた。

 そしてあわよくばその先の一線を超えてーーそう思ってしまうのは男子ならば仕方ないだろう。

 しかしーー。


 ……
 …

 ・数日前

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   |  i::::::::::i:::::::::::::::| く  i:::::::::::::::::::ii   `       i i..:::::::::::::::::ii  ,ゝ i.:.:.:i:::::::::::::::::::::::::::|
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      |::::::|:|:::::::::::::::|i   ヾ;_.._._彡  ...::.:.::::::::::::::...    弋;.;_;_彡     .i:.:.:.:.::i:::::::::::::::::::::::::|
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       ○ |:::::::::::::::i i    xxxx               xxxxxx   .i |.:.:.:.:.:...::ハ:::::::::::::::::::|    「ご、ごめんね?
      /:::i::i::::::::::::::::|.i                              i i.:.:.:.:.i..i::::::|::::::::::::::::::|
        i:::::::i::i::::::::::::::| 、                       u  i.:.:.:.:.:....:::::::::i::::::::::::::::::|     休日の旅館は忙しくて……」
      |:i:::::::|:i::::::::::::::i:::::ヽ u          , _   , 、          ,/.:.:.:.:.i..i.:::::::::::|::::::::::::::::::|
.       i:|:::::::|;;|:::::::::::::|:::::::::ヽ         (   ̄  )           . ノ:::.:.:.:.:...:::::::::::::::::i::::::::::::::::::i
      | i:::::|;;;;i:::::::::::::i:::::::::::::::ヽ      ` ⌒` ′       ≦:::.:.:.:.:..i...i:::::::::::::::::|:::::::ハ::::::|
       |::::|;;;;;;i::::::::::::|:::::::::::::::::::::`              r:::::::::::::::i.:.:.:.:....::::::::::::::::::::i:::::/:::::i:::::i


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Y /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从       「し、しまったぁぁぁーーーっ!!」
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、
////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧


 …
 ……

 老舗旅館の手伝いをしている玄がクリスマスに休暇を取れるわけもなく……。

 京太郎の目論見は瓦解することになる。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:02:50.54 ID:LV62y1O+o<>
 3/10


 「ううっ、玄さぁん」

 「素人考えなのですが、須賀くんも手伝いに行けばよかったのでは?」


 和が素朴な疑問を発する。

 しかし、気遣いのできる京太郎がその発想に至らないわけがない。


 「その、玄さんにそう言ったんだけど……」


 ……
 …


                     ( )
    i ニlニ○ _L/、     /   (⌒ ⌒)
    { cト  ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ  て人_)
         .   ――  ..
          / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、
       '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\  /
      / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }   ハ
    /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.   ̄
    /::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
    {: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
   rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三    三ミメ.|:/|:.ト{ \
   /:{ V:|::.|::.:.|´i             `|:: |:.|
   |:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__   /// |::.i!:.!    「えへへ、そこまで言ってくれるなんて嬉しいな!
   {i:{:: :ハ::.: 込{. __  (__ ノ    .ィ}:リ|:
   乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′     どうかな、お姉ちゃん?」
 /:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/|   ( )
イ.:/::.:.:.:. /  /\     {      {:小{  (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ       |!    人.}:.{  て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人       ,八      ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、    /  乂   /:.:|


        /:/: : : : : /:. :. : : : :.八:. :. :. : :. :.| |: : : : : : : : |:. : : : :|: : |: : : : : :‘,
       ' /: : : : |: :|: : : :|:. : :.| |: : : : : : : | |\: :_: : : : |:. : : : :|: : |: : : : : : :‘,
.      i ハ: : : : |: :| : : ∧: : :l ハ: : : : : : T〔 ̄「 :|: : : :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :无Τ: :Г| ト、: : : : :N  ヽ|\: :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :| V \ l |/  \: :| ,ィc宥ミx |:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | V:. : :|: :V |〃示芯ミx    \| ♭  Л Ч: : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
      ヽ| V: : |: :ヽ癶{ ♭_,Л         乂こシ 个: : : : |\|:. :. : : : : :.|
          \ |: : : :メゝ弋こソ             |:. : : :.| |:. : : : : : : :.|
             |: : : :ハ     ,            |: : : : : | |:. :. : : : : : :′
             |: : : : :}                 |:. : : : :.|ノi : : : : : : : ,
             |: : : : :.                 |:. :. : :/: :/:. :. : : :. :./
             |:. : : :込、       .--         |:.:. :.:/: :/ : : : : : : イ   「繁忙期に新人の手伝いを入れる余裕なんてないよ」
             |: : : : : :兮 、              /|:. : /: :/: : : : : : : : |
             |:. :. : : : : :. :.>            イ__,./:. :厂7:. : : : : : : : :.|
             |:. : : : : : : :.「 ̄. . ≧=一≦¨´.. .. ../:. :// : : : : : : /ヽ|
             ヽ:. : : : : : :.|.. .. . . . . . . . . . . . .. ../:. :〃:. :. : : : :./. . . . \
              ∧: : : : : : |.. .. . . . . . . . . . . .. ../:. :/!:. :. : :. :./ー───‐\
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: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /    「正論すぎて何も言えねぇ……」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 ーーバッサリだった

 …
 ……
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 01:03:15.43 ID:2nxSzJp5O<> クリスマスだけど勉強で祝ってる暇の無い京穏 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:03:20.07 ID:LV62y1O+o<>
 4/10


 「なるほどねー。

  そりゃアンタが悪いわ」

 「ますます宥さんに嫌われちゃったよ……」

 「あの咲さんすら手懐ける須賀くんが嫌われるって相当ですね」


 京太郎にとって人に嫌われる、避けられると言った経験は少ない。

 普段から人と仲良くすることは得意だったし、みんなの中心にいた。

 清澄の時のように出しゃばる訳にはいかない状況では支えとして立ち回った。

 しかし今回のようなケースは初めてだ。

 人に嫌われる経験が少ないので、結構傷ついていたりする。


 「そもそもアンタのことだからクリスマスデートで告白ーっとか考えてたんじゃないの?」

 「な、なんでわかったんだ!?」

 「顔に書いてあるし」

 「(え、須賀くんの顔のどこに書いてあるんでしょうか?)」

 「な、何が悪いんだよ。

  クリスマスみたいに雰囲気がいい場所で告白すれば喜ぶんじゃないのか?」


 動揺して憧を見据える京太郎に対して、やれやれと大げさに手を振り返す。


 「これまでも散々女子会で女子力について教えてあげてたのに、やっぱりわかってないわねー」

 「なんだと、憧にそんなこと言われるなんて……」

 「クリスマスに告白なんて、安直すぎよ」

 「グッハァ!!」


 彼女いない歴=年齢なりに考えてのことだったが、どうやら憧からしてみればダメだったらしい。

 京太郎しては憧の女子力知識は全く当てにしていないのだが、今回はちょっと心が折れそうになる。

 なんせ良かれと思ってやったことが宥にバッサリ切られたところなのだ。


 「クリスマスにデートする相手といえば恋人でしょ?」

  それまでに告白してないってのが論外」

 「ぐふっ」

                _. .-. . . . ̄. .゙. . . 、
             , '´: . . . . /. . . . . . . . . .ヽ
            /:;ィ´: : : : :/: : : : : : . . . .ヽ. .\
        _,-─tァヽゝL:_/_:,': : : : : :|: : : : . . .゙ . . ヽ
      ,〃,r‐'7ハ: レ!__,'_ : ;イ | : : : /!!: : : : : ヽ. l . . .、
      /:〃  l: ト、|:.|: ハ Tハ!:|: : : :{ ||: : : :.|: |:゙. .!_l |ミヽ、
     ,':./   !: |: :|::LL_ヽ| !:||: : : ! |'T:‐:-|、: :|: ト、 !| \:ヽ
     ,':/    .|:.:|: :| ハチ≧ト、|ハ: : :!土_ヽ: :|: |: !:.|. .ヽ!!  ヾ.、
    ,'/     λ:.r=|: |.{:;;::Cヾ  ヽ|チ不≧!/! |: !. ./,'|    ヾ:、
    |l     ハ: | (!: !`ー''     { {゚:;;:C |>|:.!:.|,:'./|j     ヽl
    ||    |: :|ヽト、!:.!"""   '   ` ー'' ,イハ|: |:/.:l      ||
    |:!.    |N:l:.ミト、!:.|  、     """ /ノノ !:.|: _;|      |:!
    |:l  r、 .N:.ト {ヽ: !、    ー    ,イf.l´.:.:|:.j//ハ      l:.|   「女の子はね。
     i!:|  \\:|:゙、| |:ヽ:|:>、_ .... -≦|:.:.:.| !:.:.:.|,.'/:.:∧      .|:.|
.    从!   l\\:| |: :l: !:|      |ヽ|: !:.:.:.| |: :/ ,イ|:゙、:ヘ      !:.|    雰囲気に呑まれて告白されるのが嫌なのよ」
    ハ:ト:l   Lf~ヽ `_ヽ_:!|ヽ    ||、-、ヽ:_L`_r"∠!: :!:∧    |:.:!
   ,' :|::!ミ、 | >、ゝ.|´ヽ ヽヽ:ヽ-、 ,.r!::>‐'{ | |ノ|ノ7: |:.:.ヘ.   ,':.:|!
   |,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`|::::\_ヽ_!__! .| /|: :.!:.: ∧ ./:.:.:!i!
   |i| !:|  |\,ゝ       |: :ヽ  |::::/´   /` ̄ヽ: |:.: :.∧/:.:.:.:||i!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:03:48.82 ID:LV62y1O+o<>
 5/10


 「で、でもロマンチックな告白を望んでるって聞いたことあるぞ!?」

 「それはそれ、これはこれ」


 京太郎からしても前準備はしていたのだ。

 女の子はロマンチックな告白を望んでいると聞いていたから、わざわざクリスマスの日に合わせた。


 「ロマンチックな告白=クリスマスってのが安易ね」

 「う、うぐっ」

 「女の子はね?

  そう言ったイベントに頼らず、自分の力で色々と考えて、ロマンチックな告白を受けたいの」

 「む、難しすぎる……」

 「あ、今面倒臭いって思ったでしょ?」

 「お、思ってねーよ!?」

 「女の子は面倒臭い生き物なの。

  玄は物分かりがいいんだけど、それに甘えちゃダメよ?

  色々と溜め込むタイプなんだから」

 「あ、憧がすげぇ正しいことを言ってる……」

 「何よ!

  どー言う意味よ!」

ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ    ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「:|:::ヽハ:!:!: !:  }
-ィ: : : |_,'_,,|―‐,'‐/-/|: :./|:-|―‐,'-}:|:|:. リ !.|. ト.、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //  /.: :/ !: :!/!/  !从:/|:.| !∧冫
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ /.:/ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂ '     ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!
:γ⌒Eヽ弋二;;ノ       ゝ-.″ | }: : : :|
',:{ :::`                、         レ′ : :!
..',\                   ノ:   ::::!
: : :| `ー´\         _      / !:! !  !
: : :|.     ` 、          ./|: :. !:! !  ::!   「(憧の言ってることも須賀くんの言ってることもよくわからないですね)」
: : :|         }`   .. __ , イ  |::|: |:|: :|  |
: :: }     ィ‐┤.        ├ .、|::|: |:|: :|  {


 「憧って本当に女子力トークできるんだな……」

 「いつもやってるでしょ!」


 憧の言っていることは理屈で言えば支離滅裂なのだろうが、京太郎には思い当たる節があった。

 玄は京太郎が何をしてもいつもニコニコしていた。

 しかし、憧の言うことが本当だったならば溜め込むことも多かったのだろう。

 中学、高校時代と女性の多い環境で過ごしてきた京太郎には思い当たる節が多い。

 女性だからと言ってしまえば差別発言になってしまうかもしれないが、理屈では説明できない部分が多いのは感じていた。

 もしかしたら、宥はそんなところを見抜いていたのかもしれない。


 「宥さんはそう言うところに気づいていたのかな」

 「いや、宥ねえは玄を取られるのが嫌なだけでしょ」

 「うそーん」


 台無しである。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:04:17.68 ID:LV62y1O+o<>
 6/10


 「憧はそう言うところよく見てるんだなぁ」

 「もちのロン。

  女の子を舐めちゃダメよ?」

 「そうですよ須賀くん!

  そんな、女の子をペロペロするなんて、セクハラです!」

 「しねぇよ!?

  なんでそんなことするってことになってるの!?」

 「アンタと玄のおもち同盟ってのが怪しいのよ!

  どうせ……

 『俺、玄さんのおもちが一番好きです』

 『京太郎くん……(キュン)』

  とかやるんでしょう!」

 「やらねーよ!?

  さすがの玄さんもそんな反応しないだろ!?」

 「そうね……」


 場に沈黙が訪れる。

 どうやら思案しているらしい。


                    -――-
                 _/        \
                    //: :/ :| : : |: :│: : _/{⌒\
                /: /i 仏ィ| : : |ー八-∨ j:|:ト、: : .
                  / :/八i庁仆: : 斥允ヵ:∨リ:|い: :i
               : : i |: i:代:ソ \|弋:::ソノ|Y^' |: :|: :|
               : : | | 从   '__    u. |:|ノ: |: :|: :|
                | : | |:V介: . ‘ ′  イj/: ; : :|: :|
                | : | ∨!:.| i: ≧=  ´ト、∨: /: : : :│   「玄だし……」
                | : | |_|: リくΥ r'´ /7゙: /i: : :| :│
                | : | /V: /L|人,,/}//: :/ `\l : :|
                | : l |/: /〈 `YY⌒〉/: : :  /│: :|
                | : |/|: :| く__ノ入,ノ>| : : |  '  |: :│
                | : |/|: :|  / /`  | : : |∨/ |: :│
                | : i{ |: :| { {.  \| : : |リ/  :|: :│
                │:从|:八  ○、\八|_八i{  八 : |


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人    「ああ、うん……」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、


 ーーやっぱり言い返せなかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:04:47.24 ID:LV62y1O+o<>
 7/10


 ……
 …

 「ううっ、お姉ちゃんに怒られちゃった……」


 松実玄は素直な子である。

 普段はワガママを言うこともなく、父や姉に従っていた。

 家が忙しくなくても家の手伝いは欠かさないし、心配されるようなことをした覚えはない。

 そんな玄が初めてワガママと言うか、自分の意思で好きになった相手が京太郎だ。


            '' _.――  ....
        / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、..
     . '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
     / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }     ヽ
   /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......  ',
  /::.:′. .: }:  ヽ ,斗‐|-  .::| :ト.、 | |.!
. /::. |:...:.:/|:.  ..:l\ ! ヽヽ .::l /! ..l | | l
. {: /.! :|.:.:..::|:.. ...:|〒弐オ`\.l/〒テト.|./|.:i
...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{.  ,.::| ト'::ィ;リ      トィリr::ノl:ノ
./:{ V:|::.|::.:.|´ii ..:::| `ー'     .゙-'l |/
.|:.|/::.:,::.:.::. l :|.i ',.:::|   ゙゙゙゙    ` ゙゙',!.:}
.{i:{:: :ハ::.: 込{.::l :'.,l.    (_`チ  _,ノ./|.    「えへへ、好きになっちゃったんだよね」
.乂:/:.:∧::.:.V.i::ヽ_.::!ヾ=<>‐、‐ T´|..小{
  / .:: :::::::: ル´}::.从`⌒H⌒´}.丿. }:.{
. / .::: .:;へ/` '、l::..<__/八_,>.l. .}:.{
/ .:::::::///;;`ヽ',`..〈   ./ .|  } |  }:.{


 恋をすると言う気持ちがどんな気持ちかわからなかった。

 でも、京太郎と会うとなんだか楽しかった。

 楽しいと言う気持ちはふわふわした気持ちに変わって、ぼんやりと胸が温かくなった。

 気づけば京太郎のことを支えたいとすら思っていた。


 「でも、さすがに今回のは困らせちゃったよね……」


 だからこそ京太郎が一緒に働いて手伝ってくれると聞いて嬉しかった。

 自分の都合でクリスマスを過ごせなかったのに、それでも一緒にいてくれると言ったのだ。

 思わず喜んで姉に相談したら、珍しく叱られてしまった。

 よく考えてみれば姉の言い分は最もで、返す言葉もなかった。


 そうなれば心配なのは京太郎だ。

 自分が浅はかだったせいで京太郎にも嫌な思いをさせてしまっただろう。

 最初から姉の言っていたことを京太郎に伝えて静止しておけば良かったのだ。

 これが繁忙期でなければきっと手伝いをすると言うことを止めはしなかっただろう。


 「ううっ、私ってダメダメだよ」


 行動に移すとあまりいいことが起きない。

 未だに自分に自信が持てないのだ。

 人に嫌われないように、人のために生きてきたからこうして叱られることに慣れていない。

 正論で叩かれたことは玄の心に重い影を落としていた。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:05:16.79 ID:LV62y1O+o<>
 8/10


 「ううん。考えてばかりじゃダメ。

  今はお仕事を頑張らないと……」


 気持ちの切り替えは得意ではないが、仕事は仕事だ。

 お客さんや従業員さんに迷惑はかけられない。

 これ以上叱られたらますます落ち込んでしまう。

 さて、休憩時間も終わりだと飲んでいた湯呑みを片付ける。


 「……?」


 携帯が震えた。

 基本的に持ち歩いてはいないので、休憩室で見る程度だ。

 玄もあまり携帯に執着するタイプではないので、気づいたのは偶然と言えるだろう。


 「あっ……」


 ……
 …

 差出人 京太郎くん
 件名 お仕事お疲れ様です

 本文
 玄さん、お仕事お疲れ様です!
 この前は無理言ってすみませんでした……
 年末年始は忙しいと思うので、今度玄さんに余裕が出来たら遊びましょう!
 その時には、色々と伝えたいことがありますから


 …
 ……

                    ____
               ,, :´ : : : : : `: ..
               ≦: : : : : : : : : : :\
          .  .ク:.:::.: : : : : : : : : : : :.ヽ
           /::.::.::.:. : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い
         ./. __.ヾ:. :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,:  ‘, ゚.
        .,/..../::.!.―:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |:.: : :|: ゚
          ′::::i::.. 从 :乂:.ヾ:::::ハ.i|≧ミ∧..`:|: : : :|: :
       |:: '::: i:. :..ノ灼茫  ヾ:i ^灼茫ミ...}::.:.|: : : :|: :.゚
       |::|l:::::i:.:.:.圦 vツ       vツノ |::...|: : : :|: : i
       |::|l::::ハ.:.:.} 、、、  ′   、、、 ,i::: : : : :|: : |
       |::|l::/.::::..小.   r―      イ. : :.|: : : |: : |
       |::|l:{.i:::::.: 込.     ..ノ    .イ. }: :..:.: :...|: : |   「ーー!!」
        `O′:::.(:. ノ介ト __  <{从 /: :..|: : : |: : |
        /::j |:::::_≧=ー : 〕  .....{  j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
       .{:::/ |::::.:.:广.../レ  〃ヽ  /: : :/:.:|: : :。.: : !
       .|::{ .从:..:|....┴ヘ. イー|. :/: : :/^`ア⌒ヽ:,
       .Y /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/


 現金なものだ。

 憂鬱な気分などどこかに飛んで行ってしまった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:05:46.26 ID:LV62y1O+o<>
 9/10


 「えへへ、京太郎くん怒ってないみたい。

  良かったぁ」


 懸念事項が一つ消えた。

 本当ならばこちらが謝らなければいけないのにと考える。しかし、心配してくれたことが嬉しい。

 平気だよ、と簡単に返信する。本当は原稿用紙数枚分の返信をしたいのだが時間がないので省略する。

 仕事が終わったらしっかりと送ろうと心に留めておく。


 「京太郎くんとデートかぁ」


 京太郎とデートすることは嬉しい。

 確かにクリスマスやお正月、初詣に行くことは出来ないだろうが普段通り遊ぶだけで玄は満足だった。

 憧の言っていた女心も一つの見方としては正しいが、玄には当てはまらないようだ。


      ,.': :/:/: : /!|: : ;' |: :__: : :.|: : : :|: :l: . . .ヽ
.     /:, :,': :!:,': ! ||i: : | !l_、:ヽ ̄:ト: : : |.: :l: . : . .゙、
    /:,1:,'.: :|:レ|´l|ヽ: ゙、 ヽ_\l\!: : : :!.: :|: : : . |. l
   ,':/ !:l: : :!:| リニ、 \!イ斥"寸、!: : : :!:ヽ!: : : . !. .!
   {:| |:l: : :|:i:斥寸    弋しソノ|: : : :|:ヽ|: : : : |:. .|
   ヾ !:|: : :抖乂ソ    `""  !: : : :!=、l.: : : :.|. . !
     | !: : :l:! ,, ",         ""|: : : :| |!: : : : .!: . l
     |λ: :l:l            |: : : :| ,ィ.: : : : :|: . .!   「一月中なら初詣には行けるだろうし、着物でも着ようかな?」
      jt |: : |l   _ っ        !: : : j´:|: : : : : |: . .!
    / :| ゙: : |:ヽ/ノ      .ィ.: : :,': :,'.:/: : : :|: . .|
    ,'/l | ゙: :y' ,ィl>... _ ..  ´ l: : /: :/:/: : : : :!: : ハ
    lj ヾ、 ∨/>!: : |: : :}   //|: /´: : : : : ノ: : : .ヽ
         ,'  ´-ヽ:.:|: : :|    "  У: :_ - "´ `ヽ: . .゙、
          l   -テ!:,': _ノ     /: /        \ ハ
       /|   l´/ニ__   /: : ,'          ヽ∧
     ,'  !   !'   `  ,.': : : : :|           ,'. . ヘ
     l.  ノ   ∧ァ__r‐-/: : : : ;ィ             /: . . . \


 少し恥ずかしいが、京太郎にアピールしたいのも事実だ。

 母親が遺してくれた着物もある。着付けだって出来る。

 時期は少し外れてしまうかもしれないが、好きな人と初詣に行きたいと考えるのは普通のことだった。


 そして玄は本文中の言葉に気づく。


          , ' / /        \  \   ヽ
       / / , '     /      \  ヽ   ゙.
        // .' /  / ./!        ヽ  ゙、  l
     //  ,.'   ,イ / i       |、 l  丶 |    !
     ,'/l| . l! __L!l._ !       |_L.L._  l  l   |
     li! |! ||、´ ,' {.| -| l、   l|l-ヽ|、 ` .| |   l
     || i!.|Yヽ|_,,,L_ lハ.   |l!=込_\ !  ||   | l
.      i! | | | /イ示ヾ  \ {イ示ヾミ |  .!|   |. !
.      } |  l!ヽ辷ソ    `ヽ辷ソ" .!  ll|  !. l
.        | /|  |l ,, ,,     ,    ,, ,,  ,!  |i|  ! |    「伝えたいことってなんだろう?」
        fj. !  l.!            ノ|  l |  | l!
     / !. |  | ヽ    っ     ..ィヽ!  l !  !、. ゙、
    ,.'/{ | _!  l'´| >、.. _ .. ィク   ,' / トl.   |. \\
    !'/,l l'. ..ト ハ..l    ヽ、  ,<    / /!ノ/  .lヽ、ヽ \
   , 'K. ヽ!. . ヽ\ヽ!  , ヘ ゝl λ   ,'ノ. . /   |. . . `>、. \
.  / /. ヽ. . . . . . .  ̄! /\ヽ '// \ /. . .,'/   |. . ,.'. . .ヽ  ヽ
 / l. . . ヽ. . . . . ┌┴┴─┼|┴─┴-、,'/     .!. /. . . . .l   ヽ


 ーー自分のことに対しては鈍感な玄が答えに行き着くことはなかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/25(日) 01:06:14.79 ID:LV62y1O+o<>
 10/10


 ……
 …

              , r ───−- 、
           r '´ : : : : : : : : : `ヽ、
         ./ : : : : : : : : : : : : : :\
        / : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : ヽ
       ./ : / : : / : : : : : :|: : : : : : :ハ: : :ヽ : ヽ :ヽ
      / : / : : : /: : : : :l: ::j: :|: : : : : | }: : : :ヽ: ::ヽ : ヽ
      / : :{ : : : ::{: : : : :ノ:ノ}:::ル: : : : リ、}::ハ: : ヾ,: ::}: : ハ
     .{ : : | : : : 」; 斗七´/.}:/.}: : : :リノ }`ト;、: :}:}:: l ; ;} }
     ! { : :! : : : :!: : :ノ':/`/' .j: : : ://  .リ |: 外|: :l: : ト|
     .|::l : ::| : : : |:/,r=≠ミ /: : ノ ' ,r=≠ミ/ |リ:: :| :ハ}
     .|::|: : :| : : : | 《{////゚} ´    .{//゚/}.ヾ|: : : :|/' '
     .|::| : ::|: : : ::| ヾゝ//ソ       リ゚/ソ‖!: : ::Y|
     .|::|: : :l: : : : |  , , ,      ,   , , ,  .j:::: : :|:|
     !:l : : :{: : : :{                l: : : :|::!
     }::l : : :l: : : ::{               .j : : :リ: |
     .}::i : : :l: : : ::ト、.     ⊂⊃    .ノ: : : ::j: :|   「無理やりにでも玄ちゃんを誘わないなんて、ヘタレだね」
      l: 〉: : :〉: : : :V>、         rl'´リ: : : :/: リ
     .} :∧: : :W、: :ゝ、_.|_` ー __, ィr<、: |:/': : ::/ : /
     ノ : : :ヽ: : :ヽ:\ヽ   ̄ ` ヽ、{ _, r'  フ: ::/:: /
   / : : :r‐'ヽ: : : : ∧           /:/: : :∧、
 ,/': : : ::/  .∧: l: : ::ヽー-        ./: : : : :∧: : \
//: : : , r'ー-  ∧l: : : :ヽ   ー-−  j: : : : ::/ ) 、::ヽ::ヽ
/./::/     `> 〉: : : : }         l: : : : /r'´  `ヽヽ:)
! {:/ヘ        ノ:,: : : : :ト--  ___, -{: : : : {     ハ V
 V ∧      ノ' .|: : : : :}   `ー-'´ ヽ、: : l:ゝ   /.}


         ...´........................................................`....
      /............................................................................ヽ
      ..:::::::::::::::::::::::::::::::::/::/::::::::::/:::::::::::i::::::::::::::::::::::::,
      /:::::::::::::/::::::::::::|:::::/::::::::::::::::::::::/::::::|:::| ::::::::::::::: '
     ::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::|:::::::::::::|:厶斗 -ハ:::::::|:::|::::::!
    |  _:::::|:::::::::::::::|::::::::::|:::::::::::::|::::::::/ |:/ .}:::::/i:/::::::|
    |_ ノ:::::::|:::::::::::::::|/|::::::|:::::::::::::|_彡 〃__/::::/ ィ:::::/}|
    |::::::::::::::|:::::::::::::::|/|::::::|:::::::::::::|.〃⌒ヾ  .....癶{ 〃
    |::::::::::::::|:::::::::::::::f^Y::::::::::::::::: |.{{    }}  ...{{ }}.:.:|
.     ' ::::::::::::|:::::::::::::::| ^|::::从:::::::: | ゞ=='"  ....ヾリ.:.:|
     ' :::::::::::|:::::::::::::::| 圦::ハ::::::::::::|.:::::::::      :::::.:|..::|
      i:::::::::::|:::::::::::::::|`ーo{ ;::::::::::|   /⌒⌒}.  |..::|
      i:::::::::::|:::::::::::::::|::::::|:|. ':::::::::|.. .{    / / :|    「普通の反応だよぉ!?」
      |:::::::::::::::::::::::::::|l:::::|:|   ';:::: |`  .. ̄⌒,.ィ:.:|:.:..:.:|
      |::::::::::::::::::::::::::八:_圦  ';:::::. 厂::{ l::::|:::|  . :.:|
.     ′:::::::::::';::::::::::::〈./  \ 弋「./:::::::: j:::::〃..:.:.:.:.|.
.    /::::::::::::>ヘ::::::::::::∧   ヽ_ヾ \::V::/.:::::.:.:.i.:.|
   /:> ´   V:::::::::::∧  /^' { ト  _入:〈. :::::.:.. 八|
.  /〃 =- 、   ヽ::::::::::∧/\ .Y /}}\}:::`ー 、 /
  /:,′     \   \::::::∧ { ̄`ヽ〃/ ̄}:i  i
. /:::|            ヽ::::∧i    } 」   i::| l|


 ーーお姉ちゃんはお付き合いに反対のようです



 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/25(日) 01:06:43.61 ID:LV62y1O+o<> 次は>>778を書きたい。すごく滾るテーマ
でかい病院行ってめっちゃ強い薬貰ったおかげでやっと咳が減ってきたよー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 01:11:17.81 ID:RGKPdRtco<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 01:20:20.58 ID:7iMF8oKk0<> 乙です
京ちゃん(奥手)とクロチャー(鈍感)が付き合うには宥ねえの力が必要か <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 01:25:16.53 ID:2nxSzJp5O<> 乙です
横入りご免なさい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 01:43:12.19 ID:Y0WDz4cBo<> 乙
のどっちはいつも通りなのに憧の女子力が真価を発揮してるなんて… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 01:52:57.40 ID:mei4Uoc/o<> 乙!
アコチャーが珍しくまともな女子トークするなんて…これがクリスマスプレゼントか
しかしこのクロチャーとっとと付き合わせないと変な意味でグラビティ拗らせるんだよなぁ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 01:54:56.60 ID:9b20Vy3Vo<> 乙
アコチャーは見栄を貼らなきゃまともなんじゃ? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 06:20:16.02 ID:e2/+uXGQo<> 宥ちゃんが一番めんどくさいね! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/25(日) 15:18:18.35 ID:gLn0zrgMo<> 馬鹿な!?アコチャーがまともに見える。
俺スレ間違えたのか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/26(月) 00:37:06.55 ID:z/eP5rkL0<> 京霞で初詣する二人 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/26(月) 09:47:39.50 ID:T1z6Qw8WO<> 京初ラブラブ初詣(はっちゃんの神社の参拝講座込みで) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/27(火) 00:06:17.35 ID:tcOYeSv00<> 京明で年越しで明華が作ったアルコール入りのケーキを食べて明華の膝で眠った京ちゃんとそれを見た咲さんの咲ちゃんクイズ <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:45:58.17 ID:L3AHJAgDo<>
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 778
 【サンタ論争】-あわネリ次元-


 「サンタはいるよっ!」

 「馬鹿みたい。サンタなんていないよ」

 「いや、お前らなんで俺の家にいるの……?」


 多くの人は恋人同士で過ごすクリスマス。

 残念ながら恋人という縁に恵まれていない京太郎は静かに過ごすつもりだったが、気づけばいつもの二人が家に来ていた。

 恋人という関係ではないにしろクリスマスを美少女と過ごせることに感謝しようと思ったら、二人が喧嘩を始めてしまった。


 「あわいちゃんはいつもいい子にしてたからサンタさん来てたもん!」

 「そーいうの、どうせ親が来てるんでしょ」

 「ちーがーうーもーん!」

 「ふーん。アワイはサンタを信じてるんだ」


 興味なさげにコントローラーを弄るネリー。

 どうやらほとんど興味はないらしい。

 そもそもサンタの文化はネリーの祖国にはあるのだろうか。

 一応知識としては知っているみたいだが、そのあたりはよくわからない。

 それよりも、問題は淡だ。


 「ねぇキョータロー!

  サンタはいるよね!?」

 「あ、ああ、うん……。

  淡がいい子にしてたら来るんじゃないかな?」

 「やったー!」

 「なんだ、淡。

  いい子にしてた自信があるのか?」


 散々人の家にたむろして遊び呆けているのをいい子と言っていいのだろうか。

 京太郎が疑問に思うが、淡は自分のことをいい子だと思っているらしい。


 「(でも、今年は淡の両親がいないからなァ)」


 毎年淡のためにプレゼントを用意していたであろう両親を想像する。

 しかし大学生になって一人暮らしを始めている淡にサンタさんは来ないだろう。

 さて、どうしたものだろうか。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:46:27.76 ID:L3AHJAgDo<>
 2/10


 「アワイは気楽だね」

 「なんだとー!?

  ネリーはサンタさんを信じてないからサンタさんが来ないんだよ!」

 「ふーん。

  来たことなんてないし」

 「ああ……」


 ネリー本人は気にしていないだろうが、ネリーの幼少期を考えるとサンタが来る余裕はなかっただろう。

 今でこそ特待生としての身分や大会の賞金で小金持ちになっているが、昔のネリーは相当貧乏だったらしい。

 家がそこそこお金持ちの京太郎や甘やかされて育っている淡とは違う。

 その辺り、『哀れ』と感じてしまえばネリーに失礼だろうが、なんだか寂しかった。


 「あわいー。

  家事もしないで好き勝手にしてる人にサンタは来ないぞ?」


     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /
  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|
  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |    「あわいちゃんは可愛いからダイジョーブ!」
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ X__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


 その自信はどこから来るのだろうか。

 とりあえず本物のサンタさんがいたらビンタされそうな発言である。


 「だって今年は大学の単位もとったし、麻雀も頑張ったもん」

 「確かに、勉強が苦手な淡にしてはよくやってるよな」

 「キョウタロウが言えることじゃないでしょ」

 「うぐっ」

 「そうだよ!

  キョータローは麻雀弱いからサンタさん来ないよね!」

 「おいおい……。

  麻雀弱いとサンタは来ないのか?」


 確かに小学生高学年くらいにはサンタは来なくなったが。

 純粋無垢でなければサンタは来ない、という意味では仕方ない。

 しかしまぁ、この笑顔が曇って欲しくないと思う程度には京太郎も淡を甘やかしていた。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:46:57.29 ID:L3AHJAgDo<>
 3/10


 「ちなみに、どんなプレゼントが欲しいんだ?」

 「なんでもいい!」

 「おいおい。それじゃサンタさん困っちゃうぞ」

 「ふふーん。私はいい子だからプレゼントなんて選ばないよ!

  サンタさんから貰ったってことが重要なの!」

 「あら、意外と謙虚」

 「はいはい。

  アワイ、ちゃんと画面見てよ」


 テンションが高めな淡と違い、ネリーは淡々とゲームを続けている。

 もはや京太郎の部屋は誰の部屋だかわからない程度には淡とネリーの私物が散乱している。

 今彼女たちがプレイしているゲームは『星のカービィWii』。ネリーのカービィ好きは続いているらしい。


 「ネリーは何か欲しいものあるのか?」

 「ネリーは何もいらないよ。

  サンタなんていないし」

 「いーるーもーんー!

  サンタさんはいるの!」

 「ネリーにしては無欲だなァ。

  なんでも欲しがると思ったのに」

 「……」


 ネリーが俯いてじっとコントローラーを見つめる。

 何やら雰囲気が変わってしまった。


      ∧  ト、\ヽ   ヽ  〃⌒》
  /ハ/  } |ヽ , -‐ !  l    《
 ハ_」/   .|  | /Vり  l  |  __  o
ィチ∨_ ̄`|  l ィ巧ミ< |  | ⌒》   /
 |ァ豸坏| ソ ' i::::::} 〉| !   ヽ。  /
 l〈 {:::::::j レ'   -‐'' リ 八     /
 ト `  ̄     '  "" ノ ハゝニニ二!
 ヽ ""   ∧    ノ人\ヽ    |   「どしたの?」
.\\ゝ    し'  /     } \\ <
\ \ ヽ ー- r i, --  / \ヽ! \ |
  \ } }-、  r‐/ /   \  ヽ!ヽ |
ヽ.  ト j !` ̄ / /      \  | }


 淡も心配になったのか、声をかける。

 京太郎も料理の手を止め(クリスマス用のつまみを作らされていたのだ)、ネリーの傍に寄った。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:47:26.43 ID:L3AHJAgDo<>
 4/10


 「……いい」

 「え?」

 「今年は、二人が、いるから、いい」

 「「……」」


 ネリーが俯いているため、表情は伺えない。

 しかし耳まで赤く染めているため、相当恥ずかしがっていることが伺えた。


 「ネリー!」

 「わ、わ、アワイ!?」

 「カーワーイーイー!」

 「や、やめっ」

 「キョータローは抱きついちゃダメだからねっ」

 「抱きつかねーよ」


 思わず頭を撫で回したくなったことは否定しないが。

 初期のツンツンっぷりからは信じられないほどのネリーのデレっぷりだ。


 「だって、キョータローにやけてるよ」


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Y { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ      「えっ?」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、
                     ///// |   /////////////////> 、
               /////// { //////////////////////}
             //////////∨///////////////////////|


 そりゃーニヤけるだろう。

 こんなに可愛い生き物が目の前にいるんだから。


 「アワイ、離してってば」

 「えー、だってネリーがかわいーんだもーん」

 「アワイに言われても嬉しくないよ」

 「えー?

  じゃあ誰に言われたら嬉しいの?」

 「だ、誰にって……」


 ネリーが一瞬京太郎の方を見据えたが、すぐに視線を逸らした。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:47:55.14 ID:L3AHJAgDo<>
 5/10


 「(そうだよな。ネリーは苦労してたんだからちょっとくらいいいよな)」

 「キョータロー?」

 「淡ー。ちょっと材料が足りなかったから買って来る」


 コタツから出ないでイチャイチャしている二人を後に、玄関に向かう。

 もしかしたら付き合ってくれるかもしれない、そう思って振り返るとーー



         /               ヽ \
            /   ./              :.
        /   ′ /|     :∧         ::.
.       / 7  | ./ !     | ∨    |    |
       ′ !   | / ̄`∨   |´ ̄Y    |     |
       |  |   r≠ミ、∨  | r≠ミx   |     |
       |  |  从 r':::::}!八  〃r'::::::}!》  |     |
       |  |  ハ弋)ソ   \{ 弋)ソ |   |     |
       {  |   :i ,,,  ,     ,,,, /  八   !   「いってらっしゃーい!」
.        |   :}          /7 /     |
        八   人   v  フ   / /}    八
         \{\( >...       仏イ/    /:  \
.           /    ≧ー <    |/   /:    \
          /   厂 ̄ |      /   /:.      \
         //   /   /|    /   ∧::..       ::.
.      //'    /   ∧   //   /  \::.      |
.     // /   /   /\  / /   /    \::.    |
     l(  /   /   /  /   /   /        \:..   |


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //    「ちょっとは躊躇しろよっ」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 どうやらコタツから出る気は無いらしい。

 でも可愛いから許しちゃう。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:48:24.26 ID:L3AHJAgDo<>
 6/10


 ……
 …

 ・次の日


    /⌒ヽー------/⌒ヽ
   /            ヽ
   /              ヽ
  /               ヽ
  / ●           ● ヽ
 /                 ヽ
 |                  |
 |        ▼        丿
 \       人       丿
  \_          _ノ
   ∪  ̄ー―――‐ ̄ ∪


                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \
           ,          /         \
.           /     .   /            ヽ
           ′     / /              `、
.          .' /   /,     // /|   |       `
         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ     「すごいすごーい!
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\     キョータローの家にいるのにサンタさんが来てくれたーっ!!」
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「(自分のレパートリーの少なさにビックリだよ)」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 カピバラのぬいぐるみである。

 あの後こっそり買いに行き、適当に置き場所を確保しておいた。

 あとは遊び疲れて寝入った二人の枕元に置けば完成である。

 センス? 当日に選んでそこまでは考えられない。

 男なんてそんなものだ、と心の中で言い訳する。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:48:53.61 ID:L3AHJAgDo<>
 7/10


 「ほら! ネリー!

  サンタさんはいるんだよ!」

 「う、嘘だっ。

  どうせキョウタロウが買って来たんでしょ!?」


 さすがにネリーは鋭いのか、こちらを睨みつけてくる。

 しかしその頬は緩みっぱなしである。

 ピカチュウの時もそうだったが、ネリーは本来過ごせなかった少女らしいモノに憧れているようだ。

 サンタはいないとわかってはいたが、いざこうして『サンタさんからのプレゼント』が来ると嬉しくて仕方ないらしい。

 大学生にもなってどうかとも思ったが、可愛いは正義。京太郎はそう結論づけた。


 「俺じゃないぞ?

  お前らの欲しいものなんて知らんし」

 「う、ううっ、じゃあ本当にサンタさん?」

 「そうだよ!

  ほら、ネリーもあわいちゃんも頑張ってたからサンタさんからのごほーびが来たんだよ!」

 「(京太郎サンタだからサンタがいるってのは間違ってないな)」


 ネリーも淡も自分のカピバラに抱きついている。

 ちなみに、淡は白いカピバラ。ネリーは茶色のカピバラだ。

 京太郎の勝手なイメージで決めた。

 店員は二体もデカいぬいぐるみを買っていく男をどう思ったのだろうか……。


 「色以外はお揃いだな」

 「えっへっへー!

  ネリーとお揃いだー!」

 「わ、私は別にお揃いでも嬉しくないし……」


                       ´              \__
                         /                    マ三三三三三三ニ=-
                  /     /           \     ∨ /⌒> 三三三ニ=-
                         ,′          ヽ           \三三三ニ=-
                   /     _/ │  ∧          .     | ニ二  -=ニ\三三三ニ=-
.                /    / /│ '|  |\  :.       :. i   |\        ̄`丶三三三
           __/      / /  │/│  |   :. |\       :.   |             \三三
         _/´/ /    /| \| | |  |  |│ ::.     |   八   ー―‐=ニマ三\  マ三
       厂| |∨//    人 レl   | ト-|  |  |│ ::.     │ \ \       `マ三)  }三
__,,...  -┤│レ/゙∨   /\l |_|斤テ外八 ^ト--|/--│              ー=ニ二 `マ  /_三
       ││|{ {.  /  ∧ンリ 乂ツ   \|斗テ外、.|       卜、        丶、______ く_三三
       | ∨\八  {  /  Y::/::/  ,    乂)ツ 》│    | /\       \≫==≪\ マニ三
__,,,... -‐ヘ_ \,,>\∨廴_,人          ::/::/ / リ│  │  >ー──=ミ〃    `ヽ∨ニ三   「嬉しくないの?」
          ̄    \__,))       ヽ      ∠/_7  イ /⌒)丿    \_ノ{ -‐〜‐- }ノ三三
                      ≧=‐   -=≦ / ∧|/ / ,.二二二二∨|\___/| ̄ -=
                                 / /  厂∨ / -――=マ 〉|      |
                               ((⌒´     ∨ 〈       ∨/l.     │
                                           `ーヘ      ∨|     │
                                         `、      ヽ、____丿
                                               \     \

 カピバラに抱きついているくせに、ネリーがそんなことを言い出した。

 淡は先ほどまでのテンションが嘘のようにシュンとしている。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:49:23.18 ID:L3AHJAgDo<>
 8/10


 「ほ、本当は……、嬉しい、よ?」

 「ーー!」


                        ____
                      ´      `丶
                    /              \
                        /        \    ヽ
                 /   ,イ            ヽ    .
                     // |  |   ' ト、           .
                 j/  ;  |  | │:!∧     i    :
                /  i |¬|ト│ |八--:一   i    i
                .:   Ν 八八 X´\ハ         |
               i:  Λ x= ミ \ル‐ =ミV:| │  i │
               | i  iハ   .       |.:| │  i │
               | i  i:  :. "       ""  ; :| .:|  i :.   「だよねーっ!」
               | i:. ∨込.  マ::::フ   / イ :リ  i  :.
               人八 ∨ 个ト  ,,_  <「∨ :/i   i  :.
                    /\[  |  __j_」   ∨∠:リ  リ   ::、
                /  リ jレ'´ 乂    У∨   ∧     \
                  /  /  /ー  --/ /  /⌒>、    \
                  / / /  /   广⌒゙ア  /  ///⌒\   \
            /     /   /  /   /  厶イ     ,  \ \
                 /   イ\   ,゙ /   __/   {//       |   \ \
             //  /イ 「\\_/  .:::´:::八 ∨ ′     | \      ヽ
              (/ ノ   人;::::\[__/ ::::::/::/ \∨{        人     ∨)_ノ
           \{    /   >::[_[\__;;;/    )У       〉   ト、 │
                 \__{ /::::::::几::::::\      〈          /|   |ハ |
                    [__∨::::::::∨| \::::::丶    込,,______ノ |  /  ∨
                   |__7 :::::::: ノ│  〈:::::::::|    〈 [_____________〕 |  ,   /



 「センスいいよね!

  カピバラかわいいよねー!」

 「うん、かわいい……っ!」


 二人してカピバラに抱きついてもふもふし始める。

 うん、ちょっと無理して(財布的に)買った甲斐があるというものだ。

                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{   「(俺もお節介だなァ)」
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、


 雑用を自分から引き受けていた高校時代を思い出す。

 なんだかんだ言って人の喜ぶことをするのが好きなのだ。

 そのためには、まぁちょっとくらいの出費は仕方ない。

 さらば俺の諭吉さん×2……っ!


 なんて思っていたら、淡がピョコピョコと近づいて来た。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:49:52.47 ID:L3AHJAgDo<>
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        /   /  //  . :〃  . :iト、|:. |             ヽ    ヽ  ヽ
      乂 .′ / ,イ .:/ !   . :i| |:. |\: .                  ハ
      .′ i`ーァ′/ ! .:i |   . : | |:. |  \: .  ヽ: .  ____ i-‐ ´   .
     .′  !/ . : ′| .:| |   . : | |:. |   \: .        ̄| ̄ ̄ `ヽ:
        /i|  :|. :|  | .:| |   . : ! |:. |_,,-‐====‐\   . : :|   . :|: . i
    j〃 . :i|  :|. :|‐===┼-  | : j   -‐     \: .    . : |   . :|: . |
    /  . :i|  :{. :!  \八  . : | jノ   , -‐ __,,.⊥   . : }   . :|: . 人
   ′ . : 八  Y ≫=ミ、 . : !     ≫≦Y⌒'マハ:、  . : .′ . :|: . : .\
   i . :i    . :\{ハ 《  )i:::::::ハ\{     ″{ .)::i::::::::::}::} 》 . : /  . :/!: . \: .\
   | . :|   . :i   '. ヾ い;::::::jj         八∨乂 _;ノ:ノ  . :/  . :  |: .    : .`ー-
   | . :|   . :| . :| . :l'.   V辷ク            ゞ゚-‐ '  . :/   . :/ . :|: .  .
   | . :|   . :| . :| . :|ハ               /    . :/   . :/ .:.:|: .    : .
   | . :|   . :| . :| . :| :.       ,        /  . . : .′ . / . : :|: .     : : . .
   | . :|   . :| . :| . :|  :.             /  ,. : ,イ  . :/  . : 人: .       : : : . . .    「ありがと、キョータロー」
   |..:i:|   . :| . :| . :|   ゝ.     、   ノ .′ // / . : : /  . :.:/  \: .\: .
   l :从  . : :| . :| . :{   / > .        { /'   / . : / . : : .:′    \: .\: .
   乂{: \. : :!\〉、:\_/   . : .:〕jッ。.     . ィV`ヽ /. :/ . . : :/       \: .\: . .
    `\ \{   \;/  . : .://{{   ` ´ | |│ ,// . : .:/             \: .\: . .


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人     「……っ!?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、


 ボソリと耳元で呟かれたお礼の言葉。

 どうやら、全部考えづくの行動だったようだ。

 なるほど、だからサンタを信じているなんて言い出したのか。

 淡の思惑通りに行ったことがなんだか悔しい。

 なんとまぁ、嬉しそうで憎めない笑顔だろうか。

 美少女は得だなぁ、なんて思うのであった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/28(水) 14:50:21.31 ID:L3AHJAgDo<>
 10/10


           「 ̄`ヽ-―‐---、__
           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
           {ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|!  }!'^゙
           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
            |:::|:i| "  '_   " .!::::.{! o|!、
             |、::|ハ:.,、  、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、    「なぁ、お前の名前は何がいい?」
         /.:ヽハ!:r‐` T"´  !イ':":.:.:.:.:\i!
       r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、   ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ
        ∀  ! `Zf┬‐-≧ーイ:.:r'´       |_)i::}
      / .,.:彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ::::..       !::、:::i!
      <  ̄  ノ''"   ...::::..... ::::::::.   ,.ィ:::::i!:::|



        /⌒i____i⌒ヽ
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     /              V
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 ヽ                    ノ
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        /       i     ! l.  l i.  i |
       /  ,/  ! !  l||   ! |、 ll !  |  ヽ、
      /_ -7 , | l ト、| |ヽ!  N , 斗 r  ,'_  ト--`
     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ
        // l i `i           _/,、/     「……ま、いっか」
        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′
              丶  ー ―‐ '  / |′
               \    /  |
                __ i ー '     ! __
          , ィ'´:.:/-‐ ´}     /  `Y´:.:.\
      , -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、   ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
      ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i     `    ̄    /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
    /:.:.:.i:.:.:|,':.:i:.:.:.:.:!   ヽ  /   /:.:.:.:.:.:/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:,.ヽ
     !:.:.:.:.ヽ:.{:.:.l:.:.:.:.:l.     i     /:.:.:.:.:.:/:.:./:.:.:.:.:.:./:.:.:.i


 淡の企み通りとはいえ、ネリーの可愛い笑顔を見れたのだからよしとしようか。


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/28(水) 14:50:50.05 ID:L3AHJAgDo<> 次は京太郎に甘える久という公式燃料が来たので京久の予定(京久になるとは限らない)
コミケまでに京霞同人の支援で京霞も投下したい。あと最近サイコ成分が足りない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/28(水) 14:57:49.71 ID:peLF6Ptso<> あれ?確かみやながけのヒッサって…
つまりのどっち次元とは別ベクトルでサイコな京久次元到来? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/28(水) 15:55:39.93 ID:IXK7xIvlo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/28(水) 16:04:18.45 ID:nLRBeXn5O<> お疲れさま
最新話読まなきゃ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/28(水) 16:20:46.06 ID:TYlIKSDGo<> 乙
あわねりかわいい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/28(水) 17:06:41.37 ID:Nkgyw3LL0<> 乙
京あわねりほのぼのだな
霞色次元に迷い込む新訳の京ちゃんと霞さん
キャップ←京←久←キャップ これならサイコ成分大丈夫だな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/29(木) 00:44:46.71 ID:+4gigG2ZO<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/30(金) 15:20:43.17 ID:I27xBxqgo<> 乙です <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:00:23.55 ID:4oFCUpkpo<>
 1/10

 【公式燃料】-のどヒサ次元- ※サイコ


 「部長! 何かやることありますか?」

 「え、そうね……。

  無理にやることはないんだけど」

 「じゃあジュースでも買って来ますね。

  どーせタコスを買わなきゃいけませんから」

 「あ、それならアップルジュースをお願いね」

 「わかりました!」


 元気よく返事をしたと思ったら駆け出していく京太郎。

 部室には竹井久が残る。

 最初こそボーッとしたような表情だったのだが、だんだんとニヤケ顔になっていく。


                      -‐……‐-ミ
                .  ´          `ヽ
                 . '               ヽ
               /            . . . . . . . . :.
            /          . . : : : : : : : : : : : :.
            /イ ,'      . : | . : : : : : .ヽ : : : : : : : :.
         //  ! /    . : /|.:. .:.:ト、ト、: : :| : : : : : : : :.
          //  |//  . : .:/  |ハ: : |   \ト、 : : : : .: .:|
          〃   ′  . : :/    乂{ _,,-‐ ¨ ヽ.: .:|.: .:.|
          {{   i :|  . : :/ー--    ′イニミ、 :i: : |Y: :|
          {!   | :|  . :/ _ ニミ    ィf乏心 〉!: :.|ノ. .′
           `ー- ヽ|  : :i 〃乏ハヾ    乂zク ′ノ.: .:,'      「ーー!!」
                ヽ.:.:.:|ハ乂zク      /:/:/:/ :イ: : :/―_ァ 、
.                 人.:{ヽV:/:/:   ′   (イ. ! :ノニニ/`ヽi
               _ヽ_:込、   〜〜´  .ィ)j=={ニニ7
             __∧ニ厂「`≧=-  <ニニ/. : :{ニニ/      マニニヽ
            . ´ =ァ :`¨¨´. :ノニニニ|-‐‐-「ニニi : : 人_/        マニニ〉
         〃  / : : :/:/ニニニニ{    !ニニニ| |: : :{>、)    ___マア
         {{  { : /: :ハ:i:iマニニニハ  |ニニニj人: : :ヽ   ノ     〈
            \ 人{: : : {  マi:i:`マニハ ムニア´i:i:i:>、: :} /   ___
         /  `ー-、) ヽマi:i:i:`マャjア´i:i:i:i:i:/Уjノ   , イ_ ノ  }
.           { ̄`ヽ、 `ヽ._|  `ー-[二]-‐‐一'' / _,/  !  __ノ
            \   `Tヽ、_|     /i:i:i:|    〈イ     レ'´


           ,∠、  /            ヽ
            /   |: :/                  \へ
     / ̄¨ヽイ     |:/ / / /||:! ! | !         .|
     !:   〈〈:     /:{: ': ,': ':::|::|: l::l: l::l  ,ィ: ! l    ,!
     ∨   ノ¨ト==イ: :! l斗十ナナノ.:|: /::l. /十ト、l:     i〉
      ¨フ´/ !: : : :! 、トト、!ィチ^:丁:::}/ :::}'::::::!ノ :: !: l   リ
.     /: 〃 |: : : :|ミソ :::〈 l{::::::::| :::::::::::::::rf示、 ノ ノ/ /
     レイ ト、_|: : : :l ヽ  弋:zソ       !::::}l }イノイヽ
     |.: : :|: : : : .: |     ::::::::      ,  辷リ !:. :. :.:ト、 \
     |.: : :|: : : : .: ト、            :::::: |: : : : | ⌒
     / : : :|: : .: .:  lミ、Y       ‐ -    ノ: : :. :.|
.    /, : : : |: : .: .:  l   !  ヽ           イ|: : !:.|    「何ニヤケてるんですか鬼畜部長」
   //   : :|: : : :  :ハ  |   `  . _ x<: : |: :!: : :|:. :!
.  //  . :/!: : : :   ∧. !       |  |: : : :.|: :!: :. :.、|
  //   . ::/∧: : .:   ∧`ヽ.      l ヽl、:: : |: :l : : : : ト
. //  . ::/厶 ヘ.:     ∧  \   `ヽ.  ヽl : l : : : : | ヽ
//   , <   \      \  \    ∨  `|: :. :. :.|   \


 ーーバトルスタート。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:00:53.14 ID:4oFCUpkpo<>
 2/10


 「ちょっ、和!

  なんでそんなに辛辣なのよ!」

 「また部長のパシリ癖が出たから呆れているんですよ。

  これだから清澄の部長は鬼畜だとか清澄の環境は魔境だとか言われるんですよ」

 「私は別にパシらせてないもん!

  須賀君が自分からやりたいって言ってくれてるんだから!」

 「そんな聖人ありえませんっ!」

 「まーた始まったじぇ……」


 優希からしてみればいつも通りの二人の喧騒が始まる。

 悪待ちとデジタル。決して交わることのない二人の思考。

 京太郎のいる前では猫を被っている二人だが、優希の前では何も隠さず全力で殴り合うのが日常だ。


 「それでも、部長のせいで清澄麻雀部は魔境って言われているのは事実ですよ」

 「なんでっ!?」

 「なんでも何も、いつも須賀君に雑用を押し付けているから言われているんじゃないですか?

  学生議会長として副会長をパシらせているとも聞きますし」

 「そんなことやってないから!

  それに、須賀君が自分からやってくれるって言ってるのは本当だから!」

 「(私がタコス頼んでいるのも要因の一つだから黙ってるじぇ)」

 「お陰様で傷心の須賀君を私が慰めてポイントアップ……ゲフンゲフン」

 「ちょっと和! そんなことをしてたの!?」

 「悪待ちなんてありえません」

   /: . : . : . : . : . : . : . : . :イ     /:. イ: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : i
   . : . : . :/: . : . : . : . /         // ,': . : . : . イ: . : . : . : . ',: . : . : . : ,
  ,: . ィ: . /: . : . ://         ′  {: .ハ: . :./ {ハ: . : . : . : . }: . : . : . : .:
  /:.:/{:.: ,'. : . /`/ヽ、           ヾ{ V:.{ {! V: . : . : . : i: . : . : . : . !
 ,':.:/ i: . : .:../   {  \             ヾ{ ヘ ∨: . : . : ..i: . : . : . : . :
 {:.,' i: . : ..7 ーァs、 ヽ、 `、                 V: . : . : . : . : .}: . : ..:
 i:.{  !: . : {イ´云念s、 ヽ        _,, - -      ',: . : . : . : . : リ: . : ..|
 ヘ', .!: . :.i { r‐'’:::. か               `ヽ、  .}: . : . : . : . :7: . : ..,
  ヘ ,: . :,  V :::: ノ }        '''_ー--    \ ハ: . : ,'. : . :/: . : . ,
   ', }: . ,   ゝ-- '’         ,ィfチ不万心、   .ハ: ..:./: . : /: . : . :,
   .ヘ}: .,                 ,つ ::::. ゚リヘヽ /: . : /: . : ,'. : . : .,
    .ノ: ,                 v :::::. ノ } ハ:..:/: . : . : . : . :/    「悪待ち? なんのこと?」
   ,': . :{         ’            `ー−'’ ´/:..:/: . : . : . : .., '
  ./: . : ヘ                      , ': . :/: . : . : . : . /
 , ': . : . : /ヘ                   , . : . : . : . :/: . : /
./: . : . : ./: . :ヘ    、             /: . : . : ..:./: . : ,
{: /}: . :./{: . : .:i:\     ー‐ ´       /: . : . : . :/: . : . : {


ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ    ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「丁ヽハ:!:!: !:  }
-ィ: : : |_,'_,,|-‐''/ / / .}: : /.|: :|: |:::/. }:|:|:. リ !.|. ト.、   ,. ──‐、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //.  /: :/ !: :!/!/  !从:/|:.| !∧冫 //´ ̄ ̄ヽ',
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′   U     } }
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂. ′   ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!            , ,' '
:γ⌒Eヽ弋二;;ノ       ゝ-.″ | }: : : :|         //
',:{ :::`    ::::::::::::::     、  ::::::::::  レ′ : :!.        { !
..',\     ::::::::::              ノ:   ::::!           U
: : :| `ー´\       ,. ,      / !:! !  !
: : :|.     ` 、          ./|: :. !:! !  ::!        ◯
: : :|         }`   .. __ , イ  |::|: |:|: :|  |
: :: }     ィ‐┤.        ├ .、|::|: |:|: :|  {
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:01:22.56 ID:4oFCUpkpo<>
 3/10


 「私は須賀君の好意に甘えているだけなの!

  もう悪待ちなんて設定は捨てたわ!」

 「ずるいですよっ!」

 「なんとでも言いなさい」

 「私も京太郎に色々頼んでるから何も言えないじぇ。

  それはそうと、京太郎はなんでそんなに部長のために色々やってるんだじぇ?」


          ,  ─ -
        ,.‐'      : :.`゙ 、
      / : : : :       : :   \
     / : : : : : : _,.::‐: : : : : : :.   ヽ
   . /   : : /: : : : :,,.-: :、: : : : .  '
   /: : : : : : ,ィ゙: : :__:://  ソノリヽ .: :'
   |: : : : : : :|: :"´:/ `    _,,..._ ',: 小
   |: : : : : : :{: ,ィ示ハ`ヾ.    ,,..._ `/| :.} !
   l: : : : : : ::Y、tj::リ     んリ`i/: |: :|
   |: :!: : : : : ::\ー".     {::ツ 〃:,.': /
   ∨: : : : : : : :ノ゙゙゙      、 ~.../: //    「聞いちゃう!? それ聞いちゃう!?」
   . 〉: : |: : :i/  r‐‐-,   /: : !
   /: : /|: : :ト、\  ` " ,. ィΧ.、{
  f゙//ー{: 、:.\  , ‐.≦イ /"/\
 r=≦= 、\: :.:.:ト、 {\:::::∨|  /_. !
 /      .\ヽソ::::\-ヽ:::リ:!   i´∪

. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、
: :l{: : : :|!| i'  ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i!   i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : |  ‘ ━ ’        ‘ ━ ’ '://: |
: : : : |                 ,':´:!: : . .!   「(うっぜぇ……)」
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ      凵@    .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/      7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\   ∧:::::::::::-.:_//'   !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ  ヽヽ::::::::::::|!`!    |: : !: : : : . | リ

   / : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : /     | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
.  / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト .,   | : : |  |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
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  ′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト,   |/  .斗=ミ|::| : :W ∧:: : :::|
 | : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈  {h:::iノ }       ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
  : : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :,  .乂こン        {h:iノ}  ゚: : :| : : | : : :/
.  \八|  |:: :::|: : : : : : : : :,   .,.,.,.      , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
       |: :\! : : : : : : : : :,              ,.,.,  : : : : |/
       |: : : : : : : : : : : : : :,     ゝ    ,      } : : : |
       |: : : : ::|i: : : : : : : : : u            イ : : :/
       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :     「(やっべぇ地雷引いたじょ……)」
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:01:51.97 ID:4oFCUpkpo<>
 4/10


 ……
 …

 それは新年度に入ってすぐのことだった。

 まさかのイケメン新入生が入部して興奮した竹井久(1話だか2話だか参照)


 「す、須賀君。

  どこかわからないところはある?」

 「うーん。

  まだ役を覚えるのが怪しいところですねー」

 「そ、そう。

  それならこうすると覚えやすいわよ」


 最初は彼女なりに鬱陶しいレベルで京太郎に構っていたのだ。

 それもそうだ。まこを除けば初めての新入部員。

 今までも幽霊部員はいたが、麻雀に興味を持って入ってくれた人はいなかった。


 それにイケメンである(ここ重要)

 イケメンなことは大正義である。

 仮にブサメンが入部してもこんなに甲斐甲斐しくなることはなかっただろう。(別にブサメン相手に厳しいというわけではない)

 そのことに関して竹井久を責めることができるものはいないだろう。


 女の子はイケメンに弱い。

 男の子は美少女に弱い。


 この世の真理である。


 「それより、俺は一年生なんですから何か面倒なことは押し付けていいんですよ?」

 「そんなこと言っても、風通しのいい部活でしょ?

  特にやることなんてないわよ」

 「もうちょっと新入部員入るといいですね」


 そう、この時はまだ須賀京太郎が雑用をこなすことは少なかった。


 「それでも、部長は最後の大会じゃないですか」

 「いーのいーの。

  ここじゃ良くて三麻しか出来ないでしょ?

  それなら須賀君に色々と教えてあげて基本を確認するのもいい練習になるのよ」

 「そんなもんですか」

 「そんなもんですよ」


 久はニヤリと悪戯小僧のような笑みを浮かべる。

 京太郎はどこか罰の悪そうな表情を浮かべた。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:02:21.45 ID:4oFCUpkpo<>
 5/10


           ,  ⌒ ー   ̄ ̄  、
         /_,. -            \
        /´ /     /⌒\      ヽ
        , ´ ,         V     :.
       /  /  /  / /      | V : V |
     /-- ´' / /  / l|{     | l| | | {
        / イ  {  ':|_,斗| |  、_l__/_ィ  |l∧
         /  ,: ∧ | {∧{ {  、 /}/}/ } /∧|
       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/     「部長って優しいですね」
               从      '     八/
           -〈〈/\  v-っ  イ》く__
        /////∧\} > -- < |//}///> 、
       /////////\}     「/〈////////\
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  ヽ  ,: . : .i             , ':.//: . : ../: .,     「ホヒュ?」
      V: . .!             {:.:/ ,'. : ./:.:/
      ヽ:.入     ⊂ニ⊃   ヾ{ 7:./: .:./
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 イケメンに褒められて変な声出た。


 「普通なら一年生なんてパシらせるものじゃないですか」

 「しょ、しょうなの!?」

 「そうっすよ。

  俺、中学時代は運動部にいたんですけど先輩には絶対服従でしたから」

 「(絶対服従!?

   私が何か言っても従ってくれる須賀君!? 萌えるじゃない!!!!!!)」

 「部長は最後の夏なのに、こんな初心者に付き合ってもらうなんて悪いなって思うんですよ」

 「ハフッハフッ!!」

 「部長?」

 「しょ、しょんなことないわ!

  麻雀を教えるなんて経験、今までできなかったもの!

  だから私は満足なの! 満足なにょ!」

 「は、はい」


 久の気迫に押されてそれ以上聞けなかった。

 しかし、この時の京太郎には間違いなく久への敬意があったのだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:02:50.53 ID:4oFCUpkpo<>
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 ……
 …

 それから時は流れて、原村話と片岡優希が入部することになる。

 インターミドルチャンピオンの入部によって、清澄高校麻雀部のレベルは飛躍的に上昇した。

 何より、四人で普通に麻雀を打てるようになったことが大きい。


 「部長!

  買い出しに行ってきますね!」

 「す、須賀君。

  別にいいのよ?」

 「いえ、男手は俺一人ですから」


 この時になると、京太郎は率先して様々な雑用を受け始めた。

 雀卓の準備や、牌磨き。打てるようになればやることはいくらでもある。

 優希のタコスを買いに行くついでにみんなのジュースを買いに行くのが京太郎の主な業務だった。


 「そんなに無理しなくていいのに」

 「いえ、そこは一年生に甘えてくださいよ!」

 「しゅがくんに甘える!?」


 久にはどこか曲解して伝わってしまったようだ。

 久の脳内に凄まじい勢いで妄想が広がる。


 ……
 …

 そこは小さなホテルだった。

 妖しげな光が部屋を照らしている。

 照明は部屋を照らすという目的ではなく、男女の雰囲気を出すために使われているのだろうか。

 部屋は適度に暗く、相手の姿を隠している。


 「ほら、久。

  こっちにおいで」

 「うん……」


 京太郎が久を柔らかく抱きしめる。

 最初は躊躇していた久も京太郎に近づいていき、胸の中に収まる。


 「にゃぁぁぁぁ……」

 「まったく、久は甘えん坊だな」

 「そうなの、甘えたいの……」

 「ああ、俺の前でならいくらでも甘えていいぞ」

 「ふにゅうううう……」


 ※ 妄想の中なので本当の京太郎がこんなことを言うとは限りません。

 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:03:19.02 ID:4oFCUpkpo<>
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      /: : : : : : : : : :/ : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : ミ; . :.゙':、
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.   /: : : : :.|: : : : : :レ゛:./.: : ;.,''"´  ,/'"  //:::/|:lヽ.:.\!
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. |: : : : : : :.|: : : : : :.:|  ゙ {:::::c /   `       ,z==;、 /!: : : l' |:!
. |: : : : : : : |: : : : : : |i,   ` "’         ,_)::ハ l}`/.:|: : :.| |l
. |: : : : : : :.:|: : : : : : i l J  、、、       {:::。;// /:.:.|: : :,! リ
. |: : : : : : : :|: : : : : :,i:.}               、 `"  /:.:.:.|: :./ ,/
  !、: : : : : : |: : : : :;/'リ               `゙ /:.:.:.:.l:.:/
  \: :ヽ: : ;!: :.:,/ハ、      , -,     /:.:.:.:.://    「(我が世の春が来たァァァーーーッ!!!)」
.   `Y===イ      、              /:.:.:.:.://
    i|: : : :.:Y       \       ,, ィl゙:.:.:.:.:.:.//
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:::::::::::::..八: : : : : :.゙ 、\    /ヘ::\   「:: ̄::l|
、::::::::::..{:.{ \: : : : : :.\ヽ、 i  li:::::::\. |: : : :人
、\::::::.゙ミ;\ \: : : : : :.\ヽ. ,-|:::::::::::::.゙li、: : : : :.\


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               /_,..-         ヽ  `  、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //      「部長?」
                _ヽl\       //イ__
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 妄想が爆発した。

 久の中で色々な結論がついてしまったようだ。


 「(これはつまり、そう言うことよね!?

  うん、そう言うことよ!!)」

 「?」

 「(甲斐甲斐しく先輩のお世話をしてくれるイケメン後輩!

  これは間違いなく……、私に惚れているわッッッ!!!)」

 「ぶちょー?」

 「(だって好きじゃなければこんなことをやろうと思わないわよね!?

   なんだかわからないけどこれは私の春到来よ!)」

 「あ、そういえば俺の知り合いの女子を麻雀部に誘ってみますよ。

  もし入部してくれれば団体戦に参加できると思いますし」

 「本当!?」

 「ええ、まぁやる気なかったら無理かもしれませんし、なんの特技もないやつですけど……」


 しかし京太郎の言葉は久に届かない。

 もはや久はイケメンが自分に尽くしてくれている。つまり惚れていると認識しているからだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:03:47.67 ID:4oFCUpkpo<>
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 「ホヒュッ! デュフフフフ!!」

 「部長!?」

 「だ、大丈夫。大丈夫だから」

 「本当ですか?

  なんならベッドまで行きます?」

 「(お姫様抱っこ!?

  須賀君はワイルドね!!)」

 「とりあえず準備して来ますので」


: \: . : . : .ヽ: . : . :ヘ
、: . :ヾ 、: . : . ヘ: . : . :.,
ヽ\: .:ヘ\: . : ヘ: . : . :,
、: \\:.ヘ ヽ: . :.}: . : . :,
 ``ヾ、 ヘ:} ヘ: .:i: . : . : .,
.     ソ  .}}ソ',: . : . : .
        ´ ∨: . : . ,
    ,, 〜ー-‐'  .∨: . : ..,
−-'"          }: . : . :.
 ,ィ         |: . : . : .
  , ィ ⌒ `ヽ    |: . : . : .,
 / ィf升ミュ、ヽ  .i: . : . : . ,
  〃ィf♀ミ,ヾ,  :i: . : . }: . ,
  ヾヾゞ=彡ィ’  |:. :. :. !: . :,    「コポォコポォ! コポォwwドロリwwチャカポコ!
   ヾ=ニ='"    .i : . : .リ: . :.
           iヘ: . :/: . : .     アアアアアンッフォオオオオオオオオオン///////」
  /i/i/i/   !} }:./: . : . }
         J i ノ: . : . : .:
          イ´: . : . : . :
         〃}: . : . : . :/
         / .ノ: . : . : ./
_ ,ィ〜==ァ  {ノ.: . : . : ./
 ̄ ´     /: . : . : . /
      /: . : . : .ノ: .,'

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       /:::::!:::::::::::::::::i         l:::::::::::::::::::\
      」::::::::::::::\::::/       \::/:::::::::::::〉
      /:::/:::::::::::::::::{`ヽ、__   、_,、__-‐´〉:::::::::::::::::ト.,
     ∨ヘ:::::::;;:へ::「 ̄ ̄ ヽ  /  ̄ ̄レ`ヽ:::ノ::∧:/
        ノ:ゝト{  `       L__!       1 レ::く
      //::::::、',        /  、       //:::::、::\
    〈::/ {:::::::::::`ゝ__ / 、 \ __ ィ´:::::::::}ヽ::::〉
    ヽ  {::::::::::::::\' ' ' '___     ' ' ' ' ノ::::::::::::ノ 〉;′
       `ヽ:イ:ヘ:::>.(_二二ニつ <:j::∧:::/   '′     「……もうダメじゃな」
        ´ ´ `_>.─i ー--‐ i´-::ノ__'_ `
       ┌、、:.. ̄:..:..:..:..:.〈′     ト/:..:..:..:..:.. ̄>、
      ∧:ヽ:..:..:..:..:..:..:..:..',    ,-/:..:..:..:..:..:..:../:..:∧
       / ヽ:..ヽ:..:..:..:..:..:..:..ト、__/:..:..:..:..:..:..:.〃:./ ヽ
     ∧、  \:.\:..:..:..:..:..ヽ   /:..:..:..:..:..:../:/  /∧


 一度爆発した乙女の妄想は留まることを知らない。

 この時、久の脳内では完璧に『イケメン後輩は先輩のことが好きで甲斐甲斐しく奉仕している』と認識してしまったのであった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:04:16.62 ID:4oFCUpkpo<>
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 ……
 …

      〃:::::::::::::::/::::〃::::‐ン:/   |│」 |ヽl゙U::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::l
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    lil::::::::::::::: ヽ         _,,          丿’:::::::::::::::,':::::::::::::::,':::::::亅    「つまり、須賀君は私に惚れているのよ」
    ヽl::::::::::::::::::\                   彳:::::::::::::::│:::::::::::│ 丿
     !ゝ::::::::::::::: \                 h| :::::::::::│:::::::::::::::!::::
       ' 、:::::::::::::::1 ‐..              ノl│:::::::::::::::::::::::::::::丿 /
         、::::::::::: ,│ │‐、       _..-‐  /│:::::::::::/::::::::::::::::::::::/
         ゙‐.. ::::│  ' / ゙l`ー -‐''"      │:::::::::::/::::::::::::::::::/
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    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////    「そんなオカルトありえませんっ!!!!」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


 「だって私のために色々と雑用を引き受けてくれているし、わざわざ部員を探して来てくれたのよ!

  これはもうそう言うことじゃない!」


 男性経験がまったくない久の思考はテンプレ喪女である。

 生徒議会長でも縁がなければそう言うものだ。

 つまり、『消しゴムを拾ってくれたから私に惚れている』だとか『話しかけてくれたから私に惚れている』レベルの思考なのだ。


 「須賀君は私に甘えていいって言ったの!

  だから私は須賀君に甘えるの!

  ふふふっ、この時点で和とは大きな差があるわ!」

 「ぐっ、卑怯な!」

 「妖艶な雰囲気のホテルで思いっきり甘えるの……。

  須賀君は『おいで、久』なんて言っちゃったりして言っちゃったりして!」

 「そんなエロスはありえません!

  須賀君はもっと直球に私の胸が好きなんです!」

 「のどちゃんがなりふり構ってないじぇ」


 優希がいつものようにタコスを頬張りながらツッコミを入れる。

 なんだかタコスがしょっぱかった。なんだ、涙か……。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/30(金) 22:04:46.04 ID:4oFCUpkpo<>
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 ……
 …

.   / :.:.:.|:.:.:.: /^l:.: : ||:.:.:.:.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:.ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.ヽ:.::.:.::.
  /  .:.:.:.|:.:.:.:.|  :.: : ||:.:.:.:.:.:.:| |:.:.\ | :.:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
  /  .....:.|:.:.:.:.| /: :.:|ト:.:.:.:.:.:.| |:./_\:/|:.:.:.:.:.:.:八:.:.:.:::
. /  .:.:.:.: |:.:.:.:.|  \||:.:\:.:.::. ィX笊竺心j:/|:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|
/    イ从:.:.:| ィ/笊匁、 \:.:..   ノ{:::::::ハ |:.:r-x:.:.:.:.:.: |
ー    |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ      乂ー-ソ j/  V:.:.:.:.:|
      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
      |:.:.:.:.:.:.∧      ′    ""     /:.:.:./
      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/    「京ちゃんはなんでそんなに率先して雑用してるの?」
      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/
      |:./  \:.:{\          /  |:.::/
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
                  __]       {___
                _/三l       /三三三≧=-__
           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>
.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
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               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八     _ _   人     「レギュラーじゃない一年生がパシられるのは当たり前だろ?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|



 脈なしッッッッッッ!!!!



 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/30(金) 22:05:14.77 ID:4oFCUpkpo<>  久のスタイルは変わりません

 ・予定
 京ちゃん→姫子→哩→京ちゃんの三角関係
 京初初詣
 新訳:京霞初詣 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/30(金) 22:23:06.17 ID:cLV/9FNxo<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/30(金) 23:00:46.42 ID:wv1T/N5zo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/30(金) 23:22:33.13 ID:Iq/f6Cl00<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/30(金) 23:26:59.50 ID:6k/kAkzi0<> 乙
きれいな京小で初夢で出会う二人その後インハイの時に再会、咲さんぐぬぬ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/30(金) 23:45:10.65 ID:sGtdeB+EO<> 多分妄想炸裂させてなかったらもう少し善戦出来たんじゃないかと思うだけに尚更残念だなヒッサ

乙っす‼ 福岡勢が楽しみすぎる…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/31(土) 01:33:51.63 ID:xh7G8f/bo<> 乙です <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:29:08.12 ID:Jqudmmcco<>
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 【奇妙な三角関係】-単発次元-


 「ぶちょーがね! ぶちょーがね!」

 「はいはい。

  ちゃんと聞いていますよー」


 まるでパタパタと尻尾を振っているようだった。

 幻想の尻尾に惑わされながら、須賀京太郎は鶴田姫子の話を聞いている。

 話の内容は他愛のないーーと言ってしまえば姫子が怒ってしまうのだが、白水哩の武勇伝を語っているのだ。


 「それならよか」

 「ええ。続きを話してくださいよ。

  姫子さんの話、面白いんですよ」


 彼らは現在大学生だ。

 進学した哩を追って同じ大学に行った姫子。

 そして偶然彼女たちと同じ大学に所属していた京太郎。

 特別何かがあったわけではないが、同じサークルと言うことでそれなりに話す関係だった。

 しかし、話が合うのか次第に二人、あるいは三人でいる時間が長くなっていた。

 姫子にしてみれば尊敬する部長の自慢話をいくらでも聞いてくれる、とても良い後輩だと認識していた。

 先輩後輩の仲でなくても、とても良い友達。そう考えていた。


 もっとも、そう感じているのは、姫子だけだったのだが。


 「(この人、本当にかわいいよなァ……)」


 須賀京太郎の方は、下心があってのことだ。

 もともと京太郎は人とコミュニケーションを取るのが得意な方だ。

 高校時代も清澄高校麻雀部で女性部員たちとそれなりに仲良くやれていた自負がある。

 大学の麻雀部に入ってもどの人ともそれなりに仲良くなれた。


 そんな中、もちろん姫子とも多くの話をした。

 京太郎は基本的に相手の話を良く聞くタイプだ。

 相手が宮永咲のような大人しいタイプなら自分で引っ張っていくこともあるのだが、相手に合わせて行動できる。

 相手が気持ちよく話すことができる。それが仲良くなる秘訣だと考えている。


 しかし、姫子にとっての気持ちの良い話とはーー


 「そいで、部長がな?

  『楽しいよ、おいで!』なんて言ってーー」

 「哩さんにそんな一面があるなんて意外ですね。

  すごくクールなイメージがありましたよ」

 「そんなことなか!

  部長ばかわいい!」


 そう、姫子にとって一番楽しい話は白水哩の話である。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:29:37.69 ID:Jqudmmcco<>
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 相手と仲良くなる秘訣は相手の話を否定しないこと。

 意識せずとも自然にしていることだが、京太郎は特に気をつけていた。

 初めて姫子と会ってから哩の話をされた時、楽しそうに頷いていたのだ。

 姫子が話せば頷き、肯定し、続きを促す。

 姫子は自分が好きなだけ喋って満足する。

 それだけで、姫子にとって京太郎は『とても話しやすい後輩』というカテゴリーに登録された。


 これ自体は特に珍しいことではない。

 京太郎も、例えば竹井久や染谷まこ相手に話すときは気を遣っている。

 その時の京太郎は姫子のことを特に意識していなかったのだ。

 しかしーー


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     / {::::::/   |i:::::::込、        ,イ:::::l::::::;|::::::ハ::::::} 〕
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        ∨      \:::::トミ:::::::_;〕__,.,イ´ ̄〉=─-ミ  }/    「そいでそいで、部員の交換日誌でーー」
               ヽ} __,ノ УΛ  /
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                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
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                {               _,ノ    「(あ”ぁ”ー、この笑顔が可愛いんだよなァー!)」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
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 『好きなことの話をしている時の女の子』はとても魅力的だ。

 姫子も話を聞いてくれる京太郎に積極的に話しかける。

 京太郎は人を邪険にしないので、律儀に話を聞く。

 姫子はテンション高めに部長の話をするし、興奮してとても可愛らしい笑顔を見せてくれる。

 それが毎日のように続けば、男の子の方が恋に落ちるのは遠くない話だった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:30:09.53 ID:Jqudmmcco<>
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 一切の含みがない、最高の笑顔。

 ひたすら楽しそうに話してくれるだけで、京太郎は幸せだった。


 「(だってまぁ、姫子先輩は哩先輩のことを好きなんだろうしなァ……)」


 同性愛がどうとか、正直複雑なところはある。

 そもそも本人に聞いたわけではない。あくまで京太郎の創造であることは注意しよう。

 しかし、京太郎が姫子から聞く話では『部長とつながって』などと言った生々しい話まで出てくる。

 実際は麻雀の話なのだが、そのことを京太郎は知らない。


 「(好きな人から別の好きな人の話を聞くって、辛いよなァ……)」


 内面では心が引き裂かれそうだが、決して表には出さない

 もしも不安そうな顔を見せれば、姫子は優しいから心配させてしまうだろう。


 「(キッツイ……)」


 正直辛い。

 しかし、哩の話をしている時の姫子が一番魅力的なのも間違いないのだ。

 京太郎が好きになったのは、哩の話をしている姫子なのだから。

 天国と地獄を同時に味わっている気分だ。


 「きょーたろー?」

 「うぇ、なんですか?」

 「大丈夫と?」

 「別になんともないですよ?

  それよりもっと先輩の話が聞きたいです」

 「そうなん?」

 「そうです」


 危ない危ない。

 姫子は麻雀をしているからか、人の機微に敏感だ。

 逆に京太郎は麻雀でポーカーフェイスをするのが苦手で、比較的顔に出やすいタチである。


 「うーん?」

 「そういえば哩先輩は姫子先輩と同じ中学校なんですね。

  かなり長い付き合いになるんですか?」

 「そうったい!」


 少し違和感を覚えたようだが、哩の話を出せば食いついてくれる。

 話のダシにさせてもらった哩には悪いと思ったが、惚気を聞かされているんだからイーブンということにしよう。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:30:38.39 ID:Jqudmmcco<>
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                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //      「哩先輩?」
                _ヽl\       //イ__
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                ,...<////∧  ,     |/////> 、
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 そんな二人を見つめる視線が一つ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:31:07.08 ID:Jqudmmcco<>
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 「姫子と須賀か」

 「どうしました?」

 「あ、いや、なんでもなか」


 京太郎が視線を返すと、プイと視線を逸らされた。

 じっと見つめられていてなんでもないということはないと思った。


 「何か買ってきますよ。

  二人とも好きな飲み物はありますか?」

 「あ、気にせんどって」

 「イチゴジュース!」

 「姫子先輩はイチゴジュースですね、わかりました。

  哩先輩はどうします?」

 「じゃ、じゃあコーヒーで……」

 「了解っす。砂糖とミルクはどうします?」

 「ぶ、ブラックで!」

 「ブラックなんて大人ですね!

  了解です!」


 京太郎からしてみれば哩は大人の女性だ。

 凛とした雰囲気にポニーテールもあってとても似合う。

 そんな哩がコーヒーを飲んでいる姿はとても絵になるだろう、そんなことを考えながら買い出しに出た。


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     ‖{:.{:.:.:.:.:.:./ヽ_   -气,,,少       _メ   j:./:.:.:.:ト、
    { い:.:{:.:/:.:.:.:.:八               斧f,汽Xノ/:.:.:.:.:l:.ヘ
       乂从ト:.:.:.:.:.:.:.::}            〈(;;ン゙ ///.:.:.:.:.:.:lヽ:゙、    「……部長、コーヒー飲めるとですか?」
           \∧:./      r-   ` `Y/ノ/ l.:.:.:.:.:.:l }:.}
             / ̄>x \   乂 _)>    /:.:.:.:/  i.:.:.:.:.:.:l ノ:ノ
          /-―-、  ` \ __  /:./:./   i:.:.:.:.:.:l/
        /       ヽ   メ、ノ:.:_:./ノ    }:.:.j:.:.l
       \/         Y O {/メ ̄     、_ /:.ノ }.:j
        ∨           l\ノ\}         ̄  ノノ
          ∨         ヾ::L             /


 京太郎の姿が見えなくなってから、姫子はニヤニヤと哩に笑いかけた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:31:36.08 ID:Jqudmmcco<>
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     .:´:/:::::::::::::::::::::::::::、::::::::::\ ク
    /::::/::::::::/::::::::::::::::::ハ::::::::::::::. つ
    l::::::::::|::::{====ァ|::/  |::i::|::::::|l
    |::::::::::|::::|:/トl:/ |/  }人|::::::|ト、
    |l::::i::::|::├┬┬   ┌┬:|:::i::|⌒
    .八::|::(|::::|..└┘   └┘:|:::|ノ
    '  ヽ:::|::::| ""    ' "" ,ハ::|
     ┌‐)|::::|>  冖   イ:: |ノ    「が、頑張るけん……」
     L/八::ト、 ``ヽV⌒l_
      /::/´ } \{/⌒マ八
    /::〈 ⌒ヽ、  `\{、 \
  //:::::∧       ハ::\ )
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.     〈八  /: : : : : :.∧:.{ァ斧==ミ|:|:.:/ァ==斧ミ/ ∧:: : : : ::\:/〉
      \ヽ/: : : : : : /、 ∨ 乂)炒'^ノ'   乂炒 |_/: :‘, : : : : :∨
          ∨:/: : : /:l : 个ヘ ´:/:/:/:/:/、/:/:/:` 从: :/:∧: : : : : :;
.        /:/: :/./\八:.:.| : : :.    /⌒=- 、_ .:: : :.:/:/ }:.|:.|: : /    「部長かわいかっ!」
.         l八:/l/  / ̄ \/〕iト ノ==--    \/}/ ,ノイノ}: /
            /      \ ∨==--       \\   .ノ '
             |         |└┬‐ 、‐、―‐    ∨!
             |      | |\/\__l\\     ||
               \    | |  \ |:i:| {\     ||
               __\_|_|     |:i:|,/|  \ 、 ト|
              ∨:::::::::\:::|     |:i:| |    \\ |
.                ∨ ̄ ̄ \   |:i:| |  \ \〉


 ブラックコーヒーは飲み慣れた人にしか飲めない。

 特に女性は甘いものに目がないし、ブラックコーヒーが苦手という人も多いだろう。

 その例に漏れず、哩もブラックコーヒーが得意なわけではなかった。

 そんな哩がわざわざブラックコーヒーを頼む理由は一つしかない。


 「無理しなくて良くないですか?」

 「で、でも……」


 先ほどの京太郎が考えた通り、ブラックコーヒーといえば大人の飲み物といったイメージがある。

 もちろん彼らは大学生だし、そのイメージだけに潰されることはないが、それでも相手への印象付けにはなる。


 なんのことはない。哩なりにアピールしたかった、それだけのことだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:32:05.27 ID:Jqudmmcco<>
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 「そげなアピールしなくても、部長は魅力的ですよ!」

 「そうかいな。

  ほんとは須賀は……。なんでもなか」


 哩の最後の言葉は姫子には聞き取れなかった。

 姫子も少し気になったが、哩も聞いて欲しく無さそうだったので詮索はしない。


 「(須賀は、格好いいから)」


 哩がちらりと姫子を見る。

 姫子は嬉しそうにニコニコと微笑み返す。

 麻雀では深く繋がっている仲なのに、哩の想いは姫子には伝わらない。


 最初はただの後輩の一人だった。

 姫子が来て、高校と変わらないように麻雀を打っていた。

 それも楽しくて、特に不満を持ったことはなかった。

 女子校から共学校になったとしても哩の立ち位置が変わることはない。

 それでも、共学になるということでほんの少しだけ男の子のことが気になるのが女の子というものでーー


 「(姫子と仲良く話してる須賀を見て……)」


 男嫌いというほどでもないが、積極的に関わろうとしなかった姫子が楽しそうに話していた。

 それを見て、最初は少し嫉妬したと思う。

 自分にベッタリだった姫子が自分から離れていってしまうようで、少し邪険にしてしまったかもしれない。

 しかし彼はそんな自分のことを疎ましく思わなかったようだ。

 それどころか、率先して麻雀部の雑用を引き受けてくれた。


     , ´   /  .' / .'  '        | l  | l |  |
   /    / '   |  | | l|  |    l | ,  } l |  |
 _/    イ /   l|  |_,∧_{  :.   ,-|-}-/、 ,  |  {   _   ___,-、 __
  ̄ ´   / /    {  |、{ l∧  {、   | }/イ/},イ /  l_、  { Y´ /  '   }- 、
      {〃   r∧ |ィ斧ミ从 、Y , イ斧ミ、 } /l|  l、r  ̄ {   {  |  / _ }、
      /    /{ 从{、 Vzリ  \Y/ Vzり /イ } / |   乂_人_/、_/   / \
       /   //从 l∧\       ,\        | /イ/   }==   ̄ ̄ ̄ ー く
     /  イ'  {/l∧ ∧      、        ,イ/j'  /             \
    ̄ ̄        ー∧         _,     从    ,                 \   「飲み物買って来ましたよー」
               ヽ 、    ` ¨  ̄   ィ }/    /     / '
                 ∧ \       / |/>  ,      /
                  {(从_|     --  ´ 「/// |  {
                  |/ ̄}}          |////|_ |
            _,.:<|///||          l/////` |
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:32:33.84 ID:Jqudmmcco<>
 8/10


 「ありがとう!」

 「あ、ありがとう」


 それに、とても気がきくのだ。

 思わずそんな彼に甘えてしまったことは一度や二度ではない。

 今日だってパシリみたいなことを率先してやってくれている。

 最初こそ遠慮していたが、一度甘えてしまうと際限がない。

 まるで麻薬のように彼の雑用は体に染み渡り、彼の父性にもっともっと甘えたくなる。

 普段から人をまとめる立場に立つことが多い哩だったが、実は天然である。

 姫子がよくネタにしている『かわいい哩部長』だって狙ってやっているわけではなく、自然とやってしまうことばかりなのだ。

 高校の時に麻雀部の紹介でみんなに笑われたことだってあった。

 そんな哩が『頼れる存在』として須賀京太郎を認識して以来、自然と目で追うようになってしまったのだ。


 「部長、アピールアピール!」

 「ひ、姫子!」

 「?」


 そして勘違いされがちだがーー勘違いされても仕方ないのだがーー彼女たちはレズではない。

 確かに麻雀でのオカルトは『そういうモノ』だし、『そういう現象』を起こしてしまうが、それとこれは別だ。

 姫子は哩のことが好きで哩も姫子のことを大切に思っているが、『異性に興味がない』とは全く別の話。

 そして姫子は基本的に部長を応援する。

 そう、ここに非常に面倒臭い三角関係が完成してしまったのである。


 「す、須賀。

  いつも面倒臭いことを引き受けてくれて、ありがとう」

 「どうしました?

  新入生なんてパシってナンボですよ。気にしないでください。

  俺が好きでやってることなんで」

 「す、好きって……」


 一部の部分だけ切り取って保存したい。哩は思わずそんなことを考えてしまった。

 後ろでは姫子が『あちゃー』なんて言いながら額を手で押さえている。


 そう、ここでまた面倒臭い要素が一つある。

 姫子が哩のことを応援しているからこそ、姫子は京太郎の想いに気づかないのだ。

 そして姫子なりに哩のことを支援するために『哩のいいところ、哩のかわいいところ』を普段から京太郎に伝えている。

 そういうことで、非常に面倒臭い関係がここに完成していた。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:33:02.95 ID:Jqudmmcco<>
 9/10


 「はい、姫子先輩もどうぞ」

 「あっ……」

 「(あー、もう!)」


 京太郎の視線が自分から外れて残念そうな顔をする哩。

 そして哩のそんなところを見てやるせない気持ちになる姫子。


 「須賀。部長のコーヒーば飲んでいるところ、絵にならん?」

 「えっ?」


 すぐに哩の話に戻し、哩に向かってウインクする。

 それに気づいた哩は急いでコーヒーを飲み込もうとするがーー


 「うぶっ」

 「ふぎゃっ、部長!?」

 「哩先輩!?」


 ブラックコーヒーを飲み慣れていない哩が一気に飲めるはずもなく、咽せてしまう。

 焦って背中をさする姫子に、涙目の哩。そして手持ち無沙汰でオロオロとしてしまう京太郎。


 「ひ、姫子。

  大丈夫やけん」

 「そうですか?」

 「落ち着くまで、須賀の相手ば頼む」

 「わかりました」


 姫子は『格好悪いところを見られたくないのだろう』と悟った。

 悟った姫子の行動は早い。哩に何かできることはないかと焦る京太郎の手を引いて雀卓に向かう。

 そして先ほどまでと同じように他愛もない雑談を始めるのだ。

 京太郎も最初こそ心配そうに何度か哩の方を見ていたが、そのうち姫子の話に熱中しだす。

 その顔は、とても楽しそうでーー


.         : ´.: .: .: .: .: .: .: .::` 、
     /.:/.: .:/.: .: .: .: .: .: .: .: . \
.    :' .: .:': .: :'========/ハ.: .: .: .丶
   /.: .:::::i.: .: .{.: .: .:/|.: .:/   ',.: .: .: .:`、
.   : .: :: :: !.: .:├‐-:' :|l .;′  |: |.: .: .: :
   i.: .: :: ::|.: .: .ト、.::{_.八{:     |/|‐|.: : l:|
   |.: .: :: ::|.: .: .|ィ竹气        |/| .:/|:|
   |.: .: :: ::|.: .: .| 乂:リ     ,示、ノ ' |:|
   |.: .: .:::(|.: .: .|   ,,       vソ ,′ |:|
   |i: .: :: ::|.: .: .|         ' ,,     }'
  八.: .::::::|i: .: .|       _     /
  ___∨/::八 .: ト、
  |  〉=|F`ヽ:|::::::......__,.... イ__    「やっぱり、あの顔が一番やなぁ……」
  └‐/ .: |_/ :'}   :;__ト|=〈   |
  ,.  -‐=  \   / ト、.: .l\_|


 そんなことを考えてしまった。

 哩もやっぱり好きな人の一番いい笑顔が大好きで、それは姫子の側でしかないと知っていた。

 好きな人だから、よく見ているから、その人が誰を見ているかわかってしまうのだーー。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2016/12/31(土) 21:33:31.75 ID:Jqudmmcco<>
 10/10


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       .'...../_........./.........ハ....................丶
      /...../\\/.....,.../ | |........lト、...、..:,
.     ///........../...../|./  И.......リ...∨==
     /.-/........./|..../,/'_`ヽ |....../ __:,.. ∧、
    //..../ ......./...|./''竹不、. |/ ´__ レ'...∧\
  .'./l..../......../=〔  乂:ソ     ア刃`l...........,\\
  (′ ../.......,イ     ´        Vソ '..............:, 、.:.
  \ .'......./人 __  ""      ' ` ,:....、...........:, )′
    :{.....................八:..      -  "".:......ハ.....、 ..l
     \{\八ト、..l.〕:::.....      .イ...../ .|...ハ..}    「(部長、応援してますよっ)」
          /ノ    >- <l.../}/ ..}/  }'
          /  `\   ト、  }'′
     -=≦ \     ,ヘ人∧
   /´⌒ヽ    \  /、   >,〉 ` 、


           ,  ⌒ ー   ̄ ̄  、
         /_,. -            \
        /´ /     /⌒\      ヽ
        , ´ ,         V     :.
       /  /  /  / /      | V : V |
     /-- ´' / /  / l|{     | l| | | {
        / イ  {  ':|_,斗| |  、_l__/_ィ  |l∧
         /  ,: ∧ | {∧{ {  、 /}/}/ } /∧|
       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/   「(姫子先輩、やっぱ哩先輩のこと好きなんだよなァ……)」
               从      '     八/
           -〈〈/\  v-っ  イ》く__
        /////∧\} > -- < |//}///> 、
       /////////\}     「/〈////////\
      /////////////|--、  r-|/ イ//////////\
    //////////////∧、__「//////////////// \
   {//{////////////〈 ∧    }///////////////////}
   |//|/////////////V/\ //////////////////'//|



               ,. : :´          `: : 、
            ./                `ヽ
        ,.:                     :.
        ,.:゙ ,      |  |             ),
       ./ /         |  |             / ハ
      厶ニ| i     l   |  |
.     「 ̄ | l     ト,| |  |
.       i   | |   _,以 || 「二ニ=‐- ..,,_
     |   l,斗<  .| i |`||
      |  ∧ | j云ニL」ノ .|├=Y⌒ヽ
     .从  .从 jI八::rA || ヾ   }
.      ヾ:、  ハ   ,)ヅ ||       ./
          `ト己   .:::::: ノイ    ,.イ     \
         | .ノ           :' 从       \  jI斗┐
         | ,心、             `ヽ   ___(   |
        ||| 心r_;          ,.厶=孑ヘ\ ├ヘ,_|    「(須賀はやっぱり、姫子のことが……)」
            || |!.心、  ,.。o心,  ´    _,,.⊥、L| |
         ! |[レ' `i´  rく    /     `ヽ|
            ! ;||     r 1 :|   /        ∨
.            ! 小|    ,ハ|| /           ∨


 奇妙な三角関係は終わらない。


 カン!
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◆Y.lj54HWGU<>saga<>2016/12/31(土) 21:34:01.07 ID:Jqudmmcco<> 標準語で書くから変換して投稿してくれる人がいれば続きます。今年一番の難産だったよ…
コミケで京太郎本だけ買ってきたよ。感化されて来年は京霞と京一の年になりそうです

みなさんよいお年を <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/31(土) 21:36:15.53 ID:dORL/RMSo<> 乙です
よいお年を <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/31(土) 21:40:00.06 ID:3kagya1C0<> 乙
京霞(霞色)次元で年末紅白麻雀合戦(小林のどっちVS美川アコの衣装対決)を見る須賀一家 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/31(土) 21:48:14.60 ID:jrZhThdoo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/31(土) 21:49:36.69 ID:mr9YZGzFo<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/31(土) 21:50:27.46 ID:tSOtWjy2o<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/12/31(土) 23:34:20.04 ID:N3eycMxW0<> 乙です <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:17:52.42 ID:k7eVpiUPo<>
 1/10

 801
 【京初ラブラブ初詣】-京初次元-


 「初美さん、初美さん。

  初詣に行こうよ」

 「そうですねー。

  新年を迎えましたし、ちゃんと行かないとですねー」


 須賀家は基本的に早起きである。

 それも須賀京太郎のお嫁さんの薄墨初美が早起きだからだ。

 高校時代はともかく、お嫁さんになってからの初美は非常に精力的だ。

 毎朝旦那さんより早く起きて妻の務めを果たしている。

 そんな初美はとても強気で、温和な京太郎はいつも尻に敷かれている。

 しかし女の子に振り回されるのが嫌いではない京太郎にとっては何の苦でもなく、楽しい日々を過ごしていた。


 そんな須賀家も今日は一月一日、新年だ。

 神社の家系に生まれた初美はそういう行事を積極的に執り行うし、京太郎もそれに付き合っていた。


 「やっぱり初美さんの実家に行かないとね」

 「今年は行かないですよー」

 「?

  でも毎年行ってるじゃん」


 新年になったら実家に顔を出すのは毎年の恒例行事だ。

 それはどこの家庭も変わらないだろう。

 しかし、初美はプイと目を逸らして答える。


 「あのですねー。

  私は須賀家の人間なんですから、私の実家は後回しでいいんですよー」

 「そ、そっかぁ」

 「そうですよー。

  しっかりしてくださいね。だ・ん・な・さ・ま」


 ウインク付きで悪戯っ子の笑みを浮かべる。

 もう結婚して子供もいるというのに、彼女のこう言った面には弱い。

 しかし初美の実家に顔を出さないというわけにも行かないな、などと考えていた。


 「それはそうと、初詣には行きましょうか」

 「お、おう。

  車出すよ」

 「あまり大きなところじゃなくていいですよー。

  なるべく空いてそうな場所にしましょうか」

 「そんな場所あるかなァ……」


 お正月の神社はどこも忙しい。

 きっと彼女の実家の方も忙しいんだろうな、などと思った。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:18:22.88 ID:k7eVpiUPo<>
 2/10


 ……
 …

 ・お正月の永水女子

               .  -‐──‐- .
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.         ..:.: /.:. /i|.: .| X.:.:...:.:.. j.:ト、.:.:.i|.:.:.:.|.:.::,
.          ,.:.:.:.i|.:.λ从i:| X. : /|/,/ |/|/j {|.:.|.:.:.′
         ′.八.:.|      X/     |   |.:.}.:.: |
         |.:.:.:.:从ゝ ,.二     ,二..._  /./ . .:.|
         |.:..:.:.:.| l.〃⌒^      ^⌒~ヾ .イ.:. .:.:.|
        八.:.: ∧ム      '      /ノ.:.:.:. /
          \.:.:.:込    v:::ァ     ′.:.:.:/     「さぁみなさん。コミケの戦利品を読み漁りましょう!」
           \.: 、>        イ /. /
            /./  ノ`  ‐‐ <\:≦
.           ,.:.:.:./ / i|    l} \. ′\
          /7.:.;≦  八.    /   ヽム.:.:′
        ,.  ´;.:.:.′    \/′  /  ′.|≧ 、
.       ハ   |.:.:|  ∧    /.   /   |.:: |  λ
       / i| 八.:.|  ∧.  . ′  ′.   |.: ′/ X
.      /.  i|   、{   ∧. ′.  /.    八 /   X


           /|   __
             {.:|  /: :_⌒ヽ
        -─……─‐-: : `∧
     /: : : : : : : : : : : : : : : : :.\:.
    /: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ:.:.:.ヽ
  :' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.,:.:.:ハ
  ′: :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∨:.l
 |: : : :i: : l / l!: : : ト、 : : : :ト、 : : : : |:.::.,
 |: : : :|: : |'   |: : : :|'´\: : |‐-: :}: :|i.:.::.,
 |: : : :|\|'⌒ | l: : :|   \|  ∨: :八:.:.:.,
 ' : : : |:l   __ 乂 : :|  ,イ示冬、〉:/ ミ:.:.:.:.,
 |l: : : |:l_ ,竹冬、\|  .乂:ン / }::|  〉:.:.:.:..
. 八: : :|:l〃乂ン/ ̄`ー─‐‐′|::|〉/.:.:.:.:.:..`、    「お正月最高ッッッ!!」
   \{:|i:ハー‐"  '       r|::| '.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
     |:| 人"     __     ,イ_}∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:..\
    ':}         ‘ ′ ...:  |八:∧:::|.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:.:..
            >-<::   /  〉-}/|.:.:.:.:.:.:.:.| \|
           / ∧::   /  /  \.:.:.:.:.:.:.|   }


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       :| .:::::::::::::/|!:{_|::: | |::::|.||ハ:::ト:::::::::::|
       :! .|:::::::::!:{ 从! |ヘ| |ノ|/ // .}::::::::::|
         |:!::::: ! イ笊ミ   .イ笊ミxノ:::::::!
         ',:',::ヽ{l乂シ    弋ソノイ::::::'
         ',:',:::::. xix.  '  xix  ,'ノ::./
         .∧:::::::.    r‐ .,   /::::::/
          ∧::::::ミz.。 `¨   イ::::::::,'|     「やっぱり時代は京霞よねっ!!」
          .∧::::::::::::!.>< ! |::::::::: '
          .....}=ミ:/:|    | |::::::::,'_
        / .// | :|   :/ :|::::::;、  `<
        / >=―< ,ハ  />|:::::|‐‐< :| :,
       ./       ` f!ハ,;'  |:::::|    :ヽ ;
      /         fgム   |::::::..     ∨
     .,         /j!:| ti! .∧:::::::\    ',
     ,        ./.,' i!  ,  \::::::::\ : : !
     |: : .     /  , |  :,   .\:::::::ヽ: ::!
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    !/∧: : : : : :://|   ノミ 、  }\: : : : \:::∨


 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:18:52.45 ID:k7eVpiUPo<>
 3/10


 「やっぱりこの時期の初美さんの実家は忙しいだろうね」

 「そうですね。

  忙しいと思いますよー……」


 どこか初美さんの目が死んでいるような気がするが、あまり詮索しないほうが良さそうだ。

 今日は子供をうちの実家に預けて二人で参拝だ。

 本当は子供も連れて来たかったんだけれど、『人の多いところで泣き出しちゃったら大変ですよー』と嫁さんの一言でやめにした。


 「やっぱりどこも人多いな」

 「まぁ、それは仕方ないですよー。

  さっきは空いているところなんて言いましたけれど、そんなとこないですよー」

 「え、じゃあ何で言ったんですか?」

 「旦那さんの困った顔が見たかっただけですよー」


 ウインクされた。クッソ可愛い。

 このまま手を繋いで神社に行きたいところだが、初美さんとのデートで手繋ぎは厳禁なのだ。


 「初美さん。今日くらい手を繋がない?」

 「はー、この旦那さんは、もー。

  幾つだと思ってるんですかー?」

 「うっ」

 「それに前から言ってるじゃないですかー。

  私と旦那さんで手を繋いだら親子にしか見えないから嫌なんです」


 まあ繋がなくても親子に見られちゃうんだけどね。

 これを言ってしまうともっとヘソを曲げてしまうから絶対に言わないけどさ。


 「なんか失礼なこと考えてますねー」

 「か、考えてねーし」

 「どーだか。

  旦那さんが私に隠し事できるわけないですよー」


 あー、これ気づかれてて見逃してもらってるや。

 うん、気をつけよう。


 「それじゃ、今年もはっちゃんの初詣講座ですよー」

 「おー」


 そういうと初美さんは神社の鳥居の前で一時停止して会釈した。

 俺もそれに習って会釈する。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 14:19:03.96 ID:GTsR05afo<> うんはっちゃん行きたくないよな!ww <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:19:21.75 ID:k7eVpiUPo<>
 4/10


 「鳥居を潜る前には小揖(しょうゆう)をしてから入るのがマナーです」

 「ふむふむ」

 「ちなみに、軽い会釈のことを小揖。深い会釈のことを深揖(しんゆう)と言うんですよ」


 やはり巫女だったからか、その辺りの知識は完璧らしい。

 ドヤっと胸を張る俺の嫁さんはやっぱり可愛い。

 ちょっと子供っぽく見えて頭を撫で回したくなるけれど、それをしたら怒られるからやめておく。


 「参道の真ん中は神様の通り道、正中と呼ばれているので端っこを通るのがマナーです」

 「俺もそれくらいなら知ってるかな」

 「ふふ、そうですよね。

  ではどうぞ」

 「?」


 言われるがままに足を踏み入れようとしたが、ぐっと背中を引っ張られて鳥居の外に戻される。

 正確には引っ張られるのを感じて足を止めたんだけどね。初美さんに引っ張られるくらいじゃ俺の体動かないし。


 「はい、間違いですよー」

 「えっ?」

 「右側通行をするときには右足から入る、左側通行をするときには左足から入るのがマナーです。

  これは神様に足を向けないように、とのことですよ」

 「そーだったのか」


 しかし初美さん。

 その考えだと二分の一だし、もし俺が合ってたらどうするつもりだったんだろう?


 「その時は正解ですって言いますし、旦那さんが癖で踏み入れる足は何となくわかりからねー」

 「……まいりました」


 自信満々に言う嫁さんに陥落しそうだ。

 もう何から何まで手のひらの上で回っている気しかしない。

 しかし、年上の姉さん女房にコントロールされるのは男の夢でもある。

 やっぱり俺、初美さんに弱いんだよなぁ。


 「それじゃ、次は柄杓で汚れを削ぎますよー」

 「もー俺の負け。

  人も多くて邪魔になるから、初美さんがお手本を見せてくれないかな」

 「仕方ないですねー」


 そうは言いながらも頼られて嬉しそうだ。

 やっぱり俺の嫁さんは可愛い。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:20:05.11 ID:k7eVpiUPo<>
 5/10


 「まずは柄杓で左手を洗います。神道では左手を神聖なものとしていますから。

  次に右手を洗って、もう一度左手に柄杓を持ちます。

  柄杓の水を左手の掌に落として口をすすぎ、もう一度左手を洗います。

  最後に柄杓を縦にして柄杓の柄を洗って元に戻しましょう」

 「うわっ、すげぇ」


 言っているだけならば『面倒臭いなぁ』なんて思うかもしれないが、初美さんは流れるように一連の動作をこなしていた。

 例えば、慣れていない人がぎこちなく行なっていたならばこんなによく見えなかったのかもしれない。

 特に柄杓の柄を洗うところなんて見たことなかったし、淀みなく水を垂らす初美さんを『綺麗』と感じた。


 「どーしましたー?」

 「あ、いや……」


 最後に胸元からタオルを出して手を拭っている初美さん。

 その一連の動作が何だかすごくエロいと感じてしまう。

 新年明けて神様の前でなんて考えしてるんだろう、俺……。


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  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /     「(バレバレですねー)」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 ーーこの嫁さん、俺の考えを何でも見通すなァ
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:20:34.69 ID:k7eVpiUPo<>
 6/10


 「ダメ亭主は置いておいて、参拝しますかー」

 「あー、待ってくれぇ」

 「待ちませんよー」


 初美さんは人混みの中をスイスイと抜けていく。

 逆に俺はデカイのも相待ってうまく追いつけない。

 やっと初美さんの前に辿り着いたときには、初美さんは姿勢を正していた。


 「はい、マフラーとコートを取ってください」

 「了解っす」

 「神様の前では正装が基本ですよー。

  あ、神前の中央には立たないようにして、一礼しましょう」


 初美さんを横目で見ながら一礼する。

 初美さんに比べると酷く不恰好になってしまっているだろうなぁ。


 「それじゃ、お賽銭のお時間です」

 「やっぱり5円とか15円が定番かな?」

 「ご縁がありますように、十分にご縁がありますようにって言うのは定番ですねー。

  でも、5円や50円玉が人気なのはもう一つ理由があるんですよー」

 「そうなの?」

 「願いが通る、と言う意味で穴が空いた硬貨を選ぶんです。

  それじゃあ人も多いし、すぐにやっちゃいましょう。

  次は鐘を一回だけ鳴らしますよー」


 言われるがままに鐘を一回鳴らす。

 初美さんは微妙に届かなくてジト目で見てきた。かわいい。


 「次はみんなも知っている二礼二拍手一礼ですよー」

 「これくらいなら知ってるさ」

 「一応、拍手をするときに右手を一関節分だけ提げて打つと言う作法がありますよー」

 「そっちは知らなかったなァ」


 さすが巫女さん(元)。物知りだ。


 「次は願い事を心の中で念じましょう。

  初めての参拝の時には自分の住所と名前を述べると言うのがありますが、今回は関係ないですしね」

 「子供を連れてきた時にはちゃんとしようか」

 「それより、人が多いからちゃっちゃとやるのが重要ですよー」

 「了解っ」

 「最後に、鳥居をくぐってから向かい直して鳥居に向かって一礼して終わりですよー」


 ふぅ、長かった気がしたけれど何とか終わった。

 作法をしっかりすると意外といっぱいあるんだなぁ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:21:04.37 ID:k7eVpiUPo<>
 7/10


 ……
 …

 「さて、どうでしたかー?」

 「一部分だけは知っているけれど、全部は知らなかったよ」

 「そうですよねー。

  でもぶっちゃけるとそこまで意識する必要はないと思いますよー?」

 「巫女さんがぶっちゃけていいの!?」

 「ちゃんとした参拝ルールを守っても、その分他の人に迷惑をかけていい理由にはなりませんからね。

  時間がかかるものは省略するのもマナーの一つですよー」

 「神社の人ってそう言うの厳しいと思ってたよ」

 「それなら今までもっと厳しくしてますよー。

  確かに守るべき部分はありますけれど、何でもかんでも押し付ければいいってもんじゃないですよー」

 「初美さんは大人だなぁ」

 「そりゃ、旦那さんより二つも年上ですからねー!」


 ドヤっと胸を張る嫁さんかわいい。

 正直、ちゃんとした参拝ルールを知ることよりこれを見たかったから教えてもらった感じだよな。

 神様には悪いけど……。


 「今年は何をお願いしたんですかー?」

 「そりゃ家族の健康かな。

  子供に風邪ひいて欲しくないし」

 「私と旦那さんの子供なら大丈夫だと思いますけどねー」

 「初美さんは?」

 「似たようなもんですよー」

 「教えてくれないのか……」

 「女の子の願い事は詮索するものじゃないですよー」


 そりゃそうか、と落胆しながら頷く。

 ううっ、やっぱり初美さんはガードが固いな。

 もっとデレてくれてもいいのに。

 あ、でもこのガードの固さが初美さんの良さでもあるんだけどな!


 「帰りに何か買ってく?」

 「ダメですよー。

  参拝した後は家まで直帰するのが作法です。

  もらった福を落としちゃいますからねー」

 「まだ終わってないんだ」

 「最近は24時間営業が多いですけど、本当はこの日はちゃんと休まなきゃダメなんですからねー」


 ジト目でこちらを見てくる初美さん。

 た、確かに残業多いけれど、正月くらいは休めるって。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:21:36.16 ID:k7eVpiUPo<>
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           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/     「それじゃ家に帰ったら姫始めでも……」
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
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          l:l  l::/:_',/ん心.:l/: :レチ=.、!/:::::ノミミ、、
          l:!   l:l .l:.i:.:弋_丿: : : :lr':沁}}イィト;:v`ミ,,
        l!   l:l ヽi: :''': : : : : : : ー:':ムソ!! | .l:l .Y!
          l:!   、 : : t ‐ァ: : : :./ // .‖  リ
          ll    l> _: ;  ィ  // ./
              ._|: : : : :.|    '"     「ダメですよー」
            ノ|-:'_: : _:_:_:'y'ヽ
          </  l: : : : : : :.:/  /`ヽ
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     _ ,.斗   // /  ./!  / !  :}  } ' ヽ V',     ,  ,
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                   、    f−――'ヽ    人レ'^     「!?」
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     , ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、   |ニニニニニニニニ/     .‖ニ'ニニニニ=-,
    /ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ,    ‖/ニニニニニニ=-,
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:22:05.63 ID:k7eVpiUPo<>
 9/10


 「えっ、はっ、ええっ!!?」

 「動揺しすぎですよー……」


 初美さんがめっちゃ呆れた目でこちらを見てくるが、耳に入らない。

 え、何断られたの?

 倦怠期!?

 夫婦離婚!? 一家解散!?


 「何バカなこと考えてるんですかー」

 「え”ぇ”……」

 「あのですねー。

  姫始めって理由つけて新年早々盛ってるバカップルが多いですけれど、何でもかんでもヤルのが姫始めじゃないですよー?」

 「そうなの?」


 ようやく現世に帰ってこれた。

 よかった。どうやら嫌われたわけじゃないらしい。少し泣いた。


 「わかりやすく言うと、姫始めって言うのは1月2日のことです。

  1月1日は何もしちゃいけない日なんですよー」

 「そ、そうなの?」

 「そうなんです。

  元旦に何かをすると老けるのが早い、なんて言われてますねー」

 「そうだったのか……」


 え、じゃあ今日はお預け?

 ううっ、せっかくの休日に初美さんとイチャイチャ出来ると思ったのに……。


 ……ん?

 ちょっと待て。反応的に初美さんは嫌がってはいないよな。

 ってことはーー



                     /イ         /    V ヽ、    `
                  ,  ´/          |   \
                    _/  '   '    ,:      |    \
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                     /    /    〃     /   |    |
               /      {   /.'       ∧  }    |
               /_, ィ   ∧ /_ |       / V ∧
                 / /  / ∧{tォミ、  ,  /   | '  、
                   / イ  / /| 弐_ V | /   __}/   _ヽ
                     | / , :  ー':, ∨/   イ乎(_ ヽV |
                    ∨ {/ '   / /      Vzソ   V}
                    {   、                 リ
                         ∧   `
                        、
                         ∧ `
                         |l∧      ̄         <     「初美、明日ならいいんだな?」
                          「´∧           ´
                        .:'//>--==≦ゞ
                      ////////\        /
                       /////// /   ∧
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/02(月) 14:22:35.55 ID:k7eVpiUPo<>
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.        个    V  ノ   イ
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     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ
        // l i `i           _/,、/
        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′    「(よしキタコレ!!)」
              丶  ー ―‐ '  / |′
               \    /  |
                __ i ー '     ! __
          , ィ'´:.:/-‐ ´}     /  `Y´:.:.\
      , -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、   ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
      ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i     `    ̄    /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
    /:.:.:.i:.:.:|,':.:i:.:.:.:.:!   ヽ  /   /:.:.:.:.:.:/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:,.ヽ
     !:.:.:.:.ヽ:.{:.:.l:.:.:.:.:l.     i     /:.:.:.:.:.:/:.:./:.:.:.:.:.:./:.:.:.i


 普段勝気な嫁さんがしおらしくなる。

 ーーそれはとっても素晴らしいことだと思うんだっ!!



 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2017/01/02(月) 14:23:04.93 ID:k7eVpiUPo<> あけましておめでとうございます
いつも感想ありがとうございます。今年も頑張ります <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 14:29:58.43 ID:fagZ3HU/0<> 追い付いたと思ってたら更新されていた
あけおめ、そして乙ですよー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 14:55:50.93 ID:gaZ7Ks07o<> 京初次元で、あれ?初瀬とあったっけ?って思ったらはっちゃんだったw
おつ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 15:20:46.75 ID:1LtcJ0OwO<> あけおめー今年も楽しませて読ませてもらうよー
ここのはっちゃんは理想のお嫁さんだね
永水メンバー・・・お勤めは・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 15:27:18.58 ID:W77g1l9IO<> 乙です
はっちゃんはいい嫁さんだなー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2017/01/02(月) 16:55:49.05 ID:G1oZepzDO<> 乙です。
新年早々かわいいはっちゃんが見れて満足。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 22:36:54.50 ID:JalB/o2b0<> 乙です
はっちゃんの嫁力で咲さんの出番が・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 22:38:54.31 ID:Ou/NwhL0o<> 次スレは原点回帰を期待 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/02(月) 23:00:59.60 ID:8Kf5nHl8o<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/03(火) 10:25:38.00 ID:1KCLVuR/0<> あけましておめでとうございます。
人伝に聞いてきました、支援感謝です。

http://iup.2ch-library.com/i/i1760524-1483406567.jpg
(ちょっとH、閲覧注意) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/03(火) 10:33:53.29 ID:DNxSVbA8O<> 成る程ぉ……流石だぁ……
悪い意味じゃないけど一ちゃんが元々痴女だからかあまりエロスを感じない <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/03(火) 11:49:45.08 ID:/urlKbcno<> >>875
!?
まさか尊敬する人に支援絵を描いてもらえるとは思いませんでした!
ありがとうございます。本当に何言ったらいいかわからないくらい嬉しいです! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/03(火) 12:27:47.16 ID:1KCLVuR/0<> >>877
大げさです。

スレのss、読ませていただきました。とても面白いですね。
過去スレの方も、これから読みに行かせていただきます。


これは、頑張って本作らないとな。
マケテランネー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/03(火) 14:34:18.19 ID:4R01IOIwO<> …ふぁ!?なんか二飜縛りの人が描いてるだと!? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/03(火) 14:55:17.31 ID:BznMgpReo<> あら何処かで見た絵柄、と思ったらそういう(>>879)ことか…! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/04(水) 11:52:08.60 ID:JJAs21Z2o<> こ、これはどんなコラボなの!!!??? <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:23:25.27 ID:T3QheNEWo<>
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 【透華お姉さんによる恋人候補格付けチェック!】-お金持ち次元-


 「ううっ、今日も頭が痛いですわ……」

 「頭痛薬です」

 「ハギヨシの心遣いが逆に苦しいですわ」


 透華は今日も頭を悩ませている。

 いつも通り好き勝手に暴れている菫と智葉を抑えるのに必死なのだ。


 「トーカ、何をそんなに頭を悩ませている?」

 「衣?」


 ピョコンと衣のウサギの耳が透華の前に現れる。

 思わず頭を撫で回してしまいそうになるが、それをすると衣が怒るのでなんとか抑え込む。


 「衣で良ければ相談に乗ろうか?」

 「しかし衣に理解できるかどうか」

 「衣を子供扱いするんじゃない!

  トーカと同い年だぞ!」

 「まぁ、聞いてもらうのも悪くないですわね」


 一つ深呼吸して衣に向き直った。


                              __  / ̄``〜、、
                      __ 、丶/ \   `   / ̄ ̄ \
                   /  \ //|    \     \
                /  | \|/Λ     ´_       ,
                 {   |  ‖  |     ´_       '
                 |   | ‖   | |     ´_
                 |   | {(    ´ ̄     ´ _
                 |   |⌒ \   r仄不、   ´ _  |
                /   衣Th     」リ ノ\   ´_. |
                  /  /| 」リ          /    | | |
                  〈   { |ハ  ′      /   八| 八    「京太郎の恋人に誰を当てようか考えていましたの」
                \ \込   t  ァ   ;   /| |  _
                \ \.`ト     < i    ′| | ´_
                   / \ ∨  厂| / 人  l_|.    ´_
               /__}  }‐ /x芥\   ) ノ    ̄\   ´_
                /    |  l≪,/||\≫ /  /    }   ´_
                  /.     | ノ // ||         /     <     \
                厂 ∨    〈/  .|| _________ /     |  \  \
                /   /            ~~~~~~   ト こ.,_|   ´_  \\
          /    ,′.               ∨_  \  〉   .|   \\


      /     '"          \    ヽ
    /  /  ,/   i!    }   ヽ    ヽ.
   ./  // //  ,! ハ   ハ ',  i!  |   l
   i   i i |廾‐‐/x'|! !  /_.斗―ハ  |   i!|
   | | ||! | ! ./'  |`|  /´  | / ,リ  |  /リ
   | |.  Z |x衍示ヾ !/ "才示ミx / / .//'
   | |   Y《 う::::::r}     う::::::r} 》 ,イ ,イ
   | |   !从乂zソ   ,  乂zゾ/イ )!' i!
   | |   ト.             /イ  |
   | |   |人     r‐ュ      イ i!   !     「……!?」
   ! |   |  >i、       . イ |  i!   !
  ./ !   ! ./ r'| ` ー 1、  ! i!  i!  !
  /./|   .L!ノ `ー、  /^\i!/⌒ヽ.  !
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:23:53.94 ID:T3QheNEWo<>
 2/10


 「トーカ……?

  何を言っているのだ?」

 「?

  姉として弟の嫁を吟味するのは当然のことですわよ」

 「いや……、それは常識ではないぞ……」

 「何を言っているのです!

  何処の馬の骨とも知れない女が京太郎の嫁になるかも知れないのに!」

 「別にお金や地位が全てではないだろう」


           __        /|
     , -、____/,、  \   r‐' ̄_/
    / |\\|//|   | ̄ r‐'
    |  |ミミァ‐''''"|    |   \
    |  | /   |    |    |
    / / 〈   _,`ィヽ、   |   |
  / /`ー、Y", -‐'iヽ |  \  |    「そこはどうでもいいんですの!!!!」
  / ,イ !、ii〕'!、`┸" ノ 〉  i  ) \
. (  |>r‐'  ,二、" /  //、   \___
  \ 、!(三ニ´ー〜)(  <   \ ___     ̄`ー--、_
   \ ゞ、"゛  ̄ _, ゙、   h_/ ̄_, -‐ヽ      `ー-、`ー-、
     ) r≧ーtく /\ )   /    ト、    `ー-、 `ヾ 、_ \


.     /::::::::::::::::::,>イ" /     ヽ  ヾト、ヽ、ヽ \.\ \\}
    , ':::::::::::::>'"  /          ぃ  ト|‐r+ い l  ト, .|
    /:::::::::::::/     {     .| | ハ,ィ |l ト、 .|ヽ__」! !::|: ハ: | V
.   /::::::::::::::,'     |   |  | |,イ || ! j リ V チ:::ヽ`メ| ハ/ヽ
  /:::::::::::::, '     .!   ! . Xヽ.」イ!キ    C:::d,、 レ'、 |\ \    「ならどこを見るのだ……?」
. /:::::::::::/       ',  ヽ'  トメj:::::ヽ     ,`"¨′ い  \-‐
/::::::::/         ',  ぃ  .イo:::::::ソ          } .',   \
:::::/           V  ぃ、  くう´    ,  '" ̄}   ,イ .ヽ   \
/             V lヽ V  \   〈_, ‐'" イい   ヽ    \


 衣からすれば透華が壊れたようにしか見えない。

 透華の視点から見れば『菫や智葉のような頭のおかしい連中から京太郎を守る』だ。

 しかし衣から見れば『どこの鬼姑だ』となる。

 悲しいかな。人は分かり合えないようだ。


 「まとも! まともな人間であるべきですわ!」

 「然り、しかし今時常識のない人間などいるのか?」

 「それがいるんですの……」

 「そうか……」


 その目は悲しかった。

              /ヽ/  //            //|      |
_  __,.. --‐ー--==ュ/ / `//、           //|       |
. `ヽ  _,.....--‐rr‐イ=ィ'´   //.....\         /  |     |
  //|-‐    ̄ |├,イ::::`ヾ=、、 丶:::::ヽ      __/-‐'  |       |
 /  _|_,.....--‐i┘っ!:::::::::|:.:.:iヾ、ヽ       ..:-‐/___ |     ゙、
_/‐ ´     r-!ヾ、 !..゙、;;oノ:.:/  ヾ        ,:イ'´::://ヾ  |      丶
    / ̄ ̄  ヾ `、:;,;,;,ノ          ´っ:::://  / / |       ゙、
   / i                        弋,;,ン ノ / |       |
  /   i                           / |  |        |
_ノ    ゙、                   、      / | |        |
       丶、       、           `     /i  |  | /      |    「恋人格付けチェックを始めますわよ!」
       \`ー 、    `ー- 、            //  |  |/|      |
          \`          ̄     , ' /   |   /     |
\             \           _, - '´l  i   |   |       |
  \             ト、      _,   ´l    |  |  |  |     |
 / \           ! ` 、_ , '´     ゙、  |  |    |   |      |
/     \       /  /   ハ      ゙、 ゙、 ゙、   |  |    /
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:24:22.88 ID:T3QheNEWo<>
 3/10


 「そ、そうか。

  それでは衣はこの辺りでお暇しよう」

 「衣も京太郎の『おねーちゃん』ならば考えるべきことですわ!」

 「……!?

  『おねーちゃん』ならば弟の嫁を考えるのは普通なのか!?」

 「そうですわよ!」

     /       |  | __/_」ト.   i! ハ_   .! i! |  |   ',
      i   !   || |/「 /  Z   W´ヽ  ̄`トハ i!   !   |
      |  | |  ||ヘ. W  ヽ ヘ  !  ´ }  /!| | |  !|   i!
      |  | |  ||  x≠≡ミ  \ { x≠≡ミxリ }!|  リ / |
      |  | |  |i! 〃ん::::::ハ   `\ん::::::ハヾ. ,リ / i!  i!
     Y i!ト、 从《 う:::::::oリ     う:::::::oリ 》//   |   |
       Zハ`ト、ヘ. マZン      マZZン /イ   .!  i!
         }从八 `トヽ xxx        xxx   /    |   ∧   「衣もやるっ!」
      /   iト、{      r:::7 ̄ ̄ !    /{     |   ∧
       /    |! 人      ∨   ノ    ,イ |    |   ∧
      ./    i!/  > .   ` ー ´  _ イ | |    |    ∧
     /       |!  /  _`rト __..   ´ ,ト、! ! !    ∧    ∧
  ./        i! ./   | \     / ^ { !∧    ∧._    \
. /    /´ ̄\_ .. イ   ゝv<    ゝ、 ∧    ∧ \     \


 悲しいかな。

 お姉ちゃんウイルスに感染してしまったようだ。


 「ではまず、どんな女の子が似合うかというところから始めますわよ」

 「衣たちの弟になるということか。

  やはり嫁にも『衣おねーちゃん』と呼ばせるべきだ」


 いざ話し始めるとなかなかノってくる

 恋愛話が好きなのは全ての女性に通じているのだ。


 「それに、家柄とまでは言わなくてもしっかりしていなければいけませんわ」

 「然り。

  弟の嫁になるならば文武両道でなければならないぞ」

 「そうですわね。

  頭も良く、武道や弓道をしていて凛としていなければいけませんわ!」


    |┃      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
    |┃     /:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
 ガラッ.|┃    /:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
    |┃   ′:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.
    |┃三 , .:.:.:′.::.:.:.:.:.:.:.:.|:.|:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.::.
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    |┃三 i......:.:|.....:.:.|:.:.:.|:.:ハ|:.:.:.:.:.:| |:.|:.:|......... |
    |┃  |:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
    |┃三 |:.:|:.:.:.:.Tイ示气   ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
    |┃  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
    |┃  |:.:|:.:.:.:.:∧           :.:.::.|:.:.|
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    |┃  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
    |┃  |:.:.:.|:.:.::.:.:>-j     f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
    |┃  |:.:.:.|>イ  く       }l |:.:.:.|:.:.|
    |┃  |:/      \_  __|l i:.:.:.|\
    |┃三/\       \    /  |:.:. |  \
    |┃
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:24:51.66 ID:T3QheNEWo<>
 4/10


          三     |┃┃
                 |┃┃    ←ハギヨシ
            ∧∧ |┃┃
       三 (   ;) |┃┃ピシャッ!
        /   ⊃|┃┃


 「今誰か入って来たか?」

 「いいえ、衣様。誰も入って来ていませんよ」

 「衣。

  私思うのですの。

  別に文武両道である必要はないと。

  特に弓道をやっている必要はないと思いますわ」

 「そ、そうか?

  弓道云々はトーカが言い出したことだが……」

 「いいから話を続けますわよ」


 透華はどこか寂しい目をして衣に話しかける。

 あまりの剣幕に衣も頷いてしまった。


 「しかし、自分の身を守れる強さは必要だろう」

 「それには同意しますわ。

  私たちの妹になるわけですし、麻雀も強くないといけませんわよ!」

 「それに嫁になるからには良妻賢母。

  夫を立てる気概を持つべきだろう!」

 「まとめると自分の身を守れる強さを持っていて、私たちより麻雀の強い良妻賢母ですわね!」

 「衣たちより麻雀が強いものなどそうはいないだろうがな」


    |┃三
    |┃                      ___
    |┃                   ..::.::.::.::.::.::.::.::.::.`丶、
    |┃                  /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\
 ガラッ.|┃                /.::.::.::.::.::.::.::.  イ:.::.::.::.::.::.::.:.::.
    |┃               .::.::.::.::.::.::.::/  |::丶.::.::.::.::.::.::.:.
    |┃三               |::.::.::.::.:_::/     \{\ .::.::.::.::.:|
    |┃.                |.::.::.::./|/`丶     /\ ::.::.::|
    |┃三             _,,..、¬冖づ庁外、   斗劣、ハ::.::.|
    |┃               / ヘ. } し小 うソ ノー{ うソ/ /:/|/
    |┃三               /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行
    |┃                ノ  八‐:、    ′   厶|
    |┃          丿  ´__/  \丶、  ‐‐    イ |/
    |┃          /    / ______〕: |> _. イ、_______
    |┃            /    //二ニァ¬ア_]       |¬r<二,¨¨ ̄\
    |┃        /   /´ ̄/ /  〔∧     〕 ∧   | ̄ ̄\〉
    |┃               /     |      |--  --|   |   |  \ \
    |┃       /    /    [ │     マ¨¨¨¨¨ア  |   |    ヽ  \
    |┃
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:25:20.60 ID:T3QheNEWo<>
 5/10


          三     |┃┃
                 |┃┃    ←ハギヨシ
            ∧∧ |┃┃
       三 (   ;) |┃┃ピシャッ!
        /   ⊃|┃┃


 「は、ハギヨシ。

  さっきから誰かが来ているような……」

 「いいえ、誰も来ていませんよ」

 「……衣。

  私は思いますわ。

  お互いが好き合っていればそこに私たちの手は不要だと」

 「今更何を……」

 「そ、それはそれとして!

  今の京太郎が交流している女の子から逆算すればいいわけですわ!」

 「そうなるともう考える必要はないような」

 「ターゲットを絞ることは大事ですわよ」

 「ターゲット?」

        /   /il | .//|     \ \
         |    トヾ| ///,|      |   i
        /  ||`゛゙i'""´ |i     |   |
        /  __| |  /   |ハ___   i   |
      /     ハ.|`‐{    ィ'´ヽ    ヽ |
    /     /-/≧ミ\   ケテ=-、_  \i
   /イ   ,ィ.|` i;;;:;!   )   i';;;;!,ィ     ヽ
.  // /  .| /人i ,,,   ,     ,,,  |      iヾ、
.  |.|.〈   |/リ. !           ,! /.     ト、 )   「いざという時は一億ほど握らせれば京太郎に靡くと思いますわ」
  !| ゙、  .!(   \   r-、     /|レ'    / i
     >、. \  i ゝ  `´   /| ./     /   l
    // |    ) |  ノフiー ' ´  ク    ,.イ   (
   < / /   / _/`ト,--‐' ´|    ,.<  ゙、  \
   ) /  /‐'´  | ,イVヽ   丶 (_ `ー-、   \_
.  /  ! i /      |/./ハヽ|  ./\ ゙、   `ー-、 、\
. /  /\|      /ノ |.」\/   )  )   / ゙、 |  )


  |::::::::::::::::::::::/   /    \::∧ ./:::/  ` 、     ∨::::::::::::::::∧
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  |:::::::::::::/    /  /  ,_≦-―`^´―-≧x    ヽ   ∨:::::::::::::::::|
  |::::::::::/    /  /    ´ ./     ヽ    `     ヽ   \::::::::::::::!
  |:::::::/    '  .'    /  /  ! i!    |  | .!  ',   ヽ.   \!:::::::|
  |::::/    .′ .'   /i! _ハ― |-|!   | |r―ト、!   ! ',  iハ    ∨:::!
  |:/       !   !   i/ | ', i!リ|  .i! i!|  ハ |\ |  |  | |      Y
  {'       |   |   |从z|zzY/ |  /| ル}z/x从! , |  |  | }       V
        |   |   |〃ん¨ハ` .// /' ん¨ハヾ/./ !  i! /}'
        |   |   |《 う::::::::} ´    う:::::::} 》イ / /'}'
        |   |   |  乂__ソ       乂__ソ './イ, イ
        |  .ハ  .i!           '      ハ/' |
        |  / .!   ト、              / i!  !
       / .//|   |ヽ\     ‘ ’   . イ  i!  !
      ,/  /  |   |/〃>  .__. -ァ´〉、|!/ ̄`ヾ.、
     〃 /  .|   |ニニ≧ヽr―‐ ' // Y      ヾ
    .// .{     !   !: : : : : :/:7=ニニニ.ヽ}      iヘ
    // ∧   .|   |: : : : こ{_{こ: : : : : : : :}         ト.ヘ
   ./   / ∧  ./  /: : : : : :仆: : : : : : : : ;イ        / \ヽ


 「じょ、冗談ですわよっ!?」

 「冗談に聞こえないぞ……」


 龍門渕透華。それなりに追い詰められているようである。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:25:50.23 ID:T3QheNEWo<>
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 「そ、それならば今京太郎と親しい女性とは誰なのだ?」

 「何人か候補はいますわよ。

  その中では『宮永咲』が一番近いと思いますわ」

 「どんな人物なのだ?」

 「ハギヨシ!」

 「はっ。

  清澄高校一年生。身長155cm。体重はプライベートなので黙秘いたします。

  趣味は読書。特に海外ミステリーが好きだとか。

  誕生日は10月27日。携帯電話やパソコンなどの機器が苦手なようです。

  京太郎様とは中学時代のクラスメイトで、友人からは『夫婦』と揶揄される仲だとか。

  よく迷子になることもあってその度に京太郎様が迎えに行くそうです」


    /:::::::::::/             > 、:::::::::::::∧- .._/:::::::::::::::::::::::> ´
   ./:::/::/             ´    \::::::::::∧  /:::::::::::::::> ´
   /:::/ ´               /        >.、:::ハ_/::::::> ^ヽ
  ./:::/               , '  ./     x≦>――‐<≧x.  \
 /:::/               /   /   /  ´          `ヾ.   ヽ
.//              /   /   //  /
´              .′  /  .//  /  // |    |         i
                  i   i   | i!  |  //! ハ .|  |  !  |     !
                  |  .!   |Tト ._ハ  | | | /.//  ,イ ,イ !  !     !
                  |/  |   ハ{\ {`≧ト{/'_/イ ,イ_i斗リ丁 /  |  | |
                 /  .|   | ./ア圷.ヾ  ///'衍圷ミx,イ  / ,イ/
             /   |   | {' ら:::::リ   ´   ら:::リ }'./ ,ィ //'
               /    .|   |  弋zン      弋ン  7´'イ |
           /     |   |   `¨´       `¨´  ハ   ! |
             /       |    ト、          '     / ∨| ∧
          /         |    | r\     r:::ッ    .イ  Y.  ∧    「……ハギヨシ。
            /       i!   .レ ( > .    . <  i!   ∧.  ∧
        /     __|   i!  `ー-ァ__7≦ヽr―‐ 、!   ∧.  ∧   苦労をかけるな」
          /    /   .|   .i「 ̄ ̄\_У ̄ ̄ ̄ ̄}ヽ   ∧.  ∧
       /    /       |    i!: : : : : : :}: : }: : : : : : : : /  \  ∧.  ∧
        /     /  /   .!    |: : : :こ≧!: ノ≦ニ: : : : :{     ∨ ∧.  ∧
     /    /::/      |    |: : : : : /「ト、: : : : : : : /  \ ∨  \ ∧
    ./    /^´      |    |: : : /: :.| |: :\: : : : //    \}.    \∧
    /  /             |    |=イ: : : :|!: : : |`ー' /        \    \\


             ,..-/:.:.:::.:/.::::..:!:..:.:..:.:\
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           !| |i レ:::::::|i::!‐廾‐|:::!、::!:/---、|::リ::::::|
         | !ノi::::::i::!:|.ャ伝テ、:けメ、迂テァ∧|::::|
           |::!::|:::!ハ      iハj   iイ /|:::!:!
.              |ハ|::|:ト、!       ;      !ノ::|::ハ:!
           | !ハ!ハ丶    ′   /::::/レ' リ    「……私からは何も」
             | ′ iヘ丶 `  ̄´ イ:/レ′
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               /:L_\ /_/\
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:26:20.03 ID:T3QheNEWo<>
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                           \
                       ハ
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           ∧        /``〉 7‐'='='≠!      ∧
           i !   ' / /   ' /        |      / i
           | ノ   / / '  ' ,′       |i    {  |
             /   / /ハ{  |i        |i    ヽ.ノ
.         //  / //ヽ. \八{       八       \
          / /  / /ァ=≧ミ ヽ \ (、ー-‐<ノ ヽ      ヽヽ
        〃 /   , //ヽ弋r'シ^ヽ  )  ァ=≧ミハ      ハ
.       〃 /   i //{   `          弋r'シノ ∧    ∧ !   「弟の周囲に目を配るのは姉として当然ですわっ!」
       {{ '     i 人_  :::::.:.:::   ,     :::.:...   / } }     :. j
      ∨人   ヽ 从              /_,ノハ     l }
       // /ヽ    \ 个 ..    へ      .イ__ノ ノ  ノ ノノ
.      // /  /\    ヽ /{`  .    ._ r<´    ` < イ∧
     //__/_/___ヽ   ∨ \  ` /./|ヽ._,ノ、     `ヽ ハ
   /         }    }   ∧ ∧ ヽヽ`二フ  \     }\
  /  }          ノ  ノ  /ヽ∨,ノ\)ー―'^ ー-へ.. __ /  ヽ


 「トーカ、ハギヨシが捕まってしまうぞ」

 「すでに中学、高校時代のクラスメイト全員の情報は集まっていますから問題ないですわ」

 「そこじゃない。そこじゃないぞトーカ……」


 ハギヨシは何も語らず、空気と同化する。例え主人からGPS扱いされようがGoogle扱いされようが文句など言うはずがない。


 「しかし聞いている限りでは仲も良いそうだし、いいのではないか?」

 「少し気弱という点が気にかかりますわね」

 「ああ、トーカの姑攻撃に耐えられるかどうかという……」

 「私はそんなことをしませんわよっ!?」

 「じゃあどうして?」

 「そ、それは……」


 透華が口ごもる。しかし、透華の内心は姑攻撃を考えているわけではない。


 「(あの二人の攻撃に耐えられるかどうかの方が問題ですわよ……)」


 龍門渕透華。あの二人のせいで若干おかしくなって来ているが気遣いのできる常識人である。


 ……
 …

                 , /´___
       ,, -::───:::- /://:.:.:.:_二ミヽ
.     /.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : \∠´--  、`ヾ
    ./.:.:.:.:.: : : : : : : __ : : : : : : \ :ヽ: `丶、ヽ
  r´¨ '' -r┬=''-¨´ __ }:.:ヽ: : : : : ヽ:::',:.:.:. : \
  }  ̄,,`{ー_ヾ、- ,,  `}.:.:.:丶 : : : : ',:.:.l\.:.:.: :ヽ
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  .l.:.:.:l:.:./l: :l: : : :lヽ.:.:\.:.\',: : l', : : : l.:.: l.:.:.:.:iヽ.:.l
  l.:.:.:l: :.{ l.:.:{: : : : i丶.:.:.ヽ.:.:.ヽ: :l::i: : :/.:.: :lヽ:.:.l i::l
 ll.:.:.:l小≠ヾヽ:::::::l ヽ州リヾ::l::::l:::l:.:.:.: : :/ } : :l リ
. il.:.:.:l.:. riヽ ヾ\ゝ.z≠≠ミ、リ:.:.:l: :lヽ:.:.:/ /}:::/
.l l.:.:.l.:.: { l:::ヽ   〃 { {:::::o} ヾ:.:l:.:.l }:/ //''
l .l.:.:l.:.: ハヽc:}      C:.:.:j j /l:.:l:.:.:lソ/
l l.:.l.:.: :.ハ ー      ー ´ l:.:l.:.:.:ll      「……」
l l.:.l.:.: : lハ"  ' _ _    ★ィ:.:.l.:.:.:l:l
  l:.l.:.: : l 丶、       ∠ リリ.:.:.lリ
  l.:l.:.: : jr -ー >,  .ィ ´  ノ 川リ
  ヾ 小ヽ:. :. :. :. /  Y´ /´  /. `丶、
    ノ:. r -─ ┴ヾAV´     /:. :. :. :. :.\
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:26:49.69 ID:T3QheNEWo<>
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 「随分モテるんだね」


 いつも通り掃除をしながら愚痴をこぼす。

 意図して口に出したわけじゃない。呼吸をするように漏れてしまったのだ。


 「別に、聞こうと思って聞いたわけじゃないけどさ」


 彼と『そういう関係』ではない。過去に一つだけ約束をしただけだ。

 子供同士の他愛もない約束。ほんの数分もあれば叶う願い。

 しかし、もう叶わない願い。


            -_----、
        _,.:::::::: ̄`ヽ:::::::\____
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   /:::::::/'::::::::/:::::::::::/:::::::::::::::::::∧:: |::::::::::::|:::::::::::|:::l:::ヽ
    {:::/ '::::::::,::::::::::::/::::::::::::::::::::∧:}:::|::::::::::::|:::::::::::|:::l::::ハ
   |/  {::::/::{:::::::::::,:::::::::::::::::::::/:::::,::/、::::::::/^ ::::::::|:::|:::}::}
   |   ::::{l:::|::::::::::|:::::::::::::::::::/::、/イ:::::::ミ { /':::::::::、::|://
       ,:::| 、:::::::::::|::::::::::::::::∧:::::\:::::ミ、 |{∧::::::::∨
       Y \:::::从:::::::::::::{::::\:::::`ミ  ー' }:::::::::::.
         /:::\{八:::::::::::|:::::从:::ミ       }|:::::::::::::.
          /::/:::::::l  \:::::|从'   ,      人、:::::::::::l  「約束を破ったのはボクの方、か……」
         ,:::/|::::::::|   \〉    {   イ  |:::::::::::|
         {/八:: 从   ノ     乂´-、__  |:::::::::::|
          _\〉r≦------- ´:./ ̄:.:.:.:`ヽ、:::::::/
          _/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._,:.イ:.:.:.:.:.:.:/´ ̄`∨
           {\:.:.:.:.:_,...:.:.:.:.:´:.:.:.:.:.:./:./      .

 父親の手品をすごいと言ってくれたのは彼だけだった。

 そんな彼にもっとすごい手品を見せてあげたかった。

 彼は自分のチャチな手品でも喜んでくれた。

 手品で誰かの喜ぶ顔を見るのが好きだった。


 手品をした。

 もう出来なくなった。


 もう出来なくなったのは自分のせいだ。

 透華に縛られた手錠を見つめる。

 別に拒否したかったわけじゃないし、外して欲しいと思っているわけじゃない。

 自分への戒めでもあるし、一種のトラウマを封じるためでもある。

 『悪癖』を封じるために、自分のために必要なものだ。


 だからもう国広一は手品をしない。

 そう決めたんだ。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:27:18.88 ID:T3QheNEWo<>
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 ……
 …
                _  -‐==‐-
             /. . . . . .      `
   -‐==ニ二      ‐‐- _         `ヽ
       /                : . . .
      /  /  /          `ヽ  : : : :
       /  /  .i     .ト           : : : . __ニ=-.
      ./ . :/    |      | ヽ      : : : :\
    / . :/    {      i‐-ヽ     : : : :._\       \
    ./  .: :{   i  ',       ! ___\   .: : :/ ヽ:\: : :ニ=- ̄ 
   /   : : :|  i : :|     | |≠r:::rュミヾ  i{ .ハ ∨:∨ミ、
  ./ /|: : :i  :.{ : : !`ヽ    !|  {つ:i!::::} `ヽ| 〉j. 〉: : :}
 //  |: : ', : :i: : :!ニミヽi\{   乂zzソ     /|: : !|
      |: :i:ヽ : ム:.:|fっi!:}             {: :i : :|‐-─ 、-
        |: ト: : \ヽ|匁ソ ,            / i/| : :|:.:.:.:.:./  ヽ
      |:.| }: : : :ゝ          ‐-    /   !/i|:.:.:/    i
        t|ノノ~|/Vハ    くi    ノ /.     ヽ/       |ゝ、
              \    -‐  /. :    /          ヽ
                >‐──.、. : : :.   /        -‐‐、  /
                _,「  . : :): .   /       イ  ニ=-  ~
              / f .:|  : :r     /   //     ~ ‐-ヽ
            /  | : :ハ  : :!   /|  /           i
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    /   ./:::::::::::::::;..'::::::::::::::/:i      '' 、:::::::::::::::::::::::::::::::..
     i   /::::::::::::::::::/:::::::::::::::ム::,ン     、_ヽ:__:::;; -―-'''::::..
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      ,.':::::/i::::::::/::::::;::::::::/:::::::::ヽ、 __ 二 =-.'-、'、       i.
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      .',!   ,'::::,':::,:::::::::i';i ';::i.‐i::i-. /:; ',';' ,'::::;'ゝ、i:::::/!::::i::::::::::::::|
         i::::;::::,::::::::::! '  ゛'  ';! 〃 ,',..'::, '   ,'::X .;:::;'!::::::::::::::|
         i::,':::::i:::::::::|―‐- 、   '  ,..'./  .,..'; ' /::/.i:::::::::::::::!
         |:i::::::i!::::::::i    ヽ        " ,,. '/ン:::::::i::::::::i
         |:i:::::ii::::::i:::!////        ___   , ' i:::::::i:::::::;
         |:i;::::ii';::::i';:i、              `ヽ./ ,':::::::i::::::;'
         ';:.';:::', ';::',';:丶   ,- _      ///// .,'::,:::::,:::;';'
          '; ' ;::', ';::, ';:|\  !    ̄フ     ,,   ,.'::;'i::::::::;''
    ,, ''  ̄,, ̄  \、 ''、\ \ ー-_"_   _''_., - , ':; ' ,.':::::; '
   /     ヽ、  i`   ヽ、 ゛ / ,_ \  ,_ './ヽ,.'::::;''
  ./        i  ,,!-‐――-`、-レ'/_`_  ヽ    ,..'::,.<


 あれはいい思い出にして残しておこう。

 手品が好きだった国広一がいたことを忘れないために。

 手品で誰かを喜ばせることが出来たことを覚えていたいから。


 それに


 もし彼にまで嫌われてしまったら。

 もう耐えられそうにない。


 きっと初恋だった。

 でも、初恋は実らないから。


 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/04(水) 21:27:47.76 ID:T3QheNEWo<>
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 ……
 …


 「うーん?」


 この前、龍門渕の家に行ってから京太郎は迷っていた。

 魚の小骨が歯茎に挟まっているかのような違和感。

 人の顔を覚えるのが得意な京太郎としては、彼女を『見覚えがある』で済ますのが納得いかないのだ。


  /    '   |   ',         :}∧∨',ヽ, /  V |   | ' /: : :ヾv  v
 '     :|   ',    ,         }  ! V / :|  V |   |{ ,: : / } ヽ v
'    / !   :{ハ   ハ ∧       } V| /{ V |_,  v!   |      }  ヽ
    '  :,   ' ,   ' ∨∧     ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V       / {l 、|斗 ―――
   /  ,∧  ∧ー=ミ{__ ヽ ',    j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア |  '  '      ' :{l ヽ! `ヽ
   ,'  / ∧  ∧:、 {`~^ ー--  /: : j ^    ≫'’     V'    _ノ  {l  |   V
/ ,'  /  j{∧  ∧ヽ{ ,ィァ=v云|  ': : : i|   ~´       '   「:\ } {l      ,ヽ
  ,' ./:| / v∧  {ヾ八{  ヽぅ! /: : :  U           し  :!: : : V:V      , \    「ぬぅ……」
  ! ./ | /  ヾ∧  ,、\: `: : : :|/: : : :、               }: : : : : '        ,
  |/  :| '     )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ!                八: : : :'       ,
     '    } / / ヽ   丶: :.} !: : : `: .、       _      ': : : : : '        ,
        j/ ,       \し: : : : : : :.   _,.  '"      /: : : : : '           ,
           ,          ヽ.,: : : : : :冖、 _      ,イ{: : : : :/           !
           、         > .,: : : : : : (     /: U : : :./          |
          | ヽ           / :≧s。.,:ヽ  _ ./\: : : : {「 \           |


               ___
         ,. : : : : : : : : : : : : : : .、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
       .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、
      ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.
     .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、: : :.
     {: : ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}: : l: 、
     |: :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /): :|: : |、: :.
     |:∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ{∧:|:|: : | \〉
     }'  、: : : : : : : : : : : : : : : : l: / Y/∧: :!
       ∨:、: : : : : : : : : : : : :/イ  u |/  ∨    「キモいよ京ちゃん……」
          }:/\:|: : : : : : : : /    人
          /   -从-----イ{     イ
     _,.::―/:::::::::::::::::::::::::::≧≦--r---、
     /:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:/`ヽ
     ,::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ {::{  ,:∧
    /:{{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::|/'  }
    {::|| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::|   |
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    ´ T T ―r――r、―――――‐ '     }


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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////    「何エロいこと考えているんですか!!!?
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////     私はいつも考えています!!!!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////



 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2017/01/04(水) 21:28:17.25 ID:T3QheNEWo<>  相当な過去スレの量があったのに追いついた人すごいな。ずっと付き合ってくれてる人にも感謝です

 原点回帰のリクがあったので、みやながけ次元でなんか題材ください
 今までのリクも保存してるので気長に待ってください <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/04(水) 21:44:29.86 ID:aNmTj74b0<> 家族水入らずで初詣する須賀家 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/04(水) 21:55:21.34 ID:yFbeR2Zto<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/04(水) 21:59:54.01 ID:1LQWVLO+O<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/04(水) 22:10:28.52 ID:jO2njlzJ0<> マンネリは離婚の序幕
ネタ切れは物語の終幕
そんな感じで、みやながけ卒業式()とか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/04(水) 22:16:48.87 ID:cWqrR1+uO<> みやながけのお節講座 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/04(水) 23:44:02.88 ID:YSm1HgZB0<> みやながけで
玄「ボクは悪いおもちじゃないよ」
のどっち「よく来ましたね咲さん。わたしがオチの中のオチ、のどっちです
     わたしは待ってました。あなたのような嶺上が現れる事を……
     もし、わたしの味方になれば須賀君の半分を咲さんにシェアしましょう
     どうです? わたしの味方になりますか? 」
咲さん「はい/→いいえ」
的な <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/05(木) 00:36:46.20 ID:wHFpm7LH0<> マホちゃんの続きが読みたいかなぁ… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/05(木) 00:56:30.84 ID:kXZydIoGo<> 京咲あくしろよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/05(木) 05:47:10.16 ID:MO7ZN1q9o<> 京ちゃんが酒の飲みすぎで寝てしまって姫始めができなかった話
を曲解してすわ離婚かとアンジャッシュ騒動する和と優希とお隣のおじさま組 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/05(木) 08:24:48.51 ID:7hZ4lrik0<> 新約;京憧次元 綺麗なあこちゃーも在っていいとおも… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/05(木) 10:01:32.15 ID:G9Y3LI6po<> 支援もあったことだし、京一次元を掘り下げて欲しい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/06(金) 00:53:59.18 ID:v/IzqKU70<> ステルス次元で成人式 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/06(金) 08:46:25.83 ID:ob2rSdsr0<> 一くんにただただ幸せになってほしいばかりの人生だった <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:55:33.30 ID:KbGOaraxo<>
 1/10

 901
 【新年明けのみやながけ!(+お正月のおじさんたち)】-みやながけ次元-


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/    イ从:.:.:| ィ/笊匁、 \:.:..   ノ{:::::::ハ |:.:r-x:.:.:.:.:.: |
ー    |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ      乂ー-ソ j/  V:.:.:.:.:|
      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
      |:.:.:.:.:.:.∧      ′    ""     /:.:.:./
      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/
      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/      「最近京ちゃんとセックスできてないんだよ」
      |:./  \:.:{\          /  |:.::/
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
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           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>
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         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \


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ト、 ̄´: ',:.: : : : : : : :/ : :/: : |  !   ;
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: ||: :\: : : : : : : :/  : /: ::|: i|  | /
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 どうも、お久しぶりです。須賀咲ちゃんです。酔ってます。

 最近は宮永家(原作)の事情が明らかになってきているのでこっちの出番が少なかったようです。

 今日は新年明けまして和ちゃんの家にお邪魔しています。

 それもこれも全部京ちゃんが悪いんだよっ!


 「最近、龍門渕の痴女さんとか永水のおっぱいさんばっかり相手にしてるんだもん!」

 「えっ、京太郎くんが不倫してるんですか!?

  私もワンチャンあるんですか!?」

 「別世界の話なんだけどさ」

 「何言ってんだコイツ」


 冷静に考えて京咲じゃないのはおかしいよっ!

 グーグル先生だって『京咲』で検索するとサジェストに『京咲 ナンバーワン』って出てくるんだよ!?

 グーグル先生公認なんだよ!

 つまり世界公認なんだよっ!

 京咲はナンバーワン! ほらみんなも一緒に、さんはいっ!


 「和ちゃんも一緒に、京咲はナンバーワン!」

 「最初は京和本ばかりだったんですけどね」

 「うるさいよっ」


 京咲はナンバーワン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:56:02.97 ID:KbGOaraxo<>
 2/10


 「それで、咲さんは最近ご無沙汰なんですか?」

 「そうなんだよ。

  年末辺りから京ちゃんが忙しくて」

 「そりゃそうですよ。

  社会人はたくさんの忘年会に追われますし、新年が明けたら新年会ですから」

 「それはわかってるけどさぁ」


 わかってるよぉ。

 お仕事が忙しいことに文句を言うのはいいことじゃないよね。


 「でも、奥さんを放っておくのは良くないもん」

 「それもそうです。

  こんなに可愛いお嫁さんを放っておくなんて、京太郎くんは許せません!」

 「うー、もー」

 「それに、性交渉を行わないことは離婚理由にもなりますからね。

  ちゃんと怒らないとダメですよ」


              _____
          ,. . : ´: : : : : : : : : `: : . 、
        ,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ、
      /: : : : : : : : , : ,: : : : : : : : : :\: \
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   ' : /:/: : : : |´八: { {: 从: : :{ \} 、}|:∧: : : | : |
  / イ|:l': : : :{: | ,ィチ雫ミ  \_:、 ィチ雫ミ: |: }: :| : |
     l'|: : : :∧{{ _)::刈      _):刈 V|/: /: : |
     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |    「和ちゃんって処女なのに詳しいんだね」
     |: :∧:乂l}         ,         /イ ノ/}/
      l/ \叭                 ムイ://
           ゝ     ´`      イ}: /}'
            \>       </|/
            从 :|  `´  |: :/
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ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ    ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「:|:::ヽハ:!:!: !:  }
-ィ: : : |_,'_,,|―‐,'‐/-/|: :./|:-|―‐,'-}:|:|:. リ !.|. ト.、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //  /.: :/ !: :!/!/  !从:/|:.| !∧冫
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ /.:/ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂ '     ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!
:γ⌒Eヽ弋二;;ノ       ゝ-.″ | }: : : :|
',:{ :::`                、         レ′ : :!
..',\                   ノ:   ::::!
: : :| `ー´\         _      / !:! !  !    「ハッ倒しますよ」
: : :|.     ` 、          ./|: :. !:! !  ::!
: : :|         }`   .. __ , イ  |::|: |:|: :|  |
: :: }     ィ‐┤.        ├ .、|::|: |:|: :|  {


 「誰のせいで処女なんだと思ってるんですか!」

 「別に私のせいじゃないもん」

 「なんで私は喧嘩を売られながら惚気られているんですかね……」

 「和ちゃんは理想が高いもんね」

 「下手に幸せそうな夫婦を見ているとですね。

  私も同じようなモノを求めたくなるんですよ」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:56:32.15 ID:KbGOaraxo<>
 3/10


 「その結果がお見合い19連敗?」

 「咲さん、おかえりはそちらです」

 「ごめん、ごめんってば」


 あまり言いすぎると怒っちゃうよね。

 でも、私なりに和ちゃんに甘えているってことだもん。

 そう言うことにしておこう。うん。


 「えへへー、そんなに幸せそうに見えるかな?」

 「ええ、それはもう。

  ハッ倒したくなるくらいには」

 「そうかなー、そうかなー。えっへっへー」

 「のどっちスレに晒しますよ」

 「その脅しは卑怯だよ」


 うーん、でも最近ご無沙汰なのはよくないよね。


 「やっぱりマンネリなのかなぁ」

 「はぁ……、いつもと違う感じでやればいいんじゃないですか?」

 「やっぱり京ちゃんはちょっと変態さん入ってるからね。

  制服ックスとか喜ぶんだけれど」

 「清澄のですか?

  まぁそれくらいなら、咲さん童顔ですし」


          _____
       ... : ´: : : : : : : : : : `: : : ..
     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、
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  |: : : : : |: : : : : |匕Y: /ト、: : /从   |: : : |
  |: : : : 八: : : :.i:|:{   V ノ ∨ ,ィ   |: : : |
.  : : : : : : ヽ: : 从   _      ≠⌒ Y:/}
  \: : :{⌒\:.{  r==ミ    , ::::::::::Y
    乂: \r'     :::::::::::        uノ    「し、白糸台の制服とか?」
     丶、:_ー‐、   r‐ ー'  フ /
        _ヘr─ァ、ー ┬ 、 ≦-─、
      /⌒ヽ\     \   }    ノ}\


           ,∠、  /            ヽ
            /   |: :/                  \へ
     / ̄¨ヽイ     |:/ / / /||:! ! | !         .|
     !:   〈〈:     /:{: ': ,': ':::|::|: l::l: l::l  ,ィ: ! l    ,!
     ∨   ノ¨ト==イ: :! l斗十ナナノ.:|: /::l. /十ト、l:     i〉
      ¨フ´/ !: : : :! 、トト、!ィチ^:丁:::}/ :::}'::::::!ノ :: !: l   リ
.     /: 〃 |: : : :|ミソ :::〈 l{::::::::| :::::::::::::::rf示、 ノ ノ/ /
     レイ ト、_|: : : :l ヽ  弋:zソ       !::::}l }イノイヽ
     |.: : :|: : : : .: |     ::::::::      ,  辷リ !:. :. :.:ト、 \
     |.: : :|: : : : .: ト、            :::::: |: : : : | ⌒
     / : : :|: : .: .:  lミ、Y       ‐ -    ノ: : :. :.|
.    /, : : : |: : .: .:  l   !  ヽ           イ|: : !:.|
   //   : :|: : : :  :ハ  |   `  . _ x<: : |: :!: : :|:. :!   「おい」
.  //  . :/!: : : :   ∧. !       |  |: : : :.|: :!: :. :.、|
  //   . ::/∧: : .:   ∧`ヽ.      l ヽl、:: : |: :l : : : : ト
. //  . ::/厶 ヘ.:     ∧  \   `ヽ.  ヽl : l : : : : | ヽ
//   , <   \      \  \    ∨  `|: :. :. :.|   \
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:57:01.00 ID:KbGOaraxo<>
 4/10


 「じょ、冗談だよ!?

  ヤってないよ!?」

 「そりゃヤってたらまた姉妹の関係が断裂しますよっ!」

 「(ちょっと妄想したことはあるけど)」

 「ぶっちゃけ咲さんのお姉さんってって明らかに京太郎くんに好意がありますよね」

 「そ、そうだね」

 「あ、気づいていたんですか?」

 「見ればわかるよ……」


 うん、それはそれとなく察してる。

 でも一歩踏み込まないでいてくれるのはお姉ちゃんの優しさなんだろう。

 ちょっと曖昧な関係だけれど、私は嫌とは思わない。

 もちろん、本当に京ちゃんが取られちゃうなら話は別だけどね。


 「それじゃ、こんなのはどうですか?」

 「こんなの?」


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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:57:30.88 ID:KbGOaraxo<>
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     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ    u /   i: : : : : :.:i:.|////
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     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


 ふと考える。

 今までの私は和ちゃんのビックリドッキリのどっち発言を否定するしかしなかった。

 でも、それはいたずらに選択肢を狭めていたのかもしれない。


 「え、私もついに処女卒業のチャンスですか!?

  本当はムードばっちりの場所で京太郎くんと二人っきりで新婚初夜を迎えたいんですが……。

  いいえ、そんなことは言ってられません!

  小鍛冶プロと同じ道に進むのは正直嫌ですし!

  人様の旦那さんと嫁さん公認の不倫関係もそれはそれでアリというか!?」


                   _. . : : : : ¨¨¨¨: : : : .、
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             ': : : :': :|,: : /': :l: : : : |: :|: !: : : |l: : : :': : : :!: : : : :.
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          / : /': : {: :|从{__ 从: : :| 从l_\l /:イ: : : / : : : : : |
          {/  |: : 从「芹雫`ヽ \{ ィ「芹雫下 |: : :∧: : : : : |'
                |: : | : } ヒ::リ       ヒ::り ノ | : イ l }: : :/从
                |: :∧: :     ,          /'  __ノ: :/ /     「?」
                |:/ }从                   /: : /}/
                }'     、      、         {:/: :/ /
                   `  .       <  |从:{
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                        /:|      /:::\
                       /::/       /:::::::::::> 、
                       /:::::::{    /::::::::::::::::::::::::::::> 、

 和ちゃんは何を言っているんだろう?

 酔いが回ってきて頭が働かない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:58:00.12 ID:KbGOaraxo<>
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        ,. : : ―――-- 、
       /: : : : : : : : : : : : : ヽ、
        .': : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
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     .': :.|: : :|: :/_j:_/:.!: : |-/、: : : : : :.
     {: : |: : :|イ} }:/}/|: /}/ }:ハ:| : {、: :.
     |: : :、 : 从ィ斧  /  イ斧Y:{: | ヾ}
     |∧: r从:{ Vり     Vリ |∧{
       Y、 \ :.:.:.:  '   :. 八 リ     「私と京ちゃんがヤってるのを見てもらうだけだよ?」
       ヽ}`ー、   ` ´  イ
          从}≧=-- く
      ,-r―--イ}     |::〉--―、:、
      / {、::、::::::〈___/::/イ   ヾ
      {- 乂\::、::{  /::イ/:/- 、 ,
      | Y\:> ∨-<:_//   Y
      |  /   ¨「__7 ̄´ { /   イ::|
      |  {   /: :∧    /   /:::|
      | 八 /: : : :∧   ,   /_-'」
      |   Y_:_/ : 〉 /    ,:


               ____
         ,.' ´        `  、
      _,ィァ′        ヽ    \
       {少′  / ,i  l ト、  i   ,ィマ、
      Y /  /// | l| | ハ  辷='/|:..ヽ\
     イ ′ / | { | 从、|  } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
.     { | l |ィ爪 {(リ八「了 メ、 彡个rイト、
      リ、_! l リィチfト   '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
      l_,以 { ヒtリ    ヒztリ  |f リ| |:.:| |:.:|
      「 l 「ト'"   '     '""'  _,イ | |:.:| |:.:|    「」
      } } ハ    tっ     ィ' ) ,j リ 刀 「
     / /,イ| |l>、    ,ィ |ノイイ / リ |
      / /リ |:! !仏ィ_〕¨     》,// / /| !
.    / / r廾 .|「{: |-、  __ / // ,ヘ〔 .j {
    〈 イ ∧V /:.:.: :|__´_./: :./ /:.:.:.:.>))
    } } /`Y'| {:.:.:.:.:.l    /: : 〈 〈:.:,イ´ /{,
    j/ }`ー冫j\:.:.:|  /: : : :___)ノ/i´r‐'='}
      ト ン′`ヾ >-r'< ̄ _彡冫=v'   人
.     }/:.:.   . :.:.[二]-:.―'´. : :.:.:.:.:V  / ∧
     i':.:.:.. . . .: : :∧Y:.:..  . . : :.:.:.:.:.:i // ,/ イ


 「ほら、新しい刺激が必要だって言ってたから見られながらもアリかなぁって」

 「咲さん咲さん。酔っていても言っていいことと悪いことがありましてね」

 「うーん。頭が回らない。

  それもこれも京ちゃんのせいだー」

 「あっ、これ結構お酒入ってますね。

  マジで襲いますよ。胸揉みますよ。

  あっ、揉む胸がありませんでしたね」

 「うぐぅ……。何か言われてるのに世界がくるくるしてるよお。

  京ちゃん、寂しいよお」

 「はぁ……。すごく面倒くさいですけど今日は泊まっていきますか?

  そうじゃないと帰れないですよね」

 「でも帰って子供と京ちゃんとお母さんとお姉ちゃんとついでにお父さんのお世話しないと……」

 「そんな状態でも主婦の務めを果たそうとするところだけは尊敬しますよ」


 だって私が頑張らないといけないことだもーん。

 でも頭がぐるぐるするー。

 あっ、なんか京ちゃんが見えてきた。

 えへー、京ちゃんだー。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:58:29.50 ID:KbGOaraxo<>
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    |┃三         /  / /   /  {   }  \ ヽ    V  V
    |┃      _ ,.斗   // /  ./!  / !  :}  } ' ヽ V',     ,  ,
    |┃       ̄ ̄ / / /  //_j_ ,' | |、 :}  ' :| ,V斗=ミ{  ,   ,
    |┃          / /  ' ,'  ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「  j  |
 ガラッ.|┃       /' /   !/|  /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
    |┃        ,     | :| ハノ‖んr'j  V / V'  Vrソ 》 :} 八-、 '
    |┃三     / >'/  ハ { :, ` ー≦' /' ヽ      ̄  /イ{/ヘ Yハ{
    |┃.     / '"  ‖ / ',从_}:       〈|         } !     ‖ ヽ
    |┃三           7/  ヽ '                  し    /’
    |┃          /’    ` _、       _      {ーイ/      「咲ーーーっ!!」
    |┃三                  、    f−――'ヽ    人レ'^
    |┃                   \  L∠二二ソ  /|/
    |┃                  レ}h。         /r rー==ミ、
    |┃                 r「\__'}个 --- <  | |ニニニヾ
    |┃                 |:|    }         | |ニ{1-B}ニ!        __
    |┃                 |:|    }         / L!ニニニニ{   _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
    |┃                 人:.、___」    ___/__/ニニニニニ7    ‖ニ/ニニニ=-,
    |┃     , ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、   |ニニニニニニニニ/     .‖ニ'ニニニニ=-,
    |┃    /ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ,    ‖/ニニニニニニ=-,
    |┃   ,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム      jニニニニニニニニ,    ‖'ニニニニニニ=-
    |┃   /ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム     /ニニニニニニニニ,    ‖ニニニニニニニ!
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                ´                   い,
             ,:‘  /                 |        ぃ、
.           、'   イ「   /   /       ト       `,`丶、
          ,ふx,_/ ¨二 仁¨^ :/ ,xリ    | V   !   i  \ \
         /''7¬'¨´   i イ /ア 〃    小 i   |  |   リヽ
       / イ/ 川  :Ni八 {∨ナ /,.イ   / 厂`}i  |ー-七'"二.,_ `、
      〃  /     仆i 抖ッ式テト( |  イ/^' りノ刈 人  トミ   ハ
      i{,  /  /  ,:ぃ从 トxし:rリ  j/   ヤ式ミx以Ni   i.  \ い}
        ;か ,仆 ::i^'N 弋)::少       {xし:rリ狄:    |i    `'
          {  V i 小圦^}            弋)少 ^,リ   トi:|i
        \{  |:八  い  ```    `       /   八||
            (  ', :i人             ´´´´/ /i / :i |i     「今更なによっ!」
                )八ト介     ´ ’       ,.仆:'ソリ   ,り
                 りハ]ミx.       _,. <ソ´ /
                    ,ム]   `¨二[_:j/´
                ィ'´  リ      :圦 `ヽ,__
            __彡'’    :ふ      `t  ~¨ニ=-  .,,___
.         ,xぅえ        犲=‐-、  ,-什  r…、  ;i ]
       /,xァ-ミ`丶、      )廴,.-‐…¬ヤ j,二ニ心 ,ソ ik,


 「仕事が忙しかったなんて言わない。

  俺が悪かったよ!」

 「……!?」


                  _........----......._
              ,. : ´: : : : : : : : : : : : :`: : 、
             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、
              :': : :,: : : : : : : : : : : : :、: : : : : : : : ヽ
            /: : :/: : : :/: : : : : : : : : |: |: : : : : : : ∧
             .': : : ' : : : / : /: :,: : イ: : :|: }: : |: : :|: : :∧
            , : : : |: : : / : /l: /: / }: : ,:.イ : /: }: :}: :!: : :.
             | : : : |: : /:{:_/_}ム/ / : /、_|:_/: /: /: :|: : : :.
             {: / : | : ィ´}//イ /}: / / }/`ヽ:イ: : ': : : : :
          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |
          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ    「……ばか、寂しかった!」
                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、
          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
            ,   \Y       /   | ,::::::::/イ:.:./  ∧
         {      `|  、      |_/= ´イ:.:.:,イ  /  }
         |     W    \      | ̄´:.:.:.:/= }イ   |
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:58:58.47 ID:KbGOaraxo<>
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          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Y { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/    「今日は寝かせないぞっ」
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、
                     ///// |   /////////////////> 、
               /////// { //////////////////////}
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    {: : {-从: : :{/ ̄ テ雫ミ/イ /イ }イ雫}: : /:/:| リ\}
    八:{、:、__ \:lヽ  Vり         ヒり/:イ:/: :|
      `\}、: 、    /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{
     , --r--,\ ,-- 、_____  人: /  \〉    「う、うんっ!」
      /  |::| |::::::>  ____ソイ⌒∨
    {   ,::, {::::::::::::∧-,  r/:::::://|   }
    |   \、\::::::::::∨- /:::::://:/
    |     { 、、\:::::::∨/::::://:∧    |
    |     | \__>、_}'__>´/}   |
    |     |    `ー=-r-- ´ ,:   |


. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、
: :l{: : : :|!| i'  ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i!   i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : |  ‘ ━ ’        ‘ ━ ’ '://: |
: : : : |                 ,':´:!: : . .!   「この泥棒猫……って言う暇すらありゃしない。
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧   人の家で何ヤってんですか」
: : : : |ヽ|ヽ      凵@    .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/      7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:59:27.39 ID:KbGOaraxo<>
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    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!   「あっ、お邪魔してまーす」
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
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           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


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       . ´          `ヽ、
      /
     /                 ,
   / /   /|    ト、        ′
 ∠._/   / i|    i \      〕
    〔  |/ 八〔\ .'   \   /
.     |∧ :| ┯:┯  V ┯:┯∧ /   j
    ' ∧|  乂ノ     乂ノ   ∨、   |
.     /:X         ""  ノ   |
    /::::入_           _  < / /| /   「京ちゃんが正気に戻ってくれないと(道に迷って)帰れない」
  /\ /∧ノ  へ ̄ ̄/  \リイ/ / 〔′
   ̄\\  r‐'   \/  //\ /
     \ヽーヽ └─ー/─'  \
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    ,' /: : |::{: .: :!:/| 〉|-.     \!" {_::rj::::', :リ/}:.:. ノ|/゙.:|
.   i ィ: : :.∨\"| /,ィうヽ      ィ゙:`::::ソ i} |/: ': : :|
.   |:/.!: : |: : : : |ヽ  {_,ィrj:::',       .`ー‐゙  ./: : : : : : !
    ! |: : |∨: : :ヽ{i ヾ,::::::ツ ::::::::::::::::: :::::::::  |: : : : : : |
     ヽ:.| \: : : \, `" ::::::::::::::::::::::_,,._ ::::::::: |: : : : : : {
.      'j  |: : ̄、 ̄ :::::::::::::: _,,. - "__\   {: : :  :'.,
         !: : : :.ハ.       { ./      〉 ./!: : : : \     「もう、この一家はーーっ!!」
        .|: : :リ`ヘ.       V     ./ ,ィ=、|: : : : ト、::ヽ
.        |: :  : : :`..、,    `ー  " ./ |/ \: : : . :| i: :}
.        リ: ,': : : : :/: : :/  ー, --‐'    /   ヽ: : ::ヽ ̄ `ヽ
.        /: /: : : : /: : :/: : :/ {/〉,    /     〉,: : : :\   \
       /: /: : : : /: : : _,.ィ={ :|/. !.    /    /| \: : : ::\   }
      /:/ : : ::/_,,.-/ / :| :|: :.   /    / :| | .\: : :  \/
     /:/} : : :/   / / .:| :|_.    /   /  .! !  .\: : :  ヽ,
.  /:/_,/゙:   ::/   / /  :| :|. ` ./  ./   .| | /  \: : : :`、
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/07(土) 13:59:56.50 ID:KbGOaraxo<>
 10/10


 ……
 …

 ・リクのおじさま達


       、─- 、  __
    ,_ -─-ヽ   '´   ,∠.._
    ,> " " " ゙  、、 <`
  ∠_ " "  "  ヾ  、、ヾ
   / ″, ,ィ /ヘ i、 ヾ ヾ !
.  /イ ,ィ ./l/‐K   >!ヘ|\ ゙ |     _____
    |/ レ|==a= . =a== |n. l    r",.-、, \
.     | l  ̄ ´|.:   ̄  :|fリ,'   (_.人 ヽ._ ヽ    「迎えに行ってくる……っ!!」
      `ヘ   、l.レ    :|"ハ   ゝ. \   /
.      /ヽ iニ..二ニ7 /|/  :!二(  \  ノハ
      _/   l\  ̄ / ./   |   ,ター  '",〈 !
-‐ _''.二/    l:::::`‐:'´  /    |  .l.ト、. -‐'"/!.ト,
¨´   l    ,ヽ:::::   /,へ   |   トミ、 ̄ ̄._ノノli\


          ,. ‐''ミ゙「「「「「「゙〃ァ;、
            ,.' '⌒ヾミ_i|l il|j_リノ⌒ヾ;、
         // ijv - 、  ̄..::::,:::-:::::::::i.i
          ,'テ==:- 、:::`:ー:'´:,: -:==キ|
.         i l ::ニ二`ヽヽ.:::ij~//二ニu:l l
        |{. 、ー== 、ヽ!! lレ ,'´== ァ }|
      r'ニl.|. ヽ、 °>,‐:_く ° ,〃 |lニヽ
       |.に|| ijヾミ≡彡'l :l::ヾ≡彡'ノ ||こ!|    「儂が行くと言っておるだろう……っ!!」
.        l しl|. ,ニ二ノ ::l !:vヽニ二、|し'ノ
.      `゙T.l , --、 〈. | | ノ ,. -- 、.lT´
    _.. -‐''7|l l |l⊥⊥エ`トイエ⊥⊥l」 l |ヾ'ー- .._
‐:''": : : : :_:/.:.|li lヽL⊥-┴┴┴-⊥レ' l.l| : ヽ:_: : : : `:'‐-
_.: :-‐ ':": /.: :.||i ト、::v.  ー‐一   ,.ィ|i.l: : : :l: :`:''‐- : :_
.:.: : :.: :.: :,': :.:.:.:l l||i `ト 、_   v _,..イ l|i リ:..:.:.:.:.|: :.: :.: :.: :.
.::.::.:.:.:::.:.:i::.::.: :.:.トi| |iト、_   ̄  _,l iリ./|:.: :.::.::.|:.::.::.::.:.::.:.
:::::::::::::::::|:::::::::::: | ヾト、|`:-ニ.Y,ニ-:ノイ/ |:::::::::::::|:::::::::::::::::


           ,!   ハ             ヽ
        ,,‐ ./   / 从|i、.|  |  r       \ `ー    / ̄
.ヽ_-、 .ー彡 _/:::::::::/ / l::::} \l::::::|::::::(:(::::《:《::::\_二ニフ::::::::::(
:::::::::::::::::::::::.ー彡::::::::::≧必__丿ノ ノ \\  入ヽヽ斗\ヽ:ヽ、::::::::::ヘ_
: ''―::::::::l::::l. ゙l゙l. i::::/ 弐ヲ 弋+デ─寸\\キセ+ナテ) )l:|::::::l::::::::::_ ノ
:::::::::::::::yくヽ\l゙l.゙l.゙l  `  ── " ノ  )Τ  ―<////l l l::::::::::::::::\
::::::::::::::ヽ ( ゙l ゙l゙l |.ゝ             |      .ノノ//:::::\  ̄ ̄ヽ
::::::::::::::::::\_j リ l レ             l       //:::::::::::::ぐ ̄
 /::::::::::::::::|゙!彡゜    U         l      /:::::―----ヽ、
彡ソ'/  i、 | く                l     /::::::::::`ニン
   l.::从,.弋 ヽ           ⌒ '"      ./::::::::::::ミ
   乂 l|lヽ  ヽ、     `''ニニ''''''''''''''''フ″  /: :lリ \l    「(今のうちに行ってこよう……)」
      |三:.\  ヽ         ̄ ̄ ,,.    /ソノ
      |三三 >,,, ヽ       ゙"''''""    /
     ノ三三三三>ミ\            イ
  斗≦三三三三三三三≧          付
≦三三三三三三三三三三三>     ノ三式_
三三三三三三三三三三三三三三三三三三|三三三≡≡==ー-


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2017/01/07(土) 14:00:45.02 ID:KbGOaraxo<> 京一っていうかお金持ち次元と京桃次元は次スレで終わらせる予定
優希もちゃんと練ってあるけど筆が進まん

次スレでやってほしいことあったらどうぞ。新次元は出来ても単発かな…… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/07(土) 14:16:11.00 ID:DrCJNd49o<> 足らんわっ……まるで……!!
もっともっと……京咲が欲しいんじゃ……! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/07(土) 14:37:40.84 ID:z9Y0T/BB0<> ミョンファと咲に挟まれテル次元の続きが見たいです!
玄の表に出さない感情を察してあげる京ちゃんも見たい…!! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/07(土) 16:14:42.78 ID:drm4KIQ1O<> 乙です
傍観者入りプレイとかレベル高ぇなぁ
京穏次元の続きをお願いします
二人に幸せになってほしい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/07(土) 17:55:21.68 ID:P1BbOmX5o<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/07(土) 20:41:39.44 ID:sqCpuCtzO<> この前の京明次元の続きを読んでみたい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/07(土) 23:58:10.45 ID:b99w8AiY0<> 京明次元で再会編あとオチはのどあこ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/08(日) 07:58:08.40 ID:+m0fmp4S0<> センター試験も近いし受験勉強に追われる京穏次元

あと最初から最後までカッ飛ばしている筋肉次元も久しぶりに見たい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/09(月) 02:19:10.56 ID:d2pC6nY/0<> そう言えば途中途中オチ村さんあったから忘れてたけど半年弱ほど京和次元(喪女のやつ)が聖人に至った理由のとこで止まってた気がする…続きが気になって仕方がないのでそれ読みたいな、あとみょんふぁ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/09(月) 02:23:20.61 ID:VNbeKC/L0<> のどあこ次元でぐらびてぃばれんたいん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/10(火) 01:08:13.40 ID:bDtV4yB00<> それぞれの次元で京ちゃんバースデイ <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:41:16.79 ID:mHUyverNo<>
 1/10

 728
 【肉体関係があるのか嫁さんに聞いて見た!(京ちゃんには聞こえてません)】-一レスAASS劇場-

 ……
 …

 ・みやながけ次元

     /: : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : : ヽ
    /: : : :,: : : : : : : : : ://: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : : : : : : .
 _,. :´: : : : :/: : : : : : : :/:/ ': : : : : : : : : : : : : : : : | : : : : : : : : : ∨: : : : : : :.
 `   ー /: : : : : : :-/:/-|: : : |: : : : : : : : : :|--- 、: : |: : : : : : : :V: : : : : : |
       ': : : : : : : /|/  |: : : |: : : : : : l: : : |、: :|: :`ヽ、: : : : : : :.|: : : : : : :|
     /:,: : : : :,: / {  {∧: {: : : : : 从: : :| \{、: : :|: : : : : : ,: |: : : : : : :|
     ': |: : : :/: |       {从: : : : :'  \{    \: |: : : : : :/: |: : : : : : :
      |: |: : : ': /|    --    \: : |           V: : : : : :': .' : : : : : : |
      {八: : :|:,: :},ィ≠≠ミ     \|  --      从: : : :/}/: : : : : : ,: |
      l  、 : |: V            ィ≠≠ミ、 / |: : : イ/⌒V: : : :/:/
       \|: ,  :.:.:.:.     '             |:/ /⌒} }: : :/}/
         V{                  :.:.:.:.:.  /    ノ 人:,:' /    「京ちゃんの弱いところは全部把握してるよ!」
         人      __              _ イ:/
           `      乂 ̄   ー‐ァ      イ: :/: : :/
           rrr==≧=- `  --  ´  r_:_´/|イ{: イ
             /|.||...................../ ̄| ̄´   7......`.. ̄ ̄≧=-、
          ,イ |.||.....................{---- 、  /...............///⌒ヽ
           /  |..V、.................|     /...............///   ∧}


  /    '   |   ',         :}∧∨',ヽ, /  V |   | ' /: : :ヾv  v
 '     :|   ',    ,         }  ! V / :|  V |   |{ ,: : / } ヽ v
'    / !   :{ハ   ハ ∧       } V| /{ V |_,  v!   |      }  ヽ
    '  :,   ' ,   ' ∨∧     ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V       / {l 、|斗 ―――
   /  ,∧  ∧ー=ミ{__ ヽ ',    j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア |  '  '      ' :{l ヽ! `ヽ
   ,'  / ∧  ∧:、 {`~^ ー--  /: : j ^    ≫'’     V'    _ノ  {l  |   V
/ ,'  /  j{∧  ∧ヽ{ ,ィァ=v云|  ': : : i|   ~´       '   「:\ } {l      ,ヽ
  ,' ./:| / v∧  {ヾ八{  ヽぅ! /: : :  U           し  :!: : : V:V      , \   「それ言ったら咲の弱いところ暴露するからな!」
  ! ./ | /  ヾ∧  ,、\: `: : : :|/: : : :、               }: : : : : '        ,
  |/  :| '     )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ!                八: : : :'       ,
     '    } / / ヽ   丶: :.} !: : : `: .、       _      ': : : : : '        ,
        j/ ,       \し: : : : : : :.   _,.  '"      /: : : : : '           ,
           ,          ヽ.,: : : : : :冖、 _      ,イ{: : : : :/           !
           、         > .,: : : : : : (     /: U : : :./          |
          | ヽ           / :≧s。.,:ヽ  _ ./\: : : : {「 \           |


 「言わないよ!

  京ちゃんの弱いところは私だけ知ってればいいの!

  京ちゃんは私の弱いところを他の人に教えたいの?」

 「俺だってそんなことしねーよ!」

 「京ちゃん……」

 「咲……」


        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!    「こいつらいつも盛ってんな。
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_    孫たちよ、五時間くらい出かけるぞー」
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |

 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:41:46.87 ID:mHUyverNo<>
 2/10

 ……
 …

 ・京和次元

. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////    「いつになったら手を出してくれるんですかっ!!!!」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


 「やはりのどっちスレで相談するしかないですね……。
  いえ、しかしのどっちスレで相談して内容をLINEで送ったら大変なことになったのも事実」


            ,. . . -−-. . . .,
        _,,,,.  '.: : : : : : : : : : : : :`゙'. ,   _
       i/              ._,./::iヽ,
     i'"~::/ . .; .i: : ; : : : : : : : : : : : ィ´::::`v":::ィ
     i: :./: :.i : l: :l: : il: : : : i: : :.li: : ; i: ヽ::::;;:::i::i:::::|
    冫/:./i: : li: i: : i:.|: : : |: : :|: |: :|i: i: :冫:::::/iヽ,l
    !,::i: :i:.|: : |:| |: :.i|:.|: : :|i:、:.|: :.|: |:|: |; iゝイ:::i;::::\
    ./|:.|i:.|: : |:i-|─l.;イ: :.! l`|─l-l-:l|´l ||: リ::;,!l__/
    く;;;|:|'|:.l: :.||'ャii;;;;;;;iィ\!' 'ヤi;;;;;;i;'ヤl|_,.! '´:|: :l: |
     l! l!,\l !:ヽ辷ソ    ヽ==ソ .! |: : :.|: :|: |
      /|: |: :|i ::::::::  、   :::::::::: .;ィ'| : : :|i: :i: |
       / |: |: :|:ゝ   ___    /" | : :.|:|: :|:.|    「LINEでダメならメールで送りましょう!」
.     / /| |: :|: ||`ヽ 、 V  ) , イ    |  : :|i |: :|:|
    / ./:|:l: : |: || |  _,`,iー "´ ィ冫、.|i  : |:| |: :.i';
    ;´ /:.i|i : :l_,..-‐'''´:/:イ   /:::::::::::|:| . i|.,| |: : ハ
   ; /: :i:|: : :|:::::::::::::::iニ-ー,/::::::::::::::::|:| . :.l|;´ヽ,: : ハ
    i /: :.l/|: : |::\::::::::|   /:::::::::::_,.‐'_;i ; : : l; /`il: :i: :',
   ,': : :/.l: : |i.\;;:`ヽl /;;;.:-::':;´‐''~/;': : //   :|i: :l: : i
.   iil: :.i .l: : i .'._ .゙''.‐.,y,._≠'' ´,,..‐//: : / i    |:l: :i :i: l
    l!i :i; lil! l  `゙''ー;-'‐;:-‐ ''´  //: : .;'`;.|.    |::|i:|: .i |
   ', / l:!l:l l     トーィ;"    ;'/i:.i .i   i|     |::||:l: | l!
    ;' li l:l i    / .i ,!    ;' l:li :l  ';  i   |::|: i:| !


 送付先 マイダーリン
 件名 子作りしましょう!!!!!!!
 本文
 レッツファック!!!!!!

 差出人 マイダーリン
 件名 焦らせてごめんな
 本文
 結婚したらね


              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
     . : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈
.     / : : :/ : : : :/ : : : : !: : |: : : : : : : :〈i:i:〉
    /:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|
.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :
.  ,: : : : : :|: Y斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|
  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|    「ドヤァ……」
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |
::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|


 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:42:15.91 ID:mHUyverNo<>
 3/10

 ……
 …

 ・霞色の空次元

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        ‘:::::::::::::::::|:::::|              ′:::::::::::;    「もうっ、子供がいるんだから察してください!」
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            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
          /     \:: ∧ \ソ' |     \::::::: | \


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Y { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/    「(照れてる霞さんかわいい!)」
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、
                     ///// |   /////////////////> 、
               /////// { //////////////////////}
             //////////∨///////////////////////|

 「もう、そんなニヤけた顔しないでください」

 「だって霞さんが可愛くて」

 「もういい歳なんですから、そんなことばかり言ってちゃいけませんよ?」

 「じゃあ、霞さん。

  俺がかわいいって言わなくなっていいの?」

        /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヾ
       ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヾ
       /:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト:::::::::∨:::::::::::. ヾ
      .:::::::::::|::::::::::/::::::/::::/|::::::::::::::: |ハ::::::::∨:::::::::::.
      :'::::::::::::|::|::::::|:::::‖::::' :|::::::::::::::: | '::::::::::'::::::::::::::': .‘
      |::::::::::: |:|:::: |:::::‖:: ' i!::::::::::::::!:| ':',:::::::';:::::::::::::'
      |:::::::::::::|:|:::::||::::||::::::! }::::':::::::://_}|.'::::: !:::: |::::|',  |
      |:::::::::::: |::::::|!ヘ:| ヽ{ |ノ|::ノ//  / }::::/::::::|::::':|  /
      |';::::::::::: |::::::| イ芋芋ミ    イ芋ミx/.':::::::|}/
      ':::,:::::::::/!:::::| ヽ辷zソ      辷zリノ.,:::::::::|
      !::,:::::::! :!:::::!  `¨´      `¨ '´ ,::::::::::|
      ',::ヽ::::ヽ',::::|  ' '     '   ' ' .,:::::::::::|
       ,:::::ヽ::::::',: |ム     、 .,     ,::::::::::::|   「今度は誰も見ていないところで言ってくださいね?」
       .,:::::,::ヽ::ハ;∨::o.、        イ:::::::/::::|
       ;::::::;:::ヽ:∧∨:| :ミ 。   .<:::::::::::::/:::: |
       :;::::::∧::::::::::∨、     :{| ヽ::::::::::/::::::,
        ;::::::::ム::::::::::∨\    // Y:::::::::::::;

 …
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:42:45.68 ID:mHUyverNo<>
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 ・新訳:京霞次元

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   |:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ    从::::リ:::::::: 八 j
   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ
   |:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈   `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙  乂廴ソ        乂_ソ ,′:::::::|
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::::|               ,      ,′:::::::::|
   |::::::::┃ : :::::::::::::::::|    ``         `` ,′:::::::::::|
   |:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\       r‐ ┐    人::::::::::::: |    「薄い本での予習ならバッチリよ!!!!!!」
   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
   |:::::: -‐ ‘:::::::::::: |  \\   .//.     / / / / .八 |
 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、


       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
      /::.::./::./::.::.ハ::|::.|::.:|::.:i::.:::.. _ _
   ≦::.:,.........|::/|::.:: | |::|::.|::.:|::.:|::|::.:f::.::.::.::.::≧
  /::.::.j/::.::.::.:|;__jヘハ| j/)/j/jハノ::|::.:|\:\::.\
. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}
// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂     「まーた変なこと言い出しましたよー」
           イ     \_
       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /

 「私と京太郎さんが一番薄い本でエッチな絡みがあるのよ! もう清澄のおっぱいさんには負けないわ!」

 「だからなんなんですかー……。こっちでお近づきになってくださいよー!」

 「咲日和新刊で出たお料理上手でお菓子も作れる設定を活かして新年からズッコンバッコンやっていくわ!」

 「前に来たあっちの霞ちゃんとトレードできませんかねー……」

 「えっ、それなら私はあっちの旦那様オーラ前回の京太郎様とイチャイチャしていいの!!!!?」

                     _____
                 . : ´: : : : : : : : : : : : :`: .
                /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                   /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.\___
               /: : : : : : : : : : : : : : : ト、: : : : : : : : : : ∨: :二ニ=‐-
                 /: : : : :./: : : : :|: : : : : :| ': : :.:.l : : : : : : ∨: : :.`丶
             |: : : : : :|: l: :|:.l |: l: : : : | _|:l : :l\: : : : : :∨: : : : : :\
          /: :|: : : : : :|: l: :|:.l |八: : : :|  |八:.|‐-\: : : : ∨\ ̄ ̄`丶
         /: : :从: : : : : |八人Nノ \: :l   ⌒|   |: : : : :!`丶     \
         /: : ://:/\ : 从   __,,.  \   ≦三≧ル^Y:.\|    \
       /: : :/ /:/  |: ∧l,r≦彡'´   ,       てノ| }|\: |
.      /:.:/   /:/   :|/〈∧てノ、、   ______   `` |_ノ  ‘:|
     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |   「あっちの二人のためにもコレはこっちで引き取るですよー……」
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
                    . .-=≦___   __≧=- . .
                  / :  :    ` ´   :  ::  \
                 /   ::  :          :  ::    |
                --┤ Y::  : . . . . . . . . . .:  : Y   |‐―┐
                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|

 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:43:15.80 ID:mHUyverNo<>
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 ……
 …
                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、
            /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
           /: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
          , : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Y : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/    「……」モグモグモグモグ
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「照……さん……?」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

 「お菓子美味しい」

 「食べ過ぎですよ。どうしたんですか?」

 「……」

 「(あっ、これ照れてるのかな)」

 「(え、エッチの時には京ちゃんの二の腕触っていいのかな? いいのかな?)」

 「おーい、照さーん」

 「ま、まだダメだよ?」

 「何の話かわからないけれど食べ過ぎだからもうそろそろ辞めましょうよ」


           -‐──‐-
       . ´          `ヽ、
      /
     /                 ,
   / /   /|    ト、        ′
 ∠._/   / i|    i \      〕
    〔  |/ 八〔\ .'   \   /
.     |∧ :| ┯:┯  V ┯:┯∧ /   j
    ' ∧|  乂ノ     乂ノ   ∨、   |
.     /:X ""     ""    ノ   |
    /::::入_           _  < / /| /
  /\ /∧ノ  へ ̄ ̄/  \リイ/ / 〔′   「(……咲より胸は大きい。イケる!)」
   ̄\\  r‐'   \/  //\ /
     \ヽーヽ └─ー/─'  \
      丶ー|   〉 〈   |  〈
           |  .〈∧/    !__/
           |        | |

 ・調査結果
  照がヘタレで先に進まない

 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:43:45.24 ID:mHUyverNo<>
 6/10

 ……
 …

 ・京淡次元

     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /
  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|
  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |   「えっへっへー、それ聞いちゃう、聞いちゃうかなー?」
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ X__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Y /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \   「変なこと言い出すなよっ」
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、
////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧

 「変なことなんて何もないもーん。

  キョータローは私のこと弄んで捨てるの?」

 「そんなことするわけないだろ。

  俺の大学生活を守ってくれたように、俺が淡の麻雀プロ生活を守るよ」

 「えへへー! キョータロー!」

 「こら、いきなり抱きつくなって」


                     ´            `丶、
                   /                \
                   /     /              ヽ
                            /
              /   /  /  / /     /         ′
       _人_     / /       /  /     / ∧        ″
.         `Y     / /  ,   /| ⌒V    /    | │    |  |
               ゚ /   |  _斗冬ヽ|    / | |⌒ト |    |  |
.              /∨     《 rしい│   │   ノ /      |
    --------=彡 U|   八 ! 乂゚ン人   ,斗午冬,/|/
.  `   ー─=/  |人   jハ|//   \| rしい 》'′   /  ゚
        /   人 \ 人     '    乂゚ンア     //  ′   「何年も同棲してれば、お察しだよねー!?」
  __      /,/ ̄ ̄ ̄ヽ   、     //_彡'      / /
        -‐  /   /    }\  一    /    / / /
   /    __r<    ,′   } }>‐‐ッ‐ァ=≦-‐ァ /  /
   ⌒ニ ._/        {     ノ 丿 V∧ У /7イ   /| │

 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:44:14.57 ID:mHUyverNo<>
 7/10

 ……
 …

 ・京白次元

           ___/ / /        \   \
           ⌒フ / ,  /   l 〈     \\ \
           /  / /  /  /| \      ∨ \ \
         /  / /  /-〜/-| {  \〜ー 、'   \ )
           〈 /   |  |八Ν__八{   | _\  ∨  l|′
          /    l|  l ァ┼ ┬ \N┬‐┬  | |  リ
        〃   / l|\_从 乂゚_ノ     乂゚ノノ}∧l/}
          八/ / ,八 入         、   ,,, ,′ ト、ノ
.             { /   }\__              ′ |
.            从  八{ 込、   ∠>  . イ^| }八    「ほら、さっさと洗濯物をまとめて」
                ∨  \从_}> . __ イ 八jノ  )
                   / \__  Κj/
                    _/  //〉_∧ ‘,
               /:.∨ ,///   ∨ }: : ..
            . .:´: : : : :∨//\__//∨: : : : : `ト、
             /∨: : : : : : : :∨\:i:i:i/ {:.: : : : : :.:| \
          {  ∨: : : : : : : :\/:i∧\{:.: : : : : :.:|   ∧

    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Y              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从   「あれ、白姉どしたの?」
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/
            、__   ´    } イ从/
               |        |/
              「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
              |//l|     |//////// 、
        ,. <// ∧      |//////////> 、


 「どうもしてない」

 「してるよ。顔赤いじゃん」

 「赤くない。いつも通りでしょ……」

 「そんなことないよ。俺はわかるよ」

 「……。京の見間違い」

 「えー、白姉のこと見間違えるわけないだろー。何で照れてるんだよー!」

 「照れてない」

          〃-‐‐-----‐'/´
       ,, - ''       ー '、 
       ´             ヽ\
      /   /    |    |  ヽ \
    /   ,/     /|   l    _<
   ィ    /  十/┤  十ト l  ハ   ヽ
     ̄|   {   示芸 \ |示芸!   }   〃
      j   Y\|廴 リ    廴リ,!リ ノ 
     /    廴 ///   /// | }
      {/ヽ|\、, > ___ _-__,  イN/    「……だる」
           /  〉 | 〉、 "
         /`ヽ::ヽ〈 V/l::ハ
        ,'   |:::::ヽ「」/::::::ヽ,
        l    !:::::〈/ヽ〉:::::::::}
        └t-ィ:::::::::::::ヽ:::::::::イ

 ・調査結果
  白望お姉ちゃんはヘタレ

 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:44:46.85 ID:mHUyverNo<>
 8/10

 ……
 …

 ・京玄次元

       ≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
      ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
     /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::i
     /  ヾ:::::::::::i i:::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒ.i
    /ソ|`::::::::::‖::i |:::::::::::::::;| .i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
 .  ‖ |::::::::::::ハ::|. {:::::::::::::::|  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::|
      |::::::::ヾ|`|/ヽ|ソヾ:::::ハ|ー≦\::::::::::::::::::::::::::::|
      |::::::::ハ ィ.爪ハ  .ヾ:i  イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
.     |::::::::::::i 弋っリ       込:::リ.|:::::::i |:::::::::::::::|
      i:ハ:::::::::| xx  ,     xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
      o .i:::::::::i              u |::::::::|:::::::::::::::::::|   「きょ、京太郎くんが望むならいつでもっ!」
      i::| ト::::::ヽ.    _      i::::::::|:::::::::::::::::::::|
     ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、   .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
     /ノ |  |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭  /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
        |ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆'   i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
       |:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|
        |.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀  /.:.:.:.:./:::/  .ヽ|
       |.:.:.:i::::::|  >  ,卅   /  ノ.:.:.:.:/:::::/   /`.i
      |.:.:.i:::::::/. <ヽ イ  ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/   /   .|


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rYィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //      「どうしたんですか、玄さん」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 「きょ、京太郎くん聞いてたの!?」

 「いや、何の話なのか……」

 「何でもないよ! 何でもないよ!」

 「はぁ、玄さんが何でもないならいいんですけど」


              /:..:..:..:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ |:.:.:.ハ:.:.:.:j:.:.:.:.} ゚。:|\ :.:.:.:.:.|:..:。:..:..:..:.\
                /:..:..:..:/:.:.:.:.:.:.:.:/|__;.ム斗:./  |:.:.:.し:.:.;\_}:.:|__ ゚。.:.:.:.|:.:..゚。:..:..:\:.゚。
            /:..:..:..:/ :.i:.:.:.:i:.:/│:./  |:.′ |:.:.:.:.:.:./  Y   :。:.:.:|:.:.:..:。:..:..:..:}E
              /.......:.:.,:.:.:.:|:.:.:.:レ彡|:./三ミ:{、  | :.:.:.:./ 彡=リ三ミト、 :.:.|:.:.:.:.:゚:..:..:..:| リ
           /:..:..:.:.: ′:.:.|:.:./〃 リ   リヾ:、 :.:.:.:./.〃      ヾ:、リ .:.:.:.:i:..:..:..|
             /:..:..:.:. イ:.:.:.:.:.| /il{        }li }:.:./ il{        }li | .:.:.:.:|:..:..:∧
          /:..:..:./ :|.:.:.:.:.:リ il{        }li l/ il{        }li | :.:.:.:.|:.:.:..:.∧
           /:..:./..:.:.:.|.:.:.:.:.:.|  ミト、     ィj/     ミト、     ィj/ | :.:.:.:.|:.:.:.:..:.∧
         j:./ .:..:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|   ゞ=====彡       ゞ=====彡  │ :.:.:.|:.:.:.:.:..: ∧    「(い、いつでも覚悟はしてるけど、
         イO/:.:..:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|////////////////{ :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:..:..∧
      /:..// .:..:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|、         r――――― 、    ι  ノ :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.. ∧   やっぱり恥ずかしいよぅ!)」
    /:..:..//:..:..:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.\ ι   |         |        イ:|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.゚:,:.:.:..:..∧
   /:..:..:..// .:..:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:个:. .   ノ ---―‐  ____}   . .:个:.:.:.|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:゚。:.:..:..:∧
  〃:..:/|〃 .:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.ハ:.:.:.≧==- __  -==≦:.ハ.:.:j:.:.:.:.|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:|i:..:.:.:.:.∧
 /:../  l/ :..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:/  }:.:.:.:.:/ {    } \:.:.:.:/  }.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:}ト :.:..:..:..∧


 ・調査結果
  手を出したら墓まで

 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:45:16.03 ID:mHUyverNo<>
 9/10

 ……
 …

          . :´ . : . : . : .`: .
        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪_}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_   「玄のためにエッチなビデオを見て勉強するわよっ!」
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .E\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i//// 「(さすが憧、自分で借りるのが怖いから玄さんにやらせるとは!)」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////

            '' _.――  ....
        / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、..
     . '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
     / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }     ヽ
   /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......  ',
  /::.:′. .: }:  ヽ ,斗‐|-  .::| `ト-  | |.!
. /::. |:...:.:/|:.  ..:l\ ! ヽヽ .::l /! ..l | | l
. {: /.! :|.:.:..::|:.. ...:|.〒弐オ`\.l/〒テ...|./|.:i
...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{.  ,.::| ト'::ィ;リ      トィリ .|:ノl:ノ
./:{ V:|::.|::.:.|´ii ..:::| `ー'     .゙-' |/
.|:.|/::.:,::.:.::. l :|.i ',.:::|  xxx    ` xx',.!.:}
.{i:{:: :ハ::.: 込{.::l :'.,l.      _ _  _,ノ./|.
.乂:/:.:∧::.:.V.i::ヽ_.::!ヾ=<>‐、‐ T´|..小{   「お、おまかせあれっ!(京太郎くんのために頑張るよ!)」
  / .:: :::::::: ル´}::.从`⌒H⌒´}.丿. }:.{
. / .::: .:;へ/` '、l::..<__/八_,>.l. .}:.{
/ .:::::::///;;`ヽ',`..〈   ./ .|  } |  }:.{


 ・調査結果
  お察し

 …
 ……
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/10(火) 22:45:45.30 ID:mHUyverNo<>
 10/10

 ……
 …

 ・お金持ち次元


      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
      /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    |:::::::| \:::::::::::,__::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
    {:::::::{ヽ /\::::|ヽ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     ∨:::∧ /灯  /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',   「いつでもかかってこい」
     \\∧∨   ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __
       \. 〉      ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、
          ノ       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
          ヽ -    /::::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ̄ `ヽ::::::',
            ` - ./::::∧ //\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  ヽ::::',
               {/|::} 〉/////\::::::::::::::::::::::::::::::::::',\  〉::}
               |} |///////// \:::::::::::::::::::::::::::::::', ヽ }:/
                  |/////////////ヽ:::::::::::::::::::::::::::::',


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
     /:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
    /:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
   ′:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.
  , .:.:.:′.::.:.:.:.:.:.:.:.|:.|:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.::.
     .:.|:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:.:|:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:|:.:.:.:.:.:.::.
  i......:.:|.....:.:.|:.:.:.|:.:ハ|:.:.:.:.:.:| |:.|:.:|......... |
  |:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
  |:.:|:.:.:.:.Tイ示气   ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
  |:.:|:.:.:.:.:∧           :.:.::.|:.:.|
  |:.:.\:.:.:.∧     '    .::\:|:.:.|
  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|   「ヘイ、カモン!」
  |:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、     イ :.:.:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|:.:.::.:.:>-j     f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|>イ  く       }l |:.:.:.|:.:.|
  |:/      \_  __|l i:.:.:.|\
 /\       \    /  |:.:. |  \


              ,r'´ ̄ ̄ ヽ
       /丶  _//∧      l'⌒ヽ-、_
      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ   「京太郎の貞操は私が守りますわ……」
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l

 ・調査結果
  まだセーフ!

 …
 ……


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2017/01/10(火) 22:46:21.59 ID:mHUyverNo<>
・今スレリクのまとめ

>>430 きれいなのどっち(単発次元)
>>442 京太郎知識試験(お金持ち次元)
>>446 咲ちゃんの誕生日当日編(単発次元)
>>459 >>723 京ちゃんと豊音が出会ったら(単発次元)
>>457 あわあわVSアラフォー(京淡次元)
>>454 >>923 筋肉! 筋肉! 筋肉!!(筋肉次元)
>>724 全次元が混線したらどうなるの?(単発次元)
>>734 親子で温泉旅行(霞色次元)
>>737 世界一位vs須賀京太郎(のどアコ次元)
>>899 マホ-闇に舞い降りた天才-(単発次元)
>>919 >>923 最後の追い込み!(京穏次元)
>>924 京ちゃん聖人化の理由(京和次元)
>>925 グラビティバレンタイン(のどアコ次元)
>>926 京ちゃんの誕生日(???次元)
>>918 >>921 >>922 明華と京ちゃんの再開?(???次元)

・その他予定
霞色の空形式の京一次元
京桃次元完結
京優希次元完結


明華人気にビックリ。続き考えてなかったけど頑張る
AASSじゃない長編の京一あるんだけれど、このままスレでやっていいかな?
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/10(火) 22:51:34.44 ID:NlWsbH1b0<> 自分はいいと思う!!みたい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/10(火) 23:41:03.96 ID:5ct+SfEHo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/10(火) 23:41:24.79 ID:zL5/YgOXO<> 乙です
きれいなのどっち…だと…!?
あり得るのか、そんなのどっち!!

京一次元の長編は読んでみたいです! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/10(火) 23:47:50.91 ID:a8rz9x8qo<> きれいなのどっちがありならきれいなアコチャーもアリですよね?ね?(力説

既にネタが出来ているなら書き込んでいって、どうぞ(wktk <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/10(火) 23:54:53.12 ID:NahKVIHzO<> 貴方のスレだ好きにすればいい
実に楽しみ
みんなかわかわ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/10(火) 23:56:52.42 ID:KUIFBZebo<> 霞色の空みたいに新スレ立てても結局途中で終わってみやながけの平常運転が始まる予感しかしないしね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/11(水) 03:04:27.63 ID:G0OzBKXt0<> きれいな姫様次元は無理なのか
のどアコIF次元で京宥 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/11(水) 09:27:44.83 ID:oUBbkgGF0<> おつ
やっぱり(最近目立たない気がする)みやながけ本編と霞色次元は安定感がすさまじい <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:28:54.34 ID:bLxaTMkeo<>
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 918 921 922
 【感動の再会…?】-単発次元・続き-


 雀明華は乙女のような恋をしている。

 三年前、彼女が臨海女子への留学を決めることになった出来事だ。

 長野のハンドボールを見て、格好いい姿に一目惚れ。

 それだけの話なのだが、彼女はそこで停滞してしまっている。

 次の年には臨海女子に入学した明華だったが、留学とは思いの外神経をすり減らすものであった。

 確かに臨海女子は留学生が多くを占めている。自分だけと言った疎外感はない。

 しかしそれは同時に『全てのクラスメイトが敵』ということを指す。

 すでに世界戦で戦っていた彼女によって、その程度で折れる心は持っていない。

 でも、気づいた頃には心の中に少しずつ膿が溜まっていく。

 麻雀も疎かにできず、風土の違いにもストレスを感じ、強豪たちとしのぎを削る。

 とてもじゃないが恋愛ごとに現を抜かしている暇はなかったのだ。


 しかしそんな明華の心情とは裏腹に無情に月日は進んでいく。

 もう一度、『彼』が中学三年生になった大会を見に行こうと誓ったまでは良かったもののーー


 「結局、見れませんでした」


 大きなため息を吐く。ジャパニーズ『憂鬱』というやつだろうか。

 しかも当時は日本の地名もよく覚えていなかったので、行った場所が『長野』ということくらいしかわからない。

 さらにどの中学かなんて覚えているはずもない。

 まさに『あなたしか見えていません』状態だったのだから。

 そうなれば再会も絶望的か、などと考えてしまうのも無理はないわけで。


 「どうすればいいんでしょう」

 「どうしたんでスカ?」

 「メグちゃん?」


 振り返るとそこには彼女の友人でありライバルのメガン・ダヴァンが立っていた。

 明華より大きな身長を持つメガンに対して明華は大きく見上げる形となる。


 「あっ……」

 「?」

 「そう、確かこのくらいでした」

 「何の話でスカ?」


 何か納得が行ったように頷く明華。

 その頬はどことなく赤らみが指している。

 今来たばかりのメガンには何が何だかわからない。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:29:23.36 ID:bLxaTMkeo<>
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           /  /  l |   / l: / | |       / l  /| | :|     |  ||  l \
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.             /|   l |  ′ x==ミ i|     / //=ミ   |  /   ||  |  ヽ ヽ  
       .  .  ′    l | | / '⌒ヽ 八   //   '⌒ヽ\.ノ  /    ,゙| /   } }  
           { ∧ 八八 | {{|::::::::: |   \ {     |::::::::::::| 》 イ   //イl   / /
            ∨ ∧  \\ 弋 ⌒ソ    \    弋.⌒ソ  /  / i||', _/ ´ 「私の好きな人へどうアタックしたらいいものかと」
            \、_ \  \    ̄     ,      ̄  /_, イ   ||‘,
     .     / / ̄   \  \                 ̄/ /|   i|| `、
            / /    / \  ヽ               / イi |   i||   `、

 「……えっ」

 「ずっと考えていまして」

 「そ、そうでスカ」

 「メグちゃんの身長が大体彼と同じくらいだったので、思い出してしまいました」

 「へぇ、結構大きいんでスネ」


 メガンも留学生なので自分の身長が高いことに対するコンプレックスはそこまでない。

 むしろ背の高い女性がモテるデータもある。

 しかし、そんなメガン(身長185cm)が日本に来ればかなりの長身だ。

 ちなみに中学二年生の須賀京太郎の身長はおおよそ180cm程度だったと明華は思っている。

 日本人の平均身長は男性が172cm、女性が157cmである。(もちろん誤差はある)

 そんなメガンと同程度の身長と考えると、相当な長身なのではないかと考えを巡らせる。


 「ミョンファは年上の男性が好みなんでスネ」

 「いえ、二つ年下です」

 「!?

  それは……、随分成長しているんでスネ」

 「はぁ……」

 「相談なら乗りまスヨ」


 話を聞いているとメガンもだんだん乗り気になってくる。

 女性の恋愛事情に対する嗅覚はどの国でも変わらない。

 友人兼ライバルがそんなことで悩んでいるともなれば、聞きたくなるのが心情だ。


 「実は私が日本に来たのは彼に会いに来たんです」

 「ワオ! 情熱的!」

 「しかし来てから一回も会えずどころか、今彼がどこにいるのかもわからなくて」

 「どんな出会いだったんでスカ?」

 「私がどこの高校に留学するかを考えている時に……」


 未だに記憶に鮮明に残っている。

 記憶はだんだん朧げていくものだというが、よっぽど衝撃的だったのだろうか。

 彼の表情、叫んでいた声、飛び散る汗まで鮮明に思い出せる。

 そして、そんな彼を思い出してーー


 「ミョンファ。顔が赤くなっていまスヨ」

 「……えっ。恥ずかしいです」

 「(好きな人がいるってことを言うのは恥ずかしくないのに、そこは恥ずかしがるんでスネ……)」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:29:52.76 ID:bLxaTMkeo<>
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 イマイチ明華のツボがわからないメガンだった。

 これが、国境ーー。


 「とにかく、何とか探し出す手段を見つけないといけまセン」

 「しかし、中学生一人を探し出すなんて」

 「逆に考えるんデス。こっちが有名になればいいんでスヨ」

 「有名に?」

 「ええ、例えば全国制覇、トカ?」

 「それでは連絡の取りようがないです」

 「ダメでスカ。

  ドイツで結婚した雀士はそうやって知名度を上げたと聞きまシタ」

 「もし彼がハンドボールで有名になっていたら……」


 それは真っ先に考えたのだ。

 夏の大会が終わってすぐにハンドボール雑誌を読み漁った。

 元々の趣味だったのもあるが、今回は目的が違っていた。

 しかし目論見は外れ、彼がハンドボール雑誌に載ることはなかった。

 そもそも長野県代表は『去年と同じ中学』なんて書かれていて、彼が全国に出ていないことがわかってしまったのだ。

 彼が泣いているかもしれないことを考えると、少し胸が痛くなった。

 今までの明華ならば『負けるのは実力が足りなかっただけ』と一蹴するだろう。

 いや、今だってそうするはずだ。明華の成績は絶え間ない努力と圧倒的な才能によって構築されているのだから。

 でも好きな人が相手ならば甘くなってしまう。乙女とはそう言うものだった。


 「随分惚れ込んでいまスネ」

 「ええ、今の私があるのは彼のおかげですから」

 「そ、そこまででスカ?」

 「価値観が変わって視野が広くなった。全部彼のおかげです」


 過大評価もいいところだが、明華にとってはそうだった。

 実際京太郎は何もしていない。本人に言っても困惑するだけだろう。


 「一体、どんな出会いがあったんでスカ」

 「一目惚れです」

 「お、おおう」

 「彼のハンドボールの試合を見て、諦めずにひたむきに頑張る姿が格好良くて」

 「……そうでスカ」


 そこまで言ってからメガンは理解した。

 メガンも他の人より才能が劣ることに悩まされて来た身だ。

 自分はどうだろうか。同じように頑張る男の子がいたら共感する、かもしれない。

 それにしても『一目惚れ』なんてしてしまうのはとても理解できなかったが。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:30:21.89 ID:bLxaTMkeo<>
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 「思いつきまシタ!」

 「?」

 「全国大会で優勝して、その時のインタビューでその男の人を探していると言えばいいんでスヨ!」

 「えっ……?」

 「なーんて、冗談……」

 「それです!」

 「……ハ?」


 メガンは思わず固まった。

 彼女の言い出したことはもちろん冗談だ。

 先ほど恥じらいを感じていた明華がそんなことをするはずがない。

 ちょっとからかって、さっきみたいに赤らめたら面白い程度に言った冗談。

 しかし明華は思いの外追い詰められていたのか、メガンの案に飛びついた。


 「そのためにはまず勝たなければいけませんね」

 「あ、あのー、ミョンファ?

  そ、その、彼が麻雀番組を見ているかもわからないでスシ」

 「ならば気づいてもらえるまで勝ち続ければいい話です」

 「オウ、情熱的……」

 「世界二位は普通の番組にも出演しています。それならば彼も見るはずです」

 「ソコまででスカ……」


 ここまで言い切られれば、メガンも感嘆するしかない。

 恋のハリケーンとはよく言ったものだ。『風神』と呼ばれる彼女に相応しい。


   ¨ニ_         _tj^     ,:/               \‘'vtj tj         Tヒ_
.   ¨ニ_       _tj^        ツ       ,          _ヽ Ytj          ^tj_
     ¨ニ_    _tj^      _,.″   / |   :i   ハ_    ^vトL,tj_           ^tj_
     ¨ニ_ _tj^       .-ノ    // 人i Uい  ヒ_   i V「ltj^`ヽ           ^tj_
       」tj^     ____彡'ノ   / ,斗ヒ 丁小 トif厂^ぅトi    _`'tj   }i          ^tj_       _ニ¨
     o「^¨ニ_   i{   ,;'´  狄  ハ|i 」十八 V十iLハ| 圦 [_ ^’ , \                ^tj_     _ニ¨
          ¨ニ_   〃 ノ゙ ノア ]i 斗桃妝, \V桃抃以ぃ j^t トぃゝ_\__              ^tj_   _ニ¨
             ¨ニ人r f^{ i:小l トfメ小     ^Tfメ升 ]小 ⌒人 トj ¨`〜ヽ              ^tj_ _ニ¨
               ¨ニ乂 ^'人 L_ ¨ ^     ´ ^  j~  t  ^‘ij     ^}           ^tj[
                   ¨ニ_ リ  ⌒ヽ"  `    ""  '  カッ   ‘,     ,リ       _. -ニ¨ ̄ ]o
.                   ¨ル  /人´   - -    xリ  ソ^j:  ‘.   '′   _ -ニ¨
                 え゙ , ア介y,       .ィi^ア  ,’ v   ッ,  _ -ニ¨   「勝ちます」
                ,fy~ ,^ ノjfメ ^i: ぅt-   [_.:′ ,′ ^j:   j, 'tヤ¨
               ,ャ?ソ   jfメy斗fy~リ     ヒ7   ふ_  ^'.  ^j, ~y,
               _:^ ' _,厶jfメ√  j^       ア  , n‐=tェ」j_    ^:_
             y^ j_,t^n゙jfメ    i~^ヽ  ,.:'"_t  /,'~   ¨ア式ヒ, y,¨;_
            _jッ ソ「入^vjfメ    tャ'"´ ̄`'ソ′ _y    '~ /^圦 :^t_^t_
           _y^ ソリ  `'jfメ      i[    ´  ;ァソ  /_ ィi^   リ  ふ ^:,,
         ,;ァ¨ , ~ j「  jfメ_ ヽ、   ‘  /  イjえ '´. ィソ      L_ ^'jx -_
        _, " _y゙ ,圦  jfメvjぃ_  、  _jッ ´_, -'^_n _y'´ jリ       ¨弌 ` ヽ ゙y_
      _-~  _ァ  厂^ ,jfメ ソ ^`:,_ )y'´ _,.れィ _^ '~  ¨  /;         」i、 ャ,`  ^ッ_
    _,ヽ  _え’  人  jfメtッ′    ^tj , '⌒jyツァ^     ,i v′  、    _j仇   ¨    X:、
  _っ'^   yて   _^,沁jfメLア      ヤ[  ,^ (       i以  _,. jyx_rf'~   え ヤt   ^ty,
,ッニ~   -ソ^   ッ犲ぇv二;」;      ノ;   ィぇ       ,ッj^衣¨^  "才   ]八  ^え,  ~ふ


 決して大きな声で言ったわけではない一言。

 しかしその言葉には他のものを圧倒する力強さがあった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:30:53.76 ID:bLxaTMkeo<>
 5/10

 ……
 …

 それから一年。

 優勝を誓ったのは去年のインターハイの直後の話だ。

 今年こそ優勝、もしくは有名になって彼にアピールすると決めていた。

 仮に今年の夏がダメでも、彼女には世界戦がある。

 難易度は跳ね上がるだろうが、恋の前に敵はない。


 そう考えていた矢先のことだった。


 「咲はまた迷子になって……。

  最近は和が探してくれているからいいけどさァ」

 「うるさいよっ」

 「迷子になったくせに生意気だぞー」


         ,  ´    /V    <⌒`
        /,     /   ∨      ̄\___
       ' /       '     ∨   、 < ̄ ̄´
       / /    ,  |      V   l | V \
     '  .'  / l |  | l     | } 、 | }  、`
     |  |  { |{ |  {∧ l   |//V /   \
     } ∧ ∨从>-、从  |'___}イ }、r----
     /イ' 从 {  =====∨\ }  ̄  |ノ `\   ____
      乂  \           リ    |  ,. : :´: : : : : : : : : :`: : : .
       \__、              人/: : : : : : : /: : : : : : : : : :`: 、
     /⌒7/{込、  ,  ―--‐  イ/: : ,: : : : : :/: /: :/: : : : : : : : : : ヽ
     /////\\//≧   __ ィ///: : : :/ : : : /|_/: :/: :/: :/): : : : : : : .  っ
    {////// V///// ̄} //////,--、/: : :/_ /`ー'--'-/-く: : :/: : : : : :.  っ
    ///>-//}/////// ()//// 〈  {: /  ===   /:イ: //\': :/: : : : :|
   ,'////////≧=--- 、////////⌒ー--}         |://:/}:\: / : : ,
   {////////////////// ̄}¨´  r‐―ノ       /' /、/イ: /`/: :    「生意気な奴にはこうだっ」
   ` <_////////////// |    〉               ヾ>jイ:イ: : /
      |//// -=<__()__ノ--≦:く     ,....::⌒\        /: : : : :,
      |////////////////////乢\  `ヽ、:.:.:У     ,:⌒V:∧: :{
      |////////////()//// ̄Vノ >,   __      ,イ_ノ/ \|   「ぅひ」
      ////////rく(ヽr,// く...、......∧---/........\/: イ ̄ }://イ
      //////// し'--く/  {:.:`\....、 /........//r、/ )-、
      ,'/////////ノ---' \  ` ー-`、∨.....イ/r'-、 ーく
     //////////∧            [二] ̄  ∧_二}´


 高校二年生のインターハイの会場。

 明華は運命を信じた。

 まさかこんなところで出会えるとは思っていなかったのだ。

 しかしーー


 「……仲良さそうですね」


 胸がツキンと痛くなった。

 隣にいる女の子のこともよく覚えている。

 確か名前は宮永咲。ーー麻雀、出来たんですね。


 「これがジャパニーズ『修羅場』……?」


 そう考えるが、この場合間女は自分じゃないかと思った。

 かと言って、この2年間抑圧された思いが止まるわけでもなく。


 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:31:22.53 ID:bLxaTMkeo<>
 6/10


 ……
 …

 「それで帰って来てしまったんでスカ」

 「どう声をかけたらいいかわからなくて」

 「それは、まぁそうでスネ」


 メガンの目から見ても明華が落ち込んでいるように見える。

 それもそうか。長年想っていた相手に彼女(?)がいたのだから。

 臨海の中でも常識人のメガンは何とか明華を励まそうとする。


 「その、別にガールフレンドとは限らないのデハ?」

 「……そうですね!」

 「(立ち直るの早すぎでスネ)」

 「いざという時は真正面から奪えばいいわけですし」

 「それはダメでスヨ!?」


 状況に混乱しているのか、とんでもないことを言い出す明華だった。


 「私の方が胸は大きいです」

 「……小さな胸にも魅力はありまスヨ」


 自分の胸を見て呟くメガン。

 一瞬のうちに見知らぬ少女の味方になりそうだった。


 「とにかく会いに行くべきデハ?」

 「……」

 「照れています?」

 「大丈夫です。

  行きます。メグちゃんに取られたくないですから」

 「取りまセン……」


 恋は盲目とはよく言ったものだ。

 いつもの明華の雰囲気は何処へやら、今の明華はただの暴走する乙女だった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:32:00.14 ID:bLxaTMkeo<>
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 ……
 …

 ・前回


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      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/
      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/     「京ちゃん、あとであの人に会いに行こう」
      |:./  \:.:{\          /  |:.::/
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
                  __]       {___
                _/三l       /三三三≧=-__
           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>
.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //    「えっ!?」
                _ヽl\       //イ__
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          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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 …
 ……
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:33:13.08 ID:bLxaTMkeo<>
 8/10


 ……
 …

 「じゃあ行って来ますね」

 「待ってまスヨ」


 一緒に行って見たい気もするが、面倒に巻き込まれたくないので待っていることにする。

 そんなメガンの心配を嘲笑うように二人は現れた。


 「あのー、臨海の雀明華さん、ですよね?」

 「えっ、なに、咲の知り合い?」

 「!?」


 先に声をかけて来たのはあちらだった。

 おずおずと自信なさげに声をかけるのがとても宮永咲らしい。

 きっと彼女の中では『間違っていたらどうしよう』などという思いが篭っているのだろう。


 「宮永さん」

 「(咲に親しい知り合いなんていたのかっ!? しかも美人!)」

 「お、お久しぶりです。明華さん」

 「(マジで知り合いじゃねーか!?)」


 こうなれば困惑するのは京太郎の方だ。

 言っては何だが、中学時代はほぼ自分と一緒に行動していたのが宮永咲だ。

 そんな咲に自分と共通ではない知り合いがいたということに驚愕する。


 「しかも美人」

 「ム……」

 「……っ!」


 明華をまじまじと見て美人なんて言い出す京太郎。

 それに気づいてから明華はポッと少女漫画のように顔を赤らめ、とあることに気づく。


 「め、メグちゃん。ちょっと待っててもらってくださいっ!」

 「えっ?」

 「ぅひ?」


 いきなり脱兎のごとく逃げ出して何処かへ行く明華。

 残る三人はぽかんと残された。


 「ど、どうしろと……」

 「えー、あー、何だかわからないけれど、俺は須賀京太郎って言います。宜しくお願いします」

 「あ、こちらこそ」

 「み、宮永咲でしゅ!」

 「咲、お前なぁ……」


 かろうじて京太郎のコミュ能力で切り抜けたのであった。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:33:41.83 ID:bLxaTMkeo<>
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 ……
 …

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               / ̄>―‐`´    \
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          l | {   |斤苧i从  :|,斤苧ミ l   | |\  )ノ
           八{ 八  八 ヒ)ソ  \:{_ ヒ_)ソ^》  | | |  \
           \ i\从|\    ,   、、、、/  /}ノ |   }
              /   人 u    _     フィ^   l|   ノ
               /   / /个ト ../)´ '/)、.. イ  | |   ,
           /   / / //⌒// ///-- .  | |   ′    「危ないところでした」
.           /   / / (∨/_,ノ// /)  `゙丶|    ,
          /   //:    ∨   └ /∨   ∨
.         /   /       |    /  ∨   //\   \
.       /  /二ニ=-    l    /\   |  //ニニ \   \
     / / {二ニニニニニニ |   /___Y⌒V/二二ニ \   \
    / /   {二二二二}ニ'  /二ニニ|  ∨二\二ニ、 \   \
.   //    /{二二二二l/   ,二二二|   ∨二ニ∨二〉  \   \
   {{    / {二二二二′  ,ニニニニニ|   ∨二ニ∨/    \   \


 女子トイレに駆け込んで鏡を見る。

 少し走ったせいか、髪の毛が乱れてしまっている。

 バッグから櫛を取り出し、乱れた髪を整えて行く。身だしなみを整える道具を携帯するのは女の子の嗜みだ。


 「油断したところを見られるわけにはいきません」


 もちろん大会に来ている以上はある程度は整えているのだが、それとこれとは別だ。

 ちゃんとした場所で見てもらう格好と好きな人に見てもらう格好は別の話。

 こんなことならばもっと可愛い服を着るべきだったかとも思ったが、さすがにそこまでの用意はない。


 「お化粧にも力を入れましょう」


 バッグから化粧道具を取り出して口紅と眉を整えて行く。

 あまり待たせるわけにもいかないから急がないといけない。

 それでも、少しでも可愛く見られたいのだ。


 「〜♪」


 理由はわからないけれど、あちらから会いに来てくれた。

 きっと宮永咲の計らいだろうが、それでも嬉しい。


 「宮永さん。

  うーん、咲ちゃんの方が可愛いですね」


 メガンのことをメグちゃんと呼んでいるように、明華は意外と人懐っこい。

 片岡優希タイプとは少し違うが、親しく呼ぶのを好んでいる。


 「いいお友達になれそうです」


 そう言えば宮永照の妹かもしれないという噂があったが、明華にはどうでもいいことだった。

 どんな理由にせよ、ーーそれが例え付き合っている報告であってもーー日本人の知り合いにそうしてもらえたことが嬉しかった。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/12(木) 19:34:13.00 ID:bLxaTMkeo<>
 10/10


 ……
 …

 「お待たせしました」

 「メグさん、俺より身長デカいな」

 「そう言えば明華が貴方が私と同じくらい大きいと言っていましタネ」

 「えっ?

  俺、あの人と知り合った覚えあったっけなぁ。人の顔を覚えるのは得意なんだけど……」


 気づけばなぜかメガンと親しくなっている意中の人。

 思わずーー

           /  /  l |   / l: / | |       / l  /| | :|     |  ||  l \
             /   :l |:  /  :| | | |:      / / /-l/  |:   /  :||  | \\
.   し い い 殺   /|   l |  ′ x==ミ i|     / //=ミ   |  /   ||  |  ヽ ヽ こ
  れ い っ. し.  ′    l | | / '⌒ヽ 八   //   '⌒ヽ\.ノ  /    ,゙| /   } } れ
  ま か た に  { ∧ 八八 | {{|::::::::: |   \ {     |::::::::::::| 》 イ   //イl   / /  は
  せ も ほ     ∨ ∧  \\ 弋 ⌒ソ    \    弋.⌒ソ  /  / i||', _/ ´
  ん   う     \、_ \  \    ̄     ,      ̄  /_, イ   ||‘,
  ね  .が    / / ̄   \  \                 ̄/ /|   i|| `、
            / /    / \  ヽ               / イi |   i||   `、


 なんて思ってしまうのも乙女だから仕方ない(断言)


 「何だか寒気が……」

 「明華さん!」

 「は、はじめまして!

  須賀京太郎って言います。(すげー美人!)」

 「はい、雀明華と言います」


 最初に言う言葉は、ずっと前から決めていた!


                 ,...:'.´へ\ ,..-、____
                //'"´ ̄ ̄´ ̄`ヽ、ー-、ヽ、
             _// / /  ハ   、  \ ヽヽ
        ,..-‐==ニ二ノ   / /  / }.i  i i 、 ゙、 ヽ、`ヽ
      /   _,...:'´,..イ  // / ,イ}  }.!  |.ハi i ゙、 ゙、\
      し,....:'´,...:',.イ {! i.ハ .ハハ {´` !ハ ハ|_ !ハ  ゙、 ij、 ヽ、
      /-‐'"_イ .//λ { i′-、!j__.,,  } / _!.`トjハ  }、 i | 、 i
     /'"/´  //i // i`! |     ゙̄`::::レ::..    jハi ハ|i }ノ| ヽ .!
      { /   // レ//^|! | |         :::ヽ=,、/ 人.| }ハ.!  リ
.    {(   //{ |! i 、_|!. | |    r―-.、     {ィ''" | !|  !|
     i:! / / ! V //!|. i|   !  `V    ハ 、!||  リ
     ゝ' / / \V/ |.| .| |\  `ー-'′   ノ  i  iリ    「あなたのことを、尊敬しています!」
   / / __./_  )メ .!.| .! !. ` 、_    ,..イ  i  i  |
 / /,.::┴\\、 ̄ヽ!| トi |    `T ´|  |   i  i  |
'" / /::  '" ::.\\、 | | .i !、    〈-、 |  |  i   i  |
./ /::     ::ヽヽ!\、!ト、.| ! \_,..---、 \_i!   丶 丶゙、

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /     「なんで……?」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2017/01/12(木) 19:35:04.51 ID:bLxaTMkeo<> メグちゃんAAが一つもなかったよ…
今更だけど呼び方不明のキャラは推測して捏造してるけど許してね。原作も日和も初美→霞すらないんだよ

>>944
何度も姫様リクしてもらってたし、単発ならなんとかしてみる
姫様はどっかで見たようなワンパターンしか浮かばなくてな…


・次回予定
綺麗な姫様?と京太郎のお話
久しぶりのアコチャーによる女子の闇についての講座、クリスマス編 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/12(木) 19:40:04.39 ID:uWchEkdgO<> 乙
この世界線のガイトさんが気になる
そして明華のメンタルケアの為に恋愛相談にのるアレク監督(のど憧枠)と言う電波が <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/12(木) 19:56:12.34 ID:+glsQk6uo<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/13(金) 00:35:21.48 ID:jPmoEXAk0<> 乙です
これも続きが気になるな
単発だともったいないな(次元に昇格) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/14(土) 03:19:08.73 ID:dbaCjdXW0<> 京桃次元で和、憧、はやりん、すこやんの蠱毒 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/15(日) 01:53:29.26 ID:qub3vZaf0<> 京きれいな姫様次元で許嫁 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:51:06.95 ID:F7OfiJTko<>
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 【京ちゃんの休日】-みやながけ次元-  ※某所に投稿されたイラストが元になっています


 今日は休日。それも珍しく誰かのお世話を任されなかった。

 いつもならば休日は咲や子供達との家族サービス、それがないなら照さんの相手、それがなければ界さんたちの相手。

 別に嫌というわけではないが、誰かと一緒にいることに慣れていたようだ。

 咲に『今日はゆっくりしていていいからね』なんて言われても、体を動かさないと鈍ってしまう。

 ちょっと前に『最近お腹が弛んできたね』なんて言われたのも相まって、子供達を連れて外に遊びに行くことにした。


 「パパー!」

 「おっ、いいぞ。もっと強くてもいーぞー」


 河原でキャッチボールなんてしてみる。

 なんだか感慨深い。俺も父親とやっていた時は、父親はこんな気持ちだったのだろうか。

 もう二児の父親だと言うのに、未だに自分は子供の時の心のままで。

 もしかしたら自分の親たちも背伸びしていたのかもしれない、なんて考えた。

 そんな親は子供の立場から見るととっても大人っぽくて、全く気づかないのだけれども。


 「いやー、俺と違って才能ありそうだなー!

  麻雀もスポーツも強そうだし」


 親バカと言われようが気にしない。

 実際に娘は麻雀の素質があるし(お隣さんに習っているらしい)、息子は運動神経がいい。

 娘に関しては界さんと、『アイさん照さんに続いて三代でプロ雀士になれるかもしれませんね』なんて酒飲み話をしている(細かいことを言えば照さんの娘ではないので親子三代というには語弊があるかもしれない)

 娘はあまり体を動かすのが好きではないのでついてこないかと思ったけれど、ビニールシートに座ってこちらをじっと見ている。


 「一緒にやるか?」

 「……」

 「そっか」


 ずっとこちらを見ているけれど、誘ったら首を横に振るだけだ。

 見ているだけで満足なんて、咲に似てるなァ。

 休日の父親にわざわざ付き合ってくれているという事実だけでも本当にいい子なんだよ!

 逆に息子は走り回って俺に向かってくる。息子の相手もとても楽しい。


 「いやー、久しぶりに体動かすとたのしーな!」

 「きんにくつーにならないでね!」

 「……息子にこんな心配をされるとは」


 最近、頑張りすぎると筋肉痛になるんだよな……。

 主に腰とか。なんで腰かは言わないけれど……。咲のせいだし……。


 「おっ、ちょっと待ってくれ。

  咲から連絡が来てる」

 「うん!」


 帰りになんか買って来てほしいとか、そんな感じだろうか。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:51:42.60 ID:F7OfiJTko<>
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        ,. . . -――- . . .、
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  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
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  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
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  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :}\ノ    『京ちゃん、ここどこ?』
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ( ヽ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ .|てヽ)
    ヽ{\ : : _      ̄   , イ|__|てヽ)
       `^≧|   ┬ァiフ¨  {|___| ノ
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /     「咲、お前なァ……」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >



 どうやら俺の休日は終了したらしい。

 こうなるなら最初から出掛けなかったっつーの!


 「えー、今日は出掛けないじゃなかったのか?」

 『ちょっと遠くのスーパーでセールをやるらしくて……』

 「その時点で俺を誘えよぉ!」

 『だって今日は京ちゃんを休ませてあげたかったんだもん!』

 「結局ダメだったじゃねーか」

 『うぐっ』


 気遣いはありがたいけれど、迷子になってちゃ世話ねーよ。


 「心配する方が大変なんだってば」

 『ごめんね』

 「あー、俺も言いすぎた。迎えに行くよ」


 あまり言いすぎると機嫌を悪くするだろう。

 とっとと迎えに行くのが吉だ。


 「んで、どこのスーパーに行ったんだ?」

 『あの、電柱の近くの……』

 「それでわかる奴はいないからな!?」


 俺は咲と再会できるのだろうか。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:52:11.13 ID:F7OfiJTko<>
 3/10


 「というわけで、おかーさんを迎えに行くぞー」


 電話を終わらせ、子供達相手に振り返る。

 しかしそこにはすでに子供達は居らずーー


 「ヤバい! こっちも迷子か!?」


 なんて思ったけれど、少し離れた場所から息子が声を出している。

 娘の手を握り、こちらに向かって走ってくる。娘は半泣きだ。


                _  -‐==‐-
             /. . . . . .      `
   -‐==ニ二      ‐‐- _         `ヽ
       /                : . . .
      /  /  /          `ヽ  : : : :
       /  /  .i     .ト           : : : . __ニ=-.
      ./ . :/    |      | ヽ      : : : :\
    / . :/    {      i‐-ヽ     : : : :._\       \
    ./  .: :{   i  ',       ! ___\   .: : :/ ヽ:\: : :ニ=- ̄ 
   /   : : :|  i : :|     | |≠r:::rュミヾ  i{ .ハ ∨:∨ミ、
  ./ /|: : :i  :.{ : : !`ヽ    !|  {つ:i!::::} `ヽ| 〉j. 〉: : :}     「つかまえといた!」
 //  |: : ', : :i: : :!ニミヽi\{   乂zzソ     /|: : !|
      |: :i:ヽ : ム:.:|fっi!:}             {: :i : :|‐-─ 、-
        |: ト: : \ヽ|匁ソ ,            / i/| : :|:.:.:.:.:./  ヽ
      |:.| }: : : :ゝ          ‐-    /   !/i|:.:.:/    i
        t|ノノ~|/Vハ    くi    ノ /.     ヽ/       |ゝ、
              \    -‐  /. :    /          ヽ
                >‐──.、. : : :.   /        -‐‐、  /


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              / 〃7/:::::::::::::::::/::::::/7:::::从::::: |ト::::::::::i:::::::::::::::ハ
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            / j:::::::/:::::::/__::/  |{ |:::i  i:::ハ.∧:::::|: i:::::::i:::::|l
             { /:::::/:::::/i{  |{ ̄~|圦:::; i/ j/-j::::/:::|::::::il::: |l
                /7::::i::::/ ィ 弌ト、.   乂/'-/=ミ::/ j::i:::::::|l::::リ
          _ / |{::::ト::{〈 ら:::::::}`     ´んぅト/ /!::::::リ::/
.               八:::|从とつー '        ら::::/ 〉 ::::;:イ:::{   「ムー……」
              >、 } 〃〃   ,   ` ーrっ// ノ::八
                 /⌒              〃〃/}_rくノ )}
             /::::::::::/\   ^ ` 〜 、    / >=へ
                {:::::从:{   >        _  < /:i:::::::::::ヽ
                  ゝ:::(八    _}>-=≦/{_    {八::::::::ハ::}ト
                   /i |   `>/::::\    }::/ レ'
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              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人    「ナイス!」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|


 ーー息子が俺に似ていて良かった!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:52:40.04 ID:F7OfiJTko<>
 4/10


 ……
 …

 「はい。咲を確保しました」

 「かくほー!」

 「子供の前で迷子になってたみたいに言わないでよっ!」

 「迷子になってたんだよ!」


 憤慨する咲をスルーしつつ捕獲する。

 ちなみに俺は娘の手を握っているので、咲の確保は息子の役目だ。

 咲一人で歩かせるよりかは息子の方が安心するんだよなぁ……。


 「せめてさぁ……。

  なんの駅の前にいるとか言ってくれればいいのに」

 「うぐっ」

 「最初は『電線にカラスが三羽いる』で、次は『犬小屋の前にいる』で、その次は『犬が吠えて来た助けて!』だぞ……」

 「こ、怖かったんだもん」

 「そこじゃない。突っ込んでるのはそこじゃない」

 「こ、子供の前でなんてこと言うのっ!」

 「その発想はねーよ!」


 なんだろう。和の家によく行くようになってから咲の脳内ピンクっぷりが増しているような。

 まぁ元々むっつりスケベなんだけどな。文学少女ってそんなもんだろ。


 「なんか今、いろんな人をバカにしなかった?」

 「気のせい気のせい」

 「ムー!」

 「はいはい。今日の咲は俺に頭が上がらないだろ」

 「ぐぬぬ……」


 拳を握りしめて唸る咲をじっくり見つめる。

 ……うーむ。


 「どしたの?」

 「なんでもないよ」


 クッソ、やっぱ可愛いなコイツ。

 色気もなんもないと思ってたけれど、素朴な見た目に口紅のギャップ。

 それに童顔なのも相まって、さっきの動作があざとくない。

 子持ちの人妻とは全く思わないだろう。それもまたなんだか興奮する。

 あれ、俺ってこんなに変態だったっけ?


 「違う。俺は未だにおっぱい好きだ!」

 「なんでいきなり喧嘩売ってるの?」


 あっ、口に出てた。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:53:08.66 ID:F7OfiJTko<>
 5/10


 「しかし、何を買いに来てたんだ?」

 「おつまみとか色々。

  今日はおとーさんもゆっくりするって言ってお昼間からお酒飲んでるの」

 「わざわざ遠くのスーパーまで来なくていいじゃん」

 「うぐっ」

 「おっ?」


 咲が唸る。どうやら何か企んでいたらしい。


 「だって、今日なら迷子になっても京ちゃんが来てくれるし」

 「ああ……。平日なら行けないからか……」

 「うるさいよっ」

 「俺はハギヨシさんじゃねーんだからな……」


 龍門渕の衣さんからGPS扱いされても眉一つ動かさない年上の友人を思い出す。

 あの人ならこんな面倒にはならないんだろうけどさ。


 「知ってるよ。京ちゃんはダメダメだもん」


 なんて言い出したのでーー


         ,  ´    /V    <⌒`
        /,     /   ∨      ̄\___
       ' /       '     ∨   、 < ̄ ̄´
       / /    ,  |      V   l | V \
     '  .'  / l |  | l     | } 、 | }  、`
     |  |  { |{ |  {∧ l   |//V /   \
     } ∧ ∨从>-、从  |'___}イ }、r----
     /イ' 从 {  =====∨\ }  ̄  |ノ `\   ____
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      |////////////////////乢\  `ヽ、:.:.:У     ,:⌒V:∧: :{
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 適度にお仕置きしておくことにする。

 ったく、昔っから俺相手にだけ強気なんだからなぁ。


 「もう、乙女心がわかってないだから!」

 「いきなりバカにされて乙女心も何もないだろ」

 「そんなところがダメダメなの」

 「理不尽だ……」


 一体どう言うことだ?
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:53:37.82 ID:F7OfiJTko<>
 6/10


                   ______
             ,. : : : :´: : : : : : : : : : : : : `: :.、
         , . : ´: : : :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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            /: : :|: : : :/_ l: |: : : |: : : :`ヽ、: : : : : |: : :|
           |: : /|: |ィ´斧ミ从: : ∧:{、 : : |:|\: : : :': : :.'
           |: /イY:{ 比::(_,   、{ ィ斧ミ:/:|:|: ヽ: /: : /
           |'  |:/|、|弋zソ     ん::::(_ ∨:}: : :/: : /
            |Y :.:.:.:  ,  弋こソ l/|: :イ: : ,    「完璧な人相手だと緊張しちゃうもん。
              人   、     :.:.:. /: j' ,ノ/:/
                、    ´    ム:イ-' /:イ      京ちゃんといる方が安心できるよ」
                / ::`:::-,--==≦「イ:/:イ
              { {:::::::::∧  , -┴::::ヽ
              | ∧:::::/ ノ /:::::::::::::::::::::\
              | {:.:.、/¨/:::::::::::::::::_::::::::::\
              | Y:{/::::::/´>----、\::::::


           ,  ⌒ ー   ̄ ̄  、
         /_,. -            \
        /´ /     /⌒\      ヽ
        , ´ ,         V     :.
       /  /  /  / /      | V : V |
     /-- ´' / /  / l|{     | l| | | {
        / イ  {  ':|_,斗| |  、_l__/_ィ  |l∧
         /  ,: ∧ | {∧{ {  、 /}/}/ } /∧|
       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/    「……お前なぁ」
               从      '     八/
           -〈〈/\  v-っ  イ》く__
        /////∧\} > -- < |//}///> 、
       /////////\}     「/〈////////\
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   {//{////////////〈 ∧    }///////////////////}
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 「なんでため息!?」

 「いやぁ……」


 公道で何言い出してんだ。照れたじゃねーか。

 思わず照れ隠しで顔を背けてしまう。ったく、子供もいるってのに。


 「ほら、帰るぞ」

 「あっ、まってよ京ちゃん」


 そんな風に俺についてくるところは中学時代から変わってねーな。

 なんだか嬉しくなった。

 ま、コイツの迷子はいつものことだ。

 さっさと忘れて家に帰って、一件落着ってね。


 「……って、アレ?」

 「どしたの?」

 「照さんから連絡だ」


 今日はちょっと出かけるって言って朝から何処かに行っていたんだけれどーー。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:54:06.62 ID:F7OfiJTko<>
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       -─===‐-ミ
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人_    u              j.: .:|
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'   『京ちゃん、ここどこ?』
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /     「照さんェ……」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 ーーあ、これ休日潰れるパターンだ。


 「あのですね。

  せめて県名はわかりますか?」

 『京ちゃんは失礼。多分長野県にいる』

 「多分ってなんなんですかぁ!?」

 『ちょっと電車に乗ってうとうとしていた』

 「やべーぞ。県外まで出てるパターンだ」


 長年の経験で照さんの移動場所を考える。

 ーー咲と違って県外まで出るから想像できないんだよっ。


 「一先ず咲と子供達を家まで送ってから迎えに行きます」

 『咲?

  確か京ちゃんは子供達と出かけているんじゃない?』

 「咲が迷子になっちゃいまして、迎えに来てたんです」

 「ちょっ、京ちゃん何言ってるの! 言わなくてもいいことだよっ」

 『もう、咲はいい年して……。誰に似たのかな?』

 「おねーちゃんの方が年上だからねっ。

  おねーちゃんの妹だからねっ!!」


 微笑ましい姉妹喧嘩は放っておいて、マジで迎えに行かないと休日が終わっちまう。

 まぁ、この二人が仲良くしてるのを見るだけで、悪い気持ちじゃないけどさ!
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:54:35.02 ID:F7OfiJTko<>
 8/10


 ……
 …

 「京ちゃん、ありがとう」

 「どういたしまして」


 結局、照さんは県外に出ていた。

 電車に乗ったはいいけれど場所がわからなくて降りるに降りれなくなったらしい。


 「終点で降りる予定だった」

 「山手線に乗ってましたからねぇ」


 ぐるぐる回り続けていれば止まるわけもない。

 と言うか、あんな難解な場所に照さん一人で行かせるのは無理があるだろっ!


 「どうしてまた、出かけたんですか。

  言ってくれればついて行きましたよ?」

 「今日は疲れてると思って、ゆっくりして欲しかった」

 「いやぁ……」


 迎えに行く方が疲れるとは言わない。須賀京太郎は空気の読める男なのだ。

                     ____
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      ̄  {〃  Yィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /     「照さんのためなら、へっちゃらですよ?」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧


                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、
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           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Y : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /    「……っ」
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'

 俯いてしまった。

 さすがに大人のプライドを傷つけてしまっただろうか。いやぁ、今更だけどさ……。
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:55:04.41 ID:F7OfiJTko<>
 9/10


 「そ、それじゃ少し付き合ってくれる?」

 「いいですよ。

  どこに行くんですか?」

 「えっとね。

  このチラシのお店の限定ケーキを買って帰ろうと思って。家族で食べたかった」

 「限定って。さすがにもう売り切れているんじゃないですか?」

           -‐──‐-
       . ´          `ヽ、
      /
     /                 ,
   / /   /|    ト、        ′
 ∠._/   / i|    i \      〕
    〔  |/ 八〔\ .'   \   /
.     |∧ :| ┯:┯  V ┯:┯∧ /   j
    ' ∧|  乂ノ     乂ノ   ∨、   |
.     /:X         ""  ノ   |
    /::::入_           _  < / /| /   「宮永照名義で電話したら特別に取り置きしてくれた」
  /\ /∧ノ  へ ̄ ̄/  \リイ/ / 〔′
   ̄\\  r‐'   \/  //\ /
     \ヽーヽ └─ー/─'  \
      丶ー|   〉 〈   |  〈
           |  .〈∧/    !__/
           |        | |

    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Y              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从   「(こう言うとこ、咲より強かなんだよなぁ……)」
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/
            、__   ´    } イ从/
               |        |/
              「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
              |//l|     |//////// 、
        ,. <// ∧      |//////////> 、

 「どうしたの?」

 「いいえ、なんでもないですよ。

  それじゃあ行きますか」

 「うんっ」


 照さんが元気よく返事をすると、俺の手を握って来た。


 「ま、また迷子にならないように」

 「そうですね。掴まっといてください」


 うわぁ照さんの手すべすべ! 咲にそっくり!

 ちょっ、咲浮気じゃないからな!? これは迷子にさせないためだから役得とか考えてねーからな!


 「……って、アレ。また電話だ」

 「誰から?」

 「界さんですね」


 家で飲んでるはずだし。なんかあったのかな?
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:55:33.05 ID:F7OfiJTko<>
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        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!    『京ちゃん、ここどこ?』
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
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     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Y /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \   「界さんまで何やってんすか!?」
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、
////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\


 全く、この一家は!

 いや、俺も一員だけど!


 『いやぁ家で飲んでたら記憶がなくなって……。

  気づいたらこんなところに』

 「あー、帰りに迎えに行くんで場所だけ教えてくださいよ」

 『場所って……。それがわからないから電話してるんだ』

 「じゃあ何か目印になりそうな物とかないですか?」

 『目印かぁ。暗いし雨が降ってるからよくわからないんだが』

 「暗い? 雨が降ってる?」


 ちょっと待て、どこにいるんだ? 今日は雨なんて降ってねーぞ?

 果てしなく嫌な予感に包まれる。


 『おっ、なんだかお隣さんが注射器を横に並べながら麻雀してるぞ。

  俺もいっちょ打とうかな』

 「界さん、まずはその家から出てください」


 もちろん、優しいお隣さんたちによって界さんは家に届けられました。

 ちなみにこの後アイさんからも迷子連絡が来た。アイさん、さすがにドイツにはすぐに迎えに行けません。

 さて、今度こそこの日の話は終わりだな。


 ーーえっ、何か足りない気がするって?
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◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/16(月) 21:56:02.15 ID:F7OfiJTko<>
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 ……
 …


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     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|//// 『京太郎くん! 人生の迷子になったんで迎えに来てください!』
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
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       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :
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                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
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            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Yム    -  -    イ //    「あぁ、うん。今行くわ……」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2017/01/16(月) 21:56:41.47 ID:F7OfiJTko<>  総合スレに投下されてこのスレを見て描いたというイラストに感動。すごく可愛かった
 あっちで反応していいかわからなかったので、こっちで絵をイメージしたSSを投下

 次スレ
 【咲-Saki-】京太郎「ハジメての約束」咲「みやながけは!?」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484570848/


 埋まったら次スレ行きます
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/16(月) 23:40:43.69 ID:hLOV3/i2o<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/17(火) 00:11:35.79 ID:EuLu2qSKo<> 乙
次スレタイトル、これは期待していいかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/18(水) 03:16:54.56 ID:FyQsVeQ70<> のどあこ次元IFで京ちゃんと宥ねぇが幼馴染 <>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:16:02.67 ID:0o0ilIvEo<>
 1/10

 430
 【きれいなのどっち】-単発次元-


              -―‐-
        _/          \_
          /::/┐ / /lli i| l l| li ヽ ∨:::}
.         〈_/:::l:|〃〃lli i| l l| li l ll ∨}
.         /|::::l:li|八从{川リ リ从川  |::{
.       〈| {__:l从芋苅`l/l/芋苅从 リ∧
        |  | 〈|乂ソ    乂ソ厶イ l ∧
        |  | l人 ''   _    人 | l| ∧       -―――-
        |l  l| | |≧┬‘ '┬≦i  l| l|\∧  /
        |l  l|_| |-‐'」__  _i`‐- _」 l|\\ /
        || -{|| | ∧______|   |||\__/
        リ/ ||| |  ∧  ,     |||  |\   で  同   i  そ
.       // l ||| |   ∧ /    ||| l|  }   き 性   P   う
       // ∨ リ |____,∨______,||| リ  |   る の   S   い
.      /∧   ∨ l|    }大{      ∨  _|   ら 間   細  え
    /人__ /   リ__,// ヾ ___ |/| |   し で    胞  ば
      / /|/  /   {/   }〉    |  ||   い も.   と
      | l / /|              |  i l|   で 子   い
      | / /  |               | | ,.   す 供   う
      |{ {   |    \         { |∧     が  の
     八\\,|      \     {∧ | l ∧        で
.     \_| \\___       __,ノ | l ∧
.        |  /ヽ{:.:.:/:.:.Τ:.:Τ:.:.:|:.:.|:.:\| | { ∧
.      /| ,:.:.:/:.:./:.:.:.::|:.:.:.:|:.:.:.:|:.:.|:.:.:.:.:\ { { \


 和は時々突拍子も無いことを言い出す。

 本人なりのギャグのつもりなのか、本気なのかわからない。

 そう言う時の和はいつも真顔で、その心までは覗けないからだ。


 「のどちゃん、ドン引きだじぇ」

 「そうですか?」

 「ま、まぁ好みは人それぞれだし」

 「京太郎ー! それはセクハラだじぇ!」

 「ぎゃあ」


 どうツッコミを入れたものか考えていると、優希に体当たりされた。

 うーむ、あちらから下ネタを振ってこられるとどーしていいかわからん。

 男同士ならいいんだけどなぁ。


 「女性同士でもそうですが男性同士だとどうなるんですか?」

 「お、俺に聞かれても……」

 「のどちゃんのどちゃん。それ以上は京太郎が困るじぇ」

 「ダメでしたか」


 まさか優希に救われることになるとは思わなかった。

 和は本気で気になって聞いているんだろうか、俺をからかっているんだろうか、全くわからん。

 こう言う話をする時の和は一切照れがない。いつぞや弁当を褒められた時は照れていたのに。

 意外と下ネタ好きなのか?

 それなら無表情って言うのはちょっとおかしい気がするけど。

 かといってニヤケながら下ネタ話をする和は想像できないんだよなぁ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:16:31.58 ID:0o0ilIvEo<>
 2/10


 「それはそうと、須賀くん。

  昨日渡した教本は読みましたか?」

 「えっ。

  あー、まぁ、一応……」

 「そうですか。

  なるべく早く読んでくださいね。わからないところがあれば教えますから」

 「善処します」


 心がチクりと痛む。実はまだ読んでいない。

 忙しい中、善意で麻雀を教えようとしてくれているのに雑用を言い訳にしてサボっているのは良くない。

 良くないとは思うが、男子高校生としてやりたいことがたくさんあるのも事実。


 麻雀に全てをかけている和たちと違って、俺は麻雀をお気楽にやっている。

 きっとそう言えば優希たちにはどうとも思われないだろうが、和には失望されかねない。

 清澄高校麻雀部の輪を乱したくないと言う理由と、和に嫌われたくないと言う理由で黙っているけれど。


 「また雑用をしているんですか?」

 「俺は男だしね」

 「みんなで分ければ男女関係ありません。

  私たちにも言ってくださいね」

 「そんなこと言われると頑張っちゃうんだよなぁ!

  和は優しいなぁ!」

 「そうだじぇ!

  のどちゃんは天使だ! 私の嫁だ!」

 「ゆーきったら、もう……」


 ニコリと笑いかけてくれる和に癒される。

 俺が雑用をやっているのは女子ばかりと言う少しの居心地の悪さを誤魔化すための方法でもある。

 みんなは優しいからあまり気にしないでいてくれているけれど、やっぱり気まずいものは気まずい。

 この前、女子会でケーキバイキングに行くときに当たり前のように俺を誘ってくれたのは嬉しかったけれど気まずかった。

 一回目はなんとか逃げたけれど、わざわざみんなでお金を出し合って二回目を企画してくれたんだから頭が上がらない。


 「でも、雀卓を担ぐのはやりすぎですよ」

 「アッハッハ。ちょっと調子に乗っちゃって」

 「雀卓が壊れたら危ないです」

 「雀卓の心配!?」

 「雀卓は高いんだ。京太郎の体よりな!」

 「ヒデー!?」

 「保険も効きませんしね」

 「和ぁー!?」


 和は意外とこう言うボケにも付き合ってくれる。……ボケだよね。本気で言ってないよね!?

 お堅いイメージがあるけれど、意外とお茶目なのが和なのだ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:17:00.65 ID:0o0ilIvEo<>
 3/10


 だからきっとーー


. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、
: :l{: : : :|!| i'  ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i!   i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : |  ‘ ━ ’        ‘ ━ ’ '://: |
: : : : |                 ,':´:!: : . .!   「そう言えば結構前に、STAP細胞のニュースで……」
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ      凵@    .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/      7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\   ∧:::::::::::-.:_//'   !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ  ヽヽ::::::::::::|!`!    |: : !: : : : . | リ

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /   「(冗談、だよなァ?)」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 こう言う話を振ってくるのも、悪意がないはずだ。

 もしかして俺、牽制されてる!?

 仮に和がそう言う嗜好を持っていたとして、それはとても残念だがもう仕方ない。

 だが、良く考えればもう一つの可能性に行き当たる。


 『私はそう言う趣味なんで、須賀くんは勘違いしないでくださいね』


 と、適当に勘違いしないように釘を刺している気がする。

 前に優希から『和の夢はお嫁さん』なんて聞いていたし、そっちの可能性が高くなってきた。


           ,  ⌒ ー   ̄ ̄  、
         /_,. -            \
        /´ /     /⌒\      ヽ
        , ´ ,         V     :.
       /  /  /  / /      | V : V |
     /-- ´' / /  / l|{     | l| | | {
        / イ  {  ':|_,斗| |  、_l__/_ィ  |l∧
         /  ,: ∧ | {∧{ {  、 /}/}/ } /∧|
       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/     「(高嶺の花かァ……)」
               从      '     八/
           -〈〈/\  v-っ  イ》く__
        /////∧\} > -- < |//}///> 、
       /////////\}     「/〈////////\
      /////////////|--、  r-|/ イ//////////\
    //////////////∧、__「//////////////// \
   {//{////////////〈 ∧    }///////////////////}
   |//|/////////////V/\ //////////////////'//|


 わかっていても、ちょっと残念だ。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:17:29.46 ID:0o0ilIvEo<>
 4/10


 ……
 …

 ・京太郎と別れてからの二人


              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
     . : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈
.     / : : :/ : : : :/ : : : : !: : |: : : : : : : :〈i:i:〉
    /:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|
.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :
.  ,: : : : : :|: Y斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|
  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|    「どうですか、ゆーき?
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |     今日はかなり話が盛り上がったと思いますよ」
::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|


   / : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : /     | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
.  / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト .,   | : : |  |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
.  .: : : / : : : :   | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ.  |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
  ′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト,   |/  .斗=ミ|::| : :W ∧:: : :::|
 | : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈  {h:::iノ }       ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
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.  \八|  |:: :::|: : : : : : : : :,   .,.,.,.      , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
       |: :\! : : : : : : : : :,              ,.,.,  : : : : |/
       |: : : : : : : : : : : : : :,     ゝ    ,      } : : : |
       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/     「0点だじぇ」
       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨


ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ    ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「丁ヽハ:!:!: !:  }
-ィ: : : |_,'_,,|-‐''/ / / .}: : /.|: :|: |:::/. }:|:|:. リ !.|. ト.、   ,. ──‐、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //.  /: :/ !: :!/!/  !从:/|:.| !∧冫 //´ ̄ ̄ヽ',
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′   U     } }
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂. ′   ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!            , ,' '
:γ⌒Eヽ弋二;;ノ       ゝ-.″ | }: : : :|         //
',:{ :::`    ::::::::::::::     、  ::::::::::  レ′ : :!.        { !
..',\     ::::::::::              ノ:   ::::!           U
: : :| `ー´\       ,. ,      / !:! !  !
: : :|.     ` 、          ./|: :. !:! !  ::!        ◯
: : :|         }`   .. __ , イ  |::|: |:|: :|  |
: :: }     ィ‐┤.        ├ .、|::|: |:|: :|  {


 「なんでですか?」

 「わかんないのかー。そうかー」
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:17:58.80 ID:0o0ilIvEo<>
 5/10


 今日も須賀くんといっぱいお喋りできて満足です。

 須賀くんは私にとって『初めての男の子のお友達』です。

 今まで女子校を多く経由し、転校ばかりだった私はとても友達が少ないです。

 しかし、そんなことを気にせず須賀くんは私に話しかけてくれました。

 最初こそ見た目のこともあって怖かったのですが、ゆーきと楽しそうに話す須賀くんはとても優しい人でした。

 その輪に私も混ぜてもらうと、今までにない充実した日々を過ごすことができました。

 そのことをゆーきに話すと


 『なぬ、和ちゃんが京太郎に興味を持っているだと!?』

 『ええ、彼と一緒にいるとなんだか落ち着きます』

 『ムムム……、和ちゃんが恋する乙女になるとは』

 『恋、なんでしょうか?』

 『よーし、ゆーき様が一肌脱ぐじぇ!』


 なんて言い出して、私と須賀くんの仲を取り持ってくれるようになりました。

 最初はゆーきにノせられていた感が強く、好きと言う気持ちも自覚していませんでした。

 しかし、そう言われてしまうと気になって目で追うようになってしまいます。

 まだ自分の中で気持ちの整理がついていませんが、『彼だったらいいな』なんて思うようになったのです。

 それから私は『積極的なアピール』を続けているつもりなんですが……。


 「でも、須賀くんも楽しそうでしたよ?」

 「京太郎は人の前でドン引きしたりしないじぇ。

  割とコミュ力高いし」

 「難しいです」

 「いや、フツーにしてればいいんだじょ。

  なんでiPSとか言い出したんだじぇ」

 「博識の女の子をアピールするべき、と旧友に聞きまして」

 「おう、その旧友ぶん殴っていいか?」


 真顔で言うゆーき。

 困りました。憧の命が危険です。


 「まぁ、のどちゃんは昔からそー言うところあるからなー。

  私にも言ってたし」

 「時事ネタは世間話の鉄板じゃないですか」

 「それ、焼き土下座するようの鉄板だじぇ。

  いきなり同性愛を仄めかしてどーするつもりなんだー?」

 「……どっ!?」


 なんてことを言い出すんですか!?
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:18:27.75 ID:0o0ilIvEo<>
 6/10


 「ど、同性愛なんて非生産的です!

  そんなオカルトありえません!」

 「いやー、今日ののどちゃんは『私そう言う趣味ですアピール』か、『私、あなたに気がありませんからアピール』にしか聞こえなかったじぇ」

 「なんでそうなるんですか!?」

 「男友達とそんな話してたらそう受け取られるじょ。

  いや、フツーはドン引きされるじょ」

 「では、どんな話をすればいいんですか?」

 「フツーに私と話していることを話せばいいんだじょ」

 「ゆーきと話していたことじゃないですか」

 「のどちゃん、天然だなー」

 「?」


 ううっ、ただ話が盛り上がればいいなって思っただけなんです……。


 「そもそもなんでそんなこと言い出したんだ?」

 「だって、ゆーきも須賀くんも時々ボケに走るじゃないですか」

 「うん」

 「私もそうしたほうがいいのかな、と」

 「のどちゃんのどちゃん。

  人には自分のキャラがあるんだじぇ。

  私とか京太郎がボケるのはともかく、のどちゃんがボケても本気にしか見えないんだじょ」

 「そ、そうなんですか。

  私も結構そう言うのは好きなんですが」

 「もうちょっと親しくなってからなー……」


 呆れ果てた目でこちらを見ているゆーき。

 ううっ、仕方ないじゃないですか。

 須賀くんといるとなんだか気分が高揚して、何かを話さなければならないと思ってしまうんです。

 須賀くんもゆーきもとても楽しそうに話すから、私も同じようにーーそう思ってやったんですが。


 「そもそも、私にそんなに完璧なイメージを持たれて困りますよ」

 「その辺はもうちょっと親しくなればわかるじぇ」

 「ゆーきは須賀くんと親しいじゃないですか」

 「あー、仲良くなる速度は人によって違うから……」

 「なんだか焼けちゃいます」

 「(そう言うところを見せれば落ちると思うじぇ……)」


 やはり焦りすぎだったと言うことでしょうか。

 ゆーきの言うことは正論だと思います。私だって理解はしています。

 でも、実際に話すとやはり緊張すると言うか……。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:18:56.28 ID:0o0ilIvEo<>
 7/10


 「あと、和ちゃんは麻雀でも京太郎に厳しすぎるじぇ」

 「そ、そうですか?」


 えっ、その点もダメだったんですか!?

 麻雀は自信がありますし、初心者の須賀くんに教えていれば仲良くなれると思ったのですが。


 「初心者なんだし、1日で読めっていうのも無理だじぇ。

  京太郎が辞めないなら三年の付き合いなんだからもっと気長にやるじぇ」

 「ううっ、でも私の特技なんて麻雀しか」

 「おう、喧嘩売ってるのか」

 「む、胸を揉まないでくださいっ!」


 それも結構失礼ですよ!

 私だってお嫁さんになれるように毎日お弁当づくりをしているんですよ!


 「す、須賀くん、途中で辞めたりしませんよね?」

 「さーなー。

  その辺りは個人の自由だじぇ」

 「うぇっ……」

 「ちょっ、のどちゃん泣くな!?

  私が言いたいのは、もし麻雀を辞めちゃっても親しければ関係ないってことだじぇ」

 「そうなんですか?」

 「おう。

  確かに部活で親しいのは重要だけれど、他にもキッカケがあれば繋がりは保てるはずだじょ」


 ゆーきはそう言いますが、私はそう思いません。

 いざ繋がりがなくなれば人は連絡を取らなくなるもので、自然と疎遠になる。

 私にはそういう経験がいっぱいあります。


 「なんにせよ、早口で麻雀教授は無理があるじぇ」

 「ど、どうすればいいんでしょう?」

 「真面目な話、その胸を押し付けながら後ろから耳元でネト麻を教えれば一発だと思うけどなー」

 「そ、そんな卑猥なことできません!」

 「贅沢だじぇ。出来ない人もいるのになー」


 む、胸ばかり見られても困ります。

 いくら須賀くん相手でもちょっと早いです!


 「そ、そういうことは順序良くですね。

  まずは手を繋いでピクニックに行って、私の作ったお弁当を一緒に食べて、それからーー」

 「のどちゃんは甘いなー」

 「なんでですか?」


 チッチッチ、と指を鳴らすゆーき。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:19:25.67 ID:0o0ilIvEo<>
 8/10


 「咲ちゃん」

 「あう……」


 私とゆーきの共通の友人の名前を出します。

 そう、清澄一年生にはもう一人、咲さんがいます。

 今日は用事があるそうで早めに帰りましたが、いつもは四人で行動しているのです。


 「私はまぁ、どっちかというとのどちゃんの味方だけど、咲ちゃんは強敵だじぇ」

 「わ、わかってますよ」

 「咲ちゃんは自覚してないかもしれないけれど、自覚したらのどちゃんの胸でも勝ち目ないかもしれないじぇ」

 「ううっ」

 「その前に決着をつけないとな」

 「そ、そう、ですね」


 私なんかよりもっと彼の近くにいる咲さん。

 今日私が出来なかった軽口の言い合いも咲さんは出来る。

 冗談を言ったり、ちょっと貶すようなことを言っても笑って受け入れられる仲。

 私もそうなりたいと思って行動しているのですが、距離はまだまだ遠そうです。


     ィ' "´  : (   )   : /:: ./: :  :/|:       \
   / /    :: ∧-彳  : : : : : .: : : : : : : : : :    :   ヾヽ─- 、,
  /  /   ::/:: /:: /  : ://: :: ./ /: ://: /|: :|: }: : !:  ヾ  ∨ミ 、
. /  /  : :::/: 〃::/   :://」__./_/__/./: / .!: :! :!:!: !: : |    ',:  `
 ′  {  : : :{/||,: : i  : : |ナ´|::/ .{:::/ メ:/ ,' /|: |:|: |:|  |. |    ',:.  、 ',
    !  : : :|{::\ :|  : : !  レ′.!/゙// ./::/ .i/|ィ‐ト|、...|. | |..  }:  |ソ
    ヽ{  : {: /: :::|  : : ! イ爪沁ミ、 ∠イ / / j//}:少丿. ! |/::   |
      \: :\: : :!  :i: Kん:::::cソ ゙.    ィ庁ヾ、 レ彡  ノ ./:: :  |
       |>=イ: !  :|: !.ゞー‐″     ん::::ソ./ /ー=彡イ:  |: ノ
.       ',人: !: ト、: :!゙\ xxxx      , ヽ-.″ /: : : :|: :丿: ノ/
         ヾヽ!vヽ'.,            xxxx /: : : :/|ィ゙/,/
            イ゙ヘミ\    `ー〜  Π7ノ: : : :/ハイ     「二人ともウカウカしてたら私が取っちゃうじぇ」
            |V゙\  > ,  ,.ィ゙_,二二つ/j//  '
    _,. -‐──ー゙\  .`´Χヾ/ ´-‐┼|.|゙. , _
   /ー-、, ミ、::::::::::::::::::\  /__/   ─《゙¨::::::::: ̄`.
  〃/∠\\ \.:::::::::::::ィ─/{    /゙u_〉.::::::::::::|::::}


      / : :/: : |: ::|゙: : |:.:.:| |: VM、_|:.: | }: ト、_,.::|: : :ヾ: ',
     ./  /  .! :i! : :N:.:| い: : : !/≧二]/"|´:.:|:. : |: !. !
    /   | |  |: ::|',/ ヽ| \: : |ィ/,ゞ..、\,!: :/: : :i! | :|
    ,' /: : |::{: .: :!:/| 〉|-.     \!" {_::rj::::', :リ/}:.:. ノ|/゙.:|
.   i ィ: : :.∨\"| /,ィうヽ      ィ゙:`::::ソ i} |/: ': : :|
.   |:/.!: : |: : : : |ヽ  {_,ィrj:::',       .`ー‐゙  ./: : : : : : !
    ! |: : |∨: : :ヽ{i ヾ,::::::ツ ::::::::::::::::: :::::::::  |: : : : : : |
     ヽ:.| \: : : \, `" ::::::::::::::::::::::_,,._ ::::::::: |: : : : : : {
.      'j  |: : ̄、 ̄ :::::::::::::: _,,. - "__\   {: : :  :'.,
         !: : : :.ハ.       { ./      〉 ./!: : : : \   「そ、それは困りますっ!」
        .|: : :リ`ヘ.       V     ./ ,ィ=、|: : : : ト、::ヽ
.        |: :  : : :`..、,    `ー  " ./ |/ \: : : . :| i: :}
.        リ: ,': : : : :/: : :/  ー, --‐'    /   ヽ: : ::ヽ ̄ `ヽ
.        /: /: : : : /: : :/: : :/ {/〉,    /     〉,: : : :\   \
       /: /: : : : /: : : _,.ィ={ :|/. !.    /    /| \: : : ::\   }
      /:/ : : ::/_,,.-/ / :| :|: :.   /    / :| | .\: : :  \/
     /:/} : : :/   / / .:| :|_.    /   /  .! !  .\: : :  ヽ,
.  /:/_,/゙:   ::/   / /  :| :|. ` ./  ./   .| | /  \: : : :`、


 あれだけ親しいゆーきが相手じゃ、勝ち目がありませんよ!
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:19:54.24 ID:0o0ilIvEo<>
 9/10

 ……
 …

 色々考えて、インターネットで恋愛相談をすることにしました。

 みなさん積極的に教えてくれて、優しい人ばかりで嬉しいです。

 今日こそ須賀くんともっと親しくなるんです。


 「す、須賀くん」

 「和?」

 「ちょっとお話ししてもいいですか?」

 「お、おう?」


 須賀くんは困惑しているようです。

 思えば彼と話すときはいつも咲さんかゆーきが一緒にいた気がします。

 彼もそう思ってか、きょろきょろと周囲を確認している様子。

 もう、今日は私だけを見てくださいよ。


 「す、須賀くんはまだまだ麻雀初心者です」

 「お、おう。そうだな」

 「やはり一人で麻雀の勉強をするのは難しいと思います」

 「そ、そうかな?」

 「ええ、私も一人で大変でした」


 嘘は言ってません。


 「で、ですから、今週末に一緒に出かけて色々と教えられればな、と」

 「……へっ?」

 「だ、だめ、ですか?」


 ちょびっと上目遣いに彼を見ます。……いや、意図したわけではないんですが。

 彼の身長が大きいから、自然とこういう目になってしまうだけです。


 「ああ、咲と優希も来るとか?」

 「い、いえ、私だけです。二人とも忙しいと聞きましたので」

 「!?」


 実は聞いてませんけど。


 「染谷先輩のところならちょうどいいと思いますし、ど、どうですか?」

 「どうと言われても、俺としては願ったりだけど」

 「そうですか! それでは週末ですよ! メールしますから!」

 「お、おう」


 嬉しいせいで声が高まってしまいました。

 しかしこれは間違いなく私との約束です。彼の性格からして違えることはないでしょう。

 今日は少し早歩きで帰ることになりそうです。
<>
◆Y.lj54HWGU<>sage saga<>2017/01/19(木) 18:20:22.99 ID:0o0ilIvEo<>
 10/10

 ……
 …


 「〜♪」


 家に帰った私はネットの人たちにお礼を言うと、私服を漁り始めます。

 まだ少し週末までには時間がありますが、早めに考えておくに越したことはないはずです。


 「どんな服が好みなんでしょう」


 いつもの私の服はマイノリティですし、引かれてしまうかもしれません。

 前に優希に聞いた時には家庭的な服がいいと言われましたが、家庭的な服ってなんでしょう?

 そもそも私ってこの胸のせいで着れる服が限られているんですよね。残念です。


 「染谷先輩のところ……」


 行く前にちょっと喫茶店でお茶をしてもいいかもしれません。

 ずっと雀荘にいるわけにも行きませんから、他のところに行くのもいいでしょう。

 これはもうデートと言っても間違いないと思います。


     |   \ /ー/ ̄ ̄ ̄`¬: : : : : : : : : : :\
    r'   ー--イ  ト‐‐‐、   /: : /: : : : : : : : : \
    |     ,,,,ト-∧_     /:/: : : : : : : : : : : : : :\
    ト-┬‐‐'' / T\     「/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ゙、
     /     |  \    | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :゙、
    ∠__    /    ヾ-イ: : : :/: : : :/|: : :i : : : : : : : : : ゙、
    Y : \  / ___    |: |: : : :/: : :/ / : /: : :| : : : : : i: i:゙、
    /: : : : : Y:::|_」:::::\_」:| : //: :/ ソ;,; /: : : / : : | : : :| :|: |
.   /: : : : : :/:/ :| : : :| : :| |: :/ | :/   /:/X; :/ /: :| : : :| :| :|
  /: : : : : :/: |:: :| : : : : : | ゙、/ .V _  '' /;;;;ノ  /: :/: : ::/:/: |
  /: : : : : :/ : |: : | : : :|: : |        ヾミ_=@  /: :/.: : :/レ レ'
.../: / : : : : :./:|: : : : : : | : |           イ  ̄/: :./
/: /: : : : : :/: :|: : :|: : : :|: :|    ////////  (  レ
: /: : : : : :/: : :|: : :| : : : | :|             >
/: : : : : :/: : : :|: : :|: : : : | |           ,/      「いつか須賀くんの家でーー」
: : : : : :./: : : : | : : | : : : : |         ,√|
: : : : : :| : : : :/゙; : : ゙; : : : :.\/⌒ヽ ____/ | |
: : : : :./: : : :/::::゙; : : ゙; : : : : :.\: : :|     | |_
: : : : :|: : : /===〉: : ゙; : : : : : : \ |     |_√\_
: : : : :|: : /;;;;;;;;;;;;;| : : : ゙; : : : : : : : \   r「/ /.|´ ト、
: : : : :|: /     |: : : :゙; : : : : : : : : :゙,  | | し | .| |


 今回は染谷先輩の雀荘でも、いつか須賀くんの家で麻雀を教えてあげたい。


 ーー女の子だって、下心はあるんですよ?


 カン!
<>
◆Y.lj54HWGU<>saga<>2017/01/19(木) 18:20:51.40 ID:0o0ilIvEo<>  投下終了
 埋めていただければ幸い <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 18:21:57.78 ID:H5ENGd3Z0<> 乙
きれいなのどっち最高です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 18:49:54.50 ID:RUtB43Kbo<> 乙
うめ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 18:56:14.46 ID:WQmVaVJUo<> 乙!
綺麗(残念じゃないとは言ってない) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 19:19:58.33 ID:kHyOVh6Oo<> こ、こんな綺麗なのどっちなんて>>1のスレにいるわけないじゃないですかやだー!
(いいぞもっとやって下さいお願いします)

あ、遅くなりましたが乙なのです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 19:51:08.52 ID:1gk5THZ5O<> 乙
綺麗なのどっちだと!!アリだね
それにしても世界一位はやっぱり世界一位かww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 19:55:58.66 ID:+kTIfMEso<> 乙です。
きれいな(残念)のどっちかわいい。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 20:35:44.65 ID:uKrlnKB00<> 乙
こののどっちなら結婚しても苦労しないはず。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 21:29:57.13 ID:ip45IobIO<> 乙乙
この次元の未来は約束された勝利か修羅場の二択しか見えない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 21:39:07.63 ID:2g2Fvnl+0<> 乙
相談場所が2ちゃんじゃなかった次元か <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2017/01/19(木) 21:43:36.97 ID:/4MJ9I+DO<> 乙です。
インターネットでの恋愛相談とやらがのどっちスレにしか思えない件。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 21:46:45.65 ID:sW2nESuao<> 乙
タコスがいなかったら汚れてたのかな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 21:46:53.27 ID:zWwNLL0Do<> 乙
綺麗綺麗ってなんだ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/19(木) 21:46:58.35 ID:Ms1aKQI1o<> 乙
1000なら綺麗なアコチャー次元(無茶振り <> 1001<><>Over 1000 Thread<> | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | もうたらい回しは勘弁だぜ
 |_____ _____________
         ∨
    ⊂⊃
   .∧_∧          ,  ⌒ヽ
  .( ´Д`)_        (       ヽ⌒ヽ
  ( ̄ヽ   ヽ_ヽ   /⌒.\ ⌒ヽ    ⌒ヽ
  |. T |      ̄ ̄´ /\ \  /⌒)   ⌒ヽ
⌒ ヽ_ノ、    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  /⌒ヽ   ⌒ヽ
 ⌒ヽ  ⌒⌒ヽ⌒, ⌒ヽ,  ⌒⌒,ヽ ノ⌒ヽ⌒    )
(   ⌒ヽ  ⌒    ,  ⌒ヽ   ⌒ヽ  ,    )              SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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