以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2017/04/12(水) 12:08:49.81 ID:WwF48WZV0<>秋の時間が流れる教室。部活のない今日は六時半には学校を出なきゃ。 <br>  <br> ずっと言いたいことがあった。他愛のないおしゃべりで3時間も潰してしまったけれど。 <br>  <br> 改まって言うことでもないのに緊張する。口に出すと現実味が強くなってしまうから。 <br>  <br> でも言わなきゃ。五秒数えたら言う。<br><br>SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491966529<br><>「ウチも、好きだよ。」【百合】
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:09:39.13 ID:WwF48WZV0<> 「ねぇ。えりちはもう推薦決まってるの？」 <br>  <br> 「ええ。まぁ。一般の子には悪いけどね。一応、これは内緒よ。」 <br>  <br> そっかぁ。 <br>  <br> 「大学行ったら、どうするの？」 <br>  <br> 「どうするって。勉強じゃないかしら？あとちょっとの遊び？」 <br>  <br> 二ヒヒと笑うその顔を見つめてしまう。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:10:21.17 ID:WwF48WZV0<> あなたならきっとどこへ行っても大丈夫なのだろう。 <br>  <br> この狭い箱庭から飛び立って、自分の道を歩くのだろう。 <br>  <br> 恐ろしくなった。暗闇に置いてきぼりにされるように感じた。 <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:11:00.50 ID:WwF48WZV0<> どうしたの？と問うえりちに近づく。 <br>  <br> ちょっぴり勇気を出して肩の頭を乗っける。 <br>  <br> ずり落ちそうになって腕を絡める。 <br>  <br> 「寂しくなっちゃった？」 <br>  <br> 「うん」 <br>  <br> えりちを離したくなくて。知らない世界に取られたくなくて。 <br>  <br> いもしない相手に私のものだと見せつける。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:11:38.28 ID:WwF48WZV0<> だけれども、虚しいのだ。向こうの都合でもう決まっている。 <br>  <br> この腕を離したら、深い谷に落ちてしまう。外もすっかり暗くなって帰り道を消してしまった。 <br>  <br> しがみついた。 <br>  <br> えりちの匂いを嗅いで安心しようと努めた。 <br>  <br> 頭にえりちの顔が当たるのを感じる。特に鼻。 <br>  <br> あなたでも、不安に思うことがあるのかな。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:12:29.26 ID:WwF48WZV0<> 「ウチもそれやっていい？」 <br>  <br> 「なに？」 <br>  <br> 「その鼻擦り付けるやつ。」 <br>  <br> 「いいわよ。甘えんぼさん。」 <br>  <br> 口では違うと言いながら抱きつくように首に鼻を擦り付ける。 <br>  <br> 実はなんと言われようが構わないのだ。こうしていられるならば。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:13:05.95 ID:WwF48WZV0<> 自分の腕を首に回して顔を押し付ける。 <br>  <br> 現実から逃げるようにして目を閉じた。 <br>  <br> 鎖骨のあたりの匂いを嗅ぎ、喉を登って顎にたどり着く。 <br>  <br> えりちの息が前髪に当たって変な感じ。 <br>  <br> 顎のラインに沿って鼻を動かす。 <br>  <br> 耳に当たると、再び首に顔を埋めた。 <br>  <br> 鼻息が荒くなっていた。自然と腕に入る力も強く。体を擦り付けるように。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:13:35.52 ID:WwF48WZV0<> 「希」 <br>  <br> 驚いてとっさに顔を上げた。 <br>  <br> 冷たい顔が目に入った。自分まで凍った気がして硬直した。 <br>  <br> 彼女が腕を振り上げる。 <br>  <br> ああ。ごめんなさい。 <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:14:11.00 ID:WwF48WZV0<>  <br> 頭を撫でられた。 <br>  <br> 暖かい手で触れられると力が抜けた。 <br>  <br> よく見れば、慈愛に満ちた顔をしていた。マリア様もいるものだと頭によぎった。 <br>  <br> 穏やかな時間が流れた。町の明かりが目に入る。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:14:49.56 ID:WwF48WZV0<>  <br> 「私、希のこと好きよ。」 <br>  <br> 反射的に顔を見つめると、白い肌を少し染めていた。 <br>  <br> 遅れて、こちらの心臓が脈打つのがわかってきた。 <br>  <br> 無意識に力んだ体が彼女の服を乱暴に掴む。 <br>  <br> 美しい。 <br>  <br> その瞬間に、不安が消えていく。 <br>  <br> 何よりも大切で確かなものが私の腕の中にあった。 <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:15:15.75 ID:WwF48WZV0<> 「何か言ってくれないかしら。」 <br>  <br> 18歳で一番頭が回転した。 <br>  <br> 一行にも満たない文を作るために、人生の全てをかけて挑んだ。 <br>  <br> 出てきたのはよくあるセリフ。 <br>  <br> 「ウチも、好きだよ。」 <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 12:17:03.64 ID:WwF48WZV0<> スレ立てすぎな気がするから、次からは一つに何個か入れようと思う。 <br> お目汚し失礼しました。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/12(水) 13:05:15.90 ID:emClG59pO<> それは良い決断 <br> 楽しみにしてる <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/13(木) 04:43:46.98 ID:RSALz8JTO<> おつおつ <br> 雰囲気すき <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/04/13(木) 23:02:31.28 ID:PhYPsiSJ0<> それ用のスレ立てました <br> のぞえり百合ss <br> http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492091341/ <>