以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:00:27.49 ID:RVzhTg5lo<>
暗い夜道を歩く、バイト帰りの青年。

その目の前に、突如男が現れた。
しわくちゃの上着を着ており、普通でない、というのは明らかだ。


「待ってたぜ……」

「お前は……!」


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<>男「人を殺しちまった……」 警官「待てーっ!!!」 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:03:30.09 ID:RVzhTg5lo<>
「てめえ、よくも俺の彼女を奪ってくれたな」

「何をいってるんだ。彼女はとっくに君とはもう別れる、と告げたじゃないか」

「うるせえ! おおかたてめえがあいつを脅したんだろ!
 俺と別れなきゃひどい目にあわしてやる、とかなんとかよ!」

「そんなことするもんか!」


口論が始まった。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:06:27.41 ID:RVzhTg5lo<>
「あいつは俺の女だ! すぐに別れろ!」

「断る! 彼女は君の暴力や自己中心さに耐えかね、僕を選んでくれたんだ。
 それを逆恨みするなんて、筋違いもいいところだ!」

「なんだとぉ!?」


青年は気弱そうな外見に反して、理不尽には容易には屈しない、という気骨を持っていた。

追い詰めるはずが、正論と気迫で逆に追い詰められ、男はナイフを取り出した。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:09:14.39 ID:RVzhTg5lo<>
ナイフの切っ先はブルブル震えている。


「さあ、別れろ!」

「そんなもの振りかざしても無駄だ。君こそ、いさぎよく彼女から手を引くことだ」


まるで相手にしない、という風に青年は踵を返した。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:13:02.89 ID:RVzhTg5lo<>
次の瞬間、青年の背中に刃が刺さっていた。
何度も何度も、刺しまくった。

やがて、暗がりでも分かるほどに血まみれになり、道路に倒れる青年を見て、男は我に返った。


「人を……殺しちまった……」


元々、男には刺すつもりはなかった。ナイフはあくまで脅しのために準備した道具だった。
「君の言うとおりにしよう」という言葉がもらえれば、それでよかった。

しかし、青年の毅然とした態度が、男を凶行に駆り立ててしまったのだ。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:18:03.61 ID:RVzhTg5lo<>
とんでもないことになった……と俺は思った。

どうしてこんなことになってしまったのか、俺には分からなかった。
本来なら、俺は逃げるべきではないのかもしれない。


しかし、周囲を見回すと、パトロール中の警官がこの一部始終を目撃していたことが分かった。

俺はすぐさまこの場から離れることを決意した。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:21:31.07 ID:RVzhTg5lo<>
俺は止めていた自転車に乗り、明かりもつけずに慌てて走り出した。

全身に鳥肌が立っていた。



すると、

「待てーっ!!!」

事件を目撃していた警官が、必死の形相でペダルをこぎ、俺を追いかけてきた。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:23:46.93 ID:RVzhTg5lo<>
俺は逃げながら、幾度となく後ろを振り返る。

警官は変わらぬ必死さで、俺を追い続ける。


俺には理解できなかった。

なぜあの警官は、こんなにも俺を追い回すのかを。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/01/08(日) 19:26:30.31 ID:RVzhTg5lo<>
二台の自転車による追いかけっこはしばらく続いたが、
追跡は止みそうにないし、足が痛くなってきたので、ついに俺は自転車のブレーキをかけた。


警官は達成感をにじませた笑顔で俺に迫ってきた。

「よしよし、ようやく観念したか」
<> ◆erenwZ6kWI<>saga<>2017/01/08(日) 19:31:44.78 ID:RVzhTg5lo<>
俺は当然の疑問を口にした。


「ちょっと待って下さい! 俺たちの目の前で殺人事件が起こったっていうのに、
 なんであんたは俺を追いかけてきたんですか?
 俺はあんたがいるから大丈夫だと思って、通報もせず、あそこから逃げたのに……」


この問いに対し警官はこう答えた。


「バカ野郎! 刃物持った殺人犯なんて危ない奴を追うより、
 自転車の無灯火運転を取り締まった方が、安全に手柄立てられるからに決まってんだろ!」





― 終 ―
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/08(日) 20:27:25.13 ID:pDjIsI6ZO<> えぇ…? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage <>2017/01/08(日) 20:28:14.22 ID:nh98M+rW0<> おもしろかった
乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<> saga sage<>2017/01/08(日) 22:16:12.00 ID:lQykXTwTO<> これ日本の話? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/08(日) 23:32:12.82 ID:X5O7IOSqO<> するっと語り手が変わって騙されたよ
おつ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/08(日) 23:38:14.53 ID:OWUV5IrZ0<> 6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 19:18:03.61 ID:RVzhTg5lo

とんでもないことになった……と俺は思った。

どうしてこんなことになってしまったのか、俺には分からなかった。
本来なら、俺は逃げるべきではないのかもしれない。


しかし、周囲を見回すと、パトロール中の警官がこの一部始終を目撃していたことが分かった。

俺はすぐさまこの場から離れることを決意した。

ここで変わったのか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/08(日) 23:47:54.90 ID:X5O7IOSqO<> そこで無灯火運転の男の視点になったんだね
面白かったよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/08(日) 23:52:04.95 ID:2rr7OGHnO<> 「男」と「俺」は別物だからな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<> saga sage<>2017/01/09(月) 11:33:16.17 ID:HJlt8R/aO<> いやいやみんな何言ってんだよ。

「バカ野郎! 刃物持った殺人犯なんて危ない奴を追うより、
 自転車の無灯火運転を取り締まった方が、安全に手柄立てられるからに決まってんだろ!」

って。
後で責任追及されたら手柄どころじゃないだろ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/09(月) 15:51:23.61 ID:301sIvF6O<> >>18
そこにいなかったって言えばいいんじゃね(適当) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/01/09(月) 21:27:40.69 ID:44cdre5Jo<> 警官なら銃持ってるだろ
この間四発も両足にぶちこんだ猛者が現実にもいたし <>