以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:02:36.91 ID:PsLYF0Q0<>友愛社会になくころに @


     ___
   く/',二二ヽ>
   |l |ノノイハ))  
   |l |リ゚ ー゚ノl|  
   ノl ハ∨/^ヽ   
   ノ::[三ノ 


文字ばっかりの過疎スレです。

実際の団体、その他いろいろな現実とは無関係です。



<>友愛社会になくころに 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:03:08.01 ID:PsLYF0Q0<>
                      , -──‐‐-、
                     / ,-─==-‐‐、\
                    / ,,---、  ,,,---、ヽ
                    i ''"フ-ァ'ハ ,r‐< i
                    |   '`ー゚ 」  L`゚‐'^ |
                   __| ,,、--└Li┘---、 |___
                  { ti/   /\   \iァ }
                   Y    ./´ ̄`\   Y´
                  ノ  ∠__/\_ヾ、  ヽ
                 / /  /  i  ヽ ヽ   \
                i  /   ,'    i   ヽ ヽ   !
                | i   i     i    i  }    }
            ,.、-‐‐┤ :   !     !    }  ! ノ ノ‐--、,_
         ,、-''"    ヽ ヽ  ヽ丶   !   ノ ノ  /    `‐-、,_
      ,、-'"         \ \ ヽヽ  !  /    //         `'‐、,_
     /            \ヽ、,,__ ヽ、,, i/ //  /            \
    / \             ヽ  `r-、,  _/ /   /            / i
┌‐────┐           ヽ  \ノ二ヽ /   /            /    |
│ サイバンチョ .!            ヽ   i   i   /            /,、-   |
├───‐─┴────────────────────────

|五年から十年の不定期刑とする

└─────────────────────────────‐
裁判所で、ある事件に対しての判決が言い渡された。

非道な犯罪と裁判長が口を極めて非難するという異例の裁判だった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:04:04.95 ID:PsLYF0Q0<>
        ________                                      
       /:.'`::::\/:::::\           ∬∬∬∬∬∬∬∬            
      /::            \           //::          \         
     /::.  /"""  """\ ヽ        /::.   _ノ  ヽ_ ヽ        
     |::〉   ●"    ●" |        |::〉 ─┰┬┘└┰─|       
   (⌒ヽ             |)       (⌒ヽ    ̄      ̄  |)     
    ( __     ( ∩∩ )    |       ( __     ( ∩∩ )    |      
      |  、_____  /            |  ヽ__人_ノ  |       {l|}   
      ヽ   \____/  /          ヽ    \__(_  |       ル)    
       \        /             \          l         
         \____/                ' - , ____ノ              


起訴事実は猥褻誘拐、監禁、強姦、殺人、死体遺棄など。
今回の判決は、その事件の主犯格とされた二名に対してのものだ。


反省しているという言葉はどこか空々しく、その涙は空虚だった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:04:58.30 ID:PsLYF0Q0<>

                  ミミ ヽヽヽヽリリノノノノ
       / ̄ ̄ ̄`⌒\ミ   ,,、,、,、,、,、,、,、、 彡
      /             ヽ i''"        i彡
      |  _,___人_   | 」    /' '\  |
      ヽ|´ ┏━ ━┓`i //  -・=-, 、-・=- |    
       |  《・》 《・》  | !|    ノ( 、_, )ヽ  |私たちが弁護します!
      (6|   ,(、_,)、  |6)    ノ、__!!_,.、  | 、
   ,-  、| ヽ  トェェェイ  /.∧     ヽニニソ    l \
  / ノ / |  ヽ ヽニソ //\ヽ       ┌、ヽ   ヽ,
 /  L_   \___/      ヽ. `ー--一' l__( { r-、 .ト
    _,,二)     /             〔― ‐} Ll  | l) )
    >_,フ      /                }二 コ\   Li‐'

しかしながら、弁護団は傷害致死によると主張しており、控訴する旨を明らかにしている。
少年には更正の機会を与えるべきであるというのが弁護団の主張だ。


そして何より・・・日本友愛党が政権を握ってから進められている”友愛に基づいた刑法”の影響が大きい。



<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:06:10.34 ID:PsLYF0Q0<>
.    ∧  . . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :..\
    '    . . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\: : : : : : : \: : :ヽ_: : :..\
.    ′     : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ : : ハ/: : : : : : \: : \`  、:\
    l      : : :l : : : : : : { : : : : : : : :\ハ /|` ‐-ミ= 、 : : \: : \   \:ヽ
    |      : : :l : : : : : : i: : : : : : : : : : ハ 尓弐子ミ {fi ト、 \.\ >≦三三≧x、
    |     . : : : ',: : : : : : |` 、:ヽ\ : : : Yr勿 jU v人 ヽ: .\ヽてう>    ヘ 刑が軽すぎる!!
    |      {: : : : ハ: :__!__` 、ミ> 、: :\-_ ノ  V_r≧: :\: .\ヽ:::: :  / ∧  認められません!!
    | |!   ! : : : : : '´   _z弐艾≧-ゝミ、` 、\    l ̄ ̄`¨ ム: : \= <  ://∧
    | ll   : : ', : : : : : : V爪.ノ勿し!        `ヾ   !    ///\: : ヽ,  \ ://∧
    | {ト、  : :ヘ : : : : : :\ゝ ,__ソ      `,     ム   '///: : |\: :}   \ /∧
    りリ  \  {ヽ、 : : : : \-- '′       _    , '\\  |///: : :| ,'V     ヽ ハ
           \ヽ、ヽ, : : : : :.\       ′   /    ヽヽ |///: : :| l         Y
          ,Y 下、\:\ : : \          /≧−― ― 一-.、:. l l
.         , r≦孑V∠\\ ミ、 : :rミ―‐rr一,ァ ': : : :l: : : : : . . . . . . il:. | 

一方で検察側もこの判決には不服だった。

そして、この判決に涙を流す遺族。
怒りの声を上げる支持者たち。

怒号と混乱の中、閉廷を告げる裁判長の焦燥に満ちた声。

全ては悪い夢の様に非現実的な中で終了を迎えた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:08:58.33 ID:PsLYF0Q0<>
     / ̄ ̄\
   / ._ノ  ヽ、\
   |  (●)(●) |  ・・・・・・・                  
   |  (__人__)  |            
.   |   ` ⌒´  }             
    |         }              
    ヽ      /       / ̄ ̄ ̄\    ・・・・・・
    __ヽ    ノ__      / ─    ─ \
  /         .ヽ   /  (●)  (●)  \  
  ||        || . |    (__人__)    |  
  ||         ||   \    ` ⌒´    /


傍聴席の端にいたやる夫とやらない夫は、ただ無言のまま座っていた。

現行法ではこれが精一杯であるという事は理解している。
裁判長が悪いわけでも、検事が悪いわけでもない。

そういうルールがこの社会を縛っているというだけだ。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:09:53.50 ID:PsLYF0Q0<> ̄ ̄ . : : /イ: : : . : イ:/:  i ド i!´             ! `i!!: |:
: : : : : : /:/: ,': : : . :/{ |/:  ハ: '、 i!              ノ  i!}: : :
: : : , イ /: :,': : : : /ゝ、!:   / ヽ ヽ                j!l: : :
`<: //: : :l: : : :/ ̄` |:  イ   \ 、__      , rェ ー‐ァ   j!ハ: : :
   `:ハ: : :|: : : {` ー|: ハ    ヾ、      ` `二 ̄`  /'  \
   |:{  \!: : :ハ    l: {  ヽ     ヾ 、            , '
   ゝ   ヽ: : ハ.  ∨    \    `  、       , ′
        V: {、        ` 、_    ヾ、     / }
         }: : :\        / ̄  ┬ヽ i─ ´ ノ


やる夫の脳裏に焼きついたものがある。


遺族らしき少女が流す、静かな涙。
怒声の中で、少女の座る場所だけが別の世界の様に見えた。


悔しくて仕方がないという涙ではない。
多分・・・自分の無力さを嘆く涙だ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:11:31.19 ID:PsLYF0Q0<>
   / ̄三\
 /;;;; _ノ 三 \ 
 |;;;;;;;   ( ○)(○)  
. |;;;;;    (__人__)  
  |;;;    ` ⌒´ノ 
.  |;;;;        } 
.  ヽ;;;       }   ・・・・・・・・
   ヽ;;;l    ノ  
   /    く  
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)


帰り道。
普段は皮肉めいた口調で話すやらない夫が、一言も口を利かなかった。
呆然とした様子で機械のように歩いていく。


本来なら、気にするような話ではない。
新聞の記事、ネットの記事、そんな中でしか存在しない悲劇のはずだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:13:00.07 ID:PsLYF0Q0<>
       ____                             
     /:::     \                             
   /::::::::::     \                        
  /::::::::::         \   …………                 
  |:::::::::::::::         |                         
  \::::::::::::::       /                         
   /:::::::::        く                           
   |::::::::::::         |                           
   |::::::::::::::      |:  |  

だから、所詮は他人事だ・・・
そう言って切り捨ててしまえば、こんな気分にならないはず。

正義の味方なんて存在しないのだと割り切ってしまえばいい。
そうすれば、こんなドロドロとした気分を抱え込まなくても良かった。

しかし・・・あの涙を見た時、乾いたはずの自分の中からこみ上げる物があるのを無視できなかった。


これが二人にとっての分岐点だったなど、この時は気が付かなかった・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:14:01.08 ID:PsLYF0Q0<>
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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       ,......... ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,......... ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:
数年後






        / //ミ ヽヽ //   >、\ \
     / //`            \ヽハ
      / .l/ /       fヘ.イ      | ヽ |
     f  ! ,.||| !   .|⌒| l .| |  ! | lニ | |
     |  | / ||ト、|l | !l|  | | |l| |i |iハ.|ミ.| |
     |  | /ィV‐H、i_{从l|  |イノjリ」斗イハ i| |
     |  |>、f ミィ=ミ‐'レ ,リj-イ=ミチ },r<| |   先生、今回も勝利といったところでしょうか?
     |  |zヽ!. _トィソ      ヒzソ_ .リう| |   
     |  |、fハ    ̄         ̄   lソノ| |  犯罪者の味方であるという批判に対してコメントを!
     |  | `‐ヘ.      、 ,       ./ィ l| | 
     |  | | lハ    r─┐     / | | |
    | |||| |.\   ー‐'   /| | | |    
    | ||||  ,r丶、    , ィヽ、.| | | |  ,. 、
    | ||_ -‐'´/ |    ̄    |ヽ `ー-.、l.」|  / /
    .」/    /             |   r 、 ト、/ /
  //      {`ー- 、   , -─|    | | |/ ./
 /.| /       ー-  ____」   |/´ ̄` }ヽ

ある事件の判決が下った。

裁判所の前で待ち構えていた報道陣が一気に集まってくる。
毎度繰り返されてきたお馴染みの光景だ。

レポーターが少しでも多くコメントを取ろうとして、警備員と押し合っているのも毎度のことだった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:15:15.80 ID:PsLYF0Q0<>                       _ __ _ _
                    ,  '´ __ __ _``ヽ、
                   /ィ.:7´.::に旡コ:::::::.:.`ヽヽ
                    ,イ.:::/::/, -─ ー─- 、.:.::::.\\
                  /.:::::rィ'´         、   `ヾ、::ヾ !
               /.:, ィ 7    ,イ     ト、  ヽ 、`ー{
                 /fイ i 1  i .|:i     | i   | | | i!  
               j」1i :| | l | N     :! |  l| j | ||  裁判は勝ち負けではありませんのでコメントはありません。
       ト、       ,ルl |.:::| ト、ト、N ト、    ,イ/l , イノ,イ/  i!    ご批判に対しては真摯に受け止めます。 
 ̄ ̄`ヽ.  | ヽ    / /トト、:ト、仁ニー-、\,ィイ ィ≦二,,.′ /1        
‐- 、、   \!  |     / / iト、\ ヾ じソ>    <じソス/ .::/ |
  .:.:::.`ヽ、:.\ト、  ,/ / .::::|:.:\ゝ   ̄`  ,      ̄ ィ .::/   ト、
    .: .:.:.:::::::::.\:V イ.:.:::::/:.:.  1ト、    _ _     /|.:/1  | \
 ̄``ヾ二二ミミヽ、.:.::.:\:/::::::.:.  l | >、        , イ.::l/ ,! , イ    > ── ─‐‐-、
     .:.:.::::::::::::::.>ミ,r'"´ ̄`ヽ、 ヽ!  7r-- ‐<__」.:.:! / /.::::|, ィ´   -── - 、
.: .:.: .:.:.:::::::::ィイ彡イ .:.:.::::::::::.:. \|_/.:.:.:::::::::::::::::.:.L_/ /.::/ /  , ィ彡三二 ニニ \


足を止める事もなく、真っ直ぐ前を見たまま答えるのも見慣れた光景だった。
淡々とした口調に苛立ちを見出す事も、喜びを垣間見る事もできない。
まるで当たり前の結果を、当たり前の様に目にしたのだと言うように。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:18:05.74 ID:PsLYF0Q0<>       __{〆..:::::::::〆        `  、
    /_{f7.::::::::::〆                 \
   / __{f7.:::::::〆   /           \  \
  厶イ7:r-、く  | |    |        ヽ   \
 〈〈__/:ハ::.Vヽ\ | |   |、          |    ヽ
. /ヾィ/ イヘヽノノ | |ヽ  | \   ',    |    | '.
/ /://ll |:「´   |{ 丁ヾト、|  ヽ  |!   |    |l |
  |::|  l| |:|    |ヽ弋f==,ミメ、 ' ‖  /ハ     || |
/|::|  || |:|ヽ   |   、_{._!ンヾ  }ノ|l /厶| , / ハ|
  |::|  || |:| \  ヽ   ̄¨`    l/rテミ|/ / / }ノ
  |::|  l| |:|  l \ \         、ヾ' / イl/
     l|     |   ` -\       ′/  ノ
      |l    |\        ‐-,,、  / /  ・・・・・・・・・
     ハ    ト、  、      ` イ
    / ハ     l::.\ >_,、   /  |
     / ∧   l:::::/.::7爪  丁   |
―-  _∠::::ヽ  ∨:::/ 小ヽ |l   |
―‐ 、 ` マ}__ ト、  ∨/:||:lL)〉ハ   |
::::::::::..\「` マ}___\  ∨:||:「く/  |  |
::::::::::::::::::::::::::::..マ}___\ ∨| ヘ`ー|  ∧
::::::::::::::::::::::::::::::::::..マ}__ \l|  ヽ:::::l /:::ヘ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..マ}  ゙r〜、>|/-、:::::ヘ


多くのレポーター達が群がる中を警備員が道を作っていく。

氷の様に感情を見せないまま、弁護士は歩みを止める事もなく歩いていった。
その外を取り囲む様にして、被害者団体の人々が非難の声を上げている。


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:18:57.27 ID:PsLYF0Q0<>
          _rァ仁 `¨ ヽ、
          トェ泌ナ′   ヾ⌒`
         //          \
            {i、         ヽ`ー=、__
          ゞ>          `二ニ=ニ―‐-、
         (//! r┐ ./     二ニ≒=、 ̄`ヽ
         //.ノ ヾ /        ヾヽ ーヽ
           /ノ/   ∨       ヾ\ヽ
        ノ' ヽ   |     ∧   ヽ   ,.-―-、
.         く   rヲi   |   /  〉  }、_,/__  ヽ、
           r'〉  |   .{_ /      ´ ̄ ̄ヽ ̄`
.            ソ ,__l     レ′            }

そんな彼女にはほぼ必ず付け加えられる言葉があった。

『友愛刑法の守護者、市民を守る人権派弁護士』


そして・・・『犯罪者の味方、黒衣の悪魔』

それが彼女に冠せられた称号だった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:20:17.24 ID:PsLYF0Q0<>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                              殺人事件・無罪判決下る 
                              東京地裁前 生中継

  |::|  l| |:|  l \ \         、ヾ' / イl/
     l|     |   ` -\       ′/  ノ
      |l    |\        ‐-,,、  / /
     ハ    ト、  、      ` イ
    / ハ     l::.\ >_,、   /  |
     / ∧   l:::::/.::7爪  丁   |
―-  _∠::::ヽ  ∨:::/ 小ヽ |l   |
―‐ 、 ` マ}__ ト、  ∨/:||:lL)〉ハ   |
::::::::::..\「` マ}___\  ∨:||:「く/  |  |
::::::::::::::::::::::::::::..マ}___\ ∨| ヘ`ー|  ∧
::::::::::::::::::::::::::::::::::..マ}__ \l|  ヽ:::::l /:::ヘ
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レポーターが追いすがってマイクを出している。
その狂騒とは対照的に、言葉少なく対応する弁護士の横顔が写る。
見栄えが良い事もあって、彼女の裁判には多くの傍聴希望者が集まる。
そして、レポーターの数も毎回増えていくようだった。

彼女が有名になっていくのはある意味当然なのかもしれない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:21:33.89 ID:PsLYF0Q0<>                    ィ ‐―- 、__
                ,-‐ァ´/  ∠-―‐-、‐ 、
               〃 _,':  /-―――-\ ヽ     ふん……気に入らない。おまけに気にくわないわ!
      〃   ̄ ̄\  入{≧ 7: /::../:/:   ,イ}ハ:\l     あの女・・・犯罪者をこの社会に再放流しているのよ!
     |     ヾヽーく<゙{:ナ./.::..,'::/厶!:. /l:: i:::}:!:バ―――― --  、
     |       !l   ¨ヽYl:::::::l:ハ{八X_ , l:;!ィリ:: } }´         ヽ
.     l       l   }=l:::::::l:{ ャtr-ュミ  jノtrァルリ!    ∠彡    /
     l       l ノ人fl:::::::l  `ー'   、`' {´イ::|  /       ./
      l       k≠^ヽ|:::::::l       _ ,  八i ::|'/       /
      l       ヘ\::ハ :::ハ.    '´‐,‐' イ::::l|::l       /
       ヽ       {ハ、::ヽ::::i> , 、.. _/:/:: / リ      ./
        ヽ       |ヘ:::jヽ::! fヘ ヽ::::/{::./      /
          丶       !| |lV j/|>‐<ヘ ヽ{ハ:{     /
          |~\    i | |l   |ニ二ニ! || !    /
          |  | ヽ  ./ | |l   |   l. || !  >'´
             ヽ_| ヘメ  | |l   |   l. || !/

涼宮警部補が吐き捨てる様に言った。

裁判は二件の放火殺人事件。
犯人とした逮捕された男は証拠不十分と判断され釈放される事となった。


刑法と裁判員制度が幾度か改正された結果、この様な判決は珍しくなくなった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:23:07.83 ID:PsLYF0Q0<>/イ /イ`:/: :/:l: :/:./`ヽ l: : :ト: : :.:ヽ:.:.:.. : : :.:.l:.:.:|:.:..   :.:ヽーj ノー 二
` /´: : : /: : l:. l /l:/   \ヽ:.| ヽ: : :.ト 、:.:. : :|ヽ_L:.:.:.:.|:...| ドイ ̄:.:|
  L〉: : : l : : |:. |:| |′    ヽヽ  \:.{  \: :イ´l:|:.:. :.:.|:.:.:!:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.l
  |: : : : :! : : |:. :l{   z三ミ 、、 \   \ /ヽj  }l!:.:. :.:l:.:.:l!.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:l
  {/: : :.:!: : .ハ:. :ト  ´  `ヽ  ´  {ー'r_z三ミ、 |:. :.:/:.:.:ハ:.:l:.:.:.:.:. :.:|:.:.!
 /: /: :.:|: |: :..ヽ:ヽ          i   ´    ` j: : /: : /: }/ハ:.:.:. :.:!:.:.l悪魔め!!
./ /: :.:小 :!: :.:.:.:ヽ:\   /⌒ ー--、‐ 、    /://:.イ:.:.:/:.:.:.:.!:.:.: : ト:.:.l
':/!: ::. :.|:ハト: :.:.:.:.:.:ト.ー  /         \i   /イ:.:/´:.:|:.:/:.:.:.:.:.:|:.:.: : | l:.:l
/ | : :.:.:.l:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.l:.:\ {         j   /:/:./:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:l|:.:. : l !:.!
! !: : :.:.:|!:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:l´ノ \ー-  ___ノ  .イ:/:./}:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.: :l j:リ
| ,.ゝ---― 7´: \:.ヽ   ` 、 ‐ _ .. .<_:.:.:./:/:.j:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/ !:.:.:/ //
イ        { : : {  \ヽ      ̄/ ヽ:..:..ヽソ/:.:/:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/  j:.:/ /´
       ヽ: :\   `\     {   〉:../´ `7:/- :._:.:./  /´

やりきれない怒りが刑事課にも漂っている。
証拠集めの段階では、ここの所轄からも応援が出ており、犯行は確実と思われたのだ。
だが、裁判員制度というモノが、その警察の証拠をひっくり返してしまう。

涼宮警部補の怒りは、誰もが内心では理解していた。
だが、その怒りを放置するわけにもいかないので、周囲の視線がある人物に集まる事となる。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:24:16.37 ID:PsLYF0Q0<>     ____
   /      \   
  /─    ─  \    
/ (○)  (○)u  \  
|    (__人__)      |  (・・・え?やる夫?)
/     ∩ノ ⊃  /            
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

その多くの視線に一人の下っ端が戸惑ったように周囲を見渡す。
あちこちから集まる視線には、『どうにかしろ』という切実な想いが込められている。

宮仕えの悲しさで、縦社会の警察ではこんな突拍子もない上司でも無下にはできないのだ。

まして涼宮警部補は飛ばされた先の、この田舎署でも不発弾扱いだった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:25:18.85 ID:PsLYF0Q0<>
          ____
       / ノ  \\
      / (●)  (●)\   ……警部補、あの・・・
    / ∪  (__人__)  \        
    |      ` ⌒´    |
     \ /⌒)⌒)⌒)   //⌒)⌒)⌒)
    ノ  | / / /   (⌒) / / / /
  /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  :::::::::::/

頼まれていた応援に行く時間だとやる夫が恐る恐る言う。


やる夫が言ったのは、先程協力要請が入った件だ。
増水した川原でキャンプをしていた若者五名が、行方不明になった件。

ここら辺のド田舎では、台風の日に用水路を見に行ってフラグを立てる老人か、餅を詰まらせて正月早々葬式を出す位しか死亡事故はない。
だからこそ、一気に五人も流された事故は”大事件”と言ってもいい。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:26:49.97 ID:PsLYF0Q0<>
         | _ ィ:. .::.:.:.:.:/:.:.l{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... :.:.:.:.:.:.rfヘ、'.
     r──イ´  l:.:.:.:.:.:.:/:ハ:.:|ヽ:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:... l YVヽ
     ゝ─ '´ヽ /j:.:.:.:.:.:イ:ハ '、l  '.:.:.:ト、:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.l  {、 \
        r ,二.<l:.:.:.:/ォ≠、、丶 '.:.:|  X:.:|:.:.:.:.:.:l  ヽ  /
       V    ヽ:.:.:V::{リ::ト`   V/ィ:.:ナ、:.:.:.ハ  _ノ く
        l     '.:.:.Vzシ     1::{リ7:.y:.:.:ハ'「:.:.:\\
        |      }:.:.「 ̄ _   、辷7:/:.:.:/ ノ V:.:.:.「`´   あんたね!!!
      _.ハ      ト、:',  /-=ヘ  //:.:.://:.ヽ_>:|:.:'.
     /   \    .ハ:.:.:} !'´: : : : } ,.:イ:.:.:/__:.:.:.:.:.:.:.:.ト、:\
   __ノ    \ 、__ノ{ \:|、ゝ──' ィ|:!7:.:/! T V:|、:.:.'. \ヽ
  / 、    \   ._ '.  ` `¨¨「|´_rュハ:/ |  | |、l \、  `
  j  ゝ、}    ヽ-'′  '.\ >j |__/  l_ハ__ハ/ ト
.r'′、   ヽ    ト、    \、__L|____.  j / ./  }ハ
{    、   ',     \            V| l /   |/ }

案の定、水を差された涼宮警部補は目を三角にしてやる夫の方を見た

自分の様なキャリアに、そんな川流れしたDQNの捜索に行けというのか!という怒り。

一見まともな事を言っているようだが、捜査主体の任務を背負っているのは本庁の刑事部だ。
ここは、ド田舎の所轄の刑事課である。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:27:43.26 ID:PsLYF0Q0<>
      ____
    /u     \        
   /  _ノ   \. \
 /  ( ●)  (● )  \    いや、そう言ってもシカトすると後が面倒だお。 
 |   '" (__人__)"' u  |
 \     ` ⌒ ´     /      
 /              \
 

本庁の刑事部は重大犯罪、凶悪犯罪、広域犯罪などの重要事件の捜査・取締りを専門に取り扱う。
しかし、所轄の刑事課で取り扱うのは、地域的な日常犯罪や傷害や喧嘩、微罪や軽犯罪や窃盗事件が大半。

つまり、やっていることは地域課や交番勤務の警察官とあまり大差はない。
やる夫の言い分は、だからこそ当たり前の事ではあった<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:28:48.53 ID:PsLYF0Q0<>       /:::/:::ヽ-、
     /:::::::::::::::::::::::::} ̄`ー、.,_  ,,
.    /::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::ヘ,\く
    /:::/:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::ト、 i:::ヽ、
.   i:::/:::::::::::::::::;:::::/::::::::::::::::::::::i:::i .|:::ヽ:i
   |:::i:::::::::::::::::/:::::i:::::::::::::::::::::;;ィ、:レ:::::::::ii|
.   |::|:::::::::;::::/:::::i:|::::::::::::::::::<ィif.i::|:::/::::} |
    i:|i:::::::::i:/:::::/リ:::::::::::::::::::/i.|Y::|:/::::/
    i|ヤ ト::i::::::/:::::::::::::::、,ィ<./.|_|::|'.i/
.     〉ト}:}::::/'"'’`ー".,..,ィーァ,、::|
    ,.イ ノハリ \ .,ィー/ .ソ / i ト,i
   /   ,,.ィ,.ニ=´ヽ, {_,__.,.,.ィ´…増水で流されたんなら、ほっとけば管轄越えて厚木あたりまで流れるんじゃない?
.  /   //     \-ーキ


……そんな事ばっかり言っているからこんな所に島流しにされるんだお。
面倒臭そうな涼宮警部補の言葉に、やる夫がボソッと呟く。

途端に射抜く様な視線と怒りのオーラが立ち上る。
その瞬間、触らぬ神に祟りなしとばかりに他の刑事達がそそくさと部屋を出て行った。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:29:50.20 ID:PsLYF0Q0<>      /:.: .::.::.::..:/: :.: : / ノ: : : : : : : : : `: .、‐ `ヽ、
     i: .::.::.::.::.:/ .: .::.: :/ .イ:: :. : : : : : : :>.、  \-‐ヘ.
      |.::.::.::.::.:/:: :l.::.: : |/::.::.::..:..: : ヽ:イ_ . :\´: ヽ:.ヽ:ヽ
      !::!::.!::.::ハ::.|::.|: :.|::.::|::.:斗-‐´: : ::.::.::.. : : :ヽ::斗: :.l: :!
    j::.|::.}::.::|::.:斗v:: :.!::.イ::.::.ト、::.:ト、: :ヽ:_::.::.:../ト :l:: : ト:|
   ノ‐ |:/::.:/ イ|:. |::.::ハ::.::.l \:、\: \7'ァミl::.|:: :l }}
       l::l::.:ヽム/ |::.::.::.::.::.ト:斗---`孑` ーイォ::小::./l/′
       |::{::.::.::V77!::.::.::l:: ´l `,≧zzミ     |ュリ }:./::.|
      l:ハ:.}:.l/:.| |::.::.::.:ト、:.V/ト-':...}     ´ イ::.: :|
       | `j小:.| ト::.::.:..:ヽ-ミ` Vユツ     ヽ  ハ::j:リ    。
      ヽ / |! リ_トヘ:l::.:...:.ヽ「 {       _,  .イ::.イ/    ・・・私の目標は新宿鮫だって言うのに
         _ノ.. ..:..|:ト、::.::.:、\` ー-、   ´ '/:.|:/フ:>、   まったく不条理!
      r‐<::`丶:..:ハト、_\::.:ヽ ̄`  }┬‐.:: : :〃::/: : /、
     /´ ̄` ミヽ:\ヽ:..:.「 >:}-- 、 ノ|:... : : l:::./: :./  ヽ
      !      \\:ヽ..:.Vーノ-- 、\7:..: : : :|::/: :/     !
.     |          ヽ:ヽ:〉ム二ニ、‐- 7|:..:. : :/::l: ://    |
     V     ー 、 V  /    ` ‐{ノ:..:..:./::/ //      |
      |      --- {         ヽ..:./::/ ///    

がらんとした室内を見渡し、ぶつぶつと言いつつも出かける支度を始める。

毎回の様にこんなやり取りが繰り広げられている。
課長は見て見ぬ振りをしているし、他の刑事たちも関わってこない。


島流しのキャリアなんて誰だって関わりたくはないのだろう。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:32:17.74 ID:PsLYF0Q0<>       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((○)) ((○))゚o \   
  |     (__人__)    | ・・・・・・・・・・
  \     ` ⌒´     /
 
『不発弾のお守りをさせられるやる夫の方がかわいそうだお』

流石にぶっ飛ばされたくないので、やる夫は心の中でそっと涙を拭いた。

涼宮警部補がここに飛ばされてから、約半年。
なぜか、やる夫の始末書の数だけが増えていく。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:33:19.19 ID:PsLYF0Q0<>::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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       ,.........



      ____
    /u     \        
   /  _ノ   \. \
 /  ( ●)  (● )  \      ここって・・・
 |   '" (__人__)"' u  |
 \     ` ⌒ ´     /      
 /              \
 
やる夫が川原に着く。
その瞬間思い出した事があった。

川向こうには、丘が連なる河岸段丘が見える。
川の浸食によって三段に分かれた特徴的な地形だ。

その最上段である三段目には鬱蒼と茂った森がある。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:34:12.85 ID:PsLYF0Q0<>     リ        r'"´   ⌒ヽ,
;.,    '"⌒ヾ ⌒ `ヽ'  ,、_,,.;.,'´ ̄`ヽ
          ,.、.゙、 ゙、 /l ,;'  ,.  ,;'r'"⌒ヽ,
                 ヽト、;.,、 ,.;'  ,,._;;')
レ'r'"´ `ヾヽ       、;.,_', ,'|l! r'ゞ,,;'     `ヾ
l!./ゞ、 .,.;;'ノ         /⌒ヾi! ,/、;.,.''.,;    , ,. ';
i´ //  ,.、         ;.,、_,.;'')'/ 、.,;''/     ., ;:.')
|/./'".,゙'"         ., ;:' ;.,'")ノ |i!l|_/、;., 、.,;;. ,.;'ハ、
l!/ (⌒;.,;.         ;、.,;ll! l|.ヽ|i!l| lv/;.,、__,.、.;:ノ'" `ヽ
|、wv从/l'|、wv从/l'|、wv从/l';.,'|l! l|. |i!l| |i!|.'|i!|' 、.,;'゙:、.,;., ,.;_..;')
川 /|ノル'川 /|ノル' ノルバl 彡ハ///vw彡|i!|,,;.、,:'゙、,:' ,:;゙ヽ,;.,ヾ
VjjNw/〃lVjjNw/〃レ'ヘ  lル'/vwjj/从jj/彡彡,..|i!|,,,,,,____ハ
---――''"""""´´~."""""" ̄ ̄ ̄              ̄ ̄ ̄ ̄```゙゙゙゙゙゙゙゙''''''''''―――--
:.:.:.:.:.:.:.: .: .: .: .: . : .:



あの森のどこかに、ダム湖底に沈むために移転された墓場があるはずだった。

そしてその墓場こそ、あの陰惨な事件で遺体が発見された場所だ。

今となっては誰も訪れる者はなく、獣道を登って一時間近くかかるだろう。

そんな場所が、この川原から小さく見える。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:35:11.35 ID:PsLYF0Q0<>       ____                             
     /:::     \                             
   /::::::::::     \                        
  /::::::::::         \   …………                 
  |:::::::::::::::         |                         
  \::::::::::::::       /                         
   /:::::::::        く                           
   |::::::::::::         |                           
   |::::::::::::::      |:  |  

ここにいる警察の人間はそれを知っているのだろうか?
見た感じ、あの場所を見上げているのはやる夫だけだ。

忘れたい過去であり、思い出したくもない傷。

誰と会話するような事でもない・・・

やる夫も何も言わずに棒を持ってDQN捜索に戻る。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:36:04.38 ID:PsLYF0Q0<>        r'‐_=/:/´/|::::.:.:.:.:.:.:、.:.:.:`:lヽォ┴、
       /く_,イ:/:::/:ハ::::.:.\::.ヽ::.:.l:.:l:.:l\イ
      〈//:::||:.ト/!::|、::ト、::.:.ヽ::.:ト、:斗:.ト._∧
      ハ/:.:.j:|:.|:ハ_トヽ|  \:.ト∠}:ハハ:.ト、〉ヘ
      i:::/::::小::トKf.:心トト  、.イチ::.ト〉|A:|:.:.:.:.:!
      |::|:::::::l::ハトハぅ_リ   ,  !ぅ_リ レ |:|:.:.:.:.|
       |::|:::::::l!::.|ハ.  ̄ ,.-―- 、 ̄  ハ´|:|:.:.|:.:|
       |::l!::|::|:l:.l:.:/:\ {    } /::::|::|ハ:.:|:.:|
      l:ハ::|::|::!:|:.|_:/{j ` 三 ´イト::_j::.:ハ:|!/
      | ィヘト::l|:.|  /__    __|   |:/77ヽ
      ハ |:.トト:|  |-‐ `二 ´‐-!   ノl:.:! !  l
      ハ ヽ !:!   |‐二 - 、`7    !:l l / !・・・ったく、見つからないじゃない
       } ヽ | l:.!    「     `7   // l/ |
       |   ヽヾ、   |      j   ///   j|
       !   _L、> -┴-く`ヽ/  //r‐ュ' |
       |  / {{//     ` ー-く∠´‐チ′|

涼宮警部補がやる夫を蹴飛ばす。

堺川は泥水の様に濁り、捜索は難航していた。
何人もいる警察官も、あまり必死になって探している様には見えなかった。

何しろ、再三の警告を無視して流された救い様のない馬鹿だ。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:37:07.41 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  い、痛いお。なんという理不尽。まさに中二的上司だお
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /
 
八つ当たりに遭ったやる夫が言うと、涼宮警部補の目が三角になった。

公平に言ってきちんと捜索は続いたが、川流れしたDQNは見つからなかった。
だいぶ下流まで流されてのだろう・・・という当たり前の結論が出て引き上げる事になった。

大きな月が見え始める頃には、警察と消防もほとんど居なくなっていた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:38:08.21 ID:PsLYF0Q0<>         //  .:/ .:/.:/! :::! ::l ::l    ::::::::!:::::\::::l:::::::l三三Ξ ::::::.
           .:/ .:/.:/  l ::::! ::! ::l    :::::::! ::::::::ヽ!:::::::!.三三ニ ::::::::.
          !  ::l :::`ヽ  l ::/! :! :::l    ::::::::! :::::::/l ::::::ト、 三三 ::::::::.
       l ∧ ::! /l/ \_l/ ! l  :::ヽ   ::::::::l :::::/::! :::::l_ノヽニ三 :::::::::.
        l l ∧::l∧ f升ミヽ!   、ヽ  ::::\  _/!__/ ::l ::::l:::|:::::ヽ三 ::::::::::
        l l !::!ヽ!::l  k._j !    ヽ\`二¨ヽ::/ ! /!`/ ::::l::::!:. :::::!ニ :::::::::::
       l ! !:l l::::l  ゞ ソ        ´ 兀j`ヾ、j/::l:/   :::!::::l__/三 ::::::::::
       l ! !:l !::::!     ,     rf_丿 ハj :::〃  .:/_j::|三Ξ :::::::::
      /ヽ!:l !::∧           ゞ ン   // :  .:∧:::!:|::l三Ξ ::::::::  見つからないわね・・・
     /  ∧! l::l∧ヽ    、         ..::::/ .:  .:/ノ!::!::!::l三ニ :::::: まったく・・・
   /  、_/ ヽl:::!ニl :::\   `      ..:::::::/ .:: /.:::::|::l:::!_jΞ・:::::
  /         :lヽ!ニ.!:::/ニヽ、   _.. -‐/..::://.::. :/!_j三三 ・::::
. /          .::!三ニj/ニ/.:   ̄厂::::::::::::/..::::イニ/ .:/.三三三 ; ::::
/       .:::/三三.ニ/`ヽ    :::::/.. <三ニ//三`ヽ三ニ . :::

ぼそっと呟くと帰り支度を始める。
周辺にはほとんど人気はなくなっている。
土手の上の堤防道路には野次馬もいなくなり、赤色灯の光がいくつか薄暗い空を覆う雲に映えているだけだった。


結局文句を言いつつ、一番熱心に探していたのはやる夫達だった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:38:59.74 ID:PsLYF0Q0<><おや、涼宮じゃないか


   / '   /   i、   :.  } ! ::.  i !:.   ::.  i::::.:.:.}
.     ,′ //   |ヘ、 ::i://:ト、::.::.:.i::.!::.  i:::. |:::::.:ハ
    iハ /  .:! :i | ヽ::/厶:|:L::ト:::|::j:::.  ト、:::.|:::/
    | ', :.:::l :.ト、|_   ハ:r ァト芯ア }∧ハ::::|⌒Y::{
       }∧.:lハf卞心  丶、ゞ-'     ',::{ノ /.:{
       ′ ',ト、{  `フ              i__.ィ.::N
          ヽ  、〈             jハ{::::! 久しいな。元気そうで何より。
            \  __ ,.     /  jハル、
             ヽ ー'    // / : : :{::`丶、
                  Vj爪、 / // . : : :ノー- :::.丶、
                 ゞ斗''く  /  . : : /.:.: : : :`ヽ:::.
                / / 」i〕 /`ヽ  . : /ー- 、: : : : : : :

はっとして振り返るやる夫。

長身の男が片手を挙げて近寄ってきた。
どうやら、撤収の確認をする為に先ほど来たようで、後ろに数人の警官が立ってこちらを見ている。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:40:03.50 ID:PsLYF0Q0<>
     ____
   /      \     
  /  _ノ  ヽ__\   
/ U  (─)  (─) \  
|       (__人__)    |  (・・・たしか隣市の刑事課の係長だお。これは一波乱ありそうだお)
/     ∩ノ ⊃  /  
(  \ / _ノ |  |     
.\ “  /__|  |    
  \ /___ /     

やる夫は周辺の所轄の人間の把握をしていた。

だが、問題はそんな事よりも涼宮警部補の事だ。
やる夫は歯に衣着せぬ日ごろの涼宮警部補しか知らないので胃が痛くなる思いだった。

問題を起こしたら、また始末書だ。
やる夫は今では十分もあれば書けるほど枚数をこなしていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:41:01.84 ID:PsLYF0Q0<>
        / ` /  /´-‐ァー-ヽ \
.      / /下7 ..///.:.::/ .:.:ト、 ヽ
      / └イ_j/ .://;へ、/!.:.::/:.}ヽ ',
     ,'  ///!l .::j.:lイ仔くヽ/,.イ,.ム:.', l
    ,   '〈/f`| l ::l`' ゞゾ '´ rャjノ::.l:. | おひさしぶりです!
    |  l:l :!:{、| l ::|        マソハ: |:: |
    |  l:l::i个| l ::l!     l⌒ヽ′} .:}:.l:: l
    |  lハ:l::{::', ::::{、   ヽ.ノ  /.:/::.l:: l
    l !:|:::',::',::ヽ:::ヽ\._    /.:/::::/l::;!
.     ',::{:{、:::ヽ\:\;ゝ `「:フ´!::::/;:::/ 〃
.     ヾハj>''´ ヽ ト、_..上くイ::::{ {::{/
    /⌒ヽ、\ ` \-ー ̄\ヾ
   /     ヽ \\    \´ ̄`ヽ、

ピシっと教科書どおりの敬礼をし直立不動となる涼宮警部補。

それはどこから見ても非の打ち所のないものだ。
係長の後ろに立っていた警官まで慌てて敬礼してしまう位。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:42:10.16 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /ノ   ヽ、_\ 
   /( ○)}liil{(○)\   (だだ、誰だおこいつ)  
  /    (__人__)   \
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |   
  \    |ェェェェ|     /

あわててそれに倣うやる夫。
見た目は涼宮警部補だが、中身が違う。

まるで一瞬で入れ替わったかのように。

呆気にとられて無言のまま立ち尽くす。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:44:19.34 ID:PsLYF0Q0<>
   / '   /   i、   :.  } ! ::.  i !:.   ::.  i::::.:.:.}
.     ,′ //   |ヘ、 ::i://:ト、::.::.:.i::.!::.  i:::. |:::::.:ハ
    iハ /  .:! :i | ヽ::/厶:|:L::ト:::|::j:::.  ト、:::.|:::/
    | ', :.:::l :.ト、|_   ハ:r ァト芯ア }∧ハ::::|⌒Y::{
       }∧.:lハf卞心  丶、ゞ-'     ',::{ノ /.:{
       ′ ',ト、{  `フ              i__.ィ.::N
          ヽ  、〈             jハ{::::! 人手不足でそっちにも迷惑をかけたな。
            \  __ ,.     /  jハル、   
             ヽ ー'    // / : : :{::`丶、
                  Vj爪、 / // . : : :ノー- :::.丶、
                 ゞ斗''く  /  . : : /.:.: : : :`ヽ:::.
                / / 」i〕 /`ヽ  . : /ー- 、: : : : : : :

経費削減が議会を通って以来、警察も色々ととばっちりを受けている。
その意味では、この手の応援は今までより敷居が低くなっている。
縄張り争いをする余力もない程度に。


係長も他の現場を回った後にここに来たようだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:45:13.77 ID:PsLYF0Q0<>
                  -‐―-  ―- 、
                  /: : : : : : : : : : : : : : : \
             /:./´ 二二_`\`::.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
              /:.:./.ヤ丁:.:.:.:.:. `\ヘ:.ヽ:.:ヽ:.:.:.:.:.
                /:/:/:.:{:.:.l:.:.:.:.:ヽ:.\:.:.:l:.:..マ¨}\:.:.:.',
           /7:.:l:.:∧:.ト:.:.ヽ:.:.}:.:.:ハ_.l:.:.:.:Yヽ_/:.:.:.:!
           ,'ヽl :.:i:.!\ヽ \∧>jム|:.:.:.:.!=く:.:.:.:.:.l
             i:.ijハ:.:ハヘ処ミ 丶` イf::圷 |:.:.:.:.|`ヽヽ:.:|  とんでもありません。
             |:.| l !:.:.:ハ ゞ'    `ー' l:.:.:.:.|_ノlヽ〉 :|
             |:.Ljヘ ..:八 '_        ,':.:.:.:.:l:.}_j :.:.:.:.l
             l:.!ヽ:ヽ .:.: \ `     ./ .: /:/:.:.:ノ:l:.:.:l:l
            ヾ 丶\ヾ:.个ー-イ´///イ:.:.:/:.:〃:.:リ
             , -‐ァ' ヽ_>∨ヘ:〃^ヽ´ ノ{:.:レ'/`X//
         / ム_{  /l // rく  -/  V zニ二\

そう言って再びやる夫の考える涼宮警部補像とは違う事をスラスラと述べていく。

一体誰だこいつは?という目で見ていると、係長がやる夫を見た。
おそらく、不発弾と行動している下っ端に興味が出ただけだろう。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:46:55.37 ID:PsLYF0Q0<>                   , -―- 、 -― - 、
                   /  ,_ -―‐- _  \
              /  ,ィ/_ -――- _ヽ  ヽ
             / ,.-/ /´ /    \ \`ヘ ヽ. ',
                / rイ / 〃./::.{:.  l:.  ヽ:.ヽ:.ハ fヘハ
            /  〉i,'./:{{:..{:. ハ:..:. !:....  !:ヽ..',::i| |ヽ>',
              /  く/| l.::ij>k{八::.:{\:::..};ィ匕}:i| |_∧ハ
             ,'  i:ヽ| l.::|ィfチ必`\ヽ くfチ必メ'! L!Nハ   これはやる夫刑事です。
          i ! .::l.::{| ヽト, r'_;;ソ     r'_;;ソ l |:: l:..i i
          | ! !::::! ::i.:: ム ´   _' ___  ` ハ :j:: j:: l |
          | ! !::::!::∧:: {ヘ   {    }   ,イ,' /::: ,':::::i |
          ヽ!ハ::::ヽ:::ヽ:.',::>,、 ゝ._ _ノ , イ::/ / ::./:i!::::!:l
              ,‐<゙ヽ=、{ヾヽ f,/>ー<{_1`/ / :::/_ノ}::リ/
          / /⌒ン<ヽ \ ト、_   _,, レ/ {::/ }}ヽ〈'
            / /  /  | `!  V‐===-V   ヽ }} l ヽ_

”転勤”した時に自分の担当になったと言い切った。

何言っているんだ?という目になったのを気づいたのは、幸いなことに係長だけの様だった。


苦笑気味にやる夫に目を向けた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:48:13.59 ID:PsLYF0Q0<>          /       ./         / //  / /    /l    l
         ,'     ,/./,ィ       / /メl .ィ///   / /`y    !
        ノ /   ///l/`!    l  ./l ./ ' .レ'`iメ、/ ,  / /  ,'    l
       /.イ   / /' /丶 l. ,  /!  / .レ  . .斗z-=、ミll ./l /  /    l
        ̄ /    l. 〈 >y リl  / l ./       ヽ心弁ヾ レ`l /  /イ   l !
        /  ィ  丶 `\ヽ ! / レ′       ゞ'ィ´」   !'  '´_」  l, lヽ!
        // l    \   l l           -‐    ./´>/ ィl リ
        /'  .l ィ     `ー 、 リ                      l少'/'//リ
          レ'l      l !                 ','  /'
            ! l     , ! l                    ヽ
           .И  .ィ /リ l !        `丶、       , '´ そうか、がんばってくれ。
         _._」._/ レ   ',.\        ‐ 、``丶、 ./´    涼宮は正義感が強く、警官の鑑だからな
           !      ̄ ‐- 、  \, , ,      ``  /
        ./          `丶、 \//.// , /, - 、 /
        /              i. ヽ  ` ' '、>_′  丶、
    /' ̄`: : : 、_ _          !.  \   l /  ` ‐-- 、`丶
 /: : : : : : : : /: :`丶`丶 、     !    ヽ ./7      _ ヽ',


そう言って片手を挙げて去っていく。
その姿が小さくなるまで敬礼していた涼宮警部補。

どうやら、ここら辺の所轄にも不発弾扱いしない人間も居るようだ。
やる夫はその事を覚えておく事にした。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:49:24.86 ID:PsLYF0Q0<>                 __ __
               /:::::::::::::::ヽ
                _/       ヘ-、
             〈/:::::::::::::::::::::::::::::V/
               /l::::/:::::,'::::::::i:::::l::!:ハ
               ~|::::l:::::/:::::::::l:::::l::i:!」 うるっさいわね!昔の上司よ。
             ヽ:{::::{:::::::::/:::/:::リ     ある意味恩人。
             , ィ ト{八::::/リj/V-、
             {{ | |  `''   | l }}
             {:',|└─‐‐─┘|//

やる夫の視線を感じたのだろう。
ぶっきら棒に言うと、そのまま振り返りもせずに土手へ向かって歩いていく。

待っているパトカーはやる夫が運転してきた一台しか見えない。

そろそろ暗くなる。
そう思って川向こうの丘を見上げた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:51:02.84 ID:PsLYF0Q0<>

        ____
     / ノ  \\
    / (●)  (●)\    ・・・?
  /     (__人__)  \
  |      ` ⌒´    |
  \           /
  /              \

一瞬だが何か見えた気がした。

小さなオペラグラスを向けると、本当に小さく銀色の何かが視界に入った。

流れる様なその色。
太陽の残照を受けて輝く銀色。

特徴的なその髪の毛には覚えがある。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:53:08.87 ID:PsLYF0Q0<>       ____                             
     /:::     \                             
   /::::::::::     \                        
  /::::::::::         \   …………                 
  |:::::::::::::::         |                         
  \::::::::::::::       /                         
   /:::::::::        く                           
   |::::::::::::         |                           
   |::::::::::::::      |:  |  

最後の光が山陰に消える時、銀色の髪が翻える様が一瞬見えた。

赤と黒に染まっていく世界。

その中でやる夫は幻を見たのではないかと思い始めていた。


土手の上からハルヒの怒鳴り声がするまでその場に立ち尽くしていた。
やる夫は最後にもう一度丘の上を見返してから、足早に土手の上に向かった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:54:41.91 ID:PsLYF0Q0<>   .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,......... ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:
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  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;



   ___ : : :: :: . . . . . .
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 \|[]![]i|\l   __   ,__.          ,‐レ /
 \|[]![]i|\|\〃..:::日ヽ」 2 !ヽ        |Hレ' /
 \|[]![]i|\|\:\::::日  |ー ト、|         |Hレ' /
 \|[]![]i|\|\:\i..l;;ト、 |::┌ 、! : : : ::: :: :┌‐lHレ' : : :
 \|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|\ | : : ::: :: : : :||__|H| : : : :
 \|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\L__r;;;;;;;ュ r'il|:::|H| /
 \|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\|llllllllllllllllll| il「::|Hレ' /
 \|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\|llllllllllllllllll| il「::|Hレ゙ : : : :
 \|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\lllllllllllllllllll| il|、:|H|  : : :
 \|「l!「i| , ――┬、  ∠二Tヽ, r-‐‐‐-\;lH| : : : :
 .| l|L。∠___。ィlLlレ、 ゚=゚゚O-O’{iiト_≡_イii} '\;レ゙レ’
  ̄ ̄@=呂=@-‐jHr‐」     /Lt‐┸‐j」   \
     `‐' ̄`−'' `−’   /


久しぶりの休日。
やる夫は友人のやらない夫と数年ぶりに会っていた。
やらない夫は二年前警察を退職し、探偵業を営んでいた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:56:44.55 ID:PsLYF0Q0<>

               / ̄ ̄\
             /   _ノ  \           
             |    ( ●)(●)   最近、家出人の捜索ばっかだ
.             |     (__人__)        
              |     ` ⌒´ノ          
.              |    .    }       , ´  
.              ヽ        }      ( 
               _ヽ     ノ`ヽ、_     )   
                _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
            _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)  
        , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
     /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ〉〉〉|    
      /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
      !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   ! 

再会の挨拶を済ませると、やらない夫が疲れた口調で言った。

警察に捜索願を出しつつも、探偵にまで依頼するのは金があるか、よほど気にかけているかだという。

二週間で四十万近く金が掛かるのだから、そうそう依頼は出来ないだろう。
だが、最近はその手の依頼が増えているのだという。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 01:59:13.80 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /_ノ   ヽ_\     儲かっているじゃないかお
   /( ●) ( ●)\   
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \   
  |     (  (      |   
  \     `ー'     /

とりあえずそう言ったが、別に羨ましいとも思わない。
あの事件以来、誰かを探すと言う事に不安を覚えてしまうから。

もし・・・見つからなかったら、もし・・・殺されていたら。
そんな想いは、自分では絶対にしたくない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:02:21.90 ID:PsLYF0Q0<>
               / ̄ ̄\
             /   _ノ  \           
             |    ( ●)(●)   まあ、八割はすぐ見つかるんだけどな
.             |     (__人__)        
              |     ` ⌒´ノ          
.              |    .    }       , ´  
.              ヽ        }      ( 
               _ヽ     ノ`ヽ、_     )   
                _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
            _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)  
        , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
     /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ〉〉〉|    
      /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
      !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   ! 


警視庁生活安全局地域化の昨年のデータでは家出捜索願を受理人数は約十五万人。
その内十二万人は所在確認が取れたと言う。

もちろん、これは届けがある人数に過ぎず、届出がない場合は調べようがない。

今の世の中、音信不通状態の家族なんて珍しくないし天涯孤独の人間も多い。
行方不明になっても殺されても気が付かれない事も多い。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:04:09.77 ID:PsLYF0Q0<>.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:
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        /_ノ  ヽ:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;           
      / ( ●) (●):;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;         
    /::::::::⌒(__人__)⌒:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 
    |      |r┬-|    |     
    \       `ー'´  /     負け犬なんて[ピーーー]ばいいおwwwwwwwwww
⊂⌒ヽ 〉        <´/⌒:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 
  \ ヽ  /         ヽ:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    
   \_,,ノ      |、:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

かつてそんな話をした記憶がある。
失業と同時に浮浪者の様になり、日本各地を彷徨う派遣労働者達の事だ。

自業自得と笑ってた頃が自分にもあった。

底辺に転がり落ちるのは理由の如何を問わず、自分の責任・・・

そんな他人事の様な思考を持っていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:05:30.55 ID:PsLYF0Q0<>
     ____
   /      \    
  /  _ノ   ―\   
/    (─)  (─) \    
|       (__人__)    | ・・・・・・
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /                     
          
だが、あの日、あの現実を見てしまった後では思い出せなくなっていた。
何でそんな世の中の出来事を”他人事”として受け止められていたのか・・・

自分だけは大丈夫と言う根拠の無い思い込みが消え去った時、恐怖に震えたものだ。



普通に暮らし、普通に生きている一家が、他者の悪意によって呆気なく破壊されてしまう現実。
そして、どれだけ日常と言うものが脆いか思い知らされた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:06:44.52 ID:PsLYF0Q0<>
       ___
     /\  ,_ \
    /(ー )゛(ー ) \      …………
  /:::⌒(__人__)    \
  |  l^l^ln ⌒´       |
  \ヽ   L        /
     ゝ  ノ
   /   /

それ以来、やる夫は他人の不幸を笑えなくなっていた。

”他人の不幸は蜜の味”

今はそんな言葉を無邪気に笑っていた自分を思い出したくも無い。
狂った世界のルールは、全ての人々を侵食している。

その事を知ってしまったから。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:12:49.63 ID:PsLYF0Q0<>               / ̄ ̄\
             /   _ノ  \           
             |    ( ●)(●)   ・・・ところで、あの事件だけどよ・・・
.             |     (__人__)    
              |     ` ⌒´ノ          
.              |    .    }       , ´  
.              ヽ        }      ( 
               _ヽ     ノ`ヽ、_     )   
                _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
            _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)  
        , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
     /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ〉〉〉|    
      /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
      !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   !

やる夫が無言のまま酒を飲んでいると、やらない夫は”あの事件”に関連して調べた事を教えてくれた。
やらない夫は二年前に警察を辞め探偵に転職していたが、その理由はあの事件を追うためだった。


傍聴席で感じた事は多分やる夫もやらない夫も似ている。
だが、やる夫は警察に残り、やらない夫は警察を出た。


あの事件は二人にとっても他人事ではなく、大きく人生を変える契機になっていた。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:14:10.29 ID:PsLYF0Q0<>
     ____
   /      \
  /  _ノ  ヽ__\
/.    (ー)  (●) \.     
|  .     (__人__)    |  ・・・真犯人らしき奴は見当たらんお・・・
/     ∩ノ ⊃   /      
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

前々から噂になっていた事がある。
あの事件には裏に本当の主犯格がいる・・・と。

やる夫は、その噂を知り確かめようとした事があった。
だが、それを上司に知られ大目玉を食っていた。

余計な事はするな!と言う叱責だ。

結局、上に行かなければ何も出来ないと言う事を思いしった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:15:58.98 ID:PsLYF0Q0<>               / ̄ ̄\
             /   _ノ  \           
             |    ( ●)(●)   
.             |     (__人__)   まあ、警察の縦社会で独自調査は難しいよな・・・  
              |     ` ⌒´ノ          
.              |    .    }       , ´  
.              ヽ        }      ( 
               _ヽ     ノ`ヽ、_     )   
                _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
            _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)  
        , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
     /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ〉〉〉|    
      /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
      !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   ! 


やらない夫が調べた部分を言う。

すでに更正プログラムとして、元・加害者四名は日本各地で”社会復帰”していた。
その連中から真犯人につながるかもしれない話が聞きたかったやらない夫。
だが、そいつらは警察の取調べでも真犯人の名を言わなかったし、その存在を否定していた。


やらない夫も雑誌の会社と掛け合って、あの事件を見直す特集を組んでもらう予定だった。
しかし、探しているがいまだに元加害者は見つかっていない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:17:24.95 ID:PsLYF0Q0<>
     ____
   /      \   
  /─    ─  \    
/ (○)  (○)u  \   ・・・やらない夫でも見つけられんのかお?
|    (__人__)      |  
/     ∩ノ ⊃  /            
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

俗称・『友愛刑法における更正プログラム』自体が、過去の犯罪履歴を消してしまう効果を持つ。
批判は多いのだが、社会復帰の為に犯罪歴があると就職に不利だと言う弁護士会の意向が反映されていた。

やらない夫は優秀な探偵だが、更正プログラムを突破するには到っていない様だ。

もっとも、出所したと言う情報ですら得るのは困難である。
それを考えれば、やらない夫は良くやっていると思うが・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:19:51.11 ID:PsLYF0Q0<>
   / ̄三\
 /;;;; _ノ 三 \ 
 |;;;;;;;   ( ○)(○)  
. |;;;;;    (__人__)  
  |;;;    ` ⌒´ノ 
.  |;;;;        } 
.  ヽ;;;       }   結局、その企画は潰れたんだわ。
   ヽ;;;l    ノ    なにか圧力があったらしくてな・・・
   /    く    
   |     \      ・・・それだけじゃねぇ
    |    |ヽ、二⌒)

やらない夫の表情は暗い。
相手が見つからないのでは企画は中止だと言われた。

だが、担当編集は言いにくそうにあの事件への関与は邪魔が入った事を示唆した。
何度か一緒に仕事をした相手だけに、その心情を考えると文句も言えない。

ただ、どこからか掛かった圧力は、断りきれないものだった様だ。

そして、やらない夫はその圧力は某弁護士経由だと言う。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:21:00.96 ID:PsLYF0Q0<>

         ____
       /      \!??
      /  u   ノ  \
    /      u (●)  \
    |         (__人__)|  某弁護士?・・・って・・・え・・・?  
     \    u   .` ⌒/
    ノ           \
  /´               ヽ
 |    l              \

その言葉で一番初めに思い出したのは、あの黒衣の悪魔だ。

人権派を名乗っているのだから、更正プログラムを邪魔しかねない行動は面白くないだろう。
だが、雑誌社に圧力をかける理由としては弱い気がする。

そんなに暇じゃないだろ?

やる夫の素直な感想だった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:26:08.87 ID:PsLYF0Q0<>               / ̄ ̄\
             /   _ノ  \           
             |    ( ●)(●)    確証はねぇよ。
.             |     (__人__)       
              |     ` ⌒´ノ    だけど・・・      
.              |    .    }       , ´  
.              ヽ        }      ( 
               _ヽ     ノ`ヽ、_     )   
                _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
            _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)  
        , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
     /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ〉〉〉|    
      /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
      !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   ! 

水銀燈弁護士が口を挟んだ確証はないが、雑誌社は有沢市に拠点がある。
そして、やらない夫がそんな考えに到った理由の一つ。

郊外の目立たない高級料亭で有沢市長と水銀燈を見てしまった。
有名な人権派弁護士と、近々選挙が待っている市長の密会。

編集が言葉を濁した某弁護士と言うものの存在を強烈に思い出させた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:29:03.66 ID:PsLYF0Q0<>

     ____
   /      \
  /  _ノ  ヽ__\
/.    (ー)  (●) \.     
|  .     (__人__)    |    ・・・ヒルと弁護士かお・・・ 
/     ∩ノ ⊃   /      
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

有沢市長と言えば、ヒル呼ばわりされる様な男だ。
やくざと関係があるとか、公権力を利用して私腹を肥やしているとか色々言われている。

また、思いつきの経費削減策をサヨク議員と推し進め、警察までとばっちりが来ているのだ。
所轄があちこちに応援要請する羽目になっているのも、ヒル市長の思いつきが遠因だ。

しかも、有沢市長はあの事件に深く関わっていた。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:31:01.13 ID:PsLYF0Q0<>
          / ̄ ̄ ̄`⌒\   
         /          
   / ̄\  |  _,___人_   |  
  , ┤    ト、 ヽ|´ ┏━ ━┓`i /  
 l  \__/  ヽ|  《;・;》 《;・;》  |
 |  ___)( ̄  |   ,(、_,)、   |6)
 |  __)  ヽ.ノl  トエェェェエイ  |     マネーイズゴッド!
 ヽ、__)_,ノ `ヽ. | ュコココュ|  /
    \       ヽ ヽニニニソ/ヽ、
      `ー-、       ̄ ̄    ヘ

有沢市長は、墓場生き埋め事件の弁護士だった。
人権派弁護士として名乗りを挙げた後、県会議員に当選し、その後有沢市長になっている。

あの男は、やる夫とやらない夫にとっても不快な人物でしかない。
それが人権派弁護士として名高い女と会っていたのだから、ろくでもない事をたくらんでいそうだ。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:33:21.53 ID:PsLYF0Q0<>     ____
   /      \
  /  _ノ  ヽ__\
/.    (ー)  (●) \.     
|  .     (__人__)    |    あの事件の弁護士が・・・ね・・・
/     ∩ノ ⊃   /      
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

妙な空気が二人の間を漂った。

正直な所、あの事件に匹敵するよな事件は何件も存在している。
やる夫だって刑事になってからも担当した事もあるし、応援で向かった先で吐いた事も泣いた事もある。

それだけ酷い事件が多発していると言う事だ。

だが、それでもやる夫とやらない夫の人生を変えたあの事件は別格だった。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:34:31.71 ID:PsLYF0Q0<>
               / ̄ ̄\
             /   _ノ  \           
             |    ( ●)(●)   
.             |     (__人__)   ・・・まあ、引き続き調べるわ     
              |     ` ⌒´ノ          
.              |    .    }       , ´  
.              ヽ        }      ( 
               _ヽ     ノ`ヽ、_     )   
                _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
            _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)  
        , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
     /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ〉〉〉|    
      /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
      !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   ! 

あの事件においては法と司法に対して怒り、犯人に対して義憤に駆られた連中は沢山いた。
やらない夫の知り合いの老記者も当時、実名報道をめぐって上司と大喧嘩したらしい。

だが、日本友愛党政権下では、そんな一般人の心情よりも友愛を基本理念にした司法が支配的だった。



この社会そのものが別の何かに作り変えられていってしまっている様な予感。
どうにも落ち着かない気分が二人の間に存在した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:35:48.19 ID:PsLYF0Q0<>

       ____                             
     /:::     \                             
   /::::::::::     \                        
  /::::::::::         \   …………                 
  |:::::::::::::::         |                         
  \::::::::::::::       /                         
   /:::::::::        く                           
   |::::::::::::         |                           
   |::::::::::::::      |:  |  


『あの女・・・犯罪者をこの社会に再放流しているのよ』

かつての涼宮警部補の言葉が何度も脳裏をよぎった。
その弁護士が、墓地生き埋め事件の弁護士だった男と密会している。

良からぬ事が進行している・・・
そんな寒気がした。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:37:38.02 ID:PsLYF0Q0<>
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,......... ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:


20**年 K県警捜査ファイル 第1502事件 墓場生き埋め事件





        ∂/ハ)ヽヽ < 車に気をつけなさいよ
      ∝ハ ´∀`ノ    
   ∧_∧ (     つ
  ( ´∀`)/ ̄日 ̄ ̄ ̄/|
   (   / 日    日 .//|   ∧∧  < 遊びに行ってくるネ
.    /_______.//    (∀` )   
    || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||/      (   )
    ||          .||

三月十五日 K県A市
友人宅に行ったまま帰ってこない女子中学生の捜査願いがA署に出された。
両親も仕事を休んでまで探していたが、手がかりとなるものは全く無かった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:39:44.65 ID:PsLYF0Q0<>
         ________
       /u`::::\/:::::\     ━━┓┃┃
      /:: u    u     \     ┃   ━━━━━━━━
     /::.||||/"""  """\ ヽ     ┃               ┃┃┃
     |::〉|||. ●"    ●" |    。                   ┛   
   (⌒ヽ.||||u           | )  ゚ 。  
    ( __ u|   ( ∩∩    ≦ 三    
      |    ゝ'゚          ≦ 三 ゚。 ゚
      ヽ   。 ≧          三 ==-
       \  -ァ,            ≧=- 。
         ' -イレ,、            >三  。゚ ・ ゚
  
五月十三日 T県少年鑑別所
窃盗で逮捕された少年の家宅捜査において女物の貴金属があった為、余罪があると考えた捜査官が事情聴取にやってくる。
妙に挙動不審な少年に「お前のせいで不幸になった人にどうやった詫びるつもりだ」と言ったところ、勘違いした少年が死体遺棄を自供した。
驚いた捜査官は急遽予定を変更して自供内容通りに捜索を行う事を上申する。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:41:40.12 ID:PsLYF0Q0<>
  . . . . ...............:.:.:.:.:.:.:.::............. . . . . ............. . . . . ...... . . . . . . . ........:.:.:....
                  . . . . ...... . . . . . . .... . . . . . . . . . ........... . . . . .
             n      . . . ....... . . . . ...... . .    . . . ....................:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.............
             |] p    . _ . . . .            . . ..........:.:.:.:.:.:::::::.:.:.:.:........ . .
             }| {}       ,! | . .              . . .....:.:.:.:::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:...... .
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  .:   :::.   口 冂        []  |::.|____          ,.---、、  |;:;:::|
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r‐v'i     |:::::;:;:;|.:|  「 ̄ ,. -‐‐‐‐‐‐-,._ ! i'i'i.| |:;:::;:;:;|:|  || || |.:.:.:::::|.| [ ̄ ̄ ̄] ┌─┐
|:::::|.l iヽiヽ r; |::::;:::;;|:.|    l,. -‐‐‐‐‐‐-v´i !| |.l| |::;:::::;;|.|   ┌-----┐       r‐

五月十五日 K県山中某所
自供内容をたよりに、K県山中某所を探していた捜査員達は下草の生えた小さな墓地跡の墓石の下から遺体を発見する。
死後一ヶ月以上経過したと思われ、腐敗の進行によって現場では性別判定も困難であった。
その後、K県警察病院で解剖がなされた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:42:54.82 ID:PsLYF0Q0<>              、-‐'´/ ``丶、 ヽ_r┐
        ノ^ー<〉  L____`ヽ))ー'-、
        ヽ\※※※※※※※※※※※※※ \
        ハ ヽハ※※※※※※※※※※※※※
       ※※※※※※※※※※※※※※※※
       ※※※※※※※※※※※※※※※※
        \)八),※※※※※※※※※※※※※※※※
           、ノ({※※※※※※※※※※※※※※※※
        r ''',ニ=、'′ヽ、__  _,.rく{ _∠__ } }
      .r┴/ ヽ>'⌒※※※※※※※※※※※※※※※※、
        ト、_{ `※※※※※※※※※※※ヽて`ヽ}  ̄
     〈ヽ ※※※※※※※※※※※※※※※※ 
      V〈     ※※※※※※※※※※※
       } ヽ   |   |// //
      ノ  ヽ     ト、   { {=、、
       }   ※※※※※※※※※※※※※
     _ハ ※※※※※※※※※※※※※ヽ、
   //  ヽ>'"  ヽ、   /l| ヽ\


全身に打撲痕と火傷跡があり死因は外傷性ショックまたは気道に異物が詰まった事による窒息死。
生活反応などから生きているうちに暴行が行われ、埋められたとされた。

顔面が損壊していた為、指紋や歯などの照合から捜索願が出されていたK県A市の女子中学生と確認された。
腐敗が進行していた為に遺体検分した際、親でさえ判別不能であった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:45:01.28 ID:PsLYF0Q0<>

                  ミミ ヽヽヽヽリリノノノノ
       / ̄ ̄ ̄`⌒\ミ   ,,、,、,、,、,、,、,、、 彡
      /             ヽ i''"        i彡
      |  _,___人_   | 」    /' '\  |
      ヽ|´ ┏━ ━┓`i //  -・=-, 、-・=- |    
       |  《・》 《・》  | !|    ノ( 、_, )ヽ  |私たちが弁護します!
      (6|   ,(、_,)、  |6)    ノ、__!!_,.、  | 、
   ,-  、| ヽ  トェェェイ  /.∧     ヽニニソ    l \
  / ノ / |  ヽ ヽニソ //\ヽ       ┌、ヽ   ヽ,
 /  L_   \___/      ヽ. `ー--一' l__( { r-、 .ト
    _,,二)     /             〔― ‐} Ll  | l) )
    >_,フ      /                }二 コ\   Li‐'

K県の地裁で初公判が開かれ、起訴事実は猥褻誘拐、監禁、強姦、殺人、死体遺棄など。
しかし弁護団は「傷害致死」を主張し、被告人達は「殺意はなかった」と答えた。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:46:43.92 ID:PsLYF0Q0<>                   __| ,,、--└Li┘---、 |___
                  { ti/   /\   \iァ }
                   Y    ./´ ̄`\   Y´
                  ノ  ∠__/\_ヾ、  ヽ
                 / /  /  i  ヽ ヽ   \
                i  /   ,'    i   ヽ ヽ   !
                | i   i     i    i  }    }
            ,.、-‐‐┤ :   !     !    }  ! ノ ノ‐--、,_
         ,、-''"    ヽ ヽ  ヽ丶   !   ノ ノ  /    `‐-、,_
      ,、-'"         \ \ ヽヽ  !  /    //         `'‐、,_
     /            \ヽ、,,__ ヽ、,, i/ //  /            \
    / \             ヽ  `r-、,  _/ /   /            / i
┌‐────┐           ヽ  \ノ二ヽ /   /            /    |
│ サイバンチョ .!            ヽ   i   i   /            /,、-   |
├───‐─┴────────────────────────

|五年から十年の不定期刑とする

└─────────────────────────────‐
五年から十年の不定期刑を検察は軽すぎるとした。
だが、改正刑法・少年法ではこれ以上の刑罰を科すことは困難だった。



この裁判期間中、弁護団に対しての懲戒請求などの運動が起こったが、弁護士会は逆に提訴するなど対決姿勢を明確にしている。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:48:16.50 ID:PsLYF0Q0<>     ||  |      /         /
         メシウマッ  ,-‐-、  /   /
   ,. - ─- 、        |_!_!ュ }    /
  /  ノノノノハヽ       `'}‐┴、    自己責任!
  i ,-、_{___ l'  ,. -─- 、 { ̄`{          /
  } | r} ` / -' | |`i /  ,ヘr^、 | }_,  ,! -‐- 、    / ビッチは死んで当然wwwwww
  { 'ァ'  `ー'/,_ )!/リノ二二jノノ`i, /     _i
 ,-ソ 、   ノ/ニ| `i//  - r {⌒ / |__∠__,へ / ̄ ̄ヽ  ,-rrr、
/#\  、   `='ノ iニij   ,ニ゙ | `i /| r、/__,| ̄/   ノノノij iっ,!,!,!
\#i\    ̄,ノ`i ヽ   |r┼-、 i'  v{_ (__ハ_!  | _ノ^i'_フ'i,!  `i  {
  \i#|\==|/`|\\`ー| ´|ニ、ヽ  | i ` ,.-i{   }、|-   ,-'i   |\_|>
   \|ヽ } ノ  i \ | 〉' `ー'/  ,<j   二ノ  /ソ  ヽ._`ファ-ァr{`ー-1
      O|/    |l/ i ノ´|  / /_ノ\\ "{ヽ /i「|i、rr、/|ヘ! /ノ   |
       |    リ /∧  V_i/   ヽ_|\ノ|ヘ !| !|.| | |/  |-── '
       |0`    | /  ヽ_/|\   、   `| {|   |゛゛|   |
       |      |    /ノ |  \ リ     | ノ  ri  ノ  |

裁判中も加害者更正を当たり前と考える人々があちこちで友愛精神を守れとデモ行進を行っていた。
三十九条の会や真っ赤な旗や政治スローガンを書いた色取り取りの旗が林立していた。


改正された刑法はこの頃から『友愛刑法』と呼ばれるようになっていた。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:50:40.94 ID:PsLYF0Q0<>
【1:3】墓場生き埋め事件は冤罪!★25

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 20**/09/23(水)

権力の横暴はいけないと思いますwwwwww



930 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :20**/09/23(水)

まだやっているの?いい加減秋田

931 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :20**/09/23(水)

弁護士悪党一覧wwwwww
ttp://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip

932 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :20**/09/23(水)

関与したのはこの四名ではなくもっといたんですけどねwwww
貧乏人は刑務所で麦でも食ってろwwwwww
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:52:28.33 ID:PsLYF0Q0<>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                               特集  墓地生き埋め事件
        .|::::::/ ::////⌒⌒ i.:::::ノ             法改正は必要か?
        .|:::::/         |::::|
         |::/.  .ヘ    ヘ.  |::|  
         .⊥|.-(=・).-.(・=)-.|⊥   被害者は交通事故に遭ったようなものでしょ?
        l .!:;  ⌒´.し.`⌒  ;:|. l 罪を犯した人々の方が辛いはずですよ。  
         ゝ.ヘ         /ィ  _ノ
       __,. -‐ヘ  <ニ二ニ>  /─- __   厳罰化というのは短絡的ではないでしょうか?
  _ -‐ ''"   / !\  ̄ /!\     ゙̄ー- 、
 ハ       /   |ヽ ̄ ̄//  ヽ        ハ


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
テレビではこの判決こそ、友愛精神に満ちた犯罪者更正の為に試金石だったとして賞賛した。


一方で、他人を許せないのは弱いからだ。復讐は野蛮な行為だ。

そんな誹謗中傷が被害者家族に送られた。
中には殺された被害者は売女であるというネット上の書き込みや、被害者宅の住所をネット上に晒す等の行為も行われた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:54:09.16 ID:PsLYF0Q0<>
         /\== }ヽ.ヽj | / //ニ三三三三三三三リ:. : ヽ
.        /.:.:.:.r┘j三\ | ` /二三三三三三三>'":.;ノ: : :
       /.:.:.:::::::厂´フ7ーヽ∠二三三三三三>''":.:.:.:/: : : :
.      /.:.:.:::::::/八从{ヘ{ i 「 | i 7i ! 77从八 :::::.:.:.:.:.ヽ: : : : :
      /.:.:.:.:::::/ { { ハ }ハノ ノノノノノノ 彡イノハ ::::.:.:.:.:.:.:ヽ: : :
.     /.:.:.:.:::::/i ! |:::八  '           ノノ.:.∧ ::::.:.:.:.:.:.:.ヽ: :
    /.:.:.:.:::::/. | ! !:::::::::`ト.. `       .イ.: :   ∨::::.:.:.:.:.:.:.:ヽ
.   /.:.:.:.:::::/ :八  {:::::::::/⌒ヽ:::¬=千≠/ :    ∧ ::::.:.:.:.:.:.:.:.:
   /.:.:.:.:::::/: /: : ヽ  ヽ::::{ {  }:::::::::::::::::::::/ . : : : /.:∧ ::::.:.:.:.:.:.:.:.
.  /.:.:.:.:::::/ : : : : : ハ   V} .ト、 |::::::::::::::::::/ / : :  . : / ∧ :::.:.:.:.:.:.:

・・・殺された少女の母親は精神科に通院加療を続けている。
だが、自殺の恐れありとしてその後強制入院となった。



司法はそんな家族に何の保障もしてはくれなかった・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:55:26.51 ID:PsLYF0Q0<>::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,......... ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,......... ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:
      ____
     /\  /\
   /( ●)  (●)\
  / :::::⌒(__人__)⌒:::::\  隣のH市で事件だお。応援要請が来ているお 
  |     |r┬-|       |   
  \     ` ー'´     /

やる夫が刑事課に戻ると涼宮警部補が面倒臭そうに顔を上げた。
何か熱心に調べている。

普段は面倒臭そうにサボっているのに、時々こんな姿を見る。

やる夫が近寄ると、不機嫌そうにぶつぶつ言った。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 02:59:07.51 ID:PsLYF0Q0<>
         _,._'r' r ___  ヽヽヽ
        ,r=ゝ,ィ′/´1、  `¨N ', ヽ
.         l   ヽ ト/ l|ヽ l、  l l fヽ!、
       |     W-ヽ1 ヽtゝュV! |l V
          l     | lz」`   1、,ハ|l. |「l.| 何の応援よ?
        ヽ    ハ  ,.-'-、`¨ l.| l」Y  DQN共なら土座衛門で見つかったでしょう!
       r‐' `   ノ ヽ l、  ! ノ/' /リ ,!
      ノ  ヽ. 、 i  ヽニ-1,r'/,イ1/     こんどは、バーベキューで毒キノコ?
     (  、  ` ヽy'  |    ')ン、/
     〈 、_ヽ- ;ィ´  _ノー-‐ ´   `ヽ、
       ヽ `'¨ ^‐'´  ヽ        ヽ

ゲシゲシと蹴りを入れてくる涼宮警部補に土下座するやる夫。
全く、不条理な縦社会でさらにとんでもない上司の下にいる。


だが、応援内容は殺人事件だというと蹴りを止めた。
普段のやる気の無さとは無縁の刑事がそこにはいた。

やる夫はため息が出た。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:02:02.16 ID:PsLYF0Q0<>
H署

     ____
   /      \     
  /  _ノ  ヽ__\   
/ U  (─)  (─) \   ・・・また非道な・・・
|       (__人__)    |  
/     ∩ノ ⊃  /  
(  \ / _ノ |  |     
.\ “  /__|  |    
  \ /___ /     



犯人の容疑は強盗・強姦・殺人。
近年類を見ない悪質な犯罪である。
ただし、この枕詞は使い古されて今では殆どの犯罪に使われている。

なお、前科者である事が判り、速やかに指名手配された。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:04:07.82 ID:PsLYF0Q0<>      / : ; : :/: : /´ ______\: ヽ
     /: : _/: :/: : 厶 '´: : : : : : : : : : : : : :`ヽ: ヘ
     /:/ ,.'7: : :/: : : :|: : : : : : : : : : : : : : : : ヘ: ',
    /' , '/ i: : : :|: : : ∧ : : : : : : : : |: : : |: : : : i: |
.     ハ厶i. |: : : :|: :.|:.l ',: : | : : : : : |: : : レ': : :|: |
    |:.7 /トr|: : : :」_|  \|\ : : : | x'´ハ: : : ;' ハ
    |:.' /: | r{ : : : |: ∧「`ヽ、.___,.\: イ__V_,|: :rf:/| |
    |:| |: :.| | |: : : :N 'Tに叮    ヾ hィ}r〈 { 'j.ト'|
    |:ヽ: :.| |、|: : : :|   ゞ-‐’       ̄´l | | l': :! それ見なさい。クズを再放流するからよ。
    l: : : └ : ヘ: : :|、         '   ノ } リ : |
    ∨: : : : : :|ヘ: :.l \     r─ャ _.  '´   l: ,l: |
   ,.、ヘ\ : : | ト: l  `   ._  ,r´       イ、 j/
  ,〈 ', ', ヽ: } | ヽ     / 「|    ィ ´|||',


涼宮警部補が嘲る様な口調で言った。

更生目的の刑法が生んだ一つの未来だ。
犯人は昨年出所した男で婦女暴行で二年刑務所にいた。

更生されない人間を社会に出した結果生まれた犠牲者。
涼宮警部補が常日頃怒り狂っている一つの可能性が目の前にあった。

それだけに、口調とは別に怒りの篭った声色は周りにいた刑事すら威圧するものだった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:05:48.16 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /ノ   ヽ、_\ 
   /( ○)}liil{(○)\      はぁ?何言って・・・
  /    (__人__)   \
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |   
  \    |ェェェェ|     /

その時、会議室に飛び込んできたのは、その犯人が自首してきたという報告だ。

ここまでの事をやっておいて、今更何を寝ぼけた事を・・・
会議室にいた他の刑事達も同じ考えだったはずだ。

しかし、次に聞こえた声で怒りは急速に冷たくなっていった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:08:18.55 ID:PsLYF0Q0<>ィニニ〔ゝノ_ノ   / ヽ\ヽヽ  | l    |l  |l  ヽ
'´/ /| |7   r/'´ ̄ヽゝニヽ-ヽヽ  │ | | ヽ ヽ
イ/ / ! | |   ||-ャ─-,ニ、ミ‐`ヽ、ヽヽ / / /  | ヽヽ
/ / / j |   l| `ー='-ニゝヽ`   |ノメ、/l  │ l | l
./  / / ヽ   l|           ィ_ミヽ`リ ハ || |
'  / /   ヽ  l          l、'rヽj`ァ' メ | / リ  あらあら…
  `,´l    lヽ ヽ         /ノ `'’,イ  /イ   刑法改正でこの場合でも自首を認められる様になったの忘れたのぉ?
  /| |   |  `丶ゝ    ー、ー- 、    lノ  ,イノ
. /│|   |          ニ ´   ノ イ |
/  ! |   !  、           ィニィ | |lハ
  | !   |   _`ト_、 _     , イ    ! |ル'   ,イ
  ハ ヘ  |‐'  ̄,.ィ´ヘ` ー- イ  |    |l |    /│
ノ  ヘ ヘ   | <´ィ´ /介「`ヽヽ│   ハ l   / ノ      _,
ゞ、_ゝヽ  !  \ー´/ハ トニノノ !   / ハ ト、//,ィ _ ,.-ィ´
  ヾゝヽ.ヽ lー-、  ̄ 1 |│|ヽハ 」  / _ハ _/ イィニィ'´    <
    ヾゝヽ. l^ーィ- 、|│ ! ト、>-リ  イニィー '^ヽ、
     ヾヽヽゝ   ̄! | | lヽヾ/  /        ヽ

馬鹿にした様な声が背後から聞こえた。
会議室の外で腕を組んでこちらを見ているのは・・・あの弁護士だった。


その背後にはあの犯人が立っている。
必ず捕まえて叩き伏せてやると言う思いで集まった刑事達の目が細くなる。
それは、犯人に対しての怒りであり、目の前の氷の様な女に対しての恐れであった。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:10:38.37 ID:PsLYF0Q0<>
     __ヽ ,, ` " " ゙ "Z._
   ,>  ,, " " ヾ ヾ <       
   7 ." ,.v'V∨∨V'v゙、、ヾ
    イ゙/゙′__ニニニ___ ヾ 「      お久しいのう、刑事さん方wwwwww
    rゝ!. r"二`   "二゙ヽ i゙h    自首させてもらいまっさwwwwwwww  
    |f;l.| ´二゚ i   !゚二` ||,リ      
    ,ゞ|| r',ニニr'_''''_ヽ-- 、lK      
-‐''7三j  , -‐- ニ -ァ‐、 :|ニヾ''ー-     
|::|ニ{ニニ! しし'-='ニ´-‐' :l 三}ニ|::|ニ
|::|: :`く./.ト、._   一   _,. イ二ノ : |::| :  
|::lニニニK/// }二二二{川_lシニニ|::|ニ   
|::| : : : |::|:`T「.⊥⊥⊥.T「 |::| : : : |::| :    
|::lニニニ|::|ニ|{       .}|ニ|::lニニニ|::|ニ

男がやる夫達に優越感に満ちた視線を向けた。

幾度も顔写真を見て、その細部まで覚えたあの犯人が目の前にいる。
この男が行った犯罪の内容は全て暗記している。
被害にあった人々の怒りと悲しみは全て覚えている。

その男が薄ら笑いを浮かべて立っている。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:12:51.89 ID:PsLYF0Q0<>
         ____
        /ノ   ヽ、_\
      /( ○)}liil{(○)\
     /    (__人__)   \ 
     |   ヽ |!!il|!|!l| /   |  ちょ、ふざけんなお!!
     \    |ェェェェ|    ./l!|   
     /     `ー'    .\ |i 
   /          ヽ !l ヽi 
   (   丶- 、       しE |そ
    `ー、_ノ       煤@l、E ノ <
               レY^V^ヽl
思わず声が出る。
やる夫だってこの件に関しての予備知識位あるし、悪どい犯罪である事も十分理解している。

水銀燈の手によって恐らくは大した罪にもならないという確たる予感。
それが更に怒りを覚えた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:14:54.79 ID:PsLYF0Q0<>
            __ __ _
.        _ , '"´  ,. _ ___`丶、
       / ` /  /´-‐ァー-ヽ \
.      / /下7 ..///.:.::/ .:.:ト、 ヽ
      / └イ_j/ .://;へ、/!.:.::/:.}ヽ ',
     ,'  ///!l .::j.:lイ仔くヽ/,.イ,.ム:.', l
    ,   '〈/f`| l ::l`' ゞゾ '´ rャjノ::.l:. |
    |  l:l :!:{、| l ::|        マソハ: |:: |  弁護士が来れば自分の罪が軽くなるとでも思っているの?
    |  l:l::i个| l ::l!     _  ′} .:}:.l:: l
    |  lハ:l::{::', ::::{、        /.:/::.l:: l
    l !:|:::',::',::ヽ:::ヽ\._    /.:/::::/l::;!
.     ',::{:{、:::ヽ\:\;ゝ `「:フ´!::::/;:::/ 〃
.     ヾハj>''´ ヽ ト、_..上くイ::::{ {::{/
    /⌒ヽ、\ ` \-ー ̄\ヾ
   /     ヽ \\    \´ ̄`ヽ、
.   l     ',  \\   \  __| \
.   |      ',   \`ヽ、  ∨n| } ト、

淡々として感情の抜け落ちたような声。
冷静に水銀燈と犯人の男を見つめていた。

低い声には怒りの様な激しいモノはなかった。
それが逆に恐ろしいとやる夫は思った。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:19:25.19 ID:PsLYF0Q0<>               ___/-‐'´   /   ,r'    l `ヽ: : : ヽヽ
              |_/  /   /   /     /!   i\: : :iハ
           _ 〈_/ / / l /l   /   /l |   l   ヽ: |i l
       _, -'´/ ///| /l_i__l_|_ /!   ,:' l l   l    lヽ「\
      / -‐'´  / l/:.l / ヽト、| ヽ / |l. / /lト、_ /!  / /|l  l〉
   /       /:.:.|:.:.:l'   ト!ーt::i:ァ イ //_l, /メ. / | l:|/ヽ
 , '   \-、 /:.:.:.:/ :, -- 、_ト、`  ̄` lイ'  /イt::i:x./  {_」jヽ  ヽ/  ・・・罪ですって?ばかばかしい
/___ ヽ: : :ヽ;:./_;'_ _  rxiヽ     /     ̄´/  /i |   ヽ/_,
 ̄ `>: : :`ヽ: : :i/ f /:::i  ヾ \ ヽー- ,  __/ ./ l| |_/´: : :<__ _
´: : ̄: : : : : : : : /  i l…|   ゞ!_テヽ、ニ´ _ .ィ:.:.下´  //____: : : : : : : :/´ ̄
 ̄´フ: : : : : : : /  /! ー'  └イ__」/l」‐ : ´: : :l:.:./   / ̄: : : : : i: : : : : :└:、_
, :'´_: : : : : : /   l 、  .r‐'フ:.,ィ_」_ノz、: : : : :/j l   /: : : : : : : : ヽ: : : : : : __ 丶
/´ /: : : : :_l   i |: :、_/ /‐'_r/ト、_  ヽヽ: / / ,/: : : : : : : : : : :i: : : : : :ヽ   ̄
  /: : : /: :L. ノ:ヽ|: //  '´// l|!   ヽl' //': : : : : -:-、 : : : : ヽ: : : :ト、\
/'´l7: :l : : : : : : : : : /|  j| ! l |,「|  il /'l: : : : : : : : : : : : 丶: :  i/N:|  ̄',
  /' lヘ|、: : : : : : : /  i   l    ! lーi_r‐i」イ: : : : : : : : : : : : : : :   / |丶  l
i | '、 ト、_: :_/   /ト、_/ヘ.     | にソ|、|: : :_: :_:_: : : : : : :  /   ! | l  !
丶 |   ヽ!  /イ_/ {_f┘_,ヘ__  r¬ノ1 |、l:、f: : : : : :`:ォ升r '´lリ|   ,' .l |   |

警察の横暴な捜査があなた達の言う”罪”を生み出している現実をお忘れなく。
おまけに、いい加減で無能な警察のおかげで逃げてしまう犯罪者の多さとかね。

その上、検挙率まで下がっているじゃない。
私の仕事に文句言う前に、税金分働いて欲しいものねぇ?




その嘲るような口調に、その場にいた全員の胃がキリキリと痛む。
その場の空気は一気に氷点下に下がる。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:20:25.03 ID:PsLYF0Q0<>        ____
      /      \
    /  ::\:::/::  \        
   /   <●>::::::<●>  \ ・・・・・
   |      (__人__)    |.     
   \     ` ⌒´     /
   /              \
言葉に詰まった警官達の横をすり抜けていく銀色の髪。

顔を真っ赤にして立ち尽くす警官達。
その口からは堪えきれない声が出ている。

やる夫の脳裏に浮かんだのは、あの被害者達の顔、顔、顔・・・
思わず言い放っていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:23:02.97 ID:PsLYF0Q0<>
         ___
       /     \
      /   \   /\.     
    / o゚((●)) ((●))゚o     
     |       (__人__)   |     
      \      ` ⌒ ´  ,/.    
.      /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ   ちょ、まつつお!
      |  ,___゙___、rヾイソ⊃  正義は金じゃなないいおおおお
     |            `l ̄  口だけじゃないって事を証明するるお!!
.      |          |.      

噛みながらも言い放ったやる夫に、水銀燈が見下した様な目を向けた。
じっと見つめられてやる夫は背中に冷たい汗が流れた。


自分で何を言っているのか判らない。
よりによってあの弁護士にこんな事を言ったのだ。

やっちまった・・・そんな思いが頭の中をグルグル巡る。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:25:00.26 ID:PsLYF0Q0<>         / ヽ ヽ.   _≧、マ>_        /リ    / //  _//
         /  l ! l ! }ヽ ((._ィ个、_)).      // ,イ / /ル'^ '´-‐ニ7
        / /   j l j L.j  !   i | ヽ ヽ  / / / レ' //  -─-ニ-'
     /i !   /ィ´ |/,.ィ |  〃| l ヽ ヽ./ / レ'/    _,. --─‐‐‐一'ニ=-
      / | い  / ノ,ィ(ぅノ !  / ヽ! j  }  / /       --──‐‐‐z... 二ニ ー- 、_
    i | l トト、i{   ー'′/ ,1   / /!ノ  /             ニ_二ニ==---`ヽ
     l ハ ヽく,.ィr,、    ∠ '´ j  /1/i l //                \_
     \ヽヽヽヾ   /   /   /-ト/ /                  _,.=- ニー- 、_
       メ T ヽ、 ´   /  ∠-┴ 、    _,..ニ二._ー-=.z─-=ニ ̄``ー    ̄ ̄
      {  |   /l> 、._/ ,.イ二=--  \-r-─弋´ \`ヽ
      l ハ.| / il  / / /       ヾ    ヽ   \  ふぅん…ま、お手並み拝見と行きましょう。
      ヽ弋 i  l_メ,ィ´ /  ィニT ー 、   〉    ヽ    \      じゃあねぇ…
        | |iト 'て乂! ヽ 〈〈_,ノ 「!> 〉 ./ ヽ   ヽ   ヽ \
        | iハヽ/  \ヽ/1-く !ヽヽ,イヽ  ヽ   ヽ    ヽ. ヽ
        | |!,.イ! /   ヽi {   l | i | l ヽ  ヽ    ト、   ヽ ヽ.
        l ハ /      `i   ゝ i | l ト、 !   i    l ヽ   ヽ ヽ
        ヽ,ハヽ       !     l ヽ、い   l   l  ',   ト、 い
        {ヽ,クい       l     ',\ ハトi  l    l   !     iヽい
         ` Tl1 !    __r--〉〉    ', ヽi i  l   l  l    l  い

だが、意外な事に水銀燈はやる夫の言葉に反論しなかった。
一言だけ言い返すと、興味をなくした様に背中越しに手を振って去っていく。

カツカツという硬質な音が聞こえなくなるまでやる夫は固まったままだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:26:54.87 ID:PsLYF0Q0<>
         ____
       /      \!??
      /  u   ノ  \
    /      u (●)  \・・・
    |         (__人__)|    
     \    u   .` ⌒/
    ノ           \
  /´               ヽ

その時、怒鳴り声が聞こえた。
その方向を見ると、見慣れない男が水銀燈に掴みかかろうとしていた。

慌てた警官に制止されている姿があった。

当の水銀燈は何事も無かったように去っていく。
その後姿には何のためらいも無かった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:28:16.41 ID:PsLYF0Q0<>
       ∠                 ,ハ  、 `ヽ!   >
       ノ        _ィ_ノノノ^|/ | ノ )ハ   ト、|   
      `7    __,...-ナ‐- 、 \   レ'_..-‐|  ,ハ|
     /   /⌒ヽ. / , 〜-、 `i==F‐-=ニ..レV
.   __フ    〈 r~)/ | )  。 >/  /'"⌒") /     
    >    /こ'/ / \`U''^ /  ヽ-゚u-' /|
  /     〈 し'/ /   u  ̄  u   ト-‐ヤ′ゝ       な、なんで・・・
 ∠.._____,>|/u __O ( __  u | O |_ \
 _____ヽヽ____| | / /┴-L工じ┬`、_ノ-、 / | ̄`‐- ..._
    ||  | | 〈 ノ__     ̄~"'''┴/ / | ̄`―- 、ハ   
     || | | ヽ.`┴┴工工┬┬┬r/ | ,!      /  ヽ
      || .| `、 \_U    v ̄ ̄ ̄ / ./       /      

男が警官に掴みかかっている。
涙に濡れ、真っ赤に晴れ上がった瞼が痛々しい。

嗚咽交じりのその声には、抑えきれない怒りと悲しみが混ざっている。

不明瞭な言葉が、切れ切れに聞こえてくる。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:30:02.27 ID:PsLYF0Q0<>       ____
     /ノ   ヽ、_\ 
   /( ○)}liil{(○)\     
  /    (__人__)   \ ちょ、お、おちつくお・・・
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |   
  \    |ェェェェ|     /

やる夫はあわてて止めに入る。
男は、被害者の父親だと判ったから。

自首した犯人が死刑にはならない事を知っているのだ。
家族を奪った犯人は、友愛刑法によって守られる事を知っているのだ。

やりきれない空気が漂う中、男にとって警察はもう頼れないモノでしかない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:31:20.12 ID:PsLYF0Q0<>       ノ        _ィ_ノノノ^|/ | ノ )ハ   ト、|   
      `7    __,...-ナ‐- 、 \   レ'_..-‐|  ,ハ|
     /   /⌒ヽ. / , 〜-、 `i==F‐-=ニ..レV
.   __フ    〈 r~)/ | )  。 >/  /'"⌒") /     
    >    /こ'/ / \`U''^ /  ヽ-゚u-' /|
  /     〈 し'/ /   u  ̄  u   ト-‐ヤ′ゝ     ち、ちくしょう・・・ちくしょう・・・
 ∠.._____,>|/u __O ( __  u | O |_ \
 _____ヽヽ____| | / /┴-L工じ┬`、_ノ-、 / | ̄`‐- ..._
    ||  | | 〈 ノ__     ̄~"'''┴/ / | ̄`―- 、ハ   
     || | | ヽ.`┴┴工工┬┬┬r/ | ,!      /  ヽ
      || .| `、 \_U    v ̄ ̄ ̄ / ./       /  


必ず生きて帰ってくると信じて待った日々。
不安と恐怖で塗りつぶされながら、微かな希望に縋った夜。

普通に生き、普通に生活していて訪れた理不尽な出来事。

そして・・・ここで見てしまった。

犯人の男の嘲笑するような目を。
自分が大した罪に問われる事無く再び社会に出られるという・・・確信に満ちた目を。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:33:59.18 ID:PsLYF0Q0<>       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \     ま、・・・まつお・・・
  / o゚((○)) ((●))゚o \     
  |     (__人__);:;:;:;:#;:;:|
  \     ` ⌒┃ ;:#;:/

引き離そうとしたやる夫は殴られた。
だが、その痛みよりも心に突き刺さる男の言葉が痛い。

あの子が何をしたって言うんだ!!
何であんな奴が守られるんだ!

その言葉に答えられる言葉を持たない警官達。
それはやる夫も同じだった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:35:07.51 ID:PsLYF0Q0<>
            _______
           ./ /  #  ;,;  ヽ
        : /ノ  ;;#  ,;.;:: \  :     
         /  -==、   '==-  ..:::::|   うう・・・
           | ::::::  (__人__)   :::::.::::| :  
       : ! #;;:..  l  |    .::::::/      
         ヽ.;;;//;;.;`ー‐'ォ  ..;;#:::/      
          >;;;;::..    ..;,.;-\

ただ、殴られ続ける。
その痛みと悲しみを見続けた経験があるからこそ・・・やる夫は抵抗する事が出来なかった。


そのうちの一発がうまい具合に入ったらしく、急速に意識が遠くなっていった。

誰かの呼ぶ声、大きな声、涙・・・

そう言ったものが耳の中でグルグルと巡っていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:37:15.81 ID:PsLYF0Q0<>;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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:::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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       ,.......
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  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,.......
            ____
          /⌒  ⌒\
        /        \ 
       η::::::⌒(__人__)⌒::::: \    
     /ノ.    |r┬-|     |
.    / / \    `ー'´     /   頑張るお!!!
    (  ' ̄   ""''ヽゝ//''"" | |
      ̄ ̄|      ∨    | |

犯罪者と戦う警察官と言う職業に無邪気にあこがれていた。

制服が格好いい、拳銃が持ちたい。
そんな軽い気分だった事は否定できない。
だが、それが警察学校の厳しい日常を耐えた理由だ。



そして警官になった時、やる夫は正義の味方になった・・・気がした。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:38:34.55 ID:PsLYF0Q0<>

         ____
       /::::::::::  u\      
      /:::::::::⌒ 三. ⌒\     
    /:::::::::: ( ○)三(○)\    
    |::::::::::::::::⌒(__人__)⌒   う・・・うええ・・・・
     \::::::::::   `(⌒ \  ,/|
    ノ::::::::::u    \   \ \
  /:::::::::::::::::       \.     
 |::::::::::::: l  u         
 
しかし、そんな妄想は一瞬で打ち壊された。
死体発見と言う報を受けて駆けつけた時、それを思い知る。
そこに転がっているのはテレビで見るような”まともな死体”ではなかった。

腐敗した死体をカミコップで掬い、袋に詰めるのはやる夫達下っ端の役目だった。
死体を見て吐き、その臭気で吐き、そして被害者の受けた悲惨な時間を聞いて吐いた。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:41:02.17 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /   
 
どこにも格好良い世界なんて存在しなかった。
人の醜さとおぞましい本性を見せ付けられた。

泣き叫ぶ子供を殺し、助けを求める人間を躊躇いなく切り刻む犯罪者の存在。

毎日殺される人間がいる。
毎日誰かが人生を狂わされている。

それがやる夫のいる組織の日常だった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:43:53.65 ID:PsLYF0Q0<>         ____
       /      \
      /   _ノ  ヽ、_.\       
    /  u (●)  (●)\
    |  u    (__人__)   |    ・・・・・・・・ 
     \      ` ⌒´   ,/ 
    ノ           \     
  /´               ヽ


格好いい世界に憧れ、正義の味方になった気になっていた。
なのに、見えるのは人間の醜さばかりだ。
小さな歯車でしかない事に対しての無力感ばかりだった。

それでも、やる夫は止まる事はなかった。
逃げたら全て失ってしまうから。
泣いている人々を見捨てられないから。

なにより、逃げる場所なんてないから。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:46:47.13 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /ノ   ヽ、_\ 
   /( ○)}liil{(○)\     
  /    (__人__)   \ 未来ある少年を[ピーーー]なんてとんでもない悪党だお!!!!
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |   
  \    |ェェェェ|     /

そんな中で発生した少年連続殺人事件。

一人はナイフで滅多刺しにされ出血多量で死亡。
もう一人はビルから突き落とされたのを目撃者が証言した。

沸き立つ正義感。
やはり、自分は犯罪者を追うのがあっている・・・


この時はそう思っていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:47:40.08 ID:PsLYF0Q0<>
         ___        
        /⌒  ⌒\         ━━┓┃┃
       /(  ̄)  (_)\         ┃   ━━━━━
     /::::::⌒(__人__)⌒:::: \         ┃          ┃┃┃
    |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                   ┛
    \   。≧       三 ==-
        -ァ,        ≧=- 。
          イレ,、       >三  。゚ ・ ゚
        ≦`Vヾ       ヾ ≧
        。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 


しかし、事件の概要が判るにつれ、捜査陣は青ざめた。

殺された二人の少年は犯人の男の娘を殺害し、それをネットに流していたという事実。
犯人は娘の復讐の為に行動していたという事実。

男の標的は残り一人だった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:49:51.02 ID:PsLYF0Q0<>     / ̄ ̄\
   / ._ノ  ヽ、\
   |  (●)(●) |    ・・・・・・                
   |  (__人__)  |            
.   |   ` ⌒´  }             
    |         }              
    ヽ      /       / ̄ ̄ ̄\ 
    __ヽ    ノ__      / ─    ─ \   ・・・・・
  /         .ヽ   /  (●)  (●)  \  
  ||        || . |    (__人__)    |  
  ||         ||   \    ` ⌒´    /


やらない夫とチームを組んで追う事になった。
だけど、父親に感情移入してしまう。
どう考えたって、殺された二人に同情する気なんて起きなかった。

それでも・・・父親を捕まえなければならない。
大切な娘を無残に奪われ、人生を賭けて復讐している父親を、殺人犯人として捕らえなければならない。

・・・それが任務だった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:53:39.22 ID:PsLYF0Q0<>

         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\  
     /    。<一>:::::<ー>。    
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j      
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。  
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

父親にこれ以上罪を重ねさせたくない・・・そんな思いだけで追った。

犯罪者を逮捕するという気分ではなかった。
多分、みんなそんな気持ちだったと思う。

それでも必死になって逮捕したやる夫達は、血も涙もない悪党の味方と言われ罵られた。
誹謗中傷を受けた時、涙が止まらなかった。

今までは自分の仕事を信じ、何を言われても気にかけなかった鬼の先輩が泣いていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:55:03.11 ID:PsLYF0Q0<>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃      l , /   ,   /  イ       :.:.:.i:.:i:.:.:l    
┃      l l /   ./  /   :i li    l:   :.:l:.:l:.:.:l   
┃      l .i i  l  /l   .:l ll l    l:   l :.l:.:l:.:.:l  
┃      l l .l  ll ,, -┼- :.l ll ll-―‐‐トl、 .l :.l:.:l:.:.:.l
┃      l l :l. イll  l l L......l ! l└―-' !L__l :.:l :.l:.:.:l
┃      l l └-‐¨ ̄-‐-    -‐--   .l .:i :.l:.:.ト、
┃     /l .li. :.:.:i z===     ===z /:./ :.l:.:.l. \
┃     / .l .lヘ :.:.:i         ,      /;イ :.l:.:.:l  \
┃   /  l .l:.:ヘ :.:.i              イ:.i  :.l:.:.l    \
┃  /, -ィ ' l l:./ヽ:.ヽ     ー ―    イ':/  :.l:.:.l--―`¨´
┃   ̄ ´¨¨/l l / :.:.:.:.:.::> 、        ./、:/  :.:l:.:.l:.:.|
┃     / l l/i:.:.:.:.f < ´ `i 、   _ イ  /  .:.:.:l:.ノl:.:.l
┃     / ∧:l:.:.:.:.lヽ `y へ 〜ニ- '¨=- '.7  .:./:.:.:l:.:.:l

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

被害者の遺影をまともに見る事ができなかった。
何を報告すれば良いのか判らない。


逮捕された父親は懲役十三年。
同じく強姦殺人容疑で捕まった少年は三年から五年の不定期刑が言い渡された。


それがこの社会が示したルールだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 03:56:15.32 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \  
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /

犯人は法律によって守られ、被害者は放置されているという事を父親は裁判で述べた。
だから、自分でケリをつけたかったと淡々と述べた。

それに対して何も言い返せなかった。

やる夫はその父親を悪と呼べなかった。
だが、同時に復讐が何も生まない事を知ってしまった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:01:10.29 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /      \
   / ─    ─ \
  /   (○)  (○)   \ ・・・・・
  |      (__人__)    |    
  \     ` ⌒´     /

もう何を信じて良いのか判らなくなっていた。

不条理でも法は法。
そう飲み込むしかないと言われた。
だが、それが当たり前になっていくと自分が内側から別の存在になっていく錯覚に襲われた。

飲み込んだ何かがやる夫を作り変えていく・・・そんな悪夢だ。
誰かの作ったルールの中で、機械の様に動き回るだけの・・・働きアリになった気に。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:06:06.22 ID:PsLYF0Q0<>
                 /  ̄ ̄ ̄ \
                 /        ::::\
                 |          :::::::|
                \.....:::::::::    ::::, /  
                r "     .r  / 
               .|::|     ::::| :::i      
               .|::|:     .::::| :::|
               .`.|:     .::::| :::|_     
                ..,':     .::(  :::}
               i      `.-‐"

ルールを守っても、ルールは守ってくれない。
犯罪者の権利は守られても、一般人は被害に遭うまで放置される。

そうして放置された一般人が被害者になっても、法律は守ってくれない。
どうして良いか判らなくなっていた。

ただ時間だけが過ぎ去っていった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:11:47.00 ID:PsLYF0Q0<>
       ___
     /\  ,_ \
    /(ー )゛(ー ) \      …………
  /:::⌒(__人__)    \
  |  l^l^ln ⌒´       |
  \ヽ   L        /
     ゝ  ノ
   /   /


そんな中、やる夫とやらない夫は”あの墓場生き埋め事件”の裁判を傍聴した。

先輩の命令だった。

正直、何もする気が起きなかったが、それでも行ってみる事にしたのだ。
先輩が何を考えていたのか判らない。

ただ・・・やる夫とやらない夫の運命を分けるだけの重さがあったと思う。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:14:13.85 ID:PsLYF0Q0<>
        / ̄ ̄\. 
      /      \.........:::::::::::...
      |::::::: :      | .... .........::::::::::...r‐ ' ノ.    
     . |:::::::::::::     | .... .........::::::::_ ) (_  
       |:::::::::::::      |.. ..... ......:::(⊂ニニ⊃)    
     .  |:::::::::::::::     }  ..... ......: ::::`二⊃ノ.    
     .  ヽ____    }  ..... ......: :::: ((  ̄      
        r'ニニヽ._\. ノ.. ..... ......: ::::::  ;;. 
      r':ニニ:_`ー三`:く._           [l、.       俺は・・・自分でやってみるぜ・・・
    /: : : : : : :`,ニ、: :_:_;>      /,ィつ  
 .   /: : : : : : : : / : : : ヽ\     ,∠∠Z'_つ     
   | : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.   / .r─-'-っ 
 .   |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''" ̄: : :l: : : :l   /  ):::厂 ´     
    |:.:.:.:.::.:.:.:l -─-: : /:_:_:_:_l / ̄`Y´
 .   |:.:.::.:.::.::l.__: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
    |::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ゙/

今まで散々感じていた矛盾が、あの事件には詰まっていた。
あんな事件を引き起こしても、友愛刑法は犯罪者を守る。

報われない遺族。
狂ったルール。
だから真犯人がいるという噂がある以上、上層部が捜査終了を決定しても従えなかった。


やらない夫は警察を辞める事を決意し、やる夫は残る事に決めた。
その矛盾の中で出した答えは二人の道を分けた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:15:52.05 ID:PsLYF0Q0<> ̄ ̄ . : : /イ: : : . : イ:/:  i ド i!´             ! `i!!: |:
: : : : : : /:/: ,': : : . :/{ |/:  ハ: '、 i!              ノ  i!}: : :
: : : , イ /: :,': : : : /ゝ、!:   / ヽ ヽ                j!l: : :
`<: //: : :l: : : :/ ̄` |:  イ   \ 、__      , rェ ー‐ァ   j!ハ: : :
   `:ハ: : :|: : : {` ー|: ハ    ヾ、      ` `二 ̄`  /'  \
   |:{  \!: : :ハ    l: {  ヽ     ヾ 、            , '
   ゝ   ヽ: : ハ.  ∨    \    `  、       , ′
        V: {、        ` 、_    ヾ、     / }
         }: : :\        / ̄  ┬ヽ i─ ´ ノ


傍聴した時の、遺族のあの涙が脳裏に焼きついている。
静かで、そして悲しい涙だった。


やる夫は時折あの夢を見た。
こんな世界で立っている為には、あの涙を忘れてはならないと思う。
それを忘れたとき、自分もこの狂った様な世界のルールに呑み込まれてしまうと思った。

それが怖かった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:17:20.00 ID:PsLYF0Q0<>:::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,......... ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:

  ガバッ ! !  ______            
        /:υ::─ニjjニ─ヾ 
      /:::li|.:( ○)三 ( ○)\
      (:::||!.:υ::::: (__人__)):::: i|
    〃 ):::::::::::.   |r┬-| li::::/      ____
      /: : : : : : l\`ー '/j: : ::ヽ      ||13: 00 || |
    \ヽ :ヽ: : : : 7ヽ />: : : :r:\      ̄ ̄ ̄ ̄
     ( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ 
      ヽ               \  

目を覚ますと休憩室だった。
気を失ってから大した時間は経っていなかった。
湿布が貼られているが、大して痛みは残っていない。

外に出ると被害者の父親がわびてきた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:18:28.53 ID:PsLYF0Q0<>     /   /⌒ヽ. / , 〜-、 `i==F‐-=ニ..レV
.   __フ    〈 r~)/ | )  。 >/  /'"⌒") /     
    >    /こ'/ / \`U''^ /  ヽ-゚u-' /|
  /     〈 し'/ /   u  ̄  u   ト-‐ヤ′ゝ     す、すみま・・・せん・・・
 ∠.._____,>|/u __O ( __  u | O |_ \
 _____ヽヽ____| | / /┴-L工じ┬`、_ノ-、 / | ̄`‐- ..._
    ||  | | 〈 ノ__     ̄~"'''┴/ / | ̄`―- 、ハ   
     || | | ヽ.`┴┴工工┬┬┬r/ | ,!      /  ヽ
      || .| `、 \_U    v ̄ ̄ ̄ / ./       / 


やる夫は心に痛みを感じた。

詫びるのは・・・あんたじゃないお・・・
そう言う事しか出来なかった。

こんな社会のルールが、こんな男をたくさん産み続けていく。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:20:53.28 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  あんたは・・・悪くないお・・・
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /
 
復讐の為に命を張ったあの父親にだぶる。
そして思う。
自分はこんな目の前の人間一人救えないのだと。



犯人は手の届かないところにいる。
あの犯人も、数年すれば更正プログラムによって過去を不問にされて社会復帰するのだろう。
水銀燈が弁護に付く以上、その可能性は非常に高い。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:22:07.41 ID:PsLYF0Q0<>
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \    あんたは・・・ぜんぜん・・・悪くなんて・・・
  / o゚((○)) ((○))゚o \  
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /

最後まで言えなかった。
何を言っても、空々しく聞こえてしまいそうで・・・何も言えなかった。

ここに残ると決めた時から、こういう事が起きるのは覚悟していたはずだ。
それでも、慣れる事はなかった。



・・・ただ、涙だけがあふれた。




 前半終了<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 04:51:25.15 ID:TbTdlXAo<>乙乙

題名からまさかやるおシリーズとは思わんかったよ。
面白かった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 10:11:35.81 ID:PsLYF0Q0<>
     ___
   く/',二二ヽ>
   |l |ノノイハ))  
   |l |リ゚ ー゚ノl|  
   ノl ハ∨/^ヽ   
   ノ::[三ノ 

後半は明日か明後日を予定しております。
お暇ならお越しくださいませ。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/28(月) 21:47:21.99 ID:rdMbIADO<>おおぅ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/09/29(火) 00:14:42.64 ID:V/S9evko<>これは続きが非常に気になる。
暇じゃなくても絶対に見るよ!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:13:42.69 ID:.OVXiUg0<>友愛社会になくころに @ 後編


     ___
   く/',二二ヽ>
   |l |ノノイハ))  
   |l |リ゚ ー゚ノl|  
   ノl ハ∨/^ヽ   
   ノ::[三ノ 


それでは、後編を始めさせていただきます。



文字ばっかりの過疎スレです。

実際の団体、その他いろいろな現実とは無関係です。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:14:34.90 ID:.OVXiUg0<>              .:::::::;'      犯罪者の速やかなる更正は      ';:::::::.
             :::::::::i                                      l::::::::.
          ::::::::::!       愛のテーマだ。                   i::::::::
            :::                                  :::
                  罪を憎んで人を憎まず、更正する機会を与える
                                                   ̄ ̄ ̄
            __,. -┐    復讐じみた厳罰化は野蛮人の所業
_ ,. -‐ '' ´   :::::::::',                            r::-  _
               :::::::::'、     友愛精神こそ日本を救う!         /::::::::   ´` '
                ::::::::':、                           ,.:':::::::
                 ::::::::ヽ         / ̄\         /:::::::
                ::::::::丶        |友 愛 |        ,.::'::::::::::
                 ::::/  ,:、     \_/      _,..:'::::::::::
                  /   ,..':::::::> γ⌒ ´´ ⌒\ ... く::::::::::
             /   ,.::::::::  // ""´ ⌒\ )`、 \
              /    ,.∩     .i /  \ 愛 /  i ). `、 \∩
          /     , ' l ヽ∩  i   (・ )` ´( ・) i,/   ∩ノ j
       /     ,    ヽ ノ   l    (__人_).  |   ヽ  ノ \
       /      , '      | ヽ   \   `ーu'  /   /  j    \
    /      , '      \   ̄           ̄   / `、   \
  ./       , '           \              /   `、   \
日本友愛党による刑法改正が行われたのは数年前。

『友愛精神に基づく、犯罪者更正を主目的とした刑法の改正』

俗称・友愛刑法。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:16:29.58 ID:.OVXiUg0<>
                  ..--‐‐‐‐‐‐‐‐---..,
                 (;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::\
                 //        ヽ::::::::::|
                .// .....    ........ /::::::::::::|
             /) ||   .)  (     \::::::::|
            ///)-=・‐.  ‐=・=-  |;;/⌒i
          /,.=゙''"/ | 'ー .ノ  'ー-‐'    ).|
    /     i f ,.r='"-‐'つ ノ(、_,、_)\      ノ   あ?とりあえず公約に入れとけや
   /      /   _,.-‐'~ |.   ___  \    |_
     /   ,i   ,二ニ⊃ |  くェェュュゝ     /|:\_
    /    ノ    il゙フ   ヽ  ー--‐     //:::::::::::::
       ,イ「ト、  ,!,!     /\___  / /:::::::::::::::
      / iトヾヽ_/ィ"   /::::::::|\   /  /:::::::::::::::::


日本友愛党の選挙公約には、友愛に基づく社会の創設があった。

隣人を愛し、他人を許し、他人を守る。

そう言った言葉は奇麗事という批判も受けたが、競争社会に疲れきっていた人々の心に染み込んだ。
年配層は一昔前の核家族的な日本を想像した。
若者は協力し合う事で不必要な競争社会から逃れる事を望んだ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:17:21.98 ID:.OVXiUg0<>                 ヾニニ⊃ ,`'∪ ⊂ニ-‐' ` z.       
       _   _         /  yWV∨∨VVv` 
       >  `´  <        |  i' -== u ==ゝ.  
.     /     M   ミ       |r 、| , =   =、 !
     l  ,ィ卅ノ uゞト、.ゝ      |!.6||v ー-゚ l   l゚-‐' | 
      |  |「((_・)ニ(・_))!      |ヽ」!  u' L___」 v |   ,'       // イノ  \ ヽ  ゝ
     |(6|! v L_.」 u リ      | /l.メ ,.-─--‐-、 |   /      /`/ィ'__> u /∠ヽ! .!
   /| ,イ )⊂ニ⊃( !\     | / l  ー-─‐-‐' ! /     /⌒y' ==== _  ,'== レ、 !
.-‐''7  |/  `ー-、ニ,.-イ  ト.、  /l/   ヽ.   =   /ト7    l.{ヾ!,'  `≠°' ゙゙ 〈≠゚.y/ i
  /  |         |. ⊥ -‐'1_|\   ` ー--‐ ' ノ /      ヽ,リ   u u  r __ ヽ. ,'/ !
    ∩00  ∩   ,イ´     l__l  \     /_,. '-‐''7!     ト、   v  ___ーY1  |
 ⊂ニニ ⊃ ⊂ ニ )-- 、     ヽ、,ゝ、 _,,.ゝ-‐'''"´     /.!     !. \.   └-----' / |\.|
  ,. ---ゝ )   | レ'/⌒ヽヽ     ヽ/ヽ          /, ! i    |   \.    ー /  |.  \
. ( (´ ̄ ̄   / /     ノ.ノ ○ ○ /   l         / 1|! l  |     \    ,イ   !
  ヾニニ⊃ `'∪ ⊂ニ-‐'      /    |         /   !| ‖ |\    \, ' | ‖|



人は機会があれば変われるという言葉と、罪を憎んで人を憎まずという言葉。
それは誰もが否定しきれない奇麗な言葉だった。

その過程で犯罪者の更正を主とする法律が生まれたのも当たり前の事だったのかもしれない。

しかし、その本来の意図は当の犯罪者には理解されなかったようだ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:18:14.81 ID:.OVXiUg0<>             |友愛社会は人々の楽園なんだ。
            |それを支持する事は、進歩的文化人としては当然なんだよ。
─- 、         ヽ.君が友愛を語るに相応しいから言っているんだ!
    ヽ _        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)ノ ̄ ̄ ̄ ̄
     ´ <               / ̄ ̄ ̄`¬_          ´
       ,  ヾ            /        , ヽ    ,r'⌒"⌒ヽ
     /、Wヽ!            i        /_V    l.  八   ヽ
    ,、 ノ\゙|             |       rf「¨=;「l    | fニヽ ゝ==_}
  r// l==i|             l        `{{|ij ニK   (ト--仆--イj
 { | | .| ーl.         ,、-nn/|.      /lr',ニヒ′  /l t-`='ーァハ
 ヽ! !.| u | l    _,  -‐UJJJ| : :ト、--‐''''"´  | `,コニニニ7 ハ `ニ´ / |ニ''_‐- _
.   U|   L.」二_'''¬┐: : : : : : :.|: : :| \.    _」_;j    l  ト、`ー‐イ. |   '''‐ 、ハ
   ヽ⊂=ゝ__./ `ヽ ゙ .l: : : : : : : | : : l  冫 ,..イ: |: lヽ    |  |/.ハ ハl  |     | |
    \.r' P }: : : :}  }| : : : : : : |: : : l / .| ハ l: : | :|: |   !  |/./ハハヽ|  |.     |. |
. /`'''‐、 ヾ ヽ. `ー'  .'| : : : : : : l: : : :|   ||o`|: : |: |: |  |.  |//ト::イト、|  |.____ | |
/_   \ l/:\     _.」: : : : : : :|: : : :|   |.  | : :L:|/|  > |/| |l::l|.| ||<☆☆☆|レ'' |
: : : :  ̄`'''‐ゝ、.:_ヽ./  \ : : : : > : |   |o | くァ||:/|  |. || | ||::||| l|. l___l|/ |
: : : : : : : : : : : : : : `'''‐- 、.__ヽ: : : :|: : : |   |   | : |」|:,/|  | || | ||:::|.| |. |    │/.|

本来の意味すら薄れていく中で、言葉に対してのイメージだけが先行していく。
友愛社会を否定する人々は、そんな中で言葉を封じられていった。

差別主義者、野蛮人、右翼・・・
あらゆるレッテルが世の中に舞っていた。


強固になりつつある思想社会が訪れようとしているのかもしれない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:19:31.85 ID:.OVXiUg0<>

    /´ ̄ ̄ ̄`丶-‐z__
    /            ≦、  
   ,'          /ニヽ、ゝ
   |       ,ィ/レ'\_, >``   
   |    r=| | ̄=。==~「|     
   |    |ニ| | u `二´ U\     
   |    ヾ,U    __ノ┌_ \  ちょっと待ってくれ。
   ,.|    /ヽ /==-┬` ̄   もしかして・・・かなり・・・やばいんじゃないのか?
 / \/   ヽ u ⊂ニ.\   
'" \   \   `ー┬‐r┘ /     
   \   \_/l L_  /      
      \_ \| |/ |ェェェェ|       
       /  |く/|  |

その危険性を知る者もいるが、友愛という綺麗な言葉を表立って否定するだけの人間はいなかった。
誰だって非人道的、野蛮、その他の誹謗中傷など受けたくはない。


なにより、政権を獲った日本友愛党が単独過半数の力を持って政治を動かしている。
それは、少数意見を封じるだけの力があった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:20:42.27 ID:.OVXiUg0<>
    /::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::\ 
  /:::::::::::ノー―´ ̄|::::::::::: \         
 /:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::|:::::    \      
/:::::::/ ̄::::::::::::::::::::::::::::::\_     |       
|::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |    |      
ヽ::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |    |     
 ヽ|::::::::::::::::::::::ノ=\:::::: ヽ、/´ヽ     
  |:::::::::::::::::::::ヽ_○/::     )/     
  /:::::::::::::::/  ::::::::      /   君には友愛が足りないんじゃないのか?
 (:::::::::::::::(   )ー      |ノ      
  ヽ::::::::::::::::!~        丿        
   |:::::::::::r―---ゝ ヽ   /|:\      
   \::::::::`ニニニ´ ノ  / /:::/       
    /:`ヽ:::ヽ〜   /  /::::::::::::::  


その言葉はあらゆる者にとって危険信号だった。
まるで非国民と言われる事が、社会からの排斥と同義であった大昔の様に。

友愛という言葉は今や、人々を縛る言葉になりつつある。


しかし、人々はそれを日常として受け入れつつあった・・・



友愛社会という名前の日常を。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:21:57.63 ID:.OVXiUg0<>:::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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       ,.........

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       ,.........

      / ̄ ̄ ̄\
    /::::ノ:::::  ヽ、_ \   
   /:::::( ○)}liil{(○) \   
   |::::U::::::: (__人__)    | ちょ・・・
   \:::::::ヽ |!!il|!|!l| / /    
   /      | ̄|´     \
  く      ri_l      ヽ   
    \   >!、_彡
      \   /


ある日、やる夫の携帯に電話が掛かってきた。
病院からの連絡で、やらない夫が負傷して送られてきたと言うものだった。

やらない夫の私物の中にやる夫の名刺が入っていたので連絡したと言う事だった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:22:51.26 ID:.OVXiUg0<>
   / ̄三\
 /;;;; _ノ 三 \ 
 |;;;;;;;   ( ○)(○)  
. |;;;;;    (__人__)   悪いな・・・来てもらってよ・・・
  |;;;    ` ⌒´ノ 
.  |;;;;        } 
.  ヽ;;;       }  
   ヽ;;;l    ノ  

病院へ駆けつけると、やらない夫がベッドから起き上がった。

顔に貼られた絆創膏が痛々しい。
痣が出来た顔は腫れ上がっていた。

あちこち包帯だらけだが、命には別状が無いと聞いて、やる夫はほっとした。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:24:10.22 ID:.OVXiUg0<>
       ___
     /   ヽ、_ \       
    /(● ) (● ) \   な、なんだお?車にでも跳ねられたんかお?
  /:::⌒(__人__)⌒::::: \    
  |  l^l^lnー'´       |
  \ヽ   L        /    
     ゝ  ノ
   /   /  

殊更素っ気無く言うが、ここに来て無事な姿を見るまでは内心かなり焦っていた。

最近いろいろと物騒な事件が多い。
犯罪を犯して捕まっても友愛刑法が守ってくれる・・・そんな事を口走る犯罪者もいるくらいだ。

厄介な社会になっている。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:29:23.44 ID:.OVXiUg0<>
   / ̄三\
 /;;;; _ノ 三 \ 
 |;;;;;;;   ( ○)(○)  
. |;;;;;    (__人__)  ・・・俺の事はいいんだけどよ・・・
  |;;;    ` ⌒´ノ 
.  |;;;;        } 
.  ヽ;;;       }  
   ヽ;;;l    ノ 

長年、あの事件を追ってようやく当時の人間の現在を知った・・・とやらない夫は話した。
主犯格の二名は既に死亡しており、裁判にこそならなかったが関与したと思われる者も行方不明だったり死んでいたという。



友愛刑法の更正プログラムは、許可無く過去の犯罪履歴の閲覧を禁止している。
その為、少し調べるにしてもコネと金と若干の権力が必要になる。

警察官でもおいそれと閲覧できない内容を、やらない夫は執念深く追ったらしい。


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:30:43.09 ID:.OVXiUg0<>
   / ̄三\
 /;;;; _ノ 三 \ 
 |;;;;;;;   ( ○)(○)  
. |;;;;;    (__人__)   それでも生きている奴をみつけたんだが・・・
  |;;;    ` ⌒´ノ 
.  |;;;;        } 
.  ヽ;;;       }  
   ヽ;;;l    ノ 


そして見つけ出した生き残りの所へ訪ねて行った。
そいつが犯罪に関与しているかどうかは確実ではないが、真犯人の証言をしてもらおうと考えていた。

もちろん、素直に応じない場合は脅す気だった。
やらない夫の中には、何度も上塗りされた怒りがあった。

この期に及んで黙秘などさせる気はなかった。

・・・自分はもう警察官ではないと自覚していたから。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:32:42.34 ID:.OVXiUg0<>

   / ̄三\
 /;;;; _ノ 三 \ 
 |;;;;;;;   ( ○)(○)  
. |;;;;;    (__人__)   死に掛けだった・・・
  |;;;    ` ⌒´ノ 
.  |;;;;        } 
.  ヽ;;;       }  
   ヽ;;;l    ノ 

その住所に行くと、ドアが開けっ放しになっており、人の気配がした。

中を覗くと同時に漂ってくる血の匂い。
慌てて不法侵入したところ、虫の息の男が倒れていた。
死なせる訳にはいかないので直ぐに救急車を呼んだやらない夫。

その男がやらない夫の袖を掴んだ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:35:39.68 ID:.OVXiUg0<>     .>: :`: : :′: :′:∠.._
   ∠: : : : : : : : : : : : : : :<  っ      
   /: : : : : : :,ィ: ハ: : 、 : : :、-ゝ  っ        
    !: : : : :,ィ/‐|/u ゝ|_ト、i : :ヽ  っ
.   |: : : :イr‐'⌒  '´。 ろNヽ!        くそ、くそ・・・
    |: r=i.l. し、 ゚ィ.  t'u‐'~|   r(ヽr.、  あの・・・マコトめ・・・   
   j |「_|luの U.〉u' ヽ,の{   ヽ.ヽヽ(ヽ.
   ,ノ :`ー|| rェェfェu=ijテエi|   n l 」_| {. l  
, -r''T¨l : :l.l }.-─-r--ー-j|ーr-:l ,}_.j   ` .|   
:l::::|::::|:::| : | l.Lェェェェェ'ン.!:::l:::::lヽ `ヽ ノ |  
::l::::l:::::l:::l: :l. ヽ. u~-ー  ,.イ::/::::/:::ハ、_ '  _.!
:::\ヽ::ヽヾト、_ ` ー-‐''7l;リ:'::/:::/:::|:::: ̄::::::l   
:::::::: \::::::::| ヽニニニニ7: :|::::::::/:::::::|:::::::::::::::ヽ

荒い息の下から、男は悔しそうに泣いていた。

沈黙すれば金、余計な事を言ったら[ピーーー]・・・そう言われたと白状した。
やらない夫の予想通り、あの墓場生き埋め事件の主犯格は市長の馬鹿息子だったらしい。

貴重な証言者だ。
喜びが警戒心を飲み込んだ。


・・・衝撃が走り、視界が暗転した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:39:05.35 ID:.OVXiUg0<>   ',l lヽ、ヽ` i..:::l  ヽ    ̄ // , //
   ヽl', `ヽ_ト ̄   、     ノl /,-/ヽ     困りますね・・・邪魔してもらっては・・・
    ノ l li lヽ、   -   ,,,,,/-‐''''""''―-、
    /  ,ヽ',   ` ‐,- -‐''"~~~
,,,,,-―''"'')`iヽ}、-‐'"ヽ、  _, -‐'"~ ̄'/ヽ
     ) )/'´ ,--、 >' lヽヽ、    ) ノ
>'´ ̄"''"(~/ _  ̄`Y l | > ヽ   (`/
     ) l     ̄`y'  | `´/  iノ

丁寧な口調ではあるが、冷たい、感情のない女の声だった。
ぼんやりとした視界では、その女の顔も表情も見えない。

気がついたのは病院のベッドの上。
”泥酔状態”で道路で倒れている所を発見されたのだという。



<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:40:31.41 ID:.OVXiUg0<>
   / ̄三\
 /;;;; _ノ 三 \ 
 |;;;;;;;   ( ○)(○)  
. |;;;;;    (__人__)   くそ・・・あと、あとすこしなんだ・・・
  |;;;    ` ⌒´ノ 
.  |;;;;        } 
.  ヽ;;;       }  
   ヽ;;;l    ノ 

命が助かっただけマシなんだろうが、それでも諦めきれない。
自分の事務所の人間をやって密かに調べさせたが、あの男はいなかった。

警察に匿名で”異臭がする”と通報させたが、家の中に犯罪を想起させる物は何もなかったという。


何らかの組織が関与している可能性がある。
やる夫にも十分気をつけろと言うやらない夫。
もし調べるなら、事務所に資料保管庫の鍵があるから持っていて良いといった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:41:53.07 ID:.OVXiUg0<>
            ____
  +        ./ \  /\ キリッ
        / (●)  (●)\   
      /   ⌒ノ(、_, )ヽ⌒  \   まかせるお!現役刑事を襲うほど馬鹿はいないお!
      |      `-=ニ=-      |
      \      `ー'´     / +

ハッタリだった。
警官だろうがなんだろうが、大した罪にならないのであれば、ためらいなく襲ってくるのが昨今の犯罪事情だ。
それでも、やらない夫の人生を賭けた事を無にする気などない。

自分もまた、あの時、悔し涙を流した一人なのだから。


やる夫は緊張と期待の狭間で揺れた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:43:56.62 ID:.OVXiUg0<>::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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       ,.........

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       :;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:

  ./U u`ーし‐'     U   .l |(^) |      |   
∠__ )  O ーU-、\.  .| .|___ノ     |
   <_____  ヽ   .Vヽ      |  ・・・・・・
     └┴┴┴┴`i  l  /  \     |      
      ┌┬┬┬rノ    /     \    |\  
     匚 ̄ ̄ ̄ ̄u.   /       \/    
      |   U  u    /       /      
        l_____/       /      
                  /   

娘の復讐の為に全てを投げ打って事件を引き起こした父親。

犯人だけ守られ、被害者は見捨てられていると語った父親。


淡々とした口調からは、心のうちまでは計り知れない。

だが、殺人と言う方法を採るほどに、彼は追い詰められていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:44:52.07 ID:.OVXiUg0<>
 .:.:.:.|.:.:.:l.:.:.:.:.:.  |、:ヽ.l ーjj´           `i ´lV:,〈 }:l ′
 .:.:.:.j.:.|:.:.!:.:.:.:.:.: l ヽ:.ヽ、li          / /イ: lソ′
.:.:.:.:/|:.:|:.:ハ:.:.:.:.:.:. l  ヽ.ヽl!、      __ ,   ,リ:. l l
:.:.:/.:.|:.:l.:.:.:.ト:.:.:.:.:. l   \ヽ     i´‐´ ̄j  /!:.:.ハ !
 ̄ ` l:.:ト、:.:.: ヽ:.:.: ヽ   ` ー    ー‐ ニ  / }:/j j/
    ヽトヽ:.: l:.:ヽ: l    ヽ、         / j'://   
     ヽ、 ヽ: ト\lヽ、     `丶       / /´
       ` i: l ヽト、 ` ァiー---` 、_j-i<
        l l  |   / |:.:|:.:.:.:.:.:.:.  !  ヽ
        |:|     /  !:.lヽ.:.:.:.:.:.: !   ',


肉親を奪われ、家族をばらばらにされた少女。

何も出来ない事に対しての・・・無力な涙。

静かに流れる涙は、かえって心を穿つ。

やる夫とやらない夫の人生に深く影響を与えた二つの事件。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:46:38.85 ID:.OVXiUg0<>
      / ̄ ̄\ 落ち着け
    /   _ノ  \
    | u   ( ●)(●)   ____ は、犯罪者なんて、かたっぱしっしs・・・!
.    |     (__人__)  /:::::::::  u\
     |     ` ⌒´ノ/ノ└ \,三_ノ\    ,∩__
.     |        /::::::⌒( ●)三(●)\ fつuu
.     ヽ       |:::::::::::::::::⌒(__人__)⌒ |  |   |
      ヽ      \::::::::::   ` ⌒´   ,/ _ |   |
    /  ̄\   /⌒ .ヽ          i    丿
    |  ヽ、 \/   /(⌒)       ξ) ̄ ̄´
        \ ./   / /         |


やりきれない思いは、怒りへと取って代わる。

せめて自分達が悪党を捕まえなくて、誰がやるというのか?
そんな焦燥感に満ちた思い。

だが、思い知らされるのは組織の壁、法律の壁、友愛社会の壁。
そして自分の無力。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:48:14.76 ID:.OVXiUg0<>
     ____
   /      \
  /  _ノ  ヽ__\
/.    (ー)  (●) \.     
|  .     (__人__)    |     ・・・
/     ∩ノ ⊃   /      
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


やらない夫が己の意志を貫く為に警察を辞めたとき、なぜ自分は残ったのだろうか?
そう思う時がある。
そんな答える気もない疑問を繰り返していた。


単に、怖いだけだ。
警察という背後を失った時に感じるであろう、更なる無力感が。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:50:01.57 ID:.OVXiUg0<>
        r──────‐:┐
.      | ,.へ、..___./ヽ. |
.      l /   ====   ヽ.|
.      | F=‐-_ll  L-‐=ゝ!.|
     r:|.l ==。=,   =。== |.|.、 
      {(!|. `二.l.   l.二´ ||).} なあ?やる夫君?
      ヽ|!/rー' L__」 ー 、`|!ソ  
.    _/| l ー───一 | | ヽ._
    ̄ |  ト.、,. -‐==、 ,/|  |  ̄
.    |  |/ ∠Hニニ、 ´/ |.  |
.     | /  ,r‐|.|==‐'<.  |   |
    | / ,'  r‐|,|ー- ' \│ │

『うどんの種を撒き、うどん畑を耕して、うどんの実を収穫する。うどん業はエコライフらしいじゃないか?それに、三食うどんの生活も悪くないだろう?朝は緑

のたぬき、昼は黒い豚、夜は赤い狐、春はカレーうどん、夏は冷やしうどん、秋はちゃんこうどん、冬は鍋焼きうどん・・・いいねえうどん三昧。うどん王国へ転

勤してみるか?』

問題を起こして上司に怒られ、あげくに島流しキャリアのお守りを押し付けられても何も言えなかった。

想いを上塗りし続けた無力感だけがあった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:51:00.14 ID:.OVXiUg0<>
     /      \
    /   :::─:::::::─\
  /    <●>:::::<●> \  
  |       (__人__)   |  
  /     ∩ノ ⊃  /
  (  \ / _ノ |  |  ・・・・・・・・・・・
  .\ “  /___|  |
    \ /___ /

やらない夫が追い詰めた事件の真相。
この機会を逃し、日常に逃げてしまえば今まで通り淡々とした毎日だ。

だが、それはゆっくりと腐っていく事だと、ここ数年でようやく理解していた。
逃げた先には何もないと判っていた。

ようやく、一歩進める・・・
やる夫は湧き上がる何かを感じていた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:52:24.13 ID:.OVXiUg0<>::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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       ,.........

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       :;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:


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        /          .\
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      |   (●):::::(●)  |      
     \   (__人__) __,/     ・・・
     /   ` ⌒´   \
   _/((┃))______i |
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄| ̄ ̄ ̄(,,ノ \
/  /_____|____ヽ..  \


その日、やらない夫から引き継いだ資料を整理していた。
流石に警察を辞めてまであの事件に関わっただけの事はある。

あの市長とその息子が事件に関与していた可能性が高いと改めて感じていた。
これを使えば、再捜査出来るかもしれない。

あと細部を詰めていけば、上を説得できるかもしれない。
それがどれだけ困難でも、やる価値があると思った。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:55:26.59 ID:.OVXiUg0<>       ___
     /\  ,_ \
    /(ー )゛(ー ) \      …………
  /:::⌒(__人__)    \
  |  l^l^ln ⌒´       |
  \ヽ   L        /
     ゝ  ノ
   /   /


一方で、市長と水銀燈の関係は不明のままだ。
隙を見せるとは思えないあの黒衣の悪魔のことだ。

あのルートで市長を追い詰めるのは無理だと思う。
警察もあの弁護士と正面切って事を構えるだけの気概がある人間はいないだろう。

それは・・・認めざるを得ない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:56:32.70 ID:.OVXiUg0<>
          /    / // /       ヽ\
.         /    // // l/         ヽ丶
        / l / r―/ l  | ハ l ヽ   ト、}
         l  l'   レ7l l  ハ !_ ヽ.ト、 |ハ、 l ノ
         l  l  / ハl l  { l/ `ヽ! ヽf,r、l  !
        /  l / 〃,くl !   レf示r'    lリ/ ! |
.       / // ∨lハ (_! l  ハト辷リ   、´l   l
      / // l   l \l |ノ〃ノ r'フ   _ ノ/ /
       |/ l  l   ヽ l | ||Y 〈__´/ ′/
.     | /{  ト、   ヽヽヽ、     `ヽ, ノ  ・・・・・・・・・・
.      l/ ', ト,l\  ト.}⌒ ̄`ヽ、_,   r′
.     /  ヽヽ.\\ノノ      \   '、
    /    ` \          l\  ヽ
.   /     `,               ヽ \ ヽ
   /      l                 `, 丶
.  /        ヽ ヽ                  }  ',

そんなやる夫を警部補は黙って見ているだけで何も言わなかった。

所轄に飛ばされた警部補は遊軍的扱いで、勝手に行動しても殆ど干渉されていない。
そんな人物のお守り役というやる夫も、同じく不干渉、悪く言えばハブだ。

その点、縦社会らしからぬ不干渉があった。
だが、今はそれが都合よかった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 11:58:28.37 ID:.OVXiUg0<>
       ____
     /      \
   / ─    ─ \
  /   (●)  (●)   \ ・・・・・
  |      (__人__)    |    
  \     ` ⌒´     /

ふと、暇そうな警部補を巻き込んだらどうだろうか?と思っていた。

聞けば、かなり優秀だったらしい。
それなりにコネも伝もあるはずだ。

・・・そんな人が何をやらかしたのか判らない所が不気味ではあるが。


開き直りにも似た感情がやる夫を支配していた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:03:00.94 ID:.OVXiUg0<>
     ____
   /      \
  /  _ノ  ヽ__\
/.    (ー)  (●) \.     
|  .     (__人__)    |     
/     ∩ノ ⊃   /      
(  \ / _ノ |  |   ・・・え?
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

堺川で死体が見つかったと言う報を受けたのは、涼宮警部補をこの調査に巻き込もうと決心した時だった。
やる夫は話を先送りにする事にした。

なにしろ、襲い掛かる様な連中が関わっているのだ。
誰に話すにしても、慎重に進める必要がある。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:05:24.12 ID:.OVXiUg0<>. : ∴∵   ....... :  .:|  . =-―‐‐ /0      ',-,,,_  ‐-,,,_
.. : :     ....:: :: . :::::::\_,,;-‐=ニ二_{o       :}_二ニ=-‐'''~
∵     ::..::   .:::::::  | ~'''‐-  ヽ ~~"'''―-----―'''
      ∵::  :::∵/ ̄ ̄ ̄\.   |ヽ、___,.,/  ∴∵
    ∴∵::.  ::/ ::\:::::::/:::: \ /   ::/   ∵
    ∵∴:: .::::   <●>;::::::<●>  \...:∴::  
  ∵:..:.: /⌒ヽ::l⌒`i (__人__)    |∵::   
  :/⌒ヽ|  |;; ;|  | ` ⌒´    /∴::   勝つるお!!!!
 (  ヽ;;ヽ__ノ;;; ヽ__ノ ! ̄ ̄ ̄ ̄
 >‐' /´.:.:.:.::::::::::::ヽ`ト、 .:∴::  . ∴∵∴  
( : :/0   .:.:.:.::::::::::::', :    .. ...::∴
∵ |o    .:.:.:.:::::::::::::}: :: ..... ::∵

上司の説得もあるし、その材料を揃えるのもまだ時間はかかる。
その間に邪魔されたくなかった。
そうは言っても市長の所在はハッキリしているし、馬鹿息子に関しても探せない訳ではないだろう。

時間の問題だ。

この時は、そんな”楽観的”に考えていた。
目標に手が届きそうだという、自分の中だけにある楽観に過ぎないのだが・・・

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:07:51.86 ID:.OVXiUg0<>   .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,.........

..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:
       :;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:

                      ,ィ^、
                      }Y^ト、
        、__    __ . ../ キハ: :'.
         ミ_ュ<ニ-:'´: : : : :、: ミ:ー、}: : ヽ
            ゙}〉´: : : : : :,: : : \ヽ: ヽ: : ト、
         /: : :./: : : /: /: |: : :Y: : :ヽ: : ヽ
         /: : : :|: : :./: /|: :ト、:.,イ: : : : ',: : :',
        .':|:i: |:.ハ: :/ト:/_ィ升_V_|: : : : : !: : :l
        ハ|: |リェYj∧´''ヒiソノ|: : : : : !: : :|
          j从'ヒiア    ::::::::: '|: : : : : |: : :|  ったく、最近の若いモンは!・・・
           }: ', ::::〈         |:i: : : : :|: : :|
          |:八   r 、    |:|: : : : :|: :.:|
          ト、:.:\ ゝ '   _ |:|: : : : :|: : |
          |/\: :>、_ <   !:i: : : : :|: : |
             ノ: : ::≧_: : : \   i: !: : : : |: : {
          ,: : /   `丶: ヽ  ヽ丶: : :.',: :ヽ
         /:./ _ -‐   ハ: : :',   \ヽ: :ヽ: : 丶

土手を降りて現場に着くと、鑑識課長のホロがぶつぶつと文句を言っていた。

どうやら若手が死体を見て吐き気を催したようだった。
先ほどすれ違った鑑識官の服を着た若者が、土手の下辺りで蹲っている。


・・・鑑識課長が出てくるとは、この事件普通じゃないのかもしれない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:13:06.68 ID:.OVXiUg0<>
                      , - ─- 、_
                /        `丶
                rー‐<::/ ン-―ー- 、   、 \
           {(こ 〆.:::/  ____ \ ヽ..::::ヽ
           __/'´/  〃7了.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.j ::ヤ¬寸
         /,イ>/ .:::/,':::{:::::!:::::::::::::::::ヽ ::|:. ::::Vヽ_,イ
         レ/,イ ::/ :{:ハ\{ ::、::ヽ ::::::}::_|_: :::::l >::|
          {/::| :!{.::ィ'f坏ト\{ヽ ,><ム:!:::::::: Kヽ:ト、
            |::::ヽ::i:ヽi. r'_;メ  ヽ´ イ圷ハ|::::::::::|\/ヽ>
            |i:::::::トl::ハ.     ,    r';ン´j::::::::: l: V
            |i::::::::!:::: ヘ  {>ーァ   /:!::::::::/::/
            lN:ヽ:ヽ::',:::ヽ、ヽ _,ノ  ,.ィ::/::::::/ /
              ヾ /}::}八::::ヽ>.-‐か/7::/∨   ついに私の出番って訳ね!!
          r<¨ リ\`ヽ、\__ {  〉/イ l  )}
          f⌒ \ \ヽ  )' \ニニ∧ | |!彡ヘ
          |    \ ヽム    ヽ‐' .| | }ヘ,__,イ

久しぶりにやる気を出しているようだが、こう言った事件では本庁が捜査の指揮をとり、所轄は下働きだ。
あちこち動き回っているが、そのうち本庁刑事部からクレームが入るだろう。

とは言え、涼宮警部補が得体の知れない不発弾である事は周辺所轄にも知れ渡っているので、好きにやらせておくのかもしれないが・・・

本当に、何をやって島流しになったのか判らない人だった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:15:11.37 ID:.OVXiUg0<>
     ____
   /      \    
  /  /    ―\   
/    (●)  (●) \    
|       (__人__)    | ・・・どんな感じですかお?
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ / 
           
そんな警部補は放っておく事にした。


やる夫はホロに挨拶に行った後に尋ねた。
ホロはやる夫が警察に入る前から鑑識にいるベテランだ。

しかも不発弾と一緒にいるやる夫にも普通に接してくれる。

変わり者で有名だが、ありがたい人物だった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:18:55.36 ID:.OVXiUg0<>
              / Y
             ノ∧{         ノム
            .: :/ ミハー-- . ._ _. -彡'//
            /: :/,/ ̄: : : : : : : `:< /:/
            _/: :/: : :/: : : : : : : : : : : :`〈
         /  /. . ./, : : : : : : : 、. . . . .  ヽ
           '. .:/: : : :l:{:.:/|{: :|!:.:.:/!: : l!: : : : :ハ
        i: :.i: : : : :|:乂」ム从:./ }: :イ|!: } |:i: }!
           i:.:.!: : :!: :|トィrテミ、ヽ{ /ノィ从// }/
         i:.:|: : :|: :.ik 辷ソ    {Jリ〉/イ
            i:.:|: : :i: : i `´    ヽ`¨´ム: }ん〜?ああ、そうじゃな
         i:.:|: : :i: : i      ′ 八:.!
          _}:ハ: : ヽ: :ト.   ´` .,イ: : :/
        (三ニヽ: : 、:.∧ ` ァ:イ:.:/. .:./
        _入\三ヽ:丶: \ {_/:.:/: : イ
       /三三\\三ニ=-/)アX⌒Y/ノ-、
     /三三三ニ≧、二>/   /ハソ ヽ三ミ、

ホロは手元の手帳を捲りながら淡々と説明してくれた。

体中に殴打による浮腫がある。
皮膚の五割近くが剥がされている。
四肢の腱が切られ、加えて粉砕骨折。
ただし、首から上だけは無傷。

ちなみに、生活反応あり。
人間の死体とは思えない壊れ具合だ。

加えて、妙な事がある・・・と言う。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:22:14.61 ID:.OVXiUg0<>     ____
   /      \   
  /─    ─  \    
/ (○)  (○)u  \  
|    (__人__)      |  
/     ∩ノ ⊃  /       ・・・     
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

           
生活反応があると言う事は生きているうちに傷がつけられたと言う事。

しかし、それ以上に妙だ・・・という言葉に興味を覚える。
ホロがそんな言い方をする事など滅多に無い。

それに正直、あの若い警官が何を見たのか興味があった。
仮にもホロの下で働く鑑識があの様だ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:24:16.21 ID:.OVXiUg0<>
:|: : : : : ://   |: :|: : : : : :j |:l  |:| {::::`ヽ\: : :ト、: :\: : : : :l  \|
:|: : : : : :|' |   .|: :!: : : : :./ .リ  レ ヽ::::::::} 〉:.:.| ヽ: :ヽ: : : :|
:|: : : : : :| .| /´l: :|: : : : /     ヽ `ー' ハ:.:j  ト|: :|ヽ:.:.:|
:|: : : : : :|/-、ヽ|ll:: : : :/    三 ." ̄  V   l ヽ| ヽ :j
:|: : : : : :|{:::::::::ヽlハ: :./;;    \ ゛'         l }|  V
:ヽ: : : : :| \::::::ノ/V       ヽ         |_/j
:: ::ヽ :: : lr‐、_,/ "        . j         |_ノ
:: :: ::ヽト lT~ "  ,   ,                  j
:: :: :: : | \l     ;;;      ,==ヾ、       /
:: :: :: : | | |  ;;;          /_,-‐"^ヾ     /
r―― | | |  ″        | |       `ー-/
ヽ  ̄ヽ l | |            | |        /


やる夫の目の前に転がっている死体。
壊れた人形の様に捩れ、ゆがみ、そして奇妙な姿勢で流木に括り付けられている。

その様はまるで出来の悪い案山子だ。

恐怖を貼り付けた瞳が何かを見ている・・・様な気がする。

酷い有様だ。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:25:16.04 ID:.OVXiUg0<>
              / Y
             ノ∧{         ノム
            .: :/ ミハー-- . ._ _. -彡'//
            /: :/,/ ̄: : : : : : : `:< /:/
            _/: :/: : :/: : : : : : : : : : : :`〈
         /  /. . ./, : : : : : : : 、. . . . .  ヽ
           '. .:/: : : :l:{:.:/|{: :|!:.:.:/!: : l!: : : : :ハ
        i: :.i: : : : :|:乂」ム从:./ }: :イ|!: } |:i: }!
           i:.:.!: : :!: :|トィrテミ、ヽ{ /ノィ从// }/
         i:.:|: : :|: :.ik 辷ソ    {Jリ〉/イ
            i:.:|: : :i: : i `´    ヽ`¨´ム: }   
         i:.:|: : :i: : i      ′ 八:.!
          _}:ハ: : ヽ: :ト.   ´` .,イ: : :/
        (三ニヽ: : 、:.∧ ` ァ:イ:.:/. .:./見た目の酷さじゃないぞ?
        _入\三ヽ:丶: \ {_/:.:/: : イ
       /三三\\三ニ=-/)アX⌒Y/ノ-、
     /三三三ニ≧、二>/   /ハソ ヽ三ミ


真っ青になっているやる夫にホロは注意した。

指差しているのは死体の中心部。

つまりは腹腔内部を見ろといっている。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:27:55.49 ID:.OVXiUg0<>
        ____
    /::::::─三三─\   
  /:::::::: ( ○)三(○)\ なかになにもいませんよ
  |::::::::::::::::::::(__人__)   |     
   \:::::::::   |r┬-|  ,/     
   ノ::::::::   `ー'´  \      


ほとんど空っぽだ。
赤と黒の襤褸切れの様な体だったので、ぱっと見た時は判らなかった。
吐き気を堪えて良く見れば、内臓がほとんど失われている。

野犬か何かに食われたのだと思った。

しかし・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:28:57.29 ID:.OVXiUg0<>          i: : : : : : : : : : : : : : ,.': : : : : : : :/:.: : :,':.: : :.i: : : : : : : : : :i : : : : : ',
       l: : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : :.:./:.:.:.:. :i:.:. :.:.:l:.:.:.: : : ,':.: : :.l: : :.!: : :.i
.       l: : : : : : : : : : : : : ,': : : : : : :.:./:.:.l:.:i:.:.l:.:.i :./l:.:.:.: : /: : : : l:. : :l :.i: :l
       l: : : : : : : : : : : : : i: : : : : : :.:/ハ:lヽl、:l:.:.:l/ l:.i:./:.ハ:.: :./:.:.i:.:l:. :l: l
.      !: : : : : : : : : : : : :.l:: : : : : :.:.,':l  '" ̄リ ̄ハヽlル'l/  l: :/ l:.:,':.:l:.:/l:.l
      l: : : : : : : : : : : : : l: : : : : : ::l: l. r r─==、ヽ    '⌒>:.l/l:.:.l:/ l:,'
.      ,': : : : : : : : : : : : ::i::: : : : : :::i: l ヽヽ::::::ノ_     /=、/:/l lル' ,','
     /: : : : : : : : : : : : :/l:::: : : : :.:::l: l           l::://イ:.l   〃
.    /: : : : : : : : : : : : :/::l::::: : : : :i:::l: l          . :ヽ,': :l: l  / 
    /: : : : : : : : : : : : :/:::::l::::::: : : :.l:::l: l         . : : :〉: l l
.   /: : : : : : : : : : : :::/::::::/::ハ::::: : : ',::',:l       _.._ /: : :l i
  /: : : : : : : : : : : :::/::::::/::/ '::::: : : ヽ-──- .._  ゛/i: : : : l:lいや〜ところがのぅ・・・
. /: : : : : : : : : : : :::/:::::::/::/_ >'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.く:::::::l: : : : li、


外科医並の技術がないと、ここまで綺麗に切り取ることは出来ないと言う。
誰かが内臓を切り取ってから、ここに捨てたと言う事だ。

・・・しかも案山子の様にされて。
これに何の意味があるのか現段階では不明だが、余程の恨みがあるのではないかと思われた。


だが、ホロが現場に来ているのは、異常な死体であるという理由ではなかった。
この死体がとある重要人物に関係している為だ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:30:35.89 ID:.OVXiUg0<>                           _____
                          / '⌒ヽ  ; '⌒゙\       ||  ||
                         /        ∪     \      ||  ||
                       / /´  `ヽ   /´  `ヽ \     o   o
                      /  (   ● l    l ●   )  \
                    /    ヽ_   _ノ   ヽ_  _ノ  ; \
                    |  ;  ''"⌒'(    i    )'⌒"' ∪  |    
                    |  ∪      `┬─'^ー┬'′      |
                     \          |/⌒i⌒、|         /
                      \       !、__,!    U  /
                      /       、____,,      \
                     /                        ヽ
                      |  、                 ,   |

有沢市長の息子、イトウマコト。
それがここに無残に転がっている死体の名前だ。

やらない夫が必死になって調べていた事柄。
墓場生き埋め事件の真の主犯格とされ、権力によって守られたクズ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:34:51.75 ID:.OVXiUg0<>       ____
     /ノ   ヽ、_\ 
   /( ○)}liil{(○)\     
  /    (__人__)   \
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |   ・・・・
  \    |ェェェェ|     /

追っていた男がこんな無残な殺され方をしている。

普通の殺し方ではないし、運びやすくする為にばらばらにした訳でもない。
全く無意味な破壊だと思う。

ホロも現段階での明確な事は判らないとしている。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:35:57.10 ID:.OVXiUg0<>
      ____
    /u     \        
   /  _ノ   \. \
 /  ( ●)  (● )  \     
 |   '" (__人__)"' u  |
 \     ` ⌒ ´     /      (これは・・・ま、まずいお・・・)
 /              \
 
やらない夫に何と言えば良いのか・・・

資料を託され、捕まえる為に算段を考え、警部補まで巻き込もうと考えていた自分が遅かった事を思い知らされる。

じくじくと滲み出る様な焦燥感は、手遅れになった事を認めたくないからかもしれない。

無言で立ち尽くすやる夫。

それをじっと見ていたホロがポケットから何か取り出した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:40:24.48 ID:.OVXiUg0<>
                          ,.イi
                         〃 !'l
                      ,.-//_,⊥i__
                      /:.:.:.//:/:.:.:.:.ヽニニア
                   /:.:.:.:.:/:.:.:l/:./:.|:..、:.:.:V/
                     /:./:.:./l:.:.:.lハ:.|l:.|/ |l:.|:.l
                  l:./:.:./ l:.:.:.lィtz、Nl ノ从ノl
                   l/:.:./,;; l:.:.:l ゞ'  ,ィァ.ノノ  ・・・これは独り言じゃが・・・
                  /:.:./,;,;,; l:.:.:l 、__ >ハ:.:.l  昨日夜、有沢市長が事故死して、
                /:.:./; ,∠ l:.:.:l、_`´イ ;lヽ:ヽ S市警察病院に安置されている・・・ 
               /:.:.:.:/; /: ハ l:.:.l:i:\ ,| ,;lヽ\:\
              /:.:./:/,;; {ノ: : :l:l:.:.l\r弌 ,ヽ:ヽ \:\
             /:.:./:.:./,イ / : : : lハ:.:.:ViY⌒Y ;ヽ:,\ \:\
            /://:.:/:./ l/: : : |: /ハ:.:.Vi:l`ー'ヽ ;,ヽ:.:.\ ヽ:.:ヽ

ホロはやる夫を見ないで呟いた。

その後で、やる夫に何かの紙を渡した。
病院側から調査票を貰う必要があるが、緘口令が敷かれていて面倒な手続きが必要らしい。
そこで、やる夫にホロの代理として受け取ってきて欲しいという事だった。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:41:45.74 ID:.OVXiUg0<>

              ____
           /::::::─三三─\ 
         /:::::::: ( ○)三(○)\  ・・・・・・
         |::::::::::::::::::::(__人__)::::  |
          \:::::::::   ` ⌒´  ,/
          ノ::::::::        \


ホロの言う調査票は別に緊急の要件ではないし、やる夫が行くようなものでもない。

だが、この機会を逃せば二度と市長に”会う事”は出来ないだろう。
クズの親玉であり、あの事件の黒幕と言っていい輩の死。

自分自身へのけじめをつけろという事だろうか?
やる夫がいまだに諦めずにあの事件を探っている事を知っているホロの・・・気遣いなのかもしれない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:42:56.90 ID:.OVXiUg0<>    .| ; ヘ: : `ヽ__j .; ヘ: :ヽ
    .|; ,,>':'´: : : : : | ;  ヘ: : :ヽヽ、
    ,!"´: : : : : : : : : ヽ、. ヘ: : : : ヽヽ、
  ./: : : : :/: : : : : : : : : :\ ヘ: : : : : i: :ヽ  
 /::/: : : ,〃: : : : : : : :ヽ: : : :ヽi : : : : : : : :ヽ
./i :{ : : :/ll.|: :i : : : :| : : :l : : : : : i : : : : : : : : i
〃: i 、: ハ:ハ: i、: : : l: : : :|: : : : : : i : : : : : : : : i
i! ! : !ヽ!! ! `-ヽ从A , : ||: : : : : : :i : : : : : : : :|  しかし、ここだけの話
  .ヽλヽ   、   `!ル'| : : : : : : :|: : : : : : : :|    血の匂いはいいのう・・・
   }'}‐=i   .j,,,___,,` j : : : : i : : :| : : : : : : l
    j::| <     ̄´  | : : : : l : : | : : : : : :/
    i:::! `,._        |: : : : :l : : |: : : : : :/
   i::::::`i、\7¬フ   |: : : : l : :/: : :/ : /
   i::::::::|;;;ヽ、 __,,,.-‐¬ : : : /: :/:/ : i : /
    !:::::::|;;;;;l;;;;;;;;;}  / : : : /: イ: :| : i :/|
   /`ヽ、i;;;;l;;;;;;;;;;}.ノ : : /_'_l : :l__L/_|

やる夫の耳に、ホロがぼそっと呟いた声が聞こえた。
ほとんど同じくして遠くからハルヒの怒声が響いてくる。


・・・やる夫は複雑な思いのまま病院へ向かった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:44:33.85 ID:.OVXiUg0<>   .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,.........

..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::::::::::.. ., ..   ..:.. ... ,.. .. . ..,. ::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:
       :;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ..:

病院

: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :       : : : : : : : : : : :      : : : : : : : : ・: : : : : : : : : : : : :
: : : :     : : : :    : : : :       : : : :   ;:;:;:;:::: :::             : : : :    : :
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ヾ        _,,、--・''~l´`l~`'''ー-、、,,,_   :::::::: :::::;       :::::::: :::::;  :;::::・::::;:::
:〃ヽ_,、、−‐''''´,,、、−‐''~|  |~`'''ー-、、,,,_``゙゙'''ー-、、,,,_    ::: :::::;:;:;:;::  : : : : :     ::: ::: :;:::;::
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 ̄~ /':; /≡≡≡≡≡ヽ.|  ||_________、〃,,,l└┴┴┴┴┴┴┴┴─
 ミ::丿:/三三三三三三ヽ         ,,,r''''´    '''''''''''  : _,ノ' ̄ ̄ヽ  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:
  /_                    ,,、r'''''′  : _,ノ' ̄ ̄ヽ ´ー()--()ー'-” ´: : : : : : : : :


警察病院に着いたのは、日も暮れかかった頃だった。
携帯で怒鳴る警部補に説明をしていて時間が掛かってしまった。


だが、警部補は意外なほどあっさり引き下がった。
『自分の目で現実を見てきなさい』と言うそんな一言だけ残して。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:46:42.33 ID:.OVXiUg0<>  \:::: :: : . . .      . . . .: : :::.  /
    \ : . . .   (⌒)i  . . . . :  /
     \              |
       \ _   o,   / .| |
          | |ヽ   _,/   .| |
    |`i.   .| | | ̄ ̄i.|      | |
    |::::|  |_|/ ̄ ̄ \    | |
    |::::|  |:::..... . . .  \  | |
    |o !  /         \| |
    |::::| /            ̄!
    |::::| /             \
    |:: /                 \
    |,/                  \
    /                    \
   ,/                     \
年配の女性が椅子に座っていた。
口を利く事無く、ただ黙って病院・警察の説明を聞いている。

疲れきった表情をしており、時折用意されたお茶を口に含んでいる。
その手が微かに震えているのを、やる夫は見た。

ホロからの依頼を院長に伝えたとき、あれは市長の奥さんだと教えてもらった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:48:46.34 ID:.OVXiUg0<>

       / ̄ ̄ ̄\
     / ─    ─ \
    /  <○>  <○>  \.   ……。
    |    (__人__) し  |  
    \    ` ⌒´    / 
    /  し          \

あの事件の犯人を憎み、その黒幕を憎んだ。
法によって守られるのは犯人ばかりだと、怒りを覚えていた。
市長も、あの馬鹿息子も死んで当然だし、正直天罰だとも思っていた。

病院に来た理由はひとつ。
あの被害者に会う様な機会があったら”あの男は確かに死んだ”と報告したいだけだ。

それ自体を否定する気はまったくない。
しかし・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 12:56:09.46 ID:.OVXiUg0<>       ____
     /ノ   ヽ、_\      
   /( ○)}liil{(○)\  犯罪者はゆるさんお!!!    
  /    (__人__)   \
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |   
  \    |ェェェェ|     /


しかし自らの手で犯罪者を叩きのめしたいと思う事も否定できない。

私的制裁をしたいわけではない。
ただ、社会に野放しになっている連中を放置したくない。

それが、やる夫にとっては犯罪者を刑務所へ放り込むことだ。
そうする事ばかり考え、そしてその為に人生を使ってきた。

被害者とその家族・遺族のため・・・と言う理由で。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:01:43.58 ID:.OVXiUg0<>

       ____
     /      \
   / ─    ─ \
  /   (●)  (●)   \ 
  |      (__人__)    |    
  \     ` ⌒´     /  


だが、今、ここに一人で寂しそうに座っているのも・・・また、家族であり遺族だった。
犯罪者の家族だからといって、不幸になっていいと言う訳ではない。
そんな事は判りきっていた筈なのに。

なのに、現実の辛さばかりに目が向いて、そんな基本的な事を見落としていた。
犯罪者、犯人、被告・・・そう言った連中にも家族がいるという事が抜け落ちていた。



ホロ課長は・・・この光景を見せたかったのだろうか?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:04:50.43 ID:.OVXiUg0<>

        ____
     / ノ  \\
    / (●)  (●)\    
  /     (__人__)  \
  |      ` ⌒´    | ・・・・・・・・・・・・・・・
  \           /
  /              \

結局、市長の死に顔を見る事もなく病院を出る。
馬鹿息子も殺され、市長も死んだ。
結局、あの老婦人は一人残されたという事だ。


怨恨の線が濃厚だという今回の事件・事故。
復讐が生み出した事柄なら・・・一体それによって何がなされたのだろうか?


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:07:11.41 ID:.OVXiUg0<>
       ____               
     /:::     \              
   /::::::::::     \          
  /::::::::::         \   …………  
  |:::::::::::::::         |      
  \::::::::::::::       /    
   /:::::::::        く       
   |::::::::::::         |        
   |::::::::::::::      |:  |  


復讐も、敵討ちも存在しない。
ただ、殺して殺されて残された人々が涙する世界。


それを助長しているモノが存在しているのは判っている。
結局、問題は人である以上に、この世のルールなのではないかと思った。

何かが終わった・・・
そんな気分を抱えながら、ベンチに座り無言のまま空を見上げた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:08:15.32 ID:.OVXiUg0<>;;:;:::::;::;::;::::;::::;:::;::;::;:::;:::;::;:::;:::;::;::;:;::;::;::;:::;::;::;::;::;:::;:::;::;:;::::::..............      

 ...;::;::;:::;::;:;::;::;::;:::;::
                            ヽ            /
                             \        /
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illlllllliiiiiillllllllllliiiiiiiiiiliiiiiiiiliiii!!!;;;,,,,,;;;!!!iillllllliiiiii!!;;;,,,,,;;;!!!iillllll!!!iiiiiiiiiiii!!!lll;;;;;;;;;:::::::

:::: ;;;;;;iiiiii!!!;;;;;;;;;iillllllliii


大きな月が出ている。

かつては、空を見上げて誓ったものだ。
必ず犯人を捕まえる・・・と。


今はただ、疲れた。

何かを誓う気力も無いほどに。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:12:08.23 ID:.OVXiUg0<>       ,.........

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             /   ─  \           
             |    ( ●)(●)    おっす
.             |     (__人__)         
              |     ` ⌒´ノ          
.              |    .    }       , ´  
.              ヽ        }      ( 
               _ヽ     ノ`ヽ、_     )   
                _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
            _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)  
        , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
     /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ〉〉〉|    
      /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |


久しぶりに会ったやらない夫は疲れた表情だった。

やる夫の市長と馬鹿息子に関する内部情報は、やらない夫を落ち込ませた。
だが、退院後にすぐさま調査に戻ったという。

そこら辺がやる夫とやらない夫の差なのかもしれない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:14:18.12 ID:.OVXiUg0<>    __
   /   \  
 /   _ノ  \  
 |    ( ●)(●)          
. |     (__人__)   あれから馬鹿息子の事を重点的に調べ直したんだわ・・・       
  |     ` ⌒´ノ    
.  |         }    
.  ヽ        }  
   ヽ     ノ      
   /    く.     
   |     \    
    |    |ヽ、二⌒)、     

当時の事件を知るであろう元加害者の同級生にハッタリを掛けて聞いた。
そうしたら、証言はしないと言う条件で話してくれた。

そしてあの馬鹿息子が主犯格で、その息子を守ったのがヒルだという事が判った。
ヤクザまで使って関係者を脅していたらしい。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:17:31.84 ID:.OVXiUg0<>


       ___
     /\  ,_ \
    /(ー )゛(ー ) \      …………
  /:::⌒(__人__)    \
  |  l^l^ln ⌒´       |
  \ヽ   L        /
     ゝ  ノ
   /   /

あの二人が死んだ今となっては、あまり意味のない事だ。
そして、もっと早くその言葉を聴きたかった。
そうすれば、何か出来たかもしれない。

だが、報復される恐れがなくなったからこそ、その同級生も話したのだろう。


結局、生きている内に捕まえる事は困難だったと言うことだ。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:19:01.86 ID:.OVXiUg0<>
    __
   /   \  
 /   _ノ  \  
 |    ( ●)(●)          
. |     (__人__)   なんか・・・気が抜けちまった・・・      
  |     ` ⌒´ノ    
.  |         }    
.  ヽ        }  
   ヽ     ノ      
   /    く.     
   |     \    
    |    |ヽ、二⌒)、


あれ程追い求めていた犯人。
法の裁きを受けさせる為に必死になっていた事件。
警察を辞めてまでも追っていた真犯人。



だが、その獲物は目の前で誰かに殺されてしまった。
少なくともやらない夫にはそう思えた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:21:40.42 ID:.OVXiUg0<>
     ____
   /      \    
  /  _ノ   ―\   
/    (─)  (─) \    ・・・
|       (__人__)    | 
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /                     
            
それはやる夫にも同じだった。

怨恨の可能性が高いが、あの二人はあちこちから恨まれていただろうから犯人特定は困難だといわれている。


だけど、殺してしまっては責任を取らせる事が出来ない。
腐った社会のルールとは言え、それを逸脱してはだめなのだ。


本来ならそう言って犯人を批判すべきなのだろう。


しかし・・・<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:23:47.51 ID:.OVXiUg0<>

    / ̄ ̄\
  / ノ  \ \
  |  (○)(○) |
.  |  (__人__)  |  何やっていたんだろうな・・・俺たち
   | u ` ⌒´  ノ
.   |         }
.   ヽ        }
    ヽ     ノ       
    /    く  
    |     \  
     |    |ヽ、二⌒)
                     
そんな批判など空虚でしかない事も判っている。
友愛刑法下では大した罪にはならないだろうし、犯人にしか得にならない。
復讐や怨恨で犯罪を犯した人間に、ルールに従えと言ってもどうにもならない。


だけど、それでも二人にとっては法律によって始末をつけたかった事だった。

その為に今まで必死になっていたのだから。
特にやらない夫はそうだろう。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:25:06.59 ID:.OVXiUg0<>
     ____
   /      \    
  /  _ノ   ―\   
/    (─)  (─) \    ・・・
|       (__人__)    | 
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /                     
         
それが、あっさり殺されて終わってしまう。
こんな簡単に自分たちの苦労が消えてしまう。


ルールが守ってくれないなら自分達でケリをつける。
・・・一番おそろしい事態だと思う。
それは表のルールでは処理しきれない事柄を、裏のルールで対応するという事だ。



復讐と仇討ちが友愛社会への答えなら、この社会はもう腐りきっている。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:27:32.49 ID:.OVXiUg0<>        / ̄ ̄\. 
      /      \.........:::::::::::...
      |::::::: :      | .... .........::::::::::...r‐ ' ノ.    
     . |:::::::::::::     | .... .........::::::::_ ) (_  
       |:::::::::::::      |.. ..... ......:::(⊂ニニ⊃)    
     .  |:::::::::::::::     }  ..... ......: ::::`二⊃ノ.    
     .  ヽ____    }  ..... ......: :::: ((  ̄      
        r'ニニヽ._\. ノ.. ..... ......: ::::::  ;;.  しばらく旅に出るわ・・・
      r':ニニ:_`ー三`:く._           [l、.      
    /: : : : : : :`,ニ、: :_:_;>      /,ィつ  
 .   /: : : : : : : : / : : : ヽ\     ,∠∠Z'_つ     
   | : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.   / .r─-'-っ 
 .   |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''" ̄: : :l: : : :l   /  ):::厂 ´     
    |:.:.:.:.::.:.:.:l -─-: : /:_:_:_:_l / ̄`Y´
 .   |:.:.::.:.::.::l.__: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
    |::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ゙/

やらない夫の後姿は疲れきった老人の様だ。

ある意味人生を掛けた勝負だった。
それが成果をあげる直前になって消えてしまったのだから。

その努力も、その想いも無駄ではないだろう。


・・・だが、今はそんな台詞を言いたくない、聞きたくない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:28:58.52 ID:.OVXiUg0<>

                 /  ̄ ̄ ̄ \
                 /        ::::\
                 |          :::::::|
                \.....:::::::::    ::::, /  
                r "     .r  / 
               .|::|     ::::| :::i       ・・・
               .|::|:     .::::| :::|
               .`.|:     .::::| :::|_     
                ..,':     .::(  :::}
               i      `.-‐"

奇妙な沈黙だけが二人の間に横たわっていた。


何をなしえたか、何をするべきか・・・


・・・答えはまだ見つかりそうも無い。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:30:22.06 ID:.OVXiUg0<>       ,.........

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       ,.........

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エピローグ


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,、,、,、wリ゙W゛jリwj从リj"W゙リwリ゙W゛j;yノw''" ノ'ノ,'ハハ,ゝ ハ 彡゙;:.'ハヾゞ';'ヽヘ;;ハバゝ;>.:,ハ';'ヽ、
 从;: `:、リ゙W゛jリw''、`'.、,:`:,,‐'゛' ~    彡;:'ヘ;;ハバ ノハヽ、,ツノノ;:'ハ;;:. ノハil;:ヽゝ ノハil;:ヽゝ
`wリ゙W゛jリwj从リj`'.、-='´  _,ywj从リWv,ハヾゞ;;:. ゞノvノ;:,l'レゝ,ハ';'シハノシ;:,ヘ, ノノ ノ'ノ,'ハハゝ
.wj从リj`'.、 ,:,-‐'゛,,vw-‐W゛w从 W:;,',:从シハノシ;:,';,ノノゝハハ,ゝヘ,::..ヘ.:;ilゞ ハ';'ヽ..::...,ヘ、ハ.:;>
 ̄~^ ̄^ ̄ ̄~`^゙'、,゛jリw :;.:".:;.:'"゙:.:゙,;`彡ハノ;|ililヾvフノ;:,'ハ';'ヽ;;ハバゝハ';' ハ';'ヽハil;:ヽハ,ハ';'ヽ、
'' ゚   ;~ ,;    ww:,、v、从リjwv,:.:.、;..:...: ;:ノハil;:ヽノノハハl;:.'ilゞノハil;:ハil;:ヽハハl; ノハil;:ヽゝフ
           `゙''、::wj,、,、,、从リj":::",:.:.、;:...: `ヽ、ノハ ノハゝ;ノ,'ハハハl;:.'ilハil;: ノ'ノ,'ハハ,ゝ

やる夫は、あの事件現場に向かっいる。

あの事件以来、訪れる人もいないのか、いまだに市道すら通っていない。
その為、丘の麓からろくに踏み固められていない小道を登る事になる。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:31:14.13 ID:.OVXiUg0<>                  . . . . ...... . . . . . . .... . . . . . . . . . ........... . . . . .
             n      . . . ....... . . . . ...... . .    . . . ....................:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.............
             |] p    . _ . . . .            . . ..........:.:.:.:.:.:::::::.:.:.:.:........ . .
             }| {}       ,! | . .              . . .....:.:.:.:::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:...... .
-‐‐‐‐‐:‐‐‐.:‐‐‐‐‐‐‐‐'ー'‐‐‐‐‐‐┴┴‐‐- 、,,_           . ....:.:.:.::::::.:.:.:.:. __,,.. --- ''"
_ []  .:  .:      ロ  [|     __ ロ   `゙゙'''''ヾ、,,       . ._,,. - ‐‐ ''"´
::|  .:  .::   []       卩 |::|   ___      `゙'ヾ、___''_´_       _
  .:   :::.   口 冂        []  |::.|____          ,.---、、  |;:;:::|
  .:    :::.        ____       Π  |::::;;|    .ji ||    |;;::.:.;;;|:|   |::;:::|   ,.-、
 .:     :::.,.‐‐‐‐、.  !:::::;!    ____      _,----、   _ , |::..::;:::|.|   j::.::.|   |:;:::|
 ___.      |::;:;:;:;:|..|  |.:.:.:|    |::;;;:|   _.  | |:::;:;::;;|.|  || || |.:.;::.:.:|:|  ┌‐‐┐  |::.::|
r‐v'i     |:::::;:;:;|.:|  「 ̄ ,. -‐‐‐‐‐‐-,._ ! i'i'i.| |:;:::;:;:;|:|  || || |.:.:.:::::|.| [ ̄ ̄ ̄] ┌─┐
|:::::|.l iヽiヽ r; |::::;:::;;|:.|    l,. -‐‐‐‐‐‐-v´i !| |.l| |::;:::::;;|.|   ┌-----┐       r‐‐‐

ようやく記憶と地図とGPSを頼りにその場所を探し当てる。

意外な事に、森の中にそこだけ広場になった様に開けていた。
殆どの墓はあの事件以降移動されており、残った墓石や卒塔婆が転がっている廃墟だ。

下草が生い茂り見通しの悪い中で、一つだけ綺麗な墓石がぽつんと建っていた。

その周辺だけ草が刈り取られている。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:34:24.19 ID:.OVXiUg0<>
     ____
   /      \    
  /  /    ―\   
/    (●)  (●) \    (・・・何でここだけ綺麗なんだお?)
|       (__人__)    | 
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ / 
            
その墓石には何も刻まれていない。
ただ、周辺は綺麗に清められ、小さな花が置いてある。

誰かが墓参りに来ているのだろうか?
全ての墓を移動した訳ではないだろうから、考えられなくも無い。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:38:36.89 ID:.OVXiUg0<>
       ____
     /      \
   / ─    ─ \
  /   (●)  (●)   \ (すまんお・・・捕まえられなかったお・・・)
  |      (__人__)    |    
  \     ` ⌒´     /   

ここに来た理由は一つだけ。
あの事件の最も責任が重い輩が死んだと言う事を報告に来たのだ。
本来なら、あの被害者、その家族に報告すべきなのだろうが行方が判らない。


裁きの場に立たせて、その責任を追及すべきだった。
それが、やる夫に出来る精一杯の敵討ちだった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:39:28.49 ID:.OVXiUg0<>        ____
     / ノ  \\
    / (●)  (●)\    
  /     (__人__)  \
  |      ` ⌒´    |  ・・・・
  \           /
  /              \
しかし結果としてあの二人は死んだ。


誰かが何かの復讐を遂げたのかもしれない。
気持ちは判る。


・・・だが、立場上それを認める事は出来ない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:42:08.54 ID:.OVXiUg0<> ̄ ̄ . : : /イ: : : . : イ:/:  i ド i!´             ! `i!!: |:
: : : : : : /:/: ,': : : . :/{ |/:  ハ: '、 i!              ノ  i!}: : :
: : : , イ /: :,': : : : /ゝ、!:   / ヽ ヽ                j!l: : :
`<: //: : :l: : : :/ ̄` |:  イ   \ 、__      , rェ ー‐ァ   j!ハ: : :
   `:ハ: : :|: : : {` ー|: ハ    ヾ、      ` `二 ̄`  /'  \
   |:{  \!: : :ハ    l: {  ヽ     ヾ 、            , '
   ゝ   ヽ: : ハ.  ∨    \    `  、       , ′
        V: {、        ` 、_    ヾ、     / }
         }: : :\        / ̄  ┬ヽ i─ ´ ノ


あの少女の涙がやる夫を突き刺す。

守ってくれないルール。
守ってくれない社会。
そして守ってくれない警察。


そんな中に身を置きながら、法は法だから守れ・・・等と復讐した奴に言えない。
いや、言うだけならいくらでも言える。


・・・やる夫自身信じ切れないだけで。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:43:06.51 ID:.OVXiUg0<>
  `,´l    lヽ ヽ         /ノ `'’,イ  /イ    ・・・・・・
  /| |   |  `丶ゝ    ー、ー- 、    lノ  ,イノ
. /│|   |          ニ ´   ノ イ |
/  ! |   !  、           ィニィ | |lハ
  | !   |   _`ト_、 _     , イ    ! |ル'   ,イ
  ハ ヘ  |‐'  ̄,.ィ´ヘ` ー- イ  |    |l |    /│
ノ  ヘ ヘ   | <´ィ´ /介「`ヽヽ│   ハ l   / ノ      _,
ゞ、_ゝヽ  !  \ー´/ハ トニノノ !   / ハ ト、//,ィ _ ,.-ィ´
  ヾゝヽ.ヽ lー-、  ̄ 1 |│|ヽハ 」  / _ハ _/ イィニィ'´    <
    ヾゝヽ. l^ーィ- 、|│ ! ト、>-リ  イニィー '^ヽ、
     ヾヽヽゝ   ̄! | | lヽヾ/  /        ヽ


凶悪犯はいなくならないし、それに泣かされる人々も減らない。
友愛刑法はそのままだし、当然再放流される悪党も減らない。


現状何も変わってはいない。

水銀燈の冷たい笑みが脳裏をよぎる。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:44:18.20 ID:.OVXiUg0<>     ____
   /      \    
  /  _ノ   ―\   
/    (─)  (─) \    
|       (__人__)    | 
/     ∩ノ ⊃  /    ・・・
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /                     
                     

・・・遺体が見つかった場所は判らなかった。
だから、その墓石に持参した花を置き、線香を置いた。

なんとなく、墓参りしたのはあの一家で行方が判らなくなっているあの少女である気がした。
確証はないし、調べる気も無い。

ただ・・・あの子が生きているならそれで良いと思った。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:45:13.99 ID:.OVXiUg0<>         / ̄ ̄\         
        /      \
       /::::::::::::::     ヽ       
       |::::::::::::::       |  キリがないお・・・
        ヽ::::::::::    /        
        /::::::::::::   く        
-―――――|::::::::::::::::   \ -―,―   
         |:::::::::::::::  |ヽ ⌒)

これから自分は何度、誰かの墓参りに行く事になるのだろうか。
何度、こんな思いをするのだろうか。


ルールを守れと言いながら、ルールが守るのは犯罪者だけとは皮肉を通り越している。


深いため息しか出てこない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:48:03.59 ID:.OVXiUg0<>   __,冂 |三三|三|  |llllllllllll|iii|==|=|_ _
  | ロロロ | |三三|三|  |llllllllllll|iii|==|=|llllll|iiiii| ,. -v''"~⌒:.ー ''⌒v〜''" ̄"''ー=-─''"⌒"''
ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ=ァ ,. ':::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.
×× x爻爻メ、.×××××××××××}:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.::
二二 r爻爻爻{ 二二二二二二二二rx=爻ミxr爻=ミx_r爻ミx_爻=ミx爻=ミミ爻=ミx爻=x、ミ爻
::::| 彡爻爻爻ミ _;:,;:,_;,:_,:;_,:;,;:;:|:::::::|,:,メミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻メ
ミx 爻爻爻爻 ==- ーー |:::::::|{ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ
.::.:.:`ー'='=≦⌒'⌒゙⌒'⌒゙⌒'⌒゙ヾ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミ爻彡ミメ
.::.:.:....:.:.:.:.::.::...:.....:.:.:.:.:.:.:.:....:.:.:.:.:.:...::.:.:.ヽ` ̄三≧xミ三彡'⌒≦xミ三彡'⌒<ミ爻彡ミ爻彡ミ爻
:.:....:.:.:.:.:.:...::.:.:::.:....:.:.:.:.:.:.:.:.....::..:.::.:.:..:..'⌒>、 =─ -─= == == -─ - ゞ爻爻爻爻爻爻
..:.:.:.:.:.:.:....:..:.:.:...:::.:.::.:.:....:.:.:.:.::.::..:::.:.:....:.:.:.:....:.:\ =─ -─= -─= == =─` ̄三≧=‐爻
.:.:.:.:.:.:....:.:.:.:.:....:.:.:.:.:.::.::.::....:::.:....:...:.:.::..:.::...: ̄⌒ ̄} -─ ==‐- ─= -─= = -─ =─-
:.:.....:.:.:...:::.::.:....:.:.:.:.:.:.:.:.::...:.:.:.:.:.......:.:.:..:..:.:.:..:..:.:.::.::メ =‐ -─== ==─ -‐= ‐== ==─
..:.::.:.:....:.:.:.:.::.::...:.:.:.:.:.:....:.:.:.:.:::.:....:.:.::.:..:.:._,.:.'´ ̄´ ─== == == -─ ─= -─= ==
xッ爻=ミx爻=ミッ爻ミッxx爻=ミx爻xxr=ミ == ─= -─= =─ == -─= == == =


日が暮れると急速に温度が下がり風が強くなる。
特にここら辺はその傾向が強いようだ。

甲高いその風の音。
気のせいかもしれないけど、感じてしまう。

とても悲しそうな声色に。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:52:23.62 ID:.OVXiUg0<>..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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  .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       ,.........

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                ::::::::丶        |友 愛 |        ,.::'::::::::::
                 ::::/  ,:、     \_/      _,..:'::::::::::
                  /   ,..':::::::> γ⌒ ´´ ⌒\ ... く::::::::::
             /   ,.::::::::  // ""´ ⌒\ )`、 \
              /    ,.∩     .i /  \ 愛 /  i ). `、 \∩
          /     , ' l ヽ∩  i   (・ )` ´( ・) i,/   ∩ノ j
       /     ,    ヽ ノ   l    (__人_).  |   ヽ  ノ \
       /      , '      | ヽ   \   `ーu'  /   /  j    \
    /      , '      \   ̄           ̄   / `、   \
  ./       , '           \              /   `、   \



お台場潮風公園に、友愛の塔が建設された。

更正プログラムによる元犯罪者の社会復帰が順調に進んでいる為・・・と言うのが理由。
国連人権委員会から表彰された事で、それを記念して立てるのだと言う。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:56:19.37 ID:.OVXiUg0<>   o 。     ゜゚  ゚ .    o      ○o   o 。     ゜゚  ゚ .    o     。  ○o
         r⌒ヽ (⌒⌒)   (⌒⌒)   (⌒⌒)   (⌒⌒)    (⌒⌒) ⌒ヽ/,     o
     、、;(⌒ヾ    ,ィ'^i^ト,、   ,ィ'^i^ト,、.  ((⌒⌒))  .,ィ'^i^ト,、   .,ィ'^i^ト,、 /⌒) ), ' ,
  、ヾ (⌒ ファビョ━《y'´⌒ ヽ━《y'´⌒ ヽ. ━《y'´⌒ ━ 《y'´⌒ ヽ.━ 《y'´⌒ ヽ━ン !!⌒);;)/.
 、\(⌒ゝ;(⌒ヾ (⌒[》《]ノノ))〉 [》《]ノノ))〉  [》《]ノノ))〉 [》《]ノノ))〉  [》《]ノノ))〉 ⌒)/)) .,/ ,,
((⌒-丶(;;;(⌒ゝ;;(⌒  ∩(i^ヮノ∩, ∩(i^ヮノ∩∩(i^ヮノ∩'')∩(i^ヮノ∩, ∩(i^ヮノ∩, ⌒⌒);;;;;)))⌒)
 (;;;;(⌒(⌒;;;(⌒    ヽi{SiS}iノ  ヽi{SiS}iノ ヽi{SiS}iノ .ヽi{SiS}iノ .. ヽi{SiS}iノ / )⌒));;;;)-⌒))
ゞ (⌒⌒=─     とん|i__i|.〉 .とん|i__i|.〉  とん|i__i|.〉. とん|i__i|.〉  とん|i__i|.〉  -─=⌒⌒)ノ;;ノ;;;::)
((⌒≡=─ 人从;;;;,,,,,  し~ ,;从;,   し~ ,;从;,  レ' ,;从;,  し~ ,;从;, .. し~ ノ;;;从人─=≡丿;;丿
゜         ○    ゜゜     ○    ゜   ゜      ○    ゜    ○


お祝いとばかりに人々が集まり、表彰された政治家達が壇上で何かを述べている。
おそらく、友愛による社会実現を謳っているんだろう。

ただ、それを基盤にして行われる事が、人々を追い詰めつつある。
それを明確に非難する人間がいない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 13:58:49.23 ID:.OVXiUg0<>  /:::::::::::ノー―´ ̄|::::::::::: \         
 /:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::|:::::    \      
/:::::::/ ̄::::::::::::::::::::::::::::::\_     |       
|::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |    |      
ヽ::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |    |     
 ヽ|::::::::::::::::::::::ノ=\:::::: ヽ、/´ヽ     
  |:::::::::::::::::::::ヽ_○/::     )/     
  /:::::::::::::::/  ::::::::      /   君には友愛が足りないんじゃないのか?
 (:::::::::::::::(   )ー      |ノ      
  ヽ::::::::::::::::!~        丿        
   |:::::::::::r―---ゝ ヽ   /|:\      
   \::::::::`ニニニ´ ノ  / /:::/       
    /:`ヽ:::ヽ〜   /  /::::::::::::::  


社会が徐々に友愛という言葉に縛られていた為だ。
否定できない奇麗事という非難はあるが、友愛社会は進められようとしていた。


政府の考えでは優しく、美しい友愛社会が生まれるはずだった。


しかし、それとは逆の現実が数字となって人々の生活に侵入していた。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 14:00:26.70 ID:.OVXiUg0<>
      〇
     //  /⌒ヘ
`/⌒\ / /__/  |
|  Y\  /ヽ/ |
丶 丶 ニ丶/ ニ ソ /
 \ | (9) (9)V
  `| ⌒ 〇 ⌒ |
(丶 (  トー―イ  )  
`)/ニ丶\ 丶二ノ /
| ニ| >ー <
| _ノ/   // \

警察白書

死刑執行数0件。
重犯罪者前年比で約二割り増。
軽犯罪者前年比で約五割り増。

釈放までの平均年数三年。
重犯罪者による再犯率三割。
軽犯罪者による再犯率六割。


友愛社会の一つの結論が数字となっている。
しかし、それを友愛社会の責任という事は許されない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 14:03:26.85 ID:.OVXiUg0<>
       ____                             
     /:::     \                             
   /::::::::::     \                        
  /::::::::::         \   …………                 
  |:::::::::::::::         |                         
  \::::::::::::::       /                         
   /:::::::::        く                           
   |::::::::::::         |                           
   |::::::::::::::      |:  |  


友愛社会が実現すれば、みんなが幸せになれるという言葉。
だが、その世界が実現する保障などどこにも存在しない。


腐った社会と、狂ったルールの狭間で綱渡りをしている現実。

いつかどちらかに転がり落ちてしまうのだろうか?
そんな恐怖だけがあった。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 14:06:19.24 ID:.OVXiUg0<>
             ゜   i         。   i          l        i   l
  |         l    ゚    ;゜   ゜   : ; ; i        l       l           !
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振り出した雨がやる夫の頬を叩く。
晩秋の冷たい雨。
人々の悲しみと悔し涙に似ている。



だから自分の視界が滲むのは・・・この雨のせいだ。

そう思った。



友愛社会になくころに@ 後編  終わり<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/09/29(火) 14:36:59.37 ID:spO/eAIo<>さすがこのシリーズの方だけあって、えぐり方が上手い。
犯罪に対する安易な寛容と恩赦は私刑と報復の社会を生むということですね。

「罪を憎んで人を憎まず」 という言葉も本来は、被害者となる要因が罪でありそれを責めるな。
という意味で。
それが日本では悪人正起説と混同され、犯罪者を許せという言葉になり代わっているんですよね。
けっか、それが良いように使われたのがこの社会ですね。
今の社会も遠からずそうならないよう祈りたいものです。

それはともかくAの方を期待しています。本当に乙です。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/29(火) 14:57:03.09 ID:.OVXiUg0<>


     ___
   く/',二二ヽ>
   |l |ノノイハ))  
   |l |リ゚ ー゚ノl|  
   ノl ハ∨/^ヽ   
   ノ::[三ノ 

ありがとうございます。

友愛社会になくころにA
・・・はハルヒ視点を予定しています。

一応、前作と同じく似た様な世界での別の話となります。







<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/09/30(水) 16:35:37.52 ID:yBLgg.DO<>怖い思想社会だ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/10/01(木) 11:31:11.83 ID:YJL83QY0<>期待!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/10/03(土) 10:34:01.51 ID:T533hns0<>やる夫スレとは思わんかった

他にもシリーズあんの?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/10/06(火) 18:20:41.21 ID:IxlqUMDO<>派遣流民だな<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/10/10(土) 04:22:40.84 ID:0J2Xq2SO<>銀ちゃん…<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/13(金) 19:11:36.62 ID:rJkrhc60<>シャレにならんよな

なんか、さまよう刃思い出した<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2010/01/27(水) 13:57:04.26 ID:5yGBroEo<>^^<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2010/03/24(水) 00:43:42.89 ID:qtVs5xE0<>KAITO】瞳-を-と-じ-て【再現PV】 (close your eyes

http://www.youtube.com/watch?v=9A-16REkqq0<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2010/06/04(金) 17:43:57.66 ID:tzZZWa60<>こええ<>