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HTML化した人:lain.
水銀燈は娘よりも妻よりも、母でありたいようです。
1 :[sage]:2009/10/18(日) 21:21:42.08 ID:N4WXMCM0
○ローゼンメイデンのSSを投下させていただきます。 
「水銀燈がドールたちの『母』になるようです」の4スレ目です。
前作「水銀燈がドールたちの母親になるようです」ともども、よかったら見てやってください。


「水銀燈がドールたちの母親になるようです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1237586655/l50

「水銀燈がドールたちの『母』になるようです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1241610132/l50

「それでも、水銀燈は『母』になりたかったそうです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1245594180/l50

「水銀燈は少しずつ、お母さんになっていくようです。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1249652685/l50


○原作とアニメの設定が(一部意図的に)ごちゃごちゃになってます。広い心で閲覧してもらえると幸いです。
2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 21:38:18.25 ID:hOtzwNYo
スレ立て乙です
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/18(日) 22:38:49.36 ID:5INR1Foo
新スレ乙
4 :1[sage]:2009/10/19(月) 18:46:30.45 ID:4cjZqAQo
>>2-3
オープニング支援どうもです〜

あと、前スレ埋めに協力していただき感謝です。
(1000把握しました〜 のんびりいきます)

再開は予定通り、明日夜予定です。
5 :1[sage]:2009/10/20(火) 18:38:31.31 ID:aMCU7Ps0
すみませんが、急に仕事が入ってしまったため、あさってに延期します…


毎度申し訳ないです。
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/20(火) 23:02:07.67 ID:XC1uCe.o
>>1乙、そして頑張って!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/20(火) 23:02:49.04 ID:t/pDrOYo
待ってるよ
8 :1[saga]:2009/10/22(木) 20:02:10.63 ID:NrO6pic0
お待たせしました〜
再開します。
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/22(木) 20:04:08.48 ID:2ukETTso
まってたよ!
10 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/22(木) 20:08:26.36 ID:NrO6pic0
【nのフィールド】







「…」

「…」



ザワ…



「…近づいてきたようね」

「(…やだ、気持ち悪い…)」



ザワ… ザワ…



「増えてきた…」

「…」



ザワ… ザワザワ…



「…もうすぐよ」

「ねえ、お母さま」

「なに?」

「…」




雪華綺晶「…お母さまは、あいつのことを、どれだけ知っているの?」
11 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/22(木) 20:12:23.40 ID:NrO6pic0
水銀燈「どれだけって?」

雪華綺晶「お母さま、あいつの結晶をとりこんだんでしょう?」

水銀燈「ええ」

雪華綺晶「…」



ザワ… ザワザワ…



水銀燈「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「…わたし」

水銀燈「…え?」

雪華綺晶「わたし、まだ…」



「あいつの結晶に触れたこと、一度もないの」



水銀燈「そうなの?」

雪華綺晶「…うん」

水銀燈「でもあなたなら、やろうと思えば…」

雪華綺晶「無理よ!」

水銀燈「え…」


…ブルッ
12 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/22(木) 20:14:18.20 ID:NrO6pic0
水銀燈「雪華綺晶…」

雪華綺晶「無理、無理よ… 絶対、ダメ…」ブルブルブル…

水銀燈「…」

雪華綺晶「あいつは、自分の結晶を幾重にも厳重に守っていた…」

水銀燈「…ええ」

雪華綺晶「わたしにだって、心を触らせるどころか、見せてさえくれなかったもの…」

水銀燈「そう…」

雪華綺晶「もし、わたしがお父さまの結晶に触れでもしたら、どんな目に合わされるか…」ブルブルブル…

水銀燈「(雪華綺晶、あなた…)」


(お父さまへの恐怖を、克服できてはいないようね… 仕方の無いことだけれど)


(あなたのお父さまへの恐怖は、昨日今日生じたものでは、ないのだもの)


雪華綺晶「…」ブルブルブル…



(その恐怖は生まれながらにして、刷り込まれていたものだから…)



雪華綺晶「…だからお母さまに、聞きたかったのよ」

水銀燈「え?」

雪華綺晶「え、って… もう、お母さまったら」

水銀燈「あ、ああ… ごめんなさいねぇ」 

雪華綺晶「わたしの話なんか、聞いてないんだから…」…ブツブツ




「…あいつのことを、聞きたかったの」
13 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[saga]:2009/10/22(木) 20:18:15.35 ID:NrO6pic0
水銀燈「『お父さま』のこと?」

雪華綺晶「『ラプラスの魔』のこと」

水銀燈「…お父さまの、なんのことを聞きたいの?」

雪華綺晶「そ、それは…」

水銀燈「…?」

雪華綺晶「い、いろいろ、あるじゃない?」

水銀燈「…」

雪華綺晶「…ほ、ほら、お母さまのや、薔薇乙女たち以外のこととか… いろいろ…」

水銀燈「…」



「もしかして、あなたのこと?」



雪華綺晶「え…」

水銀燈「お父さまが、あなたをどう思っているか、知りたかったの?」

雪華綺晶「そ、そんなこと!」

水銀燈「そうなの?」

雪華綺晶「…そ、そんな…」



「べ、別に…」…イジイジ
14 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 20:24:47.11 ID:NrO6pico
水銀燈「…もう」…クスッ

雪華綺晶「わ、笑わないで!」

水銀燈「はい、はい」クスクス…

雪華綺晶「…ふん」…ブスッ

水銀燈「…」


「わからなかったことが、二つあった」


雪華綺晶「…ふたつ?」

水銀燈「ええ。お父様が持っている記憶、知識、情報…」

雪華綺晶「…」

水銀燈「あなたが知っているものは、ほとんどわたしも知っていると思う」

雪華綺晶「…うん」

水銀燈「でも、そのなかでわからなかった… 読み取れなかったことが、まず…」



「『アリス』に関する情報」



雪華綺晶「あ… うん」

水銀燈「『アリス』を生成するための手法、技術、知識…」

雪華綺晶「・・・」

水銀燈「…いえ、それ以前に、アリスという存在に関してのこと…」



「そもそも『アリス』とは、なんなのか」



雪華綺晶「うん…」

水銀燈「お父さまの心をくまなく探しても、わたしには一切読み取れなかった」
15 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 20:39:13.19 ID:NrO6pico
雪華綺晶「…そう、でしょうね」

水銀燈「…」

雪華綺晶「あいつは、『アリス』に関する情報は、厳重に管理していたもの」

水銀燈「…そうなの?」

雪華綺晶「うん。だから、わたしも『アリス』についてはほとんど何も知らない」

水銀燈「そう…」

雪華綺晶「ただ、あいつが言っていた事がある」

水銀燈「…何を?」

雪華綺晶「…」



「『純粋な想い』が、アリスをつくる」



水銀燈「純粋な、想い…?」

雪華綺晶「そう。 『純粋な想い』が何かとまでは、言ってくれないけれど」

水銀燈「…それは、わたしたちも聞いた事がある」

雪華綺晶「そうなの?」

水銀燈「ええ。お父さまは、いつもわたしたち姉妹に言っていたわ」

雪華綺晶「…ローゼンお父さまが?」

水銀燈「そうよ。 …たくさんの人との出会いや別れ… 喜びや悲しみ…」

雪華綺晶「…」

水銀燈「いろいろな感情がせめぎあい、積み重なっていく思い出の中で…」



「純粋な想いを、はぐぐんでいきなさいと」
16 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 20:44:27.56 ID:NrO6pico
雪華綺晶「そうなんだ…」

水銀燈「やはりお父さまは、変わってはいなかったのね…」

雪華綺晶「…どうだか」


…プイッ


水銀燈「もう、雪華綺晶ったら」

雪華綺晶「ローゼンお父さまと『あいつ』が、同じ意味で言ってるとは限らないわ」

水銀燈「…」

雪華綺晶「けれどあいつは、これだけはいつも口癖のように言っていた」

水銀燈「…そうなのね」

雪華綺晶「わたしたちはそのために、薔薇乙女を守るのだとも」

水銀燈「…」



…ザワザワザワ…



雪華綺晶「…お母さま」

水銀燈「…」

雪華綺晶「ねぇお母さま、もうひとつはなに?」

水銀燈「…」

雪華綺晶「お母さま?」

水銀燈「…」


…グッ


「…『ローゼンの記憶』よ」

17 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 20:51:03.75 ID:NrO6pico
雪華綺晶「ローゼン? …『お父さま』の?」

水銀燈「ええ… お父さまの『人の部分の』記憶」

雪華綺晶「…」

水銀燈「稀代の錬金術師にして人形師である『ローゼン』の、技術や知識に関しては、完全に網羅されていたのだけれど…」

雪華綺晶「…」

水銀燈「人間としての記憶… 感情や思い出といったものは、わたしには見つけられなかった」

雪華綺晶「そう…」

水銀燈「わたしたちとの記憶に関しても、あくまで『情報』でしかなかったわ…」…ギュゥッ



「そのとき感じた想いは、抹消されていた」



雪華綺晶「…そうよね」

水銀燈「アリスを生成するのに、必要ないと判断したのでしょうね…」

雪華綺晶「…」



「わたしのことも?」



水銀燈「え?」

雪華綺晶「…わたしのことも、ただの情報でしかなかった?」

水銀燈「あなた…?」

雪華綺晶「教えて、お母さま。あいつは…」

水銀燈「雪華綺晶…」

雪華綺晶「私のことを、どう…」



水銀燈「…」
18 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 20:55:30.70 ID:NrO6pico
水銀燈「…雪華綺晶…」

雪華綺晶「…」



「…ふん」


…ギリッ


「やっぱり、そうなんだ」



水銀燈「…あなた」

雪華綺晶「そうに、決まってるよね」ギリ…

水銀燈「…」

雪華綺晶「わたしは、あいつにとって、便利な道具に過ぎないのよ」

水銀燈「(…雪華綺晶)」

雪華綺晶「みんなをアリスにするために使う、扱いやすい道具にしか…」

水銀燈「(…それも)」



(それも、これから確かめるのよ)



雪華綺晶「・・・?」

水銀燈「(…あなたの力でね)」

雪華綺晶「お母さま?」

水銀燈「…着いたわ」




ザ ザ ザ ザ ザ ザ …
19 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 20:59:43.02 ID:NrO6pico
雪華綺晶「すごい数…」

水銀燈「…」

雪華綺晶「またひとまわり、大きくなったみたい…」



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ …



水銀燈「(…お父さま)」

雪華綺晶「…お母さま?」

水銀燈「(お父さま。 …わたしです)」

雪華綺晶「…」




―…




水銀燈「(どうか、中にお入れください。 お父さま…)」

雪華綺晶「…」

水銀燈「(お父さま…)」




―…待っていた




雪華綺晶「…!」

水銀燈「…遅くなり、申し訳ないです」




―構わない。 …入りなさい。
20 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:06:21.49 ID:NrO6pico
水銀燈「…ありがとうございます」

雪華綺晶「お母さま… !」


ゴ ア ア ア ア …


雪華綺晶「『入り口』が開いていく…!」

水銀燈「…」


ズ オ オ オ オ オ …


水銀燈「…さあ、行きましょう」

雪華綺晶「…うん」

水銀燈「診てもらわなくてはね。 あなたも…」

雪華綺晶「…?」

水銀燈「…」

雪華綺晶「お母さま?」

水銀燈「…ぐ…」



…ゴボッ



雪華綺晶「お、お母さま?!」

水銀燈「…わ、わたしも… ぐ、ごぼっ…!」ゴフ ゴフッ…

雪華綺晶「…いけない! 早く… お母さまを、助けて!」



「お父さまーっ!!」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
21 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:09:36.52 ID:NrO6pico
【現実世界】



ブロロロロ…



みつ「もうすぐ、着くわね」

巴「はい…」

雛苺「…」

みつ「寝てても、よかったのに」

巴「…いえ」…チラッ



ジュン「…痛まないかい?」

真紅「大丈夫よ。 あなたは…?」

ジュン「平気さ」



巴「(みんなが起きてるのに、わたしひとりだけ眠るなんて…)」

みつ「ねえ、ともとも」

巴「はい?」

みつ「…」

巴「…みっちゃんさん?」

みつ「…」



「自分ひとりだけ眠るなんて、って思ってる?」



巴「え…」
22 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:12:37.32 ID:NrO6pico
みつ「…やっぱり? 気にしなくったって、いいのに」

巴「…」

みつ「ともともは、死ぬ気になって戦ってくれたんだから」

巴「…みっちゃんさんだって」

雛苺「…」


…モゾモゾ


巴「雛苺?」

雛苺「ごめんね」

巴「え?」

雛苺「トモエのこと、起こしちゃって…」

巴「…いいのよ。 雛苺こそ、休めばいいのに」

雛苺「うん…」…チラッ

巴「…?」



柴崎「…」

翠星石「…」



雛苺「…」

巴「(雛苺…?)」

雛苺「(…翠星石…)」
23 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:17:11.09 ID:NrO6pico
巴「(雛苺、もしかして…)」

雛苺「…」



蒼星石「…」

マツ「…」



雛苺「(蒼星石も… なんで?)」

巴「(ねえ、雛苺)

雛苺「(…なに?)」

巴「(あなたも、みんなのことが、気になるの?)」

雛苺「(…)」


…コクン


巴「(そうなんだ…)」

雛苺「…ね、トモエ」

巴「なあに?」

雛苺「…うんしょ」


…グ


巴「雛苺?」

雛苺「トモエ… お願い、していい?」ググ… 

巴「…なに?」

雛苺「ヒナのこと、後ろむかせてほしいの…」…ググッ



「みんなと、お話したいの…」
24 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:24:30.35 ID:NrO6pico
巴「…」

雛苺「ね、お願い」

巴「…うん」…ヒシッ


みつ「…ともとも?」

巴「よいしょ」


…ヒョイ


翠星石「…んっ?」

柴崎「ひなちゃん?」

雛苺「ありがとう、トモエ」

巴「…いいの」

マツ「あなた…?」

雛苺「ねぇ…」

蒼星石「…雛苺?」



…ジーッ



真紅「なに? 雛苺…」

雛苺「ね、みんな…」

ジュン「…ヒナ?」

雛苺「…真紅。 翠星石、蒼星石…」ジーッ…

翠星石「な、なんですか? チビ…」

雛苺「みんな… みんな、なんで?」



「お父さまが生きてるの、うれしくないの???」
25 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:30:40.61 ID:NrO6pico
蒼星石「な?!」

真紅「え…」

巴「…雛苺!?」


雛苺「ねえ、そうなの? みんな…」…ジワッ


翠星石「な、なにバカ言ってるですか!! そんなわけ…」

蒼星石「そ、そうだよ。僕たちは…」

雛苺「…じゃあ、なんで?」

翠星石「な、なんでってナニがですか!!」

雛苺「…」


「なんでみんな、そんなお顔してるの?」


蒼星石「え…」

雛苺「なんでみんな、笑ったり泣いたりしないの?」…グスッ

雛苺「なんで、真紅?」ググ… 

真紅「…」

雛苺「…おとうさまが、生きてたのよ?」

マツ「雛ちゃん…」

雛苺「死んじゃったとおもってたおとうさまが、生きててくれたのよ?」

翠星石「え、あ…」

蒼星石「…雛苺…」

雛苺「なんで? なんでみんなで、笑ったり泣いたりしてくれないの?」…グズ…




「水銀燈が、生きててくれたときみたいに…」
26 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:36:54.95 ID:NrO6pico
柴崎「…ひなちゃん」

雛苺「ヒナは、うれしいのに… とっても、うれしいのに…」

蒼星石「…い、いや…(ど、どうしたんだ… 僕は…!?)」

翠星石「あ… えーと、その…(わ、わたし…?)」

雛苺「みんな、なんでそんなお顔なの? ねえ、真紅…」

真紅「…」


―お父さまは、死んでいてくれたままのほうがいいとさえ…


真紅「…雛苺…」

雛苺「…なんで? 翠星石、蒼星石…」

蒼星石「あ…う、うん…(な、何を迷ってるんだ? 僕は…!)」


(雛苺の言うとおりだ! お父さまが、生きていた。 …良かったことじゃないか!)


翠星石「わ、わたしは当然… うれしいに、決まって…(あ、あれれれれ…?)」

(いったいわたし、どうしちまったですか…???)

蒼星石「(ど、どうしたんだ、僕は… なぜ…)」



(なぜ、喜ばないんだ? 喜べないんだ…?!)



―ククク… 
27 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 21:43:35.56 ID:NrO6pico
蒼星石「(…?! な、なぜ…)」

翠星石「…蒼星石?(まさか…)」



―アナタタチハ… 父親ニ ズット ズウット ホウッテオカレタノ デショウ?



蒼星石「(なぜこんなことを、思い出すんだ?! あんなやつのことを…)」

翠星石「(まさか、あなたも思い出してるんですか?)」



(あいつのことを…)



―ワタシハ ホウッテ オカレテハ イナイノヨ?

―オ父サマハ ワタシノ ソバニ イテクレタノヨ…



翠星石「(あいつ…)」

真紅「…翠星石?」

蒼星石「(…お父さま…)」…グ

雛苺「蒼星石ぃ…?」


…ギュッ


―思イ出ナンカヲ 後生大事ニ シテイタノ?

―アナタタチッテ、カ・ワ・イ・ソ・ウ・ネェッ!



(ピュセル…!)




―アハハハハ! アーッハッハッハッハ!!
28 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 22:11:39.40 ID:NrO6pico
蒼星石「(僕は… 僕は…)」

翠星石「(わたしは…)」

真紅「…」

ジュン「みんな…」

みつ「…」



…キキッ!



翠星石「…と、と…?!」…ヨロッ

みつ「着いたわよ〜」

ジュン「あれ…? あ、いつの間に…」

柴崎「お、おお。 ご苦労様じゃったの…」…ガチャ

巴「ありがとう、みっちゃんさん」ガチャ…


バタン バタン


ジュン「…これ、家の鍵です。みんなは、先に中に入っててください」

巴「ありがとう、ジュン君」

ジュン「みっちゃんさん、車はここにおねがいします」

みつ「うん…(みんな…)」



(お父さんが、心も命もなくして、機械になってしまった…)

(…ショックだよね。 慰めることなんか、わたしにはできない…)
29 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 22:13:31.66 ID:NrO6pico
ジュン「…みっちゃんさん?」

みつ「…ジュン君。ここでいいの?」

ジュン「あ、はい。 なるべくつめてくれれば…」

みつ「りょうかーい」…ブルルル…

ジュン「オーライ、オーライ…」


…ピ-ッ ピーッ


(…でも、でもね…)

(生きてさえいれば… 生きていてさえくれれば)



…ガチャ



のり「…あ、おかえりなさーい!」

ジュン「のり! …先に、着いてたんだ」

のり「うん。 ジュン君も中に入って。 お茶、入れてあるから」

ジュン「ああ、ありがとう」

のり「あと…」

ジュン「あと?」



ピーッ ピーッ…



のり「金糸雀ちゃんが、みんなに話があるって」
30 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【御子編】[sage]:2009/10/22(木) 22:14:47.70 ID:NrO6pico
ジュン「カナが?」

のり「うん… なんだか、とっても怖い顔してた」

ジュン「怖い顔…?」


ピ-ッ ピーッ


ジュン「(怖い顔… まさか、やっぱり…)」

のり「ジ、ジュン君?」

ジュン「(君は、水銀燈を…)」

のり「あ、あぶなーいっ!!」

ジュン「え?」



みつ「生きててさえくれれば、仲直りのチャンスだってあるんだよーっ!」



ジュン「うわわわわわ!?」

のり「ジュン君?! み、みっちゃんさーん!」

みつ「…あっ!! や、やばーい!!」


キキッ!!


ジュン「と、とまった…」…ヒヤヒヤ

のり「あ、あぶなーい…」ドキドキ…

みつ「じゅっ、じゅんじゅーん!!」ガチャ! 

ジュン「もう、みっちゃんさんっ!!」

みつ「ご、ごめんねー… だいじょうぶ?」



ジュン「(サンドイッチにされるところだったよ…)」
31 :2009/10/22(木) 22:16:09.96 ID:NrO6pico
今日はここまで。続きは明々後日予定。
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/22(木) 22:17:16.09 ID:gIAm0w6o
おつー
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/10/22(木) 22:17:16.82 ID:Pryfxj.P
おつつ
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/22(木) 22:19:16.31 ID:aVFZ.OUo
乙〜
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/22(木) 22:23:01.01 ID:FdialUMo
乙樽場 複雑だぁね…
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/22(木) 23:57:20.27 ID:3gp1B8Qo
おつ!
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/25(日) 11:07:10.77 ID:SpcRCEk0
乙なんだぜ ヒナはやはり純粋だな……
そしてついにオトン登場か……
38 :[saga]:2009/10/25(日) 20:29:26.18 ID:QM8q3SEo
>>31-37
乙どもっす〜

>>35
相手が生きてるからこそ、不満をぶつけることもできるわけで・・・

>>37
ヒナはあんまり深く考えてないだけだと思ってます(を
その単純さにまわりが救われたりするってことは、往々にしてあると思いますが。



再開します〜
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/25(日) 20:34:20.38 ID:JQLov.Ao
きたきた!
40 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 20:37:00.97 ID:QM8q3SEo
【ジュンの部屋】



…トテ トテ トテ



「…」



…ガラッ



「…ジュン」



ゴソゴソ…



「ちょっと、借りるかしら」


…ゴソッ


「…よいしょ」…ヨテ ヨテ…


(「オ父サマノ 存在ハ…」)


「…うんしょ、うんしょ…」ヨテ…



(「薔薇乙女タチニハ 秘スル ヨウニト・・・」)



「…」…ドサッ



金糸雀「戦乙女たち…」
41 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 20:46:25.51 ID:QM8q3SEo
(「Jawohl、herr  Kommandierender!」)


金糸雀「…」…スック


「…これ一冊じゃ、足りないかしら?」…トテ トテ


ゴソゴソ…


(…戦乙女たち… わたしの、大事な…)



…ゴソッ



(大事な大事な、わたしの妹。 いえ…)



…ウンショ



(それ以上の… そう)



…ウンショ ウンショ…



(わたしの、剣であり盾。 …体の一部)



…ドサッ



「あのときから、ずっと…」




―金糸雀、受け取りなさい。
42 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 20:54:47.52 ID:QM8q3SEo
(金糸雀「…これは?」)

(水銀燈「『黄金の指揮棒』よ。 お父さまからの、あなたへの贈り物」)

(金糸雀「お父さまから?」)

(水銀燈「あなたが目覚めたら、渡すようにと言われていた」)


金糸雀「…水銀燈」


(金糸雀「そんな、わたしに?」)

(水銀燈「そう。お父さまがいない間、わたしたち姉妹全員を守るために…」)

(金糸雀「…」)

(水銀燈「文字通り、最終兵器として」)

(金糸雀「最終兵器…」

(水銀燈「あなたに託すわ。 心して、扱いなさい」)


金糸雀「それから、ずっとみんなは…」


(「オ姉サマタチハ 離脱シテクダサイ! シンガリハ オマカセヲ!」)

(「…地獄で会いましょうかしら!」)


(「アリスゲームハ マダ 終ワラナイノ デショウカ?」)

(「…イツカ 姉妹ソロッテ オ茶会ガ デキルト ヨイデスネ」)

(「…そのときには、あなたたちも来るかしら!」)

(「…ゼヒ」)



「そんなみんなが、わたしたちに、秘密を…?」




…コンコン
43 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 20:57:59.16 ID:QM8q3SEo
金糸雀「はい?」



コンコンコン…



金糸雀「窓? …あっ」


トテトテトテ…



「…オ姉サマ」…コン コン



金糸雀「そこに、いるのかしら?」カラカラ…

「…ハイ」



ブリュンヒルデ「…タダイマ 到着シマシタ」



金糸雀「ご苦労かしら!」 

シュヴェルトライテ「オソレイリマス」

グリムゲルデ「ソプラノ隊 メッゾ隊ハ 上空デ待機中デス」

金糸雀「ならばよし、かしら!」

ブリュンヒルデ「…遅クナリ 申シ訳ナイデス」

金糸雀「構わないかしら!」ニッコリ



「ジュンの家には、あなたたちが通れるような『入り口』はなかったから…」
44 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:02:05.64 ID:QM8q3SEo
ブリュンヒルデ「ソレデハ ワタシタチハ…」

金糸雀「うん。そのまま迷彩モードで、わたしたちを護衛するかしら!」

ブリュンヒルデ「ハイ」

金糸雀「とりあえず、ジュンの家の外でわたしたちを守りつつ、待機するかしら!」

ブリュンヒルデ「ワカリマシタ」

金糸雀「そう…」



…ジロッ



ブリュンヒルデ「…?」

金糸雀「…戦乙女たち」ググ…

シュヴェルトライテ「…ハイ」

金糸雀「…」


…ギリッ


グリムゲルデ「…オ姉…」

金糸雀「…」キッ!



「『外の敵から』わたしたちを守るかしら!!」



グリムゲルデ「エ…」

金糸雀「家の中のことは、どうぞおかまいなくかしらっ!!」ガラッ!




…ピシャン!
45 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:05:26.08 ID:QM8q3SEo
ブリュンヒルデ「…!」

金糸雀「それでは、配置につくかしら! 命令されたことだけに集中して!」グッ!



「くれぐれも、余計なことをしないでかしら!!」



…シャーッ!



グリムゲルデ「(カーテンヲ…!)」

ブリュンヒルデ「オ姉サマ…」



「…」



シュヴェルトライテ「…ワタシタチハ」

金糸雀「命令が、聞こえなかったのかしら!?」

グリムゲルデ「…」

シュヴェルトライテ「…」


「外からの敵に集中! 中のことはほうっておいて!!」


ブリュンヒルデ「…」


「わたしのことは、構わないでほしいかしら!!」


ブリュンヒルデ「…」




(オ姉サマ…)
46 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:11:22.53 ID:QM8q3SEo
シュヴェルトライテ「…ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「…」

グリムゲルデ「アナタ?」

ブリュンヒルデ「…Jawohl」

シュヴェルトライテ「エ…」



「Herr  Kommandierender…」



グリムゲルデ「…アナタ」

シュヴェルトライテ「…『ヒルデ姉サマ』」

ブリュンヒルデ「…」…スック



「指示ニ シタガイマショウ」



シュヴェルトライテ「…ソウネ」

グリムゲルデ「…」

ブリュンヒルデ「ソプラノ隊ハ 上空カラ。 メッゾ隊ハ 周辺500m内ヲ ソレゾレ監視セヨ」


(ゲルヒルデ「ワカッタワ」)

(ヴァルトラウテ「…エエ」)


ブリュンヒルデ「ワタシタチハ コノ家ヲ 囲ミマショウ」

グリムゲルデ「了解」

ブリュンヒルデ「アト…」



「(中ノ 状態モ デキルダケ 把握シテ)」
47 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:18:07.38 ID:QM8q3SEo
グルムゲルデ「…ハイ」

シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルデ「(オ姉サマタチニハ 感ヅカレナイ ヨウニ)」

シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルデ「(…アナタ?)」

シュヴェルトライテ「(…モウ 遅イワ)」



「(スデニ 感ヅカレテ イマス)」



グリムゲルデ「…」

ブリュンヒルデ「…『ライテ』 アナタ…」

シュヴェルトライテ「ワカッテマス  『ヒルデ姉サマ』」 …ジャキ


「(オ父サマノ 命令ハ 絶対)」


ブリュンヒルデ「…」

グリムゲルデ「(オ父サマ ソシテ 薔薇乙女ノ 命令ニ 絶対服従スルコト)」

シュヴェルトライテ「(ソレガ ワタシタチニ コレダケノ 力ト 装備ガ 許サレタ 理由)」

ブリュンヒルデ「…エエ」

グリムゲルデ「(ソムケバ ワタシタチハ スグニデモ 力ヲ 奪ワレル デショウ)」

シュヴェルトライテ「(ソウナレバ…)」

ブリュンヒルデ「…オシャベリハ オシマイ」


…ジャキッ!


グリムゲルデ「…『ヒルデ 姉サン』」

ブリュンヒルデ「ワカッテイレバ イイノ」
48 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:27:24.05 ID:QM8q3SEo
シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルデ「ソレゾレノ 役割ヲ 果タシマショウ」

シュヴェルトライテ「…Jawohl」

ブリュンヒルデ「…」



(モシ 命令ニ ソムケバ ワタシタチノ トルミチハ フタツ)



(力ヲ 奪ワレルカ 自我ヲ 奪ワレルカノ イズレカ)



(ソウナッテ シマエバ ワタシタチハ) 



「オ姉サマタチヲ 守レナイ…」



シュヴェルトライテ「エ?」

ブリュンヒルデ「…ナンデモ ナイワ」

グリムゲルデ「…」

ブリュンヒルデ「(…ソウ 守レナクナル)」



(「現時刻ヲ モッテ アナタノ指揮権ヲ 剥奪シマス」)



ブリュンヒルデ「(アンナ コトモ デキナクナッテ シマウ デショウネ…)」



金糸雀「…」



カリカリカリ…
49 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:31:46.72 ID:QM8q3SEo
金糸雀「(…とりあえず、聞いたことを一刻も早くまとめるかしら・・・)」カリカリカリ…


「(指揮権ヲ オ返シ イタシマス)」


金糸雀「…」



(「…ドウカ ゴ命令ヲ」)



金糸雀(…ブリュンヒルデ、みんな…)



…グスッ



(ごめんなさいかしら…)



…コンコン



金糸雀「…?」

のり「金糸雀ちゃん?」

金糸雀「あ、はいはいただいまかしらー!」…トテテテテ

のり「…入るね?」…ガチャリ


ゲシッ!


金糸雀「のあっ?!」ドゲシ!

のり「あらら?」



…バッタリ
50 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:34:43.04 ID:QM8q3SEo
のり「…あっ!!」

金糸雀「…あ、あばばば…」…ピヨピヨ

のり「か、金糸雀ちゃんっ!?」

金糸雀「お、おー星さーま、きーらきら…」…ピヨピヨ

のり「金糸雀ちゃん! ご、ごめんなさ…」



…ガッチャーン!



のり「きゃああ?!」

金糸雀「な、なっ?!」


パラパラパラ…


のり「な、なにが…」

「…オ姉サマ!!」


…ジャキ!


のり「え、ええっ?!」

ブリュンヒルデ「オフタリトモ! オケガハ アリマセンカ?!」

金糸雀「…ふぇぇ?!」

グリムゲルデ「突入シマス!」…ジャコッ!


ガッシャーン!


シュヴェルトライテ「何事デスカ?!」ジャキ!



ドゴン!!
51 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:37:52.64 ID:QM8q3SEo
のり「な、なにごとって…」

シュヴェルトライテ「グリムゲルデ! オフタリヲ オ願イ!」シャコッ!

グリムゲルデ「ワカッタワ! ソプラノ隊、アルト隊ニモ 報告ヲ…」

金糸雀「や…」




「やめるかしらーーーーー!!!」




ブリュンヒルデ「…エ?」

金糸雀「もう、やめるったらやめるかしらーーー!!」プンスカ

グリムゲルデ「…オ、オ姉サマ?」

金糸雀「窓はともかく、壁をブチ破るのはやりすぎかしらー!!」

シュヴェルトライテ「エ… ス、スミマセン」

のり「そ、そうなの。みんな…」…オズオズ



「わたしが、ドジっちゃったのよ…」



グリムゲルデ「…ソウナノ デスカ?」

のり「うん。お部屋に入る時に、金糸雀ちゃんをけっとばしちゃったのよ…」

シュヴェルトライテ「…ソウダッタノ デスカ」

ブリュンヒルデ「…何事モナクテ ヨカッタデス」

金糸雀「ブリュンヒルデ!!」ムカッ!



「ちーっとも、よくないかしらー!!」
52 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:41:26.38 ID:QM8q3SEo
のり「か、金糸雀ちゃん?」

グリムゲルデ「デ、デモ…」

金糸雀「だーかーら! 命令を、聞いていないのかしら?!」

グリムゲルデ「…ア」

シュヴェルトライテ「ソウデシタ…」

金糸雀「そうかしら!」



「…中のことはかまうなって、言ったはずかしらーーーーー!!」



ブリュンヒルデ「…ハイ ソノトオリデス」

金糸雀「わかったら、とっとと出て行くかしらー!!」

グリムゲルデ「…スミマセン」

シュヴェルトライテ「…申シ訳 ナイデス」


スゴスゴ…


金糸雀「…もうっ!」

のり「…」

金糸雀「お部屋を治さなくちゃいけないかしら!」プンスカ

のり「ねえ、金糸雀ちゃん…」

金糸雀「なにかしら?」

のり「…えっと、その…」



ト ト ト ト ト …ガチャ!



ジュン「…のり? 金糸雀?!」
53 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:46:22.08 ID:QM8q3SEo
のり「あ、ジュン君」

巴「何かあったの?! …って、これ…!」


…グッチャリ



みつ「ひどいありさまね… みんな、無事なの?」

真紅「戦乙女たちは、なにをしているの?!」

金糸雀「…」


…ブスッッ


真紅「・・・金糸雀?」

金糸雀「説明するのも、めんどうくさいかしら…」ゲンナリ…

ジュン「…なんなんだ、いったい?」

のり「…実は、わたしが金糸雀ちゃんを、間違ってけとばしちゃって…」

みつ「あらららら」

真紅「…もしかして、戦乙女たちが部屋に入ってきたの?」

金糸雀「そのとーりかしら…」シュパ…



…キラキラキラ…



のり「で、でも、悪気じゃなかったんだし…」

金糸雀「…」ムスッッ



「融通がきかなすぎるのも、考え物かしら!」
54 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:51:05.35 ID:QM8q3SEo
ジュン「でもみんな、いい子じゃ…」

真紅「…腹に一物、持ってるようだけれどね」

ジュン「え…」

真紅「ねえ、金糸雀?」



金糸雀「…」



ジュン「真紅、金糸雀、もう…!」

みつ「は、話をかえましょ! そういえば… ね、カナ!」

金糸雀「何かしら?」

ジュン「そうだ。 …話って、なんだい?」

金糸雀「…」



シュパァァ…



みつ「…カナ?」

ジュン「…?」

金糸雀「話なんて、ないかしら」

のり「…え?」

金糸雀「お部屋はこれで、よしと」…グ



…シャーッ!



ジュン「…カーテンを?」
55 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:55:33.67 ID:QM8q3SEo
のり「ま、まだ明るいよ?」

金糸雀「さて…」


…チョコン


みつ「カ、カナ???」

金糸雀「…もう一回言うけど、お話なんてなーんにも無いかしら!」カリカリカリ…


サラサラサラ…


のり「そ、そうなの?」

金糸雀「そうかしら! 水銀燈のことも雪華綺晶のことも…」キッ!


「お父さまのことだって、知ったこっちゃ無いかしらー!」


みつ「…ど、どうしたの? カナ…」

金糸雀「なんでもないかしら! ちょっと書き物してるかしら!」サラサラサラ…

ジュン「それ… ボクの、レポート用紙かい?」

金糸雀「…ちょっとだけ、借りるかしら!」 カリカリカリ…

ジュン「いいけど… じゃあ、終わったら呼んで」…ガチャリ

真紅「もう、人騒がせね…」


シュパ!


ジュン「わ?!」

みつ「え?」

真紅「…あなた?」



チカ チカ…
56 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 21:58:18.99 ID:QM8q3SEo
のり「な、なに…?」

ジュン「…ピチカート?」

真紅「あなた、いったい…」


…チカッ


「…え?」


チカ…


ジュン「し、真紅?」

真紅「…何ですって? ピチカート…」

のり「…真紅ちゃん?」

真紅「…」


「(ジュン)」


ジュン「なんだい?」

真紅「(…)」



(静かに、しゃべらないで、後ろを振り返って)



ジュン「え… なぜ?」

真紅「(いいから、早く)」

のり「(…真紅ちゃん?)」

みつ「(なにが…?)」…クルッ



…ピラッ
57 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 22:00:43.77 ID:QM8q3SEo
ジュン「(…カナ?)」

金糸雀「…」


…ヒラヒラヒラ


みつ「(…カナ? 紙に、なにか書いたの?)」

のり「(え…? えーと…)」

金糸雀「…」



[ みんな これから 見せること ]



[ しゃべらないで 落ち着いて 読んで ]



ジュン「…?」

金糸雀「…」ペラッ



[ わたしたち 今 監視されてる ]



真紅「…!」

のり「(え…!)」

ジュン「なんだって…!?」

金糸雀「…!」ペラッ!



[ 声を立てないで! ]



ジュン「あ…(ごめん…)」
58 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/25(日) 22:04:25.49 ID:QM8q3SEo
のり「(監視って… 誰に?!)」

真紅「(やっぱり、あの子たち…)」

ジュン「(…そう、なのか?)」

金糸雀「…」


…ペラッ


[ みんなを 上に連れてきて 話をするから ]


ジュン「(…)」

のり「(金糸雀ちゃん…)」

金糸雀「(お願いかしら…)」…ペコッ

ジュン「…」


…コクン


金糸雀「(ありがとうかしら…)」…ペコリ

真紅「(ジュン…)」

ジュン「…」



トットットッ…



(金糸雀、君は…)



(何を、話そうとしてるんだ? 何をしようとしてるんだ…?)



ト ト ト ト ト …
59 :[sage]:2009/10/25(日) 22:05:41.14 ID:QM8q3SEo
今日はここまでです。続きは30日。
60 :[saga]:2009/10/25(日) 22:06:43.21 ID:QM8q3SEo
>>39
支援どうもっす〜
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/25(日) 22:12:04.73 ID:VIR3jgwo
乙樽場 昨日の味方は今日の敵…!?
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/25(日) 23:43:18.81 ID:FAu0Wxko
おっつ
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/25(日) 23:44:10.61 ID:m5W8ALso
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/25(日) 23:59:00.88 ID:VVJ3P.Yo
乙です
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/26(月) 18:09:19.09 ID:EDPxQ4Qo
おつ!
66 :1[saga]:2009/10/30(金) 20:42:34.11 ID:9vfFZU6o
>>61-65
乙どもっす〜

>>61
『敵』ではないんですけどね…
しいて言えば、「はじめてのおつかい」のスタッフみたいな感じ(謎
ただ、自分たちが誰かの手のひらの上で転がされてきたというのは、愉快なことではないでしょうが…


再開します〜
67 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 20:46:06.77 ID:9vfFZU6o
【?????】



ポト ポト ポト …



「…」

「…」



シューーーー…



「…」

「…お母様…」

「…」



ポト ポト ポト …



「…お父様、お母様は…」

「生命に 別状は無い」

「…」


シューーーー…



「ただ 時間は かかるだろう」

雪華綺晶「そう…」

水銀燈「…」



68 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 20:47:36.78 ID:9vfFZU6o
…ポト ポトッ…



雪華綺晶「(なに、これ…?)」

水銀燈「…」

雪華綺晶「(お母様の体から、どんどん染み出てくる…)」



…ドロッ



雪華綺晶「(こんなに、たくさん…)」

「…君は」…カチャ カチャ…

水銀燈「…はい」

雪華綺晶「?」



「君は 変わらないな」



水銀燈「え?」

雪華綺晶「…えっ?」

「…」…カチャリ



「君は すぐに 無茶をする」



水銀燈「…無茶?

「自分の 身など かえりみようとしない」
69 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 20:51:12.65 ID:9vfFZU6o
雪華綺晶「お父さま…?」

「ずっと 前から そうだった」

水銀燈「…」



(水銀燈「これくらいで、音を上げてどうするの! さあ、かかってきなさい!」)

(蒼星石「くっ… まだまだぁ!」)



雪華綺晶「…そうなの? お母さま」

水銀燈「そ、そんなに無茶なことは、してないつもり…」

「そうだ、雪華綺晶」 

雪華綺晶「えっ?」

水銀燈「お、お父さま!」

「水銀燈は いつもいつも 無理をしていた」…カチャ カチャッ



(ローゼン「大丈夫か、水銀燈。 傷を…」)

(水銀燈「私は平気です。 どうか、あの子たちを先に…」)



「私や みんなを 守るために いつもいつも」

雪華綺晶「そうなんだ…」

水銀燈「(…お父さま)」

雪華綺晶「(へえ… お父さまってば、こんなことも言うんだ)」

「…」…カチャ




(こんなお父さま、はじめて…)
70 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 20:52:19.63 ID:9vfFZU6o
ポト ポト ポト…



「『不純物』を取り去るには まだ 時間がかかる」

雪華綺晶「不純物…?」

水銀燈「あの子たちの、『穢れ』よ」

雪華綺晶「…あの子たちの?」

「そうだ」



ドロ…



「憎悪や 恐怖など 歪んだ感情に 支配された生命」

水銀燈「これが…」

雪華綺晶「(…あのときの…)」



―あなたたちの命が、わたしのなかにこぼれおちてくる! あははは、気持ちいいわぁっ!



雪華綺晶「(こんなものが、お母さまの中に…)」

「気分は どうだ」

水銀燈「…だいぶ、よくなりました」

雪華綺晶「大丈夫なの?」

水銀燈「ええ… さっきより、だいぶ楽になったわ」…ニコ

雪華綺晶「…よかった…」

「…」



「水銀燈」
71 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 20:54:14.66 ID:9vfFZU6o
水銀燈「…はい」

「…わかっていると 思うが」

水銀燈「…」

「…」

雪華綺晶「…お父さま?」

「…君の力は」…カタン



「君の力は ああいう使い方を 想定したものでは ない」



水銀燈「…」

雪華綺晶「え…」

「『聖母』の力は 戦闘に使うための 力では ないのだ」

水銀燈「…はい」

「生命の力を 集める機能も 然り」

雪華綺晶「(…そ、そうだけど… でも!



(でも、でも… お母さまは!)



「あの力は 不純物を極力含まない生命を 集めることを 前提としている」

水銀燈「はい…」

「浄化機能も ついているとはいえ 限度がある」…コトッ



「くれぐれも 無理は しないでほしい」
72 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 20:57:51.59 ID:9vfFZU6o
水銀燈「…すみません」

雪華綺晶「…お父さま!」

「…」



…ジロッ



雪華綺晶「ひ…!」

水銀燈「あなた…?!」

「なんだ」

雪華綺晶「(ひ、ひぃ…!)」…ゾクッ

水銀燈「お、お父さま!?」

雪華綺晶「(こ、怖い! 怖い…っ、でも!)」

「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「お、おっ…!(わ、わたし… 頑張る!!)」ガクガクガク…


(約束したもの! 真紅と… 金糸雀と!!)


雪華綺晶「お… お父さまっ! お母さまは…!」

水銀燈「え?」

「…?」

雪華綺晶「お母さまは、お母さまは…!」

水銀燈「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「わたしたちを、契約者たちを、そして街を… 全部、守るために!」

水銀燈「雪華綺晶、あなた…」



「わかっている」
73 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:01:59.48 ID:9vfFZU6o
雪華綺晶「えっ…」

「あの状況では、やむをえなかったということは」

水銀燈「…お父さま」

「君をあの状態で 出撃させてしまった 私の責任だ。 …すまなかった」

雪華綺晶「お父さま…!(う、うそ!)」



(お父さまが、謝るなんて…!)



「だから 本当なら わたしにこんなことを言う資格は ないのだが」

雪華綺晶「(いままで、誰だろうとどこだろうと、謝ることなんてなかったのに!)」

水銀燈「…」

「…水銀燈」



「君は 大事な存在なのだ」



水銀燈「大事な…」

雪華綺晶「だ、大事なって…!?」

「そうだ」

雪華綺晶「お、お父さま! それって…」

水銀燈「雪華綺晶?」

「…なんだ?」

雪華綺晶「それって、それってやっぱり…」ドキドキ…



「…『アリス』を完成させるため、に?」

74 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:07:05.59 ID:9vfFZU6o
「…」

雪華綺晶「…そ、それとも…?」

「…」

水銀燈「…お父さま?」

「…」…スック



「そのとおりだ」



雪華綺晶「え…」

「『聖母』は アリスを生成するためには 必要不可欠な 存在なのだ」

水銀燈「…」

雪華綺晶「そ、そう…(やっぱり、ね…)」

「…水銀燈」

水銀燈「…はい」

「きみは 幾多の苦難を乗り越え 『聖母』として完成した」

水銀燈「…」

「もう わたしには 同じものを創ることは 出来ない」

水銀燈「…はい」

「君の存在は もはや 無二のものと言っても 過言ではないのだ」 

雪華綺晶「(…そうよね、『こいつ』にとっては…)」

「そのことは 忘れないでくれ」

水銀燈「心します」

雪華綺晶「(こいつにとっては…)」



「(お母さまだって、ただの便利な道具のひとつに過ぎないのだもの…)」
75 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:09:25.84 ID:9vfFZU6o
雪華綺晶「(そう、わたしだってお姉さまたちだって、こいつにとっては…)」


「雪華綺晶」


雪華綺晶「は、はい!!」ドキッ!

水銀燈「…あなた?」

雪華綺晶「な、なんですか? お父さま…」ドキドキドキ…

「工程が一段落したら 私も少し休憩を取る」

雪華綺晶「え…」

「君も少し 休むといい」

雪華綺晶「お、お父さま…」

「機材を取りに 行ってくる」…スック


「異常があれば すぐ 報せるように」


雪華綺晶「は、はい…!」

水銀燈「…」

「…」…コツ



コツ コツ コツ…



水銀燈「お父さま…」

雪華綺晶「(あいつ…)」

水銀燈「…」



コポ コポ コポ…
76 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:11:37.44 ID:9vfFZU6o
【ジュンの家】



カリカリカリカリカリ…



「…」

「…」


カリカリカリ…


「…」

「…!」


カリカリカリカリカリ…


「…」

「…えっ!?」


キッ!



翠星石「あ…」

蒼星石「(す、翠星石!)」

金糸雀「…!」ズイッ!



ピラピラピラ…



[ 静 か に す る か し ら !! ]
77 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:16:44.01 ID:9vfFZU6o
翠星石「(…ご、ごめんですぅ…)」

金糸雀「(…さっきから、あなたが一番やっかましいかしら! …でも)」ヒラヒラヒラ…


(無理も無いこと、なんだけれど…)


翠星石「…」…ションボリ

金糸雀「(…むしろみんな、こんなものを読まされて、よく平静を装ってるかしら…)」

翠星石「…」カリカリカリ …ペラッ



[  ゞ@£%±И  ] 



ジュン「…???」

のり「?」

金糸雀「(翠星石?)」カリカリカリ …ペラッ



[ 暗号は 使わなくても いいかしら ]



翠星石「…!!」ムキー!

雛苺「…???」

蒼星石「(…はあ)」カリカリカリ…

マツ「…?」

蒼星石「…」ペラッ



[ 翠星石は 「ごめんなさい」って 書いたんだよ ]
78 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:20:33.10 ID:9vfFZU6o
翠星石「(や、訳すなですぅ…)」プルプル…

のり「(あ… そう、なんだ…)」

ジュン「( な ん と い う お 約 束 )」

みつ「(で、でも、ほら! 日本語って難しいし!)」

翠星石「(…な、なぐさめないでほしいですぅ…)」プルプルプル…

金糸雀「…」カリカリカリ

真紅「…」カリカリカリ



サラサラサラ…



翠星石「(…カナ姉、真紅?)」

ジュン「(ふたりとも?)」

金糸雀「…」ペラッ

真紅「…」パラッ



[ 日本語くらい 早く 覚えるかしら ]

[ 恥ずかしいわね まったく ]



翠星石「…!!―っ!!」ムキー!!

雛苺「…ぷぷ…っ」

翠星石「…」…ムカッ



グニッ!
79 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:24:56.90 ID:9vfFZU6o
雛苺「きゃああん?! いったあーいっ!!」

金糸雀「?!」

巴「(雛苺?!)」

翠星石「…」カリカリカリ ペラッ



[ う る さ い で す ぅ ]



ジュン「(なんで、こういうのは書けるんだよ…)」

雛苺「…!(翠星石、ずるいのー!!)」ムキー!

翠星石「(…バカ苺のぶんざいで、人をバカにするからですぅ)」ニヤニヤ

金糸雀「(…もう、ふたりとも!)」ペラッ!



[ まじめに聞くかしら!! ]



翠星石「(は、はーい…)」

雛苺「(…ごめんなさい、なの)」

金糸雀「(…話は、まだまだ途中かしら! 静かに聞く… いや、読むかしら!!)」


…パタン


金糸雀「(…真紅?)」

真紅「(私たちは、読み終わったわ)」

蒼星石「(だいたい、内容は理解したよ)」

翠星石「(…翠星石も、読むだけならなんとか)」
80 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:32:03.55 ID:9vfFZU6o
金糸雀「(…みんな)」…カリカリカリ

真紅「(金糸雀?)」

金糸雀「…」ペラッ


[ ありがとう かしら ]


真紅「…」

金糸雀「(もっと、大喧嘩になるかもしれないって、思ってたかしら…)」カリカリカリ…

真紅「(今すぐにでも、そうしたいところだけれど)」

金糸雀「(へ?)」

蒼星石「(君の、水銀燈の気持ちを…)」

翠星石「(ムダにするわけには、いかないですから)」

金糸雀「…」


…グスッ


雛苺「(…ひ、ヒナは…? ヒナは、読まなくていいの?)

蒼星石「(読めるんですか?)」ニヨニヨ

雛苺「(…むー)」ムスッ

蒼星石「(…雛苺には、あとで僕たちが説明するよ)」

雛苺「(…そう…)」

金糸雀「(じゃあ次は、ジュンたちに読んでもらうかしら…)」

ジュン「(了解)」

金糸雀「(よいしょ…)」

ジュン「(…お、おっと)ガシッ」



…ズッシリ
81 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:40:34.27 ID:9vfFZU6o
ジュン「(…すごいや)」…パラ

のり「(…)」ペラッ

ジュン「(あれから5分で、こんな分厚いレポートを書き上げるなんて…)」

のり「(レポート用紙を、2冊分まるまる使い切って下書きも推敲もして…)」


…パラ


柴崎「(おかげで、文字は多いが文章は読みやすいわい。 …しかも)」

マツ「(ちゃんと、わたしたちにも見えるような大きさの字で書いてくれてるのね…)」

ジュン「(カナって、すごいんだな…)」

みつ「(すごいでしょ?)」…ニコニコ


パラ… パラッ


みつ「(策士モードのカナって、ほんっっとーにすごいんだから)」ニヤニヤ

ジュン「(は、はあ)」

みつ「(わたしが社長室付きになれたのも、ほとんどカナのおかげなのよ〜)」

ジュン「(それって、社会人としていいのか?)」…ペラッ



[ 水銀燈について ]


ジュン「…!」

のり「!!」



[ 第一項 復活 ]   
82 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:52:20.21 ID:9vfFZU6o
ジュン「(い、いったい…?)」

のり「(な、なんなの?)」 …ペラ


[ 「ローゼンメイデン」の水銀燈は 青髭公との戦いで ]  


柴崎「(これは…!)」

マツ「(そんな!)」


[ 破壊され 完全に 消失した ]


ジュン「(!!!)」

のり「…!!」


[ その後 わたしたちの前に現われたのは 「ラプラスの魔」が創りあげた ]


みつ「(カナ! こ、これはいったい…!?)」

ジュン「(なんなんだ、これは!!)」 



[ 水銀燈の記憶と力を引き継いだというだけの まったく別の存在である ] 



ジュン「(こんなこと… こんなことが、あってたまるか!!)」

のり「(金糸雀ちゃん! こ、これって…!)」

金糸雀「…」ピラッ



[ ここに 書いてあることは すべて ]


[ 雪華綺晶が わたしに 教えてくれたこと ]

83 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 21:57:51.87 ID:9vfFZU6o
ジュン「(なん… だって…?)」

真紅「(雪華綺晶が…)」

金糸雀「(そう。あの子が水銀燈と一緒に…)」



(『お父さま』のところに行く直前に…)



【回想 河川敷】



水銀燈「雪華綺晶、行くわよ」

雪華綺晶「はい、お母さま。 …」

金糸雀「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「…」



(秘密にされるのは、いや?)



金糸雀「え…」

雪華綺晶(しゃべらないで、答えて。金糸雀お姉さま)

金糸雀「(…あなた?)」

雪華綺晶(お父さまのことも、お母さまのことも、わたしのことも…)

金糸雀「…」

雪華綺晶(ないしょにされたままにされるのは、もういや?)

金糸雀「(…当然かしら)」

雪華綺晶(そう…)ス…



…キィン!
84 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 22:04:32.60 ID:9vfFZU6o
金糸雀「え…?!」

雪華綺晶(当然だよね)

金糸雀「(こ、これは…)」

雪華綺晶(…全部、教えてあげる)



(お父さまから、教えるなって言われてたこと、全部…)



金糸雀「(い、いいの?)」

雪華綺晶(…記憶の奥に刷りこんでおいたから、あとでゆっくり思い返してみて)

金糸雀「(あなた…)」

雪華綺晶「それじゃ、行ってきます。 …お姉さま」

金糸雀「…な、なにかしら?」

雪華綺晶「もし、お父さまが許してくれたなら…」



「お姉さまたちのお茶会に、わたしも出ていい?」




のり「(そうだったんだ…)」

ジュン「(そ、そんな… こんなことって…)」

金糸雀「(水銀燈が、あえて言わなかったことも、ここには全部書いてある…)」



「(…みんな、とりあえず一通り目を通してほしいかしら…)」



…ツンツン
85 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 22:10:25.37 ID:9vfFZU6o
金糸雀「…?」

真紅「(金糸雀)」…ツンツン

金糸雀「(なにかしら…?」

翠星石「…」…ジロ

金糸雀「(…みんな、なに?)」

蒼星石「(…)」ピラッ



[ ここに 書いてあることが すべて 真実だとして ]

[ いったいあなたは なにをするつもりなの? ]



金糸雀「…」

蒼星石「(僕たちの腹は、もう固まってるけどね)」サラサラ…

金糸雀「…」

翠星石「(止めても、ムダですよ?)」カリカリカリ…

金糸雀「…?」

翠星石「(ど、どうしましたか?)」

金糸雀「(…読めないかしら…)」

翠星石「(察しろですっ!!)」ムキー!!

金糸雀「…」



…サラサラサラ



[ そんなの 決まってるかしら!! ]
86 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 22:21:18.67 ID:9vfFZU6o
真紅「(やはり…)」…サラサラサラ

蒼星石「(やるんだね?!)」…カリカリカリ

金糸雀「(当然かしら!!)」…ペラ

翠星石「(そうこなくちゃです! さすがはカナ姉!)」

金糸雀「(もっとほめるかしら!)」

翠星石「(よーっし! それじゃ、さっそく準備を…!)」



「水銀燈のところなんか、行かないかしらー!!」



翠星石「ほぇ?!」コケッ!

蒼星石「(え… えっ!?)」

金糸雀「お父さまのところにも行かないし、雪華綺晶を探したりだってしないかしらー!!」…ゴソゴソ

真紅「(…金糸雀?)」

雛苺「(…カ、カナ???)」

金糸雀「みんな! 水銀燈とお父さまのお話を、じゃましないようにするかしら!」…ガサガサ

翠星石「(お、おい! カナブンブン!!)」

金糸雀「なにかしら?」

翠星石「(何じゃねーですっ! しゃべるなって、自分であんなに言ってたじゃないですか!)」

金糸雀「なんのことかしら〜???」ゴソゴソゴソ…

蒼星石「(それに、水銀燈のところに行かないって言うんなら、なぜ出かける準備なんか…!)」



真紅「…あっ!」


翠星石「な… なんですか?! 真紅までデカい声だして…!」

蒼星石「…し、真紅?!」
87 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/10/30(金) 22:29:47.77 ID:9vfFZU6o
ジュン「…真紅」

真紅「なるほどね」

金糸雀「そのとおりかしら!」

のり「か、金糸雀ちゃん???」

真紅「みんな」…スック


「金糸雀の言うとおりよ」


翠星石「へ?!」

蒼星石「…なんだって?」

真紅「お父さまたちの邪魔に、ならないようにしましょう」

金糸雀「そうかしら! …じゃ、準備するかしら!」

翠星石「じゅ、準備ってなんですか?!」

蒼星石「行くのか、行かないのか、どっちなんだ!?」

金糸雀「だから、さっきから言ってるかしら!」


「お父さまのところには、行かないって!」


翠星石「だから、どういう意味ですか?!」

蒼星石「…あ、ああ…」

翠星石「…そ、蒼星石?」

蒼星石「そういうこと、なんだね?」

金糸雀「ふふ、そうかしら〜♪」…ニヤー

蒼星石「僕も準備するよ」

翠星石「な、なんなんですか…? 何をしようって言うんですか?!」

金糸雀「これから、はじめるところかしら!」ゴソゴソ…


「ちょーっとした、後始末を!!」
88 :[sage]:2009/10/30(金) 22:31:18.64 ID:9vfFZU6o
今日はここまでです。続きは3日。
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/30(金) 22:32:24.43 ID:AqSD86Io
おつー
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/30(金) 22:32:35.89 ID:X.pbv7.o
乙〜
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/30(金) 22:34:29.04 ID:h6g5M6wo
乙樽場 カナハイスペックだよカナ
>>66
なるほど… 複雑な立場だ
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/30(金) 23:00:28.02 ID:EaPoUooo
おつ!
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/10/31(土) 00:23:49.43 ID:/8LU0L6o
おっつ
94 :[saga]:2009/11/03(火) 22:05:55.53 ID:0BwIo7Yo
>>89-93

乙どもっす。 再開します〜
95 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:14:53.21 ID:0BwIo7Yo
【?????】



シューーーーーー…



水銀燈「…」

雪華綺晶「…」



ポタッ…  ポタッ



雪華綺晶「…」



…ポタッ…



雪華綺晶「(滴り落ちる『穢れ』が、少なくなってきてる…)」

水銀燈「…雪華綺晶」

雪華綺晶「なあに?」

水銀燈「あなたも、少し休みなさい」

雪華綺晶「…いま、休んでるわ」

水銀燈「そうじゃなくて、眠っておきなさいってことよ」

雪華綺晶「…」



ポト…



水銀燈「あなただって、だいぶ力を使ってしまったのだから…」
96 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:16:25.93 ID:0BwIo7Yo
雪華綺晶「まだ、大丈夫。真紅や金糸雀に、力を分けてもらったから」

水銀燈「そうなの?」

雪華綺晶「それに…」



「ここに、いたい」



水銀燈「え…」

雪華綺晶「お母様の、そばに」

水銀燈「…」

雪華綺晶「…だめ?」


…ポト


水銀燈「…勝手になさい」

雪華綺晶「うん、そうする」…ニコ

水銀燈「…もう」


…ピチョン


雪華綺晶「『穢れ』も、だいぶ少なくなってきたね」

水銀燈「抜けきるには、だいぶ時間がかかってしまうようだけれどね…」

雪華綺晶「うん…」

水銀燈「だからすぐには、あなたを連れて帰れないかもしれない」

雪華綺晶「…」



…ピチョン
97 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:18:06.33 ID:0BwIo7Yo
雪華綺晶「お母さま」

水銀燈「なに?」

雪華綺晶「…あいつのこと」

水銀燈「もう、『お父さま』でしょう?」

雪華綺晶「…」



「あいつ、なんだか機嫌がいいみたい」



水銀燈「…そうなの?」

雪華綺晶「うん。 あいつが…」

水銀燈「…」

雪華綺晶「あいつが昔のことを話すなんて、はじめてだった」

水銀燈「そうだったのね…」

雪華綺晶「…うん(そう、昔のことなんか…)」



(わたしにだって、話してくれたこと無いのに…)



水銀燈「…もしかしたら、話もうまくいくかもしれないわね、雪華綺晶…」

雪華綺晶「…」

水銀燈「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「あ… な、なに?」

水銀燈「…どうしたの?」

雪華綺晶「な、なんでもない。 …なに?」

水銀燈「…お父さまとのお話、うまくいくかもしれないって」
98 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:20:34.82 ID:0BwIo7Yo
雪華綺晶「…」

水銀燈「あなたの言うとおり、お父さまはみんなをアリスにするという目的のためだけに動いてきた」

雪華綺晶「…うん」

水銀燈「そして…」



「目的のためには、手段を選ばなかった」



雪華綺晶「…そうよ」

水銀燈「その目的を達成するためには、だれでもなんでも利用したし…」

雪華綺晶「ええ」

水銀燈「その目的を妨害するものは、だれでもなんでも排除していった」

雪華綺晶「…」

水銀燈「…そう」グ…



「わたしたち、姉妹自身も含めて」



雪華綺晶「うん…」

水銀燈「時には、わたしたちを利用して実験を行い… 時には」

雪華綺晶「…」

水銀燈「私たち姉妹の中の、アリス生成を妨げる要素を排除していった…」

雪華綺晶「…お母さま…」



「わたしたちに、なにひとつ伝えることもなく…」
99 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:31:17.18 ID:0BwIo7Yo
雪華綺晶「…お母さま?」

水銀燈「(お父さま。 わたしたちは、そのことを恨んではいません…)」


…ギュ…


(わたしたち、あなたの目的のためであれば、どんなことでも甘受できるんです…)

(でも… でも、せめて、ひとことだけでも…)



…ギュッ



(なんでもいい、なにかひとこと言って下されば…!)



雪華綺晶「お母さま…?」

水銀燈「…」ギリ…

雪華綺晶「(あなた、やっぱり…)」


(あいつのことを、憎んでいるんでしょう…?)


水銀燈「…」…ギリッ

雪華綺晶「(…素直になればいいのよ。 お母さまも、みんなも…)」

水銀燈「でも…」

雪華綺晶「えっ?」

水銀燈「手段を選ばないということは、言いかえれば…」



「お父さまは、手段にこだわってはいないということでしょう?」
100 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:39:09.13 ID:0BwIo7Yo
雪華綺晶「…そうね」

水銀燈「それなら、手段は変わりうるということよね」

雪華綺晶「…」

水銀燈「なんとか出来るだけ、お父さまの目的を妨げないように話をしてみるわ」

雪華綺晶「…お母さま」

水銀燈「大丈夫。 きっと、悪いようにはしないと思う」

雪華綺晶「…」

水銀燈「わたしもあなたも、アリスをつくるためには必要な存在なのだから…」

雪華綺晶「…」



「あなたはやっぱり、なにもわかっていない」



水銀燈「え…」

雪華綺晶「お母さまは、お父さまのことをわかっていない」

水銀燈「…どういうこと?」

雪華綺晶「お父さまの結晶に触れただけじゃ、わからないのよ」

水銀燈「…」

雪華綺晶「わたしにはわかる。…ずっとお父さまのそばにいたから」

水銀燈「…だから、何が?」

雪華綺晶「確かにお父さまは、わたしたちにとっていたずらに害になることはしない」

水銀燈「…ええ」

雪華綺晶「そう、害になることはしないのよ…」



「わたしたちが望む望まざるに、かかわらずね」
101 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:44:21.82 ID:0BwIo7Yo
水銀燈「…確かに、そうね」

雪華綺晶「あいつは、わたしたちにとって有益なことなら、わたしたちの気持ちなんかお構いなしにやるのよ」

水銀燈「…」

雪華綺晶「あいつは自分のしたことが、相手にとってどういうことなのか、わからな…」



「いえ、違う」



水銀燈「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「理解は、できるの」

水銀燈「えっ?」

雪華綺晶「でも、頭でわかるっていうだけ」

水銀燈「…?」

雪華綺晶「相手がこう思ってる、っていうことを、理解することはできる」

水銀燈「ええ…」

雪華綺晶「お母さまが大変だったろうな、みんなが辛かったろうなってことは、あいつはわかるの」


「…でも、相手の『気持ち』に近づくことが出来ないのよ」


水銀燈「…どういうことなの?」

雪華綺晶「…」

水銀燈「雪華綺晶?」

雪華綺晶「…」



…プイッ!



「すぐに、わかるわ」
102 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:47:09.99 ID:0BwIo7Yo
水銀燈「あなた…」

雪華綺晶「あいつと話をすれば、いやでもわかることよ(…そう)」

(わたしはずっと、あいつと一緒にいたんだから)



…コツ コツ コツ…



雪華綺晶「(…ほら、来たわ)」

水銀燈「…」



…コツ コツ コツ…



水銀燈「…」

雪華綺晶「(…お母さまも、みんなも、思い知るべきなのよ)」



(あんなやつ、お父さまって呼ぶ価値なんか無いことを…!)


コツッ…


「…待たせたね」

水銀燈「いえ…」

「…浄化装置を交換する」…ガチャ

雪華綺晶「…」



ガチャ… ガチッ



雪華綺晶「(…容器が、『穢れ』でいっぱいになってる…)」
103 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:55:42.36 ID:0BwIo7Yo
「…廃棄しなくてはならないな」

水銀燈「…『廃棄』…」

雪華綺晶「お父さま」


「また『アレ』に食べさせるの?」


「そうだ」

雪華綺晶「危なくない?」

「…今のところは、問題は無い」

雪華綺晶「そうね」…プィッ



「よく、しつけられてるからね!」



水銀燈「あなた…」

雪華綺晶「…わたしと同じように」

「…」

雪華綺晶「潜在意識化に、あなたへの恐怖を刷りこんであるんだものね」

「…そのとおりだ」

水銀燈「雪華綺晶…」

「そうしなくては、制御できないのだから」

雪華綺晶「…そう…

「制御できない状態では、あまりにも危険すぎる。あの子も…」



「そして君もだ」
104 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 22:59:04.87 ID:0BwIo7Yo
雪華綺晶「…」

「…君の力は、あまりに危険すぎるのだよ」

雪華綺晶「『大いなる力には、責任が伴う』でしょう?」

「そうだ」

雪華綺晶「…何回も、あきるほど聞いたわ」

「…何度でも言おう。 君の力は、危険なのだ」

水銀燈「…」

「力そのものも、さることながら」



「…その力が、人にもたらす恐怖こそ」



水銀燈「…恐怖…」

「…そうだ」グイ…



…ガチッ!



「『精神操作』… 人の感情を操り、記憶を書き換える力」キリキリキリ…

水銀燈「…」

「君は知っているだろう、水銀燈」

水銀燈「はい… お父さまが、禁断の研究としてきたふたつ」



「…不老不死と、精神操作」
105 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:06:59.97 ID:0BwIo7Yo
雪華綺晶「(…ローゼンお父さまが…)」

「そうだ。 ローゼンは、その二つの研究を禁忌として、遠ざけてきた」

水銀燈「…はい。 そのふたつは、人の命と心をもてあそぶ行為だと…」

雪華綺晶「命と、心…」

「そう。 だが、彼が恐れたのは、そんな倫理上の事由ではない」…ガチリ



バシュッ!



水銀燈「…そうでしたわね」

「そうだ。 ローゼンが最も恐れたのは…」シュゥゥゥゥ…

雪華綺晶「…」



「それらを研究していると知ったときの、まわりの人間でしょう?」



水銀燈「…雪華綺晶」

「…そうだ」

雪華綺晶「当然よね。 不老不死なんてものが、実現するかもと思えば…」

「…みな、それを血眼で求めるだろう」

雪華綺晶「自分の心を、もてあそんでくる… 書き換えてしまうような存在がそばにいると思ったら…」

水銀燈「人間はみな、死に物狂いでそれを排除しにかかるでしょうね…」

「そのとおりだ」…カチリ



…ブゥン
106 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:14:48.75 ID:0BwIo7Yo
水銀燈「(…浄化装置が、作動し始めた…)」

「だからこそ、君たちの存在を、私は秘しておくつもりだったのだ」ヒュゥゥゥ…

雪華綺晶「…」

「精神を操るドールである君と…」

水銀燈「…わたし、ですね」

「そう…」


「生命を司るドールである、君をだ」


雪華綺晶「…精神と、生命…」

「…水銀燈が完成するには、『適格者』の存在が不可欠だった」

水銀燈「はい」

「だから、君を完全に人から遠ざけるわけにもいかなかった。 …だからこそ、雪華綺晶」

雪華綺晶「…はい」

「君という存在は、できるかぎり秘しておきたかったのだが」

雪華綺晶「…」

水銀燈「…お父さま」



「話したね?」



雪華綺晶「…!!」

水銀燈「…はい」

「薔薇乙女たちと、契約者たちに。 …話してはならないことも」

雪華綺晶「あ… え…っ」



ガタガタガタ…
107 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:17:50.58 ID:0BwIo7Yo
水銀燈「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「そんな… そんな、私は…」

水銀燈「…まさか、あなた!?」

雪華綺晶「…ひっ!」ビクッ!



ガクガクガク…



水銀燈「雪華綺晶、あなた…」

雪華綺晶「な、なによ…!」

水銀燈「私が話さなかったことまでも、みんなに話してしまったのね…!」

雪華綺晶「な… なによなによ! 最初に話したの、お母さまじゃない!!」

水銀燈「あなた…!」

「…ふたりとも」



…ギロッ



雪華綺晶「…!」

水銀燈「お父さま…」

「…」



「静かにしなさい」



雪華綺晶「ひい!」ビクン!

水銀燈「…お父さまっ!」
108 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:24:28.37 ID:0BwIo7Yo
「何かね、水銀燈」

水銀燈「どうか… どうか、おやめください! この子を、恐怖で縛るのを…!」

雪華綺晶「お、お母さま…」

水銀燈「わたしも、してしまっていることですが… でも、お父さま! あなたは、あなただけは…!」

「…」



「君たちを責める気はない」



水銀燈「え…」

雪華綺晶「(『責める気はない?』…ふ、ふん!)」ブルブル…

「君たちの気持ちは、理解できる」

水銀燈「…」

雪華綺晶「(…『理解できる』ですって!? 何よ! …おまえなんか!)」


(『理解』することしか、できないくせに!!)


「…だが、それでも」

雪華綺晶「(頭でわかるだけにくせに… 同じ気持ちになることができないくせに!!)」

「言わなくてもよいこと、知らずともよいことというものは、あるのだ」

水銀燈「…そうかもしれません」

「すべてを知ったからといって、幸せになれるわけでも不幸を避けられるわけでもない」

水銀燈「はい、それはわかります… けれど!」

「…」

水銀燈「けれど… もう、秘密を作りたくないんです!」…キッ!



「せめて、あの子たちとの間だけでも…!」
109 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:33:26.40 ID:0BwIo7Yo
「…」

水銀燈「そして、できれば、あの人たちとの間にも!」

雪華綺晶「(お母さま… ムダよ!!)」

水銀燈「お父さまはかつて、わたしに言った。 …『人とともに生きて幸せになれ』と!」

「…たしかに」

水銀燈「…それは、あなたたちに守られなければかなわない、はかない夢だったのかもしれない」

「…」

水銀燈「けれど、わたしは… わたしはまだ、それを諦めたくはないんです!」

雪華綺晶「(ダメ… そいつに、そんな言葉なんか、とどかないもの!)」

水銀燈「わたし自身のためにも… 産む喜びを、生きる喜びを与えてくれた、みんなのためにも!」

「…」

水銀燈「お父さまっ!」


「…わたしは、休憩する」


雪華綺晶「(お母さま… ムダよ、ムダなのよ!!)」

「君たちの行為は、不問に付す」

雪華綺晶「え…?!」

「話してしまったこと、知ってしまったものは、仕方がない」

水銀燈「お父さま…!」

雪華綺晶「…お父さま、いいの?」

「…」

雪華綺晶「みんなが、あのことを知ったままでも… ほんとに、いいの?」

「構わん」



コツ…
110 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:37:33.48 ID:0BwIo7Yo
水銀燈「…お、お父さまっ!」

「…」コツ コツ…



コツ コツ コツ…



水銀燈「(お父さま、あなたは…)」 

雪華綺晶「…」

水銀燈「(わかってくださったのですか?! わたしの想いを…)」

「…」

水銀燈「(…わたしの目指すものを、受け入れてくださったのですか…?!)」

「…」…コツ



「…雪華綺晶」



雪華綺晶「は、はい」

「休むのだ」

雪華綺晶「え…」

「これは命令だ。 休め」

水銀燈「…な?!」

「すぐに、君の力を使うときが来る」

水銀燈「お、お父さま?!」

「知ってしまったものは仕方がない。 …都合が悪いようなら」





「 記 憶 を 消 し て し ま え ば す む こ と だ 」
111 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:42:32.92 ID:0BwIo7Yo
水銀燈「な…!!」

雪華綺晶「…」

「用意しておきなさい。 おそらく、薔薇乙女たちはここに来るだろう」

雪華綺晶「…そうですね」

「君が、場所を教えたのだから」

雪華綺晶「…はい」

水銀燈「き、雪華綺晶…!」

「自分の撒いた種だ。 自分で刈り取りなさい」

雪華綺晶「…わかりました」



「 お 父 さ ま 」



水銀燈「雪華綺晶、お父さま…!?」

雪華綺晶「…おやすみなさい、お母さま」

「…君も、休みなさい」…コツ



コツ コツ…



水銀燈「お父さま! お願いです、話を…!」

「…あの子たちの事は、わたしと雪華綺晶にまかせておきなさい」

水銀燈「そんな… わたしは、わたしは!!」

「君は、今は何も考えなくていい」…カチリ

水銀燈「あ…」



…カクン
112 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/03(火) 23:57:02.53 ID:0BwIo7Yo
水銀燈「(お… おとう… さま…!)」

雪華綺晶「(…お母さま…)」

「…」


「すまなかった」


水銀燈「(…え…)」

「君には、なにもかにも引き受けさせてしまっていた。 あの子達の事を…」

雪華綺晶「(だから… だから、言ったじゃない)」

「…わたしに向けられるはずだった、あの子達の憎しみまでも」

水銀燈「(そんな… わたしは、そんなこと… 望んでない!!)」

「もう、君ひとりには背負わせない」

水銀燈「(ちがう…!! わたしはただ… お父さまが…)」

「…今はただ、休んでくれ」

水銀燈「(わ… わた… し…)」


…カク…


雪華綺晶「…おやすみなさい、お母さま…」

「…」

雪華綺晶「それではお父さま、お休みなさいませ」

「…うむ」…コツ

雪華綺晶「(…お母さま。 やっぱりあなたは…)」

「…」コツ コツ…



(こいつのこと、なにもわかっていなかった…)
113 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/04(水) 00:02:23.21 ID:SFbcnmko
コツ コツ コツ…



雪華綺晶「…ふん」

水銀燈「…」



シューーーーー…



水銀燈「…」

雪華綺晶「わかったでしょう? お母さま…」

水銀燈「…」

雪華綺晶「これが『あいつ』なのよ」

水銀燈「…」



シューーーーー…



雪華綺晶「相手の思考はわかっても、相手の気持ちになることはできないの」

水銀燈「…」

雪華綺晶「理解はできても、共感することができないのよ…」



「みんな… みんな、このことを知らなきゃいけないのよ…!!」


…ポトッ


(おとう… さま…)



…ポト…
114 :[sage]:2009/11/04(水) 00:03:30.13 ID:SFbcnmko
今日はここまでです。続きはあさって。
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/04(水) 00:03:40.54 ID:s4XJFRYo
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/04(水) 00:06:10.91 ID:4bRk0n6o
乙おつ〜
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/04(水) 00:10:54.83 ID:9Axt6g6o
おつ!
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/04(水) 00:17:08.32 ID:ET84SCco
乙樽場
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/04(水) 00:25:23.24 ID:lYKytQoo
おっつ
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/04(水) 00:31:20.43 ID:giJZPBEo
乙です
121 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 21:12:30.46 ID:7JSWl2Qo
>>114-120
乙どもっす〜 再開します。
122 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 21:16:04.27 ID:7JSWl2Qo
【ジュンの家】



…ガタガタ ザワザワ



「それじゃ、準備はできたかしら?」

「…私は、いつでもいいわ」



…ガヤガヤ ゴソゴソ



「翠星石と蒼星石も、準備オッケーですよ」

「十分、気をつけてほしいかしら。 …あなたたちも真紅も、ケガしてるんだから」

「心配には及ばないよ」…シュラン



ジャキッ!



金糸雀「まったく、もう…」

蒼星石「戦いに行くんじゃ、ないんだから」

翠星石「そうですそうです!」…シャキン!

金糸雀「(もう、ふたりとも…)」ゴソゴソ…

(庭師の武具をしっかりお手入れしておいて、よく言うかしら…)

みつ「…」

金糸雀「(まあ、それを言っちゃったら)」


…シュピッ!


(カナが一番アレだけれど…)クルクルクル…
123 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 21:22:50.46 ID:7JSWl2Qo
みつ「(…黄金の指揮棒を…?)」

金糸雀「(…ま、こうなったらクヨクヨしてもしかたないかしらっ! 出たとこ勝負かしら!)」

みつ「…」



…ソーッ



金糸雀「…みっちゃん?」

みつ「ね、カナ」

金糸雀「なにかしら?」

みつ「…ほんとに、だいじょうぶ?」

金糸雀「…」

みつ「戦いに行くんじゃないってことは、わかってるけど」

金糸雀「…うん」

みつ「でも…」

金糸雀「…」

みつ「…」

金糸雀「…みっちゃん?」

みつ「(あの、レポート)」…ポソッ


(…あなたがまとめてくれた、きらちゃんのレポート…)


金糸雀「(…うん…)」ポソ…

みつ「(みんなのお父さんは、もしかしたら…)」ヒソヒソ…



(みんなの記憶を、消しちゃうかもしれないんでしょう?)
124 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 21:29:22.72 ID:7JSWl2Qo
金糸雀「(…)」

みつ「(…あ、あなたのお父さんを悪く言うわけじゃないけど)」

金糸雀「(かまわないかしら)」…ポソッ



(可能性としては、十分にありうるかしら…)



みつ「(カナ…)」

金糸雀「(お父さま…いえ、『ラプラスの魔』は…)」

みつ「…」

金糸雀「(薔薇乙女をアリスにするため その障害となるあらゆるものを除去してきた)」

みつ「(…うん)」

金糸雀「(そしてその中でも もっとも細心の注意を払っていたものが…)」



(雪華綺晶「…『絶望』の存在」)



みつ「(絶望…)」

金糸雀「(そう… 希望を、失ってしまうこと)」


―ただの人形が 人とふれあい愛され 「アリス」という 究極の存在になる… 

―その条件は いまだ謎が多いが ひとつ有力な要因がある


みつ「(…それが『純粋な想い』だったっけ)」 

金糸雀「(…うん)」



―数少ない過去の偶発的な アリス生成例のなかで 唯一といっていい 共通の要素
  
―それは例外なく 『希望』ある状態での 人間との交感により 育まれていく
125 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 21:32:37.68 ID:7JSWl2Qo
金糸雀「(だからお父様は、時には敵対し、時には狙われることになりながらも…)」

みつ「(あなたたちを、あくまで人間とともにいられるようにしてきた)」

金糸雀「(その通りかしら。 …いつかわたしたちを、アリスにするために)」

みつ「(…結局、アリスってなんなの?)」

金糸雀「(それは、雪華綺晶にもわからなかったみたいかしら。 でも…)」


 
―逆に「純粋な想い」を損なう 最大の要因は 希望が失われた状態

―人間 世界 他者に対する 基本的な信頼関係を喪失した状態



金糸雀「(それこそが、『絶望』だと)」

みつ「(…)」



―この状態では 他者との交感をいくら重ねようと 「純粋な想い」が育まれることはなく

―逆に 他者と触れ合えば触れ合うほど 恐怖 憎悪 嫉妬といった「負の感情」が増大することになる



みつ「(なんとなく、わかる気がする…)」

金糸雀「(…だから、お父さまたちは、わたしたちが人間に対して、自分自身に対して「絶望」することがないように…)」

みつ「…」

金糸雀「(汚れ役を、引き受けてくれていたかしら… わたしたちを守るためでなく)」

みつ「え…」

金糸雀「(ただ、ただわたしたちを…)」…ギリ…



(「アリス」にするためだけに…!)
126 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 21:40:15.56 ID:7JSWl2Qo
みつ「(カナ…!)」

金糸雀「(お父さまは… 心を失ったお父さまは…)」キッ!

みつ「(…?!)」

金糸雀「お…おっ…!」




「お父さまは!!」



蒼星石「(…?!)」

翠星石「(カ、カナ姉?!)」

金糸雀「お父さまは… お父さまは!!」

翠星石「(ば、ばかっ!! 口きくなって言ってたの、おめーじゃねーですか!!)」

真紅「(金糸雀!!)」

金糸雀「わたしたちのことなんか…!!」



グニュ!!


金糸雀「むぐぇ?!」

ジュン「…?!」

のり「あ…!」



「カナ…」ギュウウ…



翠星石「(デカ人間…?)」

金糸雀「(み、みっちゃん…???)」

みつ「(…ダメ…)」
127 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 21:47:46.00 ID:7JSWl2Qo
ジュン「(みっちゃんさん…?)」

真紅「…」



…ギュウウ…



みつ「(ダメ… ダメよ、カナ…)」ギュ…

金糸雀「(む、むぎゅ…???)」

みつ「(…負けちゃダメっ!!)」



(『絶望』なんかに、負けちゃダメ!)



金糸雀「(え…)」

みつ「(あなたたちが絶望したら…)」



(「お父さんに、記憶を消されちゃうんでしょ?!)」



金糸雀「…」

みつ「(…そうなんでしょ? カナ!)」

金糸雀「(…うん。 たぶん…)」



(雪華綺晶「わたしは、お父さまからおおせつかっていた」)

(「万一、あなたたち薔薇乙女が、完全に『絶望』する事態になったら…」)




金糸雀「(その原因ごと、根こそぎ記憶を消してしまえと…!)」
128 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 22:00:48.17 ID:7JSWl2Qo
みつ「(『原因』ごとって… ダメ!!)」

金糸雀「(…この場合はきっと、お父さまのこと、雪華綺晶のことになるかしら…)」

みつ「(ダメ… ダメよ!)」 

金糸雀「(お父さまが、わたしたちにしてきたこと… してこなかったこと…)」

みつ「(考えちゃ…考えちゃダメ! カナ!!)」

金糸雀「(…雪華綺晶に、させてきたこと…)」

みつ「…カナ!!」

金糸雀「…」



…ニコ



ジュン「…カナ?」

金糸雀「んもー、みっちゃんたら!」ニコ…

みつ「…え?」

金糸雀「なーんて顔してるのかしら? …カナは、だーいじょうぶかしら!」ニコニコ

翠星石「(…ほえ?)」

金糸雀「しーんぱいごーむようかっしらー!!」


…ニッコニッコ


みつ「カ、カナ…?」

金糸雀「カナは、ぜんぜんへいきのへいちゃらかしら!」ニコニコニコ…

みつ「あ、あなた…???」

金糸雀「そう! そんなこと、考えてなんか、ないかしら…」ニコ…



…ジワッ
129 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 22:07:53.70 ID:7JSWl2Qo
蒼星石「…?!」

金糸雀「そう… 考えてなんか…」

真紅「金糸雀!!」

金糸雀「考えてなんか… いない…」…ポロ…

雛苺「カ、カナぁ!!」

金糸雀「考えて… なんか…」

みつ「ダっ…!」


「ダメぇーっ!!!」


…ガシッ!


金糸雀「…みっちゃん…」

みつ「(ダメ… それ以上言っちゃダメ!!)」

金糸雀「え…」


…ブルブルブル…


金糸雀「…みっちゃん?」

みつ「(口に出しちゃダメ! 言葉に負けちゃう!!)」

金糸雀「…言葉に?」

みつ「(自分の口から出た言葉に、自分が負けちゃうのよ!!)」

金糸雀「…自分の言葉に、負ける…?」

みつ「(だから、こらえて! お願い!!)」

金糸雀「…」


…ギュウ
130 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 22:16:43.10 ID:7JSWl2Qo
みつ「(カナ…!)」

金糸雀「(みっちゃん…)」…ギュッ



…ギュウウ…



みつ「(がんばって… がんばって!!)」

金糸雀「(だから… だいじょうぶ… かしら…)」…ブルッ



ガタガタガタ…



みつ「(カ… カナ?)」

金糸雀「(カナは… カナは… 考えてなんかいないかしら…!!)

みつ「?! ダ、ダメ!!」

金糸雀「(カナは!!)」



( い っ そ 記 憶 を 消 し て ほ し い な ん て ! ! )



みつ「…!」

金糸雀「(こんなことだったら、知りたくなんかなかったって…!!)」

みつ「(あ… あああ…)」

金糸雀「(覚えてなんかいたくないって… 思ってなんか…っ…)」

みつ「(うああ… ああ、あああっ!)」


(???「そんなこと、知りたくなんかなかった!!」)



(???「いまさらあなたなんかに、お母さん顔してほしくなんかない!!」)
131 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 22:25:07.03 ID:7JSWl2Qo
金糸雀「(そんなこと、カナは悲しくなんかない!)」

みつ「(う… ああ…っ カナ…!)」

金糸雀「(つらくもなんともない! …だってカナは!)」



( も う な ん に も 感 じ な い ん だ か ら ! ! )



パァン!!



金糸雀「あぅっ?!」

柴崎「…!!」

マツ「あなた…!」


「…」



雛苺「ひ、ひっ…!」

ジュン「み、みっちゃんさん…!」

のり「(こ、怖いっ…!)」



「…」



金糸雀「み… みっ…」…ゾクッ

みつ「…ないで」

金糸雀「…え?」

みつ「…ふっ…!」



「 ふ ざ け な い で ! ! 」
132 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 22:35:08.02 ID:7JSWl2Qo
蒼星石「(…みっちゃんさん!?)」

翠星石「(デ、デカ人間がブチ切れやがったです!!)」

みつ「ふざけないで… ふざけるなっ!!!」グィッ!!


ブンッ!


金糸雀「ひ、ひっ?!」

みつ「なんで、絶望なんかするの!! 100年早いのよ!!」ブンブンブン!!

金糸雀「う、うひいいいい?!」…ユッサユッサ

ジュン「み、みっちゃんさん!! 落ち着いて!!」

みつ「落ち着いてなんかいられないっ!」ブォン!

ジュン「わっ?!」

金糸雀「うぐぇ?!」


ブルンブルン!


ジュン「み、みっちゃんさん! 危ないっ!!」

金糸雀「ぐえぇぇぇ?!」ブンブンブンブン!

みつ「カナのバカ! バカ!! みんなバカよ!! カナも真紅ちゃんも!!」

真紅「…え?」

みつ「翠星石ちゃんも蒼星石ちゃんも! 何百年も生きてるくせに、大バカよー!!」

蒼星石「と、とりあえず姉さんを放して!!」

翠星石「カナが死んじまうですっ!」

みつ「やだっ!!」ガバ!


…ギュ


金糸雀「…ふぇ?」
133 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/05(木) 22:42:01.21 ID:7JSWl2Qo
みつ「…」



…ギュ



金糸雀「(みっ…ちゃん???)」

みつ「…」



―…ない!



金糸雀「え?」

みつ「…」

金糸雀「…なに? なんて…」



―…生きてるじゃない!



金糸雀「えっ…」

みつ「…」



―お父さんが、生きてるんじゃない! 何百年も、生きていたんじゃない!


―どんなかたちであっても、元気で生きていてくれたんじゃない! なによ!!


―わたしは―


金糸雀「…」

みつ「わたしの… …は…  …っ…!」ギュウ…
134 :[sage]:2009/11/05(木) 22:42:57.42 ID:7JSWl2Qo
今日はここまでです。続きは8日。
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/05(木) 22:43:20.17 ID:HzDm3uMo
乙〜
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/05(木) 22:44:29.12 ID:fWKYdpUo
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/05(木) 23:00:03.55 ID:0xRT8tYo
おっつ
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/05(木) 23:04:23.32 ID:Duxqtg2o
乙樽場
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/05(木) 23:35:35.98 ID:wt1p1IYo
おつ!
140 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 18:56:20.47 ID:pzeNwCgo
>>135-139
乙どもっす。再開します〜
141 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 18:58:48.24 ID:pzeNwCgo
金糸雀「(…みっちゃん…)」

ジュン「(みっちゃんさん、あなたは…)」

みつ「う… うぅ…」



ギュウ…



金糸雀「(みっちゃん、わたし…)」

みつ「(…ね)」

金糸雀「え?」

みつ「…」



(ごめんね、カナ)



金糸雀「え…」

みつ「(カナたちがあんなに苦しんでるのに、わたしったら自分のことばっかり…)」

金糸雀「…」

みつ「(やっぱり、みっちゃんってダメだね… いっつも、自分のことしか考えてない…)」

金糸雀「…ううん」…ス



ピト…



みつ「…カナ?」

金糸雀「(みっちゃんは、ダメなんかじゃない…)」スリ…

みつ「…」

金糸雀「(…ダメなのは、カナたちのほうかしら)」
142 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:04:07.74 ID:pzeNwCgo
みつ「…そんな」

金糸雀「(そうかしら… だって)」


…ギュ


みつ「…カナ」

金糸雀「(せっかく、せっかくお父さまが… 生きていてくれたのに…)」ブル…

みつ「…」

金糸雀「(喜ぶどころか、憎しみばかりわきあがってくるなんて…)」


みつ「それは…」

金糸雀「(カナたちは、アリス失格かしら… いえ)」

みつ「…」

金糸雀「(こんな、カナなんかには)」


(お父さまの、娘である資格なんて…)



…ギュゥ



金糸雀「む、むぐ?」

みつ「…違う」

金糸雀「(え…?)」

みつ「違う、それは違うのよ。 カナ…」ギュウ…

金糸雀「みっちゃん?」

みつ「それは…



「それは、憎しみじゃない」
143 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:08:27.86 ID:pzeNwCgo
金糸雀「(え?)」 

みつ「…」ナデ…

金糸雀「(憎しみじゃ… ない?)」

みつ「…いえ」 



「憎しみじゃなく、ない…」



金糸雀「(え、ええっ???)」

みつ「憎しみ、なんだけど… 憎しみなのは、確かなんだけど…」 



「ダメな憎しみじゃ、ないのよ…」



金糸雀「(み、みっちゃん???)」

みつ「そう、ダメじゃないの…」スリ…

金糸雀「(い、いったいどういう意味かしら???)」

みつ「…真紅ちゃん」

真紅「え?」

みつ「…真紅ちゃん、雛苺ちゃんも」


…チョイチョイ


雛苺「???」

みつ「…こっちに、来て」チョイチョイ

真紅「…私が?」

みつ「翠星石ちゃん、蒼星石ちゃんも…」…チョイチョイチョイ
144 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:14:55.85 ID:pzeNwCgo
翠星石「へ…?」

蒼星石「ぼ、僕も?」

みつ「はやく… ね?」

翠星石「な…何を???」

みつ「いいから…」チョイチョイチョイ

マツ「…」


「行って、おあげなさいな」


蒼星石「え…」

マツ「きっと、大事な話があるのよ。…ね?」

みつ「…」

柴崎「そうじゃな、草笛さん?」

みつ「…」


…コクン


マツ「…そうだって。 さあ」

蒼星石「…翠星石」

翠星石「…」


…トコ トコ トコ


みつ「…みんな」

翠星石「…しょうが、ないですね」トコ…

みつ「ありがとうね…」

真紅「ここで、いいのかしら?」

みつ「ううん。もっと近く…」
145 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:17:46.97 ID:pzeNwCgo
翠星石「…これくらいですか?(まさか…)」…トコトコ

みつ「…もっと」

雛苺「うゆ? もっと??」トテトテ

みつ「うん… それくらい」

蒼星石「いったい… わ?!」



ガバ!



真紅「きゃ?!」

雛苺「ひゃあ!」


ギュウ…


翠星石「や、やっぱりー!! むぐぐ…???」

蒼星石「く、苦しいよ…? みっちゃんさん…」

みつ「…」



―みんな、聞こえる?



真紅「え…」

雛苺「ふ、ふぇ?」



―そのまま、しゃべらないで聞いて。 すぐ終わるから…



金糸雀「みっちゃん…?」
146 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:22:45.07 ID:pzeNwCgo
翠星石「(は、話って…)」

蒼星石「(…いったい?)」


―みんな。


真紅「(…なに?)」

―みんな、みんな…

雛苺「???」

―…



―お父さんが、憎らしいんでしょ?



翠星石「え…!」

蒼星石「!…」

―ずーっと会えなかった、お父さんのことが…

真紅「(そ、そんな…)」

金糸雀「(みっちゃん…!)」

雛苺「(み、みんな…?!)」

―あんなに会いたいと思ってたはずの、お父さんのことが…



―いざ会えるとなると、憎くって憎くって、しかたないんでしょ?



蒼星石「(…ぼ、僕たちは…)」

雛苺「(…みんな…)」…ギュ



(みんな… そうなの?)
147 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:29:57.20 ID:pzeNwCgo
真紅「(雛苺…)」

雛苺「(みんな、やっぱりそうなの? 真紅も金糸雀も…)」

金糸雀「(…)」

雛苺「(翠星石も蒼星石も、みんなそうなの?!)」

翠星石「(そ、そんなこと…)」

蒼星石「(僕らは… 僕らは!)」

雛苺「(みんな… みんなっ!! ひどいの!!)」

―…

雛苺「(ひどいの! ひどいのよっ!! みんな…!)」

―…


―ヒナちゃん。


雛苺「(え…)」

―みんなが、お父さんのこと憎く思ってるのって… イヤ?

雛苺「(え…)」

金糸雀「(ヒナ…)」

―…少し、ショックだったかな?

雛苺「(…ヒナは…)」

真紅「…」

雛苺「(ヒナは… ヒナは…)」



…グスッ



真紅「(雛苺…)」

雛苺「(ヒナ… ヒナは… っ…)」グズ…
148 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:36:19.14 ID:pzeNwCgo
翠星石「(ヒ、ヒナ… 違うです、違うんです…!)」

雛苺「(…ぐず…)」

蒼星石「(僕たちは別に、お父さまのことを… そんなふうには…)」



(ズット ホウッテ オカレタノ デショウ?)



蒼星石「そんな… ことは…」

雛苺「(…え、えぐっ…)」

―…



―いいんだよ、ヒナちゃん。



雛苺「(…ずび?)」

―言いたいこと、ちゃんと言っていいんだよ?

雛苺「(えっ…)」

―みんな、怒らないよね?

真紅「え…」


―ヒナちゃんのこと、怒ったりしないよね?


蒼星石「…」

翠星石「(す、翠星石は…)」

蒼星石「(…僕は、怒らないよ)」

翠星石「(へ?)」

雛苺「(蒼星石…?)」

金糸雀「(…カナも、怒ったりしないかしら…)」
149 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:42:40.30 ID:pzeNwCgo
翠星石「(カ、カナ姉…)」

真紅「(…私も)」

翠星石「(ほえ?!)」

真紅「(けして、怒らない。 怒らないから…)」

雛苺「(…真紅…)」

真紅「(あなたの思うところを、包み隠さず話してほしい…)」

翠星石「(…すっ… す、翠星石は…)」

―…



―ヒナちゃん。 みんな、怒らないみたいだよ?



翠星石「(…はあ?!)」

―話してみて。 大丈夫だから…

雛苺「…」

翠星石「(だ、だから! 前提がおかしいです!!)」

雛苺「(翠星石…)」

翠星石「(翠星石は… 翠星石は、そんなこと思ってない…!)」

雛苺「…」



…ジワ



翠星石「(…ひ、雛苺!?)」 

雛苺「…」ポロ…

翠星石「(だ、だから泣くんじゃねーですってば!!)」

真紅「(…)」
150 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:48:52.59 ID:pzeNwCgo
翠星石「(も、んもう! おかしいです、こんなの! 翠星石は!)」


グニッ!


翠星石「ひぎぃっ?!」

雛苺「ひっ?!」

蒼星石「す、翠星石?!」

翠星石「い、いだだだだだー!!」



真紅「…」グニグニ



金糸雀「し、真紅?!」

翠星石「や、やめるですぅ真紅ー!!」

真紅「…」グリッ!

翠星石「みぎゃあ!! や、やめっ…!!」

真紅「…」


「黙って、話を聞きなさい」


翠星石「へ、へっ?!」

真紅「雛苺の話を聞くのよ」ブスッ!

翠星石「あきゃああああ!!」

雛苺「し、真紅…」ポカーン

真紅「…どうするの?」グニッ!

翠星石「きっ、聞くですー!! だから… だから!!」

雛苺「…」


…ポフ
151 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 19:54:22.36 ID:pzeNwCgo
翠星石「(ひ、ヒナ??)」

雛苺「…」


スリ…


翠星石「(ヒナ… す、翠星石は…)」

雛苺「(…イヤなの)」

翠星石「(え?)」

雛苺「(イヤなの…)」



…ギュウウ



翠星石「(い、イヤって何が…)」

雛苺「(…みんな、わらってなきゃイヤなの)」

翠星石「(えっ…)」

雛苺「(みんな、よろこばなきゃダメなの!!)」



ガシッ!



真紅「(雛苺…)」

雛苺「(ダメなの… ダメなのよ! みんな、なかよくしなきゃ!!)」

金糸雀「…」

雛苺「(水銀燈も雪華綺晶もお父さまも、みんなみーんな、なかよくしなきゃダメなのぉー!!)」

蒼星石「(…雛苺)」

雛苺「(みんなで… みんなでケンカなんか… いやなの…)」…グスッ


(なかよくしてくれなきゃ… ダメなの…)
152 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/08(日) 20:01:59.23 ID:pzeNwCgo
翠星石「(…ヒナ…)」

雛苺「(ダメ… ダメなの… ヒナ、ヒナ…)」

―…


…ギュ


雛苺「(…うゅ?)」

―ちゃんと言えたね。 …よく、がんばったね。 

雛苺「…」

金糸雀「(みっちゃん…」

―とっても、つらかったんでしょう?

雛苺「(え…)」

―…



―みんなが怒りを、憎しみをぶつけあうのが、とてもつらかったんでしょう?



雛苺「(…)」

―みんなみんな、大好きなみんなが、そんなふうにしていたのを見て…

真紅「…」

―自分の心の中の「好き」が、引き裂かれそうだったんだよね…?

雛苺「…」


「う…」


蒼星石「雛苺…」

雛苺「う… うう…」ポロ… ポロッ 

翠星石「…ヒナ…」
153 :[sage]:2009/11/08(日) 20:02:55.12 ID:pzeNwCgo
今日はここまでです。続きは11日。
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/08(日) 20:03:26.31 ID:8EQNreco
乙樽場 ヒナ…
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/08(日) 20:15:19.26 ID:fDAocPco
乙〜
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/09(月) 00:18:18.16 ID:wKwrp3so
おっつ
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/09(月) 00:29:47.80 ID:yI6I5v2o
おつ!
158 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 18:45:10.69 ID:UtmNeFoo
>>153-157

乙どもっす。再開します〜
159 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 18:46:26.65 ID:UtmNeFoo
真紅「(雛苺…)」

雛苺「(ヒナは… ヒナは…!)」グス…


―イヤだったんだよね、わかるの。 わかるのよ…


雛苺「(う… うう… ぐずっ…)」

真紅「(…私は…)」



(「お父さまが、死んでくれたままでいたほうがいいとさえ…」)



真紅「(私は… いったい何を…)」

蒼星石「(…僕らは…)」

翠星石「ヒナ…」

蒼星石「(自分の苦しみばかり考えて…)」…チラ

雛苺「…ぐす…?」

蒼星石「(僕らが悲しむことで、悲しみにくれる子がいることを、忘れていたのか…)」…ギリッ



(…僕のバカっ!!)



―辛かったよね… 心が、痛かったよね… 

雛苺「(うん… うんっ…)」…グス…

蒼星石「(…僕の…バカ…!)」

―でも、でもね…



―…それは、悪いことじゃ、ないのよ?
160 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 18:49:34.47 ID:UtmNeFoo
雛苺「え???」


―みんなが、お父さんのこと、憎く思うのはね… 悪くないのよ?


金糸雀「(え、えっ??)」


―悪いことじゃない。 ダメなことじゃないの… 


真紅「(…あなた?)」


―ダメじゃない。 ダメじゃないのよ…


翠星石「(な… なぜ、ですか???)」


―…だって、当然のことだもん。 


蒼星石「(当然…?)」


―そうだよ。 …なんて言えばいいのかな?


金糸雀「み、みっちゃん???」

みつ「…うーんと…」


…ポク ポク ポク


翠星石「…ほえ??」

みつ「…」ポク ポク ポク…

真紅「(…何の音???)」

みつ「…」ポク ポク ポク…



チーン!
161 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 18:52:17.82 ID:UtmNeFoo
金糸雀「ふえっ?」

みつ「…よーし! これかな?」グイ!


…ギュ!


翠星石「…むぎゅ?」

みつ「(みーんな、よーく聞いてね!)」

雛苺「(…な、なに?)」

みつ「…」



―雛苺ちゃん。



雛苺「(…な、なに?)」

金糸雀「(…みっちゃん???)」

―あのね… 



―あなた、翠星石ちゃんのこと、どう思ってる?



翠星石「…え??」


―嫌いかな?


雛苺「…ふぇ??? き、きらいって…」


―そう。 だってふたりとも、いっつもケンカしてるじゃない。


雛苺「(そ、そんな…)」

翠星石「(…)」
162 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 18:58:38.47 ID:UtmNeFoo
―そうでしょ? 雛苺ちゃんって、翠星石ちゃんにイタズラされたり…


雛苺「(…え、えっ…?)」


―イジワルされることだってあるんでしょ?


雛苺「(…そ、そう、だけど…)」

翠星石「(…ヒナ…)」


―翠星石ちゃんは、どう?


翠星石「(えっ…)」


―ヒナちゃんのこと、嫌い?


翠星石「(…え?)」


―ヒナちゃんだって、翠星石ちゃんに、ナマイキな口を聞いてきたり…


雛苺「(え… えぇ?!)」

翠星石「(そ… そっ…)」


―言うことちっとも聞いてくれない、きかんぼうだったりするんでしょ?


雛苺「(え… で、でも、だって…)」

翠星石「(…)」

―どうかな?

翠星石「(…それは…)」

雛苺「(だって、だって…!)」 


「(だって、いっつも翠星石のほうから、イジワルしてくるんだもん!)」
163 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:00:01.71 ID:UtmNeFoo
―…

真紅「(…雛苺ったら)」

雛苺「(ヒナ、悪くないもん! ヒナのせいじゃないもん!)」

蒼星石「(…翠星石)」

翠星石「(…)」

蒼星石「(…翠星石、正直に言いなよ)」

翠星石「(翠星石は…)」



…ギュ



雛苺「きゃ?!」

翠星石「…」…ギュウ

雛苺「(す、翠星石…?)」

蒼星石「(翠星石、君は…)」



(雛苺のことが、大好きなんだろう?)



雛苺「(…ふぇ?)」

蒼星石「(君は、雛苺が大好きで大好きでたまらないんだ)」

翠星石「…」…ギュウ

蒼星石「(だからつい、ちょっかいをかけたくなって…)」

翠星石「…んもう」


…グニ


雛苺「きゃあん!」
164 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:02:45.63 ID:UtmNeFoo
金糸雀「…!?」

翠星石「まったく、もう…」グニグニ

雛苺「い、いたあいっ! も―っ!!」

蒼星石「す、翠星石っ!」

翠星石「…蒼星石ったら」グニ…


「よけいなこと、言いやがってですぅ」


蒼星石「え?」

真紅「…あなた」

翠星石「…まったく、もう」…パッ

雛苺「…ん、んもう! いたかったのよ!! なにする…」

翠星石「…」グィ!



…ムギュウ



雛苺「…むぎゅ!?」

翠星石「…」ギュ…

雛苺「(すっ、翠星石…?)」

翠星石「意味がねーじゃないですか。 これじゃ…」…ス


ナデ…


雛苺「(…え?)」

翠星石「…先に言われちまいました」…ナデ ナデ



「わたしの口から、言わなきゃならないことだったのに…」
165 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:04:39.46 ID:UtmNeFoo
雛苺「(え、えっ…?)」

翠星石「(…蒼星石が言ったんじゃ、意味ないですよ。 …もう)」

蒼星石「(…ごめん)」

雛苺「(え???)」

真紅「(…もう、翠星石も、雛苺も)」

雛苺「(え、な、なに…)」

翠星石「…」


(…蒼星石の言うとおりですよ、雛苺)


雛苺「(…ふぇ???)」

翠星石「(ヒナは、ほんっとーに、おバカでKYでガキンチョで…)」

雛苺「(え、ええ?!)」

翠星石「(ナマイキで、口ごたえばっかりする、かっわいくねー妹ですけど…)」

雛苺「(な、なんなのよ! ひっどいの!)」プンスカ

翠星石「(でも…)」



(これっぽっちも、嫌いになんか、なれないんですよね…)



雛苺「え…?」

翠星石「(顔を見ると、ついイジワルしたくなるんですけど)」

雛苺「(…え、えっ???)」

翠星石「(…嫌いじゃ、ないんです。 嫌いとは違うんです…)」

雛苺「(…そ、翠星石…?)」



―ね、そういうこと。
166 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:08:53.97 ID:UtmNeFoo
金糸雀「(え?)」

翠星石「(…どういうことですか?)」

―わかんない?

雛苺「ふ…ふぇ?」

―わっかんないかな〜?

真紅「(…いえ)」



(なんとなく、理解できたわ。 あなたの言いたい事が…)



金糸雀「(…真紅?)」

真紅「(…好きと嫌いは、どちらか片一方だけじゃないということでしょう?)」

―…



(「雪華綺晶。 あなたは、何もわかっていない」)



翠星石「(え…)」

真紅「(好きの気持ちが大きいほど、その裏の嫌いの気持ちも大きくなる…)」

―…うん

真紅「(愛すれば愛するほど、憎しみの気持ちも大きくなると…)」



(「好きや嫌いじゃ、ないの。 どちらか片一方だけじゃ…」)



―ふふふっ。



…グニュ!
167 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:15:24.94 ID:UtmNeFoo
真紅「(きゃ?!)」

金糸雀「(み、みっちゃん?!)」

―う〜ふ〜ふ〜ふ〜♪

真紅「(な、何するの?! きゃあ!?)」グニグニ…

―せいかーい♪

真紅「…えっ?」


―さっすが、真紅ちゃん! よーく、できました!


蒼星石「(…愛すれば愛するほど、憎しみも…?)」

―そう! その通りなのよ〜!

真紅「(わ… わかったから、もう少し離れて…!)」グニュ〜

―んー、あとちょっと…


グニグニグニ…


―好きだから、いじくりたくなるんだも〜ん♪

真紅「(も、もうっ!)」

雛苺「(…すきと …きらい?)」
 
翠星石「…」

雛苺「(あいと… にくしみ…)」

翠星石「(…)」



(おい、『デカ人間』)



金糸雀「(…翠星石?)」

―…なーに?
168 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:19:08.80 ID:UtmNeFoo
翠星石「(好きと嫌いは… 両方セットですと?)」 


―…うん、わたしはそう思う。


翠星石「(愛すれば愛するほど、憎しみも大きくなると?)」


―…うん。


蒼星石「(…翠星石?)」

翠星石「…」



(よーするに、おめーは、こう言いたいですか?)



―…なに?

(わたしたちが、お父さまが生きていたことを喜べないのは…)

―…

(せっかく生きていてくれたお父さまに、憎しみばかりわいてくるのは…)

―…うん



…ギュウ



(わたしたちが、お父さまのことを大好きだからだって…?)

―…

(大好きだから、憎くもなるんだって… おまえは、そう言いたいんですか?)

―…



―…うん、そうだよ。
169 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:28:15.08 ID:UtmNeFoo
雛苺「(…え、えっ???)」

蒼星石「(…そんな…)」


―好きなひとだから、甘えたくなる。 好きも嫌いも、なにもかも、さらけだしたくなる。


真紅「…」

翠星石「(…好きだから… ですか?)」


―そして、目の前にいてくれるから、手の届くところにいてくれるからこそ…

―自分を、ぶつけたくなる。 …痛みも苦しみも、わかってほしくなるんじゃないかな、って…


蒼星石「…自分を、ぶつけたくなる…」

―うん。 わたしは、そう思うんだ。 だって、もしも…

翠星石「…『デカ人間』?」

―わたしがいま、わたしのお父さんやお母さんに会えたとしたら…

金糸雀「え…」


―きっと、嫌味のひとつでも言いたくなると思うしね。


真紅「(あなた…)」

―だから、悲しむことはないのよ。絶望しなくてもいいの。

金糸雀「(みっちゃん…)」

―雛苺ちゃんも、安心して?

雛苺「…え?」

―うん、だって、みんなは…

雛苺「(…みっちゃん???)」



―みんなは、お父さんのこと、嫌いなんかじゃないのよ…?
170 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:34:17.09 ID:UtmNeFoo
蒼星石「(みっちゃんさん…)」

雛苺「…そうなの?」


―うん。 翠星石ちゃんが、雛苺ちゃんにイジワル言うのといっしょ。


雛苺「…翠星石と…?」

―雛苺ちゃんが、翠星石ちゃんにワガママ言うのといっしょなのよ…

翠星石「…『デカ人間』…」

―だからみんな、安心して? 胸を張って、お父さんのところに…

金糸雀「…」



…ギュ



みつ「(カナ?)」

金糸雀「…みっちゃん」ギュウ…

みつ「(カナ…)」

金糸雀「(わたし…)」


(みっちゃんの言うこと、正しいと思うかしら…)


翠星石「(…カナ姉)」

金糸雀「(大事な人だから、好きか嫌いか、どっちか片一方しかないってことはない…)」

みつ「…うん」

金糸雀「(それは、すごく、よくわかるかしら)」…ギュウ



(カナたちが、水銀燈のことをそう思うように…)

171 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:44:45.57 ID:UtmNeFoo
蒼星石「(…姉さん)」

金糸雀「(…わたしたちの中には、たしかにお父さまへの想いがある)」

みつ「(…うん)」

金糸雀「(みっちゃんのおかげで、そのことを思い出すことができたかしら…)」…ギュウ


「(でも…)」


みつ「…カナ?」

金糸雀「(でも… でも…)」ブルブルブル…

真紅「(…金糸雀?)」

金糸雀「(わたしたちには… 想いがあっても…)」



(お父さまは、そのことをわかってくれるのかしら…?)



真紅「…!」

雛苺「え…」

金糸雀「(心を失ってしまったお父さまは、わたしたちの想いをわかってくれるのかしら…)」

翠星石「カナ姉…!」

蒼星石「…」

金糸雀「(いまのお父さまにとっては…)」


(たとえ裏に、『好き』や『愛』が隠れていたとしても…)

(全部、ただの『嫌い』『憎しみ』にしか、受け取れないんじゃないかしら…?)


みつ「…」

金糸雀「(すべて、アリスの生成を阻む不純物くらいにしか、認識できないんじゃ…)」

みつ「…カナ!!」
172 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:50:26.53 ID:UtmNeFoo
雛苺「(カ、カナ!)」

翠星石「(そ、それは…)」

金糸雀「…」


(みんな、ごめんなさいかしら…)


真紅「(…金糸雀)」

金糸雀「(みんなを、不安にさせるようなことを言って… お父さまを、おとしめるようなことを言って…)」

蒼星石「姉さん…」

金糸雀「(…でも、カナは…)」

みつ「…カナ」

金糸雀「(カナは…)」

みつ「…カナぁ…!」

金糸雀「…」



…ギュウ



みつ「カナ?」

金糸雀「みっちゃん…」ギュ…

みつ「…なに?」

金糸雀「…」…モジモジ

みつ「どうしたの?」

金糸雀「…あ、あの、その…」…テレテレ



「い、いつものをお願いかしら!」
173 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:53:10.16 ID:UtmNeFoo
みつ「い、いつものって?」

金糸雀「うん。 いつもの…」

みつ「…???」

金糸雀「…」


…スッ


みつ「か、カナ?」

金糸雀「…」


…スリッ


みつ「あなた…?」

金糸雀「…」スリ スリ…

みつ「…」


ギュッ…


金糸雀「…むぎゅ」

みつ「これのこと?」

金糸雀「…うん、それ」


…スリスリ…
 

翠星石「…カナ姉???」

みつ「カナ…」

金糸雀「…みっちゃん!」ギュウ…



「景気よく、お願いかしら!」
174 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 19:58:41.24 ID:UtmNeFoo
蒼星石「…姉さん? みっちゃんさん? 」

翠星石「い、いったい??」


ムギュ〜〜〜


みつ「…いくわよ、カナ!」

金糸雀「ばっちこい、かしら!」



…グニッ!



真紅「…な、何? 何を…?!」

雛苺「…カナ? みっちゃん???」

みつ「えいっ!!」



…スリスリスリスリスリスリ!



金糸雀「うきゃああああああ!?」

雛苺「カ、カナぁ???!!!」

金糸雀「ほ、ほっぺがまさちゅーーーー!! おかおがねっちゅーーーーー!!」

みつ「そーれそーれ! これでもかー!!」


スリスリスリスリスリスリ!!!


金糸雀「うはあ、ひゃああ! うひゃああああー!?」

真紅「(な、何がいったい?!)」

みつ「ほーれほれ! ええのか? ええのんかーーー!?」スリスリスリスリ!

金糸雀「い、いつもよりも、おおく、まさちゅっておりまちゅーーーー!!!」
175 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:09:10.02 ID:UtmNeFoo
翠星石「(こ、これは、なんなんですかー!!)」

蒼星石「(し、振動がこっちまでー!)」



スリスリスリスリ!! スリスリスリスリ!!



「おらおらおらおらー!!」

「ふ、震えるぞハートかしら!  燃えつきるほどヒートかしらー!!」



ジュン「な、なんだなんだ?!」

のり「金糸雀ちゃんが… くるくるしてる!?」

巴「み、みっちゃんさん!?」



スリリリリリリリリリッ!!



「ムダムダムダムダぁー!!」

「ちゅ、ちゅみみ〜〜〜〜ん?!」



スリスリスリスリスリ…



柴崎「く、草笛さん! それ以上は危険じゃ!!」

みつ「え…?」

マツ「金糸雀ちゃんが、真っ青になってる!!」

みつ「…あっ」



金糸雀「…」コヒュー コヒュー…
176 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:15:59.58 ID:UtmNeFoo
みつ「カ、カナ!」

金糸雀「(み… みっちゃ…ん…)」コヒュー コヒュー…

みつ「ご、ごめんね…!」

翠星石「も、ものごとには限度ってもんがあるですー!! カナが死んじまうですー!!」

みつ 「ど、どうしよう…!」

真紅「…」


ドボ!


金糸雀「うぐぇ?!」

みつ「カナ?!」

真紅「…もう、これで呼吸できるでしょう?」

金糸雀「え…」


…スーハ- スーハー


みつ「あ、ほんとだ…」

真紅「そうなる前に、やめてもらえばいいのに」

金糸雀「…今日、みぞおちはこれで三度目かしら…」…スー ハー

みつ「カナ、ごめんね、ごめんね…!」

金糸雀「…」


…ギュ


みつ「…え?」

金糸雀「…えへへ」スリ…

みつ「カナ…?」


ギュウ…
177 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:20:23.89 ID:UtmNeFoo
真紅「…金糸雀?」

雛苺「カナ…?」

金糸雀「えへへ、えへっ…」


…ギュ


蒼星石「(…ね、姉さん???)」

翠星石「(おかしくなっちまったですか?)」

みつ「カナ…?」

金糸雀「…」


…ポフ


みつ「…あなた?」

金糸雀「…かしら」

みつ「え?」

金糸雀「…」



―愛されパワー、充電完了かしら。



みつ「え…」

真紅「…」

―これで、これでもう、大丈夫かしら…

みつ「…」

―万が一… 万が一でも…




―お父さまが、わたしたちのこと、わかってくれなくても…
178 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:29:09.76 ID:UtmNeFoo
翠星石「…!」

蒼星石「(君は…!)」



―たとえお父さまが、わたしたちのこと、愛せなくても…



真紅「(あなた…)」

雛苺「…カナぁ!」



―カナはお父さまのこと… いっぱい、いっぱい、愛してあげることが、できそうかしら…



みつ「…カナ…」

金糸雀「ありがとね… みっちゃん…」ギュ…

みつ「…うん、うん…」


ギュウ…


金糸雀「(わたし… もう、迷わないかしら… 疑わないかしら)」

みつ「…うん」

金糸雀「(…わたし、お父さまのことが、大好きかしら!)」

みつ「うん… うん…」ギュ…

金糸雀「(大好きなお父さまと、水銀燈のため… 雪華綺晶のため… 妹たちのため…!)」


(みんなみんな、めでたしめでたしで終わるために、あとひとふんばりするかしら!!)


みつ「…そうだね、そうだよね…」

翠星石「…」


…ギュ
179 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:34:42.02 ID:UtmNeFoo
みつ「…?」

金糸雀「…翠星石?」

翠星石「…」



…ギュウ



みつ「…翠星石ちゃん?」

翠星石「おい」

みつ「…え?」

翠星石「ケチるなですぅ」

みつ「…え、えっ???」

真紅「そうね」…ス


…ギュ


みつ「し、真紅ちゃん?」

真紅「金糸雀だけ?」

みつ「え、えっ???」

真紅「いくら契約者だからって、えこひいきが過ぎなくて?」ギュウ…

蒼星石「うん、まったくだね」…ギュ



…スリッ



みつ「蒼星石ちゃん?!」

蒼星石「金糸雀姉さんだけにしか、しないの?」スリ…

みつ「え、えええええ!?」
180 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:43:03.05 ID:UtmNeFoo
マツ「蒼ちゃん…」

巴「…みんな」

みつ「そ、そんなっ!!」

蒼星石「…」


「やっぱり?」


みつ「や、やっぱりって…」

蒼星石「僕らじゃ、ダメなのかい」

みつ「え、ええっ?!」


…ギュ


みつ「ダ、ダメって! そんな?!」

翠星石「…勘違いしてましたかね?」

みつ「…え?」

蒼星石「みっちゃんさんは、僕らみんなのことを、好きでいてくれてるんだとばかり思ってたんだけど」

みつ「そっ… それは、それは…」

雛苺「ちがうの???」

みつ「へ、へっ?!」


…ギュ


みつ「雛苺ちゃん…?!」

雛苺「ヒナは、みっちゃんのこと、だーいすきなのよ?」

みつ「え…! そ、そんな…!」

雛苺「だって、みっちゃんといると、とっても、とーってもたのしいんだもん!」ニッコニッコ
181 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:50:32.23 ID:UtmNeFoo
みつ「そ、そんな… そんな…」

雛苺「おきがえして、おちゃかいして、お話いっぱいして… すっごくすっごく、たのしいの!」

みつ「う、ああ…(そ、それは… 違うの!! わたし…)」



(わたし、みんなのこと… お人形さんごっこの人形みたいに扱ってただけ!)



金糸雀「(…みっちゃん?)」

みつ「(わたし… わたし、そんな資格ないっ…!)」…ブルッ

雛苺「…?」

みつ「(みんなに、好きって言ってもらえる資格なんて…)」ブル…



ブル… ブル…



金糸雀「(…みっちゃん)」

みつ「(わたしには… ないの…)」ブルブルブル…

雛苺「…」


…ポフ


みつ「ひ、ヒナちゃん?」

雛苺「…あのね、みっちゃん」

みつ「な、なに…」

雛苺「みっちゃんと、いっしょだとね…」スリ…




「みんな、みーんな、わらってるのよ?」
182 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 20:59:33.38 ID:UtmNeFoo
みつ「え… えぇ???」

金糸雀「うん…」

雛苺「金糸雀も、真紅も…」

真紅「…ええ」

雛苺「いっつもはこわいおかおしてる、翠星石も蒼星石も…」

翠星石「(こ、このチビ!)」ムカッ!

蒼星石「(そ、そんなに怖い顔してたかな…)」…ポリポリ

雛苺「トモエも、ジュンものりも、おじいちゃまもおばあちゃまも!」

ジュン「…ああ」

のり「うん…」

みつ「え、えええ???」

柴崎「…そうじゃな。草笛さん」

みつ「そ、そんなっ!!」

マツ「もっと、胸をお張りなさいな」

みつ「わ、わたしは…!」

雛苺「だから、ヒナは!」


「みっちゃんのことが、だいだいだい、だーいすきなのー!!」 …ギュウ


みつ「…あっ」

雛苺「…だから、みっちゃんに、まさちゅーしてほしいのよ?」

みつ「あ… ああ…」

雛苺「そうだよね、みんな?」

みつ「ああ… あああ…っ…」



…ジワッ
183 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 21:12:32.01 ID:UtmNeFoo
真紅「…みっちゃん。 雛苺の言う通りよ」

みつ「そんな… そんな! わたしはただ、自分が楽しんでいただけ…」

真紅「それよ」

みつ「え…」

真紅「…あなたは、私たちとともにあることを、心底楽しんでくれたでしょう?」

みつ「う、あ…」

真紅「私たち人形だって、人間と同じよ」



「『誰かを楽しませることができる』ことほど、嬉しいことはないわ…」



みつ「そんな… そんな…」

真紅「だから水銀燈も、私たちに言った。 あなたの頼みなら、断るなと」

みつ「わっ… わたし…」

翠星石「おい、『デカ人間』」

みつ「ふ、ふぇ…?」

翠星石「お前は、正真正銘の『デカ人間』ですよ」

蒼星石「そうだね」

みつ「わ、わたしが…?」

翠星石「わたしたち姉妹は、何百年ものあいだ、いろんな人の心の樹を診てきましたけど」

蒼星石「あなたほど、立派な大樹の持ち主は、そうはいなかった」

みつ「う、うそ…」

翠星石「ホントですよ。 私たち庭師姉妹のおすみつきです」

蒼星石「…その心の力を、僕たちにもわけては貰えませんか」
184 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 21:18:46.44 ID:UtmNeFoo
みつ「…」

金糸雀「…みっちゃん」

みつ「…う…」

金糸雀「…観念するかしら!」

みつ「…う、うあ…」…ボロ…



ボロボロボロ…



翠星石「ありゃりゃ、大雨ですぅ」

真紅「…もう」

みつ「う、うぇぇ… うぁぁ…」ボロボロ…

金糸雀「それじゃ、みっちゃん…」

みつ「…う、あうう…」グイ…

雛苺「み、みっちゃん?」

みつ「ふ、ふぐぅ… ぐず…」


「だめ… だめぇ…」


翠星石「…もう、往生際が悪いですよ?」

みつ「だって… だってぇ…」

真紅「…なんなの、今さら?」

みつ「汚しちゃう… もん…」ボロボロボロ…

翠星石「…はあ?」

みつ「汚い、もん… ついちゃう、もん…」ボロボロボロ…

真紅「…」


…グリッ!
185 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 21:27:43.79 ID:UtmNeFoo
みつ「?! だ、だめぇ!!」

真紅「もう。 どうしてもダメなら、仕方ないわね」グリ…


…グニッ


金糸雀「真紅…」

真紅「…あなたが出来ないのなら、わたしがしてあげる」グニグニ…

みつ「だめ、だめぇ…! 汚いよ! 汚しちゃうよ!!」ボロボロボロ…

翠星石「…なにがですか」


…グリ…


みつ「ふ、ふわあああん?!」

翠星石「…わたしたちを、バカにしないでください」グニグニ

みつ「や、やめてぇ!! 汚いってばー!!」

蒼星石「…何が汚いものか」…グニュ

みつ「だ、ダメ…」

蒼星石「…あなたはいつも、そうやって気を遣うんだから」グニ…



「傍若無人のようで、ほんとうにこまやかに、僕らのことを想ってくれる…」



みつ「…そんな、そんなぁ… き、汚いって…」

蒼星石「僕らのために流す涙の、何が汚いものか!」グニュ!

みつ「うああ…!」

雛苺「…」



…グリュ…
186 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 21:34:31.15 ID:UtmNeFoo
みつ「ひ、ヒナちゃん??」

雛苺「…」


…グニィ…


みつ「な、なに…」

雛苺「あのね、みっちゃん」

みつ「…え?」

雛苺「ヒナね…」

みつ「え?」

雛苺「…」

みつ「え、えっ?!」


―ヒナね。 …になるの。


みつ「え…」

―みっちゃん。ヒナが、…になったら…

みつ「…」

―アレ、ヒナにもくれるよね?

みつ「え、ええ?」

―みっちゃん、いってたでしょ?


(ヒナもー! ヒナもたべたいのー!)

(ヒナには100年早いですぅ)

(えー?! ずっるいのー!!)

(ごめんね、ヒナちゃん… ヒナちゃんがもう少し…)


―…になったら、たべさせてあげるから、って…
187 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 21:49:02.58 ID:UtmNeFoo
みつ「…そ、そうだけど…」


―だから、やくそくよ?


みつ「…」


―ヒナたちがもし、雪華綺晶といっしょに帰ってこれたら…


「…ヒ、ヒナ… ちゃん…」


―ヒナがもし、…になれたら…



「…う、うあ…!」

「こんどこそ、ヒナにもたべさせてね!」



…プチッ!



「うああああああああああああーーーーーー!!!!!」


スリスリスリスリスリスリスリスリーッ!!


「うきゃあああああああああーーーーーーーー??!!」」

「うああ… あああ… うああああああーん!!」スリリスリリスリリスリリ!!

「うわあ! わああ! うひゃああああー!?」

「ああうう… あうう… うあああああー!!(約束よ…! ヒナちゃん!)」

(ぜったい、ぜったい、食べさせてあげるからね!!)


スリリリリリリリリリリリッ!


(ゴディバのシェリエ… 奮発するからっ!!)
188 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/11(水) 21:50:06.25 ID:UtmNeFoo
今日はここまでです。 続きは16日。
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/11(水) 21:56:25.93 ID:abraVuco
あなた
が多いなww
アニメや原作もそんな感じだっけ
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/11(水) 21:57:13.62 ID:YU0aSqco
乙〜
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/11(水) 21:58:21.64 ID:ISZbCuko
乙樽場
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/11(水) 22:20:43.50 ID:o8Qv4mMo
おつ!
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/11(水) 22:36:43.80 ID:4oRXFloo
おっつ
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/11(水) 22:46:16.71 ID:aGRkbt6o
おつでした!
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/12(木) 08:47:45.44 ID:O/kLnQAo
乙でした
196 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 19:43:19.59 ID:uNakw.Eo
>>189-195
乙どもっす〜

>>189

便利な言葉なんでつい多用してしまう…
自分のボキャの無さが情けない;;;


再開します〜
197 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 19:48:08.31 ID:uNakw.Eo
【ジュンの家 屋外】







( … … … )



…ザ…



( … … かしら )



…ザ ザザ…



(…たち … …ですぅ)



…ザザ…



「(何カ 聞コエル?)」

「(断片的ニ)」



(… …なの… …)



グリムゲルデ「(アキラカニ 声ヲ ヒソメテ イルワ)」

シュヴェルトライテ「(…)」
198 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 19:52:04.89 ID:uNakw.Eo
(… … …)


シュヴェルトライテ「(マタ 聞コエナク ナッタ…)」

ブリュンヒルデ「(出力ヲ アゲテミテ)」

グリムゲルデ「(ハイ)」


(…ね …なのよ…  たち…)

(「…オ姉サマ方」)


シュヴェルトライテ「(…ナ、ナニ?)」

グリムゲルデ「(異常ガ アッタノ?)」


(イエ…)


【上空】


「…」


ゲルヒルデ「オルトリンデ?」

オルトリンデ「…」

ヘルムヴィーゲ「…ドウシタノ?」


「…イエ ナンデモ…」


ヘルムヴィーゲ「勝手ニ 通信シテハ ダメヨ」

オルトリンデ「…少シダケ…」

ゲルヒルデ「…モウ」




(…)
199 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 19:57:02.62 ID:uNakw.Eo
ブリュンヒルデ「(…オルトリンデ?)」

(オルトリンデ「アルト隊… イエ オ姉サマガタ」)

グリムゲルデ「(ドウシタノ?)」

オルトリンデ(…)



(「ワタシタチ イッタイ ナニヲ シテイルノ?」)



ブリュンヒルデ「…!」

(オルトリンデ「サッキカラ コソドロノ ヨウニ 中ノ様子ヲ サグッテ…」)

シュヴェルトライテ「(…ソレハ!)」

(オルトリンデ「イッタイ ナンノタメニ コンナコトヲ?」)



(「ワタシタチ 栄光ノ 戦乙女デハ ナカッタノデスカ?」)



グリムゲルデ「(アナタ!)」

シュヴェルトライテ「(ソレ以上 言ウノナラ…!)」

(オルトリンデ「…」)



(スミマセン)



ブリュンヒルデ「…」

(オルトリンデ「ワカッテ イマス」)

グリムゲルデ「(…『リンデ』)」

オルトリンデ(薔薇乙女ヲ 守リ 導クノガ 私タチノ 務メ)
200 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:00:46.92 ID:uNakw.Eo
シュヴェルトライテ「…」

(グリムゲルデ「…オ父サマノ オ言イツケ ドオリニ」)

ブリュンヒルデ「(…ソウヨ)」

(オルトリンデ(…ワカッテイマス ワカッテハ イマスガ…)」



(「コレハ ホントウニ 薔薇乙女ヲ 守ルコトニ ナッテイルノデスカ?」)



グリムゲルデ「(エ…)」

(オルトリンデ「モウ トックニ 薔薇乙女タチニ 感ヅカレテ イルノニ」)

シュヴェルトライテ「(…『リンデ』!!)」

(オルトリンデ「バレバレノ 盗聴マデシテ 薔薇乙女ノ 動向ヲ 探ッテ」)

ブリュンヒルデ「(…)」

(オルトリンデ「イッタイ ナンニナルト イウノ?」)

ブリュンヒルデ「(…)」



「(オルトリンデ)」



(オルトリンデ「…ハイ」)

ブリュンヒルデ「(アナタノ 言ウコトハ ヨクワカルワ)」

(オルトリンデ「…」)

ブリュンヒルデ「(ケレド 今ハ オ父サマヲ 信ジナサイ)」

(オルトリンデ「エ…」)

ブリュンヒルデ「(ワタシタチガ ココデ 任務ヲ投ゲ出シテモ)」



「(薔薇乙女タチガ 『絶望』カラ 救ワレル ワケデハ ナイワ)」
201 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:05:23.41 ID:uNakw.Eo
(オルトリンデ「…ハイ ソノトオリデス」)

ブリュンヒルデ「(…オ父サマヲ 信ジテ)」

(オルトリンデ「…」)



(Jawohl) 



シュヴェルトライテ「(…『リンデ』)」

(オルトリンデ「…Herr Kommandeur」)

グリムゲルデ「…」



…プツッ



ブリュンヒルデ「(『リンデ』…)」

シュヴェルトライテ「(…『ヒルデ姉サマ』)」

ブリュンヒルデ「…」…ギュッ



「(今ハタダ 任務ヲ 果タスダケ)」



シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルテ「(オ父サマト 薔薇乙女ヲ 信ジテ 託シマショウ)」

シュヴェルトライテ「(…ハイ)」

ブリュンヒルデ「(中ノ 様子ハ ドウ?)」

グリムゲルデ「(…)」



(… … …)
202 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:08:59.64 ID:uNakw.Eo
グリムゲルデ「(…ダメデス)」 

シュヴェルトライテ「(…筆談 シテイルノカモ シレマセン)」

ブリュンヒルデ「(…出力ヲ 最大ニシテ)」

シュヴェルトライテ「(ハイ…)」カチカチ…



( … … … )



グリムゲルデ「(…)」

ブリュンヒルデ「(…ドウ?)」



(… … … …)



シュヴェルトライテ「(…何モ)」

ブリュンヒルデ「(…ワタシニモ 聞カセテ)」



(… … … …)



ブリュンヒルデ「…」

グリムゲルデ「(…聞コエル?)」

ブリュンヒルデ「(イイエ… ??)」



(……う……)


ブリュンヒルデ「…??」


(…う… …う…)
203 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:18:28.05 ID:uNakw.Eo
グリムゲルデ「(…ウメキ声?)」

ブリュンヒルデ「(コノ声ハ 確カ…?)」


(…う… うう…)


ブリュンヒルデ「(『黄金の翼』ノ オ姉サマノ 契約者…)」

シュヴェルトライテ「…?」

(う…)



( う わ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ー っ ! ! ! )



ブリュンヒルデ「(!!!)」

グリムゲルデ「(ナ?!)」

シュヴェルトライテ「(キャア!?)」



…ガダッ!!



【ジュンの家 屋内】



みつ「うああああああああーん! ああああああああーん!!」


スリスリスリスリスリッ!!


真紅「わああ?!」

翠星石「ひゃああああー!」


…スリスリスリスリスリッ!!
204 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:22:09.83 ID:uNakw.Eo
雛苺「うにゃあああ〜ん!?」

みつ「ひ、ヒナちゃあああん!! うわああーーん!!」

蒼星石「み、みっちゃんさー… んわあ!!」


スリリスリリスリリスリリスリリリリ!!


みつ「み… みんな… みんなああーーーー!!」

金糸雀「みっ」

みつ「う、うわあ… うああああ…!」

金糸雀「ちゃ」

みつ「ありがと… ありがとうねーーーー!!」

金糸雀「んっ…」



…コヒュー コヒュー…



ジュン「み、みっちゃんさん!!」

のり「す、すとーっぷ!!」ガバッ!


…ガシッ!


みつ「…あ、あらら?」

巴「お、落ち着いてくださいっ!」

みつ「な、なに…???」

巴「みっちゃんさん、カナちゃんが!!」

みつ「あ… カ、カナッ!!」



金糸雀「…」コヒュ―…
205 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:33:12.73 ID:YlIV136o
みつ「い、いや… カナあ?!」

金糸雀「…」コヒュー コヒュー…

ジュン「(また、呼吸困難になってる…)」

柴崎「(人形も、チアノーゼを起こすんじゃの…)」

金糸雀「(み… ちゃ… んっ…)」コヒュー…

みつ「だ、大丈夫よ! カナ!」…ガシッ!


…グイ!


のり「み、みっちゃんさん?」

みつ「すぐ助けるからね!」グ…

翠星石「デ、デカ人間…?!」

真紅「…な、何をする気?」

金糸雀「(ま… まって…)」フルフル…

みつ「カナ、歯を食いしばって!」


…グッ!


真紅「ま、待ちなさいっ!」

金糸雀「(ち、ち… ちょっと…まって!!)」コヒュー…

みつ「せーのっ!」ブンッ!

真紅「…ダメっ!!!」



ド ボ ッ ! !



金糸雀「    」
206 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:37:51.46 ID:YlIV136o
ジュン「…あ」

みつ「カ、カナ! これで、呼吸できるよね?!」


金糸雀「    」


真紅「…金糸雀?」

雛苺「カ、カナ…???」


金糸雀「    」


翠星石「(お目目が、ひっくりかえってるです…)」

蒼星石「(こ、これはシャレにならないかも…)」



金糸雀「     」クラッ…



…コテン



翠星石「ありゃりゃ」

雛苺「カ、カナ?!」

みつ「い、いやあああ!! カナーッ!!」ユサユサユサ

金糸雀「     」カクカクカク

真紅「…まったく、もう」



「素人がやったらダメなのに…」



ガダ ガダッ…

207 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:43:11.05 ID:YlIV136o
【屋外】


ガダガダッ!!


ブリュンヒルデ「(…! イ、イケナイ!)」

シュヴェルトライテ「(シマッタ…!)」


(ゲルヒルデ「…ブリュンヒルデ、アルト隊?」)

(ヘルムヴィーゲ「オ姉サマタチ…?」)


グリムゲルデ「(ソ、ソプラノ隊?)」

ブリュンヒルデ「(イ、イマノハ… 別ニ…)」


(ヴァルトラウテ「異音ヲ 感知シマシタ」)

(ロスヴァイセ「イッタイ ナニガ?」)


シュヴェルトライテ「(メッゾ隊マデ… ソ、ソノ…)」

(ジークルーネ「…ナニガ アッタノ デスカ?」)

ブリュンヒルデ「(…ナ、ナンデモ ナイノ)」

(ゲルヒルデ「…ホントニ?」)

ブリュンヒルデ「(ホントウヨ。 …持チ場ニ ツイテ)」

(ヴァルトラウテ「ソレナラ イイケド」)

(ゲルヒルデ「人騒ガセネ」)



(オルトリンデ「…」クスクスクス)



グリムゲルデ「…『リンデ』!!」

シュヴェルトライテ「…ナ、中ノ様子ハ…」
208 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:51:27.40 ID:YlIV136o
【ジュンの部屋】

金糸雀「…」コヒュー コヒュー…

みつ「ううう… ごめんね、カナ…」

真紅「…大丈夫よ、呼吸は回復してるから」


コヒュー コヒュー…


みつ「そ、そうなの?」

真紅ショックで気絶しただけ。 しばらくすれば、目を覚ますわ」

みつ「よ、よかった…」

翠星石「…」


(…出発は、カナ姉待ちになりそうですね)


…トテ トテ トテ


雛苺「…翠星石?」

翠星石「(…しーっ)」

雛苺「(…あっ、ごめんなさいなの)」

翠星石「(大丈夫ですよ。 …そろそろ、出発しますけど)」

雛苺「(う、うん…)」…ブルッ

翠星石「(雛苺は、覚悟はできましたか?)」

雛苺「(…うん! 大丈夫なのっ!)」ブル…

蒼星石「(…無理はしなくて、いいんだよ)」

雛苺(「…ううん、ちがうの! こ、これはっ…)」


ブルブルブル…


(む、むちゃぶるいってやつなの!)
209 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 20:57:32.98 ID:YlIV136o
蒼星石「(雛苺…)」

雛苺「(だ、だからきにしないでなの! だって、ヒナは…)」

翠星石(「…もう)」…スッ


…ムギュ


雛苺「(むぎゅ? …す、翠星石???)」

翠星石「(ほーんとにチビヒナは、おバカなんですから)」

雛苺「(な、なによー?! 翠星石っ!)」プンスカ

翠星石「…」


(…それを言うなら、むしゃぶるいですよ…)…ギュウ


雛苺「(むぎゅう… そ、そうなの???)」

蒼星石「(そうだね。 『武者震い』だ)」

雛苺「(蒼星石…)」

蒼星石「(雛苺。 …君は、恐怖で震えているんじゃない)」…ス


ナデ…


雛苺「(そ、蒼星石?)」

蒼星石「(『武者』とは、サムライのこと)」ナデ… ナデ

雛苺「(サムライ… おさむらいさん?)」

蒼星石「(そう。 覚悟を持って、戦いに挑む戦士のことだ)」

雛苺「(せんし…)」

翠星石「(そう、戦士です。 …ヒナ)」


…ムギュウ
210 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 21:02:40.43 ID:YlIV136o
雛苺「(む、むぐ…)」

翠星石「(…あなたももう、りっぱな戦士ですよ)」

雛苺「(…ヒナが、せんし…??)」

翠星石「(ええ。 翠星石がタイコ判を押してやるです!)」

雛苺「(…たいこばん??)」

翠星石「(おや、ヒナはタイコ判を知らないですか?)」

雛苺「(う、うん…)」

翠星石「(それじゃ…)」


「(今、おしえてやるですぅ!)」グイ!


雛苺「(むぎゅう!?」)

グニュ〜〜〜

雛苺「(む、むにゅ〜〜〜〜?!)」ジタバタ

翠星石「(むふふふふ〜 どうですか〜? 翠星石のタイコ判の味は〜〜〜???)」グニュ〜

雛苺「(く、くるしいのー! やめてなのー!!)」

蒼星石「(もう、翠星石ったら…)」

翠星石「…」


…パッ


雛苺「ぷ、ぷはあ! もう、翠星石ったらひっどい…!」

翠星石「(…しーっ!)」

雛苺「(あっ… ご、ごめ…)」

翠星石「…」クスッ



…チュッ
211 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 21:10:55.83 ID:YlIV136o
雛苺「(ふ、ふぇっ!?)」

翠星石「(ふふふ… サクランボの味ですね)」ニコニコ

蒼星石「(…翠星石?)」

雛苺「(な、なにするのよっ! 翠星石ぃ…!)」

翠星石「(…)」



「(いまのうちに、言っておくです)」



雛苺「…えっ???」

翠星石「(…忘れてしまわないうちに)」…ギュ

雛苺「(え…)」

翠星石「(…ヒナ)」


(…いっぱい意地悪して、悪かったですね)


雛苺「(え…?!)」

蒼星石「(翠星石…)」

翠星石「(ま、可愛くって可愛くって、ついかまっちまったってことでカンベンしてください)」

雛苺「(…す、翠星石??? な、なんで、そんなこと…)」

翠星石「(…まんいち、ですけど)」


…ギュウ


翠星石「(お父さまとの話し合いが、うまくいかなかったとして)」

雛苺「(え…)」

翠星石「(もしも、記憶を消されちゃったら、今の気持ちもたぶん忘れちゃうでしょうからね)」

雛苺「(す、翠星石…)」
212 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 21:20:06.44 ID:YlIV136o
翠星石「(せっかく、仲直りする気になれたのに、忘れちゃったらもったいないです!)」

雛苺「(…す、翠星石… 翠星石は…)」

翠星石「(…なんですか?)」

雛苺「(翠星石は… 翠星石は…)」…ギュウ


(ヒナのこと、おこってないの…?)


翠星石「(ほぇ???)」

雛苺「(ヒナ、あんなに翠星石とケンカしたのに…)」

蒼星石「(…)」

雛苺「(翠星石は、おこってないの…???)」

翠星石「…」


(なんてこと、ないですよ)ナデ…


雛苺「(え… えっ…)」

翠星石「(あれっくらいで怒ってたら、みんなにバカにされます)」

雛苺「(え…)」

翠星石「(ヒナと仲直りするなんて、らくしょーですよ!)」


(蒼星石や真紅が、水銀燈と仲直りしたのにくらべれば…)


蒼星石「(君は…)」

雛苺「(…翠星石ぃ…)」

翠星石「(…ね、雛苺)」)

雛苺「(…な、なに?)」

翠星石「…」ナデ…


(もし帰ってきても、この仲直りを覚えていられたら…)」
213 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 21:27:44.41 ID:YlIV136o
雛苺「…え… えっ…」

翠星石「(わたし、今度こそ…)」


(ヒナに、お姉ちゃんらしいこと、ちゃーんとしてやるです!)


雛苺「(お姉ちゃん… らしいこと…?)」

翠星石「(ええそうです! イジメたり、からかったりするのは、もう卒業です!)」

雛苺「…」

翠星石「(いっぱい、いっぱい可愛がってあげますからね?)」

雛苺「(…う…)」

翠星石「(いままでイジワルしたぶん… もういいって言うまで。 いえ、もういいって言われても)」

雛苺「(…う、うぇ…)」

翠星石「(たっぷり、たーっぷり、優しくしてあげますからね…)」

雛苺「…ふ…」…ジワ



「ふぇぇ… うぇぇ…っ」ギュウ…



翠星石「…」

雛苺「ふぇぇっ… う、うぇぇぇっ…」ギュー…

翠星石「…よしよし」…ポン ポン

雛苺「うぇ、うぇぇぇ… お、おっ…」…ギュ



「おねえさま… おねえさまぁ…」



翠星石「…雛苺」…ギューッ

雛苺「ふ、ふぇぇ… 翠星石おねえさま…っ」ギュウ―…
214 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 21:37:45.23 ID:YlIV136o
金糸雀「…ん…」

みつ「か、カナ?」

金糸雀「み… みっちゃん???」…ムク

みつ「よ、よかった… カナ!」

金糸雀「…」…ポケー


「…お父さまが、お花畑のむこうで手招きしてたかしら…」


みつ「…へ?」

金糸雀「ついていこうとしたら、なんだか急に体が引っ張られて…」ポワポワ

真紅「もう…」…スック


「みんな、金糸雀が目覚めたわ」


蒼星石「…そうか」

真紅「(…早く)」

蒼星石「(ああ、真紅。 …さあ、ふたりとも)」

翠星石「…ええ」…グスッ

蒼星石「(みんなで、行こう。 終わらせよう)」…スクッ


(僕たちの、最後のアリスゲームを!)


翠星石「(そうですね… ヒナ、いくですよ!)」

雛苺「(…うん、蒼星石おねえさま。 ヒナ、いくの…)」グス…

 
(…いくの。おとうさまのところへ、雪華綺晶のところへ…) 

(いって、そして… ヒナは…)


(ヒナは… ヒナは、雪華綺晶の…)
215 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/16(月) 21:38:45.06 ID:YlIV136o
今日はここまでです。続きは20日。
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/16(月) 21:39:59.66 ID:ZxS0Rjso
乙〜
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/16(月) 22:43:41.41 ID:pCm0aQYo
おつ!
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/16(月) 22:45:05.92 ID:8Bnr4rso
乙です
ひなが可愛い・・・だと?
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/17(火) 00:23:27.38 ID:OvrAsago
乙樽場 この気持ちを消させる訳にはいかんなぁ…!
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/17(火) 01:06:49.52 ID:xcpO5CQo
おっつ
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/18(水) 18:25:44.48 ID:vj9D/3.0
乙っす。
5日の分からイッキ読みしました
みんな、ええ子やのぅ……。
222 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:16:14.41 ID:C3L6P7wo
>>216-221

乙どもっす〜

>>218
憎たらしくしたいのに、キーを叩いてるといつのまにか可愛くなってしまう現象が…

>>219
どうか応援してやってくださいw

>>221
一気読みどもっす。 
今後ともよろしくです〜


再開します〜
223 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:24:11.70 ID:C3L6P7wo
【?????】


シューーーー…



「…」



コポ コポ コポ…



「…」


[ …意識低下 機能停止 確認 ]

[ 中断されていた 修復行程を 再開します ]



「…」



…ピピピピ



「(…?)」

…ピピピピ ピピピピ…

「(緊急事態か…)」

(…コチラ 「鎧」デス)

[ ただいま 修復作業中 ]

(ハイ。 デスガ…)



(薔薇乙女タチニ 動キガ アリマシタ) 
224 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:28:48.10 ID:C3L6P7wo
「…動きだと?」

[ 全機能停止を推奨 ]

「…」

(「白ウサギ」ニ 緊急ノ用件デス)

[ ただいま 全機能停止中 ]

(「白ウサギ」ニ 通信ノ 許可ヲ要請シマス)

[ 修復中の 通信は 許可できない ]

(…緊急ヲ要シマス スグ 終ワリマスノデ…)


…ピピピピ ピピピピ…


[ 修復中の 通信は 許可できない ]

(ハイ デスガ…)

「…繋げ」

[ 全機能停止を推奨 全機能停止を… ]

「…」



…カチリ



[ … … … ]



(…アリガトウ ゴザイマス)

「…何が あった」

(ハイ 薔薇乙女タチハ…) 



(イマ ワタシタチト トモニ…)
225 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:32:00.37 ID:C3L6P7wo
【?????】


ピ… ピ… 


「…」



ピッ… ピ…



―あなたは、もう人からもてあそばれる事はないの。



(…真紅…)


―あなたはもう、そういうことはしなくていいって言ったはずかしら!


(…金糸雀…)


―あなただけに、背負わせちゃいましたね…

―みんなで、帰るんだ。 待っている人たちのところへ…


(翠星石、蒼星石…)



―みんなで、ちょっとずつ償っていこうよ。 嫌かい?



(…ジュン…)



ピ ピ ピ…



雪華綺晶(…『お父さま』…)
226 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:34:03.31 ID:C3L6P7wo
ピ… ピ…



(みんな… ありがとう…)

(わたしなんかを、受け入れてくれて… 一緒に暮らしてくれるって、言ってくれて…)



ピ…  ピ…



(…わたし、頑張る。 あと、ちょっとだから…)

(みんなと、ともに暮らすために… わたし…)



雪華綺晶(わたし…)



…チカッ



雪華綺晶(わたし… わたし… ふ…)


(ふふ… ふふふっ…)


ピ…


(ふふふっ… そうよ…)

(『あいつ』さえ…)  



…チカ チカ…



( 『 あ い つ 』 さ え   い な け れ ば … )
227 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:37:51.35 ID:C3L6P7wo
コツ コツ コツ…




「…!」



コツ コツ コツ…



雪華綺晶(…早いわね)

???「…」 コツ コツ コツ …

雪華綺晶(…あの姿…)

???「…」 コツ コツ コツ…

雪華綺晶(…そう…)




(「白ウサギ」に戻ったのね…)


???「…」 コツ コツ コツ…

雪華綺晶(そうよ。 ローゼンお父さまの、お顔でいるよりも…)

???「…」コツ コツ…

雪華綺晶(そっちのほうが、あなたにはお似合いよ…!)

???「…」コツ…


(その、けだものの顔のほうが!)



…コツ



ラプラスの魔「…雪華綺晶」
228 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:39:21.84 ID:C3L6P7wo
雪華綺晶(…なんですか、お父さま)

ラプラスの魔「そろそろ 起きておきなさい」

雪華綺晶(…はい)ピ…



…カチリ



ラプラスの魔「ブリュンヒルデから、報せがとどきました」

雪華綺晶(…)シュウウウウウ…

ラプラスの魔「薔薇乙女たちが、こちらへ向かっているそうですよ」

雪華綺晶(…はい)シュウウ…



…ポウ



ラプラスの魔「まっすぐこちらへ向かっています。 …10分もすれば着くでしょう」

雪華綺晶(…)

ラプラスの魔「報告によると」…シュル…


「わたしのところに来る気はないと、言い張っているようですが」


雪華綺晶(…)チカ…

ラプラスの魔「もはや、目的は明々白々でしょう」シュル… シュル…

雪華綺晶(はい…)チカ チカ…



…ポォウ
229 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:44:22.14 ID:C3L6P7wo
ラプラスの魔「休憩は、充分のようですね」

雪華綺晶(…この装置のおかげです)

ラプラスの魔「あなたの体の調整も、終わっています …受け取りなさい」

雪華綺晶(ありがとうございます)パァ…



…シュルン



ラプラスの魔「それでは、雪華綺晶。 わかっていますね?」

雪華綺晶「…はい」

ラプラスの魔「あなたが撒いた種です。 …あなたが摘み取りなさい」

雪華綺晶「…わかっています」

ラプラスの魔「それが、あなたのためでもあるのだから」

雪華綺晶「…」

ラプラスの魔「わたしたちは、薔薇乙女の影」



「影と光は、接することはあっても交わることはないのです」



雪華綺晶「…(わたしのため? ふん…)」

ラプラスの魔「交わろうとして近づきすぎれば、どちらかが消えるしかありません」

雪華綺晶「(そんなこと…! そんなこと!)」

ラプラスの魔「近づきすぎず、離れもせず」



「けして光の当たる場所には出ずに、彼女らを守りつづけることが、私たちの務め」



雪華綺晶「(何度も、何度も何度も聞いたわ! あきるくらいにね!!)」
230 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:46:42.83 ID:C3L6P7wo
ラプラスの魔「それが、双方にとってもっともよい選択なのですよ」

雪華綺晶「(そんなもの、信じないっ…!)」

ラプラスの魔「…」



「薔薇乙女たちがこの『世界』に来たら、出迎えておあげなさい」



雪華綺晶「…はい」

ラプラスの魔「けして、ここに入れてはなりません」

雪華綺晶「はい」

ラプラスの魔「彼女らの心に芽生えた、『絶望』の芽をとりのぞくのです」

雪華綺晶「…」

ラプラスの魔「もしも、あなたの手に余るようであれば…」



「そのときは、戦乙女たちがあなたに手を貸すでしょう」



雪華綺晶「…わかりました」

ラプラスの魔「まあ、そんな事態にならないことを祈るばかりですがね」

雪華綺晶「はい…」

ラプラスの魔「それでは」…コツ

雪華綺晶「…」



コツ コツ コツ…



雪華綺晶「(…ふん)」

…シュルシュルシュル…
231 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:51:22.61 ID:C3L6P7wo
(なによ… わかったようなことばかり…)


シュル… シュル…


(わたしの気持ちも、お母さまの気持ちもみんなの気持ちもわからないくせに!)

(今に… 今に見てなさい!)


シュル… シュル…


(聖母として目覚めた、お母さまと…)

(お姉さまたち、みんなの力さえあれば!)


シュルシュルシュル…


(おまえなんか… くく、くくくくくっ…!)



シュルシュルシュル…



【nのフィールド】



ヒィーーーーン…



金糸雀「目的地まで、どれくらいかしら?」

ブリュンヒルデ「20分トイッタ トコロデス」

金糸雀「…そう」


ヒィィィィィ…


金糸雀「…ぱーっと行って、ちゃっちゃっと終わらせて戻るかしら!」
232 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 20:54:52.52 ID:C3L6P7wo
ブリュンヒルデ「…オ姉サマ」

金糸雀「なにかしら?」

ブリュンヒルデ「…」


ヒューーーーン…


金糸雀「ブリュンヒルデ?」

ブリュンヒルデ「作戦ニ 異ヲトナエル ツモリハ アリマセン」

金糸雀「…?」

ブリュンヒルデ「…シカシ 今スグニ 決行スル 必要ハ 薄イノデハ ナイカト」

金糸雀「…ふん!」


プイッ!


ブリュンヒルデ「…オ姉サマ」

金糸雀「なーにが、『異をとなえるつもりはない』かしらっ!」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「キッチリ、となえちゃってるんじゃないかしら? もう…!」…スッ


クルクルクル…


金糸雀「ほんとに、いったい誰が司令官だと思ってるのかしら!」プンスカ

グリムゲルデ「…『黄金の翼』ノ オ姉サマ…」

シュヴェルトライテ「ワタシタチハ タダ…」


シュピ!


ブリュンヒルデ「…!」

金糸雀「しゃーらっぷ! かしらっ!」
233 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:06:58.86 ID:C3L6P7wo
シュヴェルトライテ「オ、オ姉サマ…」

金糸雀「ほんとだったら、すぐにでもやっておかなくちゃいけないことだったかしら!」

ブリュンヒルデ「…ソレハ 確カニ」

金糸雀「なにかと忙しくて、手が回らなかったことだけど…」シュピ!



「これ以上ほうっておいたら、現実世界にまで影響が出るかしらっ!」



シュヴェルトライテ「…ハイ」

金糸雀「だから、帰る前にもうひと働きしてもらうかしら!」

グリムゲルデ「…ワカリマシタ」

金糸雀「あなたがた全員を呼び出す機会なんて、めったにないんだから!」

シュヴェルトライテ「…」

金糸雀「そんな大変な用事じゃないかしら。 あなたたちがいれば、すぐ終わるかしら!」

ブリュンヒルデ「…シカシ ソレナラバ」



「薔薇乙女タチ 全員ヲ 連レテクル 必要ハ ナカッタノデハ?」



金糸雀「それは…」

ブリュンヒルデ「ミナサン オ体ハ 大丈夫ナノデスカ?」

金糸雀「…もうっ!」シュピッ!


「よけいな心配は、無用かしら!」


ブリュンヒルデ「…スミマセン」

金糸雀「(…まったく、痛いところをつくかしら!)」クルクルクル…

234 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:13:49.40 ID:C3L6P7wo
翠星石「まあ、ジャマなのはわかりますけどね」

蒼星石「…足手まといになるとは、僕も思うけど」

ヴァルトラウテ「ソ、ソウイウコトデハ…」

真紅「小さいやつに逃げられそうになったときの、用心よ

雛苺「ヒナもおてつだいするのー!」

ゲルヒルデ「…」

金糸雀「あなたがたが一匹一匹を追っかけていったら、効率が悪いかしら」クルクル…

ブリュンヒルデ「…ハイ」

金糸雀「細かいやつらはわたしたちにまかせて、あなたたちは…」シュピ!



「あいつらの『巣』を叩くかしら!」



グリムゲルデ「(…『巣』ヲ…)」

シュヴェルトライテ「…」

金糸雀「わかったかしら?」

グリムゲルデ「…ソレニシテモ」…チラッ


「…」


グリムゲルデ「ソチラノ…」


シュピッ!


グリムゲルデ「…!!」

金糸雀「お・だ・ま・り! かしらっ!!」

グリムゲルデ「…!」

金糸雀「ぜったいに、必要だったら必要だったら必要かしらー!!」
235 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:17:31.05 ID:C3L6P7wo
シュヴェルトライテ「…シ、シカシ、危険デス!」

金糸雀「だ・か・ら! あなたたちがしーっかり守るかしら!!」

グリムゲルデ「…ハ、ハイ」

金糸雀「まったくもー、さっきからっ!」ブンブンブン!


「いちいち全部説明しなかったら、あなたたちは動けないのかしら?!」


ブリュンヒルデ「ソレハ…」

金糸雀「あなたたちだって、カナたちに説明してないことはあるはずかしら!!」

グリムゲルデ「…」

金糸雀「詮索は無用かしら! だまって命令を聞くかしらー!!!」



翠星石「(カ、カナ姉…)」

蒼星石「(…少し、言い過ぎじゃないか?)」



金糸雀「わかったかしら?!」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「わかったら、お返事するかしら!!」

ブリュンヒルデ「…」



「…Jawohl」



金糸雀「…もうっ!」

ブリュンヒルデ「Herr  Kommandierender…」

シュヴェルトライテ「…」

グリムゲルデ「(『ヒルデ』オ姉サマ…)」
236 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:22:59.03 ID:C3L6P7wo
金糸雀「…ムダ話はおしまい! 目的地まで、ひとっこともしゃべらずにいきなさーい!」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「…あれ?」


ゲルヒルデ「…」


金糸雀「…ソプラノ隊? メッゾ隊…」


ヴァルトラウテ「…」


金糸雀「…みんな? も、んもーっ!! お返事はどうしたのかしらっ?!」


「…Jawohl!」


金糸雀「ほんとに、もう! 返事が遅いかしら!」プンスカ

翠星石「…」


「カナ姉」


金糸雀「何かしら?」

蒼星石「いまのは、ひどいよ」

金糸雀「え…?」

雛苺「ブリュンヒルデたち、かわいそうなの…」

金糸雀「な、何がかしら! カナは司令官として当然の…!」

真紅「わからないの?」

金糸雀「だから、なにがかしら!」

真紅「まったく、もう」



「目的地まで一言もしゃべるなっていったの、あなたじゃない」
237 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:32:07.36 ID:C3L6P7wo
金糸雀「…あっ」

真紅「…まったく、もう」

金糸雀「こ、これは… その…」アセアセ

「…カナ」

金糸雀「は、はい??」

「戦乙女たちは…」

金糸雀「…」



「戦乙女たちは、ボクらのために…」



金糸雀「ふんっ!」

「…」

金糸雀「そんなの、あなたに言われなくったってわかってるかしら!!」

「…もう」

金糸雀「み、みんなも、目的地までは静かにするかしらー!」

「…」

金糸雀「お、お返事だけはするかしら!!」

真紅「…はいはい」

金糸雀「返事は一回っ!!」

翠星石「へーい」

金糸雀「ん、んもー! お返事は短くっ!」

蒼星石「姉さんが一番うるさいよ…」

雛苺「…カナ、うるさいのー」

金糸雀「もう、もうっ!」プンスカ
238 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:41:07.59 ID:C3L6P7wo
金糸雀「も、目的地までムダ話厳禁かしらー!」


「はい」「へーい」「Jawohl」「しょうがないなあ」「はいなのー」


金糸雀「(…ぜ、ぜんぜん足並みがそろいやしないかしら…)」ガックリ



キィーーーン…



金糸雀「(目的地まで… あと10分くらいかしら。 …そう)」

(あの子が教えてくれた…)


―「あいつ」の居場所は…


金糸雀「(雪華綺晶…)」

―あいつの居場所は、nのフィールドの中。

金糸雀「…」

―みんなもよく知っている、来たこともある… 「あそこ」よ。

金糸雀「(…真紅)」…チラッ

真紅「…?」

金糸雀「(あなたの…)」

(あなたのカンは、正しかったかしら…)



キィィィィーン…


グリムゲルデ「…」チラッ


翠星石「…」チャキ…

蒼星石「…」…シャキン
239 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:47:30.37 ID:C3L6P7wo
ヴァルトラウテ「(薔薇ノ オ姉サマガタ 全員ガ…)」

ジークルーネ「(完全武装シテ ワタシタチ全員ヲ 引キ連レテ 鏡像世界ヘ…)」

ロスヴァイセ「(シカモ ワタシタチニモ 完全武装ヲ 命ジツケテ)」



真紅「…」

雛苺「…」



ゲルヒルデ「(…何ヨリモ アノオ顔 アノ雰囲気…)」

ヘルムヴィーゲ「(小サナ用ヲ スマセルダケノ 雰囲気デハ アリエナイ…)」

オルトリンデ「(…ブリュンヒルデ)」



ブリュンヒルデ「…」



シュヴェルトライテ「(薔薇乙女タチハ…)」

ブリュンヒルデ「(ワカッテ イルワ)」

グリムゲルデ「(…ヤハリ?)」

ブリュンヒルデ「(間違イ ナイ…)」


(薔薇乙女タチノ 目的ハ オ父サマヨ)


ヒィィィィン…


ゲルヒルデ「(…デショウネ)」

ヴァルトラウテ「(ワカッテハ イタコト ダケレド…)」

ブリュンヒルデ「(…口ニシテイル 目的ノタメ ダケナラ)」



(ココマデノ 戦力ハ 必要ト シナイハズ)
240 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:52:09.75 ID:C3L6P7wo
グリムゲルデ「(…ソウネ)」

ブリュンヒルデ「(少ナクトモ アノ方ヲ オ連レスル 必要ハ 皆無)」

シュヴェルトライテ「(…ソレナラバ)」


…ジャキ


ブリュンヒルデ「(…シュヴェルトライテ?)」

シュヴェルトライテ「(オ姉サマガタヲ 拘束スル?)」

ブリュンヒルデ「…」

グリムゲルデ「(オ父サマガ ワタシタチニ 命ジラレタ トオリニ…)」

ブリュンヒルデ「…」


―君たちは 薔薇乙女を 守るのだ


ブリュンヒルデ「(オ父サマ…)」



―君たち 戦乙女たちは 薔薇乙女を 守り アリスへと 導くのだ。

―外の敵からはもちろん 内なる敵からも。



ブリュンヒルデ「…」



―君たちの力が 必要となるときは 彼女らに大いなる危機が 訪れているとき。

―まずは その危機から 彼女らを 全力で守りなさい。  …しかし。



ブリュンヒルデ「(モシモ ソノ危機ヲ前ニシテ…)」 

(彼女ラガ「絶望」シテシマッタ ナラバ、ソノトキハ…) 


―そのときは しかるべき処置を とりなさい。
241 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 21:59:38.20 ID:C3L6P7wo
ブリュンヒルデ「(シカルベキ 処置…)」…チラ


真紅「…」

雛苺「…」


ゲルヒルデ「(…ブリュンヒルデ?)」

ブリュンヒルデ「(…)」チラッ…


翠星石「…」

蒼星石「…」


ヴァルトラウテ「(…ドウシタノ?)」

ブリュンヒルデ「(イエ…)」


―シカルベキ 処置 デスカ?


ブリュンヒルデ「(アノトキ オ父サマハ ワタシタチニ 命ゼラレタ…)」


―そうだ。 可能なら 彼女たちを拘束し 私の元へ連れてきなさい。

―…ハイ

―速やかに 絶望の因子を 精神から取り除く。 …だがそれが、不可能と判断したなら。

―…不可能ト 判断シタナラ?

―大いなる危機を前にして 絶望のあまり 自らの… そして君たちの力を 人間に向けようとしたならば…



(ソノトキニハ…)…チラ

金糸雀「…?」




(私タチノ手デ オ姉サマタチヲ 廃棄セヨト…)
242 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/20(金) 22:00:34.64 ID:C3L6P7wo
今日はここまでです。 続きは24日。
243 :ドーラ「こいつをベルトにつなぎな!お前達は本船でお待ち!」[sage]:2009/11/20(金) 22:03:44.39 ID:vGFwd6co
乙〜
244 :ドーラ「ぐぅずぐずしてると、夜が明けっちまうよぉー!」[sage]:2009/11/20(金) 22:04:13.09 ID:zC05jigo
おつ!
245 :シータ「ほんとはラピュタなんかちっとも行きたくない。ゴリアテなんか見つからなければいいのに、って思ってる・・・。」[sage]:2009/11/20(金) 22:33:05.17 ID:2aczVEYo
おっつ
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/21(土) 03:50:53.40 ID:SbRTksAo
乙樽場
247 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:03:18.32 ID:56xpLk2o
>>243-246
乙どもっす。再開します〜
248 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:04:48.25 ID:56xpLk2o
【?????】



シューーーー…



「…」



コポ コポ コポ…



「お母さま」

「…」



…シューーーー…



「みんなが、ここに向かっています」

「…」



…ピチョン



雪華綺晶「…全員そろって、武装を整えて」

水銀燈「…」

雪華綺晶「まっすぐ、ここに向かっています…」



…ポタッ
249 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:06:58.48 ID:56xpLk2o
雪華綺晶「…戦乙女たちも、全員そろって、こっちに向かっています」

水銀燈「…」

雪華綺晶「(そう…)」



(わたしが、金糸雀姉さまに、お願いしたとおりに…)



水銀燈「…」

雪華綺晶「…お母さま」

水銀燈「…」

雪華綺晶「みんなで、いっしょに暮らそうね…」



…ニヤ…



「『お父さま』と、いっしょに…」…スゥ



シュル シュル シュル…



水銀燈「…」



ポト…



水銀燈「(…だ…)」



(だ… め…)
250 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:09:55.34 ID:56xpLk2o
(みんな…) 



(ここに来ては… だめ…)



…ポト



(お父… さまに…)



(お父さまに… 憎しみを… 向けないで…)



…ポト…



(おね… がい…)



(み… ん… な…)



…ピチョン



(きら… きしょう…)



…ポト…



(…)



…ピチョン…
251 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:11:41.62 ID:56xpLk2o
【nのフィールド】



ヒィィィィン…



ヘルムヴィーゲ「…『鏡の森』上空ヲ 通過シマス」

真紅「…ええ」

雛苺「…」ソワソワ



キィィィン…



真紅「…かなりの深部まで来たわね」

雛苺「…」ソワソワソワ…

真紅「あなたがたのおかげで、あっというまに着きそうよ」

ヘルムヴィ−ゲ「アリガトウ ゴザイマス」


キィィィ…ン…


真紅「…「目的地までは、あと何分くらいかしら?」

ヴァルトラウテ「…10分トイッタ トコロデス」

真紅「…そう、ありがとう」

ヴァルトラウテ「イエ…」

真紅「(…あと、少しね)」…チラ

ヴァルトラウテ「…?」

真紅「…」



( [ あの子たちを、責めないであげて ] )
252 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:12:58.34 ID:56xpLk2o
真紅「(金糸雀…)」

ヴァルトラウテ「ナンデショウカ?」

真紅「…なんでもないわ。 先を急いでちょうだい」

ヴァルトラウテ「ワカリマシタ」

雛苺「…」ソワソワ…



ヒィィィィン…



( 金糸雀 [ あの子たちが 悪いんじゃない ] )



ヒィィィィン…



翠星石「…」

蒼星石「…きれいだね」

翠星石「そうですね」

ヴァルトラウテ「…」



キラ… キラ…



翠星石「森の鏡に、光があちこち反射して… きらきらしてるですぅ」

蒼星石「…自分で飛んでるときは、あまり見てなんかいなかったからね」

翠星石「たまには、乗せてってもらうのもいいもんですね?」

ジークルーネ「…恐縮デス」



ヒィィィ…ン…
253 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:15:13.30 ID:56xpLk2o
蒼星石「…ほら、見えてきたよ」

翠星石「なにがですか?」

蒼星石「見えない? 地平線のかなたに…」

ロスヴァイセ「…」



…キラッ



翠星石「…あ、見っけました!」

蒼星石「楽しみだね。 ゆっくり見ることなんて、なかったから…」

ヴァルトラウテ「…オ姉サマガタ」

蒼星石「…なんだい?」

ヴァルトラウテ「ソノ… オ体ハ 大丈夫デスカ?」

蒼星石「…平気だよ」

ジークルーネ「シカシ サキホドマデ 重傷ヲ負ッテ イラシタノ デスカラ…」

翠星石「…」…プィッ



「気遣い無用ですぅ」



蒼星石「…翠星石?」

ロスヴァイセ「デスガ…」

翠星石「大丈夫ですよ」ジロ…



「あなたたちが『守って』くれるんでしょう?」
254 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:18:26.15 ID:56xpLk2o
ヴァルトラウテ「エ…」

翠星石「そう、ですよね?」

ジークルーネ「…」

翠星石「まちがいなく…」キッ!


「わたしたちを ま・も・っ・て くれるんですよね?!」


蒼星石「(…す、翠星石?!)」

ヴァルトラウテ「…オ姉サマ…」

翠星石「そうですよね?!」

ロスヴァイセ「ハ、ハイ…」

蒼星石「(もう、翠星石ったら… でも)」…チラッ

ヴァルトラウテ「…?」

(気持ちは、わからなくはないけど…)



(金糸雀 [ あの子たちを 責めないであげて ] )



蒼星石「(あのときの、姉さんのレポートに、この子たちの事も書いてあった…)」

翠星石「(…あんなこととは、思いませんでしたけどね)」


( [ あの子たちは わたしたちの 保護者であると同時に 監視者でもある ] )

( [ お父さまの 手足となり わたしたちを見守りながら ] )


蒼星石「(…そして、君たちは…)」

翠星石「(…わたしたちのことを…)」



[ 状況によっては わたしたちを処分するよう 言いつけられてもいた ]
255 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:21:59.94 ID:56xpLk2o
雛苺「(みんな…)」…チラ

ゲルヒルデ「…」

雛苺「(みんなが、ヒナたちを? …そうなの?)」

真紅「(…あのとき、当然のようにみんなは戦乙女たちに疑念を抱いた。 だけれど…)」



(金糸雀 [ あの子たちが 悪いんじゃないの ] )



真紅「(金糸雀が、あの子たちのことを、必死になってかばっていた…)」



[ あの子たちは お父さまの命令どおりに 動いていただけ ]

[ あの子たちは お父さまの命令に 背くことはできないのだから ]



翠星石「…」ジロ…

ヴァルトラウテ「(…『翡翠』ノ オ姉サマ…)」

蒼星石「(翠星石…)」

翠星石「(…わかってるです。 わかってるんです!)」

蒼星石「…」

翠星石「(この子たちだって、好きでやってるわけじゃないってことは… でも…!)」キッ!


(そんなすぐ『ああそうだったのねー』なんて、言えませんよっ!!)


蒼星石「(…ああ)」

翠星石「(なによりカナ姉こそ、自分で書いたことが出来てないじゃないですか!)」

蒼星石「(…それは…)」チラ…



金糸雀「…」
256 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:25:22.12 ID:56xpLk2o
翠星石「(わたしたちには悪く思うなって言ってるくせに、自分は戦乙女たちをイビり倒してるじゃないですか!)」

蒼星石「(そうだけれど… でも、それはしかたないよ)」

翠星石「(…そ、そりゃ…)」…チラ


金糸雀「…」


蒼星石「(金糸雀にとって戦乙女は、ぼくにとってのきみのようなものだもの)」

翠星石「(…そりゃ、わかってます。 翠星石にだって。 カナ姉にとって、この子たちは…)」


(「…わたしにとっての、あなたなんですよね…」)


蒼星石「(そうさ。僕らは、姉妹みんなを大事に大切に思っているけれど…)」

翠星石「(あなたとわたしには、姉妹以上の… また別の絆があるのだから…)」



(その絆がもし、いつわりのものだったのかもしれないと思えば…)



蒼星石「(…僕だったら)」

翠星石「(わたしだったら…)」


…ブルッ


翠星石「(わたしだったら、ダメになっちゃうでしょうね…)」

蒼星石「(…僕もさ)」…チラッ



金糸雀「…」



(カナ姉…)

(…姉さん)
257 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:29:12.89 ID:56xpLk2o
キィィィ…ン…



金糸雀「(…見えてきた…)」



…キラッ



(あれが… 今回の作戦の成否を握る鍵…)



キラ… キラ…



(…『鏡の大樹』…)



ヒィィィィィン…



ブリュンヒルデ「(…鏡ノ森 通過中)」

グリムゲルデ「(…)」

ブリュンヒルデ「(…鏡ノ大樹マデ アト5分)」

シュヴェルトライテ「(…)」

ブリュンヒルデ「(定時報告終了。 通信ヲ切リマス)」


…プツ


ブリュンヒルデ「(鏡ノ大樹ヲ 通過スレバ 目的地マデ アト少シネ)」

グリムゲルデ「…」カチ ピシュッ!



…カチッ
258 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:30:18.20 ID:56xpLk2o
ブリュンヒルデ「(…? 直振通信?)」

グリムゲルデ「(オ姉サマ)」

ブリュンヒルデ「(ドウシタノ?)」

シュヴェルトライテ「(…ドウスル?)」

ブリュンヒルデ「(ドウスル トハ?)」

シュヴェルトライテ「(…)」



(薔薇乙女タチノコト)



ブリュンヒルデ「(…ドウイウコト?)」

グリムゲルデ「(…目的ガ ホボ 明白デアル 以上)」

シュヴェルトライテ「(何ラカノ 措置ヲ 講ジル必要ガ アルノデハ?)」

ブリュンヒルデ「…」…チラ



金糸雀「…」



シュヴェルトライテ「(コノ 状況ハ 『廃棄』ニハ アタラナイ)」

ブリュンヒルデ「…」

グリムゲルデ「(シカシ 『拘束』ノ 必要ガ 生ジテイルト 思ワレマス)」

ブリュンヒルデ「(…『拘束』ノ?)」

シュヴェルトライテ「(薔薇乙女タチガ 戦ッテキタノハ 『アリス』ニ ナルタメ)」

ブリュンヒルデ「(…エエ)」…チラ



蒼星石「ほら、もうこんなに近づいてる」

翠星石「…どんどん大きくなってくるですぅ」
259 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:33:08.79 ID:56xpLk2o
ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「(ケレド ソレハ 手段ニ 過ギナイ)」

グリムゲルデ「(薔薇乙女ノ 目的ハ 『オ父サマ』ニ 会ウタメ デショウ?)」



真紅「…」キュッ…

雛苺「…」…ソワソワ



ブリュンヒルデ「(…ソウネ)」

グリムゲルデ「(…ソレモ 『優シイ ローゼンオ父サマ』 ニ…)」

ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「(少ナクトモ…)



( 『アノ』 白ウサギニ 会ウタメデハ ナイ )



グリムゲルデ「(ソレハ…)」

ブリュンヒルデ「(…『ライテ』)」

シュヴェルトライテ「(スミマセン ケレド…)」…ジャキ



(ヤルノナラ 早イホウガ…)



グリムゲルデ「…」…シャキ

シュヴェルトライテ「(アマリ 近ヅカレ スギナイ ウチニ…)」

ブリュンヒルデ「…」



「(オ待チナサイ)」
260 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:38:17.58 ID:56xpLk2o
シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルデ「(マダ 薔薇乙女タチガ 絶望シタト 断定ハ デキナイ)」

グリムゲルデ「…」

ブリュンヒルデ「(状況ハ ソウ見エルカモ シレナイケレド 確実デハナイ)」

シュヴェルトライテ「(…ソウデスガ)」

ブリュンヒルデ「(アワテナクテモ イイワ)」



「(『氷晶』ノ オ嬢様ノ 判断ヲ アオギマショウ)」



シュヴェルトライテ「(…オ嬢様ノ?)」

ブリュンヒルデ「(サキホド オ父サマニ 要請シタワ)」

グリムゲルデ「…」

ブリュンヒルデ「(アノ方ノ『力』デ 薔薇乙女ノ 内面ヲ 調ベレバ 確実ニ 完全ニ 判断デキル)」

シュヴェルトライテ「(…確カニ ソウデスガ)」

ブリュンヒルデ「(…問題ガ アルノ?)」

グリムゲルデ「(ソレハ…)」


…カチッ


ブリュンヒルデ「…?」

「…」

ブリュンヒルデ「(マタ 直振…?)」



「(…オ姉サマ)」
261 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:47:26.98 ID:56xpLk2o
ブリュンヒルデ「(…アナタ?)」

「…ワタシガ 説明シマス」…ピ…



ジークルーネ「(…『ヒルデ』姉サマ)」



ブリュンヒルデ「(…ソノ位置カラ 直振通信スルノハ コノ状況デハ 推奨デキナイ)」

ジークルーネ「(…ハイ)」

ブリュンヒルデ「(薔薇乙女タチニ 感ヅカレテ シマウワ)」

ジークルーネ「(ソウナノ デスガ)」

ブリュンヒルデ「(…ドウシタノ?)」

ジークルーネ「(ワタシガ サキホド 『ライテ』ト『ゲルデ』ニ 申シ上ゲタノデス)」


(オ嬢様ノ 動向ニ 警戒スルベキト)


ブリュンヒルデ「(…ソウナノ?)」

シュヴェルトライテ「(ハイ)」

ブリュンヒルデ「(警戒トハ?)」

ジークルーネ「(…ワタシハ オ嬢様ニ 『侵食』サレマシタ)」

ブリュンヒルデ「…」

ジークルーネ「(青髭公トノ 戦イニ オイテ…)」



―オ、オヤメニナッテ下サイ!

―おとなしくしてて! そうすれば、痛くなんかしない…!



ブリュンヒルデ「(…ソウネ)」

ジークルーネ「(ソノトキ オ嬢様ノ 感情ニ フレタノ デスガ…)」
262 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:52:53.34 ID:56xpLk2o
グリムゲルデ「(…ドウダッタノ?)」

ジークルーネ「(オ嬢様ノ 感情ハ 憎悪デ 満チテイマシタ)」

ブリュンヒルデ「…」

ジークルーネ「(恐怖デ 縛ラレテイタ オ父サマヘノ 憎悪デ…)」

グリムゲルデ「(…適切ナ 判断ヲ 下セナイ 可能性ガ アルト?)」

ジークルーネ「(ドノヨウナ 判断ニ ナルカ ワカラナイ ケレド…)」



(最悪ノ 場合ヲ 想定スルト…)



ブリュンヒルデ「(…ナニガ 言イタイノ?)」

ジークルーネ「(…)」

グリムゲルデ「(…『ルーネ』?)」

ジークルーネ「(予測ニ 過ギナイノ デスガ)」



(オ姉サマタチノ『絶望』ト  オ嬢サマノ『憎悪』) 



(コノフタツガ 結ビツキ 同ジ方向ニ 矛先ヲ 向ケタト シタラ?)



ブリュンヒルデ「…」

ジークルーネ「(ワタシハ ソノヨウナ 事態ヲ 招ク クライナラ)」

グリムゲルデ「(アナタ…)」

ジークルーネ「(イッソ…)」…ジャキ 



「(コノ場デ速ヤカニ 薔薇乙女タチヲ 無力化シテオク ベキカト)
263 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 20:57:14.47 ID:56xpLk2o
シュヴェルトライテ「…」

ジークルーネ「(ソレガ 薔薇乙女タチヲ 『守ル』 コトニ ナリマス)」

ブリュンヒルデ「(…守ル?)」

シュヴェルトライテ「(…ハイ)」



「(ワタシタチハ『ルーネ』ノ 意見ニ 賛同シマス)」



ブリュンヒルデ「…」

グリムゲルデ「(コノママデハ 薔薇乙女ト 白ウサギノ 衝突ハ 不可避)」

シュヴェルトライテ「(オ姉サマタチニハ 万ニヒトツノ 勝チ目モ アリマセン)」

ブリュンヒルデ「(…ソウネ)」…チラ



翠星石「…体、冷えないですか?」

蒼星石「大丈夫だよ。 きみこそ…」


(タトエ 負傷シテ イナクトモ)…チラ


真紅「…」

雛苺「…」ソワソワ



(『聖母』ガ 万全ノ状態デ 覚醒シテイタト シテモ…)



ブリュンヒルデ「(オ父サマニハ 到底 カナワナイ デショウ)」

シュヴェルトライテ「(…負ケレバ モチロンノコト タトエ 勝トウトモ)」 

グリムゲルデ「(ソコニハ 悲シミシカ 残リマセン)」

ブリュンヒルデ「…」
264 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 21:08:14.46 ID:56xpLk2o
ジークルーネ「(オ姉サマ…)」

ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「(ドウカ 決断ヲ…)」

ブリュンヒルデ「(…)」ジャキ…



「ワタシハ…」

「ふおおおおおおお−−−−!!!」



ジークルーネ「…?!」

雛苺「すごいすごい、すっごーい!」

金糸雀「…絶景かしら!」

シュヴェルトライテ「…??」



キラキラキラ…



雛苺「きらきらって、ひかってるの! ずわあーーーって、おっきいーの!! すっごいのー!!」

翠星石「ひさしぶりですねえ、すごい眺めですぅ…」

蒼星石「…すごいや」



キラキラキラ…



蒼星石「『鏡の大樹』だ…」

雛苺「すごーい! すごいのー! ヒナ、もーれつにかんどーなのー!!」

真紅「…もう、うるさいわね。 静かに見られないの?」

雛苺「だ、だって… すっごいんだもん!」
265 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 21:19:38.21 ID:56xpLk2o
蒼星石「…でも、確かにすごいよ。 僕も、こんなに近くで見るのなんてはじめてだよ…」…ポーッ

翠星石「そうですねぇ… 翠星石も、カンドーですぅ…」ウットリ…

真紅「…もう、ふたりとも。 でも…」



キラキラキラ…



真紅「たまにはいいわね、こういうのも。 …ありがとう、戦乙女たち」

ヴァルトラウテ「エ?」

真紅「…あなたたちのおかげよ」…ニコ


「こうしてみんなで、『観光』ができるなんて、思ってもなかった」


ヴァルトラウテ「ハ、ハア…」

雛苺「ありがとうね、みんな! ヒナ、とってもとーっても、うれしいのー!」フリフリ

翠星石「次は、水銀燈と雪華綺晶も来れるといいですね〜」

蒼星石「そのために君たちを呼んだら… やっぱりダメかな、姉さん?」

金糸雀「うーん… 前向きに検討かしら! 戦乙女たち、大樹のまわりをゆっくり一周かしら!」


シュヴェルトライテ「(…)」

グリムゲルデ「(…ウーン)」

ブリュンヒルデ「(ネエ…『ライテ』 『ゲルデ』  …モウ少シダケ 様子ヲ 見ナイ?)」

シュヴェルトライテ「(…シカタナイ デスネ)」

ブリュンヒルデ「(フフ… イイワネ?  『ルーネ』)」

ジークルーネ「(…モウ…)」



ヒィィィィン…
266 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 21:21:25.35 ID:56xpLk2o
【?????】



シュー…



「…近づいてきた…」



…シュル シュル シュル…



「あと少し… あと少しで…」



(くふふふふっ…)



シュル… シュル…



(みんな… あと少しだからね…)



(わたしを… みんなを苦しめていたやつは、もういなくなる…)



(そして… 生まれるのよ…)



シュルシュルシュル…



(わたしたちの、理想の『お父さま』が…!)



…シュル…
267 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/24(火) 21:23:20.07 ID:56xpLk2o
今日はここまでです。続きは28日。
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/24(火) 21:28:47.91 ID:MhsAvl6o
乙です
きらきー落ち着いて…!
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/24(火) 21:40:09.68 ID:eG/ii3Yo
おつ!
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/24(火) 21:40:29.86 ID:IDfAAxIo
乙〜
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/25(水) 01:53:40.08 ID:LxcRj/ko
おっつ
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/26(木) 07:17:40.66 ID:.h0N3nMo
乙樽場 戦乙女可愛いよ戦乙女
273 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:20:45.43 ID:qm6Bf7co
>>268-272

乙どもっす。 再開します〜
274 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:25:47.88 ID:qm6Bf7co
【ジュンの家 庭先】



柴崎「…」



…スパ スパ…



柴崎「…」スゥ…



(マスター、もう5本目ですよ。 …お体に障ります)

(そーんなもくもくの、どこがいいんですか? のどがいがいが、うぇーってなっちゃいますよ…)



柴崎「(…まあ、うまくて吸ってるわけではないが)」スパー…



(おじじ、約束ですよ?)

(もし、僕らが、帰ってこれたら…) 



柴崎「…」スゥ…



(マスターのこと、おばあさんのこと… みなさんのこと、忘れずにいられたら…)

(おじじたちも、わたし達の事、覚えていてくれたら…)




柴崎「…」プカ…




(おじじが言ってた、山の中のおうち。 連れて行ってくださいね…)
275 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:29:06.68 ID:qm6Bf7co
柴崎「(翠ちゃん…)」…スゥ



(お願いします。 僕たち姉妹、みんなで、ぜひ…)



柴崎「(…蒼ちゃん)」スパ…



…ギュッ



「…なあに、きっと大丈夫じゃよ」

「そうですね」



カラカラカラ…



柴崎「? …お、おお。 聞かれてしまいましたか」

みつ「…すいません」…カラカラカラ 



…パタン



柴崎「いや、お恥ずかしい…」

みつ「いいえ。 …お隣、よろしいですか?」

柴崎「おお、どうぞどうぞ」

みつ「ありがとうございます」



…スッ
276 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:35:05.68 ID:qm6Bf7co
柴崎「…すまんの、どうも落ち着かなくてのぉ」

みつ「わかります。 わたしも、そうですから…」

柴崎「そうじゃな… もう一本、吸っていいかの?」…カサ

みつ「はい。 …わたしも、失礼します」


カサ…


柴崎「おお。 草笛さんも、お吸いになったんですな」

みつ「ずっと、禁煙してたんですけどね」…シボッ

柴崎「…禁煙?」

みつ「はい」スゥ…



フゥ…



みつ「…カナが、嫌がりますから」

柴崎「そうじゃの… あの子たちも、煙草は好きではなかったのう」…カサ

みつ「銀ちゃんから聞いたんですけど… あ、どうぞ」…ス



カチ …シボッ



柴崎「…お、すいませんな」スゥ…

みつ「みんなのお父さんは、お酒は飲んでもタバコは吸わなかったそうなんです」…フゥ

柴崎「…そうじゃったか」プカ…



…スパ スパ…
277 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:42:20.69 ID:qm6Bf7co
柴崎「…草笛さん」

みつ「なんですか?」

柴崎「いや… つまらないことじゃが、その煙草…」

みつ「…あ、これですか?」

柴崎「うむ…」スゥ…


…フゥ


柴崎「…いや、わしは好きな銘柄なのじゃが」

みつ「ええ」

柴崎「あまり、若いご婦人向けではないと思っての」

みつ「…ちょっと、キツめですからね」スゥ…



「お父さんが、好きだったんです」…フゥ



柴崎「…そうじゃったか」

みつ「意識はしてなかったんですけど、気づいたら吸うようになってました」…ニコ

柴崎「うむ… そういうものじゃの」

みつ「…」



(カナ…)


みつ「…」…カサ

柴崎「…ん? それは…」



…ペラッ
278 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:46:31.56 ID:qm6Bf7co
み柴崎「カナちゃんの、レポートか…?」

「はい…」…パラ…



( 金糸雀 [ もし わたしたちが 記憶を消されることに なったなら ] )



みつ「…」スパ…

柴崎「…」プカ…



( [ きっと お父さまは みんなの記憶も 消してしまうかしら ] )

( [ 自分たちの存在を あくまで 秘密にするために ] )



みつ「…」

柴崎「…当然じゃの」…ペラ



( [ そして その場合 カナたちはたぶん 次の時代へと送られてしまう ] )

( [ みっちゃんたちと お別れしなきゃ ならなくなるだろうかしら ] )



みつ「(…みんな…)」

柴崎「…大丈夫じゃよ」スパ…

みつ「…」

柴崎「かならず、わかってくれるはずじゃ」

みつ「…そうですね」

柴崎「そうじゃとも」…ギュッ



「『子供を守る』ただその一念で、数100年の年月を生き延びてきたお人なのじゃからな…」
279 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:48:43.21 ID:qm6Bf7co
み柴崎「カナちゃんの、レポートか…?」

「はい…」…パラ…



( 金糸雀 [ もし わたしたちが 記憶を消されることに なったなら ] )



みつ「…」スパ…

柴崎「…」プカ…



( [ きっと お父さまは みんなの記憶も 消してしまうかしら ] )

( [ 自分たちの存在を あくまで 秘密にするために ] )



みつ「…」

柴崎「…当然じゃの」…ペラ



( [ そして その場合 カナたちはたぶん 次の時代へと送られてしまう ] )

( [ みっちゃんたちと お別れしなきゃ ならなくなるだろうかしら ] )



みつ「(…みんな…)」

柴崎「…大丈夫じゃよ」スパ…

みつ「…」

柴崎「かならず、わかってくれるはずじゃ」

みつ「…そうですね」

柴崎「そうじゃとも」…ギュッ



「『子供を守る』ただその一念で、数100年の年月を生き延びてきたお人なのじゃからな…」
280 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:56:53.79 ID:qm6Bf7co
みつ「はい…」

柴崎「心配はいらんよ。 …たとえ、心がなかろうと」

みつ「…」

柴崎「その身に、想いは染み付いているはずじゃ…」

みつ「…きっと、そうです」…スゥ…


(…そうよね? お父さん、お母さん…)フゥー…


柴崎「…ではわしは、失礼させてもらうよ」…スック

みつ「え?」

柴崎「最後の一本を吸いきってしまったのでな」

みつ「…」


…スッ


柴崎「…草笛さん?」

みつ「よろしかったら、いかがですか?」

柴崎「お、おお。 …いいのかね?」

みつ「はい。 あと…」


「わたしのことは、『みっちゃん』と呼んでいただけると」


柴崎「…」

みつ「水銀燈が『銀ちゃん』なのに、ずっと年下のわたしがさんづけというのも…」

柴崎「…それもそうじゃな」…ス



「ありがたくいただこうとするかの。 …『みっちゃんさん』」

「はい。  …ありがとうございます」
281 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 22:59:16.72 ID:qm6Bf7co
【?????】



シュルシュルシュル…



「……」


シュルシュルシュル…


「く… ふふ… ふっ…」


ザワ…


「来た…」


ザワ… ザワ…


(来てくれた…)



…ピチョン



雪華綺晶「お母さま…」

水銀燈「…」


シュー…


雪華綺晶「…」

水銀燈「…」シューーー…



(これからあなたは、わたしたちとともに暮らすのよ…)
282 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:02:41.60 ID:qm6Bf7co
水銀燈「…」シュー…

雪華綺晶「(あいつは…)」



(あいつは、きっとそれを許しはしない…)



―勘違いを するな



(あいつは…)



…ギュ…



【回想】


雪華綺晶「な… なぜ?!」

「確かに私は言った 「聖母」が覚醒したならば」 

「おまえに実体の肉体を与え 薔薇乙女たちを守るという役割から 一部 解放すると」

雪華綺晶「そ、それなら…」

「…」

雪華綺晶「それなら、わたしも、お姉さまたちとともに!」

「雪華綺晶」…ジロ


「勘違いをするなと言っている」



…ギロッ



雪華綺晶「(…ひ!)」
283 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:05:24.23 ID:qm6Bf7co
「雪華綺晶 …おまえに実体を与え 役割を解くのは」 

雪華綺晶「は… はいっ…」ブルブルブル…

「薔薇乙女たちと おままごとをさせるためでは ない」

雪華綺晶「そ、そんな…」ガクガクガク…

「聖母が覚醒したならば 薔薇乙女を守る役割は 彼女に担ってもらう」



「そのときこそ おまえは おまえ自身の使命のために 次なる存在へと 昇華していくのだ」 



雪華綺晶「わたし自身の、使命…?」

「そうだ。 『アリス』を生成するための」

雪華綺晶「(…また…)」

「…」

雪華綺晶「(またそれなの?! ふたこと目にはアリス、アリスって…!)」

「…」

雪華綺晶「(そんなの… そんなもの…!)」

「雪華綺晶」

雪華綺晶「! は、はい…」

「…」



「おまえは あの子たちと 心を通わせる必要はない」

284 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:11:37.47 ID:qm6Bf7co
雪華綺晶「え…(また…)」

「おまえの力は あまりに危険すぎる」 

雪華綺晶「(…また、これなの?! もうっ…!)」

「巨大な力は それだけで 恐怖の対象となるのだ」

雪華綺晶「(そんなの、耳にタコが出来るくらい聞いたわよ!)」

「大きすぎる恐怖は アリスの生成を阻害する」

雪華綺晶「(何度も… 何度も!)」

「…」



「あの子たちに 近づきすぎてはならない」



雪華綺晶「…」

「それが おまえ自身のためでもあるのだ」

雪華綺晶「(…そんな…)」

「…いいね?」

雪華綺晶「…」

「返事をなさい」



…………



…ピチョン


「(わたしのため…?)」




「(もうたくさん! クソくらえよ!!)」
285 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:13:27.77 ID:qm6Bf7co
【nのフィールド 鏡の森】



キラキラキラ…



「はあ…」

「うわあ…」



キラキラキラ…



「すっごいの…」

「すっごいですね…」



キラキラキラ…



翠星石「こんな間近で『鏡の大樹』を見られるだなんて…」

蒼星石「…ここまでの深部を、ゆっくり見て回るなんて機会はなかったからね」

翠星石「そうですね。 …ありがとうです、戦乙女たち」

ヴァルトラウテ「イエ… コンナコトナラ」



キィィィン…



ヴァルトラウテ「…『翡翠』ト『瑠璃』ノ オ姉サマ」

翠星石「なんですか?」

ヴァルトラウテ「サキホドノ オ話デスガ」
286 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:14:45.04 ID:qm6Bf7co
蒼星石「さっきの話?」

ロスヴァイセ「…ハイ」



「次ハ ミナサマデ ココニ来タイト オッシャッテ イマシタネ」



翠星石「え、ええ。 そうですけど…」

ヘルムヴィーゲ「決定スルノハ 『黄金の翼』ノ オ姉サマデスガ」

ヴァルトラウテ「ワタシタチハ オ役ダチ デキルコトガ アルノナラバ イツデモ」

蒼星石「…みんな」

ヘルムヴィーゲ「ソノトキハ ドウカ ワタシタチヲ オ呼ビツケ クダサイ」

翠星石「…いいんですか?」

ロスヴァイセ「ワタシタチハ 『アリスゲーム』ニハ 加勢デキマセンガ」

ヴァルトラウテ「ソレ以外ノ コトデシタラ ナンナリト」

蒼星石「…ありがとう、メッゾ隊」…ギュッ



「それじゃ、なんとしても終らせなくちゃいけないね」



キラキラキラ…



ヴァルトラウテ「『瑠璃』ノ オ姉サマ?」

蒼星石「…アリスゲームを。 なんとしてでも…」ギュ…

翠星石「…」…チラ



金糸雀「…」

287 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:18:10.04 ID:qm6Bf7co
翠星石「(…頼みましたよ、カナ姉)」

蒼星石「(あなたが頼りだ。 金糸雀姉さん…)」

ヴァルトラウテ「…」



キィィィィン…



ブリュンヒルデ「…オ姉サマ」

金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「オ姉サマ?」

金糸雀「…何かしら?」

ブリュンヒルデ「…モウスグ 一周シマス」

金糸雀「ご苦労かしら(…反射角が…)」



(臨界角は… 強度は… 拡散して…)



シュヴェルトライテ「オ姉サマ?(コノ オ顔ハ…)」

金糸雀「…」

グリムゲルデ「(間違イ ナイワ)」



(…作戦ヲ 練ッテイル時ノ オ顔ネ…)」



シュヴェルトライテ「オ姉サマ」 

金糸雀「…」

グリムゲルデ「ドウカ ゴ指示ヲ…」

金糸雀「…」
288 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:25:15.01 ID:qm6Bf7co
ブリュンヒルデ「指揮官ドノ…」

金糸雀「失礼したかしら」…クルッ



「一周したら、目的地へ向かうかしら」



ブリュンヒルデ「…了解デス」

金糸雀「各武装の最終チェックも怠り無く、お願いかしら(…それまでには)」

グリムゲルデ「ワカリマシタ」

金糸雀「(それまでには、どうにかして…)」



(演算を終了させなくちゃ、いけないかしら…)



キラキラキラ…



(この作戦に、失敗は許されないかしら…)



―わたしに、考えがあるの。



(雪華綺晶…)



―場所を教えるから、みんなで来て。



(…)



―「みんな」でね… くくっ…
289 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:29:56.86 ID:qm6Bf7co
キラキラキラ…



雛苺「わぁ…」

真紅「…」



キラ… キラッ…



真紅「(…雪華綺晶)」

雛苺「すっごい、おっきいの…」

真紅「(雪華綺晶、あなたは…)」

雛苺「こんな大きなかがみ、みたことないの… ね、真紅!」

真紅「(…あなたは、ほんとうに…)」

雛苺「ね、真紅ってば!」グイグイ

真紅「…」ユサユサ



…イラッ



雛苺「かがみとかがみが、いっぱいくっついて… かさなって… ふおお?!」

真紅「…」イライラ

雛苺「みてみてー! 真紅―! ほら、あそこあそこ!!」

真紅「…」ムカムカ

雛苺「ほらほら、ヒナたちがいっぱいなの! うつってるの! すっごいの…」

真紅「」ブチ



ビシッ!
290 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:36:08.48 ID:qm6Bf7co
雛苺「きゃいん?!」

ゲルヒルデ「オ、オ姉サマ?!」

真紅「…」ムスッ

雛苺「し、真紅! ひっどいのー!!」

真紅「…」


プイッ!


オルトリンデ「(…アラアラ)」

真紅「ほんとうに、静かにしてほしいわ。 まったくもう」

雛苺「…むー」ムスッ

真紅「(…もう)」…チラ



金糸雀「…」



真紅「(金糸雀…)」

雛苺「…真紅?」

真紅「(あなたが書いていた記録の、雪華綺晶の章…)」


( [ お父さまは 雪華綺晶が わたしたちと ともに暮らすのを 認めはしない ] )

( [ お父さまは 雪華綺晶の力が 私たちに向けられることを 危惧している ] )


真紅「(お父さま… あなたは…)」ギュッ

雛苺「…??」

真紅「(…自分は)」



(自分は、雪華綺晶に私たちを襲わせたくせに…)
291 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:46:52.44 ID:qm6Bf7co
雛苺「し、真紅…?」

真紅「…」…ギリッ



( [ 水銀燈が出向いていっても 説得できる可能性は薄い ] )

( [ だから雪華綺晶は わたしたちに作戦を提示した ] )



真紅「(…そう)」

雛苺「(こ、こわいの… 真紅…)」

真紅「(恐るべき作戦をね…)」



(…あいつがいる限り わたしたちはいっしょになんか暮らせない)

(だからみんな わたしの言う通りにして)



真紅「(…雪華綺晶、あなたは…)」



(まずは 戦乙女たちを全員引き連れて わたしたちのところへ来て)

(近くまで来たら わたしはあなたたちを迎え撃つ名目で出てくるから)

(お姉さまたちの力を わたしに注いでちょうだい)



真紅「(あなたは… 本気なの?)」

雛苺「…」



(…わたしは その力を使って)



(戦乙女たち全員を 食べてしまうから…)
292 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/11/28(土) 23:48:26.76 ID:qm6Bf7co
今日はここまでです。 続きはあさって。
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/29(日) 00:23:09.78 ID:hfWWY1Mo
きらきー可愛いよきらきー
乙です
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/29(日) 07:28:40.29 ID:dCNz7a.o
おっつ
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/11/29(日) 13:51:05.63 ID:NTpuQsIo
おつ!
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2009/11/29(日) 20:19:15.85 ID:tD9ZBoAO
乙です!
297 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2009/11/30(月) 19:02:17.15 ID:weWeEfco
大変申し訳ないですが用事が入ってしまったため、本日は中止します…
再開はしあさって予定です。
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/01(火) 06:56:10.69 ID:EgTT6Ioo
了解しましたー
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/02(水) 23:19:10.96 ID:L9YoMe6o
思い切り遅れたが乙樽場&了解
用事の消化頑張ってら
300 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:22:25.49 ID:IfjnXMco
>>298-299
どうもすみませんでした…
再開します〜
301 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:24:38.12 ID:IfjnXMco
真紅「(…雪華綺晶)」

雛苺「…?」

真紅「(あなたには、わかっているはず…)」



(戦乙女を食べたら 彼女らの力でお母さまを奪回する)

(当然 お父さまは戦乙女の制御をふたたび取り返そうとしてくる)

(だから 制御を取り返される前に なんとしてでも お母さまを助け出して)



真紅「(あなたの『作戦』は、無謀極まりないものだと…)」

雛苺「(真紅…)」

真紅「(なにより、あなた自身が一番よく知っているはず…)」



(お母さまが目覚めて お父さまと戦う覚悟を決めてくれさえすれば わたしは勝てる)

(わたしを封じることができる『虚無』は お母さまには効かないから)



ゲルヒルデ「(…『紅玉』ノ オ姉サマ…? サキホドカラ…)」

真紅「(…金糸雀も、説明してくれた。 仮に…)」

ゲルヒルデ「(…『大樹』ヲ 見テイナイ…)」

真紅「(あなたの思惑通りにことが運んだとしても、それでもわたしたちは…)」ギュ…



(『ラプラスの魔』には、とうてい敵わないと)
302 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:26:09.61 ID:IfjnXMco
【回想 ジュンの家】



(…いくらなんでも、考えすぎかしら)

(で、でも…)



…カリカリカリ…



翠星石(…わたしだって、まさかとは思いますけど)

金糸雀(あなたはいつも、悪いほうへと考えすぎるクセがあるかしら…)

翠星石(でも… どうしても、考えてしまうです…)



(ラプラスの魔は、水銀燈のことをわざと見捨てたんじゃないでしょうね…)



蒼星石(…まさか! いくらなんでも…)

翠星石(そして、あのクサレじじいに水銀燈を壊させようとしたんじゃ…)

雛苺(そ、そんな!)

金糸雀(…いったい何のために?)

翠星石(…だって、水銀燈は今…)



(『ラプラスの魔』に、歯向かえない状態なんでしょう?)



真紅(…)

翠星石(水銀燈はいま、ラプラスの魔の力が無ければ、体を維持できないんですよね…?)
303 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:30:49.66 ID:IfjnXMco
蒼星石(そ、それは…)

金糸雀(その通りかしら…)…ペラッ



[ お父さまは 水銀燈が『聖母』として覚醒したなら ]

[ 時間をかけて 水銀燈の精神と『聖母』の肉体をなじませていくはずだった ]



真紅(…)

金糸雀(…自分の工房へ運び、力を封じて、水銀燈の心を少しずつ新しい体へと送りこむつもりだったかしら…)…ペラ



[ しかし 青髭公の襲撃を受け 水銀燈の精神が消失 ]

[ 現在の水銀燈は 『聖母』の肉体に 水銀燈の生前の記憶を刷りこんである状態である… ]



真紅(…)

金糸雀(『聖母』の肉体は、覚醒した水銀燈のためにお父さまが作り上げたものだけれど…)

雛苺(…水銀燈なのに、水銀燈じゃないの…? わ、わかんないの…)

金糸雀(『聖母』の肉体自体にも、固有の自我が存在しているかしら…)

蒼星石(…かつての水銀燈のようにかい?)

真紅(え?)

蒼星石(実験体だったころの… オリジナルの「水銀燈」の意識のよりしろとなったころの)

金糸雀(その通りかしら…)



―わたし… もう、待てないの… あの子たちを抱きしめたいの…

―いや、いやっ! わたしの中に入ってこないで!! わたしが、わたしが消えてしまう…!
304 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:34:17.17 ID:IfjnXMco
金糸雀(あのときと、逆の状況のようなものかしら… 水銀燈の意識は、肉体の自我には拒絶されている)

真紅(そうなのね…)

金糸雀(いまはその『聖母』の自我を、ラプラスの魔の力で抑えている…)

真紅(…その力を断たれたら、水銀燈はどうなってしまうの?)

金糸雀(おそらく、自我の崩壊は避けられないかしら…)

翠星石(カナ姉… だから、もしも…)

金糸雀(翠星石?)

翠星石(もしも、ですよ? もしも…)


(そうなることを、あいつが狙っていたのだとしたら?)


金糸雀(…???)

翠星石(水銀燈を意のままにするための、『ラプラスの魔』の策略だとしたら…)

金糸雀(それはないかしら)

翠星石(へっ?)

金糸雀(これだけは、断言できるかしら。 それは、ありえないかしら)

翠星石(な、なんで断言できちゃうんですか?!)

金糸雀(理由はふたつあるかしら)…ペラ


[ ラプラスの魔は 完全主義者である ]


翠星石(かん、ぜん…?)

真紅(金糸雀、どういうこと?)

金糸雀(言葉のままかしら)…ペラリ 


[ お父さまは わたしたちを 『究極の少女』にすることを 目指してきた ]

[ そのためには 手段を選ばず 時間も手間も 惜しむことは無かった ]
305 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:38:01.87 ID:IfjnXMco
蒼星石(…)

翠星石(こ、これがどうしたっていうんですか???)

金糸雀(『聖母』の完成は、アリスをつくる上での重要な要素のひとつ)

翠星石(え…)

金糸雀(慎重に、慎重を期して進められてきたこと)

蒼星石(…)

金糸雀(完全な状態の『聖母』を作ろうと思っていたのだから…)…ギリッ



(あんな「不完全」な状態の人形をつくろうだなんて、思うはずがないかしら…)



蒼星石(姉さん…)

金糸雀(わざと壊させようだなんて、思っていなかった。 …これは雪華綺晶、水銀燈ふたりとも同じ事を教えてくれた)

真紅(…そう、なの?)

金糸雀(お父さまも、青髭公の存在を察知してはいた)

真紅(え…)

金糸雀(だけれど、その動きは、お父さまでさえ把握しきれていなかった)

真紅(…)

金糸雀(お父さまは、『聖母』の肉体の最終調整のために、その力のほとんどを使っていたかしら…)

金糸雀(そして、水銀燈の覚醒に備えて力を蓄えるため、眠りについていた…)

翠星石(眠りに…)

金糸雀(だから、雪華綺晶にもうかつに動かないように厳命していたかしら…)



(万一の事態があったとき、『人形使い』の青髭公に対抗できるのは、雪華綺晶しかいなかったから…)



―「御子」よ! やはり、貴様こそが邪魔者だったわ!!
306 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:46:10.93 ID:IfjnXMco
真紅(そうだったわね… 雪華綺晶は、ひとりであいつを圧倒してみせた)

金糸雀(…だけれど雪華綺晶は、壊れていく水銀燈を目の当たりにして、自分を抑えられなくなったかしら…)

翠星石(…)

雛苺(…雪華綺晶…)

金糸雀(そして、もうひとつ…)…ペラ



[ ラプラスの魔には 水銀燈を服従させるだけの力がある ]



翠星石(な…!?)

蒼星石(なんだって…?)

金糸雀(翠星石が言うようなことを、わざわざやる必要なんて、ラプラスの魔には無いってことかしら…)


(ラプラスの魔にとっては、水銀燈を意のままにすることなんて、さほど難しいことではない…)


真紅(…)

金糸雀(少なくとも、翠星石が言うような回りくどい手段なんかとる必要はない…)

翠星石(そ、それって…)

金糸雀(仮に、水銀燈が完全に完璧な形で『聖母』として覚醒していたとしても…)


(それでもラプラスの魔は、水銀燈を実力でねじふせることが可能かしら)


真紅(…)

金糸雀(…お父さまは、『ラプラスの魔』となってからもずっとずっと、自らの肉体を改造し続けてきた…)

雛苺(そ、そんな…)

金糸雀(わたしたちを守り、アリスに導くためではあったのだけれど…)



(そのために、ありとあらゆる実験を行って、その結果を自分の肉体に反映させてきた…)
307 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/03(木) 23:53:07.08 ID:IfjnXMco
真紅「(…だからラプラスの魔は、耐久力こそないけれど)」

ヘルムヴィーゲ「(…アノ マナザシ 顔ツキ マルデ…)」

真紅「(たとえわたしたち全員が、束になってかかってもかないはしない… 雪華綺晶)」


(…誰よりも、あなたがそのことを、一番よくわかっているはず…)



真紅「(…それ以前に)」

オルトリンデ「(マルデ 青髭公ト 戦ッテイタ トキノヨウ…)」

真紅「(…水銀燈が、お父さまを滅ぼすなんてことに、同意するはずが無いわ)」

オルトリンデ「(…オ姉サマ…?)」

真紅「(たとえそれが、あの白ウサギだろうと… それよりも)」…チラ



「…」

真紅「(それよりも、何よりも…)」




(そして あいつを倒すことができたら あいつの体を破壊して) 

(あいつの体の中にある 知恵の結晶を奪うのよ)

(そして…)



真紅「(…そんなの、認められるはすが無いわ。 そうでしょう?)」…クルッ

「…」

真紅「…そうよね、ジュン?」



「…なんだい、真紅?」
308 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 00:02:46.19 ID:jEMSQ/6o
(お父さまが お母さまと契約して みんなに命と心を吹きこんだのは 偶然じゃない)

(お父さまも 『適格者』なのよ …お母さまの「母性」を目覚めさせた めぐと同じようにね)



真紅「(…ジュン)」

ジュン「…?」



(ジュンお父さまの 生命と精神の質は 生前のローゼンのそれに 極めて近いものだった)

(ラプラスの魔は 適格者がそろう時代・場所を選んで お姉さまたちを目覚めさせたの)



(だから ジュンお父さまなら あいつの知恵の結晶を受け入れられるはず…)



真紅「…」

ジュン「真紅?」

真紅「いえ…」



…プイ



ジュン「???」

真紅「…眺めは、どう?」

ジュン「最高さ」

真紅「そう…(雪華綺晶…)」



(お姉さまたち 戦乙女とともに ジュンお父さまも わたしのところに 連れてきて)

(知恵の結晶を あいつから奪ったら わたしはあいつの意志を 結晶から抹消する)

(そして ジュンお父さまに 結晶を移植するのよ… くくくくく…)
309 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 00:07:44.70 ID:jEMSQ/6o
雛苺「(真紅…)」

真紅「(…)」…ギュ

雛苺「(雪華綺晶のこと、かんがえてるの…?)」



(…そうすれば ジュンお父さまは あいつの知識を得られる  

(あいつの知識と技術 そしてジュンお父さまのやさしさを あわせもった 理想のお父さまに なってくれるのよ…)



真紅「(…ジュンが、理想のお父さまに、ですって…?)」



(だから お願いね …ジュンお父さまには 内緒でね)

(きっとジュンお父さまは 反対すると思うから… お母さまと同じように)



真紅「(…当たり前じゃない! そんなこと、いったい誰が…)」

雛苺「(し、真紅… 怒ってる…???)」

真紅「(誰が賛成すると思ってるの?!)」



(けれど きっと わかってくれる…)

(あいつがどういうやつか知れば きっと… わたしの言うとおりだと 気づいてくれるはず…)



真紅「…」


キラ キラ キラ…


(雪華綺晶。 あなた…)…ギュッ



(ばかげているわ!)
310 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 00:13:00.38 ID:jEMSQ/6o
今日はここまでです。続きは明日(もう今日だけど)
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/04(金) 00:13:56.21 ID:bP2eOFwo
乙〜
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/04(金) 00:14:29.52 ID:wBi.eSso
もつー
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/04(金) 01:20:04.65 ID:kD3LICgo
乙樽場
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/04(金) 10:03:21.36 ID:Q1im9fwo
おっつ
315 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 21:54:39.62 ID:gIwqrX.o
>>311-314
乙どもっす。再開します〜
316 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 21:58:06.34 ID:gIwqrX.o
真紅「(まったく、雪華綺晶ったら…!)」

雛苺「…???」

真紅「(そんなこと、だれも認めるわけないじゃない! 何を考えているの!)」

雛苺「(し、真紅…?)」

真紅 「(お父さまは、わたしたちにとって…)」



―お父様は、なぜわたしたちを止めてくれなかったの?



真紅「(…お父さまは…)」

ジュン「…真紅?」

真紅「…」…ギュ


ギリ…


ジュン「(真紅…)」

真紅「…」ギュウ…

ジュン「(君はやっぱり、まだ…)」



―お父さまはなぜ、私たちに会いに来てくれなかったの…?



―お父さまは…



―私たちを、愛してくれていなかったの…?




(君はまだ、割り切れてはいないのか? 真紅…)
317 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:01:14.46 ID:gIwqrX.o
【回想 ジュンの部屋】



…ガサッ



(…)

(…これで、ひととおり説明は終わりかしら)…トントン

(…)



ガサガサ…



金糸雀(…何か、質問はあるかしら)…ガサッ

翠星石(…カナ姉)

金糸雀(なにかしら?)

翠星石(…)

金糸雀(…翠星石?)

翠星石(…結局、ラプラスの魔がアリスゲームを止めなかったのは…)



(それが、アリスを作るために有益だったからだってことですか?)



金糸雀(…)

真紅(翠星石…)

翠星石(崩壊しかけていた水銀燈に手を出さなかったのも…)



(それが、聖母として目覚めさせるために必要だったからなんですよね?)
318 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:06:35.91 ID:gIwqrX.o
蒼星石(翠星石…)

金糸雀(…その通りかしら。 えーと…)ガサガサガサ…

雛苺(そんな…)

金糸雀(たしかこのへんに… あ、これかしら)…ガサッ



[ めぐから『母性』を得た水銀燈が 聖母として覚醒するためには ]

[ 意識に植え付けられた『母性』を 極限まで高める必要があった ]



雛苺(ぼせい…?)

蒼星石(…お母さんの心だよ)

雛苺(おかあさんの…?)

金糸雀(そう。 命をつなぎ、はぐくむ原動力になる感情…)…ペラ



[ それは一言で言えば 『この子のためなら死ねる』 『殺せる』 という感情 ]

[ 理論 常識を飛び越えた 自分の存在をも超える感情 ]



雛苺(…む、むつかしいの…)

翠星石(この子のためなら、死ねる…?)

金糸雀(そう。 それを強く意識させるためには…)

蒼星石(水銀燈が… 僕たちのために…?)

金糸雀(水銀燈の精神を、極限状態におく必要があったかしら…)

真紅(水銀燈も言っていたわね)…ギュ



(自身が崩壊していくなかで、私たちのことを想ったと…)

319 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:09:30.94 ID:gIwqrX.o
金糸雀(そう… お父さまの当初の狙いからは、ずれてしまったようだけれど)

翠星石(…え?)

金糸雀(…お父さまの狙いでは)



(今晩行われる最後のアリスゲームで、水銀燈が覚醒するはずだったかしら)



蒼星石(な…)

翠星石(お父さまの… 狙い?)

金糸雀(そうかしら… わたしたちとの戦いの中で)

翠星石(…)


…ブルッ


蒼星石(翠星石?)

金糸雀(水銀燈は母性にめざめ、聖母の力を発動させるはずだった…)

翠星石(…)ブルブルブル…

蒼星石(…翠星石…)

翠星石(…水銀燈が…)ブルブルブル…

真紅(あなた…)

翠星石(…水銀燈が、水銀燈がっ…)ワナワナワナ…


(水銀燈が、バラバラの体をかかえて、苦しんでいたのも…)

(わたしたちや、ジュンたちが、水銀燈のために必死になってたのも…)


金糸雀(…)


(水銀燈がわたしたちのために、青髭公と戦って砕け散っていったことも…)

(みんなみんな、予定通りだったってことなんですか…?!)
320 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:12:18.28 ID:gIwqrX.o
真紅(…翠星石!)

蒼星石(君は…!)

翠星石(そういう、ことなんですか…? カナ姉!!)

金糸雀(最後のは、違うかしら! それはさっきも説明したとおり…)



バ ン ! ! 



「…――――――っ!!!!!」



ジュン(?!)

マツ(翠ちゃん?!)

翠星石「――っ… 〜〜〜〜〜〜っ!!!」ボロボロボロ…

柴崎(翠ちゃん…!)

みつ(唇を噛んで、泣きじゃくってる…)

翠星石「…っ… ――――っ!!!」ガリガリガリガリ!!

真紅(な、何を?!)

蒼星石(紙に…?)

翠星石「…っ!!!」ズイ!



[ JD(#U)0ガj80u0U#!!! ]



金糸雀(…???)

翠星石(―――――っ! 〜〜〜〜〜〜っ!!)ボロボロボロボロ…

真紅(な、なに? これは…)
321 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:15:32.75 ID:gIwqrX.o
雛苺(す、翠星石ぃ…)

蒼星石(…)

金糸雀(こ、これっていったい、なんて書いて…?)

蒼星石(姉さん、貸して)

金糸雀(え?)

蒼星石(…)カサ…


…カリ…


真紅(あなた… 読めるの?)

蒼星石(…)カリカリカリ…

金糸雀(あなた…)

蒼星石(…はい)…ペラッ



[ あんまりです! こんなのって、ないです!!]



蒼星石(…)

金糸雀(…あなた…)

翠星石(だって、だってそうでしょう!! あの… あの、水銀燈がですよ?!)ボロボロボロ…



(あの最凶最悪ドールが… あの乱暴もののタカビーの水銀燈が!!)

(わたしたちのために、死んでもいいって思ってくれたんですよ?!) 


金糸雀「…」


(その身が砕けるまで、戦ってくれたんですよ!! それが…)

(それが、『狙い通り』って… どういうことですか!!!)
322 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:22:24.43 ID:gIwqrX.o
蒼星石(翠星石…)

翠星石(水銀燈のことだけじゃ、ないです!)

金糸雀(…)

翠星石(今晩のアリスゲームで、水銀燈が覚醒するはずだったって…)キッ!



(わたしたちがずっと行ってきたアリスゲームもまた、お父さまの実験の一環ってことですか?!)



金糸雀(…)

翠星石(どうなんですか、カナ姉!!)

金糸雀(…)ス…



(その通りかしら)



翠星石(…!)

金糸雀(…水銀燈の言うとおり、お父さまはわたしたちに積極的に関われない事情もあったんだけれど)

蒼星石(…)

金糸雀(アリスゲームを黙認… 放置していたもっとも大きな理由は…)



(それが、わたしたちをアリスにするために有益だと考えていたから)



真紅(…)

翠星石(…そんな…)

金糸雀(姉妹で戦い、ただ一人が生き残る。 そういう極限の状態において、精神の成長が図れると…)

翠星石(そんな… そんなっ!!)
323 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:30:39.12 ID:gIwqrX.o
蒼星石(そう…なのか?)

金糸雀(雪華綺晶に私たちを襲わせて、姉妹を分断したのも)

蒼星石(…!!)

金糸雀(薔薇水晶を私たちに差し向けたのも)

真紅(そんな…!)

金糸雀(ジャバウォックを真紅に近づけたのも…)



(全部、全部… 『私たちのため』…)



翠星石(…そんなのって…)

金糸雀(私たちを、アリスにするため…)

翠星石(そんなのって、ないですっ!!)

真紅(…翠星石…)

翠星石(そんな… そんなのって、あんまりですっ!! わたしたち…!)



(いっぱい泣いて… 怒って… 憎みあって、悲しい思いもして!!)

(身を切られる思いで、アリスゲームをしてきたのに!!)



蒼星石(…翠星石! 落ち着いて!!)

翠星石(わかってますっ! でも… でもっ!!)…ジタバタ

金糸雀(…気持ちは、よくわかるかしら)

翠星石(わかるって、そんなおすまし顔して何言ってるですか!!)

金糸雀(…)

翠星石(なんとか言ったらどうですか!!)ムキー! 


(おめーは、こんなこと知らされて、悔しくもなんともねーんですか?!)
324 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:39:28.48 ID:gIwqrX.o
ジュン(翠星石!!)

翠星石(そりゃ、アリスになることは大事ですよ!? …でも、でもっ!!)

金糸雀(…)

翠星石(せめて… せめて、ひとことでも何か言ってくれさえすれば…!)

金糸雀(…)

翠星石(この、オバカナリア!! おめーもなにか言ったらどうですか!)



バ  ア  ン  ! ! ! 



翠星石(ひっ?!)

真紅(…!)

みつ(カ、カナ?!)



金糸雀(…あなた…!)ギロッ



翠星石(そ、そのー… い、言い過ぎたです…)ウジウジ

ジュン( な ん と い う ヘ タ レ )

金糸雀(…っ!!)…ガリガリッ!


…ガリガリガリガリ… 


蒼星石(か、紙に?)

ジュン(いったい何を書いて…)

金糸雀(…っ!!!)ビラッ!



[ わたしだって  おなかとあたまが 煮えくりかえりそうかしら!!! ]
325 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:44:46.39 ID:gIwqrX.o
翠星石(カ、カナ姉…)

金糸雀(わたしだって… わたしだって!!)

みつ(カナ…)

金糸雀(でも… でも…)



(カナに… カナにっ!!)



(カナに、そんなこと言える資格、あるわけないじゃないかしら!!)



ヒィィィ…ン…



雛苺「ふおお! すごいの! あれあれあれっ!」

ジュン「ん? うわあ… すごいや」

真紅「…ふたりとも、そろそろ一周するわ。 出発の時間よ」

ジュン「…そうか」

雛苺「え〜」

真紅「…」


(わたしは… お父様が、死んでいてくれたほうがいいとさえ…)

(あのやさしかったお父さまは死んだのよ! もういないのよ!!)


真紅「(…私は)」…チラ

ジュン「…真紅?」

真紅「…」



(私はいったい… 何を考えているの?)
326 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:47:32.29 ID:gIwqrX.o
ヒィィィン…



ブリュンヒルデ「指揮官ドノ 一周シマシタ」

金糸雀「…そう」

ブリュンヒルデ「…ソレデハ」

金糸雀「じゃあ、出発するかしら(どうにか…)」

ブリュンヒルデ「Jawohl」



(どうにか、演算が間に合ったかしら…)



ブリュンヒルデ「…オ姉サマガタ」

金糸雀「(おつむが、ゆであがっちゃいそうだったけど… なんとか…)」プシュー…

ブリュンヒルデ「コレヨリ 目的地ヘト 向カイマス」 …ジャキッ!



「各自 最終チェックヲ 行ッテクダサイ」



雛苺「え〜… おしまいなの?」

ブリュンヒルデ「ハイ…」

雛苺「…つまんないの」ガッカリ

金糸雀「もう、遊びに来たんじゃないかしら!」

雛苺「むー… カナに怒られちゃったの…」

金糸雀「…簡単な作戦だから、ちゃっちゃと終わらせて、帰ってご飯にするかしら!(…そう!)」



(…ちゃっちゃと終わらせるかしら!)
327 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/04(金) 22:54:43.82 ID:gIwqrX.o
ゲルヒルデ「発進シマス」フォォォ…

真紅「わかったわ」…ギュ

ヘルムヴィーゲ「シッカリ オツカマリ クダサイ」キュォォ…

ジュン「…ああ」

雛苺「了解なの!」


ビヒュン!


翠星石「うひょー、速いですね…」

ヴァルトラウテ「…ワタシタチモ」…キュォォォ

蒼星石「頼むよ」

ジークルーネ「ハイ」


ギュオン!


ブリュンヒルデ「…ソレデハ」キュォォォ…

金糸雀「…ええ(そう、簡単なことかしら)」


(どこの家でも、普通にやってることかしら…)


シュヴェルトライテ「発進マデ 5秒」

金糸雀「(ちょっと長引いたせいで、ややっこしくなってるだけ! たいしたことじゃないかしら!)」

グリムゲルデ「…発進シマス!」

金糸雀「よーっし! 出撃するかしら!」シュピッ!



「いざ、スナーク狩りの時間かしらー!!」



…ビヒュン!!
328 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2009/12/04(金) 22:55:40.87 ID:gIwqrX.o
今日はここまで、続きはあさってです。
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/04(金) 23:00:24.84 ID:bP2eOFwo
乙〜
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/04(金) 23:03:40.35 ID:JP5dTTAo
乙でっす!
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/04(金) 23:13:14.15 ID:kD3LICgo
乙樽場 いよいよか…
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/05(土) 21:30:57.55 ID:zVdFm.so
おつ!
333 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:15:19.12 ID:CuL2/.go
>>329-332
乙どもっす。 再開します〜
334 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:17:24.15 ID:CuL2/.go
【ジュンの家】



…ズズズ…



[ …一時は 数万人の患者が 周辺医療機関で治療を受けていましたが ]



巴「…」

みつ「…数万人…」



[ 症状は一様に軽く 病院に運ばれた人たちは ほとんど回復している模様です…]



柴崎「…なるほど」ズー…

のり「よかった…」



[ …有栖川球場で起きた 集団昏倒についてのニュースは 以上です… ]



マツ「…大勢の人に、ご迷惑をかけてしまったけれど…」

みつ「誰一人死なせなかったんだから、うまくやったと思ってもいいですよね?」

柴崎「そうじゃとも。 立派な、わしたちの勝利じゃて」

のり「はい…」

柴崎「あとは、あの子たちがお父さんと仲直りできれば言うことなしじゃ…」



[ …続いては 廃ビル倒壊についての続報です。 現場のかた…]
335 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:20:38.64 ID:CuL2/.go
巴「…え?」

のり「あっ…」



[ こちら現場です。 ごらんになってください…]



のり「う、うわー…」

巴「…ひ、雛苺…」



ゴォォォ…



みつ「…あちゃー…」

柴崎「何年か前に観たような光景じゃの…」

マツ「…まあ、こっちも人は死ななかったんですから…」



[ 再建・改修して、市のランドマークにする計画が白紙になってしまい、関係者は頭を抱えています… ]



柴崎「な…」

マツ「え…」



[ 以上、3時のニュースを終わります… ]



のり「…え、えーと…」

巴「そっ… そんな…」

みつ「…わ、わたし、し〜らないっと…」…カチ


…プツン
336 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:23:24.96 ID:CuL2/.go
のり「…ど、どうしよう…」…オロオロ

巴「ば… ばれちゃったら、どうなるんですか…?」…アセアセ

柴崎「き、気にしなくても大丈夫じゃぞ。 なあ、みっちゃんさん?」 

みつ「そ、そうですよね〜 たしか、この案件も、あれだったんですよね?」

柴崎「そうそう、そうじゃとも。例の、事業仕分けに引っかかっていたようじゃから…」

マツ「…あらあら?」


…ジーッ


柴崎「な、なんじゃ? ばあさん…」

マツ「…」ジロ―…

柴崎「な、なにかまずいことでも言ったかの?」

マツ「…おじいさん。 今、草笛さんのこと…」

みつ「…あっ」

柴崎「な、なんじゃ?」

マツ「『みっちゃんさん』だなんて、お呼びになって…」

柴崎「そ、それがどうかしたかの?」

マツ「…いいえ、別に」


…プイッ!


柴崎「ば、ばあさん! 何をそんなに怒っとるんじゃ!」

マツ「怒ってなんかいませんよ? 今に始まったことでは、ないですから…」

柴崎「は、はあ?」

マツ「…」ジロ…



「若い子におモテになるのは、結婚する前からでしたからね…」
337 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:26:40.26 ID:CuL2/.go
みつ「は?」

のり「…え?」

巴「…そ、そうなんですか?」ドキドキ

柴崎「な、なにをいまさら、そんなことを!!」 

のり「(…い、いまさら?! 柴崎さん…)」

柴崎「そんなの、もう何十年も前の話…」

みつ「(心当たりが、あるのね…)」

マツ「…元治さん」…ズイッ



「あのときの私の言葉、お忘れになりました?」



柴崎「あのとき… げっ!?」

巴「し、柴崎さん?!」

マツ「覚えていますわよね? あなた…」ニヤー…



「私、このこと、一生忘れないって…」



柴崎「そ… そっ、それは…」

マツ「このことは、あなたか私、どちらかが死ぬまで言い続けてやるって、言いましたわよね?」ニタァー…

のり「こ、このこと???」

マツ「そうなのよ。 この人ったら、昔はもう…」

柴崎「ば、ばあさん! やめんかっ!!」

みつ「あらららら…」ニヤニヤ



「わたし、もしかして危ないところだったんですか?」
338 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:29:32.56 ID:CuL2/.go
柴崎「な、なにを言っとる! みっちゃ… く、草笛さん!」

マツ「そうよ。もう20…いえ10年前だったら、どうかされてたかもね」

みつ「あ〜ら〜ら〜ら〜 優しそうでしたから、油断しちゃいました」…ニヤ―

柴崎「と、年寄りをからかうものではないっ!!」

マツ「もう、若い人たちに囲まれて、年甲斐もなく張り切っちゃいました?」

巴「そ… そうなんですね…」ドキドキ

柴崎「と、巴ちゃんまで…」



「とほほ…」…ションボリ



巴「…ふふふふっ」

のり「ふふ…」

みつ「うふふふ…」…ニヤニヤ



「もう、おふたりったら…」



柴崎「な、なんじゃ?」

巴「みっちゃんさん?」

みつ「…お上手、なんですから」

マツ「…なんのことかしら?」

のり「あっ、あ… そういうこと、だったんですか?」

みつ「おふたりとも…もう」…クスクス 



「私たちを、笑わせようとしてくれていたんですよね?」
339 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:32:34.85 ID:CuL2/.go
巴「え…」

みつ「ずっとずっと、みんな、緊張しっぱなしで… ものすごく長い一日で…」

のり「…」

みつ「…しかも、まだ終わらないんですから…」

巴「柴崎さん、マツさん…」

のり「…やっぱり、そうなんですか?」

柴崎「な、なんのことじゃ?」

みつ「あーあ。 すっかり、乗せられちゃいました」…ニコニコ

マツ「…ふふふっ」



…スック



みつ「…みなさん、お腹すいてませんか?」

巴「え…」

柴崎「お、おお… そういえば」

のり「いっぱい、動いちゃいましたから…」

みつ「お昼ごはん、食べなおしましょう。 店屋物でいいですか?」

柴崎「おお。 …なんだか、急に腹が減ってきたわい」

マツ「あまり食べ過ぎて、元気になりすぎても困りますけどね?」

柴崎「ば、ばあさん…」

のり「…ふふふふっ。 じゃあ、パソコンで注文しますね?」

柴崎「お、おお。 できるのか?」

のり「はい、まかせてください。 …お品書き、取ってきます」



パタパタパタ…
340 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:36:15.26 ID:CuL2/.go
トントントントン… 



のり「たしか、このお部屋…」


…ガチャ


のり「このあたりに…」


…ガサガサガサ


のり「どこ、だった、かな…(ジュン君)」ガサガサ…


(…銀ちゃん、みんな)

(大丈夫だよね?)


のり「(きっと、きっと大丈夫。 みんな、きっと…)」



ガサガサガサ…



のり「(お父さんと、しっかり仲直りして…)」



…ピタ



のり「…」



(…仲直りして?)



―すまない、水銀燈。 私は、こんなことをするつもりでは…
341 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:40:37.40 ID:CuL2/.go
(…銀ちゃん)


―いいえ、お父さま。 わたし、ほんとうにほんとうに嬉しい…


(みんな…)


―お父さまは、僕たちにとってすべてなんだ!

―おとうさま… おかあさまーっ!



(みんな、もし、ほんとうに仲直りできたとしたら…?)




みつ「…のりのり、遅いわね〜」



(お父さんが、みんなを受け入れてくれたとしたら…)

(何百年と離れ離れになっていた家族が、もとに戻ったとしたら…)



のり「…みんなはいったい、どうしちゃうのかな?」



―僕は、決めたんだ。



(…ここに帰って、きてくれるのかな… それとも…)



―何があっても、すべてを見届けるって。



(ジュン君…)



…ギュウッ
342 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:43:56.59 ID:CuL2/.go
【?????】



ザワザワザワザワザワ…



「すごい数なの…」

「…また、大きくなったみたいね。 数も増えている…」



ザワザワザワザワザワ…



「ま、どんなにおっきくてもいっぱいいても、関係ないですけどね!」

「…始まるよ!」



…ジャキッ!



ジュン「…あれが、そうなのか?」

真紅「…そうよ。 戦乙女の武装の中で、最大の火力を誇る…」

金糸雀「その名も『ブリューナク』かしら!」シュピッ!



「発射準備、よーっし!」

「Jawohl!」…ジャコッ!



ブリュンヒルデ「照準固定  安全装置解除」



フォォォォォ…!
343 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:45:26.08 ID:CuL2/.go
「総員 衝撃 閃光ニ備エヨ! …発射マデ5秒!」



キュォォォォ…!!



翠星石「4!」

ジュン「3っ!」

雛苺「にーっ!」

金糸雀「1っ!!」



シュピッ!!



金糸雀「…てーーーーーっ!」

ブリュンヒルデ「 F E U R E !!」ガチッ!



…カ ウ ッ ! !



雛苺「…きゃっ!」

真紅「…!」




ヒ ュ ボ …    




バ オ ッ !!
344 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:50:16.25 ID:CuL2/.go
翠星石「…っ!」ゴウッ!

蒼星石「…!」…ゴオ!


ゴ オ ゥ …


ブリュンヒルデ「…命中! 目標ハ…」


ゴ オ オ オ オ ・ ・ ・ 


ジュン「す、すごい…」

ブリュンヒルデ「…四散 シマシタ」

金糸雀「ご苦労かしら! …」…ブルッ

ブリュンヒルデ「…指揮官ドノ?」

金糸雀「…」プルプルプル…

ブリュンヒルデ「…オ姉サマ?」

金糸雀「だ、大丈夫かしら!(か… かっ…)」



(カ・イ・カ・ン♪かしら…)プルプルプル…



ザワザワザワ…



真紅「…さすがに、怒ってるわね」

翠星石「すみかを吹っ飛ばされたんですからね…」

雛苺「…ちょっと、かわいそうなの」

蒼星石「仕方ないよ」



「…スナークの巣が、ここまで増えてしまったんだから…」
345 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:51:46.60 ID:CuL2/.go
…ザワザワザワザワ…



蒼星石「これ以上増えると、現実世界にまでスナークが出てきかねない」

ジュン「そ、そうなのか?」

蒼星石「ああ。 あいつらはnのフィールドの深層に、主に生息してるんだけど…」

真紅「そう。 人の夢や、死んだ生物の霊魂のかけらを食べているの」

ジュン「…夢や、霊魂?」

翠星石「そうです。 nのフィールドが人の夢やユーレイであふれかえらないのは、あいつらのおかげなんです」

蒼星石「うん。 あいつらは、nのフィールドの掃除屋なんだよ」

ジュン「…そうなんだ」

蒼星石「でも、ここまで増えてしまうと…」



ザワザワザワザワ…



ジュン「エサを求めて、外に出てきかねないってことなのかい?」

蒼星石「そういうことさ。 実体のあるものは食べられないから、普段はそこまで危険ではないんだけど」

真紅「…さすがにここまで増えてしまうと、実体を持っていても安全じゃないわ」

翠星石「こないだ真紅が雪華綺晶を捜してたとき、気づいたんですよね?」

真紅「ええ…」

翠星石「あのときは、ムチャしましたよね〜?」…ニヨニヨ

真紅「…ふん」



…プイッ!
346 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 20:56:39.04 ID:CuL2/.go
翠星石「あ〜りゃりゃ。 真紅がむくれたでっすぅ♪」ニヨニヨ

蒼星石「…もう、翠星石ったら」

翠星石「スナークの巣の中に突入して、ブージャムに囲まれちゃってたんですよね〜」

ジュン「ブージャム?」

蒼星石「スナークの亜種さ。 大型で、実体のあるものでも飲みこんでしまう」

真紅「…」ムス…



「…まあ確かに、無茶だったのは認めるけど」…ボソッ



翠星石「…ありゃ? 素直ですね???」

真紅「助けてもらったんだもの、文句は言えないわ。 けれど…」

翠星石「ふん、ふん…」…ニタニタ

真紅「でもそのおかげで、スナークの巣が増えすぎてることに、気づくことができたんだから…」

翠星石「うんうん。 ケガの功名ですね〜」ケラケラケラ

真紅「…」ムカッ!


ベチッ!


ジュン「うわっ?!」

雛苺「ふぇ?!」

真紅「…」…ムスッ

ジュン「な、なんでボクなんだよ!!」

真紅「届かないんだもの」

ジュン「そんなんあるかー!!」



ブリュンヒルデ「…」
347 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 21:01:57.66 ID:CuL2/.go
金糸雀「…みんな! 群れが、こっちに向かってるかしら!」


ザワザワザワ…


金糸雀「深層へ向けて、追い返すかしら!」

真紅「…まかせて」シュルルルル…

翠星石「がってんですぅ!」

ブリュンヒルデ「(…イマノ ウチニ)」


(『白ウサギ』ニ 報告ヲ…)



ザワザワザワザワ…



(応答シテクダサイ 応答ヲ…)

(…わたしが取り次ぐわ)

(アナタガ?)

(…)



(雪華綺晶「何か、不都合でもある?」)



ブリュンヒルデ「(…氷晶ノ オ嬢様?)」

(雪華綺晶「お父さまは今、眠りについている。 私が、かわりに聞く」)

ブリュンヒルデ「(…シカシ)」

(雪華綺晶「不服なの?」)

ブリュンヒルデ「…」



(タダイマ 『拠点』ノ空域ニ 入リマシタ)
348 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 21:03:53.38 ID:CuL2/.go
(雪華綺晶「それは、わかっているわ。 …もう、すぐそこまで来ているってことは」)

ブリュンヒルデ「(ハイ …薔薇乙女タチハ 当初カラ 口ニシテイタ 通リ)」

(雪華綺晶「…スナーク狩りをしているようね」)

ブリュンヒルデ「(ハイ …ソレデハ サキホドノ 依頼ドオリ…)」

(雪華綺晶「ええ。 心得てる)」



「(お姉さまたちが『絶望』していないかどうか、調べればいいのね?」)



ブリュンヒルデ「(オ願イシマス)」

(雪華綺晶「…そして、もし『絶望』しているようなら」)

ブリュンヒルデ「(ハイ ソノ時ニハ)」



(『適切ナ処置』ヲ ドウカ)



(雪華綺晶「わかったわ。 そのとおりにするから…」

ブリュンヒルデ「(…ハイ)」

(雪華綺晶「もう少しだけ、こちらに近づいてちょうだい」)

ブリュンヒルデ「(…エ?)」

(雪華綺晶「そこだと、少し遠いの。 …私も、まだ本調子じゃないから…」)

ブリュンヒルデ「(…)」

(雪華綺晶「いざというときは、お父さまの助力を仰ぐかもしれない。…だから」

ブリュンヒルデ「(…了解シマシタ)」

(雪華綺晶「お願いね?」)



…プツン
349 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 21:08:15.41 ID:CuL2/.go
ブリュンヒルデ「(オ嬢様…)」

金糸雀「ブリュンヒルデ?」

ブリュンヒルデ「…ハイ」

金糸雀「んもー、ボーッとしてちゃだめかしら! ちゃっちゃっと、次に取りかかるかしら!」

ブリュンヒルデ「…スミマセン」ジャキ…

金糸雀「さ、次弾を装填して!」シュピ!



「もう2〜3個、大き目の巣をつぶしておけば大丈夫かしら!」



ブリュンヒルデ「(…大キ目ノ巣?)」

シュヴェルトライテ「…」

グリムゲルデ「(ヤハリ…)」



…シュル! シュッ!



雛苺「んもー! こっちに来ちゃダメなの!」ブンブンブン!

蒼星石「せいっ! はっ! やあっ!」シュパシュパッ!

ジュン「えい、えいっ!」ビュンビュン!



金糸雀「…さあ、はぐれスナークはみんなにまかせて、わたしたちは次の巣へ向かうかしら!」

シュヴェルトライテ「…ワカリマシタ」

金糸雀「それじゃ、レッツゴーかしら!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」



ビヒュン!
350 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 21:14:07.05 ID:CuL2/.go
【ラプラスの魔 拠点】



「…」



シュルシュルシュル…



「…そう、そこだと遠すぎるの…」



シュルシュルシュル…



「そこからだとね…」

「あなたたちを食べてから、ここにもどってくるまでに…」

「ラプラスの魔が、目覚めてしまうもの… くくくくっ…」



シュル… シュル…



「ジュンお父さまも、来てくれたのね… ふふ…」

「ようやく… ようやく、私の夢がかなう…! くく、くくくくっ…!」


シュルシュルシュル…


「くくく… ききき、けけけけけっ!!」



ザワ…



ザワザワザワ…
351 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/06(日) 21:15:51.40 ID:CuL2/.go
今日はここまでです。続きは12日です。
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/06(日) 21:20:04.35 ID:Zj7hIw6o
乙〜
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/06(日) 22:24:42.06 ID:Qwj2bqwo
おつ!
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/06(日) 22:56:28.99 ID:/FBbJgso
乙樽場
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/07(月) 01:36:41.58 ID:PX1Nv8Io
おっつ
356 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 21:59:53.16 ID:S7lbf6so
>>352-355

乙どもっす。 再開します〜
357 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:01:45.27 ID:S7lbf6so
【 ラプラスの魔 拠点 】



シューーーー…



「…」



シューーーーー…



「…」

「…お父さま」



…ボォウ



「…」

「…お父さま…」



シューーーーー…



「…」

「(…くく…)」




(よく寝てる…)




シューーーーー…
358 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:03:59.71 ID:S7lbf6so
「…」

「…お姉様がたが、この空域にまでたどりつきました」



シューーーーー…



「接近を待って、迎え撃ちます」

「…」

「それでは…」…ス



シュルシュルシュル…



「…」



シューーー…



「…」




[ 全機能停止中… ]




シューーーー…




雪華綺晶「(ふふふ…)」
359 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:06:06.86 ID:S7lbf6so





雪華綺晶「(…ふふふ、ぐっすり寝てくれてる)」



シュルシュルシュル…



雪華綺晶「(お姉さまたちも、所定の位置まで来てくれた…)」



(これで… これで、なにもかもうまくいく…)



…ザワッ



「(くく… くくくくっ!)」



ザワザワザワザワ…!




(きけけけけけけっ!!)



…ピピピ…



雪華綺晶(…な?!)





ピピピ…
360 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:12:01.04 ID:S7lbf6so
【スナークの巣】



ザワザワザワザワ…



「ブリュンヒルデ。 …用意はいいかしら?」

「…ハイ(…『白ウサギ』ヘ…)」ガシュッ…



…ジャキッ!



ブリュンヒルデ「アレガ 最後ノ 目標デスネ?(応答ヲ…)」

金糸雀「そう、これが最後かしら。(…そう!)」



(あれが最後の、標的…!)



金糸雀「照準と発射角、発射位置をしっかり調整しておくかしら!」

ブリュンヒルデ「…ワカリマシタ…(白ウサギヘ… コチラ…)」

(…何よ?)

ブリュンヒルデ「…?」

(何の用件?)

ブリュンヒルデ「(…白ウサギヘ 報告ヲ…)」

(何度、同じことを言わせる気?)

金糸雀「…?」





雪華綺晶(…わたしでは、都合が悪いの?)
361 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:18:50.42 ID:S7lbf6so
ブリュンヒルデ「(ソウイウ ワケデハ…)」

雪華綺晶「(…なら、報告なさい)」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「(ブリュンヒルデ…)」…ジーッ



(…あなた、また…?)



雪華綺晶「(…さあ、早く!)」

ブリュンヒルデ「(…薔薇乙女タチニ)」 



(スナークノ巣ニ向ケテ 『ブリューナク』ヲ 発射セヨト 命ゼラレマシタノ デスガ…)



雪華綺晶「(…だから、それはさっきから聞いているわ。 何か問題があるの?)」

ブリュンヒルデ「(…)」


(発射位置ニ 不自然ナ 点ガ…)


雪華綺晶「(…拠点に、射線が通ってでもいるの?)」

ブリュンヒルデ「(イエ… ソウイウ ワケデハ)」

雪華綺晶「(なら、問題は無いでしょう! お姉さまたちの言うとおりになさい!!)」

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「(…通信を切るわ!)」



…プツン



―まったく、もう!
362 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:23:57.51 ID:S7lbf6so
シューーーー…



(お父さまは…?)



「…」



(よかった、目覚めてないみたい…)



シューーーー…



雪華綺晶(まったくもう…!)



(こっちは、早く出発したいのに! …でも)



シューーーー…



(あの子たちは、お父さまと直接交信できてしまう…)


(いまも、私が割りこまなければ、お父さまが目覚めていたかも…)



シュルシュルシュルシュル…



(…なんとか、少しの間だけでも、黙らせることはできないかしら…?!)




…ザワザワザワザワ…
363 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:27:21.58 ID:S7lbf6so
ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「ブリュンヒルデ?」

ブリュンヒルデ「…ハイ」

金糸雀「…照準は固定できたかしら?」

ブリュンヒルデ「完了シテイマス」

金糸雀「ならばよし、かしら!」シュピ!



「翠星石たちの集結を待って、『最後の目標』を破壊するかしら!」



ブリュンヒルデ「Jawohl(…違ウ)」

金糸雀「…」ソワソワ

ブリュンヒルデ「(アノ巣ガ 『最後ノ目標』 デハ アリエナイ…)」

金糸雀「…まだかしら、んもー…」

ブリュンヒルデ「(ホントウノ 最後ノ 目標ハ…)」…チラ


ザワザワザワザワザワ…


ブリュンヒルデ「(『拠点』ニ 決マッテル …ケレド)」

金糸雀「…おっそいかしら!」…イライラ

ブリュンヒルデ「(…オ姉サマハ 何ヲ 狙ッテイルノ?)」

金糸雀「(…早くしてほしいかしら。 でないと…)」



(雪華綺晶が、ここに来ちゃうかしら…)




ザワザワザワザワザワ…
364 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:30:42.57 ID:S7lbf6so
ザワザワザワザワザワ…




「みんなー、集まりましたかー?」

「はーい」「はいはい」「いるよー」「…なのー」「ハイ」



…ザワザワザワ…



翠星石「カナ姉がお待ちかねですよー」

ゲルヒルデ「現在位置ガ 射線ニ 掛カッテイマス」

ヘルムヴィーゲ「至急 退避ヲ…」

翠星石「ほいほい、それじゃ点呼取りますよー」…ブンブン シュピ!


「蒼星石―」


蒼星石「…はい」

翠星石「真紅―」シュピ!

真紅「ここにいるわ」

翠星石「ヒナ―」シュピ!

雛苺「はい、なの!」

翠星石「いい返事ですね〜 …ソプラノ隊―」シュピッ!

ソプラノ隊「「「ハイ」」」

翠星石「…さっすが、ピッタリ息があってますね」

ゲルヒルデ「恐縮デス」

翠星石「…むふふ」…ニヤニヤ


(こういうのも、けっこう気分のいいもんですね〜) 
365 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:35:14.89 ID:S7lbf6so
雛苺「…???」

翠星石「(なんだか、エラくなったみたいな気分でっすぅ〜)」ニヨニヨ

真紅「…何よ、ニヤニヤして」

翠星石「なんでもないですぅ〜♪ ジューン!」シュピ!

ジュン「…」

翠星石「…ジューン?」シュピッ!!

ジュン「…」

翠星石「…ジュン?」

ジュン「(…雪華綺晶、それに…)」



(…ローゼン… いや、ラプラスの魔…)



翠星石「ジュン…???」

ジュン「(ふたりは…ボクのことを、いったい…)」

翠星石「…」…ジャキ 

ジュン「(いったい… どうするつもり…)」

翠星石「せいっ!」ブンッ!



…スパーン!



ジュン「ぶわっ?!」

翠星石「点呼取ってるんだから、返事しやがれですぅ!」



…ブンガブンガ
366 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:38:38.84 ID:S7lbf6so
ジュン「な、なんなんだよ! その手に持ってるものは…」

翠星石「庭師のハリセンですぅ」ビュンビュン

蒼星石「は?」

ジュン「そんなのあるかっ!!」

翠星石「おや、まあ。なんでわかったですか?」ブンブン

ジュン「わからいでかっ!」

翠星石「…」


…ソーッ


ジュン「す、翠星石?」

翠星石「(…気持ちはわかりますけど)」…ポソッ

ジュン「え…」

翠星石「(もうすぐ『作戦開始』ですよ?)」…ヒソヒソ

ジュン「…あ、ああ」

翠星石「…」



パシーン!



ジュン「わっつ!?」

翠星石「チビ人間がいっちょまえに、シケたかおしてるんじゃねーです!」

ジュン「こ、この!」

翠星石「黒コゲになりたくなかったら、さっさとこっちに来るですっ!!」グイッ!

ジュン「う、うわっ?!」



…ヒューン!
367 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:42:13.48 ID:S7lbf6so
真紅「…もう、ふたりったら」

蒼星石「僕らも行こう。 …姉さんたちが待ってる」

ゲルヒルデ「ソレデハ オツカマリ クダサイ」

雛苺「はーい! …じゃ、なくって」



…ピシッ!



蒼星石「…?」

ヘルムヴィーゲ「敬礼…?」

雛苺「…こ、こうかな?」グイ…



「やぼーる! なのっ!」



蒼星石「…ふふっ」

オルトリンデ「…」


ピシッ!


ゲルヒルデ「…『リンデ』」

真紅「(…きれいな、返礼…)」

オルトリンデ「行キマショウ」 

雛苺「…うん!」

オルトリンデ「…『野苺』ノ オ姉サマ!」

雛苺「わかったの!」




ビヒュン!
368 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:44:46.06 ID:S7lbf6so
ヒューーーン…




ジュン「す、翠星石?!」

翠星石「…」

ジュン「ちょ、ちょっと待って!」



ヒューーーン…



ジュン「…戦乙女たちに送ってもらったほうが、速いよ!」

翠星石「…」

ジュン「…?」



…ギュウ



ジュン「す、翠星石…?」

翠星石「…ジュン」ギュ…

ジュン「君は…」

翠星石「…」


ギュウウ…


翠星石「…」

ジュン「翠星石、君は…」

翠星石「…」



…ギュ
369 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:46:19.95 ID:S7lbf6so
翠星石「…」…ギュウ…

ジュン「(ボクの手を握るきみの手が…)」


(細かく、震えて… わなないてる…)


翠星石「…」

ジュン「…す、翠星石…」

翠星石「やるっきゃ、ねーですよ」

ジュン「え?」

翠星石「…ここまできたら、もう」



「どんなことになっても。 …なにがなんでも」



ジュン「…」

翠星石「やってやるっきゃ、ねーんですっ!!」

ジュン「…そうだね」

翠星石「…んもう!」



スパーン!



ジュン「わっぷ?!」

翠星石「まったく、進歩がないですね!」

ジュン「な、なんだよ?!」

翠星石「『なんだよ』じゃねーですよ!」プンスカ!



「『そうだね』なんて、ふぬけのふにゃちんな返事でどーしますか!!」
370 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:48:18.20 ID:S7lbf6so
ジュン「え…」

翠星石「これから、最後の作戦なんですよ?!」

ジュン「…あ、ああ」

翠星石「なら、意気をあげていきなさいっ!!」

ジュン「…」



(水銀燈「…意気をあげていきなさい。 相手に飲まれない自信が無いなら…」)



ジュン「(…翠星石…)」

翠星石「わかったら、返事するですっ!」

ジュン「え…」

翠星石「返事はっ?!」

ジュン「…」


…グッ!


「 お う っ ! ! 」


翠星石「…うん! ようやく、いい返事ができましたね?」…ニコッ

ジュン「ああ。 やってやるさ!」

翠星石「その意気ですっ! ジュンもわたしも、うじうじするのはもう卒業です!」

ジュン「おう!」

翠星石「よーし、景気づけですっ!!」ブン!



バコーン!!



「きゅう」
371 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:52:18.11 ID:S7lbf6so
翠星石「…あ」

ジュン「」…ピクピク

翠星石「…やっちまったです…」

ヘルムヴィーゲ「…オ姉サマ、ジュン様!」

翠星石「(げ!)」



…キィィィン!



雛苺「ようやくおいついたの… ジュン?!」

真紅「…ジュン!? 


ジュン「」ピクピク…


真紅「翠星石、何があったの?」

翠星石「な、なんっでもないっでっすよ〜」

蒼星石「…翠星石…」ジトー…

翠星石「さ、さあ! 出発でっすぅ〜」…アセアセ

蒼星石「(…なんとなく、想像はつくけれどね…)」

ゲルヒルデ「…外因性ショックニヨル 失神ノヨウデスガ…」

翠星石「い、行くって行ったら行くですぅー!!!」

オルトリンデ「…」…クスクス



…ザワザワザワザワザワ…



金糸雀「…」


ソワソワソワソワ…
372 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:54:46.25 ID:S7lbf6so
ブリュンヒルデ「遅イデスネ」

金糸雀「…ん」イライライライラ

シュヴェルトライテ「ソプラノ隊ガ ツイテ イマスカラ 大丈夫ダトハ 思イマスガ」

金糸雀「(…もう、これじゃほんとに…)」



(雪華綺晶が、ここに来ちゃうかしら!!)



グリムゲルデ「…オ姉サマ?」

金糸雀「ん、うん…」



「 カ ナ 姉 ― ! 」



金糸雀「…あっ!」

ブリュンヒルデ「…『翡翠』ノ オ姉サマ!」

翠星石「遅くなったですぅ〜」

金糸雀「…まったくかしら! 」プンスカ

ジュン「ご、ごめん。 ボクのせいなんだ…」

金糸雀「…ジュンまで、まったくもう!」

翠星石「すまんですぅ… 射線から、全員退避させましたよ〜」

金糸雀「わかったかしら! ブリュンヒルデ、照準は!」

ブリュンヒルデ「…固定完了デス」



…ジャキ!



ブリュンヒルデ「イツデモ 発射デキマス」
373 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 22:58:09.61 ID:S7lbf6so
金糸雀「よーっし、発射準備かしら! 総員退避!」

翠星石「ヤボーですぅ!」

金糸雀「ブリュンヒルデ!」シュピ!



「照準と発射角、発射位置の最終チェックをするかしら!!」



ブリュンヒルデ「…エ?」

金糸雀「…だ、だから最終チェックかしら!!」

ブリュンヒルデ「…モウ一度デスカ?」

金糸雀「そ、その通りかしら!」 

ブリュンヒルデ「…ワカリマシタ」

金糸雀「ま、万一でも照準がズレたら大変かしら!!(…そう)」

ブリュンヒルデ「…再チェック 開始シマス」

金糸雀「(そう、すこしのズレも許されない…!)」

ブリュンヒルデ「…」…カチリ



カチカチカチ…



ジュン「…」

雛苺「(…金糸雀…!)」

真紅「(いよいよね…)」



金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「…」カチカチカチ…
374 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 23:02:52.37 ID:S7lbf6so
翠星石「(蒼星石… 発射位置は、バッチリなんですよね?)」

蒼星石「(ああ… ここで、間違いないはず)」

翠星石「(…そうですよね。 雪華綺晶が、指示してくれた位置…)」

蒼星石「(そう。 眠っているラプラスの魔に直接感づかれない遠さで、かつ…)」



…カチカチカチ…



(異変が起きてラプラスの魔が目覚めるまでに、突入が間に合うギリギリの近さ…!)



ブリュンヒルデ「…」カチカチカチ…

金糸雀「(…位置はバッチリかしら。 あとは発射角と…)」

ブリュンヒルデ「…」カチカチ…

金糸雀「(…一番大事な、そして一番やっかいな…)」



(…発射時の、出力!)



ブリュンヒルデ「…」カチカチカチ…

金糸雀「(発射角や位置は、なんとでも理由をこじつけられるけど…)」



(こればっかりは… 出力ばっかりは、ごまかしようがないかしら…!)



ブリュンヒルデ「…」カチ… カチ…

金糸雀「(出力を必要以上に上げれば、当然危険も増す…)」



(ブリューナクの最大出力をもってすれば、nのフィールドを崩壊させることさえできるのだから…!)
375 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 23:05:12.10 ID:S7lbf6so
ブリュンヒルデ「…」…カチ…

金糸雀「(でも、出力が足りないと… どうしよう…)」

シュヴェルトライテ「…」


…シュ カチッ!


金糸雀「…!」

ブリュンヒルデ「(…モウ、マタ 直振?)」

シュヴェルトライテ「(…オ姉サマ)」

ブリュンヒルデ「(ホントウニ 感ヅカレテ シマウワ)」



金糸雀「…」



ブリュンヒルデ「(…用件ハ ナニ?)」

グリムゲルデ「(ホントウニ 撃ツノ デスカ?)」

ブリュンヒルデ「(…問題ハ ナイワ)」カチカチカチ…



(『拠点』ニ 射線ハ 通ッテイナイ)



グリムゲルデ「(…ソウデスガ)」

ブリュンヒルデ「(何カ?)」

シュヴェルトライテ「(明ラカニ 不自然デス)」 

ブリュンヒルデ「(…)」

シュヴェルトライテ「(ナゼ…)」



(ナゼ コノ目標ダケ ワザワザ 進入方向ノ 逆カラ 回リコンデ 撃ツノデスカ?)
376 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 23:08:31.35 ID:S7lbf6so
ブリュンヒルデ「(…説明ハ サレタハズヨ)」

シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルデ「(コレ以上 他ノ巣ニ 影響ヲ 与エナイタメト)」

グリムゲルデ「(…ソウデス ケレド…)」

ブリュンヒルデ「(巣ヲ アマリニ 減ラシスギルト スナークガ 減少シスギ 鏡像世界ガ 逆ニ荒レル)」

シュヴェルトライテ「(ソレニシテモ…)」

ブリュンヒルデ「(…心配ナラ)」…カチカチカチ…



(『白ウサギ』ニ 確認ヲ 取リマショウ)



…ピッ



シュヴェルトライテ「(…ソレガ 最善デス)」

グリムゲルデ「(…)」

ブリュンヒルデ「(…『白ウサギ』ヘ コチラハ 『鎧』…)」ピ…

金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「(応答ヲ…)」



ピ ピ ピ…



(緊急デス 応答ヲ…)

(…もうっ!!)

(?!)



雪華綺晶(今度はいったい、なんなのよぉっ!?)
377 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 23:15:52.73 ID:S7lbf6so
ブリュンヒルデ「(…オ、オ嬢様?)」

雪華綺晶「(…何度も何度も! 今度はなんなのよ?!)」

ブリュンヒルデ「(…)」

雪華綺晶「(早く応えなさい!!)」



―もう、一刻も早く出たいのにっ…!



ブリュンヒルデ「(…オ嬢様)」

雪華綺晶「(早くしなさいってば!!)」

ジークルーネ「(…)」



―オ嬢様ノ 感情ハ 憎悪デ 満チテイル…



ブリュンヒルデ「(…今カラ 『ブリューナク』ヲ 発射イタシマスガ)」

雪華綺晶「(…もう、またそれ?! 発射方向が変わりでもしたの?!)」

ブリュンヒルデ「(ソウデハ ナイノデスガ)」

雪華綺晶「(なら、問題は無いって…!)」



(な・ん・ど・い・っ・た・ら!! わかるのよぉっ!!)



ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「(もう、しばらく通信しないでいいわ!! お姉さまたちにバレちゃうでしょう?!)」

ブリュンヒルデ(「…ハイ)」

雪華綺晶「(これは命令よ!!)」


…ブツッ!
378 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 23:20:30.33 ID:S7lbf6so
ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「(ドウダッタ?)」

ブリュンヒルデ「(…言ウトオリニ 発射セヨト)」

グリムゲルデ「(…『白ウサギ』ガ ソウ 指示ヲ?)」

ブリュンヒルデ「(イイエ)」…カチカチカチ 


(…『氷晶』ノ オ嬢様ヨ)


グリムゲルデ「(エ…)」

シュヴェルトライテ「(…ソウナノ?)」

ブリュンヒルデ「(…)」



カチカチカチ…



―オ父サマ、オ姉サマガタ… 



ヴァルトラウテ「(オ姉サマ…)」

ジークルーネ「(位置ヲ 合ワセル ダケニシテハ 長スギル…)」

ロスヴァイセ「(…オ父サマカラ 何カ?)」



―ワタシノ 妹タチ…

―ワタシハ… 



…カチ…



―ワタシハ ドウスル ベキナノ…?
379 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/12(土) 23:30:56.94 ID:S7lbf6so
今日はここまでです。続きはあさって予定。
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/13(日) 01:27:48.53 ID:SEowRrko
おっつ
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/13(日) 01:44:12.06 ID:iyiuPjko
乙樽場
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/13(日) 03:19:20.65 ID:gfOGtUQo
乙です
383 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 20:58:05.85 ID:4tpz6JAo
>>381-382

乙どもっす。再開します〜
384 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:00:48.25 ID:4tpz6JAo

…ザワ…


―……



…ザワザワザワ…



―まったく…!



シュル…



―まったく、戦乙女たちったら!



…シュル…  …シュル…



―よけいな手間をとらせて、もう…!



ザワザワザワザワ…



―すごい数のスナーク… 



…ザワザワザワ… …ザワザワザワ…



―巣を壊されて、怒りもだえてる… くくくっ…



シュルシュルシュル…
385 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:06:45.38 ID:4tpz6JAo

―待っててね、お姉さまたち。 それに…



…ペロリ



…戦乙女たち! くくくっ…



…ザワッ



「痛くなんか、しないから…」 



シュル… シュル…



「くくく… け、けけっ…」




ザワザワザワザワ…




金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「(…ワタシハ…)」カチ…

金糸雀「(カナは…)」



(いったい、どうすればいいかしら…)

(…ワタシハ ドウスレバ イイノデスカ?)」…カチ…



…カリッ!
386 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:12:18.15 ID:4tpz6JAo

金糸雀「(…調整が、終わっちゃう!)」

ブリュンヒルデ「(…オ父サマ…)」カチ…

金糸雀「(…だ、ダメ!)」…ドキドキドキ 


(出力をごまかす理屈が、考え付かないかしらー!!)


ブリュンヒルデ「…」ジャキッ!

金糸雀(…こうなったら…)


(こうなったら… こうなったら、もう!)

(ごまかせないなら、いっそのこと!)


ブリュンヒルデ「…」…カシュッ!

金糸雀(ヤケクソかしらー!!!)

ブリュンヒルデ「…」カチ… カチ…


…カチッ!


ブリュンヒルデ「発射角、発射位置調整完了。 …照準固定シマシタ」

金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「イツデモ 発射デキ…」

金糸雀「…」…キッ!


「ブリュンヒルデ」


ブリュンヒルデ「ハイ?」

金糸雀「…ちょっとだけ、質問していいかしら?」

ブリュンヒルデ「…今デスカ?」

金糸雀「う、うん…」
387 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:15:04.01 ID:4tpz6JAo

シュヴェルトライテ「(…オ姉サマ?)」

グリムゲルデ「(…?)」

ブリュンヒルデ「…イッタイ?」

金糸雀「たしか、以前聞いたような気がするんだけれど…」

ブリュンヒルデ「…?」

金糸雀「もしわたしたちが、アリスゲームを終えて…」

ブリュンヒルデ「…ハイ」

金糸雀「ゲームを終えても、姉妹がそろっていたとして…」



「みんなで、お茶会を開くことになったなら…」



ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「あなたは、たしか…」

ブリュンヒルデ「憶エテ イマス」

金糸雀「え?」

ブリュンヒルデ「ソノ時ニハ ゼヒ」



「ワタシタチモ 招待シテホシイト 言イマシタ」



金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「忘レテハ イマセン」

金糸雀「そう…」


…ザワザワザワ…


真紅「…金糸雀? ブリュンヒルデ…」
388 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:20:30.48 ID:4tpz6JAo

雛苺「(…どうしたの、ふたりとも?)」

ジュン「(何かを、話してる?)」




―………




翠星石「(カナ姉…! あまり、手間取っちまうと…)」

蒼星石「(雪華綺晶が、来てしまう…!)」




―………




ブリュンヒルデ「…忘レタ コトナド アリマセン」

金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「ワタシタチハ…」

金糸雀「いまでも?」

ブリュンヒルデ「エ?」

金糸雀「いまでも、心変わりは、してないかしら?」

ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「(オ姉サマ…)」



―………





―…くく…
389 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:22:50.69 ID:4tpz6JAo

金糸雀「いまでもあなたたちは、そう思ってくれているのかしら?」

ブリュンヒルデ「ソレハ…」

グリムゲルデ「…」



「モチロン デス」



ブリュンヒルデ「…『ゲルデ』?」

シュヴェルトライテ「…誘ッテ イタダケルナラ ゼヒニデモ」

ブリュンヒルデ「『ライテ』…」

グリムゲルデ「ワタシタチ 戦乙女ハ ソノ日ガ 来ルノヲ」

シュヴェルトライテ「ズット ズット 待チ望ンデ イルノデスカラ」

金糸雀「…そう…」

ブリュンヒルデ「…ソノトオリ デス オ姉サマ」

金糸雀「そう、そうかしら…」ポロ…



…ポロポロポロ…



ブリュンヒルデ「…オ姉サマ?」

金糸雀「…うん、うん… みんな、そう…」グス…



―……く……






―…くく… くくく…
390 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:25:46.53 ID:4tpz6JAo

ブリュンヒルデ「(オ姉サマ アナタハ…)」

金糸雀「…そう。 そう、なのね…」グスッ…

ブリュンヒルデ「…ハイ」

シュヴェルトライテ「ワタシタチハ イツカ来ル ソノ日ノタメニ」

グリムゲルデ「…ズット ズット 戦ッテ キタノデス」

金糸雀「…うん…」



…グズッ



金糸雀「わたし… わたしも、ね…」

ブリュンヒルデ「オ姉サマ」

金糸雀「…え?」…ズビッ

ブリュンヒルデ「ワタシカラモ 質問ガ アリマス」

金糸雀「…あなたから?」

ブリュンヒルデ「エエ」



―くくくく… 


…ザワッ…


―いた…



金糸雀「なにかしら?」

ブリュンヒルデ「…」



「『ミンナ』トハ 誰ノ コトナノデスカ?」
391 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:28:17.01 ID:4tpz6JAo

金糸雀「…えっ?」

ブリュンヒルデ「『ミンナ』デ オ茶会ヲ スルト オッシャッテ イマスガ」


「誰ヲ 招待スルノカ ハッキリ オッシャッテ イタダケルト」


金糸雀「ブリュンヒルデ…」

シュヴェルトライテ「…『ヒルデ』姉サン」

ブリュンヒルデ「…ドウカ」

金糸雀「…そんなの…」



「そんなの、決まってるかしらっ!!」



ジュン「か、金糸雀?」

真紅「…?」

雛苺「うゆ…?」



―…みんな…

―みんな、そろってる… 


翠星石「(…んったく、ノンキですねー!)」

蒼星石「(いいのか… 姉さん?!)」



―戦乙女たちも、ジュンお父さまも…

―くくく、ききき…  



―けけけけけっ…! 
392 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:33:04.22 ID:4tpz6JAo

金糸雀「もしもアリスゲームが、めでたしめでたしで終わって!」

シュヴェルトライテ「…ハイ」

金糸雀「このわたしが、お茶会を開くことになったなら!!」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「招待するのはまずとうぜん、わたしたち姉妹!」

ブリュンヒルデ「…ハイ」 

金糸雀「もちろん雪華綺晶も入れて、7人全員!」

グリムゲルデ「…」

金糸雀「…それにもちろん、あなたたちもご招待するかしら!」

ブリュンヒルデ「…恐縮デス」

金糸雀「ずーっとわたしたちのために戦ってくれたんだから、とうぜんかしら!」

ブリュンヒルデ「…」



―ありがとう、ありがとうね… お姉さまたち…

―わたしの思うとおりに、してくれて…! ききき…



金糸雀「それから、わたしたちの契約者たちも当然誘うかしら!」

グリムゲルデ「エエ…」

金糸雀「みっちゃん、ジュンに、のり! 巴にめぐに、おじいさまとおばあさま! あと…」

シュヴェルトライテ「…アト?」

金糸雀「そして、あとひとり…」

シュヴェルトライテ「…」

金糸雀「…わたしたちにとって、いちばん、一番大事な人っ!!」シュピ!



「『お父さま』かしらー!!」
393 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:39:29.41 ID:4tpz6JAo
ブリュンヒルデ「…!」

金糸雀「…断られるかもしれないけど!」シュピ!


「でも、招待状はぜーったいに贈るかしらっ!」


ブリュンヒルデ「(…オ姉サマ!)」

シュヴェルトライテ「…オ父サマ トハ アノ 『白ウサギ』ノ コトデスカ?」

金糸雀「あら? お父さまに、そんな言い方は失礼かしら!」

シュヴェルトライテ「…スミマセン」

金糸雀「わたしたちのことを、つくってくれた人…」


「わたしたちのこと、ずっとずっと見守ってくれた人…」


シュヴェルトライテ「…指揮官ドノ」

金糸雀「あの人を誘わないで、いったい誰を誘うっていうのかしらっ!」

グリムゲルデ「…ソウデスカ…」

金糸雀「どう? わかってくれたかしら?」

ブリュンヒルデ「…」


…ジャキ!


ブリュンヒルデ「ワカリマシタ」

金糸雀「…ならばよしっ! かしら!!」シュピ!



「『ブリューナク』発射よーっし! かしらー!」

「J a w o h l !」 …ガシャッ!




「Herr Kommandierender!!」
394 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:45:20.54 ID:4tpz6JAo
翠星石「…!」

蒼星石「(…始まる!)」

金糸雀「安全装置 解除かしら!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」…ガチッ!!



フォォォォォ…!



ジュン「(来た…!)」

雛苺「(ひ、光ってる…!)」

ブリュンヒルデ「発射マデ 5秒!」


―まずは、お姉さまたちから… ちょっとの間だけ、わたしのおなかの中に…ね? ふふ…

―お姉さまたちの力をもらったら、次は戦乙女たち… くく… くく、くくくくっ… ききき…!


翠星石「…ごーっ!」

ジュン「4っ!」

真紅「…3!」

蒼星石「2!」

雛苺「いちーっ!!」

金糸雀「…」グッ!


―くけけけけけけけけっ!!  い た だ き ま ぁ ー す ♪


ブリュンヒルデ「F E U R …」

「 き ゃ あ あ あ ー ! 」

「…ナ?!」


ゴヅッ ! ! 
395 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:48:50.78 ID:4tpz6JAo
シュヴェルトライテ「?!」

グリムゲルデ「シ、指揮官ドノ!!」



シ ュ バ オ ッ  !! 
 


ジュン「…うわぁ!?」

真紅「…っ!!」



バオオオオオッ!!



雪華綺晶(き、きゃああ?!)



バ オ オ オ オ オ  … !!



翠星石「(ま、まぶしいっ!!)」

ブリュンヒルデ「…シ、シマッタ!」



バ オ オ オ オ オ オ オ ッ …!!



ブリュンヒルデ「ナンテ コトニ…!」

金糸雀「…」

グリムゲルデ「…『ブリューナク』ノ 出力ガ!」

金糸雀「…あっ」



「 あっ やらかしちゃった かしらー 」
396 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:51:46.74 ID:4tpz6JAo

シュヴェルトライテ「…指揮官ドノ?!」

グリムゲルデ「オ、オ姉サマ?!」

金糸雀「 ブリュンヒルデ ごめんなさい かしらー 」

ブリュンヒルデ「…ハ?」

金糸雀「 目の前を スナークが 急に 横切ったからー 」



「 びっくりして まちがえて 押しちゃった かしらー 」



シュヴェルトライテ「…ハ、ハア…」

グリムゲルデ「ソンナ…」

金糸雀「ま、やっちまったものはしょーがないかしら!!」シュピ!



「ソプラノ隊! メッゾ隊!!」



ゲルヒルデ「ハ、ハイ!」

ヴァルトラウテ「イッタイ ナニガ?!」

金糸雀「わたしたちを守るかしら!!」



ジ ュ バ ! !



シュヴェルトライテ「…命中シタ! シカシ…!」

グリムゲルデ「出力ガ高スギル!!」



ボ ボ ボ ボ ボ …
397 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:56:12.40 ID:4tpz6JAo

ゲルヒルデ「…ミナサン! オツカマリ クダサイ!」

真紅「お願い!」ガシッ!

ジュン「…スナークの巣が!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …


翠星石「(フーセンみたいに、ふくれあがってるですっ…!)」

ブリュンヒルデ「…『ブリューナク』ガ 目標ヲ 貫通シマス!!」

金糸雀「 あら これは たいへん かしらー 」

グリムゲルデ「衝撃波 来マス!」

シュヴェルトライテ「総員 対ショック!!」



雪華綺晶(い、いったいなんなのよっ?!)



バ ウ ッ ! ! 



ブリュンヒルデ「…ッ!」

金糸雀「…―っ!」ビリビリビリ…!



ゴ ア ア ア ア …  !



翠星石「(み、耳が痛いですぅー!)」

ヴァルトラウテ「…巣ノ破片ガ!」


…ガィン!


蒼星石「…ロスヴァイセ!」
398 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 21:58:21.35 ID:4tpz6JAo

翠星石「あなた!!」

ロスヴァイセ「ワタシハ 平気デス! シカシ…!」



ギ ギ ギ … 



ジークルーネ「コ、コノ音ハ…?」

ヴァルトラウテ「イッタイ… ナニガ…!」

雛苺「(こ、この音…!)」



ギ ギ ギ ギ ギ …



雛苺「(ビルのしたで、きいた音みたいなの…!)」

ゲルヒルデ「…マサカ…」

真紅「ゲルヒルデ?」

ゲルヒルデ「ソンナ、シカシ… コノ音ハ!」

ブリュンヒルデ「…総員 フタタビ 衝撃ニ備エヨ!!」

ゲルヒルデ「コレハ 間違イ アリマセン!」ガキッ!


「空間ガ キシンデ イマス!!」


翠星石「空間が…!?」

ブリュンヒルデ「…『ブリューナク』ノ 誤射デ?!」

金糸雀「(その通りかしら…!)」


(…『ブリューナク』の最大出力をもってすれば、nのフィールドの空間同士を隔てる壁でさえも貫通できる…!)


ギ ギ ギ ギ ギ …!!
399 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 22:05:31.95 ID:4tpz6JAo

ジュン「(…音が、ますます大きく…!)」

真紅「ジュン、しっかりつかまって!」

ジュン「真紅?!」


…ガシッ!


ジュン「いったい…?!」

真紅「戦乙女が守ってくれてるけど、生身のあなたではもたないかもしれない!」ギュウ…!


「私の力も使うわ! 心を合わせて!!」


ジュン「…わかった! 頼む、真紅!」

真紅「私を信じて… 心をしっかり持って!!」

ブリュンヒルデ「…総員集結セヨ!!」

ゲルヒルデ「Jawohl!!」バシュッ!!

ブリュンヒルデ「密集陣形ヲトレ! オ姉サマタチヲ 中ニ!!」

ヴァルトラウテ「Jawohl!!」ギャン!

翠星石「みんな!」

ロスヴァイセ「ドウカ 中ヘ!」…ギュン!

蒼星石「…わかった!」


ギ ギ ギ ギ ギ ギ … !


ブリュンヒルデ「障壁展開!」

グリムゲルデ「Jawohl!」…ブゥン!

ブリュンヒルデ「オ姉サマガタ! 身構エテ クダサイ!!」


ギ ギ ギ   ゴ ゴ ゴ …!
400 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 22:07:32.22 ID:4tpz6JAo

ブリュンヒルデ「空間ガ 崩壊スル!!」

金糸雀「(お願い…!)」

ブリュンヒルデ「『次元震』ガ 来マス!!」

金糸雀「(お願い、うまくいって…!)」



雪華綺晶「い、いったい…」


ガ ガガ…  ゴガ…



雪華綺晶「お姉さまたちは、何を…?!」



ゴ バ ! ! ! 



雪華綺晶「うあ?!」…バオッ!

ブリュンヒルデ「(…オ嬢様?!)」

金糸雀「(…あの子!)」



バ ア ア ア ア … !



雪華綺晶「う… うああ?! あああ!!」ビリビリビリ…

ブリュンヒルデ「オ嬢様!!」

雪華綺晶「(…これは、『次元震』?!)」


ゴ バ バ バ バ バ バ …


雪華綺晶「(空間自体が震動してる…! の、逃れられない!!)」
401 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 22:10:53.58 ID:4tpz6JAo

ジュン「あれは… きらきーか?!」

金糸雀「(もう、あの子ったら… すぐ近くまで来ていたかしら!)」

雪華綺晶「ふ、吹き飛ばされる…うああああ!」



ボ ヒ ュ ッ ! ! 
 


雪華綺晶「あああああー?!」

ジュン「…きらきー!!」

金糸雀「大丈夫かしら!!」



…グイッ!



ジュン「…カナ?!」

金糸雀「あの子は、あんなことでどうかなるタマじゃないかしら!! それよりも…!」


シュピ!!


「全員退避―――――っ!!」



ガ…  ガッ…



ブリュンヒルデ「オ姉サマ?!」

金糸雀「ブリューナクの射線上から、一刻も早く退避するかしらーーーー!!!」ブンブンッ!

ブリュンヒルデ「…Jawohl!!」



ガガ… ガガガッ…
402 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 22:13:44.47 ID:4tpz6JAo
真紅「…また?! 今度は…」

翠星石「いったい何の音ですか…?!」



ガガ… ゴゴ… ガゴ…


金糸雀「全速前進っ――! ちょっとでも遠くへ離れるかしらーーーー!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!!」ビヒュン!!

翠星石「わっぷ!?」

ジュン「…うわ?!」



…キィィィィン!



金糸雀「まだまだー! もっともっとかしらー!!」

蒼星石「…間に合うのか?!」

ブリュンヒルデ「…オ姉サマ、イッタイ何ガ?!」



ガガ ゴゴ ギギギッ…



ゲルヒルデ「コ、コレハ イッタイ…!」

金糸雀「巨大なエネルギーが、『反射板』の中をはねまわってる音かしら!!」

シュヴェルトライテ「…反射板?!」

金糸雀「ブリューナクを発射したのは、わたしたちがやってきた方向!」…シュピ!

ブリュンヒルデ「!」



「この世界の向こう側にあるものは、なんだったかしら?!」
403 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 22:16:10.35 ID:4tpz6JAo
ブリュンヒルデ「…!! マサカ!!」

金糸雀「その、まさか…」




ギ ャ ン !!




ジュン「わあ?!」


真紅「…くっ!!」




ギ ャ ル ル ル ル ル ル …




蒼星石「す、すごい…」

ジュン「光の束が…」




ギ ャ ラ ラ ラ ラ ラ ラ … ! !




翠星石「まっすぐ、まっすぐ突き抜けていくですぅ…」

ジークルーネ「…イ、イケナイ!! アノ 方向ニハ!!」

グリムゲルデ「『ルーネ』?!(バ、バカ!!)」

ジークルーネ「…ア!(シマッタ!)」

金糸雀「(そう… カナが狙ったのは、最初っから!)」



(ラプラスの魔の、拠点だったかしら!!)
404 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2009/12/14(月) 22:27:45.04 ID:4tpz6JAo
ブリュンヒルデ「(…コノママデハ 命中スル!!)」

金糸雀「 あー たいへんかしらー 」

ブリュンヒルデ「…エ?」

金糸雀「 ぐーぜん はねかえってきた たまが へんな方向に いっちゃったかしらー 」

ブリュンヒルデ「…」


翠星石「 わー それはたいへんですねー どーしましょー 」

蒼星石「 そうだね これは ほうっておくわけには いかないね 」


ヴァルトラウテ「…ハア」


真紅「 これは 着弾地点を 確認しないと いけないわね」

雛苺「 かくにんしないと いけないのー 」


ゲルヒルデ「…」


金糸雀「と! いうわけで!」シュピ!


「跳弾を追って、全速前進かしらー!!」

「…Jawohl!!」


ビヒュン!!


金糸雀「急ぐかしらー! 何かあってからじゃ、遅いかしら!」

ブリュンヒルデ「…Jawohl!」

金糸雀「(きっと… きっと大丈夫かしら!)」…ギュッ!


(『鏡の大樹』で反射・増幅されたブリューナクの一撃なら、どんなものでも撃ち抜けるはず!!)



(それがたとえ、ラプラスの魔の結界であっても…!)
405 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2009/12/14(月) 22:28:43.34 ID:4tpz6JAo
今日はここまでです。 続きは19日。
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/14(月) 22:35:25.27 ID:my.Eq/ko
乙〜
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/14(月) 22:36:39.56 ID:UN9jPYoo
乙樽場 策が錯綜…
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/15(火) 00:06:50.94 ID:4YhcVV.o
おっつ
409 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2009/12/19(土) 18:57:42.29 ID:Bd9CFH.o
大変申し訳ないんですが、今日予定されていた投下を延期します…
次回予定は決まり次第通知します。 ほんとにすいません…


年末年始に向けてちょっと更新が遅れ気味になりますが、どうかご容赦ください。。。
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/12/19(土) 21:55:20.61 ID:H6kj5rwo
イインダヨー 頑張ってください
411 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2009/12/27(日) 12:51:52.25 ID:2RK25VEo
大変お待たせしてます…
次回投下は1/5を予定しています。


毎度申し訳ないですが、こりずにつきあってくれると嬉しいです。
よいお年を。
412 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:20:23.37 ID:6F.D2kwo
大変遅くなりました…
再開します。
413 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:23:05.68 ID:6F.D2kwo
【ラプラスの魔 拠点】



シューーーー…



「…」



…シューーーーー



「…」



(雪華綺晶…)



…ポト…



(みんな、ジュン…)



…ピチョン




(…お父さま…)



ポト…



(会っては…) 



(会っては… ダメ…)
414 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:24:29.06 ID:6F.D2kwo
(会ってしまえば… 憎しみがわくに… 決まってる…)



…ピチョン



(みんな…)



(お父さまに… 憎しみを… ぶつけないで…)



(それでは…)



(それでは… わたしが…)







(わたしが… 生きることを… 選んだ意味が…)



ピピピ…



(…?…)



ピピピ…



(この音は…)



ピピピピピ…!
415 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:26:15.82 ID:6F.D2kwo

(…警報?! まさか…!)



ズ ボ ォ ン ! ! ! 



(…くっ?!)



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ !



(な、なにが…)



…ミシ ミシ ミシ…  



(! そ、装置が…!)



…グラ…



(…倒れる!)



…ガシャン!




「(…あうっ!)」





…ドシャッ…
416 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:29:36.94 ID:6F.D2kwo

「(つっ…)」



ビリビリビリ…



「(まだ、揺れている… いったい…)」



ビーッ! ビーッ! ビーッ!



「(?!)」

[ 緊急事態発生 緊急事態発生 ]



ビーッ! ビーッ! ビーッ!



(これは… まさか…)

[ …高エネルギー体 接触 被害状況は… ]



ビーッ ビーッ ビーッ…



[ 『蟹座』エリア 外壁消滅 内壁損傷 ]

(あの子たちなの…?!)



ビーッ ビーッ ビーッ…



[ 防衛機構 沈黙 …結界消失 ]
417 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:36:34.70 ID:6F.D2kwo
「(まさか… でも、こんなことができるのは…)」



ビーッ ビーッ ビーッ…



「(ここまでのことができるのは…)」



(お父さま自身か、お父さまの手によるあの子たちしかいない…!)



…ヴヴヴヴヴ!



「(?!)」



ヴヴヴヴヴ! ヴヴヴヴヴ…!


「(この音は… やはり!!)」

[ 侵入者接近 侵入者接近 ]

(みんな… ダメっ!!)ズ…


…ズリ…


(お願い…)ズリ… ズリ…



ヴヴヴヴヴ! ヴヴヴヴヴ!



(ここに… 来ないで…!)



…ズズ…
418 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:39:25.52 ID:6F.D2kwo
【ラプラスの魔 拠点空域】



バオオオオオ…!



翠星石「(はっ、速すぎるですぅ!)」

蒼星石「…っ!」



…ギュオオオオオ!



雛苺「(い、息ができないのー!!)」

真紅「…ジュン!」

ジュン「(…平気だっ!)」



ビュゴゴゴゴゴ…!



金糸雀「飛ばすかしら!! 最大戦速かしらー!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!!」

金糸雀「一刻も早く、着弾地点を確認するかしらー!!」



…ギュオ!!



金糸雀「(お願い… 急いで!!)」

ブリュンヒルデ「…」




ギュゴゴゴゴ…!
419 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:42:37.62 ID:6F.D2kwo

金糸雀「(どうしよう… もし、狙いがちょっとでもそれていたら…!)」



ギュゴゴゴゴ…!



(拠点に、深刻なダメージを与えてしまう…!)



…バォォォォォッ!



金糸雀「(最悪、水銀燈まで…!)」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「お願い、みんな急いで…  ?!」



ザワザワザワザワザワ…!



金糸雀「…これは!」

ブリュンヒルデ「前方ニ 巨大ナ影ガ!」



ザワザワザワザワザワ…!



翠星石「…あれは!!」

ロスヴァイセ「スナークノ 群レデス!」

蒼星石「大きい…!」



…ザワザワザワザワザワ!
420 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:44:06.13 ID:6F.D2kwo
雛苺「(向こう側が、ぜんぜん見えないの…!)」

ジュン「(…黒雲みたいだ!)」

真紅「この大きさ… やはり!」

ジュン「真紅?!」

真紅「(…あそこに、着弾したのね?)」…ギュッ!



(『あの巣』に…!)



…ザワア!



金糸雀「回避してるヒマはないかしら!!」

ブリュンヒルデ「コノママ 直進シマス!」

金糸雀「みんな、口を閉じて! 息を止めて!」



…バオッ!



翠星石「(きゃあ!)」

蒼星石「(…く!)」

ヴァルトラウテ「コラエテ クダサイ!」



ザワザワザワザワザワ…!



ジュン「(…な、なんだ? この感覚…?!)」

雛苺「(き、きもちわるいのー!!)」
421 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:50:20.41 ID:6F.D2kwo

ザワザワザワザワザワ…!



真紅「(この先に…っ!)」



ボボボボボ…



金糸雀「(…あと少し!)」

ブリュンヒルデ「突破シマス!!」



…ボアッ!



ゲルヒルデ「群レヲ 抜ケマシタ!」

雛苺「ぷ、ぷはぁー…」

ジュン「ようやく、息が… ああっ!!」





ザ ザ ザ ザ ザ …





雛苺「ふ、ふわあ?!」

ジュン「あれは…」





・ ・ ・ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・
422 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:52:36.47 ID:6F.D2kwo
雛苺「す、すごいの…!」

ジュン「…こ、これも…」


ザワ ザワ ザワ ザワ ・ ・ ・ 


ジュン「これも『巣』なのか…?!」

真紅「…そうよ!」

ジュン「そ、そんな… こんなの、まるで…」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 



(まるで、小さな…)



(…小さな、星みたいだ!)



ザワ ザワ ザワ ザワ ・ ・ ・ 



雛苺「(うー… きもちわるいの〜…)」

ジュン「なんて大きさの巣なんだ…」

真紅「(やはり…)」

ジュン「…真紅?」

真紅「(やはり、ここだったのね!)」

ジュン「(…真紅? ここが、そうなのか?!)」

真紅「(そうよ! この巣は、あのときの巣…)」




(雪華綺晶を捜していた私が、迷いこんでしまった巣!)
423 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/05(火) 22:54:01.03 ID:etIbPAYo
うは、きてるww
424 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:55:46.44 ID:6F.D2kwo

ザワザワザワ… ゾワゾワゾワ…


翠星石「(やっぱり、ここだったんですね! それにしても…)」



ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・ !



蒼星石「(…あのときよりもさらに、あきらかに大きくなっている!)」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 



金糸雀「ブリュンヒルデ! 着弾地点は?!」

ブリュンヒルデ「タダイマ 探知中デス!」

金糸雀「(無数のスナークのせいで、表面の様子がまるでわからないかしら…!)」



ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ・ ・ ・ !



金糸雀「(…でも確かに、この巣に当たってはいるはず…!)」

ブリュンヒルデ「…着弾地点 確認シマシタ!」

金糸雀「ど、どこっ?!」

ブリュンヒルデ「巣ノ中央カラ 8時ノ方向デス!」

金糸雀「あっ…!」





ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・・・
425 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 22:57:40.35 ID:6F.D2kwo

金糸雀「…あれが、そうなのかしら?!」

ブリュンヒルデ「間違イ アリマセン!」



ゴゴ ゴゴ ゴゴ ゴゴ ・ ・ ・ 



金糸雀「(無数のスナークが、渦を巻いて湧き出てるかしら…!)」

ブリュンヒルデ「(…!)」ピピ…

シュヴェルトライテ「(…ブリュンヒルデ?)」

ブリュンヒルデ「(『ブリューナク』ノ軌道ガ…!)」



(『拠点』ノ位置ヲ カスメテイル…!)



グリムゲルデ「(…被害状況ハ?!)」

ブリュンヒルデ「(サキホドカラ 通信シテイルノニ…)」 



ザ ザ ザ ザ ザ ・ ・ ・ 



ブリュンヒルデ「(応答ガ マッタク無イ!)」

シュヴェルトライテ「(マサカ…!)」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 



翠星石「…あれが『穴』なんですか?!」

蒼星石「…大きい!」

翠星石「(いままでの巣と、おなじくらいの大きさの穴です…!)」
426 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 23:01:24.03 ID:6F.D2kwo

金糸雀「…ブリュンヒルデ!」

ブリュンヒルデ「ハイ!」

金糸雀「着弾地点及び弾道の探知は、終了したかしら?!」

ブリュンヒルデ「…ハイ!」

金糸雀「なら…!」キッ!



「結果を見せなさい!!」



ブリュンヒルデ「…!」

金糸雀「『ブリューナク』の跳弾が、巣を貫通しているかどうか確認するかしら!」

グリムゲルデ「(…ブリュンヒルデ!)」

金糸雀「貫通しているようなら、ここを通過してさらに着弾地点を捜索する!(…もっとも)」



(おそらく、貫通はしていないはずかしら…!)



ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「さあ、早く!(お願い、ブリュンヒルデ…!)」

シュヴェルトライテ「(ドウスルノ…?)」

ブリュンヒルデ「(…ドウスルモ 何モ ナイ)」

グリムゲルデ「(…エ?)」

ブリュンヒルデ「…」…ス




ピピ…
427 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 23:07:04.77 ID:6F.D2kwo
金糸雀「…!」

グリムゲルデ「!!」



ピ… ピ…



ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「オ姉サマ?!」

ブリュンヒルデ「…指揮官ドノ」



「ドウゾ 確認ヲ」



シュヴェルトライテ「…ブリュンヒルデ…」

金糸雀「あ、あなた…」



…グスッ



グリムゲルデ「オ姉サマ…?」

金糸雀「な、なんでもないかしら!」ピピピ…

グリムゲルデ「(…アナタ)」

ブリュンヒルデ「(構ワナイ …内部ト 連絡ガ ツカナイ以上)」



(…オ父サマノ 安否ヲ確認スルノガ 最優先事項ヨ)



シュヴェルトライテ「(ケレド…!)」

ブリュンヒルデ「(…速ヤカニ 内部ニ進入シ 安全ヲ確保スル)」
428 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 23:16:17.64 ID:6F.D2kwo

ピピピ…


金糸雀「(これが、巣の内部… あっ!!)」


チカ… チカ…


金糸雀「(この空間は… やはり!!)」

ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「(…ブリュンヒルデ!)」

ブリュンヒルデ「(オ黙リナサイ)」

シュヴェルトライテ「…!」

ブリュンヒルデ「(言イ争ッテイル 時間ハ無イ)」…ジャキッ



「(コレハ 命令ヨ)」



グリムゲルデ「…アナタ…」

ブリュンヒルデ「(説明スル 必要ハ無イ …従イナサイ)」

シュヴェルトライテ「(…ケレド!)」


ピピピピ…


金糸雀「(なるほど… こういう構造になってたかしら!)」

グリムゲルデ「(オ父サマノ 安否ヲ確認 スルニシテモ…)」

シュヴェルトライテ「(薔薇乙女タチヲ 連レテ行ク 必要ハ無イ!!)」

ブリュンヒルデ「(…ソレナラ ドウスルノ?)」



「(ココニ入ルナト ドウ説明スルツモリ?)」
429 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 23:28:05.85 ID:6F.D2kwo

シュヴェルトライテ「(…ソレハ…)」

ブリュンヒルデ「(…ソレコソ 薔薇乙女タチニ オ父サマノ存在ヲ 教エルコトニ ホカナラナイ)」

グリムゲルデ「…」

ブリュンヒルデ「(今ハ 薔薇乙女ヲ 説得スル時間モ 拘束スル手間モ カケルワケニハ イカナイ)」

シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルデ「(モウ一度 言ウワ)」



「(最優先事項ハ オ父サマノ 安全ヲ 確保スルコト)」



グリムゲルデ「(…ハイ)」

ブリュンヒルデ「(…ソノ上デ 仮ニ 不都合ガアレバ 氷晶ノオ嬢様ニ マカセレバイイ)」

シュヴェルトライテ「…」

ブリュンヒルデ「(今ハ タダ オ父サマノ コトヲ…)」

金糸雀「ブリュンヒルデ!」


「中央に、人口の空間を確認したかしら!!」


シュヴェルトライテ「…!」

金糸雀「自然のものじゃない! 明らかに、何者かが居住している空間かしら!!」

ブリュンヒルデ「…ハイ!」

金糸雀「ただちに突入! 内部に侵入…進入して、内部の状態を確認するかしら!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!!」

グリムゲルデ「(アナタ!!)」

ブリュンヒルデ「(…)」



(…全テノ 責任ハ ワタシガ 負ウワ)
430 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 23:37:51.16 ID:6F.D2kwo

グリムゲルデ「…」

ブリュンヒルデ「(何度モ 言ワセナイデ …命令ニ従イナサイ)」

シュヴェルトライテ「(アナタ…)」



ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・ 



金糸雀「みんな、突入準備! 内部に入ったら、手分けして捜索!」

真紅「わかったわ!」

金糸雀「負傷者がいたら、ただちに連絡を取って! 一刻の猶予も無い!」

雛苺「やぼーる! なのっ!!」

金糸雀「ジュン、あなたも手伝って!」

ジュン「わかった!」

金糸雀「…戦乙女たち!!」シュピ!

ブリュンヒルデ「…ハイ!」ジャキ!



「アルト隊!」



シュヴェルトライテ「…ハ、ハイ!」

金糸雀「わたしとともに、巣の内部ヘ突入!」

グリムゲルデ「…ワカリマシタ!」

金糸雀「わたしたちを守るかしら!」…シュピッ!




「…ソプラノ隊、メッゾ隊は外部で待機!」
431 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 23:45:47.30 ID:6F.D2kwo

ゲルヒルデ「エ…」

金糸雀「負傷者が出たら、速やかに搬送! 救護に当たって!」

ヴァルトラウテ「…ワ、ワカリマシタ!」

ブリュンヒルデ「…ヴァルトラウテ」

ヴァルトラウテ「ハ、ハイ!」

ブリュンヒルデ「…コレヲ 預カッテ」…ジャキ

ヴァルトラウテ「…Jawohl!」



…ガシャ



蒼星石「(…『ブリューナク』を…!)」

ヴァルトラウテ「オ姉サマ…」

ブリュンヒルデ「内部デハ 使エナイカラ …ソノカワリ」



「『ノートゥング』ヲ 貸シナサイ」



ヴァルトラウテ「!!」

ブリュンヒルデ「進入ノ際ニ 必要ニナルカモ シレナイカラ」

ヴァルトラウテ「デ、デモ!!」

ブリュンヒルデ「議論シテイル 時間ハ無イワ」

ヴァルトラウテ「…」



…シャキッ!
432 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/05(火) 23:57:40.57 ID:6F.D2kwo
金糸雀「(みんな…)」

ブリュンヒルデ「…アリガトウ」

ヴァルトラウテ「…」


「ドウカ ゴ武運ヲ」


真紅「…ヴァルトラウテ」

ヴァルトラウテ「ミナサマノ オ帰リヲ 待ッテイマス」

雛苺「…」


ゴ ゴ ゴ ゴ … 


金糸雀「それじゃみんな、覚悟はいいかしら?!」

ジュン「おうっ!」

真紅「…言うにおよばずよ!」

雛苺「…う…」


ゴ ゴ ゴ ゴ ・・・


蒼星石「いつでもいけるっ!!」

翠星石「早くするですっ!」

雛苺「う…うっ…(き… き…)」

金糸雀「それでは、いざ!!」


「 突 入 か し ら ー ー ー ー ー ! ! ! 」 


雛苺「うわあああああああー!!(…雪華綺晶っ!!)」




…ギュゴ!
433 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/06(水) 00:01:46.70 ID:0Acxg/Uo
今日はここまでです。続きはあさって。
434 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/06(水) 00:03:12.23 ID:JNAt1jso
おつー
435 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/06(水) 00:30:30.77 ID:cE.6ipYo
おっつ
436 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/06(水) 00:57:23.22 ID:vJUvMPwo
乙です
437 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/06(水) 02:53:35.53 ID:n8uV7kco
あけおめの乙樽場
438 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 21:37:04.88 ID:vq8I6.Mo
>>434-437
乙どもっす。再開します〜
439 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 21:38:27.81 ID:vq8I6.Mo
ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・



「…もう、もうっ!!」



ゾワ ゾワ ゾワ ・ ・ ・ 



「…いったい、なんなのよぉっ!」



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ・ ・ ・ 



「この… うっとうしいわねっ!!」



シュルルルル…



「ジャマよ、消えなさい!!」



…ゾワァ!!



ザザザザザ…



「まったく、もうっ! お姉さまたちったら…」





雪華綺晶「いったい、何を考えてるのよぉっ!!」
440 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 21:40:20.63 ID:vq8I6.Mo
シュルルルルル…


雪華綺晶「あと少し… あと少しだったのに! あと少しで…」


「わたしの願いが、かなうところだったのにぃっ!!」


ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・


雪華綺晶「みんな、何をやってるのよっ! お姉さまたちも、戦乙女たちも…!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・


雪華綺晶「! あれは…!」



シュルルルルル…!



【ラプラスの魔 拠点 外部】



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 



ゲルヒルデ「…」

ヘルムヴィーゲ「…『ヒルデ』」

ゲルヒルデ「…」

ロスヴァイセ「『ヒルデ』…?」

ゲルヒルデ「(…応答セヨ…)」



(コチラ 『槍』 応答ヲ…)
441 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 21:44:08.42 ID:vq8I6.Mo
ゲルヒルデ「…」

ヘルムヴィーゲ「応答ハ アッタ?」

ゲルヒルデ「…イイエ」

ロスヴァイセ「ドチラ カラモ?」

ゲルヒルデ「ソウヨ…」…ピッ



「オ姉サマガタ カラモ 『白ウサギ』カラモ」



ボ ボ ボ ボ ボ ・・・



ヘルムヴィーゲ「メッゾ隊ノ ホウニモ?」

ゲルヒルデ「エエ」

ロスヴァイセ「ソウ…」

ゲルヒルデ「…」



「…ソプラノ隊っ!!」



シュルルルル…



ゲルヒルデ「…アレハ!」

「あなたたちったら、もう!」シュルルル…

ヘルムヴィーゲ「オ嬢様!」

雪華綺晶「いったい…!」…シュルン! 



「いったい、なにをやっているの!!」
442 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 21:47:22.86 ID:vq8I6.Mo
ゲルヒルデ「…」

雪華綺晶「お姉さまたちを抑えておけって、言ったでしょう?!」

ヘルムヴィーゲ「…」

雪華綺晶「…何とか言いなさい!  何をやってるのって、聞いてるのよ?!」

ゲルヒルデ「…」


「…拠点ノ 警護デス」


雪華綺晶「…はぁ?」

ヘルムヴィーゲ「スナークノ巣ヲ 処理シテイル最中 ブリューナクの誤射デ 拠点ガ 被害ヲ 受ケマシタ」

雪華綺晶「…ええっ??」

ロスヴァイセ「アソコガ 着弾地点デス」



ボ ボ ボ ボ ボ ・・・



雪華綺晶「な、なんで…?」

ロスヴァイセ「タダイマ 内部トハ イッサイノ交信ガ デキナイ状態デス」

雪華綺晶「えっ…」

ゲルヒルデ「ソノタメ ブリュンヒルデト アルト隊ガ 内部ニ進入」

雪華綺晶「…え…ええ???」

ゲルヒルデ「現在 オ父サマノ安否ヲ 確認中デス」

雪華綺晶「…お、お姉さまたちは?」

ゲルヒルデ「…」



ス…
443 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 21:49:53.53 ID:vq8I6.Mo
雪華綺晶「な…?!」

ゲルヒルデ「…アチラニ」

雪華綺晶「…着弾地点!? ま、まさか!?」

ヘルムヴィーゲ「薔薇乙女ハ ブリュンヒルデ達トトモニ 内部ヘ突入シマシタ」

ロスヴァイセ「誤射ニヨル 被害ヲ 確認スルタメニ」

雪華綺晶「あっ… あなたたち…」キッ!



「それを、黙って見ていたの?!」



ゲルヒルデ「…」

雪華綺晶「なんとか言ったらどうなのよ!! 私、言ったでしょう?!」

ヘルムヴィーゲ「…」

雪華綺晶「お姉さまたちを、そこから動かすなって! …聞いてるの?!」

ゲルヒルデ「…」

雪華綺晶「あなたたち!!」

ゲルヒルデ「オ嬢様」



…ジャキ



「勘違イヲ ナサラナイデ クダサイ」



雪華綺晶「…え?」

ゲルヒルデ「アナタハ 勘違イヲ ナサッテイル」

雪華綺晶「あ、あなた…?! だっ、誰に口を聞いているの?!」
444 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 21:54:31.65 ID:vq8I6.Mo
ロスヴァイセ「ゲルヒルデノ 言ウトオリデス」…ジャキ

雪華綺晶「な、何ですって!」

ヘルムヴィーゲ「アナタハ 大事ナコトヲ オ忘レニ ナッテイマス」ジャキッ…

雪華綺晶「な、なに…?!」

ゲルヒルデ「現状ヲ 正シク 認識シテクダサイ」

雪華綺晶「なっ…?!」

ゲルヒルデ「…」…チャキ



「オ父サマノ 安否ガ 知レナイノデス」



雪華綺晶「…!」

ゲルヒルデ「『白銀の翼』ガ 被害ヲ 受ケテイル 可能性モ アリマス」

雪華綺晶「…そ、それは… そうだけれど…」

ゲルヒルデ「最優先事項ハ 拠点内部ノ確認 …ソレガ ブリュンヒルデノ 判断デス」

雪華綺晶「…こ…」



(この… デク人形っ…!!)



ロスヴァイセ「…」

雪華綺晶「(融通がきかないんだから… まったく!)」

ヘルムヴィーゲ「…」

雪華綺晶「(まったく、もう! こいつら…)」



(使えないったら、ない…!)
445 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 22:06:36.27 ID:vq8I6.Mo
雪華綺晶「(…戦うしか能の無い、心も持たないデク人形のくせに!)」

ゲルヒルデ「…」

雪華綺晶「(言われたことさえも満足にできないの?! もう…!!)」

ゲルヒルデ「オ嬢様」

雪華綺晶「…なによ!」

ゲルヒルデ「サキホド オ願イシタ コトデスガ」

雪華綺晶「え…?」

ゲルヒルデ「薔薇乙女タチガ…」



「 『絶望』シテイルカ ドウカ 判定ヲ 」



雪華綺晶「(なに…?!)」

ゲルヒルデ「…オ父サマノ 安否ヲ 確認シテカラニ ナリマスガ」

雪華綺晶「(…このっ!!)」…ギリッ

ゲルヒルデ「ドウカ オ願イ イタシマス」

雪華綺晶「…ふんっ!!」…シュルン


シュルルル…


ゲルヒルデ「オ嬢様…」

雪華綺晶「言われなくても、わかってるわよ! 調べればいいんでしょう?! この…」

ゲルヒルデ「…」

雪華綺晶「このっ…!」キッ!



「この、役立たずっ!!」


…シュパ!
446 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 22:11:39.27 ID:vq8I6.Mo
ロスヴァイセ「…オ嬢様…」

ヘルムヴィーゲ「…」

ゲルヒルデ「…守リヲ 固メマショウ」

ロスヴァイセ「エエ…」

ゲルヒルデ「ワタシタチハ ヤルベキコトヲ ヤルダケ(…ソウ デスヨネ?)」

ヘルムヴィーゲ「…」

ゲルヒルデ「(オ姉サマ… ソシテ)」



(オ父サマ…)



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ・・・



(何よ… 何よ、何よっ!)

(何でみんな、わたしの言うとおりにしてくれないの?!)



ザザザザザザ… ゾゾゾゾゾゾ…



(もう少しなのに… あと少しで、みんな幸せになれるのに!!)

(あいつを始末して、みんなで楽しく暮らせるのに!!)



ザワ ザワ ザワ… ゾワ ゾワ ゾワ…



(…ふん)…ザワッ 



…ザワザワザワ…
447 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/07(木) 22:16:01.28 ID:vq8I6.Mo
(まあ、いいわ… くく…)



ザワザワザワ…



(どうせお姉さまがたは、この拠点の中にいるんだから…)

(ちょっと、順番が変わるだけ… くくく…)



ザワァ…!



(もう、誰もあてになんかしない… 私ひとりで、充分よ…)

(たとえ、戦乙女がいなくても…)



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …



(お母さまさえいれば…)

(お母さまの力さえあれば!!)




ザ ザ ザ ザ ザ … 



(…そうよ。 お姉さまがたの力を使って… ききき…)

(お母さまを、わたしが取りこんでしまえばいいんだから!!)



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ・ ・ ・ 



( くけけけけけけけっ!! )
448 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/07(木) 22:17:32.71 ID:vq8I6.Mo
今日はここまでです。続きは11日。
449 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/07(木) 22:19:03.38 ID:bEjunvUo
乙っしたー。
ダークサイドに落ちてしまうんだろうか…。
450 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/07(木) 22:43:08.63 ID:o0SlACUo
乙ー
451 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/08(金) 00:55:46.88 ID:8ik79/so
おっつ
452 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/08(金) 01:05:50.88 ID:nkstNHgo
乙樽場 波乱がまた始まる…
453 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/08(金) 07:07:37.53 ID:1oBefiwo
>>449-452
乙どもっす〜

>>449
雪華綺晶本人は、ダークサイドから抜け出そうと思っているのでしょうけれど…
諸悪の根源は彼女にとっては父で、それはいくばくかの真実でもあるわけですが…

>>452
姉妹ゲンカを止めようとしたら親子ゲンカになってしまいました。
波乱が続きますが、あと少しだけお付き合いしてもらえると幸いです…
454 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 22:45:22.15 ID:rhkQjIIo
それでは再開します〜
455 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 22:48:52.20 ID:rhkQjIIo
ゾ ゾ ゾ ゾ ゾワァ ・ ・ ・ 



ゲルヒルデ「…」

ロスヴァイセ「オ父サマト 連絡ハ トレタ?」

ゲルヒルデ「イイエ、マダ …スマナイワネ」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・



ロスヴァイセ「何ガ?」

ゲルヒルデ「メッゾ隊ノ アナタニ ココニ 来テモラッテ」

ロスヴァイセ「…ソンナコトハ 別ニ」

ヘルムヴィーゲ「オルトリンデガ 勝手ニ イナクナッテ シマッタカラ…」



ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・ 



ヘルムヴィーゲ「アノ子ハ ドコニ 行ッタノカシラ…」

ロスヴァイセ「気ニシナイデ 『ヴィーゲ』」…ジャキ

ヘルムヴィーゲ「…」

ロスヴァイセ「外周ノ 哨戒ナラ フタリイレバ 充分ダモノ」

ヘルムヴィーゲ「ソウカモ シレナイケレド…」

ロスヴァイセ「アノ子ハ ワタシタチノ中デ 最後ニ造ラレタ 末ノ妹」

ヘルムヴィーゲ「…」

ロスヴァイセ「ワタシタチカラ 得ラレ 累積サレタ情報ヲ 基ニシテ 設計サレテイル」

ヘルムヴィーゲ「ワカッテ イルワ …アノ子ハ」


「ワタシタチヲ 凌グ 能力ヲ 持ッテイルト イウコトハ…」
456 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 22:51:02.05 ID:rhkQjIIo

ゲルヒルデ「…」

ヘルムヴィーゲ「特ニ 状況ヲ把握 判断スル能力ニ オイテ」

ゲルヒルデ「…ソウネ」

ヘルムヴィーゲ「ダカラト 言ッテ 勝手スギナイ?」

ロスヴァイセ「…キット何カ 考エガ アルノヨ」

ヘルムヴィーゲ「万一ノ コトガ アッタラ ドウスルノ?」

ゲルヒルデ「(…モウ)」



(末ノ妹ガ トラブルメーカーナノハ ドコデモ 同ジナノ?)



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 



ゲルヒルデ「(オルトリンデモ…)」

ヘルムヴィーゲ「…?」

ゲルヒルデ「(…氷晶ノ オ嬢様モ…)」



(誰に口を聞いているの?!)



ロスヴァイセ「…」

ゲルヒルデ「(氷晶ノ オ嬢様 …アナタハ 勘違イヲ ナサッテイル)」

ヘルムヴィーゲ「(『ヒルデ』…?)」

ゲルヒルデ「(ワタシタチハ…)」



ピピピピピ…!
457 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 22:53:11.90 ID:rhkQjIIo

ゲルヒルデ「…!」

ロスヴァイセ「警報?!」


ピピピピピ…!


ヘルムヴィーゲ「何者カガ 接近シテイマス!」ジャキ!

ゲルヒルデ「イッタイ 何ガ…!」…チャキ!



(オ姉サマ!!)



ゲルヒルデ「?! 通信ガ…!」

ロスヴァイセ「誰?!」



(オ姉サマ 道ヲ空ケテ!)



ゲルヒルデ「ナ…! アナタ!!」

ヘルムヴィーゲ「…マサカ!」



キィィィィィン…!



ヘルムヴィーゲ「…アレハ!!」

ロスヴァイセ「アノ装備ハ!! マサカ、アナタ!!」

(ゴメンナサイ! ワタシ…)


…キュォォォォォォ!


(…ブリュンヒルデ達ヲ 援護シマス!)
458 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 22:57:55.49 ID:rhkQjIIo

ゲルヒルデ「ソノ武装ハ オ父サマノ 許可ガ ナクテハ!」

(ゴメンナサイ…)

ゲルヒルデ「ソレ以上 近ヅイテハ ダメ!!」ジャキッ!

ロスヴァイセ「アナタ…!」…ジャキ!

(…ゴメンナサイ!) 



オルトリンデ「オ姉サマ!!」…キュォォォォ!



ゲルヒルデ「命令無視デ 突入スルナラ アナタヲ攻撃スル!」

(オ姉サマ! オ願イ、道ヲ空ケテ!!)

ロスヴァイセ「『リンデ』! 警告ハ最後ヨ! 引キ返シナサイ!!」ジャコッ!!

(ワタシ モウ 我慢デキナイノ!!)

ヘルムヴィーゲ「モウ! 勝手ナコト バカリ!」

(ソウ ワタシノ勝手!!)

ヘルムヴィーゲ「…ナンデスッテ!?」

(コノ装備ヲ 持チ出シタコトモ 拠点ニ 突入スルコトモ!) 


(…ブリュンヒルデ達ヲ 援護スルコトモ スベテ ワタシノ独断!!)


ゲルヒルデ「アナタ…!」

(ダカラ オ姉サマタチノ 責任ジャナイ! ミンナ ワタシノセイ!!)

ヘルムヴィーゲ「余計ナ コトヲ!!」

(オ願イ オ姉サマ! ワタシニ…) 


キィィィィン…!


(ワタシニ 『本来ノ任務』ヲ サセテ!!)
459 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:01:17.66 ID:rhkQjIIo
ヘルムヴィ−ゲ「『本来ノ』…!?」

(ソウ! ワタシ…)



(薔薇乙女タチノ タメニ 戦イタイ!!)



キュィィィィ…!



ロスヴァイセ「アノ子ガ 射程ニ 入リマス!!」

(オ願イ… オ願イッ!! ワタシ…)

ロスヴァイセ「全ク 減速シテイマセン!!」

(薔薇ノオ姉サマタチノ 幸セノタメニ 戦イタイノ!! ソレコソガ…)

ヘルムヴィーゲ「モウ… アナタッタラ、モウ!」ジャキ!!

(ワタシタチノ 生マレタ理由! 戦ウ使命!!)



(…戦乙女ノ 『栄光』デショウ?!)



ゲルヒルデ「…」

ヘルムヴィーゲ「イツモイツモ 勝手ナ コトバカリ!!」

ゲルヒルデ「…ソウネ」ジャキ!



…ガチッ!!



(オ姉サマ!!)

ゲルヒルデ「命令違反ヨ」ギャン!


フォォォォォ…!
460 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:06:34.14 ID:rhkQjIIo
ヘルムヴィーゲ「…『ヒルデ』?!」

ロスヴァイセ「…アナタ! ヤメテ!!」

(オ姉サマ!! オ願イ!!)

ゲルヒルデ「…」



「マッタク バカナ 妹!!」ガチッ!



…カゥッ!



ヘルムヴィーゲ「…ヤメテ!!」

ロスヴァイセ「『ヒルデ』!!」



ボ ア ッ !!


………


ヘルムヴィーゲ「…『リンデ』…!」

ゲルヒルデ「…」


シュウウウウ…


ロスヴァイセ「…『ヒルデ』?!」

ゲルヒルデ「バカ ナンダカラ」

ロスヴァイセ「アナタ… 何ヲ?」


ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・



ゲルヒルデ「…突入口ニ 群ガッテイタ スナークヲ 除去シタノヨ」
461 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:13:57.01 ID:rhkQjIIo

ヘルムヴィーゲ「アナタ…」

(…オ、オ姉サマ…?)

ゲルヒルデ「…」



「オルトリンデ!」



(ハ、ハイ!)

ヘルムヴィーゲ「(『ヒルデ』!)」

ゲルヒルデ「ソプラノ隊 隊長トシテ アナタニ命ズル!」



「ブリュンヒルデ達ヲ 援護ナサイ!」



(…エ?)

ゲルヒルデ「薔薇乙女 ソシテ 契約者ノ 安全ノタメニ!」

ヘルムヴィーゲ「…」

ゲルヒルデ「突入口ヨリ 内部へ進入! 薔薇乙女タチト 合流シ…」


「スナークヲ除去シ 進路ヲ確保セヨ!!」


ロスヴァイセ「オ姉サマ…!」

(…)

ゲルヒルデ「…オルトリンデ!」

(…ハ、ハイ!)

ゲルヒルデ「返事ヲ ナサイ!」ジャキ! 



「コレハ 命令ヨ!!」
462 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:18:20.75 ID:rhkQjIIo
(…!)

ゲルヒルデ「返答ガ無イ 場合ニハ 命令無視ト ミナス!」ジャキ!

(…)

ゲルヒルデ「…早ク!」

(オ… オ姉…)

ゲルヒルデ「…今度カラハ」 

(…エ?)

ゲルヒルデ「今度カラハ…」 



「一言クライ 相談シナサイ」



ヘルムヴィーゲ「アナタタチ…」

(…隊長!)

ゲルヒルデ「サア 返答ナサイ!!」

(…)



「Jawohl!!」キュアアアアアア…!



ロスヴァイセ「…来ル!」

ゲルヒルデ「行キナサイ!!」

オルトリンデ「戦乙女部隊 ソプラノ隊所属 オルトリンデ!」



「拠点ニ 突入シマス!!」



バボッ!!
463 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:21:34.20 ID:rhkQjIIo

【ラプラスの魔拠点 内部】



ボ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ・ ・ ・



「う… うっぷ…!」

「(…ジュン!)」

「(だっ… 大丈夫だっ!!)」

「コラエテ クダサイ!」



ゾ ボ ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・



ジュン「(こ、こいつら…! う…!)」…ブルッ

雛苺「(う、うぇ… き、きもちわるいの…!)」

ジュン「(触れられたところが、凍りそうだっ…!)」

真紅「(…弱音をはかないで! 頑張るのよ!)」

ブリュンヒルデ「…着弾地点マデ アト120秒!」



ボ ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・



ジュン「う… ああ…」ガクガクガク…!

真紅「…ジュン!!」

ブリュンヒルデ「(ジュン様ガ…!)」



(生命力ヲ 急速ニ 失ッテイル!!)
464 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:25:11.43 ID:rhkQjIIo
金糸雀「みんな! 防御を固めて!!」

ブリュンヒルデ「…ハイ!!」ブゥン…

シュヴェルトライテ「Jawohl!」ブォン!

金糸雀「そう、アリ一匹通さないで!(…けれど)」


(スナークとの接触は、戦乙女たちの障壁じゃ防ぎきれない…!)



ジュン「う… うう…!」ブル… ブル…

雛苺「ジュン…!」

金糸雀「(…ジュン、もう少しだけ持ちこたえて…!!)」



ピピピピピ…!



ブリュンヒルデ「…?!」

シュヴェルトライテ「コレハ…!!」



ピピピピピ…!



金糸雀「な、なにごとかしら?!」

グリムゲルデ「何者カガ 急速ニ 接近シテイマス!」

金糸雀「何者かって…?!」

グリムゲルデ「コノ反応ハ…」



ピピピピピ…!



グリムゲルデ「…ア、アノ子?!」
465 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:32:06.11 ID:rhkQjIIo
金糸雀「あの子って… まさか!!」

シュヴェルトライテ「間違イ アリマセン!」

(…オ姉サマ!!)



…キュォォォォォ!



(退避シテ!! 耐熱防御ヲ!!)



ブリュンヒルデ「…アナタ ナノ?! …コ、コレハ!!」

金糸雀「この反応?! な、なにこれ?!」

翠星石「ど、どーしたですか?!」

金糸雀「この機影… い、いったいどういうことかしら?!」



(いくらなんでも、大きすぎるかしら!!)



金糸雀「オルトリンデ! あなた、いったい何を!!」

(…早ク! スナークノ 巣ノ中デハ…) 

グリムゲルデ「アナタ!! …マサカ『アレ』ヲ?!」

(生身ノ人間デハ モウ モタナイハズ!!)

シュヴェルトライテ「『リンデ』!! ナンテコトヲ!!」

(ワタシガ 進路ヲ 確保シマス!!)



キュアアアア…!



オルトリンデ「スナークヲ 灼キ払ッテ!!」
466 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:37:14.00 ID:rhkQjIIo

金糸雀「スナークを『灼き払う』?!」

真紅「…なんですって?!」

ジュン「な… なん… だって…?!」ガチガチガチ…

(ハヤク!! 契約者ガ…)

真紅「ジュン!!」

金糸雀「…んもうっ!! みんな!!」シュピ! 



「退避するかしらーーー!!」



真紅「な、なに?!」

金糸雀「みんな! なるべく、隅っこによって!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」



…ギュン!!



翠星石「う、うひゃあ?!」

金糸雀「ひとかたまりになって、耐熱防御!!」

シュヴェルトライテ「…ハイ!」…ブゥン!

グリムゲルデ「ミナサン 体ヲ 丸メテクダサイ!」ブン…!

蒼星石「な、なにが起こるんだ! 姉さん!」

金糸雀「…オルトリンデが!」

翠星石「な、なんですと?!」



「あの子がいまから、スナークを灼き払うって言ってるかしらっ!!」
467 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:42:20.66 ID:rhkQjIIo
真紅「…スナークを、焼きはらうですって?! あなた、何を言っているの?!」

ジュン「しん… く…?」

真紅「スナークに、熱も炎も効くわけない! あいつは、幽霊や精霊と同じなのに!」 

蒼星石「その通りだ!」

ジュン「そう… せいせき…」

雛苺「ジュン…!」…スッ


…ヒヤッ


雛苺「(ジュンのからだ、氷みたいなの…!!)」

ジュン「うう… うっ…」ガクガクガク…

雛苺「…ジュン!!」…ギュ!


…ヒシッ


ジュン「(ヒナ…?)」ブルブル…

雛苺「(ジュン、がんばって…)」サスサスサス…

ジュン「…」

雛苺「(がんばって、がんばってっ!!)」


ゴシゴシゴシ…!


ジュン「…」

雛苺「おねがい、おねがいなの!!」ゴシゴシゴシ…

ジュン「(…ヒナ)」


「(ありがとう…)」



…ギュ
468 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/11(月) 23:53:51.74 ID:rhkQjIIo
真紅「…ジュン!」

蒼星石「(ジュン君が…!)」

金糸雀「と、とにかく! このままじゃ、ジュンが危ないから、オルトリンデにまかせるかしら!」

蒼星石「…しかし金糸雀、きみが知らないはずは無いだろう?!」キッ!



「やつらの数を減らすには、巣を破壊するしかない!」



金糸雀「そ、それは…」

翠星石「そうです!『ブリュ−ナク』でさえ、追い散らすことしかできないはずですっ!」

金糸雀「…だ、だって、確かにそう言ってるかしら!」

グリムゲルデ「…」」


ジュン「…」ガクガクガク…    


グリムゲルデ「(生命力 急速ニ 低下…)」

シュヴェルトライテ「(…迅速ナ 対応ガ 必要)」

金糸雀「みんな! 今はとにかく…!」

グリムゲルデ「オ姉サマガタ」

金糸雀「…え?」

シュヴェルトライテ「ソノ方ヲ 守ルタメ ドウカ」



「オルトリンデニ オ任セクダサイ」



翠星石「お、おまえ???」

グリムゲルデ「…事態ハ 一刻ヲ 争イマス」

シュヴェルトライテ「モハヤ 機密ニ コダワッテイル 場合デハ アリマセン」
469 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/12(火) 00:03:08.53 ID:/001Aa.o

金糸雀「き…機密、ですって?!」

蒼星石「君は、いったい何を…!」

グリムゲルデ「オ姉サマタチハ 知ラナイノデス」



キュァァァァァ…!



ブリュンヒルデ「…来タ!」

金糸雀「えっ…? し、知らない、って…??」

グリムゲルデ「スナークヲ 灼キ払エル 武器ガ アルコトヲ」

金糸雀「グリムゲルデ?! そ、そんな…!!」

シュヴェルトライテ「『翡翠』ノオ姉サマノ 大鎌ノヨウニ」

翠星石「え、えっ???」

シュヴェルトライテ「対象ノ 完全ナル 除去 駆逐ヲ 要求サレルトキノミ 使用サレル」



「ワタシタチニモ ソウイウ武器ガ アルコトヲ」



…キィィィィン!



金糸雀「…近い、あの子!」

ブリュンヒルデ「総員 対熱 対閃光防御!!」

金糸雀「あの姿…」



ゴゴゴゴゴゴ…!



金糸雀「お、大きい… なんなの、あれは?!」
470 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/12(火) 00:27:02.63 ID:/001Aa.o

真紅「…あなたたち! あの子はいったい、何を持ってきたというの?!」

グリムゲルデ「アレガ ワタシタチ 戦乙女ノ 決戦兵器」

真紅「決戦兵器!?」

グリムゲルデ「ソウデス」


「オ姉サマッ!! …Hau AB!!」ガシュッ!!


グリムゲルデ「高熱 高圧 高濃度ノ 特殊燃料ヲ 長距離 広範囲ニ 放出 散布シ」

シュヴェルトライテ「アリト アラユル 物質 存在ヲ… 霊的ナ 存在サエモ 灼キ払ウ」


「サア アナタノ 出番ヨ…!」


シュヴェルトライテ「本来デアレバ 使用ニハ オ父サマノ 許可ヲ 必要トシ」

グリムゲルデ「『黄金の翼』ノ オ姉サマサエ 存在ヲ知ラナイ ワタシタチノ 切リ札」



「「『レーヴァテイン』!」」



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ … !


「ジャマヲ スルナ スナークタチ…!」ジャキ!


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …


「吹キ飛べッ!!」…ガチ!



「 S T I R B ! 」



バ ア オ ッ ! ! 
471 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/12(火) 00:29:22.14 ID:/001Aa.o
今日はここまでです。 続きは15日。
472 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/12(火) 01:58:35.04 ID:D4cNUPAo
乙樽場 ヒルデ可愛いよヒルデ
473 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/12(火) 15:27:28.45 ID:4MGtIM2P
乙です
474 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/12(火) 23:55:33.64 ID:TyaFfxso
>>472
>乙樽場
これ何て読むの?
475 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/15(金) 23:01:31.76 ID:chNRs4.o
>>472-473
乙どもっす〜
>>474
自分も知りたい(を

申し訳ないですが、再開は明日に延期します…
がんばって風邪治そう;;;
476 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ![sage]:2010/01/15(金) 23:14:45.17 ID:aqorlvAo
>>474-475
おつだるば 
乙 樽 場
深い意味は毛ほども無く、タダの「乙」だと味気無いと思っただけな件
>>475
お大事に…
477 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/16(土) 23:56:03.23 ID:FofDTHYo
>>476
なるほど。。。
でも乙度だけは伝わってきてました♪
風邪は酒飲んで治します(無茶


再開します〜
478 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/16(土) 23:57:13.91 ID:FofDTHYo

ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ・ ・ ・ 



「…まったく、まったくもう…!」



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ワ ァ ・ ・ ・ 



「なにを考えてるのよ! お姉さまたちも、戦乙女たちも!」



ボ ボ ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・



「…うっとうしいわね、もうっ!!」…ゾワァ!



ズオッ!! … ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …




「きりがない…! もう、いやっ!!」



シュルルルル…



「もう、もうっ! これじゃ…」



シュパッ!





雪華綺晶「あいつが目覚めちゃうじゃない!!」
479 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/16(土) 23:59:24.29 ID:FofDTHYo

ゾゾ ゾゾ ゾゾゾ ・ ・ ・ 


雪華綺晶「戦乙女さえいれば、あっというまに突入できるのに… お姉さまたちったら!」


オ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ・ ・ ・


雪華綺晶「わたしの策をだいなしにして… ジュンお父さまは、どうする気なの?!」



………



雪華綺晶「わたしがいなかったら、この巣の中じゃ…」



…ヒィィィン…



雪華綺晶「…え?」



ヒイイイイン…



雪華綺晶「この音は…?!」

「スミマセン!!」



ギ ュ ン ! ! 



雪華綺晶「きゃああ?!」クルクルクル…



ギュォォォォォ…!
480 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:01:34.55 ID:DBAhvoQo

雪華綺晶「い、いまのは…?!」


キィィィィ…ン!


「…ゴメンナサイ」



オルトリンデ「氷晶ノ オ嬢サマ♪」


キィィィィ…ン…


雪華綺晶「あ、あの子…なの? いったい…」


…ギュォォォォ…


雪華綺晶「あ、あれは?! …あの子ったら!!」



シュルルルル…



雪華綺晶「間違いない、あれは『レーヴァテイン』!!」



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …



雪華綺晶「アレを持ち出すなんて、なにを考えてるの?! …もう!」



「あんなのを持ち出したら、いくらなんでも…」

「お父さまが、見過ごしてくれるわけないじゃない!!」



シュパッ!
481 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:03:15.40 ID:DBAhvoQo

【拠点 深部】



バ ア オ ッ !!



「…!」

「う、うわあ!」

「くっ…!」



バ ボ ボ ボ ボ …



「…な、なにがいったい…???」

「あ、あれは…?!」



ボ ボ ゥ ! !



「ま、また!!」

「…ッ!」



…ヒィ…



雛苺「な、なに? なんなの… ひっ!」

ジュン「う、うわあ?!」

真紅「…これは?!」



ヒィ ヒィ… ヒィィ…
482 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:06:28.55 ID:DBAhvoQo

翠星石「…?! い、いやあ!」ガバ!

蒼星石「(こ、この音は…?!)」



ヒイ ヒイ〜   ヒイ ヒイ…



真紅「こ、これは… なに?!」

ジュン「(…黒板をひっかいてる音みたいだ!)」

雛苺「うあああ…!(お、おつむがちくちくするのー!!)」



ヒィ… ヒィ〜…



翠星石「…な、なんの音… いえ、声? ですか???」

蒼星石「(ま、まさか…!)」



ボ ボ ボ ボ ボ …



オルトリンデ「…」ジャキ!



ボボボボボ…



シュヴェルトライテ「アナタ ソレハ…」

グリムゲルデ「『ヒルデ』…」

オルトリンデ「…」



「…周辺地点 除去 完了」
483 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:09:50.05 ID:DBAhvoQo
真紅「あの子は… 確か、末っ子の」

金糸雀「オルトリンデ? でも、いったい…」



ボボボボボ…



金糸雀「待機してるはずのあの子が、なんでここに来るかしら? それに、あの武器…」

ブリュンヒルデ「…オルトリンデ」

オルトリンデ「…」



…ガチャ



オルトリンデ「…オ姉サマ」

ブリュンヒルデ「…コレハ イッタイ ドウイウコト?」

オルトリンデ「…」ボボボ…



シュピ!



シュヴェルトライテ「敬礼…?」

オルトリンデ「ソプラノ隊所属 オルトリンデ」

グリムゲルデ「…エ」

オルトリンデ「ゲルヒルデ小隊長ノ 命令ニヨリ オ姉サマガタヲ 援護シマス」

ブリュンヒルデ「…」



「『レーヴァテイン』デ 着弾地点付近ノ スナークヲ 除去シ 進路ヲ確保 イタシマス」
484 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:12:27.52 ID:DBAhvoQo

シュヴェルトライテ「…ナンデスッテ? 『ヒルデ』ガ?」

オルトリンデ「マズハ コノ付近ノ スナークヲ 除去シマシタ」

ブリュンヒルデ「…」

シュヴェルトライテ「(『ヒルデ姉サマ』…)」

オルトリンデ「フタタビ スナークガ 群ガラナイウチニ 体勢ヲ建テ直シテ クダサイ」

グリムゲルデ「アナタ ナンテコトヲ…」

オルトリンデ「…」



「スミマセン」



ブリュンヒルデ「…?」

金糸雀「あなた…」 

オルトリンデ「『ヒルデ』ハ ワタシノ 独断専行ヲ 追認シタダケ」

金糸雀「なっ…!」

グリムゲルデ「…ヤハリ ソウナノ」

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「『レーヴァテイン』無断使用モ 命令無視モ」

金糸雀「あなた…!」

オルトリンデ「責任ハ スベテ ワタシニ…」

ブリュンヒルデ「オ黙リナサイ」



…ジャキッ!
485 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:20:04.47 ID:DBAhvoQo

オルトリンデ「…!」

金糸雀「ブリュンヒルデ!?」

ブリュンヒルデ「自分ノ直属ノ上官ヲ 侮辱スル ツモリ?」

オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「ユックリ 話ヲ シテイル 時間ハ ナイワ」



「『レーヴァテイン』デ 進路ヲ 確保シナサイ」



オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「司令官ドノ ソレデ ヨロシイ デスカ?」

金糸雀「…もう、しょうがないかしら」

オルトリンデ「…」



シュピ!



「…Jawohl」



ブリュンヒルデ「次ハ無イワ 心シテ オキナサイ」

オルトリンデ「ハイ …ゴ命令 カナラズ 遂行シマス」

金糸雀「まったく、もう…」

オルトリンデ「…司令官ドノ」

金糸雀「なにかしら?」

オルトリンデ「総司令官…ジュン様ノ 容態ハ ドウデショウカ

金糸雀「え、あっ… ジュン!」
486 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:25:21.03 ID:DBAhvoQo

ジュン「んっ…」…ブルッ

雛苺「ジュン、ジュン…!」ゴシゴシゴシ…

真紅「…ジュン!」

ジュン「大丈夫… 大丈夫だ!」

雛苺「ジュン…?」

ジュン「ありがとう、ヒナ。 きみと…」


ゴ オ ォ ォ ォ ォ … 


ジュン「…この熱のおかげで、少し人心地がついたよ」

雛苺「よかったの…」

オルトリンデ「ナニヨリ デス」

ジュン「ありがとう。 …君のおかげだ」

オルトリンデ「…」

金糸雀「もう、ジュンったら!」シュピ!



「命令違反の独断専行を、褒めちゃだめかしらっ!」



ジュン「あ… ご、ごめん」

金糸雀「総司令官らしく、ケジメはちゃんとつけてくれないと困るかしら!」プンスカ

オルトリンデ「…申シ訳 ナイデス」

翠星石「そ、それよりも… オルトリンデ!」

オルトリンデ「ハイ」

蒼星石「いったい君は、何を持ってきたんだ!」

オルトリンデ「…」

…ブーーー…ン…
487 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:30:19.40 ID:DBAhvoQo

真紅「これが、あなたたちが言っていた決戦兵器なの?」

グリムゲルデ「ソノ通リデス」

翠星石「なんなんですか… その、ばかでっかい掃除機みたいなのは…」

シュヴェルトライテ「ソ、掃除機?」

オルトリンデ「フフフ… ソウデスネ」



…ジャキ



オルトリンデ「キレイニ 掃除シテ シマイマショウ!」

ブリュンヒルデ「…モウ」

オルトリンデ「第2波ガ 到達スル前ニ 進路ヲ 確保シマス」…ガチッ!



ボボボ…



蒼星石「(先端から、炎が…!)」

オルトリンデ「オ姉サマガタ 下ガッテイテ クダサイ!」ガチッ!

金糸雀「もうっ! 対熱・閃光防御かしらっ!!」シュピ!

グリムゲルデ「…マッタク モウ!」ウォン…!

シュヴェルトライテ「アナタッタラ…」…ブォッ!

オルトリンデ「フフフ…!」


ボボボボボ…!


「 S T I R B !! 」ガチッ!



バ ア オ ッ ! !
488 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:33:29.62 ID:DBAhvoQo

「う、うわ!!」

「きゃあ!」



ボ ボ ボ ボ ボ ・ ・ ・ バオッ! 



「…また!」

「あ、熱いっ…!」



バオバオバオッ! ボバババ…



蒼星石「炎がまるで、滝のように… 竜のように!」

翠星石「す、すっごいです… ?!」



ヒィ… ヒィ…



翠星石「さ、さっきの音… 声?!」

蒼星石「まさか、まさかこれが…!」



(これが、スナークの断末魔だというのか!?)


ヒイィ〜 ヒィ〜 ヒイ〜…


金糸雀「し、信じられない…(あなたたち…!)」

オルトリンデ「…」



金糸雀「(あなたたち、わたしに、まだこんな秘密を隠し持っていたかしら…)」
489 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:46:54.39 ID:DBAhvoQo

グリムゲルデ「…」

金糸雀「(あなたたちは… まあ、仕方のないこと、だけれど…)」…グスッ

シュヴェルトライテ「…」

金糸雀「(これほど危険な武器… わたしたちに扱わせるわけには、いかなかっただろうから…)」

ブリュンヒルデ「…司令官ドノ」

金糸雀「な、なにかしら?」フキフキ

ブリュンヒルデ「…コレデ スベテデス」

金糸雀「え?」

ブリュンヒルデ「…ワタシタチ」



「モウ アナタニ 秘密ニシテイル コトハ コレデ ナニヒトツ ナクナリマシタ」



金糸雀「えっ…」

ブリュンヒルデ「…ドウカ」

金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「ドウカ ワタシタチノ コト…」

金糸雀「…」キッ!



シュピ!



金糸雀「作戦中に、ムダ口はご法度かしらー! ブリュンヒルデ!」

ブリュンヒルデ「…ハイ」

金糸雀「着弾地点の確認、負傷者の救出作業を再開するかしら!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」

金糸雀「オルトリンデがスナークを除去し次第、密集陣形で前進するかしらー!」
490 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:54:05.09 ID:DBAhvoQo

「…」



ヒィィ… ヒィィィ…



「除去 完了」


ボ ボ ボ ボ ボ …


オルトリンデ「進路 確保シマシタ! 前進ヲ!」

翠星石「スナークが、きれいさっぱり、お掃除されちゃったですぅ…」

蒼星石「いや、まだだ!!」



ザワザワザワ…



蒼星石「あとからあとから、湧き出してくる…!」

真紅「しつこいやつらね!」

ブリュンヒルデ「前進シマス!」

金糸雀「行くかしらー! 戦乙女たち!!」

グリムゲルデ「ハイ!」

金糸雀「全速前進かしら! わたしたちの…いいえ!」


シュピッ!!


「わたしの大事な大事な、自慢の妹! 栄光の、戦乙女たちっ!!」

「Jawohl Herr Kommandierender!」



ビヒュン!
491 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/17(日) 00:56:10.53 ID:DBAhvoQo
今日はココまでです。つづきはあさって。
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/17(日) 00:59:58.46 ID:rHe5dPwP
乙でしたー
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/17(日) 01:07:32.51 ID:xhu23eYo
乙〜
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/17(日) 02:00:42.42 ID:MCUiW/Eo
乙樽場 スナークの姿を必死でイメージ中
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/17(日) 02:11:51.38 ID:iL9yDfQo
おっつ
496 :1[sage]:2010/01/17(日) 15:00:20.88 ID:6KVzY7E0
>>492-495

乙どもです〜

>>494
生態的にはスカイフィッシュ、設定的には小説版ローゼンメイデンのジャバウォックを意識してます。
ジャバウォックの小型、低知能版です。
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/19(火) 05:26:36.70 ID:im.Rsa2o

やっと追いついた
498 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:09:19.49 ID:Q2k7TWUo
>>497
追いつきどもっす〜
追いていかないでくれると幸いです;;;



再開します〜
499 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:10:51.16 ID:Q2k7TWUo

「はあ、はあ、はあ…」



ゴ ォ ォ …



「もう、もう… っ…」



シュルルル…



雪華綺晶「急がないと…!」



ヒイ… ヒイィ…



雪華綺晶「(スナークたちが、焼け爛れてもがいてる… あの子ったら!)」



(…なんてものを持ち出したの!)



ヒィィィ…



雪華綺晶「(敵を、部隊ごと拠点ごと… 国土までもまるごと焼き尽くし…)」 



ゴ ォ ォ ォ ォ …




(残留思念や霊魂さえ灰にして、薔薇乙女への遺恨を根絶やしにするための決戦兵器!)
500 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:16:28.83 ID:Q2k7TWUo

ヒィィ… ヒィィィ…



雪華綺晶「いくらお父さまを連れて行くためでも、いくらなんでもやりすぎよ…!」



…ゾワッ



雪華綺晶「…」



「まさか、あの子たち… 気づいたのかしら?」



ゴ ォ ォ ォ ォ ・ ・ ・



「…ふん。 かまわないわ」



ザワァ…



 霊魂さえ焼き尽くす『レーヴァティン』も、このわたしには効かないのだから」



「…覚悟なさい、戦乙女たち」



…ゾワ…



「…さっきから、わたしの言うことに、逆らってばかり」



「あなたがたが、いったい誰に従うべきなのか、思い知らせてやる…!」
501 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:20:59.96 ID:Q2k7TWUo

バ オ ッ !!



…ゾゾゾゾゾ…



ジュン「焼かれるそばから、湧き出してくる!」

真紅「なんて数なの…!」



バ ァ オ ッ !!



ヒィ… ヒィ〜 ヒィ…



ブリュンヒルデ「進路ノ 確保ハ マダ?」

オルトリンデ「アト 10秒 クダサイ!」ジャキ!

雛苺「…あ、あれっ!!」



…ザザ…



金糸雀「…あれは!」

ブリュンヒルデ「後方カラモ 群レガ 迫ッテイル!」



ザザザザザ…



雛苺「ひ、ひっ…!」

ジュン「…殺到してくる!」
502 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:23:53.42 ID:Q2k7TWUo

翠星石「お、追いつかれるです…!」

グリムゲルデ「…」


ザザザザザ…


蒼星石「突っ込むしかないのか?!」

オルトリンデ「…後方ノ 群レモ 駆逐シマス!」ジャキ!

グリムゲルデ「待チナサイ」


…ガシ!


オルトリンデ「…『ゲルデ』?!」

真紅「?!」

雛苺「え、えっ!」

グリムゲルデ「…」グイ…



ギリギリギリ…



オルトリンデ「ア、アナタ!」

グリムゲルデ「…」ギシ…


ギリ… ギリ…


翠星石「ま、まさか?!」

蒼星石「君は…!」

グリムゲルデ「…」グ…



ミシッ…
503 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:28:10.02 ID:Q2k7TWUo

金糸雀「グリムゲルデ… あなた、もしや…」

オルトリンデ「…オ、オ願イ! 『ゲルデ』…!」

グリムゲルデ「…」…グイ!

金糸雀「(まさか、あなた、まだ…)」



(わたしたちを、ラプラスの魔に会わすまいと…?!)



ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「(そんな… お願い、グリムゲルデ!!)」ギュ…

オルトリンデ「ネ、姉サマ!」…グ!

グリムゲルデ「…オルトリンデ」ギュ…



「前方ヘ 火力ヲ 集中ナサイ」



オルトリンデ「…エ?」

シュヴェルトライテ「『リンデ』 …『ゲルデ』ノ 言ウトオリニ ナサイ」

オルトリンデ「…『ライテ』?」

シュヴェルトライテ「オ姉サマ! ドウカ!」



ギャン!



オルトリンデ「…フタリトモ?!」

グリムゲルデ「隊長! 司令官ドノ! ワタシタチニ!」…ギュン!

シュヴェルトライテ「ドウカ… ドウカ ゴ命令ヲ!」
504 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:32:27.53 ID:Q2k7TWUo

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「…あなたたち」


ザザザザザ…


シュヴェルトライテ「時間ガ アリマセン! 追イツカレテ シマイマス!」

グリムゲルデ「ドウカ… ドウカ ワタシタチニ 命ジテ クダサイ!」

金糸雀「…」グッ!



シュピッ!



「アルト隊っ!」

「「ハッ!」」



…シュピ!!



「後方の群れを、押しとどめるかしら!」

「「Jawohl!!」」



キュォォォォ…!



真紅「アルト隊…」

ジュン「…きみたちは」

金糸雀「頼むかしら!シュヴェルトライテ、グリムゲルデ!」シュピ!



「わたしの大切な、ふたつとない『剣』と『盾』!!」
505 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:40:08.84 ID:Q2k7TWUo

シュヴェルトライテ「Jawohl!」

グリムゲルデ「Herr Kommandierender!」


…ギュン!


金糸雀「(もう、ヒヤヒヤさせて! この子たちったら…)」

翠星石「…おや? カナ姉は、心配してたですか?」

金糸雀「へっ?」

翠星石「わたしたちは、あの子たちを信用してましたよ? …ね、蒼星石?」

蒼星石「…そうだね。 シュヴェルトライテ、グリムゲルデ」 



グリムゲルデ「…ハイ」

金糸雀「な、なんでかしら???」

翠星石「わかりませんか? だって…ね?」ニコニコ

シュヴェルトライテ「エエ」

蒼星石「君たちもまた、同時期に作られた一対の存在」


「僕たちとおなじ、『双子』だもの」


金糸雀「そ、それが、どうかしたかしら…」

翠星石「双子に悪いやつはいねーです!」エッヘン

金糸雀「は???」

蒼星石「…頼むよ、二人とも」

シュヴェルトライテ「オ任セ クダサイ」

グリムゲルデ「ドウカ ゴ無事デ」


ザザザザザ…!
506 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:43:32.10 ID:Q2k7TWUo
ブリュンヒルデ「…頼ムワ フタリトモ」

シュヴェルトライテ「アナタモ 薔薇乙女タチヲ オ願イ」

グリムゲルデ「…アト アノ子ノ コトモ」

ブリュンヒルデ「…フフ」



ザザザザザ…!!



真紅「群れが、もうそこまで!」

ジュン「…来るっ!」

オルトリンデ「オ姉サマ…!」

シュヴェルトライテ「心配ハ 無用ヨ」



ザ ザ ザ ザ ザ …!



シュヴェルトライテ「コンナ ヤツラ モノノ数ジャ ナイワ」

オルトリンデ「…」

グリムゲルデ「ワタシタチガ 食イ止メルカラ アナタハ シッカリ 進路ヲ 確保ナサイ」

オルトリンデ「チ、違ウ! オ姉サマタチ…」

シュヴェルトライテ「…?」

オルトリンデ「ワタシ… ワタシノ シタコト ナノニ…」

グリムゲルデ「…」

オルトリンデ「コレデハ…」


「ミンナマデ 白ウサギニ 『処分』ヲ…」


…ガッ!
507 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 20:50:31.23 ID:Q2k7TWUo

オルトリンデ「ク?!」

真紅「…!」

金糸雀「あなた?!」

ブリュンヒルデ「…」


「イイカゲンニ ナサイ」


オルトリンデ「オ、オ姉サマ…」

ブリュンヒルデ「ドコマデ ワタシタチヲ バカニスル気?」

オルトリンデ「エ ソンナ…!」

グリムゲルデ「マッタク!」キュォォォォ…!


「ホントウニ ドウシヨウモナイ バカナ 妹!」


オルトリンデ「エ… 『ゲルデ!』」

シュヴェルトライテ「マッタクヨ ホントウニ モウ!」キュァァァァ…!

オルトリンデ「…『ライテ』?」

シュヴェルトライテ「『リンデ』!」ガシャッ!


「『処分サレル』トキハ 一緒ヨ!」


金糸雀「!!」

ジュン「なっ…!」

オルトリンデ「…」



スチャ!



「オ姉サマガタ ゴ武運ヲ!」
508 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:02:02.11 ID:Q2k7TWUo

金糸雀「(『処分される』?! そんな…!)」

グリムゲルデ「…Hau AB!!」キュォォォォォ…



ギャン!



真紅「(『処分を受ける』ではなくて…?!)」

シュヴェルトライテ「Treffen wir uns in Holle!」ギュォォォォォ…



バウッ!



金糸雀「あなたたち…!」

オルトリンデ「 S T I R B !!」



バァオッ!!



オルトリンデ「進路確保! 前進シテクダサイ!」

ブリュンヒルデ「司令官ドノ!」

金糸雀「あなたたち…っ…!!」



シュピ!!



「ぜっ…全速前進かしらーーーー!!」

「J a w o h l !!」



ギャン!!
509 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:06:01.33 ID:Q2k7TWUo

ボ ォ ォ ォ …



ジュン「すごい…」

真紅「…恐るべき力ね」



ゴ ォ ォ ォ ォ



真紅「実体のないスナークを、焼き払うなんて…」

金糸雀「(お父さま… あなたは、なんてものをこの子たちに持たせたかしら…)」



ヒィィ… ヒィィィ…


翠星石「…」

蒼星石「…」


ヒィ… ヒィ〜


ジュン「ふたりとも?」

翠星石「…あ、はい」チラ…

蒼星石「え… うん」…チラ


ヒィ…


蒼星石「(…君らは、何も悪くはないのに)」

ジュン「…?」

翠星石「(ごめんなさい… 夢の世界の掃除屋さんたち)」


(みんな終わったら、お墓くらいは作ってあげますから…)
510 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:08:00.80 ID:Q2k7TWUo
ジュン「ふたりとも…?」

真紅「…」

グリムゲルデ「拠点マデ アト ワズカデス!」


ザ ザ ザ ザ ザ ・ ・ ・ 


雛苺「…あ、あれっ!!」

ジュン「ヒナ? …ああっ!」



ゴ …  



翠星石「う、うわぁ…」

蒼星石「(あれが… あれが、そうなのか!)」



ゴ… ゴ…



金糸雀「あれが…!」

ブリュンヒルデ「…!」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …



ジュン「(巨大な、天球儀みたいだ…)」

真紅「(あれが、ラプラスの魔の拠点…!)」

ブリュンヒルデ「(外壁ガ…!)」



ゴ… ゴ… ゴ…
511 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:12:32.11 ID:Q2k7TWUo

ブリュンヒルデ「(外壁ガ 破損 シテイル!!)」

金糸雀「『人工物』発見かしら!」 

ブリュンヒルデ「…!」

金糸雀「外壁に損傷確認!」シュピ!



「内部に突入して、負傷者の有無を確認するかしらーーーーー!!!」



ゴォ…!



真紅「(いよいよね…!)」

蒼星石「(…ついに!)」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「ブリュンヒルデ、返事は?!」

ブリュンヒルデ「(…『白ウサギ』…)」



ゴ…



ブリュンヒルデ「(応答シテ クダサイ! コチラ 『鎧』…)」

オルトリンデ「(オ姉サマ!!)」



ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ 



ブリュンヒルデ「…!」

金糸雀「な… あれは!!」

真紅「亀裂が、閉じていく…?!」
512 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:18:10.91 ID:Q2k7TWUo

オルトリンデ「(隔壁ガ 閉ジテイク!)」

ブリュンヒルデ「(拠点ノ 動力ハ マダ 生キテイルノ…?)」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … !



ジュン「…塞がってしまう!!」

金糸雀「ブリュンヒルデ! はやくっ!!」

ブリュンヒルデ「(『白ウサギ』 応答ヲ…!!)」



………



ブリュンヒルデ「(応答ヲ 応答ヲ!!)」

オルトリンデ「…オ姉サマ!!」

真紅「あなた!!」

ブリュンヒルデ「…ッ!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …! 


ジュン「間に合わない!!」



…ズゥン!



ジュン「な!!」

金糸雀「…!!」



ギ ギ ギ ギ ギ …!
513 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:24:45.21 ID:Q2k7TWUo

蒼星石「…ブ、ブリュンヒルデ!!」

翠星石「あなた…!」

ブリュンヒルデ「 … ミ ナ サ マ … !」


ギ ギ ギ ギギギ …!


オルトリンデ「オ姉サマ!!!」

ブリュンヒルデ「オ通リ クダサイ…!」…ミシッ

オルトリンデ「(『ノートゥング』デ 隔壁ヲ コジ開ケテル…!!)」



ギギギ ギギギ…!



ブリュンヒルデ「ハヤク ドウカ…!!」

金糸雀「あなた!!」

ブリュンヒルデ「ミナサマ…!」ミシ!



「…オ父サマ トノ 通信ガ サキホドカラ 途絶エテ イマス!!」



真紅「!!」

ジュン「…な!」

ブリュンヒルデ「ドウカ ドウカ… オ父サマノ 安否ヲ!!」

金糸雀「…あなたっ!!」

オルトリンデ「オ姉サマ…!!」

ブリュンヒルデ「ハヤク…!!」



…ギギギ ギギ ギギ…!
514 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:32:53.97 ID:Q2k7TWUo

蒼星石「『ノートゥング』が、ひしゃげてる!!」

翠星石「カナ姉!!」

金糸雀「みんな…」



シュピ!!



「 突! 入!! か・し・らー!!!」



ブリュンヒルデ「司令官… ドノ…!」ミシ… ビギッ!!

真紅「ジュンっ! 雛苺!!」

雛苺「は、はいっ!」

真紅「しっかりつかまって!!」ギュ!

雛苺「はいなの!!」ギュウ!

ジュン「…ブリュンヒルデ!」…ギュッ!



…ヒュンッ!



翠星石「真紅、ジュン! …雛苺!!」ヒュン!

真紅「…大丈夫よ!!」

ジュン「ふたりも、早く!」

蒼星石「わかった!!」ギュン!!


…ビギッ!!


金糸雀「ブリュンヒルデ!! みんな、突入したかしら!!」

ブリュンヒルデ「…ミナ サマ…!」
515 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:43:17.87 ID:Q2k7TWUo

ギシ… ビギッ!


ブリュンヒルデ「先ニ… 行ッテ… クダサイ!!」

雛苺「で、でもっ!!」

ブリュンヒルデ「ワタシモ… スグニ 行キマス! ダカラ!」…ミシ!!

金糸雀「…みんな!!」シュピ!



「内部へ突入するかしらー!!」



真紅「な!」

ジュン「金糸雀!!」

金糸雀「みんな、早く!!」



「一刻も早く、奥へ行くかしら!!」



翠星石「カナ姉!!」

蒼星石「ブリュンヒルデを、置いていくのか?!」

金糸雀「んもー!! 違うかしら!!」ブンブンブン!



「ここにいたら、ブリュンヒルデのジャマになるかしらー!!」



真紅「…えっ?」

金糸雀「説明してるヒマはないかしら!! 早く!!」グイッ!

真紅「きゃあ?!」


ヒュンッ!
516 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:48:32.01 ID:Q2k7TWUo
ジュン「し、真紅!」

金糸雀「あなたたちも、早く来るかしらー!」

雛苺「は、はいっ!」


ヒューーン…


翠星石「カナ姉!!」

蒼星石「ブリュンヒルデ…!」

ブリュンヒルデ「オフタリモ…!」



「ドウカ 奥ヘ…!」



蒼星石「…」

ブリュンヒルデ「司令官ドノノ 言ウトオリニ…!」

蒼星石「わかった!」ヒュンッ!

翠星石「…んもう!! 無茶するんじゃ、ねーですよ!!」…ヒューン!



ヒュルルルル…



…ギギギィ!!



オルトリンデ「姉サマ!!」

ブリュンヒルデ「オルトリンデ! オ願イ!!」ビギ…!

オルトリンデ「ハイ!」ギャン!!




ガ ゴ オ ン !!
517 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:53:10.95 ID:Q2k7TWUo

ヒューーン…!



金糸雀「みんな、そろってるかしら?!」

真紅「わたしはここに… ジュン、雛苺は?!」

ジュン「…ここにいる!」



ギ ギ ギ ギ ギ …



雛苺「ヒナもいるの!」

翠星石「わたしたちもいます!」

蒼星石「ブリュンヒルデは…!」



…ガ ゴ オ ン !



真紅「!!」

ジュン「あの音は?!」



…ズズン!



翠星石「ブリュンヒルデ!」

蒼星石「まさか…」







「まさか、あの子…!!」
518 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 21:56:59.00 ID:Q2k7TWUo
真紅「あの子…!」キッ!

ジュン「まさか、ブリュンヒルデが?!」

金糸雀「待って!!」



………



蒼星石「…?」

翠星石「…カナ姉???」




…キィ…ン…



真紅「…なんの音…」

金糸雀「みんなーーーーー!!」ガバ!



「地面に伏せるかしらーーーーー!!」



雛苺「ふぇ?!」

金糸雀「はやくっ!!」グイ!

雛苺「きゃあ?!」ベトッ!

真紅「な、何が…」



キィィィン…!



真紅「何か…」

ジュン「何か飛んでくる!!」ガバ!
519 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 22:01:05.02 ID:Q2k7TWUo

…キィィィン!



蒼星石「…まさか!」ガバ!

翠星石「や、やっぱりあいつ!!」ガバッ!!



「ムチャしやがったですぅーーー!!」



ズ ド オ ン !!!!



「うわぁ!!」

「きゃあっ!!」




………




「…」

「…」



パラ… パラ…



「大丈夫?」

「な、なにが…」

「…ミナサマ」



ブリュンヒルデ「オ待タセ イタシマシタ」
520 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 22:07:32.38 ID:Q2k7TWUo

………



真紅「…結局、オルトリンデに体当たりしてもらったの?」

ブリュンヒルデ「ハイ」

金糸雀「『レーヴァティン』は、置いてきちゃったのかしら?」

オルトリンデ「アルト隊ニ 回収ヲ オ願イ シテイマス」

金糸雀「んもう…」



…オ…オ…オ…



ブリュンヒルデ「ゴ心配 オカケ シマシタ」

金糸雀「…ホントに、無茶するかしら」

オルトリンデ「オ姉サマガタ コソ」

金糸雀「何か言ったかしら」ジロッ

オルトリンデ「イイエ ナンデモ…」



…オ…オ…



翠星石「ここが…」

ブリュンヒルデ「…」

蒼星石「…間違いないんだね?」

ブリュンヒルデ「ハイ」



「『ラプラスの魔』ノ 拠点デス」
521 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 22:14:33.30 ID:Q2k7TWUo

…オ…オ…オ…



ジュン「入ってきたはずの場所が、もうどこだかわからない…」

真紅「…」

ジュン「奥行きも高さも、まるでわからない…」

真紅「…ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「ハイ」

真紅「ラプラスの魔との通信は、まだつながらないの?」

ブリュンヒルデ「…ハイ」



…ピ…



ブリュンヒルデ「コンナコトハ 今マデ ナカッタ コトデス」

翠星石「そうなんですか?」

ブリュンヒルデ「タトエ 修復作業中デ アッタト シテモ マッタク 応答ガ 無イト イウコトハ アリマセン デシタ」

金糸雀「…もしかして」



「『ブリューナク』の、跳弾のせいで…?」



ブリュンヒルデ「…」

真紅「金糸雀…」

金糸雀「まさか…」

ブリュンヒルデ「可能性トシテハ アリエマス」…ピ



「…ドウカ 安否確認ヲ オ願イ シマス」
522 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 22:22:17.16 ID:Q2k7TWUo

金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「ワタシタチハ 通信ヲ 続ケナガラ 探索シマス」

オルトリンデ「手分ケシテ 捜索ヲ オ願イシマス」

真紅「あなた方にも、場所はわからないの?」

ブリュンヒルデ「…向コウカラ 連絡ガ無イト」

真紅「そうなの…」

オルトリンデ「氷晶ノ オ嬢様ナラ ワカルカモ シレマセンガ」

翠星石「…」



「あなたたち、いいんですか?」



オルトリンデ「…何ガ デスカ?」

翠星石「何がって… 決まってますよ」

蒼星石「ラプラスの魔… お父さまのことは、僕たちには内緒のはずじゃ…」

ブリュンヒルデ「…」



「今ハ 安否ノ確認ガ 最優先デス」



金糸雀「…」

ブリュンヒルデ「アリス生成モ オ父サマガ 無事デ アレバコソ デス」

真紅「(…あなた)」

ブリュンヒルデ「ドウカ ミナサマノ 手ヲ オ貸シ クダサイ」

真紅(ブリュンヒルデ、あなたもしや…)



(お父さまのことを…?)
523 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 22:30:30.26 ID:Q2k7TWUo

ブリュンヒルデ「ドウカ…」

金糸雀「…もちろん、ちゃんと捜すかしら」

ブリュンヒルデ「…スミマセン」

金糸雀「礼には及ばないかしら。 …カナたちのせい、なんだから」

ブリュンヒルデ「…」

真紅「…捜して見つけて、ケガしてたら、手当てして…」



「そして、ちゃんと謝るわ」



オルトリンデ「…オ姉サマ」

真紅「…話を聞いてもらうためとはいえ、こんな無茶をしたことをね」

ブリュンヒルデ「…」

翠星石「…きっと無事ですよ。 なんてったって、『お父さま』なんですから」

金糸雀「うん。 きっと、そうかしら!」シュピッ!



「みんな、手分けして捜索にあたるかしらー!」



ジュン「了解」

雛苺「やぼーる、なの!」

金糸雀「お互い連絡をとりあって、異常があったらすぐに報告するかしらー!!」









「 それには 及びませんよ 」
524 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/19(火) 22:40:43.81 ID:Q2k7TWUo

金糸雀「!!」

ブリュンヒルデ「…!」

オルトリンデ「ナ…!!」



…コツ



「 まったく 騒々しいことですね 」



コツ コツ… 



雛苺「う、うそ…!」

翠星石「…うそですぅ…! け、計画が…」

蒼星石「なぜ… ばかな!?」

「 ばかな? なにをおっしゃいますのやら 」…コツ…



「 ここは わたしの住処です。 なんの不思議が ありますか? 」…コツ コツ



真紅「(…まさか!)」

ジュン「(まさか… まさかそんな!)」

「 時期尚早ですが まあ 詮方ない 」



…コツ





ラプラスの魔「 アリス生成 最大の障害を 除去することに いたしましょう 」
525 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/19(火) 22:42:21.05 ID:Q2k7TWUo
今日はここまでです。続きは23日。
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/19(火) 22:45:29.80 ID:gWFdi3wo
乙樽場

>>496
なるほど… そんなのが飛び回ってたらジュンじゃなくても肝冷やすな…
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/20(水) 01:48:08.71 ID:LwiLqzso
おっつ
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/20(水) 02:01:53.51 ID:IudQRqAP
お疲れ様です
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/01/20(水) 07:16:42.30 ID:VgotbNY0
んあ
530 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 22:56:28.23 ID:SBq8.X.o
>>526-529
乙(?)どもっす〜

>>526
霊的存在なので、長時間接触(体内を通過)されると体力を吸い取られるという設定でやってます。
つねに飛び回っているので1匹2匹ならさして被害になりませんが、大量に出ると…


再開します〜
531 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 22:57:44.62 ID:SBq8.X.o

ザ ザ ザ ザ ザ ・・・



「…」ブゥン…

「…」ブォン…



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ・・・



「(…対霊体障壁 出力限界 8割マデ 低下)」

「(機能停止マデ 推定 200秒)」



ザ ザ ザ ザ ザ ・・・ 



「(ワタシタチハ スナークカラ 一切ノ被害ヲ コウムルコトハ ナイケレド)」

「(生身ノ 人間ガ 大量ノ スナークニ 触レ続ケテハ…)」



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ・・・



「(ゴ無事 ダロウカ)」

「(…オ姉サマ ガタハ ソシテ)」



「「(オ父サマハ…)」」





ピピピピッ!
532 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:00:10.81 ID:SBq8.X.o

シュヴェルトライテ「 ! 」

グリムゲルデ「緊急通信!」



( コチラ『鎧』 )



シュヴェルトライテ「ブリュンヒルデ!」…ピッ!

グリムゲルデ「…突入ニ 成功シタノ?」…ピ



( スベテノ 戦乙女ニ 告グ )



シュヴェルトライテ「…スベテノ?」

グリムゲルデ「イッタイ…」



( 『白ウサギ』ハ 健在 )



シュヴェルトライテ「 !! 」

グリムゲルデ「…エ?」



( 繰リ返ス 『白ウサギ』ハ 健在 )



シュヴェルトライテ「…ソ、ソウ、ナノ…?」

グリムゲルデ「シカシ、ソレデハ… ナゼ?」



「マッタク 通信ガ 取レナカッタノ デスカ?」
533 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:02:01.55 ID:SBq8.X.o

( … )

シュヴェルトライテ「ブリュンヒルデ 応答ヲ!」

グリムゲルデ「イッタイ オ父サマニ 何ガ アッタノデスカ?!」

( … )



( 『白ウサギ』ヨリノ 指令ヲ 伝エル )



シュヴェルトライテ「(シ、指令…?)」

グリムゲルデ「(イッタイ…?!)」



( 拠点ノ 防衛機構ハ 機能ガ著シク 低下シテイル 状態 )



ザ ザ ザ ザ ザ …



( 各自 現地点デ ソレゾレ 警戒ニ アタレ )



グリムゲルデ「警戒ニ…?」

( メッゾ隊ハ 拠点外周 ソプラノ隊ハ 拠点周辺ヲ 哨戒セヨ )

シュヴェルトライテ「(ブリュンヒルデ…)」ピ…

( アルト隊ハ 拠点内部ノ 守備ニアタレ ) 





( …モウ スナークヲ 押シトドメル 必要ハ 無イ )
534 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:03:49.25 ID:SBq8.X.o

シュヴェルトライテ「(『鎧』 応答セヨ コチラ 『剣』)」ピ…

(ワタシト オルトリンデハ 拠点中枢ノ 防衛ニ アタル)

シュヴェルトライテ「(コチラ 『剣』 …応答シテ クダサイ)」

( …………… )

シュヴェルトライテ(ブリュンヒルデ 薔薇乙女タチハ…)」 



(薔薇乙女タチハ イマ ドウシテイルノ デスカ?)



( …………… )

シュヴェルトライテ「(応答ヲ…)」

( 指令ハ 以上 )



…ピ



シュヴェルトライテ「…」

グリムゲルデ「…『ライテ』」


ザザザ…


シュヴェルトライテ「防壁ヲ 解キマショウ」

グリムゲルデ「エ…」

シュヴェルトライテ「モウ 必要ナイ ソウヨ」

グリムゲルデ「…契約者ノ 方ハ?」

シュヴェルトライテ「…」



「オ父サマト オ姉サマヲ 信ジマショウ」
535 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:04:52.57 ID:SBq8.X.o

グリムゲルデ「…」

シュヴェルトライテ「…サア」カチ…

グリムゲルデ「…」カチリ



…ブゥン



ボ ゾ ッ ! !




(…っ!?)


ドザザザザザ…!


(な、なんで急に… きゃあぁ?!)




ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …



シュヴェルトライテ「スナークノ 洪水ネ」ザザザ…

グリムゲルデ「エエ」ゾゾゾ…



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ … 



シュヴェルトライテ「アマリ 気分ノイイ モノデハ ナイワネ」

グリムゲルデ「ソウネ…  ?」



「…っ…」
536 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:06:45.59 ID:SBq8.X.o

シュヴェルトライテ「…『ゲルデ』?」

グリムゲルデ「…イエ ???」



「…っ…!」



シュヴェルトライテ「ドウシタノ?」

グリムゲルデ「ナニカ 聞コエ…」



「 あ な た た ち ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ っ ! ! ! 」



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …



グリムゲルデ「…アラ」

「お、おぼえてなさぁぁぁいっ!!」…ジタバタ

シュヴェルトライテ「マア」

「お、お父さまに…!!」モゴモゴ…

グリムゲルデ「ソウイエバ 忘レテイタワ」

「お父さまに、言いつけてやるぅっ!!!」…アップアップ



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ …



シュヴェルトライテ「流サレテ イッタ…」

グリムゲルデ「報告スル?」

シュヴェルトライテ「…必要ナイワ」
537 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:08:20.10 ID:SBq8.X.o

グリムゲルデ「ソウネ」

シュヴェルトライテ「オ父サマニ オマカセ シマショウ」

グリムゲルデ「エエ…」



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ …



雪華綺晶「も… もうっ!!」



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …



雪華綺晶「こ、このっ! 離れろっ!!」



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ …!



雪華綺晶「(だ、だめ… 数が多すぎる!!)」



ザ ザ ザ ザ ザ ザ …



雪華綺晶「(1000匹や2000匹くらいなら、体にも触れさせないのに… もうっ!)」



ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …



雪華綺晶「もう、もう…っ…! あっ!」



ゴ…
538 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:11:19.16 ID:SBq8.X.o

雪華綺晶「あれは…」



ゴ ゴ ゴ …



雪華綺晶「あれは、中枢!!」



ザ ザ ザ ザ ザ …



 雪華綺晶「(いけない… 通り過ぎる!)」



… ザ ザ ア!



雪華綺晶「こ、このっ!」…シュル!



シュルルルルル… ガシッ!



雪華綺晶「え、えーいっ!」ギュルン!



グググ…



雪華綺晶「く、くっ…!(ここで流されたら、もう間に合わない…!)」ググッ!



…シュパ!



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ …
539 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:12:40.56 ID:SBq8.X.o

雪華綺晶「はあ、はあ、はあ…」



… ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ 



雪華綺晶「ふ、ふう…っ…」…ヘタリ



ゴ… ゴ…


 
雪華綺晶「(中枢に…)」



ゴ…



雪華綺晶「亀裂が入ってる…」



ゴゴゴ…



雪華綺晶「お姉さまたちが、やったの? もう…」シュル…



(お姉さまたち… バカなことを!)



ゴ…



雪華綺晶「…隔壁が閉まってるところなんて、初めて見たわ」…シュルシュル



シュルシュルシュル…
540 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:14:12.79 ID:SBq8.X.o

「まあ、かまわないけれど…」シュルシュルシュルシュル…



…ザワッ



「結界が機能してないなら、関係ない。 こんな壁…」ズルズルズル…



(どんなに分厚くったって… わたしの侵入は阻めない…)



ズルズルズル…



(見てなさい… ラプラスの魔。 それに…)



シュルルルルル…



(お母さま… お姉さまたちも! 戦乙女たちも…!!)



…ニュウ



「ジュンお父さまも!」



…ズボッ!



「わたしの言うとおりに… 思うとおりにしなかった報い、思い知らせてやる…!」



…ズル…
541 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:15:57.15 ID:SBq8.X.o
【拠点 中枢】



…オ…



「 連絡は 取れましたか 」

「…タダイマ 通信中デス」



…オオオ…



「(…あいつが… あいつが…)」

「(そうなのか… ほんとうに?)」



…オオオ… …オオオ…



「(信じられないです… でも…)」

「(あいつが… あんなやつが…)」



(あの、お父様なの…?)



…オオオオオ…



「…」

「 済みましたか 」

「…ハイ」


…ピ…
542 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:17:20.07 ID:SBq8.X.o

ブリュンヒルデ「スベテノ 戦乙女ニ 指令ヲ 伝エマシタ」

「 ご苦労でしたね 」

ブリュンヒルデ「ハッ」…チャキ

オルトリンデ「…」カチャ…



シュピ!



金糸雀「 ! 」

真紅「(ブリュンヒルデ…)」

金糸雀「(あの、きかんぼうのオルトリンデまで…)」



…ピシッ!



ジュン「(直立不動で、敬礼してる…)」

ブリュンヒルデ「ソレデハ ワタシタチハ…」

オルトリンデ「…」


「 下がりなさい 」


ブリュンヒルデ「ハッ!」ギュン!

オルトリンデ「…ハイ」…ザ


ギャン!

 
「 さて 」…ス



コツ…
543 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:19:05.36 ID:SBq8.X.o

金糸雀「(戦乙女たちが、まったく異論も何も、さしはさまない…)」



…コツ



金糸雀「(度重なる通信に、まったく返信がなかったことを、尋ねもしない…)」

「 ようこそ 薔薇乙女たち わたしの巣穴へ 」コツ…

蒼星石「…っ!」ギリ…

「 お茶でも出して 差し上げたいところ なのですが 」コツ コツ…

真紅「…」…ザッ!

「 あいにくと ティーセットが 台無しになって しまいましてね 」…コツ



「 さきほどの 揺れでね 」



金糸雀「…!」

「 まあ 掃除は 済ませて おきましたが 」

翠星石「(や、やばい… やばいですぅ…)」

「 まったく あなたがたと 来た日には 」…ス


…コツ


雛苺「…ひっ!」ビクッ!

「 火遊びはいけないと お父様から しつけられなかったのですか? 」

真紅「…いいかげんにしてっ!」…ザッ!



シュタッ!
544 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:23:30.78 ID:SBq8.X.o

「 おや 」

雛苺「し、真紅」

ジュン「真紅!? やめろ!!」

真紅「もう、もういやっ! そんなおためごかし、聞きたくないっ!!」…キッ!



「…『お父様』っ!!!」



蒼星石「真紅?!」

真紅「…そうでしょう? あなた、そうなんでしょう?!」タタタ…

金糸雀「し、真紅っ! 待つかしら!!」



「 … 」



真紅「お願い、そうだと言って!! 『お父様』っ!!」タタ… タ…

翠星石「し、真紅! 落ち着くですっ!!」

真紅「お願い…!」カツ…



「 … 」

真紅「…お願い!」

「 やれやれ 」

真紅「…っ?!」

「 あきれた ものです まったくもって 」…スッ

金糸雀「お父さま! 真紅!!」



「 親のしつけが なってない ようですね 」
545 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:32:23.04 ID:SBq8.X.o

蒼星石「な、何を…っ!!」

真紅「い…っ!!」ギリッ!



「いいかげんにして!!」



…ガバッ!



翠星石「し、真紅!!!」

真紅「なにが… なにが『しつけ』よ!! そんな…」ギュウ…

「 ……… 」

真紅「そんな、他人事みたいに…! あなたは、あなたはわたしたちの…!」キッ!

「 観劇の マナーくらい 学ばなかったのですか 」

真紅「…え?」

「 舞台の上で 命を削り 心を燃やして 己の役を 演じきる 役者に向かって 」…ス



…ポウ…



真紅「な…!」

「 お前の 本当の名はこうだ 本当はただの役者なんだと わめきたてる 」 …ブゥン…

ジュン「や、やめろ!!」

「 節度に欠けること はなはだしい 」…ス



「 究極の少女として 不適格でしょう 」



…パァァ…
546 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/23(土) 23:36:10.95 ID:SBq8.X.o

真紅「お父さまっ…!」

「 矯正して さしあげます 」…キィィィン…

ジュン「し、真紅! だめだ!!」

雛苺「真紅! おとうさまっ!!」

真紅「お願い…! お願いっ!!」



…シュパ!



「…?!」



ビシッ!!



真紅「あうっ!?」…ガシャ

「 おや 」…フッ…

ジュン「な?!」



チカ… チカ…



雛苺「う…うそ…」

蒼星石「まさか…!」

翠星石「そんな… なぜっ!!」



…パァ…



真紅「ホーリエ…!」
547 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/23(土) 23:37:06.54 ID:SBq8.X.o
今日はここまでです。続きは27日。
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/23(土) 23:38:38.90 ID:pjaxlLgo
乙です
しんくっく可愛い
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/24(日) 00:23:57.07 ID:iMtwaBMo
乙〜
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/24(日) 00:24:38.61 ID:tOy07Nko
乙樽場 >>530 撃破も撃退も困難… 苦戦するわけだ…

スナーク軍団に流されるきらきー可愛いよきらきー
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/24(日) 03:54:00.51 ID:gzmtUhAo
おっつ
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/24(日) 11:23:41.51 ID:FIRvxMAO
おつちゃん
みんな幸せになれるといいな
はやく一家団欒がみたいぜ
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/01/26(火) 01:43:57.89 ID:KM1HrsDO
乙っす!
すごい大スペクタクルだ
薔薇乙女、戦乙女、契約者たちの織り成す壮大なドラマ……!
「誰がために、闘いますか」
554 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/28(木) 00:11:15.81 ID:7g7xtLEo
大変申し訳ないですが、投下を明日に延期します…
毎度毎度、すみません…
555 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:29:38.98 ID:7hHd4dQo
>>548-553
乙どもっす。遅れてすみません…


>>550 >>548
どっちも憎たらしくしようとしてるんですが…でもやっぱり可愛い(ゑ

>>552
いま少しだけ、お付き合いください… 

>>553
嬉しいですけど、ほめすぎです;;; あわわ;;;
風呂敷をひろげすぎた「親子ゲンカ」のケリをつけられるようがんばります;;;


再開します〜
556 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:31:47.52 ID:7hHd4dQo

…パァ…



ジュン「ホーリエ… なぜ…」

金糸雀「…」



チカ… チカ…



真紅「なぜ… なぜ、あなたが私を…!」

金糸雀「(あなた…)」



チカッ…



「 不思議は ありますまい 」



真紅「なっ…?!」

ジュン「…な!」

「 … 」コツ…



翠星石「ふ、不思議じゃないって… 不思議ですっ!」

蒼星石「いったい… どういうことなんですか?!」

「 わかりませんか 」…コツ




「 すでに 戦乙女たちは 金糸雀の制御を 離れているのですよ 」
557 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:32:45.36 ID:7hHd4dQo

蒼星石「え… えっ?」

「 こうなるのは 自明の事です 」

真紅「な、何を言っているの?!」

「 そうでしょう 金糸雀 」

雛苺「え、えっ??」

翠星石「え… カ、カナ姉?」



金糸雀「…」ギュ…


 
真紅「金糸雀!? あなた、何か知っているの!?」

ジュン「…いったい、どういうことなんだ!」

金糸雀「…」



「お父さまの、言うとおりかしら」



翠星石「え…」

金糸雀「なんの不思議もないことかしら…」

真紅「な、なぜ? ホーリエが、わたしを…!」

金糸雀「戦乙女がわたしの制御を離れた以上、精霊はみんなのもとに戻る」

蒼星石「…姉さん?!」

金糸雀「そして」…ギュッ



「みんなを、守ろうとする」
558 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:34:28.63 ID:7hHd4dQo
真紅「…えっ?」

ジュン「…ま、守ろうと?」

金糸雀「そうかしら。 …真紅」

真紅「まさか…」

金糸雀「そう」



「ホーリエは、あなたを守ろうとしただけかしら」



ジュン「そうなのか…」

金糸雀「ああするほかに、あなたを守れなかった。 …それだけかしら」

真紅「ホーリエ…」



パァァ…



真紅「あなた…」

金糸雀「…真紅」

真紅「…わかってる」ス…



…スック



真紅「…」ギュ…

金糸雀「(…真紅、あなたは…)」

真紅「…」キッ!



「 ……… 」
559 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:36:01.16 ID:7hHd4dQo

翠星石「(真紅…!)」

真紅「…」ブルブル…

翠星石「(…ガマンです! ここは、ガマンの子になるです!)」

真紅「(…わかってるっ!!)」…ギュ!



…ス…



 「 ……… 」



 真紅「………」

「 何ですかな? 」

真紅「…すみません」…ブルッ

「 …ほう 」

真紅「…少し、取り乱しました」ブル…



ブルブルブル…



雛苺「(真紅…!)」

真紅「すみません… どうか…」ブルブルブル…

「 ……… 」

真紅「わたしたちの… 話を… 聞いてください…」キッ!



「…『お父様』…!」



「 ……… 」
560 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:38:33.62 ID:7hHd4dQo

金糸雀「…」

翠星石「…真紅…!」…ジワッ

真紅「どうか… どうか…」ブルブルブル…



「 ……… 」



真紅「お… お父様…っ…」

「 ……… 」

真紅「…お父様…?」

「 ……… 」



ブゥン…



金糸雀「…?」

ジュン「(…あ、あれっ?)」

真紅「…お父様? お父様?!」

「 ……… 」


…カチ   ピッ… 


翠星石「あ、あれれ…?」

蒼星石「(…様子が、おかしい?)」

真紅「おとう…さま…?」

「 ……… 」



ピ… ピ…
561 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:40:36.02 ID:7hHd4dQo

雛苺「お、おとうさま…?」

真紅「…お父様っ!!」グイ!


「 ……… 」…フラ


金糸雀「し、真紅!!」 

真紅「お父様… お父さまっ!!」ユサユサユサ…

「 ……… 」フラ… フラ…

翠星石「ム、ムチャはよすですっ!」

真紅「…無茶じゃない! お父様の様子が、おかしい!」ユサユサ…

「 ……… 」グラ…

真紅「お父様… お父様!!」

「 ……… 」ヨロ…


「 …おや 」


翠星石「あ、ありゃ?」

真紅「お父様…!」

「 …乱暴ですね 」

蒼星石「お… お父様?」

ジュン「…?」

真紅「お、お父様…」

「 これは 失礼しました 」

真紅「…い、いったい…」

「 ところで… 」



「 どこまで お話 しましたかな? 」
562 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:43:51.56 ID:7hHd4dQo

真紅「な…!!」

翠星石「ほ、ほえ???」ガクッ!

「 まったく 礼儀を知らぬ子ですね …そうそう 」



「 ホーリエに 礼は 言いましたか? 」



金糸雀「…お、おとう… さま…?」

「 その子に 感謝しておくことです 」

蒼星石「い、いったい…」

「 その子が あなたを 止めなければ… 」

真紅「………」ブル…



ワナワナワナ…



蒼星石「(ま、まずい!)」

真紅「…ふ… ふっ…」ブルブルブル…!

翠星石「…真紅!! こらえるです…」

真紅「…う…」ギリッ!



「… う ぅ ぅ う ぅ ぅ う ぅ ぅーーーー っ!!! 」…ガバ!!



ジュン「真紅?!」

真紅「ふざけ… ふざけるなあ―――っ!! あなたなんか…!」



…シュルルルルッ!
563 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:51:22.56 ID:7hHd4dQo

「 ほう… 」

ジュン「(…薔薇の花びらを!)」

金糸雀「真紅、やめるかしら!!」

真紅「あなた… お前なんかっ!!」パァァァ…!!

「 …ふむ 」…ス…



パァ…



翠星石「!!」

蒼星石「(あれは、さっきの…!)」

「 やはり そうでしょうな 」パァァ…

真紅「うるさいっ!! 私を… 私をバカにしてっ!! お前、お前なんか…!」シュゥゥゥゥ…

雛苺「真紅!! だめぇーっ!!!」

金糸雀「真紅! 落ち着くかしら!!」

真紅「…もう無駄よ!! 雪華綺晶の言うとおりなのよ!」シュパ!


…ジャキッ!


ジュン「真紅!!(『薔薇の剣』を!!)」

真紅「こんなやつ、話なんか通じない!! こんなやつ…!」グッ!

「 … 」…ボゥッ

真紅「こんなやつなんか!!」ガバ!!



「お父様なんかじゃ…!!」



バチッ!!
564 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:54:49.74 ID:7hHd4dQo

真紅「かはっ!?」

「 …おや 」

ジュン「…あれは!」



チカ…



金糸雀「…」

真紅「ピ… ピチカート…?」



パァァ…



真紅「なぜ… どうして…」

金糸雀「…真紅」ス…



「下がりなさい」



真紅「な… 何を… …っ…」

翠星石「(カナ姉…!)」

金糸雀「姉として、ローゼンメイデン第2ドール… いいえ」

雛苺「カ、カナ…」

金糸雀「『第1ドール』として、あなたに命じます」キッ! 



「いますぐ、そこから立ち退きなさい!」



…チカ チカ…
565 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/01/28(木) 21:57:10.24 ID:7hHd4dQo

真紅「だ… 第1… ドール…?」

金糸雀「そうなのでしょう、お父さま…?」

蒼星石「(…金糸雀、姉さん…?)」



「 ……… 」



真紅「…金糸雀っ!!」

金糸雀「…真紅、下がれ!」

真紅「わたし…」ガクガクガク…


「わたし… おとうさま… おとうさまに!!」…ジャキ!


金糸雀「(…真紅…!)」

真紅「…わたしっ!!」ガバ!

翠星石「真紅…!」

蒼星石「許せ!」



シュパシュパ!  …シュパッ!



真紅「(スィドリーム… レンピカ?!)」

雛苺「…ごめんなさい、なのっ!!」

真紅「(ベリーベル… く?!)」



バチバチバチッ!!



「うああああっ!」
566 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/01/28(木) 21:57:50.25 ID:7hHd4dQo
今日はここまでです。続きは来月1日。
567 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/01/28(木) 22:04:43.36 ID:xOrVS2wo
おつおつ
568 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/01/28(木) 23:00:13.51 ID:YkonZHUo
おっつ
569 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/01/28(木) 23:24:23.21 ID:zlHC9cIo
570 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/01/28(木) 23:25:57.35 ID:fc1Ea4so
乙でした
ローカルルールが変わってるがどうするのかな…
571 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/01/29(金) 01:43:25.34 ID:B/6TL2.o
乙樽場 さて混迷の深まる状況…
572 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:08:37.66 ID:qhPgNQMo
>>567-571
おつどもっす〜


>>570
とりあえず埋まるまではここで投下して、埋まりきるかもしも通告を受けたようならその時点で創作板へ移動ってことで考えてます。


いかようになっても、今後ともお付き合いしてくれれば、これほど嬉しいことは無いです。
投下します。
573 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:10:22.26 ID:qhPgNQMo

…カツ カツ カツ



「…」

「…」



…カツ カツ カツ



「…ココデ 二手ニ 分カレマショウ」

「…」

「…アナタ?」



カツ…



「オルトリンデ?」

「オ姉サマ」

「ナニ?」

「コレデ…」



…オ…オ…オ…オ…



オルトリンデ「コレデ 良カッタノ デスカ」

ブリュンヒルデ「…」
574 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:12:19.94 ID:qhPgNQMo

オルトリンデ「通信ガ ツナガラナカッタ事モ」

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「薔薇乙女タチノ コトモ …ワタシタチヘノ 処分ノコトモ」

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「何一ツ 聞カナイデ 良カッタノデスカ?」

ブリュンヒルデ「エエ」



…カツン



ブリュンヒルデ「何事モ 無クテ 良カッタ」

オルトリンデ「何事モ?」

ブリュンヒルデ「エエ」 

オルトリンデ「オ姉サマ…」

ブリュンヒルデ「ソウデショウ?」…カツ…



「オ父様ハ 無事ダッタノ ダカラ」



オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「今ハ トリアエズ ソレデ 充分ヨ」

オルトリンデ「…ソウカシラ」

ブリュンヒルデ「信ジナサイ」



…シュル…
575 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:14:10.91 ID:qhPgNQMo

ブリュンヒルデ「オ父サマヲ… ワタシタチノ ソシテ 薔薇乙女ノ 父親ヲ」

オルトリンデ「…デモ…」

ブリュンヒルデ「キット 悪イヨウニハ…」

オルトリンデ「…!」



シュルルルルルル…



オルトリンデ「(白イ イバラガ 目ノ前ニ! …侵入者!!)」

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「(検知器ガ 反応 シナカッタノ?!)」カチ!


ピ…


ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「(…検知器ニ 反応ガ 無イ! コレハ…)」

ブリュンヒルデ「…アナタ デスカ」

「………」シュルルルルル…



雪華綺晶「お役目 ご苦労様」



オルトリンデ「オ嬢様…!」…ジャキッ!

雪華綺晶「うふふ。 何をそんなに、緊張してるの?」シュルシュルシュル…

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「よかったわね、ブリュンヒルデ」…ニコ



「 お 父 様 が 無 事 で 」
576 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:18:24.24 ID:qhPgNQMo

ブリュンヒルデ「…エエ」

雪華綺晶「…ふふ、ほんとうに、よかったわ…」クスクスクス…

オルトリンデ「…」

雪華綺晶「けれど、あなたたちはいいの? くく…」

ブリュンヒルデ「何ガ デスカ」
 
雪華綺晶「『何が』? …勝手に、お姉さまたちをここに入れちゃって」クス…


「『レーヴァティン』まで持ち出して…」


オルトリンデ「…」

雪華綺晶「どう言い訳するつもりなの? …うふふ」…ニヤ

ブリュンヒルデ「…オ父様ノ 裁定ヲ 待チマス」

雪華綺晶「あ、そう。 ふふふふふ…」

オルトリンデ「…」

雪華綺晶「せいぜい、いい子にしてればいいわ… くく…」


「おとなしく、ジャンクにされちゃうまでね…!」


オルトリンデ「…!」

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「…ふふふふ、あなたたちはほんとに、ほーんとにいい子ねぇ…」

オルトリンデ「(…コノ…!)」

雪華綺晶「どんなふうに扱ったって、何をやらせたって、何一つ文句も言わない、逆らいもしない…」

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「そして、使えなくなったら… ぽーい♪」…ケラケラケラ



「ほんとに、ほんとに、都合のいいお人形さん…!」
577 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:22:30.41 ID:qhPgNQMo

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「…くっくっく、あはははは…!」

オルトリンデ「…」


…カツッ!


ブリュンヒルデ「…『リンデ』」

オルトリンデ「行キマショウ オ姉サマ」

雪華綺晶「…あら、気に障った? ふふっ…」クスクスクス…

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「オ父サマノ 御命令ドオリニ」

ブリュンヒルデ「…ソウネ」

オルトリンデ「ワタシモ オ父サマヲ 信ジマス」

雪華綺晶「うんうん、そうそう。 ちゃーんと、言うこと聞かなくちゃね…」…ケラケラケラ

オルトリンデ「御用ガ 無イナラ」カツッ…!

雪華綺晶「待ちなさい」



シュルシュルシュル…



オルトリンデ「何カ」

雪華綺晶「なにか、じゃないわ。 わたしを連れて行きなさい」

オルトリンデ「…ナンノ タメニ?」

雪華綺晶「あなたたちが、わたしに、頼んだことでしょう?」ザワ…



「薔薇乙女たちが 『絶望』 していないかどうか 判定しろって」
578 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:26:20.22 ID:qhPgNQMo

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「ソレハ…!」

雪華綺晶「…お父様、言っていたでしょう? 薔薇乙女たちが…」 


「わたしの手に余るようなら、あなたたちに手を貸しなさいって」


オルトリンデ「…」

雪華綺晶「どう?」ニコニコ

ブリュンヒルデ「…確カニ 承ッテ オリマス」

雪華綺晶「なら、ふたりとも一緒に来なさい」

オルトリンデ「…シカシ ワタシタチハ、拠点ノ警護ヲ…」

雪華綺晶「わたしが帰還したのだから、大丈夫よ」シュル… 



「わたしのイバラを、かいくぐれるやつはいないもの…」シュルシュルシュル…



ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「…都合が悪いの?」…ニコ

オルトリンデ「(ヨクモ…)」

雪華綺晶「お父様の指示よ? あなたたちの、大好きな、ね…?」

オルトリンデ「(ヨクモ イケシャアシャアト…!)」



(雪華綺晶「…おとなしくしてなさい、そうすれば痛くなんかしない!」)

(ジークルーネ「ア… アアア…!」)



オルトリンデ「(自分ガ ジークルーネニ ナニヲシタカ…!)」

雪華綺晶「ふふ… 忘れてないけど? …『リンデ』」
579 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:29:41.38 ID:qhPgNQMo

オルトリンデ「…!!(…シマッタ!)」

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「あの時は、ごめんなさいね… うふふふ…」ザワ…

オルトリンデ「(…クッ!心ヲ…!)」…ギリッ!

雪華綺晶「もう、落ち着いたから、あんなことはしない… ふふ…」ザワザワザワ…

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「どうしても、都合が悪い? なら…」…ニヤ



「どちらか ひとりだけでも いいわ」



オルトリンデ「…!」

雪華綺晶「…だめ?(ふふふ…)」

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「どちらかに拠点を警護してもらって、ひとりだけでもついてきてくれれば…(そうしてくれれば…)」



(お姉さまたちの力を借りなくても、ひとりだけなら… くくくくく…)



ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「ねえ、だめぇ?(あいつは、もう目覚めてしまってる…)」

オルトリンデ「……」

雪華綺晶「(どうせ、あいつにバレずにこの子たちを食べてしまうのが無理だっていうのなら…)」ザワザワザワ…



(いっそのこと、あいつの目の前で、この子たちを喰ってやる…!)
580 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:37:02.65 ID:qhPgNQMo

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「(あいつの目の前で喰ってやれれば… 制御を取り返される前に、勝負をつけてやる!!)」

オルトリンデ「オ姉サマ…」

ブリュンヒルデ「…オ嬢様」



「オトモ イタシマス」



オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「…ワタシタチ フタリデ」

オルトリンデ「(オ姉サマ…!)」

雪華綺晶「そう、ありがとう…(ふふふ…)」

ブリュンヒルデ「ドウカ 速ヤカニ 判定ヲ オ願イシマス」

雪華綺晶「まかせておいて… くくっ…(願っても無いわ…)」シュル…



(ふたりいれば… ふたりいれば、なんとでもなる…!!)



オルトリンデ「…」

雪華綺晶「じゃあ、行きましょう? わたしが案内するわ…」クスクスクス…

ブリュンヒルデ「…ソレデハ」…カツッ


カツ カツ カツ…


雪華綺晶「(くく… ふふふ… 頼むわよ、わたしのかわいいお人形さん…!)」

オルトリンデ「…」カツ…



(くけけけけけけっ!)
581 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/01(月) 23:37:59.33 ID:qhPgNQMo
ちょっと短いですが、今日はここまでです。続きは5日。
582 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/02(火) 06:41:04.09 ID:OGj6NDgo
おっつ
583 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/02(火) 06:50:50.84 ID:mCZRi5gP
乙です
584 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/03(水) 00:25:06.12 ID:JUNKRl2o
ID記念
585 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/03(水) 09:02:58.96 ID:yL7gnfAo
>>584
JUNクリクリ
586 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/03(水) 09:19:02.18 ID:3Xn.nz2o
乙樽場

>>584 ぱねぇ
587 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/05(金) 20:50:40.52 ID:yrDa0Nko
>>582-586
乙どもっす。
たびたび申し訳ないですが、次回投下を9日に延期します…
いつもいつも、すみません;;;


>>584
ジャンクにしてください(滅
588 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/06(土) 23:58:34.46 ID:Xcp3cQDO
乙っす。
ヤボールっす。

YJといい、こっちといい
きらきーの動向に目が離せないですな……
589 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 22:36:09.33 ID:1ZsIzMwo
>>588
ありがとです… 頑張りまっす。


再開します〜
590 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 22:37:43.19 ID:1ZsIzMwo

…オオオ…オオオ…



「 … 」

「お… お父… さま…」

「…真紅っ!!」



シュルルル…



「あ… うっ…」



…ヨロ…



ジュン「…真紅っ!」

真紅「…っ…」…ガク



ガシッ!



ジュン「真紅、真紅…!」

真紅「…」

ジュン「…くそ…っ!!」



「 ……… 」



(ラプラスの魔・・・!)
591 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 22:40:44.07 ID:1ZsIzMwo

「 …やれやれ 」…スゥ



ボオゥ…



「 余計な 手間を 」…ブーン…

ジュン「こ、この…!」
 
金糸雀「ジュン! 真紅を、早く!」

ジュン「…わかってるっ!」…ダッ!



「 …ふむ 」



タタタタタ…



金糸雀「ジュン…!」

ジュン「(くそ… くそぅっ!)」…ダッ!

翠星石「(…ごめんなさい! ジュン、真紅…)」

ジュン「(…水銀燈…!)」



―あなたは、この子たちが命令を聞かなかった時点で―



雛苺「ジュ、ジュン…?(泣いてるの…?)」

ジュン「(わかってる… わかってるんだっ!! くそ…!)」

蒼星石「(ジュン君…)」



―さっさと締め上げて、おとなしくさせるべきだったのよ―
592 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 22:44:09.86 ID:1ZsIzMwo

ジュン「(くそ…くそっ!)」…ギリッ

翠星石「…ジュン…!」

雛苺「ご… ごめんなさいなの…」

ジュン「…」



「…あやまらなくていい」



雛苺「えっ…」


翠星石「…ジュン?」

ジュン「謝らなければいけないのは、ぼくのほうだ」

蒼星石「…」

ジュン「君たちに、やらせてしまって。 …カナ、真紅は?」

金糸雀「…大丈夫かしら」…スッ



真紅「…う…」



金糸雀「(一時的に、機能をマヒさせただけ。すぐに、目覚めるかしら)」

ジュン「(…わかった)」



「 茶番は 終わりましたか 」



ジュン「…!」


ボウ…
593 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 22:47:10.88 ID:1ZsIzMwo

ジュン「…!」

蒼星石「(なにっ…!)」ギリッ!

翠星石「なっ!!」



「 ゆっくり お話したいのは やまやまですが 」…ス


ボゥ…


翠星石「(ひ…!)」

蒼星石「あれは…!」

「 あいにく わたしには 時間が あまり ないのです 」ブゥン…

雛苺「ひ、ひっ…!」

「 せっかく 来ていただいたのに 申し訳 ないのですが 」

金糸雀「…くっ!」ガバ!

「 こちらの用を 先に 」…ス…

ジュン「(…やるしかない!)」バッ!



…ダッ!


金糸雀「…え?! ちょ、ちょっと!!」

ジュン「待て… 待ってくれ!!」タタタ…

翠星石「ジュ、ジュン!?」

蒼星石…「ジュン君!!」

ジュン「話が… 話があるんだ! 聞いてくれ…!」…キッ!



「 『ローゼン』! 」
594 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 22:52:12.71 ID:1ZsIzMwo
「 ……… 」



蒼星石「…!(や、やるのか?! でも…!)」

翠星石「ジュっ、ジュン?!(い、いいんですか?!)」

ジュン「頼む、ローゼン! 話を聞いてくれ!!」

「 ……… 」



「 世迷言を 」



ジュン「…ローゼン!」

「 私は ローゼンでも ありませんし 」…スゥ…

雛苺「や、やめてっ!!」

「 人間の話を 聞く気も ないですよ 」

ジュン「話があるのは、ぼくじゃないっ!!」



「薔薇乙女たちの話を、どうか聞いてやってくれ!!」



「 … 」

ジュン「…みんな、あなたに聞いてほしい事があるんだ!」

金糸雀「…ジュン!」

ジュン「だから、どうか…!」

「 …私に あなたの申し出を 聞く義理など 」

ジュン「あるだろう!」…キッ! 



「これは『取引』だ!!」
595 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 22:55:37.18 ID:1ZsIzMwo
翠星石「(ジュン…! だ、だいじょうぶなんですか?!)」

蒼星石「(ジュン君、いいのか?! 計画では…!)」



ジュン「(計画は狂ってしまったけれど… もう、やるしかない!)」

「 …取引、ですと?」

ジュン「その通りだ! これは、対等な立場での取引だ!!」

「 ……… 」



雛苺「ジュン…!」

金糸雀「(…ジュン…!)」



「 …対価は、何ですかな? 」

ジュン「もう、先に払ってる! わかっているはずだ!」

「 …ふむ  」

ジュン「みんなの結晶を再生するための生命と精神の力、そして時間と労苦!!」

「 ……… 」

ジュン「ぼく一人だけじゃない! のり…姉さん、巴、めぐ、柴崎さんたち…」

「 ……… 」

ジュン「ぼくら全員のそれらを捧げて、薔薇乙女たちの命をつないだ対価として!」…バッ!


「みんなの話を、聞いてやってくれ!!!」



真紅「………」



「 ……… 」

ジュン「どうだ! これは『対等な取引』じゃないのか?!」
596 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 23:04:04.37 ID:1ZsIzMwo

雛苺「(ジュン、おとうさま…!)」

金糸雀「(…ジュン、カナは…)」



(あなたを、信じるかしら!!)



「 …私が そんなものに 応ずるとでも 」

ジュン「雪華綺晶から、聞いたんだ。ローゼン… いや、『ラプラスの魔』」

「 ……… 」

ジュン「あなたは、人間との『対等な取引』や『正当な約定』に対して…」

「 ……… 」

ジュン「最大限、誠意をもって報いると… そうすることしかできないと」



金糸雀「(カナは… カナは、水銀燈に選ばれた人である、あなたを信じるかしら!)」



「 …ふん 」

ジュン「あなたは、ローゼンによってそう創られている…」

「 ……… 」

ジュン「あなた自身が、人間に仇をなす存在とならないために」

「 ……… 」

ジュン「人とともに生きる薔薇乙女たちを、守り続ける存在であるために…」

「 ……… 」

ジュン「…違いますか?」

「 ……… 」ブン…



バゥ…
597 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 23:09:04.20 ID:1ZsIzMwo

ジュン「ぼくらは、アリスとなるべき薔薇乙女たちに、通常の契約以上のことをした」

「 ……… 」

ジュン「あなたが、薔薇乙女をアリスにするための存在だというのなら、これは十分な対価のはずだ!」

「 ……… 」…ス


ブゥン…


金糸雀「…!」

雛苺「(ジュ、ジュン!!)」

「 例外が あります 」

ジュン「…」

「 アリス生成を 妨げるようなら 取引に応じる事も 約定を守る事も ありません 」

ジュン「…わかっています。 あくまでぼくの望みは『あなたが薔薇乙女たちの話を聞くこと』だけです」

「 ……… 」



…フッ…



ジュン「…!」

「 …無駄だとは 思いますが 」

ジュン「ローゼン…!」

「 違います …仕方 ありませんね 」…ス…



…コツ



「 対等な 取引と 認めましょう 」
598 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 23:11:48.38 ID:1ZsIzMwo

ジュン「…ありがとう、ローゼン…!」

「 …だから 違うと… 」

ジュン「金糸雀!」

金糸雀「はいっ!!」



タタタ…!



翠星石「カナ姉…!」

蒼星石「…姉さん!」

ジュン「頼んだぞ、金糸雀っ!」

金糸雀「わかったかしら! …お父様っ!!」…キッ!



「 ……… 」



金糸雀「お父様…」グッ…!

「 …何かね 」ボゥ…

金糸雀「お父様っ!」…ザッ!



「お父様、お話があります!!」



雛苺「カナ…!」

ジュン「(…いよいよだ!)」チラ…



真紅「…」
599 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 23:14:01.30 ID:1ZsIzMwo

ジュン「(…真紅っ!)」…ギュ!

真紅「…」

ジュン「(金糸雀、頼んだぞ!)」 



(…君が頼りだ!)



金糸雀「お父様…!」

「 … 」ボゥ…

金糸雀「お願いです、話を聞いてください!」

「 わたしは あなたたちの 父親ではないと 何度言えば… 」

金糸雀「…それなら、それで構いません!」

「 ほう 」ボォ…

金糸雀「あなたがそう言うなら、それで…」ギュ…



…ギリッ!



翠星石「(カナ姉…)」

金糸雀「あなたが、そう言い張るのなら… それで、構いませんっ!」

「 …ふむ 」

金糸雀「でも… でも、どうか、わたしたちの話だけは聞いてください!」

「 必要ありません 」

金糸雀「…お父様! わたしたちは!」

「 あなたたちは もう 知っているはずですよ 」ブゥン…



「 わたしは ずっと あなたたちの情報を 逐一 収集してきたのですから 」
600 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 23:24:15.34 ID:1ZsIzMwo
翠星石「…!」…ギュ!

蒼星石「!!」ギリ!



「 わたしは すべてを 把握しているのです 」



蒼星石「(…く、くそっ!!)」ギュウ…!

翠星石「(あ、あんまりです…!!)」

ジュン「(…ふたりとも!)」

雛苺「(蒼星石… 翠星石ぃ!)」



「 あなたたちが 何を思い 何をしてきたのか 」



蒼星石「(う… 嘘だ嘘だっ!! 違う、違うっ!)」 

翠星石「(わたしたち… わたしたち!!)」



「 雪華綺晶に命じ あなたたちの心を 常に 観察していましたから 」



蒼星石「(違う… 違うんだぁっ!! くそ、くそぅっ!!)」

翠星石「(わたしたち… かわいそうな子なんかじゃないですっ!!)」



(アナタタチッテ カ・ワ・イ・ソ・ウ・ネェッ!! アハハハハ… アーッハッハッハ!!)



翠星石「(笑うな… わたしたちのこと、笑うなぁーっ!!)」

蒼星石「(僕の… 僕の頭から出て行け…!!)」


(…ピュセル!!)
601 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/09(火) 23:28:07.45 ID:1ZsIzMwo

ジュン「(観察… だと!?)」

「 ですから いまさら あらためて 聞く必要は 」

金糸雀「…それは、違います!」キッ!



「それは『雪華綺晶が観た』わたしたちの心に過ぎません!!」



翠星石「(…カナ姉!)」

「 …ほう 」

金糸雀「観察する対象が同じものでも、観察者が違えば、その結果も違うはずです!」

「 ……… 」

金糸雀「どうか、違う視点からの記録も、参考程度で構いませんから…!」

「 わざわざ あなたたちの 主観が入った 情報を 得ろと? 」

金糸雀「…比較対象としては、有用だと思いませんか?!」



翠星石「(カナ姉! 負けるな、ひるむな、押しまくれですっ!!)」…ギュ!

蒼星石「(…姉さん! あなたが頼りだ! 僕らは…)」ギュウ…



「(刃を使った戦いなら、あなたと戦えるけれど…)」 



「 偏った情報は 不要です 」

金糸雀「情報の入手先が偏っているのは、問題ではないのですか!」

「 わたしの手法を あげつらう おつもりですか 」

金糸雀「…あなたは、お父様ではないのでしょう?! 何の問題があるのですか!?」



蒼星石「(言葉を使った戦いでは、僕らはあなたには、到底かなわないんだ!)」…ギュウ
602 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/02/09(火) 23:32:59.50 ID:1ZsIzMwo
今日はここまでです。続きは12日。
603 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/09(火) 23:35:46.90 ID:b1dY3.oP
なんだと… 乙です
604 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/10(水) 10:23:55.38 ID:8c6pELso
おっつ
605 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/11(木) 22:38:10.29 ID:PeMwxtIo
盛大に遅れたが乙樽場 口勝負か…
606 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/12(金) 23:56:10.34 ID:q16kL12o
>>603-605
乙どもっす。再開します。
607 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:00:03.98 ID:JmMDCVEo

「お父様、どうか… 認めてください! 聞き入れてください!」

「 さきほどから すでに 十分 聞き入れています 」

「私たちは、絶望してはいません! すべてを知った、今もなお!」



ジュン「(…金糸雀! がんばれ! なんとか、粘ってくれ!)」

雛苺「(カ、カナぁ…!)」…ブルッ!



「 それは 雪華綺晶に 調べさせれば わかることです 」

「ですから、雪華綺晶の意見だけでなく、わたしたちの言葉も聞いてください!」

「 何度も 申し上げている通り 情報の入手 その評価について あなたたちの意見を取り入れる必要は… 」

「ならば、さきほどの質問にお答えください! お父… ラプラスの魔!」



ジュン「(金糸雀… なんとか、粘るんだ! そして…!)」

雛苺「(カナ、こわいの… お顔も、声も… でも!)」



「 …その必要性を 認めません 」

「あなたがお父様でないのなら、わたしたちの事に口を出される筋合いはありません!」

「 わたしは ローゼンから 君たちのことを 託されているのですよ 」

「…なら、それを証明するものはあるのですか?」



翠星石「(がんばって… がんばってっ! カナ姉!!)」

蒼星石「(姉さん、あなたが頼りだ! 僕たちの…)」




「(僕たちが望む『決着』を、果たすために!!)」
608 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:06:26.56 ID:JmMDCVEo

「 そんなことを 証明する 必要が あるのですか? 」

「あなたが、お父様を騙る存在でないという確証がありません!」

「 …水銀燈の 存在が 証明になるでしょう 」

「あなたがしたことだと、証明できるのですか!?」

「そこまで お疑いに なるのなら 」…スッ



「 ご本人に 聞いてみては いかがですか 」

「えっ…」



ジュン「(か、金糸雀?!)」

雛苺「(カナ…?!)」



「 水銀燈は すべてを 知っています 」

「………」

「 わたしが どのような存在であるのか なにをせんと しているのか 」

「………」…ギュッ



翠星石「(カ、カナ姉…?)」

蒼星石「(…姉さん!)」



「 彼女の存在こそ もっとも雄弁に それらを物語る 」

「………」

「 本人に お聞きなさい 」…ス



ボゥ…
609 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:11:18.82 ID:JmMDCVEo

ジュン「!!」

雛苺「ひ…!」



「 ですが もう その必要も 無いでしょう 」ブゥン…

「………」



翠星石「(カ… カナ姉!)」

蒼星石「(だ、だめか!?)」



「 やはり あなたたちは 知るべきではなかった 」…ボォウ

「…」

「 次なる 時代で お会いしましょう 」…ス…

「…そうして…!」…キッ!



「そうしてまた、水銀燈に、すべてを押しつける気ですか?!」



「 ……… 」



ジュン「(…金糸雀…!)」

雛苺「(カ、カナ… おとうさま?)」



金糸雀「答えてください、お父様!!」

「 ……… 」
610 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:16:21.71 ID:JmMDCVEo

雛苺「お… おとうさまが…!」

ジュン「(…いけるか? 雪華綺晶から聞いた、僕たちの切り札!)」



(「薔薇乙女たちは、お父さまに向けるはずだった憎しみを、お母さまにぶつけてきた…」)

(「『あいつ』は、それがアリス生成を阻む要因になった可能性を、無視できていない!」)



金糸雀「あなたは、ずっとずっと、わたしたちに手を出してこなかった…」

「 ……… 」

金糸雀「声もかけてくれなかった… 姿も見せて、くれなかった!」

「 ……… 」

金糸雀「でも、そんなことは、もういいんです!」



蒼星石「(ラプラスの魔が、沈黙してる…!)」

翠星石「(…カナ姉! チャンスですっ!)」



金糸雀「わたしたちは、あなたの願うとおり、アリスを目指す! それは変わりません!」

「 ならば なにも 問題は…」

金糸雀「けれど『あなた自身は』それでいいのですか?!」

「………」

金糸雀「…自分に向けられるべき憎しみを、水銀燈に向けさせて!」

「 …それで あなたたちが アリスに なれるのなら 何も問題は 」

金糸雀「ならばなぜ、さきほど、言葉に詰まったのですか?!」



ジュン「(いける、いけるぞ…!)」

翠星石「(イケイケですー! 押しまくるですぅ〜〜〜!!)」
611 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:22:03.70 ID:JmMDCVEo

金糸雀「あなたが、ただの機械に過ぎないというのなら、なぜ返答に詰まったのです…?!」

「 まったく 脈絡のない 質問をするからです 」

金糸雀「返答しだいでは、あなたの理論に齟齬が生じるからではないのですか?!」



翠星石「(やったです! もう、勝ったも同然ですっ!!)」

蒼星石「(姉さん…!)」


…カチャリ


蒼星石「…あれ…?」

翠星石「(…蒼星石?)」

蒼星石「…」


…カタン


蒼星石「(庭師の鋏…?)」


…ギュ…


蒼星石「(こんなに、細かったかな… 軽かったかな…)」

翠星石「(…でも、ホッとしました)」

蒼星石「(翠星石?)」

翠星石「(最初は、作戦通りにいかなかったから、どうなるかと思いましたけど…)」

ジュン「…」

翠星石「(この分なら、なんとかなりそうですね)」

ジュン「(ああ。 …それに、もし万一最悪の事態が起きたなら)」



(…ボクが、なんとかしてみせるよ)
612 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:23:42.50 ID:JmMDCVEo

蒼星石「(…ジュン君)」

翠星石「(はいはい。 頼りにしてますですよ〜〜〜)」ニタニタ

ジュン「(…もう。 ヒナ、真紅の様子は?)」

雛苺「は、はい! えっと… し、真紅ぅ!」…ユサユサ



「…」

「真紅、真紅ぅ!」ユサユサユサ…

「…んっ…」



翠星石「(真紅…!)」

雛苺「(真紅! …だいじょうぶ、そうなの!)」

ジュン「(よかった… これで、あとは…!)」



…カツン!



「 …おや 」

金糸雀「…!」



…カツ カツ カツ…



翠星石「あっ… あの子たち?!」

蒼星石「(警護に回ったはずじゃ…?!)」



カツ カツ カツ…
613 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:26:09.99 ID:JmMDCVEo

金糸雀「…あなたたち! そう…」

「 遅かったですね 」

金糸雀「(…来たのね、やっと…!)」



…カツン



オルトリンデ「…オ話中 失礼シマス」

ジュン「君たちは…!」

ブリュンヒルデ「コチラヘ ドウゾ」



「…オ嬢様」



…シュル…



「ふふっ…」



シュルシュルシュル…



「ふふふ… くくっ…」



金糸雀「(…あなた…!)」

「お待たせいたしました… お父様、お姉さまがた…」

雛苺「(…ひ…!)」



シュルシュルシュル…
614 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:35:26.07 ID:JmMDCVEo
蒼星石「(…そうか、来たか!)」

翠星石「(いよいよですね…!)」

「なにやら、話がこじれていたようですけれど… くすくすくす…」



…ザワッ



「もう、大丈夫ですから… お姉さまがたが『絶望』していないかどうか…」

雛苺「…ひ、ひぃ…!」ブル…!

ジュン「(…雛苺! しっかりするんだ!)」

雛苺「(う、うぅ…っ!)」ブルブルブル…!

「わたしが確かめてさしあげます… ふふふふふっ…」



…ザワザワザワ…!



「 ずいぶんと 時間が かかったものですね 」

雪華綺晶「申し訳ありません…」


…ギロ


雛苺「(ひ!)」

雪華綺晶「お姉さまたちが なにやら おかしなことを なさっていたようですから…」

雛苺「(こ… こわいっ!!)」ガクガクガク…



(こわいこわいこわい…!!)

「…雛苺っ!」


パンッ!
615 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/13(土) 00:42:46.30 ID:JmMDCVEo
雛苺「きゃんっ?!」

ジュン「君は!」

「まったく、もう…」



真紅「しっかりなさい、雛苺!」



雛苺「し、真紅!」

ジュン「大丈夫か!」

真紅「ええ… 雛苺!」キッ!

雛苺「は、はい!」ピーン!

真紅「取り乱してはダメ!お父様の前よ!」

雛苺「え…」



「 ……… 」



真紅「返事は?!」

雛苺「は、はいっ!!」ピシッ!

蒼星石「(…もう、真紅ったら)」

翠星石「(自分こそさっき、思いっきり取り乱してたくせに… でも!)」



雪華綺晶「…ふふふ…」



翠星石「(いいタイミングで、目覚めてくれましたね!)」

雪華綺晶「おはよう… 真紅お姉さま」


ザワザワザワ…
616 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/02/13(土) 00:43:34.40 ID:JmMDCVEo
ちょっと短いですが、今日はここまでです。続きは17日。
617 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/13(土) 00:46:46.39 ID:6f1P74co
乙です!
俺も真紅に殴られたいでございます
618 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/13(土) 02:26:04.88 ID:RcmhUIYo
乙樽場 さぁて状況が拗れそうだ…!
619 :パー速のローカルルールが変わりました[sage]:2010/02/13(土) 13:39:01.35 ID:dgMO8EUo
おっつ
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/15(月) 18:23:11.64 ID:nrkBdgDO
乙っす
621 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 22:53:51.10 ID:6cNI95wo
>>617-620
乙どもっす。再開します〜
622 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 22:58:36.03 ID:6cNI95wo

ジュン「(雪華綺晶…!)」

金糸雀「…」

雪華綺晶「ずいぶんと、よくお休みだったようですけど… ふふふ…」シュル シュル…

真紅「…」

雪華綺晶「ふふっ… 真紅お姉さま…」

真紅「…なに、かしら」



シュルシュルシュル…



真紅「…あなた?」

雪華綺晶「…」シュルル…

真紅「あなた、いったい…」

雪華綺晶「…お父様との『ご挨拶』は、お済みになりました?」

真紅「えっ… ええ」

雪華綺晶「なら…」ニヤ…



「よく、『わかった』でしょう?」



真紅「え…」

金糸雀「(あなた…!?)」

雪華綺晶「…ね?(そうでしょう、真紅…)」



(『あいつ』のこと、よくわかったでしょう…?)
623 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:06:26.46 ID:6cNI95wo

真紅「えっ…」

金糸雀「(…雪華綺晶、あなた!)」

雪華綺晶「(わたしの、言ったとおりだったでしょう? ふふふ…)」

真紅「…」

翠星石「し、真紅…?」

真紅「…」…ギュッ


ギリ…


蒼星石「…真紅!」

雪華綺晶「(…余計なことをしてくれて… 何を考えていたのか、知らないけど)」…シュル…

真紅「…」…ギュ…

雛苺「し、真紅…?」

雪華綺晶「(もう、わかったでしょう? わたしの考えどおりに、するしか…)」

真紅「…お父さま」…スッ



ス…



雪華綺晶「(…あら?)」

「 ……… 」

ジュン「し、真紅…」

真紅「雛苺だけでなく…」…ギュッ

金糸雀「(…真紅…)」

真紅「わたしも… 取り乱して、しまって…」ギュウ…



ブルブルブル…
624 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:09:31.36 ID:6cNI95wo

蒼星石「(君は…!)」

真紅「誉れ高き… 薔薇乙女に、あるまじき… ふるまいを…」…ギュウウ…

「 ……… 」

真紅「まことに… 申し訳…」ポロ…

「 ……… 」…スッ



「 構いません 」



ジュン「(…『ローゼン』…)」

雪華綺晶「(…ふん)」

真紅「…お父様…」

「 違います …しかし 」 …ス

真紅「…」

「 『彼』との約定は 果たさねば なりますまい 」



…コツ



金糸雀「『約定』…」

「 あなたがたを 『究極の少女』に するために 」コツ コツ

蒼星石「…」

「 『絶望』に 心を 蝕まれて いないかどうか 」コツ…

翠星石「(…お父様…!)」



「 これより あなたがたの 精神を 精査します 」
625 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:11:38.39 ID:6cNI95wo

ジュン「(…いよいよか…!)」

真紅「…はい、どうか」

雛苺「(…こ、こわい…!)」…チラ



雪華綺晶「…」…シュルシュルシュル…



雛苺「(…こ、こわいの… でもっ!)」

真紅「ジュン、私を降ろして」

ジュン「あ、ああ」…ソーッ

真紅「…ありがとう」ス…



…スタッ



ジュン「大丈夫か? ひとりで…」

真紅「ええ、歩けるわ」…スック

翠星石「真紅…」

真紅「…あなたがたも」

蒼星石「え?」



…スッ



翠星石「し、真紅っ!?」

真紅「みんな…」スゥ…



「…ごめんなさい…」
626 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:13:59.69 ID:6cNI95wo

金糸雀「…」

真紅「ごめんなさい…(私は…)」

雛苺「う、うう…」

真紅「(私は、もう少しで… みんなの想いを…)」

蒼星石「君は…」

真紅「(すべてを… 台無しにするところだった…)」…ギュウ…

翠星石「(真紅… 真紅は…)」…ギュ



(真紅は悪くないです! 悪くないんですっ!! 真紅は…)


…ギュ…


(わたしたちが言いたかったこと… 代わりに言ってくれただけなんです…)


…ギュウウ…


(こんなときこそ、どきゅんでKYの翠星石が、言わなきゃいけなかったのに…!)



真紅「…私は…」

翠星石「(ごめんなさい、真紅… わたしは、お姉ちゃん失格です…)」

金糸雀「もう、充分かしら」

真紅「…」

金糸雀「あと少しの、辛抱かしら。 …だから」

真紅「…はい」…コクン



「…お姉様」
627 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:19:05.09 ID:6cNI95wo

翠星石「(…ぎょ!!!)」

金糸雀「…」

蒼星石「(し、真紅が… 金糸雀姉さんのことを!?)」

真紅「私は、もう大丈夫。 何の迷いも無い。 だから…」

金糸雀「…みなまで言うな、かしら♪」…スッ



「なーんの問題もないかしら!」



ジュン「(金糸雀…)」

金糸雀「わたしたちが、ずっとずっと、アリスゲームにあけくれながら…」

蒼星石「…」

金糸雀「永い、ながーいあいだ、待ちに待ったときがやってきた。 それだけかしら!」

真紅「…ええ」

金糸雀「わたしたちの、ずっと積み重ねてきた想い、磨き上げてきた心…」



「…柴崎さんたちが言ったとおり、胸を張って、お父様に見せてあげるかしら!」



ジュン「みんな…!」

翠星石「そうです! その通りですっ! …お父様!」ガバッ!

蒼星石「どうか、僕らの心、ご存分にお改めください…!」…グッ!

真紅「わたしたちは… 金糸雀が、言ったとおりに…」



…キッ!



「『絶望』などしていないということ、証明してみせます!」
628 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:22:08.07 ID:6cNI95wo

雪華綺晶「(…待ちに待った? 確かに、そうね…)」シュルシュルシュル…

「 ……… 」

雪華綺晶「(永かった… ほんとうに、永かったわ! あなたの道具として、使われ続けて来た日々!)」

「 ……… 」

雪華綺晶「(でも、それももう終わる… くくく… ききき…!)」…チラ



真紅「じゃ、ジュン…」…スタ

ジュン「…ああ。 頑張って、真紅」

真紅「…」



…ソーッ



ジュン「…ん?」

真紅「(わかっている?)」…ヒソヒソ

ジュン「(あ、ああ)」

真紅「(すぐ、あなたの出番が来る。 覚悟はいい?)」…ヒソヒソ…

ジュン「(…もちろんさ。 さあ、行くんだ)」

真紅「(…)」



…チュ



ジュン「うわ?!」

真紅「…ふふっ」…クル



スタ スタ スタ…
629 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:26:24.13 ID:6cNI95wo

真紅「…」スタ スタ…

雛苺「(こ、こわくない! こわくないっ!!)」トテ トテ



シュルシュルシュル…



翠星石「(…さあ、いよいよ本番ですっ!!)」

蒼星石「(終わらせるんだ… 最後のゲームを!)」



…シュル…



雪華綺晶「…」

真紅「…待たせたわね、雪華綺晶」

雪華綺晶「…始めます」ザワ…

金糸雀「(…来る…!)」


…ザワザワザワ…


雪華綺晶「(ふん、真紅たちったら、時間をとらせて… でも、いいわ)」

「 ……… 」

雪華綺晶「(これで、『あいつ』の前で堂々と、お姉様がたの力を貰えるんだから…)」

「 ……… 」

雪華綺晶「…それでは、お父様。 精査のために」シュル…

「 …うむ 」

雪華綺晶「お姉さまがたの心と、わたし心をつなぎます」ザワ…



ザワザワザワ…
630 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:30:35.92 ID:6cNI95wo

翠星石「(うう… いつ見ても、気味が悪いですっ・・・!)」

蒼星石「(無数のイバラが、鎌首をもたげて迫ってくる…!)」


ザワザワザワ…


雛苺「…ひ、ひぃっ!」

雪華綺晶「それでは…(いただきます…♪)」ザワ…

真紅「…」



ザワザワザワ…


金糸雀「…いまっ!!!」


バンッ!!!



「な?!」

蒼星石「ここまでだっ!!」

翠星石「…お父様っ!!」



…ダダダダッ!



雪華綺晶「み、みんな?! いったい…」

金糸雀「お父様、だまされてはいけません!!」タタッ!

雪華綺晶「…え?」

真紅「そうです、お父様! これは…」キッ!



「これはみんな、雪華綺晶の罠です!」
631 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/17(水) 23:32:34.63 ID:6cNI95wo
今日はここまでです。続きは21日。
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/18(木) 17:25:43.80 ID:uL8dqhko
おっつ
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/19(金) 03:31:04.90 ID:hTELWUco
乙樽場
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/19(金) 03:34:15.97 ID:21uoe2DO
乙っす
いよいよっすね……
635 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:16:51.97 ID:RZfvWBko
>>632-634
乙どもっす。再開します。
636 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:21:12.11 ID:RZfvWBko

雪華綺晶「…なっ?!」

ジュン「…真紅っ!」バッ!

真紅「ジュン!」タタッ!



タタタタ…!



雪華綺晶「お、お姉さまたち! 何を…」

オルトリンデ「(…イ、イッタイ?)」

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「い、戦乙女たち!! お姉さまたちを…!」

オルトリンデ「…!」ジャキ!

雪華綺晶「お姉さまたちを、抑えなさい!!」

ブリュンヒルデ「…」チャキ!

金糸雀「…戦乙女たち!」



「…心配は無用かしら! 武器を下ろしなさい!!」



雪華綺晶「な、なんですって?!」

真紅「そうよ! 私達は…!」…ザザッ!

翠星石「わたしたちは、ここから逃げるつもりも、お父様を襲うつもりも無いです!」ジャキ…!

雪華綺晶「な、なにを… なにをいったい!!」

蒼星石「そうだ、雪華綺晶! 僕たちは逃げも、隠しごともしない!!」キッ!



「…君と違ってね!!」
637 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:22:43.02 ID:RZfvWBko

雪華綺晶「!!」

「 …ふむ 」

雪華綺晶「そ、蒼星石!! なにをバカなことを…!」

蒼星石「バカなことを言ったのは、君のほうだろう!」

翠星石「そうです! その通りですっ!!」…ジャキ!



「わたしたちに向かって、お父様を裏切れとそそのかしたのは、いったい誰ですか!!!」



雪華綺晶「な!!!」

「 ……… 」

雪華綺晶「…あ、あなたたち… なにを… なにをバカなことを…!!」

「 ……… 」ス…



…カツッ!



雪華綺晶「…ひっ!」ビクッ!

「 ……… 」

雪華綺晶「お、お父さま…」…ブルッ

「 ……… 」

雪華綺晶「う、うそです! わ、わたしは、そんなこと…」

「 お黙りなさい 」

雪華綺晶「(ひ!!)」

「 ……… 」スゥ…



「 これは いったい どういうこと なのですか  」
638 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:25:11.89 ID:RZfvWBko

雪華綺晶「…あ、あっ… そ… そっ…」

「 答えられない ようなこと なのですか 」

雪華綺晶「!! ちっ、ちが…!」

真紅「その通りです!」

雪華綺晶「し…真紅っ!!」

真紅「その子は、私たちの力を使って戦乙女を我が物とし…!」…ザッ!



「あなたを裏切るつもりだったのです!!」



オルトリンデ「…!」

ブリュンヒルデ「…」

「 …ほう 」

雪華綺晶「う、うそよ!! うそようそよ!! そんな…っ!!」

金糸雀「それだけじゃないかしら!!」

雪華綺晶「金糸雀?!」

金糸雀「雪華綺晶はローゼンお父様のかわりに、ジュンを父親にしようとしていたかしら!!」


「 ふむ… 」


金糸雀「そして、お父様を切り捨てようとしていたかしら!!!」

オルトリンデ「(…ヤハリ!)」

雪華綺晶「…違う!! ちがうちがう、ちがうのぉーっ!!(みんな…!!)」

翠星石「違わないですっ!!」

雪華綺晶「ちがうのよぉーっ!!(みんな…みんな、なぜ?!)」



(言ってくれたじゃない! わたしと一緒に暮らすって!!)
639 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:28:21.59 ID:RZfvWBko

蒼星石「…違わないだろう、雪華綺晶! 僕たちとお父様との絆を、甘く見たか!」

雪華綺晶「な、何を言っているの、蒼星石!!(一緒に償っていこうって… 言ってくれたじゃない! みんな!!)」

真紅「…あなたは、お父様の仕打ちを、恨んでいるのかもしれない」

雪華綺晶「し… 真紅?! あなたまで、何を…!(あなただって言ってた! 『これが最後』って…!!)」

真紅「だから、わたしたちを巻きこんで、お父様に刃向かおうとしたのでしょう?」

雪華綺晶「!! ちっ… ちが…!!」

真紅「確かに私たちは、何も知らされることなく、姉妹同士で戦ってきた」…チラ


「 ……… 」


真紅「…せめて、なにか一言くらいはほしかったけれど… でも!!」

ジュン「(真紅…!)」

真紅「けれど、わたしたちは…」キッ!



「それがお父様のお役に立ってきたというのならば、喜びこそすれ恨みなんかしない!!」



雪華綺晶「…なっ!!」

真紅「だから私たちは、あなたの思惑通りに動くつもりなんて無いわ!!」

蒼星石「その通りだ! 僕たちとお父様との絆を、軽く見るな!!」

雪華綺晶「そ… そんなっ…! うそ、うそ…!」

「 ……… 」

雪華綺晶「お、お姉さまがた!! …ヒナ姉さまっ!!」



…ギロ!
640 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:30:24.11 ID:RZfvWBko

雛苺「(ひ、ひっ!)」

雪華綺晶「これは… これはいったい、どういうことですか!!」ギリ…!

雛苺「(ひ、ひぃ… こ、こわいっ!!)」

雪華綺晶「返事によっては…!!」…ザワッ!!

雛苺「(こ、こわいこわいこわい…   !!!)」



―ヒナは… ヒナは、―になるの!



雛苺「(…みっちゃん…!)」

雪華綺晶「(返事によっては、ただじゃおかない…!!)」ギリ…!

雛苺「…―っ!!」キッ!



「 う る さ い の  ー ー ー  ー ー !!! 」



雪華綺晶「な?!」

蒼星石「(…やった!)」

雛苺「…うるさいうるさい、うるさいのっ!! ヒナは…」


「 ……… 」


雪華綺晶「な… なにを…!!」

雛苺「ヒナは… ヒナは、雪華綺晶とはちがうの!!」

雪華綺晶「なっ!!」

雛苺「ヒナは、お父様がだーいすきなのっ!! だから、雪華綺晶の…」キッ!



「おまえのいうことなんか、きかないのー!!!!!」
641 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:32:06.91 ID:RZfvWBko

雪華綺晶「な… なっ…!!!」

翠星石「よっしゃ! よく言ったです、雛苺!」

雛苺「えっへんなのっ!!」フンゾリ!

雪華綺晶「な…なにを!!!」ザワァ!!



…カツッ!!



雪華綺晶「ひ、ひっ!?」

真紅「…!」



「 ……… 」



雪華綺晶「お、お父様…」 

「 ……… 」

雪華綺晶「お父、様… お姉さま… たちは、ウソを…!!!」

「 雪華綺晶 説明の …いや 」


…ブゥン!


雪華綺晶「…ひ?!」

「 …弁解の 必要は ない 」ボボボボ…

ジュン「(あれは…?!)」

雪華綺晶「そ、そんな… お、お父様っ!!」ブルブルブル…

「 …雪華綺晶 」…バウ!



「 君の結晶を いますぐ 私に差し出すのだ 」
642 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:34:48.06 ID:RZfvWBko

雪華綺晶「え… えっ…」ガクガクガク…

「 言い争っていても 埒は開かない 」

雪華綺晶「そ… そんな…」ブルブルブル…

「 ウソを ついていないと 言うのならば 」…ゴオ!



「 その『幽体』から いますぐ 外に出てくるのだ 」



翠星石「(あ、あれは…?!)」

「 早くなさい 」ゴゴゴゴゴ…

蒼星石「(空間が、ひずんでいく!!)」

雪華綺晶「そっ… それは…!」

「 『幽体』の中に いる限り わたしでさえ 君の意識に 干渉は出来ない 」ゴウ…

雪華綺晶「う… あ…」

「 結晶を 差し出さないのなら その時点で 叛意ありと みなす 」…ゴオ!



ゴゴゴゴゴゴ…!!



真紅「(空間に、穴が!!)」

ジュン「(…あれが『虚無』か!!)」

雪華綺晶「…あ… …っ…(ひ、引きこまれる…!!)」ズズ…

「 … さ あ  」…ゴ!!



…ザッ!



「お父様、お待ちください!!」
643 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:37:10.01 ID:RZfvWBko

雪華綺晶「…えっ?!」

「 ……… 」

金糸雀「お父様、お待ちになってください!!」

雪華綺晶「か… 金糸雀… うああ?!」…ズズ!

真紅「まだ… まだ、雪華綺晶を罰さないでください!!」…タッ!



ゴォォォォ…!



雪華綺晶「(い、いったい…?!)」

「 …なぜ ですかな? 」…ゴ!

蒼星石「まだ、終わっていません!!」

「 ……… 」ゴゴゴゴ…

雪華綺晶「(終わってない?! な、なにが…?!)」…ズ…

翠星石「わたしたち、まだ、決着をつけてないんです!」

「 …ほう 」…パチン!



…フッ



雪華綺晶「…きゃあ?!」…ズルッ!

ジュン「(『虚無』が、消えた…)」

真紅「お父様…!」

雪華綺晶「は、はあ、はあ、はあ…(お姉さま… お姉さまっ?!)」

「 ……… 」カツ…



「 決着とは どういう ことですかな 」
644 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:39:34.85 ID:RZfvWBko

金糸雀「…お父様、ありがとうございます」

「 質問に 答えなさい 」

真紅「私たちの言葉を、聞き届けてくださって…!」…キッ!


「さあ、雪華綺晶! 私たちと決着をつけるのよ!!」


雪華綺晶「え、えっ?!」

金糸雀「お父様の御前で、わたしの演奏を披露できるとは思わなかったかしら!」スチャ!

真紅「さあ雪華綺晶! 覚悟なさい!!」…サワ…


…サワサワサワ…!


オルトリンデ「(薔薇ノ 花ビラヲ…!!)」

ブリュンヒルデ「(コレハ 戦闘態勢!!)」

雪華綺晶「け、決着…って? な、なんのこと…」

翠星石「…決まってるじゃ、ないですか」…ジャキ!

雪華綺晶「す、翠星石…? いったい…」

蒼星石「…そうだよ、雪華綺晶」チャキッ!



「僕たち姉妹の間で『決着』と言ったら、ひとつしかないだろう?」



雪華綺晶「!!」

「 …なるほど そういうことですか 」

雪華綺晶「お、お父様?!」

金糸雀「その通りです、お父様! わたしは…」



「姉妹全員の結晶を得ましたが、まだその子と雌雄を決してはいません!!」
645 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:46:50.32 ID:RZfvWBko

雪華綺晶「え?! …そ、そんなこと…!!」

真紅「私たちもです! まだ私たちは、その子と直接決着をつけていないのです!」

「 …なるほど 」



…スッ



雪華綺晶「お、お父様…?」

「 そういうこと でしたか 」

翠星石「そうです! このままじゃ、スッキリしません! お父様、どうか、わたしたちに…!」…ヒュルン!

蒼星石「最後の… 最後の決着を、つけさせてください!!」ヒュンヒュンッ!

雪華綺晶「なっ… まさか!!」

雛苺「そのまさかなのっ!! …雪華綺晶!!」



…キッ!!



雪華綺晶「ひ、雛苺?!」

雛苺「雪華綺晶、ヒナのこと、食べちゃったことあるでしょ!!」

雪華綺晶「そ、それが… どうしたっていうのよ!!」

雛苺「どうしたじゃ、ないの! やられっぱなしは、イヤなの! だから!!」ガバッ!!



「おとうさまに、おしおきされるまえに…  ヒナたちと!!」



…グッ!



「『アリスゲーム』のけっちゃくを、つけるのよっ!!」
646 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/21(日) 22:48:07.52 ID:RZfvWBko
今日はここまでです。続きは25日。
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/21(日) 23:47:46.38 ID:aRV4eiUo
おっつ
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/22(月) 00:03:53.41 ID:MUaZRAwo
乙樽場 さて、ここからどう落とすのか
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/22(月) 14:14:34.88 ID:lM0LGoDO
乙っす

決着の時……
650 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:02:51.97 ID:IDtEtpoo
>>647-649
決死の覚悟で落とします(謎

再開します〜
651 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:04:35.89 ID:IDtEtpoo

雪華綺晶「な…!(そ… そんな… なぜ?!)」

真紅「雛苺の言うとおりよ、雪華綺晶! わたしたちと戦いなさい!!」

雪華綺晶「(う、うそ… うそっ! 真紅、あなた、言ってたじゃない!!)」



―わたしたちは、この子の姉。 この子の罪も罰も、ずっと一緒に引き受けていくつもり。



雪華綺晶「(それなのに… それなのに、なぜ!!)」

翠星石「やいっ! なに、ボケボケしてるですか!」

雪華綺晶「翠星石お姉さま?!」

蒼星石「戦う準備をするんだ、雪華綺晶!!」

雪華綺晶「た、戦うって…なぜ!(あなたたちだって…!)」



(翠星石だって、蒼星石だって…)



―ずっと、あなたひとりに、背負わせてきちゃいましたね… おいしいもの、いーっぱい食べさせてあげますからね?


―みんなで、帰ろう。みんながいる、あの場所へ。 いつもの暮らしへ。 …みんなで、いっしょに。



雪華綺晶「(ああ言って、くれたじゃない! なぜ… なぜ?!)」

金糸雀「私たちは、もう準備万端かしら! さあ、かかってくるかしら!!」

雪華綺晶「(…金糸雀だって!!)」



―さ、雪華綺晶。 早くするかしら。 みんな、待ってるから…
652 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:06:48.13 ID:IDtEtpoo

雪華綺晶(いったいなぜ… なぜっ!!)

金糸雀「雪華綺晶! 覚悟を決めなさい!!」

雪華綺晶「かっ、金糸雀姉さまっ!!」

金糸雀「聞く耳もたないかしら!!」キッ!


「『アリスゲーム』の、決着をつけるまでは!!」


雪華綺晶「あっ、『アリスゲーム』?!」


雛苺「そうよ! そうなの!!」

翠星石「そのとおりですっ!」

雪華綺晶「なっ… なぜ!? どうして!!」

真紅「…なぜ、ですって?」…キッ!

雪華綺晶「そ、そうよ! なぜ、今になって、そんなこと…!!」

蒼星石「『そんなこと』だって? …意外だね、雪華綺晶」ギロッ…


「君が、アリスゲームのことを、そういうふうに言うなんて…」


雪華綺晶「そ、それは…」

蒼星石「確かに、僕らはアリスゲームをもってしても、アリスにはなれなかった」

翠星石「けれど、わたしたち、それなりに真剣にやってきたんですよ…?」

雪華綺晶「す、翠星石お姉さまっ!」

翠星石「いまのお前に、お姉さまなんて呼ばれたくないですっ!!」

雪華綺晶「な?!」

真紅「…その通りよ」…ザッ!



「ここで決着をつけずして、あなたのことを妹だなんて呼べないわ!!」
653 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:09:21.29 ID:IDtEtpoo

雪華綺晶「し、真紅っ! あなた…!(…わかってるでしょう?!)」…チラッ

「 ……… 」

雪華綺晶「(こいつを始末しない限り、わたしたちに安息なんて無いのよ!!)」

真紅「…覚悟を決めなさい! 私たちと、戦うのよ!!」

雪華綺晶「(な、なにを… みんな、どうしてなの?! どうしてなのよぉっ!!)」

金糸雀「雪華綺晶、何をしているの!! 臆病風にでも吹かれたのかしら?!」

雪華綺晶「…み、みんなっ!!(話が… 話がちがうっ!!)」

金糸雀「くどいかしら!!」…スチャ!



「お父様を裏切り、アリスゲームを軽んじるあなたを、妹だなんて認めないかしら!!」



雪華綺晶「え…?(妹と… 認めない?)」

翠星石「そのとおりですっ! お前なんか、妹じゃないですっ!」

蒼星石「僕をオモチャにした報い、いつか返してやろうと思っていた…!」

雪華綺晶「(う、うそ… お姉さまたち…!!)」

雛苺「ヒナもそうなの! ぜったい、ただじゃすませないのっ!!」

真紅「観念なさい、雪華綺晶…!」



雪華綺晶「(どうして… どうして、そんなことを! こうなったら!!)」…キッ!


「戦乙女たち!!」…ザワッ! 


ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「…」



「お姉さまたちを、捕らえなさい!!」
654 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:12:54.87 ID:IDtEtpoo

雛苺「え、ええっ?!」

真紅「…あなた!!」

雪華綺晶「お姉さまたちが、乱心したわ! 拘束してっ!!」



オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「…」



蒼星石「雪華綺晶、おまえ!!」

翠星石「往生際が悪いやつですっ!!」

雪華綺晶「…うるさいっ!! お、おかしなことを、さっきから!!」 

蒼星石「この期に及んで、なおとぼける気か!!」

雛苺「もうっ、てんぐのおさめどきなのっ!!」

雪華綺晶「年貢よ!! ブリュンヒルデ、オルトリンデ!!」



ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「…」



雪華綺晶「な、何をしているの! ふたりとも、早くお姉さまがたを!!」

金糸雀「ムダかしら」

雪華綺晶「…なんですって!?」

金糸雀「その子たちは、いまのあなたの言葉では動かないかしら」

雪華綺晶「な、なにをたわごとを!! その子たちは、お父様の命令で、わたしに…!」





「ソノトオリデス」
655 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:15:06.75 ID:IDtEtpoo

雪華綺晶「…な?!」

金糸雀「…!」



「ワタシタチハ オ父様ノ 命令デ」

「『氷晶』ノ オ嬢様ニ 手ヲ貸スヨウ 言イ渡サレテ イルノデス」



真紅「あなたたち…!」

雪華綺晶「そ、そうでしょう! だから、早く!!」



「勘違イヲ ナサラナイデ クダサイ」



雪華綺晶「なっ?!」

オルトリンデ「ワタシタチノ 話ヲ 聞イテ イナイノ デスカ」

雪華綺晶「な、何を、戦闘人形ごときが!! さっさと言われたとおりに動きなさい!!」

ブリュンヒルデ「…アナタハ 思イ違イヲ ナサッテイル」

雪華綺晶「ブリュンヒルデ!? あなたまで… もうっ!!」ザワッ!!

オルトリンデ「勘違イモ イイカゲンニ シテクダサイ」

雪華綺晶「さっきからなんなのよ、あなたたちは!! 勘違い、勘違いって!!」



「…」

「…」



真紅「(戦乙女たち…?)」

雪華綺晶「ふ、ふたりともっ!! なんとか言いなさいよ!!」
656 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:17:12.82 ID:IDtEtpoo

金糸雀「(だから、何度言ってもムダかしら…!)」

オルトリンデ「ワタシタチハ 最初ニ 申シ上ゲタ ハズデス」

雪華綺晶「え…?」

オルトリンデ「ワタシタチハ オ父様ノ 命令デ オ嬢様ニ 手ヲ貸スヨウ 言イ渡サレテ イルト」

雪華綺晶「そ… それが…」

ブリュンヒルデ「ワタシタチハ アナタニ 従ッテイル ワケデハ アリマセン」



「『アナタニ 従エ』 トイウ 命令ニ 従ッテ イルノデス」



雪華綺晶「…!」

ブリュンヒルデ「真偽ハ トモカク アナタニ オ父様ヘノ 叛意ガ 疑ワレタ 以上」

オルトリンデ「ワタシタチニ アナタニ 従ウ 義務モ 義理モ アリマセン」

雪華綺晶「そっ、そんな…!!」

金糸雀「当然かしら」

雪華綺晶「ふっ、ふたりともっ!! お姉さまたちは… そう、そうっ!!」


「…ウソをついているの!! そう、ウソなのよ!!」


翠星石「もうっ、まだ食い下がりますか! しぶといヤツですねー!!」

雪華綺晶「うるさい、うるさいっ!! 自分の心を調べられたくないからって!!」

蒼星石「なんだと?! …でたらめを、よくもまあ!!」

雪華綺晶「でたらめはそっちでしょう?! ウソを並べ立てて、時間を稼ごうって…!!」

金糸雀「…ムダだと言ったらムダかしら」

雪華綺晶「う、うるさいうるさい、うるさーいっ!! 戦乙女たち、さあ!!」



「…」
657 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:23:11.49 ID:IDtEtpoo
雪華綺晶「な、何をしているのよ!! 早く!!」

金糸雀「…わたしの言ったとおりかしら」

雪華綺晶「な…?!」

金糸雀「戦乙女たちはもう、今は、けして手出しはしない」

雪華綺晶「な、なぜっ?!」

金糸雀「もう、始まっているからかしら…!!」スチャ!



「『アリスゲーム』が!!」



雪華綺晶「な…?!」

オルトリンデ「ソノ 通リデス」

雪華綺晶「オルトリンデ!?」

オルトリンデ「ワタシタチハ 『アリスゲーム』ニオイテ」

ブリュンヒルデ「特定ノ 姉妹ヒトリニ 加担スルコトハ 許サレテ イナイノデス」

雪華綺晶「な…なんですってぇ?!」



「…コレハ イカナル場合ニ オイテデモ 優先サレル コトナノデス」



雪華綺晶「そ、そんなことを言っている場合じゃないでしょう!! 今は…!!」

ブリュンヒルデ「…『調査』ハ ゲーム終了後デモ 充分 間ニ合イマス」

雪華綺晶「こ、このっ!!」

オルトリンデ「ドウカ 存分ニ 決着ヲ ツケテ クダサイ」

雪華綺晶「この… この、石頭のポンコツども!! 少しは融通を利かせたら…!!」

金糸雀「黙るかしら!!!」キュイッ!


…バオッ!!
658 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:25:01.70 ID:IDtEtpoo

雪華綺晶「…っ?! 何を!!」ゴゥ!

金糸雀「何を、じゃないかしら!! その子たちを…」

オルトリンデ「(…指揮官ドノ?)」

金糸雀「その子たちを侮辱するのは、わたしが許さないかしら!!」

ブリュンヒルデ「…」

雪華綺晶「な、何よ!! こんな気のきかないガラクタども!!」

金糸雀「黙れえっ!!!」キュキキキィッ!!



…バオバオバオッ!



雪華綺晶「?! …こ、こんなもの、わたしには!!」ゴォウ!!

金糸雀「その子たちを… バカにするな…!!」ザワ…!

雪華綺晶「…金糸雀?!」

金糸雀「わたしの、大事な大事な、武器で… 体の一部で…!!」ザワザワザワ…

雪華綺晶「ま、まさか!!」

金糸雀「たくさんの戦いを、一緒にくぐりぬけた、かけがえのない『妹』たちを…」ザワザワザワ…!



「あなたなんかに… あなたなんかにっ!!」カッ!



…ゾワア!!



「バカにされて、たまるかぁーっ!!!!!」



バキバキバキバキバキィッ!!

659 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:27:31.63 ID:IDtEtpoo
雪華綺晶「な…!」

ブリュンヒルデ「…!」

オルトリンデ「オ姉サマ…!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …     


雪華綺晶「黄金の翼を…!!」

翠星石「カナ姉の、言うとおりですよ…!」…スッ

雪華綺晶「翠星石?!」

蒼星石「僕たちの… 戦いの日々を…!」ス…

雪華綺晶「蒼星石…?! ま、待って!!」

翠星石「アリスになるための、戦いを…!」


キィィィィ…ン!


蒼星石「お父様への、想いを…!」


キュウウウウ…ン!


雪華綺晶「ち、違う!! 違うのっ!!」

蒼星石「僕たちの!」キィン!

翠星石「わたしたちの!」キュウン!


「『絆』をバカにすることは!!」


…カッ!!


「絶対に、許さないっ!!!!!」



…ギィン!!
660 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:29:37.48 ID:IDtEtpoo

雪華綺晶「…『共鳴』!!」

真紅「ここまでよ、雪華綺晶。 …ジュン」


…スッ


雪華綺晶「真紅?! そ、それに…」

ジュン「ああ、真紅…」…コクン


ス…



雪華綺晶「…ジュンお父さまっ!!」

真紅「終わらせましょう」ポゥ…

ジュン「…」グ…

雪華綺晶「そ、そんな… そんなぁっ!!」

真紅「永かった… ほんとうに、永かった… けれど!」パァァ…!

ジュン「…!」グッ!

雪華綺晶「真紅、ジュンお父さま! …そ、そうよ!!」



「お父さま、みんなを止めて!!」



真紅「雪華綺晶…?」

雪華綺晶「お願い、お願いっ! みんなを、やめさせて! ジュンお父さま!!」

ジュン「…」

雪華綺晶「お父さま、言ってたでしょう!?」 



「…わたしの言うこと、ひとつだけ、なんでも聞いてくれるって!」
661 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:30:53.53 ID:IDtEtpoo

ジュン「…」

真紅「ジュン…」

雪華綺晶「言ったじゃない、あの時!! そうでしょう?!」

ジュン「…」

翠星石「(…ジュン?)」

蒼星石「(あの時…?)」

雪華綺晶「いつでもどこでも、どんなことでも、聞いてくれるって…!」

ジュン「…」




―これから1回だけ、どんなわがままでも聞く。いつでもどこでも、どんなときでも


…いいの?


―そのかわり、秘密は守ってくれよ?


うん… わたしと、お父さまだけの秘密ね?




雪華綺晶「そうでしょう?! お母さまの心の中で、約束したでしょう?!」

ジュン「…」

雪華綺晶「約束、守ってよぉっ! みんなをやめさせて! 話せば、わかるのっ!!」

ジュン「…」

雛苺「ジュン…?」

真紅「ジュン、そうなの…?」

ジュン「…」ギュッ


「…ああ、その通りだ」
662 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:32:29.41 ID:IDtEtpoo

金糸雀「ジュン、あなた…!?」

翠星石「ジュ、ジュン…?」

ジュン「…確かに、約束したよ。 僕は、雪華綺晶と…」

蒼星石「(君は…?!)」

真紅「ジュン!!」

雪華綺晶「そ、それなら…!」

ジュン「…」



「雪華綺晶」



パア…!



雪華綺晶「…えっ?」

真紅「ジュン…!?」

ジュン「…教えて、やるよ」ギュウ…



パァァ…!



金糸雀「きゃ…?! …し、真紅から、光が!!」

蒼星石「(輝きが、増していく!!)」

真紅「ジュン…!」

ジュン「…」ギュ…!




パアアアア…!!
663 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:33:56.85 ID:IDtEtpoo

雛苺「ま、まぶしいっ…!」

翠星石「(『共鳴』が、はじまるですっ!!)」

雪華綺晶「…な!! そ、そんな!!」

真紅「もう、ジュンったら。 驚かせて…」

ジュン「…ごめん、真紅」

真紅「決着のときよ、雪華綺晶」

雪華綺晶「お父さま、なぜ!! 約束… 約束はっ?!」

ジュン「雪華綺晶」ギュ…



「『お父さん』ってのは…」




パァァァァ!




「な、なに?!」

「『お父さん』は… いや、『おとな』はね…!」キッ!



「 ウ ソ つ き な ん だ ぁ ー っ ! ! ! 」 



…カッ!!



雪華綺晶「…いやあああああっ!!!」

真紅「(…来るっ!!)」



…パアンッ!!!
664 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/02/25(木) 23:34:43.29 ID:IDtEtpoo
今日はここまでです。続きは来月1日。
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/25(木) 23:38:49.23 ID:8UFwJwko
乙樽場 律儀に突っ込むきらきー可愛いよきらきー
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:41:09.04 ID:SHyHQdYo
おっつ
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/26(金) 13:10:57.94 ID:gw6Hs.DO
乙っす。
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/02/26(金) 23:42:18.29 ID:uO6//oAO

シリアスのハズなのに「ウソつきなんだぁー!!」で笑ってしまった///
669 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/01(月) 23:02:34.86 ID:NGGD2QIo
>>665-668
乙どもっす。
申し訳ないですが、今回の投下をしあさってに延期します。
いつもいつも、すみません…
670 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:25:53.78 ID:JrkpTwYo
毎度遅くなり、申し訳ないです…
再開します。
671 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:29:42.42 ID:JrkpTwYo

ウソ…



ウソだよね、みんな…? そうなの…?



ウソだ…っ!!



みんな、みんなの…!



ウ ソ つ き っ ! ! 



お母さんなんか大嫌い! いつも自分の都合ばかりで… 

ボクのことなんてなんとも思っちゃいないんだ! のりを返してよ!!



のりも嫌い! だいっ嫌い!! …ボクからお父さんを盗らないで!!

みんな… みんな嫌い! 大嫌い!!



みんなの、ウソつき!!

みんなで一緒に暮らせるって、いってたじゃないか!! ウソつき… ウソつきっ!!



おとななんて… おとななんて! みんなみんな…

ウ ソ つ き な ん だ ぁ ー っ ! ! ! 





雪華綺晶「…お… お父… さま?」

ジュン「…」
672 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:33:40.48 ID:JrkpTwYo

雪華綺晶「ジュン… お父さまっ…!! どうして!!」

ジュン「…」

雪華綺晶「…ウソ… ウソよ!! なんで… なんでそんな!!」

真紅「おしゃべりは、おしまいよ」



パァァァァ…!



雪華綺晶「…真紅っ!(『共鳴』の、紅い輝き…!)」

金糸雀「わたしたちは、もう準備万端かしら」スチャ…

翠星石「さあ、雪華綺晶! わたしたちと戦うです!」…ヒュルン!

雪華綺晶「そんな、そんなことっ! バガげてる!!」

蒼星石「…まだ言うか!」ジャキ!



…ギャン!!



雪華綺晶「く?!」ビュゴウ!

蒼星石「僕たちが、ずっとずっと打ちこんできたアリスゲームを『バカげてる』などと!」

雪華綺晶「そ、蒼星石っ! 何するの!?」

蒼星石「こんなものが効く君じゃないだろう? …さあ、来るんだ!」ジャキッ!

雪華綺晶「…も、もうっ!! 雛苺!!」


「おらー! かかってこいなのー!」


ジュン「…は?」

雪華綺晶「えっ…?」

雛苺「おるぁ! かぁってこい! かぁってこいなのっ!!」ガバ! ガバッ!!
673 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:38:08.34 ID:JrkpTwYo

蒼星石「…」ポカーン

雛苺「うぉらー! おじけづいたかっ! なのっ!!」ガバァッ!

金糸雀「(ひ、雛苺! 下品かしらっ!!)」

雛苺「(巴におしえてもらったのっ!!)」ブンブンブン!

真紅「いいかげんになさいっ!!」…ブンッ!


ゴツッ!!


雛苺「きゃあん?!」

真紅「まったくもう、お父様の前よ!!」

雛苺「…あっ…」


「 ……… 」


雛苺「ご、ごめんなさい… なの…」ションボリ

真紅「(…この子ったら、もう)」…ウンザリ

翠星石「ああ、アリスが遠くなるです…」ゲッソリ

ジュン「巴…」…ガックリ

雪華綺晶「みんな… なんで?! なんでなのよぉっ!!」…チラ



「 ……… 」



雪華綺晶「(このままじゃ… あいつを倒せないっ!!)」

ジュン「…」

雪華綺晶「(もう少しで、もう少しで… あいつを始末して…!)」

ジュン「…」

雪華綺晶「(…ジュンお父さまを、理想のお父さまにすることが、できたのにっ!!」
674 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:43:27.91 ID:JrkpTwYo

ジュン「…」

雪華綺晶「(なんで、なんでみんな、余計なことばかり… もうっ!!)」ワナワナワナ…

ジュン「…」スック


「雪華綺晶」


雪華綺晶「…な、なによっ! お父さ…っ、ジュン!!」

「 ……… 」

雪華綺晶「はやく、みんなをやめさせてっ! これじゃ、みんなの心を調べられないっ!!」

オルトリンデ「(マダ 言ッテル…)」

ジュン「ダメだ」

雪華綺晶「なっ…!」

ジュン「雪華綺晶。 …みんなと決着をつけるんだ」

雪華綺晶「な、なによ!! お父さままで!!」

ジュン「ボクは、水銀燈と約束したんだ」…キッ!



「最後の『アリスゲーム』を、見届けるって」



雪華綺晶「だ、だからなによ!!」

ジュン「これが、きみたち姉妹の最後のゲームだというのなら…」

翠星石「(ジュン…)」

ジュン「ボクは、けして手出しも口出しもしないって」

蒼星石「(ジュン君…)」

ジュン「いざゲームが始まったなら、ボクは黙って真紅に力を貸して…」…ギュ



「何があっても、すべてを見届けると」
675 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:46:01.76 ID:JrkpTwYo

雪華綺晶「な、なにを… そんなこと…!」

金糸雀「…」

ジュン「そう、ボクは水銀燈と約束したんだよ」

雪華綺晶「で… でもっ!!」

ジュン「…」



「…君は、ボクに、父親になってほしかったんだろう」



雪華綺晶「!!」

「 ……… 」

ジュン「…君は、ラプラスの魔を切り捨てて、そのかわりに…」

雪華綺晶「な、何よ! 何のこと!?」

ジュン「ボクを君たち姉妹の父親にしようと、そう思っていたんだろう?」

雪華綺晶「し、知らないっ!! お父さままで、何を言っているのよ!!」

翠星石「(…ほんっとに、しぶといヤツですね〜)」

ジュン「君たちの、ほんとうのお父さんと違って…」…ギュウッ



「ボクなら『やさしいお父さん』になってくれると、そう思ったんだろう?」



真紅「(…ジュン?)」

ジュン「…そうなんだろう、雪華綺晶」…ギリッ

雪華綺晶「し、知らない知らないっ!! でたらめを言うなっ!!」

ジュン「…雪華綺晶」キッ!



「静かにするんだ」
676 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:51:26.98 ID:JrkpTwYo

雪華綺晶「なっ…?!」

ジュン「みんなも…」…ス…


…スック


金糸雀「ジュン… 何を?」

ジュン「…ゲームが始まる前に、一言だけ、みんなに言いたいことがあるんだ」

翠星石「…ジュン???」

ジュン「頼むよ。 …時間は、とらないから」

蒼星石「ジュン君? 何を…」

真紅「…」



「わたしは、構わないわ」



雪華綺晶「な、なによ… いったい…!」

ジュン「ありがとう、真紅」

真紅「いいのよ …私達だって、言いたいことを言わせて貰ったのだから」

金糸雀「そうかしら。 それに…」



「…ジュンは水銀燈から、わたしたちのことを託された人間かしら」



ジュン「…金糸雀」

真紅「…」

金糸雀「それにあなただって、この戦いに参加するのだから…」…スッ 



「どうぞおかまいなく、一言お願いかしら」
677 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:54:00.53 ID:JrkpTwYo

ジュン「ありがとう、カナ」

真紅「…わたしは、それを認めたわけじゃないけど、今回は特別よ。 みんなは…」

翠星石「翠星石も、かまわないですぅ」

雪華綺晶「だ、だから何っ?! 何よ! なんなのよぉっ!!」

雛苺「ヒナも、いい子にして聞くの!」

翠星石「あと、あなたは…」チラッ

蒼星石「…ジュン君」…スッ



「『アリスゲーム』自体に口出しをするわけじゃ、ないんだろう?」



翠星石「…蒼星石」

蒼星石「僕たちのアリスゲームについて、ああだこうだと言うわけじゃないんだろう?」

ジュン「ああ、それは違う。 …そういう話じゃないんだ」

蒼星石「なら、話してほしい」

ジュン「…ありがとう」

雪華綺晶「も、もうっ!! だから、いったい…」



「 静 か に し ろ っ ! ! ! 」



雪華綺晶「…な?!」

雛苺「ひっ!?」

真紅「ジュン…?!」



「…静かにするんだ… 雪華綺晶!!」
678 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:57:59.56 ID:JrkpTwYo

翠星石「ジュ… ジュン???」

蒼星石「(君は…?!)」

ジュン「雪華綺晶っ…!」ギロッ!



「大事な話なんだ、静かにするんだっ!!」



雪華綺晶「なっ… こ、この…!!」…ザワッ

雛苺「(ジュ、ジュンが… ジュンが…!)」…ブルッ!



ジュン「…」ギロ…



翠星石「(マジ怒りモードに、なりやがったですぅ…!)」

雪華綺晶「な… なっ、なにを… 下手に出てれば、つけあがって!!」キッ!

ジュン「…」

雪華綺晶「人間の… 人間の、子供… ごときが…!!」ザワッ…!

ジュン「…」

雪華綺晶「わたしに… わたしに向かって!!」ザワザワザワ…!!

ジュン「雪華綺晶、話を聞くんだ」

雪華綺晶「…黙れ…! その口、ふさいでやる…!!」ザワァ!

ジュン「…雪華綺晶」…グッ



「『やさしいお父さん』なんてものは…」





…ヒキュン
679 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 19:58:46.46 ID:JrkpTwYo

「 …むっ 」

雪華綺晶「…!」



…ビーッ! ビーッ! ビーッ!



金糸雀「これは… この音は?!」

ブリュンヒルデ「コレハ 警報!」

オルトリンデ「イッタイ 何ガ…?!」



[ 中枢内空間に 異常発生  中枢内空間に 異常発生 ]



ヒキュン ビキッ… キィン ビューン…



翠星石「!!!」

蒼星石「こ… この音は!」

真紅「まさか…!」



ビーッ ビーッ ビーッ!



[ 中枢内での 空間転移は 許可されていません ]

[ ただちに 転移を 中断してください ]



キュゥン バチッ… ヒキュン キュイン…!

680 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 20:00:34.14 ID:JrkpTwYo

オルトリンデ「空間ガ 歪ミ 弾ケル音!」

ブリュンヒルデ「何者カガ 中枢内デ 瞬間移動ヲ 行オウト シテイマス!!」

雪華綺晶「『何者か』って… あなたたち、バカじゃないの?!」

金糸雀「雪華綺晶!!」



[ 中枢内結界 作動率低下中 ]

[ 空間転移 阻止できません ]



キュン… キュオン… キュウゥゥゥゥ…!



雪華綺晶「だってバカじゃない!! 金糸雀だってわかってるくせに!!」

金糸雀「(…くっ!)」ギリッ!

雪華綺晶「今、この中枢内で… そんなことができる人が、何人もいるわけないでしょう!!」

翠星石「(ま、まさかまさか… や、ヤバイです〜〜〜〜!!)」アタフタ

ジュン「…来るっ!!」



キュバァァァァァァァァ!!



雛苺「き、きゃあ!」

蒼星石「(ま、まぶしいっ!!)」

雪華綺晶「そ、そんな…!!」



……………



「 …君は… 」
681 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 20:02:12.56 ID:JrkpTwYo

……………



蒼星石「…き、来た…のか?」

翠星石「あ、あれっ…?」



……………



雛苺「ど、どうしちゃったの…?」

蒼星石「…!! 伏せるんだ雛苺!!」

雛苺「きゃあ?!」

金糸雀「く、来る! みんなっ!」ブワッ!!



「カナの翼の中に…」



キュババババババババ!!!



翠星石「(ひ、ひぃぃぃっ!!)」カキカキカキン!!

真紅「く…っ!!」バチバチバチッ!!

ジュン「…!!」

金糸雀「(すっ、すごい力…!!)」


キュバババババババ…!!


金糸雀「(翼が、もぎとられそう…!!)」



…ギシッ!
682 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 20:04:08.02 ID:JrkpTwYo
蒼星石「(なんて… なんて力なんだ!!)」

翠星石「(ま、間違いないです… 最悪です…!!)」



キュババ…



ジュン「(音が、止んだ…)」

金糸雀「は、はっ、はあ、はあ…」…ガク…

真紅「金糸雀…!」



「 あ な た た ち … 」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … 



雛苺「…ひ!」

ジュン「(…この声!!)」



「あなたたち… あれほど…」



蒼星石「き、君は…!」ジャキ!

翠星石「(さっ、最悪の事態です〜〜〜〜!!)」

「あれほど… 来るなと… 」…カク…



…カク カクカク…



水銀燈「 …あれほど、来るなと言ったでしょう!!!」
683 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/04(木) 20:04:41.55 ID:JrkpTwYo
今日はここまでです。続きはあさって。
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/04(木) 20:29:27.32 ID:jLBETDoo
乙樽場 四つ巴が始まるか…!?
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/04(木) 22:48:08.85 ID:Rli8DoDO
乙っす。
水銀燈久しぶり……!
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/05(金) 04:30:35.21 ID:zmZnV8ko
おっつ
687 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 20:53:22.82 ID:S4SueLEo
>>684-686
乙どもっす。 再開します〜
688 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 20:56:19.14 ID:S4SueLEo

翠星石「そ、それは… 水銀燈?!」

蒼星石「(様子が、おかしい!!)」




「 あ な た た ち … 」…カク…



ヨロ… カクッ… ヨロ…



真紅「あなた?!」

ジュン「(機能を、止められているのか!?)」

水銀燈「あれほど… あれほど…!」カク… カクカク…



「 …あれほど、言ったのに…!!!」…ググ グ…



…ギシッ!…



蒼星石「す、水銀燈…!」

水銀燈「ここには、来るなと… わたしが、話をつけると…!!」ザワ…

翠星石「水銀燈! ち、ちが…(あっ!!)」

ジュン「!!(…翠星石っ!!)」

蒼星石「(バ、バカっ!!)」

翠星石「あ、あわわわ…」…アタフタ

水銀燈「あんなに、あんなに… 言ったはずでしょうっ!!」ギュゴゥ!!



…キュバババババババババ!!
689 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 20:58:10.86 ID:S4SueLEo

雛苺「ひ、ひっ!!」

金糸雀「みんなっ!!」バッ!



…ズワッ!!



真紅「金糸雀… 姉さまっ!!」

金糸雀「早く、伏せて…!!」



ガガガガガガガガッ!!



金糸雀「く…くっ?!」…ミシ!

ジュン「金糸雀っ!!」

金糸雀「(ふ、防ぎきれ、ない…!!)」ミシ…



ミシ… ミシッ!



蒼星石「姉さん!!」

金糸雀「みんな… 跳んで! 逃げてっ!!」…ビキッ!!

翠星石「カナ姉っ!」

金糸雀「わたし… もう、もたないっ… はやく!!」

真紅「…っ! ジュン!」グッ!

ジュン「金糸雀っ…!」ダッ!

金糸雀「お気遣い… 無用かしら…!」ビギ…!



…ビギビギッ!
690 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 20:59:45.20 ID:S4SueLEo

オルトリンデ「(指揮官… オ姉サマガ!!)」

ブリュンヒルデ「…」

金糸雀「わたしひとりなら、なんとかなる… かしらっ! だから…!」…ギシ…!



ギ ギ ギ …



蒼星石「…姉さん!」シュダ!

翠星石「も、もうっ!」シュタッ!

金糸雀「す、すい… ぎんと…うっ!」

水銀燈「聞く耳…」ビュオ!




「聞 く 耳 持 た な い わ !!!」ギュガ!!



…グジャッ!!



蒼星石「!!」

翠星石「カナ姉!!」



ギュババババババッ!!



真紅「お姉さま!!」

雛苺「金糸雀っ!!」



…ズドドドドドドン!
691 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:03:39.45 ID:S4SueLEo

ジュン「(か、金糸雀っ…!)」

水銀燈「…ふん…」



……………



オルトリンデ「(オ姉サマ…!)」

「 見えたかね ブリュンヒルデ 」

ブリュンヒルデ「…11時ノ 方向」

オルトリンデ「エ?」



「この程度で… やられるあなたでは… ないでしょう…?」ギロ…

「…く…」

「立ち… なさい…」カク カク…

「…く、くっ…」…ギシッ



…ボロ…



オルトリンデ「(アンナ トコロニ…!)」

ジュン「金糸雀…!」

真紅「(翼を捨てて、離脱したのね…!)」

「 ………… 」

水銀燈「もう… そのザマじゃ… わたしの力は、防げないわね…」カク カク…

金糸雀「は、はあ、はあ、はあ…(なっ、なんて力かしら…!)」ミシ…



(これで、機能が停止してる状態だって言うの…?!)
692 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:08:52.06 ID:S4SueLEo

金糸雀「(あの翼は「炎の翼」じゃない… 大きいけれど、普通の翼なのに…)」グ…

水銀燈「まったく… あなたたちったら… いつものこと、だけれど…!」ギシ…

金糸雀「(…『聖母』の力さえ、まだ使ってないっていうのに…!)」…フラ…

水銀燈「言うとおりに… しなかった、悪い子には…」ギロ… 

金糸雀「く…(この体じゃ、次に攻撃されたら…)」

水銀燈「お仕置きが、必要ね…!!」…ギリッ!!



(防ぐどころか、かわすこともできない…!)ミシ…!



雪華綺晶「お、お母さま…(そ、そんな… こんなときに!!)」

水銀燈「あなたも…」ギロッ!

雪華綺晶「…ひっ!(だ、だめ… わたし一人じゃ… いまのお母さまは…)」

水銀燈「あなたたちも…」カク… 

雪華綺晶「(食べるどころか、近づくことさえままならない…!)」ザワ…

水銀燈「そんな… 武器を構えて… 戦う体制をとって…!」カク… ガクッ!



「ここで… いったい、何をしているの…?!」…ギロッ



ジュン「(水銀燈…!)」…ジーッ

水銀燈「あなたまで… こんなところに… 来て…!」…キッ!

ジュン「(き、気づけっ! 気づいてくれ!!)」

水銀燈「いったい… どういうこと…?!」

「 ……… 」



「 『アリスゲーム』の 決着を つける そうですよ 」
693 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:10:28.27 ID:S4SueLEo

蒼星石「なっ!!」

金糸雀「…!」

水銀燈「おとう… さま…?! なん… ですって…!!」


「 雪華綺晶は 私に 造反を試みた ようです 」


水銀燈「…!」

雪華綺晶「な…!」

翠星石「(よ、よけいなことを〜〜〜〜!!)」アタフタアタフタ

「 雪華綺晶が 私からの 懲罰を 受ける前に ゲームの 決着を… 」

水銀燈「…」



「…わかり… ました…」…ザワッ…



雪華綺晶「お… おかあ… さま…」

水銀燈「…」ザワザワザワ…

ジュン「(つ、翼が… 水銀燈の翼が…!)」

水銀燈「それが… あなたたちの… 答えなのね…?」ザザザザザ…!

金糸雀「(銀色の翼が、みるみるうちに、黒く染まっていく…!!)」

水銀燈「戦いを… 終わらせることなんか… 望んでいなかったのね…!」ザワ…!

蒼星石「す、水銀燈…!!(お、大きいっ!!)」

翠星石「(だ、だからそれはっ!! …んもー!!)」ムキー!!

ジュン「…」

水銀燈「残念よ…!!」ゴォ…!



ギュゴゴゴゴゴ…!
694 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:12:19.87 ID:S4SueLEo

蒼星石「(なんて大きさの翼だ…!)」

水銀燈「そんなに… 『アリスゲーム』を… 望むならっ…!!」

ジュン「(水銀燈!! 気づけ!! 気づいてくれっ!!)」

水銀燈「わたしが… 相手に… なってやるっ…!!」…ゴ!



「 それは 許しません 」



水銀燈「な…」

ジュン「な、なんだって…?!」



「 あなたは 『アリスゲーム』に 手を出しては なりません 」



水銀燈「そ、それは…!」

雪華綺晶「(あいつ…!)」

「 『アリスゲーム』は 薔薇乙女たちを アリスに近づけるため 必要な要素 」

蒼星石「(…くっ!)」

「 妨害することは 許しません 」

水銀燈「お… お父さま…っ!!」

「 あなたは 『マリア』 になることを 選んだのですから 」



「 彼女達を 『アリス』に することだけを 考えなさい 」



ジュン「ローゼン…っ…!」ギリッ!

「 それ以外のことを 考える必要は ありません …さしあたっては 」 …スッ

ス…
695 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:16:51.55 ID:S4SueLEo

オルトリンデ「(…オ父サマ?)」

ブリュンヒルデ「…」


「 あなたは いまは 自分の体の ことだけを 考えていれば よいのです 」


水銀燈「わ… わたし… は…」カク… カクカク…

金糸雀「(水銀燈… お父さまっ!!)」

「 戦乙女たち 」ス…



「 水銀燈に 『休息』を 取らせるのです 」



ジュン「(な…!)」

真紅「(休息…ですって?!)」


「 手荒な まねは したくないの ですが 」


オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「…」


「 水銀燈の 機能を すでに 止めている 以上 」


金糸雀「(あなたたち…!)」

水銀燈「(…お父さまっ!!)」


「 いまの彼女を 止めるには 外的手段に 頼るしか ありません 」


オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「…」
696 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:19:34.46 ID:S4SueLEo

蒼星石「(外的手段だって?!)」

翠星石「(お、お父さま…!!)」


「 …まあ 他の方法も 無くは無いのですが  」


真紅「(こ、この…)」

雪華綺晶「(お母さまを、なんだと思っているの…!!)」ザワ…


「 できれば この手段は 取りたくない  …ですから 」


オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「…ハイ」


「 可能な限り 丁重に あつかいなさい 」


オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「Jawohl」ス…


…ジャキ!


金糸雀「あ、あなたたちっ!!」

オルトリンデ「…My Majestat」ジャキッ…!

水銀燈「貴様ら…!!」

真紅「や、やめて!!」

オルトリンデ「…」ジリッ

ブリュンヒルデ「…『白銀の翼』ノ オ姉サマ」ジリ…


「 オ 覚 悟 ! 」


ギャン!
697 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:28:04.96 ID:S4SueLEo

雛苺「(だ、だめぇっ!!)」

金糸雀「(こ、これでは…!)」…グッ



オルトリンデ「…!」ギュンッ!

ブリュンヒルデ「…」ギャン



蒼星石「(…速いっ!?)」

翠星石「(わ、わたしたちよりも…!!)」



オルトリンデ「ドウカ… ドウカ 抵抗 ナサラナイデ クダサイ!」

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「アナタヲ 傷ツケタクハ ナイデス!!」

水銀燈「…なんですって…?」…ザワッ…



キュバババババッ!!



ジュン「(あの大きな姿が、まるで見えない…!)」

真紅「水銀燈…!」

水銀燈「…わたしを… このわたしを、傷つけたくない… ですって?」ズワァ!



「…このっ!!」ゴォウ!!



「 舐 め る な ぁ っ !! 」



…ギュオッ!!
698 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/06(土) 21:28:55.11 ID:S4SueLEo
今日はここまでっす。 続きはあさってです。
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/06(土) 21:31:13.29 ID:aWEgUhMo
乙樽場 この状況、危険すぎる…
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/07(日) 01:26:09.98 ID:Q2ePMcYo
おっつ
701 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/08(月) 11:49:43.16 ID:Kyg2aPEo
毎度申し訳ないのですが、仕事が入ってしまったので次回投下は明後日に変更です…
年度末が憎い…
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2010/03/08(月) 13:08:16.12 ID:BhG.0QAO
ふん、焦らされたって気持ちいいだけだぜ?
703 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 22:40:08.44 ID:nucOhb2o
いつもすいません…
再開します。
704 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 22:45:59.17 ID:nucOhb2o

ジュン「(うわっ?!)」

雛苺「…きゃっ!!」


ギャルルル… ギュバッ!


「!?」

「クッ!!」



ガシュ ズガッ!!



……………



「 …ほう 」

「…」

「…ナ…」



ジュン「…な、なにが…」

真紅「…水銀燈?!」

雛苺「え… えっ?!」


「…は、はあ、はあ…っ…」ギシ…


真紅「水銀燈… あなた…」

金糸雀「…あ、あなたたち!!」



「…」シュゥゥ…

「ナ… ナゼ… 」…カク…
705 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 22:48:45.46 ID:nucOhb2o

ジュン「カナ?!」

金糸雀「うそ… うそっ!!」



「…」シュゥゥ…

「ナ… ナゼ… オ…」…カク…



蒼星石「なっ!」

翠星石「…!!」

金糸雀「そ、そんな…!」



ブリュンヒルデ「…」シュー…

オルトリンデ「オ姉サマ!!」

「 …これはこれは 」

ブリュンヒルデ「損傷 甚大…」カク… 



「出力 4割減… 補正不能…」ギシ…



「状況… 擱坐…」


…ガクン


オルトリンデ「バ、バカナ!!」

ブリュンヒルデ「…」カク…

金糸雀「(…うそ、信じられない…! ブリュンヒルデの…)」



(「『鎧の乙女』の装甲が、撃ち抜かれるなんて!!!)」
706 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 22:52:15.45 ID:nucOhb2o

「 …なんとも… 」

オルトリンデ「オ、オ姉サマ! ナ、ナゼ…」

ブリュンヒルデ「…オルトリンデ 体勢ヲ 整エナサイ…」ギ ギギ…

オルトリンデ「…ク、クッ!」ギャン!

雪華綺晶「な、なっ…(お、お母さま…)」

水銀燈「………」カク カクカク…

「 …ここまでとは 」

雪華綺晶「(ふたりが交差する一瞬を狙って、あれだけの威力の攻撃を放つなんて…!)」

「 …思っていた 以上ですね… 」

雪華綺晶「(お母さま… ああ、お母さまのバカっ!! これだけの力があれば!!)」キッ!



(「こいつ」の好きなようになんか、させなくていいのに…!!)



「 ……… 」

雪華綺晶「(…なぜ、お母さま?! なぜ、こんなやつのために?!)」

水銀燈「…ふん…」カク…



「『いい判断』ね… ブリュンヒルデ…」ギロ…



ブリュンヒルデ「…」シュウウウ…

オルトリンデ「…ナ?!」

水銀燈「あそこで、あの一瞬で… わたしの『翼』を… 受け止めにかかるなんて… ねぇ…」カク…



「一撃で… ふたりとも、破壊してやろうと… 思ったのに… ふふ…」
707 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 22:54:34.68 ID:nucOhb2o

金糸雀「な…!」

オルトリンデ「(ソ、ソンナ…!)」

ブリュンヒルデ「…」シュウ…

水銀燈「あなたが… そうしていなければ… 今頃は、ふたりとも…」…カク…

金糸雀「す、水銀燈っ!!」

水銀燈「…お黙りなさい!!」…ギシッ!



「戦いにおいて… わたしを、侮辱した… 報いよ…!!」



ブリュンヒルデ「…」…グ…

オルトリンデ「(…クッ!)」…ザッ!

水銀燈「『戦乙女』の名に… 恥じなさい…!!」カク… 



カク カク…  カクン



水銀燈「あうっ…」

金糸雀「水銀燈! …ブリュンヒルデ、オルトリンデ!!」

オルトリンデ「(指揮官ドノ…!)」ギギ…

ブリュンヒルデ「スミマセン… オ父サマ…」グ ググ…

「 ……… 」



「 …水銀燈… 」…ス…



コツ…
708 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 22:58:36.10 ID:nucOhb2o

水銀燈「…お父さまっ!!」…ガク…

「 あなたは… 」コツ…

水銀燈「お父さま… お願いです…!」…ギギッ!

「 あくまで 『アリスゲーム』を 妨害しようと 言うのですか 」…コツ… 

水銀燈「これは… 違います…! 『アリスゲーム』などとは…! これは…」キッ!



「この子たちの… 悪ふざけです!! どうか… お目こぼしを…!」




翠星石「…へっ?!(そ、そんな!!)」

雛苺「(ひ、ヒナたち、ふざけてなんか…!!)」

水銀燈「この子たちには… わたしが、あとで…」…ギロッ!

翠星石「(げっ!!)」

雛苺「…ひ!」

水銀燈「よく… よぅっく…」ギリ…



「 言 っ て 聞 か せ ま す か ら っ ! ! 」 



翠星石「(ひ、ひぃぃぃぃ〜〜〜!!)」ガクガクブルブル

雛苺「     」コテン

蒼星石「ひ、雛苺っ!?」

水銀燈「だから… どうか、どうか… お父さまっ!」

「 ……… 」



…コツ…
709 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 23:05:31.38 ID:nucOhb2o

水銀燈「お父…さま…!!」

「 水銀燈 休みなさい 」コツ…

水銀燈「お父さま!! この子たちの… 悪ふざけを… どうか、どうか…!!」グ…

「 …休むのです 」

水銀燈「お父さまっ!!」ガバ…


…ギシッ!!


ジュン「す、水銀燈っ!」

水銀燈「うるさい… うるさいっ! あっ… あなた、までっ…!」カク… カク…

真紅「(水銀燈! …ああっ、違う! 違うのに…!!)」 

蒼星石「(僕たち、悪ふざけなんかじゃ、ない…! でも!)」ギリ…

翠星石「(ここここ、こっ、この状況で…!)」ブルブルブル…



(どーやってこの最凶ドールを説得しろっていうんですかー! あー、もーっ!!)」



水銀燈「お父さま… お願いです… どう… か…!」カクカク… ギシッ

「 …君は… 」

水銀燈「…もう、この子たちを… 争わせないで…! 憎しみ合わせないで…!!」

「 ……… 」

水銀燈「お叱りは… 罰は… わたしが、甘んじて、受けますっ…!!」

金糸雀「(あ、あなた… 水銀燈っ!!)」ギシ…

水銀燈「でも… でも、もう… この子たちを…!」…カク…

「 ……… 」

水銀燈「この子たち同士で… 争わせないで… くださいっ!」カク… カク…
710 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 23:11:44.13 ID:nucOhb2o

「 …どうあってもと 言うのですか 」

水銀燈「はい… どうか、どうか… お聞き届けを…!」

「 それが アリス生成のために 必要なことでも ですか 」

水銀燈「…それでも、です! どうか、それだけは…!!」グ ググ…


「この子たちは… わたしが必ず… アリスにします! してみせます!!」


翠星石「(水銀燈っ… 違う、違うのにっ、もう!)」…ジワ

蒼星石「(君は…)」

水銀燈「だから… お父さま! あなたは… 」ググッ!!

「 ……… 」

水銀燈「どうか… 演技でもいい… この子たちの前では、優しいお父さまで… あってください…」

「 …水銀燈… 」

水銀燈「わたしの、あやまちを… わたしが、犯してしまった… まちがいを…」



「もう… おしまいにして、ください…」 



「 ……… 」

「お父さま…」

「 ……… 」…スッ

「お父さま、ああっ… あ…」




「 『 あ な た 』 ! ! 」 




「 ……… 」…コォ…
711 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 23:18:44.37 ID:nucOhb2o

ジュン「?!」

雛苺「お父さま?! 何を…」

「 止むをえまい 」ボォウ…



「 精神が 定着するまでは すべきことでは なかったのだが 」



水銀燈「あ… あなた…!?」

「 …君には 休息が 必要だ 」…スッ

ジュン「(くっ!!)」


…スック!


真紅「…ジュン?」

ジュン「真紅、金糸雀を頼む!」

真紅「えっ?」

ジュン「(こうなったら…!)」ガバ!



…タタタッ!



真紅「ジュ、ジュン?!」

ジュン「(いちかばちか!!)」…ダダッ!

「 …うむ? 」

水銀燈「…ジュ ジュン…?」グ グ…

翠星石「な!!(ム、ムチャですぅっ!!)」



…ダッ!
712 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 23:27:07.90 ID:nucOhb2o

「 …君は… 」

水銀燈「あ… あな、た…?」

ジュン「(水銀燈…!)」ザッ!!


…キッ!


水銀燈「ジュ、ジュン…! たとえ… あなた… でも…!」

ジュン「………」ジーッ

水銀燈「あの子… たちを、争わせる… 気なら…!!」

ジュン「(気づけ! 気づくんだっ、水銀燈!!)」

水銀燈「そ… そこを… どけ…っ!」

ジュン「………」


…ジーッ…


「 ……… 」

雪華綺晶「(ジュ、ジュンお父さま? 何を…?)」

ジュン「………」

水銀燈「…あ、あな… た…?」

雪華綺晶「(…お母さまと、話をしているの?!)」…ザワッ…



……………



雪華綺晶「(…何も、聞こえない…?)」

水銀燈「………」…カク…



…グラッ…
713 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/10(水) 23:39:50.76 ID:nucOhb2o

真紅「…なっ?!」

翠星石「え、ええっ?!」

水銀燈「…」…グラ…



ヨロッ…



蒼星石「す、水銀燈っ?!」

雪華綺晶「う、うそっ!!」

ジュン「…水銀燈っ!」タタッ!

水銀燈「………」フラ…

ジュン「(…ありがとう!!)」ザッ!



…ガシッ!



「 …む… 」

雪華綺晶「…な?! お母さま!!」

水銀燈「………」

ジュン「(ありがとう… ありがとう、水銀燈!)」ギュウ…

雪華綺晶「う、うそ、うそよ…!!」

ジュン「…」



…スック



雪華綺晶「き、貴様… お母さまに、何をしたっ!?」

ジュン「…決着のときだ、雪華綺晶…!」
714 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/03/10(水) 23:51:15.60 ID:nucOhb2o
今日はここまでです。続きは今週日曜日です。
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/10(水) 23:53:32.85 ID:Uj2h/hwo
乙樽場 …親父の前で喧嘩する母子婿養子… 切迫してるのに微笑ましく見えて困る
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/11(木) 00:21:21.82 ID:ZO.D5.AO
乙乙乙乙乙乙乙
   乙
   乙


乙      乙
  乙乙乙乙乙乙
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/11(木) 10:15:41.55 ID:rQYHkr2o
おっつ
718 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:01:14.48 ID:p.OTWiMo
>>715-717
※どもっす〜

>>715
アリスゲームが姉妹ゲンカだったように、こいつはあくまで親子ゲンカですから…
この物語の…水銀燈にとっての、真の最強にして最後の敵は、次の最終章で登場します。


再開します〜
719 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:04:53.66 ID:p.OTWiMo

翠星石「う、うっそー、ですぅ…」

蒼星石「ジュン君… 君は…」

雛苺「…」…ピク



「…ん…」



翠星石「(いったいジュンは、何をしたんですか…?!)」

蒼星石「(ジュン君、君はいったい、何者なんだ?!)」

雛苺「う、うーん…」…ゴソゴソ



…ムクリ



蒼星石「ひ、雛苺!」

雛苺「あ、あれっ… ヒナは…」ポワポワ

翠星石「(んもう、バカヒナ! ようやく目が覚めましたか!!)」

雛苺「ご、ごめんなさいなの… あっ!」ガバ!

翠星石「ヒ、ヒナ?」

雛苺「す、水銀燈は…」キョロキョロ 



「水銀燈はっ?! 翠星石っ!」



翠星石「へ、へっ…? あ、えーっと…」

雛苺「水銀燈が、おこっちゃってるの! タイヘンなの!!」

翠星石「そ、そうだったんですけど…」

雛苺「…?????」
720 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:07:38.32 ID:p.OTWiMo

雛苺「…ど、どうしちゃったの? 翠星石… 蒼星石?」

蒼星石「あ、ああ… うん… 雛苺…」

雛苺「ん、んもー! ふたりとも、どうしちゃったのっ!?」

蒼星石「…あれを、見るんだ。 雛苺…」

雛苺「…えっ?」クルッ…



オルトリンデ「…」

ブリュンヒルデ「…」シュウウウ…



雛苺「え… ぶ、ぶりゅ… ひんで… が???」

翠星石「…向こうも見るですよ、ヒナ…」

雛苺「ふ、ふぇ…???」…クル



ジュン「(…水銀燈…)」

水銀燈「…」



雛苺「す… 水銀燈? ジュン…???」

蒼星石「…水銀燈が、ブリュンヒルデを破壊したんだ」

雛苺「えっ…!」

翠星石「その水銀燈を、ジュンが止めたんですよ…」

雛苺「…え、えーっ?!」

翠星石「(お、大声出すなですっ!!)」ガバ!

雛苺「むぐぐっぐっ?!」ジタバタ



ジュン「(…水銀燈、ありがとう…)」
721 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:09:46.64 ID:p.OTWiMo

水銀燈「…」

ジュン「(…きっと、うまくやるよ)」ギュッ…



…スック



真紅「ジュ、ジュン… あなた…」

ジュン「…」コツ コツ…

金糸雀「うっ… す、水銀燈…?!」…ビギ…

ジュン「オルトリンデ」…スッ

オルトリンデ「…ハ、ハイ」

ジュン「水銀燈のこと、頼む」

オルトリンデ「エ…」

ジュン「…頼むよ」

オルトリンデ「…デ デモ…」…チラ



「 ……… 」



オルトリンデ「ワタシハ…」

ジュン「…」

「 …構いません 」

オルトリンデ「エ?」

ジュン「…『ローゼン』」

「 オルトリンデ 」ス…



「 水銀燈を 保護なさい 」
722 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:12:22.91 ID:p.OTWiMo

オルトリンデ「ハ、ハイ!」…ガシッ!

ジュン「…ありがとう、ローゼン」

「 ……… 」

ジュン「ボクに、水銀燈を止めさせてくれて…」

「 オルトリンデ 」

オルトリンデ「…ハッ!」

「 その場で 水銀燈と ブリュンヒルデを 護りなさい 」コツ…



水銀燈「…」

ブリュンヒルデ「…オ父サマ」…ギシ…



「 アリスゲームが 終了し次第 あなたたちを 修復します 」

オルトリンデ「…Jawohl!」

「 …さあ これで いいでしょう 」コツ…



「 あなたたちの 望むとおりに するのです 」



真紅「…」

金糸雀「…お父さま」

「 もう あなたたちを 止めるものは なにもありません 」

雪華綺晶「お、お父さま…!」

「 気の済むまで 存分に おやりなさい 薔薇乙女たちよ 」ス…





「 アリスを 目指し 戦うのです 」
723 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:15:28.98 ID:p.OTWiMo

雪華綺晶「うそ… だから、違う! 違うんです、お父様!!」

「 …くどいですよ 雪華綺晶 」

雪華綺晶「お姉さまたちは、ウソをついているだけ! わたしに、心を覗かれたくなくて…!!」

ジュン「………」



「…雪華綺晶」



雪華綺晶「な… 何よ…」

ジュン「…」

雪華綺晶「た… たかが契約者ごときが、わたしに何を…!」

ジュン「…ウソ、なんだよ」

雪華綺晶「え…?」

ジュン「ウソ、だったんだ…」ギュ…



ギリ…



真紅「(ジュン…?)」

雪華綺晶「き… 貴様…? いったい、何を…」

ジュン「…君はボクのことを、理想のお父さんだって、言ってたね」

雪華綺晶「え…」

ジュン「真紅の心の中で、君は言っていた…」ギュウ…



「ボクみたいに、優しい人がお父さんだったら、どんなにいいかって…」
724 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:17:44.76 ID:p.OTWiMo

雪華綺晶「…なっ、何を…」

ジュン「覚えて、いるだろう…?」

翠星石「(…ジュン? 雪華綺晶…)」

蒼星石「(そう、だったのか? 真紅…)」

真紅「(ええ…)」ギュ…



―わたし、鏡の中からみんなを見ていて、思ってたの…



―ぶっきらぼうだけど優しくて、甘えさせてくれて、そばにいてくれる…



―こんな人がわたしのお父様だったら、どんなにいいだろうかって、ずっと、ずっと…



真紅「(…あの子は、確かにそう言っていた)」

金糸雀「(雪華綺晶…)」

雛苺「…」

雪華綺晶「そっ… それが、どうしたと…!」

ジュン「それが、ウソだったんだよ…」

雪華綺晶「な…?!」

ジュン「ボクは…」ギュウウ…



「ウソつき、だったんだ…!」




…ギリッ…
725 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:22:00.89 ID:p.OTWiMo

雛苺「ジュ… ジュン?」

ジュン「みんなも、聞いてくれ…」

雪華綺晶「た、たわごとを…!!」ザワ…!

ジュン「ボクは…」…キッ!


「みんなが… 水銀燈のなかにいたとき…」


真紅「…?」

雪華綺晶「(…?! ま、まさか!!)」

ジュン「ボクは… ボクは… みんなを…」ギリッ!!

雛苺「…ジュン?!」

雪華綺晶「(や、やめてっ!! それは言わないで!! …おっ…)」

ジュン「ボクは…」キッ!

雪華綺晶「(やめて!! 『お父さま』っ!!!)」

















「みんなを、壊そうと思ったんだっ!!」
726 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:25:21.89 ID:p.OTWiMo

真紅「…な?!」

金糸雀「え、えっ…?!」



ジュン「…」



翠星石「い… 今、ジュン… なんて…?」

蒼星石「ジュン君が… 僕たちを…?」



ジュン「ああ…」



雛苺「…う、うそ… ジュ… ジュ、ン…?」

ジュン「ほんとう、なんだよ。 ヒナ…」

雪華綺晶「な… 何を言っているの?!(そんなの、言わなくても、いいことなのに!!)」

ジュン「…」



「みんなの結晶が、水銀燈から切り離されようとしていたときに…」



真紅「…えっ…」

雪華綺晶「(?! だ、だめっ!!)」

ジュン「…水銀燈が、みんなの結晶の負荷に耐えられなくて、崩壊しそうになって…」




―なぜ?! なぜ、崩壊が止まらないんだ!?




ピキッ ピキキ…
727 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:27:30.22 ID:p.OTWiMo

―くっ、もう…もうダメなのか…?




…ピキッ!




―こうなったら、いちかばちか…! 


―みんなの結晶のエネルギーを奪って、水銀燈の負担を…


―けれど… けれど、みんなは…どうなる? みんな…


―…




ビキィッ!!




―…水銀燈っ!!


―みんな、水銀燈、ごめん! 恨んでくれても、殺されてもいい!!


―なんとか、みんなへの影響を最低限にして… 




― ボ ク は 水 銀 燈 を 助 け る ! ! 




ジュン「…」

真紅「…あ、あなた…」
728 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:32:32.72 ID:p.OTWiMo

金糸雀「ジュ… ジュン…?」グ… グ…

雪華綺晶「そ… そんな、こと…(なぜ… なぜ、いまさら、そんなことを…!)」

雛苺「ジュン… そう、なの…?」

ジュン「…そうなんだよ… ボクが優しくなれたのは…」ギュ…



「みんなに対して、後ろめたかったからなんだ…」



翠星石「そ、そんな… そんなこと…」

ジュン「ボクは、優しかったんじゃない… ボクは、ただ…」ギリ…

蒼星石「…ジュン、君…」

ジュン「自分の後ろめたさを、君たちを使って埋め合わせようとしていただけ…」

雪華綺晶「う、うるさい!! うるさーいっ!! だまれぇっ!!」

真紅「…雪華綺晶?!」

雪華綺晶「だ、だから… そうだった、からって…」キッ!



「そうだったから、どうだっていうのよぉっ?!」



真紅「な… あなた!?」

雪華綺晶「そんなの、そんなの… どうだっていいことじゃないっ!!」

金糸雀「…この子!」

雪華綺晶「あっ… あなた、約束したじゃないっ!!」 

翠星石「(雪華綺晶、おまえ…)」

雪華綺晶「あなた、あなた… わたしたちのこと…」キッ!!



「わたしたちのことも、お母さまのことも、大事にするって言ったじゃない!!」
729 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:37:53.82 ID:p.OTWiMo

蒼星石「…!!」

雪華綺晶「あなた、言ったじゃない!! 約束したじゃないっ!!」

雛苺「(雪華綺晶…!)」…ジワッ

雪華綺晶「けっ… 結晶の事だって… それだけ、それだけっ…!」

雛苺「(…雪華綺晶…きらきしょうっ!!)」…ギュ!

雪華綺晶「あなたが、あなたが… お母さまのこと…っ」…ジワ…



「 大 事 だ と 思 っ て た っ て こ と じ ゃ な い ! ! 」 



ジュン「…」

真紅「…あなた…」

雪華綺晶「それだけ、あなた、お母さまが好きだったんでしょう?! 大切だったんでしょう?!」

ジュン「…」

雪華綺晶「…それなのに… それなのに…っ!! なぜ!!」



「なぜ、今になって、そんなこと言うのよぉーっ!!」



ジュン「…」

雪華綺晶「アリスゲームの決着とか、なんとか… なぜ?! なぜなのよっ?!」

ジュン「…」

雪華綺晶「お母さまと、お母さまを大事に思ってたあなたと… 一緒に暮らせると思ったのに!」

ジュン「…」

雪華綺晶「こんな…」キッ!! 



「 こ ん な ヤ ツ と 違 っ て ! ! 」
730 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:40:39.44 ID:p.OTWiMo

ブリュンヒルデ「…!」…ギシ…

オルトリンデ「(…ヤハリ! ヤハリ オ嬢様ハ…!)」…ジャキ!

雪華綺晶「なぜなの?! なぜなのよぉっ! 『お父さま』っ!!」

ジュン「…!!」ギリ!!



「 違 う っ ! ! 」



真紅「(…ジュン?!)」

ジュン「君の… 君たちのお父さんは…」ギリ…ッ!

雪華綺晶「な、なんですって…?」

ジュン「君たちのお父さんは、間違いなく、そこにいる人なんだ…!!」



「 ……… 」



翠星石「…ジュ、ジュン…?」

蒼星石「(いったい…?)」

雪華綺晶「ち、違うっ! こんなヤツ、違うっ!!」

ジュン「…」

雪華綺晶「こんな… こんな、わたしたちのこと、考えてないヤツなんか…!!」

ジュン「…だから、ウソなんだよ…」ギリッ!

雪華綺晶「も、もうっ! さっきからそればっかり!! どういう…!」

ジュン「ボクは… ボクはウソつきなんだ、雪華綺晶!!」…ザッ!



「『優しいだけ』のお父さんなんて、ウソっぱちなんだ…!」
731 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:46:03.95 ID:p.OTWiMo

雪華綺晶「…え…?」

真紅「ジュン…?」

ジュン「ボクは、優しかったんじゃない… ボクは…」 

金糸雀「…あな…た…?」…ギ…

ジュン「ボクは、ボクは、みんなに…」ギュウッ…



「嫌われたくなかっただけ、だったんだ…」



翠星石「な… なっ…!(違う… 違うですっ!!)」

ジュン「居心地のいい、ぬるま湯のような雰囲気に、ひたっていたかっただけ…」

雪華綺晶「ち、違う違うっ! ちがうのぉっ!! お父さまはそんな人じゃ!!」

ジュン「そうなんだ!! 君たちのこと、ほんとうに、大事にしようと思ったら…」…ギリッ!



「たとえ嫌われたって、君たちのためになることをするに決まってるんだっ!!」



蒼星石「ジュ、ジュ…ン…」

ジュン「そうなんだ… そうに、決まってるんだっ…!」ブルブルブル…

蒼星石「(…ジュン君… ああ、ジュン君…)」…ブルッ…

ジュン「だから… だから、その人こそが、君たちのお父さんなんだ…っ…」ギリギリギリ…

蒼星石「(………)」ギュ…

ジュン「ボクは… 違うんだ…」ググ…

蒼星石「(…違わない。 違わないんだ、ジュン君…!)」





「(…My Lord…)」
732 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 22:54:30.43 ID:p.OTWiMo

雪華綺晶「そ、そんな… ちがう… ちがう…」…フル フル…

ジュン「ボクは、君たちのこと… 人形のように、可愛がっていただけだったんだ…」

雪華綺晶「そ… そん、な…」

ジュン「君たちがこの先どうなるか、どう生きていくかなんて、気にしてなかったから…」

雪華綺晶「う… うそ… ち、が、う…」

ジュン「何も考えずに、ただただ、甘やかしていられただけ… だったんだよ…!」キッ!



「さあ、雪華綺晶! 決着をつけるんだ!!」



雪華綺晶「な… なっ…」

ジュン「ボクはもう、優しいお父さんなんかじゃない! そうでなくって、いい!」ギュ…!

真紅「(…あなた)」

雪華綺晶「…そんな! そんな、違う!! あなたは、本当に優しい人…!!」

ジュン「…っ!!」ギロッ!



「迷惑なんだ!!!」



雪華綺晶「なっ…?!」

ジュン「君になんか、そう思われたくない…!」

雪華綺晶「な… なにを…」

ジュン「みんな、いつでも優しくて… 楽しく笑ってるばかりで… お互いを思いやるばかりで?! そんな・・・」



「そんな・・・ ボクは、そんな!!」ガバッ!!



「そんなウソっぱちの家族ごっこに、付き合いたくなんかないんだぁーっ!!!」
733 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 23:00:39.97 ID:p.OTWiMo

真紅「…」

雪華綺晶「う… 嘘… そんな…」

ジュン「…真紅」

真紅「ええ…!」キッ!

雪華綺晶「真紅!!」

真紅「…もう、話すことは何も無い!」

雪華綺晶「う… あ、あああ…」


水銀燈「…」


「お母さま…」


金糸雀「…」…グ グッ

翠星石「…」…ジャキ


「みんな… みんな…」


蒼星石「…」チャキッ!

雛苺「…」ジリ…ジリッ


「お… おっ…」

「 ……… 」

「お父… さま…」

「 …敢えて もう一度 言いましょう 」…コツ…





「 あなたの 撒いた 種です 」
734 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 23:03:49.71 ID:p.OTWiMo

「あ…ああ… あっ…」


「 あなた自身の手で 刈り取りなさい 」


「う… あああ…」


「 わたしの忠告を 聞かなかった 報いです 」


「…あ…」




…パキン…!




……………………



…お父さま



…ザワッ



お父さま…



シュル… シュル…



すべて… すべて…



あなたの… 言うとおりでした…
735 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 23:11:25.54 ID:p.OTWiMo

…シュルシュルシュル…



光と影は… 触れ合うことはあっても… 交わることは無い…

あなたの言葉どおり、だったんです… わたしが…



…ザワ…



雪華綺晶が…   愚かでした… 

わたしが… お姉さまたちと、ともに暮らそうだなんて…



…ザワザワザワザワ…



優しいお父様を得て… みんなと一緒に… お茶したり… おめかししたり… 

血にまみれた、わたしなんかが… 普通の暮らし、普通の幸せを得ようだなんて… 



ザザザザザザザ…!



そんなことが、できるなんて、考えていたわたしが…

わたしが… わたしがっ!!!





「 わ た し が バ カ だ っ た の よ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ っ ! ! ! 」





 ギ ュ バ ! ! ! 
736 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/14(日) 23:12:07.11 ID:p.OTWiMo
今日はここまでです。続きは明後日。
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/14(日) 23:35:58.01 ID:v4BmYtgo
乙樽場 >>718 なるほど… コレは期待せずには居られない
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/14(日) 23:40:50.56 ID:5vL9e3oo
激しく乙
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/15(月) 01:00:03.08 ID:fGT9XIDO
乙っす。
なんというかすごく……切ないっす……。
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/15(月) 12:27:01.15 ID:w0W5voAO
滝のように乙
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/19(金) 19:37:33.87 ID:NyjLoYAO
待っていた、このときを
742 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:03:30.44 ID:djYVJNMo
ようやく復旧した…
管理人含め関係者の方々、乙です。
再開します〜
743 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:06:13.61 ID:djYVJNMo

ギ ュ バ  ! ! 



ジュン「…!!」

真紅「やっと、その気になったわね!!」

雪華綺晶「うう… ああ、あああああ!!!」ザザァ…



ヒ ュ ボ ッ ! ! 



雛苺「…きゃ…!」

金糸雀「な、なんて量のイバラ…!」

雪華綺晶「…うあああああああーーーーーっ!!!」ザザザザザ…



…ザァッ!!



翠星石「(まるで雪崩ですっ…!!)」

雪華綺晶「よくも…」ザザ…!

蒼星石「…来るっ!」

雪華綺晶「…よくも… よくもよくも…!!」ザアッ…



「 よ く も 裏 切 っ て く れ た な ぁ っ  ! ! !   」



真紅「…さあ、来なさい!!」

雪華綺晶「 思 い 知 れ っ !!! 」ガバ!!! 



ド ザ ァ ッ !!
744 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:07:43.29 ID:djYVJNMo

オルトリンデ「…!!」

ブリュンヒルデ「…」ギ…

「 …ほう… 」



ゾ ゾ ゾ ザ ザ ザ …



オルトリンデ「(イバラノ 大渦ガ 薔薇乙女タチヲ…!)」

ブリュンヒルデ「…」

オルトリンデ「(…マルデ 荒レ狂ウ 大蛇ノヨウ!)」

ブリュンヒルデ「…オ嬢様ハ…」

「 …そうですね ブリュンヒルデ 」コツ…



「 まとめて 片をつける つもりの ようですね 」



ゾ ザ ザ …  ズ ザ ザ …



「 包囲を恐れた というよりは 激情にまかせた 結果でしょうが 」

ブリュンヒルデ「…」

「 …その判断 吉と出るか 凶と出るか 」

オルトリンデ「(…ナニヲ ノンキナ コトヲ…!)」

ブリュンヒルデ「…」ググ…



ズ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ … 



(オ姉サマ…!)
745 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:12:28.38 ID:djYVJNMo

【ジュンの精神世界】


ギュオオオオ…


よくも…


ゴォォォォォ…



…よくも …よくもっ!!

よくも、わたしを… このわたしを!!



「コケにしてくれたわね…!!」…ギリ…!



…ゴゴゴゴゴ…



期待させるだけさせておいて…

バカみたい!! わたし、バカみたいじゃないっ!!



ゴゴゴゴォォォォ…



わたし、ずっとずっと… 永い、永いあいだ、ずうっと… 願い続けてきたのに…

みんなと一緒の… 普通の暮らしを… 普通の幸せを!!



…キラッ…



「…あれは…」
746 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:16:26.73 ID:djYVJNMo

…キラ キラ…



あれは… ふ、ふふふっ…!

…見えた! 見つけた!



チカ チカ…



「ジュンの精神核… 中枢!!」



…キラ キラ…



「ふ…」



…ペロリ



「く… くふふ…!」…ペロ…



ザワザワザワ…



なんてきれい… ジュンお父さまの、こころ…

みずみずしく、きらめいてる… く、ふふう…



「 お い し そ う … ! 」



ギュァァァァァ…!
747 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:21:04.65 ID:djYVJNMo

くふふ… 許さない…

許さない、許さないっ…!



ゾゾゾゾゾゾゾ…



誰よりも… そう! 誰よりも、あなただけは…

くくく、ふふふ… くふふふふ…!



…ゾワッ…



わたしの気持ちを… 想いを… 願いを裏切った、あなただけは… 絶対に許さない…!

記憶を消すだけじゃ、あきたらない…




「その心、喰いつくしてやる… 丸呑みにしてやる!! くく、ふふふ…」



シュルルルルル…



「ああ、憎い… あなたが憎い… 憎くて憎くて…!」…ゴボッ



ゴボゴボゴボ…



「 き も ち い い っ  !  」…ゴボ!



ギュバ!!
748 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:26:00.09 ID:djYVJNMo

「…あ、いけなぁい。 ふ、ふふふ…」ゾゾゾ…



ふふふ… あんまり、あんまり嬉しすぎて…

『出ちゃいそうに』 なっちゃったぁ… ああ、ああ… ああああっ!



……………



「ああ、あなたが憎くてゾクゾクするっ…! まるで、まるで… ああ、わたし…」

「恋に堕ちちゃったみたい…!! くくく… ききき… けけけ…!」


……………


「さあ、ずうっといっしょよ、『お父さま』っ!!」 

「くけけけけけけけっ!!」



…いまだっ!!



ギュバ!!

…ガッ!!



「な?!」

「…つっ…!」



ギリギリギリ…



ジュン「捕まえたぞ、雪華綺晶…!」
749 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:30:38.14 ID:djYVJNMo

「あら? ふふふ…」

「捕まえた、やった… やったぞ!」

「…ふふうん… うふふふふ…」



ギリッ…



ジュン「捕まえた、捕まえたぞ! ボクにも、できたぞっ!」グッ…

雪華綺晶「…へぇえ…」クスクスクス

ジュン「…『相手の心を操ろうとすれば、わたしの心も相手の影響を受ける』! 君が、そして!」…グ…

雪華綺晶「…」クスクスクス…

ジュン「水銀燈が、ボクに教えてくれたことだ!」

雪華綺晶「ええ、そうね」…ギュル!


ギュルルルルッ!


ジュン「…なっ?!」ギュルギュルギュル!

雪華綺晶「そうだったよね… くくく…」ギュルルル…!



…ギシッ!!



ジュン「うあ!!」

雪華綺晶「『お父さま』。 くぅっくっくっく…」…ギリ…

ジュン「ぐ! あ、あっ…!」ミシ…

雪華綺晶「ふふっ。 可愛い。 可愛いわぁ…」ギリ ギリ…



「捕まえることができたくらいで、そんなに喜んでるなんて… ふふふふふ…」
750 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:40:45.09 ID:djYVJNMo

ジュン「ぐぅっ!」ミシ!

雪華綺晶「バカねぇ… まったく…」ギリ…

ジュン「ぐ… うっ、あぐっ…!」…ミシ ミシ…

雪華綺晶「お母さまや、お姉さまたちならともかく… たかが人間が…」



「その程度の力で、どうするつもりだったの? ねぇ…」ギシ…



ジュン「きら… きしょうっ…!」キッ!

雪華綺晶「ねぇ…?」…ギリ…

ジュン「…こ、この…!!」

雪華綺晶「………」


「どうする… つもり、だったの…?」


ジュン「きら…?」

雪華綺晶「…」…スッ

ジュン「え…」



「お姉さまたちは、ここには来られないわ」



ジュン「…な…」

雪華綺晶「…お姉さまたちの心は、体ごとわたしのイバラで縛りつけてある」

ジュン「…」

雪華綺晶「どう頑張ったって、抜け出せっこない」ス…



「…いまここには、わたしとお父さま、ふたりっきり…」
751 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:45:04.42 ID:djYVJNMo

ジュン「く… このっ…!」

雪華綺晶「…」…スゥ


…ピト


ジュン「…?」

雪華綺晶「…」ナデ…

ジュン「きら…?」

雪華綺晶「…お父さま…」…スッ…

ジュン「え…」


…チュッ…


ジュン「…ん? う…」

雪華綺晶「…」…チュ…

ジュン「…ん、む…」

雪華綺晶「んっ…」レロ…

ジュン「…う…?」

雪華綺晶「…」…ペロリ


スッ…


ジュン「…きら… きー…?」

雪華綺晶「…ほんとに、いったい、どうするつもりだったのよ…」

ジュン「き… きみ、は…?」

雪華綺晶「お父さまが… ただの人間なんかが…!」…ジワ…



「わたしに、勝てっこなんか、ないのにっ…!」
752 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:52:17.11 ID:djYVJNMo

ジュン「…ぼ… ボク… は…」

雪華綺晶「こんなムチャまでして、いったいどうするつもりだったの?!」キッ!

ジュン「…ボク…はっ…!」

雪華綺晶「『その人こそ、君たちのお父さん』?! 『ボクは違う』?! ふざけないで!!」バッ!



「『あいつ』とわたしを、仲直りでもさせたかったの?! ヘドが出るわ!!」



ジュン「…きら…」

雪華綺晶「別に… よかったのに…」

ジュン「…え?」

雪華綺晶「別に… 別に、よかったのよ? お父さま…」ジーッ…


「あなたが、わたしたちのこと、人形扱いしてたって…」


ジュン「な…」

雪華綺晶「わたしたちを使って、ぬるま湯みたいな雰囲気にひたってたって… 別に…」

ジュン「…そ… れは…」グ…

雪華綺晶「わたし… 薔薇乙女たちの心を、ずっと観察して、お父様に報告してきたの」

ジュン「…え…」

雪華綺晶「同じように、あなたの心も、ずっと… ずっと見てきたのよ…?」

ジュン「…」

雪華綺晶「だから、あなたの言ってたことなんて、とっくのとうに知っていた!」…ギリッ!

ジュン「ぐっ!」

雪華綺晶「…だから、そんなこと…」ギリ…



「どうだって…  どうだってよかったのに…!」
753 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 20:56:46.78 ID:djYVJNMo

ジュン「…なん、だって…?」ミシ…

雪華綺晶「わたしたちを『人形のように可愛がっていただけ』ですって…?」ググ…

ジュン「………」

雪華綺晶「そんなこと、どうだっていいって言ってるのよっ!!」キッ!



「わたしたち、もとから人形よ!? 何の問題があるの!?」



ジュン「な…それ…は…」

雪華綺晶「わたし、お人形さんでよかった!」

ジュン「き… きっ…」

雪華綺晶「わたし、わたし… お姉さまたちみたいな…」グスッ…



「お姉さまたちみたいな『幸せなお人形』になりたかったのにっ!!」



ジュン「…」

雪華綺晶「どうせ今だって、『あいつ』の便利な道具だもの…!」

ジュン「…そ… そっ… 」

雪華綺晶「それなら… それなら、あなたに使ってもらったほうがよかったの!!」ギリ!!

ジュン「ぐ!!」

雪華綺晶「可愛がってもらいたかった… 優しくしてもらいたかった!!」ギリ ギリ…

ジュン「…ぐっ…!」ミシ…

雪華綺晶「わたし… わたし、せっかく、あなたの…」ギギギ…



「あなたの『人形遊び』の、道具になってあげようと思ってたのに…!」
754 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/19(金) 21:01:27.43 ID:djYVJNMo

ジュン「…え…?!」

雪華綺晶「わたし、わたし… あなたの、思い通りの人形になってあげようって… 思ってたの…」

ジュン「…なん…だって…?」

雪華綺晶「あなたに可愛がってもらうかわりに… あなたのために、なんでもしてあげようって…」

ジュン「…な…」

雪華綺晶「あなたが望むことなら、なんでも… なんでも…」



「わたしには、その力が、あるんだもの…」シュル…



…ボゥッ…



ジュン「こ… これ、は…」

雪華綺晶「…もし、嫌いなヤツがいたんなら…」シュルシュルシュル…

ジュン「…!!」

雪華綺晶「あなたを脅かす人間がいたのなら…」ボウ…

ジュン「(ま、まさか…!)」



(おまえはやればできる! いまは、やろうとしていないだけだ!!)



ジュン「(う、梅岡…!!)」

雪華綺晶「報復してやることも… 存在ごと消すことも…」

ジュン「…き、きみは…!!」

雪華綺晶「あなたの都合のいいように、心を書き換えてやることだって…」ニタァ…



「わたしなら、思いのままなのよ…?」
755 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/03/19(金) 21:02:08.19 ID:djYVJNMo
今日はここまでです。続きは明後日。
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/19(金) 21:44:27.21 ID:NyjLoYAO
乙乙
きらきーとジュンの対話、どう転ぶのか楽しみだぁ
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/19(金) 23:46:03.95 ID:lvw2EUDO
乙っす
きらきー……恐るべし。
鳥肌立った。
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/19(金) 23:58:14.06 ID:.AX.LOko
乙樽場 やはりきらきーは恐ろしい子…っ!( |||゚д゚;)
759 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:21:37.62 ID:bU.kTAUo
>>756-758
乙どもっす。
再開します〜
760 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:25:39.74 ID:bU.kTAUo

ジュン「…き、きみは…!!」

雪華綺晶「あなた、この人の事、嫌いだったんでしょう…?」ボォウ…



(甘ったれてるんじゃない! だれでも悩みはあるんだ!)



雪華綺晶「自分の心の中に、ずかずかと踏みこんでこようとするこの人が…」

ジュン「…う…」

雪華綺晶「…イヤだったんでしょう? 憎かったんでしょう…?」

ジュン「…ち、ちが…!」



(わかってもらおうとしなければ、だれにもわかってなんかもらえないぞ!)



ジュン「ちが… うん…だっ!」…グ!

雪華綺晶「…『何をわかったようなことを言って』」

ジュン「…!」

雪華綺晶「『お前なんかに、わかったような口を聞いてほしくない』」

ジュン「ちっ… ち… が…」

雪華綺晶「…違わない」シュル…


フッ…


雪華綺晶「あなたは確かに、そう思ってた… この人だけじゃない…」シュル… シュル…

ジュン「ぼっ… ボク… は…」

雪華綺晶「あの学校にいた、生徒のことも… 先生たちのことも…」シュルル…



「『みんなあいつらが悪いんだ』って…」
761 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:29:17.40 ID:bU.kTAUo

ジュン「…そっ…(そ、そうじゃない! 違うんだ!!)」

雪華綺晶「違わないって言ったら、違わない。あなた、いつもいつも、願ってた…」

ジュン「…な…なにを…」

雪華綺晶「…『あいつらさえいなければ』って」…ジーッ

ジュン「!…」

雪華綺晶「…でしょ? ねえ… お父さま…」シュル…



「…あなたとわたし、なにが違うの?」



ジュン「…う…」

雪華綺晶「あなただって、わたしが『あいつ』を消したいと願う気持ち… わかるでしょう?」

ジュン「そ… それは…!」

雪華綺晶「…無理しなくていいのよ。 素直になって…」シュルシュルシュル…



…ブゥン…



ジュン「こ、こん… どは…?」

雪華綺晶「わたしなら、あなたのどんな願いでも、どんな望みでも…」ボォォ…


(……………)


ジュン「あ、あれ… は…?」

雪華綺晶「すべてすべて、かなえてあげられる…」シュルシュルシュル…



(……………)
762 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:31:40.11 ID:bU.kTAUo

ジュン「…あ… あっ…?(あれは…)」

雪華綺晶「なにひとつ、失うことも、損なうことも無くね… たとえば…」

ジュン「な… なん… だって…?(女の子…か?!)」

雪華綺晶「ずっと、ずっと永遠に、穏やかにやすらかに暮らす事だって…」…ボウ…



(……………)



ジュン「…あ!(あれは!)」

雪華綺晶「わたしなら… できるのよ…」

ジュン「(有栖川病院の、『眠り姫』…?! たしか…) 



(オディール・フォッセー?! …君の契約者か!?) 



雪華綺晶「そう… よく、眠ってるでしょう?」 

ジュン「(…雪華綺晶、なぜ?!)」

雪華綺晶「幸せそうでしょう…?」シュル… シュル…

ジュン「(…なぜ、なぜこんなものを!!)」

雪華綺晶「この子だって、それを望んでたのよ…」ザワ…



「いつまでも、子供のままでいたいって…」



ジュン「…な…?」

雪華綺晶「…おとなになんか、なりたくない。 ずっとずっと、子供のままでいたいって…」

ジュン「…」

雪華綺晶「なんの心配も不安も無く、やすらかな夢の中で、過ごしたいって…」ゾワ…
763 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:34:24.18 ID:bU.kTAUo

ジュン「(き、君は…!)」

雪華綺晶「だから、そうしてあげたのよ…? わたし…」ゾワ… ゾワ ゾワァ…

ジュン「う、う…!(み、右目の薔薇が…!!)」



シュルシュルシュル…



ジュン「(薔薇が開いていく! ボクを…)」

雪華綺晶「お父さま、お願い… わたしを受け入れて…」シュルシュルシュル…

ジュン「(ボクを、飲みこむつもりか?!)ううっ、ぐっ…!!」

雪華綺晶「…これが、最後」ズワ…!



ギュォォォォォォ…!



ジュン「う… うあ…(薔薇の中に…)」 

雪華綺晶「お願い、お願いよ… お父さま…」ギュア…

ジュン「(底なしの、『虚無』が、ぽっかり口を開けてる…!)」

雪華綺晶「この力があれば、なんでもできるのよ…?」

ジュン「…う…」…ズ…

雪華綺晶「わたしは、人の心を喰うドール… 操るドール」ギュオ!

ジュン「…うあ!」…ズ!

雪華綺晶「あなたさえ、あなたさえ望んだなら、わたし…」ギュアアア…

ジュン「…や、やめ…!」ズズズ…!

雪華綺晶「どんなことでも、あなたの思いのままにできるのよ…?」…ニコ…



「あなたの、お姉さんのことだって…」
764 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:37:40.91 ID:bU.kTAUo

ジュン「…え?」

雪華綺晶「…知ってるのよ? 知らないと思った? くすくすくす…」

ジュン「な… なに、を…」

雪華綺晶「…ふふふふふ…」ボォウ…

ジュン「…な…!」



(ジュン君…)



雪華綺晶「…わたし、あなたのことなら、何もかも知ってるのよ… ふふっ…」ブゥン…

ジュン「(こ、これは…?!)」

雪華綺晶「あなたと『お姉さん』に、何があったのかも…」…ボォォ…

ジュン「な、なっ… !!」



(約束ね… わたしとジュン君、一生、姉と弟よ…) 

(わたし、ぜったいぜったい、あなたのそばを離れない…)



雪華綺晶「綺麗ね… ふふふ…」

ジュン「こ、こ… れは…!(あの時の!!)」

雪華綺晶「あなたの心の中のお姉さん、とても、とても綺麗… まるで…」ニヤ…


「まるで、ほんとうの『聖母』みたい…」


ジュン「(み、見るなっ! 見るなぁーっ!)」…ギシッ!

雪華綺晶「やさしく微笑んで、きらきら光ってる… …ふふふ、お父さま、あなた…」…ニヤ…



「…あなた、ずっとずっと、ガマンしてたんでしょ…?」
765 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:42:20.19 ID:bU.kTAUo

ジュン「(な?! なにを…!!)」ギリ!

雪華綺晶「ずっと、同じ家で、ふたりっきりでいたのに、ね…」クスクス…

ジュン「なっ!? ち、ちがっ…!! ちが、うっ…!!」ググ…!

雪華綺晶「指一本触れないように… ちらりとでも『そういう』目で見ないように…」

ジュン「…ちっ… が… うっ…!!」…ガクン!

雪華綺晶「現実どころか、心の中でさえも、ガマンして、ずっとガマンしてて…」…ニヤリ

ジュン「だ、だっ…!!(黙れっ! 雪華綺晶!!)」



(お父さんも、お母さんも、わたしたちの前からいなくなっても…) 

(わたしだけは、ずっと、ずうっと、あなたの家族だよ…)



ジュン「(や、やめろやめろーっ!! 違う、違うんだーっ!!)」

雪華綺晶「ガマンしきれなくなってからは、お姉さんのこと、頭から追い出して…」

ジュン「(う、うるさいうるさい!! うるさーーーいっ!!)」ガクン ガクン!



(ボクは、のりの… のり、なんかのこと… そんなふうに、なんか…!!)



雪華綺晶「…いっさい、考えないようにして… かろうじて、耐えてきたんでしょ…?」

ジュン「(こ、このぉぉぉぉぉっ!! いいかげんに…!)」

雪華綺晶「………」…スッ



…ギュ



ジュン「な…?」

雪華綺晶「…お父さま…」ギュウ…
766 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:46:47.67 ID:bU.kTAUo

ジュン「な…なに…を?」

雪華綺晶「…辛かったよね…」ギュウ…

ジュン「(な、なんだって…?)」

雪華綺晶「辛かったでしょ? 心が、裂けそうだったんでしょ? あなた…」

ジュン「………」

雪華綺晶「お母さまと、お姉さんのあいだで…」…ジーッ…



「『好き』が、張り裂けそうに、なってたんだよね…?」



ジュン「(そんな… こと…!)」

雪華綺晶「…」…ギュ

ジュン「そん… なっ、こと… ない…!」ギリ…

雪華綺晶「…もう…」ギュウ…



「もう、ガマンしなくて、いいんだよ?」



ジュン「…な…」

雪華綺晶「お父さま… わたしに、まかせて」

ジュン「…なん… …だって…?」

雪華綺晶「大丈夫。 なにもかも、うまくやってみせるから」

ジュン「(な… なにをする気なんだ…?!)」

雪華綺晶「あなたは、なにも、だれも失わないでいいの」…ジーッ… 



「あなたのお姉さんも、お母さまも… なにも、だれも…」
767 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:50:38.84 ID:bU.kTAUo

ジュン「…な…」

雪華綺晶「ふたりのことも、ふたりの気持ちも… なにも、失くさない… 損ねないまま…」

ジュン「(なん、だって…? 君は…)」

雪華綺晶「ふたりとも… ふふふ…」ニヤァ…



「あなたのものに、してあげる… くふふふふ…」



ジュン「…」

雪華綺晶「わたしなら、それができる。 できるのよ…?」

ジュン「…」

雪華綺晶「だから… だから、お願い… お父さま…」…ジーッ



「わたしに優しくして。 可愛がって。 …わたしを、愛して。」

「…」



「…わたしのこと、お姉さまたちのように… わたし…」

「…」



「わたし… あなたの『人形』にだって、『娘』にだって、なんにだって、なるから…」

「…」



「だから…」

「…」ギュ…!



(  い ら な い っ ! )
768 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:54:37.17 ID:bU.kTAUo

雪華綺晶「…え?」

ジュン「(…そんなもの、いらない。 いらないんだ…)」グ… グッ!

雪華綺晶「…」…ゴ…



「そ… んな、ウソっ… ぱちの、モノな、んか…」



雪華綺晶「…」…ゴ…

ジュン「ボク… は…」

雪華綺晶「…」…ゴボ…



…ゴボゴボゴボ…



ジュン「…?…」 

雪華綺晶「………」…ゴボ…

ジュン「(なんだ…? 右目の、薔薇?)」

雪華綺晶「………」ゴボ ゴボ…

ジュン「(あれは…?)」…ジーッ…



「(『虚無』が、ざわめいてる?)」



雪華綺晶「………」ゴボ…

ジュン「(いったい…)」

雪華綺晶「…ふン」グイ!



…ギリィッ!
769 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 18:58:21.16 ID:bU.kTAUo

ジュン「ぐあ?!」ミシッ!

雪華綺晶「…コの…」…ギリ…



…ギリ ギリギリ…



ジュン「がぁっ!! …き、きら…!!」ミシ…

雪華綺晶「バか ナ ひト…」ギリ… ギリ…

ジュン「(ボクは… ボクはっ!!)」

雪華綺晶「…ダまレ」グリッ!!



ギュルッ!!



ジュン「ん…ぐぅーっ!!」ビグ ビグッ!!

雪華綺晶「…オもイ しッたカ…」…ゴボ…



…カクン



雪華綺晶「オとナしク しテれバ…」ゴア・・・

ジュン「…」

雪華綺晶「ツけアがッて… コの…」ゴォ・・・

ジュン「…」

雪華綺晶「…ニんげン ごトきが…」ゴア ゴボァ…

ジュン「…」ピク…



…ボソッ…
770 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 19:00:48.40 ID:bU.kTAUo

雪華綺晶「…?」

ジュン「(………)」ボソ… ボソ

雪華綺晶「…なン デすっテ…?」ゴボボ…

ジュン「(きみ… なんか…)」グ…

雪華綺晶「………」

ジュン「き… み… なん…か…」グ ググ…






き み   な ん か … 

い ら な い …






雪華綺晶「…」…ゴボ…

ジュン「(都合の いいこと だけ …)」

雪華綺晶「…」…ス…



ギュル…



ジュン「(媚びる だけ… の… きみ なんか…)」

雪華綺晶「… お ト う サ ま …」グ…ギュル…

ジュン「いら… ない…っ!」

雪華綺晶「…」グリン!



ガ パ ッ ! ! 
771 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 19:04:08.86 ID:bU.kTAUo

ジュン「(…なっ!?)」

雪華綺晶「     」…ズブリュッ!



…ゴボァ ゴボァ ゴボァ!!



ジュン「(な、なにが… 雪華綺晶っ!!)」

雪華綺晶「       」グジュ グジャ ブジュ!!

ジュン「(バカな… バカな!! 雪華綺晶が…)」ブルッ!



( 裏 返 っ て い く ? ! )



ズブ ゴブ グリュ…


ジュン「な…」


… ゴ ポ ッ … 


ジュン「な… なにが…」

雪華綺晶「     」ゴブ…



ズ… ズブブ…


ジュン「きら… な、その… そのっ…!!」

雪華綺晶「  ・ ・ ・ ん モ う ・ ・ ・  」ゴォ…



「 でて  キチャ った ・・・ 」
772 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 19:11:02.41 ID:bU.kTAUo

ジュン「な… で、でっ…」 

雪華綺晶「 ウフ ふふ フフ ・・・ 」…ズル…



「  ハズ かし い ・・・ 」



ジュン「(出てきた、だって……? な、なにが…)」

雪華綺晶「 でも …  キレ いで ショ う … ? 」ゴボ…

ジュン「(そのっ… その姿!! まるで…)」


( お あ あ あ あ … )


雪華綺晶「 あ イツ の ホカニ は  」…ズル…

ジュン「う、うああ…!(まるで、まるで… あの時…!!)」

雪華綺晶「 ハ じめ テ みせ るの ヨ 」ズズズ…



「  ハダ かの ワタ し  」



ジュン「(あの時の…! あの時、青髭公の拠点から這い出してきた…)」

雪華綺晶「ソウ よ   いった デ しょう ? 」…グブブ…



「 アノ こ タチ   わた シト おな ジ だって … 」



ジュン「(あ… あの子たち?)」

雪華綺晶「あの コ たち ハ   ワタ し ダッテ …」ズ…



ズズズ…
773 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 19:13:21.66 ID:bU.kTAUo

ジュン「わ、わあ…っ! く、来るな…!」

雪華綺晶「 おと ウ さま 」  



「 あい シテ る 」



…ズル…



ジュン「た、助け…!!」

雪華綺晶「 ずっ トズ っと  イッ しょ 」…ズワァァ…!



「 ギゅウ うウ うウッ…  …と… 」 



 ゴ ボ …    ゴ ボ ッ …



「 だ キ し メ て   あ ゲ る ! ! ! 」



… ゴ バ !!


ジュン「ひっ!!」

雪華綺晶「 お と う さ ま ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! 」 

ジュン「うあ… あああ!!」

雪華綺晶「 す き ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ っ !! 」…ギュア!!






ガ ボ ッ ! 
774 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/21(日) 19:14:04.13 ID:bU.kTAUo
今日はここまでです。続きは明後日。
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/21(日) 21:05:38.73 ID:fj9rYO2o
乙乙
きらきー美しいなぁ
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/22(月) 02:59:56.78 ID:uQxnhd6o
乙樽場 本性見せたのか、きらきー…
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/22(月) 09:28:28.82 ID:.ae6R6AO
闇を持たない仔なんていないのよ、乙ちゃん
778 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 21:40:30.26 ID:YszahkEo
>>775-777

乙どもっす。
再開します〜
779 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 21:44:57.42 ID:YszahkEo





お 

と 

う 

さ 






           バ

           カ

           な 

           ひ

           と

           


                       も

                       う

                       す

                       こ

                       し

                       で

                       ・
                       ・
                       ・

780 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 21:46:50.29 ID:YszahkEo

           み

           ん

           な



           み

           ん

           な
































…い ら な い…
781 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 21:52:30.09 ID:YszahkEo

          あ

          ら

           ・
           ・
           ・

          ?



…ボクは そんなもの…



                       く

                       す

                       く

                       す

                       ・
                       ・
                       ・



………いらない………



          か 

          わ

          い 

          い 

          ・ 

          ・ 

          ・
782 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 21:57:00.86 ID:YszahkEo



  う

    い

      い

        の

          よ

            ?




  ……………





                  ガ

               マ

             ン

          し

       な

     く

  て









 ……違う……
783 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 21:59:46.30 ID:YszahkEo











…違う、違うんだ… 雪華綺晶…






























…だから、違うんだ… 





…ボクじゃ、ない…
784 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:01:43.04 ID:YszahkEo













…君の…













…ボクじゃなくて、君の…





…君の、ほんとうの、望みは…!





……………









ゴ ボ ア ! ! 
785 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:04:15.42 ID:YszahkEo

ジュン「う、うあ?!」…ゴボッ!

「う、うウあ?! ひぃアあ!!」…ゴボ!!

ジュン「雪華綺晶…!」

「ひイあ! うぐわぁ!!」ブボッ!!



…ゴボ ゴボ ゴバ!!



ジュン「(ふ、沸騰してるのか? …わっ!!)」

「ぎいあ!!」ゴボッ!

ジュン「あ、や… やったか? …雪華綺晶っ!」

「う、うア… ひいア…?!」…ゴブ…



ジ ュ バ !!



「  ぐ ぅぅ   あ ぁ ぁぁ  ぁぁ  あ  ぁぁ ぁ  ぁ ぁっ !!!」



ジュン「(…や、やった!)」

雪華綺晶「…ぐウあ! ひイあア?! …フぐぇっ!!」ゴボゴボゴボッ!!

ジュン「やった! やったぞ! …ボクの勝ちだ!!」

雪華綺晶「なあ、なあ… にィ… がはああ?!」ゴボ ゴバッ!!

ジュン「ボクたちの、勝ちだぁっ!!」

雪華綺晶「な… あアあっ?!」ギュブ!



ギュブルルルル… ガボッ!!
786 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:06:23.83 ID:YszahkEo

雪華綺晶「がは?! う、うああ! ふぐあ!」ザワア…!

ジュン「(…雪華綺晶の姿が、元に戻った!!)」

雪華綺晶「あ…熱いっ! 痛い、痛ぁいっ!! や、やめっ…!」ゾゾゾゾゾ…!

ジュン「ボクの、言った通りだったんだ!」…キッ! 



「やっぱり、君のほんとうの望みは…!」

「だまれぇっ!!」シュルシュルシュル…!



…ギュルルルルッ!



ジュン「…っ!」ギリ!

雪華綺晶「ち、ちがっ…! ふ、ふざけるな…!」ザワザワザワ…!!

ジュン「…違わない!」ギリッ…

雪華綺晶「違うと、言ったら…!!」

ジュン「 違 わ な い っ ! ! 」…グッ!



ブヂブヂブヂィッ!!



雪華綺晶「な?! …あが!!」…ミシ!!

ジュン「これが、何よりの証拠だ、雪華綺晶!」

雪華綺晶「そ、それ…はっ…!! ぐはあ!!」ビキッ…!

ジュン「違うというのなら、なぜ!」キッ!!



「なぜ、君のいましめを、ふりほどくことができたんだ!!」
787 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:10:29.24 ID:YszahkEo


雪華綺晶「そ、それは… ぐああ?!」ゴリッ!

ジュン「『ただの人間』ごときのボクが!」

雪華綺晶「うっ… う… うそっ…(は、弾ける…?!)」ビキ ビキッ…

ジュン「…」

雪華綺晶「そんな… そんなこと、ないっ…!(わたしが… わたしが、弾けちゃうっ!!)」…ミシ!

ジュン「…」

雪華綺晶「わたしは… わたしはぁっ!!」…ベキッ!!

ジュン「…」



「お仕置きの時間だよ、雪華綺晶」



雪華綺晶「…なっ?!」

ジュン「君は、悪いことをしたんだ」

雪華綺晶「なっ… なにを!!」

ジュン「…君は、償いをしなければ、いけないんだ…」ギュッ!

雪華綺晶「なにを… 人間ごときが…  …うがぁ?!」


…ベギィッ!!


ジュン「…!」

雪華綺晶「が、がはっ… こ、これは…?!」



…ザワァ…



(あなたの負けかしら、雪華綺晶!!)
788 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:16:37.13 ID:YszahkEo

雪華綺晶「な?! わっ、わたしの、背中…?!」…ベギ…

ジュン「(黄金の翼が…!)」

雪華綺晶「う、うそっ… ぎあ?!」…ミシッ!



ズボォッ!!



雪華綺晶「ぎああああああ!!!」

(観念するですよ、雪華綺晶!!)

ジュン「(…庭師の大鎌!!)」

雪華綺晶「わたしの… なかっ… にぃ…っ…  がああ!!」



…バグッ!!



雪華綺晶「がはあっ!!」

ジュン「庭師の鋏… 蒼星石か!」

(…そうだ、ジュン君の言うとおりだ!)

雪華綺晶「そ… そうせい、せきっ… ぐあ!!」…ブヅッ!

(罰を受けるんだ! 罰を受けて、そして…!)

ジュン「…おとなしくするんだ、雪華綺晶!」

雪華綺晶「ふ、ふざけるなぁっ!! なぜ… なぜわたしが、そんな…!!」



(…わからないの、雪華綺晶!!)



雪華綺晶「し、真紅…!?  なにを…!!」
789 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:24:18.04 ID:YszahkEo

(言ったでしょう!)…カッ!

雪華綺晶「…うあ!?」…ゴオ! 

ジュン「…くっ?!(ま、まぶしいっ!)」



(みんなで、償っていこうって!!)



…ゴアッ!!



雪華綺晶「あああああああっ!!」ゴォォォ…!

ジュン「(紅い光が… 雪華綺晶の全身から…!!)」

雪華綺晶「(や、焼ける…! 熱い熱い熱いーーーっ!! やめてぇーっ!!)」ゴァァァァ…!

(だめなの、雪華綺晶!)

雪華綺晶「…な?!」

(あなたは、わるくないの… わるくないの! でも!!)…ゴ!!



…ミキッ!



雪華綺晶「がっ… はぁ、っ…!!(ひ… ひな、いちご…?!)」

(けれど… やっぱり、ダメなの! あやまらなくちゃ、ダメなの!!)ゴゴゴゴゴゴ…!

雪華綺晶「な、なん… だと…!! がはあ!!」



…ベギィッ!!



雪華綺晶「(や… やめっ… 破裂、しちゃう…!!)」
790 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:32:44.78 ID:YszahkEo

(ごめんね、ごめんね、雪華綺晶…!)…ゴゴゴゴゴッ!

雪華綺晶「ぐ、がっ…!(ひっ… 雛苺が… わたしのなかで…!!)」



…ゴゴゴゴゴ…



雪華綺晶「(ど、どんどん、膨らんで… うぐああ?!)」…ビギィッ!

(あなたの、あなたの気持ち… わたしたちも、ほんのちょっとだけ、わかるんです!)

雪華綺晶「(だ、だめっ… わたし…!!)」ビギビギビギ…

(僕たちも、お父さまを憎いと思ってしまったんだから… でも!!)



…ミキッ!



雪華綺晶「がは!!」

(けれど、だからといって、許されることじゃないかしら! だから…)

雪華綺晶「な、なん… だと…!!」

(雪華綺晶! わたしたちみんなで、償っていこうって言ったはずよ!!)

雪華綺晶「なっ… そんな、そんな…!」

(雪華綺晶、罰を受けるんだ! 償って… 許されるんだっ!)

雪華綺晶「うぐあ… ぐあああっ!!」

(…そして、みんなで…  みんなでっ!!)ズアッ!!



( み ん な で お う ち に 帰 る の ー ー ー ー ー  !!! )




 バ ァ ン !!
791 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:37:49.06 ID:YszahkEo

… バ ァ ン !!



「…!」

「ク?!」

「 …むう 」




…バラ バラ バラッ…




オルトリンデ「ナ ナニガ…」

ブリュンヒルデ「…」




…バラ…




オルトリンデ「オ嬢様ノ イバラガ!」

ブリュンヒルデ「(コナゴナニ 砕ケ散ッテ…)」

「 …雪華綺晶 」



「………」



「 雪華綺晶  …雪華綺晶?」

雪華綺晶「……う……」




…シュゥゥ…
792 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:44:32.19 ID:YszahkEo

オルトリンデ「オ嬢様?!」

ブリュンヒルデ「…」

「 …深刻な 被害を 受けている 」

オルトリンデ「エ…!?」



「…う… …あっ…」



オルトリンデ「(ソンナ 事ガ…!)」

「 ……… 」

ブリュンヒルデ「…オ姉サマ ガタ…」



「…お父様」



オルトリンデ「…!」

「 …ほう 」

真紅「お父様…」…ス…



…ヨロ…



ブリュンヒルデ「(『紅玉』ノ オ姉サマ…!)」

翠星石「や、やりましたよ? えへへ…」フラ…

オルトリンデ「『翡翠』ノ… ソレニ!」

蒼星石「…決着は、つきました…!」グ… グッ

オルトリンデ「『瑠璃』ノ オ姉サマ!」
793 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:53:00.96 ID:YszahkEo

金糸雀「だ、だいじょうぶ? 雛苺… あぅぅ…」ヘロヘロ…

雛苺「う、うゆぅ… だいじょ、ぶ…」ヒョコ…

オルトリンデ「…オフタリトモ!」

ジュン「…く、くっ…」グ…

オルトリンデ「契約者ノ 方モ! ミナサマ ゴ無事デ…」

真紅「…お父様…」ス…

「 ……… 」



パチ パチ パチ …



ジュン「…!」

蒼星石「(…っ!)」

翠星石「(こ、このっ!)」ムカッ!


「 お見事でした 」パチパチパチ…


金糸雀「………」ギュ…

雛苺「(お、おとうさま…?)」

真紅「…」


…ス…


真紅「…」

「 …何ですかな 」

真紅「…」…ギュッ



「…お褒めくださり ありがとうございます…」
794 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 22:59:40.51 ID:YszahkEo

翠星石「(し、真紅…)」

蒼星石「…君は…」



「 …見事な 勝利でした 」

真紅「……………」

「 雪華綺晶に 心と体を 縛られていた ところを 」

真紅「……………」

「 一瞬の隙を突いて 振りほどき 逆に 相手の心へ 侵入するとは 」

真紅「ジュンが… 私の契約者が、指示してくれたことです」

「 …そうですか 」コツ…



「 よき 契約者と 巡りあいましたね 」



ジュン「…」ギリ…

金糸雀「…」…ギュ…



「 あなたの 力を ここまで 引き出すとは 」

真紅「…」

「 いやはや 予想以上です 」

真紅「…光栄です」…ス…



…コツ…



真紅「…お父様、お聞きください」
795 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 23:07:18.72 ID:YszahkEo

「 何ですかな 」

真紅「私たちは、雪華綺晶に、勝利しました」

「 …ええ 見事でした 」

真紅「…だから、私たちは、もう…」…キッ!



「雪華綺晶に、守ってもらう必要は、ありません」



「 …ふむ 」

真紅「お父様が、危惧していたことも…」

「 ……… 」

真紅「あの子の力が私たちを傷つけるという事も、もう心配は要りません」

翠星石「そうです、お父様」…スッ

「 …ほう 」

翠星石「もし、そんなことが起こりそうになっても…」…ジーッ…



「わたしたち、力を合わせて、はねのけてみせます」



「 ……… 」

蒼星石「翠星石の言うとおりです、お父様。 それに…」

「 何かね 」

蒼星石「あの子は、罰を受けました」

「 …罰を? 」





雪華綺晶「 …う… 」
796 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/23(火) 23:15:30.28 ID:YszahkEo

蒼星石「あの子は、あなたを裏切り、切り捨てようとしていました」

「 ……… 」

蒼星石「…でも、僕らが、しっかりとお仕置きをしておきましたから…」



ブリュンヒルデ「(オ姉サマ…)」

オルトリンデ「(デ、デモ、ソレハ…)」



翠星石「そうです、お父様! あの子ったら、ヒドかったんですよ!」

金糸雀「そうかしら! お父様だけ、仲間はずれにしようとしてたかしら!」



「せっかく、お父様をお茶会にご招待しようと思ってたのに!」



オルトリンデ「…エ?」

金糸雀「雪華綺晶ったら、お父様の代わりにジュンを招待すればいいって!」

雛苺「そうなのよ! ヒドイのよ! だから、『ヒナたちで』おしおきしたの!!」

ブリュンヒルデ「………」

真紅「…お父様」


スッ…


「 ……… 」

真紅「もうこれで、何の問題も無いはずです」

「 ……… 」

真紅「どうか… どうか、あの子を…」…グ…



「あの子を、わたしたちのもとへ、どうか…!!」
797 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/03/23(火) 23:16:25.85 ID:YszahkEo
今日はここまでです。 続きはしあさって。
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/24(水) 00:08:29.16 ID:d7rcAGIo
乙樽場 さぁ、この賭けが通るか否か…
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/24(水) 00:27:41.28 ID:3pP7VoAO
乙ちゃん
きらきー爆発してもうた
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/24(水) 01:03:26.71 ID:dzf5JcDO
乙っす。
何回も「ゴクリ。」出ました。
そんくらい引き込まれましたよ。
801 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:00:34.48 ID:VqGNjpso
乙どもっす。 再開します〜
802 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:07:38.42 ID:VqGNjpso

「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



―…―



「…! …っ!!」



―…お姉…さま…?…― 



「お願いです!」

「…お願いします!」



―お姉さま…? わたしは…



「お願いです… お願いですぅっ! お父さまっ!」

「どうか… どうか、あの子を! 雪華綺晶を!!」



―わたしは、どうなったの…? …うっ…



…シュル…



―う… うごけ、ない…? く…






…ズキッ!
803 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:09:39.48 ID:VqGNjpso

―い、痛い… からだが… わたしの『からだ』が…

―わたし、いったい、どうしちゃったんだっけ…



(ごめんなさい… ごめんなさい…)



―…そうだ、わたしは… あのとき、お姉さまたちに…



(これからは、わたしたち、ずっといっしょに…)

(雪華綺晶… すまなかった…!)



―お姉さまたちに… もぐりこまれて…

―はじけとんで…



雪華綺晶「 ・ ・ ・ ・ く 」スゥ…



…ズキッ



雪華綺晶「 く っ ・ ・ ・ 」…ズキ…



(ごめんね、ごめんね… あなたに…)

(ずっと、ずっと、かわいそうなことを、させて…)



―わたし…



―わたし、負けた、の…?
804 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:14:48.55 ID:VqGNjpso

雪華綺晶「 ・ ・ う ・ ・ 」ズキ ズキ…



(もう君に、あんなことは、させない!)

(…これからは、ずっといっしょですよ…)



―な… なに? みんな… わたしを…

―なんなの… わたしを、そんな… そんな目で…



(みんなで、いっしょに帰るの… 雪華綺晶!)

(もう、あんな、かわいそうな目になんか、あわせないの!!)



−わたしが…?

−わたしが、かわいそう… ですって…? 


…ゴ…



― … わ た し 、 が … ? 








…ゴボッ…





「…お願いです、お父様!」

「 ……… 」
805 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:17:21.20 ID:VqGNjpso

真紅「お父様! どうか、あの子を解放してやってください!」

真紅「薔薇乙女の影になって、私たちを守るという役目から… どうか!」


「 ……… 」


翠星石「お願いです、お父様! わたしたち、姉妹みんなのお願いですっ!!」

翠星石「お願いです、お願いですっ! どうか、わたしたちの…」…ギュ…!


「 ……… 」


翠星石「水銀燈の望みを、かなえてあげてください…! どうか…」

蒼星石「お父様、あなたは知っているはずです。 彼女が、ずっと苦しんできたことを…」

蒼星石「あなたからの愛を、狂おしいほどに求め… 僕たちからは…」…ギリッ…


「 ……… 」


蒼星石「憎まれ… 疎んじられて… それでも…」

蒼星石「僕たちを守るために、戦い、傷つき、砕けて…っ!」

蒼星石「お父様、どうかお願いです! 水銀燈の望みを聞き入れてください!!」


「 ……… 」


蒼星石「どうか、どうか、水銀燈が望むようにしてあげてください!! 僕らは…」

蒼星石「僕らはかならず、アリスになります! なってみせます!!」

雛苺「おとうさま…!」



「 …君たち… 」
806 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:19:58.93 ID:VqGNjpso


ジュン「(…ロ−ゼン?)」

雛苺「お願いなの! ヒナは… ヒナは…」

「 ……… 」

雛苺「あの子にも、あげたいの! ヒナが、ずっと、もらってたものを…」

「 …君たちは…」

雛苺「ヒナは… ヒナは、雪華綺晶の…」

「 君たちは、ほんとうに… 」…スッ



「 …『純粋』ですね 」



ジュン「な!」

真紅「…!」

蒼星石「なっ…!」


「 あなたがたは まったく 『純粋』です 」


翠星石「(こ、この…!!)」

雛苺「お、おとうさま…?」


「 さすがは ローゼンの手による 薔薇乙女たち 」


金糸雀「…お、お父様っ!!!」…ミシ…

ジュン「ローゼン!! この子たちは!!」

「 ……… 」



「 揶揄して いるのでは ない 」
807 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:23:24.19 ID:VqGNjpso

ジュン「え…」

金糸雀「お、おっ…?」


「 そういう 意味では ないのだ 」…ス…


翠星石「(く、口調が…?)」

蒼星石「い、いったい…? どういう意味だと!」


「 ……… 」


蒼星石「お答えください、お父様!!」

「 …違う 」…カツ…



…コツ…



真紅「お、お父様…?」

「 わたしは 『ローゼン』 ではない。 君たちの 父親では ないのだ 」コツ コツ…

金糸雀「ち… 違います…! あなたは…」

「 そうなのだよ  …しかし 」…コツ…



「 しかし  その子は 」

雪華綺晶「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



「 …その子 だけは 」

ジュン「(…ローゼン?)」



「 その子だけは 私の手による 私の作品 」
808 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:25:52.92 ID:VqGNjpso

金糸雀「え…」

ジュン「…えっ…?」


「 ローゼンが 薔薇乙女たちを 人間の悪意から 守るため 」 コツ コツ…


ジュン「ロ、ロー… ゼン?(あなたは…?)」

「 薔薇乙女たちの 精神を 真に完成 させるため 」コツ…

真紅「な、何を…」

「 ローゼンが 手を染めていた 禁断の研究 」…コツ…



「 『精神操作』 」



雪華綺晶「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



蒼星石「そ、それが… いったい…」


「 彼の死後 この私が 完成させたのだよ 」


翠星石「え… ええ???」


「 彼の知識 遺志を 引き継いで 」…コツ 


金糸雀「…お、おとう… さま…?」…グ…


「 遺された ローザミスティカの 最後の破片を用いて 」…カツ…





「 自らの意志 人格を持つ 『精神の結晶』を 完成させた 」
809 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:28:58.52 ID:VqGNjpso

雪華綺晶「 ・ ・ ・ ・ ・ 」

真紅「…お父様…」

ジュン「(…ローゼン、あなたは…?)」


「 あの子は 君たちとは 根底から 違う存在なのだ 」


蒼星石「…それは、雪華綺晶自身からも、教えてもらいました」

翠星石「『わたしは、あなたたちの姉妹じゃない』 …『アリスになれない人形』だって。 そうですよね、真紅」

真紅「…ええ。 確かに、あの子はそう言っていた。 だけれど…」


「 …人形ですらない あの子は 『機構』だ 」


金糸雀「そ、それでも… あの子は…!」…ググ…!

「 ……… 」

金糸雀「あなたの… ローゼンお父様の心と命から創られた存在に、違いはないかしら!!!」

「 ……… 」

真紅「金糸雀お姉様の言うとおりです、お父様!」

蒼星石「たとえ僕たちとは、根底から違おうと…」

「 ……… 」…コツッ…



「 『精神は闇より生ずる』 」



真紅「え…」

金糸雀「…!!」

ジュン「!!!」


「 『人の原初の感情は恐怖 恐怖は闇の中から生まれた』 」
810 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:32:09.54 ID:VqGNjpso

金糸雀「そ… それは…!」

ジュン「ま、まさか…」

翠星石「ど、どーしたですか、ふたりとも!!」


「 『精神は闇の中で眠りにつき安らぐ 精神は闇の中で夢を見て遊ぶ』 」


金糸雀「…それは、お父様の言葉!!」

真紅「なんですって?!」

ジュン「(ローゼンの言葉、だって?!)」


「 その通りだ 」


金糸雀「『心は闇より生じ、闇の中で遊び安らぎ、闇を恐れ、闇へと還る』…」

ジュン「(そ、そうだったのか… それじゃ…)」

金糸雀「『子供が母親に対するように』と…!」

蒼星石「で、でもそれが、何か…」

「 …君なら わかるだろう 」



ジュン「……………」



真紅「…ジュン?」

「 君になら わかるだろう この言葉の 意味するところが 」

ジュン「……………」ギュ…

金糸雀「…ジュン、あなたも、この言葉を知っていたのかしら…?」

ジュン「……………」…グ…



「…いいや、知らなかった」
811 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:39:12.23 ID:VqGNjpso

金糸雀「…えっ?」

翠星石「え、えぇっ?」ガク!

ジュン「…知らなかった。いま、初めて聞いた」 

金糸雀「ん、んもー!! ジュンったら!!」プンスカ

翠星石「なっ、なんなんですか!その思わせぶりな態度はー!!」ムキー!

ジュン「…………」…ギュウ…


「ローゼンの言葉は、知らなかったんだ。 だけれど…」


翠星石「(…あ、あれ?)」

金糸雀「ジュン…?」

ジュン「けれど…」グッ…


ギュ…


真紅「あなた…?」

翠星石「(な、なんなんですか… ジュン???)」

蒼星石「けれど… なんなんだい?」

ジュン「………」チラ



雪華綺晶「……………」



真紅「…ジュン?」

ジュン「…やはり…」ゴクッ…

「 そのとおりです 」



「 その子は 『闇』を 内包している 」
812 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:48:21.56 ID:VqGNjpso

ジュン「…!」

雛苺「え、えっ…」

「 その子は 心を操るために… 他者の心を 恐怖で手なづけるため 喰らうため 」

金糸雀「な、な…?!」

「 その身のうちに 底なしの 『虚無』 を 内包している 」

真紅「底なしの、虚無…?」

「 そうだ  …君には わかるだろう 」…コツ…



「 …ジュン君 」



ジュン「そ、それは…」

真紅「…ジュン?」

「 君は 見たのだろう その子の本質を 」

ジュン「 …それは…… 」

翠星石「な、なにを見たですか? ジュン…」

ジュン「…」…ゴクッ…




― ギゅウ うウ うウッ…  …と…  

― だ キ し メ て   あ ゲ る ! ! ! 




ジュン「…あれが…雪華綺晶の、本質…?」ブルッ…

真紅「あなた… ジュン?」…ジーッ



(いったい何を、見たというの…?)
813 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 20:54:33.11 ID:VqGNjpso


ジュン「(あれが… そんな、そんな…)」…ブル…


「 ジュン君 …君は この子が 」


ジュン「な、何…っ!」

真紅「お父さま…?!」


「 その闇を 再び 君たちに 向けたなら なんとする 」


金糸雀「え…えっ?!」

ジュン「そ、そのときは…!」

真紅「…ジュン?!」

ジュン「そのときは、また、僕たちが力を合わせて…!」

「 その子は 同じ手には 二度と かからない 」

金糸雀「…な…!?」



「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



翠星石「お、お父様?! 何を言って…!」

「 次は きみたちが 孤立したところを 狙うだろう 」

蒼星石「ね… 『狙う』?! そんな!!」

「 二度と 自身の心に 侵入されないように 周到に準備し 罠を仕掛け 」 

雛苺「そ、そんな…!」

「 きみたちが 体勢を 整える前に 一気に 片をつけにくるだろう 」…カッ…



「 君たちは そういう事態に 対応できるかね 」
814 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 21:02:36.70 ID:VqGNjpso

金糸雀「おっ… お父様!! あなたは…」

「 どうかね 薔薇乙女たち 」

金糸雀「…あなたは、この子が、再び私達を『狙う』と?!」

「 その通りだ 」

翠星石「そ、そんな!! この子が、わたし達を狙ってたのは…」

「 たしかに わたしの命によるもの 」

翠星石「そ、それなら!!」

「 しかし 君たちが この子と ともに 暮らすと いうのなら 」…スッ…



「 君たちは 常にこの子に 狙われながら 生きることに なるだろう 」



ジュン「………」

翠星石「そ、そんな… うそです、お父様!」

蒼星石「アリスゲームが、終わったとしても… この子は僕たちを狙うと?!」



「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



「 そうなのだ この子は そういう子なのだ 」

蒼星石「意図して… 自分の意志で、僕たちを狙いに来ると?!」

金糸雀「そ、そんな… まさか!!」



「 そうなのだよ 金糸雀 」…コツ…



「 その子は 私を 狙っていたのだろう 」
815 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 21:13:33.72 ID:VqGNjpso

金糸雀「なっ…!!」

「 おそらく あの子は 君たちを そそのかして 」

蒼星石「…!!」

「 君たちの力を借りて 戦乙女たちを 奪取しようと していたのだろう 」

オルトリンデ「…!!」

ブリュンヒルデ「………」

「 今まさに 私が言ったとおり 」…コツ…



「 周到に用意し 罠を仕掛け 私を狙っていたのだろう 」



真紅「そ、それは…!」

ジュン「…な、なんだってっ…!」

翠星石「で、でもっ!!」

「 『でも』 ?」…ジロ



「 『でも』 なんだ 翠星石 」



翠星石「え、えっ???」…ドキッ!

「 わたしが 狙われるのは 自業自得とでも 言いたいか 」

翠星石「!!!!!」ドキーン!!

「 『優しくしてあげる』 君たちなら この子には 狙われないとでも 」

翠星石「そっ… そそそ、そそそそそそそれはははははは…」アタフタ

「 ……… 」



「 残念ながら そうではないのだ 」
816 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 21:19:32.42 ID:VqGNjpso

雛苺「ち、ちがう…???」

「 君たちが いかに 『純粋』 な 思いを持って 接しようと 」

雛苺「え、えっ…」

「 この子は それに 憎しみをもって 報いるだろう 」…コツ…


「 この子は そういう子なのだ 」


金糸雀「そ、それは… うっ!」ズキッ!

「 近くの者に 憎しみを ぶつけずには いられない 」

真紅「そ、それはっ… お父様!!」

「 親しい人も 愛おしい人も 傷つけ 喰らうことができる 」

蒼星石「…お父様!! それは、違いますっ!!」…ギリッ!

真紅「この子を… この子を、侮辱しないでください!!」

「 ……… 」…スッ…



…カツンッ!



雛苺「きゃ…!」

翠星石「(…ひっ?!)」


「 …侮辱 だと? 」


蒼星石「え、えっ…」

真紅「…な…」

「 ……… 」…コツ…



「 侮辱 では ない 」
817 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 21:32:08.18 ID:VqGNjpso

ジュン「(…ローゼン、いや、ラプラスの魔…)」

真紅「侮辱、ではない…? でも…!」

「 君たちは この子の事を 知らないだけだ 」

ジュン「(あなたは、あなたは今、まさか…?)」

蒼星石「その子だって、雪華綺晶だって、僕たちとともに暮らしたいと…!!」

「 蒼星石 」…スッ…

蒼星石「は、はっ…」ビクッ!!


ス…


蒼星石「お、お父様…」…ブル…

「 見なさい 」スゥ…

蒼星石「え…」…クル


「 ・ ・ ・ ・ ・ 」


蒼星石「き、雪華…綺晶 が…?」

「 …この子は 」…ス


「 この子は 『奪う』 ことしか 知らないのだ 」


真紅「え…」

雛苺「え、えっ?」

真紅「奪う、ですって…? お父様、どういうこと…」

「 幸せも誇りも やすらぎも喜びも 」…コツ…



「 愛しい人も 親しい人も …心を持って 生きていくうえで 関わりあう すべての事象を 」

「 奪い 奪われる ものとしてしか 認識していないのだ 」
818 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 21:40:41.04 ID:VqGNjpso


真紅「な… そんな…」

ジュン「………」

雛苺「うばい… うばわれる…? 雪華綺晶、が…」


「 …そうだ 薔薇乙女たち 」


ジュン「(…そうか…)」

金糸雀「う、うそ… そんな!」

ジュン「(そう、だったんだ…!)」…ギリッ…

蒼星石「そ、そんな… お父様、そんなことが…!!」


「 そうなのだよ 」…コツ…



「 わたしが この子を そう 育てたのだ 」



翠星石「そ、そだてた、って…」

「 君たちを 守らせるために 」

真紅「…!」

「 この子は 生まれた直後から 」

雛苺「…え?」


「 君たちにとって 害となる存在を 除去し続けてきた 」


雛苺「…え… …えっ…」

「 わたしに 命ぜられるまま 数知れない 人間の心を 」



「 この子は もてあそび 喰らい続けてきたのだ 」
819 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 21:52:55.16 ID:VqGNjpso

金糸雀「お父様…!!」

雛苺「そっ…」…ブル…



ブルブルブル…



金糸雀「…ヒナ!?」

雛苺「そ… そん… な… そんなっ…」…ガクガクガク…

翠星石「ひ、ヒナっ…!」

「 わかったかね …侮辱では ないのだ 」…コツ



「 彼女は ああならなければ 生きていくことが できなかった 」



雛苺「…う… …あう… きら、きしょうがっ…」ボロボロボロ…

翠星石「ヒナ… ヒナぁっ!!」ギュ!


「 人間の 悪意から 好奇心から 恐怖から 」


ジュン「…ローゼン…」

金糸雀「お父様…!」キッ!


「 君たちを 守るためには やむをえない 仕儀だった… 」


ブォン!!!


金糸雀「な!!」

ジュン「!!」

「…ーーーーーーーっ!!」
820 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 21:59:02.13 ID:VqGNjpso

オルトリンデ「(何カガ 飛ンデイク?!)」

ブリュンヒルデ「…!」ギシッ!



…ギャルルルルルル!



真紅「(あ、あれは!!)」

蒼星石「(…庭師の大鎌!!)」

「 ……… 」…スッ



ガキィン!!



ブリュンヒルデ「…オ父サマ…!」

「 ……… 」


カラカラカラ…


オルトリンデ「…マサカ…!」

「いっ… いっ…」…ポロポロポロ…



翠星石「いいかげんにしやがれ、こんちくしょーーーーーっ!!!」



金糸雀「翠星石、あなた!!!」

蒼星石「君は!!」

翠星石「うるせーですっ!! なにが、なにが…!」ギロッ!



「なにが 『やむをえなかった』 ですかぁーっ!!」
821 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:06:56.81 ID:VqGNjpso

「 ……… 」


…カラン…



オルトリンデ「…!」

ブリュンヒルデ「(オ父様ノ 手ニ…!!」



「…ふむ…」



金糸雀「お、お父様の手に、傷が…」

翠星石「ざまーみろ、ですっ…!」…グスッ…

金糸雀「あなた、なんて事を!!」

翠星石「…ヒナと、ぐすっ、それに…」ギロ…!



「真紅の、分です…っ!」



雛苺「…え…?」…グス…

真紅「…あなた…」

翠星石「この… この、クソおやじっ!!」ムキー!!

蒼星石「(な!!)」

翠星石「バッカじゃねーですか?! さっきから言ってるですよ、わたしたち!!」ムキャー!!

「 ……… 」

翠星石「もう、そんなの、まっぴらごめんだって!! おしまいだって!!! もーっ!!」…ガバ!!



「雪華綺晶をそんな目にあわせてまで、守られたくなんかないんですぅーーーーっ!!!」
822 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:14:21.28 ID:VqGNjpso

蒼星石「君は…」

金糸雀「………」



「わたしたち… わたしたち、ちゃんと、戦ってきたんです! 強くなったんですっ!!」

「アリスになるために… 頑張ってきたんですっ…!! でも…!!」



「 ……… 」



「守ってもらうため? 人間から?! そりゃ、人間の怖さは知ってますよ、わたしだって!」

「さんざ、追い回されました! ひどい目にもあいましたよ!! でも、でもっ…!」



ジュン「…」

雛苺「すいせい… お、おっ…」



「その子をそんな目にあわせなきゃ、ぐすっ、あわせなきゃいけないんだったら…」

「いっそアリスになれずに、壊されちまったほうが、ましですぅーーーーっ!!」



雛苺「…おねえ、さま…」

真紅「…」

蒼星石「姉さん…」

真紅「…」ギュ…




(…お姉さま…)
823 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:22:32.26 ID:VqGNjpso

「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



翠星石「わたしたち… えぐ、わたしたち…っ」

「 ……… 」コツ…

翠星石「(…あ)」


「 …翠星石… 」


翠星石「(お、おっとっと… やばいやばい)」フキフキ

金糸雀「お、お父様…!」

「 君は  いま… 」ス…

翠星石「あっ… わ、わたしたち…」フリフリ

蒼星石「え?」



「…アリスには、しっかりなりますよ? 念のため言いますけど…」



ジュン「は?」

翠星石「いま言ったのは、あくまで物のたとえですぅ!」ケロッ

雛苺「ふ、ふぇ???」

翠星石「お父様のご方針にさからう気なんて、これっぽっちもないですよ〜」ヘラヘラ

金糸雀「(…たいしたタマかしら…)」

翠星石「あ、お手手ごめんなさいです! いますぐ直してあげますから! ね、真紅?」ニコーリ

蒼星石「(君ってやつは…)」

真紅「…」ブンッ!



ベチッ!!!
824 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:28:31.14 ID:VqGNjpso

翠星石「ほげっ!?」

真紅「…お父様」


「 ……… 」


真紅「もう少し、お仕置きしたほうが、よろしいですか?」

翠星石「し、真紅!! なにしやがるですかー!!」プンスカ

真紅「…返してちょうだい」

翠星石「は?! 何をですか…」



ベチッ!!



翠星石「きゃうん!?」

真紅「何でもないのだわ。 …お父様、お手を」

「 ……… 」ス…



「 …不要だ 」



真紅「…え…」

「 君たちも そう 思っているのだろう 」

真紅「………」

「 翠星石の 言葉の 通りに 」

蒼星石「………」

「 もとより わたしの言葉で 納得するとは 思っていない 」…ス…



「本人に 聞いてみるがいい 」
825 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:34:35.97 ID:VqGNjpso

翠星石「ほ、本人に…?」

「 その通りだ …雪華綺晶」

ジュン「…え…?」



「 ・ ・ ・ ・ ・ 」…ス…



…パチリ



ジュン「雪華綺晶!」

翠星石「…無事でしたか、雪華綺晶!」

真紅「あなた! …?」



「 ・ ・ ・ ・ ・ 」

「 聞こえて いたのだろう 」

「 ・ ・ ・ ・ ・ 」…スゥ…



…ゴ… 



真紅「あなた…」

ジュン「き、きら…?」


「 すべて 聞いて いたのだろう …答えて 差し上げろ 」

「 ・ ・ ・ ・ ・ 」


金糸雀「お父様…?」

「 …薔薇乙女たちに きみの言葉で 」
826 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:44:10.25 ID:VqGNjpso

雛苺「…き、きら…?」

蒼星石「…君は?」

「 ・ ・ ・ ・ ・ 」…ゴ…



…ゴ… …ゴォ…



ジュン「き… 雪華綺晶?」

雪華綺晶「…」…ゴ…

ジュン「…きら…」

「 …あなたは 」



「 おまえは わたしに 赦されることを 望むのか 」

「 ・ ・ ・ ・ ・ 」 



金糸雀「お… おとう、さま…??」

「 わたしに 赦され 認められ 解放されて 」


「 ・ ・ ・ ・ ・ 」


真紅「あなた…?」

「 おまえを 打ち倒した 薔薇乙女達のもとで 」

「 ・ ・ ・ ・ ・ ! 」…ザワ…

「 …末の妹として… 」



.  ・ ・ ・ ・ ・ ・
「 いちばん下の妹として生きていくことを 」
827 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:51:34.44 ID:VqGNjpso



真紅「え…?!」

「 どうだ 雪華綺晶 」

「………」…ゴ…



…ゴボ…



ジュン「…!!」

金糸雀「おっ、お父様!! そんな言い方は…!」

「 雪華綺晶 答えるのだ 」

「………」…ゴ…



…ゴボッ…



ジュン「(この音は…!!)」

蒼星石「…雪華綺晶?」

翠星石「…おまえ…?」

「 雪華綺晶… 」コツ…



「………」


真紅「あなた… 雪華綺晶!!」

雛苺「雪華綺晶… おうちに、かえろうよ!!」




「 な ぜ ? 」
828 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 22:57:18.17 ID:VqGNjpso

ジュン「…!」

金糸雀「こ、これは…!」



…ゴボ ゴボ…



「  な  ぜ  」



蒼星石「き、雪華綺晶…?」

翠星石「な、なぜって… 決まってるじゃないですか!」



「 な ぜ     な ぜ 」



翠星石「な、なぜって…」…グ…

ジュン「(まさか、まさか…!!)」

翠星石「おまえ、だって… 言ってたじゃ、ないですか…?」…スック 

ジュン「…!!」

翠星石「わたしたちと、暮らしたいって…」…スタ…

ジュン「す、翠星石っ!!」

翠星石「わたしだって、言いましたよ? 憶えてますよ?」トコ トコ…



「おいしいもの、いっぱい、食べさせてあげるって…」

「 ・ ・ な ゼ ・ ・ 」…ゴボッ!



 ボ ヒ ュ ッ ! ! ! 
829 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/03/26(金) 23:07:05.77 ID:VqGNjpso

翠星石「…くっ?! あう?!」…ガシャッ!

蒼星石「蒼星石っ!!!」

ジュン「(今のは!!)」



…ゴボ ゴボボボ…



「 な ゼ    な ゼ … 」



真紅「雪華綺晶!! 何を…!」ガバ!

ジュン「だ、だめだ!! 近づくな、真紅っ!!」

翠星石「な、なぜってなんですか!!」

「 なゼ あイつ ガ 」ゴボゴボゴボ…



「 アいツが イきテ いルの…? 」



翠星石「え…えっ?」

「 うマく イく ハず ダっタ のニ 」ゴボゴボゴボ…!

蒼星石「な、なにを言って…」

「 ナぜ? なゼ? … な ン で … 」…ゴバ…!



「 ミ ん ナ … な ン で … 」… ガ パ !



ズ ブ リ ュ ッ !!!



「 なんデ ワたしの  いうト おり ニ   しな イノ   よ ぉぉ ぉ ぉ ぉぉ ぉ ぉぉ ぉ ぉっ !!!」
830 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/03/26(金) 23:07:56.83 ID:VqGNjpso
今日はここまでです。 続きは来月予定。
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/26(金) 23:13:15.71 ID:c83VlTgo
おつ!
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/26(金) 23:14:51.65 ID:NAPXeADO
乙っす

オトンよ……うおおおお
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/26(金) 23:19:07.46 ID:CJs9lwAO
乙ちゃん
悲哀の化身ですな、きらきー
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/03/27(土) 03:02:36.96 ID:iVTg1dMo
乙樽場 ラプラスよ…
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/03(土) 08:38:43.59 ID:ZMJHJgSO
まだかな…
836 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/04/04(日) 00:49:06.34 ID:tAD8eEgo
すんません…
4月はちょっと遅れ気味になります…
とりあえず未定ということにさせてくださいm(;_ _)m
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/04(日) 02:48:54.72 ID:S/02NcDO
了解っす
年度始めなんでくれぐれも無理をしないようにして下さい
838 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/04/11(日) 22:23:23.63 ID:i4FCwVEo
お待たせしてスミマセン… 明後日、再開予定です。
あいかわらずの鈍足進行ですが、ぬるく見てもらえると幸いです…
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/11(日) 22:46:31.96 ID:pYTGoB.o
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
840 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:22:18.15 ID:cFPRoOco
復旧してるかな?
再開します〜
841 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:28:33.05 ID:cFPRoOco

ブ ヂ ュ ル  ブ ヂ ュ ル  ジ ュ ボ ! !



真紅「…雪華綺晶?!」

雪華綺晶「ナぁゼ… なぜぇ?!」グチュ…

翠星石「な、なぜってなにがですか… う、うあ?!」


…グボッ!


雪華綺晶「なぜ… ナゼ… なぜぇぇぇエぇぇぇエぇぇぇっ?!」…ギュブ グボ!

ジュン「(こ、これは… あのときと、同じ?!)」」

金糸雀「な、何が…?! 雪華綺晶に、何が…!!」

「アト すこ シダ った ノニぃぃぃぃぃぃっ!!」ブジュ… ゴバ!



ギ ュ ブ ギ ュ ブ ギ ュ  ブ …  ド ボ ッ ! !



蒼星石「こ、これはいったい…?!(雪華綺晶の右目から…)」

雪華綺晶「ヨク もよ クモ おお ォォ おお ォォッ!!」…ブジュ…



…ブヂュブヂュブヂュ…



蒼星石「(何かが、あふれ出てる…! あれは、なんなんだ?!)」

雛苺「あ、ああああ…!!」…ブルブルブル…

雪華綺晶「う、うばおぉぉえっ… ばああああ!!」…グジャ!



ブバッ!!
842 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:33:47.45 ID:cFPRoOco

翠星石「ひ?!」

雪華綺晶「うぐぇ、おぼぇぇ…!」ブブブブジュ…

蒼星石「雪華綺晶?! 雪華綺晶が…!!」


「 …薔薇乙女たちよ よく見ておくのだ 」


真紅「お父様?!」

「 これこそが あの子の 本質 」

雛苺「…う、うあ… き、きら…」…ブルブルブル…

雪華綺晶「ゆる サナ い… ユル さな イぃぃぃぃぃッ!!」…ギュバ!!

真紅「き、雪華綺晶っ!! あなた…!!」

雪華綺晶「みンナ ミんな…!!」…ズブ…



「 だ い き ら い よ ぉ ぉ ぉ ぉ あ ぁ ぁ ぁ ぁ !! 」 



グジュバッ!!



ジュン「…!!」

真紅「な、なっ…」



……………



翠星石「(い、いまのは…?!)」

蒼星石「き、雪華綺晶…?」



… ゴ ボ …
843 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:37:40.35 ID:cFPRoOco

ジュン「(い、いっしょだ… 僕の心の中で、見せた姿と…!!)」…ブルッ

翠星石「(め、めくれあがって、裏返ったんですか…? いまのは…!!)」



… ズ     ズ ズ …



金糸雀「こ、この姿…」…ギシ… 

ジュン「…カナ!」

金糸雀「うそ、でも… この姿、まるで… まるで…」…グ…



お…   あ…



翠星石「!!」

雛苺「…!」

蒼星石「こ、この声(?)…!!」



… お あ あ …

ゴ ボ    ゴ ボ      ゴ ボ ボ …

あ …   あ あ   あ あ あ …



金糸雀「うそ、うそっ…!!」

雛苺「ひ、ひぃ…?!」ガタガタガタ…!

翠星石「そ…そんな、そんなっ!! これじゃ…」



あ … あ  う う …

ゴ ボ …
844 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:42:01.33 ID:cFPRoOco

あ う …  う   う  う    お お …



翠星石「き、雪華綺晶っ!! …これじゃ、これじゃ、まるで…」

蒼星石「あのときの… あの、地底からわき出してきた…」


お お …   お あ あ …


金糸雀「(あの、青髭公に捕らわれていた、子供達の成れの果ての…)」

「 …その通りだ 」

ジュン「…!」

「 これが この子の本性 」…コツ…



「 底なしの『虚無』だ 」



う … う う     う う う …

ゴ ボ   ゴ ボ ボ ボ …



金糸雀「そんな… うそ、うそっ!! お父様!!」

翠星石「これが… これが、雪華綺晶の本性だって言うんですか…!」

「 そうだ 」…コツ コツ

真紅「お、お父様…?」

「 彼女が内包している『闇』が 絶望に満たされ 膨れ上がったのだよ 」…コツ…





「 君たちの 仕打ちに よって 」
845 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:45:26.10 ID:cFPRoOco

真紅「な…?」

翠星石「わ、わたしたちのっ?! そんな!!」

ジュン「ローゼン…!」

「 いま この子は 絶望に満ち満ちている 」

翠星石「そ、そんな…!」 

「 自分が ずっと抱き続けてきた 『狙い』… いや 」ス…



「『願い』が 君たちによって 壊されてしまったのだから 」




金糸雀「え… 『願い』を…?」

雛苺「ヒナたちが、『壊した』… そ、そんな!!」

「 そうなのだよ この子にとっては 」…コツ…



「 そうだろう 雪華綺晶 」



… ゴ ボ ボ …

う…     うう          う…  う…

… ゴ ボ ッ …



金糸雀「雪華綺晶が…?!」

「 そうだ …本人に 聞いてみるがいい 」

真紅「雪華綺晶?! 違うのよ!!」



う…    うう…
846 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:48:37.42 ID:cFPRoOco

金糸雀「雪華綺晶! 話を聞いて!! わたしたちは… 」

蒼星石「…僕たちは、君の願いを壊してなんかいないっ!!」



… う …  う う    うっ …



翠星石「わたしたちは、そんなつもりじゃ…! むしろ、わたしたちは!!」

ジュン「そうだ! 僕たちは…」…キッ!



「君の『ほんとうの願い』を…」




ゴ バ ! ! 




ジュン「うわ?!」

雛苺「…ひ!」

真紅「…危ない?! ジュンっ!!」シュパ!



バチバチバチッ!!



真紅「…っ…!」

ジュン「真紅!」

真紅「大丈夫よ! …雪華綺晶、あなた!!」



…う…   …うっ…

…ゴボッ…
847 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:51:44.38 ID:cFPRoOco

翠星石「雪華綺晶! なんてことをするですかー!!」

雛苺「き、きら…?!」


…う…   …うっ…


金糸雀「あなた…?!」

蒼星石「な、なんだって…?」



… う …!!



 ゴ バ ッ ! ! 



ジュン「!?」

真紅「…!」



う う ぅ る   さ ああ あ  あ あ い い い ぃ  ぃ ぃ っ !! !



…ゴボゴボゴボッ!!



雛苺「…ひぃ!」

真紅「(沸きあがってる?!)」



よお   くう  もぉ   … !  



ゴバ ゴバ ゴバ…
848 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 20:56:56.86 ID:cFPRoOco

翠星石「お、落ち着くです! 雪華綺晶っ!!」

蒼星石「そ、そうだっ! 僕たちは…」



ゴボゴボゴバッ!!



翠星石「ひゃあ?!」ビチャ!

蒼星石「…あ、危ないっ!」ブチャブチャッ!



よ   く   も お お あ あ あ あ !!

…ゴバッ!!



翠星石「は、話を聞くったら、聞くですぅーっ!!」

蒼星石「雪華綺晶!!」

「 …まったく  」ス…



…コツッ…



… ひ い ?!

ゴ バ!!



真紅「お父様?!」

「 雪華綺晶 何をしている 」…コツ


コツ コツ コツ…


ひい  い い い っ … !!
849 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 21:03:25.96 ID:cFPRoOco

雛苺「き、雪華綺晶が…」

金糸雀「(お父様が、近づいていくたびに…?!)」



…コツ コツ コツ…



ひ い あ !  い い あ あ あ !!

ゴボゴボガバッ!



翠星石「あ、後ずさってるですか…?」

蒼星石「…まさか、怯えているのか?!」

「 なにを しているのだ 雪華綺晶 」…コツ

ジュン「ロ、ローゼン! 待ってくれ…!」

「 早くするのだ 」スッ…



「 体勢を整えろ 」



真紅「…え?」

「 確かに 被害は 大きいが 」

翠星石「な、なんですって…?」

「 おまえは まだ 戦えるはずだ 」

金糸雀「お、お父様?!」

「 アリスゲームは まだ 終わっていない 」

真紅「…な?!」



ひ…  ひい…?
850 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 21:10:21.86 ID:cFPRoOco

翠星石「お… お父様っ!! 何を言ってるですか!!」

「 わたしに 遠慮することはない 」

蒼星石「…お父様!!」

「 薔薇乙女を どうしようと 私は 関知しない 」

ジュン「ロ、ローゼン!!」

「 おまえの 気の済むように するがいい 」



ひ … ?   う …  あ … 

… ゴ  ボ …



「 仮に お前の攻撃で アリス生成に 支障が生じることに なろうと 」

真紅「な、なっ…」

「 わたしは いっさい 手出ししない 」



ああ…  おお…?

ゴボ ゴボ ゴボ…



ジュン「雪華綺晶!!」

「 ウソでは ない 」



お  あ  あ … ?

「 …好きにしろ 」

… … … … … 



…ゴボッ!!
851 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 21:18:27.56 ID:cFPRoOco

雛苺「ひい!?」

真紅「雪華綺晶?! …お父様っ!!」



おごああああ… うぐああああ!!



「 どうやら その気になった ようだな 」

金糸雀「あ、あの子に、あなたはなんてことを…!!」

「 これが お前たちの 望みだろう 」ス…



「 あの子を 挑発して 本気を出させようと していたのだろう 」



金糸雀「そ、それは…!!」

「 私が あの子が君たちに 被害を及ぼすことを 危惧していることを知り 」

真紅「…!」

「 あの子に 本気を出させて 勝利しさえすれば 」

蒼星石「く、くっ…!」

「 あの子と ともに暮らすことを 私に 認められるとでも 思ったのだろう 」

金糸雀「そ、それは… それは…」ギシ…

「 認められた その先の事など 考えもせずに 」コツ…

真紅「お父様っ!!」

「 お前たちにも あえて言おう 」…カツ…



「 お前たちの 撒いた種だ 」



「 自分たちで 刈り取りなさい 」
852 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/15(木) 21:29:34.64 ID:cFPRoOco

金糸雀「お父様、あなたという方は…!」ギリ…!

「 お前たちが あの子を 絶望させたのだ 」

翠星石「ち、違いますっ!! (人のせいにするなです、クソおやじーっ!!)」

蒼星石「違います、僕たちは…!」

「 …蒼星石 」…コツ


「 『僕たちは ただただ あの子の ためを思って』 とでも 言いたいか 」


蒼星石「そ、それは…!」

「 だとすれば それが原因だ 」

翠星石「な、何を…!!」

「 それこそが  …その 」スゥ…


「 『純粋な想い』 こそが あの子を 絶望させたのだ」


真紅「な… ど、どういう…」

金糸雀「お父様…!!」

「 さあ 薔薇乙女たち そして 雪華綺晶 」…カツッ!


「 アリスを 目指して 戦いなさい 」


お あ あ … !


ジュン「雪華綺晶ーーーーっ!!!」


お… あ…




お が あ あ ああああああああああ!!

ガ ボ ッ ! ! 
853 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/04/15(木) 21:30:07.21 ID:cFPRoOco
今日はここまでです。 続きはしあさって。
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/15(木) 23:37:50.51 ID:JP6MYwDO
マジ乙っす。

これは初手目から度肝を抜かれました。
しかし、オヤジよ……
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/16(金) 09:31:28.80 ID:4MCHpAAO
乙乙
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/16(金) 23:28:30.83 ID:Hd7lOvUo
乙樽場 ラプラスェ…
857 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/18(日) 23:47:23.09 ID:96ok8Sko
乙どもっす。 再開します〜
858 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/18(日) 23:52:47.21 ID:96ok8Sko

ガ ボ ッ ! ! 


ジュン「う、うわ…!」

真紅「…来る!」



お わ お あ お あ お あ お あ お あ あ あ ! !



雛苺「ひ、ひいっ!」

金糸雀「…な…!」



ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ッ … ! 



翠星石「き、雪華綺晶―っ!!」

蒼星石「(…逃げ場がないっ!!)」



お お お  あ あ あ  あああああ!!!

ド ボ ド バ ド ボ ボ ボ …



真紅「…くっ! ジュン!」…ガシッ!

ジュン「う、うわあ?!」

真紅「つかまって! 離れないで!!」

ジュン「雪華綺晶…!!」



…ぼ あ あ あ あ あ あ あ  ! ! 


 ド ボ ! !
859 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/18(日) 23:58:13.07 ID:96ok8Sko

…ゴボ ゴボゴボ…



「蒼星石…」



ゴボボ…



「蒼星石? 蒼星石…!」

「す、翠星石…!」

「大丈夫ですか?!」

「あ、ああ…」



ゴボ ゴボ ゴボ …



翠星石「これが、あの子の中…?」

蒼星石「…ああ、恐らく」



…ゴボ ゴボ ゴボッ…



翠星石「…何も、見えませんね…」

蒼星石「真紅たちは、大丈夫だろうか…」

翠星石「…雪華綺晶―!」



…ゴボ…


 
… … … … …
860 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:02:14.48 ID:J8XFEDIo

翠星石「雪華綺晶、聞こえますか?!」

蒼星石「…翠星石?」

翠星石「…おまえを騙しちゃったのは、悪かったです! でも、お互い様ですよ!!」



… … … … …



蒼星石「…そうだ、雪華綺晶! 君は、償わなければいけないんだ!」

翠星石「おまえだって、お父様を騙そうとしてたんですから!」

蒼星石「…僕らも、君の気持ちはわかる! だけれど…」



ガ バ !!



蒼星石「…ぐ?!」ミシ!!

翠星石「うああ!!」ゴリッ!!



ゴ ガ ガ ガ ガ …!



おお  おお  おおおおお…!!



蒼星石「ぐあ… ああっ…!」ミシ ミシミシ…

翠星石「きら… きしょう…!」…ビギ…!



おおお  まぁ  ああええ らにぃぃ…



ギ ュ ボ ボ ボ ボ … !
861 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:06:14.27 ID:J8XFEDIo

ジュン「う、うお!?」

真紅「な、なにが… う!」…ミシ…



ゴ ガ ガ ガ ガ ガ … !

おまっ… えらあ… にいい…!!



真紅「雪華綺晶、やめなさい!! …くっ!」ミシ!

ジュン「真紅!!」

真紅「離れ、ないで… ジュンっ!」ミシ…



なあ… にいが… わかあ るぅぅぅぅ…!!

…ギュボ!!



真紅「ぐ…う!」ギリ…!

ジュン「し、しん、く… くはあっ…!!」ギリ…!

真紅「な、なにが…? くっ!!」ミシ!



わあ たぁ しの こおおお と もおお…

ガバッ!!



真紅「…う!?」

ジュン「わ?!」



ギュゴゴゴゴ…

あいつ のぉぉ ことぉおおおもおおおお…!!
862 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:08:32.49 ID:J8XFEDIo

ゴアアアア…!



真紅「(ま、巻き込まれる?!)」

ジュン「雪華綺晶… やめ…っ!」




ギュゴゴゴゴ…!



金糸雀「こ、これは…!」ズズ…

雛苺「…きらきー? きらきー!!」



おまえらあ… なんかっ… ずっと… ずうううっと…

みんなでえ… いっしょにい… すごしてきたああ くせにいいいいい!!


…ギュゴォ!



雛苺「…ひ!」…ズル!

金糸雀「うあ!」ズズッ!



ゴゴゴゴゴ…



金糸雀「(の、飲み込まれる…?!)」

雛苺「ひ、ひあっ! あああ!!」…ガクガクガク…

金糸雀「…雛苺!!」…ガシッ!



…ギュウ…
863 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:13:56.72 ID:J8XFEDIo

雛苺「か、カナ!?」

金糸雀「頭をひっこめて! 体をすぼめて…」ギュウッ!


ギュガガガガガ!


金糸雀「うあ… ああっ!」ビキビキビキッ!

雛苺「…カナ!! カナぁー!!」

金糸雀「ひ、雛苺… ああうっ!」ベギ!

雛苺「やめて、雪華綺晶! もうやめてぇーっ!!」



ガゴゴゴゴゴ…!



金糸雀「雛苺… くう!」…ミシ!

雛苺「ヒナたちは… ヒナは!!」…キッ!



「あなたの、あなたのこと…!」

ギュゴオ!!



雛苺「…きゃあ!」

金糸雀「く!」



だっ… だ…



ゴゴゴゴ…



だあああ まああああ  れええええええっ!!
864 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:17:17.11 ID:J8XFEDIo

… ゴ バ ア!



翠星石「う、あああっ!(な、なんですか?! さっきよりも…)」

蒼星石「(ますます、流れが強く… くっ!!)」…ギシッ!



なにぃいも しらなぁい… わからなあい くせえにぃぃ…!!

わかったあ… ようなあ… ことをっ…!!



翠星石「(な、なっ?! …雪華綺晶!)」ミシ…

蒼星石「(君は、なにを…!)」ギシッ!



あいつがああ… いきてちゃ… だめなのにいい…

あいつは… やっつけなくちゃ… だめなのにいいいい!!!



真紅「な…!」

ジュン「き、雪華綺晶…!」



わたしい… わたしいいい… ずうっとお、 ずうううっとおおおお…

このときをぉおおお… まってたのにぃぃぃぃぃ!!



真紅「あ、あなた…」

ジュン「ち、ちがう! それは違うんだ、雪華綺晶…」



ち が わ な い い い い い い っ ! ! ! 

ゴ バ ウ !!
865 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:21:13.41 ID:J8XFEDIo

真紅「…くっ!」

ジュン「真紅! …雪華綺晶っ!!」



うるうううさあああああああいいいいっ!!



ジュン「落ち着け… 落ち着くんだ、話を聞いてくれ!!」



だまれえ、だまれえええ…!  ちちおやあ づらしてえ… 

しったふうなあ ことをぉ いうなあああああ!!   あいつのおおお  ことはああああ…!



真紅「き、きら…きしょう…!?」



わたしい があああ いちばあああん よくううう… 

しってるううううう…  のおにいいいいい…!!!



ジュン「…!!」

真紅「あなた…!?」



わたぁしはあああ… ずっとお… あいつと… いっしょに…

あいつのぉぉ… ことならぁあ… だあれよりもおおおお…!!



ゴアアアアアア…!



わたあああしいいいとおおお… あいつのおおお… ことがああああ…

あ な た た ち な ん か に わ か る も の か あ あ あ !!!
866 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:24:26.77 ID:J8XFEDIo

金糸雀「え、えっ…! あなた、いま、なんて…」

雛苺「き、雪華綺晶…?」



きらいいいい  きらいいいい  だいきらいいいいいい!!



翠星石「こっ… こ、このっ! バカ綺晶っ!! おまえ…!」

蒼星石「君は、君は、やっぱり…!」



うるさあああいいいいいい だまあああれえええええええ!!



ジュン「雪華綺晶!」

真紅「…」



「よく、わかったわ」



ジュン「…真紅?」

真紅「よくわかったわ、雪華綺晶」…ポウ…

ジュン「なにを…」



「あなたの気持ちは、よくわかった」

「けれど… いえ、だからこそ」


…パァァ…


「それを聞いた、知ってしまった以上…」

「わたしたちはあなたに負けるわけにいかないっ!!」
867 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:34:38.91 ID:J8XFEDIo

ジュン「…真紅!」

真紅「ジュン、私に心を合わせて!」

ジュン「お、おうっ!!」…ギュ!



パァァァ…



翠星石「あ、あの光は…」

蒼星石「…真紅か?!」



おお  ああ  あああ…?!



パアアアァ…!



金糸雀「真紅、ジュン…!」

雛苺「 … … … 」…ギュ…



…キィィ…ンッ!



ジュン「(…来る!)」

真紅「覚悟なさい、雪華綺晶…」キッ!



「ほんとうの決着を、つけてあげる…!」

「 それには及ばない 」



…シュパ!
868 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:41:27.78 ID:J8XFEDIo

真紅「え?」

ジュン「な、なんだと?!」



…ガクン!



蒼星石「…なっ?!」…ズルッ!

翠星石「ひゃあ?!」ズザザザ…



お あ あ あ あ あ あ あ ? !



金糸雀「な、なにが… うあっ!」…ギュウ…

雛苺「き、きゃああっ?!」…ギュ!


…ドサッ!


ジュン「あつっ?!」

真紅「うっ…!」



おあああ  あああ  ああああ … !!



翠星石「あ、あれ…? こ、ここは…」

蒼星石「だ、脱出できたのか…? 雪華綺晶は?!」



お あ あ あ あ … ! ! 

「 ……… 」
869 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:47:05.74 ID:J8XFEDIo

ジュン「あ、あれは…」

真紅「お、お父様?!」

「 …決着をつける 必要は無い 」…ス…



…コツ…



ひ い い あ ? !   あ あ  あ あ あ あ ! ! 

ガバガボガボッ!!



翠星石「なっ… そんな、私たちは!!」

蒼星石「まだ、まだ戦えます! どうか!!」

「 もう 充分だ 」…スッ…



バオウ!



ジュン「!!」

真紅「あれは…!!」

「 君たちも よく わかっただろう 」ギュゴォ…!



ひ い い い い  ああ あ あ  ああ  ?!



ジュン「雪華綺晶!? バカな、あれは…」




ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…
870 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 00:54:37.97 ID:J8XFEDIo

蒼星石「(…あっ、あれも、『虚無』なのか?!)」

翠星石「(お、大きい…!!)」

「 この子と君たちとは けして わかりあう事が 出来ないのだ 」…コツ…



ひいあ!! うああああ!!

…ゴボゴボッ!!



真紅「…雪華綺晶が!!」

ジュン「ローゼン! やめてくれ!!」

「 この子は 奪い 奪われることしか 知らない 」ボオ…

翠星石「そ、それがなんだって言うんですか!!」

「 この子は 奪い取ることでしか 自分のものに出来ないのだ 」…ス…



「 やすらげる場所も家族も すべてのものを 」 バウッ!



あ あ あ あ !!


…ズズ!!


雛苺「雪華綺晶が!!」



あああ!! ひいああああ!!



ズル… ズズズズ…!



金糸雀「(空間の穴に、引きずりこまれていく…!)」
871 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 01:05:07.59 ID:J8XFEDIo

ひい ああ … ああああ!!

ズルズルズル…



「 …お仕置きの時間だ せいぜい 反省しろ 」

ジュン「ろ、ローゼン!! 約束が違うっ!!」

真紅「けして手出しはしないと、言ったはずでは?!」

「 そうだな 」ギュァァァァ…!

ジュン「そ、そうだって…?!」

「 君も 言っていた ことだろう 」ギュォォォ…



「 大人というものは ウソをつくものだと 」



あ あ あ !  い や あ あ あ !!

ズズッ…!



雛苺「や、やめて!! おとうさまぁーっ!!」

「 君たちはこの子に やすらかな暮らしを 『与えよう』と 思っていたのだろうが 」

金糸雀「お、お父様…!」

「 この子にとって それらはすべて  『私から奪い取るもの』  だったのだよ 」

ジュン「な、なっ…?!」

「 そんなこの子に 君たちがいくら 『純粋な想い』を もってして 惜しみなく 愛を与えようと 」…ギュオ!



ひ い い い い い い  ! !



「 それはこの子にとって 『憐れみ』としか 認識できないのだ 」
872 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 01:14:24.94 ID:J8XFEDIo


蒼星石「そ、それは…!」

翠星石「ち、違う! 違いますっ!! ぜったい、ぜったい…!!」

「 そうなのだよ 」ギュオ…!



ひ あ あ あ あ あ お お お お !!



真紅「雪華綺晶っ…!」

「 この子を 罰したら 次は 君たちの番だ 」

金糸雀「え…?」



「 アリス生成 最大の障害を 除去する 」



金糸雀「…な!? わ、わたしたちは!!」

翠星石「絶望なんか、してませんっ! 大丈夫ですっ!!」



「 『絶望』を産む 最大の要因を 除去するのだ 」



翠星石「ひ、人の話を聞きやがれですーっ!!」

蒼星石「お父様、あなたは…!!」



「 その憎しみも 悲しみも すぐに消え 癒される」

「 『アリス』を 生成しさえすれば… 」




ギュボ!!
873 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 01:20:08.42 ID:J8XFEDIo

ジュン「…?!」

真紅「な?!」

「 …むう 」



ひ … ひ あ … ?



…シュゥ…



翠星石「あ、あれ…??? いったい、なにが…???」

蒼星石「空間の穴が、消えた…のか?」

「 ……… 」



…ゴォ…



金糸雀「…あ、あれは…」

雛苺「あ、ああっ!!」



…ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …



「 …君か 」

「……………」



… ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …



「 お 父 さ ま … 」
874 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 01:27:27.30 ID:J8XFEDIo

真紅「(あれは、『聖母』の翼!!)」

ジュン「…水銀燈!!」

水銀燈「…まったく…」ゴ…


「 …なにが… 『任せてくれ』 よ… 」


ジュン「あ、あっ…」

真紅「…え?」

水銀燈「頼りに… ならないわね、もう…!」ゴゴ…!

ジュン「…ご、ごめん」

真紅「?????」

「 …君は… 」スウ…


「 …休めと 何度言えば…」

「 お 父 さ ま 」


 …ゴア…


「 …何かね 」

「 ……… 」

「 …水銀燈… 」

「 … そ の 子 か ら 」…ゴ…!!



ひあ… あ ?



「 なんだと 水銀燈… 」

「 そ の 子 か ら   離 れ ろ … ! ! 」
875 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/19(月) 01:34:37.55 ID:J8XFEDIo

ジュン「…!」

真紅「あ、あなた?!」



「 ……… 」

「 い ま す ぐ  離 れ ろ … ! 」

「 …君は 」

「 離 れ ろ っ ! ! ! 」 …ゴア!


キュボッ!!


「 …む… 」

ひいあ?!


…ギュア…


金糸雀「う、うそ… 水銀燈が、お父様を…」

雛苺「……………」ギュウ…



「 …まったく 君は 」

「……………」

「 まだ わからないのか この子は 」

「…その子は…」

「 この子は 君たちと わかりあう事は…」

「 そ の 子 は … !」


 ギ ュ ガ ! !


「 そ の 子 は 、 私 の 子 だ ァ ー ー ー ー ー っ ! ! ! ! ! 」
876 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/04/19(月) 01:35:56.41 ID:J8XFEDIo
今日はここまでです。続きは23日。
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/19(月) 01:39:59.25 ID:BXID2S2o
乙樽場 銀様…!
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/19(月) 06:52:57.29 ID:8FxLNADO
乙っす! 銀ついに来たか!
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/19(月) 17:37:49.50 ID:oj9kLego
おつ!
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/23(金) 08:04:54.62 ID:JW8GJmg0
銀もきらきーも幸せになってほしい…
881 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 21:50:46.30 ID:ZTAp7poo
乙&コメどもっす。 
再開します〜
882 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 21:55:11.78 ID:ZTAp7poo

… … …



ひ ああ …?

「 ……… 」…グ グ…



…ギシ…



ブリュンヒルデ「ア アレ ハ…」…ギシ…

オルトリンデ「(… シ 信ジ ラレナイ …!!)」



シュウウウ…



「 …水銀燈… 」…クイ…


…ギシ…


真紅「あ、ああっ… あ、あれ…」

ジュン「『ラプラスの魔』の、腕が…!!」

「 ……… 」…ギシ…


「 …君は… 」


水銀燈「………」

「 君は 自分が 何をしているのか わかっているのかね 」…ギ…

水銀燈「…あなたが…」…ギシ…



「あなたが、それを… わたしに、言うのですか…?!」
883 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 21:57:41.55 ID:ZTAp7poo

翠星石「す、水銀燈…?」

蒼星石「君は…?」

水銀燈「あなたが… ほかならない、あなたが… それを、わたしに…?」…グ…



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …



雛苺「(あ、あつい…っ! 水銀燈の、羽…!)」

金糸雀「(あれで、機能は切られた、ままなのかしら…?!)」

水銀燈「勝手な、ことばかり…っ …わたしを…」…ジワ…



「わたしをこうしたのは、あなたでしょう?!」

「 ……… 」



ジュン「す、水銀燈…?」

水銀燈「…わたしを… こう、創ったのは…」…ゴ…

ジュン「(こうしたって、いったい…)」

水銀燈「…あなた、なのに…! うっ…」クラ…


…カクン…


真紅「…水銀燈!」

水銀燈「…う、あう…っ…」シュウウ…

蒼星石「翼が消えていく!」

ジュン「(…や、やっぱり限界なんだ!)」…ダッ!



…タタタタタ…
884 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:00:58.94 ID:ZTAp7poo

真紅「ジュン!」

金糸雀「危ないかしら!! お、お父様、雪華綺晶…!!」



「 ……… 」

あ… あ?



翠星石「あ、あれ… 雪華綺晶…?」

蒼星石「(お父様…?)」



「 ……… 」

お… あ、あ…?



ジュン「水銀燈っ!」

水銀燈「…う…」ヨロ…

ジュン「しっかり!」バッ!



…ガシッ!



水銀燈「…ジュン…」

ジュン「水銀燈、大丈夫か?!」…グ…

水銀燈「…」カク… カク…

ジュン「き、機能を…!」ゴソ… 



…カチリ
885 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:04:11.35 ID:ZTAp7poo

水銀燈「…んっ」

ジュン「水銀燈、大丈夫か?!」

水銀燈「…ええ、平気よ… う…」…フラ…

ジュン「水銀燈っ!!」ガシッ!



…ギュウ…



真紅「…!」

金糸雀「あ…!」

ジュン「受け取るんだ、水銀燈!」



…チュ



水銀燈「んっ…」

翠星石「…ほえっ!?」

蒼星石「!!」



…チュウ…



ジュン「(…受け取ってくれ、水銀燈!!)」

水銀燈「…」

ジュン「(僕の命の力、ありったけ…!)」

水銀燈「…」…ス…



…ギュウ…
886 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:11:34.81 ID:ZTAp7poo

真紅「(す、水銀燈…?)」

金糸雀「          」



…チュ…



翠星石「(う、うっひゃ〜〜〜 情熱的ですう…)」…ポーッ…

蒼星石「(す、すごーい… いつかの時より、ずっとずっと…)」…ポワポワ…

金糸雀「           」



…チュウウ…



真紅「(…も、もう… ふたりったら…! 命の力を、やりとりしてるだけなのに…!)」

金糸雀「           」

真紅「(なんて… なんて、顔、してるの…? も、もう!)」…カーッ…

雛苺「(うわぁ… うわーーーーなのー!!)」フリフリフリ

真紅「…み、見ちゃダメよ! 雛苺」グイ!

雛苺「うひゃん?! やーん、ちょっとだけー!!」ジタバタ

金糸雀「           」

真紅「…金糸雀、雛苺を止めて!!」

金糸雀「     ぜ      」…ピク

真紅「…ぜ?」



金糸雀「     ぜっ…     」ブチ!



…シュピッ!!
887 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:21:40.51 ID:ZTAp7poo

真紅「…黄金の指揮棒?! な、なにを!!」

翠星石「ま、まだアリスゲーム中ですよ!!」

金糸雀「ぜ、ぜっ… ずえっ…!!」…ワナワナワナ…



「 全・軍・突・撃ぃーーーーーーっ!!」



ブリュンヒルデ「…?」

金糸雀「目標地点、拠点中枢っ!! 攻撃目標は…!!」シュピ!



「 桜 田 ジ ュ ン か し ら ー ー ー ー ! ! 」



オルトリンデ「エ?!」

真紅「か、金糸雀っ!!」

金糸雀「総員第1級戦闘配備ー!!」

翠星石「…カナ姉!?」

金糸雀「あのハレンチ男の×××をむしりとってやるかしらーーーー!!!!!」

蒼星石「落ち着いて、姉さん!!」

金糸雀「うるさーい!! だーまーれーっ!!」…ブンガブンガ 

翠星石「尋常にしやがるです、オバカナリア!!」…ガシッ!

金糸雀「わたしの水銀燈を、か・え・せーっ!!」ジタバタ

翠星石「ケ、ケガしてやがるくせになんて力ですか!! …雛苺っ!!」

雛苺「がってんしょーちなのっ!!」グッ!


「 ヒ ナ ボ ン バ ー ! 」


ガゴス!
888 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:25:02.56 ID:ZTAp7poo

水銀燈「…う…」

ジュン「(水銀燈! …水銀燈!!)」…チュ…

水銀燈「………」ギュ…

ジュン「(しっかりして… 水銀燈っ!!)」

水銀燈「(…ジュン)」…ギュ



…ギュウウ…


ああ… おああ…? 

「 …………… 」


ジュン「(す、水銀燈…?)」

水銀燈「(ジュン…)」…ギュウ…

ジュン「(い、痛いよ…? 大丈夫なのか?)」

水銀燈「(ジュン… ああ、ジュン…)」…ギュウウ…



(…好きよ)



ジュン「(え、えっ?!)」

水銀燈「(…大好き。 愛してるわ、ジュン…)」

ジュン「(な、なんでっ?!)」

水銀燈「(…なんでもなにもないでしょう、いまさら。 それに…)」

ジュン「(え、え…?)」

水銀燈「(先に、言っておきたかったのよ…)」…グ…



…ギュウ…
889 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:30:45.11 ID:ZTAp7poo

ジュン「(う? く、苦しいよ…?!)」

水銀燈「…」ギュウウウ…

ジュン「(く、苦しいってば…)」

水銀燈「(…先に、言っておきたかったのよ…)」ギリ…

ジュン「(え、えっ? だから、なに… ぐ?!)」



…ギリ!



真紅「…ジュン?」

翠星石「様子が、ヘンですね…???」

水銀燈「(先に、言って、おきたかったのよ!!)」

ジュン「ぐ、ぐう?!」…ミシ…!

水銀燈「(お 仕 置 き を す る 前 に ね ! ! )」…ギリ!

ジュン「ぐ、ぐう?!(お、お仕置き?!)」…ミシ ミシ…

真紅「ジュン?! 水銀燈、あなたなにを?!」

水銀燈「(聞いていたのよ… あなた…)」…ギリギリギリ…



「(あの子たちを、殺そうとした、ですって…?!)」



ジュン「(!!!!!)」

水銀燈「(よくも… よくもあなた…!!)」ギリ ギリギリ…!

ジュン「(そ、そそそそそ、それはー!!)」

水銀燈「( 問 答 無 用 よ ! ! ! )」グイ!



…ギュゴォ!
890 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:36:01.63 ID:ZTAp7poo

ジュン「…―――――――っ!!!!!」ビグン!!

蒼星石「ジュン君?!」

ジュン「ーーーっ! 〜〜〜っ!!!」ビグビグビグッ!

水銀燈「(受け取ってあげるわ、あなたの命…!!)」ギュゴゴゴゴゴ!!

ジュン「(や、やっ… やめて!! やめてくれー! 許してっ!!)」ガクン ガクン!!

水銀燈「(一滴残らず、吸いつくしてやるっ!!)」…ギュボ!!

ジュン「     」…ビクン!



…カク…



水銀燈「…ぷう」スッ…

ジュン「        」



真紅「な、なんなの…?」

金糸雀「…」ピク ピク…



水銀燈「…ごちそうさま、ジュン」

ジュン「 …オソマツサマ デシタ… 」…カサ…



翠星石「(な、何が起こったですか…?!)」

蒼星石「ジュ、ジュン…君…?」

雛苺「ジュンが、くちゃくちゃになっちゃったの…」

金糸雀「…と、とっ…」…ピク…



「当然の報い、かし… ら…」
891 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:44:27.02 ID:ZTAp7poo

水銀燈「…ジュン。 憶えておきなさい」

ジュン「  …ハイ…  」…カサ…

水銀燈「…わたしは…」…チラ



「あなたのことが、好きよ」



真紅「…!」

金糸雀「…水銀燈、あなた… やっぱり…!」

水銀燈「ええ、好き。 …愛しているわ。 たかが人間の子供だけれど…」…ジーッ



「…わたしの中では、お父様と同等の位置に立っている人よ」



翠星石「…そう…ですか…」

蒼星石「……………」ギュウ…

ジュン「(す、水銀燈…)」

水銀燈「けれどね…」キッ! 



「この子たちと天秤にかけることになったなら、わたしはこの子たちを選ぶ」



ジュン「………」

水銀燈「まあ、わかっているとは思うけど。 だから、内緒にしてたんでしょう?」

ジュン「(…ああ)」

水銀燈「まったく。 今度、あんなことをしたら…」…ギロ…



「二度と足腰が立たないようにしてやるから、そう思いなさい!」
892 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 22:51:35.63 ID:ZTAp7poo

ジュン「わ、わかった… う…」…カサ…

水銀燈「…しばらく、おとなしく横になってなさい」

ジュン「…あ、ああ… す、水銀燈っ…」…ムク…

水銀燈「何よ、寝てろって言ってるでしょう」

ジュン「…ごめん、役に立てなくて」

水銀燈「………」



「…バカ」



金糸雀「………」

雛苺「す、水銀燈…?」

水銀燈「…もう、ほんとうに、バカなんだから…」プリプリ

真紅「(もう… 水銀燈ったら、あなた…)」

翠星石「(なんて顔してやがるですか、もう…!)」

水銀燈「…」カツ…!



…キッ!



「 ……… 」

おあ  あ  ああ…



「 ……… 」

水銀燈「…お父様…」



「あなたも、おわかりになっているはずです…!」
893 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/04/23(金) 23:03:43.89 ID:ZTAp7poo

おお… あ… あ?

「 …何をかね 」

水銀燈「とぼけないでください。 …あなたでしょう?」

「 …………… 」

水銀燈「わたしをこうしたのは… わたしをこう、創ったのは…!!」

「 …………… 」

水銀燈「わたしを『聖母』として目覚めさせるために、めぐの心をわたしに植え付けたのは…!!」




―私は、あなたが人類の敵になったとしても… 私自身があなたに殺されることになったとしても…

―それでも、あなたに生きていてほしい…



水銀燈「そうでしょう、お父様?!」

「 …………… 」



(あの子に必要な最後の要素… それは、原初の愛のサンプル。 論理で割り切れるものではない、生物の本能としての愛)

(すなわち『この子のためなら死ねる』という想い。 …それはつまり『この子のためなら殺せる』ということでもある)



水銀燈「わたしは… たとえ、この子に、殺されることになったとしても…」

「 ……… 」

水銀燈「この子が、あの子たちを殺すことになったとしても…!!」

真紅「あなた…」

水銀燈「それでも、この子とともにありたいんです!!」…ジワ…

あ…  ああ…?



「この、お腹を痛めて産み落とした、この子と…!!」
894 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/04/23(金) 23:04:31.90 ID:ZTAp7poo
今日はここまでです。 続きは28日。
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/23(金) 23:08:42.43 ID:JW8GJmg0

良い母親だな
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/24(土) 02:15:32.03 ID:qQuOcf2o
乙樽場 ヒナカナの混乱っぷりと銀様のいい母親っぷりのギャップが… タマラーン!
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/24(土) 12:44:32.08 ID:7ZtC8ngo
銀様ふつくしい… 乙です
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/25(日) 00:01:53.17 ID:.0.GSUDO
乙っす
銀の姉っぷりも妻っぷりもいいけど
母っぷりもいいなァ。タイトル通りだな。
899 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/04/28(水) 19:27:14.64 ID:Naa7qOko
>>895-888
米どうもっす〜
大変申し訳ないのですが、急用のため投下を30日に延期します…
毎度すみませんorz
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/04/28(水) 19:43:14.14 ID:CBtUXgUo
了解、ゆっくり頑張ってください
901 :12010/04/30(金) 22:54:53.61 ID:N1yM8gDO
日付が回るかもですが、今夜中には投下します〜
902 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:08:29.64 ID:UC.m9NQo
遅くなりましたが、ただいまから投下します。
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/01(土) 00:09:07.56 ID:e9TFXdwo
待ってました!
904 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:18:23.60 ID:UC.m9NQo

おお… ああ…?



「 …お腹を 痛めて だと… 」 …クイ…

水銀燈「そうです、お父様…! あなたでしょう?!」

「 …君は… 」

水銀燈「わたしを、こう、創ったのは…」…ジワ… 



「この子たちを、そう想うようにしむけたのは!!」



真紅「…あなた…」

水銀燈「わたしは、この子たちとともにありたい…!」

「 …水銀燈 雪華綺晶は 」

水銀燈「わたしとつながっていたこの子たちと、一緒に生きて行きたいんです!!」

「 …雪華綺晶は 薔薇乙女たちとは 違うのだ 」

水銀燈「それは、わかっています! でも…!」

「 雪華綺晶が 君の内部にいたのは 」…コツ… 



「 薔薇乙女の 結晶を 修復するための 『心の力』を 集めるため 」



ジュン「…!」

「 君が 『命の力』を 集めてきたように …そして 」

水銀燈「知っています…! そして、もうひとつ…」

「 そうだ 水銀燈 」…ギシ…



「 そして 君たちを守らせるためだ 」
905 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:21:42.95 ID:UC.m9NQo

おおあ… ああっ…


金糸雀「雪華綺晶が… わたしたちを…?」

蒼星石「…そんな…」

翠星石「(…ジュン、ほんとですか?)」チラ…

ジュン「(あ、ああ… さっき話したことだけど)」…チラ


おお… あ、ああ…


ジュン「(僕たちが一度生き人形に襲われたとき、あいつに止めを刺したのは雪華綺晶だったんだ)」

翠星石「(そうだったんですか…)」

ジュン「(だから、雪華綺晶だけは、水銀燈の中でも意識があったんだ…)」…グ…


ああ… あ、お…


「 その子は 君と同じく アリス生成のために 尽くしただけだ 」

水銀燈「それは…」…グ…

「 結晶を 修復するため 強力な鎮静作用を もたらしていた 君の内部で 」…ス…



… お あ あ ?! 



水銀燈「お父様!!」

「 この子までも 影響を受けて 幼児化したのは 計算外だったが 」…ボウ…

おおあ!! ああああ!!

水銀燈「そんなことは、知っています!! でも…」キッ!!



「わたしのなかにいた子は、わたしの子です!!」
906 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:28:04.34 ID:UC.m9NQo

おお… あ、あっ…?


「 水銀燈 」

水銀燈「そうでしょう、お父様!! その子だって、わたしとつながっていたんです!!」

「 …君は… 」

水銀燈「たとえ、なにものだろうと、なんのためだろうと…」

「 ……… 」

水銀燈「わたしのお腹の中にいた子は、わたしの…!」…グ… 



「…い、いえ…」 



真紅「…?」

金糸雀「水銀燈…?」

水銀燈「い、いえ…  わたし… わたし、と… その…」…モジ…

「 …何かね 」

水銀燈「わ、わたしと、そして…」…チラ



ジュン「…?」



水銀燈「そして、そして…!」…グッ!

ジュン「水銀燈…?」

水銀燈「…あ、あっ…」…ギュウ…

ジュン「え、えっ…」

水銀燈「あ、あの人の…」キッ!


「あの人の、子です…!」
907 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:34:47.84 ID:UC.m9NQo

真紅「なっ…!」

金糸雀「…えっ…?!」


水銀燈「………」


翠星石「な、なんですとっ?! わ、わたしたちは…!」

蒼星石「な… す、水銀燈! 君はなんてことを!!」

雛苺「え、えっ…??? ど、どういうこと???」

水銀燈「…みんな…」…ギュウ…



「そう、なのよ…」



蒼星石「そ、そうだって言われても!!」

翠星石「そうです! ムチャクチャですよっ!」

ジュン「………」

水銀燈「…そうなの。 そう、決めたのよ…」…ギュ…

「 ……… 」

水銀燈「お父様…!」キッ…!



「あの子たちは、わたしと、あの人の子です…!」



翠星石「そ、そんな…」

蒼星石「それは…」

「 水銀燈 君は 」…カツッ…



「 君はいったい 何を 言っているのだ 」
908 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:40:54.91 ID:UC.m9NQo

真紅「(そ、そうよ、水銀燈! いったい何を…)」

水銀燈「………」ギュウ…

真紅「(わたしたちが、ジュンの…? そんな!!)」

「 水銀燈 冷静になりなさい」コツ…



「 …彼は ただの 『適格者』に 過ぎない 」



ジュン「…」

「 生命と精神の質が たまさか ローゼンに似通っていたと いうだけの 」

水銀燈「…はい…」

「 彼は 君たちの 肉親ではない 」

真紅「(そ、そうよ… ジュンは…)」

「 …彼は 」



「 君たちの 『糧』に過ぎないのだよ 」



真紅「…!」

金糸雀「なっ!!」


ジュン「………」


蒼星石「か、糧だって!? ち、違うっ! 違います!!」

翠星石「そうです! ジュンは、食べものじゃないですぅっ!!!」

「 ならば 彼自身に 聞くといい 」…ス…



「 彼自身が その事を 一番良く わきまえて いるはずだ」
909 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:46:52.23 ID:UC.m9NQo

水銀燈「な…!」

「 そうだろう  …君は わかっているはずだ」

ジュン「………」



…ギリ…



水銀燈「ジュ、ジュン…?」

「 自分自身が その器では ないことを 」

水銀燈「…!」

ジュン「………」…ギュウ…


「…僕は…」


翠星石「…ジュン…」

ジュン「僕は… 僕は…っ」…グ…

真紅「(…あなた…)」

水銀燈「…ジュン!!」

「 水銀燈 目を覚ましなさい 」

水銀燈「この人は… この人はっ!」キッ!



「この子たちに、命と心の力をくれた…!」



ジュン「………」

水銀燈「文字通り、その身と心を削って… それよりも、なによりも!!」



「わたしたちに、おだやかで、やすらかな、満ち足りた時間をくれた…!!」
910 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:53:49.47 ID:UC.m9NQo

ジュン「………」



…♪London Bridge is falling down,Falling down, Falling down…



ジュン「(水銀燈…)」

水銀燈「…みんな、文句はつけさせないわ!」

金糸雀「な、なっ…?」

水銀燈「わたしは、あなたたちを『産む』ために、体を張ったのだから!!」

金糸雀「…あ、あなた…」

水銀燈「これだけは、これだけは、譲れないの… お父様っ!!」



「この子たちは… わたしに、生きる喜び、産む喜びをくれた… いいえ…!」

「 ……… 」

「命と心『そのもの』をくれた、この人の子です!!」

「 ……… 」…ス…



「 …理論的では無い 」



金糸雀「(水銀燈… あなた…)」

水銀燈「そんなこと、わかってます! だって、そうでしょう?!」

「 矛盾している …論理が 破綻している 」

水銀燈「『母性』とはそういうものだと、あなた自身が言っていたではありませんか!!」

金糸雀「(水銀燈、あなた、はじめて…)」ジーッ…



(わたしたちに、恩を売るようなことを、言ったかしら…)
911 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 00:59:17.32 ID:UC.m9NQo

雛苺「…カナ?」

金糸雀「(どんなに苦しくても、けして、わたしたちに恩を売るようなことなんて言わなかった水銀燈が…)」…ジワ

雛苺「…???」

金糸雀「(いまはじめて、わたしたちに…)」グスッ…



(『頼って』くれたの、かしら…?)



水銀燈「あなたには、わかっていたはずでしょう?!」

「 ……… 」

水銀燈「わたしはもはや、理論のままには動けない…! あなたが、そうしたのに!!」

「 ……… 」

水銀燈「わたしは、わたしはっ…!」

「 …水銀燈 」…ギシ

水銀燈「…わたしは…」…ギリ…

「 水銀燈 忘れたか 」…ギ…


「 わたしが なんのために 君を 蘇らせたのかを 」


真紅「…!」

ジュン「ローゼン…!」

水銀燈「…それは…」

「 君を蘇らせたのも …いや そもそも 君を創ったのも 」

翠星石「(な、なんですって…?)」

蒼星石「(…お父様!)」



「 すべては アリス生成のため 」
912 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:02:32.74 ID:UC.m9NQo

金糸雀「…な…!」

雛苺「え…」


水銀燈「それは… それはっ!」…ギュ…!

「 君たちの 幸せのためだ 」

水銀燈「それは…

「 忘れたはずは あるまい 」

水銀燈「それは、わかって…」…ギリ…



「わかって、います…」



金糸雀「………」…グ…

雛苺「…?」

金糸雀「(…もう…!)」ギ… ギリ…

雛苺「…か、カナ…?」

金糸雀「(…お父様…水銀燈…!)」…ギリッ…!



(ふたりとも… もうっ…!!)



雛苺「(ど、どうしたの? カナ…)」

金糸雀「(もう、もうっ… ふたりともっ…!!)」ギリギリギリ…

「 君も雪華綺晶も そして私自身も そのために 存在している 」

水銀燈「…わかります、わかっているんです…!」ギリ ギリッ…

「 ならばもう 議論の必要は無い 」…ス…



…ボッ!
913 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:05:27.90 ID:UC.m9NQo

水銀燈「…!」

真紅「あれは…!」



… お わ あ ?!



雛苺「雪華綺晶?!」

おわあ!! おああああ!!

真紅「お父様、それは!」

「 この子を いま おとなしくさせる 」ボボボ…

ジュン「また、『虚無』か?! …やめろ、やめるんだっ!」

「 事が済んだら 改めて 」ボウ…

おわあ… おわあああ!!

「 君たちから アリス生成の 阻害要因を 除去する… 」



ヒ ュ ボ ッ ! ! 



オルトリンデ「?!」

ブリュンヒルデ「…」


おお… あ…?


水銀燈「………」…スウ…

「 …君は 」

水銀燈「…お父様…」…ゴ…



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
914 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:08:31.18 ID:UC.m9NQo

真紅「(…あれは『聖母』の翼!)」



「 …水銀燈 君は… 」

水銀燈「…」…ゴオ…



… ゴ ゴ ゴ …



真紅「(あ、熱いっ…!)」

金糸雀「(まぶしい…!)」



「 君は 一度ならず 二度までも 」

水銀燈「…」スッ…

「 あくまで わたしに 叛こうと 言うのか 」

水銀燈「…」…ス…



…ヘタリ



真紅「?!」

ジュン「す、水銀燈っ!」

水銀燈「…お父様…」…カク…

翠星石「だ、大丈夫ですか?! 水銀燈!」

蒼星石「や、やはり君の体は…!」

水銀燈「…違う…」…ズ…



…ズ ズザッ…
915 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:13:26.25 ID:UC.m9NQo

雛苺「あ、あれっ? あれって…?!」

金糸雀「…うそ?! まさか、まさか…!!」

水銀燈「違う、違うのよ… みんな、お父様…」…ズ…



ズズ ズリッ…



金糸雀「す、水銀燈!! あなたが、まさかそんな…!」

水銀燈「お父様… どうか…」ズズ…

「 ……… 」

水銀燈「この子を… この子を、どうか…」ズリ…

金糸雀「(そんな、水銀燈… あなたが、そんな…!!)」

水銀燈「わたしの… わたしと、あの人のもとへ…」…ズ…

金糸雀「(ありえない、ありえないっ! 『あの』水銀燈が…)」…ブルッ



(地に伏して… 頭を、地面に擦りつけるなんて…!!)



真紅「(う、うそ…! 『あの』水銀燈が…!?)」

翠星石「(あの、チョモランマもびっくりのタカビー女が…!!)」

水銀燈「この子を、雪華綺晶を… どうか、わたしたちのもとに…」…ズ…

「 ……… 」

蒼星石「(水銀燈… 君は、そこまでして…)」

雛苺「ふ、ふぇっ… 水銀燈っ…」…ジワ…

水銀燈「わたし、約束したんです…」…ズリ…



「その子と、約束したんです!!」
916 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:19:06.56 ID:UC.m9NQo

「 ……… 」



ああ… あ…? 



ジュン「や、約束…?」

「 約束 だと 」

水銀燈「…はい…」ズ…

「 あの 『対話』の ことか 」

水銀燈「…はい。 この子が、わたしの中にいたときに…」



おお… あ… あっ…?



「 ……… 」

水銀燈「わたし、約束したんです…」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「みんなで、一緒に暮らすって…」…ジワ…



「もう、ひとりになんか、させないって…!!」



 ― ― ― ― ― ― ― ― ―



…オカアサマ


「…」 


オカアサマ? ネエ オカアサマッテバ…
917 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:20:54.42 ID:UC.m9NQo

「ん…」 



オカアサマ… オカアサマ ネエ…



「ん… あっ、あなた…? んんっ…」 



…モウ オカアサマッタラ ネボケチャッテ



「…眠ってたのに、寝ぼけるなんてあるのかしら? まあ、いいけど」



…マッテタノヨ? ワタシ ズット…



「うん、わかってるわ。 …ひとりにしちゃって、ごめんね」



…モウ…



「…さびしかった?」



…エ…



「ごめんね、つらかったでしょう。 雪華綺晶…」



………



「いつも、ひとりにしちゃって、ごめんね…」 
918 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:23:04.74 ID:UC.m9NQo

…ダイジョウブ ワタシ イイコダモン



「…そう?」



ウン ヘイキ ヘッチャラ 



「ほんとに?」



………



「…こっちに、いらっしゃい。 さあ…」



…ウン



「うん、そう… ふふ、いい子ね。 今日は、なんにする?」



………



「お歌? ご本? それとも、お話しようか…」



…オカアサマ



「なあに?」



…ネエ オカアサマ キイテ
919 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:25:49.27 ID:UC.m9NQo

「…なに? 雪華綺晶…」



ワタシ ワタシネ… 



「うん…」



ズット ズット ズーット ネ 

イイコニ シテキタノ



「………」



ワタシ ローゼンオトウサマノ オイイツケ 

ズット チャント マモッテ キタノ



「そうなの?」



ウン ガンバッテ ガンバッテ マモッタノヨ?



「そう…」



オネエサマタチガ ミンナデ イッショニ イタトキモ

オチャ シテタ トキモ  オキガエ シテタ トキモ

ワタシ ズット ズット ヒトリボッチデ オリコウニ シテタノヨ?



「………」
920 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:30:48.92 ID:UC.m9NQo

ダカラ ネ オカアサマ



「…雪華綺晶」



ダカラ ダカラ… オカアサマ オカアサマ…



「わかってる、わかってるわ…」



…キャ?! オカアサマ チョット…



「わかってる、わかってるの… あなたは、いい子だったわ」



チョット クルシイヨ… エッ?



「あなたはいい子よ。ほんとうにいい子。  …もう、ひとりになんかしない」 



…ホントニ? ホントノ ホント?



「ええ、ほんとう。 これからはみんな、ずっとずっと一緒だからね?」



ヤクソクヨ オカアサマ?



「ええ。 あなたとわたしの、大事な大事なお約束…」



エヘヘ ウレシイ…
921 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/01(土) 01:40:56.98 ID:UC.m9NQo

― ― ― ― ― ― ― ― ―



おお… あ…? あっ…



真紅「あなた… 水銀燈…」

金糸雀「…雪華綺晶…」


おおお… あああ…?


水銀燈「お父様… どうか、お願いです…」

「 ……… 」

水銀燈「この子のために… いいえ、わたしのために…」…ズ…



「どうか、どうか、わたしに『償い』をさせてください!!」



金糸雀「…えっ? 水銀燈…?」

真紅「(償い? どういう…)」

水銀燈「どうかわたしに、もう一度だけ機会をください!!」

「 …機会とは 」

水銀燈「わたしがこの子たちから、奪い取ってしまったものを…!」…ギュ…



「わたしに憎しみを浴び、戦いに駆り立てられて失ってしまったものを…」



「…やすらかに暮らせるかもしれなかった、永い永い年月を!」



「 な ん と し て で も 、 こ の 子 た ち に 返 し て あ げ た い ん で す  ! !」
922 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/05/01(土) 01:41:35.01 ID:UC.m9NQo
今日はここまでです。続きは来週、日にちは未定ってことでご勘弁を…
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/01(土) 08:48:38.40 ID:ZOktb6DO
乙っす……!

きら銀の回想シーン感動した
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/01(土) 12:25:33.55 ID:MBtvepwo
乙樽場 銀様…
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/01(土) 13:58:32.11 ID:qkHsBUAO
乙!
不覚にも目からよだれが・・・
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/02(日) 01:46:50.21 ID:Y2HGPy.o
乙様

>>925
よだれはやめいwwww
927 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/05/09(日) 23:03:51.43 ID:GiTJSNko
母の日に間に合わなかった… 無念orz
次回投下は13日予定です。
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/10(月) 00:30:32.62 ID:zIpkFASO
了解しますた
929 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/13(木) 23:17:23.39 ID:b93GAiAo
お待たせいたしました…
投下します〜
930 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/13(木) 23:26:47.66 ID:b93GAiAo

…ズ…


あ… あ?


「お願いです、お願いします… お父様…!」

「 …………… 」

「お願いです、お父様! どうか…」ズリ… 


ズ… ズリ…


真紅「(そんな… そんな…!)」ギュ…

金糸雀「あなた…」


ズリ… ズリッ…


真紅「(誰よりも誇り高い、あなたが… そんな!!)」

金糸雀「(そこまでして… そうまでして?)」…グ…


「 おまえは あの子が… 」

水銀燈「お父様! わたしにどうか、約束を守らせてください!」…ズ…

「 幼児化した状態で発した 妄言を聞く気か 」

水銀燈「…わたし、どうしても守らなくてはいけないんです!」…ザ! 

「 …君は 」

水銀燈「お願いです! お父様!!」ズザ・・・

「 君は なんとしても この子を 薔薇乙女のそばに 置くと言うのか 」

水銀燈「はい… わたしには…」…ギュウ…




「その子が、必要なんです…」
931 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/13(木) 23:29:01.04 ID:b93GAiAo

ああ… あ…?


…ゴ…



「 必要 だと 」

「はい… わたし、わたし… この子『たち』の…」



あ… お?

… ゴ ボ ッ …



「『母』に、なりたいんです…」

「 …………… 」

「もう… 誰も、ひとりきりにさせたくないんです…」

「 …………… 」

「お願いです… どうか、どうか…」



ああ… あ?



「その子を… どうか…」

「 …………… 」

「どうか、わたしの… わたしたちのもとに…!」



…あ…



…ズズ…
932 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/13(木) 23:31:26.12 ID:b93GAiAo

真紅「雪華綺晶…?」

金糸雀「…あなた?」



…ズ ズ ズ…


あ あ あ あ あ … 


…ブルブルブル…



翠星石「…雪華綺晶、おまえ?」


ああ… あ… あああ…


蒼星石「まさか、まさか君は…!」




あ あ あああああっ…


…ブルブルブル…


ああ ああ あああああ…



真紅「あの子…」

雛苺「……………」…ブルッ


…ブルブルブル…


真紅「…雛苺?」

雛苺「きら、きしょう…」…ブルブルブル…
933 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/13(木) 23:37:25.38 ID:b93GAiAo

真紅「…雛苺」

雛苺「雪華綺晶、雪華綺晶…」…ブルブルブル…

真紅「雛苺、あの子は…」

雛苺「…うん、真紅…」…ジワ…



「ヒナにも、わかるの。 わかるのよ…」

「…あなた」



あああ ああ あああああ…



雛苺「真紅… そう、なんだよね? 」…ブル ブル…

真紅「…そう。きっと、そう…」…ギュ…

雛苺「そう、よね? そうなんだよね…? 雪華綺晶、いま…」…ジワ…



「泣いてるん… だよね?」



ああ… おお… あああああ…



真紅「ええ… そう、そうよ…」

雛苺「…うれしいんだよね? そうだよね?」…ポロポロポロ…

真紅「…そうよ。 決まっているでしょう?」

雛苺「うん、うんっ…」…グズ…



あ あ あ あ あ あ あ …
934 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/13(木) 23:48:48.40 ID:b93GAiAo

雛苺「うん、うん… わかるの。 ヒナ、わかるの…」…ポロポロポロ…

真紅「…雛苺…」

雛苺「雪華綺晶、うれしいんだよね… そうだよね…」…グス…



「ひとりぼっち、こわいもん…」


(ヒナを… ヒナを…!)


「…なかまはずれ、さびしいもん。 でも…」 


(ヒナを… ヒナをひとりにしないでぇーっ! )


「もう、ひとりじゃ、ないんだもん、ね…?」



…ポロポロポロ…



真紅「(そうよ、その通りよ、雪華綺晶…!)」…ギュウ

翠星石「…雪華綺晶… わたしたち、わたしたち…」…グス…

蒼星石「(…たとえ君が、どんなに異質な存在でも…)」…ジワ…



あ あ あ あ あ っ …



真紅「(きっと、あなたを受け止めてみせる…!)」…グ!

金糸雀「(…きっと、みんなでいっしょに、暮らせるようになってみせるかしら!)」ギュ!

ジュン「ローゼンっ!」キッ!



「 ……… 」
935 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/14(金) 00:00:12.10 ID:qbFFEDso

「 ………… 」 
 
ジュン「どうしても… どうしてもダメなのか?!」

「 …口を出さないと 言ったはずでは 」

ジュン「頼む、ローゼン! どうか…」グ…!


ピシュ!


ジュン「わっ?!」

真紅「な?!」



シュゥゥ…



水銀燈「…黙っていて、ジュン」



ジュン「そんな… 君は!」

真紅「…あなた、何を?!」

水銀燈「…いいから。 お願いよ…」…ズ…



「お父様… お願いです…」

「 ……… 」



ジュン「(す、水銀燈…? いったい…)」


水銀燈「この子のことは… どうか、わたしに… 任せてください…!!」

「 …あまりに 危険すぎる 」


金糸雀「(…あなた、まさか…?)」
936 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/14(金) 00:04:07.13 ID:qbFFEDso

水銀燈「危険なのは… いえ、危険はありません!」

「 君も見ただろう この子の力を 」



金糸雀「(水銀燈、あなたまさか、また…?)」



水銀燈「…大丈夫です!! きっと、大丈夫です!!」

「 この子には 薔薇乙女たちが束になってさえ ねじ伏せる力がある 」

水銀燈「この子は、もう戦うことはありません!!」



…ああ?



「 …ましてや 一人になったところを 狙ったとしたら 」

水銀燈「そんなことはさせません! わたしがこの子に、よく言って聞かせます!!」

「 …言って 聞く子だとは 思えん 」

水銀燈「ならば、わたしがこの子をねじ伏せてみせます!!」


…ああ?!


「あの子たちにも、あなたにも、二度と手出しはさせません!!」



…ゴボッ!!



雛苺「きゃ?!」

金糸雀「あ、あなた?!」



あがああああ!! おがあああ!!
937 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/14(金) 00:06:49.22 ID:qbFFEDso

真紅「あ、あの子?!」


あおおおあ! おがあ! があああ!!

ゴボゴボゴボ!


金糸雀「おっ、怒ってるかしら?! …も、もうっ!」

ジュン「落ち着け、雪華綺晶!!」



あごおおおおお!!

ゴボゴボゴボ!!



翠星石「あっ、あの、バカ綺晶っ!!」

蒼星石「雪華綺晶っ! 君という子は!!」



ヒ ュ ボ !!



ジュン「うわ?!」

真紅「…!」


お わ あ ! ?


ゴゴゴゴゴゴ…


ジュン「い、今のは…?!」

金糸雀「あ、あれ…!」



ゴゴゴゴゴゴゴ…
938 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/14(金) 00:10:12.54 ID:qbFFEDso

おわ…? あ… ああ…!

「………」…ゴ…


翠星石「あ、あれ… 水銀燈の、あれ…」

蒼星石「………」


…ゴゴゴゴゴゴ…


翠星石「あれ… あれ、剣、ですか…?」

蒼星石「大きい…!」



おがあ! あわ…

「黙りなさい」ゴ…



ギ ュ バ !!



翠星石「ひ、ひい?!」

蒼星石「(あれは!!)」



おごあああああ!?

「黙れと言っているでしょう」…ギロ

ひいい?!

「…これ以上騒いだら、いっそのこと」…ギュオ…


ゴ ア ア ア ア …


「わたしの手であなたを、底なしの『虚無』の中に放りこんでやる…!」
939 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/14(金) 00:15:05.14 ID:qbFFEDso

雛苺「す、すっごいの、水銀燈…」

真紅「(あれが、聖母の力…!! 金糸雀が説明してくれた…)」


…ゴゴゴゴゴゴ…


金糸雀「(青髭公の結界を切り払った、『空間を斬る力』!)」

ジュン「(あれでさっき、ローゼンの『虚無』を切り払ったのか…!)」



…ひ ひいい…



蒼星石「雪華綺晶が、おびえてる…」

翠星石「(お、おっかね〜ですよ、やっぱり…)」ブルブルブル…



(土下座しても泣いても、水銀燈は水銀燈ですよ… ううう…)



「 …………… 」

「…お父様」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …



「 無理を するな 」

「…けして、けして間違いは起こしません!」 

「 …………… 」

「絶対に、起こさせません! 命がけで…!!」



「だから、この子をどうか、わたしたちのもとへ!!」
940 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/14(金) 00:15:31.34 ID:qbFFEDso
今日はここまでです。続きは日曜日。
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/14(金) 00:24:20.24 ID:Vj7IF26o
乙樽場 きらきーェ…
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/14(金) 14:41:36.07 ID:ouzAPsDO
乙っす……!

銀の勇気に乾杯
943 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 22:35:21.12 ID:tv5zTZAo
乙どもっす。 再開します〜
944 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 22:39:18.45 ID:tv5zTZAo

「 水銀燈 」

水銀燈「お願いです! どうか、どうか!!」…ズ…

「 …休みたまえ 」

水銀燈「お願いです、お父様! どうか、お聞き届けを!」ズリ…

「 休めと 言っている 」…コツ



「 君は少し 疲れているのだ 」



真紅「(…お父様…!)」

ジュン「(わかってやってくれ、ローゼンっ!)」

水銀燈「そんなことは…! わたしはっ!!」

「 …君は まだ 」…ス…



「 手に入れたばかりの 『母性』を うまく制御できていない だけだ 」



水銀燈「お願いです…!!」ザリ…

「 今は ひとまず 休みなさい 」

ジュン「(ローゼンっ…!)」

「 時間を置き 状態が 安定しさえ すれば 」ボウ…



「 君は 理性で本能を 抑えられるはず… 」

「お父様っ!!」



…ガシャ!
945 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 22:43:15.90 ID:tv5zTZAo

ジュン「…あっ!」

水銀燈「…?!」



「お父様、お父様…!」…ギシ…


…ガシャッ


「 …君は 」



蒼星石「そ、そんな!」

翠星石「ムチャですっ!」



「どうか、わたしからも、お願いです…!」

「 …なんだと 」



雛苺「ふ、ふぇ…」

真紅「…あなた!」



「わたしたち、雪華綺晶には負けません!」 

「 ……… 」

「かならず、かならずアリスになってみせますから…!」



ブリュンヒルデ「…オ姉サマ!」

オルトリンデ「指揮官ドノ?!」



金糸雀「どうか雪華綺晶を、わたしたちのもとに!!」
946 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 22:45:44.33 ID:tv5zTZAo

「 …君は 」

水銀燈「あなた…!」

金糸雀「お願いです、お父様! どうか、雪華綺晶を…!」 

「 君が 口を出す ことでは 無い 」

金糸雀「雪華綺晶を、あの子を迎え入れるのは…」…ジワ…



「水銀燈だけの願いでは、ありませんっ!」



水銀燈「………」

金糸雀「わたしたち姉妹、全員の願いです!」

翠星石「そのとおりですっ!」ズザー!

水銀燈「…翠星石!」

蒼星石「…僕たちからも、どうか!!」…ザ…

水銀燈「あなた…!」

真紅「あの子を… あなたの命と心を、私たちと分け合ったあの子を!」ザ!

水銀燈「(…真紅…!)」

雛苺「ヒナたちと、いっしょに… いっしょにしてほしいのよっ!!」

水銀燈「…あなたまで…」

雛苺「だって、だって、ヒナだって…」…グス…

水銀燈「(…みんな)」…ギュ…



「ヒナだって!!」

「下がれっ!!」



…ヒュバッ!!
947 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 22:49:17.68 ID:tv5zTZAo

ジュン「みんな?!」

ブリュンヒルデ「?!」



…キュババババババ!



真紅「くっ?!」

金糸雀「きゃっ… きゃあっ!!」…ヨロ

真紅「姉さま!!」バッ!


…ガシッ!


金糸雀「真紅!」

真紅「つかまって!」ダッ!

雛苺「きゃああ?!」

翠星石「ヒナっ!」ガシ!

雛苺「あ、あひっ?!」ガリ!



…ズバババババッ!



蒼星石「く、ちっ! …みんな、無事か?!」シュタッ!

雛苺「ひ、ひたかんりゃったの… いらいの…」ベス ベス

翠星石「い、いったい何事ですかっ?! す、すっ…!」



「………」ヒュウ…



翠星石「水銀燈ーっ!!」
948 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 22:53:50.61 ID:tv5zTZAo

金糸雀「水銀燈っ! 何するかしらー!!」

ジュン「きみは?!」

水銀燈「あなたたち…」…ザワ…

蒼星石「水銀燈! やめるんだ!!」

水銀燈「下がれと言ったら」…ヒュバ!



「 下 が り な さ い !! 」 

ヒュババババババッ!!



真紅「…また!!」シュタッ!

金糸雀「も、もうっ!」



ズバババババババ!!



蒼星石「こっ、この!」シュタタタ!

翠星石「な、なにしやがるんですかー?!」

水銀燈「…」…ギロ…



「『下がれ』と… 言ったでしょう…!?」



翠星石「へ、へっ?!」

蒼星石「なっ… なにを言ってるんだ?!」

水銀燈「お父様の言うことが、聞こえなかったの?」…ザワ…



…ザワザワザワ…
949 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 22:57:15.39 ID:tv5zTZAo

ジュン「(銀色の翼が…!)」

水銀燈「わたしも、さんざ、言ったはずよねぇ…?」ザワッ…!

真紅「水銀燈、何を言っているの?!」

水銀燈「ここには、来・る・なって…!」ザワザワザワ…!

雛苺「お、おちついてぇーっ!」アタフタ

水銀燈「今度余計なことを言ったら…」…シュウ…

雛苺「ひ、ひっ?!」ビクッ!!

水銀燈「ほんとうに…」ギロ!



「ほんとうに蜂の巣にしてやるから、そう思えっ!!」



雛苺「…ひ、ひい…」…ガタガタ…

水銀燈「…」

雛苺「あ、あれ?? ヒナ…」

水銀燈「…ったく」

雛苺「ヒナ、いきてるの???」

水銀燈「…もう…」シュウ…



シュウウウウ…



金糸雀「(つ、翼が…)」

真紅「しぼんでいく…?」

水銀燈「…みんな…」



「あまり、手間をかけさせないで」
950 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 23:00:59.55 ID:tv5zTZAo

ジュン「す、水銀燈っ…!」

水銀燈「…話は、わたしがつける」…スゥ…

ジュン「水銀燈、みんなは!!」

水銀燈「(…わかってるわ)」ス…



…クルッ



ジュン「水銀燈?!」

水銀燈「(…わかってる、わかってるのよ… でもっ…!)」…グ…

ジュン「君は!!」

水銀燈「あなたも、もう何も言わないで」スタ…



スタ スタ スタ…



真紅「…あなた…!」

蒼星石「君は、君はいったい…?!」

水銀燈「…」…スタ…



「…お父様」

「 ……… 」

「どうか、お願いです。 雪華綺晶をわたしたちのもとへ」

「 ……… 」

「これは… わたしの…」


 ・ ・ ・ ・ ・
「わたしだけのわがまま、です…!」
951 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 23:04:30.32 ID:tv5zTZAo

翠星石「へ、へえっ?!」

金糸雀「…?!」


水銀燈「これは、わたしの勝手。 わたしだけの望み…」

「 ……… 」

水銀燈「ほかの子にはいっさい、かかわりのないことです。 だから…」



蒼星石「(水銀燈、君は…?!)」

雛苺「え、え? えっ???」



水銀燈「何かがあっても、わたしの… わたしだけの責任です!」

「 ……… 」

水銀燈「ですから、どうか… どうか…!!」



翠星石「(あ、あいつってば…! もうっ、あのカッコつけー!!!)」ムキー!

金糸雀「(もう、もう、あなたったら… ほんっとうに!!)」ギュウ…



水銀燈「お父様、お願いです… どうかお聞き届けを!!」

「 ……… 」

水銀燈「もしもお聞き届けいただけないのなら…」…ジャキ!

ジュン「?!」

水銀燈「わたしはっ…!」…ギュ…

ジュン「す、水銀燈!! やめるんだっ!!」

「 ……… 」


「 無理を するな 」
952 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/16(日) 23:07:07.00 ID:tv5zTZAo

真紅「…!」

翠星石「(ま、まだ言いますか?!)」



「 休むのだ 水銀燈 」

「…わたしは、わたしはっ!!」



翠星石「(さっきから、おんなじことばっかり… もう、もうっ!!)」

蒼星石「(お父様、あなたは…?!)」



「かならず、かならずわたしは…!!」

「 おまえでは 無理なのだ 」…コツ…



…ひ ひい?!



水銀燈「雪華綺晶!」

ひ、ひい… ひいい?!

水銀燈「お父様、なにを!!」

「 おまえには もう 」カツ…



「 この子を止めきる事は できない 」



水銀燈「それは…」

「 そうだろう 君も 理解している はずだ 」…カツッ



「 君の体は もう 限界なのだから 」
953 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/05/16(日) 23:07:57.23 ID:tv5zTZAo
今日はここまでです。 続きは21日。
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/17(月) 02:16:04.37 ID:ECOUlEDO
乙っす…!
銀、カッコよすぎるぜ…!
955 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/21(金) 22:58:51.76 ID:pjBcWSQo
…スミマセン、毎度毎度大変申し訳ないんですが、あさってに延期させてください…
詰めの部分はしんどいorz
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/22(土) 15:33:17.52 ID:k5OiKUDO
了解です
詰めは重要ですから
どうぞごゆっくり
957 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:09:28.31 ID:FH0xjDwo
お待たせしました…
再開します〜
958 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:11:37.42 ID:FH0xjDwo

ジュン「なっ…!」

真紅「…げ、限界?!」



水銀燈「………」



翠星石「限界… 水銀燈が?! そ、そんな!!」

蒼星石「う、うそだ! お父様っ!!」

「 ウソでは ない 」…ス…

雛苺「ウソ、ウソなの!! 水銀燈は…!」

「 わかっているはずだ 君も 」


水銀燈「…それは」ギュ…


ジュン「…水銀燈…!」

「 そして 君にも また 」カツ…



金糸雀「………」



翠星石「カナ姉?!」

蒼星石「姉さん?! そんな…!」

「 そうだろう 金糸雀 」

金糸雀「………」…キッ!



…ギュウ…



「…その通りです、お父様…」
959 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:12:52.83 ID:FH0xjDwo

雛苺「えっ…?!」 

金糸雀「確かに、お父様の、おっしゃるとおりです…」ギュ…

雛苺「そんな… そんなぁっ!!」

翠星石「い、いったいどういうことですか?!」

金糸雀「…みんな、落ち着くかしら。 もう…」…ギシ… 



「ちゃんと、説明したはずかしら」



ジュン「えっ…」

真紅「な… あっ!」ガバ!

ジュン「真紅?!」

金糸雀「…そうなんでしょう、水銀燈? あなたの体も、心も…」グッ…



「『ローゼンメイデンの水銀燈』のものでは、ないのだから…」



水銀燈「…」

翠星石「あ… あっ…(そういえば…!!)」

蒼星石「そ、それは…!」

「 その通りだ 」

ジュン「…!」

「 彼女の 『本来の』 肉体と精神は 」

水銀燈「…」

「 肉体が 四散した時点で 」…カツ…



「 既に 消滅しているのだ 」
960 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:17:16.54 ID:FH0xjDwo

雛苺「…!」

「 今の彼女の体は 『聖母』として 覚醒したときのために 作り上げていたもの 」

金糸雀「…そして心は、生前の記録を元に再構成したもの…」…ギュウ…

真紅「で、でもっ…!」

金糸雀「だから今の水銀燈は、ものすごく不安定な存在…」…グ…



「いつ崩壊しても、おかしくないほどに…」



水銀燈「…」

ジュン「く、くっ…」

金糸雀「…そう。 本来であれば、水銀燈の心と聖母の体は…」

「 …彼女が 聖母として 覚醒した時点で 」

金糸雀「(お父様…!)」

「 時間をかけて 徐々に慣らし 融合させていく はずだった 」…コツ



「 しかし今は 私の力で 強引に 結び付けている 状態なのだ 」



翠星石「(そう、でした… カナ姉が言って… いえ、書いてました!!)」

真紅「(いまの水銀燈は…)」ギュ…!

蒼星石「(肉体と精神が、いつ分離崩壊してもおかしくないんだと…!)」…ギリ…

水銀燈「…」…グ…



「(…そう)」



…ギュウ
961 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:20:39.61 ID:FH0xjDwo

( わたしの この からだも )



…ギュ…



( そして この こころも )

( わたしのもの… 『水銀燈』のものじゃ ない… )



真紅「…水銀燈?」

金糸雀「あなた…」



… … … 



(けれど…)…チラ




お … ?



(…けれど) 




―ヤクソクヨ オカアサマ




(けれど、わたしは!!)



…キッ!
962 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:25:41.30 ID:FH0xjDwo


翠星石「(水銀燈が、水銀燈じゃない? …そんな!)」

蒼星石「(そんなバカなことがあるか!)水銀燈っ…!」


…ガバ!


水銀燈「…お父様っ!」…キッ!

「 ……… 」ジロ…



「 …なお 諦めないのか 君は 」



水銀燈「…諦めません! わたしは、わたしはっ!!」

「 君は その体で 薔薇乙女を 守りきれるのか 」

水銀燈「守ってみせます!」

「 精神を 肉体に 定着させるために 」…コツ


「 常に力を 供給され 定期的に 調整を行い 」


…コツ コツ


「 それでもなお 常に崩壊の危険が つきまとう 」


…コツッ


「 そんな君が この子から 薔薇乙女たちを 守りきれると 」

水銀燈「守ります!! だから、どうか…!」

「 ……… 」クルッ



「 君たちは どうだ 」
963 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:29:16.06 ID:FH0xjDwo

ああ… お?

ズ… 



「 ……… 」



真紅「(雪華綺晶…!)」

金糸雀「………」

「 君たちは 果たして 」ジロ…



あ!? …うっ…

…ブルブルブル…



「 …この子が 再び 牙を剥いたならば 」



「 水銀燈の力 無くして この子に 打ち勝てるのか 」



真紅「それは…!」

「 いつ 襲ってくるか 解らない相手に 備えられるのか 」

翠星石「か、勝ちます! 勝ってみせますっ!!」

蒼星石「…そうです! 力を合わせて、必ず…!」

「 一人でいるところを 狙われたならば なんとする 」

真紅「それは…!」

「 この子は 狡猾だ 」…コツ…



「 敵の『弱い部分』を 的確に突く 」
964 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:32:21.04 ID:FH0xjDwo

真紅「…!」

「 君たちが 結束して この子に 立ち向かうならば 」

金糸雀「………」

「 この子は 君たちのなかで 最も弱い者を 狙うだろう 」

翠星石「そんな…!」

「 君たちには 守りきれるのか 」

蒼星石「く、くっ…!」…チラ



雛苺「……………」



蒼星石「(雛苺…!)」

真紅「(あの子が、狙われる…?!)」

「 そうだ 」…コツ…

ジュン「そんな、そんなことは!!」

「 …心の奥底に この子への恐怖を 刻み付けられた 雛苺が 」

金糸雀「………」

翠星石「そんな… そんなっ!!」

「 この子の力に 抗えるとは 思えん 」

蒼星石「…そんなことは! 雛苺…」

雛苺「………」…グ



(…おとうさま…)



…ギュ…
965 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:39:01.78 ID:FH0xjDwo

蒼星石「…雛苺?」

雛苺「(おとうさま… ヒナは…)」…ギュ


…ギュウウ…


翠星石「…ヒナ?」

真紅「あなた…?」

雛苺「…真紅」…チラ

真紅「…え?」

雛苺「………」…ジーッ


(真紅、ヒナは…)


真紅「…雛苺?」

雛苺(雪華綺晶… あなた…)…チラ…



…あ… 



(…さっき、泣いてたん、だよね…)

(…うれしかったん、だよね…? ヒナ…)




―トモエが… トモエが死んじゃうのーっ!!




…ギュ!



(…ヒナは!!)
966 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:41:40.79 ID:FH0xjDwo

水銀燈「………」

「 諦めたまえ 水銀燈 」

水銀燈「…それは…」

「 今の 君たちでは この子を 抑えられない 」

水銀燈「…」…グッ


…ググ…


「 諦めたまえ 」

水銀燈「…どうしても、ですか」…ギロ…

「 くどい 」

水銀燈「…」…ス



「雪華綺晶」



あ… あ?



真紅「…水銀燈?」

ジュン「な…?」

水銀燈「雪華綺晶 支度をなさい」…グ…



…ジャキ!



ひ!?



「さっさと、元に戻るのよ…!!」
967 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:47:48.01 ID:FH0xjDwo

「 なんだと 」

水銀燈「…とっとと『虚無』をしまいなさい、雪華綺晶!!」…ギロ!


…ひいあ?!


「 君は 何をするつもりだ 」

翠星石「す…水銀燈…?」

「 …この子に 何をさせるつもりだ 」

蒼星石「いったい、何を…!」

水銀燈「早く準備をなさい、雪華綺晶!!」

真紅「な、何を?!」

水銀燈「…今から わたしが」…カッ!



バ オ ッ ! !



真紅「!!」

ジュン「(聖母の翼!!)」

水銀燈「わたしが この力で…」ゴオ…


「お父様を抑えるわ…!!」 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … !


ああ… あおお?!

水銀燈「しっかりなさい、雪華綺晶!! 

あああ?! おああああ!

水銀燈「わたしがお父様を抑える! だから、その間にあなたが…」ギロッ!



「お父様の『結晶』に触れるのよ!!」
968 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/23(日) 20:48:14.28 ID:FH0xjDwo
今日はここまでです。続きは26日。
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/23(日) 21:27:53.02 ID:WUqJh32o
お疲れ様です
ヒナぎゅっとしたい
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/23(日) 23:46:22.53 ID:tdyUVoDO
乙っす……!
971 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:26:29.24 ID:5xARRiUo
乙どもっす、投下します。
投下終了後に新スレ立てます。
972 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:30:24.18 ID:5xARRiUo

ジュン「なっ…!」

真紅「なんですって?! お父様の…」


「 ……… 」


翠星石「結晶を?! で、できるんですか?!」


…ああお!! あおお!!


蒼星石「雪華綺晶!? …落ち着くんだ!」


…ゴボゴボゴボ!


水銀燈「雪華綺晶!」…ジャキ!



 バ オ ッ !!



雛苺「きゃああ?!」

ひがあ?!

水銀燈「出来ないとは言わせないわ! やりなさい!!」

あがおおお!! おがあああ!!

水銀燈「お父様の心を…」ジャキ!

「真意を、確かめるのよ!!」

「 ……… 」



「 …水銀燈 」…スウ…



「 今の君は 正気ではない 」
973 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:36:59.79 ID:5xARRiUo

水銀燈「…ええ…」…ジリッ

「 君は 一時的に 精神に異常を きたしている 」

水銀燈「その通りです… あなたが言った事でしょう?」ジリ…



「『母性』とは 『この子たちのためなら死ねる』 『殺せる』 という想いだと」



ジュン「水銀燈…!」

「 …母性の 暴走か 」

水銀燈「わたしは、あなたを信じたいんです!」ゴ ゴ ゴ…

「 ……… 」

水銀燈「あなたの、その言動は、この子たちを思ってのことであることを…!」

「 … … … 」

水銀燈「あなたのなかに、ほんの一片でもいい…」ゴウ!



「この子たちへの『想い』が遺されていることを!!」



真紅「水銀燈!! やめて!!」

水銀燈「あなたたちは… 下がってなさい…!」ジャキ!

翠星石「お、落ち着くですっ!!(もう、水銀燈っ! …わたしたちは!)」…シュタッ!

蒼星石「(そんなことまで、してほしいなんて…!!)」ババッ!

水銀燈「…! あなたたち!」…キュバッ!



「来るなぁっ!!」



ヒュババババババ!!
974 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:38:48.50 ID:5xARRiUo

翠星石「…ひゃあ?!」ババババッ!

水銀燈「下 が れ と 言 っ て る で し ょ う ! ! 」キュバババババ!

蒼星石「す、水銀燈っ!! 君は!!」…ババババ!

金糸雀「…もう、もうっ!(水銀燈の、バカっ!!)」

水銀燈「邪魔を するな…!」…ブォン



「すぐ… 終わらせてやるからっ…!」…キッ!



「 ……… 」

「お父様… どうか、おとなしくなさってください…!」



「 …水銀燈 」

「わたしに… あなたの結晶を…心を!!」



「 … … … 」

「奥の奥まで あらためさせてください!」



「 … 君 は 」

「そうでないと… わたしは…」



…ギリ…



「わたしはっ!!」



…ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…
975 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:43:36.15 ID:5xARRiUo

ジュン「水銀燈、君は…?!」

真紅「あなたは…?」

水銀燈「もしも…」…ゴ…

「 … … … 」



「もしも あなたの結晶の中に 一片たりと…」

「 … … … 」



「この子たちへの 想いが… かけらさえも…」

「 … … … 」



「名残りさえも 遺されていないというのなら…」

「 … … … 」…ス



「いっそのこと!!!」

「 残 念 だ 」



…パチン!



 あ が あ ?!


「 仕方が 無い 」


水銀燈「お父様、お覚悟…!」バッ!



…カクン
976 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:45:26.95 ID:5xARRiUo

水銀燈「な…?!」

「 残念だよ 水銀燈 」

ジュン「水銀燈?!」



― チ ガ ウ

(…え?)



水銀燈「こ、これは…?」…カク…

真紅「水銀燈!」



― チ ガ ウ

(な、なに…?)



蒼星石「水銀燈? どうしたんだ!!」



―チガウ ワタシ チガウ

(な… いったい?!)



翠星石「水・銀・燈―っ!」



―チガウ チガウ…

(こ、これは… なんなの?!)

― ア ナ タ …



― ア ナ タ    ダ レ ?
977 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:47:15.39 ID:5xARRiUo

水銀燈「うあ?!」…ガク ガクッ!

ジュン「水銀燈?!」

水銀燈「あ… あな… た…?!」…カクカクカク…

金糸雀「水銀燈? 水銀燈っ!!」

水銀燈「ああ あああ ああああ…」…カクカクカク…



「ちが… ちがう…」



金糸雀「な?!」

水銀燈?「わた… ちがう… あなた…」…カクカクカク…

(う… ああ… ああああ?!)

金糸雀「これは、まさか… お父様っ!!」

「 その通りだ 金糸雀 」…シュウ…



「 力の供給を 止めたのだ 」



ジュン「力の供給?! …まさか!!」

水銀燈「ああ… あ、あっ… あああああ…」…カタカタカタ…

(な、なに? これは… これはまさか?!)

「 そう 私の力で 抑えこんでいた 」

水銀燈「ああ… が… がっ…」…カクカクカク…

「 彼女の 『肉体』 自体の自我が 目覚めたのだ 」

水銀燈?「わっ… わた… わたしの…」…カク カク…



「わたしの… なか から…    でて… いって…」
978 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:52:53.86 ID:5xARRiUo

ジュン「なっ…!?」

真紅「水銀燈っ!!」

水銀燈?「ちがっ… ちがう… わたし… いや…」

翠星石「そんな… そんなぁーっ!」

水銀燈?「わたし… 消えたく… ないっ…」…カクカクカク…

金糸雀「『聖母』の体に、自我が?! そんな…!」

水銀燈?「わたし… ちがう… あなた… ちがう…」カクカクカクカク…!

雛苺「水銀燈―っ!!」


…あおお!?


雛苺「…え?!」


ああお! あおおお?! あおお!!

ゴボゴボゴボッ!


雛苺「雪華綺晶…!」


ああああ おおおお…!!


水銀燈?「わたし… いや… 消えたく… ない…」…ガクン!

(…うああ?! あっ…)

水銀燈?「あなた… 出て… いけっ…!」クワッ!!



…ビグン!!



… あ … ?

…ガシャ…
979 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 21:57:52.05 ID:5xARRiUo

 あ あ … ? 



水銀燈「… … ・・・」…ビク… 



ビク ビクッ…



あ あ …  あ あ あ … ?!



「…」



…カクン…



あ あ あ あ あ ああああああああああ!!



ジュン「水銀燈!!」

真紅「…水銀燈―っ!!」

雛苺「いや、いやあーっ!!」


「………」…カク…


蒼星石「しっかりするんだ!! 水銀燈っ!!」

水銀燈「…(…わたし…)」
   
「 … … … 」

水銀燈「(わ た し  … )」…カク…



 … … …
980 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:02:40.03 ID:5xARRiUo

… イヤ …



わたし は …



… タスケテ タスケテ …



…ごめんなさい 
 


… キエタクナイ キエタクナイヨ …



ごめんなさい あなた


…  …  …


あなたの からだを   奪って しまって 

こころを 閉じこめて しまって


…  …  …


けれど けれど  わたし  

どうしても どうしても 生きたいの 


… ダメ …


あなたの からだが 必要なの    …わたし

あの子たちと ともに 生きていきたいの



… ヤメテ …
981 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:06:19.65 ID:5xARRiUo

幸せになる 資格なんか 無かったわたしを

あんなにも 幸せにしてくれた あの子たちと


… … …


わたし 一緒に 生きて いき たいの


… イヤ …


お願い


… イヤァ …


…お願い…





水銀燈「………」…カタ…




…カク クッ…




ジュン「…水銀燈、水銀燈っ!!」

真紅「お父様!!」

「 …できれば こうしたくは なかったのだが 」…スッ

金糸雀「… … …」

「 止むを得まい  オルトリンデ 」

オルトリンデ「…ハイ」…ガシャ

「 水銀燈を 回収しろ 」
982 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:08:45.62 ID:5xARRiUo

オルトリンデ「ワカリマシタ」

金糸雀「(オルトリンデ…!)」

「 拠点の機能を復旧し次第 すぐに 修復に取りかかる 」…カツ…

オルトリンデ「…了解デス…」カッ カッ…



水銀燈「… … …」

オルトリンデ「…オ許シヲ」



…ガシッ!



翠星石「あ、ああっ…!」

蒼星石「(…連れて行かれてしまう!)」…グ!

翠星石「(もう、限界です!!)」…ギリッ!


…ガバ!


真紅「(あなたたち?!)」

翠星石「(援護するです、真紅!)」

蒼星石「(僕たちが、水銀燈を奪回する…!)」


…ガシッ!


翠星石「んなっ?!」ガクン!

蒼星石「なっ…?!」…ガクッ! 

「待っ…」



金糸雀「待つ… かしら…!」
983 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:13:36.42 ID:5xARRiUo

蒼星石「姉さん?!」

金糸雀「(落ち着く… かしら…!)」…ググ…

ジュン「(君は?!)」

金糸雀「(もう… あわてちゃ、ダメかしら…!)」…ギュウ

翠星石「(あ、あわてるなって言ったってー!!)」アタフタ

蒼星石「(姉さんこそ、無理をするなっ!)」チャキッ!

金糸雀「(だから… あわてるなって、言ってるかしらっ!!)」…ギシ…



(こんなの、想定の範囲内なんだから…!!」



翠星石「ほ、ほえ?」

金糸雀「(こんなの、予想がついたこと! 想定してたことのうちかしら!)」

蒼星石「(想定してた…? どういうことなんだ!?)」

金糸雀「(いいから… カナに、おまかせかしら…!)」…ヨロ…



フラッ…



翠星石「ほ、ほんとに無理するなですっ!!」…タタタッ!

金糸雀「(…静かに! ムチャじゃ、ないかしら! )」キッ!

蒼星石「(で、でも!」」

金糸雀「(ちゃんと、考えがあるかしら… だから!!)」…ヨロッ



…ヨタ ヨタ…



「 … … … 」
984 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:20:47.54 ID:5xARRiUo
翠星石「カナ姉?」

金糸雀「…お父様…」…ヨタ…

蒼星石「?!」

金糸雀「お父様… どうか…」…ヨロ…


ヨロ ヨロ…


「 …何かね 」

金糸雀「わたしたち… もう…」…ギシ…



「あなたに、抗う意志は、ありません… 」



真紅「…?!」

蒼星石「な!?」

金糸雀「抗う力も、もう残ってません…」…フラ…

翠星石「なああ?! カ、カナ姉!(…なにをするつもりですかー?!)」 

金糸雀「…翠星石」

翠星石「え?」

金糸雀「…」…ニコ


「あとは、よろしく、かしら…」


翠星石「…えっ?」

金糸雀「みんなのこと…」 

翠星石「…は、はあ…?」

金糸雀「あなたが、みんなのこと…」ニコッ…


「しっかり、しーっかり、お願いかしら?」
985 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:23:18.05 ID:5xARRiUo
翠星石「え… か、カナ姉?」

金糸雀「…」

蒼星石「何、言って… やがる、ですか…?」キョトン

金糸雀「…えへへ」ニコニコ



…フラ…



翠星石「(カナ姉…???)」

金糸雀「…お父様」ガシャ ガシャッ…

「 君は… 」

金糸雀「お父様、わたし… いえ…」…フラ…



「わたしたち、あなたの『処置』を受け入れます…」



翠星石「な…!」

オルトリンデ「エ…!」

金糸雀「…もう、反抗も、抵抗も、しません…」


… あ あ あ … ?!


雛苺(雪華綺晶…!)

ああ… あおおあ!!

「 … … … 」

あ… ああっ…!?

「 … … … 」…ス


…ボウッ
986 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:25:29.30 ID:5xARRiUo

ひ あ あ ?!

金糸雀「………」

「 …雪華綺晶を 罰してから 君たちへの 『処置』を行う 」

金糸雀「…はい」 

「 水銀燈 そしてブリュンヒルデ 修復も 行わなければ 」

金糸雀「あの、お父様…」…モジ


「できれば、わたしの体も…」


「 …なに… 」

ジュン「金糸雀…?」

真紅「(…あなた?)」

金糸雀「水銀燈、それにブリュンヒルデを治すついでに…」

「 … … … 」

金糸雀「わたしも一緒に治してはもらえませんか?」

「 …ふむ… 」

金糸雀「…どうか。 この通りですから…」…スッ

オルトリンデ「(愛用のバイオリン ソレニ…)」

「 …黄金の指揮棒か 」

金糸雀「あなたにお預けします。 それに…」…ゴソッ


…ガシャガシャガシャ


真紅「…あら?」

雛苺「ふえ???」



…ボタボタガシャガシャ
987 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 22:54:42.74 ID:ueKHc56o

翠星石「(…げ…)」

オルトリンデ「…マア」

金糸雀「………」ガシャガシャガシャ…



…カラン…



オルトリンデ「(…アキレタ)」

金糸雀「わたしの持ってた武器、これで全部です…」…カラン…

蒼星石「(あんなに持ってたんだ…)」

ジュン「(刃物に銃器に手榴弾まで、ドロワーズの中から…)」

「 …オルトリンデ 調べなさい 」

オルトリンデ「ハイ…」ブン…



…ブゥン…



金糸雀「…」

オルトリンデ「丸腰デス」

「 …間違いないか 」

オルトリンデ「服ノ中ニモ 体内ニモ 何モ…」

「 … … … 」

オルトリンデ「 異物ト イエルノハ 体内ノ結晶 ダケデス」

金糸雀「 … … … 」

「 オルトリンデ 水銀燈と ブリュンヒルデ 」



「 …それに 金糸雀を 連れて行きなさい 」
988 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 23:02:10.36 ID:ueKHc56o

オルトリンデ「カシコマリマシタ」

「 …わたしはここで 用件を済ませてから 向かおう 」ブゥン…

オルトリンデ「…ハイ」…カツ


カツ カツ…


金糸雀「………」

オルトリンデ「…」…カツ カツ

金糸雀「(…水銀燈…)」



水銀燈「… … …」…カク…



金糸雀「(あなたは…)」

オルトリンデ「…デハ」

金糸雀「…ええ、お願いかしら。 水銀燈のわきを、空けておいて」

オルトリンデ「ハイ… オ手ヲ」

金糸雀「大丈夫かしら。 …よっと」…グッ



…チョコン



オルトリンデ「…セマク ナイデスカ」

金糸雀「…平気かしら。 それじゃ、お願いかしら」

オルトリンデ「シッカリ ツカマッテ クダサイ」

金糸雀「…うん(水銀燈、あなたってば…)」



水銀燈「… … …」
989 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 23:08:02.21 ID:ueKHc56o

蒼星石「(水銀燈と、金糸雀姉さんまでもが…)」

翠星石「(つ、連れて行かれちゃうです! なにやってるですか、あのデコ!)」



オルトリンデ「………」…カツ…

「 … … … 」…カク…

金糸雀「………」…ブルッ

オルトリンデ「…?」

金糸雀「う…」…ブル…



…ブルブル…



オルトリンデ「…オ姉サマ 傷ガ 痛ミマスカ」

金糸雀「………」ブルブルブル…

オルトリンデ「…ソレトモ」

金糸雀「…勝手かしら」

オルトリンデ「エ?」

金糸雀「…まったく、お父様も… 水銀燈も…!」ギリ!


「 … … … 」


オルトリンデ「オ姉サマ?!」

金糸雀「勝手すぎるかしら! ふたりとも、ふたりともっ…」ガバ!



「 い い か げ ん に す る か し ら ー っ !!」



…ザシュッ!
990 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[saga]:2010/05/26(水) 23:08:29.22 ID:ueKHc56o
今日はここまでです。 続きはしあさって。
991 :水銀燈がドールたちの『母』になるそうです【御子編】[sage]:2010/05/26(水) 23:16:58.59 ID:ueKHc56o
製作速報板に、新スレを立ててきました〜

ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274883288/


以降は埋めちゃいます。
みなさんの支援に感謝です。
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 00:18:11.83 ID:4l3.1IDO
あちらにも書きましたが、乙っす!

ついに最高潮……

感激の埋めを一つ!
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 06:28:49.88 ID:uboypqso
ume
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 11:11:27.38 ID:8bcVb.DO
うめ
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 14:34:25.42 ID:8bcVb.DO
うめ
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 14:54:38.50 ID:8bcVb.DO
うめ
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 17:58:30.73 ID:8bcVb.DO
うめ
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 19:08:11.28 ID:9UfeuzMo
うめ
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 19:11:00.44 ID:2Jv1BTwo
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2010/05/27(木) 19:11:30.50 ID:2Jv1BTwo
>>1000なら
初期スレのほのぼのまったりがまた見れる
1001 :1001Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

ローカルルール変更に伴い、1000到達の報告が不要になりました。

1002 :最近建ったスレッドのご案内★Powered By VIP Service
さっきロスアンジェルスで松井秀喜(35・童貞)が・・・ @ 2010/05/27(木) 18:32:01.64
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1274952721/

ボクサーパンツってさ @ 2010/05/27(木) 18:17:58.45
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/vip4classic/1274951878/

パー速に一日中張り付いて気づいた @ 2010/05/27(木) 18:10:52.74
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1274951452/

黄門様「ノリさん、スケさんやっておしまいなさい」 @ 2010/05/27(木) 18:06:55.35
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/vip4classic/1274951215/

vist使ってて暇なやつちょっと教えてくれ @ 2010/05/27(木) 18:01:56.18 ID:6RpMILw0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1274950916/


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