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HTML化した人:lain.
ソラニン Part2
1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/03/31(火) 18:24:57.38 ID:mbXjKSEo
もう何百年も昔、繁栄の絶頂期だった頃もう何百年も昔、繁栄の絶頂期だった時代
愚かな人類は戦争によって地球に深刻なダメージを与えた
その人類を狩るべく生まれた、翼をもった人間
人々はそれを、空人(ソラニン)と呼んだ

女「そーらをじゆうにーとーびたーいなーっ」
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1220195633/
ソラニン(前スレ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1220370689/

まとめ
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/sora_nin.html
愚かな人類は戦争によって地球に深刻なダメージを与えた
その人類を狩るべく生まれた、翼をもった人間
人々はそれを、空人(ソラニン)と呼んだ

女「そーらをじゆうにーとーびたーいなーっ」
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1220195633/
ソラニン(前スレ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1220370689/

まとめ
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/sora_nin.html
2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/03/31(火) 18:29:22.14 ID:Hop26ago
>>1乙
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/03/31(火) 18:32:07.18 ID:mbXjKSEo
ペースト2回押したっぽい
超申し訳ない…
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/01(水) 00:19:36.78 ID:BfkCNgSO
>>1
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/01(水) 18:31:39.71 ID:.pYeYkDO
>>1
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/01(水) 20:49:30.22 ID:s9hre4M0
>>1さんご苦労様です
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/03(金) 15:52:38.57 ID:O4zGVASO
>>1おつです
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/04(土) 06:43:22.65 ID:W.Q52h.o
 1000 以下、パー速民(ry sage 2009/04/04(土) 06:01:14.61 ID:8qUqjsSO (〓)

>>1000なら週間連載!!

             . ィ
.._ .......、._    _ /:/l!  またまたご冗談を
 :~""''.>゙' "~ ,、、''‐'、|         _
゙、'、::::::ノ:::::::_,.-=.  _〜:、         /_.}'':,
 ``、/:::::::::__....,._ `゙'Y' _.ェ-、....._ /_゙''i゙ノ、ノ
 ,.--l‐''"~..-_'.x-='"゙ー 、`'-、 ,:'  ノ゙ノブ
"   .!-'",/  `'-‐'') /\ `/ でノ-〈
 .-''~ >'゙::    ‐'"゙./  ヽ.,'   ~ /
   //:::::       ',    /    ,:'゙

そうなってくれれば楽しみが増えるがなwww
9 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 01:54:44.54 ID:LNX2NzM0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

>>8
少しでもそう出来る様に努力していくよ!

というわけで、ついにpart2か、このスレで終わりになるか
はたまたpart3までいってしまうか…多分、行くな…うひぃ!

では、気を取り直して20話改めACT.20、始めるよ


10 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 01:55:54.60 ID:LNX2NzM0
目が覚めると、目の前には見慣れぬ天井
と思っていたが視界は真っ暗だった

男「(なんぞ…うーん…か、身体が重い…)」
男友「ンゴー」
男「(おk、把握)」

ゴガッ

11 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:00:06.61 ID:LNX2NzM0
上に乗っかってきていた男友を撥ね除け
俺は部屋を出た
まぁ出たとしても行くアテなどないのだが

男「さて、どうしたもんか…ぶっちゃけココ広くて人居なくて嫌なんだよな…」
女教師「おや、男くんじゃないか」
男「あ、先生。おはようございます」
女教師「はい、おはよう。ところでどしたの、一人でブラブラと」
男「はぁ、部屋でぼけーっとしてるのもなんなんで暇潰そうかと」
女教師「じゃあ、良いトコ連れてってあげる。面白いもの見れるわよ」
男「面白いもの?」
女教師「君がたたき落としたハエを解剖してるのよ」


12 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:05:58.37 ID:LNX2NzM0
俺は女教師先生に案内されて
ガラス張りの部屋にやってきた

女教師「此処から第三ハンガーデッキが見えるの。ほら、あそこ」
男「んんっ? あ、あれか」

上からワイヤーで吊るされる形で
ラームが地面に叩き付けたあのロボットがいた
四肢は殆ど失われている状態だ
その周りの十人くらいの整備員達が取り囲んでいる

13 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:09:22.47 ID:LNX2NzM0
女教師「アイツ、調べてみて判ったんだけどね。ラームに造りが似てるの」
男「似てるって…参考にしているっていう事?」
女教師「ラームはウチが所有してる一機だけのはずなんだけどねぇ…
    一体何処から情報を得たのか、はたまた唯の偶然か…」
女教師「ま、なんにせよあれの解析が進めば多大な利益が生まれる訳よ」
男「あっ! あれを元に量産するとか?」
女教師「いや、そこまではちょっと無理だわね」
男「そりゃまたなんで」
女教師「お金の問題」
男「成る程…意外とシビアっすね…」
女教師「ま、機関とかいっても結局はそんなモンよ」


14 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:13:59.81 ID:LNX2NzM0
その後、男友や女達も起きたという事で
俺達は大きな部屋に集められた
昨日の部屋よりも一回り程大きい部屋だ

長官「やぁ、おはよう皆。昨晩はよく眠れたかな?」
男「はぁ、まぁなんとか」
女友「女はなかなか寝付けなかったんだよねー? 心配事があって」
女「お、女友ちゃん!」
男友「なんか俺、ものすごいダルいんすけど…起きたらベッド落ちてたし」
男「落としたんだよ」


15 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:20:54.95 ID:LNX2NzM0
男友「…そーいや、雀ちゃんと、あとリンネさんだっけ? いないみたいだけど」
長官「彼女達には別の仕事があってね。君等だけに集まってもらったのだよ」
男「…昨日の話の続き、ですよね?」
長官「ああ、その通り。まずはこれを見て貰おうか。女教師くん、頼むよ」
女教師「了解ー。よいしょっと」

瞬間、部屋が暗転したかと思うと
部屋の奥にあったモニターに明かりが灯った
モニターにはビデオ映像のようなものが映し出された


16 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:24:12.50 ID:LNX2NzM0
映し出されたのは空の映像だったが
時間が遅いのか、暗くてあまり鮮明には見えない

長官「これは2012年、つまり今年撮影されたものだ。日付は5月26日」
女「結構最近なんですね…でもこれ、一体何処の映像なんですか?」
長官「首都圏にある高層ビルの一つの屋上カメラの映像さ。少し進めてみようか」

早送りが終わって少し経った時だった
画面が少し揺れ、轟音がなった


17 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:27:09.82 ID:LNX2NzM0
男友「今の音…どっかで聴いた様な…」
女「…あっ! もしかしてあの日じゃ! ほら、男くん!」
男「へ? …あ、ああ! あれだ、ムスクルスに行く前の日か!」
女友「そういえば、真夜中に凄い音がした日があった気が…」
長官「その通り。じゃあ次の映像だ」

画面が切り替わると今度は夕方の映像だった
陽は沈みかけ、雲が夕焼けでうっすら橙色に染まっている


18 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:32:21.00 ID:LNX2NzM0
長官「これは6月5日、つい先日の映像だ。場所はさっきと同じ場所」
男「確かこの日も、あの時と同じ様な音がしてたよな…」
長官「女教師くん、早送りを頼む」
女教師「了解」

映像がまた早送りになる
そして一時停止にした時だった
画面中央に何かが現れた
それは黒い点の様に見える


19 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:35:29.58 ID:LNX2NzM0
男「なんだ…ゴミ? それにしちゃ随分唐突だな…」
長官「女教師くん、拡大を」

画面に枠が現れて、一部を囲った
そこが拡大され、画像が鮮明になる
黒点のすぐ近くにモヤのようなものが掛かっていた

女「なんだろうこれ…雲、というより煙みたい…」
長官「これは煙だよ。砲弾によって外壁が破壊されて出来た、ね。
   そして黒い点のようなものは、外壁に空いた穴だ」
男「外壁? 外壁って、一体何のですか?」
長官「この惑星の、さ」


20 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:38:17.99 ID:LNX2NzM0
男友「惑星の、外壁だぁ!? なんなんすかそれ!?」
長官「昨日話した、テラフォーミングの話は覚えているかい?」
男「そりゃあ、まぁ…」
長官「それの基本となっているのが、地球型惑星用防御外壁」
女教師「私達は、面倒臭いからセルって読んでるけどね」

そういって女教師先生は手元のコンソールをいじくった
画面が切り替わり、二重の円が映し出される
その円の右上に出ている英字、“Section of Mars”


21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/05(日) 02:39:20.52 ID:wHukq1go
おっしゃきたきたきたーwwwwww
22 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:43:07.35 ID:LNX2NzM0
女「マーズ…もしかして、この星って…」
女教師「そ、旧史でいうところの太陽系四番目の火星。それが今の“地球”よ」
男友「火星が、地球ってか…」
女友「昨日の今日だけど、やっぱり信じられないわ…だって、火星の地表面って
   砂だらけだったんでしょ? それを地球みたいにするなんて…」
長官「それがテラフォーミングの力なのさ。“地球”上の昼夜、天候、地殻、
   全てを人類の管轄下に起き、統制する。神をも越す技術だ」


23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/05(日) 02:46:40.63 ID:2WRpxbgo
テラフォーミングだと・・・
24 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:46:46.01 ID:LNX2NzM0
長官「しかし、太陽系総連はそれを良い事に自分達の都合の良い世界を
   作ろうとしている。いずれ表社会にも進出し、世界を征服する気だ」
長官「もっとも、現時点でも征服しているに代わりはないのだけどね」
女教師「それを阻止しようってのが私達、明星機関なワケ」
男「成る程…まだ、完全に信用出来たわけでもないけど…
  でも、そうせざるを得ないみたいですね…」
女教師「前にいったでしょ、なんだってそうなんだと思えって。
    現実を享受しろって、ね」


25 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:54:02.54 ID:LNX2NzM0
長官「さ、今日のところはここまでだ。次に会う時は、ひとつの節目の時だろう」
長官「女教師くん、四人を送ってやりたまえ」
女教師「了解しました。みんな、私に付いてきて」

そういって女教師先生は部屋のドアを開けた
それに続いて俺達も部屋を出る
俺が部屋を出て、扉を閉めようとした時だった

長官「…男くん」
男「はい?」
長官「これから、君には色々迷惑を掛ける事になる。だが、頑張ってくれ。
   私達も出来る限りの事はしていくつもりだ」
男「…はい。とりあえず、努力はしてみます」
長官「ああ…じゃあ、またな…ヒーロー」

最後の言葉は聞き取れなかったけど
“頑張ってくれ”という言葉が俺の心中に残った


26 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 02:59:54.28 ID:LNX2NzM0
その後、俺達四人は女教師先生が運転する車に載せられ
自分達の街に戻ってきた
同じ国なのに、都会で起きた事が信じられないほど変わりはない
変わりがあったらそれはそれでとても困るんだけど

男「…じゃ、俺と女は此処で」
女「色々、ありがとうございました」
女教師「うん。一応周囲に警備張ってるから安心して暮らしてね」
男友「そういう事云うと余計怖くなるんですけど…」
女友「じゃ、二人共、また学校でね」


27 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:04:30.87 ID:LNX2NzM0
俺と女は遠ざかって行く女教師先生の車を見送り
家への道を歩いて行った

男「はぁ…二、三日の事なのに、随分疲れたな…」
女「本当、もうくたくただよ…今日は家でゆっくり寝たいな」
男「全くだ…ああ、そうそう。女、昨日のお弁と――」
女「ど、どうだった!? 味付け濃くなかった!? 変な味しなかった!?」
男「落ち着けって。まぁ、その、なんだ…旨かったよ、すげー旨かった」
女「ほ、本当!?」
男「ああ、本当だ。だからちょっと離れてくれ俺壁際に追いつめられてるから」


28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/05(日) 03:04:54.55 ID:wHukq1go
おっしゃきたきたきたーwwwwww
29 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:08:26.90 ID:LNX2NzM0
女「よかったぁ…もし口に合わなかったらどうしようって、凄い怖かったんだ…」
男「何いってんだ、俺の味覚はおふくろとお前の料理で作られてんだからな。
  マズいなんていうわけないよ。特に、卵焼きとかはな」
女「あ、卵焼きの事覚えてたんだね」
男「昨日思い出したんだよ。それまではスッパリ忘れていたさ」
女「…なんか、男くんって正直だよね…」


30 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:11:51.78 ID:LNX2NzM0
男「よし、家に着いたぞー」
女「わー」
男「じゃあ女、また明日な」
女「うん…ね、ねぇ、男くん」
男「ん? どした」
女「今更なんだけど…男くんは、先生達の云っている事、本当だと思う?」
男「えっ!? そ、そうだな…俺は、信じるかな。今まで起きた事とか、
  色々考えるとそういうのも有り得なくはないかなって」
女「そっか…私ね、本当いうと信じられないんだ。ううん、違うな。
  信じるのが怖いの。だって、今まで私達が住んでいたと思っていた
  星は違う星で、今いるのは火星…」


31 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:16:01.95 ID:LNX2NzM0
女「もしかして、私が信じてる全てがそういう嘘のものなんじゃないかって…
  そう考えたら、凄く怖くなっちゃうの…変だよね、こんなの」
男「…いや、変じゃないよ。俺だって、そりゃ100%は信じてないさ。
  だけどさ、今は信じておかなきゃいけない気がするんだ。少なくとも、
  今俺は先生やあの長官に必要とされてるからさ」
男「俺の事で女達を巻き込んじゃったのは、本当に悪いと思ってる…
  だから、せめてもの償いだ。何かあったら、すぐに俺に云ってくれ。
  どんなに小さな事でも、俺に出来る事はしてやりたいからさ」
女「…ありがとう、男くん。なんか、安心してこれたよ」
男「うん。それでこそ、俺が知ってる女だ」


32 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:20:13.53 ID:LNX2NzM0
女「よしっ! それじゃあ、また明日ね! 男くん!」
男「おう! また学校で!」

そういって女は隣の自宅に消えていった
改めて、家のドアを見る
『漸く、戻って来れたのか』
僅かな期間だったのに、そんな事を思ってしまう


33 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:24:07.03 ID:LNX2NzM0
男「(さて、入るかな)」
男「…ただいまー!」

そういって俺は、家のドアを開け

――ガシャンッ

男「あ…鍵、掛かってる」

そりゃそうだよな




34 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:27:29.10 ID:LNX2NzM0
ソラニン season 1 end...



NEXT
ソラニン season 2
ACT.21 04/11 25:00 start

35 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/05(日) 03:31:16.42 ID:LNX2NzM0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

というわけで、おやすみ

36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/05(日) 03:32:59.13 ID:wHukq1go
あっ・・・綺麗に閉めやがったwwwwww
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/05(日) 03:39:21.50 ID:oqVaiMk0
>>35
非常に乙です

今回1話が長くてwwktkしたが睡眠時間も・・・orz
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/05(日) 09:25:27.08 ID:rVB.5cDO
乙ですー。
これからの展開にwktkせずにはいられないぜ!
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/05(日) 21:27:02.58 ID:11e3Rs2o
乙ー
次回は土曜の深夜か
楽しみにしてるぜ!
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/06(月) 02:50:14.22 ID:2llfN7g0
やっぱサイコーに楽しいわ
俺も小説もどき書いてるけど全然ダメだ(笑)
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/06(月) 20:16:24.39 ID:5h0SNQDO
乙です!
全く興味なかったジャンルなのに、スゲー楽しみに待ってる自分がいる。
新しい世界をありがとう!
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/07(火) 23:45:33.93 ID:PB6YfwAO
楽しみだ
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/10(金) 09:27:33.82 ID:daDzIMSO
そういや、最初のスレで少し触れた、あっちの「ソラニン」は映画化らしいね
主演:宮崎あおいでちょっと期待…

ここのソラニンはまずマンガ化待ちだなww

期待しているから頑張ってね
44 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:12:17.32 ID:rFRxGaM0
ソラニン season 2 start...

ACT.21―――


45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/12(日) 01:14:57.27 ID:bi2A0MYo
きったーーーーーーーー
46 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:15:24.58 ID:rFRxGaM0
あの戦いから、早一ヶ月弱が過ぎた
学校はすでに夏休みに入っており
俺は自堕落な毎日を送っている

そんな中で、世界情勢は変わりつつあった
あの時の戦闘を政府は第三武装勢力の攻撃と発表
日本では自衛隊が国家防衛という理由で
全国の各主要都市に展開している

国外でも大きな動きが起きた
それまで各地で起きていた紛争と
今回日本で起きた大規模な戦闘を切欠として
国際連合は国連軍の世界派遣を行った
其の為、東京には自衛隊と国連軍が入り交じっている


47 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:19:00.99 ID:rFRxGaM0
女教師先生曰く、国連軍は太陽系総軍そのままらしい
つまり隠れ蓑を使って世界進出を果たしたという訳
『コソコソしちゃって、連中らしいけどね』
そういって先生はせせら笑っていた

けど、結局はそれだけだった
身の回りが大きく変わる事はない
あれ以来、敵による僕の監視も殆ど無くなったそうだ
『明星機関の一員になったんだから、殺す機会はいくらでもある』
という理由らしい、これは先生の憶測だけど
それにしても随分恐ろしい事をいってくれる


48 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga 明日もバイトだからサクサクいくよ!]:2009/04/12(日) 01:22:28.56 ID:rFRxGaM0
そんな訳で今、俺は自室でのんびりしている
鞄の中に詰まっている宿題の山には眼もくれず
デスク上のパソコンからは
ホワイトタイガーフィールドが流れている

男「(しかし、暇だな…)」
男「ふぁぁぁあああ…」

大きな欠伸をしている最中だった
ポケットに入れていた携帯がなった

男「(んー? 誰かな、っと…あ、先生か)」


49 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:25:15.86 ID:rFRxGaM0
送信者 女教師先生
件名  無題
本文
やぁ、夏休みだからってダラダラしていないかい?
突然だけど、君と若干名を私主催の“合宿”に招待しよう。
合宿、といっても勉強はしないよ。遊び“中心”の合宿ね。
そろそろ行動を始めようと思っているからそれも兼ねて
旅費は私で持つから安心したまえ!
それじゃ、明後日に朝十時、学校前に集合ね

男「(ふぅん、合宿か…暇だったし、行くか)」
男「(というか、行かなきゃいけないんだろうなぁ…)」


50 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:28:16.66 ID:rFRxGaM0
二日後、一日で簡単に準備を済ませ、
俺はバッグを背負って家を出た
ふと、隣の女の家を見る
すると其処には同じ様な格好をした女が居た

男「ありゃ、女も呼び出しか?」
女「あ、男くんもなんだ! よかったぁ、詳細教えてくれないから
  誰が来るか判らなくて不安だったんだ…」
男「そっか…まぁ多分、不安がらないでも大丈夫だと思うぜ、この調子だと」
女「え?」


51 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:31:34.45 ID:rFRxGaM0
そのまま二人で学校へ行くと
其処には案の定男友と女友がいた

男「なんというか、なぁ…」
男友「ま、予想はしてたけどな。呼ばれたのは俺達四人だけか」
女友「いいじゃん、旅費タダで遊びにいけるんだよ? ねぇ、女」
女「う、うん。私、慌てて昨日水着買ってきちゃったよ…」
女友「え、ホント!? 私もなの!」きゃあきゃあ

男「(女のヤツ、嬉しそうだな…よかった)」
男友「いやぁー! デジイチ持ってきて良かった!」
男「お前ちょっとこっち来い」


52 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:34:20.93 ID:rFRxGaM0
女教師「おーおー、皆揃ってるね。なんか一人すごい顔してるけど」
男友「きにしないでください…」
女「先生、合宿って一体何処に連れてってくれるんですか?」
女友「私、海が良いなぁ! 湘南とか! あーでも人凄いだろうなぁ…」
女教師「残念ながら海じゃないわよ? でも代わりにキレーな湖があるから」
男「湖、っつーことは山奥ですか?」
女教師「そういう事。さ、皆乗って。バスレンタルしといたから」


53 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:38:02.77 ID:rFRxGaM0
その後、俺達は女教師先生が運転する小型バスに乗った
バスは車が少なめになった高速を走っていく
先の事件以来、遠出する客が激減してしまったらしい
御陰で、俺達はこうしてイライラする事無く乗れている

女「えっと…ダイヤの4」
女友「ダイヤの6っ! ふふふ、シバリよ」
男友「ハハッワロス。ソレごときで俺を倒せると思うたか! うりゃ!」
女「あっ、階段」
男友「ハハハ! 俺の時代キター!」
男「はい八切」
男友「チクショォォォオオオー!」


54 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:40:36.74 ID:rFRxGaM0
男「はい、これであがりっと」
男友「てめっ! 十捨てあがりとか汚ねぇぞ!」
男「反則でもないだろ」
女「あ、やった! ジャックであがり!」
女友「女ナイス! クローバーの3であーがりっ!」
男「男友、これで通算四回目の大貧民決定御目出度うー」
女・女友「わーぱちぱちぱちー」
男友「うがぁぁぁあああ! 嬉しくねぇぇぇえええ!」


55 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:42:59.02 ID:rFRxGaM0
やがてバスは車の少ない道路に入っていった
俺達はそれに構わず大富豪を続ける

女友「しかし、アレね。ここまでくると一種の才能かもしれないわね」
男友「いらん才能つけるな! なんだよ大貧民になり易い才能って!」
男「いいから早く山札切れよ、虐げられし者。そして俺に献上しやがれ」
男友「テメェ…あとで覚えておけよー!」


56 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:45:22.60 ID:rFRxGaM0
そんな時だった、女が突然声を上げた

女「…あ! ねぇ皆見て! あれ!」
男「んーん? どれどれ…あ」
男友「お、おおおー! すっげー! でっけー!」
女友「うわぁ…こりゃ湘南なんかより全然いいわ…」

高速から見えたのは青く光る湖だった
周りには木々が生い茂り、コントラストを形成している
しかし、都内近郊にあんな湖があっただろうか?


57 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:47:33.64 ID:rFRxGaM0
男「先生、あの湖なんて名前なんです? 山南湖じゃないですよね?」
女教師「ああ、あの湖? あれには名前なんてないわよ。いうならば人工湖ね」
女「人工湖?」
女教師「ダムとかで水がせき止められて出来る人工的な湖の事ね。
    あれは完全に計画されて作られた、本当の意味での人工湖よ」
男「へぇ…で、あれを作ったのって一体?」
女教師「そりゃまぁ、ウチの機関よ」

やっぱりな


58 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:50:07.86 ID:rFRxGaM0
男友「ヒャッホーウ!」 ドッパーン

着替えるなり男友は小さな桟橋から湖面へダイブした
水しぶきがあがり、それが太陽光によって虹を生み出した
虹は綺麗だが、原因が男友だと思うと
ちょっとありがたみにかける
俺はそれを女教師先生の隣に立ってみていた


59 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:53:45.11 ID:rFRxGaM0
女教師「いやぁ、若いっていいわねぇ!」
男「何年寄り臭い事いってるんですか。先生だって十分若者ですよ」
女教師「あら、嬉しい事いってくれるじゃない。お姉さんサービスしちゃうわよ」
男「はいはいイメクライメクラ。ところで女達は?」

女教師先生はムスッとした顔で近くにあった小屋を指した
彼処が女子用の簡易更衣室らしい


60 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:56:21.24 ID:rFRxGaM0
男「随分、時間掛かってますね」
女教師「今の若い娘は面倒くさいの着るのよねー。私なんて五分で着替えたのに」
男「というか先生の、それ競泳用じゃないですか。ガチで泳ぐ気ですか」
女教師「日頃デスクワークに徹する者として、運動は出来る時にしたいのよぅ。
    あ、そろそろ出てくるんじゃない?」

?『ちょ、ちょっと押さないでよ…きゃっ!』

男「?」


61 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 01:58:59.00 ID:rFRxGaM0
――バーンッ

ドテッ

男「うお! お、女、大丈夫か!?」
女「あうう…ふ、二人共押し過ぎだよ…」
女友「アハハ、ごめんごめん!」
男「ったく…ん? 二人共…だと?」

俺は更衣室の入り口に眼をやる

雀「先輩っ! 久しぶり!」

太陽より明るい後輩が、其処に居た




62 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 02:00:22.38 ID:rFRxGaM0
ACT.21 END...


NEXT
ACT.22
08/04/18 25:00 start


63 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/12(日) 02:01:26.55 ID:rFRxGaM0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

あーしーたーもバーイートー
五時間寝れればいいほう
そいじゃまた来週

64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/12(日) 04:20:51.02 ID:eqFRoQDO
腹痛で目が覚めた
>>1乙!バイト頑張って!
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/12(日) 05:25:32.55 ID:LkM513go
>>1
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/12(日) 23:20:26.47 ID:h2.3RtIo
>>1乙!
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/14(火) 11:50:00.75 ID:5eAUA2DO
乙!

しかし、なんだか今回の話は味気ない文だったな
68 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 00:57:10.82 ID:.A3oSQ60
>>67
season 2はこんな感じになると思っていてくれ

予定通り25:00から始めます


69 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:00:11.86 ID:.A3oSQ60
ソラニン season 2

ACT.22―――


70 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:01:00.77 ID:.A3oSQ60
男友「えー、では改めまして…」
男「なぁ、本当にやんのか? 大体お前、先に飛び込んでただろ」
女「人が居ないと云っても、やっぱり恥ずかしいよ…」
女友「なぁにいってんの!楽しめる時に楽しまなきゃ!ね!」
雀「そうですよ先輩! 朱に交わればなんとやら、です!」
男「はぁ…ま、いいか」
男友「よし! それじゃあ…いっせーのーせっ!」

「夏だー!」


71 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:04:42.53 ID:.A3oSQ60
俺達五人は(俺と女は小声で)そう叫ぶと
桟橋から陽をあびて輝く湖に飛び込んだ

男友「ぎゃはははは! つ、冷てぇぇぇえええ!」
女友「なっ、夏って感じっ、だわっ! でもっ、つ、冷たい!」
男「ちょっ、女! 沈む沈む! 雀、助けてくれぇっ!」
女「だ、だって此処意外と深いんだもん!」
雀「浮き輪の私、勝ち組ー!」


72 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:09:05.97 ID:.A3oSQ60
あまりの冷たさに、俺はそそくさと湖辺に上がった
四人は浅瀬で水を掛け合うというお約束の遊びをしている

男「…へ、へっくしょい!」
女教師「あらら、男くんは意外と軟弱なんだねぇ」
男「ほっといて下さいよ…そういう先生だって」
女教師「あら? 私はもう往復で400mは泳いで来たわよ」
男「えっ!? ちょ、早ッ!」
女教師「伊達に機関銃ぶっ放してる訳じゃないわよ? うふふ…」
男「(恐ろしい人…!)」


73 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:14:45.29 ID:.A3oSQ60
女教師「さて、私はちょっと休んでからまたひと泳ぎしてくるけど、
    男くんはどうする? みんなと遊んできなさいよ」
男「いや、俺は此処でひなたぼっこというか、甲羅干しでもしてますよ。
  元々水辺って、あまり好きじゃないんです」
女教師「ふぅん…まぁここで亀のモノマネするのもいいけど、
    良かったら森の中いけば?」
男「森の中、ですか?」
女教師「そ。あの娘も案外、寂しがり屋だからさ。君がいけば喜ぶよ」
男「あの娘…」

ああ、多分、あの人か


74 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:22:04.59 ID:.A3oSQ60
気がつけば俺は森の中の坂道を歩いていた
陽の光は葉の隙間から小道に差し込んでいる
上を向けばちょっとした風景が見れる

男「さて、もうそろそろのはずなんだけどな…おっ?」

其処は小さめの丘になっていた
木は一本も生えておらず
青青とした芝生が広がっている


75 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:24:12.19 ID:.A3oSQ60
そして、その丘の一番高い所
其処に一つの影が見えた
ちょっと小柄な人の影
黒っぽいのは影だからって訳じゃない
相変わらずの格好であの人はいた

男「…リンネ、さん?」
リンネ「! …あ…男、くん」


76 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:30:43.62 ID:.A3oSQ60
男「お久しぶりです。先生が、こっちにいるっていってたもんで」
リンネ「…そう。で、何か用?」
男「いえ、別に用って訳でも…いや、あるのかな。
  先生が、リンネさん寂しがってるって…」
リンネ「……」
男「(うおう! 意外と鋭い視線が!) い、いや! リンネさんと話したくて…」
リンネ「…私と?」


77 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:36:12.18 ID:.A3oSQ60
男「は、はい。ほら、だってなんやかんやであまり話出来てないし。
  あの時も、俺達が帰る前にも会えなかった訳だし」
リンネ「…そういってくれるのは、とても嬉しい。でも私、喋るの下手よ?」
男「喋るのに下手もクソも…そういうの気にしちゃ駄目ですよ!」
リンネ「…ありがとう、男くん」
男「(あ、笑った顔、初めて見た)」
リンネ「…でも、話す前にお願いがあるの」
男「お願い、ですか?」
リンネ「…私の事、呼び捨てで呼んで? 私、男くんと同い年なのよ?」
男「あっ! あ、あはは…いや、なんか“さん”付けで呼ぶのに慣れてたから…
  …こほん。じゃあ…リンネ」
リンネ「…うん」


78 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:40:57.98 ID:.A3oSQ60
それから少しの間、俺達は話をした
といっても特別な話じゃない
他愛もな世間話みたいなものだ

男「しっかし、そのコート、暑くないの? いくらなんでも、もう七月だぜ」
リンネ「…これを着てないと羽が見えてしまう」
男「そりゃそうだけど、此処には俺等しかいないわけだし…」
リンネ「…暑苦しい?」
男「え、えーっと…この際いっちゃうと、ぶっちゃけそうだなー。
  真夏に黒のコートって、確かに暑苦し…ぶっ!」


79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/19(日) 01:43:59.98 ID:I/vZWLIo
C
80 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:45:11.48 ID:.A3oSQ60
突然視界が真っ暗になった
リンネにコートを投げ付けられたのだ

男「ぶはっ! び、びっくりした…突然投げないでくれよ…」
リンネ「…ごめん、ちょっと怒った」
男「申し訳ない…」

コートを脱いだリンネは白い半袖のシャツを着ていた
下には薄手のグレーのズボンを履いている
シャツの袖から伸びる手は、顔同様に白く透き通るようだった
ただ背に生える羽はコートと同じく黒かった


81 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:48:50.15 ID:.A3oSQ60
リンネ「…やっぱり、コートがないとちょっと不安…」
男「駄目だって、少しコート無しに慣れないと。折角綺麗な肌してるのに、
  いつもコート着て隠してたんじゃ勿体無いぞ」
リンネ「…え、きれい…?」
男「え? あっ…ああ、うん。綺麗だと思うよ…少なくとも、俺は」
リンネ「………ありがとう」


82 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:52:35.95 ID:.A3oSQ60
そんな話をしていた時だった
ポケットの中に入っていた携帯が鳴った

男「あ、先生からメール着てたのか…昼ご飯だから、二人共戻って来いだって」
リンネ「…そう…でも、私行くね」
男「えっ? リンネも一緒に行こうよ。折角先生が呼んでるのに」
リンネ「…人が沢山いる場所、苦手だし…」
男「…ははーん。さては、怖いとか?」
リンネ「……」


83 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 01:57:45.67 ID:.A3oSQ60
男「駄目だって、そんなじゃ。リンネが今までどういう環境で過ごしてきたか、
  俺はよく判らないけど。そんなの絶対つまらないぜ」
男「少しずつでもいいからさ、慣れて行こうよ。そうすれば楽しくなるって」
リンネ「…判った、頑張ってみる」
男「よしっ、じゃあ皆のトコへ行こう! ほら!」
リンネ「…うん」

俺はリンネの手を取り、丘を下って行った
皆のいる湖へ、二人で一緒に



84 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 02:00:05.75 ID:.A3oSQ60
ACT.22 END...


NEXT
ACT.23
08/04/25 25:00 start


85 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/19(日) 02:01:57.74 ID:.A3oSQ60
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

寝 ま す


86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/19(日) 02:09:49.83 ID:I/vZWLIo
おつかれーーーーーー
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/19(日) 05:01:58.63 ID:VyIKu6DO
おつ!
リンネさん可愛いよリンネさん
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/19(日) 09:52:39.50 ID:AGiYjcDO
おつー!
リンネが思ったよりツンツンしてないww
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/20(月) 13:27:42.47 ID:4vhMbXco
魂は死ぬほどに深く悲しんでいる。ここにとどまって,見張っていなさい。

、宇宙へと飛び出していった――。

86 彼は地面に座るよう群衆に命じ,七つのパンを取った。感謝をささげてからそれ

――真っ白になる感覚――

すげぇ

司郎はズボンとパンツを下ろすと、いきり立った肉棒を持ち、徐々に妹の秘所

ことができるものは何もないが,人から出て行くものが人を汚すのだ。 716 聞く耳





々に命じたが,命じれば命じるほど,彼らはいっそう広くそのことを宣明した。 737
                
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/20(月) 23:33:22.70 ID:yuvU15Io
おつー!!
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/21(火) 21:53:36.04 ID:jbMI.oEo
遅くなった・・・
お疲れ様です
92 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 00:59:44.16 ID:XH0z07.0
>>89がスゴイ気になるんだが…?
あと、木村カエラの新曲がスゴイカッコ良い

今日はリアルタイムで書いていきます
ペース遅いかもけど良かったらお付き合い下さい


93 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:01:00.17 ID:XH0z07.0
ソラニン season 2

ACT.23―――


94 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:05:12.93 ID:XH0z07.0
湖に戻ると、皆は湖から上がっていた

男友「おーお帰り。何処行ってたん…あれ? 雀ちゃんがもう一人…」
女友「あっ、もしかしてリンネさん?」
リンネ「……(こくっ)」
女友「あ、あれぇ…? ひょっとして私嫌われてるの…?」
男「い、いや! 違うから! ほら、駄目じゃん。さっき云っただろ?」
リンネ「…う、うん…」

女・雀「(な、なんか悔しい!)」


95 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:14:47.72 ID:XH0z07.0
女教師「よし、皆戻ってきたね。じゃあそろそろお昼にしよっか」
男友「イエスッ! 夏の昼飯といえば!?」
女友「カレーに冷やし中華!」
男「焼きそばなんかも捨て難いな」
女「わ、私冷しゃぶなんかも好きだなぁ!」
雀「すいかにかき氷も忘れちゃ駄目だよね!」
リンネ「…それは、おやつ」

女教師「というわけで昼ご飯は鍋焼き饂飩よ!」
全員「何故」


96 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:21:23.54 ID:XH0z07.0
女教師「だってほら、普通に食べたらつまんないでしょ?」
男「バラエティ番組じゃないんだから、普通の食べましょうよ…うまいけど。
  あ、ほら女。お前ナルト好きだろ」
女「わ、いいの? ありがとう!」
雀「(むっ)じゃあ私はエビ天もーらおっ!」
男「わっ! な、何するだー!」
リンネ「……(ひょい)」
男「リンネも椎茸とか地味なのを取って行くな!」
男友「賑やかだなぁ」
女友「そうねぇ(ひょいひょい)」
男友「ああっ! うどんまで取って行くヤツがあるか!」


97 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:27:32.81 ID:XH0z07.0
女教師「さて、昼ご飯の後はやっぱりオヤツがいるわよね」
男友「おおっ! 先生話せますね!」
女友「熱いうどん食べた後だから、冷たいかき氷なんかがいいなぁ」
女教師「残念ながらかき氷じゃないんだけど、きっと皆喜ぶわよ」
女「あれ? そういえば男くんは?」
雀「さっきお姉ちゃんと二人でどっかにみたいだけど」
女「(がーん!)」


98 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:33:21.78 ID:XH0z07.0
女教師「二人にはちょっと持ってきてもらいたいものがあったのよ。
    …あ、ほら! 来た来た!」
男友「な、なんだありゃ…男のやつ、何持ってるんですか?」
女友「なんか大きいんですけど…もしかしてスイカ?」
女教師「そ! うちの機関が総力を挙げて作った巨大スイカよ!」
雀「何気に二年という歳月を費やしてる自信作です!」
男友・女友「何やってんだあんたら」
女「(機関ってスゴイ!)」


99 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:39:34.22 ID:XH0z07.0
女教師「まぁ総力ってのは冗談として、スゴいっしょ? この付近一帯、
    実はうちの実験区域になってるの。そこの農園で作ったのよ」
男友「ふぇー。にしてもデカイっすねぇ…あれ、滅茶苦茶重いんじゃ…」
女教師「そう、それなのよ。あまりに重いから市場に出せないのよねぇ。
    あれ一玉で何人分かも判らないから、売れたら凄いんだろうけど」
女友「…で、男くんはアレに耐えきれる訳?」
雀「なんか、さっきからすごいグラグラしてるんですけど…」
女「あ、あっ…」

全員「……」

女教師「…と、とりあえず皆、男くんを助けましょ…」


100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 01:39:54.40 ID:RS5e6PEo
おっと きましたねwwww

こんばんばー
101 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:43:40.98 ID:XH0z07.0
その後、俺はスイカの破片から救出された
女教師先生達三人は『ちょっと野暮用があるから』とどこかへ行ってしまい
俺達は二手に分かれる事にした
今俺は女と一緒に湖の桟橋の上でのんびりしている

女「男くん、大丈夫?」
男「ああ…まだシャツとかベタベタするけど、まぁなんとか…ごめんな」
女「そっ、そんな! だってあんなに大きいんだもん、仕方ないよ…
  それにほら、割れちゃったけど美味しいよ、このスイカ」
男「ああ。確かに味はいいよな…なんであんなでかいのにしたんだ?」

(一方その頃男友と女友)
男友「なんで俺は女ちゃんと一緒にいないんだ?」
女友「スイカうめぇwwwww」


102 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:47:18.66 ID:XH0z07.0
男「しかし、人工湖か…とてもそうは見えないな」
女「私、湖来たのって久しぶりだなぁ。昔はよく山南湖行ってたよね」
男「電車で乗り継いで行ってな。思えばあの時が一番楽しかったな」
女「えっ、そうかな…」
男「縛られるモノもなかったし。最近は勉強やら何やら色々あるしなぁ」


(一方その頃男友と女友)
男友「おーい、そんなトコいたら危ねぇぞ。落ちるって」
女友「ヘーキよヘーキ! 陸上部で鍛えてる私の運動神経なめんじゃないわよ!」


103 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:52:36.83 ID:XH0z07.0
女「…でも、私は今が一番楽しいな」
女「確かし色々大変な事もあるけど、皆と一緒にいられれば楽しいな、私は」
男「ま、それもそうだな…考えりゃ、ここまでのんびり出来るのも久しぶりだ」
女「…ねぇ、男くん」
男「うん?」


(一方その頃男友と女友)
女友「きゃっ!」
男友「あっ! ば、馬鹿!」


104 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 01:57:45.09 ID:XH0z07.0
女「ちょっと、寝てもいい? さっき皆で遊んでて、疲れちゃったんだ…」
男「へ? あ、ああ…いいけど…」
女「そ、それでっ! お、お願いがっ!」
男「お願い?」
女「ひっ、ひざ! …膝、枕を…」
男「普通逆だろjk」


(一方その頃男友と女友)
女友「たっ、助け…! 男友!」
男友「ま、待ってろ! 今助けを…って皆いねェー!」


105 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 02:03:08.47 ID:XH0z07.0
女「すぅー…すぅー…」
男「(で、まぁやってやってる訳だが…まるで子供だな、こうして見ると)」
男「(…また、近いうちに太陽系うんたらと戦う羽目になるんだろうな)」
男「(女…お前は、お前達は俺が守ってみせるからな)」
女「ん…くぅ…すぅー…」


(一方その頃男友と女友)
男友「女友! 俺に掴まれ!」
女友「おっ、男友! ぷはっ!」


106 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 02:10:06.24 ID:XH0z07.0
女教師「おーい! 男くんやーい!」
男「あ、先生」
女教師「おっ、なんだ戻ってみれば女の子に膝枕なんかしちゃって!」
男「は、はは…というか今までどこいってたんですか?」
女教師「ん? まぁちょっとした準備よ。ちょっとした、ね」
男「…なんか、あんまりいい予想が出来ないんですけど…」
女教師「ウフフフフ…」


(一方その頃男友と女友)
女友「うわぁーん! 怖かったよー!」
男友「だから危ねぇっつったろ! 心配さすなこのアホ!」


107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 02:14:13.20 ID:TuiOfsDO
こんばんは。
>>1がんば!
108 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 02:18:54.20 ID:XH0z07.0
女教師「そんなことより、ほら。目の前の景色を見て御覧よ」
男「景色っつったって湖…うお!」

気がつけば日が少し傾き始めていた
森林に沈みつつある橙色の夕日が木々の間から溢れ
湖面はそれによって美しく輝いている


109 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 02:23:17.53 ID:XH0z07.0
男「すげぇ…」
女教師「あの太陽も、本物じゃないんだよ。あれもドームに投影された
    太陽の映像によって作られてるの。本物の光じゃないわ」
男「…その、本物の太陽ってのも、そのうち拝めるんでしょうかね」
女教師「その為に私達は戦ってきてるのよ。
    その娘にも、“本当の太陽”の光を見せて上げたいでしょ?」
男「…はい」

『本当に、それが俺に出来るのだろうか?』
答えは返ってこなかった


110 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 02:25:11.16 ID:XH0z07.0
ACT.23 END...


NEXT
ACT.24
09/05/?? ??:?? start?


111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 02:26:34.87 ID:arHhM.DO
乙!!
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 02:27:11.12 ID:6287pkSO

初めてリアルタイムで見れたんだぜ

乙でした。
113 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/26(日) 02:27:34.64 ID:XH0z07.0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

というわけで来週出来るかどうか判りません
もしかしたらまた書き溜め期間に入るかも
あと今更だけど年度が間違ってた…2009年だった…
それでは


114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 02:30:36.26 ID:RS5e6PEo
おっつー
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 03:50:03.47 ID:x81kFwAO
ちょっと遅くなったけど乙ー
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 11:06:45.70 ID:nGnVDwAO
最初から読んでやっと追いつきました。次回も楽しみにしてます。
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 22:30:23.49 ID:hj9oYuoo
乙カレーに冷やし中華ー
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/04/26(日) 23:12:56.44 ID:03edFwAO
おろ?更新なし?
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 23:16:05.24 ID:lalthcQo
>>118
何言ってんだ
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/04/26(日) 23:20:54.85 ID:03edFwAO
>>119携帯を馬鹿にするな
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/26(日) 23:26:17.05 ID:lalthcQo
>>120
別に馬鹿にしたつもりは無いが
気に障ったらごめんね

先日の土曜日の夜に更新してたでしょ?
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/04/27(月) 00:02:37.42 ID:HHdGe.AO
>>121更新に気付かなかっただよバカ野郎
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/04/28(火) 00:58:29.04 ID:f9xbEIAO
そこらのマンガやアニメより断然面白い…
続き期待してます!
124 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/04/28(火) 23:26:34.82 ID:lBjA2hk0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

ttp://www.youtube.com/watch?v=VB3pFtiH1NU&
(『ソラニン』OPテーマ、という脳内設定)


次までの繋ぎに、現在構想中の事をちょっとだけ

シーズン2では二回ほど大きな節目があります
それがどんなものなのかはその時までのお楽しみだけど
恐らく片方で不評を喰らう事になるでしょう、多分
あともう一人か二人、新キャラが登場します
そしてシーズン3で、全ての決着が付く予定です


今日夢の中のスレで『なんかグレンラガンっぽいな』と云われた
そうならないように頑張ります、グレンラガン見てないけど

125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/28(火) 23:41:08.26 ID:kCx.6SMo
これ漫画とかアニメで見たいわww

シーズン1の内容を2の回想シーンとかでちょいちょい入れて・・・

あふぅ
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/04/29(水) 19:41:34.16 ID:NzDsCKYo
このpc音声が逝かれてるんだ・・・
直ったら聞きたいのに・・・聞いてやるんだ・・・
127 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/21(木) 21:14:40.72 ID:9i.rn2SO
今追い付いた俺は携帯厨


1じゃなくてごめんなさい(
128 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/24(日) 19:01:38.65 ID:JsixRHg0
また随分間が空いてしまった…

今日の夜にACT.24落とします


129 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/24(日) 21:42:08.05 ID:HySGdwDO
キタ──
130 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/24(日) 23:05:42.19 ID:zwqYz2go
待機中 ・ ・ ・ NOW LOADING ・ ・ ・ 
131 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 00:38:16.57 ID:SO71tYE0
ソラニン season 2

ACT.24―――




132 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 00:42:36.99 ID:SO71tYE0
夕暮れの湖のほとり
俺達は焚き火を起こしてそれを囲みながら
飯盒炊爨をしていた

女「わぁ…焚き火って、やっぱり温かいね」
男「なんだか久しぶりだな、こんな事するの」
女教師「まぁキャンプと云ったら、コレでしょ」
男「ええ。それはそうと…あの二人、どうしたんですか?」
女教師「ん? ああ、あの二人?」

そういって先生は親指で少し離れた場所で
寄り添う男友と女友を指した

女教師「なーんかよく判んないけど、イイ感じよね」
男「二人してびしょ濡れで帰って来たらアレですもんね」
女「(いいなぁ…私も男君と…あわわわわ!)」


133 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 00:54:55.94 ID:SO71tYE0
そうこうしているうちに雀が帰って来た
リンネはまだ用事が済んでいないらしい
飯盒もいい具合になっていたところで
計六人でカレーを食べていた

男「(美味い…まぁ味的には母さんのほうが美味いけど)」
男「(…しかし、この状況はなんなんだ)」

左側に女、右側には雀
女の隣には女友と男友の二人が座り
そして俺達を見回す様に女教師先生が位置して
全員で円を描く様に座っている

男「(なんか、悪くないな…)」
雀「あっ、カレー、先輩に零しちゃった」
男「てめっ! よりによって一番面倒なものを!」


134 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:04:37.11 ID:SO71tYE0
その後、食べ終えた食器を流しで洗う事になった
誰が洗うか、ジャンケンで負けた人がする事になったのだが

男「(そして俺が負けるっていうねー、ないわー)」

ちょっと離れたほうから皆の声がして余計嫌だった

男「はぁ…六人分洗うとなると流石に面倒だな…」
女教師「やーやーやってるかね男くん!」
男「うわっびっくりした!」


135 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/25(月) 01:08:22.37 ID:DIA0BESO
キター


今夜は眠れないなっ!


そんな俺は携帯ry
136 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:09:11.78 ID:SO71tYE0
気がつくと先生が流しの前に立っていた
しかしよくよく見ると、格好がドコか変だ

男「…? 先生、その背負っている鞄はなんです?」
女教師「あーコレ? さっきいってた、ちょっとした事のものよ」
男「まさか、此処まで来といて俺に何かしろってんじゃ…」
女教師「ピンポーン」

ああ、やっぱりか


137 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv2009/05/25(月) 01:09:24.44 ID:.NRr7YDO
支援
138 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:14:30.22 ID:SO71tYE0
男「まぁ一ヶ月何も無かったほうが変でしたもんね。それで、何をしろと?」
女教師「んー、多分、今回のは前のに比べてケッコー重いよ」
男「重要って事ですか? 嫌だなぁ」
女教師「太陽系総連もそろそろ、私らを潰しに掛かってくるだろうからね」
男「ならば先手を打つ、って感じで?」
女教師「そうそう。先手必勝ってね」
男「…でもなんで、俺だけで呼ばなかったんですか? 何故女達まで?」
女教師「それはね、女ちゃん達も君の前世と関係しているからだよ」


139 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:18:55.05 ID:SO71tYE0
夜十時、森の中は静かだ
俺達は再び焚き火を囲んでいる

男友「それで…どういう事なんすか? 俺達と男の前世が関係してるって」
女教師「うん、これはまだ私の仮説なんだけどねぇ」

先生は上着のジャケットから小さな機械を取り出した
どうやらPDAのようなものらしい


140 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:22:31.87 ID:SO71tYE0
女教師「これに入ってるのは、うちの機関の発足初期からの情報なんだけどね」
女教師「男君の前世、まぁ仮に“ホープ”とでも呼ぼうか」
女教師「ホープの下には彼に賛同する多くの人々が集まっていたんだけども、
    その中でも若干名、親交が深い人々がいたの」
女「それが、私達の前世なんですか?」
女教師「そう、リンネと雀はその中でも特にホープの傍に居た人の生まれ変わりよ」
雀「えへへー、すごいでしょ!」
男「(すごいのか…?)」


141 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:24:34.09 ID:SO71tYE0
女教師「これに入ってるのは、うちの機関の発足初期からの情報なんだけどね」
女教師「男君の前世、まぁ仮に“ホープ”とでも呼ぼうか」
女教師「ホープの下には彼に賛同する多くの人々が集まっていたんだけども、
    その中でも若干名、親交が深い人々がいたの」
女「それが、私達の前世なんですか?」
女教師「そう、リンネと雀はその中でも特にホープの傍に居た人の生まれ変わりよ」
雀「えへへー、すごいでしょ!」
男「(すごいのか…?)」


142 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/25(月) 01:26:53.01 ID:E4neUDUo
おわり?
143 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga 二重投稿とかどんだけー]:2009/05/25(月) 01:27:30.71 ID:SO71tYE0
女友「でも、待って下さい。なんで私達がその、
   ホープの周りに居た人だって云えるんですか?」
女教師「三人とも、あの時の事覚えてる? 太陽系総連との戦闘に巻き込まれたの」
男友「そりゃ、まぁ…」
女教師「あの時、君達はシェルターに避難しようとして、でも避難出来なかった」
女教師「私はね、こう考えてるんだよ。偶然避難出来なかったんじゃなくて、
    最初から避難出来なかった。そう仕組まれていたんだってね」
女教師「だって、考えても御覧よ。大都市の地下に建造されたシェルターだよ?
    高校生三人を収容出来ないまでに人が入ってたと思う?」
女教師「簡単な言葉で済ませると、運命ってヤツかな。
    君達は戦闘に巻き込まれて、この現状を知る運命だった」
女教師「それがホープの傍に居た人達の生まれ変わりっていう、仮説の理由ね」


144 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:34:31.85 ID:SO71tYE0
男友「ふぅん…成る程ね。なんとなく筋は通ってなくもないか…」
女「私達を機関の施設まで連れて行ったのも、それでですか?」
女教師「ま、一般市民見捨てる程、うちは悪じゃないけどねぇ。それも含めてね」
女友「先生。その、私達がもし本当に生まれ変わりだとして…
   それって、これから私達に何か起きるって事なんですか?」
女教師「何かって、例えば?」
女友「例えば…また、あんな事に巻き込まれるとか」

――ちょんちょん

男「(…うん?)」
雀「(先輩、上見て)」
男「(上?)」


145 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:39:19.05 ID:SO71tYE0
男「――ッ!」

――キィィィィィイイイイイン

女教師「そうかもしれないわね――みんな、離れて!」
三人「!?」
女教師「雀、シールドッ! 鞄の中よ!」
雀「了解!」バッ

ヴォンッ

――ドォォォォォオオオオオン


146 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:42:35.78 ID:SO71tYE0
女「きゃあ!」
男友「な、なんだってんだ!?」
女友「…! あ、あれってまさか!」

シールド越しの煙が晴れて行く
そしてその中心、さっきまで焚き火があった場所
其処にあいつがいた

男「太陽系総連のロボット!?」
女教師「やーっとおいでなすったわね!」


147 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:47:10.41 ID:SO71tYE0
男「先生、『やっと』って!?」
女教師「実はさっき、二人に警戒網張らせておいたの。
    それに一個だけ引っ掛かった間抜けがいたのよ」
雀「それがこの鋭人ってわけ!」
男「“えいと”って、コイツの名前か!」
女教師「うちの機関のコードネームだけどね! それより男くん!」
男「はっ、はい!」
女教師「出番よ! 三人は任せて応戦して頂戴!」
男「んなっ! 応戦っても、此処にはラームが――」

リンネ『…ある』


148 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:51:03.17 ID:SO71tYE0
――ザバァァァァン


男「(リンネの声…!)」

湖から大きな音が聞こえる
その音のする方向、月の光に照らされる湖面
灰色の巨人が、其処にいた

男「ラーム!」


149 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 01:56:33.33 ID:SO71tYE0
――ヒュンッ

ガガァァァァン

ラームは湖面上から一気に加速し、鋭人を吹き飛ばした
そのまま俺のすぐ傍で接地体勢を取り、コクピットが開く
中にはパイロットスーツを着たリンネが居た

男「リンネ!」
リンネ「…ごめん、ちょっとだけ遅れた」


150 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 02:00:05.00 ID:SO71tYE0
俺はすぐさまコクピットに飛び乗った
乗り込むと即座にハッチが開き、ラームが立ち上がる

男「いや、ベストタイミングだ…先生!」
女教師『男君、聞こえてる? 私達はもう避難し終わったわ。
    此処の地下に緊急用の連絡線があるの。其処から今から本部に向かうわ』
男「了解です! 俺達もコイツを片付けたらそっちに行けばいいんですよね!?」
女教師『その通り! 鋭人一機なら容易い筈よ、頑張って!』


151 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 02:05:43.11 ID:SO71tYE0
女教師先生との連絡が切れる
丁度その時だった、リンネが声を発した

リンネ「…! 鋭人が起き上がった…こっちに来る。11時方向」
男「了解!」
男「(負けてたまるか…! 運命だろうがなんだろうが、俺は皆を守ってみせる!)」

ラームが構えの姿勢を取る
突っ込んでくる鋭人の機影が目前に迫ってきていた



152 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 02:06:48.81 ID:SO71tYE0
ACT.24 END...


NEXT
ACT.25


153 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/05/25(月) 02:08:35.51 ID:SO71tYE0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

というわけで第二次戦闘前半戦、開始です
ここから数回にかけて第二次戦闘を書いていきます
それでは次回。なるべく早く書けるようにします


154 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/25(月) 06:17:46.61 ID:jW1S9oSO
キテタ━━(゚∀゚)━━!!

乙です
155 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/25(月) 07:47:46.73 ID:DIA0BESO
乙!


156 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/25(月) 08:18:29.97 ID:h49mF.DO
おひさしー。
乙です!
157 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/25(月) 08:21:24.48 ID:vqM8QiUo
おはよう
乙でした
158 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/25(月) 23:24:39.57 ID:gTydYkAO
159 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/26(火) 14:55:59.43 ID:U9Trztgo
おつ!
160 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/26(火) 19:38:59.15 ID:L8GaEI.o
乙!
161 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/27(水) 08:09:32.18 ID:AEBkeMAO
乙でした。
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/06/11(木) 23:17:43.32 ID:3Hb60YAO
今更乙
163 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/14(日) 22:20:43.94 ID:QTaNC9o0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

遅くなりました。
ACT.25、今晩深夜に投下します。


164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/06/14(日) 22:22:25.26 ID:JRAxBw2o
まってました!!
165 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 00:12:33.13 ID:0PByBm.0
ソラニン season 2

ACT.25―――




166 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 00:17:39.20 ID:0PByBm.0
キィィィィィイイイイイン

男「うぉぉぉぉおおおおりゃあああああ!」

――ドンッッ

衝撃で周りの木々が揺れる
突っ込んできた鋭人を
ラームの両腕がしっかりと掴んだ
そのまま鋭人の両肩を持つ


167 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga うっかり忘れてた]:2009/06/15(月) 00:32:30.41 ID:0PByBm.0
男「よしっ! このまままた上に持ち上げて…」

――メキッ

男「うん?」

そう音がしたかと思うと
目の前の鋭人のボディはひしゃげていた


168 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga うっかり忘れてた]:2009/06/15(月) 00:35:44.86 ID:0PByBm.0
男「こ、これってどういう…」
リンネ「…鋭人は突貫攻撃に特化しているから、先端部位の装甲は高い。
    …けれど、それ以外の部位の装甲は極端に弱いわ」
男「成る程な…じゃあ、このままこう…」
リンネ「…あっ」
男「“あっ”?」

グシャッ


169 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 00:46:22.46 ID:0PByBm.0
――ズドォォォォオオオオン

腕の中にいた鋭人は
爆音と共に粉々に砕け散り
その爆風は周囲の木々を数本なぎ倒した

リンネ「…でも、押しつぶせば、爆発する」
男「びっ、吃驚した…考えればそうだよなぁ…」


170 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 00:49:15.09 ID:0PByBm.0
鋭人を破壊し終えた後、俺達は一路本部へと向かう
距離的には長いが、空を使えばそんなに掛からないだろう

男「此処からフォージャーまで、どれくらい掛かる?」
リンネ「…今のままでいけば、三十分くらい」
男「三十分っというと午前零時くらいか…」
リンネ「…待って、女教師さんから連絡」
男「先生から?」


171 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 00:52:58.98 ID:0PByBm.0
女教師『…あー、あー、男くん。聴こえてる?』
男「あ、はい。聴こえてます」
女教師『今から本部じゃないトコに来て欲しいんだけど、大丈夫?』
男「えっ? いや、場所によりますけど…」
女教師『ちょっと待って、今座標送るから…リンネ、確認して』
リンネ「…確認しました。この場所なら、十分もあれば行けます」
女教師『判ったわ。じゃあその場所で待機しているから、宜しくね』
男「了解です」


172 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 00:58:36.55 ID:0PByBm.0
十分後、レーダーに表示されている座標を頼りに
俺達は都市近郊の山の中腹にある開けた場所に来ていた
とりあえず着陸する為、ラームの高度を下げていく

男「此処、だよな?」
リンネ「…そのはず」
女教師『おーい、二人共ー』

ふと、機体越しの足下を見ると
其処にいつも通りの白衣を来た女教師先生がいた
近くには大型輸送トラックが三台止まっている


173 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:17:18.56 ID:0PByBm.0
着陸してすぐにラームのハッチを開けて外に降りた
山の中は夜風が吹いていて少し肌寒い

男「さっ、寒いッ!」
リンネ「…くしゅん」

トラックの近くには簡易テントが張られている
其処に皆が居たので俺達もその下に行った


174 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:20:51.15 ID:0PByBm.0
女「男くん!」
男「皆、無事だったんだな…よかった…」
女「男くんも、なんともなくてよかった…」
男「でもなんで本部じゃなくって、こんなトコに?」
男友「途中で下ろされたんだよ。他にも幾つか駅はあったぜ」
女教師「まぁ此処が一番適切な場所だったからね」
男「適切?」


175 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:23:57.99 ID:0PByBm.0
女友「…そういえば、あのトラックの中って一体なんなの?」
女教師「あれが此処に来てもらった最大の理由よ。雀!」
雀「はいっ! 二号車、ハッチ展開!」

――ゴゴゴゴゴゴ

離れた場所に停められていた
トラックの荷台がゆっくり開いていく
白いモヤが周りに立ちこめ始めたかと思うと
その全貌が段々と見えてきた


176 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:27:59.47 ID:0PByBm.0
男「これは…!?」

モヤが晴れて姿を現したのは
長大な砲身を持つ大砲のようなものだった
大型トラックの荷台半分を占める程の大きさだ

女「す、すごい…」
男友「デッケェ…これって、キャノン砲ってやつか?」
女友「でも、映画とかで見たのとはちょっと違う気が…」


177 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:31:07.89 ID:0PByBm.0
女教師「あれはウチが、開発した80mm地対空用電磁加速式半自走砲。
    平たくいうとレールガンよ」
男「レールガンって、あのSFとかに出てくる?」
女教師「そうそう。隕石を破壊したり、あとライフルにも使われてたわね。
    そんじょそこら普通の大砲とは訳が違うわよぉ」

そういって女教師先生は笑う
まるで新しい玩具を自慢する子供のような顔で
随分怖い子供だな


178 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:36:33.46 ID:0PByBm.0
女教師「さて。今からアレを持って、都心部に行くわよ」
男「へぇ、あれを持って…って! 都心に!? なんでまた!?」
女教師「さっき本部から連絡があったんだけど、さっき人工湖で男君が倒した
    鋭人から信号が発信されてたみたいでね」
女教師「太陽系総連が編隊を組んで、今あの湖に向かっているらしいの。
    前から練っていた計画をするのなら、今を逃す手は無いわ」
男「計画…ですか?」

女教師「男君。今日は君に、空をぶっ壊させてあげる」





179 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:37:34.28 ID:0PByBm.0
ACT.25 END...


NEXT
ACT.26



180 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/06/15(月) 01:38:05.66 ID:0PByBm.0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

一週間以内に続きを上げます。
それではまた次回。


181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/06/15(月) 01:43:28.95 ID:9WS6Wy2o
>>180
お疲れ様でした
実生活を犠牲にされない程度に頑張って下さい

楽しみしてます
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/06/15(月) 05:47:09.78 ID:/iPvJMSO
乙でした
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/06/15(月) 07:23:32.70 ID:gNpPjESO
乙ですっ


次回楽しみにしてます
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/06/17(水) 00:17:35.53 ID:rNWqJEAO
乙です
楽しみにしてます
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/06/21(日) 02:22:32.42 ID:inrzY6AO
乙です。

適度に頑張ってくださいね。
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/06/25(木) 21:38:59.77 ID:JUPCXYAO
今更乙
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/06/26(金) 11:12:25.10 ID:8D5/EC6o
続き期待age
188 :しがない絵描き2009/07/02(木) 10:03:02.12 ID:CRweyMSO
超久々にきました。


以前絵を大量投下していたんだけで面白くなってたんでまた書かして頂きます!
189 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/03(金) 01:48:48.55 ID:lOPmi8c0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

一週間以内に上げるの無理だった…課題が…
御待たせしてしまって本当申し訳ない
やっとこさ一段落ついたし、絵描きさんも戻ってきたし
四日の午前零時くらいからACT.26あげます


190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/03(金) 01:52:07.18 ID:NCO4ti6o
あせらなくていんだぜwwww
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/07/03(金) 11:04:34.78 ID:ZEkJetYo
そのAA気に入ってるんだ…
192 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:01:05.28 ID:zzptS2I0
ソラニン season 2

ACT.26―――


193 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:05:22.28 ID:zzptS2I0
時刻は十一時を回っただろうか
俺は電源を半分以上切ったラームの中にいる
後ろの座席ではリンネがコンソールの操作をしているのか
タイピングの音が時々途切れながら聴こえてくる

男「なぁリンネ、さっきから何してるんだ?」
リンネ「…電力供給の調整。今、10%を超えたところ」
男「そっか…」

目の前には何も映っていない
今コクピットは蓋をされたような状態だ

――話は、一時間前に遡る


194 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:12:00.31 ID:zzptS2I0
男「…空をぶっ壊すって、一体どういう事ですか?」
女教師「前にいった、セルの事。覚えてる?」
男「地球型惑星用防御外壁、でしたっけ」
女教師「そう。あれが存在してるのは、高度240km上空なの。惑星を覆う様に
    外壁が構成されていて、それが北極と南極の両点で固定されてるわ」
男「じゃあ、もしかしてそれをあのレールガンで…」
女教師「そう、文字通り“ぶっ壊す”のよ」


195 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:18:24.53 ID:zzptS2I0
女「あ、じゃあ、今までもあれを使ってたって事ですか? あの音も…」
男友「あっ! あのすっげぇ音か! っつーか、デカッ!」
女教師「今までは太平洋の真ん中に船浮かべて、そこから撃ってたの。
    といっても、列島から結構近いトコからね」
女友「それでも、すごい大きい音ですね…」
女教師「まぁねー。ニ発目は衝撃でうっかり船沈んじゃったからね」


196 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:24:08.26 ID:zzptS2I0
男「で、今回もまた普通に撃つだけ…」
女教師「いや! 今回はそれだけじゃないわ。今日は世界中の人々にセルの存在を
    しらしめる為の行動を取るわよ。その目標は――アレよ!」

女教師先生は人差し指を空高く突き上げた
その指先には、黄色く輝く丸いモノがあった
そう、月だ
そして今日は満月である

197 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:25:25.59 ID:zzptS2I0
男「で、今回もまた普通に撃つだけ…」
女教師「いや! 今回はそれだけじゃないわ。今日は世界中の人々にセルの存在を
    しらしめる為の行動を取るわよ。その目標は――アレよ!」

女教師先生は人差し指を空高く突き上げた
その指先には、黄色く輝く丸いモノがあった

そう、月だ
そして今日は満月である

198 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:26:59.73 ID:zzptS2I0
女教師「この天候も太陽も、結局はセルの内側のスクリーンに投影された映像。
    って云う事はさっき話したよね? あの月も例外じゃないわ」
女教師「今回の砲撃では、あの月が投影されているあたりのスクリーンを狙うの。
    要するに、月を空ごとぶっ壊すのよ」


199 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:32:04.36 ID:zzptS2I0
そして俺は今こうしてラームのコクピットの中にいる
コクピットのハッチは取り外され
代わりにレールガンの基部と連結されている
どうやらこの作戦が終わるまでは外の景色を拝めそうにない

男「ふわ…眠い…」
男「(こんな状況でも眠気がくるのは落ち着いてるのか、自棄なのか…)」
リンネ「…男君、寝てても大丈夫よ? 近くなったら起こすから」
男「いや、そうもいってられん。なんだかんだで、やっぱり怖いみたいだし」

そういって俺は自分の手を見る
少し震えながら、汗ばんでいる手を


200 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:35:58.47 ID:zzptS2I0
男友『…ふぇっくしょい!』
男「男友、大丈夫か? やっぱりお前も女達と一緒にいたほうがよかったんじゃ」
男友『バッカヤロ、ここまで来て引き下がれるか! やるったらやるぜ、俺は』

ラームが積まれているトラックの後方座席には男友がいた
俺達が山から出発する際に、男友自身が名乗り出たのだ


201 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:51:37.05 ID:zzptS2I0
(以下回想)

女教師『…男友君、それは本気でいってるのかい? ゲームじゃないのよ、これは』
男友『わ、判ってます! だけど、俺も何か役に立ちたいんです!』
男友『男が頑張ってるってのに、俺一人何もしないなんてカッコ悪いし…』
女教師『好きな人が出来た手前、って事かい?』
男友『えっ! あ、いや…そういう訳じゃ、なくもないけど…』
男友『俺だって皆の役に立ちたいんです! …アイツの為にも!』
女教師『…仕方ない。男友君、あっちにいって防弾服貰っておいで』
男友『は、はいっ!』


202 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:54:42.48 ID:zzptS2I0
女友『ちょ、先生!?』
女教師『大丈夫よ、女友ちゃん。彼は私が責任持って守るわ』
女友『で、でも…あいつは一般人なんですよ? それなのに…危険すぎます…』
女教師『なんの為に私がいると思ってるの? 平気よ、私が保証するわ』
女友『…判りました。ただ、絶対にあの馬鹿を連れて帰ってきて下さいね』
女教師『ええ、任せて!』


203 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 00:59:43.67 ID:zzptS2I0
それから間もなくして
男友は防弾服に身を包んでトラックに乗り込んだ
俺とリンネはラームに乗り込む
ハッチが外され、レールガンの基部の接続作業が始まった

女教師『ごめんね、こうしておかないと電力供給が間に合わなくってさ』
男『…これって自走砲じゃないんですか?』
女教師『“半”自走砲、だからね。あしからず』
女教師『作戦終了までは当分コクピットから降りられないから、宜しくね』


204 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 01:03:46.46 ID:zzptS2I0

基部が接続される時
ゆっくりとコクピットに迫ってくるレールガン
俺は横を見る、そこには女が立っていた
女は何かいったようだった
周りの音に邪魔されて正確には聞き取れない
ただ、微かに聞こえた声と口の動き

女『帰ってきて――』

男「(――帰ってやるさ、絶対)」


205 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 01:06:41.70 ID:zzptS2I0
女教師『今から検問所突破するわ。総員、此処からが本番よ』
男「検問所?」
女教師『都市部に第一種厳戒令が発令されてるのよ。こないだのヤツ』
女教師『んで、都市部に繋がる公道が太陽系総連の手回しで塞がれてるの』
男「実際に検問してるのは?」
女教師『自衛隊よ』
男「自衛隊にも息がかかってんのかよ…」
女教師『ま、今後はどんな軍事組織も敵と考えておくといいわよ…見えたわ!』

女教師先生のその言葉を合図にしたかのように
トラックの速度が早まる
スピーカー越しに外の音が聴こえてくる


206 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 01:10:21.31 ID:zzptS2I0
隊員『…警告する! 前方の車両! 速やかに止ま…お、おい! 止まれ!』
女教師『生憎、貴方達の相手してる程暇じゃないのよ!』

次の瞬間、無数の銃声が響いた
続いて男性の悲鳴、多分自衛隊のものだろう
“がしゃん”と、トラックが検問所を突破する音がした


207 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 01:12:21.90 ID:zzptS2I0
女教師『第一検問所、クリアーね』
男友『こ、こえぇ…銃こえぇ…』
男「男友! お前、まさか撃ったのか!?」
女教師『一応持たせておいたんだけど、セーフティ外し忘れてるわね』
男友『だ、だって俺こんなの持つの初めてだし…』
男「吃驚した…ん、待てよ。第一って事はもしや…」
女教師『ええ、この先、あと十カ所は検問所があるわよ』
男友『うわぁぁぁあああ! 嫌だぁぁぁあああ!』
女教師『ああっ、もう! 泣くな! 男の子でしょーが!』

男友の悲鳴を乗せて
トラックは都市部へと近づいていく




208 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 01:14:10.11 ID:zzptS2I0
ACT.26 END...


NEXT
ACT.27



209 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/07/04(土) 01:19:32.52 ID:zzptS2I0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

ACT.26終りです。このAA気に入ってます。

さて、ついに七月に入ってしまった訳ですが
このソラニンの元スレを立てたのが去年の九月一日
そう、あと二ヶ月もしない内になんと一周年
一年前はこんな事するとは夢にも思わなかった…
一周年の日にはそれにちなんだ話でもあげようかと
絵師さんも戻ってきてくれた事だし

それじゃ、ACT.27で


210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/04(土) 01:35:33.68 ID:cIF9gJwo
おっつー
またよろしくねー
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/04(土) 03:47:53.33 ID:K6PVuIDO
超乙っす
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/04(土) 07:06:16.84 ID:xEZiDkSO
おつぅ
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/04(土) 08:02:14.31 ID:E.a6c6DO
月をぶっ壊す……最高にハイテンションだな!ww
乙!
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/04(土) 15:29:15.70 ID:ghI6b/.0
乙カレー
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/04(土) 18:13:28.44 ID:EW6kmwAO
乙です。
誰かラームをフルスクラッチしないかな〜?
スペックとかは決めてるの?
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/05(日) 04:43:04.98 ID:uMyU6QAO
乙でした
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/05(日) 19:45:19.29 ID:XOKjUMSO
ウルトラ乙です
218 :しがない絵かき[#pahome]:2009/07/17(金) 17:41:38.16 ID:WC8Y5oSO
http://imepita.jp/20090717/635620


とりあえず今までの登場人物一覧。

誰が誰だかわかったらありがたいな
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/18(土) 08:28:38.12 ID:VOquYYDO
先生の顔が悪役に見えるwwだけど相変わらずGJです
そろそろ>>1も来るころかー?
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/07/19(日) 00:01:44.71 ID:UeDCVcAO
しがない絵描きさん久しぶり!
相変わらず絵がうまいね
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/07/22(水) 10:53:05.48 ID:e0VrOcAO
久しぶりだなあww
忙しいとは思うがちょくちょくまた描いてくれww
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/02(日) 10:42:39.97 ID:16oTGoAO
今は試験期間中か
223 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/09(日) 00:30:39.10 ID:SrJ9jM20
現在、個展に向けて活動しているので
17日までマトモにパソコン動かせません
申し訳ない。夏休みってなんですか?

というわけで17日から再開です。


224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/09(日) 03:55:02.80 ID:UyDVeS.o
>>223
了解した待ってるww
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/09(日) 04:10:04.14 ID:YSiFMnso
ゆっくりしってt(ry
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/09(日) 20:56:22.23 ID:Qb5tH6AO
>>225
>ゆっくりしってt(ry


ゆっくりしってt


ゆっくりしっててね


しっててね




………ん?
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/10(月) 21:20:38.10 ID:EtWf4AAo
>>226
いやあああああああ
はずかしいいいいいいいいい

もうやめて僕のライフはz(ry

228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/13(木) 17:18:26.25 ID:YYWOo.AO
夏だな
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/17(月) 04:11:42.15 ID:Ph7nqoAO
17日になったのに待ってても始まらないのです
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/17(月) 06:24:53.17 ID:tYbWW2AO
>>229
今日の夜じゃね?
どちらにしろ期待
231 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/17(月) 22:53:44.35 ID:HaQWBrk0
25:00から始めまっす

232 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:00:29.51 ID:qeqRR9Q0
ソラニン season 2

ACT.27 "SCI-FI AGE RIOT -episode.A- "―――

233 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:02:14.25 ID:qeqRR9Q0
ひとつめの検問所を突破して
どれほど経っただろうか
相変わらずスピーカーからは
銃声と悲鳴と絶叫が聴こえてくる

自衛隊『うわぁぁぁあああ!』
自衛隊『たっ、助けてくれぇ!』
男友『も、もう嫌だぁぁぁあああ! ひぃぃぃいいい!』
女教師『ああもうっ! 五月蝿い! 少しは君も戦いなさい!』

男「…賑やかだな」


234 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:06:04.20 ID:qeqRR9Q0
女教師『よし、今ので多分最後よ。皆お疲れ様』
男友『ヒィ…ヒィ…』
男「おーい、男友ー、大丈夫かー」
女教師『全く、意気込みは良かったのに結局ヘタレだね、この子は…』

先生の声の後に、金属片が落ちる音がする
空の薬莢がトラックの座席に落ちる音だろう
その数が使用弾数を物語っている


235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 01:06:55.89 ID:7m4PhIDO
お、キタキタ
頑張ってね!
236 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:09:31.40 ID:qeqRR9Q0
男「…で、これからどうするんです?」
女教師『とりあえず都市部には入れたから、あとはポイントを目指すだけね』
男「ポイントって、ようは狙撃位置ですか」
女教師『そそ。もう測定済みだから、マーカーの場所に行けばいいだけよ』
男「大体どれくらい掛かります?」
女教師『うーんとね、今からなら十分くらいかしら? リンネ、充電はどう?』
リンネ「…現在、67%。完了まで、あと約二十分です」
女教師『了解。じゃあ、それまで上手い事凌がないとね』


237 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:12:09.15 ID:qeqRR9Q0
運転手『本部より入電、都市部に向かう鋭人を数機確認した模様です』
女教師『チッ、やっぱりバレるのが早かったわね…飛行隊は?』
運転手『既に三隊が出撃してます。しかし、それでも何処まで保つか…』
女教師『判った…男くん、今の会話聴こえてたかしら?』
男「はい…鋭人相手に、戦闘機で勝てるんですか? 」
女教師『こないだの一機から得られた情報を元にして、対鋭人用の
    操作ジャマーを作ったんだけど、それが効くかどうかね…』


238 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:15:29.82 ID:qeqRR9Q0
その時だった
突如外から銃撃音がした

男「ッ!?」
女教師『! まずいわ…太陽系総軍の陸上部隊よ!』
男友『ひっ!?』

モニターの電源が落ちていて判らないが
スピーカーから多くのスリップ音が聴こえてくる
そうやら敵の数はかなりのようだ


239 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:18:16.12 ID:qeqRR9Q0
女教師『ドライバーは身の安全を最優先! 他は迎撃に当って!』
隊員達『了解!』
女教師『ほら! 君もいい加減覚悟決めなさい!』
男友『ぐっ…で、でも…』
女教師『でももへったくれもない! 今戦わなかったら君、死ぬよ!
    もうあの子とも会えないのよ! それで本当にいいの!?』
男友『!』

それから程なくして
銃の安全装置を解除する音が微かに聴こえた


240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 01:22:36.50 ID:ZNd8ra2o
来てた─wwwwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwwwヘ√レvv〜─ !!
241 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:23:51.42 ID:qeqRR9Q0
一方の俺達はわりかし暇だった
本来ならラームで鋭人を迎撃してるのだが
今は充電中とあって動かす事が出来ない

男「(暇だ…携帯も電源切れてるし…)」

ゴンッ

男「あだっ!」
リンネ「ッ〜!!」
女教師『あっ、男くん大丈夫? いやぁ敵避けるのに必死でさ』
男友『うぉぉぉぉおおおおりゃぁぁぁああああ!』
男「…大丈夫ですか、男友」
女教師『なぁに、戦場だとこれくらいのほうがいいもんよ』


242 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:27:46.91 ID:qeqRR9Q0
暫くの間、男友の怒号と銃声がスピーカーから聴こえた
しかしそれも途中で聴こえなくなった
別にやられた、とかいう訳ではない
耐えかねたリンネが外部スピーカーを切ったのだ

男「ふぅ…一気に静かになったな…」
リンネ「…耐えられない…」
男「は、はは…」


243 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:31:20.84 ID:qeqRR9Q0
が、それもほんの束の間だった
『ブツッ』という音と共に

男友『だりゃぁぁぁあああっしゃぁぁぁぁあああああ!』
男「ギャー!」
リンネ「ぴっ!」

後ろから、聞いた事ない声がした


244 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:35:15.69 ID:qeqRR9Q0
女教師『ちょっと! いきなり回線切っちゃ駄目じゃない!』
男「だって五月蝿いんですよ、あのトリガーハッピー!」
女教師『それくらい我慢なさい! それより、もうそろそろよ!』
男「もうそろそろって、何が!?」
女教師『射撃ポイントよ!』

それを聞いた途端、俺の意識から音が消えた
――ついに、来たか


245 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:39:30.20 ID:qeqRR9Q0
気がつけばトラックは止まっていた
外部スピーカーから聴こえる音も随分静かだ

女教師『…リンネ、充電は、あとどれくらい?』
リンネ「…充電率87%。予定時間、残り10分です」
女教師『よし、判ったわ。充填電力の半分を起動電力に回して』
リンネ「…了解。ラーム、システムチェック。起動開始します」
男「(…うごけぇぇぇえええ…)」


246 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:42:46.16 ID:qeqRR9Q0
今まで暗かったコクピットが明るくなった
パネルに英文が流れ始める

女教師『男君、よく聞いて。今から十分間、私達は敵の迎撃に当るわ。
    君はレールガン充電が完了次第、射撃を行って』
男「射撃は? 弾丸は何秒で着弾するんです?」
女教師『恐らく、一、二分は掛かるわ』
男「その間に敵が月の位置をずらすって事は?」
女教師『それはギリギリね。モニタの更新は最低二分掛かるの。
    気圧等の誤差で二分以内に着弾しなければ失敗ね』


247 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:46:37.33 ID:qeqRR9Q0
男「やれやれ…ここまで来て賭けですか」
女教師『それだけじゃないわよぉ。対鋭人用ジャマーが効かなかったら、
    迎撃部隊、つまり私らは全滅する可能性があるわ。十分以内にね』

女教師先生は冗談っぽくいったが、実際にそうなのだろう
例え火力があっても、結局人間は人間
鋭人のようなロボット兵器にマトモに太刀打ち出来る筈ない
その事を考えると、ぞっとした


248 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:50:07.29 ID:qeqRR9Q0
リンネ「…レールガンとの接続チェック、OK。充電率、89%に上昇」
男「全方向確認良し、と…お?」

ふと、モニターを見上げると其処には月があった
今から、俺がぶち壊す月――

男「(本当に、あれが壊せるのか…?)」





249 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:51:04.62 ID:qeqRR9Q0
ACT.27 "SCI-FI AGE RIOT -episode.A- " end

NEXT
ACT.27 "SCI-FI AGE RIOT -episode.B-"
08/18 25:00 start



250 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/18(火) 01:57:41.32 ID:qeqRR9Q0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

ども。一ヶ月越し余裕でした。本当スミマセン。
ACT.27は前編と後編に分けました、長いんで。


さて、ちょっと反省タイム。
今回もそうですが、基本的に作中に登場する
パーセンテージ等の数字は設定のツメが甘いです。
序盤に登場したネット掲示板の日付も、
一学期のはずなのに九月だったりします。
今回も残り時間の設定とかでワタワタしてます。
その辺は、九月上旬に配布を予定している
ソラニン完全版で補完するので、ご了承下さい。

それでは、episode.Bで。


251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 02:03:01.44 ID:sIR.usAO
>>1乙〜
明日も期待して待ってるぞ〜ノシ
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 02:03:35.75 ID:ZNd8ra2o
お疲れさまでしたw
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 02:52:40.84 ID:iI8sxASO
お疲れ様ww
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 03:43:17.28 ID:GW/IUQAO
あれ?
ぴっの人??
255 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:00:07.59 ID:0Ar.uHE0
ソラニン season 2

ACT.27 "SCI-FI AGE RIOT -episode.B- "―――


256 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:01:45.03 ID:0Ar.uHE0
モニターを見上げていた時だった
後ろの座席のリンネが少し強いトーンで云う

リンネ「…12時方向に熱源数、6。鋭人と確認」
男「来たか…」

目の前を見る
連絡を受けて集まった明星機関のトラックが計8台
それが円を組みバリケードを形成している


257 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:04:40.12 ID:0Ar.uHE0
女教師『男君、ラームのシールドを展開して。最大出力にすれば
    私達のバリケードも守れるはずだから』
男「了解です」

俺がシールド展開と思うと
モニターが一瞬緑に染まり、すぐに戻った

リンネ「…シールド展開を確認。有効範囲、半径20m。
    ただし、防衛力が通常時の五分の一に低下してます」


258 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:08:21.50 ID:0Ar.uHE0
女教師『それでも結構よ。ありがとう。さて、こっちの方はどう?』
隊員『ジャマーの準備、整いました。いつでも起動出来ます』
女教師『よし、これで準備はOKね。さぁーいつでも掛かってきなさい!』

目の前の夜空を見る
幾つも見える赤い光は戦闘機のものだろう
そして、遠くの空に見える青い光

――鋭人だ


259 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:12:23.61 ID:0Ar.uHE0
女教師『各員、銃弾装填! ポジションに付き次第、その場に待機して!』

目の前の人々が、一瞬慌ただしく動き、そして止まった
操縦球を握る手が汗ばむのが判る
外部スピーカーからは、遠くから来る車の音
そして近づいてくる空気を切り裂く音

一秒一秒を長く感じた
視力がいつもよりもクリアに感じられる

そして、その時が来た


260 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:17:12.03 ID:0Ar.uHE0
――ドォォォオオオンンン

目にはしっかりと衝撃波が映った
同時に数名の隊員が吹き飛ばされるのが見える
突っ込んできた鋭人はシールドに弾き返されていた

女教師『ジャマー起動!』

先生の掛け声を合図にして
トラックに積まれていた機械がうねりを上げ始めた


261 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:20:10.65 ID:0Ar.uHE0
変化はすぐに現れた
遠くに飛ばされ、ゆっくり立ち上がろうとしていた鋭人
その挙動があからさまにおかしくなっている

男「やった! 効いてる!」
女教師『いけるわ! 無反動砲準備!』

隊員の一人が身の丈ほどあるランチャーを構える
そして間もなく、そこから一発の弾が放たれた


262 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:24:11.89 ID:0Ar.uHE0
煙の尾を引きながら弾丸が鋭人に向かって行く
そして爆音が鳴り響き、鋭人のボディが四散するのが見えた
隊員達から歓声が上がる

女教師『よしッ! この調子なら…!』

そう、先生がいった時だった
ビルの影から太陽系総軍の装甲車が現れた
それがバリケード十数メートルで停止し
すぐさま攻撃を開始してきた


263 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:28:32.46 ID:0Ar.uHE0
女教師『総員、伏せて!』

何発とも判らぬ弾丸の雨
シールドでそれは防がれていたのだが
攻撃が集中した場所が一カ所あった
そして

――パンッ


264 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:31:55.74 ID:0Ar.uHE0
そんな音がしたかと思うと
隊員の一人が頭から血を噴き出しながら倒れた

男「(――!)」

一瞬の間を置き、恐怖が俺を襲った
これは、この状況は今までとは全く違う
人がすぐにでも死んでしまう
そんな危険が目と鼻の先にある状況


265 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:34:39.58 ID:0Ar.uHE0
男「リンネ! 充電はあとどれくらいで終わる!?」
リンネ「…崩落したシールドの修復に、少し電力を取られるから、
    所要時間はあと6分」
男「先生!」
女教師『了解! 6分くらい、なんて事ないわ!』

倒れた隊員は周りに居た他の隊員達に運ばれ
そしてトラックの中へと消えた


266 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:37:39.79 ID:0Ar.uHE0
暫くしてから、上空で爆音がした
それから数秒経って、近くのビルに何かがぶつかった
ぶつかったのは戦闘機の残骸だった
それによってビルの一部は崩れ落ち、敵装甲車に落ちる
周りに居た敵を巻き込み、装甲車は爆発した

隊員『AWACSより入電! ラヒーレ2が撃墜されました!
   上空にまではジャマー電波が届いていない模様です!』
女教師『心配だったけど、やっぱりそうだったわね…』


267 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:41:55.61 ID:0Ar.uHE0
破壊された一機を除いて、鋭人は下に降りては来なかった
代わりに上空の飛行隊が苦戦を強いられていた
下は下で、地上部隊との戦いを続けている
シールドの崩落は先程からはもう起きていない

リンネ「…男君。射撃準備、そろそろしたほうがいいと思う」
男「ああ。でも、俺は何をすればいい?」
リンネ「…姿勢を射撃モードに移行させて。上を向かせるように」
男「了解」

ラームの上半身が上に向き始める
機体に取り付けられた砲身がゆっくり天に向かい始めた


268 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:45:20.36 ID:0Ar.uHE0
リンネ「…射撃の瞬間、数秒だけシールドを解除する。
    そのタイミングで攻撃を行って」
男「…もし失敗したら、どうなる?」
リンネ「…その場合、弾丸がシールド内で炸裂する。結果、皆死ぬ事になる」
男「そうか…判った。気を付けるよ」

やがて姿勢制御が終わる
外からはどう見えてるだろうか


269 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:49:57.81 ID:0Ar.uHE0
外では相変わらずの戦闘
ときどき近くで爆発音がする
だが、俺の心は恐ろしい程落ち着いていた

男「(自棄、かな…)」
リンネ「…充電完了まで、残り1分」

モニターに映る銃身から光が漏れ始めた
エネルギーが収束しているのだろうか


270 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 01:53:54.20 ID:0Ar.uHE0
あと一分を切った
もうすぐでレールガンの充電が終り
そして俺はそれで月を破壊する

女教師『負傷者は後退させて! まだ来るわ!』
男友『くっそぉお! まだ終わらないのかよ!?』
隊員『グレネード!』

また爆発が怒った
煙はさっきより大きかった
それでも、音は全く聴こえない


271 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 02:03:25.09 ID:0Ar.uHE0
リンネ「…充電完了まで残り30秒。カウント、スタート」

29 28 27 26 25 24

カウントが進むに連れて視界が狭まって行く
モニターに照準が現れた
それを微調整して月に狙いを定める


272 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 02:06:03.86 ID:0Ar.uHE0
ふと俺の頭の中で声がした

『これを撃ったら、この先俺達はどうなる?』

今まで深く考えてなかった
未だ世間には太陽系総連の事は明かされてない
それでも、今まで俺達は平穏に暮らしてきた
別にそれで良かったはずだ
だけど、俺は今こうして此処にいる


273 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 02:10:13.79 ID:0Ar.uHE0
リンネ「10、9、8、7――」

最早、誰の声も聴こえなかった
俺はどうなる? 家族は? 男友は? 女友は?
女教師先生は? リンネは? 雀は?

そして、女はどうなる?

男「(俺は――)」

答えは出せなかった
モニターが、充電完了を伝えた


274 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 02:14:11.87 ID:0Ar.uHE0
リンネ「…射撃準備、完了」
女教師『皆、インカムをミュートモードに! 伏せて!』
男友『男! 撃てっ!』

男「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!」
――オオオンンンン

ラームが唸りを上げる
ギアが軋む音は、さながら咆哮のようだった


275 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 02:16:46.07 ID:0Ar.uHE0
一瞬の静寂、そして

表現出来ない程の爆音

衝撃は機体内を襲った
まるで震度7の地震のような揺れ
モニターにはノイズが走った
外を強烈な突風が襲っている
先生や男友、隊員達はトラックに必死にしがみついてた
機関のトラックはアンカーを打ち出していたが
太陽系総軍の装甲車は何台も吹き飛ばされていた


276 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 02:20:25.63 ID:0Ar.uHE0
リンネ「…弾丸、発射を確認」

ラームから放たれたレールガンの弾丸は
まず、偶然軌道上にいた鋭人を完全に破壊した
それでも勢いは留まらず
弾丸は月に向かって飛んで行く


そして一分後、月のど真ん中に
黒点が浮かび上がった







ACT.27 "SCI-FI AGE RIOT -episode.B- " end

NEXT
ACT.28 "darkside of nation -episode.1-"


277 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/08/19(水) 02:24:39.69 ID:0Ar.uHE0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

>>254
誰それ


ACT.27(season 2 三分の一)、終了

次から各話に名前をつけていきます
ただし、数話でひとつの物語のような具合なので
“episode.*”で区切りを付けてく事にします

さー次はどんな感じに書こうかね…
あまり語り部分は多くしたくないんだけどなぁ




278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/19(水) 04:27:03.70 ID:Sl505IAO
>>277
ああ、違うとは思ってた失礼
おつ乙!!
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/19(水) 05:16:51.27 ID:URyyq.AO
>>277
乙です!
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/19(水) 07:21:38.92 ID:28FPSyso
おお更新してたwww
お疲れさまでしたwww
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/19(水) 09:06:09.39 ID:US.jrQDO
うーん……。今ひとつ主人公に魅力を感じられない……。
それでも凄いおもしろいんだけどね。
282 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/09/01(火) 02:38:34.87 ID:A3DB.5g0
実は今日で前作(空人)から一周年

一周年記念という事で前作のリマスター版+オマケをアップ
サントラ(勝手に作った)とす超短編が一緒に入ってます
ダウンロード用パスワードは『soranin』
今月いっぱいまでの配布予定です(早めに消える可能性アリ)

ttp://www1.axfc.net/uploader/S/so/56074

そして今月は今までより多めに投下していく予定
これからもどうぞ宜しくお願いします


283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/01(火) 06:24:56.41 ID:.3d6cH2o
>>282
ただいまDL中


まったくおまえさんは…GJ!!!!111!!
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/01(火) 20:01:37.64 ID:TDcCyQSO
>>282
ありがと
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/04(金) 17:12:51.76 ID:d879Q.AO
>>282
携帯の俺は涙目です
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 22:11:11.79 ID:JdKfYkAO
そして速く続きを読みたい俺
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/07(月) 00:06:55.81 ID:RyU7GsAO
一乙
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/08(火) 18:55:12.89 ID:H.CnyAA0
もう一周年になるのか・・・
乙!!!
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/13(日) 09:19:37.87 ID:maLPAAAO
落とせたけどファイルが存在しないとか言われた('A`)
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/21(月) 17:48:17.81 ID:i5.v97k0
今聞いてる
エウレカ思い出したwwww
291 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/09/24(木) 23:04:02.39 ID:MraV7cw0
インフルで死にかけてました
これからだって時になんてタイムリーな事に…

これから頑張ります…


292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/25(金) 02:32:58.69 ID:VmWh0QDO
おお、お久しぶり
インフルは後引くからムリしないようにね
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/25(金) 16:11:03.72 ID:ecz3bQAO
ちゃんと治してから書くか、書きながら治してくれ
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 00:09:47.53 ID:ZevxF6AO
どんなに書くのが遅くなろうが俺はいつまでも待つぞ
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[age]:2009/10/07(水) 02:45:28.23 ID:0zppCsDO
あげ
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/08(木) 14:47:17.68 ID:W2QOGAgo
さげ
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/10/08(木) 19:25:01.66 ID:SHIWMYAO
はげ
298 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/10(土) 00:37:31.68 ID:T.SCFac0
大変長らくお待たせしました
っていうかホントもうごめんなさい


ソラニン
ACT.28 "darkside of nation -episode.1-"
10/11 25:00〜 START!!

299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/11(日) 00:06:21.92 ID:z.gPO.AO
期待
300 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:03:30.71 ID:XNM2Z4c0
ソラニン season 2

ACT.28 "darkside of a nation -episode.1- "―――



301 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:06:24.12 ID:XNM2Z4c0
八月も下旬に差し掛かった頃
俺は一人で明星機関本部に来ていた
地下へ続くエレベーターの中
空調の音だけが耳に入ってくる

あの日、ラームから放たれたレールガンによって
モニターに移されていた月の一部が破壊された
破壊後、二分でその痕跡は消された
月が映っているモニター部分をずらしたのだ
だが、それでも俺達の目論みは達成されていた


302 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:10:42.72 ID:XNM2Z4c0
今多くのマスメディアは
あるキーワードで賑わいを見せていた

――『欠けた月』事件

事件当時、都市部は無人だった
しかし、高層ビルに取り付けられていた
監視用カメラは静かに動いていたのだ
そして、それは欠ける月をしっかりと写していた
また多くの諸外国でも、その様子は確認された
かつては情報統制によって
あらゆる痕跡も完全に抹消していた太陽系総連だったが
今回世界規模で確認されたこの問題には
どうやら連中もかなり頭を悩ませているようだった


303 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:13:38.29 ID:XNM2Z4c0
俺達の生活も少し変わった
今俺は部活の長期合宿という名目で
機関内で生活をしている
他の皆、女や男友達も一緒だ

今日はラームの新武装の稼動試験だった
やがてエレベーターが止まり、ドアが開く


304 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:15:43.23 ID:XNM2Z4c0


――――


女教師『男君、リンネ。準備はいいかしら?』
男「大丈夫です」
リンネ「…いつでもどうぞ」

俺達はラームの中にいる
そこは急遽建設された試験場だった
器材が丸出しの、無骨な空間だ
その広いスペースに
灰色の巨人がそびえ立っていた


305 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:21:46.14 ID:XNM2Z4c0
女教師『よろしい。それじゃ稼動試験、始めるわね。ハッチ開けて』

先生の声の直後
地面の一部が開いて何かが迫り出してきた
どうやら銃のようなものらしい

女教師『ラームの携行用の小型銃火器よ。ハンドガンみたいなものね。
    140mm徹甲弾を100発装弾可能。マガジンは最大6個まで携帯できるわ』
男「実弾兵器か…これ、鋭人に通用するんですか?」


306 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:26:18.24 ID:XNM2Z4c0
女教師『それを今から確かめたいのよ。モジュール、出して』

少し離れた場所の地面から
的のようなものがいくつか現れた
金属の光沢が遠くからでも確認出来る

女教師『アレに使われてるのは鋭人の装甲とほぼ同じ硬度のものよ。
    高速移動するアレが破壊出来たら、十分な戦力になりうるわ。
    それじゃ、始めるわよ。構えて』

ラームの手がライフルを取った
既にマガジンは装填されている

女教師『試験、開始!』


307 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:30:14.58 ID:XNM2Z4c0


――――

女教師「八個中、三個完破。一個中破。まぁ、牽制武器ならこんなものね」

運用試験が終わった後
俺達は試験場の出入り口にいた
近くを機関の人達が行き来している


308 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:36:10.91 ID:XNM2Z4c0
女教師「今後の作戦では、これを標準装備として携行する事にしよう。
    近距離戦ばかりじゃさすがに限度があるもの」
男「了解です。…先生、そういえば男友達は今どこに?」
女教師「男友君は陸上部隊の室内演習場にいるわ。
    女ちゃん達はオペレータールームで研修中よ」

あの後、男友は先生の部隊に新米として加わった
女達も『何か協力したい』と願い出たそうだ
俺のせいで皆を巻き込んでしまったようで申し訳ない


309 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:40:09.67 ID:XNM2Z4c0
女教師「さて、武器も新しく増えた事だし!
    そろそろ次の作戦を考えなくっちゃね」
男「もう考えがあるんですか?」
女教師「まぁね。いつまでものんびりしてらんないし。
    連中だってあんな事されたら黙っちゃ無いわよ?」

そりゃそうだ
自分達の秘密をあんな盛大にバラされかけたのだ
逆に、すぐに報復が無かった事が不可解に思える


310 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:45:36.64 ID:XNM2Z4c0
女教師「今度は前のに比べたら小さいけど、デカい標的よ」
男「へぇ…って、前のよりデカかったら流石にどうしようも無いですよ」
女教師「まねー。惑星より大きかったら、そりゃお手上げだわね。
    でも安心して。惑星よりは小さいわ」
男「んで、一体なんなんです? その“デカい標的”ってのは?」

先生はちょっと言葉を溜め、そして云った

女教師「次のターゲットは、クジラよ」




311 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:46:47.53 ID:XNM2Z4c0
ACT.28 END...


NEXT
ソラニン
ACT.29 "darkside of a nation -episode.2-"
10/12 25:00〜 START!!



312 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/11(日) 01:47:50.88 ID:XNM2Z4c0
というわけで、ACT.28でした

一個が短かった分、二日連続で行きます
それにしても今回は台詞が少ないな…



313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/10/11(日) 01:48:47.55 ID:zzs32Kg0

明日も楽しみにしてる
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/11(日) 03:34:03.84 ID:n0viu.AO
今日きてたのか
おつ
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/11(日) 04:03:16.42 ID:b3FP0MUo
ふん・・・実に面白い


|ョω・`) マッテルヨ
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/11(日) 06:45:36.85 ID:MtUpyawo
反捕鯨国に(ry wwwwww

乙でしたwwww
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/10/11(日) 18:26:14.53 ID:TxSlCoAO
318 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:01:03.90 ID:dm0y3wk0
ソラニン season 2

ACT.29 "darkside of a nation -episode.2- "―――



319 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:04:28.33 ID:dm0y3wk0
男友「“クジラ”ぁ?」

俺達は作戦会議室にいた
大きな半弧上の机を囲う様に
俺と女、男友、女友
そしてリンネと雀が揃っている
前のスクリーン近くには女教師先生がいた


320 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:07:40.10 ID:dm0y3wk0
女教師「まぁ、クジラってのは例えっていうか、別称っていうか」
女「クジラみたいに大きいって事ですか?」
女教師「うーん、それも違うんだよね。ま、見せた方が早いか。雀!」
雀「はいっ」

呼ばれた雀はスクリーン近くにあったコンソールに近づく
操作をし終えると、画面に大きな地図のようなものが映った
それは、その地図からも伺えるほど大きいものだった


321 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:11:58.37 ID:dm0y3wk0
男友「なんじゃこりゃ…何か、建造物の俯瞰図か?」
女友「それにしても大きいわ。これは一体…」
女教師「男くんと、女ちゃんはこれが何か判るはずよ」
女「えっ!?」
男「判るって…俺達、これを見た事があるのか?」
女教師「うーん、忘れちゃってる、っていうかこれじゃ判らんか…
    じゃあ、大ヒント。ここで男くんはリンネに会ってるわよ」
男「…あっ!? まさか!」


322 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:15:32.15 ID:dm0y3wk0
潮の匂いが強かった
海中トンネルから見えた太陽の光
虚無の街、黒服の男達
そして、彼女と出会った場所

女教師「そう、コレの正体は『ムスクルス』よ」


323 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:19:28.18 ID:dm0y3wk0
女「ええっ!? ムスクルスって…ど、どうしてですか!?」
女友「ちょ、ちょっと待った! 先生、女達は知っているから判るだろうけど、
   私達はムスクルスは名前しか知らないんです。説明してもらえませんか?」
女教師「ああ、それもそっか。じゃあついでにソイツも説明しちゃおう」

画面が立体視画面になる
ムスクルスの全体が見えてきた


324 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:24:41.12 ID:dm0y3wk0
女教師「ムスクルスは日本と諸外国のプロジェクトチームが共同で建造した、
    海洋都市計画の一環である巨大海洋都市、っていう名目よ。
    クジラってのは、その名前の由来がシロナガスクジラだからね」
全員「“名目”?」
女教師「そう。海洋都市ってのは、建造の為の真っ赤な嘘」
女「そ、それじゃあムスクルスの造られた本当の目的って…」

女教師「――太陽系総連の、巨大潜水母艦としての利用よ」


325 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:27:42.40 ID:dm0y3wk0
女教師「ムスクルスは日本と諸外国のプロジェクトチームが共同で建造した、
    海洋都市計画の一環である巨大海洋都市、っていう名目よ。
    クジラってのは、その名前の由来がシロナガスクジラだからね」
全員「“名目”?」
女教師「そう。海洋都市ってのは、建造の為の真っ赤な嘘」
女「そ、それじゃあムスクルスの造られた本当の目的って…」

女教師「――太陽系総連の、巨大潜水母艦としての利用よ」


326 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:28:55.94 ID:dm0y3wk0
男「潜水母艦…? あんなデカい人工島が!? そんな馬鹿な!」

女教師「ムスクルスには大きく分けて三つの区画があるの。
    居住区、工業区、企業区の三つね。二人はもう知ってるわよね?」
女教師「んで、そのうち居住区と、工業区の半分は分離させる事が出来るの。
    残った部分がムスクルスの本当の姿よ」

画面上でムスクルスの全体が大きく動く
大部分がゆっくり外れて消えていった
そして残った部分が現れる
それは潜水艦としてはあまりに巨大だった


327 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:32:41.00 ID:dm0y3wk0
男「これ全体が、潜水艦!?」
女教師「全長約650m、全高240m。艦載兵器は現段階では判っていないけど、
    容積的に鋭人を数百機格納出来るはずよ」
男友「数百って…そんなの来たら、一溜まりもねぇな…」
女教師「恐らく内部に生産スペースも確保されてると思うわ。
    動く工場、潜る要塞。敵の中枢にはもってこいのシロモノってワケ」
女教師「勿論、この事を知ってる人は数限られているわ。
    各国政府の一部の高官、首相、大統領クラス、それと太陽系総連」
女「そ、そんな…世界の偉い人達が、なんでこんな事…」
女教師「生き残りたいからよ。太陽系総連がこの先何をするかは判ってないわ。
    もしかしたら火星を滅ぼす気があるかもしれない。昔の地球みたいにね」


328 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:35:22.27 ID:dm0y3wk0
雀「実は明日、ムスクルスの正式公開セレモニーがあるの。
  一般居住者募集の前に、大々的に御披露目しようって事らしいよ」
女教師「そこで、皆には一日だけで済まないけど、明日ムスクルスを攻めるわ」
男友「あ、明日だぁ!?」
女友「そんな事、急に云われても…!」
女教師「明日が一番のチャンスなのよ。セレモニーには多くの報道陣が来るわ。
    それも日本だけじゃない。世界各国のテレビ局が集まるはずよ」
女教師「その模様は全世界で生中継されるはず…そこに私達が奇襲を仕掛け、
    全世界にムスクルスの本当の正体は曝け出させてやるのよ」


329 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:39:27.35 ID:dm0y3wk0
男「だけど、敵もそれを予測してるはずでしょう? 大丈夫…なんですか?」
女教師「それも作戦のうちよ。恐らく連中も鋭人を使ってくるはずだわ。
    でも、ムスクルスごとそれを見せるのも良いし、
    それにラームなら鋭人なんて一捻りでしょ? 飛行隊も出撃させるわ」
女教師「先の戦闘で使った、対鋭人用ジャマーを搭載させる事が出来たのよ。
    あれなら、普通の戦闘機でも鋭人と渡り合えるわ」
男友「陸上部隊はどうするンすか? まさか黙ってろってワケじゃないっスよね?」
女教師「陸上部隊は地上からムスクルスを攻めて貰うわ。
    内部に侵入し、中央コンピューターを破壊するのが目的ね」


330 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:44:40.89 ID:dm0y3wk0
女「私、来年になったら皆でムスクルスに行こうって、そう思ってたんです。
  でも、そこがまさかこんな事に使われてるだなんて…」
女教師「残酷かも知れないけど、これが現実よ。女ちゃん。
    それに、遅かれ早かれ、奴らは行動に出てたはずよ」
女教師「もし既に居住区が解放された後で母艦が起動していたら、
    沢山の人が亡くなってたわ。それが防げただけでも良しと思わなきゃ」
女「はい…」
女教師「それじゃあ、作戦は明日12:00から始めるわ。
    それまで皆、各自休憩するなり準備をして頂戴」


331 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:48:22.21 ID:dm0y3wk0
その後、男友は女教師先生と共に演習場へ
女と女友はリンネに連れられて
オペレート訓練室へ歩いて行った

俺はリンネと一緒にラームのある格納庫にいる
目の前には何も云わぬ巨人が立っている

男「ムスクルス、か…思えば、俺達が出会ったのは彼処なんだよな」
リンネ「…そうね。あの時から、こうなるのは薄々判ってたけど」
男「もしかして、偵察だったのか?」
リンネ「…うん」
男「そうか…あれからもう、三ヶ月くらい経ったんだなぁ…」


332 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:55:39.02 ID:dm0y3wk0
リンネ「……ッ」
男「リンネ?」

ふと見ると、リンネの身体が少し震えていた
まるで何かに怯えているように見える

男「リンネ、大丈夫か? 具合、悪いのか…?」
リンネ「…違うの。何かが、怖いの…」
男「“怖い”?」
リンネ「…判らないの、それが何かは…でも…」
男「……」

リンネ「…何か、黒く禍々しいものが来るの…」

震える彼女の肩を、俺はそっと抱いた


333 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:56:31.63 ID:dm0y3wk0
ACT.29 END...


NEXT
ソラニン
ACT.30 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.1-"



334 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/12(月) 01:59:59.89 ID:dm0y3wk0
次は超久しぶりにムスクルスの登場
そして新キャラ出る…かも?
そろそろ折り返し地点ですよ、やっと


7×さん、もう纏めてくれんのかなぁ…
フラグ回収する為に読み返す時便利なんだけど
リアル落ち着いたらまとめサイト作ろっかな


335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/10/12(月) 02:03:28.05 ID:1pVPhWk0
二日連続で楽しませてもらった

おつでした
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/12(月) 11:28:47.60 ID:FSNL2Rso
一気に読んだ
お疲れ様でしたwwwww
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/10/13(火) 10:38:29.74 ID:hbn2CMAO
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/14(水) 01:34:18.99 ID:QjerRsDO
乙っす
楽しみにしてるぜー
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/15(木) 20:20:36.22 ID:tQgOkSMo
>>334
遅れてすまんこです
纏めました
340 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage soranin_web○yahoo.co.jp]:2009/10/26(月) 01:05:18.27 ID:6TP48Gk0
うぃ、どもです
いつも通りなかなか更新出来てません
今週末から大学のお祭りなので、それが無事終わったらゆっくり出来るかと…
結構良いトコまで来てるからいっそズガーッとやりたいんだけども
まぁパー速だしゆっくり待ってやって下さい

あと、最近になりソラニン以外の作品を書き始めました
考えれば去年“女「そーらを〜」”含めて三つ書いて以来、新しいの書いてなくて
それでちょっと人の助けが欲しいので、絵が描ける人が居たらメル欄のに連絡下さい
年内にはVIPでやりたいと思ってます。さて、出来るかな…


341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/26(月) 02:26:50.63 ID:jMJJmr2o
別作品やっていただけるのは大変うれしい限りなんですが
vipだと見れない(タイミングあわず)可能性もあるからうんたらかんたら

うーん みたい
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/10/26(月) 23:49:29.26 ID:Sia2bQAO
告知よろしく
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/26(月) 23:51:40.39 ID:rvXuP5M0
よろしく
344 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/10/30(金) 01:23:25.35 ID:SW.r4Ks0
告知じゃないけど

ttp://a-draw.com/uploader/src/up3779.zip.html

来週土日でソラニン上げるので、それまでの時間潰し程度に
細けぇ事は中身見てね!


345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/11/23(月) 13:44:01.30 ID:YLjfaH.o
age
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/07(月) 20:38:31.95 ID:DlSHSBgo
(´・ω・`)
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/08(火) 15:48:50.34 ID:ViU3wUAO
どしたのー?
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/12/09(水) 00:30:27.38 ID:O1QvT.AO
2009年が終わってしまう…
349 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2009/12/13(日) 01:16:30.54 ID:v06Je4A0
ソラニン season 2

ACT.30 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.1-"―――


350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/13(日) 01:17:28.46 ID:v8wxcOko
久しぶりwwww
351 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:17:49.88 ID:v06Je4A0
女教師『――こちら地上作戦司令部。男くん、聴こえてるかしら?』
男「聴こえてますよ、どうぞ」
女教師『あと五分で作戦区域に入るわ。手順、覚えてるわね?』
男「はい。しかし、上手く行きますかね…」
女教師『上手く“行かせる”のよ。頑張って頂戴』

ラームは東京の遥か上空を飛行している
飛行といっても、大型の輸送機に載せられて、だ
周りには輸送機を中心にして
飛行隊の戦闘機が編隊を組んでいる


352 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:23:00.62 ID:v06Je4A0
――二時間前

女教師「おはよう皆、良く眠れたかしら?」

俺達はブリーフィングルームに集まっていた
俺とリンネはすでにパイロットスーツに着替え終え
男友は陸上部隊の野戦服に身を包んでいる
女と女友は雀と同じ制服を着ていた
全員が既に明星機関の一員として馴染んでいる
会話は殆どない、皆緊張しきっているのだ


353 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:27:13.78 ID:v06Je4A0
女教師「…今から私達は敵海上空母、ムスクルスを襲撃します。
    行動は航空部隊と陸上部隊に別れて行うわ。
    ラームは輸送機で作戦空域まで輸送、到着次第出撃。
    陸上部隊は一般市民の安全確保が終り次第、突入」
女教師「先の戦闘よりも、もっと激しくなると思うわ。敵の拠点ですものね」
女教師「細かいブリーフィングは担当に、各自個別に受ける事。
    それじゃ、皆頑張りましょう」

女教師先生だけの声で
いつもより簡素な説明が終った


354 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:31:53.27 ID:v06Je4A0
男友「…なぁ、男。ちょっと話があるんだ」

ハンガーデッキの分れ道の時に男友に呼び止められて
俺達は輸送機が見える待機室にいた

男友「…もし、今度の戦いで俺が死んだら――」
男「お、おい! 死ぬってお前!」
男友「大袈裟じゃあないんだぜ? 今度ばかりは本当に、死ぬかもしれない」
男「男友…」
男友「…その時は、女友を頼む」

そうだ、毎回の事だ
俺達がしている事はいつだって死と隣り合わせ
そしてそれは俺よりも男友のほうが近い


355 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:37:59.68 ID:v06Je4A0
――

男「……」
雀『目標地点まで1kmを切りました。先輩、お姉ちゃん、降下準備を』
リンネ「…了解。システム起動準備。…男くん?」
男「…あ、ああ。システム起動」

目の前のコンソールが明るくなっていく
モニターに映像が写り、機内の格納庫が見える

男「インタフェース接続チェック…OK。火器系統異常無し」
リンネ「…センサー系統異常無し。駆動系、オールグリーン」
雀『了解! 降下まで、カウントスタート。20、19、18――』

このカウントを聴くと、あの時の事を思い出す


356 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:43:41.94 ID:v06Je4A0
女教師『見えたわよ! ムスクルス!』
リンネ「…サブモニター、リンク」

座席左上に、小さな画面が映った
青く輝く東京湾
その縁、白い巨体が見えた

雀『3、2、1、降下!』

――ガコンッ


357 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:47:28.71 ID:v06Je4A0
男「うぉおっ!?」

降下が始まり、急激なGが俺達を襲う
しかしそれもすぐに収まった
コクピット内はGがある程度調整されるようになっている

リンネ「…着地完了まで30秒。10秒後、降下装備パージします」

“ガチンッ”という金属音がして
降下用の装備が外れるのが見えた
ブースターを起動させ、飛行状態をとる

男「…よし。こっちは準備OKです」
女教師『よろしい。それじゃ、始めるわよ』


358 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:50:45.41 ID:v06Je4A0
※以下、地上視点

ムスクルスの公開セレモニーの会場
世界各国のVIPと報道陣が集まる中
司会者の男性が壇上に上がる

司会「え〜、本日はお集まり頂きまして誠にありがとうございます。
   それでは、公開セレモニーのほうを始めさせて頂きたいと思います」

割れんばかり拍手の波が起きる
その拍手の外周には武装した警備隊

司会「まず、ムスクルス設計開発責任者の研究長からのご挨拶を…」

その静寂を、一発の銃声が切り裂いた


359 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 01:55:19.95 ID:v06Je4A0
――ダーンッ

警備長「何事だッ!?」
警備A「侵入者です! 数およそ20! 武装しています!」
警備長「来客の安全を最優先しろ! 応援急げ! 侵入者を排除しろ!」


隊員「斥候部隊、突入開始しました」
女教師「さーて、おっ始めるわよぉ。装填確認!」

――ガシャンッ

男友「ふうっ…」
隊員「総員装填、確認しました」
女教師「総員降車、作戦開始!」


360 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:02:04.38 ID:v06Je4A0
混乱の会場にスリップ音が響く
何台ものトラックが会場に突っ込んできた
そしてその荷台が勢い良く開かれる

警備B「なっ、なんだ!?」
警備C「増援だ! 敵の増援が来たぞー!」

隊員達『おおおぉぉぉおおおおおお!!!!』


361 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:05:51.16 ID:v06Je4A0

雀『二人共、地上部隊の攻撃が始まったよ!』
男「ああ、ここからでも良く見える…しかし、すごい数の人だな」
雀『国内やアメリカはもちろん、EU各国からも来てるらしいよ』
男「…さて、俺達の出番は一体いつ来るか…」

俺はそういって一息つこうとした
その時だった

リンネ「…! レーダーに機影10、確認」
男「っと、やっぱり早かったな…」
雀『レーダー認識から、機影を鋭人と確認!』


362 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:12:26.90 ID:v06Je4A0
男「飛行隊の皆さん、宜しくお願いします」
飛行隊『こちらこそ宜しく頼むぜ、男くんよ。俺達の戦闘機じゃあ、
    どこまで鋭人に対応出来るか判らないからな』
雀『敵編隊、30秒後に接触します! 応戦準備を!』

空の向こうに、塵のような黒点が見えてきた
それが段々と近づいてくる

男「リンネ、アームナイフを出してくれ!」
リンネ「…了解。右腕部展開」

――ヒィィィイイインンン

鋭人の高いエンジン音が大きくなってくる

雀『接触まで残り10秒!』


363 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:14:32.46 ID:v06Je4A0
そして遂に機影全体がくっきりと見えた

雀『5、4、3、2、1…接触!』

――ドーンッ

爆音が空に響く
飛行隊の一機が撃墜されていた

飛行隊『クソッ! 3番機がやられた! ジャマー起動、急げ!』
リンネ「…敵編隊、旋回中。来る」
男「…! あれだ。まずヤツから叩くぞ!」



364 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:18:04.23 ID:v06Je4A0
旋回してきた鋭人は真っ直ぐこちらに突っ込んできた
鋭く尖った足が迫ってくる

男「おぉお――ッ!」

接触する直前にアームナイフを突き出した
加速した足はそのままナイフの刃先に食い込んでいき
最終的に機体が真っ二つになる形で爆発した


365 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:21:28.53 ID:v06Je4A0
雀『鋭人一機撃破! …あれ?』
男「どうした雀?」
雀『他の鋭人の動きが悪くなってる…ジャマーが効いてるみたい!』

見ると空中で数機の鋭人がもがき苦しんでいる様に見える
少し離れているところにいる鋭人はそれを見て牽制していた
どうやらジャマーの範囲はある程度限られているようだ


366 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:23:38.81 ID:v06Je4A0
飛行隊『よしッ! これなら俺達でもやれる! 行くぞ!』

その声を合図に飛行隊の戦闘機から何発ものミサイルが放たれた
まともに動く事も出来ない鋭人が一機、また一機と落とされていく
また、離れた場所にいた鋭人にも戦闘機が近づいていく
それから逃げる鋭人、まるで鬼ごっこのような光景だ


367 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:26:25.37 ID:v06Je4A0
男「この調子なら、上空の制圧は余裕だな。あとは…」

ふと眼下に視線をやる
ムスクルスの会場入り口付近には無数の黒煙が上がっている
上から見る限りでは、どうやらこちらが優勢のようだ

男「雀、地上部隊の様子は?」
雀『今エントランスホールの制圧が終ったみたい。これから内部に入るって』
男「…男友達は?」
雀『大丈夫! 先生も大丈夫だし、被害も予想以上に少ないよ!』
男「そっか…はぁ、よかった…」


368 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:31:06.17 ID:v06Je4A0
安堵の息を漏らす、肩の力が少しだけ抜けた
その時だった

リンネ「…っ!」
男「ん? リンネ、どうかしたのか?」
リンネ「…嫌…来る…もうすぐそこにいる…!」
男「そこにいるって…一体何が――」


369 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:34:14.63 ID:v06Je4A0
瞬間、コクピット内に警告音が響いた
コンソールに浮かび上がる文字、"TARGET UPDATE"

男「新手か! 雀、確認を頼む!」
雀『了解! …えっと、数は一。戦闘機とかじゃないみたい…でも、何だろう?』
男「どうかしたのか?」
雀『それがちゃんと識別が出来ないの。ラームと同じ反応が出てる』
男「ラームと同じ反応…?」

――ドォォォオオオンンン


370 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:37:47.46 ID:v06Je4A0
男「!?」
飛行隊『なッ! 四番機が…! なんだアイツは!?』
男「どうしたんですか!?」
飛行隊『新手だ! しかし、鋭人じゃない…ジャマーが効かないんだ!』
飛行隊『くそっ…黒くてよく判らん…! ま、まさか!? そんな馬鹿な!?』
男「隊長さん! 一体何が!?」

飛行隊『う、うわぁぁぁあああ!!!』

――ドォォォオオオンンン


371 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:39:46.49 ID:v06Je4A0
先程と同じ爆音が響く
飛行隊の戦闘機が次々に落とされていく

男「一体なんなんだ!? 一体何がいるっていうんだ!」
リンネ「…いや、こないで…」
雀『先輩、敵来るよ! 12時方向、真っ正面!』
男「!」

向こうから近づいてくる黒点
しかしそれは鋭人とは全く違ったものだった


372 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:44:02.38 ID:v06Je4A0
肉眼で確認出来る位置で“それ”が止まる
それを見た瞬間、俺は愕然とした

男「そ、そんな…あれは…!?」

曲線と直線が混ざり合った漆黒の身体
頭部には真っ赤なカメラアイが輝いている
その姿は、見慣れたものものだった

――黒いラームが、そこにいた





ACT.30 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.1-" end...

NEXT
ACT.31 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.2-"
373 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2009/12/13(日) 02:46:44.39 ID:v06Je4A0
      .,/i/i
     ミ 、|
     ./\_!    
   ,. イ., つ\_ゞ~ ~ 
  <《と_)_)

長々と休んでてごめんね
色々あって書けなくて

またゆっくり再開していくんで
よかったらまたお願いします


374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/13(日) 02:56:58.48 ID:v8wxcOko
>>373
お疲れ様
試験かなんかだったのだろうか?


また見させてもらうよwwwww
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/13(日) 03:42:14.16 ID:cbxy1dwo
復活おめ!
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/16(水) 22:09:22.31 ID:J6Yfa2DO
いやしかし人減ったなあ
乙です
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/17(木) 00:24:44.34 ID:62.z7a.o
見てるけど書き込まないだけ・・・
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/17(木) 04:05:34.04 ID:0IGsooAO
いるよ
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/17(木) 05:00:20.42 ID:5j94zFAo
一人書き込んだら28人ROMって、まるでg(ry
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/28(月) 21:28:18.45 ID:pxZzMMAO
てす
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/12/28(月) 23:34:53.42 ID:zBVgGoAO
今年中に見れてよかった
382 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 !2010/01/09(土) 00:40:10.19 ID:Z/Yk.oAO
あけおめ
383 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/01/12(火) 08:37:46.88 ID:UDns0ZE0
>>382
ことよろ

課題で死んでた。徹夜四日連続とか何事


来週には新作上げます
今年もよろしゅう


384 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/12(火) 08:40:55.45 ID:yraY3DEo
おっとこんな時間にご苦労様
あけおめなんだぜwww
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/24(日) 06:19:12.79 ID:Hly1dsDO
保守
386 :パー速のローカルルールが変わりました2010/02/06(土) 20:09:55.96 ID:aEvtiwAO
パー速ってSS禁止になったよね?
これってSSじゃね?
大丈夫かな?
387 :パー速のローカルルールが変わりました2010/02/06(土) 20:13:19.69 ID:RmjefDAo
このスレすんだら移転ってことでいいんじゃね?
その前に移転しなくっちゃいけないのかな?
その場合は作者にアナウンスしてもらったらいいと思うんだが…
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/25(木) 03:17:45.37 ID:W7ydEMAO
4月に、『ソラニン』って映画がやると知った
あり得ないと思いながらも、コレの映画化を期待しながらサイトを開いた

やっぱり違って少し空しくなったorz
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/02/25(木) 11:32:29.06 ID:BRY9NpAo
ほうほう
そんなんがあるんね
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/02/28(日) 05:05:40.02 ID:blvlyQSO
その映画って漫画のやつかな?
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/14(日) 00:11:51.11 ID:9efiN0Y0
マダー?
392 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/23(火) 23:52:37.94 ID:RXADc.w0
>>388
ハハッ、ワロス

映画化する前にまず終わらせなかん

393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/24(水) 01:29:13.68 ID:zHBNt2SO
お帰り
394 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/24(水) 01:49:54.28 ID:M9ukGXE0
本当、長い間お待たせして申し訳ない
つか今年まだ一度も更新してなかったのか…

明日の夜に更新するのであともう少しお待ちを
書き方が変化してるかもしれないけど


395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/24(水) 13:08:33.98 ID:zHBNt2SO
おk。
待ってる
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/03/24(水) 17:40:02.94 ID:kVsa.dMo
来てたw
待ってるよwwwww
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/03/24(水) 23:55:32.78 ID:qsAiVcAO
あら久しぶり
398 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:43:03.83 ID:mw70x.I0
ソラニン season 2

ACT.31 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.2-"―――


399 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:43:51.11 ID:mw70x.I0
俺は暫くその黒い機体を見つめた
ところどころ小さな差異はあるものの
その姿はラームと瓜二つだ

男「こいつも、太陽系総連の機体なのか…?」
リンネ「……」

さっきからリンネは黙りこんだままだ
でも後ろから感じるその気配から
恐怖に戦いているように思えた


400 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:45:34.98 ID:mw70x.I0
こちらが様子を伺っていると判っているのか
黒いラームは静止したまま対峙していた

男「…雀、コイツは一体なんなんだ?」
雀『わ、判らないよ…そんなのがいるなんて、初めて聞いたもの!』

その時だった、スピーカーにノイズが混ざった
やがて何者かの声がそこから聞こえてきた


401 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:48:06.86 ID:mw70x.I0
?『おい、ラームのパイロット。聞こえてるか?』
男「!? だ、誰だっ!」
?『今目の前にいるヤツだよ。見えてない訳じゃないだろ?』

それは黒いラームのパイロットらしかった
ノイズに加えて、声も加工されてるのか
その声は何処か無機質に聞こえた

男「…お前、一体何者なんだ?」

?『俺は、お前だよ』


402 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:50:22.80 ID:mw70x.I0
そういうと、黒いラームは突然つかみかかってきた
灰色と黒のラームは両手を組み合う形で空中でにらみ合う

男「…ッ!? これは!?」

“メキメキ”という、機械が軋む音が聞こえてくる
ラームの五本の指が
黒い機体の三本の指によって締め上げられていた


403 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:50:26.66 ID:mw70x.I0
そういうと、黒いラームは突然つかみかかってきた
灰色と黒のラームは両手を組み合う形で空中でにらみ合う

男「…ッ!? これは!?」

“メキメキ”という、機械が軋む音が聞こえてくる
ラームの五本の指が
黒い機体の三本の指によって締め上げられていた


404 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:52:51.71 ID:mw70x.I0
男「(クソッ、なんだこの力! ラームと同じか、それ以上じゃないか!?)」
?『作業用のラームが、戦闘用のこいつに敵うとでも思っているのか?』
男「何ッ…!? うわぁっ!」

強い衝撃が俺達を襲った
組み合いの形から地上に向かって投げられたのだ

男「くっ…この野郎ッ!」

空中で体勢を立て直す
数十メートル上空では黒いラームがこちらを見下ろしていた


405 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:54:19.53 ID:mw70x.I0
?『…お前、どうやら知らない事が多そうだな。ラームの事といい』
男「何ッ!?」
?『ハハハ、明星機関など所詮その程度の組織という事か。
  まぁいい。今回の俺の目的は、あくまでお前の足止めだからな』
男「足止め、だと?」

その時だった
下の方から爆発音が聞こえた


406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/03/25(木) 00:55:00.29 ID:VsdS7eso
えっとドコからだっけ?
待っててよかったwww
407 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 00:56:13.79 ID:mw70x.I0
男「今の音は!?」
?『よく見てみろ、ムスクルスが本当の姿を晒すぞ』

下の方ではムスクルスから黒煙を上げている
逃げ惑う人々を尻目に、それは始まった
ムスクルスの大部分が次第に分裂し始めたのだ


408 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:01:58.33 ID:mw70x.I0
?『さっきの音は各区画の構成ブロックのパージの音だ。
  あと数分もすればムスクルスは潜水母艦としての姿を取り戻す』

離れて行ったブロックの上には人が取り残されていた
その人達が慌てて海に飛び来んでいく姿も見える

?『そして潜航を始めるのさ。お前の仲間達もろともな』
男「なんだって!?」


409 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:03:25.66 ID:mw70x.I0
下を見る
すでに女教師先生含む突入部隊はムスクルス船内に侵入してるはずだ
もしこのままムスクルスが潜航してしまったら
突入部隊は全員、太陽系総連に捕縛されたも同然だ

男「そんな事、させるか!」
?『そうさせない為に俺がいるんだよ』


410 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:07:19.68 ID:mw70x.I0
あっという間にその距離を詰められ
急降下しようとしたラームを黒い機体が掴んだ
振りほどこうにもその力は想像以上のものだった

男「ぐっ…こいつ!」
?『所詮その機体じゃ、お前は何も出来ないんだよ。
  何も守れない、誰も救えない』

気がつくと、黒いラームの装甲が少しずつ開いている
やがてその装甲の隙間から赤い光が溢れてきた

?『教えてやるよ。誰が救世主なのかって事を』


411 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:09:28.80 ID:mw70x.I0
次の瞬間、黒いラームは赤い閃光を放ち出した
その光はコクピット内までも真っ赤に染め上げてくる

男「うわぁっ!?」
リンネ「嫌ぁ――――!」

リンネの叫び声が聞こえた次の瞬間
機体全体を強いGが襲った


412 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:13:46.12 ID:mw70x.I0
次の瞬間、黒いラームは赤い閃光を放ち出した
その光はコクピット内までも真っ赤に染め上げてくる

男「うわぁっ!?」
リンネ「嫌ぁ――――!」

リンネの叫び声が聞こえた次の瞬間
機体全体を強いGが襲った


413 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:14:03.61 ID:mw70x.I0
ラームは地面に向かって一気にふき飛ばされた
眼前に海面とムスクルスが迫ってくる

男「…ッ! 持ち堪えろ、ラーム!」

足からブースターを吹かせギリギリで耐える
頭上には赤い光を纏った黒いラームがいた

?『行くぞ、男!』




414 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:14:56.68 ID:mw70x.I0


ACT.31 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.2-" end...

NEXT
ACT.32 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.3-"



415 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/03/25(木) 01:16:16.27 ID:mw70x.I0
久しぶりなのに二重投稿しまくりとかwww

早くこの回、終わらせないとね
話進まないもんね
次の更新…早く出来るといいなぁ…


416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/03/25(木) 01:18:33.69 ID:VsdS7eso
>>415
待ってるぜ
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/26(金) 21:50:26.74 ID:K6hmGHco
乙です、待ってたかいがあったよ
次も楽しみにしてるよ
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/03/28(日) 20:18:38.78 ID:I5tu7YAO
おつ
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/13(火) 00:38:45.77 ID:7vof3IAO
まだかな〜
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/05/05(水) 15:40:24.44 ID:kPnnRAQo
wktk
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/05/06(木) 02:04:43.94 ID:QJQ83UAO
今日知って初めからここまで全て読んでしまった…
422 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/11(火) 01:56:36.09 ID:q/BWG1E0
>>421がこれをどこで知ったのかが気になる、ななばつさんか

順調に課題増え始めてヒーコラいってます
うやむやにしとくとやらないからなぁ俺

というわけで今週の金曜にあげます
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/11(火) 23:03:27.99 ID:bKuiop.0
wwktkし続けてたかいがあった
楽しみにしてる
424 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 00:45:13.78 ID:A2FDjOk0
ソラニン season 2

ACT.32 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.3-"―――


425 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 00:46:10.36 ID:A2FDjOk0
(ムスクルス・工業区――)

ズズゥゥウンン

男友「ッ! 今の音は!?」
女教師「…ちょーっとマズいかもね。雀、聞こえてる?」
雀『せ、先生! 今、ムスクルスが!』
女教師「やっぱりね…連中、不要なブロックをパージし始めたわ」
男友「それって、つまり…」

女教師「早くしないと、私ら海の底に沈められるって事よ」


426 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 00:50:30.21 ID:A2FDjOk0
男友「ムスクルスが、沈没するって事ですか!?」
女教師「潜航ね。ボヤボヤしてるとこのブロックごと沈められるか、
    ちょっと間違えたら太陽系総連の捕虜になってしまうわ」
兵士A「この区画はあと5分以内にパージされます!
    脱出路は此処から2ブロック先です! 急ぎましょう!」
女教師「よし、行くわよ。なぁに、人はクジラのお腹の中から脱出出来る、
    昔話もそうだったでしょう?」


427 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 00:54:15.24 ID:A2FDjOk0
(一方、ムスクルス上空――)

黒いラームは赤い閃光をまき散らしながら
凄まじい勢いで打撃を続けてくる
こちらはガードをするだけで精一杯だった

男「(クソッ! こいつ、さっきより力が増しているのか!?)」
?『どうした!? おしまいか! お前に出来る事なんて所詮その程度か!』
男「…! ぐっ、野郎ッ!」


428 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 00:58:51.64 ID:A2FDjOk0
ラームの両手が敵の拳を受け止める
だが、敵の力はそれすらものともしないようだった
“メキメキ”と腕が軋む音がコクピットまで聞こえてくる

男「(まずい、このままじゃラームが持たない!)リンネ!」
リンネ「……」

返事がない
後ろを振り返ると、リンネは呆然とした顔で虚空を見ている

男「おい、リンネ! 大丈夫か!?」


429 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:04:51.28 ID:A2FDjOk0
リンネ「――…ッ! …ごめんなさい、もう、大丈夫…」
男「アームナイフを出してくれ! このままじゃやられる!」
リンネ「…了解」

敵を掴んでいた腕からナイフが弾き出された
それを右手に持ち、黒いラームに切り掛かる

男「うおぉぉおっ!」
?『ぐっ!』

敵のカメラアイ部分を掠めてナイフが空を切る
黒いラームがこちらから距離を置いた


430 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:11:58.03 ID:A2FDjOk0
?『近接用のナイフ、か? そういえば報告にもあったか。
  流石に丸腰な訳もないな。だが…』

黒いラームが、右腕を真っ直ぐ伸ばした
隙間が空いて、赤い光が漏れていた装甲が閉じる

?『武器というのは、こういうものを云うんだよッ!』

一気に間合いを詰められる
そして次の瞬間、俺が目にしたのは
宙を舞うラームの右腕だった


431 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:16:46.29 ID:A2FDjOk0
(ムスクルス内、脱出ブロック――)

女教師「ふぅ…このブロックで間違いないのね?」
兵士A「はい。あの区画の先です。この辺りの敵勢力は撤退してますし、
    一刻も早く脱出しましょう!」
男友「(…うん? 何か見える…人?)」

前方のほうに、黒い人影のようなものが見えた
脱出口の直ぐ近くにひとつだけ立っている


432 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:23:57.32 ID:A2FDjOk0
兵士B「…? なんだ、あれ。敵か!?」
兵士C「いや、その割にはおかしい。武器らしいものも見えないし」
兵士A「どうしましょう、隊長」
女教師「うーん、もしかしたら逃げ遅れた一般人かも知れないわね。
    貴方達、済まないけど見てきてもらえないかしら?」
兵士A「了解」


433 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:29:45.44 ID:A2FDjOk0
銃の構えを解いた状態でその人影に近づく

兵士A「おーい、ここで一体何を――

“パンッ”という乾いた音が響いた
音とともに、兵士の身体が数メートル吹っ飛ぶ

兵士B「なッ!」


434 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:35:31.42 ID:A2FDjOk0
兵士Aの身体が地面に叩き付けられた
人影の姿がはっきりと見えてくる

男友「…ロ、ロボット…?」

よく見るとその人、のようのものの身体は鈍く光っている
顔に当る部分には単眼のカメラアイのようなものが見えた


435 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:38:27.12 ID:A2FDjOk0
女教師「ッ! 皆、戦闘準備!」

女教師の言葉が終わる前にそのロボットは飛びかかってきた
信じられない跳躍能力を見せたそれが兵士達の中に飛び込む

兵士C「うわぁあっ――

叫び声は床に砕けて途絶えた
赤い鮮血が飛沫を上げる


436 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:41:19.95 ID:A2FDjOk0
女教師「全員散開! ありったけ撃ち込め!」
男友「野郎ッ!」

蜘蛛の子を散らす様にしていた兵士達が
一斉にロボットに銃口を向けた
続けて、耳を劈くような射撃音
ロボットは空高く飛び上がる


437 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:46:23.22 ID:A2FDjOk0
女教師「チャンス!」

女教師がライフルの構えを解いた
腰のベルトからフラググレネードを取る
すぐさまピンを引き抜き、そして、

女教師「どりゃああああああああああ!」


438 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:50:34.37 ID:A2FDjOk0
(再び、ムスクルス上空――)

男「なっ…そ、そんな…」

どうすればいいか判らなかった
鋭人と戦っていた時とは明らかに違う感情
俺は恐れていた

?『これが、本当のラームの力だ。お前のそれでは、到底及ばないものだ』
男「く、くそっ…!」


439 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:54:11.55 ID:A2FDjOk0
その時だった、下の方でかすかに爆発音が聞こえた

?『ん? …チッ、スレイヴがやられたのか。という事は、撤退だな』

そう云うと、黒いラ―ムの赤い閃光は次第に鈍くなっていった
こちらに一瞥をすると、そのまま後ろを向け飛び去ろうとした

男「まっ、待て! まだ終わっちゃ…!」
?『終わっていない、だと? 片腕を失ったその人形で何が出来る?
  今のお前の力は、その程度なんだよ』


440 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 01:58:21.18 ID:A2FDjOk0
云い終えると、黒いラームはブースターを吹かせて飛んで行った
遠ざかる黒い機体から、ノイズまじりに最後の交信が聞こえる

?『もっと俺を楽しませろ。お前は、簡単には死なせない――』


その後、女教師先生率いる地上部隊の脱出を確認した俺達は
満身創痍で撤退を余儀なくされた
ムスクルスは潜航を開始し、その姿を眩ました
一方、地上部隊はその半数が死亡、残りの三割も重傷を負い
そして俺は、ラームは右腕を失う

こうして、ムスクルス襲撃作戦は事実上失敗に終わった
しかし世界は海洋都市の本当の姿を目に映す事になる




441 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 02:01:05.94 ID:A2FDjOk0


ACT.32 "BEATS FOR JEALOUS PLUTO -episode.3-" end...

NEXT
ACT.33 "girl's endless summer song"


442 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/05/15(土) 02:02:01.12 ID:A2FDjOk0
やっと終わった。長かった
まぁ、話はまだ続くんですけど

次は久しぶりに日常編です


443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/05/15(土) 02:41:33.79 ID:5FhAHzso
なんか展開がwww
すっごい気になるwwww

お疲れ様でした
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/17(月) 20:23:27.40 ID:jcO6X3Q0
遅れたけど お疲れ様!
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/05/26(水) 01:32:09.17 ID:da4dtQAO
今気づいた乙
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/05/27(木) 08:07:06.86 ID:STucEwAO

>>422
えーと…新ジャンルまとめサイトかな…?
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/30(日) 02:41:00.11 ID:/OZA8MSO
ななばつじゃん
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/06/20(日) 03:35:10.05 ID:/YyU1AAO
>>421と同じくななばつで見てここまで一気に読みきったwwwwwwww


面白いっす
449 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/24(木) 23:28:36.60 ID:UWGy0hw0
サッカーの前にアップするよー
もうちょっと待っててね
450 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:26:28.61 ID:aJDw87I0
ソラニン season 2

ACT.33 "girl's endless summer song"―――



451 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:29:34.84 ID:aJDw87I0
夏休みが終わり、九月
俺達は普通の学生に戻っていた

あの時の戦いは世界中で放送された
“海洋都市の公開セレモニーにテロ組織が襲撃事件を起こした”と
“巨大ロボットによってその都市は沈没してしまった”と
事実と報道は、時に誰かの良い様に変えられてしまうものだ
ムスクルスはテロ組織によって沈められてしまった
それが世間一般の見解だった


452 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:32:51.80 ID:aJDw87I0
どこからともなく流出したネット動画
それは確かに、明らかに崩壊して沈んで行く都市ではない
ゆっくりと潜航していくムスクルスを映していた
画像はかなり荒い、ノイズもひどい
だがそれは一部の人々によって広められた

一般の反応は『合成だろう』『テロ組織による情報歪曲だ』とか
だが人々の心の中に、僅かながら真実を印象づけれた
先生は『それだけでも良かった』と
頭に包帯を巻いたままの姿で笑っていっていた


453 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:40:03.79 ID:aJDw87I0
二学期の登校初日、俺はある事に気がついた
生徒が減っていたのだ。それも二、三人どころではない
クラスの約三分の一が転校していた
うちのクラスだけでなく、学年全体でそれは起きていた

男「な、なんじゃこりゃ…」
女「皆どうしたんだろ…風邪かな」
男友「俺の周り、見事に一人もいないんだが…」
女友「アンタ、嫌われてるんじゃない?」
男友「イジメなのコレ!?」


454 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:42:46.84 ID:aJDw87I0
実際は風邪などではなく、疎開だった
テロ組織、いわずもがな、明星機関の事だが
その活動激化を受けた政府は希望者の集団疎開を始めた
話は聞いていたが、まさかここまで減っているとは

女教師「はい、というわけでうちのクラスからも疎開者が出てしまいました。
    そんなビクビクしないでもいいのにねぇ」

まぁ、俺達はそのテロリスト張本人な訳だけど


455 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:48:56.04 ID:aJDw87I0
体育の授業になると、男友は周囲を驚かせた
一学期と比べてあきらかに運動神経が良くなっていた
ドッジボールの時なんてほぼ無敵だ

男友「うらああああああ!」
生徒A「あぎゃ!」べしっ
生徒B「うぉぉおお男友怖ええぇぇええ!」
男友「こんなボール鉛弾に比べたら屁でもないわ!」
生徒C「なぁ、男。あいつ夏休み何かしてたの?」
男「FPSでもしてたんじゃない?」


456 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:51:10.09 ID:aJDw87I0
こうしてのんびり、高校生らしい事をするのも久しぶりだ
夏休みの間は実戦の他、色々な訓練を受けてきた
その御陰か、宿題は一切合切免除になった
しかし結局はそれ以上に苦労をする事になったんだけど

ラームはあの戦いで右腕を失った
回収された腕は再接続にかなりの時間を有してしまい
その間出撃はおろか模擬戦さえ出来なかった


457 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:54:41.45 ID:aJDw87I0
そして、俺が交戦した黒いラーム
あれの正体は未だに詳しく判っていない
だけど先生の話を聞いたところ

女教師『結構古い資料だから確証は得られないんだけど…
    どうやらラームは二機作られていたみたいなのよ』
男『じゃああの黒いラームは、二号機って事ですか?』
女教師『恐らくね。それと、一号機は元々作業用として開発してたらしいの。
    それを設計から見直して戦闘用にしたのが、あの黒い二号機らしいわ』
男『そうか、だから戦闘用っていっていたのか…パワーも或る訳だ』


458 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 01:57:14.59 ID:aJDw87I0
その後、差別化を計る為に、ラームはグレイゴースト
黒いラームはブラックウィドーと呼ばれるようになった
いずれも戦闘機の名前を拝借したそうだ
そのへんは先生の趣味らしい

男「(しかし、灰色の幽霊か…なんか嫌だな、あの名前)」
生徒D「おっ、おい! 男、危ねぇっ!」
男「へ?」

――バチンッ


459 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 02:00:23.03 ID:aJDw87I0
男「いってぇ…痛み、まだ退かないな…」

俺は保健室で貰った氷を頭に乗っけながら
屋上で一人ぼーっとしていた
暑さで溶け出し始めている氷がビニール袋に結露を作り
それが服の内側に入っていった

男「うわ冷たッ!」


460 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 02:03:40.52 ID:aJDw87I0
屋上にいると、前に雀と弁当を一緒に食べた事を思い出す
あの時見上げた空で、自分が戦う事になんて思いもしなかった
雀は今学校にはいない。機関のほうが忙しくなり始めたからだそうだ
学校では親の転勤、って事になってるけど
それが明らかになった二学期の始業式の後
涙を流した男子生徒は少なくなかったという

男「(…そういや、雀、リンネもだけど、親の事話さないよな…
   っていうか、いるのか? 研究員の誰かとか?)」


461 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 02:49:42.56 ID:aJDw87I0
気がつけば日も傾き始めていた
屋上から見える新宿新都心が赤く燃えている

男「随分陽が短くなったな…もう秋も近いのかな」

しばらくそれを眺めた後、俺は階段を下った
校内は一学期と比べると静かになっている
思えば夏休み前、雀が転校してきた時
沢山の同級生が一年生の教室の前に群れていたのを思い出す
そんな場所も、今は廊下には誰もいない


462 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 02:50:26.84 ID:aJDw87I0
階段を降りきる
ビニール袋の中の氷はすっかり溶けきっていた
歩く度にちゃぽちゃぽと音がなって
それがちょっとだけ面白かった

男「…おっ?」

下駄箱から誰かの笑い声がした
どうやら一人ではなく、複数人いるらしい
そしてそれは皆、聞き覚えがある声だ


463 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 02:52:50.86 ID:aJDw87I0
女「あ! 男くん、やっと来た!」
男友「おせーぞ男! 今まで何処いたんだよ?」
男「お前のせいで安静にしてざるを得なかったんだよ」

俺は手に持っていたビニール袋を男友に軽く投げつける
男友はそれをすばやく受け取ると
2メートルくらい離れてたゴミ箱に投げ捨てた


464 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 02:55:04.64 ID:aJDw87I0
女友「ほらみろ、やっぱりアンタのせいじゃーん」
男友「いや! あれしきで気絶する男も悪い!」
男「ああーこりゃもうゴーストにのれないかもなーいててー」
女「えーっそれはたいへん」
女友「もうだめだわーわたしたちまけちゃうんだわーしぬんだわー」
「「「うわーん」」」
男友「悪かった! 俺が悪かったから! そんな縁起でもないこといわんといて!」


465 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/06/25(金) 02:58:21.19 ID:aJDw87I0
皆でタチの悪い冗談を交わす
こんな当たり前の事が随分久しぶりに思えた
東京の空が暮れていく
いつもの空が、静かな空が、平和な空が

でも、そんな空がもうすぐ終わろうとしているなんて
その時の俺達は考えてもみなかった





ACT.33 "girl's endless summer song" end...

NEXT
ACT.34 "STARMINE SISTER"



466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/06/25(金) 10:41:30.64 ID:KqOSZLUo
おつです
まさか更新されてるとは…
今気づいたwww
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/06/25(金) 11:53:34.19 ID:0M9SAQAO
来てましたか
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/06/27(日) 09:33:25.33 ID:yQcDtcAO
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/07/06(火) 23:17:26.10 ID:IJ2qMASO
遅くなったけど乙
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/07/10(土) 20:57:33.15 ID:LJXW65U0
さらに遅くなったが乙
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/07/18(日) 00:31:14.62 ID:JD1HHXQ0
初代スレでつーかーしたり1000取ったりしてた者だけど
色々忙しくて第1部終わった辺りから見てなくて
今日ふと気になって検索してみたらまだ続いている・・・・だと・・・・?
これは休日の楽しみが増えた
まだ全然追いつけてないけどとりあえず乙です
472 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 20:57:47.67 ID:Ixe9ZQ.0
ソラニン season 2

ACT.34 "STARMINE SISTER"―――



473 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 20:59:33.03 ID:Ixe9ZQ.0
明星機関内 第三ハンガーデッキ――


女教師『―――メインモニター、正常起動。こっち見える?』
男「よく見えますよ。メイン動力、オン。通常出力」
リンネ「…通常出力、確認。男君、動作確認を」
男「了解」

ゴーストの右手がゆっくりと上がる
その後に握り拳を作り、開き。その繰り返し
最初はぎこちなかったが、次第に滑らかになっていく


474 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:01:06.98 ID:Ixe9ZQ.0
男「おおー…、すごいな。本当に元に戻ってる」
女教師『鋭人のデータがあったから助かったけど、にしても時間掛かったわー。
    なにせ、配線が人間の神経網もモデルにしてるんだものね』
男「へぇ、ならこの動きも納得ですね」

まるで自分の手のように動かせる
グー、チョキ、パー、OKサイン、サムズアップ
人の手が出来る一通りの事は再現出来る


475 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:02:53.63 ID:Ixe9ZQ.0
女教師『右腕以外の場所はどう?』
雀『システムチェック上は問題無しです。交戦前のデータと一致します』
女教師『うんうん、これでようやく出撃出来るわね。
    よし、今日はこの辺りまでにしときましょ。もう夕方だしね』
男「了解です」


476 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:05:23.89 ID:Ixe9ZQ.0
―――第二ハンガーデッキ

俺はゴーストの前のベンチに腰を下ろしていた
リンネはすでに他の用事で何処かへ行ってしまっている

男「はぁっ…、なんか疲れたな。別に模擬戦をしたわけでもないのに」
女教師「それはニューロンネットワークシステムのせいね。
    あれ、実は接続状態だと疲労を起こすのよ。知らなかった?」
男「え"」
女教師「今までの戦闘でも座ってるだけで結構疲れたでしょ?
    一時間近く座ってたらそれなりの疲労感のはずよ」
男「ただでさえ閉鎖された空間なのに、なんかなぁ…」
女教師「兎に角お疲れ様。今日はもういいから、家に帰ってゆっくり休みなさい」


477 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:08:16.71 ID:Ixe9ZQ.0
機関の中を出口に向かって歩いて行く
最初に来た時に比べて人気が多くなった
皆慌ただしく動き回っている

男「(皆忙しそうだな…っと、他人事じゃないっての)」

そのまま管制室に向かった
多分女もそろそろ上がる頃だろうと思ったからだ


478 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:10:57.13 ID:Ixe9ZQ.0
女「あ! 男くん!」

管制室に着くとすぐ女を見つけた
オペレーターの服を着ながら、ファイルを胸に抱えている

男「お疲れさん。もう上がるだろ? 一緒に帰ろうぜ」
女「う、うん! ちょっと待ってて! 長官と話さなきゃ行けない事があるから…」
男「判った。じゃあ駅のほうで待ってるよ」


479 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:12:21.95 ID:Ixe9ZQ.0
機関の中には駅がある
都市部地下には機関の為だけに作られたリニアの路線があって
それを使って俺達は学校帰りにここに来ていた
駅の前で暫く待っていると
私服に着替えた女がやってきた

女「ごめん! 待たせちゃったね」
男「いや、大丈夫大丈夫! よし、じゃあ帰るか」
女「うん!」


480 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:14:35.92 ID:Ixe9ZQ.0
五分後、やってきたリニアに乗る
乗り込んだのは俺達だけだった
自動化されて、車掌もいない車両が動き出す

男「あーっ! もう、なんつーか疲れた! ダルい!」
女「今日、再起動試験だったんでしょ? どうだった?」
男「それがさ、聞いてくれよ。ニューロンネットワークがさ、実は…」

試験の顛末を女に話した
それが終わると女もオペレーションであった事を話す
そんな事をしてるうちにリニアはどんどん進み
やがて都市電鉄との合流地点についた


481 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:17:50.71 ID:Ixe9ZQ.0
男「よし、後は乗り換えるだけか…ん?」

リニアを降りた時だった
ふと見ると、女は俯き加減になっていた

男「女? どうした、早いとこ行こうぜ。乗り遅れちまうよ」
女「ごめん、男くん…私、今日はそっちに乗れない…」
男「…女?」

女「…実は私、一週間後に東京を離れるの」


482 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:20:03.24 ID:Ixe9ZQ.0
あまりの唐突な発言に、俺は言葉を失った

男「……え、えっ!? は、離れるって…どうして!」
女「ほら、私のお父さん、ムスクルスの参加企業に務めてたでしょ?
  先の戦闘で、幹部の人達に避難命令が出たの。家族も、一緒に…」
男「疎開、って事か…」
女「ごめんね、こんな事急に…私も二日前聞かされたばかりなの。
  帰りに長官と話した事もその事」
男「そうか…東京から離れたら、機関にいれなくなるもんな」


483 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:22:17.21 ID:Ixe9ZQ.0
女「長官や、それと女教師先生にも話した。二人共、行きなさいって。
  万が一の事があっても、機関が安全を保証するっていってくれた」
男「そっか…男友や女友には?」
女「ううん、まだ云ってない…でも、お父さんに呼び出されてるの。
  会社の幹部と、それの家族の一時避難場所があって、そこに一回
  避難してから、全員で疎開するんだって」
男「今から行くのか?」
女「うん。二人共今日は会えなかったし、あとで電話するつもり」
男「そうか…寂しく、なるな…」


484 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:24:30.77 ID:Ixe9ZQ.0
女「…ねぇ、男くん」
男「ん?」
女「この戦いって、終わるのかな?」
男「……」
女「私ね、皆とこういう事に巻き込まれてから、疑問だったんだ。
  これって正しいのかな、間違ってないのかなって」
女「だって、私達が何もしなければ、こんな事にならなかったと思う。
  疎開だってそう。ずっと皆で、東京にいれた。戦いだって起きなかった」
女「今してる事が太陽系総連の目的を阻止しようとしてる、それは判るの。
  でも、それをするのが私達じゃなくても良かったんじゃないかって…」


485 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:26:15.49 ID:Ixe9ZQ.0
男「…それは、俺も思ってる。どうして俺なんだろう、どうして俺が、
  あんなロボットに乗って戦わなきゃって、たまに思う」
女「なら、どうして…!」
男「けどさ、俺がやらなきゃ誰もやれないんだよ。もし放っておいたら、
  それこそ世界がどうなるか判らない」
男「だから、やるんだ。これが正しい事なんて終わってから判る事さ。
  俺はそれを、自分で確かめたい。自分でそれを見たいんだ」
女「…すごいね、男くんは。私だったら、絶対逃げ出してる…」
男「それが俺の役目なんだろうから、な」
女「…うん」

気がつけば時計の針は10時を廻ろうとしていた
ホームには次の車両が来るアナウンスが流れている


486 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:28:10.07 ID:Ixe9ZQ.0
女「…じゃあ、もう行くね。お父さん達、心配させちゃうから」
男「あ、ああ、そうだな…またな、女」
女「うん…男くんも、元気でね。危ない事、しないでね」

女が歩き出す、俺が行く方向とは別に

平静を装ってた心が急にぶれた

このまま、さようならなのか、俺達は―――


いや、


487 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:31:08.24 ID:Ixe9ZQ.0
男「女―ッ!」

腹から出した声がホームに反響する
それと同時にホームにリニアが滑り込んで来て

男「絶対迎えにいくから! だから―――――ッ!」
女「! ―――!」

確かに、聞こえた
響いたリニアの音で掻き消されそうな声だった
でもちゃんとお互いに、それは届いてたはず

それが、最後だった




488 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:33:14.68 ID:Ixe9ZQ.0
ACT.34 "STARMINE SISTER" end...

NEXT
ACT.35 "IBIZA SUNSET"


489 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/08/01(日) 21:42:21.98 ID:Ixe9ZQ.0
本当、気が向いた時にしか更新しなくてごめんなさい
気がついたら二周年までもうすぐだよ
自分の遅筆が恐ろしいわ

勢いついたらガーッと書くから気長に待ってほしい


490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/08/01(日) 21:50:54.26 ID:P3nCWZAo
>>489更新乙

いいんじゃね?
おいらはまってるぜ。
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/08/02(月) 02:22:27.62 ID:BwWzkgMo
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/08/02(月) 07:31:27.64 ID:wD.3ToIo
まあ、ぼちぼちやってくれ
こうやって更新してくれると
読んでる俺はうれしいんだぜww
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/08/05(木) 01:44:01.41 ID:9mRQakAO
もうそんなになるのか。早いな
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/08/06(金) 05:31:42.50 ID:0DUk8oSO
乙〜
ま、気長にいこうや
495 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/15(水) 22:56:26.51 ID:6kVilKk0
へへへ…気がついたら一ヶ月余裕で過ぎてたぜ…
大筋は決まってるけど、細かいとこ書くのがつらい
明後日に次のアップします
496 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 00:53:43.43 ID:3jXoC/s0
ゆっくり始めます
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/09/18(土) 00:56:15.59 ID:CNfeKcko
wktk
498 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 00:56:37.31 ID:3jXoC/s0
ソラニン season 2

ACT.35 "IBIZA SUNSET"―――



499 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:01:15.91 ID:3jXoC/s0
女が機関を去って、もうすぐ一週間が経つ
あの日の翌日、会った男友と女友は明らかに落胆していた
無論、俺だってそうだった。今迄ずっと一緒だったのだから
だけど、もう二度と会えない訳じゃない
この戦いが終われば、戦争が終われば疎開の必要もなくなる
そうすればまた四人で会える
俺達三人は自分にそう言い聞かせ、過ごしてきていた


500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/09/18(土) 01:07:34.16 ID:3jXoC/s0
俺達はブリーフィングルームに集められていた
ムスクルス襲撃以来の作戦の会議だ

女教師「さて…、女ちゃんがいなくなってからもうすぐ一週間ね。
    皆寂しいでしょうけど、そうもいってられないわ。新しい任務よ」

そういうと先生はコンソールを操作してモニターの画面を切り替えた
目の前のモニターに映ったのは臨海地帯のライブ映像だった


501 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:14:27.26 ID:3jXoC/s0
男「ここは?」
女教師「ムスクルスのあった場所から南西に行った所にある、京浜再開発地区よ。
    元々あった港を再開発で埋め立て地にして、街を作るらしいわ」
男友「でも、なんか人がいねぇみたいですけど…重機も動いてないし」
女教師「先のムスクルスの戦闘があってから、こっちの作業も止まってるのよ。
    で、なんでここの映像を出したかというと…コレ見て頂戴」

画像が立体視映像に切り替わる
すると、再開発地区の地下に巨大な空間が現れた


502 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:19:11.06 ID:3jXoC/s0
男「これは…」
女教師「うちの偵察機がソナーで観測した結果、再開発地区地下に巨大な空間が
    或る事がわかったの。ここ一体に妨害電波が出てるらしくて内部構造は
    把握出来ないけど、太陽系総連の車両の出入りが確認されてる事から、
    連中に関連する施設で或る事に間違いないわ」
男友「海の上から、今度は地下か…にしても、でかいな!
   どんだけあるんすかコレ!?」
女教師「約35万平米。東京ドームの約6倍、東京駅の倍くらいの大きさくらいね」
女友「すごい…こんなもの、一体いつの間に…」
女教師「今の所、ここは敵の物資貯蔵施設と考えてるの。また、ここから
    いくつかの架線が伸びている事から、敵の連絡拠点とも思われるわ」

よく見ると空間からいくつか、画面外に伸びる線が見えた


503 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:28:50.63 ID:3jXoC/s0
女教師「今回の作戦は、この敵拠点の制圧、もしくは破壊よ。雀、説明をお願い」
雀「男先輩達は上空で待機して、地上部隊の突入を援護して下さい。
  内部の確認が取れ次第、ゴーストで制圧に参加してもらいます」
男「了解。制圧後はどうするんだ?」
女教師「内部の調査が終了後、施設を押収する予定よ。
    その後は機関の臨時拠点として使って行くつもり。対海用拠点としてね」

あの戦い以来、ムスクルスの行方は判っていない
今も世界のどこかの海の底で、俺達を伺っているのだろう

女教師「作戦は三日後に決行するわ。各自用意を進めておいて頂戴ね」

先生のその言葉でその日のブリーフィングは終わった


504 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:34:36.86 ID:3jXoC/s0
俺はその足でハンガーデッキに向かう
薄暗い空間に灰色の巨人が何もいわず佇んでいた

男「(…久々の実戦、か…)」

これで三度目の戦闘だった
なれてきている気もしたが、やはり緊張感はある
その事に俺はちょっと安心した
まだ一般人の感覚が残っていると思えるからだ


505 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:43:00.82 ID:3jXoC/s0
雀「先輩! こんなとこにいたの?」
男「ああ、雀か」

気がつくと向こうから雀が歩いてきていた
オペレーターの服ではなく、既に私服に着替えている

雀「もう今日の訓練は終わったんでしょ? 帰らなくていいの?」
男「ん、なんかな。こいつを見たくなってさ」


506 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:52:58.64 ID:3jXoC/s0
雀「ね、先輩…」
男「うん? どした、雀」
雀「なんか、こんな事いうのもなんだけど。私、嫌な予感がするんだ…」
男「嫌な予感…? どういう事だ?」
雀「今回の作戦、はっきりとした確証はないんだけど、すごく嫌な予感がする。
  前にブラックウィドウが出たでしょ? あれと同じような感じがするんだ」

そういえばあの作戦の前日、リンネが何かに怯えていた事を思い出した

男「(まさか、雀にもリンネと同じ様な感覚があるのか…?)」


507 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 01:57:58.85 ID:3jXoC/s0
男「そうか…でも心配するな! ゴーストは完全に治ってるし、次は負けない。
  もしブラックウィドウが現れたってなんともないさ!」
雀「うん…でも、私の予感はそれじゃないの。多分、もっと悲しい事が起きる…
  最近、ずっとそんな感じがして、それで、先輩に話そうかなって…」

そういう雀の顔はすっかり不安そうになっていた

雀「…あははっ、ごめんね! こんな、作戦前にこんな事話しちゃって!
  これじゃ先輩を不安がらせちゃうよね…」
男「いや、大丈夫さ。俺達は今迄、こうやってやってきたじゃないか。
  次だって大丈夫。きっと、上手く行くさ。だから心配するな」


508 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 02:06:45.87 ID:3jXoC/s0
そういって俺は軽く雀の頭に手を置いて、軽く撫でた

雀「…そうだね。なんか、安心してきた。先輩に話したからかな?」
男「さ、もう帰ろう。ここはちょっと寒い」
雀「うん」

前を行く雀の後に続いてハンガーデッキを後にする
ふと、後ろを振り向く
グレイゴーストの頭部が光を反射し、鈍く光る

男「(俺達は、大丈夫だよな?)」

昔の俺なら、なんて答えたのだろう
それが残したものは何も云わなかった





ACT.35 "IBIZA SUNSET" end...

NEXT
ACT.35 "KARMA RIFF"


509 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/09/18(土) 02:07:54.64 ID:3jXoC/s0
あっ、間違えとる


NEXT
ACT.36 "KARMA RIFF"


つーわけで、二年目もヨロシク御願いします


510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/09/18(土) 06:36:59.00 ID:k.wHnsSO
乙〜
もう2年か…これからもよろしくこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/09/18(土) 07:38:34.40 ID:vr9gkREo
お疲れさま

もう2年か…
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/09/19(日) 21:56:15.28 ID:M/vlBWs0
おつかれさま
もう2年?2ヶ月の間違いだろjk
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/09/19(日) 21:57:53.87 ID:M/vlBWs0
IDがポケモン新作
514 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/10/05(火) 22:46:13.54 ID:JB4uw..0
近いうちに新作上げようと思います
それまでの暇つぶしに昔書いたSSでもどうぞ

http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/onusi_ni_himesama_no_goei.html

これの続きもパー速でやってたんだよね…スレ落ちしたけど

515 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/10/23(土) 00:50:34.75 ID:EyW3a9A0
PCから今迄書いてきたデータが全部消えました

誰も見てないみたいだし…もうやめようかな…

516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/10/23(土) 01:15:58.43 ID:sbC3Jfoo
寂しいこと言うな
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/10/23(土) 02:14:03.04 ID:54vywr6o
見てるという報告をしてる
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/10/23(土) 04:30:09.36 ID:dFEzUBQo
なんてこったい…
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/10/23(土) 17:11:58.76 ID:v7EH6wSO
なん…だと…?
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/10/24(日) 12:20:23.01 ID:f96kWiw0
わしも見てるんじゃよ
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/10/24(日) 17:43:11.66 ID:pR6VskAo
もうちっとだけ続くんじゃ
522 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/11/03(水) 21:29:12.27 ID:jc0gemI0
データ復旧、頑張ったけど結局出来なかったよ


でも皆見てくれてるから、続けてみる
もうちょっと待っていて欲しい
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/11/03(水) 21:53:21.24 ID:kvE5k6Ao
もちろんだ!
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/11/04(木) 10:37:45.21 ID:Lj/ipk6o
当たり前だよクラッカー

ストーリーが多少ブレてもいいじゃない
人間だもの
525 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/21(日) 00:52:48.78 ID:eOS4X/6o
最後まで見たいんだ。
頑張ってくれたら嬉しい
526 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/04(土) 00:12:16.99 ID:VcE/Mvw0
もう12月ですね。早いもんです
とりあえずこのままだと埒あかないので予定立てます

まず、12月29日までに一話分あげます
そして31日から年を跨いでシーズン2を終わらせます
出来れば最終シーズン冒頭まであげる予定です
三周年とかはシャレにならないんで、ひとまずこんな感じで

527 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/04(土) 00:19:57.06 ID:wJe2KXko
了解ですwww
待ってますよ
528 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/04(土) 00:34:41.22 ID:bebQ8Qoo
むぉーリアルタイムでおっかけられないのか・・・・くやしい でも開けたら一気に読めるってことだよな うん 楽しみにしとくわ!
529 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:30:26.27 ID:TSzHmmU0
ソラニン season 2

ACT.36 "KARMA RIFF"―――



530 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:31:33.11 ID:TSzHmmU0
男「風が出てきたな…」

夜8時。夏が終わり、秋が近づいてきた
前の暑さは何処へやら
すっかり寒くなった空気が肌に痛い

リンネ「…男君、そろそろ時間よ」
男「ああ、すぐ行くよ」

先日の雀との話から、妙な胸騒ぎがしていた
それが作戦への不安を募らせていた


531 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/28(火) 01:32:26.66 ID:VqDyKZ.o
ぅおおおおおおおおおおおおおおおおお
532 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:33:11.46 ID:TSzHmmU0
女教師「作戦決行は21:00。男君、リンネ、準備のほうお願いね」
男「了解」

既に服は着替え終えている
俺達はジャケットを脱いでコクピットに乗り込んだ
起動チェックを終えたゴースト内に光が点る
同時刻に男友達の部隊も別の場所で動き始めていた
作業トラックに偽装した機関の車両は既に都市部に潜伏している
こちらの準備が整い次第、向こうも動き出す段取りだ

リンネ「…センサー系統、異常無し。駆動系、オールグリーン」
男「いつでも出れます、先生」
女教師『よろしい。それじゃあ、始めますか!』

透明の狼煙が上がり、作戦が始まった


533 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage ちょっとペース早めで行きます]:2010/12/28(火) 01:34:57.48 ID:TSzHmmU0
――8:50、京浜再開発地区

男「……改めて、スゴいな」

眼下に広がる再開発地区を見て、俺は吃驚した
幾つも立ち並ぶ作業用タワー、それを点す警告灯
明滅する赤いランプがどこか恐ろしかった

女教師『男君。こっちのレーダーが接近する熱源を感知したわ。そっちはどう?』
男「リンネ」
リンネ「…熱源感知。数3。速度的に鋭人と思われます」


534 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:37:34.50 ID:TSzHmmU0
男「早いな…先生、どうしますか?」
女教師『仕方ないわね、こちらも動くわ。二人とも、迎撃をお願い』
男・リンネ「了解」
女教師『さぁて、やるわよ!』

リンネ「…警告。11時方向から3機。速いわ」
男「よし、行くぞ!」

暗がりの向こうから赤い光が近づいてくる
高速で揺らめく機体をカメラが捉えた

男「お前等の相手は、この俺だッ!」


535 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:40:28.00 ID:TSzHmmU0
―――同時刻、再開発地区

男友「ぐっ! 守りが固い!」
女教師「さすが、敵の拠点ってだけはあるわね!」

先程から攻撃を仕掛け始めたが、一向に状況は変わらない
正門には敵装甲車が固まり、その道を遮っている

男友「先生! このままじゃあ埒があかないですよ!」
女教師「男君、聞こえてる!?」
男『聞こえてます! 援護に行きたいんですが、こっちも…っ!』


536 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:41:03.12 ID:TSzHmmU0
男「なんなんだ一体!? 動きが今迄と違う!」

その時、俺達は2機の鋭人を既に倒していた
しかし、残りの一機はそれまで戦ってきた鋭人とはっきり違った
こちらに合わせて柔軟に動いている

男「…まさか、こいつ有人機か!」
?『ほう、察しがいいな』

無線から聞こえたのは敵のパイロットの声だった
ブラックウィドウのやつとは違う声だ

男「クソッ! 邪魔をするな!」
?『俺達もただでやられる為にいるんじゃないんでな!』

腰部ハッチからライフルを取り出し牽制射撃をした
空中で弧を描き、赤い光は夜陰に消える


537 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:42:00.22 ID:TSzHmmU0
男「少しでも地上の援護をしなくちゃ……! よし!」
男「リンネ! 急降下するぞ! Gに備えろ!」
リンネ「…了解」

ゴーストを一気に降下させる
急激なGが俺達を襲ったが、それに耐えて再開発地区の地表に迫る
やがて5メートルくらいのギリギリの高さで機体を水平に戻した

男「うぉぉぉぉおおおおッ!」
?『ちっ、させるか!』

538 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:42:29.94 ID:TSzHmmU0
―――ッドォォォォオオオオンンンン

敵の特攻よりも早く俺は敵装甲車隊に突っ込んだ
カメラアイ越しに、吹き飛ぶ人の姿がちらりと見えた

男「…よ、よし…」
女教師『二人共大丈夫!?』
男友『ったく、無茶しやがって!』

男「はは…でも、これでなんとか敵陣は突破…ん?」

ふと目の前を見ると、そこは開けた空間だった
ゴーストを立て直すのと同時に女教師先生達が入ってくるのが見える


539 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:44:19.57 ID:TSzHmmU0
男「先生、此処は一体…?」
女教師『なんか、さながらエントランスみたいな場所ね。なんなのかしら?』
女教師『…そうね、とりあえず第一、第二中隊は地下の捜索をお願い。
    残りは地上の防衛。さっさと片付け…』

その時だった、レーダーに赤い反応が一つ

男「!! 先生! 上から一機来ます! 皆離れてッ!」

次の瞬間、目の前に爆風が広がった
粉塵が舞い上がり、視界が遮られる

男「くっ! 先生! 男友! 大丈夫ですか!?」
女教師『なっ、なんとか…』
男友『げほっ…くそ! なんて事しやがる!』


540 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:45:39.63 ID:TSzHmmU0
男「…な、なんだこれは…」

そこには大きな穴が空いていた
穴というより、空間だ。それもかなり広い
先程上から特攻してきた敵機はその底で大破していた
ラームが先行し、やがて部隊全員がその空間に入る
その時だった、隊員の一人が声を上げる

隊員「隊長、前方約120m先で何かが動いています」
リンネ「…こちらも感知。大きさからみて、人間です」
男「こんなところに人が?」
女教師『んー……! これは、ちょっとまずいわね…』

双眼鏡で遠方を見ていた女教師先生が顔を上げる

女教師『男君、あの奥にいる人達、彼らは一般市民よ』


541 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:46:21.16 ID:TSzHmmU0
男「えっ!?」
女教師『正確にいえば、ムスクルス開発事業に携わっていた会社の幹部達ね。
    ここを拠点に、別の施設に移そうとしてたんだわ』
男友『…おい、ちょっと待てよ。開発事業に携わってた会社って…!』

嫌な予感が脳裏を過った

男「まさか…」

口に出すのが、怖かった

男「おん―――」

―――ズズゥゥゥンンン


542 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:47:13.33 ID:TSzHmmU0
女教師『鋭人!』

すぐ目の前の天井が落ち、鋭人が姿を現した
先ほどの奴と同じ有人機だ

男友『男ぉ! 奴を止めろッ!』
男「うおおおあああ!」

無我夢中でゴーストを動かす
敵の機体にしがみつき、動きを奪う

男「先生っ! 今のうちに民間人の保護を!」
?『そうはいかないぞ』

無線機からの声を聞き、背筋がぞっとする
有人機の鋭人のパワーは無人機のそれと比べ物にならない程強力だった
押さえつけておいた手が次第に剥がされ、離されていく


543 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:48:42.76 ID:TSzHmmU0
男「くっ……そぉぉおお!」
?『無駄だ。黒いモーターヒューマーから得た動力機関なら、
  貴様の動きを振りほどく事など訳もない』
リンネ「…出力、限界。腕部間接部、オーバーヒート」
男「畜生ォ! 動いてくれよ!」

下では銃撃戦の音がした
いつのまにか現れた太陽系総連の部隊が戦闘しているようだった
だけどそんな事気にしていられなかった

男「(こいつを押さえきれなかったら…女が、女がッ!)」
隊員『隊長! 奥の民間人の中に女さんがいます! 肉眼で確認しました!』
男「!!」
女教師『まずいわね…突入部隊、強行突破よ! 他部隊は援護に回って!』


544 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:49:38.18 ID:TSzHmmU0
男「ああああ!!畜生! そこをどけェ!」
?『ふん。無駄な事を…それに、どうやら気づくのが遅かったようだな』
男「なんだと!?」
リンネ「…! センサーに反応。これは…鋭人? こんな…数が、多い…!」

モニター右脇にサブセンサーが表示される
そこに出た無数の赤点。敵の数を示しているそれによって
一部が真っ赤に染め上がっていた


545 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:50:42.60 ID:TSzHmmU0
女教師『ちぃっ! 敵の本隊かッ! 第四から第八中隊、対鋭人戦闘態勢!』
男友『くそっ、袋のネズミかよ!』

既に一部の敵が内部に侵入し、戦闘を始めている
状況は劣勢だった

男「くそっ! くそっ! くそっ! くそぉっ!」
?『はっ、もう諦めたらどうだ? 生身の人間が、鋭人とまともにやれる筈が
  ないだろう。このまま犠牲者を増やすか?』
男「誰が、貴様らなんかにっ!」
?『そうか…では、こうするまでだ』


546 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:52:21.97 ID:TSzHmmU0
目の前の鋭人の、カメラアイが一瞬光った気がした
それに付近の無人機が反応する

突入部隊『隊長! 女さんとその家族含む、民間人の保護完了しました!』
女教師『了解! 今すぐその場を離れて! ここは危険だわ!』

?『やれ』


547 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:54:08.48 ID:TSzHmmU0
まさか

女教師『…!? 突入部隊、急いで! 今そっちに鋭人が…!』

やめろ

男友『駄目だ! 早すぎる!』

やめてくれ

突入部隊『総員応戦しろ! 急げ! 民間人を無事なところへ……ッ!』

やめ

女『―――』


548 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 01:55:14.72 ID:TSzHmmU0
―――ドォォォオオオンンンン


男「あ」

男「あ、ああ、」

男「ああああああああああああああああああああ!!」




549 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 02:00:13.34 ID:TSzHmmU0
ACT.36 "KARMA RIFF" end...

NEXT
ACT.37 "HOMOSAPIENS BLOOD"




550 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/28(火) 02:01:45.94 ID:TSzHmmU0
めっちゃ駆け足でしたが、ゆっくり読んで下さい
あと前半後半で微妙に文体違ったりするかもしれません
無理もない、書いてる精神状況が違う

年明けでACT.40まで行けるかな…?


551 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/28(火) 08:07:52.12 ID:jSQYg9Eo
おつおつ
552 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/28(火) 20:41:35.47 ID:9EwThwQo
おうふっ
更新されてたww
なんか急展開wwww

お疲れ様です
553 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/29(水) 23:22:47.16 ID:f8eEXoU0
調子出ているのでACT.37を今夜中に上げます
554 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/30(木) 01:03:41.44 ID:q4YgreIo
wwktkwwktk
555 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:35:46.15 ID:JSS4etw0
「(…ここは、どこだろう?)」
「(…暗くて、寒くて、それで…)」
「(…これは、誰の?)」
「(………ああ、そうだ、ここは…)」

リンネ「(…男君の、どこかだ…)」


ACT.37 "HOMOSAPIENS BLOOD"



556 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:37:45.65 ID:JSS4etw0
女教師「そんな…女ちゃんが…!」
男友「なんだよ…なんでなんだよぉ! 畜生ォ!」

鋭人が突撃した場所は粉塵で見えなくなっていた
しかし、その周囲に散らばる鋭人の破片から
被害はその場の誰もが理解出来た


557 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:40:02.23 ID:JSS4etw0
女教師「くっ…、各部隊、撤退戦よ! この場から今すぐ…!」

―――ォォォオオオ

男友「な、なんだこの唸り!? 一体どこから…!!」

少し離れた上空
そこにその唸り声の根源がいた

女教師「…今の、ゴーストなの?」


558 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:42:54.32 ID:JSS4etw0
先ほどからゴーストは全く動いていない
ただその、静かな唸りを上げて空に浮かんでいる

女教師「男君!? どうしたの、応答して!」
隊員「た、隊長…上を!」
女教師「上? …え、な、何よ、これ…」

そこには鋭人が漂っていた
先ほどまでこちらに猛攻を仕掛けていた鋭人達
それがもの言わずぴくりと動こうとしない


559 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:45:16.99 ID:JSS4etw0
男友「先生、これは…」
女教師「わからない。わからないけど、もしかして、男君が…!」

振り返った女教師の顔が強ばる
ゴーストから赤い煙がうっすらと漂い始めていた
暗闇に浮かぶ機体が嫌に不気味に見える

男友「あれ、黒いやつのによく似てる…」
女教師「男君…?」


560 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:47:46.38 ID:JSS4etw0
―――オオオオオオオオンンンンンンン

女教師「きゃっ!」
男友「うわっ!」

突如として巨大な咆哮が空間に広がる
身体が震えるような強烈な咆哮だ

隊員「た、隊長! グレイゴーストが!」
女教師「! あ、あれは、まさか、変形…してるの!?」


561 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:50:03.11 ID:JSS4etw0
ゴーストの各所の装甲板が開いていく
そしてその隙間から強烈な赤い閃光が漏れている
灰色の機体が深紅に染め上がった

男友「なんだ、あれ…あれじゃまるで、ブラックウィドウじゃないか…」
女教師「男君、あなた、一体…」

そう言いかけた時だった
今まで静止していたゴーストが動いた


562 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:51:16.88 ID:JSS4etw0
ゴーストが先ほどの突撃を指示した有人機の鋭人に掴み掛かる

―――ガンッ

?『ふんっ、なんだ。少し見た目が変わっただけじゃな…なっ!』

―――メキッ、ギギ、バキッ

?『な、なんだこのパワーは!? さっきのとは比べ物に…!』

―――グシャッ


563 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:53:22.07 ID:JSS4etw0
鋭人の腕をへし曲げたゴーストの手が鋭人のコクピットに伸びる
そしてその装甲ごと、コクピットを引き抜いた
パイロットは引き抜かれたコクピットの上で驚愕と絶望の表情を浮かべていた

パイロット「あ、あ、やめろっ! な、何をする気だ!」

ゆっくりと、ゴーストの紅に光る手がパイロットに伸びる
そしてその巨大な手が、パイロットを掴み、そして

パイロット「やめ」

―――グシャッ


564 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:55:17.61 ID:JSS4etw0
女教師「!?」
男友「なっ!」

二人や、そして突入部隊の全員が目の前の光景を信じられずにいた
ゴーストの手の隙間から深紅の血と、そして人間だったものの一部がこぼれ落ちる

男友「そんな…っ! あいつが、男があんな事する訳ない! なんなんだあれは!」
女教師「…怒ってるのよ、彼は。女ちゃんを、殺された事に」
女教師「それが、ゴーストにも判るのよ。それであの姿になったんだわ」
男友「あれは、一体なんなんですか!?」
女教師「ゴースト含め、モーターヒューマーにはパイロットの感情に応じて、
    機能のリミッターを外すプログラムがあるの。恐らく、それがあれよ」
女教師「…今、この空間内の鋭人が止まっているでしょ? 多分それも、
    そのプログラムのせいよ。まさか、ここまでの力があるなんて…」


565 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 01:57:47.13 ID:JSS4etw0
―――ドォォォオオオンンン

女教師「!」

ゴーストは気がつけば宙に漂う鋭人達の中に突っ込んでいた
そして手当たり次第に鋭人の機体を掴み、そして破壊していく
その様は、まるで怒り狂う鬼のようだった

男友「信じられねぇ…男、本当に、お前なのか!?」
女教師「(男君……リンネ、彼を助けてあげて…!)」


566 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 02:00:25.83 ID:JSS4etw0
リンネ「(…なんだろう、とても、寒い)」
リンネ「(…そこにいるのは…男君? どうしたの?)」
リンネ「(…泣いて、いるの?)」

―――オオオオオオオオンンンンンンン

リンネ「(…駄目。これ以上、破壊を続けたら)」
リンネ「(…皆、死んじゃう)」

―――オオオオオオオオ

リンネ「(…男君、戻ってきて。お願い)」
リンネ「(…お願い、だから…ッ!)」


567 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 02:03:06.79 ID:JSS4etw0
パイロット『たっ、助け』

鋭人のパイロットの悲鳴がゴーストの巨大な掌に潰される
コクピットを握りつぶしたゴーストはそれを別の鋭人に投げつけた
既にもう有人機の殆どを破壊し、そしてパイロットを確実に殺していっていた
その手は赤い光と血によってどす黒い紅に染め上がっている

女教師「くっ、このままじゃマズいわ。鋭人は減っていっているけど、
    最悪私達も巻き込まれる事になるわ! 急いで撤退しないと…!」
男友「そんな! 男達を残していくんですか!?」


568 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 02:05:05.16 ID:JSS4etw0
女教師「今のゴーストは、男君は人間自体を憎んでるの。さっきからしている
    事がその証拠よ。もう見境なんて失ってしまっているのよ」
男友「くそっ、男………! 先生! ゴーストが!」
女教師「!」

ゴーストは動きを止めていた
周りの鋭人は今のうちだと云わんばかりに撤退を始めている
そしてゆっくりと、ゴーストの光が消えていき
やがて装甲板も元の姿に戻ると、ゴーストは地上へ静かに着地した


569 :四狐 ◆b31BYoYbAM[saga]:2010/12/30(木) 02:08:29.14 ID:JSS4etw0
女教師「男君!」
男友「男!」

そこへ慌てて女教師達が駆け寄る
それに合わせるかのように、ゴーストのコクピットが開いた

女教師「男く…」

そのコクピットには、力無く座席に埋もれる男と
その男を後ろから抱きしめるリンネがいた


この戦いで明星機関は、地上部隊のその三分の一を失う
しかし、それ以上に失ったものは大きい



570 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/30(木) 02:10:21.09 ID:JSS4etw0
ACT.37 "HOMOSAPIENS BLOOD" END

NEXT
ACT.38 "HAL THE SHOEGAZER" 12/31
ACT.39 "are you ready to strikes back???" 12/31〜1/1
ACT.40 "avenger strikes back" 1/1



571 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/30(木) 02:12:13.25 ID:JSS4etw0
こんな感じでやる予定です。

さっき予定立ててみたら47話で終わらせる事が出来そうです。
もうちょっとのお付き合い、お願いします。

就活中も書く事になるとは思わなんだ…



572 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/30(木) 05:56:46.61 ID:tNzSN1Uo
お疲れ様でした
一気に読ませるねえ

って就活中かね
あんまり無理スンナよwww

社会人になったらなお時間が(ry wwww
573 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/30(木) 08:20:50.10 ID:IfOrZ3A0
574 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/30(木) 10:46:53.63 ID:j8YSXqA0
緑茶でほっこり
575 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 00:59:58.46 ID:ig/cje.0
さて、31日ですね。
今年もいよいよ終わりです。

というわけで、三連続更新第一回目。
スタートです。


576 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:01:15.50 ID:ig/cje.0
ACT.38 "HAL THE SHOEGAZER"




577 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:03:11.04 ID:ig/cje.0
機関本部に戻った女教師達
部隊の負傷者が医療区画に溢れ返り
本部内は騒然としていた

―――本部内、ブリーフィングルーム

女友「そんな…なんで、なんで女が……」
雀「女友先輩……」

帰還した女教師達から聴かされたその報告に
女友は涙を流し続けている



578 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:05:26.25 ID:ig/cje.0
男友「…先生、男は?」
女教師「さっき医療班から連絡があって、意識は取り戻したみたい」
女教師「…でも、まだまともに話せる状態じゃないわ」
雀「お姉ちゃんが付きっきりで看病してるけど…大丈夫かな、先輩…」
女教師「今は兎に角、男君が回復するのを待つしかないわ」
女教師「…それに、あの子達をあそこから出してあげないと、ね…」

『あの子達』とは、あの現場に残してきていた隊員達の遺体
そして女とその家族らの事も指していた


579 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:07:10.65 ID:ig/cje.0
隊員「失礼します」

そんな最中、ブリーフィングルームに隊員の一人が入ってきた
彼もまた、身体のあちこちの包帯を巻いている

隊員「一時間後に回収部隊が出ます。各隊からメンバーを募っていますが、
   隊長もご同行されますか?」
女教師「ええ、行かせてもらうわ。現場の様子は?」
隊員「飛行隊からの連絡によれば、現在現場に敵は確認されていません」
隊員「既に斥候小隊が向かっており、現場の確保は出来ています」
女教師「了解。すぐそっちに向かうわ。部隊準備の方、よろしくね」



580 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/31(金) 01:10:40.35 ID:PFg/FtEo
乙です
581 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:12:11.55 ID:ig/cje.0
男友「先生、俺は…」
女教師「君は、彼女の元に居てあげなさい。突然の事で、
    心の整理がついてないだろうから」
男友「はい…」
女教師「雀、一緒に来て。今はそっとしておいてあげましょう」
雀「はい」

女教師と雀はブリーフィングルームから出た
その足で部隊の指令所に向かう

雀「先生、試作中のモーターヒューマーなんですが、もうじき完成するようです」
女教師「そう。あれが完成すれば、戦力の足しになるでしょうね」



582 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:14:20.85 ID:ig/cje.0
女教師「…でも、このままじゃマズいわ。主戦力が欠けたままの状態でどうなるか…」
雀「今のままじゃゴーストは動けないですもんね…」
雀「…私も、もっとみんなの力になれれば…」
女教師「雀…」

そうして二人が指令所に着いた時だった
向こうからオペレーターの一人が駆け寄ってきた

オペレーター「おっ、女教師さん! 大変です!」
女教師「どうしたの? …まさか、斥候小隊に何かあったの!?」
オペレーター「い、いえ! 向こうからは今のところ緊急連絡はありません」
オペレーター「ですが…と、兎に角、医療区画に急いで下さい!」
雀「医療区画って、まさか先輩!?」


583 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:16:52.92 ID:ig/cje.0
大慌てで医療区画に走る三人
たどり着いたそこでは何名かの医師が集まって話し合っているようだった

女教師「医療班! 一体何があったの!?」
医療班長「あっ、女教師さん! そ、それが、男君が……!」
女教師「!?」

医師達を掻き分けて医務室を除くと
そこには誰の姿もなかった
あるのは散らかったベッドと引き抜かれた点滴だった



584 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:18:43.78 ID:ig/cje.0
女教師「こ、これは一体……」
医療班長「先程点滴の交換に来た時にはもう…ほんの10分位だったのですが…」
雀「…待って、お姉ちゃんは!?」
医療班長「リンネさんの方は、検診に行っていたもので…」
女教師「…一体、何をしていたの! アンタ達はッ!」

医療班長に女教師が掴み掛かった
壁に医療班長の後頭部が打ち付けられ、低い呻き声を上げる

女教師「彼がどういう存在か! あなた達だって判っているはずでしょう!?」
医療班長「し、しかし、とても動けるような状態ではなかったんです!」
女教師「じゃあ一体何が…ッ!」
雀「先生! 落ち着いて!」



585 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:21:01.45 ID:ig/cje.0
雀の静止によって、女教師はようやく正気を取り戻した

雀「…それで、男先輩の行方は?」
医療班「今本部内を探させていますが…今のところ何も…」
雀「お姉ちゃんは今何処に?」
医療班「それが、リンネさんなんですが、報告がショックだったようで…
    今は待合室で休ませています」
女教師「雀、リンネの事お願い出来るかしら。私は指令所に向かってから、
    男君の行方を探すわ、大変だけど、お願いね」
雀「はいっ。先生、先輩の事、お願いします」
女教師「ええ、任せておいて」


586 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:24:05.96 ID:ig/cje.0
―――同時刻、東京都県境


本部から少し離れた山間の場所
ゆっくりと朝日が昇り始めている
男は気がつけばそこにいた

男「(…此処は、何処だろう?)」
男「(俺、これからどうすればいいんだ…?)」
男「(……女)」

その眼は輝きを失っていた
虚ろな眼差しは何処を見るともなく空を泳いでいる


587 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:27:48.63 ID:ig/cje.0
男「(はは…何が、何がヒーローだよ…)」
男「(結局、俺は何も出来ないじゃねぇか…!)」
男「…ちくしょう…」

?「全く、女々しいな。男君」

男「…?」

ふと、どこかで聴いた事のある、懐かしい声がした
しかしそれが誰なのか、思い出せない
姿も逆光で上手く見る事が出来なかった



588 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:31:18.00 ID:ig/cje.0
男「…誰だ? あんたは? なんで俺の名前を…」
?「さてね。少なくても、今の君を導く事は出来る者さ」

その時、急に男の視界がぼやけてきた
病室から点滴を引き抜き、何も考えずに此処まで歩いてきている
体力も限界に近かった
薄れ行く意識の中、男は謎の男性の声を聞いた

?「…今は休め、男君。君にはまだ、やるべき事があるんだ」




ACT.38 "HAL THE SHOEGAZER" END

NEXT
ACT.39 "are you ready to strikes back???"




589 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 01:32:30.05 ID:ig/cje.0
ACT.39は本日23:50から始めます。

それではまた22時間後に。



590 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/31(金) 01:51:44.64 ID:PFg/FtEo
ハイペースだな…
お疲れ様でした

紅白でも見てまってるか・・・
591 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 23:50:27.55 ID:t5HUvdc0
いよいよ2010年も残り10分ですね。

では、始めたいと思います。



592 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 23:53:15.32 ID:t5HUvdc0
ACT.39 "are you ready to strikes back???"


男「ん……あ、あれ? ここは…」

眼が覚めると、男は知らない場所にいた
記憶は山間の中で気を失ったとこまで覚えている

男「一体ここは…」
?「や。ようやく気づいたようだね」
男「!」

振り返るとそこには見慣れぬ男性がいた
見た感じ、年は20代前半といったところだろうか
その服装はどこか近代的だ



593 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2010/12/31(金) 23:56:26.81 ID:t5HUvdc0
男「…あんた、一体誰だ?」
キヒト「僕はキヒト。ここは僕の船の中さ」
男「船…?」
キヒト「ああ、そうさ。そこの窓から外を見てみるといい」

云われるがまま男は近くにあった窓を覗く
そこに映った景色に男は驚愕した

男「なっ! し、白い……え、え、これって…まさか!」
キヒト「雲海、ってやつだよ。初めて見たかい?」

そこには白い雲が浮かんでいた
遠くには薄らと青色の景色が見える



594 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(クリスマス) 00:01:29.98 ID:wv9xRWc0
キヒト「僕の船は所謂飛行船ってやつさ。もっとも、ガスで浮かんでるんじゃない」
キヒト「動力機関は、君のグレイゴーストとかに使われているものだ」
男「グレイゴーストと……あっ」

それを口にした時、男の表情が曇る
あの時の事を思い出したのだ

キヒト「…まぁ、ここで立ち話もなんだ。こっちにおいで。そこでゆっくり話そう」



595 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:12:59.34 ID:wv9xRWc0
キヒトと名乗る男性の後をついていくと
やがて開けた、大きなフロアに出た
目の前にはガラス張りの壁が視界いっぱいに広がり
その真ん中には二人掛けのテーブルがあった

男「……」
キヒト「まぁ座りなよ。大丈夫さ、なんの変哲もない、ただのイスだ」

最初は疑っていた男だが、キヒトが座るのを確認すると
それに合わせるように座った


596 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:13:31.63 ID:wv9xRWc0
キヒト「…さて、まず何から話そうか?」
男「…あんたは、一体何者なんだ? 何故俺を…助けたんだ?」
キヒト「ふむ。じゃあまず僕の正体から明かそう」

キヒトはひと呼吸を置き、そして云った

キヒト「僕は、太陽系総連の人間だ」

それを聞いた途端、男は急に立ち上がり
そして一気に詰め寄り、キヒトの胸ぐらを掴んだ



597 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:14:58.24 ID:wv9xRWc0
男「………ッ!」
キヒト「…無理もない、か。彼女の事は残念に思っている。僕から謝ろう。すまない」

キヒトはその手を振りほどく事なく続ける

キヒト「僕は太陽系総連に所属しているが、本部とは別行動を取っているんだ」
キヒト「君をこうしてここに招いたのも、その為さ」
男「…俺を、これからどうするつもりだ!?」
キヒト「どうもしないさ。今の君は、放っておいたって死んでしまうだろうしね」



598 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:16:08.47 ID:wv9xRWc0
その言葉を聞いた男の手から力が抜けた

男「…ああ、そうだよな…今の俺に、生きてる資格なんかないんだ…」

そんな男を見下ろしながらキヒトは言葉を続ける

キヒト「悲観するのは判る。だけど、それで本当にいいと思ってるのかい?」
キヒト「君だって自分の生まれがどういうものか判っているはずだ。
    君の力は、多くの人を助けられるものなんだぜ?」

男は顔を上げ、吐き出すように怒鳴る

男「五月蝿いッ! 自分を好きで居てくれた、そんな一人の女の子でさえ救えない!
  そんな俺にたくさんの人が助けられるっていうのか!?」
男「もう嫌なんだよ…! 俺のせいで、大切な人が死ぬのは!」
男「……もう、女みたいに、失いたくないんだ…」



599 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:17:59.74 ID:wv9xRWc0
キヒト「…そうかい。失いたく、ないかい」
男「ああ…そうだよ、俺はもう……」
キヒト「じゃあ、あれを見てもそう云えるか?」
男「えっ?」
キヒト「こっちに来て、下を見てご覧」

気がつけばキヒトは窓のすぐ近くにいた
そこに男が近づいていく

キヒト「あれが見えるかい?」
男「……! あ、あれは…」

すぐ眼下に、たくさんの鋭人の機影が見えた
鋭人だけじゃない、陸上部隊の輸送機も見える



600 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:19:50.55 ID:wv9xRWc0
キヒト「あれはうちの攻撃大隊さ。そして向かっている方角は、明星機関本部」
男「!」
キヒト「上層部は一気にケリを付けるつもりだ。君という、あまりに大きい脅威。
    それが機能しなくなった事を、連中は知っている」
キヒト「放っておくつもりかい? 彼らを、君の仲間を」

キヒトは横に立つ男を見る

男「…駄目さ。逃げ出してきた俺なんかが行ったって、どうしようもない…」
キヒト「本気で、そう思ってるのか?」

今まで柔らかかったキヒトの口調が変わる



601 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:21:27.31 ID:wv9xRWc0
キヒト「…向こうの空で、戦闘が始まった。見えるかい?」

眼をやると、確かに向こうでいくつもの閃光が見える
明星機関の飛行隊が出撃したようだ

キヒト「あそこに居る人達は、生きようとしてるんだ」
男「生きようと、している…?」
キヒト「そうさ。人間の行動理念の根本にあるのは、“生きる”という意思だ。
    まぁ、これは僕の持論だ。小難しい思想の勉強は苦手でね」
キヒト「そして今、あの中の人達は生きる為に戦ってるんだ」
キヒト「あの光は、その人達の意思の光なのさ」



602 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:22:46.75 ID:wv9xRWc0
遠くで爆発の音が聴こえる
それが飛行隊の戦闘機の音か、鋭人の音なのか
こちらからは確認する事が出来ない

キヒト「多分、彼女だってそう思ってたんじゃないかな?」
男「彼女…?」
キヒト「女ちゃんさ。彼女だって、最期の最期まで、生きたいと思ったはずだ」
男「……」
キヒト「男君。僕は君の父親でもない。教師でもないし、上官でもない」
キヒト「でも、これだけは云える。守るんだ、皆の“意思”を」
キヒト「それが出来るのは、君だけだ」


603 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:24:07.13 ID:wv9xRWc0
男「…キヒトさん、俺、どうすればいいのかな?」
キヒト「飛ぶんだ、男君」
男「とぶ…?」
キヒト「そうだ。歩いていけばかかる道でも、翼で飛べばすぐに行ける」
男「でも、飛ぶっていったって俺には…」
キヒト「あるさ」

そういってキヒトは少し離れた場所に行き
そして一枚のサーフボードのようなものを持ってきた



604 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:25:56.25 ID:wv9xRWc0
男「それは…?」
キヒト「こいつは“ボード”っていってね。君がかつて作ったものだよ」
男「かつての俺って、つまり、昔の俺が?」
キヒト「ああ。これが君の羽だ。使い方は判るだろ?」

そういって手渡されたボード
それを手に取った時、男の脳裏にはそれの使い方が浮かんだ

キヒト「知ってるだろ、君がかつて科学者だったって事。その時のものさ」
男「でも、良く残ってたな…すごい昔だった聞いたけど」
キヒト「そいつは特別製なのさ。未だにちゃんと動く」



605 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:28:00.02 ID:wv9xRWc0
気がつけば空には夕日が色を映し出していた
燃えるような太陽の光が船の中を照らす

キヒト「…そろそろ時間のようだ。これ以上、君を引き止めておく訳にはいかない」
男「ありがとう、キヒトさん」
キヒト「何、気にする事はないよ。これが僕の役目だ」

キヒトが窓の近くにあったボタンを押す
すると窓のひとつがゆっくりと開いた
強風が中に吹き込んできたが、二人ともそれに怯む事はない



606 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:32:54.46 ID:wv9xRWc0
男「…最後にひとつ、聞いていいかな?」
キヒト「なんだい?」
男「俺、あなたに一度会った気がするんだ…気のせいかな?」
キヒト「どうだろうね。僕からはなんともいえないよ。全て云ったら、
    君は答えを見つけられない人間になるだろうからね」
男「そうか…判った。じゃあ、俺、行くよ」
キヒト「ああ、気をつけて」

窓縁に立つ
強い風に前髪が揺さぶられる

男「(生きる、意思、か…)」
男「(…今ならまだ、きっと、取り返せる)」



607 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:35:14.50 ID:wv9xRWc0
縁を蹴って空中に飛び出す
一瞬、船内が眼に入った
そこに立つキヒトの口が動く

キヒト「(いって―――っしゃ―――お―――うさ―――)」
男「!」

それは一瞬しか見えなかった
だが声さえ聴こえなかったその言葉
男はそれを聞き取る事が出来た



608 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:36:16.32 ID:wv9xRWc0
男「(…そうか、思い出した。やっと…)」
男「(キヒト、ありがとう…いつか二人で、迎えに行くから……!)」

手に持っていたボードを足に付ける
それは今までも身体の一部だったかのように馴染んだ
踵を踏み、エンジンを吹かす

男「…行こう!」





ACT.39 "are you ready to strikes back???" END

NEXT
ACT.40 "avenger strikes back"




609 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 00:39:04.82 ID:wv9xRWc0
あけました。おめでとうございます。
単純計算でついに連載三年目突入です。
なんでこんなに伸びちゃったんだ…

長かった構想にも漸く終わりが見えてきて
今年中には必ず終わらせる事が出来そうです。
今年もどうぞよろしくお願いします。


さて、新年一発目。
数時間後にACT.40をアップします。


610 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011![sage]:2011/01/01(正月) 08:01:05.18 ID:h/XwmeQ0
ワクワク
611 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/01(正月) 11:17:48.62 ID:6Yf05CYo
あけおめwwww
wktkだぜwwww
無理だけはしないようにしてねwwww
612 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:41:24.60 ID:lAhddNw0




ACT.40"avenger strikes back"





613 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:43:53.82 ID:lAhddNw0

男「…すごいな」

随分と、高い所を飛んでいる
自分が今まで暮らしていた街が遠くに見える
そしてそこで今、戦いが起きている
生きるという事を賭けた戦いが

男「感傷に浸ってる、場合じゃないか…」

ボードが夕日に染まる空を切って進む
青い光の粒子を空に散らせながら飛ぶその姿は
さながら流星のようだった

男「(…もう一度、俺と戦ってくれるか? ……リンネ!)」



614 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/01(正月) 15:47:16.91 ID:binbQt2o
来たwwww
615 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:48:00.97 ID:lAhddNw0

―――同時刻、明星機関本部内


オペレーターA「飛行隊より入電! 第五小隊、全機撃墜されました!」
女教師「ジャマー搭載機を至急出して! 陸上部隊は!?」
オペレーターB「現在応戦中! ですが、陸戦型の新型が…!」
女教師「ちぃっ! 四方八方から…!」

発令所は大混乱に陥っていた
突然の敵の総攻撃に加えて、主戦力の欠如
旧来の武装のみの部隊では太刀打ちに限界があった



616 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:50:19.79 ID:lAhddNw0

男友「先生!」
女教師「男友君! 二人は?」
男友「非戦闘要員用のシェルターに避難させました。医療区画地下です」
女教師「そう…しかし、これはいよいよマズいわね…」

発令所モニターにレーダーが表示されている
画面の緑が消えて行き、赤が縁からじわじわと増えていく

男友「…先生。確か、鋭人とゴーストから回収したデータで作っている、
   試作の量産型モーターヒューマーがあるんですよね?」



617 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:52:44.66 ID:lAhddNw0

女教師「え、ええ……まさか、男友君…」
男友「俺、乗ります。乗らせて下さい!」
女教師「駄目よ! あれはまだ調整段階で、とても実戦で使えるような!」
男友「でも! このままじゃ皆死んじゃいますよ!」
男友「俺だって、男の周りに居た人間の生まれ変わりなんでしょう!?
   俺だって何か出来るはずです! お願いします!」
女教師「男友君……」
女教師「…わかったわ。ハンガーデッキに行きましょう! こっちよ!」



618 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:55:47.16 ID:lAhddNw0


―――ハンガーデッキ


女教師「班長! 試作型の出撃準備をして!」
整備班長「何ィ!? あれはまだ出せる状態じゃないぞ! 正気か!?」
女教師「今はあれに頼るしかないんです! 急いで!」
整備班長「し、しかしだな…実は誰かが出撃ドックにゴーストがセットしておって」
整備班長「本来一機しかおらんかったから、出撃は一機しか出来んのじゃ!」
男友「ゴーストが? 一体誰が…」
女教師「…まさか!」



619 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:57:11.25 ID:lAhddNw0

出撃ドックの中
そこにはグレイゴーストが静かに佇んでいた
コクピットの後部座席にはリンネが眼を閉じて座っている

リンネ「……」
女教師『リンネ! そこにいるの!?』
リンネ「…女教師さん」
女教師『ゴーストから降りて! 男友君が出撃するの! そこを空けなさい!』
リンネ「……」
女教師『ちょっと、リンネ!? 聞こえてるの!?』



620 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 15:58:35.75 ID:lAhddNw0

男友「どういうつもりなんだ、リンネさん…」
女教師「リンネ! このままじゃ私達全員皆殺しにされるのよ! 判ってるの!?」
リンネ『…男君が、来てくれる』
女教師「今は、彼を待っている暇なんてないの! 一刻を争うのよ!?」
リンネ『…私には、判る。彼は必ず、来てくれる』
女教師「ああっ、もう! 班長! ゴーストを戻して!」
整備班長「駄目だ! 一度セットしたドックベイはこちらからは戻せん!」
女教師「そんな…」



621 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:00:16.15 ID:lAhddNw0

リンネ「(…男君。今、何処にいるの?)」
リンネ「(…女教師さんのいうように、男友君を行かせるべきなの?)」
リンネ「(…私は、あなたしか、信じて来れなかったから…)」
リンネ「(…どうすればいいの?)」

『もう一度、一緒に戦ってくれるか?』

リンネ「(…!)」

『また俺を信じて、戦ってくれるか?』

リンネ「(…私は、男君を、信じている)」

『また一緒に、空を飛ぼう』

リンネ「…うん…!」



622 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:01:50.62 ID:lAhddNw0

リンネ『…女教師さん。出撃ハッチを開いて下さい!』
女教師「リンネ…? あなた…」
リンネ『急いで! 彼が、男君が、来てくれるんです!』
女教師「そんな、男君がって…」
長官「行かせてやりたまえ」
男友「ちょ、長官! いつの間に…」
長官「君も判ってるはずだろう。あの二人なら、大丈夫だ…」
女教師「長官………判りました。班長!」
整備班長「諒解! 出撃ハッチ開け!」



623 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:04:55.57 ID:lAhddNw0

整備班長の声でゴーストの頭上の出撃ハッチは開いて行く
その時、その場にいた全員の目の前で信じられない事が起きた

整備員A「…! グレイゴースト、起動シークエンス入ります!」
整備員B「駆動系等チェックOK、火器管制システム、問題なし!」
女教師「自動で起動するなんて、初めてだわ…」
男友「まるで男がいるみたいだ…」
整備員A「…全システム、オールグリーン! 出撃準備、完了!」
整備班長「よぉし! 出すぞ! 嬢ちゃん、準備はいいか!?」
リンネ『…はい!』

リンネ「(男君。また、一緒に飛べるよね?)」

男「(飛べるさ!)」



624 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:07:05.56 ID:lAhddNw0

明星機関本部周辺の上空
何十機にも及ぶ鋭人と戦闘機が戦いを続けていた
敵の機影を掻い潜って地上に近づくひとつの影

男「行くぞッ!」

雲海を抜け、やがて森が見えてきた
空中で一回転し、勢いを緩める
ある程度の高度で止まり、一気に加速した



625 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:09:34.92 ID:lAhddNw0

オペレーターA「急速接近する機影ひとつ! かなり小型です」
長官「リンネ、彼が来たようだ。行ってこい」
リンネ『はいっ!』
整備員A「グレイゴースト、射出します!」
女教師「リンネ! あなた達に全てを託すわ! 頑張って!」

ロックの外れる音がコクピットに響く
グレイゴーストが乗ったドッグベイが急速に上昇する

リンネ「うぐっ! …こ、これくらい…ッ!」

数秒後、グレイゴーストが射出口から飛び出した
機体は一回転をして鋭人の群れに突っ込んでいく


626 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:11:37.14 ID:lAhddNw0

男「! グレイゴースト……リンネ!」
リンネ『男君!』

乗っていたボードのロックを外す
宙に放り出された形になった男
それに合わせてゴーストのコクピットが開いた

リンネ「掴まって!」
男「うおぉぉおおっ!」

コクピットから伸びたリンネの白い腕を
男の手がしっかりと握った


627 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/01(正月) 16:14:47.27 ID:binbQt2o
エウレカを想像してみる
628 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:14:59.81 ID:lAhddNw0

男「リンネ!」
リンネ「男君! よかった…また、一緒に飛べる…!」
男「ああ! 忘れていたよ、俺がしなくちゃ、行けない事を!」
男「そうだろ、ゴースト! 俺達にまた、力を貸してくれ!」

男の声に呼応するかのように、ディスプレイに文字が表示される

”save our rock”



629 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:17:13.80 ID:lAhddNw0

飛行隊『ぐっ…敵が多すぎる! このままじゃ全滅…んっ? なんだ、あれは?』

地上部隊『お、おい! 上を見てみろ!』

鋭人パイロット『な、なんだあれは…!?』


―――発令所内

オペレーターA「! 外部で強力なエネルギーを感知!」
オペレーターA「す、すごい…エネルギー値、なおも上昇! すごい勢いです!」
女教師「映像をモニターに出して!」
オペレーターB「了解。映像、モニターに出します!」



630 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:19:41.36 ID:lAhddNw0

飛行隊『ぐっ…敵が多すぎる! このままじゃ全滅…んっ? なんだ、あれは?』

地上部隊『お、おい! 上を見てみろ!』

鋭人パイロット『な、なんだあれは…!?』


―――発令所内

オペレーターA「! 外部で強力なエネルギーを感知!」
オペレーターA「す、すごい…エネルギー値、なおも上昇! すごい勢いです!」
女教師「映像をモニターに出して!」
オペレーターB「了解。映像、モニターに出します!」



631 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage あ、重複しちゃったorz]:2011/01/01(正月) 16:21:18.23 ID:lAhddNw0

モニターの画面に外の光景が映し出される
それを見たその場の全員が、言葉を失った

男友「な、なんだこれ…青い光が…眩しい!」
女教師「綺麗…これは…」
長官「目覚めたんだよ」
女教師「目覚めた?」
長官「ああ…還ってきたのさ、私達の英雄が…」

気がつけば全てのモーターヒューマーの機動は止まり
動きを封じられた機体はなす術無く地上に降下していった
また地上での戦闘を行っていた人々も
その青い光に戦う事を止めた

そして、その光の中心に
そこには装甲を展開し
青の光を放ち続けるゴーストの姿があった



632 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage あ、重複しちゃったorz]:2011/01/01(正月) 16:23:44.16 ID:lAhddNw0

長官「…“赤は絶望、破壊の光。青は希望、創造の光”」
女教師「長官、その言葉は?」
長官「発見されたモノリスに刻まれていた、彼自身の残した言葉さ」
長官「彼が、いや、彼らが、我々空人の希望なのだよ」
女教師「希望…」

その光が止んだ時、戦いは終わった
明星機関は奇跡的にも総攻撃を耐え抜き
さらに多くの物資を得るに至った

そして、再び戻ってきた『希望』
彼らの、短くも永い戦いにも
遂に終わりが見えてきていた



633 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:25:49.52 ID:lAhddNw0


ACT.40 "avenger strikes back" END

ソラニン season.2 END



NEXT
ソラニン season.3 -final-
ACT.41 "MINNEAPOLIS"




634 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/01/01(正月) 16:27:59.72 ID:lAhddNw0
重複したりメル欄そのままにしてたり。
新年早々ミスしまくりました。おのれ…!

ようやくseason.2を終わらせる事が出来ました。
次のseason.3でソラニン第二部、完結です。
なるべく時間に空きがないようにしたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

635 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/01(正月) 23:17:52.16 ID:binbQt2o
お疲れ様でした
正月早々ありがとう
636 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011![sage]:2011/01/02(日) 00:04:44.37 ID:5RJ2u3k0
お疲れさまです
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/01/09(日) 09:34:58.78 ID:2PsCPIAO
乙!
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/01/25(火) 00:11:00.83 ID:vaOth3zAO
かなり遅くなったが乙!
639 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:04:01.86 ID:64rNq+kE0
2012年、12月19日
俺はいつもより早めに起きて着替えを済ませた
今日は大事な日だ

男「……」

窓の外を見る
薄い色をした空が何処までも広がっていた



ソラニン season.3 -final-
ACT.41 "MINNEAPOLIS"



640 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:04:36.46 ID:64rNq+kE0
男「じゃあ、行ってきます」
父「早めに帰ってこいよ。明日には出発をするんだからな」
母「気をつけてね。警報が出たらすぐに避難するのよ」
男「判ってるって、心配いらないよ」

靴を履く俺の後ろには家族が揃ってた
穏やかな父、心配性の母、そして妹

妹「お兄ちゃん…気を付けてね?」
男「なんだ、心配してるのか? 大丈夫だよ、これでお別れってわけじゃないんだ」
妹「でも…」

不安がる妹の頭に手を置き、軽く撫でてやる

男「大丈夫、兄ちゃんはちゃんと帰ってくるから」
妹「…うん」


641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/02/25(金) 22:05:47.00 ID:DswbdjjHo
来たっwww
642 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:06:28.59 ID:64rNq+kE0
男「それじゃあ、行ってきます」
父「ああ、楽しんでおいで」

戸を開けて家を出る
外の空気は冷たく、肌に突き刺さる感覚
ふと隣の家に目をやった
半年前はよく同じタイミングで開いていた扉も、もう開かない

男「…行くか」

しばらく乗っていなかった自転車に乗って駅を目指す
信号は赤のまま点滅したままの状態
道のど真ん中を突っ切るのはなかなか爽快だった
それでも対向車、後ろから迫る車の感覚がないのが寂しく思えた


643 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage 見てる人いる事にびっくりしたw]:2011/02/25(金) 22:08:15.30 ID:64rNq+kE0
駅に近づく、商店街に入る
人で賑わっていた通りも、今は閉じたシャッターが並ぶだけだ
自転車のギアが回り続ける音だけが通りに響く

男「……」

駅に付いても、やはり人影はなかった
電光掲示板には『非常警戒宣言 運転規制中』の文字
改札に何も通さずに通過する
ホームに出ると、ほどなくして無人の電車が来た
中には誰もいない


644 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage 見てる人いる事にびっくりしたw]:2011/02/25(金) 22:10:13.35 ID:64rNq+kE0
あの戦闘以来、太陽系総連と明星機関の争いは表面化していった
情報統制が行われながらも確実に進む戦いは一般の人々の生活を変える
都市部には非常警戒宣言が発令され、殆どの人が地方への疎開をしていた
俺の家も明日、疎開先に行く事になっている

男「戦争、か」

今乗っている電車は、やむを得ない理由
例えば疎開の順番待ちによって都市部に残された人の為の無人用電車だ
だが、警戒が出ている都市を出歩こうなんて思う人は少ない
俺以外に誰も乗っていないようだった
目の前を通り過ぎて行く町並み、遠くに見える高層ビル
そこにどれほどの人がいるんだろう?

もう誰も、いないかもしれない


645 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:12:05.76 ID:64rNq+kE0
一時間くらいして湾岸地区にある駅に着いた
よくテレビとかで、デートスポットとして取り上げられていた場所だ
こんなとこに来るのなんて何年振りだろう?
小学生の時に、女や男友達と一緒に来たのが最後だろうか

男「…お、いたいた。おーい」

改札を出ると、そこに待ち人がいた

リンネ「おはよう、男君」
男「ああ、おはよう。待ったか?」
リンネ「ううん。私も今着た所」
男「そうか。じゃ、行くか」
リンネ「うん」


646 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:14:17.71 ID:64rNq+kE0
俺達は駅から少し歩いた場所にある大きなビルに入った
いろんな店が入っている複合施設だ
真ん中の吹き抜けからは空が見えた

男「おお、すごいなこりゃ」
リンネ「機関のに見慣れてるけど、でも、綺麗だね」
男「ああ。俺はこっちのほうが好きだな」

エレベーターで上の階へ昇る間、俺は前に立つリンネを見る
今までの服とは随分違い、可愛らしい服だった
薄い茶色のコートの下から淡いピンクのワンピースが覗いている
黒い羽は下に履いたスカートと混じって、遠目からではよく見えない


647 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:15:49.42 ID:64rNq+kE0
男「どういうのが見たい?」
リンネ「一番上の階に美術品の展示があるの。そこに行きたいな」
男「わかった」

リンネはあの戦い以来変わった
いや、戻ったというべきだろうか
皆は驚いていたけど、俺はそう感じなかった
それは多分、昔の俺達がそういう関係だったからだろう
なんとなくだけど、気づいている


648 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:17:15.65 ID:64rNq+kE0
最上階にあった展示ブースをざっと見終わった俺達は
下のフロアに降りながらその階を見て回った
店員は殆どいない。たまに、何もする事がなくぼうっとしてるのが見えた
そんな光景を横目に見ていた時だった

リンネ「あ」
男「ん? どうした?」
リンネ「男君、あれ」

そういってリンネが指をさす方を見る
そこには大きなガラスが貼られていて
そしてその先に、大きな輪が見えた

男「おお。観覧車か。動いてるっぽいな、アレ」
リンネ「私、アレに乗りたい」
男「ご飯食べたら行くか」


649 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:19:05.90 ID:64rNq+kE0
立ち寄ったファーストフード店も半自動化されていた
オーダーをするとほどなくしてトレーが運ばれてくる
もの自体は作ってから時間が経ったような味がした

リンネ「こういうの食べるの、初めてなの」
男「そうなのか?」
リンネ「今まで自分で簡単なご飯しか作ってなかったから」

二人で目の前に並んでいるものを黙々と食べる
広いフロアに紙の擦れる音が少し響く


650 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:21:56.40 ID:64rNq+kE0
気がつけば日が落ちかけていた
橙色に染まる街を二人で歩く
やがて着いた遊園地もやはり無人だった
半年前までは、多くの人で賑わっていたであろう場所
そこに今は俺達二人しかいない

男「何年ぶりだろうなぁ、こんなとこに来たの…」
リンネ「私、夢だったんだ。こんな場所に、大切な人と来るのが」
男「うん」

時計を見ると、もうあまり時間はなかった
俺達は迷う事なく観覧車に向かう


651 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:25:32.22 ID:64rNq+kE0
俺達は赤い色のゴンドラに乗った
リンネは海側に、俺はその隣に

男「……」
リンネ「……」

二人共、言葉は出さなかった
ゆっくりとゴンドラは俺達を高い所へ連れて行く
やがて頂上付近になった
そこから見えたのは燃えるような夕陽
それに染められた海と対岸に見える都市
恐らく、こうして見れるのは最後になるだろう


652 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:27:30.35 ID:64rNq+kE0
リンネ「…ねぇ、男くん」
男「ん?」
リンネ「また、来れるよね?」
男「ああ。また、二人でこよう」
リンネ「今度は賑やかだといいな」
男「そうだな。こういう所は、賑やかなほうがいい」

肩にリンネの重みを感じた

男「だから、行こう。これでもう、最後だ」
リンネ「うん」


653 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:27:58.14 ID:64rNq+kE0
リンネ「…ねぇ、男くん」
男「ん?」
リンネ「また、来れるよね?」
男「ああ。また、二人でこよう」
リンネ「今度は賑やかだといいな」
男「そうだな。こういう所は、賑やかなほうがいい」

肩にリンネの重みを感じた

男「だから、行こう。これでもう、最後だ」
リンネ「うん」


654 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:28:47.23 ID:64rNq+kE0
リンネ「…ねぇ、男くん」
男「ん?」
リンネ「また、来れるよね?」
男「ああ。また、二人でこよう」
リンネ「今度は賑やかだといいな」
男「そうだな。こういう所は、賑やかなほうがいい」

肩にリンネの重みを感じた

男「だから、行こう。これでもう、最後だ」
リンネ「うん」


655 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:30:01.61 ID:64rNq+kE0
リンネ「…ねぇ、男くん」
男「ん?」
リンネ「また、来れるよね?」
男「ああ。また、二人でこよう」
リンネ「今度は賑やかだといいな」
男「そうだな。こういう所は、賑やかなほうがいい」

肩にリンネの重みを感じた

男「だから、行こう。これでもう、最後だ」
リンネ「うん」


656 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:30:40.17 ID:64rNq+kE0
リンネ「…ねぇ、男くん」
男「ん?」
リンネ「また、来れるよね?」
男「ああ。また、二人でこよう」
リンネ「今度は賑やかだといいな」
男「そうだな。こういう所は、賑やかなほうがいい」

肩にリンネの重みを感じた

男「だから、行こう。これでもう、最後だ」
リンネ「うん」


657 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sage]:2011/02/25(金) 22:31:14.34 ID:64rNq+kE0
リンネ「…ねぇ、男くん」
男「ん?」
リンネ「また、来れるよね?」
男「ああ。また、二人でこよう」
リンネ「今度は賑やかだといいな」
男「そうだな。こういう所は、賑やかなほうがいい」

肩にリンネの重みを感じた

男「だから、行こう。これでもう、最後だ」
リンネ「うん」


658 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sag]:2011/02/25(金) 22:31:44.18 ID:64rNq+kE0
陽が落ちて街は暗闇に包まれ始める
天を仰ぐと、空に雲が満ちて行くのが見えた
もう時間だ

女教師「二人とも、おかえり。どうだった?」
男「楽しかったですよ。それに目標も出来ました」
女教師「そう…じゃあ、そろそろ行きましょうか。はい、コレ付けて」

そういって手渡されたのはガスマスクだった
最初にリンネに付け、俺もそれを被る


659 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sag]:2011/02/25(金) 22:32:59.85 ID:64rNq+kE0
リンネ「…あ、雪」
男「おっ…」

道に止められていたワゴンに乗り込む直前だった
真っ黒の空から白い雪が少しずつ落ちて来ていた
リンネがそれを手に取ると、すぐに解けて消えてしまった

女教師「降り始めたわね…さ、行くわよ。二人共、乗って頂戴」
男「はい。ほら、リンネ」
リンネ「うん」

俺達が乗り終えると、ワゴンは対向車のない道を走り始めた
街を出る頃には、雪は本降りへと変わるだろう


そして、2012年、12月19日
世界中が眠りについた




660 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sag]:2011/02/25(金) 22:34:47.31 ID:64rNq+kE0
ACT.41 "MINNEAPOLIS" END


NEXT
ソラニン season.3 -final-
ACT.42 "HEARTBEAT SATTELITE"



661 :四狐 ◆b31BYoYbAM[sag]:2011/02/25(金) 22:35:39.89 ID:64rNq+kE0
途中で連投してしまった…サーバーしっかりしてくれ…

という訳で、再開します


662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/02/25(金) 22:40:47.97 ID:DswbdjjHo
6回も重複してるのは何かあるのか?
ただ間違えただけ?
伏線なら何も言わなくていい
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/02/25(金) 22:41:30.27 ID:DswbdjjHo
あ…
更新が…
ごめんwwww
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/03/08(火) 07:04:42.86 ID:qop+1VMC0
おつかれさまです
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/04/05(火) 14:08:25.84 ID:S3s32ZL60
てす
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/04/05(火) 14:09:41.43 ID:hUbAmJ1Bo
>>665
すごく丸っこいIDだな
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/04/11(月) 06:37:42.60 ID:rlkq46dV0
>>666
反応早すぎワロタ



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