以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/27(月) 13:07:15.41 ID:cBRJ6dw4o<>ちょっと昔の事を思い出したから、話をしたくなった。
事実に基づいた、フィクションだと思ってもらったら良いです。
所々にフェイクを入れてます<>ある夏の日の話をしたい 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:08:39.93 ID:cBRJ6dw4o<> 俺が一番最初に好きになった女の子は小学生の同級生だった。
その子は可愛くて明るい人気者の川田さん。当時の俺は[ピザ]で暗い奴であったが、エロさだけは誰にも負けないムッツリ君であった。
だから川田さんの隣の席になった時は、事あるごとに消しゴムや鉛筆を落としてスカートの中を覗こうと日々努力する毎日であった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:09:58.42 ID:cBRJ6dw4o<> だが、子供心に一つ気が付いた事があった。
それは消しゴムを落とすと、どこに行くか分からない・・・そう言うリスクであった。
なので、俺は専ら鉛筆を落とす。
そして上手く川田さんのスカートの中を覗ける位置・・・つまり、川田さんの正面に落とす為に毎日家で鉛筆を落とす練習をしていたんだ。
結果的にバックスピンをかければ、反対側から落としても川田さんの正面に転がる事を発見した俺は毎日、その方法でスカートの中を覗く幸せな毎日だった。
そう・・・あの時は全てが上手く行っている、そう信じる日々だったよ・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:11:05.28 ID:cBRJ6dw4o<> ある日、俺がエロ本を読んでいる時にある一文を読んで衝撃を受けた。
それは本当に簡単な一文であった。
『好きな女の子のリコーダーを口に含む』
俺はその瞬間の興奮と衝撃を今でも覚えている。
神の啓示だったんだよ。ある日俺は朝一番に学校へ行った。
学校へ行く途中も俺は興奮でハァハァ言っていたと思う。
一秒でも早く学校に着きたい、それしか頭に無かったんだ。
教室に到着するなり、まず俺は誰も居ないかを確認する。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:12:41.51 ID:cBRJ6dw4o<> 掃除箱やベランダをも確認した。
居ない・・・!それを確信すると早速川田さんの座席に向かう。
そして机の中をドキドキしながら覗きこんだ。だが、その瞬間に俺に衝撃と絶望感が走る・・・
ない。
リコーダーがそこには無いのだ。俺は顔から血の気が引く・・・
今日は音楽の授業がある・・・!なのに無い・・・!俺はパニックになる。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:14:11.15 ID:cBRJ6dw4o<> 今日、この日の為に準備をした計画は全てパーだと言うのか?
俺は教室の中をグルグルと周り始めた。
そして、絶望感に打ちひしがれる・・・
その時だった・・・川田さんの机の横に手提げ袋がかけて有るのを見つけた。
これは、ひょっとして・・・!
俺はすぐに時間割を確認する!そして、そこに素晴らしい文字を見つけた・・・

『体育』

神は俺を見捨てていなかったんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:15:33.80 ID:cBRJ6dw4o<> 俺は心臓をバクバクさせながら、その袋の中身を見る・・・
そこには・・・紺色の体操服が入っていた・・・
俺は少し体が震え始めた。手が上手く動かずに体操服が入った手提げ袋を取る事が出来ない。
落ち着け・・・落ち着け・・・
俺は自分にそう言い聞かせるが上手く行かない。
まだタバコを吸った事は無かったが、タバコを吸いたい・・・そう思った位だ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:16:47.33 ID:cBRJ6dw4o<> ようやく俺の心拍数は落ち着きを見せて俺はゆっくりと手提げ袋を開ける。
そして、震える手で体操服を手に取った・・・口の中はカラカラで、唾が上手く飲み込めない。
変な汗が額に滲み始める・・・俺は体操服のズボンを取り上げると、それを広げた・・・
そして、股の部分に思い切り・・・顔を押し付けた・・・
その瞬間の興奮は今でも覚えているよ・・・
あの日、あの時、あの場所で・・・俺は神に出会ったんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:17:49.04 ID:cBRJ6dw4o<> それから毎日、俺は朝一で学校に行き体操服を漁り始めた。
もちろん体操服が無い日もある。
だが、俺はそれ以外の川田さんの私物、そうリコーダーを舐める事を成功したんだ。
リコーダーを初めて舐めた日は俺はドキドキして眠る事すら出来なかったんだ・・・
だが、そんな幸せの日々も長くは続かない。
ある日俺がいつもの様に朝早く学校に行って川田さんの私物を漁った <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:19:05.09 ID:cBRJ6dw4o<> その日はリコーダーしか無かった。俺は軽く舌打ちをする。
その時は既にリコーダーに飽きていた俺がいたんだ。

だが、俺は仕方が無くリコーダーを舐める。イロイロ慣れもあったんだろう。
俺は周りを確かめる事も無くリコーダーを舐めて、しかも何故か『エーデルワイス』まで吹いてしまっていたんだ。
ちょっとエーデルワイスに夢中になり過ぎていたかもしれない。

気が付くと数人のクラスの女子が教室の入口に佇んでいた・・・

生まれて初めて自殺をしよう、そう思った瞬間だったよ。
その後の小学生生活は思い出したくない。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:20:01.83 ID:cBRJ6dw4o<> 中学生になり、俺は益々暗い奴になり、更にキモ[ピザ]として毎日を過ごす。
だが、そんな俺にも又もや好きな人が出来た。
同じクラスの明るく可愛い神谷さんだった。

神谷さんはこんな俺にも優しく話し掛けてくれる。
俺はすっかり勘違いをして「神谷さんは俺の事を満更でも無い」そう勝手に勘違いを始めた。
毎晩の妄想ではすっかり神谷さんは俺の恋人になっていて、喧嘩をしたり、すれ違いが有った後に二人は結ばれる・・・そんな妄想に浸っていたんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:24:01.81 ID:cBRJ6dw4o<> だが妄想だけでは満足が出来なくなる自分がいた。
神谷さんは相変わらず俺に優しい。絶対にイケる!
俺は勇気を奮い起こして、有る計画を練った。

それは『弁当大作戦』であった。俺は毎日神谷さんの為に弁当を自作しようと思った。
俺と全く同じメニューの弁当だ。そして、それを毎日神谷さんの机の中に入れる。

神谷さんからしたら「誰?」みたいに思う。だが、俺はすぐに名乗り出ない。
俺は同じメニューの弁当を毎日食べ続ける。
ある日、誰かが俺の弁当を見て「あれ?お前、神谷と同じメニューじゃん」と言われるんだ。
その時に神谷さんが全てに気が付く・・・弁当を作ってたのが俺だって事に。

そして神谷さんは『キュン』となる。
うん。やっぱり今考えても意味が分からんね。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:25:03.83 ID:cBRJ6dw4o<> そして早速俺は弁当を自作する。
言い忘れてたんだけど、俺は両親が居ないんだ。小六の時に事故で死んだ。
だから俺は叔父さんの家に預けられていたんだが、叔母さん(叔父さんの嫁で当時30歳)に嫌われていたもんで、弁当は自作していたんだ。
何故嫌われていたかと言うと、俺が叔母さんの下着を盗んだり、寝ている叔母さんの胸を触ろうとしたりするからなんだけどね。
まあ、それは良いわ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:25:59.93 ID:cBRJ6dw4o<> 俺はとにかく弁当を必死で作り神谷さんの机の中に入れる。
最初の日は神谷さんはビックリしたようで、周りをキョロキョロしていた。
二日目は神谷さんは友達の元に行き、何やら相談していた。多分照れているんだろう。
三日目は神谷さんは弁当を発見するなり泣き出した。嬉し涙なんだろう。
四日目は俺が教師に取り押さえられた。

弁当を神谷さんの机に入れる為に朝早く学校に行き、神谷さんの机の前でウロついている時だった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:27:04.19 ID:S02OYECVP<> 続けて <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:27:07.60 ID:cBRJ6dw4o<> そして俺は神谷さんへの嫌がらせ行為を行ったとして反省文を書かされ二度と神谷さんだけでなく俺に話し掛ける奴はいなくなったよ。

中学を卒業する際に叔父さんから家を追い出された。
どうやら叔母さんの下着を被って部屋で踊り狂っている俺を見て、本格的にヤバいと思い放逐しようと決めた様だ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:28:27.35 ID:cBRJ6dw4o<> >>15
ありがとう

続き
一応、両親の保険金が有ったもんだから、一人暮らしをする費用は困らなかった。
だが、高校に通うと生活費が捻出する事が難しい。
なので俺は深く考える事も無く中卒で仕事をする事に決めた。
幸い亡くなった父親の友達が警備会社を経営していたもんだから、そこに入れて貰う事にしたんだ。

中学の教師はどうしようも無い変態の俺の事はどうでも良いと思っていたのか、「高校進学をしない」と言った時に、「そうか、社会に出ても頑張れよ」しか言わなかった。
まあ、変に高校進学を勧められるのもどうかと思っていたんだけど、なんか少し悲しかったよ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:29:41.20 ID:S02OYECVP<> ふむ変体だな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:29:43.47 ID:cBRJ6dw4o<> 中学を卒業する際に俺以外は全員進学だった。まあ、当然と言えば当然な訳で。
卒業式が終わり友達も居ない俺は一人家に帰りながら、その当然の行為も出来ない自分にビックリしていたんだ。
ビックリってのは適当じゃ無いかな?まあ、違和感が有ったんだよ。

叔父さんの家から放逐される際に叔父さんは、清々したのか、俺に「餞別だ」と言って五万円くれた。
その金で俺はその日の内にエロビデを10本購入した。
一人暮らしの[田島「チ○コ破裂するっ!」]ライフを楽しむ為だ。

ちなみにエロビデを購入した日は朝まで猿の様にやりまくった。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:30:49.29 ID:cBRJ6dw4o<> >>18
よく言われます

続き
警備会社に入った俺は毎日仕事に行く。
日給だから毎日仕事に行ったんだ。
どうせ休みの日も[田島「チ○コ破裂するっ!」]するだけだから、それなら金を稼いだ方がマシだと思っていた。

毎日仕事で色んな場所の警備に行く。
この仕事の良い所は一人で居る事が出来る事だ。
誰とも関わり合う事が無いだけで俺は非常に楽だった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:32:21.23 ID:cBRJ6dw4o<> だけど、ゴールデンウイークとかで、イベント等の警備をする時は気が滅入った。
同い年位の奴らを見て楽しそうにしているのを見ると、「ああ、俺は一生あんな感じに友達と楽しくは出来ないんだ」と言う気持ちを痛烈に感じる。

高校生カップルを見るに至っては何故か自分の顔を見られない様にコソコソ隠れる。
恐らくなんか負い目を感じてたんだろう。

一番嫌だったのは七月に開催された地元の花火大会だった。
そこの警備をした時は中学時代の知り合いが少なからず見に来ていたからだ。
俺は警備帽を深く被り顔を絶対に合わさない様に気をつけた。
中学時代の知り合い達は楽しそうに花火を見ているのが辛かったんだが、それ以上に辛い物があった。

それは家族連れだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:33:24.08 ID:cBRJ6dw4o<> 小さい子供が父親に肩車をされて花火を見ている。
母親はその子供を幸せそうに見つめている。
それを見た瞬間を今でも覚えているんだが、なんか動悸がヤバかった気がするんだよ。
吐き気みたいな物を感じた。
自分に一生縁が無い物だからだろうね。

だが、当時の俺は拗ねていたので、それを羨ましいとは思わず「家族ってwwそんなもんを大切にするなんて弱い証拠ww所詮は人間は一人じゃんww」みたいな気持ちだった。
多分悔しかったんだろう。自分に無いから。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:34:25.51 ID:cBRJ6dw4o<> 当時の俺は腐っていたが、幸せじゃ無かったか、と言われればそんな感じじゃ無い。
警備会社の人達に俺は可愛がられていた。

父親の知り合いの社長は勿論俺を可愛がってくれていたし、他の人達も俺を可愛がってくれていた。
よくもまあ、キモ[ピザ]な俺を可愛がってくれていたよ。ホント。

中でも一番可愛がってくれたのは定年退職後にウチの会社でバイトをしていた石田さんだった <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:35:05.13 ID:cBRJ6dw4o<> 石田さんは赤ら顔の爺さんで七十近かったと思う。
昔は高校の教師だったと自称していたが、俺が「何科を教えてたんですか?」って聞くと「喧嘩wwブハハハハハ!!!」としょうもない事を言うジジイだったので俺は信用していなかった。

石田さんは俺に麻雀を覚えさせて、いつも俺を麻雀に誘っていた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:36:32.27 ID:cBRJ6dw4o<> 石田さんはいつも俺に「トオル(俺の名前)、お前は高校に行った方が良い」と麻雀をしながら言っていた。
俺は面倒臭く適当に返事をしながら石田さんから上がったものだったよ。
その度に石田さんは激怒して点棒を俺に投げつける日々であった。

実際に俺も高校へは通ってみたかったのは確かだが今更、そんな夢を見ても叶う筈が無い、そう思っていたんだ。
勿論通信制や定時制とかの選択肢も有ったが何故か選ぶ事は無かった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:37:28.42 ID:cBRJ6dw4o<> 毎日仕事へ行って石田さんと麻雀したり、夜に一人で夜空を眺めて自分の人生に拗ねる日々。

そんな最中に、俺の運命を変える出会いが訪れたのだった。

一応、ここからが本題なんだけどね。需要有りそうかな?まだまだ長いけど大丈夫?
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:37:33.17 ID:S02OYECVP<> ふむ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:38:08.27 ID:cBRJ6dw4o<> >>27
君しか見てない様だけど、頑張って続けるよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:38:13.30 ID:S02OYECVP<> 見てるぜ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:38:58.95 ID:cBRJ6dw4o<> あれは真夏の日だった。
俺が仕事に行くと社長に声をかけられた。

「トオル君、悪いけど今日新人連れて行ってくれる?」

そう言われ俺は凄く嫌だが了承した。
新人を連れて行くと色々教えたりしないといけないから面倒臭いからだ。
俺は人に指導したりするのが苦手、と言うかそもそも知らない人と話したりするのが嫌だし。
それにどうしても俺の方が年下だから教えるのも気を使うんだよ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)<>sage<>2011/06/27(月) 13:39:34.48 ID:96fCH6a7o<> 見てるよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:40:22.75 ID:cBRJ6dw4o<> そう思いながら警備服に着替え新人を待っていると社長に連れられて新人がやって来た。
新人は予想に反して同い年であった。

そして・・・女の子だった。
「新人のユイ(本当は苗字だったが便宜上名前で)さんだから、仲良くね」
社長がそう軽く含みをもたせる様に笑いながら言った。
俺は超焦った。女の警備員は珍しくは無いけどオバサンばかりなので若い女の子なんて、まず居ない。
自分のキモさを十二分に理解している俺は同年代の女子の自分への見方も分かっている。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:41:22.69 ID:cBRJ6dw4o<> >>31
ありがとう。頑張って続ける

だからユイが俺に挨拶をしている時もまともに顔を合わせる事も無く下を見たまま、「あ、じゃあチャリで行くから、それ乗って」と聞こえるか聞こえないか微妙な位の声のトーンを発していたと思う。

現場へチャリで向かう際に俺が先行してユイの前を走る。
ユイは黙って俺の後ろを走っていた。
マジかよ〜なんで女が警備なんかやるんだよ〜まともに喋れねーよ。
とそんな事を思いながらチャリを走らせていた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:42:59.63 ID:cBRJ6dw4o<> 現場に到着して内容をユイに伝える際も、ユイの顔を一切見る事も無しにひたすら下を向きながらボソボソと説明をする。
考える事は口が臭かったらどうしよう?だったので口元を隠す様に話すから、余計に聞こえ辛かったと思う。

この現場は生コン車が一時間に一回位、出入りするだけで後はボーッと入口で突っ立てるだけ。
石田の爺さんと二人ならば、下らない話をしたりするが、新人でしかも女の子ならば話す事が一切無い。
沈黙のまま二人で立ちながら、かなりの気まずさを感じていた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:43:39.81 ID:cBRJ6dw4o<> 何か話し掛け様かと思うが、俺みたいなキモい奴に話し掛けられて馴れ馴れしくされるのは彼女も迷惑だろうと思い話し掛けるのも憚られた。

そう俺はかなりの卑屈人間になっていたんだよ。
俺がそう思って黙っているとユイから話し掛けて来た。
「暑いですねー」
そう言われ俺はユイを見る。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:44:31.07 ID:cBRJ6dw4o<> 。「暑い」→「暑苦しい」→「お前が暑苦しい」→「なんで[ピザ]なんだよテメエは」

そう脳内変換した俺はユイに「・・・すみません・・・」そう謝った。
ユイは訳が分からずにキョトンとした表情を浮かべていた。
それから再び俺達は沈黙し続ける。
いつもはボーッとしていても苦にならないのだが、その日は苦痛以外何物でも無かった。

ダメだ。絶対に明日は社長に直談判してでもメンバーを代えて貰おう。そう決めていたのだった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:45:32.72 ID:cBRJ6dw4o<> やっと午前中の仕事を終えて昼休憩となった。
俺はユイに「あ、適当に昼ご飯を食べて下さい・・・近くにコンビニや弁当屋も有りますんで・・・」そう言って一目散に自分は近くの公園に退避する。

木陰のベンチに腰を降ろすと、やっと落ち着いた。
もう嫌だ・・・とにかく早く今日の仕事を終えたい・・・
そう思いながら自分の弁当を広げようとすると、公園の入口でユイがキョロキョロしながら佇んでいるのを見つけた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:46:25.78 ID:cBRJ6dw4o<> ヤバい。
こう言う場合はどうしたら良いんだろう?声を掛けるべきなのか?
でも声を掛けて俺のキモい顔を見ながら弁当を食べるのは彼女に取って苦痛だろうし。
何度も言うが俺は超卑屈だった。

そんな事を考えていると先にユイが俺を見つけて笑顔で近付いて来る。
「あ、御一緒しても良いですか?」
そんな感じに笑顔で言われた俺はとにかく頷くしかない。
ユイは俺の隣に座ると「あ、ここ涼しいですねー、風も吹いて気持ち良いー」そう言う <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:47:24.19 ID:cBRJ6dw4o<> 「風が吹く」→「お前の方から風が来ている」→「お前の臭いが充満する」→「スダコみたいな臭いがするんだよ」

そう脳内変換した俺は再び「・・・すみません・・・」と謝った。
ユイは再びキョトン。
息苦しさの中で弁当を広げて食べ始めるとユイが再び口を開いた。
「あ、手作り弁当ですかー、彼女さんの手作りですか?」
そう言われ大慌てで首を振る。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:48:32.80 ID:cBRJ6dw4o<> スダコ臭い奴に彼女なんか居る訳ねーだろうが!
そう言いそうな所を止めた。
「あ・・・自分で・・・」
そう小さく答える。
「凄ーい。上手ですねー!」
ユイはそう言って俺の弁当を覗き込む。

ち、近い。女子が俺の半径50cm以内にいる・・・
ユイからフンワリとシャンプーの良い匂いがした。
その時初めてユイの顔をマジマジと見たんだが・・・

なんと言うか・・・超可愛いんですけど! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:50:01.62 ID:cBRJ6dw4o<> 俺は一気に心音が上がる。
印象は地味なんだけど可愛い子って分かる?ぱっと見は素通りしちゃうけど、よく見ると可愛い子。
それがユイだった。

俺はドキドキしながらユイから目を逸らした。
余り見るとキモいと思われそうだからだ。
「実はね」ユイが笑いながら自分の弁当を広げた。
「私も手作りなんです。同じですね♪」
そう言われユイの弁当を見ると色んなオカズが入って美味そう。
そしてちゃんと寄り弁にならずに均等になっている。
作り慣れて無い奴は確実に寄り弁になるんだが・・・ちゃんと作り慣れてる証拠だった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:50:31.09 ID:S02OYECVP<> ユイ性格いいな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:50:52.88 ID:cBRJ6dw4o<> 俺は思わず「へー・・・美味しそう」そう呟いた。
するとユイは少し嬉しそうに「ホントですか?良かったらどうぞ、つまんで下さい!」そう言って俺に弁当を差し出してくる。
思わず焦る俺。
良いのかよホントに。
そう思いながらも怖ず怖ずと箸をユイの弁当に近付けた時に気が付く。
ヤバい、箸を逆さにしないと。慌てて箸を逆さに向けて卵焼きを一つ取った。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:52:14.99 ID:cBRJ6dw4o<> 「じ、じゃあ、頂きます・・・」
俺は卵焼きを食べる。
「どうですか?!」
ユイがキラキラした瞳で見てきた。
「う、うん・・・美味しい」
俺がそう言うと彼女はパーッと顔を明るくさせて「良かったあ♪」そう言って笑う。
俺はその屈託の無い笑顔に普段言う事が無い台詞が思わず出てしまった。

「あ・・・よ、良かったら・・・俺の・・・食べる・・・?」

言った瞬間にハッとして気がついた。
うわっ!キモい俺の弁当なんか食べる訳無いじゃん!
そう思い調子に乗りすぎた事を悔やむ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:53:13.18 ID:cBRJ6dw4o<> あーあ・・・絶対に嫌な顔をしてる・・・

俺はそう思うが予想に反してユイは嬉しそうに言った。
「え?良いんですか?ヤッター!」
え?
ユイはそう言って俺のキンピラゴボウを指差す。
「これ・・・良いですか?美味しそうだから」
その言葉に俺は慌てて頷く。ユイはお箸を逆さに向けて俺のキンピラをそっと取った。

出来れば逆さに向けて欲しく無い変態の俺がいた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:54:02.57 ID:cBRJ6dw4o<> ユイが一口キンピラを食べると「美味しい!」そう言ってビックリした表情を俺に向けた。
「え・・・?ホントに?」
「うん!トオルさん、料理上手ですね!」
その言葉に俺は顔から火が出る程に恥ずかしくなった。
「ゴマ油の香りが良いですね、こんなに良い香りが立たないのに」
ユイの言葉に「ゴマ油は最後に火を止めてから入れるんだよ、その方が香りが立つんだ!それとね・・・」
俺は思わず夢中で話し出した。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:55:00.07 ID:cBRJ6dw4o<> ユイはジッと俺の話を聞いてくれている。
その時に思わず気が付いた。
今まで黙ってた癖に、自分の得意分野に入った瞬間に喋るって、どんだけキモいんだよ。

そう思い下を向くとユイが軽く笑いながら呟く。
「料理・・・好きなんですね」
「あ、いや、好きと言うか・・・」
作って貰える相手が居ないから好きも嫌いも無いんだけどね。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:56:00.08 ID:cBRJ6dw4o<> 「あの・・・明日も私ってトオルさんと同じ現場ですか?」

うわ・・・俺と一緒が嫌なのか・・・?
「あ、もし・・・良ければ・・・代えて貰えるけど・・・」
俺の言葉にユイは首を振る。

「明日もトオルさんと入りたいです!」
そう慌てて言って来た。
マジッスか!

「ねえ、明日も一緒ならお弁当交換しません?なんか自分で自分の分を作るのって、作り甲斐が無いんですよねー」
その言葉に俺はビックリしてユイを見る。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:56:50.09 ID:cBRJ6dw4o<> 「あ・・・嫌ですか・・・?」
そう悲しそうに呟いたので俺は慌てて首を振った。
「お、俺は嫌じゃ・・・ない」
嫌なのは君の方じゃないの?
「うれしー!じゃあ腕によりをかけて作りますから、トオルさんのお弁当、楽しみにしてます!」

その瞬間俺は死んでも良い、そう思ったけ。
いや、違う。逆に明日まで絶対に死なない・・・そう思った。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:57:51.57 ID:cBRJ6dw4o<> その日の午後は仕事をしながら会話をする事が出来た。
ユイがS高校と言う、結構進学校の一年生だと言う事や、父親が居ない為に家計を助ける為にアルバイトをしているが、勉強を真面目にしたいので、なるべく短期で稼げるバイトを、と思いウチのバイトに来た事など。

その日の午後からはいつも以上に時間が経つのが早かった。
現金な奴だ俺は。

現場が終わる頃、俺とユイはすっかり仲良くなっていた。
「じゃあ明日!お疲れ様でした!」
そう言ってユイが手を振った時に俺はニヤケ顔だったと思う。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:58:52.67 ID:cBRJ6dw4o<> 事務所からの帰り際に石田さんから「トオル!今日は麻雀すんぞ!」と言われたが無視して帰った。
明日の弁当の為に食材を買う為だ。
その晩に俺はメニューを考えながら食材を買い、翌日の為に仕込みをする。

そして翌朝は4時から起きて弁当を作った。
6時に完成した時には我ながらの出来映えにニヨニヨしたよ。
その後に出勤までにシャワーを浴びた。臭くならないようにね。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 13:59:54.88 ID:cBRJ6dw4o<> ウキウキしながらシャワーを浴びている時に俺はふと頭に昔の記憶が過ぎった・・・
「弁当大作戦」の時の記憶だ。

その瞬間、シャワーを浴びているにも関わらず嫌な汗が一気に流れ始めた。
そうだ・・・俺はキモいんだ。
俺は急にテンションが下がり始める。
ユイは・・・からかっただけなんじゃ無いだろうか?キモい[ピザ]をからかい・・・楽しんだ。

いや、ユイはそんな子じゃ無い。
そうだ、家計を助ける為にバイトをする様な子だ・・・そんな筈は無い・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:00:57.65 ID:cBRJ6dw4o<> そう思う気持ちと、やっぱり騙されているんじゃないかと言う気持ちが混濁していた。
そんな気持ちのまま俺は仕事に出かける。

事務所に到着すると既にユイは到着していた。
俺はドキドキしながらユイを見る。
ユイは俺に気が付くと軽く手を振りながら近づき笑顔で俺に囁いた。

「お弁当・・・持って来ました?私はかなりの自信作ですよ〜」

その言葉に俺は心底ホッとする。良かった〜・・・からかわれてるんじゃない・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:02:03.95 ID:cBRJ6dw4o<> 現場に出かけて昨日と違い朝から俺たち二人は楽しく仕事をする。
もうね、夢みたいな時間なんだよ。

お昼休みになり俺とユイは二人で昨日昼食を食べた公園に行き弁当を広げた。
「わあ〜美味しそう!中々の力作ですな!このぉ!」
そう言ってユイは俺の腕をつつく。もうつつかれた場所を一生洗わないと覚悟を決めたよ。

ユイの弁当を見つめて俺は感激した。凄く美味しそうだったからだ。
だが、俺は少し不安になった。
果たしてユイは本当に俺の弁当を欲しているんだろうか?
単純に社交辞令で言っただけなのに俺が本気にしたから仕方が無く弁当を交換しているんじゃ無いだろうか?

本当に俺は卑屈過ぎて逆にキモい。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:02:58.14 ID:cBRJ6dw4o<> ユイはそんな事に気を留める事も無く、「いただきま〜す!」そう言って俺が作った弁当を頬張り始める。
そして「おいし〜い!」そんな感嘆の声を上げた。
「もう超美味しいです!トオルさんホントに料理上手!」
ユイのその表情は真実だと感じた。
嘘は付いていない。

だけど人間は変な所で疑心暗鬼になるんだ。
俺は何故か訳の分からない事を口走ってしまったんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:03:50.48 ID:cBRJ6dw4o<> 「あ・・・良いよ・・・別に無理・・・しなくて・・・」

俺の言葉にユイが俺を見る。
「いや・・・その・・・俺・・・キモイから・・・だから・・・気を使わなくて・・・その・・・」
自分の言葉に自分自身で耳を疑う。
何を言っているんだ・・・俺は。
体から嫌な汗が流れ始めた。
「だから・・・キモイから・・・俺の弁当なんか・・・無理して食べなくても・・・」
俺はそれだけ言うと自己嫌悪に沈む。

なんだよ・・・俺マジで頭がおかしいだろ・・・そんな事を言ったら食べれる物も食べられなくなってしまう。
俺はマジでアホだ。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:04:43.55 ID:cBRJ6dw4o<> 俺は怖くてユイを見る事が出来なかった。
ひたすら下を向いて黙っていた。
ユイは何も言わずに俺を観ているのが分かった。
ヤバイ、変な空気になってる。
すると突然ユイが呟いた。

「・・・きもい」

その言葉に耳を疑う。と、同時に心臓を撃たれた様な衝撃と、ああ、やっぱりねって言う諦めの思いが湧き上がった。
だよね〜やっぱりキモイよね〜俺。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:05:45.57 ID:cBRJ6dw4o<> が、ユイはそのまま言葉を続けた。
「自分に対して・・・そんな事を言う人が・・・キモイです・・・」
え?
俺はユイを見た。
ユイは少し怒った顔をして俺を見つめている。

「トオルさん、こんなに美味しい料理を作れるじゃないですか!そんな人はキモくありません!そんなトオルさんに対して自分でキモイって言う人が・・・キモイです!」

ユイは怒りながら俺の弁当を食べる。俺はユイを見つめ続けた。

「トオルさんは・・・もっと自信を持ってください・・・トオルさんは凄い人ですよ!同い年でちゃんと仕事をして・・・そして、こんな美味しいお弁当を作れるし・・・!」

そう言ってユイは俺に微笑んだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:07:33.28 ID:cBRJ6dw4o<> もうね、その瞬間俺はね・・・本気で恋に落ちてしまいましたよ。

あの瞬間俺は「死ぬかもしれない」そう思ったんだ。
俺にしては余りに幸せ過ぎるからだ。
もう多分死ぬんだろうな・・・若しくは腕か足が一本位無くなるかもしれない、そう思った。

本当にね、その日から俺は人生が素晴らしい物だと知った。
毎日ユイに会うのが楽しくて仕方が無かったんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/27(月) 14:07:35.59 ID:uqZ22PNAO<> おもしろいじゃねえか <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:08:49.76 ID:cBRJ6dw4o<> 仕事終わりに石田さんが俺に近づき言った。
「おいおい、トオルちゃ〜ん・・・なんか楽しそうじゃないか?」
ニヤケ顔の石田さんがウザい。
「そうっすか?」
俺は適当に返事をする。
すると石田さんは俺の頭を捕まえてグリグリしてきた。

俺に取っての最高の夏の始まりだった

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:10:02.32 ID:cBRJ6dw4o<> >>60
ありがとう

続き
ある日、花火大会の警備が入った。
俺達は開始の5時間前位から駐車場の誘導や交通整理に追われる。
開始5分位前に石田さんからトランシーバーで連絡が入った。
「お疲れ!とりあえずもう開始になるから一旦休憩に入れ」
そう言われ俺は人混みをかきわける様に現場から離れた。

すると大勢の声の中から「トオルさん!」と言う声が聞こえる。
振り返るとユイが手を振っていた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:11:09.14 ID:cBRJ6dw4o<> 「あ、お疲れ・・・」
俺がそう言うとユイが近づき「凄い人ですね〜もう暑くて・・・」ユイはかなり汗だくであった。
「じゃあ、休憩行こうか、ここじゃ人が多いからちょっと離れよ」
そう言うとユイも頷く。

俺たちは人の流れとは逆の集合住宅の方に向かいそこにある公園のベンチに腰掛けた。
そこは誰もおらず、遠くで人々の声が聞こえる程度であった。
「ここ涼しいね〜」
ユイはそう言ってジュースを飲む。
「うん・・・」俺がそう言った時に『ドーン!』と言う腹に響く音が鳴った。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:12:28.67 ID:cBRJ6dw4o<> 「あ、花火上がった!」
ユイがそう言うとマンションの屋上の方から光が見える。
「あ!見えた!」
俺がそう叫ぶとユイも見つめる。調度マンションの屋上辺りに花火が見える。

「うわ!ナイスロケーション!」
ユイが喜ぶ。
二人で並んで花火を見つめていた。
チラリとユイの顔を見ると、色とりどりに輝いている花火に照らされて凄く綺麗だった。

生まれて初めて一人以外で花火を見た。
胸がドキドキしていた。
なんだか暖かで安らぐ気持ちに包まれていた。

再び俺は、もうすぐ死ぬんだな・・・そう思っていた。
だけど・・・ユイの綺麗な横顔を見つめていると・・・それも良いかな、なんて思っていたんだ・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:13:14.95 ID:cBRJ6dw4o<> 俺はその日からある決心をした。
ユイに告白しよう、そう思ったんだ。

ユイは夏休みが終わるとバイトを辞めてしまう。そうしたらもう会えない。
だったら、告白して可能性を繋ぎ止めたい、そう思ったんだ。
勿論普通に玉砕する可能性が高いだろう。
けど、何もしないより行動した方がマシだと思った。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:14:16.89 ID:cBRJ6dw4o<> そんな事を考えながら、仕事をお終えて事務所で着替えを済ますと石田さんが俺に声を掛けて来た。
「トオル」
「はい?」
俺が返事をすると石田さんがニヤニヤしながら、2枚の紙片を俺に見せる。
「これ・・・やろうか?」
「何すか?それ」
俺が不思議そうに、それを見つめる。

「え・い・が・のチケット!」
ほう。
「これ、やるからさ・・・誘って来い!」
え?
「ユイちゃんと行って来いって言ってんだよ!」

顔が爆発しそうだった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:14:56.99 ID:cBRJ6dw4o<> 「え?あ?いや・・・その・・・」
俺が焦る。
「良いか?こう言うのは軽く誘うんだ・・・『あ、そうだ、これ石田さんに貰ったんだけどさ、一緒に行かない?』みたいに!」
な、何を言っているんだ、このジジイは・・・
「あ、でも・・・俺・・・」
俺は尚も焦っていたが石田さんは無理矢理俺にチケットを渡すと「じゃあ、頑張れよ!」そう言って帰って行ったのだった。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:16:00.49 ID:cBRJ6dw4o<> チケットを渡された日。
俺は一人でユイを誘う練習をしていた。
なんとか形になった時は夜が明ける寸前だったよ。
殆ど眠る事無く俺は仕事に向かった。
行き道でも俺は不安に駆られる。

どんな顔をされるだろう?ユイは困るかな?断られたら気まずいな・・・
ユイはどう思うだろう?等々。

だが、俺の中で希望もあった。
ユイが案外アッサリOKしてくれて映画に行ったら逆にどうしよう?
映画行って、一緒に飯を食って、

そして・・・キャアアアア!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:17:49.42 ID:cBRJ6dw4o<> そんな事を思いながら事務所の前に到着する。
事務所の前で軽い逡巡をした後に意を決して事務所に入って行った。
着替えながらも緊張が収まらない。とりあえず着替えて下に行き、ユイが出て来るのを待っていた。
もうドキドキが止まらなかったよ。

すると社長が現れて俺に声をかけた。

「あ、トオル君、今日はAさんと現場に行ってくれる?」
へ?

「いや、実はさ、ユイさんが急に辞めたんだよ・・・だから今日はAさんと・・・」

は?

俺の頭の中でなんかウサギが亀を殴り続けている映像が何故か浮かんだ。
え?どういう・・・事
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:19:44.79 ID:cBRJ6dw4o<> 辞めた・・・?
社長はそれ以上俺に構う事なく忙しそうに動き回った。
Aさんがやって来て「トオル、行くぞー」そう言って既にチャリに乗っていた。
俺も慌ててチャリに乗り現場に向かったのだった・・・

その日は俺はずっとユイの事を考えた。
辞めた・・・なんで急に・・・そして俺が考えついた最終的な答えは・・・

やっぱり、俺がキモかったんだ・・・だった。

石田さんが俺に気を使って慰めてくれるが、俺は正直ね、どうでも良かったんだよ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:20:33.47 ID:cBRJ6dw4o<> やっぱり俺はキモいんだし、それに三週間だけど幸せな気分になれた。
花火を一緒に見る事が出来た。
弁当を交換する事が出来た。
それだけで充分満足だったんだ。
俺にはそれ位の幸せで充分過ぎる位だったんだ。

それなのに、告白をしようとおこがましい気持ちが生まれたから神様が天罰を与えたんだな、うん。
そう思い俺はいつもの毎日に戻って行った。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:21:23.41 ID:cBRJ6dw4o<> 夏が終わる寸前の時に、俺が仕事を終えて着替えを済まし帰ろうとした時に社長から声をかけられた。
「あ、トオル君、ちょっと忘れてたよ」
「え?」
俺が振り返ると社長が頭をかきながら俺の前に来る。
「ほら、数日前に辞めた・・・ユイさんだけど・・・」
もう良いよ・・・忘れさせてくれよ。
俺はそう思い溜息をつく。

「いや、辞める時に連絡が在ってね・・・その後、バタついてたから言いそびれたんだけどね・・・」

なんだよ、マジで。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:21:53.71 ID:cBRJ6dw4o<> 「実は伝言を言付かっててさ・・・えーっと・・・」

そう言って社長はメモ翌用紙を取り出した。
え?伝言? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:22:53.05 ID:S02OYECVP<> 面白くなってきたな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:22:55.59 ID:cBRJ6dw4o<> 「あ、良い?
『トオルさん、短い間でしたけどありがとうございました。
トオルさんと一緒に仕事が出来て楽しかったです。
家の事情で急に辞める事になってごめんなさい。
ちゃんと挨拶をしたかったんですけど。また会える日を楽しみにしています』
・・・だってさ」

俺は社長の言葉を聞きながら放心状態になっていた。
そして、その紙を社長から貰い俺は何度もそれを読み返した。

そして家に到着しても読み続け、俺は初めて泣いた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:23:57.85 ID:cBRJ6dw4o<> 簡単な伝言で社長のゴツゴツした字だったが、俺は泣いた。
そして、俺はその瞬間にある決意を決めた。

そのまま家を出て石田さんの家に向かう。
石田さんは急に俺が来て少し慌てていた様だ。
「なんだ?麻雀か?面子が集まるかな?
」石田さんがそう言った時に俺は石田さんに言った。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:24:52.72 ID:cBRJ6dw4o<> 「石田さん・・・石田さんは昔・・・高校関係の仕事をしてたんですよね・・・?」
「は?」
石田さんが俺を見る。
「石田さん・・・俺に・・・」
俺は石田さんの前で膝を付いて土下座をした。
「おい・・・トオル・・・」
「石田さん!俺に、誰か家庭教師を紹介して下さい!俺に勉強を教えてくれる先生を・・・お金はちゃんと払います!」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:25:44.33 ID:cBRJ6dw4o<> 俺がそう言って頭を下げると石田さんは黙って俺を見る。

「俺・・・高校に行きたいんです・・・S高に・・・でも、俺勉強できないから・・・だから・・・誰か俺に勉強を教えてくれる人を・・・」

俺はユイに会いたかった。
勿論社長にユイの連絡先を教えて貰えればそれで良いのかもしれない。
だけど、俺はちゃんとユイと向き合いたかった。
ユイと同じ時間を共有したかったんだ。だから、ユイと同じ高校に入ろうと思った。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:26:33.91 ID:cBRJ6dw4o<> S高ならば、進学校とは言え公立高校だから学費は支払える、そう思ったんだ。
俺が黙って石田さんに頭を下げていると石田さんが何故か舌打ちをした。
「おい、トオル!」
そう言って少し怒った声を出す。
俺は恐る恐る顔を上げて石田さんを見る。
「お前・・・何回も言わせるな・・・!」
え?

「俺は・・・高校関係の仕事・・・じゃねえ!!れっきとした高校教師だ!!」

はい? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:27:19.55 ID:cBRJ6dw4o<> 俺がキョトンとしていると、石田さんは急に家の電話を持ちアドレス帳を広げる。
そして電話をかけ始めた。
「おう、俺だ、久しぶりだな・・・それはそうと、お前の所の家庭教師を二、三人回してくれい、え?国語、英語・・・理科が良いな・・・数学は俺が出来るから・・・」
石田さんはそう言って話をする。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:28:27.91 ID:cBRJ6dw4o<> 「え?馬鹿!勿論無料に決まってんだろうが!自ら勉強をしたいって言う若者が居るんだ!それを導いてやるのが教師の仕事だろうが!」

その言葉に俺は目を見開いた。
石田さんは電話を切ると俺に言った。
「調度、俺の教え子に家庭教師センターの経営者が居る・・・そいつに頼んだ・・・」
「・・・石田さん・・・で、でも・・・お金は払います・・・」
「良いんだよ、その金は入学金や授業料に取っておけ・・・」
「え・・・でも・・・」
「それより・・・!」
石田さんは俺を少し睨むように俺を見る。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:29:08.97 ID:cBRJ6dw4o<> 「一つ、条件がある・・・!」
「・・・はい・・・」

俺は覚悟を決めて石田さんを見る。
すると石田さんは少し笑い俺に言った。

「一回位は・・・俺の振込みを・・・見逃せ・・・!」

何度でも!俺はそう思い泣きながら石田さんにお礼を言った・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:30:55.22 ID:cBRJ6dw4o<> すみません。一応書き溜めがこれで終わりました。
ちょっと仕事が急遽入ったので、ここで区切らせて下さい。

ですが、話はまだまだ続くんです。
なるべく早めに続きを書きます。

つまらない話に長々とお付き合い頂ありがとうございます <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/27(月) 14:31:57.79 ID:uqZ22PNAO<> 良い感じだ <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<>sage<>2011/06/27(月) 14:32:33.11 ID:cBRJ6dw4o<> 一応トリを付けておきます。
暇な時にまた、続きを読んでください
それじゃあ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 14:32:41.95 ID:S02OYECVP<> うむ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 16:35:08.11 ID:f+411J7IO<> ガンガレ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします <>sage<>2011/06/27(月) 20:43:24.26 ID:yle9wUWp0<> がんばってくれ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/27(月) 21:17:33.64 ID:K8oyXkqCo<> トオルがんばれ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)<>sage<>2011/06/27(月) 21:26:50.89 ID:CWV/p9sVo<> がんばってくれい
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 21:46:27.25 ID:sGZS8Ant0<> うわ面白くて一気読みしちゃったよ
続きがんば! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(神奈川県)<>sage<>2011/06/27(月) 21:50:55.73 ID:UltmTbbT0<> 良い話しだなオイ。本とかだしてもいいんじゃね?いや、いけるか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/27(月) 22:14:01.76 ID:sstV6huWo<> エーデルワイスワロタ
しかし続きが気になる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/27(月) 23:19:11.18 ID:XOq3XAiBo<> トオルー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/28(火) 07:32:09.32 ID:9gW4mRAIP<> とおる待ってるぞ <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:18:53.84 ID:cUJ2p3l0o<> すみませんお待たせしました。
結構見てくれている人が居て嬉しいです。

では続きを書きますね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/28(火) 09:19:54.10 ID:w+OEAzKdo<> どんとこい <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:20:38.88 ID:cUJ2p3l0o<> 高校に入る事を決意した俺は毎日頑張って勉強をした。
石田さんの知り合いの家庭教師センターの人達は非常に教え方が上手く、俺は自分でも驚く程に勉強が出来る様になる。
何より驚いたのは石田さんの教え方の上手さだった。
ガチでこの人は高校の先生だったんだ。

勉強と同時に俺は体を鍛え始めた。
毎日走ったり、筋トレを始めたのだ。
ユイに再会した時に、ブクブクの体を少しでも引き締めたい・・・そう思ったからだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:21:49.06 ID:cUJ2p3l0o<> 俺は毎日、勉強に筋トレに、そして仕事と、人生で初めて必死になっていた。
たまに諦め様かと思う事も有ったが、その度にユイの伝言を眺める。
この字が社長の字じゃ無かったら、多分それで抜いていた筈。

警備会社の人達も応援してくれる。
事務所で勉強を教えてくれたりした。
だけど遥か昔に学んだ事なので皆が間違った事を教えてくれるのは正直迷惑だったが気持ちは嬉しかったんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:22:38.71 ID:cUJ2p3l0o<> そして半年後、俺は見事にS高に入る事が出来た。
合格発表の時の嬉しさは言葉に尽くす事が出来ない。
ホントによく頑張ったよ俺。

一緒に見に行った石田さんは俺を抱きしめたし、社長は俺の為に合格祝いを開いてくれて、会社の人達も祝ってくれたんだ。
保証人には社長と石田さんが成ってくれた。
ホントに世話になりっぱなしで今でも感謝している。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:23:25.13 ID:cUJ2p3l0o<> そして俺の体もかなり引き締まり、もう[ピザ]では無かった。
生まれて初めての美容院に行って髪型も変えて、ちょっとはイケてるかと思えた。
まあ、もちろんブサメンが中の下になった位だけどね。

高校登校初日の日を迎えるギリギリに俺はふと気が付く。
あれ?俺、同級生より年上じゃないの。
今更だったんだが、石田さんは笑って「お前が黙っておけば誰も気が付かん」そう言われて少し安心したのを覚えている。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:24:21.55 ID:cUJ2p3l0o<> 入学式の日に真新しい制服に身を包んだ時、凄く緊張した。
まさかもう一度学生服を着る事になるとは夢にも思わなかった。

そして今日、ひょっとしてユイに会えるかも知れない・・・そう思いドキドキする。
学校への行き道もユイが居ないかキョロキョロしながら歩いていた。
学校に到着してもキョロキョロする。
考えたらユイは二年生になっているので入学式には出てないから、居る筈も無いんだけどね。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:25:25.20 ID:cUJ2p3l0o<> 俺は仕方なく教室に行き、入学式を終えた。
そして再び学校内をうろつく。
ユイはどこに居るんだ?

俺は二年生の教室の方へも行くが全く見当たらない。
それから毎日、俺は学校に行き、暇が有ると校内を探した。
だがユイの『ユ』の字も見当たらない。

入学して一週間が経過した時に俺は大変な事に気が付いた。
ユイを探す余りに、クラスで友達を作る事を忘れていたんだ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:26:11.87 ID:cUJ2p3l0o<> ある日昼飯を食べようとした時に気が付けば一人で食べていて、周りは皆固まって食べている。
しまったー・・・これじゃあ中学までと変わらないじゃん!
俺は焦るが、どうしようも出来ない。
仕方無しに俺は一人で昼飯を食べる。

何故か教科書を読みながら食べた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:27:16.06 ID:cUJ2p3l0o<> 違うよー。俺は友達が居ないんじゃ無いんだよー。
俺は昔からこうやって教科書を読みながら飯を食べるのが好きなだけなんだよー。
ほら、卵焼きを食べながら英単語を一個覚えちゃったよー。

卵焼きがいつもよりしょっぱかった。
ヤバい。これじゃ中学までと何ら変わらない。
またあの暗黒の日々が始まるのか・・・

俺は窓から空を眺めながら警備会社の人達の事を考えた。
皆さん・・・すみません。
俺はせっかく皆が応援してくれたのに、今、また一人ぼっちです。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:28:24.28 ID:cUJ2p3l0o<> その日、もしくは翌日の帰り道だったと思う。
俺は一人で家路に着きながら絶望感に溺れそうになっていた。
結局、ユイにも出会え無いし友達も出来ない。
俺はなんの為に高校に入ったんだろう?全く意味が無いんだが。

そんな思いで帰宅していると、いつもと違う道に出た。
あれ?間違えたかな?
そう思って周りを見ると目の前に池、いや正確には沼があった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:29:19.54 ID:cUJ2p3l0o<> その瞬間俺は目を輝かせる。
俺は何故か沼みたいな気色の悪い物が大好き。
慌てて近寄り沼を見つめる。
おー!これは絶対にザリガニが居る!
俺は辺りを見回し、近くに小さなスーパーを見つけた。
駆け足でスーパーに向かい、スルメと糸を買う。
買いながらも俺はワクワク感が止まらない。
沼に戻り木の枝に糸を付けて餌のスルメを投下した。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:30:17.54 ID:cUJ2p3l0o<> ヤベッ、これはマズイ。
何でこんな場所を気が付かなかったんだろう?最高の暇潰しが出来るじゃないか。

そう思いながら糸を垂らしていると急に後ろから声を掛けられた。
「・・・何してんの?」
その声に振り返ると、そこには同じ制服を着た男が立っている。
その顔に見覚えがあった。
確か同じクラスでかなりのイケメン。今考えたら嵐の櫻井翔に似てるんだよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:31:18.88 ID:cUJ2p3l0o<> 「水質調査」
そう言って俺はザリガニ釣りに夢中だったから適当に返事をする。
その瞬間にソイツが軽く笑った。
「なんだそれww」
そう言ってソイツは俺の側に来た。
「へー、なんか釣ってるんだ」
なんか、じゃねえ。ザリガニ釣りだよ。
「違うよ・・・水質調査だから・・・」
何故か嘘をつく。
俺は正直、高校生にもなってザリガニ釣りを見られるのも恥ずかしかったし、人と話すのも苦手だから帰って欲しかった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:32:25.94 ID:cUJ2p3l0o<> 「ちなみにさ」ソイツは尚も口を開く。
しかも俺の隣にしゃがみ込んだ。
「ここ、多分生き物はカエルかアメンボ位しか居ないよ」
なんだと!俺はソイツを焦った顔で見る。
「な、なんで分かるんだよ・・・」
俺の言葉にソイツは軽く笑い答えた。
「いや、俺んチ、近くだから・・・雨降った翌日は水が貯まるんだけど、それ以外はただの窪みだし」
早く言えよ!そして俺のワクテカとスルメ代返せ!
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:33:49.77 ID:cUJ2p3l0o<> 俺がショックを受けて凹んでいると、ソイツは又もや笑う。
「へー・・・トオル君(苗字で呼ばれたが便宜上、名前で)って、意外だなー」
え?何で俺の名前を知ってんの?
俺はお前の名前が分からないんだが。そして何が意外なんだよ。
「クラスではクールな人かと思ってたけど・・・」
お前はクールの定義を知っているのか?
「だって、教室にも余り居ないし・・・一人でいつも過ごしてるし・・・」
うるせー!友達がいねーんだよ! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:34:48.01 ID:cUJ2p3l0o<> 「それに落ち着いてるし・・・」
違うんだよ、俺は社会人経験してるし、お前よりお兄さんなんだよ。
「だから・・・意外だなって・・・」
ソイツにそう言われ、端から見てたらそんな風に思うのかと何故か感心した。
だけど俺からしたら、コイツの方が意外なんだけどね。
イケメンなのに気さく。
「そうか・・・でも、あれだ・・・」
俺はそう言ってソイツに話し掛ける。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:35:53.63 ID:cUJ2p3l0o<> 「お前も・・・そんな気さくな奴とは思わなかったよ・・・えーっと・・・山田」
「あ、篠原だけど」

そうなんだ。

「あ、知ってたよ・・・うん。今のは試したんだよ・・・」
「試す?」
「お前がちゃんと自分の名前を覚えてるか」
「何だよ、それ!」
篠原は笑い出した。
「トオル君、面白いな!」
面白い?いや、そんな事を言われた事は一度も無いが。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:36:49.24 ID:cUJ2p3l0o<> 「あ、俺、篠原ヨウイチ。ヨウイチで良いよ」
「あ、じゃあ俺はトオル。アンダーソンで良いよ」

その瞬間に篠原ヨウイチは再び吹き出した。

「誰だよ、それ!トオルで良いじゃん!」
ヨウイチは俺にツボった。

こうして、俺は生まれて初めての友達が出来たのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:37:43.74 ID:cUJ2p3l0o<> それから俺達二人はつるみ始めた。
二人で飯を食ったり、登下校も一緒にしたりする。
ヨウイチは本当にイケメンでモテた。
ヨウイチと一緒に居ると女子の視線を感じるのだ。
それが何故俺みたいな奴と一緒に居るかが分からない。
俺も概ねヨウイチが好きだった。良い奴だし、何故か落ち着く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:39:17.60 ID:cUJ2p3l0o<> だけど、やっぱり俺は友達慣れしていないので、ヨウイチにある程度の一線を置いていたのも確かだった。
俺が年上である事も言わなかったし、両親が居ない事も言わなかった。
余り仲良く成りすぎて裏切られたら嫌だからだった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:40:06.41 ID:cUJ2p3l0o<> ある日、ヨウイチが俺に言って来た。
「なあ、部活どうする?」
部活?
「なんかさー、四月の終わりまでに決めないとダメみたいだぜ」
そう言ってヨウイチが溜息をつく。
「別に・・・無理して入らなきゃ・・・良いじゃん」
俺が至って常識的な意見を吐くとヨウイチが「え?」と言う表情で見てきた。
「あれ?入学式の時に聞いて無かったのか?」
ヨウイチの言葉に俺は首を傾げた <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:41:38.16 ID:cUJ2p3l0o<> 「この学校はさ、どっか一個の部活に所属しないといけないんだよ、だから決めないとな」
マジかよ。刑務所かよ。
いや、刑務所がそうかは知らんが。
「で?なんにする?」
ヨウイチが又もや尋ねる。
「えー・・・いや、急に言われてもなー・・・」
運動は苦手だし、文化的な特技も無い。
じゃあ部活考えとこうぜ、とヨウイチに言われ俺は帰宅した。

その晩、警備のバイトに行く。
俺はまだバイトとして警備会社のお世話になっていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:42:33.13 ID:cUJ2p3l0o<> この会社は葬式や通夜の駐車場整理等の仕事を請け負っていて、通夜のバイトならば夕方から遅くとも9時に終わるので高校生でも働けた。
オマケに通夜だけでも日給八千円が出たので非常に割が良い。

俺が通夜の現場に出掛ける際に久しぶりに石田さんに声を掛けられた。
「おう、トオル!高校生活はどうだ?」
「お疲れ様っす。まあ、中々楽しいです」
俺の答えに石田さんは満足して頷くと小さな声で続けた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:43:30.90 ID:cUJ2p3l0o<> 「で?ユイちゃんとは出会えたのか?」
その言葉に俺は力無く首を振った。
「そうか・・・まあ、でも、いつか出会えるよ。同じ学校ならさ」
そう言うと石田さんは「じゃあな」と言って帰って行った。

同じ学校なら・・・か。確かにね。
だけど最近俺は嫌な事に気が付き始めた。

この地域にS高校は二つある。
俺が通う『県立S高校』Sは地名だ。

そしてもう一つ『S女子高校』だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:44:59.81 ID:cUJ2p3l0o<> コチラは区別を付ける為に『S女』と言われている。
俺がユイから聞いた時にS高校と聞いた。
俺は正直、高校に詳しく無かった。
石田さんにユイがS高校に行ってる、と告げると「へー、S高か、レベル高いなー」と言われ単純にそう刷り込まれた。
そして、その違いを完璧に聞かないままユイはバイトを辞めたのだ。

だからひょっとして・・・余り考えたく無い事実があった。
だけど今更、高校を辞めたくは無かった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:45:50.08 ID:cUJ2p3l0o<> せっかく皆が応援してくれて行けた学校だ。
これで辞めたら申し訳が立たない。それにヨウイチとも友達に成れたし。
俺は最悪の場合は『S女』に探しに行こう・・・そう決めたのだった。
四月も終わりに近付いた頃、ある事件が起きた。
いや、まあ事件と呼べないかも知れないが・・・先輩に絡まれてしまったのだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:46:50.59 ID:cUJ2p3l0o<> 俺とヨウイチが学食で昼食を取る事になった。
いつもは弁当であったが、その日はヨウイチが学食で食べてみたい、そう言ったからだ。
ラーメンを買ってトレイに乗せながら二人で座れる席が無いかキョロキョロ探している時だった。
急に目の前に人が現れてドンッとぶつかった。
俺のトレイからラーメンが飛び出して目の前の人にそれが掛かった。

「あちぃ!」その人は大声で叫ぶ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:47:29.26 ID:cUJ2p3l0o<> すみません、五分程席をはずします 
少々お待ちください <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:54:41.47 ID:cUJ2p3l0o<> お待たせしました
続きです

「あ、すみません!」
俺が謝りながら、その人を見ると、その人は仁王立ちになりながら俺を睨んでいた。
ガタイの良い小麦色に日焼けした男だった。
チョコボール向井に似ていたので便宜上『向井』で。
向井さんは俺を睨みつけて「どうしてくれんだ、こらっ!」
そう叫ぶ。こえー。制服を見ると二年生だと分かる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:55:27.79 ID:cUJ2p3l0o<> 後ろに立っていたヨウイチも慌てて「すみません・・・」そう一緒に謝ってくれた。
俺の中で抱かれたい男ランキングが上昇した。
だが向井さんは、そんな言葉に耳を貸さずに「ビショビショだし、熱いんだよ!どうすんだ、これ!」そう叫び続ける。
確かに、彼の制服には麺とメンマが付いて濡れていた。
周りの人が不安そうに俺達を見る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:56:18.93 ID:cUJ2p3l0o<> 正直進学校だったので、怖い先輩が居るとは思わなかった。
事実、今までDQNに出会った事が無い。いや、でも、これは俺が素直に悪い。
そう思いひたすら俺は頭を下げて謝っていると急に声が上がった。

「待ちたまえ!」

え?何、その漫画でしか聞いた事が無い台詞。
その声の主を見ると、眼鏡を掛けたいかにも優等生的な奴だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:57:19.26 ID:cUJ2p3l0o<> 「君、彼等は一年生だ!それ位にしておいてあげたまえ!」
そう言って向井さんを見る。
だから何だよ、そのいかにもな台詞。
庇ってくれるのは嬉しいが、アンタと向井さんじゃ勝負見えてるじゃん。

だが、俺の意に反して向井さんは「ちっ、やべーな・・・テメエら覚えてろよ!」
そう言って立ち去って行った。
あれ?アイツも大根になったぞ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:58:09.66 ID:cUJ2p3l0o<> 「大丈夫だったかい?君達」
だから、なんでアンタはそんな影の番長的な喋り方なのよ。
「すみません、ありがとうございます!」
そう言ってヨウイチは素直に礼を言う。
「それより、座る席を探してるんだろ?来なよ、こっちなら空いてるから」
そう言って眼鏡は俺達を学食の裏に誘う。
俺はおかしいと思いながらもヨウイチが付いて行くので従った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 09:59:17.62 ID:cUJ2p3l0o<> 学食から少し外れた理科準備室に入った
「ここなら空いてるから、ここで食べなよ」
「え?良いんですか?」
ヨウイチは素直にそう言うが、俺は疑心暗鬼が起こりまくり。
「良いよ、ゆっくりしていってよ。あ、君はさっきラーメン零したんだね、じゃあこのオニギリ食べなよ、あ、君も食べて良いよ」
眼鏡が俺達にオニギリを差し出した。
おかしすぎるし。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:00:32.75 ID:cUJ2p3l0o<> だが、ヨウイチは「あ、すみません、頂きます!」素直に食べた。
コイツは人を疑う事を知らないのかよ。
いや、俺が人を疑い過ぎてるのか?
ヨウイチが美味そうに食べているのを見て毒は入ってない事が分かった。
目の前に座る眼鏡がジッと俺を見て早く食べろと言葉にならない圧力を醸し出している。

俺は仕方なく「頂きます・・・」そう言ってオニギリを食べた・・・その瞬間だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:01:24.05 ID:cUJ2p3l0o<> 「はい!食べた!!」

いきなり眼鏡が叫ぶと準備室の扉が急に開きビデオカメラを持った先程の向井さんが入って来た。

「お前らがオニギリを食べた瞬間を押さえたぞ!!これでもう逃げれねえ!!」

俺とヨウイチはポカーンと口を開けたまま、その光景を見つめる。
「フフフ・・・君達、僕等の奸計にハマった様だな」
そう言って目の前の眼鏡が正に眼鏡を押し上げた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:02:21.58 ID:cUJ2p3l0o<> 「さあ、入部届けを書いて貰おうか!」
そう言って俺達の前に入部届けを出して来た。
「流石は部長っすね!やっぱり部長の罠は一流っす!」
そう言って向井さんが叫ぶ。
俺はイロイロ突っ込み所が多過ぎて何も言う事が出来なかった。
「さあ、これで君達は逃げる事が出来ない、さあ早く入部届けを書くんだ!」
眼鏡の部長の言葉に俺は一応挙手をした。
「はい、君」
部長が俺を指差す。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:03:10.63 ID:cUJ2p3l0o<> 「あの・・・何ですか?これ」
俺の言葉に向井さんが不敵な笑みを浮かべて答える。
「わ・な!クハハハハ!びっくりしただろう!この罠に!」
いや、最初から気が付いてたし。
「とりあえず、君達は入部届けを出すまで、ここから出る事が出来ない・・・!」
部長の眼鏡がキラリと光る。うぜっ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:04:15.39 ID:cUJ2p3l0o<> 俺はヨウイチと顔を見合わせると「そうっすか・・・じゃあ失礼しまーす」そう言って立ち上がろうとした。
「いや、待って!待て!」
慌てて部長が俺達を止める。
「何すか・・・」
俺が困った顔で言うと部長が慌てて言った。
「いや、君達、オニギリ食べたんだよ?しかもそれを証拠で押さえられてるし!」
「え・・・いや、別に良いっすよ・・・」
「良くないでしょ!オニギリだよ、オニギリ食べたんだよ!?」
えー・・・この人ガチで言ってんの・・・? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:05:07.36 ID:cUJ2p3l0o<> 「あ、いや、ちょっと意味が分からないんで・・・」
俺達はドン引きになりながら立ち去ろうとする。
「待って!お願い!マジで、天文部に入って!」
天文部?
「あ、ここ・・・天文部なんですか・・・」
ヨウイチが呟いた。その言葉に部長が目を輝かせる。
「そう、天文部!天文部は良いよ〜!天文部最高だよ〜!」
なんかキャラ代わったなおい。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:06:01.35 ID:cUJ2p3l0o<> 「とにかく、入れって!入ったら最高だから!」
向井さんも必死で口説いて来た。
「いや、マジで入って貰わないと部費が減らされるから頼む!」
部長は最終的にお願いをして来た。
「え、でも・・・特に星とかは興味無いんすけど」
ヨウイチの言葉に部長は首を振る。
「大丈夫!俺も興味無いから!」
いやダメだろ。それ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:07:15.27 ID:cUJ2p3l0o<> 「別に活動は自由だし、適当にダベッて帰るだけだからさ、それに今なら、去年の中間テストの問題を教えちゃう!」
それは魅力的だな。俺達は顔を見合わる。
「どうする?」
ヨウイチの言葉に「まあ、どっかに入らないと、いけない訳だし・・・なあ」
俺達の言葉に天文部の二人はここぞとはかりに押して来た。
「入ろう!頼む!良いじゃん!な?!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:08:44.45 ID:cUJ2p3l0o<> まあ、部活なんかどうでも良いし、入るなら楽な所が良いしな・・・そう思い俺達二人は頷く。
「分かりました・・・じゃあ入ります」
「っしゃあああ!!!!」
二人はガッツポーズを取り喜んだ。
「見たかい?僕の奸計を!」
部長の眼鏡が光る。
「いや、全然違うし。」俺が答える。
「まあ、良いや!それより仲良くやろうや!なあ?」
向井さんが笑顔でそう言う。ちょっとアレだけど悪い人じゃ無いらしい。部長も続ける。
「うん!仲良くね!ようこそS高天文部『銀ギラ吟』へ!」
うわ、名前ダサッ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:09:42.34 ID:cUJ2p3l0o<> こうして俺は天文部に入った。
まさか部活をするとは思わなかったよ。

天文部のメンバーは俺達含めて七人だった。
一年生は俺とヨウイチ。そしてもう一人俺達と同じ手口で引っ掛かった奴がいた。
だが、ソイツは超[ピザ]だった。昔の俺ならキャラが被っていた所だ。
彼は「飯を毎日食べさせてくれるなら入る」そう言って入ったらしい。
そのままのキャラかよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:10:16.72 ID:cUJ2p3l0o<> 三年生は眼鏡の部長ただ一人。
二年生はチョコボールに似た向井さんと女子二人だった。

一人は凄く普通の女の人でリコさん。
優しい人だった。

そして、もう一人が・・・











ユイだったんだ。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/28(火) 10:11:57.36 ID:cUJ2p3l0o<> すみません、書き溜めが以上なんです。
なんか変な引きになってしまってすみません。
わざとじゃないんですよww

ちょっと時間が無くてこれ以上は書けませんでした。

また時間の隙を見て書きますので、とりあえず今は区切ります <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/28(火) 10:15:37.17 ID:fUYqLquDO<> なんだこのwwwwktk展開ww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/28(火) 10:18:10.31 ID:w+OEAzKdo<> これはいい焦らし <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/06/28(火) 10:53:16.59 ID:DzqrDBrHo<> なんということでしょう!!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)<>sage<>2011/06/28(火) 11:11:52.84 ID:e2E5xTvDo<> 中学卒業してから激動の一年だったんだな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮崎県)<>sage<>2011/06/28(火) 11:13:12.99 ID:zZGSheIio<> >>1
好きな人のために高校行くなんてかっこよすぎるわ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/28(火) 14:07:21.51 ID:TGAGE640o<> 楽しみに待ってる
しかし、これは素晴らしい焦らしだww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/06/28(火) 16:10:26.15 ID:wAlG127Lo<> スゲー良スレの予感

前半はドン引きだったがwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/06/28(火) 18:29:33.66 ID:D/M6Pav8o<> ただの変態かと思ったらちょっと良い話じゃねーかww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)<>sage<>2011/06/28(火) 19:52:18.73 ID:FTn89jgio<> 運命だなwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府)<>sage<>2011/06/28(火) 20:25:14.55 ID:UwBkKEbOo<> これが何年前の話で今トオルがどうなっているのかが気になるww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/28(火) 22:39:43.89 ID:dAAjzLy8o<> ネタだと思ってたのにwww
期待してる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/28(火) 22:41:38.73 ID:dAAjzLy8o<> ネタだと思ってたのに!
期待してる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/28(火) 22:43:39.07 ID:dAAjzLy8o<> ネタだと思ってたのに!
期待してる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/28(火) 23:56:57.74 ID:VZpsJ3i1o<> wwktkwwwwwwww
次にも期待wwww
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/29(水) 02:42:23.16 ID:7M2J1JDGo<> 待ってるぜ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)<>sage<>2011/06/29(水) 07:45:41.81 ID:QA590mm3o<> 帰ってきてからの楽しみ作ってくれてありがと
期待してるぜ! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:48:07.87 ID:u22p+qANo<> お待たせしました。皆さんが期待をしてくれて嬉しいです。
ただ、あくまでこれは実話を元にしていますんで、皆さんの期待に沿える様なストーリーになるかは・・・

それではユイと再会した時の事を話します。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:49:11.18 ID:u22p+qANo<> あれは天文部に入って二日目か三日目だった。
昼休みを天文部の部室で過ごしても良い、と言われ俺とヨウイチは天文部の部室に行った。

天文部の部室は理科準備室だった。
先生達の部屋にも関わらず、そこは天文部の私物化にされていたんだ。
何故かおよそ天文部に関係無いで有ろうサーフボードまで置いてたんだけどね。
サーフボードの理由を向井さんに尋ねると「波に乗りながら星が見えるだろうが!」と言われたんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:50:44.69 ID:u22p+qANo<> 部室に行くと既に部長と向井さんが二人で昼飯を食べていた。
もう一人の新入部員の[ピザ]も昼飯を食べている。

話が逸れるが、天文部のメンバーについて触れる。
まず部長は前回話した様に三年生の眼鏡を掛けた人だ。
彼は武将マニアだった。
常に「奸計」と言う言葉で人を翻弄しようとする。
そしてわざとらしく「ククク」と笑う気持ちの悪い人だった。
自分は『孔明』の生まれ変わりと思っている人だったんだよ。

だが、悲しいかな風貌の割には普通の高校生以下の頭脳しか持っていなかった <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:51:37.18 ID:u22p+qANo<> 二年生の向井さんはガタイが良い人。
性格も見たまんま。
俺の高校生活はこの人の『パシリ』だったと言っても過言では無い。

もう一人の二年生のリコさん。
彼女は本当に普通の人。
優しいし常識を持った人。
天文部の良心。

彼女に何度救われたか・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/29(水) 14:52:25.04 ID:ZFTe3lmAO<> あうおう <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:52:42.35 ID:u22p+qANo<> 俺達と同じ新入部員の[ピザ]がいた。
彼のあだ名は『サモハン』
何故サモハンかと言うと、[ピザ]の癖に超運動神経が良い。
『走る事』以外は何でも出来る動ける[ピザ]。
各運動部からかなりのオファーが来ていたが彼は断っていた。
理由は「汗をかくのが嫌」だからだ。

サモハンのカバンには常に1.5リットルのコーラが入っている。
彼曰く「これは俺の命であり、最後の砦だ。だからナンピトたりともこれに触れるな」そう言われた。
一度向井さんが、そのコーラを飲んだ時はサモハンが激切れして怖かったのを覚えている。
だけど、向井さんが学食のコロッケを五個買ってやったら機嫌が治った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:53:41.17 ID:u22p+qANo<> 後は俺とヨウイチね。
話しを元に戻す。

俺達が部室で昼飯を食べていた時だった。
部室の扉が開きリコさんが「お疲れ〜」顔を出した。
リコさんとは、その日が初顔合わせ。
俺からしたら「あ、女子部員も居るんだ」そんな感想を感じた後に、俺の動きが止まった。

リコさんの後ろから、ユイが入って来たからだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:54:35.11 ID:u22p+qANo<> あの瞬間の俺の気持ちは、なんか言葉では言い現す事が出来ない。
俺の箸から卵焼きが落ちた事すら気が付かなかった。
「おう、リコ、ユイ。新入部員が入ったぞ!」
向井さんがガハガハ笑いながら二人にそう言う。
「あ、そうなんだー、二年のリコでーす!ヨロシクねー」
そう言ってリコさんが自己紹介をしたと思う。
思う、と言うのは俺は全くリコさんを見てなかったからだ。
俺の目線はリコさんの後ろにいるユイに向けられていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:55:23.35 ID:u22p+qANo<> 「初めまして、ユイです。分からない事が有ったら聞いてね」

ユイがそう笑顔で言った時に、やっと俺の心臓がバクバクと音を立て始める。
ユイだ・・・本物のユイだ・・・

「じゃあ、新入部員の三人も挨拶をしてくれたまえ」
部長の変な喋り方にもツッコミを入れる事も出来ない位に俺は呆然としていた。
ユイは普通の表情をしていた。
俺に全く気が付いていない様だった <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 14:57:18.75 ID:Jh7SQq8no<> wwktk <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:59:13.89 ID:u22p+qANo<> ヨウイチが最初に挨拶をしたが、奴が何を言ったか全く分からない。
次に部長から俺が挨拶する様に言われ俺は立ち上がりユイを見る。
ユイも俺を微笑みながら見ていた。
だが、全く気が付いていない。
確かに俺は痩せたし髪型も変えた。だからかも知れない。

だが名前を言えば思い出してくれるだろう・・・そう思いながら自己紹介をする。
だがユイの表情は全く変わる事がなく、「ヨロシク」と言われたまま、次のサモハンへと自己紹介が移って行ったのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 14:59:54.22 ID:u22p+qANo<> その日のバイト中、俺はボンヤリしていた。
心の中に色んな渦が巻いている。
ユイに出会えた嬉しさとユイに忘れられている悲しさ。
どちらかと言えばユイに忘れられている悲しさの方が強かった。

俺の存在なんか・・・その程度、だったんだな・・・まあ、分かってたけどね・・・

仕事が終わり事務所に帰る。すると石田さんが近寄って来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:00:51.15 ID:u22p+qANo<> 「なんだ、トオル、元気ねーな」
そう言われ俺は石田さんに今日の事を告げた。
「そうか・・・ユイちゃんに出会えたか・・・」
石田さんは嬉しそうに俺に笑いかける。
「でも・・・全く俺の事を覚えて無いんですよね・・・」
俺の溜息混じりの言葉に石田さんは笑った。
「でも、良いじゃねーか、それでも出会ったんだし」
「でも・・・」
尚もウジウジしている俺に石田さんは言葉を続けた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:01:40.79 ID:u22p+qANo<> 「忘れられてたら・・・また築けば良いさ。新しい関係をさ。昔のお前と今のお前は違うんだ」
その言葉に俺は石田さんを見た。
「だから、新しいお前で、ユイちゃんとの関係を築け。それが一番早道だ。壊れたら築くんだよ」
そう言われ俺は少し胸のつっかえが取れた。

そうだな・・・また新たに築けば良いか・・・
それに俺とユイは関係と言う程の関係は築けて無かったしな・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:03:31.38 ID:u22p+qANo<> 翌日から俺はユイの視姦を始めた。
基、ユイの姿を目で追った。
だが、目で追うだけで話し掛ける事が出来ない。
ただ、皆で部室で喋りながらユイを見つめていただけだった。

ゴールデンウィークの前に向井さんに呼び出され部室に行くと、部室はカーテンが閉められて暗かった。
その中に部長と向井さんが居た。
部長は部長席に座り真っ暗の中で机に肘を突きながら顔の前に両手を組んでいる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:04:20.60 ID:u22p+qANo<> 向井さんは部長の隣で立って入り口を見ていた。
俺とヨウイチとサモハンの三人は少し焦りながら部室に入る。
いや、すまん焦っていたのは俺とヨウイチだけで、サモハンはポテチを食べていた。

「あの・・・なんですか・・・?」
代表してヨウイチがそう尋ねた。
部長はスクッと立ち上がると、俺達に背中を向けて窓を見る。
なんなんだよ。
「今年も・・・例の季節がやってきた」
「左様で」
部長の言葉に向井さんが応えた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:05:18.46 ID:u22p+qANo<> 部長は少しカーテンを開けながら呟いた。
「向井君・・・例の計画書を・・・」
「かしこまりました」
そう言って向井さんが俺達の元に来て紙を渡す。
なんなんだよ・・・
俺達が恐る恐るその紙を見ると、そこには『天文部キャンプ計画書』そう書かれている。
部長は眼鏡をキラリと輝かせながら叫んだ。

「君達に指令を与える・・・!各自、米一合と、そこに書かれている食材を一品ずつ持ってきたまえ!」
いや、普通に言えよ。

「良いか!集合時間に遅れるな!遅れた奴は・・・ヒンズースクワット千回な!」
どこのプロレス団体だよ。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:06:14.75 ID:u22p+qANo<> と、言うわけで俺達天文部はキャンプに行く事になった。
毎年恒例でキャンプ場で星を見る、と言う行事らしい。
俺はキャンプの日をワクテカしながら待つ。
そもそも、そんなリア充みたいな事をするのが初めてだし、ユイと一緒にお泊り出来るなんて夢にも思わなかったからだ。

当日俺達は近くの駅に集合する。
俺は嬉しくてたまらなかった。
集合時間の二時間前から駅にいた事から俺の嬉しさを想像出来るだろう。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:07:12.58 ID:u22p+qANo<> 俺以外で最初に駅に現れたのはサモハンだった。
サモハンとは二人で喋った事が無かったので少し緊張。
二人で黙ったまま皆を待つ。
するとサモハンはカバンからポテチを取り出し袋を開けた。
え?今食うの?
サモハンはボリボリとポテチを食べ始めコーラを飲み始めた。
コイツは[ピザ]一直線だな。
俺がそんな事を思っていると彼は俺にポテチを差し出して来た。
「食べる?美味いよ」
「あ、ああ・・・ありがと」
そう言って俺も食べた。

まあ、コイツが悪い奴では無い事が分かったよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:07:58.12 ID:u22p+qANo<> 皆が続々と集合し始め、ユイとリコさんも現れた。
ユイは髪を後ろに束ね可愛いパーカーを着ていたのを覚えている。
最高に可愛いな〜・・・俺はニヨニヨしながらユイを見つめていたんだ。

電車に乗りキャンプ場へ向かった。
座席は空いていて皆でワイワイしてお菓子を食べながら目的地に向かう。
うわっ、なんか楽しい。
俺が夢見ていた生活が目の前にあった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:09:04.97 ID:u22p+qANo<> キャンプ場に到着して、ロッジに入るとカレーを作り始める。
向井さんの指示に従いながら俺達は分担して作業を行った。
部長は向井さんの隣で眼鏡をキラリと光らせながら立っているだけだった。
あの人の存在意義が分からない。

俺はジャガイモの皮を包丁で剥く。
するとリコさんが驚きながら俺に言ってきた。
「うわ、トオル君、上手いね包丁裁き!」
「え?そうっすか?」
「うん、男子って包丁触れない人多いじゃない?何?お家でもやってるの?」
「は、はあ・・・まあ・・・」
俺は言葉を濁す。
チラリとユイを見るとユイは黙って米を砥いでいた。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:10:35.45 ID:u22p+qANo<> はぁ・・・全く俺に気が付いてくれないんだな・・・
いや、関係ない。とにかく今から親密になれば良いだけ・・・
俺がそう思っていると、急に頭に衝撃が来て、倒れた。
「おーい、トオルー!」
向井さんが叫ぶ。向井さんが投げた靴が俺の頭に当たった様だ。
いちいち呼ぶのに、靴を投げんじゃねーよ!
「大丈夫?トオル君?」
リコさんが心配してくれる。
「あ、大丈夫っす・・・」
リコさん優しい <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:11:37.24 ID:u22p+qANo<> 「おーい、薪を取りに行くぞー」
向井さんの言葉に「いや、あの・・・俺、日本語分かりますんで・・・靴は投げないで・・・バフンバ!!」
俺の言葉の途中で再び向井さんの靴が俺の頭に炸裂した。
「早く来い!」
向井さんの言葉に俺は溜息をつきながら立ち上がった。
「ゴメンねえ・・・あんな人で・・・」
リコさんが申し訳なさそうに言う。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:12:51.70 ID:u22p+qANo<> 「あ、いや・・・大丈夫っす・・・」
俺が答えた時に、目の前にユイの顔が現れた。
「怪我してない?大丈夫?」
僅か数センチの距離に俺の顔が真っ赤になる。
「だ、大丈夫っす!!」
俺はそう言って顔を横に逸らした。
そんな間近で見る事が出来ない。

「ねえ・・・」

ユイが尚も俺に言葉をかけて来た。
「は・・・はい・・・」
顔を逸らしたまま答える。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:13:49.91 ID:u22p+qANo<> 「・・・バフンバって・・・何?」
いや、そこは突っ込まないで。
俺は慌てて向井さんの元に向かった。
が、向井さんに頭を叩かれ、再び向井さんの靴を取りに戻る。
戻るとユイとリコさんが笑顔で「耐えろ少年!」そう言ってくれて嬉しかった。

薪を向井さんと取りに行ながら、向井さんが聞いて来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:15:34.54 ID:u22p+qANo<> 「なあ、トオル」
「はい」
「お前、ユイが好きだろ」
は??!!
俺は焦ってこけそうになった。
「え?え?なんすか??!!」
「ふふん、図星か」
向井さんがニヤリと笑った。

「あ、いや・・・」
「五百円で写真売ってやるぞ」
「はああああ????」
「去年、撮った写真がある」

何を言ってんだ、コイツは!!!

「向井さん!」
「うん?」
「・・・三百円に負かりませんか?」
「四百円だ」
「わ、分かりました・・・」

こうして俺はユイの写真を手に入れた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:16:38.51 ID:u22p+qANo<> 皆で仲良くカレーを食べた後にロッジに入る。
ロッジはちなみに男女別々の部屋だった。

「さーて、始めましょうか部長!」
そう向井さんが言う。
あ、星を見るのか。
俺がそう思いながら向井さんを見ているとカバンから一升瓶を取り出して来た。

「さあ、飲むぞ!!」
はあああああ????
「え?それ、なんすか?」
「なんだ?お前ビール派か?」

ちげえよ! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:17:36.20 ID:u22p+qANo<> 「いや、酒飲んだら・・・まずく無いっすか?」
ヨウイチが一般的な話しをする。
「ヨウイチ君・・・君はこんな言葉を知っているか?」
部長が眼鏡を上げながら言った。

「飲んで、飲んで、飲まれて、飲んで、飲んで、飲み疲れて眠るまで・・・飲んで・・・」

・・・だから、何!しかも、それ歌詞。
「部長・・・名言です」
向井さんが頷きながら言う。
お前黙ってろよ! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:18:41.53 ID:u22p+qANo<> 「向井さん・・・」
黙っていたサモハンが口を開いた。
「アテに、アタリメをどうぞ・・・」
お前は何でノリノリなんだよ。
「え?でも天体観測は?それしに来たんじゃないんですか?」
ヨウイチの言葉に俺も頷く。
いや、コイツがまともで良かった〜。
「ヨウイチ君、君にこんな言葉を贈ろう」
部長が眼鏡を指であげる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:20:03.50 ID:u22p+qANo<> 「五月は天体観測で酒が飲めるぞ。酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ・・・」
・・・だから、何!
「まあ、じゃあ・・・飲みますか」
ヨウイチもコップを持った。納得したんかよ!

あれ?なんかおかしい・・・この部に居ると俺が凄い常識人に感じるのは何故だ?
俺ってもっとおかしい奴だと思ってたのに。

そう思いながらも俺も飲んでしまっていたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:21:24.51 ID:u22p+qANo<> 「良いか?リコやユイには言うなよー?アイツらは真面目だからなー」
そう酔っ払いながら向井さんが言う。
いや、バレるだろ。
「リコさん達は何で天文部なんすか?」
ヨウイチは既に目がトロンとしながら呟いた。
「奴はユイと仲が良いから入ったんだバカヤロー。まあ、ユイだけが純粋に星が好きだからなーバカヤロー」
部長が酔っ払って言葉が汚い。いつもの部長はどこへ?

サモハンはいつもと変わらずに飲み続ける。この[ピザ]は凄い。
俺は酒が強く無いので既に横たわっていた。
そしていつの間にか眠りに落ちていたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:22:32.24 ID:u22p+qANo<> 気がつけば、周りで皆寝ている。俺は少し頭が痛くて気分が悪かった。
とりあえずトイレに行き外で風に当たろうとロッジから出た。

夜空を見上げると一瞬で酔いが飛んだ。
空には満点の星空があった。
「すげえ・・・」
思わず口から言葉が出た。

「・・・起きた?」

急にそう言われビックリして振り返ると、更にビックリした。




そこには・・・望遠鏡を手にしたユイが立っていたからだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:23:36.67 ID:u22p+qANo<> 俺は焦り何と言ったら良いか分からずにアタフタする。
「結構、飲んだみたいね・・・どうせ向井君に飲まされたんでしょ?」
ユイのその笑顔に俺は何も言わずに頷く。
「なんか・・・飲む?お茶か・・・ジュースか・・・?」
ユイの言葉に「あ、だ、大丈夫っす・・・」そう答えた。
「そう?なら、欲しい時に言ってね・・・持って来てあげるから・・・」
ユイはそう笑顔で言い望遠鏡を覗き込んだ。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:24:30.43 ID:u22p+qANo<> 暗い山の中で星空にユイが照らされている。
俺は去年の花火大会でユイの花火に照らされた横顔を思い出した。
胸のドキドキと虫の鳴き声しか俺の耳には入らなかった。
何かを言おう、そう思うが言葉が出て来ない。
だから見切り発車で言葉が出た。

「・・・あ、あの・・・」
「うん?」

ユイが俺を見る。
その顔に更にドキドキしてテンパり出た言葉が・・・「・・・星・・・好きなんですね・・・」だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:25:25.55 ID:u22p+qANo<> 「うん!大好き」
ユイはそう言って笑う。
「トオル君は・・・星は好きじゃないの?」
「あ、俺は・・・」俺は頭をかいて続けた。
「すみません・・・余り興味が・・・無くて・・・」
その言葉にユイがクスクス笑う。

そして・・・



「お弁当は作りは・・・上手なのに・・・ね」



え? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:26:39.97 ID:u22p+qANo<> 俺は顔を上げた。
ユイが少し照れた様に俺を見ていた。

「久しぶり・・・だね・・・ごめんなさい・・・あの時は急に辞めて・・・」

覚えてて・・・くれた?

「すぐに、トオル君の事、分かったんだけど・・・中々言い出せ無かったの・・・もしも、トオル君が私の事を覚えて無かったらアレだし・・・」

忘れたことは一度も無かった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:27:39.08 ID:u22p+qANo<> 「それに、もしもトオル君が・・・その、一年間学校に行って無かった事を隠してたら・・・悪いなって思って」

なんて気遣いが出来る人なんだ。

「あ、ありがと・・・」

俺はそう呟き泣きそうになった。
俺は勝手にユイの気遣いも考えずに一人で凹んでいた。
自分が情けなかった。そしと嬉しかった。

ユイが自分を忘れて無かった事に・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:28:56.48 ID:u22p+qANo<> 「トオル君・・・」
「え?」
俺は泣きそうな顔を上げた。

「・・・カッコヨクなったね!」

そう照れながら言われ、俺は心臓を打ち抜かれた。
何、その破壊力のある言葉。あんたはスナイパーや。

「ねえ?」
ユイが続ける。
「星・・・見る?」
「え?良い・・・?」
「もちろん!私は天文部の先輩だよ!教えてあげましょう!」
そう言って俺を手招きする。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:29:55.40 ID:u22p+qANo<> 俺はユイの隣に立ち望遠鏡を覗き込んだ。
するとユイも俺に顔を寄せて来る。
ユイのシャンプーの匂いが鼻腔をくすぐり、俺は死にそうになった。

「北斗七星分かる?」
「北斗の拳の?」
「そうwwでね、そのひしゃくの柄からずっと行くとオレンジ色ね星が見えるでしょ?」
「はい」
「それがうしかい座のアルクトゥルスと言う星」
「へー」
真横で話すユイの吐息が俺の頬にかかり、気が遠くなりそうだった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/06/29(水) 15:30:44.10 ID:v8AFi/hjo<> 惚れてまうやろおおおおおおおおおおおおお <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:31:19.73 ID:u22p+qANo<> 「そこから同じ距離だけ、真っすぐ行くと、青白く光る星があるでしょ?」
「はい」
「それが、スピカ。私の好きな星なの」
「へー、なんかカッコイイ名前・・・」
「でしょ?私も実は名前が気に入ってるんだ」
そう言ってユイは笑った。

「ユイさん・・・詳しいんですね・・・」
「うん!好きなんだ星!将来ね国立天文台の職員になりたいの」
すげえ。ちゃんと夢があるんだ・・・


俺は嬉しそうに話すユイの横顔をいつまでも見ていた。




その日、俺は『スピカ』と言う星が好きになったんだ・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/29(水) 15:34:38.95 ID:u22p+qANo<> すみません。書き溜めが以上です。
ちょっと仕事や色んな事でバタバタしてまして、余り書けなくて申し訳ないっす

なんか昔の事を思い出しながら書いてたら、あんな事、こんな事と色々懐かしく思い出してしまって、かなり長い話になってすみませんww

それでは続きが書けたら、色んな事の合間に書き込みますね!


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/29(水) 15:35:27.45 ID:ZFTe3lmAO<> 乙! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 15:45:08.75 ID:79e5bAfIO<> メッチャええ話し!
頑張って書いて!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/06/29(水) 17:41:37.17 ID:+Q5Dn0TZo<> 部長すっげーオッサンだなww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)<>sage<>2011/06/29(水) 19:01:09.20 ID:Iwx/XJ3Io<> 待ってる! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 19:07:40.62 ID:u5tZ883IO<> ゆっくりでイイからな!
ワクテカしながら待ってる。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 19:09:21.09 ID:ke0QH4xgP<> くそう、トオル変体のくせに俺を泣かそうとしてるな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/29(水) 20:12:22.64 ID:2Cv4wpeYo<> 乙www
次も期待してる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 20:41:31.90 ID:HTqGXdhIO<> こんな展開になるなんて最初の頃のレスからは予想できなかったぜ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/29(水) 21:49:56.68 ID:hLHmSH+IO<> これは期待できる良スレ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 21:59:36.58 ID:F0RgBLyDO<> お気に入りの良スレwwww
仕事頑張ってねー!のんびり続き待ってるよー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 22:12:51.23 ID:5/mwz8yDO<> よく考えたら向井さんとトオルって同い年なんだよなww

こきつかわれすぎワロタww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/06/29(水) 23:10:21.91 ID:TUKJWSHZo<> 俺のイメージ上のトオルは渡辺徹
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/30(木) 02:11:47.15 ID:Bu2+OKJfo<> 変態がリア充になるだと… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)<><>2011/06/30(木) 02:20:01.88 ID:eQk5UVE1o<> 最初の方と比べるとまるで別人だなwww

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/30(木) 06:27:46.71 ID:GXt8UB8IO<> なんだこのハートフルストーリー!
待ってるよ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/30(木) 08:09:45.07 ID:aqsbV1CP0<> 解 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:35:09.14 ID:4EXVdPs4o<> おはようございます
皆さんが喜んで貰えて嬉しいです。ただ、何度も言いますが事実を元にしてますので、皆さんのご期待に沿えるストーリーになるかは本当に分かりません
では続きをどうぞ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:36:21.40 ID:4EXVdPs4o<> ゴールデンウィークも終わり段々季節は初夏になって行った。
あのキャンプから俺とユイは親密になれた気がする。
まあ、親密になった、と言うのは言い過ぎかな?
でも部室で会っても話をするし、学校で会っても挨拶する様になった。

それと、たまに昼休みとかヨウイチが来れない日に二人きりになる事がある。
その時は昔の警備のバイトの話に花を咲かせた。
二人きりの秘密の共有・・・それが俺にはたまらなく嬉しかったんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:37:10.03 ID:4EXVdPs4o<> ユイだけで無く、他のメンバーとも仲良くなって来た。
部長や向井さんとも学校帰りにゲーセンに行ったり、ハンバーガーショップに行ったりするし、俺とヨウイチとサモハンは同じ一年生なので、よく三人で行動していた。

もちろん、ユイやリコさんを交えた七人で放課後部室にお菓子を持ち寄り、皆でダベッたりするのが楽しかった。
俺は生まれて初めて『仲間』と言う物が出来たんだ。
それは本当に幸せな時間だったよ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:38:07.48 ID:4EXVdPs4o<> だけどね。俺はやっぱり皆には完全に心を開いて無かった気がする。
それは自分の生い立ちや、自分の年齢に対する隠し事のせいだった。
本当の事を言うと、皆が俺から離れてしまうんじゃないか・・・
そんな疑心暗鬼に駆られていたんだ・・・


ある日、部室でいつもの様にダラダラと過ごした後に向井さんが急に言って来た。
「今日から家庭訪問をしようかと思う」
この人はいつも突拍子も無い事を言う。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/06/30(木) 08:39:29.06 ID:U197gerto<> 朝からご苦労!日本強すぎww <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:40:10.43 ID:4EXVdPs4o<> 「へ?」
僕がキョトンとしていると部長が眼鏡を指で上げながら言った。
「別名、『ドキッ嬉し恥ずかしかっ初めての家庭訪問』」
そう何か上手い事言ったみたいな顔をする。
「それは・・・家庭訪問と言う名の家に遊びに行く・・・と言う行為ですね?」
ヨウイチが少しため息を付きながら言った。
「まあ、端的に言えばそうとも言う」
いや、それが全てだろうよ。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:41:08.25 ID:4EXVdPs4o<> てか、それは不味い。非常に不味い。
「では・・・まず最初は・・・」
そう言って部長が全員を見ながら指を俺達三人に指を向ける。
「ドゥルルルルルル・・・」
向井さんが効果音を奏で始めた。
やばい。マジでやばいって!

俺がそう思った時に部長の指が俺を指した。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:42:09.27 ID:4EXVdPs4o<> 「ビシ!記念すべき最初の家庭訪問は・・・トオル邸・・・」「無理!!」
間髪入れずに俺は叫んだ。
「え、ちょ、まだ・・・」「無理!!」
「あ、いや、トオ・・・」「無理!!」
「ちょ、おちつ・・・」「無理!!」

俺は全員の言葉を真っ向から否定する。全員がドン引きしていた。
「わ・・・わかった・・・」
根負けした向井さんがそう呟いた瞬間に俺はホッとした。
「と、見せかけて、やっぱり、トオル・・・」「むりいいいいいいいい!!!!!」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:43:35.77 ID:4EXVdPs4o<> その日は俺は足早に帰宅をした。
奴らなら後を付けて来る可能性があるので、俺はキョロキョロしながら自宅に向かい、自分のアパートに到着してホッと一息を付いた。
自分の秘密をバレたく無い・・・皆に自分の生活をバレるのが本当に嫌だったんだ・・・

所がね、この事が俺の全てを破壊するかもしれない事件を巻き起こしたのかもしれない。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:44:30.45 ID:4EXVdPs4o<> ある日、俺がバイトに行った帰りの事だった。
一人買い物をして家に帰る途中で声を掛けられた。

「あれ・・・?キモッティじゃねーの?」

その言葉を言われ俺はドキッとした。
『キモッティ』とは俺の中学時代のあだ名・・・
そう言って俺は皆から虐められて、俺に触れると「菌」がうつる、そう言われ続けた最悪の中学時代のあだ名だった。

俺は恐る恐る振り返ると、そこには中学時代の一番最悪なDQN達がいた。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:45:29.49 ID:4EXVdPs4o<> 「おお!キモッティ久しぶりじゃねーか!痩せたな!お前!」
「ホントだ!ウケる!何でコイツ痩せてんの??」
そう言われ俺の額から嫌な汗が流れ始めた。
やばい・・・何でコイツらが・・・こんな所に・・・?
ここは地元から離れた距離にある場所・・・
今まで中学時代の奴らと会う事は無かった。
「あれ?お前制服着てるじゃん・・・確かお前って卒業して就職したんじゃ無かったか?」
一人のDQNが俺に尋ねる。
俺は何も言えずに「あ・・・」とか「いや・・・」しか答える事が出来なかった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:46:24.85 ID:4EXVdPs4o<> 「お前何で制服着てるんだよ?しかも、それS高の制服じゃん!」
「え?何?お前あのS高に行ってんの??」
「あ・・・いや・・・」
俺がオドオドしながらそう言うと「んだよ!お前はっきりしねーなー?」そう言って俺の肩にパンチを入れる。
痛い・・・

「うわッ!やべ!キモッティ触っちまったww」
「うわ!お前キモッティがうつったぞ!」
彼らがそう言って笑う。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:47:23.14 ID:4EXVdPs4o<> 「そういや、お前って一人暮らししてんだろ?」
「え?なんでコイツ一人暮らししてんの?」
「馬鹿、知らねーのかよ、コイツ親いねーんだよ!」
「マジで?お前親いないの?」

俺はそう言われ恐る恐る頷いた。

「おう、じゃあ、お前ん家この近くかよ?じゃあ、お前ん家に遊びに行ってやるよ!」

は???
俺は焦る。嫌だ!!そう叫びたかった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:48:03.90 ID:4EXVdPs4o<> だけどね、虐められた経験が有る奴は分かると思うんだけどね、昔の虐めっ子はいつまで経っても虐めっ子なんだよ。
どうしても逆らう事が出来ないんだ。
例え学校が違っても、例え自分が少し変わっても・・・
「さあ、行こうぜ!早く!」
そう言われ俺は目の前がチカチカして来た。
顔色が青くなるのが自分で分かる。何故か凄く息苦しくなった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/06/30(木) 08:49:13.43 ID:U197gerto<> えー、そんな展開ヤダー <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:49:42.07 ID:4EXVdPs4o<> だが、逃げる事が出来ない。
それすらも出来ない自分がいた。
俺は言われるがままに・・・ソイツらを家へと案内したんだ・・・家に到着すると、ソイツらはハシャギ始めた。
夜も遅いし近所迷惑だから辞めて欲しいが、その言葉も言えない。
挙句の果てにソイツらは泊まって行った。

俺は眠れない夜を過ごす。
いつ解放されるんだろう?いつ俺は安心出来るんだろう?
それしか頭に無かった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:50:49.53 ID:4EXVdPs4o<> 翌朝、ソイツらが帰る時にホッとする。
良かった・・・これで解放される・・・
そう思った瞬間にソイツらはトンでもない事を俺に告げた。

「よし、これで良い秘密基地が出来たなww」
「だな!これからちょくちょく来るからさ」

は・・・?

「俺ら近くのS工業に通ってるから、じゃあヨロシク!」
俺の目の前が真っ暗になる・・・
まさか・・・そんな・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:51:55.00 ID:4EXVdPs4o<> >>231
頑張って最後まで見て

続き
「お前もどうせ友達いねーんだろ?良かったな、俺達と友達になれて!」
「ああ、俺らマジで良い奴だな!」
そう笑って立ち去って行った・・・

その日から俺は生きた心地がしなかった。
学校に行ってもヨウイチやサモハンが話し掛けて来ても上の空で答える。
部室に行ってユイ達が話しかけて来ても、心から楽しめない。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:52:35.76 ID:4EXVdPs4o<> ・・・壊れてしまう。
せっかく手に入れた幸せが全て壊れてしまう・・・
俺は自分なりに社会に出て強くなったと思っていた。
もう昔の自分じゃない・・・そう信じていた。
だけど、その実は全く変わってなかった。

俺は・・・やっぱりただのキモい奴だったんだよ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:53:23.34 ID:4EXVdPs4o<> それから奴らはちょくちょく現れる様になった。
たまに中学の時の女子まで連れてくる。女子達は俺をキモがって笑っていた。
だけど、ちょっと女子が俺の部屋に居る事に興奮している自分が情けなかったよ・・・

高校一年の五月の終わりから六月の頭に掛けて・・・俺は一番辛かったかもしれない。

昔の俺なら全てを諦めていた。
だけど一度幸せを手に入れてしまった今では、その幸せが崩れると思うと・・・辛かった。
心が壊れそうだったんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:54:49.52 ID:4EXVdPs4o<> そんな或る日の事だった。
俺がバイト終わりに家に帰る途中で又もや中学時代のDQN達が待っていた。
人数は十人位居て、三人の女子まで居る。
俺は吐き気を覚える。

「うっす!また遊びに来てやったぞ!」
「てか、キモッティ好い加減に合鍵寄越せよ!待ってんのダリイんだよ」

それだけは・・・嫌だ。
だが、その言葉が出てこない。
俺はいつもの様に空気の薄さを感じながら自宅に近づいた・・・



その時だった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:55:41.53 ID:4EXVdPs4o<> 「おせえ、ヨウイチ!!」

聞き覚えのある声が聞こえた。
顔を上げるとそこには・・・向井さんが立っていた。
そして、部長、ヨウイチ、サモハンと天文部の男子メンバーが居たのだった・・・

何で・・・ここに・・・?

「何時まで俺らを待たせんだよ!ったくよ・・・あれ?誰だ?ソイツら?」
向井さんがキョトンとした表情を浮かべる。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:56:38.71 ID:4EXVdPs4o<> 俺は何も言えずに下を見た。
「おい、誰だ?アイツら?」
DQN達が俺に聞いてきた。だけど俺は何も言えない。
しばらく沈黙が広がった。

「え?何?トオルの友達・・・?」

ヨウイチが恐る恐る尋ねて来る。だけど俺は何も言えない。
俺はブルブルと震え始めた。

全て・・・終わる・・・これで全てが終わってしまう・・・
もう天文部には行けない・・・皆と楽しく過ごせる事が出来ない・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:57:28.41 ID:4EXVdPs4o<> 「俺らはキモッティの飼い主!」
そう言って一人のDQNが言うと他の奴らもゲラゲラ笑い始めた。
俺は下を向いたまま何も言えず震えた。全てが終わった瞬間だったんだ。

「んじゃ、まあ、俺らはキモッティに芸を仕込まないといけないから、行くわww」
「どけよ、お前ら」

そう言ってDQN達は俺の肩を抱いて家に入ろうとした・・・・・・その時だったんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:58:26.43 ID:4EXVdPs4o<> 「おい」
いきなりヨウイチが言葉を発した。
「あん?」
DQNの一人がヨウイチを睨む。だがヨウイチは意に介さずに続けた。
「トオル・・・こいつら、本当にお前の友達か・・・?」
だが、俺は何も言えない。
「何、お前?」
そう言ってDQNがヨウイチに近寄る。
俺は焦った、そして顔を上げた。

辞めてくれ・・・ヨウイチ達に手を出すな・・・!

そう思うが言葉が出ない。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 08:59:12.92 ID:4EXVdPs4o<> 「おい、トオル!」

ヨウイチが尚も叫ぶ・・・が、それを向井さんが手で制した。

「おいおい、お前ら・・・違うぞ」

そう言って向井さんがDQNの前に立つ。
そして、そこからの光景を俺は一生忘れない。

「お前らは、ソイツの飼い主じゃ・・・無い」

向井さんはそう言うとニヤリと笑った。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:00:01.50 ID:4EXVdPs4o<> 「ソイツの飼い主は・・・俺だ・・・!」


そう言うと向井さんはDQNの一人に近づき叫んだ・・・!

「だから、ソイツを返して貰おうか!!!!!」

その瞬間DQNの一人が発狂して何かを叫びながら向井さんに殴りかかった・・・

が、その瞬間にDQNの体が宙に舞う・・・
そして背中から地面に叩きつけられた・・・! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:00:49.43 ID:4EXVdPs4o<> 他のDQNが怯んだ隙に、向井さんはもう一人のDQNに近づき再びDQNが宙を舞う・・・

すると、ヨウイチが矢の様な速さで別のDQNに近づき、太ももを蹴り上げた・・・
DQNは崩れる。

部長は違うDQNに近づき何かをした瞬間にDQNが宙を舞った・・・

次々とDQNが三人に倒されて行く・・・

サモハンは落ち着いて一人ポテチを食べていた・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:02:29.29 ID:4EXVdPs4o<> アッと言う間の速さでDQNを全滅させると、DQN女子三人を向井さんが見た。
「コイツら連れて、さっさと帰れ・・・犯されたくなかったらな」
女子三人は大慌てでDQN達を引き起こし帰って行った・・・

DQN達が立ち去ると、向井さんはヨウイチを見て言った。
「なんだ、ヨウイチやるじゃん!」
「あ、昔、空手やってたんですよww」
そう言ってヨウイチが照れて答える <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:03:16.51 ID:4EXVdPs4o<> 「でも向井さんも・・・それに部長も凄いっすね!」
ヨウイチの言葉に向井さんは笑った。
「だって俺と部長は中学時代、同じ柔道部で全国行ったもん!ねえ?部長!」
すると部長は眼鏡を光らせて「ふ・・・昔の事だ・・・向井君、僕の武勇伝もっと言って」

何、この武闘集団・・・そんな突っ込みを思える事もなく、俺は呆然としていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:04:42.81 ID:4EXVdPs4o<> 皆に合わせる顔が無かった。
どうしようも無く自分が情けなかったんだ。

「さて・・・まあ、色々あるけど・・・大丈夫かい?トオル君」
部長はそう言いながら俺を見た。
俺は頷くと皆を見た。

そして・・・泣き始めた。

もう全てが終わった・・・そう思ったんだ。
これで皆が俺の元から立ち去る・・・
一番情けない・・・そして一番触れて欲しく無い所を見られてしまったからだった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:05:31.19 ID:4EXVdPs4o<> 俺はそのまま泣きながら全てを皆に言った。全てを語った。
親が居ない事。
一年社会人をしていた事。
そして昔から虐められていた事。
変態だった事も告げた。

皆は俺の話を黙って聞いていた。
これで・・・終わった・・・全て・・・
もうユイとも合わせる顔が無い・・・

そう思っていた瞬間だった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:06:41.42 ID:4EXVdPs4o<> 「へー・・・お前スゲエなww」
そう向井さんが言った。

え?

「そっか・・・なんか落ち着いてるって思ってたら、一年社会人してたのか・・・」
ヨウイチがそう感心した声を出した。

え?

「まあ・・・それで僕の奸計に引っかからなかったのか・・・」
部長が少しホッとした声をだす。

すみません、それは違います。

「痩せてしまうとは、[ピザ]の風上にも置けない奴だ・・・」

サモハンの言葉の意味はよく分からなかった <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:07:54.02 ID:4EXVdPs4o<> 「あ・・・あの・・・俺・・・」
俺が少し焦って声を発した瞬間に向井さんが呟く。
「・・・お前が、俺と同い年だろうが、年下だろうが・・・関係ねえ」

え・・・?


「お前は俺の後輩だ!!だから俺がお前を守る!!!!」


俺は向井さんを見つめた・・・
心の底から・・・体が震えたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:09:08.69 ID:4EXVdPs4o<> 向井さんは少し照れた表情をすると、そのまま言葉を付け加えた。
「・・・だから、俺の命令は・・・絶対服従だ・・・!」
部長は眼鏡を指で押し上げると
「まあ、僕の駒でもあるからね・・・駒を守るのも将の務めだからね」
そう言って笑った。
ヨウイチは俺の頭を軽く叩くと笑いながら
「なんだよ、早く言ってくれよ・・・一人で悩むなよ」
そう言ってくれたんだ・・・

サモハンはコーラを少しくれた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:11:05.11 ID:4EXVdPs4o<> 俺は再び泣いた。
それは生まれて初めて本当の友達と言うものを知ったからだ。
そして自分を恥じた。
こんな人達を信じなかった自分が情けなかった。

そして自分の幸せに・・・感謝したんだ・・・



その後、皆を俺の家に招いた。そして皆が持ち寄ってくれた食べ物を食べて騒いだ。
俺がふと疑問に思い尋ねる。
「所で・・・なんで俺の家が分かったんですか?」
「ああ、えとね、入部届けに書いてあったよ」
あ、そっか・・・俺は無駄な抵抗をしていたのかよ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:13:06.66 ID:4EXVdPs4o<> 「いや〜・・・それにしてもトオルの家良いな〜一人暮らしの部員が居るってのは最高だよな」
向井さんが寝転びながらそう言う。
「そうだ、部長・・・ここを・・・」
向井さんの言葉に部長が頷く。
「うん、天文部第二拠点としよう!」
え?
「よし、じゃあ、トオル、合鍵を寄越せ」
え?「うん、人数分な」
は?
「あ、そうそう常に酒と飲み物の用意をしておけよ」
はああ?
「じゃあ、俺はコーラを」
はああああ????
「ほれ、早く!!」
向井さんが俺に手を出す。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:15:16.64 ID:4EXVdPs4o<> 「いや、勘弁してくださいよ!!それじゃあ奴らと変わんないじゃないっすか!!」
「馬鹿!奴らは侵略で俺達は植民地にするんだ!!」
「いや、一緒だし!!言葉変えてそれ一緒だし!!」
「あ、そんな事を言うんだ?じゃあ、あの事言っちゃおうかな〜」

ドキッ。

「え?なんですか?あの事って?」
「いや、こいつがな・・・ユイ・・・」
「わあああああああ!!!!!!分かりました!!分かりました!!!」
「え?何?ユイさん?」
「うるさい!!お前は興味を持つな!!」
「とりあえずコーラくれ」
「勝手に飲め!!」


・・・なんだかんだ言いながらも・・・この人達の理不尽さを・・・気に入っている自分がいたんだよ・・・


<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/06/30(木) 09:16:41.29 ID:4EXVdPs4o<> ちなみにね。
ガチで向井さんは強かった。そして部長はあんなヒョロイのにも関わらず強い。
二人が何故天文部に入ったかは別の機会にお話します。

あと、ヨウイチも強くてね。
サモハンは普通。いや、普通じゃないか・・・かなり変な奴ではありますww

では今日はこの辺で・・・また明日続きを書きます!

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/06/30(木) 09:20:30.33 ID:U197gerto<> 鬱展開が早めに終わってよかったわww乙でした
それにしても日本強すぎ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/30(木) 10:22:20.23 ID:UsC4x0jRo<> トオル君の言ってる事共感したわ
いい人達だなー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/30(木) 11:05:33.04 ID:4vceejhDO<> サモハンモエスww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/30(木) 11:44:47.77 ID:WsHQLTnSO<> これは良スレ

毎日楽しみにしてるよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/01(金) 08:46:49.60 ID:h1wvW1CIO<> 毎日楽しみにしてるよ!
おつかれさま! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:29:55.65 ID:tG4mTY9ho<> 乙です
スレに書くのは中々体力が居ることを知りましたww
でも、皆さんが見てくれて中々楽しい事も分かりましたよww

それでは続きです <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:30:52.65 ID:tG4mTY9ho<> 七月に入り暑さも本番と化した頃、俺は期末テストで苦しんだ。

そもそも、中間テストで去年の問題をくれる、と言う話で有ったが・・・
ユイとリコさんが「え?問題用紙は回収されるから無理だよ」と言われ、俺とヨウイチは部長と向井さんに猛抗議をする。
だが二人は昼飯一週間で買収したサモハンを使い、俺達を宥めた。
まあ、あの二人に抗議をしても無駄な事は分かっていたけどね。

と言う訳で期末テストは最初から期待せずに真面目に勉強する。
その結果何とかテストを潜り抜け、俺達はホッと一息ついたのだった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:31:27.03 ID:tG4mTY9ho<> 前回の件から俺はヨウイチやサモハンがよそよそしくなったら嫌だな、と思っていたが、そんな事も無く、二人は俺に普通に接してくれた・・・
いや、ヨウイチに至っては「アイツらがまた何かして来たら、すぐに言えよ」と言ってくれていたんだ。

俺達は益々仲良くなれたよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:32:25.00 ID:tG4mTY9ho<> テスト明けに俺達は部室にいた。
「あつい・・・」
そう言って俺とヨウイチは机に伏せる。
ミンミンとセミが鳴き、部室の窓からは温い風すら入って来ない。

「お前らダレてんじゃねーぞ!」
そう言って海パン一丁の向井さんが怒鳴る。アンタに言われたくねえ。

部長はロッカーの間に頭だけを突っ込んでいる。何をしてんだ?この人は。

サモハンに至っては部室にすら来ていない。
「俺は気温25度以上での活動は生命に関わる」
そう言って家に帰ったのだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:33:12.10 ID:tG4mTY9ho<> 「ダメだ!暑すぎる!おい、トオル!第二拠点に行くぞ!」
「えー・・・またっすかぁ・・・」
「良いから、早く来い!行きしなに、アイス買ってやるから!」

そう言って向井さんは海パン一丁で行こうとするので、俺とヨウイチで全力で止める。
前回から俺の家が天文部の第二拠点にされてしまった。
だが、一個だけ嬉しい事があった・・・

「あ、どこ行くのー?皆で?」
俺達が部室から廊下に出た時にユイとリコさんが声をかけて来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:34:17.90 ID:tG4mTY9ho<> 「あ、ちわっーす」
俺とヨウイチが挨拶をする。もちろん俺はニヤケ顔。
「おう、今から第二拠点に行くんだよ」
向井さんがユイとリコさんにそう告げた。
「あ、私らも行くー♪良い?トオル君?」
そうユイが俺に言って来た。
「もちろんであります」
俺はそう精一杯のイケメン顔を作った。
「ヤッター♪じゃあなんか食材買って晩御飯を私らで作ろう?リコ」
「うん♪」
二人がそう言い合う。なんたる僥倖・・・

そう、嬉しい事と言うのは俺の家が第二拠点になったのでユイが俺の家に来てくれる事だ。
もう、それだけで俺の幸福度合いはマックスだったんだよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:35:30.18 ID:tG4mTY9ho<> 皆でスーパーに買い物に行く。

「ねえ、何が良い?トオル君」
食材を買いながらユイが俺に聞いて来た。
「あ、いや、何でも良いっすよ〜」
「何でも良いは困るよ〜何か食べたい物言って」
「え?・・・じゃあ北京ダック」
「よーし、腕によりをかけちゃうぞって・・・作り方知らないし〜」

ユイが乗ってくれた。カワイイ〜。なんか新婚さんみたい。
ウヘヘヘ・・・「どけー!」ドカッ!。
ニヤニヤしている俺の腰に買い物カートがぶつかって来た。
俺は腰を押さえてうずくまる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:36:19.26 ID:tG4mTY9ho<> 「ドケッて言っただろうが!」
向井さんが俺に叫んだ。
「ククク・・・!向井君、お先に・・・!」
そう言って部長がカートを押しながら走り去って行く。
「うわぁ!!!退けよ!トオル!お前のせいで部長に先に行かれただろうが!」
そう言って向井さんは俺の頭を叩き、そのまま部長を追い掛けて行く。
「ううう・・・何でカートで遊んでんだよ・・・小学生か、あの人らは・・・」
「大丈夫?トオル君??・・・もう、向井君達、スーパーで遊ばないでよ!!」
ユイの声も空しく次にヨウイチが被害に有っていた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:37:05.10 ID:tG4mTY9ho<> 「さあ、出来たよ!スキヤキ!」

リコさんが鍋を持って現れる。
「うひょー!スキヤキ!待ってました!」
向井さんが割り箸を割る
「あ、僕は肉しか食べないので
」ちゃっかり現れたサモハンがそう言う。
「スキヤキは昔に鍬で肉を焼いたからスキヤキってなったんだけどね・・・そもそも・・・」「いっただきまーす!」
部長がウンチクを語り出すが誰も聞いていない。皆がモグモグと食べはじめた。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:38:39.06 ID:tG4mTY9ho<> 俺は少しニヤニヤしながらスキヤキを見つめている。
「シラタキが好きなんですよね〜俺」
ヨウイチがそう言いながらシラタキを入れた。
すかさず部長が呟く。
「シラタキって言うのは、その姿が白い滝の様な形に・・・」「おい、卵取って」「は〜い」
誰も部長の話を聞いてなかった。
俺は尚もニヤついている。
「ん?どうしたの?トオル君?」
ユイが俺に尋ねてきた。
「あ、いや・・・なんか・・・嬉しくて・・・」「え?」
全員が俺を見た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:39:44.92 ID:tG4mTY9ho<> 「あ・・・あの、俺・・・スキヤキって余り食べた事が無くて・・・」
「マジで??」
全員が驚いた顔で俺を見た。

まだ両親が居る時もウチは共働きだった為に鍋物とかをした事が無かった。
そして、叔父の家に預けられてからも俺だけ分けて食べさせられていたからだ。
「あ、いや、でもそれは俺が叔母さんに嫌われてたからで・・・しかも、それも自業自得な訳で・・・」
俺がそう笑いながら説明をすると、皆が黙った。

うわ・・・気まずい話をしてしまった。俺も空気読めよ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:40:47.29 ID:tG4mTY9ho<> そう思っているとヨウイチが俺の小鉢に肉を入れた。
「ほれ、食べろよ・・・」
そして、向井さんは食べながら呟く。

「・・・これから週に一回は・・・ここで鍋物をする・・・だから今までの人生の分もしっかり食べろ・・・」

そう言った後にサモハンの頭を叩いた。
「お前ガチで肉ばっか食うんじゃねーよ!!ちょっとは野菜も食え!!ブタ!!」
「ライオンは肉しか食べません」
そう言ってサモハンは尚も肉を食う。
「お前はライオンじゃねえブタだ!!」
「ちなみに、ブタは雑食でね・・・沖縄では・・・」
「あ、もうマジでウンチクは良いっす」

皆が笑っていた・・・
俺は本当にこの天文部に入って良かった・・・そう心から思ったんだ・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:41:44.15 ID:tG4mTY9ho<> 食後にユイとリコさんが二人で後片付けをしてくれる。
「あ、俺も手伝いますよ」そう言うが「良いの!私らでするからトオル君は座っておきなさい!」
そう言って聞かない。
俺は仕方なく男連中と座って待つ。

だが、チラチラとユイの洗い物をする姿を見つめていた。
いや〜・・・俺の家の台所でユイが洗い物をしてくれるとは・・・
そんな事を思っていると、向井さんが俺の首にヘッドロックを掛けて来た <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:42:28.64 ID:tG4mTY9ho<> 「グ・・・なんすか・・・」
「ニヤニヤして見てんじゃねーよ」
「え?」
「お前に・・・良い事を教えてやろうか・・・?」
「な、なんすか・・・」
向井さんは俺の首からヘッドロックを外しジャンプを読んでいる部長を見る。
「部長・・・夏の予定をお願いします」
「・・・おう、そうだった」
そう言って部長は鞄からクチャクチャに丸めた紙を取り出す。
なんちゅう入れ方をしているんだ。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:43:18.22 ID:tG4mTY9ho<> 「ユイ君、リコ君!洗い物中断!」
部長の言葉に二人は洗い物を中断する。ヨウイチとサモハンも部長を見た。
「向井君頼む」
「アイアイサー」
そう言って向井さんは口で「ドゥルルルルルル・・・」と言いはじめる。
てか、毎回思うがそれいるか?
「ババン!ではお伝え致します!!夏の合宿は八月の第一週で決定致しました!!」
「え?夏の合宿?」
俺とヨウイチが声を揃えて呟く。
「そうだ!!毎年恒例の夏合宿だ!!覚悟しとけよ!!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:44:33.47 ID:tG4mTY9ho<> 「え?どんな事をするんですか・・・?」
俺がそう恐々聞いた。
「朝は星を見るための体力作りでランニング十キロ!昼間は望遠鏡を持つための筋肉作りで筋トレ六時間!!夜は実践トレーニングで夜明けまで星座の早見五千回!!」
「え・・・?マジっすか・・・?」
てか、星の早見ってなんだよ。
俺の言葉にユイとリコさんが首を振る。
「嘘よ、普通に泊りがけで海に行くだけ」
「なんだ・・・」
「バラすのはええよ!」
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/01(金) 12:44:41.50 ID:rKIpJ83Ro<> おお、トオル来てた!
なんかこっちまで2828してしまうwww <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:45:12.81 ID:tG4mTY9ho<> 待てよ・・・海・・・って事は・・・
俺がそう思い向井さんを見る。向井さんが俺に片目を閉じた。

うおおおおおおおお!!!!!!!!!!!ま、まさか・・・
水着ー!!!!!!!!!

俺は鼻血が出そうになったのであった・・・


その日から俺は八月が待ち遠しくなる。
毎日興奮してよく眠る事が出来なかったのであった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:46:48.83 ID:tG4mTY9ho<> >>277
実際に俺の2828はキモかったよ〜

続き
「明日から夏休みか〜・・・」
教室でヨウイチがそう言う。
「だな・・・旅行が・・・待ち遠しい・・・」
俺が本音を言うとヨウイチが笑う。
「トオルは本当にユイさんが好きなんだな」
「そうなんだよ・・・って何で知ってる?!」
俺はヨウイチを見た。
「いや、気が付くだろ・・・普通」
「マジか?」
「だってお前いつもユイさん見てるし」
「え?見てるのバレてるの・・・?」

ヨウイチは頷いた
「そら・・・まあな・・・」いやあああああ!!!!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:47:57.05 ID:tG4mTY9ho<> 「俺も知ってる」
気が付くとサモハンが俺の隣に立っていた。
お前もかよ!!!って、お前別のクラスじゃん・・・
「どうした?サモハン」
ヨウイチが尋ねる。
「向井さんが明日の朝六時に家に来いって言ってる」
「朝六時ー??はええな!何だよ?」
「俺は知らん・・・サラバじゃ」
そう言ってサモハンは帰って行った。
「朝六時って・・・何だろう・・・?」
「分からんけど・・・向井さんの用事ってのが怖い・・・な」
「だなあ・・・」

俺達二人は溜息を付いた・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage <>2011/07/01(金) 12:49:12.29 ID:4NixQ/Xio<> バレバレかよwww <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:49:22.94 ID:tG4mTY9ho<> 終業式が終わり通知表を貰って帰宅する。
通知表の中身は・・・まあまあって所か。ヨウイチも同じ位だったらしい。
サモハンはかなり成績が良い。以外過ぎて逆につまらん。

帰り道にヨウイチが言う。
「今日、バイト有る?無かったら俺んチ来いよ」
「え?良いの?」
「ああ、いつもお前の家に行かせて貰ってるからな」
「じゃあ・・・遠慮なく行かせて貰うわ」

そう言う事で俺とサモハンはヨウイチの家に行った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:50:41.16 ID:tG4mTY9ho<> >>281
向井さんが速効に気が付いた位なので・・・ww

続き
ヨウイチの家は・・・金持ちだった。
綺麗な家、綺麗な部屋・・・そして綺麗な母ちゃん・・・
オマケにカワイイ妹(当時小五)までいた。

母ちゃんは「いつもヨウイチがお世話になってます」そう言ってお菓子や飲み物までくれる。
妹は非常に気さくな子だった。
俺達がゲームをしていると一緒にやって楽しかった。
子供嫌いな俺でもカワイイと思えたんだよ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:51:55.39 ID:tG4mTY9ho<> 遊んで夕方になり、そろそろお暇しようと思っていると、ヨウイチの母ちゃんが「晩御飯食べて行きなさい」そう言ってくれた。
俺は少し迷うがサモハンが無遠慮に「ありがとうございます」と言ったので俺もそれに乗っかる。

晩飯の時にヨウイチの父ちゃんまで帰ってきて一緒に食べた。
「君がトオル君かぁ・・・いつもヨウイチから聞いてるよ・・・まあ一杯」
そう言って父ちゃんは俺に酒を勧める。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:52:42.98 ID:tG4mTY9ho<> 「あ、いや・・・」
俺がまごつくと母ちゃんが父ちゃんの頭を叩いた。
「ごめんねぇ・・・お父さんちょっと頭が駄目な人だからww」
そう言って笑っていた。
「寂しいよ〜誰か晩酌に付き合ってくれよ〜」
そう言って悲しそうな顔をする。
「しょうがないな〜私が注いであげよう」
そう言って妹が父ちゃんに酒を注ぐ。
「おお・・・これは最高のお酌だ・・・」
父ちゃんはニコニコ顔になる。俺は笑ってしまった <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:53:33.69 ID:tG4mTY9ho<> 「騒がしくてスマン」
ヨウイチが苦笑いで言うが俺は羨ましかった。
「いや・・・仲が良い家族で羨ましいです・・・」
俺がそう言うと父ちゃんは真顔になった。
「トオル君は・・・一人暮らしなんだよね?」
「あ、はい・・・」
「うん、いつでも遠慮しないでウチに来たら良いよ」
父ちゃんの言葉に俺は少し驚く。
「うん!やかましい家だけど遠慮しないでね!ご飯とかも食べて行って・・・ご飯は大人数の方が楽しいし、おばさんも作り甲斐があるから」
母ちゃんもそう言ってくれる。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/01(金) 12:53:50.75 ID:LNCSkD5Wo<> 初リアル遭遇、いつも2828読ませてもらってます。
頑張ってください <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:54:16.21 ID:tG4mTY9ho<> 「あ・・・ありがとうございます・・・」
俺はそう礼を言った。
食後、ヨウイチの両親が「泊まって行け」と言ってくれたがそこまで甘える訳には行か無いし、明日向井さんが朝六時に呼び出しをしていたので帰る事にした。

帰りにヨウイチが近くまで送ってくれる。
サモハンと別れた後、俺はヨウイチと二人になった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage <>2011/07/01(金) 12:55:31.71 ID:4NixQ/Xio<> これは懲りずに妹に悪戯するフラグ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:55:44.10 ID:tG4mTY9ho<> >>287
ありがとうございます。まあ特に頑張ってはいないんですがww

続き
「いや、マジで遠慮なくウチに来いよトオル」
「え?良いのかよ?」
「うん、今日だって俺が前にトオルの親が居ない事を言ったら『ウチに連れて来い』ってうるさかったからさ」
「お前ん家・・・良い家だな・・・」
「そうか?普通じゃねーのかな?」
「いや、俺も普通が分からんから・・・でも生まれて初めて家族が羨ましくなったよ」

俺がそう呟くとヨウイチは俺の肩に手を置く。

「マジで・・・何かあったらウチに来い!な?」

俺は笑いながら頷いてトオルと別れた・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/07/01(金) 12:56:04.12 ID:sqrufmnao<> 実体験を元に書いてるならそれはないだろww <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:56:54.92 ID:tG4mTY9ho<> >>289
最低かwwスマンがそう言うフラグでは無いww

続き
翌朝、俺達三人は向井さんの家に朝六時に集合する。
向井さんの家は『向井工務店』と言う工務店を営んでいた。
眠気まなこで向井さんに挨拶をする俺達。
だが、朝っぱらから向井さんのテンションは高い。
「よし!!!じゃあ、このトラックに乗ってくれ!!」
え?

俺達は有無を言わさずにトラックの荷台に乗せられた。
そしていきなり工事中の家の前で降ろされた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:58:09.54 ID:tG4mTY9ho<> 「な・・・なんすか・・・?」
俺の質問に向井さんが笑顔で答える。
「よし、ヨウイチとサモハンはこの電動工具を持って、とにかく釘を打ち込んでいけ!」
「え?」
ヨウイチとサモハンは工具を渡される。
「トオル!お前は生コンを作って、出来次第に各場所に持って来い・・・じゃあかかれ!!」
え?・・・いや・・・ちょ・・・
俺達は慌てて向井さんに言う
「なんすか?なんで俺達が・・・」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 12:59:03.22 ID:tG4mTY9ho<> すると向井さんが「日給一万五千円だ、人がいねーんだよ・・・さあ、さっさと仕事しろ!」
えーーーー???マジで??
俺達は顔を見合わせる。
だが、既に向井さんは頭にタオルを巻いて自分の仕事に取り掛かっていた。
何を言っても無駄な事がすぐに理解出来た俺達は仕事に取り掛かる。

何が一番大変かってね・・・暑さだった。
俺はひたすら、セメントと水をこね合わせる。
配合は「こんな感じの硬さ」と物凄いアバウトに説明された。良いのかよそれで。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:00:15.67 ID:tG4mTY9ho<> 俺は出来た生コンを滑車で家の二階部分に運んでいく。
が、途中で滑車が壊れてしまった。
「向井さん!滑車が壊れました!」
「じゃあ、バケツに入れて手で持ってこい!」
マジっすか。
俺は糞暑い中、階段を手で生コンを運ぶ羽目になった。

昼前に水分不足(コーラ不足)のサモハンがフラフラになっているのが見える。
昼になると、一度向井さんの家に帰った。
「おお!ご苦労さん・・・今日はスマンね」
そう言って向井さんの親父さんが出てきた。
向井さんの親父は向井さんソックリで豪快な人だった。

向井さんの家で昼飯をご馳走になり、そのまま午後も現場に行く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:01:00.90 ID:tG4mTY9ho<> 俺は又もや生コンを作り二階へ手で運んでいった。
暑さと階段の昇り降りで死にそうだった。
サモハンは既に虫の息だ。ヨウイチもフラフラになりながら作業を行っている。

何とか仕事を終えて、そのまま向井さんの家に帰る。
「おう、お疲れさん!お前ら晩飯食って行け!」
そう向井さんに言われるが俺はバイトがあり退散する。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:01:50.19 ID:tG4mTY9ho<> ヨウイチとサモハンだけが食べる事になった。
すると向井さんが「ちょっと待ってろ」そう言ってオニギリとオカズを包んで俺に渡す。
「じゃあ、明日も頼んだぞ」
いやいや・・・
「あの・・・向井さん・・・あ、明日もっすか・・・?」
「そうだ、明後日まで三日間だ」
マジかよ・・・俺の気が遠くなりそうだった。

俺はそのまま警備のバイトに向かい、バイト中に眠りそうになっていたのであった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:02:36.96 ID:tG4mTY9ho<> 翌朝筋肉痛の俺達は又もや六時に集合して作業を行う。
今日は俺は固めたコンクリートをなめす?(スマン、昔の事なので名称を覚えていない)役だった。
これはかなり難しい。
向井さんは流石に上手い。

俺はヨウイチに軽く耳打ちをする。
「てか・・・なんで俺達こんな事やってんの?」
そう言うとヨウイチが教えてくれた。
「あのさ・・・昨日、向井さんの親父さんに聞いたら本当は日給一万円なんだって」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:03:43.71 ID:tG4mTY9ho<> 「え?」
「向井さんの給料を全部俺達に回してくれてるみたいだぞ」
「・・・なんで?」
「ほら、夏合宿」
「え?」
「あれ、一人四万円位かかるんだってさ」
「おお・・・」
「それを、向井さんが・・・俺達にバイトさせる事によって稼がせよう・・・そうしたんじゃ無いかな?」
マジかよ・・・俺が向井さんを見る。
向井さんは俺に気が付き「ほれ!!さっさと手を動かせ!!」そう怒鳴った。

俺達は慌てて作業をした・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:04:43.68 ID:tG4mTY9ho<> 三日間の仕事を終えて俺達は向井さんの親父さんから給料を貰った。
考えたら昼飯と晩飯までご馳走になっているので、赤字なんじゃ無いかと思う。

「向井さん・・・」
俺が帰る間際に向井さんを呼ぶ。
「うん?」
向井さんは疲れた顔で俺達を見た。
「マジで・・・これだけ貰って良いんですか?」
すると向井さんは照れた様に顔を背けて

「それ・・・合宿代に充てろよ・・・」

そう呟いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:05:24.81 ID:tG4mTY9ho<> 俺達は顔を見合わせた。そして頭を下げる。

「ありがとうございました!」

そう言うと向井さんは「るせー!さっさと帰れ!じゃあな!!」そのまま家の中に入って行ったのだった・・・

俺達は少し笑った。


本当にね、ヨウイチと言い、向井さんにはあの頃から世話になったよ。
今でも二人には頭が上がらない。


そして感謝を尽くしても足りないんだ・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/01(金) 13:06:57.40 ID:tG4mTY9ho<> すみません。書き溜めは以上です。
次は合宿の内容を書きます
なんかダラダラ書いてすみません。

一応全てに理由があって、書かないと話が通じなくなってしまうんです。
勿論、俺が懐かしくて書いてしまってるってものありますけどねww

それでは、またww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/01(金) 13:07:56.59 ID:LNCSkD5Wo<> >>302
おつかれ〜、待ってま〜す。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/01(金) 13:17:20.99 ID:t25TNv2Oo<> トオルお疲れさま〜
楽しみに待ってますね。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/07/01(金) 13:18:06.47 ID:kuhYxgATo<> サモハンも忘れないであげてww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)<>sage<>2011/07/01(金) 13:22:28.82 ID:Yir4f16Ao<> おつかれさん。
合宿編楽しみにしてる! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/01(金) 13:48:52.57 ID:AnnIhryDO<> トオルがんがれ
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/07/01(金) 15:08:29.75 ID:3C0nGASOo<> 先輩いい人過ぎwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/01(金) 16:27:40.38 ID:Pf9ehmNLo<> お疲れ様!今日も楽しかった <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/01(金) 16:50:28.89 ID:Iu8TNw8hP<> >>143まで読んだ
ワクテカ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/01(金) 17:38:59.32 ID:nSkgstIVo<> おつ‼
また頼むぜ
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/01(金) 17:39:49.74 ID:Iu8TNw8hP<> 追いついた!

じゃあなノシ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/01(金) 18:09:33.23 ID:ak+SG538o<> お疲れww
トオルの話聞いてると、同じ歳じゃないかと思う <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/01(金) 21:17:20.04 ID:WZFl9oyPo<> やっぱ向井さんのキャラ好きだなwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 01:28:37.73 ID:4uvaPkTDO<> おつ!
ここ読むのが毎日楽しみ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:13:42.82 ID:q9kfOr1Ao<> どうもです
それでは夏合宿の内容を書いていきますね <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:14:39.14 ID:q9kfOr1Ao<> 合宿の前日、俺は中々眠れずに、当日の朝も早くから目が覚めた。
そして毎度の事だが駅に二時間前に到着したのだった。

最初に来たのはリコさんであった。
「おはよー!トオル君早いねー」
「あ、おはようございます」
俺が挨拶をするとリコさんがニヤニヤ笑っている。
「え?どうしたんすか?」
「今日、ユイの水着姿楽しみだね〜」

ドキッ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 12:14:57.34 ID:E0ZRL9Qio<> 待ってましたよ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:15:43.79 ID:q9kfOr1Ao<> 「え?え?なんすか?」
「ふふーん♪」
リコさんは俺の隣に来ると「ユイ、スッゴいセクシーな水着、買ってたよ・・・!」
な、なんですと!てか、常識人のリコさんはどこへ??
「楽しみだねー、トオル君!」
リコさんがニヤニヤしていた。
いや・・・それよりも・・・アンタにもバレてんのかよ・・・



電車で一路海へと向かう。行きしなの電車で皆が騒いだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:16:36.09 ID:q9kfOr1Ao<> 「さあ、どっちだ!トオル!」
向井さんが残り二枚のカードを俺に揺らしながら見せてくる。
「い、いや・・・揺らすのは辞めて下さいよ!」
「良いから早く引け!」
俺は迷った末に右側のカードを引こうとすると
「待てーい!!」
「なんすか!」
「お前は・・・ホントにそっちで良いのか〜?」
凄い眼力で睨んでくる。うぜえ・・・
「い、いや・・・良いっすよ・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:17:35.44 ID:q9kfOr1Ao<> そう言って俺が引こうとするが向井さんは止める。
「辞めておけ〜い・・・後悔するぞ・・・お前・・・後悔するぞ〜・・・」
「脅すのは・・・無しですよ・・・」
「いや、脅しじゃなくてガチで締め落とす」

俺は左側にシフトチェンジした。

「はーい!!!お前、ババー!!!バーカ!バーカ!!!ハハハハハ!!!」
ぬー・・・なんてガキな人なんだ、この人は・・・

部長がすかさず言った。
「見たかい?僕のババ抜き技、その名も『バ、ババーン』!!」
「さあ、次は向井さんに選んで貰う番すよ!」
「かかってこんかーい!」

部長は黙って窓の外を眺め始めた・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:18:25.71 ID:q9kfOr1Ao<> 海に到着した時に俺は感動した。
海水浴なんか小さい頃に連れて行って貰っただけで、記憶には残っていない。
凄く嬉しくなったのだ・・・

宿に到着して俺達は女子の着替えも待たずに宿の前の砂浜へと走って行った・・・
「うわー、スゲエ・・・」
俺がそう呟く。
向井さんは「しおみずー!!!」そう行っていきなり海に飛び込んだ。
サモハンは胸に水をチョビチョビかける。なんて細心の注意だ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:19:22.14 ID:q9kfOr1Ao<> 俺とヨウイチも海に入ろうとすると後ろに立っている部長が「あっ」と呟いた。
「え?なんすか?」
俺達が振り返る。
「あ、いや・・・大した事じゃ無いんだけど・・・」
「はあ・・・」
「なんか海面から無数の腕が伸びてるだけ」

部長が眼鏡を上げた。

「こえーよ!!」
「なんで今言うの??てか、霊感あんの???」

部長は眼鏡を押さえながら笑っている。笑う意味が分かんねえ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:20:32.52 ID:q9kfOr1Ao<> 俺がそう思っていると何かに捕まれ急に俺の体が浮いた。
え?
「うおおお!!!」と言う向井さんの叫び声が響き俺の体は海中に投げ出された。
頭から海中に落とされ鼻から水が入りむせながら起き上がると向井さんが爆笑している。
「ブハハハハハ!!一瞬、頭から突き刺さったー!!!!」
何がおかしいんだ、この人は・・・

俺が頭を摩りながら立ち上がると後ろから「おーい!」と声が上がる。
振り返るとユイとリコさんが手を振りながら砂浜に来た。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 12:20:43.26 ID:sBreUSvWP<> トオルきてたああああぁっ!!!!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:21:24.90 ID:q9kfOr1Ao<> ユイの水着ーーーー!!!!
そう思い眼力を百パーセント開眼をする・・・

が、二人は水着の上にパーカーを羽織っていた・・・
ずるーい。

「パラソル立てるから手伝ってー」
そうユイに言われ手伝いに行く。
パラソルを立てている時にユイを見た時に鼻血が出そうになった。
パーカーから生足が見えてまるでパーカーの下は下着姿の様だ・・・

いや、これはこれで・・・良い・・・! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:22:49.05 ID:q9kfOr1Ao<> >>325
おまちどおさまでしたww

続き
「ジャンケンポーン!!」

向井さん以外が全員パーを出す。
向井さんだけグーだ。
「ぬおおお!!!」
向井さんが悔しがる。
「はーい、じゃあ向井君、荷物番お願いねー」

交代で荷物番をするジャンケンをした。最初は向井さんに決定。
「ちきしょー!お前らあんまり楽しむなよ!!」
「さーて、皆でビーチバレーしようか!・・・向井君抜きで」
「あ、その後ゴムボート乗りましょう!・・・向井さん抜きで」
「あ、じゃあ、その後はシュノーケリングね!・・・向井さん抜きで」

「お前らコロス!」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:23:38.86 ID:q9kfOr1Ao<> 海に入る時にユイとリコさんがパーカーを脱いだ。
ユイのオレンジのビキニが俺の目に映る。

い、以外に胸がある・・・!俺は少し前屈みになった。
アレがアレしてアアなったからだった・・・

海に入り俺達は遊ぶ。
ビーチバレーをしたり、ゴムボートに乗ったり、そしてゴムボートに乗った部長をひっくり返して遊んだ・・・向井さん抜きで。

楽しかった。なんて青春を送れているんだ・・・そう思った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:25:03.07 ID:q9kfOr1Ao<> 一通り遊んで向井さんの元へ向かい荷物番を交代する事になった。
次の荷物番はリコさんだった。向井さんが浮き輪を被り張り切る。

「よーし!お前ら行くぞー!」
「あ、俺達疲れたんで、向井さん一人で・・・」
「お前らコロス!」

仕方無しに俺達は向井さんと海に入った。
俺はビーチボールに捕まりプカプカと海に浮かびながら浜辺を見た。
リコさん一人で荷物番をさせて大丈夫だろうか?
ナンパとかされたりしたら・・・が、よく考えればウチは武闘集団だった・・・
あの人らが居れば大丈夫か・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:27:14.91 ID:q9kfOr1Ao<> 俺がそう思っていると何かが俺にのしかかり、海の中に沈み始めた。
ドンドン海中に沈み込まれて行く・・・
まさか・・・さっき部長が言ってた無数の手???・・・

が、のしかかっていた物が無くなり俺は大慌てで海面に出る。
すると目の前で向井さんが爆笑していた。
「ブハハハハハ!!!ブクブクってゆっくり沈んで行った!!ブハハハハハ!!!」
「笑い事じゃねー!!コロス気かーアンタは!!!」

『海に向井』それは天文部で語り継がれていく『鬼に金棒』と同意義の諺になった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:28:16.69 ID:q9kfOr1Ao<> タップリ遊んだ後に、宿に戻り風呂へ入った後に飯を食った。
その後男女それぞれの部屋に別れると向井さんが部長に言った。

「部長・・・そろそろ・・・」
「ああ、だな」

そう言って向井さんはテーブルに一升瓶を置いた。

「今回は焼酎にしました!」
「ナイスだ!向井君!」

もう二回目なので突っ込む気は更々無かった。

「星は見に行かないんですかー?」
ヨウイチがそう言いながらコップを並べる。お前ノリノリじゃねーか。
だが、俺は絶対に酔わない・・・そう決めていた。

それには理由があったのだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:28:56.52 ID:q9kfOr1Ao<> 先程、飯を食った後にトイレに行った時だ。

調度男子トイレから出てきた時に、女子トイレから出てきたユイに会った。
「あ、お疲れ〜今日は楽しかったね〜」
「あ、はい」
こう言う偶然でも嬉しい気分になれるんだ。
俺は手を洗いながら、隣で手を洗うユイを見る。
その時、ずっと思っていた事をユイに言った。

「あ、あの・・・ユイさん」
「ん?」

ユイは手を洗いながら返事をする。


<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:30:13.86 ID:q9kfOr1Ao<> 「あ、いや・・・あの、今回は星・・・見ないんですか?」
俺の質問にユイは「え?見るよ〜だって、こんなに暗いもん。綺麗に見えるよ〜」そう言って窓から見える星空を見た。
「あ・・・じゃあ・・・俺も一緒に見ても・・・良いですか・・・?」
俺が恐る恐る尋ねた。
今回の合宿で絶対に再びユイと星を見よう・・・そう決めていたのであった。
ユイはハンカチを口にくわえたまま俺を見つめた後に・・・

「うん!良いよ、一緒に見よう?また教えてあげる!」

そう言ってユイが笑った <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:31:05.03 ID:q9kfOr1Ao<> よっしゃあああ!!!!
「え?じゃあ、今日、皆が寝た後で・・・」
「うん、その位の時間が良いね!」
「あ・・・でも、また向井さん酒を持って来てんだろうな・・・」
「ああ、だよねぇ・・・本当に・・・未成年なのにね!トオル君もあんまり飲みすぎないようにね・・・」
「分かってます!必ず星を観に行きますんで、今日は酔いつぶれません!」
「分かった・・・じゃあ待ってるね!」
「はい・・・じゃあ、後で・・・」


・・・と言う事で俺は絶対に酔い潰れる事は出来ないのであった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 12:31:24.48 ID:sBreUSvWP<> ラーメン食いながら支援 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:32:02.55 ID:q9kfOr1Ao<> 腹に力を込めて気合を入れて飲み会に臨む。
「あ、向井君、女子二人も誘おうか?」
突然部長がそう言い出した。
「あ、ですね、去年も夏合宿は飲みましたもんね、あの二人」
「うん、多分来るんじゃない?二人も」

え?マジで?いや、出来ればささっと飲んで俺は天体観測をしたいんだが・・・

「ヨウイチ、お前呼んで来い」
「はい」
そう言ってヨウイチが呼びに行く。すると数分後に二人はやってきた。

「あ、本当に焼酎持ってきてるー」
「向井君ワルだねぇ」

そう言って笑いながら入ってきた。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:33:28.51 ID:q9kfOr1Ao<> >>335
俺はまだ飯を食ってないと言うのに・・・

続き
「まあ、お前らも飲めよ」
「しょうがないな〜」
リコさんはそう言って座る。俺はユイを見た。
俺達・・・後で天体観測するんですよね・・・?
そう思いながらユイを見ていると目が合う。

するとユイは「シーッ」と言う口をしてそのまま人差し指を口元に持って行き笑い、「後で」と声にならない声で呟いた。

俺はそのポーズに萌え死ぬ。
何、その破壊力のあるポージングは・・・超可愛いじゃねーか!!!
絶対に酔わねえええ!!!
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:35:01.07 ID:q9kfOr1Ao<> ― 数時間後 ―

「ほらぁ・・・トオルくん、飲んでないじゃ〜ん・・・」
ユイはそう言って俺のコップに酒を注ぐ。アンタが思いっきり酔ってんじゃん!!

「ほれ!!サモハン、どうした??」
リコさんがサモハンに絡んでいるがサモハンは既に潰れて寝ている。
常識人のリコさんはどこへ?

「違いますって〜内股こそが、最強の技ですって〜」
「ばっきゃろー!柔道の至宝は・・・背負いだあああ!!」
向井さんと部長が柔道談義に白熱していた。

「俺はね・・・グスッ・・・パトラッシュがね・・・グスッ・・・まさか、あんな所でね・・・グスっ・・・」
ヨウイチは何故か泣きながら一人で語っていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:36:35.68 ID:q9kfOr1Ao<> ヤバい何、このカオス・・・俺だけ入れない。
「トオルく〜ん・・・」
ユイがそう言いながら俺の肩に頭をぶつけてきた。
うおお!!なんか凄いイベント!!

「あん?ギブ?ギブなの?アンタギブ??」
リコさんが寝ているサモハンの頬を叩く。
あ、すみません・・・サモハンは既に息がありません。

「ほお・・・じゃあ実戦で決めようか・・・?」
「久しぶりっすねえ・・・やりますか・・・」
部長と向井さんがフラフラになりながら立ち上がり乱取りをし始めるが、二人共そのまま倒れこみケタケタ笑いながら眠りについた・・・

「グスッ・・・ネロの事をね・・・グスッ・・・フランダースってね・・・グスッ・・・思ってたんだよ・・・」
ヨウイチは号泣しながら一人で布団に入りすぐに寝た。なんだコイツは。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:37:24.92 ID:q9kfOr1Ao<> ユイは俺の肩に頭を置いたまま寝息を立てていた。
俺はユイのシャンプーの匂いにドキッとする。
が、いきなりリコさんが俺を見てきた。
「オロ・・・?オロロロ・・・?」
「え・・・なんすか・・・?」
「ウフッ・・・トオル君・・・ひゅーひゅー・・・」
その言葉がリコさんの最後の言葉だった。
リコさんはそのまま眠り込む。

なんなんだよ・・・一体・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 12:38:04.63 ID:sBreUSvWP<> 真島君すっ飛ばすでは柔道最強技内股だったな <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:39:08.29 ID:q9kfOr1Ao<> ああ〜・・・結局ユイが寝たから天体観測行けないな・・・俺がそう思っていると肩にユイの重みを感じる。
ユイの髪が俺の頬をくすぐる。寝息が俺の肩を湿らせていた。
俺の心臓がドキドキ言い始めた。チラリとユイを見た。
Tシャツ越にユイの胸が上下しているのが分かった。
俺の床に置いた手のひらの先がユイの生脚に少し当たっている・・・

俺のアレは既にアレしていた。
簡単に言うとバッテリーはびんびんだぜ、状態。
俺の理性は限界点に達していた。
昔の俺なら間違いなくユイに悪戯している。その自信がある。

だけど、今は出来ない・・・それはユイが好きだからだろう・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:40:44.51 ID:q9kfOr1Ao<> だけど、その理性も吹っ飛びかけているのも事実だった・・・ユイの胸を見る。
アチャー・・・もうこれは劇薬ですよ、劇薬。
もうね、限界になった。

俺はそっと辺りを見渡す。
そして、いつでも逃げれる体勢を取りながら言った。
「向井の・・・ばーか」
・・・反応なし。
「さーて・・・サモハンのコーラでも飲むか・・・」
・・・反応なし。

よし・・・!大丈夫!
俺の心臓がバクバクと全身に血液を送り出す。
俺はそっとユイの体を触ろうと・・・手を動かした瞬間だった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:42:32.54 ID:q9kfOr1Ao<> ピキッ!と言う衝撃が走り、俺の背中が変な感じになった・・・

ヤバイ!!つった!!

ユイの頭を動かすまいと変な体勢を取ったからだろう。
俺はそのまま倒れこんでしまう。ユイも一緒に倒れこんで来た。
そして、その瞬間にユイが目を覚ました。
「あれ・・・?あれ?私・・・寝てた・・・?」
ユイはキョロキョロしながら周りを見る。
「うん・・・うん・・・」
俺は背中の痛さにのたうち回りながら頷いていた。
「あれ?トオル君?どうしたの?大丈夫?」
「いや・・・大丈夫じゃ・・・ない・・・」


俺はそのまま、苦しみもがいていたのであった・・・まあ、自業自得。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:43:55.35 ID:q9kfOr1Ao<> 翌日は朝一で向井さんに起こされる。
なんで、こんなに元気なんだろ、この人。

朝食を手早く取らされて早速海に行った。
朝から目一杯遊ぶ俺達。

そして俺が荷物番になった。
パラソルの下で皆がはしゃいでいるのを見ながら寝転がる。

幸せだなー・・・てか、昨日はユイに何もしなくて良かったよ・・・
まあ、あれからトイレで抜いたけど。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:44:57.11 ID:q9kfOr1Ao<> そんな事を思っていると「起きてる?」そう声をかけられた。
見るとユイが目の前にいた
ドキッ。心臓が鳴った。

「ふう・・・疲れた〜ちょっと休憩」
そう言いながらユイが隣に座って来た。
「なんか飲みます?」
「大丈夫、ありがとう」
ユイが笑った。

「背中大丈夫?」
ユイの質問に俺は笑った。
「はい、どうもお騒がせしましたww」
「ううん、私が持たれてたからだよね?ゴメンね酔っ払って」
いや、私のスケベ心のせいです。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:46:16.27 ID:q9kfOr1Ao<> 「ああー・・・涼しい風が吹いてるねー」
そう言ってユイは伸びをする。ユイのビキニの胸が伸びた。
おっぱい。うん、おっぱい。えへ、おっぱい。

「ゴメンね・・・」
おっぱいの事を考えているとユイが急に呟く。
そして俺を見た。
「え?」
「昨日、星見ようって言ってたのに・・・私が酔っ払って・・・」
「あ、ああ・・・」

いやいや、でも君と言う星を身近に感じれたので全然構わないさ、ベイビー <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:47:42.85 ID:q9kfOr1Ao<> 「私、あんまりお酒飲んだ事が無いから・・・恥ずかしいな・・・」
ユイが抱えた膝に顔を埋めた。
「ユイさんでも・・・羽目を外すんですねww」
俺が笑って言う。
「ねえ、私、鼾かいて無かった?寝言言って無かった?」
ユイが恥ずかしそうに尋ねた。
「え・・・あ、ああ・・・」
「え??どうなの??」
「なんか・・・寝言を・・・」
「え?なんて??」
「ダ・・・ダッフンダ・・・」
「ケン?私志村けん??!!」
「とんでもねえ、ワタシャ神様だよ・・・とも」
「あれ??私、そんなに志村けん好きだったっけ??って・・・コラー!!」
ユイが可愛くノリツッコミをする。二人で笑った。

何、この幸せ空間。俺は最高の気分だった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:49:18.73 ID:q9kfOr1Ao<> 「さあ!お待ちかねの花火大会だぞ!!」

向井さんが晩飯の後に袋に一杯の花火を見せて叫んだ。
花火かー・・・懐かしいなー。小さい頃以来の花火に俺は心が躍る。
花火に火が点き、皆のテンションが上がる。
俺は小さい頃以来なので、花火の種類を余り覚えていなかった。

「これ?なんすか?」
俺の質問に向井さんはニヤリと笑い「ロケット花火だ・・・こうするんだよ」そう言ってヨウイチに向かって撃ち始めた。
ヨウイチが全力で逃げ惑う。

「へー・・・人を撃つもんなんですね」
「違うわ!!」
ヨウイチが全力でツッコミを入れて来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:50:13.67 ID:q9kfOr1Ao<> 皆の笑顔が花火に照らされる。
ユイの顔も花火に照らされていた・・・

花火を楽しそうにしている部長を見た時に俺はふと思い出した。
「部長・・・そういや、受験勉強はしなくても良いんですか?」
そこからの部長は線香花火しかしなくなった。

花火が終わり部屋に戻る。その時、ユイと目が合った。
するとユイは誰にも聞こえない様に俺に耳打ちをした・・・

「後で・・・昨日の続き・・・しよ・・・!」

え???つ、続き???ま、まさか・・・あの時、ホントは起きてたの???

鼻血が出そうな興奮を覚えたよ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:52:01.14 ID:q9kfOr1Ao<> 皆が疲れたのか部屋に戻るなり、すぐに寝付いた。
俺はもちろん眠れない。目がギンギン。アソコもギンギン。

中々寝付かないサモハンにプリングルスを握らせて、俺は廊下に出てユイ達の部屋をノックする。
するとユイがソッと襖を開き顔を出した。
ユイは「シーッ」と人差し指を口元に置き部屋から出て来た。
もうその瞬間心臓バクバク。
こりゃ、アレだぞ、ヤバいぞ・・・そう思っているとユイの手に望遠鏡が握られている。

うん・・・望遠鏡?

「今日こそは、星・・・見ようね・・・!」

そう言ってユイが無邪気に笑った。
あ、ああ・・・そうね・・・うん、星ね・・・いや、知ってたよ、うん・・・

少しガッカリした・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:53:16.46 ID:q9kfOr1Ao<> 「でね・・・夏の大三角形ってあるの」
「なんか聞いた事があるな」

ユイの言葉に望遠鏡を覗き込みながら俺は答えた。
「小学生の時に習うよww・・・でね、その三角形の星わかる?大きな三角形よ」
「あ、うん・・・わかる!」
「それぞれの頂点が、ベガ、アルタイル、デネブって言うの」
「知ってるよ多分それ・・・」
「で、二つの星の間に白い雲みたいなのが見える?」
「うん・・・」

「それが天の川・・・!」

「おおっ!!!噂は兼がね聞いております!!!」
ユイがクスリと笑った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:54:35.89 ID:q9kfOr1Ao<> 「で、それを挟んだベガとアルタイルで・・・別名分かる?」
「な、なんだっけ・・・?」

「”織姫”と・・・”彦星”・・・!」

俺は何故か胸が鳴った。
「一年に一回だけ・・・この広い宇宙で出会えるの」
「そっか・・・なんかスゲエよな・・・」
「ワクワクしちゃうね・・・」

ユイが星空を見つめる。
俺も星空を見上げた・・・満天の星空が俺達を包んでいたんだ・・・

あの夜から俺は織姫と彦星が羨ましいと感じる様になったんだ。
例え一年に一回だけとは言え、必ず約束された出会いが有る事が・・・


羨ましかったんだよ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:56:19.72 ID:q9kfOr1Ao<> 翌日、最終日は流石に皆の元気も少し落ちる。
とは言え真夏の日差しが照らし付け、海風が気持ち良く吹かれると若い俺達は元気になる。

ユイの留守番の時に海で俺達は遊んでいた。
すると部長とヨウイチ、サモハン、リコさんが岩場へと遊びに行った。
俺と向井さんは浮翌輪に尻だけを入れて、プカプカ浮きながら空を見ていた。

「おい」
向井さんが俺を呼ぶ。
「はい?」
俺が返事すると向井さんがスーッと俺に近付いて来た。
どうやって推進したんだ、この人は。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:57:23.61 ID:q9kfOr1Ao<> 「昨晩は・・・どうだったんだ?」
ギクッ。
「さ、昨晩?昨晩の夢ですか?オカズですか?」
俺はシドロモドロに答えると向井さんの浮翌輪から出ている足で頭を蹴られた。
「ユイと二人で、星を見てたんだろ?」
なんで知ってるのよ。
「あ、ああ・・・」
「で?どうだったんだ?」
「い、いやー・・・なんか星の講義を受けて・・・」
「受けて?」
「お休みなさい、と・・・」
「なんだそりゃ情けねーな、おい」
「おっしゃる通りで・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:58:34.85 ID:q9kfOr1Ao<> 「お前さー、もっとガバッといけよ、ガバッと!」
「は、はあ・・・」
俺が尚もモジモジしていると向井さんは溜息をついた。
「ったく・・・ちょっと待ってろ」
向井さんはそのままスーッと砂浜に進んで行く。
何度も言うが、あの人の推進力は何だろう?

海から上がりユイの元へと歩いて行った。
え?ま、まさか、俺の事を言うのか??や、ヤバい!
俺は大慌てで砂浜に向かった。
所が向井さんはユイに何かを言うとユイは一瞬困った表情をした後に俺の方へと歩いて来た。

ん?なんだ? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 12:59:17.58 ID:q9kfOr1Ao<> ユイは俺の方へ来ると「なんか、向井君が『疲れた、寝るから邪魔だ。お前はトオルと遊んどけ』って言われたー、勝手だなホント・・・」

向井さん・・・
俺が向井さんを見ると向井さんは手の平を揺らめかせ『さっさと行け』のヂェスチャーをした。

ヤベッ、なんか泣きそうだ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 13:00:23.32 ID:q9kfOr1Ao<> 他の皆が岩場の方に行ったので俺達もソチラへ向かう。
岩が滑り易く歩き辛かった。俺はゆっくりユイを待ちながら歩く。
ユイが恐々歩いている時にバランスを崩しそうになる・・・
慌てて俺はユイの手を掴んだ。

「怖かったー・・・ありがとう」
ユイがホッとした様に呟いた。
俺もホッとして思わず自然に言葉が出てしまったんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 13:01:11.45 ID:q9kfOr1Ao<> 「手を・・・」
「え?」

「手を繋ぎましょう・・・危ないから・・・」

言った瞬間顔から火が出そうになる。そしてユイの反応を見た。
ユイも少し顔を赤らめて・・・

「・・・うん」

そう呟いていた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 13:01:58.68 ID:q9kfOr1Ao<> 俺達は手を繋いで歩いた。
ゆっくり、ゆっくりと手を繋ぎながら岩場を歩いて行く。
ドキドキしながら、真夏の太陽の光を浴びながら歩いた。

生まれて初めて俺は女の子と手を繋いだ。
生まれて初めて好きな人と手を繋いだ。

それは暖かくて、柔らかで、そして安らいだ・・・
ドキドキしているのに、気持ちが安らぐ・・・

何だろう?この気分? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 13:02:03.37 ID:sBreUSvWP<> あれだな

リアルタイムで見てると いつ今日はここまで くるかビクビクするな <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 13:02:35.82 ID:q9kfOr1Ao<> だが、俺達の間には天の川が広がっている。
広く、そして深い天の川。

だけど・・・あの時の俺には関係が無かった。
とても幸せな・・・時間だったんだよ・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/02(土) 13:04:22.84 ID:q9kfOr1Ao<> 以上です。
続きは出来れば明日に載せたいんですが。明日はちょっと来れないかしれません

明後日も微妙ですが、頑張ります
確実なのは、明々後日かもしれませんね・・・

それでは、また! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 13:06:17.35 ID:sBreUSvWP<> うわあマジかああああ


乙 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 13:06:36.65 ID:E0ZRL9Qio<> お疲れ様
ほんと読みやすくて続きが楽しみだよ
待ってます <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/02(土) 13:09:35.47 ID:O6nMnVWWo<> なんか、セカチューの緒形直人の声で変換されてきた。

乙 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 14:49:23.76 ID:VOJ77c0do<> 毎日楽しみにしてるよ

乙 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 16:25:41.84 ID:kVJgFhGIO<> ゆっくりでイイからな!
楽しみに待っているぜ。 <> 名無しのパー速民<>sage<>2011/07/02(土) 17:19:20.84 ID:Sh+1PqXDO<> 追い付いた!
楽しみに待ってます。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/02(土) 17:36:47.13 ID:qZMCTMzEo<> 毎日乙ですww
夏合宿の一年前にユイと初めて会ったんだったなww
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/07/02(土) 20:03:26.25 ID:ZEgoKQ/po<> くそぉぉぉぉぉぉ
リア充爆発しろおおおお <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/07/03(日) 04:38:10.42 ID:1tdOXKsRo<> 毎度、乙!
楽しみだけど、いつか悲しい話になりそうで怖い
でも続きが気になって仕方ない… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/03(日) 22:54:46.75 ID:IuCeOtbIO<> 今日、初めて読んだww
続きが楽しみ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/04(月) 03:46:15.54 ID:qYsOkMkDO<> ワッフルワッフル <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/04(月) 08:10:45.18 ID:EkiY2sK8o<> ちい……ここで止めるのか、間合いをわかってやがる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/04(月) 08:45:56.81 ID:h5NGujTNP<> >>353から判断するに、わざと思わせぶりな文章を書いてるのなら別だけど
そうでなければ今現在は何らかの事情で、年に一回さえも会えない関係なんだろうな…
まあ一時は報われた恋だったのかもしれないけどさ

しかし高校生にもなって日常生活で携帯はおろかポケベルさえ全く出てこなかったりする辺り、
この話は昭和後期以前のことなんだろう <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:08:29.43 ID:na6wzFQXo<> なんか、思わせ振りな事を書いてしまってすみませんww
いや、なんでしょうか?う〜ん・・・
まあ、色んな予想は有ると思いますが、最後まで見て頂ければ分かります。

ちなみに今の俺は幸せなんですけどねww

それでは続きを書きます。ちょっと都合で今日はそんなに書けてません。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:09:18.86 ID:na6wzFQXo<> 合宿が終わり残りの夏休みは俺は合宿の思い出の反芻をして過ごしていた。

楽しかった海。綺麗な星空。酔っ払いのユイ。
そして手を繋いだ事・・・警備の仕事中も思い出してしまう。

なんかね、楽しみにしていた行事が終わると心にポッカリ穴が開いた気がするんだ。
ああー楽しい夏が終わっちゃったって。
そんな気持ちのまま仕事に明け暮れる毎日だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:09:57.43 ID:na6wzFQXo<> 今までの夏は一人でいる事が気楽で良かった。
だが、今は違う。仲間の存在が、こんなに大きい物だとは夢にも思わなかったよ。

俺は望遠鏡を買った。小さくて安い奴。
夜にそれを覗きながらベガとアルタイルを探した。
だけど街では明るくて中々星が見えない。
あの海で見た天の川も微かに見える程度だ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:11:45.49 ID:na6wzFQXo<> 皆とも会いたいのだが、皆、それぞれに予定なんかが有るみたいで時間が合わない。
ユイが今年も警備のバイトをしないかな?って思っていたがリコさんと同じバイトをしている様だった。

俺は仕事を終えて一人家でクーラーに当たりながらボーッとして皆に会いたい・・・そう思う。
夏が終わりに近付くと何か物悲しさを感じた。
入道雲が夕焼けに染まる空を見て、少し涼しげな風を感じた時に「ああ楽しい夏が終わっちゃうんだな」そう痛烈に感じるんだ・・・
それを感じると、あの楽しい合宿が夢だったんじゃないか?それ所か天文部に入った事、いや、高校に入りユイと再会した事ですら夢だったんじゃないかと不安感が広がる。

そんな夏の終わりだった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:12:59.91 ID:na6wzFQXo<> ある日の事。
家に帰ると家の電話が鳴っていた。俺が慌てて電話に近付き急いで出た。

「おせぇぇぇぇ!!!!!!!」

電話の向こうから怒鳴り声が俺の耳に入って来る。
「いや、今帰って来たんですよ・・・向井さん・・・」
「俺が電話を掛けるのを予想しとけ!!!」
んな無茶苦茶な。
だが、こんな無茶苦茶が嬉しく感じる自分がいるのも確かだ。
「明後日10時に駅前集合な」
「え?」
「じゃあな!」
「いやいや!なんすか?」
「え?プールに行くんだけど?」
それ言わないと俺、全裸でプールに入らないと行けないじゃないか <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:13:49.66 ID:na6wzFQXo<> 「じゃあ、そーゆう事で!」
向井さんは一方的に電話を切った。
俺は溜息をつきながら電話を切る。

勝手だし急だな・・・俺の仕事の予定どうすんだよ・・・
そう思う俺だが顔はニヤニヤしていた。

プールか・・・ホントに勝手だなぁ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:14:53.72 ID:na6wzFQXo<> 当日いつもの様に二時間前に駅に到着する。
いつもながらどんだけ嬉しいんだよ俺。
すると、ヨウイチが一番にやって来た。

「うーっす、久しぶりだなトオル!」
「うーっす」
「いやぁ、なんかもう夏も終わりだな」

ヨウイチの言葉に俺は頷く。
夏が終わる・・・最後に皆に会えて良かった。

「おはよう、君達!」

真っ黒に日焼けした部長が来た。
「おはようございます・・・部長、まだ黒いんすね」
「あ、これ?毎日焼きに行ってたんだよ」
「え?受験勉強は?」

部長は頭を抱えてベンチに座り始めた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:15:40.51 ID:na6wzFQXo<> ユイやリコさん、サモハンも合流し、そして主催者の向井さんが現れた。
皆でプールに向かう。
またユイの水着姿が見れるとは思わなかったので俺はウキウキする。
俺はこの天文部に入って色んな初めての体験をさせて貰った。
プールなんか皆で来るのは初めてだ。

「っしゃー!まみずー!!」

向井さんがプールに飛び込む。
サモハンが胸に水をそっとかける。相変わらず細やかだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:17:04.41 ID:na6wzFQXo<> 俺とヨウイチがプールに入ろうとした時に部長が「あ」と小さい声で呟いた。
俺らはギクッとする。
「な、なんすか・・・」
「いや、大した事じゃ無いんだが・・・」
「あんまり聞きたく・・・ない」

「このプールって五人位死んでるんだよね、溺れて」

部長は眼鏡をクイッと押し上げた。
「今、言うかー??!!」
「てか、なんすか、その余計な情報!!」

俺達が騒いでいると、向井さんが目の前に現れ俺の首に自分の首を巻き付ける。
「ぶれーん・・・」
そう言いながら俺の体を持ち上げた。
「ばすたー!!!」
俺は高い位置から背中ごとプールに叩きつけられる・・・
一瞬息がつまり、マジで死にかけた・・・
必死に水面に上がると向井さんが爆笑している。
毎度毎度何がおかしいんだ、この人は <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:18:09.82 ID:na6wzFQXo<> 「もうプールに入ってるんだ?」

その声に振り返るとユイとリコさんが立っている。
ユイの水着〜エヘヘヘ・・・俺の幸せ復活。
「よーし!滑り台に行くぞ!!」
向井さんの言葉に俺は生まれて初めての滑り台体験をする・・・死ぬかと思った。
何、あのスピード・・・途中で一回転したので頭から落水した俺を向井さんの爆笑が出迎えてくれた。

流れるプールで遊んだり、昼にヤキソバを食べたりして楽しんだ。
途中ハシャギ過ぎてユイの体の一部分に俺の手が触れた時、柔らか過ぎて泣きそうになる。

ただ、手がどこに当たったかは不明。一体俺の手は何を触ったんだろう? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:19:20.23 ID:na6wzFQXo<> 夕方になりプールから帰る。
「楽しかった〜」とユイが笑っている横顔に夕日が当たる。
俺はその横顔を見つめながら歩いていた。
そして空を見つめ、ああ、これで夏が終わったんだな・・・そう思っていた。
楽しい事はすぐに終わってしまうんだ・・・

地元の駅に帰って来た時に向井さんが「こっちに行こう」そう言って皆を引き連れて、高台の方に向かう。
「なんすか?」
そう尋ねるが向井さんは「良いから黙ってついて来い」そう言って聞かない。

黙ってついて行き、高台の公園に到着した <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:20:08.29 ID:na6wzFQXo<> 夕日が遠くの山に沈み、茜色の空と紺色の空のコントラストが見える。
「さーて、いよいよだな・・・」
向井さんが言った時に俺は去年の記憶が甦った・・・

そうか・・・今日は・・・

そう思った瞬間に一筋の光りがシュルシュルと目の前に上がり、すぐにそれは、まばゆい光りと共に大きな花を作り出す・・・
そして、その後に『ドンッ』と言う大きな音が聞こえた。


「うわぁ・・・花火・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:21:16.52 ID:na6wzFQXo<> そうだ。今日は地元の花火大会だ・・・

その一発に続き、夜空にドンドンと花火が打ち上げられる。
「綺麗・・・」
「だろ?ここからの眺めは穴場なんだよ」
向井さんの言葉が花火の音と共に聞こえる。
ドンッ!ドンッ!音と共に光りが目の前に繰り広げられた。
皆で並び公園の柵に肘を乗せて花火を見つめる。

俺の隣で花火を見つめるユイの横顔を見つめた。
ユイの顔に様々な光りが辺り、明るく染めている <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:22:19.77 ID:na6wzFQXo<> 二年連続で・・・花火をユイと見る事が出来た・・・
そして、今年はユイだけじゃない・・・

皆とも、一緒に見る事が出来ている・・・

夏は終わるかもしれない・・・だけど、俺はこの夏を一生忘れない。
夢じゃ無いんだ。俺は確かに皆と一緒に居る事が出来ている。
この夏を確かに皆で過ごしたんだ・・・
俺は皆の光りに染まる横顔を見つめる。

泣きそうになった。

この皆と・・・永遠に一緒にいたい・・・そう思っていると、俺は自然に呟いていた。


「来年も・・・一緒に花火を見たいですね・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:23:12.17 ID:na6wzFQXo<> その言葉に「ああ・・・そうだな・・・」誰かが返事をしてくれた。
目の前で花火が光り続ける。

「来年も・・・その翌年も・・・卒業して、皆がバラバラになっても・・・一緒に・・・見よう」

部長が柄にもなく、そう呟いた。

「・・・そうしよ、天文部のOB会は、ここでしよ?」

リコさんの声に皆が頷いた。
そうだ・・・ずっと、皆で毎年見続けるんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:24:22.28 ID:na6wzFQXo<> 大人になっても・・・
皆バラバラになっても・・・

全員が同じ気持ちで居てくれている事が嬉しかった。
そうだ、夏は何回も巡って来る・・・夏は今年だけじゃ無いんだ・・・

花火に照らされながら・・・俺はそう思っていた。


そして、その年の夏が・・・終わりを告げた・・・
だが、俺の夏はまだ終わっては無かった・・・









宿題がしてなかった

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/04(月) 09:26:02.17 ID:zkCQog0FP<> きてたああああああっ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/04(月) 09:26:02.24 ID:na6wzFQXo<> すみません、今日は以上です。
時間が無くてあまり書けませんでした。
今日も、合間を見て書き溜めようと思います

それでは、また! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/04(月) 09:26:42.74 ID:zkCQog0FP<> 帰ったああああああっ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/04(月) 09:54:16.82 ID:h5NGujTNP<> >>377
いやいや、別に責めてるわけじゃないんだぜ?ww
思わせぶりで結構。あれこれ想像もできるし好きなように書いてくれ

しかし切なげな文体だよなあ…
この頃のことをどれだけ大切にしてきたのかがよく分かるよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/04(月) 12:47:05.07 ID:9WHNaM6IO<> おつ!
なんか毎日の楽しみになってるよ
続きが気になって仕方ない <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/04(月) 17:05:46.85 ID:lxN32AD6o<> また待ってるぜ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/04(月) 17:25:15.17 ID:mCqdC+tRo<> おつ
青春っていいな〜 <> !ninja<>sage<>2011/07/05(火) 07:52:03.73 ID:XReCge3IO<> ほしゅ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 08:21:47.76 ID:Y/fCB17kP<> >>400
保守いらねーよハゲ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:29:14.41 ID:AY5NcWhco<> おはようございます
物悲しい文章に見えますか?そっか・・・
あ、なんか意味深に書いちゃいましたねww
まあ、予想は色々して下さいww
それでは続きを書きますねww <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:30:08.84 ID:AY5NcWhco<> 部室の中は真っ暗となり、スポットライトを浴びた部長が顔の前で手を組みながら呟いた。

「例の件が・・・動き始める・・・!」

「あの、暑いんでカーテン開けても良いっすか?」
俺の言葉に「開けよう、開けよう」そう言って全員がカーテンを開け始め、涼しい風が部室に入って来る。

九月になり新学期に入って最初の日だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:31:04.40 ID:AY5NcWhco<> 「ああ〜暑かったね〜」
リコさんが下敷きで扇ぎながら、そう言った。
部長は少し悲しそうな顔をしている。

「さあ、文化祭と体育祭の出し物決めるぞー」
海パン姿の向井さんが言った。
「その前に・・・向井君服着なよ」
ユイが向井さんを睨む。ユイの意見に賛成だ。

「るせー!お前らも水着姿になりゃ良いじゃねーか!」
うへへ、向井さんの意見に賛成だ〜。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:32:08.60 ID:AY5NcWhco<> 「え?文化祭は分かりますけど、体育祭もですか?」
ヨウイチが尋ねる。
「ああ、体育祭でクラブ対抗のリレーが有るのよ、その時にクラブ特有の衣装で走るの」
リコさんが答えた。
「どうするー?去年はスーパーマリオのスターの格好して、無敵状態の音を口ずさみながら走って散々だったよな?」
「え?なんでスター?」
「天文部繋がり」

微妙だな。

「今年は・・・戦国武将の格好はどうだろうか?僕は伊達政宗の格好をする・・・」
「あーなんかねーかな?」

部長の意見は向井さんに打ち消された。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:33:22.52 ID:AY5NcWhco<> 「あ、なら、星座の格好はどうですか?獅子座とか牡牛座とかで、動物の格好で・・・」
俺がそう言うとユイが俺を見た。
「あ、なんかカワイイ、それー良いかも」
ユイが賛成してくれた!
向井さんが頷くと俺に言った。
「じゃあ、お前は蛇使い座な!」
それどう表現すんだよ。
部長が眼鏡を光らせて笑う。
「ククク・・・どうやら意見が出揃った様だね・・・こうやって部下の意見を汲み取る事こそが・・・」
「じゃあ、衣装とか作りましょうか?」
「あ、じゃあ何の格好するか決めよう!」
「とりあえずトオルは蛇使い座で」
「だから、それ、どう表現するんすか!」

部長は一人窓の外を見ながら立っていた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:34:27.01 ID:AY5NcWhco<> 「さて、続いて文化祭だが・・・去年通りで良いか?」

向井さんが皆を見回す。
部長はまだ窓の外を見ていた。
「去年は何をしたんですか?」
ヨウイチの言葉に部長が振り返り眼鏡を光らせながら何かを言おうとするが・・・
「あ、去年はね、フランクフルトの模擬店」
その前にリコさんか答えた。部長は再び窓の外を見る。
「え?なんでフランクフルトなんすか?」
「さあ?向井君がそうしようって・・・それで買ってくれた女子に、その場で食べて貰って写真を撮ったの」

向井さんが不気味に笑っている。アンタ、その写真を何に使ったー!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:35:39.16 ID:AY5NcWhco<> 「フランクフルト食べたい・・・」
サモハンがボソリと言う。やっと意見を吐きやがった。

「え?でも、天文部らしく無いっすね?一応天文部らしい事をした方が良いんじゃないですか?」
「でも、天文部らしい事って・・・難しいのよね・・・特に活動報告すべき事も無いし」
皆がウーンと唸る。

「プラネタリウム・・・とか」

部長が窓の外を見ながら聞こえるか聞こえないか程度の声で呟いた。
一番近い席の俺には聞こえたが、皆聞こえない様で無視している。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:36:59.07 ID:AY5NcWhco<> 「あ、なんか・・・部長が・・・」
「え?」

俺の言葉に皆が部長を見る。

部長は注目されて少し焦り「プ・・・プ・・・プリン屋さん!」

違うだろ!!!
「プリン屋かぁ・・・なんか、カワイイね」
ユイが呟く。
「いや、違います!」
俺が慌てて立ち上がり、皆を見た。

「プラネタリウムっす!」

そう言うと全員が顔を見合わせた。そして・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:37:53.32 ID:AY5NcWhco<> 「あ、良いかも。なんか天文部ならでは・・・」
「うん、良いね!黒く塗った段ボールに穴を開けて・・・それを天井に覆えば良いんじゃない?」
「あ、その上から明かりを点ければ星に見えますね!」
「その段ボールを回すの!そしたらホントのプラネタリウムみたい!」
「じゃあさ、床に人工の地面おかね?なんか夜に寝そべって星空見てるみたいだろ?」
「あ、良いっすね!トオル、ナイスだ!」

皆が急に盛り上がり始めた。部長が俺を睨んでいる。
い、いや・・・違いますよ・・・取った訳じゃ無いです・・・
俺は部長のプレッシャーに耐え兼ね続けて言った・・・

「あ、ついでに・・・プリンも販売・・・しましょうか・・・」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:38:40.52 ID:AY5NcWhco<> 九月も終わり、暑さは続いたが夜風は涼しくなる。

体育祭の本番前日にユイとリコさんに衣装を渡された。
「はい、これ!」
走る男子五人に衣装を配る。

部長は牡牛座で牛の格好。まあ、牛の着ぐるみ。
向井さんは射手座。ケンタウルスの格好で筋肉隆々の向井さんに、よく似合う。
足の馬の着ぐるみに綿を詰めたのだが、それが妙にリアルで気持ち悪い。

そう正直に言うと向井さんの矢で射られた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:39:31.46 ID:AY5NcWhco<> ヨウイチはオリオン座で腰に布を巻いた姿だ。
イケメンは何を着ても似合うな、おい。
サモハンは蟹座。頭に蟹の着ぐるみを付けただけだ。

そして俺は結局・・・蛇使い座だった。なんか微妙過ぎて嫌だ。
ヨウイチのオリオン座と衣装被ってるし。
「明日、蛇を持ってくるからな」
向井さんかそう言って笑う。
「オモチャの蛇ですよね?オモチャですよね?」
俺の言葉に向井さんは笑うだけだ。

超不安! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:40:37.43 ID:AY5NcWhco<> 当日、俺はクラスでは二人三脚に出場する。
まあ、八チーム中、四位の詰まらない結果だった。
ヨウイチはリレーに出て一位になり、クラスの女子からキャーキャー言われる。
なんだよ、このイケメンは。

昼休みを挟み、いよいよクラブ対抗リレーが来た。
「さあ、お前ら行くぞ!!!絶対に一位になんぞ!!」
向井さんがそう言う。
「いや、運動部も居るから無理っしょ・・・」
俺がそう言うと向井さんの後ろ脚で蹴られた。

「絶対に勝つんだよ!!もしも、一位になれなかったら・・・」
「なれなかったら・・・?」
「グランドに埋める」

ガチだー・・・この人、絶対埋める・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:42:36.55 ID:AY5NcWhco<> 「お、そうだ、トオル」
向井さんが紙袋を取り出す。
「え?」
「ほれ、これ持って行け」
「なんすか?これ」
俺は紙袋を開けた。
「蛇のマー君」
かなり大きな蛇が入っていた。
「よく、出来てますね・・・これ・・・」

「ああ、本物だからな」

全員が向井さんを見る。

「ガチかよ!!!」

「ほれ、早く首に巻き付けろ」
向井さんはそう言って蛇のマー君を取り俺に巻き付けようとする。
「無理!!絶対に無理!!マジで辞めて!!」
「大丈夫、青大将だから噛まれても死なないから」
「嫌だー!そんなテレビに出て来る爬虫類好きの人みたいな事は出来ないー!!」
「大丈夫だって」
「やだー!!!」

・・・結局、マー君に紐を付けて一緒に並走する、と言う事で許してもらった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:43:32.66 ID:AY5NcWhco<> 『それでは、クラブ対抗のリレーを始めます!出場される方はスタート位置に御並び下さい!』
アナウンスが流れ、俺達は位置に着く。
第一走者のサモハンが蟹の着ぐるみを被りスタート位置に立った。
俺は第三走者だった。
考えたらサモハンは運動神経抜群だ、そして第二走者の部長も同じく・・・
そしたら俺が少々抜かれても大丈夫だろう・・・
俺がそう思っているとアンカーの向井さんが俺の後ろで呟く。

「抜かれたら、コロス」

いやーん・・・命の危機。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:44:38.40 ID:AY5NcWhco<> 俺の前の観客席からユイとリコさんが手を振る。
「頑張ってー!トオルくーん!」
うはっ、益々負けれねえ。

スタートのピストル音が響き第一走者が走り出した。
頼む、サモハン!・・・が、いきなり最後だった。
おそっ!!
そうだ、奴は陸上競技が苦手なんだった!!

「サモハンは、焼豚にする」
向井さんの呟きに俺は焦る。
第二走者の部長に一番最後尾でバトンを渡す。

ヤバいー!!!
が、部長はいきなり順位を上げて、真ん中位までやって来た! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:46:00.75 ID:AY5NcWhco<> 「トオル!分かってんだろうな!もしも・・・順位を下げたら・・・」

向井さんのプレッシャーに俺はテンパった。
そして、ランナー待機所に行くといきなり、

「うおおお!!!」

と叫びながら・・・マー君を振り回し始めた。

「な、なんだー??」
「お前、それ本物じゃねーか!!」
「ヤメロ!振り回すな!!」

だが、俺の耳には届かない。
そんな非難よりも、向井さんの方が怖かったからだ。
皆がビビっている隙に部長からバトンを貰う。

「ナイスだ!!!トオル!!!行けー!!!」

俺はマー君を振り回しながら走った。周りがビビって追い掛けて来ない。
誰にも抜かれる事がなく俺は次のヨウイチにバトンを渡す。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:46:53.56 ID:AY5NcWhco<> ヨウイチは一気に順位を上げて、向井さんにバトンを渡した!
向井さんはケンタウルスの着ぐるみを付けているにも関わらず、凄い速さで順位を上げる・・・!

なんだ、この超人は・・・!!

だが、如何せんケンタウルスの格好では運動部の猛者共を抜く事が出来なかった。
結局、四位でフィニッシュ。

だが、文化部ではダントツの一位だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:48:33.64 ID:AY5NcWhco<> 「お疲れ様〜凄かったね!みんな頑張った!」

俺達が帰って来るとユイは嬉しそうに言った。
「くそっサモハーン!」
向井さんがサモハンを呼ぶが奴の姿は既に無かった。
「アイツ、どこに行きやがったー!!」
「なんか、さっき公文に行く時間だから帰るって言って消えました」
ヨウイチが答える。

「焼豚、決定だ!!」

向井さんの遠吠えが響いていた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:49:29.12 ID:AY5NcWhco<> 体育祭も終わり、サモハンの焼豚祭も終わると季節は秋になり、今度は文化祭の準備に忙しくなる。

「プラネタリウムの演出って難しくない?」
第五回天文部最高機密会議に於いてリコさんより提議が上がった。
「うーん、どうなんだ?ユイ」
向井さんがユイに尋ねる。
「色んなプラネタリウムがあるよ、面白いよ〜」
ユイが目を輝かせながら言う。
プラネタリウム好きなんだろうな・・・俺はそう思った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:50:44.39 ID:AY5NcWhco<> 「皆、どんなのか覚えてる?」
部長の質問にユイだけが挙手してプラネタリウムの魅力を語り出した。
カワイイなこの人。
「あ、ユイは・・・ちょっと黙っといて・・・」
リコさんが困った顔で言う。
「えー・・・」
ユイが拗ねた。カワイイわこの人。

「あ、あの・・・」
俺が挙手をする。
「俺、プラネタリウムに行った事が無いんすよ・・・だからイメージがつきにくい、って言うか・・・」
「マジかよ、お前」
全員が少し驚く。
「毎度、すみません」
俺は頭を下げた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:52:05.69 ID:AY5NcWhco<> 「まあ・・・一回、見た方が良いかもな」
向井さんの言葉に皆が頷く。
「あ、じゃあさ、一回皆で見に行こう!」
ユイが目をキラキラさせながら言う。

「ん〜・・・よし、じゃあユイ、トオルを連れて行ってやれ」

向井さんの言葉に俺は驚いて目を大きく広げる。

「うん!行く行く!トオル君、私が案内してあげるよ!どうする?今週行く?」



・・・マジ?
皆がニヤニヤしながら俺を見ていた。




マ、マジかー!!!!!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:53:10.89 ID:AY5NcWhco<> プラネタリウムをユイと見に行く前日、天文部第二拠点に天文部男子が全員集合した。

「良いか?今、お前はノーマークでゴール前にボールが転がって来たんだ」
向井さんの言葉に俺は頷く。
「絶対に決めろよ!トオル!」
ヨウイチが身を乗り出して俺を見る。

「飯はどこに行くつもりだ?」
サモハンが聞いて来た。
「え?やっぱり・・・ご飯を食べに行った方が良いの・・・?」
「当たり前だ、この野郎!飯を食わずに何がデートだ!お前の食いっぷりで、相手はお前に惚れるんだ!」

サモハンの気迫を感じた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:54:13.27 ID:AY5NcWhco<> 「いや、サモハンの言う事は当たらずとも遠からずだ・・・良い雰囲気の店に連れて行くのは大事だ・・・ヨウイチ、どこが良い??」
向井さんの言葉にヨウイチの目が光った。
「良い店を紹介しよう!後は誘い方だ。『腹減りましたね、どっかで食べません?』と軽く言うんだ『美味い店、知ってるんで行きましょう』と、これも軽く言う・・・良いか?とにかく軽く、がキーワードだぞ!」
「どうする?なんか作戦名決める?」
「とにかく、飯を食ったらボーリングにでも行け!な?」

部長の意見は遥か彼方に流されて行った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:55:18.22 ID:AY5NcWhco<> 俺はイロイロ言われたので必死にメモをしようとするが、ヨウイチにメモを蹴られた。

「メモを取るな!体に叩き込め!」

いつもの優しいヨウイチはどこへ・・・
「作戦が敵にバレたらどうする?!・・・所で、やっぱり作戦名決めない?」
「一回、一回メモ見てたら、引くからさ、叩きこんどくんだよ」

部長の意見は綺麗に流れて行った。

こうして俺は皆の支援の元で・・・生まれて初めてのデートに臨んだんだ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:56:03.41 ID:AY5NcWhco<> デート当日、待ち合わせは11時にも関わらず、朝の5時に目が覚める。
ちなみに寝たのは昨晩の1時。殆ど眠れないまま夜が明けた。

とにかく昨日教わった事を復習して朝飯を食べた後にシャワーを浴び念入りに体を洗う。
まさか俺に・・・こんな日が来るとは・・・
二回目の歯磨きの際に俺は思った。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:57:55.66 ID:AY5NcWhco<> 歯を磨き終わり、服を着替え髪型をセットしても、まだ八時にもなっていなかった。
おいおいどうすんだよ、残り時間・・・
俺はそう思い、ベッドに寝転がると今日の復習を再度する・・・
え〜っと・・・


俺が気が付いた時、時刻は十時半をさしていた。
おれはすぐに起き上がり周りを見る・・・

しまった!!寝てた!!

急いでベッドから出て、用意をして慌てて外に出た。

やば〜い!!!
駅前に到着した時、時計の針は十一時十五分を指している。

うわあああああ!!!!大失態だ!!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:58:51.18 ID:AY5NcWhco<> すぐにユイの姿を探すが、どこにも居ない。

どこに行った???ヤバイ・・・怒って帰ったのか・・・?

俺が辺りを探していると「旦那、良い子はいましたかい?」そう後ろから声が聞こえた。
その声は誰かすぐに分かる。
俺は振り返るとすぐに頭を下げた。

「すみません!!遅くなりました!!」

そう言ってゆっくり頭を上げながらユイを見る。
「もう!いつも早いトオル君が遅いと心配しちゃうよぉ」
ユイがホッとした表情を浮かべながら俺を見る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 09:59:47.13 ID:AY5NcWhco<> 「本当にすみませんでした・・・」
「大丈夫?なんかあった?」
「いや・・・実は、高いビルとビルの隙間に挟まってしまいまして・・・」
「え?何それ?」
「すみません・・・冗談です・・・二度寝を大々的行っていました」

ユイはクスリと笑った。

「トオル君、変わってる・・・」

いんやぁ・・・やく言われますぅ〜デヘヘ・・・
俺は非常にニヤけた・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:00:54.67 ID:AY5NcWhco<> プラネタリウムに到着して俺達は中に入った。
真っ暗の中で座席に座り天井を見る。

「うわあ・・・もうこの雰囲気大好き・・・」

ユイがワクワクしながら言った。
俺は暗闇でユイが隣に居ることが一番ドキドキする。
ユイの良い匂いが俺の側に来るだけで、もう・・・デヘヘ・・・

プラネタリウムの上映が始まった。
アナウンスの女の人の声が星座の説明を始める。
中々飽きさせない演出だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:02:08.59 ID:AY5NcWhco<> 上映が終わり、外に出ると太陽の光が眩しく感じることが出来た。
「面白かったね〜」
ユイが笑顔でそう言った。
「ちょっと・・・感動しました・・・」
俺がそう言う。実際に感動した。星の歴史、宇宙の広大さを感じる事が出来たからだ。
「でしょ!宇宙って凄いよね〜・・・」
ユイが空を見上げる。
「なんかさ・・・こうやって私らが居る事も宇宙の歴史から見たら・・・一瞬の時もないんだよ・・・」
「なんかの本で見た事があるんですけど」
「うん?」
「宇宙が広くなり続けるが為に生物には死があるって・・・」
「それは一個の個体では進化が完了しないって事?」
「そうっす、だから生物は死ぬことによって種の伝道を行うって」
「なんか興味深い話だね」

俺とユイはそんなロマンチックとは掛け離れた話をしながら町を歩いていく。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:03:16.99 ID:AY5NcWhco<> その時ヨウイチ達の話を思い出した。
ああ、そうだ・・・飯を食いに行くんだった・・・
俺は急に緊張してユイとの話がトンチンカンな受け答えになる。

「あ、あの・・・ユイ・・・さん」
「え?」
「いや・・・えっと・・・その・・・」
軽く言うんだ・・・軽く・・・

「腹減ったから飯でも食べますね」
「・・・え?」

あれ?なんかおかしいぞ・・・俺は頭を抱えだした。
違う!!これじゃあ、俺一人でマックに行って一人で食べて来るからちょっと待っててみたいな感じになっとるじゃないか!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:04:13.01 ID:AY5NcWhco<> 「いや!!違うんです!!その・・・一人じゃないっす二人で行ってきます!!」
「・・・え?」

いっかああああん!!!
これじゃあユイと全く違う第三者が存在していて、お前一人だけ待っとけよ、俺はソイツと食べてくるからな、みたいで、しかも第三者って誰だよ!!

俺は頭を抱えてしゃがみこんだ。
「・・・あ、うん・・・大丈夫トオル君・・・意味は通じてるから・・・」
ユイが俺を慰め始めた。
ホントにすみません・・・ダメダメ人間で・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:05:02.34 ID:AY5NcWhco<> 「・・・でも・・・」

ユイが口ごもる。俺はユイを見た。

「私・・・ちょっとご飯を食べに行くのは・・・」

そう言ってユイが下を向いた。
がああああん!!!断られたぁあああぁあ!!!!想定外!!
が、考えたら想定外ってなんだよ。
俺はどんだけ自分に自信があるんだよ・・・

度重なる出来事に俺は少し呆け始めた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:06:05.52 ID:AY5NcWhco<> するとユイが少し恥ずかしそうに俺を見た。

「・・・私、ちょっとお金をあんまり持ってないから・・・だから・・・ゴメン、ご飯は無理・・・」

そう言って下を向く。
あ・・・そういやユイの家は母子家庭だ。
確か最初に会った時に家計を助ける為に仕事をしてたんだっけ・・・

「あ、気にしないで下さい・・・俺が払います・・・今日プラネタリムに付き合って貰ったし・・・そのお礼に・・・」

俺がそう言うとユイは慌てて首を横に振る。
「駄目だよ!!後輩に奢らせるなんて出来ない!!」
いや、それはそれで男として見て貰ってないのかとショックなんだが・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:07:14.18 ID:AY5NcWhco<> 「それに、トオル君は一人暮らしじゃない・・・大変でしょ?」
「あ、でも何とか食べていけてるんで」
「だ〜め!ただでさえ今年の夏は使ったでしょ?」
「ま、まあ・・・」

確かに結構色々金はかかる。
なんか急に現実感溢れる話になってきてしまった。
俺がそう思っているとユイが慌てて言う。

「あ、ごめんね・・・なんか変な話になって・・・」
「あ、いや・・・こっちもすみません・・・」
「ご飯・・・せっかく誘ってくれたのに・・・でも、ありがとう!嬉しいよ」

そう言ってユイはニッコリと俺に微笑んだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:08:16.31 ID:AY5NcWhco<> その笑顔を見ると俺はドキっとした。
そして、思わず言葉が出てしまった・・・

「あ・・・じゃあ、俺ん家・・・来ません?俺が作って・・・ご馳走します・・・」

・・・あれ?俺、何を言ってるんだ・・・?
今、とんでも無い事を言わなかったか・・・?俺。

俺がそう思い、冷や汗が額から溢れ出す寸前にユイが口を開いた。

「ホント??トオル君の手料理??」

そう言ってユイの目が輝く。

え??乗ってきた??
乗ってきよったでええええ!!!!!

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 10:09:37.13 ID:AY5NcWhco<> 書き溜めは以上です。
それではまた! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/05(火) 10:12:17.76 ID:8xxfPYkbo<> 乙です。。

つづき、ドキドキしてきた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/07/05(火) 10:13:18.29 ID:t6SjV8w1o<> 焼豚をNGワードに入れてるせいでトオルが全部透明に…orz <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/05(火) 10:44:41.79 ID:0oZtn84+o<> プラネタリウムデートとかもう羨ましすぎて <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)<><>2011/07/05(火) 11:02:51.09 ID:mzjzONwEo<> おつ!
やべぇ!盛り上がってキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 11:10:20.46 ID:Y/fCB17kP<> プラネタリウムデートは怒られた記憶しかない <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/05(火) 11:11:14.80 ID:70R5BxSIO<> 青春ドラマになってきたなぁ

こういうの大好きです <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/05(火) 11:14:38.57 ID:Ja6y2kCro<> トオルの文章、引き込まれるね。
続きを楽しみに待ってます。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/05(火) 12:15:27.88 ID:8xxfPYkbo<> >>443
kwsk <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 12:51:17.70 ID:Y/fCB17kP<> >>446
最後まで起きていられた試しがない

昼寝に最高だよあの空間 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 12:55:47.98 ID:WosBKv6mo<> >>446
寝たんじゃないか
あげく大いびきとか? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:08:52.03 ID:AY5NcWhco<> 少しだけ書いたので、そして今は時間に余裕があるので書き込みます <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:09:28.05 ID:AY5NcWhco<> 「グヘヘ・・・男の一人暮らしの家に来るとはな・・・グヘヘ」


・・・なんて言う事は、一応心の奥底では思ったが、俺の場合は実行する度胸が無い。
ユイも全くそんな危機とは思っていない様だ。
俺の家に向かう途中も俺に料理の作り方を色々聞いて来たからだ。
ユイに取って、あの当時は俺は弟みたいな感じだったのかもしれない。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:10:12.71 ID:AY5NcWhco<> 俺はユイと喋りながら、部屋は片付いていたか?あのエロビデはどこにしまったか?エロ本はどこだっけ?とか思いながら道中を進む。

家の前に到着した時に、俺はユイに振り返り言った。
「ごめんなさい・・・ちょっと待ってて貰えます・・・?」
「はーい、ユイはここで待ってまーす!」
そう微笑んでくれたので、俺は全力で部屋の汚物(エロ類)を片付ける。

僅か5分で片付け終わった俺は部屋の外に出た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:11:33.43 ID:AY5NcWhco<> 「あ、お待たせしました・・・」
「いえいえ、突然のお邪魔、申し訳ないです♪」
その言葉に笑いながら部屋に入るとユイが無邪気に呟いた。

「エッチな本とか隠してたの?」
ぬおあああああ!!!!バレてるー!!!!
「・・・え?な、なんで・・・」
「この前来た時にトオル君が買い出しに行ってる間に、部長と向井君が漁ってたよ」

あんの、二人はああああ!!!!!
「あ、大丈夫だよ、男の子は皆、持ってるんだよね?」
そう笑顔で言ってくれたので俺はホッとする。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:12:29.82 ID:AY5NcWhco<> だが・・・

「結構、年上が・・・好きなの・・・?」
「え?なんで?」

ユイの問いに振り返る。

「向井君が『人妻モン、ばっかだな・・・』って言ってたから・・・」
俺は壁に頭をぶつけた。
「あ、ゴメン・・・なんか・・・そう聞こえたから・・・」

ナース物や教師物も好きっす・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:13:14.75 ID:AY5NcWhco<> 「あ、ユイさんなんか食べたい物ある?」

座ってるユイに俺が尋ねると「あ、トオル君がいつも食べてる物が良い」
「ん〜、俺、野菜中心なんだけど・・・」
「あ、野菜料理良いね!でも男の子なのに珍しいね」
「あ、俺太りやすいから・・・肉はあんまり食べない様にしてるんだよ・・・」
「へー偉いなー、私も気をつけてるんだよねー」

そう言ってユイは自分のお腹をプヨプヨと触る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:14:37.50 ID:AY5NcWhco<> 全然太ってないし、ベリーナイスバディです!
俺がユイのお腹を見ているとユイが恥ずかしそうにお腹を隠して言った。
「も〜・・・見ないで〜」
ヤベッ可愛すぎてクラクラする・・・

俺が料理を作り始めるとユイが隣に来て言った。
「私も手伝うね」
「いや、良いよ・・・ユイさん座っといて」
「手伝いながら、トオル君の料理を覚えようと思って」
「・・・そう?じゃあ・・・冷蔵庫から玉葱を取って貰えますか?」
「ほい来た!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:15:32.75 ID:AY5NcWhco<> ユイが冷蔵庫を開けて野菜室を探す。
「あ・・・」
いきなり声を出した。
「え?」
「ねえ・・・ゴメン、あんまり私も詳しく・・・無いんだけど・・・」
「うん」
俺も冷蔵庫を覗き込む
「これって・・・冷やすものなの・・・?」

見ると、俺のエロビデ(教師物)が野菜室に入っていた。

そうそう、ヒンヤリと冷やさないとね・・・って、向井ー!!!!!!!!
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:16:46.25 ID:AY5NcWhco<> 俺達二人は一緒に料理を作った。
いや、もう凄い幸せ。
料理を作る前にユイが髪をアップにしてゴムで縛ったんだけどね、女の子のその仕種、サイコー。
うなじにドキッとした。

料理が出来、テーブルに並べ終わると席に着く。
「じゃあ・・・頂きまーす」
二人で手を合わせて食べ始める。
「あ、この野菜のお味噌汁、美味しい〜」
「ユイさんが作ってくれたサラダも美味いっす!」
「そう?ありがとう!」

二人で食べる食事が美味い事。なんか新婚さんみたい・・・
幸せ過ぎて隕石が落ちて来たらどうしようかと思った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:17:47.34 ID:AY5NcWhco<> これで「はい、アーンして」みたいに言われたら核戦争が起きちゃうんだろうな。
そんな事を思いながら、飯を食べ終わり後片付けをしようとすると「あ、私がするからトオル君は座ってて」そう言われ座らされた。

ユイが台所で俺の為に後片付けを・・・
神様はどこまで俺に幸せを与え続けるんだ、そう思った。

後片付けが終わり時刻は夕方になった。
なんか中途半端にご飯を食べたので、この後、どうすれば良いのか分からなかった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:18:44.75 ID:AY5NcWhco<> ユイは・・・いつ帰るんだろう?
帰って欲しくない。まだユイと一緒にいたい・・・
そう思うが何をして良いか分からない。
だが、ふと昨日ヨウイチからゲーム機を借りた事を思い出した。


ユイが台所から戻って来た時に俺は慌ててユイに言う。
「ねえ?ユイさんゲームでもする?」
そう言ってユイを見るとチラリと時計を見てから「あ、うん。しよっか?」

ユイと隣に座りゲームを始めた。
最初は少しぎこちない雰囲気が流れたが、次第に白熱し始める。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:19:55.25 ID:AY5NcWhco<> 「わー!勝った!」
ユイが喜びながら俺を見る。
「くそー・・・負けた・・・もう一回!」
「オホホホ・・・!何度でも来なさい!」
キャッキャッと言いながらゲームを楽しんだ。

「あ〜・・・負けちゃったー・・・」
ユイが悔しがる。
「勝ったー!!」
俺がガッツポーズを取る。
「きー!悔しいー」
「へっへーん、もう一回やります?」

俺の言葉にユイがチラリと時計を見る。その行為が苦しくなるんだ。

「あ・・・ゴメン・・・私帰らなきゃ・・・」
「あ・・・そうっすか・・・」

ズシンと来る言葉。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:20:55.00 ID:AY5NcWhco<> 「ゴメンね・・・今日はありがとう。楽しかったよ」
ユイがそう微笑む。
「いや、コチラこそ・・・楽しかったです・・・また、プラネタリウムに行きたいです・・・」
「うん!また行こう!」
そう言ってくれるだけで良かった。

ユイを送りに一緒に家を出る。
「もう、夜は肌寒いね」
ユイの言葉に頷く。
「今はなんの星座が見えるんでしたっけ・・・?」
「ベガスス座とかカシオペア座かな?ペガスス座の四角形を最初に探せば色々見つかるよ」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:21:52.69 ID:AY5NcWhco<> 「へー・・・ホントにユイさん星が好きなんですね」
「うん!大好き」
「将来、やっぱり天文台に就職したいんですか?」
「うん、夢だから・・・」
「なんかスゲエな俺なんかただ生きてるだけだもんな」
「えー、でも私からしたら一人で頑張って生きてるのって・・・凄いと思うよ」

ユイの言葉に首を傾げる。

「なんかね、そうやって生きるのが普通なんで、特に凄いとかは自分じゃ分かんないんすよ・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:22:51.73 ID:AY5NcWhco<> ユイが俺を見た。
「トオル君は・・・なんか夢って無いの?」
「夢っすか・・・?」
「うん」

ふむ・・・俺は考えた。

「有るには有るんだけど、ユイさんの夢に比べたらカスみたいなもんなんで」
「え?どんなの?」
「ん〜・・・いや、ホントに恥ずかしくて誰にも言った事が無いんすけど・・・」
「うん」

ユイのキラキラした瞳で見つめられると言わざるを得なかった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:23:38.24 ID:AY5NcWhco<> 「・・・家族を・・・」
「え?」

「あ、いや・・・その・・・普通の家族を持ちたいな・・・って」

ユイが黙って俺を見つめる。

「普通に仕事して、それで家に帰ったら・・・奥さんと子供が居て・・・そんで、子供を普通に学校に行かせて・・・弁当もね、自分で作らせたりしない・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:24:30.39 ID:AY5NcWhco<> 「春には家族でお花見に行って・・・?」

ユイが俺を見て呟いた。
「そう・・・そんで夏は花火大会を見ながら肩車をする・・・」
「運動会にも行って・・・ね?」
「そう、そんで俺が父親レースに参加してビリになって子供が泣いちゃうww」
「ちゃんと、事前に練習しないとww」

二人で笑った。

俺は夜空を見上げた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:25:29.26 ID:AY5NcWhco<> 「そんな夢しか無いんです・・・」

俺の言葉にユイは首を振る。

「それは・・・私に取っても・・・夢だな・・・」

ユイも夜空を見上げる。そして呟いた。

「普通に・・・生きるって、羨ましいよね・・・」
俺はユイを見た。
ユイも父親が居ない家庭で育った。

だから共感して貰えるんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:26:45.56 ID:AY5NcWhco<> 別に自分に対して可哀相だとは思わない。
そう言う運命だし、そう言う人生になってしまったんだ。
だから特に何にも思わない。だけど・・・共感してくれる人が居ないんだ。

当たり前の人生を恋い焦がれる気持ちってね、皆、あんまり分かんないと思うんだ。
いや、分かってくれとは思わないし、同情も要らない。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:27:29.68 ID:AY5NcWhco<> ただ、気持ちを共感出来る相手に巡り会えた、って言うのは幸せなんだよ。
それが好きな人なら、尚更なんだ。

だからさ。
そんなユイの横顔を見ていたらさ、俺はその時に思わず言っちゃったんだよ・・・

「ユイさん・・・」

ユイがゆっくり俺を見る。




「俺・・・ユイさんが好きです・・・!」




ユイは大きな瞳を更に大きく開いていた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/05(火) 18:28:29.30 ID:AY5NcWhco<> 調度良いところで用事が出来ました、そして書き溜めも以上ですww
すみません、毎度、こんな感じで終わってしまってww

それでは! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/05(火) 18:36:42.98 ID:4JzWJ6tAO<> おおっと。
2回目があるとは!

しかもいいとこで終わって……。
明日も待ってるぞ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/07/05(火) 18:42:24.85 ID:az3FPOV9o<> 乙!
気になる終わり方しやがって・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/05(火) 18:43:24.93 ID:bu+csipAo<> リアルタイム遭遇しそこねた
しかし焦らしの上手いトオルだなww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/05(火) 18:52:15.56 ID:tE7XpgLKo<> 同い年ってわかっているのに敬語を使うって不思議な感覚だな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)<>sage<>2011/07/05(火) 19:02:44.06 ID:t6SjV8w1o<> こ・こ・で・や・め・る・か… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)<>sage<>2011/07/05(火) 19:07:37.26 ID:N9ogfFgRo<> 毎回いいとこで終わりやがってwwwwww


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/05(火) 19:12:51.04 ID:ttRD0E6AO<> お疲れ様

まさか職場でホロリするとは… 不覚;; <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 19:52:17.27 ID:Y/fCB17kP<> ここで終わらせんなゴルアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/07/05(火) 19:53:33.72 ID:jQxmk7/Ro<> いつもいいとこで止めるなぁ( ´_ゝ`) <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 20:15:48.32 ID:m2fib0Tyo<> いつもありがとう
毎日見てます、からだ壊さんようにね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 20:42:16.53 ID:tZfAUxbDO<> 野菜室にエロビが入ってたのは何故??ww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/05(火) 21:08:24.10 ID:w63ZoUBdo<> >>480
チョコボール氏のいたずらだろ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/07/05(火) 21:33:07.03 ID:c0p3C5x6o<> トオルは焦らしマスターww
次回も楽しみにしてる! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/07/05(火) 22:42:44.30 ID:ddjgiozYo<> リア充ううううううううううううう!!!!!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 04:49:01.76 ID:HyED8BpbP<> サモハンの焼き豚祭りのエピソードもできたらKwsk <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:43:25.60 ID:9AnYTlYro<> おはようございます!本当につまらないテレビ番組の様な引きを使って申し訳ないww

>>484
それは機会が有れば書きますが、正直大した話じゃないっすww

先に続きを書きます。
て、言うか俺の文章は本当にダラダラだ・・・要点がまとまってなくて申し訳ない
もっと先を急ぎたいんですが、自分自身で色んな事を思い出して中々先に進めないww

それでは、続きをどうぞ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:44:44.09 ID:9AnYTlYro<> デートの 翌朝、俺はフラフラになりながら学校へ向かった。
「おーっす、トオル!」
ヨウイチに肩を叩かれ俺は振り返る。
「あ、ヨウイチか・・・うぃっす・・・」
そう言って手だけを上げた。
「どうした?元気無いな?」
「そうか?俺って生まれた時から、このテンションだったぞ」
俺はそう言って歩き続ける。ヨウイチは少し黙った後に俺に聞いてきた。

「で・・・昨日はどうだった?」
ドキッ。
「え・・・?」
「いや、昨日だよ」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:46:08.22 ID:9AnYTlYro<> 「あ、ああ・・・そうだな、最近ノリスケさん、あんまり出て来ないよな」
「いや、サザエさんの話はどうでも良いよ、ユイさんと出掛けたじゃん」

ドキッ。

「あ、ああ・・・だ、だよね・・・」
「なんだよ、どうしたんだよ?」

し、しつこい・・・俺は急に歩速を速めた。
「おい!どうした?!」
「さ、先に行くわ!」
「おーい!!」

ヨウイチが俺の名前を叫んでいるのが遠くに聞こえた・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:47:14.85 ID:9AnYTlYro<> 前日、告白した瞬間に二人とも黙ってしまった。
俺は言った瞬間の後悔とそして、何故か高翌揚感を感じた。

ユイは一旦下を向いてそのまま黙ってしまう。
そして、何故か「・・・アハ・・・」そんな変な笑みをこぼした。

俺はもう、後には引けない・・・そう思い、再度告白の言葉を伝えた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:48:21.91 ID:9AnYTlYro<> 「ユイさん・・・好きです・・・最初に会った・・・あの夏から・・・ずっと好きでした・・・」

そう言うとユイは顔を上げて俺を見る。その顔は赤く染まっているのが分かった。
俺の顔も大層赤く染まっていた筈・・・いや、凄く不細工な笑みを浮かべていたかもしれない。

まさか、自分でも今日告白するとは思ってはいなかった。
ユイは「・・・うん」そう言って目の前で手を両手の指先だけを合わせて再び下を向く。

そして・・・



「・・・ごめんなさい・・・」



そう呟いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:49:30.20 ID:9AnYTlYro<> うわあああああ!!!!

俺はムンクの叫びの様な表情になった筈。するとユイは慌てる。

「あ、今の『ごめんなさい』は、ち、違う・・・そうじゃなくて・・・その・・・」
そう言ってユイは髪を触りながら呟く。
「その・・・今まで・・・トオル君の気持ちに気がついてたのに・・・その・・・何のアクションもしなくて・・・その・・・」
気がついてたんだ・・・
「そう言う意味での・・・ごめんなさい・・・」
ユイは頭を下げた。俺は少しホッとして笑う。
「いや・・・俺がアクションを起こさないのに・・・俺が悪いんだよ・・・それは」

そして再び沈黙が生まれる <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:50:41.41 ID:9AnYTlYro<> 秋の夜風がユイの髪を揺らす。
風になびく髪が綺麗だった事を覚えている。

「・・・トオル君」

ユイが沈黙を破った。
「私ね・・・凄く嬉しいんだよ・・・」
「え?」
「こんな変な女を好きって言ってくれて・・・凄く嬉しい・・・」
「ユイさんは変じゃないっす・・・それなら俺の方がどんだけ変か・・・」

いや俺の場合は変と言うより変態か・・・
ユイは少し笑い俺を見た・・・


そして、返事をしてくれた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:51:45.90 ID:9AnYTlYro<> 「私は・・・このまま友達のままが・・・良い・・・」



ずどおおおおん・・・俺の中で色んな物が破壊された。
「気持ちは嬉しいし・・・トオル君の事は嫌じゃないよ・・・でも・・・」

俺は今すぐ異人さんに異国へ連れ去って欲しくなった。毛むくじゃらの異人さん。赤い靴を用意しておきます。
ユイは俺の目を真っ直ぐに見た。
そして俺に駄目押しをしたんだ。


「・・・ごめんなさい・・・」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:54:41.32 ID:9AnYTlYro<> その日の夜、俺は生まれて初めて一人で酒を飲んだ。
前に向井さんが置いていった日本酒を飲んでいた。
もちろんコップ一杯位だけどね。そして酔っ払って眠ったんだ・・・

翌朝目が覚めた時は最悪の気分だった。
そしてカーテンを開けながらボーっとした頭で思う。

そうか・・・俺、もう振られちゃったんだな・・・

そう思うと心がポッカリと開いた。
別にそんな決まりは無いんだろうが、ユイを好きで居たら駄目なんだ・・・そう思ったんだ。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:55:56.84 ID:9AnYTlYro<> 今までユイを目指して俺は行動して来た。
ユイと少しでも仲良くなりたい・・・
そう思って過ごして来た事がすべてなくなったんだ。

自分の高校生活が終わった気がした。もちろん終わって無い事も分かっている。
ただ、俺はユイと会うために高校に入った。

なのに・・・もう、それも終わっちゃったんだ・・・

すると、自然に涙が零れて来た。
全てを失った今、何をすれば良いんだ・・・
その気持ちで一杯になったんだ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 08:59:43.51 ID:9AnYTlYro<> 朝にそのままヨウイチにそんな気分で会って、思わず逃げてしまったんだよ・・・

ヨウイチから逃げた俺は昼休みまでヨウイチから逃げた。
だが、昼休みになるとリーサルウエポンに捕まる。

「とおおおるううう!!!!!」

向井さんが一年の教室までやって来たのだ。
俺は一目散にベランダに行き、隣の教室に逃げる。
だが、そこには「ククク・・・来ると思ったよ」そう言って部長が立ちはだかっていた。
俺は反対方向の教室に逃げようとすると、サモハンがコーラを飲みながら待っている <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:01:02.56 ID:9AnYTlYro<> うわあああ!!!!!
そしてそのまま後ろから来た向井さんに取り押さえられる。
「めしとったりいいいいい!!!!」
俺は紐でグルグル巻きにされて部室へと連行された・・・


「吐けえええええ!!!!」
向井さんは俺にスポットライトを顔に当て、机を叩いた。
すると部長が向井さんの肩を叩く。
「まあ・・・待て、そんな高圧的じゃ・・・喋るものも喋れねえ・・」
そう言って俺の前に座ると「・・・お袋さん・・・元気か・・・?」そう尋ねてきた。

死んでいねえよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:03:14.60 ID:9AnYTlYro<> 俺はもう面倒臭くなり、前日の出来事を詳細に皆に語った。

最後まで語り終えると全員が顔を見合わせる。

そして部長は眼鏡を押し上げると俺の肩をポンと叩き部室から出て行った。
サモハンは俺の前に板チョコを一枚置いて出て行く。向井さんは「まあ、あれだ・・・三十回位生まれ変わったら良い事がある・・・」
そう言って出て行った。先なげえな。
ヨウイチは一人残り頭をかくと、「スマン・・・なんか無理に言わせて・・・」そう言ってくれる。
俺は苦笑いを浮かべ「まあ・・・こんなもんだろ・・・」
そう言って溜息をつく。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:03:44.25 ID:9AnYTlYro<> ちょっとまってて <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:14:13.51 ID:9AnYTlYro<> お待たせ。続き

五時間目が始まり俺は教室の窓から外を眺めた。
ああ・・・終わったな・・・秋の空を眺めて思った。
昔の失恋よりも大きな穴が心にポッカリ開いた気がしたんだ。
何もする気が起こらない。このまま授業をサボリ、どこかへ行きたかった。

ユイと顔を合わせるのが辛かった。
天文部もどうでも良い・・・そうとさえ思った。
だけど、このまま一人になりたくない・・・そんな矛盾も感じる。

授業が終わると部室に行く事なく、俺は学校を出た。
ヨウイチも何も言わない。察してくれたんだろう。
俺は一人トボトボと家路に着くが家にも帰りたくなかった。
仕事にそのまま向かう。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:15:45.45 ID:9AnYTlYro<> 事務所に到着すると石田さんが声をかけてきた。
「おう、トオル!どうした?しけたツラして!ユイちゃんに振られたか??」
俺はその一言で溜息をつく。
「え・・・まさか・・・」
石田さんが焦るがどうでも良い。
俺は着替え現場に向かった・・・


仕事が終わり自宅へ到着すると自宅の前で天文部男子メンバーが立っていた。
俺は少し驚くが・・・なんかベタだな・・・そう思った。
向井さんが代表して俺に言う。

「こう言う時はな・・・古来からする事が決まってるんだ・・・」
「え?」

酒が入ったビニール袋を俺に見せた。
「飲んで忘れる!」
俺は思わず笑ってしまった。


ベタでも・・・仲間って良いな・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 09:16:17.48 ID:DuNM0ERdP<> トオルきてたあああああああああっ!!!!!


これ読んでるとマリアのやつ思い出す <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:17:54.42 ID:9AnYTlYro<> 酒を飲んで皆で騒いだ翌日、目が覚めると俺の部屋で全員が寝ていた。
少し気だるい感じが残っているが、前日の朝よりも気分は幾分ましな気がした。
確かに俺は目標がなくなったかもしれない。
そしてユイへの思いは断ち切られたかもしれない。
だけど、元々俺には何も無かった。
今までの人生で俺には何も無かったんだ。

だけど、今は違う。

そう思い俺は寝ている皆を見た。
今の俺は・・・何も無い奴じゃないんだ・・・


今の俺には・・・『仲間』が居るんだ・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 09:18:33.90 ID:DuNM0ERdP<> ルフィか <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:19:50.44 ID:9AnYTlYro<> 俺はベッドから起き上がると皆を起こす。
「おはようございまーす!朝ですよ!」
俺が元気に声をかけると皆が起きた。
そして向井さんは俺を見ると「ふん」と鼻で笑う。
「なんだ・・・元気になりやがって・・・つまらん」
向井さんの言葉に俺は笑った。照れてるくせに・・・!

俺の家のパンを食べながら学校へ向かう。
「あ〜さみいな、朝は」
ヨウイチが肩をすくめた。
「布団もかけずに寝たからかな〜なんか頭が痛い」
「いや多分二日酔いかと・・・」
部長の言葉に俺が答える。
「今度から人数分、布団を用意しとけ」
向井さんがパンを頬張りながら言った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:21:16.05 ID:9AnYTlYro<> サモハンがパンを食べ終わる。
「トオルのシュガートースト・・・美味いな・・・おかわり」
「ねえよ!」
差し出すサモハンの手を叩いた。
「あ、そうだ、今日からプラネタリウム作りしないと駄目っすね、部長」
「ああ、そうだね・・・文化祭まで日が無いもんな」
「よーし、授業終わったら最高機密会議すんぞ」
「いつも思うんですけど、機密ってなんすか?」
「ククク・・・機密を漏らした者は・・・」
「うお!やべえ、もうこんな時間だ!」
「急ぎましょう!」
「誰か・・・たまには僕の話をきいてくれよ・・・」

俺達は学校へと走った・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:22:17.06 ID:9AnYTlYro<> 放課後から文化祭に向けてプラネタリウム作りが始まった。

ユイが部室に入って来た時、一瞬ドキッとした。
ユイも少し気まずそうにしている。
部員全員にも一瞬緊張が走ったが、俺が普通に「ちわっす!」と言った事で全員の緊張がほぐれた。

皆に気を使わせる訳にはいかないからだ。
ユイも緊張した笑顔で「ちわっす・・・」そう言ってくれたので全員がホッとする。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:23:13.73 ID:9AnYTlYro<> 文化祭まで日が無い為に急ピッチでプラネタリウム作りが進められた。

作業しながら俺はユイをチラチラ見てしまう。
その度に「駄目だ」と自分に言い聞かせた。
そしてプラネタリウム作りをしている時に、いつもユイと見に行ったプラネタリウムを思い出してしまう。

あの時はまだ幸せだった。こんな風になってしまうなんて夢にも思っていなかった。
そう思うと悲しくなってくる。
だけど、現実を受け入れないといけない・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:25:15.55 ID:9AnYTlYro<> 俺は作業に没頭する事でそんな思いを断ち切ろう・・・そう考えていたんだ・・・
幸い、部室にユイと二人きりになる事はなかった。だから、少し安心できた。

そして・・・時は過ぎ去って行った・・・

ある日、俺が作業をしているといつの間にか誰も部室に居なくなっていた。
それぞれが役割分担をしているので、そんな事はある。

するとリコさんが部室に入ってくる。
「あれ?トオル君一人?」
「はい」
俺がそう答え再び作業に移る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:26:21.66 ID:9AnYTlYro<> 「ふ〜ん・・・」
そう言ってリコさんは俺の側に来ると「はい」と言って缶コーヒーをおいてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ちょっと休憩したら?」
「はい・・・」
俺は缶コーヒーを開けて椅子に座った。

「もう少しだね〜文化祭」
「そうですね〜なんか楽しいっす」
「そう?」
「はい・・・皆で一つの事を作り上げるのって初めてなんすよ」
「そっかぁ・・・」

リコさんはコーヒーを飲みながら答えた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:27:53.98 ID:9AnYTlYro<> 「ねえ・・・」
「はい?」
「トオル君振られちゃったの?ユイに・・・」
「ブホッ!!!」

コーヒーをむせた。

「え??なんすか??」
「いや・・・そう聞いたから・・・後、鼻からコーヒー出てるよ」

マジかよ。

「まあ・・・俺なんかがユイさんを落とそうなんて、言うのが無理だったんでしょうね・・・」
「ん〜・・・」

リコさんは返答に苦しんでいた。
まあ、そりゃそうか・・・本人の前ではズバリと言いにくいわな。

俺は鼻から出てるコーヒーを拭う。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:28:53.27 ID:9AnYTlYro<> リコさんは何かを思案している。
なんだ?
リコさんは俺を見ると何かを決心した様な表情を浮かべた。

「トオル君・・・秘密・・・だよ?」
え?
「あのね・・・トオル君はユイに振られた訳じゃ・・・無いと思う」

??!!

「私、ユイと小学生から一緒なのね・・・で、小さい時にお父さんを亡くしてるの」
それは知ってる。
「だからお母さんが働いてて、いつも明るいけどずっと寂しかったみたい・・・普通の家庭じゃないから」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:31:19.12 ID:9AnYTlYro<> 分かる。俺も同じだからだ。
「でね・・・」
リコさんは再び口を噤んだ。
何か言い辛そうだ。
再びリコさんは決心して言った。


「あの子の・・・お母さん・・・癌なんだ」


え・・・?「去年の夏に発見されて・・・それから手術やら入院やらで大変だったんだ」
俺は去年の夏の出来事を思い出した・・・それで・・・か。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:34:18.09 ID:9AnYTlYro<> 「今年の春までホントにバタバタだった・・・で、一応手術は成功してね、今はお母さんはなんとも無いんだけど・・・それでも色々お金が掛かったり、お母さんの仕事の事やらで・・・今年の春も休みがちだったんだ」
それで・・・今年の春、すぐに見つからなかったのか・・・

「でもね、お母さんはユイには普通の生活を送って欲しいみたいで・・・」
俺は缶コーヒーの缶を眺める。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:38:09.72 ID:9AnYTlYro<> 「ユイは部活を辞めようと思ってた・・・だけど私もお母さんに呼ばれて、一緒にユイを説得した。それで・・・ユイは部活を続けてる・・・だけど・・・」

リコさんは俺を見る。

「男の人と付き合ったり、とかは流石に無理みたい・・・だから・・・」

リコさんの言わんとしている事は理解出来た。
要は俺のことが嫌いでは無い・・・そう言う事ね・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:38:59.34 ID:9AnYTlYro<> 「トオル君・・・アナタはユイと境遇が似てる・・・」
俺はリコさんを見る。

「だから・・・私の勝手な思い込みだけど・・・アナタなら、ユイと付き合えるんじゃないかなって思ってたの」

俺は下を向く。そこから沈黙が流れた。
そこに部室の扉が開き、ヨウイチとサモハンが入って来たので話は終わった。
リコさんは俺にウインクをして「じゃあ」そう言って作業を始めのであった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:40:54.31 ID:9AnYTlYro<> 皆で作ったプラネタリウムが文化祭前日の夜に完成した。

「うおおお!!!すげえ!!」
「プラネタリウムだー!」

全員が喜ぶ。
「なんか凄いな・・・俺達」
ヨウイチの言葉に全員が頷いた。
「さあ、じゃあ前祝と行くか!!!」
向井さんが叫ぶ。
「それは・・・あれですよね・・・俺の家を明け渡せ・・・そう言う事ですよね・・・」
俺の言葉に「当然」そう言いのけられた。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:41:53.75 ID:9AnYTlYro<> やっぱり・・・
「まあ・・・諦めなさい」
リコさんがそう言ってくれる。
「大丈夫っす・・・小動物の宿命だと思ってるんで・・・」
俺はそう答えた。

「あ、ごめん・・・私、帰らないと・・・」
ユイがそう言った。
「そっか・・・じゃあ、気をつけてな」
向井さんの言葉に「ごめんね!」そう言ってユイが急いで帰る。

そうか・・・お母さんが心配なんだな・・・俺はそう思いながらユイの姿を見送った・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:42:50.62 ID:9AnYTlYro<> いつもの様に皆で騒ぎ、そして俺の家に泊まって行く。
俺は皆が寝てからも一人起きていた。
ふと思い立ち望遠鏡を持ってベランダに出た。そして星を見る。
「カシオペア座は・・・あれかな?」
よく分からない。ユイに聞いてみたいな・・・そう思った。
ユイに星の事を教えて貰いたい・・・
ユイと色んな話がしたい・・・
そして・・・ユイに会いたい・・・

俺は星を見ながらそう考えていた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:44:29.57 ID:9AnYTlYro<> 翌日文化祭が幕を開けた。
他の部活も色んな出し物をする。
俺のクラスの出し物はよく覚えていない。多分大した事はしてなかった筈。

朝からウチのプラネタリウムは大盛況だった。
「トオル君のプリン、大人気!!」
受付当番のリコさんが俺に言って来た。
そう、プラネタリウムの見学者にはプリンを配っていた。
一応部長の発案と言う事で。

俺が適当に考えたレシピで皆で作ったプリン。
まさかそれが大盛況だとは・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:45:42.79 ID:9AnYTlYro<> とにかく、追加でプリンを作るが間に合わない。
結局プリンは売り切れになったのだが、プラネタリウムの人気は続いた。

天井からダンボールで作ったスクリーンを回転させる。
そして、星の誕生から終焉までの流れを絵で説明するのだ。これはユイが考えた。
そしてユイがそれをナレーションする。
俺も本番を二回聞いたがユイのナレーションの声が暗闇に心地良いんだ。

一日目を終えた時に向井さんが「おい、これ商売になるぞ!!これで全国まわるぞ!!」そう言って興奮していた。
一日目は大忙しで他の出し物を見る機会が全く無かったんだ。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:46:38.07 ID:9AnYTlYro<> 二日目、段取りが分かり、俺達も客の捌き方が分かってきた。
順番で休憩に入ることも出来る。
「よし、じゃあ次、ユイとトオル休憩に行ってこい!」
向井さんが俺にそう叫んだ瞬間に「あ」と言う表情をして俺を見る。
俺は苦笑いしながら「大丈夫っす」と言うと向井さんは少し不安そうにしたが、「じゃあ・・・」と言って業務に戻る。

俺はユイと二人切りで部室の外に追い出された。
ユイが「どうしよう?」みたいな表情で俺を見てきた <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:47:29.18 ID:9AnYTlYro<> 「あ、ユイさん、一緒にヤキソバ食べに行きません?」
俺が誘うとユイはホッとした表情を浮かべ「うん」と頷いた。
ユイも気まずかったんだろうな。俺が普通のテンションだったので安心したんだろう。

俺はユイと二人でヤキソバを食べに行く。
その後も二人で色々見てまわった。凄く楽しかった。
体育館で軽音部のライブを聴いたり、演劇部の劇を見たり・・・

そんな感じで色々みてまわる。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:48:23.15 ID:9AnYTlYro<> 「ふう・・・疲れたね・・・」

俺達は体育館の裏にある木陰のベンチに座った。
「高校の文化祭って盛り上がりますね」
「そう?」
「まあ、中学の時は友達が居なかったんで、一人でつまらないってのもありましたけどww」
俺が笑って言うと「それ、笑うとこ?」ユイも笑って答えた。

体育館裏は人も少なく、正面側の賑わいが遠く聞こえる。
「文化祭の前日なんすけど・・・」
「え?」
ユイが俺を見る。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:50:04.16 ID:9AnYTlYro<> 「一人で星を見たんですよ・・・でも、なんかよく分からなくて・・・」
「そうなんだ・・・」
「今度、また教えて下さいよ、カシオペア座が全く分からないんすよ・・・向井さんに聞いたら『オペラ座?』とか訳の分かんない事言うし」
俺の言葉にユイが笑う。
「言いそうww」
「でしょ?」
二人で笑う。

「・・・良かった」
「え?」
ユイがスカートの裾を直しながら呟いた。
「トオル君が・・・元気になったみたいだし・・・あ、なんか私が言う事じゃ・・・ないか」
俺は思わず笑った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:51:11.40 ID:9AnYTlYro<> 「いやいや・・・心配してくれて嬉しいっす」
「・・・すごい、不安だったんだ・・・」
「え?」
「トオル君と話せなくなったら・・・どうしようって・・・」
「ああ・・・ちょっと前までは喋り辛かったっすww」
「・・・ごめんね」
「いや、もう全然!」

俺は笑いながら空を見る。そして呟いた・・・

「決めたんですよ・・・俺」
「え?」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:52:29.26 ID:9AnYTlYro<> 「ユイさんを好きで・・・居続けるって・・・!」




ユイはビックリした表情を浮かべた。
俺は笑う。
「あ、いや、えっとね・・・俺、小さい頃からキモい奴だったんですよ」
ユイは俺を黙って見ていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:53:37.85 ID:9AnYTlYro<> 「色んな痛い事もして、そんで友達も居なくて・・・両親もいない、オマケに特技もないと来たらね、人生を諦めるしかなかったんすよ」

俺はふと気がつきユイを見る。
「あ、悲しい話じゃないんでww」
だがユイは笑わない。

「でもね、それは諦めるんじゃなくて、ただ追いかける事や手に入れる辛さから逃げてただけなんですよね」

そうだ。俺は全てから逃げていた。
自分をキモいって諦めて何も努力をしなかったんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:54:24.98 ID:9AnYTlYro<> 「所がね、そんな時に出会っちゃったんですよ・・・」
俺はユイを見た。

「・・・ユイさんに・・・」

ユイも俺を見つめている。

「そこから俺は生まれて初めて努力をしました・・・必死になって・・・そんで、ユイさんに好かれよう・・・そう思ったんです。まあ独りよがりの努力ですけど」

俺の言葉にユイは首を横に振る。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:55:20.29 ID:9AnYTlYro<> 「だから決めた・・・いや、再確認したんですよ・・・俺はこのままユイさんを追い掛け続けよう・・・努力し続けようって・・・」

「・・・え?」
俺は少し照れて空を見た。


「俺は、アナタの為に、カッコよくなります・・・アナタの為に勉強します・・・アナタの為に金を貯めます・・・」
「トオル・・・君・・・」
「アナタが望む男に・・・アナタに見合う男になって・・・そして、いつかアナタを振り向かせてみせます・・・!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:56:11.46 ID:9AnYTlYro<> 「何年後でも、何十年後もアナタの為に頑張り続ける・・・そして・・・」
俺は顔から火が出そうだったが、決意の言葉を述べた・・・



「アナタと・・・俺の夢を叶えたい・・・!普通の・・・普通の毎日が過ごせる・・・『家族』を作りたい・・・!」



そう言った瞬間にユイは顔を下げた。
俺はと言えば顔が沸騰する位赤かった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 09:57:12.65 ID:9AnYTlYro<> これって、よく考えれば・・・プロポーズじゃないの・・・

ユイは下を見ている。

やべっ・・・引いたかな・・・流石に。
正直俺も自分で言っておいてなんだが・・・超キモイ・・・
だけど、ユイは・・・泣いていた。
顔を上げた時に鼻を啜りながら赤い目をしていた。
だが顔は笑っていた。
笑顔で泣いてくれていたんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/06(水) 10:00:01.57 ID:tU8QpbQLo<> うん、傍から見たらキモイなww
でも好きだ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 10:00:34.92 ID:9AnYTlYro<> しばらくユイは泣き、そして顔を上げると俺に呟いた。

「こんな・・・こんな・・・女で良いの・・・?」
「ユイさんだから、俺の人生を賭けたいんですよ・・・」
「・・・かっこつけすぎ!」
ユイは笑った。

「ねえ・・・」
「はい?」
「今は・・・まだ・・・トオル君の気持ちに答える事が・・・出来ない・・・」
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 10:01:59.98 ID:DuNM0ERdP<> 誰が見てもプロポーズですな <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 10:02:15.53 ID:9AnYTlYro<> 「大丈夫っす。さっきも言った様に何年でも何十年でも待ちますから」
俺が笑う。
「うん・・・でも・・・いつか私がトオル君の思いに答える事が出来る様になったら・・・ね?一つだけ・・・お願いがあるの・・・」
「え?」
ユイは俺に笑いかける。


「私より・・・先に死なないで欲しい・・・」
「千年先まで・・・行き続けましょう・・・!」

俺達は笑った・・・


そして文化祭は終わり、打ち上げは再び俺の家で行われた。
その時はユイも加わり全員で騒いだのだった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 10:04:23.69 ID:9AnYTlYro<> 以上です。いや〜昔の事とは言えなんか恥ずかしいww
ちなみに台詞は少し違うと思いますけど、内容はガチですww

皆さんが仰るとおり端から見たら頭がおかしい、ただのストーカーですねww

それでは今日はこの辺で・・・! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/06(水) 10:06:24.17 ID:O3atDQOOo<> 今は、今はどうなってるの? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 10:07:42.21 ID:DuNM0ERdP<> 乙


なんかスレ立てた理由が読めた気がするが 予想当たるかワクテカして待つお <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/06(水) 10:08:39.80 ID:n4nrAk4IO<> おつ!おつ!
ほんとに楽しみなんだよ〜更新
まだ話は続くんだよね?
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/06(水) 10:15:15.16 ID:9AnYTlYro<> >>537
それは、まだ話が続きますので、お楽しみにww
>>538
予想が当たるのを祈ってますww
>>539
ありがとうございます。
もちろん続きますよ
でも、早く書き上げたいんですけどね・・・中々、思い通りに行かなくて・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/06(水) 10:15:15.77 ID:2pIpAUyUo<> めぞん一刻だな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/06(水) 10:16:42.01 ID:wLcxUDvSO<> ニノと同じパターンだなこれわ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/06(水) 10:18:05.85 ID:n4nrAk4IO<> >>540
急がなくてもいいよー
まったり自分のペースでさ
更新あるか見るの日々の楽しみだからさ <>
◆mMITRHBp2ual<>sage<>2011/07/06(水) 10:18:37.84 ID:DuNM0ERdP<> >>540
予想書いとくか <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/06(水) 11:10:15.70 ID:890I29oIO<> パー速で久々に楽しいスレだ

ゆっくりで良いよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/06(水) 11:12:54.48 ID:mvUnS6q/o<> 毎日、ここを読むのが楽しみだわ。
次回を待ってますね。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/07/06(水) 11:17:32.33 ID:BMo1hu9Fo<> おめでとう <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/06(水) 13:52:10.21 ID:ueTETk5AO<> 乙です

大切な人がいなくなるってのは、本当に辛いよね
2人+αでこれからも頑張ってね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/07/06(水) 15:03:26.60 ID:3qJXiKQgo<> 続き待ってるぞおおお <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 15:47:07.54 ID:HyED8BpbP<> >>540
>>181でのやりとりでユイが
> 「ゴメンねえ・・・あんな人で・・・」
と言ってたことから、この台詞から推測して、ユイは向井のことが好きなんだと思ってた
だからトオルを振った時 ああやっぱりな と思ったけど、読み進めてみたら理由は別にあったのね

つまりこの台詞は釣り糸トラップだったわけでですねそうですね
テメーコノヤローww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 15:52:25.16 ID:A0iJZBKIo<> >>550
「ゴメンねえ・・・あんな人で・・・」って言ってのはリコじゃないのか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 16:03:48.93 ID:HyED8BpbP<> >>551
!!!
スマンずっと勘違いしてたわ…orz
指摘さんくす <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/07(木) 09:36:54.68 ID:iccHodAjP<> トオル召喚

↓ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/07(木) 10:01:24.94 ID:bIjiG+8Oo<> .          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
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                       ::,′    /:: ::|     |:: <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/07(木) 12:45:21.83 ID:Yof/ieToo<> トオル降臨期待sage <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:04:17.62 ID:yi/PLj9so<> お待たせしました。登場を期待して頂いて感謝しますが、幼女では無くてすみませんww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/07/07(木) 14:05:52.28 ID:H1xFYRaAO<> キターン <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:06:21.38 ID:yi/PLj9so<> 文化祭が終わり季節は冬になる。
そしてあっと言う間に期末テストも終わり、冬休みを迎えた。

クリスマスの日にユイを誘うか誘うまいかグダグダしている間にいつの間にか仕事のシフトが入っていた為に仕事に行った。
だが、家に帰る途中でトナカイの着ぐるみを着た向井さんとサンタの格好をした部長に拉致られた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:07:04.87 ID:yi/PLj9so<> 拉致られた先は俺の家で、いつの間にか作られた合鍵で家の中はクリスマスの飾り付けをされていた。
そこには天文部全員が勢揃いしており、皆でクリスマスパーティーをする。
無茶苦茶では有るが俺に取って初めて騒ぐクリスマスで楽しかったんだよ。

クリスマスが終わるといよいよ年末となり、俺が一番嫌いな季節だ。
何故かと言うと、仕事も休みで、普通の人は家族で正月を過ごすので俺の行く場所が無い。
去年は受験勉強に忙しかったので、何かを感じる事は無かったのだが・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:08:16.33 ID:yi/PLj9so<> 仕事納めの日に会社の事務所で納会をする。
皆が酔っ払い俺は石田さんを連れて帰らされるが、ジジイが騒ぐもんで、よっぽど捨てて帰ろうかと思ったよ。

仕事が休みになるといよいよする事が無い。
仕方なく柄にも無く勉強をしてみる。
お陰で宿題がはかどる、はかどる。

年内には全て終わってしまい、大晦日はマジで朝から晩までコタツに入ってテレビを見ていた。
すると家に電話が掛かって来た。相手はヨウイチだった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:10:11.89 ID:yi/PLj9so<> 「一緒に初詣に行こうぜ、サモハンも来るから」
そう言って初詣に行く事になった。
一年生三人で出掛けると言うのは珍しく、いつもは向井、部長コンビに言いようにあしらわれる俺達だが、その日は三人で平和に初詣をする事が出来た。

「いやー、新年早々平和だね〜」
年が明け初詣の賑わいの中で笑顔で俺が言う。
「そうだな〜、でも少し物足りなさを感じる俺は変になったんだろうか」
ヨウイチが悲しそうにそう言った。
確かに。何か物足りなさを感じる。この一年で俺達は間違いなく毒されていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:10:49.82 ID:yi/PLj9so<> その時、サモハンがヤキソバを食べながら言った。
「あ、向井さんだ・・・」

ビクッ!!俺とヨウイチは直立不動になる。

「あ、違ったな」サモハンが再びヤキソバを食べ始める。
「お前、脅かすなよ!!」
「辞めろって!そう言うのは!!」

サモハンを責めるがサモハンはニヤニヤしながらヤキソバを食べていた。

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:12:00.37 ID:yi/PLj9so<> 初詣を終えて朝まで俺の家で遊ぶ事になり、家に向かった。
「いや、でも新年早々はあの人達には会いたくねーな、やっぱり」
「確かに、学校が始まればどうせ虐められるしな・・」
そう言いながら俺の家に到着すると何故か鍵が開いている。
「あれ?」
俺がそう言うとヨウイチが聞く。
「どうした?」
「あ、いや・・・鍵が開いてるから・・・」
「え・・・?まさか・・・」
ヨウイチの顔が青ざめた・・・

泥棒・・・?いや、それなら、その方がマシだと思える・・・まさか・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:13:21.40 ID:yi/PLj9so<> 俺がそう思いながらドアを開けると俺の予感は的中した。

「メリークリスマス!!!」
パーン!!クラッカーが俺の目の前で鳴った。

向井さんと部長がサンタとトナカイの着ぐるみを来て俺の部屋でいた。
「な・・・何をしてるんすか・・・」
「そりゃ、お前クリスマスパーティだろう!!」
二人は騒ぐ。
「ええっと・・・俺の記憶が正しければ・・・一週間前にクリスマスパーティをやった様な気がするんすけど・・・」
「去年の話だろうが!!今年のクリスマスパーティだよ!!」
「はええええ!!!あと、十二ヶ月先じゃねーかあああ!!!」
俺の突っ込みに二人はカラカラと笑い出す。
何がしたいんだよ・・・新年早々・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:14:15.04 ID:yi/PLj9so<> 「まあ、冗談は置いといてだな・・・お前ら、そこに座れ」
向井さんが急に真面目な顔になる。
俺達はコタツに座った。
「部長より・・・重大発表があるんだ」
そう言われ俺達は部長を見つめた。部長はコホンと咳払いをした後に言った。

「・・・単位が・・・ヤバイ・・・」

は?俺達はキョトンとする。
「僕の単位が非常にヤバイんだ」
知らんがな。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:15:05.03 ID:yi/PLj9so<> 「えっと・・・どう言う事ですか・・・?」
「うむ、僕は選択授業で書道を取っているんだがね・・・」
部長は眼鏡をクイっと押し上げた。俺達の学校は芸術の授業は書道、音楽、美術の三科目から一教科を選択する。

「それが・・・欠点を取ったんだ」
「はあ???え???書道で欠点なんて有るんですか??」
「先生に『教師生活二十五年、こんな酷い生徒を持った経験がない』って言われた」

町田先生かよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:16:12.76 ID:yi/PLj9so<> 「え?なんで欠点取ったんですか?」
ヨウイチが最もな事を尋ねる。
「なんかね、思い出に皿に字を書いたり絵を描いたりする時間が有ったんだけどね・・・これを作ったんだ」
そう言って部長が俺達に皿を出した。

真っ白な皿に『プラレス三四郎』と書いてあるだけだった。

「先生からしたら、この製作に四時間を費やすつもりだったらしいんだが・・・まあ他の連中も四時間かけて製作してたんだけどね」
部長は自慢げに笑い呟いた。
「僕は八分で出来た」
「優秀です、部長・・・!」
向井さんが頷く。

いや、お前ら馬鹿だろ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:17:35.43 ID:yi/PLj9so<> 「他の皆の作品は市のコンクールに出品されたり、書道教室に展示されたりしたんだが・・・僕のは先生のテーブルの引き出しに入っていた・・・」
「おいたわしや・・・部長の芸術は百年先を行っている様ですね・・・」
向井さんが悲しそうに呟く。
サモハンが部長の皿にポテチを入れた。あ、ポテチが食べ易くなったね。

俺達はポリポリとポテチを食べる。
「あ、このキャラメルコーンも入れようぜ」
向井さんが部長の皿にキャラメルコーンも足した。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:18:28.46 ID:yi/PLj9so<> 「で?なんですか?」
俺がポテチを食べながら部長に聞く。
「とりあえず・・・ね・・・先生に言われたんだけど・・・」
そう言って何かの巻物みたいな物を出してくる。
「なんすか?これ」
「般若心経だ・・・これを写経して来いとのお達せだ!これをしたら単位をやると言われた」
「へー良かったっすね」
「でね、一応半紙に三十枚書かないといけないんだけど・・・」

「・・・まさか・・・」
「そう!!皆で協力して欲しい!!」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:20:27.71 ID:yi/PLj9so<> 「えーーー???!!!!マジっすか???」
「大丈夫!!一応僕もちゃんと冬休みに入り、やってきた!!だが、時間的にどうしても無理なんだ!!」
「あと何枚残ってるんすか?」
「二十七枚」

アンタは今まで何をしてたんだ。

「頼む!!皆助けてくれ!!」
そう言って部長が俺達を拝み始めた。
まあ、部長にも色々世話になってるし・・・俺達は仕方なく手分けして写経を始める。
「これ筆跡とか大丈夫なんですか?」
「大丈夫、途中で右手が骨折して左手や口で書いたって言い張るから」
大丈夫じゃねーよ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:21:21.84 ID:yi/PLj9so<> 「ああ・・・新年早々、写経かよ・・・」
ヨウイチが溜息をつく。
「くっそー・・・チマチマしてイライラすんぜ・・・」
向井さんがイライラして来た。
俺は作業の間何度かイライラした向井さんの鬱憤晴らしの為にコブラツイストと卍固めをくらった。

夜が明けて、明るい日差しが部屋に入って来た時に、俺達の作業は終わりを告げた。
「終わった〜・・・」
俺達は机に伏せる。
「皆・・・ありがとう!!助かったよ!!」

新年早々大変だったが部長が喜んでいたのが何よりだったよ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:23:14.84 ID:yi/PLj9so<> だが、新学期が始まり、二月になった時に・・・

部長の留年が決定した・・・
「ククク・・・他の教科も、欠点だらけだったの忘れてたよ」
サモハンが部長に豆まきの豆を投げつけていた・・・



部長の留年が決定した後、二年生の向井さんとユイ、リコさんが修学旅行に出かけた。
部長も一応三年生なので卒業式まで学校が休みで部室には俺と、ヨウイチ、サモハンの三人しか居ない。
「あ〜なんか静かだな」
「だよな〜」
俺達は部室でダラダラ過ごす。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:24:09.26 ID:yi/PLj9so<> ユイと一緒に修学旅行に行きたかった・・・だけどこればっかりはどうしようも無いな・・・

俺は部室の机に顔を伏せながら窓から見える二月の寒空を見る。
今頃ユイ達は何をしているんだろう・・・なんか寂しいよ。
俺がそう思った時に、ヨウイチが言う。
「そういや、もうすぐバレンタインだな」
その言葉に俺は「フッ」と鼻で笑った。
「なんだよ?」
「俺はお前みたいなイケメンじゃねーから、バレンタインなんか関係ねえ」
「いやいや、貰ったら貰ったで結構恥ずかしいもんだぜ?」
サモハンが珍しくヨウイチにバナナを投げつけた。
確かに投げられても文句を言えない台詞だよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:25:13.39 ID:yi/PLj9so<> 「でも、トオル・・・ユイさんから貰えるかも・・・だぞ?」
バチッ。俺の閉じていた目が開かれる。
「ま・・・まさか・・・」
俺は少し震える声で呟く。
「いんや、分からんぞ〜・・・」
ヨウイチがニヤニヤしながら言う。
俺は急にドキドキし始めたのだった・・・


修学旅行から二年生が帰ってきて先輩達が俺達にお土産を渡す。
「はい、これ私達から」
そう言ってユイとリコさんが俺達にお菓子をくれた。
「あ、ありがとうございます!」
すると向井さんが俺達に「ほれ」と言ってキーホルダーを渡して来た。
そのキーホルダーには『京都』と書かれていた。
「あれ?修学旅行ってどこに行ったんでしたっけ・・・?」
「長野にスキー」

京都って何?
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/07(木) 14:25:25.77 ID:Fu4FeYhIO<> 部長普通人かと思ってたけど、ただのアホだったw <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:25:54.41 ID:yi/PLj9so<> 俺は久しぶりに見るユイに見とれていた。
可愛いわ・・・やっぱ。バレンタインまで後、一週間。
ユイは俺に本当にチョコをくれるんだろうか・・・?
くれなかったらショックだけど、そこまでの関係なんだろうな、まだ。
そして俺は何故か嫌な事を考えた。
ひょ、ひょっとして別の奴にチョコを渡すとか・・・?
い、いやだぁああああ!!!!俺は一人で頭を抱えていた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:27:50.27 ID:yi/PLj9so<> >>575
あ、お気づきになられました?

続き
バレンタイン当日俺は朝からドキドキする。
学校に到着して先ずは下駄箱を開けた。
何も無い。まあ・・・こんな臭い場所には誰もチョコなんか入れんだろう。
て、言うかユイなら多分部室か、帰り際に渡すかな?
俺はそう思いながら教室に到着して机に教科書を入れる時に違和感を感じる。
あれ?なんか入れにくいぞ?
そう思い教科書を出して机を覗き込んだ・・・


・・・そこにはチョコが入っていた <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:28:53.74 ID:yi/PLj9so<> 何故か体中から汗が流れ始めた。
え??え??マジ??マジチョコ??

俺が焦っていると「うぃっす」そう言ってヨウイチに声をかけられ俺はビックリする。
「どうした?」
「あ・・・いや・・・」



昼休みにヨウイチにチョコを見せる。
「おおお!!!誰から???ユイさんか??」
ヨウイチが笑いながら俺に聞く。
「あ、いや、それが宛名が無いんだよ・・・」
「え??マジで??」
ヨウイチがチョコを確かめる。
「て、ことは・・・誰だ?」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:30:09.64 ID:yi/PLj9so<> 「さあ・・・分からんが・・・一個だけ考えられる事がある・・・」
「あ・・・なるほど・・・」
俺とヨウイチは顔を見合わせた。
「部長、向井コンビだな」
「うん」
「あの人らの悪戯だな・・・」
「一番考えられるな」
「ったく、暇だな〜奴らも」
「待ったくだ・・・」
俺らは苦笑いを浮かべた・・・


放課後部室に行くと向井さんがニヤニヤしながら俺達の所に来た。
「おう、ヨウイチ、お前何個貰ったんだ?」
「え?チョコっすか?五個です」
「お前、嫌味だな、え?」

向井さんの言葉に俺は「ふん」と鼻で笑う。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:31:10.15 ID:yi/PLj9so<> 「俺には聞かないんすか?」
俺は少し拗ねながら向井さんに言う。一番聞きたい癖に。
「え?お前?お前が貰える訳がないだろう」
向井さんが素で応える。

・・・あれ?向井さんの悪戯じゃないのか?
「え?いや・・・向井さんですよね?これ?」
俺がそう言って向井さんにチョコを見せる。
「うわあああああ!!!!!」
向井さんが目を大きく開けて俺を見た。
「なんすか・・・」
「お、お前・・・チョコ貰ったのか・・・?」
「え?向井さんでしょ?これ?」
「しねーよ!!そんな事!!!」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:32:16.58 ID:yi/PLj9so<> マジでか?
俺達が不審に思っているとユイとリコさんがやって来た。
「お待たせ〜男子諸君!」
リコさんが笑顔で言う。
「ほい、チョコだよ〜」
そう言ってユイが一人一人にチョコを渡して行った。
「私達二人からのチョコで〜す!」
そう言って笑う。

二人に義理チョコを貰う俺・・・て、事は・・・あのチョコはユイじゃないんだ・・・

俺は益々不審に思ったんだ・・・
そして、そのまま、俺はすっかり、そのチョコの事を忘れてしまっていた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:35:05.93 ID:yi/PLj9so<> 二月の終わりに卒業式が開かれる。
「いや〜卒業式って良いよな・・・」
そう部長が呟いた。なんか哀れだったので誰も突っ込まない。

だが、来年にはユイ達が卒業してしまう・・・
そっか・・・あと一年しか無いんだな・・・俺はそう思うと胸が苦しくなる。
あと一年で・・・絶対にユイと付き合うんだ・・・!
俺はそう心に決めた。



そして、3月が過ぎ去り、4月に新しい季節が来た。
季節が新たになり・・・俺達の関係も新たな人間が入る事になるのだった・・・
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(新潟県)<><>2011/07/07(木) 14:37:06.04 ID:BxGxJSmMo<> えっ!
結局机の中のチョコは誰からなのか判らずじまいだったまま? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:37:55.96 ID:yi/PLj9so<> 以上です。
チョコのことは、また順を追って説明しますね。
特に大した謎じゃ無いんですけどねww

今日は、余り時間が無くてここまでですみません。一応話しとして部長が留年をしたので
その件に付いて触れなければ、と思い今回の話を書きました。

一応俺が居た学校は進学校で部長も中学の時は勉強が出来た筈なんですけどねww
まあ、三年間で馬鹿に成って行った様ですww

それでは、また! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/07(木) 14:38:47.32 ID:yi/PLj9so<> >>583
また、説明をしますww
すみませんww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/07(木) 14:47:32.06 ID:Bd8opxdZo<> 部長はみんなと離れたくなくてわざと留年したんじゃね?wwwwwwww
嘘です <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/07(木) 17:51:14.63 ID:GQ8EtJXoo<> 今日も乙です
バーーーローー年生の勧誘方法が気になるwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/07(木) 17:59:42.83 ID:N7izRGKno<> おつ。
続きが気になるな。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/07(木) 18:01:26.17 ID:iccHodAjP<> >>587
> バーーーローー年生の勧誘方法が気になるwwwwwwwwwwww


なんだこれ? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(九州・沖縄)<>sage<>2011/07/07(木) 18:07:29.44 ID:JC5ORnyAO<> >>589
新 一 年 生ってことだよ
新 一ってかくてバーーーローーになっちゃうんだ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<><>2011/07/07(木) 19:23:41.59 ID:VNhgpooCo<> おつかれさま!
また明日?続きよろしくです!

てか部長はみんなと離れたくなくて龍ねしたとか…ないかww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<><>2011/07/07(木) 19:24:34.19 ID:VNhgpooCo<> うわぉあぁぁぉぁぁぁぁあ

龍ね→留年

ごめん(´・ω・`) <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(兵庫県)<>sage<>2011/07/08(金) 02:10:22.51 ID:uGCsN5fFo<> アラフォーだが、なんかトオルと歳が近いような気がする。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 03:51:34.88 ID:iZGSKQBKP<> トオルに質問。些細な事かもだけど…

・文化祭での告白の時、ユイを追ってこの高校に猛勉強して来たことをはっきりとは伝えてない?
それとも既にそのことをユイは何となく気付いてる?
まだ知らないのなら、いずれ知る時が来る?

・トオルが一浪している事を、部員中リコだけにはまだ直接伝えてないような気がするけど、
誰かに聞いたりして既に知っている?としたらいつ頃知った? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:28:06.06 ID:PlTLTnxvo<> おはようございます。
>>594
一番目の質問は正直、自分では文化祭の告白の時に伝えていたと思っていました。
ユイも薄々気が付いていたと思います。ただ、その後もその件に関しては、余り掘り下げることは無かったです。
特に理由は無いんですけど。

二番目の質問はすみません。僕もその事は書きながら抜けてるなって思ってました。
あれは一年の夏休み前にリコさんから「トオル君って同い年ってホント??」みたいに言われました
確か、向井さんがバラしたと思います。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:28:55.38 ID:PlTLTnxvo<> それでは続きを書きたいと思うんですが、ちょっとお待ちくださいね
ちょっとだけ用事を済ませてから書きますから <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:39:31.21 ID:PlTLTnxvo<> 4月に入り俺とヨウイチ、サモハンは二年になった。
俺達はバラバラのクラスになったのは残念だが、昼休みになると三人で集まり部室で飯を食った。

「ああ〜、俺達も二年なんだな〜」
「だな、来年は受験生だぜ?」
「そっかあ・・・」

俺はふと思った。
あれ?俺はどうするんだろう?大学に行くのか?
ウチの学校の殆どは大学に進学する。まあ、そりゃ進学校に入ったんだから当然と言えば当然ではある。
しかし俺は大学に行く為に入ったんではない。だから特に将来の事を考えて無かった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:40:36.69 ID:PlTLTnxvo<> 俺位かな・・・?進路を考えて無いのは・・・
その時部室の扉が開き声が聞こえた。
「僕はある意味四年生だからね!これからは『部長』と言わずに一階級上げて『閣下』と呼んでくれ!」
あ、俺以上の馬鹿がいた。
部長は向井さんにそう言いながら入って来ると、俺達を見た。
「君達も、『閣下』と呼んでね」
「はい、デーモン閣下」
俺がそう言うと部長は微妙な顔で窓の外を見はじめた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:41:52.59 ID:PlTLTnxvo<> 「失礼しまーす♪」
そう言ってユイとリコさんが入って来る。
「ちわっす」
俺達二年が声を掛けると「ちわっ」と手を振りながら答えてくれた。
「ああ・・・君達、君達にも言おう・・・これから僕の事は『閣下』と呼んでね、絶対に閣下の前には何も付けずに・・・」
部長が二人にそう言う。
「はーい、分かりました部長」
二人は笑顔でそう言った。
部長は何やらブツブツ呟きながら窓の外を見る。

「そうそう思い出した、おい、お前ら三人」
向井さんが俺達を見る。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 08:44:59.58 ID:1j4D2zyDP<> ??? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:46:28.11 ID:PlTLTnxvo<> 「今年はお前ら三人が新人を勧誘して来いよ」
「え?マジっすか?」
「そうだ、去年と同じ方法でやれば三人は固いな!」
いや、無いな。それは。
「とにかく、部費確保の為に絶対に三人は勧誘して来い!分かったな!」
マジっすか・・・俺達三人は顔を見合わせた・・・


その日、仕事は石田さんと同じシフトだった。
「石田さん」
仕事中に俺は石田さんに喋りかける。
「どうした?」
「あ、いや・・・大学って、やっぱり行った方が良いんすかね?」
俺の問いに石田さんは「ふむ」と答える。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:47:36.44 ID:PlTLTnxvo<> 「まあ、選択肢の問題だな・・・行かないより、行った方が将来の分母は広がるな」
「そうか・・・」
「ん?行くか?勉強なら教えてやるぞ」
「あ、いや、全然決めて無いんすよ。なんとなく、どうしようかと・・・」
「まあ、悩め。若い内はドンドン悩んだ方が良いぞ!たくさん悩んでハゲろ・・・ハハハハ!」

・・・ハゲんのは・・・嫌だな。

仕事が終わり帰り道に、ふと考える。
ユイは・・・どこの大学に行くんだろう?出来ればユイと同じ大学に行きたい。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:48:38.31 ID:PlTLTnxvo<> だが、それは可能なんだろうか・・・?
俺はそう思いながら夜空を見た。
あ、そう言えば・・・そろそろスピカは見えるのかな?
俺は星を探しながら歩いて行った・・・


翌日、俺が部室で一人でいた。クラスが変わってからヨウイチと中々時間が合わない。
一人で昼飯を食べながら大学案内の本を見ていた。

「あれ?一人?」
ユイがそう言って入って来る。
「あ、ちわっす」
俺はユイと二人きりに嬉しく思う。
「何、見てるの?あ、大学の本?」
そう言ってユイが隣に座ってくれた。非常に嬉しい。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:49:54.84 ID:PlTLTnxvo<> 「ユイさんは、どこの大学に行くんすか?」
「私?私は・・・ここ!」
そう言ってある国立大学を指差す。
「マジっすか!国立か〜・・・」
「うん、費用をあんまり掛けない用にしないとダメだから・・・ww」
そう言って苦笑いをする。
「トオル君はどうするの?」
「あ、いや、俺は・・・大学自体に行くか迷ってるから・・・」
「でも、奨学金とか使えるよ?」
奨学金か。そんなんが有るなら大学に行っても良いな・・・そう思い俺はふと呟いた。

「うーん、それならユイさんと同じ大学に行きたいな・・・」

あ・・・俺は慌ててユイを見る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:51:11.06 ID:PlTLTnxvo<> ユイの顔が湯気が出る程に赤くなり下を向いた。
俺も赤くなり下を向く。初々しい限りだぜ。
「あ・・・そ、そう・・・」
ユイが赤くなりながら呟いた。
「うん・・・」
俺が焦っているとユイは顔を俯かせながら言う。

「なら・・・勉強とか・・・一緒に・・・する?」

え?
俺がユイを見るとユイは赤い顔で続けた。

「あ、いや・・・同じ大学に行くなら・・・勉強一緒にした方が・・・」

俺はその言葉に頭が完全にショートした。
二人でもじもじしながら顔を赤くしていると、いきなり俺の顔にカバンがぶつかり、俺は倒れる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:52:22.57 ID:PlTLTnxvo<> 「トオル君大丈夫??!!」
ユイが声をかけて来る。
「もじもじしてる場合じゃねーぞ!コラ!!」
カバンを投げ付けて来た向井さんが叫んだ。
俺は起き上がると顔を摩りながら向井さんに言う。
「あの・・・カバンを投げるのは辞めて貰えませんか・・・」
「そんな場合じゃ無いぞ!」
向井さんの後ろから現れた部長がいつに無く真剣な表情で言う。
「え?」

「部活紹介の準備は出来てるのか?ヨウイチとサモハンはどうした?昼休みに内容を発表する筈だっただろ!紹介は今日だぞ!」

部長の叱責に俺は血の気が引いた。
え?マジで・・・? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:53:13.57 ID:PlTLTnxvo<> 「与えられた仕事をキチンとしろ!それは当たり前だぞ!」
その言葉に向井さんも真剣に頷く。
「す、すみません・・・全く聞いた覚えが有りませんでした・・・」
俺の言葉に部長は眼鏡を指でクイッと上げて呟いた。

「まあ・・・言って無かったんだけどね・・・!」

あ、今、とんでもない殺意が沸いた。
「と、言う事で・・・」
そう言って向井さんは俺を見ると叫んだ。

「第一回、天文部緊急機密最高会議を召集!!!!!!」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:54:43.83 ID:PlTLTnxvo<> 「さて・・・各々の意見を言ってくれ・・・!」
部長が眼鏡を指で上げた。
「あの・・・つーか、五時間目始まるんすけど・・・」
ヨウイチが呟く。
「大丈夫だ。部活紹介に出る奴は五時間目の授業を公認でサボれる」
そうなんだ。
「去年は何をしたんでした?俺、覚えてないな・・・」
そうだ。去年俺は見た筈だが覚えてない。

「去年は地球儀を持った部長の周りを『月』って紙に書いた仮面を向井君が被って回ってたの」

そう言えば思い出した。
確か向井さんみたいな人が「えーせーきどー♪」って言って五分間位周り続けてたっけ。

アレは・・・キツイ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:56:19.12 ID:PlTLTnxvo<> 「しゃーねーな、今年は七人居るし、太陽系バージョンで行くか!」
「嫌だー!!!!」
向井さんの意見に全員が拒否る。
あんな寒々しい思いを絶対にしたくない!
「それに・・・惑星が足りないっすよ」
ヨウイチが最もな意見を言った。
「うーん・・・」
全員が考え込む。
サモハンが挙手した。
「トオルの・・・プリンを全員で作るとか・・・?」
何部だよ、それ。
再び全員沈黙する。ふと、ユイが思い出した様に顔を上げた。

「プリンで思い出したけど・・・」
「え?」
「えっとね・・・」

ユイの意見を皆で聞いていた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:57:37.38 ID:PlTLTnxvo<> 俺達は体育館裏にスタンバった。
「さあて、行くか・・・」
向井さんが海パン一丁になる。
「あの・・・それ意味有るんすか・・・?」
俺の言葉に向井さんが怒鳴る。
「ったりめーだ!気合いの入り方が違うだろーが!!」
マジかよ。

前の部活が紹介を終わり生徒会の人が俺達に言った。
「天文部さん、どうぞ!」
「っしゃー!行くぞ!!」
向井さんが気合いを入れて全員が配置に付いた。

部長、ヨウイチ、リコさん、サモハンの四人が体育館のカーテンを全て閉める。
一年生達はザワザワし始めた。
照明が落とされ、真っ暗になるとステージの緞帳も下げられて正に真っ暗になる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:58:49.60 ID:PlTLTnxvo<> 一年生の後ろから入れた映写機(スマン正式名を忘れた。スライドを映す機械)で俺が緞帳に光りを当てた。

「レディース、エン、ジェントルメン!」

そう言ってサングラスを掛けて海パン一丁の向井さんが、その光りの中に現れる。
一年生がざわついた。

「本日は、天文部プラネタリウムへようこそ!!皆さん、心行くまで、お楽しみ下さい!」

そう言うと、俺はスライドに文化祭のプラネタリウムで使用した綺麗な天の川の映像を映しだした。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 08:59:44.33 ID:PlTLTnxvo<> 「皆さん・・・こんにちは。今日は私達天文部の活動内容についてお話をします」

俺の隣に立つユイがマイクで話し始めた。
ユイの声が暗闇に心地好い。
緞帳の前にスクリーンが現れた。
そこに俺達の去年の写真が映し出される。

「私達、天文部は・・・」

ユイの説明と共に写真をドンドン切り替えて行った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:01:10.46 ID:PlTLTnxvo<> 去年の五月のキャンプ・・・初めてユイと二人で会話した時だ。
写真が夏の海を映し出す。皆で花火をしている写真があった。

そうだ・・・この時、初めてユイと手を繋いだ・・・

秋の運動会。この後、すぐに二人でプラネタリウムを見に行ったんだ・・・

そして文化祭・・・一旦傷付いた俺だけど・・・
その後にユイに言ったんだ・・・



ずっと、ずっと・・・アナタを追い掛けるって・・・!



俺はいつしか写真に見とれていた。色んな事が頭の中に蘇って来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:02:34.40 ID:PlTLTnxvo<> 俺はユイを見つめた。

そこには俺が大好きな人がいる・・・

そして前に立つ向井さんを見て、他のメンバーを見つめた・・・

そうだ。俺はこの人達に、掛け替えの無い物を貰った・・・
この一年間・・・俺の人生の中で最高に楽しくて・・・


そして・・・最高に幸せな一年だった・・・!


それは・・・それは、この人達が居たからだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:03:54.48 ID:PlTLTnxvo<> 俺は胸が熱くなった。
俺は宝物を手に入れる事が出来たんだ・・・


この人達と言う宝物を・・・!


俺は一年生を見た。
来いよ・・・天文部に。
ここには最高の人達と最高の思い出が作れるよ!

だから・・・


だから・・・来いよ・・・!


俺はそう思いながら一年生を見つめていたんだ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:05:02.74 ID:PlTLTnxvo<> 部活紹介が終わり俺達は部室に戻って来た。
「うわー・・・緊張したー・・・」
ユイがそう言って机に伏せる。
「いや、でも良かったんじゃないっすか?一年生は結構真剣に見てましたよ」
ヨウイチが笑う。
「まあ、俺の司会が良かったんだろ」
「いや、海パンには引いてました」
そう言ったサモハンの首を向井さんが絞める。
俺は黙って皆が騒ぐのを見つめていた。それに気が付いたユイが俺を見る。
「どうしたの?」
「え?あ・・・いや・・・」
俺は少し笑って皆を見た。

「あの・・・今年も・・・皆で・・・楽しく出来ますよね・・・?」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:05:48.36 ID:PlTLTnxvo<> 俺の一言に全員が顔を見合わすと笑った。
「当たり前だ!」
「楽しいに決まってるじゃない!」
そう口々に言う。
俺も笑ったのだった・・・

「よーし・・・じゃあ、今から第二拠点に行くか!!」
「え?今年も俺んチが第二拠点なんすか??」
「当たり前だ!さあ、皆で久しぶりに鍋でもすっか!」
「賛成!」

俺達は皆で部室を出て行った・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:06:57.77 ID:PlTLTnxvo<> それから一週間、俺達はドキドキしながら新入部員を待った。
「入るかな?新入部員・・・」
「多分・・・大丈夫だろ・・・」
俺とヨウイチが祈る。
「入ったとしても・・普通の奴が来るかな?」
サモハンがカラムーチョを食べながら呟く。
「え?どう言う事だ?」
その言葉にサモハンが親指で部室の端を差した。
その指先には部長と向井さんが賭けポーカーをしていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:07:55.24 ID:PlTLTnxvo<> まさか・・・俺とヨウイチは顔を見合わせた。
『新入部員の部長二号です・・・!ククク・・・趣味は策略を考える事です!』
『新入部員の向井二号だ!先輩、とりあえず肩を揉め』

俺は嫌な想像を浮かべた。
「無い・・・よな?」
ヨウイチが頭を抱えながら呟く。
コイツも同じ想像をした様だ。俺達は非常に不安を抱えながら一週間が過ぎた。



そして・・・新入部員が入って来た・・・
新入部員が部室に入った瞬間、驚いた・・・

なんと四人も入って来たのだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:08:46.27 ID:PlTLTnxvo<> 男子二人、女子二人・・・そして、皆・・・おとなしい普通の子達だった。

俺とヨウイチは抱き合いながら喜んだ。
「普通の子だー!!!」
新入部員はそれを見て驚く。

向井さんは「とりあえず、入部テストでボンタン狩りをして来い」と言い、
部長は眼鏡を光らせながら「自分を将棋の駒に例えて貰おうか」と言ったので俺とヨウイチで全力で新入部員を守った。


何はともあれ新入部員が入り一安心した俺達であった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:10:20.30 ID:PlTLTnxvo<> 新入部員の紹介をする。

まずは男から。
一人は丸顔で大人しい奴だ。名前はマルオ。まあ、普通。

もう一人はヨウイチ程では無いが中々のイケメン。如何せん天然。
名前はケンタ。まあ、でも普通。

女子は一人は背が高く引込思案。顔は普通。
男が話掛けると最初の頃は「キャッ!」とビックリしていた。
ちょっと傷つくわ。名前はタカコ。まあ、普通。

もう一人の女子は背が低い子。まあ、普通の子だ。
眼鏡が特徴で、よく見れば可愛い女の子だった。
如何せん眼鏡キャラは既に一人居たので、そこが惜しい。
名前はマリ。まあ、普通 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:11:13.99 ID:PlTLTnxvo<> 新入部員は普通からしたら少しキャラが立っているのかも知れないが、ウチには強烈なキャラの人間が揃っていたので、至極まともな人間に見えたんだ。
最初は、その強烈キャラの二人に圧巻されて四人共にオドオドしていたが次第に慣れ始めた様だ。


「来週、ゴールデンウィークに山篭もりをする!」
そう向井さんが言い放ったのは四月の終わりの天文部最高機密会議に於いてだった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:12:41.18 ID:PlTLTnxvo<> 言った瞬間に向井さんが机を叩いたので背が高い一年女子のタカコは「キャッ!」と言ってビックリした。

ちなみに、会議の時は部室の前に実際に『最高機密会議』と書かれた貼紙が貼られる。
毎回部長が書くんだけどね。

「あ、あの・・・」
一年生を代表してイケメン天然のケンタが手を挙げる。
「ほい、ちょっとヨウイチとキャラ被ってるケンタ!」
「え?ええ?」
ケンタが慌てる。
「あ、気にしなくて良いよ。重要な言葉は二十回に一回位だから」
俺がフォローした。
「あ、はい・・・あの、山篭もりって、何をするんですか・・・?」
ケンタが不安そうに聞いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:13:50.38 ID:PlTLTnxvo<> すると部長がここぞとばかりに眼鏡を光らせる。
「君達はまだヒヨッコだ!我が名門天文部に入ったからには心・技・体を鍛えて貰う!良いか!君達が第一線で戦う・・・」
「あ、大丈夫。ただのキャンプだから。米とお菓子を持って来れば万事OK」
ヨウイチが答える。
部長はまた一人で窓の外を眺め始めた。

「テントとかは要らないんでしょうか・・・?」
背が低い眼鏡っ子のマリが尋ねる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:15:00.51 ID:PlTLTnxvo<> 「テントはいらん!何故なら君達には・・・」
「あ、大丈夫だよ〜。ちゃんとロッジに泊まるから」

部長の言葉を遮りながらユイがそう言って優しく微笑む。
部長は窓の外を見た。

「寝袋とかは・・・?」
丸顔のマルオが尋ねた。
「ああ、部に有るから大丈夫」
リコさんも答える。部長は窓の外を見ている。
「あ、良かった〜・・・てか、キャンプ楽しそうですね・・・?」
イケメンのケンタがそう言った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:15:57.89 ID:PlTLTnxvo<> 「楽しい。だが、必ずお菓子は持って来い。飢え死にしたくなかったらな!」
サモハンが念押した。
部長は指で窓に落書きを始めた。
「あ、あの・・・」
背が高いタカコが恐る恐る尋ねて来た。
「うん?」
「あ、部長は・・・何をされてるんですか・・・さっきから?」
「あ、ああ・・・大丈夫。窓と仲良しなだけなんだ」

俺の言葉に他のメンバーが頷いた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:16:48.01 ID:PlTLTnxvo<> キャンプ当日、俺は集合一時間前に到着した。
去年より成長している様だ。

最初に現れたのは背の高いタカコだった。
「おはよう・・・ございます・・・」
そう言ってお辞儀をする。
「あ、おはよう」
俺が笑顔で優しく言うとタカコは「キャッ!」と軽くビックリする。
いや、傷付くんだけど。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:18:18.74 ID:PlTLTnxvo<> するとタカコは慌てて謝った。
「あ、すみません・・・わ、私・・・あんまり男子と接した事が無くて・・・その・・・」
「あ、大丈夫。俺もあんまり女子と接した事が無かったから気持ちは分かるよ」
て言うか、去年までは人と接した事が無かったけどね。
そう思い俺は苦笑いをした。

でも・・・俺も少しは成長したな。
昔は女子と喋るだけで今のタカコみたいにオドオドしていたけど・・・
なんか女子とも普通に喋れる様になった。

「あの・・・」
タカコが話し掛けて来た。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 09:18:22.94 ID:1j4D2zyDP<> >>617が死亡フラグに見えた <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:21:20.29 ID:PlTLTnxvo<> 「ん?」
俺が見るとタカコが飴玉を手に持ち「食べますか・・・?」そう聞いて来た。
「あ、ありがとう・・・じゃあ頂くよ」
俺は微笑みながら飴玉を貰う。
するとタカコは嬉しそうに笑った。

タカコはショートカットだ。後ろ髪が肩に掛かる位。
身長は俺とあんまり変わらない位に高かった。

俺はそこまで観察した時にタカコが俺の視線に気が付き「キャッ!」と言って後ろずさりをした。
まあ、悪い子じゃ無いんだが・・・ちょっとずつ傷付く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:22:31.50 ID:PlTLTnxvo<> 皆が続々と揃い、時間になった時に向井さんが言った。
「よーし!じゃあ行くぞー!」
そう言った時に俺が慌てて手を挙げる。
「待って下さい!ケンタが来てません!」
「ああん??!!」
向井さんが鬼の形相になる。
「あんの、ヨウイチの二番煎じがあああ!!!一年坊の癖に先輩を待たせるとは良い度胸じゃねぇかあああ!!!!」
「キャッ!」
タカコがビックリしていた。
「おい、誰かあのヨウイチの二番煎じに電話して来い!!!!」
「いや、あの、あんまり俺の名前出すの辞めて貰えますか・・・」
ヨウイチが呟く。まあ、確かに。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:23:41.67 ID:PlTLTnxvo<> 仕方なく俺が電話をしに行くとケンタの母親が出た。
するとケンタは一時間前に家を出たそうだ。
その旨を向井さんに伝える
「何してんだ、あのヨウイチの二番煎じ!」
「いや、だから辞めて貰えないでしょうか・・・」
「次の電車だと、かなり遅くなるから晩御飯が遅くなるね」
リコさんが困った表情を浮かべる。
部長が眼鏡を光らせるとすかさず言った。
「戦場に於いての遅刻は・・・命取りだ・・・だから・・」
「あ、俺、待っときます。皆さん先に行ってて下さい」
部長の言葉を遮り俺が言った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:25:14.87 ID:PlTLTnxvo<> 「おい、大丈夫か?」
ヨウイチが尋ねる。
「ああ、去年と同じ場所だから大丈夫だよ」
「これ持ってけ」
何故かサモハンがマグロのフレーク缶をくれた。
意味分からんが、まあ良いか。

「よし、じゃあトオルはあのヨウイチの二番煎じを捕まえて来い、頼むぞ」
「はい」
「あの、何回も言いますが・・・」
「トオル君」
ユイが俺を呼ぶ。
「これ、ロッジの管理室の電話番号・・・何か有ったら電話して」
「あ、ありがとうございます!」
「ううん、ゴメンね一人で残らせて」
「いえいえ」

俺は皆を見送り一人駅に残った <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:26:08.17 ID:PlTLTnxvo<> ボーッとしながらケンタを待った。

俺は特に優しい人間では無いと思う。
そんな俺がユイや皆と過ごす時間を削ってまでケンタを待つのは自分でも不可解だった。
多分、それは俺が皆との時間を大切に思っているからだと思う。

もし、ケンタを置いて行ってしまったらケンタは一人ぼっちで過ごさないといけない。
そしてこのキャンプでの思い出を一人持たない事になってしまう。

「それって・・・絶対に嫌だよな・・・」

そう独り言を言う。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:27:11.17 ID:PlTLTnxvo<> 嫌なのはケンタだけで無く俺もだ。
これから一緒にやっていく仲間なのに同じ思い出を共有出来ないのは嫌だった。

俺は・・・仲間を大切にしたいかったんだ・・・


そんな事を思っているとケンタがゼェゼェ息を切らせながら走って来た。
「す、すみませーん・・・」
そう言って到着した瞬間にケンタが謝る。
「おう、心配したぞ。どうしたんだ?」
「いや、実は私鉄のS駅に行ってたんです・・・途中で皆が来なくておかしいって思って・・・」

天然さんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:28:15.05 ID:PlTLTnxvo<> 「まあ、無事で何よりだ。じゃあ皆、先に行ったから急ごう」
「え?じゃ、じゃあトオルさんだけ、待っててくれたんですか・・・?」
「うん、まあ・・・」

そう言った瞬間にケンタがいきなり涙ぐみ始めた。
え?
「グスッ・・・すみません・・・グスッ・・・俺の為に・・・」
ええー・・・ガチ泣きしてんじゃん・・・コイツ・・・
俺は少し引く。

「せ、先輩・・・!ありがとう・・・ございます・・・!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:29:17.01 ID:PlTLTnxvo<> 「ま、まあ・・・分かったから・・・一応、お前の親に電話して安心させろよ・・・さっき俺、電話しちゃったから・・・」
するとケンタはハッとした表情をした。そして再び涙ぐむ。

「先輩って・・・マジで良い人なんすね・・・俺の親の心配までしてくれるとは・・・すみません・・・」

わー・・・鬱陶しい・・・コイツ・・・


そこから俺は何故かケンタの尊敬する先輩No.1の座を射止めてしまったんだ・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/08(金) 09:30:08.40 ID:PlTLTnxvo<> 書き溜めは以上です。
次回はキャンプの後編を書きます。

すみません、途中で一瞬寝オチしそうになってましたww

それでは、また! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/08(金) 09:34:34.47 ID:G9zI5/Puo<> タカコフラグとケンタフラグktkrwwwwwwwwwwwwwwwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮崎県)<>sage<>2011/07/08(金) 09:55:57.69 ID:8E3mu40Oo<> ヨウイチの二番煎じワロタ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/08(金) 10:33:09.14 ID:GNWZK4VIO<> おつかれさま!
これはまた新入部員で色んなフラグが…
まぢで毎日楽しみだ
わくてかしながら待ってる! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/08(金) 13:05:20.32 ID:WuRtC3dIO<> 毎日、読んでいる
楽しいな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 13:11:28.88 ID:BerRtUjm0<> 文才があるよな
羨ましい限りだ。まったりと続きを期待しとくよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/08(金) 18:25:07.28 ID:hpN4geyto<> すでにフレーク缶あたりでサモハンフラグが立ってるなww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 21:10:18.24 ID:iZGSKQBKP<> >>595
>>594だけど返答ありがとうです。
ユイにちゃんと伝わってるかどうかは個人的にはかなり重要なポイントなんじゃないかと思うんだけど
そうか、今現在も分かってないかも知れないんだ…
よし、今からでも遅くないから言いに行くんだ!! ww


それと部員の人物描写についてなんだけど
サモハンに至るまで強烈なインパクトでキャラクター像が伝わってくるのに
リコの人物像だけが、登場シーンや会話のやりとりが他と比べて少ないせいかいまいち掴みにくいです
できればもっと物語に参加させてほしいと思います。この後加わってくる後輩達ももれなくお願いしたいところ。

それとも実際ユイばっかり意識していたせいで、他の女子への認識はこんなもんだったとか?ww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/08(金) 21:25:37.51 ID:m2lnoSVIo<> オマエ、ウザイ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 21:56:55.29 ID:RJmRjSGuo<> >>645
それは、おまいの想像力が乏しいからだよ

ユイちゃんの幼馴染で事情を知っているリコというので十分だけどな。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/08(金) 22:29:22.86 ID:9nM/llrPo<> 話の本筋に関係ない部分を細かく掘り下げると読み辛くなるぞ
まして、素人が書いてる訳だしなぁ
MobはMobのまんまで良い <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/08(金) 22:57:21.87 ID:nFmD+eh4o<> >>645
黙ってROMってればいいと思うよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 23:30:21.11 ID:iZGSKQBKP<> 自重しますm(_ _)m <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:46:15.57 ID:YgPTP/SWo<> どうもです。
それでは続きを書きたいと思います <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:47:49.87 ID:YgPTP/SWo<> キャンプ場に到着した、俺とケンタ。
すると最初にユイとリコさんが笑顔で迎えてくれた。
「あー、遅かったねー、心配したよ〜」
「どうもすみませんでした!」
ケンタが頭を下げる。
「おう、ケンタ!心配したぞ!」
ヨウイチとサモハンも出迎える。
「あ、すみませんでした!」ケンタが頭を下げ、「皆、良い人ばっかで良かったです・・・」そうホッとしている。

が・・・
「この・・・ヨウイチの二番煎じがああああああ!!!!!!」
後ろから現れた向井さんにジャイアントスイングをかまされる。
「た、たすけてぇぇぇ!!!」
「何度も言いますけど、俺の名前・・・」

まあ、簡単に許してくれる人ばかりじゃ無い事を学べて良かった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:49:00.83 ID:YgPTP/SWo<> 「う〜・・・死ぬかと思った・・・」
ケンタが吐きそうな顔をしている。
「まあ、命が有っただけでも良かったじゃない」
俺はケンタを慰めた。

「おーい!トオルくーん!料理手伝ってー!」
リコさんに呼ばれ俺は料理を手伝いに行く。
俺がジャガ芋やニンジンの皮剥きをしていると、肉を切っていたタカコと眼鏡っ子のマリが俺をジッと見ていた。
「え?何・・・?」
そう言うと二人は少し驚いた表情で俺を見る。
「いや・・・料理・・・上手いですね」
「ああ・・・そう・・・?」
俺は少し恥ずかしくなった <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:51:17.16 ID:YgPTP/SWo<> 鍋に具材を入れてタカコに炒めて貰う事になった。
炒めている時に何かがタカコの足元にポトリと落ちた。
「うん?なんか落ちたぞ」
俺がそう言って下を見るとネックレスだった。
「あ、すみません・・・私のネックレスです・・・」
「あ、良いよ。拾ってやる」
俺が拾いあげタカコに渡す。
「ありがとうございます・・・キャッ!」
渡す瞬間に手が触れたので反応された。どないせえっちゅうねん。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:52:19.09 ID:YgPTP/SWo<> 「す、すみません・・・」
タカコが声を上げた事を申し訳なさそうに謝る。
「あ、いや良いよ・・・でも、古いネックレスだな」
「あ、はい・・・ちょっと留め金の所が古くなってるんですけど・・・修理に出そうと思ってたんですが、時間が無くて・・・」
「へー、大切にしてるんだな・・・彼氏からの贈り物か?」
俺がそう言うとタカコは顔を赤くしながら下を向いた。
なんか、これ以上聞けない雰囲気だったので聞くのを辞めた。

パコーン!
その時に俺の顔に靴が炸裂した。俺は倒れ込む・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:53:24.05 ID:YgPTP/SWo<> 「おい、トオル!!薪を取りに行くぞ!!」
向井さんの声がキャンプ場に響く。
「だ、大丈夫ですか・・・トオルさん???」
タカコが心配した表情を浮かべる。
「あ、ああ・・・大丈夫・・・慣れっこだから・・・」
俺は向井さんの靴を持って向井さんの元に歩いて行く。
「どこ行くんですかー??!!」
米を炊いていたケンタが俺を見て言った。
「え?薪を取りに行くんだけど」
「あ、なら僕もお手伝いします!!!」
そう言って部長に米炊き当番を押し付けて俺の元へ走って来た。

「忠誠心がある下僕を手に入れたな」
向井さんがケンタを見て言った。
「辞めて下さいよ・・・」

俺は溜息をついたのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:54:11.63 ID:YgPTP/SWo<> 晩飯が出来上がり皆で食べる。
「うまーい・・・あれ、これトオルの味付け?」
ヨウイチが尋ねる。
「いや、俺じゃない。タカコが作った」
「タカコは料理上手いよ〜」
俺とユイがそう言うとタカコは顔を赤らめながら下を向いた。

「ほー・・・こ、これは・・・隠し味に・・・何を・・・!お、おのれ〜・・・この雄山を試すつもりか・・・!」
サモハンが一人でブツブツ言いながら食べていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:55:07.11 ID:YgPTP/SWo<> 「じゃあ、ヤバいなトオル。お前、天文部料理長の座を奪われそうじゃないか」
向井さんがニヤニヤしながら言って来た。そんなもんになった覚えはねえ。

ケンタが急に立ち上がると言った。
「トオルさんは、料理長の座を奪われませんよ!!!ね??トオルさん???」
お前意味分かって言ってんのか?とにかくウザいから座れ。

「タカコって、なんでそんなに料理上手いの?」
リコさんが何気なく尋ねるとタカコが「え?」と言ってから俯き加減で苦笑いをしながら続けた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:57:05.50 ID:YgPTP/SWo<> 「あ・・・私んチ・・・お母さんが死んじゃって居ないんで・・・それて私が家事をやってるんです・・・」

皆がタカコを見た。
そして黙った。

あ、これやられるとキツイんだよなー・・・言った方は。
その雰囲気を見てタカコが慌てた。
「あ、すみません!なんか暗い話をして・・・あ、あの・・・」
「大丈夫だ、タカコ」
そう俺が言うとユイも頷く。
「私んチもお父さんが居ないのよ」
ユイがそう微笑む。
「俺なんか両親共々いねーからww」
俺も笑った。


「え?」
タカコは俺達を見た。少し嬉しそうな表情を浮かべる。その表情の気持ちが分かった。
嬉しいんだ。同じ境遇の人に会うと。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:57:55.81 ID:YgPTP/SWo<> 場の雰囲気が和らいだ時に部長が口を開いた。
「でも・・・あれだな・・・」
皆が部長を見る。

「なんで・・・僕のスープには・・・具が入って無いんだろうな・・・」

タカコが慌てる。
「ええ???ホントですか???」
「お陰で飲み易かったよ・・・」
「す、すみませ〜ん〜!!!」
「いや、早く言って下さいよ、部長!」
「なんか、こう言うプレイなんかと思って・・・」
「いや、どんな凌辱プレイだよ!!」

部長は皆から少しずつ具を貰った・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 17:58:54.65 ID:YgPTP/SWo<> 食事を終えて片付けも終わるとロッジの電気を消すと辺りは真っ暗になった。
そして暗闇の中で懐中電灯の明かりが点くと、向井さんの顔の下から照らされる・・・

「イッツァ、ショータイム・・・!」

向井さんの囁く声に皆が少しゾッとした。
「それでは・・・早速・・・行きたいと思います・・・!」
その言葉に皆が向井さんを見る。

「第一回!天文部!ドキッ嬉し恥ずかし初めての肝試し大会ー!!!!いえーい!!!」

向井さんが一人で盛り上がる。部長は頷きながら俺らを見た。
「略して『恥ず肝』だよ・・・!」
嫌な略しかたすんなよ。臓器にどんな仕打ちだよ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/09(土) 17:59:19.57 ID:B7XtYyxYo<> ネックレス・・・ キニナルじぇ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:00:19.70 ID:YgPTP/SWo<> 「まあ、それでは、行きまーす!くじ引きでペアを組むぞ!!」

ドキッとした。すぐにユイを見る。
た、頼むー・・・俺は神に祈った。

が・・・ペアの相手は・・・タカコだった・・・




訳でも無く、何にも面白くも無い・・・部長だった。
ちなみにユイのペアの相手は眼鏡っ子のマリだった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:02:25.73 ID:YgPTP/SWo<> 俺は部長と真っ暗な山道を歩く。
「トオル君・・・」
「はい?」
部長の問い掛けに俺は答える。
「僕は一応霊感が強いんだけどね」
「薮から棒ですね」
「ここヤバいよ」
「いや、そんな事は二年後位に話して下さいよ」
部長はいきなり立ち止まった。

「ふむ」
「な、なんすか・・・」
「この辺りに未確認の遺体が眠っている気がする」
「ヤメローーー!!!!」
俺は焦り始めた。
「ちょ、マジで部長辞めて下さい!!」
「ちょっと待って、一回、霊視してみる」
「いやアンタ、何者だよ!!!」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/09(土) 18:08:39.89 ID:B7XtYyxYo<> 海水浴とかプールでの部長の話はガチだったのか・・・gkbr <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:09:15.49 ID:YgPTP/SWo<> 部長は目を閉じて何やらブツブツ言い出した。
「えー?何?何?」
「あ、ダメだ」
「え???何???何???」
「周りを囲まれている」
「はああああああ????!!!!」

その時、いきなりガサッと音がした。

「!!」

俺が驚いてソチラを見ると誰の声かは分からないが「ファー・・・」と聞こえた。


「うーーわーー!!!!!!!」
俺が叫び走り出した。その後から部長も走り出す。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:10:08.54 ID:YgPTP/SWo<> 俺達が走って逃げている前にサモハン、タカコ組みが歩いていた。
「ふ、ふぁーー!!!!!!」
俺が訳の分からない叫びを出しながら走って来るのを見て、サモハン、タカコも走り出す。
「な、なんだ??!!!」
サモハンが走りながら俺に聞く。
俺は超テンパっていてサモハンに「ふぁー!!!」と叫んだだけだった。
サモハンも何故か「ファー!!!」と叫びながら走る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:11:05.91 ID:YgPTP/SWo<> 俺達四人が走っていると前にヨウイチ、リコさん組みが居て二人も加わり、何故か全員で「ファー!!!」と叫びながら走った。

最終的にスタート地点に戻ると最初に戻っていたユイ、マリ組みが俺達を見て驚いていた。
「どうしたの???」
ユイが焦って尋ねる。
「で、出た・・・・」
俺がゼイゼイ息を切らせながら呟く。
「え・・・?」
ユイが驚くと俺は叫んだ。


「キャ、キャディーの幽霊が出たー!!!!」


「え?」
全員が微妙な顔をする。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:12:17.24 ID:YgPTP/SWo<> 「なんでキャディー・・・?」
ヨウイチが息を切らせながら聞く。

「だって、ファーっつってたもん!!!」
「あれは・・・近くのゴルフ場でボールが当たって死んだキャディーの霊・・・だ」
部長がそう呟く。
「え?」
これまた微妙な顔を全員がした。

その時、向井さんが山の中から現れる。
「向井さん!!!ここマズイっす!!キャディーの・・・キャディーの霊が居ます!!!だって『ファー』って聞こえたもん!」

俺が向井さんに言うと向井さんは「そ、そうか・・・」そう言って下を向く。
「ノリわるっ!!!」
俺は叫んだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:13:10.55 ID:YgPTP/SWo<> 「向井君、大変だよ。至急に近くのお寺に行って全員お祓いした方が良い。僕の霊感がここはヤバい、そう言っている」

いつに無く部長が頼もしく見えた。
「え・・・あ、いや・・・」
向井さんが尚も歯切れが悪い。
「マジ・・・ヤバいんすか?部長?」
ヨウイチが焦る。

その時、山の中からケンタ、マルオ組みが降りて来る。
「あ、向井さん、お腹治りました?」
そう言ってケンタが聞いて来た。

お腹?
向井さんはコホンと咳ばらいをすると俺を見た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:14:23.63 ID:YgPTP/SWo<> 「トオル・・・それ、『ファー』じゃ無くて・・・『プー』じゃ無かった・・・か?」
「え・・・?」
確かに・・・でも、あの時は焦ってたから・・・
向井さんは夜空を見上げると呟いた。


「腹が痛くてさ・・・野糞・・・しちゃった・・・!」


全員がポカンとした表情を浮かべた。
そしてサモハンが呟いた。
「ケツ・・・拭きました?」
それは・・・大事だね・・・

部長を見ると部長は地面にパーマンを落書きしている。
この人・・・自信満々でお祓いがどうたらって言ってたぞ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:16:30.76 ID:YgPTP/SWo<> 肝試しが終わりロッジに戻った。

トイレに行く時にユイと会った。
目が合うとユイはニッコリ笑い、「今日は、色々お疲れ様」そう言われた。
「先程はお騒がせしました」
俺は苦笑いを浮かべながらユイに言う。
「幽霊の正体みたり・・・なんとやらって奴だねww」
「ですね」
二人で笑う。

「あ、そうだ・・・」
ユイが思い出した様に俺を見た。
「今日はどうする・・・?」
ユイが微笑みながら俺を見る。

あ、そっか・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:17:33.71 ID:YgPTP/SWo<> 「もちろん、一緒に『スピカ』を見ましょうよ」
俺の言葉にユイは照れた表情で「うん・・・」と言った。

やったー!まさか、ユイから誘ってくれるとは思わなかった。
俺達は後でロッジの前で落ち合う約束をして別れた。


俺はウキウキ気分のままトイレを終えロッジに戻ろうとした時にタカコがロッジの周りをウロウロしているのが分かった。
「どうした?」
俺が声を掛けるとタカコは「キャッ!」とビックリして俺を見る。
「あ・・・トオルさん・・・」
「何をキョロキョロしてんだよ」
「あ・・・いや・・・」
そう言って口ごもる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:18:40.85 ID:YgPTP/SWo<> 「どうした?」
尚も俺が聞くとタカコは小さな声で呟いた。
「ネックレスを・・・無くしちゃって・・・」
「え?あのネックレスか?」
「・・・はい」
「どこらへんだ?」
「多分・・・さっきの肝試しで・・・逃げた時に・・・」

あ、そりゃ悪い事をした。

「ん〜・・・て言っても、こんな真っ暗じゃ分かんないしな・・・」
「あ、いや、大丈夫です・・・すみません・・・」
そう言ってタカコはロッジに入って行った。
俺も特に気にせずにロッジに入る。

俺にしてみたら正直、タカコのネックレスよりもユイとの天体観測で頭が一杯だったんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/09(土) 18:19:46.85 ID:K3x+bVu3o<> タカコ√のフラグがビンビンなのが許せんwwww <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:23:36.82 ID:YgPTP/SWo<> 部屋に戻ると既に、いつも通りに酒宴の用意がなされていた。
「おせえぞトオル!」
向井さんが、そう言う。
「また飲むんですね・・・」
そう言う俺だが、もう既に慣れた風景だったので、なるべく酔わない体勢を取る。
「星、見ないんすか?」
ヨウイチがそう言って向井さんに酒を注ぐ。
てか、お前は結局一度も見てないじゃないか。
「星を見るのは、トオルとユイだけだろ」
そう言って向井さんが早速飲みはじめた。
するとケンタの目が輝く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:24:38.47 ID:YgPTP/SWo<> 「え?トオルさん、星見るんすか??俺も見たいです!!」
なんだと!?
「あらー?どーするトオル?」
向井さんのニヤニヤ笑いに俺はケンタの前に座る。
「よし・・・じゃあ、これを一気に飲め」
ウイスキーをコップに並々注いだ。
「いや、これじゃあ酔っ払いますよ」
「大丈夫だって・・・」
「いや、マジで・・・俺、酒飲んだ事、無いですし・・・絶対潰れますって!」
「大丈夫だって・・・潰れても・・・」
「いや、大丈夫じゃ無いでしょ・・・」
「いや・・・大丈夫・・・て言うか・・・潰れろ」
「いや、そう言う・・・えーっ????潰れろって!!!」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:26:48.56 ID:YgPTP/SWo<> 酒宴が始まり徐々に盛り上がる。既にマルオが潰れた。
ケンタは「酒ってウメー!」そう言ってグイグイ飲む。
無駄に酒が強い奴め・・・!早く潰れろ、この馬鹿!
俺はそう思うが自分も潰れない様にしないといけない。
その為にトイレに出て酒から逃げようとする。

ロッジの表に出ると月明かりを浴びてタカコが一人軒下に暗い表情で座っていた。
あ、まだネックレスを無くした事を考えてるのか・・・
そう思いながらトイレに入った
ったく・・・ネックレス位、彼氏にまた買って貰えば良いじゃないか・・・
あんな古いネックレスだし・・・
そう思った瞬間に何かが頭の中で繋がった・・・!

急いでトイレから出てタカコの元へ向かう。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:27:59.94 ID:YgPTP/SWo<> 「タカコ!」
俺がそう呼ぶとタカコが顔を上げた。

「ひょっとして・・・あのネックレス・・・お袋さんの・・・形見・・・か?」

俺の言葉にタカコは静かに頷いた。
マジかよ・・・!
俺は舌打ちをするとタカコを睨んだ。

「早く言えよ!お前、何一人で黙ってんだよ!」
「え・・・でも・・・無くしたのは・・・私ですし・・・それに形見なんかをキャンプにわざわざ・・・」

タカコが小さく呟く。
タカコはわざわざ持って来る必要の無いネックレスを持って来た自分が悪い、そう思っていた様だ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:28:45.94 ID:YgPTP/SWo<> 俺は溜息をつく。

「あのなぁ、母親が居ない奴が、母親の形見を肌身離さず持つのは当たり前だろうが!何が悪いんだよ!それ位しか母親を感じる事が出来ないだろうが!!何にも悪くねーだろうが!!!」

俺はかなり腹が立ち、そう言ってタカコを怒鳴った。
多分、少し酔ってたんだろうな。タカコは下を向いて何も言わなかった。

「まあ・・・とりあえず探しに行くぞ」

俺の言葉にタカコが焦る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:30:16.59 ID:YgPTP/SWo<> 「あ、いや・・・良いです・・・暗いですし・・・明日の朝で・・・」
「じゃあ、お前明日の朝まで胸の中の心配を抱えて過ごすの?それで楽しめんのかよ?」
「・・・・」
「楽しめる訳ねーだろ!馬鹿か、お前は」
「・・・すみません」

暴言を吐く方もどうかと思うが謝る方もどうかと思う。

「ちょっと待っとけよ懐中電灯を持ってくる」
俺はそう言うと部屋に戻り、再びタカコの元へ来た。
「待っとけ、皆来るから」
「え?」
タカコが驚く。

「何?」
そう聞くとタカコが慌てた。
「皆来るんですか・・・?困ります!皆さん、楽しんでるのに・・・申し訳無いですよ!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:31:35.33 ID:YgPTP/SWo<> 「俺も、そう思ったんだけどさ・・・タカコのネックレス探して来ます、って言ったらさ・・・」
俺がそこまで言うと向井さんがロッジから出て来て叫んだ。

「タカコ!!!」
「キャッ!!」

タカコが慌てる。
「お前なぁ!いつ無くしたんだ?!無くしたらすぐに言え馬鹿!!!」
酔ってるから、いつも以上に声がデカイ。
「そうだよ!皆で探したら早いでしょ!」
リコさんも少し怒りながらタカコに言う。
「どの辺りで無くしたか分かるか?」
ヨウイチが冷静に聞く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:33:02.07 ID:YgPTP/SWo<> 「皆、僕の指示に従って探す・・・」
「逃げた道を皆で探した方が早いな」
部長の言葉をサモハンが打ち消した。

「可哀相に、一人で悩んでたんだね・・・」
そう言ってユイがタカコの頭を撫でた。
するとタカコは急に泣きはじめる。
「グスッ・・・す、すみません・・・無くして・・・グスッ・・・辛かったけど・・・グスッ・・・言い出せ無くて・・・」
「よしよし・・・大丈夫だよ・・・仲間なんだから、言ってね」
ユイがタカコを抱きしめる。

「よーし、じゃあ道を戻るぞ・・・」
「途中で向井さんの野糞見つけたらヤダな・・・」
「ちゃんと埋めたわ!!!」
「ケツはどうやって拭いたんですか?」
「葉っぱ」
「葉っぱwwwwww」

皆が笑った。タカコも泣きながら笑ったのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:34:16.21 ID:YgPTP/SWo<> 暗い道に数々の懐中電灯の光りが燈された。
「慎重に見ろよー」
「うぃーす」
「多分、有ったらキラッと光るよな?」
口々に言いながら歩く。

「皆・・・良い人だね・・・」
マリがタカコに言うのが聞こえた。
「うん・・・マリもありがとう・・・」
「ううん、私、結構楽しいよ!」
「まあ、俺達の活動はこんなん多いからな」
ヨウイチがそう言って笑う。
「天文部らしいと言えば、そうね!」
リコさんも答える。
「あ・・・星が綺麗に見える」
ユイが呟いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:35:41.72 ID:YgPTP/SWo<> 「あ、ホントですね・・・」
俺も夜空を見上げた。
「さっき、飲む前に言われた事を思い出したんですけど・・・」
ケンタが俺を見る。

「トオルさんとユイさんは付き合ってるんですか?」

ケンタがケロリと聞いて来た。二、三年の全員が固まる。
「あれ・・・どうしたんですか?」
な、なんて・・・空気を読めない奴なんだ・・・
俺は顔を真っ赤にしてチラリとユイを見る。ユイも顔を赤くして俯いていた。
「えっと・・・」
向井さんが口を開いて俺を見た。
「あれから・・・どうなの??お二人さん???」
何を思い切って聞いてやがる!!
「い、いや・・・てか、本人目の前で聞かないで下さいよ!!!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:36:36.55 ID:YgPTP/SWo<> 「え?トオルさんとユイさんって・・・」
マリが眼鏡をキランと光らせて興味津々になる。
「ち、違う!!!付き合って無い!!!」
「ほうほう、でもトオルさんは好きなんですね??」
俄然マリに勢いがついた。何でエンジン全開で聞いてやがるんだ!

ユイは完全に顔を赤くして固まっている。
「いや、それがね〜・・・寝る時に話そうと思ってたんだけど〜」
リコさんがオバサン化していた。
「リコさん!何を話す気なんですかぁ!!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:37:44.07 ID:YgPTP/SWo<> 「なんか文化祭の時に何かが有ったみたいだ」
サモハンが呟く。
お前はどっから、そんな情報を!!
ヨウイチを見ると意味無く口笛を吹いている。
お前かぁぁぁ!!!!

ユイは完全に顔が沸騰して固まっている。
「アナタを振り向かせて見せる・・・!byトオル」
部長がそう言った。
「何で知ってんだぁぁぁぁ!!!!!!」
その台詞は誰にも言ってねえ!!!
部長は眼鏡を光らせながら笑っていた。

たまに怖い・・・この人・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:38:58.26 ID:YgPTP/SWo<> そんな話で盛り上がっていると急に向井さんが叫んだ。
「ああああああ!!!!!!」
「どうしたんすか???」
「見つかりました???」
「ここだ・・・」
向井さんは俺らを見た。
「え?」

「ここで、俺、野糞した」

全員が固まった。
「知らんがな・・・」
サモハンが呟いた。全くだ。
「だからー!!ここに俺の野糞が有るんだよ!!!」
「ま、まさか・・・見せる気ですか・・・」
ケンタが恐怖におののいた顔をする。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:40:13.79 ID:YgPTP/SWo<> 「見せねーよ!!!そうじゃ無い、ここで野糞をしたって事はだな・・・俺達、行き過ぎたんじゃねーか!!」
向井さんの言葉に顔を見合わせた。
「て、事は・・・」
「見逃したのか・・・」
皆で溜息をつく。
「どこら辺で無くしたんだろうな・・・」
「あ、そう言えば・・・」
タカコが思い出した様に呟く。
「確か・・・トオルさん達が走って来た時に・・・サモハンさんとぶつかった様な・・・」
「どの辺だったんだ?」
「多分・・・あの木の辺り・・・かな?」

皆でその木の下を見た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:41:28.09 ID:YgPTP/SWo<> 懐中電灯の明かりが山道を照らし出す。
その真ん中辺りにキラキラ光る物を見つけた。

「あ、あれは・・・?」
「おー!!」

ネックレスは木の下の植え込みに落ちていた。
「良かったー・・・」
タカコがネックレスを拾い上げてホッとした声を上げた。
「良かったねえ、タカコ」
「まあ、これで一件落着だな」
「皆さんありがとうございました!」
皆の言葉にタカコは頭を下げる。

「仲間だからさ・・・あんまり一人で抱え込むなよ」

俺の言葉にタカコは「はい!」と笑っていた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:42:11.02 ID:YgPTP/SWo<> 皆で来た道を再び騒ぎながら戻って行く。
ネックレスを探す事で時刻はすっかり深夜になっていた。

ああー、ユイと一緒に天体観測をする時間が無くなっちゃったな・・・

俺がそう思い前を歩くユイを見ると目が合った。
ユイは少し恥ずかしそうに目が泳いだ後に、ニッコリ笑ってくれた。
なんだか分からないが俺は幸せな気分になる。

まあ・・・いっか・・・。

俺はそう思いながら歩いているとヨウイチが、ふと呟く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:43:19.44 ID:YgPTP/SWo<> 「なんか・・・良いっすね、こう言うの」
「だな・・・こうして全員で夜中に山道を歩くってのも」
「そうっすね・・・全員で・・・」

「・・・全員?」

皆が顔を見合わせた。
「・・・マルオ・・・」
ケンタが呟く。
「ね、寝てるよ・・・多分・・・」
「だ、だよね・・・」
「うん、アイツ酔ってたし・・・」
俺達は自分自身にそう言い聞かせる様に歩いた。



だが・・・ロッジに戻ると、ロッジの前でマルオが泣いていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:44:27.87 ID:YgPTP/SWo<> マルオは俺達を見ると叫んだ。
「どこ、行ってたんですか!!!」
「お、起きてたんだ・・・」
「俺、ホラー映画に出てくる、山小屋で次々に殺されちゃう奴みたいになったのかと思いましたよ!!!!」
まあ・・・だろうな。
「スマンスマン」
向井さんが笑いながら謝る。
「あ、あんまり・・・気持ち良さそうに、お前が寝てたから・・・さ、うん」
「そう!起こしたら悪いって思って」
皆が必死にフォローする。

するとマルオが「まあ・・・それなら仕方ないか・・・」みたいな雰囲気になった時にケンタが言った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:45:23.60 ID:YgPTP/SWo<> 「まあ、影が薄いから気が付かなかっただけだよ♪」

その言葉にマルオだけでは無く、全員が硬直する。
なんて思い切った事を言う奴なんだ・・・
「あれ?あれ?違うの??」
ケンタが焦り周りを見た。

「お前・・・ぶった切ったな・・・」
サモハンがケンタの肩を叩きながらロッジに入った。
「流石に、俺でも引くわ」
向井さんもケンタにそう言いながら入って行く。
「ある意味ナイス介錯だ」
部長がそう行ってロッジに入った。



せっかく泣き止んだマルオを宥めるのに、夜更けまでかかったのであった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/09(土) 18:47:25.89 ID:YgPTP/SWo<> 本日は以上です。
ちょっと時間が無くて、なんか雑な感じになっちゃいましたww

それでは、また!
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/09(土) 18:49:33.11 ID:wXZxgXeLo<> おつです

毎日ごくろうさま。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/09(土) 18:50:31.42 ID:WyWD7bXPo<> 良かったよ またね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/09(土) 18:52:16.80 ID:jLVd7OFjo<> おつおつ
毎日の楽しみ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/09(土) 18:55:19.27 ID:2ATDpBrIO<> 毎日、盛り上がりがあっていいな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/09(土) 19:23:04.28 ID:eMBqVj3DO<> またリアルタイム遭遇ニアミスだった
毎日ご苦労様楽しみにしてるよw
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/09(土) 20:28:32.68 ID:B7XtYyxYo<> ありがとう
今回も楽しく読ませてもらいました <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/09(土) 21:19:23.48 ID:+YYPYf5AO<> 今日も楽しかったよ〜。
毎日おつかれさまです。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/10(日) 00:02:05.38 ID:+Z069M/Fo<> 追いついた! どんどん引き込まれる
更新楽しみにしてます おつー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/10(日) 01:07:45.09 ID:Ce2wZRXDO<> どんどん引き込まれるおもしろさだね。次の更新が待ちきれないです。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/07/10(日) 03:34:49.51 ID:ZRrqpd1Xo<> ケンタうぜぇwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/10(日) 22:41:58.71 ID:spa33UlSO<> 今日は来ないのか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(九州・沖縄)<>sage<>2011/07/11(月) 00:00:29.02 ID:Ev/cDLcAO<> 7月11日 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/11(月) 03:24:57.91 ID:dsK+bwL6o<> 追い付いたがまったり楽しみにしてる! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/11(月) 08:34:56.56 ID:M8ewrGjjP<> トオル召喚
↓ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/11(月) 09:09:34.20 ID:/New3YnJo<> .          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
                      ::\ヽ   ` ´   / /::
                       ::          ,′
                       ::i  :;     :;  i::
                       ::|          |::
                       ::l         |::
                         ::j            ::
                        ::,′           l::
                         ::/           |::
                     ::/              !::
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                       ::,′    /:: ::|     |::
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:28:11.52 ID:U4cC8QRHo<> おはようございます。何度も言いますが、幼女じゃなくてすみませんww
昨日は忙しくて来る暇がありませんでした。
それでは書いていきます <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:28:49.60 ID:U4cC8QRHo<> キャンプが終わり、俺達は一学期をマッタリと過ごしていた。
ユイとリコさんは毎日受験勉強をしている様だが、部室に顔を出してくれる。
向井さんに関しては余り勉強をしていない様に見えるのだが、ユイ曰くソコソコの成績を修めているのが不思議だ。

部長に関しては・・・最早何も言うまい。
願わくば俺達と同学年になるのだけは避けて欲しいと祈るばかりだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:29:51.70 ID:U4cC8QRHo<> ある日俺が部室に行くとタカコが一人だけ居た。
「あ、こんにちわー」
「うぃーす」
そう言って挨拶をする。
「あれ?今日、一人?」
「はい、マリが委員会なものですから・・・トオルさんもですか?」
「うん」
そう言って椅子に座る。
「あ、お茶入れましょうか?」
「え?ああ、うん、ありがとう」
タカコがそう言ってお茶を入れてくれる。

早く皆来ないかな〜・・・会話が続かなかったら嫌だな。
タカコが俺の前にお茶を置いてくれてシーンとした部室で二人で飲む。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:30:42.05 ID:U4cC8QRHo<> 窓の外から運動部の声だけが響いていた。
何か話さなきゃ・・・そう思うが何を話せば良いのか分からないでいるとタカコが口を開いた。
「皆さん・・・遅いですね・・・」
「そうだな・・・まあ、たまに皆が色んな事が重なって来ない日が有るからな」
「そうなんですね・・・」
そう言って再び黙る。

俺はふとタカコを見た。ショートカットの髪から耳が出ている。
綺麗な耳だな・・・何故かそう思う。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:31:29.34 ID:U4cC8QRHo<> 最初にタカコを見た時は垢抜けない野暮ったい子だな、そう思った。
マリの方が垢抜けていた。だけど最近は髪型や服装を変えたりして垢抜けて来た。
よく見ると肌が白くて綺麗で顔立ちも悪く無いって言うか、可愛い方かもしれない。
背が高いからスタイルも良い。

俺のエロ眼力がそんな風にタカコを見ていると、俺に視線に気が付きタカコの顔が真っ赤になる。
まあ、最近は「キャッ」が無くなったので顔が赤くなるだけなら良い方だが。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:33:13.66 ID:U4cC8QRHo<> 「高校・・・慣れたか?」
俺が無難な質問をした。
「あ、はい・・・凄く楽しいです・・・」
「そっか・・・そりゃ良かった・・・」
俺がそれだけ言うと、タカコが顔を上げて俺を見た。

「あ、あの・・・」
「うん?」

俺が振り返るとタカコは一瞬、間を開けた後に顔を赤くさせて「・・・何でも無いです・・・」そう呟いた。
なんじゃそりゃ。
コツコツと時計の針が無意味に時間を刻んで行く。

「あ〜あ!!」
俺が叫んで立ち上がるとタカコがビックリする。
「ダメだ。皆、今日こねえ。帰るか」
そう言うとタカコが少し淋しそうな顔をする。
俺はカバンを持ってタカコをチラリと見た。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/11(月) 10:33:15.13 ID:W5vUiehIO<> タカコフラグか?! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:35:01.34 ID:U4cC8QRHo<> 「あ・・・えっと・・・どうする?部室に居る?」
そう尋ねるとタカコはクルリと部室を見回した後に俺を見る。
「あ、じゃあ・・・私も・・・」
そう言って立ち上がった。俺達二人は部室を出て並んで歩きながら学校を出た。

「あ・・・タカコってコッチで良いの・・・?」
「はい・・・駅の向こう側です・・・」
「そっか・・・」
会話が続かん。
そもそも俺は、生活こそリア充生活をしていたが、女慣れはしてない。
そりゃ昔に比べれば多少は話せる様にはなったけどさ。
いざ、女子と二人きりで歩きなさいと言われれば、かなりの緊張を強いられていたのだ。
だから、訳の分からない会話をしてしまう。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:36:23.92 ID:U4cC8QRHo<> 「あ、あのさ・・・」
「・・・はい」
俺の言葉にタカコが顔を向ける。

「ぎゅ・・・牛乳好き・・・?」
「え?牛乳ですか・・・?いや・・・特に・・・」
「そう・・・なんだ・・・」

俺の頭の中ではタカコ→背が高い→カルシウム多量に摂取→牛乳好きみたいな図式だった。
ああ〜!!!俺って、ホントにダメダメだ〜!!!
俺がそう思っているとタカコがクスリと笑った。
え?
「何・・・?」
「いや・・・すみません・・・」
そう言って尚も笑いながらタカコは俺を見る。

「トオルさんって・・・ちょっと変わってますね・・・」
「あ・・・ですな・・・よく言われるよ・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:37:21.47 ID:U4cC8QRHo<> 俺達二人はやっと笑えた。
「高校生って・・・凄いですね」
「え?」
「だって・・・普通に男子と・・・下校しちゃうんだなって思って・・・」
いや、それは高校生は関係無いと思うが・・・
「あ、でも俺は未だに女子と二人きりは慣れないんだよ」
「そうなんですか?」
「うん、さっきもタカコは背が高いなー、牛乳好きなのかなーとか思って牛乳好きって聞いちゃったから」
「何ですか、それwwwwww」
タカコが思い切り笑うのを初めて見た気がする。

タカコって、やっぱ結構・・・

可愛いかも・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:38:14.26 ID:U4cC8QRHo<> 「トオルー、中間テストどうだった?」

ヨウイチが部室の窓から陸上部女子のお尻の食い込みを見ながら尋ねて来た。
「まあ・・・ボチボチかな・・・」
俺も食い込みを見る。
正直、ボチボチと言うのは嘘だった。かなり点数が良かったのだ。

最近俺は真面目に勉強をしている。
それはユイが目指す大学に俺も入りたい・・・そう思ったからだ。
そして俺は去年ユイに誓ったんだ。

『アナタに見合う男になります・・・』と。

だから努力をしないといけない。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:39:17.38 ID:U4cC8QRHo<> 内面も外面も鍛える。
去年から筋トレをしてるし、髪型や服装も気にしている。
俺的にはちょっと良い男になって来た・・・そう思っているのだが・・・実際はどうなんだろう?
俺がそんな事を思っているとヨウイチが食い込みを見ながら言う。

「お前・・・結構テスト良かっただろ」
「え?なんでだよ」
俺は陸上部女子に飽きて次はバトミントン部の女子がランニングを始めたので、それを見た。
「いや、サモハンがお前のテストの答案を見たらしい・・・バトミントン部、可愛いな」
「アイツめ・・・勝手に見やがって。バトミントン部って可愛い奴多いんだよ」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:40:15.47 ID:U4cC8QRHo<> 俺達がエロとテストの話をしていると、「失礼しまーす」そう言ってマリが入って来た。
「おっす」俺達も挨拶に応えて三人で適当にダベる。

「所で、ですねぇ」
そう言ってマリの眼鏡がキランと光り俺を見た。
「トオルさんは、ユイさんと、どうなんです??デートとかしちゃってるんですか??」
いきなりまくし立てる。
な、何なんだ。
「ねえねえ、どうなんです?」
マリは恋愛話が大好きだ。最近、よく聞かれる。

「俺から見たら、結構良い線行ってると思うんだけどなぁ」
ヨウイチもニヤニヤしながら言う <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:41:23.33 ID:U4cC8QRHo<> 「な、何だよ・・・お前まで・・・」
「ガバッと行けよ、ガバッと!」
「馬鹿、俺はお前とは顔の出来が違うから、ガバッと行ったら引かれちゃうんだよ!」
俺がそう言うとマリが「そうかなぁ?」と呟いた。
「え?」
「トオルさん、結構お洒落だし、悪く無いと思いますけど」
なんて素晴らしい事を言ってくれるんだ!
「だよな?お前自分が思う程、悪く無いよ」
マジか!?

「まあ・・・」マリが続ける。
「決してモテモテとは言い難いですけど・・・」

あ、そーっすか。
俺が微妙な顔をしているとマリが又もや口を開く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:42:36.36 ID:U4cC8QRHo<> 「ねえ、タカコの事は、どう思います?」
え?
「なんで・・・?」

「タカコ、多分トオルさんの事が好きですよ」

ほー・・・・・・・・・・・・・・・









な、な、なんだってぇぇぇ!!!!!!

俺は何故か立ち上がった。
「なんで立ったんだ?」
ヨウイチが尋ねる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:43:32.31 ID:U4cC8QRHo<> 「え?タカコ?え?マジ?嘘?マジ?え?何が?」
落ち着け俺。
「あれ?知らなかったんですか?」
知らねーよ!!!!
頭の中で何故かタヌキがコサックダンシを踊りながらウサギに近付いてキックをする想像が広がった。
その技の名前は『ギャラクティカ・ポンポコ・キック』と言う名前らしい。

「おーい、トオルさーん」
「あ、ダメだな別の世界に行ってるわ」

俺はタヌキが魅せる数々の技をアッチの世界で味わっていたのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:44:29.06 ID:U4cC8QRHo<> タカコが俺を好き。

それは俺に取って、とても衝撃的な事だった。
「誰かが誰かを好きと言う噂がある」
そう言うのは昔から耳にした事が有ったが、その「誰」の中には俺の名前が入る事は無かった。
俺はあくまで、ハアハア言いながら、遠くから好きな子を見つめるだけで、たまに近付こうとしたら、リコーダーを舐めたり、弁当を作ったりと犯罪的に気持ちの悪い行動しか出来ない奴だ。

高校に入り、やっと、まともな恋愛を始める事が出来たかと思えば、今度は俺の事が好きだと言う奴が現れるとは・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:45:44.77 ID:U4cC8QRHo<> 「いや、人生って・・・分かんないもんっすね」

突然の俺の独り言に石田さんが慌てた。
「な、なんだ、急に」
「あ、いや・・・独り言っす」
「そ、そうか・・・」

タカコに対して、何らかの応えを出した方が良いのだろうか?
いや、待て待て。落ち着け俺。

現段階ではただの噂だ。
しかも発信源はマリ一人だ。
今タカコに何か言っても、それがただの勘違いならば最悪だ。
タカコにも失礼だし、向井さんに一生の笑いのネタを提供する事になる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:46:39.02 ID:U4cC8QRHo<> それに・・・ユイ・・・
俺はユイを思った・・・

まあ、良いや。とにかく放っておこう・・・
俺はそう思ったが、モテた事が無い奴が、自分に気が有る奴が居る・・・
そう聞くと、自然にその子を意識してしまう物だ。

俺は翌日から、モロにタカコを意識してしまったのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:47:27.35 ID:U4cC8QRHo<> 梅雨が始まり、雨が降り続いた頃に俺は風邪をひいて寝込んでしまった。
原因は分かっている。
向井さん発案の土砂降りの中での最後の試合でサヨナラ負けをしてしまうピッチャーごっこが原因だ。
向井さんに、「空を見上げるタイミングが早い」と何度もやらされた。
雨で冷えたのに、そのまま仕事に行って風邪をひいたのだ。
朝起きて体がたまらなく怠く、熱を計ったら38度も有り、打たれ弱い俺は、その体温に余計にダメージを受けて学校を休んだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:48:36.96 ID:U4cC8QRHo<> 家でただ、ひたすら眠る。
何か食べなきゃ、そう思うが体が動かず、そのまま眠っていた。

午後になった時にインターフォンの音がしてドアを開けると向井さん、部長、ヨウイチ、サモハン、ケンタ、マルオと言う天文部男子メンバーが入って来た。

「おっす!トオル!元気か?」
そう向井さんが言うが、元気じゃ無いから学校を休んでるんだけど・・・
向井さんは座るなり俺に言った。
「喉渇いたから、お茶くれ」
なんて病人に優しく無い人なんだ・・・
そう思い別の奴にお茶を出して貰おうと周りを見る。
だが、ヨウイチ、サモハンは既にジャンプを二人で読み始めた。
そんなに今週号のこち亀が気になるのかよ・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:49:29.26 ID:U4cC8QRHo<> ケンタが「あ、これ差し入れを持って来ました!」と笑顔でテリヤキバーガーセットを出して来た
ゴメン、気持ちは嬉しいけど今度からもっと消化に良い物にして・・・

「トオルくん!!ヤバい!!」
そう言ってトイレに行った部長が俺を呼ぶ。
慌ててトイレに行くと便器を詰まらせ、汚水を溢れさせている。
部長が眼鏡を上げながら呟いた。
「罠の・・・可能性がある・・・!」

お前、もう黙れよ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:50:50.11 ID:U4cC8QRHo<> 「これは、パッコンが必要だぞ!パッコン!パッコン有るか??」
向井さんが何故か興奮している。
「多分・・・向井さんが言うパッコンは・・・無いっす」
「なんだとー!よし、そしたら皆でパッコン買いに行くぞ!!」

もう良いよー・・・
「あ、俺家に居てますね」
そう俺が至って普通の意見を言うと「馬鹿!お前のパッコンを買いに行くんだよ!!色とか柄とかお前が決めなきゃダメだろうが!!」
「いや、色とか柄とか、どうでも良いです・・・」
「なんでだよ!初めて買うパッコンだよ??僕らが選んだらダメだろ!」
部長が真剣な表情で言う。
いや、なんで初めて買う自転車みたいな重要な扱いになってんの?
色も柄も、どうでも良いし、そもそも詰まらせたのアンタじゃん・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:51:42.83 ID:U4cC8QRHo<> 「トオルー!!!」
ヨウイチが俺を呼ぶ。
今度は何?!
「マルオがジュースこぼした!!!」
見るとマルオが泣きそうな顔で俺の着替えでジュースを拭いている。
「いや、それ、着替え!!!」
「あ、ああああー・・・」
俺はキレた。

「普段、影、薄い癖に、こんな時に活躍すんじゃねーぞ!!!」

マルオが泣いた。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:52:54.77 ID:U4cC8QRHo<> 翌日、体温を計ると、39度近くに成っていてビックリした。
前日より酷くなっていたのだ。

俺はとにかく眠る。
だが辛過ぎて頭がフラフラしていた。
昨日は酷い目にあった・・・だけど、今日は来ないでくれ、そう懇願した。

頭がクラクラする。眠っていてもそれが分かった。
病院に行った方が良いのだろうが、その元気も無かったんだ。
意識を失う様に俺は眠った・・・

・・・気が付くとインターフォンが鳴っている事が分かった。誰だろう・・・? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:53:47.18 ID:U4cC8QRHo<> そう思いドアを開けると「こんにちわー♪」そう言ってマリとタカコが入って来た。
「大丈夫ですかぁ?トオルさん」
そう言われ「大丈夫では・・・無い」そう答える。
「私らトオルさんの為に料理を作りに来たんです・・・ねえ、タカコ♪」
マリが、そう意味深にタカコに同意を求める。
タカコは恥ずかしそうに頷くだけだった。

正直、そんなマリの行動に対して何らかのアクションを起こせる元気が無かった俺は「・・・ありがとう」そう呟くのが限界だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:54:46.70 ID:U4cC8QRHo<> マリとタカコは部屋に上がり込み俺の炊事場でガタゴトと料理を作り始めた。
俺はボーッとその二人の背中を眺める様に座る。

「あ、トオルさんは寝ていて下さい・・・ねえ、タカコ」
マリがウザい。
タカコが心配そうな顔をして俺の所へ来た。
「すみません・・・急にお邪魔して・・・ちょっとでも栄養を付けて貰いたくて・・・」
そうタカコが顔を赤くして言う。
「あ・・・いや、うん・・・ありがとう。嬉しいよ」
俺は精一杯の作り笑顔でそう言う。そう言わざるを得ない。

が、実際に嬉しいのは確かだった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:56:00.44 ID:U4cC8QRHo<> 負かりなりにも女子が俺を心配してご飯を作ってくれるなんて、夢の世界の出来事だったからだ。
だが、体がだるすぎて素直に喜べないのだ。
俺がベッドにもたれながら、二人を見ていると、又もやインターフォンが鳴った。

なんだ?
そう思いながらドアを開けると・・・

「ヤッホー、トオル君、元気ー?」

そう元気に手を振るリコさんと・・・

「ごめんね、急に来て・・・」

そう心配そうに言う・・・




ユイだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:57:08.60 ID:U4cC8QRHo<> 俺の部屋のテーブルにはタカコが作ったお粥とオカズ。
ユイが作って来た弁当が置かれていた。
そして左側にはタカコ、マリ。
右側にはユイ、リコさんが座る。
部屋の空気が非常に重い。シーンと静まり返っている。
え?何、このラブコメによく有りがちな展開。
こんな事、実際の人生にも起きるんだ・・・

そんな馬鹿な事を考える。
普通に考えれば、俺の人生で俺の為に料理を作ってくれる女の子が二人も居るなんて、有り得ない事だった <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 10:59:14.70 ID:U4cC8QRHo<> 最高に幸せな事なんだろう・・・
だが、実際に目の前に、そう言う事が起きた俺の感想は・・・
参った・・・だった。

もちろん、俺はユイが大好きだ。それは間違いない。
だけど、自分の為にわざわざやって来て料理を作ってくれる女の子を無碍に出来ない。
ユイとタカコは少し困惑した表情を浮かべている。
てか、マジで何なのこれ?
なんで病人の俺がこんな気まずい思いをしなきゃならん?
そもそも、別に俺が何かした訳でも無いのに、なんでこんな修羅場化してんの?
修羅場って、もっと女にだらし無い奴が味わうもんじゃないの? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/11(月) 10:59:42.37 ID:W5vUiehIO<> いよいよユイvsタカコか
…うん?ユイタカコ?それなんて少女ファイト <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:00:04.72 ID:U4cC8QRHo<> ただでさえ弱っている俺の頭が沸騰しかけていた。
リコさんとマリが駄目押しに呟いた。

「・・・面白くなって来た・・・」
「ですね・・・どっちを選ぶんでしょうか・・・」

俺、ユイ、タカコの三人が一斉に顔を赤くした。
俺は箸を取ると叫んだ。

「いやー!!風邪ひいて碌に食べてないから腹減ってたんすよ!!二人共、ありがとう!!!」

全然、食欲のカケラも無い俺は一気に二つの料理を胃袋へと運んだ・・・
リコさんとマリはワクワクしながら、それを眺めていたのであった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:00:56.61 ID:U4cC8QRHo<> 翌日、体温を計ると39度を越えて、もうダメだと思った。
体が重いと言うより痛い。寝返りを打つのも辛い。
よっぽど救急車を呼ぼうかと思ったが大事になりそうなので辞めた。
ただ、ひたすら眠る。だが、意識が朦朧として天井がグルグル回り始めた。
ウサギがムーンウォークをしながら、エベレスト無酸素登頂を果たす夢を見る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:02:06.16 ID:U4cC8QRHo<> 夢の断片の様に、天文部の奴らが交代で俺の看病をしている様な気がした。
夢か現実かが分からない。
ユイの順番の時にユイが俺のオデコを触りながら、泣いている気がした。

ああ・・・良い夢だ。
俺はそう思いながら意識が薄れて行った・・・

目が覚めると体から汗が出まくって、シャツとズボンがビショビショだった。
だが、その汗と比例する様に体が軽い。
昨日までの重さが全く感じられ無かった。

ふと、周りを見た時に・・・ビックリした・・・! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:03:03.55 ID:U4cC8QRHo<> ユイとリコさんが俺のベッドの横でタオルケットを掛けて寝ている・・・
向井さんと部長が押し入れにもたれて寝ていた・・・
ヨウイチとサモハン、タカコ、マリは机に伏せて眠っている・・・
ケンタとマルオは台所で丸まって眠っていた・・・

皆が俺の部屋で眠っていたのだった・・・


そうか・・・アレは夢じゃ無かったんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:03:58.44 ID:U4cC8QRHo<> 確かに、風邪をひいてから、最初の二日、逆に熱が上がった。
だけど、生まれて初めて風邪をひいた時に一人切りじゃ無かったんだ。
こんなに沢山の仲間が代わる代わる俺の家に来てくれて、そして俺を見舞ってくれたんだ。

胸の中に何かズシーンと重く、そしてフンワリした気持ちが生まれた。
高校に入ってから、たまにこう言う気持ちになる・・・



そうか・・・これが『幸せ』と言う気持ちなんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:04:54.79 ID:U4cC8QRHo<> 俺は特に何の取り柄も無い。
どちらかと言うと人間としては下のランクの人間だ。
だけど、唯一自慢出来る物があるとしたら・・・それは・・・

この仲間なのかも知れない・・・

俺はそう思うと一人ニヤニヤする。
皆の寝顔をずっと見ていたかった。
ずっと、この不思議な気持ちを味わっていたかった・・・!



が、その幸せな気持ちは唐突に終わった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:06:54.27 ID:U4cC8QRHo<> 俺がユイを見た時に、ユイのタオルケットが剥がれているのが分かった。
そのタオルケットの下にユイの制服のスカートが見え・・・

そして、スカートが捲れ上がり・・・白い足が見えていたのだ・・・

おおおおおお!!!!!!
俺は目が飛び出す様にそれを見る。
早速、朝の元気なお約束のアレがナニした。

や、ヤバい・・・病み上がりなのに・・・!!!

俺がユイのスカートの中が、それ以上見えないかと、色んな向きを変えて動いていると視線を感じた。
その視線の発信源をソッと見ると・・・





向井さんが満面の悪魔の様な笑顔を浮かべ俺を・・・見ていた・・・! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:08:13.87 ID:U4cC8QRHo<> 俺の顔は骸骨の様な顔になったと思う。
向井さんは満面の笑みで叫んだ。

「おおおい!!!!皆、起きろぉぉぉ!!!!トオルがなあああああ!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!すみません!!!!!勘弁してくださあああああいいいい!!!!!」
「えー?何・・・?」
「どうしたー?」
皆がノッソリと起き上がる。

「いや、それがさ、トオルがさ!!!!」
「マジ!!!マジで辞めて!!!マジで!!!向井さん!!!!」
「何だよ、トオルー、お前元気になったな・・・」
「いや、コイツ元気だよ!!だってな・・・」
「ほんっっっとに!!!!ほんっっとに!!!勘弁して!!!!」

朝からの攻防で、俺は完全に元気になったが、これで、また一つ向井さんに弱みを握られたのだった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/11(月) 11:08:54.23 ID:U4cC8QRHo<> 今日は以上です。
続きは、また明日でお願いしますね

じゃね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/11(月) 11:11:19.61 ID:r+hYndEZo<> おつでした
今日もありがとう <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/11(月) 11:12:47.40 ID:B5Q8xbqIO<> おつかれさまー
毎日楽しみだ!続き待ってますね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西地方)<><>2011/07/11(月) 11:17:22.07 ID:DtkDG1vEo<> ハーレム裏山wwwwwwwwwwwwwwwwwwww

しかしこれは複雑だなぁ。
部活内で三角関係か… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/11(月) 11:44:56.81 ID:/New3YnJo<> 乙でした、
ようじょ、なんか呼ばれた気がして。
ごめんなさい、もうしませんwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/11(月) 12:52:21.36 ID:M8ewrGjjP<> 乙
おっぱいどっちがおっきいの?
どっちがってか4人のおっぱいランキング <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/11(月) 14:52:47.32 ID:4ZkMjg7m0<> 解 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/11(月) 15:30:51.79 ID:kPlNuJPto<> 奇面組みたいだなww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)<>sage<>2011/07/11(月) 15:53:55.13 ID:qBhAF0fho<> 更新乙
ユイが好きって分かってるのに好意を寄せてくるタカコも気になる気持ち分かる

1年生達はトオルの自宅を知ってたみたいだけど
トオルの過去(社会人を1年して高校に入学したことなど)は
この時点でどれくらい知ってるのか気になった

あとマルオどんまい いつかいいことあるといいな <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/11(月) 17:28:32.64 ID:WssM1btXo<> 質問って普通終わってからだよね? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)<>sage<>2011/07/11(月) 18:09:27.33 ID:1D18r8aDo<> 北海道三連投ww
マルオ空気だなwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/11(月) 18:23:35.27 ID:0xt94nJ6o<> 質問するとネタバレに繋がったりするしな
質問は話しの流れで、どうしても理解出来なかったとこだけにした方が良いと思う
出ないと、1は立場上質問無視する訳にもいかないけど
ネタバレさせる訳にもってなって結構悩んで大変

と、前に別スレで1やってた俺は思う <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage <>2011/07/11(月) 21:36:38.57 ID:YEVoSVy7o<> よかったトオルの変態成分抜けてなかった安心した <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/11(月) 23:11:25.90 ID:3fZUFhxs0<> おもしろくて一気に読んでしまった
続きが気になる! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 01:29:17.68 ID:dwodfCvDO<> 追い付いてしまった

続き楽しみにしてます <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 08:46:53.78 ID:POkk5WiyP<> トオル召喚
↓ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/12(火) 11:33:51.05 ID:mgiY/NYTo<> .          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
                      ::\ヽ   ` ´   / /::
                       ::          ,′
                       ::i  :;     :;  i::
                       ::|          |::
                       ::l         |::
                         ::j            ::
                        ::,′           l::
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                       ::,′    /:: ::|     |::






ふぅ・・・・またやっちまった <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 11:35:00.51 ID:POkk5WiyP<> こねええええええっ!!!!!!!!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 11:37:12.61 ID:kp4fKJ/IO<> トオルはまだかー? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:37:57.82 ID:mCAND1Lno<> どうもです
お待たせしました

続きを書きます <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/12(火) 13:38:59.40 ID:dys9ukNro<> 待ってなんか無いんだからね
でもせっかくだから読んであげるよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/07/12(火) 13:39:08.28 ID:kTpnObb5o<> キタ━━━━━━┏(_Д_┏ )┓━━━━━━!! <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:39:19.38 ID:mCAND1Lno<> 梅雨が明けると空に入道雲が広がった。

「あー・・・涼しいなー・・・」
ヨウイチが気持ち良さそうな声を出す。
「いやー、外に出たく無いっすねー」
ケンタが目を細めて言った。
向井さんは制服のワイシャツをはだかせる。
「部室にクーラーが有るって最高だと思う75%。冷たい飲み物も欲しい12%。そしてそれはビールだ25%」
「いや、あの、それ数字が多いし、しかも答えが被ってるし、そして、ここは部室じゃ有りません」

俺の家に全員が集合していた。男連中はエアコンの前で固まって動かない。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:40:47.03 ID:mCAND1Lno<> >>770
ツンデレ乙ですww

続き
「もう、男子早くミーティングしようよ」
リコさんが注意する。天文部の良心健在。
「ぶちょー」
ユイが部長を呼ぶ。部長は本棚とベッドの間に顔を挟んでいた。
「じゃあ・・・だいいっかいてんもんぶさいこーきみつかいぎを・・・」
「部長、顔を挟んだまま喋るのは辞めて下さい」
俺がそう言うと部長は「チッ」と舌打ちして俺を睨んだ。
え?なんで?
「部長は一番冷える場所を本能で知ってるんだ」
向井さんが説明する。

てか、何、その気味の悪い能力。
最後までエアコンの前を剥がれないサモハンをやっと引き離すと会議が始まった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:42:02.29 ID:mCAND1Lno<> だが、この会議が後に天文部を揺るがす大戦争を引き起こすとはこの時の俺達は知るよしもなかった・・・

「議題は夏合宿の日にちなんだけど・・・」
夏合宿かぁ・・・ムフ、今年もユイの水着姿が見れる。楽しみだー

「はーい、一個意見が有りまーす」

リコさんが挙手をした。
「夏合宿の行く場所なんですけどー、今年は山が良いと思いまーす!」

な、なんだって??山だとー!!!!山で・・・水着姿・・・


・・・にはならねー!!!
「えー!!夏合宿は海だろうが!!!」
向井さんが抵抗する。頑張れ向井!!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:43:29.35 ID:mCAND1Lno<> 「だって、日焼けするの嫌だもん・・・ねえ?ユイ」
「うん・・・そろそろ、シミとかソバカスが気になるし・・・それに星も山の方がよく見えるし」
ユイもリコさんに賛同する。
なんだとー!!!

「俺は海が良いっす」
ヨウイチが答える。ナイスだヨウイチ。
「山を登るのが辛い・・・海に一票」
サモハンも海に入れた。
「私も・・・水着が・・・ちょっと嫌です・・・」
「私も・・・」

タカコとマリが恐る恐る言う。
大丈夫だって!!!お前らも水着が似合うって!!!
「俺は海に・・・」
ケンタがそう言った。それでこそ、ケンタだ!!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:44:42.24 ID:mCAND1Lno<> 「僕は海に、一票だな・・・海の方が心霊スポットが多い・・・」
部長が眼鏡をクイッと押し上げた。
「えー・・・海はもう良いよ・・・」
リコさんが不満げな声を出す。
「おう!トオル!お前はもちろん海だよな??」
え?もちろん・・・俺がそう言いかけた時に俺の袖をユイが掴んだ。

「トオル君も山が良いよね・・・星も見やすいよ・・・」

ユイがそう言って俺を見つめた。
ドキッ。

「あ、俺は・・・」

ユイが俺を見つめている・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:45:55.78 ID:mCAND1Lno<> 「や、山が・・・良いかな・・・」

「ヤッター!」
ユイと女子連中が喜ぶ。

「テメー!!!女に目が眩みやがって!!!」
「裏切り者!!!」
「今だけしか見ずに、大局を見誤ったな!!!」

男子から罵声が飛ぶ。
「あ、トオルさんが山なら・・・俺も」
ケンタが山に票を入れ替える。
「はああああ???お前、舐めんなよ!!!」
「て、事は、あれか???山が六票で海が四票かよ!!」
「やったー!!勝った!!!」
「いや、ちょい待て、なんか足りなくないか???」

全員が気が付くと、マルオが部屋の隅で泣いていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:46:56.30 ID:mCAND1Lno<> 「えー、現在の票結果をお伝えします・・・」
部長がコホンと咳ばらいをする。
「現在、山、六票!海、五票・・・」
「やったよ!山派の勝利よ!!」
「待てーい!!!」
リコさんの言葉を向井さんが遮った。
「誰が、投票で決めると言ったぁ!!!」
「投票は民主主義の基本じゃない」
「黙れ!!天文部は民主国家じゃねー!!!全権は部長が握っている国家なんだよ!!!ねえ?部長!!」
向井さんの言葉に部長は頷き眼鏡を光らせ「朕は国家なり・・・」そう呟いた。

なんだ、その言葉は。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 13:47:25.90 ID:POkk5WiyP<> マルオなごむなぁ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:49:58.45 ID:mCAND1Lno<> 「そんな事を言うなら、部長を変更する動議を始めたいと思います!!!」
リコさんが叫ぶ。向井さんが目を見開き叫んだ。
「うわっ!!!く、クーデター・・・」
「うぬっ・・・愚民が・・・!」
部長が苦虫を潰した顔をする。

「皆!!今こそ圧政から抜け出すチャンスよ!!!いざっ!!!敵は本能寺にありっ!!!」

リコさんノリノリだな。

と・・・言う訳で、この些細な合宿問題から部長を巡っての政争へと発展をしたのだ・・・
現部長対新部長候補のリコさんの争いは各地で血を血で争う戦いを引き起こした・・・





・・・訳でも無く、俺の部屋で一対一の神経衰弱対決で決める事になった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:52:07.19 ID:mCAND1Lno<> 「良いんですか?こんな事で部長を決めて・・・」
ケンタが俺に尋ねる。
「良いんじゃない?部長なんて誰がやっても一緒だし・・・それに、合宿の場所さえ決まれば、部長は今の部長で続行って事になるだろうし」
「そうなんすか・・・」
まあ、この部に居たら段々常識が無くなって行くんだよ。
「行きますよ・・・部長・・・!」
リコさんが部長を見た。
「ククク・・・僕に勝負を挑んで来るとは・・・リコ君・・・君はもう少し頭の良い女性だと思っていたが・・・」
その言葉を無視してリコさんが、カードをめくって行く・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:53:09.39 ID:mCAND1Lno<> 「とお!」「とお!」「とお!」
何度も言うがリコさんノリノリだな。
リコさんは三連続で当たりカードを引き当てた。

「ザワ・・・ザワ・・・」
「ぬっ・・・やりおるわ・・・」
向井さんが呟く。

ちなみに、ヨウイチとサモハン、マルオは漫画を読んでいた。
ユイとタカコ、マリは三人でお菓子を食べながらドラマの話をしていた。
何回か神経衰弱の順番が周り、リコさん六組、部長一組のカードを手に持っている。

「私の・・・勝ちの様ですね・・・部長・・・」
リコさんが、そう笑う。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:54:38.46 ID:mCAND1Lno<> 部長は「ククク・・・」そう笑うと眼鏡をキラリと光らせる。
「もっと・・・取っておくべき、だったね・・・リコ君」
「え・・・?」
「カードを無闇に開き過ぎたな・・・ククク・・・甘く見過ぎたよ・・・僕を・・・!」

ザワ・・・ザワ・・・
部長は一枚のカードを開けた。
ハートのキング。

「ククク・・・これから、君の順番は廻らない・・・これが・・・終わりの始まりだ・・・!」
「な・・・!」

ザワ・・・ザワ・・・部長はいきなり、その隣のカードに触れると・・・
ゆっくりとそれをひっくり返していった・・・

クローバーの『6』。
「あ、間違えた・・・」
部長が呟く。

いや、読めたよ。大体。アンタそう言うキャラだもん。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:55:55.85 ID:mCAND1Lno<> 「うわぁぁぁぁぁ!!!違う、違うんだぁぁぁ!!!」
「はいはい、じゃあ私の番ですね」
「ヤバい!ヤバい!!」

部長が頭を抱える。
だが、リコさんのターンは一組奪取で終わった。

「おー良かったー・・・」
部長が胸を撫で下ろす。
ちなみに向井さんが飽きた様で、ヨウイチ、サモハン、マルオにキン肉バスターを掛けさせろと言っていた。
ユイてタカコ、マリは学校の先生の噂話で盛り上がっている <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:57:03.93 ID:mCAND1Lno<> 「リコ君・・・これで、本当に・・・最後だ・・・!」
部長はそう言うと眼鏡を光らせる・・・

そして、凄い勢いでカードを開けまくって行った・・・

「え・・・?」
リコさんが流石に絶句する。俺も驚いた。
部長の手は澱み無く正解カードを引き当てて行くのだ・・・

そして・・・部長の言葉通り・・・リコさんのターンは無く・・・

部長のターンで勝負は終わりを告げた・・・!


「無駄に能力たけぇぇ!!」
俺は叫んだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 13:58:22.92 ID:mCAND1Lno<> 「う、うそ・・・」
リコさんが両手を着いたまま呟く。
部長は眼鏡を上げると答えた。

「武芸百般総てに秀でてこその・・・天文部部長だよ・・・!」
いや、武芸じゃ無いし、そこまで天文部長ってスペック必要なんかよ・・・つーか、その能力勉強に使え!!!
もうツッコミ所が多過ぎて何から突っ込めば良いか分からなかった。

「ま、負けました・・・」
リコさんが肩を落とした。
いや〜この部長に負けたらショックだろうな・・・

「これにて・・・第三十一代天文部部長は私に、決定致しました!!!」

そんなに続いてたんだ・・・天文部・・・



とりあえず夏合宿は海に決定した。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 13:58:25.27 ID:POkk5WiyP<> 4人のおっぱいランキングマダー <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:00:42.58 ID:mCAND1Lno<> ジジジ・・・と言う蝉の音と共に、夏が本番となった。
俺達は今年も向井さんの所でバイトをさせて貰う。
今回は日給を通常の日給で貰う事になった。
俺達みたいな素人が高級を貰う訳には行かない。なので、去年より長く一週間の仕事期間であった。

去年と同じ様に死にそうになりながら仕事をする。
サモハンは少し死んでいたかも知れない。
ケンタとマルオは以外にも中々の仕事振りであった。
どうにか向井地獄を終えた俺達は夏合宿用のお金を貯める事が出来て見も心もテンションが上がり、浮かれていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:01:53.34 ID:mCAND1Lno<> >>787
あくまで予想
一位リコさん
二位ユイ
三位タカコ
四位マリ

多分 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:02:52.08 ID:mCAND1Lno<> 俺は流石に昼間の向井さんの所での仕事と夜の警備の両建ては辛かったのか、仕事を終えた翌日は警備の仕事も休み一日家で寝ていた。
昼過ぎにやっと目が覚めて外を見る。
アスファルトからムワっとした熱気が立ち込める様な陽射しであった。
さて、今日はどうするか・・・?ヨウイチでも誘ってどっかに行くかな?
そんな事を思っていると家の電話が鳴った。
「もしもし」俺が電話を取ると向こうから「こ、こんにちわ・・・」そう緊張した声が聞こえる。


相手はタカコであった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:04:03.79 ID:mCAND1Lno<> 「おう・・・」
俺も少し緊張した声で答える。
な・・・なんだ・・・?
ウチに電話をしてくるなんて向井さんかヨウイチ位だったのでかなり緊張をする。
「あ、え、えっとですね・・・」
タカコがまごついている。そんなまごつかれたら俺も緊張するじゃないか。
タカコの後ろから声が聞こえる
「早く・・・言いなさいって!」
多分マリだろう。


「えっと・・・ですね・・・きょ、今日は・・・ト・トオルさん・・・お暇ですか・・・?」


え? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:05:10.15 ID:mCAND1Lno<> 「あ、あの・・・今日・・・ウチの近所で・・・夏祭りが・・・ありまして・・・えっと・・・」
う・・・うわ・・・こ、これって・・・ひょっとして・・・俺の心拍数が一気に上がる。
「えっと・・・も、もし・・・良かったら・・・あ、あの・・・」
「は・・・はい・・・」
俺はそう言って生唾を飲んだ。


「あ、あの・・・その・・・一緒に・・・行きません・・・か・・・?」



うわああああああ!!!!!
さ、誘われたぁああああああ!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/12(火) 14:06:05.24 ID:dys9ukNro<> これはダメなパターンのやつやな
調子に乗らないで早めに芽を摘まんと <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:07:10.24 ID:mCAND1Lno<> 「え?え?え?あ・・・え??」
俺はかなりパニックになる。
「あ・・・だ・駄目ですか・・・?」
「え?いや・・・その・・・駄目って言うか・・・その・・・」
俺もう超シドロモドロ。
「も、もし・・・来てくれるんだったら・・・あの・・・駅前に五、五時に待ってます・・・それじゃあ・・・」

ガチャン。そう言って俺の返事を待たずにタカコは電話を切った。
俺はしばらく放心状態のまま受話器を持って立ち尽くしていたが、我に返るとすぐに電話を掛ける。

掛けた相手はヨウイチだった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:08:44.39 ID:mCAND1Lno<> ヨウイチは寝ている様だった。
ヨウイチの母親に緊急事態なので起こして貰えますか、と無理矢理ねじ込み起こして貰う。
「・・・ふぁい・・・」
ヨウイチの眠そうな声が受話器から聞こえる。
「どう、どうしよううううう!!!!さ、誘われたあああああ!!!!」
「・・・何?」
ヨウイチのテンションが低い。そりゃそうだ。
「な、夏祭りがあるって・・・そんで、家の近くで・・・だから・・・一緒にって・・・」
「よし!分かったトオル。とりあえずあれだ・・・」
ヨウイチはそう呟くと続けた
「テーマを明確に喋れ・・・な?」
俺は受話器の前で一人頷くと言った。
「さ、誘われたんだ!!!」
「そこかよ・・・主語を・・・せめて主語を付けてくれ・・・」

「タカコに誘われたんだよおおおお!!!!」
「ほっほーーー♪」

何故かヨウイチは嬉しそうな声を出していた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:10:22.35 ID:mCAND1Lno<> 待ち合わせの場所に俺は4時に到着をした。
肩に力が入り体が震えそうな位に緊張していたんだ・・・


ヨウイチに「行って来いww」そう言われた。
「だ、だけど・・・俺が好きなのは・・・ユイさんで・・・」
「分かってる、分かってる。だけどな、ちょっと位、お前も他の女を見て来いって」
「え??」
「良いか?ユイさんは一応お前の告白を断ったんだよ・・・分かる?」
「う、うん・・・」
「なら、お前は今ユイさんと付き合っている訳じゃ無いんだ・・・そしたら、誰とどこへ行こうが、お前の勝手じゃないか」
「い、いや・・・だけど・・・」
「それにな・・・お前が別の女に興味を持つ事で、もう一個利点がある」

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:11:49.38 ID:mCAND1Lno<> 「利点・・・?」
「そうだ、ユイさんからしたら今のお前は自分の事を好きでいる安心出来る男なんだ・・・だから、お前への返事をはぐらかしている・・・それが、もしお前が別の女に興味を持ったらどうだ・・・?」
「ど、どうなの・・・?」
「あれ・・・?トオル君が・・・私の事を見てない・・・ってなって急にお前への関心が高まる。名付けて『嫉妬大作戦』だ!」
「そんなに上手く行くか?」
「行く!」
「マジかよ・・・」
「だから、行って来いって!」
「いや、ちょっと待て・・・それじゃあ、タカコはどうするんだ?アイツを利用するだけかよ・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:12:52.94 ID:mCAND1Lno<> 「う〜ん・・・まあ、そうなるかな・・・」
「それは嫌だよ・・・タカコが可哀相じゃんかよ」
「お前も面倒くさいな・・・」
「いや、だって、お前はモテるから分かんないだろうけどさ、俺らみたいな奴って、すっごい真剣に誘うんだよ?相手の事を・・・」
「ん〜・・・まあ、あれだ・・・キープって事で・・・」
「キープ???!!!」
「お前、ユイさんに振られたらどうするの?高校生活彼女も無しに過ごす気か?」
「え?」
「考えろよ、ユイさんが駄目ならタカコと付き合ったら良いじゃないか」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:14:20.04 ID:mCAND1Lno<> 「お、お前な〜・・・」
「お前はタカコの事は嫌いなのか?」
「え?・・・いや・・・嫌いじゃないけど・・・」
「だろ?だったら良いじゃないの・・・キープって事で」

だ、打算的だ・・・だが、俺の心は少し揺れる。
決してキープと言う事では無しに、タカコが俺の事を好きって言うのが嬉しいのだ。
俺は今までの人生でモテた事が無い。それが今、俺の事好きと言う女の子がいる。
それは俺に取って夢見たいな事だし、タカコは結構可愛い子だ。
そんな子が・・・

打算的なのかどうかは分からないが、俺はタカコの気持ちも捨てがたかった。

「な・・・?だから取り合えず行って来いって」


ヨウイチの言葉に俺は思わず頷いていたのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:15:03.70 ID:mCAND1Lno<> 待ち合わせでタカコを待つ。
ドキドキしていた。携帯が無い頃は待ち合わせは楽しかった。

いつ来るのかな?もう家を出たかな?そんな事を思いながら待ち続けるんだ。
俺が駅の時計の針を見ると四時四十五分を差している。

そろそろかな・・・?俺がそう思って歩く人達を見る。
夏祭りに行く人達なのか浴衣姿の人達の姿が行き交う。
俺はドキドキする。俺が女の子と二人で・・・夏祭り・・・

そう思うと心臓が破裂しそうになった。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:15:56.50 ID:mCAND1Lno<> その時、向こうの道から水色の浴衣を着て髪を結い上げたスタイルの良い女の子が現れる。
よく見るとタカコだった。
俺の心臓はドキンと鼓動が速くなる。
タカコは俺を見つけると顔を一瞬赤くして急いで近づいて来た。
「あ・・・こんばんわ・・・」
そう言ってタカコが頭を下げる。
「あ・・・どうも・・・」
俺も同じく頭を下げた。
「お・・・お待たせしました・・・?」
「あ、いや・・・俺もその・・・うん・・・今、来た所・・・」
うわ、生まれて初めてこんな台詞言ったわww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 14:17:20.71 ID:POkk5WiyP<> そこに元気に走り回る部長の姿が! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:17:33.40 ID:mCAND1Lno<> 「じゃあ・・・行こうか・・・」
俺がそう言うとタカコは「はい・・・」と小さく返事する。
俺はチラリとタカコを見た。

髪を結い上げうなじが見える。
なんかいつもより大人っぽくて、色気があった。
俺の視線に気が付きタカコが俺を見る。
そしてすぐに顔を赤くして視線を逸らした。俺も視線を逸らす。

うわあ・・・緊張する・・・

「あ・・・」
俺が声を発した。
「・・・え?」
「あ、いや・・・浴衣・・・似合ってるね・・・」
俺の言葉に益々タカコは顔を赤くして俯いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:18:38.35 ID:mCAND1Lno<> 「マ、マリが・・・浴衣を着て行けって・・・」
「あ、そう・・・うん、でも可愛いよ・・・うん」
「ありがとう・・・ございます・・・」

そう言ってタカコが俺に恥ずかしそうに微笑みかけて来た・・・
やっべええ・・・ドキドキするわあああ!!!
俺は頭が沸騰しそうになっていた・・・

そもそも今日、俺がタカコの誘いに乗ったのは、タカコにきっちり言うつもりだった。
俺はユイが好き、と言う事を。
タカコの気持ちは非常に嬉しいが俺はユイが好きで、タカコの思いに応えてやる事が出来ない・・・
そう告げようと思っていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:20:44.06 ID:mCAND1Lno<> だけど、出鼻をくじかれた。
最初から浴衣攻撃に遭い俺は正直ドキドキしていた。
正直タカコで良いんじゃね?そんな気持ちが湧き上がっていたのは確かだった。
二人で夏祭りを見てまわる。

「あの・・・金魚すくいでも・・・しませんか?」
タカコの言葉に「うん、やろうか」そう応えた。
二人で金魚すくいをする。
俺は金魚すくいが得意。
昔から一人で夏祭りに行き、一人で金魚すくいをしていたからだ。
金魚すくい屋の親父からは『レスキューオブキンギョ』と呼ばれ恐れられていた男だ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:21:19.27 ID:mCAND1Lno<> かなりの金魚をすくう事に成功してタカコが驚く。
「すっご〜〜い!!上手いですね、トオルさん!!」
「ああ、いつか大量に金魚を救って恩返しして貰おうと思ってんだよww」
俺が笑うとタカコは「どんな恩返しww」と小さく笑った。

そのまま夜店を回り、綿菓子を食べたり、カキ氷を食べたりと、色んな事をして回る。
「今日・・・来てくれて・・・嬉しかったです・・・」
夜店の外れで飲み物を飲んでいる時にタカコが呟いた。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:22:18.07 ID:mCAND1Lno<> 「え?」
「来てくれなかったら・・・どうしよう・・・そう思ってました・・・」
俺はタカコの言葉に下を向いた。
「来てくれて・・・ありがとうございます・・・」
祭りの賑わいが耳に届く。
俺は下を向いたまま何も言う事が出来なかった。

今、この楽しい雰囲気でタカコに残酷な事は言えない・・・
それは可哀相過ぎる・・・そう思い何も言えない。
いや、違うな。
俺がこの良い雰囲気を壊したく無かったんだ。
タカコとの楽しい時間を壊したく無かったんだ。

ユイとタカコを天秤にかけてどうしようかと迷っている俺が居たんだ。
とんだ卑怯者に成り下がったもんだね・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:23:30.37 ID:mCAND1Lno<> 俺がそう思って黙って下を見ているとタカコが呟く。
「・・・知ってます」
え?
俺はタカコを見た。

「トオルさんが・・・ユイさんの事を好きなのは・・・知ってます・・・」

まあ・・・そりゃそうだろうな・・・秘密にもしていないし、皆も平気で本人の前で言う位だから。
「だけど・・・良いんです・・・トオルさんがユイさんの事を好きでも、良いんですよ・・・私」
「・・・え?」
「トオルさんは・・・私が嫌いですか・・・?」
「いや・・・そんな訳無いじゃないか・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:26:06.78 ID:mCAND1Lno<> 「だったら・・・それだけで・・・良いです」
そう言うとタカコは俺を見て続ける。
「もし・・・ユイさんと駄目だったら・・・その時に、私を選んでください・・・」
俺は頭をかいた。
「それって・・・キープって事・・・?」
俺の言葉にタカコが「はい」と頷く。

いやいや・・・

「それは・・・駄目だろ・・・」
「なんでですか?」
「タカコに・・・悪い」
俺の言葉にタカコがキョトンとして笑い出す。
「・・・私がそれで良いって言ってるのに・・・?」
いや、まあそうだけど。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:27:06.60 ID:mCAND1Lno<> 「キープって事は私を女として見てくれてるからですよね?だったら嬉しいですよ私・・・だって選ばれる可能性があるんだから・・・」
いや、ちょい待て・・・
「いやいや・・・あのさ、おかしくね?俺だよ?ヨウイチじゃなくて俺だよ?全然カッコよくないよ!」
俺は何故か軽く叫んだ。
「なのに・・・そこまで必死に俺に固執するの?俺、ダメダメな奴だよ??」
「ん〜・・・優しいじゃないですか・・・」
「いや、俺位の優しさは日本で多分六千万番位の順位だって・・・」
俺の言葉にタカコが笑った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:28:00.22 ID:mCAND1Lno<> 「トオルさんは自分の優しさに気が付いてないです・・・」
「え?」
「最初に行ったキャンプの時に・・・私はトオルさんが優しい事に気が付きました・・・あの時、凄く嬉しかったんですよ」

俺は下を向く。

「とにかく・・・トオルさんはトオルさんでユイさんを好きで居て下さい・・・」

タカコの優しい微笑みに俺は・・・


何も言えなかったのだった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/12(火) 14:28:31.83 ID:mCAND1Lno<> 今日は以上です
それでは、また明日! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/12(火) 14:30:56.29 ID:mgiY/NYTo<> >>812
乙です、明日も待ってますね。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 14:31:21.45 ID:Q9WhAsuCo<> お疲れさま
次回楽しみにしてます
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 14:35:44.18 ID:EC2EiXLIO<> 羨ましいのぉ〜 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/12(火) 14:58:56.90 ID:7u9P8V3Io<> トオルは俺と似てる。なんか気持ちが良く分かる
つい八方美人になっちゃうとことか、でも筋違えるのは許せなかったり
自分に嘘付けなかったり、でも流されちゃったり…
似たような考え方するのは家庭環境含めて似てるからかな? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 15:21:17.98 ID:2/Jn8hISO<> >>816
名無しの自己主張いらないですしまっとうな家庭で育った俺も同じ性格です <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/12(火) 15:24:47.68 ID:gHv4RQ2+o<> タカコおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!


なぜか俺の中ではタカコはYAWARAの富士子さんだwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/12(火) 15:45:39.84 ID:7u9P8V3Io<> >>817
他人に自己主張するなと自己主張
やだね自分を顧みられない奴って・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/12(火) 17:03:25.85 ID:aBG+o9rIO<> 楽しそうだなぁ…。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 17:11:05.95 ID:2/Jn8hISO<> >>819
理解できないならいいや <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<><>2011/07/12(火) 17:24:14.22 ID:hYBxE9QLo<> タカコ いい子だなぁ〜 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)<><>2011/07/12(火) 17:56:00.26 ID:LMw+tF2Ro<> うぁぁぁあ
きゅんきゅんするぅー!!!!!!!
おつかれさま!
次回も期待! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/12(火) 18:15:22.81 ID:vpgQJXGoo<> 毎日楽しく見てるぞww

人増えて盛り上がるのもいいけど変なの湧いて荒れてくるからsage進行の方が良くない? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 18:27:04.23 ID:POkk5WiyP<> >>824
トオルがsageてないんだからわざわざsage進行にしなくてもいいんじゃね
色んな人に読んでもらいたいとかあんじゃねーの <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 22:51:41.09 ID:8djI0k1F0<> つ、続きをくれー!
今日もたのしかった! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/07/12(火) 23:28:46.07 ID:ExmwojPAO<>
おいついた
まさに良スレ

俺の高校生活も一年切ってるが、こんなんだったら良かったのになぁ・・・・orz

続き気になって受験勉強ができん
どうしてくれる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/13(水) 04:16:24.31 ID:oloHBDaio<> >>827
今からでもまだ間に合うぜ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 09:54:51.84 ID:5YAtekjIo<> おはようございます!
>>827
本当にまだ間に合うよ!夏はこれからだ!

では続きを <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 09:55:51.52 ID:5YAtekjIo<> 夏合宿の朝、俺は相変わらず朝一で待ち合わせ場所に到着をした。
前回の夏祭りの一件以来タカコとは勿論話をしていない。
朝一で待っておいてなんだが、タカコが一番先に来て欲しく無い・・・そう思っていた。

俺の次に来たのは・・・マリだった。
逆に一番最悪な奴が来たのかもしれない。
マリは到着するや否や俺に矢の様な質問をしてくる。
ウゼエ・・・

そして、その次に到着したリコさんとケンタが「何、何ー??」そう言って興味津々で俺達の話に入って来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 09:57:16.02 ID:5YAtekjIo<> 「あ、いや、何でも無いです・・・」
「いや、実はですね、リコさん!!」
マリが普通にリコさんに話始めた。
待て待て待てぇぇい!!!
俺はマリを羽交い締めしようとするが、リコさんが鋭く「行けえ!!」そう言ってケンタに命令をする。
ケンタは俺を「すみません、すみません上意なんです」そう言いながら取り押さえた。

その間にマリの話をリコさんが目を輝かせながら聞いていた。
聞き終わるとリコさんは俺を見て「面白くなって来た♪」そう呟く。
「ですねえ」
俺を羽交い締めしているケンタがそう言ったのでケンタを睨みつける。
「いや、絶対に言わないで下さいよ!!!特に向井さんには!!!」


「俺になんだって・・・?」


そ・・・その野太い声は・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 09:58:12.89 ID:5YAtekjIo<> 電車に乗ると俺はユイ、タカコの三人で座らされた。

部長と向井さんが俺達を見ながら喋っていた。
「あら、奥様・・・あれが、あの噂の・・・」
「そうなんざますよ、なんだかややこしい関係の様で・・・」
ややこしくしてるのはアンタらだよ。

四人掛け席にユイ、タカコが並んで座り、その前に俺が座る。
三人共黙って顔を赤くして座っていた。
他のメンバーはニヤニヤしながら俺達を見ている。

と、言うか・・・なんてデリカシーの無い奴らなんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 09:59:11.63 ID:5YAtekjIo<> 奴らに振り回されるのが馬鹿馬鹿しくなり俺は溜息をつくとカバンを開けた。

「あ、サンドイッチ作って来たんですけど・・・食べます?タカコも」
そう言うとユイとタカコは顔を見合わせて照れた様に笑うと、「じゃあいただきまーす」そう言って食べ始めた。
「あ、美味しい〜♪さすがトオル君」
「ホントに美味しいです♪」
二人が喜ぶ。
「いや、喜んでくれると、作った甲斐が有りますよ・・・次いでに、このハッシュドポテトも・・・」
「あー、すごーい!トオル君、良い奥さん!」
「凄い、朝から大変じゃ無かったですか・・・?」
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:00:16.50 ID:5YAtekjIo<> 「じゃあ、私のお弁当も・・・チャララン♪」
「あ、ユイさんのお弁当美味しそ〜!」
「から揚げ摘んでも良いっすか?」
「どうぞ、どうぞ!タカコのも食べさせて欲しいな〜」
「あ、どうぞ、皆さんに比べたら恥ずかしいですけど・・・」
「おっ!和だね!」
「お、このレンコン美味そう!」

俺ら三人が弁当で盛り上がっていると向井、サモハンの大食コンビが近付いて来て、俺らの弁当を覗き込んでいる。
だが、お前らにはヤラン。

「ちきしょー・・・天文部料理三銃士がアソコの島に追いやったのは失敗だったな・・・」
「ですね・・・」

向井、サモハンコンビが憎々しげに俺らを見ていた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:01:15.26 ID:5YAtekjIo<> 海に到着して、去年と同じ様に男連中が先に砂浜に飛び出して行く。
「いやっほおおお!!!しおみずぅ!!!」
向井さんが、いの一番に飛び込む。
サモハンは胸にパシャパシャと水を当てていた。
部長が俺とヨウイチに近付き「あ・・・」と呟いたので、すかさずケンタに部長の相手を務めさせた。
ケンタは「ヒ、ヒヤァァァァ・・・」と言いながら耳を塞ぎしゃがみ込む。
部長は側でカラカラと笑っていた。

今年はどんな話をされたのだろう? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:02:09.54 ID:5YAtekjIo<> 俺が油断していると、突然腰に太い腕が回り込む。

し、しまったー!!!

「じゃ・あ・ま・ん・・・」
その声と共に俺の体が持ち上がる。
「すーーーぷれっくす!!!!!」
俺の目の前に泡だらけの逆さまの海の世界が広がった・・・
起き上がり慌てて海面に出ると、いつもの様に爆笑している向井さんの顔がある。
毎年、毎年・・・何が面白いんだよ・・・

その時、「毎回、早ーい!!!」そんなリコさんの声が響き女子連中が現れた。
俺のレーダーが早速ユイ、タカコを捕らえた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:03:33.59 ID:5YAtekjIo<> ユイは去年と同じくパーカーを羽織っているが・・・前を開けている。
・・・お、おっぱい、ポヨヨーン!!!!
タカコはパーカーの前を留めているが、パーカーの下から白い綺麗な生足が見える。
・・・な、生足ポヨヨーン!!!!
俺は早速、アレがアレして海から出れなくなっていた・・・



「さあ、行くぞー!!!ジャンケーン・・・ポーン!!!!」
向井さんの声が響き俺達は一斉に手を差し出す・・・
一人を除いて全員チョキ。
その一人は・・・マルオだった。
「お前、普段は影が薄いのにな・・・」
ケンタの余計な一言にマルオが泣いた。
マルオに荷物番決定。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:04:48.42 ID:5YAtekjIo<> 俺達は早速海に入り皆で楽しむ。
タカコはユイに比べて胸が無かった事をハッキリ覚えている。
マリに至ってはペッチャンコだった。

俺はゴムボートに乗り太陽の光りを浴びながら揺らめいていると、ヨウイチがやって来た。
「電車の中・・・楽しそうだったじゃん」
「お蔭様でな・・・」
俺はヨウイチを睨む。
「ま、まあ・・・気まずいよりは良いじゃんか」
「まあ・・・な」
俺は太陽を見て答えた。
「にしても・・・アレだな・・・」
「え?」
ヨウイチの呟きに俺はヨウイチを見た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:05:59.02 ID:5YAtekjIo<> 「ユイさん・・・お前とタカコの事・・・あんまり気にして無いんだな」
う・・・そうだ。俺もそれが引っ掛かっていた。
正直、俺はユイが怒ったり、よそよそしくされたりするかと心配していたのだが・・・
全く、そんな事も無く、どちらかと言えば超普通。
安心はしたけど、それはそれでショックだ。
俺の事を男として見てないのか・・・そう思った。

そんな事を思っていると、俺のゴムボートがひっくり返され海に落ちた。
向井さんか!!!
そう思い必死に海上に上がると、ユイ、リコさんタカコ、マリの女子四人がケタケタと笑っていた。

全く・・・悪戯っ子達め・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:06:58.33 ID:5YAtekjIo<> 俺がゴムボートに捕まりながら笑っていると、海中で何かが俺の海パンを掴んだ。
そして一気に引きはがし、「オラー!!!」と言う声と共に向井さんが俺の海パンを掴んで浮き上がって来た。

「ぬあああああ!!!!アンタの悪戯はシャレにならん!!!」

俺は股間を押さえながら向井さんから海パンを奪おうとする。
女子は俺の海パンを見てキャーキャー騒いでいた。
向井さんは手に海パンを持ちながら女子に言った。

「ユイ、タカコ・・・トオルのは結構デカイぞ・・・」
「ただのセクハラじゃねえかあああああ!!!!」

俺が顔を赤くしながら、そう叫ぶがユイとタカコは明後日の方角を見ながら泳いでいた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:08:29.32 ID:5YAtekjIo<> 海でタップリ遊んだ後に宿に帰った。

カコーン。桶の音が風呂場に響く。
「いやー・・・海に沈む夕日を見ながらの風呂は最高ですね・・・」
「だな・・・なんか全てがチッポケに見える」
「日焼けが痛いのが難点ですね・・・」
ケンタの一言に向井さんが熱湯をケンタに掛ける。
馬鹿な奴だ・・・
皆でスッポンポンで並んで窓の外を見ていた。

「それは、そうと・・・」
向井さんがヨウイチの股間を見た。
「ヨウイチって・・・火星人なんだな・・・」
「み、見ないで下さいよ!!!」
「日本人の七割が火星人なんだけどね」
。部長が呟く <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:09:18.05 ID:5YAtekjIo<> その時、マルオが体を洗い終わり窓際に立った時に衝撃が起きた。

「う、うわああああ!!!!」
「ふ、フランスパンじゃ!フランスパンがおるぞ!!!!」

マルオの股間を見て俺達が騒いだ。
マルオは澄ました顔で「フッ」と笑った。
「か、勝ち誇ってる・・・」
「ま、マルオの癖に・・・」

俺達の言葉にマルオは「コッペパンさん達、ちぃーす」と調子に乗り、向井さんに裸で卍固めを掛けられた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:10:21.70 ID:5YAtekjIo<> 風呂から上がり皆で夕食を食べた後に俺はユイが一人切りになるのを待った。
今日の天体観測をどうするか聞く為だ。
だが、ユイは中々一人にならない。
そのまま、いつもの様に飲み会に突入してしまったのだった・・・


「もう、毎年夏合宿は飲むんだから・・・高校生の癖に」
そう言いながらもリコさんは手に紙コップを持っている。
飲む気まんまんだ。この人。
「私・・・お酒飲んだ事無いんです・・・」
タカコがそう言うと「ちょっとだけ口を湿らせるだけで良いよ」ユイが笑顔で言った。

ユイがタカコに優しいのを見て益々、ユイが俺に対して何とも思ってない、と言う事が身につまされた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:11:09.25 ID:5YAtekjIo<> あー・・・くそ、今日は飲んだろかい。
俺がそう思っているとケンタが一升瓶を持って俺に近付いて来た。
「トオルさん、どうぞ!」
そう言って俺のコップに注ぐ。俺もケンタに返杯した。

飲み始めて一時間も経たない内に俺は酔い始めた。
生まれて始めて気分良く酔っ払ったよ。
意識が断片的で何がおかしいのか、タオルに書かれた刺繍を見て笑っていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:12:14.19 ID:5YAtekjIo<> 「トオル、お前、あれだ、結局、どっちが好きなんだ???あん???」
向井さんが酔って絡んで来る。
だが、俺も酔って何故か強気。
「あのね向井さん・・・向井さん・・・向井さん?聞いてます、向井さん?」
「聞いとるわい!!!」
向井さんが俺の頭を叩く。
「いたっ!!いや、向井さん、いつも、そーやってすぐに暴力を降りますけどね・・・向井さん、あのね・・・向井さん・・・向井さん?聞いてます?向井さん」
「だから、先に進めんかい!!」
又もや俺は向井さんに叩かれフラついたまま床に転がる。

ああ〜・・・エエ気分や〜・・・俺はそう思いながら床に転がっていた <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:13:17.62 ID:5YAtekjIo<> ふと転がった先にユイとタカコが顔を赤く染め二人で談笑しているのが見えた。
ああ〜・・・俺も交ぜて・・・俺はそう思いながら手を伸ばす。
後日ヨウイチに聞くと、その時の俺は砂漠でさ迷う人が「み・・・水・・・」と呟く時、ソックリだったと言う。
記憶が飛び次に覚えているのは、ユイとタカコがケタケタ笑いながら俺の頬をツネツネしている場面だった。
「な、何をしてんだ〜・・・」
俺の言葉に二人は尚も笑う。

そして、俺の飲み会の記憶はそこで終了。
次に目が覚めた時は夜明け間際の時間だった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:17:50.78 ID:5YAtekjIo<> 部屋には皆が酔っ払って眠っていた。
シーンとした中にエアコンの機械音と何人かの鼾の音だけが響いていた。
俺は顔が熱く頭が痛んだ。

うわ・・・・これが二日酔いなんか・・・

そう思いながらトイレに立ち再び部屋に戻り時計を見ると四時半を差している。
喉が渇いた・・・そう思い部屋を出て自販機の場所まで行き、コーヒーを買った。
外を見ると微かに空が真っ黒から濃い紺色へと変化している。
夜が明けるんだ・・・そう思い缶コーヒーを持ったまま外へ出た。
涼しい風が吹き波音が響いて気持ちが良かった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:19:02.06 ID:5YAtekjIo<> これで頭痛が無かったら最高なのに・・・俺がそう思っていると

「気持ちが良いね・・・」

そんな声が聞こえ振り返ると、ユイが立っていた。
「あ、おはようございます・・・」
「おはよー・・・てか、眠いねー・・・」
ユイは俺の隣に立った。
俺はドキドキして凄く嬉しい。空を見上げるとユイに聞いた。

「今、見えるのは・・・どんな星なんですか?」
「うん・・・?イロイロ見えるよー・・・あれ、分かる?明るい星」
「え?どれですか?」
「あれだよーほら」

そう言ってユイが俺の顔に寄り添う様に自分の顔を持って来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:20:07.11 ID:5YAtekjIo<> ドキッ・・・
ユイの良い匂いと髪が俺をくすぐる。
俺は硬直する様に顔を横向けユイを見つめた。
ユイの綺麗な横顔が俺の目の前にあり・・・俺の心臓はパンク寸前。
「見えたー?」
ユイはそう言って俺に視線を向けた時に、僅か10cmの距離で顔と顔が真正面から向き合った。
ユイも俺も一瞬硬直した後にすぐに、お互い顔を赤くしながら、顔を逸らす。

ドキドキと自分の胸の鼓動が聞こえるのが分かった。
俺は固まったまま海を見ていた。ユイも同じく固まっている。
沈黙のまま、波音と虫の鳴き声だけが耳に届く・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:21:04.37 ID:5YAtekjIo<> ・・・どの位、沈黙を続けていたのだろう?
時間は分からないが何回目かの波の音を聞いた後にユイが呟いた・・・

「タカコと・・・デートしたんだ・・・」

その言葉に俺の硬直は溶けてユイを見た。
ユイの顔は髪で隠れてハッキリと見えない。
そして、ユイは顔をコチラに向けると笑顔で聞いた。
「楽しかった・・・?」
俺は何も言わずにユイを見つめる。
ユイはその視線に堪えられなくなったのか、少し目を泳がせた後に再び海を見つめた。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:21:53.20 ID:5YAtekjIo<> 「・・・断ろうと思って・・・行った・・・」

俺の言葉にユイがピクリと体を動かす。
「そしたら・・・タカコは俺がユイさんを好きでも・・・構わない・・・そう言ったんだ」
ユイは俺を見た。俺はユイを見つめたまま続ける。

「少し心が揺れたのは・・・確か・・・かな?俺、全くモテない奴だから・・・だから、女の子に好きって言われたら・・・心が揺らいじゃう位の弱い奴なんだよ・・・」

俺はそう言って笑う。ユイは何も言わずに俺を見ていた <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:22:36.94 ID:5YAtekjIo<> 「だけどね・・・俺はやっぱり・・・アレだ・・・」
ユイの髪を海風が揺らす・・・


「俺はユイさんが大好きだ・・・!」


その言葉にユイの顔が一気に赤くなり、顔を逸らした。
俺も照れたが、顔を背ける事はなく、そのままユイに言葉をかけた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:23:29.35 ID:5YAtekjIo<> 「ねえ・・・ユイさん」
「うん・・・?」
「ちょっとだけ・・・不安になった・・・?タカコの事を聞いて」
「え・・・?」
俺はユイを見つめ続ける。
ユイは下を向いた後に微かな声で言った・・・


「・・・うん・・・ちょっと・・・」


もう、その言葉で俺は満足だった。
この瞬間に地球に隕石が衝突しても良いと思ったんだよ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:24:17.03 ID:5YAtekjIo<> ユイはそれだけ言うと「ね、眠くなっちゃった・・・なあ・・・」そう言ってわざとらしく欠伸をする。
俺は少し笑い、その場に座った。そしてユイに言う。

「肩を貸しますから・・・どうぞ、眠ってください・・・」

ユイの顔から火が出た。俺はそんなユイが可愛くて笑う。
ユイも「もぉ〜・・・意地悪だよ、今日のトオル君・・・!」そう言って笑いながらむくれていたのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:26:46.47 ID:5YAtekjIo<> 夜が明けると、真夏の太陽が照り付け、八月の暑さが広がった。
二日酔いの頭は朝寝をする事でどうにかスッキリし、海に出る。
お盆を寸前に控えた海は人もそんなに多く無くて気持ちが良い。
俺が荷物番の時にマリが来て「もう、日差しがきつくて・・・」そう言ってパラソルの陰に座る。
俺は気にせずにタオルを顔に掛けて眠ろうとするとマリが口を開いた。

「今朝・・・ユイさんと二人きりでしたね・・・」
ドキッ!!!
俺はタオルを掛けたまま跳ね起きた。
「え???なんで知ってんの????」
俺がそう言うとマリの顔は見る見るニヤケて立ち上がり、「リコさーん!!!やっぱりそうです!!!!」そう言ってリコさんの元に駆け出した。
「うおおおおい!!!!待てーーーい!!!」

マリとリコさんは俺からスタコラサッサと逃げて行った・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:28:46.16 ID:5YAtekjIo<> 「さあ、お待たせを致しました・・・」

向井さんはそう言うと両手を突き出し、それにサモハンがサッと火を点ける。
「はなびぃぃぃたあああいむうぅぅ!!!!」
向井さんの両手から花火がの火花が噴き出し、それをグルグルと回した。
「いやっほぉぉぉぉ!!!!!」
俺達も花火に火を点けて回す。
大量に持って来た花火を浜辺でした。皆がはしゃいでいた。
向井さんがロケット花火をケンタとマルオに撃ち込む。
ユイとリコさんタカコ、マリの女子部員でネズミ花火をキャッキャッ言いながらやっていた。
部長は一人で線香花火をしていた・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:29:45.72 ID:5YAtekjIo<> 全ての花火をやり終えて火の始末をした後に「さあ、部屋に戻るか!」そう言って皆が頷いた時にユイが突然言った。

「待って・・・」

その声に皆がユイを見る。
ユイは少し微笑みながら皆を見て言った。
「部屋に戻るのは・・・ちょっと待って・・・今から皆で、星空を眺めてみない・・・?」
「え?星・・・?」
リコさんが首を傾げる。
まあ・・・天文部だから星を見るのは当たり前と言えば当たり前なんだが・・・
「ええー・・・」向井さんと部長が露骨に嫌な顔をする。
・・・こう言う奴が居るからな。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:30:38.40 ID:5YAtekjIo<> 「ちょっとだけ・・・今日は特別だから・・・!」
ユイがそう言う。
だが、向井さんと部長は顔を見合すとユイに言った。
「ユイ・・・すまない・・・俺は死んだ婆ちゃんから、星だけは見るなと言われてるんだ・・・」
「僕は今度星見たら、責任取れませんよって医者から止められているんだ・・・」
いや、お前ら天文部辞めろよ。

だが、ユイはそれを意に介さず空を見ると、「来る・・・」そう呟いた。

え?
俺はユイに促されるように夜空を見上げた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:31:45.05 ID:5YAtekjIo<> その時、夜空に一つの光がピカッと発光し・・・それは、真っ直ぐ海へと落下する様に一筋の線を描いて落ちて行った・・・

「流れ・・・星・・・」

誰かが呟く。
「もっと・・・来るよ・・・」
ユイの言葉に全員が声を出す事無しに夜空を見続けた。
すると・・・星が瞬き・・・それが流れて行く・・・
「すげえ・・・」
俺が思わず呟いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:32:23.51 ID:5YAtekjIo<> 「ペルセウス座流星群・・・年に一回、この時期に観測出来る流星群・・・」

そう言っている間にも流星が流れていく。
まるで星の矢の様に一点から流れてくるのだった・・・

俺達はいつしか、砂浜に座り込み、その流星達を見続けていたのであった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:33:15.55 ID:5YAtekjIo<> 「あと・・・半年したら・・・卒業するんですよね・・・」

俺がそう呟いた。俺達はいつの間にか寝転がり流星を見続ける。
流星は朝まで流れ続けるそうだ。
「・・・うん・・・」
そう返事をするユイの声が聞こえた。

「そうだな・・・部長以外はな・・・」
「ああ・・・部長以外は・・・」
「うん・・・部長以外は・・・」

皆からそんな声が聞こえ部長は黙って砂に絵を描き始めた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:34:15.85 ID:5YAtekjIo<> 「そしたら・・・もう、こんな風に流星も見れないんですね・・・」

俺の言葉に全員が黙り込んだ。
ザザー・・・と言う波音が聞こえる。

「ばーか」

向井さんが突然そう言った。
「何度も・・・言わせんな・・・去年、花火を見ながら言っただろ・・・」
「え?」

「これから・・・毎年見るんだよ・・・花火も・・・流星も・・・全員で・・・!二十年先も・・・」

向井さんの言葉に俺はまた、胸に重みと言うかフンワリした気持ちが生じる。
あ、今・・・俺は「幸せ」を感じたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:35:34.77 ID:5YAtekjIo<> そうか・・・いつまでも・・・ずっといつまでも・・・この流星を・・・夏を一緒に感じたい・・・

みんなで・・・一緒に・・・!



「二十年先か・・・何してるかな・・・俺」
「多分俺はただのおっさんだなww」
「あ〜私もおばさんかあ・・・」
「可愛いおばさんになりたいですね」
「言えてるぅ〜」
「でも、部長は高校生なんだろうなww」
「なんだとおおおお!!!」

皆が笑った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:36:27.57 ID:5YAtekjIo<> 「あ〜その前に受験があるな・・・」
「皆さんどこを受けるんですか?」
「俺は、A大だな・・・」
「げ、すげえっすね」
「リコさんは?」
「私はB女子大」
「ユイさんも女子大ですかぁ?」
「ううん、私はC大」

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:37:58.74 ID:5YAtekjIo<> 「え!!国立でしかも、レベルたかあ!!」
「ま、受かるかどうかは分からないけどねww」
「いや、受かるっしょ、ユイさんなら」
「ああ・・・俺はどこに進めば良いんだ・・・」
「俺も悩む・・・」
「いや、その前に僕の進路を・・・」
「部長は来年俺らと同級生でしょ!」
「ええー・・・」

又もや部長で落ちて皆が笑った・・・


俺達は星空の元、将来について話ていた・・・ずっと、ずっと話続けていた・・・




この時の俺達は・・・
自分達の明るい未来を信じて疑わなかったんだ・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/13(水) 10:39:44.02 ID:5YAtekjIo<> 今日は以上です
ええっとすみませんww
このスレだけじゃ絶対に収まり切れません

すみません、ダラダラと書いてしまいまして・・・

それじゃあ、また! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/13(水) 10:46:04.40 ID:Ft7Mf0Buo<> 今日も乙です

だらだらなんて、とんでもないです。
毎日楽しみにしています
書き切れなければ、その時次スレ作りましょう。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/13(水) 10:53:44.16 ID:Bvlu9rzho<> 乙
次も楽しみにしてる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sege <>2011/07/13(水) 10:54:25.34 ID:Bvlu9rzho<> さげわすれorz <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage <>2011/07/13(水) 10:55:20.43 ID:Bvlu9rzho<> すまん <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/13(水) 10:57:34.65 ID:XFWISzAmP<> だからちょこちょこ死亡フラグ立てんなwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/13(水) 11:01:29.10 ID:1zuxFWjQ0<> 乙です

毎日の2828をありがとうございます
個人的にはもっと細かい話でも良いと思いますが。。。

次回も楽しみにしています <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/13(水) 11:07:04.34 ID:kbshMHRzo<> 俺が見逃してるんだろうがなんでタカコのことがユイにバレてるんだ?
電車前に向井かリコが言ったのか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/14(木) 13:09:52.78 ID:laNvPZc6o<> >>873
>830-831 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/14(木) 13:47:09.23 ID:1b2434pqo<> >>874
そこだろうとは思ってるんだが直接的な表現がなかったから聞いてみたんだ
すまんね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/14(木) 13:49:09.78 ID:laNvPZc6o<> いやいや、こちらこそ。貼った後書いてないやって思ったけど、時すでに遅しww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)<>sage<>2011/07/14(木) 13:52:05.53 ID:uNGbQLQGo<> パー速落ちてたね
今日はトオル来るかな? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 15:10:03.25 ID:NDJLOYwvP<> >>15だけど、まさかこんな感動大作になるとは予想もしてなかったぜw <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:07:44.08 ID:uBOMpFWIo<> 乙です
ちなみにこの話は、まだまだ続きます
現在はドラゴンボールで言う所のフリーザ編位かと・・・
自分で言うのも何なんですけど・・・長すぎる・・・

それでは続きを <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:08:42.18 ID:uBOMpFWIo<> 夏合宿が終わり仕事に追われる毎日が続いた。
夏の終わりに、去年に引き続き皆で花火を見る。
だが、今年はプールは無かった。
三年生が受験勉強で忙しいからだ。


それでも皆で見る花火は楽しく、そして夏の終わりを感じさせてくれたんだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 16:09:06.05 ID:dli2f3dUo<> おお トオル来た
どんなに長くても最後まで付き合うぜ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:09:55.03 ID:uBOMpFWIo<> そして、残暑が残る九月・・・

「それでは第一回天文部最高機密会議を行いたい・・・!」
部長が真っ暗な部屋の中で顔の前に両手を組んで呟く。
「いや、毎回、毎回なんなんですけど・・・暑いんでカーテン開けますね」
俺がそう言ってカーテンを開けた。

「いやぁ、九月になっても、こう暑いんじゃ、来年の夏は40度をこしちゃいますね」
ケンタの言葉に全員が首を傾げた。
するとケンタは自分の冗談が間違っていた事に気が付き、小さな声で「・・・十二月だった・・・」と呟いていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:11:12.55 ID:uBOMpFWIo<> >>881
あっざーす

続き
「とりあえず、体育祭はどーする?去年と同じく星座の格好にすっか?」
向井さんの言葉に去年の蛇の「マー君」を思い出し、俺は震えた。
「出来れば・・・マー君は辞めてください・・・」
「マー君大きく成ったぞ」

育ててんのかよ。
「体育祭は去年と同じ趣向で、星座の種類だけ変えません?」
ヨウイチがそう言う。賛成だ。
「じゃあ、トオルは蛇座な」
「マー君をどんだけ使いたいんだよ!!!」

「あれは・・・どうっすか?」
サモハンが珍しく発言をする。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:12:17.62 ID:uBOMpFWIo<> 「え?」
「聖闘士の格好は」
「おお・・・」
皆が感嘆の声を上げる。
「じゃあ、俺、ドラゴン紫竜!」
「俺はキグナスの氷河!」
「あ、僕はフェニックスの一輝で・・・」
マルオが恐る恐る言う。
似合わねえ。
部長は黙って頷くと眼鏡を光らせて呟いた。

「じゃあ僕はサブマリン山田で・・・」
「さあ、じゃあ体育祭はそれにすっか」

向井さんがアッサリ流す。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:13:12.90 ID:uBOMpFWIo<> 「次は文化祭だな・・・ユイはヤッパリ去年と同じ様にプラネタリウムが良いんだろ?」
向井さんが、声を掛けるが、ユイの返事が無い。
「おい、ユイ」
そう言われてユイが初めて反応した。
「え?」
「いや、文化祭・・・」
その声にユイが慌てて「え?ゴメン、なんだっけ・・・?」そう言う。

あれ?どうしたんだ?ユイ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:13:51.64 ID:uBOMpFWIo<> 「おいおい、しっかりしろよ。勉強し過ぎで疲れてるんじゃ無いか?」
向井さんがそう言うと「うん・・・ゴメン、最近寝不足で・・・」ユイが申し訳なさそうに笑う。
「大丈夫ですか?ユイさん・・・無理しないで下さいよ」
俺が心配して、そう言うと向井、部長コンビが「ひゅー、ひゅー、熱いねお二人さん」そう言って俺をからかう。
アンタらはガキか、ホント。

そう思いながらユイを見るとユイは下を向いてボーッとしていたのだった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:15:19.16 ID:uBOMpFWIo<> 九月の中旬になっても暑さは和らぐ事はなかった。

ある日俺が部室に行くと、タカコとマリがダンボールで何やら製作している。
「何してんの?」
俺がそう尋ねると「あ、お疲れ様で〜す」そう二人が俺に言った後に「クロスを作っているんですけど」マリが答えた。
「あー体育祭用の聖闘士のか」
「そうです。私達が製作を頼まれているんですよ・・・トオルさんはヒドラで良い向井さんに言われたんですけど、本当に良いんですか?」

なんでそんなマニアックな雑魚キャラのクロス・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:15:50.05 ID:uBOMpFWIo<> 九月の中旬になっても暑さは和らぐ事はなかった。

ある日俺が部室に行くと、タカコとマリがダンボールで何やら製作している。
「何してんの?」
俺がそう尋ねると「あ、お疲れ様で〜す」そう二人が俺に言った後に「クロスを作っているんですけど」マリが答えた。
「あー体育祭用の聖闘士のか」
「そうです。私達が製作を頼まれているんですよ・・・トオルさんはヒドラで良い向井さんに言われたんですけど、本当に良いんですか?」

なんでそんなマニアックな雑魚キャラのクロス・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:17:07.86 ID:uBOMpFWIo<> すまんダブったな

続き
「あ、ああ・・・別に何でも良いよ」
俺はマリにそう言う。
「無い・・・どこにも無い・・・」
タカコが聖闘士星矢の単行本を見ながら呟いた。
「何が?」
俺が尋ねると悲しそうな顔をして俺に言った。

「サブマリンの山田のクロス・・・」
ねーよ。

マリが嬉しそうに俺に小声で言う。
「タカコ全く、聖闘士星矢の事を知らないんですよ」
そりゃ女の子は知らないんじゃないの?
俺はふと気がつきマリに尋ねた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:18:00.60 ID:uBOMpFWIo<> 「あれ?先輩女子は作らないの今回は?」
「ああ、だって受験勉強で忙しいでしょ、私らで充分ですよ日も有るし」

そっか・・・最近、ユイやリコさんが全く部室に来ない。
受験勉強が忙しいんだろうか?
ただリコさんは、それでもたまに顔を出してくれるが、ユイに関しては九月の最初の会議以来顔を見ていない。
勉強が行き詰っているのかな・・・?

俺がそう思っていると、ふとタカコと目が合った <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:18:58.11 ID:uBOMpFWIo<> 「ん・・?どうした?」
俺が尋ねるとタカコは「あの・・・」そう言って少し考えてから続けた。
「最近・・・ユイさん何か有ったんでしょうか・・・?」
「え?」
「いえ・・・その、この前、塾の帰りに・・・ユイさんを見たんですよ」
「うん?」
「見た場所が・・・その・・・」
そう言ってタカコはマリを見た。
気が付くとマリも作業を止めて俺を見ている。

「何だよ・・・」

タカコは少し戸惑いを見せた後に俺を見据えて言った・・・

「なんか・・・サラ金の前で・・・」
え・・・?
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:20:10.14 ID:uBOMpFWIo<> ユイがサラ金・・・

俺は帰り道、ずっと考えた。
ただのタカコの見間違えじゃ無いのか・・・?
ユイがそんな所に行く理由が見当たらない。
しかも高校生になんかお金を貸してくれる訳が無いじゃないか・・・
そうすると、絶対にタカコの見間違えだ。そうに決まっている・・・

だけど・・・

俺は立ち止まり空を見上げた。
もしも・・・もしも・・・本当にそうだとしたら・・・
ユイがお金に困っている・・・そういう事なのか・・・
だったら、それは何で?生活費?
いや、それは母親とユイ二人が仕事をして生活費を賄っていると聞いた。

だったら・・・?

俺は頭が破裂しそうであった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:21:26.79 ID:uBOMpFWIo<> 翌日、俺はヨウイチと二人で部室で飯を食っていた。
「なあ、ヨウイチ」
「うん?」
ヨウイチは弁当をつまみながら俺に返事をする。
「お前が・・・もしさ、金が必要になるとしたら・・・それは何だ?」
「は?」
「いや、今、金が必要でさ・・・その理由があるとしたら・・・何だと思う?」
「何それ?心理テスト?」
「まあ・・・そんなもんだ」
俺の言葉にヨウイチは「う〜ん」と考えた後に「女・・・かな?」そう答えた。

「女・・・」
「うん、とんでもなく金が掛かる女・・・バッグが欲しいだの、宝石が欲しいだの・・・」
俺は箸を落とした。

・・・て、事は・・・ユイの場合は・・・男・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:22:21.99 ID:uBOMpFWIo<> 「どうしたんだよ、トオル」
俺はヨウイチの言葉に返事を出来ないまま、ユイが男に金を渡す姿を想像してショックを受けていた。
「おい・・・トオル・・・」
ユイがもしも、男に金を渡しているとしたら・・・

ヤバイ・・・絶対にそんなことをさせてはいけない。
いや、そりゃ、俺に関係無いと言われればそれまでなんだけど。
でも駄目だ、絶対に・・・

「おい、で、結局これで何がわかるんだよ?」
ヨウイチにそう聞かれ俺は「アナタは・・・駄目な奴にひっかかります・・・」そう答えた。

ヨウイチは「そのまんまだな」そう呟いていたのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:23:32.29 ID:uBOMpFWIo<> 俺は学校が終わるとユイを探しに三年生の教室に向かった。
何をどうするのか自分でも分かっていないのだが、それでも、何かをしなければならない。
そんな気分でただ動いていた。

三年のユイのクラスを見る。だが、ユイの姿は見つからない。
あれ?もう帰ったのか・・・・
俺がそう思いながらユイのクラスを見ていると、「何をしてんの?」そう声を掛けられ振り返る。
そこにはリコさんが笑顔で立っていた。
「あ、ちわっす・・・」
「ユイ?」
リコさんが尋ねる。
「あ、いや・・・その・・・」俺が言葉を迷うとリコさんは「ふむ」そう呟き、「ちょっと・・・話そうか・・・?」そう言って俺を手招きした・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:24:12.08 ID:uBOMpFWIo<> 俺達は誰も来ない家庭科実習室に入るとリコさんが机に腰掛ける。
「さて・・・何から聞きたい?」
まるで俺が何故ユイを探しに来たのかが分かっている様な態度でリコさんが俺に言う。
俺はタカコから聞いた話をそのままリコさんに言って良いものか悩む。
なので別の質問から入った。

「あの・・・最近、ユイさん勉強、行き詰ってるんすかね?」
「ん〜・・・」

リコさんは少し顔を上げて考える。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:25:19.65 ID:uBOMpFWIo<> 「その答えは・・・イエス・・・かな」
「そうですか・・・」
そうか・・・俺は次の質問を考える。だが、質問は一つしか無い事に気がつく。

「それは・・・何故ですか・・・?」
「うん・・・結論から言うね」
「はい・・・」
リコさんは俺を見据えて言った。

「お母さんの癌が・・・再発したの」
「え???」
「再発したって言うのが正しいか私も分からないんだけど、癌の移転?と言うのが見つかったみたい」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:26:11.29 ID:uBOMpFWIo<> 「そうなんですか・・・」
「だから、それで勉強が手につかないってのがあるのよ・・・」
「大丈夫なんですか・・・?」
「それはお母さんの容態?」
「はい」
「ユイ曰くは大丈夫って言ってる」
「だけど、リコさんは、そう思ってないんですか?」
「う〜ん・・・ユイも一人で抱え込んじゃうタイプだからね・・・だから、私に心配を掛けたくないから言ってないってのも考えられるね」

確かに。ユイの性格なら受験を控える親友のリコさんにも言わない可能性がある。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:27:03.75 ID:uBOMpFWIo<> ・・・て言うことは・・・

俺は顔を上げてリコさんを見た。

「お金・・・大量に掛かるんじゃないですか・・・?」
「え?」
「いや、実はですね・・・」
俺はそう言ってタカコがサラ金の前でユイを見たことを伝える。
するとリコさんは机から飛び出す様に立ち上がり俺を見た。

「なんですって・・・???」
「あ、いや・・・何かの間違いかもしれないって俺も思ったんですけど・・・」

俺の言葉にリコさんが怒鳴る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:28:02.98 ID:uBOMpFWIo<> 「間違いな訳無いじゃない!!!」

その声に俺はびっくりする。
ユイさんは爪を噛みながら「あの・・・馬鹿・・・」そう言った。
「や・・・やっぱり・・・」
俺も目を閉じる。

ユイは母親の治療費の為に金を借りようとしているのか・・・

リコさんはカバンを手に持つと俺に言う。
「ちょっと、ユイの所行ってくる!!」
「あ、俺も行きます・・・」
「駄目!!」
「え・・・?」

「トオル君は来ちゃだめ・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:28:59.40 ID:uBOMpFWIo<> 「なんでですか・・・」
「ユイからしたら、お金を借りる事を誰にも知られたくないと思う・・・だから私にも言わなかった・・・」
「じゃあ、なら、なんでお母さんの病気の事は俺に言ったんですか?リコさんは!」

俺がそう言うとリコさんは少し悲しげな表情で呟く。

「前にも言った様に、トオル君なら・・・ユイの助けになれるかと思って・・・」

え・・・?
リコさんはそれだけ言うと「じゃあ、後で連絡する・・・!」そう言って教室から出て行ったのだった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:29:32.89 ID:uBOMpFWIo<> その日俺は仕事中もユイのことを考える。
それだけを考えて他の事が全く考える事が出来ない。

治療費ってどれ位掛かるんだろう・・・?
俺がその金額を賄える事は出来ないだろうか・・・?

俺にもある程度貯金があった。まあ、もちろん生活費としての金だ。
それを切り崩して・・・そんな事を考える。
何とかユイの力になってあげたかった。
何とかユイの助けになりたい・・・

それしか考えていなかったんだ・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:30:27.87 ID:uBOMpFWIo<> 仕事が終わると俺は急いで家に帰る。
そしてリコさんから留守電にメッセージが無いかを見たが無い。
時計を見ると夜の11時。今からリコさんの家に連絡するのはマズイな。
そう思いリコさんからの連絡を待った。
だが、その日は結局リコさんからの連絡は全く無かったのだった・・・

翌日、俺は落ち着かないまま学校に向かった。
授業を全く聞いて無かった。考えるのはユイの事ばかり。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:31:09.37 ID:uBOMpFWIo<> 昼休みに三年の教室に行くがユイは居ない、そればかりかリコさんの姿も無かった。
何か有ったのか?そう思い不安になる。
戻りしなに部長が声を掛けて来たのだが無視して立ち去ったのだけは覚えている・・・

放課後になり、俺は部室に向かわずに一直線に公衆電話に向かった。
そして、リコさんの家の電話番号を回す。
が、リコさんの家は不在の様だった。

仕方なく家で電話を待とう、そう思い気が気で無いまま俺は家路に着いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:32:25.24 ID:uBOMpFWIo<> 家に帰り制服のままベッドに転がると昨日、余り眠れなかったせいか、いつしか俺は眠りについていた・・・

何かの音が鳴っているのが分かり俺は目を開けた。
鳴っているのは電話だ。
慌てて電話に出ると相手はリコさんだった。

「ゴメン、昨日連絡できなくて」
のっけからリコさんが謝る。
「いえ・・・」
俺はそう言ったがリコさんの声が暗い事が気になった。
「昨日ね、ユイの家で朝まで話をしてたの・・・で、ユイはそのままお母さんの病院に行ったんだけど・・・私は家で寝て、そのまま学校をサボっちゃった」
「そうなんすか・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:39:01.77 ID:uBOMpFWIo<> 「でね・・・トオル君・・・ちゃんと冷静に話を聞ける・・・?」
「え?」
「約束して。最後まで冷静に話を聞くって・・・」
「・・・はい」

俺はそう言って目を閉じた。

「えっと・・・ユイの誕生日って、いつか知ってる?」
誕生日?そういや・・・俺は知らない。
うわ、しまったー・・・それは凄いイベントじゃ無いか・・・
俺はそんな馬鹿な事を一瞬考えた。

「ユイの誕生日は十月一日」

へー・・・要チェックだな。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:40:17.27 ID:uBOMpFWIo<> 「でね、その日にユイは18歳になるの・・・そしてね・・・その日が・・・」
リコさんは突然、声が止まった。



「・・・リコさん?」
俺はリコさんに声を掛ける。
すると電話口の向こうから鼻を啜る音と共に、震える声が聞こえて来た・・・




「その日が・・・ユイが学校へ来る・・・最後の日・・・」



・・・え? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:41:24.11 ID:uBOMpFWIo<> 「ど、どーゆう・・・」
俺も言葉が詰まる。

どう言う事だ・・・???

リコさんは再び鼻を啜り言葉を詰まらせる。
俺も何も言えずに黙り込んでいた。
ユイが・・・ユイが学校を・・・辞める・・・?

しばらくの啜り声だけが受話器を通じて聞こえた後に、リコさんは再び口を開いた。
「ユイは・・・学校を辞めて・・・働くの・・・」
「な、なんでだ!!リコさん、それ本当なの・・・」
「待って!!ちゃんと冷静に聞いて!!!」

リコさんの鋭い声が届く。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:42:13.11 ID:uBOMpFWIo<> 俺は黙った。唇を噛み締めながら黙り込んだ。

「・・・お母さんの・・・治療費は結構、掛かるの・・・以前、治療をした時は、保険に入ってたし、家に余裕が有ったから、何とか賄えたの・・・」
俺は額に手を当てながらリコさんの話を聞く。
「だけどね、一回保険を使うと、保険料って高くなるのね。だから・・・保険はお母さんが黙って解約してたみたい・・・なの・・・」
「・・・なんで・・・?」

俺の呟きにリコさんが反応した。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:43:09.33 ID:uBOMpFWIo<> 「なんで???決まってるでしょ!!!お母さんはユイに苦労を掛けたく無かったの!!!ユイが普通の高校生としての生活が送れる様に、自分の事は後回しでユイにお金を掛けたかったの!!!そんな事も分からないの????」

リコさんの言葉に俺は頭を殴られた様な衝撃を受けた。
そうなんだ・・・そうなのか・・・俺が黙り込んでいるとリコさんは急に声が焦り俺に言った。

「・・・ゴメン・・・トオル君は親が居ないのに・・・本当にゴメン・・・」
「あ・・・いや、こっちも、よくわからなくて・・・すみません・・・続けて下さい・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:43:58.27 ID:uBOMpFWIo<> 「・・・うん。だから、今回は治療費がかなり掛かるのよ・・・だから、ユイは学校を辞めて働く事に決めたの・・・」

そうなのか・・・俺は目をベッドに倒れ込む様に寝転ぶ。
ユイ・・・下唇から血が出る程に噛み締める。

「で・・・この前、ユイはトオル君が言ってた様に・・・サラ金に行ったの・・・治療費を借りれないかって・・・ね」

俺はリコさんの言葉にピクリと反応する。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:44:45.83 ID:uBOMpFWIo<> 「それでね、18歳になったら・・・お金を貸すって言われたの・・・だけどね・・・」

再び、リコさんは声が途絶えた。
俺の心臓が嫌な音を立て始める。額から汗が流れた。
その汗はまるで血が流れているかの錯覚を感じた。


「・・・風俗で・・・働けって・・・言われたの・・・」


目の前が一瞬真っ暗になった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:45:44.30 ID:uBOMpFWIo<> そして心臓の音は唸り声を上げるかの様に嫌な音を立てて俺に血液を送る。

「・・・嘘・・・だろ・・・」
俺の声は掠れていた。
リコさんは声を上げて泣き始めた。

そして叫びを上げた・・・

「助けてよ!!!トオル君!!!助けて上げてよ、ユイを!!!!お願い・・・お願い・・・」

リコさんの泣き声が響くと共に俺も泣いていた。


なんでだよ・・・なんで、ユイがそんな目に合わないとダメなんだよ・・・
ユイが何をしたんだよ・・・
ユイが・・・


あの時の俺は呼吸をするのが苦しい程に泣いていたな。
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:46:23.69 ID:uBOMpFWIo<> その日、俺は仕事を休んだ。
社長は俺の声を聞き「大丈夫か?」そう言うが俺は「はい・・・」としか答える事が出来なかった。

翌日、学校へ行く気持ちが全く起きなかった。
ベッドに入り一人でメソメソと泣いていた。
ユイの為に何かの行動を起こす事が出来なかった。
俺が何をしても、何も変わらない・・・そうとしか思え無かった・・・

いや、そう思う事で俺はユイから逃げていたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:47:37.91 ID:uBOMpFWIo<> 初めて学校を無断欠席をした俺は少し眠り、そして起き、また少し眠り・・・と言う具合にベッドから出る事が出来なかった。
カレンダーをチラリと見る。
今日は9月もあと僅かだった・・・

あと一週間でユイが学校に来なくなり・・・
そして、自分の体を売る事になる・・・

俺は頭を抱えた。
何故か凄く怖かった。全てが、何もかもが破壊され、そして無に帰す気がした。
何が怖いのかが分からない。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:48:34.23 ID:uBOMpFWIo<> 好きな人が他の男に抱かれるのが怖いのか、それとも同い年の女の子が、そんな事をしなければ為らない事が怖いのか・・・
全く分からない。ただ、俺は怖くて堪らなかった。
そして一人で泣いていたんだ・・・


昼過ぎに俺はベッドから出て水を飲んだ。
何回か電話の着信が有った事を覚えている。
そして、それがリコさんからと、ヨウイチからと言うのが留守電のメッセージで分かった。
だが、どうでも良い。どうせユイは風俗で働くんだ・・・

そう思いながら俺は冷蔵庫を開けた <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:49:29.50 ID:uBOMpFWIo<> 何かを食べよう、そう思った。
好きな女が風俗に行くと分かっても普通に食欲が湧く自分に驚いたが、気にせずに野菜室を開けた時に、何かが入っている事に気が付いた。

見るとエロビデだった。

また、向井さんか・・・俺は溜息をつくと、それを手に取る。
そういや・・・以前にもこんな事があった・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:50:33.18 ID:uBOMpFWIo<> あれは・・・ユイと初めてデートをした時だ・・・
あの時、俺はユイに告白をしたんだ・・・
あの時は・・・振られたけど・・・今の気分よりマシだ。

それから再び俺は告白をした・・・
ユイを必ず振り向かせる良い男になるって・・・

だけど、成っても仕方が無い・・・俺はどうせ好きな女も守れない、ツマラン男だし・・・

そうだ俺は元々、ダメな人間だったんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:51:42.65 ID:uBOMpFWIo<> 小学生の時は好きな子のリコーダーを舐めて皆にキモがられ・・・
中学の時は好きな子に弁当を押し付けてキモがられ・・・
皆から「キモッティ」と呼ばれイジメられる。
叔母さんに嫌われ、高校に行かずにプラプラと、その日暮らしの生活の為だけに、日々を過ごす・・・
そんな最低な、キモい男だったんだ・・・

『もっと自信を持って下さい・・・』

え・・・? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:52:59.43 ID:uBOMpFWIo<> 何かの台詞が頭に浮かんだ・・・
そうだ・・・あれはあ・・・暑い夏の日だった・・・

『こんなに美味しいお弁当を作れるじゃ無いですか』

俺は顔を上げた。
その台詞が頭に浮かぶ・・・

そうだ・・・あの日・・・俺はユイに・・・会った・・・


そして・・・そして恋に落ちたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:53:46.72 ID:uBOMpFWIo<> 『すぐに、トオル君の事、分かったんだけど・・・中々言い出せ無かったの・・・』

ユイが困った顔で言った・・・

『うん!好きなんだ星!将来ね国立天文台の職員になりたいの!』

ユイが夢を語っていた・・・

『一年に一回だけ・・・この広い宇宙で出会えるの』

ユイと真夏の夜空を見つめた・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:54:32.66 ID:uBOMpFWIo<> 『こんな・・・こんな・・・女で良いの・・・?』

ユイが泣きながら俺に言ってくれた・・・

『普通に・・・生きるって、羨ましいよね・・・』



・・・俺の目から一気に涙が流れて来た・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:55:14.73 ID:uBOMpFWIo<> なんだよ・・・なんなんだよ・・・

なんで普通に生きる事が出来ないんだよ・・・!!
なんで夢を持っている女の子が・・・
なんで一生懸命生きている女の子が・・・


なんで・・・!!!


俺は一人床に伏せたまま泣き続けていたのだった・・・

<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/14(木) 16:56:34.03 ID:uBOMpFWIo<> 今日は以上です
また明日続きを書きますね

それじゃあ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/14(木) 16:57:31.85 ID:Y4o3pDtXo<> 待てこらああああああああああああああああああああああああああああああああwwwwwwwwwwwwwwwwwwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 16:57:58.25 ID:dli2f3dUo<> お疲れ様
何と言っていいか分からんが 今日は濃厚だったな
明日待ってます <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/14(木) 16:58:35.10 ID:czl8C9jko<> ユイいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
トオルううううううううううううううううううううううううううううう


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2011/07/14(木) 16:59:52.77 ID:uNGbQLQGo<> えええええええええ!!
つか、みんな静かにROMってんのねwww <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(九州・沖縄)<>sage<>2011/07/14(木) 17:06:44.41 ID:SwneSk2AO<> ハッピーエンドだよな?な? 期待してるぜ… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)<>sage<>2011/07/14(木) 17:06:44.96 ID:D9pK1115o<> 切る所がいつも鬼畜なんだよおめー( ´_ゝ`) 、 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府)<>sage<>2011/07/14(木) 17:14:10.04 ID:CgtDHTYpo<> >>900ェ…

毎回トオルは微妙な時間に書き込んでいくよな。
ちゃんと働いてるのか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/14(木) 17:21:04.87 ID:4WuCla2Wo<> >>928
みんなマナーいいよな

サラ金でピンと来てたけど辛過ぎるな
どうなるんだ…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/14(木) 17:26:03.21 ID:czl8C9jko<> 娘のためを思って保険を解約する母
母のためを思ってサラ金に行く娘

どっちも幸せになれないこんな世の中なんて…

いや、トオルならトオルなら何とかしてくれるきっと <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 17:30:19.28 ID:lJYXkWYg0<> 頼むからハッピーエンドでお願いします <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/14(木) 17:32:16.48 ID:q4Q7FvCno<> トオルは今いくつ何だろ?
多分35〜40位なんじゃないかとは思うんだけど…

そしたら、きっとハッピーエンドなんじゃないかなと予想
というか半分願望だけど… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(徳島県)<>sage<>2011/07/14(木) 17:33:21.98 ID:oN5E37/xo<> やっと追いついたぜぇぇぇぇぇ

最初の方はただの変態日記かと思ったが
気が付いたらトオルの文章に引き込まれてた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/14(木) 17:33:55.12 ID:O/NXqQrWo<> 切ないねぇ・・・

そろそろ次スレ考えておくか
【青春と現実】ある夏の日の話をしたい【紆余曲折の果てに】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(静岡県)<>sage<>2011/07/14(木) 17:34:45.61 ID:czl8C9jko<> 以前トオルが今は幸せだって書いてたきがする
俺はそれを信じている <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/14(木) 17:56:39.47 ID:0er6gbqFo<> おい









おい <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/14(木) 19:02:35.26 ID:n2dlbTWIO<>
うわぉあぁぁぉぁぁぁぁあ!!!!!!! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 19:10:56.01 ID:4Q7FvCnDO<> 次スレ!次スレ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 19:15:36.24 ID:8zEFUqEQo<> 話中で10月に突入ってことでスレタイなら
ある秋の日の話をしたい
は? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 19:28:50.69 ID:7bikjqHSP<> なにいってんだあんた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/14(木) 19:55:01.58 ID:q4Q7FvCno<> もうすでに2回も四季は巡ってるな… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 20:08:13.83 ID:dC5RiPJpo<> 無難に

ある夏の日の話をしたい part2

とかでいいんじゃね <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/07/14(木) 20:09:43.40 ID:4WuCla2Wo<> >>945
うんそれがいいと思う <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 20:19:48.21 ID:lJYXkWYg0<> >>945
意義なし <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 20:35:11.19 ID:7bikjqHSP<> つかトオルにまかせろよ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/14(木) 21:41:48.15 ID:7hKnGXO8o<> 続きが気になる <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)<>sage<>2011/07/14(木) 23:19:33.25 ID:aAxxLdZAO<> 追いついたーっ
続きが気になってやばいですトオル〜(´д`)

長くなっても待ってるお☆ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/15(金) 08:23:36.67 ID:CVyJs1CDO<> このスレが気になり宿題ができない

宿題が終わらずクラスメイトに頼む

体を要求される

ユイの気持ちがわかるな <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:38:30.03 ID:ndaVSb9Do<> おはようございます
鬼畜な終わり方をするトオルですww
又の名を宿題終わらせないトオルですww

いや、皆さんが楽しんで見てくれて本当に嬉しいです。
まさか、自分の過去の話がこんなに喜んでくれるとは・・・
部長も草葉の陰で喜んでるでしょうww(意味深な書き方してすみませんww彼は今も元気で窓の外を見ています)


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/15(金) 08:42:59.33 ID:u7am6Ocyo<> 召喚前にトオルキターwwww <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:47:04.40 ID:ndaVSb9Do<> 新スレを立てました
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1310687061/
【アルデバラン】ある夏の日の話をしたいパート2【ザダルスウド】

ここを終わりましたら、こちらに書き込みますね <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:48:49.90 ID:ndaVSb9Do<> ユイが自宅に到着したのは夜の10時だった。
自宅の前に俺が立っているのを見て、ユイは驚いた表情をした後に下を向いてしまった。
そして、何かの躊躇いを見せた後に俺に微笑みかけてくれた・・・


俺達はユイの家の近くの公園に行く。
ユイがブランコの前に行くと俺を悲しい微笑みで見て来た。
「やっぱり夜は涼しいね・・・」
「・・・うん」」
ユイの言葉に俺は頷いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:50:28.14 ID:ndaVSb9Do<> 「んー・・・っと」
ユイはそう迷う様な声で呟くと俺を見る。
「リコから・・・聞いた・・・かな?」
その言葉に俺は頷いた。
ユイは「ハハ・・・」そう渇いた笑い声を上げ、俺を見る。
そして・・・

「ゴメンなさい・・・」

そう言った瞬間に下を向いた。
ぐ・・・
俺の喉が鳴った。息が詰まる気がした。俺は何も言えなかった。
何かを言った瞬間に涙が溢れてしまいそうだったからだ。
張本人のユイが泣いていないのに俺が泣く訳にはいかなかった。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:51:23.29 ID:ndaVSb9Do<> 夜空を見上げる。星が見えない。
なんで星が見えないんだ・・・星が見えれば全てを洗い流せるかも知れない。
そんな事は有り得ないが俺は何故かそう感じたんだ。

どれだけの時間、沈黙をしていたのかは分からない。
沈黙を破ったのはユイだった。

「小さい頃ね・・・」
ユイがそう呟く。
「お父さんとお母さんと三人で、夏休みにプラネタリウムに行ったんだ・・・」
俺は黙ってユイを見つめる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:52:11.26 ID:ndaVSb9Do<> 「星が綺麗で、帰り道にお父さんに色々と質問をしていたの・・・で、その帰り道に三人でそのまま花火を見に行ったなぁ・・・」

ユイがブランコ前の手摺りを指で触る。
「私が小さかったから・・・前で見ている人の背が高くて・・・花火が見えなかったの・・・そしたら、お父さんが肩車をしてくれて・・・それで花火を見ていた・・・」
ユイはそこまで言うと一旦沈黙をする。
俺も黙っていた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:53:09.11 ID:ndaVSb9Do<> 「・・・その後、すぐにお父さんが死んじゃって・・・それから私は、今まで、ずっと、その日の一日を・・・繰り返してる」
「・・・え?」
「いつも、あの日朝、起きてからの会話・・・両親の笑顔・・・プラネタリウムに行った時の昼食のメニュー・・・花火大会で買って貰ったヤキソバ・・・綿菓子・・・」
ユイはそこまで言うと俺を見て笑う。

「・・・全部、覚えてるんだ・・・」

俺は目を見開いた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:54:31.83 ID:ndaVSb9Do<> 同じだ・・・

俺は思う。
俺にも同じ記憶がある・・・いや、記憶と言うのは間違いかもしれない。
ある一日の両親との記憶が甦る時が有るんだ。
俺の両親は共働きで忙しく、余り遊びに連れて行って貰えなかった。
ある日三人で映画に行って、その後にボーリングに行った・・・そのすぐ後に俺の両親は死んだ。

あの日から、三人で出掛けた時の記憶が何かの拍子で思い出すんだ・・・
それは、別に思い出そうとしている訳じゃ無い。
ただ、フッと頭に浮かぶ・・・

同じだ。ユイは俺と同じなんだ・・・ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/07/15(金) 08:54:55.91 ID:fY/JJwCYo<>             * * *
           *  *   *  *
            *  *   *  *  *
          * *  *  *  * *
⌒ヽ、      *  *  *  *  *
    )      *  *   *  *   + +
     )         * * *   + * +
     ∩_∩     l      + +
      (;; ;;;; ;; ) _-_  l-    _-  _
    (;;〇, ;;つ`;        。
 // ,U ̄U ,, )   。       。
 |   ,|   ;;;;ヽ ヽ    o   ゚    O
 |  (,,ヽ α ,,,,(,,,,)__________________________
 |    〉 ,,,,〉 ,, )         ,、
 ヽ   (__(__)    ,、 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:55:29.81 ID:ndaVSb9Do<> 「なんでかな・・・」
ユイがそう言って下を向く。

「なんで・・・私達は・・・普通に生きる事が出来ないんだろう・・・ね・・・?」

俺はその言葉に下唇を噛み締める。そして拳を握り締めた。
「・・・ユイさん・・・」
俺はユイを見る。
「なあ・・・お母さんの治療費・・・いくら掛かるの・・・?金融屋からは・・・いくら借りるの・・・?」
ユイは一瞬黙る。そして言った。

「聞いて・・・どうするの・・・?」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:56:36.41 ID:ndaVSb9Do<> 俺はポケットから通帳を取り出した。
「お、俺さあ・・・貯金が有るんだよ・・・三十万・・・俺が持ってても・・・余り金を使わないし・・・だから、もしもそれを・・・」
そう言ってユイに差し出す。
だけどユイは下を向いたまま何も答えない。
「あ、か、返すのは、い、いつだって良いよ・・・いや、て言うか、別に返さなくても・・・」
「無理だよ・・・」

俺の言葉の途中でユイは言う。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:57:21.75 ID:ndaVSb9Do<> 「ありがとう・・・トオル君・・・でも・・・無理なの・・・」
俺の手が通帳を握りながら震え始めた。

「私が・・・金融屋さんから借りるのは・・・二百万・・・治療費だけじゃ無くて・・・諸々の経費も含めて・・・それだけ・・・」

二百・・・万・・・
「ゴメンね・・・だから、私・・・もう学校へは行けないから・・・ホントに・・・ゴメン・・・」
ユイはそう言って下唇を噛み締めながら俺を見つめる。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:58:16.40 ID:ndaVSb9Do<> 高校生に取って、その金は途方も無い位に大きい金だった。
正直、今なら何とかなる金だ。
そして、そんなサラ金で借り無くても方法はいくらでも有る。
大人に相談して、そして例え借りたとしても風俗になんか落ちる必要もない。

だけど・・・俺達は子供だった。

子供で世間を知らな過ぎた。だから、そんな金融屋の言葉に引っ掛かる。
そして、ユイに取って最大の致命傷は・・・

相談出来る大人が居ない・・・それに尽きたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 08:59:30.02 ID:ndaVSb9Do<> 俺達は黙っていた。黙って下を向いていた。
そして俺が言葉を発した・・・

「銀行・・・」
「え?」

ユイが俺を見る。

「銀行強盗でも・・・しよっか・・・二人で」
俺の言葉にユイは夜空を見上げた。

「・・・良いね・・・」
そう言って俺を見ながら笑った。
「でさ、二百万なんかじゃ無くてさ・・・十億円位、奪うんだよ・・・そんでお母さんの治療して、お母さんと一緒に三人で南の島に逃げるんだ」
「珊瑚礁の有る島でね!」
「そう!毎日、ノンビリとトロピカルドリンクを飲みながら過ごしてさ」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:00:54.86 ID:ndaVSb9Do<> 「あ、私、スキューバダイビングしたーい!」
「やろう、やろう・・・イルカとか乗ったり?」
「イルカ乗れるのぉ?」
「知らん!知らんけど乗ってみる!」
「南の島が飽きたら、ヨーロッパに行こうね」
「あ、じゃあ、その次はアフリカ行こう!俺、生ライオンみたい!」
「私はキリン!」
「それで、でーっかい望遠鏡を買おう、それで毎日、星を見よう!」
「あー最高〜!見たいー・・・」


俺達二人はそこで黙った。
いつの間にか俺は泣いている。
ユイも泣いていたんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:01:45.73 ID:ndaVSb9Do<> 夜空の下、俺達はどうしようも無い運命を恨んだ。

ユイが何をしたんだ・・・ユイはささやかな幸せを願っているだけだ・・・
なのに、なのに・・・

その幸せをも奪うのかよ・・・!

俺は自分の運命を恨んだ事をその時まで無かった。
だが・・・その時、生まれて初めて・・・自分の運命を恨んだ。
そして神を恨んだんだ・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:02:36.54 ID:ndaVSb9Do<> 何か、方法は無いのか・・・?

俺は翌日学校へ行き考えた。授業なんか全く聞いていなかった。
ヨウイチが心配そうに「なんか有ったのか?」そう聞いてくれた。
よっぽどヨウイチに相談しようか、そう思う。

だけど出来ない。ヨウイチにも負担を掛けてしまう。そんな事は出来なかった・・・

放課後、三年の教室に向かった。
だが、ユイは来ていない。リコさんを探すが見当たらなかった。
仕方なく帰ろうとした時に向井さんとバッタリ会った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:03:22.03 ID:ndaVSb9Do<> なんか弄られるかな・・・?
俺がそう思っていると向井さんは「ふん」と鼻を鳴らした後に俺と通り過ぎる際に呟く。

「なんか知らんが・・・一人で思い詰めんじゃねーぞ・・・」

そう言って去って行ったのだった・・・
俺はよっぽど向井さんに縋り付こうかと思った。
だが、高校生に取って、金の問題は無縁だ。
何も変わらない。それに・・・

これは、俺が好きな女を守る為の・・・闘いなんだ・・・ <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:04:09.00 ID:ndaVSb9Do<> 校門前でリコさんが立っていた。
リコさんは俺を見ると黙って俺の隣を歩く。俺も黙っていた。
黙って二人で歩き続け、そしてリコさんと別れる。
別れ間際にリコさんが泣きそうな声で言った・・・

「・・・どうして良いか・・・分からない・・・」
全くだ・・・


リコさんと別れ一人で家路に着く。家に到着すると、そのままベッドに横たわった。
拳を握り締め壁を殴った。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:04:45.60 ID:ndaVSb9Do<> 俺は無力だ・・・
俺には何にも出来ない・・・
俺はユイを守れない・・・
俺は好きな女一人を守る事が出来ないんだ・・・

そんな奴が家族を持ちたい・・・家族を守りたいなんて、ちゃんちゃらおかしい。
好きな女を守れない男が家族なんかを守れる筈が無いんだ・・・

俺は何回目か分からないが、また泣いていた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:05:33.70 ID:ndaVSb9Do<> 翌朝、俺は殆ど眠れないまま朝が来た。
だが、俺の頭には一つの案が浮かんでいた。
これしか方法は無かった・・・
だけど、それが叶うかどうかは・・・分からない・・・だがやって見る価値はある・・・
そう思い俺は学校へ行く事なく、会社へ向かったのだった・・・


会社へ到着すると、事務所の下で石田さんに会った。
石田さんはビックリした顔で俺に言う。
「おいおい・・・どうしたんだよ、お前」
俺は「ちょっと・・・」それだけ言って石田さんから離れ事務所へ向かう。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:06:27.33 ID:ndaVSb9Do<> 事務所に到着すると社長と事務員が事務仕事を行っていた。
社長は俺を見ると石田さんと同じ様に驚いた表情で俺を見た。
「どうしたの・・・トオル君、学校は?」
「あ・・・どうも・・・ちょっとお話が・・・」
そう言うと社長は俺の真剣な表情に何かを感じたのだろう。
事務員さんに「ちょっと応接室に行くから・・・」そう言って俺をアゴで促した。
俺も頷き応接室に入る。

二人で向き合う形で応接室に座ると社長がタバコを吸い始めた。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:07:23.60 ID:ndaVSb9Do<> 「どうした・・・?」
社長の言葉に俺は下を向いたまま両手の拳を握り締める。
そして椅子から立ち上がると床に膝をつき、次いで両手を着いた・・・

「お願いがあります・・・!」

そう言うと社長は慌てる。
「おいおい・・・なんだよ・・・」

「俺に・・・俺に・・・二百万円・・・貸してください・・・!」

「え???!!!」
社長が驚いた表情を浮かべ俺を見る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:08:14.94 ID:ndaVSb9Do<> 俺は頭を床にへばり付けた。
「お願いします!!!キチンと働いて返します!!!」
そして唇を噛み締める・・・天文部の皆の顔が浮かんだ・・・

「が、学校を辞めて・・・学校を辞めて毎日朝から晩まで毎日働きます!!!何でもやります!!!どんな事でもやります!!!」

叫びながら涙が出て来た。
あの幸せを・・・失う。
だけど、だけど・・・それでも・・・それでも俺はユイを守りたい・・・

好きな女を守りたいんだ・・・!! <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:09:23.66 ID:ndaVSb9Do<> 「と、トオル君・・・」
社長が慌てる。

「お願いします!!!本当にお願いします!!!何でもしますから!!!頑張って働きますから!!!お願いします!!!」

俺は泣き叫んでいたと思う。
しかし二百万は大金だ。
社長もおいそれと貸してくれ無いとは思っていた。
しかも高校生相手にだ。社長は黙っていた。
俺はひたすら、額を床に擦り付けて「お願いします・・・」を連呼していたんだ。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:10:26.93 ID:ndaVSb9Do<> すると社長は「ふぅ・・・」とタバコの煙りを吐き出しながら「・・・何に使う・・・?」そう聞いて来た。
俺は何も言わずに額を付けていた。
「理由を・・・言うんだ」
社長が強めに俺に尋ねた。
俺はその体勢のまま答えた。

「・・・俺には・・・好きな女が・・・居ます・・・」
「うん・・・」
「その子の母親が・・・癌なんです・・・」
社長は呟いた。

「ユイ・・・君・・・か」

社長も俺が高校へ入った理由を知っている <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:12:00.28 ID:ndaVSb9Do<> 社長はそれだけ聞くと「んー・・・」と言いながらソファーに背もたれた。
「学校を辞めるのか・・・?」
「・・・はい」
それから社長は再び黙る。その時、応接室のドアが開いた。

「・・・石田さん」

社長の言葉に俺は振り返った。石田さんは部屋に入るなり言った。

「社長・・・私からも、お願い出来ませんか・・・」

俺はピクリと体を動かせた。
「石田さん・・・」
社長は石田さんを見る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:12:52.70 ID:ndaVSb9Do<> 「コイツは・・・必ず返しますよ・・・それは私が保証します・・・」
社長は頭をポリポリかいた。

「だから、私が・・・コイツの連帯保証人になりますから・・・コイツに貸してやってくれないですか・・・?」

「・・・石田さん・・・」
俺は目を見開いて石田さんを見る。
社長は溜息をつくと、その後で軽く笑った。

「知ってますよ・・・トオル君がちゃんと返してくれるって事は・・・」
「・・・社長・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:13:44.25 ID:ndaVSb9Do<> 「私が危惧しているのは・・・」
そう言って社長は俺を見据える。

「トオル君・・・学校は辞めるな・・・!」

そう言って俺を見る。
「今まで通り、学校へは行きなさい・・・そして、普通の高校生活を送りなさい・・・それが条件だ・・・」
「え・・・でも、それじゃあ・・・返却に時間が掛かります・・・」

「構わない。何年掛かっても良い。利子も付けない。給料から少しずつ天引きをさせて貰う」
「社長・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:15:29.79 ID:ndaVSb9Do<> 「今までの人生で・・・君は充分に苦労した・・・せっかく手に入れた普通の生活だ・・・手放してはいけない・・・」

社長はそう言うと立ち上がり石田さんに言った。
「私もトオル君の親代わりです・・・トオル君の保証人は私自身ですよ・・・」
そう言って笑う。
「社長・・・」
石田さんも笑った。社長が応接室から出る際に呟いた。

「今の君の顔つきを見たら・・・君のお父さんも喜んだろうな・・・」

そう言って笑ってくれた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:16:22.55 ID:ndaVSb9Do<> その帰りに俺はリコさんの家の前でリコさんの帰りを待った。
リコさんは憂鬱な表情で帰って来たが、俺が笑顔なのを見て表情が変わる。
そして俺がリコさんに金が用意出来た事を告げるとリコさんは俺に抱き着いて

「チューしてあげようか!トオルーくーん!!!」

そう笑顔で叫んでいた。
リコさんのチューは惜しかったが、とりあえずユイの元へ行こうと俺が言うとリコさんは急に黙った。

・・・? <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:17:46.93 ID:ndaVSb9Do<> 「いや・・・思ったんだけど・・・ユイは受け取るかな・・・?そのお金・・・」
え?
「トオル君が自分の代わりに借金をして・・・って、絶対に受け取らないよ、あの子・・・」

た、確かに・・・ユイなら有り得る・・・

「もおー!!あの子頑固だからなー!!」
リコさんはそう叫んだ後に溜息をつく。
俺も溜息をつき考える・・・恐らくユイは例え誰であれ、人からは金を受け取らない・・・・
多分ユイが受け取るとしたら・・・急に神様が現れて「お前、良い子。お金を上げよう」
・・・そんなパターン以外は無理だな。

う〜ん・・・誰か神様知らないかなぁ・・・そんな事を思っていると・・・


ある案が閃いた・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:18:41.27 ID:ndaVSb9Do<> リコさんは、ユイを誘い出しユイの手を引っ張り歩く。
「ここよ!ユイ!」
そう言って簡易的に作られた小屋を指差す。
その中には巨人帽を被りサングラスにマスクと言った出で立ちの爺さんが一人いる。
「ここ・・・?」
「そう!ここが、よく当たる宝くじ屋さん・・・って言っても実際は宝くじじゃ無くてくじ引き屋さんなの・・・」
「え?」
「一回百円・・・で、一等を引き当てたら・・・なんと、二百万円を即金で貰えるのよ!!」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:20:17.63 ID:ndaVSb9Do<> 「えー・・・なんか胡散臭い・・・」
そう言ってユイはくじ引き屋を見た。
「そんな事、無いよ!ウチの近所ね武田さんは、ここで一等引いて海外旅行に行ったんだから!」
「で、でも・・・」
ユイは尚も疑心暗鬼だ。するとリコさんはユイを睨みつける。

「ユイ!アンタ、学校辞めたいの??風俗で働きたいの???」

その言葉にユイは下を向く。そして首を横に振る。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:21:39.11 ID:ndaVSb9Do<> 「なら、動きなさい!ギリギリまで頑張りなさい!!二百万有れば学校を辞め無くて済むんでしょ??」
リコさんの言葉にユイは頷く。
リコさんは自分の財布から五十円玉を取り出すとユイに渡す。

「私も・・・一緒に祈るから・・・ね?」

リコさんの言葉にユイは恐る恐る頷いた。
そして自分の財布から五十円玉を取り出す。
「よし・・・!じゃあ行こう!」
二人はくじ引き屋の前に来た。 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:22:41.74 ID:ndaVSb9Do<> 「おじさん、一枚引かせてください!」
リコさんが、そう言うと親父は「あいよ」と言って箱を取り出す、「この中に手を入れて、一枚引いて」そう言われリコさんはユイを見て頷いた。
ユイはゆっくり箱に近付いて手を入れる。
「ユイ・・・信じなさい・・・大丈夫・・・」
リコさんはユイを優しく見つめる。

「アナタにも・・・アナタにも幸せになる権利が・・・有るんだから・・・!」
「リコ・・・」

ユイはそう呟くと目を閉じ・・・思い切り箱から一枚の紙を取り出した・・・!

くじ引き屋の親父は取り出した紙を見ると、テーブルに置いてある鐘をカンカンカンと鳴らしたのであった・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:23:29.64 ID:ndaVSb9Do<> 「良いのか、これで」

マスクと帽子を外した石田さんが、俺に言う。
小屋の中に隠れていた俺は「はい」と笑顔で答えた。

この小屋は昨晩、向井さんに手伝って貰い徹夜で完成させた。
流石は向井さんで簡単に作ってくれたのだった。

「ユイ君はあれが、お前の金って事は知らないんだぞ・・・」
「そうっすね・・・」
「アピールする、絶好のチャンスだったんじゃ無いのか?」
「そうっすね・・・」 <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:24:21.22 ID:ndaVSb9Do<> まあ、確かにそれは残念だけど・・・
俺はそれ以上にユイが学校を辞めなくて・・・そして風俗に行かなくて済む事の方が嬉しかったんだ。
そして、俺自身、好きな女を守れた・・・その達成感の方が嬉しかった。

石田さんは俺を見て「ふ〜ん」と笑うと、

「中々、一人前の男になったじゃないか・・・ええ?」

その言葉に俺は笑った・・・
<> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:25:58.87 ID:ndaVSb9Do<> すみません、キリが良いので、次スレに移りたいと思います。
あ、今日はまだ次スレで続きます

とりあえず、ここを埋めますね <> トオル
◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:26:42.43 ID:ndaVSb9Do<> 次スレです

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1310687061/
【アルデバラン】ある夏の日の話をしたいパート2【ザダルスウド】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/15(金) 09:26:54.18 ID:7dGgIVR+o<> 部長&向井に仕込まれた効果なのかとも思ったけどきっとユイは気付いてる気がする <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(四国)<>sage<>2011/07/15(金) 09:26:58.06 ID:J3dR5KzAO<> 埋め <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)<>sage<>2011/07/15(金) 09:27:03.35 ID:0sR6YP4zo<> 梅 <> トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg<><>2011/07/15(金) 09:27:23.52 ID:ndaVSb9Do<> 申し訳無いですが、適当にここを埋めて貰えればありがたいです <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関東・甲信越)<><>2011/07/15(金) 09:27:35.87 ID:o/GkOQjAO<> うめうめ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/15(金) 09:27:44.92 ID:u7am6Ocyo<> おつ
梅 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/15(金) 09:27:51.54 ID:Z6pXV2AAO<> おつおつ。
梅。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/07/15(金) 09:28:54.87 ID:u7am6Ocyo<> 1000なら天文部永久にみんな幸せ <> 1001<><>Over 1000 Thread<>
 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

ローカルルール変更に伴い、1000到達の報告が不要になりました。

<> 最近建ったスレッドのご案内★<><>Powered By VIP Service<>【アルデバラン】ある夏の日の話をしたいパート2【サダルスウド】 @ 2011/07/15(金) 08:44:22.00 ID:ndaVSb9Do
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1310687061/

【携帯厨新規でガチャモンやろうぜwww】 @ 2011/07/15(金) 08:22:51.32 ID:dERe9g5DO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1310685771/

俺ちゃんがwwなんでwwwステキな男の子かというとwwwww @ 2011/07/15(金) 06:53:18.01
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1310680397/

スネーク「ふたりはプリキュア?」 @ 2011/07/15(金) 03:12:25.95 ID:sBLWwdLso
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310667145/

一度でも仲が良いところがみたかった @ 2011/07/15(金) 00:23:14.53 ID:COlz+zOAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1310656994/

【やる夫板UAA雑談避難所&お遊び企画所〜9スレ目〜】 @ 2011/07/15(金) 00:30:25.90 ID:LYFsCSG5o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1310657425/

とある未来の通行止め @ 2011/07/14(木) 23:57:45.75 ID:w3/+8O0b0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310655464/

空想旅行三千里 @ 2011/07/14(木) 23:49:44.90 ID:zmVYbB+Eo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1310654982/


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