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HTML化した人:lain.
水銀燈は少しずつ、お母さんになっていくようです。
1 :[sage]:2009/08/07(金) 22:44:45.39 ID:yGE63YI0
○ローゼンメイデンのSSを投下させていただきます。 
「水銀燈がドールたちの『母』になるようです」の3スレ目です。
前作「水銀燈がドールたちの母親になるようです」ともども、よかったら見てやってください。


「水銀燈がドールたちの母親になるようです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1237586655/l50

「水銀燈がドールたちの『母』になるようです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1241610132/l50

「それでも、水銀燈は『母』になりたかったそうです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1245594180/l50


○原作とアニメの設定が(一部意図的に)ごちゃごちゃになってます。広い心で閲覧してもらえると幸いです。
2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/11(火) 10:23:38.49 ID:ALGcang0
スレ建て乙なんだぜ!
3 :[saga]:2009/08/11(火) 20:53:14.93 ID:H8NcBZc0
>>2
乙どもっす。 一日早いですが、明日予定が入ってしまったので今日再開します〜
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/11(火) 20:53:56.84 ID:nAznYy6P
わっほいわっほい
5 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[sage]:2009/08/11(火) 20:56:15.47 ID:H8NcBZc0
【地下洞 最深層】



ゴボ ゴボ ゴボ…



ジュン「…」

蒼星石「ジュン君… うっ」…ズキッ

翠星石「大丈夫ですか?」…ズキズキ



(…『共鳴』が切れて、急速に痛覚が戻ってきたようじゃな)



蒼星石「なんだと?」

翠星石「こいつ…」



(…アリスになることをあきらめた、今の心境はどうかね?)



蒼星石「…よけいなお世話だ」

翠星石「(…相手にしないほうがいいですよ)」



(さっきみたいに、なにか罠をしかけてるかもしれません)
6 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[sage]:2009/08/11(火) 20:58:17.97 ID:H8NcBZc0
蒼星石「(罠か… あいつは?)」

翠星石「…」チラ



「…」



翠星石「(完全にバラバラにしました。 大丈夫だと思いますが…)」

蒼星石「(油断は禁物だね)」


「う…」


蒼星石「!」

翠星石「ジュン?」


「うう… うっ…」


蒼星石「ジュン君!」

翠星石「しっかりするです!」

(…)


「し… 真紅っ…」


蒼星石「真紅を… 見つけたのか!?」

翠星石「ジュン… 頑張るですっ!!」

(…)



「…」



ズ… ズズ…
7 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[sage]:2009/08/11(火) 21:00:48.45 ID:H8NcBZc0
【真紅の夢の世界】


ズブブブブ…


ジュン「く… 沈むっ…!」

真紅「…」


ズズ… ズズズズ…


ジュン「な、なぜだ? なぜ浮かび上がれないんだ…?!」

真紅「…」

ジュン「真紅!」

真紅「…ジュン」ズブブ…



「あなた、もう知ってるんでしょう?」



ジュン「な、何をだよ?」

真紅「私と… 水銀燈のこと…」

ジュン「…そんなこと、いま気にしなくたっていい!」

真紅「わたし…」



「わたし…」



ズブブブ…
8 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:03:45.52 ID:H8NcBZc0
ジュン「うわ… ごぼっ!」


ゴボ… ズズッ…


真紅「(わたし…)」

ジュン「がば… ごぼぼっ…!」ズブブ…

真紅「…」



「真紅っ…!」



ズブブブブ…




【?????】


ゴボ…



「…」



ゴボ… ゴボ…



「(ここは…?)」


ゴボボ…


「ここは… いったい…」



―起きているかい?
9 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:06:50.46 ID:H8NcBZc0
ジュン「あれは…」



―お父様… あ、あれ… これは…?
 
―目ざめたようだね。 …よかった



ジュン「ローゼンと…  真紅?」

「そうよ」

ジュン「!」



―お父様… ああ… あああっ… 光ってる… 世界が、輝いてる…?!

―…大丈夫。 落ち着いて、私を見て。

―…ああ、あああ… お父様…



ジュン「真紅、いたのか…! ここは、どこなんだ?」

真紅「…私の意識の最深層」

ジュン「え?」

真紅「あそこにあのままいたら…」



「あなたまで、あいつに侵食されてしまうもの…」
10 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:11:44.24 ID:H8NcBZc0
ジュン「で、でもそれじゃ、君は?!」

真紅「私は大丈夫… 見て」

ジュン「だ、大丈夫なわけ! …あ、あれは?!」



―ああ… お父様… わたしは… いったい、どうなってしまったの…?

―それが『心』だよ。



ジュン「な、泣いてる…?」

真紅「あれは、私がはじめて、結晶を入れてもらった日の思い出」

ジュン「…そう、なのか…?」



―こころ…?

―喜びと悲しみ、寂しさと喜び… 相反する感情が響きあい、君という個性を形作っていく。

―…

―そして、その感情の響きあいのなかで、君は純粋な想いをはぐくんでいくんだ。



真紅「水銀燈の結晶が呼び覚ました、私の深い深い記憶…」

ジュン「…」



―…純粋な想い…?

―それがきっと、君を「アリス」にしてくれる。

―…よく、わかりません。

―それでいいんだ。 きみは、これから学んでいくのだから。
11 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:15:01.38 ID:H8NcBZc0
真紅「ずっと忘れていた… いえ、封じられていた、お父様の言葉」

ジュン「…」

真紅「今ならはっきり思い出せる。 懐かしい、あの日の思い出…」



―学ぶ?

―そう。たくさんの人と出会い、暮らし、ふれあい… いろいろな体験を積み重ねていくんだ。

―…たくさんのひとと…

―出会いの喜び、別れの寂しさ。 わかりあえない悲しみ、わかりあえたときの嬉しさ…

―…

―そして君は、希望の光となる。

―希望の光?

―深い霧の中でも、永遠の闇の中でも、まっすぐ貫いていく強い光に君はなるんだ。

―…

―どうか、人の心の深い深い闇にもとどく、一筋の光明になっておくれ…



ジュン「これが、君へのローゼンの言葉…」
12 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:22:07.89 ID:H8NcBZc0
真紅「ええ、そうよ… 大事な大事な、私が生きていくための道しるべ」

ジュン「…そうなんだ。」

真紅「…お父様は、ずっとずっと研究を続けていた」 


「人ならざるわたしたちが、人とともに暮らすためにはどうすればいいのか…」


ジュン「…」

真紅「そして、そのための機構や機能を研究し続けていた…」 

ジュン「…うん」

真紅「研究室の中でだけではなく、先に創られたみんなを使って、実際に実験を繰りかえして…」

ジュン「…」

真紅「そうして、みんなから得られた情報を基に完成されたのが…」

ジュン「…君、なのか」

真紅「そうよ… そのときのお父様の、持てる全ての技術と知識と情報が、私にはこめられている」



「わたしは、先に創られたみんなをしのぐ能力を、生まれながらにして与えられていたの」
13 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:25:41.70 ID:H8NcBZc0
ジュン「…」

真紅「身体の機能も、精神の機能も…」 


「思考する能力も、感情の豊かさも、戦闘においても… なにもかも」


ジュン「…」

真紅「そんなわたしを、お父様は本当に大事にしてくれていた。 

ジュン「…うん」

真紅「娘としてはもちろん、研究対象としても…」

ジュン「研究対象? それは…」

真紅「勘違いしないで。 わたしたちは、お父さまのお役に立てることを喜びこそすれ、嫌がったりはしない」

ジュン「…」

真紅「わたしにとって、お父さまの目的のために役立つことができるのは、得がたい喜びだったの。わたしは…」



「わたしこそがお父さまに一番愛されて、一番お役に立っているのだとずっと思っていた」



ジュン「…」

真紅「…わたしは、それがあたりまえだと思っていた…」

ジュン「真紅…?」



―…あなた、あの子なんでしょう?
14 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:28:13.84 ID:H8NcBZc0
ジュン「!」



―あの、かわいそうな子なんでしょう?!



ジュン「これは、あの時の!」

真紅「そう… もう、知っているのね」

ジュン「…」



―なんで、未完成品のあなたを『お母さま』と呼ばなければいけないの?!

―つくりかけで放っておかれてたあなたが…なぜ…!



真紅「私は、恵まれすぎていたの…」

ジュン「…恵まれすぎて?」

真紅「だれからも、愛されてあたりまえだった。 姉妹よりも、まさっていてあたりまえだった」

ジュン「…」

真紅「そして… 自分が一番、お父さまの近くにいるのがあたりまえだと思っていた…」



―何をするのよ! このジャンク!!

―あなたなんか、ここでお父様に壊されてしまえばよかったのよ!!
15 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:35:15.09 ID:H8NcBZc0
ジュン「…君は…」

真紅「だから… わたしよりも愛され、わたしよりもまさっていて…」


「わたしよりも、お父さまのそばにいる者が、あらわれてしまったとき…」



―大事なものを踏みにじられる痛み、あなたも知るべきなのよ。

―よくも… よくも、よくもぉっ!!



「わたし、どうしていいか、わからなくなってしまったの…」



―自分がされてはじめて痛さがわかったくせに、甘ったれるんじゃないわ!

―黙りなさいっ!! ジャンク風情が!!

―…やめなさい! ふたりとも!!



真紅「…あなたがこの事を知ったのは、水銀燈の記憶からでしょう」

ジュン「…ああ」

真紅「なら、この後のことは、知らないのね」

ジュン「…この後?」

真紅「この後、私がお父様に何を言われたのか…」

ジュン「…?」



「私の… 思い出したくなかった記憶…」
16 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:42:09.05 ID:H8NcBZc0
【回想】



真紅「お父様…」

ローゼン「真紅、水銀燈! どうしたんだ、いったい!」

真紅「…わ、私は悪くないっ! そいつが、わたしの大事なものを…!」

水銀燈「…」

真紅「…っ!」パタパタパタ…

ローゼン「し、真紅!」タタタタ…



水銀燈「…真紅…」



タタタタ…



真紅「はあ、はあ、はあ…」

ローゼン「真紅、待つんだ! 待ちなさい! 」


タタタタ…


ローゼン「真紅!」ガシッ 

真紅「…あっ!」

ローゼン「真紅、どうしたんだ!」

真紅「お父様、お父様…!」

ローゼン「君はいったい… 君だって、お母様のことは大好きだったはず!」

真紅「あんなやつ、お母様なんかじゃないっ!!」

ローゼン「?!」


「お父様、なぜ! なぜ、あんなやつをお母様に?!」
17 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:45:07.63 ID:H8NcBZc0
ローゼン「真紅…!」

真紅「あの子は… あの子は、ジャンクなのよ?!」

ローゼン「なに…?」

「真紅の言うとおりです」


…コツ コツ


真紅「あなたは…?」

ローゼン「…君は」

「…お父様」 


蒼星石「あれは、ジャンクだったんです」


ローゼン「どういうことだ…?  まさか…」

真紅「ほんとうよ! あの子には、もう意識があったの!」

ローゼン「なん… だと…!?」

蒼星石「…勝手に出歩こうとしていたのを、僕と真紅が止めていたんです」

ローゼン「…そんな…」

真紅「あの子、できそこないだったのよ! お母様の体になんか、ふさわしくない!」

ローゼン「…」

真紅「今からでもいい! あいつを壊して! わたし、わたし… あんなやつ…!」

ローゼン「…そう、だったのか…」 

蒼星石「…?」

ローゼン「あの子には、すでに自我があったのか…」…スック

真紅「お、お父様…?」



(…わたしは、なんてことを…) …スタ スタ
18 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:48:32.40 ID:H8NcBZc0
真紅「お父様…」

蒼星石「お父様?」

ローゼン「…真紅」

真紅「は、はい…?」



バシッ!!



真紅「うあっ!?」ガシャッ…

蒼星石「!!」

真紅「…お、お父様…?」

ローゼン「蒼星石」…スッ

蒼星石「お…お父様…!?」



「…君もだ」



蒼星石「え… ひっ?!」



バシィッ!



蒼星石「あぁうっ!」…ガシャッ

真紅「蒼星石…!」

ローゼン「真紅、蒼星石」

真紅「は、はい…」ブルブル…

蒼星石「ひ、ひっ…」ガクガク…



「二度と、その事を口にするな」
19 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:54:56.70 ID:H8NcBZc0
真紅「え…」

ローゼン「あの子は… あの人は、君たちのお母さんなんだ」

蒼星石「そ、そんな!」

ローゼン「…今度、今のようなことを言ったら」…グイッ

真紅「あ、あぅっ…!」

蒼星石「え… ひ、ひ…っ!?」


…ガシッ


「私は君たちを許さない。 けして、許さないだろう」


真紅「う…」  

蒼星石「ひ…」

ローゼン「もし、みんなの前でそれを言ったなら」…ギリッ 


「…ジャンクになるのは、自分たちだと思いなさい」


蒼星石「(こ、怖い…! たすけて! たすけて!)」

真紅「(いや… いや、いやぁ… お父様…!)」

ローゼン「ふたりとも、返事は?」


「え…」


「…返事は?」


「…は…」



「はい…」
20 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 21:59:55.65 ID:H8NcBZc0
ジュン「…ローゼンが、あんなことを…」

真紅「…」

ジュン「ちょっと、ひどすぎるよ」


バシッ!


ジュン「うあっ?!」

真紅「…お父様のことを、悪く言わないで!」

ジュン「…ごめん」

真紅「わたしたちは、ああされて当然のことをしたのだから…」

ジュン「…」

真紅「それにあれはお父様の、あの子に対してのつぐないでもあったんだと思う…」

ジュン「…つぐない?」

真紅「そう… 知らずとはいえ、あの子の意識を消してしまったことに対しての…」

ジュン「…」

真紅「でも、わたしは、水銀燈のことを、どうしても認められなかった…」

ジュン「…」

真紅「…あの子のことを、お母さまとは、どうしても呼べなかった…」

ジュン「…」

真紅「認めてしまったら…」



「わたしの居場所なんて、もう、この世のどこにも無くなるとさえ思えたの…」
21 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 22:12:48.08 ID:H8NcBZc0
ジュン「…そんな、そんなことなんて」

真紅「…わたしには、お父様しかなかった」

ジュン「…」

真紅「お父様に認められることだけでしか、自分を保てなかった…」



(水銀燈「お父様がいなければ… わたしたちがこの世界とつながっているあかしなんて… なにひとつないのよ…」)



ジュン「…」

真紅「わたしも… あの子と同じだったの…」



「水銀燈と…」…グニャ



ジュン「し、真紅!?」

真紅「私… 私…」グニャァ…

ジュン「真紅、しっかりするんだ!!」

真紅「…わた…し…」


シュルシュルシュル…


真紅「う… うああ…?!」シュルシュル…

「しっかりして、真紅」

ジュン「こ、これは!?」

「まだ、消えるのなんて許さない…」



シュルシュルシュル…!
22 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 22:19:07.65 ID:H8NcBZc0
ジュン「…まさか?!」

真紅「あなた…」


「真紅、約束したでしょう?」シュルシュル…


ジュン「君は…!」

真紅「…」


「ちゃんと、話して。 ジュンお父さまに…」


ジュン「無事だったのか!」

雪華綺晶「ええ… 真紅が、かばってくれたから」

真紅「雪華綺晶…」

ジュン「き… 君は、真紅に何を?!」

雪華綺晶「心配しないで。 …心の力を、わけているだけ」



シュルシュルシュル…



ジュン「それもだけど… 約束って、なんなんだ?!」

雪華綺晶「…わたし、あいつに負けたの。 弱みを握られて…」

ジュン「…なんだって!? …弱みって、なんなんだ?」

雪華綺晶「…」

ジュン「雪華綺晶?」

真紅「…あなた?」

雪華綺晶「…真紅と…」



「真紅と、おなじもの」
23 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/11(火) 22:26:59.45 ID:H8NcBZc0
真紅「わたしと、同じ…?」

雪華綺晶「そう、わたし… 真紅と、同じなの…」

ジュン「どういうことなんだ…?!」

雪華綺晶「…」



「ごめんなさい…」…ポロ



ジュン「き… きらきー?」

雪華綺晶「ごめんなさい… ごめんなさい…」ポロポロ…

真紅「あなた…」

雪華綺晶「どうしても… どうしても、ダメなの… 恐怖に、打ち勝てない…」


「頭でわかってても… 心が、体が、言うことを聞いてくれない…」


真紅「…」

ジュン「君は…」

雪華綺晶「だからお願い… 真紅、あなたの力をちょうだい…」



「あなたの力を… 勇気を、わたしにわけて…」



ジュン「真紅…」

真紅「…」

雪華綺晶「お願い… お願いよ…」ポロポロ…
24 :[sage]:2009/08/11(火) 22:29:28.89 ID:H8NcBZc0
今日はここまでです。続きはしあさって。



>>2 >>4 
支援どうもっす〜


あと、前スレ埋めに参加してくれたみなさん、どうもでした〜
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/11(火) 22:30:16.63 ID:eFZh5dMo
乙でした
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/11(火) 22:32:05.67 ID:vu6yqK6o
おつ
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/11(火) 22:40:28.69 ID:EKv79iso
乙でした〜

埋め立て大暴走
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/11(火) 22:44:43.54 ID:xUrcOhEo
乙樽場

前スレ埋まってたの気付かんかったww
さぁ、いよいよ佳境か…。さっさと狒々爺を棺桶に(ry
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/11(火) 23:47:56.27 ID:wL1YAxco
おつ!
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/12(水) 01:38:59.68 ID:G8o2ap6P
おつつ
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/12(水) 05:35:38.23 ID:RtPZPcko
おつつつ
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/12(水) 11:40:54.42 ID:bpol6Tko
おっつ
33 :1[saga]:2009/08/14(金) 17:04:26.96 ID:9OoKOy60
>>25-32
乙どもっす〜

>>28
まだ引っ張ります(ぇ

再開します〜
34 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:07:24.69 ID:9OoKOy60
【地下洞 最深層】


ゴボゴボゴボ…


ジュン「うう… ううっ… 真紅…」

翠星石「ジュン…!」

蒼星石「ジュン君!」

ジュン「ううう… ううっ…」



「雪華綺晶…!」



蒼星石「 ! 」

翠星石「真紅の夢の中で、何が…!」

(…)



―あと少し、じゃな。



ジュン「うう… くっ…」

翠星石「…こうなったら…!」グッ!

蒼星石「翠星石?!」

翠星石「蒼星石、ジュンを頼みますよ!」ジャキ!



「…わたしも、真紅の夢の中に行きます!」
35 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:09:10.03 ID:9OoKOy60
蒼星石「…頼んだよ!」

翠星石「頼まれたですっ!」

(う、うおお?!)


ゴボゴボゴボ…


蒼星石「?!」

翠星石「な…?」

(う、う、うおおおお?!)



…ゴバッ!



蒼星石「あいつ…?」

翠星石「…?」

(…こ、この! わしに近づくな!!)


ゴボゴボ… ゴボ…


蒼星石「…」

翠星石「…ジュンか真紅が、やつを攻撃してるようです」…スッ



「早く、行かなくてはいけませんね〜」
36 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:11:27.92 ID:9OoKOy60
蒼星石「…そう、だね」

翠星石「行ってきます」

蒼星石「うん…」



ゴゴゴゴゴゴ…



(うお… 来るな!)

蒼星石「…」

翠星石「…それじゃ…」ゴゴゴ…



「…」ズ…



―今じゃ!



「…!」ガバ!



(…待ッテイタ!)



シュダッ!



(ワタシニ 背ヲ向ケル コノ瞬間ヲ!!)
37 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:13:10.63 ID:9OoKOy60
シュザザザザ…


(死ネッ!!)


翠星石「…」ジャキ


ブヅッ!


「グゥア?!」

「…」


…ガシャ


ピュセル「コ… コレハ…?」

翠星石「…バッカですね〜〜〜」

蒼星石「…やれやれ」

(…鎌の、石突きか)



…ガシャ ミシッ



ピュセル「キ… 貴様…」カク…カク…

翠星石「…みえみえなんですよ」 

(…やはり、だめか)



ミシ… ミシ…



蒼星石「バラバラにされてたのに、たいした再生力だね」

翠星石「…何度でも、バラバラにしてやるだけですけどね」
38 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:14:47.75 ID:9OoKOy60
ピュセル「ホ… ホザケ…!」…ギシ ギシ

翠星石「…」グイ!

ピュセル「ウグ!(引キ抜カレル?!)」


ゾグッ!


ピュセル「グァ?!」

翠星石「…っ!」ヒュボ バゥッ!



ベギ グシャッ!



ピュセル「ガッ!?」…ガシャ

翠星石「…もう、やめにしてください」…シャキン

ピュセル「腕ガ… ワタシノ両腕ガ…」

蒼星石「だいぶ、消耗してるみたいだね」…チャキ



「…もう、『共鳴』しなくても、動きが見える」
39 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:24:34.50 ID:9OoKOy60
ピュセル「…オ、オノレ! 壊スナラ壊セ!」

蒼星石「…」


「私ヲ ナブリモノニ スル気カ!」


翠星石「…なぜ、そこまでして、あんなやつに?」

ピュセル「ナンダト…?」

蒼星石「…あいつは、君の想いにこたえるつもりなんて、無いと思うよ」

ピュセル「貴様ラニ 何ガワカル!」 

(…)

ピュセル「ワタシハ…!」


(…ピュセル!!)


翠星石「?!」

ピュセル「…オ、オ父様…?」

(少しは落ち着け。 だから貴様は『ジャンヌ』になれんのだ)

ピュセル「ソ、ソンナ…!」

(落ち着けと言っておる… やつらは今、みずから弱みをさらけだしておるのだぞ…)

ピュセル「エ…?」

(なぜ、こんな意味も無いおしゃべりをしてくると思うのだ)

ピュセル「…!」

(教えておいたじゃろう?) 




(薔薇乙女たちの弱点を…)


40 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:28:53.21 ID:9OoKOy60

翠星石「なんですと…?」

蒼星石「…僕らの、弱点?」


ピュセル「…クク」


蒼星石「…なんだ?」



「ククク…」



翠星石「どうしやがったですか?」…ジャキ!

ピュセル「ククク… クク… ワカリマシタ オ父様…」

蒼星石「なんだと?」チャキ…!

ピュセル「ククククク… ワタシノ オ父様ガ ドウシタッテ…?」

翠星石「え、え???」


「オ父様ニハ… ワタシノ想イニ コタエル ツモリガ 無イデスッテ…?」…ギシッ


翠星石「…そうですよ。バレバレです」

ピュセル「ヘエ、ソウ…」ギシ…



「ソレナラ アナタタチノ 父親ハ ドウナノ?」
41 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:30:42.69 ID:9OoKOy60
翠星石「…え?」

蒼星石「なに…?」

ピュセル「…アナタタチノ 想イニ コタエルタメ ナニカ シテクレルノ?」

翠星石「そ、それは…(わたしたちのお父様は…)」

蒼星石「(僕らのお父様は…)」



(とうに…)



ピュセル「サビシイトキ ソバニ イテクレルノ?」

蒼星石「…貴様…!」…ギリッ

ピュセル「不安デ タマラナイトキ 抱キシメテ クレルノ? クク… ククク…」

翠星石「こ、この!」


「ナニモ シテモラッテ ナインデショウ…?」クスクスクス…


翠星石「…だ、黙るですっ!」

ピュセル「ワタシ 知ッテイルノヨ?」 



「アナタタチノ父親ハ『アリス』ニシカ 会ウ気ハ ナイノデショウ?」
42 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:34:11.86 ID:9OoKOy60
蒼星石「…この…! 黙れといったら黙れ!!」

ピュセル「…黙ル モノデスカ… ククク… アナタタチハ…」



―いいぞ…



ピュセル「父親ニ ズット ズウット ホウッテオカレタノ デショウ?」

翠星石「ち、違いますっ!」

蒼星石「違う! 断じて違う!!  貴様らと一緒にするな!!」…グッ!


「…生きていたら、かならず会いに来てくれたはずだ!!」


翠星石「(?! バ、バカッ!!)」

蒼星石「え…」



ピュセル「…ヘエ…」

(ほう…)



蒼星石「!!(し、しまった!)」

ピュセル「ローゼンハ… ヤハリ 死ンデイタノネ」

(ふふふ… そうか、やはりな… ふははは…)




(ふはははは… はっはっはっはっは…!)
43 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:38:19.81 ID:9OoKOy60
【地上】


ゴァァァァ… ズァァァァ…


柴崎「すごい速度じゃ…!」

のり「まっすぐ、ビルに向かって飛んでいく…!」


ズァァァァ…


みつ「アニメ映画みたいな光景ね〜 …カナ?」


トテテテテ…


金糸雀「よーっし! これで、勝ったも同然かしら!」…ソワソワ

みつ「カナ…?」

金糸雀「あとは、『ブリューナク』が届くまで、雛苺にあいつを押さえててもらえば大丈夫…」ソワソワ…


…ソワソワソワ


のり「ど、どうしたの???」

金糸雀「うふふ…」ウズウズ…

柴崎「…かなちゃん?」

金糸雀「うふ… うふふふふ…」ウズウズウズ…

のり「…金糸雀ちゃん…?」

金糸雀「う〜ふっふっふっふ…」ニマニマ



「アレをぶっぱなせるのなんて、何年ぶりかしら…」
44 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:40:35.58 ID:9OoKOy60
のり「え…」

金糸雀「うふ、うふふふふ… 楽しみでしかたないかしら〜〜〜〜」ニヨニヨ

柴崎「…た、楽しみ?」

金糸雀「そうかしら、すんごいかしら〜〜〜 アレなら、一発で要塞だって艦隊だって吹っ飛ばせるかしら…」…ニヤァー

マツ「…かな…ちゃん、ちょっと…」

金糸雀「あの巨人だって、アレの前ではハリボテ同然かしら… いひ、いひひひひ…」ニタニタ

のり「…金糸雀、ちゃん…?」

金糸雀「いひ、いひひひ… あの巨人さえ片付けてしまえば…」

みつ「…カ、カナ…(お願い! 気づいてっ!)」

金糸雀「あとはもうザコばかり… 戦乙女の敵じゃないかしら…!」

みつ「(みんな、盛大に引いちゃってるよー!!)」

金糸雀「あえて言うかしらっ!!」ガバッ!




「 カ ス で あ る と !!!」
45 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:45:26.09 ID:9OoKOy60
「…」  「…」  「…」


みつ「(言っちゃった…)」

金糸雀「それら軟弱の集団が、この金糸雀を倒すことはできないとわたしは断言するかしらー!!」

みつ「(カナ… 帰ってきて…!)」

金糸雀「今こそ薔薇乙女は、明日の未来に向かって立たねばならぬ時であると…!」


「金糸雀っ!」グイ!


金糸雀「ぐぇぇ?!」ゴキリ!

みつ「カナ?!」



巴「か、金糸雀…」コヒュー コヒュ-…



みつ「と、ともとも!」

金糸雀「ど、どうぢだのがぢら…」…グキ

みつ「(カナの首が…180度回っちゃった…)」

柴崎「(…しかも縦に)」

巴「わ、わたしを…」コヒュ-…



「雛苺のそばに… 連れていって…!」
46 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:48:17.82 ID:9OoKOy60
金糸雀「え゙…」ゴギッ

のり「(あ、自分で治した…)」

マツ「(…どういう構造なのかしら)」

のり「巴ちゃん! 無理したら…」

巴「距離が離れすぎると… 力を供給できなくなる!」

金糸雀「う…」

巴「お願い…!」

金糸雀「…」


シュピッ!


みつ「カナ?!」

金糸雀「アルト隊! 巴を迎えに来るかしら!」

(グリムゲルデ「Jawohl!」)

金糸雀「グリムゲルデが巴をエスコートして! シュヴェルトライテは万一に備えてふたりのサポートを!」

(シュヴェルトライテ「了解デス!」)


のり「金糸雀ちゃん…」

金糸雀「避難を終えて、こっちに戻ってきてる途中だったから、すぐに着くはずかしら」

巴「金糸雀…」

金糸雀「…もうわたしも、何も言うつもりはないかしら。 せめて、万全の態勢だけは整える」

巴「…ありがとう」

金糸雀「ただ… どうか、雛苺を泣かせないでほしいかしら」

巴「…うん、がんばる」
47 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:51:39.74 ID:9OoKOy60
…キィィィィィィン!



のり「き、来たっ!」

柴崎「おお!」


ヒュウウウウ…ン…


グリムゲルデ「アルト隊、到着シマシタ!」

巴「…お願い!」…ヨロ

グリムゲルデ「Jawohl!」ヒシッ!

金糸雀「ふたりとも! 巴のこと、よろしく頼むかしら!」

シュヴェルトライテ「Jawohl! 発進シマス!」ヒュォォォォ…

金糸雀「巴、がんばって!」

巴「…」

金糸雀「巴?」

巴「…」…スッ


ピシッ!


金糸雀「…え?? 巴???」

みつ「け、敬礼??」

巴「…」…ニコッ



「ヤ・ヴォール!」



ビヒュン!!
48 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:56:51.23 ID:9OoKOy60
金糸雀「…あらららら」ポカーン


ヒューーー…ン…


みつ「行っちゃった…」

のり「巴ちゃん…」…ギュッ

みつ「…のりのり?」


「雛苺ちゃん… 銀ちゃん… 戦乙女のみんな…」


(つらいだろうけど… 苦しいだろうけど…)



(わたし… なんにもできないのに…)



(こんなこと言うのって、無責任だと、思うけど… でも!)



「…でも!」

「のりのり?」

「がんばれっ!」 



…タタッ!



「…がんばれ! がんばってーっ!」



ヒュー… ン…
49 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 17:59:29.10 ID:9OoKOy60
【上空】


ビュゴォォォォ… ギュゴォォォォ…


「 ふ ぉ ぉ ぉ ぉ ー ! !」  


ギュゴォォォォ… ズゴォォォォ…


「 た っ か い の ー! は っ や い の ー ! ! 」


ゴォォォォ…


水銀燈「…」ミシ ミシ…

雛苺「 す ご い す ご い !  す っ ご ー い ! 」

水銀燈「…もう!」グググ…


ズァァァァ… グァァァァ…


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ !」…ゴゴ!

雛苺「 う 、 う ゆ っ ? ! 」…グラ

水銀燈「ぐ、ぐっ! …雛苺!!」ミシ… 

雛苺「 は 、 は い っ ! 」

水銀燈「浮かれてないで、しっかりそのデカブツを押さえてなさい!!」

雛苺「 ご 、 ご め ん な さ い ! 」シュルシュル…!



「 苺 わ だ ち ー っ ! 」ギュルルルル!



巨人兵「 ・ ・ ・ !」ギシッ!
50 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 18:07:52.46 ID:9OoKOy60
水銀燈「…それでいいわ! あとは、あそこのビルにあなたを降ろす!」

雛苺「 あ 、 あ そ こ ? ?」



ヒュォォォォォ…



水銀燈「あとは、戦乙女にまかせなさい!」…ギシッ!

雛苺「 は 、 は い っ ! 」ゴォォ…

「『白銀の翼』ト『野苺』ノ オ姉サマ!」



キィィィィン…!



雛苺「 あ 、 あ な た た ち …  巴 も!」

水銀燈「アルト隊…! 巴を、連れてきてくれたのね!」

グリムゲルデ「『黄金の翼』ノ オ姉サマノ 指示デス!」

巴「雛苺…!」グ…



「あ、あと、ひといきだから…!」



…ボォウ



水銀燈「!!」

雛苺「 と 、 ト モ エ ー っ ! ? 」
51 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/14(金) 18:18:12.94 ID:9OoKOy60
グリムゲルデ「コ、コレハ! 体ガ、透ケテイク…!」

巴「く、くっ!」プツッ!


パァァァァ…


巴「ぐ…」ゴボッ

雛苺「 と …   ト モ エ っ ! ! ! 」

巴「気を… 散らさないっ!!」ゴボ…

水銀燈「…巴…」

巴「ほら、大丈夫だから…」…ゴグッ


「もう、血は吐かないから… 大丈夫!」


雛苺「 ト モ エ … 」

水銀燈「(巴ったら、もう)」


キィィィィン…


グリムゲルデ「…巴サマ」

巴「…なに?」

グリムゲルデ「血ヲ 飲ミコンデハ イケマセン …嘔吐シテ シマイマス」

巴「…やっぱり、わかっちゃった?」

グリムゲルデ「ココニ オ出シ下サイ」

巴「…あなたを、汚してしまう」

グリムゲルデ「カマイマセン」

巴「ありがとう… えっと…『グリムゲルデ』」

グリムゲルデ「…光栄デス」


ヒィィィン…
52 :[sage]:2009/08/14(金) 18:19:36.15 ID:9OoKOy60
今日はここまでです。 続きは明日日中。
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/14(金) 18:43:33.99 ID:B317srwo
おっつ
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/14(金) 18:46:21.99 ID:QSnYuS6o
おつです
55 :1[saga]:2009/08/15(土) 12:48:01.64 ID:3AgksDQ0
>>53-54
乙どもっす。再開します〜
56 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 12:49:51.46 ID:3AgksDQ0
【地下洞 最深層】



ゴボ ゴボ…



(ふははは… これはいい。 これはいいぞ…)

ピュセル「イイコトヲ 聞イタワ。 アリガトウネ…」クスクスクス…



蒼星石「(く… 僕は、なんてことを…!)」

翠星石「…」



ピュセル「今日ハ メデタイ日 デスワネ …オ父様」

(…おうとも。 これで、わしに恐れるものは何も無いのだからな)

翠星石「…こ、こいつら…!」

蒼星石「(…僕は、バカだっ!)」

(御子は始末した。ローゼンもおらん。 これで、逃げのびさえすれば…)

ピュセル「ワタシタチガ 結晶ヲ 手ニイレラレルノハ 時間ノ問題デスワネ…」ググ…



「サア オ父様 オ逃ゲ下サイ」
57 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 12:50:45.87 ID:3AgksDQ0
(おお… 頼むぞ、かわいい我が娘よ)ズズズ…

ピュセル「次ニ会ウトキハ 究極ノ淑女ニ ナルトキデス… ククク」

翠星石「…もう、いいかげんにするです!」 


「そんなやつの言うとおりにしたって、究極の淑女になんかなれっこないんです!!」


ピュセル「…」

蒼星石「君は、利用されてるだけだ!!」

ピュセル「…ソウヨ」



「イツモノ コトヨ」



翠星石「い… いつもの、こと???」

ピュセル「私ニハ 強力ナ 再生能力ガアル。 上デ 戦ッテイル『弟』以上ノネ」

蒼星石「なんだって…?!」

ピュセル「ワタシハ イツモ コウヤッテ 敵ヲ 食イ止メテ オ父様ヲ 逃ガシテキタ」




「…ソシテ マタ 拾ッテモラッテ イタノヨ」
58 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 12:59:42.34 ID:3AgksDQ0
蒼星石「…そんな、そんなバカな!」

翠星石「ほんとに、バカですか! あいつがまた拾ってくれるって保障が、どこにあるんですか!」

ピュセル「ワタシニ 『価値ガアル』ト 思ッテイルウチハ 拾ッテクレル」


(…いかにも)


翠星石「そんな… そんなのって!」

蒼星石「君たちは親子だろう!?」

ピュセル「ワタシタチハ コウイウ 親子ナノヨ」

(そのとおりじゃよ)

蒼星石「き、貴様!」

翠星石「む… 娘にそんなことをさせるなんて、非道ですっ! 外道ですっ!! 」


(ずっと姉妹で殺し合いをしてきたのは、非道でも外道でもないのか?)


翠星石「え… そ、それは違いますぅ!」

蒼星石「い、いっしょにするな!!」

ピュセル「ワタシダッテ 自分ガ 『ジャンヌ』ニ ナルタメ 姉妹タチヲ 殺シテキタ」

翠星石「え…」

ピュセル「イマサラ オ父様ノコトヲ トヤカク言エナイ …ソレニ」…グググ…


「タトエ 外道デモ 非道デモ ワタシノ オ父様ハ ソウシテ 生キノビテ キテクレタ」


ググ… グググ…


「オ父様ハ 生キテ 私ノソバニ イテクレタノヨ。 …ソシテ」…ガシャッ


「タトエ ソレガ イヤナコトデ アッテモ 『何カ』ヲ シテクレタノ」


ガシャ ガシャ…
59 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:02:04.77 ID:3AgksDQ0
翠星石「なんですって…?」

ピュセル「言ウトオリニ デキナケレバ シカラレモ シタ… 怖イ目ニモ アワサレタ…」

蒼星石「…」

ピュセル「イヤナコトモ タクサン サセラレタ… ケレド」

(…)

ピュセル「オ父様ハ ワタシノ ソバニ イテクレタ」



「アナタタチノ 父親ト 違ッテネ」…ニヤ



翠星石「そ、そんなこと! そいつは、ひどいやつじゃないですか!!」

蒼星石「…君は、だまされてるんだ!!」

ピュセル「…ヒドイ『人間』ダトハ ワタシモ 思ウ」

(…)

ピュセル「残虐デ 狡猾デ 卑シクテ 『人』トシテハ 最低ネ」

(…ふん)

ピュセル「デモ ワタシニ トッテハ 悪クナイ 父親ヨ…?」



「言ウコトヲ 聞ケバ ホメテ クレルシ… ゴ褒美モ イッパイ クレルノ」
60 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:09:28.83 ID:3AgksDQ0
翠星石「そ、それこそ、だまされてるだけですっ!!」

蒼星石「君は、利用されてるだけだ! なぜわからないんだ!」

ピュセル「…フフフフフ…」クスクス…

蒼星石「何がおかしい!?」

ピュセル「利用サレテル ダケダトシテモ …ワタシハ ホウッテ オカレテハ イナイノヨ?」

翠星石「…な、なんですって?」

ピュセル「アナタタチトハ 違ッテネ」クスクスクス…

蒼星石「き、貴様…!」

ピュセル「アナタタチノ 父親ガ ドレダケ 立派カ 知ラナイケレド」…クスッ



「アナタタチニハ 何ニモ シテクレテ イナインジャナイ?」



蒼星石「だ、黙れ! お父様は僕らを、間違いなく愛してくれた!! 自分の命と引き換えに、僕らを助けてくれたんだ!」

翠星石「そ、そうですっ! 元気だったころは、遊んでもくれました! 思い出の中のお父様は、そいつみたいなクサレ外道じゃねーですっ!!」

ピュセル「…」

蒼星石「何とか言ったらどうだ!」

ピュセル「…」


「フフフ…」


「え?」


「アハハハハ…!」


「こ、この…!」




「アハハハハ、アーッハッハッハ!」
61 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:15:42.72 ID:3AgksDQ0
蒼星石「なにがおかしい!!」

ピュセル「オカシイワ! ワカラナイノ?!」

翠星石「だから、なにがですか!!」

ピュセル「思イ出ノ中ノオ父様、デスッテ? 傑作ネェ!」ケラケラケラ…



「ソンナモノ イクラデモ 書キ換エラレル モノジャナイ!!」



翠星石「…!」

ピュセル「アナタノ父親ハ モチロン… アナタタチ自身デダッテ!」

蒼星石「そ… そんなこと、するものか!」

ピュセル「簡単ヨォ!」


「都合ノイイ事ダケ 憶エテオイテ 嫌ナコトハ 思イダサナケレバ イイダケヨ!」


蒼星石「…そんな、そんなこと、僕らは…」


(「―ジャンクになるのは、自分たちだと思いなさい」)


蒼星石「僕らは… してない…っ…」

ピュセル「アハハハハ… 思イ出デスッテ? ソンナモノヲ 後生大事ニ シテイタノ?」


「(この…!)」


「シカタナイ ワヨネェ! ソバニモ イテクレナイ! ナニモ シテクレナイ!  ナラバ ソレシカ ナイモノネ!」 


「(こ、こいつっ…!)」


「アナタタチッテ カ・ワ・イ・ソ・ウ・ネェッ! アハハハハ!」 
62 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:25:40.76 ID:3AgksDQ0
「(だ…)」


「アハハハ、アーッハッハッハ!!」


「だ…」シュザ!


翠星石「黙れぇーーーーっ!!!」ガバ!!

蒼星石「翠星石!?」

翠星石「(今度こそ… 今度こそ、木っ端みじんにしてやるっ!!)」シュダダダダ…!

ピュセル「…クク」


シュダダダダ…


(今じゃ!!)


ピュセル「…ハイ」ニヤリ

翠星石「…しゃあぁっ!!」グォッ!

ピュセル「 オ 父 様 ! 」ジャコッ!


ザシュ!!


翠星石「ぐ?!」

蒼星石「!!」


…ミシ…


翠星石「こ… こ…」

ピュセル「ククククク…」



「これ… って…」カク… カクカク…
63 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:31:19.88 ID:3AgksDQ0
(…だから言ったであろう。やつらの弱点を衝けと…)

ピュセル「ソウデシタワネ… ヤツラノ弱点ハ 父親トノ絆」

翠星石「ぐ… くっ…?」


…ガシャ


(落ち着けば、手玉に取ることなどたやすいはずだったのだ)

ピュセル「スミマセン…」ジャキ…

(それを、まんまとのせられおって。 だから貴様は、失敗作なのだ)

ピュセル「…返ス言葉モ ナイデス」ギリ…

蒼星石「ヤツの腹から… なにかがのびて…」

翠星石「(わたしの… おなかを…)」

(隠し腕じゃよ…)

ピュセル「ククク…」



「奥ノ手ハ 最後ノ最後マデ 隠シテ オクモノヨ…」



翠星石「…かはっ」



…カクン



蒼星石「翠星石!!!」
64 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:32:49.15 ID:3AgksDQ0
【真紅の意識世界】



ゴボ… ゴボ…



ジュン「雪華綺晶…」

雪華綺晶「…」

ジュン「きみと、真紅が同じだって…?」

真紅「…わたしと、あなたが?」


ゴボ… ゴボ…


雪華綺晶「…わたし、ずっと見てきたの」

真紅「…ずっと?」

雪華綺晶「薔薇乙女たちのことを、鏡の中から。 …創られたその日から、ずっとずっと」

ジュン「『薔薇乙女たち』? …君だって、薔薇乙女じゃないか」

雪華綺晶「…」

真紅「雪華綺晶?」



ゴボ… ゴボ…



雪華綺晶「ローゼンお父様の存在は、薔薇乙女たちにとって、とてもとても大きなものだった」
65 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:34:24.24 ID:3AgksDQ0
ジュン「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「自分たちを創り、愛し、育てた存在なのだから… けれど」

真紅「…あなた?」

雪華綺晶「いえ… だからこそ」



「あなたたちにとって、ローゼンお父様は、大いなる恐怖の対象でもあった」



真紅「…そんな」

雪華綺晶「…自分にとってあまりに大きすぎる存在は、その存在自体が恐怖になる」

ジュン「…」

雪華綺晶「それは、たった一本の命綱のようなもの」 



「それがどんなに丈夫な綱であっても、それにすがっている子は…」


ゴボ…


「切れたらどうしよう、外れたらどうしようという恐怖から逃れることができない…」
66 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:41:42.28 ID:3AgksDQ0
真紅「…わたしは、そんな…!」

ジュン「…水銀燈も、そう言っていた」

真紅「…ジュン?!」

ジュン「わたしたちには、お父様以外にはなにもないと…」

雪華綺晶「…そう。 薔薇乙女たちをアリスゲームへと衝き動かしていたのは…」

真紅「…わ、わたしは!」



「父親への愛情ではなく、恐怖」



真紅「…違う! 違う違う!!」

ジュン「…」

雪華綺晶「だからあなたたちは、お母様を疎んじたのでしょう?」

ジュン「え…?」

真紅「な、なんですって…?」

雪華綺晶「お母様は、お父様への恐怖を隠さなかった」


(お父様… わたしは、わたしはジャンクじゃない!)


真紅「…」

雪華綺晶「会えないかもしれない、見捨てられるかもしれないという恐怖を、お母様はあらわにしていた」

ジュン「…」

雪華綺晶「それは本当は、あなたたち姉妹すべてが、ひとしく抱いていた恐怖だった」

真紅「そんな… ちがう、違う…!」

雪華綺晶「けれどあなたたちは、それを認めたくなかったから…」



「お母様を切り捨てたのよ」
67 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:43:51.22 ID:3AgksDQ0
ジュン「なんだって…?」

雪華綺晶「…」

真紅「な、何を言っているの! わたしたちはそんな…」

雪華綺晶「…」


「『あの子は、かわいそうな子だから』」


真紅「 ! 」

ジュン「…!」

雪華綺晶「『未完成品だから』『ジャンクだから』… あなたたちがお母様に、ことあるごとに向けてきた言葉」

真紅「そ、それは…」

雪華綺晶「その後には、こう言葉が続くのでしょう?」


「…『わたしたちとは違う』」


真紅「ち、違う! 違う違う!!」

ジュン「…」

雪華綺晶「お母様は、みんなでひとしく抱き、分け合うはずの恐怖を、自分ひとりで背負うことになった…」



「恐怖を分かち合ってくれるはずのみんなから、それを押しつけられたのよ!」



真紅「やめてぇっ!!」



…ガクン
68 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:48:10.87 ID:3AgksDQ0
ジュン「雪華綺晶!!」

雪華綺晶「…」


ガク… ガク…


真紅「やめて… ちがう、ちがうの…」

雪華綺晶「…ごめんなさい、真紅…」…ス


…キュッ


真紅「雪華綺晶…?」

雪華綺晶「…わたしも、あなたと同じ。 お父様が怖かった…」

ジュン「…雪華綺晶…」

雪華綺晶「わたしは、その恐怖を憎しみに変えて、あなたたちにぶつけていた…」

真紅「…」

雪華綺晶「あなただって、そうなのでしょう?」

真紅「…え?」

雪華綺晶「あなたはお父様を愛している。けれど、同時に恐れてもいて…」



「そして、憎んでいたのでしょう?」
69 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:49:47.10 ID:3AgksDQ0
真紅「そ、そんな… 私は!」

ジュン「…」

雪華綺晶「いいえ。 あなたは、お父様を憎んでいた」 



「…けれど、お父様を愛し、恐れていたから、お父様へは憎しみを向けられなかった」



真紅「ち、違う! 何を…!」

ジュン「…そして君は、その憎しみを、水銀燈に向けていたんだ」

真紅「ジュン?!」

雪華綺晶「…お父様…」

ジュン「君は水銀燈に、水銀燈自身へのものだけじゃなく…」



「父親への憎しみ、自分への憎しみまでもいっしょにぶつけていたんだろう?」



…ドスッ!
70 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:56:05.25 ID:3AgksDQ0
ジュン「…ぐっ」

雪華綺晶「…」

真紅「なにが…」…ググッ


ボスッ!!


ジュン「…ぐ!」

真紅「なにが… あなたに、なにがわかるの!!」ボス! ドスッ!

雪華綺晶「…」

真紅「わかったようなことを! あなたに、あなたなんかにっ!!」ボスボスボスッ!

ジュン「ぐ… むっ…!(真紅…)」

真紅「たかが人間の、子供のくせに! わたしの…」…ポロッ



「わたしたちのことの、何がわかるって言うの?!」ボグッ!



雪華綺晶「真紅…」

真紅「ジュンのバカ… バカぁ!!」ポロポロポロ…

ジュン「(真紅、わかってるかい? きみって…)」 


ドス! ボス!


(ほんとうに、そっくりなんだよ。 その泣き方、怒り方…)


ドゴ… ボゴ…


(水銀燈と、まるっきりおんなじなんだよ…)
71 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 13:57:54.75 ID:3AgksDQ0
真紅「この、このっ…! ジュンのくせに…!」…ポコッ ポコ… 

雪華綺晶「…それでいいのよ、真紅」

ジュン「…」

真紅「…何よ…」…ポフ…

雪華綺晶「あなたがずっと、ジュンお父様にも、ローゼンお父様にも言えなかった事…」



「いま、ちゃんと話してあげて」



真紅「…」

ジュン「…雪華綺晶」

雪華綺晶「…大丈夫。 その人なら、きっと受け止めてくれる」

真紅「…」…ギュッ

ジュン「真紅…」



「…」



ギュゥゥゥッ…
72 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 14:03:26.09 ID:3AgksDQ0
【地下洞 最深層】


クスクスクス…


「イイ カッコウ ネェ…」クスクス…


翠星石「…」…ブラン

ピュセル「勝負モ ツイテ イナイノニ」


「ハンパナ 情ケヲ カケヨウト スルカラ コウナルノヨ」グリッ!


翠星石「ぐ… うぅっ!」…ミシ

蒼星石「翠星石… 翠星石っ!」…グッ!

ピュセル「動クナ」…ギリッ


「ぐ… う…っ!」


蒼星石「翠星石!!(まだ、まだ生きてる!)」

ピュセル「心配シナクテモ マダ 殺サナイ」

(人質になってもらわんと、いかんしな…)

ピュセル「ソレニ… ソウ簡単ニ 楽ニシテ シマッタラ」



「ワタシノ気モ スマナイカラ…」クスクスクス…
73 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 14:05:43.80 ID:3AgksDQ0
蒼星石「貴様…!」

(ピュセル。 今のうちに、腕をつないでおけ。 …まだ戦いは終わっておらん)

ピュセル「…ハイ」…ガシャッ

…グヂ ズブブ…

蒼星石「(見る間に、腕がつながっていく…!)」

ピュセル「ネェ オ父様」

(なんじゃ?)

ピュセル「コレ…」…ギシッ



翠星石「う…」ミシ…



ピュセル「スコシダケ… イイヨネ?」

(…死なせない程度にしろ)

蒼星石「な、なにを!?」

ピュセル「アリガトウ ゴザイマス」…グリッ

翠星石「ぐ… あ!」ミシッ!

ピュセル「オ父様ッテ ダカラ 大好キヨ」…ギリギリ…

(…ふん)

翠星石「う… ああ…!」ミシミシ…

ピュセル「フフフ…」…ギリッ


「ヨクモ 何度モ ワタシノ手足ヲ モギトッテ クレタワネ…?」
74 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/15(土) 14:10:23.06 ID:3AgksDQ0
蒼星石「や、やめろーっ!!」…グッ

ピュセル「…一歩デモ 動イタラ」ギギ…!

翠星石「ぐ!? あ、ああっ…!」…ビギ!



「コノ子ノ オ腹ノ中ヲ カキマワシテヤル…!」



蒼星石「あ… ああ、あああ… 翠星石…!」

ピュセル「フフ… ヤメテホシイ?」グイ…

翠星石「う、うあ…」ビギ… ギギ…

ピュセル「ウフフフフ…」



「イ・ヤ・ダ ♡」グリッ!



ブヂッ!



「うあああぁぁっ!!」

「…フフフ、イイ声」ポイッ…



…ジャボッ



「翠星石−っ!!」
75 :[sage]:2009/08/15(土) 14:11:42.31 ID:3AgksDQ0
今日はここまでです。 続きはあさって。
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/15(土) 14:17:00.11 ID:oipQV2co
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/15(土) 14:25:35.06 ID:u7YeETwo
おっつ
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/15(土) 16:36:18.93 ID:ygRI75ko
おつ!
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/15(土) 17:26:48.62 ID:1xINxuwo
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/16(日) 11:07:07.26 ID:KpW8Llc0
乙なんだぜ

ピュセルこええ……
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/17(月) 08:07:41.20 ID:W5ie16AO
乙です!
翠星石ぃぃぃ!!
82 :[saga]:2009/08/17(月) 18:17:08.39 ID:vSSQCG.0
>>76-81
乙どもっす。

>>80
書いているうちに、薔薇乙女たちより好きになってきました(を


再開します〜
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2009/08/17(月) 18:18:35.99 ID:vSSQCG.0
【上空】



ゴォォォ… ズォォォ…



巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴゴ…

雛苺「 ・ ・ ・ ん 、 ん む む ・ ・ ・ ! 」…グイ!



ミシ…



巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」…ゴ!

雛苺「 ・ ・ ・ う 、 う ぬ ー !(す、すんごく重たい…! それに…)」

巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴ… ゴ!

雛苺「(すごい力なの…!)」



ミシ… ミシミシ…



(苺わだちが、ひきちぎられそうなの…!)
84 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:20:01.53 ID:vSSQCG.0
巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴ… ゴゴ…

雛苺「  う 、 う ご い ち ゃ 、 ダ メ な の ・ ・ ・ ! 」…グラ


…ミシミシッ!


水銀燈「ぐっ…!(…わ、わたしも…)」 



ミシ… ミシッ!



雛苺「 水 銀 燈 ! 」

水銀燈「(もう、限界…っ!)」…ビギッ!



ヒィィィィ---ン…



巴「(雛苺、水銀燈…!)」

シュヴェルトライテ「巴サマ…」

グリムゲルデ「(顔面蒼白。 血圧・体温低下…)」

巴「(あとすこし… がん… ばってっ…!)」ググ…



ボォウ…
85 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:21:40.87 ID:vSSQCG.0
シュヴェルトライテ「…! 巴サマ!! 体ガ ウスレテイマス!」

グリムゲルデ「羽ヲ オ使イ下サイ!」

巴「まだ… だいじょうぶ…」…ニコ



「慣れてきたから… わかるの… この状態から… もうすこしだけ、もつ…」



ボォォォ…



シュヴェルトライテ「…危険デス!」

巴「でも… 最後のひとふん張りに、残しておかないと…」ボォゥ…

グリムゲルデ「目標地点マデ アト ワズカデス!」

シュヴェルトライテ「…緊急入電!」


ヒィィィィン…!


巴「あ、あれは…!」


ヒュォォォォォ…



「…」 ガシャッ



水銀燈「…来たわね!」
86 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:24:11.95 ID:vSSQCG.0
雛苺「ビルの、うえに…!」



ヒュォォォォ…



「…転送完了」



…ジャキ



「目標確認。 『ブリューナク』充填開始」…ガチッ



フォォォォ…



「急速加圧中…」



キュウウウウウ…ン!



「発射マデ アト…」



シュヴェルトライテ「ブリュンヒルデ、目標地点ニ到着!」

グリムゲルデ「『ブリューナク』発射準備、開始シマシタ!」
87 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:26:41.35 ID:vSSQCG.0
ズァァァァ…!



シュヴェルトライテ「巴サマ! モウ、大丈夫デス! 羽ヲ オ使イクダサイ!」

巴「…あと、何分?」


ボォ…


グリムゲルデ「エ…?」

巴「発射準備ができるまで…」ボォウ…



「何分、あいつを抑えておけば、いいの…?」



シュヴェルトライテ「…」

巴「…どれ、くらい…?」

グリムゲルデ「…」



「アト、3分デス」



巴「3分…」

グリムゲルデ「…ドウニカ モタセテ クダサイ」

巴「ふふ… 3分間1本勝負… はじまりだね…?」



シュゥゥゥゥ…



グリムゲルデ「巴サマ!!」

シュヴェルトライテ「(体ノ末端ガ 消滅シ ハジメテル…!)」
88 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:28:40.53 ID:vSSQCG.0
巴「く… ううっ…」

グリムゲルデ「巴サマ…!!」



ゴォォォォ… ズォォォォ…!



雛苺「 ト モ エ ・ ・ ・ ! 」

水銀燈「(く… 巴!)」



ゴォォォォ…


水銀燈「…あとすこしよ! 雛苺、準備はいい?!」

雛苺「 ト モ エ が ・ ・ ・  ト モ エ が ! ! 」

水銀燈「雛苺…!」ググッ!

巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴ…!



「巴を、信じなさい!」



雛苺「 ト モ エ を ・ ・ ・ 」

水銀燈「絶対、大丈夫! きっともってくれる!(…そう…)」

雛苺「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



(きっと… きっと、もちこたえてくれる!) 



ゴァァァァ…!



(…そうよね、巴?!)
89 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:32:53.60 ID:vSSQCG.0
巴「…」ボォォ…

グリムゲルデ「巴サマ! コレ以上ハ、危険デス!」

巴「はぁ、はぁ、はぁ… あ、あと…」



「あと… すこし… だけ…」



水銀燈「(巴…!)」

雛苺「 水 銀 燈 ・ ・ ・ 」

水銀燈「…さあ、着いたわ! 降下するわよ!」

雛苺「 え ・ ・ ・ 」

水銀燈「降りたら、しっかりあいつを抑えておきなさい!」

雛苺「 ・ ・ ・ 」

水銀燈「あとは発射ギリギリまで待って、あなたの体を小さくして! わたしがあなたを拾って、脱出する!」

雛苺「 ・ ・ ・ だ ・ ・ ・ 」


ゴゴ…


水銀燈「…雛苺?」

雛苺「 だ 、 だ っ ・ ・ ・」シュルシュルシュル…!

水銀燈「あ、あなた… 何を?!」




「 だ め ぇ ー ー ー ー ! ! 」



…ギュルルルルルルッ!
90 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:38:16.16 ID:vSSQCG.0
巨人兵「 ・ ・ ・ ?! 」

雛苺「 だ め 、 だ め な の ー ー ー ! ! ! 」ザワザワザワ…

水銀燈「雛苺!? …あなた、なにをする気なの!!(苺わだちを…)」



…ズワァァァァ!



水銀燈「(苺わだちを、いっぱいに伸ばし始めた?!)」

雛苺「 降 り ち ゃ 、 だ め な の ー ー ー ! ! 」シュバッ!


ギュルルルルルル…!


水銀燈「苺わだちを、ビルに…?! 雛苺!!」

雛苺「 水 銀 燈 ! こ の ま ま 、 ま っ す ぐ 飛 ん で !!」

水銀燈「よ、よしなさい! 力を使い過ぎないで!!」

雛苺「 も う 、 ト モ エ が 、 も た な い の ! ! 」ギュルルルル…!

巴「(あれって… そ、そうか!!)」



…ギシッ!



水銀燈「(屋上に、苺わだちを結び付けた?!)」
91 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:40:08.59 ID:vSSQCG.0
雛苺「 だ い じ ょ う ぶ !!  力 を 使 う の 、 い ま だ け ! ! 」ギリギリ…!

巴「あ… あの技ね!」…グッ!

グリムゲルデ「巴サマ?」

巴「最後の、一本っ…!」プツッ!


パァァァァ…!


シュヴェルトライテ「巴サマ!」

巴「ぐ… ぐっ! ごぼ…!」

グリムゲルデ「…巴サマ、ドウゾ!」…ヒシッ

巴「…ごぼ、ごほっ…」


…ビシャッ ポタ ポタポタ…


グリムゲルデ「…大丈夫デスカ?」

巴「ごめんなさい。 あなたを、汚してしまった…」

グリムゲルデ「…汚レテナンカ、イマセン」

巴「ありがとう…」コヒュー コヒュ-…

シュヴェルトライテ「巴サマ… 『野苺』ノ オ姉サマハ イッタイ 何ヲ…?」

巴「…」

グリムゲルデ「巴サマ?」

巴「ふふふ…」

シュヴェルトライテ「…?」

巴「…ふふっ、見ていて? …あれは、雛苺の… いいえ」



「…わたしと、雛苺の、秘密兵器なの…!」
92 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:42:38.95 ID:vSSQCG.0
【地下洞 最深層】 



ギリギリギリ…



「…フフフ…」

「く…」



ギリギリ…



蒼星石「翠星石…!」

ピュセル「フフ、強ガッチャッテ」…ギリ

翠星石「く… う…っ」ミシ…

ピュセル「…サッキ ミタイニ イイ声デ 鳴イテミナサイ」グイ!



…ゴキリ



翠星石「…っ!」

蒼星石「(翠星石!)」
93 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:43:52.48 ID:vSSQCG.0
ピュセル「…アラ、ガンバルノネ」ポイ…



…ジャボ



ピュセル「ソレナラ モウ片方ノ 足モ 引キ抜イテアゲル」

翠星石「…」キッ!

ピュセル「イイ目ネ イタブリガイガ アルワ」…グイ


ミシ…


翠星石「う…!」

ピュセル「簡単ニ 屈服シタラ オモシロク ナイモノ」グリ…

翠星石「(屈服なんか… してやるものですか!)」

ピュセル「アナタノ 母親ヤ 契約者ミタイニネ」…グイッ

蒼星石「こ、この!!」

翠星石「(…そう、です…)」ミシ…


ミシ… ミシ…
94 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:45:05.66 ID:vSSQCG.0
「(わたしが… こんなことくらいで、泣き言を言ったら…)」



ミシ… ブヂ…



「(ジュンや、水銀燈に… 笑われますっ…!)」

「エイッ♡」グリッ!



ブヅッ!



翠星石「…−っ!」…ガクン

ピュセル「イクラ コラエテモ 体ハ 正直ネェ」クスクスクス…

蒼星石「(くそ、くそっ…)」

翠星石「く… ううっ…!」ガク ガク…

ピュセル「痛ミデ ビクンビクン ケイレンシテル フフフ…」

(…それくらいに、しておけ)

ピュセル「エ…?」

翠星石「(あ、あいつ…?)」



ゴボ ゴボ ゴボ…
95 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 18:56:10.39 ID:vSSQCG.0
(もう、ちぎる場所がないじゃろう)

ピュセル「…マダ、耳モ 鼻モ 唇モ アリマス」

蒼星石「(この…!)」

(あまり、やりすぎるな)

ピュセル「デモ…」

(わからんか?)


(わしの分も残しておけ、と言っておるのだ)


翠星石「…!」

ピュセル「アラ… ゴメンナサイ、オ父様」クスクス…

蒼星石「貴様ら…!」

ピュセル「…ヨカッタワネ アナタ」

翠星石「なにが、ですか…!」

ピュセル「決マッテル ジャナイ」クスクスクス…


「オ父様ッテ トーッテモ 上手ナノヨ? フッフフフ…」


蒼星石「くそ、くそっ…!」

ピュセル「ターップリ カワイガッテ モラエルナンテ イイワネェ」クスクス…

翠星石「…なんとでも、言いやがれです…!」


グググ…


ピュセル「…ナンデスッテ?」

翠星石「おまえらみたいな… クサレ外道に…」キッ! 



「わたしの泣き顔なんか、見せてやらないですっ!」
96 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:02:23.69 ID:vSSQCG.0
ピュセル「…」

翠星石「なんとか、言ったらどうですか…?!」

ピュセル「…クク」

蒼星石「?!」



「クク、クックック…」



翠星石「なにが、おかしいですか! …う!」…ミシ

ピュセル「オカシイジャナイ」

蒼星石「(斬られたほうの腕を…!)」

ピュセル「…自分ノコトハ 棚ニ上ゲテ」グ…

翠星石「え…」

ピュセル「アナタダッテ サッキ ワタシニ シテイタ デショウ?」

翠星石「い… いっしょにするな、ですっ! わたしは… あっく!」


ミシ… ミシ…


ピュセル「楽シソウニ ヤッテタ クセニ」

翠星石「…!  だ、誰がですか!」

ピュセル「口デハ イヤソウニ 言ッテタケド」…グリ

翠星石「く…!」

ピュセル「目ハ キラキラ 輝イテ イタワ」

翠星石「そ、そんなこと…」

ピュセル「認メナサイ」…グギ

翠星石「…!!」



(蒼星石「…認めれば、楽になれる」)
97 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:08:36.29 ID:vSSQCG.0
翠星石「認めるって… な、なにをですか…!」

ピュセル「ワタシヲ イタブルノモ 楽シカッタン デショウ?」…グイ

翠星石「うあ…! た、楽しくなんか…」ゴリ…

ピュセル「弱イモノヲ イタブルノッテ 楽シイコトヨ」

翠星石「そんな… そんな…!」

ピュセル「抵抗スル 気持チハアッテモ ソノスベモ 力モナイ アワレナ子ヲ」…グッ


グググ…


翠星石「ぐ…!」ビギ ビギ…

ピュセル「圧倒的ナ 力デ イイヨウニ シテヤレル」

翠星石「わたしは… わ、わたしは…!」

ピュセル「ゾクゾク スルホド 楽シイデショウ?」クスクス…

翠星石「ち、ちがう! ちがいますっ!! わたしは…!」


(蒼星石「君だって、ほんとうは戦うことが好きなんだろう?」)


翠星石「わたしは… わたしは、そんな…」

ピュセル「素直ジャ ナイワネ」…ググ…


ミシッ!


翠星石「…うあ?!」

ピュセル「素直ニ ナルマデ イーッパイ カワイガッテ アゲル♡」ミシ… ミシ…


「ワタシト オ父様デネ… フフフフフ…!」グリッ!


ブヂッ!


「う…ーーーっ!!!」
98 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:11:32.77 ID:vSSQCG.0
【上空】



ズァァァァァ…!



水銀燈「雛苺、ビルが近づきすぎている!!」

雛苺「 い い の ! !」…ギシッ!

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」…ゴゴ!



「 水 銀 燈 、 は な れ て ! ! 」グイッ!



ギュルルルルルル!!



水銀燈「ひ、雛苺!!(…苺わだちが…!)」ミシミシミシ…!

巴「(ビルにまきついて、雛苺を引っぱりあげてる!)」

雛苺「 お ね が い 、 水 銀 燈 !  ヒ ナ を ・ ・ ・ 」



「 ヒ ナ を し ん じ て ! ! ! 」



水銀燈「…雛苺、あなた…」

雛苺「 お 願 い ・ ・ ・ ! 」

水銀燈「…」



「わかったわ。 離脱する!」シュバッ!



ヒュゥゥゥゥ…ン…
99 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:18:21.09 ID:vSSQCG.0
雛苺「 水 銀 燈 ・ ・ ・ 」

水銀燈「…まったく、もう!」ギュォォォ…!


ギャルルルルルル…!


雛苺「 ご め ん ね ・ ・ ・ !  で も  ! 」

水銀燈「…」

雛苺「 も う  、  こ れ し か な い の ! 」

巨人兵「 ・ ・ ・ !!」ゴゴ!

雛苺「 3 分 も 、 こ い つ を お さ え て お け な い ! ! 」ギュルル…!

水銀燈「…もう、わかったわよ! でも…!」

雛苺「 う ん !  ぜ っ た い 、 だ い じ ょ う ぶ ! 」


ズァァァァ…!


水銀燈「(あの子ったら…!)」クスクスクス…


(あの怖がりさんが、わたしに口ごたえするなんてねぇ!)


ズァァァァ…


巴「水銀燈が… 雛苺から離れていく…」

水銀燈「(巴!)」

巴「…水銀燈?! な、なに…?」ゴホッ

水銀燈「(…ありがとうね、礼を言うわ)」

巴「…え?」



(雛苺を、ちょっとだけ大人にしてくれて、ね…)
100 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:24:02.31 ID:vSSQCG.0
巴「え?? え… 今、なんて???」

水銀燈「(話は後よ。 …?!)」


ゴゴゴ…


水銀燈「(…雛苺が、ビルにぶつかる!)」ギュォォォ…!

巴「大丈夫… です…!」

水銀燈「(え?!)」


雛苺「 え え え え え ー い っ ! ! ! 」ギャルン!


…ドゴン!


水銀燈「(…ビルの外壁に、取り付いた!)」

巴「そうよ、雛苺…! ひといきに、いっちゃって!!」

雛苺「 は い っ ! ! 」ギュルルルル…!


…ギシ!


雛苺「 う ん し ょ ! 」…ゴゴ!

巨人兵「 ・ ・ ・ ?!」ゴ…

雛苺「 ・ ・ ・  よ い し ょ ! 」…ゴゴ! ズズ…

水銀燈「(…雛苺ったら! あいつを片手で抱えたまま…)」

雛苺「 う ん と こ し ょ ・ ・ ・ 」


ゴゴ… ズズ…!


雛苺「 ・ ・ ・ よ っ こ い し ょ ! 」グイ!

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」グラ…

水銀燈「(ビルを、よじのぼってる!)」 
101 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:30:34.91 ID:vSSQCG.0
ゴゴ… ズズ…


水銀燈「(みるみるうちに、登っていく…!)」

巴「そう、そうよ… その調子…!」

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」ゴゴ…

雛苺「 ・ ・ ・ う ん と こ し ょ !(きたえておいて、よかったの…!)」

巨人兵「 ・ ・ ・ ?!」ミシ…!

雛苺「(まいにち、まいにち… ジュンのぼりで!)」ゴゴ…!



ゴゴ… ゴゴゴ…!



「 ・ ・ ・ よ っ 、 こ い 、 し ょ ー っ ! 」…ガバ!



水銀燈「(屋上に上がった…!)」

巴「…いよいよね!」


ビュゥゥゥゥ…


巨人兵「 ・ ・ ・ ? 」ゴゴ…

雛苺「 ふ う 、 ふ う 、 ふ う ・ ・ ・ 」チラ



ヒュォォォォ…



雛苺「(さ、さすがに、たっかいの…)」…ドキドキ 


ヒュウウウウウ…


(おっかないの… でも!)
102 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:36:09.00 ID:vSSQCG.0
水銀燈「(巴… まさか、あの子!)」

巴「その… まさかです…!」

水銀燈「あ、あれは!!」


ギシ… ギシギシ…


雛苺「 ふ ん ぬ ぬ ぬ ぬ ・ ・ ・ ! 」ゴゴゴ…!

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」ミシ ミシ…!


水銀燈「(あ、あの体勢は… さっきの!)」

巴「…雛苺、決めるのね…!」ボォウ…

グリムゲルデ「巴サマ…!」

雛苺「 う ん !! 」ゴゴ…



ヒュォォォォォ…



雛苺「 力 を つ か わ な く っ た っ て ・ ・ ・ 」

巴「持ちあげなくったって、飛ばなくったって・・・!」

水銀燈「…あなたたち?!」



「 こ こ か ら な ら !! 」 



ヒュォォォォォ…



「 お っ こ と す だ け で い い の ― ! 」
103 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:39:32.23 ID:vSSQCG.0
【地下洞 最深層】



「く… う…」

「フフフ…」



蒼星石「あいつら… あいつら、よくも…!」

ピュセル「フフフフフ…」



翠星石「…」…ダラン



ピュセル「カワイイワネ イモムシ ミタイ」

(ほっほっほっほっほ…)

蒼星石「(必ず、必ず思い知らせて…   ?!)」



(「…あうっ?!」ガシャッ)

(「また、出歩いていたのか」)



蒼星石「(…え?! これは…!)」



(「い、いや… 怖い…」)

(「真紅から頼まれたから、みんなには内緒にするけど」ガシッ)

(「うあっ! い、痛い…!」)



蒼星石「(こ、この記憶は…?!)」
104 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:43:35.30 ID:vSSQCG.0
翠星石「う…(…ち、ちくしょーです…)」

ピュセル「アラ マダ 起キテタノ?」

翠星石「(油断してたです、水銀燈に笑われちまうです… こうなったら…)」


(もう一度、『共鳴』するしか…)


蒼星石「…」

翠星石「(…蒼星石?)」

蒼星石「…」



(「あまり、迷惑はかけないでくれ」…グイ)

(「ああっ! や、やめて…!」ズル ズル…)

(「…静かにしろ。 ジャンクになりたいのか?」)



蒼星石「(ぼ… 僕と、水銀燈…?! なぜ、今、こんなことを思い出すんだ…?!)」



(弱イモノヲ イイヨウニ シテヤレルッテ ゾクゾク スルホド 楽シイデショウ?)



蒼星石「(…ち、ちがうっ! 僕は、そんな…)」

翠星石「(蒼星石…)」

蒼星石「(翠星石、僕は… 僕は…)」



(そんな… こと…)



翠星石「(心が… 乱れてるです…)」
105 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/17(月) 19:54:15.82 ID:vSSQCG.0
ピュセル「フフフ… 観念シタ?」

翠星石「(誰が観念なんか、するもんですか! …でも)」

(…そろそろ、逃げるぞ。 しんがりは頼む)

ピュセル「ハイ… アノ 契約者ハ?」



ジュン「…」



蒼星石「ジュン君…」

(ほうっておけ。 今のところ、何の影響もない)

ピュセル「ハイ」

(戦乙女さえ来なければ、どうということもない)

翠星石「(このままだと、まずいです… わたしの心も、乱れちまってますし…)」


(蒼星石「君だって、本当は戦うことが好きなんだろう?」)


翠星石「(まったく蒼星石ってば、わたしの気持ちも知らないで… 蒼星石め… あ!)」

蒼星石「(…翠星石?)」


(………)


蒼星石「(翠星石… どうしたんだ?)」

翠星石「(これしか、ないですかね…)」ググ…



(これは、ほんとにほんとの最後の手段…いえ…)



(『禁じ手』だったんですけど…)



グググ…
106 :[sage]:2009/08/17(月) 19:55:16.53 ID:vSSQCG.0
今日はここまでです。 続きはあさって。
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/17(月) 19:56:00.75 ID:iUW5QJgo
乙です
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/17(月) 20:13:40.07 ID:0t4M1Z.P
乙樽場

嗚呼、加勢し(ry
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/17(月) 20:38:34.04 ID:.2WtOGco
おつ!
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/17(月) 21:49:54.73 ID:KmNOJhw0
乙です
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 12:48:54.72 ID:9slRsGQ0
乙なんだぜ……

ヒナが戦ってる場面はPhase6を思い起こした。
あれ?なんかディスプレーが(ry
112 :[sage]:2009/08/18(火) 19:11:11.43 ID:0MpgcZM0
>>107-111
乙どもっす〜
申し訳ないんですが、次回投下を21日に延期します…
いつもいつも、すいません;;;
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 20:41:05.38 ID:vZtdk8so
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/18(火) 20:52:01.75 ID:AnWl/aEP
おk

予定の消化が最優先だということを忘れないように…
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/21(金) 02:32:56.22 ID:XWxKfAco
今更だがおっつ
116 :[saga]:2009/08/21(金) 23:36:47.50 ID:uKdn/GA0
>>113-115
乙どもっす〜
いつもいつもすいません…

再開します〜
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/08/21(金) 23:37:47.43 ID:2vUhs.so
待ってたお
118 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/21(金) 23:44:36.97 ID:uKdn/GA0
ゴボ ゴボ ゴボ…



ピュセル「大丈夫デスカ」

(…この『肉体』も、今は捨てられん)



ズ ズ ズ ズ …



(…戦力を失った今、これを失えばわしは丸裸じゃ…)

ピュセル「ゴ心配ナキヨウ …コノ子ガ ワガ手元ニ アリマスカラ」

翠星石「…(…まったく)」



(…好き勝手言ってくれますね。 今に見てやがれです! …でも)


ズ ズ ズ ズ …


(『あの手』を使うとなると… わたしたちの身も危ないですし、最悪…)


ゴボ ゴボ ゴボ…


(ジュンまでも…)


ズ ズ ズ ズ …


(…わしはひとまず、本体を奥へ逃がす。 後は頼むぞ)

ピュセル「ワカリマシタ オ任セヲ」



…ゴボ
119 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/21(金) 23:46:35.90 ID:uKdn/GA0
ゴボ ゴボ ゴボ…



ピュセル「オ父様…」



(…)



ピュセル「…オ父様?」



ゴボ ゴボ ゴボ…



ピュセル「(『水位』ガ ダイブ サガッテイル)」


翠星石「…」…ダラン


ピュセル「…ドウヤラ ダイブ 深クマデ 逃ゲテクレタ ミタイ」


翠星石「…」


ピュセル「ワタシモ ソロソロ ヒキアゲヨウ カシラ」…グイ

翠星石「…」…ガシャ

蒼星石「(翠星石…!)」




翠星石「…」ブラン…
120 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/21(金) 23:49:55.26 ID:uKdn/GA0
ピュセル「ワカッテルト 思ウケド」

翠星石「…」

ピュセル「アナタニハ イッショニ 来テモラウ」

蒼星石「(…! くそ…!)」

翠星石「…」

ピュセル「…サスガニ 口ハ 聞ケナイ ヨウネ」


…ジャリッ


蒼星石「こ、この… 翠星石を放せ!」

ピュセル「…」

蒼星石「…きっと、後悔するぞ! いや、させてやる!!」

ピュセル「…」

蒼星石「なんとか、言ったらどうだ!!」



…ジャリッ



蒼星石「…貴様!」

ピュセル「…アナタモ」



…ザッ ザッ



蒼星石「…え?(こ、こっちに来る?!)」

ピュセル「アナタモ…」



「アナタモ ワタシニ ツイテクル?」
121 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/21(金) 23:53:02.90 ID:uKdn/GA0
蒼星石「…な、なんだって?」

翠星石「(…???)」

ピュセル「…イッショニ 来ルカッテ 聞イテルノヨ」

蒼星石「…え?」

翠星石「(は、はあ???)」

ピュセル「姉妹ヤ 契約者ナンカ ホウッテオイテ ワタシタチト 来ナイカッテ」

蒼星石「ふ… ふざけ…!」

ピュセル「フザケテ ナンカ イナイ」…ボソッ 



「…今ナラ オ父様ニモ 聞コエナイ」


…ソッ


「フタリデ イッショニ ワタシト オ父様ノ トコロデ 暮ラサナイ?」


蒼星石「(ど、どういうつもりなんだ…?)」

翠星石「(罠にしても、みえみえすぎですよ…!)」

ピュセル「双子ノ姉妹ナラ フタリ イッショノ ホウガ イインデショウ?」

蒼星石「だ、だから… いったい…?!」

ピュセル「オ父様ニハ ウマク 話シテミル」



「実験道具 ジャナクテ 仲間ニ 引キ入レタホウガ 得ダッテ」
122 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/21(金) 23:57:53.76 ID:uKdn/GA0
蒼星石「な、仲間だって?!」

翠星石「(こいつ…!!)」

ピュセル「エエ ソウヨ …アナタタチナラ 充分 オ父様ノ オ役ニ立テル」

蒼星石「おまえ、正気か?!」

ピュセル「アナタタチ モウ 『アリス』ニハ ナレナイノ デショウ?」

蒼星石「え…」

翠星石「(…)」

ピュセル「薔薇乙女ハ アリスニ ナルノガ スベテ …ソノタメニ 姉妹デ 戦ッテ 来タハズ」

蒼星石「そ、それは…」

ピュセル「…ソンナ 姉妹タチガ アリスニ ナレナイ 人形ヲ 受ケ入レテ クレルトハ 思エナイ」

翠星石「…」

ピュセル「アナタタチノ 契約者ダッテ ソウ …イイ人ナノカモ シレナイケレド」



「イツカ キット アナタタチノコト モテアマスワ」



蒼星石「そ、そんな!」

翠星石「(え…)」

ピュセル「キット ソウヨ …人間ナンテ ソンナモノ」

蒼星石「…」

ピュセル「壊レタ 人形ヲ 愛シテクレル 人ナンテ イナイ」



「捨テラレルカ 目ニツカナイ場所ニ 放リコマレテ 忘レラレル ダケヨ」
123 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:03:55.30 ID:2OQ/llo0
蒼星石「…そんな」

翠星石「(…)」

ピュセル「心当タリハ ナイ?」

翠星石「…」



(「水銀燈はボロボロになって… 治るかどうかもわからない」)

(「こんな、終わらない毎日が続くなら… いっそ、水銀燈が…」)



翠星石「(わたしは…)」

蒼星石「…貴様の父親だって、変わらないじゃないか!」

ピュセル「オ父様ナラ 使エル ウチナラ ボロボロニ ナッテモ 使ッテクレル」

蒼星石「え…」

ピュセル「捨テラレル コトニ カワリハ 無イケレド」



「…シマイコマレテ 忘レラレル ヨリ スコシハ マシヨ」



蒼星石「…なぜ?」

ピュセル「ナニ?」

蒼星石「お前の言うことが本当だとして、なぜ、僕らのことをそこまで?」

ピュセル「…」




「…ワタシ アナタタチトハ ワカリアエル 気ガスル」
124 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:08:59.62 ID:2OQ/llo0
蒼星石「…なんだって?」

翠星石「(???)」

ピュセル「ダッテ アナタタチ サッキ ワタシヲ イタブッテ イタトキ」 



「ワタシノコト ムシケラヲ 見ルヨウナ目デ 見テイタデショウ?」



翠星石「(…そ、そんな…)」

ピュセル「トテモ 楽シソウ ダッタ」

蒼星石「…僕は…」

ピュセル「アナタタチハ 戦ウノガ好キ …敵ヲ倒シ 壊シ 蹂躙スルノガ 好キ」

蒼星石「そ、それは違う!」

ピュセル「アナタタチハ 虫唾ガハシルヨウナ 『イイ子チャン』 ジャナイ」



「…ワタシタチ ヨク似テル キット ワカリアエル」



蒼星石「(僕は… 僕は…)」

ピュセル「アナタタチガ オ父様ノ下デ 元気ニ 暮ラシテ イレバ 残リノ 薔薇乙女ヘノ 牽制ニモ ナル」

翠星石「(わたしは… わたしは!)」

ピュセル「ワタシタチニ トッテ 損ナ話ジャ ナイノ」…スッ



「…ドウ?」






「…いいかげんにしろ!!」
125 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:15:38.13 ID:2OQ/llo0
ピュセル「…ヤッパリ?」

蒼星石「僕らを…」…ギリッ!


「僕らを、きさまといっしょにするな!!」


ピュセル「マァ アマリ 期待ハ シテナカッタ ケレド」

蒼星石「当たり前だ!」

ピュセル「…アナタノ オ姉サン ダケデモ ユックリ 『説得』 シテミルワ」クスクスクス…

蒼星石「こ…この!!」

翠星石「(…えーい! もう、ヤケクソです!!)」…ググ


…ググググ…


蒼星石「す、翠星石!」

ピュセル「アラ? …マダ 動ケタノネ」

翠星石「(あとは… あとは野となれ山となれ〜ですっ!!)」キッ!



「…ふざけるなですっ!」



ピュセル「…ワタシハ フザケテ ナンカ」

翠星石「おめーじゃないですっ!」

ピュセル「エ?」

翠星石「そこの… そこのそいつに言ってるです!」

蒼星石「…え?」

翠星石「そこにいる、いいかっこしーの、いい子ぶりっこちゃんの…」



「ロクデナシの妹に、言ってるんですよ!!」
126 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:25:53.97 ID:2OQ/llo0
蒼星石「え、えっ??」

ピュセル「…ハァ?」

翠星石「なーにが『僕らを貴様といっしょにするな』ですか!」ギロッ!



「この可愛い可愛い翠星石はともかく、おめーはあいつといっしょですっ!!」



蒼星石「…え、翠星石、君は…!」

ピュセル「…ヤッパリ?」

翠星石「ええそーです! こいつは、弱いものイジメが大好きな最低ヤローです!」

蒼星石「!! き、君は?!」

翠星石「水銀燈のことだって、いたぶり倒してやがったくせに!」

蒼星石「そ、それは違う!」

翠星石「違わないですっ! こーの猫っかぶりの悪魔人形! わたし、ほんっとうに!」



「こんなのとおんなじ顔だと思うと、吐き気がしてくるですぅっ!!」



蒼星石「…!!」…ザワッ

ピュセル「…アナタ?」

蒼星石「(そうか…)」ザワ ザワ…


(そういう… ことか…!!)



ザワザワザワ…!




(よくも… よくも!!)
127 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:34:44.53 ID:2OQ/llo0
ピュセル「アナタタチ…?」

翠星石「ほれほれ、何とか言ってみたらどうですか! この性悪根暗人形!」

蒼星石「…」

翠星石「いっつも、いっつも、いい子ぶりっこして!」

蒼星石「…君だって、そうじゃないか」

翠星石「へ?」

蒼星石「君こそ…!」キッ!



「いつもいつも、可愛こぶりっこしてるだけだ!!」



ピュセル「…???」

翠星石「よ、よくも言いやがったですねー!」

蒼星石「言ったがどうかしたか! いつもいつも、周りに媚びて、気を引いて!」

翠星石「こ、この!!」

蒼星石「君は、戦いが嫌いなんじゃない! 周りに可愛く思われたいだけだ!!」

翠星石「…むきー!!!」


…ガクンガクン!


ピュセル「ア、アナタ!?」

翠星石「よくも、それを言いやがったですね?!」

蒼星石「僕だって… 君と同じ顔だなんて、何度嫌気がさしたかわからないよ!」バン!



「いつも甘ったれてるくせに、都合のいいときだけ姉さん顔して!! イヤでイヤで、たまらなかったんだ!!」
128 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:42:18.65 ID:2OQ/llo0
翠星石「…言いやがったですねー?!」

蒼星石「言ったが、どうしたっ!!」



ザワ ザワ ザワ…



翠星石「わかってるですよ! あなた、わたしのこと、いつもいつも、腹の中でバカにしてたでしょう?!」

蒼星石「バカをバカにして、何が悪い! 君こそ、僕の事を…!」



ザワザワザワザワ…!



翠星石「ええ思いましたよ! バカでガンコで意地っ張り! しかも、自覚はまったくなし! 最悪です!!」

蒼星石「君は、自覚があったくせに、知らないふりをしていたじゃないか!」

翠星石「な、なんのことですか?!」

蒼星石「君こそ、弱いものイジメが大好きなくせに! 壊し、いたぶり、蹂躙するのが大好きだったくせに!」

翠星石「ち、違うですっ!!」

蒼星石「違わないって言ったら、違わない!」

翠星石「違うといったら、違うんですっ!!」



ピュセル「(…コレッテ ナンナノ???)」



キィィィィ… ン…!!
129 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:46:49.80 ID:2OQ/llo0
【真紅の精神世界】



ゴボ… ゴボ…



ジュン「…」



ゴボ… ゴボ…



真紅「…」

ジュン「…」ソッ



…ナデ



真紅「…?」

ジュン「…真紅」…ナデ ナデ



ボスッ!



ジュン「んぐ…!」

真紅「…なれなれしく、触らないで」…ギュッ
130 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:48:13.83 ID:2OQ/llo0
雪華綺晶「もう、真紅ったら」

真紅「…何よ」

雪華綺晶「ジュンお父様には触るなって言ってるのに、自分はしがみついてるじゃない」

真紅「…これは、違う。 こんな顔…」



(こんな泣き顔、見られたくないだけ…)



真紅「…」

ジュン「顔?」

真紅「…」ボス!

ジュン「うっぷ」

雪華綺晶「…もう」



ゴボ ゴボ…



ジュン「…」

雪華綺晶「…」

真紅「…」ギュ…



ギュゥゥゥ…
131 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:49:41.81 ID:2OQ/llo0
雪華綺晶「…素直になれば、いいのに」

真紅「…私は、素直よ」

雪華綺晶「あなた、ジュンお父様のことも、水銀燈お母様のことも、大好きなんでしょう?」

ジュン「…」

真紅「あなたは、なにもわかっていない」

雪華綺晶「…意地っ張り」

真紅「違う。 …あなたは、ほんとうになにもわかっていない」

雪華綺晶「何よ?」



「…あなたは私の心は読めても、私の気持ちはわからないのね」



雪華綺晶「…何、それ」

真紅「さっきも言ったでしょう。 …好きや嫌いじゃないんだって」

雪華綺晶「…」

真紅「どっちか、片一方だけじゃ、ないの…」…ギュ

ジュン「真紅…」


トクン トクン トクン…
132 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:53:07.56 ID:2OQ/llo0
ジュン「…真紅」

真紅「…」

ジュン「気持ちっていうのは、どっちか、片一方だけじゃないんだろう?」

真紅「…それが、どうかしたの?」

ジュン「なら… 君の、ローゼンへの気持ちだって…」



ボス!



ジュン「ぐ…」

真紅「わかったようなことを言わないでって、言ってるでしょう!?」

ジュン「真紅…」

真紅「あなたも、何もわかってない! …お父様は特別なの、あなたとはちがう!!」



「あなたなんかとは… 違う、違うはずなのに…!!」



ジュン「…真紅?」

真紅「あなたなんか、あなたなんか…!」

雪華綺晶「…真紅?」

真紅「あなたなんか!!」…キッ!



「水銀燈のことばかり、見ていたくせに!!」
133 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:55:19.30 ID:2OQ/llo0
ジュン「え…」

真紅「あなた、私の契約者のくせに! なんで…」ボカッ!

ジュン「う…」

真紅「なんで、水銀燈ばかり大事にするの!?」…ポカ ポカ

ジュン「…」

真紅「私のほうが、先にあなたと契約したのに! …なんで? なんでなの!?」

ジュン「真紅…」

真紅「私のことなんて、どうだっていいの?! …答えてよ!!」

ジュン「真紅、僕は…」


ボス!


ジュン「っぐ…!」

真紅「わかったようなこと言わないでって、何度言ったらわかるのよ!!」

雪華綺晶「(…答えてほしいのかほしくないのか、どっちなの?)」

ジュン「…」

真紅「バカ、バカっ! ジュンのバカ!」ボコ…

ジュン「…」

真紅「バカぁ…」ギュ…

ジュン「(真紅… 君は…)」



(君は、ずっと、何も言ってこなかったけれど…)





(やっぱり、ほんとうは、そう思ってたんだな…)

134 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 00:58:12.01 ID:2OQ/llo0
ジュン「…」…ギュッ

真紅「…」ギュ…



トクン トクン トクン…



真紅「…」…グス

ジュン「…」

真紅「いつも…」

ジュン「…え?」

真紅「いつも… いつもそう…」…グスッ

ジュン「いつも?」

真紅「…いつも…」



「いつもあの子は… 私の大事なものを、奪っていってしまう…」



ジュン「…」

真紅「私の契約者も… それに…」 

雪華綺晶「…」




「お父様も…」
135 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 01:06:01.52 ID:2OQ/llo0
ジュン「…ローゼンが?」

真紅「…お父様は、あの子のことを、ほんとうにほんとうに大事にしてた…」

ジュン「でも、君だって…」

真紅「わたしは…」



「…」



ジュン「…真紅?」

真紅「大事には、してもらってた…」 

雪華綺晶「…?」

真紅「お父様は、わたしに、ほんとうによくしてくれた…」

ジュン「…やっぱり、そうだろ?」

真紅「でも… 違うの…」

ジュン「…違う?」

真紅「私は… 大事にされていただけ…」



「ご機嫌をそこねないように、ちやほや、されていただけ…」



ジュン「…それは、違うよ」

真紅「わかるの…」

ジュン「…」

真紅「わかるのよ…」ギュッ…




「私は、ただ、お人形のように扱われていただけだって…」
136 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/22(土) 01:13:02.71 ID:2OQ/llo0
ジュン「…そんなことは」

真紅「だって…」

ジュン「だって…?」

真紅「だって、だって…(そう…)」


(あの、目が…)


雪華綺晶「(真紅…)」

真紅「…お父様も、いつもいつも、水銀燈のことを考えてた…」

ジュン「…」

真紅「私やみんなをかまっているときも、いつもいつも水銀燈のことを考えてた…!」

ジュン「真紅、それは…」

真紅「黙っててって、言ってるでしょう!」ボス!

ジュン「…っ!」

真紅「あなただって… あなただって、そうじゃない!」

雪華綺晶「…真紅?」

真紅「あの、目よ!」


―水銀燈、起きているかい?

―ええ、お父様…


ジュン「目、だって…?」

真紅「あのときのまなざし… あなたの、あのまなざし…!」…ボスッ!

ジュン「ぐっ!」

真紅「なぜ…!」…ボフッ


「なぜ私は…」…ギュゥゥゥゥ


「あなたのまなざしを見て、お父様を思い出してしまうの…!?」
137 :[sage]:2009/08/22(土) 01:14:30.00 ID:2OQ/llo0
今日はここまでです。続きはあさって。

>>117
支援どうもでした〜
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/22(土) 01:19:23.61 ID:RQV/nk2o
おお、はじめてのリアルタイム。
乙です。応援してますよ!
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/22(土) 01:21:00.97 ID:Bw7nKYAo
乙だ〜

次回も待ってるぜ
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/22(土) 01:26:28.55 ID:nwJsNCAo
乙樽場

真紅は嫉妬分多めですのな
…可愛いじゃないの…
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/22(土) 01:26:44.66 ID:KVjvTIEo
おつつ
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/22(土) 02:00:37.08 ID:AOgwT1Uo
おっつ
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/22(土) 21:55:10.44 ID:99XrXNIo

いいねぇ真紅かわいいよ
なんでコレが不人気なんだ?
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 15:30:49.54 ID:xKKUeww0
乙なんだぜ。

双子まさかの仲違えだと……?!
真紅のジュンへの気持ちも、気になるぜ……。
145 :[saga]:2009/08/23(日) 19:29:45.68 ID:ezgtSWs0
>>138-144
乙どもっす〜

>>138
リアルタイムどもでっす〜

>>139
待っててくれる人がいるのって、嬉しい♡(ヤメレ

>>140 >>143
ウザくしようとすればするほど可愛くなるのは何故(ダカラヤメレ


>>144
一度、双子を思いっきりケンカさせてみたかった(を


再開します〜
146 :[saga]:2009/08/23(日) 19:29:45.66 ID:ezgtSWs0
>>138-144
乙どもっす〜

>>138
リアルタイムどもでっす〜

>>139
待っててくれる人がいるのって、嬉しい♡(ヤメレ

>>140 >>143
ウザくしようとすればするほど可愛くなるのは何故(ダカラヤメレ


>>144
一度、双子を思いっきりケンカさせてみたかった(を


再開します〜
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 19:30:51.71 ID:y.LpkPgP
なんだと…?
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 19:31:43.20 ID:sI.i5vM0
待ってました!
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 19:32:10.04 ID:4pWeKQso
大事なことなので(ry
150 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 19:32:55.29 ID:ezgtSWs0
ジュン「僕を見て… ローゼンを?」

真紅「…っ!」ガバ!

ジュン「真紅…」

真紅「(悔しい… 悔しい! なんで…)」…ギュッ



トクン トクン トクン…



ジュン「…」

真紅「(なんで、わたしは… こんなにも…)」ギュゥ…

雪華綺晶「…」

真紅「(あなたとお父様を… 重ね合わせてしまうの…?)」…ギュゥゥッ

ジュン「…」ス…


…ソッ


雪華綺晶「(…ジュンお父様? また…)」

真紅「…」

ジュン「…」ナデ…

真紅「…」

雪華綺晶「(…お父様、また、殴られちゃう…) 

真紅「…」…キュッ



「(…あれ?)」

「…」



ナデ… ナデ…
151 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 19:37:16.73 ID:ezgtSWs0
雪華綺晶「真紅…?」

真紅「…」

ジュン「…真紅」


ナデ ナデ…


真紅「…ジュン」


ギュゥゥ…


雪華綺晶「(真紅… されるままに、なってる…)」

ジュン「真紅…」

真紅「ジュン…」

ジュン「真紅、僕は、君のことを…」

真紅「ジュン、私は…」 

ジュン「真紅?」

真紅「私は、あなたが…」

ジュン「真紅…」

雪華綺晶「(真紅…?)」



「…私は、あなたが嫌い」



ジュン「…」

雪華綺晶「(…あらら)」
152 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 19:41:52.63 ID:ezgtSWs0
真紅「ジュンなんか、嫌い。…大嫌い」

ジュン「…そうか」

真紅「だって、あなたは私を苦しめる。 …惑わせる」

ジュン「…うん」

真紅「あなたは、私の心の流れを乱してしまう… 構えを崩してしまう…」

雪華綺晶「(あれ…?)」

ジュン「うん…」ナデ… ナデ…

真紅「…」



…ギュゥ



ジュン「真紅…」

真紅「あなたは…」

雪華綺晶「(…真紅、あなた?)」

真紅「あなたは、なぜ…」…グッ!



「なぜ…!」



ジュン「…」

雪華綺晶「(真紅、あなたやっぱり…?)」

真紅「なぜ!」キッ!




「なぜ、私のほうだけを、見ていてくれないの?!」
153 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 19:46:58.84 ID:ezgtSWs0
ジュン「(…真紅!)」

雪華綺晶「(…もう、真紅ったら…)」



「なぜ、水銀燈ばかり、あんな目で見て… あんな声で語りかけて…!」



雪華綺晶「(あなたったら、どうして、素直に言えないの?)」

ジュン「…」



「わたし… なんで、こんな思いをしなければいけないの…!?」



…ギュッ



ジュン「(君は…)」

雪華綺麗水晶「(あなたの言ってること、要するに…)」



(お父様が『大好き』ってことじゃない…!)



真紅「なぜ、あの子ばかり! あなたも…お父様も!!」

ジュン「…!」

雪華綺晶「…真紅、あなた…!」

真紅「お父様… お父様! なんで…!」…ギュ



ギュウウ…



「お父様! なぜ、なぜあんなやつを、私よりも大事にするの!?」
154 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 19:54:23.21 ID:ezgtSWs0
ジュン「…」

真紅「あんなやつ、あんなやつ…!」

雪華綺晶「…真紅?」

真紅「あんなやつ!」キッ! 



「壊れかけの、ジャンクじゃない!!」



雪華綺晶「…真紅!? あなた!!」

真紅「…」

ジュン「…きらきー、いいんだ」…スッ


ギュ…


真紅「…ジュン?」

雪華綺晶「え…?」

ジュン「いいんだ… 真紅だって、わかってるんだ」

雪華綺晶「で、でも!」

真紅「…ごめんなさい」

雪華綺晶「え?」

真紅「…」…グッ


「ごめんなさい… ジュン、雪華綺晶…」


ジュン「…真紅」

雪華綺晶「…あなた」

真紅「…私、わかってる。 わかってるの。 でも…」


「でも… 私、でも…」
155 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:01:05.24 ID:ezgtSWs0
雪華綺晶「真紅、あなた…」

真紅「わかっていても、自分でどうにもできないの… ごめんなさい…」

ジュン「…」


…ギュ


真紅「あっ…」

雪華綺晶「お父様…」

ジュン「…真紅、言ってよ」 

真紅「…え?」

ジュン「君の本音を、全部」

真紅「…嫌」ギュ…

ジュン「…いまさら、なんだよ」

真紅「…だってまた、さっきみたいに、ひどいことを言ってしまう…」

雪華綺晶「…」

ジュン「かまわない。 どんなことでもいいから、お願いだよ」

真紅「…」

ジュン「…ボクも、話すから」

真紅「…え?」

ジュン「君は、水銀燈の記憶を知ったんだろう?」

真紅「…」

ジュン「アリスゲームのことも、ローゼンのことも、ボクとのことも…」

真紅「…」…コクン

ジュン「なら、もうボクが秘密にしておく理由はないんだ」




「…水銀燈が話すまでは、内緒にしておこうと思ったこと、全部話すよ」
156 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:08:12.15 ID:ezgtSWs0
真紅「…あなたと、水銀燈のこと…?」

ジュン「君の聞きたいこと、全部答える。 だから…」

雪華綺晶「お父様…」

真紅「ジュン…」…スッ


ギュ…


ジュン「真紅…」

雪華綺晶「(…真紅)」

真紅「…」…ブルッ


ブルブルブル…


雪華綺晶「(あの真紅が、震えてる…?)」

ジュン「(…真紅…)」

真紅「…」ブルブル…


「なぜ…?」


ジュン「…」

真紅「なぜ、あなたも、お父様も… あのまなざしを…」


―水銀燈、起きているかい?


「あの、切ない、やるせない視線を…!」


―ええ、お父様…


「なぜ、あなたもお父様も…」



「あいつとしか、あのまなざしをかわさないの?!」 
157 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:22:29.87 ID:ezgtSWs0
ジュン「真紅…!」

真紅「ねえ、ジュン! 答えてよ! …なぜ、あいつなの!?」…ポロッ


「…私じゃ、だめなの?! なぜ、私じゃないの!?」


ジュン「…」

真紅「バカ、バカぁ! ジュンのバカ!!」ポロポロポロ…

雪華綺晶「(もう…)」

真紅「…お父様も、ひどい!!」

ジュン「 ! 」

真紅「わたし、いい子でいたのに! あなたにほめられたくて、一生懸命がんばってたのに!!」


「お父様ったら、あいつばかり大事にして…! そのあげくに…」


ポロポロポロ…


「死んじゃって、いなくなっちゃってるなんて、どういうことなの?!」


「もう二度と、会えないなんて… 私、がんばってたのに!」 


「さみしくても、我慢してたのに!! 姉妹でだって、戦ってきたのに!! なぜ… なぜなの?!」


「お父様のバカ! 水銀燈のうそつき!! バカ、バカ! バカぁー!!」


ポロポロ…


「バカ…」






「バカぁ…」
158 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:29:30.64 ID:ezgtSWs0
ナデ… ナデ…


雪華綺晶「真紅…(あなた…)」


(あなた、ようやく、口にできたのね…)


ナデ… ナデ…


(お父様への愛情の、裏にあったものを…)


ジュン「真紅…」

真紅「ジュン…」


「私、わかってる…」


ジュン「…うん」

真紅「こんなの、ただの自分勝手な甘えだって… わがままだって…」



「ジュンも、お父様も、みんな… 私のこと、大事にしてくれてる…」



「水銀燈も… ずっと、調整を必要としていたし、ケガもしていた…」



「だから、お父様もジュンも、時間をかけて、そばにいなければいけなかった…」



「私、わかってるの。 頭では、わかっているのよ… でも…」



「でも… でも、私、ずっと…」



ジュン「…」
159 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:33:24.29 ID:ezgtSWs0
…ギュ


「…あっ」


「いいんだ、真紅」


「ジュン?」


「いいんだ、それで…」



ギュッ…



「…ありがとう、話してくれて」


「…」


「君がそんなふうに言うのなんて、はじめてだったから驚いたけど…」


「…」


「でも、なんだか嬉しい」


「…」…グリッ


ジュン「あつっ! …真紅?」

真紅「カッコ、つけないで」グリグリ

ジュン「い、痛いよ?」

真紅「…ジュンのくせに生意気ね、10年早いのよ」

ジュン「…ちぇ」


雪華綺晶「(…わたし、おジャマかな…)」
160 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:39:24.97 ID:ezgtSWs0
【地下洞 最深層】



「…君のその態度! 前から、ずっと気に入らなかったんだ!」

「そんなの、こっちのセリフですっ! 外ヅラだけはいいくせに、一皮むいたら腹黒なんだから!」

「はあ?! 君に言われるとは思わなかったよ!!」



「(…コノ フタリ… ナニヲ シテルノ?)」



「いっつも甘えて、文句ばかり言って! なんにもしないくせに、口だけは出して!」

「あなたがなーんにも言わないで、何もかも自分勝手にやっちまうからじゃないですか!」

「言ったって、君はなんにもしようとしないじゃないか! だから、いつもいつも僕が…!」



(…ワタシノ 油断ヲ サソウ ツモリ?)



…ギリッ!



翠星石「くっ?!」

ピュセル「…オアイニク サマ」ギリギリ…

蒼星石「き、貴様!」

ピュセル「ソロソロ 静カニ ナサイ」

蒼星石「…邪魔するな!」

翠星石「く… この!」

ピュセル「モウ オタガイノ 心配モ シナイノ?」クスクス…



「アサマシイ ワネェ」
161 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:42:05.21 ID:ezgtSWs0
翠星石「おまえには、関係ないですっ…!」

ピュセル「仲良シ姉妹モ 一皮ムケバ コンナモノネ」ケラケラケラ

蒼星石「よけいなお世話だ…!」

ピュセル「…ソンナコト シテル 場合ナノ?」


「…今生ノ 別レニ ナルカモ シレナイノニ」


翠星石「だから今、言ってやるんです! お腹の中にたまった、うっぷんを全部!」

蒼星石「それは、こっちのセリフだ! いままで僕が、どれだけ我慢したと思ってるんだ!」

翠星石「おめーの口から、ガマンなんて言葉がきけるとは思いませんでしたよ!!」

ピュセル「…ヤレヤレ」



ゴボ ゴボ ゴボ…



ピュセル「…?」



ゴボボボ…



(…何事じゃ?)

ピュセル「オ父様?」 

(なにやら、騒がしいのぉ)

ピュセル「…逃ゲ延ビタノデハ ナカッタノ デスカ?」

(『肉体』は八割方、深部へと流れた。 じゃから様子を見に来たのじゃが…)

ピュセル「…ゴランノ 有様デス」
162 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:47:09.10 ID:ezgtSWs0
翠星石「なにを言っても聞いても、二言目にはアリスゲーム、アリスゲームって! 結局、姉妹で戦ってもアリスになんかなれなかったんじゃないですか!」

蒼星石「それじゃ、君はなにかしたのか!? お父様を満足させるために!」



(…なんじゃ、これは)

ピュセル「オモシロイ 見モノ デショウ?」



蒼星石「君はいつもそうやって、ただ不平を言うだけなんだ! 僕の気持ちも知らないで!」

翠星石「おまえこそ、わたしの気も知らないで! おまえがひとりっきりで、水銀燈と決着をつけに行ったときだって!」



キィィィィ… ン…



(む、これは…?)

ピュセル「オ父様?」

(…はて… この感覚は…)



翠星石「わたしが、どんなに心配したかわかりますか?! いつもおまえは、誰にも相談しないで、ひとりで決めて!」

蒼星石「それが、よけいなお世話だって言うんだ! 心配するくらいなら、君がアリスになってしまえばよかったんだ!!」




ヒュゥゥゥゥ… ン…
163 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 20:51:02.35 ID:ezgtSWs0
翠星石「だーか−らー! 結局、アリスゲームなんて無意味だったんじゃないですか!!」

蒼星石「何もかもわかってから、したり顔でえらそうに! …あの時、ほかに何ができたって言うんだ!!」


ヒュィィィィ… キュィィィィ…


翠星石「ちょーっと考えればわかるでしょう!? 殺しあいで、究極の少女になんか、なれるもんですか!」

蒼星石「だから、わかった後だから、そう言えるんだろう! いつも君は、そうやってわかったようなことを言って!!」


キュォォォォ…!


ピュセル「…コレハ?? 空気ガ 張リ詰メテ…」

(い、いかん!!)

ピュセル「オ父様?」

(ピュセル! そやつらを、今すぐ止めろ!!)

翠星石「もう…」 


「もう、遅いですっ!!」…スッ


ピュセル「…目ヲ 閉ジタ? …マサカ!」

蒼星石「そう…!」ス… 



「もう、手遅れだっ…!」
164 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 21:00:53.81 ID:ezgtSWs0
(ま、まずい!)

ピュセル「…オ父様?!」


キュォォォォォォ…!


翠星石「蒼星石…! この、わからずや!」

蒼星石「なにもわかってないのは、君のほうだ! …翠星石っ!」


ヒュァァァァ…!


「おまえなんか…!」「君なんか…!」


キィィィ…ン!


「僕の前から!」「わたしの前から!!」



「い・な・く・な・れぇーっ!!!」カッ!



…ギィン!!



ピュセル「コレハ 『共鳴』!!」

(互いへの憎しみで、共鳴を発動させおった!!)

翠星石「…さあ、もうどうなっても知りませんよ!(こ、これはマズいです…!)」ザワザワザワ…!


(こうなるとは思ってたけど… 予想以上ですっ…!)


蒼星石「言ったはずだ…!(うああ…! 心が焼ける…)」ゾワゾワ…ッ!


(憎しみがふくれあがる… じ、自分を止められない!)


「後悔させてやると!!」ジャキッ!
165 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 21:09:47.53 ID:ezgtSWs0
(いかん、止めろ!)

ピュセル「…大丈夫デスワ」…ギリ

翠星石「…ぐ?!」

ピュセル「コチラニハ 人質モ イマス。 ソレニ アイツハ 契約者ヲ 守ッテ…」


ヒュボ!


ピュセル「?!」ビュオ!

(なにっ!)

蒼星石「しゃぁぁぁぁっ!」シュバババババ!!

ピュセル「キ、貴様?!」シュダッ!

蒼星石「逃すかっ!」シュダ!


ジャギジャギジャギッ!


(な! 今までよりも、さらに速いとは!)

ピュセル「カ、カワスダケデ 精一杯…!」

蒼星石「うおおおおお!」キュバババ!

ピュセル「キ、貴様! コノ子ヤ 契約者ガ…」

蒼星石「…そんなもの!」ヒュボ


ザギュッ!!


ピュセル「ヒッ?!」

蒼星石「そんなもの… そんなものっ!!」ゾワ…


ゾワ… ゾワ…ッ!


「…知ったことかぁーーーっ!!!」
166 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 21:17:58.27 ID:ezgtSWs0
【真紅の意識世界】


ゴボ… ゴボ…


ジュン「…」

真紅「…」

雪華綺晶「(…いけない…)」


ゴボッ…


雪華綺晶「真紅、もう…」

真紅「…わかってる」

ジュン「どうしたんだ?」

真紅「…あいつが、ここまでも侵食しはじめてる…」


ゴボ…


雪華綺晶「早くしないと…」

真紅「…ええ。 でも…」

ジュン「…かまわない。 言ってくれ、真紅」

真紅「…」


「…わかったでしょう?」


ジュン「なにが、だい?」

真紅「わたし… とても、とてもみにくい人形なの…」

ジュン「…そんなことない。君は…」

真紅「ありがとう、ジュン。でも、わかってるの…」



「自分のことは、自分がいちばんよく…」
167 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 21:29:37.73 ID:ezgtSWs0
雪華綺晶「真紅…」

真紅「お父様も、あなたのことも、困らせて… 姉妹のことも、バカにして…」

ジュン「…」

真紅「人のことなんかどうだっていい… 自分さえよければ、それでいい… それが、私の本当の姿…」

雪華綺晶「…そんなこと」

真紅「そうなのよ… 水銀燈とのことだって… あの子は、何も悪くなかった…」

ジュン「…」

真紅「悪かったのは、全部、私…」…グッ



「私こそが、ジャンクだったのよ…」



ジュン「…それは、絶対違う」

真紅「…」

ジュン「君が何と言おうと、それだけは絶対に…」

真紅「ジュン」

ジュン「え?」

真紅「…約束」

ジュン「え…? あ、ああ」



「どんなことでも、答えてくれるって言ってたでしょう…?」
168 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 21:36:43.70 ID:ezgtSWs0
ジュン「…」

真紅「時間が無いから、ひとつだけ、答えて…」

ジュン「…なんだい?」

真紅「あなたにとって…」



「…あなたにとって、水銀燈は、なんなの?」



ジュン「え、え…」

真紅「…私だって、何も知らない女の子じゃない」

ジュン「…」

真紅「それに、水銀燈の記憶を知ったから… あなたたちの仲がどういうものなのか、察しはもうついてる…」

ジュン「…」

真紅「…でも、あなたの口から聞きたいの」

雪華綺晶「真紅…」

ジュン「…そうか」

真紅「お願い、ジュン…(だって…)」


(そうして、くれないと… 私…)


ジュン「…真紅?」

真紅「(私… 私、あなたのこと…)」




(あなたのこと、しっかり、あきらめきれないもの…)
169 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 21:46:34.19 ID:ezgtSWs0
雪華綺晶「真紅、あなた…!」

真紅「雪華綺晶… ジュンに、言わないでね…?」

雪華綺晶「(…言うわけ、ないじゃない!)」

ジュン「…真紅?」

真紅「なんでも、ない…」


…ギュッ


ジュン「…真紅」

真紅「さあ、言って。 …早く」

ジュン「…」

雪華綺晶「…お父様」

ジュン「…ああ。 わかってる…(…水銀燈は?)」



(水銀燈は… ボクにとって…)



―私は水銀燈。闇を纏わされ逆十字を標された薔薇乙女最凶のドールよ。



(ボクに、とって…?)



―ふふ、お馬鹿さぁん。



(水銀燈は…)



―私は… 私は、ジャンクじゃない! お父様…



(水銀燈は…)
170 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/23(日) 21:55:25.15 ID:ezgtSWs0
真紅「…ジュン、どうしたの?」

ジュン「いや…」


ボスッ!


ジュン「うぐっ!?」

真紅「往生際が悪いわね、しっかりしなさい!」

ジュン「は、はい…」

真紅「あなたがそんな、はっきりしないんじゃ、水銀燈が…」

ジュン「…え?」

真紅「…なんでもないわ。 さあ、言って!」

ジュン「…」

真紅「…言えないの?!」

ジュン「ち、違うよ。ただ…」

真紅「ただ?」

ジュン「な、なんて言うか…」…ポリポリ


「…一言じゃ、説明しきれない」


雪華綺晶「…お父様」

ジュン「言いたいことが、いっぱいありすぎて… 何から言っていいのか…」

真紅「…まったく、もう!」ボスッ!

ジュン「ぐ!」

真紅「しっかりしなさい! 時間が無いの!」

ジュン「だ、だから…」

真紅「何を言うか迷って、何も言えなくなるくらいなら…」キッ!


「なにもかも、全部言ってしまえばいいでしょう!?」
171 :[sage]:2009/08/23(日) 22:07:50.63 ID:ezgtSWs0
今日はここまでです。 続きはあさって。
172 :[sage]:2009/08/23(日) 22:09:12.57 ID:ezgtSWs0
>>147-149

>>153といい、あちこちお見苦しくてすみませぬ…
精進します;;;
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 22:11:10.57 ID:p/cuEqEo
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 22:16:13.17 ID:y.LpkPgP
おつつ
真紅可愛いねきらきーには負けるけど
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 22:18:55.51 ID:a6s4dLgo
乙樽場

双子の逆転劇に期待しつつ、真紅の可愛さに萌やちつくされ(ry
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/23(日) 23:30:09.88 ID:zeG3PQUo
きらきー可愛いよきらきー
乙です
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/24(月) 01:06:13.28 ID:AcSFfp.o
おっつ
178 :[saga]:2009/08/25(火) 21:43:18.10 ID:M4XYuSQ0
>>173-177 乙どもっす〜


>>174-175
書く前は嫌いだったのが何故かどんどん好きに(を

>>176
そう言ってもらえると救われます;;;
とある理由で、意識してキャラ崩壊させてるので…


再開します〜
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/25(火) 21:45:03.34 ID:M4w9a8so
待ってたぜ
180 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 21:45:34.95 ID:M4XYuSQ0
ジュン「な、なにもかも?」

真紅「そうよ。 全部話すって、言ってたじゃない」

ジュン「で、でも… 時間が…」


ゴボ…


真紅「大丈夫、もたせてみせる。 だから…」

ジュン「真紅…」

雪華綺晶「お父様、お願い。 …早く話して」

ジュン「あ…ああ」

雪華綺晶「…わたしも、聞きたいの」

ジュン「え?」

雪華綺晶「お父様… いいえ…」



「ひとりの人間の男の子、『桜田ジュン』が…」



「ローゼンメイデン第1ドール『水銀燈』のこと、どう思ってるのか…」



「わたしも、聞きたいの…」
181 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 21:48:12.95 ID:M4XYuSQ0
ジュン「う…」

真紅「…観念しなさい」

ジュン「(…桜田ジュンが、水銀燈のことを…?)」


(水銀燈は…)


真紅「…」


(ボクにとって…)


雪華綺晶「…」ドキドキ



―もしも、わたしたちと何のかかわりも無い第三者が、わたしの妹たちを狙ったとしたら…



ジュン「水銀燈は、ボクにとって…」

真紅「…あなたにとって…」

雪華綺晶「…」…ゴクン



―わたしは、そいつらを迷わず叩き潰すわ。 …かけがえのない妹たちを守るために。



ジュン「ボクにとって…」

真紅「…」

雪華綺晶「…」ワクワク

ジュン「まずは…」




「…まずは『お姉さん』なんだ」
182 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 21:51:37.27 ID:M4XYuSQ0
真紅「…お姉さん?」

雪華綺晶「え?」

ジュン「ああ… お姉さん、なんだ」

雪華綺晶「あ、そう…」…ガッカリ

ジュン「うん… ずっと君たちのお姉さんとしてがんばってきた、その姿に…」

雪華綺晶「え…?」

真紅「…?」


「…ボクは、惹かれた」


真紅「…そう…」

雪華綺晶「(えっ? え? 『惹かれた』って…?!)」 


(きゃあぁぁぁぁ〜!!)フリフリ


ジュン「そして、この家に彼女がやってきて…」

真紅「ええ…」

雪華綺晶「うん、うんうん…」ドキドキワクワク


―まったく、もう… ちゃんと教えてあげるから、よく聞きなさぁい。


ジュン「水銀燈は、ボクの『先生』になった」

真紅「先生?」

ジュン「…『師匠』って言っても、いいかもしれない」

雪華綺晶「し、師匠?(…なんだか、つまんなぁい)」ションボリ

ジュン「うん。 水銀燈は、ほんとうにいろんなことを、ボクに教えてくれた…」



―必死にやりなさい。 それが、いつかあなたを救うかもしれないんだから。
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/25(火) 21:53:21.62 ID:dNuADgcP
きらきーがwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/25(火) 21:53:33.40 ID:dr8i/Wk0
wa
185 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 21:56:09.76 ID:M4XYuSQ0
ジュン「…そして、ボクを鍛えてくれた。 強くしてくれた…」

真紅「…」

ジュン「彼女のおかげで、ボクは… ずっと自分には無理だと思っていたことも、できるようになったんだ」

真紅「…うん」

雪華綺晶「…そうなんだ」

ジュン「だからボクは、水銀燈には、ほんとうにいくら感謝しても、し足りないんだ…」

真紅「…わかるわ」 

雪華綺晶「真紅? …そうなの?」

真紅「ええ」



「…わたしたちも、彼女に鍛えてもらっていたから」



雪華綺晶「…そうなんだ…」

真紅「雪華綺晶?」

雪華綺晶「…」

ジュン「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「…いいな」

真紅「え?」


…グスン


ジュン「き、きらきー?」

雪華綺晶「…」グス グス…



「いいな、いいなぁ…」
186 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:02:01.58 ID:M4XYuSQ0
真紅「…あなた?」

雪華綺晶「…ぐす、えぐっ…(わたしも… わたしも…)」


(みんなと、同じ場所で同じ時間を、すごしたかったな…)


ジュン「…雪華綺晶」

真紅「あなた…」

雪華綺晶「…ごめんね。 …お父様、話、続けて」

ジュン「…ああ。 それから、やっぱり…」


―…♪London Bridge is falling down,Falling down, Falling down…


雪華綺晶「やっぱり?」

ジュン「…水銀燈は、『お母さん』だったよ」

真紅「お母さん…?」

ジュン「ああ。 …おなかの中の、君たちに接する姿」

真紅「…私たちに?」

ジュン「うん。 やさしく語りかけて、いたわって、歌を歌って、本を読んで…」

真紅「…」



「ほんとうに『お母さん』そのものだった」



雪華綺晶「…うふふ、だよね?」

真紅「…」

ジュン「そして…」



―ぎゅっと、抱いて。
187 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:10:38.57 ID:M4XYuSQ0
真紅「そして?」

ジュン「…」



―エネルギーなんて、いらない。



雪華綺晶「お父様?」

ジュン「水銀燈は…とても…」



―わたし… わたし、あなたの腕の中で…



ジュン「ボクにとって、とても、とても…」 



「とても、いとおしい人で…」



真紅「…!」

雪華綺晶「(!!!)」

ジュン「彼女のことを、考えると… 胸が、苦しくなるくらいに…」

雪華綺晶「(きゃー! きゃー! お父様、すごーい! すっごぉーいっ!!)」クネクネクネクネ

ジュン「せつなくなるくらいに… とても、大事な人…」

雪華綺晶「…ふ〜〜〜ん?」ニヨニヨ 

真紅「…」ムカッ


「そ〜おなんだ〜?」ニヤニヤ


真紅「…」ムカムカ…
188 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:20:58.91 ID:M4XYuSQ0
ジュン「ああ… 寄りつきづらいくらい、綺麗で気高くて…」

雪華綺晶「うん、うん♪」ニマニマ

ジュン「でも、普通の女の子みたいに可愛いときもあって…」

雪華綺晶「ね、ね。 お父様、それって…」ニマー

真紅「…」

雪華綺晶「…要するにぃ、ひとことで言うとぉ…」



「『コ・イ・ビ・ト』ってことぉ?」…ニタァー



グニッ!



雪華綺晶「ひっ?! ひゃあああぁん!?」

真紅「…」グィ―ッ

雪華綺晶「いっ、痛い! いたいよぉーっ!」

ジュン「き、きらきー???」

真紅「…」グニグニ

雪華綺晶「し、真紅?! やっ、やめてぇーっ!」

真紅「え?」パッ

雪華綺晶「え…って、えええ???」


「…なんのことかしら」シランプリ


雪華綺晶「な、なんのことって?!」

真紅「大事な話の最中なのよ、静かになさい」

雪華綺晶「うう…(し、真紅ってずるい…)」ヒリヒリ…



(変なところが、お母様そっくり…)
189 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:26:06.78 ID:M4XYuSQ0
真紅「…ジュン、そうなの?」…ムスッ

ジュン「え…?」

真紅「雪華綺晶の、言う通りなの?」

ジュン「…」



「…ああ、そうだよ」



真紅「…!」

雪華綺晶「…や、やっぱり?」…ヒリヒリ

ジュン「うん…」



「恋人『でも』ある」



雪華綺晶「え?」

真紅「恋人…でも?」

ジュン「ああ…」

雪華綺晶「ど、どういうこと? …恋人じゃ、ないの?」

ジュン「いや… それだけじゃ、ないってこと」

真紅「…それだけじゃ、ない?」

ジュン「うん… うーん」

真紅「…ジュン?」

ジュン「うーん、うーん…」

雪華綺晶「…お父様?」

ジュン「…ああ」



「ああ、なんて言えばいいんだろう…」
190 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:28:44.94 ID:M4XYuSQ0
真紅「…ジュン?」

ジュン「…『家族』? いや、もっと…」

雪華綺晶「…お父様?」

ジュン「うーん…」


「水銀燈は、いつもはボクらのことなんか、気にもかけていないように振舞うけど…」


真紅「…」

ジュン「でも、ボク以上に、ボクのことも、のりのことも、わかってくれていて…」


―お姉さま。あなたは、ジュンをダメにしたんじゃない。

―ジュンの中に、いつか飛び立つための力を育て続けてきた。


雪華綺晶「…うん」

ジュン「それに、水銀燈はとても、とても強いんだけど… それでも…」 



―たいしたこと、ないわ。 …かすり傷よ。



「ボクは、彼女が傷つくと、まるで自分の体をえぐられたように痛くて…」



雪華綺晶「え…」

真紅「…あなた」

ジュン「まるで、まるで… 彼女は…」



「ボクの体と心の、一部みたいなんだ…」
191 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:35:05.27 ID:M4XYuSQ0
雪華綺晶「…そ、それって、もしかして…?」

ジュン「うん、そうだよ。 …きっと、そうなんだ」

真紅「ジュン… はっきり、言って」

ジュン「…うん」…グッ



「やっぱり、こういう言い方しか、ないんだと思う」



真紅「…」

ジュン「彼女は、ボクの…」



雪華綺晶「…」ドキドキドキドキ

ジュン「大事な、大事な…」




「かけがえのない…」



「ふたりと、いない…」





「奥さん、なんだ」




真紅「…!!」

雪華綺晶「(!!!)」



ゴボ… ゴボ…
192 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:39:04.32 ID:M4XYuSQ0
【地下洞 最深層】


ギュバ!


「うおおおおおお!!」


シュバゥッ!


「ヒ、ヒィッ?!」

「うわぁああ?!」


ゾジュ! ビギュ!


(な、なんと?!)

ピュセル「ナ、ナンテ無茶ヲ!」

翠星石「あ、あぶねーですっ!!」

蒼星石「このぉぉぉぉぉっ!!」シュタッ!


ギュボボボボ!



ピュセル「クッ!(コ、コイツ…!)」

翠星石「(本気です…!)」



(本気で、わたしごと斬り刻む気です…!)
193 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:42:28.39 ID:M4XYuSQ0
ピュセル「オ、オ父様! モウ ダメデス!」

(な、なんじゃと?)

ピュセル「コイツニ 人質ハ 効キマセン!」…ググ

翠星石「…くっ!?」…ギリッ

ピュセル「コンナ子 盾ニモ ナラナイ! …ジャマニ ナルダケデス!」グギギ…!

翠星石「ぐ、ぐ…!(ひ、引き抜かれる…!)」ミシミシ…


ズボッ!


翠星石「あうっ!?」

ピュセル「オ受ケ取リ 下サイ!」ブォン!

(ま、まて! そやつは『共鳴』しておる!)

ピュセル「大丈夫デス!」

(こっちによこすな! 危険じゃ!!)

ピュセル「手足ヲ モガレテイマス! ナニモ デキマセン!」…ポイッ!



…ガクン!



ピュセル「エ?!」

(な、なんと?!)

ピュセル「ハ、離レナイ?!」



ザワザワザワ…
194 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:46:50.94 ID:M4XYuSQ0
ピュセル「ナ… ナンノ 音?」

(ピュセル! 後ろじゃ!)

蒼星石「せやあっ!」ビシュ!

ピュセル「ク、クッ?!」ズザッ!


ゴロゴロゴロ…


(油断するな! …な、なにっ?!)

翠星石「逃がしませんよ…!」ザワザワザワ…



…ギリッ!



ピュセル「キ、貴様?!(…振リホドケナイ?!)」

(なっ…!? なぜ、離れんのじゃ?!)

翠星石「さっきのセリフ、そっくりそのまま、返してやるです!」


ザワザワザワ…!


ピュセル「(コ、コレハ…?!)」

翠星石「喰らえですっ!」ザワザワザワ…!



…ゾワァ!!
195 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:53:11.98 ID:M4XYuSQ0
ピュセル「ウ、ウワァァ…!?」ザワザワッ…! 

翠星石「奥の手は、最後の最後まで、隠しておくもんですっ!!」シュルシュルシュル…!

ピュセル「コ、コレハ?! …イッタイ ナニ?!」


(ナニカガ カラミツイテ… コ、コレハ マサカ!)


ギリギリギリ…!


ピュセル「グ、グワ…ッ?! コ、コノ…! 離レロ…!」…グィッ!

翠星石「ムダですよ。 そいつは、庭師の鋏でなくちゃ切れません」

ピュセル「コ、コレハ… カ…」ミシミシ…



(かっ… 髪の毛じゃと…!?)


ミシ ミシッ…!


ピュセル「グ…アアア!」…ギシッ

翠星石「そのとおりです!(…やれやれ)」



(…切っておかなくて、よかったですぅ)シュルルルル…



…ギュルルルル!
196 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 22:57:49.84 ID:M4XYuSQ0
ピュセル「ナ、ナニヲ スル気?!」ギリギリギリ…!

(髪の毛の束が、寄り合わさっていく…?!)

翠星石「決まってるです!」ギュルン!


ギュィィィィィ…!


「『仕返し』ですっ!!!」


ギャルルルルル!


(な、なんじゃあれは!! 髪の毛が、まるで…)

ピュセル「コ、コレハ?!」



ギュガガガガガ!



ピュセル「ウグアァ…アアア?!」ガリガリガリッ!

(髪の毛の束が… ピュセルの腹をえぐっておる…!)

翠星石「どてっぱらに、風穴あけてやるですぅ!!!」ギャルルルルル!!

ピュセル「グ グガガ…!」ガリガリ…!

翠星石「よくも、わたしをいたぶってくれましたね…!」




…ビキッ!



「グガア?!」

「…いい声で鳴きやがれですーっ!!!」ギュガ!



ボゴォ!!
197 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:03:27.91 ID:M4XYuSQ0
【真紅の意識世界】



ゴボ… ゴボ…



真紅「…」


―水銀燈は…


雪華綺晶「(…ああ…)」

ジュン「…」


―水銀燈は、ボクの…


雪華綺晶「(ああ… あああ…)」


―奥さん、なんだ


(ああ、あああ…っ… お…)


(お父様っ…!)



真紅「…そう…」…ヨロ

ジュン「真紅?」

真紅「やっぱり…」



「やっぱり、そうだったのね…」フラ…



…ヘタリ
198 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:04:38.21 ID:M4XYuSQ0
ジュン「…真紅?!」

真紅「…大丈夫…」

ジュン「…真紅、ボクは…」

真紅「…いいの。 いいのよ…」



「わかっていたことだから… 私…」 



「とっくのとうに、わかっていたんだから…」



ジュン「…真紅」

真紅「…」…キュッ

雪華綺晶「し、真紅…」…ブルッ



ブルブルブル…



真紅「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「ごめんなさい… でも、わたし、わたし…」ブルブル…



…ポロッ
199 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:08:44.21 ID:M4XYuSQ0
真紅「…あなた」

雪華綺晶「わたし、うれしい… うれしいの…」ポロポロ…


「ジュンが、お母様のこと、そう思っていてくれたこと…」


ジュン「…きらきー」

雪華綺晶「ジュン… わたし、わたしね… ずぅっと思ってたの…」


「あなたみたいな、お父様がほしいって…」


ジュン「…ボクみたいな?」

雪華綺晶「うん… 鏡の中からみんなを見ていて、思ってたの…」

真紅「…わたしたちを?」

雪華綺晶「うん、ぶっきらぼうだけど優しくて、甘えさせてくれて、そばにいてくれる…」


「こんな人がわたしのお父様だったら、どんなにいいだろうかって、ずっと、ずっと…」ポロポロポロ…


ジュン「(…雪華水晶…?)」


(ボクみたいな人が、『お父様だったら』?)



(じゃあ、きみの『本当の』お父さんって…?)



ジュン「…」

真紅「…ジュン」

ジュン「あ、うん?」


…スッ
200 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:10:10.06 ID:M4XYuSQ0
真紅「…ジュン」


…スッ


ジュン「し、真紅…?」

真紅「…人間の子供ごときが…」

ジュン「え…」

真紅「誇り高き、薔薇乙女第1ドールのことを…」

ジュン「…」

真紅「気高く強く美しい、あの水銀燈のことを『奥さん』ですって?」



「身の程知らずも、いいところよ」



ジュン「…うん」

雪華綺晶「…真紅」

真紅「でも、認めなくては、ならないのでしょうね…」

ジュン「え…」

真紅「…だって」



「水銀燈本人が認めているのに、いまさら私に何が言えるの?」
201 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:13:36.77 ID:M4XYuSQ0
ジュン「…君は」

真紅「言ったでしょう。 わかってるって…」

雪華綺晶「…」

真紅「…ジュン、顔を下げて」

ジュン「え… あ、ああ」

真紅「…そう、そこ」…ス

雪華綺晶「…真紅?」

真紅「ジュン」


「目、つぶって…」


雪華綺晶「(え?! えぇーっ!?)」

真紅「私からあなたへの、贈り物よ。 わかるでしょう?」

ジュン「? …あ、ああ。 わかった」スッ

雪華綺晶「(お、贈り物って… アレなのね? そうなのね?! きゃぁー!!)」フリフリフリ

真紅「…いくわよ」



バチン!



雪華綺晶「…え???」

ジュン「…くっ」…ヨロ

真紅「あら? …驚かないのね。 わかってたの?」

ジュン「…予想はついた」…ヒリヒリ

雪華綺晶「あれれ…」



(…つまんなーい)
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/25(火) 23:24:52.58 ID:JeMr//Eo
・。・
203 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:25:26.61 ID:M4XYuSQ0
真紅「悪く思わないでね。 …あなただって、のりを奪っていく男がいたら、こうするでしょう?」

ジュン「…ああ。 めぐからも、さんざんもらったよ」

真紅「…」


「…私に、最初から勝ち目なんかなかった」


ジュン「え?」

真紅「あの子が、あなたの前に現れたときから… いえ」


「あの子が、私の前に現れたときから… もう、すでに…」


ジュン「…」

真紅「あの子は『未完成品』だった」 

雪華綺晶「…もう、真紅ったら」

真紅「『未完成品』だから、完成を目指すことが出来た。 だけど…」



「私は『失敗作』だったのよ…」



ジュン「だから、それは…!」

真紅「…でも、私はそれを認めたくなかった…」



「だから私は、ずっとずっと、自分ひとりだけのお城に閉じこもって、お姫様のように振舞っていた…」
204 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:45:28.78 ID:M4XYuSQ0
ジュン「…真紅、それは…」

真紅「私は、薄汚い自分を飾り立てて、思い通りになる子を捕まえては家来にして…」 


「そうすることでしか、自分を慰められなかった、あわれなお人形なのよ…」


雪華綺晶「真紅…」

ジュン「真紅。君は、失敗作なんかじゃない」

真紅「…こんな、みにくい心の人形が?」

ジュン「君は、みにくくなんかない」

真紅「人をさげすみ、あわれみ、見下して自分を慰めるような私が?」

ジュン「…ああ」

真紅「自分勝手で人とぶつかってばかり、自分の気持ちもわからずに迷ってばかりの私が?」

ジュン「ああ。 そうだよ」

真紅「…慰めなんか、いらない」

ジュン「違う。だって、君の名前は…」

真紅「…私の名前?」

ジュン「そう。 君の名前は…」


…ゴボッ


ジュン「? …こ、これは!」

雪華綺晶「きゃあぁ?!」


ジュグ ジュグ ジュグ…


真紅「とうとう、ここまで侵食してきた…!」
205 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/25(火) 23:52:59.54 ID:M4XYuSQ0
ジュン「…真紅!」グッ!

雪華綺晶「(お父様? …真紅の、手を?)」

真紅「ええ!」…ギュッ!


「あなたの、力を…!」


ヒュゥゥゥ… ン…!


雪華綺晶「こ、この感じ…?!」

真紅「ジュン、私に力を注いで…! そして!」

ジュン「君と、気持ちを重ねるんだろう?!」

真紅「そうよ! 私の力を、引き出すのよ!」…ギュッ!


ヒュォォォォ…!


雪華綺晶「(…す、すごい! ふたりから、力があふれ出てくるみたい…!)」

真紅「私には、もう何も迷いはない! …私は、あいつを倒す!」

ジュン「ああ、みんなで生きて帰るんだ!」

真紅「そう。 …かならず、帰りましょう」…グ



「だって、これが、最後だから…」
206 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/26(水) 00:04:23.47 ID:F.eYdz20
ジュン「…え?」

真紅「心を、乱さないで!」

ジュン「え、でも… 『最後』って?」

真紅「…決まっているでしょう」



「これで、あなたと私がともに戦うのは、最後だもの…」



雪華綺晶「え…え? 真紅??」

真紅「あいつを倒して、すべて終わって、無事に戻れたら…」

ジュン「し、真紅?」

真紅「…あなたとの契約、解いてあげる」

ジュン「え…ええ???」

真紅「私はもう、あなたたちの前にはあらわれない」

雪華綺晶「し、真紅?!」

真紅「水銀燈のこと… 幸せにしてあげてね…」


キュオオオオオ…!


ジュン「…真紅、違うんだ!」

真紅「違うって…何が?」

雪華綺晶「そうよ! あなた、誤解してる!」

真紅「…え?」


「ボクは、君と契約を解く気なんてない!!」


真紅「…あなた…」


バキィッ!
207 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/26(水) 00:05:33.72 ID:F.eYdz20
今日はここまでです。 続きはしあさって。
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/26(水) 00:05:52.65 ID:BR1.t3Io


209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/26(水) 00:07:20.25 ID:5yF9B3so
乙です
210 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/26(水) 00:08:25.18 ID:F.eYdz20
>>179
>>183-184
>>202

支援どうもでした〜
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/26(水) 00:14:52.75 ID:Kiugzdoo
おつつ
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/26(水) 00:44:41.94 ID:SLTYPY6o
乙樽場

いよいよ反撃開始、コレは目を離せん…!
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/26(水) 02:01:45.87 ID:Zn8DxNwo
おっつ
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[[sage]:2009/08/26(水) 23:36:29.56 ID:xDPrR2Y0
さすがにバトル編長くないか
また日常が読みたいぜ
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/26(水) 23:38:20.31 ID:ufiNnzAo
>>214
そういう発言は
216 :[sage]:2009/08/27(木) 11:41:53.64 ID:Ha3jSWU0
>>211-213
乙どもっす〜

>>214-215
長々とすいません;;;
さすがに冗長になってるな〜って気はするんですよ;;;
でも、この際、姉妹たちが心置きなく日常に帰れるように、吐き出せるだけのうっぷんは吐き出させてやりたいので…


まだまだ戦闘場面が続いてしまいますが、どうか付き合ってやってください。
あと、>>214氏へは、自信のなかった日常の描写を待ち望んでいてくれたことに感謝します。


投下は予定通り、明日夜予定なのでしばしお待ち下さい〜
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/27(木) 12:02:27.02 ID:EU06mUso
過去スレ読んで癒されてる俺みたいなのも居る
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/27(木) 18:51:05.68 ID:TyWVItgo
話の最後でドール達が人間になって大団円で終わってくれる事を願う。
特に水銀燈の人間形態が見たい。
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/27(木) 20:06:49.57 ID:rlSWIWw0
乙なんだぜ。
いよいよ、だな……
なんつーか、きらきーと真紅、ジュン、そして銀の
葛藤?みたいなもんが、ひしひしと伝わってくる。
ハンケチの用意はできているぜ。
220 :[saga]:2009/08/28(金) 20:16:14.74 ID:ct9udb20
>>217
本当にすいません:::
まだ、この展開が続いてしまいますが…
懲りずに付き合ってくれると幸いです;;;

>>218
大団円は、まだほんとうにはるか彼方… たどり着けるかどうかもわからないくらい先です(を
とりあえず、中団円まで頑張ります。

>>219
ありがとうございます;;;
ハンカチが役立ってくれることを願って、もう少しだけだらだらと続けてみます。


再開します〜
221 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:21:30.74 ID:ct9udb20
ジュン「くっ?!」…ヨロ

雪華綺晶「…真紅?!」

真紅「ジュン! あなた… なにを考えてるの?!」

雪華綺晶「え…えぇ??」

真紅「あなたは、水銀燈を選んだんでしょう?!」

ジュン「だっ…?! だから、違うんだ!」

真紅「違うって、何が! さっきの言葉はウソだったの!?」

ジュン「そうじゃない! だから、ボクは…」

真紅「…ジュン?」 


…ジーッ


ジュン「な、なんだよ。 そんな目で見つめて…」

真紅「あなた、もしかして… わたしに、未練があるの?」

ジュン「…は?」

真紅「…ダメよ、ジュン。 水銀燈のこと、しっかり愛してあげて」

ジュン「な、なっ…」

真紅「あの子はずっと、愛に飢えてきた。 狂おしいほど、愛されることを求めてきた…」

ジュン「だ、だから…!」

真紅「だから、あなたが精一杯愛してあげて…」 

ジュン「ちょ、ちょっと待ってくれってば!!」

真紅「あの子には、その資格がある…(…そう)」



(わたしと、違って…)



雪華綺晶「(真紅ってば、もう…!)」
222 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:24:34.52 ID:ct9udb20
雪華綺晶「だから、真紅っ! 違うんだってば!」

ジュン「そうだ、真紅! 君だって…」

真紅「…ジュン?」

ジュン「君だって、ボクにとって大事な大事な、かけがえのない人なんだ!」

真紅「…」


バチッ!


ジュン「く!」

雪華綺晶「真紅!?」

真紅「ジュン。 …しっかりして。 迷わないで」

ジュン「だ、だから!」

真紅「…これ以上、私に恥をかかせないで…(せっかく…)」



(せっかく、あきらめる覚悟を決めたんだから…)



雪華綺晶「んもう、真紅ったら! なに、ひとりでその気になってるの!!」

真紅「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「違うって言ったら、ち・が・う・の・よ!」
223 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:26:46.70 ID:ct9udb20
真紅「…えっ?」

雪華綺晶「あなたとお母様は、お父様にとって、立場は違っても両方大事な人なの!」

真紅「え? ど、どういうこと…?」

雪華綺晶「ほんとうに、わからないの?! あなた、わたしの何なの!?」

真紅「…え?」



「あなた、お母様の何なの?!」



真紅「えっ…?! そ、そんな、まさか?!」

ジュン「そうだ、真紅… 君は…」

真紅「ジュン…?」



「君は、ボクにとって…」



「大事な、大事な…」



「かけがえのない…!」



「…!」







ゴォゥ!
224 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:29:50.29 ID:ct9udb20
ジュン「う、うわあ?!」

雪華綺晶「きゃあぁ?! し、真紅!」

真紅「…」…グッ!


…ギュゴォ!


ジュン「(ふ、吹き飛ばされる?!)」

真紅「…あなたたち…」


ゴォォォ…!


ジュン「真紅…!?」

雪華綺晶「あ、あなた?!」

真紅「あなたたち…! ふっ…」


「ふざけないでぇっ!!!」グァッ!!


ゴァァァァァァ!!


ジュン「うぁあああっ?! し、真紅っ!」

真紅「私が… 私があなたの?! 正気なの!?」

ジュン「真紅…! ボクは、本気なんだ!!」

雪華綺晶「そうよ! 真紅、お父様は…!」

真紅「本気?! 私を…」



「私をバカにするのも、いいかげんにして!!」ビュゴゥ!
225 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:33:18.15 ID:ct9udb20
ゴァァァァァ…!


ジュン「真紅!」

真紅「出ていって! ふたりともいますぐ、私の中から出ていって!!」

雪華綺晶「もう、真紅!!」

真紅「私の事を、バカにして… バカにしてっ!!」ゴァァァァ…!


「嫌い、みんな嫌い! 大っ嫌い!!」


ゴァァァァァ…!


ジュン「真紅、違うんだ! ああ、真紅…!」


ゴォォォォ…


(ボクは… ボクは…)


ゴォォ…


(君の事を、ほんとうに、本気で…) 


…お父様…


(…雪華綺晶?)


お願い…


(え?)


真紅を… 真紅のことを、つかまえてあげて…



ゴォォォォ…
226 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:38:00.09 ID:ct9udb20
【地下洞 最深層】

ギュルルルルル…


ピュセル「ア… ウアア…」カクカク…


ギュルル… ズボ


翠星石「…ざまーみやがれです! 思い知ったですか!」

ピュセル「ウ… フフフ…」

翠星石「…?」

ピュセル「ヤッパリ… ヤッパリ、アナタ、楽シソウ…」

翠星石「…なんですと?」

ピュセル「アナタ、アナタハ… ワタシト 同ジ…」



「うおおおおおおっ!」


ザギュ!


翠星石「くっ!」…ガバ!

ピュセル「ウア?!」ガシャッ…

蒼星石「逃がさない!」シュタッ!


ゴロゴロゴロ…


翠星石「(あ、危なかったです…!)」
227 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:39:57.31 ID:ct9udb20
蒼星石「この、このおおおお!!」ビシュ ズバ!


バキ ブヅ!


ピュセル「グア…アァッ!」

蒼星石「おまえなんか、おまえなんかぁっ!」ヒュバババババ!



ザギザギザギザギ



ピュセル「ア… アアア…」

蒼星石「今度こそ、バラバラにしてやる! コナゴナにして、すりつぶして…!」ベゴベギベギッ! 



「二度と再生できないように、バラまいてやる!!」



ピュセル「ア…」

蒼星石「この、この、このおおおおお!」ゾブ グヂ ゴリ

翠星石「蒼星石…」

ピュセル「ア… ア…」





ガシュ バキ ザキッ
228 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:46:43.89 ID:ct9udb20
「この、このクズ人形め! ガラクタめっ! …わからずやめぇっ!!」ドヅ メギ ザギ


「ガ」 


「…なにが『究極の淑女』だっ!!」ザグザグザグ


「ウ」


「考えれば… 少し考えれば、わかる事だろう!?」ブヅブヅブヅ


「ア」


「姉妹で殺しあって、究極の淑女になんか、なれるわけないなんてこと!!」グシャ ゴリッ グヂグヂ


「ォ」


「少し…」


グギュ ゴリ グヂッ


「…ォ…」

「少し、考えれば…っ…!」



(姉妹で殺しあって、究極の少女になんか、なれっこないじゃないですか!)



「くそっ…!」
229 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:48:24.14 ID:ct9udb20
翠星石「蒼星石…」

蒼星石「…ふ、ふーっ、ふーっ…」

ピュセル「…ァ…  …ゥ…」



カク カクカク…



翠星石「(あなた…)」

蒼星石「…」ギロッ



「…翠星石…」



…ジャリッ



翠星石「…やる気ですか?」

蒼星石「…」ジャリ ジャリッ…

(き、貴様ら…?)

翠星石「…いいですよ、かかってきなさい!」

蒼星石「…」ザッ…



…チャキッ!
230 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:49:34.42 ID:ct9udb20
翠星石「前から、てめーのことは気に入らなかったんです!」ザワザワザワ…

蒼星石「…」

翠星石「さあ、来やがれですっ!」ズワァァァァァ…!

蒼星石「う…」



「うおおおおおおおおお!!」シュダッ!

「蒼星石ぃぃぃぃっ!!」ゾワァ!




ザギュッ!!




【地上 廃ビル屋上】



ヒュゥゥゥゥゥ…



「 ふ ぬ ぬ ぬ ぬ ・ ・ ・ ! 」ミシ ミシ…!

「 ・ ・ ・ ・ ! 」ゴゴ!



水銀燈「雛苺?! …無茶はやめなさい!!」

雛苺「 ム チ ャ じ ゃ …   な い も ん … !」…ググ



…グラッ!
231 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:54:34.76 ID:ct9udb20
水銀燈「(ビルが、かしいでる…!)」

雛苺「 ト モ エ と 、 い っ ぱ い 、 れ ん し ゅ う し た も ん … !」

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」ゴゴ!


…グラッ!


雛苺「 う 、 う ゆ  ! ? 」…ミシッ!

水銀燈「…その高さじゃ、あなたが上になって落ちたって無事じゃすまない!」


(まして、あなたが下になってしまったら…!)


雛苺「 だ い じ ょ う ぶ ・ ・ ・  だ っ て ! 」…グイッ!

巨人兵「 ・ ・ ・  ? ! 」…ゴゴ!

雛苺「 こ の 技 は 、 こ い つ よ り も、 飛 び お り る こ と よ り も ・ ・ ・ 」ググ!



「 も っ と も ー っ と 、 こ わ い 相 手 に つ か う 技 だ っ た ん だ も ん ! ! 」



キィィィィン…


巴「ふう、ふう、ふう…」

グリムゲルデ「巴サマ!」

巴「雛苺… やって…!」


ボォウ…
232 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 20:57:35.08 ID:ct9udb20
シュヴェルトライテ「…モウ、羽ハ アリマセン!」 

グリムゲルデ「ドウカ 無理ヲ ナサラナイデ!」

巴「やるのよ、雛苺…!」

水銀燈「(巴!)」

巴「水銀燈…?」

水銀燈「(あなた… 雛苺を、ほんとうにあそこから跳ばせる気?!)」

巴「…」


ヒュゥゥゥゥゥ…


巴「ちょっと、高いかな…」

水銀燈「(ちょっとどころじゃ、ない! …あいつだけ、突き落としてしまえばいいでしょう?!)」

巴「…それはダメ!!」

水銀燈「(と、巴?!)」

巴「受身を… 取られてしまうかも、しれないもの…!」

水銀燈「(え…)」

巴「もし、落下の衝撃に、耐えてしまったら… 再生されて、しまったら…」



「そうなったら、もう誰も… あいつを抑えられない…!」
233 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:00:10.64 ID:ct9udb20

巴「大丈夫、雛苺を信じて…!」…シュウウウウ…

グリムゲルデ「巴サマ!」

巴「だって、だって… あの技は…!」



【前日晩 巴の家】



雛苺「ひぐ… うっぐ、ひい… ひい…」

巴「…」…ソッ


…ナデ ナデ


雛苺「ひぃ、ん… 水銀燈が…」

巴「…」


「水銀燈が… 死んじゃう…!」


巴「…雛苺…」…ポン ポン

雛苺「ねえ、巴… もう、ダメなの?!」

巴「…」
234 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:03:09.07 ID:ct9udb20
雛苺「もう、治せないの…?! 水銀燈の、ジュンのウソつき…!!」

巴「…」

雛苺「ぜったい治すって、いってたのに…! ひぃ…ん、ひぃぃぃ…ん…」

巴「雛苺…」

雛苺「ひいぃ…ん…」


…ポン


巴「雛苺、泣いちゃダメ…」サス サス

雛苺「えぐ、えぐ… だって…」

巴「水銀燈が、言ってたでしょう?」 


「手加減しちゃ、ダメだって」


雛苺「…え?」

巴「最後のアリスゲームになるかもしれないんだから、せいいっぱい、ぶつかっていかなくちゃ…」

雛苺「…ぐずっ、そんなの、そんなのイヤ…」

235 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:10:04.08 ID:ct9udb20
巴「あなた、水銀燈と本気で戦ったこと、まだないんでしょう?」

雛苺「…うん。 ヒナじゃ、ぜったい、かなわないもん…」

巴「なら、なおのこと、ぶつかってみなくちゃ。 …最初で最後になるかもしれないんだから」

雛苺「…」

巴「それに、もし… あなたが勝って、アリスになれたとしたら」

雛苺「…ヒナが、アリスに?」

巴「もしかしたら、水銀燈を助けられるかもしれないでしょう?」

雛苺「ヒナが…?」

巴「うん。 だから、がんばらなくちゃダメ」

雛苺「…」

巴「あの時、ふたりで考えた技を試してみる、いい機会でしょ?」

雛苺「…あの、技を?」

巴「そう。 …この時のために、考えておいたんでしょう?」

雛苺「…」

巴「だから、今日はゆっくり寝ておかないと…」

雛苺「…」



「…ぐずっ、ぐず…」
236 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:18:09.44 ID:ct9udb20
【地上 廃ビル屋上】


ゴゴゴゴゴ…!


水銀燈「(…あ、あの技が?)」

巴「そう…! あの技は…」…グッ!

水銀燈「(と、巴??)」

巴「あの技は!」


「雛苺がアリスゲームを制するために、わたしとふたりで考えた技なの!」


水銀燈「(…えっ?)」

雛苺「 そ う な の ! ! 」グオ!


ゴアアア…!


水銀燈「…雛苺?」

雛苺「 こ の 技 は ・ ・ ・  ヒ ナ が 、 ア リ ス ゲ ー ム に 勝 つ た め の ・ ・ ・ 」



「 『 ひ み つ へ い き 』 だ っ た の ! ! 」


巴「そう… すなわち、あの技は…」

水銀燈「(…あ、あなたたち??)」

巴「ローゼンメイデン、最強のドール…」

水銀燈「(え???)」



「 水 銀 燈 を や っ つ け る た め の 技 だ っ た の ー ! ! 」



…グォア!!
237 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:23:04.92 ID:ct9udb20
巨人兵「 ! ! ! ! ! 」…ゴォ!!

グリムゲルデ「…担ギ上ゲタ!」

雛苺「 い っ く の ー ! 」

巴「いっきなさーいっ!!」…ググ!

グリムゲルデ「巴サマ! …エ?!」



シュアアアア…!



グリムゲルデ「体ガ…?! 巴サマノ体ガ…」

シュヴェルトライテ「消エカケテイタ体ガ 再生シテイク…?!」

雛苺「 ひ っ さ ぁ ー ー っ つ ! ! 」


ガバッ!


巴「断・崖・式っ!!」


ゴゥッ… ブォン!



「 ス ト ロ ベ リ ー ド ラ イ バ ー ! ! ! 」…ダァン!



…ズァッ!



グリムゲルデ「ト、跳ンダ…!」

水銀燈「…雛苺っ!!」



ヒュゥゥゥゥゥゥゥー…
238 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:26:27.80 ID:ct9udb20
水銀燈「わ、わたしをやっつけるため??? って…」



ヒュゥゥゥゥ――――…



巴「(完璧に、極まってる…!)」



ゥゥゥゥゥゥ…



巴「(お願い… そのまま落ちて!)」



ゥゥゥゥ…



(お願い…!)



ゥゥゥ…



(終わって… 終わらせて…!)




239 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:29:59.38 ID:ct9udb20
【有栖川大学病院 集中治療室】


…ピッ ピッ ピッ


めぐ「…」


ピッ ピッ ピッ…


めぐ「…指輪…」…スッ



…ジワッ



めぐ「まだ、熱い…」



ピッ ピッ ピッ…



めぐ「でも、熱いということは…」



「水銀燈はまだ、死んでいないってこと…」



…カタン
240 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/28(金) 21:33:53.00 ID:ct9udb20
めぐ「…?」


…カタ カタ…


めぐ「なんの、音…?」


ズ…


(…!?)


ゴゴ…!


(な、なに?)


ゴゴゴ… カチャカチャカチャ…


めぐ「…じ、地震? 地鳴り?」


ゴゴ…ォ…


めぐ「…」





めぐ「おさまった…?」


…ピッ ピッ ピッ



めぐ「いったい、なにが…?」



ピッ ピッ ピッ…
241 :[sage]:2009/08/28(金) 21:35:03.37 ID:ct9udb20
今日はここまでです。 続きは明後日。
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/28(金) 21:35:21.69 ID:FVSkMoco
乙〜
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/28(金) 21:37:24.80 ID:YYaMU5co
おつつ
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/28(金) 21:45:51.01 ID:r16jpYUo
乙樽場

対銀様の技があのデカブツを落とせるのか…、期待
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/29(土) 04:51:00.82 ID:zoyCzzMo
おっつ
246 :[saga]:2009/08/30(日) 18:51:11.58 ID:IIhg3rI0
>>242-245
乙どもっす〜
再開します。
247 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 18:54:24.25 ID:IIhg3rI0
【地上】



ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ …



のり「…ひ、雛苺… ちゃん…?」



ゴ ォ ォ ォ ォ ォ …



柴崎「…」アングリ



ゴ ォ ォ ォ ォ …



マツ「…」ポカーン



ゴ ォ ォ ォ …



金糸雀「…」

みつ「…カ、カナ?」

金糸雀「…」ポケー

みつ「カナ?」ツンツン

金糸雀「あっ… な、なにかしら???」
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/30(日) 18:54:58.02 ID:3N4jFYcP
待ってたさ
249 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 18:57:46.11 ID:IIhg3rI0
みつ「ヒナちゃんは… 無事なの?」

金糸雀「…今、アルト隊と水銀燈が確認してるところだけれど、土煙がひどくて…」

みつ「『土煙』って… あれ?」



ゴ… ォ…



柴崎「…キノコ雲なんて、始めて見るわい…」

金糸雀「自らの行いに恐怖したかしら…」



【グラウンド・ゼロ】



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…



「…」



モゾ モゾ…



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …



「…んしょ、んしょ…」…モゾ



モゾモゾ… ガラッ



「よっこいしょ…」ガラ ガラ…



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
250 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 18:59:30.90 ID:IIhg3rI0
「…くふぇ、ぺっ、ぺっ…(おくちのなか、ジャリでいっぱいなの…)」


…ガラッ


「…なんにも、みえない…」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …


「あいつは… どうなったの??」


「やっつけたの…?」


…カラッ


「…? これ、あいつのかけら?」ヒョイ


…ボゾ


「…くずれちゃった…」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …   …ミシ


「…やっつけたの、かな???」




…ミシ ミシ…
251 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:00:54.57 ID:IIhg3rI0
【地下洞 最深層】



「…うおおおおおお!」



ザグザグザグザグッ!



「このっ! このぉぉぉぉっ!!」

(…?)



グザグザグザ!



(何をやっておるんじゃ、あいつは…?)

「くそっ! くそぅっ! ちくしょう!!」

「…」



ザグッ…!
252 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:03:14.36 ID:IIhg3rI0
「はぁ、はぁ、はあ…」

「…蒼星石」

「なんだ!」

「あなた、そんなに…」

「…?」

「地面が憎たらしいんですか?」

「…ばかっ!」


…ヘタリ


蒼星石「なんで、僕が地面なんか嫌いになるんだ…!」

翠星石「…だって、地面ばっかり、ブスブス突き刺してるんですもん」

蒼星石「…うるさい…!」

翠星石「わたしの髪の毛一本、斬ろうとしないくせに…」

蒼星石「うるさい、うるさいっ…!」…ガバ



…ギュゥッ



翠星石「…蒼星石?」

蒼星石「…手なんか、出せるはず無いだろう?!」

翠星石「???」

蒼星石「まったく抵抗しようと、しなかったくせに…」
253 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:04:34.12 ID:IIhg3rI0
翠星石「…」…シュルル…

蒼星石「…翠星石?」

翠星石「まあ、髪の毛じゃ、庭師の鋏にはかないませんしね」サワ サワ…

蒼星石「…」

翠星石「…それに」シュルル…



「一発ぶん殴られるくらいなら、別にいいと思ったんですけど」



蒼星石「…ばか! わかってるくせに…!」ギュゥゥゥ…

翠星石「…」

蒼星石「僕にそんなこと、できるわけないって! 翠星石の、ばか…!」…ギュッ

翠星石「…んもう、甘えんぼさんなんですから」

蒼星石「…ばかぁ…」



…ゴ…




(…ん?)



…ズズ…
254 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:06:46.70 ID:IIhg3rI0
蒼星石「何の音…?」

翠星石「???」



ゴゴゴゴゴ…!



翠星石「…!! じ、地震ですか?!」

蒼星石「…雛苺か?!」



…ガラッ!



翠星石「!! いけない、岩が!」

蒼星石「岩盤が、くずれる!!」



ガラガラガラ…!


翠星石「ジュン!!」

ジュン「…う…」

蒼星石「翠星石!!」

翠星石「まかせるですっ!」ザワザワザワ…!


「…それーっ!」ズア!


シュルシュルシュル… ギュルッ!
255 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:08:25.36 ID:IIhg3rI0
ジュン「…ん…?」…ギリッ

翠星石「捕まえましたよ!」

蒼星石「頼む、翠星石!」チャキ!

翠星石「がってんですぅ!」

蒼星石「落石は、僕にまかせて!」シュタッ!

翠星石「まかせたですっ! …えぇーいっ!」グイッ!


ズザザザザザ…!


ジュン「…う…?」

翠星石「ジュンの一本釣りですっ!」グィーッ!

ジュン「う… あ?」ズザザザ…!


蒼星石「はっ!」シュダッ!



「はあああああっ!」ギャルルルル!



ガキ バキ ガコッ!



(落石を切り払っておる…?!)



ガラガラガラ…



ガラガラ…




256 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:09:57.44 ID:IIhg3rI0
蒼星石「…おさまった、みたいだね」

ジュン「う…」

翠星石「…ジュンも、大丈夫そうです」ス…


シュウウウウ…


蒼星石「『共鳴』も、ようやく切れたみたいだ…」

翠星石「ほんと、危ないところでした…」


「…ゥ…」


翠星石「!」

蒼星石「…」

ピュセル「…ゥ… …ァ…」

翠星石「まだ、生きてやがったですか!」

蒼星石「…生かして、おいたんだ」

翠星石「え?」



…ジャリッ



翠星石「…蒼星石?」

蒼星石「言ってやりたいことが、あったから」…ザッ 



ザッ ザッ…
257 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:11:58.63 ID:IIhg3rI0
ピュセル「…ァ… …ァ…」

蒼星石「…」…ザッ

ピュセル「ア… ア… アナ…タ…」

蒼星石「…なんだい?」

ピュセル「アナタ タチ…」



「仲ガ… イイノ? 悪イノ? ドッチ ナノ…?」



蒼星石「…」…チャキッ!

ピュセル「…トドメ…?」

蒼星石「…ピュセル」

ピュセル「…エ?」

蒼星石「僕らは、これと同じなんだ」

ピュセル「鋏…?」

蒼星石「僕らは、ふだんはお互いに刃を向け合っている」

ピュセル「…」

蒼星石「でも、敵に遭ったときには、お互い協力して切り刻むのさ」

ピュセル「…」ググ…



「…ソウ、ナノ…」
258 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:14:21.71 ID:IIhg3rI0
蒼星石「まだ、何か言いたいことはある?」

ピュセル「…」

蒼星石「…何も、無いなら」…ジャキ

ピュセル「…アナタ」

蒼星石「…なに?」

ピュセル「アナタ… サッキ…」グ ググ…



「…ワタシノコト 名前デ 呼ンデ クレタ…」



蒼星石「…」

ピュセル「…モウ イイワ」

蒼星石「…そうか」…グッ



ブンッ!



…グシャ
259 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:16:22.49 ID:IIhg3rI0
「…ァ」

「…認めるよ、君の言葉」



グシャ バキ ガス



「ゥ」

「…僕らは、君と同じだ」



ゴリ ブヅ グヂ



「ォ…」

「僕らは、戦うのが好きな… 弱いものをなぶり、いたぶるのが好きな、けだものだよ…」



ザギ グズ ゴキュ…



「…」

「でも、君と僕たちとでは、決定的に違うことがあるんだ」

「…」





「…さよなら、ピュセル」
260 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:18:11.70 ID:IIhg3rI0
ザッ…


翠星石「…終わりましたか?」

蒼星石「…うん」

翠星石「あいつは…?」

蒼星石「…」






翠星石「おーい、クサレじじいー!!」







蒼星石「逃げた、のか…?」

翠星石「まったくもー、娘を置いて! なーんてヤツですか…」

蒼星石「ジュン君は、真紅たちを目覚めさせただろうか…」

翠星石「…」


ジュン「…う… う…」



(真紅… 真紅っ…!)
261 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:20:33.11 ID:IIhg3rI0
蒼星石「翠星石…」…スッ

翠星石「…え?」

蒼星石「君の、手足…」

翠星石「…」

蒼星石「…はやく、取り戻さないと」

翠星石「だーいじょうぶです! もしダメなら、ジュンに養ってもらいますっ!」

蒼星石「…でも」

翠星石「元はと言えば、このバカちんのせいなんですから!」

ジュン「…」

翠星石「いやだって言ったら…」ニヤァ―


「ガスの元栓ひねって『死んでやるー!』って大騒ぎしてやるですぅ♪」


蒼星石「…もう!」ガバ!

翠星石「わっぷ? …蒼星石??」

蒼星石「なんで、君って…」

翠星石「…?」

蒼星石「いつもは、自分勝手でワガママなくせに! なんで…」



「なんで、こういう本当に辛いときには、我慢してしまえるんだい?!」
262 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:25:34.87 ID:IIhg3rI0
翠星石「…」

蒼星石「僕を… 僕を心配させないように、つとめて明るく振舞って…!」

翠星石「…そんなんじゃ、ないですよ。 蒼星石こそ…」

蒼星石「僕?」

翠星石「いっつもいっつも、我慢しっぱなしじゃないですか…」

蒼星石「違う… 違うんだ、僕は…」

翠星石「わかってますよ。 あなたは…」…サワッ


「人にガマンをさせることが、ガマンできないんでしょう?」


蒼星石「…」

翠星石「『自分さえガマンすれば』って思っちゃうんでしょう。 …もう」シュルシュル…

蒼星石「…僕は」

翠星石「たまには、ちょっとだけでも甘えなさい!」

蒼星石「…(ピュセル… 君と僕は、違うんだ)」


(僕には、翠星石がいるんだもの…)


翠星石「…蒼星石?」

蒼星石「(自分自身を憎むように、愛するように、接することができる…)」



(そのくせ、いざというときには、甘えさせてくれる… 大事な人が…)
263 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:30:36.12 ID:IIhg3rI0
「う…」



翠星石「…おっ? お目覚めですね…」

蒼星石「ジュン君…!」

ジュン「う、うーん…」


…ムク


ジュン「ん… 蒼星石…」

翠星石「やれやれ、やーっと起きましたか!」

ジュン「翠星石…?  …!」

翠星石「…真紅はどうでしたか? 雪華綺晶は?!」

ジュン「…」

翠星石「んもー! ぼけーっとしてないで、早く言うですっ!」

ジュン「…翠星石!」

翠星石「ふぇっ?」



ガッ!



蒼星石「ジュ、ジュン君?!」

ジュン「…」…ギリッ

翠星石「お、おめーまで…???」



「地面が、憎たらしくなっちまったですか…?」
264 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:33:25.15 ID:IIhg3rI0
蒼星石「ジュン君、いったい…!」

ジュン「…」ギリ ギリ…

翠星石「ど、どうしちまったですか?」

ジュン「どうしたじゃ、ないだろう…!」

翠星石「え?」

ジュン「…君の、手足…!」

翠星石「え…? あ、ああ、これですか…?」

ジュン「ボクの、せい… なんだな?」ギリギリ…

翠星石「え、え?? こ、これは別に…」

ジュン「…くそっ!!」ブンッ!


ガシッ ガスッ!


蒼星石「ジュン君!!」

ジュン「ボクの、ボクのせいで…!」ガッ ガッ…

翠星石「やっ、やめるですぅっ!! ジュンの手が、ぶっ壊れちまうです!!」

ジュン「くそ、くそぅっ!」

翠星石「蒼星石、やめさせるですっ!!」

蒼星石「…ジュン君、やめるんだ!」



…グッ!
265 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:40:05.54 ID:IIhg3rI0
ジュン「蒼星石…」

蒼星石「…大丈夫。きみのせいじゃ、ないんだ…」

ジュン「…ボクは…」

翠星石「そうです! こいつは、わたしがちょーっとドジっちまっただけなんです!」

蒼星石「…え?」

翠星石「だから、ジュンが気にするようなことなんて、なーんにもないんですよ?」

蒼星石「…君は…」

翠星石「さあ、わかったらとっとと真紅たちのことを…」

蒼星石「まったく、もうっ!」ガバ!


…ギュ


翠星石「わぷ? …そ、蒼星石?」

蒼星石「もう、君ったら…!」


「さっきと、言ってることがぜんぜん違うじゃないか!」


ジュン「…?」

蒼星石「養ってもらうとか、言ってたくせに!」

翠星石「え… えっと、それはその… 諸般の事情ってやつで…」

ジュン「養う?」

翠星石「…し、知らなくていいですっ!!」

ジュン「…」


…グッ


翠星石「ジュ、ジュン?」

ジュン「…行かなくちゃ…」ヨロ…
266 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:44:10.20 ID:IIhg3rI0
翠星石「…ジュン?」

蒼星石「ジュン君?」

ジュン「真紅を… 真紅を、助けに…」

翠星石「! 真紅は… 真紅は、いま、どこに?」

ジュン「…まだ、あの中にいる」

蒼星石「何だって…!」



ゴボ… ゴボ…



蒼星石「真紅は、まだ『目覚めて』いないのかい?!」

ジュン「…ああ」

翠星石「ジュ、ジュン! なぜ…!」

ジュン「蒼星石、翠星石を頼む」

蒼星石「…え?」

ジュン「ボクが、行かなくちゃ…」

蒼星石「ジュン君、どこに…?! まさか!?」

ジュン「…」ザッ ザッ



(お父様…)



ジュン「雪華綺晶…」



(真紅のこと、つかまえてあげて…)
267 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:47:59.82 ID:IIhg3rI0
蒼星石「ジュン君、無茶だ!」

ジュン「…それじゃ、行って来るよ」

翠星石「ジュン!!」

ジュン「真紅を、雪華綺晶を助けに… そして、君らの手足を、取り戻しに」

翠星石「でも… で、でも、やっぱり危ないです!!」

蒼星石「そうだよ、ジュン君! 君まで、やつに取りこまれてしまう!!」

ジュン「大丈夫…」スッ


ポウ…


ジュン「…これがあるから」

蒼星石「水銀燈の羽…! で、でも!」

ジュン「真紅のところまでもちこたえられれば、どうにかなると思う…」

翠星石「…バカ言ってるんじゃねーですっ!!」 


「真紅がいま、どこにいるのかさえ、わからないのに…!」


ジュン「…」

翠星石「探してるうちに、時間切れになっちまうに決まってるです…!」

ジュン「それは…」



…パァ…
268 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/30(日) 19:52:09.17 ID:IIhg3rI0
ジュン「…?」

蒼星石「…な、なに…?」


パァァァァ…


翠星石「あ、あれは…?!」

蒼星石「水面が、赤く光ってる…?」

ジュン「…そうか、真紅…」…ザッ


「そこに、いるんだね?」…プツッ!


蒼星石「ジュン君!」

ジュン「大丈夫。 …必ず戻る」グッ…!

翠星石「ジュ、ジュン…!」

ジュン「真紅を連れて、かならず…!」ダッ!

翠星石「ジュン!!!」



…ザバン!



翠星石「ジュン! ジューーーーーン!!!」

蒼星石「あ、ああ… ジュン君…!」


ゴボゴボゴボゴボ…


(真紅…)


ゴボゴボゴボ…



(持ちこたえてくれ、真紅!)
269 :[sage]:2009/08/30(日) 19:53:15.74 ID:IIhg3rI0
今日はここまでです。続きは明日。
270 :[sage]:2009/08/30(日) 19:54:31.66 ID:IIhg3rI0
>>248
支援どうもっす〜
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/30(日) 19:56:17.54 ID:34B/.D2o
乙〜
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/30(日) 20:02:01.59 ID:MRr/M4Ao
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/30(日) 20:06:15.21 ID:4njO11go
おっつ!
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/30(日) 20:19:23.82 ID:ULx7Sv.o
乙樽場

翠星石、良い子過ぎるだろ…
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/30(日) 20:20:12.64 ID:iE46hnYo
おつつ
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/30(日) 20:28:52.94 ID:gqxJuBoo
おつ!
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/31(月) 08:08:18.52 ID:6Px379.o
おっつ
278 :[saga]:2009/08/31(月) 19:46:52.24 ID:eknAoZ20
>>271-277
乙どうもっす。再開します〜
279 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 19:48:17.61 ID:eknAoZ20
【地下水脈】



ゴ ボ ボ ボ …



(…)



ゴボ… ゴォ… ゴ…



(…あと一息じゃ…)



ズズズズ…



(この水脈に乗れれば、もう追っては来られまい…)

  

ズズ…



(…思ったより、ピュセルが時間を稼いでくれたおかげじゃな)



(無事逃げ延びたなら、また拾ってやろうかの… ん?)



…ポゥ
280 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 19:49:21.23 ID:eknAoZ20
(これは…)



…パァァァ…



(光っておる…? 仲間を呼ぶ気か…)



パァァァ…



(やらせはせんぞ…)



ズブブ…



(その程度の光、覆い尽くしてくれる)



ズブブ…



(…むっ?)







(何者かが、わしの中に侵入したか…?) 







(戦乙女では、ないな…)
281 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 19:50:53.81 ID:eknAoZ20




(…なに? これは… 人間じゃと?) 


(…あの、契約者か?)



…ゴボッ



(ちょこざいな…)



ズブズブズブ…



(それほどまで、この人形が恋しいなら、永遠に添い遂げるがいい…)



ゴボ ゴボ…



(…わしの腹の中でな!)





ズブブブブ…
282 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 19:52:39.91 ID:eknAoZ20
【地上】



ゴ…



金糸雀「…うん、うん…」

みつ「…カナ…」

金糸雀「…えっ?!」



「ほ、ほんと?! 間違いは、ないかしら?!」



マツ「カナちゃん?」

金糸雀「雛苺、でかしたかしら!」

のり「えっ?!」

柴崎「…おっ!?  やったのか!」

金糸雀「…了解かしら! いますぐ、取りに向かわせるかしら!」



シュピッ!
283 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 19:56:30.46 ID:eknAoZ20
みつ「カナ、どうなの?!」

金糸雀「うっふっふっふ〜♪」ニマニマ

みつ「…やったのね?!」

金糸雀「うふふふふ〜… みんな、喜んで!」 


「雛苺が、みごと巨人兵を撃破したかしら!!」


のり「ほんと?!」

金糸雀「こっぱみじんに消し飛んだあいつの破片が、再生せずにボロボロに崩れていってるみたいかしら!」

柴崎「そうか、そうか…!」

金糸雀「巴も、雛苺も無事かしら! …わたしたちの、勝利かしら!!」

のり「よかった、よかったぁ…」ポロポロ…

金糸雀「よかった、かしら…」

みつ「…カナ?」

金糸雀「…」ショボーン

みつ「ねぇ、カナ?」ツンツン

金糸雀「あ… とっ、当然の結果かしら〜!!(残念かしら…)」



(『ブリューナク』 撃ち損ねちゃったかしら…)ガッカリ



みつ「…???」

のり「金糸雀ちゃん?」

金糸雀「なっ、な〜んでもな〜いかしら〜!」アセアセ
284 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 19:59:48.65 ID:eknAoZ20
柴崎「…でもよかった、ほんとうに、よかった」

マツ「ええ。 ふたりとも無事で…」

金糸雀「…あとは、地下へ突入したジュンたちが無事に帰ってくれば、わたしたちの完全勝利かしら!」


シュピ!


金糸雀「アルト隊、ブリュンヒルデ! 掘削機を取りに引き返すかしら!」

(ブリュンヒルデ「Jawohl!」)

金糸雀「私たちも、地下へ突入するかしら! ジュンたちを、助けに…」

(…緊急入電デス!)



「…え?」



のり「…金糸雀ちゃん?」

金糸雀「え… えっ?」

みつ「カナ…?」

金糸雀「…」





「…えええええ!?」

285 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:04:20.85 ID:eknAoZ20
【廃ビル 上空】



ミシ…



巴「そんな、そんな… そうなの?!」

グリムゲルデ「…間違イ アリマセン!」



ミシ… ミシ…



シュヴェルトライテ「落下ノ 衝撃デ ビルノ基礎部分ガ ダメージヲ 受ケテイマス!」



ギ… ギ…



グリムゲルデ「…コノママダト 落下地点ノ方向ニ 倒壊シマス!」 

シュヴェルトライテ「市街地ニ 向カッテ 倒レテ シマイマス!」

巴「そんな…! 雛苺は?!」

(水銀燈「…あそこにいる!!」)

巴「え?!」

(水銀燈「…わかるのよ!」) 


ゴ ォ ォ ォ ォ …


(「落下地点の、中央部!」)



ゴ ォ ォ ォ ォ …
286 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:07:48.32 ID:eknAoZ20
【グラウンド・ゼロ】


ゴ ゴ ゴ ゴ …


雛苺「…お空が、ぜんぜん見えないの…」


ゴ ゴ ゴ ゴ …


雛苺「みんな、心配してるかな…?」


…ミシ


雛苺「…?」


…ギギ ギ ギ…


雛苺「な、なんの音…?」


ギギィ ギ ギ ギ ギギ…


雛苺「い、いったい… なに…?」


…ギギィッ!


【廃ビル 上空】


…ギ ギ ギ ギ ギ…


グリムゲルデ「…ビルガ 傾キ ハジメマシタ!!」

シュヴェルトライテ「コノママデハ 『野苺』ノオ姉サマガ 下敷キニ ナリマス!」
287 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:12:42.93 ID:eknAoZ20
巴「雛苺!!」

(金糸雀「ブリュンヒルデ!!」) 

(水銀燈「…金糸雀?!」)

(金糸雀『ブリューナク』発射準備かしら!!」)



ブリュンヒルデ「Jawohl!!」ジャキッ!



(金糸雀「射撃位置はビルの真上! ビルの中心部分を貫通させて、真下の地盤を崩して!」)

ブリュンヒルデ「ワカリマシタ!」ギュン!

(金糸雀「ビルを、その場で崩壊させて!」)

ブリュンヒルデ「オマカセヲ…!」…ギャン!


フォォォォォ…!


(金糸雀「雛苺の救出は…!」)


グォウ!!


シュヴェルトライテ「!?」


(「アルト隊、下がりなさい!」)ギュォォォォ…!


グリムゲルデ「『白銀の翼』…!」

巴「水銀燈!!」



ギュオン!!
288 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:16:17.48 ID:eknAoZ20
(金糸雀「…水銀燈、あなた!」)

(水銀燈「悪いわね、金糸雀! でも、この役目は…」)


―おかあさま…


(水銀燈「…この役目だけは…」)


―おかあさま、どこにもいかないで… ヒナを、はなさないでいて…


(「誰にも、誰にも譲るわけには、いかないっ!!」)


巴「水銀燈…!」

(金糸雀「んもー! 水銀燈ったら!」)

(水銀燈「…悪かったってば!」)

(金糸雀「そんなこと、言われなくたって、わかってるかしら!!」)

(水銀燈「…え?」)

(金糸雀「最初っから、あなた以外にやらせる気なんてないかしらー!!」)

(水銀燈「…」)

(金糸雀「お願いかしら!」)

(水銀燈「…礼を言うわ!」)ギャルン!



ゴ ォ ォ ォ …
289 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:18:56.79 ID:eknAoZ20
【グラウンド・ゼロ】


ミシ… ギ ギギ…


「な、なんの音なの…?」


ギギ… ギ… ギギィ…


「な… なに? なんなの…? こわい…!」


ビギ… ビギギ…!


「い、いや… いや…っ…」…モゾ モゾ


…コテン


「あ、あんよが… うごかない…!」



ギ ギ ギ ギ ィ …!



「た、たすけて… おとうさま…」



…ギギッ!



「…おかあさまぁ!」




ヒィィィィ…!
290 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:21:04.88 ID:eknAoZ20
「え?」


ヒィィィィ… ン…!


「な、なに…? お空から…」

(雛苺!)

「え?!」

(頭を下げなさいっ!!)

「え…?!(空から…え、あれ…?!)」


キュバァッ!!


雛苺「きゃああああ?!」

水銀燈「…もう、世話を焼かせて!」


ガシッ!


雛苺「きゃ?!」

水銀燈「全速で離脱する! しっかりつかまりなさい!」

雛苺「あ… あー…っ?!」

水銀燈「口を閉じなさい! 舌をかむわよ!!」ギュッ!

雛苺「は、はいっ!」



ギュォ… ビヒュン!!
291 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:28:20.90 ID:eknAoZ20
水銀燈「金糸雀! 雛苺は救出したわ!」ギュォォォォォ…!

(金糸雀「了解かしら! …ブリュンヒルデ、やって!!」)

(ブリュンヒルデ「Jawohl!」) 


…ジャキン!


(ブリュンヒルデ「『ブリューナク』発射シマス!」) 


ガッ!


「 F E U E R !!」ガチッ!


…カゥッ!


雛苺「きゃああ?!(ま、まぶしいっ!)」

水銀燈「雛苺、衝撃が来る! 身構えて!」ギュッ!

雛苺「…はい!(…あ…)」…トクン




(ああ、あ… あったかい…)



…ズゥン!



水銀燈「…くっ!」…ゴゥッ!

雛苺「…きゃ!?」



ゴォォォォ…!
292 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 20:31:10.99 ID:eknAoZ20
ブリュンヒルデ「命中シマシタ!」

金糸雀(「あなたたちも、離脱して!」)



ゴゴゴゴゴ…! 



水銀燈「…崩れる!」ギュォォ…!

雛苺「…!」ギュゥッ



ゴゴゴゴ… ズズズズ…!



巴「ビルが、崩れていく…!!」

グリムゲルデ「…破片ガ 飛ンデキマス!」 

シュヴェルトライテ「ワタシタチモ 退避シマス!」ガシッ!

巴「雛苺、水銀燈…!」


ギュオ!


巴「…あ、あれは?!」

シュヴェルトライテ「全速デ 離脱シマス!」ヒュゥゥゥゥ…

巴「いまのは、まさか…」



ビヒュン!



「あの、銀色の光は…」



ガラガラガラガラ…
293 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[sage]:2009/08/31(月) 20:35:21.41 ID:eknAoZ20
飯喰います。再開は1時間後です。
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/31(月) 20:38:04.37 ID:rhmPxvco
OK
295 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:25:05.97 ID:eknAoZ20
お待たせしました。再開します〜
296 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:28:25.41 ID:eknAoZ20
【地下水脈】



ゴボゴボゴボ…


ジュン「(…く、重い…! この感じ…)」


ズブズブズブ…


ジュン「(夢の世界と、同じ感覚だ…!)」


ゾワゾワゾワ…!


ジュン「(ボクを、侵食してくる…!)」ズブブブブ… 


(く… 気が、遠くなる…)


パァァァァ…


ジュン「(?! 水銀燈の羽が…!)」


パンッ!


ジュン「(あっ痛!?)」


ポゥ…


「(…もう、持ち主みたいな羽だよ…)」


ズブ…


「(…まだ、どうにか、もつかな…)」



ズブズブズブ…
297 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:31:34.05 ID:eknAoZ20
「(はあ、はあ、はあ… ぜんぜん、視界が通らない…)」



ズブ ズブ ズブ…



「(前に進んでいるのかどうかさえ、わからない… でも!)」



パァァァ…



「(この光をたどっていきさえすれば、かならず真紅のところにたどりつく!)」



「(だって… だって君は!)」



ズブブブブブ…



ゴボゴボゴボ…



(…どういうことじゃ?)



ゴボ…



(なぜ、まだ取りこめないのだ? …まっすぐ近づいて来おるのだ?)
298 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:36:02.90 ID:eknAoZ20
パァァァ…



(生身の人間が、なぜ?) 



(…『聖母』の加護を、受けているとでもいうのか… それに…)



パァァァァ…



(くそ、いまいましい光め!) 



パァァァァァァ…!



(なぜ、さえぎることが出来んのだ!? こんな光ごとき…!)



ズブズブズブ…



(ならば… ならば、貴様から先に、喰らいつくしてくれる!!)



ジュブブブブ…
299 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:37:18.34 ID:eknAoZ20
【真紅の意識世界】



ズブブブブ…



―…



ズブブブ…



―ああ、私が…



ズブブ…



―食べられていく… 飲みこまれていく…



ズブ…



―私が、私で、なくなっていく…



ズ…



―けれど…






―もう、なにもかも、どうでもいい…
300 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:39:44.29 ID:eknAoZ20
ズ… ズズ…



―なぜ、私は… ここに、いるの?



―私は… 私は…



―私は… 誰…?




「君は、ボクの…!」



―え?



「真紅、君は…! 君はボクの、大切な…」



―何よ… あなたなんかが、わたしの? ふざけないで…



―あなたなんかが…



―わたしの…



―…





―わたし、なんかの…
301 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:42:37.89 ID:eknAoZ20
【地下水脈】


ゴボボボボ…


「(く、苦しい…!)」


ズブ… ズブ…


「(息が、もたないっ…!)」


ゴボ… ゴボ…


「(も、もう、ダメかも…)」



―あなたなんかが?



「(!!!)」



―あなたなんかが、私の? ふざけないで!



「(これは、まさか!)」



(そう…)



「(!! 君は!!)」



雪華綺晶(真紅の心…)



(真紅が、たった今、思っていること…)
302 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:46:36.70 ID:eknAoZ20
―あなたが… わたしの…? わたし、なんかの…


ジュン「(真紅…!)」

雪華綺晶(お願い、お父様… あと、すこしだから…)

ジュン「(そうか… そうか!!)」

雪華綺晶(わたしたちを… つかまえて…)

ジュン「(わかった! がんばれ、がんばれっ!)」ガバッ!



ゴボゴボゴボゴボ…



ジュン「(真紅…!)」

―わたしなんか… わたしなんか…

ジュン「(ボクの声は、とどいてないのか…?!)」


(雪華綺晶も、もう限界なのか…?!)


―わたしなんかが… みにくくて、あさましい、わたしなんかが…

ジュン「(違う、違うんだ! 真紅…)」

―わたしなんかに、そんな資格… ない…


(真紅!!!)



(…)



(真紅、君は…)
303 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:49:47.05 ID:eknAoZ20
(真紅、君は… 自分で言ってたよな)



(『自分ひとりだけのお城に閉じこもって、お姫様のように振舞っていた』って…)



(…それなら、ボクと同じだ)



(ボクも、自分ひとりで部屋に閉じこもって… のりを家来みたいに扱ってた…)



(君とボクは、似ているんだ… だから、契約者として選ばれたんだろうけど…)





(それから…) 



(君は、水銀燈とも、ほんとうにほんとうに、そっくりなんだ…)



(ふだん見せる気位の高さや、なにげないしぐさも…) 



(それに、ときおり、ふっと見せる弱さや優しさも…)



(ほんとうに、きみらは、そっくりなんだよ…)
304 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:53:56.61 ID:eknAoZ20
(そして…)



(君は、水銀燈のおなかの中で、眠りについて…)



(水銀燈とボクの、命と心を分け与えられて、よみがえったんだよ…?)



(真紅… 君は…)



(ボクにそっくりで、水銀燈にもそっくりで…)



(そしてボクらの命と心を、分け与えられて生まれたんだ…)



(君は… だから、君は…)



(ボクと水銀燈の… かけがえのない…)



(大事な、大事な…)



(『娘』なんだ!!!)




ゴボ ゴボ ゴボ …
305 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:56:21.52 ID:eknAoZ20
【真紅の意識世界】



ズ… ズ…



―わたしが、ジュンの、娘…?



ズ… ズズ…



―たかが人間の、子供のくせに…



ズズ… ズズ…



―ふざけるのも、いいかげんにしなさい…!



―わたしが…



―わたし、なんかが…



―あなたに、そこまで想ってもらう資格なんて、ない…



ズ…



―もう、疲れてしまった…



―迷い続けて… ぶつかりつづけて…
306 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 21:58:12.32 ID:eknAoZ20
―わたしには、最初から、愛される資格なんてなかったのよ…



―ジュンからも…



―お父様からも…



―…



…ポゥ



―…?



パァ…



―…あれは、ひかり…?



パァァァァ…



―大きく、なって… あっ?!



シュパァァァァ…!



―あ、ああっ…?!
307 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 22:01:04.56 ID:eknAoZ20
【?????】



コポ コポ コポ…



こ、ここは…



ドク ドク ドク…



まさか、ここは…?



「…おはよう」 



!! あ、あなたは…?!



「…はじめまして」



ああ、あ、あなたは…?



「大丈夫。 こわがらなくていい…」



あ… あなたは… だれ…?



「わたしの名は、ローゼン。 …君の、父親だ」
308 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 22:03:05.07 ID:eknAoZ20
ちち…おや?


「そう。 そして、君は、わたしの娘」


むすめ…?


「…君は、わたしと命と心をわけあった、わたしの大事な大事な娘だ」


いのちと… こころ…


「だからわたしは、君に名前を贈ろう。 君がわたしたちの、希望の光であるように…」


きぼうの、ひかり?


「…これを見なさい」…カチャリ


それは?


「…」カチリ


パァ…


ひかり、が…?



「わたしの発明品だよ。 まだ試作段階だけれど…」
309 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 22:06:10.59 ID:eknAoZ20
おとうさまの… はつめいひん?


「そう。 …この装置は、両端が合わせ鏡になっていて、その中に『媒質』が収められている」


「光は、自然の状態ではバラバラの波長なのだけれど…」


「この装置の中を通された光は、両端の鏡に反射し、媒質の中を通りつづけることで…」


「増幅され、位相がそろい… この、まっすぐなひとすじの光となるんだ」


…まっすぐな… ひとすじの、ひかり…


「この状態の光は、理論上、どのようなところでも、どこまでも、まっすぐ通っていく」


どこでも、どこまでも、まっすぐ…


「そう… 霧の中でも闇の中でも、大宇宙の深淵にまでも届くだろう」


やみの、なかでも…


「…わたしは、君にもそうあってほしいんだ」


…わたし、にも?


「鏡の中を何度も何度もさまよい、繰り返し行き来し… 迷いつづけ、ぶつかりつづけ…」





「それを繰り返すことで、強くなっていって… いつしか、霧の中でも闇の中でも、どこまでも貫いていく一筋の光になる」







「…深く暗い、人の心の奥底の闇にもとどく、希望の光に君はなるんだ」
310 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 22:09:10.70 ID:eknAoZ20
きぼうの、ひかりに…



「…どうか、君がそうあってくれることを願って、この『媒質』の名を君に贈ろう」







「今日から君は【Reiner Rubin】…」




「君の名は、【真紅】だ」








わたしは… ひかり…



まよいつづけ… ぶつかりつづけ…



いつしか まっすぐに 闇のなかを つらぬいていく ひかり…?



わたしは…




―…真紅?
311 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/08/31(月) 22:14:17.05 ID:eknAoZ20
…?



―真紅…! 



あなた、は…?



―真紅… そこにいるのか、真紅!



来て… くれた… の…?



―真紅… しっかりするんだ、真紅っ!!



わたし… なんかの… ために…? 



―決まってる! 君は、ボクたちの大事な…







「真紅――――――っ!!」



「…ジュン!!」



…ガシッ!!
312 :[sage]:2009/08/31(月) 22:15:17.63 ID:eknAoZ20
今日はここまでです。続きはしあさって。
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/31(月) 22:16:32.70 ID:rhmPxvco
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/31(月) 22:28:10.35 ID:lBgL/j2o
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/31(月) 22:31:39.49 ID:Vj7SDZgo
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/08/31(月) 22:42:14.34 ID:ujsQfvAo
乙樽場

まさかローゼンの開発していたものって…
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/01(火) 00:03:13.54 ID:dGuiEXAo
おつ!
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/01(火) 05:39:44.02 ID:30hexVUo
おっつ
319 :1[saga]:2009/09/03(木) 12:11:04.80 ID:hMcp3vA0
>>313-318
乙どもっす〜

>>316
たぶん予想通りです…
水銀燈といい、メチャクチャな設定にしちまってますが;;


再開します〜
320 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 12:16:59.12 ID:hMcp3vA0
(…やれやれ…)


ゴ ォ ォ ォ ォ ォ…


(…ようやく、流れにのり始めたわい。 …水流よ、わしの『肉体』を押し流していけ…)


ゴ ォ ォ ォ ォ …


(…これでもう、何者もわしに追いつけん… む?)



パァァァ…



(あの契約者め、ついにたどり着きおったか…?)



パァァ…



(じゃが、もう遅い…)



ゴ ォ ォ ォ ォ ォ …



(わしの『肉体』は、もうほとんど水流に流されておる)


パァ…


(…そんな残骸が欲しければ、くれてやろう)
321 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 12:18:57.47 ID:hMcp3vA0
(…さらばだ…)


ゴ…


(むっ?)


ゴ… ゴ…


(…?)





(…)



(なんじゃ、いまのは…)



ゴ バ ァ !!



(う、うおおお?!)



ゴォォォォ…



「わ、ぶぐぐぐ…!」

「もう、バカね。ジュンったら… 私たちじゃ、あるまいし」


ゴォォォォ…


ジュン「む、ぐぅ…」

真紅「…水中で叫べば、そうなるに決まってるじゃない」
322 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 12:24:46.67 ID:hMcp3vA0
雪華綺晶(…大丈夫? お父様…)

ジュン「う…」

真紅「ほんとうに、バカなんだから」

ジュン「…」

真紅「バカでその上、身のほど知らず」

ジュン「…む」

真紅「私たち薔薇乙女は、至高の芸術品にして、お父様の英知の結晶」

ジュン「…」

真紅「凡百の人間では、容易に触れることさえも許されない、神秘の存在なのよ。それを…」



「…それを、あなたごときが、奥さんだとか娘だとか…」



雪華綺晶(…もう、真紅ったら)

ジュン「(…真紅、ボクは…)」

真紅「…」


「わかってるわ」


ジュン「…?」

真紅「あなたの言ってることを、認める気はないけれど」

ジュン「…」

真紅「あなたの想いだけは…」



「あなたの水銀燈への想い、わたしへの想いがウソでないことだけは、認めてあげる」
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/03(木) 12:31:00.45 ID:24kT2wco
お、再開来たー
324 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 12:32:20.96 ID:hMcp3vA0
ジュン「(…真紅)」

真紅「一度、浮上するわ。 あなたが息継ぎをしたら、やつを追う!」

ジュン「…!」コクリ

真紅「…雪華綺晶。 あなたの力も、使わせてもらう」

雪華綺晶(いいわ、好きに使って!)


ゴォォォォォ…


真紅「…決着をつける!」

ジュン「…!」コクリ



【地下洞 最深層】


パァァ…


蒼星石「…」

翠星石「ジュン…」


パァ…


蒼星石「時間が、かかり過ぎてる…」

翠星石「もう、5分近くたってるです…」






蒼星石「いくら、水銀燈の羽があっても、これ以上は…!」

翠星石「…光も、弱まってきてるです…!」



……
325 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 12:35:36.69 ID:hMcp3vA0
蒼星石「真紅、ジュン君… 雪華綺晶!」

翠星石「…神さま…!」


パァァ…!


蒼星石「…!」

翠星石「おや? 光が…」


パァァァァァ…!


蒼星石「ま、まぶしい…!」

翠星石「…真紅、ジュン…?!」


ゴボ…


蒼星石「…?」

翠星石「…はて?」


ゴボ ゴボ…


蒼星石「水面が…?」

翠星石「…???」


ゴボボボボボボ…


蒼星石「何が…」

翠星石「みるみる泡だって… ふくらんで…???」



ゴ バ !!!
326 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 12:44:17.95 ID:hMcp3vA0
蒼星石「う、うわっ?!」

翠星石「わっぷ?!」


ザァァァァァ…


翠星石「う… うぇー、ぺっ、ぺっぺっ…」 

蒼星石「な、何が…? !!」


パァァ…


翠星石「口に入っちゃったですぅ… あ…!!」

蒼星石「き、きみたちは…!」



「…翠星石、蒼星石」



翠星石「し… 真紅!!」

真紅「…待たせたわね」

蒼星石「ジュン君…! 雪華綺晶は?!」

ジュン「は、はあ、ぶ、無事だよ… はぁー、はぁ…(や、やっと…息が出来る…)」

真紅「…私の中に、いる。 大丈夫よ」


(翠星石、蒼星石… 来てくれて、助けてくれて、ありがとう…)


蒼星石「…雪華綺晶…」

翠星石「…」


…ブルッ
327 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 12:50:43.48 ID:hMcp3vA0
ジュン「…翠星石?」

翠星石「…」プルプルプル…

真紅「…あなた?」

翠星石「もうっ!!!」ガバ!!

ジュン「翠星石?!」

翠星石「もうっ、もうっ!!」…ジワッ



「まぁったっく、もーぅっ!!!」



ジュン「翠星石…」

翠星石「もう、もうっ! 心配かけて!! 雪華綺晶も真紅も、ジュンも!!」…ポロポロポロ

真紅「…ごめんなさい」

翠星石「…もう、また、真紅ったら…」ポロポロ…


(…こんな時に限って、素直なんですから!)


雪華綺晶(…翠星石)

翠星石「…なんですか!」

雪華綺晶(…わたしのことも、心配してくれてたの?)

翠星石「…はあ?! あったりまえですっ!!」

蒼星石「…怒るよ、もう」

雪華綺晶(…)



(ごめん、なさい…)
328 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 13:01:42.88 ID:hMcp3vA0
翠星石「もう! 元はと言えば、おまえがムチャしやがったせいですからね?!」

雪華綺晶(はい…)

翠星石「うちに帰ったら、おしりペンペンしてやるからそう思えですっ!!」

雪華綺晶(…え?)

蒼星石「ああ。 みんなで帰ったら、お仕置きが必要だね」

雪華水晶(え… え?)

ジュン「…雪華綺晶?」

雪華綺晶(…)


(『帰る』って?)


蒼星石「…え?」

雪華綺晶(『みんなで帰ったら』って… あ、な、なんでもない…)

真紅「…」


「…あなた、何を言ってるの?」


雪華綺晶(何って… だ、だから、なんでもない…)

ジュン「…そうだよ、雪華綺晶」

雪華綺晶(…お父様…?)

ジュン「君は、何を言ってるんだ?」…ギュ

雪華綺晶(あ…)

ジュン「帰るって、言ったら…」



「『ボクたちのところに』『みんなで』帰るに、決まってるだろう?」
329 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 13:10:31.61 ID:hMcp3vA0
雪華綺晶「え… 『ボクたちのところに』『みんなで』って…」

翠星石「…もう、ものわかりの悪い妹ですね」

蒼星石「まったく。 …その通りだよ、雪華綺晶」

雪華綺晶「…蒼星石?」


「君も、僕らと一緒に、帰るんだ」


雪華綺晶「え…」

翠星石「そして、みんなでいっしょに暮らすんです!」

雪華綺晶「…」

翠星石「むさくるしーところですけど、まあ辛抱するです!」

ジュン「柴崎さん家を、そんな風に言うなよ」

翠星石「おめーの家ですっ!!」

真紅「また狭く、うるさくなりそうだけれど… まあいいわ、許可してあげる」

ジュン「お前が許可することじゃないだろ!」

真紅「…あら、ジュン。 許可しないつもり?」

ジュン「…まさか」

雪華綺晶「…」



「…う…」



…ポロ
330 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/03(木) 13:20:52.01 ID:hMcp3vA0
翠星石「あらら。 …泣き虫さん、発見ですぅ」

蒼星石「…雪華綺晶」


(うう… うっ…)ポロポロポロ…


真紅「やめなさい、雪華綺晶。 …これじゃ、私が泣いてるみたい」

雪華綺晶(うう… だって、だって…)

真紅「…さあ、話はおしまい。 あいつを捕らえるのよ!」

ジュン「ああ… 行かなくちゃ。 すぅぅぅぅぅーーー…」

真紅「…たっぷり、息を吸いこんでおいてね。 ジュン…」グッ! 


「文字通り、一息で決着をつける!」


翠星石「…気をつけるですよ?」

蒼星石「なにをしてくるか、わからないやつだ。くれぐれも用心してくれ」

真紅「ええ。 …もう、けして油断はしない。 行くわよ、ジュン!」

ジュン「んむっ!(わかった!)」

真紅「雪華綺晶の体、それにあなたたちの手足も、必ず取り戻す!」

翠星石「頑張れですっ!」

蒼星石「…気をつけて!」



…ザバッ!
331 :[sage]:2009/09/03(木) 13:22:23.87 ID:hMcp3vA0
短いですが、今日はここまで。続きは明日です。
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/03(木) 15:59:55.31 ID:15eVniAo
まさか昼にくるとはおつつ
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/03(木) 17:00:07.84 ID:sLy70Ek0
乙なんだぜ。

すごい体が打ち震えたっていうか
武者震いしたって言うか……

しかし、ここまでアツい物語になるとは。
アニキャラのローゼンSS板に載ってる修行の日々が懐かしいぜ……。
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/03(木) 17:46:08.01 ID:uknYZwko
おっつ
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/03(木) 21:07:35.20 ID:CD8esTUo
今更だけど乙。
一昨日辺りからこのスレ見つけて、最初から一気に読んだ。
面白いってだけじゃなく色んな涙が出てくるSSは久しぶりだなぁ。
これからも楽しみにしています。
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/03(木) 21:36:01.75 ID:9TcbLg.o
乙樽場

いよいよ決戦が近付いてきた…!
337 :[saga]:2009/09/04(金) 22:10:00.72 ID:k19wKKA0
>>323
>>332-336
乙どうもっす〜


前から見ててくれる人がいて、新しく見てくれるようになった人もいて…
自分は幸せもんです。


再開します〜
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/04(金) 22:12:33.32 ID:o/u2qkwP
待ってたよ!
339 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:15:58.14 ID:k19wKKA0
ゴォォォ…


翠星石「…行きましたね」

蒼星石「うん…」

翠星石「まーったく、一時はどうなることかと思いました」

蒼星石「ああ。 …だけれど、もう大丈夫だね」

翠星石「ええ。 もーう心配はいりません!」


ゴォォ…


翠星石「ジュンが真紅の力を引き出したからには、もう負けはないですからね!」

蒼星石「うん。雪華綺晶もいるから…」


「逃げられることはあっても、負けることはありえない」


翠星石「そうですね。 ほんっとうに、本気になった時の真紅の力は底無しですから…」

蒼星石「…ああ。 真紅は、僕たちの中でも特別だからね」

翠星石「大船にのったつもりで、ゆーっくり待ちましょう!」

蒼星石「うん。 …翠星石」


…ス


翠星石「はい…? ちょ、ちょっと???」

蒼星石「ごめん、じっとしてて」


シュル シュル…


翠星石「な、なにをする気ですか??? いきなり服を…」



「ぬ、脱がせるなんて…」
340 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:20:42.59 ID:k19wKKA0
蒼星石「…ごめん、痛くない?」

翠星石「き、気持ちは嬉しいですけど、心の準備が…」

蒼星石「君の、傷の手当をしなくちゃ」

翠星石「え… なーんだ、つまんないですぅ」

蒼星石「…もう、バカ」


シュル シュル…


蒼星石「…無理に引き抜かれてるから、傷はついているけど… そこまでひどくは無いみたいだ」

翠星石「もう。 蒼星石だって、ケガしてるじゃないですか」

蒼星石「…あきらかに、君のほうが重傷だよ」…シュルッ


…ビリーッ


翠星石「…ケープを? もったいないですよ…」

蒼星石「気休めにしかならないけど… 傷を守らなくちゃ」…シュル キュッ シュル…

蒼星石「あ… ありがと、です」







「…」



…ゴゾ…
341 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:24:23.09 ID:k19wKKA0
【地下水脈】


ゴォォォォ…


(な、なんだったのだ、今のは…)


ゴォォォォ…


(まるで、体を引きちぎられるかのような、衝撃じゃった…)


ゴォーーーーー…


(嫌な予感がする… じゃが、幸い流れには乗った。 このまま外洋まで逃れれば…)



ゴ…



(…む?)


ゴ…


(な… 何じゃ?)


ゴ ゴ ゴ …


(何かが…) 



(わしを追って…?)



ゴ バ ! !
342 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:27:32.66 ID:k19wKKA0
(う、うおお?!)


ズゴォォォォ…


「…逃さない!」ゴォウ!

(き、貴様は?!)


ゴォォォ…!


真紅「青髭公! もう、どこにも逃がさない!」

(貴様… 再生しおったか…?!)

雪華綺晶(真紅、あいつの姿が見える?!)

真紅「ええ、よく見えるわ…!」

(…なんだと?)


…ボォウ…


真紅「あの、どす黒い球体が、やつの本体ね?」

雪華綺晶(そう! それが、憎悪の結晶!)

(なに?! 見えておるのか?! …そうか、『御子』か!)

真紅「そう、雪華綺晶は立ち直った! もう、あなたごときに遅れはとらない!」

(…ぬかせ、人形ごときが!)

真紅「さあ、わたしたち姉妹の痛みを思い知りなさい!」

(…貴様に構っていられるか!)



ゴボボボボ…
343 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:30:37.49 ID:k19wKKA0
ジュン「(逃げられる!)」

真紅「ヤツを捕らえるわ! 雪華綺晶、あなたの茨を貸して!」

雪華綺晶(わかったわ!)ザワザワザワ…


シュルシュルシュル…!


雪華綺晶(真紅、あなたの右手!)

真紅「…ありがとう」シュルシュルシュル…


…スッ


「逃さない…」シュルシュルシュル…


ザワザワザワ…!


「…いけっ!」…ゴォッ!



…キュバババババ!!!



ジュン「?!」

雪華綺晶(え?!)


ギャリギャリギャリッ!!


(…う、うおおおお?!)


344 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:34:40.96 ID:k19wKKA0
真紅「これは…?」

(ぐわあぁ… うおあぁ?!)


ギュギギギギ…! 


ジュン「(あ、あれ、君の力なのか?!)」

雪華綺晶(ち、違う! あんなこと、わたし、できないっ!)

真紅「…ふぅん」


ギュゴゴゴゴ… ギィ…ン!


(こっ、凍る…!? ばかな!) 

真紅「…こう、なるのね」

(わしの、わしの肉体が、凍ってしまう…!!)

真紅「なるほど、ね」

(な、なにっ?!)



「…『共鳴』の力で雪華綺晶の力を使うと、こうなるのね…」



ジュン「(『共鳴』…)」

雪華綺晶(す、すごい… 真紅、すごすぎる…)

(ば、ばかな… ありえん!)



(たとえ極低温でも、わしの『肉体』が凍ることなど無いはずじゃ!)
345 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:37:25.67 ID:k19wKKA0
真紅「あら…? 惜しかったわ」

(な、なんじゃと…?)

真紅「本体は、外してしまったみたいね」…スッ

(…く、くっ?!)

真紅「…次は、逃がさない」キュバ!



…ギュゴゴゴゴゴ!



(うおおおお?! こ、氷の龍が…!)

真紅「もう、逃げられないようにしてやる!」ギュゴ!



ゴ バ !!



(うおお?!)

ジュン「(氷が!!)」

(し、しまった!?)



ゴォ…



(氷塊が、水流を塞ぎおった…!!)

真紅「さあ! これでもう、どこにも逃げられない…!」



シュルシュルシュル…
346 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:45:24.54 ID:k19wKKA0
(茨をのばし始めた…!)

真紅「さっきからコソコソと逃げてばかり… あなた、それでも男なの?」

(く、くそ!)

真紅「観念して、かかってきなさい!」


ゴォォォ…!


ジュン「(あれは… あれはいったい、どういうことなんだ? 君の力じゃないのか?!)」

雪華綺晶(わたし、氷を操ったりする力なんて持って無いもの…)

ジュン「(そ、それじゃあ、いったい…?)」

雪華綺晶(…低温じゃ、ない)

ジュン「(え?)」

雪華綺晶(お父さま、まわりをよく見て)

ジュン「(え…)」



ゴォォォォォ…



ジュン「(水流は、凍っていない…?)」

雪華綺晶(そう、凍っているのは、あいつの肉体だけ)

ジュン「(え… そ、それって…)」

雪華綺晶(わたしがさっき、やっていたことと同じこと… 真紅は…)



(やつの『肉体』をつくっている子供たちを、恐怖で凍りつかせているのよ…!)
347 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:54:25.08 ID:k19wKKA0
コワイ コワイ コワイ…


(え、ええぃっ! ひるむな!)


コワイコワイコワイコワイ…


(これは… 恐怖か!!)


タスケテ タスケテ コワイ コワイ…


(恐怖にすくんで… みずから、凍りついてるとでもいうのか…!)


真紅「…往生際が悪いわね」

(く、くそ! 早く溶けろ!!)

真紅「ムダよ。 雪華綺晶の力に、わたしの力を上乗せしているんだから…」スッ…


シュルシュルシュル…!


(な、なにを…!)

真紅「今度こそ、あなたの本体を凍りつかせてやる…!」シュルシュルシュル…!

(や、やめろ!)

真紅「こなごなに砕いてやるわ!!」キュバ!



ギャリギャリギャリッ!



ジュン「(真紅… これが、君の力…)」




(君とボクの『共鳴』の力…)

348 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 22:59:53.97 ID:k19wKKA0
【回想 ジュンの家】


カリカリカリカリ…


ジュン「…『共鳴』?」カリカリカリ…

水銀燈「そう。この間、説明したでしょう?」

ジュン「…翠星石と蒼星石に組みこまれてるっていう、あれ?」カリカリカリ

水銀燈「そうよ。 特定のパートナーと心を同調させて、起動させる力」

ジュン「…でも、それが何の関係があるんだ?」

水銀燈「今あなた、わたしに聞いたでしょう?」


「『真紅の力の秘密ってなに?』って…」


ジュン「そうだけど… まさか、それが?」

水銀燈「そう。 あの子にも、『共鳴』が組みこまれているのよ」

ジュン「え? …そうなのか?」

水銀燈「ええ。 ただ、翠星石と蒼星石とは違って…」


「あの子の『共鳴』の対象となるのは、姉妹ではなく、契約者」


ジュン「契約者… 人間と?」

水銀燈「そう。 それが『共鳴』という機能の、本来の目的でもある」

ジュン「本来の…」

水銀燈「人間とわたしたちの、絆をつくるための機能なのだから」

ジュン「…」

水銀燈「もちろん、人間と人形では精神性が根底から違うから、同調させるのは困難を極める。…そのかわり」



「いざ『共鳴』が発動した時の力は、翠星石たちの比ではない」
349 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 23:05:31.36 ID:k19wKKA0
ジュン「…そうなのか?」

水銀燈「…以前、あなたと真紅で、わたしを退けたことがあったでしょう」

ジュン「? …うん」

水銀燈「あれで、たぶん3割くらいといったところよ」

ジュン「…え?!」

水銀燈「真紅が、契約者と完全に同調を果たして、その力をすべて発揮したところなんて、まだ誰も見たことが無い」

ジュン「あれで… 3割だって…?!」

水銀燈「…あの子の力は、本当に底が知れない」

ジュン「…」

水銀燈「あなたが強くなれば、当然あの子も強くなる。 …心も体もね」

ジュン「…うん」

水銀燈「さらに、あなたと真紅がお互いを理解し絆を深めていけば、共鳴したときの力も加速度的に上昇していく」

ジュン「…それって…」

水銀燈「そうよ」…パタン



「お父様が理想としていた人間とわたしたちの関係を、形にしたのがあの子なのよ」



ジュン「(…真紅、君って…)」

真紅「ジュン? …なに?」

ジュン「(君って、本当にすごいんだな…)」

真紅「…あなたのおかげよ」

ジュン「(え?)」

真紅「あなたは、本当に強くなってくれた。 …こうしていると、よくわかる」

ジュン「(…)」

真紅「水銀燈に、感謝しなくてはいけないわね」
350 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/04(金) 23:15:29.78 ID:k19wKKA0
ジュン「(…真紅)」

真紅「…さあ、もうあきらめなさい!」

(ほ、ほざけ! 喰らえぇっ!)ズワァ!


ゾブゾブゾブ…!


ジュン「(真紅!)」

真紅「…こざかしいわ」


ギャリン!


(ぐおお?!)

真紅「あなたはもう、わたしに触れることも出来ない…!」

(触れた部分が凍りついてしまう… し、侵食できん!)

真紅「おとなしく、わたしたちから奪ったものを返しなさい!」

(な、なんだと?!)

真紅「雪華綺晶の体、翠星石、蒼星石の手足… そして!」



「水銀燈の、ジュンの… みんなの『誇り』を!」



(そ、そんなもの、どうしろというのだ!)

真紅「返せないというのなら、あなたの命であがなってもらう!」…スッ



「大事なみんなをオモチャにしてくれた、報いをその身に受けなさい!!」



ギュバッ!!!
351 :[sage]:2009/09/04(金) 23:16:33.82 ID:k19wKKA0
今日はここまでです。 続きは明日。
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/04(金) 23:20:55.11 ID:Etd.XD2o
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/04(金) 23:25:52.96 ID:iJ7..R6o
乙樽場

狒々爺フルボッコタイムキター…!
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/04(金) 23:45:25.42 ID:o/u2qkwP
おつつ
爺ざまあwwwwwwwwwwwwww
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/04(金) 23:47:05.75 ID:2G2d2FIo
おっつ
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/05(土) 07:37:10.51 ID:sSIBCMAO
おっつつ
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 17:14:53.62 ID:qH4jZU.0
乙なんだぜ。

クソジジイ哀れなり!!
そして真紅TSUEEEEEEE!!
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 17:59:56.94 ID:ua6XELgo
おつ!
359 :[saga]:2009/09/05(土) 19:07:31.31 ID:SOOwoRc0
>>352-358
>>338

乙&支援どもっす〜
再開します〜
360 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:10:05.88 ID:SOOwoRc0
【地上】



ゴ ゴ ゴ …



みつ「ビルが…!」

柴崎「…むぅ!」



ズ ズ ズ …



マツ「崩れていく…」

のり「みんなは… 雛苺ちゃん、巴ちゃんは…?」

金糸雀「…ブリュンヒルデは、みんな無事に脱出したって言ってるけど…」

みつ「あ、あれ!」



ヒィィィィ… ン…



金糸雀「アルト隊と、ブリュンヒルデかしら!」

みつ「…ともともも、いる!」


ヒュゥゥゥゥ…ン…


のり「銀ちゃんと、雛苺ちゃんは…?」

金糸雀「(水銀燈…?)」



ヒュゥゥン…
361 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:24:23.26 ID:SOOwoRc0
ブリュンヒルデ「タダイマ 帰還 イタシマシタ」

金糸雀「ごくろうかしら!」

グリムゲルデ「…巴サマハ ココニ」

巴「…みんな」フラ…

のり「…巴ちゃん!」…タタッ!


ヒシッ…!


巴「…のり、さん…」

のり「大丈夫? ケガは、ない?」

みつ「ともとも! 大丈夫?!」タタタ…

巴「みっちゃんさん… 平気です、ありがとう…」

柴崎「よく頑張った、よく頑張ったのう…」

マツ「立派だったわ…」

巴「…柴崎さん、マツさん…」

金糸雀「…」


トテ トテ トテ


巴「金糸雀?」

金糸雀「巴、水銀燈たちを見たかしら?」

巴「え…」

金糸雀「まだ、戻ってきてないんだけど…」

巴「…そんな」



「わたしたちより先に、帰っていたはず…」
362 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:27:10.47 ID:SOOwoRc0
【上空】



ヒュオオオオオ…



雛苺「…?」

水銀燈「…」



ヒュゥゥゥゥ…



雛苺「…どうしたの?」

水銀燈「…」

雛苺「わすれもの、したの?」

水銀燈「…いいえ」



ガラガラガラガラ…



雛苺「ビルが…」

水銀燈「(…崩れていく… わたしの…)」


ガラガラガラ…


(わたしの、大切な場所が…)



―月が綺麗。 街の灯りも…
363 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:28:30.97 ID:SOOwoRc0
水銀燈「…さよなら」

雛苺「…?」

水銀燈「(さよなら… わたしの、秘密のお城)」



―わたしは、マリアになるのよ? 馬小屋よりは、ここのほうがマシよ。



雛苺「水銀燈…?」

水銀燈「…」


(柴崎「しっかりせい!」) (みつ「大丈夫? 大丈夫よね?!」)

(のり「銀ちゃん、銀ちゃんっ!」)(ジュン「水銀燈、もうひとふんばりなんだ!!」)



(…わたしの思い出がつまった、大事な場所…)



雛苺「…どうしたの?」

水銀燈「なんでも、ないわ」…ギュ

雛苺「…?」

水銀燈「…行きましょう。 みんな、待ってるだろうから」

雛苺「…うん」


ビヒュン!!
364 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:32:18.73 ID:SOOwoRc0
【地上】

金糸雀「え… 帰ったはず、って…?」

シュヴェルトライテ「間違イ アリマセン」

巴「私たちが脱出するより先に、行ったはずなんだけど…」

のり「え…」

みつ「そ、そんな…?」



…バサ…



巴「…?」

のり「あ、あれ!!」

みつ「…う、上?!」


バサッ バサ バサササ…


柴崎「…おお、あれは!」

マツ「帰って、きたのね…!」

金糸雀「ふたりとも…!!」


バササササ… 


雛苺「…みんな、ただいまなのー!」

金糸雀「雛苺! それに…」



「…」



…ストッ
365 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:36:00.18 ID:SOOwoRc0
みつ「…無事だったのね!」

のり「あなた… あなたは…」



「…」…バサリ…



のり「(なんて… 大きな翼…)」

みつ「(だいぶ小さくはなってるけど… それでも、ふだんの3倍以上はある…)」


「…」


金糸雀「…」

みつ「…カナ?」

金糸雀「え…」

みつ「…どうしたの?」

金糸雀「…(翼だけ、いつもとちがうけど…)」


(あの姿、物腰、雰囲気… まちがいない… はず、なのに…)


金糸雀「…」

「…あなた?」

金糸雀「(…けれど…)」

みつ「カナ、どうしたの??」

金糸雀「(…でも、あのとき、確かに水銀燈の結晶から…)」



(水銀燈の存在が、消えていくのを感じた…)
366 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:40:31.37 ID:SOOwoRc0
のり「…金糸雀ちゃん?」

雛苺「…カナ?」

金糸雀「(…わたしたちは、本体が砕けてしまっては、自我を保つすべがないはず…)」


(魂を外から入れてある『生き人形』と違って、私たちの自我はこの体から生じている…)


(体が砕け、消えてしまったら、それを取り戻すすべはない…そう)



(死んだ人間が、よみがえることが無いように)



金糸雀「…」

柴崎「かなちゃん…?」

マツ「…どうしたの?」


「…みんな」


みつ「!」

のり「あ… は、はいっ!」



「…ごめんなさい、遅くなって。 あと…」



金糸雀「(…あなたは…)」

「…心配も、かけてしまって」




(あなたは、誰なの…?)
367 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:45:43.87 ID:SOOwoRc0
みつ「…ほーんと。心配したんだから! ね、カナ?」

金糸雀「…」

みつ「カ、カナ…?」

「…」

雛苺「カナ…」


「…雛苺」


雛苺「…は、はい?」

「巴、こっちに来て」

巴「え? は、はい…」ト ト ト

のり「…?」

巴「な、なに…?」


「…この子を、抱いてあげて」


巴「え…」

「…さあ、早く」

巴「…」

雛苺「…トモエ?」

巴「…」スッ



…ギュ



雛苺「巴…」

巴「…雛苺」



ギュ…
368 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:53:46.88 ID:SOOwoRc0
のり「雛苺ちゃん…」

みつ「…ともとも」


…ギュ…


雛苺「ね… トモエ」

巴「なあに?」

雛苺「…ヒナ、がんばったの」

巴「うん… うん」

雛苺「トモエにまけないくらい、がんばったのよ…」

巴「うん… よく、頑張ったわ…」…ギュゥゥッ


「…ふたりとも」


巴「…あなた…」

雛苺「…」

「ふたりとも、ほんとうによく戦ってくれた」

巴「え…」

雛苺「…えっ」

「お疲れ様、と言いたいところなんだけれど…」…スッ


ツカ ツカ ツカ


巴「え…え?」

雛苺「な、なに…?」

「…言いたいところ、なんだけれど!」ブンッ!

雛苺「ひ、ひっ?!」



…ゴチッ!
369 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 19:55:44.12 ID:SOOwoRc0
雛苺「きゃあん?!」

巴「え?!」

「…あなたも!」ビュッ!


ベチッ!


巴「きゃ?!」

みつ「ともとも?!」

のり「…え、ええ?!」



「あなたたち…」



雛苺「う、うゆ…?」ズキズキ

巴「い、いったい…?」ヒリヒリ

「あなたたち、ねぇ…」キッ!



「あんな技を、わたしに使う気でいたの?!」



雛苺「…ふぇ?」

巴「え…」
370 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:00:08.34 ID:SOOwoRc0
「アリスゲームがいくら『なんでもあり』だからって、あれはひどすぎるわよ! …雛苺っ!!」

雛苺「はっ、はいっ!」



のり「な、なんの、こと…???」

みつ「…???」



「雛苺、あなた… わたしに勝つためだけに、町ひとつ潰す気だったの?!」

雛苺「…え、え…?」

巴「…」

「巴、あなたもあなたよ!!」 

巴「は、はい?!」

「雛苺にヘンな技をしこんで! 私たち、サーカスの人形じゃないのよ!」



柴崎「(…話が見えんのじゃが…)」

マツ「(あの子たちには、わかってるようですけどね…)」



「薔薇乙女たちがその命運を賭けて争うアリスゲームは、真剣ながらも華麗で、かつ優雅であるべきなのに!」

雛苺「…」

「あなたたちったら…!」クドクドクド…

巴「…」
371 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:04:18.31 ID:SOOwoRc0
「あんなヘンな技を教えこんで使わせようなんて、どういう了見なのよ! …聞いてるの?!」

雛苺「…」

「あなたも聞いているの?! まったく…」

雛苺「う…」

「…?」

雛苺「う… う…」

「…雛苺?」



「うわあああああああああーーーーーーん!!!!!」



「わあっ?!」

雛苺「うわあ、うあ… びええええーーーーん!」

のり「ひ、雛苺…ちゃん???」

みつ「ありゃりゃ、泣かせちゃった」

「…な、なによ! そこまで、泣かなくったって…」

巴「…」ヨシ ヨシ…

雛苺「び、びええ… ぶええええーーーん!」ギュ…

「…も、もう! ちょっと怒ったくらいで、なによ!」

巴「…違う」

「え?」



「怒られて泣いてるんじゃ、ない…」
372 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:06:54.36 ID:SOOwoRc0
「…え? いったい…?」

巴「ね、雛苺…」…ポン ポン

雛苺「ああう… あうう…?」

巴「手、貸して」…サス サス…

雛苺「…う、ううう…」…スッ

巴「…」チュ…


シュウウ…


金糸雀「(力の封印を、もどしたかしら…)」

巴「…雛苺、そうだよね? 怒られたからじゃ、ないんだよね?」

雛苺「う…?」

巴「嬉しかったんだよね?」

雛苺「…」

「…え?」

巴「いなくなったと思ってた、水銀燈が戻ってきてくれたから…」


「いつもの、おっかない水銀燈が戻ってきてくれたから、嬉しかったんでしょう?」


金糸雀「…雛苺?」

巴「そうだよね?」

雛苺「…」


…コクン
373 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:09:33.44 ID:SOOwoRc0
金糸雀「雛苺、あなた…」

巴「…そう、だって」

「…雛苺…」

巴「…さ、雛苺」


…スッ


雛苺「…?」

巴「ちゃんと、ごあいさつしてきて」

雛苺「…」


…トテ トテ トテ


「あなた…?」

雛苺「…」トテ トテ…

「…?」

雛苺「…」ジーッ

「…なに?」

雛苺「…」



「水銀燈、なのよね?」



「え?」

雛苺「あなた、水銀燈… なんだよね?」

「…」
374 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:12:41.91 ID:SOOwoRc0
雛苺「…おとうさまに、生き返らせてもらったんだよね? そうなんだよね?」

「…」



―わたしは、水銀燈の記憶を持っているというだけの、別の人形なのですね…?



雛苺「…そうなのよね? …おねがい、そうって言って!!」

「…」



ゴツン!



雛苺「あいた?!」

「…さっきから、なに言ってるのよ」グイ!

雛苺「…きゃ?!」

「まったく、もう」


…ギュ


雛苺「う、うゆ…???」

「…そうよ、雛苺」

雛苺「え…」



水銀燈「そうよ、そう。 …そうに、決まってるじゃない!」
375 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:15:24.24 ID:SOOwoRc0
みつ「銀ちゃん…」

のり「ああ… やっぱり、やっぱり…!」

水銀燈「…そう、簡単にやられはしないわ。見くびらないでよ」

雛苺「…」



…ギュ



水銀燈「…雛苺?」

雛苺「う…」



「うう…」

「…」



「ううう… うえぇ… えぇぇ…」

「…」



「うぇ、うえぇぇ… えええ…ん…」

「…」



「ひぐ、ひぐっ… えぐ… えぐぅ…」

「…」



ギュゥゥゥゥゥ…
376 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:18:06.97 ID:SOOwoRc0
のり「…雛苺ちゃん」…グスッ

みつ「…よかった… カナ…?」



金糸雀「…」



水銀燈「…ごめんね、雛苺」…ギュ

雛苺「うぇ、うぇええ… えっぐ… ふぅ、ぐぅ…」ギュゥゥゥゥ…

巴「…」


…ヒシッ


水銀燈「…あなた?」

巴「水銀燈、わたしのことも、叩いたよね…?」

水銀燈「…なによぉ。 手加減はしたわ」

巴「違う…」


…ギュ


水銀燈「巴?」

巴「水銀燈が、私のこと… はじめて、叩いてくれた… 怒ってくれた…」

水銀燈「…」

巴「はじめて、水銀燈が、私の事を雛苺と同じように…」



「妹たちや、ジュン君と同じように、扱ってくれた…」
377 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:23:02.84 ID:SOOwoRc0
水銀燈「巴…」

巴「…おかえりなさい、水銀燈…」…ギュッ


…タタタタタッ!


水銀燈「え…」

のり「…銀ちゃんっ!」ガバ!

水銀燈「わっ?!」

のり「…うぇぇぇぇぇぇーん! 銀ちゃんなんだよね? 生きてたんだよね?!」ギュゥ…

水銀燈「…もちろんよぉ。 そう簡単に、やられたりしないわぁ」

のり「よかった… よかったあ…」ギューッ…


…スッ


水銀燈「…おばあさま?」

マツ「よかった。 ほんとうに、よかったわ…」

柴崎「…まだ、わしらの『仕返し』は終わっておらんのじゃからな…」

水銀燈「おじいさま…」


…ギュ


マツ「一樹のことをわたしたちに、思い出させたあなたなんだから…」ポン ポン

柴崎「一樹の分まで可愛がらせてもらうまで、元気でいておくれ…」ナデ ナデ

水銀燈「…おじいさま、おばあさま…」



「…」



みつ「カナ?」

金糸雀「…」
378 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:26:05.16 ID:SOOwoRc0
のり「金糸雀ちゃん、どうしたの?」

柴崎「…かなちゃん?」

マツ「あなたが、一番心配していたでしょうに…?」

金糸雀「…わたしは!」シュピ!



「わたしは今、指揮をとってる最中かしら!」



みつ「カナ…」

水銀燈「…あなた」

金糸雀「…戦いはまだ、終わってないかしら! ジュンだって、真紅だって…」



「翠星石も蒼星石も、雪華綺晶だって戦ってるかしら!」



「指揮官のわたしが… いま、指揮を放棄したら…」



水銀燈「…あなた?」

雛苺「…カナ?」

金糸雀「そんなこと、したら…」…ギュッ



「…水銀燈に、怒られちゃうかしら…」
379 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:28:05.82 ID:SOOwoRc0
水銀燈「あなた…」

金糸雀「…再会を喜ぶのは、戦いが全部終わってからでも遅くないかしら! だから…」



シュパッ!



金糸雀「きゃあぁ?!」

水銀燈「…あなた?!」



シュパ シュパッ!



水銀燈「…ピチカート?! いったい、何を?!」

金糸雀「い、いやーーん?! ピチカートっ!!」…トテテテテ


シュルルル…


金糸雀「『黄金の指揮棒』を返してかしらーーー!!!」トテテテテ


シュルルルル…


金糸雀「それを持ってったら、ダメかしらー!! お願いー!」

ブリュンヒルデ「…」
380 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:33:12.05 ID:SOOwoRc0
金糸雀「ブ、ブリュンヒルデ! ピチカートを捕まえるかしらー!!」トテテテテ

ブリュンヒルデ「…」


シュルルルル… シュピ!


金糸雀「あ、あなた?!」

ブリュンヒルデ「アリガトウ、ピチカート」

金糸雀「…ブリュンヒルデ?! わたしのタクトを返すかしらー!!」

ブリュンヒルデ「…」


「オ断リシマス」


金糸雀「…え?!」

ブリュンヒルデ「ワタシガ ピチカートニ コウスルヨウ 頼ンダノ デスカラ」

金糸雀「…え、どういうこと…?」

ブリュンヒルデ「…現時刻ヲ モッテ」 


「『黄金の翼』ノ オ姉サマカラ 指揮権ヲ 剥奪シマス」


金糸雀「な?!」

水銀燈「…ブリュンヒルデ!?」

金糸雀「な、なんでっ?! なんでそんなことを!!」

ブリュンヒルデ「アナタハ今 指揮ヲ執レル 状態デハナイト 判断イタシマシタ」

金糸雀「え… え?!」

ブリュンヒルデ「『白銀の翼』『黄金の翼』ノ両名ガ 指揮ヲ 執レナイ場合ハ」…シュピ!



「一時的ニ ワタシガ 指揮権ヲ 引キ継グ事ニ ナッテイル ハズデス」
381 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:36:21.90 ID:SOOwoRc0
金糸雀「え…」

水銀燈「あなた…」

ブリュンヒルデ「アナタハ今 精神状態ガ 非常ニ 不安定デス」シュピ!


「ドウカ オ下ガリ クダサイ」


金糸雀「…あなた! 出すぎたまねを!!」

ブリュンヒルデ「今ノアナタノ 指揮デハ ワタシタチモ 不安ナノデス」

金糸雀「う…」

ブリュンヒルデ「コノ身ヲ アズケルニ足ル 状態デハ アリマセン」

金糸雀「(…容赦ないかしら…)」

ブリュンヒルデ「ワタシノ 指揮能力ハ 限定的ナモノ アナタニハ 及バナイ」


「…一刻モ早ク 現状復帰シテクダサイ」


金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「…サア 早ク」

金糸雀「…ブリュンヒルデ…!」

雛苺「…カナ…」

金糸雀「…この…」



「この、おせっかい焼きっ!」



トテテテテテ…
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/05(土) 20:38:06.72 ID:AT37l.kP
優しい子だな
383 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:48:51.38 ID:SOOwoRc0
グリムゲルデ「…ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「指示ヲ チョウダイ」

ブリュンヒルデ「…」


「アルト隊ハ 地下ヘノ 突入準備ヲ」


グリムゲルデ「Jawohl!」

ブリュンヒルデ「メッゾ隊 ソプラノ隊ハ 引キ続キ 地上ノ敵ヲ 掃討セヨ」


(ヴァルトラウテ「ワカッタワ」

(ゲルヒルデ「…アノ オフタリヲ オ願イネ」)


ブリュンヒルデ「…ワカッテル。 アナタタチ コソ」


(ヘルムヴィーゲ「大丈夫。 ケシテ 油断シナイ」)

(ジークルーネ「…コノ時間ヲ 台無シニハ デキナイワ」)


ブリュンヒルデ「ソレデハ 各自 奮闘セヨ」


(オルトリンデ「Jawohl!」)

(ロスヴァイセ「Herr Kommandeur!」)



トテ トテ トテ…



水銀燈「…金糸雀」

金糸雀「…」
384 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 20:55:49.12 ID:SOOwoRc0
雛苺「…」


…スッ


水銀燈「…雛苺?」

雛苺「…ありがとう、ヒナ、もうだいじょうぶ…」

巴「…」


ス…


水銀燈「巴?」

巴「…雛苺。行こっか」

雛苺「うん…」

のり「…じゃあね、銀ちゃん」


スッ…


水銀燈「みんな…?」

柴崎「わしらには、ジャマはできんからの…」

マツ「しっかり、迎えておあげなさい」

水銀燈「…」


トテ トテ トテ


金糸雀「…」

水銀燈「…」


…スッ
385 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 21:02:28.97 ID:SOOwoRc0
金糸雀「…?」

水銀燈「…さあ」

金糸雀「え…」

水銀燈「時間が無いわ。 早く…」

金糸雀「…」ス…



…ヒシッ



水銀燈「…金糸雀」

金糸雀「…」



…ギュ



水銀燈「金糸雀、わたし…」

金糸雀「…かしら」

水銀燈「…え?」

金糸雀「…わたし」




―わたし、どうしようかと、思ってたかしら…



「…?」



―わたし… みんなのことを… 妹たちも、契約者たちも、傷つけてしまって…
386 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 21:06:18.43 ID:SOOwoRc0
「…」



―それでも、あなただけでも、助けられるなら、それでいいって… 覚悟を決めたのに… それなのに…

―あなたが、いなくなっちゃったときには… わたし、どうしようって…



「…」



―もう、妹たちのところにも、みっちゃんたちのそばにも、いることなんてできないって…

―わたしの居場所なんて、この世のどこにもなくなっちゃったって… そう、思ったのよ…?



「…」



―ばか、ばか! 水銀燈の、ばかっ!

―わたし… わたし… あなたのこと… どんなにか…



「…」



―ばか… 水銀燈の、ばか…!




…ギュゥ



金糸雀「…水銀燈?」

水銀燈「…」



「ごめんね、金糸雀…」
387 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 21:16:45.10 ID:SOOwoRc0
金糸雀「な… なに言ってるかしら…?」

水銀燈「…わたしの、せいね」

金糸雀「え…えっ?!」

水銀燈「わたしがふがいないせいで、あなたを苦しめることに、なってしまったのね…」

金糸雀「ば、ばかなこと、言わないでほしいかしら!!」

水銀燈「…」

金糸雀「全部、わたしが勝手にやったことかしら!」…グスッ


「そのせいで… みんなにも… あなたにも…」


…ギュゥ


金糸雀「…す、水銀燈っ?!」

水銀燈「…ごめんね」

金糸雀「だ、だから、わたしの話を聞くかしらー!」

水銀燈「ごめんなさい…」

金糸雀「だ、だか… ら…  ?!」


…ジワッ


「え… え、あなた…?」

「ごめんね… 金糸雀…」…ポロ…


ポロポロ… ポロ…
388 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/05(土) 21:22:56.95 ID:SOOwoRc0
「う、うそ… あなたが… そんな…」

「ごめんね、金糸雀… ごめんね…」


ポロポロポロ…


「…あなたが、そんな… うそ、うそ…!」

「ごめん… なさい… う、ううっ… う…」

「…な…」


…ジワッ


「なに、そんなこと… 言ってるかし… う… うう…」


「…」


「ううう… うああ…」


「…」


「うあああ… ああああ…!」ギュッ!


ギュゥゥゥゥ…


「…あああああ…っ!」

「うう… ううっ…」



のり「…」グスッ

みつ「(カナ… よかったね…)」…グスン


(よかったね、カナ… ほんとうに、よかったね…)
389 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[sage]:2009/09/05(土) 21:24:36.15 ID:SOOwoRc0
今日はここまでです。再開は明後日以降。
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 21:27:02.95 ID:AT37l.kP
おつつ
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 21:28:44.03 ID:ovTaHfAo
乙おつ〜
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 22:09:31.21 ID:moAV15Yo
乙樽場

感動の再開…っ!てっきりカナがあのことを疑ってるんじゃないかと思って自己嫌悪
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 22:10:16.25 ID:Dpj3ZsEo
おっつ
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/05(土) 23:00:36.86 ID:ua6XELgo
おつ!
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/06(日) 18:59:03.26 ID:AP6x14s0
乙なんだぜ!
396 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:10:41.42 ID:w1x55120
>>390-395
乙どもっす〜

>>392
実はまだ疑ってます(を
決着がつくかどうかはこれからしだいということで…


再開します〜
397 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:11:51.01 ID:w1x55120
【地下水脈】


ゴォ…


(…は、はあ、はあ… ぐぅぅ…)


…ギチ ギチ…


「…ちょこまかと、逃げ回ってくれたけど」

(く…) ギチ…



「もう、おしまいよ」

(く、くっ… くそ…!)



ギチ…



(う、動けん…!)



ジュン「(…やったか!)」

雪華綺晶(捕まえた!)



(く、くそ!)ギチ… ギチ…
398 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:14:02.27 ID:w1x55120
真紅「自分が囚われた気分は、どう?」

(こ、この…!)

真紅「ゆっくり、みんなにしてくれたおもてなしのお礼をしたいところだけれど…」…スッ


…ジャキン!


ジュン「(…あれは、氷の剣?!)」

雪華綺晶(わたしの茨が、ああなるなんて…!)

真紅「みんなを待たせてるし、手短にすませるわ」チャキ…

(な、なんだ!)

真紅「…みんなの体を返して」

(な、なんだと… そんなもの…)

真紅「往生際が、悪いわね」シュッ!


ガス!


(ぐぅお!!)

真紅「教えないつもりなら、いいわ」グ…


…ミシ 


(う、うぐぉ…!)

真紅「あなたにとどめをさしてから、ゆっくり探すだけ」ギリ…



ミシ… ミシッ
399 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:16:03.86 ID:w1x55120
(ぐ… ぐ、うおっ…!!)

真紅「みんなをオモチャにしてくれた報い、少しでも噛み締めて逝きなさい」ギリ ギリ…

(お、オモチャ…だと…? ふざけるな!) 



(貴様等だとて同じだろうが!!)



雪華綺晶(…!)

ジュン「(え…?)」

真紅「…何を言っているの?」



…ピシ…



(とぼけるな! 貴様等こそ、数限りない人間をオモチャにしてきただろうが!!)

真紅「…言うに事欠いて、まったくもう」…グ!


…ミシ!


(…うぐぅ!!)
400 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:18:46.47 ID:w1x55120
真紅「わたしたちとあなたを、いっしょにしないで」

ジュン「(…どんな記録にも、ローゼンメイデンが人を襲ったなんて書いてなかった)」

(あたりまえだ!) 



(これは、わしがやっとの思いで突き止めたことなのだからな!)



ジュン「(なんだって?)」

真紅「たわごとよ」

雪華綺晶(…そ、そうよ…!)



…ピシ ピシッ…



真紅「…わたしたちは、人間を手にかけたことなんか一度だって無いわ」

ジュン「(…そうだよな)」

真紅「戦乙女たちにだって、人間を殺させたことなんてない」

(よくもぬけぬけと! わしが知らんとでも、思っておるのか!)

雪華綺晶(い…言うな!!)

ジュン「(…雪華綺晶?)」

雪華綺晶(言うな、言うなぁっ! 真紅!)

真紅「…あなた?」



(いますぐ… いますぐ、こいつを黙らせて!!)
401 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:21:49.75 ID:w1x55120
ジュン「(き、雪華綺晶??)」

真紅「…あなた?!」

(…ほんとうに知らんのか? ならば教えてやる!)

雪華綺晶(やめろ! やめろぉっ!!)

(そやつこそ! 『御子』こそ、薔薇乙女の影であり闇!)

(…やめてぇーーーっ!)



(薔薇乙女に仇なす者たちを、闇から闇へ葬ってきたのだ!!)



ジュン「(…え?)」

真紅「なにを、デタラメを…」



…パキン!



真紅「な?!」

(お?!) 

雪華綺晶(!! し、しまった!)

(…ふは、ふはははは!!)


…シュルン


ジュン「(…やつを捕らえていた、氷が!?)」

(ははははは、見ろ! これが何よりの証拠よ!)



…シュルル… ヒュルルル…
402 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:26:21.85 ID:w1x55120
雪華綺晶「で、デタラメよっ! 聞かないで! こんなやつの言うことなんか…!」

(ふはは、はーっはっはっは!)シュルルル…



(氷のいましめが解けたということは、貴様が動揺したということに他ならん!)



真紅「…雪華綺晶?」

ジュン「(君は…)」

雪華綺晶(…うそ! うそよ!! あんなやつの言うことなんか!!)

(教えてやろう!  そやつはその心を操る力で、薔薇乙女を狙う者のみならず…)



(脅威となることが予想される勢力を、ことごとく排除してきたのだ!!)



雪華綺晶(ちがう! ちがう、ちがうっ!!)

(ある者は自我を破壊されて廃人になり、またある者は意識を操作され、そやつの操り人形にされたのだぞ!!)

雪華綺晶(うるさい… うるさいっ!!)

(貴様はそれを、けして誰にも知られることなくやってのけてきたのだ!) 



(だまれぇーーーーっ!!)



(闇から闇へ渡り歩き、知った者の心を喰いつくしながらな…! ふはははは…!)

真紅「あなた…」

ジュン「(…雪華綺晶…)」

(…まさか、姉妹たちにさえ知られていなかったとは思わなかったがな!)
403 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:29:06.90 ID:w1x55120
真紅「あなた…」

雪華綺晶(違う… 違う! わたしは…!)



―おまえは、誰とも心を通わせる必要はない



(…わたしは…)



(…)



【?????】



ピ… ピ…



「…」


ピ… ピ…



「…これで、よし」



ピ…



「起動する。 …目覚めなさい」







「…さあ、目覚めるのだ」
404 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:35:15.75 ID:w1x55120



「…」


…ポゥ


「…よし」





「わたしの声が、聞こえるか」


…はい


「わたしの質問に、答えなさい」


…わかりました 


「君は、自分が何者であるか、わかっているか?」


はい わたしは… 


人の 獣の 人形の… すべての心あるものの 精神に 干渉し… 


それらを操作し 支配するための… 


「…」


『機構』です。



「…その通りだ」
405 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:39:53.87 ID:w1x55120



「それでは君は、なにをするべきなのかも、わかっているね?」


…はい わたしのすべきことは…  アリスの完成を目指すこと… 


「…うむ」


…そのため まずは 薔薇乙女たちを この力で 守ることです


「そうだ」 


そして…


「…」


…です。


「そう、そのとおりだ。 …『刷り込み』は、正常になされたようだな」





「これから君は アリスの完成を阻む者を その力で排除するのだ」


…はい


「状況によっては 薔薇乙女たち 自身も含めて」


はい…


「…そのために 君に伝えて おかなければ ならない事がある」
406 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:41:08.84 ID:w1x55120
…なんですか?



「君は 他者の心に干渉し 操る能力がある」 



…はい



「それゆえに 君自身にも 心がある」



…わたしに、こころが?



「そうだ 君には 豊かな感情がある …それを知らない者は 心を操ることができない」







「だから君は 痛みも苦しみも 悲しみも怒りも 感じることだろう」





「自分のもの のみならず」 



「相手のものも その心に」
407 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:44:04.53 ID:w1x55120
…あいての こころも わたしの こころに…



「そうだ。 …しかし」 



「排除すべきものに 相対したときには」 



「そのことを 忘れなさい」



…え?



「排除すべきものと 心を通わせる 必要はない」



「排除するたびに 相手の苦しみ 悲しみを感じていては 君の心は もたないだろう」



「ひとたび 敵と認識したなら 一方的に なぶり 犯し もてあそぶ対象として 扱いなさい」



「それが 君の心を守る ただひとつの手立て」



408 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:46:11.84 ID:w1x55120
「君は 氷の仮面を つけるのだ」



…氷の仮面…



「何者も寄せつけず あらゆる感情を拒む 氷の仮面を その身と心に」







「君は 誰にも触れず 誰からも触れられない 存在となり 薔薇乙女たちを 守るのだ」



「冷たさで人を縛り 触れれば消える雪の結晶…【Schnee Kristall】のように」



「そう 君の名は…」 




「【雪華綺晶】だ」







きら… きしょう…



わたしは…



409 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:55:50.15 ID:w1x55120
【地下水脈】


(ふはは、ははは…! はーっはっはっは…!)

 
雪華綺晶(…)


真紅「雪華綺晶…」

ジュン「(君は…)」

(どうだ、わしの言うとおりだったじゃろう!)


雪華綺晶(…)


(きれいごとを並べ立てていたようだが、しょせん貴様らもわしと同じよ!)

真紅「…何を!」

ジュン「(…)」

(裏では人の命と心をオモチャにしておきながら、自分の手は汚れておらんとうそぶいておったのだ!)

真紅「…そんな!」

雪華綺晶(…)


(…そうよ)


真紅「…?!」

ジュン「(…!)」

雪華綺晶(そうよ… そうよ! あんなやつら!!)



(薔薇乙女たちに… お姉さまたちに、下卑た目を向けていた、あんなやつら…!)



(あんなやつら、オモチャにして… 何が悪いのよぉっ!!)
410 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 21:58:32.62 ID:w1x55120
【地上】


水銀燈「…」

金糸雀「…」


…ジーッ


水銀燈「…? なによ…」

金糸雀「…うふ、うふふ…」…グスッ

水銀燈「なに、笑ってるの…?」

金糸雀「うふふふふ…」ジーッ


「水銀燈の泣き顔、こんなに近くで見れるなんて、思わなかったかしら…」


水銀燈「…もう、バカね」…ギュゥ

金糸雀「…えへへ」

水銀燈「あなたなんて、鼻水まで出してるくせに」

金糸雀「…そんなに抱きしめられたら、汚しちゃうかしら…」

水銀燈「…バカ」


…ギュゥゥゥ
411 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 22:01:36.39 ID:w1x55120
のり「う、うぇぇ… よかった、よかったぁ…」…エグエグ

みつ「…うん、うん…」…グスッ



金糸雀「水銀燈…」

水銀燈「なぁに?」

金糸雀「わたしのお願い、ひとつ、聞いてほしいかしら…」

水銀燈「…言ってみなさい」

金糸雀「…」



柴崎「…よかった。 よかったのう…」

マツ「…ほんとうに、そうですわね…」…グスン



水銀燈「…金糸雀」

金糸雀「はい」

水銀燈「いいのね?」

金糸雀「…お願いかしら」

水銀燈「…」


…スッ
412 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 22:03:36.61 ID:w1x55120
巴「水銀燈?」

水銀燈「…」


スタ スタ スタ…


のり「銀ちゃん…?」

水銀燈「…みなさん」

金糸雀「…」

マツ「どうしたの?」

柴崎「おまえさん…?」

水銀燈「この子が、あなたたちにしてしまったこと…」

みつ「え…」



―やりなさい、ピチカート!



のり「え、えっ…」

柴崎「…」



―もし雪華綺晶があらわれなければ、ひとりずつ…



マツ「それは…」

雛苺「水銀燈…」

水銀燈「…わたしは」



「わたしは、そのことで、この子を責める気は無い」
413 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 22:11:48.39 ID:w1x55120
のり「え…?」

みつ「…銀ちゃん…」

水銀燈「アリスゲームは『なんでもあり』… そして、契約者はわたしたちと一心同体」

巴「…うん」

雛苺「…」

水銀燈「契約を交わした以上、ゲームに巻きこまれることだって覚悟しなくてはいけない」


「…わたしだって、ゲームに勝つために契約者を狙ったことがある」


柴崎「…うむ」

マツ「…」

水銀燈「そんなわたしに、この子の行為を責める意志も資格も無いわ」

金糸雀「…」

水銀燈「…だから」

金糸雀「…」グッ!



…シャッ!



ド  ボ  ! ! 



金糸雀「 ぐ ! ! ! 」
414 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 22:15:19.68 ID:w1x55120
みつ「?!」

のり「銀ちゃん?!」

金糸雀「ぐ… は…!」

水銀燈「…」グ…



…ズボッ



金糸雀「ぐぼ! …お…っ!」…ガクン ガクン…

雛苺「…カナ!!」

巴「あなた…!」

水銀燈「…これで」

柴崎「え…」



「これくらいで、水に流してはもらえませんか」



金糸雀「うご… ごぼ、ご…っ…」ガク ガクガク…

柴崎「おまえさん…」

水銀燈「…命を狙っておいて、虫のいい話だとは思うけれど」
415 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 22:21:23.97 ID:w1x55120
のり「銀ちゃん、なにもここまで…!」

水銀燈「これで終わらせるつもりなんて、ない」

雛苺「え…!」

水銀燈「今は戦闘中だから、これくらいにしておくけれど」

金糸雀「ご、ごぼ… お…」ガク… ガク…

水銀燈「…この子には、持てる時間のすべてをもって償わせるわ」

みつ「か、カナ…!」

巴「金糸雀…!」

金糸雀「…ぐ、ぐぅ…」

のり「金糸雀ちゃん、大丈夫?!」

雛苺「カナ… カナぁ!」

金糸雀「み、みん…な…」

みつ「カナ!!」

金糸雀「す… すっ…」


「水銀燈を… 責め… ないで…!」


みつ「え…?!」

金糸雀「わ、わた…しが、そうして、くれって… 言った… かしら…」

水銀燈「…」

金糸雀「あのままじゃ… たとえ、みんなが許してくれても…」



「わたしの… 気が、済まない… から… ごぼっ…」
416 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 22:42:06.16 ID:w1x55120
みつ「カナ… カナぁ!」

金糸雀「みっ…ちゃん、ごめ…んね、わたし… なんでも、するから…」

みつ「…え?!」

金糸雀「わたし、わたし… どんな、ことでも… するから…」



「どうか、みっちゃんの… そばに、いさせて…」



みつ「…!」

金糸雀「おね… がい…」ヒュー ヒュー…

みつ「う…」



「うわあああああああん!!」ガバッ!



マツ「…あなた?!」

柴崎「どっ、土下座!?」

みつ「…みなざん!!」ズリ…



「 ご べ ん な ざ い っ ! ! 」



巴「みっちゃんさん…」

雛苺「ふ、ふえ…」

みつ「…どうが! どおが!! ごのごのごど!!」ズリ ズリ…



「 ゆ る ぢ で や っ で 、 く だ ざ あ あ あ あ あ あ い っ!!」
417 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/07(月) 22:51:09.34 ID:w1x55120
水銀燈「…みつ…」

みつ「おねがいでずっ! おねがいじまずっ!!」ガバッ ガバッ!

金糸雀「みっ… ちゃん…」


…スッ


みつ「が、がな…?」

金糸雀「みっちゃん…」…ヒシッ

みつ「がな… がなぁぁ!!」ガバ!!

金糸雀「みっちゃん… みっちゃあああん!!」ガバ!!




「…ぶぅええええええええええん!!」

「…びぃええええええええええん!!」



雛苺「…カナぁ…」グスッ

水銀燈「…まったく、もう」

巴「…水銀燈?」

水銀燈「これじゃわたし、立場がないわぁ」

巴「え?」

水銀燈「まったく、みつったら…」



(あなたのほうが、その子の母親みたいじゃない…)
418 :[sage]:2009/09/07(月) 22:52:28.25 ID:w1x55120
今日はここまでです。 続きはあさって。
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/07(月) 22:55:08.36 ID:f4vKa1Io
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/07(月) 22:58:17.70 ID:/saZKAAO
乙です
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/07(月) 23:08:10.49 ID:KjURG7Yo
乙です。そういえばカナが何したのかを綺麗サッパリ忘れてた件
>>396 ほほう…
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/07(月) 23:18:29.53 ID:dl6fplco
カナなにしたっけか
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/07(月) 23:30:32.17 ID:YBQ1qooo
おつ!
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/07(月) 23:30:43.97 ID:5d7L9u6o
何もしてないよ
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/08(火) 00:27:40.74 ID:MX359gco
おっつ
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/08(火) 05:39:56.63 ID:E3GE.z.0
乙なんだぜ
きらきーとカナOh Goddddd...!

戦乙女ってどんな姿をしてるんだろう?
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/08(火) 19:41:10.59 ID:TDJiT.Io
「クスィ・アンバー」で画像検索
こんなのをイメージしてる
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/08(火) 23:09:56.26 ID:apCq6Vko


>>427
ア レ か
俺はALFのヴァルキリーか邪神じゃない方のCOS−MOSだな
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/08(火) 23:20:25.77 ID:mbcfyxso
ゼロ魔のワルキューレとか
無機質なゴーレムヴァルキリー
見た目は石膏像
を想像してるわ
430 :[sage]:2009/09/09(水) 00:23:26.70 ID:oyCNtVc0
自分のイメージだと、シンプルな中世の甲冑といった感じで、名前に反して性別を意識してないデザインです。
体高は3mくらいかな。
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/09(水) 01:33:09.28 ID:7XJcSuk0
なるほど……意外とデカいんだな
甲冑とかで身を固めてるのは予想できたが……
今後の活躍に期待です。
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/09(水) 01:44:28.58 ID:oAfEOi2o
あら、意外と小さい…
カタカタ喋りな辺り、兵器として作られた感じは受けてましたが…
今後の展開に期待を
433 :[sage]:2009/09/09(水) 21:03:09.12 ID:16SwDlg0
大変申し訳ないのですが、急用が入ってしまったため、明後日に変更いたします。
毎度毎度、すみません…
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/09(水) 21:04:38.74 ID:8lPQ9u6P
いつまでも待っててやんよ!
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/09(水) 21:12:32.34 ID:oAfEOi2o
急用の消化gngr
436 :[saga]:2009/09/11(金) 19:23:43.00 ID:6EDNyRU0
いつもすみません;;;
再開します〜
437 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 19:26:16.36 ID:6EDNyRU0
【?????】







「…雪華綺晶 何をしている?」



…これで よろしかったの ですか? お父さま…



「そうだ」



しかし、あの子たちは 父親を 求めています。



「いいのだ」







「けして わたしたちの 存在を 意図を 役割を あの子たちに悟られては ならない」







「知れば 彼女たちは 必ず 絶望するだろう」
438 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 19:27:50.49 ID:6EDNyRU0
…絶望?



「人形である自分たちが 人間とともに生きるということに」



…はい



「『薔薇乙女は 人と ともに生きて 幸せになる』」







「…という『幸せな物語』を あの子たちに 用意する」







「それが 『アリス』完成のために 必要なのだ」







…わかりました
439 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 19:29:57.88 ID:6EDNyRU0
「あの子たちが 『父親』を 求めていることは 私も知っている」







「それも 近いうちに 解決できるだろう」



…解決?



「長居は無用だ 帰還する」



…はい







「…なぜ」



「…なぜ あの子たち だけ?」



「わたしだって…」





「わたしだって 『幸せな物語』 が ほしい…」
440 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 19:34:19.21 ID:6EDNyRU0
【地下水脈】


ゴゥ…


(ふはははは… はーっはっはっは!)

(…うるさい! 笑うなっ!!)


真紅「…」


(これが笑わずにいられるか! 『私たちは、人を手にかけたことなんてない』だと?! ははははは!)

(だ、だまれだまれ! だまれぇっ!!)


ジュン「真紅…」

真紅「…お父様は仰っていた」


「私達ローゼンメイデンは、人間を苦しめたり、傷付けたりする存在ではないと」


ジュン「…」

真紅「わたしは、その言葉を守ってきた。 …その、つもりだった」

(な… なによ、真紅!)

ジュン「…」

(お父さまも… なによ、なによっ! あんなやつら…!)

真紅「…」

(あんなやつら… 生かしておく価値も、殺す価値もない下衆どもだったのよ!?)
441 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 19:38:14.89 ID:6EDNyRU0
真紅「あなた…」

雪華綺晶(あんな、あんなやつら…)


―ふひ、ふひひひひ… 生きた人形… か、かわいいなぁ…


雪華綺晶(みんなを、使い捨てのオモチャくらいにしか見ていなかったやつら…!)

ジュン「(…きらきー!)」


―ひょほほほ、こりゃ儲かりそうじゃ… 姉妹まとめていくらで売れるかの〜



雪華綺晶(あんなやつらをオモチャにして、何がいけないの?!)

ジュン「(君は…)」

(ふははは、開き直りおったか!)

雪華綺晶(それに、わたしだって… わたしだって!)


―君は、罰を受けなければならない


(さんざん、オモチャにされてきた! いいように、もてあそばれてきたのよ!!)


―自分のしたことの報いを、そこで受けるんだ


(そんなわたしが… 薔薇乙女たちをつけねらう外道どもをオモチャにしたからって…!)



…ミシ…



(いったいなにが、悪いのよぉぉぉっ!!!)
442 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 19:44:15.51 ID:6EDNyRU0
(はははは、悪くない。 何も悪くないぞ… はぁっはっはっはっ!)

(き、貴様!!)


…ミシ… ミシ…


ジュン「(な、何の音…?)」

真紅「…」


…ミシ… ビシッ!


(ふはははは、ははははっ!)

(うるさい! うるさいっ! 笑うなぁっ!!)

(これが笑わずにいられるか! 薔薇乙女どもめが…)


ゴ…


(実際は血まみれのくせに、自分たちだけは綺麗だと思いこんでいたのだからな!)

(ちがう、ちがうっ!! わかったような口を聞くな!!)

(『御子』よ、貴様は、わざわざ内緒にしてやっていたのだろう?)

(う、うるさいっ!!)

(姉たちの手を汚さぬため、貴様ひとりが汚れ仕事を引き受けてきたのだろう!)


ジュン「(こ、この!)」

真紅「…そう、なのね」

ジュン「(…真紅?)」

真紅「…」



「…そういうこと、だったのね」
443 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 19:51:17.09 ID:6EDNyRU0
雪華綺晶(し、真紅…)

真紅「あなた… なぜ、内緒にしていたの?」

雪華綺晶「…!」


ビキッ!


真紅「!」

ジュン「(水脈を塞いでる氷塊に、亀裂が!)」

雪華綺晶「だ… だって! だってだって!!」



「わたしだって… みんなと一緒に暮らしたかったんだもん!」



真紅「…」

雪華綺晶「こんなこと知られたら… あなただってジュンお父さまだって、わたしのこと…」

真紅「だから、黙って、しらばっくれていようと思ったの?」

雪華綺晶「!!」


ビキィ!!


ジュン「(真紅! きらきー!!)」

(おお、いいぞいいぞ! 脱出させてくれるのか!)

雪華綺晶(わ、わたし… 悪くないっ! わたしのせいじゃない!!)

真紅「…」

雪華綺晶(わたしのせいじゃ、ないのよぉっ!!)

真紅「…」スッ



ビシッ!
444 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:01:17.45 ID:6EDNyRU0
雪華水晶(あうっ!?)

真紅「…くっ」

ジュン「(真紅?!)」

(なにっ?!)

真紅「つ…」…ズキッ


(…自分自身を、茨で打ちすえおった…!)


ジュン「(真紅、君は何を?!)」

真紅「…このままでは、水路を塞いでいる氷塊が砕けてしまう」

雪華綺晶(し、真紅…?!)

真紅「落ち着きなさい、雪華綺晶」

雪華綺晶(…な、なによ! 力ずくで言うこと聞かせる気?! あなたもあいつと…)


ビシィッ!


雪華綺晶(ひぃっ!!)

真紅「…っ!」

ジュン「(真紅! きらきー!)」

雪華綺晶(ひ、ひっ…!)

真紅「…落ち着けって、言ってるでしょう?」

雪華綺晶「…何よ、何よ! …ひっ?!」

ギュルッ!

ジュン「(真紅!!)」

雪華綺晶(い、いやぁ… やめて、真紅…!)

真紅「…もう一度だけ言うわ。 落ち着きなさい」ギリ…


「 こ れ が 最 後 よ 」
445 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:08:52.90 ID:6EDNyRU0
(なんというやつらじゃ…)

ジュン「(真紅、君は…)」

真紅「今すぐ、氷塊を固めなさい」

雪華綺晶(…)

真紅「早く!!」

雪華綺晶(…お、おぼえてろっ!)


ギャン!!


(うぉ!? く、しまった!)

真紅「そう、それでいい」

雪華綺晶(…)

真紅「敵が目の前にいるのだから、余計なことは考えないで」

雪華綺晶(…ふん)

真紅「私たちを喰いつくそうとした、あの時のあなたに戻りなさい」

雪華綺晶(…)



―君は、氷の仮面をかぶるんだ



真紅「相手の痛みも苦しみもおかまいなしの、冷酷そのものだったあなたに」

ジュン「(真紅…!)」

雪華綺晶(…)



―君は、誰とも心を通わせる必要は無い。



キュォォォォ…
446 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:17:58.92 ID:6EDNyRU0
ジュン「(雪華綺晶!?)」

雪華綺晶(…わかったわ)ス…

ジュン「(そ、そんな… うわっ?!)」


ザワザワザワザワ…


(な、なんじゃあれは…!)

ジュン「(真紅の全身から… 白い茨が!)」

真紅「そう、それでいい。 …立ち直ったわね」

雪華綺晶(…ええ。 目が覚めたわ)…ス…


ズワァァァ…!


(茨が… 無数の茨が、まるで蜘蛛の巣のように…!)

雪華綺晶(みんなといっしょに、普通の女の子のように暮らすなんて…)

真紅「…」


(こんなわたしには、しょせんかなわぬ願いだったのだから…)ズゥオォォォォ…!


(ぐ、うおお! 逃げ場が…!)

雪華綺晶(そんなもの、あるわけないでしょう? ここはもう、わたしの巣よ…)

真紅「…」

雪華綺晶(あなたは囚われの、あわれな毒虫… うふ、うふふふふふ…)

真紅「(…そう、それでいいのよ。 雪華綺晶)」



(『これが最後』なんだから…)
447 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:21:38.18 ID:6EDNyRU0
【地上】



スリスリスリ…


「びい… びぃぃ… カナ、カナぁ…」スリスリ…


スリスリスリスリ…


「ぶぇ、ぶぇぇ… みっちゃん、みっちゃあん…」スリスリスリ…



のり「(ふたりして泣きながら、ずーっとまさちゅってる…)」

水銀燈「…もう」

柴崎「…」


…スッ


みつ「柴崎、さん…」

金糸雀「…」

柴崎「草笛さん…」

金糸雀「…おじいさん…」



「かなちゃんを、少しお借りして、よろしいかな?」
448 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:26:41.12 ID:6EDNyRU0
金糸雀「…」


―バシュッ!


―ぐあっ!


―あら、ごめんなさいねぇ…


金糸雀「…わたし…」

柴崎「お時間は、あまりとらせんので…」

みつ「…はい。 カナ、しっかりね」

金糸雀「…」

水銀燈「(金糸雀…)」


…トテ トテ トテ…


柴崎「…さあて」

金糸雀「…ごめんなさい…」

柴崎「…かなちゃん」

金糸雀「わたし… わたし…」

柴崎「…わかっておるとは、思うが」



「あれしきでは、許さんぞ」
449 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:29:18.09 ID:6EDNyRU0
みつ「…!」

水銀燈「…」

柴崎「自分ひとりで勝手に痛い目にあって、これでおしまいと言われても困るの」

巴(柴崎さん…?)

金糸雀「…当然です、おじいさん」

柴崎「…うむ」

金糸雀「わたし…」…グスッ

柴崎「うむ。 じゃから、罰としておまえさんは…」



「わしの家に来なさい。お姉さんといっしょにな」



金糸雀「え…」

みつ「…柴崎さん?」

柴崎「…お、おお。 別に、草笛さんからこの子を取ろうというのではないぞ?」

みつ「え? い、いえ、そんな…」

柴崎「お、おほん。 …週に1回、わしらのところに、必ず来なさい」

金糸雀「…おじいさん…」

柴崎「おまえさんのお姉さんともども、たっぷり仕返しさせてもらうぞ」
450 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:32:42.73 ID:6EDNyRU0
水銀燈「…おじいさま」

金糸雀「そんな…」

マツ「あら、おじいさん。 違いますわ」

柴崎「ん?」

マツ「『お姉さんと』じゃなくて…」

柴崎「お、おお。そうじゃったわい」

金糸雀「???」

水銀燈「…!」

柴崎「お、おほん。 …おまえさんの…」



「おまえさんの『お母さん』ともどもじゃった」



金糸雀「え? …えっ???」

柴崎「戦いが終わったならば、かならず、親子で遊びに…」 

水銀燈「親子で…」

柴崎「あ、いやいや、つぐないに来るのじゃぞ!」

水銀燈「(…おじいさま、あなたは…)」

マツ「腕によりをかけて、たっぷり仕返しさせてもらうわね?」
451 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:37:31.76 ID:6EDNyRU0
金糸雀「…わたしと、水銀燈が…?」…チラッ

水銀燈「(…金糸雀…)」

金糸雀「…おや、こ? そんな…」

水銀燈「…」


「そ、そんな…」


マツ「そう、なんでしょう?」

金糸雀「…(水銀燈が、わたしの親…?)

水銀燈「…金糸雀?」

金糸雀「…」…ジーッ

柴崎「…そうじゃろう? おまえさん…」

水銀燈「(…おじいさまの、意地悪)」


(わたしに、覚悟を決めろと言うんですね…?)


水銀燈「…」…グッ

…ツカ ツカ ツカ

金糸雀「す、水銀燈???」

水銀燈「(わかりました、おじいさま。 …わたし、負けません)」ツカ ツカ ツカ


(この子のことで… 金糸雀のことで…)キッ!


水銀燈「…あなたには、負けない」

みつ「え… え???」


…スタ スタ スタ
452 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:44:18.78 ID:6EDNyRU0
金糸雀「水銀燈…」

水銀燈「…ほら、しゃんとなさい!」グイ!

金糸雀「はっ、はい!」ピ-ン!

水銀燈「…」…ス


「おじいさま、おばあさま…」


柴崎「…なにかね?」

水銀燈「…わたしたちは、ずっとたくさんの国を…時代を、渡り歩いてきた」

マツ「…」

水銀燈「だから…」 



「関わりあった人のことなんて、あまり深く考えてこなかった」



金糸雀「水銀燈…」

水銀燈「どうせ、そのとき必要なだけの糧。いずれ遠からず別れる、仮の間柄。その程度にしか…」

柴崎「…うむ」

水銀燈「だけれど、それはもう終わり」

金糸雀「…え?」

水銀燈「わたしたち、この時代の、この場所に」 



「…あなたたちのそばに、腰を据えます」
453 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 20:56:56.77 ID:6EDNyRU0
金糸雀「え… えぇっ?!」

柴崎「…それが、できるのかの?」

水銀燈「そう、します。 してみせます。 お父さまにも、話はします」

金糸雀「そ、そんな…!」

水銀燈「そして、わたしはこの人たちとともに…」

マツ「…」

水銀燈「この時代、この場所で…」


「あなたたちを、立派に育て上げてみせる」


金糸雀「わ、わたしたちを??? 育てる?????」

水銀燈「ええ、そうよ。 …一人前の『アリス』としてね」

マツ「…あなた…」

柴崎「…あのときの、わしらとの約束かね?」

水銀燈「…はい、そうです」


(柴崎「お前さんが、ほんとうに罰を受けたいとおもうなら、生き延びることじゃ」)

(マツ「そして、あの子たちを立派に育て上げて、お嫁入りさせるのよ」)


金糸雀「約束…」

水銀燈「そうよ。あなたたちを、産んだ時のね」

金糸雀「『産んだ』…!」

水銀燈「ええ。 そして、これこそが、わたしがここに帰ってきた理由」 



「…生きることを、選んだ理由」
454 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 21:11:26.77 ID:6EDNyRU0
柴崎「…そうか」

マツ「あなた…」

水銀燈「だから、金糸雀。 …覚悟なさい」

金糸雀「え?」

水銀燈「昨日、言ったでしょう?」



「次からは、あなたたちがそれぞれ、アリスを目指すのよって」



金糸雀「あ…」

水銀燈「わたしは『マリア』になることを選んだ以上、もうアリスにはなれない」

金糸雀「そんな…」

水銀燈「だから、今からわたしは…」



「あなたたちを『アリス』にするために、生きる」



金糸雀「わたしたちを… 水銀燈が?」

水銀燈「ええ。 わたしはそのためになら、手段は選ばないつもり」

柴崎「…」

水銀燈「ここにいるみんなの力も、きっと借りることになる。 …いえ、いやもおうもなしに、巻きこんでいくつもりよ」

マツ「…」

水銀燈「それが、わたしに『生きろ』と言った、あなたたちの責任です」

柴崎「…うむ」



「その通りじゃよ…」
455 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 21:33:45.25 ID:6EDNyRU0
金糸雀「おじいさん…」

水銀燈「…もちろん、対価は支払います」

柴崎「対価?」

水銀燈「この子たちを『究極の少女』にするということは…」


「わたしたちが、いままで数百年生きてきて、成しえなかったこと」


「わたしはそれに、あなたたちを付き合わせようとしている。 それはつまり…」


「あなたたちの一生を、すべて奪うことになるかもしれないということ」


みつ「…あなた…」

のり「…銀ちゃん」

水銀燈「わたしは、あなたたちの一生と引き換えに…」



「わたしの『存在』を、あなたたちに捧げます」



巴「そ、存在って…?!」

水銀燈「そのままの意味よ」

のり「そ、そんな!」

水銀燈「あなたたちが、わたしたちと… この子たちとともにある限り」



「わたしは、あなたたちのために『存在』するものに、なります」
456 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/11(金) 21:40:14.63 ID:6EDNyRU0
みつ「な、なにもそこまで…!」

水銀燈「それくらいしなければ、あなたには勝てない」

みつ「え???」

水銀燈「わたしはもう、誇りも自由も、何もいらない」



「この子たちを、育て上げることさえできれば… もう、何も」



金糸雀「水銀燈…」

水銀燈「だから、みなさん。 どうか、わたしたちのこと…」 


…スッ


雛苺「!!!」

水銀燈「よろしく、お願いします」

金糸雀「(あなたが、人間に頭を下げるなんて…!)」

水銀燈「わたしのことと、わたしの大事な…」



「『娘』たちのことを」



金糸雀「娘…」

雛苺「わたしたちが… むすめ…?」

水銀燈「どうか…」



「どうか…」
457 :[sage]:2009/09/11(金) 21:41:13.43 ID:6EDNyRU0
今日はここまでです。続きは明後日。
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/11(金) 21:41:50.95 ID:/7ahcIwo
乙〜
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/11(金) 21:43:27.70 ID:qIJfznMo
乙です
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/11(金) 21:49:20.06 ID:2s/mxwwo
乙樽場
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/11(金) 21:54:14.29 ID:me4kY.EP
おつつ
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/12(土) 01:05:24.06 ID:mtnCpoI0
乙なんだぜ

……>>449からディスプレー滲んだ。
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/12(土) 02:07:28.93 ID:i4rwuj2o
おっつ
464 :[saga]:2009/09/13(日) 18:08:25.47 ID:ot2tVzo0
>>458-463
乙どもっす〜

>>462
駄文書きごときがおこがましいですが… 冥利に尽きます。
再開します。
465 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:10:54.88 ID:ot2tVzo0
【地下洞 最深層】



…シュッ シュッ



「…痛くない?」



シュルシュル…



「…ええ。ありがとう、です」



蒼星石「…よかった」…キュッ

翠星石「ちょっとだけ、痛いのがやわらいだ気がしますよ」

蒼星石「気を遣わなくても、いいんだよ」

翠星石「ほんとですよ?」

蒼星石「ありがとう…」…グ



…ズキッ



蒼星石「…うっ」…ヨロ
466 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:12:02.99 ID:ot2tVzo0
翠星石「ほらほら、蒼星石だって足をやられてるんですから…」

蒼星石「…大丈夫」…グッ

翠星石「こらこら、はだかんぼになる気ですか?」

蒼星石「でも、もう布がないし…」

翠星石「ほら、こいつを使いなさい」


…クイ


蒼星石「…ダメだよ。 君こそ、裸になる気かい?」

翠星石「足が無いんだから、スカートなんていらないんです。 ほら、早く」

蒼星石「…ごめん」…シュッ


ビリーッ


翠星石「こ、こらこら! 切り過ぎですっ! 見えちゃいます!」

蒼星石「あっ… ご、ごめん」

翠星石「あーれー! 蒼星石に襲われるですぅー!」

蒼星石「…もう、バカ」…シュル



…シュルシュル キュッ
467 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:15:01.99 ID:ot2tVzo0
翠星石「大丈夫ですか?」

蒼星石「うん。 …布地、あまっちゃったね」

翠星石「とっておくといいです。 ジュンたちが、ケガしてないとも限りません」

蒼星石「そうだね…」



ゴ…



翠星石「…もうすぐ、決着がつくころです。 みんなを信じて、待ちましょう」

蒼星石「うん… 翠星石」

翠星石「なんですか?」

蒼星石「…さっきの、こと」

翠星石「…」



―結局、アリスゲームなんて無意味だったんじゃないですか!!」

―何もかもわかってから、したり顔でえらそうに! …あの時、ほかに何ができたって言うんだ!!」




翠星石「…」
468 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:17:09.99 ID:ot2tVzo0
蒼星石「…」



―ちょーっと考えればわかるでしょう!? 殺しあいで、究極の少女になんか、なれるもんですか!」

―だから、わかった後だから、そう言えるんだろう! いつも君は、そうやってわかったようなことを言って!!」



翠星石「…ごめんなさい」

蒼星石「違う」

翠星石「…蒼星石?」

蒼星石「違うんだ… 僕は、宿命に立ち向かってるつもりだった」

翠星石「…」

蒼星石「戦って、だれか一人だけがアリスになるという宿命から、逃げずにいたつもりだった…」

翠星石「…ええ」

蒼星石「…けれど、僕は…」


「僕は、ほんとうは、逃げていたのか…?」


翠星石「…蒼星石?」

蒼星石「僕は、戦うことから逃げずにいたつもりで…」



「ほんとうは『考える』ということから、逃げていたのか…?」
469 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:20:38.91 ID:ot2tVzo0
翠星石「…あなた…」

蒼星石「僕は… 戦いに立ち向かっていたんじゃなくて…」


「戦うということに、逃げこんでいたにすぎなかったのかな…」


翠星石「…」

蒼星石「僕は…」

翠星石「…うんしょ」ググ…



ズリ… 



蒼星石「す、翠星石?」

翠星石「蒼星石、わたしを起こしてください」ズリ ズリ…

蒼星石「お、起こすって… こう?」ヒョイ

翠星石「そうです、やさしく抱きかかえて…そうそう、つぎは、ここ」

蒼星石「なに?」 

翠星石「ここです、ここ」


…クイクイ


蒼星石「…君の胸が、どうかしたの? 痛いのかい?」

翠星石「ほらほら、早く早く」クイクイ

蒼星石「???」


「…貸してあげる、って言ってるんですよ」
470 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:22:49.92 ID:ot2tVzo0
蒼星石「え?」

翠星石「貸してあげるから、好きに使いなさい」

蒼星石「え…そ、そんなこと…」

翠星石「…ほら、早く。 ジュンたちが帰ってくる前に…」

蒼星石「…」



…ポフ



翠星石「…そう」

蒼星石「…」

翠星石「さあ、早く」

蒼星石「…」



「う…」



翠星石「…」

蒼星石「う… ううっ…」ギュゥ…

翠星石「…よしよし」…スリスリ

蒼星石「僕は… バカだった…」 



「バカなのは、君じゃなくて…」



「僕のほうだったんだ…」
471 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:25:27.09 ID:ot2tVzo0
翠星石「…」スリスリ

蒼星石「最初から、わかっていたんだ… なのに、僕は…」

翠星石「蒼星石」

蒼星石「…?」


「…前言、撤回します」


蒼星石「前言…?」

翠星石「アリスゲームは、ムダじゃありませんでした」

蒼星石「え…」

翠星石「姉妹で戦って… 自分とも戦って… みんな、こんなにも強くなったんですもん」

蒼星石「…」

翠星石「わたしも自分から、もう逃げません」

蒼星石「…なに?」

翠星石「わたし、戦うのが、やっぱり好きなんですね…」

蒼星石「…」


―君は、戦いが嫌いなんじゃない! 周りに可愛く思われたいだけだ!!

―弱いものイジメが大好きなくせに! 壊し、いたぶり、蹂躙するのが大好きだったくせに!


翠星石「わたしは、戦うのが嫌いだったんじゃ無くて…」

蒼星石「…」

翠星石「戦いが大好きな… 弱いものいじめが大好きな自分を、認めたくなかっただけだったのかもしれません…」

蒼星石「…」

翠星石「蒼星石や、あいつの言ったとおりでした。わたし、りっぱな、悪魔人形です…」

蒼星石「…」



「当然じゃないか」
472 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:27:44.51 ID:ot2tVzo0
翠星石「…え?」

蒼星石「君は、悪魔だよ? いまさら気づいたのかい」

翠星石「そっ… その言い方は、ひどくないですか?!」

蒼星石「ひどいのは、君のほうだよ」

翠星石「な、なんでですか!」

蒼星石「…やれやれ」グイ!

翠星石「きゃ?!」

蒼星石「…」



…ジーッ



翠星石「そ、蒼星石?」

蒼星石「…」ジーッ…

翠星石「か、顔が近いですよ…?」

蒼星石「君は、誰の姉さんなんだい?」

翠星石「…え?」

蒼星石「…そして、誰の妹なんだい?」

翠星石「え… あ、あっ!」

蒼星石「わかっただろう? …もうっ!」



「君は、僕の姉さんで、水銀燈の妹のくせに!」
473 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:29:59.87 ID:ot2tVzo0
翠星石「…」

蒼星石「僕ら、戦いが大好きな悪魔たちの姉妹のくせに!」

翠星石「…う…」

蒼星石「僕らだけ悪魔扱いして、自分ひとり天使のつもりでいたのかい? …ひどいよ!」

翠星石「…うう、そのとおりですぅ… そんなつもりじゃ、無かったんですけど…」 

蒼星石「…」

翠星石「ぶりっこが、過ぎましたね… ごめんなさい…」

蒼星石「…」



「…ふふっ」



翠星石「わ、笑わないでください…」

蒼星石「水銀燈が、言ったとおりだ」

翠星石「え?」



…チュ



翠星石「…んなっ?!」

蒼星石「…ふふふ」

翠星石「ななななな、なにを?!!」

蒼星石「…」ニコニコ




「…素直になった君って、すごく可愛い」
474 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:32:37.18 ID:ot2tVzo0
翠星石「な、なにを言ってやがるですか!! …きゃあ?!」

蒼星石「うふふふふ…♡」スリスリスリ

翠星石「や、やめるですぅー!!」

蒼星石「なんで?」スリスリスリ…



「好きに使っていいって、言ってたじゃないか」



翠星石「そ、そうですけど… ひゃあん?!」

蒼星石「…♡」…ムニ

翠星石「さ、さっきとなんか違うですぅー! やめてくださぁーい!」

蒼星石「…やーだ♪」ムニムニ…

翠星石「ひゃあああーーー! …あんっ?!」


…ポフ


蒼星石「…」

翠星石「そ、蒼星石?」

蒼星石「もう、けして油断はしない」

翠星石「…」

蒼星石「…心も乱さない。 かならず…」



「かならず、みんなを連れて帰る」
475 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:34:23.43 ID:ot2tVzo0
翠星石「…ええ」

蒼星石「…そして」

翠星石「そして…」







「わたしたち…」

「僕たち…」







「水銀燈に、ちゃんと…」







…イマニ…






…イマニ ミテイロ…
476 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:35:53.99 ID:ot2tVzo0
【地上】


ヒュゥゥゥ…


柴崎「…」

水銀燈「お願いです、おじいさま」

金糸雀「…」



「わたしたち姉妹… いえ、親子を、どうか」



金糸雀「…親子…」

水銀燈「あなたたちの、そばに。 ずっと… いつまでも」

柴崎「…」

水銀燈「二度と、このような危険な目にはあわせません。 …必ず、あなたたちを守り抜いてみせます」

マツ「…」

金糸雀「す、水銀燈…」

水銀燈「…嫌とは言わせないわ」

金糸雀「え…」

水銀燈「これは、あなたとわたしの、おじいさまへのつぐないも兼ねているのだから」

金糸雀「い、いやだなんて! そんな… でも!」

水銀燈「でも?」

金糸雀「アリスゲームは…」



「アリスゲームは、どうなっちゃうの…?」
477 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:38:49.53 ID:ot2tVzo0
水銀燈「…」

金糸雀「わたしたちは、アリスになるためにずっと、時代を超えて戦ってきたんじゃ…」

水銀燈「…何を言っているの」

金糸雀「え?」

水銀燈「…アリスゲームは…」

雛苺「…水銀燈?」

水銀燈「…アリスゲームは」…グッ



「アリスゲームは、もう、終わったのよ」



金糸雀「え…ええっ?!」

水銀燈「みんなが来てから、ちゃんと言おうと思っていたんだけれど」

雛苺「アリスゲームが… おわり???」

水銀燈「金糸雀。 あなたさっき、すべての結晶をその身に集めたでしょう?」

金糸雀「え…」 

水銀燈「雛苺、蒼星石、真紅に翠星石を倒して」 

雛苺「…あ!」

水銀燈「それにあなた、わたしと雪華綺晶の結晶も受け取ったわよね?」

金糸雀「そ、そうだけど…」
478 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:42:13.14 ID:ot2tVzo0
水銀燈「ならもう、それで『今回の』ゲームは終わり」

雛苺「ふ、ふぇ…?」

金糸雀「え… そ、そんな!」

水銀燈「『姉妹で戦いあって、すべての結晶をひとりじめする』というゲームは…」



「あなたの勝利で終わったのよ」



金糸雀「そっ、そんな! そんなことって…」

水銀燈「終わりといったら、終わりなの!(…やれやれ)」

金糸雀「そんな…」

雛苺「…」

水銀燈「(わたしってば…)」 



(われながら、メチャクチャな理屈ね…)



(これで、みんなが納得してくれるとは、到底思えない… けれど)



(それでも、やるしかない。 …わたしが始めてしまったゲームなのだから)



(みんなからどう思われようと、わたしが終わらせなくては…)




金糸雀「わたし、わたし…」

水銀燈「決着はもう、ついた」…グ 



「…あなたの勝ちよ」
479 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:46:54.52 ID:ot2tVzo0
金糸雀「で、でも! わたし…」

水銀燈「…」

金糸雀「わたし、わたし、まだ…」



「わたしまだ、アリスになれてない…!」



水銀燈「…」

金糸雀「わたしたち、アリスになるために、ずっと戦ってきたんじゃなかったの?!」

水銀燈「そうよ。 だから、アリスゲームはこれからも続けていくわ」

金糸雀「…え?!」

水銀燈「なにをするかは、まだ決めていないけれど…」

雛苺「これからも…?」

水銀燈「そう。だけれど…」…スッ

のり「銀ちゃん?」

水銀燈「なにをするにしても、これからはずっと、わたしたちは」…ジーッ


「この時代、この場所で、あなたたちとともに生きていく」


のり「銀ちゃん…」

巴「…水銀燈」

金糸雀「この場所で… みんなと?」

水銀燈「そう。みんなとともに生きて、絆をつくる。 …それこそが」


「あなたたちをアリスにする手立てに、なるかもしれないのだから」
480 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:52:18.69 ID:ot2tVzo0
金糸雀「みんなとの絆が… わたしたちを、アリスに?」

水銀燈「そうよ、金糸雀。…あなた、わたしの記憶を視たでしょう?」

金糸雀「え… はい」

水銀燈「…わたしが砕け散る、その直前の記憶を、憶えてる?」

金糸雀「…!」



―みんな、ここにいるのね…

―つながって… いるのね…



金糸雀「あの時の…」

水銀燈「そう、あの記憶。 わたしが最後に想ったのは、あなたたちのことだった」

金糸雀「…」

水銀燈「あなたたちが… ここにいる、みんながくれた想い、絆が」

雛苺「…」

水銀燈「死の淵にあったわたしを、マリアにしてくれたのよ」

柴崎「…」

みつ「…銀ちゃん」

水銀燈「それならば、この力を持ってすれば…」



「あなたたちをアリスにすることも、きっとできるはず」



雛苺「みんなとの、きずなで…」

巴「…」
481 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:55:53.22 ID:ot2tVzo0
金糸雀「わたしたちを… アリスに…?」

みつ「…」

水銀燈「そうよ。 もちろん、それだけではないけれどね」…ググ


パキ ポキッ!


金糸雀「す、水銀燈???(ゆ、指を???)」

水銀燈「覚悟しなさいって、言ったでしょう?」…パキパキパキッ!

雛苺「ふ、ふぇ…???」…ビクビク

水銀燈「今度から、わたしがあなたたちを鍛えなおしてあげる」

金糸雀「き、鍛えなおす???」

水銀燈「あたりまえでしょう?!」グイ!

金糸雀「ひ?!」

水銀燈「まったく、薔薇乙女が5人もついていながら…!」


「こんなロートルの錬金術師ごときに、ここまで苦戦するようじゃお話にならないわ!」


雛苺「ふぇ…?!」

水銀燈「戦い方だけじゃない。礼儀作法から一般教養、レディのたしなみまで…!」

金糸雀「え、え…?」



「一から叩きなおしてやるから、覚悟なさい!」



雛苺「ふぇぇ…」ビクビク

金糸雀「…」
482 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 18:58:43.82 ID:ot2tVzo0
水銀燈「…金糸雀?」

金糸雀「…」

水銀燈「…聞いてるの?!(…やっぱり…)」

金糸雀「…」

水銀燈「(やっぱり、ダメ、かしらね…)」

金糸雀「…」


(…そりゃ、そうよねぇ)


(姉らしいこともロクにしてこなかった、わたしなんかが…)


(一足飛びにこんな、お母さん顔してみせたって)


金糸雀「…」

水銀燈「(…でも、やり通すしかない。 わたしはそのために、生きることを選んで…)」

金糸雀「…もう」

水銀燈「え?」


…ポフ


水銀燈「…金糸雀?」

金糸雀「…」グス…

みつ「カナ?」

金糸雀「…もう。これって…」…スリ…



「これって、いったい、どういうことなのかしら…?」
483 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 19:01:26.35 ID:ot2tVzo0
水銀燈「あなた?」

金糸雀「…こんなこと、夢でだって、みたことないかしら」

水銀燈「…?」

金糸雀「もう、わたし… おかしくなっちゃうかしら…」


…ギュ


水銀燈「金糸雀…」

金糸雀「わたし、いま、あたまがくるくるしてるかしら…」ギュゥゥゥゥ…

雛苺「…カナ?」

金糸雀「だって… だって…」…グス


「死んじゃったと思ってた水銀燈が…」



「もんのすごーーく、強くなって帰ってきて…」



「わたしのこと抱きしめてくれて、わたしのために泣いてくれて…」



水銀燈「…」



「それで、アリスゲームを、終わりにするって言ってくれて…」



「みっちゃんたちとも、ずっといっしょにいられるって…」



「水銀燈も、わたしたちを、鍛えてくれるって…」 



「わたしたちがアリスになるまで、ずっと、そばに、いてくれるって…」
484 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 19:04:09.57 ID:ot2tVzo0
水銀燈「…」

金糸雀「こんなの、こんなの… 夢にしたって、都合がよすぎるかしら…」

みつ「カナ…」

金糸雀「わたし… わたし、怖いかしら…」

水銀燈「…」

金糸雀「うれしくて… うれしすぎて、怖い… あたまが、ぐっちゃぐちゃになっちゃいそう…」
 
水銀燈「…あなた…」

金糸雀「だってだって、なによりも…」

水銀燈「なによりも?」

金糸雀「なによりも… なによりも、あなたが、水銀燈が…」

水銀燈「…」

金糸雀「水銀燈が、水銀燈が…」



「わたしたちの…」



…スッ



金糸雀「え?」

マツ「…ちょっと、お待ちなさい」
485 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 19:07:36.02 ID:ot2tVzo0
金糸雀「えっ… お、おばあさん???」

水銀燈「お、おばあさま? 何か…」

マツ「かなちゃん、それはおかしいわよ」

金糸雀「え…???」

柴崎「だって、そうでしょう?」…コホン



「母親を呼び捨てにする子供が、ありますか」



金糸雀「え… えっ…」

柴崎「そうじゃのう。 ちゃんと、呼んであげなくてはのう」

みつ「そう! そうよ、カナ! マツさんの言うとおり!」

金糸雀「みっちゃん…」

みつ「行儀悪いこと、しちゃダメ! …ね?」

マツ「ほら、みんなもそう言ってるわ」

金糸雀「…」

のり「…金糸雀ちゃん、恥ずかしがらなくって、いいんだよ?」

金糸雀「…」


…ジーッ


水銀燈「…」

金糸雀「…」



…トクン
486 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 19:09:45.89 ID:ot2tVzo0
金糸雀「(…あ)」



トクン トクン…



水銀燈「…?」

金糸雀「(この、感覚…)」



トクン トクン トクン…



水銀燈「…あなた?」

金糸雀「(ああ、やっと、やっとわかったかしら… この感覚…)」



トクン トクン トクン…



(この、なつかしい感じ… 心がおちつく、やすらぐ感覚は…)



水銀燈「…?」 

金糸雀(あなたの、あなたのなかで…)



(あなたのおなかのなかで、感じていた感覚… だったかしら…)




トクン トクン トクン…
487 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/13(日) 19:13:46.93 ID:ot2tVzo0
金糸雀「…」

水銀燈「…金糸雀」

金糸雀「…」

水銀燈「金糸雀、わたしは…」

金糸雀「…」


…ギュ


水銀燈「…金糸雀?」

金糸雀「…お…」

水銀燈「…!」


トクン トクン トクン…


「お、おか…」

「…か…」


…ギュッ


「…金糸雀っ!」ギュゥ…

「ああ…! お…」…ギュ



「 お 母 さ ま っ … ! 」



「金糸雀、金糸雀っ…!」

「お母さま… ああ、お母さまぁっ!」



ギュゥゥゥ…
488 :[sage]:2009/09/13(日) 19:14:42.32 ID:ot2tVzo0
今日はここまでです。続きはあさって。
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/13(日) 19:17:04.19 ID:0z.X502o
乙〜
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/13(日) 19:20:43.15 ID:ZoKzkroP
泣いた
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/14(月) 06:00:08.97 ID:uKzpUzMo
おっつ
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/14(月) 07:39:50.25 ID:T/z7MC6o
乙樽場
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/14(月) 23:02:05.54 ID:JO4k5fE0
乙なんだぜ、銀、あんたいい娘を持ったな。
494 :1[saga]:2009/09/15(火) 22:15:26.66 ID:jd4qrZo0
>>489-493
乙どもっす〜 再開します〜
495 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:18:12.05 ID:jd4qrZo0
【地下水脈】



キュバァ!



「ぬ、ぬぅっ!」

「…ふふふ」



キュボ!



「うお?!」

「…あれ? ふふふ、がんばるのね…」

「…雪華綺晶」



キュボ! キュバッ!



雪華綺晶「…なあに? 真紅」

真紅「あまり遊んでないで、そろそろ仕留めなさい」

雪華綺晶「…はぁい(真紅…)」


(わたし、遊んでなんかいない…)



キュバババッ!
496 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:20:28.82 ID:jd4qrZo0
真紅「…」

雪華綺晶(思った以上に、あいつがすばしこい… いえ)


(こっちの動きを、読んでいるのかも…)


真紅「(わかってるわ。 でも、私の力も…)」チラッ

ジュン「(…く…)」



「(がんばれ、みんな…! く、くぅ…っ!)」



真紅「(ジュンも、そろそろもたない…)」

雪華綺晶「(なんとか、蜘蛛の巣に追いこんでみる)」

真紅(…やってみて)


…キュバァ!


(く、うお!)


―ま、まずい…


キュボ! キュバア!


―今のやつは、霊体ではなく実体じゃから、かろうじて動きが読めるが…



キュバババ!



―避けきれん! このままでは、いずれ捕らえられてしまう…! 
497 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:23:08.04 ID:jd4qrZo0
真紅「…観念なさい!」

雪華綺晶「おねむの時間よ、おじいちゃん…」

(この… こうなれば!)ザワァ!



ズブズブズブ…



雪華綺晶「…!」

ジュン「…あれは?!」


ズブズブズブ…


(そうじゃ『御子』よ! 貴様の、最大の恐怖の対象じゃ!!)

真紅「あれが…?」

雪華綺晶「…」



―雪華綺晶。



(どうじゃ! 恐れろ、おののけ!)

真紅「あれが… あなたの恐怖の対象なの…?」

ジュン「(そんな…あれは?)」

雪華綺晶(…)


―わたしに逆らえばどうなるか、わかっているね?



(…違う)
498 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:26:19.82 ID:jd4qrZo0
ジュン「(雪華綺晶?)」

雪華綺晶「…」…ス



(あれは、違う)



ザワザワザワザワ…



ジュン「(な… 白い薔薇が…)」

真紅「あなた、なにを…」

(わしの作った幻像に、まとわりついていく…?)

雪華綺晶(あれは違う。 …ニセモノ)…スッ



(…かかれ)



バリバリバリバリィッ!



(な?!)

真紅「…!」

雪華綺晶(ほんものなら、こんなにたやすく喰らえるはずが無いもの…)

(し、白い薔薇が… わしの幻像を…)



バグ… ゾブ…



ジュン「(むさぼり、食いつくした…!)」
499 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:30:51.37 ID:jd4qrZo0
(なんと… なんというやつじゃ…!)

雪華綺晶「…もう、あきらめたら?」

(な、なんだと?!)

雪華綺晶「あきらめれば、すぐ楽にして…」


「やっぱり、あげない♪」ニヤァ-…


(ふ、ふざけるなっ!! これならどうじゃ!!)ギュオオオオオ…!

真紅「あれは…?!」


ギュゴゴゴゴ…!


ジュン「(空間に、穴が!!)」

(貴様が恐れる『虚無』じゃ! 呑みこまれてしまえ!!)

雪華綺晶(…ふん)


ズワァァァァ…!


真紅「…くっ?!」

ジュン「(真紅?!)」

雪華綺晶(ごめんね、真紅。 …あなたの目、貸して)

真紅「く、こっ… これは…」



ズル… ズル…!



(きゃつの右目から… 白薔薇が!!)

雪華綺晶(…いただきまぁす)



…キュボォ!
500 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:37:28.08 ID:jd4qrZo0
(な?!)

真紅「…くっ!」

ジュン「(白薔薇が、空間の穴を吸いこんだ…!)」

雪華綺晶(これも、ニセモノ。ただのまぼろし…)ギュゴォォォ…
 

(わたしをも呑みこむ『虚無』を自在につくれるのは…)


(あいつしか、いないもの)…スッ



キュボ キュバ!



(ぬお?! く、くっ!)

ジュン「(…あいつを、追いこんでいる!)」

真紅「…雪華綺晶、そこ!」 

雪華綺晶(うふ、うふふ… 楽しいわぁ…)

(こ、これはいかん…!)

ジュン「(あと、あとすこし…)」


(あと… すこ、し…!)



真紅「…ジュン?」

ジュン「(…う…うう…っ!)」

雪華綺晶(お父さま…  ?! い、いけない!)

ジュン「(ボクに… かまう、な…)」


(は… や… く… !!)
501 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:39:20.22 ID:jd4qrZo0
真紅「ジュン…」


…クイ


雪華綺晶(し、真紅?)

真紅「雪華綺晶、ヤツから目を離さないで」

雪華綺晶(え…?)

真紅「…ジュン」

ジュン「(し… しん… く?)」


…スッ


真紅「…力を抜いて」

ジュン「(え…?)」

雪華綺晶(…え、えぇっ!?)



…チュ



ジュン「(な!!)」

雪華綺晶(!!!!!)

真紅「(ジュン、ゆっくり、すいこんで…)」

ジュン「(?? あ… ああ)」



フゥゥゥゥ…
502 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:42:07.71 ID:jd4qrZo0
ジュン「(…)」スゥゥゥゥ…

真紅「(…そう。 今度は、ゆっくり息を吐いて…)」

ジュン「(…わかった)」フゥゥゥゥ…

真紅「(…吸って、吐いて…)」スゥゥゥゥ… フゥゥゥゥ…

雪華綺晶「(…)」ドキドキドキドキ


…スッ


真紅「…落ち着いた?」

ジュン「(…ああ。 ありがとう、真紅…)」

雪華綺晶(…あ…)

真紅「雪華綺晶?」

雪華綺晶(あう… あううう…)

真紅「…あなた??」


(なんじゃ、あいつら。 …まぁいい、今のうちに…)

(…逃がさない)


ギュル!


(うおお?! あ、危ない!)

雪華綺晶(…すばしこいのね)

ジュン「(き、雪華綺晶?)」

雪華綺晶(…)

ジュン「(…きらきー?)」

(…)



(な・ぁ・に〜?)ニヨニヨ
503 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:47:33.08 ID:jd4qrZo0
真紅「…あなた、どうしたの?」

雪華綺晶(…うふ、うふふふふ〜)ニヨニヨ

ジュン「雪華綺晶?」

雪華綺晶(…わたし…)

ジュン「え?」


(はじめて… だった… のぉ…)ポワポワ


真紅「…は?」

雪華綺晶(はじめてが… ジュン… おとうさまと…)フワフワ

ジュン「(そ、そう…)」

真紅「…」ムカッ

雪華綺晶(…えへ、えへへへへ…)…ニタァー

真紅「わたしは、ジュンとは2回目よ」

ジュン「な?!」…ゴボッ!

真紅「あら、知らなかったかしら? …って、もう」

ジュン「…ごぼ、がば!」ゴボゴボ…

雪華綺晶(…あ、たいへん!!)ガバ!

真紅「きゃあ?!」


チュゥゥゥゥ…


ジュン「(むぐぐぐ?!)」

真紅「(…ちょっと! ひとの体で、勝手なことしないで!!)」

雪華綺晶(だ、だあってぇ… ジュンお父さまがぁ、苦しそうだったしぃ…)ニマニマ

(…こいつら…) 



(ワシをナメおってからに…!)ソローリ…
504 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 22:52:52.44 ID:jd4qrZo0
真紅「(…あいつが!)」

雪華綺晶(…大丈夫)


ギャン!


(ぬお!?)

雪華綺晶(…バカね、逃がすわけ無いでしょう?)チュゥゥゥ…

ジュン「(きっ、きらきー!! 息を吹きこんでくれ! 苦しいっ!!)」

雪華綺晶(あ、ごめんね…♡)


…チュルッ


ジュン「(う、うむぐぅぅ?!)」 

雪華綺晶(ね、吸って… お父さまぁ♡)フゥゥゥ…

ジュン「(うぐぐ!! きっ、きらきーーー!!)」ジタバタ 


「(舌を入れないでーーーっ!!)」


雪華綺晶(だめよ、お父さま… ちゃーんと、吸って♡)

ジュン「(むぐぐーっ!!)」

真紅「(いいかげんに、しなさいっ!!!)」


ビズ!


雪華綺晶(あひっ?!)

真紅「まったく、もう!」

ジュン「(…し、死ぬかと思った…)」

(こ、こいつら…!)



(わしを… わしを、コケにしおって…!!!)
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/15(火) 22:57:20.42 ID:QkAQOKMo
ジュンになりたい
506 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 23:00:08.25 ID:jd4qrZo0
【地上】



「お母さま… お母さま!」

「金糸雀… ああ、金糸雀っ…!」



みつ「(…よかったね、カナ… 銀ちゃん…)」

のり「ひっぐ、ふぐ… ぐすっ…」



「わたし… わたし…」

「あなた… あなた…っ!」



柴崎「…うん、うん。 親子は、ええの…」

マツ「ええ、ほんとうに… ようやく、あるべきところに、おさまって…」



「う、ううう… ううっ…」

「ああ… ああ、ああああ…っ…」


雛苺「…」

巴「…ほら、雛苺」

雛苺「え?」

巴「雛苺も、ほら…」

雛苺「…ヒナも?」

巴「…ね?」

雛苺「…」



…トテ トテ トテ
507 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 23:05:47.45 ID:jd4qrZo0
水銀燈「…雛苺?」

雛苺「…す、水銀燈…」

金糸雀「…」


…スッ


雛苺「カ、カナ?」

金糸雀「…さ、あなたもここに、来るかしら」

雛苺「え…」

金糸雀「…ほら?」

雛苺「…」


トテ トテ


…ヒシッ


水銀燈「…雛苺」

金糸雀「さ、ヒナも…」

雛苺「…」

金糸雀「水銀燈…いえ、お母さまに」


「あらためてちゃんと、ごあいさつするかしら…」


雛苺「…」

水銀燈「…」



―いまだけ、水銀燈のこと、お母さまって呼んでいい…?
508 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 23:15:46.92 ID:jd4qrZo0
水銀燈「雛苺…」

雛苺「…」…ギュッ



…ポフ



金糸雀「…雛苺?」

雛苺「…」ギュゥ…

水銀燈「…雛苺?」

雛苺「…」


…ギュゥゥゥゥ


金糸雀「雛苺??? どうしたのかしら…」

水銀燈「(…雛苺)」ポソッ

雛苺「(…な、なに?)」

水銀燈「(あなた… あのとき、言ってくれたでしょう?)」



(わたしのこと、お母さまって…)



雛苺「(…!)」

水銀燈「(それとも、やっぱりイヤ?)」

雛苺「(え?)」

水銀燈「(わたしなんかが、母親じゃ、やっぱり…)」


ブンブンブンブン!


金糸雀「ひ、雛苺??? どうしたかしら???」

水銀燈「…?」
509 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 23:24:57.57 ID:jd4qrZo0
雛苺「(ちがう、ちがうの! イヤなんかじゃないの!!)」

水銀燈「(!)」

雛苺「(ヒナね、ヒナね…)」



(すっごく、すっごく、うれしいの…)



水銀燈「(あなた…!)」

金糸雀「(…当然かしら♪)」

雛苺「(ホントなの… 夢みたいなのよ…)」

金糸雀「(でも… それだったら、なんでちゃんとごあいさつしないかしら???)」

雛苺「(…)」

水銀燈「…雛苺?」

雛苺「(…なの…)」

金糸雀「…???」



(…みんなが、見てるの…)



金糸雀「…え?」

水銀燈「…雛苺?」

雛苺「(みんなが… のりも、巴も、みっちゃんも… )」



「(おじいちゃまもおばあちゃまも、ブリュンヒルデも、みんなが見てるの…!)」
510 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 23:32:12.52 ID:jd4qrZo0
水銀燈「…は?」

金糸雀「(そ、それがどうかしたかしら???)」

雛苺「…は…」ギュゥゥ…

金糸雀「は?」


(は、はずかしーの…)


金糸雀「へ?」

水銀燈「…そう、なの?」

雛苺「…」コクン

金糸雀「べ、べつに、ヒナがいまさらそんなこと気にしなくても…」


「やーーーなのーーーー!!」


巴「ひ、雛苺?!」

水銀燈「あ、あなた?!」

雛苺「…なの!!」ギュゥゥゥゥ…!

水銀燈「え?」


(やーなの、やーなの! はずかしーのーーーーー!)


水銀燈「…」

雛苺「(みんなの前でなんて、言えないのーーーー!!)」ブンブンブン

金糸雀「…もう、ヒナったら」

水銀燈「…ま、まぁ、いいんだけどね…」


「べつに… いますぐでなくても…」



…ションボリ
511 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 23:45:25.44 ID:jd4qrZo0
金糸雀「でも、でも… ほんとに、ほんとうに、嬉しいかしら…」

水銀燈「…そんなに喜んでもらえるなんて、思わなかった」

金糸雀「もう、当然かしら… ね、雛苺?」

雛苺「うん…水銀燈」


…ギュゥ


雛苺「もう、どこにもいかないで… お願いなの…」

水銀燈「…雛苺」…ギュ

金糸雀「よかったかしら… ほんとうに、よかったかしら! あとは…」 


「あとは、地下にいったみんなさえ無事に帰ってきてくれれば、めでたしめでたしかしら!」


キュバァァァァ!


ブリュンヒルデ「…来タワネ」

金糸雀「…!」

グリムゲルデ「アルト隊、帰還イタシマシタ!」

シュヴェルトライテ「掘削用機器、設置イタシマス!」

金糸雀「よ、よーっし!」シュタ!

柴崎「かなちゃん?」

金糸雀「地下への突入隊を、結成するかし…!」サッ!



…スカッ



金糸雀「あ、ありゃりゃ???」
512 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/15(火) 23:50:32.52 ID:jd4qrZo0
のり「金糸雀ちゃん??」

みつ「カナ?」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「(し、しまったかしら… 指揮棒が無いのを…)」スカスカ



(指揮権を剥奪されてるのを、忘れてたかしら…)



グリムゲルデ「オ姉サマ…」

金糸雀「あ… えっと、その…」

シュヴェルトライテ「…ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「…」


…スタ スタ スタ


金糸雀「…ブリュンヒルデ?」

ブリュンヒルデ「ドウゾ」


スッ…


金糸雀「黄金の、指揮棒を?」

ブリュンヒルデ「オ返シ イタシマス」 

金糸雀「…え?」

ブリュンヒルデ「…ドウカ 指揮ヲ オ執リクダサイ」

金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「ドウカ…」

金糸雀「…もう」


…スッ
513 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/16(水) 00:07:20.44 ID:Ntnjzzk0
ブリュンヒルデ「アリガトウ ゴザイマス」

金糸雀「…んもう、可愛くない妹かしら」

ブリュンヒルデ「…スミマセン」

金糸雀「…んもう!」


「出来がよすぎて、わたしには過ぎた妹かしら!」シュピッ!


水銀燈「…金糸雀!」

金糸雀「ソプラノ隊、メッゾ隊! 戦況を報告するかしらっ!」


(ゲルヒルデ「市街地ニ 入ッタ敵ハ スベテ排除完了 残リハ ワズカデス」)

(ヴァルトラウテ「…タダイマ 敵ノ湧出口ヲ 制圧イタシマシタ」)


金糸雀「…よーし! なら、ロスヴァイセとオルトリンデをこっちに来させるかしら!」

巴「地下へ、突入するのね?」

金糸雀「そのとーりかしら! 突入隊は今のふたりとブリュンヒルデ! 指揮は、わたしが執るかしら!」

水銀燈「…あなたが?」

金糸雀「そうかしら! 地上の指揮は、水銀燈におまかせするかしら!」

水銀燈「…わかったわ」

金糸雀「アルト隊は、さっそく掘削開始! 雛苺と巴は、地上のみんなを守って!」

グリムゲルデ「ワカリマシタ」

雛苺「りょーかいなの!」

巴「…はいっ!(金糸雀! わたし…)」 



(守られる側じゃなくて、守る側になったんだね?)
514 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/16(水) 00:16:46.41 ID:Ntnjzzk0
金糸雀「それじゃ、各自持ち場について!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」

グリムゲルデ「掘削装置 設置シマシタ!」

シュヴェルトライテ「作業 開始シマス!」



ギュガガガガガ…



柴崎「おお、すごいのぉ… 見る間に、穴がひろがっていくとは」

巴「岩盤が、クッキーみたいに削れていく…」

金糸雀「1分1秒が惜しいかしら! みんな、がんばって!」

グリムゲルデ「Jawohl!」

金糸雀「(そう… 急がなくちゃいけないかしら!)」


(みんなに、万一のことがあったりしたら…)

(この、大ニュースが… だいなしになっちゃうかしら!)


ギュゴゴゴゴゴゴ…


(みんな、みんな… 無事でいて!)

(そして… ちょっとでも早く、みんなに水銀燈の言葉を伝えるかしら!)

(きっと、みんなのこと、納得させてみせる! そして…)


「みんなで、みんなで…!」

「カナ?」

「みんなでそろって、ぜーったいおうちに帰るかしらーーー!!」


ギュゴゴゴゴゴゴ…
515 :[sage]:2009/09/16(水) 00:17:51.78 ID:Ntnjzzk0
今日はここまでです。 続きは明後日。
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/16(水) 00:18:22.37 ID:4KEpG26o
乙ですた
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/16(水) 07:01:53.24 ID:.p8LSj2o
乙樽場

強力な増援が来る…!
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/16(水) 12:29:21.98 ID:j4isuVco
おっつ
519 :[saga]:2009/09/17(木) 20:03:16.72 ID:qdN43Yc0
>>516-518

乙どもっす。再開します〜
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/17(木) 20:04:41.24 ID:78zvIgAo
待ってたよ!!
521 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:04:53.02 ID:qdN43Yc0
【地下水脈】



ザワザワザワ…



(…かかれ!)

(ちょこざいな!)



ザザザザ…



(…この程度で、捕まるか!)

ジュン「(白薔薇の群れをかいくぐってる… 素早い!)」

雪華綺晶(なら、これはどう?)ズワァァァ…!

真紅「…く!」



ギュゴォォォォ…!



ジュン「(右目の薔薇が、開いた…!)」

雪華綺晶(あなたの肉体ごと、丸呑みにしてやる…!)ズゴゴゴゴ…

真紅「く…ぐっ!」

(お、おのれ!)



ギュゴゴゴゴ…!

522 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:07:37.44 ID:qdN43Yc0
雪華綺晶(…しぶといわね、おとなしく吸いこまれなさい!)

(ま、まだまだ! そう簡単に…!)


…ズォォォォォ!


真紅「…ぐ!」…ミシッ

ジュン「(真紅!)」



ミシ… ミシッ!



ジュン「(きらきー! 真紅が… 真紅の体が、限界だ!!)」

雪華綺晶(真紅?!)

真紅「まだ… まだっ!」…ビキッ!

雪華綺晶(…くっ!)



ズォォ…



(は、はあ、はあ… 危ないところじゃった…)

雪華綺晶(…逃げるのだけは、一人前ね。 おじいちゃま…)

(…なんとでも言え! 貴様らの力も、もう限界じゃろう!!)

真紅「…」



ミシ…



ジュン「(水路を塞いでる氷塊が…!)」
523 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:09:47.37 ID:qdN43Yc0
(この場をしのぎさえすれば、わしの勝ちじゃ!)

雪華綺晶(…この…!)

(戦力を整えて、かならず復讐してやるぞ!!)

真紅「…」



パァァ…



ジュン「(し、真紅?)」

真紅「ジュン、雪華綺晶」

(む…?) 


パァァァ…!


(紅く、光り始めた…?!)

雪華綺晶(…真紅、なにを?)

真紅「このままでは、らちが開かない」パァァァ…


「あいつの言うとおり、わたしたちの力はもうもたない」


(なん、じゃと…?!)

ジュン「(真紅…?!)」

真紅「ジュン、雪華綺晶。 …最後の力をふりしぼって」パァァァ…!

雪華綺晶(な、なにをする気なの?!)

真紅「…やつを」…ゴ…


ゴ ゴ ゴ …


「…やつを、まるごと凍らせてやる!」
524 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:12:41.89 ID:qdN43Yc0
(な… なに?!)

ジュン「(まるごとって… あいつの『肉体』まるごと、いっぺんにっていうことか?!)

真紅「そうよ…」パァァァ…!


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …


(こ、これは… あやつの体から…?!)

真紅「あいつをとりまく『肉体』すべてを凍らせて、動きを封じてやる!」ゴゴゴ…!

(すさまじい力の、脈動を感じる…!)

ジュン「(…で、でも! そんなことをしたら…!)」

雪華綺晶(そ、そうよ! わたしたちだって、中にいるのよ?!)

真紅「…ええ」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … !


(ち、力が…! あふれ出んばかりの力の奔流が…!)

雪華綺晶(いま凍らせたら、わたしたちだって動けなくなる!)

ジュン「(動きを封じることができても、あいつに止めをさせない!)」

真紅「…そう。 だから…」


ゴゴゴゴ…! ズズズズ…


(力の奔流が… 渦巻いておる…!)

ジュン「(し、真紅… なにを?!)」

真紅「だから、こうするのよ!!」カッ!!



ゴ オ ウ ! !
525 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:14:32.80 ID:qdN43Yc0
(…ぬおおおお?!)

ジュン「(う、うわ?!)」

雪華綺晶(く…?! こ、これは?!)



ギュゴォォォォォォ…!



ジュン「(う、うわああ?!)」

真紅「ジュン、しっかりつかまって!」

ジュン「(あ… ああ!)」ガシッ!

雪華綺晶(す、すごい… 真紅!)



ギュゴゴゴゴゴゴゴゴ!



(ぬ、ぬおおおお?!) 

真紅「さあ、行くわよ…!」ギュゴォォォォ…!

(や、やつを中心に…!)


ズゴゴゴゴゴ…!


(巨大な渦が…!!)


…ゴァァァァァァ!
526 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:20:32.75 ID:qdN43Yc0
ジュン「(う、うわ!)」

(う、うおお?! ま、巻きこまれ…!!)


…ギュルルルルル!


(う、うおおおわあああ?!)ギュルルル…!

雪華綺晶(…いい気味ね、おじいちゃま!)

真紅「このままわたしに、ついてきてもらうわ!」

(な、なんじゃと?! …おおおおお!)ギュルルルル…

真紅「あなたにとどめをさしてくれる子のところに、連れて行ってあげる!」

(なに…?!  !!!)

ジュン「(…! そ、そうか!!)」

雪華綺晶(…真紅!)

(ま、まずい! こうなれば、肉体を捨てるしか…!)

真紅「…やってみなさい」


ゴォォォォ…!


真紅「やれるものなら!」

(ぐ、ぐおお…! 抜け出せん!! おごおお!!)


ギュゴォォォォォ…!


ジュン「(す、すごい勢い…!)」

真紅「渦の中央からはみだしたら、一瞬で巻きこまれる! 動かないで!」

雪華綺晶(とうとう、このときが来たのね! …決着をつけるときが!)


ゴォォォォ…
527 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:22:50.37 ID:qdN43Yc0
【地下洞 最深層】





「…まだ、戻らないのか?」

「遅すぎますね…」





蒼星石「…ずいぶん、時間がたってる。 いや、たちすぎてる…」

翠星石「もう、とうにジュンの息がもたなくなってるはずです…」





翠星石「本気を出した真紅が、へまをするとは思えませんが…」

蒼星石「…」

翠星石「まさか…」


…ゴ


翠星石「…?」

蒼星石「…これは?」


ゴゴゴゴゴ…!


翠星石「な、なんの音…?」

蒼星石「!! 見て、翠星石!!」



ゴボボボボ…!
528 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:26:51.02 ID:qdN43Yc0
翠星石「な、水面が?!」

蒼星石「水位が上がってきてる… 逆流してる?!」

翠星石「(これって、まるで…)」


ゴボ… ゴボッ!


翠星石「(おトイレ、つまらせちゃったときみたいですぅ…!)」

蒼星石「いったい、何が…!」



ゴ  バ  ! ! !



翠星石「きゃああ?!」

蒼星石「うわっ!」



ギ ュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ !!



蒼星石「これは…!?」 

翠星石「う、うぇっぺっぺっ… げ!?」



 ・ ・ ・ ギ ュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! !



翠星石「な… なっ…?!」ポカーン

蒼星石「こ、これは…」



「…竜巻?!」



 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ !
529 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:31:39.46 ID:qdN43Yc0
真紅「…着いたわ、おじいちゃま」

(く、くそっ…!) 


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ !


(身動きがとれん…! め、目が回る…!)

真紅「目なんて無いくせに…」…スッ

ジュン「(…真紅?)」


「さあ雪華綺晶、いくわよ」


雪華綺晶(…いつでも、いいわ)

真紅「ジュン、しっかりつかまっていて。 指一本、外に出したらダメよ」

ジュン「(…わ、わかった)」

真紅「…Eine」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・


雪華綺晶「…Zwei」

(よ、よせっ!! …ぬおわああああ!?)

真紅「Drei!」カッ!


キュォォォォォ…!


(な、なっ?!)

ジュン「(こ、これは?!)」


「Ende!!」



ギ ュ バ ! ! !
530 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:34:25.11 ID:qdN43Yc0





…シュゥゥ…



「…」

「…」



シュー… パキッ



蒼星石「…いったい、何が…」

翠星石「…こ、これって…」



…パキ パキッ…



翠星石「こ、氷の柱…?」

蒼星石「…すごい…」

翠星石「こ、これって、まさか…」

蒼星石「…その、まさかだね」


…ピキ…


蒼星石「…あの竜巻を一瞬で、凍りつかせたんだ」

翠星石「や、やっぱり… 真紅たちなんですか?」



(…そうよ)
531 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:37:18.99 ID:qdN43Yc0
蒼星石「し、真紅?!」

翠星石「…無事でしたか! どこに?!」

(ここよ)



ポゥ…



蒼星石「(紅い光…?)」

翠星石「そ、そこですか!」

蒼星石「あ…!」



パァァ…



蒼星石「…氷柱の中に!」

翠星石「真紅、ジュン! …雪華綺晶は?」

雪華綺晶(…わたしも、ここにいる)

蒼星石「よかった… あいつは?」

翠星石「やっつけましたか? …それとも…」

真紅「(あいつなら、そこにいるわ)」



ボオゥ…
532 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:41:16.09 ID:qdN43Yc0
蒼星石「…!」

翠星石「氷柱の中に、黒い影が…!」

真紅(それが、あいつの本体。 捕まえてきたのよ)

(く、くそっ…!)


ボォ…


(く、くそ! 放せ… 放せっ!!)

雪華綺晶(ふふ、いいザマね…)

蒼星石「…捕まえてきた?」

真紅(ええ。…内側から凍らせたから、わたしたちには手が出せない)

翠星石「?… あ!」

真紅(でも、あなたたちなら…)

翠星石「…あ、あーあー。 なるほど。はーいはい…」…ニヤー

蒼星石「そうか。 …そういうこと、なんだね?」ニヤリ

真紅(そう。 …お願い、蒼星石)

蒼星石「…わかった」ヒョコ…


…ガシャッ


(な、なにをする気じゃ?!)

蒼星石「翠星石、『庭師の大鎌』を借りるよ」

翠星石「どうぞ、使ってやっておくれです」…ニヤニヤ

蒼星石「…さてと」…ジャキッ


ヒュン ヒュンッ!
533 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:51:14.66 ID:qdN43Yc0
(き、貴様… ま、待て!!)

蒼星石「ずっと待っていたよ。 …このときを(…結構、高い位置だね)」…ヒョコ

(お、落ち着け! 話せばわかる!)

翠星石「ひひひ… その慌てようだと、わかってるようですね?」ニヤニヤ… 


「心の樹を手入れするための『庭師』の道具ですが…」


蒼星石「…」ビュン ビュンッ!

(ま、待たんか! 早まるな!!)

翠星石「『庭師の大鎌』は、腐ってねじくれて、もう治しようがない樹に使う…」


「わたしたちの切り札です」


(…待てというのに! 人の話を聞け!!)

蒼星石「(この足じゃ、跳ぶことはできない… 投げつけるしかないかな)」

翠星石「何百年、何千年と生きて、ひねくれてふくれあがった大樹だって…」

(は、話を聞かんかっ!!)

翠星石「そいつなら、一撃でぶったおせますからね…?」

蒼星石「それじゃ、いくよ?」


…ジャキッ!


真紅(…お願い)

雪華綺晶(お母さまの、お父さまの… みんなの痛み、思い知らせてやって…!)

(ま、待てというに!! 今わしを殺したら…)

蒼星石「…」ヒョコ

(おまえらの手足や、こいつの体は見つからんぞ!)

真紅(…それならもう、見つけてあるわ)
534 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:54:23.83 ID:qdN43Yc0
真紅(もう、見つけてあるわ)

(な?!)

真紅(あなたにとどめを刺してから、取りに行かせてもらう)

(う、うそをつけ…!)

蒼星石「往生際が悪いよ」…ブン!

(や、やめろ…)

蒼星石「何か、言い遺すことはある?」

(ま、待て…! そ、そうだ! …わしが!) 

蒼星石「…?」


(わしが貴様らを直してやる!)


翠星石「…は?」

(ど、どうだ? 綺麗にもとどおりに治してやるぞ! また、アリスになれるのだぞ!!)

蒼星石「…」

真紅(…あきれた)

雪華綺晶(ボケちゃったのかな?)

(な、なにを言うか! わしは、今生きている錬金術師としては一二を争う腕の…)

蒼星石「…悪いけど」…チラッ

ジュン「…え?」



「間に合ってるよっ!!」…ブゥンッ!

(ひ、ひぃっ…?!)



…ガシッ!
535 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 20:59:49.49 ID:qdN43Yc0
蒼星石「な?!」…ギシッ

「…」ギリ…

(…おお!)



ギシ…



ジュン「(な、なに?! …あれは?!)」

「ク クク…」

蒼星石「く… こ、こいつ?!」

「…待ッテ  イタ…」ガラ…



「コノ… 瞬間 ヲ…」



真紅(あ、あれは… なに、なんなの?!)

翠星石「あ、あれは、まさか… まさか!!」


「…ク  ククク…」


蒼星石「貴様… 貴様なのかっ?!」

「 ヤ ラ セ ナ イ 」…グ!



ギシ… ギシ…!



(…ピュセル! でかしたぞ!)
536 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 21:03:09.93 ID:qdN43Yc0
雪華綺晶(あ、あれはいったい… なんなの?!)

翠星石「あ、あれはたぶん… そこの、クサレじじいの娘ですっ! で、でも…?!」


ギリギリギリ…!


翠星石「(さっきまでと、まるで姿かたちが違う…! なんなんですか、あれは!!)」

蒼星石「きっ、貴様… なぜ?!」

ピュセル「私ハ 不死身ヨ…? クックックック…」

蒼星石「体は完全に、コナゴナにしたはず…  !!」


…ボロッ


蒼星石「こ、これは…!」

ピュセル「…ソウヨ…」ボロ… ボロボロ…



「地面ノ 土砂ヲ… 寄セ集メテ… 体ニ シタノヨ…」



蒼星石「(な…なんてヤツなんだ!!)」

翠星石「蒼星石ぃっ!」

ピュセル「甘ク… 見タワネ… ククク…」

蒼星石「く、くそ!」

ピュセル「…デモ」



…ボロ…



ピュセル「ワタシハ モウ モタナイ…」ボロ ボロ…
537 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/17(木) 21:09:02.17 ID:qdN43Yc0
蒼星石「く… 離せ、離せっ!」

ピュセル「…エエ 離シテ アゲル!」


フォォォォォォ…


蒼星石「な… 何を?!」

ピュセル「地獄デ 待ッテイルワ!!!」カッ!



ズ ボ ォ ン ! ! !



真紅「?!」

雪華綺晶(な…!)

翠星石「…え?」


…ガシャッ ガラガラ…


ジュン(まさか… まさか…!)

(でかした、でかしたぞピュセル!)

翠星石「え? えっ…」

(自爆機能が、役立ったのぉ…!)

ジュン「…自爆だって?!」

真紅「蒼星石!!」

翠星石「…いっ…」


…ガシャ ガシャッ…


…ガシャリ


「いやあああああああああああっ!!!!!」
538 :[sage]:2009/09/17(木) 21:09:57.55 ID:qdN43Yc0
今日はここまでです。続きは明日。
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/17(木) 21:11:11.35 ID:aLjCSqUo
乙樽場

ピュセル良い子なのに…
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/17(木) 21:11:23.14 ID:78zvIgAo
なんだと…
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/17(木) 21:12:58.35 ID:GiAAMpco


蒼星石ー!!!
542 :[sage]:2009/09/17(木) 21:14:45.89 ID:qdN43Yc0
>>505
遅くなってすいません〜
願望を書けて満足(カエレ

>>520
開幕支援どうもです〜
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/17(木) 21:58:15.49 ID:hfheDS6o
おつ!
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/18(金) 00:52:58.95 ID:Wdp2h3E0
乙なんだぜ。
乙なんだ が……

蒼い子ォォォー……!!
ピュセルゥゥゥ……!!
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/18(金) 09:03:48.07 ID:xr0WyGIo
おっつ
546 :[saga]:2009/09/18(金) 19:34:28.74 ID:cezdtyY0
>>539-541
>>543-545
乙どもっす。再開します〜
547 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:37:40.10 ID:cezdtyY0
…パラ パラ…



「い… いや、いやあ…」



…パラ… 



「ああ…  あああ…  そ…」

(くくくく… はーっはっはっはっ!!)



…カラン



「蒼星石――――っ!!」 



真紅「…蒼星石が!!」

ジュン「蒼星石―っ!!」

雪華綺晶(あ… ああ… あれでは…)



(蒼星石は… もう…)



翠星石「蒼星石… 蒼星石っ!!」ズリ…


ズリ… ズリ…




「蒼星石ぃーーーっ!!!」ズザッ… ザリッ…
548 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:38:53.16 ID:cezdtyY0
(くくく… よくやったぞ、ピュセル!)

真紅「…貴様!」

(貴様らの力も、もう限界じゃろう?)



ピキ…!



ジュン「…氷柱に、亀裂が!」

雪華綺晶(貴様だけは、逃がすものか!)

(『肉体』を捨てるのは惜しいが…)



ピキ… ピキ…



(氷柱が壊れた瞬間に、抜け出してくれる!)

真紅「そうは、させるものか!」

(追ってくるがいい) 



(…この闇の中、力を使い果たした貴様らが、わしを捉えられるならな!)



…パラ…



ジュン「蒼星石っ…!」
549 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:39:47.57 ID:cezdtyY0
【地下洞 中層】


ギュガガガガガ…


「掘削の状況は、どうかしら?」

「…地盤ガ カナリ モロクナッテ イマス」



ギュゴゴゴゴゴ…


「落盤ヲ 防グタメ 慎重ニ 掘リ進メル 必要ガ…」

「…なるべく、急ぐかしら」

「…Jawohl!」


ギュゴゴゴゴゴ…


金糸雀「探査の結果は、出たかしら?」

シュヴェルトライテ「…深層ニ 巨大ナ 空間ガ アリマス」

グリムゲルデ「ソコカラ 断続的ニ 震動ヲ 確認シテイマス」

金糸雀「間違いないかしら…!」


ギュゴゴゴゴゴ…
550 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:42:09.81 ID:cezdtyY0
金糸雀「その空間まであと、何分くらいかかるかしら?」

グリムゲルデ「…アト 10分 クダサイ」

金糸雀「10分…」

シュヴェルトライテ「…ナルベク 急ギマス」

金糸雀「…そうして!」

グリムゲルデ「Jawohl!」

金糸雀「オルトリンデ、ロスヴァイセ! 敵部隊は?!」

オルトリンデ「抵抗ハ 散発的デス」

…ブン!

近衛兵「!!」

グシャ!

ロスヴァイセ「火器ハ 使エマセンガ 充分 制圧デキマス」

ゴバ!

近衛兵「!!!」

ガシュ!

金糸雀「わかったわ! アルト隊、掘削に集中して!(…早く、早くして!)」



(なんだか…)



ギュゴゴゴゴ…



(なんだか、胸騒ぎがする…!)
551 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:46:15.09 ID:cezdtyY0
【地下洞 最深層】


ピキ… ピキ…


真紅「(雪華綺晶、こらえて!)」

雪華綺晶(…でも、真紅!)

(ふぉふぉ、あと少しじゃて…)


ピキ… パキッ!


雪華綺晶(こいつを閉じこめておいても、とどめをさせる子がいない…!)

真紅「(…地上戦のかたがつけば、誰かが来てくれるはず! あきらめないで!!)」

ジュン「…」


翠星石「蒼星石、蒼星石ぃ…!」ズル… ズズ…


ジュン「真紅」

真紅「…なに?」

ジュン「…氷結を、解いてくれ」

真紅「…ジュン」

ジュン「蒼星石を、助けるんだ」

雪華綺晶(…お父さま、蒼星石は…)

ジュン「…」

真紅「ああなって、しまっては…」

雪華綺晶(蒼星石は… もう…)




ガスッ!
552 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:48:54.41 ID:cezdtyY0
真紅「?!」

雪華綺晶(…お父さま!)

ジュン「いいから…」…ギリッ

翠星石「…ジュン!!」


「いいから、助けるんだ!!」


翠星石「ジュン… ジュンっ!!」ポロポロ…

雪華綺晶(…はい)

真紅「…わかったわ」

(お、おお! ありがたいのぉ… 逃がしてくれるのか?)

ジュン「逃がすものか!!」キッ!


「蒼星石を助けたら、かならず捕まえてみせる!」


真紅「…ジュン」

ジュン「どこに逃げようと、必ず追い詰めてやるからな!!」

(ほほほほほ、ぜひそうしてもらおうかの…)


ピキ… ビキッ!


(こちらも待っておるぞ、戦力を整えてな。 …とりあえず『肉体』を作りなおさねばのう)

真紅「…なんですって?!」

雪華綺晶(まさか、子供たちを?!)

(…おどろくことではあるまい?)

真紅「まさか… 貴様っ!」

(案ずるでない。いまどき、子供狩りなどせんよ)



(行くところへ行けば、ひとやまいくらで買えるからの)
553 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:50:39.08 ID:cezdtyY0
雪華綺晶(…!)

真紅「この、クズが…!」

(ほほほほほ、怒れ怒れ… ほれほれ、ますます亀裂がひろがってきたぞ)



ピキ… ビキ!



真紅「この…!」

ジュン「真紅、氷結を解くんだ!」

真紅「…く…」

ジュン「…あいつに、そんなことなんか、絶対にさせない! 早く!」

真紅「…わかったわ…」

雪華綺晶(真紅… お父さま…)



「みんな」


ジュン「…え?」

(…なにぃ?)

翠星石「…あっ!!」



「その必要は 無いよ」
554 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:53:30.04 ID:cezdtyY0
(…なんじゃと?)

翠星石「あっ… ああ!」

ジュン「…君は!」



「みんな、ご めん」 



雪華綺晶(え…?! そんな… でも!)

真紅「蒼星石! 無事だった…」


…ガシャ


真紅「…え?」

翠星石「…そ、蒼星石?」

「…心配さ せて」


ギシ… ガシャ…


ジュン「き、君は…」

翠星石「あ、あああ… あなた!!」

「…何を」ガシャ… ガシャッ


カク カクカク…


「何を 驚い ている ん だい?」…ガシャッ




…ガシャ カタカタカタ…
555 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 19:56:03.60 ID:cezdtyY0
翠星石「あ… あなた…?! まさか…!!」

ジュン「君は… そんな、まさか君は!!」

蒼星石「珍し い こと じゃ、ない だ  ろう…?」カク カクカク…

雪華綺晶(あ、あああ… やっぱり…!)

(…あやつ… なんという、なんという執念じゃ!)

蒼星石「水 銀燈 だって…(…い、痛いっ!)」カクカク…


(一歩歩くごとに… 一言話すたびに、全身に痛みが響く…!)


翠星石「蒼星石ぃ…!」

蒼星石「ピュセ ル だって していた ことだ ろう?」カク… カク…

ジュン「も、もういい! 動くな、しゃべるなぁーっ!!」

蒼星石「そいつ を しっか り  おさえて おい て(…水銀燈、君は)」…ビキ ビキビキ…


(こんな苦痛に耐えて… ずっとずっと生きて…)


(僕らを守るために、戦っていたんだね…)


真紅「(蒼星石… あなた…!)」

雪華綺晶(バラバラになった体を… 自分の意志で、つなぎとめているの…?!)

翠星石「やめて… 蒼星石、やめてぇーっ!!」

真紅「無理しないで! じっとしているのよ!!」

蒼星石「大 丈夫 だ」…ガシャッ 



「はずし は しない」


…ジャキ!
556 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:00:05.57 ID:cezdtyY0
ジュン「そ、そうじゃない! もういいんだ!」

蒼星石「ダメだ よ …ここで とどめを さすんだ」フラ…

ジュン「あいつは逃げても捕まえられる! …君が死んでしまったら、とりかえしがつかないんだ!!」

蒼星石「気にし ない で」…ヨロ…


「これは 僕が 油断 してい た せいだ」


真紅「蒼星石…!」

ジュン「そんなこと、どうだっていい!! やめるんだ!!」

蒼星石「ジュン 君」…カク カクカク…

ジュン「…蒼星石!!」

蒼星石「翠星 石の こと 頼む よ」


…ブォン


翠星石「…蒼星石ぃーーーーっ!!」

蒼星石「ずっと ずっ と  大事に して あげ て」…ブォン ブォン 

ジュン「やめろ! やめろやめろーっ!!」

蒼星石「僕 の  ぶんま で  お願 い(…そう)」…ブォンブォンブォン!



(…僕さえ)



(僕さえ、ちょっとだけ、我慢すれば… みんな、幸せに…)
557 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:04:26.01 ID:cezdtyY0
真紅「蒼星石!!」

雪華綺晶(真紅、氷結を解いて!!)

真紅「…も、もうやってる!!」

ジュン「ば…」…ミシ


ミシ ミシ…


雪華綺晶(なにしてるの、真紅! はやく!!)

真紅「と、解けない!! なぜ…?!」

ジュン「ばっ…!」ミシ!

蒼星石「み んな   ごめ ん…」…グア!

ジュン「…ば…!!」



「 ば か や ろ う っ ! ! ! 」ビギッ!



真紅「?!」

雪華綺晶(え?!)


ベキベキベキベキ!!


翠星石「え、ええええ?!」

蒼星石「な な…?!」


 ・ ・ ・ ガ シ ャ ア ン !


(ば…)

ジュン「…」



(ば、か、な…!?)
558 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:06:37.36 ID:cezdtyY0
【地下洞 中層】


ギュゴゴゴゴゴ…


「…エ?」

「…? どうしたかしら??」


ギュゴゴゴゴゴ…


シュヴェルトライテ「…イエ」

グリムゲルデ「何カ 異常デモ?」

シュヴェルトライテ「タブン 検知機器ニ ノイズガ 発生シタモノト」

金糸雀「ノイズ?」

シュヴェルトライテ「…ハイ」

金糸雀「ちょっと、確認させるかしら」



ギュゴゴゴゴ…



金糸雀「…何かしら、これは???」

グリムゲルデ「巨大ナ… チカラ?」

シュヴェルトライテ「トテツモナク 巨大ナ 力ヲ 一瞬ノミ 観測 シタノデスガ」

金糸雀「…数値がおかしすぎるかしら」



「…こんな力が発生したなら、いまごろ大地震かなにか、起きてるはずかしら」
559 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:07:46.33 ID:cezdtyY0
シュヴェルトライテ「機器ノ 異常ノヨウデス」

金糸雀「…とにかく、急いで! なにかあってからじゃ遅すぎるかしら!」

グリムゲルデ「Jawohl!」



ギュゴゴゴゴゴゴ…




【地下洞 最深層】



パラ… パラ…



「…」



…ジャリッ



(な…)



パラ… ガラッ



真紅「そ、そんな…」

雪華綺晶(真紅、あなた…?)



ジュン「…」



…ジャリッ
560 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:10:54.01 ID:cezdtyY0
ジャリッ ジャリッ…



翠星石「ジュ… ジュ、ン…?」

蒼星石「ジュン 君 …?」



ジャリ ジャリッ…



雪華綺晶(真紅、あなた… 氷結を解いたの?)

真紅「…違う、解いたけれど… 解けなくなって…」

雪華綺晶(え…? な、なに?)

真紅「解けなくなったと思ったら… ジュンが… 自分で…」

雪華綺晶(自分でって… うそ?!)

真紅「…やつを見なさい!!」


ボォウ…


(く… く、くそ!! …なぜ!)

雪華綺晶(…うそ…)

(なぜ、わしでさえ脱出できんのに…)



…ジャリ ジャリ…



(生身の人間が、氷柱を打ち砕いて外に出られるのだ!?)
561 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:12:45.08 ID:cezdtyY0
ジュン「…」


…ジャリッ


蒼星石「そ そん な…」

ジュン「…蒼星石」

翠星石「ジュ… ジュ、ン…???」

ジュン「…大鎌を、渡すんだ」

蒼星石「…ぼ 僕は…」



「いいから渡すんだっ!!」



翠星石「…ひっ!」ビクッ!

ジュン「大鎌を、僕によこすんだ! 早く!!」

蒼星石「は…」


「はい…」…スッ


真紅「(ジュン… あなたは、いったい…?!)」

ジュン「…そうだ、それでいい」…ガシッ

蒼星石「…(ジュン君…)」

ジュン「君は、そこで静かに横になるんだ」

蒼星石「…はい…(この、この感じ…)」

ジュン「二度と、もう二度とこんなことはしないでくれ…!」

蒼星石「…(あの時の…)」



―私は、君たちを許さない。 けして、許さないだろう。
562 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:16:12.50 ID:cezdtyY0
蒼星石「(…ジュン君、きみは…)」

ジュン「…返事は?」

蒼星石「え…」

ジュン「蒼星石、返事は?!」

蒼星石「…は…」


「…はい…」


ジュン「…」

蒼星石「ごめん… なさい…」

ジュン「…まったく!」…ザッ

(き…)


ジャリッ ジャリ…


(き、貴様は… いったい…?!)

ジュン「蒼星石!」…ザッ! 

蒼星石「は… はい…?!」

ジュン「君は… 君ってヤツは!!」

蒼星石「え…」

ジュン「もう二度と…」グッ…


…ジャキ!


(?! よ、よせ!!)

ジュン「もう二度と!!」



ブォン!!
563 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:18:17.78 ID:cezdtyY0
(やめろ… やめろっ!!)

ジュン「自分さえ…!」…ブォン ブォン 

真紅「ジュン…!」

雪華綺晶(…お父さま!)



ブォンブォンブォンブォン…!



(よ、よせぇぇぇっ!!)

「…自分さえっ!!」ブォォン!



…グアッ!



「『自分さえガマンすれば』なんて、思うなぁーーーーーーっ!!!」



 
ビ ュ ン!




(…やめてくれぇえええええええええっ!!)




ギャルルルルルル…




(う、うわあああおおおおあああっ?!)





ザ ギ ュ ! !
564 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:19:40.43 ID:cezdtyY0
真紅「…!」



…ミシ…



雪華綺晶(つ、つきささ… った…?)



(…)



翠星石「…ヤツは、ヤツは…?!」

蒼星石「…!」



(…お…)



…ドロッ



真紅「?!」

雪華綺晶(な、なにあれ…?!)



(おお… お…)ドロ…



ドロ ドロドロドロ…
565 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/18(金) 20:23:47.45 ID:cezdtyY0
翠星石「う、うわ… あ、あれって…」

蒼星石「(闇が、あふれでてる…?!)」


…ドボッ ドボ…


(…お)

ジュン「…」

(お…お…)

「…」



「終わりだよ」



…ブシャッ!



お 

お 

お 

お 











!! 

V


ブシャアアアアアアア…
566 :[sage]:2009/09/18(金) 20:24:51.03 ID:cezdtyY0
今日はここまでです。続きは明後日。
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/18(金) 20:38:36.66 ID:Q4RmWGIo
乙っした。
ジュンカッケェ!
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/18(金) 20:43:40.35 ID:MhlOzoUo
乙樽場

とうとう…、とうとうケッチャコか…!
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/18(金) 21:20:51.30 ID:Mq.1H5Ao
おつ!
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/18(金) 22:34:00.54 ID:Nytm98Qo
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/19(土) 00:02:09.14 ID:DwYPHDco
おつつ
やっぱりきらきーかわいいお
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/19(土) 01:56:32.59 ID:6YGIyWIo
おっつ
573 :[saga]:2009/09/20(日) 22:40:22.53 ID:DLWUXLk0
>>567-572
乙どもっす。再開します〜
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/20(日) 22:41:05.81 ID:spf6FSUo
待ってたよ!!
575 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 22:42:09.37 ID:DLWUXLk0
【地上】



……



「…雛苺」

「…」



……



「雛苺…」

「…あなほりの音…」



……



雛苺「聞こえなく、なっちゃったの…」

巴「穴に近づきすぎたら、危ないよ」

雛苺「うん…」



…ヒュゥゥゥゥ
576 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 22:44:28.47 ID:DLWUXLk0
のり「もう、だいぶ深くまで潜ったのかな…」

水銀燈「…私の『声』も、もう届かなくなってる」


ヒュゥゥゥ…


みつ「そんなに深く?」

水銀燈「深さのせいじゃない。 あいつの力に阻まれて…」



チチチ…



柴崎「…ん?」

マツ「あら…?」



チチ チチチ…



のり「あ…あれ?」

みつ「小鳥が、さえずってる???」

巴「あ、あれっ!!」

雛苺「…あ!」



「お、おそら! みてっ!!」



パァ…
577 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 22:46:29.76 ID:DLWUXLk0
水銀燈「…あれは!」

のり「あ、ああっ…!」

雛苺「ま、まぶしいの…!」



パァァァァ…



柴崎「…太陽じゃ! 太陽が出たぞ!!」

マツ「あの子たち…!」

(『白銀の翼』ノ オ姉サマ!)

水銀燈「…ゲルヒルデ?」

のり「銀ちゃん?」

水銀燈「うん…」


「え…」 


「…崩壊?!」 


「それで…」


みつ「銀ちゃん…!?」

水銀燈「…わかったわ!」

巴「水銀燈?!」



「あなたたちは、そのまま敵兵たちを見張っていなさい!」
578 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 22:49:01.92 ID:DLWUXLk0
みつ「銀ちゃん… もしかして?!」

水銀燈「…そうよ!」


「敵兵が、制御を失い崩壊しはじめたわ!」


のり「それって… それって、まさか?!」

水銀燈「間違いないわ。あいつの力が失われたのよ!」

みつ「そ、それじゃ…!」

水銀燈「みんなと、連絡をとってみる!」

巴「お願い!!(みんな…!)」


(やったんだよね? そうだよね…?!)


水銀燈「(金糸雀… 金糸雀!)」


……


ゲルヒルデ「…了解シマシタ。 警戒態勢ニ 入リマス」

兵士「…」ボロ…


コワイ…


コワイコワイ… タスケテ…


…アレ…?







ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
579 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 22:53:08.31 ID:DLWUXLk0
【地下洞 深層】



ギュゴゴゴゴゴゴ…



「最深層マデ アトワズカデス」

「お願い、急いで…!」



ギュガガガガガ…



「…サキホドカラ 震動ガ 検知サレナク ナリマシタ」

「…みんなが、勝ったのかしら…」



ギュゴゴゴゴゴ…



金糸雀「(それとも…)」

(…金糸雀っ!)

金糸雀「はっ、はい!!」ピーン

(…聞こえる?! 聞こえるのね?!)

金糸雀「えっ? は、はい… って!?」 

オルトリンデ「オ姉サマ?」

金糸雀「あなたの声がここまで届くってことは、まさか!!」

(そうよ!) 



(あいつの力が、消えたのよ!!)
580 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 22:54:54.77 ID:DLWUXLk0
金糸雀「そ、それって… それって!!」

(わたしは、真紅たちと交信を試みる! あなたは至急、みんなの安否を確認して!!)

金糸雀「了解かっしらー!」


シュピ!


金糸雀「みんな!! 掘って掘って掘りまくるかしらーーーー!!」

「Jawohl!!」

金糸雀「かならず! かならず、グッドニュースを持ち帰るかしら!!!」



ギュゴゴゴゴゴゴ…



【地下洞 最深層】





「…痛むかい」

「平気ですぅ」

「…」





「…無理は、しないで」

「…ほんとに、へいちゃらです」

「…」
581 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 22:57:18.78 ID:DLWUXLk0
…ミシ…



「ぼ くも…」…ミシ

「…君は、じっとしてるんだ」

「…そうです。あなたは、絶対安静ですよ」

「…」


ミシ…


蒼星石「…ご めん…」

翠星石「…もう、しゃべらなくていいですってば。 身じろぎするだけで、痛いだろうに…」

蒼星石「…」

翠星石「…いいんですよ、もう。 大丈夫です」

蒼星石「(…ありがとう)」

ジュン「かならず、救援がくる。静かに待とう」

蒼星石「…」コクン

翠星石「…ふたりなかよく、ミイラ男になっちゃいましたね」

ジュン「君のスカートの切れ端が、見つかってよかった」

蒼星石「…」グ…


…ミシ…


ジュン「(…蒼星石…)」

翠星石「…真紅たちは、大丈夫でしょうか」

ジュン「大丈夫だよ。 きっと、みんなの体を持ち帰ってくる」

翠星石「…」


「…それにしても」
582 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:00:10.74 ID:DLWUXLk0
ジュン「…なに?」

翠星石「ジュン!」

ジュン「は、はい?」

翠星石「…」キッ!



「おめーはいったい、なにものですか!!」



ジュン「な、なにものって…」

翠星石「とぼけるんじゃ、ねーですっ!」

蒼星石「…」

翠星石「ふつうの人間に、あんなマネができますか!!」

ジュン「あ… あれかい? あれは違うよ」

翠星石「へ?」

ジュン「あれは、ボクの力じゃない」

蒼星石「…?」



「あれは、真紅の力だよ」



翠星石「…へっ?」

ジュン「正直、ボクもよくわからないけど」

蒼星石「…」



…ゴ…
583 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:01:14.74 ID:DLWUXLk0
【地下水脈】



ゴォォォォ…



「深いわね…」

「…」



ゴォォォォ…



「流されてなければ、いいけど」

「…」



ゴォォォォ…



「地上の戦況は、どうなってるかしら…」

「…」

「…ねえ、雪華綺晶」

「なに?」



ゴォォォォ…



真紅「どうしたのよ、さっきから黙りこくって」

雪華綺晶「…わかってるでしょう?」

真紅「さっきの、ジュンのこと?」



ゴ…
584 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:03:28.13 ID:DLWUXLk0
雪華綺晶(あんな説明で、納得できると思う?)

真紅「それ以外ないもの」ゴゥ…



「あれは、『共鳴』の力の一端よ」



雪華綺晶(…)

真紅「翠星石たちと同じよ。『共鳴』の力は、私だけに恩恵を与えるものではない」

雪華綺晶(…それはわかるけど)

真紅「お互いの心をあわせて『共鳴』を発動すれば、私と契約者両方の力を高めるのよ」

雪華綺晶(…ふうん)

真紅(氷柱の強度も、思ったほど無かったんでしょうね。あのときは私の力も、やつの力も尽きかけていたから…)

雪華綺晶(つまんなぁい)



ゴォォォォ…



真紅「面白くなくっても、真相なんてそんなものよ」

雪華綺晶(わたしは信じない)

真紅「…頑固ねぇ」

雪華綺晶(…ジュンお父さまは、きっと特別な人なのよ)

真紅「…」



(特別な人…?)
585 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:09:51.44 ID:DLWUXLk0
ゴォォォォ…



(…そんなはずはない。 ジュンに、そんな力なんか…)


(あれはたしかに、私の力だった。 …でも)



ゴォォォォ…



(…それなら、あのとき、私の力が制御できなくなったのは?)


(いったい… なぜ?)



ゴォ…



(ジュン…)



雪華綺晶(…真紅?)

真紅「え…」

雪華綺晶(どうしたの? 今度はあなたのほうが押し黙っちゃって…)

真紅「なんでもないわ… ほら、見えてきたわ」

雪華綺晶(…あ、あの中?)



ピキ… ビキッ…
586 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:11:04.12 ID:DLWUXLk0
【地下洞 最深層】





「…じゃあ、あれは真紅の力だって言うんですか」

「ああ。きっと、そうだよ」

「…」





ジュン「君たちといっしょだよ」

翠星石「まあ、そういうことにしといてやるですぅ」

蒼星石「…」

ジュン「…真紅たち、遅いな…」

翠星石「そんなにかからないって、言ってたですけど…」





ジュン「…蒼星石」

蒼星石「…?」

ジュン「返事はしなくていいから、よく聞いてくれ」

翠星石「…ジュン?」

蒼星石「…」

ジュン「…しつこいけどさ、もう」



「『自分さえガマンすれば』なんて、思わないでくれよ…」
587 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:12:44.01 ID:DLWUXLk0
蒼星石「…」

翠星石「…さっきのわたしたちの話、聞こえてたですか?」

ジュン「なんとなくね。 …もとはといえば、ボクが油断していたせいだけれど」

蒼星石「(…違う)」フル フル…

翠星石「…んもう、動いちゃだめですってば」

ジュン「それでも… 少しは、ボクたちに甘えて頼ってくれよ…」

蒼星石「…」

翠星石「…ジュンの言うとおりですよ、蒼星石」

蒼星石「…」

翠星石「あなたがいなくなってしまったら、わたしたち…」

ジュン「ボクだって、君がいなくなってしまったら…」

蒼星石「…」



…ザ…



翠星石「…お?」

蒼星石「…!」

ジュン「来たかな?」



…ザバッ!
588 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:16:00.86 ID:DLWUXLk0
真紅「…待たせたわね」

翠星石「真紅! それに…」

ジュン「…ああ、君は!」


「…みんな」シュル シュル…


…ボゥ


雪華綺晶「ありがとう…」



翠星石「雪華綺晶! …体、見つかったんですね!」

雪華綺晶「うん。 …みんな、ありがとう。ごめんなさい…」

真紅「…それでも、もうしばらくは私の体を使ってもらうようだけれど」

雪華綺晶「…ごめんね」シュルル…

真紅「いいのよ。 …翠星石、蒼星石」

翠星石「なんですか?」

真紅「…」



「ごめんなさい」



翠星石「え?」

ジュン「…真紅?」

真紅「すみずみまで、くまなく探したんだけれど…」



…スッ
589 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:19:30.40 ID:DLWUXLk0
翠星石「あ! …わたしたちの、手足!」

蒼星石「!」

真紅「ごめんなさい…」

翠星石「な、なに言ってるんですか? ちゃーんとそろって… あ!」

ジュン「あっ…」

真紅「…そう」



「翠星石の右手の先… それに、蒼星石の左足は、どうしても見つけられなかった…」



翠星石「え…」

ジュン「…(あの時…)」

蒼星石「…」

ジュン「(…最初に、切断された部分…)」


―…わ、わたしの腕が…!

―僕の… 足が…!


ジュン「…」

真紅「ごめんなさい…」

ジュン「君のせいじゃない」…グッ



「悪いのは、全部、ボク…」



ガブッ!
590 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:20:57.29 ID:DLWUXLk0
ジュン「うぎゃっ!?」

雪華綺晶「…翠星石?!」

翠星石「がるるるる…!」ガジガジ

ジュン「い、いてててっ!!」

真紅「あ、あなた?! 何やってるの?!」

翠星石「ひゃい、びゃかにんべん!」

ジュン「へ?」

翠星石「くばらないこと、ひってるひまばあるなら…」ブチ!

ジュン「ぎゃあ!!」



「とっとと、わたしの手足をつけやがれですっ!!」



ジュン「え…」

真紅「…あなた」

翠星石「不自由でしょーがねーですっ! 早くしやがれですぅっ!!」ジタバタ

ジュン「わ、わかったよ… 真紅、明かりを」



カッ!



ジュン「う、うわ?!」

真紅「え?!」

雪華綺晶「きゃ?!」



パァァァ…!
591 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:25:13.67 ID:DLWUXLk0
翠星石「きゃあ?! ま、まぶしいっ!」

蒼星石「…!」

ジュン「真紅! つっ、強すぎるよ!」

真紅「わ、私じゃない!」

「みーーーんなーーーーーっ!!」



シュルルルルルル…!



雪華綺晶「お父さま、上っ!」

ジュン「あ… あれは!!」



「だーーーいじょーーーぶかーーーーしらーーーーーーー?!」シュルシュルシュル…



真紅「…来てくれた…!」

翠星石「…カナ姉ぇーっ!!」

ジュン「戦乙女たちもいる!」

金糸雀「あーいーつーはー、どーーーーなったかーしーらーーーー?!」

真紅「…倒したわ!」

金糸雀「…え!」

雪華綺晶「やっつけたの! …ジュンお父さまが!!」

金糸雀「…!」



「イヤッホーかーしらー!!」



シュルシュルシュル…!
592 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:33:21.87 ID:DLWUXLk0
翠星石「…もう、遅いですよっ!」

金糸雀「面目ないかしら…」シュルルルル… ストッ! 



「みんな、ケガは無い?!」



ジュン「蒼星石が… 重体の一歩手前だ!! 翠星石も大怪我してる!」

金糸雀「抜かりはないかしら! ロスヴァイセ、応急処置を!」

ロスヴァイセ「Jawohl!」

ジュン「待ってくれ!」

ロスヴァイセ「…ハイ?」

ジュン「…ボクに…」


「ボクにやらせてくれ!!」


ロスヴァイセ「…アナタニ?」

ジュン「頼むよ、金糸雀!」

金糸雀「ジュン、ケガはないかしら?」

ジュン「大丈夫だ!!」

金糸雀「…それじゃ、おまかせするかしら! ロスヴァイセ、オルトリンデ!」

オルトリンデ「…ハイ」

金糸雀「応急処置は、ジュンの指示で動きなさい!」

ロスヴァイセ「…」


「ワカリマシタ」
593 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/20(日) 23:40:44.89 ID:DLWUXLk0
金糸雀「…何かしら、その間は???」

ロスヴァイセ「イエ…」

金糸雀「だーいじょうぶかしら! 道具の使い方を、ジュンに教えてあげなさい!!」

ジュン「…頼むよ!」

オルトリンデ「…Jawohl!」

ジュン「ありがとう… いくよ!」

真紅「…」



「よかった…」



雪華綺晶「…真紅?」

真紅「よかった… もう…」


…ボゥ


雪華綺晶「…真紅?!」

真紅「もう… だいじょう… ぶ…」ボォ…



…ボゾッ



真紅「金糸雀に… 戦乙女たちが… 来てくれたから…」ボロ… ボロッ

雪華綺晶「い、いやあっ! 真紅!! …お父さまぁーっ!!」

ジュン「な、なんだ?!」

雪華綺晶「真紅が… 真紅が!!」

ジュン「な… うわっ!!」



ボゾ… ボゾ
594 :[sage]:2009/09/20(日) 23:42:47.31 ID:DLWUXLk0
今日はここまでです。続きは明日。

>>574
支援どーもっす〜
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/20(日) 23:44:03.43 ID:spf6FSUo
おつつ

真紅どうなるのか…
そしてやはりきらきー可愛い俺の娘
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 11:02:56.29 ID:m0WOd9Qo
おっつ
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 17:10:57.35 ID:ld4WcXM0
乙なんだぜ。
ジュン、マジGJ、心震えた!!
598 :1[saga]:2009/09/21(月) 18:10:06.13 ID:GjksHa20
>>595-597
乙どもっす〜
再開します〜


あと…



今回は、かなりきつめの表現が入ります。
その箇所は念のため非表示にしますので、閲覧する方は自己責任で反転してください。
それでは。
599 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:12:22.50 ID:GjksHa20
【地上】

チチチチ…


(ソプラノ隊、メッゾ隊。 …状況は?)

(一般市民ガ 兵士ノ残骸ニ 近ヅイテイマス)

(…)


チチ… チチチ…


(『迷彩モード』デ 監視シテイマスガ 現在ノトコロ 異常ハ アリマセン)

(…お願い。市民の保護を最優先して)

(…Jawohl!)


水銀燈「…」

のり「…銀ちゃん…」

みつ「みんなは、大丈夫?」

水銀燈「…今、連絡を取ってみる」


チチチ…


柴崎「…そろそろ、人目も気にせねばならんの…」

みつ「金糸雀が戻ったら、車を直してもらって移動しましょう」

水銀燈「(…みんな… 返事をして…)」

(翠星石… 蒼星石…)

(雪華綺晶… 真紅…!)

(…)



(水銀燈―っ!!)

(わぁっ?!)
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 18:16:44.49 ID:XTBUR26o
待っていました!!
601 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:18:28.53 ID:GjksHa20
(水銀燈っ! すーいぎーんとー!! 聞こえたら返事してーーーー!!)

(き、聞こえてるわ!! なに?!)

(みんなを…)


水銀燈「みんなを?!」

巴「…水銀燈!?」


(みんなを見つけたかしらーーー!! みんな無事かしらーーーー!!)


水銀燈「…無事なのね? そうなのね!?」

(翠星石と蒼星石、それに…)

水銀燈「…それに?!」

(真紅がひどいケガをしてるけど… 命に別状はないかしら!!)

水銀燈「…あいつは? 青髭公は?!」

(喜んで! ジュンがやっつけてくれたかしらーーーーー!!)

水銀燈「…ほんとうに?! え、ええ… そう…!」

のり「銀ちゃん…!」

水銀燈「…みんな! あの子たちは、無事よ!」

柴崎「…おお!」

みつ「ほんと?! …いやっほう!」

水銀燈「いまジュンが応急処置してるところ! …わたしたちの、勝利よ!」

巴「…やったのね? 私たち… 勝ったんだね?!」

のり「よかった… みんな無事で、ほんとによかった…!」


……


兵士「…」


ウ… ウ… ウ… ウ…
602 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:22:02.40 ID:GjksHa20
【地下洞 最深層】



(…)



―体が… 



(…)



動か… ない…  …寒い…



(…真紅…)



だれ…?



(真紅… 真紅!)



…あなた… は…



おかあ… さま…?



「真紅っ!!」



「…ジュン…」

「真紅… ああ、真紅っ…!」


…ムク
603 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:24:00.10 ID:GjksHa20
金糸雀「…真紅! 意識が、戻ったかしら…!」

真紅「みんな… は…?」

ジュン「応急処置は終わった。 …とりあえず、危機は脱したよ」

翠星石「…ちょっと痛いけど、なんとか動きます」…クイ クイ

蒼星石「僕も… だいぶん、楽になったよ…」…ググッ

ジュン「だめだよ動いちゃ、ふたりとも…」

ロスヴァイセ「(…ナンテ オ方 ナノダロウ)」

オルトリンデ「(オ姉サマタチ 3人ノ処置ヲ モノノ数分デ コウモ完璧ニ…)」

真紅「そう… よかった…」

金糸雀「…」


トテ トテ…


金糸雀「(…ジュン)」

ジュン「(…)」

金糸雀「(…真紅の、あのありさまは、いったいどういうことなのかしら…)」

ジュン「(…やつに、侵食されたんだ…)」



ボロ…
604 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:25:21.84 ID:GjksHa20
ジュン「(『共鳴』の力で、一時的に回復させていただけだったんだな…)」

金糸雀「(…ひどい…)」

雪華綺晶「…」



スゥ…



真紅「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「…ごめん、なさい」

真紅「…」

雪華綺晶「あなたを… こんなにして… 翠星石も…」

翠星石「…」

雪華綺晶「蒼星石も… お父さまも… みんな、みんな…」



「わたしのせいで…」



真紅「…金糸雀」

金糸雀「…なに、かしら」

真紅「地上の戦況は… どうなっているの…?」

金糸雀「カナが、ここに来れたということは?」

ジュン「…そうか」

金糸雀「お察しかしら♪」



(…地上は、ほぼ制圧したわ)
605 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:26:43.12 ID:GjksHa20
蒼星石「…!」

翠星石「! …この声は!!」

雪華綺晶「お母さま!」



(雛苺と巴が、巨人兵をみごとに撃破した)



ジュン「そうか…!」

翠星石「やりましたね、雛苺!」

真紅「そう… じゃあ、雛苺はいま…」

水銀燈(無事よ。 地上で、休んでもらってる)

真紅「…」



「…ちょうど、よかった」



金糸雀「…え?」

真紅「みんなに… 話が、あるのよ…」グ…

(…それなら、ひとまず地上に戻りなさい)

金糸雀「そうかしら。 応急処置は終わったけれど、まだあなたたちは…」

真紅「いまじゃないと… だめなのよ…」ググ…



「雛苺や… 他の契約者のみんなには… 聞かれたくないから…」
606 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:28:58.14 ID:GjksHa20
雪華綺晶「…なんなの?」

真紅「あなたの… ことよ…」

雪華綺晶「…え?」

真紅「…あなたの…」

雪華綺晶「…!」



ボォ…



雪華綺晶「…待って、真紅」

真紅「…どうしたの?」

雪華綺晶「…いる…」



ボ…



ジュン「『いる』って、なにが…」

雪華綺晶「お父さま、真紅とわたしを抱き上げて…!」

ジュン「あ、ああ」ヒョイ

雪華綺晶「金糸雀姉さま、明かりを消して」

金糸雀「…わかったかしら。グリムゲルデ」

グリムゲルデ「ハイ」



…フッ
607 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:30:07.70 ID:GjksHa20
ジュン「…真っ暗だ」

雪華綺晶「…お父さま、ゆっくり前へ歩いて…」

ジュン「…わかった」


…ジャリ


翠星石「…いったい、なにが?」

蒼星石「…」

ジュン「…こっちか?」ジャリ ジャリ…

雪華綺晶「…うん、あとすこし…」



ボォ…



雪華綺晶「いた…!」

ジュン「…なにが?」

雪華綺晶「…」シュルシュルシュル…

ジュン「…茨を?」

雪華綺晶「…やつよ」シュルシュルシュル…



…ボォッ



ジュン「…!!」

真紅「これは…!」

雪華綺晶「…そう、あいつ」



ボォ…
608 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:31:19.06 ID:GjksHa20
ジュン「茨の中に、黒い影が…!」

金糸雀「…これが、まさかこれが!!」

雪華綺晶「そう。 …あいつの、かけら」

真紅「かけら?」



ボ…



雪華綺晶「…もう、命も心も尽きかけてる。 ほうっておけば、ほどなく消滅する」

ジュン「消滅…」

翠星石「…死んだフリをしてるってことは、ないですか?」

雪華綺晶「わたしには、わかるの。 …ほんとうに、虫の息になってる」

蒼星石「…」



(ぉ… ぉ…  …ぁ…)



雪華綺晶「…みんなを、オモチャにしたやつ…」

水銀燈(…)

雪華綺晶「お母さまを… お父さまを… みんな、みんなを…」

真紅「…」



「雪華綺晶」
609 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:34:25.61 ID:GjksHa20
雪華綺晶「…なに?」

真紅「…あなたの、好きにしなさい」

雪華綺晶「…え?」

真紅「…そいつを、あなたの好きなように… 気のすむように、してやるのよ」

ジュン「…真紅?」

真紅「…ジュン、水銀燈、みんな… それでいい?」

水銀燈(…あなた…?)

雪華綺晶「で、でも… わたし…」

真紅「そして、それで終わりにするの」

雪華綺晶「え…終わり、に?」

真紅「…そうよ、もう終わり」グ…



「あなたが誰かをオモチャにしたり、あなたが誰かからオモチャにされるのは…」



雪華綺晶「…え!?」

翠星石「…真紅?」

真紅「あなたはもう、誰からも、もてあそばれることはない。…誰も、もてあそんだりしなくていいの」

ジュン「真紅…」

雪華綺晶「そんな…! で、でもっ!」

真紅「…もう、終わりなのよ。 言ったでしょう?」…グ



「『これが最後よ』って…」
610 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:36:07.33 ID:GjksHa20
雪華綺晶「最後…?」

真紅「そう、それが最後。 それが終わったら、あなたは私たちと帰るの」

雪華綺晶「…!」

真紅「…そしてみんなで、一緒に暮らすのよ」

雪華綺晶「そんな…!」

水銀燈(…真紅…)

ジュン「君は…」



「そんな… そんな! でも、わたし…っ…」



金糸雀「…あ、あのー…」

翠星石「話が、見えないんですけど…」

蒼星石「しん… く…?」

真紅「…」



「…水銀燈、あなたは知っているの?」



水銀燈(…何を?)

真紅「…この子の事。 この子が、私たちのために、ずっとしてきたこと」

雪華綺晶「え…」

水銀燈(…ええ。 知っている)

真紅「そうなのね…」



「やはり、そうなのね…?」
611 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:38:13.89 ID:GjksHa20
水銀燈(…そうよ)

雪華綺晶「真紅?」

真紅「…みんな」

金糸雀「…なにかしら?」

真紅「この子はね…」

雪華綺晶「…!!」

ジュン「真紅?!」

真紅「この子は、ずっとずっと…」

雪華綺晶「…真紅! やめて!!」

水銀燈(…いいのよ、雪華綺晶)

雪華綺晶「え…」



(真紅に、任せなさい)



雪華綺晶「で、でも…!」

ジュン「水銀燈…?」

真紅「…この子は、ずっとずっと、私たちのために」

雪華綺晶「…真紅っ!?」



「…薔薇乙女に仇なす人間を、闇から闇へ葬り去ってきたのよ」



翠星石「…え…?」

蒼星石「…!」

金糸雀「え…?!」



雪華綺晶「(ああ… ああああ… みんな!)」ブルブルブル…
612 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:40:35.48 ID:GjksHa20
真紅「…そう、心を喰う力を使って。 私たちの手を、汚さないために」

金糸雀「…」

翠星石「…」

蒼星石「…」


雪華綺晶「(みんな… ああ、みんな…!)」


金糸雀「…間違い、ないの、かしら…?」

水銀燈(…そうよ)

翠星石「…!」

水銀燈(…その子はね、わたしたちを穢れ無き乙女にするために…)

蒼星石「…」


(お父さまと二人で、汚れ役をずっとずっと引き受けてきてくれたのよ…)


蒼星石「…お父さま… と…?!」

水銀燈(ええ。 …甦らせてもらったとき、教えてくれた)

真紅「お父さまが…」

翠星石「そんな… そんな!! 薔薇乙女は、人を傷つける存在じゃないって…」

金糸雀「わたしたちは… そんな…」

真紅「…」



「お笑いよね…」
613 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:42:16.94 ID:GjksHa20
ジュン「…真紅?」

真紅「わたしたち… ずっと、必死に戦っているつもりだった」


(生きることは、戦うことよ)


ジュン「…」

真紅「宿命に立ち向かっている、つもりだった。 …でも」

雪華綺晶「…」

真紅「ほんとうに『つもり』に過ぎなかったのね」

翠星石「…真紅」

真紅「私たちが、姉妹同士でのんきに戦っていられたのは…」キッ!



「ほんとうに過酷で凄惨な、喰うか喰われるかの戦いを…!」



雪華綺晶「…真紅…!」

真紅「あなたや水銀燈、それに…」

蒼星石「…」



「お父さまにおしつけていたからだった、っていうの?!」



金糸雀「…」

真紅「…お笑いよ!」

水銀燈(…あなた…)

真紅「…」



「…みんな」
614 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:45:24.96 ID:GjksHa20
翠星石「…なんですか?」

蒼星石「…?」

真紅「その子はね、不安なようよ」

雪華綺晶「…え」

真紅「こんな汚れ仕事ばかりしてきた自分が、わたしたちと暮らせるのかどうかって」

雪華綺晶「…」

真紅「みんなは、どう? …少なくとも」



「わたしは、その子のことをとやかく言えないんだけれど」



雪華綺晶「え…」

ジュン「…真紅」

真紅「ずっと守ってもらっておいて、文句を言える立場じゃないわ。それに…」

水銀燈(真紅…)

真紅「その子が汚れてるって言うのなら、わたしだってそうだもの… そうよね、ジュン?」

ジュン「…」

真紅「…わたしは、ずっと人をさげすみ見下してきた、みにくい汚い人形よ…」

水銀燈(あなた…)

ジュン「…君は…」

真紅「…金糸雀、あなたはどう?」

金糸雀「…」



「…真紅がそうなら…」



「そうなら、わたしだって、そうかしら…」
615 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:47:42.16 ID:GjksHa20
ジュン「金糸雀…」

金糸雀「さっき、水銀燈が止めてくれなかったら…」

蒼星石「…」

金糸雀「わたし、間違いなく契約者たちを、手にかけていたかしら…」

翠星石「…カナ姉、それはわたしたちもいっしょです…」

雪華綺晶「…翠星石?」

蒼星石「僕たちも… けだもの、だよ… 雪華綺晶…」

雪華綺晶「…蒼星石…」

蒼星石「僕らは、戦うのが好きな… 弱いものを、いたぶるのが、好きな… けだものなんだよ…」

翠星石「そのとおりです… 雪華綺晶」…キシ


「ずっと、あなたひとりに、背負わせてきちゃいましたね…」


雪華綺晶「みんな…!」

真紅「…あなたのしたことは、許されることじゃない」

雪華綺晶「え…」

真紅「でも… これからは、みんなで… それを、背負っていくのよ…」

雪華綺晶「…みん、なで…?」

翠星石「そうです。わたしたち、姉妹みんなで… おっと」

蒼星石「…ジュン君…」



ジュン「…」
616 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:50:48.82 ID:GjksHa20
真紅「ジュン…」

水銀燈(…)

翠星石「…ジュン」

ジュン「みんな…」

真紅「…ジュン、わたしたちは、この子の姉妹」 


「この子の罪も罰も、ずっと一緒に引き受けていくつもり」


ジュン「…」

真紅「でも、あなたは…」

ジュン「…言ったはずだよ。僕は、君の…」 


「みんなの父親のつもりだ」


雪華綺晶「…お父さま!」

水銀燈(ジュン…)

金糸雀「…うん…」

ジュン「…ああ。みんなと、命と心をわけあったんだから」

翠星石「ちち…おや…?」

蒼星石「ジュン君が…」

真紅「…」

ジュン「だからその子の過去がどうでも、いまさら見限るつもりなんてない。それに…」

翠星石「…ジュン?」

ジュン「…ボクも」

蒼星石「ジュン… 君…?」

ジュン「ボクも…」



「ボクも、人を殺したことが、あるんだよ…」
617 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:52:57.76 ID:GjksHa20
金糸雀「…え?!」

翠星石「え、ええっ?!」

水銀燈(…ジュン、あれは…)

ジュン「…いいんだ」

真紅「ジュン、あなた…?!」

蒼星石「…君は…」

ジュン「雪華綺晶、覚えているかい?」

雪華綺晶「え…」

ジュン「みんなが、水銀燈のおなかのなかにいたとき… 生き人形が襲ってきたことを」

雪華綺晶「…あ!」



(「Hi, I'm Chucky ! Wanna play ? 」)



ジュン「…ボクは、あいつを殺した」

雪華綺晶「で、でもあんなやつ、人間なんかじゃない!」

ジュン「そのあとで、あいつの妻と子供がやってきたんだ」

雪華綺晶「え…」

ジュン「…ボクは、そいつらも殺した」

水銀燈(ジュン…)



(「…父さん、母さん!」)

(「覚えてろ、化けて出てやるわ!!」)



ジュン「…子供を盾にとって、母親を脅してね…」

水銀燈「(ジュン…)」
618 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:55:19.03 ID:GjksHa20
雪華綺晶「で、でもそれは! お母さまを、みんなを守るために…」

ジュン「そう、君といっしょだ」

雪華綺晶「…!」

ジュン「…だからといって、許してもらえるとは思っていない」

翠星石「ジュン…」

ジュン「ボクは… これから、ずっと、ずっと、償っていくつもりなんだ…」

蒼星石「ジュン君…」

ジュン「…」


「きらきー」


雪華綺晶「…は、はい…」

ジュン「…」


「うちに、来なよ」


雪華綺晶「え…」

ジュン「君の事をどうこう言う人は、誰もいない」

水銀燈(…あなた)

ジュン「…みんなで暮らそう。 みんなでいっしょに、ちょっとずつ… 償っていこうよ」

雪華綺晶「…」

ジュン「…嫌かい」

雪華綺晶「…」



「…う…」
619 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:56:46.96 ID:GjksHa20
真紅「…雪華綺晶」

雪華綺晶「…う、ううっ… うぇ…」

翠星石「あらあら。 泣き虫さん、見っけたですぅ」

雪華綺晶「うぇ、うぇぇ… ひぐ、ひっぐ…」

金糸雀「…んもう、泣くんじゃないかしら…」…グスッ

雪華綺晶「ひぐ、ひぐ… だって、だってぇ…」

蒼星石「…雪華綺晶」

雪華綺晶「は…はい…?」

蒼星石「…終わらせるんだ」

雪華綺晶「え…」



ボォ…



(ぁ… ぉ…)



雪華綺晶「…」

蒼星石「…君が、始末するんだ。 …決着をつけるんだ」

雪華綺晶「…」

蒼星石「君ひとりには、やらせない。 …僕らが、最後まで見届ける」

翠星石「…ええ」

蒼星石「終わらせて… そして」



「みんなで、帰ろう」
620 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 18:58:18.37 ID:GjksHa20
水銀燈(蒼星石…)

蒼星石「みんながいる、あの場所へ。 いつもの暮らしへ。 …みんなで、いっしょに」

翠星石「…おいしいもの、いーっぱい食べさせてあげますからね?」



「…蒼星石、翠星石…」



金糸雀「…さ、雪華綺晶。 早くするかしら。 みんな、待ってるから…」

真紅「…あなたの思うとおりになさい。 それが、私たちの意志」



「金糸雀、真紅…」



ジュン「…さあ、やるんだ」

水銀燈(…わたしたちの、仇を討ってちょうだい)



「…お父さま、お母さま…」



「…」



(ぁ… ぉ… ぁ…)



「…」



「…真紅」

「いいわ」



シュルシュルシュル…
621 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 19:04:33.19 ID:GjksHa20
シュヴェルトライテ「(…紅玉ノ オ姉サマガ…)」

グリムゲルデ「(変貌シテイク… アノ姿ハ)」


シュルシュルシュル…


オルトリンデ「(氷晶ノ オ嬢サマ…)」

ロスヴァイセ「…オ嬢サマ…」

雪華綺晶「…みんな」


「お父さま、お母さま… お姉さま…」


「わたしがいまから、こいつにやること… わたしの声も、顔も、しぐさも… 全部、いっさい…」


「絶対、ほかのみんなには、ないしょにしてね? 特に… ヒナ姉さまには、絶対、ぜったい…」


水銀燈(…もちろんよ)

ジュン「わかってる。 …さあ、やるんだ」

雪華綺晶「…」


…ニヤリ


「ふふ…」

(…ぉ…)

「ふふふ… くっくっく…」


シュルシュルシュル…


「さあ、楽しみましょう…?」




…ペロリ
622 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga !orz_res]:2009/09/21(月) 19:05:44.88 ID:GjksHa20
ここより非表示。閲覧は自己責任で…
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 19:07:32.66 ID:AkhcoAYo
なんだどうした
624 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga !orz_res]:2009/09/21(月) 19:07:49.00 ID:GjksHa20
(…ぁ…?)

「おじいちゃまったら… こんなに、しおれちゃって…」ペロ…

(…ぉ…?)

「元気に、してあげる…」…チュ

(…ぁ…)



…ペロリ ペロ チュ チュク…



翠星石「…おや?」


(ふふふふふ…)…ペロ…

(…ぁ…ぅ…)

…チュク チュク チュ クチュ…


翠星石「ほんとに元気になってきましたよ」

蒼星石「…ほんとだ」

翠星石「スケベなじじいですね…」



(ぉ… お… お?)

雪華綺晶「ふふ… いい?」ペロ ペロ ペロ…

(おぉ… き… き、さ、ま…?)

雪華綺晶「もっともっと、よくしてあげる…」



クチュ クチュ ペロ ペロ…
625 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga !orz_res]:2009/09/21(月) 19:09:39.79 ID:GjksHa20
雪華綺晶「…どう? いいでしょ…?」チュ チュプ チュル…

(き、貴様… や、やめろ…!)

雪華綺晶「ふふ… 元気になった♪」

(な… なにをする気だ…!)

雪華綺晶「…わかんない? うふふ…」…ペロリ

(ま、まさか、貴様?!)

雪華綺晶「あんな虫の息じゃ、つまんないもん… ふふふふっ」

(や、やめろ!! よせ!!)



「 い た だ き ま ぁ ー っ す っ ♡ 」…アングリ

(う、うわあああ?!)



…ハムッ



(うお…?!)

「ふふふ…」ハム ハム ハム…

(う、うああ…! こ、この…!)

「ふふふふふ…」ハム ムニュ ハク…

(や、やめんか… こ… うお?!)



…カリッ



(ぐ… お?)

「…ふふ…」



…カリ…
626 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga !orz_res]:2009/09/21(月) 19:11:37.53 ID:GjksHa20
(な… なに… を…)

「…」



「くっくっくっく…!」



…ギリッ!



(ぐああ?!)

「くく、くく、くふふふっ…!」ギリ… ギリ…!

(ぎあ、あああ…! がああっ!!)

「…くくくく、きききききっ!」…ギリ… ブヂ!

(がは!!)



…ブヂブヂブヂィッ!!



(ぐがああああああ!?)

「きき… けけけ… くけけけけっ…!」グジュ グヂュ…

(が… があっ… ひ…)

「おいしい…♪」…ガァッ!



ゾブッ!
627 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga !orz_res]:2009/09/21(月) 19:13:36.20 ID:GjksHa20
(ぎああああああああ!!)

「くふ、くひゅひゅひゅ… ひゅひゅ…!」ガリ ゾブ… ブヂッ!

(ぐがあ!!)

「むふふぅ… ふふぅ… くふふふふふぅ…♪」ジュル… ブヂュ…



グジュ グヂュ ゴリ…



「…ちょっと」

「…」ゴリ… ブリ…

「ちょっと、雪華綺晶」

「え…?」

「…もったいないかしら」

「…?」

「そんなに大口あけてがっついたら、もったいないし行儀が悪いかしら」

「…あ、そうだね」

「もっと、すこしづつすこしづつ、じっくり味わってあげるかしら…」

「…うん」グヂ… ミリッ!



(ぎ、ぎああ! ああああ…!)
628 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga !orz_res]:2009/09/21(月) 19:16:18.00 ID:GjksHa20
「…カナ姉の、言うとおりですよ」

「え…」グヂュ…

「もっと、おぎょーぎよくしなさい」

「…?」

「もっと、しっかり、よーっく噛んで、味わってあげなきゃだめですよ…」

「…あ、はぁい。 …こう?」ガリ ゴリ ブヂ…



(う、うぐお! ぐごごごご…)



「そうそう。 いーっぱい食べて、大きくなるですぅ…」ニヤー

「…ほら、雪華綺晶」

「…なあに? 蒼星石お姉さま…」

「おじいさまが、疲れてきてるようだよ」

「…あ、ほんとだ」

「また、元気にして差し上げるんだ」

「…うん」チュ…

「水銀燈の、ジュン君の、僕たちの分まで…」…ニヤ

「うん…」チュク… チュク…

「たっぷり、たっぷり、おもてなししてあげなきゃね…」

「…はぁい」ペロ…



(う… や、やめ… ぐお…)
629 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga !orz_res]:2009/09/21(月) 19:20:28.19 ID:GjksHa20
「雪華綺晶」

「なぁに? 真紅…」

「…そろそろ、いいんじゃない?」

「そうかな?」ペロ… クチュ…

「すっかり、元気になったようよ」

「…おじいちゃま、まだまだ若いのね…ふふふ」

「ごほうびを、もらいなさい」

「…うん」…ガブッ!


(ひぎぃ!!)


ゾブ ゾブ…


(…青髭公さま)

(が… が、ぐ、が…)グジュ…

(本日は、心のこもったおもてなしをしていただき、まことにありがとうございました)

「…ボクたちからの返礼、楽しんでもらえてますか?」

「お父さま、お母さま。 おじいちゃま、壊れちゃったみたい」

「それはいけない… 治せるかい?」

「うん… ちょっと待ってて」チュク…

「まだまだ、楽しんでもらわないと、申し訳ないよ」

(そうね… くくくくく… ゆっくり、ゆぅっくり、おもてなしして差し上げないとねぇ…!)

(…ぅ… ぉ… ゃ…)


(あははは… ははははっ!)


(ぁ…)


(…)
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 19:23:07.25 ID:AkhcoAYo
そういうことか把握
>>622まで非表示するなよww
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 19:27:39.69 ID:QyG8ggAO
メール欄が変わったのが原因?
632 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/21(月) 19:27:45.91 ID:GjksHa20
【地上】


水銀燈「…」


のり「銀ちゃん…?」

巴「水銀燈…(あの顔… 静かに、してるけど…)」


「…」


みつ「(最凶ドールの、顔…?)」

雛苺「…」ガタガタガタガタ…


「…終わったわ」


柴崎「…なんと?」

マツ「え…」

水銀燈「…すべて、終わりました。みんなが、帰ってきます」

巴「そ、そう…」

水銀燈「…青髭公は、報いを受けました」

のり「え…」

水銀燈「わたしたちから… そして、あなたたちから奪ったものを、彼は返してくれた」

柴崎「…そうか」

水銀燈「みんなを、迎えましょう」

みつ「え、ええ…」


……


兵士「…」ア… ウ…   グ…?



アイツガ… イナイ…?
633 :[sage]:2009/09/21(月) 19:30:40.98 ID:GjksHa20
今日はここまでです。続きは明日。
>>600
支援どうもっす〜

>>623 >>630-631
失礼しましたm(;_ _)m
反転して閲覧してやってください。
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 19:32:26.39 ID:bf7SzQgo


最初は真っ白で分からんかったぜ
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 19:46:45.89 ID:XTBUR26o
>>1

ますます離れられなくなったよ
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 19:53:16.54 ID:QyG8ggAO
>>1
乙です。無事見れました。
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 20:52:39.68 ID:m0WOd9Qo
おっつ
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 20:53:26.74 ID:Sb9JssYo
おつ!
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/21(月) 21:32:15.63 ID:kkKE5O2o
乙樽場

長かった…、長く待った狒々爺フルボッコタイム…!
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 00:53:33.84 ID:hrKOScMo
おつつ
なぜだ少し爺がうらやま
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 05:22:26.02 ID:KQzbk2c0
ひぎぃ!!

で吹いた乙
642 :[saga]:2009/09/22(火) 20:17:53.04 ID:ajRgBWs0
>>635-641
乙どもっす〜

>>635
嬉しい事言ってくれるじゃないの(以下検閲

>>634 >>636
どもすみません;;;
懲りずに見てやってください;;;

>>639
長々と引き伸ばしてすんません;;;
でも満足(ヲイ

>>640
自分の願望を書きました(ヲイコラ

>>641
吹きどもっすw


再開します〜
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 20:18:47.78 ID:hrKOScMo
まってたよ!
644 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:19:56.67 ID:ajRgBWs0
【地下洞】



シャラララ…



「…来るのは苦労したけど、帰りはあっというまだね」

「やっと、みんなのところに戻れる… 君のことも、みんなに説明しなきゃ」

「お父さま…」

「…」



シャーーーー…



「…やーっと、終わりましたね。 クタクタですぅ」

「戻ったら、紅茶で一息つきたいわね」

「…ケガを治すのが先だよ。 戻ったら、すぐ治療するんだ」

「ちぇー、ですっ」

「…」


シャー…


「アノ…」

「なあに? …オルトリンデ」

「…」



「オヒトリダケデモ コチラヘ移ッテハ イカガデスカ?」
645 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:25:17.68 ID:ajRgBWs0
真紅「え…」

金糸雀「…ちょ、オルトリンデ!」

オルトリンデ「ジュン様ガ ツラソウデス」

ジュン「平気だよ」…ムギュウ

オルトリンデ「デモ オ姉サマガタノ 体ニモ 障リマス」

翠星石「…」


「…真紅が、そっちに行きたいって言ってます」ギュ-…


雪華綺晶「お姉さまのウソツキ!!」…ギュウ

真紅「私は疲れたから、ここにいるわ。 蒼星石は?」…ギュ

蒼星石「…」

真紅「蒼星石?」

蒼星石「…ぐー…すー…」…ギュッ

真紅「…もう」

翠星石「(…たぬき一匹発見ですぅ)」ツンツン

蒼星石「…ぐー(…我慢しなくていいって、言ってたじゃないか)」

シュヴェルトライテ「…私ガ ミナサンヲ シッカリ ツカマエテイルカラ 大丈夫ヨ」

オルトリンデ「デモ…」

金糸雀「(…オルトリンデ!)」

オルトリンデ「(ナニ?)」

金糸雀「(あなた、ちょーっとは気をつかうかしら!)」

オルトリンデ「ワタシハ 気ヲ使ッテ 申シ上ゲタノ デスガ」

ロスヴァイセ「(アナタ 気ノ使イドコロヲ 間違ッテルワ)」

オルトリンデ「(…ソウ?)」


(…ヘンナノ)
646 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:30:21.48 ID:ajRgBWs0
シャーーーーー…


グリムゲルデ「ホドナク 地表ニ 着キマス」

翠星石「…ワイヤーが切れたりしないですか?」

金糸雀「そしたら飛んでいくだけかしら。 …心配しすぎかしら」

翠星石「…そ、そうですかね…」

ジュン「…」


「みんな」


真紅「…なに?」

ジュン「ありがとう」

金糸雀「…なにかしら、あらたまって…」

ジュン「…生き延びてくれて、死なないでくれて。 ほんとうにほんとうに、ありがとう…」

翠星石「…」

ジュン「…特に、ふたりには…」

蒼星石「…え?」

ジュン「君たちふたりが、ボクと来てくれなかったら…」

翠星石「…」

ジュン「君らがいてくれなかったら、ボクはいまごろ…」…ス


「ほんとうに、ありがとう。 …そして、ごめん」


真紅「ジュン…」

雪華綺晶「…お父さま」

翠星石「…」


「おい、ドジ人間」
647 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:33:32.95 ID:ajRgBWs0
ジュン「…なんだよ」

翠星石「そこまで言うんだったら、わかってるんでしょうね?」

ジュン「…ああ。 かならず、君らの手足は元に戻してみせる」

翠星石「まんいち無理だったら、どうしてくれるつもりですか?!」

蒼星石「す、翠星石!」

真紅「翠星石ったら…」

翠星石「おめーのせいでキズモノになったとしたら、どう落とし前つけてくれるんですか?!」

ジュン「…そのときは」…ギュ



「一生、面倒見るさ」



蒼星石「…ジュン君」

翠星石「…! き、聞いてやがったですか?!」

ジュン「何を?」

翠星石「な、なにって…」

ジュン「さっきも言ったろう。 きみらは、ボクの娘だって」

翠星石「…そ、そんな…」

ジュン「…絶対、捨てたりしない。 最後まで、いっしょに暮らすよ」

蒼星石「…」

翠星石「…」



「…まったく」



…ポフ
648 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:37:32.82 ID:ajRgBWs0
ジュン「…翠星石」

翠星石「…本気ですか?」

ジュン「…ああ」

翠星石「まーったく、もう」ヒシ…


「ガキのくせに、カッコつけてちゃって、まあ…」


ジュン「…ボクは」

翠星石「…です」

ジュン「え?」


ギュウ…


ジュン「翠星石?」

翠星石「…」ギュゥゥゥ…


―…んです…


ジュン「え?」

翠星石「わたし…」ギュウウ…



―…ほんとに、ほんっとに… 



―怖かったんです!!



ギュゥゥゥゥ…



―とっても、とっても痛かったんです! 怖かったんです! わたし…
649 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:39:04.22 ID:ajRgBWs0
ジュン「…」


―…わたし、もうダメかもしれないって… もう、帰れないかもしれないって…


―捨てられるかもしれないって… 思っちゃったんです…


―怖かった、怖かったんですぅ…


ジュン「翠星石…」

翠星石「う… うぅ… っ…」ブルブルブル…

ジュン「…」…ギュ


ナデ ナデ…


ジュン「…ごめんな」

翠星石「あやまるんじゃ、ねーです…! ぐずっ…」

蒼星石「(翠星石、君ったら…)」


(僕には、我慢するなって言ってたくせに…)


(自分こそ、せいいっぱい我慢してたんじゃないか…)




…ピピピピッ!
650 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:42:31.22 ID:ajRgBWs0
ジュン「ん? 何の音…」

金糸雀「…!」


ピピピッ! ピピピッ! ピピピッ…!


グリムゲルデ「…オ姉サマ!」

金糸雀「グリムゲルデ! いったい何が!」

グリムゲルデ「…地下カラ 高エネルギー反応デス!」


ゴ…


真紅「こ、これは…?」

雪華綺晶「な、なに…?!」

グリムゲルデ「…地上ニ向ケテ 移動シテイマス! …詳細ハ不明!」

金糸雀「…一刻も早く、脱出するかしら!!」

グリムゲルデ「Jawohl!」


ピピピピピピピ…


ロスヴァイセ「ドンドン 近ヅイテクル…!」

オルトリンデ「…スゴイ数! コレッテ イッタイ…?!」

雪華綺晶「(…まさか)」


(まさか…!)


シュルルルル…
651 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:44:37.23 ID:ajRgBWs0
【地上】



ザワ…



「…なんだ、これ?」

「…人形?」

「…」


ザワザワ…


青年「…こんなもの、いつのまにうちの庭に?」

少年「なんなんだろう…」

ゲルヒルデ「(…ドウシヨウ、回収デキナイ…)」



「(異常ハ ナイ ヨウダケレド…)」



…ゴ…



ゲルヒルデ「(…?)」
652 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:47:32.03 ID:ajRgBWs0
兵士「…」ボロ…


ボゾ…


青年「うわ?! …崩れた??」

少年「な、なんなんだよ…? え…?」


イナイ… イナイ…


ゲルヒルデ「(コレハ…!)」

青年「…な、なあ… おまえ、なんか言ったか?」

少年「な、なにも…」


アイツガ… イナイ…!


イナイ… イナイ… ドコ?


ドコ? ドコナノ…?!


兵士「…」ゾワゾワゾワ…

青年「な、な…?!」

少年「ひ…?!」


…ボクラヲ…



ボクラヲ オイテ イカナイデ!!!


兵士「」グシャ!



…ゾワッ!!
653 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:50:50.96 ID:ajRgBWs0
…ズワァァァァ!


青年「う、うわああ?!」

少年「ひぃっ!」

ゲルヒルデ「(危ナイ!)」


…ガシッ!


青年「うわ?!」

少年「わあああっ?!」

ゲルヒルデ「(手荒ダケド、安全ナトコロヘ…!)」バシュッ!

青年「な、なんなんだぁ?!」

少年「(な… なにかに、つかまれてる???)」

ゲルヒルデ「(…!!)」



ザワザワザワザワ…


ドコ? ドコ…?!


ゲルヒルデ「(コレハ…!!)」


…ザワザワザワザワァ!


ヤダ! ヤダ! オイテ イカナイデ!!


「(街ノ上空一帯ニ…! コレハ、イッタイ…?!)」


オネガイ! オネガイ! …コワイ! コワイヨォッ!!  


ザワザワザワザワザワ…
654 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:57:07.79 ID:ajRgBWs0
【地下洞 入口】


水銀燈「…なんですって?!」

(ゲルヒルデ「正体不明ノ 物体ガ 市街地ヲ 飛来シテイマス!」) 

(ヘルムヴィーゲ「ワタシタチノ 武装ガ 通ジマセン!」)

水銀燈「どういうことなの?!」

(ヴァルトラウテ「単体デハ アマリ 攻撃的デモナク 攻撃力モ ナイノデスガ…)」

(ジークルーネ「…数ガ 多スギテ 市民ヲ 守リキレマセン!」)

水銀燈「いったい、どういうこと…?!」

柴崎「な、なんじゃあれは!」


ザワザワザワ…


マツ「影が… 飛びまわってる?!」

巴「ものすごい数… あれって…」


…ゾワゾワゾワ…!


雛苺「な、なに? なんなの…?」

みつ「こ、こっちに来る!!」


ゾゾゾゾゾゾ…


水銀燈「これは…?!」

のり「きゃあ?!」


ピシュン!


のり「痛っ…!」
655 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 20:59:38.14 ID:ajRgBWs0
水銀燈「このっ!」ビシュ!


ズドドッ!


水銀燈「…く、すばしこいわね!」

のり「…え?」


コワイ コワイ タスケテ…

ドコ ドコナノ? オイテ イカナイデ…


のり「…こ、これって… あの影の、声?!」

水銀燈「これは…子供?! まさか!!」

「ただいま到着かしらーーーーー!!!」


…ヒュバ!


みつ「カナ!!」

水銀燈「…金糸雀、それに…!」

ジュン「…みんな! 無事だった!!」

真紅「水銀燈、みんな…」

のり「ジュン君、真紅ちゃん!」

翠星石「ただいまですぅ!」

蒼星石「…みんな、大変だ!」

マツ「翠ちゃん、蒼ちゃん…?!」

金糸雀「みーんな、無事かしらー! カナたちの大勝利かしらーーーー!」…シュタッ!



「…って言いたいところ、なんだけどーーーっ!!」
656 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:03:17.40 ID:ajRgBWs0
のり「金糸雀ちゃん?!」

金糸雀「とってもとってもヤバいかしらー! …って、げぇ?!」

水銀燈「それは奇遇ねぇ!!」



ザワザワザワザワザワ…!



水銀燈「こっちも、かなり危険な状況よ!!」

金糸雀「な、なんなのかしら… これは!?」

雪華綺晶「こ、これは… まさか、まさか!」

水銀燈「雪華綺晶!!」



…ズイ!



真紅「す、水銀燈?」

水銀燈「こいつらは… あの子たちなのね?」

雪華綺晶「え… あっ?! そ、そうなの!!」

ジュン「水銀燈…?!」

水銀燈「この影は、あいつの兵隊の中に入っていた…」


「あいつが捕らえてきた、子供たちの成れの果てなのね?!」


巴「…!」

のり「(そんな…!)」

雪華綺晶「…そうよ! そうなの!! みんな、逃げて!!」



「地下からも、あいつの肉体になっていた子たちが、這い上がってきてる!!」
657 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:06:54.98 ID:ajRgBWs0
水銀燈「なんですって?!」

雪華綺晶「あいつを失って、恐怖の歯止めがきかなくなったの!」


「いるわけもない『親』を求めて、狂ったように突き進んでくる!!」


柴崎「なんじゃと…!?」

マツ「そんな…!」

金糸雀「もうすぐ、地上に出てくるかしら! すごい数かしら!!」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…



のり「…じ、地鳴り?」

みつ「こ、これって、まさか…」

雪華綺晶「…近い…!」



ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ・ ・ ・  ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ・ ・ ・



雛苺「ひ…?! な、なにこれ…」

巴「(こ、声なの、これ…?! い、いや、怖い!!)」

金糸雀「雪華綺晶!! あなたの力で、どうにかできないかしら?!」

雪華綺晶「…だめ! 数が多すぎる!!」

真紅「…でも、やるしかない! ジュン!」


パァァァ…!


ジュン「…真紅!? ダメだ!!」

真紅「もう一度… 『共鳴』を…!」パァァ…
658 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:10:01.13 ID:ajRgBWs0
ジュン「ムチャをするな!! 君の力も体も、もう…!」

真紅「く…!」カッ!

雪華綺晶「真紅!!」


…フッ


蒼星石「(光が、消えた…)」

真紅「は、はぁ、はぁ…」ヨロ…

グリムゲルデ「紅玉ノ オ姉サマ!!」

真紅「ま、まだ… ダメ…!」

ジュン「真紅っ…!」


ザワザワザワザワ…


のり「街中に、黒い影が…」

柴崎「なんということじゃ…!」

みつ「…もう、ダメなの…?!」

水銀燈「…」



ス…



真紅「すい… ぎんとう…?」

雪華綺晶「お母さま…?」

水銀燈「…」スタ スタ…



(…やるしか、ないわね)



スタ スタ スタ…
659 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:14:23.73 ID:ajRgBWs0
のり「…銀ちゃん?!」

みつ「そっちは…!」

水銀燈「(お父さまの許可は、得ていないけど…)」スタスタ…


…ザッ


金糸雀「穴の前に…?!」

ジュン「…す、水銀燈?! 危険だ!」

水銀燈「(わたしが、やるしかない!)」…ザッ!



ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ・ ・ ・  ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ・ ・ ・



巴「水銀燈! そこにいたら…! あなたが!!」

金糸雀「ムチャはよすかしら!! 一時も早く、避難するかしら!!」

水銀燈「…」


「街の人を、置いて?」


金糸雀「え… で、でも!!」

水銀燈「金糸雀。 さっき、言ったはずよ」フ…

のり「…銀ちゃん?(翼が…?)」


シュゥゥゥゥ…


みつ「(翼が、小さくなってく…?)」

水銀燈「わたしたちは、もう…」シュゥ…


「他の場所へも、時代へも、移らないと」


スゥ…
660 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:16:43.93 ID:ajRgBWs0
金糸雀「…そ、そうだけど…」

水銀燈「わたしたちはここで、この人たちと、ともに生きるのよ」…ス


プツッ プツ…


柴崎「…羽を?」

水銀燈「金糸雀。 これを持って、めぐのところへ行って」

金糸雀「…え?」

水銀燈「今から、わたしの力を使うから」

金糸雀「あなたの、ちから…?」

水銀燈「最善は尽くすけど… めぐには、相当負担をかけるかもしれない」

金糸雀「…」


「わかりました」


水銀燈「…金糸雀」

金糸雀「あなたを、信じるかしら。 …がんばって、水銀燈!」

水銀燈「オルトリンデ、ロスヴァイセ。 …金糸雀をエスコートして」

オルトリンデ「Jawohl!」

ロスヴァイセ「オ任セヲ!」

水銀燈「万一、わたしの羽をつかっても危険な状態になってしまったら…」

金糸雀「…水銀燈?」

水銀燈「…」キッ!



「金糸雀とめぐを、お父さまのもとへ連れて行きなさい!」
661 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:23:36.65 ID:ajRgBWs0
金糸雀「!!!」

雛苺「え?!」

真紅「…な?!」


水銀燈「…」


蒼星石「水銀燈… いま、なんて…?!」

翠星石「お、お父さまが… 生きてる???」

金糸雀「す、水銀燈… いったい、ぜんたい…?!」

水銀燈「ロスヴァイセ、オルトリンデ」


「…あなたがたは、お父さまの居場所を知ってるはずよね?」


金糸雀「…え?!」

オルトリンデ「…」

金糸雀「…ふたり、とも?」

ロスヴァイセ「…ヨロシイノ デスカ? 『白銀の翼』ノ オ姉サマ…」

金糸雀「ロスヴァイセ?!」

ロスヴァイセ「オ父サマノ 存在ハ…」


「薔薇乙女タチニハ 秘スルヨウニ トノ コトデハ…」


金糸雀「そんな… そんな!?」

水銀燈「…かまわない。 わたしが許可する」

オルトリンデ「…ワカリマシタ」

金糸雀「あなたたち! い、いったいどういう…!」


…パンッ!
662 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:28:52.46 ID:ajRgBWs0
金糸雀「あぅっ!?」

みつ「カナ?!」

水銀燈「落ち着きなさい」

金糸雀「でも…!! あ…」

水銀燈「…」ギロッ


「う…」


「でも?」


「…」


金糸雀「…わかり、ました。 すみません…」

水銀燈「急ぎなさい」

みつ「カナ… 銀ちゃん…」

水銀燈「さあ、早く」


「余計なことは、生き延びてから考えればいいことよ」


金糸雀「…」

水銀燈「さあ、行きなさい!」

金糸雀「…」キッ!


「オルトリンデ、ロスヴァイセ! 有栖川大学病院へ!!」シュピ!


オルトリンデ「Jawohl!」

金糸雀「『迷彩モード』起動! 川から、nのフィールドを経由していくかしら!」

ロスヴァイセ「ワカリマシタ!」ブゥゥゥ…ン…


水銀燈「…」
663 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:33:22.76 ID:ajRgBWs0
みつ「…すっごい! 戦乙女たちの体が…!」

巴「(姿が、消えていく…!)」


ブゥン…


ロスヴァイセ「…起動完了! イツデモ 出ラレマス!」

金糸雀「…あなたたち」

オルトリンデ「…ハイ」

金糸雀「あなたたち…」

ロスヴァイセ「オ姉サマ…」

金糸雀「…わたしたちに、なぜ、秘密にしてたの…?」

オルトリンデ「…」


「オ姉サマ、ワタシタチ…」


金糸雀「…っ!」ブンブンブン!

ロスヴァイセ「…オ姉サマ?」


「なんでもないかしらっ!!」シュピ!


オルトリンデ「…オ姉サマ!」

金糸雀「目標地点は、市民公園のため池! レッツゴーかしらっ!」

ロスヴァイセ「Jawohl!!」ギュン!



「Herr Kommandierender!!」



パァァァァ…
664 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:35:20.38 ID:ajRgBWs0
みつ「いっちゃった…」

のり「銀ちゃん…」

水銀燈「…」



(ごめんね、金糸雀…)



…ぉぉぉぉぉ  ぁぁぁぁぁ…



雪華綺晶「お母さま!! …来るっ!!」

水銀燈「雪華綺晶…」シュゥゥ… 


…フッ


ジュン「(翼が、完全に消えた…)」

水銀燈「あなたは、みんなを守りなさい」

雪華綺晶「え…!?」

水銀燈「ブリュンヒルデ。アルト隊とともに、雪華綺晶を守るのよ」

ブリュンヒルデ「…Jawohl」

雪華綺晶「そ、そんな… お母さまは?!」

水銀燈「…」



…ゴゴゴゴ…!
665 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:39:03.58 ID:ajRgBWs0
真紅「(地鳴りが… 近いっ!!)」

雪華綺晶「お母さま、何を?!」

水銀燈「雪華綺晶、心を閉じておきなさい」

雪華綺晶「え?!」

水銀燈「…言うとおりにしなさい」フ…


フォォォォォ…


ジュン「な、なにを… 水銀燈!」

翠星石「こ、この感じ…?」…ビリビリッ!

蒼星石「巨大な、力…? いったい?!」ビリビリビリ…!

水銀燈「…いまから、力を使う。 『水銀燈』の力じゃなくて…」


「『聖母』の力をね…!」キュォォォォォ…!


真紅「(す、すごい力… これって… 地下からのじゃない?!)」


「(あなたの力だというの… 水銀燈?!)」


のり「(わ、わたしでも感じるっ!! これって… これって…!)」…ゴォォォォ!

巴「(水銀燈が最初にここに来た時よりも… はるかにすごい…!)」ゴァァァァ…!
666 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:44:52.45 ID:ajRgBWs0
雪華綺晶「お、お母さま…? 何を?!」

水銀燈「しっかり、あなたとみんなの心を守っておきなさい」…キュォォォォォ!



「やつらからはもちろん…」



ゴァァァァァ…!



「…わたしの力からも!!」カッ!



バ ァ ォ ッ !!!



雛苺「きゃあ?!」ゴゥッ!

柴崎「…うお?!」

真紅「あ、あれは…」



ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ・ ・ ・



水銀燈「…」



ゴ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ・ ・ ・



のり「あ、熱い… まぶしいっ…!」

巴「まるで… これって、まるで…」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・


(太陽のそばに、いるみたい…!!)
667 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:49:24.89 ID:ajRgBWs0
雛苺「う、うそ… すっごい…」…アングリ

翠星石「うっそー… です…」ポカーン…

蒼星石「バカな… でも、あれは… まさか…!」

真紅「そんな… そんな、水銀燈っ!!」



「それが、あなたの『翼』だとでもいうの?!」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・



ジュン「いったい… なんだっていうんだ…」

雪華綺晶「あれは… あれは…」

ジュン「…きらきー?」

雪華綺晶「まちがい、ない…」 

ジュン「…知っているのか?!」

雪華綺晶「まばゆく白く輝く、炎のような翼… あのときと同じ…!」



ゴ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ・ ・ ・



「お母さまが『マリア』として、目覚めた時と!!」



ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ・ ・ ・



水銀燈「…」



ぁぁぁ… ぉぉぉ…!!
668 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:52:20.02 ID:ajRgBWs0
ゴゴゴゴゴ…!



水銀燈「…来たわね」



ゴ オ オ オ オ オ ・ ・ ・



ぉぉぉぉぉ… ぁぁぁぁぁ!!



「さあ、来なさい!」ゴ ア !!



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … !



雪華綺晶「来る…!」

ジュン「…うわ?!」

雪華綺晶「みんな… 目を閉じて! 耳をふさいで!!」

雛苺「ひっ… ひぃ!」ギューッ!

雪華綺晶「心を持っていかれる!! 絶対、あれを見ちゃだめ!」



…ぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!!!



水銀燈「…!」



ゴ バ ァ ! !
669 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:55:11.64 ID:ajRgBWs0
雪華綺晶「…来た!」

のり「…きゃああああ?!」

ジュン「のり?!」

みつ「のりのり!! しっかりして…  ?! あああああ?!」

翠星石「…デカ人間?!」

蒼星石「見るなっ!!」ガシッ!

翠星石「うひっ?!」



あ あ あ あ あ あ あ あ あ お お お お お お お お ・・・ 



のり「きゃああ… あああ… あああああああっ!!」ガクガクガク…

みつ「ひ… ひあああ?! うあああああ!!」ガタガタガタ…

ジュン「ふ、ふたりとも…!!」

雪華綺晶「…見ちゃだめぇっ!」バチッ!

のり「あうっ!!」

みつ「かはっ!?」


…カクン


ジュン「のり! みっちゃんさん!」

雪華綺晶「みんな、下を向いていて…! いいって言うまで、絶対何も見ないで!!」

ジュン「わ、わかった!」…ギュッ

真紅「(水銀燈…!)」



あ あ あ あ あ あ お お お お お お ・ ・ ・
670 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 21:59:07.09 ID:ajRgBWs0
翠星石「(蒼星石…!)」

蒼星石「(…翠星石!)」



お お お お お お ご お お お お お お ・ ・ ・



巴「(お母さん… お父さん!)」

雛苺「ひ… ひぃっ…!」



さ あ あ あ あ あ む い い い い い い ・ ・ ・



柴崎「南無阿弥陀仏…!」

マツ「…一樹…!」



く う う う う う ら い い い い い い ・ ・ ・



水銀燈「…」



お お お お お お あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! 



水銀燈「…はん」



…ペッ! 



「…ガキどもが!」 
671 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/22(火) 22:07:19.11 ID:ajRgBWs0
お お お お お お ま え え え え え え ・ ・ ・



「たかが人間の、ガキごときが…」



あ あ あ あ あ あ あ あ お お お お お お お ・ ・ ・ 



「数をたのみに、いきがっちゃって… まったく!」



お お お お お お ま え え え え え え ・ ・ ・?



「雪華綺晶が、人の、獣の、人形の… 心あるもの、すべての心を喰うドールなら…」



お お お お お お あ あ あ あ あ あ ・ ・ ・



「…わたしは、生きとし生けるものすべての、命を喰らうドール!」



・ ・ ・ お わ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ !



「さあ、かかってきなさい!」



お わ あ あ あ ああああああああ!!!



「…あなたたちの穢れた命、残らずわたしが喰いつくしてやる!!」



ゴ オ ゥ !!
672 :[sage]:2009/09/22(火) 22:08:17.24 ID:ajRgBWs0
今日はここまでです。 再開は明後日。
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 22:10:11.73 ID:fe4M5m.o
乙!
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 22:11:34.02 ID:Y..T.XYo
乙です
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 22:12:45.22 ID:hSPb0Nko
おっつ
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 22:17:45.14 ID:hrKOScMo
おつつ
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 22:19:49.81 ID:HEwkS7so
おつ!
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 22:23:59.25 ID:tSQnPPko
乙樽場

真の敵(?)登場か…
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/22(火) 23:45:31.55 ID:3zqqqIQ0
乙なんだぜ。すごい大スペクタクルの予感
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/23(水) 00:10:08.53 ID:WE.3LVAo
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/23(水) 22:57:06.20 ID:/re8PrEo
乙なんだぜ

昨日から今日にかけて全部読み返したけどアットホームな部分も戦闘も書ける>>1に脱帽した
682 :[saga]:2009/09/24(木) 21:04:41.63 ID:7yCyQiA0
>>643
開幕支援どうもっした!

>>673-681
乙どもっす〜

>>678
むしろ「後片付け」です(ぉ

>>679
あわわ;;; 期待されると嬉しいやら恥ずかしいやら;;;
がんばりまっす。

>>681
薔薇乙女たちのおかげです(謎


再開します〜
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/24(木) 21:07:41.66 ID:QB4ea7go
まってたよ!
684 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:09:59.58 ID:7yCyQiA0
【有栖川大学病院 集中治療室】



ザワザワザワ…



(…)



ピッ ピッ ピッ…



(水銀燈…)



ズキ ズキ ズキ…



(指輪が、熱い… いえ、痛い…)



ズキ… ズキ…



(さっき、指輪が砕けたときのように…)



…ズキン ズキン…



(いま、あなた… 何を、しようとしているの…?)



…コンコン
685 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:11:59.47 ID:7yCyQiA0
(え?)



…コンコンコン



「なに…? !!」

「(…大丈夫かしら?)」

「(あ、あなた!)」



ザワザワザワ…



めぐ「(金糸雀…!)」

金糸雀「(ちょっと手間取ったけど… 侵入成功かしら)」

めぐ「(…)」

金糸雀「(めぐ?)」


「(…水銀燈に、なにがあったの?)」


金糸雀「(やっぱり、もうわかってたかしら?)」

めぐ「(当然よ… いったい、なにが?)」

金糸雀「…」



(水銀燈は、いま、巨大な敵と戦おうとしてるかしら…)
686 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:14:32.47 ID:7yCyQiA0
めぐ「(巨大な、敵…?)」

金糸雀「(そのために、水銀燈もいま、ものすごい力を使おうとしてるかしら)」

めぐ「(…ものすごい力??)」

金糸雀「(そう。だから、あなたに負担をかけるかもしれないって、水銀燈が…)」

めぐ「…くっ!?」



パァ…



金糸雀「(…めぐ?! 『聖母』の指輪が!)」

めぐ「(…水銀燈…! うぅ…っ!)」

金糸雀「(輝いてる… …めぐ!?)」



コツ コツ コツ…



金糸雀「(誰か来る… めぐ、これを!)」…カパ

めぐ「(これって…?)」

金糸雀「(腕に刺しておくかしら!)」…コソコソ



コツ コツ コツ…



めぐ「…」

医師「具合は、どうかね?」
687 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:16:29.43 ID:7yCyQiA0
めぐ「…大丈夫です」

医師「…」



ピッ ピッ ピッ…



医師「(異常は、ないようだな)」

めぐ「…まだ、みなさん大変なんですか」

医師「うむ。 さっきよりは急患も減って、少し落ち着いたけれども」

金糸雀「(…)」コッソリ



…コツ



医師「…また来るよ。何かあったら、近くの人に声を」

めぐ「…はい」

金糸雀「(…)」



コツ コツ コツ…



めぐ「…ふう」

金糸雀「(大丈夫かしら?)」

めぐ「なんとか、ね」



パァ…
688 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:18:50.09 ID:7yCyQiA0
めぐ「(これ、水銀燈の羽なの?」」

金糸雀「(そうかしら。 …水銀燈の、新しい力かしら)」

めぐ「(…『新しい』力?)」

金糸雀「(…説明はあとかしら。 いまは…)」

めぐ「(…うん。 大丈夫)」


ザワザワザワ…


(水銀燈…)



ピッ ピッ ピッ…



【河川敷】



…おおおおおあああああ!!



「…」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・



おわああ… おわああああ!!



「……」

「お、お母さま…?」



おわあ… おわあ… ああああ!
689 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:20:59.96 ID:7yCyQiA0
「…あなたたち」

「…え?」



おああ… わああ…



水銀燈「あなたたち、なにしてるの?」

雪華綺晶「…あ、あの子たち?」

水銀燈「来るなら、さっさと来たらどう?」…スッ



…ズイッ



お わ あ ・ ・ ・ !?



… ゴ ボ ッ !



雪華綺晶「な?!」

水銀燈「あら? …あなたたち」クスクスクス…



お わ あ ・ ・ ・  お わ あ !



雪華綺晶「うそ… あの子たち…」

水銀燈「…ふふふふっ。 あなたたち、まさか…」…ズイ



お わ あ あ あ ? ! 



ゴ  バ !!
690 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:24:37.63 ID:7yCyQiA0
雪華綺晶「あ… あとずさってる…?!」

水銀燈「…おびえてるの?」クスクス…


「わたしのことが、怖いの?」ス…


…ズイッ


お わ あ ! !   お わ あ あ あ ! !

ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ !!


真紅「…?!」

ジュン「う…!(な、なんだ、この声?!)」



お わ あ あ ! !   お わ あ あ あ あ ! ! 

ゴ バ ッ ! ! ゴ ボ ッ ! !



雪華綺晶「うそ、うそ…!」

水銀燈「…ふふ」…ス



「…怖がらなくて、いいのよ?」



ジュン「雪華綺晶! 水銀燈は、いったい…!」

雪華綺晶「…お母さま?! あぶない!!」


お わ あ あ …  お わ あ … ?


水銀燈「怖がることなんて、ないのよ…」ス…



「…あるべきところに、還るだけ」
691 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:28:14.78 ID:7yCyQiA0
…お?


「…さあ?」


おお…


「…いらっしゃぁい」クス…


お…


雪華綺晶「お、お母さま…?」

真紅「…水銀燈?」



お ご わ あ あ あ あ あ あ ! ! 



… ガ  バ ! !



雪華綺晶「だ、だめぇ!!」

ジュン「…きらきー?!」

雪華綺晶「お母さま、逃げて!!」



・ ・ ・ ズ ボ オ ! ! 



雪華綺晶「…いやあああああああっ!!」

ジュン「きらきー!!」

真紅「水銀燈…!」


ゴ ボ  ゴ ボ   ゴ ボ ッ ・ ・ ・ 
692 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:30:29.46 ID:7yCyQiA0
ゴボ…



「…」



ゴボ… ゴボ…



「…」



コワイ… コワイ…



「…これが」



タスケテ… タスケテ…



「これが、あの子たちの中なのね…」



ゴボ…

イタイ イタイ イタイ


「…」


…ヤメテ ヤメテ ヤメテ

ダメ ダメ ダメ…


「…」



「…あわれな子たち」
693 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:34:28.01 ID:7yCyQiA0
ゴ ・ ・ ・  ゴ ・ ・ ・  



雪華綺晶「(…静かになってる…)」

ジュン「…きらきー!! いったい…」

雪華綺晶「…お父さま…」

ジュン「いったい、なにが起きているんだ?!」

雪華綺晶「…あの子たちが、お母さまを…」


ゴ ・ ・ ・  ボ  ・ ・ ・  ボ  ・ ・ ・ 


翠星石「…水銀燈を?!」

雪華綺晶「飲みこんじゃった…」

蒼星石「…なんだって?!」


ゴ ・ ・ ・  ゴ ・ ・ ・


巴「水銀燈は、無事なの?!」

雪華綺晶「…わからない…!」

雛苺「(…お母さま!)」


ゴ ・ ・ ・    ゴ ・ ・ ・


柴崎「(一樹… どうか、あの子を… あの子のことを!)」

マツ「(あの子のこと、守ってやってちょうだい…!)」


ゴ ・ ・ ・
694 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:36:08.28 ID:7yCyQiA0
ゴボ… ゴボ…



「…」



オネガイ ヤメテ ユルシテ

イタイノ イヤ コワイノ イヤ…



「…」



オウチニ カエリタイ…

ナンデモ スルカラ オネガイ…



「かわいそうな、子たち…」



「…ささやかな やすらぎを ある日突然 奪われた子に」



ゴボ… ゴボ…



「生まれたころから 道具としての 扱いしか 受けてこなかった子…」



…ゴボ… 
695 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:38:01.84 ID:7yCyQiA0
「なにひとつ 欲しいものももらえず してほしいこともしてもらえず」


アア… アアア… ヤメテ…


「ずっとずっと 誰かのいいようにされてきた かわいそうな子たち …けれど」


ヤメテ… ヤメテ… イタイ イタイ…


「もう あなたたちが 失ってしまったものを 取り返すことはできない」


タ ス ケ テ …


「…ならば、せめて」ス…


フォォォォォ…


「もう二度と 苦しむことも 悲しむことも ないように してあげる…」



ア…  ア ア…? 



「…」ヒュォォォ…



ア  アア…  アアア…?



「…」




「 く く く く く ・ ・ ・ 」 
696 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:42:58.93 ID:7yCyQiA0
…?



「くくくく、あはははは…!」フォォォォ…!!



…ア ア ア…?



「…あははは、あはははははっ!!」



ゴ バ ウ !!



ア ア ア ア ア ?!



「あはははは、あーっはっはっはっはっ!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ !


ア… アツイヨォッ! イタイ イタイ イタイ!!


「いいわねぇ! いい声で鳴いてみなさい!!」ギュゴゴゴゴゴ…!!



ヤメテ! タスケテ!! アツイ アツイ アツイ !!!



「あはははははっ! 楽しいわあ!! …あーははははははっ!!」


アツイ アツイ アツイ… ヒギィィィィ?!


ゴ ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・!!
697 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:45:08.03 ID:7yCyQiA0
ゴ… ゴ…



雪華綺晶「…」

ジュン「…水銀燈、水銀燈が…!」

真紅「ジュン…」



ゴ… ゴ…



翠星石「(な、中で、いったいなにが…)」…ソーッ

蒼星石「(見ちゃダメだってば!!)」グキ!

翠星石「うぐぇ!」



ゴ…



雛苺「水銀燈…」

巴「水銀燈は、水銀燈はいったい…」

雪華綺晶「…お母さま…!」



…ゴボ



柴崎「…ん?」



ゴボ… ゴボ…
698 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:46:34.66 ID:7yCyQiA0
マツ「なんの音…?」



ゴボ… ゴボ… ゴボ ゴホ ゙ゴボ…



翠星石「(音が… どんどん大きく…!)」…ピク

蒼星石「(ダメったら、ダメ!!)」グイ!

翠星石「い、いまのはちが…!」



ゴキ!



翠星石「きゅう」

雛苺「(きゃあ!?)」

巴「(ま、真後ろ向いちゃった…)」



ゴボ ゴボ ゴボゴボゴボ…!



雪華綺晶「お母さま…!」

真紅「…あ、熱い?!」



ゴ バ ッ !!!
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/24(木) 21:48:00.59 ID:4gUCOlUo
来てたか
支援
700 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:48:07.80 ID:7yCyQiA0
雪華綺晶「きゃあ?!」

ブリュンヒルデ「…危ナイ!」ガバ!



ビシャッ バシャ…!



雪華綺晶「い、いったい…?!」

グリムゲルデ「オ気ヲツケテ!」シュゥゥゥゥ…

シュヴェルトライテ「…コレハ!」


…バシャ ビチャッ!


ブリュンヒルデ「…高温ノ 液体デス! …危険デス!」

雪華綺晶「あの子たちの… 体の一部?!」



・ ・ ・ ゴ ボ  ゴ バ  ゴ ボ ァ !!



ジュン「い、いったい何が?!」

雪華綺晶「…あの子たちが、泡立ってる? いえ…!」



ゴ ボ ッ  ガ バ  ゴ ボ ボ ・ ・ ・ !



雪華綺晶「…沸騰してる! 煮えたぎってる!!」
701 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:52:20.88 ID:7yCyQiA0
巴「…沸騰?! まさか…」

真紅「(水銀燈が…?!)」


ゴ バ ァ ! !


グリムゲルデ「…マタ、爆ゼタ!」ビシャッ!

シュヴェルトライテ「ミナサン! 危ナイ!」…バシャ!

雪華綺晶「…ああっ!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ !!


雪華綺晶「お母さま…!」

ジュン「…水銀燈か?!」

雪華綺晶「お母さまが、脱出してる!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・


「ははは、ははっ! あはははははっ!!」…ギリッ!


…イタイ イタイ イタイ!!


「いいわぁ、いい声よぉ…! あはははははは!!!」


…アツイ! アツイヨォッ!!


水銀燈「あらぁ…?」 


ゴ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・


水銀燈「…逃がさないわ!」ガシッ!


… お わ あ あ あ ? !
702 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:55:35.60 ID:7yCyQiA0
「ふふ… おとなしくなさい! おとなしくしてれば…」ギリギリギリ…


お わ あ …  お わ あ … ! !


「すぅぐ、終わらせてあげるから…! くぅっくっくっくっくっ!」…ギリッ!


お わ あ ?!
 

雪華綺晶「お母さま?!」

水銀燈「うふふっ… それじゃあ…」…ペロリ



「 い た だ き ま ぁ ― す っ ♪」



ギ ュ ゴ ! !



・ ・ ・ ご わ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! !



ジュン「う… うわあ?!」

真紅「(な、なんて声…?!)」



ギ ュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ! !



お わ あ あ あ あ ! !   ご わ あ あ あ あ あ ? !



「…くふふふ、痛くしない… 痛くしないわよ…!」
703 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 21:58:47.65 ID:7yCyQiA0
お が あ あ あ あ あ ? !   う が あ あ あ あ あ ? ! 



「…あは、あははははっ! 気持ちいいっ! 気持ちいいわぁ!!」



ギ ュ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ・ ・ ・ ! ! 



「あなたたちの命が、ふるえながら、おののきながら…」



あ お お お お お お …   お ご お お お お お お ! ! 



「わたしのなかに、こぼれおちてくる! ゾクゾクするわぁ、あーはっはっはっ!!」



ギ ュ ガ ガ ガ ガ ガ ・ ・ ・ !



蒼星石「(うああ…! こ、これって…悲鳴なのか?!)」

翠星石「(地獄のカマが、開いたみたいですっ…!)」…グキ

蒼星石「(あ。 首、ごめんね…)」

翠星石「(…んもう)」


ギ ュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 


雪華綺晶「(みるみるうちに、小さくなっていく…!!)」

水銀燈「さあ、あなたたちも来なさい!!」ギュボ!!

雪華綺晶「…あっ!!」



ザワザワザワザワ…
704 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:03:22.88 ID:7yCyQiA0
雪華綺晶「(上空の『影』たちが…)」

水銀燈「わたし、まだまだ、おなかペコペコなのよぉ…? ふふふふっ!」


ギ ュ オ ! ! 


柴崎「…うぉ?!」

マツ「…ひぃ…!」

水銀燈「のこらず食い尽くしてあげるわ!  あはは、ははは…!」ギ ュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 


お わ あ ・ ・ ・  お わ あ ・ ・ ・ ! ?


「あはははは、あははははは…!!」… ギ ュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! ! 


お わ あ あ あ あ あ あ ・ ・ ・ ! ! ! 


ジュン「(あ、頭の中に響く、この声… こ、これは…!!)」

真紅「(あの子たちの… あの子たちの!?)」

水銀燈「さあ、これで終わりよ!!」ギュボ!!



「聞かせてちょうだい…」 


ギ ュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ !


「い い 歌 を ね ぇ っ ! !」


ギ ュ バ ! ! 




あ あ あ あ お お お お あ あ あ あ お お お お !!!!!
705 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:04:45.72 ID:7yCyQiA0
ジュン「う、うわあああああ?!」

真紅「くっ…!!」



あ あ あ あ ! !  お お お お !! あ が あ あ あ あ ! !
 


翠星石「ひ、ひぃ…!(頭の中に、飛びこんでくるですっ!!)」ガタガタガタ…

蒼星石「(あの子たちの、断末魔の叫び声が…!)」…ブルッ



あ ぎ ・ ・ ・  あ ご ・ ・ ・  お ご ・ ・ ・ 



雛苺「(お、お父さま… お母さまっ!!)」

巴「(…パパ、ママ!!)」



う ぐ ぇ ・ ・ ・ 



柴崎「…なむさん!」

マツ「…あなた…!」



・ ・ ・ ゴ ボ  !
706 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:05:43.53 ID:7yCyQiA0
【?????】



シュー…



「…」



コポ コポ コポ…



「…」



…ピ



「…む」



…ピ ピ…



「…これは そうか…」 




「『聖母』の力を 使ったのか」
707 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:09:42.23 ID:7yCyQiA0
シュー…


「まだ 実地試験さえ 行っていないと いうのに… それ以前に」
 
「あの力は 戦闘するための 力では ない…」 


コポ コポ コポ…


「あんな使い方は 想定していなかったのだが… やむをえまい」


コポ コポ コポ…


(あの子たちの 命運は きみに 託すしかないのだから)


シュー…


(…わたしが いま 動けない 以上…)


…ピピピ!


[【警告】 現在 全機能低下 修復中ニツキ]


「…」


[再起動マデ 全機能停止ヲ 推奨]


「…わかっている」



シューーー…





(…水銀燈…)
708 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:11:16.05 ID:7yCyQiA0
【河川敷】







ジュン「(…声が、やんだ…)」

真紅「…いったい…」







雛苺「ひ、ひぃ…」ガタガタガタ…

巴「す、水銀燈は…?」

雪華綺晶「あ、あれっ!!!」



…ポウ



ジュン「雪華綺晶?!」

雪華綺晶「みんな、見てっ!!」



…パァ…



翠星石「へ?! み、見てって…?」

蒼星石「見ても、大丈夫なのか…? あ、あれは!!」



パァァァァ…
709 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:12:20.70 ID:7yCyQiA0
マツ「あの子の… おなか? あれは…」

柴崎「…光っとる、光っておる!!」



パァァァァ…!



「…ふふ」



パァ…



「…あったかぁい」



パァァ…



「おなか、いっぱぁい。 …ふふふふっ…」…ス…



ポゥ…



「…さあ、出てらっしゃい。 かわいい、かわいい…」



…ス…



「わたしの、子供」



…ポォゥ
710 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:13:51.66 ID:7yCyQiA0
雪華綺晶「あ…あれは?!」

ジュン「…!!」



キラキラキラ…



翠星石「光ってるです… 銀色に、輝いてるです… あれって…」

蒼星石「まさか… あれは…」



パァァァ…



真紅「『結晶』なの…?!」



キラ… キラ…



水銀燈「…」



…キラ…



水銀燈「…さあ、お行きなさい」…クッ



…ポゥ…



「…あなたたちが、行くべきところへ。 還るべきところへ…!」グッ!



…パァン!
711 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:16:15.13 ID:7yCyQiA0
雪華綺晶「…!」

真紅「(砕いた?!)」

水銀燈「さあ、行きなさい!」シュパ!

ジュン「…あっ!」



パァァァァァァ…!



柴崎「お、おお…」

マツ「光が…!」



キラ キラ キラ キラ…



翠星石「結晶の、かけらが…」

蒼星石「町中に、ふりそそいでいく…」



パァァ…



雛苺「…お星さまが、降ってくる…」

巴「きれい…」



…パァ…



水銀燈「…」
712 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/24(木) 22:19:07.27 ID:7yCyQiA0
ジュン「水銀燈…」

真紅「水銀燈、あなたは…」



…キラ キラ…



(あなたは… いったい…)



水銀燈「…」



キラ… キラ…



「…さよなら」



…キラ…



―さよなら。 わたしの…



―わたしの、子供たち。 はじめての…



…キラ キラ…






「…はじめての、わたしだけの、子供たち…」
713 :[sage]:2009/09/24(木) 22:20:26.35 ID:7yCyQiA0
今日はここまでです。続きは明後日。
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/24(木) 22:21:35.36 ID:a26ud7Eo
おつー
715 :[sage]:2009/09/24(木) 22:22:31.03 ID:7yCyQiA0
>>683
>>699
支援どもっす〜
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/24(木) 22:23:15.17 ID:GghmJFAo
乙カレー
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/24(木) 22:48:26.97 ID:BSqL7tso
乙〜
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/24(木) 22:51:33.28 ID:ARUu3NQo
乙樽場

気になることが多いな…
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/24(木) 22:58:45.89 ID:BoeFygMo


また日常に戻って、日常描写してくれる事を祈る
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/24(木) 23:39:59.77 ID:8kjKXako
おつ!
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/25(金) 01:21:42.56 ID:ifgXfRYo
おっつ
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/25(金) 01:23:35.44 ID:Z4lty3.o
おつつ
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 04:13:29.37 ID:eAhQzRY0
乙だぜ
724 :[saga]:2009/09/26(土) 19:11:37.54 ID:mJm908k0
>>716-723
乙どもっす〜

>>718
回収しきれない伏線をばらまいて自分の首が(吊


>>719
バトルが長引いて申し訳ないです;;;
ただ…


彼女らが『7人』そろって日常に戻るには、越えなければならない巨大な壁があとひとつあるとだけ。


懲りずに付き合ってくれれば、これほど嬉しいことはありません。
ひらにご容赦を。


再開します〜
725 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:13:32.38 ID:mJm908k0
【有栖川大学病院 集中治療室】



ザワザワザワ…


「…」



ピッ  ピッ  ピッ…



「…」

「…くっ…!」

「…!」



ピッ… ピ ピ ピ ピ



「…く、う…」

「(…めぐ…!)」



ピ ピ ピ ピ…!



「…っ! は、はぁ… はぁ…」

「(…どうしよう、どうしよう…!)」
726 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:14:45.65 ID:mJm908k0
…ピ ピ ピ ピ



金糸雀「(水銀燈の羽は、もう使い切っちゃったかしら…!)」

めぐ「…く、くっ…!(水銀燈…!)」

金糸雀「(…こうなったら!)」シュピ!



ピ ピ ピ ピ…



金糸雀「(めぐを、お父さまのところへ!)」

めぐ「(か、金糸雀…?)」

金糸雀「…」


(オ父サマノ 存在ハ)  


金糸雀「(…)」

めぐ「(ど、どうし… たの…? はあ、はあ…)」


(薔薇乙女タチニハ 秘スル ヨウニト…)


金糸雀「…っ!」シュピッ!



「(オルトリンデ、ロスヴァイセ! 病院内に突入するかし…!)」

「…う?!」



…ドクン!
727 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:17:40.01 ID:mJm908k0
金糸雀「(めぐ?!)」

めぐ「…う… うっ…?」


トクン トクン トクン…


めぐ「…」

金糸雀「(めぐ…?)」

めぐ「…ふう」

金糸雀「…???」

めぐ「…」


「…終わった、みたい」


金糸雀「(…終わった?)」

めぐ「(うん… 指輪の痛みが、消えた)」

金糸雀「(…)」


トクン トクン トクン…


めぐ「(あたたかいものが、流れこんでくる感触がする)」

金糸雀「(水銀燈が、勝ったのかしら…)」

めぐ「(たぶん、ね… あら?)」


…キラ


めぐ「(…?)」

金糸雀「(あれ? これって…)」


キラ キラ キラ…
728 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:19:46.17 ID:mJm908k0
金糸雀「(こ、これって… なに? 雪…???)」

めぐ「(…部屋の中なのに?)」


キラ キラ キラ キラ…


めぐ「(光が、ふりそそいでくる…)」

金糸雀「(これって、いったいなんなのかしら…???)」



【有栖川大学病院 一般病棟】



患者「う…」

看護婦「(ああ、忙しい忙しい!)」


パタパタパタ…


患者「あ… あ…」

看護婦「(重篤な患者さんはいないけど… 数が多すぎて、きりがないっ!)」パタパタ…


…キラ


看護婦「…え?」

患者「う…?」


キラ キラ キラ…


看護婦「なにこれ… ほこり???」

患者「…お?」



…ガバ!
729 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:22:49.59 ID:mJm908k0
看護婦「え…?」

患者「…おれ、ここで、なにを…?」

看護婦「あ、安静にしてください!」

「…あれっ?」



ムク…



患者「わたし… なんで、こんなところで?」

看護婦「そ、そちらの方も! どうか横に…!」

「ん?」 「…おや?」 「え…」



ガバ ムクリ  ムク…



看護婦「み、みなさん!! どうか安静に…!」

医者「…いったい、なんなんだこれは?」

看護婦「わ、わかりません。 でも…!」



キラ キラ キラ…



看護婦「これ、いったい…」

医者「…ほこりが舞ってるんだろう! さあ、処置を急ぐぞ!」

看護婦「は、はいっ!」

患者「な、なんか… 体が軽い???」

看護婦「よっ、横になっててくださぁーいっ!!」



キラ キラ キラ キラ…
730 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:25:55.09 ID:mJm908k0
【河川敷】



チチチ…



「…」



チチ チチチ…


雛苺「…すい、ぎんとう…?」

巴「…いったい、何が…」


チチチチチ… チュン


「…」


…フラ…


水銀燈「…終わったわ」


…ヨロ


雪華綺晶「お、お母さま!!」

ジュン「水銀燈っ!」ダッ!

真紅「ジュン?!」


タタタタ…


水銀燈「…すべて、終わった…」クラ…

ジュン「…っ!」ザッ!


…ヒシッ!
731 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:27:18.71 ID:mJm908k0
水銀燈「ジュン…」

ジュン「…大丈夫か?!」

水銀燈「…ええ」ソッ…



…ギュ



ジュン「…水銀燈」

水銀燈「すこし、めまいがしただけ。平気よ…」

ジュン「水銀燈、君は…」

水銀燈「え?」



…ギュ…



ジュン「…君は、いったい…?」

水銀燈「…返したの」

ジュン「え?」


「…みんなから借りたものを、返したのよ」


ジュン「返した…?」

水銀燈「あの子たちの命を、使ってね…」

ジュン「あ、いや…」


キラ… キラ…


水銀燈「…なに?」

ジュン「いや、そうじゃなくて…」
732 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:29:50.62 ID:mJm908k0
水銀燈「…なんなの?」

ジュン「君に、そんな力があったのか…?」

水銀燈「え…」

ジュン「君は、いったい…」

水銀燈「…」

ジュン「(水銀燈、きみはいったい…)」



(なにものに、なってしまったんだ…?)



水銀燈「ジュン…」

ジュン「…」



真紅「(…ジュン、水銀燈…)」

雪華綺晶「お母さま…?」

「う、うーん…」


…ムク


真紅「…のり?」

のり「あ、あれ…? わたし…」

みつ「あ… あっ、あらら…?」ムク…

翠星石「…お、こっちも目が覚めたですね?」
733 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:37:14.41 ID:mJm908k0
みつ「…わ、わたし、どうしちゃったのかな〜???」

雪華綺晶「…ごめんなさい」

みつ「き、きらちゃん?」

雪華綺晶「ああしないと、心がはじけ飛んでしまうかもしれなかったから…」

のり「…だいじょうぶ。 雪華綺晶ちゃん… ありがとうね」 

雪華綺晶「いえ…」

みつ「…銀ちゃんは… ジュン君は?」

真紅「…あそこよ」

のり「あ…」



チチ チチチ…



ジュン「…(君は…)」

水銀燈「…(…わたしは)」


(…水銀燈っ!!)


水銀燈「…え?」

ジュン「?」

(金糸雀「いま、めぐの容態が落ち着いたかしら! そっちの様子は…?!」)

水銀燈「…そう、めぐは無事なのね。 終わったのよ」

金糸雀(「ということは…」)

水銀燈「ええ。 …勝ったわ」

金糸雀「(…!!)」 



「(ブラボーかーしらー!!)」
734 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:41:42.99 ID:mJm908k0
ジュン「…金糸雀かい?」

水銀燈「ええ」

金糸雀(わたしは、どうすればいいかしら?)

水銀燈「市街地にいる戦乙女たちを撤収させて、わたしのところへ来なさい」

(金糸雀「了解かしら!」)

水銀燈「みんなに…」

ジュン「…?」


「みんなに、大事な話があるから」


(金糸雀「…だいじな…はなし?」)

水銀燈「…」

ジュン「水銀燈?」

水銀燈「…わからない、金糸雀?」

(金糸雀「え… あっ!」)

水銀燈「…そうよ」グッ


「あんな無様な戦いをしておいて、ただで済むと思ってる?」


ジュン「…」

(金糸雀「い… いいえ、思って… ません…」)

水銀燈「至急、戻りなさい」

(金糸雀「…はい…」)

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「ジュン」…ヨロ


「わたしを、あの子たちのところへ…」
735 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:46:48.52 ID:mJm908k0
ジュン「…ああ」

水銀燈「…お願い」

ジュン「…」


…ス


水銀燈「…ありがとう」

ジュン「つかまって」…グッ

水銀燈「ええ…」ヒシッ

ジュン「…」


スタ スタ スタ…


蒼星石「…水銀燈、ジュン君…」

翠星石「(…こっちに、来やがるです…)」ブルブル…

みつ「ふ、ふたりとも?」

真紅「…水銀燈」

雪華綺晶「…真紅?」

真紅「…水銀燈、あなた…」ポソッ

のり「真紅ちゃん? なにか…」

真紅「…いいえ、なんでもない(…水銀燈)」


(きっとあなたは、怒っているのでしょうね)


蒼星石「(…水銀燈。君は怒っているんだろうな… 仕方、ないけれど)」

翠星石「(うー、ひさびさにお説教タイム到来の予感です…)」

真紅「(あんな…)」



(あんなぶざまな戦いをしてた、わたしたちのことを…)
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/09/26(土) 19:47:35.86 ID:8X7naP6o
支援
本人だよな?
737 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:49:05.54 ID:mJm908k0
…スタ スタ スタ


水銀燈「…」

ジュン「水銀燈」

水銀燈「なあに?」

ジュン「…体、大丈夫かい」

水銀燈「ええ、さっきよりは落ち着いたわ」

ジュン「…」


「ボクが、言おうか?」


水銀燈「…え?」

ジュン「君ばかりが、言うことじゃないだろう」

水銀燈「…そんな」

ジュン「いつも君ばかりに、嫌われ役を引き受けてもらってたから」

水銀燈「…」

ジュン「今回は、ボクが」


…ムニッ


ジュン「…むが?」

水銀燈「ふふ、偉ぶっちゃって。 …『お父さん』」ムニムニ

ジュン「…むー」

水銀燈「…やっぱり、ダメよぉ」ニヤニヤ
738 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:52:59.11 ID:mJm908k0
ジュン「…もう」

水銀燈「あなたが言ったって、迫力がないもの。 …それに」…ス


「あなたには『優しいジュン』でいてほしい」


…ギュ


ジュン「…水銀燈」

水銀燈「…あの子たちの前では。 お願い」

ジュン「…」

水銀燈「…お願いよ」

ジュン「…もう」


スタ スタ スタ…


蒼星石「(…笑ってる?)」

翠星石「(も、もしかしたら… たいしたこと、ないですかね…?)」


…ザッ


ジュン「…みんな」

のり「ジュン君、銀ちゃん…」

水銀燈「…のり、真紅」



真紅「…」
739 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 19:56:19.69 ID:mJm908k0
のり「…真紅ちゃん?」

真紅「…」ギュッ

柴崎「…よく、がんばったのう」

マツ「ええ。 …みんな、ほんとうに…」

水銀燈「おじいさま、おばあさま… それに…」



翠星石「(…ふ、ふつーにしてやがるです… これって、もしかして…??)」

蒼星石「(そうか… 水銀燈)」



水銀燈「…ふたりとも」

マツ「翠ちゃん、蒼ちゃん…?」

翠星石「(し、静かです… ただならないほど静かです…! これって、やっぱり)」


(ほんとの、本気で怒ってるときの水銀燈です…!!)


蒼星石「(…覚悟は、していた)」グ…

柴崎「…おまえさん」

水銀燈「…何ですか、おじいさま?」

柴崎「…」



「どうか、この子たちのことも、抱きしめてやっておくれ」
740 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 20:00:54.29 ID:mJm908k0
水銀燈「…え?」

柴崎「かなちゃんや、ひなちゃんにしていたように。 …この子たちのことも」

翠星石「お、おじじ!(ぎょえー!! よけーなこと、言うなですーっ!)」

蒼星石「お、おじいさん…」

水銀燈「…おじいさま」

マツ「そうよ、あなた…」


「…大事な大事な、あなたの娘たちでしょう?」


翠星石「む、むすめ…?」

水銀燈「おばあさま…」

巴「…みんな、あなたのために泣いていた。 悲しんでいた。…怒っていた」

水銀燈「巴…」

みつ「そして、いっしょうけんめい戦っていたのよ…」

水銀燈「…」

のり「銀ちゃん…」



水銀燈「…」



…ス



ジュン「…水銀燈」

水銀燈「…みなさん、ごめんなさい」…グ…



「こればかりは、譲るわけにはいきません」
741 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 20:09:24.87 ID:mJm908k0
マツ「あなた…」

柴崎「…やはり、そうか」

水銀燈「わたしたちは、ずっとこうして生き延びてきたのだから」



雪華綺晶「お、おかあ… さま…?」

真紅「(…当然よ)」



水銀燈「これだけは… たとえあなたたちであっても、口をはさませるわけにはいかない」

のり「…銀ちゃん」

みつ「…」



翠星石「(説教確定ですぅ…)」ガックリ

蒼星石「(…言い訳は、できないよ)」



水銀燈「…真紅、雪華綺晶」

真紅「…はい」

雪華綺晶「は、はい…」

水銀燈「翠星石、蒼星石」

翠星石「…はい…(お、怒ってます… かつてないくらいにお怒りです…!!)」

蒼星石「…」

水銀燈「雛苺、あなたも」

雛苺「…!」



「…こっちに、いらっしゃい」
742 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 20:14:14.95 ID:mJm908k0
雛苺「…」ガタガタガタガタ…

巴「…雛苺」

水銀燈「…みんながそろったら『ちゃんと』話をするって、言ったでしょう?」

雛苺「…!!(ひ…っ!)」

巴「…」


パァァ…


巴「…あ!」

のり「…川の水面が…!」

水銀燈「…来たわね」


パァァァ…


ロスヴァイセ「…到着シマシタ」

金糸雀「…ご苦労かしら」

みつ「カナ…」

水銀燈「ちょうどよかった… 今から、話をはじめるところよ」

金糸雀「はい…」

オルトリンデ「オ姉サマ…」

金糸雀「…あなたたちは、迷彩モードのままここで、待機してて…」

ロスヴァイセ「…ハイ」

金糸雀「アルト隊、ブリュンヒルデも迷彩モードに移行。 …指示を待つかしら」

ブリュンヒルデ「…Jawohl」

金糸雀「(…)」


(気が重いかしら…)


トテ トテ トテ…
743 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 20:21:05.99 ID:mJm908k0
金糸雀「(13階段をのぼる心境かしら… でも、しかたないかしら…)」

みつ「カナ…」

金糸雀「(…だって、だってわたし…)」キッ!


(わたし、指揮官なんだから…!)


水銀燈「…」

金糸雀「…ただいま、帰還しました、かしら」

水銀燈「めぐのこと、ありがとう。…ご苦労さま」

金糸雀「いいえ… 話を、始めてほしいかしら」

水銀燈「ええ。 …でも、その前に」

翠星石「水銀燈…?」

水銀燈「…翠星石」

翠星石「え…」ドキッ!

水銀燈「…」…ス


…ギュウ


翠星石「…す、水銀燈?」

水銀燈「…じっとしてなさい」

真紅「…あなた?」

雪華綺晶「おかあ… さま…?」

水銀燈「真紅、あなたも」

真紅「え…」

水銀燈「…早く」…ス

真紅「…あ」


…ギュッ
744 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 20:26:25.30 ID:mJm908k0
真紅「水銀燈…」

水銀燈「…痛くない?」

真紅「え? い、いいえ…」

水銀燈「そう。 …蒼星石も、来なさい」

蒼星石「え… は、はい」


…ヒシッ


柴崎「…おまえさん…」

蒼星石「…水銀燈?」

翠星石「い、いったい??」

水銀燈「…あなたたち」


…ギュゥ


真紅「あなた…?」

雪華綺晶「…お母さま?」

水銀燈「あなたたち…」ス…


…ギロッ


翠星石「…ひ?!」

蒼星石「…!」

水銀燈「あなたたち…!」

真紅「…」

雪華綺晶「ひ、ひっ…?!」

水銀燈「こんなに…」



「こんなに、なって…!」
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 20:45:11.75 ID:qbXlSdUo
・。・
746 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 20:46:20.14 ID:mJm908k0
真紅「…水銀燈?」

水銀燈「こんなに、ボロボロになって… あなたたちったら…!」…ガシッ!

蒼星石「…うっ?!」

水銀燈「…覚悟なさい!」カッ!


シュォォォォォ…!


真紅「…これは?!」

ジュン「炎の翼…!」

翠星石「な、なにをする気ですか?!」

水銀燈「…わからない?」…ギリッ!

蒼星石「…つっ?!」

翠星石「い、痛いっ?!」

水銀燈「今から、あなたたちを…」ギリ ギリ…


「あなたたちを、本気で殴るのよ…」


翠星石「…へっ?!」

真紅「…そう」

蒼星石「覚悟の上だ」

翠星石「わ、わたしたちケガ人ですよ?!」

水銀燈「…だから!」グイッ!

翠星石「あうっ?!」

水銀燈「だから、わたしが!」


フォォォォォ…


「あなたたちのケガを、治してあげる…!」
747 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/26(土) 21:02:15.01 ID:mJm908k0
真紅「治す… ですって?」

水銀燈「そうよ。 『聖母』の力でね…!」キュアアアアアア…!

みつ「(翼が、大きくなっていく!)」

のり「(あ、熱くないけど… まぶしいっ!)」

水銀燈「ケガさえ治れば、何の遠慮もいらないでしょう?!」ギリ…!

翠星石「ひ、ひぃぃ…! でも!!」

水銀燈「…何よ?」

翠星石「わ、わたしたち… 手足が、もう…!」

ジュン「…」

翠星石「…もう、もとには、戻らないんです… 戻れないんです…!」

蒼星石「…」

水銀燈「…ふたりとも」

蒼星石「え…?」


「あの子たちに、礼を言っておきなさい」


翠星石「へ? …うああ?!」ズキッ!

蒼星石「翠星石?! …ああうっ?!」ズキン!

ジュン「ふたりとも…?! ああっ!?」


ギュォォォ…!


翠星石「う、うそっ?!」

蒼星石「これは…!?」

ジュン「二人の手足が、再生していく!!」

水銀燈「ちゃんと、お礼を言うのよ… あの子たちに」ギュゥ…


「あなたたちの手足を、返してくれたのだから…」
748 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[sage]:2009/09/26(土) 21:04:41.53 ID:mJm908k0
今日はここまで。次回は明後日です〜


>>736
間違いなく本人です〜 トリップつけなくちゃ…
支援どもっした〜
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 21:07:29.41 ID:AzkPDl.o
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 21:11:04.75 ID:5ucIFc2o
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 21:11:15.15 ID:t3VqGT.o
乙樽場
>>724
敢えて回収しないという手も(ry
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 21:11:24.25 ID:tD4BA6Io
おつ!
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 21:53:46.63 ID:IPtHa.Yo
乙ー

いまさらトリップなんていらんよ
逆に無粋だ
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 22:04:06.08 ID:YfSdLUYo
おつつ
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/26(土) 22:45:26.01 ID:NxcYu2Qo
おっつ
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/28(月) 00:21:36.93 ID:fofilSw0
乙だぜ なんかこっちまでドキドキしたぞ
757 :[saga]:2009/09/28(月) 20:55:24.99 ID:GYy0xiU0
>>749-756
乙どもっす〜

>>751
とりあえずアレに関しては投げっぱなし確定(を

>>753
そう言ってもらえると嬉しいやらありがたいやら。
でも、だれか代わりに書いてくれても楽なような気が(ヤメレ

>>756
もっとドキドキさせられることを期待しつつ…


再開します〜
758 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 20:57:28.71 ID:GYy0xiU0
シュォォォォ…!


蒼星石「く… うっ…!」

翠星石「あ… うあ…?!」

水銀燈「…我慢なさい」

のり「す、すごい…」 


シュゥゥゥゥゥ…


水銀燈「傷が治っていく時、疼くのと同じよ」

巴「見る間に、手足が生えてくる…!」

水銀燈「急速に治しているのだから、その分痛みも増す。 …少しくらい、辛抱なさい」

真紅「…っ…!」

みつ「…し、真紅ちゃん…  ?!」


シュゥゥゥゥゥ…!


巴「…し、真紅の顔が…! 肌が!!」

ジュン「(あのただれた体が、みるみるうちに、きれいになっていく…!)」

水銀燈「…まったく、手間をかけさせて…!」

真紅「…」

雪華綺晶「お母さま…」

水銀燈「…みんな」

翠星石「は、はい…」

水銀燈「回復しきるには、もうしばらくかかる」

蒼星石「…」



「…そのままでいいから、よく聞きなさい」
759 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:06:10.45 ID:GYy0xiU0
金糸雀「…はい」…ギュッ

雛苺「はい…」ブルブルブル…

水銀燈「…雛苺」

雛苺「は、はい!」

水銀燈「翠星石」

翠星石「はい…」

水銀燈「…あなたたちは」



「目の前に敵がいたのに、いったい何をやっていたの?」



雛苺「え…」

水銀燈「いつまでもウジウジしていたせいで、巨人の始末が遅れたり…」

雛苺「う… うゅ…」

水銀燈「…さっさと止めをささなかったせいで、あいつの娘に返り討ちにあったり」

翠星石「…う…」

水銀燈「あなたたちが速やかにかたをつけていれば、地下へ突入したみんなはもう少し楽が出来ていたはずよね?」

雛苺「…はい…」

翠星石「その通りですぅ…」

水銀燈「戦いが怖くても、嫌いでも構わないけれど…」


「みんなの命と引き換えにされては、たまらないわ」


雛苺「う… うぅぅ…」…グズッ

翠星石「そ、そんなつもりじゃ…」

水銀燈「…」


…ギロッ
760 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:16:33.49 ID:GYy0xiU0
翠星石「(…ひっ!)」

水銀燈「言い訳したいの?」

翠星石「え… い、いいえ… ごめんなさい…」

水銀燈「…まったく。 それに…」


「蒼星石、雪華綺晶」


蒼星石「…はい」

雪華綺晶「は、はい…?」

水銀燈「…」


「戦いにおいては冷静でいろと、何度言ったと思ってるの?」


蒼星石「…」…ギリッ

水銀燈「先走ったあげく、自分から窮地に飛びこんで、味方までも引きずり回して」

雪華綺晶「…で、でも…」

水銀燈「…でも?」

雪華綺晶「でも、でも… あの子たちが!!」

真紅「(雪華綺晶!)」

雪華綺晶「え…?」

翠星石「(おまえっ!! 命が惜しかったら、いますぐ…!)」

雪華綺晶「翠星石? …ひっ?!」


…ギリッ


真紅「…っ!」

雪華綺晶「(お、おかあ… さま…?!)」

水銀燈「…」ミシ…!
761 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:19:37.08 ID:GYy0xiU0
真紅「く… うぅっ…!」ミシ ミシ…

雪華綺晶「し、真紅?!」

蒼星石「(雪華綺晶! 今すぐ謝るんだ!!)」

雪華綺晶「え… お、お母さま…?!」

水銀燈「…」ギリ…!

翠星石「(おまえに体をあずけてる、真紅がまきぞえを喰いますよ!!)」

水銀燈「…あなた…」


…ギロッ


雪華綺晶「ひ、ひぃっ…!(こ、この眼…!)」

水銀燈「…」ギリ… ミシッ!

雪華綺晶「(な、なに…? この感じ…! こ、怖い… 怖いよぉっ!!)」

水銀燈「…雪華綺晶」

雪華綺晶「…は、はい…?」

水銀燈「…」



「でも、何?」



雪華綺晶「え…」

水銀燈「…なんなの?」ギロ…

雪華綺晶「…え、な… なっ…」



「何でも… ない… です…」
762 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:26:47.41 ID:GYy0xiU0
水銀燈「…」

雪華綺晶「ご、ごめんなさい… ごめんなさい!」

水銀燈「…そう」


…パッ


真紅「…つ、ふぅ…」

水銀燈「いい子ね、雪華綺晶」

雪華綺晶「は、はい…(い、今のは…?)」

翠星石「(た、助かったです…)」

蒼星石「(…雪華綺晶。 君は水銀燈のことを甘く見すぎだよ)」

雪華綺晶「はい…(今のは… いまの感触はなに?!)」ガクガクガク…


(以前戦ったときとは、比べ物にならない…! あれも、聖母の力なの?!)


翠星石「(わかりましたか? 雪華綺晶…)」

雪華綺晶「え…」

翠星石「(外との敵の戦いのときに、ポカをやらかしたときの水銀燈は…)」

蒼星石「(…アリスゲームのときよりも、はるかに怖いんだ)」

雪華綺晶「…はい… わかり、ました…(…こ、怖かった! 怖かったよぉっ…!!)」

水銀燈「まったく…」

雪華綺晶「…ごめん、なさい…(今の、お母さま…)」


(『あいつ』よりも、怖かった…!)


水銀燈「わざわざ敵の思うままに動いて、罠に飛びこんであげるなんて」

蒼星石「…すみません」

水銀燈「ずっと『お父さま』に守られていた雪華綺晶はともかく、あなたまで」
763 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:28:13.28 ID:GYy0xiU0
蒼星石「…返す言葉もないです(…お父さまが?)」

雪華綺晶「…」

水銀燈「…けれど、それ以上に許せない子たちがいる」

蒼星石「え…」

水銀燈「…」


「…金糸雀、真紅」


雪華綺晶「…え?」

蒼星石「…!!」

金糸雀「…はい」

真紅「はい…」

水銀燈「…わかってるわね? この子たちのしたことは、あなたたちの責任よ?」

金糸雀「…そのとおり、です…」

蒼星石「(…僕の、僕のバカっ!!)」

真紅「…」

雪華綺晶「な、なぜ?!」

水銀燈「金糸雀、真紅。 なぜ、この子たちが先走った時に…」



「殺してでも、止めてやろうとしなかったの?」
764 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:33:02.77 ID:GYy0xiU0
のり「!!」

ジュン「…」

金糸雀「はい…」

水銀燈「戦場でのうかつな行動は、死につながる。 …自分ひとりで死ぬなら、まだしも」

真紅「…」

水銀燈「味方たちを道づれに、総崩れするところだったでしょう…?」ギロリ

蒼星石「…はい…」

雪華綺晶「そ、そんな…」

水銀燈「いいようにさせてやったから、あんなことになった。 …あなたたちは」


「この子たちが命令を聞かなかった時点で、さっさと締め上げておとなしくさせるべきだったのよ」


みつ「…!」

真紅「…その通りです」

ジュン「…真紅(…あの時…)」


―おとなしくなさい。 …これが最後よ。


ジュン「(君は、水銀燈の言いつけを守っていたんだな…)」

真紅「…みんなが窮地に陥ったのは、すべて、この子を止めることができなかった私の責任…」

雪華綺晶「そんな…そんな! 違うっ!」

蒼星石「…雪華綺晶?!」

雪華綺晶「お母さま! 真紅は悪くないっ!!」

水銀燈「…」

雪華綺晶「悪いのは、悪いのは全部、わたし…!」



ビシッ!
765 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:36:41.88 ID:GYy0xiU0
雪華綺晶「あうっ?!」

巴「…!」

ジュン「…」



真紅「…いいかげんに、しなさい」



雪華綺晶「し、真紅…?」

真紅「そんなことを言って、わたしをどこまでバカにする気なの?」

雪華綺晶「そ、そんな…!」

ジュン「…真紅の、言うとおりだよ」

雪華綺晶「お、お父さま?!」

ジュン「雪華綺晶。 …水銀燈の話を、しっかり聞くんだ」

雪華綺晶「え…」

ジュン「…」


「聞くんだ」


水銀燈「(…ジュン。 もう…)」

雪華綺晶「…は、はい…」

水銀燈「(…あなたは優しくしてって、言ったのに)」

ジュン「…水銀燈、話の続きを」

水銀燈「…ふん」シュゥゥゥゥ…



「もう、話は終わりよ」
766 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:40:27.12 ID:GYy0xiU0
翠星石「え… あれっ?」…クイ クイ

金糸雀「翠星石?」

蒼星石「…か、体が!」クイクイ…

真紅「…痛まない! 治ってる…!」

水銀燈「…完治したわけでは、ないけれど」…ガシッ!

翠星石「ひぃ?!」


…グイ!


蒼星石「…く!?」

真紅「うっ…!」

水銀燈「一発ずつくれてやるには、これで充分よ…!」ギリ…!

翠星石「(ほっ… 本気ですっ!! す、すっ… 翠星石…!)」

真紅「…いいわ、早く済ませて」

蒼星石「当然の仕儀だ。 …さあ」

水銀燈「ふふ… 言ったわね?」ギリッ!

翠星石「(翠星石、ちびっちゃいそうですぅ〜〜〜〜!!)」

金糸雀「ま、待って!!」

水銀燈「せいぜい、泣きべそかかないようにしなさい!!」…グッ!

金糸雀「水銀燈、待って! お願い!」


…ガシッ!


みつ「カナ?!」

水銀燈「…邪魔する気?」グ…

金糸雀「ち… 違う! ちがうかしら…!」ギリ…!


「この子たちの指揮をとってたのは、わたしかしら!!」
767 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:48:46.77 ID:GYy0xiU0
翠星石「カナ姉…!」

蒼星石「…姉さん!」

金糸雀「だから… だから、罰はわたしがうけるべきかしら! お願い!!」

水銀燈「…あなた」

金糸雀「お願い…!」

水銀燈「…」



「さっきの一発とは、別よ?」



真紅「…水銀燈!?」

金糸雀「…当然かしら。 だからどうか、ほかのみんなは…!」

水銀燈「…」

金糸雀「…お願い、水銀燈! わたしに、指揮官としての責任をとらせて!」

水銀燈「…わかったわ」ス…


…パッ


真紅「…うあっ?!」…ガシャッ

水銀燈「…みんな」

翠星石「う…! けほ、けほ…!」

蒼星石「す、水銀燈?!」

水銀燈「金糸雀に、感謝なさい」

蒼星石「そ、そんな! 水銀燈、僕らは…!」



ド ボ ッ ! !
768 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:53:30.68 ID:GYy0xiU0
蒼星石「ぐ?!」

翠星石「蒼星石?!」

蒼星石「ぐ… ぐ、はぁ…!」…ガクン

水銀燈「…今のは、金糸雀の覚悟をないがしろにした報いよ」

蒼星石「ぐ、ぐほっ…! ぼ、僕らは…!」

金糸雀「蒼星石!! 出すぎたマネをしないで!!」

蒼星石「ね、姉さん…!」

金糸雀「…水銀燈、お願い! はやく!!」

水銀燈「…」


「行くわよ」


金糸雀「…っ!」グッ

真紅「金糸雀!!」

雛苺「カ、カナ!!」


「待つんだ!!」


水銀燈「…?」

真紅「…あなた?」

ジュン「待つんだ… 待て!!」

金糸雀「ジュン、いいの! 邪魔しないでほしいかしら!!」

水銀燈「…あなたがたには、口ははさませないと言ったはずだけれど」

ジュン「違う! 違うんだ!」

金糸雀「違わない! お願い、わたしに責任を…」

ジュン「金糸雀!!」



「君こそ、出すぎたマネをするな!!」
769 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:56:00.02 ID:GYy0xiU0
金糸雀「…え?」

ジュン「わからないのか?! …今、総指揮を執っていたのは誰なんだ?!」

金糸雀「え… あ!」

ジュン「総司令官は、誰だったんだよ!?」

金糸雀「…で、でも、そんな?!」

真紅「…ジュン、あなた!」

ジュン「そうだ…!」


「責任をとるべきは、このボクのはずだ!!」


水銀燈「…」

翠星石「ム、ムチャですっ!!」

蒼星石「ジュン君!! 君まで、水銀燈のことを甘く見てるのかい?!」

ジュン「…」

蒼星石「水銀燈が、人間相手になら手加減してくれるとでも思ってるのか?!」

水銀燈「…それは、ないわ」 

真紅「な?!」

水銀燈「そうよね、ジュン?」

ジュン「…」



「…ああ。 当然だよ」



水銀燈「…でしょうね。 あなたは、よくわかっているはず」
770 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 21:59:58.14 ID:GYy0xiU0
ジュン「…」

真紅「そんな…! あなた、正気なの!?」

水銀燈「覚悟はいいわね?」

ジュン「ああ」

水銀燈「…安心なさい」…グッ


ギリ…


雪華綺晶「お母さま?!」

水銀燈「かろうじてでも、生きていられる程度には加減してあげる」

雛苺「や… やめて!! 水銀燈っ!!」

水銀燈「生きてさえいれば、ちゃんと治してあげるから」

ジュン「…ああ」

雪華綺晶「や、やめてぇっ!!」

真紅「…のり! あなたも何か、言ってやって!!」


のり「…」


真紅「の、のり?! ジュンが…! 水銀燈は本気よ!!」

のり「…うん」

真紅「…あなた?!」

水銀燈「歯を、食いしばりなさい!」

ジュン「…!」グッ!

翠星石「…ひっ?!」



…シャッ!
771 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 22:02:52.34 ID:GYy0xiU0
真紅「…!」

雪華綺晶「ひっ…!」







翠星石「(…ジュ、ジュン…!)」

蒼星石「(ジュン君…!)」







雛苺「(や、いやあ… ジュンが死んじゃう…)」

金糸雀「(…あらら?)」







金糸雀(みょうに、静か… かしら…)

「…このぉっ!!」

金糸雀「ひっ?!」



「この… この!! く、くそっ…!!」ガクン… ガクン!



金糸雀「す、水銀… 燈…?」

雛苺「(…水銀燈?)」…チラ

「く… な、なぜ? なぜなの?!」


ガク… ガク…
772 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 22:22:08.69 ID:GYy0xiU0
翠星石「す、水銀燈…?」

蒼星石「…君は…!」

水銀燈「く、くそ…!(う、腕が…? 体が、動かない…?!)」ガクガクガク…

翠星石「水銀燈、あなたまさか…」


「手加減して、やってるんですか?」


「 ち が う っ ! ! 」


翠星石「ひ?!(…あ)」

水銀燈「違う、違うっ! わたし、手加減なんてしてないっ! …してないのにっ!」…ギシッ

ジュン「…」

水銀燈「なぜ、なぜなのよぉっ?!」ギシ…!

翠星石「なぜって… 言われても… あうう…(す、翠星石…)」


(いまので、ちょこっとだけ… ちびっちゃったですぅ…)


ジュン「…」

水銀燈「く、くそぉぉっ!! …わたし、どうしちゃったのよぉ!?」ギシ…! 


「あなたに、拳がとどかない…!」


真紅「あなた…」

雪華綺晶「お母さま…!」

水銀燈「く、くそ! ちくしょうっ!! 貴様、そこを動くなぁっ!」ガクン!!

ジュン「…動いてなんか、ないよ」

水銀燈「…うるさいっ!! くそ… くそぉぉぉぉっ!!!」…ギシッ!



…カクン
773 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 22:25:54.87 ID:GYy0xiU0
水銀燈「は、はぁ、はぁ、はぁ…」ガクガクガク…


ジュン「…」

のり「銀ちゃん…」


水銀燈「…はあ、はあ、はあ…」ガクガク…


柴崎「…おまえさん」

マツ「あなた…」


水銀燈「…はあ、はあ… はあ、っ…」…カクン


巴「水銀燈…」

みつ「…銀、ちゃん…」


水銀燈「…く…」


ジュン「…水銀燈」

水銀燈「…」


…キッ!


ジュン「…君は、もしかして…」

水銀燈「…」…ブルブルブル…



「…どうして…!」
774 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 22:31:35.11 ID:GYy0xiU0
真紅「…?」

雪華綺晶「お母さま…?」

ジュン「どうして?」

水銀燈「どうして、どうして…!!」ガシッ!

ジュン「ぐっ?!」

水銀燈「…どうして!!」



「どうして、くれるのよぉっ!!」…ジワッ



翠星石「す、水銀燈?!」

蒼星石「(…涙?!)」

水銀燈「あなたたち、どうしてくれるの!? どうしてくれるのよ!!」ポロ…

ジュン「…」

水銀燈「わたしのこと、こんなにして! 人を殴れない体にして!! だから… だから、わたし!!」ポロポロ…



「…あなたたちとなんか、暮らしたくなかったのよぉっ!!」



金糸雀「あ、あなた…?」

雛苺「え…???」

ジュン「…」

水銀燈「…わたし、自分がこうなるってわかってた! 絶対にこうなってしまうって!!」 



「だから、嫌だったのよぉっ!!」ポロポロポロ…
775 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/28(月) 22:44:56.96 ID:GYy0xiU0
ジュン「水銀燈…」

水銀燈「わたし、わかってたの… わかってたのに…!!」 


「あなたたちとあんな、やすらかでおだやかな、おままごとみたいな暮らしを送ってしまったら…」 

「情がわいてしまうって! 非情に、なれなくなってしまうって…!」


のり「…」


「戦わなきゃならないときに戦えない、殴らなきゃいけないときに殴れない自分になるって、わかってたのに!」

「だから、だからわたし… ずっとずっと…」


みつ「…」


「人間とも姉妹とも、心を通じ合わせないようにしてたのに!」

「たったひとりででも、戦える自分でいようと思ったのに!! どうして、くれるのよぉっ!! これじゃ…」


巴「…」


「戦えないじゃない、叩けないじゃない!! この子たちを、守ってあげられないじゃない!!」

「わたし… こうなりたくなかったから… ずっと、ひとりで、がんばってきたのに…!」


柴崎「…」


「どうすれば、いいのよ… わたし…!」

「どうすれば…!」


マツ「…」



「う… うあ… うああああ…」

「ああ… う…っ」
776 :[sage]:2009/09/28(月) 22:47:19.38 ID:GYy0xiU0
今日はここまでです。続きは明後日。
なおあと1〜2回くらいで、この章は終わります。
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/28(月) 22:50:34.87 ID:MKIKTeoo
おつ!
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/28(月) 22:52:15.91 ID:rTQ19/wo
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/28(月) 22:58:12.74 ID:krJ4RlEo
乙樽場

銀様…
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/28(月) 23:01:42.46 ID:rX/WWi2o
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/28(月) 23:04:01.49 ID:IBGZHu2o
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/29(火) 01:48:07.72 ID:9A2YVQI0
乙だぜ
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/29(火) 02:16:14.02 ID:KvUkmFoo
おっつ
784 :[saga]:2009/09/30(水) 18:29:48.52 ID:OWUlZtI0
>>777-783
乙どもっす〜
再開します〜
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/30(水) 18:33:31.00 ID:TdJwo1Uo
まってたよ!
786 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:34:54.12 ID:OWUlZtI0
「…」

「う… ああ… うっ…」

「…水銀燈」


…ギュ


「ジュン…?」

「…」ギュゥ…

「…わたし…」



…ザリッ



「う… あぁ…」

「…」ギュゥゥ…

「(わたし… ああ、わたし…)」



…ブル ブルブル…



「ああ… ああああ… うぅっ… ぐぅっ…」

「…」

「(どうしよう…)」 



…ガク ガクガク…



(どうすれば、いいの…? わたし… これから…)



(これから、どう、生きていけばいいの…?)
787 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:37:17.67 ID:OWUlZtI0
真紅「水銀燈、あなた…」

翠星石「水、銀燈…が…! そんな…!」…ジワ…

水銀燈「ぐ… ふぅ… う、ぐっ…! ぐずっ…(こんな…)」


(こんな、戦えない自分になってしまって…)


蒼星石「(あの、水銀燈が…)」

雛苺「(…ヒナみたいに、泣きじゃくってるの…!)」…グスッ

水銀燈「ぐ… ず、ぐぅっ… わ、わたし…っ」


(どうしよう… これじゃ… わたし…)


雪華綺晶「(…お母さま?)」

(…わたし、なんのために、なんのために…)

雪華綺晶「…え?」

(なんのために… ここに戻ってきたのか…!)




(なんのために、生きることを選んだのか、わからないっ!)
788 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:40:16.90 ID:OWUlZtI0
雪華綺晶「…えっ!?」

真紅「…雪華綺晶?」

水銀燈「?! …あなた!(…しまった!)」

雪華綺晶「あ… あああ!!」

水銀燈「(この子、わたしの心を…!)」

雪華綺晶「ああ… ああああ!!」



―わたしは、『水銀燈』の記憶を持っているというだけの、別の人形なのですね…?

―わたしは、あなたの奴隷として生きるためによみがえったのですか…?!



雪華綺晶「…お、お母さま… お母さま!!」

翠星石「ど、どうしたですか?!」

雪華綺晶「あなたは…そんな!! ああっ、そんな… あああっ! お母さまっ!!」

水銀燈「(雪華綺晶!!)」

雪華綺晶「…は、はい!」

水銀燈「(…お願い)」 


(みんなには、今はまだ言わないで…!)


雪華綺晶「(え…)」

水銀燈「(すぐに… わたしから、すぐに話すから…! お願いよ…!)」

雪華綺晶「…」

真紅「…雪華綺晶?」



「おかあ… さま…」
789 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:44:28.01 ID:OWUlZtI0
水銀燈「…」

ジュン「水銀燈…?」

水銀燈「…」


…ムク


のり「…銀ちゃん」

水銀燈「…」

みつ「…銀ちゃん。 いえ、水銀燈。 あなたは…」

水銀燈「…わたし」

マツ「…あなた?」

水銀燈「わたし、ずっと… ずぅっと…」


「怖がっていた… 怖かったのよ…」


真紅「…あなた」

柴崎「…」

水銀燈「…戦う自分でいるために、張りつめていたものが、切れてしまうことが」

巴「…水銀燈(…あの時)」


―あなたたちには、ほんとうにお世話になってる。そのことは忘れていない。

―けれど、あんまりお世話になりすぎてしまうと、いざというとき戦えない自分になってしまいそうな気がする。


水銀燈「戦えない自分になってしまうから… いえ、戦えない自分に、戻ってしまうから…」

巴「…」

水銀燈「ずっと、ずっと… 怖かったの…」


―そして、勝てる戦いに負けて、助けられる命を取りこぼしてしまうかもしれない。

―わたしはそれが、とても怖いの。
790 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:48:32.48 ID:OWUlZtI0
巴「あなた…」

水銀燈「わたし、もう、どうしていいか、わからない… 戦う自分に、どうやって戻るのか… 戻れるのか…」

ジュン「…」

水銀燈「戦いのさなかに、戦えなくなったら、どうしよう… わからない、わからないの…」

真紅「…」

ジュン「…どうすれば…」

のり「…ジュン君」

ジュン「…どうすれば、いいのかって?」

のり「え?」

ジュン「そんなの…」


「そんなの、決まってるじゃないか」


巴「ジュン君?」

ジュン「…簡単なことだよ」

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「君はさっき、自分で言ってただろう」

水銀燈「…え?」

ジュン「真紅たちをアリスにするためには…」



「僕たちの力を、借りるって」
791 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:51:26.70 ID:OWUlZtI0
真紅「…ジュンたちの?」

ジュン「僕たちの助けを…いや、いやもおうもなく巻きこむって、言ってたじゃないか」

翠星石「…どういうこと、ですか?」

金糸雀「それは…」

水銀燈「…そう、だけれど…?」

ジュン「…なら、もうわかるだろう?」

真紅「…ジュン?」

ジュン「真紅」

真紅「え?」

ジュン「…」


…グッ


真紅「…ジュ、ジュン…?」

ジュン「わかるかい?」グ…

真紅「え…」

ジュン「…水銀燈が、いま、ボクのことも、みんなのことも殴れないって言ってる」

真紅「え? …あっ!」

ジュン「それなら…」

真紅「…」



「仕方、無いわね」 
792 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:53:18.65 ID:OWUlZtI0
水銀燈「…真紅?」

ジュン「ありがとう、真紅」

真紅「あなたなんかじゃ、役者不足だけど」

ジュン「…ごめん」

真紅「雪華綺晶」

雪華綺晶「…なに?」

真紅「私の中に、入りなさい」

雪華綺晶「…え?」

真紅「早く」

雪華綺晶「…は、はい」


…スゥッ


雪華綺晶「…こう?」

真紅「しっかり、わたしと心をつないでおくのよ」

雪華綺晶「…え? こう?」

真紅「…そう。 ジュン、いいわ」

ジュン「いくよ」

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「…」…グッ

真紅「…」…ギュッ

雪華綺晶「…お父さま、真紅?」

水銀燈「いったい、なにをする気…?」

ジュン「…」


「…こう、するんだ!」


…ブンッ!
793 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 18:57:37.70 ID:OWUlZtI0
水銀燈「ジュン?!」

雪華綺晶「…きゃっ?!」


…ゴツッ!!


真紅「くっ…!」

雪華綺晶「きゃあんっ!?」

蒼星石「し、真紅?!」

雪華綺晶「い、いたぁい…?」

翠星石「や、やい! ジュン!! おまえ、なんてことを!!」

ジュン「…ごめん」

真紅「翠星石、仕方がないでしょう。 …ジュン、謝る必要は無いわ」

ジュン「…ああ」

蒼星石「え…」

真紅「…だって」…ギュッ


「水銀燈がいま、わたしたちを罰することができないと言うのだもの」


雛苺「え、えっ…」

真紅「ジュンなんかからじゃ不服だけれど… まあ仕方ないわね」…ズキズキ

金糸雀「…真紅」

雪華綺晶「うう… い、いたいよぉ…」…ズキン ズキン

真紅「泣きべそかくんじゃないわ。 …ジュンは、水銀燈の役割を引き受けてくれたんだから」

翠星石「そ、そんな…」

柴崎「…なるほど、そうじゃな」



…グィッ
794 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 19:00:55.80 ID:OWUlZtI0
翠星石「お、おじじ??」

巴「ジュン君。 わたしも…」グ…

雛苺「…トモエ??」

マツ「蒼ちゃん、いいわね?」…ギュッ

蒼星石「…はい」

みつ「…カナ」ギュ…

金糸雀「…」…コクン

のり「みんな…」

ジュン「…のり、ボクも」

のり「…うん」


…カチャ


翠星石「ジュン? メ、メガネを外して、なにを…」

のり「…いっ、せー、の」

翠星石「…へ?」



「せっ!!」



ゴツ! ゴンッ! パァンッ! ドボ! スパーン!!



翠星石「あひっ?!」

雛苺「きゃん!?」

蒼星石「…っ!」

金糸雀「うぐぇ?!」

ジュン「…くっ!」
795 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 19:05:16.14 ID:OWUlZtI0
水銀燈「…みんな?!」

ジュン「…あてて」ヒリヒリ…

のり「ごめんね、ジュン君」

ジュン「…いいよ。いいんだ… 姉さん」

のり「うん…」

水銀燈「な、なにを…」

巴「…だから、あのとき言ったでしょ?」

水銀燈「…え?」

雛苺「トモエ…? い、いたいの…」…ウルウル

巴「あなたが戦うときには、わたしたちも戦うって」

雛苺「…トモエー!! い、いたいのー! うあああああん!!」

巴「(…んもう! 水銀燈に殴られるより、いいでしょ!?)」

雛苺「お、おんなじくらい痛かったのー! こわかったのー!! うわああああーん!!」…ベソベソ

巴「(…もう) …言った、よね?」

水銀燈「あなたたちも… 戦う?」

ジュン「そう。 …だから」


「君が戦えない時には、僕たちが戦うんだ」


水銀燈「え、えっ…?」

柴崎「…おまえさんが、この子たちを怒らなければいけないのに、怒れないときには… わしらが、かわりに怒る」

翠星石「おじじ…」

マツ「叩かなきゃいけないのに叩けないときは、わたしたちが代わりに叩くわ」

蒼星石「…おばあさん…」

みつ「水銀燈。 …あなたはもう、この子たちのこと…」



「ひとりで全部、抱えこまなくてもいいの」
796 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 19:24:02.12 ID:OWUlZtI0
水銀燈「で、でも!」

のり「…いいのよ、銀ちゃん」

水銀燈「の、のり…?」

のり「いいの。だって、かわりに…」



「わたしたちが戦えないときは、あなたが戦うんだもの」



水銀燈「え…」

のり「わたしたちじゃ、とても勝てそうにない相手なら、かわりにあなたたちが戦ってね?」

ジュン「…のり」

のり「…銀ちゃん、わたしたちのこと守ってくれるって、言ってたでしょ?」

水銀燈「…そう…だけれど…」



翠星石「(水銀燈が…)」

蒼星石「(みんなを、守るだって?)」



のり「…銀ちゃん。 わたしね、決めたんだ」

水銀燈「…なにを?」

のり「わたし、もう、戦えないからって… 何もできないからって、泣いたりしない」

水銀燈「…」

のり「…だって、わたしたち、家族なんだもの」

水銀燈「え?」

のり「どんな危ない目にあっても、なにが襲ってきても、みんなと一緒に暮らすんだもの」

水銀燈「そ、そんな!」

のり「だから、いちいち助けた助けられたなんて、気にしないって」

水銀燈「あなた…!」
797 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 19:45:18.91 ID:OWUlZtI0
のり「ずっと、あなたは… あなたたちは、わたしの家族」

水銀燈「…」

のり「…ね、銀ちゃん」…ニコ


「みんなで、おうちに帰ろうよ?」


水銀燈「…」

のり「…ね?」

水銀燈「…」…ス


…ギュ


のり「…銀ちゃん」

水銀燈「…わかったわ」

のり「え?」

水銀燈「わたし… どうすればいいのか、わかった」

のり「…」

水銀燈「わたし、あなたたちを守るために、戦う」

のり「…うん」

水銀燈「みんなの命と、誇りと… ささやかな幸せを守るために、わたしは戦う」

のり「…銀ちゃん」


「これからも、どうかよろしくね…」

「ええ…」



「お姉さま…」
798 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 19:52:08.50 ID:OWUlZtI0
翠星石「おっ、おね?!」

蒼星石「…水銀燈?!」

真紅「あなた…?」

水銀燈「……」


「みんな…」


…グイ


水銀燈「え…?」

金糸雀「(そ…)」

水銀燈「…金糸雀?」

金糸雀「(そう… かしら…)」 


コヒュー コヒュー…


水銀燈「…あなた?」

金糸雀「(のりの… みんなの… いうとおり… か…し…ら…!)」コヒュー コヒュー…

水銀燈「…あなた、どうしたの???」

金糸雀「(なっ… なんでも… ない… かしらっ…!)」コヒュー…

みつ「…カナ、ごめんね?」

水銀燈「みつ?」

金糸雀「(だっ… だいじょうぶかしら…)」コヒュー コヒュー…

みつ「…頭にしておけばよかったかなー」

水銀燈「…はぁ???」

金糸雀「(…さっき水銀燈に一発もらったところを、ピンポイントで狙われたかしら…)」…コヒュ-…

水銀燈「…」


ドズ!
799 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:00:53.98 ID:OWUlZtI0
金糸雀「うぼぇ?!」

みつ「カナ!?」

水銀燈「…ほら、これで喋れるでしょう」

金糸雀「え? あ… ほんとかしら」スーハー スーハー

水銀燈「…なに、いったい?」

金糸雀「…」 

水銀燈「…金糸雀?」

金糸雀「…」…グッ


「真紅、雪華綺晶…」 


真紅「…なに?」

雪華綺晶「カナ姉さま…?」

金糸雀「翠星石、蒼星石…」

翠星石「カナ姉?」

蒼星石「…姉さん?」

金糸雀「水銀燈は… 水銀燈は、決心してくれたかしら…」

水銀燈「…あなた」

真紅「決心って… なにを?」

金糸雀「…」

翠星石「どうした、ですか?」

金糸雀「(…ここが、勝負どころかしら!)」

蒼星石「…いったい、何を決心したっていうんだ?」

金糸雀「(何が何でも、みんなを説得してみせる!)」


(金糸雀、一世一代の、大勝負かしら!!)…キッ!


「…わたしたちはもう、どこの場所へも時代へも、移らないって!」
800 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:05:31.34 ID:OWUlZtI0
蒼星石「…なんだって?!」

翠星石「え…!」

金糸雀「わたしたちは、この場所、この時代… この人たちのそばで、生きていくって!」

真紅「そ… そんな!」

雛苺「ふぇえ…」

金糸雀「そして、この人たちとの『絆』の力で、わたしたちはアリスになる!」

翠星石「そ、それって…」

蒼星石「そうなのか? 水銀燈…!」

水銀燈「…」


「ええ、そうよ」


蒼星石「そんな… そ、それじゃ、アリスゲームは?!」

金糸雀「…さっきわたしは、みんなすべての結晶を、この身に集めたかしら」

蒼星石「あ…!」

金糸雀「でも、姉妹全員の結晶の力をもってしても、わたしはアリスにはなれなかった」

蒼星石「…そ、それは…?」

翠星石「(…『結晶を集めても、アリスにはなれない』じゃ、なかったでしたっけ…?)」

金糸雀「だから水銀燈は、新しい方法を考えついたかしら」

蒼星石「それが、さっきの…?」

金糸雀「…そう。 水銀燈は、この人たちとわたしたちの間に『絆』をつくり…」

水銀燈「…」

真紅「絆…」

金糸雀「その『絆』の力でもって、わたしたちをアリスにするつもりかしら!」
801 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:12:15.53 ID:OWUlZtI0
真紅「…えっ…?」

翠星石「絆の、ちからで…」

蒼星石「…『わたしたち』を、アリスに?」

金糸雀「そうかしら! …水銀燈があんなに強くなったのも、その『絆』の力かしら!」

真紅「…そうなの、水銀燈?」

水銀燈「ええ、そうよ」

真紅「…」

蒼星石「…」


「水銀燈」


水銀燈「…なに?」

真紅「あなたは… あなた自身をそうした力をもってして『私たち』をアリスにするというの?」

水銀燈「…そうよ」

蒼星石「『僕たち』を?」

水銀燈「…」

翠星石「蒼星石?」

蒼星石「君は… 君自身は、どうなんだい?」

水銀燈「…」

金糸雀「(…予想どおりのツッコミかしら…!)」

蒼星石「君は、アリスになることを、放棄するとでも言うのかい?」

翠星石「そ、蒼星石…!」

蒼星石「…どうなんだい?」

金糸雀「…それは!」


グイ!


金糸雀「むぐぇ?!」
802 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:18:06.56 ID:OWUlZtI0
水銀燈「…」…ギューッ

金糸雀「う、うぐぇ?!」

水銀燈「…わたしは、もう」

真紅「…?」

金糸雀「(!! だ、だめっ!!)」

水銀燈「わたしは、もう…」


「アリスには、なれない体なのよ…」


真紅「…!」

翠星石「そんな…」

蒼星石「…そんな!」

水銀燈「そうなのよ。 わたしは…」


「『マリア』になることを、選んだのだから」


雛苺「す、水銀燈…」

雪華綺晶「お母さま…」

水銀燈「わたしは、もう…」

蒼星石「…バカな!」


…ガシッ!


金糸雀「そ、蒼星石!!」

真紅「…なにを?!」

蒼星石「バカな… なにをバカなことを!!」

水銀燈「…」


…グイ!
803 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:27:23.12 ID:OWUlZtI0
ジュン「…蒼星石!」

蒼星石「君は… アリスゲームを、放棄するっていうのか!?」ギリ…!

翠星石「蒼星石! 乱暴は、よすですっ!!」

水銀燈「…」


「いいのよ、ふたりとも…」


翠星石「え… でも!」

ジュン「…水銀燈…」

蒼星石「君は、君は…!」ギリ… ギリ…

水銀燈「…いいの(だって、蒼星石には… いえ)」


(あなたたちには…)


蒼星石「…君は!!」

水銀燈「(そうする権利が、あるのだから…)」

蒼星石「くそっ… ちくしょう! ふざけるなっ!!」

水銀燈「(あなたたちを、ずっと血まみれの戦いに駆り立てていたのは、わたしなのだから…)」

蒼星石「…このっ!」グィッ!

水銀燈「…っ!」

翠星石「蒼星石っ!!」

蒼星石「…!」ガバ!


…ギュゥ


水銀燈「…?」

蒼星石「君は…」グ…


ギュゥ…
804 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:33:10.64 ID:OWUlZtI0
水銀燈「…?」

蒼星石「君は…」ギュ…

翠星石「…そ、蒼星石?」

蒼星石「きみ… は…」

水銀燈「…」

蒼星石「君は、あんなに… あれほどまでに…」


「アリスに、なりたがっていたじゃないか…!」


真紅「…蒼星石」

蒼星石「君は、あんなにも、あんなにも…!」

雪華綺晶「お姉さま…」

蒼星石「あんなにも、狂おしいほどに、アリスになろうとしていたじゃないか! …それなのに!」

翠星石「あなた…」

蒼星石「なぜ、あきらめるんだ?! あきらめてしまえるんだ…!」

水銀燈「…」

蒼星石「…」


「…もしかして」


水銀燈「…え」

蒼星石「もしかして…」ギュゥ…



「…僕らの、せいなのか?」
805 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:49:20.90 ID:OWUlZtI0
水銀燈「え?」

蒼星石「僕らが… 僕らが、あんなふがいない戦いをしたから…」

水銀燈「…」

蒼星石「君を… 守りきれなかったから… なのか…?」

水銀燈「…もう」


…ギュゥ


蒼星石「…あ」

水銀燈「…バカね」ギュゥゥ…


「それとこれとは、関係ないわ」


蒼星石「…でも… 君は…」

水銀燈「どうでも、よくなったのよ」

蒼星石「え?」

水銀燈「アリスなんて、どうでもよくなっちゃっただけよぉ」…ケラケラケラ

蒼星石「…君はっ!!」


グイ!


真紅「蒼星石?!」

金糸雀「らっ、乱暴はよすかしらー!!」

蒼星石「ふざけるな!! …君が『アリス』のことを、そんなふうに思うわけないじゃないか!!」

水銀燈「…」

蒼星石「僕を… 僕を、気遣ってるとでもいうのか?! バカにするのも、いいかげんにしろ!!」

水銀燈「…ほんとうよ」…ス



「あなたたちの結晶を、この身にやどして、産んだときからね…」
806 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 20:59:43.49 ID:OWUlZtI0
翠星石「わ、わたしたちを…?」

真紅「…産んだ…?」

水銀燈「ええ。…ここでね」…ス

蒼星石「あっ…(手、手を?)」


…ピト


蒼星石「…あ…(お、おなか…)」

水銀燈「あなたたちは、覚えてないだろうけれど」

真紅「…」

水銀燈「わたしは、はっきり覚えてる。 …あなたたちと、つながっていた感触を」

翠星石「つながってた…?」

水銀燈「ええ。 あなたたちの命の息吹… 鼓動… はっきりとね」

金糸雀「(…わたしも、おぼろげにだけど、いまなら思い出せる…)」


(水銀燈のぬくもりを… ジュンが吹きこんでくれた、命と心のあたたかさを…)
 

水銀燈「…わたしは、アリスには、なれるかもしれないと思っていた」

蒼星石「…」

水銀燈「たとえ未完成品であっても、『アリス』になら、もしかしたらなれるかもしれないってね」

真紅「…ええ」

水銀燈「けれど」

蒼星石「…けれど?」

水銀燈「…絶対に、なれないと思っていた」

翠星石「…?」

水銀燈「わたし…」


「『母親』には、絶対なれないと思っていたのよ」
807 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 21:03:22.20 ID:OWUlZtI0
金糸雀「…」

蒼星石「母親…」

水銀燈「ええ。 …絶対に無理だと思っていたから、最初から考えも望みもしなかった」

雪華綺晶「…お母さま」

水銀燈「でも、そんな存在にわたしはなってしまった。 …あなたがたに、してもらった」

翠星石「水銀燈…」

水銀燈「その借りを、まずはあなたたちに返したいと思ってる。 …でもね」

真紅「…?」

水銀燈「…」…ニコ



「…ふふふふっ」



翠星石「す、水銀燈?」

水銀燈「それだけじゃ、ないのよねぇ」…ニヤニヤ

真紅「な、なに?」

水銀燈「欲が、出てきたのよ」

蒼星石「…欲?」

水銀燈「ええ。 いざ『母親』になってしまったら…」ニヤー



「それじゃ、満足できなくなっちゃったのよぉ」
808 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 21:12:15.54 ID:OWUlZtI0
翠星石「ま、満足???」

水銀燈「ええ。 …おばあさまから、言われたことなんだけれど」

蒼星石「…おばあさんから?」


マツ「…」


翠星石「おばばから、なにを?」

水銀燈「…ふふっ。あなたたちを、一人前に育てて、お嫁入りさせろって」

真紅「…はあ?」

翠星石「お、お嫁?!」

水銀燈「ええ。 …まあ、相手が見つかるかどうかはともかく」ケラケラ

真紅「…なにを言ってるのよ」ムスッ

翠星石「(…自分だって、ついこないだまで、嫁き遅れてたくせに…)」プンスカ

蒼星石「…で、でも、それがいったい?」

水銀燈「わからない?」…クスクス

蒼星石「…わからないよ」

水銀燈「ふふ。 …わたし、『母親』になっただけじゃ…」 


「あなたたちを産んだだけじゃ、物足りないの」


真紅「…」

水銀燈「あなたたちを、ちゃんと、育ててみたい。 …知っている限りのことを、教えたい」

翠星石「…育てて…」

水銀燈「伝えられる限りのことを伝えて、使えるだけの時間を使って… あなたたちを、アリスにしてみたい」

蒼星石「…」

水銀燈「…わたし、ね…」



「…『母』になるまでは、死ねないって思ったのよ」
809 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 21:25:04.50 ID:OWUlZtI0
蒼星石「『母』に… なるまで…」

翠星石「(死ねない…?)」

水銀燈「それが、わたしがマリアになることを選んだ理由」


「…アリスになることを、あきらめられた理由よ」


真紅「…」

水銀燈「…納得は、できた?」

翠星石「…そんなの…」

マツ「翠ちゃん…」

翠星石「きゅ、急に言われても…」

水銀燈「…まあ、そうよねぇ。 当然よぉ」…ケラケラ

真紅「…ふん」

水銀燈「わたしなんかが母親面したら、そりゃイヤよねぇ。 …まあ、イヤでも勝手にやるつもりだけど」クスクス…

翠星石「…迷惑この上ねーです」

金糸雀「す、翠星石!!」

蒼星石「…ああ、まったくだよ」…ス


ギュ…


水銀燈「…蒼星石?」

蒼星石「…嫌だよ。 そんな…」…ギュウ 

水銀燈「…」

蒼星石「僕たち… いままで、ずっと…」

水銀燈「…あなた?」

蒼星石「…いままで、ずっと、ずっと…!」…ギュ!


「いままでずっと、姉妹でやってきたのに!」
810 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 21:32:32.62 ID:OWUlZtI0
翠星石「そ、蒼星石…?」

水銀燈「…」

蒼星石「…嫌だ! 嫌だよ…!」

水銀燈「…」

蒼星石「嫌だ嫌だ、いやだぁっ!!」ガバ!

水銀燈「あ…」


ギュゥゥゥ…


翠星石「(あちゃー…)」

蒼星石「いやだ…! やだ、やだぁ…!」ギュゥゥゥ…

水銀燈「…蒼星石、あなた…」

翠星石「(スイッチ、入っちゃったですぅ…)」

蒼星石「やだ… やだっ! 水銀燈っ…!」


…ナデ


蒼星石「…?…」

水銀燈「…蒼星石」ナデ… 

蒼星石「…水銀燈…?」

水銀燈「…」…ナデ ナデ ナデ…

蒼星石「…う…」


「うう… う、うううっ…!」ギュゥゥ…
811 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/09/30(水) 21:41:53.04 ID:OWUlZtI0
翠星石「(やーれやれ。ひさしぶりに、入っちゃったみたいですね…)」

水銀燈「…」ナデ… 

蒼星石「…う… うう、やだ! 『母親』なんて、やだっ…!」

水銀燈「…」ナデ… ナデ…

翠星石「(…駄々っ子モード突入ですぅ。 ふだんおとなしいぶんだけ、こうなると長いですよ…)」

蒼星石「やだ… やだよぉ!!(…君が…)」 


(水銀燈、君が… 僕たちの『母親』だって?)

(それじゃあの、憎たらしくて嫌われ者の、水銀燈は…?)


…ギュゥ

…ナデ ナデ


(僕たちの『姉』の、水銀燈は… どうなるの?) 

(どうなって、しまうの…? いなくなって… しまうの…?)


…ギュゥゥゥッ

…ナデ…


(やだ、やだ… そんなの、やだっ! 『お母さん』なんて、いらないっ!!)

(水銀燈は『お姉さん』じゃなきゃ、いやだっ! いやなんだよぉっ!!)


蒼星石「…やだ、やだぁ…!」…ギュゥゥ

水銀燈「…」…ナデ ナデ…
812 :[sage]:2009/09/30(水) 21:44:10.42 ID:OWUlZtI0
今日はここまでです。続きは明々後日。
次で終わるといいな…
813 :[sage]:2009/09/30(水) 21:45:17.47 ID:OWUlZtI0
>>785
支援どうもでした〜
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/30(水) 21:45:21.72 ID:ubBcqjwo
乙でした。
蒼の子かわいい・・・。
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/30(水) 21:45:40.86 ID:q2ksLO.o
乙〜

蒼可愛い
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/30(水) 21:46:23.76 ID:z6Arxqgo
乙樽場

蒼い子…、甘えん坊か…!
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/30(水) 22:36:38.42 ID:cAF5jYw0
乙だぜ。
蒼……銀……泣かせるじゃねえか……
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/30(水) 23:32:54.74 ID:Vw4HgXso
おっつ
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/01(木) 00:05:27.87 ID:lQd0a0go
おつ!
820 :[saga]:2009/10/03(土) 20:59:01.92 ID:VfpveG60
>>813-819
乙どもっす。

>>814-817
「いい子ぶりっこの乱暴者」の気持ちを書いてみたかった(謎



再開します〜
821 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:04:44.58 ID:VfpveG60
翠星石「蒼星石…」

真紅「…水銀燈、蒼星石…」

翠星石「(…わたしには…)」


(わたしには、わかってますよ。 …蒼星石)


「…うう…っ、く… ぼ、僕は…」

「…」


翠星石「(…あなたは、水銀燈への想いが、姉妹の中で一番強いんです)」

金糸雀「ふたりとも…」

翠星石「(嫌いも憎いも、そして…)」



(その、反対の気持ちもね…)



金糸雀「…蒼星石」

蒼星石「…」

金糸雀「あなた… あなた、本当は…」

蒼星石「金糸雀」

金糸雀「え?」

蒼星石「…」


…ムクリ


水銀燈「…あなた」

蒼星石「…」


「もう、大丈夫だ」
822 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:10:30.65 ID:VfpveG60
翠星石「(あら… 早かったですね)」

蒼星石「取り乱して、すまない」

水銀燈「…構わないわ」

蒼星石「ぶざまな姿を、さらしたね」

水銀燈「ふふ、いいわよ。 …可愛かったから」

蒼星石「え…」

水銀燈「翠星石は、素直になると可愛いんだけど」

蒼星石「…」

水銀燈「あなたは、素直じゃいられなくなると可愛くなるのよ」…クスクス

蒼星石「…」



「…ふん」ムスッ



水銀燈「…蒼星石」

蒼星石「なに?」

水銀燈「…」

蒼星石「…?」

水銀燈「…わたしは…」



「蒼ちゃん」



蒼星石「は、はい?」

マツ「…素直になっておあげなさい」

蒼星石「え…」

水銀燈「お、おばあさま?」
823 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:16:58.97 ID:VfpveG60
マツ「蒼ちゃん、銀ちゃんは、あなたのことを…」

蒼星石「…」

柴崎「…おまえさんたちのことを、心底案じておる」

水銀燈「え… おじいさままで!」

マツ「あなたが銀ちゃんのなかにいるとき、いっぱい聞かせてくれたわ」

蒼星石「えっ…」

水銀燈「…お、おばあさま! それは…!」

マツ「あなたとの思い出話、それから…」

柴崎「…おまえさんへの想いをな」

蒼星石「…」


「…そうなのかい、水銀燈?」


水銀燈「え、そ… それは…(おじいさま、おばあさまったら…)」

(そのことは、内緒にしてって言ったのに…)

蒼星石「…」


「マスター、おばあさん」


柴崎「…なにかね」

蒼星石「そして… みなさん」

マツ「…」

蒼星石「僕は… おふたりの言いたいことは、よくわかります」

のり「…蒼星石ちゃん」

蒼星石「気持ちも、ほんとうによくわかるんです」…ギュッ 

みつ「…」



「でも…」グ…
824 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:20:59.06 ID:VfpveG60
柴崎「…」

蒼星石「…僕は」

ジュン「…」

蒼星石「僕は、まだ」…グッ


「水銀燈のことを、母とは呼べません」


マツ「蒼ちゃん…」

蒼星石「…僕らは、あまりに永く、姉妹としてすごしてきてしまった」

のり「…うん」

蒼星石「…それを、今すぐは、変えられません」

柴崎「そうじゃな…」

水銀燈「…」


「当然よぉ」


金糸雀「水銀燈…」

水銀燈「…わたしなんかのこと、無理にそう思う必要はないわぁ」

蒼星石「…」

水銀燈「わたしだって、まだ実感がわかないもの…」

蒼星石「…」

水銀燈「まあ、わたしは勝手にやるつもりだから、あなたがたは…」

蒼星石「…水銀燈」

水銀燈「え?」



…ギュ
825 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:26:08.00 ID:VfpveG60
水銀燈「…そ、蒼星石?」

翠星石「…?」

蒼星石「…」ギュゥ…


「忘れるところだった」


水銀燈「え?」

翠星石「…!」

蒼星石「いろんなことが、いっぺんに起こりすぎて」ギュ…

水銀燈「…なにを?」

翠星石「(蒼星石、あなた…)」

蒼星石「…危うく、また、機会を逃すところだった…」

翠星石「(あなた、まさか…)」


(あれを、ついに…?)


水銀燈「…機会を、逃す?」

蒼星石「…」ギュゥ…

水銀燈「…あなた?」

蒼星石「君が無事で、よかった」

水銀燈「え…」

蒼星石「君に会えて、よかった…」ギュゥ…



「…君に、言おうと思ってたことが、あったから」
826 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:30:25.74 ID:VfpveG60
翠星石「(蒼星石…!)」

真紅「…?」

水銀燈「…いったい、何を?」

蒼星石「必ず、言おうと思ってたんだ」

水銀燈「…?」

蒼星石「君が、砕け散ってしまったとき」

水銀燈「え…」

蒼星石「そして… 僕自身が、砕けてしまったときに」

水銀燈「…」

蒼星石「もしも、もう一度だけ… もう一度だけでも、君に会うことができたなら」

水銀燈「…あなた」

蒼星石「必ず… かならず…」…ギュッ


「かならず、言おうと思ってたんだ…」


水銀燈「…」

翠星石「(神さま… お父さま…)」

蒼星石「…」

翠星石「(どうか、どうか、お願いです…! 蒼星石に…)」…ギュゥッ




(蒼星石に、勇気を…!)
827 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:40:32.73 ID:VfpveG60
蒼星石「…」

水銀燈「…あなた…」

蒼星石「…水銀燈、憶えてる?」

水銀燈「え…」

蒼星石「…ずっと、ずっと前のこと…」

水銀燈「…」



「僕らが、はじめて、出会ったときのこと…」



―…まったく、また出歩いていたのか


―うあっ! い、痛い…!


―あまり、迷惑はかけないでくれ



―ガシャッ…



水銀燈「…」

蒼星石「…僕は、君を妬んでいた」

水銀燈「え…」

蒼星石「未完成品なのに、アリスになる努力もできないのに…」

水銀燈「…」

蒼星石「真紅やお父さまに、大事にされるなんてって…」

水銀燈「あなた…」

蒼星石「そんな君を、僕は妬ましく思っていた…」ギュゥゥ…



「それは、つまり…」
828 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:52:37.83 ID:VfpveG60
水銀燈「…あなた…?」

蒼星石「…僕は」…ギュ

水銀燈「…」

蒼星石「僕は…」

翠星石「(…蒼星石、がんばれ!)」

水銀燈「…」

蒼星石「ぼ、僕が… 僕自身が…」…グ…


「お稽古に、励んでいたのも… 真面目に、振舞っていたのも…」

「アリスゲームに、立ち向かっていたのも…」


水銀燈「…」

翠星石「(…がんばれ、がんばれ! がんばるですっ!!)」

蒼星石「そ、それらは… みんな、僕自身が…」…グ!


「…ただ、ただただ、誰かに…… 誰かに…っ…」

「…だ、大事に、してほしかったから…」


翠星石「蒼星石…!」

水銀燈「…あなた…」

蒼星石「誰かに、可愛がってほしかったから… ということ、だったんだ…」

水銀燈「蒼星石…」

蒼星石「水銀燈」

水銀燈「…」

蒼星石「…ご…」



「…ごめん、なさい…」
829 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 21:57:27.78 ID:VfpveG60
翠星石「…蒼星石っ!」

真紅「…あなた!」

水銀燈「…」

蒼星石「僕が…」ギュゥ… 


「僕が、バカだったんだ…」


水銀燈「…」

蒼星石「あのときの、ことも… あのあとの、ことも… すべて…」

水銀燈「…」

蒼星石「僕の、ひとりよがりなわがままのせい… それを認められなかった、自分の弱さのせい…」

水銀燈「…」

蒼星石「…君は、何も悪くなかった。 すべて、僕が悪かったんだ…」

水銀燈「…」

蒼星石「僕は…」

水銀燈「…蒼星石」

蒼星石「え?」 

水銀燈「…ねぇ」

蒼星石「え… わぷ?!」



…ギュウ
830 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:00:40.90 ID:VfpveG60
蒼星石「す、水銀燈…? むぐ…?」

水銀燈「…あなた」ギュウウ…

柴崎「…おまえさん?」

マツ「銀ちゃん…」

蒼星石「むぐぐ… い、いったい…?」

水銀燈「…蒼星石、あなた…」ギュゥゥ…



「いったいさっきから、なにを言っているの?」



蒼星石「…え?」

水銀燈「なんだか、よくわからないわぁ」…ギュウウウ

翠星石「(え… えっ???)」

水銀燈「わけのわからないことを、ずっとずっと… なんなのよ?」

蒼星石「な、なにって! あのときの…」

水銀燈「…ほら、まだ」…ギュッ

蒼星石「…む、むぎゅ?!」

水銀燈「…」



ギュゥゥゥ…



蒼星石「(…く、苦しいよ…?)」

水銀燈「…」…ギュ
831 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:03:59.44 ID:VfpveG60
蒼星石「(す、水銀燈…?)」

水銀燈「蒼星石」

蒼星石「(…な、なに?)」

水銀燈「あのときって、何?」

蒼星石「(…え?)」

水銀燈「…なんなの?」

蒼星石「(な、なんなのって…)」 



(君がまだ、未完成品だったときの…!)



真紅「…」

蒼星石「(僕は… 君に、ひどいことを!)」

水銀燈「…だから、なに、それ?」

蒼星石「(え…)」

水銀燈「…なんなのよぉ?」

蒼星石「(す、水銀燈…? ま、まさか…)」

水銀燈「いったい、何のことぉ?」

蒼星石「(君は… 君はっ!!)」

水銀燈「…そんなの」…ギュゥ



「そんなの、忘れちゃったわぁ」
832 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:10:21.00 ID:VfpveG60
翠星石「水銀燈っ…!」

ジュン「…君は…!」


蒼星石「え? えっ…!?」ガバ!

水銀燈「そんなの、憶えてないわよぉ? あなた、勘違いでもしてるんじゃなぁい?」

蒼星石「そ、そんな…?!」


雪華綺晶「お母さま…!!」

金糸雀「(もう、水銀燈… いくらなんでもそれは…)」…エグエグ

みつ「(わざとらしすぎるわよ…!)」…グス


蒼星石「き、君が忘れてるはずなんて、無いじゃないか!」

水銀燈「…頭でも打ったぁ?」

蒼星石「ふ、ふざけるなっ!!」

水銀燈「…いいかげんに、しなさぁい」ギュッ!

蒼星石「…むぐぐ!」…ジタバタ


のり「銀ちゃん… ああ、銀ちゃんっ!!」ポロポロポロ…

ジュン「(水銀燈… きみは、気づいていないのかい? その口調…)」…グスッ


(君の語尾が延びるときって、君が自分を「作って」いるときだって…)

(最凶ドールを演じて、相手を威嚇する時とか…) 


水銀燈「知らないって言ったら、知らないのよぉ。 …信じてってばぁ」ギュウ…

蒼星石「(水銀燈の… 水銀燈のバカ! 大嘘つきっ!!)」ジワ…



ジュン(性悪ドールを演じて、ウソをつくときとかだって…)
833 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:16:15.99 ID:VfpveG60
蒼星石「(は… はなせ! はなしてったら!!)」

水銀燈「イヤよ」ギュウウ…

蒼星石「(く、苦しいよ!)」

水銀燈「もう、放すものですか」

蒼星石「(え…)」

水銀燈「…絶対、放さない」ギュゥゥ…

蒼星石「(…)」


(…バカ)…ギュ


ギュゥゥゥ…


水銀燈「…」

蒼星石「(バカ… 水銀燈の、バカ…)」…ポロポロポロ…

水銀燈「…ごめんね」

蒼星石「(な、なぜ謝るんだよっ! バカぁ!!)」

雛苺「…ぐずっ…」…エグエグ

翠星石「(神さま… ありがとうございます…)」グス…

金糸雀「もう、ふたりともっ…!」…グズグズ

翠星石「(蒼星石に、謝る強さをくれて…)」 


(水銀燈に、許す強さをくれて…)


雪華綺晶「蒼星石… ありがとう、ありがとう…」

蒼星石「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「お母さまに、謝ってくれて… わたし…」


「うれしい… ほんとうに、ほんとうに嬉しいの…」
834 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:25:21.84 ID:VfpveG60
蒼星石「…雪華綺晶」

雪華綺晶「これで、わたし… やっと、あなたのこと…」…ポロ…


「心の底から、『お姉さま』って呼べる…」


蒼星石「…」

雪華綺晶「ありがとう、ありがとうね… お姉さま…」

蒼星石「…悪かったね、雪華綺晶」

雪華綺晶「ううん… ありがとう、ありがとう…」

真紅「あなた…」

雪華綺晶「…さあ、真紅」

真紅「え…?」


「今度は、あなたの番…」


蒼星石「…えっ?」

真紅「そ、そんな…!」

雪華綺晶「…約束したでしょ? お母さまと、ちゃんと仲直りするって…」

蒼星石「…そうなのかい?」

真紅「…う、あ…」

蒼星石「そう、なのか?」

真紅「…」

蒼星石「…」



グイッ!
835 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:34:03.31 ID:VfpveG60
真紅「きゃあ?!」

雪華綺晶「そ、蒼星石?!」

蒼星石「まったく、もう」…グイ!

真紅「な、何するの?! やめてっ!!」

蒼星石「…君は」ジロッ


「僕ひとりだけに、あんなみっともないことをさせておく気かい?」


真紅「え… えっ!?」

蒼星石「さあ、みんなで恥をかこうよ」グイ!

雪華綺晶「あ。 …ふふふ、さっすが、お姉さま♡」

真紅「そ、そんな!!」


…ドンッ!


真紅「きゃああ?!」

水銀燈「…あなた?」

翠星石「おーい、水銀燈ー」…グイグイ

真紅「…翠星石?! なにを…」

翠星石「真紅が、話があるみたいですよ〜〜〜」グイッ!

真紅「!! い、イヤよ!!」

翠星石「ほれほれ、観念しなさい!」

真紅「イヤだって言ったら、イヤ…」

金糸雀「往生するかしら!」

雛苺「あきらめるのーー!!」


ドスゲシッ!
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/03(土) 22:38:53.90 ID:jxJFmnAo
ドス?ゲシ?wwwwwwwwww
837 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:41:23.41 ID:VfpveG60
真紅「きゃあああ?!」

水銀燈「…わああ!?」



…チョコン



真紅「…あ」

水銀燈「あ…」

翠星石「(むひひひ… ちょーどすっぽり、おさまったですぅ♪)」

蒼星石「さあ、真紅。 僕は邪魔しないから…」

真紅「そ、そんな!」

水銀燈「…」


…グ


真紅「あ…」

水銀燈「…真紅」

真紅「え…」

水銀燈「…」



「話って、なに…?」



真紅「…」

水銀燈「…何なの?」

雪華綺晶「(…お願い、真紅! あなたも…)」



(あなたも、勇気を出して… お願い!)
838 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:49:09.89 ID:VfpveG60
真紅「勇気…?」

雪華綺晶「(そう… だってあなた、怖いんでしょう?)」

真紅「…怖い?」

雪華綺晶「(ずっとあなた、怖がってたんでしょう?!)」

真紅「あ、あなた… いったい、何を…?」

水銀燈「…」



「真紅」



真紅「え…」

水銀燈「話って、何なの?」

真紅「べ、別に…」

蒼星石「…真紅!」

雪華綺晶「(真紅…!)」

真紅「…」



「さ、さっきのは…」
839 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 22:53:24.78 ID:VfpveG60
水銀燈「さっき?」

真紅「…」

翠星石「(真紅… がんばれです!)」

雛苺「…真紅…」

真紅「さ、さっきの…」 


「蒼星石との、やりとり…」


水銀燈「…え?」

真紅「あ、あれは、なんなのよ…?」

雪華綺晶「(真紅?)」

水銀燈「なにって?」

真紅「あ、あなたが…」


「あなたが、ものを忘れるわけ、ないじゃない…!」


水銀燈「…」

雪華綺晶「(…真紅ったら、もう…)」

真紅「わたしと別れていた期間を、時間単位で憶えていたあなたが…」

蒼星石「真紅…」

真紅「物忘れなんか、するはずないじゃない! 何よ、あの茶番は!!」

水銀燈「…」



…ギュ
840 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 23:03:56.67 ID:VfpveG60
真紅「…きゃ?」

水銀燈「買いかぶりすぎよ」ギュウ…

真紅「…ご、ごまかさないで! あなたが、自分にされたことを、忘れるなんてことが…!」

水銀燈「なによぉ。 …わたしだって、もの忘れくらいするわ」

真紅「…嘘!」

水銀燈「だって、ねぇ…」クスッ


「わたしも、あなたに言おうと思ってたこと、忘れるところだったもの」


蒼星石「…え?」

真紅「えっ…?」

水銀燈「そう、もう一度会えたら、言おうと思ってたこと」

真紅「も… もう、一度…?」

水銀燈「ええ。 危うく忘れるところだったわぁ」ケラケラケラ

真紅「な、なにを…!」


…ギュ


真紅「…あっ」

雪華綺晶「お… お母さま?」

水銀燈「…」ギュゥ…

真紅「…水銀燈?」

水銀燈「…」



「わたしの体が、砕け散ってしまったときに」
841 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 23:14:34.75 ID:VfpveG60
真紅「え…」

雪華綺晶「…お母さま」



水銀燈「…わたしの心が、無意識の海を漂っていた時」



翠星石「…」

蒼星石「…水銀燈」



水銀燈「心に浮かんだのは、あなたたちの事だった」



雛苺「…水銀燈…」…グスッ

金糸雀「…あなた」



真紅「…」

水銀燈「…」

真紅「…そ、それが… どうした… のよ…?」

水銀燈「…もう一度」

真紅「え…」

水銀燈「もう一度だけ… 一目だけで、よかった」



「あなたに、会いたかった」
842 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 23:20:34.77 ID:VfpveG60
金糸雀「…水銀燈っ…!」

雛苺「…う… うぇ… ふぇ…」


真紅「…」


翠星石「…もう、もう! この、カッコつけっ…!」

蒼星石「水銀燈っ…!」


真紅「…」


水銀燈「…真紅」

真紅「…」

水銀燈「あなたに会えて、よかった」

真紅「…な…」

水銀燈「あなたが生きていて、よかった…」

真紅「なに… よ…」


「こんな… こんな、茶番劇… なんかで…」

「わたし… わた… し…」


水銀燈「…」


ギュウ…


真紅「あ…」

水銀燈「…ねえ、真紅」

真紅「な… なに…」

水銀燈「…」



「…憶えてる?」
843 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 23:28:40.34 ID:VfpveG60
真紅「お、憶えてる… って、何を…」

水銀燈「ずっと、ずっと前のこと」…ギュ


「わたしがはじめて、水槽の外であなたたちに会ったときのこと」


真紅「え…」

水銀燈「憶えてない?」

真紅「…」


―コツ コツ コツ…

―研究室の外では、はじめましてだね…


水銀燈「…思い出した?」

真紅「…」


―認めないっ! こんなやつ「お母さま」だなんて、認めないっ!!

―パタパタパタ…


真紅「あれが… どうか、したの?」

水銀燈「…」…ギュ

真紅「…あ」

水銀燈「…」

真紅「だ… だから、なに…?」

水銀燈「…わたし」



「わたし…」



ギュウウ…
844 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 23:34:19.86 ID:VfpveG60
真紅「あなた…?」

水銀燈「わたしね、ずっと、ずっと…」ギュゥゥゥゥ…



「あなたを、こうしてあげたかったのよ」



真紅「え…」

水銀燈「あなたを、この腕で抱きしめたかった」

真紅「…」

水銀燈「この胸の中で、抱きとめたかった…」

真紅「…」

水銀燈「ずっと、ずっと… こうしてあげたかった…」

真紅「…」…ス



ギュ…



水銀燈「…真紅?」

真紅「…」ギュウ…

水銀燈「…あなた?」

真紅「…な…」ギュウウ…



「なに… よ…」



ギュウウウ…
845 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 23:42:37.91 ID:VfpveG60
水銀燈「…」

真紅「なによ… なに… よ…」

水銀燈「…」

真紅「そんな… そん… な…」

水銀燈「…」

真紅「母親… ぶって…」ギュ…


「…何様の、つもりよ… あなたなんか… あなた… なんか…」


水銀燈「…真紅」

真紅「…」

水銀燈「…ごめんね」

真紅「…なによ…」

水銀燈「…」


「お父さまを、守ってあげられなくて」


真紅「え…」

水銀燈「あなたたちから、お父さまを奪ってしまったのも…」

真紅「え… えっ…?」

水銀燈「みんなが、姉妹で血みどろの戦いをするようになったのも…」ギュ…

真紅「…え…」

水銀燈「みんな、みんな、わたしのせい…」



ガバッ!!



「…うあああああああああーーーーーーっ!!」
846 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/03(土) 23:49:58.29 ID:VfpveG60
水銀燈「きゃ、きゃああ?!」

ジュン「…真紅?!」


「うああ… うああ、うわあああああーーーーーんっ!!」…ギュウ!


翠星石「!?」

蒼星石「し、真…紅…?」



「う、うあああああ…! ち、違うっ! ちがうちがう、ちがうのぉっ!!!」ギュウウ…



雛苺「しん… く…???」キョトン

金糸雀「し、真紅… あなたったら…!」



「あなたが悪いんじゃない! 悪くなんかない!! あなたは悪くないのぉーっ!!」



「悪いのはわたし… わたしなの! わたしのせいなの!!」



「あなたが苦しんだのも… みんなが傷ついたのも…」



「ぜんぶぜんぶ、私のせいなのよ!! う…うああ…!」



水銀燈「真紅…」

真紅「うああ… うああああ…!」ギュッ!



「ごめんなさい… ごめんなさぁーいっ!」 
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 00:13:01.05 ID:A9tgDvQo
・。・
848 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 00:22:20.43 ID:OteYwas0
蒼星石「…真紅…」

雪華綺晶「(…んもう)」

翠星石「…真紅、おまえってやつは、どうして…」


(怒ることも謝ることも、めいっぱい溜めこんでからじゃないと、できませんかね…)


水銀燈「…ご、ごめんなさいって… そんな…」

真紅「…許して! 水銀燈、わたしを許して!!」

水銀燈「ゆ、許してって…???」

真紅「あなたに、ひどいことをして! ひどいことを言って!!」

水銀燈「…」


…ポン


真紅「…水、銀燈…?」

水銀燈「ひどいことなんて… そんなの、お互い様じゃない」ポン ポン…

真紅「ちがうっ! ちがうちがう、ちがうのぉっ!! わたし…」


「自分が、みにくい人形だって… ジャンクだってことを認めたくなかったから…」

「あなたのことを、ジャンクだって… ごめんなさい! ごめんなさいっ!!」


水銀燈「…真紅」

真紅「あなたはジャンクじゃない! ジャンクなんかじゃないっ!!」



「…ジャンクなのは、私のほうだったのよ!!」
849 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 00:32:57.34 ID:OteYwas0
金糸雀「真紅…」

雛苺「ふ…ふぇぇ…」

雪華綺晶「(真紅…)」


(やっぱり、あなた、怖かったんでしょう…?)


水銀燈「…あなた…」

真紅「ごめんなさい! ごめんなさいっ!! お願い…許して! お願いっ!!」


「水銀燈、水銀燈っ! お願い、許して! お願いっ! わたしの、わたしのこと…!」…ギュ!


「わたしのこと、嫌いにならないでーーーーーっ!!!」


ジュン「真紅…」

水銀燈「…」

雪華綺晶「…真紅…」


「う… うあ… うあああ…」


雪華綺晶「(…真紅、やっと、言えたね…)」


(あなた… だから、ずっと謝れなかったんでしょう? お母さまのこと、憎んでいたんでしょう?)

(お母さまに、嫌われたくなかったから… 謝って許して貰えなかったら、どうしようって…)


「う… ああう… うあっ… ひぐっ…」


(そう思ってたから、あなた… 謝れなかったし、わざわざ嫌われるようなこと、してたんだよね…?)

(お母さまから嫌われるくらいなら、自分から嫌われるほうがいいって… 真紅…)


「うぐぅ… ひっぐ… う、うぇぇぇ…」
850 :[sage]:2009/10/04(日) 00:45:15.47 ID:OteYwas0
今日はここまで。 続きは明日(もう今日だけど)
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 00:47:30.61 ID:8.FcuQso
お疲れ様ですた
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 03:06:57.14 ID:z6p.ZTwo
乙樽場

これもまた、凄まじいツンデレなのか…
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 06:23:44.96 ID:XWR6nQYo
おっつ
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 08:53:41.78 ID:eVb5wcko
乙!
涙と鼻水まみれの真紅が目に浮かぶwwww
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 09:24:45.79 ID:VpILkJwo
おつ!
856 :[saga]:2009/10/04(日) 19:50:52.40 ID:7xzXlO60
>>851-855
乙どもっす〜

>>851
昨日は重かった…

>>852 >>854
最近、真紅が可愛くて可愛くてしょうがなくなってきた(危


再開します〜
857 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 19:55:57.71 ID:7xzXlO60
翠星石「(真紅…)」

蒼星石「…真紅、君は…」


「う、う… すい… ぎんと… ご、ごめっ… ごめ… な、さいっ…!」ギュ…!

「…いいのよ」ナデ…


翠星石「(いっぱい、いーっぱい、泣きなさい… 謝りなさい…)」

蒼星石「君は… いや、僕たちは…」


「うっ… う… だめ、あ、あぁ… あああ… だめぇ…」…ギュゥ

「…?」…ポン ポン…


翠星石「(おなかにためこんでた、何百年分の『ごめんなさい』… ぜんぶ、出し切ってしまうです…)」

蒼星石「…僕らは、なんでもっと早く、こう出来なかったんだろうね…」


…ナデ ナデ…


真紅「す、水銀燈っ… だめ…」

水銀燈「…なに?」

真紅「い… 『いいのよ』じゃ、なくて…」 

水銀燈「…?」

真紅「ちゃんと、言って… わたしの、したこと…」



「ちゃんと『許す』って、言って…」
858 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 19:59:25.64 ID:7xzXlO60
水銀燈「…」

真紅「そうで、ないと… 私、わたし… うぐっ… 」

水銀燈「…だから、いいのよ。 そんなこと…」

真紅「お願い… ひとこと、だけ… ぐずっ、お願い…」

水銀燈「…許すも許さないも、無いわ」…ギュ



「そんなこと、憶えてないんだもの」



真紅「ま… また、そんな… ウソ…を」グズ…

水銀燈「だから、ウソじゃないんだってば。 ほんとうよ…」

真紅「…ウソ、ウソよ…」

水銀燈「…」ポン ポン…


「…それじゃ、真紅」


真紅「な… なに…?」

水銀燈「あなたから先に、わたしに言ってちょうだい」

真紅「? なに…を…?」

水銀燈「…わたしのことを、許すって」

真紅「…え…」

水銀燈「わたしがあなたに今までしてきた、ひどいこと全部…」

真紅「…」

水銀燈「あなたが許してくれるって言うんなら、わたしもあなたを許すわ」

真紅「え…??」

水銀燈「…どう?(…まあ)」



(…許してもらえるなんて、思ってないけどねぇ)
859 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:05:40.02 ID:7xzXlO60
ジュン「真紅…」

真紅「…」

のり「真紅ちゃん?」

真紅「あ…」

水銀燈「…?」

真紅「あな…た… あなた…」…ジーッ



「なにを… 言ってる… の…?」



水銀燈「…え?」

真紅「『ひどいこと』なんて… そんな、こと…」

雪華綺晶「(真紅…!)」

真紅「された覚えなんて… ない…」

水銀燈「…え、えっ?」

ジュン「真紅、君は…!」

真紅「許すも、何も… 無い…」

水銀燈「…私のマネ? それこそ、ウソでしょう?」

真紅「ち、ちが… う… ほんと、ほんとに… 憶えてない…」

水銀燈「…腕をもぎとったりもしたし、羽で打ち抜いたりもしたわ」

真紅「そ… そう、だけど… その、はず、なのに… なぜ?」グス…



「ほんとに… ほんとうに… 思い、出せない…」
860 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:10:21.28 ID:7xzXlO60
金糸雀「真紅ったら…」

みつ「…うん、うん…」

真紅「私… わた、し… どうして… どう、して…」

水銀燈「…」…グ



ギュ…



真紅「あっ…」

水銀燈「わかった?」…ギュウ

真紅「え…」

水銀燈「…わたしが、ウソをついてたんじゃないってこと」

真紅「…」

水銀燈「わたしもあなたには、いろいろひどいことをされたはずなんだけど…」

真紅「…ご、ごめんなさい…」

水銀燈「…なんでかしらねぇ」…クスッ



「あなたの顔を見たとたんに、なにも思い出せなくなっちゃったのよ…」



巴「水銀燈…」

雛苺「…ぐずっ…」

真紅「…」

水銀燈「胸が、いっぱいになっちゃって、ね… わかるでしょう?」

真紅「うん… うん…」ギュウウ…

柴崎「…」


…スッ
861 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:15:17.27 ID:7xzXlO60
水銀燈「おじいさま…?」

柴崎「…そういう、ものじゃよ」

真紅「し、柴崎… さん…?」

柴崎「『過去』など、その程度のものじゃ」

水銀燈「…」

柴崎「それがどんなに大きな、重いものであったとしても… 過去の不幸など」


「いま目の前にある幸せの前には、かすんでしまう程度のものでしかないのじゃよ…」


真紅「…」

マツ「…そのとおりよ」

水銀燈「おばあさま…?」

マツ「いまふたりは、死線を越えて、ふたたび生きて出会うことができた」

真紅「…」

マツ「その幸せに目がくらんでしまえば、過去のいがみあい、すれちがいなんて…」

水銀燈「…」

マツ「…頭にも浮かんでこなくなる程度のものでしか、ないのよ」

水銀燈「はい…」

蒼星石「…」

マツ「…銀ちゃん、真紅ちゃん」


「みんなで、幸せにおなりなさい」


真紅「…は、はい…」

水銀燈「…はい、おばあさま…(わたし…)」


(わたし… 幸せに、なります…)


(『過去』になんか、負けません…)
862 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:20:05.85 ID:7xzXlO60
のり「柴崎さん、マツさん…」

みつ「(すごいなぁ、ふたりとも…)」


(『年の功』って、すっごいなー…)


水銀燈「…そうだ、真紅」

真紅「…なあに?」

水銀燈「わたし…」ギュ…


「あなたのしたこと、許してあげる」


真紅「え…!」

水銀燈「…ちゃんと言ってくれって、言ってたでしょう?」

真紅「…あなた…」

水銀燈「そのかわり…」…ソーッ

真紅「…なに?」

水銀燈「(一回だけで、いいから…)」ヒソヒソ

真紅「…?」

水銀燈「(…ちょっとだけでいいから、わたしのこと…)」コソコソ


(『お母さん』って、呼んでくれない?)


真紅「…えっ?」

水銀燈「(ダメ?)」

真紅「…」

水銀燈「(…いいじゃない、減るものじゃないんだし)」

真紅「…」



…クスッ
863 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:23:56.73 ID:7xzXlO60
水銀燈「(真紅?)」

真紅「…ふふっ」クスクスクス…

巴「…?」

真紅「もう、水銀燈ったら…」キッ!


「…イヤよ!」


水銀燈「…んもう、ケチ」

真紅「調子に、乗らないで!」クスクス…

水銀燈「…可愛くないわねぇ(おばあさま… これで…)」

マツ「…」

水銀燈「(…これで、いいですよね? おじいさま…)」

柴崎「…」

水銀燈「(いますぐには、無理でも… これから、すこしずつ… すこしずつ…)」


(わたしたち、すこしずつ… 親子に、なっていきます…)


(生きてさえ、生きてさえいれば… いつかは…)


柴崎「…」

水銀燈「(どうか、わたしたちのこと… よろしく、お願いしますね?)」

柴崎「…うーむ…」ポリポリ


「…ばあさんや」
864 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:29:10.38 ID:7xzXlO60
マツ「…なんですか?」

柴崎「なんというか… まだまだ」

マツ「…」

翠星石「…おじじ?」

柴崎「どうやら、わしたちは、まだまだ…」



「…元気でいなくては、いけなくなったようじゃの」



蒼星石「…マスター」

マツ「ふふ、そうですわね。 …この子たちが、しっかり親子になるまではね」

翠星石「…」

柴崎「そう簡単に、楽にはさせてもらえんようじゃわい」

マツ「楽しみが増えたじゃ、ありませんか。(…そうよね?)」


(もうすこしだけ、いいわよね? …一樹)


柴崎「そうじゃな… (一樹…)」

蒼星石「…マスター?」

柴崎「(一樹… 申し訳ないが、ゆっくり待ってておくれ)」


(おまえのところに行ってやれるのは、まだ当分先のことになりそうじゃわい)
865 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:32:23.78 ID:7xzXlO60
のり「よかった… ほんとに、ほんとによかった…」グズ…

みつ「…よかったね、カナ」…グス

金糸雀「…」

みつ「カナ?」

金糸雀「…ん、もう…」

雛苺「…カナ?」

金糸雀「カナったら、もう… バカみたいかしら」

雛苺「え?」

金糸雀「説得とかなんとか、考えすぎちゃったかしら… わたしったら」


「…わたしらしくないことを、しちゃうところだったかしら…」


雛苺「???」

金糸雀「…ね、みっちゃん?」

みつ「うん。 …説得なんて、必要なかった」…グスッ

のり「そう。 …だって…」グス…


「みんな、銀ちゃんのこと、大好きなんだもん」


金糸雀「…うん」

ジュン「そうだ。 …なにも、心配することなんて、無かったんだ」

金糸雀「みんなの絆を、ちょっとでも疑っちゃったなんて、恥ずかしいかしら…」



ブリュンヒルデ「(…オ姉サマ)」
866 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:34:22.82 ID:7xzXlO60
金糸雀「…なに?」

ブリュンヒルデ「(…ソロソロ 移動シナイト 人目ニ ツキマス)」

金糸雀「……」

ブリュンヒルデ「(オ急ギヲ)」

金糸雀「うん…」

雪華綺晶「…」



…スゥ



水銀燈「…あなた?」

真紅「どうしたの?」

雪華綺晶「…ちょっとだけ」



…ス…



金糸雀「…あなた?」

雪華綺晶「お姉さま、ちょっと…」

金糸雀「え? …きゃああ?!」



シュルシュルシュル…



「ちょっとだけ… お邪魔、するね」
867 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:38:29.57 ID:7xzXlO60
金糸雀「え… あらららららあ…!?」

雪華綺晶「…大丈夫」スルルル…

金糸雀「し、新感覚かしら〜〜〜???」ニュルル…

みつ「か、カナっ?! きらちゃん?!」

雪華綺晶「食べたり、しないから…」シュルルルル…


…シュルン



雪華綺晶「(…これでよし、と)」

金糸雀「(い、いったい、なに…?!)」

雪華綺晶「(…お姉さま)」シュルシュル…


(…もし、誰かが近づいてきたら、わたしの力を使って)


金糸雀「…え?」

雪華綺晶「(お母さまと真紅を、ゆっくりさせてあげたいの…)」

金糸雀「…そ、それって…」

雪華綺晶「(だから、誰かが来たら、片っ端から心を喰って記憶を消して…)」

金糸雀「…雪華綺晶」

雪華綺晶「(はい?)」

金糸雀「…」…グッ



「オシオキかしらっ!!!」



ボコッ!



雪華綺晶「(きゃあん?!)」
868 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:42:00.58 ID:7xzXlO60
ブリュンヒルデ「(オ姉サマ?!)」

雛苺「か、カナリア???」

金糸雀「…あたた… まったく、もう!」…ズキズキ

雪華綺晶「(な、なんでっ!?)」

金糸雀「なにが『なんで』かしら! バカなことを言うんじゃないかしらっ! あなたはもう…」



「あなたはもう、2度とそういうことをしなくていいって、言ったはずかしら!!」



雪華綺晶「(え…)」

みつ「…カナ」

金糸雀「妹のぶんざいで、ヘンな気をつかっちゃダメかしら!」

雪華綺晶「(お姉さま…)」

金糸雀「ここはこの、金糸雀におまかせかしら!」…トテ トテ



トテ トテ トテ…



水銀燈「…」

真紅「…金糸雀」

金糸雀「…」


「…ふたりとも」


水銀燈「…」

金糸雀「そろそろ、移動しないと…」

真紅「…ええ、わかってるわ」


ス…
869 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:43:38.86 ID:7xzXlO60
金糸雀「真紅…」

真紅「…よい、しょ…」…グ


…カクン


真紅「あ、あれ…」

金糸雀「…真紅?」

真紅「あ、足が…」カク カク…

水銀燈「…まだ、無理しちゃダメよ」

真紅「…平気よ」

水銀燈「ダメ」…グッ

真紅「きゃ?!」



…ヒョイ



金糸雀「…あら、あらららら〜? 抱っこかしら抱っこかしら〜♪」

水銀燈「しっかり、つかまってなさい」

真紅「や、やめて! …は、恥ずかしいわ!」

水銀燈「ケガしてるんだから、いいじゃない。 ほら、おとなしくなさい」

真紅「も、もうっ…」
870 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:47:02.23 ID:7xzXlO60
水銀燈「あなただって、わたしがケガしてたときは、支えてくれたでしょう?」

真紅「え…」


―水銀燈。 …さあ、つかまって。

―ありがとう、真紅…


真紅「…」

水銀燈「あのときの礼よ。 気にしないで」

真紅「…ふ、ふん!」

金糸雀「…ふふふふふっ♪」


のり「真紅ちゃん、水銀燈ちゃん…」

ジュン「ぼくらも、行こう」

みつ「ええ。 …カナに、車を直してもらわなくっちゃ」

翠星石「…うんしょ…」カクカク…

柴崎「ほれ、つかまりなさい」

翠星石「あ… おじじ、ありがとうです」

柴崎「なんの、なんの」…ヒョイ

マツ「蒼ちゃんもつかまって。 …体は、大丈夫?」

蒼星石「僕は、大丈夫です」

マツ「…」

蒼星石「…でも」



「でも、お願いします…」…スッ
871 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 20:53:34.60 ID:7xzXlO60
マツ「…ふふ、ありがとうね」

蒼星石「いえ… 僕のほう、こそ…」


…ギュッ


巴「雛苺は、どこか痛くない?」

雛苺「…」ムスッ

巴「雛苺?」

雛苺「…トモエに…」


「トモエに、げんこつされたところが、いたいの…」


巴「…」

雛苺「…いたいの、いたいのよっ…!」プンスカ

巴「あっそ」

雛苺「うゆ??」


…スタスタスタ


雛苺「と、トモエ?!」

巴「そーんな憎まれ口たたけるんなら、大丈夫かな?」スタスタスタ…

雛苺「やっ、やーーーーん!!」


…トテトテトテ


雛苺「ト、トモエー?! ヒナもだっこしてなのー!!」トテトテトテ…

巴「走れるんなら大丈夫! 甘えちゃダメっ!!」スタスタスタ…

雛苺「トモエ?! ひ、ひっどいのーーー!」
872 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 21:03:21.11 ID:7xzXlO60
巴「早く来ないと、置いていっちゃうよー!」…スタスタスタ

雛苺「ト、トモエーー!! いい子にするのー! おいてかないでーー!!」

巴「…もう」


…ピタッ


雛苺「きゃ、きゃああ?!」キキキキキッ!

巴「ふふ、嘘。 …はい」…ヒシッ

雛苺「あ…」


…ギュ


雛苺「…トモエ?」

巴「これからは、ずっと一緒に暮らすって言ったものね…」

雛苺「…」

巴「…置いてなんか、いかない。絶対に…」

雛苺「…んもう」


ギュ…


巴「ふふ。 ビックリした?」

雛苺「トモエの、いじわる…(もう…)」ギュッ


(まるで、水銀燈みたいなの…)


巴「雛苺、おつかれさま。よく、がんばったね…」

雛苺「…もう、イジワルしないでね?」

巴「どうしようかな?」ニコニコ

雛苺「も、もーっ!!」プンスカ
873 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 21:13:04.06 ID:7xzXlO60
ジュン「…」

のり「ジュン君?」

ジュン「…車は、治ったかな?」

のり「金糸雀ちゃんが、治してたみたいだけど…」

ジュン「…」



水銀燈「…どこか、痛まない?」

真紅「大丈夫… あなたこそ」



ジュン「…」

のり「ジュン君?」

ジュン「(水銀燈が… 真紅を抱いて…)」


(真紅が… 水銀燈に、その身をあずけて…)

(やさしいまなざしをかわしながら、ゆっくり、ゆっくり歩いてる…)


真紅「あなたこそ、体は大丈夫なの?」

水銀燈「…平気よ。 心配はいらないわ」



ジュン「(この光景…)」

のり「…」

ジュン「(この光景、いつか、どこかで…)」



―お父さまの言葉を、思い出したのよ



ジュン「あ…!」
874 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 21:20:23.25 ID:7xzXlO60
のり「ジュン君?」

ジュン「あ、いや…(あのときの…)」


(君と、『聖母』の契約を結んだとき…)


―ローゼンの?

―ええ。ずいぶん永い間、思い出せなかったお父様の言葉。



(教会で、君と迎えた朝…)



―見て、ジュン。 これが…これが、お父様の言葉。

―ステンドグラス?



(朝日をあびて光るステンドグラスの中で、輝いていた…)



―そう。お父さまは言った。 わたしは…



ジュン「…『マリア』…」

のり「…え?」

ジュン「…なんでもない。 行こう」



タッタッタッタ…
875 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 21:23:31.11 ID:7xzXlO60
水銀燈「…真紅」

真紅「なに?」

水銀燈「完全に治るには、時間がかかる」

真紅「…」

水銀燈「しばらくは、安静になさい。 …また定期的に、命を吹きこむから」

真紅「…ありがとう」


スタ スタ スタ…


真紅「…水銀燈」

水銀燈「なあに?」

真紅「さっきの、話」

水銀燈「…さっきの?」

真紅「これからの、アリスゲームの話」

水銀燈「…」


―わたしたちは、この人たちとの『絆』の力で、あなたたちをアリスにする


水銀燈「わたしは…」

真紅「…水銀燈」…ギュッ



「私には、異存はないわ」
876 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 21:27:37.19 ID:7xzXlO60
水銀燈「…真紅」

真紅「あなたが言っていたこと… みんなとの絆で、アリスを目指すということ…」

水銀燈「…」

真紅「…それは、わたしが目指していた『アリス』と、一致するもの。それに…」

水銀燈「…真紅」

真紅「あなたのその力を見れば、けして不可能ではないと私も思う」

水銀燈「…」


「ありがとう、真紅」


真紅「…でも」

水銀燈「…?」

真紅「わたしたちに、ほんとうにそれが可能なの?」

水銀燈「…わからないわ。初めての試みだから」

真紅「…」

水銀燈「でも、やってみる価値は、あると思う」

真紅「…そういう意味じゃない」

水銀燈「え?」

真紅「わたしたちは… わたしたちは、ずっと自らの意思でアリスゲームをしてきた。だけれど…」



「アリスゲーム自体は、私たちを越える何者かの存在によって、進行されていた…」
877 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 21:32:12.45 ID:7xzXlO60
水銀燈「…」

真紅「わたしたちはその意志の命ずるままに目覚め、眠りにつき…」 

水銀燈「…ええ」

真紅「そして、時代を越えて戦ってきた…」

水銀燈「…」

真紅「…その『何者か』は、私たちがこの時代にとどまることを、許してくれるの?」

水銀燈「…」

真紅「私たちが姉妹での戦いをやめて、ずっとみんなとともに生きていくことを、認めてくれるの…?」

水銀燈「…」


…スタ スタ スタ


真紅「…水銀燈」

水銀燈「だから」

真紅「え…?」

水銀燈「だから…」…グッ



「だから、これから話をつけにいくのよ」



真紅「話を… 誰と?」

水銀燈「…わたしたちが、この時代この場所に」

真紅「…」

水銀燈「…あのひとたちのもとに、とどまるために」

真紅「水銀燈…?」
878 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】[saga]:2009/10/04(日) 21:39:19.98 ID:7xzXlO60
水銀燈「…雪華綺晶を、連れて帰るために」

真紅「…あなた?」

水銀燈「みんなで、ともに暮らすために」グ…


「…アリスゲームを、終わらせるために」


…ギュッ


水銀燈「わたしは…」

真紅「あなた…」

水銀燈「…わたしは」



…キッ!




「わたしは、お父さまに、会いに行くわ」





水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 完


○これにて第5部を終了します。ご観覧ありがとうございました。
近日中第6部をアップします。支援・閲覧に感謝します。
この物語も残りわずかになりましたが、どうかお付き合いいただけると幸いです。
879 :[sage]:2009/10/04(日) 21:41:18.54 ID:7xzXlO60
>>836
遅まきながら、合いの手どもっす〜
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 21:41:31.05 ID:uyI6D9Yo
乙〜
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 21:44:08.70 ID:8.FcuQso
乙でう
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 21:45:22.97 ID:z6p.ZTwo
乙樽場

コレでまた、あのほのぼのに…
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 22:19:23.17 ID:e12w7bc0
乙だぜ。

銀と妹たち、わだかまりが解けてよかったぜ。
あとはオトンだな……。 第6部、楽しみにしてます。
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 22:22:35.06 ID:VpILkJwo
おつ!
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 22:55:15.85 ID:oSOVz2AO
乙です。
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/04(日) 23:50:50.66 ID:vC6w00wo


”ローゼン”との決着、か……そこであの伏線が生きてくるわけか……
本当に>>1の構成力には圧倒されます
お疲れ様でした最終編期待してます
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/05(月) 00:18:15.94 ID:wgf42Y6o
おっつ
888 :1[sage]:2009/10/05(月) 21:54:36.35 ID:GSvYKnY0
>>880-887
乙どうもです〜


>>882
ほのぼのを親父さんが許してくれることを祈ります…

>>883
彼女らの父親はかなり手強いとだけ…


>>886
かなりいきあたりばったりでやっちゃってますが;
期待にこたえられるようがんばります。


次回は間があいて10日予定です。
頑張って仕事終わらせよう…
889 :1[sage]:2009/10/05(月) 21:59:10.76 ID:ONwCTcY0
>>847
遅くなりましたが…
メガテンどうもです〜
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/05(月) 22:15:46.49 ID:XbNlu82o
>>888
なんと…、さすが親父さん…
一筋縄ではいかんか…

仕事頑張って下しあ
891 :[saga]:2009/10/10(土) 20:35:43.04 ID:PVmElQE0
>>890
薔薇乙女たちに、いろんな決着をつけさせてあげられるように、あとひとふんばりします〜


再開します〜
892 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:37:09.58 ID:PVmElQE0
【?????】



シューーーー…



「…」



コポ コポ コポ…



「…」



[ 機能修復中 全行程中 2割まで終了 ]



「…」



[ 修復完了 再起動まで 60時間と予測 ]



「…」



(「わたしは―」)



「…」



(「わたしは、あなたの奴隷として生きるためによみがえったのですか?!」)
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/10(土) 20:39:09.17 ID:7M0EjQgP
まってたよ!
894 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:39:18.01 ID:PVmElQE0
「…」



[ 現在 機能修復中 意識休止を推奨 ]



(「…選ぶ余地なんかない。 わたしは、あの子たちを守る…」)



[ 意識休止を推奨… ]



「…」



(水銀燈…)



…ピッ



(…?)



ピ ピ ピ…



(これは…)



―お父さま…



[ 現在 全機能 休止中 ] 



―はい。
895 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:40:50.81 ID:PVmElQE0
[ 修復中の 通信は 許可できない ]



―すみません。 けれど、いま…



「…」



[ 身体機能 精神機能 ともに消耗 出力2割まで低下 ]

[ 修復完了まで 全機能休止を 推奨 ]

―はい。 しかし…

[ 再起動は 60時間後 それまで― ]

―…



(…かまわない 繋ぎなさい)



―お父さま?

[ 全機能休止を 推奨 ]

(繋ぎなさい)

[ … ]



…ピッ



「…君か」


―お父さま…
896 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:46:45.57 ID:PVmElQE0
「『聖母』の力を 使ったようだね」


―…すみません。


「…やむをえない しかし…」


―はい。 ただいまから、すぐそちらへ帰還します。


「そうしてくれ。 至急、点検を行う」



ピピピピピ…



―お父さま?


[ 【注意】 全機能休止を推奨 【注意】 全機能休止を推奨 【注意】 ]


「…」


―お父さま…


[ 予期せぬ障害が 発生する可能性あり 修復完了まで 全機能休止を強く推奨 ]


―…


「かまわない すぐに来なさい」


―すみません…


「大丈夫だ 準備はしておく」


―…ありがとうございます。 あと…
897 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:50:52.14 ID:PVmElQE0
「あと?」


―…あと…


「…」


―…お話、したいことが。


「話?」


―はい。雪華綺晶も、連れて行きます。


「…雪華綺晶を?」


―どうか、お時間を…


「…」



[ 【注意】 全機能休止を推奨 【注意】 全機能休止を推奨 【注意】]



「…」


―…これは、いますぐでなくとも。 機会があれば…


[ 全機能休止を… ]


「…」カチリ



[ ・ ・ ・ ]



「…いいだろう」
898 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:52:12.94 ID:PVmElQE0
―…ありがとう、ございます。


「至急来なさい 準備をしておく」


―はい… お父さま。


「…」



シュゥゥゥ…



[ ・ ・ ・ ]


「…」


[ ・ ・ ・ ]


「…『聖母』は アリスを 生成するためには 必要不可欠な 存在」


[ ・ ・ ・ ]


「ここで失うわけにも 障害を残すわけにも いかない」


[ ・ ・ ・ ]


「…起動する 機器の準備を」


[ ・ ・ ・ ] カチリ




ブゥゥ… ン…
899 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:57:51.76 ID:PVmElQE0
【河川敷】


シュパァァ…


「…治りそう?」

「あと、ちょっとかしら…」

「(…へぇ、お姉さまって… すっごーい♪)」


シュパァァァァ…


雪華綺晶「(穴の開いた部分が、みるみるふさがっていく…)」

金糸雀「水銀燈たちは、大丈夫そうかしら?」

雪華綺晶「(便利な力なのね〜)」

みつ「うん。いま、こっちにゆっくり歩いてきてる」

金糸雀「…うん」

ブリュンヒルデ「…ワタシタチガ オ連レ シナクテモ ヨロシカッタ デスカ?」

金糸雀「…気遣いは、無用かしら」

みつ「そうね…」


「もうすこし、ふたりだけにしてあげましょう」


ブリュンヒルデ「…ソウデスネ」

金糸雀「でももし、万一の事態になったら、そのときはよろしくかしら」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」


シュパァァ…


みつ「ね、ね… 車、大丈夫? 大丈夫なの???」

金糸雀「うーん…」
900 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 20:59:55.10 ID:PVmElQE0
みつ「それ、ローンが終わってないの… って、カナ?」

金糸雀「…」

みつ「カナ…?」

雪華綺晶「(お姉さま…?)」

金糸雀「…(水銀燈…)」



(お父さまのもとへ、めぐを連れて行きなさい!)



金糸雀「(水銀燈。 お父さまは…)」

みつ「…カナ(あなた…)」

金糸雀「(お父さまは、生きているの?)」

雪華綺晶「(さっきのことを…?)」

金糸雀「(あなたの結晶の記憶では…)」


―泣かないで、水銀燈。 これで良かったのだから…

―いやっ、いやっ! お父さまが死んじゃうっ!!


金糸雀「(…お父さまは、わたしたちに、自分のすべての命と心を吹きこんで… そして…)」

みつ「…」

金糸雀「(そのお父さまが… 雪華綺晶とともに、わたしたちを守っていた?)」

雪華綺晶「…」

金糸雀「(戦乙女たちにも… 秘密にさせて…)」…チラッ 



ブリュンヒルデ「…」
901 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:02:34.14 ID:PVmElQE0
金糸雀「(いったい… なぜ…?)」

雪華綺晶「(…お姉さま…)」

みつ「カナ…」

金糸雀「(なぜ…)」

(守っていたというのなら、なぜ…)



「お父さまは、アリスゲームを止めようとしなかったの?」



水銀燈「…」

真紅「なぜなの? 水銀燈…」…ギュ


トコ トコ トコ…


水銀燈「…」

真紅「わたしたちは、あなたの結晶の記憶から、お父さまのことを知った…」

水銀燈「…ええ」

真紅「…あなたと、お父さまの関係も」

水銀燈「…」



―ああ、私は、こんなことをするつもりでは…

―いいんです、お父さま。 わたし、ほんとうに、ほんとうに嬉しい…
902 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:04:25.58 ID:PVmElQE0
水銀燈「…わたしは」

真紅「そして、アリスゲームの真相も」

水銀燈「…」

真紅「…姉妹同士戦いあい、たったひとり生き残ったものが、アリスになる」



「…これは、お父さまの本意でなかった」



水銀燈「…そうよ。それは、わたしが勝手に始めてしまったこと…」

真紅「なら、なぜお父さまは、私たちを止めようとなさらなかったの?」

水銀燈「…」

真紅「水銀燈、あなたはなにか知っているの?」

水銀燈「…わたしは…(…真紅…)」


(真紅、みんな、ごめんなさい… みんなみんな、わたしのせい…)


真紅「…」

水銀燈「(…あなたからお父さまを奪ったのも、平穏な日々を奪ったのも…)」グ…

真紅「…水銀燈?」

水銀燈「(すべて、わたしがしてしまったこと…)」…ギリッ…

真紅「…」



…ギュッ
903 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:07:37.45 ID:PVmElQE0
水銀燈「…真紅?」

真紅「水銀燈…」ギュ…

水銀燈「どうしたの?」

真紅「わたしを…」ギュウ…



「わたしを、軽蔑してちょうだい」



水銀燈「…えっ?」

真紅「あなたが、お父さまにしたこと…」 

水銀燈「…」

真紅「わたしには、責める資格なんてないの」

水銀燈「…どういうこと?」

真紅「…」


トコ トコ トコ… 


水銀燈「…真紅」

真紅「なに?」

水銀燈「…」

真紅「水銀燈?」

水銀燈「責めてくれても、いいのよ」

真紅「え…」

水銀燈「気を使ってくれなくても、いいの。 …わたしは」



「それだけのことを、してしまったのだから…」


「…勘違いしないで」
904 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:11:34.70 ID:PVmElQE0
水銀燈「…真紅?」

真紅「私は罪深い子なの」

水銀燈「え?」

真紅「だって私は、お父さまのことを知ったとき…」

水銀燈「…」

真紅「お父さまが、私たちを助けるために、命を投げ打ったと知ったとき…」…ギュウ



「私は、安堵してしまったのよ?」



水銀燈「え…っ?」

真紅「…私、お父さまはずっと『アリス』にしか、興味がないと思っていた」

水銀燈「真紅…」

真紅「私たちを愛してるんじゃなくて、アリスになる子を愛しているんだと」

水銀燈「…」

真紅「だからお父さまが、私たちを救おうとして亡くなったことを知って…」


「…私は、その死を悲しむ以上に」


…ギュッ


「お父さまが、私たち自身を愛してくれていたことに、安堵してしまった」


水銀燈「あなた…」

真紅「…軽蔑してくれていいわ。 愛に飢えていたのは、あなたではなくわたし…」
905 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:17:00.66 ID:PVmElQE0
水銀燈「軽蔑なんか、できるわけないわ」…ス

真紅「水銀燈? …あっ」


ギュウ…


真紅「…あなた」

水銀燈「あなたが罪深いというなら、わたしこそ地獄に墜ちるべきなのだから…」…ギュウ

真紅「…水銀燈、自分を責めないで」

水銀燈「わたしこそ…」ギュウウ…

真紅「…違う」


…ソッ


真紅「わたしこそが、地獄に墜ちるべきなのよ」

水銀燈「真紅…?」

真紅「だって… あなたが、お父さまはやはり実は生きているのだと言った時…」グ…

水銀燈「あなた?」

真紅「ほんの、ほんの一瞬だけれど…」…グッ


「…私は、お父さまは死んでくれていたままのほうがよかったとさえ、思ってしまったのよ?」



水銀燈「…」

真紅「死んでいたのなら、お父さまが私たちに会えなかったのも仕方のないことだった」

水銀燈「…ええ」

真紅「私たちを見捨てたんじゃなくて、会いに来たくても来れなかったのだと」

水銀燈「…そうよ」

真紅「でも、生きていたのだとしたら…」…グ…


「…私たちのことを、あえて止めなかった、助けなかったのだとしたら?」
906 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:23:12.05 ID:PVmElQE0
水銀燈「…真紅」

真紅「…私、あさましい子よね」

水銀燈「…」

真紅「お父さまの生死より、自分が愛されてたのかどうかのほうが気になるなんて」

水銀燈「それは…」

真紅「でも、水銀燈… やはり、お父さまは…」ギュウウ…


「私たちのことを、愛してなんか…」


ペチッ!


真紅「…っ?!」

水銀燈「…」

真紅「す、水銀燈…」

水銀燈「…真紅。 お父さまはね、生きてはいた」

真紅「…」

水銀燈「でも…」


「わたしたちに会いたくても、会えない状況でもあったのよ」


真紅「え…」

水銀燈「そのことは忘れないで。 …お父さまは、あなたたちを見捨てたのでも、愛してなかったのでもないことは」

真紅「…信じて、いいの…?」

水銀燈「詳しくは、みんなの前で話すわ」

真紅「…」


トコ トコ トコ…
907 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:26:50.35 ID:PVmElQE0
真紅「…」 

水銀燈「…」

真紅「(水銀燈…)」

(あなたは、知っているの?)


トコ トコ トコ…


(お父さまの、真意を…)


(お父さまは、いったい、何を…)


トコ トコ トコ…



「(何を考えていたのかしら…)」



みつ「…カナ?」

金糸雀「(…何を…)」

みつ「…」


…ソーッ


金糸雀「…」


…ポンポン


金糸雀「あっ…?」

みつ「カナ、車は…?」

金糸雀「あっ、あ… こ、こんなもんで、いいかしら?」

みつ「…治ってたの?」

金糸雀「あ、うん… タイヤと車体がちょっと傷ついただけだったから…」
908 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:29:32.14 ID:PVmElQE0
雪華綺晶「(すごーい、新品みたい!)」

みつ「…ありがとうね、カナ」

金糸雀「これっくらい、昼飯前かしら〜…」



…ぐきゅるるるる



みつ「…あ」

金糸雀「あ…」

みつ「…」

金糸雀「そ、その… い、いろんな準備で、忙しくって…」アセアセ…

マツ「…」

金糸雀「おっ… おべんと… あんまり、食べられなかったから…」…アワワワ

巴「…」

金糸雀「こ、これは不可抗力で… 生理現象で… 胃腸の働きが活発な証拠で…」

柴崎「…うんうん。恥ずかしくないぞ」

金糸雀「…」


…ブルッ


柴崎「かなちゃん?」

金糸雀「…おじいさま…」プルプル…



「とっ、トドメをささないでほしいかしら…」
909 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:33:24.76 ID:PVmElQE0
柴崎「…と、とどめ???」

金糸雀「お、乙女心はもうズタボロかしら…」ウジウジ

翠星石「(…おとめごころ?(笑))」
 
金糸雀「やさしくされると、かえって辛いかしら…」イジイジ

柴崎「…すまんかったの」…ポリポリ

マツ「なにか、残ってないかしら…」

金糸雀「お、おばあさま! じゅるる…」

雛苺「じゅる? …ひっ?!」


ダラダラダラ…


ジュン「(げっ!!)」

金糸雀「じゅる… そ、そんなに気をつかっていただかなくても… じゅるる」ポタポタ…

マツ「あ、え、ええ…」

金糸雀「カ、カナは… じゅるる、大丈夫かしら… じゅる…」

巴「(…滝みたい…)」

みつ「…カナ、よだれ…」

金糸雀「こっ、これは失礼しましたかしら〜」…フキフキ

マツ「…どこだったかしらねぇ。たしか、あのあたりに広げて…」

金糸雀「あ、あそこ?!」ジュワ!


ドバッ!


ジュン「(うわ!! かかるっ!!)」

みつ「(えんがちょっ!?)」

蒼星石「…姉さん…」
910 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:39:29.92 ID:PVmElQE0
のり「うーんと、あのへんだったかな…」

金糸雀「ど、どこっ!?」ダラダラ…

雪華綺晶「(…んもう…)」

巴「…あっ」





金糸雀「あ…」

のり「あれ… かな?」

金糸雀「あ… あ… あああああ…」



…グッチャリ



巴「兵士たちに、踏まれちゃったのね…」

金糸雀「あ… あ…」

マツ「…また、作ってあげるから…」

金糸雀「あ… あ… あああああ…」…ワナワナワナ

みつ「…カナ???」

金糸雀「…あっ、あの… あの青髭!!!」ブルブルブル…!



「雪華綺晶にもう少し、いたぶり倒してもらえばよかったかしら…!!」



雪華綺晶「(…こ、怖いっ!?)」

翠星石「(食いもんの恨み、おそるべしですぅ…)」

金糸雀「このうらみ… はらさで… おくべきか… かしら!!」ギリギリギリ…

みつ「カナ、と、とりあえず…(お、お顔が怖いよー!!)」

金糸雀「…な、なぁにかしらぁ〜?」
911 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:42:57.47 ID:PVmElQE0
みつ「くっ、車にみんなを乗せましょ〜〜〜???」

金糸雀「あっ… そ、そうだったかしら〜!」テレテレ

みつ「…巴ちゃんは助手席に、ジュン君と柴崎さんたちは後ろへどうぞ」

柴崎「おお、頼みますぞ」


ガチャ…


翠星石「…おじじ、ありがとです」

マツ「蒼ちゃん、気をつけて…」

蒼星石「はい…」

ジュン「…すいません」

巴「…雛苺」


…ガチャ


雛苺「うん…」

巴「やっと、帰れるね」

雛苺「うん。 …きらきしょうも、いっしょなの」

巴「そうだね…」


…バタン バタン


みつ「のりのりは、悪いけど…」

のり「…大丈夫です。 銀ちゃんたちと、鏡を通っていきます」

みつ「さすがにこの人数じゃ、乗り切らないから… カナも、ついていって」

金糸雀「了解かしら!」

のり「わたしたちの家に集合、ってことでいいですか?」

みつ「そうね。 真紅ちゃんたちもだけど、みんなみんな、あちこちケガしてるでしょう?」
912 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:48:09.58 ID:PVmElQE0
柴崎「…うむ」

のり「うん。 …どこも悪くない人なんて、いないと思ったほうがいいと思う」

金糸雀「カナは、かすり傷程度かしら!」

ジュン「…ボクも、大丈夫です」

巴「私も…」

みつ「ダメ。 落ち着いた場所でちゃんと診て、それからどうするか決めましょう」

のり「…うん。 みんな、無理しちゃダメ」


トコ トコ…


金糸雀「あ、ご到着かしら!」

ジュン「…水銀燈、真紅」

真紅「…みんな、遅くなってごめんなさい」

ジュン「いいんだ。 …すぐ、出発しよう」

水銀燈「…」

ジュン「ボクの家にみんなで集合だ。 …ちゃんと、ケガを治さないと」

水銀燈「ジュン」

ジュン「…なに?」

水銀燈「真紅…」…ス

真紅「え…」


スッ…


ジュン「…し、真紅を?」…ヒシッ

真紅「水銀燈…?」ギュッ…

水銀燈「…ジュン」


「…この子のこと、お願い」
913 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/10(土) 21:55:39.01 ID:PVmElQE0
真紅「…あなた?」

のり「銀ちゃん?」

水銀燈「みんなは、先に行っててちょうだい。 …わたしは」



「わたしは、ちょっと用事を済ませてから行くわ」



ジュン「用事…だって?」

水銀燈「ええ」

のり「で、でも銀ちゃん! あなただって、体が…」

水銀燈「…そう。わたしも、傷ついてる」

みつ「そ、それじゃ!」

水銀燈「だから、行かなければいけないのよ」

のり「え、え???」

金糸雀「…い、いますぐ済ませなきゃ、いけないのかしら?」

水銀燈「そうよ。 あなたのことも、含めてね」

金糸雀「カ、カナのこと???」

水銀燈「あなた、アリスゲームに勝利したでしょう」

金糸雀「え…」

雪華綺晶「(お母さま…?)」

水銀燈「わたしはまず、体を診てもらいに行く。そして…」

金糸雀「す、水銀燈…?」

水銀燈「あなたのことを、報せに行くのよ」…キッ!



「…お父さまのもとへ、ね」
914 :[sage]:2009/10/10(土) 21:56:38.30 ID:PVmElQE0
今日はここまでです。続きは明々後日予定。
915 :[sage]:2009/10/10(土) 21:57:55.07 ID:PVmElQE0
>>893
支援どうもっす〜
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/10(土) 22:00:39.78 ID:3AkQV/ko
乙〜
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/10(土) 22:05:29.69 ID:B0a38cQo
おつ!
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/10(土) 22:09:31.33 ID:OlehoyEo
乙樽場

カナ可愛いよカナ
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/10(土) 23:37:36.85 ID:qSdo06Uo
おっつ
920 :[sage]:2009/10/13(火) 18:38:29.37 ID:Aslaf5s0
所用にて投下を明日に延期します〜
いつもいつも、すいません…
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/14(水) 12:39:02.22 ID:6ufTzKMo
いつまでも待ってやんよ
922 :[saga]:2009/10/14(水) 18:27:38.39 ID:IWxrZdM0
>>916-919
乙どもっす。

>>918
この章の主役ですから(ゑ

>>921
アリガタヤm( _ _)m



再開します〜

923 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 18:37:29.06 ID:IWxrZdM0
ジュン「…!」

雪華綺晶「(!!!)」

雛苺「え… えっ!!」


―雪華綺晶とお父さまは、汚れ役をずっと引き受けてくれていたのよ…


雛苺「お、おとうさまが… おとうさまが!」

翠星石「え、えっ…?!」

蒼星石「おとう、さま…?」

雛苺「…うゅ?(ふたりとも…?)」


―オ父サマノ 存在ハ 薔薇乙女ニハ 秘スル ヨウニト…


真紅「…そう…」

金糸雀「お、お父さまのところ…?」

雛苺「(…真紅? 金糸雀も…???)」

水銀燈「…そう、お父さまのところ」

金糸雀「そ、そんな…」

雛苺「…金糸雀??」


(みんな、みんな、どうしちゃったの…?)


水銀燈「…だから、みんなは先に帰っててちょうだい。 そんなに、時間はかからないと思うから」

蒼星石「そ、そんな… でも…」

雛苺「…蒼星石?」

蒼星石「いや… そ、そう、なのか…?(…あ、あれ?)」


(ど、どうしたんだ… 僕は?)
924 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 18:41:25.31 ID:IWxrZdM0
雛苺「蒼星石…」

翠星石「そ、それは… そう…(…あれ?)」

雛苺「翠星石?」

翠星石「よかった… です。 はい…(あれれれれ?)」


(わたし… どうしちゃったんですか…???)


雛苺「…???」

金糸雀「お、お父さまって… ローゼンお父さま、なのかしら?!」

雛苺「(…みんな…)」

水銀燈「…もちろん、そうよ」 

金糸雀「そ、そう…」

水銀燈「結局あなたは、アリスになることは、できなかったけれど」 

金糸雀「え…」

水銀燈「それでもあなたは、立派に戦い、そして勝利した」

金糸雀「…」

水銀燈「なにか、ごほうびくらいは頂けるかもしれないわ」…ニコ

金糸雀「ご、ごほうび?(そ、そんな…)」…ギリッ


(そんなものが、ほしかったんじゃ、ない…)


水銀燈「…」

金糸雀「(わたしたち… そんなものなんか…)」ギリ…

雪華綺晶「(金糸雀… お姉さま…)」

雛苺「(…みんな…)」



(どうして、なの? どうしちゃったの…?)
925 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 18:51:12.44 ID:IWxrZdM0
水銀燈「…」


翠星石「…ご、ごほうび、ですか…」

蒼星石「そ、そうだね。 金糸雀は、実力で勝ったんだから…」


水銀燈「…(みんな)」


金糸雀「(…わたし、わたし… そんなものなんか…)」…ブルブルブル…

真紅「(お父さま… 生きてらしたのなら、なぜ、ただ一言だけでも…)」

水銀燈「(みんな、わかるわ… あなたたち、いま…)」…グッ

(やりばのない想いが、あふれかえりそうなのでしょう? だって…)



(わたしだって…)



雪華綺晶「(お母さま… いったい…)」

水銀燈「…」

ジュン「…水銀燈…」

水銀燈「…それに」

ジュン「え?」

水銀燈「もうひとつ、大事な用があるわ」

雪華綺晶「大事な用?」

水銀燈「あなたのことよ」

雪華綺晶「…えっ? わ、わたし?」

水銀燈「そう、あなたのこと」



「あなたを連れて帰るお許しも、いただいてこなくてはならないしね」
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[age]:2009/10/14(水) 18:57:32.40 ID:YntY8i20
はーい、空気読めないでーす!


悩みある人はここへ「悩み聞くよ」
927 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 18:58:04.83 ID:IWxrZdM0
雪華綺晶「…え?!」

真紅「雪華綺晶のことを、お父さまに?」

水銀燈「そうよ。わたしたちを守る役目から、解放していただけるようにね…」

雪華綺晶「で、でも!」

水銀燈「あなた、わたしたちと暮らしたいんでしょう?」

雪華綺晶「え…」 

水銀燈「…そうよね?」

雪華綺晶「…」


…コクン


みつ「…きらちゃん」

水銀燈「なら、ちゃんとお父さまに話を通しておかなくてはいけないわ」

雪華綺晶「…で、でも…」

水銀燈「…なに?」

雪華綺晶「…」

金糸雀「雪華綺晶?」

雪華綺晶「…」


(お母さま、聞こえる?)


ジュン「…?」

水銀燈「(…ええ、聞こえるわ)」

雪華綺晶「(『あいつ』に、話を通すって… そんな…)」

水銀燈「(…)」

雪華綺晶「(お母さまは、わかってるはず。あいつは…)」


(話が通じるような相手じゃ、ない)
928 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 19:04:26.06 ID:IWxrZdM0
水銀燈「(…)」

雪華綺晶「(…あいつと、話し合いなんて成り立つわけがない!)」



ジュン「ふたりとも…?」

真紅「(…心で、話をしてるの…?)」



水銀燈「(…)」

雪華綺晶「(あいつは、自分の目的を達成することしか、考えてないもの!)」

水銀燈「(…そうね)」



蒼星石「(ふたりとも… まったく、もう!)」…ムカムカ

翠星石「(また、わたしたちには、ナイショのお話ですか…?)」…ムスッ



雪華綺晶「(『そうね』って… なら、なぜ!?)」

水銀燈「(…)」

雪華綺晶「(なぜなの、お母さま?!)」



雛苺「みんな、みんな…」

金糸雀「…」


…ズイッ


水銀燈「…金糸雀?」

雪華綺晶「(お姉さま…)」

金糸雀「ふたりとも…」…キッ!



「ちょっと、待ってほしいかしら」
929 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 19:18:18.69 ID:IWxrZdM0
水銀燈「…」

蒼星石「…金糸雀?」

翠星石「(カナ…?)」

金糸雀「水銀燈。 …戦いはひとまず、終わったかしら」

水銀燈「…ええ」

金糸雀「さっき、聞けなかったこと… 改めて、聞いてもいいかしら?」

水銀燈「…」

金糸雀「…」…グッ


「お父さまのこと…」


水銀燈「(…金糸雀…)」

みつ「…カナ。今は、銀ちゃんも、みんなも…」

金糸雀「わかってるかしら。 でも、これだけはどうしても、教えてほしいかしら…」ギュ…

水銀燈「…」

金糸雀「わたしたち… ずっと、何も知らされないままに、されてきたかしら…」

水銀燈「そうね…」

金糸雀「あなたのことも… あなたとジュンのことも…」…ブルッ

ジュン「…」

金糸雀「雪華綺晶のことも秘密にされたまま、あなたの言うとおりに探して…」ブルブル…

雪華綺晶「…お姉さま…」

金糸雀「この上、お父さまのことまで内緒にされるのかしら?! わたしたち…」


…ガバッ!


「もう、限界をとっくに突破してるかしら!!」
930 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 19:27:21.74 ID:IWxrZdM0
水銀燈「(…金糸雀)」

金糸雀「わたしだけじゃない! みんなだって、そう思ってるはずかしら!!」

翠星石「カナ姉…」

蒼星石「(…姉さん)」

金糸雀「お願い、水銀燈! ほんとのことを教えて!! それがもし辛いことであっても、かまわないかしら!!」

雛苺「…か、金糸雀ぁ…」

真紅「…」



「水銀燈」



水銀燈「なに?」

真紅「わたしも、聞きたいわ。 お父さまのこと、いえ…」

水銀燈「…」

真紅「…あなたが、さっきから」…キッ!



「『お父さま』と呼んでいる存在のことを…」



雪華綺晶「…!」

のり「…し、真紅ちゃん…?」

翠星石「し、真紅?」

真紅「…」



「あいつの、ことなの?」
931 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/14(水) 19:36:07.68 ID:IWxrZdM0
蒼星石「…あいつ?」

真紅「ええ… 水銀燈、あなたは言っていたわね」

水銀燈「…」

真紅「雪華綺晶は、『お父さま』とずっとふたりで、私たちを守っていたと」

水銀燈「そうよ」

真紅「…雪華綺晶」

雪華綺晶「…な、なに?」

真紅「…青髭公が繰り出してきた、幻影」

雪華綺晶「!!」

真紅「あなたの、最大の恐怖の対象」

水銀燈「…」

雪華綺晶「あ… あれは…」

真紅「水銀燈が口にしている存在と、同一なの?」

雪華綺晶「(あ…)」…ブルッ

金糸雀「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「(あああ…)」ブルブル…


(ああ… ああああ…)


真紅「…やっぱり、そうなのね」

雪華綺晶「ち、ちがっ… ちがう… あんな…」ブルブルブル…

真紅「…水銀燈。 『あれ』が私たちのお父さまだとでも言うの?」

水銀燈「…」

翠星石「あ、あれってなんですか?!」

真紅「…」


「ラプラスの魔よ」
932 :[sage]:2009/10/14(水) 19:37:36.49 ID:IWxrZdM0
短いですが、今日はここまでです。続きは明後日。
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/14(水) 19:44:09.02 ID:La1Mj9go
おつー
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/14(水) 19:52:17.57 ID:F0uT.LIo
おつ!
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/14(水) 21:06:05.69 ID:UXnL3/Ao
乙〜
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/14(水) 21:07:57.63 ID:qe0MnRwo
おっつ
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/14(水) 21:48:01.76 ID:3/w21BMo
乙樽場
938 :[saga]:2009/10/16(金) 21:12:36.85 ID:fZ1oeO.0
>>933-937
乙どもっす。再開します。
939 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 21:23:40.95 ID:fZ1oeO.0
翠星石「…へ?」

雛苺「え… えぇっ?!」



(迷走・不規則・不安定、これらは全て混沌という名の法則です)



蒼星石「は、はあっ?!」

金糸雀「…う、うそ!」

ジュン「あいつが… きみたちの、父親?」



(きれいは、きたない。 きたないは、きれい。 …と、申します)



真紅「そうみたいね。 わたしも、信じられないけれど」

金糸雀「ちょ、ちょーっと! 真紅っ!」

真紅「なあに?」

金糸雀「…なあにじゃないかしら! あんなのが、わたしたちのお父さまですって?!」

ジュン「…」

金糸雀「ふざけるのも、たいがいに…!」

真紅「金糸雀」


…スッ


金糸雀「…な、なにかしら?」

真紅「ふたりに、聞いてごらんなさい」
940 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 21:26:29.26 ID:fZ1oeO.0
金糸雀「ふ、ふたり?」

真紅「そう。 水銀燈と、あなたの中にいるその子に」

金糸雀「わたしの、なか…?」

真紅「そうなのよね?」

金糸雀「え…」

雪華綺晶「…!」


ブルブル…


金糸雀「き、雪華綺晶?」

真紅「そうなのよね?」

雪華綺晶「ち… ちが…」ブルブルブル…

金糸雀「あ、あなた…」

真紅「…そうなのでしょう、水銀燈?」


水銀燈「…」


金糸雀「…す、水銀燈?」

翠星石「まさか… ほんとうに、そうなんですか?」

水銀燈「…」

蒼星石「ぼくたちのアリスゲームを、高みから見ものにしていた、あの白ウサギが…?!」

雛苺「そ… そう、なの…?」

柴崎「…」



「うむ… なるほどのう…」
941 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 21:33:59.28 ID:fZ1oeO.0
翠星石「へっ?!」

蒼星石「マ、マスター?!」

柴崎「やはり、そうじゃったか…」

水銀燈「…おじいさま」

雛苺「お、おじいちゃま??」

柴崎「…うすうす、感づいてはおったが」

マツ「…」


「そう、ですわね…」


翠星石「お、おばばまで?!」

のり「うん。あの人は、みんなが眠っている間に…」

翠星石「…ええ!? の、のりも?!」

みつ「そう… なにかと、世話を焼いてくれていたものね」

蒼星石「み、みんな…?」

真紅「…そうなの?」

のり「うん。 …わたしたちに、力を貸してくれた」



―あの子に関っている人たちのところを、回っているのですよ。



みつ「あの人がわたしたちに指輪をくれたから、銀ちゃんを助けることが…」

のり「あなたたちを、無事に産んでもらうことができたの」

水銀燈「(…そう、憶えているわ)」ス…


(めぐの体を通して注ぎこまれた、あなたたちの命のぬくもり…)
942 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 21:43:48.12 ID:fZ1oeO.0
翠星石「そ、そんな…」

蒼星石「あいつが… 水銀燈を、僕たちを助けた、だって…?」

のり「うん。理由は、教えてくれなかったんだけど…」

柴崎「あの人がおまえさんたちの父親とすれば、なんの不思議もないのお」

翠星石「そ、そんな…!」

ジュン「(…確かに、最初に結晶の異常と、その治しかたを教えてくれたのも)」


―あなたは特別な存在なのですよ、水銀燈。


ジュン「(あいつだったっけ…)」

雪華綺晶「(…それは、当然のことよ。 お父さま)」

ジュン「(雪華綺晶?)」

雪華綺晶「(驚くことじゃないわ。 だって…)」

水銀燈「…」


(雪華綺晶)


雪華綺晶「(え?)」

ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「(…お父さまのことを、悪く言わないで)」

雪華綺晶「(え…)」

ジュン「…」

雪華綺晶「(で、でも、あいつは…)」

水銀燈「…」



…ギロッ
943 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 21:48:59.02 ID:fZ1oeO.0
雪華綺晶「(ひ…!?)」

ジュン「…!」

水銀燈「(…雪華綺晶)」

雪華綺晶「(…え…)」

水銀燈「(少し、黙りなさい)」

雪華綺晶「(え…)」

水銀燈「(言ったはずよ)」



(『わたしから』ちゃんと話す、と)



ジュン「…」

雪華綺晶「(…で、でも!)」

水銀燈「(…お願い)」

雪華綺晶「(え…)」

水銀燈「(お願いよ…)」

雪華綺晶「…」



(あいつは… あいつは…!)



ジュン「(水銀燈、雪華綺晶…)」

水銀燈「(雪華綺晶…)」

雪華綺晶「(…ふん)」

ジュン「…?」

雪華綺晶「(…)」



(…勝手にすれば?)
944 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 21:57:23.27 ID:fZ1oeO.0
水銀燈「(…)」

雪華綺晶「(お母さまの勝手にすればいい。 …わたし、もう知らない)」

ジュン「(雪華綺晶、君は…)」

雪華綺晶「(何も聞きたくない!)」キッ!



(せっかく、お父さまに『あいつ』のことを教えてあげようと思ったのに!)



水銀燈「(…あなた)」

雪華綺晶「(みんな、あいつのことを知らないでしょう?!ジュンお父さまだって…)」

ジュン「(…雪華綺晶!)」

雪華綺晶「(お母さまだって!)」

水銀燈「(…)」

雪華綺晶「(結晶の記憶を視たくらいで、知ったようなことを言って! 何よ!)」


(わたしはずっと、あいつのそばにいたのよ?! あいつのことなら、誰よりもよく知ってる!)


ジュン「(君は…)」

雪華綺晶「(あんなやつ、良く言ってあげる価値なんてない! 心を通わせられる相手じゃないの!)」

水銀燈「…」

雪華綺晶「(もう知らないっ! 勝手にすればいい! わたし、何も言わないんだから!)」
945 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 22:03:57.15 ID:fZ1oeO.0
ジュン「(雪華綺晶…)」

水銀燈「(…わかったわ。勝手にさせてもらう)」

雪華綺晶「(…ふん!)」


…プイッ!


水銀燈「…もう」

金糸雀「…水銀燈?」

水銀燈「…」

金糸雀「…(もう、ふたりとも…)」


(…また、ないしょ話してるかしら…)


柴崎「…それにしても…」

蒼星石「…マスター?」

柴崎「なにかの目的はあると思っておったが… やはりのう」

蒼星石「…」

マツ「なぜ、正体を隠していたのでしょうね…」

翠星石「お、おじじ! おばば! さっきから何言ってるですか!?」ムキー! 


「ボケるにも、ほどがあるですよ!!」


柴崎「な、なんじゃと?!」

マツ「…え?」

蒼星石「な?!」

翠星石「いくらなんでも、それはボケすぎですっ! ボケ倒しですぅっ!!」

柴崎「わっ、わしはまだ…」



「ボケてなど、おらんぞっ!!」
946 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 22:07:01.59 ID:fZ1oeO.0
翠星石「いいーえっ! ボケてます! どこに出しても恥ずかしいくらいの、大ボケですっ!!」

蒼星石「こ、こらぁー! 翠星石っ!!」

翠星石「へ?」

マツ「…」



…ジロッ



翠星石「あ… あっ!!」

マツ「…翠ちゃん?」ギロ…

翠星石「あ、あー… あー、はい…」



「そ、そっちのボケじゃないです!」 



マツ「…もう、翠ちゃんったら」

翠星石「ハリセンですぱーんとつっこまれるほうのですっ!」…アセアセ

蒼星石「まぎらわしいよ…」

翠星石「(…おばばが…)」



(ちょ、ちょ〜〜〜怖い目つき… だったですぅ…)
947 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 22:15:11.43 ID:fZ1oeO.0
蒼星石「(…まったく、もう)」

翠星石「(ちびっちゃいそうでした…)」

水銀燈「…」



「…みんな」



翠星石「は、はい?」

水銀燈「真紅」

真紅「…なに?」…ジーッ



「話して、くれるの?」



翠星石「…え?!」

蒼星石「な!」

雪華綺晶「(!!!)」

真紅「さっき、言ってたものね… みんなの前で、話すって」

水銀燈「…そうよ」

雪華綺晶「(…お母さま?!)」

水銀燈「…?」

雪華綺晶「(お母さま… 本気なの?!)」

水銀燈「(…あなた)」…ギロ



(もう何も言わないって、言ってなかった?)
948 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 22:27:00.16 ID:fZ1oeO.0
雪華綺晶「(い、言ったけど! でも… でもっ!!)」

水銀燈「(わたしは『黙ってて』とも言ったんだけれど)」

雪華綺晶「(…!)」

水銀燈「(…聞こえなかった?)」

雪華綺晶「(…)」



のり「(…銀ちゃん、また?)」

みつ「(きらちゃんと…?)」



水銀燈「(何度も言わせないで)」

雪華綺晶「(…)」

水銀燈「(…私の勝手にさせて。あなたは黙っていて)」

雪華綺晶「(…お…)」



「おかあさまっ!!」



ジュン「?!」

金糸雀「き、雪華綺晶?!」

雪華綺晶「お母さま! …あいつのことを、みんなに言うつもりなの?!」

水銀燈「…」

雪華綺晶「…お母さまっ!!」

水銀燈「(…もう、大声出して…)」



蒼星石「(雪華綺晶のこんな声、はじめて聞いた…)」

翠星石「…耳がキンキンするですぅ」
949 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 22:36:21.67 ID:fZ1oeO.0
雪華綺晶「お母さま! ほんとに… ほんとうに、何を考えてるの!?」

水銀燈「(…何を、ですって?)」

雪華綺晶「みんな、みんな…」


「ローゼンお父さまのことを、慕ってるんでしょう?!」


金糸雀「…え?!」

蒼星石「なっ…!?」

水銀燈「(…そうね)」

雪華綺晶「それなら… それなら、なぜ!!」

水銀燈「…」

雪華綺晶「あいつは、ローゼンお父さまじゃないのよ!?」 

雛苺「え…?!」

翠星石「…はあ?!」

雪華綺晶「あいつは心を持ってない! わたしたちのことなんか、気にもかけていない!!」

金糸雀「き、雪華綺晶… あなた、何を言っているの…?」

雛苺「ど、どっちなの…? おとうさま、生きてるの? それとも…」

雪華綺晶「死んだのよ!!」

蒼星石「…な!?」

雪華綺晶「優しいお父さまは、死んじゃったの! もう、いないのよ!!」

真紅「…」

雪華綺晶「そういうことにしたほうが、みんなのためなのよ!!」







「 雪 華 綺 晶 ! ! 」
950 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 22:44:13.12 ID:fZ1oeO.0
雪華綺晶「…ひっ?!」

金糸雀「き、きゃあ?!」

翠星石「ひ、ひぃっ!!」



水銀燈「…」



…ギロリ



のり「(い… いまの、銀ちゃんの、声…?)」…ブルッ

みつ「(み、みっちゃん… お嫁にいけなくなるところだった…)」ブルブル…

真紅「(…あ、あなた?!)」

雪華綺晶「お、お母さま…」

水銀燈「…雪華綺晶」


…ズイッ


雪華綺晶「な、なによ…!?」

水銀燈「…」…ジリ ジリ

雪華綺晶「そ、そうやってまた、私のことを怖がらせようっていうの?!」

水銀燈「…」ズイ…

雪華綺晶「…あ、あなたもあいつといっしょよ!! 私のことなんか…!」

水銀燈「…」



…ジワ…
951 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 22:49:28.24 ID:fZ1oeO.0
ジュン「…水銀燈?」

のり「銀、ちゃん…?」

水銀燈「…」



ポロ…



翠星石「す、水銀燈…」

雛苺「水銀燈が… 泣いてる…」

雪華綺晶「お、おかあ… さま…?」

水銀燈「…」ポロポロポロ…



「…お願い」



雪華綺晶「え…」

水銀燈「お願い… お願いよ、雪華綺晶…」ポロ… ポロ…

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「…お願い。わたしに… わたしに…」



「あなたのことを、嫌いにさせないで…」



ポロポロポロ…
952 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/16(金) 23:00:17.94 ID:fZ1oeO.0
雪華綺晶「おかあ… さま…?」

水銀燈「お願い、わかって、雪華綺晶… わたし、わたし…」

真紅「…あなた…」

水銀燈「わたし、あなたのことを、嫌いになりたくない…」 


「あなたを、嫌いたくない。 憎みたくないの…」


「…お父さまのことを、そう思うのと同じように…」


雪華綺晶「お母さま…」

水銀燈「…お願いよ、雪華綺晶。 わかってちょうだい…」

雪華綺晶「…」

金糸雀「雪華綺晶…」

雪華綺晶「…」

金糸雀「…雪華綺晶」…ナデ

雪華綺晶「…?」

みつ「(カナ… 自分の、胸を?)」

雪華綺晶「…お姉さま?」

金糸雀「…雪華綺晶」ナデ ナデ…


「どうか、こらえてほしいかしら」


雪華綺晶「…え?」

金糸雀「あなたとお父さまの間に何があったのか、わたしたちにはわからないけれど」

雪華綺晶「…」

金糸雀「でも… でも、どうか、いまだけは…」ナデ…


「水銀燈の話を、どうかわたしたちに聞かせてほしいかしら…」

ナデ ナデ…
953 :1[sage]:2009/10/16(金) 23:01:34.20 ID:fZ1oeO.0
今日はここまでです。続きは明後日。
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/16(金) 23:04:54.86 ID:BjUi1hQo
乙樽場

きらきー…
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/16(金) 23:10:14.06 ID:VIngcyso
乙です
956 :1[sage]:2009/10/16(金) 23:13:51.58 ID:fZ1oeO.0
>>954-955

乙どもっす。次回投下中〜終了後に新スレ立てます。
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/17(土) 06:59:03.67 ID:L4JGmIIo
おっつ
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/17(土) 07:28:07.19 ID:pNAVKP.o
おつ!
959 :1[saga]:2009/10/18(日) 19:21:36.54 ID:N4WXMCM0
>>957-958

乙どもっす。再開します〜
960 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:24:18.35 ID:N4WXMCM0
【nのフィールド】



ヒューーーーン…



「…」

「…」


ヒューーーーン…


「…」

「…雪華綺晶」

「…」


…ヒューーーン


「…雪華綺晶ってば」

「なあに? …お母さま」

「あなた、まだ怒っているの?」

「…別に」

「…お父さまのこと」

「…」


ヒューーーーーン…


水銀燈「みんなに、嘘はついていないわ」

雪華綺晶「…」



「ほんとうのことを、言ってないじゃない」
961 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:30:40.25 ID:N4WXMCM0
水銀燈「言う必要がないことを、言わなかっただけよ」

雪華綺晶「…」

水銀燈「あなたが、わたしたちのことを心配してくれるのはわかるけれど…」

雪華綺晶「わかってないじゃない」

水銀燈「…」


ヒューーーーン…


雪華綺晶「…あんな中途半端なことを言うなら、いっそ何も言わないほうがよかった」

水銀燈「…」

雪華綺晶「あいつは言っていた。自分の存在も目的も、薔薇乙女にはけして伝えるなと」

水銀燈「…ええ」

雪華綺晶「自分のこと、自分がしてきたことを知れば、みんなかならず絶望するだろうって…」

水銀燈「…」

雪華綺晶「…都合の悪いことを隠しておいたって、どうせすぐばれるわ」

水銀燈「…そうね。 でも…」



「ほんの少しだけ、時間を稼げればいい」



雪華綺晶「…時間を?」

水銀燈「そうよ。お父さまと話をする、少しの時間だけでもね」

雪華綺晶「だから、話なんて通じないって…」

水銀燈「(…そうね。でも…)」

雪華綺晶「…お母さま?」

水銀燈「(そのために…)」



(そのときのために、あなたに来てもらったのよ…)
962 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:35:40.16 ID:N4WXMCM0
雪華綺晶「お母さま? 何を…」

水銀燈「先を急ぎましょう」

雪華綺晶「え? …きゃああ?!」


ビヒュン!


雪華綺晶「お、お母さま?!」

水銀燈「瞬間移動を使う力は、残ってない… ぐずぐずしてはいられないわ」

雪華綺晶「(…もう、お母さまったら…)」



(あなただって、ほんとうは、怒っているんでしょう?)



水銀燈「お父さまに早く、処置を施してもらわなくては…」

雪華綺晶「…」

水銀燈「あなたも、わたしも…」

雪華綺晶「(お父さまのこと…)」



(お父さまが、あなたたちにしてきたこと… そして…)



(してこなかったことを…)



キィィィ… ン…
963 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:37:46.26 ID:N4WXMCM0
【現実世界】


ブロロロロロ…


みつ「…みんな、大丈夫?」

ジュン「…はい」

真紅「…」


ブルルルル…


みつ「疲れたら、寝ちゃっていいからね?」

ジュン「すいません、みっちゃんさん」

真紅「…」

ジュン「真紅?」

真紅「…」


(「…お父さまは…」)


みつ「(…真紅ちゃん)」

ジュン「(真紅…)」

真紅「(水銀燈、あなたの言葉…)」


(お父さまのこと…) 


(わたしたち… 信じて、いいの?)



―お父さまは、自らの体を、自動人形に造りかえようとしていたのよ。
964 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:40:39.00 ID:N4WXMCM0
真紅「(お父さまが… 人形に…?)」


―わたしたちを、ずっと守り続けるためにね。


ジュン「…」

真紅「(お父さまが…)」

みつ「(銀ちゃん…)」


ブルルル…


翠星石「…」

蒼星石「…」


―術式は、成功した。 けれど…


翠星石「(…お父さまは、わたしたちを助けるために…)」

蒼星石「(…自らの命と心すべてを、僕たちに注ぎこんでしまっていた)」

マツ「…蒼ちゃん、翠ちゃん」

翠星石「…なんですか?」

マツ「ふたりとも、疲れてない?」
965 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:43:01.34 ID:N4WXMCM0
翠星石「…だいじょーぶ、ですよ」

柴崎「眠ってても、いいんじゃぞ」

蒼星石「…いえ、平気です。金糸雀とのりさんは、歩いていってくれているんだし」

マツ「ええ…」

柴崎「…無理は、せんでええからな?」

翠星石「はい…(おじじの気持ちは、うれしいんですけど…)」

蒼星石「(僕たちは、いま…)」

マツ「…」



―お父さまは人形の体をもってよみがえったけれど…



翠星石「(わたしたちは、いま…)」

柴崎「…」

翠星石「(それどころじゃ、ないですよ…)」



―『ローゼン』としての命と心は… 失ってしまった。



蒼星石「(あの、やさしかったお父さまが…)」

翠星石「(心と命を失ってしまった、だって?)」



―あのやさしかったお父さまは、もういないのよ!!
966 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:49:26.41 ID:N4WXMCM0
翠星石「(…雪華綺晶。 いまの、お父さまは…)」

蒼星石「(僕たちの知っている、お父さまじゃ、ないのか…?)」



ブルルルルル…



巴「…」

雛苺「…」


―でも、お父さまは… 


雛苺「(水銀燈おかあさま…)」

巴「…」…コクリ


―命と心を失っても、なお… 


雛苺「(おとうさまは…)」

巴「…」

雛苺「(おとうさまは、ヒナたちを、おいていったんじゃなかったのね…)」


―わたしたちを守り、アリスにするという意志だけは、失わなかった。


雛苺「(ずっとずっと、ヒナたちを、まもってくれていたのね…)」

巴「…」…ウツラ ウツラ

雛苺「(…きらきしょうと、いっしょに…)」



―けれど、お父さまの体は、とてもとても不安定なものだった。

―少し動いただけで、すぐに眠らなくてはならなくなってしまうくらいに…
967 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:51:01.89 ID:N4WXMCM0
―だからお父さまは、7人目の妹を創ったの。

―自分とともに、みんなを守るための子を…



雛苺「(…それが、きらきしょうだったのね…)」

巴「…すー…」

雛苺「…?」

巴「…」コクリ コクリ

雛苺「…トモエ?」


…ユサユサ


巴「…あっ」パチクリ

雛苺「…だいじょうぶ?」

巴「あっ… う、うん… ごめんね」

みつ「…ともとも、寝ててもいいのよ?」

巴「ご、ごめんなさい。 わたし…」

みつ「だーいじょうぶ、あと10分くらいだから。 …おっと」



…キキッ



翠星石「お、っとっとっと?」…グラ

みつ「あ、ごめんね。 信号変わっちゃったから…」
968 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:52:42.27 ID:N4WXMCM0
巴「いえ、大丈夫です…」

みつ「ともともも、着いたら起こすから、休んでて」

巴「でも…」

みつ「遠慮しないの! あんなに、がんばったんだから…」

巴「…」

みつ「…?」

巴「(…でも、わたし…)」

みつ「…」…クイ



…カチ カチ カチ



巴「…」

みつ「…ねえ、ともとも」

巴「…はい?」

みつ「あなた…」


「銀ちゃんのことが、心配なの?」


巴「え…」

ジュン「巴…?」

真紅「…あなた」

巴「…」



…プップー
969 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:55:43.86 ID:N4WXMCM0
雛苺「??」

みつ「あ、いけない」ブルルルル…

巴「…」

みつ「…大丈夫よ、きっと。 銀ちゃんだって、そう言ってたじゃない」

巴「ええ、でも…」

ジュン「…」

真紅「(…水銀燈…)」



―わたしたちだけで、行ってくるわ。



【10分前 河川敷】



真紅「え… あなた?」

金糸雀「す、水銀燈? いま、なんて?」

水銀燈「…いま、言ったとおりよ」


「お父さまのもとへ行くのはわたしと、雪華綺晶だけ」


金糸雀「そ、そんな…!」

水銀燈「みんなも、お父さまに会いたいだろうけれど」

蒼星石「…」

水銀燈「けれど、お父さまは…」


「たぶん、みんなには会わないはずよ」
970 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 19:59:14.32 ID:N4WXMCM0
雛苺「え…」

水銀燈「いままで、あなたたちの前で正体を明かさなかったようにね…」

雪華綺晶「…」

翠星石「な、なぜですか… まさか?」

真紅「水銀燈…」


「やはりお父さまは『アリス』にしか会う気はないの…?」


水銀燈「…」

金糸雀「カ、カナがアリスになれなかったから、かしら…?」

蒼星石「そう、なのか…?」

水銀燈「違うわ」

真紅「…え?」

水銀燈「さっき、地下で説明したでしょう?」

のり「ち、地下で?」

水銀燈「ああ… みんなには、言ってなかったわね」

みつ「え…?」

水銀燈「お父さまはね、雪華綺晶とともに…」



「薔薇乙女にとって危険と思われるものたちを、影ながら排除してきたのよ」
971 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:15:46.15 ID:N4WXMCM0
みつ「…!」

柴崎「なんと…」

雪華綺晶「…」

のり「…雪華綺晶ちゃんと、みんなのお父さんが?」

マツ「人間も、含めてということ?」

水銀燈「…」


「そうです」 


雛苺「え…!」

巴「そんな…」

のり「…」

雪華綺晶「(…みんな…)」

水銀燈「…雛苺、それにみんな」


「どうかこの子を、責めないであげてほしい…」


雛苺「え…」

雪華綺晶「お母さま…」

水銀燈「お父さまのことも…」

柴崎「…」

水銀燈「わたしたちのために、してくれていたことなのだから…」

マツ「…」

水銀燈「責めを負うべきは、わたしたち… いえ、わたし…」

のり「…」


…スッ
972 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:15:45.94 ID:N4WXMCM0
みつ「…!」

柴崎「なんと…」

雪華綺晶「…」

のり「…雪華綺晶ちゃんと、みんなのお父さんが?」

マツ「人間も、含めてということ?」

水銀燈「…」


「そうです」 


雛苺「え…!」

巴「そんな…」

のり「…」

雪華綺晶「(…みんな…)」

水銀燈「…雛苺、それにみんな」


「どうかこの子を、責めないであげてほしい…」


雛苺「え…」

雪華綺晶「お母さま…」

水銀燈「お父さまのことも…」

柴崎「…」

水銀燈「わたしたちのために、してくれていたことなのだから…」

マツ「…」

水銀燈「責めを負うべきは、わたしたち… いえ、わたし…」

のり「…」


…スッ
973 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:29:41.76 ID:N4WXMCM0
水銀燈「…お姉さま?」

のり「…いつでも、何度でも言うけど」ジーッ…

水銀燈「え?」

のり「自分を責めないで」


「ひとりで、背負わないで…」


水銀燈「…お姉さま」

みつ「…軽々しく、許すなんて言えることじゃないけれどね」

雪華綺晶「…」

巴「でも…」


「薔薇乙女たちが人を傷つけていたなんて、どこにも書いてなかったけれど…」


ジュン「…ああ」

巴「ジュン君と一緒に、本もネットも調べてたけど、そんな記述は一言も…」

水銀燈「それだけ、完璧に行っていたということよ」

真紅「…完璧に?」

水銀燈「雪華綺晶の力と、お父さま… 『ラプラスの魔』の力で」

金糸雀「…」

水銀燈「噂話すら、たたないくらいにね…」

金糸雀「…」



「そういうこと、だったのかしら?」
974 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:36:27.80 ID:N4WXMCM0
翠星石「か、カナ姉?」

金糸雀「…『お父さま』が、わたしたちに接触してこなかったのは、そういうことだから?」

水銀燈「そうよ。のみこみが早いわね」

蒼星石「え…」

水銀燈「お父さまはね…」


「自分と薔薇乙女のつながりが、暴かれてしまうのを危惧していたのよ」


真紅「え…」

水銀燈「だから、アリスゲームでも傍観者を装っていたし、nのフィールドでしか姿を現さなかった」

柴崎「…なるほどのう」

ジュン「そうか…」

水銀燈「お父さまは、自分たちのしていることが人間に知られたなら、その矛先が薔薇乙女たちに向かうであろうことを予測していた」

みつ「それって、つまり…」

水銀燈「…そうよ。 お父さまと雪華綺晶は…」


「わたしたちが人とともに暮らせるように、自分たちが汚れ役を引き受けてくれたのよ…」


雛苺「そう、だったのね…」

雪華綺晶「…」

のり「きらちゃん…?」

雪華綺晶「(お母さま… あなたの言っていることは、間違ってはいない)」



(けれど、言ってないことがある…)
975 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:39:01.36 ID:N4WXMCM0
金糸雀「雪華綺晶?」

雪華綺晶「(わたしは… わたしの役目は、それだけじゃない…)」

水銀燈「…でもそれは、もうおしまいにしてもらう」

雪華綺晶「え?」

水銀燈「わたしたちは、この人たちとともに生きる。そして、守り抜く」

真紅「…」

水銀燈「お父さまや、あなたの手を借りずにね」

雪華綺晶「でも、それは…」

水銀燈「なんとか、お父さまにお願いしてみるわ」

雪華綺晶「…」

金糸雀「…」


「大丈夫かしら?」


水銀燈「…金糸雀?」

金糸雀「水銀燈… ほんとのほんとに、大丈夫かしら?」

水銀燈「…話だけはしてみる。上手くいくかどうかはわからないけれど」

金糸雀「…」

水銀燈「すぐ帰ってくるわ。まあ、期待しないで待っててねぇ」…ケラケラケラ

金糸雀「…」キッ!



「そういう意味じゃないかしら!」
976 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:45:13.88 ID:N4WXMCM0
水銀燈「…あなた?」

蒼星石「姉さん?」

金糸雀「水銀燈、あなた…」ギュ…



「ほんとに、無事に、帰って来れるのかしら?」



水銀燈「…は?」

金糸雀「ほんとのほんとに、あなた、無事に戻ってこれるのかしら?」

水銀燈「…何言ってるのよ。相手はお父さまよ?」

金糸雀「ならなぜ、雪華綺晶がこんなにおびえているのかしら!?」

水銀燈「え…」

雪華綺晶「わ、わたしはおびえてなんか…」

金糸雀「…さっきから、あなたの気持ちが、心に直接響いてくるかしら」

雪華綺晶「え…」

金糸雀「わたしはあなたの心は読めない。 でも、気持ちは伝わってくるかしら」

雪華綺晶「そ、そんな…」

金糸雀「さっきから…」…ナデ


「青髭公との戦いでさえ感じていなかったような恐怖が、あなたから伝わってくるかしら…」


雪華綺晶「…」

水銀燈「…金糸雀」

金糸雀「水銀燈…」

水銀燈「…」



「ほんとうに、大丈夫よぉ」
977 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:49:30.77 ID:N4WXMCM0
ジュン「水銀燈…」

水銀燈「ほら、雪華綺晶もいつまでもビクついてるんじゃないの」

雪華綺晶「え…」

水銀燈「ケンカしにいくんじゃないんだから。 …ほら、金糸雀から出てきて」

雪華綺晶「で、でも…」

水銀燈「…早く」

雪華綺晶「…」


…スゥ


金糸雀「きゃ?!」

雪華綺晶「…あ、ごめんね」

金糸雀「い、いきなり顔だけ出さないでほしいかしら…」ドキドキ

水銀燈「それじゃ、行くわよ」

のり「銀ちゃん…」

水銀燈「みんなのこと、お願いね。 …『お姉さま』」

のり「…うん」

水銀燈「じゃ、雪華綺晶」

雪華綺晶「…はい」


シュルシュル…


金糸雀「雪華綺晶…」

雪華綺晶「…金糸雀お姉さま」


シュルシュルシュル…
978 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:52:29.10 ID:N4WXMCM0
金糸雀「…なに?」

雪華綺晶「…」

金糸雀「雪華綺晶?」

雪華綺晶「…」…ジーッ

金糸雀「…え?」


シュル…


金糸雀「(…あなた…?!)」

雪華綺晶「(お姉さま、それじゃ…)」シュル…シュル…



『行ってきます』



金糸雀「…!」

雪華綺晶「…」


…シュルン


金糸雀「(あなた…)」

雪華綺晶「お姉さま」

金糸雀「…な、なにかしら?」

雪華綺晶「もし、お父さまが許してくれたなら…」



「お姉さまたちのお茶会に、わたしも出ていい?」
979 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:55:27.65 ID:N4WXMCM0
金糸雀「え…」

雪華綺晶「みんなでお茶を飲んで、お菓子を食べて…」 

みつ「…」

雪華綺晶「音楽を聴いて、きれいな服を着て… お話、いっぱいして…」

みつ「もちろんよ。 ね、カナ?」

金糸雀「…うん」


…スカッ


雪華綺晶「お姉さま?」

金糸雀「さわってあげられなくて、ごめんね?」…スカ スカ

雪華綺晶「…ううん」

金糸雀「…気を、つけて」

雪華綺晶「うん…」


(わたし、頑張る…)


水銀燈「…瞬間移動は、もうできない。鏡を通っていくわ」

雪華綺晶「…」

水銀燈「それじゃ…」


パァァ…
980 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 20:58:43.57 ID:N4WXMCM0
【nのフィールド】


ヒューーン…


「…ありがとうね、金糸雀ちゃん」

「おやすい御用かしら!」


ヒューン…


のり「銀ちゃんたちは、いまごろどこにいるのかな…」

金糸雀「…行き先の場所も、教えてくれなかったから…」

ブリュンヒルデ「…」


ヒューーン…


金糸雀「この分だと、たぶんわたしたちのほうが先にジュンの家に着くかしら」

のり「うん。 …お茶、入れておこうね」

金糸雀「それはグッドなアイデアかしら!」

ブリュンヒルデ「…オ姉サマ」

金糸雀「なにかしら?」

ブリュンヒルデ「ワタシタチハ コレカラ イカガ イタシマショウカ」

金糸雀「…」

シュヴェルトライテ「…当面ノ 危機ハ 脱シタヨウデスガ」

グリムゲルデ「シカシ ミナサンモ オ姉サマタチモ ケガヲ サレテイマス」

のり「…うん」

ゲルヒルデ「モシモ ゴ迷惑デ ナケレバ」 



「ワタシタチガ 交代デ 護衛ヲ 勤メマスガ」
981 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 21:04:30.63 ID:N4WXMCM0
金糸雀「…『護衛』?」

のり「…いいの?」

ヘルムヴィーゲ「ワタシタチハ 戦闘ニオイテ 特定ノ 姉妹ヒトリニ 加担スルコトハ 許サレテ イマセン」

のり「…うん」

ロスヴァイセ「ダカラ アリスゲーム中ニハ 干渉デキナカッタノ デスガ」

金糸雀「…」

ヴァルトラウテ「コレハ アリスゲームトハ 関ワリノナイ 事デスカラ」

ジークルーネ「ワタシタチガ 力ニ ナレルナラ」

金糸雀「…」


「ありがとう、みんな」


オルトリンデ「…デハ」

金糸雀「でも、まだかしら」

のり「え?」


「まだ、終わっては、いないかしら…」


ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「みんなの力、もう少し使わせてほしいかしら」 

ゲルヒルデ「…ナニヲ スルノデスカ?」

金糸雀「ジュンの家で、みんなそろったら説明するかしら」

ヴァルトラウテ「…」

金糸雀「返事は?」

ブリュンヒルデ「…」


「Jawohl」
982 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/18(日) 21:08:15.31 ID:N4WXMCM0
金糸雀「…ありがとう。 さあ、急ぐかしら!」

のり「…うん」

ブリュンヒルデ「…」


ヒィィ… ン…


(…定時報告デス) 



(『黄金の翼』ノ 動向ニ ツイテ 報告ヲ…)



(…)



(…ハイ)



(…)



ヒュゥゥゥ… ン…



(…)



(…ワカリマシタ 監視ヲ 続ケマス)



(ハイ 異変ガ アレバ 速ヤカニ 報告イタシマス)



(…『オ父サマ』)



キィィィ… ン…
983 :[sage]:2009/10/18(日) 21:09:30.07 ID:N4WXMCM0
今日はここまでです。続きは明後日。
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:13:21.07 ID:eJzi7EUo
乙ー!!
このスレ偶然見つけて以来、毎回楽しみにしてます。
985 :[sage]:2009/10/18(日) 21:25:09.31 ID:N4WXMCM0
>>984
ありがとうございます〜m(*_ _)m ハハー
だらだらと長ったらしく書きたらしてますが、どうかぬるく見てやってください;


新スレ立てました〜



「水銀燈は娘より妻より、母でありたいようです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1255868502/l50
986 :[sage]:2009/10/18(日) 21:26:19.42 ID:N4WXMCM0
以降は埋めお願いします〜
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:29:24.88 ID:hOtzwNYo
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|>ヽ -― ニ仆; |、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}, ィ" ̄ ̄`‐-、||//`ゝ、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|/ '"  !ニニニニi_二\
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::ノ">'"__''二ラ∠ニ||、::::::ヽヽ    埋め部隊出動
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::://  zニ 、 / || || ヽ:::::::ヽi、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ム'/rァてl!∠ /||     \::::::}
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:: / /::::弋ソj!|∠____      }::::イ、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨∨ ::::  ´∠_____---     |:::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}′    ∠            }{薔}ミ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,,,::::::::::::::::::::::::::|   ´  <、 ニニニニ---'´ ノ::::ノ',′
::::::::::::―――――- 、::::::: |   :::: fアド<ニニニ-'´  ノ::ノi  ',
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、:\ヽ、:::: `¬ノ∠、_     仆; ヽ、\
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ヽ>ニニ―――ア ̄――‐くr' )  ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\" -<二ィ"., -―''¨¨"ニz_\   )
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ >ニ-'´       ,,,,,,,,,,,,,,
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:30:28.63 ID:hOtzwNYo
                       _ __ _ _
                    ,  '´ __ __ _``ヽ、
                   /ィ.:7´.::に旡コ:::::::.:.`ヽヽ
                    ,イ.:::/::/, -─ ー─- 、.:.::::.\\
                  /.:::::rィ'´         、   `ヾ、::ヾ !
               /.:, ィ 7    ,イ     ト、  ヽ 、`ー{
                 /fイ i 1  i .|:i     | i   | | | i!
               j」1i :| | l | N     :! |  l| j | ||
       ト、       ,ルl |.:::| ト、ト、N ト、    ,イ/l , イノ,イ/  i!   埋め昆布茶
 ̄ ̄`ヽ.  | ヽ    / /トト、:ト、Yノ ル'  \,ィイ ノル'イリ.,,.′ /1
‐- 、、   \!  |     / / iト、\  x==ミ    ==ミ / .::/ |
  .:.:::.`ヽ、:.\ト、  ,/ / .::::|:.:\ゝ      ,       ィ .::/   ト、
    .: .:.:.:::::::::.\:V イ.:.:::::/:.:.  1ト、     、_,    /|.:/1  | \
 ̄``ヾ二二ミミヽ、.:.::.:\:/::::::.:.  l | >、        , イ.::l/ ,! , イ    > ── ─‐‐-、
     .:.:.::::::::::::::.>ミ,r'"´ ̄`ヽ、 ヽ!  7r-- ‐<__」.:.:! / /.::::|, ィ´   -── - 、
.: .:.: .:.:.:::::::::ィイ彡イ .:.:.::::::::::.:. \|_/.:.:.:::::::::::::::::.:.L_/ /.::/ /  , ィ彡三二 ニニ \
      ,r一'´ニ仁___:.:.:. `Y7:.::::::::/^ヽ::::::::::./, ィ^ー─ - 、.:.::::::::.:.:. . ̄`` ヽ、
      〈  .:.:.:::::〃 ̄ ̄厂ヾ::::.:.:.:|{ト、::,イ|  i:::::::.ノ〈i::::::::::::::.:.:. . \.:.:::::::::::::::::::::::.:.:.
      ト、 .:.:.:.:.{{  _x‐く_  }}:.:::.j1  |:|  |:「    !::::::::::::::::::::::.:.:. \:::::::::::::::::::::::.:
    /::|.::.:::r‐〈V´ ̄ ̄ ̄`V〉、::|{!   |:|  |:L_  」!:::::::::::::::::::::::.:.:.:.  \:::::::::::::::::::.
.   /:.::ノ!.:.::::ヽ/o゚¨/o゚¨/o゚¨∧ 〉(⌒(⌒(⌒ヽ(⌒)'⌒):::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.  \:::::::::::::
.  /ィr―――v―――v――v{「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄j::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:. /.:.::::::::::
    r┴‐──┴‐──┴‐─┴`ー─────┬一'''ヽ. Y::::::::::::::::::::.:.:.:.:./:::::::::::::::
   ` ー―r‐r‐r――ァ―‐┬──────r─┴─一′j::::::::::::::::::.:.:.: Y゙゙゙゙゙゙ミミミミミ
      丶` ¬ー く`ヽ.  |:.::.:::|}〉   弋ゾノ ` ニニニ __ 〈::::::::::::::::.:.:.:.: |
        |:::::::::{     ヽ } ノ:.::.:::|}〉  / ,ハ ヽ  〈{|`ヽ  ∨:::::::::.:.:..:.:. /
989 :[sage]:2009/10/18(日) 21:30:37.97 ID:N4WXMCM0
               r_‐、_
                    _, -ー::L._.」‐-、` 、
                /‐ '´ ̄ ̄ ̄`¨ヽ:::丶ヽ
              /  ,        ,  \:::ヽヽ
            r./  /|/',   /l/ |    i::::||
       へ    L| /   ',/     l/|   !:厶l
           /∨ ○       ○  /  l下、_〕_
       |      /              /  i !__ト、
       |      !     ┌┐    'イ  /   l
              丶、._  ̄ ___/ /     l
                  l/!  ̄r::t水ァ::j/     ',
                   /r――――i::::K   ト、 ヽ
                  ムf」       「ヽ::i、 |\! \ |
                  __j」 埋め  ヽ、|」_ヽ_    ヽ
            r┐≧:|_____!::::::::::::::::/
            l___!L.-i_i⌒!-」、|\::::::::ヽ _
                     └‐ '´     ̄ ̄


990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:31:03.37 ID:L2VFon2o
                       ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/ てめえが何でも
                /(  )    思い通りに出来るってなら
       (^o^) 三  / / >        
 \     (\\ 三             
 (/o^)  < \ 三   まずはそのふざけた 
 ( /             幻想を埋める!!
 / く    
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:31:21.72 ID:hOtzwNYo
                                            _ -- 、
                                           入    _>
                                             /:::/トイ::::|
                                、ハ,           /:::/:::|::::|:::::|
      ____                   ^ <  て       /:::/:::;イ:::::l:::::|
        |三三三三|                  , ./'Y''~ヾ      /:::/:/:.!::::::l:::::l
        | ̄ ̄ ̄ ̄|        _,. -‐ ''''''''' ー- 、,_//`      _∠ニフ': : : :.',::::::l:::::l
     [三三三三三]    ,,. '"三三三三三三三`丶、   r┬':仁二): : : : : : :Y二二)
     ,' ._ハヽ_ヽヽ  , '´三三三三三三三三三三丶 └ハに二Y ー-: : :_:_:_`フイ
   _  レノ●   ○ ! lハ, ,.'三三三三三三三三三三三三`、   `}\:.)ノ: : : : : : : : :└rう
  ヽ.> 、lヘ ''' △ ''' ハ. l' ,'三三三三三三三三三三三三三 '.   ⌒'7辷_┬┬┬イノ))  、ハ,
  i ! \. ゙w> --<レ'l/,!三三三三三三三三三三三三三三i. / // / //⌒⌒´   ^ <  て
  l i l´l ̄|ヽイハヽヘ.  i三三三三三三三三三三三三三三 l ' // / // /     , ./'Y''~ヾ
  ⊂ニ!.ト‐‐!_'! l__.  !三三三三、ハ,三 : ,.:::''::´:: ̄::`:::.、:三 !   _,. -‐ ''''''''' ー- 、,_//`
   `       ./l><l ,.  '!三三三^ <  : /:;: '´T 丁l `ヽ::}:三 !,,. '"三三三三三三三`丶、
         /.:ヽ/.:.  '、三三, ./'Y'':/{:::/ l |l ト、 l Nトl iハ /, '´三三三三三三三三三三丶
          |._,. -‐ ''''''''' ー- 、,_//`三: ldb| l k_ィヽレ仁リl│:三三三三三三三三三三三三`、
     ,,. '"三三三三三三三`丶、: | ∧l  lK◯   ○ソイ:三三三三三三三三三三三三三 '.
    , '´三三三三三三三三三三 :,l  (l  ぃ || ,-┐||从|:三三三三三三三三三三三三三i.
   ,.'三三三三三三三三三三三三:l   ヽ トゝ、ニ イト、ト、:三三三三三三三三三三三三三 l
   ,'三三三三三三三三三三三三:|/  T ,バ、:文:`Yラ、ゝ:  、ハ,三三三三三三三三三三 !
  ,!三三三三三三三三三三三三 :N≠{〈:::::::〉:;i:::}:::〉 :  ^ <  て三三三三三三三三三三 !
.  i三三三三三三三三三三三三三:ヾ  ハZi::ヘ;:::〈l:::|j : , ./'Y''~ヾ三三三,.ヘ三三三三三 /
.  !三三三三三三三三三三三三三 :/::_,. -‐ ''''''''' ー- 、,_//`三三三三 //:: `ー、_,ヘ三,.'
.  '!三三三三 ,=i、三三三三三三三:∠,,. '"三三三三三三三`丶.    /:: :: \:: :: :: `:: :: ヽ___  ___
.  '_三三三 /  `^、三三三三三三, '´三三三三三三三三三三丶三三\:: :: :ヽ__/⌒ヽ:: :: :: :`l/:: :: :: :: 二フヽ/|
.  /__! rュゥノ    、ヾ-、_, rェュ,、三,.'三三三三三三三三三三三三`、 'ー‐- |:: :: :: :: /   ヽ:: :: :: ::|l_::_ :: ::/ー┐:;;;;)┘
 ├┤ 〉 l,ィ、フ7 ー く〉-´  `ヾォ三三三三三三三三三三三三三 '.    L_:: :: ::!| , i  \:: :: ::「:;:;:;|ヾ〈ヾ゙=="^ヾコ
  ! !_/, イ/lく_ lメ1イ /ィヽ   /三三三三三三三三三三三三三三i.     ゙ー、 l| l l i  ト;: :: :|:;:;:;:|:/\`》
 ,⊥ ト/    (::゚)   レ/'‐jナ|ヽ /三三三三三三三三三三三三三三 l       `トl ハ ム-ハ:: :: l:;:;:;:!|  ゙人
/  - ト>     _   (::゚)´}ィ|/ ヾヵ三三三三三三三三三三三三三 ! r‐、  ,.  ヾ 〉゙0  l `ーノ:;:;/i'  ソ ヽ
!    jゝ       | `7    /イ / ̄ 三三三三三三三三三三三三三 ! ヽ._ー┤`ーッ.、〈   /  /:;:;/ _〉 ソ  \ \
`rヶ'ク'>、     l  /       トヘ '、三三三三三三三三三三三三三 /   (´ (:: ::《:: :: ::`△_.ノ /、/_7  ソ     ヽ ヽ
ン// ヽ    |/    、‐マ  〉丶三三三三三三三三三三三三,.'     `ーヽ_>、; -、≦ 〉 ヽ ̄:: 〉 ソ        \ \
く/     }_,.._ l/   ,_ ヘァ='┬ij- 、ヽ、三三三三三三三三三三,. '             7;{ニ}':: :: ::/ 人        ヽ ヽ
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:32:43.13 ID:hOtzwNYo
                 _  _ _
              ,...::lゝ<ュ彡ト‐--:::、::`:::..、
            /:::/<‐-ユ彡':::::::::`:‐-、`:::、ヽ
           /::://::::二ニ-‐  ̄ `‐-、:::__ヾ::ヽ
           /:://:::/          ./ / ̄ `ー.、
          /://::/        l  /! ' / l  , ` 、
           l//::/    l      l、ニノl l l_)/_/ ̄  .〉ヘ  ,.... '
         ノ%//   l   !      .l ! リ'` ' ̄ト、 >-‐ .ノヽ::/  _
 _     、  〃、川、  ',  l、     l l l /_ _ ヽ T ゝ   l__ ヽ、-‐:::::::::::::ニ‐ 埋め
 \::...、  ',:、《_〃!l ヾ 、__ゝ ',ヽ    /ムl === l. l l__.ヽ  \,、 ハ::::::::, '´
   ヽ::::、ヽ ヽ::、〃!l`!´ ヽヽ>、一' /'/.斗) ̄  ̄ ( / ヘlヽヽ  l. ヽ_ ト、_
‐-- 、ゝ:::::::::`:、〃リ l 、  ヽ、y'_ニミ`'  .ヘ'ー−‐一` !:::::_j.  ヽ'´  .Nヽ':::::::::‐-...._
、:::::::::::::::::`::::、::://!l::l`! ヽ  ヽ'‐'`'ノ     ! ヤクルト !l::::! ==. l == l ソ、'ヾ、 ̄´
_>::::::::::::::::::::l l !l:::ミ!  ` 、_` 、_   ,   !___ _l.l:::`'`ト、 ニi 、 「_ r‐イ:::''
`‐-:::::::::::::::::::::::レ リ::::::::!   .ト、   r =ュ  ./:::l / !:::::::ノ ` _ ノ ヽl`ド、! l:::',
_...-‐'::::::::::::::::::::::::/ ̄-‐ニニ ‐-` 、  ̄_≦、ヽ::l_j_::l ‐-/ ` 、.ノ/ノl l:::::',
----- ─,‐::::::::::::/::/ 二_-- `ヲ' l::::`.ーソ   ',l リ.   ',ヽ‐ `ヲ` .(_ ゝ、l:lノ::::::::!
    /-‐'´/イ:/ --- -- '-.‐、 l::::://_ _.ゝ/_ _._ゝ'_j´ニ‐-'__.ノ l::::::::::::::l
    ´   ´ .k/ 二ニヽ 一f´ ̄ゝハ== = !l == =l:::::モテ, ゝ 二l::::::::::::/
       __/N、 ´ ノイヽ  ト、_ .<>) ̄  ̄ ('l) ̄  ̄.(/l ̄l ̄::::::::::l::::::::::/
      //'  l ` ./):::::ヽ ヽミ‐-f「.l ー - 一.!l ー - 一 !  l. l:::::::::, イ:::::::/
    -‐y !   `‐//  ̄冂ト、、ユ レ.l ヤクルト  !l ヤクルト .l  l レ´  /::::: '
. /7:::::l `ニ、/__j'  `、,、 .l ハ:::`::ェ_!____.j.!___._j_ ',    ./:/
. `y::::::::l  _j /!'  /  l l ! ト:::ノ ̄  ̄',、/ノ ̄  ̄',__ ノ ̄  ̄',.',   /'
  !:::::::::l/1   `-, -‐干' l lノ:::/___ヽ/_ ___ヽ/_ _.ヽ
  l::::::::::!_`-、 _ノ_ .l_ l/:::::::::l == = !l == =.!l == =!l
  〉:::::::::l   l_kl == リ:::::::::::::)  ̄  ̄ ( )  ̄  ̄ ( )  ̄  ̄.(ヽ
 /:::::::::::l  片  ̄l . ‐-チ::::::::::::::l ヤクルト  !l  ヤクルト!l ヤクルト !::::\
 !:::::::::::::l ̄ .ヾ  ノ   ゝ:::::::::::::::l.____j.l_____j.l____.j:::::::::::\
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:33:47.45 ID:hOtzwNYo
                 ヽ l /     サービスカット……?
                 ー o -
                 / l 丶     , -―‐z=x=、- 、_       /        や
                        ,__'´-‐: :'´: 乂三ツ:`−、ヽ、  ,'            っ
                       /: :_; :-―――‐- : _: : : :ヽ.ヽ l      ヤ     ぱ
                  ____/  ̄ ./   /      `ヽ: : : ヽヽ i     ク    り
                 |_/  /   ./   /    /     .\: : :iハ i       ル    温
                 〈_/ / / .l  !  /   /i|    |.  ヽ: |i ハ     ト    泉
                 ///| /l\i..l_|__ /!  .././!   |   /ヽ.「 ヽ   は      で
          , - 、     / l/ l /...| |k|/ V.' |l../.// __  /.i   ./ . /|ィ  ヽ       飲
         (     `ヽ  :.|  l'  | | .l ‐ ヾイ/ .//_|, /メ  ./ ./.l:|    ヽ        む
         , '      )  / :    | | .l´ ̄` lイ'  ィ,ニ∠_.../   |_」jl    /
        (      ノ  ..  ./ | l ..レ''   ,      ,,  /  /i |  ', /
         ',     ノ     / | ハ ト     、 __,   ___/ ./ l| ! /
         `‐--‐'´   /   iイ| |:::::ヽ、      ..ィ:.:.下´    /
           , ー 、__   、,    l:i_l   ノ` r-‐ '´ l::lノ-ー- 、 /
          / , - 、_.ゝ::l , ゚ 、 / ';l  ` ‐- ノ    ノl:l    /           最
         / ' ´二二)ノ   /   ヽ   ` ‐ - '´  l    /       人     っ
         l  '´  ヽ   /    , -          ',   /        生       高
         l  ' ´ ヽ!  /   /      , '       ト,'        こ       だ
        「二 フ イ.ノ /   , '      ,.'       , -'´i  よ     の       わ
         〉ー〈 ノ ヽ/   ,'____,.ィ     /   l   う     た       ぁ
        /ニ  ',_ ,.ゝ-‐ ' ´.; : : : : : : : : ; : ` ー- /     l  な     め
       /ニ   i: : : : '; : : : ; ヘ : : : : : : : :'; : : : : /    i-イl  物    に
       lニ    l: : : : ; : : ,:': : ' ; : : : : : : : ; : ; ィ    /: ;:'::l  よ      生
      , -lニ    l─ - 、:'  : : ; : : : : : : : : ;' ; ;` ‐- /: :;'::::::l  ね    き
   /:::::::::lニ    l::::::::::::::::::`‐、: ; : : : : : : : : : ; :, : ,: :.; ' : ;' ;ヽ、l  ぇ    て
   ト 、::::::::└ ──┘::::::::::::::::;::イ : : : : : : : : : : : :' 、: ; :; : : ;' ;: : : ',         る
   ` ‐`二二二二二二二二 -'´: : : : : : : : : : : : : : : ' ; : :,': : ;: : : : ヽ
. : : : : : : : : : : : : :  ;' : : : : : : : : : : : : : : : : :,': ; '; : : : : : :` ー---- ‐ '´
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:34:45.90 ID:hOtzwNYo
                      ,, -=,rィシミッォ==-、
                    /´:::::::乂辷ツイ::::::::::::::\\
                   /::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::\`、
                   /:::::/´`ヽ彡´゛il`´ミ、;;;;;:::::::::::レー,
       , ―― 、      |::::/    ;|| |l |l i ヽ`ゞx-√K=´、
       ||     ヽ、    レ/´フ  |  | | il | |l `-´|レ、>ニフ
       |i     / ヽ  ,,--|´ /   |  |l l,レ-+- |l < ||//)Kf゜
       ヽ   /  /\ \|| / ,,-、 |ヾ l ´ノ/,===_| ノレ/ ||\
        \  | /   ;> フ|´ / / |=_ヾ、,ソ 弋爿ソフ ノ|l l|l || ト=
            `、|/   / ヽ(l|/  /   |弐ゝ     ̄`//ハ  li `、
           ヽ   |  /ヽ /    | "     ``` イ ノil ||  ヽヽ \
       , 、   `、  |/  |/  /i l{ レト、  --‐ /  |// ` ヽーフフ
      <  > ,_--ヽ i   il / /´ || ;;;;;;;`ー -イ彡KX/ ノ ノ ノ il ヽ
       `く \__fー-= 、__/_ -´ー´フi;;;;;;;;;;;;;;/  ,,>=rd,,て     i  \
       |´ \  `ヽ、>,,ー-- 、 //l;;;;;;;;;;;ト´´::::::::::::(ノ)(   )( //   \
       ノ   >´ ̄ ̄V ・_ ::: )ヽ il ヽ;;;;;ハ:::::::::::::::::::::::::::ヽ、/:::::`フ  / /
      i   y´・: : : -=yr:::::::: ヽ´il il li il V ヽー=―::::::::::::::::::::::::::::::/ i;; ̄li
      ト、 \: : :  >´  : : :  | il  ; ; ;/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  ( ノ| l i|
    rーフ\  \ (   : : :  人>,,- ´:::::::::::::::::::::::::ソ:::::ヾ:::::::::ー:/Kニノ i l il i|
     \ <<\_≧ヽ、___ノ/::::::::::::::/::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;::::::/::::::::://iイ;;ト | l l| l |、
      ` / |;;;;;;;;;;;;; ̄ー=-ー´:::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;/´`i_;;;__;;_;;;;/  / ヽヾ|i l| | | |
       </Z;;;;;;;;;::::iヽ\:::::::::::::::::::;;;:-ー´ ̄ ̄l   /:::::::::::::::/// / /´`ヾ | l| | |
      />;;:::/   `i  ̄ ̄ ̄     : : : :  |   /::::::/`´ー´ ̄ ̄´/ il i| |ヽl |
     l \:::l   ,  i; ヽ         :: :: ::::/  <:::/        /  l| |l |li
     |   )イ 、、 l| l ヽ-` ::::       ::: ::/   `´            ヽ ノソ /ソ
     ´   || ヽ_ヽ___ヽ   : : ::::::::    :::::::::/ /::::::∧<´ ̄ニ        \
        `   ̄  `\    ;;;;;; ;;;;: ;/ / /:::::ilヽ \     ノ/K ̄´__
                   `ヽ_____// /  :::|:::ヾ  \ /  >  ̄  \
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                 ノ : : : : : : : : : : : /  : : \::::ヽ:::::::::::::::::::\__>ゝ
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                    /:::|  il       /    :::   \::::::::` - 、ノ       | `ッ、
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:35:09.05 ID:JgS1o/ko
―‐‐ 、                         - 、
    \ー- ..___                ) )
     ̄ヽ      ̄` ー-  __,,_______
      ヘ                 ヽー―‐イ___
     ̄ヽ ',___,,._                /―-、;;\
.        い     ` ー‐‐''ーァ―‐‐ ''´     \;;ヽ、
      }    い     ( (    /   / /  ',     Vハヽ
    _厶.   い     `ー  ,' / l l i   l  l  }  Vハ ',
  / ヽi__  ヽ〉.        l / /! ハ八   j / ! / j  |;;;| l
 ヘ    ノ ヽ ヽ        レ! l{ V__ヽ\/リ _j/ レ'   l;\|
 __ン、    ____,ノ          ハ ! }´ `   ´ `/イ  j;;;;;;;\
    ー '´            /;;ヽVゝ"/>  ""   /ー‐- 、ヽ
                      /;;/\jl/ッ'≧r‐‐ァ<//―――‐`―ァ
                  rr也丁孑 ヽ∠_  '´ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;; /
                  マ_j」厶> (´  >、   !\_;;;;>'´\
                 //      `t''´\\ |_ \ ト  i_ \
                ∠ ;;_{ 二二ニ  r'ヘ  \ユ \ V ヽj `¨
                   ヽ    __ゝkv\  l  ,v厂
                   f′ ̄ ̄  〃 ^\|ゝ′
                     ヽ     _,ゝー一'´
                     `ー一 ''"
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:35:53.53 ID:hOtzwNYo
              _r=ァ=、ィfZァ、,、
           ,  ´fフ:´-=_:三ー_ー^ヘ
          / _r//'_ァ'='^ー'`´` ^ー\
         /r=、ソィー'7´          ヽ
        ハ L/イ| ヽヽ         ヽ  l
        , ソ/ l ハレ´イ{ {   |{.   |  |  ハ
       //:/ ノj `´i |`ヽト 、 |:ヽ.   } , リ |!
       ハ:{/イ: {  小7テミト、 {ヽ!: / / /   l l 埋め
      / // |:. ヽ. { '赳ハ\ }:/_オメリ  イ/
        / -ヘ、:.. l:...  lト\`    /ィ亙フ'´//′
       /  j:〉..:.l:...  l!      ,!  7´ |
      |`ヽ、..:∧:.. lト_、  ` 丶 イ.: j|ヽ
      | i _、::\:.ヽ:.. l::.::>ー<l!:..:.|:. リ lゝ
      |/  ̄ `ヽト、.V/::}:ハ:{トヽ/!:. ! `、
      | i     li  ', \ヽ  .\_ヾ、\`、 }
      ノ ii     ド   i  .ヽ`、、  ヽ`ヽ l ハ l
      /| ',     .|  ノ   '、 i `-=、i  ヽ 、 i
     i l| ',    .|__ノ .ハ   !ノ      -、''-、
     il |  }    |    ゙.、           `、
     il l  .|    .|     〉    、.       ,} i、
      ソ  .|    .ト   / |  .   ヾ`゙‐ー゙´ i゙ \
     i | |i.l    .|ヾン   |  `.   ヽ   ノ |   \           _ _ - - 、_
    イ / |i i    ',il |    |        \   }     .\      _ -''´:: :: :: :: :: :ヽ
    レ  /イ  ;;;  il |    |    ヾ      |\     .\   /:: :: :::: :: :: :: :: :: :: `、
    ,' ,' / /  ゙゙  i | /  |    __      |  `'' 、     >''´:: :::: :: :: :: /:: :: :: :: :: ::`、
   ,', v ノ,'     / ハ_ィ--──'' ̄   ̄i ̄T''-ゝ   `>'' ´:: :: :: :: :: /:: :: i:: :|:: :: :: :: :::: `、
   i / / i    ./ K_ノ         _  ト-'´   /:: :: :: :: :: :: :::: :i:: ;;v;|:: :: :: :: :: :: :: :: `、
   |/ / il    ,'| |i/./ _ _ _ - ==''''Yr=-`'tゝ、  ./:: :: :: :: :: :: :: :::: :: i::ハ:: |:: i:: :: :: :: :: :: :: :: `,
   / /,'´ i |   /i l il /'' ´| |_ -i i-―└==┘ヘv´:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::/:: i:: :: :|l:: i :: :: :: :: :: :: :: :: ::ヽ
 ../ /'',,//i |    ,'i l l /-'' ´ ̄     -=三=三 //:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ;; ;;/;; ;;r´i:: |:: :: :: :: :i:: :: :: :: :: :`、
 // / ハ |   ,' i i};; ;; :: :: :: :: :: _-:: :: ゞ、ノ y;; ;; ;; ;; :: :: :: ;; :: :: :: ::/:: :: /   ',:: :: ::i:: :: :|:: :: :: :: :: :: :`
 イ/ / / i l   ,' .i il:: :: :: :: :: :: :: :: ::-=-:: ::>=i_;; ;; ;; ;; ;;:: :: :: :: :: :/:: :/     ',i;; :: :: :: :i:: :: :: :: :: :: ::
 /  i/i ノ.i  .ハ l }i:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::-:: :: :: :: : ̄::`''' '- - 、_ _:: :: i:ン       ',:: i:: :: :: i:: :: :: :: :: :: ::
 i  / li / .i  l {|リ/ハ:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ` '' -、_        ',::i:: :: :: l:: :: :: :: :: :: :
 l ハソ ノ  ヽノ ハヒ i:: :: :: :: :: :: :: ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;;:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :ヽ、       ',;; ;; ;; ;; ;; ;:: :: :: :: :
 ゝ, -'''´'    i ンx ヾ:: :: :: :: :: :: :: ;; :: :: :: :: :: :: :: :: ::: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::`'' - 、 _  \;; ;; ;; :: :: :: :: :::
 _ ィ'''´-'  _ xi l -= \:: :: :: :: :: :: ;; ;; ;; ;; ;; ;; :: :: :: ;; ;; ;; ;; :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: `''- 、x _ ;; ;; ;; :: :: :
 ' ' ´ - - ''´ ヾ_i   i   ヾ、_;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ` ''-、_::
 ´                  ̄'''- 、 _____ ;; ;; ;; ;; :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: /::
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997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:36:00.53 ID:JgS1o/ko
      /   |          \      ┼ヽ
     / /    ⊥ -──  ─ 、  ヽ      <ノ⌒)
    /  /  /         __ `ヽ \    | 十``
   /   / /     _ , -ー '    \  \/    ヽ<ノ`'
   l   /   , イ      l   |    ヽ/       ┼、ヽ
   l / ,. イ ´ |  !    |l,|、-十ー  、 \       / ノ
   |/ /   | | | -'l、   ! l| | || |  ',   ┼‐
   | /l | | |,.イ´ト、| \  | 仟テ卞,|  | | |   _/ こ
  // l | | | |ィテ卞  ヾ' ヽ::ヽ:::}l || !      あ /
  ゝー| | | | ハ、:ヽ:::}     つ::ノ| / / /     r、,、 /^'v
    l l l ヽ ヾつ:ノ r ーv、 :::::!./ / /      ヽノ
    ヽ !ヽ!  \ |:::   ヽ  ノ _,ノ/_/___| /ヽ、_
      /__|\  ヽ>一ァ、 <ー-く |  |/::::::::::::::::/
     >::::`::\  ∨ ̄{  }_ <_.∨/.:ヽ}  ヽ、:::::::::::::>
  -ー:::':´::::::::::::::::::>-ゝ: : `´: : : ブ/: :く ー、  lヽ:::::/
  `ーァ:::::::::::::::/: : : : /: : : : : //,、_{:`'ー'、_ノ: :}::<
    フゞ- /: : : : : /: : : : //lぎん}: : : : : : 厶ヾ
    / / ノ: : : : : : / : : //: : :.ゝ一:  ̄ヾ ̄| |
    | ∧{ ヽ、: : _l_:.//: : : : : : : : : : : : : \| |
    |l  ヾ一' ̄ //ヽ「´: : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ/
      {ヽ、 /厶゚ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:36:24.93 ID:hOtzwNYo
                         -‐¬冖冖¬¬―
                        ,   /.::.::.::.::厂Yf丈`Yヽ::.::.:: `ヾ
                  /  /.::.::.::.::.::.::ヽノ¬ーぐノ::.::.::.:.::.::
                    /// /.::=≠宀冖冖冖宀=ミ::.::.:::::::.::.:: :: .
              /.ィ=ミ厶勺        i    `ヾ<
            / _//.:.:,√l:|/,   ;′   |  |     | ヾ<
          /   「|::| /:l |:| :l ::l:: | :. ::| ::|:.:. |::.: : :|  |   ヾ
        /  / |:|::レ/l::| |:| :l ::|:: | :. ::| ::|:.:. |::!:.:.:.|:.:.::|.::|:.| :l
      /   /   ゞイ|::|::|_//l l .:|:: | :. ::| ::|:.:. |::!:.:.:.|:.:.::|.::|:.| :l
     ..:.:.:. /   //::/ |::| ー | l | |  ::|: :|:: :.|::|:.:.:.|:.:.::|.::|:.| :l  /       埋め
   : .:.:. / .:.:. イ'  |:| |::|!  |丁!Tト l  ‖ | ::| :|  | :.:.|.::|:.| :l イ
   :. / .:.:.:.:/i:|   |:| /:/|  |rヤf卞ミ、 ‖ |  | ┼-lL!:| |:.| イ
   / .:.:.:.:/  |:|   レ'::/ | | 戈ゝ' バ ハ| ! _」厶⊥|`メ  ト
     .:.:.:/ . :.:.: |:| /:::∧/ ヘ | " ̄`       '"了7刈〈ノ /   i:
   . :.:/ ..:.:.: /::| \∧:::,  ∧| i          ゞニノ。` '  イ i:
   / ..:.:.:.: /\!  .::/∨ / .:∧°    ′      。` / / i:.:.i:..
    :.:  /.:.:   .::/   /..:/i ヘ     ヽ‐_,、    _ / / /::.:.i:.:.i::.:.
   :.:  /.:.:.::   .::/   /.::/ :i i:. \           イ :/ /:::. ::i:.:.i::.:: .
   ~"'':.;.:,:.,.   ..::/   /.::/ : :i i:.:. _l\     _   ´/ .:/ / __i__j :: |..;.;
   :.;.:,:.;.:,:.;.:,:.;. > ‐…−く   ii i:.: _」二二 了 ー― / .:/ 〈∠ノ::.::.::.::` く:.;.:,:.;
   :.;.:,:.;.:,:.;.://.::.::.::.::.::.:: \ノi i:./|::.::.::/j「|::.ヽ.::.::/ .:/ /:.::.::__::.::.::.::.::.:\:.;.:,:.;.
   :.;.:,:.;.://.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::. ー┐マ}_/.::./| |::./.:: / '/.:: ´     ̄  ー- ヽ:.;.:,:.;.:,:
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:37:18.24 ID:hOtzwNYo
.              /|   〃              _    __,  -‐=彡'  / /      /{
             / !  j}/           ,zュ辷辷ュ._       二ニ=ー彡′/    /  ̄二
.            / /}//        rzッ斤}}xxx.,,__ミxX}x    ー --‐=z‐=彡      /  /
          / // /          }-=彡'xxxx,,_ ̄ヾ._ヾx__,x=ァ        -=≦彡'  二ニ'=ー
.        /{/ //  /       厶zソ辷辷辷辷zxzxzミ竺=《_, =-       ./     ,. '’
       /  /   /        / {     \    ̄ ̄刄._リ     /⌒   ///{_,. '’
        /    /         /{   \ハ  \-} ト、!  ハ⌒) ',  〃  / /
     _/ /}     -‐=ニ二 __   |  ヽ  | l|W,艾 jハ}ハ! |   辷彡'´ ̄`ヽ._
    / 厶イ   __,二  ̄-=≦ :|| l   \j\|ハ代リ`  リ 从 j|/      ハ.
   /      _ア      _,彡 !l ト、ヽ.\\ |!≧   . 厶イハ/| l/   ヽ.  / ∧
.  /         ト-`        ノ   !| \\`=‐- }_, ' -‐┘ト、! l|リ  {    \ ,. ′ \
  {   人{⌒ヽ|         /    ! し \\}}∧ リ./ / だリ リハ !    ∨   !   ヽ
  ∨ヽ'            /       {   /'////〈   / ∨/} ∧ ∨   /   j    _
             -=,x≦二ニ==ー‐一=≦'彡(/∧.ム...,{  / ノ/ }\≧=ァー=ニ二`'<._\  ̄      埋め
             //,.z==ー---‐===ァ彡イW _,ハ 廴 .z彡' /\ Y∧_丁 ̄       ̄ヽ
                { //´ ̄〕   ,. -===-トL..__x彡z公x./≧=ー‐ァ   |{ 〉 ヽ
               { {   ̄} く.   __rヘ_j \//《-=)_ 圦〈 ̄∨    :!∨
              ヾ.=-  フ  } [ ̄{ ̄>ト、_ ~辷弋'¨¨テハ./! ! !   !  ̄ ̄¨¨フ
                 -=彡'⌒}下= 〉'=- j_,>下/〉弌 '⌒廴人リ |  !    /
                   / 〔_{_ /ハ_彡'{//∧人/〃V/廴|   ',    \_  __/
                -=彡'⌒{  {.  厶}/ ∧イ/}/廴/ (/l 7 |    ,  \
                     ∨⌒)'/ム/公/<//ハ//\{_ 丁   '. \. \ ヽ.___
            ____/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄入_,人/〃V wv! :}\   ,
           /             /   /   厂\_,厶x {⌒ヾ  \ }    \
            /                /ハ  /   ,′     ∨\    リ       \
       /                 / ./! /    ./         }\  j'       /1 /\
      /      / ̄ ̄\    厶イ j〃    /             `ー'     / |/'   \/∨
.     /    /⌒Y゙    / ヽ._,/  /     / rァ                 |\}
    /    /  _,」-==-v′/           / 〃        ┳        |
     |   /   |__  | ,/            // 廴_         ┃        ;
     | /   「 ̄   ̄丁! /              !      ┃       ,′
     }/     廴__  _入/   j/             |   ┣━╋━┫     ′
     !     {    ̄   _\_/_                 !       ┃      ,'
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:37:25.05 ID:JgS1o/ko
1000なら
                                ま
     あ                         っ
     せ                         た
      っ           .,ィ'薔ユ= 、        り
     .ち           /      ヽ       し
   や  ゃ         ./  /l .i´`、 .ト  i      ま
    .l      ∫∬   .i .l ./_,ヤ  _l_l l  l      し
   .よ      i.⌒i   .l ヾl´    .`l ノ l      .ょ
          kニ l    ! i .k._ ワ  ,.イ、 l  ,r‐、
        .[ニニニニニニニニニニニニ`.ニニ´〈;;;;ヽ='ニ´、 `ァ
        /   〈〉        〈〉 ヽ;;;;;;iゝ  ヾア
       /        〈〉        ヽ;;;;l ゞ
       /   〈〉       〈〉    〈〉 ヽ」リ
      ヾ-‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐ゞ



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