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HTML化した人:ヤニ▲星半分と
【最終章】ある夏の日の話をしたいパート3
1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/02(火) 13:16:18.19 ID:vGUVfJaZo
新スレです

前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1310687061/
2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/02(火) 14:04:19.58 ID:EHh594+cP
よし >>2ゲト


>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/02(火) 14:18:21.44 ID:JIgS55SAO
>>3ゲット

トオル先輩乙です!
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/02(火) 14:40:26.77 ID:eWnRdBi7o
>>4ゲット

>>1乙、頑張れ、最後まで付き合うぜ。
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/02(火) 15:06:25.24 ID:mUL9bdCIO
先輩おつかれさま!
最後まで読むから頑張ってね!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/02(火) 17:06:05.62 ID:eWnRdBi7o
前スレ>>1000GJ
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/02(火) 20:28:20.24 ID:BKT+c7PDO
最後まで話が終わっても、番外編もぜひお願いします。
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/08/02(火) 23:40:19.13 ID:W7EqoF1Lo
ネタバレ
トオルはタカコと再婚
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岡山県)[sage]:2011/08/03(水) 07:11:15.97 ID:5DtBAuT90
余計なお節介なのは承知で、ざっと此処迄のあらすじ書いてみようかと思ったんだが…
内容が余りに濃過ぎて纏まらないから断念したわwwwwww

代わりと言っちゃ何だが、目次みたいなのを作ってみた
皆既に一度読んでる事を前提に、読み返す時の目安にでもなればと
…まぁ、誰得かと言われたら俺得でしかないんだがwwwwww


1スレ目
( 2〜 82) プロローグ:黒歴史、ユイとの出会い
( 98〜141) 高校入学、天文部入部、そして再会
(160〜199) 春キャンプ、改めて再会、運命の星
(218〜254) 家庭訪問、DQN襲来、本当の仲間・友人
(262〜301) 期末テスト〜夏合宿直前のバイト
(317〜362) 夏合宿、天の川
(378〜392) プールと花火大会
(403〜468) 体育祭、プラネタリウム…そして告白
(486〜535) 玉砕、文化祭、二度目の告白
(556〜582) クリスマス〜バレンタイン〜部長留年
(597〜637) 高2、部活紹介〜新入部員、春キャンプでケンタフラグ?
(652〜694) 春キャンプ続き、タカコの宝、薄いぞマルオ
(712〜749) タカコフラグとお節介マリ、風邪と三角関係?
(772〜811) リコさんのクーデター、タカコとデート
(830〜885) 夏合宿、火星人とフランスパン、流星群
(880〜923) ユイの奇行とその理由
(955〜990) 借金と宝くじ、リコさんフラグww

2スレ目
( 3〜 15) 体育祭、サブマリンの奇跡
( 63〜113) 文化祭、三角関係再び?、フランスパンの奇跡
(133〜171) 年末年始、財布紛失〜ユイ召喚、実はバレバレ、初キス
(189〜236) 新部長、雪の中の抱擁、ユイ卒業とプロポーズ
(270〜287) 高3、変わった距離と変わらぬ日常
(307〜348) 春キャンプの悪夢、新たなバイトと新たな夢と
(367〜390) 招かれざる客?、二人で海へ行こう、夏合宿が空気
(402〜441) ユイ母と初対面、家族を失い家族が生まれて
(484〜515) 時は流れ卒業、そして結婚
(537〜564) 新婚生活、すれ違い、リコさん無双
(583〜627) ユイの夏合宿、NTR危機?、救出作戦、種の伝道
(639〜670) もう一人の自分、もう一つの命
(706〜732) ユイの妊婦生活、トオルの新ステージ
(746〜779) アルデバラン誕生
(815〜855) 育児生活、残酷な宣告
(885〜921) 動揺、混乱、理不尽、向井さん男前
(952〜984) せめて笑顔で、早春の花火大会
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)[sage]:2011/08/03(水) 07:12:25.05 ID:C0Fm09Nmo
>>9 GJ
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 08:11:57.26 ID:8cvgxaQpP
>>9
すげえ、プロの編集者か?
ある夏の日の話・・・早春の花火大会(;つД`)
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/03(水) 08:18:11.61 ID:bORhgb6lo
厨二臭ぇ
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 09:15:55.82 ID:AKSq5kKlP
トオル召喚
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/03(水) 09:21:42.00 ID:l2wdcnXTo
.          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
                      ::\ヽ   ` ´   / /::
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15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/03(水) 10:18:32.85 ID:AezVT5HPo
さあ一日の始まりだ!wwww
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 10:23:51.06 ID:SfzxCzBIO
>>13>>15までが定番になったなw
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 10:28:19.53 ID:AKSq5kKlP
なにげに3レス続いたの結構久しぶりだ
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)2011/08/03(水) 12:10:16.54 ID:snxp5Y4Zo
>>16
自演だからな。
毎日ご苦労な事で。
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 12:22:42.72 ID:AKSq5kKlP
埼玉でレスしてチベットからレスしなきゃならんから大変なんだぞ
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2011/08/03(水) 12:50:22.72 ID:snxp5Y4Zo
>>19
はいはい
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 13:38:55.11 ID:50aMuKDOo
乙です
それでは続きをどうぞ
22 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:40:08.06 ID:50aMuKDOo
失礼
トリ付けるの忘れてた
23 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:41:22.23 ID:50aMuKDOo
花火が終わった後に、春が駆け足でやって来た。
暖かい日が続いた。

だがユイの体調は戻る事が無い。日に日に死へと近付いて行く。

皆が皆ユイに「頑張れ!」そう言い続けた。
ユイはそれに応える様に毎日、頑張っていた。
痛みに、苦しみに・・・顔を歪めながらも・・・ユイは頑張り続ける。
その姿を見る事を俺は堪えられ無かった。
だが、愛する人が一生懸命に生きようとしている姿を俺が目を逸らす訳には行かなかったんだ。

毎日、俺はユイの側で手を握り続けた。
ユイから離れると、それが最期に成りそうだからだ。
だから俺は片時も離れずにユイの側に居続ける。

そしてユイの苦しむ姿を見続けていたんだ・・・
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/03(水) 13:41:31.30 ID:1za3Skejo
きたきた
25 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:42:48.26 ID:50aMuKDOo
何日見続けたんだろう?
俺の目からは涙が出なくなりそうな位に泣きつづけた。
それは愛する人が居なくなるからじゃない。
愛する人が苦しむ姿を見たく無かったからだ・・・

皆も毎日の様にユイの側に居てくれた。
そしてユイに声を掛け続けた・・・そして益々ユイは苦しみ続けている。

「頑張れ!!!」
その声が誰の物で有ったか・・・そして何時の事で有ったかは覚えてない。

俺は声を上げていた・・・
「辞めろ!!!!」
俺の叫びに皆がビックリした。

「・・・もう・・・良い・・・」
俺はそう言うとユイの手を握り、微かに呼吸をしているユイを見つめた。
26 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:43:58.60 ID:50aMuKDOo
「ユイ・・・よく頑張ったよ・・・だから・・・」
俺の目から何百回目かの涙が流れる。
どんだけ泣くんだよ・・・自分でそう思った。

「だから・・・ユイ・・・もう・・・休んで・・・良いよ・・・!」
「・・・トオル君・・・」

リコさんがそう呟いた声が聞こえた。
ユイは微かに目を開けて俺を見つめる。

「ユイ・・・もう、もう・・・頑張らなくて良いよ・・・もう、辛い思いをしなくて良いよ・・・!」

俺は手を握りしめユイを見つめる。
「ユイ・・・俺はね・・・」
ユイが俺を見つめていた
27 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:45:05.25 ID:50aMuKDOo
「もしも・・・あの、俺達が出会った・・・あの夏に戻れたら・・・」
俺は唇を噛み締める。

「もう一度戻っても・・・俺はユイに恋に落ちるよ・・・!こんな結末になると分かっていても、こんな別れがあると思っても・・・俺はあの夏に戻ったら・・・」

ユイ・・・俺は鼻水が流れ、涙が何度も流れた・・・


「俺は必ず、お前と恋をする・・・!何回も、何度だって・・・!お前を探す・・・!!」


ユイの瞳から涙が流れ出した。

「好きだ・・・大好きだよ・・・ユイ・・・!!」

俺はそう叫びユイを見つめた・・
28 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:46:41.72 ID:50aMuKDOo
ユイは微かに唇を動かし・・・
そして涙を貯めて・・・呟いた・・・


「・・・大好き・・・!」


その声にならない呟きは・・・俺の心に今も残っている。


そして4月15日。


ユイは短い一生を終えた。
余命宣告を二ヶ月以上も上回りユイは頑張ってくれたんだ。


29 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:47:50.61 ID:50aMuKDOo
ユイが亡くなって葬儀から初七日までの間の記憶が俺には無い。
断片的にリコさんや向井さん、他の皆が忙しく動き回っていた事だけが俺の頭に残っている。
俺は恥ずかしながら何も出来ずに、ただ呆けていただけなんだ・・・


初七日が済んだ頃、俺はスミカを抱いて家にいた。
何をする事もなく、ただ家でボーッと天井を見つめていた。
何もする気がおきない。何をする事も出来なかった。

「お洗濯するから、着ている服脱いで!」
そういつもの様にユイの声が今にも聞こえて来そうだった。
家の中を見回す
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(徳島県)[sage]:2011/08/03(水) 13:48:53.39 ID:0aR3iIXHo
ユイがお星様になっちゃった・・・・・・・・・・・
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/03(水) 13:49:01.94 ID:uOftWeOEo
合掌
32 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:49:10.78 ID:50aMuKDOo
あれ・・・?ウチはこんなに広かったっけ・・・?

何か凄い広さを感じる。
2Kの狭いアパート。二人で決めたアパート。
ここから俺達の結婚生活は始まった。

ベランダから二人で夜空を眺めた。
プリンを勝手に食べた、食べてないで些細な喧嘩をした。
仲直りにお互いでプリンを買って持って帰り笑い合った・・・

俺は突然、立ち上がり本棚に向かう。
そしてアルバムを取り出した。
それを開ける・・・

最初のページには高校一年の時に向井さんから売って貰ったユイの写真があった。
ユイが高校一年の時の写真だ。俺とユイはこの時期に出会ったんだ
33 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:50:31.95 ID:50aMuKDOo
そして俺はユイに恋に落ち、俺は高校を目指した・・・

次の写真は高校一年の時のキャンプの時の物だ。
この時、再会後、初めてユイと話をした。

俺は写真を次々とめくり出す・・・
夏合宿で俺はユイが酔っ払ってたな・・・
皆でプールで遊んで・・・そして、あの高台で皆で花火を見た・・・

体育祭の後で初めてデートをした・・・そして告白をするがフラれた。
気持ちが落ちたまま文化祭に突入して、そのままプロポーズの様な告白をしてしまったんだ。

二年生になり、キャンプに行く。
その後、タカコと三角関係の様になり、ユイはいつも顔を赤くしてた。
俺が風邪をひいた時は酷かった・・・修羅場が到来したな。
34 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:52:09.97 ID:50aMuKDOo
ユイ・・・

夏合宿前にタカコとデートをしてユイが夏合宿で「少し、不安になった・・・」そう言ってくれた。

ユイ・・・

秋になりお母さんの癌が・・・再発・・・ユイの悲しい人生は、ここから始まっていたのかもしれない。
俺はユイの笑顔を取り戻す為に必死だった・・・

ユイ・・・

よく考えたら、あのくじ引き屋はねーな。胡散臭すぎるww・・・
体育祭でユイの笑顔が完全に戻った。
文化祭で皆で行う最後の行事・・・俺達は皆で笑顔で走り抜けた・・・

ユイ・・・

正月にユイと初めてキスをした。
ユイは顔を赤く染めて震えていた
。俺達は可愛くて、そして恥ずかしくなる様な拙いキスをした・・・ユイ・・・
35 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:53:28.73 ID:50aMuKDOo
バレンタインの日に、ユイがウチの前でで寒い中俺を待っていてくれた・・・
そしてユイが俺に言ってくれたんだ・・・


「大好き・・・トオル君・・・」


ユイ・・・!!!

俺は再び声を上げて泣き始めた。

ユイ・・・
ユイ・・・
ユイ!!!!!!


俺の最高の幸せの時間に、いつもユイは俺の隣に居てくれた・・・
ユイの笑顔が有ったんだ・・・!!
36 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:54:37.59 ID:50aMuKDOo
俺はアルバムの前で泣き続けた・・・

死にたい・・・正直、俺はそう思った。
もう生きる価値が見出だせない・・・

そう思った時だった・・・
アルバムに何か紙片が挟んである事に気が付く。
俺はそれを取り出してみた。

それは封筒だった。
白い封筒に俺の宛名が書いてあり、後ろの差出人は・・・

ユイの名前が書かれていた・・・
俺は慌てて封筒を開ける。中には便箋があった。
そこには・・・ユイからの俺へのメッセージが書かれていたんだ・・・

37 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:55:36.59 ID:50aMuKDOo
『トオル君へ』

『トオル君。元気ですか?もう泣いたりしてませんか?
この手紙が上手くトオル君が見つけてくれていたら嬉しいです。
もしも私がまだ生きてたら・・・ごめんなさい、まだ読まないで・・・(笑)』


ユイ・・・


『では、まず最初に・・・ごめんなさい。
トオル君と幸せに暮らして行くはずだったのに・・・私が先に死んで本当にごめんなさい。
スミカちゃんをトオル君に任せてしまい本当にごめんなさい。謝っても謝りきれません・・・』
38 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:56:45.90 ID:50aMuKDOo
『トオル君がこの手紙を読んでいると言う事は、トオル君は過去を振り返っている時だと思います。
私を思い出している時でしょう。
トオル君は私と出会って後悔してるんじゃ無いかな・・・?
こんな悲しい別れになるなんて分かっていたら・・・出会わなければ良かった、なんて後悔していますか?

そう思っていたら本当にゴメンね。
トオル君が誰より望んでいた普通の家族、普通の家庭を築かせる事が出来なかった事。
全ては私の責任です。本当にゴメンね・・・』


ユイ・・・後悔なんかしてないよ・・・
俺はユイに出会えた事を後悔してないよ・・・
39 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:58:08.87 ID:50aMuKDOo
『でも、私は幸せでした。
トオル君と出会えた事、トオル君と恋に落ちた事、トオル君と結婚出来た事・・・
そしてスミカちゃんに出会えた事。私は本当に幸せでした。

私のサダルスウドでした・・・(意味を調べてね)
だから、私は後悔してない。
私は沢山の愛をアナタから貰いました。
そして沢山の愛をアナタに捧げました。

私の最初で最後の幸せな恋でした・・・本当にありがとう・・・!』



ユイ・・・!
便箋にポタリと雫が落ちる・・・俺の涙だった。
40 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 13:59:24.23 ID:50aMuKDOo
『今、トオル君はお仕事に行ってます。
今日は天気の良い小春日和です。
窓からは優しい光りと柔らかな風がスミカちゃんを包んでいます。

こんな風景を私は望んでいました。
こんな風景を永遠に続けたかった。
でも、私は旅立ちます。
アナタとスミカちゃんを遺してしまう事は・・・本当に申し訳ないけど・・
私は行かなければいきません。
最後に、一つだけ私の我が儘を聞いて下さい。
私の最後のお願いを聞いて下さい・・・』


俺の手が震える
41 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:00:54.98 ID:50aMuKDOo
『絶対に後ろを振り返らないで・・・前だけを向いて生きて下さい・・・
楽しく、笑って、そして幸せに生きて下さい。

私は先に行き、アナタを待っています。
だけど、ユックリ来て下さい。
出来る事なら、私の元に来るのが遅くなる事を私は願っています。

私は百年でもアナタを待ち続けます。
ずっと空からアナタとスミカちゃんを見守り続けます。
もしも、出来る事なら、アナタに新たに好きな人が出来れば嬉しいです。
スミカちゃんを愛してくれる優しい人をアナタが好きになる事を私は望みます。

どうか、どうか幸せになって下さい。

お願いです。幸せで居て下さい・・・!』



ユイ・・・
俺は顔をクシャクシャにしながら泣き続けた。
読めない。手紙が滲んで読み続ける事が出来ない・・・
42 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:01:56.33 ID:50aMuKDOo
『トオル君ならスミカちゃんを必ず幸せにしてくれると信じています・・・!

それじゃあ・・・さようなら。
私の人生は花火の様に一瞬だったけど、私に取ってはアナタのお陰で夜空の星の様に永遠に輝いています・・・

ありがとう。幸せにね・・・!』



ユイィィィ!!!!!!!!!
俺は天井を見上げ、そして泣きつづけたんだ・・・
43 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:03:25.26 ID:50aMuKDOo
「それじゃあ、リコさん申し訳無いんですが・・・」
「うん、面接頑張ってね!はーい、スミカちゃんパパにいってらっしゃいわー?」

リコさんがスミカの手を振らせる。スミカはキョトンとした表情で俺を見送っていた・・・


ユイの手紙を読み、俺は仕事を探す。
そうだ。俺はユイの分まで幸せにならなければならない。
スミカを育てて幸せにしなければならない。
後ろを振り向いてはいけないんだ。
そう思い仕事を探す。

手当たり次第レストランに面接に行ったのであった・・・だが、現実は厳しかった。
一歳未満の子供を抱えている俺はレストランの責任者達は嫌がった。
何故ならば、レストランのメインは夜だ。
だが夜は俺は保育園からスミカを連れて帰らねばならない。
その為に夜は働けないからだ。
44 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:04:40.06 ID:50aMuKDOo
ランチだけでも・・・
そう言うが、そんな中途半端な料理人はどこも要らないんだ。
俺は仕方なく普通の企業にも面接に行く。

だが、大学も行かず、そして料理人経験しか無い俺をどこも雇ってはくれない。
バブル崩壊後、どこも景気が悪かった。
それに一歳未満の子供は風邪をひいたり病気に罹ったりしやすい。
その時は家に帰らなければならない。そんな奴を企業は要らないんだ・・・

段々就職活動自体も難しくなってきた。
リコさんや向井さん達も就職活動で忙しい。
そうそうに預ける事が出来ない。
それに俺はかなり皆に甘えた。これ以上、甘える事が出来なかった。
45 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:06:05.37 ID:50aMuKDOo
自分で好きに結婚して子供を作ったんだ。
これ以上、皆に甘えるのは自分勝手過ぎだ。

同じ理由で警備の社長にも泣きつけ無かった。
恐らく雇ってはくれるだろう。だが、俺は社長には何度も助けられている。
これ以上甘える訳にはいかないんだ。

シゲルさんの店にもいけなかった。
俺はせっかくシゲルさんが世話してくれたホテルを自分勝手な理由で辞めてしまった。
シゲルさんに会わせる顔が無い。
それに夜に働く事が出来ない料理人は・・・迷惑になるだけだ・・・


ユイの四十九日が過ぎ、夏が来た。
俺は就職先が、まだ決まっていなかった。
そして、金が尽き始める。
このまま行けば、来月の家賃が厳しい。

俺は自分の食費を削りスミカのミルク代やオムツ代に充てた。
46 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:07:21.65 ID:50aMuKDOo
ある日の夜中にスミカが熱を出す。
俺は焦りながら熱を計ると39度もあった。
泣き方が尋常では無い。俺は焦りながら夜間病院に行こうとした時に思い出した。

健康保険の金を払っていなかったんだ。
家賃に充足させる為に俺は健康保険の金を家賃に使ったのだった。
財布の中の金を見る。財布には三万円しかない。

これを使うとスミカのミルク代が・・・だがスミカの熱は治まらないしスミカも泣き続けている。
俺はヨウイチに電話をした。
ヨウイチは家に居て電話に出てくれた。

「どうした・・・?」
ヨウイチは俺の後ろで泣くスミカの泣き声に異常を感じた様だ
47 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:08:31.28 ID:50aMuKDOo
俺はスミカの熱が下がらない事、そして健康保険代を払っていない為に病院にいけない旨を伝えた。
するとヨウイチは「待ってろ!」そう言って電話を切る。
俺は熱いスミカを抱きしめながらヨウイチが来るのを待った。

ヨウイチは車で駆け付けてくれると、「乗れ!」そう言って俺とスミカを乗せて走る。
向かった先はヨウイチが通う大学の大学病院であった。
「俺の先輩に話しを通してある!来い!」
そう言って俺を促した。

ヨウイチの先輩はスミカを見ると「恐らく風邪ですね、座薬と薬を出しますから、明後日位まで様子を見て、熱が下がらない様ならまた連れて来て下さい」そう笑顔で言った。
48 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:09:39.06 ID:50aMuKDOo
俺は頭を下げて代金を聞くと先輩は「まあ、まあ・・・ヨウイチに奢って貰いますからww」そう言ってくれた。
俺はヨウイチが親友で本当に助かったよ・・・

帰り道にヨウイチが俺を心配して色々聞く。
「大丈夫か、お前・・・」
「うん・・・大丈夫・・・」
「なんか有ったら、すぐに言えよ・・・スミカちゃんに何か有ってからじゃ取り返しがつかないんだからな」
「うん・・・ありがとう・・・」

俺はそう言ってヨウイチと別れた。
熱はヨウイチの先輩が言った様に、翌日の夕方には良くなっていた・・・
49 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:10:51.51 ID:50aMuKDOo
夏本番になっても俺の就職は決まらない。
俺は毎日焦っていた。
写真立てにあるユイの写真を見る度に心苦しくなる。

スミカを育てないと・・・
だが焦れば焦る程・・・俺は空回りをしていただけだったんだ。
失業保険はユイの入院中の費用を病院に返す事により、全く無かった。
貯金も無くなった。家賃も払えない。
大家さんは事情を分かってくれて、数ヶ月待つ、そう言ってくれた。

だが、それも限界に達する。
そんなある日の事だった。

俺がスミカを連れて買い物に行った帰り道だ。

家に到着すると・・・玄関の前にシゲルさんが立っていた・・・
50 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:12:13.48 ID:50aMuKDOo
「お〜、スミカちゃん大きくなったな〜、もうすぐ一歳だな」

シゲルさん俺の家に入りスミカを抱っこしながら言った。
「俺が会ったのは、まだ生まれてまもなかったからな〜、もう立っち出来るのか〜ヨシヨシ」
シゲルさんはスミカを、そう言ってあやす。

「あ、どうぞ・・・」
俺はそう言ってシゲルさんにお茶を出した。
「おう、スマン」
シゲルさんはスミカに笑いかける。
スミカが「アアー・・・」と言いながらシゲルさんのお茶を触ろうとする。
「こら、スミカ!お前はこれだ」
そう言ってリンゴジュースが入った哺乳瓶をスミカに渡す。

「あら、スミカちゃんおいちちょうでちゅね〜」
シゲルさんがデレデレしながらスミカにそう言っていた。
51 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:13:27.74 ID:50aMuKDOo
しばらくシゲルさんはスミカと遊んでいた。
俺は正座しながらシゲルさんの前に座っている。
シゲルさんに会わせる顔が無い俺はずっと下を向いていた。
ホテルを勝手に辞めて、シゲルさんに、その事を告げて無かったからだ。

「・・・どうだ?少しは・・・慣れたか?」
シゲルさんがスミカを見ながら俺に言う。
俺はピクンと体が反応した後に「・・・はい」そう告げた。

「そうか・・・」
シゲルさんは、それだけ言う。
再びシゲルさんはスミカを見続ける。
52 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:14:32.57 ID:50aMuKDOo
俺はしばらくすると、一歩後ろに下がり、そして両手を床についてシゲルさんに頭を下げた。

「す・・・すみませんでした・・・!!!」
「ん・・・?」
「せっかく・・・シゲルさんが・・・世話してくれた職場を辞めてしまい・・・本当に申し訳ありませんでした・・・!!!」

俺はそう言って床を額に擦りつける。
「ああ・・・山本が、この前、俺に言って来たよ・・・」
シゲルさんの言葉に反応した。
山本さんは俺が居たホテルの料理長であり、俺を認めてくれた人だ。
53 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:16:16.73 ID:50aMuKDOo
「トオルには・・・悪い事をした・・・ってな」

え・・・?
俺は顔を上げてシゲルさんを見た。
シゲルさんはスミカを膝に乗せて笑ってる。

「なんで・・・言わなかった・・・?」
シゲルさんの言葉に俺は再び頭を下げた。
「す、すみません・・・!」
「違うわ・・・バカ・・・!」
え?
再び俺は顔を上げる。シゲルさんは俺を見ると言った。


「苦しい時に・・・苦しいと言えよ・・・!バカヤロウが・・・!」
54 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:17:11.47 ID:50aMuKDOo
シゲルさんの言葉に俺は動きを止める。
シゲルさんはユイの写真を見る。

「最愛の人がな・・・一番幸せな時に、逝っちまうんだ・・・苦しいに決まってんだろうが・・・!」

俺は下唇を噛む。

「頼れよ・・・!俺はお前の師匠だぞ・・・!弟子の苦しむ姿なんか見たかねーんだよ・・・!」

その言葉に俺は鼻を啜る。そして涙が溢れて来た・・・
55 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:18:14.60 ID:50aMuKDOo
「スミカちゃんを淋しくしない様に、ちゃんと考えろ・・・!夜は早く帰れ!スミカちゃんが体調が悪くなったら帰れ!」

え・・・?
俺は顔を上げる。


「それをする約束で・・・俺の店で働け・・・!分かったな・・・!」


その言葉に俺は嗚咽を漏らす。

「バカヤロウが・・・辛かっただろ・・・苦しかっただろう・・・よく・・・頑張ったよ・・・お前は・・・!」

俺は頭を下げて・・・
涙が途切れる事が無かった・・・
56 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:19:47.25 ID:50aMuKDOo
俺は不幸じゃない。
俺には助けてくれる人が沢山いる・・・!
俺を守ってくれる人が沢山いるんだ・・・!


そして・・・
「ここに引っ越せ」

俺が新しい住まいを探していた。
今のアパートでは家賃を払えなくなるかも知れず、もう少し安い場所を探していた。
ある日向井さんが俺を連れて、あるアパートに行った。
そのアパートは今のアパートよりも広く親子二人が住むには充分であり、しかも綺麗で尚且つ向井さんの家の近くだ。

「え?」
俺は向井さんを見る。
「ここは、ウチの向井工務店のオーナーアパートだ・・・幸い最近一室空いた」
「あ、いや・・・」
57 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:21:09.10 ID:50aMuKDOo
こんな広かったら家賃が大変だ。
「保育園が近くて、お前の店も近い・・・」
それは最高だが・・・

「あ、でも家賃は・・・いくらっすか?」
その言葉に向井さんは「たけえぞ」そう答える。
やっぱりな・・・俺がそう思い下を向くと向井さんが言った。

「12万円だ」
うわっ高い・・・

が・・・
「年間な」・・・
え?

「月々、1万円を払うか、年間で払うかは好きにしろ。共益費は込みだ」
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 14:22:57.28 ID:AKSq5kKlP
駄目だ今日は堪えきれない
59 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:23:07.79 ID:50aMuKDOo
「・・・向井さん・・・」
「あ、それから、敷金とかはサービスしてやるよ。その代わり汚したら・・・」

向井さんは俺を見る。

「スミカにチューするから!」

向井さん・・・
「ま、だから早く引越ししろ!また皆で手伝ってやる」
「・・・向井さん・・・」

俺は震える。もう俺は皆からの愛に埋もれてしまいそうだった・・・

「向井さん・・・」
「うん?」
「スミカにチューする時は口を消毒してからお願いします・・・」
「コロス!」

・・・・
・・・・
60 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:24:43.59 ID:50aMuKDOo
そして一ヶ月後、俺は新しい新居へ引っ越した。
皆が来てくれて、いつもの様に騒がしく引っ越しをする。
引っ越しが終わり、元の部屋を皆で眺めた。

ガランとした部屋。
ユイと二人で暮らした思い出が詰まったアパートを出るのは心苦しかった。
淋しい気持ちもあった・・・だが、ユイが言っていた。

『前を向いて生きて・・・』
と・・・

「なんか、淋しいな・・・」
ケンタがそう呟く。
「ああ・・・だな」
ヨウイチが答えた。
「ここに、ユイが・・・居たんだね・・・」
リコさんが、そう言うとタカコとマリが泣き始めた。
61 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:26:00.41 ID:50aMuKDOo
部長が袋からビールを取り出す。
そして皆に渡した。

「・・・ユイ君に・・・!」

部長がビールを上げて、そう言う。
俺達もビールを上げてそれぞれに言った。

「ユイに・・・」
「ユイさんに・・・」

俺達はビールを飲み、そして俺が皆を見て言った。


「前を・・・」
「・・・うん?」
皆が反応する。


「前を向いて・・・生きましょう・・・それが・・・ユイの望みです・・・!」


その言葉に皆が頷く
62 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:27:11.80 ID:50aMuKDOo
「だな・・・!よし、じゃあ今日は飲み明かすか!!」
「マジっすか!」
「カラオケ行こう!」
「お!久しぶりに俺のリサイタルか?」
「ジャイアンか!」

皆が笑っていた・・・



ユイ・・・俺はどうにか前を向けそうだよ・・・
皆の愛に包まれて、皆に支えられて・・・どうにか生きていける・・・!

頑張るよ・・・!
頑張ってスミカと幸せになるよ・・・!

63 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/03(水) 14:28:38.27 ID:50aMuKDOo
今日は以上です
まだもう少しだけ続きます

書いていてね、色々思い出してね・・・
結構来るものがありました・・・

今日はこれで
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/03(水) 14:30:42.20 ID:/v881ePno
乙っす。
営業車の中で泣いてしまった。
嫁が嫌がっても健康診断に連れていこう…
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 14:34:09.92 ID:WmvP2Wjco
俺泣いてないかね。  

トオル乙
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/03(水) 14:35:43.90 ID:0qu80bx1o
ゴメンナサイ
泣きまくった
自分では止められないよ…

おつかれさま
最後まで読むからね
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/03(水) 14:45:16.02 ID:l2wdcnXTo
ユイの手紙はきたなぁ・・・

くそ、うかつにも会社で涙流してしまったじゃないかww
どうか、納得いくまで書いてくれ。
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/03(水) 15:10:28.00 ID:AL2gemrJo
うちも、母が癌だった

病院に何日も泊まりこんだ
隣にいても何も出来ず見ているだけ・・・

最後はやはり手を握って
ありがとう もう休んでって心で言ってたな

自分もしんどかった
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/08/03(水) 15:20:43.30 ID:HHs3AUo70
いつも見てるぞ
がんばって書いてくれ

でもな画面が滲むとかそんな生易しいもんじゃねーぞ
まったく見えなくなったじゃねーか
仕事中なのにどうしてくれんだよ

70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/03(水) 16:54:15.73 ID:sx/oYkPqo
毎日楽しみにしてるぞ!
最後までがんばってくれ!
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/03(水) 17:36:51.69 ID:5S/qBJ2IO
奇跡の回復を信じてただけに、泣いてしまった
この後に立ち直らせてくれる幸せがあったと信じてる!
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/03(水) 18:17:56.00 ID:xWUsLV540
今日は最初から最後まで画面がゆがんでしまった・・・

最後まで付き合います!
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 18:32:14.14 ID:5Pw0sHBSO
スミカも今年で18歳になって結婚する事になりました


と予想。相手は勿論向井さん。ナポリタンを食いたいとの理由で養子縁組で部長が孫ポジションだな
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/03(水) 18:57:13.20 ID:LfAUCYvAO
もうスレタイ見ただけで泣けるよ…
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/03(水) 18:59:57.66 ID:AL2gemrJo
今年、スミカちゃんがS高の天文部に入部とか
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海・関東)[sage]:2011/08/03(水) 19:31:40.79 ID:T1WLgmpAO
スミカは俺と同年代なのか……
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/03(水) 19:50:10.74 ID:YpBLeKBUo
>>13
トオルは1日1回必ずくるんだしそろそろいいんじゃないかなぁ?もういい加減気が済んだろ……
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/03(水) 20:03:41.63 ID:1za3Skejo
バブル崩壊期のお話だから>>73の言うとおりスミカ結婚かもしれんな
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/03(水) 20:06:06.96 ID:XDGIgRA2o
リコさんが気になるの
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 20:33:46.43 ID:LIzY5T6go
もう読みながら泣いてたよ
トオルは本当にたくさんの素敵な人に囲まれてるんだなぁ
あと少し、待つよ!
頑張ってください
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/03(水) 20:52:39.68 ID:G5VC/T53o
まだ最愛の人を亡くした事はないけど心にきた
前に見たwalking tourっていうアニメーションを思い出したよ
最後まで頑張って書き続けて 応援してる

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/1387/walkingtour.html
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/03(水) 21:28:56.70 ID:iwFurdPnP
いや泣けたわ

あの花
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟・東北)[sage]:2011/08/03(水) 21:32:51.82 ID:JB9/MljAO
>>77に賛成。
わざわざ毎日出てこなくても、それも自演までしてな。
ここではみんなトオルを待ってるんだ。
そろそろ引き際も考たら?
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/08/03(水) 23:25:38.82 ID:4wDTo6Pio
別にいいじゃん
細かいことは
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/03(水) 23:28:17.32 ID:bORhgb6lo
かえってスレ汚しになってる事に気付こう
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 00:48:10.31 ID:5PhVf52go
20年か、、、
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 02:50:04.14 ID:vwK3M+Oco
喧嘩すんな
トオルは喧嘩されるのが一番困ると思ぜ
喧嘩以外はスレのルール無しってのがトオルの決めたルール

俺らは喧嘩せずに粛々とトオル待ってれば良い
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 07:42:51.77 ID:ssN+R9wwP
トオル召喚
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 08:23:32.20 ID:fd86N/vvP
(^p^)/
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 09:04:26.38 ID:7Sxd3uBpo
そういえば、ユイが投げたブーケって
タカコがキャッチしたんだよね
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/04(木) 09:08:16.19 ID:+1bG1eKno
自演扱いされててワロタ
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/04(木) 09:29:57.76 ID:bz9ac1mDo
.          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
                      ::\ヽ   ` ´   / /::
                       ::          ,′
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                       ::|          |::
                       ::l         |::
                         ::j            ::
                        ::,′           l::
                         ::/           |::
                     ::/              !::
                       ::/    〉┴r      ::
                       ::,′    /:: ::|     |::

遅かったかなwwwwww
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/04(木) 09:54:48.37 ID:+1bG1eKno
おせーよwwwwww
もう一日始まっちゃってるよwwwwwwwwww
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 09:56:16.74 ID:4Pm3t32uo
楽しいのかもしれないけど2人だけの自己満な馴れ合いでスレ汚しされてると感じる人がいる事に気付け
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 10:51:38.82 ID:Pz7UOlNSO
>>94
この類のレスが一番スレ荒れる原因になるとなぜわからない

嫌ならNGにいれるだけで解決するだろう 匿名掲示板にルール求めるだけ無駄
それがわからないならまとめサイトだけ読んでろよ


以下私にレスつけた人は馬鹿
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 10:58:32.30 ID:jjAc42S/o
俺はむかつくレスがあったら荒れようが執拗に絡むよ
だって匿名掲示板だもん

だからうざい馴れ合い消えろクズ共
毎日毎日くせーんだよ
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 11:01:45.11 ID:ssN+R9wwP
VIPならまだしもパー速で馴れ合いうぜぇ言われるのも珍しいな
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 11:03:37.71 ID:jjAc42S/o
毎日やってりゃうぜーんだよ
最初に言われた時点でやめとけよバカが
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 11:04:57.44 ID:4ftmEQHHo
馴れ合い過剰だと目に付く人もいるってだけだよ
スレ荒れさせたくないから控えて欲しいけどな
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 11:09:05.76 ID:jjAc42S/o
これからも毎日続けるなら俺も遠慮なく叩くけど、それを見たトオルがどう思うかを考えてやれよ
トオルが俺みたいなのを荒らしと思って素直にNGしてくれるような奴ならいいんだけどな
じゃ、スレやめますってなったらおれのせいじゃねーぞ
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 11:17:23.06 ID:pcrS0YkyP
今日は以上です
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/04(木) 11:20:21.61 ID:9ZpMELU6o
これ以上この話題する方にはNGで対処してください
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/04(木) 11:58:09.94 ID:pE9Za3WAO
あーあ
こんなんじゃ今日はトオル来ないだろうな
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 12:12:47.41 ID:Pz7UOlNSO
>>100
宿題してなさい
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 12:26:29.38 ID:fva7pPxio
>>95
禿同

嫌ならNGなりスルーなりすればいいのに
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 12:33:18.76 ID:jjAc42S/o
>>104
人にレスつけないでください
馬鹿ですか?
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/08/04(木) 15:18:52.92 ID:41A0khEB0
             /)
           ///)
          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____   こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[sage]:2011/08/04(木) 15:35:45.80 ID:bb75DX78o
もう面倒だから全員黙れ
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/04(木) 16:12:55.00 ID:jjAc42S/o
外野が書き込んだら余計荒れるだけなのになんでわからないのかなー
トオルを泣かせたいの?
一連のキモイ連中が消えれば俺も消えて済むだけの話なのに
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 16:19:04.43 ID:Pz7UOlNSO
jjAc42S/o(5) ←これ注目
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/04(木) 16:41:39.56 ID:pE9Za3WAO
なぜこいつがこんなに怒ってるのかは分からないけど,こういうガキには大人の対応が1番
トオル、スレが荒れてしまって申し訳ない
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/04(木) 16:50:09.76 ID:pYjGK9Uno
落ち着いてトオルを待とうず
113 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/04(木) 17:03:08.78 ID:AAdsHGgRo
乙です
すみません
今日はまだ書けてないんです
色々忙しくて(Hな動画を見たり、しょうもない動画で抜いたので、その反省をしてたり)

明日までには書きあげて、必ずカキコミますねww
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 17:08:04.79 ID:ssN+R9wwP
>>113
まああれた
URL教えてもらおうか
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/04(木) 17:08:23.98 ID:pE9Za3WAO
抜いてたのならしょうがない
116 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/04(木) 17:10:44.99 ID:AAdsHGgRo
まあ、色々皆さん書かれていますが・・・

ご自由に書いてくださいww
ここは俺のブログではないのでww

匿名掲示板ですから、そんなに気を使わなくても大丈夫っすww
もしも、俺が気になることを書かれても、俺の場合昔から色んな事をスルーするのに
慣れてますから(某二名のウザい人達のお陰で)

住人同士の喧嘩もおk
俺が掲示板にカキコミをする時は喧嘩も含めて楽しんでますから

まあ、ただ煽り耐性の無い人は、なるべく喧嘩はやめましょう
掲示板の喧嘩は煽りも含めて楽しめる人だけでww

そんなオッサンの意見でしたww

それではまた、明日!
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 17:13:34.67 ID:ssN+R9wwP
え URL
118 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/04(木) 17:14:23.85 ID:AAdsHGgRo
>>114
ぐぬうう!!貴様はエロネットサーファーの風上にも置けない奴・・・!
エロネットサーファーは自らの力で探してこそのエロネットサーファー!!
そもそも、エロ動画とは・・・(ry

まあ、そう言うことでまた明日ww
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/04(木) 17:45:48.39 ID:pYko0WZAO
エロ動画見て抜いてたのをスミカちゃんに見つかったのだと予想
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 17:48:07.23 ID:ZkW+pehDO
ネタは比嘉愛実か? こっそりスミカちゃんが見ているよ。
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/08/04(木) 18:36:17.39 ID:3PZWXfuMo
トオルが1番大人だ
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/04(木) 19:43:05.66 ID:lLriM/IVo
プップギャーッ!!m9゚。(^Д^゚≡。^Д^)m9゚。プギャ-ッ!!!
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/04(木) 20:45:45.74 ID:YE9ctHya0
で、なにすればいいの?
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/04(木) 20:53:12.76 ID:pYko0WZAO
>>123
とりあえず1スレ目から全部読んでください
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/04(木) 21:00:26.82 ID:YE9ctHya0
>>124
ごめん、とんだクソミソうんち君だった
出直してくる
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2011/08/04(木) 23:31:01.67 ID:pWfnkBhJo
小林ひとみか桜木ルイ?
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/05(金) 08:49:01.50 ID:SejXF/7Qo
トレーシーVS愛染だろjk
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/05(金) 09:07:05.06 ID:Jsc8K5Cto
選択屋ケンちゃんで頼むわ
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 09:11:10.83 ID:Q5dDIDUwP
トオル召喚
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 09:18:00.77 ID:UW3ZgjkwP
(^q^)/
131 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:03:50.87 ID:1NXCJ9xGo
おはようございます
俺は浅倉マイ一択でww

お待たせしました
それでは続きをどうぞ
132 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:06:06.53 ID:1NXCJ9xGo
−三年後−

「おつかれっしたー!」

俺がそう言って皆に声を掛けると「おう、お疲れー」「お疲れ様でした」そう言って声を掛けられた。
俺は服を着替えて『マルセイユ』を出る。夜もかなり暑くなってきた。
六月も終わりになる暑くなる。俺は自転車に乗り急ぎ足で家路に着いた。

アパートに到着して階段を上がりインターフォンを押す。
だが反応が無い。あれ?どこかへ出掛けてるのかな?
俺はそう思い鍵を差し込み、ドアを開けた。家の中は電気が点いている
133 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:08:32.29 ID:1NXCJ9xGo
なんだ、居るのか。トイレかな?
俺がそう思いながら部屋に入ると・・・トイレにも居ないし、風呂場にも居ない。
あれ・・・どこに行ったんだ・・・?

その時、突然「ちぇっくめいとー!」そう言って俺の背中に何かが乗っかって来た。
「うわっ!!!」
俺は叫びながら前に倒れる。

「くくく・・・わたしはここだ・・・!」

そう言って背中に乗っているスミカは俺の頭をピコピコハンマーでポンポンと叩く。
俺は溜息をつきながらスミカに言った。
「・・・どっから出て来た・・・?」
「あそこー」
スミカは押し入れを指差す。
134 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:10:25.84 ID:1NXCJ9xGo
俺は再び溜息をついてスミカを背中から退かせて正座をさせ、俺もスミカの前で正座をする。

「スミカ。よく聞きなさい」
「はい!」
スミカは敬礼をした。
「敬礼は要らない、普通に聞きなさい」
「はい」
スミカは俺の目を真剣に見る。

「とりあえず、押し入れからは飛び出さない」
「おしいれからとびださない」
スミカが復唱する。
「人の頭をピコピコハンマーで叩かない」
「ひとのあたまを、ピコピコハンマーで、たたかない」
「パパが帰ったら、おかえりと言う」
「パパが、かえったら、おかえりとゆう」

「あとは・・・」
「あとは・・・?」
135 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:11:47.02 ID:1NXCJ9xGo
「部長の真似はしない!」
「えーっ、やだ〜・・・ぶちょーカッコイイもーん」

スミカが嫌がる。
最近、部長がイラン遊びばかり教えて、何故かスミカがやたらと部長に懐いていた。
「とにかく・・・だな・・・」
俺がそう言いかけた時に又もや背中に何かが乗っかって来た。

「いやっほぉぉぉー!!!」
背中に乗っかって来たのはリコさんだった・・・
俺は又もや前に倒れ、その上にリコさんが乗っかってる。
リコさんが、その体勢のまま言った。


「お帰りなさい・・・旦那さ・ま!」
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/05(金) 11:12:53.97 ID:ipxDN2vRo
なん・・・・だと?
137 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:13:05.48 ID:1NXCJ9xGo
俺は顔を赤くして起き上がり言う。
「辞めて下さいよ!リコさん、誤解を招く様な言い方は!」
「あらww照れてカワイイ」
リコさんがクスクス笑う。

すると又もや後ろに何かが乗っかって来た。しかも、それは超重い・・・
俺は「グニュ」と言う声を出して前に倒れ潰れた。

「お帰りなさい!だ・ん・な・さ・ま!」
その物体は向井さんだった・・・

「・・・キモい・・・痛い・・・そして重い・・・」
俺が苦しんでいるのをスミカが「おおー!」と何故か感心して拍手をしている。

意味が分からん・・・
138 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:14:30.87 ID:1NXCJ9xGo
あれから三年が過ぎ、スミカも四歳になった。
俺は毎日シゲルさんの店、『マルセイユ』で仕事をしている。
今、マルセイユでは俺が仕切って店を回していた。

それは二号店の店長として哀川さんがソチラに回り、ベテラン勢も引き連れて行ったからだ。
今、本店はシゲルさんと俺が残り懸命に店を回している。
使えなかった新人のヒロシさんも今は立派な戦力となり俺を支えてくれている。
店を仕切る様になり、スミカの保育園も夜間にも預かってくれる所に変えた。
日曜日とかも預かって貰える。
139 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:16:12.90 ID:1NXCJ9xGo
だが、たまに日曜日等は今日みたいに向井さんや、リコさん達が預かって見てくれる。
俺は最初は遠慮をしていたのだが、皆が本気でスミカを可愛がってくれているので、いつしか任せる様になっていた。


皆はそれぞれ大学を卒業して各々の進路に進んでいる。
ヨウイチは現在も医学部の学生として大学にいる。
ユイの死により、ヨウイチは外科医を目指していた。
一人でも多くの癌患者を救いたい、そう言っていた。

サモハンは大学を卒業の一年後に司法試験に合格して今は弁護士として、ある法律事務所に勤めている。
中々のやり手弁護士の様だ。昔から鋭い所があったからね。

ケンタは、ある大手食品メーカーの営業として頑張っている。
ウチの店に営業に来てシゲルさんに食材を卸させて貰う様にお願いして、ウチもケンタの所から引っ張る様になった。
だが、たまに間違えたりしてシゲルさんに怒鳴られていた。

マルオは中学教師になった。アイツが生徒から虐められて無いか心配な限りだよ・・・
140 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:17:56.81 ID:1NXCJ9xGo
タカコは商社の営業をしており、常に全国を飛び回っている。
あのタカコが営業をするとは思わなかった。
結構ガンガン攻めて行くスタイルらしく、前に飲んだ時にケンタと営業トークについての激論を二人でしていた。
女は変わるもんだな・・・

マリは宝飾店に勤めている。何と無くマリらしくて良かった。

そして、リコさんは今や某建設会社の受付嬢をしている。
ニコニコ笑いかなり受けが良いとの事。
「アイツは猫を被っている!」
リコさんの仕事姿を見た向井さんが、そう言っていた。

何故向井さんがリコさんの仕事姿を見たかと言うと、向井さんは、今は向井工務店の二代目として頑張っているからだ。
建設会社の下請業務から、地元密着の建築請け負いまで、何でもこなす。
向井工務店はかなり大きくなっていた。
だからリコさんの建設会社とも付き合いが有るらしい。
141 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:19:12.26 ID:1NXCJ9xGo
そして最後に部長は昔からの夢であった、『軍師』になった・・・


・・・訳ではなく、今は警察官をしている。
何故あの人が警察官に成れたかが未だに誰も分からない。
確かに柔道も強く、運動能力は高いが、ただのアホの筈だった。
それが今や俺達の町を守る人間になるだなんて、人生と言うのは、よく分からんです。

だが一つ言える事は・・・皆が皆一生懸命に生きていた。
人生を適当に過ごす者はいない。

それは、目の前で仲間が短い命を懸命に生きるのを・・・見たからだった。

だから誰も夢を諦めたりしない。
誰も人生を投げ出したりしなかった。
全員が一生懸命に今を生きていた。

皆ユイの笑顔を忘れる事は無かったからだ・・・
142 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:20:31.35 ID:1NXCJ9xGo
親バカかも知れないがスミカは日に日に可愛くなっていた。
生まれたばかりは俺に似ていたが、歳を追うにつれて段々ユイに似てきた。

大きな瞳、長い睫毛。色が白くて肌が綺麗だった
。髪も長くするのが好きで下ろしているとユイに本当に似ていた。
唯一違うのホッペだった。
スミカはホッペがムチムチで子供らしかった。
俺はいつも、その柔らかくムチムチなホッペをクニクニと触り、寝ている時はチューをしたww
いや、もう可愛くてww

あの部長ですら、キョロキョロと見回しスミカのホッペにチューをする。
俺がその現場を見ると何故か「違うんだー!!!」と叫び逃げて行った。
変質者かよ。
143 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:22:54.10 ID:1NXCJ9xGo
そんなスミカを皆が可愛がってくれた。
天文部のメンバーだけでは無い。

シゲルさんは、よくスミカに晩飯を食べさせてくれる。
警備の社長は孫の様に可愛がり、たまに遊園地とかにも連れて行ってくれた。

石田さんに至っては「いしだのジッチャン」とスミカに呼ばせホクホク顔で可愛がる。
ちなみに石田さんは俺と飲んだ時に「俺みたいなジジイが長生きして、ユイちゃんが死ぬなんて・・・」そう言って泣くんだ。
俺はいつも石田さんを慰めた。

また、向井さんの両親もスミカを可愛がってくれる。
家が近いのも有るし、ウチのアパートの大家さんでも有るのでしょっちゅう遊んでくれるんだ。
あ、ちなみに向井さんの好意の家賃だが、俺の給料が安定した事もあり、通常の家賃を支払わせて貰う事になった。
だが通常と言っても随分安い金額であった。

また、ヨウイチの妹がスミカをいたく気に入り遊びに連れて行く。
ヨウイチの両親も可愛がってくれた・・・

こうしてスミカは母親が居ないにも関わらず、沢山の人の愛を貰いすくすくと育って行った。
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 11:23:17.66 ID:Q5dDIDUwP
医者に弁護士に警察とかやりたい放題だな
145 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:24:38.14 ID:1NXCJ9xGo
だが、もちろんたまに可哀相な時もある。
それは朝に俺が支度をしながらスミカも保育園に連れて行く準備をしている時だった。

朝ご飯をスミカの前に置き俺は自分の用意を慌ててする。
朝はいつも慌ただしく、そして時間に追われるのだ。
するとスミカはテレビを点けてアニメを見はじめた。
「おい、スミカ。テレビを見ずに早く食べなさい」
俺は洗面所からそう言う。だがスミカはテレビを見てクスクス笑っていた。
俺は時計を見る。ヤバい遅れる。

「スミカ!早くしろ!」
俺が強めに言うがスミカはクスクスと楽しそうにテレビを見ていた。
俺はカッと来てスミカに近寄り、無理矢理にご飯を口に入れた。
スミカは口に入れられたご飯にムセながら食べる。

「早く食えって言ってるだろうが!!」
146 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:26:31.68 ID:1NXCJ9xGo
そう言ってテレビを消した時にスミカが泣き出した。
「○○(アニメの名前)・・・見たい〜・・・」
口にご飯を入れながら泣き出す。

え?
俺はその姿に我に帰った。
近所のスミカの同年代の子供が、毎朝、このアニメを見ている様だ。
スミカも「見たい」と言っていたが、朝は急ぐ為に俺はテレビを消していた。

スミカは口からご飯をポロポロと零しながら泣いている。
俺は急に申し訳なくなった。スミカも普通の子供と同じ様にこのテレビを見たい筈。
なのに、母親が居ない為にテレビを見る事もなく、保育園に連れて行かれる。
俺は泣きそうになりながらスミカを抱きしめた。

「ゴメンな、スミカ・・・」
俺は抱きしめて、そう言うとスミカは頷いて答えた。

「・・・パパがおしごとだから・・・スミカはがまんする・・・」
そう言ってご飯を食べはじめる。
その聞き分けの良さに俺は益々、申し訳なくなったんだ・・・
147 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:28:13.87 ID:1NXCJ9xGo
「めがねほしー」

ある日スミカが食事中にいきなり言った。
「え?なんで眼鏡?」
俺が驚いて尋ねる。
「ぶちょーと、おんなじ」
スミカがそう言って両手の指で輪っかを作って自分の両目に当てた。
また、訳の分からん事を・・・

「あのな、スミカ」
「うん」
「部長は目が悪いから、眼鏡をしてるんだよ。スミカは目が悪い?」
スミカは少し考えて「わるくないよ」そう言う。
「じゃあ眼鏡を掛ける必要が無いじゃん」
「ん〜・・・」
スミカは又もや考える。

「スミカはぶちょーみたいに、なりたい」
マジでか。どんだけ部長に懐いてるんだよ。
148 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:29:49.93 ID:1NXCJ9xGo
「な、なんで・・・?」
「だって、ぶちょーが、みえては、いけないものまで、みえる、っていってたもん」
また、そんな厨二病的な設定を教えやがって・・・

「スミカ・・・」
「んー?」
「部長は良い人なんだが・・・少し頭がアレな人なんだよ・・・」
スミカはキョトンとした。

「あ、難しいな・・・えっと・・・ちょっと頭が可哀相な人なんだ」
まだスミカがキョトンとしている。えーい面倒臭い。

「スミカ・・・」
「うん!」
「部長はね・・・アホなんだ・・・!」
「おおー!」

スミカが何故か感心していた・・・
149 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:31:25.62 ID:1NXCJ9xGo
忙しい日々が流れる様に過ぎて行く。
スミカを育て仕事に行き、毎日の生活をする事で俺は精一杯であった。

他の事を考える暇さえ無かった。
だが、店からの帰り道に夜空を見上げ、ユイの事を思う事がある。
もしもユイが生きていたら、今頃どんな生活をしていただろう?
そんな夢想をしたりしていた。
そして・・・ごく、たまに・・・泣いたりする事もあったんだ・・・


そんな日々を過ごし季節は夏になった。
七月の終わり頃からセミが鳴きはじめる。

「スミカー、誕生日プレゼント何が良い?」
マルセイユのカウンター席で向井さんがスミカに聞いた。
スミカは俺が作った煮込みハンバーグを食べている。
150 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:33:04.93 ID:1NXCJ9xGo
「んー?」
スミカはテーブルに転がったハンバーグを追い掛けてフォークを刺す。
「誕生日よ。去年はヌイグルミだったでしょ?今年は何が良いの?」
リコさんがスミカの口をオシボリで拭ってくれた。
「毎年、毎年、良いですよー」
俺がカウンター越しにそう言う。
「るせぇ!てめぇには関係ねーだろーが!!!」
すみません。大いに関係者です。

「私は、お洋服を買って上げようか?」
リコさんの言葉にスミカは首を横に振る。
「いらないよー」
「あら?なんで?他に欲しい物が有るの?」
「んーん。スミカ要らないの」

俺達は顔を見合わせた。
「なんだ?じゃあ向井っチが人形セットでも買ってやろうか?」
向井さんの事をスミカは向井ッチと言う
151 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:34:50.98 ID:1NXCJ9xGo
「いらなーい、スミカはいらないの」
又もやスミカはそう言って首を振る。
おいおい・・・俺は不思議に思いながら尋ねた。

「スミカ・・・自転車は欲しいよな?」
俺が恐る恐る尋ねた。
以前から近所の子供達がコマ付きの自転車を乗っていた。スミカは、いつもそれを物欲しそうに遠くから眺めていたのだ。
俺は母親が居なくて淋しい分、せめて物だけは他の子供達と同じ様に買ってあげようと思っていた。
だから誕生日に自転車を買ってやる、そう言った時にはスミカは凄く嬉しそうにしていたのだが・・・

スミカは俺を見つめると首を横に振った。
え・・・?

「スミカ・・・いらない」

おいおい・・・
俺達三人は顔を見合わせ、首を傾げていたんだ・・・
152 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:36:42.78 ID:1NXCJ9xGo
「遠慮してんじゃねーか?」

俺の家にやって来たサモハンがピーナッツを食べながらウイスキーを飲む。
「だったら・・・余計に可哀相ですね」
同じくタカコもビールを飲みながら言った。
「お前が、いつも金が無いって顔してっからだろう!」
そう言って向井さんが俺の頭を叩いた。
「って・・・そうなんすかね・・・」
俺が頭を押さえながらそう答えた。

その時、襖が開き寝室からリコさんが出て来た。
「あ、すみません、リコさん寝かしつけて貰って・・・スミカ、なんか言ってました?」
「ううん・・何も・・・普通に寝たわ」
「そうっすか」
リコさんはそう言ってテーブルに座るとサモハンがビールをリコさんの前に置いた
153 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:38:39.95 ID:1NXCJ9xGo
「あ、私明日早いから、そろそろ帰る」
「おつかれー」
リコさんの言葉に向井さんがスルメを食べながら言った。
するとリコさんが向井さんの頭を叩いた。
「送って貰えませんでしょうか向井君?」
「・・・は、はい・・・」
向井さんが渋々そう言う。

「そう言えば・・・」
俺がふと呟いた。
「ん?」
皆が俺を見る。

「この前は眼鏡が欲しいとか言ってたんだけどな・・・マジで眼鏡が欲しいのかな?」
「眼鏡?」
「はい、なんか部長に憧れて眼鏡が欲しいとか・・・」
「それは・・・なんかアレだな・・・非常に困るよな・・・」

皆が困った顔をした。
154 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:40:12.77 ID:1NXCJ9xGo
「あ、そうそう、それはこの前皆でキャンプに行った時の奴じゃないですか?」
タカコが思い出した様に言う。
「え?」
「この前、キャンプでね、部長とスミカちゃんが二人で遊んでて、部長の眼鏡をスミカちゃんが掛けてたんですよ。で、私が『何してんの?』って聞いたらスミカちゃんが『オバケがみえるの!ぶちょーのメガネ!』たて言ってました」
「お化け?」
皆が顔を見合わせる。

「これまた微妙な物を・・・」
「まあ、部長だからなぁエセ霊感パワーの」
皆が溜息をついた。
155 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:41:50.56 ID:1NXCJ9xGo
「まあ、あれだ・・・あんまり気にすんなよ」
「だな、うん・・・」
そう言って向井さんとリコさんが立ち上がった。
「今日はありがとうございました」
俺が玄関まで見送り、そう言う。

「まあ、とりあえず眼鏡よりチャリを買った方が喜ぶだろ」
「うん、一時的なもんだと思うよ」
「ですかね・・・でも・・・」
「うん?」

「何のお化けを見たんすかね?」
「そりゃ、お前、あれだ・・・」
向井さんが上を向いた後にニヤリと笑って言った・・・



「キャディーの霊だろww」

・・・・
・・・・
156 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:44:03.69 ID:1NXCJ9xGo
一時的な物。俺もそう思った。
そして誕生日の前に俺はスミカを連れて自転車屋に行った。

「スミカ、自転車を選んで良いぞ!」
俺が笑顔でそう言うとスミカは首を横にブンブンと振る。
え?

「自転車欲しいんだろ?」
スミカは下を向いて呟いた。
「・・・ほしい・・・」
「じゃあ、買おうよ。好きな奴を選んで良いよ」
「・・・でも、いらない・・・」

え?
「スミカ・・・?」
157 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:46:35.86 ID:1NXCJ9xGo
「・・・ママが・・・」
え・・・?

「・・・いいこにしてたら・・・ママがきてくれるって・・・」

え・・・?
スミカは顔を上げて俺に言った。

「ママが・・・スミカが、いいこにしてたら・・・ママがあいにきてくれるから・・・って、いってたもん・・・!」

「・・・スミカ?」
「スミカいらない!じてんしゃ、いらない!ママとあいたいから、いらない!」

そう叫ぶとスミカは泣き出した。
周りの人達が俺達を見てくる。

「スミカ、ママにあいたいもん・・・!ママとあうんだもん!!うわあああん・・・!」
158 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:48:10.24 ID:1NXCJ9xGo
スミカは泣き叫んでいた。
俺は訳が分からずにスミカを抱きしめる。

スミカはずっと「ママとあうの!」そう叫んでいた。


・・・よくドラマとかで、母親の居ない子供が、そう言う風に駄々をこねるシーンが有るんだけどさ。
実際に我が子にそれを、されると胸が詰まるんだよ。
不憫でさ。

俺は訳が分からないまま・・・泣きながらスミカを抱きしめていたんだ・・・
159 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/05(金) 11:49:18.72 ID:1NXCJ9xGo
今日は以上です
一応最終章の序章が終わりました

とりあえず、絶対にこのスレ内で終わらせます!!

じゃあ、また!
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 11:55:36.25 ID:g7Wi+cKHo
投下乙
死別とはいえ会いたいと思えるような母親を持ったスミカが羨ましいぜ
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/05(金) 11:59:53.34 ID:83ayV7D8o
スミカ……
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 12:00:40.17 ID:tWYv+qAKo
最近ティッシュがすぐ無くなるよ。。。
なんでやろうか・・・
トオル乙
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/05(金) 12:01:37.29 ID:P8qK4kl3o
で、新しいお母さんがやって来ると・・・
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/05(金) 12:37:36.61 ID:SejXF/7Qo
向井とリコ…
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 13:32:34.32 ID:Q5dDIDUwP
>>164
おいその件は触れるな
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/05(金) 13:36:53.58 ID:bI19aYN8o
部長も罪作りなことするなぁ
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/05(金) 13:39:45.18 ID:dUSJmK7Vo
向井とリコ出来てるの?
おいじゃあ新妻は誰なんだよおおおおおおおおおおおお
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 13:44:43.62 ID:O3ZbDKXSO
エイジ
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(徳島県)[sage]:2011/08/05(金) 13:48:42.27 ID:H3zYIboco
高1のバレンタインに貰った匿名のチョコが気になる・・・
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/05(金) 14:03:45.18 ID:1IYJKN3a0
乙です

このスレで終わって欲しくないと思っているのは、俺だけじゃないはず
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 14:46:31.53 ID:2liu4dCp0
部長がユウレイが見えるなんて言うから…スミカちゃん…
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 15:06:14.16 ID:eWJKmhrIO
>>166
でもまあ、スミカちゃんに思いを吐き出させるきっかけになったという意味ではよかったんじゃないかな
大局的に見ればきっとよいほうに転がってくれるはず

>>169
うん
これだけあらゆるエピソードが回収されるなかで、
目立ってまだ回収されてない(よね?)のはそれぐらいだもんね
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/05(金) 15:08:30.32 ID:4PLwTCufP
なんでこいつレスしてんのwwwwww
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/05(金) 20:03:59.08 ID:Vi2QJxRQo
リコ√消滅か…
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/05(金) 23:57:11.00 ID:m4bm7rdro
先輩おつかれさま
なんか色々思い出してしまうよ…
人生なにが正しくて、なにが間違いか分かれば苦しむことなんてないのにな…
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/06(土) 08:56:35.39 ID:8l1ENfN9P
トオル召喚
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/06(土) 09:03:18.48 ID:xd4xdi4jo
       _,,..,,,,_ モシャ
   (( ./ ・ω・ヽ ))
   (( l    , ', ´l  モシャ
、、、、、、、`'ー---‐´ トオルノレストオルノレストオルノレストオルノレストオルノレス

見てください、この生き物。かわいいですね。
この子はトオルのレスを主食としていますが、現在トオルのレスの激減により絶滅の危機に追いやられています。

今、この子を助けるためにトオルの良質なレスが必要とされているのです
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/06(土) 11:20:18.42 ID:e2SHMtzco
13日がピーク、観察を=ペルセウス座流星群―国立天文台

夏の風物詩、ペルセウス座流星群が今年は11日から15日ごろまで出現し、13日にピークを迎える。
国立天文台によると、14日が満月のため暗い流星は見えづらいが、夜空が明るい都市部から離れ、
月がない方向を広く見渡せば、見えるチャンスが増えるという。
国立天文台は夏休み中の親子などに観察と報告を呼び掛けるキャンペーンを12日夕から始める。

流星群は、彗星(すいせい)がまき散らしたちりが地球大気に飛び込み、光って見える。
ペルセウス座流星群の場合は、ペルセウス座にある「放射点」から星がさまざまな方向に流れて見えるため、
放射点が高く上る真夜中から明け方が観察しやすいという。
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2011/08/06(土) 14:54:37.34 ID:8yCPNtf0o
今日はお休み?
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/06(土) 19:22:40.68 ID:k9tzIKmho
明日は2週間ぶりのお休みだから、家からレスするかな。

トオル、待ってますよ。
181 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:08:02.59 ID:qf+MNKaho
乙です
それでは続きをどうぞ
182 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:10:02.30 ID:qf+MNKaho
「つまり、どう言う事だ?」

向井さんが、アイスコーヒーを飲みながら尋ねる。
いつもの様にマルセイユのカウンターに皆が座っていた。
「あれじゃないの?部長と一緒に見たお化けってのがさ・・・」
ヨウイチが部長を見ながら言う。
「ああ、多分、ユイさんの・・・幽霊?」
サモハンの言葉に全員が部長を見る。

部長は黙ってレモンスカッシュを飲んでいた。
「いやいや・・・無いでしょう。幽霊って・・・」
ケンタが半笑いで言う。
「でも、昔・・・ユイさん言ってましたよね・・・」
マリが頬杖をつきながら呟く。
「え?」
「幽霊になって・・・現れるって・・・」
「ああ・・・でも、まさか・・・」

皆が微かに笑った。
183 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:12:25.62 ID:qf+MNKaho
「それが本当でも、部長って・・・」
リコさんが部長を見ながら言う。部長はずっと黙って何かを考えていた。
「部長・・・?」
タカコが部長に言う。黙っていた部長が急に口を開いた。

「そうか・・・思い出したぞ・・・」
部長がそう言ってカバンの中身を探り始めた。
え・・・?
俺達は全員、部長を見る。

「あの・・・キャンプの時にね・・・」
部長がカバンを探りながら言う。

「確か・・・ユイ君に似ていたんだ・・・」
え・・・?
俺は仕込みをしながら部長を見た。

まさか・・・?!
184 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:13:47.96 ID:qf+MNKaho
「あった・・・!」
そう言って部長がカバンから石を取り出す。
「へ???」
全員が部長の石を見た。
「どう??似てるだろ?ユイ君に!最近、人の顔をした石を集めるのに凝っててね・・・」
部長が自慢げな顔をしていた・・・



「似てねーよ!!」
「アンタ、人の嫁、馬鹿にしてんのか!!!」
「趣味が常識の範囲内越えすぎだろ!!」
サモハンが石を店の外に投げた。部長が泣きながら石を追い掛けて行った・・・
185 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:15:31.25 ID:qf+MNKaho
「まあ、部長のアレは放っといてだな・・・急にそんな事を言い出すのは、ちょっとおかしいよな?」
ヨウイチが唸る。
「なんか夢でも見たんじゃ無いですか?いつも写真だけは見てる訳じゃ無いですか」
「そうね、夢にユイが出て来たのかも・・・」
「もう一つ・・・思い出した・・・」

皆がそう頷いている時に、部長が戻って来て呟いた。
「あ、石拾って来たんすね・・・」
部長の手には石が握られている。
「あのキャンプの時に、スミカ君に眼鏡を貸したんだよ・・・」
貸すな。んなもん。
186 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:17:21.85 ID:qf+MNKaho
「そしたら、『これはよく、みえるの?』って聞かれたから『見えては、いけないものも、見えるけどね』って僕が言ったんだよ」
だから、そう言う事は言うなよ。

「そしたら・・・『スミカ、オバケみたよ』って嬉しそうに言ってたな・・・」

全員が部長を見た後に、顔を見合わせる。
だが、全員が失笑した・・・

「まさか・・・な」
「ですよね・・・」

そう言って笑っていたのであった・・・
187 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:19:02.56 ID:qf+MNKaho
そんな話をした一週間後位の事だった。
ある日俺は店が休みでスミカと二人で買い物に出掛けていた時であった。

「スミカー、晩御飯は何が食べたい?」
俺の言葉にスミカは「しちゅー」そう言う。
「了解」
そう言ってスーパーに向かう途中で近くの公園の前を通る。
スミカは公園を見ながら立ち止まった。
「どうした?」
「こうえんで、あそびたい」
「ダメだよ、先に買い物に行ってから」
「あそびたい」
スミカが強情を張る。

俺は溜息をついた。何もこんな糞暑い時間に遊ばなくても・・・
そう思いながらも、仕方が無いと思い二人で公園に入った。
スミカは公園に入りベンチに座る。
188 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:20:54.66 ID:qf+MNKaho
「おい、遊ばないのか?」
その言葉を無視してスミカは、ただベンチに座り辺りをキョロキョロと見回していた。
何なんだよ・・・俺は空を見上げる。
ミンミンとセミが鳴き、空には入道雲があった。

あっちぃ・・・
俺は手団扇で自分を扇ぐ。スミカも被っているキャップの隙間から汗が流れ始めていた。
俺はタオルを取り出しスミカの汗を拭いてやる。
スミカはそれでもベンチに座りキョロキョロと見回していた。
「スミカ、暑くない?」
スミカには聞こえていない様だ。俺は溜息をついて木を見上げセミを探していた・・・
その時だった・・・

「ママ・・・!」

え?
スミカが立ち上がりいきなり走り出した
189 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:22:36.52 ID:qf+MNKaho
「おい、スミカ!」
俺もスミカを追い掛ける。スミカの前に女の人が立っているのが分かった。

え・・・?
スミカはその女の人に叫んだ。
「ママー!!」
女の人はスミカに気が付いて「あら・・・」そう言って振り返った・・・

その人は・・・
ユイに似て・・・









・・・も似つかない女の人だった。
190 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:23:34.08 ID:qf+MNKaho
え?ママ?

俺の頭に疑問符が浮かび上がる。
その人はホッソリとしいて髪が肩より少し長いストレート。
確かにその点は似ている。
目が大きいのも似ていた。

そして・・・ホッソリとした美人・・・

それも似ているが・・・
ユイとは違う・・・
似ていない・・・



それが『マキ』を初めて見た時の・・・
俺の第一印象だった・・・
191 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:24:59.27 ID:qf+MNKaho
「この辺に住んでたんだ・・・?」
マキはそう言ってスミカに優しく微笑む。
「うん!スミカ、むかいっちの、ちかくにすんでる!」
「むかいっち?お友達?」
「うん!むかいっちはね、スミカのしんゆーなんだよ!」
「そうなんだ〜」

マキはそう言ってスミカのホッペをプニュプニュと押す
。スミカは「ウヒヒ」と笑っていた。

マキはスミカの後ろに立つ俺に気が付き、慌てて会釈をした。
俺も会釈をする。
「・・・すみません、お父さんですか・・・?ごめんなさい、馴れ馴れしくして・・・」
マキは恥ずかしそうに笑いながら言う。
「あ、いえ・・・コチラこそ娘が不躾な真似をして、申し訳ありません・・・」
俺は頭を下げながら言った。
192 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:26:28.01 ID:qf+MNKaho
「いえいえ・・・なんか、私が・・・ママに似てるって・・・言うもので・・・ねえ?」
マキは優しくスミカに微笑む。
「違うよ!ママだよ!」
「こら!スミカ!ダメだろ!・・・すみません・・・失礼な真似を・・・」
「いえいえ・・・ママは・・・居ないんですか?・・・あ、すみません、失礼な事を・・・」
マキは慌てて謝る。
「あ、いえ・・・母親は、この子を産んで・・・八ヶ月後に・・・亡くなりまして・・・」
「・・・そうなんですか・・・」

マキがスミカを悲しげな表情で見る
193 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:28:10.61 ID:qf+MNKaho
「あ、この前、キャンプに・・・来られてましたよね・・・?その時に会ったんですよ・・・」
マキはそう言ってスミカの頬を触る。
あ・・・!
俺はマキを見た。

それでか・・・でも・・・やっぱり似てないんだけどな・・・
俺はそう思いながらマキを見つめる。
マキは俺の視線に気が付き少し恥ずかしそうに下を向いた。

「あ、に、似ておられるんですか・・・?私と・・・奥様は・・・?」
そう言われ俺も少し恥ずかしくなり頭をかいた。
「あ、いや・・・その・・・」
こう言う場合、どうしたら良いんだろう?似てるって言った方が良いんだろうか?
だが、俺は女性に対してそんなに気が回る人間では無い。
194 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:30:48.47 ID:qf+MNKaho
だから、結局・・・

「あ、いや・・・余り・・・」
そう言ってしまったのであった・・・
「あ、そうなんですか・・・」
「あ、はい・・・あ、でも、武藤とグレートムタ位は似てるかも・・・」
「え???」
マキが少しビックリした反応をする。
何を言ってるんだ俺は・・・

するとマキは急にクスクスと笑い出した・・・
「なんか・・・面白いですね・・・お父さん・・・!」
「あ、なんかすみません・・・ちょっと変なんすよ俺・・・」

そう言って俺は笑っていたのであった・・・
195 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:32:01.58 ID:qf+MNKaho
「なんで、ママなんだよ」
帰り道に俺がスミカに言う。
「え?だってママでしょ?」
スミカの言葉に俺は溜息をつく。

全然似てねーじゃん。
「スミカ、またママにあいたいなぁ」
スミカはそう言って立ち止まりしゃがんだ。
「だから、あれはママじゃ無い・・・」
「みてみてー!」
スミカは俺の言葉を遮り叫ぶ。

「え?」
「ほらー!セミー!」

スミカはセミの死骸を俺に見せ付けて来た・・・
その報告はいらねー・・・
196 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:33:40.61 ID:qf+MNKaho
マキと出会い一週間が過ぎた。
俺は正直、マキに対して何とも思っていなかった。
ユイに似ても似つかない女の人に何も思わない。
確かにマキは美人だとは思う。だが、それならば、リコさんだって、タカコ、マリも皆、結構可愛いのだ。
『結構な美人』それ位で人を好きになる程、25歳の俺は若くは無かった。
だから、いつしかマキの事を忘れていた・・・

そんな時であった。
あれは皆で恒例の花火大会を見に行った日だ。

「ほら、スミカー!花火が上がるぞー」
向井さんが肩車をしながら浴衣を着たスミカに言う。
「はなびー!」
スミカが単純に喜んでいる。
「スミカ君、花火と言うのはね、コチラの世界とアチラの世界を結ぶサインなんだよ・・・花火を見る事で・・・世界が繋がり始めるんだ・・・」
部長が眼鏡を押し上げて訳の分からない厨二設定を話始める。
その部長の頭をリコさんがサンダルで思い切り叩いた。
197 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:35:44.73 ID:qf+MNKaho
「お、上がるぞー」
ヨウイチの言葉に高台の向こうに見える夜の町を見る。

花火か・・・俺は高台の周りを見る。
この高台にも結構人が増えた。昔は穴場であったが、時が経つに連れて、この穴場を情報誌が掲載した為に人が増えたのだ。
まあ、仕方が無いか・・・
俺がそう思っていると夜の町から一筋の光りが登り・・・
そして大きな光りの花を咲かせた・・・

『ドーン!!』
その音が響き全員が黙って花火を見つめる。
次々に上がる花火を全員が黙って見つめていた・・・
皆が考えている事が分かった。

三年前に・・・この場所から見た花火を思い出していたんだ。
あの冬の終わりに上がった花火を・・・

ユイ・・・
俺はユイを思い出した。
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/06(土) 21:36:12.82 ID:1VjyFGtao
その年だと流石に記憶無くないか?
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/06(土) 21:37:12.06 ID:N6GHSgODo
>>198
シーーッ
200 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:37:28.40 ID:qf+MNKaho
その時、急にスミカが花火が上がるのに併せて叫んだ。

「あ、ママー!」
え??その声に全員が驚きスミカを見る。
皆が皆、ユイを思い出していたので慌てたのだろう。
スミカが再び声を上げ「ママー!!おーい!!」そう言って叫んだ。

全員がスミカの叫ぶ方向を見つめた・・・
そこにはマキが居た。
マキは女友達三人位で歩いており、スミカに気が付くと笑顔で手を振った。

俺は少し焦った。
何故ならば、向井さんや皆に絶対にからかわれる・・・そう思ったからだ・・・
201 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:38:53.00 ID:qf+MNKaho
マキは俺に軽く会釈をして来たので、俺も返す。
「おいおい誰だよwwwwww」
そんな言葉を覚悟しながら皆を振り返ると・・・

全員が固まっていた・・・
え?

全員が驚いた表情でマキを見つめている。
そして、リコさんが呟いたんだ・・・


「・・・ユイ・・・!」



色とりどりの花火が・・・俺達を照らしていた・・・

202 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:40:35.59 ID:qf+MNKaho
今日は以上です
>>198
それはスミカがって事ですよね

一応ユイの写真を家には飾ってあり、毎日「ママにご挨拶」って教えてましたので
すみません分かりづらくて
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/06(土) 21:41:55.69 ID:KqqhfnFDO
一番付き合いの長いリコが…
204 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/06(土) 21:42:32.19 ID:qf+MNKaho
あとマキの名前は、このときはまだ知りませんでした
一応便宜上、『マキ』としてます

色々分かり辛くてすみません

では、今日はこれで
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/06(土) 21:43:08.07 ID:N6GHSgODo
うわぁぁぁぁ・・・F5・F5・F5・F5・F5・F5

ここでやめるかぁ・・・・ふぅ

つづき、待ってるからね。乙でした。
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岡山県)[sage]:2011/08/06(土) 21:44:48.64 ID:V58YfB5S0
いつも書き込み楽しみにしてたから遭遇できて嬉しい
乙でした
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/06(土) 22:16:23.91 ID:JXtqJGgg0
また、明日も楽しみにしてます。
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/06(土) 22:31:05.16 ID:kZBpnJTOo
新展開キター!
またよろしく頼むよ
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/07(日) 02:07:07.24 ID:HbdmRaVIO
「マキさん」じゃなくて「マキ」なんだな…
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/07(日) 02:43:11.80 ID:uxA+fTYdo
生まれ変わるの早杉wwwwww
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/07(日) 08:35:41.38 ID:q/TBlMabo
>>209
それそれ
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/07(日) 08:57:03.81 ID:vtCG0NCAO
ええええええええwwww
なんかすっごい気になるとこでwwwwww


待ってるよトオルっ!
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/07(日) 13:43:36.12 ID:I1RnjA8+0
男女逆だが、ワッカホリップァのスレを思い出した……
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage ]:2011/08/07(日) 15:14:37.64 ID:9L9F8l0Jo
トオルー今から結婚届け出しに行くよwww
トオルみたいなパパになってやんぜwww
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/07(日) 16:43:07.43 ID:7TaVXZ2lP
いつどこのキャンプで会ってたん?
スミカだけキャンプいくことはないよな
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/07(日) 17:23:21.35 ID:euuZI4rmo
>>215
>>183辺りに書いてる部長がスミカに眼鏡貸して
スミカの眼鏡欲しいが始まるキッカケになったキャンプだろ

眼鏡かけて遊んでたらママ(マキ)と出会ったから
眼鏡かける⇒ママ(マキ)にあえる⇒眼鏡欲しい
って事か、でも再会時のパターンはプチオカルトだねw
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/07(日) 21:33:32.41 ID:FsrxhJVDO
はーやく
続き!
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/07(日) 23:00:45.65 ID:3HJWKteEo
バレンタインデーのチョコレートの差出人はマキだったんだな
マキは実はストーカー…

偶然出会ったように見せかけて、マキの策略だったに違いない

だったら怖いな…
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 00:16:39.77 ID:YReqj+3v0
気になってちょくちょく覗きにきてしまうw
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/08(月) 00:20:57.27 ID:PNP+W2+co
ムァキさんマダー?
221 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:46:16.56 ID:oIGorzO4o
おはようございます
それでは続きをどうぞ
222 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:48:15.16 ID:oIGorzO4o
「ユイ・・・」

全員の驚いた顔が目の前にある。
え・・・?
俺はマキを見た。マキはキョトンとした表情を浮かべていただけだった・・・


「そっくり・・・だったな・・・」
ヨウイチの言葉にビールを飲みながら全員が頷いた。
え?俺だけが首を傾げる。
「ビックリしたよ・・・調度ユイさんの事を考えていた時だったから・・・」
タカコがそう言う。タカコの言葉に全員が頷いた。

223 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:49:44.90 ID:oIGorzO4o
花火大会の後で俺の家で皆が酒を飲んでいた。

「え?そんなに似てた?」
俺がそう言うと皆が驚いた表情で俺を見る。
「おいおい・・・何を言ってんだよ・・・」
「生まれ変わりかと思ったよ・・・」
「トオルさん、大丈夫ですか・・・?」

・・・マジかよ。俺は未だに分からない。
俺から見ると・・・全く似ていないんだが・・・

「スミカちゃんが・・・『ママ』って呼ぶ理由が分かったね・・・」
リコさんが寝ているスミカの頭を撫でた。
224 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:51:03.12 ID:oIGorzO4o
「ああ・・・だな・・・」
そして皆が飾ってある、ユイの笑顔の写真を見る。

俺は一人納得が出来ていない。
あれはユイじゃない。似てないよ・・・

だが、皆が似ている、と言う。
俺はおかしくなったのか?それとも皆が雰囲気に呑まれてユイに似ている、そう言っているのか・・・?
俺にはよく分からなかったんだ・・・
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 07:51:05.01 ID:L8j7EMVUo
おお 今日は早いね 
226 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:53:06.36 ID:oIGorzO4o
「トオルさん!ハンバーグ出来上がりました!」

ヒロシさんが俺の前に味見を置く。
俺は片手でツマミ口にそれを放り込んで咀嚼した。そして・・・
「よし、出して!」
「はい!」
ヒロシさんがハンバーグの盛り付けを行う。
夏休みも、あと僅かだからか、その日はランチからかなりの混み合いを見せている。
「トオルさん!仕上げをお願いします!」
「トオルさん、フライが揚がりました!」
次々と皆に呼ばれ俺は大忙しであった。

「トオルさん!四番テーブルカキフライまだですか???」
ホールスタッフからも声を掛けられて俺は「今、揚がりました!」そう叫び皿を置く。
227 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:54:54.65 ID:oIGorzO4o
かなりの激務が終わり3時になり、ランチを終了する時間となる。
一応、マルセイユは3時から5時までは準備中となる。
その間に休憩とディナータイムの用意をするのだ。
ちなみに俺の仲間や常連の一部はこの時間に現れる。

俺がテーブル店の看板を準備中に替えようと思い、店の外に出た時に声を掛けられた。
「あ・・・ランチは終わりですか・・・?」
「あ、申し訳ありま・・・」
俺が謝ろうと思い、振り返ると言葉が止まった。
その客も俺を見て言葉が止まる・・・

その客は・・・マキだった・・・
228 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:56:25.32 ID:oIGorzO4o
「え?でも・・・大丈夫なんですか・・・?」
マキは恐る恐る店に入る。
「大丈夫です、常連さんは、この時間に来る人が居るので・・・それにスミカがお世話になりましたし・・・」
俺はそう言ってマキをカウンター席に案内する。
シゲルさんが厨房から出て来ながら呟く。

「なんだー?また向井達かー?」
シゲルさんは、すっかり向井さん達を呼び捨てにしている。
だがシゲルさんも奴らを気に入ってるんだが。
シゲルさんがニヤニヤしながらカウンターを見た時に・・・固まった・・・

そして持っていたフライパンを床に落とす。

「・・・ユイ・・・ちゃん・・・?」
マジかよ・・・
229 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 07:58:03.53 ID:oIGorzO4o
「似てるなんてもんじゃねーぞ!!!」

仕込みをしながらシゲルさんが叫ぶ。
「マジっすかー???」
俺も仕込みをしながら答える。
「いや、お前なんで、そんな冷静なんだよ!!お前の女房だろうが!!」
「いや、俺は似てるとは思わないんすけどねー!!」
「マジでか!!向井達は??」

シゲルさんの言葉に俺は動きを止める。
「・・・似てるって・・・言ってますけど・・・」
「だろう・・・」
シゲルさんが頷きながら言う。

だが俺はよく分からない。何故皆がマキをユイと間違えるのかが・・・
マキは確かに美人だけど・・・ユイとは・・・違うんだ・・・
230 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 08:02:43.94 ID:oIGorzO4o
スミカの誕生日の前日であった。
俺とスミカは二人で翌日の買い物に行く。

「明日は、何が食べたい?」
「えっとねー・・・しちゅー」
「お前、シチューばっかだな・・・まあ、良いけど。とりあえず皆が来てくれるから、手巻きとかも用意しようかな?」
「てまきー!」
スミカが喜ぶ。
結局手巻きも喜ぶんかい。
俺がそう思い笑っていると「あら・・・」そんな声が聞こえる。

顔を上げるとマキが立っていた。
「あ!ママー!!」
スミカが走りマキの元へ行く。俺は少しドキッとした。

皆がユイに似てる、そう言うもんだから俺も似てるのか?そう思い出したんだ。
なんか変に意識をしてしまう・・・
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/08(月) 08:03:35.86 ID:EptzxcPto
まだまだ続くよ!
232 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 08:05:30.11 ID:oIGorzO4o
「・・・こんにちわ、スミカちゃん・・・」
「こんにちわーママー」
「こら、スミカ・・・毎度、すみません・・・」
俺がマキに謝る。
「いえいえ・・・スミカちゃんのママに間違えられて光栄ですwwね、スミカちゃん」
スミカは笑いながらマキのスカートの足に絡み付く。
少しスミカが羨ましいと思った俺はユイに心の中で謝った。

「パパとお買い物?」
「うん!あしたねー、スミカ、よっつになるのー!」
「あ、誕生日なんだー、へー四歳かー・・・良かったねー」
マキは優しく笑いながらスミカの頭を撫でる。
「うんー!ねえねえ、ママもくるでしょー?」
「え?私?」
スミカの言葉にマキは驚く
233 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 08:07:53.75 ID:oIGorzO4o
俺は慌てる。
「こら、スミカ!ダメだろ・・・すみません・・・」
「あ、いえ・・・」
マキは困った顔で笑う。
「えー・・・ママくるよー・・・ねえママもきてー」
「スミカ!辞めなさい!」
俺が大きな声を出すとスミカが俺を見た。
そして大きな目をウルウルさせると泣き出した・・・

「うわぁぁぁん・・・きてよー・・・スミカのたんじょうびー・・・ママきてよー・・・」
「スミカ・・・ちょ・・・」
俺は慌ててスミカを抱っこする。

「マサルくんもー、ひぐっ、ユミちゃんもー、ひぐっ・・・ママが、たんじょーびに、ひぐっ、いるもん・・・ママとひぐっ、パパがひぐっいるもん・・・」

スミカが泣きながら、そう言う。俺はスーパーで泣きそうになっていた。
辞めろよな・・・おい。
234 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 08:09:51.56 ID:oIGorzO4o
「スミカだけ、ひぐっ、ママが・・・ひぐっ・・・いない・・・」

そうか・・・俺はスミカの気持ちが分かった。
スミカもマキがユイでは無い事を理解しているんだ・・・
だが、自分にも母親が欲しい・・・その一念でマキをユイに見立てているんだろう・・・

不憫に感じた。母親が居ないと言うのは不憫だ・・・
すると、ジッとスミカを見つめていたマキが言う。

「あ、あの・・・」
「あ、はい・・・すみません・・・」
俺はマキに謝る。
「あ、いえ・・・いや、も、もし・・・ご迷惑で・・・無ければ・・・お邪魔しても・・・良いですか・・?」

え・・・?
俺はマキを見つめる。
マキは俺の視線に気が付き顔を赤くして「あ、いや・・・なんかすみません!」そう言って謝る。
235 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 08:11:56.16 ID:oIGorzO4o
「え?でも・・・ご迷惑じゃ・・・無いですか・・・?」
俺が恐る恐る尋ねた。
「いえ、全然・・・私、学生で暇を持て余してますので・・・逆に、ご迷惑で無ければ・・・」
マキが恥ずかしそうに言う。
「いえ、こちらは大歓迎です・・・スミカも喜びますし・・・俺の仲間も喜ぶと思います・・・!」
俺は笑顔でそう言う。
「あ、じゃあ・・・明日、お邪魔しますね・・・」
「はい!お待ちしております・・・!」

俺はウキウキしてしまった。
だが、すぐに空のユイに向かって心の中で謝罪をしたのであった・・・
236 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 08:12:59.41 ID:oIGorzO4o
ごめん、ちょい呼ばれたのでいきます
中途半端ですみません・・・
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/08(月) 08:15:30.14 ID:wfXj/Owuo
トオルさん、おはようございます。
早朝からの投函乙です。
つづき待ってますよ。
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 08:24:47.85 ID:WVMR6aYIO
おはようございます。
スミカちゃん、泣けます。
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 08:30:40.59 ID:3854doLIO
おはよ
焦らなくていいからおちついたら続きお願いしますね
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/08(月) 08:35:45.08 ID:peGaE4swo
なんかプラネタリウム行きたくなってきた・・・
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/08(月) 09:27:32.71 ID:sfEceHiyo
焦らし戦法か…
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 09:52:01.91 ID:CQ9v6rAko
>>236
ごめん、(ユイに)ちょい呼ばれたので逝きます

243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2011/08/08(月) 11:06:06.24 ID:F7tLduiGo
マキに呼ばれたんかな〜?
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 11:26:14.18 ID:kq5MYpm8o
普通に厨房だと思う
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 12:17:43.92 ID:ux+hHF4HP
やっぱトオル相当イケメンなんかな
246 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 15:43:01.66 ID:oIGorzO4o
すみません、お待たせしまし
先ほどの続きです
247 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 15:44:39.37 ID:oIGorzO4o
翌日、俺の家でリコさん、タカコ、マリが食事の準備をしてくれて、男共が飲み物の用意をしていた。
だが、皆、ソワソワしている。
今日、俺がマキが家に来る事を皆に告げたからだ。
その変な空気に俺はチラリとユイの写真を見る。

似てるのかな・・・?再び俺が思う。
その時にドアのインターフォンが鳴った。全員がビクッと体を動かす。
そしてマリがいの一番に玄関に走る。

「い、いらっしゃいませー・・・」
その声が聞こえ、全員が何故か立ち上がった。
向井さんは俺を見て小さく「頑張れ・・・」そう言う。
部長は何故かカナヅチと釘を持って、壁に釘を打ち始めた。
いや、意味が分からんから辞めて・・・
248 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 15:46:38.01 ID:oIGorzO4o
「すみません・・・急にお邪魔をしまして・・・」
マキがそう申し訳なさそうに言いながら部屋に入って来た。
「いえいえ・・・さあ、どうぞ、座ってください・・・」
タカコが、慌てて座布団を敷く。男共は慌てて正座をした。

「ママー!!」
スミカが走ってマキに抱き着いた。
「スミカちゃん・・・誕生日、おめでとう・・・はい!」
マキはそう言ってしゃがみながらスミカにプレゼントを渡した。俺は慌ててマキに言う。

「あ、すみません・・・気を遣わせまして・・・」
「いえいえ・・・ほんの気持ちですから・・・」
スミカはマキのプレゼントを頭上に持ち皆に叫んだ。
「みてー!!スミカ、ママからプレゼントをもらったよー!!ほらー!!!」
その言葉にリコさんが涙ぐみながらスミカを抱きしめた。

「良かったね・・・ママから貰えて・・・」
おいおい。俺が冷や汗をかいていると、周りの奴らも涙ぐむ。
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(徳島県)[sage]:2011/08/08(月) 15:47:33.46 ID:D188wKmuo
トオル来てる!!!!!!!!!!!!!!!!
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/08(月) 15:49:49.39 ID:iIfLxy5go
リアルタイムに遭遇するのは二度目かな
251 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 15:55:13.56 ID:oIGorzO4o
え?マジで?
変な空気になったので俺は慌ててマキに言った。

「す、すみません・・・なんか、その・・・変な空気で・・・」
「あ、いえ・・・」
マキは慌ててそう言う。

「似てるんです・・・」
リコさんが、そう呟く。
「え?」
マキはリコさんを見た。

「この子の母親に・・・似てるんですよ・・・アナタが・・・」
その言葉に全員がユイの写真を見ながら頷く。
マキもユイの写真を見た。そして驚いた表情を浮かべる・・・

「・・・似てる・・・」
え・・・?マジですか・・・?
252 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/08(月) 15:57:14.51 ID:oIGorzO4o
すみません、中々、進みません
ちょっとマジで忙しいようなので
今日は、これ以上難しそうっす

すみません本当に・・・
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/08(月) 15:58:52.48 ID:mbwX6Qdoo
残念だけど お疲れ
続きを楽しみに待ってます
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/08(月) 16:05:41.45 ID:5dgAoal7o
お疲れ様
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/08(月) 16:05:45.35 ID:wfXj/Owuo
乙です。
今の生活を壊さないように、十分楽しめていますので気にしないでください。
本当は毎日わくわくしながら待ってるんですけどね。
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/08(月) 16:32:13.66 ID:57nHFKhIO
>>252
乙!
毎日楽しみだが残りがあと少しと思うと早く進みすぎるのも惜しい
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/08(月) 18:52:06.12 ID:1CvVAm+eo
早く続きが見たいが終わってほしくない矛盾した気持ちになる
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 07:46:52.62 ID:DZtlxuKWP
トオル召喚
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 10:06:52.88 ID:s6nisGL+o
またか
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 10:38:08.87 ID:WNLxV2Lio
トオル忙しいって言っていってるんだし、
無駄なレスして埋めようとするなよ
最悪埋まったときは次スレ建てるってトオルが言えばいいんだけど、このスレだけで終わらなかったらどうするんだ
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 10:41:08.27 ID:IcstERODo
クズはそんなこと気にしない
だってくるくるパーのPだもん
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 10:46:22.93 ID:DZtlxuKWP
>>260
このレスに対してついたレス2つめ
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/09(火) 10:50:48.61 ID:yKRWUPDxo
まだ700以上余ってるのに何言ってんだ?
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 10:58:00.94 ID:KuUvvbmSO
>>260
>>95をよく読め


今現在で800後半でトオルがこの中途半端で終っても次立てません宣言してるならあんたの言うことは正しい

が 現段階でのそのレスはただの義憤に駈られた自治厨気取りの目の前すら見えない馬鹿にしか読めん
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:00:02.25 ID:kaeshm76o
この改行の仕方は間違いなく>>95本人

以外私にレスつけた人は馬鹿
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 11:05:27.03 ID:IcstERODo
自分で自分にレスつけてる馬鹿もしもしがいるのか
書いたことすら忘れてる馬鹿なんだな
>>116読んだら何書いてもおkな筈なんだがなwwww
もちろん馬鹿に馬鹿と言うのもなwwww
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:06:04.58 ID:KuUvvbmSO
だって本人だし 自治厨嫌いだし さらに前提からして間違えてる自治厨なんてもってのほかだし
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:09:49.54 ID:KuUvvbmSO
>>266
前レス引用すんのとレスつける違いもわかんないのか
さすが東京都は馬鹿しかいないな
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 11:10:36.65 ID:IcstERODo
正義感がお強いんでございますわねwwww
正義馬鹿かwwww
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:11:44.06 ID:KuUvvbmSO
>>269
ただの馬鹿のお前よりましじゃね?
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:13:03.87 ID:uohMLRoB0
ROM専から言わせてもらうと

朝の一連の流れもどうでもいい喧嘩も大差なくね?
もうこのスレの名物として見守ってますよ

失礼しました。持ち場に戻ります
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 11:14:26.67 ID:IcstERODo
俺はEROだ(キリ
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:21:27.77 ID:kaeshm76o
その正義感溢れるレスが荒れる原因になってる自治厨と何が違うのか過去の自分のレスを読み直して考えてほしい
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:40:55.75 ID:KuUvvbmSO
>>273
結果なんてどーでもいいんだって

トオル召喚 これをNGにいれとけば済む もしくはスルーすればいいだけの話だってこと
スルーできずに自治気取りレスがつくとそのレスに対してさらにレスがつくんだらスルーしろよってこと
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:43:19.20 ID:DZtlxuKWP
>>260から派生したレスここまで15レス

276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/09(火) 11:45:37.90 ID:kaeshm76o
>>274
ここの住民は既にスルースキルない事が証明されてるからいくら言っても無理だろ常考
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:51:16.76 ID:KuUvvbmSO
>>276
納得した
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 11:51:21.13 ID:IcstERODo
携帯だからNGできなくて悔しいですって言えよ白犬wwww
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 11:55:08.85 ID:KuUvvbmSO
>>278
─NGワード(正規表現可)─
名前:
メール:
ID:
本文:
BEID:
複数登録したい場合は|(半角縦線)で区切る。


え まさか専ブラすら使えないレベルの馬鹿だったのお前?
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 11:56:09.95 ID:IcstERODo
東京都 これをNGにいれとけば済む もしくはスルーすればいいだけの話だってこと

結果はどうでもいいんだっけ
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 12:08:50.65 ID:KuUvvbmSO
>>280
本当に馬鹿だな

荒れる原因をつくりたくない 荒らすなってレスをすると荒れるって言ってるんだぞ俺は
お前をNGにいれたからなんだってんだ?
俺が一言でもスレ荒らすな なんて言ってるか?
むしろ適度に荒れたほうがベタベタな馴れ合いスレより好物だ
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/09(火) 12:18:18.47 ID:X3WuTeOTo
http://myup.jp/CSV2N9yN

アンチ埼玉県は開くなよ。
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 12:19:02.50 ID:IcstERODo
だから>>116を読めよ馬鹿
何書いてもおkって書いてあるだろうがwwww
荒らすなってレスするのも自由だってトオルは言ってるんだよ
だからお前がそれに噛み付くのも自由だがお前の意見はカス以下の価値しかねーんだよ
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/09(火) 12:30:50.66 ID:sq4Te16To
お前がよく読めよ
煽り耐性のない東京都は喧嘩すんなって書いてあるだろ?
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 12:38:09.83 ID:IcstERODo
楽しんでなきゃこんなに書きこまねーよww
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/09(火) 12:43:40.96 ID:sq4Te16To
返しが幼稚過ぎてお前以外は楽しくないから
やるならちゃんとやれよ
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 13:12:57.73 ID:DZtlxuKWP
東京都VS北海道
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 13:44:15.02 ID:Eu6swnYNo
20レスくらいついてたからトオルきたと思ったのに…
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/09(火) 15:00:59.61 ID:pLyA40DTo
>>288
同意
がっかりだ
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/09(火) 15:15:25.21 ID:OuQt7PsIO
たまに荒れるぐらいがちょうどいい
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮崎県)[sage]:2011/08/09(火) 15:47:22.70 ID:FyWIEnaIo
うんこごはん
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/09(火) 18:50:47.37 ID:QhvdxrXoo
>>288
俺がいた
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/09(火) 21:56:39.82 ID:4pDohbwWo
トオル、無理しないでな、時間あるとき来てくれればいいから
294 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 01:52:58.54 ID:XvsVhed8o
お待たせしました
とりあえず書けている文を投下します
295 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 01:54:40.09 ID:XvsVhed8o
似ているのか・・・?

皆が盛り上がっている中で俺は一人ユイの写真を見つめていた。
皆は昔の写真をマキに見せている。
「うわー、リコさんのスッピンてこんな感じでしたっけー、わけえ!」
ケンタの言葉にリコさんはケンタをスリッパで叩く。
「これは、何の写真ですか?」
マキは膝にスミカを抱きながらが二年の時の文化祭の写真を見ながら尋ねた。

「あ、これは『フランスパンの奇跡』だな」
「フランスパンの奇跡?」
「そうそうww」
そう言って皆があの頃の話をする。マキはケタケタと笑っていた。
「そんで、これが『サブマリンの奇跡』」
皆が体育祭の話をする。
296 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 01:56:48.38 ID:XvsVhed8o
「なんか凄いですねww」
マキは楽しそうに皆の話を聞いている。
てか、なんでコイツら初対面に馴れ馴れしく喋れるの?俺みたいな人見知りには理解出来んよ。

「あれ?これは・・?」
マキがユイの単独で写っている写真を見つけた。向井さんがニヤリと笑う。
「これは高校時代のトオルのオカズだ」
「やめろおおお!!!」
俺が慌てて向井さんに叫んだ。マキが恥ずかしそうに俯く。

「あ、そうだ、マキちゃんトオル君に写真を一枚撮らせて」
部長がマキに言う。
「え?何でですか?」
「今のオカズ用に・・・」
俺は部長にスプーンを投げた。マキは顔を真っ赤にして下を向く。

あ・・・俺はふとしたデジャブが起きた。
なんだろう・・・遥か昔に、こう言うやり取りがあった・・・

俺を皆がからかって、ユイが顔を赤くして下を向く・・・


ユイ?俺はマキを見た。
マキは赤くした顔を少し上に向けて俺を見ると、再び顔を赤くして下を向いていた・・・
297 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 01:58:21.45 ID:XvsVhed8o
パーティーがお開きになり、俺がマキを送る。
何故そうなったかは言わずもがなだろう。スミカを肩車しながら俺達二人は夜道を歩く・・・

「今日は、すみませんね、なんか・・・皆が色々と・・・」
俺がそうマキに言った。
「いえ、凄く楽しかったです!なんか皆さん、ホントに仲間〜って感じがして良かったです。なのに、私に対してもフレンドリーで」
「それしか能が無いんすよww」
俺の言葉にマキがクスクス笑った。

「マキさんは・・・今、大学四年生って事は・・・就職なんですよね?」
「はい、そうですね・・・」
「決まりました?」
「あ、えっと・・・」
マキは少し考えて俺を見た。
298 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:00:15.50 ID:XvsVhed8o
「はい・・・巨人のエースで・・・」
「へー、ドラフトで指名されたんだ・・・」
「さ、三位指名ですけど・・・」
「いや、それでも凄いよ・・・俺もあの夏に肩さえ壊さなければな・・・」
「それは、残念でしたよね・・・」

俺達二人は夜空を見上げた・・・そして吹き出す。
「トオルさん、ノリが長いですねww」
「マキさんこそ、シレッとボケるからww」
俺達は笑った。しばらく笑った後にマキが俺に言う。

「栄養士・・・です」
「へえ・・・栄養士!」
「はい、給食センターへの勤務が決まっていて・・・」
「凄いなー」
「いえ・・・昔からそう言うのが好きで」

そう言ってマキが夜空を見上げた時に・・・再びデジャブを感じた・・・
299 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:01:46.73 ID:XvsVhed8o
『うん・・・星が大好きなの・・・!』

ユイ・・・
俺はマキを見つめる。
俺の視線に気が付いたマキは恥ずかしそうに俯いた。俺も顔が赤くなり視線を逸らす。
虫の鳴く声が少し聞こえる。スミカが静かだと思えば、いつの間にか俺の頭の上で眠っていた。

「あ、スミカちゃん・・・寝てる」
マキの呟きに俺はスミカをソッと肩車から下ろして抱っこをした。
「カワイイ寝顔〜・・・」
マキが笑顔でスミカを見つめる。俺もスミカの寝顔を見つめて笑った。マキがふと呟く。

「・・・愛してたんですね・・・奥さんを」
「え?」

俺はマキを見る。マキはクスクスと笑いながら続ける。
300 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:03:05.45 ID:XvsVhed8o
「皆が皆、奥さんが私に似てるって言うのに・・・トオルさんだけが、『似てない』て言われるじゃないですか・・・」

ああ・・・
「だから、凄く奥さんを愛しておられて・・・私みたいな女と一緒にして欲しく無いのかと・・・」
マキの言葉に俺は慌てた。
「あ、いや、マキさんは素敵な女性だと思うよ・・・!ホントに!!」
「・・・いや、そんな・・・」
俺の言葉にマキは照れる。

「た、ただ・・・」
「え?」
俺は頭をかきながら言った・・・



「ただ、ユイは・・・他の・・・誰でも・・・無いから・・・」
301 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:04:34.72 ID:XvsVhed8o
俺の言葉にマキは少し顔を下向け、その後に笑った。
「なんか・・・凄いです・・・!」
「え?」
俺はマキを見た。

「凄い・・・『愛』ですね・・・!」
そう言われ俺は物凄く照れる。
「あーあ・・・私も、それ位愛してくれる人、居ないかな〜」
マキは伸びをしながら夜空を見つめた。
「か、彼氏とかって・・・居ないの・・・?」
俺は少し気になった。マキは困った表情で俺を見て笑う。

「残念ながら・・・ww」
「そうなんだ・・・」

彼氏居ないんだ・・・俺は少し嬉しくなっている自分に気が付き、自己嫌悪をしてユイに心の中で謝っていた。
俺は心の中のユイの為にもすぐに話題を変えた。
302 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:05:46.36 ID:XvsVhed8o
「マキさんは・・・モテるから彼氏位、すぐ出来るよ」
俺がそう言うとマキは又もや顔を下に向けて顔を赤らめて照れた様に笑う。
なんか、その笑顔がユイに似てる・・・

あ、またユイとの共通点を探してるぞ・・・俺は首を振り、気を取り直してマキに言った。
「マキさんは・・・、ずっとこの町に住んでるの?」
「あ、いえ・・・元々は違う場所に住んでたんですけど・・・この町に引っ越したのは大学に入ってからなんです」
「へー、じゃあ大学に入ってからって事は・・・三年前からか・・・」

うん?三年前・・・ユイが死んだ年だ。
303 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:06:38.71 ID:XvsVhed8o
「あ、でも・・・あ、まあ・・・」
「へー、大学に入って一人暮らししたんだ?」
「まあ・・・一人暮らしは一人暮らしなんですけど・・・大学に入ってからじゃ無いんです・・・」
「え?」

マキを見ると、マキは夜空を見上げ・・・呟いた・・・


「私、両親を亡くして・・・それから一人暮らしなんですよ・・・」

・・・え・・・?

俺の中のデジャブが・・・益々広がって行った・・・
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/10(水) 02:08:14.94 ID:NxFbtTbVo
寝ようと思ったらトオルいたwwwwww






遅くにお疲れ様です
305 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:08:51.67 ID:XvsVhed8o
その晩、俺はスミカを寝かしつけた後に一人でビールを飲みながら、窓の外を眺める。
星空が町明かりで見えない。
俺はユイの写真を見た。写真のユイが俺に笑いかけていた・・・

・・・その晩夢で久しぶりにユイと会った。
俺とユイは高校生で二人で文化祭の準備をしているのだ。
ユイは俺に話し掛けている。俺もユイと楽しく会話をしていた。

不意にユイにキスがしたい、そう思った俺はユイの背中を抱きしめる。
ユイがユックリ、俺に振り返り恥ずかしそうに笑いながら目を閉じた。
俺も笑顔でユイにキスをした。そして目を開けると・・・

マキが恥ずかしそうに笑っていた。
え・・・?

俺は少し焦るが構わずマキにキスをする。
何度も、何度もキスをしてマキの服を脱がした・・・

その時に俺は目が覚める。気が付くと俺のアソコはギンギンにアレしていた。
俺は焦りながらユイの写真を見る。写真の中のユイの笑顔が苦笑いに感じたのであった・・・
306 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:10:28.93 ID:XvsVhed8o
九月に入っても一向に涼しくならない。
俺は毎日慌ただしい日々を過ごす中で時折マキを思い出す。
スミカの誕生日にマキの夢を見てから、かなりマキが気になっている俺がいた。
だが、俺はユイを愛していた。そんな簡単にユイ以外を好きにはなれない。
いや、なってはいけない。そう自己暗示をかけていた。

あれから二週間が経過していたが、マキとは会う所か連絡もしていない。
そりゃそうだ。わざわざ連絡する用事も無ければ、必要も無い。
だから連絡をしないのだ。うん。もっともな意見だな。

俺は子持ち。向こうは未来ある大学生。接点が無い。
いや、接点なんか持っちゃいけないんだ。俺は一人でそう思っていた・・・
307 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:12:20.61 ID:XvsVhed8o
「マキちゃんと遊びに行ったのか?」

ヨウイチがカウンター席でナポリタンを頬張りながら聞いて来た。
「は?」
「いや、マキちゃんだよ」
「遊びに行く訳ねーだろ」
俺は仕込みをしながらヨウイチに言った。
「え?マジで??じゃあ、電話とかはしてんの?」
「番号知らんし」
「え???」
ヨウイチは驚いた表情で俺を見つめた。
「なんだよ」
俺はヨウイチを見る。
「いや、番号なんで聞いて無いんだよ・・・」
「なんで聞く必要が有るんだよ」
「有るだろ!」

ヨウイチがそう叫んだ時に厨房の新人が声を掛けて来た。
「トオルさん、これは、こんな感じで・・・あ、今マズイっすか?」
「いや、大丈夫だよ。どれ?見ようか?」
俺はそう言ってヨウイチを無視して新人の方に行こうとした時にヨウイチが叫ぶ。

「トオル!!」
ヨウイチの言葉に俺は静かに答えた・・・

「俺の奥さんは・・・ユイだけなんだ・・・」

その言葉にヨウイチは、それ以上何も言う事は無かった・・・
308 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:13:43.27 ID:XvsVhed8o
ユイだけ・・・

そうだ。確かにそうなんだ。
俺は全力でユイを愛していた。
あの16歳の夏から、ずっと・・・ユイだけを愛し続けた。

ユイが死んでも、それを変更する気持ちは無かった。
無いんだ・・・

でも、なんだろう?この胸の中にあるモヤモヤは?
何かが胸に引っ掛かり続けていた。
自分ではそれが何かを分からない振りをしていた。
自分ですっ飛ぼけていたが十二分に何かを分かっていた・・・

それはマキ・・・だったんだ・・・
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2011/08/10(水) 02:14:30.90 ID:ZGLG1fHgo
夜中に目覚めてスレを開いたら、まさかのトオル降臨。
これはもしかしたら、俺√の予兆か?
310 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:15:32.28 ID:XvsVhed8o
仕事帰りに自転車で家路に着いていた。
大きな幹線道路で信号が赤になり俺は自転車を停めて信号をボーッと見つめる。
あ、そういや・・・ゴミ袋が無かったな・・・
俺はそう思いながら信号を見た。
すると俺の前に一台の車が信号待ちで停車をする。

その中に男女四人の若い連中が乗っていた。
大学生かな・・・?
良いなー。確か大学って九月も夏休みなんだろ?羨ましいー・・・
そう思いながら車に乗る、その四人を眺めて目を逸らした後に、何かが引っ掛かり再び車の中を見た・・・


車の中に、マキが乗っていた。
マキは助手席に座り、運転席の男と後部席の男女に笑いながら話しをしている。
俺は慌てて目を逸らし、そして何故か慌てて自転車を走らせ身を隠した。

やがて信号は青に変わりマキを乗せた車は走り出す。
311 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:17:19.89 ID:XvsVhed8o
俺はしばらく、その場で走り去る車を見つめた後に・・ガードレールを蹴った。
無性に腹が立っている自分がいた。そしてショックを受けている自分もいる。
しばらく、その場に佇んでいた。
信号が何回か変わった後に、やっと我に返り自転車を走らせる。
急いでスミカを迎えに行かないと・・・

何をショックを受けているんだよ・・・意味が分かんねーよ・・・
俺はスミカを育てないといけないんだ・・・そう思うが無性に腹が立っていた。

それは、マキが他の男達と車に乗って楽しく遊んでいる事に、では無かった。
自分はスミカを立派に育てる、そう最愛の人に約束をしたのにも関わらず・・・
少し期待をしていたからだ・・・
マキが自分をにくからず、思っていると。
マキがひょっとして自分を好きなのかもしれないと・・・
自分がモテる筈が無い事を忘れて、自分がしなければ為らない事を忘れて・・・

マキの事を・・・気になり始めていた自分に腹が立っていたんだ・・・
312 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:18:43.04 ID:XvsVhed8o
マキは綺麗だし、性格も良い。
そんな女性だからモテるに決まっているし、大学生だから友達も沢山居るんだろう。
だからしがない子持ちの25歳の男がそもそも、マキから好かれている、そう思う事がおこがましいんだ。

俺はそう自分に言い聞かせながら平静を装おうとしていた。
だが頭で、そう考えても心では納得出来る程、大人では無い自分もいた。

その日、若しくは翌日だった。
スミカと食事をしているとスミカが言った。

「ねえねえ、スミカ、またママとあそびたい」
「え?」
「スミカとー、ママとー、パパでー、おべんとーをもってあそぶ」
スミカが無邪気にそう言う。

俺は少しイラッと来ながらスミカに答えた。
313 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:20:46.19 ID:XvsVhed8o
「スミカ。何度も言うが、マキお姉ちゃんはママじゃ無いんだよ」
俺の言葉にスミカはプルプルと首を横に振った。
「ママだよー。スミカしってるもん」
俺は箸を置いてスミカに言う。

「スミカ。スミカも知ってるだろ?スミカのママは居ないんだよ。もう四歳だから分かるだろ?」
スミカは下を向いて呟く。
「ママだよ・・・スミカ、ママがいるもん・・・」
「スミカ!!!好い加減にしなさい!!!スミカのママは居ない!!」

俺は大きな声を出していた。
「・・・スミカのママだもん・・・」
スミカは尚も強情を張る。俺はカッと来た。


「スミカ!!スミカのママは死んだんだ!!!ママとは二度と会えない!!!ママはもう死んだんだよ!!!」
314 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:21:51.35 ID:XvsVhed8o
そう叫んだ瞬間にスミカは顔をクシャクシャにして・・・泣き出した・・・

「うわああん・・・!!!いやだぁ・・・ママとあう〜・・・」
その瞬間に俺はハッとして我に返る。

しまった・・・自分の苛立ちをスミカにぶつけてしまっている・・・
俺は立ち上がり泣いているスミカの元に行き抱きしめた。
スミカは「ママ〜・・・ママ〜・・・」そう叫びながら泣いていた。

俺はスミカを抱きしめ、そしてユイの写真を見た。

ユイ・・・どうしたら良いんだろう?
ユイ・・・

写真の中のユイの笑顔が哀しい笑顔に見えていた・・・
315 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:23:32.62 ID:XvsVhed8o
九月も中旬を過ぎ秋の連休がやって来た。
連休の中日に向井さん、リコさん、部長、ヨウイチ、タカコの五人でがスミカを連れて遊びに行ってくれていた。
俺は仕事なので行けず、夜に俺の家で皆と合流をした。

「遊園地、人が多いね〜、疲れた〜」
「すみません、お休みなのに」
俺はリコさんの言葉に頭を下げながら、ビールを配った。
「いや、次はどこへ連れて行く?山?」
向井さんがビールを飲んだ。
「いや、余り無理をしないでください・・・」
「るせー!部外者は黙ってろ!!」

何度も言いますが、思い切り関係者です。
316 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:25:13.40 ID:XvsVhed8o
「でも・・・なんか、スミカ元気無かったっすよね?」
ヨウイチがそう呟く。
「ああ、確かに・・・なんでしょうね?」
タカコが寝ているスミカを見た。部長はビールを啜りながら呟く。

「生理かな?」
リコさんとタカコがピーナッツを投げつける。

元気がない・・・俺はスミカの寝顔を見つめる。
確かに最近スミカは元気が無い。あの俺が自分の苛立ちをぶつけてしまった日からだ。
スミカは基本的に聞き分けの良い子だ。
だから俺が怒った事で必死に自分を抑えているんだろう・・・

その聞き分けの良さが・・・不憫であった。
317 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:27:11.02 ID:XvsVhed8o
「なあ・・・」
ヨウイチが口を開く。
「え?」
「お前、マジでマキちゃんと付き合えよ・・・再婚を考えて・・・」
その言葉に俺はピクンと体を動かした。
「ホントよね・・・スミカちゃんもマキちゃんの事を気に入ってるし・・・」
リコさんもそう言う。
「子供には母親が必要だしな・・・」
「もう・・・ユイが死んで・・・三年だろ・・・良いだろう、もう」
皆が口々に言う。俺は下唇を噛み締めていた。

「マキちゃんも、お前の事を気に入ってると思うよ・・・」
最後のヨウイチの言葉に俺は立ち上がり叫んだ。

「辞めてくれよ!!!」
皆が俺を見る。俺はハッとして皆を見た後に再び座った。
思わず興奮して叫んでしまった・・・
318 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:29:02.51 ID:XvsVhed8o
俺がそう思っていると向井さんがニヤニヤして言ってきた。

「なんだー?お前、マキちゃんにフラれたのかー?」
俺は再び体をピクンと動かせた。
「いや、違うな〜・・・これはフラるた顔じゃ・・・ねえ。ハハーン・・・フラれる前にブルッて気持ちも言わずに自分に押し込めるパターンか・・・」
俺は顔を上げて向井さんを見た。
「あらーww図星・・・プププ!」
向井さんが益々ニヤニヤしていた。俺はそのニヤつきがムカついた。

「おーい、スミカー・・・ママに会いたいのに、会えないみたいだぞー・・・」
そう向井さんが寝ているスミカに向かって言った瞬間に俺は大声を出した。

「辞めろよ!!!!」

その言葉に全員が黙って俺を見る
319 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:30:26.41 ID:XvsVhed8o
だが、向井さんだけはニヤニヤしていた。
俺は自分の大声に恥ずかしくなり小さな声で呟いた。

「スミカは・・・やっとユイが死んだ事を・・・納得し始めたから・・・だから・・・蒸し返すのは・・・」
俺がそう言うと向井さんがニヤニヤしながら言う。
「なんだー?自分の気持ちを押し殺して、それを娘にも強要させるのか?」
イラッ。
「いや、せっかく、子供が気持ちを押し込めようとしてるんですよ・・・それを見守ってやるのが大人でしょ?」
「ほー、気持ちを押し込めて・・・押し込めて・・・それはどこに行くんだ?どこで吐き出させるんだ?」
イラッ。
「いつか、消えるに決まってんじゃないっすか。それ位は分かるっしょ、アンタはガキか」
320 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:33:29.85 ID:XvsVhed8o
「ガキで結構wwカッコつけて大人ぶって傷付くのが怖い奴よりはマシだわ」
その図星にカチンと来る。
「怖い・・・?違う!!俺の奥さんはユイで、スミカの母親はユイなんだ!!!それをキッチリ受け止めさせるだけだ!!!」
俺は向井さんに声を荒げる。

「はっ!受け止めさせて、押し殺させて・・・テメエの教育は臭いものには蓋をしろ、って考えじゃねーか!ただ単に傷付きたくねーから避けるだけだろーが!」
「それのどこがイケないんだよ!!スミカは生まれた時から母親が居なくて充分に傷ついてる!それを更に傷つかせるよりも避けれる問題は避けさせた方が良いじゃねーか!!」
「ほー、じゃあスミカには自分の運命から逃げろってか?」
「逃げられるモンならその方が良いだろうが!!!」
321 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:35:02.12 ID:XvsVhed8o
俺の言葉に向井さんは真剣な表情で俺を見つめた。


「お前とユイは・・・運命から逃げずに来たのに、子供には逃げろってか・・・?」


俺の言葉が詰まる・・・
「お前らは、運命に立ち向かい、切り開いたんだろうが・・・!ユイは最後まで・・・」
向井さんの言葉が一瞬詰まる・・・

「・・・ユイは最後まで運命に立ち向かったんだろうが!!!」

そして俺の胸倉を掴んだ。
「今のテメエは一人でモヤモヤを抱え込んでるだけだ!!運命から逃げて自分を傷付けさせたく無いだけだろうが!!!」

俺は向井さんから目を逸らした。
322 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:36:37.99 ID:XvsVhed8o
「お前はこれだけ運命のお膳立てが揃っていて、それでも分かんねーのかよ!!!」
え・・・?


「マキちゃんは、どう考えても運命だろうが!!!!それをテメエが一人、傷付くのをビビって目を逸らしているだけだ!!!!気持ちを押し殺しているだけだ!!!逃げているだけだろうが!!!!」


向井さんは俺にそう叫ぶ。
「なんで一人で抱えんだよ!いつも!なんで吐き出さねえんだ???」
え・・・?

「仲間に吐き出してスッキリすりゃあ良いじゃねーか!!!」

向井さん・・・
向井さんはそれだけ言うと俺の胸倉から手を離して座った。
323 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:37:44.80 ID:XvsVhed8o
俺はしばらく黙っていた後に呟いた・・・

「・・・向井さんこそ・・・」
「あん?」
向井さんが俺を睨む。

「いつも、いつも・・・俺が向井さんに吐き出すだけじゃ無くて・・・向井さんも俺に吐き出して下さいよ・・・」
「はあ?」

向井さんは少し焦りながら返事をする。俺はニヤリと笑い言った・・・
324 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:38:33.41 ID:XvsVhed8o
「リコさんとの事・・・!」

その瞬間に向井さんとリコさんの顔が沸騰した。
他の皆がビールを吹出しながら二人を見る。

「え???やっぱり???」
「マジっすか???」
「な、なんだってー????」

その言葉に向井さんは焦りながら俺に叫んでいた。
「お、お前、な、何を言ってんだよ!!!!」


リコさんは顔を赤くして下を向いていた・・・
325 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:39:53.25 ID:XvsVhed8o
一度マキに会ってみようか・・・

向井さんに言われた翌日、仕事をしながら俺は、そう思った。
マキと話がしてみたい、そう思う。
それは別に付き合うとか、そう言った意味しろのモンでは無い。
ただ単に会って話がしてみたいんだ。

だが・・・俺は考え込む。
連絡を取る手段が・・・無い。マキの連絡先を知らない。
だから連絡の取り様が無かったんだ・・・
もう一度偶然を待つか?

そう思っていた時だった。店の電話が鳴り、誰かが電話を取った。
すると取った人間が俺に叫んだ。
「トオルさーん!保育園からです!」
え・・・?
俺は電話を見つめた・・・
326 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:41:15.18 ID:XvsVhed8o
「スミカー!!!」

俺は公園に入り叫んだ。
居ない・・・そのまま白衣姿で俺は走り続ける。

保育園から連絡があり、気が付くとスミカが抜け出して居無くなったと連絡が入った。
保育園の先生達も探しに出てくれているが見つからない。
保育園から警察にも連絡してくれていた。
俺がシゲルさんに、そう言うとシゲルさんは「すぐに探しに行け!俺も行く!」そう言ってくれた。

二人でスミカを探し回る。だが見つからない。
夕方になり、日が暮れて来た。だがスミカはまだ見つからなかった。
俺はシゲルさんに、店に戻って貰った。
店を開けっ放しにする訳にはいかない。
シゲルさんは「なんか分かったら、すぐに連絡をしろ」そう言って渋々と店に戻った。
327 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:42:49.07 ID:XvsVhed8o
俺はとにかく、片っ端からスミカを探した。
家の中も隅から隅まで探す。家の周りも探した。
いつも遊ぶ公園にも、友達の家にも居ない。

スミカ・・・俺は焦る。
太陽が西の山に沈み始めた。

「スミカー!!!」
俺の必死の大声に道行く人は怪訝な表情で俺を見ていた。
涙がジンワリ溢れる。

スミカ・・・スミカ・・・俺は譫言の様にスミカの名前を呼び続ける。
何度も嫌な想像が頭に浮かび体に寒気が走る。

嫌だ・・・絶対に嫌だ・・・
夜になり、向井さん、リコさんとヨウイチもシゲルさんから聞き駆け付けてくれた。
四人で手分けをして探し続ける。
328 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:44:34.65 ID:XvsVhed8o
スミカ・・・どこだよ・・・!

俺は夜空を見上げた。
ユイ・・・俺は息を切らせながらユイを思う。
ユイ・・・助けてくれよ・・・!
ユイ・・・スミカが・・・
ユイ・・・!

俺は泣きじゃくりながら町を走り回る。周りから見たら変な人に見えた筈。
だが俺は人の目なんか気にならなかった。
スミカを、スミカさえ無事だったら・・・それしか思わなかったんだ・・・

再び家に戻る。スミカが家に戻っていたら・・・そう思ったからだ。
だが居ない。時計を見ると夜の8時だった。居無くなって9時間を越えている。
俺は途方に暮れはじめた。
どうすれば良いか分からなかった
329 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:45:59.88 ID:XvsVhed8o
ユイ・・・
俺は両膝を付き手を合わせた。

ユイ・・・助けてくれ・・・!
ユイ・・・お願いだ・・・!
ユイ!!!!

俺がそう祈り続けた・・・その時だった・・・


目の前の道に・・・二つのデコボコの影が現れた・・・
その街灯に照らされ出来た影はユックリ家に向かって来ていた・・・

え・・・?俺は顔を上げてその影の元を見つめた・・・
それは手を繋いで歩く・・・親子・・・



ユイとスミカ・・・だった・・・
330 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:47:10.17 ID:XvsVhed8o
え・・・?ユイ???
俺が目を凝らす・・・

だがそれはユイでは無く・・・マキであった・・・!


マキに手を引かれスミカはユックリ歩いていた・・・
「スミカー!!!!」
俺は叫ぶとスミカに向かって走り、そのままスミカを抱きしめた・・・

「あ、トオルさん・・・良かった・・・」
マキはそうホッとした表情をする。
「すみません・・・ありがとうございます・・・!!」
俺はマキに頭を下げる
331 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:48:51.76 ID:XvsVhed8o
「あ、いえいえ・・・私がアルバイト帰りに○○町の公園で一人で遊んでいるのを見つけたんです・・・」
「○○町・・・そんな所まで・・・」
「あ、私の家が、その辺なんですよ・・・調度良かったです・・・」
そう言ってマキは笑っていた・・・
俺はスミカを抱きしめながら思い出していた・・・

先程の二人で手を繋いで歩く姿を・・・
あれは紛れも無い親子に見えた・・・


マキがユイに見えたんだ・・・

そして、あの日・・・
俺はマキに・・・恋に落ちた・・・!
332 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/10(水) 02:49:35.47 ID:XvsVhed8o
今日は以上です
いや〜眠いっす

それじゃあ、お休みっす
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[sage]:2011/08/10(水) 02:51:34.07 ID:5dbaYLNoo
おつかれさん!
おやすみー
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/10(水) 02:57:15.95 ID:cq4mwxIGo
お疲れー ワシもこれで寝れるーw
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/10(水) 03:35:23.01 ID:urKa/IkDO
相変わらずいいとこで区切るな〜
毎回次が楽しみだww

お疲れさん
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/10(水) 05:08:00.20 ID:ihLV8N3Eo
乙!

いやーマキ√楽しみだね
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/10(水) 06:29:38.60 ID:fcXIDhGQo
なんという巡り合わせ……何か因果が働いてるな
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/10(水) 06:59:15.71 ID:bXRKYiqyo
タカコの影が薄すぎてちょっと残念…
向井の運命論はちょっときもいww
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/10(水) 07:41:53.76 ID:qahPJX0qP
言わせるくらい見た目も中身も似てたんだろ
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/10(水) 09:44:37.82 ID:muNA2FlYo
トオルおはよう、夜中にお疲れでした
ひとつ確認させてください、もし書き込み多くて、このスレで書ききれなかったら
次スレ立ててくれますか?
みんなもそうだと思いますが、やっぱり、挨拶ぐらいは来たいと思ってますので。
以下のURL、アンチ埼玉県の人は開かないでね。
http://getworld.ddo.jp/pt/file/1312862886.JPG

はしょったりしないで最後まで書いてください、よろしくお願いします。
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/10(水) 10:42:16.14 ID:bUyTvjeIO
(´;ω;`)ウッ…

次回も待ってます!
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/10(水) 20:27:29.97 ID:Ujp3IbO/0
3スレ目でこんな事になるとは思わなかったけど、次回も期待してます!
頑張れ埼玉!!
343 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:36:44.54 ID:aHG7Xbo4o
おはようございます
それでは続きをどぞ
344 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:38:28.98 ID:aHG7Xbo4o
「僕の理論で行くとね」

部長がカウンター席でハンバーグを頬張りながら言う。
「生まれた時にユイ君は双子だったんだよ・・・そして悲しい事にもう一人の女の子は医者が取り違えをして、別の親元に連れて行かれた・・・それがマキちゃんだ」
「へー・・・あ、トオル、俺コーヒーくれよ」
ヨウイチが部長の意見を流す。
「いや、すみませんが、ユイとマキさんは年齢が違うんですけどね」
俺はコーヒーを入れながら部長に言う。
「むう・・・盲点をつかれた・・・!」
いや、それほどの事じゃ無いけどね。

「て言うか、別に他人の空似で良いんじゃ無いですか?無理に何かをこじつけ無くても」
俺の言葉を無視して部長が言う。
「は・・・!ひょっとして・・・これは、宇宙の彼方からの・・・メッセージ・・・?!」

いや、知らんがな。
部長は尚もブツブツとユイとマキの因果関係を呟き続けた・・・
345 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:40:29.46 ID:aHG7Xbo4o
十月に入り暑さも弱まり、秋らしくなった日。
俺は電話の前であのスミカが行方不明になった日の事を思い出していた・・・


「スミカ、ママに、あいにいったの」
見つけた瞬間にスミカがそう言った。
「はあ?」
俺はスミカを睨む。
「ママとあえるから、○○にいったの・・・ねえ、ママ!」
そうマキに同意を求める。マキは困った表情で笑いながらしゃがんでスミカを見る。

「スミカちゃん・・・」
「なーに?」
「ママに・・・会いに来てくれたんだ・・・?」
マキは優しくそう言う。
「うん!」
「そっか・・・ありがとう・・・ママもね、スミカちゃんに会えて嬉しいよ・・・」
マキはそう言って微笑んだ後にスミカの手を握る。
346 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:42:02.59 ID:aHG7Xbo4o
「でもね・・・約束してくれるかな?」
「んー?」

「ママに会いに来る時は・・・必ず、パパに言ってから来て・・・絶対に・・・!」

マキは少し厳しい表情でそう言う。スミカは怖ず怖ずと頷いた。
「約束・・・だからね・・・!」
「うん・・・!」二人は笑い合う。
マキは立ち上がると俺を見た。俺は慌ててマキに頭を下げた。
「すみません・・・ご迷惑をおかけして・・・」
「いえ・・・私もスミカちゃんを発見してトオルさんに連絡を入れようにも、連絡先が分から無くて、まごついて・・・」
マキは俺に謝る。
「あ、いや、そんな・・・」
俺が慌てるとマキがチラリと俺を見る。
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/11(木) 07:43:28.03 ID:mTq/BBnDO
トオルキター
朝から乙であります
じっくり読ませてもらいます
348 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:43:43.44 ID:aHG7Xbo4o
「でも・・・」
「え?」

「・・・どうやって、スミカちゃんは、私が○○に住んでいるって・・・分かったんでしょうか?」
・・・そう言えば・・・
マキは再び俺を覗き込む様に見つめた。
ん?
俺が反応するとマキはクスリと笑った。

「・・・どうしたの?」
「あ、いや・・・」
マキが笑いながら俺を見る。
「ひょっとして・・・トオルさんの差し金かと・・・思ったんですけど・・・トオルさんは、そんな人じゃ無いですよね・・・?」
そう言ってクスクスと笑う。
一瞬、俺はマキが何を言っているのかが分からなかったが、すぐに意味を理解した。

「い、いや、ち、違いますよー!そ、そんな事はしませんよ!!!」

そう首をブルブルと振りながら答える。俺の焦り具合にマキは益々笑う。
349 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:45:20.82 ID:aHG7Xbo4o
「ですよね・・・奥さんをあれだけ、愛しておられるし・・・」

ぐぬっ。その言葉は暗に私に近付くな、そう言う事でしょうか?
マキは少し顔を赤らめて、カバンからメモとペンを取り出して何かを書いた。
そして、その紙片を俺に渡す。

「これ・・・私の番号です・・・もしも、スミカちゃんが私と遊びたいと言ったら・・・連絡して下さい・・・」

「え・・・良いんですか・・・?」
俺は内心ドキドキしながら、そう言った
350 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:46:28.63 ID:aHG7Xbo4o
「ええ・・・前もって言って下されば、時間は空けれますから・・・」
マキは照れた様に笑いながら言う。
「・・・すみません・・・あ、じゃあ・・・」
俺もポケットを探り、メモ翌用紙を出す。
それに家の番号を書いて渡した。

「あ、これが・・・俺の家の番号・・・もしも、何か有ったら連絡して下さい」
そう言って渡した。マキはそれを見て顔を赤らめた。
俺もマキの赤い顔を見て自分の顔を赤くする。

「・・・パパとママ・・・かお、あかい・・・」
スミカが呟いた。
余計な事を言うなバカ。

俺はスミカの頭を笑いながらグリグリした・・・
351 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:47:42.20 ID:aHG7Xbo4o
マキを好きか?

そう問われれば、『好き』そう答える。
だが、付き合いたいか?そう問われれば答えに困ってしまう。
まず、マキはまだ大学生で未来がある。
こんな子持ちで金が無くて、車も持っていなくて、顔も大して良くないオッサンがマキと付き合う事は、おこがましい事であり、マキに対しても悪いと思う。

何が悲しくてマキはこんな奴と付き合う必要があるのか?
それにマキは可愛くて優しい。
そんな高めの女の子を俺みたいなオッサンが射止める事は無い・・・そう思う。
352 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:48:54.66 ID:aHG7Xbo4o
そして、何より俺の心にはユイがいる。
やはり俺に取っての最愛の人はユイなんだ。
これは、俺が死ぬまで・・・いや、死んでも変わらない。

もしも目の前にユイが現れれば俺は間違いなくユイを選ぶ。
そんな気持ちでマキとは付き合えない。

それと・・・スミカだ。
もしもスミカとマキを選べ・・・そう言われたら即断でスミカを選ぶ。
もしもマキとスミカが溺れたら、迷いも無くスミカを助ける・・・

それは女性に取ってどうなんだろう?
「僕と付き合って下さい、でもアナタは娘や元嫁の次です・・・」
そう言われたら俺なら間違いなく怒る。
だから、マキを好きでも、俺はマキに対して何らアクションを起こせずにいた。

不器用だね、俺も・・・
353 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:50:32.86 ID:aHG7Xbo4o
そして俺は今、目の前の電話の前で佇んでいた。
スミカが「ママとあそびたい」そう言ったのだ。
俺はその言葉を待ち侘びていたのは確かであった。

「じゃ、じゃあ・・・マキ姉ちゃんを・・・さ、誘ってみるか・・・」
俺はさも、仕方が無い娘の我が儘を叶えてやるか、的なノリで電話機の前に行く。
だが、物凄く緊張をして来た。

か、かけるのか・・・電話を・・・
胸の鼓動が高まる。
うわ・・・俺は25歳になって、何でこんなに緊張をしているんだ・・・
自分が酷く馬鹿馬鹿しく感じた。だが、緊張をしているのも事実だ。

「パ、パパ・・・」
スミカの声も何故か震えている。テメエ、ホントは色んな事が分かってねえか?
354 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:52:12.57 ID:aHG7Xbo4o
コホンと咳ばらいをして俺はユックリとマキの電話番号をまわす・・・

プルルル・・・と言う呼び出し音が鳴った瞬間に自分がとんでもない事をしているんじゃないか?
そんな気がして来た。
なので俺は受話器を置いた。

「えー???!!!」
スミカが叫び声を上げる。
「・・・留守だ・・・」
「はやいよー!!!」
スミカが的確なツッコミをした。コイツ、ぜってー色んな事を理解してる・・・
「パパ、もういっかい!」
「いや、今かけたらマズイだろ・・・」
「パパ、がんばって!!!」

いや、お前ホントはいくつだよ
355 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:53:54.04 ID:aHG7Xbo4o
俺は深呼吸をして、再び電話機を見た。

大丈夫。こんなの、よく有る事だ。
地球上でも、今現在俺を含めて万単位の人達が女の子を誘う為に電話をしようとしている筈。だから、こんなのよく有る事象だ。
うん、大丈夫・・・再度深呼吸をした後に、俺は再びマキの番号を押す・・・

プルルル・・・
プルルル・・・
呼び出し音に俺はビビる。
なんで女の子に電話をするのって、こんなに緊張するんだろう?
この緊張感を無くす方法を見つけたらノーベル賞モンだろ。
いや、逆にこの緊張感が良いんだろうか?
ああ、かもしれない。こうやって人は生きている事を実感して明日へ・・・ガチャ「・・・はい。」

「でたぁぁぁぁ!!!!!」
俺は思わず叫んでしまった。
356 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:55:44.95 ID:aHG7Xbo4o
「・・・もしもし・・・?」

マキが訝しげに問い掛ける。
俺はアタフタする。
そして更に・・・アタフタした。
そんなアタフタな俺の横からスミカが受話器に向かって言った・・・

「ママー??」

その声にマキが反応した。
「・・・スミカちゃん・・・?」
スミカは俺を大きな瞳で見つめた・・・

『行け』と・・・

「あ、もしもし・・・トオルです・・・突然、お電話をして、すみません・・・」
やっと落ち着いた声を出すとマキもホッとした様に答えた。
「あ、トオルさん・・・こんにちわ・・・」
「あ、マキさん・・・今、大丈夫ですか?」
「はい、良いですよ♪」

マキの明るい声に俺も更なる落ち着きを見せる。
357 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:58:18.87 ID:aHG7Xbo4o
「あの、実はまたスミカが・・・マキさんと遊びたいと申しておりまして・・・図々しいとは、思いますが・・・皆で一緒に・・・」
俺は脳みそをフル回転させる。

「・・・ピクニックにでも・・・行きませんか・・・?」

ピクニック???どっから出た???
「やったー!ピクニックー!」
スミカは無邪気に喜ぶ。俺はドキドキしながらマキの返事を待つ。
マキは少し間を空けた後に・・・

「あ、はい・・・良いですよ」

そう答えてくれた・・・

よっしゃあああああ!!!!
俺はガッツポーズを取る。
358 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 07:59:38.13 ID:aHG7Xbo4o
「いつにしましょうか・・・?トオルさんのお休みはいつですか?」
「あ、もし良ければ、その・・・ら、来週の水曜日とか・・・?」
「来週の水曜日・・・あ、はい。大丈夫です・・・」

俺は再びガッツポーズ。

「じゃ、じゃあ・・・来週の水曜日に・・・俺、弁当を作りますよ・・・!」
俺がそう言うとマキが慌てて言った。
「ダメですよ!」
・・・え?


「お弁当は・・・普通、ママの仕事でしょ・・・!」


・・・!!
359 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:00:40.74 ID:aHG7Xbo4o
マキはそう言ってクスッと笑う。
「プロのトオルさんに、お出し出来る様な、お弁当じゃ無いかも知れないけど・・・」
「とんでも無い!あ、た、楽しみにしてますよ・・・スミカと・・・!」
「あ、本当に余り期待しないで下さいね・・・」
マキが焦ってそう言った後に、俺達は電話を切った。

俺はスミカを振り返ると右手を上げた。
スミカは笑顔で俺の右手を自分の右手で叩いた・・・

その日は、10月1日・・・
奇しくも、ユイの誕生日の日であった・・・
360 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:02:43.46 ID:aHG7Xbo4o
俺達親子はピクニックを毎日楽しみに待つ。

スミカは三日も前からリュックサックに色んな物を詰める。
ヌイグルミやオモチャも積めた。
「オモチャやヌイグルミは置いていけ」
俺の一言で渋々スミカはそれらを出す。
だが、目を離すとすぐにヌイグルミを入れるのであった・・・
俺は苦笑いをしながら、夜な夜なリュックサックからヌイグルミを取り出す作業をしていたのであった・・・

スミカはてるてる坊主を作り晴れる様に天に祈る。
天気予報では晴れると言っているので大丈夫であろう。
だが、スミカのてるてる坊主作りを俺は一緒に手伝いながら、笑っていたんだ・・・

楽しみにすれば、する程に、それが叶わなかった時の落差は大きい・・・
当日、俺が起きると外は薄暗く、かなりの雨が降り地面を濡らしていた。
361 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:05:17.58 ID:aHG7Xbo4o
「・・・あめ・・・てるてるボウズ、つくったのに・・・」
寝癖頭のスミカが怒った口調で言う。俺もガッカリだった。
スミカはジッと外を睨んでいた。俺はスミカの頭の上にポンと手を置き言った。
「まあ・・・仕方ないよ・・・また今度にしよう・・・」
俺の言葉にスミカは首をブンブンと横に振る。

「やだっ!!いく!!!」
「無理だ。こんな雨じゃ危ないよ」
「やだー!!!ピクニックー!!!」

スミカは駄々をこねる。俺もそう言って駄々をこねたい所だが、現実問題、ピクニックは無理だ。
尚も駄々をこねて、泣きわめいているスミカを無視して俺はマキに連絡をした。
「あ、おはようございます」
「おはようございまーす・・・あいにくの天気ですねー・・・」
マキが残念そうに言う。
俺の後ろではスミカが泣きわめいている。俺は溜息をつきながら言った。
362 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:09:17.81 ID:aHG7Xbo4o
「まあ、仕方が無いですよね・・・また、改めましょうか・・・」

本当は「やだー!ピクニックにいくー!!!」そう叫びたい所だが、俺も流石に大人なので、それは辞めた。
大人ってめんどくせ。
「・・・スミカちゃん・・・大丈夫ですか?」
マキが心配そうに尋ねる。
「ああww大丈夫ですよ。すぐに収まりますから・・・」
俺はそう言ってスミカの口を手で塞ぐ。

「って!!!」
スミカが俺の手を噛んだ。猛犬に育てた覚えは無いぞ。
「え・・・どうしました?」
「あ、いや、な、なんでも無いです・・・」
俺はスミカの口から手を離した。
「あ、あの・・・」
マキが受話器の向こうで呟く。
「・・・はい?」

「ピクニックは・・・無理かもしれませんが・・・」
マキはそう言って微かに笑った・・・
363 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:11:14.09 ID:aHG7Xbo4o
「うわあああ!!!おさかなああ!!!」

スミカは大声で水槽の前に行く。
「たくさんいるねー」
マキがスミカに微笑みながらそう言う。二人は水槽の前で、はしゃいでいた・・・

マキの提案で水族館に行く事にしたのだ。
確かにココなら天気は関係無い。
「せっかく、お弁当を作ったので・・・」
マキがそう照れた声で電話で言ったのであった。
平日の水族館はかなり空いていた。

二人は大きなブルーに光る水槽の前で楽しそうに話をしている。
俺はそんな二人を見つめていたんだ・・・


「ジャーン・・・!」
マキが大きなタッパー型の弁当箱を開けた。
「うわあ!!!オニギリたくさん!!!」
スミカが興奮する。
「凄い・・・大変だったでしょ?」
俺はマキに笑いかけた。
364 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:15:22.15 ID:aHG7Xbo4o
「朝、4時に起きましたww」
マキが笑う。
「すみません・・・本当に・・・」
「いえいえ♪かわいいスミカちゃんの為ならば、ママはがんばりましたよー」
マキはスミカにそう言う。
「スミカ、お、おむすびがすきなんだな」
スミカは目を輝かせてそう言った。
「どこで覚えたんだよww」
俺とマキは笑っていた・・・

俺達は水族館の屋根があるベンチでお弁当を食べた。
「うわっ美味しい!」
「ホントですか??良かった〜・・・プロに食べて貰うから緊張して・・・」
マキはホッとした様に笑う。
「いや、ホントに美味いっす!なあ、スミカ?」
「ママ、おいしいー」
スミカもバクバクと食べる。
マキはスミカが食べるのを微笑みながら、見つめていた・・・

365 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:15:46.91 ID:aHG7Xbo4o
その時、ふとデジャブを感じた・・・

え?
俺はマキを見つめる。

あれ・・・?
いつだったかな・・・前にも、こんな事が・・・
マキの笑顔・・・いや、違う・・・

あれは・・・ユイの笑顔だ・・・

ユイ・・・


俺はマキの姿に、ユイを見ていた・・・
366 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:18:04.16 ID:aHG7Xbo4o
お弁当を食べ終わり水族館を出て俺達は帰途につく。
傘を差しながら俺達三人は歩いていた。
公園の側を通った時にスミカが公園を見ながら呟いた。

「あーあ・・・あめ、いやだなー。こーえんであそべないー」
スミカがそう言う。
「そうだな」
俺もそう答えるとマキが「そうでも無いよ」そう言った。
「え?」
俺がそう言ってマキを見るとマキは少し笑いスミカを見る。
「例えば・・・」

そう言ってマキはいきなり履いていた靴を脱ぎ、傘を置きスカートを軽く上げると・・・


そのまま、裸足で水溜まりに入った・・・!
367 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:19:17.71 ID:aHG7Xbo4o
俺は驚いてそれを見つめる・・・
そしてスミカを見るとマキは笑顔で叫ぶ。

「おいで!」

その声にスミカは目を輝かせ、俺に傘を渡すと裸足になりマキの後から水溜まりに入って行った・・・
「ヌルヌルするー!」
スミカは喜ぶ。
「でしょー?ほら!泥ダンゴ!」
「わあ!スミカもつくるー!」

二人はキャッキャッと喜びながら雨の中で泥遊びを始めた・・・
ふとマキが我に返り、俺を恥ずかしそうに見て言った・・・
368 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:20:08.29 ID:aHG7Xbo4o
「すみません・・・スミカちゃんの、お洋服は私が責任を持って洗います、風邪をひいたら私が看病しますんで・・・」

その言葉に慌てて俺は首を横に振る。
マキは俺に笑いかけた後に、スミカと泥んこになりながら・・・
遊んでいたのであった・・・


俺はその姿に・・・
益々、マキに惹かれて行ったのだった・・・

369 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/11(木) 08:21:23.73 ID:aHG7Xbo4o
今日は以上っす
凄く眠いけど頑張る

今日も暑そうっすね

じゃあ、皆も熱中症に気をつけてね〜
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)[sage]:2011/08/11(木) 08:22:44.14 ID:QYkqG0cIo
乙です!
次回も期待して待つです!!
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県)[sage]:2011/08/11(木) 08:22:57.96 ID:IGrluYpCo
乙でした!
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/11(木) 08:24:26.24 ID:IGlyjArDO
ホントに今日も暑そうだなー
厨房とかもっと暑いんだろうな

お疲れさま
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/11(木) 08:26:49.11 ID:LNoBPYZS0
おつかれ〜い。
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/11(木) 08:44:23.02 ID:OTTBkKLio
たかが2〜3レスのAAに文句つけるやつもどうかと思うけど、
わざわざ絵を描く手間を惜しむことなくそこまでしてやりつづける埼玉もなかなかな執着心を持ってるなw
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/11(木) 08:58:32.38 ID:8VSCwtsAP
あの絵自作かい
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/11(木) 09:30:47.92 ID:Ni5b7xLdo
お疲れ様
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/11(木) 11:08:00.66 ID:030OAO0Wo
トオルお疲れー

スミカかわええのぉ
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/11(木) 11:52:03.64 ID:isSUsPLEo
スミカちゃんのイメージはトトロのメイちゃん
俺だけ?
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/11(木) 21:35:30.77 ID:HzcLzsL6o
俺の中のスミカのイメージは「おはようじょ」のAAだ
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/12(金) 00:16:33.58 ID:gJfoXt+do
ちょっとマイナーだけど、だって愛してるの寺田夫妻の子供で脳内再生される
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 08:11:20.17 ID:OHzV1LztP
トオル登場
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/12(金) 08:15:55.68 ID:ftUrnyJWo

   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | おはようじょー
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/12(金) 08:15:56.62 ID:36jL7SJBo
下のURL、アンチ埼玉県の人は開かないでね。
http://getworld.ddo.jp/pt/file/1312862886.JPG

トオルちゃんおはよ〜、今日も良い天気ですよ。

ごめんねぇ、絵は幼女で検索してイメージに合った絵を使いました。
おはようじょのAAでかいからね、気に障る人が居ても不思議じゃないよね。
では、ロムに戻ります。
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/12(金) 08:56:00.25 ID:KY++Qvnto
相当キモい
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/12(金) 10:40:04.65 ID:Bw+u4PFpo
スミカ召還
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 12:50:30.53 ID:YDXhmarfP

      .;;ヽ,;.;.,、
      /./^`、                   ',
     .lし( ,,.---]_  ←東京都           ヽ
      k,,,,"l   〈ヾ。                 ヽ
      /-^]r  ^ ヽ                   ヽ
        l /^ヽ 7                   ヽ
        lr゜   "                     ヽ
                              ,,,,_  ヽ  /゚l-、
                             //^ヽ_.ヽ,l/_/ l、\
                  lt         .//,/'''゛' ゛''' ゚ ゛ |  \
                   ] ヽ__ _,,.。    7 /"  r、   、  |   ヽ
                  |.ヽ  ;゜    l ,/ ,,/へ , ./゜\ ,|    ヽ 
                 ./,,.;、  .ヽ   ,, |/ /__.ハ__ヽ/__ハ__\|    ) 
                ^゜'  ]  .;,,_ ヽ  [゚l]^ヽl. ̄'!.l´''  ̄`!.l´ ̄ |    l.
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                   .lv゛      t、.ヽ(  l      1x'イ.l  l ̄  ̄  ̄.7
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387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/12(金) 16:25:33.75 ID:b6GKAioko
トオルさんは今でも
星を見上げる事はありますか?
388 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 16:56:15.75 ID:aFPuPUbqo
>>387
ありますよ。もちろん!

乙です
それでは続きをどうぞ
389 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 16:57:44.13 ID:aFPuPUbqo
「パパ!パパ!」

スミカが台所で叫んでいた。
「んー?どしたー?」
俺は朝刊を読みながら髭剃りをする。
「ムイムイ!」
そう言ってスミカは俺の目の前に・・・ゴキブリを差し出して来た・・・

「ぃやああああああああ!!!!!!!!!!!」

俺は叫び声を上げて、逃げる。スミカはGを手にキョトンとした表情をしている。
俺は厨房に出る小さいGは平気だが、家に、しかも我が家に出る奴は最悪に嫌いだ。
「スミカ!ダメだ!ポイしなさい!」
「これなんていうムイムイ?」
「良いからー!!!早くポイしろー!!!」
スミカは俺をジッと見た後に・・・

俺の方へ向け走りながら、それを持って来た・・・しかも笑顔で・・・

「ぎやあああああああああ!!!!!!!」
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 16:58:09.00 ID:Qg/3KlriP
Ktkr
391 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 16:58:54.16 ID:aFPuPUbqo
俺は逃げ惑う。スミカは凄く輝いた笑顔で俺を追い掛け回していた。
「てめぇ!スミカー!なんの嫌がらせだー!」
スミカはキャッキャッ喜びながら走り回る。

ピンポーン・・・俺達が鬼ごっこをしている時にインターフォンが鳴った。
「あ、スミカ!!!ほら、来たぞ!!!マキ姉ちゃんが!!!」
「おおー!」
スミカは急に方向転換して玄関に向かう。

あ!!!ヤバい!!!
俺はスミカの手にGが握られている事を思い出した。
「ゴメンくださー・・・うん、スミカちゃん何を持ってる・・・」
マキは一瞬言葉を止めた次の瞬間・・・

「きゅああああああああ!!!!!!!」

叫び声が響き渡った・・・
392 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:00:45.97 ID:aFPuPUbqo
あれから俺とマキ・・・いや、俺達親子とマキは毎週の様に会っていた。
そして俺が仕事の日でもこの日の様にマキが二人で遊んでくれたりしていた。

その日俺が家に帰り「ただいま」そう言ってドアを開ける。
「おかえりなさーい」
マキとスミカが二人で出迎えてくれた。
「今日はすみません・・・一日、スミカを見てくれて」
「ううん、大丈夫です・・・それより、勝手にご飯を作ったんですけど・・・」
マキがそう言って恥ずかしそうに俺を食卓に案内する。
食卓には美味しそうなご飯が作られていた。

「うわっ、美味そう!」
俺がそう言う。
「スミカちゃんも手伝ってくれたんだよねー?」
「うん!スミカもつくったよー」
マキとスミカが笑顔で言う。
393 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:02:11.28 ID:aFPuPUbqo
「うわー、凄いなー。パパ食べすぎてお腹を壊したら、どうしよう?」
そう言って笑っていた・・・

夕食を食べ終わりスミカを寝かしつけ、俺はマキを送りに出た。
「あ、ママチャリで申し訳ないけど、後ろに座って下さい」
「全然、大丈夫ですよ」
スミカの座る座席を俺が外し、マキは横向きに後ろに座る。
俺が自転車を走らせると自転車が揺れてマキが慌てて俺の腰を掴んだ。

「あ、すみません・・・」
マキが慌てる。
「あ、い、いえ・・・」
俺はドキドキして下を向いた。

「あ、もし・・・あれでしたら・・・腰を掴んでも、良いっすよ・・・」
俺がそう言うと「あ、じゃあ・・・」マキも恥ずかしそうに俺の腰を掴んだ。
俺達は無言で自転車を走らせる。
394 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:03:54.37 ID:aFPuPUbqo
俺は顔こそ平静を保っていたが、心臓はバクバクであった。
マキも少し緊張しているのか腰を掴む手が震えてる。

なんか・・・俺達、良い歳なのに・・・中学生の恋愛かよ・・・俺はそう思った。

「あ、そうだ・・・」
俺が口を開く。
「・・・はい・・・」
マキも小さく返事をした。
「い、いつも、スミカと遊んでくれている、お礼に・・・店に食べに来て下さいよ・・・ご馳走しますから・・・」
「あ、そんな・・・良いですよ・・・」
「大丈夫ですって・・・お友達を連れて来て貰っても良いんで・・・」
「あ、じゃ、じゃあ・・・お言葉に甘えて・・・」
俺達二人は夜風を切りながら自転車を走らせる。
395 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:05:37.35 ID:aFPuPUbqo
マキは・・・俺の事をどう思っているんだろう・・・?

それが非常に気になっていた。
だが、恐らく悪い感情を抱いては居ないんじゃないかな・・・?根拠は無いがそう思う。
俺がそんな事を思いながら走らせていると、後ろから軽くクラクションを鳴らされる。

うん?
後ろを振り返ると一台の車が俺の後ろにいた。
なんだ?
俺は少し身構えて車を見ると車の窓が開き「マキー」そう言う女の子の声が聞こえた。
「あ・・・」
マキがそう呟いたので俺は自転車を停める。

「お友達・・・?」
「あ、はい・・・」
マキはそう言って自転車を降りた。
車が停まり、中から女の子が一人と男が二人降りて来る。
男二人が俺をジロジロと見て来たので俺は会釈をした。
だが二人は無視。
あら、感じが悪い子達。
396 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:07:11.15 ID:aFPuPUbqo
「調度、マキの所に行ってカラオケでも行こうかと思ってたの」
女の子がそう言った時に俺をチラリと見た。
俺は再び会釈をする。女の子は「あら」みたいな表情をして俺に会釈を返した。

「マキ、行こうぜー」
「どっちにしろ車で送ってやるから」
男二人がそう言う。マキは俺を振り返り少し困った表情を浮かべた。
俺はマキに微笑み「じゃあ、俺は・・・これで」そう言う。

「え・・・でも・・・」
「いやいや、友達と遊びに行きなよ」
俺は笑顔でそう言う。マキは少し迷った表情をした後に俺を見て言った。

「あ、今度、トオルさんのお店に行かせて貰いますね・・・」
397 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:08:15.58 ID:aFPuPUbqo
「うん、お友達も連れて来て良いからね・・・待ってるよ」
「・・・はい!」
マキはそう言って俺に笑うと車の方へ行った。俺はマキを見送る。
運転手の男が軽く鼻で笑った様な気がした。
そして車は走り出したのであった・・・

俺はしばらく、その場に佇んだ後に、スミカが心配になり急いで家路に着いた。
自転車を走らせながら俺は思う・・・

俺は25歳で子持ちのオッサン・・・金も無いし、車も無い・・・
夜空を見上げた。


ダメだな・・・とても釣り合わないや・・・
398 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:09:42.09 ID:aFPuPUbqo
「携帯を買いましたww」

そう言ってマルオが俺達に見せて来た。
カウンター席にはヨウイチ、サモハンが座っていた。
二人はマルオの携帯を見ると焦りながら言う。

「馬鹿、早く隠せ!」
「え?なんでですか?ヨウイチさん携帯持ってるでしょ?番号を交換しましょうよ!」
「ば、馬鹿・・・」
ヨウイチがそう言った時に、ヨウイチの携帯の着信音が響く。
ヨウイチは溜息をつきながら電話に出た。

「・・・おつかれっす・・・は、はい・・・い、いや、今はトオルの所っす・・・え?目の前・・・?」
ヨウイチが振り返ると店の入り口で向井さんが手を振っていた。
「おーっす!」
向井さんが携帯電話を片手に持って入って来た。
399 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:10:58.41 ID:aFPuPUbqo
ヨウイチは溜息をつきながら電話を切る。
「いや、携帯は便利だな・・・ん?マルオ、お前も携帯持ったのか?」
「あ、はい」
向井さんの言葉にマルオは返事をする。
ヨウイチとサモハンはギョッとした表情でマルオを見た。

「おう、じゃあ番号教えろよ」
「あ、はい・・・良いっすか?」
マルオは向井さんに番号を伝える。ヨウイチ、サモハンは目を閉じていた。
「よし、分かった。じゃあ、これからだな・・・」
向井さんはマルオを見つめて続けて言った。

「五コール以内には出ろ。電源は絶対に切るな・・・」
「え?」
マルオは焦る。

「もしも・・・守れなかったら・・・分かるよね♪」
マルオは要約、事の重大さに気が付き始め半泣きの表情になった
400 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:12:16.46 ID:aFPuPUbqo
向井さんの携帯が鳴り「お、会社からだ」そう言って店の外に出た。
向井さんが出た瞬間にヨウイチが言う。

「あーあ・・・お前、終わったな・・・」
「馬鹿だな、お前・・・」
サモハンも呟く。
「え・・・?」
マルオが焦る。
「俺なんか、この前実習中に向井さんから掛かって来て教授に睨まれて困ったよ」
「お前、授業中にも鳴らされるぞ」
二人はそうマルオに言う。

「え?え?マジっすか・・・」
「ちなみに、俺は向井さんに携帯を持ってる事を言ってない」
サモハンは懐から携帯をチラッと見せる。
「あ、もしも俺が携帯を持っている事を向井さんに知られたら・・・お前を法律的に抹[ピーーー]るからな」

サモハンの脅しにマルオが泣き出していた・・・
401 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:13:26.64 ID:aFPuPUbqo
俺はなるべく携帯電話を持たない様にしようと決めた。

その時入り口が開いた。
入って来たのは・・・マキであった。

「あ・・・」
俺がそう呟くとマキは俺を見つけて笑顔で会釈をする。
俺も笑顔で「いらっしゃいませー!」と叫んだ・・・
は良いがマキに引き続き、マキの先日車に乗っていた女友達が入る。
まあ、それは良い・・・その子に引き続き、車に乗っていた男が入って来たのであった・・・

「おっマキちゃんじゃん!」
ヨウイチが俺にニヤニヤした後にマキに手を振る。するとマキも笑顔で会釈を返した。
402 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:14:42.58 ID:aFPuPUbqo
「カワイイな、おい。ホント、ユイさんみたいに良い笑顔をするよなー」
ヨウイチが俺に言ったので、俺は苦笑いを浮かべた。
「ユイさん・・・俺にも優しかったな・・・」
マルオがうっすら涙を浮かべる。

ホールスタッフが俺に目配せをしたので、俺は帽子を取り挨拶に向かった。
「いらっしゃいませ。本日はお越し頂きまして、ありがとうございます・・・」
そう言って俺はテーブルに座る三人を見た。
「あ・・・早速、着ちゃったんですけど・・・」
マキが恥ずかしそうに言う。
「いえいえ、ありがとうございます・・・本日は私がご馳走致しますので、お好きなご注文をどうぞ」

俺は最上級の笑顔をブスッとしている男にも向けてやった。
403 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:16:06.86 ID:aFPuPUbqo
「あ、なんかカッコイイですね」
女友達がマキをチラチラ見ながら言った。俺はニッコリ笑いその女友達を見た。
が・・・

「じゃあ、メニューの端から端までー・・・ギャハハハ・・・」
そうアホ面のアホな男が言う。
面白くねーし、食えるモンなら食ってみやがれ。
だが俺も少しは大人になった。
「ハハハ・・・そんなに頼まれたら困っちゃいますねww」
こんな答えで良いだろ。その男は何故かブスッとした。
え?なんで?
「もう、テル君、つまんない事言うの辞めてよー!」
マキがそう言う。
やーい、バーカ、バーカ。
内心、そう言っている俺だが表面は笑顔を保っていた
404 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:17:39.37 ID:aFPuPUbqo
「あ、何がオススメですかー?」
女友達が尋ねる。
「このレディースセットはいかがでしょうか?品数が多いですが、各皿が少量となっておりますので、女性の方に喜ばれておりますが」
「あ、じゃあ私、そうするー」
「あ、じゃあ私もそれで、お願いします」
女の子二人がそう言う。
「かしこまりました・・・お客様はいかがなさいますか?」
「えー、じゃあ・・・俺はこれー」
そう言ってメニューを指差す。ステーキセットだった。

タダだと思ったらステーキセットかよ。ガキ丸出しだな、おい。
「かしこまりました」
俺は厨房に戻りメニューを伝えた。
「なんか、生意気そうなガキだな」
サモハンが呟く。
「あれは、多分マキちゃんの事が好きなんでしょうね・・・」
マルオが頷いた。
405 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:18:46.90 ID:aFPuPUbqo
「あー、こーゆう時に向井さんが居たら面白い事になるのになー」
ヨウイチの言葉に俺は軽く笑う。あの人が居たらややこし過ぎる。

料理が運ばれ俺は再びマキのテーブルに顔を出した。
「いかがですか?」
俺の言葉にマキと女友達は
「美味しいですー♪」
そう言って喜んでいる。だが男は何も言わない。何なんだよ君は。

「あ、そうだ・・・」
マキが両手をポンと合わせて俺を見た。
「来週、ウチの大学の学祭が有るんですよ」
マキがそう言って俺を見る。
「ウチのサークルも出し物をしているので、良かったら、いらっしゃいませんか?」
「学祭・・・ですか?」
406 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:19:50.70 ID:aFPuPUbqo
すると、女友達も言う。
「あ、来てくださーいww私らは、もう引退してるんですけど、学祭だけは手伝ってるんですよー」
「うん、是非・・・スミカちゃんを連れて・・・」

学祭ねえ、休みは・・・俺が頭で休みの日の確認をしていると男が軽く舌打ちをする。
わ、露骨な子。
「あ、じゃあ・・・スミカを連れて行きますよ・・・」
「はい!待ってます!」
マキは笑顔で答えてくれた・・・


その日の店の閉店間際に再び向井さんが来た。
「腹減ったー、なんか食わせろよ」
そう言って、とハンバーグセットを注文する。
407 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:21:22.49 ID:aFPuPUbqo
「今まで仕事っすか?」
「ああー、ちょっとトラブってなー疲れたよ」

俺はお疲れの向井さんの前にビールを置く。
「俺の奢りっす」
「気が利くじゃないの、トオルちゃーん」
向井さんは、そう言ってゴクゴクとビールを飲んだ。
「最近どうっすかー?」
俺は片付けをしながら向井さんに尋ねる。
「なんだ、そのマニュアル通りの話題の振り方は・・・」
「いや、景気の話じゃ無くて・・・リコさんっすよー」

向井さんはビールを吹いた。
「な、なんだ、お前は、この前から!!!」
「え?でも、デートしたでしょ?」
・・・!以外な情報通め・・・」
408 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:22:44.04 ID:aFPuPUbqo
「へへー・・・スミカ情報っすよww」
「スミカああああ!!!!」
「まあまあwwどうなんすか、お互い大人同士、みたいな感じっすか?」
「るせえ!テメエこそ、マキちゃんと、どうなんだよ!!!」
「俺?俺は・・・ほら、アレで・・・」
言葉を濁す。
向井さんはゴクリとビールを飲むと言った。

「アレだな・・・後でお前んチで・・・飲むか・・・」
向井さんも何やら語りたそうな雰囲気だったので俺も了承する。
25歳のオッサン二人が恋ばなをするとは思わなかったぜ。

店が閉店し、俺はスタッフより先に向井さんと店を出た時だった。
409 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:23:58.76 ID:aFPuPUbqo
店の脇に停まっていた車のライトが俺達二人を照らし出す。

「あん?なんだー?」
向井さんが眩しそうに車を見た。
俺も車を見ると、車に見覚えがある。
ライトが消えてドアが開き、車の中から男が四人出て来る・・・
一人は、今日の昼間に見たマキの友達の『テル』と呼ばれた無愛想男だ・・・

「ちょっと・・・良いっすかー?」
テルが俺に言う。
「なんだ、コイツ?」
向井さんが俺に聞く。また面倒臭い人が居る時に面倒臭い奴が来たもんだ・・・

「はい?」
俺はテルに聞く。テルは軽く俺を睨むと言った。
「あのっすねー、アンタ、子持ちなんでしょー?どう言うつもりでマキに近付いてんすか?」
うわ、面倒臭っ。
410 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:25:25.17 ID:aFPuPUbqo
「なんだ、コイツら?」
一番面倒臭い人が尚も尋ねて来る。

「あ、えーっと・・・結論を言って貰って良いかな?オジサン子供を迎えに行かないといけないんだよね」
俺は笑いながらそう言った。
すると、テル率いる男達、全員がムッとした表情をする。

「シメて良い?トオル君、僕ちゃん、この子達をシメて良い?」
向井さんが俺に囁く。辞めてくれ。

「子持ちの奴が、大学生にフラフラ近付いてんじゃねーよ!!!」
テルが叫んだ。
「そうだ!マキはまだ大学生だぞ!!!母親の真似事させんじゃねー!!!」
男達にそう言われ、俺はハッと気が付いた。

そうか・・・コイツらは・・・
411 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:27:14.11 ID:aFPuPUbqo
俺がそう思った時に向井さんが尚も俺に囁く。
「もう面倒臭いからシメちゃおうよ!十秒で終わらせるからさ!」
アンタが一番面倒くせーよ。

俺は彼等を見た。全員少し震えている。
そうか・・・俺は想像した。

もしも俺達が高校生の時に・・・例えばマリが子持ちの男に、母親の様な真似事をさせられていたら・・・
俺は彼等と同じ様な行動をしたかもしれない・・・
彼等は嫉妬をした訳じゃ無いんだ・・・

仲間を・・・仲間を守ろうとしただけなんだ・・・

「分かった!五秒で良いよー、五秒で終わらせるからシメさせてくれよー」
アンタは何歳だよ。
まあ、すぐに飛び掛かる事が無くなっただけ、大人になったんだろうか?
412 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:28:37.66 ID:aFPuPUbqo
「まあ・・・その・・・少しはマキの事を・・・考えて下さいよね・・・!」

テルが最後にそう言った時に向井さんが走り出した・・・!
男達の顔が焦る!俺は後ろから全力で向井さんを止めた・・・!

「は、早く逃げろ!!!」
俺が叫ぶ。
「へ・・・?」
男達は後ずさりしながら、そう答えた。
「良いからー!!!お前ら殺されるからー!!!急いでー!!!」
男達は向井さんの顔を見た。そしてギョッとした表情になる。
恐らく彼等は魔物の顔を見たのだろう・・・

慌てて車に乗り、急発進をさせた。向井さんは俺を振りほどき車へ走り出す・・・

に、逃げてー!!!
一瞬、向井さんは車に追い付くかと思う様なスピードを出したが、流石に車には追い付け無かった様だった・・・
413 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:29:50.93 ID:aFPuPUbqo
「くそー・・・もう少し早く行くべきだった・・・」

向井さんが焼酎を飲みながら悔しがる。
「どこにいくのー?むかいっちー?」
スミカが尋ねる。
「悪者をねー、退治しようと思ったんだよー」
向井さんがスミカに笑顔で言う。
どちらかと言うとアンタが悪者。

俺達は俺の家で飲んでいた。
「ほら、スミカもう寝なさい」
「はーい」
俺の言葉にスミカが立ち上がる。
「向井っちにお休みは?」
「おやすみなさーい、むかいっち」
「おう、おやすみー」
向井さんは笑顔でスミカを見送る。

スミカが寝ると向井さんは俺に言った。
414 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:31:13.64 ID:aFPuPUbqo
「あんな連中の言う事なんか気にする必要はねーぞ」
「でも・・・」
「あん?」
「あ、いや・・・もしも、俺が逆の立場なら・・・同じく俺みたいな奴はムカつくな・・・って」

俺の言葉に向井さんは黙って焼酎の瓶の栓を抜く。そしてグラスに注いだ。
「・・・俺も」
「え?」
向井さんの呟きに俺が反応した。

「俺も・・・ユイに似てなかったら・・・お前を止めてるさ・・・」

向井さんは、そう言ってグラスに入った焼酎を呷っていた。向井さんの言いたい事は分かる。
最愛の人と似ている人間に恋に落ちるのは当然だと。
娘が母の面影を求めて懐いた人に恋に落ちるのは当然だと・・・
確かに俺もそう思う・・・

だけどね、俺はマキに対して・・・最初はユイを感じて居なかったんだよね。
だからこそ、俺は・・・強く自分の気持ちを持てなかったんだよ・・・
415 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:32:17.77 ID:aFPuPUbqo
自分の気持ちに答えが出ぬまま、マキの大学の学祭の日を迎えた・・・

俺はスミカを連れて学祭に行く。
「おまつり、なの?」
「そう、お祭りなんだよ」
自転車の後ろに乗るスミカが嬉しそうに言う。
まあ、とにかくスミカが喜んでいるし・・・俺は何となく、そんな言い訳を自分自身に施していた。

大学に到着すると、かなりの盛況ぶりだった。
俺は中に入りマキ達のサークルを探す。
模擬店が行われ各サークルが必死に人を呼び込んでいた。

なんか懐かしい・・・高校時代を思い出す。
俺は皆で必死に作ったプラネタリウムを思い出し、そして仮装大会での歓声と称賛を思い出した・・・
416 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:33:36.51 ID:aFPuPUbqo
「あ、ママー」
スミカの声に俺が振り返る。
「スミカちゃーん!」
そう言ってマキが手を振っていた・・・


「うわーwwカワイイー」
そう言ってマキの友達がスミカを撫で回す。
スミカは少し固まりながらも、されるがままになっていた。
俺がそれを見ていると横から視線を感じる。この前のテル率いる男達が俺を睨んでいた。
彼等は模擬店で何かを作っている。俺は頭をかきながら彼等に近付いた。

「これは、何を作ってるの?」
俺が尋ねるとテルは鼻で笑い言った。
「見たら分かるでしょうが」
はいはい。見ると鉄板の上で豚肉や野菜を炒めてる。
あ、ヤキソバか・・・俺がそう思っていると茹でたパスタを鉄板に置いた
417 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:34:54.12 ID:aFPuPUbqo
ん?
パスタと先程の野菜を炒め・・・ソースをぶっかけた・・・
は?

「ヤキソバ風スパゲティーです」
マキが、そう言う。
「あ、そ、そうなんだ・・・」
「いかがですか?」
マキに言われ俺は財布を出した。
「あ、じゃあ頂くよ」
「お金は良いですよ、トオルさん。この前の食事のお礼です・・・」
「いや、この前は、いつもお世話になってるお礼だから・・・」
俺はそう言って金を出す。
「え・・・でも・・・」
尚もマキが渋っているとテルが言った。

「良いんじゃねーの、売上出さないといけないしさ」
なんて感じの悪い・・・
「そうだね、売上に貢献するよ・・・」
俺はそう言って金を渡した。
418 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:36:09.36 ID:aFPuPUbqo
「何?売上を出さないといけないの?」
マキに尋ねると
「そうなんです、この売上を部費に回すんですよ」
「なるほど・・・売れてる?」
「それが・・・」
マキはそう言って俺に出来立てのヤキソバ風スパゲティーを出して来た。

「いただきまーす、ほれ、スミカ食べよう」
俺はスミカを呼んで口を開けさせる。スミカの口に入れた後に俺がソレを啜った。
「どう・・・ですか?」
マキが恐る恐る尋ねて来た。

正直・・・マズイ。金を払ってこんなもんを食べたいとは誰も思わない・・・
パスタを茹ですぎ、野菜の炒め方が弱すぎ、味付け悪い・・・

「・・・おいしくないよー・・・」
スミカが小声で俺に囁く。
うん。スミカ。君が立派に周りを気にする人間に育ってパパは嬉しいよ。
419 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:37:25.86 ID:aFPuPUbqo
「あのー・・・あんまりですか・・・」
マキの言葉に俺は苦笑いを浮かべる。
「・・・そうですか・・・」
マキは溜息をつく。マキの後ろにいた女の子がマキに言う。

「ヤバいですね、マキさん・・・このままじゃ部費所か赤字ですよ・・・」
「やっぱり例年通り普通のヤキソバにしておけば・・・」
「もう、男子が訳の分からない物をやろうって、言うから・・・」
その言葉にテル達が怒る。
「俺らのせいかよ!」
「毎年同じじゃつまんねーだろうが!」
言い争いを俺はボーッと眺める。するとスミカが言った。

「パパがつくったら、おいしいのにね」
420 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:38:09.70 ID:aFPuPUbqo
スミカの言葉に女の子の一人が反応した。

「え・・・?パパが?」
「うん!パパのじょーずだよー」
皆が俺を見る。俺は苦笑いを浮かべて言った。

「まあ・・・ヤキソバ風スパゲティーの発想自体は悪くないとは思うけどね・・・」
テルが俺を見た。
「多分美味しくなるよ・・・」
俺の言葉にマキがジッと俺を見てきた。
俺は上着を脱ぐとスミカに渡して聞いた。


「手洗い場、ある・・・?」
421 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:39:20.22 ID:aFPuPUbqo
俺は少し時間をかけて、仕込み作業を始め、調理器具の確認をする。
「パパはねーりょうり、おいしーよ」
スミカが騒いでいる。テル達は睨む様に俺を見ていた。
「あの・・・」
マキが心配そうに俺を見る。
「・・・大丈夫・・・ですか?」
その言葉に俺はマキに微笑みで応えた・・・

「よし!これでOK!」
出来上がったスパゲティーを俺は少量だけ皿に盛っていく。
「え?ソース掛けないんですか?」
一人の女の子の質問に俺は笑顔で答える。
「掛けない方が美味しいよ。別の味付けにしてるから・・・あ、これを持ってお客さんに適当に配ろうよ」
「え?」

皆が俺を見た。
422 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:40:15.27 ID:aFPuPUbqo
「試食にするんだよ、『美味しかったら買いに来て』って言ってさ」
俺の言葉にテルが反応した。
「は?それじゃあ、タダ食いされるだけじゃん!」
俺はニッコリ笑って答えた。

「良いから!売れなかったら、俺が全部買い占めてやるよ」

俺の言葉に皆が顔を見合わせる。
マキも心配そうに俺を見る・・・


大丈夫・・・!料理に関しては・・・俺は唯一自信が持てるんだ・・・
423 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:41:10.16 ID:aFPuPUbqo
「美味しい・・・!」

俺が作った料理をサークルメンバーにも配る。
全員が俺をビックリした表情で見ていた。テルもズルズルと食べている。

「ありがとう。作り方は後で紙に書くから、それ通りに作ってね、一番のポイントは茹で時間と、味付けだからね」
俺がそう言うと皆が「ありがとうございまーす!」そう礼を言ってくる。


マキはそんな皆を見て、俺を照れた様な表情で見つめていた・・・
424 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:42:39.78 ID:aFPuPUbqo
結局、その売れ残りを俺が全て支払った・・・


・・・事は勿論無く、全て最終日前に完売した様だ。
そして最終日には追加の材料で作り、売上をかなり伸ばした。

「ホントにプロって凄いんだなって、思いました・・・!」
マキに、そう嬉しそうに言われ俺は照れた。
「パパはすごいー?」
スミカがマキに聞く。
マキはスミカに微笑んで「凄いよー、スミカちゃんのパパは・・・!」そう言った後にチラリと俺を見て、恥ずかしそうに呟いた。


「そして、カッコイイよ・・・!」


その言葉に俺は胸を撃ち抜かれる・・・
アンタ・・・スナイパーや・・・


確か、以前にもこんな事を思った事があった・・・
そんなデジャブを俺は感じていた・・・

425 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/12(金) 17:45:13.27 ID:aFPuPUbqo
今日は以上です

ちなみに、全てを書き終わるまで・・・残り三回を予定しています
万が一、このスレに書ききれない場合は
再度スレを立てますんで、皆さんも気兼ねなくスレにカキコミをしてくださいww

それじゃあ、今日はこれで!
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県)[sage]:2011/08/12(金) 17:47:48.71 ID:A+PL/yZ50
その三回を三十回位になんとかひきのばしてくれ
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 17:48:56.97 ID:fbsiEJ97o
トオルおつー!
あ…、あと三回かぁ…寂しくなるけど楽しみにしてるよ!
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)2011/08/12(金) 17:49:08.26 ID:DWYtl4400
リアルに遭遇するとは・・・

明日も期待します!!
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 18:29:40.84 ID:9Wugdg/DO
3回って、最悪3日で終わっちゃうじゃん…
いや早く読みたいんだけどさ
部長、向井の入部エピソードに期待だな

430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/12(金) 18:41:15.00 ID:H2MQb5Jeo
あと3回か
告白・結婚・現在の話かな?
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 18:52:52.13 ID:LtJ2R5fx0
テルが料理に目覚めるんですね
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)2011/08/12(金) 18:55:11.16 ID:ftUrnyJWo
ある夏二期決定!!!!!!!
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 19:00:54.05 ID:U8VrY96Io
トオル様
本編はあと3回でもいいけど・・・

ぜひサイドストーリーをお願いしたいな
これだけ仲いい部活だったんだから 向井さんとリコさん以外の恋愛物語も実はあるんじゃないの?
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/12(金) 19:09:03.57 ID:GMCtYErKo
おつかれ!
もう楽しみで仕方ないよ!

星を見るとゆーか、空を見るのが昔から好きで
いつも読んだ後に星を見に行きたくなる
さあて着替えて嫁連れ出すわwwwwww
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/12(金) 20:18:31.26 ID:TuKtDfW/o
向井さんとリコさんの交際に至るまでの経緯が詳しく知りたいです
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 20:35:01.53 ID:Qg/3KlriP
以前から向井さんが唯一部長だけには従順なのが不思議w
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/12(金) 20:42:06.51 ID:9rGvQvfqo
俺たちマルオだろ(;^ω^)
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/12(金) 21:07:42.30 ID:gJfoXt+do
>>437
気付かなかったけど確かにそうだわ
マルオと小学生時代のむっつりスケベのトオルを足して2で割った感じ
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/12(金) 22:37:57.20 ID:PX7m7BzLo
うおおお あと3回で終わってしまうのか…
最近このスレ見るのが毎日の楽しみの一つになってるから、寂しくなるな…

自分も向井さんとリコの詳細知りたい!
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 07:41:52.91 ID:4qm5k8/SO
思ったんだが、この話はMr.ChildrenのHANABIの歌詞がピッタリだ
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 07:49:14.06 ID:ZnrUr0rpP
どーでもいい
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 19:39:00.92 ID:1MZNCZ1a0
今テレビ見て思ったんだが
トオルが川越シェフだったなら吹くな
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/13(土) 19:50:45.37 ID:fZ6U9dnAO
川越シェフは小学校から高校まで野球やってたらしいから違うと思う
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 20:06:48.62 ID:1MZNCZ1a0
>>443
なるほど。まぁあれくらいリア充になっててくれればいいな
っと言う願望もあったんだが

こんなどうでもいいことにもレスしてくれてありがと
445 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:42:41.36 ID:Ul9GVM90o
乙です
川越シェフwwwwww
違いますww俺はあんなイケメンじゃないっすww

皆さんのご要望どおり、この話を終えてもサイドストーリーは書きます
最初の頃から言ってました向井、部長コンビの入部のきっかけは書きますね

後、まあ、スレが許す限り、二、三のサイドストーリーを書けたらと思います
それでは本編の方をどうぞ
446 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:43:41.96 ID:Ul9GVM90o
「皆さん・・・席に着きましたね・・・?」

向井さんが暗闇の中で言う。
「それでは、ミュージックスタート!!!」
その言葉の後に部長が歌いだした。

「きっと君はこな〜い〜ひとりきりの、クリスマスイブッ!」

俺達はグルグルと隣からのプレゼントを回して行く・・・
「Oh!さいれんない〜、ふぉーりんないー・・・はい、ストップ!!!」
そこで電気が点けられた。そしてプレゼント回しも終了する。

「はい、じゃあ皆さん開けてくださーい」
向井さんの言葉に皆がプレゼントを開ける。
447 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:44:52.16 ID:Ul9GVM90o
「あ、ヌイグルミかー・・・」
「あ、それスミカ用に俺が買った奴だ」
「あ、私はマフラーだ」
「それは俺の手編みだ」
「キモッ」

皆が口々に騒ぐ中、マルオだけが、ガッカリと肩を落としていた。
「なんだ?マルオ?」
「あの・・・俺、これなんすけど・・・」

マルオは箱の中身を皆に見せる。そこにはセミの抜け殻が五匹入っていた。
「あ、それ、スミカのーなつに、ひろっておいたのー」
マルオは益々肩を落とす。
「良いじゃねーか!スミカの心のこもったプレゼントだぞ!」
向井さんがそう言う。
「は、はあ・・・スミカちゃん・・・ありがとう・・・」

マルオはセミの抜け殻を抱えたまま、ボー然としていた・・・
448 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:46:26.18 ID:Ul9GVM90o
皆で毎年恒例のクリスマスパーティーをした。
「あ、俺ジャムだ」
俺がそう言うと、「あ、それ・・・私です・・・一応手作りで・・・」マキが恥ずかしそうに手を挙げた。
「そうなんだ・・・ありがとう」
俺はマキに礼を言う。

パーティーにはマキも誘っていた。
「私の、何これー?」
リコさんが、そう言ってプレゼントを持ち上げる。すると部長が目を光らせて言った。

「フフフ・・・それは、ゲルググのプラモだよ・・・中々リアルな仕上がりを楽しめるよ・・・!」
「いらなーい」
リコさんがポイッと捨てた。

「うおおおおおいいい!!!捨てるなああああ!!!」
いつも通りの風景に皆が笑っていた・・・
449 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:47:21.61 ID:Ul9GVM90o
マキとは、あれからもよくスミカを含めた三人で遊ぶ。
未だに俺はマキと二人で出掛けた事が無かった。俺の心は既にマキに傾いている。
それは間違いない。
だが、今一歩踏み出せ無いのは・・・やはり俺が子持ちだから、なんだろう。

前にテル達に言われた事がずっと頭に引っ掛かっていた。
だから前に進めない。

いや・・・それは言い訳だな。それ以上に俺は自分に自信が無いんだ。
自分がマキに見合う男じゃ無い・・・と。そう思っていた。
それで俺はスミカを出汁に使い、マキと会っていた。

我ながら卑怯で、そして情けない男なんだ・・・
450 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:48:44.25 ID:Ul9GVM90o
クリスマスが過ぎて正月を迎えた。

「スミカー、ママにご挨拶をするぞー」
「はーい」
そう言って俺とスミカは二人でユイの写真の前に座る。
「明けましておめでとうございます」
そう言った後に二人で手を合わせる。俺は顔を上げてユイを見た。

ユイ・・・俺はどうしたら良いんだろうかな?
マキに・・・自分の気持ちを伝えた方が良いんだろうか・・・?
そう考えた後に俺は苦笑いを浮かべた。

何を嫁さんに相談してんだ、俺は・・・
自分の馬鹿さ加減に呆れた時に外の風がビュッと吹き、窓がカタカタ、と鳴った。
俺がソチラを見た時に、声が響いた・・・

”頑張って・・・”

え?俺はスミカを見る。
スミカは眉間にシワを寄せ難しい顔をしてユイと何かをブツブツと語っている。
なんだ・・・スミカか・・・段々ユイの声と似てきたな・・・
451 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:49:57.53 ID:Ul9GVM90o
俺とスミカは二人で初詣に出掛ける。

「スミカー、何をお願いしたの?」
「んとね・・・」
俺の左手と手を繋いでいるスミカが俺を見上げた。そしてニヒッと笑い言う。
「ないしょ」
スミカも段々、女になったもんだな。俺は苦笑いを浮かべていた・・・

初詣の帰り道に、ふと思い立った。
そう言えばマキは両親が居ない・・・だとすると、正月も一人ぼっちの筈だ・・・
気持ちが分かる。親が居ないと正月は淋しいもんだ。

「な、なあ・・・スミカー」
「なーに?」
スミカが俺を見上げる。
「マキ姉ちゃんと・・・ご飯でも・・・食べようか?一緒に・・・」
俺の言葉にスミカは目を輝かせて「うん!」と言った。

俺は又もやスミカを出汁にしてマキを誘うのであった・・・
452 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:51:06.54 ID:Ul9GVM90o
「えー?良いんですかー?」

新年の挨拶もそこそこに、俺がマキを電話で食事に誘うとマキが嬉しそうに、そう言う。
「うん・・・一緒に鍋でもしようかと思って・・・」
「是非!お正月は一人で暇で・・・ww」
「だよね?俺も両親が居なかったから分かるよww」
二人で笑う。

「それじゃあ、何か買って行きましょうか?」
「良いよ、俺がいつものお礼でご馳走するんだし・・・」
「あ、じゃあ・・・一緒にお買い物行きましょうか?」

なんですと。
俺は電話を切った後にスミカに抱き着きホッペにスリスリする。

「パパ、おひげ、いたい〜・・・」
「ムホホホ、このムチムチほっぺめ〜」

俺はウキウキだったんだ・・・
453 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:55:37.05 ID:Ul9GVM90o
「何鍋にします?」

マキは目を輝かせスーパーに入る。
「そうだなー、マキさんは何が良い?」
「私ですかー・・・うーん・・・スミカちゃんは、何が良い?」
マキはスミカに尋ねる。

「スミカは、しちゅー!」
「いや、だから鍋だっての」

俺とマキは顔を見合わせ笑った。
「シチューにします?」
マキが困った顔で聞く。
「いや、そうだな・・・ホワイトソースで鍋を作るか・・・」
「ホワイトソースのお鍋ですか?」
「うん、美味いよ。一回食べた事があるんだ」
「美味しそう・・・じゃあ、それで!」
「了解!」

俺達二人は食材を買う。
454 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:56:59.26 ID:Ul9GVM90o
なんか昔にも、こんな場面があったな・・・あれはいつだ?
俺は又もやデジャブを感じる。
マキと一緒に居ると、いつも何かしらのデジャブを感じてしまうんだ。
これは一体何なんだろう?
俺はそんな疑問を思いながらも、目の前でマキとスミカが仲良く買い物をする姿を見つめていた・・・


「ほら、出来たぞー」
俺は鍋を食卓に置く。
「待ってましたー♪」
「まってましたー」
二人がそう言う。

「じゃーん!」
俺が蓋を取ると「おおー!」二人が声を出す
「美味しそうー!」
「わー、しちゅーなべー!」
「さて、では食べるか!」

「はーい!いただきまーす!」
455 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:58:08.54 ID:Ul9GVM90o
俺達は食べはじめる。

「美味しい!」
「だろー?これ、最後ご飯を入れたら、めちゃくちゃ美味いんだよ!」
「わっ楽しみーwwスミカちゃん、美味しい?」
スミカは口に入れると呟いた。

「むっ・・・か、かくしあじに・・・むにゃむにゃだー・・・!」
「な、なに、それ・・・?」
マキが焦りながら尋ねる。
「部長の真似をしてるんだ・・・海原雄山の真似をしている部長の真似・・・」
「そ、そうなんだ・・・」
苦笑いをするマキ。

何だかんだ言いながら楽しく鍋を平らげた。
マキが洗い物をしようとしたので慌てて止める。
「あ、良いよ」
「ううん、お鍋もご馳走になったんで、これ位、させて下さい」
「いやいや・・・マキさん・・・」
456 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 20:59:27.03 ID:Ul9GVM90o
俺がそう言うがマキは頑なに洗い物を実行する。
「スミカも、するー」
スミカがマキの手伝いで洗い物をするが、ハッキリ言ってマキの邪魔をしているだけであった。
何をしとんじゃい。

「スミカ、マキ姉ちゃんの邪魔だぞ」
俺がそう言ってスミカを持ち上げる。
「やーだー!」
スミカが俺の腕でジタバタした。

「あ、ダメですよ、トオルさん!」
「え?」
俺はマキを見た。

「子供がお手伝いをやりたがってるんです・・・させてあげないと・・・」
マキの言葉に俺はスミカを床に置いた。
スミカは嬉しそうにマキの隣に行き洗い物をする。俺は食卓に座ると、そんな二人を見つめた・・・

まるで・・・親子だな・・・
俺は心の中にジンワリ感が溢れた・・・

あ、今・・・幸せを感じた・・・
457 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:00:42.97 ID:Ul9GVM90o
スミカを寝かしつけ、いつもの様に俺はマキを自転車の荷台に乗せて送って行く。
吐く息は白く、冷たい夜風が俺の顔に当たった。

「寒く無い?」
後ろのマキに尋ねる。
「大丈夫でーす」
そう答えるが俺の腰を握る手が冷たそう。
「あのさ、もし良かったら俺の上着のポケットに手を入れなよ」
「あ・・・はい」
マキはポケットに手を入れる。
なんか言っておいて何なんだが・・・少し照れた。そしてドキドキする。

「今日は・・・ありがとうございました・・・」
「あ、いえいえ・・・逆に正月からスミカの相手をさせて、ゴメンね」
「ううん、私はスミカちゃん大好きだし・・・それに、一人でお正月って・・・」
458 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:02:12.75 ID:Ul9GVM90o
「あ、分かる。なんか淋しいと言うか・・・」
「そう、そうなんですww何でしょうね?あの感覚・・・」
「成った者にしか分からない感覚だよね・・・」

冬の夜風が強く吹いた。うっ・・・寒い。

「だから・・・」
「え・・・?」
マキの呟きに反応した。

「普通に・・・家族で暮らせる生活って・・・羨ましくて・・・」

あ・・・思わず後ろを振り返った。
マキは「ん?」とした表情で俺を見上げている。
俺は顔を前に戻した・・・

デジャブ・・・だ。

俺は再び夜空を見上げた・・・

ユイ・・・
俺は夜空にユイを思った
459 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:03:55.10 ID:Ul9GVM90o
マキに・・・俺の気持ちを伝えたい・・・

ユイ・・・俺は・・・良いのか?
マキに、気持ちを伝えても・・・良いのか?
こんな子持ちの、何も持って居ない人間が・・・マキに気持ちを伝えても・・・
本当に・・・良いのか?
そして、何よりも・・・


俺は君を・・・君を心に抱いたまま・・・
気持ちを伝えても・・・本当に良いのか・・・?

なあ・・・ユイ・・・


冬の星座が夜空に瞬いていた・・・
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/13(土) 21:05:04.91 ID:9Xm9QCo7o
無茶しやがって…
461 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:05:14.12 ID:Ul9GVM90o
マキの家の前に到着して、俺は自転車を停める。
マキは自転車を降りると俺を見て「今日はありがとうございました」そう再び礼を言った。
「あ・・・いや、コチラこそ・・・」
俺は返事した後に、真正面からマキを見つめた。
マキの大きな瞳が俺を見ていた。
マフラーの側をマキの白い息が通って流れて行く。

ふと・・・マキの姿がユイに重なった・・・
え・・・?

俺はマキを見つめる・・・
鼓動が早くなる。
心臓がせり上がる様な気持ちだった
462 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:06:31.67 ID:Ul9GVM90o
「マ・・・マキさん・・・」

カラカラの口から掠れた声が出た。その声にマキの体がピクリと反応する。
マキが俺を見つめる。
彼女も何かしらの感覚を感じたのであろう。マキの頬が少し赤くなっているのは寒さから来ているんだろうか・・・
俺はゴクリと唾を飲み込むとマキに言った・・・

「あ、あの・・・マキさん・・・」
「は、はい・・・」

マキは小さく答える。

「えっと・・・」

俺の中の勇気がしぼんで来た。
463 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:07:16.18 ID:Ul9GVM90o
ええいっ!行けよ!

俺は目を閉じる。
そしてユイを思い描いた・・・



「こ、今度・・・ふ、二人で・・・会いませんか・・・!」



言った・・・!
俺はユックリ・・・目を開ける・・・

マキは顔を赤くして下を向いていた。
464 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:08:13.91 ID:Ul9GVM90o
遠くで車の走る音が聞こえる。
夜風が吹きマキの髪を揺らした・・・

「あ、えっと・・・」
マキは小さく呟く。俺の心臓は爆音を立てて体中に血液を送っている。
「・・・えっと・・・」
マキが再び口を開き・・・そしてユックリと顔を上げて俺を見つめた。


そして柔らかく・・・微笑む・・・
465 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:08:56.42 ID:Ul9GVM90o
が・・・




「ふ、二人は・・・ちょっと・・・」





ぬはああああああああああ!!!!!!!
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 21:08:58.17 ID:2udhCyhnP
ごめんなさい!
467 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:09:57.28 ID:Ul9GVM90o
俺の目の前に暗闇が広がり、そしてウサギとカメが久しぶりに現れた。
彼らは何故かステージで中央のマイクの前に登場する。

「はい、どうもー、ウサギでーす」
「カメなんですけども」
二人は漫才を始めた。

「いやー、ウサギ言うても足が速いと思われてますけどねー」
「耳が長いだけにね」
「そうそう・・・いや、耳は関係ないし!」
客席はドッカンドッカン来ていた・・・


「・・・あ、トオル・・・さん?」
俺は現実に戻った。目の前のマキが心配そうに俺を見つめている。
468 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:10:57.71 ID:Ul9GVM90o
俺は我に返り慌ててマキに言った。
「・・・あ、そ、そうだよね・・・ふ、二人は・・・ねえ?!」
俺は引き攣った笑顔をマキに見せる。
マキは俺をジッと見つめた後に下を向く・・・

その時、「ピリリリリリ・・・」と言う電子音が響く。
マキが気が付いて自分のカバンを探る。
マキの携帯電話が鳴っていた。
「あ・・・ちょっと・・・」
マキは横を向き携帯に出る。

俺はこの場の空気から逃れる事が出来てホッとした。
469 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:11:49.36 ID:Ul9GVM90o
「あ、ハルカ・・・?あ、うん・・・明けましておめでとう・・・」

マキが友達と話し始めたので俺はチャンスと思いマキに口だけ動かして自転車に跨がった・・・
「それじゃあ、俺は・・・これで・・・」
マキは慌てて受話器を塞ぎ「あ、トオルさん・・・!」そう言った。
俺は情けない笑顔でマキを振り返り「お・・・お休み・・・!」そう言ってマキを振り返る事無く、自転車を走らせる・・・
470 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:12:28.61 ID:Ul9GVM90o
マキは何やら後ろで叫んでいたが、俺は手を振るだけで後ろを振り返る事なく・・・
元日の夜風を切って走って行った・・・

・・・流れる涙と、嫌な恥ずかしさと共に・・・

471 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/13(土) 21:13:58.30 ID:Ul9GVM90o
今日は以上です

ちなみに今日は流星群が見えますよww
どうか皆さん、見てください

ちなみ月が出ていてはっきり見えないかもしれませんけど
とりあえず部屋を暗くして見てね!

じゃあ、また!
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/13(土) 21:14:37.37 ID:9Xm9QCo7o
トオルのいくじなしー!!!!!!!!!!
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 21:20:37.58 ID:2bgIHVuZo
乙です!
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 21:23:13.59 ID:gsbgKnDNo
ペルセウス座流星群ですよね、

埼玉県南部の家からは、薄く雲がかかっていて見れそうにないです。
お酒飲む前に気づけば、車で見に行けたかも。

お話も、いよいよクライマックスですね。楽しみにしてます。
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 22:17:08.28 ID:rZrpwDVwo
サイドストーリーも楽しみだね
少しでも長くトオルの話を聞きたいわ
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/13(土) 22:54:38.78 ID:0MLeTIGe0
トオル情報をありがとう。
でも、東京もうす曇で朧月しか見えません。。。残念。
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/13(土) 23:58:24.00 ID:U88y3DwB0
このスレ見た後に夜空見たら今までで見たことないくらいのキレイな流れ星が見れました


トオルに感謝です
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/14(日) 13:41:49.66 ID:DHV1NjTIO
サイドストーリーはスミカの出産子育てまで
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/14(日) 18:21:12.37 ID:CGl0DSbSO
>>478
> サイドストーリーはスミカの出産子育てまで

既に本編で描かれてる
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/14(日) 19:04:16.30 ID:DGfZ3lfDO
>>479
スミカが子供を産んで、その成長記録ってことじゃない?
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/14(日) 23:49:56.45 ID:+yJwGfSBo
トオルさんまだー
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/15(月) 08:22:08.02 ID:jxVBNvxSo
.          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
                      ::\ヽ   ` ´   / /::
                       ::          ,′
                       ::i  :;     :;  i::
                       ::|          |::
                       ::l         |::
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                       ::,′    /:: ::|     |::
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/15(月) 10:31:48.52 ID:vgrfvAhW0
久しぶりのおはようじょ!
やっぱ、これがないとね!!
484 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:43:35.89 ID:NisgEGHWo
乙です
お待たせしました。
すみません、前回にあと三回と書きましたが、今回の話は最終話前の話となります。
ただ、少し書くことが多くなった為に、前編としてください

後編は明日の朝には書き込みます
そして最終話を明後日の午前中には仕上げようと思っています
ですが、如何せん予定は未定と申しまして・・・もし予定通り行かなかったらすみません。

そして俺がこれを書く際に最初に申し上げました。
この話は実話を元にしたフィクションだと思って下さいと・・・
まあ、フィクションと思って頂いて結構ですが・・・実際に起きた事を俺は書いてます

それではどうぞ・・・
485 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:44:51.06 ID:NisgEGHWo
その日家に帰り俺は風呂に入りながら自己嫌悪に浸っていた。

なんだ、俺は・・・
子持ちのオッサンが若い大学生に告白して・・・それでフラれてるじゃないか・・・

『二人は・・・ちょっと・・・』

うわああああああああ!!!!
俺は風呂場のタイルに頭を打ち付ける。
最悪だ。最悪だ。最悪だ。目茶苦茶かっこわりぃぃぃ!!!!!

ユイ・・・ゴメンよ・・・恥ずかしい・・・旦那で・・・
486 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:46:50.98 ID:NisgEGHWo
「パパー、たこあげしよう」

スミカが俺に言って来た。
「んあー」
俺は畳に俯せに寝転がったまま返事をする。
「ねえ、パパー」
スミカが凧を持って俺を起こす。
えー・・・凧揚げー?ハア・・・

俺は溜息をつく。フラれてから二日が経過した。
だが、全く心が癒えない。いくつに成っても・・・子供を持っても、失恋は嫌なもんだな・・・
だが。俺はスミカを見る。スミカが悲しそうな顔をしている。

しゃーねーな。俺は立ち上がる。スミカに取って、親は俺しか居ないんだ・・・
「よし、やるか・・・タコでもイカでも揚げてやるよ」
「イカはあげないよー」
「例え話だ」
俺は笑いながらスミカの頭を撫でる。

「ねえねえ、むかいっちたちも、さそおうよー」
えー・・・あんまり今は会いたく無いなー・・・俺はそう思っていた・・・
487 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:50:53.52 ID:NisgEGHWo
「凧揚げなんか久しぶりだなー」

「ですねー、懐かしい〜」
向井さんの言葉にヨウイチも頷く。向井さんは自分の凧を持って来ていた。
「僕は凧揚げが得意でね・・・昔は『オクトパスフライヤー』と言われたもんだよ
部長が眼鏡を光らせ、そう言う。

「ちなみに、英語なら凧は『カイト』っすけどね」
サモハンがスミカの凧を見ながら言う。部長は冬の青空を見上げた。

「私さあ、凧揚げ出来た事が無いんだよねー」
リコさんが凧をジロジロ見ながら言った。
「マジwwダサッww」
向井さんの一言にリコさんが向井さんの頬をつねる。
仲良いな、おい・・・俺は向井さんとリコさんが羨ましかった。

結局、スミカの要望で向井さん達も誘った。来たのは、いつもの五人。
488 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:52:49.89 ID:NisgEGHWo
「ほら、行くぞー!!」
部長がスミカの凧を持ち走り出す。凧は風を受けてスルスルと大空を舞い上がり始めた。
「ぶちょー、すっごーい!」
スミカが喜ぶ。
「ハッハハ!!!まあ、天文部の部長としては、これ位当然さ!」
ホント、無駄に能力たけえよな。

「フフフ・・・」
向井さんが不敵に笑い自分の凧を持つ。

「・・・弐号機・・・発進・・・!」
そう言って向井さんは凧を舞上げた。
「おおー・・・スゲエ、上がる!!!」
サモハンとヨウイチが声を上げる。

「フハハハハ!!!この弐号機は、最初の零号機、つまりプロトタイプの試作機を経て初号機のテストタイプ、そして実用機の弐号機と受け継がれた物だ!!シンクロ率も俺との相性は90%を越える!!」

知らんがな。
「なにそれー」
リコさんの頭に「?」が浮き上がる。
489 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:54:34.02 ID:NisgEGHWo
その時部長の眼鏡が光った。

「シト・・襲来・・・!」
部長が持つ凧が凄い勢いで上がって行く・・・
なにそれ?

「う・・・これがセカンドインパクト・・・」
ヨウイチとサモハンが呟いた。お前らなんなんだよ。
「ぶちょー、すっごーい」
スミカは単純に喜ぶ。
「ねえねえー」
リコさんが向井さんを呼ぶ。
「なんだよ!今、コッチは大変なんだよ!」
「私にもやらせてよー」
「えー・・・」
「なによー!」
「あ、いや・・・どうぞ・・・」

向井さんが悲しい顔をしてリコさんに代わる。
「ねえねえ、これ、どーしたら良いのー???」
490 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:56:39.00 ID:NisgEGHWo
「シンクロ率が下がるんだけどな・・・」
「えー??なにー???」
「何でもねーよ、糸を持って、んで風に合わせて糸を引いたりするんだよ」
「え、こうー??」
リコさんが思いっ切り糸を引く。
「ば、バカー!!そんなに引くなああああ!!!」

ブチッ。
凧はクルクル回転しながら空から落ちる。
「うわああああ弐号機がああああああ!!!」
向井さんが叫んだ。

「暴走してる!!!!」
ヨウイチとサモハンが上手い事を言った、みたいな表情で叫んでいた・・・
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/15(月) 15:57:06.80 ID:QJolMjRjo
トオル遭遇した

自分のペースでおk
492 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 15:59:28.71 ID:NisgEGHWo
「ああー・・・俺の弍号機が・・・」

向井さんは、そう言ってビールを飲む。
「結局・・・人類補完計画は・・・実行されたんですね・・・」
ヨウイチがそうシミジミ言って日本酒を飲んだ。
「さっきから、何それ?」
リコさんが訝しげに見てくる。いつもの様に凧揚げの後で俺の家で飲んだ。

「所で、トオル君、今日マキちゃんは?」
ぎくっ。リコさんの質問に俺は焦る。
「え・・・あ、いや・・・な、なんか友達と旅行を・・・」
「へーそうなんだ」
流された。俺は軽くホッとする。が・・・

「・・・そんな事で私が納得すると思った?言いなさい、何が有ったの?」
ギクッ!
「な、なんで・・・」
「トオル君、昔から分かりやすいからねー」

リコさんがクスクス笑う
493 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:01:08.42 ID:NisgEGHWo
分かりやすいの?俺?

「さあ、何が有ったか、お姉さんに話してみなさい」
リコさんに続いてヨウイチが言う。
「お兄さんにも話してみなさい」
「おっちゃんにも、聞かせてくれんかのぉ」
「おいどんも聞きたいでごわす」
「拙者、かくなる上は腹を切る所存でござる」

最後誰だよ。
俺は溜息をつく、スミカが眠っている事を確認した後に皆に話した。
聞き終わるとヨウイチが「まあ・・・ドンマイ」そう言う。
向井さんはグビッとビールを飲んだ後に呟く。

「まあ・・・また来年の夏があるさ」
ねーよ。どこの高校球児だよ。サモハンは名残惜しそうに俺にカラムーチョを渡す。
いらねーし、そんなに惜しいのかよ
494 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:02:30.20 ID:NisgEGHWo
部長は眼鏡を指で押し上げる。
「一句・・・読もうか・・・?」
「いらん!!」
思わず声が出た。

「でも、あれでしょ?」
リコさんが言う。
「ここからが、トオル君の本領発揮じゃない・・・ユイの時だって・・・一度フラれてから・・・」
「違いますよ」
俺はリコさんの言葉を遮った。

「え?」
「全然・・・違いますよ・・・ユイの時とは・・・」

皆が俺を見る。俺はグラスに入った焼酎を眺めた。

「ユイの時は・・・俺達は二人とも高校生だったんだ・・・」
そうだ・・・あの時は俺達は高校生だった。

だから・・・二人の未来があった・・・
495 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:04:45.01 ID:NisgEGHWo
「俺はフラれた後、かなりショック・・・て言うか恥ずかしかった・・・だけど・・・何が恥ずかしいか分からなかったんだ」
「フラれた事だろ?」
ヨウイチが言う。その言葉に俺は首を横に振った。

「最初は・・・そうだと思ってた・・・だけど、それは違う事に気が付いたんだ」
「どーゆう事・・・?」
リコさんが尋ねる。

「俺はね・・・自分の事しか考えて無かった・・・マキさんに、ユイを感じて、ユイを思って・・・それを押し付けていたんだ・・・」
「そりゃ、仕方ねーだろ・・・あれだけ、ソックリなんだし」
サモハンの言葉に俺は笑う。
「いや、正直、俺は最初は全く似てないって思ったんだ・・・でも、段々マキさんに対して、デジャブを感じた、そして、いつの間にかユイを・・・ユイをマキさんに当て嵌めて・・・そして好きになっていった」
496 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:06:00.75 ID:NisgEGHWo
俺の言葉に部長が笑う。
「恋愛なんて、そんなもんだろ?じゃあトオル君はマキちゃんを本気で好きじゃ無かったの?」
「いや・・・本気で好きでしたよ・・・」
「じゃあ、良いじゃない・・・まだ頑張りなよ・・・」
リコさんが言う。
「違います・・・本気で好きだから・・・だから俺じゃ・・・ダメだ・・・そう思ったんです・・・」
「どーゆう事か分からん」
サモハンが言った。俺は眠っているスミカを見る。

「もしも・・・スミカがね・・・子連れの男を・・・結婚相手に・・・選んだら・・・と思って・・・」

皆が「あっ」と言う声を出す
497 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:07:13.06 ID:NisgEGHWo
「スミカは自分の子供では無い子を育てなきゃならない・・・俺はスミカには、普通に育って、普通の結婚をして・・・普通に出産して・・・普通に子育てをして欲しいんだ・・・」

俺の言葉に皆が黙る。
「マキさんに両親は居ない・・・だけど両親は俺みたいな男を選んで欲しくない・・・絶対にそう思っている筈なんだ・・・」
俺はユイの写真を見る。

「だから・・・本気で好きなら・・・俺はマキさんを諦めるべきで・・・ましてや付き合うだけとかは・・・今の俺には無理だ。だってスミカは切っても切れないから」

皆が黙って下を向いた。全員が俺の言葉に何も言わなかった。
ただ・・・向井さんだけは終始無言でビールを飲んでいたのであった・・・
498 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:09:05.92 ID:NisgEGHWo
正月休みが終わり忙しい毎日が始まった。
あれからマキの事を一度も考える事は無かった・・・と言えば大嘘だ。

俺は毎日、マキを思っていた。
マキの事を考え、そして振り払う毎日であった。
スミカが「ママに会いたい」そう毎日の様に言う。
だが俺は怒るでも、叱るでも無く優しくスミカを抱きしめ「ゴメンな・・・マキ姉ちゃんは、今は忙しいんだよ」そう言う。
スミカはその時は、それ以上何も言わない。
だが、何かの折に、またマキを思い出し「ママは・・・?」そう言う。
俺は、その都度スミカを抱きしめ諭していたんだ・・・

日々は流れて行く・・・マキからの連絡は無かった。いや、あったかもれない。
499 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:10:49.76 ID:NisgEGHWo
何回かすぐに切れる留守電が入っていたからだ。
恐らく留守電になった為にメッセージを入れようとしたが、結局辞めて切った・・・その様な電話が何回かあった。
マキも・・・あのまま別れて、後味の悪さを感じているんだろう。
俺みたいな男の為に・・・申し訳ないよ。ホントに・・・


時が緩やかに過ぎていく・・・1月も終わりが近付き寒さが増した時だった。

「飲もうぜー」
そう言って閉店間際に向井さんとヨウイチ、サモハンがやって来た。
「あ、じゃあ待ってて下さい」
そう言って俺はスタッフに明日の指示をして店を出た。
店を出るとヨウイチが言う。
「お前もイッパシになったんだな」
「まあ、ベテラン勢が二号店に付きっ切りだから、俺が仕切るしか無いんだよ」
500 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:13:03.55 ID:NisgEGHWo
「俺なんか、今からだもんなー」
「でも、国家試験通ったら医者だろ?」
サモハンが言う。
「嫌々、まだまだ修業が長いんだよ、医者は」
「それを思えば向井さんは凄いっすね、二代目でバリバリやっていて」
「いや、社長つっても、親父が会長として居るし、大手にゃペコペコと頭を下げにゃならんしな・・・一回で良いから、大手の奴を殴りたい・・・サモハンの方が良いだろう?弁護士として、やってんだし」
「いや、俺もまだイソベンですからねー」

そう言って全員が溜息をついた。
「大人になるって・・・大変だよな・・・」
つくづく、そう思う。
「あれ?今日はポリスメンはどうしました?」
「勤務みたいだな」
「暇潰しに、見に行きますか」
「だな、スミカを迎えに行ってから行きましょう」

そういや、部長が仕事をしている所を見た事が無かったな・・・
501 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:14:33.94 ID:NisgEGHWo
「うわっww制服着てんぞ、あの人ww」
「俺は部長の事だから、てっきり両津みたいな警官かと思ったが以外だなww」
「ぶちょーww」
スミカがはしゃぐ。

「とりあえず・・・ヨウイチ、行って来いww」
「え?マジっすか?捕まんないですよね?」
「大丈夫、捕まったら俺が弁護してやるww」
皆にそう言われヨウイチが交番に向かった。ヨウイチは交番のドアの前で叫んだ。

「本官さーん、こにゃにゃちわ、なのだー!」

すると部長が顔を上げヨウイチを見ると眉間にシワを寄せる。ヨウイチは慌ててコチラに走って来た。
「ヤバいっすって!部長、ちょっと怒ってますよ!」
「お前がツマラン、ボケをしたから部長が対応に困ってるんだよ!おい、サモハン行け!」
502 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:16:31.26 ID:NisgEGHWo
「合点だー!」
サモハンは交番の前に行くといきなり、振り付けを付けて踊りだした。

「ダッダーン!ボヨヨン、ボヨヨン!ダッダーン!」
「うわ・・・懐かしい・・・」
「力技だな、おい」
部長は眉間にシワを寄せながら交番の前に出て来たので、俺達は逃げた・・・


「あー、部長、怒ってたなー」
「そりゃ仕事の邪魔されたらねー」
「ちなみに、俺はいつも仕事の邪魔をされてるんだけど・・・」
俺の言葉を皆が無視した。俺達はコンビニで酒を買い込み俺の家に到着する。

「ああー、トオルなんか作れよー」
「何が良いっすかー?」
俺が答えた時にサモハンが「手紙入ってんぞー」そう言ってポストを開ける。
「いや、勝手に開けんなよ」
俺はそう言うとサモハンが手紙を見て止まっていた。
503 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:17:47.25 ID:NisgEGHWo
「なんだよ・・・?」
俺が呟くとサモハンは俺に手紙を渡す・・・

「マ・・・マキちゃんから・・・」
・・・!

俺はサモハンから手紙を受け取ると・・・それを開封した・・・

『お久しぶりです。お元気ですか?本当は会ってお話しがしたかったんですけど、会う勇気が無くて、手紙を投函させて貰いました・・・』

皆が後ろから手紙を覗き込んでいたが、俺は気にせずに手紙を読み進める。
504 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:20:05.72 ID:NisgEGHWo
『私はあの日の事が忘れられません。
あの日、トオルさんが言ってくれた言葉・・・私は返答の仕方を間違えてしまいました。
そしてトオルさんは恐らく私の言葉を額面通りに受け取ってしまったんだと思います。
いえ、私の言い方が悪かったんです・・・』

・・・え?

『私は・・・

”二人で無くて三人で・・・”

そう言いたかったんです・・・
ごめんなさい。この言い方もややこしいですよね?
えっと・・・私は、トオルさんを、一人の男性として見始めてからは・・・
スミカちゃんも”切っても切り離せない存在”そう思っていました・・・』

俺は目を見開く。
505 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:23:40.26 ID:NisgEGHWo
『だからトオルさんと二人では無くてスミカちゃんも含めて・・・

”三人”で一緒に居たい・・・そう勝手に思っていたんです』

マキ・・・

『ごめんなさい。私の勝手な思い込みでしたら、すみません・・・
でも、トオルさんがスミカちゃんを大事な存在だと思う様に、私もスミカちゃんを大事な存在だと思いたかったんです』
506 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:25:44.25 ID:NisgEGHWo
『ダメならすみません。私の気持ちだけを伝えます・・・トオルさん・・・会いたいです・・・』


『トオルさんとスミカちゃんに・・・今すぐ会いたいです』



ヨウイチが俺の顔を見て肩を叩く。
「・・・おい・・・!」
「こ、これは・・・」
サモハンが俺の腕を握りしめた。俺は手紙を見続ける。
「・・・トオル・・・何してんだよ・・・」
「い、今から・・・行くか・・・?」
二人の声が震える。俺はまだ黙って手紙を読んでいた。
507 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:27:23.59 ID:NisgEGHWo
「おい、トオル!」
「お前、何してんだよ!」
二人が騒ぐ。

「トオル・・・」
「行かない・・・!」
俺は二人の声を遮る。手紙を降ろして顔を上げた。
「前に・・・言ったろ・・・行かないよ・・・俺は」
「おいおい、お前何を言ってんだよ・・・」
ヨウイチが笑う。
「そうだ、向こうから言って来てんだぜ・・・」
サモハンも少し笑う。俺は手紙を封筒にしまう。
スミカは不安そうに俺を見ていた。

「俺は・・・マキには普通の生活をして貰いたい・・・普通の幸せを手に入れて欲しいんだ・・・」
「ちょ・・・お前さあ・・・」

ヨウイチが声を詰まらせる。
508 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:29:47.67 ID:NisgEGHWo
「両想いなんだからさ・・・好きなんだろう?」
サモハンが頭をかきながら言う。
「・・・好きだから・・・」
「えっ?」
俺は二人を向く。

「好きだから・・・だから、相手の幸せを願うんだろうが!!」
少し声を荒げた。
「俺だってな・・・俺だって、飛び付きたいよ!!今すぐマキさんの元に走りたいんだよ!!!でも、ダメなんだよ!!!感情だけで動いたらダメなんだよ!!!」
俺は下唇を噛み締める。

「マキさんの幸せを・・・願うしか出来ないんだよ!!!」

それだけ叫ぶと俺は下を向いた。そして手紙を握り締める。
二人は黙り込む。スミカは俺のズボン掴んで俺を見ていた
509 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:31:16.54 ID:NisgEGHWo
静まり返る中で・・・黙って見つめていた向井さんが口を開いた・・・

「・・・なあ?」
俺は向井さんん見る。
「前から・・・気になってたんだけど・・・お前が言う『普通』って・・・なんだ?」
「え?」
「いや、いつも言ってたじゃん・・・お前・・・『普通』の生活がしたいって・・・」
「いや、普通ってのは・・・一般的に常識の中での・・・」
「常識の中・・・」
「そうです・・・大多数の人が体験する・・・生活ですよ・・・」
「ふーん・・・」

向井さんは、そう言うとスミカの頭を撫でた。
「例えば・・・両親が居て・・・小中高と、何も考えずに・・・通って行く・・・事か・・・?」
向井さんの言葉に俺は頷く。
510 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:33:04.53 ID:NisgEGHWo
「そうです・・・」
「で、高校で普通に勉強して、普通の友達付き合いをして・・・高校を出たら、大学に行って・・・一般企業に勤めて・・・普通に恋愛をして・・・普通に結婚して・・・普通に子供を作る・・・てか?」
「・・・はい・・・それが普通の生活です・・・」

ん・・・?あれ?
向井さんがしゃがみ込みスミカに笑いかけた。
「そして・・・普通の生活を手に入れる・・・と」
「・・・はい・・・」
・・・あれ?なんだ・・・?

「高校を出て・・・すぐに料理人なんかには・・・ならない・・・」

向井さんがしゃがみ込んだまま呟く。
あれ・・・?
511 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:34:18.90 ID:NisgEGHWo
「高校を出て・・・すぐに結婚なんか・・・しない・・・」

向井さんの言葉に俺は焦り始めていた。
「高校での、友達は高校での・・・付き合い、と・・・皆で馬鹿騒ぎしたりしないし・・・勿論、『サブマリンの奇跡』や『フランスパンの奇跡』なんか起きないし・・・そして・・・ソイツらとは卒業してからも・・・頻繁に会う事は無い・・・と?」
俺は下を向いた。

「高校を出てすぐに結婚をする事も無いから・・・小さなアパートで二人で星空を眺める事もねーし、二人で手に手を取って頑張って生活する事も無い・・・」

向井さんは尚も続ける。俺は下を向いていた・・・
512 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:36:05.60 ID:NisgEGHWo
「そして、勿論・・・子供が出来る事も・・・無く・・・スミカは・・・生まれて・・・来ない・・・のかよ・・・?」

向井さんは俺を睨む・・・

「だから・・・だから、ユイは最後まで頑張る事も無いのかよ!!!!」

向井さんは叫んだ。
「ユイはあんなに精一杯生きる事はねーのかよ!!!必死で短い人生を生きる事はねーのかよ!!!」
俺は顔を上げる・・・

「ユイの人生を・・・全否定すんのかよ!!!!ユイは幸せじゃ無かったのかよ!!!!そんで、お前は・・・」
513 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:37:37.13 ID:NisgEGHWo
向井さんは下を向いて言葉を詰まらせた・・・


「お前は・・・お前の人生は幸せじゃ無かったのかよ!!!!!!」


俺は体をヨロケさせる・・・

俺の人生は・・・
仲間に巡り会えて・・・
皆で騒いで・・・
皆で笑い合って・・・
そしてユイと・・・小さなアパートで二人で暮らした・・・

俺の目から涙が溢れた・・・
そうだ・・・全力で生きた・・・ユイは小さな命を・・・全力で生きたんだ・・・
俺は・・・俺は・・・


『幸せ』だったんだ・・・!
514 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:40:32.56 ID:NisgEGHWo
スミカが俺の手を握った。
俺はスミカを見る。スミカが俺に優しく微笑んだ・・・

「人の幸せなんざ・・・ソイツの気持ち次第なんだよ・・・」

向井さんが俺を見つめる。俺も向井さんを見る。サモハンが俺の元へ来る。
そして懐から携帯電話を取り出した。

「掛けろ・・・マキちゃんに・・・」
「・・・サモハン・・・」
「今すぐ掛けて、そんで迎えに行け・・・」
515 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:46:57.46 ID:NisgEGHWo
「サモハン・・・」
「良いから・・・」
向井さんも頷きながら・・・呟いた・・・

「サモハン・・・携帯、持ってたんだ・・・」

その瞬間サモハンが頭を押さえた。
「しまったあああああああ!!!!!!」
「なんで、俺に番号を・・・言わないんかな?」
「いや、違うんすよ!こ、これには深い訳が有りまして!!!」
「いや、別に良いんだよ・・・久しぶりに焼豚祭りをするだけだし・・・」

その瞬間にサモハンが脱兎の如く駆け出した。
「待て、こらああああああ!!!!!」
魔王の顔をした向井さんが追い掛ける。

俺はそれを見て益々、携帯電話を持つのは辞めよう・・・
そう心に決めたのであった・・・


焼豚祭りはさておき・・・
俺とマキは、その日・・・付き合う事になった・・・
516 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/15(月) 16:47:49.13 ID:NisgEGHWo
とりあえず前編は以上です

それでは!
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/15(月) 16:52:28.11 ID:yyGrF+Ebo
わっふりゃああああああああああああああ
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/15(月) 16:52:35.17 ID:vgrfvAhW0
お疲れ様です!
明日もwwktkしながら待ってます!!
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/15(月) 17:09:07.04 ID:4KOkfKXho
おおお乙です!
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)2011/08/15(月) 17:14:44.13 ID:DcuLklewo
最後の一行あっさり書きやがってwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/15(月) 17:15:11.65 ID:1w4WSGjxo
そして・・・突き合ったのだった・・・
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮崎県)[sage]:2011/08/15(月) 17:28:50.19 ID:nfi9fuYlo
向井さんが良い人すぎて画面が見えない
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/15(月) 17:45:05.22 ID:BM5JtEAgo
スミカちゃん
部長の制服姿にあこがれて
将来の職業は婦警さんに決定だな
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/15(月) 17:51:08.98 ID:ute2+rK2o
リアルタイムでエヴァ見てた人達って相当希少じゃね?
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/15(月) 20:52:33.86 ID:QTMbR8WIO
>>524
おい







おい

今年30の俺をディスってんの!?

(´;ω;`)
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/15(月) 20:54:33.26 ID:eknFnPobo
20世紀生まれを骨董品扱いとは……orz
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/15(月) 22:21:04.80 ID:IYnH2y1oo
まだ20代前半の俺は骨董品なのか…orz
朝5時起きは無理だったなぁ…懐かしいww

てかその当時にエヴァ放送してたのならスミカちゃんは
俺より年下ということか…
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/15(月) 22:46:46.12 ID:HXCl55kko
トオルおつ!
次も待ってる!
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 01:42:26.04 ID:HiHoOs6Fo
今はレンタルで「エヴァ見たw俺オタクww」みたいなファッションヲタがいる、生まれる環境もあるけど
話題になる前からリアルタイムでエヴァを見てた人達は希少なヲタ層なんじゃないかって言いたかったんです
すいません憶測ですけど
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/16(火) 03:24:01.81 ID:AYpzSxkwo
>>529
当時18位だったけど
俺の周りオタじゃないけど普通に皆見てたなぁ
531 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:13:20.95 ID:Sw+ePXw2o
おはようございます
それでは後編をどうぞ
532 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:15:12.12 ID:Sw+ePXw2o
「はーい、お鍋が出来ましたよー」

リコさんが、そう言って鍋を持ってテーブルに置いた。
「おなべー」
スミカが手を叩く。
「あ、リコさん、コンロ、コンロ」
マキがコンロを持って慌てて来た。
「あ、忘れてたww」
「馬鹿か、その鍋どこに置く気だww」
向井さんが笑う。リコさんは笑顔で向井さんに言った。

「アンタの頭」
「すみませんでした」
向井さんが謝った。

今日は向井さん、リコさん、そしてマキの三人が家に来て鍋をした。
533 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:16:19.85 ID:Sw+ePXw2o
「やっぱ、寒い日は鍋だなー」
「だよねー」
「あったまりますよねぇ・・・スミカちゃん、フーフー出来る?」
マキの言葉にスミカは必死にフーフーしていた。
「貸して」
マキはスミカの皿を取り、具を割って冷めやすい様にしてフーフーして冷ます。

「はい、これで熱く無いよ」
「ありがとー」
スミカはニコニコして食べた。

「なんか・・・本当ね親子だね、マキちゃんとスミカちゃん・・・」
リコさんが目を細めて二人を見る。
「だな・・・」
向井さんも頬杖をついた
534 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:18:03.73 ID:Sw+ePXw2o
「トオル君・・・良かったね!」
リコさんの言葉に俺とマキは顔を見合わせ照れた。
リコさんはスミカを見ながら言う。

「あ〜あ・・・私も・・・子供作っちゃおっかな・・・」

向井さんは豆腐を吹き出した。
「な、おま・・・な、なにを・・・ゲホッ、ゲホッ」
向井さんは言葉に成らずにむせる。
「あらー・・・向井さん・・・どうします?」
何故かマキがワクワクしていた。
「なーんで、アンタが慌てんのよ!」
「い、いや・・・だ、だって・・・」
リコさんの言葉に向井さんが益々慌てる。

「え?もう付き合ってるんです?二人は?」
マキが小声で俺に尋ねる。
「難しい質問だな・・・それは・・・」
俺は二人を見ながら答えた。
535 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:19:14.72 ID:Sw+ePXw2o
「誰もアンタの子供とは言ってないでしょ!」
「俺も、お前に俺の子種はヤラン!」
「要らないし!」
二人が言い争う。

「な?よく分からんだろ?」
「うん・・・でも・・・」
「え?」
「仲が良いのは・・・伝わりますww」
「ああー・・・そうだなww」
俺達はクスクス笑って、二人の喧嘩を見ていた・・・


お開きになり俺はマキを送りに行く。
「リコさんと向井さん・・・上手く行って欲しいな・・」
自転車の後ろに座るマキがシミジミ、そう言う。
「そうだなー」
冷たい夜風が俺の顔に当たる。
536 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:20:30.17 ID:Sw+ePXw2o
マキの両手は俺の腰を掴んでいるが、以前の様に怖ず怖ずでは無く、俺の腰に手を回す様に掴んでいた。
「あのね・・・トオルさん・・・」
「んー?」
俺が返事をする。
「14日・・・夜に会えますか?」
「14日・・・うん、勿論大丈夫だけど?」
「あ・・・じゃあ夜に・・・お家に行きます・・・」

ん・・・14日・・・?
2月・・・14日・・・

俺は思わず後ろを振り返る。マキが恥ずかしそうに俺を見ながら笑っていた・・・

「あ・・・た、楽しみにしてるよ・・・」
「・・・はい・・・ww」
537 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:21:41.64 ID:Sw+ePXw2o
「でね・・・」
マキが再び口を開く。
「さっきね、その日、リコさんと・・・一緒にチョコを作る約束をしたの・・・」
「うん・・・」
「リコさん・・・向井さんに・・・渡すみたい・・・」

・・・!!!

「マ、マジ????」
思わず大声を出した。
「そう・・・あ、でも向井さんには内緒でね・・・」
「あ、ああ・・・もちろん・・・でも・・・そっか・・・」
向井さんとリコさんは遂に・・・
「あ、だからね、もし良かったらスミカちゃん保育園をお休みさせて・・・リコさんと三人でチョコを作ろうかと思って」
538 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:23:01.32 ID:Sw+ePXw2o
「え?大丈夫?スミカがいて?」
「スミカちゃんも、パパにチョコをあげたいんじゃないかな?」

スミカから・・・チョコか・・・
あ、なんか超嬉しい・・・
スミカとマキ、二人からチョコを貰えるのか・・・
そんでリコさんが向井さんにチョコを渡す・・・

なんか・・・スゲエ、幸せだな・・・
俺は夜空を見上げながら・・・



今の幸せを噛み締めていた・・・



539 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:24:18.71 ID:Sw+ePXw2o
2月14日。
調度七年前の今日。俺とユイが付き合った日。

その日は朝からどんよりとした天気で、天気予報は雪のマークを出していた。
「さむいねー」
朝起きたスミカは空を見ながら言う。
「だな・・・スミカー、早くお着替えしなさい」
「はーい」
「あ、その前にママにご挨拶は?」
「あ、そうだ」
スミカはユイの写真の前に座り手を合わせる。
「おはようございます」
そう言って頭を下げた。
「ほれ、次はお着替えだ」
「はーい」

スミカが着替え始める。
540 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:25:50.86 ID:Sw+ePXw2o
俺は窓の外を見た。益々どんより雲が広がっていた。
嫌だな・・・雪か・・・


支度が終わりスミカを自転車の後ろに乗せてマキの家に向かう。
「くも、いっぱいだねー」
スミカがそう言う。
「そうだな、てか、寒い・・・」
ハンドルを握る手がかじかんでいた。マキの家に到着してインターフォンを鳴らす。
「はーい」
そう言ってマキがドアを開けた。
「おはよう、スミカちゃん」
マキは笑顔で挨拶をする。
「おはよー」
「今日はごめんね」
俺の言葉にマキは笑顔で首を横に振り、「今日の夜、お楽しみにww」笑った。
541 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:27:12.76 ID:Sw+ePXw2o
「いや、楽しみだねー、女の子二人からチョコを貰うなんて夢みたいだよ」
「モテモテだね、トオルさん」
二人で顔を見合わせて笑った。
「それじゃあ・・・俺は行くよ」
「はーい、じゃあスミカちゃん・・・パパに行ってらっしゃいして」
マキはスミカを抱き抱え俺に笑顔で手を振った。
「行ってきまーす・・・」
そう言って、そのまま行こうとした瞬間に俺は立ち止まった・・・

そして振り返る・・・
マキがキョトンとした表情で俺を見つめている。

え・・・?

俺はしばらくマキから目を離せない・・・
だが、思い直して再び手を振りエレベーターに向かった・・・


デジャブ・・・?
今、デジャブを感じた・・・

マキが・・・



マキが凄く綺麗に感じたんだ・・・
542 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:28:37.36 ID:Sw+ePXw2o
「おい、降って来たぞ」

シゲルさんが、そう言って店の中に入って来た。
「雪、っすか?」
ヒロシさんが言う。
「ああ、こりゃ寒いから積もるかも知れんな」
シゲルさんは仕込みを始める。俺は野菜を切りながら窓の外を見た。
外には大きな粒の雪がシンシンと降っていた。
うわ・・・大雪じゃん。嫌だなあ・・・帰り自転車、大丈夫かな?
スミカをマキに預けていて助かったよ・・・自転車で帰るのは危険過ぎる・・・


急に目の前に傘が雪の中で飛んでいくイメージが湧いた。


うん・・・?なんだ・・・?
俺は特に気にせずに野菜を切り続けていた・・・
543 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:30:14.38 ID:Sw+ePXw2o
「うわ、寒いぞー」

昼過ぎに向井さんが肩と頭にタップリ、雪を積もらせて店に入って来た。
「なんだ?そんなに降ってんのかよ?」
シゲルさんが向井さんに尋ねる。
「凄いっすよ、電車が遅延してますもん」
「都会は雪にヨエーな、本当に」
シゲルさんは呆れる様に言って向井さんにタオルを渡してやった。
「あざっす、トオルー、なんかあったかいモンくれよー」
「じゃあ、スープでも入れますか」
俺はそう言ってコーンスープの用意を始める。

「なあ、今日マキちゃんとリコ一緒なのか?」

あ・・・
俺は顔に出さない様にしながら言った。

「らしいっすね・・・」
544 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:33:14.33 ID:Sw+ePXw2o
「何をしてんだ?」

アンタのチョコ作りだよ。
とは言えず俺は黙ってコーンスープを皿に盛り向井さんに出した。
「アレじゃ無いですか・・・」
「うん?」
「最高機密会議でもしてるんじゃないっすか・・・」
・・・・
・・・・


その日は雪の為か客の入りが少なかった。
向井さんを含めて客は四組だけ。俺達は暇を持て余していた。
俺が茹でたジャガ芋を潰していると、目の前に雪の中を赤色灯がクルクル回るイメージが湧く。

なんだ・・・?
まあ、良いや。
545 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:34:25.80 ID:Sw+ePXw2o
向井さんは新聞を読みながらナポリタンを啜っている。
カタカタカタカタ・・・と包丁を切る音が厨房に響いた。

静かだな・・・再び窓の外を見た。
雪はまだ降り続いている。
チラリと時計を見た時、午後2時15分を指していた・・・

その瞬間、向井さんの携帯電話がけたたましい電子音を鳴らす。
俺は何故か向井さんを見つめた。

「おう・・・どうしたんだよ・・・」
向井さんが罰が悪そうに俺をチラリと見た。

ははーん・・・リコさんか・・・
俺は聞いていないフリをしながら、野菜を切り始める。
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/16(火) 09:35:29.16 ID:8pTC0DDko
嘘だろ
547 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:35:46.00 ID:Sw+ePXw2o
「え?お、おい・・・どうしたんだよ・・・落ち着けよ・・・」
向井さんが少し慌てた様にリコさんに話している。
「え・・・?なんだって・・・?」
何をそんなに慌てているんだよ、リコさん・・・
今日、向井さんにチョコを渡すからテンパってんのかよ・・・
俺がそう思った瞬間にガタッと音が響いた。

向井さんが携帯を持ったまま立ち上がっている。
そして顔色を変えて俺を見つめている・・・

え?
俺の心臓が急に凄い音を立て始めた・・・

目の前に雪の中で舞い上がる傘と赤色灯が輝イメージが又もや沸き上がった・・・
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 09:36:15.11 ID:d8SmHPmA0
>>赤色灯がクルクル回る

え? なんか怖い事が起こるのかな・・・
549 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:36:41.96 ID:Sw+ePXw2o
向井さんは俺を見つめたまま目を見開いている。
俺は耳を塞ぎたくなる・・・

聞いちゃいけない・・・
が、聞かなきゃならない・・・そんな気持ちもある・・・

頭の中が白くモヤがかかった様なイメージがあった。
まるで全てが夢の中の様なイメージ・・・
そして向井さんが俺に告げた・・・


「マキちゃんが・・・事故に遭った・・・」


そんな言葉は聞きたく無かったのに・・・
550 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:38:10.78 ID:Sw+ePXw2o
向井さんの車で病院に向かう。だが雪の為に渋滞していて中々進まない。

「・・・雪でスリップした車が・・・歩道に突っ込んで来たらしい・・・」
助手席に座る俺はボンヤリとしたまま向井さんの言葉を聞く。

「マキちゃんは・・・スミカを守る為に・・・スミカを突き飛ばして・・・」
俺は目を見開いた・・・そして頭を抱える。

「大丈夫だ!!!絶対に大丈夫だぞ!!!トオル!!!」
向井さんが運転席からそう叫ぶ。
俺の体が揺れ始めた。

なんだ?地震か・・・?
いや、違う・・・

俺の足が震えてるんだ・・・
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 09:38:55.79 ID:o8ij6Lft0
書き出しから嫌な予感してたが…的中とは…
552 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:39:20.35 ID:Sw+ePXw2o
「くそっ!!!早く行けよ!!!!」

向井さんは苛立ちながらハンドルを叩いた。
「・・・向井さん・・・」
俺が掠れた声を出した。
「暖房・・・もっと効かせて良いですか・・・?」
「え?」
「寒くて・・・」

向井さんが俺を見るとギョッとした表情をした。
俺がガタガタと震えていたからだろう。

「トオル・・・」
「寒いんすよ・・・なんか寒くて・・・」
俺は両腕で自分の体を抱く様にして震えた。

マキ・・・
マキ・・・
頼む・・・
頼む・・・無事でいてくれ・・・!
553 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:40:39.54 ID:Sw+ePXw2o
病院に到着した俺達は、待合室のベンチに座るリコさんとスミカを見つけた。

「リコー!!!」
向井さんがリコさんの名前を呼ぶ。
リコさんは目を真っ赤に腫らしながら泣いていた
「向井くん・・・トオルくん・・・」
リコさんが向井さんに追い縋った。

「マキちゃんは・・・?」
リコさんは蚊の鳴く様な声で答えた。
「手術・・・中・・・」
「どんな状態なんだ???」
向井さんがリコさんの両肩を支えながら尋ねる。

「頭を強く・・・ぶつけてて・・・頭の中に血が・・・」

頭の中に・・・血って・・・それ・・・ヤバいんじゃないの・・・?
554 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:41:39.43 ID:Sw+ePXw2o
俺はスミカを見た。
スミカは泣きじゃくっている。

「・・・スミカ・・・」
俺が呟くとスミカは俺に抱き着き「マ・・・ママが・・・ママアアアアアアア・・・」そう泣き叫んだ。
俺はスミカを抱きしめる。
スミカはシャックリを上げる程に泣いている。

「ママ・・・ママ・・・ママ・・・ママ・・・」
そう譫言の様に呟いている。俺はスミカを強く抱きしめる。
そして言った。

「・・・大丈夫・・・大丈夫だ・・・ママは・・・ママは何とも無いから・・・」

そう言う俺が一番泣きそうだった・・・
555 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:42:46.31 ID:Sw+ePXw2o
待合室で俺達は黙って待った。
何時間もの時間が経過した様に思えた。
目の前を看護婦や医者が慌てる度に俺達は立ち上がり、手術室の方を見つめる・・・

だが、手術室のドアが開く事は無かった。
スミカは泣き疲れ眠り始めた。
リコさんは顔の前に両手を合わせてずっと祈っている。
向井さんは怒った様な表情で手術室を見つめていた。

途中に警察が何回か現れてリコさんに事故状況を確認する。
リコさんは小さな声でポツポツと話をしていた・・・

突然手術室が慌ただしくなった。
医者や看護婦が専門用語を話し何かを言っている。
俺は心臓が競り上がる様な気持ちになる・・・
556 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:44:17.57 ID:Sw+ePXw2o
医者が現れ俺達の元へ来た。

「ご家族の方ですか?」
「いえ・・・彼女には家族がおらず・・・俺達は友人です・・・」

向井さんが代表して、そう言う。医者は頷くと淡々と現状を話し、最後に告げた。


「非常に危険な状態です・・・」
と・・・



それからの数時間が何日かの様に思える程に長かった。
俺の目の前がモヤが掛かってる様に現実感が無い。
何かの夢の様だった。夢なら覚めてくれ・・・
俺はひたすら、そう願い続ける。向井さんが俺の肩をずっと抱いていた
557 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:45:27.82 ID:Sw+ePXw2o
ユイ・・・

俺はユイを思った・・・
ユイ・・・頼む・・・助けてくれ・・・!

ユイ・・・

俺はお門違いは承知でユイに祈っていた・・・




それから・・・何分後かは分からない・・・
いや、何時間が経過していたかも知れない。

手術室の扉が開き医者が出て来た。
俺はそれを、まるで夢の中の世界の様に感じた。
向井さんが立ち上がり医者を見たのを覚えている。
558 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:46:21.95 ID:Sw+ePXw2o
「22時14分・・・最善を尽くしましたが・・・御臨終されました・・・」

そう告げられた瞬間に意味がよく分からなかった。
向井さんは膝を崩して座り込む。
リコさんは声を上げて泣き出した。
目の前に霞みがかかっている。

なんだ・・・?どう言う事だ・・・?
なんで・・・?

俺はフラフラしながら、手術室から搬送されて来たマキを見た・・・
ただ眠っている様に感じた。
559 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:47:33.56 ID:Sw+ePXw2o
え・・・?
これ・・・マジ・・・?
本当なのか・・・?
悪い夢だろ・・・?
目が覚めたらまた今日の朝から始まるんだろ?

目の前の霞みが取れない。霞みが有ってマキの顔がハッキリ見えない。

絶対に夢だ・・・だって、こんなに霞みが掛かってるんだから・・・
向井さんが俺に何かを言っている。
よく聞き取れない・・・
リコさんはベンチに伏せて泣き崩れている・・・
560 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:48:21.62 ID:Sw+ePXw2o
スミカは目を覚まし、俺に何かを言っていた・・・


また・・・俺は失ってしまった。
何回目なんだ・・・?
両親を亡くし・・・
ユイを亡くし・・・
マキまで亡くした・・・

俺はいつに成ったら・・・普通に暮らせるんだ?
いつに成ったら・・・


いや。無理なんだろう。
俺はダメなんだ・・・


俺は呪われた人間なんだ。
561 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:49:20.54 ID:Sw+ePXw2o
俺が愛する人間は皆死んでしまうんだ。
ユイも・・・マキも俺のせいで死んだんだ・・・

そう思った瞬間に胸がえぐられる様な痛みを感じた。
そして涙なのかよく分からない物が目を伝い、俺は頭を抱えて叫んでいた・・・


痛い。胸が痛い。凄く痛い。
こんな事なら・・・マキに出会わなければ良かった・・・
俺に出会わなければ・・・マキは死ぬ事は無かった・・・
そうだ・・・

そして・・・
そしてユイも・・・
ユイとも出会わなければ良かった・・・


こんな胸の痛みを何度も経験するなら・・・
そもそも・・・俺は生きてるべきじゃ無かった・・・



両親が死ぬんじゃ無しに俺が[ピーーー]ば良かったんだ・・・
562 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:49:51.98 ID:Sw+ePXw2o
俺は頭を掻きむしりながら叫んでいた・・・
向井さんが俺を抑えようとするが・・・俺は叫び・・・
そして、その場で嘔吐した・・・




そして、俺の絶望が始まった。

563 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/16(火) 09:50:37.54 ID:Sw+ePXw2o
今日は以上です
そして次回が最終回です

出来れば、最後まで見て欲しいです
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 09:53:09.45 ID:muL8ermYo
ノー天気にバレンタインのAA探している間に
こんなことって、おい





おい

ハッピーエンドだよな。

おい
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 09:53:26.73 ID:igavxPA1o
なんと言うか、言葉が出ない

乙です
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/16(火) 09:54:33.98 ID:8pTC0DDko
トオルさんは何も悪くないのに・・・
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 10:01:24.54 ID:o8ij6Lft0
なんか今までのユイとマキの接点を考えると
マキはユイと同じ道を歩む運命にあったように見えるな…ふざけた運命だけど…
568 :名無しのパー速民[sage]:2011/08/16(火) 10:02:25.75 ID:/CAacxDAO
乙…
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/16(火) 10:10:28.64 ID:Y8jxYxTeP
なにこの鬱ED
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/16(火) 10:15:08.79 ID:QSjMvO6do
え…
先輩…ウソっすよね…
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 10:28:46.84 ID:o8ij6Lft0
>>567
間違えた…ふざけた結末って書こうと思ったのに…
ふざけた運命じゃトオルに出会ったことまでふざけた事になっちまう…スイマセン…orz
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/16(火) 10:34:56.02 ID:uaMPr9Udo
トオル君お得意のブラフで夢オチだろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 11:10:55.93 ID:juQKB06DO
これホントに実話を基にした話なのかよ…

両親、ユイの母、ユイ、マキ…

辛すぎる
スミカは大丈夫だよな…?
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮崎県)[sage]:2011/08/16(火) 11:16:54.69 ID:F1oHH4IPo
あと一回でどうやって終わるんだろう・・
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/16(火) 11:48:37.29 ID:AksXtad7o
仕事の邪魔をされた部長の壮大なるドッキリと見た

そうに違いない
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/16(火) 11:56:12.50 ID:AYpzSxkwo
トオルも辛いけど、スミカが不憫だな…

やっと出来たお母さんだったのに
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 12:16:36.74 ID:QYPaog1IO
なんでだよ…
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(徳島県)[sage]:2011/08/16(火) 12:30:46.14 ID:anzUHooko
500円あげるからハッピーエンドにしてくれ・・・
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 12:44:32.53 ID:HiHoOs6Fo
これ……次で収束するのか……
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海・関東)[sage]:2011/08/16(火) 13:11:38.73 ID:IjfT8lkAO
なにこの落とし穴
楽しんで張りついてきたけどさすがに駄目だ
こんなスレ見つけなきゃよかった

俺なんて生まれてこなけりゃよかった
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 13:24:00.18 ID:d8SmHPmA0
なぜココに吐き出したのか分からなくって悩みました

お盆でユイさんマキさんの事を思い出したからなのかな。まさか・・・
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/16(火) 14:21:37.62 ID:uNGWaKleo
俺が[ピーーー]ばよかったんだよ
そしたらみんな幸せだったんだ
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/16(火) 14:24:00.95 ID:tCZPFHpGo
東京都の俺が[ピーーー]よ
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 14:37:27.46 ID:gt6svg95P
>>583
よしまかせた
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/16(火) 14:41:35.36 ID:uaMPr9Udo
>>583に期待
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 14:50:26.80 ID:/uQYTKMR0
>>578
500円じゃハッピーセットくらいしか買えねぇよ・・
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 14:59:17.52 ID:HjFbBAaDO
こんな展開になるなんてな
でも最後まで見るよ
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[sage]:2011/08/16(火) 15:27:51.63 ID:8LUrWvHz0
うそだろ…
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/16(火) 15:56:24.68 ID:ymy8av91o
えーとな、トオル。
ガチでお祓いとかしてもらったほうがいいんじゃないか…?
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/16(火) 17:07:25.59 ID:8pTC0DDko
マキさんもオオルさんとスミカちゃんに
出会えたことがサダルスウドだったのかな?
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/16(火) 17:08:47.72 ID:8pTC0DDko
ごめんなさい
オオルではなくトオルさんです
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府)[sage]:2011/08/16(火) 19:17:12.52 ID:ku6MJJkao
いつかトオルは「今は幸せ」だと言っていたような気がする。
その言葉を信じよう。
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/16(火) 19:51:34.07 ID:mkaNUPzp0
嘘やろ・・・マキ生き還れよ・・・
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/16(火) 20:45:33.63 ID:aNOEwr0AO
こんなにも絶望を味わったのに、今しっかりとこの出来事を伝えてるトオルは本当に強いと思う。

酔いが一気に覚めたわ、
頑張って、ずっと見てるからね
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/16(火) 21:24:22.41 ID:AksXtad7o
ラス1で釣り宣言来て欲しいと思う今日この頃
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/16(火) 21:27:37.84 ID:Xzr5HMlUo
この状況でよく生きていられたな
スミカに魔法でもかけられたか
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/16(火) 21:39:50.88 ID:ENWFQTJ/o
ようやくタカコの出番か?
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岡山県)[sage]:2011/08/16(火) 22:00:17.69 ID:S68tCacB0
ちょっと持ち上げた直後に奈落の底迄叩き落されるこの展開は、読んでて辛くなるな…
これが創作なら「昼ドラの見過ぎだろwwwwww」とか言えるんだけどなぁ

いっそ『こんな内容でドラマの脚本書いてみたという事実』に基づいたフィクション、というオチであって欲しい位だわww
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)2011/08/16(火) 23:52:53.17 ID:+Yj+0NaLo
本当に、ドラマ一本撮れそうな人生だよな
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)2011/08/16(火) 23:53:37.86 ID:+Yj+0NaLo
本当に、ドラマ一本撮れそうな人生だよな
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)2011/08/16(火) 23:54:06.77 ID:+Yj+0NaLo
本当に、ドラマ一本撮れそうな人生だよな
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/17(水) 03:12:01.80 ID:4tHME9RWo
つまりドラマ三本も撮れそうってことか
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 03:21:07.17 ID:yN/UObYu0
もういっそ映画でいんじゃね?


三部作で
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/17(水) 08:17:11.45 ID:4kJBme+Mo
.          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
                      ::\ヽ   ` ´   / /::
                       ::          ,′
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                       ::/    〉┴r      ::
                       ::,′    /:: ::|     |::

いよいよ最終話、楽しみにしています。
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/08/17(水) 08:22:06.07 ID:MsF4ADzK0
盆明けで鬱だったのにとどめ刺された感じだわ

トオルがんばれ
606 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:01:31.90 ID:F+KMRqFxo
お待たせしました

何度も言いますが、これは最初にフィクションでと俺は言いました。
ですが、これは実際に俺が体験した話です。

最終回は結局長くなりましたので、前編と後編に分けたいと思います
今日は最終回前編になります。

それではどうぞ
607 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:03:01.69 ID:F+KMRqFxo
真っ暗の中に俺はいた。暗くて何も見えない。
そして目の前に明かりが見えた。
明かりは急に大きくなり目の前に大勢の人がいた。

それは病院だ・・・
確か両親が死んで駆け付けた病院・・・

俺の両親が死んだのは小学三年生の夏だった。
滅多に行く事が無い、映画に家族で出掛けた。
俺は凄く楽しくて、はしゃいだ。そしてボーリングに行く。凄く楽しかった。

その三日後に両親は死んだ。原因は交通事故。
両親は仕事の帰り道にトラックに巻き込まれた。
何台かが巻き込まれ、病院に沢山の人が居た記憶がある。
608 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:03:53.60 ID:F+KMRqFxo
どこかの家族の子供が呆然とした感じで立っている。

それは女の子だ。俺と同い年位の。
俺はその子に話し掛けようかと思い側を通る。
目が合う・・・その子の瞳には深い悲しみがあった。

俺はなんて、話し掛けようか・・・そう思うが、言葉が出ない。
何故かその子が拒否をしている気がした。
結局、叔父に呼ばれ俺はその子の前を去った。


そして、それからの俺は普通の生活が出来ない・・・
もう皆みたいに生活が出来ない・・・それしか思わなかった。
609 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:05:13.90 ID:F+KMRqFxo
そして俺は変態で、好きな女の子のリコーダーや体操服に手を出す。
叔母に悪戯をする。そして好きな女の子に弁当を入れて嫌われ、学校の奴らからイジメを受け、人生を投げる。
高校にも行かずに、日々を惰性に生きる毎日。
何も無い毎日・・・

だが、光りが現れる。
花火の様なまばゆい光り・・・ユイだ。

ユイの笑顔が現れた・・・
ユイを思い俺は生きた。
俺の幸せの全てだった・・・

だが、ユイは・・・
俺の目の前にユイの最期の姿が浮かび上がる・・・

ユイ・・・
胸がえぐられる。
あんな別れが・・・なんで起きたんだ・・・

ユイ・・・
610 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:06:43.14 ID:F+KMRqFxo
マキはいつも笑顔で明るかった。
皆はユイに似ていると言う。
だけど、俺にはそれが分からない。
なんでだろう?なんで俺だけがユイに似ていると思わなかったんだ?・・・

”マキさんが私じゃダメだから・・・”

・・・え?
マキはスミカを含めて俺を好きになってくれた・・・
だが、俺はマキをユイに見立てる様になった。
マキの中にユイのデジャブを感じる。
そしてユイを見る・・・マキの最期が目の前に映る・・・

ウワアアアアア!!!!!!

俺は叫ぶ。


もう、要らない・・・
こんな思いを何度も経験するなら、要らない・・・

全てを・・・全てを忘れさせてくれ・・・
マキも・・・

そしてユイも・・・
全て忘れさせてくれ・・・!!!
611 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:07:53.26 ID:F+KMRqFxo
・・・俺の目の前が再び真っ暗になった。
暗闇が広がる。上も下も分からない暗闇。
自分が自分で無くなる感触を味わう。まるで・・・宇宙遊泳をしている感じだった。
だが何がしかの不安を感じる気持ち。
そんな感じを味わったまま、再び光りが現れる・・・

目の前に花火が現れた。
花火・・・?
目の前に誰かの後頭部がある。
どうやら肩車をされている様だ。肩車をしている男が俺に何かを話しかけている。
俺は凄く楽しい気持ちがした・・・

再び暗闇が広がった。
そしてすぐに光りがあり、目の前に大勢の人が居る・・・
612 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:09:23.07 ID:F+KMRqFxo
ここは病院だった・・・両親が死んだ病院・・・
だが、覚えている視点と違う気がした。
何かを変に感じた。
ふと視線を感じて視線の先を見た。
俺を見ているのは・・・

『俺』だった。
小学生の頃の『俺』。
両親が死んですぐの『俺』。
今の視点の俺は、そんな『俺』を見つめて笑った。
そして小学生の『俺』は・・・今の視点の俺に話し掛けて来た・・・

気が付いた。
今の視点の俺は・・・あの時、病院にいた女の子の視点だった・・・

だが、おかしい。『俺』はあの時、女の子に話し掛ける事は無かった。
なのに話し掛けている・・・女の子は『俺』と凄く楽しそうに話をしていた・・・
613 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:10:26.12 ID:F+KMRqFxo
女の子は、それからよく『俺』と会う様になった。
二人で色んな話をする。凄く心が安らいでいた。
俺達は次第に成長して中学生になり・・・

そして、いつしか二人は恋に落ちた。
二人は同じ立場で気持ちが通じている。
そして二人は高校生になり、益々二人は惹かれあう。
二人で桜を見て、夏に海に行ったり、花火を見たり・・・

そしてプラネタリウムに行く・・・
夜には二人で星を眺めた・・・
女の子の視点から見る『俺』は、俺が知っている『俺』じゃ無い気がした。
順調に愛を育む二人・・・
614 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:11:33.37 ID:F+KMRqFxo
17歳のバレンタインデーになった。
女の子は俺にチョコレートを渡す。
『俺』は嬉しそうにそれを受けとっている。
女の子に笑顔で礼を言う『俺』。幸せな気分の女の子・・・

二人で手を繋ぎ歩いて行く・・・
交差点に立ち『俺』はカバンを探っていた。
カバンからチョコが落ちたので俺は慌てて、それを拾おうと歩き出す。
女の子は少し怒り、『俺』に何かを言っていた。
『俺』は女の子に謝りながら女の子を見る・・・
615 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:12:24.99 ID:F+KMRqFxo
その瞬間、女の子の目の前に車が現れた・・・
女の子は『俺』に叫ぶ・・・

「危ない・・・!」

だが、それに気が付かず・・・
女の子の目の前で『俺』の体は空に上がり・・・そのまま地面に叩き付けられた・・・

目の前に血だらけの『俺』が横たわっている・・・
女の子の視点の俺は胸をえぐられる様な感触を味わい・・・

そして絶叫した・・・

知ってる・・・この胸の痛みを・・・
俺はこの痛みを二度・・・味わったから・・・
616 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:13:43.05 ID:F+KMRqFxo
俺の目の前が再び真っ暗になった。
女の子は深い悲しみにくれていた。
目の前で最愛の人を亡くしたんだ。悲しいに決まっている・・・
もう二度と、こんな思いは味わいたくない。
もう二度と・・・女の子は願っている・・・

だが、再び『俺』に会いたいと・・・
『俺』に会った、あの夏の日に戻りたいと・・・
女の子の俺はそう願い続ける・・・
悲しい程に真っすぐな思いだった・・・


暗闇から光りが出る。
そして女の子の目の前を明るくした・・・

再び花火が目の前に広がる・・・
それは肩車された女の子が見る花火・・・
そして彼女を肩車しているのは・・・彼女の父親だった・・・
617 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:14:39.21 ID:F+KMRqFxo
夢だったんだ。
さっきの風景は夢だった・・・あの胸をえぐられる様な思いは夢だったんだ・・・

だが、彼女の父親は事故に巻き込まれて死んだ。
母親と病院に駆け付けた彼女は大勢の人混みに紛れている。
彼女は視線を感じる・・・その時に思い出した・・・

また・・・会える・・・あの人に・・・!

そして彼女が視線を合わした先に・・・
あの日の『俺』がいた・・・
彼女は駆け付ける・・・


また・・・『俺』に出会えた・・・!
618 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:15:43.67 ID:F+KMRqFxo
二人は再び恋に落ちる。
幸せな日々。繰り返される毎日。繰り返される日常。
彼女は幸せだった。
家族が欠けた日々でも、掛け替えの無い人を手に入れる事が再び出来たから。
そして二人は中学生を経て、高校生になる。

二人で色んな所に行く・・・二人で見る花火には掛け替えの無い幸せを感じた。
二人で見る星空は・・・本当に素晴らしかった・・・
もう二度と・・・この気持ちを失いたくなかった。

再び17歳のバレンタインデーが来る。
彼女は最愛の人の為に、一生懸命にチョコレートを作った。
それは微かな追憶の彼方に見た光景・・・
最愛の人が自分のチョコを食べる事が出来なかった分までの思いを込めたチョコだった・・・
619 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:17:13.42 ID:F+KMRqFxo
そして、彼女は再び最愛の人にチョコを渡した。
そして二人は手を繋いで歩み始める・・・

封印された記憶に見た交差点が現れる。
ダメ・・・ここで立ち止まってはいけない・・・彼女には記憶があった。
もう二度と最愛の人を亡くしたく無い・・・
その思いの一心で彼女を彼の手を引き交差点から離れる。

彼は「どうした?」そう笑っていた。だが彼女は真剣だった。
絶対に・・・彼を失いたくない・・・
そして彼はその場で事故に遭う事は無かった。

彼女はホッとする。
良かった・・・もう彼を失う事は無いんだ・・・

彼女の視点にいる俺も心底ホッとする。

嫌だよ・・・もい二度と、あんな思いはしたくない・・・
大切な人を失う痛みなんか・・・二度と感じたく無いんだ・・・
620 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:18:48.39 ID:F+KMRqFxo
だが・・・彼女の元にその電話は突然に来た。

「火事になり、火に巻き込まれ・・・」
その言葉を聞き彼女の目の前がグンニャリと揺れた。
世界がグニャグニャになる・・・そして胸が痛くなる。

痛い・・・嫌だ・・・なんで、なんでこんな思いを何度もしないといけないんだ。
彼女が何をしたんだよ・・・何も要らないんだ。
ただ最愛の人と一緒に居たかっただけだ・・・なんで、それが叶わないんだ・・・

涙が出ない。目の前には絶望しか広がらない・・・
なんなんだ?これは?なんでこんな思いをしないといけないんだ?

痛い、胸が痛い・・・こんな思いをするなら・・・
会わなければ良かった・・・

恋に落ちなければ良かった・・・あの夏の日に・・・

なんで俺達は・・・出会ったんだろう・・・?
何の為に・・・

又もや、俺の目の前が真っ暗になった・・・
621 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:20:04.43 ID:F+KMRqFxo
もう、このまま真っ暗で良い。
光は要らない・・・もう・・・このまま・・・

だが、目の前に光が現れる。
それは花火・・・

え?
彼女も俺も同時に思った。
なんだこれ?なんでループするんだ?
なんで・・・?

彼女は父親に肩車をされながら花火を見つめている。
繰り返してる。同じ日を繰り返してる・・・
何回この光景を繰り返してるんだろう・・・?
彼女は思う。

もう・・・良い・・・そして父親が事故に遭う。
彼女は病院に行きたく無かった。
何度も父親の死に立ち会うのは勿論嫌だ。

だけど・・・それよりも嫌な事がある。
それは・・・出会ってしまう事・・・

『俺』と出会い・・・恋に落ちてしまう事・・・
そして、あの胸をえぐられる様な思いをもう一度繰り返さなければならない事・・・
622 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:21:16.71 ID:F+KMRqFxo
病院で彼女は下を向いている。
何も見てはいけない。何を感じてもいけない・・・それしか思わない。

俺も嫌だ。あんな思いは、もう要らない・・・
それでも彼女は視線を感じた・・・

彼の・・・『俺』の視線を・・・そして目を合わせてしまう。
まるでそれが芝居の行動の様に・・・予定調和の物事の様に・・・
二人は目を合わせる・・・

俺は無邪気に見つめる『俺』を悲しく思った。
そして必死に思う・・・

話し掛け無いで欲しい・・・話し掛けなければ始まらないよ・・・私達の恋は・・・


ユイは・・・


必死で『俺』に訴えていた・・・
623 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:22:04.42 ID:F+KMRqFxo
三回目の出会い、それは俺の記憶にある出会いだった。
俺達は・・・出会う事は無く・・・別々の人生を歩む事になったんだ・・・

良いんだ・・・これで。
ユイに取っても『俺』に取っても・・・もう、あんな思いを二度とする必要は無い・・・
俺達の出会いに、何も良い事なんか無かった。

俺達が出会わなければ・・・あんな悲しい事は無かったし・・・
マキも死ぬ事は無かったんだ・・・

ユイと、ユイの視点の俺はそう考えていた・・・
624 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:22:46.12 ID:F+KMRqFxo
何故、こんな事が起きているんだ?
何故こんな訳の分からないループが繰り返されるんだ?

ユイは、これを実際に体験したのか?
ユイはこんな思いを繰り返したんだろうか?
なんでこんな絶望を繰り返す必要があるんだ?

なんの罰なんだよ・・・あの胸をえぐられる様な思いを二度としたくないんだ・・・

平穏に何も無く暮らして行きたい・・・
そうユイは願い続けていた・・
625 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:24:08.60 ID:F+KMRqFxo
やがて年月は過ぎて行く。ユイは成長する。

『俺』と出会う事無くユイは日々を過ごして行った・・・
ユイはポッカリ心が開いたまま過ごしていた。
だけど、それで良い・・・この空虚感の方がマシだ。
あんな胸をえぐられる様な思いをするより・・・この空虚感の方が幾分かマシなんだ・・・
ユイはそう思う。

一人で見る夏の夕暮れ。何故か物悲しく、そして切なさを感じる。

会いたい・・・『俺』に会いたい・・・
でも・・・嫌だ、あの思いを・・・もう一度繰り返すのは・・・ユイはそう思い続ける。

だが・・・俺は知っている。
ユイは再び会う事になる。再び『俺』と会ってしまう。
626 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:26:22.94 ID:F+KMRqFxo
あの夏の日に・・・
セミが鳴き、日差しがジリジリと照り付ける、あの夏の日に・・・
俺達は出会ってしまうんだ。

そして今度は・・・ユイでは無く、俺が経験する事になるんだ。
あの胸をえぐられる様な思いを、あんな悲しい別れを・・・

そして・・・夏。
ユイが家計を助ける為にアルバイトに出た夏。
俺はその頃、空虚な何も無い毎日を過ごしていた。
生きる目標も無く、ただ適当に過ごしていた日々・・・

別々の全く違う人生を歩んでいた俺達が再び、巡り会ってしまった・・・


あの”夏の日”・・・


627 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:27:11.89 ID:F+KMRqFxo
「トオル君、悪いけど今日新人連れて行ってくれる?」

ユイの目の前に『俺』が現れた・・・
その瞬間にユイの心拍数が急激に上がった・・・

『俺』だ・・・!

また・・・会ってしまった・・・
姿は違う。太っているし、暗くて伏し目がちな『俺』・・・

でも分かる。間違いなくそれは『俺』自身なんだ。
ずっと、ずっと思っていたから・・・すぐに分かった。

また・・・巡り会えたんだ・・・!

ユイの心から空虚感が消え去り、そして、柔らかな優しさが胸に広がっていった・・・
628 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:28:26.91 ID:F+KMRqFxo
二人は黙って現場に入る。
ユイはチラチラと『俺』を見た。だが、俺は何も話し掛ける事も無しに、ユイを無視するかの様にしている。
ユイはどうすれば良いか分からない。この人は覚えて無いんだろうか・・・?
あの日、自分と出会った事を覚えて無いんだろうか・・・?
ユイはそう思う。

・・・覚えていなかった。
俺は今、この夢想の情景を見るまで、あの日の女の子が『ユイ』だと言う事を知らなかった。全く覚えていなかった。
だから、あの夏の日の『俺』が覚えている訳が無いんだ。

ユイは胸が締め付けられる。
覚えて無いなら・・・
このまま・・・過ぎ去ろう・・・この人の前から過ぎ去ろう・・・
もう二度と・・・もう二度とあんな気持ちは味わいたくは無い。

もう・・・嫌だ・・・何も生まれない。
私達の間には、何も生まれないから・・・

ユイの心が、そう泣いていた・・・
629 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:29:38.37 ID:F+KMRqFxo
「あ、適当に昼ご飯を食べて下さい・・・近くにコンビニや弁当屋も有りますんで・・・」

『俺』はそう言って公園の中に消えて行く。
ユイは自分の弁当を持ったまま、公園の入り口に佇む。

・・・ここで話し掛けると・・・始まってしまう。
ユイの視点に居る俺は思った。
ここでユイが『俺』に話し掛けると、俺達は恋に落ちてしまう。
ユイは公園の前に弁当を持ったまま佇んだままだ。

行くな・・・俺はそう思う。
ここから・・・始まってしまうんだ。
ユイが話し掛け、『俺』は恋に落ちる。
そして『俺』はユイを目指し生きる事になる。
高校で俺達は愛を育み、そして俺達は結婚する・・・
630 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:30:49.27 ID:F+KMRqFxo
スミカが生まれ、ユイは・・・ユイは死んでしまう。
俺達は悲しい別れを体験する・・・
『俺』はマキに出会い、恋に落ちる。
そして・・・マキを失う・・・!

俺の心臓が再びえぐられる様な思いになる。
痛い・・・胸が痛い・・・嫌だ。嫌だよ。あんな思いをしたくない・・・

だから、だから・・・ユイ、話し掛けないでくれ。
俺達は別々の人生を歩んだ方が良いんだ・・・
頼む、ユイ・・・話し掛けるな・・・!

公園の前に居るユイは、つま先でコンコンと地面を叩くと前を向いた。
そして・・・ユックリ・・・ユックリと・・・公園の前から・・・遠ざかる・・・

そうだ。それで良いんだ・・・これで俺達は別々の人生を歩める・・・
これで俺達は・・・恋に落ちる事は・・・無いんだ・・・!
631 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:31:58.72 ID:F+KMRqFxo
”ユイの人生を・・・全否定すんのかよ!!!!ユイは幸せじゃ無かったのかよ!!!!”



え・・・?
向井さん・・・?

俺は目を開ける。
ユイの視点じゃ無い。

俺は・・・あの日の『俺』の視点にいた・・・
俺は公園の中を見渡す。
セミが鳴き、真夏の太陽が俺を照り付けている・・・
そして・・・公園の入り口を歩いて行く・・・ユイを見つけた・・・


でも・・・何も生まれない・・・
俺達の間には、悲しい別れしか・・・付き纏わない・・・そうだ・・・何も・・・

632 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:33:07.42 ID:F+KMRqFxo
”お前は俺の後輩だ!!だから俺がお前を守る!!!!”

再び向井さんの言葉が響いた・・・
あれは・・・向井さん達が俺を救ってくれた時だ・・・


”来年も・・・その翌年も・・・卒業して、皆がバラバラになっても・・・一緒に・・・見よう”


部長が花火を見ながらそう言った。
俺の胸にフワッとした、そして優しい光りが生まれた・・・

皆で花火を見た・・・皆が俺の家で騒ぎ朝まで雑魚寝をする・・・
海で皆で流星群を見て・・・体育祭ではリレーで優勝して・・・文化祭の仮装大会の後で皆で笑い合った・・・

皆で毎日を過ごす。いつも笑顔で・・・いつも楽しくて・・・

そして俺とユイは結婚する・・・
633 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:34:05.21 ID:F+KMRqFxo
”お前はずっと料理人を続けろ”

シゲルさん・・・

”今まで通り、学校へは行きなさい・・・そして、普通の高校生活を送りなさい・・・それが条件だ・・・”

社長・・・


そうだ。俺は沢山の幸せを知る事になる・・・
ユイと出会い・・・ユイと恋に落ちる事で・・・
俺は沢山の幸せを手に入れる・・・

ユイ・・・
結婚して小さなアパートで夜空を見上げる・・・
それは温かくて・・・柔らかで・・・優しい光り・・・
634 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:36:02.86 ID:F+KMRqFxo
”どうか、どうか幸せになって下さい”

・・・ユイ・・・?


”お願いです。幸せで居て下さい・・・!”

俺は目を見開く。そして最期に・・・
スミカの笑顔が浮かんだ・・・


スミカ・・・!

”お前は・・・お前の人生は幸せじゃ無かったのかよ!!!!!!”


再び向井さんの言葉が響く・・・
俺は公園の入口を歩いて立ち去るユイを見る・・・
生まれたじゃ無いか・・・俺達の出会いで色んな幸せが・・・!



そして、何より・・・スミカが生まれたじゃないか!!!!!
635 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:37:50.76 ID:F+KMRqFxo
「ユイィィィィィィ!!!!!!!!!」




考えるより先に俺は叫んだ。
公園の外を歩くユイが歩みを止める・・・

そして・・・俺を見つめた・・・
その目には涙が湛えている・・・


俺は駆け出した。全力で駆け出した。






そして・・・ユイを抱きしめた・・・!
636 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:38:47.47 ID:F+KMRqFxo
ユイ・・・!!」
「トオル・・・君・・・」

ユイも俺の体に腕を回す・・・

「・・・良いの?」
ユイが堪える様に呟く。


「・・・私達・・・出会って・・・また、トオル君・・・苦しむよ・・・」


ユイが震える声で呟いた。
俺はユイを強く抱きしめる・・・


「・・・言ったろ・・・」
「え・・・?」


「俺は・・・何回、繰り返しても、あの夏に戻ったら・・・」


俺は下唇を噛み締める。
637 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:39:46.65 ID:F+KMRqFxo
「俺は何度でも、お前に恋に落ちるって!!!!どんな悲しい別れが待っていても、どんな辛い気持ちが待っていても・・・」

ユイが鼻を啜った・・・



「俺は・・・もう一度お前に恋に落ちる!!!!!」


「トオル・・・君・・・」
ユイが泣きながら俺を抱きしめる。

「愛してる・・・ユイ・・・」
「・・・私も・・・愛してる・・・!」


真夏の日差しが照り付ける、あの夏の日に・・・

俺達は・・・恋に落ちた・・・
638 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:41:03.25 ID:F+KMRqFxo
「昔、私が海で言った言葉を覚えてる・・・?」
「え・・・?」
「種の伝道が・・・一個人で繰り返されたらって・・・」
「覚えてるよ・・・」

「私は・・・三回繰り返したんだよ・・・」

ユイはそう言って泣きながら俺に笑った。

「ああ・・・見てきたよ・・・」
俺も笑い返す。
「信じて貰えないかもしれないけど・・・トオル君と出会うのは、三回目なんだ・・・」
「信じるよ・・・だって、あんな辛い気持ちは・・・体験しないと分からない・・・」

「だからね・・・私は最初にトオル君から告白された時に断ったの・・・17歳のバレンタインデーを越えたい・・・そう思ったから・・・」
「・・・うん・・・」
639 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:42:12.28 ID:F+KMRqFxo
「だけど、トオル君への気持ちが抑えられ無かった・・・ずっと、ずっと・・・トオル君を見つめてた・・・」
「うん・・・!」

ユイは俺を見つめる。

「後悔・・・しない・・・?」
俺はユイを見つめ返す。


「しても・・・何回も・・・お前を好きになるよ・・・!」


俺は笑う。ユイも笑った・・・

そしてユイは再び俺の胸に顔を埋める。
640 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:43:25.71 ID:F+KMRqFxo
「・・・マキさんを・・・」
「え・・・?」


「マキさんを・・・マキさんとして・・・愛してあげて欲しい・・・」


「え?」
「トオル君にだけは・・・せめて、私の姿と重ねて欲しく無かったから・・・マキさんを私の姿に重ね合わせたく無かった・・・」
「どう言う事・・・?」
「私と・・・重ね合わせたら・・・また、痛みを感じるから・・・今回みたいに・・・」
「え?」
「マキさんは私の分身・・・だから、私に似ている・・・だけど、トオル君が私を感じたら・・・」

ユイは真っすぐに俺を見る。
641 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:44:56.75 ID:F+KMRqFxo
「また・・・悲しい別れが来ちゃう・・・」

俺はユイを抱きしめる。
「分かったよ・・・マキをマキとして・・・愛するよ・・・!」
「うん・・・」
「でも・・・」
「うん?」

「これは一体、何なんだ・・・?なんで繰り返すんだろう・・・?」
俺の言葉にユイが首を横に振る。

「分からない・・・ただ・・・」
「うん?」
「私達は・・・何度でも・・・繋がる・・・!」
「そうか・・・そうだな・・・」

俺はユイを再び抱きしめる。俺はずっとユイを抱きしめていたかった・・・

ユイをずっと・・・
642 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:46:33.94 ID:F+KMRqFxo
「・・・トオル君」
「・・・うん?」
「もう・・・行かなきゃ・・・」
「え?」

俺はユイを見つめる。

「嫌だよ・・・離れたくない・・・」
俺の目から涙が流れる。
「ダメ・・・行くね・・・スミカちゃんを・・・お願い・・・」
「ユイ・・・」

「マキさんなら・・・大丈夫だから・・・ね?」
「ユイ・・・!!」

目の前のユイの体が薄まる。

「ユイ・・・!!」
「トオル君・・・」

体が透けたユイの瞳から涙がこぼれ落ちる・・・




「トオル君・・・幸せになってね・・・お願い・・・!」




ユイはそう言うと・・・消え去った・・・


「ユイィィィィィィ!!!!!」



・・・・
・・・・
643 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:47:29.56 ID:F+KMRqFxo
・・・・俺が目を覚ますと、そこは病院だった。


俺の膝にスミカが眠っている。
リコさんが、祈る様に手を合わせ下を見ている。
向井さんが怒った様な表情で黙り込んでいた。


「・・・マキは・・・?」


そう呟くと向井さんが俺を見る。


「・・・起きたか・・・まだだよ」


向井さんがそう言う。


・・・え?寝てた?
俺の目の前の霞みが消えている。
ハッキリと世界が見えている
644 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:48:39.46 ID:F+KMRqFxo
手術室が慌ただしくなり、俺はハッとする。

・・・嫌だ・・・また・・・
繰り返すのか・・・?
俺は立ち上がり手術室を見つめた。

ユイ・・・

そして医者が手術室から出て来た・・・
医者はマスクを外し俺達に告げたのだった・・・




「大丈夫です・・・明日の朝には御目覚めになられますよ・・・」




・・・!!!
645 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:49:19.62 ID:F+KMRqFxo
俺は手術室を見つめる。
呼吸器を付けられたマキが手術室から出て来る・・・

「良かった・・・!」
リコさんが、そう言って向井さんに抱き着く。
俺は呆然と立ち尽くしていた・・・

ユイ・・・?
そして涙が溢れ俺は、その場に膝を着いた・・・

ユイ・・・!!


ありがとう・・・ユイ・・・!!!
646 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:50:30.33 ID:F+KMRqFxo
マキが目覚めるまで俺は病室にいた。眠るマキを見つめていた。
スミカは俺の隣で眠っている。俺はスミカの頭を少し撫でた。

一体・・・何だったんだろう・・・?あれは?
俺は確かにマキが亡くなった光景を見た。ハッキリ覚えている。
俺は自分の胸を触った。あのえぐられる様な気持ちは・・・嘘じゃ無かった・・・
あの絶望感。

なんなんだ?
そして、あの後に見たユイの夢想・・・ユイが見せた光景・・・
ただの夢だったのだろうか・・・?

俺は疑問のまま・・・眠っているマキを見つめ続けた・・・
647 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:52:12.74 ID:F+KMRqFxo
「トオルさん・・・」

その声を聞いて俺は目を開ける。いつの間にか眠っていた様だった。
見るとマキが柔らかに微笑み俺を見ていた。
マキの顔に朝日が当たっていた。俺も笑いマキの手を握った。

「良かった・・・心配した・・・」
俺の言葉にマキは「ごめんなさい・・・」そう答える。
「いや・・・スミカを守ってくれたんだろう・・・ありがとう・・・」
俺は笑顔でそう言う。マキも俺に笑い返した。

「・・・あのね・・・」
「うん?」
マキの言葉に俺は反応する。
「私・・・夢を見てた・・・」
「え?」


「ユイさんの・・・夢・・・」


え・・・?
俺はマキを見つめる。
648 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:53:21.42 ID:F+KMRqFxo
「夢でね・・・私、死んじゃったの・・・トオルさんや向井さん、リコさんが私を見て泣いてた・・・」

・・・!!

「それでね、私、何故かチョコを持ったままだったの・・・トオルさんに渡す筈だったチョコ・・・それを持って私、途方に暮れてたの・・・」
マキは少し照れた様に言う。

「そしたら・・・『マキさん』って呼ばれて振り返ったら・・・ユイさんが居た」
ユイ・・・

「『トオル君にチョコを渡したいんでしょ・・・じゃあ来て』そう言ってユイさんが笑顔で言うから、私はついて行ったの・・・着いた先はトオルさん達が通ってた高校・・・」

俺達の・・・?
649 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:54:36.36 ID:F+KMRqFxo
「『ここは、私達の通ってた高校・・・で、ここがトオル君の教室・・・』ユイさんがそう言って私を教室に誘った。『トオル君は一年生なんだよ、まだ・・・あれがトオル君の席』ユイさんに言われて私、トオルさんの席に行ったの」

・・・え?

「『ここに私の代わりにチョコを置いて・・・』・・・」


一年のバレンタインデー・・・ま、まさか・・・??


「私はチョコをトオルさんの机の中に入れた・・・」


俺は頭を抱える・・・まさか・・・そんな・・・!!
650 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:55:39.32 ID:F+KMRqFxo
「よく分からなかったんだけど・・・私が、これで良いんですか?って聞いたら『大丈夫、トオル君は喜ぶから・・・』ユイさんはそう答えた」

俺の目から涙が出て来た・・・繋がってる・・・

「私がそのままユイさんと行こうとしたら、ユイさんに止められた。『アナタは・・・ダメよ、まだ・・・』」
俺は涙を流したままマキを見つめた。

「『アナタは・・・トオル君の側に居てね』ユイさんがそう言うから、私が、何でですか?って聞いたらユイさんが答えたの・・・」
651 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:56:55.51 ID:F+KMRqFxo
マキが俺を見つめて・・・そして言った・・・




「『アナタは・・・私のアルデバランだから・・・!』」




ユイ・・・!!!!!
「なんか、よく分からない夢だったけど・・・アルデバランって何かな?って思って・・・」
マキが恥ずかしそうに俺に言った瞬間に・・・

俺はマキを抱きしめた・・・!


「・・・トオル・・・さん・・・?」

俺は何も答えずにマキを抱きしめる・・・俺の目からは涙が溢れてやまなかった・・・

ユイ・・・
君が・・・助けてくれたんだ・・・
マキを・・・そして・・・


俺を・・・!!!
652 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:57:56.86 ID:F+KMRqFxo
・・・現実的に言えば。
元々、マキが死んだのは俺の夢で、ユイの夢想も俺の夢なんだろう。
昔にユイが言った”種の伝道”が頭に残っていて、そんな夢を俺に見せた・・・
そして、ユイを懐かしく思い俺はユイの夢を見た。

また、マキは、ヨウイチか向井さんに俺が一年生の時に贈り主が分からないチョコを貰った話を聞いて記憶に残っていてただけかも知れない。
また、『アルデバラン』と言う言葉を俺がマキに話したのかも知れない。
それをマキが覚えていただけ・・・
そう考えるのが自然だし、常識的なんだろう・・・


だけど、俺は今でも信じている。
ユイがマキを救ってくれたんだ。
ユイは何度も悲しい別れをしたんだ・・・

あのチョコはマキがくれたんだ・・・それを俺は信じているんだ・・・
653 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:58:53.98 ID:F+KMRqFxo
「・・・マキ・・・」
俺は抱きしめたマキに言う。
「・・・はい」
「ユイと・・・俺の話を・・・」
俺はマキの顔を見つめた。

「二人の話を・・・聞きたい・・・?」
俺の言葉にマキは俺を見つめ・・・そして笑った・・・

「聞きたい・・・!」

俺は頷くとマキの手を握る・・・


654 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 12:59:39.99 ID:F+KMRqFxo
「俺はね・・・昔、変態だったんだよ・・・ww」
「え?何の話???」

マキが笑う。

「いや、そこから話をしないとね・・・ww」
「意味が分からない・・・ww」

マキはクスクスと笑い始めた・・・
俺はマキの手を握りしめた。

この手を・・・俺は離さない。
ずっと・・・ずっと握りしめて歩き続けるんだ・・・

どんな未来が待ち受けていても・・・
どんな悲しい事が有ったとしても・・・

俺はこの手を離さない・・・


絶対に・・・!

655 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/17(水) 13:00:39.53 ID:F+KMRqFxo
最終回前編は以上です

それでは次回が本当に最後の最後です
あと少しだけ、お付き合い下さい

それじゃあ!
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/17(水) 13:01:32.41 ID:aa3PmmyGo
昨日の絶望から一転・・・よかった

Butterfly Effect・・・
高1のチョコはユイさんとマキさんからだったのか

そして






ユイさんテラ孔明ww

興味がある人は見て
浜田省吾さんの「君に捧げるlove song」
http://www.youtube.com/watch?v=31jD2fpJbNg
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海・関東)[sage]:2011/08/17(水) 13:01:43.00 ID:n7Z3lnSAO
とりあえず夢オチキター! ってことで、安心した
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/17(水) 13:02:56.79 ID:++pUaCsp0
トオル先輩おつです

魂の繋がりってありますからね
夢ではなく現実だと思います

次回もwwktkして待ってます!!
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/17(水) 13:02:58.64 ID:QcbaQFfj0
バレンタインにそんなオチがあったとは・・・
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 13:05:29.61 ID:ZhhUKboDP
曲紹介心底うざいよ
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)2011/08/17(水) 13:07:26.54 ID:Gq2yHDOY0
初めてリアル遭遇できたww
次で最後か・・・
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 13:10:07.13 ID:D1q58uxIO
ループ設定とかマジいらねー
後、人を[ピーーー]事で感動すると思ったら大間違い。
次回からは人を殺さずに感動させられる作品作りを考えて。
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/17(水) 13:12:15.49 ID:yq1tbYeEo
ずっと楽しく見てきたが最終回前でこの展開は残念だ
最後はフィクションとして楽しませてもらうよ
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 13:15:27.64 ID:zEBDzzGSO
最初からフィクションでって書いてあるじゃない
俺は素直に感動したわ
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/17(水) 13:32:18.56 ID:aa3PmmyGo
伏線がすごくきれいに回収されてる。
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/17(水) 13:38:25.34 ID:D257S0Tho
最終回も前編後編とか分けて色々説明するくらいなら、あと3回でって言ったの撤回すればよかったのに
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/17(水) 14:07:37.67 ID:tAl8UiQAO
不思議なことがあるもんだなあ
トオル、後編も楽しみにしてる
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/17(水) 14:19:35.94 ID:eBFHLTgIO
クラナド思い出した。
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 14:22:09.26 ID:swMl/Jo+0
>>662
何様なんだよ
お前のために書いてるんじゃねーから
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 14:32:52.18 ID:obWmi84no
乙です!
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 15:07:32.43 ID:I1sdbtvE0
なんか…こういう話は好きだなww特にバレンタインのチョコの件が良かった
大抵の人は単なる夢で偶然だって思うんだろうけど俺は信じてみたいなww
後編、楽しみにしてます
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)2011/08/17(水) 16:25:50.87 ID:IRzCgH120
>>668
俺も
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/17(水) 18:03:30.44 ID:kAoc0e1jo
最終回の前編でこの山なら後編はとてつもない爆弾落としそう
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/17(水) 18:09:18.45 ID:xn2xfAjPo
やっと書ける

あのさぁ夢の話だろ?ループ関係無ぇよwwwwww走馬灯みたいなもんだろうよ
全く同じ夢を見たって思ってるかもしれないが
単に内容が偶然似てただけだろ?ファンタジーでも無ぇし

生まれ変わってもとか運命とか人より強く思ってるトオルだから
そんな夢になったんだろうし>>662はミスチルかよwwwwww
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/17(水) 18:18:38.19 ID:xn2xfAjPo
あとチョコの件はトオルがマキからだって思ってるならそれでいいだろ
子供じゃあるまいし証拠は?証拠は?とか言うなよ?
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/17(水) 18:34:07.71 ID:kySWcVb3o
マキがチョコレートの送り主って冗談で書いたのがマジな展開になるとは…
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/17(水) 19:27:21.93 ID:EmsvWCzAO
まじで鳥肌立ったww
本当に誰かドラマ化…

そしてユイさんさすがだっぜ☆
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/17(水) 21:26:07.63 ID:ii4g0JzEo
>>651
ここで、鳥肌走ったぜ・・・

俺は信じるよ、なあトオル
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)2011/08/18(木) 00:05:44.33 ID:q3jaZAflo
あのチョコレートずっと気になってたんだよ。鳥肌立ったよ
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)[sage]:2011/08/18(木) 00:19:36.51 ID:hwxiRrMx0
鳥肌と涙が止まらん
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/18(木) 06:56:04.18 ID:gokSYARIO
感動した‼
オレは信じるぞ‼
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/18(木) 07:47:40.29 ID:TfcOzQ7GP
トオル召喚
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/18(木) 08:44:22.49 ID:f0M8QXHIO
          ,,、-''"-ーー=-- 、ヽ
       / _,,、-''"      \ \
      /  |        |   i
      /|   |   マルセイユ .|  |
      /:|   l   _,,..-一ーーー┘  |
     i::::|    !--_,,..-'''"~二二二, \
     {::::|  _,,、-  ./´ ̄ヽノヾノイ`\.\  
      |::::!/   /彡三三ヽ  三三ヽi~i´  
     レ`----イ-======ヽ __ィ======ヽ   
    イ((((ノー--{ { ●ヽ  }ハ{ ●ヽ   } }  
    / ヾヽ))   `'' =====ノ:::: \==== イ   
  ((| (::ヾ∬        /::     .     |        おはようじょ
.  ミ | ゙`i ゙゙        ゝ.,,Ω 9ノ.    |   
  /\         ノ .______u____)ヽ   |\. 
  {:::::::::::|         ノ ゝ+++++++イ )   |:::::\__
  {::::::::::::|            ゝ二二二)      |::::::::::\"''--.,._
/\::::::::::!                     |:::::::::::::::\    "''-.
   \::::‘:::: 、.                  |:::::::::::::::::::::\      )ヽ
    ( ̄ ̄ ̄"''--..,            /:::::::::::::::::::::::::::>ヽ  ./  )
     \      \  ''-----"   ./::::::::::::::::::/ ̄   > |   )
      \      \      . /:::::::::/ ̄\ ◎ /  }   ハ
        \      \,---''"/::::::::::::/     \/   )    ハ
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/18(木) 08:53:55.01 ID:z/sr9G2co
おは・・・おっと

トオルおはよう
今日で最終話なのかな、1000までまとめ書いてくれるとうれしい
よろしく。
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/18(木) 22:17:12.84 ID:5Ke098p7o
チョコとか言われるまで忘れてたわww
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/18(木) 23:37:54.84 ID:8gHAX+LSO
トオル先輩まだかー
今日は来るまで寝れないな・・・
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[sage]:2011/08/19(金) 08:32:18.65 ID:IVcCGD1To
おはようさん
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/19(金) 08:43:12.20 ID:AIy1ncFPo
トオルおはよう
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 09:11:16.55 ID:yNczT54QP
>>686
徹夜乙
690 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:20:06.83 ID:AY11hDQFo
>>686
寝ろwwww

おはようございます。
やっと書き上げました・・・

それでは最終回を始めます。
ちなみに・・・俺が語りたかった”夏の日の話”は今回の話なんです・・・

まあ前置きはこれ位で・・・どうぞ!
691 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:21:12.65 ID:AY11hDQFo
「トオルさーん」

俺が閉店作業をしているとケンタが、そう言って入って来た。
「おう、注文ならメールしただろう」
俺がそう言う。
「嫌々、たまには営業として顔を出さないと」
ケンタはそう言って笑う。
「営業は大変だなー」
「トオルさん、ギブスは取れたんすね」
「ああ、でも、まだ痛いんだよ手首を動かすとさ」

俺はグラスを取るとビールサーバーからビールを注ぎケンタの前に置いた。
「あざっーす」
ケンタはそう言ってグビグビとビールを飲んだ
692 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:23:06.05 ID:AY11hDQFo
「プハッ、喉が渇いてたから美味いっす!」
「お前、ビールを飲みに来たんだろう?」
「あ、バレました?」

俺が笑っていると、「あ、ケンタさん・・・こんばんは」そう言ってシンヤが奥から出て来た。

「おう、シンヤ君!」
ケンタが手を挙げる。
「シンヤ、もう良いぞ、先に上がれよ」
俺が言うとシンヤは首を横に振る。
「いや、良いです。明日の下ごしらえだけしときますよ」
「良いよ、俺がやるから・・・」
「トオルさん、腕、まだ治って無いでしょ?良いですよ」

シンヤは無愛想に、そう言って奥に行った。
693 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:24:42.33 ID:AY11hDQFo
「相変わらず、無愛想っすねーシンヤ君」
「まあ、料理人に多いタイプだけどね・・・でも気は良い奴だからな」
「知ってますよ。でも、明日は結婚式だから、早く帰りゃ良いのに」
「まあ、それだけ責任感がある、ってこった」

俺はそう言って笑う。
「じゃあ、俺達は前祝いで飲みに行きます?」
「ああ、向井さんが、もうすぐ来るってさ」
「ま、マジっすか・・・」
ケンタがげんなりしていると入り口の扉が開いた。

「おっす!・・・お、ケンタも居るじゃねーか・・・さあ、行くか、トオル!」
「あ、分かりました・・・おーい、シンヤー!俺、先に行くわ」
俺の声にシンヤは「おつかれ様です!」そう声が聞こえた。

「相変わらずの無愛想だな・・・」
向井さんが笑う。
694 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:26:28.41 ID:AY11hDQFo
すると、ひょっこりシンヤが顔を出した。

「あ、ケンタさん、ビール代、割引はしときますから」
「え?金取るの???」
「はい」

シンヤがキッパリと答える。
「お前・・・マジかよ・・・」
「はい。その辺はキッチリしておかないと」
シンヤの答えに俺は苦笑いをした。
「トオルさーん・・・」
ケンタは俺に泣きつく。
「まあ、二代目が、そう言ってるからwwスマンなww」
「チキショー!持ってけドロボー!」
ケンタは金を叩き付けた。
「いや、ドロボーじゃないっす」
「分かっとるわい!!」

シンヤの冷静な突っ込みにケンタは吼えた・・・
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 10:27:48.46 ID:xGCmhSi1o
うおお…
リアルタイムだ
トオルおはよう!
更新ボタン連打しとく!
696 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:28:02.98 ID:AY11hDQFo
今日は2011年8月5日。

俺は向井さんとケンタと飲みに出掛けた。
「さっきから、お前携帯弄りっぱなしだな」
向井さんの言葉に俺はギクリとする。
「何してんすか?」
ケンタが覗き込もうとしたので俺は慌てて携帯を閉じる。

「いや、まあ・・・日記的なアレを・・・」
「携帯で日記かよwwあれか・・・あのツイッターか?」
向井さんが嬉しそうに言う。
「トオルさんツイッターしてるんすか?」
「いんや、してねー」

あんなのはしない。

「ツイッターは子供の遊びさ・・・!」
いきなり後ろから部長が現れた。
「うわっ!なんすか!」
俺達はビックリする。
697 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:29:20.90 ID:AY11hDQFo
「僕も飲みに行くよ」
「いや、よく分かりましたね・・・」
俺の言葉に部長は眼鏡を光らせて言う。

「君達の居場所を探るなんて・・・造作も無い事・・・!」
こえーよ。アンタ。
「僕の機関ではね、素人の居場所なんか、すぐ分かるんだよ・・・ククク・・・」
部長が笑う。

「え?でも部長、交通課じゃ無いっすか」

ケンタの言葉に部長は黙る。
「あ、そうなんだ?」
「俺、公安なのかと思ってた」
「違いますよ、前に交通事故の処理してる時にバッタリ会いましたもん」

部長は夜空を見始めた。

「まあ、部長も来たし・・・他の奴らにも連絡すっか!」
向井さんがメールをする
698 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:30:35.97 ID:AY11hDQFo
するとすぐにメールが返信された。
向井さんのメールには三分以内に返信しなければならないのだ。
俺も料理中にメールが来た時はいつも焦るんだ。

「何々、『今家に帰ったばかりなので、一時間待ってください』・・・マルオめ・・・40分で来いと・・・」

鬼だ。さぞかし焦っているんだろう。又もやメールが着信する。
「サモハンか・・・『すみません。クライアントに呼び出されている最中ですが、向井さんの為にすぐに片付けますので、後で駆け付けます』・・・おお、感心、感心」
相変わらずサモハンは世渡りが上手い。又もやメールが鳴る。

「ヨウイチだな・・・『すみません、僕は明日の朝一の飛行機で向かいますから、今日は無理なんです』ウゼエなアイツ・・・そんなの知らん、今すぐに来い、っと・・・」

悪魔かよ・・・
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県)[sage]:2011/08/19(金) 10:31:14.10 ID:VnS3/Wp+o
トオルめ・・・午前中は仕事をさせないつもりか
700 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:32:25.56 ID:AY11hDQFo
ヨウイチは今、地方の病院に勤めている。飛行機で一時間半掛かるみたいだ。
するとヨウイチから再びメールが届いた。

『ホントにすみません。勘弁して下さい。ホントにすみません。許して下さい』
その後に土下座の絵文字が10個並んでいた。
可哀相に・・・
「明日、覚えてろよ、っと・・・」
向井さんが返信する。又もやヨウイチから返信が来た。

写メが添付されていて、ヨウイチが土下座している。
「ぶはww中々やるじゃねーかww」
向井さんはご機嫌が戻った。医者が土下座している姿を初めて見たよ。

「これ、誰が撮ったんだろう?奥さんっすかね?」
「だろうな・・・奥さんも旦那の土下座シーンを撮りたく無かっただろうな・・・」
俺はヨウイチの奥さんを思い出す。かなり綺麗で感じの良い奥さんだった。

「まあ、しゃーねーな、さあ飲むぞー!」
向井さんが俺達を引き連れて居酒屋に向かった・・・
701 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:33:45.58 ID:AY11hDQFo
約、一ヶ月前に俺は右手首を骨折した。
原因は連投のしすぎで医者のドクターストップを聞かずに投げ続け、それで(ry・・・

まあ、原因は厨房で足を滑らせて右手を床に着いた為に、その衝撃で折れた。
激痛が走ったが、まさか折れているとは思わなかった。何分初めて骨を折ったから。
だから病院にも行かずに家に帰り、普通に過ごすが箸を持てないし、動かすと激痛が走るので眠る事も出来ない。
俺はすぐにヨウイチに電話で聞いた。

「ああ、多分折れてんな、それ」
「え?でも腫れて無いぞ?」
ヨウイチの言葉に俺が答える。
「写メ送れよ」
ヨウイチにそう言われ俺は写メを送った。
702 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:35:03.73 ID:AY11hDQFo
「ああww折れてんな、多分。手首ww俺からみたら充分に腫れてるぞww」
「マジ?今から救急に行った方が良い?」
「イラン、イラン。明日の朝にでも行け」
「マジかよー、スンゲエ痛いんだけど」
俺の言葉にヨウイチは少し間を開けて言う。

「我慢しろ・・・ユイさんはそれより、もっと凄い痛みを耐えたんだぞ・・・」

その言葉に俺は何も言えず我慢した。
それからが大変だった。ギブスで固定され、もちろん包丁も持てない所かギブスを濡らしてはいけないので厨房にも立てない。

「ユックリ休まれたら、どうですか?」
シンヤがそう言うので俺は、その言葉に従い料理をせずに、スタッフの指導に当たった。
703 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:36:02.15 ID:AY11hDQFo
幸い左手は何とも無い。
スタッフの指導も特に必要が無い感じだったので俺は事務室で携帯を弄りながら・・・
この話を書きはじめたんだ。
携帯のメモ帳に話を書き込んで、それをパソコンに飛ばし書き込む。

以前から、この話を誰かにしたい・・・そう思っていた。
だから調度良い機会だった。文章を書くのは嫌いじゃ無いからね。

それと・・・もう一つ、この話を書きたい理由が有ったんだ・・・
704 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:37:40.31 ID:AY11hDQFo
時刻は深夜の0時を周り向井さんが言った。

「じゃあ、河岸を変えて俺んチに行くかー!」
酔っ払い声がデカイ。
「え?良いんすか?奥さん
合流したサモハンが言う。
「大丈夫、大丈夫!なんか言ったら、バーンよ、バーン!」
ホントかよ・・・俺達、ヨウイチ以外の天文部男子メンバーは向井さんの家に行く。

「たっだいまー!!!」
向井さんが家に入るなり、デカイ声で言う。
すると家の中からスリッパが飛んで来て向井さんの顔面に当たる。

「声が大きい!」
そう向井夫人が言う。
「す、すみません・・・」
向井さんが謝った。
全然ダメじゃんアンタ。嫌、分かってたけど。逆にバーンされてるし
705 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:38:49.19 ID:AY11hDQFo
「チカが起きるでしょ!」
チカちゃんは向井さんの娘だ。奥さんに似て可愛い。今年10歳だ。
「おう、チカにチューしに行くかー!」
向井さんが走り出した時に奥さんが足を引っ掛ける。
向井さんは派手に転がった。転がる向井さんの前に奥さんは仁王立ちに構える。

「アンタ・・・閉め出すわよ・・・」
「すみません・・・でした・・・」
向井さんは正座をしていた。
とりあえず代表して俺が謝る。
「あ、あのー・・・すみません、急に押しかけまして・・・」
すると奥さんは溜息をついて俺に言う。

「ま・・・慣れてるから、良いけど・・・」

そう言ってリコさんは俺達に笑いかけた・・・
706 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:40:16.00 ID:AY11hDQFo
向井さんとリコさんは12年前に結婚した。
あれからも紆余曲折が色々あり、二人はゴールインしたのだ。
彼らの話も色々、ドラマチックでは有ったが、それは又、別の機会に。
結婚してから、すっかり向井さんはリコさんの尻に敷かれている。
なんか見ていて微笑ましかった。二人はとても仲が良いんだ。

ヨウイチは大学を卒業して医者に成った後、33歳で結婚した。
色々遊び回り、余り一人の女性に執着しなかったヨウイチは当時、24歳の女性と結婚したのだ。
出会いは医者と患者の関係。相手は患者で、ヨウイチの一目惚れだった。
ヨウイチから「ヤバい、俺こんなん初めてだ」そう言って電話が有った時には何故か俺がアドバイスをしたのであった。
まだ子供は居ない。
707 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:41:19.12 ID:AY11hDQFo
サモハンが結婚したのは27歳の時。
相手は社長令嬢で当時25歳。非常に感じが良くて天然さんだった。
何故か子供の様にリコさんに懐いていたのが印象的だった。
現在、向井さんの娘と同じ10歳の男の子がいる。
サモハンに似ずに奥さんの血を引いて天然だった。
ちなみに、サモハンは奥さんの父親の援助を受けて今は自分の弁護士事務所を開いている。
中々の盛況の様だ。

ケンタはバツイチだった。一度30歳で結婚したが一年持たずに離婚。
それからは「一人が気楽」そう言って今でも女の子を取っ替え引っ替えしており、タカコ、マリの二人からブーイングを受けている。
708 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:42:55.02 ID:AY11hDQFo
マルオは一昨年結婚した。相手は同じ教師。
なんか素朴な二人で俺は好感を持っている。
両方ともに初めて付き合った、と言うのが凄い。
マルオのフランスパンは今の奥さんに初めて使用されたのだ。
宝の持ち腐れとは、この事である。

タカコは27歳の時に結婚したのだった。相手は同じ会社の人。
なんか昔、俺を好きだった女性が結婚するのは非常に複雑だったが、心の底から、祝福出来たのは、俺が幸せだったからだろう。
現在8歳と6歳の女の子が生まれ幸せに暮らしている。
だが、旦那さんの転勤で地方の都市で暮らしていて滅多に会う事は無かった。

そして・・・部長はと言えば・・・
709 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:44:03.83 ID:AY11hDQFo
『ピーッ、指令を伝える』

飲んでいると、突然そんな電子音が聞こえた。
「あ、メールだ」
部長がそう言う。
「どこで、そんな着ボイスを・・・」
ケンタが言う。部長はメールを見ると眼鏡が真っ白になり固まった。

「ちょっと・・・帰る」
いきなり立ち上がる。
「え?マジっすか?」
サモハンが言う。

「マ、マリが・・・激怒している・・・」

部長はそう言うと、挨拶もソコソコにダッシュで帰って行ったのだった・・・
「マリも、キツイからなー」
向井さんが、そう言って焼酎を飲む。
「まあ、昔から、その気は有りましたもんねぇ」
ケンタが水割りを作り飲んだ。
710 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:45:53.98 ID:AY11hDQFo
「嫁さんは、結婚したら・・・いや、子供が出来たら強くなるから」
皆がウンウンと頷いた。

部長とマリが結婚したのは十年前だった。突然の結婚の報告に全員がビックリした。
てか、いつ付き合ってたんだよ・・・そう思ったのだ。
全く接点の無い二人、俺達全員がそう思っていたのだ。
今や二人も二児の親だった。

俺も時計を見る。時刻は2時を回っていた。
明日・・・式場には8時入りか・・・

「向井さん、俺も帰りますよ」
俺はそう言って立ち上がる。
「マジかよ、まだ良いじゃねーか」
向井さんが、そう言う。
「いや、俺は明日早いんで・・・」
「俺もはえーよ!・・・イタッ!」
向井さんが言葉の途中で頭を押さえた。後ろからリコさんがスリッパで叩いたのだ。
711 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:47:03.32 ID:AY11hDQFo
「トオル君、早く帰りなさい!明日アナタも主役みたいなものでしょ!」
リコさんに言われ俺は皆に挨拶をすると向井さんの家を出た。

外に出ると蒸し暑い真夏の夜風が俺を包む。
あちいな・・・夏って、こんなに暑かったっけ?
俺は昔を思い出す。あのセミが鳴き、照り付ける太陽を・・・
いくつものドラマが有り、皆で笑い合っていた、あの夏の日を。

あの、夏から二十数年が過ぎた。
ユイと巡り会った・・・夏の日から・・・俺は夜空を見上げた。
夏の星座が瞬いている・・・

ユイ・・・君はまだ、あの日のままの君なのかな・・・?
ユイ・・・俺は歳を取ったよ。もう昔の面影は無いのかな?
君は歳を取らず、俺だけが歳を取って行くんだな・・・
712 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:48:11.35 ID:AY11hDQFo
−2011年8月6日−
あれ・・・?これで良いのだろうか?

俺は式場の控え室でまごついていた。
モーニングが上手く着る事が出来ない。
どう、着るんだ?これで良いのかな?
俺が鏡を見ると、まるで短命内閣の任命式で末席に居る名もなき大臣みたいだった。
そんな自分の姿に辟易としながら俺は控え室を出た。

そしてどこに行けば良いのか分からずにウロウロする。
すると「トオルさん」そう声を掛けられた。
見ると髪型を整え着飾ったモーニング姿に身を纏ったシンヤが俺を見ていた。
流石は今日の主役。

「ああ、シンヤー・・・俺、どこに居たら良いんだろう?」
「向こうに親族控え室が有りますよ、行きましょうよ」
シンヤは相変わらず無愛想に、それだけ言うと俺を案内する
713 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:50:15.11 ID:AY11hDQFo
俺はフラフラしながら、付いていく。
「あ・・・」
シンヤは立ち止まった。
「え?」
「先に・・・新婦の姿を見ますか・・・?」
シンヤはそう言って少し笑った・・・


新婦の控え室をシンヤはノックする。
「入りまーす」そうシンヤが言った。
すると、中から「ちょっと待ってー」とマキの声が聞こえドアが開いた。

中からヒョッコリ、マキが顔を出す。
「あ、トオルさん・・・中々モーニング姿似合うじゃないww」
マキは、そう言って笑う。
「マキは用意出来た?」

「うん・・・私はね・・・新婦も、もう出来るよ」そ
う言って留め袖姿のマキがドアの外に出る。
「あら、シンヤ君、さっすが、新郎ね。ピシッと決まってるよ!カッコイイ!」
714 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:51:36.44 ID:AY11hDQFo
「ありがとうございます。マキさんの留め袖姿も、お似合いです」
シンヤが世辞を言いマキが照れた。コイツは無愛想だが、サラリと人を喜ばせるんだ。
俺はチラリと中を覗こうとするとマキが笑った。
「ハイハイ、見たいんでしょ?どうぞ!」
そう言ってマキは俺を中に促した。俺は少し緊張しながら中に入った。

中には純白の裾が広がり・・・そして、その裾に繋がるドレスが見えて来た。
俺は息を飲んだ。


ウェディングドレスを身に纏った・・・スミカが俺を見つめていた・・・


俺は何故か既に涙目になる。スミカは照れた様に笑いながら俺を見つめた。

「どう・・・お父さん・・・?」

俺の涙腺が崩壊し、流れ出た涙を拭いながら頷いた。
スミカは俺を見ると、「早いよ・・・お父さんww」そう言って笑っていた・・・
715 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:52:54.30 ID:AY11hDQFo
十年前に俺は自分の店を持った。

立地条件は正直良くは無かったのだが、何とか料理の腕で頑張ろう、そう思ったんだ。
大変な時期も有ったが幸いな事に、向井さん達が知り合いを動員してくれて店を訪れる。
すると、口コミで広がり客も増えた。

最初は俺が一人で厨房を仕切り、マキがホールスタッフとして頑張ってくれた。
ケンタが安く食材を入れてくれたのも助かった要因だ。
あの高二の春のキャンプの時にケンタを一人で待って良かったよww

シゲルさんがマルセイユが満席の時は、コチラに客を回してくれた事もあった
いつしか、店も軌道に乗り安定して来たんだ。
厨房のスタッフも増やしホールスタッフも増やした。

俺はスタッフに言う事は常に一つだけ。
「最愛の人に最後の料理を振る舞うつもりで」
俺はそれしか言わなかった。

スタッフもそれを守りお陰で客足が増えたんだ・・・
716 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:54:19.27 ID:AY11hDQFo
シンヤを最初にスミカが連れて来たのは、スミカとシンヤが共に15歳。
中学三年生の夏だった。

当時二人は付き合っている訳では無かった。
シンヤは所謂DQNだった。俺が言えた義理では無いが、奴の家庭環境は最悪だった。
父親は小学生の時に横領で捕まり、母親と離婚。
母親は奴が中学に入る前に男と蒸発した。
なのでシンヤは施設に入り、そこからスミカと同じ中学に通っていた。

シンヤは毎日、喧嘩をして、教師に歯向かう日々。
そして友達もいない。そんなシンヤに対してスミカだけが話し掛けていた様だ。

シンヤは最初はスミカをウザいと思っていた。
スミカ自身もシンヤに好意が有った訳では無い。
「なんか淋しそうだったから」と言う理由で話し掛けていた様だ。
717 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:55:33.85 ID:AY11hDQFo
スミカが「おっはよー!」と脳天気に挨拶をしても、シンヤは無視していたが、いつかスミカの脳天気さに負けて「おう・・・」みたいな感じに挨拶をする様になった。

二人を近付けたのはスミカが部活帰りに暗闇で変なオッサンに声を掛けられているのをシンヤが見つけた時だ。
シンヤは何も考えずにスミカを助けようと、その変な眼鏡を掛けたオッサンに向かって行った・・・

が、逆に、その変な眼鏡オッサンに投げられたのだった。
シンヤは焦って起き上がり再び、その眼鏡に向かう。
スミカはシンヤの存在に気が付いて叫んだ。

「部長、ダメー!!!それ、私の友達ー!!!」

が、部長は既に二回目の背負い投げをして、シンヤは道路に伸びた・・・
718 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:57:03.73 ID:AY11hDQFo
「ゴメンねー、シンヤ君」

スミカは、そう言って俺の店にシンヤを連れて来て治療をしていた。
「いたっ・・・」
シンヤは更に傷が増えている。
「スミカちゃん、アイスノン」
マキがスミカにアイスノンを渡した。
「あ、お母さん、ありがとう」
スミカはアイスノンをシンヤの額に当てる。


・・・最初に会ったシンヤは金髪で目が座っており、挨拶も碌に出来なかった。
スミカが「友達のシンヤ君」そう言って紹介したので俺が「こんばんは」と言う。
だがシンヤは「ふん」と鼻を鳴らすだけ。
うわ、超DQNだ。俺がそう思った瞬間にシンヤの更なる不幸が訪れた。

「こんばんワイーン!」
店に来ていた向井さんがシンヤにタワーブリッジをかけた。
「ギブ?ギブ??」
部長がシンヤに聞く。
「辞めてよー!!」
スミカが必死に止めていたんだ・・・
719 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:58:11.66 ID:AY11hDQFo
その後、俺はシンヤに夕飯を食べさせた。
負かりなりにもスミカを救おうとしてくれた奴だ。
そう思い食事を出すと「いらねー」そう突っ張る。

又もや向井さんが「いただきマンモース!!!」そう叫びながら卍固めをした。
「ギブ???ギブ???」
部長が聞き、スミカが必死に止める。

この武闘派集団が募る店に来たのがシンヤの運の尽きだったんだろう。
シンヤは大人しくなり、黙って飯を食べる。
するとシンヤは呟いた・・・

「美味い・・・」
それを聞いてスミカが自慢げに言う。
「でしょー?お父さんの料理は世界一だよー」

嬉しい事を言ってくれて父さん幸せだよ。
720 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 10:59:25.10 ID:AY11hDQFo
「俺・・・こんなん、食べたの・・・初めて・・・」

シンヤが小さな声で言う。向井さんがシンヤの頭を掴んだ。
「良かったな!スミカの友達で!」
その時にシンヤの生い立ちを聞いた。俺とマキは顔を見合わせて言う。

「ま、良かったら、これから食べに来て良いよ」
俺の言葉にマキは頷いて続けた。
「スミカちゃんの、お友達はサービスだよ」
シンヤは少し照れた感じで黙ってペコリと頭を下げた。

「ありがトウモロコーシ!!!!」
向井さんがインディアンデスロックをする。
「ギブー???ギブー???」
部長が眼鏡を輝かせていた・・・



こうして、シンヤは挨拶を覚えた・・・
721 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:00:39.29 ID:AY11hDQFo
それからシンヤは時々、スミカと共に店に来る様になった。
何も喋らなかったシンヤが少しずつ喋る様になる。
時折笑顔を見せる様になり、敬語も少しずつ話せる様になった。
勿論、敬語は向井さんの指導だった。

二人が中学三年の冬の事だった。
ある日シンヤが開店前に一人で店に来た。俺とマキは顔を見合わせる。
「おはようございます・・・」
「おう、おはよう・・・て、お前学校は???」
シンヤの挨拶に俺は慌てて言う。

「ちょっと・・・休みます・・・」
「休むな!行けよ!」
何を冷静に言ってんだ、コイツは・・・俺がそう思っているとシンヤはいきなり両膝を着いた。
え?

そして両手を床に着けるとシンヤは叫ぶ。
722 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:01:48.42 ID:AY11hDQFo
「お願いがあります!!!俺を、この店で雇って下さい!!!」

そう言われ俺はビックリする。
「俺・・・親が居なくて・・・高校には行きません・・・だから・・・」
シンヤは俺の顔を見た。
「俺・・・トオルさんの料理を食べて感動しました!!!俺、料理人に成りたいんです!!!お願いします!!!」

シンヤの叫びにマキが俺を見る。どうしよう?そんな感じの目だった。
俺はシンヤを見つめる。シンヤの目は真剣だった。
マキが慌ててシンヤに言う。
「あ、でも・・・高校には行った方が・・・」
「マキ・・・」
俺がマキを止める。シンヤはジッと俺を見つめていた。
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:01:56.73 ID:yNczT54QP
更新更新更新更新更新更新更新更新更新更新更新
724 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:02:45.36 ID:AY11hDQFo
「本気か?」
「はい!」
「料理人に成るのは結構大変だぞ?」
「覚悟してます・・・」
「金髪はダメだし、朝も早いし、夜も遅いぞ」
「はい」

俺は少し笑いながら言う。
「途中で辞めたら・・・向井さんを派遣するぞ?」
「う・・・だ、大丈夫です・・・」
シンヤは俺を見つめていた。

ふむ・・・この気持ちを俺は知ってる・・・
俺はこれを何度か体験した。

一度目は石田さんに高校に入る為に助けを頼んだ時・・・
二度目は警備の社長に借金の依頼をした時・・・

俺はシンヤの前にしゃがむと言った。
725 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:04:14.16 ID:AY11hDQFo
「分かった・・・」
「トオルさん・・・」
マキが少し非難する様な声を出す。
「ただし・・・一つ条件がある・・・!」
シンヤは俺を見た。

「高校には・・・行け・・・!」

「え・・・でも・・・」
シンヤが慌てる。
「高校に通いながら、この店で働け。公立なら学費は高く無い。お前の生活費と学費を賄えるだけの給料をやる」

俺の言葉にマキは顔を輝かせシンヤに頷く。
「え、いや・・・でも・・・高校に行っても・・・俺は料理人に成りたいんで・・・」
尚もシンヤは渋る。
726 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:05:03.68 ID:AY11hDQFo
「良いか?高校受験も頑張れ無い奴は、料理人の修業には耐えられねーよ」
俺の言葉にシンヤは黙る。
「それにな・・・」
俺はそう言ってシンヤを見る。
「高校はな・・・勉強だけじゃない・・・他に色んな物を手に入れる事が出来るんだ・・・」
「色んな・・・物・・・?」
シンヤの呟きに俺は頷いた。
そして自分が手に入れた物を思い出す。

そうだ・・・俺は沢山の物を手に入れた・・・!


「掛け替えの無い・・・仲間とかな・・・!」


俺はそう言ってシンヤに笑った・・・
727 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:06:56.92 ID:AY11hDQFo
シンヤは頑張った。
毎日スミカと共に勉強をする。
そして見事に・・・

俺達の母校のS高にスミカと共に入学した。

俺はシンヤの保証人となり、もう一人の保証人には向井さんが成ってくれたんだ

。高校に入学してシンヤは俺の店で頑張って働いた。
シンヤは中々センスが良かった。頭も悪くは無い。
そして、スミカとシンヤは同じ部活に入る。

天文部・・・じゃ無いのは残念だった
美術部だった。理由はスミカが絵を描くのが好きだから。
スミカは中学でも美術部だった。

シンヤはそれに乗っかる形で美術部に入った。
美術部で仲間を作り店にも連れて来た。
中々気の良い連中で皆で話している時はシンヤにも笑顔がこぼれる。
728 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:08:13.81 ID:AY11hDQFo
スミカ曰くシンヤは照れ屋なだけ。
優しいし、気が回る・・・それがスミカの評価。
俺も同意した上で、もう一つ。

シンヤは努力家だ。
昔、シゲルさんに言われた。才能がある奴はいくらでもいる。
だが、成功する人間は努力する奴だと・・・俺はシンヤは成功する人間だと思った・・・

スミカとシンヤは学校でも、店に来ても常に一緒だった。
シンヤは俺の家で飯を食べる様になり・・・

いつしか二人は恋に落ちる。
スミカとマキは二人でコソコソと話をしているのを知っていた。
ガールズトークって奴か。俺はそれを聞いてない振りをする。
シンヤも俺には何も言わない。
まあ、師匠の娘に手を出すと中々言える筈も無いのかな?
729 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:09:28.00 ID:AY11hDQFo
そして二人が高校を卒業する間際にシンヤとスミカが二人で閉店後に俺の前に来た。

「トオルさん・・・お話しが有ります・・・」
そうシンヤは緊張した表情で言う。スミカも緊張していた。
スミカも・・・こんな表情をする様になったんだ・・・俺は何故かそう思う。

少し離れた場所でマキが素知らぬ顔をして立っていた。
アイツめ・・・イロイロ知っている癖に・・・俺は少し天井を見上げシンヤを見た。

「分かった・・・俺に話を聞かせたかったら・・・料理を作れ」
俺の言葉にマキが反応する。
「トオルさん・・・」
俺はマキを手で制して続けた。
「シンヤ、お前も料理人の端くれだろ?料理人なら料理で語れ・・・」
「お父さん、ちょっと・・・」
スミカが口を開くと、シンヤが俺と同じくスミカを手で制した。

「分かりました・・・!」

シンヤは真剣な表情で俺を見ていた・・
730 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:10:50.17 ID:AY11hDQFo
シンヤは厨房に立ち料理を作り始める。
俺はカウンター席に座りシンヤを見つめる。
そして、テーブル席に座りジッとシンヤを見守るスミカを見た。
マキは祈る様にシンヤを見ている。

ユイ・・・俺はユイを思った。
スミカを守ろうとする奴が・・・現れたぞ・・・

あの時の俺がユイを守ろうとした様に・・・今、俺の目の前に居る男は・・・
スミカを守ろうとしている・・・
俺達二人・・・いや、三人で守って来た、スミカを・・・
今度は、この男が俺達の代わりに・・・スミカを守ろうとしている・・・


俺はね、この男に勝っちゃいけないんだ。
スミカを守ろうとしている、この男に負けなければならない・・・
そしてスミカを渡さないといけないんだよ・・・

良いよな・・・ユイ・・・?
731 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:12:05.57 ID:AY11hDQFo
シンヤは俺を見つめ、「出来ました・・・!」そう言って俺の前に皿を出して来た・・・

・・・・!!
俺は驚いてシンヤを見つめる。
俺の目の前に出された料理は・・・

ナポリタンだった・・・

「お前・・・!」
俺は笑う。
「どうぞ・・・食べて下さい・・・!」
シンヤは自信を持って、そう言う。
俺はフォークを握りパスタを絡める。匂いが少し俺のと違う。
俺はフォークに絡めたパスタを口に入れた・・・
テーブル席でスミカとマキが祈る様な表情で俺を見つめていた・・・
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:12:25.54 ID:xlXN/TBSO
すまん 料理で語れでわらっちまった
733 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:12:56.26 ID:AY11hDQFo
俺はパスタを咀嚼する・・・そして笑った・・・
思わず言葉を発してしまったんだ・・・

「うめえ・・・!」

シンヤは少しホッとした表情を見せた。
「お前・・・越えやがったな・・・!」
俺がそう言うとシンヤは再び俺を真剣に見つめる。


「越えなければ・・・スミカは・・・守れません・・・!」


その言葉に俺は頷く。
シンヤは厨房から急ぎ足で出て来て俺の前に立つ。

そして、床に膝を着き・・・両手を着いて額をも床に着けて叫んだ・・・!
734 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:14:22.23 ID:AY11hDQFo
「スミカと・・・スミカと結婚させて下さい!!!お願いします!!!」

俺は体に鳥肌が立ったよ・・・
遂に来たんだな・・・そう思った。
するとスミカもテーブル席から駆け寄り同じく膝を着き両手を揃えた・・・

「お父さん・・・私・・・シンヤと・・・結婚したい・・・!」
そして頭を下げた・・・
「お願いします・・・!!」
俺は頭をかいた・・・

・・・あの部長の真似をして、ゴキブリを素手で掴んでいた女の子が・・・
こんな立派な事を言う様になりやがった・・・
735 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:15:24.54 ID:AY11hDQFo
マキは祈る様な目で俺を見ている。
ハイハイ・・・今は俺だけが悪者なのね・・・俺はシンヤの前に膝を着いた。

「シンヤ・・・」
「・・・はい」
シンヤは顔を上げ俺を見つめる。
「スミカ・・・」
「はい・・・」
スミカも顔を上げ俺を見る。

「一つだけ・・・条件がある」
「・・・はい」
二人は声を揃えて俺を見つめる。
736 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:16:11.99 ID:AY11hDQFo
「絶対に・・・相手を置いて・・・死ぬな・・・!」

二人は何も言わずに俺を見つめる。

「必ず・・・二人で歩むんだ・・・絶対に相手を置いてきぼりにするんじゃ無い・・・!」
「・・・はい・・・!」
二人は真剣な表情で俺に返事をした。
そして俺はシンヤの前で正座をして頭を下げた。

「ふつつか者の娘ですが・・・よろしくお願い致します・・・!」

俺の言葉にシンヤは急に鼻を啜り手で涙を拭いながら俺に頭を下げたのだった・・・
737 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:17:32.23 ID:AY11hDQFo
俺とマキは親族控室に入る。
通常で有れば、ここは親族でごった返すんだろうが、そこは俺達二人だけだった。

「なんか・・・淋しいな」
「ホントね・・・はい、お茶」
マキがお茶を煎れてくれた。二人で窓の外を見ながらお茶を飲む。
俺達はこうして・・・歳を取るのかな・・・?
俺がそう思っていると控室のドアがガチャガチャと言う音がした。
そして・・・

「やっぱ、ここかー!」
そう言って向井家族、部長家族、ヨウイチ夫婦、サモハン家族、マルオ夫婦、タカコ・・・そしてシゲルさんに、警備の社長・・・最後に石田さんが入って来た。
石田さんは今や90歳近い。だがめちゃくちゃ元気なジジイだ。

「え???なんすか???」
俺が驚いて言う。
「なんすか、ってお前・・・」
向井さんが少し笑い言った・・・


「俺たちゃ・・・家族みたいなもんだろ・・・!」


その言葉に俺とマキは顔を見合わせる。
そして笑った・・・

確かに・・・!

俺達は仲間以上の・・・”家族”だな・・・!
738 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:19:09.69 ID:AY11hDQFo
チャペルの前でスミカと俺は二人きりになった。
参列者とシンヤは既にチャペルの中でスタンバイしている。
いやはや、こう言うのは非常に照れるな・・・俺はチラリとスミカを見た。
スミカも俺を見る。
俺達は互いに笑いあった・・・

「ソロソロです・・・!」
そう係員が言ってたので俺とスミカは扉の前に立つ。
スミカの右手が俺の左の肘を持った。
べール越しのスミカの顔が俺を見た。

「お父さん・・・」
「ん?」

俺もスミカを見る。


「私・・・似てるかな・・・今・・・」
739 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:20:11.88 ID:AY11hDQFo
「え・・・?」
「小さい頃から・・・よく見てたの・・・」
「何が・・・?」
俺の声が少し震えていた。

「お母さんと、お父さんが・・・二十歳で結婚した時の・・・写真・・・!」

俺の頭に・・・あの日のユイの姿が甦る・・・
「私と・・・お母さん・・・似てる・・・?お父さん・・・」
ベール越しのスミカのそう言う唇が微かに震え出していた・・・
俺も下唇を噛み締め下を向く。
そして俺も唇を震わせて言った・・・

「・・・ああ・・・!そっくり・・・だよ・・・!」

そう言って俺は鼻を啜った。
740 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:21:12.61 ID:AY11hDQFo
「お母さん・・・私を・・・産んでくれたんだよね・・・頑張って・・・!」
「・・・ああ・・・!」

俺は我慢出来ずに口を押さえた。スミカも鼻を啜り手で口元を押さえる。
「お父さん・・・」
「うん・・・?」
俺はスミカを見た。スミカは涙を溜めながら俺に微笑んで言った・・・


「育ててくれて・・・ありが・・・とう・・・!」


涙が全開に吹き出した・・
741 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:22:22.87 ID:AY11hDQFo
スミカは顔を上げる。そして空を見上げて呟いた・・・



「・・・産んで・・・くれて・・・ありがとう・・・お母さん・・・!」



俺は完全に号泣した。スミカも泣き出す・・・
俺達は扉の前で泣いていた。
チャペルの中から音楽が鳴り出す。

そして慌てて二人とも涙を拭いスタンバイをした。
742 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:23:53.84 ID:AY11hDQFo
そして扉が開き、俺達は拍手の中・・・
バージンロードを歩み始めた・・・
牧師さんの横にマキが立っているのが見えた・・・


その瞬間に俺とスミカは再び・・・
泣き始めた・・・


マキが笑顔で・・・ユイの写真を胸に抱えていたからだ・・・!


アイツ・・・いつの間に・・・!
俺とスミカは殆ど号泣しながら歩いて行く・・・

見ると、向井さんやリコさん・・・他の皆も泣いている・・・


俺達の中で・・・笑顔なのは、写真の中の・・・ユイだけだったんだ・・・

743 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:25:13.66 ID:AY11hDQFo
式が終わり、俺の店でパーティーが開かれた。
皆がいつもの様に騒いだ。
何故か向井さんが海パン一丁になり、部長は海パンにシュノーケル姿だった・・・


2011年8月6日・・・
あの日は本当に楽しかった”夏の日”だった・・・
そして調度、24年前の同じ日・・・


1987年8月6日・・・

俺とユイが初めて出会った”夏の日”だった・・・
744 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:26:28.05 ID:AY11hDQFo
あの日から・・・俺達の全てが始まったんだ。
あの日まで、俺には家族が居なかった。
だけど、あの”夏の日”から・・・俺の全てが始まった・・・
そして今・・・

俺には沢山の『家族』が居る・・・!


血も繋がっていない。だけど、それは大切で掛け替えの無い存在なんだ。
俺にはそれが本物以上の『家族』に他ならないと思う。

ユイ・・・俺は、俺が望んでいた以上の夢が叶ったよ・・・
ユイ・・・君が望み、俺が望んだ『家族』が今、目の前にある・・・


俺はとても幸せだよ!
745 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:27:13.31 ID:AY11hDQFo
・・・これが、俺の話したかった、”夏の日の話”です・・・


長々とお付き合いを頂き、本当にありがとうございました。

これで俺の”ある夏の日の話”・・・終わります・・・!




746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/19(金) 11:27:28.18 ID:jPmVRyJAO
トオルちょうど40歳か…?
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県)[sage]:2011/08/19(金) 11:28:16.97 ID:vfsyPd9D0
おめでとう!

そして乙カレー
いや、ナポリタン
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)[sage]:2011/08/19(金) 11:28:47.29 ID:gW2UzAd1o
(´;ω;`)ぶわっ


トオルさん乙でした!
本当に感動した!
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:28:51.27 ID:yNczT54QP
750 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:29:11.17 ID:AY11hDQFo
あ、いや、まだ部長と向井さんの話が残ってたねww
それはちゃんと書きますねww

それじゃあ、今日はこの辺りで
なんかね、もっと短くまとめて、6日までには書き終わる筈だったんだよ

最初のタイトルを「娘が結婚する」にしなくて良かったわww
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県)[sage]:2011/08/19(金) 11:29:35.85 ID:E2gg0rPjo
おつかれさま
家族っていいな…涙が止まらない…
752 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:31:01.97 ID:AY11hDQFo
>>746
そう、40歳の素敵なオジ様だww
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/19(金) 11:31:08.77 ID:jPmVRyJAO


マキと再婚したのかな?
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:31:36.56 ID:RCIDzq6vo
トオル乙

幸せ者!!
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:32:40.62 ID:5gTIZHaE0
俺のスミカちゃんが…


立派な父親だなトオル。おめでとう!

あとマキさんとの進展状況無しにいきなり結婚しててびっくりしたぞ。トオルとマキの一緒になったあたり、是非サイドストーリーとして教えてください
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:32:46.66 ID:xGCmhSi1o
おつ!
結婚おめでとー!
757 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/19(金) 11:32:51.83 ID:AY11hDQFo
もう少し語りたいところだが、シンヤがガンガンに俺を呼んでいるから、行くべさ!

それじゃあ、また番外編は書いとくね!
他に聞きたい話があったらリクエストしてくれいww

可能な限り書くよww
それじゃあ、今日は、これで!
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:33:50.75 ID:RCIDzq6vo
マキとはいつ結婚したの?
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/19(金) 11:34:16.39 ID:kdNCouCEo
マッキーの子供はいないのか?
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岡山県)[sage]:2011/08/19(金) 11:35:23.93 ID:Zy9kYBSG0
乙!
そしておめでとう!

…こりゃ、番外編でもう1スレ要りそうだなwwww
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/19(金) 11:35:29.13 ID:jPmVRyJAO
スミカは大学行ったの?
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 11:39:06.93 ID:yNczT54QP
天文部の二つしたの後輩は
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/19(金) 11:45:42.12 ID:/YPSH/oSo
これからマキさんと
ある意味新婚生活だな
子供作っちゃえよ
マキさんとも種の伝道しなきゃ
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/19(金) 12:08:22.40 ID:RU5Yvudqo
8/6かぁ
俺もちょうど結婚式行ったな
まさかな・・・
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岡山県)[sage]:2011/08/19(金) 12:09:10.47 ID:Zy9kYBSG0
今ざっとスレ読み返してたら…
当の8月6日にも投下してんのなwwww
こう言っちゃ何だが、晴れの日に何やってんだよwwwwwwww
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2011/08/19(金) 12:20:45.88 ID:1dv2WgBko
トオル、S46?同い年だわ。
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 13:08:56.62 ID:pX37I0OIO
泣いた
とりあえず完結おめでとう
サイドストーリーもよろしく

768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/19(金) 13:25:38.56 ID:qCrN825Do
遺影のとこでふぐぅ!ってなった
ホントいい奴ばかりだな・・・


トオルの変態期以外は・・・
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/19(金) 13:46:20.01 ID:XMo8KJmRo
マキとの、結婚までの話しを!
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 13:49:07.12 ID:llPI+qdA0
トオル乙です。
心が温まって、モニタが見えません。
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 13:56:26.87 ID:oBX7kZSSO
トオルさん乙です

号泣しました。
サイドストーリーも楽しみにしてます。
スミカちゃんおめでとう!
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage ]:2011/08/19(金) 14:05:56.13 ID:KnfIBzrDo
俺が結婚したの1日違いで8月7日だおしいぃ
結婚して一週間以上たつのに別居中なんだけど
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 14:14:09.72 ID:bWuwju4+0
トオルさん乙かれさまでした!
めちゃくちゃ感動しましたww1987年か…俺が産まれた年の夏に二人が出会ってたのか…
なんか…スゲーなww
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 14:23:32.76 ID:yNczT54QP
>>772
あれか
偽装結婚的なあれか
775 :名無しのパー速民[sage]:2011/08/19(金) 14:32:35.24 ID:kdGd2xKAO
お疲れ!!!
周りのみんなにはこのスレ教えないの?
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/19(金) 14:40:58.05 ID:jPmVRyJAO
>>775
そんなことしたら部長と向井さんのレスだけでこのスレ終わっちまうだろwwww
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 14:51:20.99 ID:7kssy0+Uo
トオル乙
スレ立てた日からずっと追ってたよ
それにしても向井さんと部長はブレなすぎて凄い
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(九州)[sage]:2011/08/19(金) 15:26:47.15 ID:DfnHxrpAO
トオルさん 乙でした。
すごく心が温まりました。

番外編も楽しみにしてます♪
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(島根県)[sage]:2011/08/19(金) 15:32:52.89 ID:IguwqCoSo
この話を書きたかったもうひとつの理由ってもうでた?
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/08/19(金) 15:33:42.22 ID:8M488mHFo
最後まで感動しました
やっぱりトオルの店行きたいなぁ
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/19(金) 16:07:58.49 ID:DEsoQOQDo
ちょうど先輩10こ上だったのね
メインストーリー完結、おつかれさまでした!
まだまだサイドストーリーも楽しみにしてるんで!
このスレで終わるのかな…?wwwwww
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 16:33:16.62 ID:lxDgRRsE0
トオルさんお疲れ様でした

次スレ期待しときますねw
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/19(金) 16:39:55.56 ID:05oVdvKXo
感動
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage ]:2011/08/19(金) 17:35:39.67 ID:q6aXIsnK0
トオル乙。
仕事中だったけど感動しました!

サイドストーリーも期待してます。
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 18:19:23.68 ID:qjiDj4XDO
乙!
読み始めたら止まらなくて電車で号泣した
俺も幸せになりたい

786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/19(金) 18:29:10.43 ID:yxjQqtiqo
トオル乙、凄い感動したよ
エーデルワイス吹いていた話からよくここまで持ってきたなww

マキとの結婚までのエピソード聞きたいです
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 20:49:48.41 ID:Wyrc1JIIO
トオル乙
子供はスミカだけなのか?
そうであれば、子作りの予定はないのか?
マキとのセクロス描写はないのか?wwww
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/19(金) 23:34:20.53 ID:aEX85EcDO
トオル先輩おつかれさまでした
感動しました
番外編も楽しみにしてます
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/20(土) 00:30:12.32 ID:C16b4LN70
トオル乙
向井とリコさんの話気になりますwwww
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/20(土) 01:25:25.79 ID:rleL6fpn0
いい話を聞かせてくれてありがとー!
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/20(土) 02:35:41.72 ID:wItGqVpAO
トオルありがとう!
そしてお疲れ様!!

こんなスレ今まであったかなwwダメだ、、画面見れねぇwwww

本当にありがとう・・・っ!
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/20(土) 07:25:12.59 ID:OCbH/QH/o
ユイさんのお父さんと
トオルさんの両親が亡くなったのは
同じ事故が原因だったの?
それとも夢の中の設定
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(九州)[sage]:2011/08/20(土) 07:56:12.52 ID:JgkvierAO
お疲れトオル
ずっと見てきたけど楽しかったぞ
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/20(土) 08:21:18.09 ID:bRu8EKeeo
トオル・・・1971年生まれ
スミカ・・・1992.8.28生まれ

であってる?
年齢のことを深く聞くのは失礼だけど・・・

>>765
ほんとだww
でも7日は来てないな
さすがに疲れてたのかな
795 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/20(土) 09:21:12.92 ID:U1a6eOeuo
おはようございますww
すみません、昨日は店がお祭り状態で何も書けてませんww
ちょっと、補足をする為に皆さんの質問にお答えします

ただ、ちょっとかなりの数が有りましたので、俺が覚えている限りに返レスしますね
796 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/20(土) 09:27:22.41 ID:U1a6eOeuo
・マキと再婚をしています
・マキとの子供は居ません。マキ自身が「子供はスミカちゃんだけが良い」と言ったからです。
・スミカは美大生です。
・マキとの子作り・・・wwそしたら、孫と子供が同い年になる可能性がwwww
・ユイが昔病院で会った女の子が同一人物かどうか・・・?
正直、これは分かりません。そもそも、本当に女の子の存在が有ったのかさえも覚えて無いんです。
ひょっとして夢の中だけの話なのかも・・・
797 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/20(土) 09:32:56.76 ID:U1a6eOeuo
>>794
合ってますww

それでは、サイドストーリーは
@部長と向井のホモがたり
A俺とマキの結婚の話
B向井の躾方byリコ

で行います。
俺的には、高校時代にツチノコ探しをした事を思い出したので、それでも良かったんですが・・・
それでは、今日も忙しい一日になりそうです

それでは俺はこれで!
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/20(土) 09:33:16.21 ID:28tp4C2Ao
>・マキとの子作り・・・wwwwそしたら、孫と子供が同い年になる可能性がwwwwwwww
ここは是非マキさんと話をしてみてほしい、二人になるとさみしいよって。
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/20(土) 10:10:03.05 ID:2i8J5Pv50
ツチノコも希望ww
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/20(土) 19:14:47.07 ID:jeqA+y65o
トオルさマキさんと子供作らないなら
俺がマキさんと子供作るわ
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/20(土) 20:04:15.21 ID:UQHyfXtNP
じゃあ俺ヨウイチの嫁に種付けするわ
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/20(土) 20:30:02.83 ID:e5mY4jGpo
大きなお世話だけど
スミカも嫁に行ったし、これからはマキだけを全力で目一杯幸せにしてやって欲しい
実際の所は分からんが、きっとマキにも思う部分は色々有ったんじゃないかな?

これからは初めての二人だけの時間を満喫させてあげて欲しい
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/20(土) 23:10:44.34 ID:TjMbHFSDO
ところで、向井さんの子供も女の子って事は向井さんもHが下手くそって事?
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/20(土) 23:15:57.14 ID:WDnWgy8mo
>>803
お前失礼な奴だな
単にチンコが短いだけかも知れんだろうが
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)[sage]:2011/08/20(土) 23:47:25.87 ID:Zfqvpoby0
下手だったりチンコ短かったりすると女の子が生まれるのか!?
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/20(土) 23:49:33.61 ID:TjMbHFSDO
>>804
すまん そういえばマルオ以外はコッペパンだったな。
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/21(日) 09:31:00.12 ID:FTJyGfi0P
>>802
余計なお世話すぎてわらた
何者だお前
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2011/08/21(日) 12:21:56.21 ID:QSmDIkw2o
>>805
マソコの中は基本酸性で感じてくるとアルカリ性になるらしい
精子さんは酸性が死んじゃうくらい苦手らしい
Y染色体の精子さんはX染色体の精子さんより虚弱らしい
肉ばっか喰ってる女性は超酸性?アルカリ性になり易い野菜喰え野菜‼
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)[sage]:2011/08/21(日) 23:43:01.03 ID:XO59i70j0
>>808
おおそうなのか教えてくれてありがとう
これからは野菜いっぱい食べるわ
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage ]:2011/08/22(月) 00:06:32.96 ID:2usv13rHo
>>808
ほう、つまりその説だと候or下手で酸性のまま放出するとオニャノコになる可能性があるのか
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)[sage]:2011/08/22(月) 03:39:29.41 ID:iHYK/C4uo
マツコの中は酸性か
確かに何でも溶かしそうだな
812 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 08:57:10.73 ID:pt3/VHEbo
おはようございます。
では、下手くその向井さんのお話です

どうぞ
813 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 08:58:28.29 ID:pt3/VHEbo
「俺の言う事を聞かない奴は死刑な」

向井がそう言うと殆どの人間は黙って言う事を聞いていた。
小さい頃から、そうであった。
だがたまに、その命令に背く人間や反発する人間も居る。
そう言う奴は例外無く、向井の鉄拳制裁の餌食と消えていく。

なので、小学六年生になった時には、この町の殆どの小学生は向井の手下と化していた・・・だが、向井の命令には皆、服従していたが、向井と共に笑ったり、向井と共に笑顔で居る人間は皆無であった。「
814 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:00:02.49 ID:pt3/VHEbo
「遊ぼうぜ!」

向井がそう言うと、皆は嫌々遊ぶ。向井は、その気持ちがヒシヒシと伝わって来た。
そして不器用な向井は言う。

「笑えよ!笑わないと殴るぞ!!」
その言葉に皆が笑い出すが、顔が引き攣って上手く笑えない。
向井は笑わない奴を片っ端から殴って行く・・・
そんな事をすれば、逆効果、と言うのは小学生の向井には分からなかった。

向井は孤立して行く。もちろん周りには取り巻きがいる。
だが、ソイツらは完全に向井の力を傘にしているだけだった。
一緒に笑う事も無ければ、一緒に楽しむ事も無いんだ。
815 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:01:33.04 ID:pt3/VHEbo
向井が冗談で「川に飛び込め」そう言うと、ソイツらは「なんでだよ!」とか「阪神優勝かよ!」と言ったツッコミもせぬまま川に飛び込む。
次々に取り巻き達川に飛び込む姿を向井は黙ってみていた。
川に飛び込むと取り巻き達が川から向井を見つめる。それを見て向井は笑った。
「鵜飼いかよ、俺は」

ある日、向井は取り巻き達を狭い体育倉庫に入れた。
十人をぎゅうぎゅうに入れた後に向井は外から倉庫の中を見ながら言った。
「体操の体型に・・・開け!!!」
「え・・・あ、や、ヤー!!!」
全員が焦りながら、倉庫の中でぶつかり合い、体操の体型に広がる・・・
それを見て向井は爆笑していた・・・
816 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:02:17.40 ID:pt3/VHEbo
そして、それが向井に取って取り巻き達と一緒に居る・・・最後の日だったんだ・・・

向井はそれ以降、常に一人になった。
誰とも話す事が無く、誰とも関わらない。全て嘘に思えるんだ。
誰も向井に本当の事は言わないし・・・誰も向井と楽しんだりする奴は居ない。
取り巻き達も向井から離れる事が出来てホッとしている様に思えた・・・

結局、誰も向井を好きじゃ無かったんだ・・・
817 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:03:14.87 ID:pt3/VHEbo
中学に入ると向井は真面目になった。
クラスの連中にも笑顔で話す様になる。誰にも暴力を振るわない様になった・・・
いや、心掛けただけ。決して本心では無かった。

たまに誰かに「違うだろ!」そう言って頭をハタかれると、ムカッとして、ソイツを屋上からトレペで吊してやろうかと思った。
だが、寸での所で自分を止めていたのだった。

向井はその鬱憤を晴らす為に部活に入った。入った部活は柔道部。
彼は柔道部ならば先輩に対しても投げたり絞めたりする事が出来る・・・そう思ったのであった・・・
818 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:04:27.97 ID:pt3/VHEbo
が、それは甘かった。
毎日、毎日、基礎トレーニングと先輩からの理不尽なイビリがある。
向井がボーッと部室にいると、先輩が顔面にカバンや靴を投げる。
また、先輩は「50m走を7秒切れない奴は屋上からの輪ゴムでバンジーな」と言ったり、
向井が着替えをしているとパンツを盗んだりと、理不尽な事ばかりされた・・・

・・・まあ、数年後に彼は同じ事を誰かにする訳なんだが・・・
だが、その誰かと向井は違った。

向井は爆発しそうな気持ちを静め、何とか耐えよう・・・そう思っていた。
そうやって入部して一ヶ月が過ぎた時だった。
819 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:05:50.52 ID:pt3/VHEbo
ある日向井が部室で着替えていると例によって先輩が向井の顔にカバンを投げつける・・・
まあ、それはいつもの事だった。だが、投げられた向井自身の虫の居所が悪かったのだ。
前日に向井の家族が、向井抜きで焼肉を食べに行っていた・・・

向井は投げ付けられたカバンを取り、投げた先輩に150Km/hを越える球速で無意識に投げ返した。
先輩の顔面にカバンが炸裂して先輩が倒れる・・・その瞬間に向井が思った事は・・・

証拠隠滅をしよう。だった。

向井は唖然としているもう一人の先輩に飛び掛かり、数秒で沈める。
すると、そこに別の先輩が通り掛かったので、ソイツも倒す・・・
820 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:07:05.92 ID:pt3/VHEbo
ヤバい大事に成ってきた・・・向井はそう思うが、もう誰も彼を止める事が出来なかった。
彼は何故か関係の無い先輩までを一人一人別々に飛び掛かり、撃破していく。
うん、それなんてリーサルウエポン?

先輩は向井を恐れ、そして・・・柔道部は一年生だけの部活になったのであった・・・

そして他の一年も向井を「向井さん」と呼ぶ様になり、誰も彼に逆らう奴は居なくなってしまった・・・
こうして彼は再び小学生時代と同じ仲間が居ない状態に逆戻りした。
他の生徒も向井には手を出さない。全員が彼を恐れていた・・・

柔道部が一年生だけの部活になり、向井は毎日、竹刀片手に柔道部を指導(?)していた。
821 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:08:37.48 ID:pt3/VHEbo
そして部員も段々少なくなっていく。遂には、彼を含めて四人だけの部活になった。
そして残り三人も、いつ辞めるか分からない状況であったのだ。

そんなある日の事。
「こんぬつわー」
いきなり柔道場のドアが開いた。向井は振り向く。
そこには眼鏡を掛けたヒョロヒョロの男が一人立っていた。
「なんだ?」
向井は竹刀を肩に置きながら近付く。
「あんのぉ、ここは柔道部だすか?」
目茶苦茶、訛ってんな、コイツ。向井はそう思う。

「そうだけど?」
「あのさ、ワタスは柔道部に入りたくて、ワザワザ・・・」
そこで彼の眼鏡が光る。

「フランスから来たアルヨ」
そう言って向井を見つめた。
「は?中国人?」

向井がそう言うと眼鏡は一人で馬鹿ウケしていた。
822 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:09:45.63 ID:pt3/VHEbo
眼鏡は再びキリッとした表情になると言った。

「入部テストは、ありますか?」
「あ、いや・・・別に・・・」
「えー・・・してよー・・・」
眼鏡は何故かガッカリした。

何なんだコイツ・・・向井はそう思いながら眼鏡に言った。
「あ、じゃあ・・・モノマネでも・・・」
その言葉に眼鏡は、眼鏡を光らせた。

「ククク・・・まさか、僕にモノマネをさせるとは・・・!」
そして向井は彼の『岸部シロー』のモノマネに爆笑したのであった・・・


これが向井さんと部長の初対面だった・・・
823 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:10:58.85 ID:pt3/VHEbo
部長が二年生の転校生だと知ったのは、そのすぐ後だった。
そして彼は柔道経験者かと思いきや、そうでは無く、全くのド素人。

「さあ、向井君、今日は何をしようか?」
部長はいつも部活の時間、張り切っていた。
「あ、じゃあ・・・」
向井も柔道の経験が無い。だから、何の練習をして良いか分からず毎日、適当に乱取りばかりをしていた。
向井が迷っていると「じゃあ、ノックでもしようか!」部長はそう言ってバットとボールを持って来る。
何故か、グランドに行き野球部を強引に退かせてノックをしていた。
824 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:12:10.64 ID:pt3/VHEbo
他の部員は向井のノックを取れずにへばる。
だが、部長だけは「ヘイ、ヘイ!」そう言って楽しそうにノックのボールを上手くキャッチしていたのであった・・・
部長はとにかく運動能力が抜群に高かった。
そして柔道部は何故か毎日、色んなスポーツの練習をする。
全く意味が分からないが、何故か部長がそうする様に仕向けたらしい。
そして一通り他のスポーツをした後に部長が言った。

「ねえ、向井君・・・明日は柔道をしようよ・・・」
そう言われ向井は焦った。何故か部長からプレッシャーを感じたのだ。

ヤバい、柔道をしなきゃ・・・向井はそう思い、その日の帰り道に本屋で柔道の本を買い、柔道の勉強をした。
825 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:13:23.17 ID:pt3/VHEbo
翌日、初めて受け身の練習をする。
すると部長は「おもしろーい!!これ、跳び箱置いて、それ飛び越えたら良くない???」そう言って部長は跳び箱を持って来た。
他の連中はヒビリまくる。

だが部長は嬉しそうに跳び箱越えの受け身をした。
「ほれ!向井君も!!」
「あ、はい・・・」
その頃の向井は既に部長に敬語に成っていた。何故かは分からない。
彼の勢いに負けたかもしれない。向井は跳び箱越えの受け身をすると叫んだ。

「おもしれー!!!」
「だろう?おい、他の皆もやれよ!!!」
だが、他の連中は完全に引いてる。

「やらねーと、コロス」
向井の一言に他の連中は必死にやる。
826 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:14:42.48 ID:pt3/VHEbo
それからも、毎日部長と向井は訳の分からない練習を二人でケタケタと笑いながらやっていた。
だが他の連中は二人に付いて行けない。
いつしか、他の連中は部活を辞めて・・・

柔道部は彼ら二人だけになったのだ・・・


「辞めたねー、皆」
道場の畳の上で座りながら部長が言う。
「辞めちゃいましたね」
向井も頷いた。

結局、そうなんだ。
皆、俺の前から去ってしまうんだ・・・いつもの事だ・・・
向井はチラリと部長を見る。
この人も・・・いつか、去るんだろうな・・・向井はそう思った。
去るんなら・・・早めに去って欲しい・・・

その方が傷つかなくて済む・・・
827 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:16:25.44 ID:pt3/VHEbo
向井はそう思い・・・言った。
「あの・・・」
「うん?」
「眼鏡さんも・・・嫌なら辞めて下さいよ・・・」
向井はそう言って下を向く。

そうだ。辞めたら良いんだ。俺なんかと、関わらない方が・・・
向井が一人でそう思っていると部長が言った。
「なんで?」

え?
「あ、いや・・・だって、嫌でしょ・・・俺みたいな・・・奴と・・・」
向井の言葉に部長は首を傾げる。

「なんでかな?僕は向井君と一緒に・・・柔道がしたいんだけどな・・・」
その言葉に向井は顔を上げる。


「仲間じゃないかww二人でも頑張ろうよww」


・・・向井は心が震える・・・生まれて初めて・・・仲間が出来た・・・!
その時に向井は悟った。


そうか・・・仲間って、楽しい事を共有して・・・作るもんなんだ・・・!
828 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:18:13.18 ID:pt3/VHEbo
彼ら二人は、それからも毎日、訳の分からない練習を毎日する。
顧問の教師が何も言わなかった事もあり、彼等は二人でずっと練習をする。
来る日も来る日も二人で練習。
運動能力が高い二人はかなり上達していくが、比べる相手が居ないので自分達では分からなかった。

そして翌年、バーーーローー年生が入って来た時も、勿論分からない。
一年生は皆、素人ばかりだからだ。
向井はバーーーローー年生の前で部長を指して言う。

「この方が・・・我が柔道部のキャプテンだ!!!」
「よきにはからえ」

二人のコンビネーションは、この頃から出来上がったようだった。
829 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:19:18.50 ID:pt3/VHEbo
二人は実力がよく分からぬまま、その年の夏の大会に出場する。
そして個人戦で、それぞれ全国大会に出場したので・・・あった。


部長が引退した後も向井さんはキャプテンとしてチームを引っ張る
だが、皆向井さんの練習について行けない。
最終的に・・・向井さんは腰を痛めて・・・そのまま柔道部を辞めたのであった・・・

それは腰を痛めたのが原因なのか、はたまた、部長が居ない柔道部が面白く無かったのかは不明だ。
だが、彼は翌年、部長の後を追う様にS高に入学をしたのだった・・・
830 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:20:33.37 ID:pt3/VHEbo
入学して、すぐに彼は柔道部を訪ねた。
道場を覗くと「入部希望なら、丸刈りにして来い!!」そう先輩に言われムカッと来るが耐えた。
とりあえず、見学を、と言って道場に入らせて貰い部長を探す。

が・・・居ない。
あれ?なんで居ないんだ?向井は疑問に思う。
「あの、すんませーん」
向井は練習中の先輩に尋ねた。
だが先輩は「練習中は私語禁止だー!!」そう言う。
向井はキレそうな気持ちを我慢しながら再び座っていると・・・

道場の前を部長がヒョコヒョコと制服姿で現れた。

「あ・・・!」
向井は声を出した。来た・・・!キャプテン・・・!
向井が笑顔になると部長は道場を素通りした・・・

え???
831 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:21:21.86 ID:pt3/VHEbo
向井は慌てて叫んだ。

「キャプテン!!!」

その声に、柔道部の先輩が叫んだ。
「なんだ、お前はさっきから!!!」
だが向井は無視して部長を尚も呼ぶ。

「キャプテン!!向井です!!!」

すると部長がヒョコっと向井を見た。そして眼鏡を光らせる。
「ククク・・・誰かと思えば・・・」
そう言った後に笑った・・・


「やあ、友よ・・・!」


その言葉に向井の胸が熱くなる・・
832 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:22:52.14 ID:pt3/VHEbo
「おい、てめぇ!さっきから何言ってんだ!!!」

柔道部の先輩達が騒ぐ。
「あれ?キャプテン・・・柔道部じゃ無いんですか・・・?」
部長は頷くと言った。

「うん、飽きたww」
え???

「今はね・・・向井君・・・」
部長は眼鏡を再び光らせて言う・・・

「宇宙が・・・熱いよ・・・!」
宇宙?
「て、事は・・・柔道してないんすか?」
「うん、そこは知らない人ばっかりだよ」

そうなんだ・・・
「おい!!!てめぇ、さっきからペチャクチャと・・・」
833 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:24:23.91 ID:pt3/VHEbo
柔道部の先輩が向井さんの肩を握った・・・

その瞬間、柔道部の先輩は一回転して、畳に寝転がった。

「キャプテン・・・!」
向井さんは柔道部の先輩を投げた後に言った。
「なんだい?」
いつの間にか部長も一人投げていた。

「高校でも・・・楽しい事が・・・待ってますよね・・・?」

その言葉に部長はまた一人投げながら言った・・・


「もちろん・・・!」


向井は笑顔で柔道部員を投げて行った・・・・
・・・・
・・・・
834 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:25:19.93 ID:pt3/VHEbo
「・・・それで、柔道部がこの饅頭を・・・」

俺がそう言う。
「そうwwなんか毎年勝手に持って来るんだよww」
向井さんが、そう言って笑った。
天文部の部室に置かれた饅頭をヨウイチが見ながら聞いた。
「てか・・・どんだけ投げたんすか・・・?」
「さあ・・・?あん時は俺、腰が悪かったからな〜七人位で柔道部が謝ったから許したけど」
「腰を故障してて・・・アンタは鬼神かよ・・・」

どこまで本当の話か分からないが・・・ただ、向井さんと部長なら有り得る・・・
俺達はそう思った。
835 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:26:33.93 ID:pt3/VHEbo
「おっはよー!!」

そう元気な声が聞こえリコさんが部室に姿を見せた。

「今日は寒いねー」
そう言ってマフラーを巻いたユイが入って来る。

ユイー・・・俺はドキドキしながらユイの横顔を見つめる。
相変わらずカワイイww

その時、部室のドアが開き大慌てで部長が入って来る。
「大変だよー!!!」
そう叫ぶ声に俺達は部長を見る・・・


「ツ、ツチノコを見つけたー!!!!」


部長の言葉に俺達は溜息をつく。
836 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:27:35.59 ID:pt3/VHEbo
「なんすか、その胡散臭い動物」
「[たぬき]でも見たんすか?」
俺達の呆れた言葉に部長が首を横に振る。

「それは・・・アレっすね・・・」
向井さんが呟いた。
ま、まさか・・・俺とヨウイチが恐る恐る向井さんを見た。

「是非探しに行かねば・・・!」

やっぱり・・・


「おら、お前ら今週はツチノコ探しだ!!!」
837 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:28:51.21 ID:pt3/VHEbo
「えー・・・寒いよー」
「うっせー!!ツチノコだぞ、ツチノコ!!!」
「マジっすかー・・・」
「絶対に居ませんって!!!」
「居るよ!!!僕見たもん!!!」
「アンタ、眼鏡替えろよー・・・」

部室にいつもの騒がしい声が響く・・・


向井さんが柔道を捨てた本当の理由は定かでは無い・・・
だが、向井さんは・・・


本当の仲間を手に入れたと・・・
思うんだ・・・








ちなみに部長が天文部に入ったのは『バトロイドバルキリー』のプラモを先輩から貰ったからだった・・・


おしまい。

838 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/22(月) 09:30:03.09 ID:pt3/VHEbo
以上です

クオリティが低くてスマン。
やはり実体験じゃないと・・・スマンです

次回も頑張って書きますんで
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2011/08/22(月) 09:38:21.60 ID:Of2bTFuNo
トオル乙!
十分おもろいよwwww
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage ]:2011/08/22(月) 09:39:40.38 ID:mVL0IDA5o
部長のペースに巻き込まれた感じなんだねwww
てかツチノコの話これで終わりなの?www
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/22(月) 09:52:59.88 ID:dMrdccvOP
是非向井さんに読ませて感想を
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/22(月) 10:08:07.43 ID:iKLa+Yx9o
おはとおる・・・・

朝から笑わせていただきました、出会いなんてそんなもんかもしれませんね。
一歩間違えば、やくざの構成員ですねwwwwww
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/22(月) 11:11:48.75 ID:uzJp16Dao
向井さん好きだwwww
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/22(月) 12:05:24.11 ID:LfqbCQFSO
小学生の掛け声が『ヤー』ということは、福岡県か…
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/22(月) 12:06:17.28 ID:oeS/vb7Do
初めは驚いたあの勧誘方法も今では
向井さん部長コンビなら普通にやりそうだなと思うから困る
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/22(月) 16:44:19.64 ID:kAK9gzfQo
先輩おつかれさま!
面白かったwwwwww
ツチノコ探しのエピソードもよかったらお願いします
かなり笑えそうなんで…
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/23(火) 20:20:43.93 ID:PTqC/kPyo
残りのエピも期待wktk
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/08/24(水) 09:43:48.77 ID:mbfQYY2p0
あートオルのナポリタン食いてー
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/24(水) 09:54:03.57 ID:ed7gT/d2P
ここはトオルレストラン
人気メニューはナポリタン
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県)2011/08/24(水) 10:44:27.20 ID:roRpatoo0
トオルさんがお店を持った時のエピソードが聞きたいな
もちろん向井工務店が工事して
シゲルさんが最初のお客だったのかな
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/24(水) 11:15:55.04 ID:n/7joETIO
向井さんは小さい時と本質があまり変わってないな
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/25(木) 08:11:42.67 ID:AQTkNPpeP
猛者の向井さんが部長に仕える経緯がよく分かりましたw
853 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 09:55:50.44 ID:zhxPd8Ibo
お待たせしました。
最近、骨折が治ってから、休んでいる時の分まで、シンヤに働かされて忙しくて・・・

それでは、サイドストーリー
向井、リコの恋【向井が尻に敷かれる時】をどうぞww
854 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 09:57:41.95 ID:zhxPd8Ibo
「最近、マンネリじゃない?」

ハルミがそう向井に言う。
「ああ・・・」
向井は雑誌を見ながら返事にならない様な声でハルミに答えた。

向井はチラリとハルミを見る。ハルミとはコンパで知り合った。付き合って三ヶ月。
まだマンネリでは無い筈なんだが・・・その時、ベッドに座る向井の横にハルミが腰掛ける。
「ねえねえ、遊園地に行かない?」
遊園地?
向井は雑誌を閉じると立ち上がり時計を見る。
「ああー・・・もうこんな時間かー・・・送るわ」

ハルミが怒っているのが分かったが向井は何のフォローもしない。
確かに最近向井の家でしか会わない。そりゃハルミも怒る。
だが、向井は煩わしさしか感じ無かったのだ。

面倒くせー・・・そう思いながら家を出た・・・
855 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 09:59:11.14 ID:zhxPd8Ibo
6月も終わりに近付き蒸し暑さが増した。

「おおっすー!」
向井はマルセイユのドアを開けると、そう叫んだ。
「ちわっすー」
カウンター越しに後輩の料理人がそう返事をした。カウンターには同じく後輩の医学生が座っていた。
「あれ?今日は休みっすか?」
後輩の医学生が尋ねる。
「いや、ちょっと生理でな」
「そうっすか、なら仕方ないっすね・・・」
「そうだな、それは仕方ない」
後輩二人は流した。

「二日目なんだよ」
「そうっすかナプキン有ります?」
「当たり前だろうが。多い日も安心だよ」
「まあ、俺はタンポン派なんですけどね」
「そうなんだ・・・」

向井はカウンター席に座る。
856 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:00:22.83 ID:zhxPd8Ibo
すると後ろから「むかいっちー!」と可愛い声が聞こえ向井の目尻が下がり振り返った。

「おおーwwスミカーwwどうした?」
向井がそう言うとスミカの後ろから更に声が聞こえる。
「アンタこそ、仕事はどうしたのよ」
見るとリコがトイレから出て来た。
「俺は生理だ」
そう言った瞬間にリコのカバンが頭に当たる。

「いたっ!!!・・・お前こそ、仕事はどうしたんだよー?生理か?」
向井の頭に更にカバンが当たる。マジでコイツ生理かも・・・向井はそう思う。
「今日は代休なの!」
リコが怒りながら言った。
「せいりってなーにー?」
スミカがキョトンとした表情で向井に聞く。
「あのね、スミカも、あと10年もしたら・・・」

再びリコのカバンが頭に当たったのであった・・・
857 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:01:29.87 ID:zhxPd8Ibo
大学を卒業して、一年修業で中堅の建設会社で働いた後に向井は実家を継いだ。

家業を継ぐ二代目は中々大変だった。先代の父親の代からの社員は皆、向井より年上だ。
だから、使うのに気を使う。二代目の馬鹿社長。
そう言われない様に向井は必死で頑張っていた。

伝票や金の管理で頭がパンクしそうになる。だが、社員50人の生活を支えなければならない。
不景気とは言え社員のクビを切る様な事はしたくは無いのだ。
だから仕事を取る。仕事さえ有れば社員は食うに困らない。

今日も向井工務店独自の仕事を取ってきた。
なるべく大手の下請けに頼りたく無かった。
858 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:02:18.00 ID:zhxPd8Ibo
この御時世、いつ大手もコケるとは限らない。
その為に連動して倒産したらシャレにならないからだ・・・と、向井は色々考えている。

だが・・・向井はマルセイユに集う仲間達を見た。
コイツらとは高校時代からの付き合いだ。
一番、向井が気楽に過ごせ、そして安らげる仲間・・・

だから、コイツらの前では仕事の苦労を見せない。
昔ながらの『豪快な向井さん』それを演じる。

いや、演じると言うよりも、それが本来の自分なんだ・・・
859 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:03:28.03 ID:zhxPd8Ibo
「スミカね、ゆうえんちにいきたいの」

「遊園地か?じゃあ向井っちと一緒に行くか?」
向井は笑顔でスミカに言う。
「いや、良いっすよ向井さん・・・」
父親の料理人が言った。
「うっせー!!!部外者は黙ってろ!!!」
「いや、何度も言いますが、思い切り関係者なんです・・・」
「あ、じゃあ皆で行く?今週末でも」
リコが言った。

「いや、俺は店が有りますし・・・」
料理人がそう答える。
「あ、俺も実習が有るんですよ」
医学生も申し訳なさそうに言った。

「まあ・・・他の連中を誘うかー、なあスミカ?」
向井が聞くとスミカは「うん!ぶちょーがいいー」そう返事した。
「ホントにスミカちゃんは部長が好きだね〜」
リコが笑う。
「将来が不安なんすけどね・・・部長みたいな男と結婚しないか・・・」

料理人は溜息をついていた・・・
860 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:04:49.62 ID:zhxPd8Ibo
「今週末、遊園地に行くか?」

向井はハルミに電話口で、そう言う。
「え???マジ???行く、行く!」
ハルミは嬉しそうにしていた。

結局、今週末は皆忙しかった。部長、マルオ、ケンタは仕事。そしてリコからも連絡があった。
「ゴメン、今週末友達と約束してたの忘れてた・・・」
そう言われたのだ。
「なんだ?男か?」
向井がニヤニヤしながら言う。
「う〜ん・・・彼氏じゃ無いんだけどね」
リコが笑う。
「お前早く、ちゃんとした彼氏作れよ」
「うるさいわねー、向井君みたいに彼女をコロコロ変えたく無いの!」
「そう言ってる間にババアになる・・・」
「言わないでー・・・マジで凹むから・・・」

リコは凹んだ声を出した。
861 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:06:12.41 ID:zhxPd8Ibo
「まあ、分かった、分かったwwとりあえず、お前が適齢期が過ぎ無い様にスミカは俺が連れてってやるよ」
「え?来週なら大丈夫だけど・・・」
「来週は俺が無理なんだよ。良いよ、俺はスミカとデートすっからww」
「ゴメンね・・・私が今週末って言ったのに・・・もしも、行けたら私も途中からでも行くから」
「無理すんなwwお前は早く結婚しろい!」
そう言って向井は笑う。その言葉にリコも笑った・・・
そしてリコが不意に真面目に呟いた。

「・・・私も・・・」
「うん?」

「私も・・・ユイみたいに・・・一人の人を・・・精一杯好きに成りたいな・・・」

その言葉に向井は黙った。そして呟いた・・・

「それは・・・同感だな・・・」

862 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:07:16.62 ID:zhxPd8Ibo
向井は電話を切ると、他の女子、タカコとマリに連絡をしようとしたが辞めた。
どちらかと二人で遊園地に行く羽目になったら嫌だからだ。
向井は少し考えた後に、ハルミに連絡を取ったのであった・・・・


当日、向井はスミカを迎えに行った。
スミカの家のドアを開けると、スミカの父親は焦った表情を浮かべる。
「こんな早くから行くんすか??」
「当たり前だろうが!!昔から遊園地と草野球は早朝って決まってんだよ!!」
「草野球って早朝なんすか?」
「いや、俺も知らん」

向井はそう言ってスミカの元に行く。スミカは食パンを、はむはむと食べていた
863 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:08:27.48 ID:zhxPd8Ibo
「スミカ〜おはよー」
「あー、むかいっちー、おはよー」
スミカが食パンを口に付けたまま向井に飛び付く。
「今日は遊園地に行くからな!」
「うん!たのしみー」
スミカの無邪気さに向井はスミカの頬に頬づりする。
「あれ?向井さん一人っすか?」
父親が歯を磨きながら言う。
「んー・・・まあ、あれだ・・・うん・・・」
そう言葉を濁したのであった・・・


「何・・・この子・・・?」
待ち合わせに来たハルミがいきなり言う。
「え?スミカだよ」
「おはよーございまーす」
スミカが元気にハルミに挨拶をする
864 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:09:37.86 ID:zhxPd8Ibo
「いや・・・ちょっと意味、わかんないんだけど・・・」
ハルミは怒った口調で言う。当然と言えば当然。向井は少し考える。
スミカを説明するのに、一番良い言葉・・・あ、そうか・・・向井は思い付き言った。

「コイツは・・・俺の娘だ・・・!」

その瞬間にハルミの顔が紅潮する。そして眉毛が吊り上がったのが分かった。
あ、違う・・・娘の様なもんだ・・・そう言いたかった筈なのに・・・
だが、もう遅かった。

ハルミの平手が向井の頬を既に打っていたのであった・・・
865 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:11:01.85 ID:zhxPd8Ibo
「むかいっちの、ホッペあかいよー」

スミカがそう言う。
「ハハハ、紅葉みたいだろ!」
向井が笑う。
「いたくないのー?」

「いたいさ・・・心がな・・・」
向井はカッコイイ事を言った、そう思うがスミカは叫んだ。
「むかいっち、あれのろう!」
「スミカ、ちょっと、俺の話を聞いてくれよー・・・」
向井の手をスミカの小さな手が引っ張って行った・・・


しばらく遊んでいると、どこかで電子音が鳴っているのが分かった。
ん?
向井は気が付き自分のポケットを探る。携帯が鳴っていた。
「もしもーし」
向井が電話に出ると、「もしもし?今どこー?」そう馴染みの声が聞こえて来た。

リコだ。
866 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:12:06.78 ID:zhxPd8Ibo
「え?今、遊園地だけど?」
「知ってるわよ!だから、遊園地のどこ?って聞いてるの!」
「え?」
「私も今、遊園地に着いたから・・・」

は?

リコと合流したのは、10分後だった。
「リコちゃーん!」
スミカがリコに抱き着く。
「スミカちゃん、ゴメンねー?遅くなって・・・向井っちと楽しかった?」
リコがそう言った時に向井が口を開いた。
「お前、デートは?」
その言葉にリコが苦笑いを浮かべる。

「なんか、最初に『どこ行きます?』ばっかり聞くからさー、それ位、決めとけよって思ったから、『じゃあ、私は自宅に帰るので、アナタもそうして下さい』って言って帰った」
「お前は鬼かww」

向井はそう言って笑った・・・
867 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:13:05.23 ID:zhxPd8Ibo
「リコちゃん、つぎ、あれのりたい」

スミカがメリーゴーランドを指差しリコが頷く。
「良いよ、乗ろうか!」
「じゃあ、向井っちは待っとくか」
向井はそう言ってメリーゴーランドの柵に肘を着いてスミカ達を見つめる。
リコが笑顔でスミカと、はしゃいでいた。
向井はそれを眺めながら思った。

端から見たら・・・俺は完全に父親なんだろうな・・・そう思ったら少し笑ってしまった。
俺が父親なら・・・リコが母親かよ・・・リコと夫婦・・・向井は吹き出す。
ナイナイ・・・リコと夫婦は有り得ねーwwそう思い向井はリコを見た。
868 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:14:08.53 ID:zhxPd8Ibo
栗毛色の髪をストレートに下ろして、ナチュラルメイク姿だ。
服はキャミソールにミニスカート姿・・・向井はリコを見つめる。

リコが向井に気が付いてスミカと一緒に笑顔で手を振る・・・その姿にドキッとした。

え?ドキッ?なんで俺、ドキッとしてんの?相手はリコだぞ・・・?
そう思い向井はリコを再び見る。
リコのスカートから見える生足に再びドキドキする。
そして意外に胸が大きい事も目が入る。向井は益々ドキドキする。

おいおい・・・俺はどうしたんだよ・・・女に飢えてる訳でもねーだろ・・・リコ相手に・・・俺は何をドキドキしてんだよ・・・
869 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:15:14.21 ID:zhxPd8Ibo
「寝ちゃったね・・・スミカちゃん」

リコはそう言って電車に揺られながら眠るスミカの頬を触った。
「まあ・・・はしゃいでたからな・・・」
向井はチラリとスミカを見た後にリコを見た。リコが優しい微笑みでスミカを見つめている。

ヤバい・・・またドキドキして来た。
向井の視線はリコの胸に注がれる。キャミソールの上部から少し胸が見える。
ヤバい!!!目が離せん!!!
向井がそう思っていると、その視線に気が付いたリコが慌ててキャミソールの隙間を手で塞ぎ、別の方向を見た。

しまったー・・・気がつかれた・・・向井がそう思う。
リコは黙って前を向いている。だが、その表情は少し恥ずかしそう。
その表情に向井は益々、ドキドキする。

ヤバい・・・これはあれだ・・・俺、リコに・・・トキメいてるじゃん・・・
870 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:16:22.45 ID:zhxPd8Ibo
「パパ、まだかなー?」


スミカが家でテーブルの上のケーキを食べながら聞いた。
「もうすぐ、帰って来るよ」
リコはそう言って笑った。向井はリコを見つめる。
今日一日でリコをかなり意識する様になってしまった。

なんだ?なんでだ?リコなんか俺の中では、ただの腐れ縁だと思っていた。
何回も二人キリになったことも有るし、雑魚寝も数え切れない程ある。
二人で飲んだ事も有るし、なんなら朝まで二人で飲んで同じベッドで眠った事も有るんだ。
なのに、今日に限って・・・妙にリコが可愛く見える。

いや、可愛い奴とは思っていたんだが・・・今日のリコは・・・なんか女を感じさせるんだ・・・

ヤバい、ヤバいよー・・・
871 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:18:01.42 ID:zhxPd8Ibo
「あ、もうすぐ帰って来るんじゃない?帰って来たらパパを脅かそうか???」

リコがそう言って目を輝かせながらスミカに言った。
「うん!おどかすー!」
スミカも目を輝かせる。
「よし・・・じゃあ・・・」
リコはキョロキョロすると押し入れを見た。

「アソコに、隠れよ!」
「うん!」
コイツら何してんだ?向井がそう思っていると、リコがスミカを持ち上げ押し入れに入れる。
それに続いてリコも中に入った。
入る際にリコはミニスカートと言う事を気にせずに入るので、スカートの奥が見えそうになった。
うおおおおお!!!!!向井が思わず興奮する。
リコは振り返ると向井を手招きする。

「何してんのよ!入るわよ」
「え???俺も???」
872 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:19:20.25 ID:zhxPd8Ibo
「当たり前でしょ!ほら、早く!」
リコに促され向井も押し入れに入り、戸を閉めた。

「くらーい・・・」
スミカが言う。
「狭いし・・・暑い」
向井はそう言って体を動かす。すると肘が何か柔らかい物に当たる。
「キャッ・・・」
リコが声を出す。
うわ・・・今のは・・・向井の興奮が増す。
「どしたのー?」
暗闇でスミカの声が響くが、向井もリコも何も答える事が出来ない。
目が慣れて来てリコの姿をうっすらと見る事が出来た。
リコと向井はピッタリと体くっついている。

ちかっ!!!向井は目を逸らした後に、再びリコを見た。
その時、リコも見上げる様に・・・向井を見つめていた。

あれ・・・な、なんだ、これ・・・?向井はリコを見つめ続けた。
873 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:20:28.05 ID:zhxPd8Ibo
その時、ドアが開く音がして「ただいまー」その声と共に奴が家に入って来た。

「あ、パパ」
スミカが呟く。リコが慌ててスミカに「シッ!」と言った後に戸の隙間から部屋を見る。
そしてスミカに「今!」そう言って押し入れの戸を開けた。

スミカは押し入れから飛び出し、「ちぇっくめーいと!!!」そう叫んで父親の背中に飛び乗った。
その瞬間、向井は何故か押し入れの戸を閉める・・・
874 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:21:20.25 ID:zhxPd8Ibo
「え・・・?」

リコがそう呟き向井を見た。向井はリコを見つめて何も言わない。
リコも向井を見つめていた・・・

部屋からは父親の料理人がスミカに説教をしている声が聞こえていた。
それでも、向井とリコは暗闇の中で見つめ合っていた。

胸がドキドキする。軽く・・・向井の手がリコの手に触れた。リコがビクッと体を動かす。
部屋から料理人の説教の声。押し入れの中は真っ暗・・・

そんな中で・・・お互い何も言わずに・・・

顔を動かして・・・


キスしたのであった・・・

875 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/25(木) 10:22:27.91 ID:zhxPd8Ibo
すみません、思った以上に長くなりそうで・・・
続きますww

つまらなかったら読まなくて良いです
なんか他人の気持ちを心理描写に現すのは照れくさいし、上手く書けなくてすみません
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/25(木) 10:34:10.19 ID:QpNn2eCLo
トオルおはよー
あれ、今日は終わり?まだ続くよね?
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/25(木) 10:35:16.48 ID:nemK2mqpP
なんで知ってんだ
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/25(木) 11:17:16.37 ID:TQn0idOIO
俺はトオルにオトル
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/25(木) 12:59:50.65 ID:J3lkW9Oso
面白いよwww
続きが気になるwww
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage ]:2011/08/25(木) 19:49:05.07 ID:/7T4kWi4o
やべぇ向井さん素敵やん
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/25(木) 22:38:58.58 ID:VAHGs6eu0
スミカの初体験を聞いて(気づいて)しまった
ってエピソードはないんですか?

知った時のトオルの心情と向井さんの暴れっぷりが
気になってオヤツが喉を通りません
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/25(木) 23:40:01.44 ID:5xeCdIPJo
2人とも人の家の押入れの中で何やってんだww
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/26(金) 09:04:29.33 ID:JmtWrx/Yo
これが吊り橋効果ならぬ押し入れ効果というやつですね、わかります
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/26(金) 12:27:53.31 ID:CbT9eS45o
なるほど、ちょっと押し入れの青タヌキ追い出して入ってくる
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/27(土) 02:07:31.53 ID:oUMz08dDO
>>884
青タヌキ「キャー!のび太さんのえっち!!」
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2011/08/27(土) 10:29:06.10 ID:jdjAPVSIO
>>884 そもそも一緒に入る人いるの?
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/28(日) 10:12:56.18 ID:J5R89hV4o
スミカあああああああ
誕生日おめでとう!!!!!!!
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/28(日) 23:32:08.54 ID:fjUbmDtSO
トオル先輩早くきてくれー
最近待ち遠しくて寝れないぜ…
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/28(日) 23:33:09.70 ID:fjUbmDtSO
トオル先輩早くきてくれー
最近待ち遠しくて寝れないぜ…
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/28(日) 23:37:16.10 ID:fjUbmDtSO
スマン、ミスったな
もう寝るわ
891 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 09:49:20.48 ID:SDk//u4Ro
お待たせしました。
続きをどうぞ
892 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 09:51:05.86 ID:SDk//u4Ro
「最近、溜息多いですね、リコさん」

マリにそう言われリコは顔を上げた。気がつけば喫茶店で目の前のアイスティーを眺めている。
「そ、そう・・・?」
リコが慌てて、そう言うとマリの眼鏡がキラン、と光った。
「アレです??恋ですか??あ、この前にデートする事になっていた男の人ですか???ねえ、デートはどうでした???どこに行ったんですか???あれからどんな感じですか???」
マリが鬼の様に巻くし立てながらリコに聞いて来た。

「ちょ・・・し、質問、多いし・・・」
リコが慌てる。
893 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 09:52:29.29 ID:SDk//u4Ro
この子は昔から恋愛話に人並みならぬ興味を抱いていた。
「どんな感じの人です???背は高い???どんな仕事???芸能人で言うと・・・んぐっ」
最終的に隣に座るタカコがマリの口を塞いだ。
「マリ、質問、多過ぎ!」
「ふぁ、ふぁって・・・」
口を塞がれたマリがフガフガ喋る。リコはホッとした様にアイスティーを口に含んだ・・・


そもそもリコは、そんなに恋愛が得意では無い。
男の人と二人キリで居るより、今、目の前に居るタカコ、マリを含め高校時代の仲間と一緒に居る方が楽しかった。
今日も二人と買い物に来ていたのだ。

中々、良い男は居ないな・・・リコは最近ずっと思う。
男の人と居てもツイツイ、高校時代の仲間を思い出して比べる。
894 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 09:53:31.76 ID:SDk//u4Ro
男の人が高学歴ならば、医学部に行ったヨウイチと弁護士に成ったサモハンを思い出す。
男の人がイケメンならば、同じくヨウイチにケンタを思い出した。
男の人が料理が上手かったら料理人のトオルを思い出し、男の人が面白い人なら先輩の部長を思い出す・・・

そして、男の人が優しい人なら・・・向井を思い出すのだ。

そう向井は優しかった。高校時代からずっと感じていた。
普段は粗暴で下品で、ただの体力馬鹿の癖に・・・何か有ると誰よりも優しいのだ。
仲間を誰よりも大事にしている・・・

喫茶店からの夏の風景がリコの目に入って来る。
夏だな・・・リコはそう思い、先日の向井との押し入れの中のキスを思い出した。
そして自分の唇を触る・・・
895 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 09:54:32.33 ID:SDk//u4Ro
あれは・・・どういう意味なんだろ・・・?
なんで向井君は・・・?そして、私も・・・

あの日は向井が先に帰り、トオルが家まで送ってくれた。
トオルがイロイロ話し掛けて来ていたが、リコは心、ここに在らず状態で何も聞いていなかった。
あの日から、ずっと向井の事を考えている。
だが、あの日から向井と連絡を取っていなかった。どう言う顔をして向井と会えば良いのか分からなかったのだ。

正直、あの日向井に男を感じた。遊園地でスミカと三人で居ると家族の様に錯覚したのだ・・・
リコは再び外の風景を見つめる。

ああー・・・そう言えばスミカちゃんの誕生日が近いなー・・・今年は何をあげようかな・・・
リコはそう思い、夏の空を眺めていた・・・
896 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 09:55:56.96 ID:SDk//u4Ro
「準備、出来ましたー!」

トオルはそう言ってヨウイチのワゴン車のドアを閉めた。
「オッシャー!じゃあ、キャンプに出発すっかー!俺の車とヨウイチの車に別れろー!」
向井の言葉に皆が二台のワゴン車に別れる。皆がリコは焦った。

あれ?私、どっちの車に・・・
「助手席は頂くよ!!!」
部長はそう行って向井の車の助手席に座る。
「スミカ、ぶちょーといっしょがいいー!」
「しゃーねーな・・・なんで、あんなアホを・・・」
「アホって、僕の事かー!!!」
トオルがスミカを連れて向井の車に乗った。

あ、あ・・・リコはオロオロする。普段ならこんな事を気にしない。
だが、今日は・・・向井を意識してしまう。
897 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 09:59:27.11 ID:SDk//u4Ro
さっき集合した時もなるべく向井と二人キリにならない様にギリギリに集合場所に行った。

「さあて、俺達はイジメられない様にヨウイチさんの車に乗るか・・・マルオ」
ケンタがマルオを誘い、マルオも慌ててヨウイチの車に乗る。
「タカコー、ヨウイチさんの車に乗るー?」
マリが言うとタカコはチラリとリコを見た。
「リコさん、どうしますー?」
え?わ、私・・・?き、今日はヨウイチ君の車に乗りたい・・・
リコが、そう思うが、既にサモハンがヨウイチの車の助手席に座っている為に、六人で一杯だった。

な、なんて判断が遅いの私・・・リコが半泣きになる。
すると、向井の車の窓からスミカが叫んだ。
「リコちゃーん!こっち、のろー!」
その声にリコが向井の車を見る。
898 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:00:58.05 ID:SDk//u4Ro
するとバックミラーを見ていた向井と目が合った。慌てて二人とも目を逸らした。
リコは仕方なく向井の車の後部座席のドアを開ける。
「し、失礼しまーす・・・」
そう言って車に乗り込んだ。その時、再びチラリと向井を見るとルームミラーに写る向井と目が合い、慌てて目を逸らす。

「あ、リコさん中部座席に座って下さいよ、俺、一番後ろに行きますから」
トオルがそう変な気の使い方をした。普段、気が回らない癖に、こんな時だけ何で気が回るのよ!
そう思いながらトオルを睨む様に見るが、トオルは一向にリコの睨みを意に介さず後部席に座り込む。

「わー、リコちゃんとなりー」
スミカが無邪気に言って喜んでいるのでリコもスミカに微笑む。車が走り出した。
899 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:02:14.90 ID:SDk//u4Ro
前の席では向井と部長が仕事の話をしている。リコはチラチラと向井を見ていた。
すると後ろに座るトオルが口を開いた。
「あれ、リコさん、今日あんまり元気無いっすね?どうしたんすか?」
その言葉に向井も少しビクッと体を動かしたのが分かった。
だから、何でいつも気が回らない癖に、こんな時だけ気が回んのよ!!!
リコはそう思いトオルを睨みつける。トオルはその形相に気が付き下を向いた。

すると部長が振り返りリコを見た。
「うん・・・?リコ君・・・」
「は、はい?」
リコが焦る。

「今日は・・・えらく、化粧バッチリだね・・・どうしたんだい?」
ドキッッッ!!!バ、バレてる・・・
そう、今朝は何故か化粧をバッチリにして来た。した後にリコは自己嫌悪に陥った。
私は・・・何を期待してんのよ・・・そう思いながらも髪型も整えていたのだ
900 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:03:36.09 ID:SDk//u4Ro
「ハハーン・・・リコく・・・」
部長が口を開く前に部長を凄い剣幕で睨みつけると、部長は前を向いて黙った。
ふん、これで二人潰したわ・・・だが、車内は馬鹿二人が沈んだ事により暗くなった。
車内がシーンとする。イケない・・・馬鹿を潰す事で雰囲気までも潰してしまった・・・

「ねえ、リコちゃん」
空気を全く読まずにスミカが発言をする。リコは慌てて笑顔になり、スミカを見た。
「なーに?」
そう優しくスミカに応える。

「リコちゃんて、チューしたことあるー?」

向井が急ハンドルを切った。
「うお!向井君、大丈夫???」
部長が焦って叫ぶ。リコは笑顔のまま固まっていた
901 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:05:00.52 ID:SDk//u4Ro
「チューあるー?」
スミカが尚も聞いて来ている。
「え?え?ど、ど、ど・・・」
リコが焦りながらスミカを見ていた。
「チューあるー?」
何故かスミカが嬉しそう。向井は頭から煙りを吹きながらハンドルを切っていた。

な、なんで・・・この子・・・!リコはスミカの無邪気な笑顔を見つめる。
お前、ホントは色んな事を分かってるだろー!!!!リコはそう叫びたい気持ちを押し殺していた・・・



私は25歳の女・・・今更・・・中高生じゃ有るまいし・・・キス位・・・
そう思うリコなのだが・・・リコはBBQの支度をしながらチラリと向井を見た。
向井は相変わらずリーダーシップを取りながら、BBQの火を起こす。
902 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:06:25.01 ID:SDk//u4Ro
なんで、こんなにドキドキして・・・意識してんだろ・・・私・・・
相手が・・・友達だから?

向井とは、これまで普通の友達として接して来た。
多分一番仲の良い男友達・・・いやユイが居ない今は男女問わずで一番の仲良し・・・親友と呼べる存在なのかな?
その相手と思わずキスをしたから・・・なんだろうか?
酔っ払って・・・とかなら分かる。だが、あの時は二人とも素面で、そしてトキメキながらキスをした。
恐らく今までしたキスの中で一番・・・ドキドキしたのかも知れない。

リコは再びチラリと向井を見る。
向井は、男として魅力的だとは思う。高校時代には少し良いかな?と思った事もあった。
だけど、付き合う、とかそう言った対象では見た事が無い。
いや、同じ仲間として、それを避けていた所は有るかもしれない。

だけど・・・なんで、あの時キスしたんだろう?
あれが無ければ今頃も普通に接する事が出来ていた筈・・・リコは溜息をついた。

ああー・・・なんでキスしちゃったんだ・・・私・・・
903 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:08:05.11 ID:SDk//u4Ro
BBQを食べ終わり、皆で河原で遊ぶ。
キャンプ場には連休と言う事もあり、かなりの人で賑わっていた。
リコがスミカと河原で遊ぶ。
「リコちゃん、こっちのイシ、おっきいよー!」
スミカが大きな岩に登り始めた。
危ない!リコがそう思い慌ててスミカを追い掛ける。

「ダメよ、スミカちゃん!危ないから!」
リコは先に岩に登りスミカを止めた。
「ダメなの?」
「ダメ!降りなさい!」
リコがそう言うとスミカは岩を降りていく。
リコもホッとして岩を降りようとした時に足を滑らせる・・・

あ!リコの体が宙に浮いた。
ダメ・・・!

リコが目を閉じて体が下に落ちた衝撃に耐えようとした時・・・
フワッとした感覚になり、何かが自分を受け止めてくれていた・・・

え?
「・・・大丈夫か?」
その優しい声にリコはゆっくりと目を開ける。

すると目の前に・・・自分に微笑みかける・・・
向井の姿が・・・あった・・・
904 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:08:53.98 ID:SDk//u4Ro
向井はリコを抱き抱える様に受け止めていた。
「う・・・うん・・・」
リコは向井を見つめる。向井は少し照れた様に笑うとリコを下ろす。

「大丈夫っすか?リコさん??」
「怪我は無いっすか???」
トオルやヨウイチが心配して走り寄って来ていた。
どうやら、スミカが岩に登るのを見つけて急いで駆け寄る最中だったらしい。
「こら!スミカ!ダメだろ!岩なんかに登ったら!」
トオルがスミカを叱責する。

リコはその言葉を少し遠くの出来事の様に思いながら・・・
向井の横顔を見つめていた・・・
905 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:10:17.55 ID:SDk//u4Ro
夜になり、皆で酒を飲んだ後にテントに別れて眠りにつく。
リコはスミカと一緒に眠っていると、ふと眠りから覚めた。
外で焚火をしている音が聞こえる。
リコは起き上がりテントの入り口を開けると焚火の前で向井が一人酒を飲んでいた。

リコはサンダルを履いて向井の所に行く。
「一人酒?」
そう聞くと向井が顔を上げた。
「まあな」
向井は笑いながら、紙コップに酒を注ぐと、それをリコに渡した。
「ありがとう」
リコは紙コップを受け取り、注がれた酒に少し口を付ける。向井も酒を口に含んだ。
パチッパチッと木が燃える音がシーンとした夜中のキャンプ場に響く。
906 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:11:29.32 ID:SDk//u4Ro
リコは両手で紙コップを持ちながら口を開く。
「・・・さっきは・・・」
「・・・うん?」
「助けてくれて・・・ありがとう・・・」
その言葉に向井は笑う。
「よせよ、今更・・・」
その言葉にリコも笑った。向井が薪を火にくべる。又もや木がはじける音が響いた。

「あの・・・」
「あのさ・・・」
二人が同時に口を開き顔を見合わせた。そして微かに笑った後にお互いに言う。
「どうぞ・・・」
「いや、リコから・・・」
そう言って笑った後に向井が口を開いた。

「なんか・・・悪かったな・・・」
「え?」
「あ、いや・・・この前・・・トオルの家の押し入りで・・・」
その言葉にリコは顔を赤らめ、そして首を横に振る
907 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:12:37.04 ID:SDk//u4Ro
「ううん・・・私も・・・なんか・・・ゴメン・・・」
「いや、あれは・・・俺が悪い・・・」
「違う・・・私、なんか・・・雰囲気に流された・・・」
「いや、俺が・・・」
「違う、私が・・・」

そこまで言った時に二人で顔を見合わせる。そしてクスクス笑った。
「なんだよ・・・俺ら、中学生かよww」
「ホントだね・・・wwキスしただけなのに・・・」
二人が笑う。

リコは少し酒を口に含むと半袖のシャツから出てる腕を摩った。
向井はそれに気がつくと、自分が着ているジャージを脱ぐと立ち上がり、リコに羽織らせた。
908 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:13:30.28 ID:SDk//u4Ro
「良いの・・・?」
リコはドキッとしながら向井のジャージを握る。

「良いじゃねーか、カッコつけさせろい」

向井は照れた様に、そう言う。
「・・・ありがと・・・」
リコも照れながら答えた。
リコはドキドキしていた。向井の顔をまともに見る事が出来ない・・・
そして、リコは気が付いた。

あ、そっか・・・最近の落ち着かない心の動きが、やっと分かった・・・




私・・・向井君に・・・恋してんだ・・・

909 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/08/29(月) 10:17:34.17 ID:SDk//u4Ro
すみません。今日は以上で、そしてこの話はまだ続きます
忙しくて中々書けなくて・・・
そして、何故俺がこんな話を知っているかと言うと、向井、リコ夫婦からの伝聞と想像ですww
ちなみに最後のキャンプの焚き火のシーンは・・・俺が起きて見てたからww
以上、また書けたらすぐに投下します
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県)[sage]:2011/08/29(月) 10:20:48.01 ID:jHDQHBLlo
覗き、乙!
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)[sage]:2011/08/29(月) 10:24:08.23 ID:VWwQxUMPo
おつおつ
いいな、向井リコwwwwww

そして部長マリもどうしとそうなったか気になるwwww
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/29(月) 12:28:40.74 ID:b67OI33ko
覗くなよwwwwwwwwおつwwwwwwww
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府)[sage]:2011/08/29(月) 13:13:22.17 ID:7FZ423Rro
久し振りに2828させてもらったぜwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/29(月) 14:53:44.58 ID:Z6GHYQtqo
先生、トオルくんが妄想してます!
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/29(月) 19:26:27.35 ID:ChFh6BiPo
覗いたのかwwwwwwwwwwwwww GJ!!
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/29(月) 22:44:44.34 ID:Xq6clllPo
続きが気になるうううううううううう!
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/08/30(火) 01:51:48.38 ID:54AMUY/AO
ところで>>908の時点ではまだマキには会ってないのかな?
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/30(火) 04:18:17.14 ID:rgQJwcsDO
とてもかっこいい下手くそなチョコボールさん。 トオルさん覗き乙です。
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/30(火) 05:32:45.73 ID:GpUd8LqSO
>>917
恐らく、時系列で行くとスミカがマキと出会ったキャンプ、かと思われ
部長の眼鏡を借りてた時?
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/30(火) 07:10:07.79 ID:gTNq/owdo
.          \\      ,土ヽ l 十  ├  ゝ‐、ヽ ll               尸  //
            \\  (ノ ) | Cト、.Cト、   ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/   //
                   .....       .:_ -― ─- 、:.    ......
                  ..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
              ::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
            ::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V  j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
           ::/ :/八  '(:::::':,\ トV::./⌒     ⌒ヽ.::∨/,.::'::/  /:::∧  '\::
           ::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八W __    __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/   ̄ ノ\::
        ::〈   ,.:'::/   ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒    ⌒ヾ ハ:|::::/  ,.イ:::/     ∠.::勹::
       ::/ ! :.'::::∧   |  ヽ  \ム .:::::  r ┐ ::::.,'ノ/  / /::/   |__:/::
     ::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ  ヽゝ_  ヽ ノ   イ/  /⌒ん'⌒)_>::
                     ̄   ̄`ヽ   `=≧r ‐i彡''´  /::     ̄
                      ::\ヽ   ` ´   / /::
                       ::          ,′
                       ::i  :;     :;  i::
                       ::|          |::
                       ::l         |::
                         ::j            ::
                        ::,′           l::
                         ::/           |::
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                       ::,′    /:: ::|     |::
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)[sage]:2011/08/30(火) 07:44:40.67 ID:LIUw6s6Do
覗きというか、青k(
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/30(火) 08:14:14.07 ID:UGD3HYRGo
これはにやけがとまらんww
>>909
リアルタイムで見てたときってそれまでの経緯を知らなかったわけで、
このシーンを目撃したときに抱いた気持ちってどんなもんだったの?
日本語下手ですまねえw

そういやようじょの埼玉人ぱたりと来なくなったなw
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/30(火) 08:26:19.71 ID:rXu+S/B4o
確認してから書き込む東京都(単芝)
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/30(火) 14:23:12.03 ID:o0qTrSUio
北海道(ラベンダー畑)の言ってる東京都は多分俺のことだろう
想像できないかもしれないが東京都は人がたくさん住んでるんだから単細胞に決めつけるなよ
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/08/30(火) 14:51:36.11 ID:rXu+S/B4o
東京都(単細胞)は想像できないかもしれないが
北海道は四国・九州・沖縄を足した面積よりも広いんだから富良野だって決め付けるなよ
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage saga]:2011/08/30(火) 15:54:18.38 ID:ZQXz3H6ro
埼玉のようじょ来てた!
日付変わってからうまくリロードできてなかったw埼玉まじすまんw
てかタイミング悪すぎるぜw何日ぶりにきてやがるんだサボるなーw

そしてしかも芝半角になってたかw
ちゃんと今度からは全角になるように気を付けるよ^^
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/30(火) 15:55:33.05 ID:ZQXz3H6ro
ああ>>922は俺な
>>919とは別人

>>920
じゃあハマナス畑だ!
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/08/30(火) 15:56:56.81 ID:ZQXz3H6ro
安価ミスったwww何度もすまんwww

>>927のレス中の安価は、上から順に
>>922
>>924
>>925
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/30(火) 16:15:01.01 ID:lAXFIAs9P
どーでもいいわ
930 :920[sage]:2011/08/30(火) 16:29:33.89 ID:gTNq/owdo
スミカが大人になったようで、おはようじょは終わったなと思ったけど
向井リコ回想シーンで、ようじょのスミカが出てくれたので、貼ってみた。
基本トオルの書き込みの間に1回しか登場させないようにしてるから
最後かな、やんちゃなスミカが大好きなんだぜ。(性的な意味は無い、キリッ)
ところで、埋まりそうだけど、もう一スレOKですよねトオルさん。
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/08/30(火) 18:39:07.85 ID:EkwqZEVgo
とかいいつつスミカ登場前からAA使ってたよね
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/01(木) 13:38:57.88 ID:mFKyWIJSO
続きが楽しみだ
トオル待ってるぜ!!
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/01(木) 14:04:31.58 ID:r3QehRdwP
>>930
後付け設定つけるならもーちょい練ってこい
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/09/01(木) 14:20:48.63 ID:P15iwsXyo
>>933
トオルの報告が終わったから、おはようじょも終わりと思ったら
また幼女時代のスミカが出てきたから、再登場させたと書いたつもり
判りにくくてごめんなさい
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/01(木) 19:33:46.42 ID:Wg2aed80o
スミカをAA貼る口実にしてるのはさすがに見苦しい
936 :埼玉県[sage]:2011/09/01(木) 20:50:45.39 ID:p4e202l8o
スミカとようじょのaaをシンクロさせて悪いか、
そう思ったから書いたんだよ
判りにくかったらごめんと書いたのに、挙げ足とって面白いのか

トオルごめん、最後に汚しちゃったけどすまんです。
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/01(木) 21:07:11.04 ID:r3QehRdwP
>>936
わかったから消えようぜ
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/01(木) 21:10:18.73 ID:xN+en9ESO
埼玉は空気読めないってレベルじゃないからしょうがない
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2011/09/01(木) 21:16:02.24 ID:VC3M5ZCNo
シンクロ?なんで?必要性を感じないよ。
940 : 【吉】 [sage]:2011/09/01(木) 21:49:53.19 ID:NdgB2Rylo
>>936
馬鹿の揚げ足とってやんよwwww
挙げ足って逆立ちでもしてろよwwww
最後までクズだな消えろカス
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/01(木) 23:03:06.38 ID:gTtiIwKIO
ぶっちゃけトオルのカキコ以外飛ばしてるから
わりとどうでもいい
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/01(木) 23:03:17.90 ID:NAwBUgPIO
要は一般人に変態の思考を理解するなんて不可能な話
って事で合ってる?
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/09/02(金) 01:30:36.60 ID:q2+8lg+5o
スレが盛り上がるために自分は正しいことをしてるって思ってるんだろうな
まさに確信犯だな
児ポで捕まれよ
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道)[sage]:2011/09/02(金) 08:24:34.66 ID:7pSZBSK3o
スルー出来ずに反応しちゃう奴もウザいが
それに乗っかって更に叩く奴が気持ち悪い
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2011/09/02(金) 08:30:52.42 ID:Ra1OSoeKo
でた北海道(笑)
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/02(金) 08:44:49.06 ID:pnrAA9ezP
でた東京都(笑)
947 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/02(金) 09:01:43.42 ID:I30Ygawto
なんか、俺が書くのが遅くて荒れてスマン

かなり忙しくて中々書く暇が見つからないんすよ
頑張って必ず書きますので、今しばらくお待ちくださいますでしょうか

本当にスマンね
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/09/02(金) 10:16:00.02 ID:1NcnFNZo0
>>947
まったり待つわ
料理長的なポジションだもんそりゃ忙しいだろうな
俺と違って
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/02(金) 10:20:04.18 ID:pnrAA9ezP
ヒント 子作り
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/02(金) 10:25:39.25 ID:5S5yzHAIO
仕込み中か
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/02(金) 10:28:58.72 ID:ez6uFUADO
>>950
誰がうまいこと言えとww
952 :名無しのパー速民[sage]:2011/09/02(金) 18:27:33.21 ID:aSuKcmQAO
次スレはどうするのっと
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/02(金) 22:51:52.98 ID:vcPr3sgso
970くらいで建てたらいいんじゃ?
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/05(月) 20:27:13.85 ID:F9zNWQnAo
一気に過疎ったな
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海)[sage]:2011/09/05(月) 22:07:08.43 ID:Q/g+cySAO
今までも次スレはトオルが建ててきたんだし、この次もトオルのタイミングで建ててもらいましょうや

まぁこのスレで完結するならあれだけど
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/06(火) 08:17:52.80 ID:4wGciBp3o
↓埼玉召喚
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/06(火) 14:28:37.36 ID:YF3nV2CSO
トオル忙しいとは思うが全く来なくなったな!
トオルが来ないから過疎るのは仕方ない
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/07(水) 21:53:44.81 ID:p6ZzyywSO
トオルまだかー
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/08(木) 21:11:01.35 ID:LON5+wASO
よくある入院したとかのパターンか?
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)[sage]:2011/09/08(木) 21:33:35.30 ID:i0IJSpX0o
書きたい事書き切ったからモチベーション上がらないんだろう
961 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/09(金) 15:28:22.11 ID:YLBF8ia4o
お待たせをしております
すみません、やっと手すきの時間が増えて来ました
今、やっと完成の兆しが見えました
恐らく月曜日までには仕上がりますので
もう少しお待ちいただけますでしょうか

どうもすみません
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/09(金) 16:49:33.26 ID:LB6bK9rvo
でも、待っているのも悪くないだろう。こうやってトオルも書いてくれているようだし。
あんまりせかさないように。
楽しみは小出しに長いほうがいいし。
トオル、お疲れ様。
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/09(金) 18:09:05.75 ID:lNOMLEyzP
なにか書きたいのはいいけどお前の講釈いらねーよ
俺みたいの招いてまた荒れるぞ
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage]:2011/09/09(金) 19:41:28.96 ID:DkYuBeJno
どんだけ長編なんだよwwww
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)2011/09/12(月) 08:48:39.81 ID:zoAbkeNY0
>>961
まってたよ
そして今日は月曜日
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)[sage]:2011/09/12(月) 11:05:46.61 ID:TH/8FT7lo
おい、スミカはしっかり毎年定期検診うけてるんだろうな?
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/12(月) 12:24:40.94 ID:WoWBIaUHo
パー速ってdat化早いから、過疎ってるのか落ちてるのか判別しにくくて気になる
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/12(月) 12:39:03.43 ID:SjMtoFstP
>>967
1000いかねーと年単位で落ちないわけだが
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2011/09/12(月) 13:22:46.48 ID:WoWBIaUHo
>>968
丸一日パー速を見てない間に、トオルが来てて1000まで行ったら翌日にはもう見られないじゃん
このスレみたいに、1000行く寸前のスレに限った話ね
970 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:44:42.35 ID:qsOZFuMno
お待たせを・・・
では続きをどうぞ・・・
971 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:46:07.05 ID:qsOZFuMno
「おーっす!」

向井はマルセイユのドアを開けて、そう言った。
「ちわっす」
トオルがカウンター越しに向井に挨拶をする。
「いやー、だいぶ暖かくなったよな」
向井はカウンターに座りトオルに言う。
「ですねー、もう三月っすから」
「ところでマキちゃんの具合はどうだ?」
「はい、後遺症も無いみたいで・・・今日もスミカと遊んで貰ってますよ」
「そうか・・・良かったよ・・・もう、これ以上は・・・」

向井はそこまで言って口をつぐむ。もう、これ以上は誰も亡くなって欲しく無い・・・そう言いたかったが言わなかった。
だがトオルは気が付いていた様で言葉を発する。
「そうですね・・・もう、あの痛みは・・・」
トオルはそこまで言うと顔を上げて向井を見た。そして話題を変える様に言う。

「所で、向井さんホワイトデーのお返しは・・・どうします?」
トオルの言葉に向井はメニュー表から顔を上げた。
972 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:47:46.20 ID:qsOZFuMno
「ホワイトデー?」
「はい、お返し・・・」
「んなもん、自分で決めろよ」
向井はそう言って再びメニュー表を見た。
なんで、俺がコイツのお返しを考えないといけないんだ。向井はそう思いながらメニュー表に目を落とす。

「いや、俺のじゃ無くて・・・向井さんのですよ」
トオルの言葉に向井は再び顔を上げる。
「俺の??」
「はい、貰ったでしょ・・・チョコ」

チョコ・・・確かに女性社員からは貰ったけど・・・向井が怪訝な顔をしているとトオルがニヤニヤした表情で言う。
「リコさんから、貰った癖に!」

は?リコから?向井は益々不思議な表情を浮かべる。
「え?・・・まさか、貰って無いんすか・・・?」
「ああ・・・貰って無いけど」
その返事にトオルが慌てる。
「え?マジっすか??マジで???」
「貰ってねーよ」

向井は頬杖をつきながらメニューを見つめる。トオルは顎に指を当てて何事かを考え始めた。
973 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:49:03.69 ID:qsOZFuMno
「・・・っかしーな・・・」
「何がだよ」
「いや・・・バレンタインの日にね・・・確かチョコを・・・」
「あん?」

向井がトオルを見る。
「あ、いや・・・バレンタインの日にリコさんがマキと一緒にチョコを作った筈なんすけど・・・」
・・・え?
「あれ?違ったのかな・・・」
トオルはそう言ってブツブツと言いながら厨房の奥へ引っ込んだ・・・
向井はメニュー表を見ながら思った。俺の注文を聞いていけよ・・・と。



そもそも、向井もバレンタインデーまでリコからチョコを貰えるものだ・・・そう思っていた。
だがバレンタインデーの当日に突然の事故が起きて、そんな事をすっかり忘れていたのだ。
その後にリコからチョコを貰えるかと思っていたのだが・・・全く貰える事は無かった。
974 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:50:38.77 ID:qsOZFuMno
これまでリコからチョコを貰った事はニ、三回ある。
それは会社で配った残り物の義理チョコをたまたま会った時に貰ったり・・・みたいな感じであった。

だが、今回はちゃんとした物を貰えるのでは・・・そんな期待感があったのだが・・・
あの、押し入れの中のキスから後。ギクシャクした日々が続いたが、キャンプに行ってからは、今まで通りの関係に戻れた・・・
いや、今までよりも仲が良くなったと思う。
二回程、二人で映画に行ったり、飲みに行ったりした。

だが、二人の関係が急速に深まったり、いつもと違う雰囲気になったり・・・とかは無かった。
いつもと変わらない雰囲気で一緒にいる。手を繋ぐ事も無かったし、ましてやキスなんかは一切無かったのだ。
ダラダラと、どちらも思いを伝える事は無く、ただ無為に時間だけが過ぎていた。

もちろん思いを伝えれば良い・・・向井はそう思う。
だけど、そうする事が中々出来なかった。
今の温い関係を断ち切りたくは無い、その気持ち五分。
あとは、自分の意気地の無さが五分。

結局・・・どちらにしろ・・・自分の弱さだな・・・
向井はそう思っていた・・・


・・・・・
・・・・・
975 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:51:59.63 ID:qsOZFuMno
リコは仕事帰りに電車に揺られ駅へと到着した。
駅前を歩いていると「リコさーん」そう自分を呼ぶ声に気が付き振り返る。
するとマキが自分に手を振っていた。

「あ、マキちゃん」
リコも手を振り返す。
「お仕事帰りですか?」
「そーなのよ、疲れちゃって・・・」
「リコさんは受付嬢ですもんねー、見られるって疲れるでしょ?」
「もう大変ww」
リコは笑った。

「あれ?マキちゃん、お出かけ?」
「あ、今からトオルさんのお店に行って・・・それからスミカちゃんを一緒に迎えに行こうかな・・・って」
「ヒューヒュー、熱いね、この!」
「や、辞めて下さいよー・・・」

女二人ではしゃぐ。
「あ、リコさんも行きます?トオルさんのお店で、ご飯食べません?一緒に」
「ん〜・・・そうねー、久しぶりにナポリタンを食べたいねー」
「じゃあ、行きましょ!」

・・・・
976 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:53:19.74 ID:qsOZFuMno
「こんばんわー」

リコとマキがそう言って店のドアを開けた。
「あ、いらっしゃいませー」
カウンター越しにトオルがそう言うのが見えた。リコが笑顔で手を振った時にカウンター席に座る男が振り返る。
向井がビールを飲みながらハンバーグを食べていた。リコは少しギクリとする。
向井も一旦焦った表情を浮かべた後に、いつもの笑顔に変わり「ウィッス!」そう言った。
「あ、向井さーん・・・こんばんはー」
マキは笑顔でそう言ってカウンター席に座る。

リコも平静を保ちながらカウンター席に座り「向井君、いつもココよね〜」そう言った。
うん、いつも通りに振る舞えた。

「うっせー、ここいらじゃ、この店位しか美味い所がねーんだよ」
向井はそう言ってハンバーグを口に運んだ。
「ふ、ふーん・・・まあ、向井君が味が分かるとは思えないけど・・・」
リコは内心のドキドキを隠す様に減らず口を叩く。
977 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:54:22.91 ID:qsOZFuMno
リコはテーブルに肘をついて、チラリと向井の横顔を見つめた。
リコがドキドキする理由は向井を好きだから・・・それだけでは無かった。

バレンタインデーの日にリコはマキと共に手作りチョコを作った。
だが、それは向井に渡す事が無く未だにリコの家に紙袋に入ったままで置かれていたのであった。
渡そうと思っていた。そして、それと同時に自分の想いを向井に伝えよう、そう思っていたのだ。
まるで中高生さながらだが、それが一番良いと自分で思っていたのだ。

だが、渡せなかった。
バレンタインデーにマキが事故に遭い、それ所では無かったからだ
978 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:55:44.11 ID:qsOZFuMno
リコはテーブルに肘をついて、チラリと向井の横顔を見つめた。
リコがドキドキする理由は向井を好きだから・・・それだけでは無かった。

バレンタインデーの日にリコはマキと共に手作りチョコを作った。
だが、それは向井に渡す事が無く未だにリコの家に紙袋に入ったままで置かれていたのであった。

渡そうと思っていた。そして、それと同時に自分の想いを向井に伝えよう、そう思っていたのだ。
まるで中高生さながらだが、それが一番良いと自分で思っていたのだ。

だが、渡せなかった。
バレンタインデーにマキが事故に遭い、それ所では無かったからだ
979 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 14:58:53.55 ID:qsOZFuMno
あれは・・・仕方が無い・・・うん。リコは一人言い訳の様にそう考える。
だが、それ以降も何度か向井に渡そうとは試みた。
しかし、一度機を逸すると中々渡し辛いのも確かではあった。

渡さなきゃ・・・そう思うと、何らかの邪魔者(主に眼鏡)が入り渡せない。
そして更に渡し辛くなり・・・いつしか三月に入っていた。

もう、いくらなんでも渡す事が出来ない・・・リコはそう自分に言い訳をして・・・
そのままチョコは机の上に置きっぱなしだったのだ・・・

てかさー・・・リコは向井を見る。
なんで・・・私から言わないといけないのよ・・・普通はアンタからでしょ・・・

リコはそう思いながら溜め息をついたのだった・・・


・・・・・
・・・・・
980 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:00:05.30 ID:qsOZFuMno
「向井さん、明日暇っすか?」

突然電話でケンタからそう言われ向井は戸惑う。
調度風呂上がりにビールを飲みながらテレビを見ていた所だった。
「明日?なんだよ?」
「いや、実は・・・明日合コンが有るんですけど・・・部長が来れなくなって・・・」
ケンタの言葉に向井は笑う。
「あーん?俺はそんなの知らなかったぞ?」
「いや、だって・・・向井さんは・・・」
ケンタが口ごもる。

あー・・・リコの事を気にしてるのか・・・
「来るメンバーは、ヨウイチさんにサモハンさん、マルオ・・・で、部長だったんすけど・・・部長が来れなくて・・・」
「で・・・俺かトオルか?」
「いや、トオルさんは来ないかと・・・」
まあ、そりゃそうだな。奴は来ないわな。マキちゃんも居るし・・・スミカも居るからな。
981 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:01:11.97 ID:qsOZFuMno
「あ、向井さんも・・・その、この事は・・・内密にしときますので・・・」
ケンタの気の使い方に少し笑ってしまった。
「明日なあ・・・分かった。何時だ?」
「あ、良いっすか?すみません・・・えっと・・・」
ケンタは向井に時間を言った後に電話を切った。

向井は携帯をテーブルに置くとベッドに横になる。
合コンか・・・まあ、久しぶりに良いかな?
その時、ふとリコの顔が頭に浮かぶ。

まあ、付き合ってる訳じゃ・・・無いしな。それに・・・向井はカレンダーを見た。
もう三月・・・結局、アイツからチョコも無かった・・・

多分、俺達は・・・付き合う事が無いのかも・・・知れないな・・・
982 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:02:33.91 ID:qsOZFuMno
翌日、向井は待ち合わせ場所に行く。
すると既にケンタ達が来ており、また女の子達も到着していた。
「あ、向井さーん!」
ケンタが手を振る。何故かマルオが凄く緊張しているのが分かった。
とりあえず向井はマルオのズボンを後ろから下げた。
女の子達がビックリする。

「ぬあああああ!!!!何するんすかああああ!!!」
マルオが慌ててズボンを上げながら叫んでいた。
「いや、なんかきつそうだったから」
向井はそう言いながら女の子達を見た。
「こいつ、フランスパン位有るんだよ」
向井の言葉に女の子達は笑う。
「ヤメロおおおおお!!!!」

マルオが叫んでいたのだった・・・


合コンは盛り上がった。いつもの様に向井は一番に騒いでいたのだ。
二次会のカラオケも盛り上がる。向井がトイレに行くとヨウイチが入って来た。
983 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:03:54.82 ID:qsOZFuMno
「おう、ヨウイチは、どの娘に行くんだよ?」
向井が言う。
「あ、俺は髪の長い子にしますよww向井さんは?」
「俺?俺は・・・」
その時にリコの顔が浮かぶ。

「いや・・・まあ、あれだ・・・適当に・・・」
向井はそう言ってはぐらかした。
「所で・・・これは誰のツテなんだよ?」
「え?いや、ケンタの友達じゃ無いんすか?」
「あ、そうなの?」

二人が話していると調度ケンタがトイレにやって来た。
「ケンタ、これって誰のツテだっけ?」
ヨウイチの質問にケンタは笑いながら答えた。

「あー、タカコの大学の友達なんすよー」

そう言った瞬間に向井とヨウイチが固まる。
「・・・え?」
「いや、タカコの・・・あっ・・・」
ケンタも気が付き口をポカンと開けた。

お前・・・それ・・・ダメだろ・・・向井は冷や汗が出て来た・・・
984 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:05:42.94 ID:qsOZFuMno
部屋に戻り向井は急に押し黙った。女の子達がノリノリで声をかけてくる。

「じゃあーつぎー!!!向井さーん!!!」
だが、女の子達の呼び掛けに向井は下を向いたままだった。
「おーい、向井さーん!」
女の子の一人が向井にマイクを渡す。
「え・・・向井・・・?」
向井は顔を上げてそう言う。
「いや、向井さんでしょ!ww」

「あ、いや・・・僕は向井じゃ有りませんよ・・・」

向井の言葉に女の子達はキョトンとした。
「あ、僕は・・・さ、佐々木です・・・」
「は???」
「佐々木こ、小二郎です・・・」

女の子達は若干、パニックになる。
「そ、そう・・・さ、佐々木さんですよねー???!!!」
ヨウイチがいきなり、そう言った。
「え・・・?だって、さっき・・・向井って・・・」
「佐々木です」
向井が言い切る。
「え??え???」

女の子達がパニックに陥った。その時酔っ払ったマルオが向井に言う。
「なーに、言ってんすかー、む・・・」
その瞬間に向井の靴がマルオの顔に炸裂する。
985 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:07:02.98 ID:qsOZFuMno
「佐々木です」
向井は尚も真顔でそう言う。察しの良いサモハンが言う。
「佐々木さんは、何を飲みます?」
「あ、僕は余り酒が飲めないので、ジンジャエールをお願いします」

女の子達は頭を抱えてた。
「え??いや、あれ?さっき向井さんて・・・あの、皆さん高校時代に一緒の天文部で・・・」
「いえ、僕は高校では犬ゾリ研究会でした」
「え・・・何、その部活・・・」
女の子が焦る。

「え?でも皆さん、お知り合いなんでしょ???」
「いえ、昨日町でスカウトをされて・・・犬ゾリ研究会の佐々木です・・・仕事はドモホルンリンクルの抽出液を見る仕事をしています」
「え・・・あれ、ホントにやってるんだ・・・」


その後の合コンは盛り上がる事は無かった・・・
986 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:08:28.64 ID:qsOZFuMno
「いや、それは絶対バレてるっしょ・・・」

トオルの言葉に向井は溜息をついた。
「無理か・・・」
「なんすか、そのゴマカシ方・・・」
厨房の中トオルも溜息をつく。
「いや、だってさー、急にタカコの知り合いとか言い出すからさー」
「タカコに先回りして、リコさんに話すな、って言うしか無いんじゃないですか?」
「いや、それじゃあ余計に俺、怪しくね?」
「まあ・・・確かに・・・か、リコさんに先に連絡して正直に言うか・・・」
「それも・・・なんかな・・・」
向井は口ごもる。

向井もリコに言おうかと思った。だが、何て言えば良いのか分からなかったのだ。
そもそも自分達はまだ付き合っても無い。
なのに、いきなり「俺、合コン行ったんだ」って言っても、「はあ?だから?」そう言われて終わりの気がする。
リコもそう言われて返事に困るだけだろう。

ハア・・・向井は再び溜息をつく。なんて曖昧な関係なんだよ・・・
987 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:10:31.71 ID:qsOZFuMno
向井がそう思っていると店の入口が開き店のスタッフが「いらっしゃいませー!」と叫ぶ。
トオルも、そう言った瞬間にギョッとした顔をした。

え?
向井は後ろを振り返ると向井もギョッとした。
噂をすると何とやら・・・入口にはリコが立っている。
リコも向井を見て何らかの戸惑いの表情を見せた後にユックリ店に入り、カウンター席に来て向井の隣に座りに座る。

「何、食べようかな・・・」
リコはそう独り言かどうか分からない呟きをする。向井は少し焦る。
合コンの事・・・バレてんのかな・・・?向井はそう思うがまさか「俺合コン行ったのタカコから聞いた?」そうは言えない。

トオルは何故か焦って「リ、リコさ・・・ん・・・あの、お、お水をあの・・・」そう一人テンパッてる。
「あ、ありがと」
リコは普通の対応でトオルに笑いかける。トオルは少しホッとした表情でメニュー表をリコに渡した。
リコはメニューを見ながら突然呟く。

988 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:11:35.93 ID:qsOZFuMno
「合コン・・・楽しかった・・・?」

その瞬間に向井はギクッとする。トオルは慌てて厨房の奥に引っ込むように逃げた。
「・・・え?」
「行ったんでしょ?合コン・・・」
リコはメニュー表を見ながら顔を動かさずに聞く。向井は水をゴクリと飲むとリコを見つめる。

「あ・・・うん・・・まあ・・・」
向井は口ごもりながらそう言った。
リコはメニュー表から顔を上げるとトオルを呼び言った。

「トオルくーん、ハヤシライスー」
リコの言葉にトオルは何故かヘラヘラ笑いながら「えっへへへへ」と気持ち悪く笑っていたのであった・・・


・・・・・
・・・・・
989 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:13:54.32 ID:qsOZFuMno
すみせん、どなたか見てる方がおられたらスレを立てて貰えますか?
多分書ききれないんすよ・・・
990 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:15:11.51 ID:qsOZFuMno
スピードを遅く書きます


向井が合コンに行った事をタカコから聞いたリコは胸がざわついた。
「酷いですよね!向井さん」
タカコが電話口の向こうで、そう怒っている。
「え・・・?」
リコがそう曖昧に言うとタカコが言葉を続けた。
「だって、リコさんの事が有るのに、合コンに行くんですよ!!??」
「え・・・いや、わ、私は・・・別に・・・」
リコは慌ててそう答える。

「え??リコさん、良いんですか???」
「あ、いや・・・良いも悪いも・・・べ、別に・・・つ、付き合ってる訳じゃ無いし・・・」
リコの言葉に受話器の向こうからタカコの溜息が聞こえる。
「もう・・・リコさんは、いつもそうなんだから・・・」

そうタカコが呆れた様に言っていたのであった・・・

991 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:17:28.86 ID:qsOZFuMno
誰もいないか・・・仕方ない自分で立てますか・・・
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(静岡県)[sage]:2011/09/12(月) 15:18:37.88 ID:TH/8FT7lo
いるけど立たないんだ
すまぬ
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(熊本県)[sage]:2011/09/12(月) 15:22:49.54 ID:HnUadLDOo
立たなかったわスマン
994 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:25:07.81 ID:qsOZFuMno
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1315808663/

立てたよ・・・
まさか新スレを作る事になるとは・・・
995 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:26:13.54 ID:qsOZFuMno
続き

リコはマルセイユでハヤシライスを食べながら、チラリと向井を見る。
さっきは向井に合コンの事を思わず言ってしまった。
リコ自身今日、恐らくこの店に来れば向井と会えるとは思っていたのだ。
何のために向井に会いに来たのか?そう問われると答えが見つからない。

向井を咎め様としたのだろうか?どうなんだろう・・・?
リコはそう思いながらハヤシライスが入ったスプーンを口に運んでいたのであった・・・




996 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:27:40.22 ID:qsOZFuMno
「リコー?ちょっと来てー?」

家に帰り部屋に到着した時に下から母親が自分を呼ぶ声が聞こえた。
リコは「はーい」と言いながら階段を下りて母親の元に向かう。
母親はリコがリビングに到着すると、手招きをしてリコをソファーに座らせた。
「ねえねえ、アンタ今、彼氏居るの?」
母親は突然嬉しそうな表情でそうリコにたずねる。

「え???彼氏???」
突然の言葉にリコはビックリして母親の問いを返す。
「どうなの???居るの??」
母親の問いにリコはふと、向井の顔が頭に浮かんだがすぐに打ち消した。
「いや・・・別に居ないけど・・・」
そう答えると母親はすぐに溜息をついた。
「はあ・・・25歳の娘が彼氏の一人居ないなんて・・・」

ほっといてくれ。リコはそう思う。
すると母親はいきなりリコの目の前に写真を一枚置く。
写真には中々のイケメンが写っていた。

「はい・・・じゃあ、この人とお見合いをしなさい」
「はあ????」
リコは驚いて母親を見る。
「もうアンタも適齢期なんだから・・・結婚して安心させて」
「え???何よ・・・急に」
「良いから!!この人とお見合いをしなさい!!」

母親はそう言って執拗にリコに見合いを勧めていたのであった・・・
997 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:29:01.06 ID:qsOZFuMno
「ねえ!!聞きました???」

そうマリが叫びながらトオルの家に入ってきた。向井は顔を上げてビールを飲む手を休める。
今日は皆でトオルの家で鍋をする事になっていた。
皆が続々と現れて材料を持ち寄りトオルが鍋の用意をしていた。
殆どのメンバーが集まったが、残りはリコだけだ。リコは仕事で遅れると連絡が入っていた。

「どうしたんですか?マリさん」
マキが尋ねる。
「いや・・・それがね・・・」
マリは小声で囁く様にマキに耳打ちする。するとマキは驚いた表情を浮かべる。
「え??本当ですか??」
その言葉が聞こえて来て向井とトオルが思わず目を合わせた。
尚もマキとマリがコソコソと話をしている。そこにタカコが加わった。
そしてマリがタカコにも耳打ちをした時だった。

部長が新聞紙を丸めて細長く伸ばし彼女達の話を盗み聞きをしていた・・・
そして部長の眼鏡が光り叫んだ・・・
998 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:30:30.16 ID:qsOZFuMno
「リコ君が、結婚するうううう?????」

その言葉に向井は部長を見つめる。全員が部長を見る。
「こらああああ!!!!」
マリが部長の口を塞ぐ。トオルが向井をチラリと見てからマリに聞いた。

「マジか・・・?マリ?」
するとマリが慌てながら答える。
「あ、いや・・・その・・・なんか、お見合いの話が進んでて・・・決まりそうなのかもって・・・」
その言葉を聞き再びトオルが向井を見る。向井は何も言わずにビールを飲んだ。

「・・・向井さん・・・」
尚もトオルが話しかけてくる。
「何だよ・・・」
向井はトオルの視線を外す様に顔を逸らしてビールを飲む。

「・・・やっぱり・・・向井さんが合コンに行った事を怒ってるんだ・・・」
タカコがそう呟くと向井はビールを吹いた。
そして咽ながらタカコに言う。

「俺のせいかよ!!」
「だって・・・」

タカコが向井を責める様に見つめて来た
999 :トオル ◆6QvXJyw6Y9Xg[sage]:2011/09/12(月) 15:32:12.17 ID:qsOZFuMno
向井は口を拭くと溜息をつく。なんなんだよ・・・

すると、突然インターフォンがなりドアが開いて声が聞こえた。
「ごめ〜ん・・・遅くなった〜」
リコが部屋に笑顔で入って来る。リコの姿を見た瞬間に全員が固まった。
リコは皆の表情を見て不審そうな表情を浮かべるが、それでも席に座りカバンを置いた。

「あ・・・リコさん・・・飲み物は・・・?」
マキが少し苦笑いを浮かべた表情で尋ねる。
「あ、ごめん、ビールで・・・」
「あ、は〜い・・・」
マキが冷蔵庫からビールを取ってきた。
何故かヨウイチとトオルが目配せをしており、他のメンバーも表情が固い。

「何?どうかしたの?」
リコが皆を見ながらそう尋ねる。
「え・・・あ、いや・・・」

トオルは言葉を濁しヨウイチも、それに賛同する。
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)[sage]:2011/09/12(月) 15:32:42.90 ID:hLuhPo0bo
1000なら、スミカに双子が生まれる。

そして、みんな幸せに暮らす。
1001 :1001Over 1000 Thread

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 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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【もう本当に最後で】ある夏の日の話をしたいパート4 @ 2011/09/12(月) 15:24:23.92 ID:qsOZFuMno
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姉貴が死んだ @ 2011/09/12(月) 10:01:17.03 ID:yWWtZPE60
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