以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/08(月) 17:49:03.60 ID:jljLoWM0<>物語のネタばれ・続きの予想は禁止
避難所ではなく本スレです

ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所4
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1240465152/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1232964116/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1225681079/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1223300056/

◆本スレまとめ
まとめてくださっているサイト
http://yeisu.hp.infoseek.co.jp/matome/pikachu/pikachu.html
まとめwiki
http://www19.atwiki.jp/wktkwktk/

物語も終盤だけどまったり進行するお( ^ω^ )<>ピカチュウ「昔はよかった・・・」inパー速5 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/08(月) 18:24:27.42 ID:tLxqSoSO<>>>1乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/08(月) 19:55:05.90 ID:eXB/9UDO<>>>1乙やで
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/08(月) 19:57:56.19 ID:IEKzsKwo<>>>1スレ建て乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/09(火) 03:55:44.57 ID:GunuI7wo<>>>1おっつー<> ◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/10(水) 20:08:32.75 ID:ZArMNu.o<>次スレサンクス
なかなか纏まった時間PCに触れない日が続いているので
今度の日曜くらいから再開しますね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/10(水) 20:51:06.46 ID:lmzewowo<>wktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 00:05:00.41 ID:MLV/FwDO<>>>6wktk
それを聞いてバイトも学校も頑張れます
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:19:33.16 ID:.JxPsno0<>[407]*rWXv4a4rM2: Z4/10(金)15:41 ?O AAS 蝶に死の口づけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:19:38.31 ID:X7hbg0M0<>[407]*rWXv4a4rM2: Z4/10(金)15:41 ?O AAS 蝶に死の口づけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:19:44.22 ID:X7hbg0M0<>[407]*rWXv4a4rM2: Z4/10(金)15:41 ?O AAS 蝶に死の口づけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:19:49.78 ID:.JxPsno0<>[407]*rWXv4a4rM2: Z4/10(金)15:41 ?O AAS 蝶に死の口づけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:19:56.34 ID:X7hbg0M0<>[407]*rWXv4a4rM2: Z4/10(金)15:41 ?O AAS 蝶に死の口づけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:20:46.92 ID:X7hbg0M0<>[407]*rWXv4a4rM2: 4/10(金)15:41 ?O 蝶に死の口づけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:20:59.77 ID:X7hbg0M0<>[407]*rWXv4a4rM2: 4/10(金)15:41 ?O 蝶に死の口づけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:21:27.52 ID:X7hbg0M0<>[407]*rWXv4a4rM2: 4/10(金)15:41 ?O ちょうに死のロづけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:21:50.96 ID:X7hbg0M0<>[407]◆rWXv4a4rM2:Z 4/10(金)15:41 ?O
ちょうにしのくちづけを…(*^_^*)<> てふ Z<>sage<>2009/06/11(木) 18:22:37.48 ID:X7hbg0M0<>[407]*rWXv4a4rM2:Z 4/10(金)15:41 ?O ちょうにしのくちづけを...(*^_^*)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/11(木) 18:23:05.38 ID:X7hbg0M0<>[ピーーー]<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/12(金) 02:56:30.16 ID:rHlcE6.0<>長西之口付けを?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/12(金) 22:34:11.65 ID:u.erNwAO<>Wiiウェアでポケモンクルー!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/12(金) 22:36:33.87 ID:sEOcZsUo<>乱闘のやつか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/13(土) 15:59:21.63 ID:fGnUzoSO<>前スレ最後のやつらは何を言おうとしたんだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/13(土) 16:06:20.59 ID:FGRQqWIo<>2chVIPの時もそうだったけど、俺がスレを立てたら荒らされる。
ごめんな…

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/13(土) 16:17:30.56 ID:9PhDWMEo<>気にすんな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/13(土) 16:29:29.16 ID:lpXyLEDO<>べ、別にお前のせいじゃないんだから!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2009/06/13(土) 16:36:46.74 ID:.cFcfxoo<>それはツンデレなのか・・・?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/13(土) 20:29:51.04 ID:DVVbtK6o<>普通にデレてるだろ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 00:06:36.24 ID:9zUYMmE0<>ついに日曜日キター
wktkあげ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 00:10:44.48 ID:brr1looo<>wktk<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/14(日) 16:16:46.40 ID:9MFYr6Io<>「チュウ」

そうか。

「冷静やな」

薄々感じていたからね。僕の体のことは僕が一番よく理解しているつもりだよ。

「君の体に限界が近づいてることは、あの強化骨格開発施設にいた時に、既に分かってたんや。
 ルージェラに"冷凍ビーム"食ろた足と、ライチュウに"アイアンテール"食ろた目の上の傷の治りが遅いことは、
 そのまま君の治癒・再生能力が低下しとることを如実に物語っとった」

マサキはカルテを捲りながら言った。

「外部からのダメージ修復を遅れさせるだけやったら、君が上手く立ち回ることで、何も問題は無かったんやけどな。
 不幸なことに君は電気ポケモンやった。なんで電気ポケモンが自分の電気で感電せえへんか、知ってるか?」

体の内部に絶縁体があるから、だろう?

「その通りや。でも絶縁体もずっと劣化せえへんわけやない。
 電気技使えば絶縁体は消耗する。当然の理屈やな。
 君の絶縁体の修復速度は、あの時既に、君の強力な電撃の自壊速度についていけてへんかった」
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 16:20:51.40 ID:Fwdqozoo<>作者ktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 16:25:45.44 ID:ExSvraQP<>リアル遭遇PIKAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 16:30:38.67 ID:brr1looo<>                _   _   _   _
       +   +   | |   | | | |   | |  +   
               | | Π | | | | Π | |     +
     / ̄ ̄ ̄ ̄/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄l ̄ ̄ ̄ ̄l +
   / ̄ ̄ ̄ ̄ /三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i、 ̄ ̄ ̄ i、
  / ̄ ̄ ̄ ̄ _/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄', ̄ ̄ ̄ ̄l
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄',三二二ニl   +
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

           古代都市ワクテカ (B.C.8000年頃)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 16:47:38.71 ID:9MFYr6Io<>マサキの目に感情は無かった。
死期を告知する医者に相応しい目だな、と思った。

「ピカチュウ、君は自分の能力について、疑問に感じたこと、ないか?」

僕が首を縦に振るよりも先に、

「あるやろ。心当たりやったらそれこそ数えきれへんほどあるはずや。
 君と普通のピカチュウの間には、ひとつ、どうしても超えることのできん壁がある」

マサキは今度は研究者の目をして言った。

「技のキレとか動きの素早さやったら経験で培えるけど、
 それだけは先天的な才能に任せるしかあらへん。
 昔、サトシくんと旅をしとる時にロケット団に追いかけられたことがあるやろ。
 あれは君に他のピカチュウとは違う何かがあることを、サカキが見抜いてたからや。
 その何か、を具体的に言えば、さっきも言った通り、絶縁体の驚異的な再生速度と、同じく底の知れん蓄電可能容量やな。
 君の才能は岩ポケモンに電撃通したり、十万ボルト連発したりと、
 ポケモン専門の研究者のワイからしてもワケわからんことを可能にしてた。
 でも、決定的にワイの常識を壊したんが、――ミュウスリーとの一戦や」

追憶するように目を瞑り、

「初めに謝っとくわ。ワイは君があの試演で死ぬと思ってたんや。
 ミュウスリーはミュウツーの能力を87%を超える割合で継承してる。
 いくら君が特別でも、相手できるワケない、ってな。
 それが後から細かいデータ渡されて、もう魂消たわ。
 瀕死の状態からあそこまで動けるポケモンをワイは君以外に知らん。
 あの短時間、君は確かにミュウスリーを圧倒してた」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 16:49:18.97 ID:f//0Bp2o<>きてるー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 16:55:55.85 ID:A2GQo2AO<>支援<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 16:57:37.05 ID:qYABE.so<>ピカチュウさんパネェっす<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 17:25:31.24 ID:9MFYr6Io<>「ワイは君が消えたあとも、しばらくは本職そっちのけで君の研究に夢中になってた。
 どんなにデータを検証しても、君の反応速度と電撃の瞬間威力は大幅に規定値を上回っとったからや」

マサキは溜息をついて言った。

「結局、ワイは君の仕組みを解き明かすことができんかった。
 こんなこと言うと、研究者の名折れになんのは分かってる。
 でも、それでもワイは答えが知りたいんや。
 試演終盤のアレが何か、教えてくれんか、ピカチュウ?」

今度は僕が目を瞑る番だった。
ミュウスリーに横薙ぎに吹き飛ばされ、
僕の首を刈り取ろうと彼が迫ってきた瞬間に、
僕は禁忌としていた能力――正確には能力の使い方――を解放した。

「ピィカ、ピカピ、チュウ」

有り体に言えば、リミッターを解除するんだよ。
取り違えてもらいたくないのは、そのリミッターが物質的なものじゃないということなんだ。
それは精神的なものなんだ。
僕はサトシと旅をするうちに、自分が他のピカチュウとは違う、特別なポケモンであることに気付いていた。
それと同時期に、電気袋の容量や、電流の出力に、限界がないような幻想に囚われることが多くなった。
その頃の僕は若かったからね、自分がどこまで出来るのか、興味本位で試してみたんだ。

「結果は?」
「チュ」

幻想は現実になった。
電気袋から溢れた電流が僕を中心に強力な電界を形成して――。
細かい学術用語は知らないが、とにかく僕は自分でも信じられないような能力を得たんだ。
電界の中にいる全ての物体の動きが察知できる。
六つめの感覚器が備わった、と言い換えると分かり易いかな。
それに加えて無限にも思える電力供給だ。
僕は自分に酔い痴れたよ。何事にも等価交換の原理があることを忘れてね。
能力の解放をやめた瞬間、全身を激痛が襲った。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 17:55:12.41 ID:9MFYr6Io<>リミッター解除の代償は自滅、というわけだ。
構図が分かり易かった分、僕はすぐにそれを禁忌にした。
自惚れに聞こえることを承知で言うけど、僕は普通に戦って充分な戦果を残すことができたからね。

「ピィカ」

けど、君の話を聞く限り、その普通の戦い方にさえ、
僕の絶縁体の再生速度は追いつけていなかったようだから、

「チュウ」

……今し方の余命宣告は、才能に託けた奢りに対する当然の報いと言える。

「君の体は君のもんや。
 ワイが肉体の使い方に口出せる筋合いはあらへん。
 けどな、君は自分が薄命やと思ったらアカン。
 それだけの能力を持って生まれたポケモンにしては、君はかなり長生きできた方なんやで。
 ミュウスリーとの試演を経て生き延びただけでも、奇跡中の奇跡なんや」

別に同情を誘うつもりで言ったわけではないよ。
それよりも、僕の能力の謎がこんな抽象的な答えで、君は満足できたのかな?
マサキは青息吐息で首を横に振った。

「はっきり言うて、全然や」

だろうね。

「ポケモンの言葉が分かるっちゅうても、ワイは所詮、ただの人間やからな。
 君がリミッターを解除する感覚は君にしか分からんし、
 そん時君の体がどんな反応起こしてるか知るには、それこそ色んな機械繋いで数値化せな始まらん」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 18:10:10.50 ID:9MFYr6Io<>「ピカ」

期待に添えなくて悪いが、僕にはもう、君の研究に協力する余力は残っていない。

「そんな気は最初からあらへん。
 病ポケに鞭打つような真似はせえへんから安心しとき」

マサキは苦笑した後、

「何遍も言うてるけど、君の体はもう限界や」

僕から目を逸らして言った。

「ミュウスリーとの試演が中断されて、死の淵にいた君は、サカキの手下に救出されて、なんとか一命を取り留めた。
 そうやろ?」

首肯する。

「どんなに医療技術が進歩しても、傷の再生を手助けする、という立ち位置は変わらん。
 君が一旦は普通に動けるまでに回復したんは、結局は、君の再生能力が働いたおかげや」

僕はマサキの発言と自分の体の間に矛盾を見つけた。
僕が初めてあの研究施設に囚われた時、既に再生能力は低下していたというのなら、
どうして僕はサカキの許で、瀕死の状態から回復することができたのだろう?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 18:10:52.94 ID:1CaeCMAo<>ピカチュウチートすぎだろwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 18:22:25.93 ID:LvuhhXco<>ハンタで言うと円が使えるって事か<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 19:06:56.24 ID:VE6EtzE0<>wwktk

作者の国語力があれば、受験の評論と小説は余裕だろうな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 19:14:33.84 ID:9MFYr6Io<>絶望の暗闇に光明が差す。
マサキは淡々と言った。

「細胞の分裂回数には限りがあるっちゅう話を知ってるか。
 動物にも、人間にも、ポケモンにも、生きとし生けるものには全てこの分裂回数が定められてるんや。
 細胞は分裂する時、DNAの末端部分にあるテロメアに、分裂回数を記録する。
 自分はあと何回分裂できますよ、っちゅうことを、長さで表わしとるんや。
 これが短くなると細胞分裂はとまって、俗に言う老化が起こる。
 人はよう命を蝋燭に喩えたりするけど、あれはあながち間違ってない。
 生き物をポケモンとその他に分けたとき、生まれ持った蝋燭の長さは、比べるまでもなくポケモンの方が長い。
 そしてそのポケモンの中でも、君は際立って長い蝋燭を持って生まれたんやとワイは思ってるねん。
 度重なる能力の酷使に耐えるほど長い長い蝋燭をな」

マサキは僕の顔を眺めて

「君にあの研究施設で再会したとき、ワイは内心びっくりしてたんやで。
 君はまるで最後に会った時から歳をとることを忘れたみたいに若々しい体をしてた」

ああ、と僕は溜息を吐いた。
僕の外見が若いままでいたのには、それなりの理由があったのだ。

「けど、ここで君と二度目の再会したとき……」

僕は自分の頬に触れて、その続きを代弁した。

「ピィカ……」

僕は"きちんと"老化していたわけだ。

「恐らく君の元々低下してた自己治癒能力は、ミュウスリーとの一戦の後、残ってる全ての力使って君の命を繋ぎ止めたんや。
 瀕死からの蘇生は一度きりや。そしてそれから後に受けた傷は、もう二度と治らへん」

シルフカンパニーで、僕は奇跡的に外傷を負わなかった。
だが……、

「電流は使った分だけ、君の内側を壊してる。
 君が今こうして痛みを感じずにいれんのは、定時的に投与されてる強い鎮痛剤のおかげなんやで」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 19:17:41.96 ID:AvQH6J.o<>ミュウスリーはミュウツーの87%を超えるの87%はどうやって決めたのか気になる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 19:24:14.99 ID:A2GQo2AO<>サトシのピカチュウ
種族値
たいりょく:999
こうげき:999
ぼうぎょ:999
とくこう:999
とくぼう:999
すばやさ:999
個体値
ALL:36

こんなもんか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 19:47:24.60 ID:dHiuCVg0<>ぴかちゅうかわいいよぴか厨<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 19:59:52.27 ID:9MFYr6Io<>僕は自分の腕から伸びた細い管を、その先にある薬液パックを見上げた。
僕は不意に、サカキの保養所で僕の面倒を見てくれた看護婦さんのことを思い出した。
なぜ彼女が僕に強力な鎮痛剤を投与しなかったのか、今なら分かる。
頬を押さえる手に力を込めても、頬の神経は圧力を訴えなかった。

「ピィ……」

弱ったな……これじゃあヒナタに抱きしめられても、彼女の温もりを感じることができないじゃないか。


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ピカチュウがいるのはあの部屋、と決めつけて、その部屋の窓からピカチュウが顔を覗かせるのを待つ。
タマムシ大学付属病院の庭園にあるこのベンチに座って、そんなことを何度も繰り返した。

「……遅いよ、ピカチュウ」

三つの影があたしの目の前を通り過ぎていく。
見上げると、三羽の大きな鳥ポケモンが東の方へ飛んでいくところだった。
その光景に、あたしはヤマブキを発った時のことを思い出した。

警察の取り調べがどんなものだったのか、あたしはほとんど覚えていない。
ただ、乱暴されたり、酷い言葉を投げつけられなかったことは確かだった。
あたしとタイチとカエデは事件との関係が曖昧なままに解放された。
その理由をだいぶ後でカエデは、フユツグがあたしたちと事件の関係性を真っ向から否定したから、と教えてくれた。
フユツグはヤマブキシティジムリーダー代理として、システムの人間として、あたしたちを庇ってくれたのだ、と。
警察の外で、およそ一週間ぶりに再会したカエデは、ぼろぼろ涙を流してあたしに謝ってきた。

『ごめんなさいっ……あたし、あの人がスピアーに刺されたあと、
 気を失っちゃって……もうちょっとでヒナタが死んじゃうところだったのに……ごめん、ごめんねっ』

タイチも萎れた様子で、

『俺もヒナタが危ないと分かってたのに、動けなかった。
 怖かったんだ……あのリザードンを見た瞬間、足が固まっちまってさ……。
 お前を守れなかったあの日から、死ぬ気で努力して、強くなった気でいたけどさ……全然、足りなかった。
 ごめん。ごめんな。もし俺がヒナタの盾になれるくらい強かったら、ヒナタを悲しませずにすんだかもしれねえのに……』

と謝ってきた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 20:32:01.90 ID:9zUYMmE0<>お…終わってしまうのか…?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 20:55:35.13 ID:9MFYr6Io<>返事に窮するあたしを助けてくれたのは、どこからともなく現れた三羽の鳥ポケモンと、
それぞれに乗った二人の男女と、一匹の猫型ポケモンだった。

『あたしたちはエリカの使いだよ』

ピカチュウの心配をして乗るのを躊躇ったあたしに、

「大丈夫だから。今は俺たちを信じてくれ」

男の人はそう言ってくれた。

『四の五の言わずにさっさと乗るニャ』

出所不明の声に後押しされて、あたしたちはそれぞれ鳥ポケモンに跨った。
エリカさんのお屋敷について落ち着いた頃、ピカチュウがタマムシ大学付属病院に搬送されたことを知らされて……。

「よう」
「タイチ?」

振り返る。
我に返ったあたしの目の前にいたのは、

「おいおい、俺とあの馬鹿を間違えるなよ。
 ま、若く見えるってのは嬉しいことだが」
「シゲルおじさま……?」

トキワシティにいるはずのシゲルおじさまが、どうしてここに?
シゲルおじさまはサングラスを外してアウターの内ポケットに仕舞いながら、

「ついさっき帰ってきたところなんだ」

あたしの隣に腰掛けた。

「帰ってきた?」
「ああ、ヒナタは俺がどこに出張してたかも知らないんだったな。
 俺はサカキのおっさんから別命を受けて、グレン島に行ってたのさ」
「そう、だったんですか……」

言葉が続かない。
久しぶりに再会して、シゲルおじさまに打ち明けたいこと、相談したいことがいくつもあるはずなのに。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 21:16:32.36 ID:9MFYr6Io<>西日の赤色が暗くなるにつれて、
中庭を散歩していた人たちが、病院の中に戻っていく。
シゲルおじさまは病院を見上げて言った。

「ここにピカチュウがいるのか」
「はい」
「サトシに会ったんだってな」
「はい」
「システムのことは知ってるのか」
「はい」
「あいつがシステム側の人間だったことも知ってるのか」
「はい」
「あいつがお前とカスミを捨てて、別の家族を持っていたこともか」
「……はい」
「酷い神様もいたもんだな」

数秒の沈黙のあとに、

「トキワシティで俺に助言を求めてきたお前に、俺がなんて言ったか、覚えてるか」

あたしは頷いた。
お父さんを探していると告白したあたしに、シゲルおじさまは二つの道標を与えてくれた。
ひとつ。
お父さんはジョウト地方のどこかで旅を続けているかもしれない、
だからジョウト地方に行けば、お父さんの手がかりが見つかるかもしれない。
ひとつ。
お父さんがどこにいるにせよ、セキエイの深奥にあるコンピュータにはお父さんの居場所が記録されている、
だからバッジを集めてポケモンリーグを目指せば、時間はかかっても確実にお父さんに会うことができる。

「今なら分かるだろうが、俺の助言は、お前をミスリードするためのものだったんだ」<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/14(日) 21:54:32.44 ID:9MFYr6Io<>「エリカさんから、聞きました」

もしジョウト地方に進めばシステムの影から遠ざかり、
もしカントー地方で何事もなくポケモンリーグを目指していれば、
真実を知るころには、あたしは大人になっていた。

「システムみたいなポケモン社会の暗部を教えたり、
 そこに自分の親父が属してる可能性を教えることが、
 ヒナタを正しい方向に導くとは、俺にはどうしても思えなかった。
 だからお前がポケモンリーグを目指す決心をしてくれた時は嬉しかったよ。
 それがこんなことになるとはな。ったく、なにやってんだよ、ピカチュウ」
「ピカチュウは、やっぱり、あたしを守るためについてきてくれていたんですか」
「そうだ。サトシがカスミ――お前のお母さん――をおいて失踪して以来、
 ピカチュウはずっとお前のお母さんの傍にいた。
 でもお前が旅に出ることになって、お前のお母さんが、ピカチュウに付き添いを頼んだんだ」
「あの人は……どうしてピカチュウを捨てたんですか」

シゲルおじさまはあたしがお父さんのことをあの人と呼んでいることには触れず、

「それは分からない。本当だ。
 俺の爺さんの話じゃあ、突然ピカチュウを入れたボールを置いて、何も言わずに消えちまったそうだ」

お父さんがピカチュウを捨てたのには、何か理由があったのかしら。
お母さんと自分が捨てられた理由よりも、ピカチュウが捨てられた理由の方が気になる自分が可笑しい。






今日は終わり<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 21:56:33.48 ID:5uUvhpco<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 21:57:02.22 ID:bh0sgm2o<>おつ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 21:57:36.03 ID:xX4pi5wo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/14(日) 22:00:50.49 ID:g6gqH3k0<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 22:00:55.94 ID:Fwdqozoo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 22:08:14.65 ID:brr1looo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 22:13:27.62 ID:NHmjw5Mo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 22:13:35.90 ID:ExSvraQP<>乙
ヒナタなんかメンヘラ気味になってきてるな・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 22:32:45.76 ID:dHiuCVg0<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 22:34:11.21 ID:LvuhhXco<>>>61
メンヘラだったらリスカかタイチに大量メール送信してるだろ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 23:31:32.27 ID:A2GQo2AO<>乙チュウ
そういえば流石にオーキドはディグダになってるよな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/14(日) 23:41:29.09 ID:BiWhCcDO<>乙ュウ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/15(月) 18:39:40.23 ID:.BY.9EDO<>ュウ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/15(月) 19:13:32.09 ID:idn6wG.o<>カア、カア――。
鴉の不気味な鳴き声は、今では馴染み深いものになっている。

「ヒナタ」

右肩に、大きなシゲルおじさまの手を感じる。
あたしが顔を上げると、シゲルおじさまは一瞬何かを言いかけて、それを飲み込み、

「もうじき夜になる。屋敷に戻ろう」
「……でも……」

無数に並ぶ病院の窓を眺める。
あたしは今日も完全に日が暮れるまで、ここにいるつもりだった。

「薄情に聞こえるかもしれないが、ヒナタがここに残ったところで、ピカチュウの治りが早まるわけじゃない。
 あいつの今の主はヒナタなんだ。退院したら真っ先にお前のところに帰ってくるさ」

でも、それでもやっぱり残ります――そう言おうとした時には、あたしはベンチから離れていた。
硬く繋がれた右手は、ちょっとやそっとの力じゃ振り解けそうにない。

「悪いな、強引で」
「いえ……」

おじさまはとても辛そうな目をしていた。

「ヒナタ」
「はい」
「あまり、無理するな」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 19:15:25.66 ID:KTOZVDAo<>ウ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 19:26:43.94 ID:TqnCEYQo<>kt<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 19:30:57.25 ID:ljm1BL2o<>ktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 19:33:28.29 ID:VQvHuEAO<>ktktですぞ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 19:34:27.46 ID:2mIKEggo<>や〜んktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/15(月) 19:49:37.63 ID:BCoMRnEP<>期待age<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 19:59:00.38 ID:Jn6h/LEo<>wwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/15(月) 20:25:53.56 ID:fsE3DQSO<>遭遇ktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/15(月) 20:32:20.19 ID:idn6wG.o<>--------------------------------------------

マサキはこう前置きした。

『悪い知らせと最悪な知らせがある。どっちから聞きたい?』

鎮痛剤の副作用で感覚を失った。
命の蝋燭はいつ消えてもおかしくないほどに痩せ細っている。
これ以上の不幸が僕には想像できなかった。

「ピィカ、チュウ?」

それで、最悪な知らせというのは?

「ワイは歯に衣着せた物言いが苦手や」

知ってるよ。

「君の末路は、二つ限りや」

マサキは極めて平坦な声で言った。まるでそれが既定事項であるかのように。

「苦しみながらの死か。薬物による安楽死か。
 どちらを選ぶか、その選択権は君にある。
 でも君の死に目を看取るのは、ワイと、君の知らん人間や」

僕は感覚の希薄な体を流れる血液が、沸騰するのを感じた。

「ピィ……」

諧謔を弄するのはよしてくれ、マサキ。
僕には、ヒナタやその他の僕と親しかった人たち、ポケモンたちに別れを告げることも許されないのか?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/15(月) 20:47:11.90 ID:idn6wG.o<>「すまんなあ」

君にとっては死に損なったポケモンの世迷い言かもしれないが、
僕にとってはあと一度だけでも彼女に会えるかどうかが、何よりも大切な問題なんだ。

「君の気持ちはよう分かるわ」

僕の気持ちが分かる?ふざけるな
ポケモンの言葉を解せたところで、君は所詮、冷徹な研究者だ。
トレーナーとポケモンが、ヒナタと僕が、どれほどの絆で惹かれあっているのか、分かるわけないんだ!

「どうにもできんのや」

マサキは静かに言った。

「ワイを憎んで気が済むんやったら、いくらでも憎んでくれてええよ」
「ピカ」

取り乱してすまなかった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 20:49:29.68 ID:2mIKEggo<>そうきたか・・・・・・・・・
確かに最悪な知らせだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 20:56:32.63 ID:cX77BSko<>ピカチュウ一瞬で冷静になり過ぎだろww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/15(月) 20:57:21.18 ID:BCoMRnEP<>悲しすぐる・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 21:07:59.99 ID:qoEGzTgo<>鬱だ
だがそれが良い<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/15(月) 21:13:24.83 ID:idn6wG.o<>「チュウ」

彼の指示、なんだね。

「………」

この場合、沈黙は肯定と同義だよ。

「ははは……君には敵わんなあ。
 隠しててもしゃあないか。そうや、君の想像の通りや」

冷静になれば、答えはすぐに見えてきた。
あの研究施設にいた時。
僕は虜囚の身分でありながら、次々と強化骨格を装備したポケモンの相手を務めさせられた。
その理由を当時マサキは「上層部の指示」だと教えてくれた。
最終被験体、即ちミュウスリーの相手は、やはり僕だった。
アヤは僕の死を予感していた。だから僕を地下牢に移し、代わりになるポケモンを宛おうとしたが、上層部はその我儘を許さなかった。
上層部の決定には、いつも密かな殺意があった。
そして今、僕はその上層部に誰がいるのか知っている。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 21:19:24.40 ID:ljm1BL2o<>なんという鬱<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 21:57:23.63 ID:xhHbHMAO<>上層部…



あの人でないことを願う(´;ω;)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/15(月) 22:13:55.18 ID:plxWD0o0<>なるほどなー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 22:32:27.92 ID:Db4nhTw0<>これは…悲しい<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/15(月) 22:35:08.69 ID:idn6wG.o<>忙しくて今日はこれまでにします、ごめんなさい
あと何度も言うとおり救いのない鬱にはしないつもりなので……<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 22:36:40.37 ID:gnIUdTUo<>乙!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 22:37:27.20 ID:WtCEK86o<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 22:38:47.32 ID:ljm1BL2o<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 22:41:52.37 ID:TqnCEYQo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 22:53:16.26 ID:Db4nhTw0<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 23:08:13.89 ID:KTOZVDAo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 23:09:09.03 ID:qoEGzTgo<>乙!



鬱<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 23:14:25.65 ID:M0YQT2ko<>乙
だいじょうぶ、俺どっちでもいける口だし<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 23:14:58.24 ID:2mIKEggo<>おつ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 23:57:02.57 ID:VQvHuEAO<>鬱鬱言ってる奴は甘え
朝起きたらウツドンになってる方がよっぽど……<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/15(月) 23:59:07.75 ID:gnIUdTUo<>ウツドンになるくらいならユンゲラーのがよっぽどましだわ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 00:03:18.05 ID:ElAAKwDO<>いいこと思いついた。
ピカチュウ、おまえマサキと合体しろ。<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/16(火) 00:12:15.89 ID:KIINJJgo<>もうすこし頑張る




「実際に下ってきたんは、君になんも教えんと安楽死させろ、っちゅう命令やったんや。
 君に二つ選択肢があんのは、観察目的に君が自然死するまで待つてゴネたからなんやで。
 このことを知ってる研究者が陰で使ってるワイの渾名、何か教えたろか。
 マッドサイエンティストや。中々のネーミングセンスやろ」

マサキは明らかに作りものと分かる笑みを浮かべたあと、僕に背を向けて言った。

「君がワイのことをどう思てるかは知らん。
 けど、ワイは君の旧い友人として、これだけ言うとくわ。
 ――安楽死を拒む道は、想像を絶する辛さやで。
 電気ポケモンにとって放電は生理現象の一つや。
 いくら君が努力したところで、絶縁体は消耗するし、電流が体の内部を傷つけるのは止められへん。
 痛みは加速度的に増して、終いには鎮痛剤も効かんようになる。
 ワイが言いたいのは、それだけや。
 明後日の朝、また来るわ。それまでにどうするか考えといてや」

ドアが閉まる。足音が遠ざかっていく。
夜の帷に包まれ始めた窓の外を眺めながら、僕は考えた。
マサキは、元々一つだった選択肢を二つに分けて与えてくれた。
眠るような安楽死か。苦痛に塗れた自然死か。
医者として、研究者として、一人の友人として。
彼の言葉に嘘はない。
彼が想像を絶する痛みと言うのなら、それは想像を絶する痛みで間違いなく、
結末の死を免れないと言うのなら、僕が死を回避する方法は万に一つもないのだろう。
でも、彼は僕の行動原理を読み間違えている。
僕が選択する時、基準になるのは痛みの度量でもなければ、死との距離でもない。

――再びヒナタに会える可能性が僅かでもあるか、否か。

それだけだ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 00:15:26.21 ID:VGhbHXgo<>おうふ
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 00:16:50.55 ID:FhnULsDO<>書いてくれるのはありがたいけどあまり無理するなよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 00:22:43.26 ID:oHQUTYko<>ピカチュウ男前杉だろ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 00:28:12.43 ID:RCmRQkUo<>アニメでピカチュウとマサキが会ったのって灯台しか知らないんだけど、他に会ってるの?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 00:50:11.01 ID:Ak655EAO<>作者、忙しい中ありがとう。
でも無理だけはしないでね。

それにしてもピカチュウかっこいいな
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/16(火) 00:54:01.39 ID:KIINJJgo<>---------------------------------------------------

カエデが真顔で言った。

「あたし、今なら死んでもいいわ」
「どうしたの?」
「さっき生のシゲルに会って喋っちゃった」

何事かと思えば……。

「信じられる? ねえ、やばくない? これって夢じゃないわよね。
 ああん、やっぱ写真とかTVよりも本物の方が100倍カッコよかったぁ」

あたしははしゃぐカエデを尻目に、いつかエリカさんとレインボーバッジを賭けて戦った広大な庭を見た。
月明かりという心許ない光源に明かりを添えるように、
ぼうっと炎が立ち上がっては、消え、立ち上がっては、消えを繰り返す。

「どっちが勝つと思う?」
「それは、決まってるでしょ」
「いくらタイチくんが強くなってても、お父さんを超えるのは厳しいか。
 ああっ、でも両方応援したいのが辛いところよね」
「幸せな悩みね」

ふとした意識の隙間に、タマムシ大学の敷地を出てからの記憶が滑りこんでくる。
あたしとシゲルおじさまの間には、妙な沈黙が降りていた。
『シゲルおじさまはグレン島で、何をしていたんですか』
『それは皆が揃ってから話すつもりだ』
という短い会話があっただけだった。

「釈放、されたって」
「え?」

現実に帰される。
トーンダウンしたカエデの声は、一瞬別人のもののように聞こえた。

「ママと、タケシさんと、キョウさんと……マチスの四人。
 ヒナタが出かけてる間に、ニュースでやってたの」

あたしは素直に喜べなかった。
客観的な視点から見れば、あの事件の悪者は元ロケット団の首領サカキと、それに協力したアヤメおばさんたちで、
こんなに早く、それも四人同時に解放されたのには、何かそれに見合うだけの理由があるはずだった。

「あの人が、全ての罪を被ったんだって。
 ママたちは自分のエスパーポケモンに操られていただけで、直接的な責任能力はないって、証言したらしいの」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/16(火) 00:57:16.21 ID:KIINJJgo<>こんどこそおやしゅみ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 01:12:18.52 ID:zliy04Qo<>遅くまで乙彼<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 01:15:09.47 ID:IE.CBNM0<>乙
おやしゅみ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 01:18:43.20 ID:t0y7JuIo<>乙
これはおつじゃなくてピカチュウのしっぽ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 07:31:09.28 ID:aW7zr.DO<>フユツグさん……GJ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/16(火) 23:18:18.13 ID:aCbIxPE0<>オツ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 15:28:51.48 ID:WLxY3qMo<>「あの人って……サカキ?」
「そ。あのおじいさんが全ての責任を負って、この事件は終局に向かうんだって。
 これニュースの受け売りね」

サカキと呼び捨てにしたり、おじいさんという代名詞を使ってみたり。
あの夜、シルフカンパニーの屋上にいた杖突の男が、
ここ十数年間行方をくらましていた元ロケット団の首領だったと後から知らされても、改めて畏怖を感じたり、印象が変わったりすることはなかった。
それは実感が伴っていないから、じゃなくて、アヤメおばさんたちがサカキに協力していた、という揺るがない事実があるからだと思う。
何も知らない人たちが、ニュースを鵜呑みにしてサカキを凶悪犯に祭り上げても、
あの場にいたあたしたちは、サカキと、サカキに協力したアヤメおばさんたちが正しいことをしていたのだと信じている。
でも、それは同時に、サカキと対峙していたお父さんが悪だと認めることでもあって――。

「ヒナタ? もう、またぼーっとしてる。折角ママが自由になれたんだから、もっと喜びなさいよ」
「う、うん」
「……何か、気になることでもあるわけ?
 ヒナタは馬鹿なんだから、わかんないことがあればいつでもこの聡明なあたしに聞けばいいのよ」

戯けた口調とは裏腹に、カエデの瞳は真剣で、

「サカキがアヤメおばさんたちを操っていたっていうのは、嘘よね?」

あたしは本当に言いたかったこととは、別の言葉を声にした。
カエデは何故だか寂しそうに何度か瞬きして、

「口裏合わせでしょ」

未だ続いているポケモンバトルを眺めながら言った。

「もし失敗して捕まえられたらあの人一人が犠牲になるように、最初から決めてあったのよ」
「それで警察が納得したのかしら」
「あたしたちはママたちが動き出したとき会場にいなかったから知らなかったけど、
 他の参加者の話を聞く限り、ママたちは会場では一言も喋らずに、まるで人形みたいにサカキの命令に従ってたんだって。
 これでサカキがさっき言ったみたいに自白して、ママたちがその通りです、って言ったら、信じるしかないでしょ。
 それにね、多分警察はサカキ一人でお腹いっぱいだと思う。
 昔に数え切れないくらいの悪事を働いて、なのに今まで一度も尻尾を掴ませたことがなくて、
 そんな大物を現行犯で捕まえることができただけでも、警察にすれば御の字なのよ」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 15:32:09.81 ID:4KZZPgQo<>きたー!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 15:37:39.28 ID:jqRUDfko<>作者キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 15:38:06.33 ID:r/BIC3oP<>電車の中から期待age<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 15:46:39.88 ID:WLxY3qMo<>でもサカキは悔しいでしょうねー、とカエデは続けた。

「捕まったことが?」

あの人は理由がどうであれ、これまでにたくさんの罪を犯してきた。
あの夜だけでも、何人もの警備員に怪我を負わせて、管理者と呼ばれていた紳士を、ポケモンに"殺させた"。
生きているうちに刑期を終えることができるとは思えない。
あたしがそう言うとカエデはあの光景を思い出したのか、表情を強張らせて、

「違う違う、そういう意味じゃないってば。
 ママたちを助けるために、裏切りものまで一緒に助けなくちゃならない、って話よ。
 マチスは操ってませんでした、なのでマチスだけは自分と一緒に服役させてください、なんて言い分が通るわけないでしょ」

警察はシステムと完全に癒着しているわけではありませんのよ、とエリカさんが言っていたことを思い出す。
カエデおばさんやタケシさん、キョウさんに責任能力がない被害者だと言い張るなら、当然そこにはマチスも含まれていなければならない。
警察はサカキとシステムの関係を知っているわけでもなければ、あの夜、マチスがサカキを裏切った事実を知っているわけでもない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 16:28:33.31 ID:Ub1wBZEo<>kiteru-
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 16:28:38.98 ID:WLxY3qMo<>そもそも、こうして事件を振り返っているあたしにしても、
知らないことが多すぎて、整理ができていない状態だった。
ピカチュウを拐かした組織、すなわちシステムの全容。
管理者の役割。殺された偽の管理者。本物の管理者の居場所。
サカキが余生を賭してシステムに噛み付いた理由。
そして、アヤと一緒に空の彼方に消えた、お父さんの目的。
分からないことが多すぎる。
エリカさんは「いずれ皆さんが揃った時に」と言って、あたしの質問を保留にした。

「アヤメおばさんたちがここに到着するのはいつ?」
「今夜ヤマブキを出発したとしても、着くのは早くても明日の朝ね――あ、終わったみたい!」

屋外灯の仄かな灯りが、二人の輪郭を浮かびあがらせる。
シゲルおじさまがニヤニヤ笑って、消沈したタイチの頭をクシャクシャにしていた。

「お疲れ様ですっ」

寒風吹きすさぶ冬空の下、マフラーを口元まで上げて恥ずかしげに熱いお茶入りの水筒を差し出すカエデは、
普段からは想像できない純情な女の子そのもので、けれど相手は既婚子持ちと最強クラスの鈍感だった。

「俺はシャワー浴びてくるから、二人はコイツを慰めてやっててくれ」

シゲルおじさまは爽やかにそう言って屋内に入り、

「カエデ、これ、お茶か?」
「寒いと思って熱いのにしたんだけど……」
「すまん、遠慮しとく」

この寒い中、汗だくで息を切らしたタイチはカエデの思い遣りを二言で拒絶した。

「つ、冷たいの入れてくるね」

屋内に消えるカエデ。

「タイチの馬鹿」
「あー、マジで暑い。ったく、あの糞親父、息子相手にやりすぎたっつうの……なんか言ったか?」
「最低、って言ったのよ」
「な、なんで俺がヒナタにそんなこと言われなきゃならねえんだよ」

あたしは無言で縁側に腰を下ろした。
タイチがそれに続く。本当に暑いのか、タイチの息は外気に触れた傍から真っ白に染まっていった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 16:35:59.80 ID:jqRUDfko<>くそー夢精め
カエデとヒナタとか贅沢すぎるぞチクショウ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 17:10:53.86 ID:FeD5PO.o<>何このそろそろ終わりそうなフラグ

やだよ
終わらないでよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 17:21:40.11 ID:WLxY3qMo<>「負けたの?」
「お前、慰める気ねえだろ。
 まあ、慰められたら慰められたで情けねえんだけどさ」

タイチは後ろに両手を突いて、夜空を見上げながら、

「負けたよ。良い線いけるかと思ったけど、やっぱ親父は強え」

自分に潔いところは格好いいのに……。
あたしの嘆息も知らずに、タイチは顔を綻ばせて、

「でも、手応えはあったよ。
 こんなに持ったのは初めてだ。ガキの頃から模擬戦はいつも瞬殺だった」
「昔から手加減してもらえなかったの?」
「ああ、一度もなかった。でも、それを理不尽に思ったり、不満に思ったりしたことはないんだ。
 全力で潰しに来るってことは、対等に扱ってくれてる、ってことと一緒だからな」
「ふうん……」

あたしは夏ばてした柴犬みたいに舌を出しているタイチを見て言った。

「ところで、タイチはどうしてこんなに汗かいてるの? 戦うのはポケモンなのに」
「ああ、これは……今日のはちょっと特別だったんだ」
「特別って?」
「公式なポケモンバトル以外で、ポケモンを使うとき……つまり、トレーナーも危険な目に合うかもしれない状況を想定して、戦ったんだよ」

軽い調子でそんなことを言うタイチ。

「け、怪我は!?」

シゲルおじさまの持つウィンディが脳裡に浮かんで、
あたしは無意識に、タイチがカントー発電所で火傷を負った方の腕に触れていた。

「な、ないって。流石にフリだけだ。
 でもま、親父もそこらへんはプロだからな、常にギリギリのところ狙ってきて、
 おかげであのだだっ広いフィールドをバクフーンと一緒になって走り回るハメになっちまった。
 俺もちょこちょこ反撃したんだが、親父は全然動いてる感じしねえのに、掠りもしないんだよな」
「……そう……よかった……」

手を引っ込める。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 17:25:40.61 ID:HSNbss6o<>28282828<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 17:55:26.44 ID:3G20aADO<>ところで今日夢精したんだけどもしかして俺ってタイチ?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 17:56:39.61 ID:nvOrk6AO<>ポケモンスクランブル発進!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 17:59:05.55 ID:WLxY3qMo<>「ヒナタと一緒に旅をして、システムの奴らと戦って、分かったことがあるんだ。
 トレーナーに攻撃しちゃいけない、っていうのは所詮、トレーナー同士のモラルの問題なんだ。
 片方にモラルが欠けていたら、たとえもう片方が善良なトレーナーでも、
 バトルはトレーナーへの攻撃を暗に認めたものになる。やらなきゃやられるからな」

あたしはシルフカンパニーで浴びせかけられた、スキンヘッドの辛辣な言葉の雨を思い出した。
一緒に、エビワラーに殴られて、苦しそうに呻いていたタイチも思い出して身震いする。

「トレーナーを攻撃することを前提にした戦い方と、
 純粋にポケモン同士を戦わせる戦い方では、勝手が全然違う。
 街のゴロツキトレーナーくらいなら普通のトレーナーでも適当にあしらえるかもしれないが、
 相手がシステムくらいのレベルになると、モタモタしてる間にやられてジエンドだ。
 だから、普段からそういう異常なポケモンバトルに対応できるよう、訓練しとかなくちゃいけないわけだ。
 ……以上、親父の受け売りでした」

タイチが乾いた声で笑ったけど、あたしはちっとも笑えなかった。
相手トレーナーが怪我をすることを分かった上で攻撃することと、
相手トレーナーがポケモンで防御することを見越して攻撃すること。
相手トレーナーを氷漬けにしたり麻痺させたりして無力化することと、
相手トレーナーの肉体を破壊するような攻撃を加えて再起不能にすること。
それぞれの前者と後者には雲泥の違いがある。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 18:00:05.48 ID:WLxY3qMo<>相手トレーナーが怪我をすることを分かった上で攻撃することと、
相手トレーナーがポケモンで防御することを見越して攻撃すること。
相手トレーナーを氷漬けにしたり麻痺させたりして無力化することと、
相手トレーナーの肉体を破壊するような攻撃を加えて再起不能にすること。

×


相手トレーナーがポケモンで防御することを見越して攻撃すること。
相手トレーナーが怪我をすることを確信した上で攻撃することと、
相手トレーナーを氷漬けにしたり麻痺させたりして無力化することと、
相手トレーナーの肉体を破壊するような攻撃を加えて再起不能にすること。


○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 18:01:45.40 ID:WLxY3qMo<>相手トレーナーが怪我をすることを分かった上で攻撃することと、
相手トレーナーがポケモンで防御することを見越して攻撃すること。
相手トレーナーを氷漬けにしたり麻痺させたりして無力化することと、
相手トレーナーの肉体を破壊するような攻撃を加えて再起不能にすること。

×


相手トレーナーがポケモンで防御することを見越して攻撃すること。
相手トレーナーが怪我をすることを確信した上で攻撃することと、
相手トレーナーを氷漬けにしたり麻痺させたりして無力化することと、
相手トレーナーの肉体を破壊するような攻撃を加えて再起不能にすること。


×

相手トレーナーがポケモンで防御するのとを見越して攻撃することと、
相手トレーナーの負傷を確信した上で攻撃すること。
相手トレーナーを氷漬けにしたり麻痺させたりして無力化することと、
相手トレーナーの肉体を破壊するような攻撃を加えて再起不能にすること。


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 18:11:10.19 ID:NjzBboYo<>なにごとだよwwwwwwwwびっくりしたわwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 19:19:36.04 ID:WLxY3qMo<>一線を越えるのは簡単で、あたしはただトレーナーを攻撃しろ、と命令するだけでいい。
事実、これまでにもあたしはポケモンバトルに我を忘れる中で、間接的にではあるにせよ、相手トレーナーを攻撃したことがある。
でも、意識的に、意図的に、そうした戦い方をすることには、強い嫌悪感を覚える。
こういう中途半端な覚悟しか持てない自分が嫌だった。

「それでいいんじゃないのか」

まるであたしの心を読んだかのようなタイチの言葉に、驚きを隠せない。

「それでいいって、何が?」
「お前、システムの奴らみたいな戦い方するのが嫌なんだろ。
 割り切れなかったら、別にそれでいいじゃねえか」
「わ、わかったようなこと、」

言わないで。そう言うよりも先に、

「ヒナタがそういう戦い方はしたくない、っていうなら、俺が代わりに戦ってやるからさ。
 お前はほら、他に考えることあるだろ」

他に、考えること――お父さんのこと、ピカチュウのこと。

「………」
「おいおい、絶句してんのか?」
「……ううん」
「じゃあなんで突っ込まないんだよ。タイチじゃ頼りにならない、とかさ」
「……違うの……あたし、タイチのことは頼りにしてる」
「そ、そうか」
「……あたしね、最近夢を見るのよ」
「夢?」

そう。とても、とても悪い夢を。
喉から零れかけた言葉を飲み込む。
視線を感じてその方向を見てみれば、ぎゅっと水の入ったコップを握りしめているカエデがいて。

「あたし、行くから」

立ち上がる。通りすがり際、

「頑張ってね、カエデ」

と言って、

「ちょっ、ヒナタ! 待ちなさいよ!」

無視して歩を進めた。曲がり角で振り向くと、あたしが坐っていたところにはカエデが収まっていた。
思い詰めた表情。――告白するのかしら。
従姉の片思いが報われることを祈って、あたしは寝室として宛がわれた客間に向かった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 19:31:19.50 ID:WLxY3qMo<>今夜は早いけどおわり

完結は早くても八月になりそうな予感<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 19:32:40.18 ID:NjzBboYo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 19:35:58.04 ID:jqRUDfko<>乙
カエデ切ないなぁ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 19:42:10.66 ID:HSNbss6o<>乙
出来れば長く続いてほしいが、そうすると作者の受験がやばい事になるな…
まぁ何にせよ無理はするなよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 20:20:19.22 ID:oHfWXxYo<>八月まで楽しめるのか
乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 20:24:09.99 ID:hkoFqRoo<>このスレは生活の一部になってるからな・・・終わったら俺は<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 21:49:39.28 ID:nvOrk6AO<>おっつ
まだまだ楽しめるってことだな安心した<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 23:41:49.73 ID:6DpgS3Y0<>よかった〜
このまま終わるんじゃないんだぁ〜…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 23:55:24.65 ID:WLxY3qMo<>----------------------------------------

体に繋がれたチューブを取り外していく。
一本抜くごとに薬液がベッドのシーツに染みを作り、僕の皮膚には血が滲んだ。
鈍麻している神経は痛みを訴えない。
鎮痛剤が血液から抜けるまでは、身体の異常を目で確認しなければならない。
そう思うと気が滅入った。
ベッドから降りる。
着地はスムースだった。身体能力に問題はないようだ。
ただ、自分を三人称視点で動かしているように感覚ふわふわしていた。
地に足が着いていないのだ。精神的に。
モニターの中のバイタルサインは異常数値を示していた。
誰かが異常に気付くよりも早く、脱走しなければならない。
外から施錠されていることを予測しつつ、背伸びしてドアノブを捻る。

「ピィ?」

予測は外れて、

「そんな体でどこ行く気や。まったく、君の行動力には驚かされるわ」

ドアは開かなかった。柔らかい重みが僕の力を相殺している。
マサキが外側から凭れるようにしてドアを塞いでいることに気付くまで、数秒とかからなかった。

「ワイの知る限り、君は先の無い賭けはせえへんポケモンやったはずや。
 ここにはシステムの手練れも配備されとるし、仮に一時的に追っ手を撒けたとしても、そっからどうするつもりや。
 君の行き先は分かってる。お屋敷までの道程が穏便にすまんことは考えんでもわかることやろ」

その通りだ。異論はないよ。

「もし奇跡的な確率で脱走が成功してあの子に会えたとしても、その幸せは長くは続かへん。
 脱走するっちゅうことは、安楽死の選択肢を捨てて、自然死を受け入れるってことや。
 それがどれだけ惨い死に方かは、今朝しっかり教えたはずやで」

ああ、丁寧な説明だったね。
それじゃあそろそろ、そこをどけてもらえないかな。
そのままだと僕は君をドアごと吹き飛ばしてしまうことになる。

「ピカチュウ。何がそこまで君を駆り立てるんや。
 君は十分生きた。君の遺体はきちんと綺麗にしてあの子のところに持っていったる。
 君が最後まであの子のことを思ってたことも伝える。
 君の訃報はあの子を不幸のどん底に突き落とすかもしれん、でも、ありったけの時間をかければ、心の傷は癒える。
 あの子もいつか大人になる。なあ、考えてみ。
 ここで君が短い間あの子と一緒に過ごせたとしても、あの子は君の惨い臨終を看取ることで、余計に傷を負うことになるねんで。
 場合によったらあの子は立ち直れんと、ポケモントレーナーをやめる可能性もある」
「チュウ」

大切な人と約束したんだ。
あなたの娘を――ヒナタを護る、って。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/17(水) 23:56:29.03 ID:WLxY3qMo<>ただ、自分を三人称視点で動かしているように感覚ふわふわしていた。 ×

ただ、自分を三人称視点で動かしているみたいに感覚がふわふわしていた。 ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/17(水) 23:58:10.52 ID:oHfWXxYo<>ピカチュウになら掘られてもいい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/18(木) 00:11:45.90 ID:lKQc5HYo<>「たったそれだけのために、脱走するんか」

そうだよ。僕が約束を破ったことがカスミに知れたら、
僕の頬が彼女の手によって、千切れる寸前まで弄られることは想像に難くないからね。

「分かった。よう、分かったわ」

深く溜息のあとに、長い沈黙が紡がれる。
薄い板を隔てた向こう側で、マサキが動く気配があった。
ドアが内側に開かれる。
奔放に伸びた白髪は、上手い具合にマサキの目を覆い、同時に表情も隠していた。

「ピィ?」
「……………」

考えが読めない。
全力で僕の脱走の邪魔をする気なのか。
それともドアの修理費を浮かすために、わざわざ開扉してくれたのか。
マサキが前髪を掻き上げる。
双眸には諦観と、悪戯を企んだ子供のように澄んだ光が同居していた。
彼は目線を僕に合わせて言った。

「ワイの負けや、ピカチュウ。君の脱走に手、貸したるわ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 00:26:31.15 ID:KAxIQlk0<>おおお
ピカチュウにむしろ掘られたい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2009/06/18(木) 00:35:22.52 ID:oUvA0TIo<>掘られぬなら
掘られてみせよう
ピッピカチュウ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 00:47:42.45 ID:M9AlaAAO<>じゃあ俺はマサキを貰うよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 00:56:39.90 ID:fGIYoUko<>マサキって白髪だったの?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/18(木) 00:58:22.58 ID:lKQc5HYo<>マサキ……。
僕を試していたのか。

「バレてたんか?
 ワイもちょっと演技が臭すぎる思てんけど、中々真に迫っとったやろ」

いや、分からなかったよ。台詞に諄さは感じたけどね。

「散々君に諦めさすようなこと言うて、それでも諦めんかったら、こうしようて決めてたんや。
 残念やけど、君の容態と余命、上からの指示等々、説明したことは紛れもない真実やねん。
 正直、今でも君とあの子にとって、一番良いのは君の安楽死やと思ってる。
 でも、それで君やあの子が納得できんのやったら、所詮、ワイの気持ちは下衆の勘繰りと一緒やねんな。
 それがよう分かったわ。もうワイは君の選択に口出しせえへん」

君は僕の脱走に手を貸すと言ったけど、具体的にはどんな風に手を貸してくれるんだい?

「なあに、単純明快や。君がボールに入る。
 ワイがそれを持ってエリカさんのお屋敷まで届けにいく」

冗談はよしてくれ、と僕は横に首を振った。
それでは君が僕の脱走に荷担したと大声で吹聴しているようなものじゃないか。
君のシステムでの立場が損なわれてしまう。

「だから、それでええねん」

なんだって?

「ワイはシステムに属してから、本当の意味でのポケモン研究が出来るようなったと思ってた。
 惨いな実験強いられても、ポケモンと人間の共生社会のために、って言葉を免罪符に、あるいは好奇心に溺れて、実行に移してきた。
 犠牲になったポケモンが十本の指で数えられんようなってからは、感覚が麻痺した。
 でも、あの研究所で君に再会して、君が死ぬの分かってたのにグレン島に逃げて、またここで君に会って、君の生に対する執着を見て――。
 ワイはこれまで絶対やったシステムに疑問を持つようになった。
 これまでに死なせたポケモン一匹一匹に罪悪感持つようになった。
 昔、田舎のちっさい研究所で、ひっそり研究してた頃のこと思い出した。本当の意味で充実してた頃の記憶や。
 君の脱出に手を貸すことが、すべての罪滅ぼしになるとは思ってない。
 けど、少なくとも今生きてる君への、謝罪と恩返しにはなると思ってる」

君はシステムの情報を知りすぎている。
無事僕をエリカの屋敷に送り届けることができたとしても、
口封じを目的とした刺客が放たれるのは必至だぞ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 00:58:42.10 ID:QsXPcjgo<>年取ったからじゃね?<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/18(木) 01:01:18.63 ID:lKQc5HYo<>今夜はもうやめとこ宣言

続きが思いつく

書かずにはいられないお( ^ω^)

夜が更ける

遅刻ぎりぎり( 'ω')


このパターンが多くなっている今日この頃
おやしゅみ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 01:02:06.68 ID:WENOCtAo<>おつおつ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 01:08:30.91 ID:iAj/ceEo<>おやすみ乙
いい夢みてくれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 01:22:06.81 ID:yLnXb/6o<>リアルタイムで書いているというのか…恐ろしい子っ!
学校で授業中に考えてるのかと思った<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 01:32:40.60 ID:KAxIQlk0<>乙
おやしゅみ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 01:55:31.17 ID:ixaFnRY0<>惨い死の文面でハムスターの血染め錯乱臨終がフラッシュバックした…
せめてピカチュウには苦痛を精神的な喜びで覆い隠して安らかに逝ってもらいたいな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/18(木) 02:06:08.49 ID:YmBEosSO<>マサキになら掘られてもいい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/18(木) 02:12:59.82 ID:YmBEosSO<>マサキになら掘られてもいい ×

ピカチュウとマサキになら掘られてもいい 〇<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/18(木) 02:23:40.92 ID:qTV.62AO<>リアルタイムで文章考えててこの伏線の多さ…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 02:24:32.24 ID:M9AlaAAO<>>>149
ゲームしてる時の俺状態ワロタ
会社も学校もないから遅刻は無いんですけどね('A`)
おやすぅみ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 03:04:32.77 ID:U/qFTkDO<>>>155−156
わざわざ作者みたいに訂正すんなそんなことwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/18(木) 18:22:52.56 ID:7wUta8k0<>>>128
>相手トレーナーがポケモンで防御するのとを見越して攻撃することと、
この部分を訂正した方がいいかもしれません<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/19(金) 00:28:51.41 ID:4NzU0.so<>「ほとぼりが冷めるまであのお屋敷に匿ってもらうつもりや」

とマサキは楽観的な調子で言った。

「ワイの頭の中にはシステムの情報が詰まってる。
 まさか君だけ受け取ってワイだけ敷地外に放り出すようなことはせえへんやろ」
「ピィ、ピィカチュ」

システムは執念深い。
それは君が一番よく知っているだろう。
忘れた頃に襲われる可能性は十分にある。
君はその時、どうやって身の安全を確保するつもりなんだ。

「命乞いでもしてみるわ」

まったく、マサキ、僕は真剣な話をしているんだぞ。

「すまんすまん。でもなあ、ピカチュウ、君はワイのことなんか心配せんでええんや。
 この時代、個人を特定するんは顔や声みたいな有機的な情報やない。情報や」

肩書きを捨てる、あるいは書き換える――。
つまり別人として一からやり直すと?

「そういうことや。どっかの片田舎で細々ポケモンの研究する老後も悪くないやろ」

僕の記憶が正しければ、研究施設にいた頃、君は自分を「過去の功績を捨てられん我儘な人間」と評していたはずだが……。
マサキは僕の頬に手を添えて言った。

「心境の変化、っちゅうやつや。
 君もカワイイなりして男なんやから、細かいことグチグチ言わん方がええで」

冗談を言った後に相応しいマサキの愉快げな表情に、陰が差す。
頬に幽かな違和感を感じる。そこでやっとマサキに頬を"抓られている"ことに気がついた。
マサキの表情が沈んだ理由は、僕が正常な反応を返せなかったからだ。
睡眠薬を飲まされた神経は、生理的な放電の痛みと、それ以外の感覚までも忘れて眠っている。

「明日の晩……明日の晩に、君を迎えに来るわ」

マサキは僕を抱えて、ベッドの上に戻しながら、

「脱走のロジックは単純でも、準備には時間がそれなりの時間がいる。
 君が少しでも楽に過ごせるよう、薬もちょろまかしとかんなあかんからな。
 今夜は眠って、体力を温存しとき」

了解だよ。
マサキが手際よくチューブを繋ぎ直し、やがてモニターが正常なバイタルサインを表示する。
その緑色の瞬きを眺めていると、眠気が目蓋を押し下げ始めた。
微睡みのなか、僕はマサキが脱走を留めるために体の良い作り話をした可能性に思い当たって――そのまま何もできずに、深みにはまっていった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 00:30:35.24 ID:AGxhEJAo<>丁度読んでたら来てるー
おいす!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 00:47:10.88 ID:Vv2CujY0<>これでピカチュウが二度と目覚めなかったら怖いな…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/19(金) 09:28:11.79 ID:R4XLyac0<>>>163
それだけはマジ勘弁wwwwwwww<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/19(金) 18:41:44.76 ID:4NzU0.so<>---------------------------------

立ち籠めた厚い雲からは、今にも雨粒が落ちてきそうだった。

「驟雨であればよいが……」

エリカさんのお父さんがタマムシの空を見上げて言った。
朝からそわそわと落ち着きのなかったカエデも、不安そうにぎゅっと唇を結んで黙っている。
皆が、カエデおばさんたちが無事に到着することを祈っいるようだった。
なのに、あたしの頭の中は乱れている。

あの夜、シルフカンパニーの屋上にいた人たち。
あたしがお父さんを求めて、挙げ句捨てられた一部始終を見ていた人たち。

何を言われるのかは分かっていた。
そしてその言葉を聞くのが、あたしは堪らなく嫌だった。

「見えたぞ」

シゲルおじさまの目線をたどると、灰色の雲に溶け込んだ黒い点が三つ見えた。
それはぐんぐんこちらに近づいてきて――。

「ママっ!」

普段、誰よりも人目を気にするカエデが空に向かって叫ぶ。
着陸した三羽のピジョットのうち、左端の一羽に駆け寄って、

「きゃっ!」

地面に足を着いたばかりのカエデおばさんに抱きついた。

「もう、この子ったら……恥ずかしいわねえ」
「だって……ママが捕まっちゃって……釈放されなかったらどうしようって……あたし……ずっと心配してたんだから」
「大丈夫よ。ママはここにいるから。ね?」

アヤメおばさんの手が、優しくカエデの髪を撫でる。
エリカさんはその光景に微笑みを浮かべつつ、他のピジョットから降り立ったキョウさんとタケシさんに言った。

「ご無事で何よりですわ」

キョウさんは会釈して、

「暫くの間、世話になるでござる」
「遠慮は無用ですわ。緩りと過ごしてくださいな」
「忝ない」

タケシさんは元々細い眼を更に細めて言った。

「流石にこの面子が揃うと壮観だなあ」
「そうですわね。集った理由が、親睦のため、交歓のためなら尚良かったのですけれど……」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 18:47:50.17 ID:9gPzn9Uo<>作者来てる!wwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 18:48:04.26 ID:J6H6oMDO<>そういやサトシのピジョット……。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/19(金) 19:38:23.79 ID:4NzU0.so<>タケシさんにつられるように、エリカさんもうっすらと目を細める。
その静かな時間を、背骨が軋むバキボキという音が乱した。

「っ……あっー、やっぱポケモンの長距離飛行は体に堪えるわ」
「同感。やっぱ俺たちには気球が似合ってるんだよなあ」

同じ姿勢で伸びをしている中年の男女に、

「年寄り臭い臭い会話は慎むニャ。歳がバレるニャ」

それを窘める低い声。
誰の声なのかしら――二人の他に声の出所を探してみても、
気になるのは二人に白い視線を送っている上品なペルシアンばかりで、

「あのペルシアンが気になりますの?」

エリカさんが可笑しそうに言う。

「なんだか、あのペルシアンが喋っているような錯覚がするんです」
「ふふ、それは錯覚ではありませんわ。
 ムサシさん、コジロウさん、そしてニャースさん。
 お勤め、ご苦労様でした」
「労いの気持ちが足んないわね」
「こら、ムサシ」

揉め始めた二人に愛想を尽かしたのか、ペルシアンが優雅な歩みでこちらに近づいてくる。
そしてあたしの目の前で止まり、

「ヒナタちゃん、だったかニャ」

反射的に頷く。

「あれから、少しは落ち着いたかニャ?」

ペルシアンは"完璧な人の言葉"で、そう言った。

「う、うそ……?」
「わたくしも初めてこの声を聞いたときは我を疑いましたわ。
 でも、このニャースは本当に、人の言葉を理解できているんですのよ」
「ミャーはニャースじゃなくてペルシアンだニャ。いい加減覚えて欲しいのニャ」
「うふふ、努力しますわね」
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 19:49:19.96 ID:WQUlk4Uo<>ニャースかわええ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 19:59:53.68 ID:hrTvvDco<>>>169
努力が足りん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/19(金) 20:02:32.43 ID:4NzU0.so<>
ペルシアンが憤慨している。エリカさんと話している――。

「阿仁を驚いているんだい、ジャリガール」
「じゃ、じゃりがーる?」

いつの間にか近づいてきていた二人のうち、エリカさんにムサシと呼ばれた女の人が言った。

「ニャースが喋れることは、前にあんた達を乗せてやったときに気付いてたんじゃなかったのかい?」

エリカさんにコジロウと呼ばれた男の人が言った。

「あの時は色々と立て込んでて、そんなことに気付く余裕がなかったんだよ。分かるだろ?
 あはは……ごめんね、ヒナタちゃん。ガサツな人で」
「誰がガサツですってぇ?」
「だーまーるーニャ」

ペルシアンが爪で二人の足を服越しに引っ掻く。

「これじゃあいつまで経っても改めて自己紹介できないニャ。
 おっほん……、ミャーたちのことを簡単に説明すると、元ロケット団大幹部にして、解散後もボスの腹心で有り続けたエリートコンビだニャ」

艶やかな口髭を撫でつける仕草からは気品が溢れていて、あたしはさして抵抗もなくその言葉を信じてしまった。

「そうだったんですか。あの、この前はあたしたちをここに運んでくださって、ありがとうございました」
「なあに、礼はいらないニャ。
 ミャーたちはボスの命令に従ったまでニャ」
「君のお父さんとも面識があるんだぜ」

コジロウさんが言ってから、しまった、という風に表情を暗くする。
あたしはそれを取り繕うと言葉を探して、ふと視界の隅で呆れた風に苦笑しているタケシさんに気がついた。

「あの、もしかして……ロケット団の下っ端三人組って、あなたたちのことですか?」
「まっ! このジャリガール、礼儀というものを知らないみたいね!」
「下っ端? な、なんのことだか分からないニャ! ミャーたちはエリートだニャ!」
「なあヒナタちゃん。誰から俺たちが下っ端三人組だなんて根も葉もない噂を聞いたんだい?」

あたしは心の中でタケシさんに謝りながら言った。

「前に、タケシさんが昔話として話してくれたんです」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/19(金) 20:03:19.62 ID:4NzU0.so<>「阿仁を驚いているんだい、ジャリガール」 ×
「何を驚いているんだい、ジャリガール」 ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 20:54:49.98 ID:LwCQaUAO<>後ろではタケシの目が全開にうわなにをするやm<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 20:58:54.21 ID:bEQTNego<>ギャグ漫画日和のうさみちゃんみたいになってるタケシ想像してワロタ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 21:00:40.61 ID:UqS51YYo<> ――   ――   < ・・・・・・・・・・・・

<●> <●>  < お前ら人間じゃねぇ!!<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/19(金) 21:50:13.20 ID:4NzU0.so<>「聞き捨てならないわね」
「聞き捨てならないな」
「聞き捨てならないニャ」

ずいっ、とタケシさんに詰め寄る二人+一匹。
その構図を白紙に戻したのは、石畳に落ちた大粒の雨の音だった。

「大降りじゃな」

軒下に駆け込む。雨脚は遠くの景色が霞むほどに、どんどん強さを増していった。
一瞬、視界が淡い白に染まって、網膜に焼き付いた稲妻の軌跡が見える。
冬の豪雨に心を奪われて、雨が石畳や瓦を叩く以外の音が、世界から消えてしまったような幻覚に包まれる。
でも――。

「ヒナちゃん。あとで話があるの」

雷鳴に紛れたアヤメおばさんの囁きは、何故かくっきりとあたしの耳に届いていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/19(金) 22:19:07.49 ID:LwCQaUAO<>やっぱりいいなぁこのトリオ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/19(金) 22:19:41.96 ID:4NzU0.so<>---------------------------------------------------------------------------------------

翌朝。目覚めた僕は、昨日のマサキとの遣り取りが、
何もかも夢だったのではないか、という考えを振り払えずにいた。
僕の体には昨日と同じ箇所に同じ数だけ管が繋がっていた。
記憶が正しければ、マサキが繋ぎ直してくれたからだ。
記憶が偽りならば、そもそも僕は管を外していないからだ。
脱走したい、しかし単身ではこの病院からヒナタのところまで行けるはずもない――。
「脱走に協力したるわ」というマサキの言葉は、そんな葛藤が見せた都合の良い夢だったのか?

それが現実であったことを確かめられたのは、
予測されていた雨が予測されていた通りの強さでタマムシシティを潤ばし始めた、正午前のことだった。
診察を名目に僕の個室を訪れたマサキは、

「返事、訊きにきたで」

惚けた様子でそう言った。僕は二つ返事で答えた。

「ピカ」

――自然死を選ぶよ。
するとマサキは途端に相好を崩して、
白衣の懐から一つのボールを取り出した。
疵だらけのモンスターボール。思わず破顔した。
これを見るのは随分久しぶりだった。そうか、君が持っていたのか。

「君もどうせ運ばれるんやったら、少しでも快適なボールがええやろうと思ってな」

ふふ、快適さを重視するなら、ハイパーボールを所望してもいいかな。

「何事も馴染んだもんが一番や」

違いない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 22:40:56.16 ID:hrTvvDco<>ピカチュウのボールにはマークがついてたんだよな・・・
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org147297.jpg<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 22:45:18.94 ID:UrFS3nQo<>ゴージャスボールを所望、いや作者はしらんか
つーかピカチュウがボールに入るようになったのは決別してた時だけか?
カスミとかは入れないだろし<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/19(金) 23:48:21.23 ID:4NzU0.so<>「それにしても、えらい雨やなあ。
 夜までに止むことを祈るばかりや」

まさか雨天順延なのか?

「それはないから安心しとき」

マサキは笑って診察簿になにやら書き加えると、
もう一度だけ、土砂降りの景色を眺めて、

「ほな、また夜に来るわ。
 準備は何もいらんけど、心構えだけはきっちりしとくねんで」

と言い残して去っていった。
静かになった個室で、雨音と、遠雷の音を聞いていると、不思議と心が落ち着いた。
僕はそれらの音を揺籃歌に、来るべき夜に備えて目を瞑った。

-------------------------------------------------------------

「カエデは……?」
「眠ったわ。あの子があんなに素直になるなんて、何年ぶりかしら」
「昨日の夜は、ほとんど眠れなかったんだと思います」

カエデはあの夜、アヤメおばさんがポケモンで命の遣り取りをしている現場を目の当たりにした。
そして立て続けに起こった、アヤメおばさんたちの身柄の拘束。エリカさんのお屋敷で、アヤメおばさんの帰りを待つだけの日々。

「そう」

アヤメおばさんは小降りになる気配のない雨を硝子越しに見つめながら呟いた。

「あの子には悪いことをしたわ」<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/19(金) 23:53:27.70 ID:4NzU0.so<>今夜はここまで

漫画は最近18巻が発売されたアライブがお勧め
小説は最近読み終わったクオ・ワディスがお勧め

暇があったら読んでみてくださいな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 23:58:31.96 ID:hrTvvDco<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/19(金) 23:58:34.48 ID:O8B2YEMo<>ドミネ・クォ・ヴァディスがどうしたって?

乙チュウ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 00:07:48.68 ID:92rwqISO<>乙!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 00:16:51.73 ID:S2DZg1.o<>おっつー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 00:20:59.57 ID:LBJh2tYo<>乙
今日も面白かった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 01:01:21.14 ID:fWBFKbY0<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 01:03:11.56 ID:ZmZpa6AO<>乙バーーーローー
カスミをモンスターボールに・・・ゴクリ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 03:13:58.59 ID:ucd8LRQo<>クオリティが落ちないのがすげぇ
乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 12:13:18.01 ID:ozUpTgAO<>乙です
ダイパプラでジラーチ配信キターー

<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/20(土) 13:04:35.92 ID:VJTnrkso<>「わたしは母親として、あの子をシルフカンパニーに連れて行くべきじゃなかった。
 サクラがあの子をレセプションに参加することを提案した時に、厳しく断っておくべきだった」

外の喧噪が、居心地の悪い沈黙を音で満たしてくれる。

「ねえヒナちゃん。どうしてわたしがヒナちゃんに同行するよう、カエデに提案したか、分かるかしら」
「分かりません」

本当は分かっていた。

「ヒナちゃんと再会したとき、ヒナちゃんがポケモンリーグを指標に定めたことは、既にシゲルくんから連絡が入っていたの。
 わたしはヒナちゃんが道を真っ直ぐ進むために、ぶれた時にそれを修正してくれる旅の仲間がいると思った。
 すぐにカエデのことが思い浮かんだわ。あの子は我儘で、自分本位だけど、ある面ではとても現実的なところがあるから……」

カエデはあたしの指標を固定するために同行していた。
カントー発電所の異常を調べようとしたとき、カエデは初め、「面倒だから」という理由それを拒んだ。
あたしが拉致されたピカチュウに固執して立ち止まっているときに、カエデは厳しくも正しい言葉で、ポケモンリーグを目指す旅に導こうとした。
自覚がなかったにせよ、カエデはアヤメおばさんの思惑通りに役割を果たしていた。
つまりは、そういうことだった。

「打算的で、ごめんなさい。
 でも、あの子に広い世界を知ってもらいたかったことと、ヒナちゃんに一緒に苦労を分かち合う旅の道連れが必要だと思ったのは、本心よ」
「あたし、別にアヤメおばさんを責めてなんか……」
「わたしがヒナちゃんに謝らなければならないのは、あの子のことだけじゃないわ。
 あの夜、わたしはヒナちゃんを抱きしめて、サトシくんのところにいくのを止める以外に何もできなかった」
「…………」
「ヒナちゃんを放っておくか、ヒナちゃんの気を失わせるか。
 中途半端に動かず、そのどちらかを選んでいれば……拘置所ではそればかりを考えていたわ」
「…………」
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 13:05:53.55 ID:dcPXp1go<>ktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 13:08:12.77 ID:VJTnrkso<>サクラがあの子をレセプションに参加することを提案した時に、 ×
サクラがレセプションにあの子を参加させることを提案した時に、 ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 13:10:30.59 ID:LBJh2tYo<>作者きてる!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 13:45:50.78 ID:VJTnrkso<>「振り返ってみれば、わたしもカスミも、ヒナちゃんが何も知らないままでいいと思い込んで、安心していたの。
 けど、それは結果的に間違いだったわ。ヒナちゃんの成長に合わせて、少しずつ本当のことを明かしていれば、
 ヒナちゃんの心の傷は、もっと浅くすんだかもしれないのに……」
「…………」
「辛かったでしょう?」

アヤメおばさんの手があたしに触れる。

「ごめんなさいね。本当に、」

我慢の限界だった。

「もう、やめてください」

振り払う。アヤメおばさんは驚きと戸惑いの同居した目であたしを見た。

「あたしはもう……、誰にも謝って欲しくないんです。
 あたしだって、薄々は感じてた。あの人はあたしやお母さんが要らなくなったから、どこかに消えたんじゃないかって……。
 でも諦めきれなくて、お父さんは消えたのには何かきちんとした理由があるんだって、そう思うことで自分を誤魔化していたんです。
 だからあの夜のことは、誰の責任でもないんです。あたしの責任です。
 あたしが甘かったから……いつまでも子供のままだったから」
「ヒナちゃん……」
「あの人のことは、もう、忘れます。
 あたしとあの人は、ただ血が繋がっているだけなんです。
 あの人があたしやお母さんを認めないというなら、そこには何の関係もないんです」

立ち上がって、部屋を後にする。
アヤメおばさんが追いかけてくる気配はなかった。
居場所を探して、どこにもそれがないことに気付く。
エリカさんたちは大広間で話し合っている。
タイチは……。脳裡にカエデの切なげな表情が揺曳する。

あたしはいつか、ゲンガーに瞳術をかけられたエリカさんが眠っていた、母屋から少し離れた庵に行くことにした。
外気はより一層冷たさを増していた。
雨粒に抉られた土の匂いと、濡れた植物の匂いが鼻についた。
だんだん暗くなる空を、降りしきる雨を、大きくなっていく水溜まりを、どれだけの時間眺めていたのだろう。

水が跳ねる音がした。
陽炎のように景色の一部分が揺らいでいた。
目を擦って、何度か瞬きしても"揺らぎ"は消えなかった。
地面には、何かの足跡が続いている。
突然、誰の姿も見えないその"揺らぎ"から声がした。

「カクレオン、"ミラーコート"解除してもええで。
 ドードリオもお疲れ様や。よう走ってくれたな」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 13:51:34.74 ID:udexyX6o<>ぴかちゅうktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 14:10:26.36 ID:ucd8LRQo<>キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/20(土) 14:18:32.84 ID:VJTnrkso<>手品みたいだった。
何もなかった空間から、ドードリオと、それに乗った白衣の男、そしてその男の髪に掴まったカクレオンが現れる。
ドードリオは三つの頭と六つの眼で絶え間なく周囲を警戒していて、
カクレオンは緑と赤の派手な模様を晒すのが恥ずかしいのか、その男の髪の色に同化していた。
あたしは傘をとって、雨の中を歩き出した。
突然の訪問者に対して、警戒心は無かった。あたしはその男の顔に、少し見覚えがあった。

「あの」
「なんや。おっ、これはラッキーやなあ」

何がラッキーなんだろう。
男の嬉しそうな笑顔に、既視感が強くなる。あたしの頭の中で閃くものがあった。

「あなたはもしかして、マサキ博士ですか?」
「いかにも、ワイはマサキや。そういう君はヒナタちゃんやろ」
「は、はい。その通りですけど、」

どうしてあたしの名前を知ってるんですか?
そう尋ねる前に、マサキ博士は懐から何かを取り出して、

「はい。お届けもんや」
「これは?」
「今の君に一番必要なもんや。もう無くしたら……アカン、で……」

受け取る。瞬間、息が詰まった。邪魔な傘を捨てて、疵だらけのモンスターボールを握りしめる。
幽かな重みは、中にピカチュウが入っていることの、何よりの証明だった。
悴んだ指をスイッチに近づける。

「ぐっ」

マサキ博士が苦しそうな声とともにドードリオから滑り落ちたのは、指に力を加える直前だった。

「マサキ博士!?」
「水差して悪いなあ、ヒナタちゃん……悪いけど、家のもん呼んできてもらえるか……ちょっと無理しすぎたみたいや……」

水溜まりが薄い赤に色を変えていく。
よく見れば、マサキ博士の肩には、深い切り傷が出来ていた。

「大変……すぐに呼んできますっ! 少しだけ、待っててください!」

あたしはピカチュウの入ったボールを胸に抱えて、駆けだした。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 14:20:23.62 ID:P59D1Moo<>マサキかっけえ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 14:20:48.31 ID:ZmZpa6AO<>マサキター<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 14:36:58.26 ID:VJTnrkso<>続きは今日の深夜か明日<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 14:44:08.38 ID:ucd8LRQo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 14:44:48.49 ID:ZmZpa6AO<>じらしんぼめ!
ジラーチを貰う作業に戻ります<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 16:09:37.08 ID:Q6qWvoDO<>焦らしに定評のある作者……<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 16:14:00.35 ID:q1lfQqw0<>こ…ここで焦らすだと…でも感じちゃう…ビクンビクン<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/20(土) 16:30:27.85 ID:YAOuR.DO<>勉強もしなくちゃならいんだもんなあ
俺が代わってやんよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 18:19:13.33 ID:dcPXp1go<>乙
wifiに繋がらんorz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 19:30:47.50 ID:km2zMls0<>やっぱり作者は上手いな
こっちは血の海に沈むマサキ達をロケット団三人組が見つけるくらいしか想像できてなかったのに…
それはそうと三人組の養子云々って話あった気がするが登場まだだよな?…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 19:32:27.75 ID:V7Fl6tEo<>>>209
それはどうかな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/20(土) 23:58:02.14 ID:dcPXp1go<>ジラーチゲットだぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2009/06/21(日) 00:40:20.51 ID:UjKI8mQo<>今まとめ読み返してるんだがやっぱりおもしろいな
先を知ってるのにwktkしてしまうw<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/21(日) 09:35:55.09 ID:pkwpUiIo<>夢と現のあいだで、彼女の存在を感じる。
彼女の甘い匂いがする。
彼女の静かな寝息が、安らかな鼓動の音が聞こえる。
眼を開ければ消えてしまうかもしれない。
そこに待っているのは無慈悲な現実かもしれない。
けれど、僕はゆっくりと眼を開けた。

――障子を透かして拡散した冬の陽光は、どこまでも優しくヒナタの寝顔を照らしていた。

亜麻色の髪。
組み合わさった長い睫。
整った目鼻立ち、薄桃色の唇。
あの夜の再会でよく見ることのできなかった、少し成長した主の顔を眺めていると、
喩えようもない幸福感が血に溶けて、体中に巡っていくのを感じた。

「ピカピ……」

ただいま、ヒナタ。
その声が夢の中にいる彼女に届いたのだろうか、ヒナタは僕を、豊かな胸に抱き寄せた。
圧迫感は希薄でも、心で、彼女の温もりを感じることはできる。
僕はこの幸せな朝がもう少し続くことを祈って、眼を閉じた。

瞼の外側で、ヒナタの翠眉が幽かに歪んだことに気付かないまま。


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 09:42:54.14 ID:kMjuK2AO<>起きたらグッドタイミング!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 09:51:46.17 ID:7vmzyCMo<>今日は早いな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 09:57:46.84 ID:1dMfLDE0<>これってもうプロの作品だよな
グロ表現とかエロ要素なくせば大ヒット間違いなし<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 09:59:08.02 ID:pkwpUiIo<>――昨夜。
僕の病室に現れたマサキは、無言で僕をボールに仕舞い、躊躇いのない歩調で病棟を歩き始めた。
この病院は本来人間のためのものであるが、僕がいるのは容態が安定しているものの、先が無い患者ばかりが詰め込まれた病棟だ。
夕食の配給が終わったこの時間帯、廊下に人影は無かった。精々看護婦数人とすれ違った程度で、マサキはエレベータに辿り着いた。
一階はひっそりと静まり帰っていた。
外来の受付時間は終わっていた。最小限に絞られた蛍光灯が震える不気味な音が聞こえた。
嫌な予感がした。

「マサキ博士」

たくさん並んだベンチに坐っていた男が、ゆらりと立ち上がる。
彼は癖のある金髪を弄りながら、僕たちの方は見ずに答えた。

「こんな時間に、どちらへ行かれるおつもりですか?」

マサキはそつなく答えた。

「夜の散歩や」
「冷たい冬の雨の中を?」
「悪いか?」
「いいえ。少々、常識外れだとは思いますがね」
「ま、そういうことやから」

歩き出す。しかし病院の外に踏み出そうとしたとき、

「裏切りを犯した罪はあなたが考えているよりも重い。
 考え直すなら今の内ですよ。
 僕はあなたにはよくしてもらった身ですからね、今回限りなら見て見ぬふりをしてあげてもいい」
「いつからそないなナメた口きくようになってん。
 ワイは君に義理立てしてもらうような覚えは無い」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 09:59:29.60 ID:GX6zclEo<>グロもエロもそんなにないだろ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 10:17:06.00 ID:pkwpUiIo<>「お忘れですか……今や僕の権限はあなたよりも高い。
 口の利き方に気をつけるべきは、あなたの方だ」

男の声に怒気が混じり始める。
しかしマサキは挑発をやめなかった。

「君の序列が上がったいうても、それは所詮、あの無法者どもの中での話やろ。
 ポケモンを扱う巧さがすべてやと思てるんやったら、君はまだまだ三流や。
 それにな、」

マサキは最高の蔑みを籠めて、

「君が昇格したそもそもの原因は、前々からシステムに紛れ取ったスパイが排除されたからや。
 君の実力が認められたからやない。
 思い上がりは身を滅ぼすで。箴言やと思ってよう覚えとくことや」

踵を返した。
あの男のそれなりに整っていた顔が今、憎悪で醜く歪んでいることは想像に難くない。

いたずらに怒らせるのは賢い選択だとは思えないな。逃げ切る算段はあるのかい?
ボールの中から尋ねると、マサキは僕とは別のボールを二つ取り出しながら答えた。

「ああいう輩は怒らせて理性飛ばすんが一番や。
 ポケモン使いとしての腕は一流言わんでも二流のもんは持ってる。
 冷静に追われたらまずやられる。
 逃げ切る算段については………」

意味ありげな間の後に、

「運やな」

僕は笑った。マサキも笑った。
二閃。現れたのはドードリオと、僕の知らない緑と赤を基調としたカメレオンを彷彿とさせるポケモンだった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 10:31:04.24 ID:pkwpUiIo<>マサキはドードリオに跨り、そのカメレオンのようなポケモンを頭に乗せた。

「ワイの言うとおりに安全に全力疾走や」

矛盾した指示にドードリオの三つの頭が頷く。

「カクレオン、ちょい辛いかもしれんけど、ワイがええって言うまで、"ミラーコート"でワイらを包んどいてくれるか」

カクレオンと呼ばれたポケモンが、パチパチと瞬きする。
ちゃんと分かっているのだろうか。

「ピカチュウ、気付かんか?」

何がだい?

「今、ワイらの姿は周囲の景色に溶け込んでる。
 簡単に言うたら、ステルス迷彩ってとこや。どや、カッコええやろ」

カッコいいかどうかは疑問として、便利な能力だね。
ただ――続く言葉を、マサキが代弁する。

「見てのとおり、今はえらい雨や。流石に透明になれるワケやないから、どうしても違和感は残る。
 でも、これがワイに打てる最善策や」

マサキは見納めにとタマムシ大学付属病院を振り返り、

「あのアホはワイらが敷地出るまで待っててくれとるみたいや。
 そのプライドの高さが命とりになんのになあ………ほな、いくで」

ドードリオは雨の中に飛び出した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 11:01:09.61 ID:bda9e.AO<>wktk!wktk!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 11:16:46.80 ID:pkwpUiIo<>敷地をあっという間に抜ける。
天候に影響されて、極端に人通りの少ない通りを疾走する。
ドードリオの脚力と旋回力は驚異的だった。
もしかしたら、僕たちは追っ手の影を一度も見ることなくエリカの屋敷にたどり着けるのかもしれない――そんな夢を垣間見られるほどに。

「予想外に早いな。ドードリオ、左や」

キィン、と空気が裂ける音がした。
一刹那遅れて、それまで僕たちがいたところに、細く、深い爪の跡が残る。
雨音に一般人の悲鳴が混じる。
かなり強力な"鎌鼬"だ。
ボールの中から背後を伺えない僕の代わりに、マサキが振り返り、

「ハッサムか。ワイが強化したったポケモンや。
 防水加工された薄羽を加速装置にしとる。なかなかええ使い方してるなあ」

暢気なことを言ってる場合か。

「そやけど、カクレオンは"ミラーコート"の維持で精一杯やし、ドードリオは走るので精一杯や。
 このまま攻撃避けつつ、逃げるしかない……ドードリオ、もう少しスピードあげれへんか?」

苦しそうな鳴き声のあとに、ドードリオがさらに加速する。
"鎌鼬"が道路を削る音が遠くなる。そこで僕とマサキは、この状況でもっとも抱いてはいけない感情を抱いてしまった。
安堵したのだ。

――キィン。

至近距離で、空気が裂ける音がした。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 12:01:05.43 ID:pkwpUiIo<>「すまん、ピカチュウ。食らってもうた」

ドードリオの首に掴まっていたマサキの手が、握力を失う。
咄嗟のブレーキも間に合わず、慣性の法則に従って、マサキは道路を転がった。
僕が無事だったのは、その間もマサキが握力を失っていない方の腕で、ボールを庇っていてくれたからだ。
別の方向に転がっていったカクレオンと、行すぎたドードリオが、マサキに寄り添う。
水溜まりに赤いものが混じる。
箇所は分からないが、マサキは確実に怪我をしている。
もう一度ドードリオに跨ることは難しいだろう。
そして、

「また会いましたね、マサキ博士」

それを許すほど、システムの精鋭は甘くなかった。
ハッサムの背から降りた男は、濡れて真っ直ぐになった金髪を掻き上げながら、

「夜の散歩は危険がいっぱいだ。どこから"鎌鼬"が飛んでくるか分からない。
 マサキ博士、あなたは僕の諫言に従っておくべきだった」

言葉の端々から、意趣返しが楽しくてたまらないといった感情がにじみ出ている。

「裏切り者には死を。それがシステムの鉄則だ。
 口封じをする方法は他にもあるが、あなたのお喋りな口は封じてもあまり意味がないでしょう。
 苦しませずに殺してあげますよ。
 あなたの無能なポケモンを弄ばないという保障はありませんがね。
 前々から気になっていたんだ。ドードリオの三本の首を順に切断していくと、どこまで残りの頭は意識を保っていられるのか……」
「趣味悪いな。正直引くよ、"おじさん"」

割り込んできたのは、マサキの声でも、金髪の男の声でもない、若い男の声だった。

「一般人か? 邪魔をするな。消え失せろ」
「そう邪険に扱わないでくれよ」

背後から現れた犬のようなポケモンに、青年は言った。

「ドーブル、"スケッチ"だ」
「警告は一度だけだ。"鎌鼬"」

鋭い音がハッサムとドーブルの直線状に響き渡る。
雨粒の軌道は、そのまま"二つ鎌鼬"の軌道を表わしていた。
ハッサム、ドーブル、それぞれの左隣の地面に、溝が生まれる。

「コピーした? 何なんだ、貴様?」
「なんだかんだと聞かれたら――やっぱやめとく。
 俺はしがないディーラーだけど、その博士に興味があるちょっと変わったディーラーなんだ」
「そうか、なら願ったり叶ったりだな、坊や。そいつは今脱走中の身だぜ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 12:04:50.82 ID:UAjfdSMo<>なるほど<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 12:20:24.06 ID:MvYGXPAP<>作者きてるー!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 12:53:48.69 ID:pkwpUiIo<>「僥倖だね。それじゃあ、おじさん、俺に博士の身柄を引き渡して貰ってもいいかな?」
「無理だと言ったらどうするつもりだ?」
「力尽くで奪うよ」
「あまり大人を舐めない方がいいぞ、坊や。
 それにこの博士はね――、今から死ぬんだ」

ハッサムが動く気配があった。
しかしハッサムの鋏が"鎌鼬"を発生させるよりも早く、

「"スケッチ"」

ドーブルの"鎌鼬"が、金髪の男を襲う。
金属の板が震えるような音がした。
ハッサムは咄嗟に主の正面に舞い戻り、硬い鋏を盾にしたようだった。

「人を攻撃することに躊躇いがないな。
 坊やだと思っていたが、それなりの覚悟はあるようだ」
「頭悪いね、おじさん。俺は成人してるから、始めっから坊やじゃない」

金髪の男の顔が引き攣る。
その隙をついて、ドードリオはマサキの体を嘴で挟み、背中に担ぎ上げた。
カクレオンもよじ登る。

「逃がすな、ハッサム!」
「俺を忘れてもらっちゃ困るな、おじさん」

背後で金属が震える音が連続する。ドーブルの"鎌鼬"が、ハッサムの妨害に功を奏しているようだった。
やがてそれらの音は小さくなり、エリカの屋敷近くまで来た時には、完全に聞こえなくなっていた。

「くっ……うぅ……」

マサキの呻き声に、ドードリオが足を止めた。
眼が醒めたか、マサキ?

「……ああ……朦朧としてるけど、なんとか保てる」

マサキはドードリオに跨り直しながら、辺りを見渡した。

「それより……、あのアホは、どこ行ったんや? 姿が見えへんけど」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 12:57:33.61 ID:kMjuK2AO<>CSでルカリオ見ながら支援<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 12:57:44.94 ID:UjKI8mQo<>支援<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/21(日) 13:40:05.90 ID:pkwpUiIo<>割り込んできた若い男に足止めを食らっているよ。
あれは君の仲間だったのかい?

「……いいや。密告を警戒して、今日のことをは誰にも言ってへんかったからな。
 ドードリオ、ワイの怪我のことは気にせんでええ……全速力で屋敷を目指してくれ」

エリカのお屋敷が見えてきた頃には、豪雨は衰え、小雨になっていた。
"ミラーコート"で複数の門番の眼をやり過ごし、広大な庭園に進入する。
流石はこの国で五指に入るお屋敷というべきか、庭は無意味に広く、母屋に辿りつくまでには、相当の距離があった。
マサキはほっと溜息をついて言った。

「……ここまで来たら安心やな。
 カクレオン、"ミラーコート"解除してもええで。
 ドードリオもお疲れ様や。よう走ってくれたな」

ぱしゃ、と水が跳ねる音がした。

「あの」

雑音に混じらない柔らかくて懐かしいアルトが、僕の耳に届く。
マサキが振り返った先――そこには白い傘から、憂いを帯びた表情でこちらを見つめる、ヒナタの姿があった。






休憩
ι(´Д`υ)アツィー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 13:44:07.15 ID:APaCiIoo<>おつー、残念ながらいまからバイトだorz
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 13:50:05.31 ID:Xv5yWkE0<>ヒナタとカエデの名前って、ポケモンレンジャーのあの人とミナモシティのあの人から取ってるの?
たまたまかな?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 14:19:19.58 ID:7vmzyCMo<>とうとう俺のゴーストがゲンガーに進化したお( ^ω^)
うーうー<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/21(日) 14:25:55.96 ID:pkwpUiIo<>>>231
たまたまっす
俺はポケモンレンジャーも知らなければミナモシティも知らないので<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 15:41:03.08 ID:Xv5yWkE0<>>>233
やっぱたまたまかー。
回答サンクス。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 16:12:43.89 ID:pkwpUiIo<>---------------------------------------------------------------

「ピカチュウ」
「ピカァ?」
「ううん……なんでもないの。呼んでみただけ」

もう、こんなことを何度も繰り返している。
嬉しすぎて、幸せすぎて、ふと瞬きした瞬間に、ピカチュウがいなくなってしまうような幻覚がして――。
けれど膝の上から伝わる温もりは、ピカチュウがここに存在している、確かな証拠だった。
昨日の大雨とはうって変わって、今日の空には雲一つ浮かんでいない。
澄んだ空から降り注ぐ太陽の光が、ぽかぽかして気持ちいい。
ふとした拍子に、午睡に誘われてしまいそうなほどに。

「お昼寝、する?」

ピカチュウが片耳を傾げて、こちらを見上げる。
その何気ない仕草がたまらなくい愛おしくて、あたしはピカチュウに頬をすり寄せた。

「もう……どこにも行っちゃだめなんだから……」

誰かがみたら、あまりにも幼い触れ合いだと、笑うかもしれない。
けど、今のあたしに人目を気にする感覚は無縁だった。
昨日はピカチュウとあたしの傍には、常に誰かがいた。
他の皆もあたしと同じように、ピカチュウの復帰を待ち望んでいたことは分かる。
でも、誰よりもピカチュウに会いたかったのは、このあたしなんだから。
眼を瞑って、願い事をする。

この温かい時間が永遠に続きますように。

神様に「傲慢だ」と叱られても構わない。
あたしはピカチュウさえいれば、それで――
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 16:37:34.42 ID:Bvh45cg0<>>>223
投下乙です
>雨粒の軌道は、そのまま"二つ鎌鼬"の軌道を表わしていた。
これは「二つの"鎌鼬"」でいいの?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 16:37:37.25 ID:APaCiIoo<>病んでるなぁ… つーかピカチュウがどうなるか分かってる以上鬱だ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 16:43:30.14 ID:GjDHSMEo<>ヤンデレ同士でカップリングしたらこうなるんだろうな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 16:50:13.59 ID:/TGHVKU0<>ピカチュウとハムスターを重ねてしまうのもあれだとは思うが、
独りで冷たくなるのと、人に抱かれたまま事切れるのと、錯乱して暴れ人を襲って逝くのと、
ネズミと人にとってどれがマシなんだろうな…
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 16:57:51.60 ID:UAjfdSMo<>ヤンデレってほどじゃないんじゃないかなあ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 17:09:18.55 ID:pkwpUiIo<>>>236
まったくもってその通りです
訂正ありがとう


ι(´Д`υ)アツィー
これはもうだめかもわからんね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 17:28:57.36 ID:7tjnlRso<>作者よ窓をあけるんだ
涼しい風がおまいさんをまってるぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 17:39:47.13 ID:VK3Pyhco<>誰か作者にアイスとつめたい飲み物にピタクールを送るんだ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 18:04:20.62 ID:DlVTcCEo<>今思ったんだが、カクレオンってルビサファ世代のポケモンだよな?
それなら他のルビサファ世代のポケモンも出るのか?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 18:08:56.79 ID:kMjuK2AO<>ポケモンカードではドーブルのお世話になりました
京都の蒸し暑さは異常<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/21(日) 18:18:28.46 ID:RMV7FMSO<>>>244
⊃http://www19.atwiki.jp/wktkwktk/m/pages/1.html?guid=on<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 19:29:52.33 ID:gRMk3ISO<>>>246を開いた瞬間に出た、サトシ達三人とピカチュウの満面の笑みに何故か泣きそうになった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 21:55:45.25 ID:WoGxlLso<>てかTOP絵みんな良いなww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/21(日) 22:17:17.46 ID:7vmzyCMo<>そもそも1人で数回更新したとしても、1000人近くwikiを訪れてるのが凄いなw<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/22(月) 00:37:49.32 ID:/qhTNW.o<>「よう」

霞がかった視界に、タイチの顔が浮かびあがる。

「タイ、チ?」
「やっと起きたか。長い昼寝だぜ、まったく」

辺りを見渡す。
明るいお昼過ぎの庭園は、血のような朱色に染められて、寂しげな雰囲気を漂わせていた。

「いつの間に眠ってたのかしら……そういえば、ピカチュウは……」

腕の中にあった温もりが消えている。
喪失感が胸を締め付ける。夢の内容を思い出しかけていた思考が、一度に冴えていく。

「ピカチュウは? ピカチュウはどこにいるの?」
「な、何泣きそうになってんだよ。
 ここさ。お前の眼が醒めるずっと前から、ピカチュウは起きてたんだ」

ピカチュウが、タイチの背後からひょっこりと顔を出す。

「ピィ、ピィチュ」

――僕はここにいるよ。
駆け寄ってくるピカチュウを、

「もう。どこにいっちゃったかと思ったじゃない」

捕まえて、抱きしめる。
あたしが眠っている間に、タイチとどんなお話をしてたの?
言葉が通じるなら、そう尋ねたかった。
そんなあたしを、タイチは切なげな瞳で見つめて呟いた。

「大丈夫か、ヒナタ」
「大丈夫って、何が?」
「さっきのお前、酷い顔してたぜ。
 ピカチュウがいないことと、この世の終わりが同じみたいな顔してた」
「……なに、言ってるの」

夕陽が、完全に山の陰に隠れる。
タイチは気を取り直すように頭を掻いて、

「そういえば、親父がヒナタを呼んでたぜ」

不自然な調子に話題を変えた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 00:40:27.33 ID:Np.j0wDO<>       / ̄\
       |    |
   ャ‐ 、  \_/   ,.-‐ァ
    ヽ|. \   |   ,,. ''´ l/      ___
      ヽ, `ー─'   /    _/ ̄   /
     , '::\:::/::::  \   /  __,. -─′
    ,イ<●>::::::<●>  ヽ \  く    
   (⌒(__人__)⌒    ∧   \ \ 
    ,ゝ、 ` ⌒´    ムヘ   / /
   l  ,         ノ  /  く <
    Y      Z..ノ   厶ハ/ /
     ヽ      ,       } <
     >、     l     ,/´ ̄
    ムc_,r──‐〉  r'´
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 00:44:31.10 ID:45x2nHQo<>この時間に・・・書かずにはいられないパターンかw<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/22(月) 01:11:30.88 ID:/qhTNW.o<>「シゲルおじさまが、あたしを?」
「いい加減親父をそんな風に呼ぶのやめろって。
 まあとにかく、大事な話があるから、夕食が終わった後に、大広間に来て欲しいって話だったよ」
「個人的なお話、なのかしら」
「どうも違うみたいだぜ。俺は会議みたいなもんだろうと踏んでる。
 時間が夕食後なのは、多分、エリカさんの帰りを待つためだろ」
「タイチは? タイチは一緒に来ないの?」
「大人以外で参加が認められたのはヒナタだけだ。
 俺もカエデも、頼むフリだけはしてみたものの、一瞬で拒否られちまった」
「そう」
「ま、精々ヒナタの報告を期待して待ってるさ。
 それじゃ、俺は修行してくるよ。
 給仕の人に俺の分はいらないって伝言しといてくれ」

あたしとピカチュウを一瞥して、タイチは早歩きで行ってしまった。
西の空を見上げる。一番星は、まだ残照に隠れていた。

「お腹、空いたね」

ピカチュウが頷く。あたしは視線を降ろして、縁側を立ち去りかけ、

「あの人……」

その時視界に、母屋に近づく人影を認めた。
昨日マサキ博士と出会ったときのような既視感を感じる。
けれど、声をかけた方がいいのかな、そんな風に躊躇っているうちに人影は死角に消えてしまった。<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/22(月) 01:15:51.83 ID:/qhTNW.o<>終わり
最近読み始めた「銀と金」が面白すぎて困る<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 01:17:11.72 ID:45x2nHQo<>>>254
乙。ちょっとググってくるw俺も寝よ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 01:18:46.99 ID:QXyvHmko<>乙
おやすみ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 02:09:29.06 ID:wF1nzYDO<>乙…読んでたらゲームのポケモンがアホらしくなってきた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 16:41:02.77 ID:a.cR0cDO<>そういう事を言っちゃいかん
ゲームのポケモンありきのこの作品なんだし<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 16:58:20.40 ID:ewJiadIo<>そりゃあ、ポケモンが子供向けのゲームになってるから仕方ないけどさ…
同人でもいいからポケモンが主人公で大人向けのゲームがやりたいぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 17:54:56.44 ID:ApiW0fwo<>ポケモンが子供向けのものであるからこそ大人向けのポケモン物語が映える
エロが規制されてこそ映えるのと同じだと思うべき
.                 ∧ 
              へ.∧/ |/|∧/|//
           _ |\.\|  .| |../ / ./7/7
           \.\ .\|  |/ / ././ ./|_
           ._|\ \.ヽ ./ / ././ ///
           ヽ\.\ヘΛΛΛ/へ//フ
          .\\| ̄ ⌒ - ⌒ ::: ̄7/7  +   
          .. \|=(  )=(  )= |/+     読者としては二流だな!
             |::   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::|        
             |::   `-=ニ=- ' .::::::|_ +
            /_\::  `ニニ´  .:::/ `ー-、__
        ,. -‐'´.: : .:|!:.:ヽヽ、ニ__ ー ::|::...         ̄``ー-、
    _,. --r'´.:.:.:.::  ..:.:∧:.:.:.:  (__) ::::::::|:.:.:.:...    r       \
 r‐'´ _:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l |!:.::   ハ  ::: |;;;;:.:.:.:>....:.|:..       、 ヽ
:.:.:.:.::.´:.:.:.:.:.:.:.:\_____ヾ:.:.:.:.:.|  ∨ >:┴…'´ー‐-、|:.:.:.. \:   |:.:.: |、
:. /了:.:.:.:.:.:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:. ``ー-、L.. __〉.'"        \:.:.:.:.:.:.ヽ:.:./:.:.:/: \
/__/:.:.:./:.:.:.:/-、:.:.:...     __  .:Y´:: _,.     =ミ:.:\_;;;;;V;;;/ヽ  l
:.:.:.:.:.,.イ:.:.:.:.:.:ノ|! _}‐‐::.:.:.. ,r‐'´ ノ. . ::lr'´::"          :;;;|:.:.`ー'⌒  |  |
:.:.:.:厶;;辷==' /⌒|::.:_;. -'´...:/   :.:l!:.:::            :;;;;;|:.:.:    ',     ∧
:.::イ:.:.:.:´ `ヾ|::  レ'ヽ:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.:.:.:.|!:.:.:...     rぅ...:.;;;;;:∧:.:.:.   ヽ.  |: \
:.:/:.:.:     :.:.|::/ /r─  ̄〉.:.:.:.:.:.:.人;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;/::∧:.:.:.:...... ヾ \
:.:.:.:.:.:   :.:/: :/.:.:/__ノィ' ̄〉‐一'´___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄lヾ、:/ :::\_::::::.: . l|  :ヽ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/22(月) 18:54:08.88 ID:/qhTNW.o<>----------------------------------------

時は流れて、夜。
大広間に入ると、エリカさんを筆頭に、シゲルおじさま、アヤメおばさん、キョウさん、タケシさんの五人が、既に着席していた。
元ロケット団の二人+一匹組と、エリカさんのお父さんの姿は無かった。

「遅れてすみません」
「そう硬くなるなって。気の知れた仲だろう?
 あぁ、そういえばキョウはヒナタと面識がないんだったな」

シゲルおじさまが尋ねると、キョウさんはひたとこちらを見据えて、ゆっくりと会釈した。
お辞儀を返して、アヤメおばさんの隣の席に腰を下ろす。
誰も発言する気配がないことを確認してから、あたしは尋ねた。

「あのう、ピカチュウもこの場に同席するのは、ダメですか?」
「…………」

奇妙な沈黙が続いた。
あたしは不思議だった。
どうして誰も首を縦に振ってくれないのかしら。
逆に、ピカチュウが同席できない理由は、どこにあるの?
やがてシゲルおじさまが乾いた唇を舐めてから口を開き、

「ヒナタ、それは……、」

エリカさんが上から言葉を被せた。

「同席を認めましょう。
 ヒナタさんのピカチュウが、本件の枢機に深く関係していることは周知の事実ですわ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/22(月) 18:59:49.38 ID:EWJh0RMo<>キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 19:01:32.54 ID:QXyvHmko<>作者きてる━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/22(月) 19:58:45.16 ID:/qhTNW.o<>「ありがとうございます」

あたしは襖の奥に呼びかけた。

「おいで、ピカチュウ」

使用人の手によって、襖が開かれる。
ピカチュウは足音を立てずにこちらに駆け寄り、
あたしが予め引いておいた隣の席にちょこんと座ると、
まるで旧友との再会を懐かしむように、居並ぶ面々を順に眺めていった。
その瞳に映っているのは、いずれも遠い過去の風景だった。
お父さんと一緒に旅し、お父さんと一緒にジムリーダーや四天王と戦った記憶……。
ピカチュウは、お父さんのことを思い出して辛くならないのかしら。
どうして過去の辛い出来事と一緒に、記憶を封印しようと思わないのかしら。
その問いかけを、今は胸に仕舞う。
最後の出席者が大広間に姿を見せたのは、それからシゲルおじさまが二本の煙草を灰にした頃だった。

「いやぁー、遅れてすまんなぁ」
「刻限はとうに過ぎているでござる」

堪忍してな、と人懐こい笑いを浮かべながら、マサキ博士がキョウさんの隣に座った。
肩への負担を軽減するためか、片腕は包帯でつり下げられている。

「怪我の具合は?」

タケシさんが尋ねる。
昨日、助けを呼ぶあたしに真っ先に気付いて、マサキ博士に応急処置を施したのもタケシさんだった。

「医者の話では、不随になる可能性も……って、冗談や。そないな暗い顔されるとワイが困る」
「マサキ博士、言っても良い冗談と、そうでない冗談がありますわ」
「すまんすまん。流石に不随は嘘やけど、君の侍医には絶対に傷口を開くような行動は慎むよう、厳命されたわ。
 思ってたよりも失血が酷かったみたいや。ま、こうして喋る分には問題ないから、皆、心配せんでええで」

からからと笑う。
アヤメおばさんが溜息を吐きながら言った。

「エリカさん、全員揃ったことだし、そろそろ始めてもいいんじゃないかしら」
「そうですわね。それでは、まずは現況確認から参りましょう」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/22(月) 20:51:25.17 ID:/qhTNW.o<>「いや、待て」

シゲルおじさまはエリカさんを遮り、

「まず、なぜ俺たちがわざわざこの場に集まっているのか、その理由を明確にする必要があるんじゃないか。
 特にヒナタはそれが何なのか、今夜初めて知ることになるんだ。最初に時間を割く価値はある」

あたしを見つめてそう言った。
そこにエリカさんの視線が加わり、

「その通りですわね。この場にいるほとんどの方は存じていると思いますが、
 システムとは、ポケモンと人の共生社会の繁栄を目的とした、この国最大の秘密組織のことを指していますの。
 システムはある時期を境にミュウスリーの創造と、それに関連した二つの研究・開発に着手。
 その情報をスパイから得たサカキは、わたしたちジムリーダーに協力を要請し、急遽、管理者の捕縛計画を試みました。
 しかしそれは失敗に終わり、サカキの身柄は現在、ヤマブキシティの拘置所にあります。
 わたくしたちがこの場に集っている理由は、彼の意思を引き継ぎ、システムの愚かしい暴挙を阻止することですわ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/22(月) 21:46:32.40 ID:/qhTNW.o<>「今の話で分からないことがあれば、何でも聞いてくれ」

あたしはシゲルおじさまの言葉に甘えて尋ねた。

「ミュウスリーというのは、何のことですか?
 あと、それに関係している二つの研究というのも、何のことだか……」
「答えてやってくれ、マサキ博士。
 悔しいが、俺たちが共有している情報よりも、あんたの頭の中に入ってるものの方が信憑性が高いだろうからな」

マサキ博士はぼさぼさの髪を包帯でつられていない方の手で掻きつつ、

「ミュウスリーについて説明するには、ミュウツーの起源まで遡るんがワイのセオリーやねんけどな。
 時間もないことやし、端折っていこか。昔々、ある研究者が、世界で一番強いポケモンを創り出す研究をしとったんや」
「ポケモンを創り出す?」
「そうや。ヒナタちゃんは俄に信じがたいかもしれんけどな、
 人間がポケモンの遺伝子を操作して、まったく新しいポケモンを創り出す方法は、何十年も前から確立されてた技術なんやで。
 研究者はシステムをバックボーンに、ミュウツーを創り出すことに成功した。
 けどこのミュウツーは自分が勝手に創られたことに立腹してな、研究者もろとも研究所爆破して、どっか消えてもうたんや。
 莫大な研究費はいっぺんに無駄になってもうて、誰がどう見ても、ミュウツー計画は頓挫したかに思えた。
 それが十何年かの時間をおいて、その研究を再開するっちゅう話が持ち上がったんや。
 当時の遺伝子工学で理論上最強やったミュウツーをベースにして、さらに強いミュウスリーを量産する。
 それがミュウスリー計画やな」
「でも、ミュウスリーの元であるミュウツーは、暴走してしまったんですよね?
 もし、ミュウスリーが暴走したら……」
「ヒナタちゃんの想像通り、ミュウスリーが暴走することは、ほぼ間違いない。
 そこでワイがシステムを抜ける前に研究しとったんが、ミュウスリーを無意識下で操る方法でな」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 21:59:56.69 ID:1dIYL8I0<>だっぴ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 22:07:59.27 ID:SEE7Ptoo<>ギエピー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/22(月) 22:51:44.60 ID:Xxz25gSO<>汚いピッピ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 22:55:04.37 ID:/6Ydtyco<>                 /‘ ̄   \  _//  /  ヽ
          r―-- 、__{  ⌒ヽ   ヽ´`~''  /    l
          ト 、  `ヾ人   ノ     _   /    l
          | ヽ     `ー ´   /―-ヽ ヽ、   |  r--i/` i
           !  〉 _.=、、      /´, ━- 、   ヽ、 l  ノ  ヽ  +-
           l  //´_ ヽ    / /    \    \/      _/ 
  __r⌒Y ̄!   l /  /´  \ '               /     /
  (   /  `ー 、_ i  i            Fj     ,   /      i
   !       l      iヲ      “___ノ __ /       !  ギエピーwwwwwwwwwwww
   ヽ      l       __       ___ ‘ー       /
    ヽ     lr=ォ  ー_二--――´ ̄ ̄    ̄オ        ノ
     \    |   `ーt´  __,....- --――――'´ |       /\
       ヽ   i     「` ̄,..-―ー=、, -´⌒ ヽ、__|      イヽ  l
        \ !    i  /         _ノ /       / }  i
          ヽ、    l⌒ー---―― ´ ̄_ノ     .::  ノ  l  l
           ヽ     ` ー―--―  ̄ ̄       .:  /) /  l
            \        、--―,        ..:  / ノ  /
             \        ` ー’       .:  /-´ / <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 23:02:32.13 ID:3lmOzG2o<>お前ら少しは自重しろwwwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/22(月) 23:15:17.73 ID:/6Ydtyco<>ttp://up2.viploader.net/pic2d/src/viploader2d587753.jpg<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/22(月) 23:38:20.65 ID:yG.aGWso<>お前ら本当にピッピ好きだよな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/24(水) 01:57:32.09 ID:hMUtSISO<>作者マダー?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 01:58:55.49 ID:KvWl4rUo<>>>274
作者は期末試験じゃね?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 02:52:42.80 ID:rYcVd6AO<>ポケモンスクランブルでピカチュウ!かわして十万ボルトだ!プレイおもすれー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/24(水) 20:48:40.19 ID:EwbELZEo<>「そんなことが可能なんですか?」
「可能やで。
 ミュウスリーの頭に電極を埋め込んで、こっち側の命令を躯に反映させるんや。
 微細な誤差は強化骨格に補正させてな――」

マサキ博士の無邪気な瞳が、初めて狂気を帯びたもののようにあたしの眼に映った。

「悪い悪い、話が逸れてもうたな。とにかく、それがミュウスリー計画の概要や。
 ミュウスリー計画に関係してる研究のうち一つはさっき話した強化骨格、もう一つは、これから話すブレインウォッシュボールのことや。
 ヒナタちゃんはシルフの発表会に出席しとったみたいやけど、BWボールの説明は聞いてたんか?」
「いえ……」
「そうか。そやったらこれ聞いたら驚くで。
 BWボールには、ポケモンに技を忘れさせる機能があるねん。
 身体能力の高さをウリにしとったポケモンやったら微妙やけど、
 特殊能力、特にエスパー系のポケモンをそのボールで捕まえたら、効果は一目瞭然……ちゅう話や」

あたしはBWボールの仕組みを尋ねかけて、先読みしたマサキ博士に遮られた。

「実際にボールが使われたところは、一度も見たことないねん。
 さっきも言った通り、ワイが携わっとったんはミュウスリー専用の強化骨格の研究開発やからな。
 当然、どんな機構かも知らん。
 けど、BWボールがヤマブキシティの一般ボールの生産に紛れて作られてることと、
 その製造に莫大なエネルギーが必要やっちゅうことは噂に聞いとった」

莫大なエネルギー、という言葉に、あたしは違和感を覚えた。
そしてそれは顔に出てしまっていたらしく、

「なんであんなちっこいボール作るのに莫大なエネルギーいるんか分からん、っちゅう顔やな。
 でもヒナタちゃん、君が考えてる以上に、ボールの製造にはどえらい金が注ぎ込まれてんねんで。
 モンスターボールとハイパーボールには玩具と精密機械くらいの差がある。
 マスターボールがなんで年間に数個しか製造されへんのか。その理由は、製造費と売値が全然釣り合わんからやねん。
 一個作っただけで大赤字や。それでもシルフが作るのやめへんのは、マスターボールがあの会社の象徴みたいなもんやからや。
 潰れへんのにももちろん理由があって、システムが裏でシルフカンパニーに仰山出資してるからや。 
 ちなみにヒナタちゃんが生まれる前に起こった、ロケット団による占拠事件は――」
「マサキ博士!」

アヤメおばさんの一声にマサキ博士は萎縮して、続けた。

「またまた脱線してもうたな。とにかく、BWボールの製造には、莫大なエネルギー、具体的な話したら電気が必要になる。
 突然やけど、ヒナタちゃんはそういった電気の出所に、心当たりがあるはずや」

記憶はすぐに繋がった。
カントー発電所ハギノに再会し、初めてアヤと言葉を交わし、ピカチュウと離ればなれになった場所。
ハギノ率いる組織――システム――が、何故あの発電所を占拠していたのか、今なら推測できる。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 20:53:38.82 ID:eH1PF.co<>ktkr<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/24(水) 21:11:06.38 ID:EwbELZEo<>「カントー発電所の電力がシルフカンパニーの製造ラインに回されとったことは、ほぼ間違いない。
 でもなあ、ワイはどうしても納得できんのや。
 隠密、秘匿が第一のシステムが、なんであんな大それた作戦を実行に移したんや?
 下手したらシステムの存在が一般人に露呈する危険もあった。時間かかっても、もっと穏便な方法があったはずや。
 ミュウスリーと強化骨格の完成に遅れをとって、焦っとったんやろか……今となってはこんな想像しかでけへんのが悲しいわ」
「あの」
「なんや?」
「ミュウスリーと、ミュウスリーを包む骨格の研究に密接な関係があるのは分かります。
 でも、BWボールは、ミュウスリーの何に関係があるんですか?」
「ああ、それは……語弊があったな。
 BWボールがミュウスリー計画にどんな風に関係すんのかは、ワイも詳しくは知らんねん。
 特にBWボールの開発は他の二つと妙な距離置いてたからな。
 もしかしたら、それら三つのプロジェクトの始動時期がほぼ同じやったこと以外に、関連性はないのかもしれへん。
 でも、一概に偶然やとも決めつけられへん。そこが面倒なところやな」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/24(水) 21:39:53.09 ID:EwbELZEo<>そう言って、マサキは苦い微笑みを浮かべた。
世界最強のポケモン・ミュウツーを改良して創られたミュウスリー。
そのミュウスリーを意のままに操る電極、微細な誤差を補正、あるいは強化する外骨格。
そして一見それらのプロジェクトに直接関連のなさそうな、ポケモンを無力化する機能を持つBWボール。
マサキ博士の話を反芻しながら、あたしは隣で、まるでピカチュウが何かに耐えるように虚空を見つめていることに気付いていた。

「他には何かあるか?」

あたしは言った。

「管理者というのは、どういう人のことを指しているんですか」

この質問には、アヤメおばさんが答えた。

「管理者は、簡単に言えば、システムのトップの代名詞よ。
 誰も正体を知らないから、便宜的にそう呼ばれているの。
 サカキが管理者を拉致しようとしたのは、管理者がミュウスリー計画成功の先にある目的について、問い質すためだったのよ」

キョウさんが言った。

「しかしあの夜、サカキが殺めた者は影武者でござった。
 真の管理者は暗夜に身を窶し、側近にさえ心を許さぬと聞く。
 元々、あの場に奴が現れる目算は低かったのでござる」
「だからといってキョウたちの行動が無駄だった、なんて言っちゃあ、サカキのおっさんが浮かばれないぜ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 21:46:58.69 ID:suSs89Mo<>きてるー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 21:58:08.63 ID:rYcVd6AO<>支援<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 21:59:17.37 ID:Cru9k.oo<>作者来てたー!
wwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 22:02:41.09 ID:UPDA/UDO<>管理者…皇帝
サトシ…ダースベイダー
カエデ…ルーク
で俺の中でポケモンウォーズが始まった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 22:07:55.41 ID:KvWl4rUo<>>>284
なんかわからんが主人公カエデかよw<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 22:16:04.77 ID:UPDA/UDO<>>>285
マジ間違えた
下らないこと書いて間違えた時の恥ずかしさは異常
吊ってくる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 22:18:34.51 ID:KvWl4rUo<>どんまいw<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 22:40:55.59 ID:QM2i5tc0<>もし管理者がミューツーとかのポケモンだったらって想像してしまった…
でも普通は自分の複製なんて作らないよな…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/24(水) 22:42:52.25 ID:EwbELZEo<>「シゲルの言うことはもっともだ。まあ、俺は今回、ずっと裏方だったわけだが」

タケシさんの言葉に、エリカさんが決まり悪く目を伏せる。
それを慌てた様子で取り繕うタケシさん。
冷ややかにその遣り取りを眺めながらも、口元は薄く笑っているキョウさん。
呆れた様子でシゲルおじさまと顔を見合わせているアヤメおばさん。
まるで同窓会を見ているみたいだった。けれど、その温かい雰囲気は、

「確かにサカキの本来の目的は果たせなかったかもしれない。けど、得るものはあった」

シゲルおじさまの一言で原点に帰ってしまった。
あたしとピカチュウをのぞく皆が、一様に暗い表情を宿す。
ふと、この場から逃げだしてしまいたい気持ちに駆られた。
あたしにはピカチュウさえいれば、それでいい。
お父さんのことは忘れると決めた。
今更お父さんの真実を、それも良くない話を聞いて何になるの?
何を得られるの?
何が始まるの?
お父さんのことは、あたしの中ではもう、終わったことなのに――。

「ヒナタ」

肩が震えた。

「さっきの質問が、最後じゃないだろう」

目を逸らす。
シゲルおじさまの声には、あたしの退路を断つ力が籠められていた。
けれど、そこには絶対の強制力というものがなくて、結局は聞くも聞かずもあたし次第、ということだった。
沈黙の海に誰かが助け船を出してくれる気配はなく、あたしは口を開いた。

「……あの人は、どうしてシステムにいるんですか」

シゲルおじさまは答えた。

「サトシがシステムに入った理由を知るには、本人に直接訊くしかない。
 だが、あいつがシステムに属してからの十数年間、何をしていたかは想像できる」

マサキ博士が接ぎ穂を接いだ。

「レッド。それがサトシくんのコードネームや。
 システムで他の構成員の素性について話すんはタブーやったけど、それでもそのレッドの噂は全然違う部署のワイにまで届いてきた。
 レッドは瞬く間にシステムの地位を上り詰めて、そのうち噂にも上らんくらいの高みにいってしもた。
 ワイがそこそこシステムで物言える頃になっても、足許にも及ばんくらいの高みにな。
 ワイがレッドの正体に確信持てた、というよりも直接会えたんは、ミュウツーが創られた孤島の再調査に行った時のことや。
 レッドはワイを含めた調査隊の護衛を務めてたんや。
 ワイがレッドの正体に確信が持てたんは、その時や。
 サトシくんは、ワイが知っとるサトシくんとは違ってた。
 けど、ワイのことは覚えといてくれとったみたいで、それからちょこちょこ連絡取り合うようになったんや」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/24(水) 22:49:49.03 ID:EwbELZEo<> レッドはワイを含めた調査隊の護衛を務めてたんや。
 ワイがレッドの正体に確信が持てたんは、その時や。 ×

 レッドは――サトシくんは、ワイを含めた調査隊の護衛を務めてたんや。 ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/24(水) 23:03:49.54 ID:bYNxg6M0<>ここでレッドktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/24(水) 23:45:16.84 ID:Cru9k.oo<>面白すぎる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/25(木) 00:10:38.55 ID:N4OPIm6o<>レッドにニヤニヤするわww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/25(木) 00:12:05.92 ID:p2s4oEco<>レッド「………………ニヤリ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/25(木) 00:21:34.74 ID:4F/yuHI0<>レッド・・・
スペシャル読みたくなったな
 
ピカチュウの神がかり方と
グリーンのなんというかカッコよすぎる感じwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/25(木) 00:22:53.32 ID:q5nR3USO<>最近ポケスペが発掘された俺は勝ち組<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/25(木) 17:46:33.74 ID:NoLfj5Qo<>すっかり忘れてたけど、うーうーは・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/25(木) 21:41:04.42 ID:3eMpvkDO<>ちゃんとヒナタと一緒にいるだろばかぁぁぁぁあ(´;ω;`)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/25(木) 22:05:52.94 ID:p2s4oEco<>(´;ω;`)うーうー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/27(土) 21:52:26.45 ID:V5A5IBM0<>気になる(`・ω・´;)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:33:17.84 ID:EsK6mUAO<>誕生日キタ---(゜∀゜)---
ポケモンの世界に行けますように<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:38:14.19 ID:9bfo.HMo<>誰もいないと思ったら大間違いだぜ

おめでとう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:39:32.29 ID:RRGOG16o<>おめでとう!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:40:13.79 ID:2qBXS0.o<>ありがとう!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:46:12.25 ID:jIt5FFEo<>おめでとう!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:48:47.84 ID:nFIgxL6o<>おめでとー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:51:10.89 ID:AZJvRFQo<>なんというヌクモリティ

おめっとさん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:57:10.84 ID:ObkL3JYo<>おめでとう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 01:58:42.50 ID:4l0vwEAO<>おめでとう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 01:59:31.69 ID:hn4slqco<>おめでとさん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 02:49:40.86 ID:BUbhjcSO<>おめでとう!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 02:51:46.27 ID:9mPGXako<>おめでとう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 03:06:05.48 ID:bEKpowDO<>新劇場版始まったとはいえスレ違いだぞっ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 12:55:52.27 ID:fU/4cYAO<>おめでとう!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 19:17:29.41 ID:XOF6y960<>おめでd!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 19:19:52.19 ID:yTHpb32o<>おめでとう!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 19:59:50.24 ID:r8v99YY0<>おめでとう!( ゚д゚ )<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 20:16:20.51 ID:NsCWghAo<>なんだよこの流れ・・・



おめでとう<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/29(月) 20:25:46.71 ID:B/BueGUo<>「サトシくんはシステムに入ってから二年後には、要人の護衛を任されるようになったっちゅう話や。
 それも柄悪い輩と連なって保護対象囲むようなヤツやない。個人での護衛や。
 システムの偉いさんには取り巻きぞろぞろ連れるん嫌う、神経質が多いからな。
 サトシくんみたいな一人で何人分もの仕事できる人材は重宝したみたいや。
 しかも任務成功率が100%っていうから笑えるやろ?今はどうか知らんけどな。
 サトシくんはそれからも順調にシステムで仕事続けて、ワイも時々サトシくんのポケモンの調子みたり、特注品作作ったりしたってた。
 なんでサトシくんがシステム入ったんか、そのことは訊かんかった。
 サトシくんもワイになんでシステム入ったんか訊かんかった。まあ、暗黙の了解みたいなもんや。
 お互いにその話題は避けとった。ワイとサトシくんが疎遠になったんは、」

マサキ博士の唇が不自然な形に固まって――あたしは反射的に身構えた。

「サトシくんが結婚した頃からやな」

でも、受け止めきれなかった。
お父さんがあたしやお母さんを捨てて、別の女の人と結ばれていたことは分かっていた。
こんなの、なんでもない。ただの再確認じゃない。
何度そう言い聞かせても、閉ざした心の隙間から、冷たいものが入ってくる。

「マサキ博士っ!」
「事実だ、アヤメ。まやかして何になる」
「シゲルくんまで……。これ以上はヒナちゃんに酷だわ」

あたしはその冷たい何かに身を委ねながら言った。

「いいんです」
「ヒナちゃん……」
「続きを訊かせて下さい」
「ヒナタちゃんがこう言うてる以上、他のもんが水差すのは野暮やで。
 ……サトシくんは稀代のポケモントレーナーや。その遺伝子の価値は高い。
 当然その遺伝子を宿すんは、適格者が相応しい」
「適格者?」

キョウさんが尋ねた。

「ああ、そういや説明してへんかったな。
 適格者は、君らみたいなポケモンを操る才に長けたモンの総称や。
 そして、そん中でも選りすぐりの適格者が、サトシくんの伴侶になったんや。
 突然やけど、ヒナタちゃんにはここにいるはずの人間で、サカキとマチス以外に欠けてるモンが誰か分かるか?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 20:26:52.84 ID:9bfo.HMo<>ktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 20:27:10.11 ID:hn4slqco<>作者キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 21:27:07.84 ID:E5pra0EP<>作者きてるー!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 21:47:18.24 ID:i0Gf582o<>ktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 21:54:44.08 ID:ObkL3JYo<>一瞬空気嫁と思ってしまったすみませんでした<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 22:17:49.75 ID:EsK6mUAO<>よくぞこの流れをぶった切ってくれた
キタキタですぞ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 22:58:58.81 ID:p/C1iQSO<>楽しくてもなんでも限度が大事
スレチだったし

母親ってまさか…ごくり<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/06/29(月) 23:27:14.20 ID:B/BueGUo<>勉強と投下の両立が難しくなってきているから困る
今日はタスクが多すぎて無理、今週で書けるのは火水木飛んで金と土くらい
ごめんだお( ^ω^)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 23:28:14.75 ID:9bfo.HMo<>待つお( ^ω^)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 23:37:41.36 ID:j1JJsEgo<>受験生なんだから勉強優先でおk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/29(月) 23:42:38.50 ID:r8v99YY0<>ああ、ナツメ・・・か・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/29(月) 23:47:25.01 ID:2qBXS0.o<>アヤはサトシと血が繋がってないことを期待してたんだがな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/30(火) 00:16:19.63 ID:H6dtB6DO<>この夏が重要だから勉強優先してくれ〜


サァトシくん(・ω・`)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/30(火) 01:12:00.52 ID:12yp7r6o<>>>330
えっ?かつらじゃないの?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/30(火) 01:12:28.40 ID:iaVHWk6o<>お前ら自重<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/06/30(火) 04:46:27.63 ID:uOr//uo0<>キクコか・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/30(火) 07:01:01.88 ID:B6MWocAO<>http://mbex.sk2w.jp/functions/regist.php?friendid=a6ade5aa93b826f8de63c663e1159bf7
β版無料モンスター育成ゲームなんだが
今のところVIP民ネバワ民モバゲ民で争っている
ランキング1位目指そうぜww

登録した後の流れ

はじめてガイド熟読

モンスター生成

酒場の奴適当に選んでバトル

ギルド新しく設立or加入

わからない事があったら質問してくれww
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/30(火) 16:18:56.51 ID:ezqEjYEo<>え、でもそれならヒナタも十分的確してる気が<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/30(火) 17:39:44.60 ID:/xk9pkDO<>前から思ってたんが、作者さんはブーン系も書いとるんかの<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/06/30(火) 19:00:02.27 ID:2qUfrYAO<>未来の話も作者の過去もどうでもいいんだ!
早くポケモン世界への入り口を探す作業に戻ろう!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 12:32:26.19 ID:fLF5RMDO<>ということは…フユツグとアヤは兄弟なのか…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 16:05:17.44 ID:8BBA1gDO<>えっ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/02(木) 17:53:13.20 ID:Ui1XJQSO<>>>340
まぁそうなるわな……


あ、いや、棒違いの兄妹かな?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 17:55:49.19 ID:vpaY9Iso<>異 様 な 携 帯 率<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 18:54:15.80 ID:3vEzDUwo<>異様な携帯率って日本語おかしくね?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 19:23:18.62 ID:3xpQkgDO<>別におかしくなくね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/02(木) 23:01:44.68 ID:R2s1vfI0<>おかしくなくなくなくなくね?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 00:11:04.67 ID:U2zEIlo0<>てかディーラーが誰だったのかわからん…orz
アニメオリジナルのキャラか?アニメの方も割と詳しいと自負してたのに…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 00:46:26.85 ID:2593FVgo<>ムサシとコジロウの養子じゃね?
ピカチュウがバンギラスの破壊光線に救出された後の会話で出てきた気が<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 01:38:18.06 ID:lODaPUDO<>>>348
後半の一文、だいたい合ってるがなんか違くねーかwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 03:35:03.52 ID:U2zEIlo0<>>>348
トンクス。完全に覚えてなかた…。
まとめwiki見てきた。
ついでに、あの時からすでにアヤはサトシの娘フラグ立ってたんだな…<> 「私はたぶん3人目だと思うから」<>sage<>2009/07/03(金) 22:06:13.22 ID:2593FVgo<>初めっから立ってなかったけ?
ピカチュウは私のものって<> 「汚された、私の心が。加持さん、汚されちゃった」<>sage<>2009/07/03(金) 22:26:07.76 ID:OIGqjoAo<>赤字流行ってんの?<> 「意地も張れぬ繁栄などこちらから願い下げだ」<>sage<>2009/07/03(金) 22:29:34.94 ID:LLAVwXIo<>・・・なんじゃこりゃwwwwww<> 「ニンニクラーメン、チャーシュー抜き」<><>2009/07/03(金) 22:32:42.54 ID:CdoUCQAO<>エヴァかこれwwww<> 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします<>!nasu_res sage<>2009/07/03(金) 22:37:31.37 ID:OIGqjoAo<>!bluenameすると2chVIPの名無しになるぞwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 22:56:51.37 ID:.mbfTkUo<>サファリゾーンくらいから分かりやすく伏線張ってたよね<> 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 23:36:09.68 ID:ZLjgTCQo<>てす<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 23:46:08.62 ID:JHa.cW2o<>明日は作者来るかな〜wwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/04(土) 01:30:53.84 ID:7v45.YDO<>またきます<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/04(土) 12:29:56.46 ID:M8a0bIAO<>たすきまま
襷ママ
なんかふしぎ!<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/05(日) 01:17:15.65 ID:3Q1G1oEo<>ここにいる人たちで、あたしやマサキ博士を例外としたときに浮かびあがる共通点。
それは、今現在、もしくは過去にジムリーダーという肩書きを持っているということ。
それさえ分かれば、後は消去法で済んだ。

「ナツメさんと、カツラさん、ですか?」
「ワイは聡い子が好きや。正解やで、ヒナタちゃん」

マサキ博士はにこにこと笑いながら、

「今この場には、二人のジムリーダーが欠けてる。
 結果は同じでも、その理由は別々や。
 そこらへんはワイよりシゲルくんの方が詳しいんちゃうか?」

話を振られたシゲルおじさまは少し顔を顰めて言った。

「もう随分前の話になるが、ナツメはシステムの情報を探ろうとしていたサカキに協力して、精神に異常をきたしたんだ」
「えっ――」

熱に浮かされたようにぼうっとしていた頭に、電流が走る。
今の言葉で、謎が解けた。
あの夜、

――『僕の母を精神的に殺したのは、裏社会の暗渠を這い回る鼠のような男だ』――

フユツグは憎悪を込めた声でそう言った。
その男こそが、サカキだった。

なんて、皮肉なのかしら。

ナツメさんはシステムを白日の下に晒すためにサカキに協力していた。
能力を酷使した結果、ナツメさんは精神を病んだ。
フユツグはお母さんがそんな風になった原因を憎んだ。
そして、その原因――ナツメさんを唆した男――を探るために、システムに身を投じた。

「ナツメは当時、ただ一言の弱音も吐かず、精力的に尽くしたそうだ。
 勿論サカキにも、それに甘えようとする気持ちはあっただろうさ。
 だが、ナツメの脳が負荷に耐えきれなくなるまで能力を酷使させようなんて考えはなかったはずだ。
 だから、ナツメの心が壊れた責任は、誰にもないんだ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/05(日) 01:18:46.24 ID:u4S4.c20<>作者ktkrwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 01:19:39.04 ID:tx1FtYgo<>ktkr<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/05(日) 01:29:33.08 ID:3Q1G1oEo<>最近プラチナを貸してもらったがなんだよこれ
初代系列で時間が止まっている俺にとって
クールなインターフェイス、疑似3Dマップ、時間の概念、大量の新ポケモンは衝撃的すぎた
とりあえず今はボロい釣り竿で釣り上げたコイキングだけが心の拠り所
コイツ以外に知ってるポケモンがいない寂しさ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/05(日) 01:30:14.49 ID:6VlJDgoo<>序盤でコダックでてくるぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 01:40:40.27 ID:jhN2lTko<>>>364
ポケモン廃人の俺が作者に何かポケモンやるよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 01:42:39.56 ID:Hvb7PtQo<>作者キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 01:43:08.54 ID:mnmTPcSO<>皆勤のズバットも<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 01:46:14.20 ID:Hvb7PtQo<>イシツブテやイワークもいるぞ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/05(日) 01:47:53.20 ID:nHU.Wygo<>俺も金銀で時間が止まってるから今のポケモンにはついていけないぜ
いや、金銀ですら今はもうよく覚えてないなww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 09:26:34.63 ID:0FCfWo2o<>ピカチュウとか結構いろいろ居るだろww
まあ、作者が最新作やってくれるのはうれしいな、もしかすると新しいポケモン出るかもしれんし
折角だから2作目リメイクの金銀買おうぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 09:27:54.62 ID:0/oZNoAO<>ktkrと思ったら同じタイミングでプラチナやっててワロタ
何か気に入ってる御三家が居れば全部揃ってるからくれてやんよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 15:07:03.66 ID:J4XTlxw0<>リメイク金銀をフル仕様にするためには、
ダイパプラチナの何れかと映画の前売り券が要る、ってのが面倒だな…
それにリメイクは図鑑もどうせ約500匹になって性格とかもあるだろうから
往時の記憶のままで留めて、買わずにおいたほうが無難なのかもな…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/05(日) 15:43:04.14 ID:3Q1G1oEo<>「責任の所在については今はどうでもええやろ」

マサキ博士は興味なさげに言った。

「もう一人のジムリーダー……カツラがここにいない理由が肝心なんや」
「カツラの爺さんは十中八九、システムの人間だ。サカキはそう言ってた。
 あの人はポケモントレーナーであると同時に、ポケモン遺伝子工学の権威だからな。
 それは確信に近い推測で、別に確たる証拠を掴んだわけじゃない。
 けど、サカキはリスクを犯さなかった。俺たちは黙ってそれに従った」
「ええ判断やったな」
「てことは……」

マサキ博士は微笑を浮かべて、

「カツラはシステムの人間や。それも、ミュウスリー計画の要とも言えるほどシステムに貢献してる。
 表ではジムリーダー続けながら、たいしたもんやで、ほんまに。
 カツラとシステムの関係は深い。
 なんせカツラはミュウスリーの前身、ミュウツーを創る研究にも一枚咬んでたくらいやからなあ。
 さてと、そろそろ話戻そか。
 サトシくんの伴侶に選ばれた適格者はな、実を言うと、カツラの娘さんなんや。
 カツラには二人の娘さんがおって、選ばれたのは妹の、サヤっていう子や。
 彼女の能力は、適格者の中でも特に希少価値の高い能力でな、どんなけレベル高いポケモンでも、触れただけで服従させることができたんや。
 二人が結婚してから一年か二年ほどして、アヤちゃんが生まれた。
 でもな、」
「それ以上は蛇足ですわ。マサキ博士」

エリカさんの厳しい言葉に、饒舌な語り口が止まる。
気付けば、誰もがあたしに視線を注いでいた。
マサキ博士が決まり悪げに目を伏せる。
気遣いなんて、いらないのに。
たとえその続き――お父さんと、サヤという女の人と、二人の娘であるアヤの話――を聞かされても、あたしはきっと、平気なのに。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 15:52:29.42 ID:5RYxu7Ao<>きたー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 15:53:23.31 ID:5RYxu7Ao<>どんなけレベル高いポケモンでも ×
どんだけレベル高いポケモンでも ○

では?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/05(日) 15:53:26.21 ID:dGeqP2DO<>     _     -―-   _
   , ', -、ヽ'´       `'´, -、ヽ
   ! {  /            ゙   } i :.+ 
 ワク ヽ`ー,'    ●  _ ● ゙ー'ノ +.:  
  ワク  ` !   '' , '´ ▼ ヽ'' l" クマ  
       ヽ _ i ___ 人 __ i ノ クマ   
     ─(___.)──(__)─ 

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/05(日) 16:21:50.27 ID:3Q1G1oEo<>そんなあたしの気持ちは汲まれずに、話は少し前に遡る。

「マサキの話で確証を得られたが、サトシはシステム要人の護衛を務めてる。
 これはサカキの読んでいた通りだ。
 サトシはあの晩、偽物の管理者を護衛していた。
 だが、サカキのスピアーに偽物が殺されそうになったとき、サトシはあえてそれを止めようとしなかった。
 そうだな?」
「相違ない」

キョウさんがシゲルおじさまに頷き返した。

「ということは、サトシは護衛対象の管理者が偽物だと知らされてたことになる。
 つまり、サトシは本物の管理者が誰だか知っている可能性が高い。
 もしかすると、今このときも、本物の管理者の護衛に就いているかもしれない」

管理者の近くには、お父さんがいる。
お父さんの近くには、管理者がいる。
もし管理者の居場所が分かって、そこに行くことになれば、必然的にあたしはお父さんと再会することになる。
その意味について、あたしはゆっくりと考えた。
これだけのメンバーがこの場に集っている理由を説明し終えた大人は、あたしが俯いている間に、現況確認に話題を変えた。

エリカさんを除くジムリーダーはそれぞれ代理を立てている。
代理が認められる期間は最長で二ヶ月。それを過ぎれば監理能力を問われて、面倒なことになる。
また、サカキが釈放される見込みはなく、生きて刑期を終えられる可能性もない。
ただ、もし自分が国家権力に屈することになった場合のためにサカキは手を打っていて、
サカキ直属の手下が逮捕されたり、ロケット団消滅後の足跡を辿れるような情報媒体が警察の手に渡ったりはしていない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 16:35:52.19 ID:Hvb7PtQo<>やっぱり嫁はカツラの娘だったか・・・
wwktkすぎる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 18:14:55.23 ID:6Ley2cDO<>シネシネ光線を考えるような奴がシステムだとは信じられない<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/05(日) 21:18:19.33 ID:6NP6CgQ0<>ばか・・・はずれです<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/05(日) 22:49:53.77 ID:0/oZNoAO<>カツラまだ生きてるのか
プラチナ対応のポケモン技リストを見つけた今日の俺は機嫌が良いぜフヒヒヒヒ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 09:52:01.96 ID:wmWfc.Yo<>wiki更新速すぎw<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 13:08:31.42 ID:nJlTUoDO<>Wikiすごいよな<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/06(月) 23:40:17.43 ID:Z27O/sko<>ギンガ団鬼畜すぎワロタ
ロケット団の亜種かと思って舐めてたが
伝説ポケモン欲しさに無関係な池のコイキング爆殺とかマジで外道<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 23:41:02.59 ID:LsDk9Zwo<>なにそれこわい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 23:42:07.71 ID:Z0ooip.o<>どくしゃは ちからなく まっている・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 23:43:06.65 ID:wmWfc.Yo<>ちなみにロケット団も金のために無関係なカラカラのお母さんを殺したマジで外道。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 23:44:10.03 ID:SJMvGkSO<>あれはみた時切なくなった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 23:46:51.97 ID:SJMvGkSO<>あれは見た時切なくなった

作者は手持ち何入れてるんだろ
やっぱりピカチュウかな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/06(月) 23:47:46.49 ID:Z27O/sko<>>>387
ごめんなさい
懐古しながらプレイしてたら嵌ってしまった
取材……ということにしつつ再開します<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/06(月) 23:54:30.79 ID:cFn9yGwo<>とりあえず>>387はコイキングの代わりに爆殺されてこいよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/06(月) 23:58:01.46 ID:56PdI6AO<>めのまえが まっくらになった!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 00:21:58.47 ID:gS2qYGgo<>全然いいよ、俺は嬉しいしゆっくりやってくれ
でも小説とゲームで受験忘れないでくれよ?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 00:23:34.12 ID:J7BMcuQo<>このスレの中にVIPのうーうースレに書きこんでいるやつがいるな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 00:24:05.18 ID:LxZb/Woo<>プラチナスレ民もいるな<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/07(火) 00:36:37.75 ID:fXAS2Jwo<>システムに潜んでいたサカキのスパイとは連絡が取れなくなっていたが、
それについてはマサキ博士が摘発されたことを証言、悪い予測が現実のものになる。
シルフカンパニーの屋上から飛び去ったお父さんの行方は、大まかな方角しか分かっておらず、
本物の管理者の居場所については、想像すらできない状況である。

それらの報告が卓上で消化された後で、シゲルおじさまが言った。

「マサキ博士以外の面子は知っての通りだが、
 俺はサカキに頼まれて、少し前までグレン島に出張してたんだ。
 さっきも言った通り、グレン島じゃあ遺伝子工学の研究が盛んだ。
 海辺には巨大な研究所が堂々と並んでて、体面上、所長は冴えないオッサンになってるが、実質的な権力を握っているのはカツラだ。
 そこで秘密裏にミュウスリーの量産が行われていると判断するのに、材料は十分すぎた。
 若い頃の俺なら単身で飛び込んでいったんだろうが……」

シゲルおじさまはやれやれ、と溜息を吐いて、

「今の俺――いや、俺たちか――には面倒な肩書きが多すぎる。
 綿密な襲撃計画は何度か練られたものの、結局はサカキが蹴ってご破算になった。
 理由は二つ。
 一つは、敵中に飛び込むのはリスクが高すぎる。
 もう一つは、下手に騒ぎを起こして、万が一にもミュウスリーを覚醒させるようなことになれば、取り返しのつかないことになる。
 そんなわけで俺に命じられたのは、慎重かつ穏便な調査任務だった。
 正直に言っちまえば、俺はもしミュウスリーの量産が確認できたときは、研究所ごとミュウスリーを"処分"するつもりだったんだ。
 サカキには内緒でさ」

何気なく使われた"処分"という言葉には、普段の気さくなシゲルおじさまからは想像もできないような無機質な響きがあった。
たとえ創り出されたミュウスリーに罪がなくても、きっとシゲルおじさまは、躊躇いなくミュウスリーを殺 す。
何故なら、ミュウスリーは存在してはいけないポケモンだから。ミュウスリーは人類の繁栄を脅かすポケモンだから。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 00:36:59.09 ID:LxZb/Woo<>乙<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/07(火) 01:00:55.47 ID:fXAS2Jwo<>「でも、現実にはそうならなかった」

タケシさんの言葉にシゲルおじさまは頷いて、

「研究所にミュウスリーの姿は見あたらなかった。
 俺は器用なことは苦手に思われがちだが、潜入活動には自信がある。
 見落としはない。隈無く研究所を捜索した結果がそれだ」
「それで――空手で帰ってきたのでござるか?」
「慌てるなって、キョウ。
 グレン島の住人の一人が、興味深いことを教えてくれたんだ。
 なんでも真夜中に、研究所とどこかを往復するヘリを見たヤツがいるらしくてさ。
 しかも研究所から出て行く時には、コンテナを吊り下げて大型飛行ポケモンの護衛がついてるっていうから面白いだろ」
「場所を移し替えたのね?」
「ほぼそれで間違いないだろうな。
 ミュウスリーはグレン島で創られた後、どこかに移送された。
 その理由も、移送先も不明だが……」

シゲルおじさまに倣って、複数の瞳がマサキ博士に集中する。

「マサキ博士。あんたなら何か知ってるんじゃないのか。
 繕っても白々しいだけだから言っとくけど、この時期に都合良く寝返ってきたあんたを、100パー信用するのは難しい。
 その怪我にしても、俺たちを信用させるためにわざと負った可能性も、否定はできない。
 けど、八方塞がりの現状を打開できそうなのは、あんたの持ってる情報くらいなんだ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 01:02:44.71 ID:LxZb/Woo<>うん、うん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 01:10:50.93 ID:ciMFyYAO<>ギンガ団の赤い鎖工場はアニメに出来ないグロさなんだよな
作者よ、ゴルバットは育てておいて損はないぞ
逃げるポケモンが捕まらなさすぎて寝れなさそうだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 01:17:52.29 ID:LxZb/Woo<>431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/07/07(火) 00:56:33.50 ID:vzwlvgCMO
クレセリア捕まらねえ・・・
眠ってるのに逃げるとかどんな状態だよ馬鹿にすんな('A`)


まさか・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 01:24:16.96 ID:ciMFyYAO<>何回もやめて!
うちのゴルバットちゃんではすばやさ足りなくて逃走余裕でした(^q^)
こうなったら意地でもボールだけで捕まえてやんよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 01:24:59.31 ID:LxZb/Woo<>やはりかwww分かりやすすぎワロタw<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/07(火) 01:47:14.63 ID:fXAS2Jwo<>マサキ博士はその台詞に動じた様子もなく答えた。

「シゲルくんの疑心はもっともや。
 どっちつかずの蝙蝠は嫌われるのが自然の理やからな」

自分に集まった瞳の一つ一つに視線を返しながら、

「結論から言うて、ミュウスリーの移送に関して、ワイは何も知らん。
 君らもシステムについてサカキから聞かされてるんやったら分かるやろ。
 システムの人間は、必要な情報と仕事しか与えられへんねん。
 ワイの場合はミュウスリーの精神制御とそれをアシストする骨格の開発を任されてたけど、
 それを付ける実物がどこで開発されて、どこに安置されてんのかは、まったく知らされへんかった。
 サカキが推測したように、ワイも十中八九、グレン島で創らてれるんやろうなあって思ってたけどな。
 そっからどこに移動したんかは、これは想像のしようがあらへん」

すまんな、というマサキ博士の声に、誰も応えなかった。
息苦しい沈黙が降りている中で、あたしだけがいつもどおりに呼吸して、頭を働かせていたと思う。
お父さんがあたしの知らない女の人と結婚していたという事実を耳にしてから、
あたしはこの場にいる意味を、この場で行われてる話し合いに対する関心を、急速に失いつつあった。
それが客観的な視点をあたしに与えてくれたのかもしれない。
マサキ博士の緩んだ口元は、まるでまだ何かの情報を吐き出したりない、という風に見えた。
隣のピカチュウを見る。
あたしの視線に気付いたのか、ピカチュウは円らな瞳を瞬かせて、首を傾げた。
ピカチュウは生きている。ピカチュウのみならず、ポケモンは皆生きている。
その"生"を人間が計算で無理矢理に再現するなんて、本当に可能なのかしら。

「あの」

もうあたしには、関係のないことなのに。
口にしてから、傍観者に徹するだけの辛抱がなかった自分を恨む。

「どうしたんだ、ヒナタ」
「あたしには遺伝子工学や、ポケモンを操る原理なんてわかりません。
 けど、ひとつだけ……気になることがあるんです。
 実際にミュウスリーを操ろうとしたら、いったいどれだけの設備が必要になるんですか」
「最低でもスパコン二台。それもしょぼいヤツやったら話にならん。
 ワイが研究してた地下施設には半端ない性能のスパコンが四台あって、初めての装着テストの時には三台フルで回してたわ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 01:55:31.90 ID:ciMFyYAO<>やったー!
クレセリアを つかまえたぞ

ここ見ながらだらだらやってて良かった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 02:07:34.66 ID:gS2qYGgo<>高性能のスパコン三台ってそれじゃ軍用には使えなんな
スパコンの大きさがどんくらいかしらんけど、タンスくらい?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 02:07:35.18 ID:osRTpQDO<>自己アピールはそのぐらいで終わらせるわけにはいかないか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 02:08:35.90 ID:i3/XAIY0<>作者と対戦できる日を楽しみにしてるぜ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 02:11:46.82 ID:3ipCyiQo<>>>407
小さすぎね?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 08:24:27.17 ID:kdrbPkAO<>>>407
建物丸々がスパコンってのは見たことがある<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 18:30:48.28 ID:da8Q9ME0<>>>410-411
つ【メタグロス】<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 20:11:49.84 ID:6tn5.lko<>>>412
あのUFO野郎三体がミュウスリーを…
想像しただけでもちょっと情けないな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/07(火) 21:24:36.73 ID:jkn3/7k0<>なんか違和感あると思ったが解決した


ミュウスリーって6文字だからだ

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 21:26:01.71 ID:PUt55JAo<>ミュウ3でおk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/07(火) 22:07:10.49 ID:uNHO1eEo<>ミュウミ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/07(火) 22:43:46.95 ID:thD8mkSO<>>>413
ミュウスリー倒すよりメタグロス3体倒す方が速い<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 22:47:29.13 ID:0.ywhTwo<>ミュウサンでFA<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 22:53:51.53 ID:R5sEEdQo<>ネスサンみたいでちょっと…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/07(火) 23:38:26.48 ID:ikvV0eAo<>キモチイイ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/08(水) 00:37:54.59 ID:hYOHya6o<>エリカさんがおっとりとした口調で尋ねた。

「その"すぱこん"という設備は高価なものなんですの?」
「いちから説明した方がよさそうやな。
 スパコンっちゅうのは、スーパーコンピュータの略称や。
 名前似てるからいうて、世間に普及してるパソコンと一緒にしたらアカンで。
 スパコンには今の時代の最新技術が詰め込まれてる。
 構築費も維持費もアホみたいに高いけど、その分、演算速度はヘボいもんでも普通のコンピュータの千倍以上や」
「……ものすごい電卓と考えてもよろしくて?」
「まあ……、そやな、それでもええわ」

腑に落ちない様子のエリカさんを余所に、シゲルおじさまが言った。

「今の話がマジなら、ミュウスリー計画には欠陥があるな」

ただ一人を除いて、皆の意識がシゲルおじさまに集中する。
あたしはマサキ博士の口角が、何かを待ち侘びるように上がるのを見た。

「システムがミュウスリーを単体で動かすとは考えにくい。
 量は質に勝る。たとえミュウスリーが規格外のポケモンでも、その法則は覆らない。
 つまり、ミュウスリーは必ず複数体で現れる。
 だが、たった一体動かすのにそれだけの設備が必要なら、
 部隊編成なんて望むべくもない、システムの馬鹿げた資金力を考慮しても二、三体を同時に動せるスパコンを準備するのが限度だ」

そうだろ?――シゲルおじさまの問いかけに、一同が頷く。
重苦しい雰囲気が少しだけ軽くなる。
ミュウスリーの強さを、あたしたちは知らない。
でも、ポケモンリーグのランカーにはジムリーダークラスの強さを持つトレーナーがたくさんいる。
そういったトレーナーが団結すれば、ミュウスリーが二、三体現れたところで、恐れる必要はないのかもしれない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 00:41:29.51 ID:a/JxrC2o<>作者来てた━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 00:44:37.65 ID:4LdlGHw0<>少しずつでも毎日更新のほうがやっぱり良いな
それより電卓って… 多角経営してるはずなのにそういう面は疎いのか…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/08(水) 01:04:40.80 ID:hYOHya6o<>ふと抱いた幻想は、

「ミュウスリーに使われる演算装置がスパコンやったら、そうやな、シゲルくんの言うとおりや」

マサキ博士の一言で儚く消えた。

「どういう意味なの?」

アヤメおばさんの真剣な眼差しを軽々と受け止めて、マサキ博士は愉快げに続けた。

「そのまんまの意味やで。
 ワイもシステムでミュウスリーの骨格開発に携わってた頃は、ずっとミュウスリーの絶対制御数の矛盾について考えてたわ。
 他の研究員は盲目的に働いとったけど、ワイは一度でけた疑問はいつまでたっても引きずる性格やからな。
 結局はシステムが、スパコンを超える計算装置持ってるんやろて自分を納得させたんや」
「そんな計算装置が実在するのか?」
「さあな。こっから言うことは、正直、信じるに値せえへん話やで。
 盛り過ぎて頭のネジ緩んだ研究者の妄言として聞くもよし、史学のパラダイムシフトに関わるような高説として聞くもよしや」

沈黙がマサキ博士を促した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 01:13:00.94 ID:2GdaPMDO<>「エリカさん可愛いよエリカさん」と言っていたら布団の上に天の川、すなわちミルキーウェイが出来上がっていた……<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 01:54:01.58 ID:2JC2XeUo<>>>425
あまり つっこまないで おこう・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 03:53:41.63 ID:aa9SJDko<>そういえば七夕だったのか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 06:26:56.95 ID:SAbeqDk0<>漁師<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/08(水) 17:51:02.03 ID:hYOHya6o<>「君らは、ポケモンが存在せえへん、人間が自分の力だけで文明を築いてた時代があった、っていうたら信じられるか。
 人間がこの星の支配者たりえた、人類史の黄金期とも言える時代があったことを、信じられるか」
「い、いきなり何を言い出すんだよ」
「さっきの話と関係あんねん。ワイは真面目に訊いてる」

エリカさんが静かに反論した。

「人間とポケモンは遙か古より共存してきた。わたくしはそう教えられましたわ」

タケシさんもそれに強く同意した。

「人類の黎明期において、ポケモンが果たした役割は大きい。
 ポケモンの存在がなければ、人類はここまで発展できなかったはずだ。
 今でこそ物が豊かになって、ポケモンがいなくても生活に不自由がないように感じられるかもしれないが、
 都市部から遠く離れた僻地じゃ、ポケモンの力は生活維持に必要不可欠だ。
 俺は年中全国を回ってるから、それがよく分かる」

マサキ博士は反応に満足そうな笑みを浮かべて言った。

「君らの言い分は正しい。
 古代の人類がポケモンの力借りたおかげで今の繁栄があんのに、そのポケモンがいないと仮定すんのは、矛盾してる。
 誰でもそう思うわな。けどな、こうも考えることはでけへんか。
 ポケモンがいた所為で、古代人は思うように発展できんかった。
 ポケモンに比べて、人間はあまりにひ弱や。
 無理矢理にポケモンを遠ざけようとしても、生活圏は圧迫されるし、野生のポケモンの襲撃に怯えながら暮らさなあかん。
 その結果、古代人はポケモンに対して排他的な姿勢をとれず、共存する道を選ぶことになった。そうは考えられへんか」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/08(水) 17:54:21.31 ID:hYOHya6o<>都市部から遠く離れた僻地じゃ、ポケモンの力は生活維持に必要不可欠だ。 ×

都市部から遠く離れた僻地は、未だポケモンの力がなければまともに生活できない状態だ ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/08(水) 17:59:46.11 ID:hYOHya6o<>追加修正

古代の人類がポケモンの力借りたおかげで今の繁栄があんのに、そのポケモンがいないと仮定すんのは、矛盾してる。 ×

古代の人類がポケモンの力借りた結果として今の繁栄があんのに、そのポケモンが存在せえへんかった時代を仮定すんのは論理が破綻してる ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 18:06:52.39 ID:a/JxrC2o<>作者ktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/08(水) 19:15:37.18 ID:j8FpTy2o<>ktkr<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/08(水) 20:10:01.65 ID:hYOHya6o<>あかいくさりの研究グロすぎワロロ
研究者も引くってどんだけ
結晶を取り出したってどういうこと?
アカギはあの精神のポケモン三匹に何をしたの?
あとギラティナさんの心の広さマジパネェっす

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 20:43:09.22 ID:P9licoAO<>そういや前にもポケモンが居ない時代の話してたな
アルセウス涙目wwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/08(水) 23:40:59.05 ID:J761Atwo<>ルビサファでもせいぜいうっかり天変地異起こすぐらいだしな
原爆ネタとかあるけど

プラチナは下っ端団員が洗脳されてたりするし
ポケモンシリーズは結構ブラックだよな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/09(木) 00:15:10.31 ID:0U83Q7w0<>ポケモンって改めて考えると究極兵器だよな…
もしキャタピーやケムッソ辺りですらモスラ並だったら世界は何度滅ぶのか…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/09(木) 01:50:54.00 ID:ATyuCADO<>マグマ団女子はかわいいよね唐突に言うけど<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/09(木) 02:08:19.56 ID:9En0fxgo<>火山の中でもフードだから汗ぐっしょりでハァハァってか…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/09(木) 02:39:45.30 ID:dbdylcg0<>普通にアクア派だわ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/09(木) 14:09:44.81 ID:FIB/Opg0<>なんかこれを思い出した

http://ksklog.blog108.fc2.com/blog-entry-837.html<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/10(金) 02:03:35.81 ID:y3Oyk6go<>あたしは徐々にマサキ博士の話に惹き込まれていった。

「史実と断定すると抵抗あるやろうから、最初はイフの話として考えてもええ。
 もしポケモンがこの星におらへんかったら、人類はどんな風に発展してきた?
 まず、世界地図が完成してたやろな。
 それに連動して、新資源の発掘が容易に行われる。
 さっきタケシくんが言ってたような、都市部と僻地の格差も無く、
 ポケモンに依存してた部分は機械が代替するようになるはずや。
 街と街の間には野生ポケモンの棲息地の代わりに綺麗な道路が敷かれてたはずや。
 それ以前に生活環境の向上で人口爆発起こって、土地が足りんような事態になってるかもしれん。
 自然は当たり前みたいに切り崩されて、人間に都合ええように作り替えられていく。
 需要と供給のバランスはいつでもちょっと前者が上で、後者はそれに応えようとして、
 結果、産業基盤の社会資本――インフラは加速度的に充実、成長していき、
 」

タケシさんが信じられないといった風に言った。

「ポケモンがいなければ……本当にそうなっていたのか?」
「逆に聞くけど、君がワイの例え話を信じられへん理由は何や。
 この世界の23%の土地が人類未到なんは、そこにおる強力なポケモンが人を絶対に寄せ付けへんからや。
 新資源の開発に着手でけへんかったり、街と街の間を安全に往復でけへんかったりするのは、野生ポケモンの襲撃にあうからや。
 結局、人類が思うように発展でけへんかった理由は、ポケモンに帰結する」

隣で、ピカチュウが耳を震わせるのが分かった。
アヤメおばさんは間断なくマサキ博士の言い分を否定した。正確に言えば、否定しようとした。

「想像の域を出ない話だわ。マサキ博士。
 あなたの例え話が事実で、ポケモンが存在せず、人類が自由に発展できた時代が過去にあったとするなら、
 その時代から繋がる現在に、当時の繁栄の名残がどこにも見あたらないのはどうしてなのかしら。
 ポケモンが現れて人類の最盛期が終わっても、それまでに培った技術が失われてしまったわけじゃないんでしょう?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/10(金) 02:04:45.54 ID:PsG1Ce.o<>まさかのこの時間wwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/10(金) 02:10:23.93 ID:v27yDESO<>ちらっと来てみたらwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/10(金) 11:03:07.88 ID:abB9oAAO<>実際今の人間vsポケモンで戦争したらフルボッコにされるよな
マジキチ性能が多すぎる
モンスターボール開発した奴は天才<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/10(金) 15:57:06.54 ID:rPy21kSO<>昨日ブックオフで昔のポケモンカードの本買ったらマサキの苗字と生年月日載っててワロタ
こいつ今年で42歳なんだな…<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/10(金) 20:24:06.87 ID:y3Oyk6go<>ポケモンが現れて人類の最盛期が終わっても、それまでに培った技術が失われてしまったわけじゃないんでしょう? ×
ポケモンが現れた所為で人類の最盛期が終わったのだとしても、それまでに培われた技術が全て失われるわけではないでしょう? ○



<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/10(金) 20:24:34.50 ID:xz.Pnx6o<>作者来た!<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/10(金) 21:17:02.79 ID:y3Oyk6go<>「古代人が衰微した理由は、ポケモンの出現やない。
 古代人は自ら滅びの道を歩んだ。
 行過ぎた文明の末路は決まってる――自滅や。
 復興の兆しが見えた時、既に黄金期の産物のほとんどは失われてた。
 人類は振りだしに戻ることを余儀なくされた。
 それと時期を同じくして、この星に現れたのがポケモンや。
 人類が荒廃した世界から目を背けるように縮こまってた間に、生態系は大きく変化してた。
 長い時間が過ぎて、人類が恐る恐る外に出たとき、既にこの星の支配者の座は奪われてた。
 以上がワイの仮説や」
「証拠はあるのか?」

とタケシさんは尋ねた。

「ないで」

とマサキ博士は即答した。

「けど、証拠がある場所は検討がついてる。
 ここで君らに質問や。このカントー地方で、一番野生ポケモンの質が高くて、
 ランカークラスのポケトレしか立ち入り許可されてない場所はどこや?」
「セキエイ高原……でござるか?」
「ご名答。ワイとヒナタちゃん以外のモンは、踏破した経験があるはずや。
 あそこはポケモントレーナー最後の登竜門やからな。
 セキエイ高原には、別名が二つある。
 一つは有名やから、みんな知ってるやろ。"野生ポケモンの聖域"や。
 でも、もう一つの方――"アーティファクトの草原"は多分、誰も知らんはずや」
「アーティファクト?」
「この中に考古学とか古人類学とかをちょっとでも囓っとるモンはおらんのか?
 アーティファクトっちゅうんは、人工遺物のことや。
 セキエイ高原では、そのアーティファクトがたまーに発見される。
 熱心な学者にとっては垂涎ものや。
 けど悲しいかな、そういう学者ほどポケモントレーナーとしては二流なんが多くて、
 アーティファクト見つける前に野生ポケモンに襲われて命を落としてる。
 かくいうワイも、若い頃はセキエイ高原探検したことあってな、あの時は本気で死を覚悟したわ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/10(金) 21:30:36.41 ID:x8jCcvQ0<>そういえばマサキってカンサイ地方出身だよな?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/10(金) 21:39:30.65 ID:eDaqUISO<>ジョウトのコガネシティだっけ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/10(金) 22:07:43.43 ID:9no4Dyco<>>>450
ジョウトのコガネシティ出身<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/10(金) 22:47:09.05 ID:y3Oyk6go<>シゲルおじさまが言った。

「その冒険譚はまた今度聞かせてくれ。
 セキエイ高原にアーティファクトが存在していることは分かったよ。
 けど、そいつはあくまで常識の範囲内の代物で、あんたのいうポケモンがいない時代を考証できるような物じゃないんだろう?」
「その通りや。公表されてるアーティファクトはどれもこれも、古いのに状態がええっていうこと一点を除いたら、特に価値があらへん。
 でもな、考えてみ、もしどっかの組織が、
 そういった現代科学で説明できんようなアーティファクト――オーパーツ――を隠蔽しているとしたらどうや?
 発見されたアーティファクトは、公表されても問題ないと、その組織に精査されてから公表される。
 偶然オーパーツを発見した探検家は、その組織のモンに口封じされる。
 そんな決まりが、セキエイ高原に人の手が初めて入った200年前からこっち、ずっと罷り通ってきたとしたらどうや?」

誰よりも否定的だったアヤメおばさんが、今ではマサキ博士の話に聞き入っていた。

「その組織って……」
「システムの他に、何がある」

エリカさんは静々と尋ねた。

「マサキ博士は、その隠されたオーパーツが何なのか、知っていますの?」

マサキ博士はくっくっくっと喉を鳴らしながら、

「君らも知ってるはずやで。セキエイ高原に造られたポケモンリーグの中枢に、何があんのか」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/10(金) 22:55:35.34 ID:sHV62cDO<>殿堂入りしたら記録される機械か

なんか赤やりたくなってきた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/10(金) 23:16:28.73 ID:l1Gaqh20<>しかしよくこんな設定思いつくな
面白いお<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/10(金) 23:23:56.19 ID:TteE6VIo<>マジでおもしろいな
ってかここまで話を広げられる事に感心するわ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/11(土) 00:00:00.37 ID:ZAjsW8Q0<>文才といい、展開といい、作家になれるよな

マックにジラーチ貰いに行きたいが、恥ずかしい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:02:07.38 ID:jq2ZKMEo<>家のWi-Fiでも受け取れるぜ
俺は堂々とサブロム込みで3つ貰ってきたけど<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:07:10.56 ID:zocwyeIo<>家のWi-Fiでも貰えたのかよ……恥を忍んでマックに行ってきてしまったぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:08:09.54 ID:fvhSynQo<>>>458
データ消して5匹^q^<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:14:35.72 ID:fqmGvpAo<>そのジラーチが水の波動を覚えてくれるのか凄く気になる…
……が、ダイパとかプラチナ持ってないから諦めるしかない orz<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/11(土) 00:23:08.77 ID:nRWWyB.o<>シゲルおじさまが呟いた。

「セキエイのコンピュータ、か」
「この中で、セキエイのコンピュータを見たことあるもんはおるか?」

全員が首を横に振る。
例えポケモンリーグに出場資格を持つランカーでも、
リーグで安定した実力を認められた結果、任命されるジムリーダーや四天王でも、
セキエイの深奥に位置するコンピュータに触れることは許されない。
その資格を持つのは、ポケモンリーグを勝ち抜き、四天王を乗り越え、当代のチャンピオンを倒した者、ただ一人だけ。

「見たことはない。だが、どんな物かは爺さんに聞かされて知ってる」
「シゲルくんのお爺さん……オーキド博士か。
 あの人もずっと昔にやけど、ポケモンリーグ優勝経験あるからなあ。
 博士、元気にしてはるか?」
「何度一緒に暮らそうって持ちかけても『マサラタウンに残る』の一点張りさ。
 自分ではまだまだ元気なつもりなんだろうが、傍から見てたら心配で仕方がない」

あたしはふと、オーキド博士のことを思い出した。
友達がいなかった幼い頃のあたしにとって、オーキド博士の研究所は絶好の遊び場だった。
あたしが訪ねると、オーキド博士はいつも皺いっぱいの笑顔を浮かべて迎え入れてくれた。
そしてポケモンの話をしてくれたり、研究所にいるポケモンに触れさせたりしてくれた。
オーキド博士はあたしにとって、本当のお祖父ちゃんのような存在だった。
でも、博士の年齢に限界が近づいていることは確かだった。
マサラタウンを旅立つ前日、直接あたしの家に赴いてポケモン図鑑を手渡してくれたオーキド博士は、きっと、歩くのも辛い状態だった。

「ともかく、俺が爺さんから聞かされた話はこうだ。
 セキエイのコンピュータには、リーグ優勝したトレーナーと、そのトレーナーの所持ポケモンのデータが記録される」

シゲルおじさまはあたしを一瞥して、すぐに目を逸らした。

「データは定期的に更新される。そのデータを閲覧できるのは新しいチャンピオンだけで、それ以外の人間は触れることはおろか見ることもできない。
 平時はそのコンピュータがある部屋は厳重に閉ざされていて、鼠一匹侵入できないそうだ」
「不思議やと思わんか。
 どうしてわざわざ、ポケモンリーグ優勝者のデータが残ってるコンピュータを、そこまで神経尖らして管理せなあかんのや?
 リーグ優勝者が誰で、そいつがどんなポケモン使ってたかなんて、ポケモンリーグ終わった後は誰でも知ってることやろ。
 そうすると結論は、そのコンピュータ自体に価値があって、リーグ優勝者のデータは、そのコンピュータに記録されて、初めて意味があるってことになる」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:27:11.33 ID:jq2ZKMEo<>シゲルはチャンピオンになったことない設定なのか…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:28:10.54 ID:fvhSynQo<>>>463
そういやシゲルは四天王しか倒してないな・・・まさか初代チャンピオンなんじゃ・・・<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/11(土) 00:33:23.53 ID:nRWWyB.o<>シゲルはチャンピオンになったことがないという設定
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/11(土) 00:33:48.17 ID:2EJ.nhIo<>tst<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:35:36.48 ID:e0c9agDO<>先代 「負けた……」
シゲル「コレで俺が世界で一番強いトレーナーだっ!」
ワタル「早速だが挑戦者が現れた」
シゲル「まだ殿堂入りの登録してないんだけど」
ワタル「そんな時間はない、さっさと準備しろ」
シゲル「いやいや待てって……」
ワタル「カイリュー、破壊こうせ……」
シゲル「わかりました準備しましゅ」


こんな感じで殿堂入り前にベルト奪われたんだよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:52:10.70 ID:JEY2wj.0<>先史文明が滅びたのは核戦争で、ポケモンは放射能による突然変異、ってことだよな?…
ポケモン見られるなら核戦争も良いな、と一瞬でも考えてしまった自分が怖い…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:54:25.00 ID:tdMjuIDO<>お前の目は>>1を読めない節穴だな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 00:57:25.63 ID:bZZOlEDO<>>>468
シャレにならん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 01:10:22.03 ID:gmj.vjso<>>>468
そんなお前にFallout3おすすめ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 13:15:49.65 ID:ZkjovIAO<>外で子供がセミ捕まえたのかテッカニンゲットだぜー!って叫んでて和んだ
もう夏なんだな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 21:30:32.32 ID:MkJ8M9Mo<>俺もヌケニン見つけたわ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/11(土) 22:32:04.03 ID:JSAL/Yk0<>俺ノコッチみっけた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/11(土) 22:33:31.76 ID:fvhSynQo<>>>474
うp<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 07:44:30.40 ID:WooP3TY0<>今放送中のポケモンで、ポケモンレンジャーのヒナタっていう人が出てるぞ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/12(日) 11:30:24.40 ID:AdEidW2o<>考えつきもしなかった。
セキエイのコンピュータが、古代文明の遺産だったなんて。

「コンピュータの価値は、そのまま処理速度の高さを表わしてる。
 セキエイのコンピュータが、既存のどんなスパコンよりも優秀な演算装置やったとしたら、
 あるいはミュウスリーを同時に何十体も操ることが可能かもしれへん」
「何十体も? 冗談だろう?」
「数字は適当に言ったまでや。実際はそれより少ないかもしれへんし、それより多いかもしれへん。
 なんせ性能が未知数やからな。
 けど、もし仮にセキエイのコンピュータが量子コンピュータとかの類やったら終わりや」
「量子コンピュータ?」
「超並列処理が可能な、現代では理論上構築不可能な量子計算機や。
 こいつがあれば、実質的にミュウスリーの絶対制御数に上限がなくなる」

無数のミュウスリーに対抗できる術はない。
あたしはマサキ博士の言った「もしもの話」を信じたくなかった。
重く垂れ込めた沈黙を破ったのは、エリカさんだった。

「希望的観測は無意味ですわ。
 量子コンピュータの存在を否定することはできません」
「一度落ち着こうぜ、エリカ」

シゲルおじさまが言った。

「確かにセキエイのコンピュータの正体が分からない以上、
 そいつがトンデモコンピュータであることを否定することはできない。
 だが、同時にそいつを肯定することも、俺たちにはできないはずだ」

マサキ博士は目をぱちぱちと瞬かせてシゲルおじさまを見た。

「君も若い頃と比べて思慮深くなったなあ。
 種蒔いたワイが言うのもなんやけど、今の話は鵜呑みにせんほうがええ。
 最初に前置きしたと思うけど、これは所詮、仮定に仮定を積み重ねた仮定論や。
 土台の仮定が崩れたら、上に乗ってる仮定も一挙に崩れるっちゅう仕組みになってる。
 もしワイが今の話を論文として学会に発表したら、次の日からワイは奇人変人扱いされる。
 どんなに筋道たてて信憑性あるように話しても、そこに傍証がなければ与太話に過ぎんからなあ」

一同を見渡して、

「でも、ここで大事なんは、君らは頭硬い研究者やのうて、ポケモントレーナーっちゅうことや。
 ワイの与太話に賭けるもよし、別の線から当たるもよし。
 君らで話し合って決めたらええ」

マサキ博士は不敵な笑みを浮かべた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 11:31:13.46 ID:ZQaDmeYo<>作者来たー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 13:56:19.60 ID:AdEidW2o<>----------------------------------------------

夜が更けてきたこともあり、話し合いは後日に持ち越された。

「おいで、ピカチュウ。
 難しい話ばかりで、疲れたでしょ」

肩によじ登った僕を、ヒナタは優しく撫でてくれた。
手の平から伝わる愛情に、その愛情が所以の彼女の危うさに囚われて、僕は身動きが取れなくなる。
ヒナタは僕に依存している。そして、これ以上何かを失うことを怖れている。
夕刻、午睡から目覚めたヒナタが、近くに僕が見えないことで取り乱す姿を目の当たりにしたとき。
僕は幸せな夢から醒めた。
無条件に得られる幸福に甘んじるのも一つの選択だろう。
システムのことなんて忘れて、ヒナタと一緒に充実した余生を送る。言葉にすると、より魅力的に思える。
けど――それはまやかしの幸福だ。
僕はヒナタより長生きすることができない。ヒナタが喪失を人生の糧にできるほど、成長するのを待つこともできない。
近い未来、僕を失ったヒナタのために、今の僕ができること。
その答えを、僕は死ぬまでに見つけ出すことができるのだろうか……。
ふと、後ろから足音が聞こえた。
振り向かなくても分かった。タケシだ。

「少し、話がある」
「タケシさん……どんなお話ですか」
「ここでは話せないから、俺の部屋に来て欲しい」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 13:58:15.12 ID:ZQaDmeYo<>これは・・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 14:27:55.89 ID:AdEidW2o<>ヒナタは少し迷うような素振りを見せてから、頷いた。
タケシに宛がわれた客間のひとつは、ヒナタが宛がわれた部屋と同じような造りをしていた。
入った時には既に暖房が効いていたが、どこかの隙間から暖気が漏れているのか、温かくはなかった。
タケシは単刀直入に口を切った。

「カスミから伝言を託かっている」
「お母さんから、ですか?」
「今朝、手紙が届いたんだ」
「それならどうしてもっと早く……」

ヒナタが顔を赤らめて俯く。
今日はたっぷりと寝坊したことを思い出したのだろう。
タケシはあえてそれには触れずに、

「カスミは、君がマサラタウンに帰りたければ、帰ってきてもいいと言っている」
「お母さんは、その……」
「事情は全て伝わっているよ。
 直接迎えに来ないのは、あくまで君の意思を尊重するためだ」

カスミはヒナタがマサラタウンを旅立つその時になっても、過去を語ろうとしなかった。
サトシが何も言わずに姿を眩まし、つまるところ、カスミとヒナタを捨てたことを教えなかった。
カスミがヒナタを旅に出すことで一番怖れていたのは、きっと、ヒナタが旅の途中で真実を知ることだった。
それが現実となった今、カスミの心は娘が受けた傷を心配するあまり、押しつぶされそうになっているに違いない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 14:58:21.50 ID:AdEidW2o<>そしてその傷を故郷で癒してあげたいと思うのは、母親として当然の心理だろう。
マサラタウンに帰るということは、とりもなおさずシステムやミュウスリー計画のことを忘れ、逃げるということだ。
しかし、誰がヒナタを責めることができる?
追い求めていた父親に改めて捨てられ、しかもその父親が新しい家庭を築いていたことを告げられたヒナタに、誰がこれ以上を望むことができる?
マサキはサトシの過去を語ったとき、ヒナタは気丈に振る舞っていた。
何故エリカがマサキ博士を制止したのか、分かっていない様子だった。
きっとヒナタは、自分がその双眸をいっぱいに潤ませていたことに、気付いていなかったのだ。
ヒナタの心の傷は、彼女が思っているよりも深い。
だから、

「タケシさん……」

僕はヒナタが逡巡なく、マサラタウンに帰る道を選択すると思っていた。

「……考えさせてくれませんか」

ヒナタの発言が理解できなかった。
保留の理由は、どこにある?

「俺は別に構わないが……、できるだけ早く決めたほうがいい」
「どうしてですか」
「選択肢が増える前に決めた方が、悩まずにすむからさ。
 もしも、明日シゲルに『システムの調査に同行してくれ』と頼まれたらどうする?
 たとえ嫌でも、咄嗟に拒むことができないだろう。
 君はお母さんに似て優しいからな」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 14:59:22.80 ID:AdEidW2o<>マサキはサトシの過去を語ったとき、ヒナタは気丈に振る舞っていた。 ×

マサキがサトシの過去を語ったとき、ヒナタは気丈に振る舞っていた。 ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 15:18:55.96 ID:JC.joKUo<>おお、すごい
一気に来てる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 15:24:04.24 ID:AdEidW2o<>そういう思惑があることは、薄々察していた。
何故ヒナタを話し合いに参加させ、真実を伝えたのか。
それはミュウスリー計画の深刻性を知らせることよって、ヒナタに偽りの義務感を与えるためだ。
知ってしまった以上は、関わり続けなければならない、という心理で束縛するためだ。
ミュウスリー計画を阻止しようとすれば、確実にサトシが立ちはだかる。
その時、誰もヒナタに、サトシをポケモンバトルで打ち負かすことは期待しないだろう。
ヒナタはそこに存在するだけでいい。それだけでサトシに動揺を与えることができる。
ただし、再びサトシと対峙したヒナタが負うことになる精神的負担は、元から計算に入っていない。
残酷で、合理的。
ヒナタを姪のように可愛がっていたシゲルらしからぬ考えだが、
今の彼はサカキの意思を引き継ぐ立場にある。
行動の方針が決まれば、彼は私情を殺して、ヒナタに同行を頼むだろう。
僕はヒナタが帰郷を選択することを願った。
しかし、

「それでも……やっぱり、考えさせてください」

ヒナタの返事は変わらなかった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 16:14:50.75 ID:AdEidW2o<>「そうか」

タケシは目を細めて呟いた。
と、その時、襖の外を渡っていた複数の足音がぴたりと止まった。

「すいません、タケシさん。ここにヒナタいませんか?」
「いるよ。ちょうど今話が終わったところだ」

襖が開いて、タイチとカエデが姿を見せる。

「探したぜ」
「いつまで経っても奥の部屋から戻ってこないから心配したじゃない」
「ごめんなさい」

会釈して立ち上がるヒナタに続きかけて、足を止める。
タケシに目配せすると、察してくれてようだ。

「ピカチュウを置いていってもらっていいかな。
 こいつと会うのは本当に久しぶりでね。積もる話が山とあるんだ」
「それは……」

珍しくタイチが空気を読んだ。

「いいじゃねえか、少しくらい。あんまり過保護だと、窮屈だと思うぜ」

ヒナタはしばらく悩んでいたが、
最後は僕の額に自分の額を押し当てて、
「眠たくなったら、すぐにあたしの部屋に戻ってくるのよ。分かった?」と言い残し、
三人で連れ立って去っていった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 16:33:17.79 ID:AdEidW2o<>「これで良かったんだな」
「ピカ、ピカチュウ」

心遣い、感謝するよ。
するとタケシはニッと笑って、

「行けよ。まさか本当に昔話に花を咲かせるつもりなのか?
 まあ、俺はそれでもいっこうに構わんがな」

昔話はまたいずれ、他の面々が揃っている時にしよう。

「ああ」

タケシが無邪気に頷き、襖を開けてくれる。
"その時"がやってくるまで、僕は生き存えているだろうか。
そんな暗い自嘲を胸に、僕は冷たい廊下を歩き出した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 16:57:04.87 ID:AdEidW2o<>------------------------------------------------

あたしが聞いた話をそのまま話し終えた時、二人の反応は見事なまでに正反対だった。

「有りえねえ。マジで有りえねえ」
「…………………」

有りえねえ、を連呼するタイチと、ひたすら物言わぬ貝に徹し続けるカエデ。








休憩<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 16:57:36.84 ID:ZQaDmeYo<>おk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 17:51:32.52 ID:VvyeeYAO<>小乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 18:39:31.26 ID:1c0Os7c0<>量子コンピュータ早く実現しないかな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/12(日) 19:52:42.93 ID:AdEidW2o<>プロットはできてるのにそれを膨らます作業が苦痛に感じる
終点は見えていて、書き始めた頃よりもずっと心は軽いはずなのに
どうしてかな 分からない<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 20:13:44.97 ID:5IlbhDAo<>気分転換だな。俺のちんこでもしゃぶってみたらどうだろうか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 20:43:45.34 ID:H7.dHM2o<>スランプが来たらいったん休んでもいい
俺はそーした<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 20:47:19.59 ID:QFcgQsDO<>リフレッシュは大事だからさ

不安なんて食べちゃおう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 21:41:49.66 ID:VvyeeYAO<>あれと一緒だな
育てたいポケモン何匹か決めたはいいが技決めて性格揃えてタマゴ孵化させてV作って努力値配分してって考えてたらもういいやってなるもんな
俺はとりあえず寝る
そして放置余裕でしt<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 22:00:32.83 ID:Yj8dJMAO<>いやぁ〜やっぱり面白い…作者はゆっくり作ってくれれば、良いよ。良い作品は、待つ時間も楽しいもんだよ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 22:43:27.22 ID:XOJgSkDO<>このスレまだ続いてたのかwwwwwwww
去年の冬くらいに見かけたから、半年以上続いてるのか
面白過ぎて一日掛けて読みきってしまった、俺の休日返してくれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/12(日) 22:45:03.40 ID:ZQaDmeYo<>>>498
むしろ休日を有意義に過ごせてよかったじゃないか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/13(月) 01:52:45.42 ID:4qqjbLso<>こうして毎日スレの更新チェックするのもひとつの日課として
定着してしまったので、終わった後は寂しくなりそうだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/13(月) 10:11:49.30 ID:SAhqtMSO<>>>500
エロが見られるから早く終わって欲しくもある<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/13(月) 10:22:00.82 ID:tPdWYdoo<>>>501もわかるが、俺は>>500だな<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/14(火) 00:17:34.84 ID:gmxvqoYo<>「ミュウスリーはまだ信じられるとして、
 ポケモンがいない時代の超文明とか、
 その遺産のトンデモコンピュータがセキエイに隠されてるとか、お伽噺もいいとこだろ」
「マサキ博士も言ってたわ。
 信じるか信じないかは、あたしたち次第だって」

あたしは畳の上に、シゲルおじさまから貰った地図を広げた。

「でも、これを見て。あの夜、リザードンは東に飛び去っていったわ。
 ヤマブキシティから東に直線を引くと、ほら、セキエイ高原があるでしょ?」
「偶然だって。それにいくら東に都合良くセキエイがあるからって、
 途中で方向転換しないとも限らないし、セキエイ高原に降りたとも限らないじゃねえか」
「それはそう、だけど……」

お父さんはセキエイ高原にいる。
そんな、根拠のない確信があった。
――本当、中途半端ね。
煮え切らない自分に苛立ちが募る。
あたしはもう、この件に関わらないと決めた。
――それなら、どうしてタケシさんへの返事を保留にしたの?
どこからともなく聞こえてくる囁きから意識を逸らしたくて、自然と手がピカチュウの温もり探した。
手は虚しく空を掴んだ。
出し抜けにカエデが言った。

「……そうだったんだ」
「何か閃いたのか、カエデ?」
「前にタマムシシティに来た時――タイチくんと合流する前の話ね――あたし、運よくタマムシ大学でマサキ博士の講義を聴くことができたのね。
 その話の内容を纏めると、」

環境が激変して、生物は淘汰された。
絶滅を免れるためには、生き延びるためには、進化するしかない。
そしてその中でも、一際高い環境適応能力を開化させた生物がポケモンである。

「こんな感じだったんだけど、あたしにはどーしても環境変化のトリガーが何か分からなかったのよねー。
 でもでも、それがもし古代人が内輪揉めの末に引き起こした大規模な環境破壊だったとしたら、辻褄が合うと思わない?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 00:19:15.35 ID:QulCskDO<>リアルタイムktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 00:19:34.37 ID:wZuaDAMo<>作者こんな時間に乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/14(火) 01:04:23.36 ID:gmxvqoYo<>「カエデまでそんな途方もない話信じてるのかよ」
「タイチくんはリアリスト過ぎ。想像は自由なんだから、別にいいじゃん。
 それにー、もしそれが本当なら世紀の大発見なのよ?
 マサキ博士に抜け駆けで論文書いちゃおうかしら。
 天才美少女考古学者現る、みたいな感じでマスコミに取り上げられたらどうしよう?」
「ねえよ、そんな展開」
「きゃはは、タイチくんひどーい」

タイチとカエデの仲は、前よりも親密になったように見える。
なんというか、カエデに遠慮が無くなった。
やっぱり、シゲルおじさまがタマムシティに帰ってきた夜に何かあったのかしら……。
それはきっと喜ぶべきことなのに、素直に喜べない。暗い気持ちが邪魔をする。
タイチは不自然に咳払いして言った。

「マサキ博士の話を聞いて、親父たちはどうするって言ってた?」
「……まだ、決めかねているみたい」

けど、サカキのスパイが捕らえられ、管理者に繋がる有力な情報が皆無な現状では、結局マサキ博士の情報に頼るしかない、と思う。

「きっとマサキ博士の誘導を疑ってるんでしょうねー」

あたしはカエデに反論した。

「あたしは、マサキ博士のことを信じてる。
 マサキ博士はシステムを裏切って、怪我をしてまで、あたしにピカチュウを届けてくれた。
 裏切るような人じゃないと思うわ」
「あたしだってマサキ博士のことを信じたいわよ。
 でもね、ヒナタ。マサキ博士は、一度はシステムの人間だったの。
 マチスの例があるから慎重にもなるわよ。全幅の信頼を寄せた結果、裏切られたのよ?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 01:06:13.51 ID:wZuaDAMo<>おい な に が あ っ た ?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 02:22:39.64 ID:iH1J/oo0<>タイチ…なんて軽い奴なんだ…。
[ピーーー]!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 02:25:07.04 ID:wZuaDAMo<>タヒね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 02:42:43.28 ID:evyg3woo<>いやでもほら、カエデも乳以外スペックは容姿のタイプが違う以外同レベルだしさ
しかたないよ、若いんだもの。な?タイチ[ピーーー]<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 02:43:23.96 ID:wZuaDAMo<>タイチフルボッコスwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 03:00:40.59 ID:HUK7vZ.o<>タイチ[ピーーー]<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 06:55:07.24 ID:D3oyKZIo<>セキエイはヤマブキより西だっ


おっとこんな朝から誰か来たようだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/14(火) 07:38:58.16 ID:qj/FOTc0<>タイチよ……



                    ,ィ⊃  , -- 、
          ,r─-、      ,. ' /   ,/     }     ち
          {     ヽ  / ∠ 、___/    |
   署     ヽ.      V-─- 、  , ',_ヽ /  ,'      ょ
           ヽ  ヾ、  ',ニ、 ヽ_/ rュ、 ゙、 /
   ま        \  l  トこ,!   {`-'}  Y        っ
             ヽj   'ー'' ⊆) '⌒`  !
   で    , 、      l     ヘ‐--‐ケ   }        と
        ヽ ヽ.  _ .ヽ.     ゙<‐y′   /
   来     }  >'´.-!、 ゝ、_  ~  ___,ノ
         |    −!   \` ー一'´丿 \
   い    ノ    ,二!\   \___/   /`丶、
        /\  /    \   /~ト、   /    l \
   <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/14(火) 07:42:03.57 ID:yhMPHkDO<>おまえら少しはタイチ信じてやれよ


タイチ[ピーーー]<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 10:25:20.34 ID:9WumRoAO<>タイチの元にルージュラ入りのモンスターボールを届けるOFF<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 17:05:26.15 ID:hSzziqIo<>カエデはいい。タイチにゆずろう
だがヒナタは俺のだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 17:07:48.40 ID:wZuaDAMo<>>>517
>>258
        、_
       |_'''''' ̄ ''''''_ ̄!
      /(●)  (●) ヽ
      ,゙  ,,ノ(、_, )ヽ、,,  |
       {  `-=ニ=- '    !
 ∩     ヽ, `ニニ´   .ノ     
л hn_‐''´ `   ̄ ´ ヽ   <表出ろ
ゝ....___ ,.. イ      l |
        {       | |
     ,、 '"       ゙、 ヽ
    (  ‐ 、____,.  Y"
     ` ー‐┘  〈_ ,,ノ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 17:21:21.30 ID:Q51Ylhoo<>タイチとカエデが[ピーーー]をしたんですね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 17:31:38.56 ID:ZFBokoko<>[禁則事項です]とか…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/14(火) 17:57:08.50 ID:7oyEBQSO<>タイチタヒね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/14(火) 21:45:32.73 ID:zWBKLgAO<>おまえらwww
タイチの人気に嫉妬するわwww

それにしてもタイチ[ピーーー]<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 21:53:09.27 ID:9WumRoAO<>自分の分身みたいなもんのキャラがこんだけ言われるのもいい気分じゃあないだろうな
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 22:01:42.91 ID:Ga1.cREo<>まぁ、ネタですし<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 22:03:38.88 ID:ZFBokoko<>ま、伊藤誠みたいなもんだろ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 22:12:36.09 ID:/HIWqNgo<>ただの童貞の嫉妬にあてられてタイチが可哀想だ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 22:36:19.23 ID:9WumRoAO<>とかなんとか言ってもタイチのアナルは俺のもんなんですけどね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/14(火) 23:22:13.24 ID:hI3NI2DO<>>>527
カイリキー、もういい、もどれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 00:38:08.90 ID:xsTQMMM0<>おちんちんいじりたい<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/15(水) 17:36:02.77 ID:03UOZRQo<>「マサキ博士は、自分を信用することを強要しなかったわ」
「それさえも演技だとしたら?
 それに、もしマサキ博士が本当にシステムを裏切ってきたのだとしても、それがマサキ博士の話を保障するわけじゃない。
 とにかく、無責任に信じられるあたしと違って、 大人たちは嫌でも猜疑心を持たざるを得ないのよ」

――選ぶということは、その選択から生じる結果に責任を負うということ。
マサキ博士の話が嘘なら、あるいは真実と思い込まれた想像に過ぎなかったとしたら、時間のロスは取り返しのつかないことになる。
あたしは頷いた。

「ま、明日になりゃ結論が出てるさ」

タイチが空気を変えるように言った。

「ところでさっきは、タケシさんと何話してたんだ?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 17:36:38.52 ID:Hr/1/roo<>早いな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 19:10:24.81 ID:xralloSO<>映画のポケモンやってるよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 19:14:12.19 ID:Hr/1/roo<>っそうなんか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 19:32:55.60 ID:PuDJuUAO<>またミュウツーの逆襲やってくれないかな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/15(水) 19:56:12.07 ID:03UOZRQo<>マサラタウンに帰るように誘われていることを明かしたら、
タイチやカエデは、どんな反応を示すのかしら。
そんなことを考えている内に、あたしは自然に言葉を返すタイミングを逸してしまった。
タイチがあたしの顔を覗き込んで、

「どうして黙るんだよ。秘密の話だったのか?」
「ううん、違うの。ただ、ちょっと混乱してて……。
 タケシさんは、お母さんから伝言を頼まれていて、それをあたしに伝えてくれたの。
 お母さんはあたしに、マサラタウンに帰ってきて欲しいみたい」

カエデが気遣わしげな声で言った。

「それで、ヒナタはなんて返事したの?」
「保留にしてもらったわ。でも、」

答えは既に決まっている。
今から思えば、どうして保留にしたのか分からない。

「あたしは、マサラタウンに帰るつもりよ」
「……そう」

カエデは寂しげな微笑を浮かべた。

「ヒナタが決めたことなら、あたしは反対しない」

色々と言いたいことがあるに違いないのに、最小限に言葉を絞ったカエデの優しさを感じる。
これでいいのよ、とあたしは思った。
これからはマサラタウンで、お母さんとピカチュウと一緒に静かに暮らす。
システムのこともミュウスリーのことも、お父さんのこともアヤのこともみんな忘れて……きっと、もう二度と旅に出ることもない。
それでいい。それの何が悪いの。あたしは十分頑張った。十分傷ついた。カエデもあたしの選択を認めてくれている。

「それでいいのかよ」

不意に、あたしは甘美な自己肯定から引きずり出された。

「えっ……」
「それでお前は、本当に後悔しないのかよ」
「ちょっと、タイチくん!」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 20:06:01.16 ID:wdj218k0<>キテルー!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/15(水) 20:09:05.78 ID:PuDJuUAO<>ハイパータイチタイム<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/15(水) 20:17:20.44 ID:M1fxaUSO<>ハッジマッルヨー!


タイチタヒね調子乗んな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 20:18:58.70 ID:PnQmaXAo<>   てめぇらずっと待ってたんだろ!?インデックスの記憶を消さなくてもすむ、インデッ
   クスの敵にまわらなくてもすむ・・・そんな誰もが笑って、誰もが望む最高なハッピー
   エンドってやつを。今まで待ち焦がれてたんだろ?こんな展開を・・・何のためにここ
   まで歯を食いしばってきたんだ!?てめぇのその手でたった一人の女の子を助けて
   見せるって誓ったんじゃねえのかよ?お前らだって主人公の方がいいだろ!?脇役
   なんかで満足してんじゃねえ、命を懸けてたった一人の女の子を守りてぇんじゃない
   のかよ!?だったら、それは全然終わってねぇ、始まってすらいねぇ・・・
   ちょっとくらい長いプロロー / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ グで絶望してんじゃねぇよ!
\ 手を伸ばせば届くんだ!い|  うるさい黙れ   |い加減に始めようぜ、魔術師!!/
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\_______/ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                           ∨      (゚д゚ )
                          <⌒/ヽ-、__ノヽノ |
                        /<_/____/ < < <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/15(水) 20:48:20.46 ID:03UOZRQo<>タイチは真剣だった。真剣にあたしが出した答えに反対していた。
あたしは努めて冷静に答えた。

「後悔するとか、後悔しないとか、関係ないわ。
 旅を続ける理由がなくなったから、マサラタウンに帰るのよ。
 そしてあたしの旅の目的は、あの人に会って、どうしてあたしやお母さんを置いて行ってしまったのか訊くことだったの」

バッジを集めることも、ポケモンリーグに出場することも、全てはその目的を叶えるための手段に過ぎなかった。
珍しくカエデがタイチに舌鋒を鋭くした。

「ねえ、タイチくん。
 これはヒナタの問題で、あたしたちが軽々しく口を出しちゃいけないことだと思う。
 ヒナタが旅をやめると決めたなら、その選択を尊重してあげるべきよ。
 それに大人たちは、絶対にヒナタを作戦に同行させようとする。そうしたら、ヒナタは余計に悲しむことになるのよ?」

言葉は暈かしているけれど……。
カエデはあたしが作戦に同行すれば、結果的にあの人と再会することを分かっていて、こう言ってくれている。
しかし実際のところ、カエデの言葉は惜しかった。
あたしがもう一度お父さんに会ったとき、心に生まれるのは悲しみでも興奮でもない、純粋な居たたまれなさだと思う。
娘として認められなかったあたしが、父権を捨てたあの人に対して、何ができるだろう。何を話しかけられるだろう。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/15(水) 22:11:24.67 ID:03UOZRQo<>きっとあたしは何もできない。何も話しかけることができない。

「どうして自分で自分を縛るんだよ」

口元を押さえる。知らず、唇が動いていたようだった。
心の中で呟いたつもりの言葉は、しっかりとタイチに聞かれていた。









今日はここまで
中途半端でごめん
勉強やめたい受験制度消滅しろカス<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 22:13:09.91 ID:K0hwvYko<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 22:22:44.95 ID:ohJJxvQo<>面白いけど作者、終わらせるつもりが風呂敷広げ始めてないか?
受験勉強はしっかりやれ
公開する奴は山ほどいるんだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 22:24:32.16 ID:KjdU7Qoo<>カスとか口悪すなあ ちょっと笑ったけどww
おつかれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 22:25:52.52 ID:Hr/1/roo<>むしろ勉強してるのがすげ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 22:37:49.63 ID:PuDJuUAO<>乙
疲れてんのな
食いかけのギャバ入りコーラグミ分けてやんよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 22:41:17.77 ID:n5CMFoUo<>夏休みから勉強始めても駅弁くらいなら受かるよ
ということで頑張れ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/15(水) 22:48:59.69 ID:4gUM9MDO<>ハリーポッター見たら、構成が不死鳥の騎士団とハリーロンハーマイオニーにちょっと似てるなって思った<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/16(木) 09:41:14.73 ID:z6/EpPQo<>日本語でok<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/16(木) 09:43:05.49 ID:b7VDY1.o<>ハリー→ヒナタ
ロン→タイチ
ハーマイオニー→カエデ

に似てるって意味か?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/16(木) 11:52:41.77 ID:CY8sokAO<>騎士団はジムリーダーズだな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/16(木) 19:57:04.90 ID:s5tZbek0<>アニメポケモン見ながら読むと複雑な気分になる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/16(木) 23:04:41.77 ID:OSXCWM.0<>ハリー「僕の体、好きにしていいよ…?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/17(金) 01:29:42.75 ID:pUm1Wbco<>>>551
お前のせいでマチスの役割が分かってしもた。市ね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/17(金) 07:37:16.03 ID:s1kzkYAO<>なぜ書いたし<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/17(金) 16:55:13.82 ID:s1kzkYAO<>人に責任を押し付けて自分は先読みとか屑杉ワロス<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/17(金) 18:49:23.12 ID:8cgqanMo<>へ?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/17(金) 18:55:37.44 ID:KrtkzoDO<>556は誤爆?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/18(土) 02:33:06.95 ID:jzvB8mU0<>誤爆というよりは日本語がおかしいんじゃね<> s<><>2009/07/18(土) 11:40:18.65 ID:XKOmdcc0<>s<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/18(土) 16:23:05.27 ID:LVFO9pMo<>>>554は自分で予想しときながら
自分が予想したのは>>551のせいだ、市ねと書き込んだ訳だが

>>556の意見としては
>>551の書き込み見ただけで誰もなんも思わねえよ
むしろお前が予想厨、いちいち書き込んでんじゃねえよカス


ということか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/18(土) 16:24:33.28 ID:7g3zmCYo<>┐(´-`)┌<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/18(土) 18:33:21.69 ID:8V00GoAO<>翻訳家現る
ふとバンギラスの種族値見たら強すぎてフルボッキした
なんだよあの性能<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/18(土) 19:20:59.08 ID:R9WN/VUo<>600軍団はほぼチート
<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/18(土) 23:59:02.55 ID:fjWnE7so<>休みが続いて申し分けない
明日から再開する<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 00:01:05.68 ID:ayHsmdwo<>wktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 00:01:20.29 ID:iLMUpQco<>作者来た
これでかつる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 00:05:42.61 ID:Cbl7sIIo<>wwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 00:08:13.63 ID:lK.PDsgo<>wwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 00:09:33.27 ID:rcgiGQAO<>これでかつるな
映画館で試しにポケモンカード買ってみたらサトシのピカチュウが出て嬉しいやら切ないやら<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 04:37:37.51 ID:4yjYSAco<>wwktk

一瞬休みが続いて申し分ないってよんだ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/19(日) 23:01:56.45 ID:esUq1Zco<>目を伏せていても、あたしの心の奥底を刺そうとするタイチの視線を感じる。

「お前、まだ割り切れてないだろ。
 父親にもう一度会っても仕方ないって、自分で自分に言い聞かせてるだけだろ」
「タイチくんっ!」
「言わせてくれ、カエデ」
「っ……」
「なあ、ヒナタはあんな別れ方で納得できるのか。
 あの時は状況が特殊過ぎたんだ。
 もっと普通の形で再会してたら、結果は全然違ってたはずだぜ」
「…………」

タイチの言葉に煽られて、冷えていた胸の奥が熱を帯びていく。
聞き流せばいいの、無視すればいいの。
そう言い聞かせても、熱は全身に向かって広がるばかりだった。

「ヒナタはもう一度、親父さんに会うべきだ。
 俺の親父は俺の親父の考えがあってヒナタを連れて行くつもりみたいだが、
 ――それとは別の意味で、ヒナタは親父さんに"きちん"と会って話すべきなんだよ」
「……うる……さい」

頭を犯した熱が、怒りに変換される。
止められなかった。
あたしは半ば自棄になって叫んだ。

「勝手なことばっかり言わないでよ!
 あたしがどれだけあの人に会うのを楽しみにしてたか、
 どれだけあの人の言葉に傷ついたか、どれだけあの夜の記憶に苦しめられたか、知らないくせに!
 もう一度会うべきだなんて……タイチにとっては所詮、他人事だからそんなことが言えるのよ!」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 23:03:33.38 ID:lK.PDsgo<>きたああああああああああああああああ

まってました<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 23:03:50.41 ID:Cbl7sIIo<>ktkr<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/19(日) 23:37:02.92 ID:esUq1Zco<>言い過ぎた、と思った時は遅かった。
恐る恐る視線を上げる。
怒り。悲しみ。呆然。
果たしてタイチの表情は、あたしが想像したどの表情とも違っていた。
タイチはちっとも動じていなかった。真剣な眼差しも微動だにしていない。
あたしはふと、タイチが恐ろしくなった。
もしタイチがあたしの暴言にショックを受けていれば、あたしが謝ることでこの場の空気をうやむやにすることができたのに。
タイチはきっと、どんなにあたしが酷いことを言っても折れない。
このままタイチと対峙していれば、マサラタウンに帰る気持ちが揺らいでしまう。

「………やだ………」

気付けばあたしは、逃げるように部屋を飛び出していた。

「……タイチなんか嫌いよ。だいっきらい……」

カエデもあたしを引き留めようとしていた裏で、タイチと二人きりになれたことを喜んでいるのかもしれない。
マサラタウンに帰ると言ったときに反対しなかったのも、二人きりで旅が出来ることを見越してのものだったのかもしれない。
そんな最低の想像をする自分が最低だと自覚できないくらい、あたしの頭は憤りと熱に浮かされていた。

――結局、あたしにはピカチュウしかいないのよ。

部屋で待つ三匹のポケモンは、ピカチュウの代わりにならない。
あたしは黄色の温もりを探して、屋敷の廊下を歩き出した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 23:41:09.32 ID:iLMUpQco<>うおー来てる、待ってました<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/19(日) 23:53:09.40 ID:ekTrpQSO<>ヒナタすっかりピカに依存してるなあ
ともかくwwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/20(月) 00:09:07.37 ID:Xw6OD6w0<>おお…どんどんメンヘラになっていく<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/20(月) 00:13:06.21 ID:QzYUUxwo<>実はトキワの森から、ピカ依存な感じはあったな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/20(月) 00:24:04.21 ID:pt.e4AAO<>○○大好き!なキャラが一人前になっていくのを見るのは好きよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/20(月) 00:46:10.21 ID:G3NpL.AO<>なんか今VIPにスレ立ってるんだけど何あれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/20(月) 00:49:17.75 ID:X9BvouAo<>http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1248017382/

これはひどい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/20(月) 20:09:22.38 ID:QALvaDoo<>偽モンワロスwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/21(火) 18:54:00.37 ID:2QYM8MDO<>まとめから今追いついた。
ヤヴァイ面白い。早く続きが読みたいが、終わっちまうのがもったいない気がする<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/21(火) 23:57:06.48 ID:rriov.Io<>僕が向かった先、マサキに宛がわれた庵には先客が居た。

「――遠慮せんでええねん――もらっとき――」
「――結構です――僕は――ですから――」

中の様子を窺う。マサキとは別の声音には聞き覚えがあった。
入室を躊躇っていると、影が近づいてきて、障子が開いた。

「ちゃんと覚えとったみたいで感心感心。
 てっきりヒナタちゃんとニャンニャンしてて忘れてるかと思っててんけどな」
「ピィカ、チュウ」

まさか。僕は時間と約束に真摯なポケモンなんだよ。
それに加えて体が疼き始めている。忘れようがない。

「そんならチャッチャと済ませた方がええな。
 っと、その前に先客の紹介まだやった。
 まあ君のことやから声で想像ついてたかもしれへんけど、一応言っとくわ。
 タマムシ大付属病院から脱ける時に助けてくれた――」

マサキを無視して敷居を跨ぐ。
マサキの紹介に与った青年は、目を瞠って僕を見つめていた。

「ピカ、ピーカ、チュ」

君がシステムの追っ手を足止めしてくれたおかげで、僕は無事に(マサキは無事とは言い難いが)この場に辿りつくことが出来た。
改めて礼を言うよ。

マサキが吊り下げていない方の手で障子を閉めつつ、

「しゃあない。ワイが通訳したるわ。
 ピカチュウは君にお礼言うてるんや」
「…………」

青年は硬直したまま喋らない。
マサキの通訳を信用していないのか?
一瞬そう考えたが、どうも違うようだ。青年はぱちぱちと瞬きを繰り返して、

「本当、だったんですね。
 あのサトシのピカチュウ……何度も親父とお袋から聞かされてた。
 ははっ……偶然にしてもすげぇ快挙だな、俺……」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/21(火) 23:57:58.63 ID:rriov.Io<>「――結構です――僕は――ですから――」 ×

「――結構です――俺は――ですから――」 ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/21(火) 23:59:45.61 ID:1MhhpU6o<>キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 00:01:58.49 ID:Bo7LrO6o<>作者キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 00:07:33.14 ID:Y90VAkDO<>ピカチュウ×ヒナタ

…ごくり…。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 00:22:25.92 ID:KJZYZwAO<>よくぞ来た
今日は寝れねえぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 00:57:24.01 ID:wZlggF.o<>夏

み<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 04:04:59.93 ID:ddC1QEAO<>チュッチュピカピカ チュッチュピカピカ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/22(水) 13:36:39.03 ID:/P4urx2o<>僕の話を両親から聞かされていただって?
青年の顔をまじまじと観察てみたが、僕と接点のある人物の面影は見えてこなかった。
合点がいかない僕に、マサキが可笑しそうに言った。

「実はこの子、ムサシとコジロウの養子やねん」

サカキの別荘で、見舞いに来てくれたムサシとコジロウの台詞を思い出す。

『養子って言っても、孤児を引き取って育ててあげただけよ。
 15の時には自立して、今はボスの下で立派に働いてるわ』
『といっても、育ての親には連絡の一つもよこさない馬鹿息子さ。
 タマムシで元気にやってるって昔の仲間に聞いて、安心するくらいだよ』

「ん、もしかしてもう知っとったんか?」
「ピィ」

存在だけはね。
僕は青年に顔を向けて、

「チュウ?」

君は偶然あの場にいたのか?
それとも誰かの指示であそこに待機していたのか?
マサキが通訳する。

「俺はあのとき、タマムシ大付属病院の周辺を巡回してたんです。
 そしたらドーブルが異変を感じて……」

よく僕たちに追いつけたね。

「職業柄、タマムシの地形は知り尽くしてますからね。
 何にせよ、あなたが無事で本当に良かった。
 しくじってたら、親父とお袋に半殺し食らってるとこですよ」

と言って、青年は笑った。

「ピィカァ?」

君も無事だったようで何よりだよ。
結局、あの後はどうなったんだい?

「騒ぎを聞きつけた警察が駆けつけてきましたよ。
 男はすぐに姿を消しました」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 13:37:46.45 ID:D3Vsczko<>konnnajikannni<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 13:38:32.01 ID:6jrXcF6o<>キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 13:40:20.41 ID:EPTgICwo<>まさか昼に・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 13:46:45.63 ID:kkvjPTUo<>ちょwwwwww今からバイトの俺涙目、つーかいっつもバイトの時間と被る気がする
帰ってきてから読むよwwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 13:49:44.76 ID:uLkH5SI0<>い…いけめんの匂いがするぞ…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/22(水) 14:28:46.87 ID:/P4urx2o<>青年は詳細を語らずに、腕時計に目をやって、

「俺、そろそろ行きます。
 マサキ博士、肩の怪我、お大事に。
 ピカチュウ、あなたに会えて良かった。
 親父とお袋は昔色々と縁があったみたいだけど、俺はどうかな。
 ……それじゃ」

最後に僕を一瞥して、去っていった。
足音が十分に遠ざかったのを確認してから僕は言った。

「チュウ?」

死んだんだね?

「やっぱり、分かるか」

僕はこれまでにポケモンを失ったトレーナーを何人も見てきた。
彼は僕と話していたとき笑っていたが、目は深い悲しみを湛えていた。

「ドーブルはポケモンセンターに搬送後、死亡確認されたっちゅう話や」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 14:31:44.75 ID:EPTgICwo<>。゚(゚´Д`゚)゜。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 14:38:56.07 ID:spgmTQDO<>orz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/22(水) 14:57:15.00 ID:/P4urx2o<>「ワイはそれ知って、援助を申し出てんけどな。
 案の定振られてもうたわ。
 あの子にはあの子なりの哲学があるみたいや。
 強い子やで、ほんまに。
 血は繋がってへんでも、流石はあの二人の子供ってところやな」

マサキは煙草に火をつけ、それを咥えてから鞄の留め具を外した。
注射器に薬液を吸わせ、外筒を弾く。

「ほな、いくで」
「…………」

マサキの繊細な挙止は、注射針が皮膚を貫いた瞬間を意識させない。
わずかに遅れて、血液を流れる鎮痛剤の冷たさを感じるのみだ。
注射器を片付け終えたあと、自分の吐いた紫煙の行方を目で追いながらマサキは言った。

「今、君が何考えてるか当てたろか」

遠慮しておくよ。

「未来あるポケモンが死んで、先の短い自分が生き存えたことに不条理感じてるんちゃうか」

やれやれ、遠慮しておくと言ったのに。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 15:33:32.14 ID:KJZYZwAO<>だからあれほどロックオンと一撃必殺を覚えさせておけと・・・
(´;ω;`)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/22(水) 16:29:07.39 ID:/P4urx2o<>溜息を吐く僕を余所にマサキは続けた。

「ドーブルが死んだことは、君が心患わせることやない。
 あの子はワイと、何より君をシステムの追っ手から助けられたことを心から喜んでた。
 後でワイが君が入ったボール持ってたこと聞かされて、自分の仕事に誇り持てたとも言うてた。
 これが嘘やないことは、初めて君を間近で見たあの子の反応思い出したら分かるやろ」
「…………」
「あの子はドーブルの死に納得してる。
 せやのに君が後ろめたい思いして卑屈になったら、死んだドーブルが報われへんと思うで」
「……チュウ」

分かったよ。もう、分かったから。

「悪いなあ。説教臭くなってもうて」

いいんだ。君の言っていることは正しい。
ただね、僕は不安なんだ。
死ぬことは怖くない。その気持ちは変わらない。
けど、果たして僕はヒナタに再会すべきだったのかどうか、今ではその自信が揺らいでいる。
"お父さん"という心の拠り所を失った彼女は、僕に依存することで、さらに無防備な状態になってしまった。

「ピカチュウ」

いつになくマサキが冷たい声で言った。

「君がおらんことに慣れてたヒナタちゃんと、今のヒナタちゃんでは、君が死んだ時に受ける感情の落差に天と地ほどの違いがある。
 病院で君は、それを知ってなお、ヒナタちゃんに再会する道を選んだ。
 その代償として、あの子のドーブルは死んだんや。
 今更病院で安楽死しといた方が良かったなんて言うたら、ワイは君を許さんで」 <>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/22(水) 17:34:27.50 ID:/P4urx2o<>―――――――――――――――――――

タケシさんの部屋に行くと、ピカチュウはついさっき出て行ったと言われた。
もしピカチュウがあたしの部屋に戻ったのだとしたら、途中ですれ違っているはず。

「どこに行ったのよ、もう」

爪を噛む。苛立ちと不安で、小さい頃に直った癖が復活しそうになる。
あたしが何気なく庭園に視線を移すと、誰かが正門の方へ歩いているところだった。
常夜灯がその人の顔を淡く照らし出す。

「あっ……」

夕方に見たのと同じ人だった。
既視感がさらに強まる。なのに、それが誰だか思い出せない。
今追いかけてなければ、あの人にもう二度と会えないような直感がした。
靴を取りに行って戻ってきたとき、既に人影は消えていた。
それでもあたしは庭に降りて、常夜灯と青白い月明かりを頼りに人影を見た辺りまで歩いていった。

「探したぜ。何やってんだよ、こんなところで」

振り返ると、そこにはタイチがいた。
きっと、あの人にはもう会えない。
脱力感にも似た諦めで、心がいっぱいになる。

「タイチには関係ない」
「冷てぇな」

タイチは気にした風もなく頭をかいた。

「どうしてあたしを追いかけてきたのよ」
「決まってんだろ。話がまだ終わってないからだ」

しつこい男は嫌われるのよ、という台詞が浮かんだけど、言えなかった。
あたしの心のどこかには、タイチが追いかけてくれたことを嬉しくおもっている自分がいた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 17:38:12.89 ID:Y90VAkDO<>これがエロゲなら一番の佳境に突入ですね

そしてその後は……<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 17:47:54.82 ID:7v8HPgDO<>>>606
夢精オチですね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/22(水) 17:58:02.26 ID:/P4urx2o<>それなのに、口からついて出るのは辛辣な言葉ばかりで――。

「無駄よ。タイチにはあたしの気持ちなんて、わかりっこないもの」
「ああ、分からねえよ」
「……開きなおるのね」
「違う。確かに俺は、ヒナタが今どんな気持ちか分からない。
 俺には親父もお袋もいて、勘当されたこともねえからな」
「幸せ自慢するつもり?」

タイチはあたしの横槍を無視して言った。

「だから、教えて欲しいんだ。
 ヒナタは何でも自分の内に溜め込んで、自分の力だけで何とかしようとするところがあるだろ。
 どうして俺やカエデにもっと色々話してくれないんだよ。
 俺たちはそんなに信用されてねえのかよ」
「そ、そんなこと……」
「ないって言うなら、話してくれ。
 じゃないと俺はヒナタがマサラタウンに帰ることに納得できない」

<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/22(水) 19:46:30.65 ID:/P4urx2o<>本編完結したらスピンオフ書きたいキャラが多すぎて困る
特にサトシ

でも受験がぁぁあぁぁぁ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 19:50:04.99 ID:CYBKuuoo<>スピンオフは受験終わってからだって遅くないぞ!
サトシ編はすごく読みたいから受験終わったら是非ゆっくり書いて欲しい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 19:55:12.69 ID:D3Vsczko<>もう10ヶ月も追ってきてるんだから追うなと言われても追い続けるよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 19:56:53.09 ID:EPTgICwo<>ダネダネ
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 20:00:33.85 ID:Q9ZUpY2o<>俺が来年就職しても続いてる気がする<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 20:33:05.35 ID:ea1ySGgo<>試験期間中なのにバロス
このスレ見つけた後やっと追いついたぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 20:52:03.20 ID:spgmTQDO<>ニャースの進化とかも読みたい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 21:16:31.33 ID:uhXoHYDO<>もし受験前に本編が終わるなら、
受験終わるまで妄想膨らませて
受験終わったらスピンオフ見てスッキリするってのもいいなぁ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 21:54:41.37 ID:KJZYZwAO<>作者の人生が上手く行ってやりたいこと全部やったら色んな奴が幸せになるんだよな
こんなこと出来る奴なかなか居ないぞ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 22:23:18.60 ID:Ce/xYcAo<>いつまででも待つからしっかり勉強して受験を迎えてくれよ
べ・・・別にあんたの為を思って言ってるわけじゃないのよ!
ただ、執筆に夢中になりすぎて失敗したりしたら後味悪いじゃない・・・


まあ、かくいう私も高3でね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/22(水) 22:24:36.68 ID:/jRXA52o<>>>618
悪いことは言わない
今すぐ携帯とパソコンその他ネットに繋げるものを捨てろ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 22:26:45.84 ID:EPTgICwo<>>>618
SS読みながらでも合格できたよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/22(水) 22:27:08.06 ID:CYBKuuoo<>今の時代の受験生は誘惑が多くて大変なんだね<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/23(木) 00:27:47.11 ID:rVQRmvIo<>――タイチに納得してもらう必要なんかない。
そうやって突っぱねる選択肢もあった。けど、頭で考えるよりも先に口が動いていた。

「あたしとお母さんのことは、あの夜、あたしがあの人の前に顔を出すまでずっと忘れられていたの。
 あの人にとって、あたしは邪魔者以外の何者でもないのよ。
 だからシゲルおじさまがあたしを同行させたところで、シゲルおじさまの期待通りにはならないの」
「なあ、一旦ヒナタの親父さんが失踪以来何をしてたかとか、ヒナタのことをどう思ってるとか、そういうの全部忘れろよ。
 大切なのは、ヒナタが親父さんに対して、どう思ってるか、だろ」

それ以上突き詰められたら、あたしはきっと全てさらけ出してしまう。
分かっていながら、続くタイチの言葉を待った。

「一分でも会いたい気持ちが残ってるのか?」

俯く。

「完全に縁を切っちまいたいと思ってるのか?」

首を横に振る。
動作を終えてから自分の回答に気付いた。

「ま、待って、今のは無意識で……」
「無意識のうちの行動ほど、深層心理を反映してるって言うぜ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 00:34:12.94 ID:Npf15.DO<>タイチがカッコいいな

Wikiで夢精タイチを読んで安心してくるわ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 00:37:48.70 ID:KXLq8uIo<>もう許してやれよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 01:09:19.36 ID:UK.SV7Uo<>許さない<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 03:14:20.69 ID:ENW/EPIo<>タイチがかっこいいとかwwwwww
これはタイチに変装したムサシとコジロウの息子だ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/23(木) 11:25:43.73 ID:BB9B.sSO<>夢精したくせに<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 12:41:42.21 ID:ce6N7IDO<>受験なのに大変だな
てか、高三なのにこれだけの物を書けるってのが凄い


かくいう私も高三でね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 12:48:38.87 ID:UK.SV7Uo<>夏だからってそんなゆとりアピールするなよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 19:00:25.92 ID:K2MqNlEo<>ぼくしょうがくいちねんせい!1!!!!1<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 19:03:34.11 ID:KXLq8uIo<>ワロエナイ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/23(木) 22:42:58.11 ID:rVQRmvIo<>「で、でも、やっぱりダメなの。
 あの人には新しい女の人がいて、その人との間にはアヤがいて、」
「だーかーら、そんなもん全部関係ねえって言ってんだろ。
 いい加減怒るぞ。
 ヒナタの親父さんがカスミさんと別の女と結婚してようが、その女との間に子供作ってようが、
 ヒナタが親父さんの娘であることにはなんの関係もねえんだよ」

タイチが一歩こっちに詰め寄る。あたしが一歩後ずさる。
そんなことを繰り返して、あたしの背中は、エリカさんのお父さんが大切に育てている柳の幹に押し当てられた。

「あの日からずっと、ヒナタは親父さんのこと、あの人って言ってるよな」
「だって、あの人はあたしのことを、」

――『馴れ馴れしく話しかけるな。お前とお前の母親など、私にとっては過去の遺物だ』――

「娘だって、認めてくれなかったのよ」

目頭が熱くなる。滲んだ涙を見られたくなくて、顔を背けた。
次の瞬間、冬の冷たさを一時忘れてしまうほど、心地よい温もりに包まれた。

「もう、いいだろ」

タイチの声は優しかった。

「ヒナタが父親と思ってる人を『お父さん』って呼ぶのに、資格なんて要らねえ。
 伝わらなくったっていい。一方通行でもいい。
 ヒナタが呼びたいように呼べばいいんだ。思いたいように思えばいいんだよ」

心に重くのし掛かっていた冷たい何かが、一時に溶けていくような気がした。
あたしはいったい、何を思い詰めていたんだろう。
どうしてこんな単純な理屈に気付けなかったんだろう。
お父さんに認められなくったっていい。
見苦しくったっていい。

「ひくっ……あたし、……えぐっ……お父さんに、会いたい……っ……あれで終わりなんて……やだっ……」

涙でぐちゃぐちゃの顔をタイチの胸に押しつける。
低い鼓動の音を聞いていると、妙な安心感に包まれた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 22:44:51.14 ID:kDbU9fco<>タイチかっこいいな・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 22:46:43.07 ID:KXLq8uIo<>でもそんなこんなで興奮しているタイチであった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 22:48:08.06 ID:0qoIvNko<>>で、でも、やっぱりダメなの。
>で、でも、やっぱりダメなの。
>で、でも、やっぱりダメなの。


興奮した俺は変態ですか?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/23(木) 22:48:57.25 ID:UK.SV7Uo<>タイチは腹部あたりでヒナタの豊満な胸の感触を味わってるのか
ゆるせん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/23(木) 22:50:48.80 ID:mpzYvQAO<>タイチの押しつけがましさが鬱陶しく感じる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 22:52:29.12 ID:Q1dvaQw0<>やだっ…でちょっと反応した<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 22:58:25.61 ID:rJaJWNgo<>必死でたってるのを腰を曲げてかくしてるんだな・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:08:22.85 ID:LizSqIDO<>>>636
下腹部よりもっと下で味わってるはずだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:14:32.96 ID:xeCIqC6o<>ここは変態の多いインターネッツですね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:20:15.04 ID:4TiDIAAO<>やだかっこいい・・・
かくいう私も紳士でね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/23(木) 23:40:14.06 ID:rVQRmvIo<>「俺はヒナタの親父さんのことを信じてる。
 あの人が本心からあんなことを言えるわけがないんだ。
 ヒナタがキャタピーに襲われた時、ヒナタを助けてくれたのも、
 俺が大人を呼びにいってる間、ヒナタのことを見守ってくれてたのも、ヒナタの親父さんなんだぜ」
「……うん」
「だから、ヒナタも親父さんを信じろ」
「……うんっ」

幽かな風に靡く柳の葉音が聞こえるほどに心が落ち着いた頃、
あたしは自分とタイチの距離が零になっていることに気が付いた。
普段なら迷い無く突き飛ばしているところだけれど、何故か腕に力が籠もらない。
――きっと今なら、もしタイチが変なことをしたとしても、許してしまう。
そんなことを考えて、顔が熱くなる。
あたしは念入りに涙と鼻水をタイチの服で拭ってから顔を上げた。
こんな時に限ってタイチは混じりけのない優しい表情をしていた。

「反則よ」
「何がだ?」
「な、なんでもないわ。
 ねえ、タイチはどうしてここまでしてくれるの」
「このままヒナタがマサラタウンに帰っちまったら、ヒナタはこの先ずっと、あの夜のことを引きずると思ったから。
 ピカチュウが戻ってきて、ヒナタは笑うようになったけど、なんつーか、見てると脆くてさ。
 お前が心から笑えるには、どうすりゃいいのかって、俺なりに考えて、その答えがこれだ」
「………よ、よくそんな恥ずかしいこと言えるわね」

タイチは頬を紅潮させながら言った。

「でも、理由はそれだけじゃないんだ」
「他にも、あるの?」
「あるけど、言っても逃げないか?」
「逃げないから、教えて」
「俺、ヒナタが一緒じゃなきゃ嫌なんだ。
 お前と一緒に旅をして、お前と一緒にポケモンリーグ目指したいんだ。
 だからお前がマサラタウンに帰るって言ったとき、どんなことしてでも引き留めようと思った」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:41:48.43 ID:KXLq8uIo<>だが俺が許さん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:43:13.13 ID:kDbU9fco<>タイチタヒね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:43:31.98 ID:ENW/EPIo<>これ実はカエデの変装か<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:44:10.59 ID:KC2cszUo<>さりげにタイチの服で鼻水を拭くヒナタGJ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:48:35.80 ID:UK.SV7Uo<>ああ、これメタモンか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/23(木) 23:59:08.25 ID:4TiDIAAO<>と、ここでネタばらし<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/24(金) 00:15:09.30 ID:Wox6EmAo<>「タイチ……」
「好きだ、ヒナタ」

飾り気のない淡泊な告白。

「くすっ」
「わ、笑うとこじゃねえだろ」
「タイチらしいなあと思って」
「なんだよ。俺は真面目に……」
「分かってる」

もう一度タイチの胸に顔を埋める。
今なら、自分に素直になれる。
抑えつけていた言葉を解き放つのに、特別な勇気は必要なかった。

「あたしも、タイチのことが好き」

心が温かい幸せで満たされている。
タイチもあたしと同じ気持ちを味わっているのかしら。
夢心地で顔を上げたその時、サク、という軽やかな音が響き、
タイチは安らかな表情を保ちながら地面に崩れ落ちた。

-----------------------------------------------------

「ピカチュウは、あたしが襲われてると思ったのね……」

ヒナタの声は僕を誉めているようで虚ろだった。
僕は現在後ろ足をたたみ、両手を前に付きながら丸まっている状態である。
これは人間でいうところの正座にあたる。つまり僕は猛省しているのである。

マサキの庵から庭に降り立った僕が見たもの、
それは抵抗するヒナタの四肢を押さえつけ無理矢理に唇を重ねんとしているタイチの姿だった。
そこからの行動は無我の境地だった。
"電光石火"。跳躍。無防備に晒された延髄を目掛けて繰り出した"アイアンテール"はクリーンヒット。
暴漢タイチは沈黙。僕は安堵の表情を期待して主を見上げた。
全てが僕の誤解によるものと判明したのは、ヒナタが今にも泣きそうな顔でタイチに駆け寄ったのを見てからだ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:18:11.28 ID:VJ1G8u.o<>え?・・・・・・・・・・・え?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2009/07/24(金) 00:19:50.20 ID:HlK9Wmko<>ピwwwwwwwwwwカwwwwwwwwwチwwwwwwwwwwwュwwwwwwwwwwwウwwwwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:20:40.18 ID:Mb8AWk6o<>GJピカチュウ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:23:28.45 ID:juNr69Mo<>殺されたかと思ったwwww

死んでるかもしれんがwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:24:43.03 ID:YRm4JwDO<>これはピカチュウGJ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:25:34.42 ID:i7S61Yso<>ピカさんマジパネェっす<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:26:17.10 ID:WGBbrZ6o<>ピカチュウ少しはタイチを信頼してやれよwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:26:48.07 ID:AUo4Agso<>ピカチュウ殿、天晴れですぞ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:27:42.25 ID:/JpGd6Qo<>あえて言おうピカチュウGJ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 00:35:10.46 ID:RxDTyCg0<>ピカさんwwwwwwww
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 00:47:06.26 ID:Wox6EmAo<>「一晩眠れば目を醒ますでしょう。
 さあ、君は自分の部屋に戻りなさい」

とエリカの侍医は言った。

「夜遅くにすみませんでした」

ヒナタは最後に複雑な感情の入り交じった視線をタイチに送って、部屋を後にした。
項垂れながらその後に続く。

「ピカチュウ」

ヒナタは僕の行動を咎めるわけでもなく、僕を肩に乗せてくれた。
エリカの侍医がタイチを診ているあいだ、ヒナタはずっとタイチの手を握っていた。
そこにはかつて僕がサトシとカスミの間に感じたものと同じ情緒があった。
若い男女がそれなりの時間を共有していたのだ。
この展開を予想していなかったと言えば嘘になる。
が、しかし――僕の心境は入り乱れていた。
人の気持ちは刹那的で移ろいやすい。
ヒナタが将来傷つけられるかもしれないことを考慮すれば、やはり僕はあのとき、命を賭してでも"雷"を落としておくべきだったのではないだろうか?

「あたし、マサラタウンには帰らないことにしたの。
 どんなに拒絶されてもいい。もう一度だけお父さんに会って、話したい。
 タイチがそれに気付かせてくれたの」

……………愚問だな。
僕は自分の浅はかな邪推を恥じた。
ヒナタを変えたのはタイチだ。タイチなら、ヒナタの心の穴を埋めることができるだろう。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 00:48:53.24 ID:Wox6EmAo<>おやスミス<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:49:13.73 ID:VJ1G8u.o<>おやスミス<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:56:48.90 ID:YRm4JwDO<>雷wwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 00:57:00.05 ID:H/HQXwAO<>おやスミス
今回ばかりはタイチに同情するww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 00:58:54.02 ID:i7S61Yso<>おやスミス
ヒナタとタイチがくっついたのでカエデは自分が貰っていきますね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 01:03:11.93 ID:RRTYEoYo<>ピカがあまりにも『お父さん』すぎるwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 01:04:27.46 ID:WGBbrZ6o<>おやスミス

カエデは愛人って思ったけど、意外と真面目だし
ヒナタは浮気すると殺されそうだな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 01:11:17.22 ID:Zyk5zrM0<>>>650
腹抱えてワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 01:15:15.53 ID:H/HQXwAO<>ピカさんおやスミスwwwwwwwwwwwwwwwwww
もうタイチは目え覚まさないだろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 01:28:01.28 ID:kP2lGoSO<>穴を埋める  ってなんかエロいなww
タイチだしww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2009/07/24(金) 02:03:22.09 ID:HlK9Wmko<>おやスミス

侍医と自慰はかけてるんかいな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 02:06:53.73 ID:ZEd160Ao<>!!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 02:07:42.90 ID:VJ1G8u.o<>>>671
>>672

その発想はなかった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 02:56:32.70 ID:h.zV6wDO<>よかったね、タイチ・゚・(ノ∀`)・゚・
かねてからタイチ×ヒナタ派だったが、いざくっついてみるとカエデがかわいそうで…
って、こう思わせるのも、作者の力量だよな
本当におもしろい
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 03:05:58.67 ID:Qb2Za8w0<>引き込まれるねぇ
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/24(金) 04:15:16.50 ID:7YRwEYDO<>悲しいすれ違いなのに笑いが止まらねえwwwwwwwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 09:53:51.81 ID:EpeYKUDO<>タイチざまぁww

あとはタイチがヒナタの前で夢精さえすれば俺はタイチを許す<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 13:21:25.12 ID:xr3Z2vco<>タイチざまあwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwメシウマwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 17:41:03.38 ID:.WHDCogo<>タイチはその日のことを思い出して…(ry<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/24(金) 20:26:40.52 ID:Wox6EmAo<>予定の密度的に7月いっぱい書けなくなった
ごめんだお
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 20:27:28.08 ID:i7S61Yso<>いくらでも待つさ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 20:29:14.74 ID:VJ1G8u.o<>一週間程度どうってことないさ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/24(金) 20:39:22.99 ID:H/HQXwAO<>待つよ待つよ
予定があるのはいいことだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/25(土) 09:21:10.86 ID:3q7iWISO<>二ヶ月くらい待ったこともあったしな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/25(土) 09:23:39.36 ID:ywmlQZ2o<>mmm<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/25(土) 09:26:45.16 ID:X0it9hYo<>まってるぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/27(月) 19:09:33.42 ID:rnIE0gSO<>とは言うものの全く更新の希望もないってのは辛いな
せめて7月いっぱいは書けないかもしれないとか言ってほしかった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/27(月) 19:10:30.52 ID:oZCKtOAo<>しかたないよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/28(火) 21:44:14.56 ID:eqDa.tU0<>不必要な希望を持たされるより楽で良いじゃないか
いちいちチェックしなくて良いし<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/28(火) 21:46:15.76 ID:JpBIcVko<>うん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/28(火) 21:55:13.56 ID:oGJZQsDO<>こ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/28(火) 21:55:27.41 ID:jMdu97Uo<>ちん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/28(火) 22:04:41.66 ID:fXAus1Eo<>こ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/28(火) 22:05:05.02 ID:prvtwAwo<>気長に待ちましょうぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 03:40:26.48 ID:fqWc5M.o<>おk<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/30(木) 16:07:24.12 ID:7YDGpvYo<>僕が死んだときも、ヒナタの傍にいて慰めてくれるだろう。
嬉しさと切なさが混在した心は、不思議なほどに穏やかだった。

「ねえ、ピカチュウ」
「ピィ?」

ヒナタはふと足を止め、視線を彷徨わせてから言った。

「ピカチュウはもう一度お父さんに会いたい?
 それとも、もう二度とお父さんに会いたくない?」

僕があえて反応しないでいると、

「あたしはさっき、もう一度お父さんに会いたいって言ったけど……、
 ピカチュウが嫌なら、ピカチュウにはここで、あたしが帰るのを待ってて欲しいの」

ヒナタは僕がサトシから捨てられたことを知っているから、
自分と抱ていた心の痛みを僕も抱えているのではないかと気遣ってくれている。
僕はヒナタの豊かな髪に身を寄せて、意思表示した。

「ピィカァ、チュッ」

僕は君に着いていく。

「うん、分かった。ありがとう、ピカチュウ」

綻ぶヒナタの顔から目をそらす。
自分とヒナタに嘘を吐いたことは自覚していた。
カスミにはヒナタを護るように言われている。
そしてヒナタを護るために、僕は自分を犠牲にする覚悟がある。
彼女が父親に会いに行くと言うのなら、僕は何も言わず彼女に追従するまでだ。
しかし、サトシにもう一度会いたいか、と問われれば、僕は首を横に振らざるをえない。
シルフカンパニーの屋上で彼と再会するまでは、サトシに再会したい気持ちでいっぱいだった。
カスミとヒナタを捨てた理由を知りたかったから、という理由付けでは不純だ。
僕は少なからず、何故サトシが僕をマサラタウンに置いていったのか、知りたかった。
その疑問に対して一つの憶測が生まれた今、その憶測の正否を確かめるのが怖かった。

「ピカピ……」

僕は目を瞑って、サトシの娘から伝わる熱を少しでも多く感じとろうとした。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/30(木) 16:08:41.15 ID:7YDGpvYo<>自分と抱ていた心の痛みを僕も抱えているのではないかと気遣ってくれている。 ×

自分が抱いていた心の痛みと同じものを、僕も抱えているのではないかと気遣ってくれている。 ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 16:09:44.34 ID:tyZc/eco<>まさかの作者降臨<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 16:11:25.67 ID:fqWc5M.o<>あれ?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 16:11:57.83 ID:gTAa5mAo<>もう大丈夫なのかな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 16:14:30.30 ID:gOnMPCQo<>おお、まさか作者が今日来るとは<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/30(木) 16:16:14.12 ID:7YDGpvYo<>7月いっぱいってわけでもなかった
正確に7/29まで無理って言ったほうがよかったかな
あばばば<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 16:21:28.62 ID:tyZc/eco<>なんにせよこんなに早く読めるとは思ってなかったから嬉しい<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/30(木) 16:38:01.98 ID:7YDGpvYo<>----------------------------------------------

途中で中断されたけど、タイチとは気持ちを通わせることが出来た。
お父さんにもう一度会いに行くことに対して、完全に不安がなくなったと言えば嘘になる。
でも、あたしにはピカチュウがいる。ピカチュウが一緒なら、あたしは真正面からお父さんに向き合える。
あの夜からずっと重かった心が、今は軽い。
カエデはもう部屋に戻っているのかしら?
あたしは細く明かりが漏れる襖をそっと開けた。

「………!」

反射的に襖を閉めて、深呼吸して気を落ち着かせる。
あたしが一瞬垣間見たもの、それは浴衣がはだけるのもお構いなしに、
抱き枕もといパウワウに腕と足を絡ませ、部屋の隅に転がっているカエデの姿だった。

「ど、どうしよう」
「ピ、ピカチュ」

ピカチュウが左右に激しく首を振る。
小さな頃から喧嘩ばかりしてきたあたしとカエデ。
負けるのはいつもあたしだったけど、極稀にカエデを負かしたことがあった。
そんな時、あたしがすぐに謝れば、カエデは調子よく復活した。
でも謝る機会を逸してしまうと、カエデはパウワウを抱き枕にして三日ほどあたしと口を聞いてくれなくなった。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 17:07:46.43 ID:Ai/Hlbco<>パウワウになりたいです<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/30(木) 17:08:14.60 ID:7YDGpvYo<>思い当たる節は、ある。
あたしが部屋を飛び出した後、タイチはカエデと二手に分かれてあたしを探した。
もしカエデが、中庭にいるあたしとタイチの姿を目撃していたとしたら?
裏切られた、って思うわよね、普通。
カエデは散々あたしにタイチが好きと話していたんだから。
でも、言い逃れしたって仕方ない。
正直に自分の気持ちを打ち明けて、謝ろう。
意を決する。あたしは勢いよく襖を開けて、

「あのね、カエデ――」
「もうキスはしたの?」

完全な不意打ちに、頭が真っ白になった。

「えっと、あの、その」
「まだなんだ。ふーん。初心だもんね、ヒナタは。
 ……いつまでそこに突っ立ってんのよ。
 暖気が逃げるからさっさと入りなさいよね」

言葉通りに襖を閉めて、仲居さんの敷いてくれた布団の上に正座する。
<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/30(木) 17:45:34.64 ID:7YDGpvYo<>あたしはカエデの背中に恐る恐る尋ねた。

「怒ってる?」

それから長い間、カエデは何も言わなかった。
「ぱうぅ、ぱうぅ」という、きつく抱きしめられているパウワウの苦しげな鳴き声が静寂を乱すのみだった。
ピカチュウはカエデが転がっている角の対角で、小さく丸まっている。
あたしとカエデがまだ幼かった頃、こんな状態になったカエデに、
耳が取れそうになるほどきつく掴まれて振り回された可哀想な記憶が蘇っているのかもしれない。
あたしが部屋の暖かさに眠気を感じ始めた頃、カエデが呟いた。

「……怒ってないわよ」
「ぱ、ぱうぅっ」

パウワウの悲鳴で、カエデの抱擁に一段と力が入ったことが分かる。

「ずっと前から気付いてたもん。
 あんたが本当はタイチくんのこと好きで、タイチくんがヒナタのことしか見てないことだって分かってたもん」
「えっ」

タイチがあたししか見ていなかったという言葉に驚くと、
カエデはパウワウを抱きしめたままこちらを向いて、少し潤んだ目であたしを睨み付けた。

「なんでそこで驚くのよ!
 誰が見ても気付くわよあんなの。
 あーもー、ほんとうんざり。見てて苛々したわ」

そんな風に言われても、腑に落ちなかった。
あたしはつい数時間前まで、気を置かずに話すタイチとカエデを見て嫉妬を感じていたりしたのに。

「どうせ最初からあたしに勝ち目なんか無かったのよ。
 あんな昔から布石打ってたなんて……ほんっとに卑怯よね、ヒナタは」
「小さい頃の布石……?」
「ピカチュウが帰ってくる前、タイチくんがお父さんと模擬戦した日があったでしょ。
 あの日の夜にタイチくんから聞いたわ。
 子供の頃にヒナタがキャタピーに襲われて、それをタイチくんが助けられなかったこと」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 19:25:44.95 ID:FWxlukDO<>ぱ、ぱうぅ……わぅ…////<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 21:01:13.35 ID:Ei5qCcDO<>ここがバウワウ最大の見せ場だな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 21:03:19.13 ID:ryHpGVQo<>パウワウ視点に期待<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/30(木) 21:40:08.06 ID:F66vJac0<>こんなにはやく読めるなんてー!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 21:41:25.21 ID:P2GExkUo<>胸の感触的にピカチュウの勝ちだな
可哀そうなんで俺がパウワウと変わってやろう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 22:18:47.76 ID:NfqNx86o<>パウワウ(ピカチュウさん……本物の胸ってどんな感触ですか?)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/30(木) 23:04:01.00 ID:srYMwEM0<>ここでジュゴンに進化して一言↓<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 23:16:05.52 ID:aMywxoSO<>女は腋<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/30(木) 23:16:45.18 ID:tOlm02AO<>あれ、パウワウって♂だっけ♀だっけ…?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/30(木) 23:18:46.81 ID:NfqNx86o<>♀じゃないっけ?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/31(金) 00:06:52.22 ID:XwL9p6DO<>ワニノコの番外編の奴でパウワウ姉さんってあった<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/07/31(金) 21:18:17.24 ID:Tw2O/xco<>「布石も何も……ただの思い出じゃない」
「その"ただの"思い出が、あたしにとってはどんなに頑張っても手に入れられない物なのっ!
 その思い出があったから、タイチくんはヒナタしか眼中に無くなっちゃったのっ!」
「ぱうぅっ、ぱうぱうぅっ」

いよいよパウワウがつぶらな黒い瞳に涙を浮かべ始める。
カエデは声のトーンを落として言った。

「あの日の夜だって、ほんとは告白するつもりだった。
 でも、二人きりになったのにタイチくんがヒナタの話ばっかりするから、あたし、我慢できなくなって訊いちゃったの」

――タイチくんはそんなにヒナタが大切なの?――

「そしたらなんて答えたと思う?」
「わ、分からないわ」
「タイチくんはね、ヒナタが傷つくのが何よりも我慢ならないんだって。
 ヒナタが悲しんでいたら、何をしてでもその原因を取り除いてあげたいんだって」

純愛すぎて笑っちゃうわよね、とカエデがパウワウに同意を求める。
パウワウはこれ以上抱擁が強くなることを怖れたのか「ぱうぱう!」と即答した。

「それ聞いて、諦めがついたの。こりゃダメだな、って。
 タイチくんの心には、あたしが住めるような余地はないってことに気付かされたわけ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/31(金) 21:30:02.16 ID:ccoBhIoo<>パウワウかわいい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/31(金) 21:45:17.87 ID:85I6zX2o<>パウワウに惚れた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/31(金) 21:48:32.74 ID:eXKknMSO<>寧ろパウワウに抱き着きたくなってきた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/31(金) 21:49:59.18 ID:Tw2O/xco<>あたしは誤解していた。
あの日の夜を境に、タイチに対するカエデの態度に遠慮が無くなったように見えたのは、
二人の距離が縮まったからではなく、カエデがタイチを友達として意識すると決めたからだった。

「はぁーあ。なんかもうどうでもよくなっちゃった」

ふときつく絡まっていた腕と足が緩み、パウワウが畳の上を転がる。
それと同時に、それまでパウワウが隠していた、際どいカエデの肢体が露わにになった。

「カエデ、浴衣……」
「ここにはあたしとヒナタしかいないんだから別に気にすることもないでしょ」

そう言ってカエデは、雪のように真っ白な内ももから膝までつと指を滑らせて、

「色気で誘惑したほうが良かったのかな。タイチくんそういうのに弱そうだし」

とんでもないことを呟いた。

「だ、だめよ。それは絶対にだめ!」
「ぷぷっ、冗談に決まってるじゃない。必死になっちゃって、バカみたい」

カエデの表情に笑顔が戻る。あたしも笑った。
ふと部屋の角を見ると、パウワウが丸まったままのピカチュウに近寄って、
主の機嫌がひとまず直ったことを教えてあげているようだった。
「ぱうー」「チュ?」
パウワウが鰭でぽんぽんとふくよかなお腹を叩いて、ピカチュウをパウワウソファーへ誘う。
ピカチュウはパウワウにもたれて目を瞑ると、あっという間に寝息を立て始めた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/31(金) 21:51:51.16 ID:8USLMywo<>エロスハァハァ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/07/31(金) 22:18:03.42 ID:TZyHOe6o<>よっしゃ!タイチがいなくなったからこれでカエデは俺のもんだ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/07/31(金) 23:28:18.69 ID:y.TEOoDO<>パウワウ姐さんは確かピカチュウが好きだったんじゃなかったっけ?
あぁぁー!
パウワウソファーに寄りかかるピカチュウ、映像で見たいぃぃぃー!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 08:15:11.05 ID:COCvwhso<>ピカチュウ×パウワウの子はカエデの最強のポケモンになりましたとさ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/01(土) 11:03:01.29 ID:MsKftbEo<>「決心、固まったの?」

あたしは座った状態で、浴衣に腕を通しながら答えた。

「もう一度お父さんに会うことにしたわ」
「素直になるのに随分時間かかったわねー」
「……うん。本当に、そう。タイチが気付かせてくれなかったら、
 あたし、マサラタウンでずっと後悔することになったかもしれない」

ふと、カエデが小さな声で言った。

「ごめんね」
「な、なんでカエデが謝るの?」
「あたし、タイチくんみたいに、もっとヒナタに深く突っ込んであげるべきだったかなーって。
 エリカさんのお屋敷に来て、しばらくしたらヒナタの気持ちが落ち着いて、
 自然といろいろ相談してくれるかも、なんて甘いこと考えてた。
 あんなことがあったんだもんね。たとえ従姉妹でも話しにくいこと、あるわよね」
「カエデ……」
「ヒナタがマサラタウンに帰るって言い出した時だって、
 反対したらヒナタをもっと傷つけることになるかもって、怖くなって、
 無難に同意することしかできなかったし。あはは、あたし、ヒナタの従姉失格かも」

あたしは、ううん、と首を振って言った。

「そんなことない。
 内に溜め込んでたあたしが悪かったの。
 周りにはあたしを気遣ってくれてる人がたくさんいたのに……。
 あたし、これからはもっとカエデに相談する」
「一切隠し事はなしよ?
 ……あ、でもでも、タイチくんとの惚気話は報告しないでね。
 嫉妬でヒナタのこと殺しちゃうかもしれないから」

そう言うとカエデは、その夜初めて心からの笑顔を見せてくれた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/01(土) 11:22:28.60 ID:MsKftbEo<>-------------------------------------------------

翌朝。
僕は久方ぶりに、ヒナタやカエデのポケモンたちと共に穏やかな時間を過ごすことができた。
淡雪が降り出しそうな寒天の下、マフラーを首に巻かれたワニノコとピッピが追いかけっこしている。
庭に設えられた人工池では、ヒトデマンから進化したスターミーとパウワウが半身を浸している。
そして僕の隣では、それなりに立派な体躯のハクリュウが、時折僕をチラ見しながらトレーニングに勤しんでいる。
僕たちは初対面のはずなのに、なぜ意識されているのか解せなかった。

「ピィ」

吐いた息は白く凍り、立ち上っては消えていく。

「ぴぃっぴぃ〜」

ピッピが僕の背中に駆け込んでくる。
すぐにワニノコがやってきて、僕の顔色を窺いながら、

「がうがう!」

卑怯だぞ、と言いたいのだろう。
なるほど、背後のピッピは可愛らしい舌をちろちろと見せてワニノコをからかっている。
ハナダシティのショッピングモールにいた時とは、形勢が少々逆転しているようだ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 11:24:15.62 ID:9dRFlF6o<>あら来てた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 11:28:56.70 ID:9zUNOmMo<>うーうーなにしてんだろ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 11:30:18.91 ID:PZFXASQo<>ピカチュウとハクリュウってどっちが強いんだろう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 11:33:02.69 ID:sItqwRIo<>初期のポケモンカードじゃないんだからハクリュウはやめてくれよ…
ちゃんとハクリューって言ってあげて<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/01(土) 12:15:41.09 ID:wJ1R4oSO<>>>733
何という愚問<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 12:54:15.62 ID:bfDc76DO<>深く突っ込む……!?内に溜め込む……!?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 15:05:39.97 ID:gEvrgIgo<>>>736
このヘンタイっ!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/01(土) 16:54:24.25 ID:MsKftbEo<>「ピィカー」

ほら、遊んでおいで。
背中を押し出してやると、ピッピは元気よく駆けだした。

「がうっ!」

ワニノコがすぐさまそのあとを追う。
逃げて、追いかけて、捕まえて――その終わりのない反復に飽きは来ないようだ。
微笑ましい光景に目を細めていると、

「ぱうぱうー」

パウワウが僕を呼んだ。
隣のスターミーも僕に向けてコアを点滅させている。
お誘いはありがたいが、水、氷タイプのポケモンがこの時期に水浴びするのは自殺行為に等しい。

「チュウ」

遠慮させてもらうよ。
そう伝えると、パウワウは残念そうに「ぱうー……」と鳴いて、尾ひれでぱしゃぱしゃと水面を撫でた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 18:16:00.92 ID:VFbKo.2o<>水、氷タイプのポケモンがこの時期に水浴びするのは自殺行為に等しい。

ここおかしいような…?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 18:17:48.86 ID:jv6S3UAO<>水、氷タイプ「以外」じゃないか?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/01(土) 18:44:11.12 ID:MsKftbEo<>ぴり、と近くの空気が震えた。
わずかに身を逸らす。間髪いれず、僕の体左半分があったところに、群青色の尻尾が打ち下ろされた。
見上げれば、爛々と目を光らせたハクリューが、鼻息荒く僕を睨み付けていた。

「ピィカ、ピィカチュ」

危ないな。
トレーニングをするのは君の勝手だが、
他のポケモンを巻き込んだり、エリカの綺麗な庭を荒らしたりしてはいけないよ。
僕の意図が伝わらなかったのだろうか、二撃、三撃と、ハクリューは攻撃をやめない。

「チュ」

僕は窘めるのを諦めた。
何が気にいらなくて暴れているのか知らないが、若気の至り、というやつだろう。
雰囲気を察知したらしいワニノコがこちらに駆け寄ってきて、ハクリューの尾にしがみつく。

「がうっ、がうがうっ!」

ハクリューは「邪魔だ」と言わんばかりにワニノコを打ち払った。転がったワニノコに、ピッピが駆け寄る。
まったく、どうして若いドラゴンタイプのポケモンはこうも驕慢なんだろうね。
君はドラゴンタイプのポケモン以外は全て矮小で貧弱だと思っているんだろうが、
いい機会だ、必ずしもそれが正しくないということを教えてあげるよ。

「ウォフッ」

物理攻撃が当たらないことに痺れを切らしたハクリューが、口の端に青い炎をちらつかせる。
"龍の怒り"、か。
僕が躱すべく軸足に力を込めた、その時だった。

「ピカチュウー? どこにいるのー?」

縁側から近づくヒナタとカエデの姿を見て、急遽、予定を変更する。
荒療治になるが仕方がない。
僕はハクリュウの顔面の真正面に飛び込み、上顎に肘と、下顎に膝を叩き込んだ。
強制的に閉じられた口の中で、ぼん、と"龍の怒り"が爆発する。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 19:04:41.65 ID:PAeaJPwo<>カエデがワニノコ、タイチがバクフーン
でもヒナタはチコリータいないのな。いつかゲットすると思ってた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/01(土) 19:06:03.21 ID:MsKftbEo<>小さな爆風に煽られ、宙で一回転して着地、波打った毛並みを整えてから、僕は主に駆け寄った。
二人の位置からは、ちょうど茂みが邪魔をして、ぷすぷすと黒煙を吐いて目を回すハクリューを見ることができない。

「ここでみんなと一緒に遊んでたのね」

ヒナタの微笑からは、昨日まで失われていた瑞々しい活力を感じることができた。
昨夜は久方ぶりに、ぐっすりと眠ることができたのだろう。
カエデが胸を張って言った。

「ほら、あたしの言った通り、庭にいたじゃない」
「勝ち誇ることじゃないでしょ。あのね、ピカチュウ。
 今からちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」

ヒナタの表情に、うっすらと不安の影が落ちる。
僕は訝しみながらも、

「ピッカァ」

ヒナタの肩に飛び移った。
いつか、ピッピを虐めていたワニノコの監督を任せたように、

「チュー」

目を醒ましてからも暴れるようなら再教育してあげて欲しい、とスターミーに依頼しておく。
人工池の片隅で、彼女は眠そうにぴこぴことコアを点滅させた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/01(土) 19:11:29.73 ID:MsKftbEo<>遅れたけど訂正

水、氷タイプのポケモンがこの時期に水浴びするのは自殺行為に等しい。 ×

水、氷タイプ以外のポケモンがこの時期に水浴びするのは自殺行為に等しい。 ○



>>742
その構想はあったけどカスミの娘のヒナタが草ポケモン使うのもおかしいと思ってやめた
ワニノコをヒナタに持たせてチコリータをカエデに持たせようかとも考えたけど
なんとなくヒナタにはカスミのトレードマーク的なヒトデマンを持たせたかったので没
チコリータ不遇にしてごめんなさい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/01(土) 19:26:02.65 ID:PAeaJPwo<>>>744
なるほど。納得いたしました<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 00:36:47.39 ID:/qYz0yMo<>思うように読む時間が取れなくて受験生には辛い
書き続けてる作者さんはすごいと思う<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/02(日) 00:57:47.42 ID:IAbi1AAO<>ピカチュウがまだそれなりに動けるようで安心した<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/02(日) 01:33:07.36 ID:/zx0zYSO<>このハクリューもいつかは立派なムーミンになるのかな…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/02(日) 01:38:56.92 ID:yX9UbASO<>>>748
ウォフーww

サカキのムーミンみたいに優しすぎて戦えないとかそんなことは無いと思う<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/02(日) 09:53:39.03 ID:YVEReA.o<>-------------------------------------------------------------

部屋に着くと、片目に傷を負った白猫がヒナタの浴衣にくるまって眠っていた。

「あの、ペルシアンさん?」

ヒナタが怖々尋ねる。ニャースは細く目を開けると、偉そうに首を擡げて言った。

「待ちくたびれたニャ。
 大事な要件があると言って呼び出した割には予定時刻を大幅にオーバーしてるのニャ」
「ごめんなさい」

しゅん、と項垂れるヒナタ。
僕は過保護であると自覚しつつも、

「ピィカ、チュウ」

責めるならヒナタに見つかりにくい庭にいた僕を責めるんだな。
あと彼女に敬語を使わせるのはやめろ。
彼女はポケモンに対する礼儀を忘れたりはしない。

「わ、分かったニャ。ヒナタちゃん、ミャーのことは呼び捨てでいいニャ。あと敬語もやめるニャ」
「あ、えっと、はい……じゃなくて……分かったわ」
「でも、ひとつだけお願いがあるんだニャ」
「?」
「ヒナタちゃんには、これから何があっても、ミャーのことを"ペルシアン"と呼んでほしいんだニャ。
 間違っても"ニャース"とは呼ばないでほしいのニャ」

ヒナタは困惑した表情で言った。

「え、だってペルシアンはペルシアンでしょ?」
「ヒナタちゃんはいい子なのニャ〜」

ニャースは感涙の涙を流した。
その様子から察するに、ニャースを昔から知っている人間のほとんどは、
彼がペルシアンに進化した今になっても変わらずに「ニャース」という呼称を使っているのだろう。エリカが良い例だ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 10:17:24.69 ID:ghqF6YAO<>ニャース可愛いよニャース
でも進化したからもうロボット作ったり穴ほったり出来ないんだろうな……<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/02(日) 10:23:48.90 ID:YVEReA.o<>ニャースは感涙の涙を流した。 ×
ニャースは感涙した ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 10:47:42.93 ID:aYWjkpko<>ニャースさんぱねえっす<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 12:20:49.49 ID:nn8lMKco<>あ、普通のぺルシアンなのか
てっきり二足歩行もばりばりだと思ってた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 12:30:38.74 ID:5a/nstco<>ペルシアンのあの胴長で二足歩行してたらキモいわwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/02(日) 12:40:23.34 ID:yX9UbASO<>>>754
フイタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwこっち見んなwwwwwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 16:22:00.80 ID:Vc1/7YDO<>俺も二足歩行で人間並みの背の高さかと……

ウォフwwwwwwwwwwwwwwwwォフwwwwwwwwうぉふーwwwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 16:27:27.04 ID:W0fQKaYo<>>>757
お前絶対ムーミンだろ・・・<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/02(日) 18:36:58.32 ID:YVEReA.o<>ニャースの嗚咽が収まるのを待ってからヒナタが言った。

「ペルシアンは、どんなポケモンの言葉も分かるのよね?」
「愚問だニャ。ミャーに分からない言語は古今東西存在しないニャ。
 ミャーにかかれば新種ポケモンの言語も三日とかからずに自分のものにできるのニャ」
「ピカチュウの言葉も?」
「無論だニャ」

ヒナタは腰のベルトからボールを外して、僕をちらと一瞥してから尋ねた。

「……ゲンガーの言葉も?」
「余裕だニャ」

ヒナタが新たに手に入れたハイパーボールと、その中のポケモンについて、
僕はこれまで存在を知りつつも、特別に意識を払わないようにしてきた。
ヒナタは意図的に、僕の視界からハイパーボールを(あるいはハイパーボールの中のポケモンの視界から僕を)遠ざけようとしていた。
今朝にしても、ヒナタとカエデがポケモンを庭に解放したとき、あのハイパーボールだけは展開されなかった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 18:49:55.61 ID:sgWsg8.o<>そりゃそうだよな……<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 18:52:14.28 ID:QGQ8bn.0<>ついに…wktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 20:56:26.27 ID:Yc7FGFI0<>>>754
嫌なもの想像させんなwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 21:04:09.66 ID:RguaKTUo<>>>762
      ハ,,ハ
     ( ゚ω゚ )
    /    \
  ((⊂  )   ノ\つ))
     (_⌒ヽ
      ヽ ヘ }
 ε≡Ξ ノノ `J<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/02(日) 22:52:00.18 ID:smUa4ro0<>ニャース体型のペルシアンなら…ダメか、余計に不気味だな…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/02(日) 22:54:23.80 ID:aPfhBp.0<>>>763
お断りだ<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/03(月) 10:12:19.45 ID:kpYYxKoo<>ヒナタは僕のもとに屈み込んで語り出した。

「あたしね、ピカチュウと離れ離れになった後、シオンタウンに行ったの。
 それでね………」

僕は彼女が辛そうに紡ぎ出す一言一句に耳を傾けた。
要約すると以下の通りになる。
ヒナタはシオンタウンのポケモンタワーで、一匹のゲンガーに襲われた。
それを助けてくれたのは元四天王であるキクコだった。
キクコはゲンガーがヒナタを襲った理由について、
ヒナタと近しい人、或いはポケモンに、ゲンガーの核となる霊魂が強い恨みを持っているからだと言い、ゲンガーの記憶を読み取った。
果たしてそこに刻まれていたのは、ピカチュウに殺されたギャラドスの断末魔だった。

「最初はピカチュウがギャラドスを[ピーーー]なんて、有り得ないと思ったわ。
 でも、お父さんのポケモンで、ポケモンリーグにも出場したことがあるピカチュウなら……」

言葉が掠れて、聞き取れなくなる。

「ピィ」

ニャース、翻訳を任せてもいいかな。
彼の首肯を確認してから、僕は言った。

「チュウ、ピカチュウ」

結論から言おうか。それは事実だ。
僕はゲンガーの前身となるギャラドスを殺した。
僕が殺めたギャラドスは一匹だけだから、彼のことはよく記憶している。
サトシと共に初めて挑んだポケモンリーグの最終戦で、当代チャンピオンの切り札が彼だった。

「………」

ヒナタは悲痛な面持ちでペルシアンの翻訳を聞いていた。
僕は追憶を続けた。

――『"雷"だ。止めを刺せ、ピカチュウ』――

酷薄な命令。瀕死のギャラドス。
己のポケモンを口汚く罵る当代チャンピオン。
躊躇は無かった。僕はサトシを信じていた。
轟音と閃光のあとで、ギャラドスは黒煙を燻らせながら崩れ落ちた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 10:33:34.97 ID:qAFRWyEo<>作者きてた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 10:33:55.54 ID:0rgU/rso<>ギャラドスってドラゴンじゃないよなぁ、凶竜だっけ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 10:48:39.91 ID:kpYYxKoo<>その記憶をそのままヒナタに伝えれば、
僕がギャラドスを殺めた原因は、必然的に命令を下したサトシということになる。
僕はハイパーボールの中にあるポケモンに語りかけた。
ヒナタに真実を話すにあたって、少し、脚色することを許して欲しい。

「ピィ、ピィカチュ」

僕は、僕の一存で"雷"を落としたんだ。
本来なら攻撃をやめておくべき状況で、僕は緊張と興奮のあまり、無抵抗のギャラドスを嬲った。

「っ」

ヒナタが唇を噛む。
これで良かったのだ、と僕は自分を納得させた。
再びヒナタの心に芽生えた父親を信じる気持ちを、彼女自身の手で摘ませてはいけない。

「ピィ……?」

失望したかい?
不意にヒナタは僕の両手を取って、激しく横に首を振った。

「違うわ。そうじゃないの。
 キクコおばあさんの話が本当だったことはショックだけど、
 それでピカチュウのことを嫌いになったりなんかしない!」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 10:53:44.48 ID:qAFRWyEo<>◆ihjpPTk9icさんは何かほかの作品書いてるの?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 11:05:16.02 ID:kpYYxKoo<>>>770
昔に、という意味か、現在進行形で、という意味か分からないけど、
昔はVIPで短いSS書いたりしてたよ
今はこの作品以外なにも書いてないよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 11:12:44.97 ID:qAFRWyEo<>>>771
昔に、って意味で

残ってたら見てみたかったけどなさそうだしいいかww
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 11:29:52.56 ID:kpYYxKoo<>ヒナタ……。
その言葉で僕がどれだけ救われるか、君は気付いていないんだろうね。

「あたし、キクコおばあさんと約束したの。
 もしピカチュウに再会したら、その時に、ゲンガーをピカチュウと会わせること。
 ゲンガーの中にいるギャラドスの霊を成仏させるには、それしかないって言われたの」

ヒナタが開閉スイッチに触れる。
指はかすかに震えていた。

「だいじょうぶ、ピカチュウ?」
「ピィカ」

僕は頷いて見せた。
閃光。果たして召喚されたゲンガーは、実に温厚そうな、柔らかい鳴き声を響かせた。

「うー!」

当惑を禁じ得ない。
ゲンガーからは、僕への恨みや、憎しみといった感情が、一片も感じ取ることができなかった。
彼の瞳に映っているのはむしろ、初対面のポケモンに対する緊張と、久方ぶりに外に出ることを許された喜びの色だった。
ヒナタがゲンガーの耳と耳の間を撫でながら言った。

「ゲンガー、もう一人のあなたを呼び出してくれる?」
「うー……」

瞑目。瞬間、この部屋に満ちていた暖気が冷気に変わった。
再び開いた瞼の奥から、ルビーの原石のような暗い赤色の瞳が僕を鋭く睨み付ける。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 11:34:55.39 ID:f4OZw6SO<>wktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 11:47:14.49 ID:Mp4WHyoo<>うーうー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 12:20:47.97 ID:SVr4KGwo<>うーうーktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 13:49:04.75 ID:kpYYxKoo<>……主格をスイッチしたのか。
僕はニャースに、これからの会話をしばらく翻訳しないよう釘を刺してから、赤い瞳を見つめ返した。

「ピィカ、チュウ」

久しぶりだね。ギャラドス、いや、今はゲンガーと呼んだ方がいいのかな。
冷たいゲンガーの思念が頭の中に流れ込んでくる。

――そんなことはどうでもいい――

だろうね。
さて、君の魂が安らかなものとなるように僕たちはこうして対峙しているわけだが、
どうすれば君の魂を鎮めることができるんだろう?

――そうだな――

ゲンガーは口を三日月の形に裂いて笑った。

――死んでもらおうか。お前は俺を殺した。俺がお前を殺せば、それで命の遣り取りは等価になる――

いいだろう。
僕がそう答えると、ゲンガーは訝しむように片目を眇めた。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 14:52:07.76 ID:kpYYxKoo<>「ピィカ、ピィカチュー」

僕の死でかつて君を殺した罪を贖えるなら、僕は抵抗せずに命を差しだそう。
ただ、ひとつ、いや、ふたつ条件がある。
ひとつめは、数日の猶予。
君も知ってのとおり、ヒナタはもう一度、父親に会いに行こうとしている。
そして僕は彼女に同行することになっている。僕を[ピーーー]のは、全てが終わってからにして欲しい。
ふたつめは、ヒナタへの助力。
彼女の周りには危険が多い。タイチやカエデ、彼らのポケモンが心許ないとは言わないが、
それでも数多の戦闘経験を引き継いでいる君は、ヒナタの大きな戦力となる。
僕が死んで君の魂が鎮まったあとで、もし君に少しでもヒナタへの忠心が生まれているなら、
彼女が十分に強くなったと思うまで、この世に留まり、彼女を支えてあげてはくれないだろうか。

――くだらねえ――

僕は首を傾げた。

――初めっから、お前に復讐する気なんかねえよ。そんな気はとうの昔に失せてやがる――

何故だい、と尋ねると、ゲンガーは不愉快さを隠そうともせずに答えた。

――俺がお前に殺された時、当時の主は俺の遺骸を淡々とポケモンタワーに埋めて、ただの一度も参りにこなかった。
   だが、俺がお前を殺せば、お前の主は一生、お前が死んだ時の悲しみを忘れないだろうからな――

僕の主、じゃない。僕たちの主だよ。

――黙れ――

ゲンガーは顔を背けて、

――俺がまだこの体の支配権を握っていたとき、俺は生前強いられていた戦い方を披露して、この子を何度も苦しませた。
   この子がギャラドスの頃に俺を服従させていたクズとは正反対のトレーナーだってことを理解してからは、
   ……その、なんだ、少しは俺の力を貸してやってもいいと思うようになった――

それじゃあ、君はこれからもヒナタのポケモンでいてくれるんだね。

――消えたくなったら勝手に消えるさ。
   もっとも、今じゃあのヘタレがこの体の支配格だ、消える時にはそいつの許可がいるがな――<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 14:54:26.79 ID:Mp4WHyoo<>なにこのかっこいいギャラドスINうーうー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 14:58:19.82 ID:/P.KS.Qo<>はいはいツンデレ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 15:17:17.75 ID:kpYYxKoo<>ヘタレというと、ボールから出たばかりの、温厚そうな鳴き声の持ち主の方かい?

――俺が"うーうー"なんて無様な声を上げると思うか?――

いいや。
そうか、君が消えるには彼の許可が要るのか。
いいことを聞いたよ。後で彼に君がずっとヒナタに忠誠を誓うよう頼んでおこう。

――てめぇ、やっぱりぶっ[ピーーー]!――

僕はペルシアンに「和解した」とヒナタに伝えるように頼んだ。

「話し合いは終わったみたいだニャ」

今にも僕に飛びかからんとしていたゲンガーの肩に、ヒナタがそっと手をかける。
話し合いの雲行きにずっと胸を痛めていたのだろう。

「ピカチュウのこと、許してくれたの?」

元レベル91にして凶悪ポケモンの名を欲しいままにしたギャラドスの霊は、
ぷるぷる震えながら強張った笑顔を作り、愛らしさの欠片もない声で「うー」と鳴いた。

「……ありがとう」

ヒナタがゲンガーを背後から包み込む。
それがスイッチになったのか、ゲンガーの瞳から、赤い光が徐々に失われていった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 15:23:05.03 ID:vb/CHQAO<>△<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 16:00:01.32 ID:kpYYxKoo<>「チュー」

最後に、君を殺した時からずっと言いそびれていたことを言うよ。
彼の命令だったとはいえ、君に"雷"を落として本当にすまなかった。
君が僕を許してくれても、僕は自分が犯した罪を忘れない。
数秒の静寂のあと、

「うっうー」

瞬きしたゲンガーの瞳に、既にギャラドスの面影は無かった。
ゲンガーの鳴き声が聞こえたのだろうか、それまで部屋の外で待機していたカエデが入ってくる。
みんなの様子を見にいかない?という彼女の提案で、僕たちは庭に戻ることになった。
午前中、他のポケモンが思い思いに憩うのを眺めながら、僕はずっと、
彼が支配格と主格を交代する直前に残した思念について考えていた。

――生きろ――

死ぬな、ではない。彼は僕に、生きろ、と言った。
彼は恐らく、僕の余命が残り少ないことに気付いていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 16:04:27.60 ID:2T9jdoDO<>か…漢だ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 16:15:17.85 ID:wQlbEsDO<>このゲンガー、バクラみたいだ
もしくは闇ゲンガーはベジータ

うー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 16:27:41.81 ID:k6k0z6DO<>( ゚д゚)うっうー




( ゚д゚)うっうー




( ゚д゚ )<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 16:40:37.48 ID:oukmgYAO<>こっち見んなwwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 17:17:16.85 ID:jmRPn.6o<>[ピーーー]がピーになるのがうざくてたまらんなぁ
なんか代替策ないのかなぁ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 17:18:00.04 ID:xmGwA0Mo<>メール欄にsagaって入れると良いよ。サゲじゃなくてサガね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 17:54:41.85 ID:kB8JVJU0<>文脈で分かるから別にいいんじゃね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 18:27:10.86 ID:f4OZw6SO<>実験
[ピーーー] [ピーーー] 犯る <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2009/08/03(月) 19:28:31.14 ID:gXzLKiMo<>これなら大丈夫なはず
殺す
死ね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 19:32:18.10 ID:Mp4WHyoo<>>>792
痛風した<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 19:38:08.78 ID:/P.KS.Qo<>ワロス<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/03(月) 19:51:24.13 ID:1KuxmIAO<>ふと起きたらギャラドス男前過ぎて目が覚めた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/03(月) 20:25:10.90 ID:kpYYxKoo<>------------------------------------------------------------

その日の夜。大広間での話し合いの末、セキエイ高原の探索が可決された。
出立時刻や動員に関する細々としたことが決まったあとで、
シゲルおじさまは、それまで蚊帳の外にいたあたしに語りかけた。

『ヒナタ、酷なことを強いてるのを承知で頼む。
 セキエイ高原の探索に、同行してくれないか』
『はい』

あたしのきっぱりとした返事に、シゲルおじさまを含めた一同はとても驚いていた。
ただ一人、マサキ博士だけを除いて。

「ピカチュウに聞いてたんじゃないか。
 あの人、ポケモンと話せるんだろ?」

バクフーンの背中の炎に手を翳して暖を取りながらタイチが言った。

「そういやピカチュウはどこにいるんだ?」
「ついさっき、部屋を出て行ったきり見てないわ。
 多分、マサキ博士がいる庵にいるんじゃないかしら」

同じくカエデも炎に手をかざしつつ、

「どうしてそんなことが分かるのよ?」
「だって、昨日の夜もそこに行ってたみたいだから」
「何のために行ってるかヒナタは知ってるわけ?」
「そこまでは……」

世間話程度だと思いつつも、ほんの幽かな胸騒ぎを覚える。<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/04(火) 00:07:49.45 ID:eitNr4.o<>「ところで、俺たちの件、ちゃんと親父たちに進言しといてくれたんだろうな?」
「ちゃんと言ったわ」
「反対、されなかった?」

あたしがセキエイ高原にタイチとカエデの同行も認めるように頼んだとき、最初、大人たちは断固としてそれを反対した。

『動員数は最小限に絞ってある。あいつらを連れていくことはできない』
『足手まといになるのは見えているのでござる』
『心配しなくても、ヒナちゃんのことはあたしたちが守るわ』

あたしは我を通すために、卑怯な手を使った。

「二人を連れていかないなら、あたしも行きません、って言ったら渋々折れてくれたわ」

けど、本当にこれで良かったのかしら、と思う自分がいることも確かだった。
もし本当にポケモンリーグがシステムの本拠地だった場合、配備されているのは精鋭中の精鋭で、
ランカークラスのトレーナーとも対等に渡り合えるレベルだろう、とシゲルおじさまは言っていた。
そして何よりも懸念すべきは、システム側に属している可能性がある現四天王の連中だ、とも。
システムのトレーナーは、ポケモンを[ピーーー]ことを厭わない。
一度ポケモンバトルが始まれば、確実にどちらかのポケモンが重傷を負うか、息絶える。
そんな危険極まりないところに、カエデとタイチを連れて行ってもいいのかしら。

「まーた一人で考え込んでる」
「悪い癖だよな、まったく」

タイチとカエデが顔を見合わせて笑う。
そしてあたしの思考を何もかも見透かしていたかのように、

「俺も、カエデも、ヒナタの力になりたいから同行するんだ。
 確かにセキエイ高原やポケモンリーグなんてところは、
 ランカーでもなければ、パーフェクトホルダーでさえない俺たちが行くようなところじゃない。
 危険だってことも重々承知してる。でも、俺たちが一緒にいかなけりゃ、その分、ヒナタの危険が増すことになるんだぜ」
「タイチ……」
「はいはい、あたしの前では甘い空気禁止。
 ヒナタはこう考えればいいのよ。
 あたしはママが心配だから同行する。タイチくんは、お父さんが心配だから同行する。
 これだとあんたが変な罪悪感感じる必要ないでしょ?
 ま、実際はバカヒナタのことが心配だから着いていってあげるんだけどねー」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 00:17:08.39 ID:STeWG1co<>たった今カエデの声が斉藤千和に変わった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 00:42:27.44 ID:eitNr4.o<>本当にありがとう、と言おうとした矢先に、

「次にヒナタは大袈裟にお礼を言う」

なんてタイチが言ったものだから、あたしは咄嗟に言葉を呑込んで咽せた。

「おいおい、何咽せてんだよ」
「図星だったんじゃない? 今のヒナタ超受けるわ」

カエデは一頻りあたしを笑ってから、お風呂に入ってくる、と言って立ち上がった。
ちなみにあたしは大広間の会議が長引く可能性を考えて、早めにお風呂を済ませていた。
結局は昨日よりも早く終わって、意味は無かったんだけど……。

「お風呂から出た後は、そのまま部屋に戻ってるから。
 ヒナタもあたしがいないのをいいことに、いつまでもタイチくんの部屋でイチャイチャしたらダメよ?」
「カ、カエデ……!」

流石に怒ろうとした時、既にカエデは鼻歌を響かせて部屋から遠ざかっていた。

「もうっ」
「やれやれだな」

タイチは全然困った風に聞こえない調子でそんなことを言う。
あたしはバクフーンの揺らめく炎越しにタイチを見つめた。タイチもあたしを見つめていた。
気恥ずかしさに耐えて、視線を交錯させつづける。

「夢じゃないんだよな」
「何が?」
「昨日の夜のこと」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 00:50:50.06 ID:eitNr4.o<>あたしの中に、小さな悪戯心が生まれた。

「夢かもしれないわよ」

するとタイチはちっとも動じずに、

「夢なら、もう一度現実にしてやるまでさ。俺はヒナタのことが、」
「ゆ、夢じゃないわ。昨日の夜のことは、現実よ」
「良かった。なんか俺、お前の返事聞いてから直後の記憶が曖昧でさ。ちょっと不安だったんだ」
「ふうん、そうだったの……」

記憶が曖昧な原因がピカチュウであることを、あたしは秘密にしておこうと決めていた。
あの子だって、何も悪気があってタイチを失神させたわけじゃない。





ねむねむ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 00:50:53.53 ID:9d3GM2go<>タイチのバクフーンが噴火・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 00:53:40.16 ID:nyNDFVUo<>ねむねむ!おつ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 00:55:48.64 ID:STeWG1co<>おつ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 01:29:40.58 ID:Li57a.2o<>おつ!
アイアンテール思い出してワロタ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 01:33:42.35 ID:aOZKdcYo<>おつおつ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 01:46:18.52 ID:UPna8RUo<>乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 02:39:47.67 ID:IEmAQmEo<>本当にありが・・・ハッ!?

乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 02:49:04.43 ID:1rU09ME0<>タイチ「やれやれだぜ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 03:23:20.08 ID:XsI/fMSO<>タイチスペック

熱血
女の子の幼なじみ持ち(この時点で勝ち組予備軍)
イケメン(この時点で勝ち組)
熟女好き
純情
夢精

ジョジョ好きorニコ厨orVIPPER←NEW!<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/04(火) 09:34:51.51 ID:eitNr4.o<>「なあ、今からそっち行ってもいいか」
「えっ」

タイチは返事も聞かずにバクフーンをまわりこむと、あたしのすぐ傍に腰を下ろした。

「……カエデが言ってたこと、もう忘れたの?」
「今は二人きりなんだぜ」
「昨日の今日ですぐに調子に乗るんだから」

でも、あたしがすぐに調子に乗るタイチを好きになったのも事実だった。
今、ここにはあたしとタイチの二人きり。
カエデはお風呂、ピカチュウはマサキ博士のところにいて、昨日のような邪魔は入らない。
エリカさんのお屋敷は広くて、誰がどこで、何をしているか把握している人は誰一人としていない。

「ヒナタ、ほんの少し、目を瞑っててくれないか」
「……うん」

未知の感覚に、体が震えた。
瞼を閉じる。暗闇の中で、あたしはタイチを待った。
時間の流れがいつもより遅くなる。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 10:05:03.64 ID:xNYK82DO<>作者はモリミーも読んでるのかな
なむなむ!


とりあえず誰かピカさん呼んでこい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 10:26:34.27 ID:AJhuV2DO<>サトシ「ピカチュウ、アイアンテールだ。」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 11:10:36.26 ID:GJGstEY0<>とどめをさせ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 11:25:08.73 ID:Whnq9UAO<>やれ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 11:55:45.98 ID:seeFHsAO<>いっけぇぇぇボルテッカァァァァッッ!
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 11:57:58.62 ID:iusCVcSO<>つうこんのいちげき!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 12:04:44.62 ID:XjLzsjgo<>ここはぜひともピカさんの雷で2度おいしいミルフィーユ効果を狙っていただきたい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 12:53:06.32 ID:STeWG1co<>あえてうーうーのあやしいひかり<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 12:55:17.88 ID:1rU09ME0<>おwwwwwまwwwwwえwwwwらwwwwwww






いいぞもっとやれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 12:59:30.39 ID:9d3GM2go<>タイチ涙目<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 13:51:07.67 ID:xNYK82DO<>サトシ「俺を倒せることができたら娘をやろう」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 13:54:03.96 ID:AXjL3gIo<>無理難題すぎるww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 15:04:12.60 ID:TVVvqfUo<>ボルテッカ
10万ボルト
電光石火
かみなり  ←<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 15:17:13.34 ID:aOZKdcYo<>キスでもなんでもすればいいさ、だが俺ははろびのうたを歌おう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 15:49:50.22 ID:Qzd4QR2o<>>>823
ボルテッカ→でんじは じゃね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 15:53:22.80 ID:Li57a.2o<>ピカさんマダー?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 15:53:32.86 ID:XjLzsjgo<>このピカチュウは10以上の技を使える<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 17:52:26.70 ID:Te5a8xko<>>>797で遊戯王GXの第三期を思い出した<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 22:21:55.70 ID:sciGYrs0<>>>799
まさかスタンド遣いだったとはな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/04(火) 22:50:31.33 ID:1rU09ME0<>>>829
いや、波紋使いと見た<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/04(火) 23:47:13.81 ID:FBjaNcYo<>>>829-830
浮気するフラグたってるよな<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/04(火) 23:53:11.68 ID:eitNr4.o<>けど、いつまでたってもあたしの望む感触はやってこなくて、

「いつまで目を瞑ってたらいいのよっ」

耐えきれずに、瞼を開いた。
するとタイチは身を引いて、「悪い、また今度な」と言った。

「……どうして?」

不可解なタイチの行動に、得体の知れない不安が胸に押し寄せる。
あたしが緊張しすぎていたから?
それとも、今更になってあたしに魅力を感じなくなったから?
想像は悪い方に膨らむばかりで、自信を喪失しそうになったその時、

「こういうのはやっぱ、ヒナタの親父さんの一件が片付いてからにしよう」
 ああ、片付いて、は言い方が悪いな。一段落ついてから、だな」
「だから、どうして?」
「今こういうことをするのは、なんつーか、卑怯な気がするんだ。
 ヒナタは昨日、俺に好きって言ってくれたけど、
 あれは、流された感じもちょっとはあるだろ?
 この一件が終わって、ヒナタが本当に落ち着いた時に、改めてヒナタの気持ちを聞かせて欲しい」

心からあたしを大切にしようとししてくれているタイチの優しさが嬉しいのと、
タイチに好きと言ったのは、その場の勢いに流されたからじゃないと説明したいけどできないもどかしさで、

「……ばか」

あたしは常套句を口にしていた。

「な、なんでバカって言われなくちゃならねえんだよ」
「……ばか」
「お前な」

呆れるタイチを置いて、部屋の外に出る。
後ろ手に障子を閉める直前に、

「おやすみなさい」
「あ、ああ。おやすみ」

暗く冷たい廊下を歩くにつれて火照っていた体が冷めていく。
部屋には、誰もいなかった。
ひんやりとした布団に潜り込む。
眠気はなかなか襲ってこなかった。
明日セキエイ高原に発つことや、お父さんにもう一度会うことを意識しはじめると、目は冴えるばかりだった。
ピカチュウの温もりを探しても、手に触れるのは冷たい布団の感触だけ。
その時に感じた寂しさが、隙になったのかもしれない。
その夜、やっと眠れたあたしが見たのは、これまでにもう何度もあたしを苦しめてきた悪夢だった。<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/05(水) 00:07:59.10 ID:omm.EKQo<>セキエイ高原編でポケットモンスターセピアは一応終わりです
そこで色々考えた結果、セキエイ高原編は書きためて、一気に投下する形を取りたいと思う
自分に与える〆切は夏休みの終わり、すなわち8/31まで
9/1に一斉投下で終わらせる
最悪、間に合わなければ延期します
待っててね(ゝω・)v<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:11:04.79 ID:e1Vgp.DO<>作者の考えならそれが一番なんだろう
一月近く見れないのは残念だが、楽しみに待ってるよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:11:24.87 ID:a/keOzoo<>わーい、まってるよー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:13:00.47 ID:xfc.HvEo<>連続投下の方が読みやすいから大歓迎だ
〆切守れよこの野郎(ゝω・)v
タイチがイケメン化しやがって夢精野郎が<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:15:51.45 ID:lsUghHgo<>期待してまってますん<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:21:20.13 ID:Q3oFGMDO<>夏休みをまだまだ楽しみたいけど、
続きを読むためには夏休みが終わらなきゃいけないから早く夏休みが終わってほしいし、
そもそもセキエイ編を読んでしまうとこの作品がもう読めないから読みたくない気もするし、
かといって続きも気になるし……。


うぴぉー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:37:00.44 ID:0Xm8BN.o<>お預けプレイですか、ちょっとM開眼してくるわ
そういや、作者って金銀のマップかなんかもらってなかったけ?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:40:14.73 ID:aF816jko<>焦らすなんて・・・くやしい!
でも感じちゃう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 00:50:03.79 ID:gAf8gYAO<>楽しみに待ってるねー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 01:14:55.17 ID:qr1X96SO<>終わるの寂しすぎる…
でも楽しみに待ってます<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 01:31:10.79 ID:wXb/V160<>一斉投下のが好きだしまってるお
受験もあるしね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/05(水) 02:06:22.23 ID:YN1julM0<>だれか作れよw
このポケモンしたいわw<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/05(水) 04:21:32.33 ID:AKh0NMDO<>>>844
このスレの誰が作ってもタイチには死亡フラグしか立たないぞww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/05(水) 05:08:59.77 ID:rgQZyd6o<>期待して待ってるぞよ

>>845
タイチはセキエイで俺の自慢のギャロップで全力でつぶす<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/05(水) 08:03:26.14 ID:Z4HW82DO<>確かに
VIPにスレ立てたら暇人が集まるかもなww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/05(水) 08:06:58.54 ID:Z4HW82DO<>>>847は>>844宛ね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 09:12:11.13 ID:EW5tGYDO<>ビジュアルノベル形式でいけると思うんだよね<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 10:55:46.14 ID:pI6tXQDO<>サトシ「次スレまでに俺のところまで来れるのか?クック……(ヒナタに早く会いたい)」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/05(水) 11:05:54.00 ID:IwbELz20<>やれやれだぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 23:34:35.33 ID:tK8znsAO<>8/31を期限にするとはなかなかマゾいな、作者<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 23:52:07.79 ID:hXKCdsAO<>――――――――――――――――――――――――――

「……………んっ……んっ……」

俺の意識は朦朧としていた。何かが俺の上に乗って一定のリズムを取っていた。

「……ヒナタ………?」
「…………っ………いい………とこな……のっ……邪魔し……ないで…」
「……まだだめっていっただろ?」
「……だって…っ…」

ぼやけた視界の中でそんな会話を交わしていたで俺は興奮していた。

「………あん……あ………んんっ…」

だんだん声が激しくなってくる。よく見えない眼で周りの目を気にしたが何もなかった。

「うぉっ………ヤバい…ヒナタ………!」
「……ん……んっ……あっ……あっあ……んんっ!」

その声の主は暗闇に消えた。


―――――――――――――――――――――――

冷たい何かがある。冷たい視線を感じる。
そんな意識の中、安堵感と開放感で現実を迎えたとき、俺はその状況に気がついたと同時に激しく罪悪感に見まわれた。
低い男の声が耳に響いた。


「…いい加減夢精!」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/05(水) 23:52:50.73 ID:a/keOzoo<>イミフ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/06(木) 00:22:36.78 ID:lfl/n82o<>これはひどい<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/06(木) 00:26:28.66 ID:I0AxTkQ0<>>>853最後がイマイチだな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/06(木) 01:59:56.18 ID:WV3/l.DO<>ひどいな
オチが悪いとか以前に文章がなってない<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/06(木) 16:19:59.64 ID:Zh3CB4ko<>>>853
いい加減夢精=いい加減にせい ってこと?^^;<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/06(木) 20:37:07.91 ID:SEjJ/QDO<>9月1日に一斉投下ってことは11ヶ月にわたる長期連載なんだな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/06(木) 23:28:15.53 ID:9CRGApQo<>もうそんなにやってるのか
たしかに長いな、投下速度も密度も高いのに<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/06(木) 23:33:08.83 ID:/679t0co<>量的にどのくらいなんだろうな
何万字あるのかちょっと気になる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/06(木) 23:49:09.39 ID:Iie6nIDO<>文庫サイズに纏めて同人で出したいレベル<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/06(木) 23:50:35.14 ID:Iie6nIDO<>文庫サイズに纏めて同人で出したいレベル<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/07(金) 00:55:07.38 ID:NFi3bsDO<>ごめん
エラーだったから書き込めてないかと思ってた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/07(金) 01:18:50.45 ID:RCXjhLko<>大事なことなので2回言いました<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/07(金) 06:41:53.36 ID:KaXKY2DO<>面白い、作者すごい、ヒナタ可愛いピカチュウさんうぉふふ
細かいことはいいんだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/09(日) 08:42:51.39 ID:P.MhwcDO<>誰か二次創作作ってくれよ
9月まで待てぬ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 08:54:48.49 ID:CjZTysEo<>それは三次創作だな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 12:01:30.49 ID:OVryUQco<>タイチのチンコがハッサムにチョッキンされる話なら<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/09(日) 14:25:32.81 ID:gLrUl.SO<>>>869
頼む<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 14:59:22.56 ID:G7mvn2DO<>>>869
大いに期待してるぞ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 16:15:09.00 ID:6NyAK4oo<>どうしてもやりたきゃ作者に許可もらって別スレでやれよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 16:29:42.44 ID:xvea00.0<>>>869
えろくかいてね<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/09(日) 16:38:42.86 ID:hRGWyyAo<>三次創作は全然おkです
あんまりキャラを虐められると悲しくなるけど

今30レス分くらい書き溜まったお( ^ω^)<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 16:39:28.40 ID:Jir2Htco<>おお、がんばれ

しかし30レス分とかすごい量じゃないか・・・?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 16:51:02.64 ID:x7ue3mEo<>(量的な意味で)1日で投下しきれるのか?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 16:57:49.78 ID:OVryUQco<>wwktkが止まらない
セキエイでタイチがシステムにふるぼっこされることを祈るよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 19:38:46.86 ID:eWZTHv60<>5日から9日で30レス=1日6レス分=9月までに160レス分?…は無いか…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/09(日) 23:38:50.04 ID:zFyTd.AO<>30レスとか作者加速し過ぎワロタ
本当に来月が楽しみだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 02:10:54.03 ID:6i9BmsDO<>次スレで終わっちゃうんかね
とにかく妥協はしてもらいたくないな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 10:24:42.67 ID:dJcGxADO<>早めに次スレ立てといたほうがよくね?
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 10:26:14.17 ID:.FfRARQo<>まだ大丈夫<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 12:30:58.31 ID:.FfRARQ0<>wikiのリアルドードリオ吹いたwwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 15:32:02.79 ID:PmZhqys0<>wikiの絵は実写にできそうなのあるよな、犬ドーブルとか
でも本物を弄るなら犬よりも昆虫のほうがやりやすそうだ…<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/10(月) 19:11:06.43 ID:9.JVDg6o<>近日、親によるPC禁止令発布が濃厚
〆切以前に投下できない可能性が出てきた
とりあえず今まで書いた分だけ今から投下する
約束もへったくれもなくてごめんなさい 受験制度[ピーーー]<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:12:04.75 ID:JKAEBuEo<>生きろwwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:13:18.52 ID:oP6quA6o<>私男だけど、VIPなんかで締め切りとか言ってる人ってどうかと思う<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:13:53.82 ID:9.JVDg6o<>―最終章―

地平線から溢れ出た黄金色の朝日が、夜の暗幕に包まれていたセキエイ高原に陰影と色彩を与えていく。
時折、侵入者を威嚇するかのような怪鳥の鳴き声が、冴え凍った夜明けの空気を震わせる。
自然と、カイリューの触覚を握る手に力がこもった。
初めてチャンピオンロードを踏破した時の感動が蘇り、僕はしばし、眼下に広がる偉観に目を奪われた。
荒々しい岩肌の雀茶色と、鬱蒼と生い茂った木々の暗緑色。
それは、この場所にポケモンリーグが建造されてから二世紀が経った今となっても、
頑なに人類を拒絶し続けていることの何よりの証明だった。

「見えてきた」

と、よく通る声でシゲルは言った。
エアームドに乗ったタイチとヒナタが、左手のピジョットに乗ったキョウとタケシが、
右手のピジョットに乗ったアヤメとカエデが、同時にセキエイ高原の彼方、朝日を弾いて銀白色に煌めく建造物を認めた。

同日、午前2時。
タマムシシティを離れた一行は、草木も眠る七番道路に到着した。
草むらを踏みしめる音は、静謐な夜の中で、まるで薄氷を踏み抜くかのように誇張された音になって響いた。
出発場所にここが選ばれたのは、

『昼夜問わず明るいタマムシの空は匿名性が低い。
 光害の少ない郊外から出発すべきや。あ、今ナチュラルに洒落言うてもうたわ』

というマサキの提案(後半部分を除く)があったからだ。
マサキとエリカや、ムサシとコジロウとニャースを含むロケット団残党は、タマムシシティに残留することになった。
マサキは肩の怪我が治っていないことにも加え、

『ポケモントレーナーとしての才に恵まれなかった自分が行っても出来ることは何もない』

と言って辞退した。
エリカはシルフカンパニーの一件に距離を置いていたこともあってか今回の同行を切望したが、
万が一の時のことを考えてジムリーダーのうち誰か一人が残らなければならず、結果、立場的に最も適当なエリカがそれに選ばれた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:15:22.17 ID:.FfRARQo<>ワーオwww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:16:07.85 ID:9.JVDg6o<>『皆さんのご武運をお祈りしていますわ』
『いくらなんでもその台詞は古風すぎるぜ』

シゲルに笑われたエリカは、しかしそれでも足りないというように数秒、睫を重ね合わせて、一同の姿を、特にヒナタの姿をじっと見つめた。
その素振りから僕は、エリカはシルフカンパニーで何も出来なかった自分に自責の念を抱いているのかもしれないな、と思った。
ロケット団残党代表にしてサカキが最も信頼を置く部下だと自負する二人+一匹組は、
意外にも自分たちの老いを素直に認めた上で、サカキの奪還を考えていることを明らかにした。
奪還なんて諦めて、いっそのこと君たちがサカキの他の部下を指揮したらどうだい、と僕が口にすると、

『ボスはボスしかいない(のニャ)』

というハーモニーが返ってきた。
勝算はあるのか、という問いは彼らにとって無意味だと知っていたから、僕は『成功を祈っているよ』とだけ言った。
そのようにして僕は彼らと別れをすませた。
七番道路に人気は無かった。
深い眠りについた野生ポケモンの息遣いを聞き取れるほど辺りは静まり返っていた。
皆が各々の背に乗ったのを確認してから、三体の飛行ポケモンはカイリューを先頭に編隊を組んで西に飛び立った。

「ウォフー」

カイリューが羽ばたいた回数に比例して、朧気だった建造物が輪郭を帯びていく。
人工的な銀白色の外壁は、それを包囲する原生の自然色に不思議なほどに調和していた。
ポケモンリーグに続く舗石の両脇に整列したポケモンの彫像は、風化を知らない素材で出来ていた。

「わあっ……」
「きれい……」
「すげぇ……」

ヒナタたちが目的を忘れて、ただ、この光景に嘆息するのも無理はない。
やがて、太陽が完全に地平線から姿を見せ、冬の澄んだ空の隅々にまで光を行き届かせた頃、僕たちは終にポケモンリーグ上空に到着した。
ポケモンセンターやショップ等の複合施設が存在するエントランスを飛び越し、
ポケモンリーグ出場権を得たランカートレーナーが四天王及びチャンピオンへの挑戦権を賭けて戦う、バトルフィールドに直接着陸する。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:21:10.13 ID:9.JVDg6o<>「ピカチュ」
僕はカイリューにお礼を言って、彼の体を降りた。懐かしい土の感触が足の裏に伝わった。
周囲を見渡す。戦闘区域を限定する白線。
角に一つずつ設置された、都合四基の照明塔。
悠に六万人を収容する観客席――。
何一つ変わっていなかった。変わってしまったのは僕の方だ。

「呆気なかったな」

と、いち早く懐古から目を醒ましたタケシが言った。

「妨害のひとつも無かった」
 
シゲルは記憶を拾い上げるかのように土に触れながら、

「夜明けを背負う形で飛んだおかげで発見されずにすんだのか。
 それとも、そもそもここには俺たちが求めているようなシステムの根幹がないのか。どっちだと思う?」
「答えはどちらでもないわ。面倒を省くためにわざと泳がせたのよ」

とアヤメ。

「相違ない」
 
頷いて、腰のボールに手をかけるキョウ。
ジムリーダーたちが瞬時に臨戦態勢を整える中、僕は静かに主の足許に移動した。
状況変化を把握できていなかったヒナタら三人は、四方を見渡して、ようやく包囲されていることに気付いたようだった。
細長い影がフィールドを横断する。
隠す必要が無くなったからか、あからさまな羽音が聞こえてくる。
見上げずとも、数体の飛行ポケモンが上空を旋回していることが分かった。
空と陸の退路は断たれたてしまった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:23:42.71 ID:9.JVDg6o<>「顔見知りが何人か混じってる」

距離を詰めてくる黒服の面々を順に見ながらシゲルは言った。
マチスの例をからも明らかなように、システムの魔手はジムリーダーにまで及んでいた。
正規のランカートレーナーがシステムに属しているとしても、なんら不思議はない。
街で偶然後輩に会ったかのような軽い口調でシゲルは語りかけた。

「お前ら気が早いんじゃないか。ポケモンリーグ開催はまだまだ先だぜ?」

無反応。シゲルはチッと舌打ちして耳を掻き、

「あー、俺たちはこの先に用があるんだ。
 それで、お前らがそこにいると邪魔だから、どいてくれ」
「四天王の間にお通しできるのはキョウ様だけです」

擦りながらも威圧的な声で黒服の一人が言った。
個人の力量に懸隔があることは百も承知、この哀れな黒服の自信は恐らく、
僕たちと彼らの間に横たわる圧倒的な勢力差によって保たれている。

「聞こえなかったのか。俺はどけ、と言ったんだ」

閃光。同時に包囲網が僅かに後退する。
赤と黒と薄橙の毛で覆われた、獅子にも狛犬にも似た伝説ポケモン・ウィンディは、伝説の名に恥じぬ威厳ある咆吼を響かせた。

「どうかポケモンをお納め下さい、シゲル様。身柄の拘束を条件に、全員の安全は保障します」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:25:59.87 ID:9.JVDg6o<>「お断りだ」
「それでは誠に遺憾ではありますが……強硬手段を取らせて戴きます」

複数の閃光。
現れたポケモンはいずれも最終進化形態。
各々の体に残された傷跡からは、それと同じ数だけの修羅場を凌いできたことを物語っている。
空を旋回していた鳥ポケモンの中の一匹が、牽制するように僕たちの至近距離を滑空し、上昇する。
突風が吹き抜ける。

「シゲルおじさま……」

と心配のあまり言葉を詰まらせるヒナタに、

「安心して見てな」

とタイチが声をかけているのが聞こえた。
事実、かつてサトシと並び評されたシゲルとその相棒を前に、
上位ランカーと彼らのポケモンは為す術がなかった。

「俺も残念だよ。こんなことになるなんてな」

果たして彼が"神速"と呟いてからの一連の流れを、この場にいる何人のトレーナーが目で追えただろう。
僕には一部始終が見えていた。
ウィンディが飛び出し、一刹那遅れて、サンドパンの装甲がまるで脆い銀細工のように破砕される。
ケンタウロスの角は虚しく空を突き、巨体が硬いバトルフィールドに引き倒される。
ニドクインはウィンディを受け止めようと両手を広げ、
しかしそれは鎌鼬を受け止めようとする暴挙に等しく、柔らかい目を爪で切り裂かれて崩れ落ちる。
モルフォンが空に退避しようとした瞬間に"火炎放射"が走り、片羽が焼け落ちる。
面制圧する勢いで放たれたカブトプスの"水の波動"は易々と飛び越され、噴射口は着地と同時に潰された。
僕たちがウィンディの戦いに集中していると踏んで、空から急襲をかけてきた数体のゴルバットは、
すべてキョウのアリアドスに絡め取られて墜落した。蹂躙という言葉が良く似合う十秒間だった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:27:12.17 ID:9.JVDg6o<>ウィンディの"神速"を封じたのは、やはりというべきか、ジムリーダークラスのポケモンだった。

「グルル……」

エレブーが左腕を犠牲にして、右腕でウィンディを抑えつけている。
ウィンディの牙は肉に歯茎が触れるほど深く突き立てられていたが、
血が滴るだけでエレブーに痛みを感じている様子はなく、
また、拘束する力が弱まる気配もなかった。
狼狽する黒服の集団を押しのけて、軍服に身を包んだ屈強な男が現れる。

「よう、マチス」
「…………」
「どうして裏切った」

マチスはその透明な碧眼を、膠着した二匹のポケモンに向けながら答えた。

「俺は傭兵だ。長いものには巻かれろ。
 水は低きに流れ、人も低きに流る。どちらもこの国の言葉だろう」

流暢な発音だった。
異国出身が故の彼の変わった口癖は、人に親しみやすさを覚えさせるための、作為的なものだったのだ。

「いつからシステムの間諜になった?」
「十年以上前のことだ」
「サカキを、俺たちを裏切ることに何も感じなかったのか?」
「……感じる?
 何をだ。俺のハートはとうの昔に死んでいる」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:28:52.16 ID:9.JVDg6o<>「そうか。悲しいな、マチス。俺はお前のことを、ずっと仲間だと信じていたってのに」

電気タイプのポケモンに拘束された時点で、
もし拘束されたポケモンが電気タイプでなければ、勝機はほとんど失われると言っていい。
脱出に全力を振り絞らなければならない被拘束側に対して、拘束側は高圧電流を流すだけで事足りる。
マチスは平坦な声で言った。

「ポケモンの頸椎を砕かれたくなければ退け」

エレブーの丸太のような腕が、ぎりぎりとウィンディを締め付ける。
苦しげな呻き声から、ヒナタとカエデが目を逸した。その時だった。

「冗談きついぜ……根性見せろ、ウィンディ」

ウィンディの牙が発火した。
腕を忠心に火がエレブーを包み込み、自らウィンディを振り払う。
シゲルの足許に舞い戻ったウィンディの体には高圧電流を浴びた痕があった。
無傷では返すまい、というエレブーの強い精神が伺える。
マチスは事実を確認するように淡々と言った。

「片腕が壊れたか」

延焼した体の火傷は浅かったが、"炎の牙"が突き立てられた左腕は、最早原型を留めていなかった。
閃光が連続し、エレブーと入れ替わりにライチュウが召喚される。
辺りではウィンディの"神速"に統率を乱さていた黒服たちが体勢を立て直し、
第二陣のポケモンを繰り出そうとしている。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:30:53.07 ID:9.JVDg6o<>タケシが言った。

「シゲル、俺に提案があるんだが」
「なんだ?」
「消耗戦は避けるべきだ。ここは俺に任せて、お前達は先に進め」
「……いいのか?」
「俺はマチスと相性がいい。それに、他の奴らにも二ビシティジムリーダーの恐ろしさを教えてやるいい機会だ」
「ジムの序列はジムリーダーの力量で決まると思われがちだからな」

タケシは思い切り振りかぶって、ハイパーボールを二つ、それぞれ反対の方向に放り投げた。
岩の蛇と、鋼の蛇。ポケモンと呼ぶにはあまりに巨大なイワークとハガネールが現れる。

「桁外れだな。ここまでデカいのを見たのは初めてだぜ」
「ははっ、秘蔵っ子だよ」

イワークの一撃が、四天王の間に通じるゲートを打ち砕いた。

「行くぞ。タケシ、ちょっとのあいだ持ちこたえててくれ」
「了解だ」

視線で一時の別れを告げて、あとは振り返らずにシゲルが走り出す。
皆がそれに続く中、僕は何度かタケシを振り返り、彼の表情を眼窩に焼き付けた。
タケシを除く全員が四天王の間へ続く通路に入り込んだ瞬間、ゲートは崩落した。
それがタケシのポケモンによるものか、ゲートに破砕口を開けた時の衝撃で崩れやすくなっていたためか、今となっては知る術がなかった。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:32:45.08 ID:JKAEBuEo<>タケシ・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:32:45.52 ID:B6KZwA6o<>とうとう来たか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:33:10.32 ID:9.JVDg6o<>--------------------------------------------------------------------------------------

暗闇の中を、シゲルおじさまのウィンディが散らす火の粉を頼りに走り抜ける。
目から血を噴き出したニドクインや、片羽を失ったモルフォン、背中を抉られたサンドパン、
片腕が真っ黒に焼け焦げたエレブー、地面に叩きつけられた衝撃で両足がねじ曲がったゴルバット――。
あの場にいたポケモンは確かな殺意を持っていた。
だからシゲルおじさまも、ウィンディに殺意を持たせた。躊躇させなかった。
分かっているのに肌が粟立った。あたしは震えそうになる足をがむしゃらに動かすことで誤魔化した。

「……っ」

バトルフィールドに一人残ったタケシさんのことを思うと、今すぐタケシさんを助けに戻った方がいいのではないか、という考えに駆られた。
でも、シゲルおじさまにそれを申し出たところで、却下されるに決まっている。
そんな葛藤を募らせていたあたしに、すぐ隣を走っていたタイチは言った。

「ヒナタは、親父さんに会うことだけを考えてりゃいいんだ」
「えっ?」
「さっき俺の親父のウィンディにやられたポケモンのことも、タケシさんのことも、今は忘れろ」
「そんなこと、できないわ」
「ヒナタの優しさは、報われない優しさなんだよ」

最後の一言の意味が分からないまま、通路の先から差し込む純白の光に目を細める。
通路を抜けた瞬間、あたしたちは一面の銀世界に立っていた。あちこちに散らばった氷の塊に触れてみる。

「冷たい・・…」

本物だった。
四天王は自分の得意とするタイプに有利なバトルフィールドを造ることが許されている。
局地的な銀世界は、まさに氷タイプの使い手・カンナにぴったりだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:35:47.67 ID:9.JVDg6o<>あたしが注意深くあたりを見渡していると、カエデが言った。

「さっきみたいな待ち伏せはなさそうね。
 四天王の間に通じるのはこの入口と、次の間に繋がっている反対側の出口だけだから」
「だろうな。多分、システムの上層部は秘密の漏洩を最小限に抑えたがってる。
 だからシステムの精鋭やマチスも、セキエイの奥から離れたあんなところで待機させられてたんだ」

脳裡に、楽観的な希望が過ぎる。
四天王の間に入った時に考えられる可能性は、全部で三つ。
一つ、四天王が不在。二つ、システム寄りの四天王の妨害。三つ、反システムの四天王の援助、または見遁し。
現四天王のキョウさんがこちら側にいる以上、セキエイにいる四天王は最大でも三人。
その全員が反システム派という奇跡は起こりえなくとも、逆に、全員がシステムに協力的であることも有り得ない――。
用心しなければ足が滑りそうになる氷の上を慎重に進んでいく。攻撃は突然だった。

「ポケモンリーグへようこそ」

冷たい声と、それを掻き消すほどの轟音が鼓膜を打った。
それは丁度、シルフカンパニーで聞いた拳銃が暴発する音を、何重にも重ねたような音だった。

「ッ!」

直感的にピカチュウを抱いて伏せる。
耳が聞こえるようになって顔を上げた時、目の前にはアヤメおばさまと、殻の右半分を酷く損壊したパルシェンの背中があった。
辺りには大きな釘のようなものが広範囲に、無数に散らばっていた。
もしパルシェンがその身を盾にしてくれなかったら……想像して、ぞっとする。

「あらあら、頑丈なパルシェンを持ってるのね」

大きな氷塊の影から姿を見せた、ラプラスを従えた女の人は、
赤みがかった髪を後ろで結わえて、細いフレームの眼鏡をかけ、知的な雰囲気を漂わせていた。
アヤメおばさまは傷ついたパルシェンをボールに戻しながら、憎々しげに言った。

「お褒めの言葉ありがとう。歓待、痛み入るわ」
「気に入ってもらえたようで何よりだわ! 手荒な真似を許して頂戴ね、アヤメ。
 招かれざるトレーナーの相手をするのはこれが初めてなものだから」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:36:29.99 ID:A1Iys0Io<>ー ー ←タケシ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:40:11.36 ID:9.JVDg6o<>「警告なしで"棘キャノン"の掃射はやり過ぎなんじゃねえかと思うがな。そんなに俺たちをこの奥に進ませたくないのか?」
「シゲルくんもお久しぶりね。けど、ブラフをかけたって無駄よ。
 ここは特別な領域。息子とそのお友達を連れて、行楽気分でやってきてもらっても困るのよ」
「お主は何故、システムに荷担するのでござる? お主に四天王の誇りはないのでござるか?」

キョウさんの質問に、カンナはくすっと妖艶な笑みを浮かべて、

「馬鹿な質問ね、キョウ。今のあなた、とっても滑稽よ。
 四天王に選出されるトレーナーは元々システムに属しているのが通例なのよ。
 ある日突然、あの老婆が行方不明になって、一時的に後釜に据えられたのがあなた。
 ジムリーダーとしてのキャリアが長いあなたを差し置いて、
 システムに忠誠を誓っている上位ランカーの坊やを抜擢するのも不自然でしょ?」
「なるほど……つまり拙者以外の四天王はシステムの傀儡ということでござるか。
 ポケモンの最高機関も地に落ちたでござるな」
「何を期待していたのかしら。
 あなたたちが勝手に神聖視していただけで、システムとポケモンリーグの関係は初めからこうだったわ」
「お喋りは終いにしようぜ」

シゲルおじさまが吐き捨てるように言った。

「カンナ。あんたが立ち塞がるなら、俺たちはあんたを倒して先に進むまでだ。
 あんたは頭がいい、奇襲が失敗した時点で勝ち目が無いことは分ってるはずだぜ」
「そうね……確かにあなたの言う通りだわ。いいわよ、通っても」

そう言ってカンナは指を鳴らした。一拍遅れて、重々しい音と共に向かいのゲートが開き始める。

「やけにあっさり通してくれるんだな。何を企んでる?」
「あははっ、何も企んでいないわよ。
 実を言うと、わたしはもうあまり四天王の地位に興味が無いの。
 事実、今期のポケモンリーグが終われば引退するつもりでいるのよ。
 わたしがシステムに身を投じたのは、ただ純粋に、四天王の座に就きたかったから。
 システムの高尚な考えや、セキエイを守ることなんてどうだって良かった。
 システムに忠義を尽くして、いたずらに自分のポケモンを傷つけるなんてまっぴら御免なのよ。
 ……けど、こうしてあなたたちと対峙しているからには、形だけでも責務を果たさなくちゃいけないわね」

そこでカンナはアヤメおばさんを指さして、

「気が変わったわ。アヤメ、あなたはここに残りなさい。
 同じ水・氷タイプの使い手として、ポケモンバトルをするのよ。
 それで他の侵入者さんたちは通してあげる。どうかしら?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:42:15.99 ID:B6KZwA6o<>うう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:43:32.68 ID:9.JVDg6o<>「……喜んで受けて立つわ」

全員でカンナにかかる選択肢を選べば、カンナはポケモンが最後の一匹になるまで抵抗して、
その結果、あたしたちは貴重な時間と、限りあるポケモンの体力の浪費を強いられる。
そう考えると、カンナの提案は幸運で、アヤメおばさんが承諾したことは賢明なことなのかもしれなかった。
でも、もし四天王であるカンナと、ジムリーダーであるアヤメおばさんの間に、大きな力の差があるたとしたら――。

「ハンデをあげてもいいわよ。アヤメ、もう一人誰か選びなさいな」
「あまりハナダシティジムリーダーをナメないで欲しいわ。わたし一人で十分よ」
「本当にいいのか?」

というシゲルおじさまの問いかけに、アヤメおばさまは頷いて、キングドラを場に出した。
そして、あたし、カエデの順に微笑みかけて、小さく親指を立てて見せた。
それでも、あたしの後ろめたさは拭えなかった。隣では、カエデが幽かに肩を震わせていた。
シゲルおじさまが抑揚のない声で言った。

「行こう」

次の四天王の間に通じるゲートに着くまでの間、ラプラスは微動だにしなかった。
ただ、カンナのすぐ隣を通り過ぎた時、カンナの視線があたし――というよりもあたしの肩に乗ったピカチュウ――に向けられていたのが気になった。
その一瞬だけは、知的で怜悧な色の瞳に、燃えるような敵意と恐怖の色が浮かんでいた。
ピカチュウはカンナには目もくれずに、アヤメおばさんを目に焼き付けるように、じっと見つめていた。
アヤメおばさんを除く全員がゲートをくぐると、再び重々しい音と共にゲートが閉まり始めた。
通路に差し込む純白の光が、だんだん細くなっていく。
あたしと一緒に最後尾を歩いていたカエデがひたりと足を止めたのは、ゲートの隙間が人ひとり通れるかどうかにまで狭まった時のことだった。

「ヒナタ、ごめん」

……遅いわよ。いつ言い出すのかと思ってはらはらしてたんだから。

「あたし、ヒナタのためにここまで着いてきたのに……あたし……やっぱりママのことが心配で……」

あたしは横に首を振った。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:44:53.07 ID:9.JVDg6o<>「いいのよ。あたしも、誰も、カエデを責めたりしないわ」
「ごめん。本当にごめんっ」
「さあ、早く行って」

あたしの一言で、カエデは弾かれたように踵を返して駆けだした。

「カエデ、何やってんだ!」

制止しかけたタイチの前に立ち塞がる。

「行かせてあげて。アヤメおばさんはカエデにとって、掛け替えのないお母さんなのよ」

カエデが擦り抜けた瞬間、ゲートが完全に閉じたことを示す大きな音がした。
シゲルおじさまが言った。

「……すんだことだ。先に進むぞ」

暗闇でシゲルおじさまの表情は伺えなかった。
再びウィンディの火の粉を灯り代わりに通路を歩いていくと、
今度は赤茶けた地面に巨大な岩がいくつも転がった、二ビシティジムの造りによく似たフィールドに出た。
一番大きな岩の頂上で、上半身裸で、精悍な顔つきをした男の人が、あぐらをかいていた。
格闘タイプの使い手、シバ。写真で何度か見たことがあったけど、実物を見るのはカンナと同じでこれが初めてだった。
シバはまるで普通の階段を降りるように岩肌の突起を足伝いにして、あたしたちと同じ高さまで降りてくると、

「そこで止まれ」
「修行の邪魔をして悪いな、シバ。俺たちはこの先に進みたいだけだ。見遁してくれ」
「四天王の間を通ることが出来るのは、四天王を倒した者だけだ」
「どうしてもそのルールを曲げることはできないのか?」
「諄い。戦うか、退くか。好きな方を選べ」

閃光。格闘ポケモンの代表格、四本の腕を持ったカイリキーが現れる。
一切の無駄がない引き締まった体は、まるで石から切り出した彫刻みたいだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 19:46:55.45 ID:A1Iys0Io<>>>904
大きな力の差があるたとしたら――。

ミスってる気がする<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:48:27.38 ID:9.JVDg6o<>「四対一だぜ。結果は見えてる」
「俺は全力を尽くそう」
「面倒なことになっちまったな」

溜息を吐いたシゲルおじさまに、キョウさんが言った。

「拙者がシバの注意を引くでござる……主等は行け」

閃光。
横に長いサーモンピンクの体と、それを上下から挟み込むような白い甲羅、
フォレトスと呼ばれたポケモンは虫タイプとは思えない外観をしていた。

「シバ。お主はシステムに疑いの心を持ったことはないのでござるか?」
「一度もない。俺は過去に、システムに救われた。
 以来、俺はシステムに絶対の忠誠を誓っている。システムに楯突く者は潰す。たとえそれが同じ四天王のお前でもだ」
「暗愚な男よ。システムの本質を知らずに、何が忠誠でござるか」
「御託はいい。言葉で理解できないなら、拳で理解させてやる。
 行け、カイリキー。お前の怪力を思い知らせろ!」

カイリキーの腰に巻かれていたベルトが地面に落ちる。

「マズいな。シバの奴、本気だ」

シゲルおじさまはピジョットを召喚して、跨りながら言った。

「タイチ。お前もエアームドに乗れ。勿論ヒナタも一緒にな」
「あ、ああ」

意味が分からない、というような表情を見せながらも、タイチが言われたとおりにエアームドを召喚する。
どうしてシゲルおじさまは飛行ポケモンに乗るように指示したのかしら?
カイリキーが四つの腕を目一杯振りかざす。
そして四つの拳が同時に地面に打ち下ろされた瞬間、あたしの疑問は氷解した。
カイリキーの拳を起点に地割れが発生して、さっきまであたしたちが立っていた硬い地面がバラバラと崩れていく。
足場が消える寸前にエアームドが飛び立っていなければ、今頃あたしとタイチはあの亀裂の中に飲み込まれていた。
何かの拍子にピカチュウが落ちないように、肩の上から腕の中に移動させる。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:49:58.02 ID:9.JVDg6o<>>>904
訂正
大きな力の差があるたとしたら――。 ×
大きな力の差があるとしたら――。 ○





「すごい……ポケモンでこんなことができるなんて……!」

タイチが亀裂を見下ろしながら言った。

「思い出した。カイリキーのベルトは、自分の強すぎる力を抑えるためのものなんだ。
 普通のカイリキーがいったんベルトを外せば、体力が無くなるまで暴走するって話を聞いたことがある。
 でも見てみろよ、シバのカイリキーは、ベルトを外した状態でも理性を保ってる。化けモンだぜ」
「そういえば、キョウさんは?」

空にキョウさんの姿は見あたらない。
ピジョットに乗ったシゲルおじさまが言った。

「心配しなくていい。"電磁浮翌遊"で浮いてる」

見下ろせば、フォレトスは地面が崩れてからも同じ位置に浮翌遊していた。
キョウさんはその上に立っていて無事だった。
ふと、こちらを見上げていたシバと目があったような気がして、あたしは怖くなって目を逸らした。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:52:35.28 ID:9.JVDg6o<>「空に逃げたか。だが、ここは通さん」

閃光。
現れたイワークは、タケシさんのイワークには及ばないものの、それでもゲートを塞ぐには十分な大きさの体を持っていた。

「親父、どうする?」

「待て」

シゲルおじさまはじっとフォレトスとカイリキーの戦いを見つめている。
あたしもそれに倣った。シバとキョウさんは、今では互いに離れた岩の頂上から指示を出していた。
シバの戦い方は、一言で表わすなら圧倒的な暴力だった。
カイリキーが地面を剥がして、それをフォレトスに投げつけながら突進する。
フォレトスは飛来する岩石の壁を"ミラーショット "で破壊し、破片を"高速スピン"で払いながら後退する。
やがてつかず離れずだったカイリキーとフォレトスの距離が詰まり、カイリキーが豪腕を打ち下ろす。
フォレトスはそれを"守る"で受けながら、"毒菱"を撒き散らして距離を取った。
同時に、キョウさんが空を見上げた。それが合図だったのかもしれない。

「よし」

シゲルおじさまがピジョットを方向転換させる。

「何が『よし』なんだよ! まさかこれから突っ込むってのか?」
「ああ」
「冗談だろ!?」
「いいかタイチ。俺が合図したら、エアームドに"エアカッター"を撃たせろ」
「"エアカッター"じゃ、あのイワークは動かせないだろ!」
「つべこべ言うな。俺が信じられないのか?」
「ちっ。分かったよ」

口ではそう言いながらも、タイチはきっと誰よりもシゲルおじさまを信頼している。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:54:44.61 ID:9.JVDg6o<>エアームドとピジョットが、滑らかな曲線を描いて低空飛行に移る。
目前に蜷局を巻いたイワークが迫る。

「しっかり目に焼き付けとけ。フォレトスの"電磁砲"は滅多に見られるもんじゃない」

シゲルおじさまがそう言った直後、一条の光線がエアームドとピジョットの間を駆け抜けた。
「グオォォ」
イワークの体の一部が爆発し、蜷局が崩れて、ゲートの上半分が露出する。"電磁砲 "の威力は絶大だった。

「今だ。ピジョット、"風起こし"」
「エアームド、"エアカッター"だ」

目に見えない風の刃が、"電磁砲"の余波で脆くなっていたゲートを吹き飛ばす。

「このまま突っ切るぞ」

振り返る余裕なんて無かった。超低空飛行でゲートの中を進んでいく。
背後からは猛り狂ったイワークの咆吼が追ってくる。
通路の先に新しい光が見え始めた頃、シゲルおじさまは突然ピジョットから飛び降りた。
一瞬遅れて、タイチが乱暴にエアームドを着地させる。

「親父!?」
「シゲルおじさまっ!?」

二閃。暗闇の中に一瞬、アルパインブルーの人型ポケモンと、岩石を丸く切り取ったような形のポケモンが見えた。

「"捨て身タックル"」

衝撃音が通路に反響する。
シゲルおじさまのポケモンがイワークを受け止めたのだと気付くのに、あたしは数秒の時間を要した。
さらに近づいて、シゲルおじさまの目と鼻の先でイワークを抑えているポケモンがゴローニャであることに気付く。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:56:34.19 ID:9.JVDg6o<>「ヒナタ、スターミーを出してくれ。"水鉄砲"を撃つんだ」
「で、でも……ここから撃てばゴローニャにも水鉄砲が……」
「早くするんだ。時間がない」

ゴローニャはじりじりと後退しはじめていた。
あたしはスターミーを呼び出して、目を背けながら命令した。

「スターミー、"水鉄砲"を撃って」
「"水鉄砲"だ」

シゲルおじさまが召喚したもう一匹のポケモン、ゴルダックと、
あたしのスターミーの"水鉄砲"が、ゴローニャとイワークを水浸しにする。

「ゴローニャ、すまない。……ゴルダック、"凍える風"」

全てが終わった時、そこにはイワークとゴローニャが閉じ込められた巨大な氷の塊ができていた。

「これで、良かったんですか」
「こうするしかなかった。先の四天王の間に誰かがいて、背後のイワークと挟撃されたら一溜まりもないからな」

シゲルおじさまはピジョットとゴルダックをボールに仕舞って歩き出す。
氷の塊に視線を遣ってから、前を向くと、タイチと目が合った。
あたしが何を考えているのか分かっているくせに、

「いつの間にか三人になっちまったな」

関係のないことを言ってくれる。

「そうね。シゲルおじさまは頼もしいけど、タイチはちょっと心細いわ」
「冗談だと分ってても傷つくんだが」
「………」
「マジで俺じゃ心細いのか?」
「ふふっ、嘘に決まってるじゃない」

意識して口角を上げる。
タイチはあたしに合わせて屈託のない笑顔を浮かべてくれた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 19:59:18.84 ID:9.JVDg6o<>通路を抜けると、そこは草原だった。

「キョウの間だな」

草いきれを胸いっぱいに吸い込む。
冬なのに春の薫りがした。
足許に目を凝らせば蟻の行列があって、名前の知らない青い花には紋白蝶が止まっていた。

「ここだけ季節が違うね、ピカチュウ」
「チャー」

ピカチュウはあたしの肩から降りて、嬉しそうに耳をぱたぱたと動かした。
けど、穏やかな時間は一分と続かなかった。

「来たか。カンナもシバもつくづく無能だな」

金色の髪と金色の瞳。
ポケモントレーナーの中では、恐らくあたしのお父さんの次に知名度が高い人物がこちらに歩いてくる。

「チャンピオン様がこんなところで何してる?」

元四天王にして現チャンピオン、ドラゴンタイプの使い手、ワタルがそこにいた。

「調子づいた侵入者を始末してやろうと思ってね」
「穏やかじゃないな。それで侵入者ってのはどこにいるんだ?」

ワタルはシゲルおじさまの言葉には触れずに、あたしたちの五十メートル程先で足を止めて、

「俺は寛大だ。後退する選択肢は与えてやろうと思う。俺は今から一歩もここを動かない」
「つまり?」
「大人しく下がれ、ということだ。
 貴様等はこちら側のゲートに触れることはおろか、俺を超えることすらできないのだから」
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:03:19.66 ID:9.JVDg6o<>「言ったな? 後でデカい口叩いたこと後悔することになるぜ」

ワタルは不敵な笑みを浮かべて、

「同じ相手から二度味わう敗北ほど、屈辱的なものは無いぞ。
 シゲル、貴様ならこの言葉の意味がよく分かるだろう」
「俺があの時のままだと思うなよ」
「こちらの台詞だ。時間は人とポケモンに平等に与えられていることを忘れるな」

同時に閃光。
シゲルおじさまの隣にガルーラが、ワタルの隣にカイリューが現れる。
あたしはワタルのカイリューが、これまでに見てきたドラゴンタイプのポケモンとは格が違っていることを、肌で感じ取った。
カエデのハクリューのように好戦的で反抗的でもなければ、
サカキのカイリューのように戦いに消極的でもない。
与えられた命令は完全に、完璧に実行する。そんな風格を漂わせていた。

「お前もシステムに心酔してるおめでたい奴らの一人なのか?」
「熟慮が欠けているな、シゲル。物事はそう単純ではない。俺は全てを知った上でここにいる」
「その人を上から見下すような物言いは治ってねえみたいだな。
 確かにお前の言う通り、俺たちの持っている情報は限られている。
 だが、つい今し方いいことを聞いたぜ。お前が"全て"を知ってるなら、お前を倒して、そいつを引きずり出す。行け、ガルーラ!」
「俺を倒す? フッ、世迷い言を。迎え撃て、カイリュー」

駆けるガルーラ。翼を動かして僅かに浮翌遊するカイリュー。
先に技を発動したのはカイリューだった。
口元の空気が揺らめいたように見えた瞬間、青い炎が吐き出され、草原を焼き払いながらガルーラに迫る。
カエデのハクリューの"龍の怒り"とは攻撃範囲が桁違いだった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:08:01.50 ID:9.JVDg6o<>「"冷凍パンチ"」

ガルーラが両の拳を胸の前でぶつけ、地面を殴りつける。
するとガルーラを中心に草原が凍てつき、青い炎の延焼が止まった。

「やるじゃないか。"竜巻"」

カイリューが空に舞い上がり、大きなモーションで羽ばたき始める。
無風だった草原に小さな風の流れが生まれる。
やがてそれは渦を巻いて、局地的な竜巻になった。
青い炎を帯びた枝や葉が舞い上がって、猛烈な風と一緒になってガルーラを襲う。
竜巻の中でガルーラが、袋から顔を出そうとする子供を守るように蹲っているのが見えた。

「"高速移動"から"叩きつけ"ろ」

空を飛んでいたカイリューが方向を変えて、竜巻の中に飛び込んでいく。
回転して遠心力が乗った尻尾が叩きつけられる寸前、

「待ってたぜ、ワタル」

ガルーラは尻尾を捕まえて、勢いを利用して地面に叩きつけた。
そのままカイリューに馬乗りになって、膝で翼を押さえつける。

「"連続パンチ"だ」

そこからは一方的な展開だった。
一発、三発、七発、十五発。
小刻みなパンチが正確にカイリューの体を打ち抜き、仕上げに"ピヨピヨパンチ "が顎に叩き込まれる。
シゲルおじさまの勝ちだわ――あたしがそう確信した、その時だった。

「もう終わりかい?」
「躱せ!」

ガルーラが飛び退く。直後、ガルーラの頭があった空間を貫くように光の円柱が生まれる。
光が収束した時、遙か高くにある天井には、綺麗に縁取られた穿孔ができていた。
爆発も、余波も、発射に伴う音さえなかった。純粋な破壊のための光線だった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:11:02.69 ID:9.JVDg6o<>「今のが"破壊光線"だってのか……?」

タイチが呟く。

「ドラゴンは強靱で打たれ強い生き物だ。小手先の攻撃は通じない」

カイリューが体の調子を確かめるように翼を動かし、腕を回す。
混乱した様子はなかった。

「そんな……確かにピヨピヨパンチが直撃していたのに……」
「多分、"神秘の護り"のせいだ」

タイチがベルトに手をかける。
シゲルおじさまは振り返りもせずに言った。

「馬鹿なことは考えるな。
 こいつはお前が加勢してどうこうできるような相手じゃない。
 タイチ、お前はエアームドを出せ。ヒナタ、聞こえてるか?」
「は、はいっ」
「タイチと一緒に次の間に行くんだ。俺はワタルを倒してから追いつく」
「でも、あたしとタイチの二人だけじゃ……」
「ピカチュウを忘れたのか?」

はっとした。ピカチュウはあたしの肩の上で小さく頷いた。
この子は過去にお父さんと一緒に、当時の四天王とチャンピオンを倒している。
本気を出せば凶悪ポケモンギャラドスを[ピーーー]ことだって――。
ピカチュウに頼りたい気持ちと、そうすれば何かが変わってしまうような気持ちがぶつかりあう。
タイチが召喚したエアームドを見て、ワタルはさも可笑しそうに笑った。
閃光。現れたのは化石ポケモン、プテラだった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:13:22.11 ID:9.JVDg6o<>「空はドラゴンの独壇場だ。墜落死が嫌なら地に這いつくばっていろ」
「あまり俺の息子をナメるなよ。……俺はカイリューの相手で忙しい。タイチ、一人で突破できるか?」
「……たかがプテラだろ。やってやるさ。乗れ、ヒナタ」

エアームドに乗り込む。
タイチの腰に腕を回すと、幽かに震えているのが分かった。

「怖いの?」
「はは、体は正直だ」
「あたしは怖くない。タイチを信じてる」
「ありがとな。お前がそう言ってくれるだけで勇気が出てくる」

腕に伝わる震えが止まった。

「行くぜ、しっかり掴まってろよ」

空に上がると、カイリューとガルーラの戦いがよく見えた。
カイリューが放つ電撃を電気を纏った右手で相殺し、
青い炎の嵐を橙の火を纏った左手で払いながら、ガルーラがワタルに肉薄する。
低空を飛んでいたカイリューが、それを阻むように立ちはだかる。
ガルーラのメガトンパンチが炸裂し、メガトンキックの準備動作に入ったところで、
間髪入れずカイリューが尻尾で軸足を薙ぎ払い、体勢を崩したガルーラを翼で打って吹き飛ばす。
壮絶な戦いが繰り広げられている地上と違って、空はとても静かだった。
プテラは天井近くの高さからこちらを見下ろろしたまま微動だにしない。
けど、それはあたしたちが不可侵領域に入るまでの話だった。

「来やがった」
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:16:13.29 ID:9.JVDg6o<>翼をたたんだプテラが、重力に従うようにして垂直降下する。
あたしたちと同じ高さになったところで再び翼を広げ、一直線に向かってくる。早い。

「くっ、"鋼の翼"!」

交差した瞬間に甲高い音が響き、エアームドが体勢を崩す。
見れば、"鋼の翼"で物理防御力が上がっていたにも関わらず、プテラの一撃はエアームドの翼に深い傷を負わせていた。

「背後をとられたら終わりだ」

タイチはゲートを前にやむなくエアームドを旋回させる。
プテラも旋回していたようで、再び正面から向かい合う形になる。

「"エアカッター"」

エアームドが大きく羽ばたいて、全弾の命中率を無視した変則的な風の刃を放つ。
プテラはそれらを全て躱した上で、速度を落とさずに突進してきた。

「あんなのありかよ! エアームド、もう一度"鋼の翼"を、」
「待ってタイチ、違うわ!」

奇妙な感覚が背筋を走る。

――次にプテラは物理攻撃をフェイントにして、"超音波"を発動する――

単純な予測とは違う、フユツグのフーディンが使った"未来予知"のような予見とも違う、
そう、まるでプテラの意思が頭に流れこんできたかのような――。

「ヒナタ、掴まれっ!」

現実に帰ったとき、あたしの目は上下逆さまの風景を見ていた。
地上が近づく。落ちてるんだ、と気付くのにそう時間はかからなかった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:19:17.71 ID:9.JVDg6o<>「目を醒ませ、エアームド!」

地上が近づく。視界の端に無防備なあたしたちを狙うプテラが見える。
落ちるのが先か、プテラに襲われるのが先か。
目を瞑った。
肩に掴まっていたピカチュウの重みが消えた。
プテラの悲鳴が響き渡った。

「いつまで寝てんだっ! 飛べ!」

体が押しつけられるような感覚の後に、視界が水平に戻る。

「やった! よくやったな、エアームド! あれ、でもプテラはどこにいったんだ?」
「ほら、あそこ……」

あたしは羽を切り裂かれて墜落したプテラを指さした。

「ピカチュウが助けてくれたのよ」

ふと肩を見れば、そこには何事もなかったかのように瞬きをするピカチュウがいた。
落下途中にあたしの肩を離れて、接近したプテラを撃退、もう一度あたしの肩に掴まるなんて離れ業を、ピカチュウはやってのけた。
尻尾に残ったプテラの血の痕が、それを証明していた。
ゲートの前に降り立つと、タイチはすぐにバクフーンを出して言った。

「"火炎車"」

一度目で罅が入り、二度目で罅が亀裂になり、三度目で穴が空く。
まさかプテラが敗れるわけがない。そんなワタルの思い込みをを突けたのは、そこまでだった。

「ガキの分際でよくも俺のポケモンを……」

破壊光線。
ワタルの命令に、ガルーラに止めをさしかけていたカイリューがすぐさま反応する。
光の粒子が集まっていくのを呆然と眺めながら、あたしもタイチも一歩も動けなかった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:24:32.50 ID:9.JVDg6o<>どこに逃げたところで、あの強力無比な"破壊光線"を防いだり躱したりすることができるとは思えない。
こんな時、もっとあたしに経験があれば、あの"破壊光線"を防ぐ術が思いつけたのかしら。
いよいよ体勢を整えたカイリューを見ながら、あたしはそんなことを考えた。眩い白光の束が放たれる。
果たして"破壊光線"はあたしたちを反れ、壁を消滅させながら一番初めに穴を空けた天井に向かった。

「てめえの相手は俺だって言ってんだろ、余所見してんじゃねえよ」

ボロボロのガルーラが立ち上がり、喉に爪を突き立てるようにしてカイリューを仰け反らせていた。

「邪魔をするな。この死に損ないが」

"破壊光線"を放射し終えたカイリューが、ガルーラを掴んで空に飛び上がり、加速をつけて地面に叩きつける。
そこはシゲルおじさまのすぐそばだった。

「親父っ!」
「シゲルおじさまっ!」

砂煙の向こう側から、掠れた声がした。

「俺のことは構うな。タイチ、お前は死ぬ気でヒナタを守れ。
 そんでもってヒナタ、お前は何に代えてもサトシに会うんだ」

砂煙から現れたウィンディが、今にもこちらに飛び立とうとしていたカイリューに飛びかかる。

「サトシは道を踏み外した。それは確かだ。
 だが、お前ならあいつの目を醒ましてやることができる。
 いいか、これはヒナタ、お前にしかできないことなんだ。システムのことは二の次でいい」

絡み合ったカイリューとウィンディから、朱色の何かが散る。
火の粉に見えたそれは、よく見れば血飛沫だった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:30:30.13 ID:9.JVDg6o<>「………」

タイチが無言で背を向ける。あたしはその前に回り込んで、

「シゲルおじさまを放っておいてもいいの!? このままじゃシゲルおじさまは、」

葛藤に悶えるタイチの瞳を見て、口を噤んだ。

「俺はヒナタを守るためにここまで着いて来たんだ。
 親父を守るためじゃない。それに……これは、親父が望んだことなんだぜ」
「馬鹿っ!」
「な、なんだと!」
「あたし、そんなの嫌よ。タイチが残らないなら、あたしがここに残ってシゲルおじさまに加勢するわ」
「わけ分かんないこと言うな! お前が残ってどうすんだよ!」
「じゃあタイチが残って!」
「バカなこと言ってんじゃねえ、俺はヒナタと一緒に――むぐっ」

初めてのキスは、無意識だった。
唇を数秒押しつけて離す。
言葉で説明すればたったそれだけのことが、あたしをこんなにも幸福な気持ちにさせてくれる。
この先に進む勇気を与えてくれる。

「ど、どどど、どうしてよりによって今なんだよっ」
「あ、ああ、あたしにも分かんないわよっ」

本当は分かっていた。
タイチはシゲルおじさまを助けたくて、
それなのにあたしを優先しようとしてくれて、
その優しさが嬉しくて、同時に許せなくて――。

「お願い、シゲルおじさまを助けに行ってあげて。あたしにはピカチュウがいるから」

だから、一人でも大丈夫。

「………すぐに追いつくからな」

タイチは俯いて、自分に言い聞かせるように言った。

「親父と速攻でワタルをぶっ潰して、ヒナタに追いつく」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:32:31.85 ID:9.JVDg6o<>「……うん」

ゲートに空いた穴を通り抜ける。振り返ると、タイチはエアームドに跨って飛び立っていくところだった。

「ピィ、ピカチュ」

ピカチュウが少し先に進んだところであたしを呼んだ。
後ろの間から聞こえる音がだんだん小さくなって、やがて、聞こえるのはあたしとピカチュウの足音だけになる。
夜目が利かないあたしのために、ピカチュウは"フラッシュ"を使ってくれた。

「オツキミ山洞窟を思い出すね、ピカチュウ」

懐かしくて優しい光。
でも、心なしかフラッシュの光量はオツキミ山の時よりも乏しく感じられた。
ピカチュウの小さな後ろ姿に、なぜか、夏の蛍を連想する。
最後の四天王の間には、四天王の特徴を示す設置物が何もなかった。
殺風景な空間の果てに、チャンピオンの間に続く幅の広い階段があるだけだった。
そしてその階段の中程に、黒のベアトップドレスを着た女の人が腰を下ろしていた。
肩にはこの世のものとは思えないほど綺麗な銀髪が流れていた。
カエデの言葉が耳許で蘇る。
ただ一度の挫折も知らずにS ランクまで登り詰めた若き天才。
居並ぶ候補者を尻目に最年少で四天王の座を物にし、お父さんの再来とまで言われた悪タイプ最強の使い手。

「あたくし、四天王のカリン。あなたがヒナタね」
「どうしてあたしのことを知っているんですか?」
「あら、自覚がないのね。あなた、とーっても有名なのよ。
 最強の遺伝子を継ぐ者。失われた適格者。通名はいくらでもあるわ。このあたくしが嫉妬しちゃうくらい」
「そんな通名、知りません。あたしはあたしです。ここを通してください」
「無理な相談ね」
「カリンさんを倒せば、通してくれますか」
「ふうん、なかなか面白いことを言うのね。
 でもあの子との約束があるから、その意気だけ買わせてもらうことにするわ。アヤ、あなたの出番よ」
「采配に感謝します、カリン」

コツ、コツ、コツ、と硬い音が響く。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 20:34:09.37 ID:JKAEBuEo<>ここでカリンかww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:34:44.91 ID:cggpvxw0<>あれ?カリンってタイチの師匠じゃなかった?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 20:35:26.61 ID:edHqhBMo<>カリンとカレンが紛らわしすぎる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/10(月) 20:35:42.04 ID:9.JVDg6o<>書きためおわり
PC使用禁止令が発布される前に書き終えれたらすぐに投下しにくる
9/1には多分確実にPCがボッシュートされてる
あああああああああああああああうあう<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 20:36:22.99 ID:qtoBr/wo<>なんてこったい・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 20:36:40.77 ID:JKAEBuEo<>まあそればっかりは仕方ないな
乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 20:36:59.24 ID:A1Iys0Io<>何故にカリンが出てきたんだ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 20:43:56.94 ID:B6KZwA6o<>おつおつ
むりすんな
受験終わるまで待つぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 20:47:35.65 ID:K9eNMQko<>乙だよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 22:36:00.61 ID:Gr0/zcAO<>待ってる
カンナ姐さん・・・
アリアドス大活躍!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/10(月) 23:49:42.07 ID:/6h/4hAo<>イツキ涙目ww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/11(火) 07:06:21.00 ID:7I5kqgE0<>カリンがアヤの母親でサトシの嫁だと…?
サトシ羨ましすぎるorz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/11(火) 09:45:57.31 ID:ORq/2QDO<>違うだろ
よく読めよ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/11(火) 14:05:39.94 ID:YXW/la2o<>最近のゆとりは読解力ねーな
まああとからそうなるかもしれないけど<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/11(火) 16:36:39.08 ID:qXxcMWAo<>能力的にはまだしも、思いっきり他人っぽい口調に呼び捨てだしな
つーかカリンは十代のイメージだった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/11(火) 17:00:11.95 ID:lHZ.csAO<>カリンて誰だっけか
最初ミカンかと思って失禁したぞ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/11(火) 17:18:56.45 ID:f7GpNQ6o<>カリンでググったら金銀の四天王だったんだね
アヤの母親はサヤでタイチの師匠はカレン<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/11(火) 19:08:38.61 ID:PDR17060<>作者追い込まれてるんだな…
今のご時勢、PCで過去問や模試やるイメージあるんだが
禁止ってことはそうでもないのか…
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/11(火) 23:05:00.79 ID:KoUsjEIo<>最近の学校はPC完備でな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:24:44.09 ID:iPtL0PUo<>深紅のドレス。
雪のように真っ白な肌。
幼いながらも意思の強そうな瞳。

「もしこの場所にこの子がやってきたら、アヤがあたくしの代理を務める。確かに約束は果たしたわよ」

階段を下りきったアヤは一度だけカリンを振り返って、

「下がっていてください。巻き込んでしまうかもしれません」
「うふふ、アヤは優しいのね。
でも、それ、余計なお世話よ。あたくしのことはいないものと考えて頂戴」

カリンは高みの見物を決め込んだかのように、膝の上に肘を立てて、頬杖をついた。
含みのない微笑を投げかけてくる。
あたしはカリンから目を逸らしながら、アヤに尋ねた。

「どうしてここにアヤがいるの?」
「あなたと決着をつけるためです」
「決着?」
「あなたとわたし、どちらがお父様の娘か、それをはっきりさせるのです」

アヤらしくないな、とあたしは思った。
あの夜、シルフカンパニーの屋上で、アヤはお父さんにはっきり娘だと認められた。
セキエイで再会することは予測していなかったにせよ、
次に会う時は、もっと辛辣で意地悪い言葉をぶつけてくると思ってたのに。

「はっきりさせる必要があるの?」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:26:58.09 ID:iPtL0PUo<>「質問の意味が分かりません」
「シルフカンパニーの屋上で、アヤは言ったわよね。
 あたしもお父さんの娘で、アヤもお父さんの娘だって。
 それでいいと思うの。あの夜、お父さんはアヤ一人だけが自分の娘だと言ったわ。
 あたしは娘じゃないとまで言われた。けど、そんなことあたしには関係ないの」

お父さんだと思っている人を『お父さん』と呼ぶのに、資格なんて要らない。
一方通行でもいい。伝わらなくったっていい。それが、あたしの出した答え。

「なんて、傲慢……!」

アヤがうす桃色の唇を噛みしめる。

「だから、だからわたしはあなたが嫌いなんですっ!」
「あたしはアヤのことが嫌いじゃないわ」
「なっ」

動揺するアヤ。あたしの言葉は本心だった。
苦い気持ちがあるのは確かだけど、それは憎しみとか怒りとかとは、微妙に違ったものだった。
言葉ではうまく説明できないけれど……。

「この痴れ者っ」
「よく、言われるわ」

カエデには何度バカヒナタと言われたか知れない。二桁ですまないことは確かね。
胸に手を当てて、気を落ち着かせたアヤは言った。

「……どうしても、お父様に会う気でいるんですか」

頷く。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 01:28:26.87 ID:fbrAwrIo<>いつも一個目にはトリつけるのに珍しいな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:28:28.81 ID:iPtL0PUo<>「逆に訊いてもいいかしら。
 どうしてアヤはあたしがお父さんに会うのが許せないの?
 アヤはお父さんからすでに認められているのよ。あたしがお父さんに会ったところで、」
「黙って下さい」
「アヤ?」
「お父様のことをお父様と呼んでいいのは、わたしだけなんです。
 約束してください。今からポケモンバトルをして、勝ったほうがお父様の娘で、負けたほうはお父様とは赤の他人です」

アヤの背後でカリンがくすくすと笑っているのが見える。
アヤが口にしたのは、あまりにも子供じみた提案だった。
何がここまでアヤから余裕を失わせているのかしら?

「それでアヤの気が済むのね」

沈黙を肯定と受け取って、

「分かったわ。ルールは?」
「一対一。勝敗条件は、互いに予め用意したポケモンのストックが切れるまで。
 トレーナーへの直接攻撃は反則。純粋なポケモンの力比べです。今回は中断も邪魔もありません」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:28:31.42 ID:xPqFRlso<>お、作者か?<>
◆ihjpPTk9ic<><>2009/08/13(木) 01:30:19.67 ID:iPtL0PUo<>ごめ忘れてた




アヤが二つのボールを掌に乗せる。
そして片方だけを展開して、

「くぅん」

キュウコンの耳に優しく頬ずりする。
その所作には、アヤがポケモンを道具呼ばわりしていた頃の形だけの触れ合いとは違って、確かな愛情が込められているように見えた。

「さあ、あなたも二匹、ポケモンを用意してください」

少し迷って、スターミーとゲンガーが入ったボールを掌に乗せて見せ、スターミーを展開する。
カントー発電所では惨敗、サファリパークでは惜敗。セキエイではどうなるかしら。
初めてアヤと対峙したときのような、得体の知れない恐怖のようなものは、一切感じなかった。
自問する。それはあたしがアヤに慣れたから?
アヤの強さに追いつくことができたから?

「カリン、合図をお願いします」
「いいわよ」

とカリンが快諾する。
静寂。

「はじめっ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:32:24.62 ID:iPtL0PUo<>「"電光石火"」

アヤの命令を予め知っていたかのような反応速度でキュウコンが駆ける。
瞬く。スターミーの思考が流れ込む。
右目はあたしの客観、左目はスターミーの主観を見ている。
スターミーの赤味がかった視界で、キュウコンの体は大きくブレていた。
初撃を躱すことは無理そうね。それなら――。

「"高速スピン"と"水鉄砲"よ」

全方位に放射することで、速度に任せて背後に回りこもうとしているキュウコンと、"炎の渦"を牽制する。
あたしの意図を察してくれたのか、スターミーは後退しながら"スピードスター"で追撃、
"バブル光線"を前面の床に輻射して、さらにキュウコンとの距離を取る。

「随分と、そのスターミーに勝手を許しているようですね。お父様の模倣のつもりですか」
「お父さんと完全に同じようにできているのかどうか、自信はないの。
 ポケモンと感覚を共有したのは、シルフカンパニーの時が初めてだったから」

アヤはあたしの言葉を打ち消すように絶叫した。

「そんなの、嘘に決まってますっ! キュウコン、"電光石火"!」

再びキュウコンが加速する。
残像が見えるほどの疾走。
けど、向かう先が一つなら、慌てる必要はない。
スターミーが小刻みに放つ水鉄砲を、躱し、炎で相殺しながらキュウコンが迫る。
バブル光線の布陣をアヤはどう攻略してくるかしら。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:33:57.07 ID:iPtL0PUo<>跳躍?
炎で無効化して突進?
それとも中距離からの"火炎放射"?
三つの予測が脳裡を過ぎる。あたしは言った。

「充填して、スターミー」

キュウコンがバブル光線の直前に差し掛かる。
あたしとアヤの指示は同時だった。

「ジャンプですっ!」
「真上に最大出力っ!」

バブル光線の布陣を飛び越え、そのままスターミーに襲いかかったキュウコンを、爆発的な水圧が吹き飛ばす。
それは単純な水の放射とは違う、洗練された超高圧水流だった。

「ピッカァ」

ピカチュウが嬉しそうに飛び跳ねて、スターミーに拍手を送る。
想像以上だった"水鉄砲 "の威力に驚いていると、

「あら、あなた気付いてないの? 今のは"ハイドロポンプ"よ」

審判役のカリンが可笑しそうに笑って言った。
警戒を解いたわけじゃないけれど、教えて貰ったことには感謝して会釈する。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:35:59.38 ID:iPtL0PUo<>アヤは足許に転がったキュウコンの首を抱きながら言った。

「どうしてキュウコンの動きが分かったんですか」
「……勘よ」
「そんなはずありません。あなたは慎重で狡猾な人です。
 確かな裏打ちがなければ、あんなに不確定要素が多い指示を出せるわけがないんです」

遠距離から、しかも水タイプの技を完全に蒸発させるほど強力な"火炎放射"を撃つには、インターバルを置かなければならない。
牽制に撃った"水鉄砲"を全て躱すのではなく、
一部は炎で相殺しながら接近してくるキュウコンを見て、その可能性は薄いと踏んだ。
これ見よがしに敷いたバブル光線の布陣は、飛び越えてくださいと言っているようなもの。
それでもアヤは裏の裏を読んで、バブル光線を相殺せずに、跳躍させると予測した。
あたしは裏の裏の裏を読んだ。幸運にもそれが的中した。ただそれだけの話よ。

「幸運、ですか。……言葉で飾っても、結果は同じです。
 わたしのキュウコンは倒れて、あなたのスターミーは健在しています」
「そうね」
「でも、わたしのヘルガーに都合の良い幸運は通用しません」

連続する閃光。キュウコンが消えて、入れ替わりに漆黒の犬型ポケモンが現れる。
サファリパークで炎を吐きかけられたことを思い出す。
凶悪そうな菱形の目を見据える。
あのときは足が竦んで、身震いしたその視線にも、今は冷静に視線を返すことができた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:39:47.47 ID:iPtL0PUo<>「ヘルガーの遠吠えは地獄から死神を呼ぶと言い伝えられています。覚悟してください」

一拍の静寂。

「ポケモンの死を」

強力なポケモン同士の戦いに大怪我や、死はつきもの。
それをあたしはシゲルおじさまたちの戦いを見て思い知った。
そして今、アヤは自分のポケモンがあたしのポケモンを[ピーーー]可能性を忠告してくれている。
あたしは言った。

「死なせない。何があっても、あたしのポケモンは死なせたりしないわ」

アヤは一瞬面食らったような顔をして、すぐに冷笑を浮かべた。

「わたしのポケモンも、ですか」
「それは……」
「甘いですね。甘々です。やっぱりあなたは、お父様の娘に相応しくありません」
「どういう意味?」
「お父様はたくさんポケモンを殺しています。
 わたしもたくさんポケモンを殺しています。もちろん、致し方なくですが」

心に慣らしていた事実が、疼く。

「以前、あなたのゲンガーにキュウコンが辱めを受けたとき、わたしはキュウコンに対する認識を改めました。
 キュウコンを失いたくないと、心から思うようになりました。
 ここまではあなたと同じです。でも、ここからがあなたと違うのです」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:41:34.09 ID:iPtL0PUo<>アヤはふっと無表情になって、

「あなたは自分のポケモンの命と相手のポケモンの命を天秤にかけられない、
 いえ、正確にはどちらが重いのか咄嗟に測れないのです」

言い返せなかった。

「トレーナーへの直接攻撃なんてもっての他です。
 あなたは自分が攻撃されるその時まで、相手トレーナーを攻撃する選択肢を忘れているんです。
 誰かがあなたの代わりに戦って、誰かが代わりに傷くのを、
 あなたは心のどこかで安心しながら傍観しているだけなんです」

『卑怯者』――いつかアヤに言われた言葉を思い出す。
アヤはあたしよりも年下なのに、ポケモンでポケモンを[ピーーー]ことや、ポケモンでトレーナーを傷つけることに躊躇いを捨てている。
それに比べて、あたしは自己欺瞞を繰り返してばかり。
相手トレーナーを直接攻撃する機会はあっても、
それはなんらかの手段で防がれたり、躱されたりすることを直感していたときに限られていた。
無慈悲な自分に成り切ることができなかった。境界線は、いつも曖昧なままで……。

『お前、システムの奴らみたいな戦い方するのが嫌なんだろ。
 割り切れなかったら、別にそれでいいじゃねえか。
 ヒナタがそういう戦い方はしたくない、っていうなら、俺が代わりに戦ってやるからさ』

エリカさんのお屋敷にいたとき、タイチはそう言ってくれた。
あたしはその優しさに甘えることで、その命題に向き合うことから逃げていた。
アヤの言う通りだわ。あたしは……。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:43:39.11 ID:iPtL0PUo<>「ピィッ」

つんつん、と足をつつかれる感触がして見下ろすと、フリフリと首を横に振るピカチュウがいて、

「……ピカチュウ」

見失いかけていた自分を取り戻す。
相手ポケモンを殺したり、相手トレーナーを直接攻撃することに対する答えは、まだ出せそうにない。
だって、誰も傷つけたくないのが、あたしの今の本心だから。

「また逃げるんですね」

アヤの言葉を無視して、

「ありがとう、スターミー」

スターミーをボールに戻して、ゲンガーを召喚する。

「うー」

ゲンガーはまるで威圧的なヘルガーの雰囲気に対抗するように、でっぷりした胸ならぬお腹を張ってみせた。

「……っ」

サファリパークでのことを思い出したのか、アヤが嫌悪感を隠さずにゲンガーを睨み付ける。
これが終わったら、たとえ信じてもらえなくても、ゲンガーのもうひとつの主格について打ち明けよう。
あの日、キュウコンを辱めたことを謝ろう。あたしは密かに決意する。アヤは言った。

「力を貸してください、ヘルガー、"スモッグ"です」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:48:03.92 ID:iPtL0PUo<>ヘルガーの周りに灰色の煙が発生する。
"スモッグ"が横たわっている限り、ゲンガーとヘルガーの視線は繋がらない。
あたしが瞳術系統の指示を思いとどまった瞬間を見計らったかのように、
ヘルガーは煙を飛び出し、少し離れたところで再び"スモッグ"を発動する。
それが何度か繰り返されて、バトルフィールドに六つのスモッグの塊が完成する。
煙から煙へ、ひっきりなしにヘルガーの影が飛び移る。

「うー……」

視界を共有する。案の定ゲンガーの目はヘルガーの敏捷な動きに追いついていなかった。

「左に移動して、ゲンガー」

あたしの視界がゲンガーの背中をカバーできる位置に移動すれば、ゲンガーは正面に意識を配るだけですむ。
けど、アヤがそれを易々見逃してくれるはずもなくて、

「させません。"火炎放射"です、ヘルガー」
「避けて!」

寸前で躱したものの、キュウコンの炎とは比べものにならないほどの光と熱が、ゲンガーの体を浅く削り取る。
反撃しようにもヘルガーはすぐにスモッグに隠れてしまって姿が見えない。
手近なスモッグに突っ込みたい、というゲンガーの意思を感じて、あたしはつい、抽象的な命令を出してしまう。

「ダメっ!」
「うっうー?」

二の足を踏むゲンガー。
その隙を狙って、死角から"火炎放射"が襲いかかる。
咄嗟に飛び退いたものの、ゲンガーのお腹がまたしても若干削り取られてスリムになってしまった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 01:48:12.56 ID:u70tRh6o<>うおお来てた
うーうーがんばれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:49:39.18 ID:iPtL0PUo<>「スモッグの毒に耐性があるのは、ヘルガーだけです。
 スモッグを展開し終えた時点で、ヘルガーの勝利は決まったも同然なのです」
「……"大文字"を使わないのは、出し惜しみのつもりなの?」

サファリパークの草木を消し炭にして地面さえ溶かした、炎系最強の技が脳裡に蘇る。

「使うまでもありません。
 そのゲンガーには、キュウコンが味わった苦痛と同じものを、たっぷり時間をかけて与えてあげます」

愉しげに笑うアヤ。ヘルガーの不規則な攻撃が止まらない。

「"騙し討ち"」

時折混ざる悪タイプの技が、炎を警戒していたゲンガーを嘲笑うかのように薙ぎ倒す。

「このままじゃジリ貧だわ……」

打開策はあった。
でも、それを使えばゲンガー自身に致命傷を与えかねない。
だからあたしはゲンガーに、一度たりともその技を使わせたことがなかった。

「うっうー!」

ゲンガーがあたしに何かを訴えかけるように叫ぶ。
ゲンガーには痛みを受け入れる覚悟がある。
怖がっているのはあたしだけ。何かが吹っ切れた気がした。

「……"呪い"をかけて」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:51:04.77 ID:yAl5g6SO<>うっうーウマウマ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:53:49.62 ID:iPtL0PUo<>ゲンガーが頷いて、右腕を刃に変化させる。
そして次の瞬間、ゲンガーは自分の太い首を刺し貫いた。
真っ黒な血が噴き出して、倒れたゲンガーを中心に黒い血溜まりができる。
アヤはすぐにその行動の意味を察したようだった。

「ヘルガー、今すぐに"大文字"を放つのですっ!」
「ゲンガー、起きてっ!」

"呪い"は自分の体力の半分を代償に、相手を時間経過と共に瀕死に至らしめることができる技。
大局的に見た確実性は高くても、呪いの発動直後は著しい体力の減少から、一瞬で倒されてしまう可能性がある。
ヘルガーが薄まったスモッグから姿を現す。
ゲンガーはまだ目を醒まさない。

「お願いっ、早く起きて!」

前触れなく、ヘルガーの"大文字"がフィールドの三分の一を焼き尽くす。

「いやあぁっ」

あたしは一瞬、ゲンガーが灼熱で蒸発するところを幻視して、

「ウゥ……」

揺らめく空気の向こうに、片腕を失った緋の目のゲンガーを見た。
もうひとつの主格、レベル91のギャラドスが目を醒ましていた。

「ゲンガー……生きてるの……?」

ゴーストタイプに「生きてるの?」という質問が正しいのかどうかなんてどうだって良かった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 01:57:31.29 ID:IacLTvIo<>うーうー<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 01:57:41.32 ID:iPtL0PUo<>無くなった右腕の付け根を見て溜息をつきながら、ゲンガーは小さく頷く。
アヤが唇を戦慄かせながら言った。

「こんなの、こんなの有り得ません。
 わたしのヘルガーの"大文字"が、外れるわけないんですっ。
 "大文字"は最強の技なんですっ」

アヤがもう一度"大文字"を指示する。
当たりさえすれば何もかも焼き尽くす火柱は、ゲンガーとかけ離れた場所に立ち上がった。
この光景、どこかで――。
不意に、強烈な既視感に襲われる。
レインボーバッジを賭けたエリカさんとの戦いで、ラフレシアが"ソーラービーム"をゲンガーに発射したとき。
ラフレシアはゲンガーが見せた幻覚に惑わされて、正確な照準をつけることができなくなっていた。

「勝負あったわね」

ぽんぽんと手を叩く音がする。カリンが立ち上がって、こちらに近づいてくるところだった。

「まだです。まだ終わっていません!
 ヘルガー、あなたが見ているのは幻覚ですっ!
 本物はあそこに……ヘルガー?」

ぐらり、とヘルガーの四肢が頽れる。
カリンはアヤの肩に手を置いて言った。

「強力な"呪い"よ。最初の"大文字"で仕留められなかった時点で、勝敗は決していたわ。
 初めて"呪い"をかけられて慌てちゃったのね?
 落ち着いてスモッグを張り直していれば、ゲンガーに"ナイトヘッド"をかけられることもなかったのに。
 勿体なかったわね、アヤ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 02:01:35.31 ID:iPtL0PUo<>くすっ。
まるで面白い映画を見た直後のように、満足げな伸びをして、髪を掻き上げるカリン。
嫌がるゲンガーの頭を撫でながら、

「この子、特別製ね?」
「はい。でも、どうして……?」
「あたくしだってゲンガーのトレーナーよ。この子が普通じゃないことくらい分かるわ」

小型化されたハイパーボールを、人差し指と中指の間に挟んで見せてくれる。

「レベルはまだまだあたくしのゲンガーのほうが高いけど、瞳術の速度には目を瞠るものがあるわね。大切に育てなさい」

初めて見た時は挑発的に見えた笑みが、親しげで優しいものに感じられる。
この人は本当にシステムの人なのかしら?
あたしの方から話しかけようとしたその時、

「カリン、その侵入者を捕らえなさい!」

涙目のアヤが叫ぶ。
白い手はドレスの裾をきつく握りしめているせいで、真っ赤になっていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 02:12:37.92 ID:iPtL0PUo<>カリンはあたしを安心させるように微笑んだあと、毅然とした口調で、

「できないわ」
「あ、あなたはお父様の配下ですっ。これは重大な命令違反ですっ」
「アヤ、残念だけれど、あたくしにはとある事情でこの子をどうこうする権利がないのよ。
 ある日、一人の小さな女の子がやってきて、四天王の座を一時的に譲って欲しいと言ったの。条件付きでね。
 その子はあたくしの代わりに侵入者と戦って、負けたわ。
 あたくしはただの傍観者。後には四天王が侵入者に敗北したという結果が残るのみよ」
「そんなの、知りません。早く責務を果たすのですっ」
「黙りなさい。我儘は程々にしないと愛想を尽かされるものなのよ。
 アヤ、あなたは自分で、何故この子に負けたか分かっているのかしら?」
「それはっ……それはわたしのポケモンが弱かったからです!
 わたしがもっとレベルの高いポケモンを持っていたら、わたしは、」
「強いポケモン、弱いポケモン。そんなの人の勝手。
 本当に強いトレーナーなら好きなポケモンで勝てる様、頑張るべき。
 あたくしが尊敬している人が言っていた、大好きな言葉。
 アヤ、あなたは『レベル』というあやふやなものを過信しすぎているのよ。
 あなたの能力がそうさせているのかもしれないけど……、
 その固定概念を捨てないかぎり、あなたはいつまでもそのままね」
「うるさい、です……ひぐっ………えぐっ……やだ……こんなの……や、です………お父様が……お父様がとられちゃう……」

アヤがぺたんと尻餅をついて、声を上げて泣きはじめる。
あたしはこれまでの一切の出来事を抜きにして、アヤが可哀想になった。

「アヤ……」
「うるさい、です……話かけないで、ください……。
 あなたに同情されるくらいなら……死んだほうが、まし、ですっ……」

そう言うあいだにも、アヤの瞳からは大粒の涙がぽろぽろ零れてきて――。
ハンカチを出して、拭ってあげる。あたしはそのまま振り返らずに言った。

「少し、ふたりだけにしてもらえますか」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 02:13:48.61 ID:iPtL0PUo<>ねむねむ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 02:14:03.95 ID:lTo5bRko<>名言きた・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 02:14:27.86 ID:NVSgq7so<>名ゼリフktkr<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 05:26:32.49 ID:PK.cQ6AO<>全体的にGJ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 09:23:29.33 ID:hyQiRcAO<>ここでかww
繋げ方が神だな作者ww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 13:30:30.35 ID:EWRFLwgo<>神ゼリフ!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:43:56.15 ID:iPtL0PUo<>「かまわないわよ」

足音が離れていく。

「ひぐっ……えぐっ……みんな大嫌い、です……どっかにいっちゃえ、です……」
「ねえ、アヤ。あたしはアヤからお父さんをとったりしないわ」
「それでも……、約束は……、約束なんですっ」

勝負に勝ったほうがお父さんの娘で、負けたほうはお父さんと赤の他人。
そんな滅茶苦茶なルールを、アヤは頑なに守ろうとしている。

「バカね」

無意識のうちに、アヤを胸に抱き寄せる。

「ぁ……」
「そんな約束、知らない。誰が誰の娘かなんて、ポケモンバトルで決めることじゃないでしょ」

小さなアヤの体は、濡れた子犬みたいに震えていた。
よほどお父さんが奪われるのが怖かったのね。
あたしには最初から、そんな気なかったのに。

「………お母様」

嗚咽混じりにアヤが呟く。
甘えるように、顔を胸に押しつけてくる。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:45:02.36 ID:iPtL0PUo<>「お母様?」
「な、なんでもありません!」

ふと我に返ったのか、顔を真っ赤にするアヤ。
流石に、近づきすぎたかしら。
身構える。アヤはあたしを突き飛ばしたりせずに、ふいと顔を背けただけで、体はそのままでいてくれた。
あたしは辛抱強くアヤが話し出してくれるのを待った。

「お父様は、本当はあなたのことしか考えていないんです……お父様だけじゃありません。
 お父様の部下も、みんなみんな、あなたが本当の後継者だと思っているんです。
 わたしは出来損ないだから。失敗作だから……」
「なに、言ってるのよ。アヤが出来損ないなわけないじゃない」
「適格者、という言葉を知っていますか」
「マサキ博士から聞いたわ」
「わたしのお母様も適格者でした。
 どんなにレベルが高いポケモンでも、どんなに獰猛な性格のポケモンでも、
 お母様の前では愛玩ポケモンのように大人しくなるんです」

――適格者でした。
過去形に含みを感じながら、あたしは相槌を打つにとどめた。

「お母様の能力は、わたしに受け継がれました。
 ……でも、でも、お父様の能力はわたしに受け継がれなかったんです」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:46:22.17 ID:iPtL0PUo<>じんわり、とアヤの瞳がまた潤み始める。

「本当なら、わたしがお母様とお父様の能力を両方受け継いで、
 最強のポケモントレーナーになっていたはずなのに……ひぐっ……えぐっ……」
「アヤは十分強いわ。
 あたしより年下なのに、あたしよりずっと大人っぽいし」

今は年相応の部分を見せてくれているけどね。
燃えるような赤髪を、そっと撫でる。

「それに、お父さんの能力を受け継いだとか、
 受け継いでいないとか関係なく、アヤはお父さんの娘よ」
「それは……ひくっ……違います。
 わたしはお父様から愛されたことがないんですっ。
 お父様はいつでも遠い目をしていて、目の前にいるわたしを見てくれたことなんか一度も……ふぇ」

もう一度アヤを抱きしめる。

「そんなこと、言っちゃダメ」

アヤがお父さんと過ごした年月の重みは、絶対に軽いものじゃない。

「変、です」

アヤがぽつりと言った。

「わたしとあなたは憎み合って然るべきなんです。
 敵同士なんです。それなのに……こうしていると、安心します」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:47:55.49 ID:iPtL0PUo<>「言ったでしょ、あたしはアヤのことが嫌いじゃないって」
「わたしはあなたのことが……あんまり、嫌いじゃないです」

はにかんで、すぐに顔をあたしの胸に埋めるアヤ。
初めて血の繋がりを意識する。
お母さんは別人でも、この子はあたしの、義理の妹にあたるのよね……。
それからあたしは言葉を選んで、ゆっくり、ゲンガーのことについて説明した。
キュウコンを辱めたことを謝った。

「もういい、です。わたしもあなたにたくさん酷いことをしました。
 だから、それで特別におあいこにしてあげます」
「あたし、アヤには一生許してもらえなくても仕方ないって思ってた。
 ほんとにありがとう……ごめんね」
「な、何度も同じことを言わせないでください」

アヤが立ち上がる。
あたしは何気なくアヤのドレスについた汚れを払いながら、

「アヤは、いつもこのドレスね」

ずっと疑問になっていたことを口にした。
それがいけなかった。アヤはふっと表情を暗くして、

「これは、お母様の形見です。
 お母様が一番お気に入りだったドレスを、わたしの大きさに仕立て直してもらったんです」
「アヤ………」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:49:48.70 ID:iPtL0PUo<>「気にしないでください。
 お母様の死は、ある意味必然だったんです。
 適格者の能力はある日、突然失われます。
 お母様はいつものようにヘルガーに餌を与えようとして、錯乱したヘルガーに殺された。
 わたしはそう聞いています。その時、わたしはまだ赤ちゃんでした」

――そのヘルガーって、まさか。
あたしの思惑を察したように、アヤが頷く。
表情には大人びた諦観の色が浮かんでいた。

「さっき、あなたと戦わせたヘルガーが、わたしのお母様を殺したヘルガーです。
 だからわたしが歳をとって、ポケモンを従えられる能力が失われれば、きっと、わたしもお母様と同じ末路を辿ります」
「……どうしてアヤはヘルガーを傍においているの?」
「お父様が言ったんです。
 このヘルガーは特別だって。このヘルガーを扱えるのは、お前しかいない、って。
 それを聞いて、わたしは嬉しかったんです。
 ヘルガーを従えることで、お父様に認められたような気がして……」

どう言葉を紡げばいいのか分からない。
アヤの境遇を嘆くことも、同情することも、慰めることも、どれも間違っている気がした。
突然、アヤはくるりと背を向けて、

「行ってください。お父様はこの先にいます」
「通してくれるの?」
「わたしはカリンの代理です。
 わたしが負けたということは、あなたがこの先に進めるということです」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:51:35.72 ID:iPtL0PUo<>「アヤ………ありがとう」

階段に向かって数歩進んで、振り返る。

「あたし、アヤともっと仲良くなれると思うの。アヤは、もうあたしと会うのは嫌……?」
「……嫌じゃない、です」

俯くアヤ。踵を返しかけて、

「あの、待って下さい」
「どうしたの?」
「いえ、」

言い淀んだアヤの視線の先には、首を傾げたピカチュウがいた。

「なんでもない、です」
「そう」

腑に落ちない感触を振り払って、今度こそ先に進むことにする。
階段に一歩、足をかける。
観戦していたときと同じ姿勢で、あたしとアヤの話が終わるのを待っていたカリンが言った。

「あなた、ポケモンを殺したことがないんですってね」
「はい」
「誓いでもたてているの?」
「あたしはただ、ポケモンが死んだり、そのポケモンのトレーナーが悲しむのが嫌なんです」

ふうん、とカリンが妖しげに笑う。

「あたくし、色んな適格者を知っているけど、あなたほど無垢な子はそういないわよ」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:52:57.83 ID:iPtL0PUo<>「……そうですか」
「勘違いしないでね。別に貶しているわけじゃないのよ。
 けど、ポケモントレーナーとして成長し続ける限り、
 いつかあなたにもポケモンの生殺与奪に向き合わなくちゃならない時が来るわ。
 それは避けては通れぬ道よ。女が処女を切らずに大人になれないようにね」
「あたしの考えが甘いことは分かっているつもりです。
 でも、あたしは不器用だから、自分に嘘がつけないんです。
 あたしはポケモンを――それがたとえ敵のポケモンでも、死なせたくない」

くすっ。カリンは妖しく笑って、

「あなたのこと、好きよ」
「す、好きって……」

誤解を招くような言葉に、どきりとする。

「あなたが矛盾を抱えたままどんな風に成長するのか、とても楽しみだわ」

カリンはうっとりと目を瞑って言った。

「いつか、正式な挑戦者としてここにやってきてね。あたくしはここで待っているから」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 15:57:26.11 ID:iPtL0PUo<>スパートかけるお( 'ω`) <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 16:00:02.31 ID:lTo5bRko<>きてた。
がんばってくれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 16:00:47.42 ID:E51.LXYo<>リアルタイムwwktk<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 16:09:13.91 ID:u70tRh6o<>あれ・・・目から鼻水が出てきた<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 17:15:10.62 ID:E7rLsgAO<>もうスパートか。
早く読みたいやら寂しいやら複雑な気分だ…
とにかく頑張ってくれ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 17:36:32.74 ID:gph0PYkP<>残り20レスか・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 17:45:21.01 ID:4WIEEsDO<>さすがに立てたほうがよくね?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 18:15:17.86 ID:s1xlHog0<>20レスじゃおわらないだろうしな。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 19:33:17.28 ID:PK.cQ6AO<>おい作者
カリンなんてすっかり忘れてたのにリメイク金銀が欲しくなったじゃないかどうしてくれんだ待っててカリン
両方予約余裕でした<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 20:43:06.16 ID:pEZIsF60<>読んで両方予約したの他にもいたんだな
しかしアルセウス付だというから調べたら、データのほうは映画で配布って出費が…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 20:49:47.35 ID:T8xxchk0<>神がこの話を原作にしたポケモンを作ってくれると信じてるっ…!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 21:29:47.68 ID:EPCvTMDO<>腹違い姉妹の百合……ふひひ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:30:39.40 ID:iPtL0PUo<>階段を上り、無人のチャンピオンの間に辿り着く。
僕は再び"フラッシュ"を焚いた。痛みはない。
マサキに念入りに麻酔処理を施された上に、移動中、シゲルに追加で投与された薬が効いているのだろう。
タマムシシティを出発する一時間ほど前、僕はマサキ立ち会いのもと、シゲルに僕の体の真実を告げた。
彼はそれを受け止め、マサキの代わりに移動中の麻酔投与を担当することを承諾してくれた。
僕がヒナタが乗ったエアームドではなく、シゲルが乗ったカイリューに乗った理由はそこにある。

「いよいよだね、ピカチュウ」

淡い光に照らされた主を見上げる。
ジムリーダーと四天王が互いに戦力を消耗しあい、
最後に残された鍵たるヒナタはアヤを超えて、
セキエイの最奥地、殿堂入りの間に赴こうとしている。
そこにサトシと管理者がいることは間違いない。
運命ともいうべき無謬の力が、ヒナタを導いているような気がした。
低い唸り声にも似た音を響かせて、最後のゲートが開いていく。
僕はその先に僕は黒いスーツを着た男と、巨大な機械装置、そして車椅子に乗った老人の姿を見た。
空間は黄昏時の斜陽のような寂しい光で満ちていた。
照明器具の類はどこにもなく、まるで空間そのものが発光しているようだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:32:16.49 ID:iPtL0PUo<>「お父さんっ……!」

ヒナタが駆ける。

「そこで止まれ」

すぐさま男の冷たい声が、展翅台に蝶を射止めるかのように、ヒナタをその場に釘付けにした。
白髪交じりの銀髪。精悍な孤影。光彩を欠いた双眸。
サトシは一度の動作で三つのボールを展開した。
火炎ポケモン、リザードン。種子ポケモン、フシギバナ。甲羅ポケモン、カメックス。
懐かしい面々だった。

「ここは聖蹟だ。お前のような資格も持たないトレーナーが踏み入れて良い場所ではない」

ヒナタは思いの丈を叩きつけるように叫ぶ。

「あたし、お父さんとお話がしたいだけなの!」
「言っただろう。俺はお前に、父呼ばわりされるような筋合いはない」

酷薄な宣告。しかしヒナタは一歩も後に退かない。

「どんなにお父さんがあたしを認めてくれなくても、
 あたしにとってのお父さんは、お父さんだけなのっ!」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:34:07.09 ID:iPtL0PUo<>絶句するサトシ。
僕は心の中で語りかける。
サトシ、あなたの娘は強くなった。
欺瞞に満ちた台詞にはびくとも動じないほどにね。
あなたが本気で娘を拒絶したいのなら、それ相応の感情を込めることだ。
無論、それが出来ればの話だが。

「お父さんがあたしやお母さんを捨てたことは、もういいの。忘れるの!」

それはサトシにとって、究極の赦免に違いなかった。

「……やめろ」
「あたし、もっとお父さんのことが知りたい。
 お父さんにどんなにあたしのことを嫌っても、あたしはお父さんのことを信じてるから」
「やめろ!」

サトシの激昂に呼応するかのように、フシギバナの"蔓の鞭"がヒナタに迫る。
体は無意識に反応していた。一刹那遅れて、中程で切断された蔓が傍らに落ちる。
サトシ、たとえあなたが相手であろうと、ヒナタを傷つける者はこの僕が許さない。
サトシの瞳に、驚きと哀れみの光が宿る。

「ピカチュウ、お前……まだ……」
「ピカピ」

それ以上は禁句だよ。
僕はヒナタのためにここに来た。ヒナタの望みを叶えるために彼女に同行した。
身の振り方は自分で決める。
僕はゆっくりと四肢で地面を捉えた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:35:43.57 ID:iPtL0PUo<>「ピカチュウ?」

心配そうに僕を見つめる主の目には、
居並ぶサトシのポケモンに対して、あまりに矮小な電気ねずみが映り込んでいた。

「ピィ、カァ、チュッ」

安心して、ヒナタ。
僕は君のお父さんを取り囲む殻を壊しに行くだけだ。
それは僕にしかできないことなんだ。
確かにヒナタは強くなった。マサラタウンを出た頃とは比べものにならないほどにね。
けど、今のヒナタがサトシに挑むのは、月に手を伸ばすのと同じくらいに無謀なことなんだよ。
ポケモンの練度も、トレーナーとしての経験も、感覚共有の扱い方も、君とサトシには天と地ほどの懸隔がある。
サトシは感情を削り取った声で言った。

「せめて、安らかに眠ってくれ」

弔いの言葉はまだ早い。
リザードン、フシギバナ、カメックスの三体が滑らかな挙止で陣を完成させる。
それを傍目に目を瞑った。
禁忌を破ることに畏れはなかった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:36:48.21 ID:iPtL0PUo<>一次解放。
自制心を忘却し、思考回路を切り替える。
光速を越える速度は存在しない。
その空間を侵した物体は遍く僕の意識下におかれる。
僕を中心に放射された紫電が、そのまま僕の"感覚器"となる。
感覚強化に付随して電光石火のリミッターも解除される。
超高速戦闘において第一に恐れなければならないのは自滅。
障害物との衝突。直線的な軌道を読まれてのカウンター。
認識が追いついていなければ、いくら身が軽かろうと意味がない。
解放による感覚強化はその問題を解決してくれる。
僕は本当の意味での疾さを手に入れる。

「ピィッ」

目に映る景色が止まって見える。
耳は一刹那古い遅い音を聞いている。
誰も僕に追いつけない。圧倒的な疾走感に酔い、優越感に耽溺する。
二次解放。
無意識的に蓄電し意識的に放電する。
その思考を反転させて――。
意識的に蓄電し無意識的に放電する。
念頭におくのは慢性的な不足感。
そうするだけで無尽蔵にも思える電気が頬袋に蓄積されていく。
後はそれを心ゆくまで浪費すればいい。
そう、たとえ電撃を放つ相手が、かつて志を共にした旧知のポケモンだとしても。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 21:37:21.23 ID:m/ziDDAo<>まてまて
次スレ立てようぜ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:37:44.00 ID:iPtL0PUo<>その空間を侵した物体は遍く僕の意識下におかれる。
僕を中心に放射された紫電が、そのまま僕の"感覚器"となる。 ×

僕を中心に放射された紫電が、そのまま僕の"感覚器"となる。
その空間を侵した物体は遍く僕の意識下におかれる。      ○<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:38:52.92 ID:iPtL0PUo<>建ててくる<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 21:39:26.83 ID:m/ziDDAo<>建てちゃった
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250167131/<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:41:09.35 ID:iPtL0PUo<>まさかの重複
建ててくれるとは……どうしよコレ

ピカチュウ「昔はよかった・・・」inパー速6
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250167193/<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 21:41:09.64 ID:IacLTvIo<>>>1も建てちゃった
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250167193/<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 21:42:31.90 ID:m/ziDDAo<>スマン…作者の方使ってくれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/08/13(木) 21:46:59.16 ID:iPtL0PUo<>ごめんなさい
せっかく建ててくれたのに無駄にしてしまって……
というかいつの間にか1000か
早いもんだなあ書いてると<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/08/13(木) 21:47:18.16 ID:SaVSCxQo<>1000<> 1001<><>Over 1000 Thread<>
 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

1000超えたのでHTML化の依頼をするでござるの巻
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1195554932/

<> 最近建ったスレッドのご案内★<><>Powered By VIP Service<>ピカチュウ「昔はよかった・・・」inパー速6 @ 2009/08/13(木) 21:39:53.98 ID:iPtL0PUo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250167193/

ピカチュウ「昔はよかった・・・」inパー速6 @ 2009/08/13(木) 21:38:51.70 ID:m/ziDDAo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250167131/

ミドリフグとってきたから日記つけるわ @ 2009/08/13(木) 21:34:53.60 ID:h6immNQo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1250166893/

時の狭間寛平 @ 2009/08/13(木) 21:25:03.59
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/vip4classic/1250166303/

チビタナノ…ノスレ パート3ナノ @ 2009/08/13(木) 20:38:48.46 ID:wEd0Jt6o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250163528/


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