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HTML化した人:lain.
ここだけ不思議の新世界★14
1 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体2013/02/03(日) 02:22:07.85 ID:relThsqio
ようこそ、異能使いが存在するもう一つの世界へ


ここは超能力者や魔術師などが存在するもう一つの世界。
今は、度重なるテロや紛争、そして大国同士の戦争で世界は荒れ、いたるところに戦乱の傷痕が残されている、混沌とした時代である。
しかしそんな世界でも、人々は逞しく生きていくものだ。
あるものは学生として、あるものは賞金稼ぎとして、警官、会社員、傭兵、公務員。皆が皆、生きるために足掻き、時に笑い、時に泣き、怒り喜んだりしながら今を精一杯生きている。
このスレはそんな彼らの足跡を記した、一つの物語。


そしてあなたたちは、その目撃者にして当事者でもあるのだ。


ここだけ不思議の新世界Wiki
http://www50.atwiki.jp/tf141/

ここだけ不思議の新世界@掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/internet/16555/

※前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1358162578/
2 :矢嶋 ◆YaJiMaWRSg[sage]:2013/02/03(日) 03:03:44.71 ID:/K+fgRG2o
>>1乙です

>>997

「襲……それは、……やだ……っ」
「そんな事、一言も言ってない……し、言わないで、襲うだなんて」

襲うけど。
その一言にびくりと体を痙攣させて。反射的に、三角にしていた膝をきゅっと胸元で抱いて。
それから、クリオネを直視するのを避けるように逸らしもって、彼女の足元へ遣った。

淡い期待を裏切られたかのような失望感、暗い面持、明らかに怯えていた。
それは相手をより一層、面白がらせる結果に終わるかもしれなくて──

「……野宿…だよ?その……歩いているうちに、夜になって……」
「箒で飛べば良いんだけど、自由に使える魔翌力もお金も……無くなっちゃったから」


>>999

「……ありがと」「……信じるよ?……キミの、言葉」

当初は警戒していたエミリアだったけれど、相手の優しい声色に、幾らかその表情に活気を取り戻して。
「だよね、私なんか襲ったって」と自答するように呟き、うんうんと何度か頷いて、くすりと笑みをひとつ。

道中、徒歩以外の移動手段を失い、夜を迎えて仕方なく野宿をしていた──と。
先程クリオネに述べたのと同様の答えを返してから、狭めていた膝の幅を、ほんの少し広げる。


「……大丈夫だよ……?魔術師…だけど、襲いなんてしないから」

キミが嘘を付いていなければね、と付け足し、僅かながら口元を緩めて。
「それに、私が覚えてるのなんて、本当に……大した事ないから」
3 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体2013/02/03(日) 03:12:32.74 ID:relThsqio
>>2
「ははっ、何それ? 私が何を言おうと勝手でしょ」

いちいち反応が可愛いなと思いながら、クリオネはなおも面白がる。
先ほど一瞬でも薄れた恐怖が再び復活したのが目に見えて分かったからだ。

「ふーん……って言ってもこんな所で野宿なんて、怖い男に襲われても文句言えないんじゃない?」

エミリアに近づいて行き、逸らした目線を無理やり合わせようとしたから覗き込む。
その顔はどこか笑っている。
4 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/03(日) 03:21:51.45 ID:mmmWbLfXo
>>1乙です!

>>2
「でも、価値観は人に寄りますよ?」
危険な方向に自信を取り戻していくエミリアに対して、そう諭しつつ

「なるほど、でもよりにもよってこのような不気味な場所で、ですか?
……不気味、というのは不適切かもしれませんけど」
言い換えつつも、そう尋ねてみることに
このような場所で意識を落とすことは、自分は避けたいと思いながら


「言動に嘘はあまり混ぜませんから、安心してください」
常に丁寧な言葉使いを心掛けているようではあるものの、
言葉の端々に違和感を感じさせるかもしれない言動を挟む
5 :エミリア/気弱な魔女 三角帽子に茶色のマント[sage]:2013/02/03(日) 03:32:26.58 ID:/K+fgRG2o
>>3

「勝手、勝手……だけど」「普通の人なら、言わないような事……だから」
「人の気持ち……考えたりとかって、しないの?」

口をすぼめてそっぽを向いて、拗ねたように漏らす。
本気で受け取っているのか、魔導書を掴む指先に力が篭って、震えているのが見て取れた。

「お、おとこ……のひと……襲われ───っ?」
「そんな事……無い、絶対に……居ないもん、こんな所になんか」

次いで飛び出た二の句に再度、エミリアは体を震わす。肩を強張らせ、首に寄せて縮こまる。
ぶるぶると被りを振って、あってたまるかと否定するけれど──自信なんて、まるで皆無で。

口は悪いけど優しいお姉さん、そんな一方通行で理想に満ちた印象が、音を立てて崩れていく。
この人怖い、悪い人──だなんて改められたそれは、図らずとも多少、的を射ていた。


>>4

「……無いもん、需要無いもん……私なんか」

──その是非はさておいて、この少女、自信というものからは程遠いらしかった。
もう一度膝を抱いた胸元へ、少々落ち込み気味に視線を落とす。


「仕方無いし……怖いけど、出来ない事は無いから……一応、魔術師なんだし」
「一人旅も、もう何年目かだから……夜はまだまだ、慣れないけど、ね」

先程とは違う調子、自らの言葉を誇示するようにして、ふんと鼻を鳴らす。
野営と魔術、そこには一般人よりは上£度の自負があるのか、少々自慢げな様子だった。

「……あまり=H」
嘘はあまり──その、あまりの部分が気になるらしく、首を傾げたまま、黙って相手の瞳を見詰める。
6 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体2013/02/03(日) 03:40:23.72 ID:relThsqio
>>5
「普通? 普通って何? 誰が決めたの、普通なんて」

「みんな誰が決めたのかもわからない”普通”に縛られて自分のやりたいように出来ない。バカらしいじゃんそんなの」

これはクリオネの持論だ。
そもそも普通なんてあるのか、普通に従わなければならないのか。
クリオネは人の気持ちなど考えずに自分の言いたいことだけを言うのだ。

「あっはっは、分からないじゃないそんなの。ほら、そこの建物に家の無い浮浪者が潜んているかもしれないし」

エミリアの後ろにある廃ビルを指さす。
当然、浮浪者が潜んでいるかもなんて言うのは出鱈目。そもそも、以前この街を通った時にチェックしてそんな奴が居ないのは確認済みだ。

エミリアは自分に対して怯えているのだろうか。
それで良い。自分は良い人なんかではないのだから。
7 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/03(日) 03:48:46.83 ID:mmmWbLfXo
>>5
「需要があれば嬉しいですか?」
落ち込む少女に向けての微笑んでの優しい口調での一言は、
下手をすると追い打ちとなるのかもしれない

「それぐらい堂々と、自信を持てばいいと思いますよ?
魔術と野宿がどう関わりあっているのかは存じませんが」
微笑みというよりは、張り付いた笑顔と化している気もする

「自分に正直に生きるためには、嘘をつかなければならないときもあるのです」
自分にとっての数少ない価値観のうちの一つ
嘘を交えなければ、乗り越えられない壁もまたある
会話も成り立たせにくくなる
8 :エミリア/気弱な魔女 三角帽子に茶色のマント[sage]:2013/02/03(日) 04:03:42.35 ID:/K+fgRG2o
>>6

「……みんな」

クリオネの嘲るような調子に押し負けて、苦し紛れの抽象的な呟き。
感極まって、哀しくて、涙の湧き出る目をゆっくり閉じて、長い睫毛を絡ませる。

「居ない……絶対に、居ない……」
「ご飯も採れないのに、人なんて住むはずないから」

相手の指差す方を見てつい、無意識的に、壁面から預けていた背中を引きはがした。
無機物に覆われた廃墟、冷静に考えればエミリアの云うとおり──なのだけれど。
それでも、有り得なくとも、居るかもしれないと言われれば──彼女にはそれが、ひどく怖くて。

背中を浮かせた結果、それに伴って腰も浮き、クリオネに上体寄せる形になって──
「……こわい」
半ば、腰を抜かしているらしかった。本心を吐露しつつ、そのまま、その場へへたりこむ。

これだけ臆病な少女が、遺跡では臆面せず探索していたのも、おかしな話と言えた。

>>7

「嬉しくないもん」

顔をしかめて即答、「優しい人じゃないと……やだ」と付け足して。

「魔術はずっと……小さい頃から続けてきたから、人よりは……ましなだけ、だけどね」
「……知らないの……?野営するのにも魔術が使えると……結構便利なんだよ?」

獣払い、着火、それから就寝中の危険察知、いくつか例を挙げて、やはり得意げな顔をして言った。
「だよね……もっと派手なものを使う人の方が、多いから」
こういう補助的な魔術は概してないがしろにされやすいらしく、彼女の顔に、しゅんとひとつ、影がさす。

「えと……それ、人を気遣って嘘をつく、って事……かな?」
9 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体2013/02/03(日) 04:17:58.00 ID:relThsqio
>>8
「ははっ……って泣くほど?」

どうせ何か言い返してきてそれをまた笑ってやろうかと思ったが、反応は予想に反して弱弱しかった。
まさか泣かせてしまうとは……クリオネは内心慌てた。

「え?……ちょ、ちょっと何? 待って……」

あろうことかエミリアは自分に体を寄せてきたのだ。
下半身に力が入って居ないせいか、こちらに体重がかかって抱きつかれているかのようだ。

「なんなのよ、全く」

こうなっては支えるしか無くて、クリオネはエミリアを両手で支えるのだった。
何とも奇妙な光景だ。面白がって不安を煽った結果、それが効きすぎてこんなことに。

「い、居ないわ。そのビルに浮浪者なんて居ないから離れてよ……」

先ほどの強気な口調は影を潜め、やや弱ったような声になる。
いや、自分が悪いのだがこんな体勢になるとは
10 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/03(日) 04:23:19.78 ID:mmmWbLfXo
>>8
「襲われても優しい方ならよいと?」
変な方向に変な風に捉えて、
しかし表情も口調も一切変えずにそう言いつつも

「人よりは、というところが重要だと思いますけど」
自分はそういったふつうの魔法は使えない
魔法と呼べなくもない能力なら備わっているにしても

「道具を使わないと一苦労も二苦労もしそうなことばかりですね
少し羨ましいです」
肩に違和感こそはないものの、それなりに大きいバッグをぶらさげている

「戦闘にしか使えない派手な魔法よりは、
そういった実用的な魔法のほうがいろいろと役立ちそうだと、私は思いますけど?」
戦わなくとも生活はできるし時間も流れる
ならば、生活をより快適に送ることができるような能力のほうがいい、
そんな風に思うのであった

「そういう時もありますけど……
自分のため、ということのほうが大きいですね」
意外と人にやさしくない人物なのかもしれない
少なくとも、相手を常に思いやる人物ではないのかもしれない

>>9
「あらら」
そしてそんなことを言っていると、
いつの間にやらクリオネにエミリアが抱き着いていたではないか

「大変……、じゃ、ないですか」
他人事であるともいえるし、
二人に親交が生れる瞬間かもしれない

でも結局他人事のように、そうクリオネに言ってみたりもする
11 :エミリア/気弱な魔女 三角帽子に茶色のマント[sage]:2013/02/03(日) 04:34:38.68 ID:/K+fgRG2o
>>10

「そういう意味じゃ」相手の言葉に不機嫌そうに、視線を斜め下へとやって。

「……それでも、同じくらい修行してれば、他の人は……もっと上手くなれるはずだから」
「役に立つって言っても……本当に地味、だし……他人には、あんまりすごいって言ってもらえなくて」

「ありがと」そう答えた後、彼女の体はクリオネへと預けられる事になって──

>>9

それは彼女自身、全く想定していなかった行動で──
エミリアは自らの思う以上に力の篭らない体を、相手に委ねる事しか出来ない
あろう事か、怖い女≠フ胸に、だ。何という恐怖のループだろう。

「……えと、その……ごめんなさい……っ」
「体……動かなくて……立てないみたい……」

体を触れ合せれば、ぶるぶると震えているのが直に伝わってくるはずで。
途中、引き攣った表情でクリオネの顔色を伺う──まるで、何かされないかと言わんばかりに。

言われてやっと、肩を撫でおろすけれど、離れる気配は一向に無い。
さながら金縛りでも受けたように、震えている以外はぴくりともしなかった。
恐怖がまだ、後をひいているようで。例え信じていなくとも、怪談話の後の暗闇が怖いのと同じ──だろうか。
12 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体2013/02/03(日) 04:46:48.77 ID:relThsqio
>>10
「そう思うんなら助けてくよ……」

目を細めて訴えかける。
正直こんな状況は初めてで、仲裁役が欲しいところなのだ。

>>11
「あ……あのね、さっきまで私に対して怖がってたんじゃないの?」

胸の中で震えるエミリアに対して戸惑うばかり。
こういった小動物系の女の子を扱った経験が無いのだ。

とりあえずビルに男など居ないと聞いたら安心したようではあるが、なぜ離れないのか……
ほんの冗談のつもりだったのだが……

「わかったよ、謝らなくていいから。それと立たなくていいよ」

エミリアを抱きかかえるように手を腰と背中に回しながら、エミリアの上半身をゆっくりともの位置へ戻していく。
同時に自分もエミリアの隣で座る様にして、焚火の前で二人並んで座っているような状態へ。
エミリアが話してくれないので、必然的に抱き合っている状態になっているがどうしたものか。

「……怖くなくなるまでこうしてて良いけど、平気になったら離してよね。……それと、私も何もしないから」

そんな言葉をかけてみるが、らしくないセリフにエミリアの眼を見て言うことはできない。
13 :エレミア 金髪蒼眼の女性[sage]:2013/02/03(日) 04:55:53.59 ID:mmmWbLfXo
>>11
「どういたしまして、と返しておきましょう」
本音と世辞が半分ずつではあった

>>12
「いえいえ、熱々のお二人を邪魔するのも悪いですから
そういうわけで、お邪魔虫は退散します」
そんなことを言い残すと、
一言頑張って、とだけ小さく声をかけて、去って行った

頑張っての指す意味とは、この状況を切り抜けよという意味なのか

//いろいろと限界なのでそろそろ失礼
絡みのほう感謝です&お疲れ様でした!
14 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼2013/02/03(日) 05:45:53.47 ID:ElMqeAhho
前スレ>>980
「シン...うん、よろしく」

アリサは少年の名前を復唱し、心の中のへしまいこむ
この気持ちなんだろうか
普通の人間がこうやって声をかけてくれるなんて
あの少年以来初めてかもしれない

嬉しいのか、自分は
自分にビビっていない人物の存在が
冷静な頭なら、すぐさま理解することが可能だった

「じゃあね、また今度」

走り去る青年の背中を見届けアリサも暗闇を駆ける
日の光の当たらぬ場所を
目の付かぬ闇の中を今日も彼女は駆け抜けて行く───。

/お疲れ様でしたーっ!!
/寝落ちしてしまって申し訳ありませんでした!!
15 :エミリア/気弱な魔女 三角帽子に茶色のマント[sage]:2013/02/03(日) 18:59:05.32 ID:/K+fgRG2o
>>12

「……怖い、きみも……周りも、怖い」

例え僅かでも暴漢の居る可能性を考慮すると、怖くてたまらなかった。
クリオネに対する印象は多少ながら緩和されつつあったけれど、言ってしまえば体が竦んで動かない訳で───。

「エミリア…私の、名前」

彼女はたった一言だけ、自分の名前を呟いてクリオネの方へ、一層体重を預けていく。
平気になるまで。
その善意を甘んじて受ける事にして──エミリアは暫しの間、黙ってクリオネへ、体を擦り寄せるのだった。

放っておけば、エミリアはやがて無防備な体勢のまま目を閉じて、すぅすぅと寝息を立て始めるのだろう──


16 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 19:18:00.67 ID:relThsqio
>>15
「何を怖がる必要があるのさ。敵は全員殺せばいい……敵対する奴を消していけば、脅威に怯えることも無い」

こちらに寄りかかるエミリアを横目に見つつ、静かにそう答える。
その言葉は物騒だが、口調に猛々しさは無い。
何か一つだけの感情で発せられた言葉ではないのだろう。

「あっそ、エミリア」

さっき言われた言葉を忘れているのではないか?
平気になったら離してくれと言ったはずなのに、この場で寝てしまった……
これではそうそう動くことも出来ない。

「あのねぇ……まぁ良いけど」

クリオネは動かない。
エミリアを起すまいと朝日が昇り始めるまで、ずっと彼女の体を支えた後、ゆっくりと体を横に倒す。
どうしてここまでするのか、自分でもよく解らない。

クリオネは立ち上がる時に、コートの内ポケットから1枚の紙を取り出し、ペンで書き込みをしていく。
そうして寝ているエミリアの右手にそれを握らせた後、音を立てないように歩いてその場を去っていく。

エミリアが起きて右手に持つ紙を見れば、それが名刺だと分かるだろう。
クリオネが何でも屋をやっている時に使用しているものだ。
表にはクリオネの名前と、事務所の場所が書いてある。
スラム街と表の街の境目くらいにあるビルの4階だ。

裏面を見ると、ペンで書かれた文字が書いてある。

―ビビッて野宿するくらいならうちの事務所に来れば?―


//絡みありがとうございました。
//やたらと可愛いキャラなのでつい深入りしそうになってしまいます。
17 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ2013/02/03(日) 19:18:38.80 ID:A4lNdse0o
とある、小さな山村だった。
小さいとはいえど、秘湯やなにやらが有り、そこそこ観光客が訪れるそこ。
そんな山村の外れた場所、村人もそうそう立ち入らぬ山へ通じる麓。
そこは今、火炎に包まれ、血の匂いに染め上げられていた。一面は、赤、赤。
響く音は、木々が燃え尽きる音と、命が絶たれる音。
即ち、燃焼と斬撃、断末魔。
それら以外は此処にはなく、それらが此処の全てだった。
しかし、それも近いうちに終わる。斬撃と断末魔は、次の一閃で――。

「――詰まらん。
 詰まらん奴は、[ピーーー]、無価値、無為だ」

斬――鈍い切断音と同時に、崩れ落ちる人影。
残――立っている人影は、ただ一人。
惨――足元には数十人の死体。

月の灯を浴びて、一人の女がそこに居た。
魔術師のような純白のローブを纏った、長身の女だ。
嗤う。そして、微笑い、嘲笑う。
血痕一つ白にしみこませること無く、女が足を振れば目の前の血の海が開けていく。
風圧で血と死体を吹き飛ばし、道を作ったのだ。

歩く。足元に転がっている肉塊には目もくれず。
もともと湯治に着ていた所を襲撃されたため、不機嫌にしながらも。
女は山の麓から立ち去り、温泉に浸かりに行こうとする。

「――[ピーーー]ば肉塊、[ピーーー]ば無価値。
 生きて勝つ事に意義がある。どれだけ強かろうと、[ピーーー]ば敗北だ。
 ……死なず、負けず。それが出来れば――ック」

喉を震わせて低い笑い声を響かせて。
悠然と女は、温泉街を歩いていた。
非現実的な出で立ちは、この小さな山村では極めて目立つ。
ましてや、比較的鋭い要素や威圧感を持っているものの、衆目美麗。視線は否が応にも集まってしまう。
如何にも現実が充実していそうな男性グループが、女をナンパでもしようと近づき、女に話しかけた。

「なあなあ、そこのねーちゃん?
 もしかして、一人? だったらさァ、俺たちと一緒に温泉でも巡らない?
 綺麗なねーちゃんと一緒に温泉行きたいのもそりゃアレなんだけど、いい所しっ――ひぃ」

「……なんだ、どうした?
 全く、意気地なしが。殺意も湧かん」

女性が僅かにその男性グループに威圧を掛ければ、グループは踵を返して走り去っていく。
フン、と鼻を鳴らして、周囲が遠巻きに己に視線を向けているのを見て、更に不機嫌に。
水筒に入れたバーボンを一口含みながら、近くの茶屋に座り、まんじゅうと茶を頼む。
そして、目を静かに瞑って、異様な存在感の女はただただ温泉まんじゅうを待っているのだった。
18 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 19:20:22.90 ID:A4lNdse0o
とある、小さな山村だった。
小さいとはいえど、秘湯やなにやらが有り、そこそこ観光客が訪れるそこ。
そんな山村の外れた場所、村人もそうそう立ち入らぬ山へ通じる麓。
そこは今、火炎に包まれ、血の匂いに染め上げられていた。一面は、赤、赤。
響く音は、木々が燃え尽きる音と、命が絶たれる音。
即ち、燃焼と斬撃、断末魔。
それら以外は此処にはなく、それらが此処の全てだった。
しかし、それも近いうちに終わる。斬撃と断末魔は、次の一閃で――。

「――詰まらん。
 詰まらん奴は、死ね、無価値、無為だ」

斬――鈍い切断音と同時に、崩れ落ちる人影。
残――立っている人影は、ただ一人。
惨――足元には数十人の死体。

月の灯を浴びて、一人の女がそこに居た。
魔術師のような純白のローブを纏った、長身の女だ。
嗤う。そして、微笑い、嘲笑う。
血痕一つ白にしみこませること無く、女が足を振れば目の前の血の海が開けていく。
風圧で血と死体を吹き飛ばし、道を作ったのだ。

歩く。足元に転がっている肉塊には目もくれず。
もともと湯治に着ていた所を襲撃されたため、不機嫌にしながらも。
女は山の麓から立ち去り、温泉に浸かりに行こうとする。

「――死ねば肉塊、死ねば無価値。
 生きて勝つ事に意義がある。どれだけ強かろうと、死ねば敗北だ。
 ……死なず、負けず。それが出来れば――ック」

喉を震わせて低い笑い声を響かせて。
悠然と女は、温泉街を歩いていた。
非現実的な出で立ちは、この小さな山村では極めて目立つ。
ましてや、比較的鋭い要素や威圧感を持っているものの、衆目美麗。視線は否が応にも集まってしまう。
如何にも現実が充実していそうな男性グループが、女をナンパでもしようと近づき、女に話しかけた。

「なあなあ、そこのねーちゃん?
 もしかして、一人? だったらさァ、俺たちと一緒に温泉でも巡らない?
 綺麗なねーちゃんと一緒に温泉行きたいのもそりゃアレなんだけど、いい所しっ――ひぃ」

「……なんだ、どうした?
 全く、意気地なしが。殺意も湧かん」

女性が僅かにその男性グループに威圧を掛ければ、グループは踵を返して走り去っていく。
フン、と鼻を鳴らして、周囲が遠巻きに己に視線を向けているのを見て、更に不機嫌に。
水筒に入れたバーボンを一口含みながら、近くの茶屋に座り、まんじゅうと茶を頼む。
そして、目を静かに瞑って、異様な存在感の女はただただ温泉まんじゅうを待っているのだった。

/*ぴーぴーやかんみたいになったので再投稿!*/
19 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 19:45:13.04 ID:relThsqio
>>18
「あれは……」

見かけた光景はなんてことも無い、ただのナンパ。
問題なのはナンパでもなく、男でもない。あの女だ。
あの女の外見は、自分の知っている円環幹部の情報と酷似していた。

こうなればもう、クリオネの性格上接触しないわけには行かなくて……
ジェーンが座る場所に背後から回り込み、

「なあなあ、そこのねーちゃん?
 もしかして、一人? だったらさァ、俺たちと一緒に温泉でも巡らない?
 綺麗なねーちゃんと一緒に温泉行きたいのもそりゃアレなんだけど、いい所知ってるんだよ」

わざとさっきのナンパ男と同じセリフを言ってジェーンの後ろに立つ。
コートのポケットに手を入れ、その口元は若干吊り上っている。
20 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 19:53:40.22 ID:A4lNdse0o
>>19
「――悪いが私は甘味で忙しい。
 少し待て。私は食事の邪魔をされるのは好きじゃない。
 戦場では別だがな」

後ろから投げかけられた声に、振り向くこともなく。
女は、気だるげに声を返して、やってきた温泉まんじゅう3つとお茶を受け取った。
後ろ手にまんじゅうを一つ相手のほうに向ける。食べろ、という事らしい。
黒糖風味の皮はふわふわで、中の程よい甘さの餡は良い感じだったろう。

「……美味いな」

一言そう呟き、女はひょいひょいとまんじゅうを口に放り込み。
合間で茶を啜って、数分後にはまんじゅうと茶を平らげた。
お盆と湯のみを横に退かして、漸く後ろを振り返り。

「で、温泉だったか。
 ……お前、円環のだろう、気配でわかる。
 殺すわけにもいかんからな、いい所知ってるなら教えてもらおうか」

殺意は向けないが、威圧感だけは向けている。意識はしていないのに、だ。
武装の気配は見えず、只の非現実的な出で立ちの女というだけ。
それでも、この女はどこか異質。この女も又、円環の楽園の構成員だった。
21 :フェルネス[saga]:2013/02/03(日) 20:01:11.07 ID:67e/B+kWo
前スレ>>977

「このカードにも、何か仕掛けがあるのか……?」

変化に乏しい通路の代わりに、矯めつ眇めつ手元のカードを観察しながら歩いていく。
果たして手がかりになるようなものがあるのだろうか──それは判然としない。

「……い、って」

しばらく行けば、再び分かれ道にぶつかった。比喩的な意味でもあり、物理的な意味でもある。
──前方へと続いていた道はこれで打ち止めだったのだ──痛む頭を抑えながら、ぐるりと辺りを見回す。
今度の数字は7と8。……一体、どういう法則なのだろう。そろそろ突き止めたいところである。

「ふーむ……」

壁に刻まれた文字、そして先程までの記憶を整理して、答えを考える。
1から13まで描かれていたあれも、きっと手がかりにはなる筈だ。……と考え始めることしばらく

「! もしかして、そういうことなのか?」

何か、気付いたようである。確信とまでは行かない様だが、それでも彼は道を選んで歩みを再開した。
選ばれた数字は8。左へと続く、道である。

/お返ししておきます……!
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2013/02/03(日) 20:03:49.85 ID:vz55QASno
「あああああ!」

活気が満ち溢れ、ライトアップされた大通りはは、悲鳴がこだまする
地獄にへと変わっていた。
地獄にへと変え、巡るに巡るわ一体の黒い外装を着た、いや、正確には
『黒い外装そのものが浮いている』といったほうがいいだろう。
骨のような細く、無機質さを感じさせる両手には大鎌をもち、鎌の刃が踊るたびに、ひとりひとりと
鮮血を撒き散らしては糸が切れた人形のごとく倒れていく。

人を、まるで稲を刈るがごとく殺していく姿はまさに、死神そのもの―。

赤いペンキがぶちまけられた大通りを見て、まるで満足したのか、死神はそのまま大通りを
突き進み、逃げ遅れた人々を一人残らず狩っていく。

//突発イベント的な・・・。下手ですが参加してくれればいいなと・・・



23 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 20:06:39.45 ID:relThsqio
>>20
「はいはい……」

差し出された饅頭を受け取り、食べてみる。
これは美味しい、と内心驚く。
実はこれまで饅頭と言うものを食べたことが無かったのだ。

「へぇ……おいしいお菓子だね」

もぐもぐと口の中に饅頭を入れて飲み込む。
どうやら自分が一つ食べている間に向こうは2つ食べきってしまったようだ。

「そう言うってことはキミも円環の人だよね。当たりで良かったよ、ジェーン」

名前はまだ聞いていなかったが、円環の人物である事が確定した以上、この容姿の人物はアスモダイのジェーンだろう。

しかし困った、あっさり承諾してくるとは思って居なかった為良い場所など考えていない。
そもそも初めて来た場所なのだ。案内するのはどう考えても無理だった。

「そう常に周りにプレッシャーかけてて疲れない? あ、だから温泉来たんだ」

ははっと笑ってみせるが、見た所厳格そうな人物だ。
基本的に行動が軽薄なクリオネの事をなんて思うか……

「実はいいところなんて知らなーい。むしろ教えてよ」

温泉は以前正月に初めて入り、非常にいいものだと分かった。
自分から声をかけたくせに相手に任せようとする。
24 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 20:17:33.64 ID:A4lNdse0o
>>23
「そういうお前は、クリオネ、だったか。
 メイザースが言っていたからな、多少は名前を覚えておいたが。
 近接には見えんな、どっちかというと能力を軸に、自分以外の何かを使役する型……か?
 まだ発展途上のようだが、面白そうだ。何時か殺させてもらう」

己の名前を呼ばれても、気にする様子はなく。
僅かに記憶を手繰って行けば、己の一応の盟主であるメイザースの言葉を思い出す。
新しく入った子だから、仲良くしてあげて、との事だ。
一応の所、円環が目的を達成するまでは言うことを聞ける限りは聞き、メンバーを殺害しない約束をしていた。
その為、ジェーンは相手に大して危害を加えるつもりは欠片もなかった。

「まだ気を抜いている部類だ。
 ……生きることは戦うこと。常に臨戦で居る事は当然だろう。
 疲れるということもない、もう何年もこうしているからな。
 ……ま、温泉は嫌いじゃない。コンディションを整えるのも又、兵法家としては欠かせないこと、だからな」

厳格そうには見えるが、他人に対してはそれを共用する事はしない。
しかしながら、相手が殺すに足る相手や、興味を引く相手だった場合は、殺戮という形で相手に関わろうとうするが。
どっちにしろ、相手の軽薄な在り方に苦言を呈することはなかった。それに苦言を呈する位なら殺害するだろう。

「……分かった、ついてこい。
 少しばかり奥まったところだがな、居心地は悪くない。
 人も少ないしな」

そう言うと、女は椅子に万札を一枚置き、立ち上がる。
後ろのクリオネに目線を向けること無く、無言で歩いて行く。
軽く手をくいっ、と動かしたのはついてこい、とのことだろう。無愛想にも程がある。
暫く繁華街を歩いて行き、どんどん村の外れへと近づいていく、二人。
もっと奥まで歩いていけば、小さな沢があり――、そこには本当に小さな温泉が、有った。
横には掘っ立て小屋のような脱衣場が有り、ジェーンはそこへ無言で入っていくのだった。
25 :ベルム 黒ずくめマジシャン[saga]:2013/02/03(日) 20:27:45.75 ID:mmmWbLfXo
>>21
左の道を選び、しばらく歩き続けていけば、
また通路の壁に変化が見受けられ始める

↓-1、このような文字で埋め尽くされた壁である

そんな通路をしばらく歩いたその先で、
またスペードが描かれた壁へと戻ったしばらく先に、、
それは浮かんでいた

ハートの絵柄のカードが

いつかと同様に、分岐点にぶつかったわけではない
道はもうしばらく続きそうだ
26 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 20:34:38.78 ID:relThsqio
>>24
「なんだ、私の事も知ってたんだ」

とは言えジェーンは4人のトップの1人。
新入りの事を知っていても何ら不思議はない。

「……そこまでわかっちゃうんだ。確かに私は相手に近づかないよ、危ないもん」

ちなみに死ぬ気は無いからキミとは戦わないよ、と追加する。
見ただけで相手の大まかな戦闘スタイルを読み、さらには殺すと来た。
今すぐ戦闘にはならないだろうが、物騒すぎる。

「そんなものなんだ。私は嫌だね、気なんて常に抜いていたいもん」

実際、クリオネは常に気を抜いているかのようにふざけて立ち回ることが多い。
だが、これも生まれた時から危険地帯に居る経験があってそこである。
気を抜いていても危険があれば即座に察知する能力を年月をかけて身に着けていったのだ。

「あ、知ってるんだ。ラッキーだね」

無愛想なことなど気にもかけずに、無言で歩いて行くジェーンに後ろからついていく。

どこまで行くのだろうか、結構歩いた気がする。
見えてくるのは旅館などではなく、普通に温泉だけだった。

ジェーンに習い、脱衣所に入るクリオネ。
ここで服を脱いで入るのだろう。
恥ずかしがることも無く、コート、ワイシャツ、スカートと次々と脱いでいく。
白いフリルの付いた黒い下着にも手をかけ、まずはブラを外していく。

「ジェーンはスタイルいいね」

横目でジェーンを見るクリオネはその体をまじましと見る。
自分の体つきにコンプレックスなどは無いが、純粋に良いなと思う。

//飯食ってくるので次遅れる可能性があります。
27 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 20:44:06.02 ID:A4lNdse0o
>>26
脱衣所に入り、ジェーンはローブを脱いでいく。
複雑な縫製のローブは、しかしながら、腰ベルトと各所の留め具を外せば直ぐに外れて。
ローブの下の服は、さらしと褌というなんとも古風な下着であったが、それらも一息に脱ぎ去っていく。
なんとも男らしい脱ぎっぷり。

「均整のとれた肉体というのは、効率的な肉体の構成をしているということだ。
 戦う上において、肉体のバランスを整えるというのも、当然大切なことだからな」

先ほどから、発言の全てが戦いにつながっている女。
ぱっと見では、他の所属者に見られる、殺人鬼的な雰囲気や、異常者の雰囲気はしない。
しかしながら、この女。常在戦場という言葉を体現したような振る舞いは、一般から見れば明らかに異常だった。

一糸まとわぬジェーンの肉体には、殆どと言って傷がない。
言うなれば、下腹部に刻み込まれた円環の焼印くらいが目立つ傷だろう。
僅かに切り傷の痕などはあるものの、それらもごく浅く。
ぱっと見では、この女が剣士であることなど欠片も思わせない出で立ちだった。

ローブの中に隠していたポーチを取り出し、ポーチからタオルを取り出して。
鮮やかな茶髪を纏めて、頭にタオルを巻いて。
ふと、クリオネの身体に目線を向けて。

「最低限以上は鍛えておけ。
 お前自身が戦う必要がなくとも、お前自身に相手が辿り着いた時に逃げることくらいは出来るようにな。
 何よりも、足腰。それが、肝心――肝だからな」

無表情に、色気の欠片もないアドバイスを掛けて。
身体にタオルを巻くなどという男らしくない振る舞いはせずに、そのまま温泉へと歩いて行く。
そして、温泉に入ると、目を瞑って、ふぅ、と静かに息を吐く。
僅かに雰囲気が柔らかくなったような――そんな気配が有った。
28 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 21:03:41.75 ID:relThsqio
>>27
「キミは戦いの事しか頭にないの? もっとこう……趣味的なものは無いわけ?」

ジェーンの隣で全裸になるクリオネ。
その姿は細く、とてもジェーンの体とは比べ物にならない。

ジェーンの戦いに関する姿勢は普通ではない。
一体何が彼女の原動力なのだろうか。

「何、説教? こんな所まで来て勘弁してよね」

言われずとも、クリオネの基本戦術は逃げだ。
明らかに格下の相手や絶対に戦わなければならない相手以外は基本的に逃げをまず視野に入れる。

クリオネの基本戦術がどうであれ、ジェーンのアドバイスを

「はい、その通りだと思います。ありがとございます、ジェーンさん」

などと素直に受け取るわけも無い。

ジェーンに続いて脱衣所を出るクリオネも、体を隠す気が一切ないようで、歩き方も手の位置も服を着ている時と何ら変わっていない。
温泉に入ると、以前の旅館を思い出す。
人生2回目の温泉なのだが、やはりこれは良いものだ。

「気持ちいい……ジェーンも好きでしょ? 温泉」

温泉の中で座り、端の方で寄りかかりながらくつろぐ。
29 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/03(日) 21:07:49.26 ID:ElMqeAhho
>>22
なんだこれは、と
黒い少年はその目にした地獄を疑った
人々がその命を無残にも散らして行く光景を

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年

「.......ッ!!」

ドクンと暴れたような動悸が全身を駆け巡る
意思よりも本能が、彼の行動を決定付けた
“止めなければならない”
虚ろな眼球に光が宿る
青年が気が付くと、コートの裏側
懐から片刃の小刀──、精巧なナイフを持っていた

無作為に振り下ろし魂を蹂躙する鎌
腰が抜けて動けなくなった一般人へ降ろされたそれへ向けて横薙ぎの一閃。
少年は一般人と死神
その間に入り込む形で鎌を弾いた

「........っ」

無言で一般人へ目も向けず「逃げろ」と合図
少年はその瞳を死神へ向けている
目を逸らす余裕もありはしない
ナイフで弾いたと同時に僅かに距離を取っている
鎌のリーチから約1mの所で少年は対峙した
30 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 21:14:34.99 ID:A4lNdse0o
>>28
「戦いが好きじゃなくてな、勝つのが好きだ。
 ……最強になりたいんだよ、だから私は私以外をこの世から消し去りたい。
 私一人になれば、私より強い人間は一人もいなくなるからな――、要するに、世界最強だ。
 遠い道だ、だから私は鍛えているだけだ。並大抵では、全世界の人間を殺すなど夢のまた夢、だからな」

大まじめに。表情一つ崩すこと無く、女は言う。
世界最強になりたいから、自分以外の人間を皆殺しにして、自分だけの世界を作る、と。
理性を持ち、深い思考を携え、実力を鍛え、慢心をしない武人が、大真面目に全世界を皆殺しにしようとしている。
明らかな狂人には見えないこの女は、しかしながら間違い用もなく異様なほどの狂人だった。

「趣味……か。
 強いて言うならば、酒と鍛錬、そのくらいだ。
 いい酒を出す店が有る。レオンハルトとか、アメリアも偶に見るからな。
 メンバーとコネを作るなりしたいなら、行ってみるといい」

趣味は酒と鍛錬といって憚らない女。
女らしい所など、ボディライン以外には欠片もない。
それでも、一応同僚という意識はあるのか、円環所属員行きつけのバーの場所をそれとなく教えておいた。

「……嫌いじゃない。
 生まれはアメリカだが、育ちはこっちでな。
 故郷ではよく入っていた。……まあ、もう無いんだが」

持ち込んでいた酒瓶を傾けて、日本酒を直接飲むジェーン。
この冬空の沢に突っ込んでおけば、良い感じに冷えてそれはそれは美味しいことだろう。
飲むか?と一升瓶をクリオネに向けるジェーンは、先程までよりは多少態度を軟化させていた。
それでも威圧と警戒は、決して消えては居ないのだが。
31 :フェルネス[saga]:2013/02/03(日) 21:20:34.90 ID:67e/B+kWo
>>25
ずっと歩き続けていけば、再び壁に変化が現れた。── 一面を埋め尽くす、矢印と−1の数字。
クローバーの1にであった時と、同じ兆候。自然と、歩速は早くなっていった。
そしてその結果は、直ぐに現れることとなる。

「……よーし!」

浮遊するハートの絵柄のカードを見つけて、小さくガッツポーズ。どうやら予想は、当たっていたらしい。
大事にそれを回収して、クローバーのカードに重ねて把持した。完全に法則を掴んだ訳ではないだろうが、
それでも足がかりくらいは掴めた筈だ──偶然でなければ。

「これで、あと半分だな」

変わらぬ調子で続いていく道に視線を向けて、少年は再び歩き始める。
その歩調は心なしか、弾んだものだった。
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2013/02/03(日) 21:25:22.59 ID:vz55QASno
>>22
//まだ募集中です
33 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 21:25:28.60 ID:relThsqio
>>30
「それじゃあさ、世界の頂点になった後は?
 世界中の人間を殺して、一人になった後は何をして過ごすのさ」

武人という人種であれば、世界最強を夢見るのはおかしなことではない。
だが、その先には何があるのだろうか。
自分は、自分以外が居るから面白い事が起こると考えている。
だから、自分以外を皆殺しにするような考えにはならない。

「円環メンバーが良く出没するバーでしょ?
 一度いった事があるよ。良い店だった……何人かそこで会ったしね。
 でもメンバー同士でのコネに興味は無いよ。欲しいのは情報」

そういえばジェーンと同格の女にもあそこで会っていた。
今更ながらそれを思い出す。

「ふーん、故郷ね。私は元々あって無いようなものだし、故郷がどうって言われてもよく解らないよ」

普通瓶ごと飲まないだろうと思いつつ、酒瓶を受け取る。
仕方がないので、ジェーンと同じく瓶からそのまま飲むクリオネ。

「どうやら、温泉には堅物を柔らかくする効能があるらしいね」

少し笑いながら酒瓶をジェーンへと返す。
趣味が酒と言うだけあって、おいしい酒だった。

34 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/03(日) 21:26:44.62 ID:cDTOozrso
>>22
「待ちな」

鮮血に染め上げられた大通りに、凛と声が響いた。
声の主は一人の男だ。
栗色の短髪、日本人離れしたやや高い鼻。赤いスポーツサングラスに瞳を隠し、周囲を見渡して表情を歪める。
AMSWATと呼ばれる組織の制服に身を包み、グローブに手先まで覆い隠した彼は、

「まったく物騒な所だぜ、この街はよ」

誰にともなく呟いて。なおも『狩り』を続ける死神へと大見得を切って左手、人差し指を突きつけた。

「おいオメエ、そこのオメエだ不気味なナリしやがって。
 こんなことして許されるとは思ってねーよなあ?何が目的だ言ってみろよ、あぁ?」

矢継ぎ早に飛び出す言葉は喧嘩腰。
怒気は確かに含まれていたが、それ以上に少しでも死神の注意を引きつけ、一般人の逃げるための時間を稼ごうという魂胆だ。
35 :ベルム 黒ずくめマジシャン[saga]:2013/02/03(日) 21:33:33.44 ID:mmmWbLfXo
>>31
弾んだ歩調に横やりを入れるかのように、
再びぶつかる分岐点

そのまま道にそって歩くなら、目印となるかもしれないのは、すぐ近くに刻まれた4の数字
右に進むのならば、その近くの壁に刻まれた数字は11
左に進むなら、その近くの壁に刻まれているのは10
36 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 21:36:49.51 ID:A4lNdse0o
>>33
「別に、世界最強になったら私は死んでもいいからな。
 私以外を皆殺しにしたら私も死んで、誰もいない世界にしても悪くないかもしれないな」

世界最強になって何をしたい、などという目的をジェーンは持ち合わせていない。
世界最強になるのが目的で、それ以外には何も目的はない。
面白いことや、楽しいことやその他の物事も何もかもを投げうって、女は最強を目指している。
そうでなければ、突出した才の無いこの女が、今四柱に居ることもなかっただろう。

「……あそこはレオンハルトが入り浸っているからな。
 あの男に有ったときは気をつけるといい、奴も私と同格だが――少々頭が可笑しい。
 妹になれやら、今日から家族だ、とかお兄ちゃんと呼べとか言って来るだろう。
 迷いなく殺しにかかっていい。私はメンバーを殺さないが、私以外が殺す分には何も言われていないしな」

店に入り浸っている四柱の一人について、愚痴めいた言葉を垂れ流して。
女は、出会ったら殺してしまえとアドバイス。
仲間割れはダメー、とか言うタイプではないのは勿論だが、なんとも物騒な女だ。

「堅物のつもりは、無いんだがな。
 これでも私は自分に素直に生きているだけだ、自由にな」

帰ってきた酒瓶にまた口をつけて、アルコールを飲み下して行き。
つまみを持っていないことに気がつき、微妙に腹が減った事にも気がついて。

「そういえば、お前。晩飯は食ったか?
 食っていないなら、私も腹が減ったから後で作ってやるが」

森の茂みの方向へ目をやりつつ、酒をまた一口。
料理など決してしなさそうな女だが、実は料理ができるようだ。
37 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/03(日) 21:38:02.96 ID:emJs71ezo

男が路地裏を歩いている。平均的な背丈で黒いコートを来た灰色の髪を持つ地味な男
男が路地裏を歩いている。ヒビ割れたコンクリに吐瀉物やゴミが散らばる汚い路地裏

男が歌を歌っていた。一昔前の穏やかなメロディが紡ぐとても悲しい悲しい別れの曲
男が歌を歌っていた。呟く様に鼻歌の様に上手くも無く下手でも無い平凡的な歌声で

「…………………」ふと、悲鳴が小さく響いた。

男が路地裏を歩いている。彼が歩む後ろには干からびた人が街灯の光の下で横たわり
男が歌を歌っていた。紅色に染まる唇から紡がれる歌は哀れな死体達への歌であった
38 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/03(日) 21:40:09.12 ID:EGpoMgmMo
>>22
派手な見世物……、じゃないか
これもショーなら、腰を落ち着けてこのヒーローショーを見物できたものを

逃げまどう人々の波から外れて、
物陰よりこの惨状を目の当たりにする、一人の金髪碧目の、
年端もいかないほどに幼く見える少女

どこか現実離れした……、というのも、殺しを働くのが人外……、死神であったこと
それに立ち向かうヒーロー、そんな光景を目の当たりにすると、
逃げることも忘れて、見世物でなくとも魅入られるものがあった

魅入られながらも、脳裏にふとした考えが浮かび上がる
この大通り、であるなら街
この街を"死神を始末するために"破壊しても、
いろいろと言い訳が立つのではないか、と

今のところはアクションを起こさない
逃げ遅れた少女という風にも見て取れる、かもしれない

39 :フェルネス[saga]:2013/02/03(日) 21:47:39.74 ID:67e/B+kWo
>>35

しばらく進んでいった先には、再び三叉路に見える。もう慣れたものである。
表示された数字は4、11、10。──困った、とばかりに少年はぽりぽりと頬を掻く。

「んー、この道じゃ分からないな──」

取りあえず、当てずっぽう。次の目的に近そうな数字──4。
彼の得ていた手がかりでは道は決定出来なかったのか、余り自信は無さげだったが、
結局彼は、そのまま直進することとなった。──運良く、一が見つかれば良いのだが。
40 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 21:49:20.43 ID:relThsqio
>>36
「ふーん、じゃあ私がジェーンと戦うのはその時だね。戦いたくないけど、皆殺しは困るし。
 考えてみれば、世界中の人間を殺して回るなら円環に入って居る意味ないんじゃない?」

世界の為に戦うなんて理由ではない。
あくまで自分を守るためだ。

「何それ? キモ……。まだ会ったことないけど、出来るだけそいつとは会いたくないね。
 ていうか、この組織はお友達集団な訳?」

最終的な目的が一致しているから同じ組織に属しているのであって、そこにそれ以上の関係など不要だろう。
最も、クリオネの場合は最終的な目的すら一致していないのだが。

「その喋り方が固いんだってば……もっと可愛らしく喋れば?」

実際、そこまで堅物ではないのかもしれない。
ただ、印象の問題でジェーンをそう見てしまうのだ。

「食べてないけど……作るって言っても材料も道具も無いじゃない。
 帰ってから作るの?」

森の方を見た意図をくみ取れず、どうやって作るのか疑問に思う。
如何に料理が上手くとも、材料と道具が無ければ作ることはできない。
41 :GM:黒外套[sage]:2013/02/03(日) 21:52:17.79 ID:vz55QASno
/外装じゃなくて外套です、すいません・・・

>>29>>34>>38

宙に浮翌遊しているぶきみなボロボロのフードつきの黒外套は
人狩りをやめさせんと立ちふさがる者のほうにへと向く。

フードの中身、そして黒外套の中身。本来は人が羽織るはずの
それは、まるで透明な何かがそれを羽織っているかのように
宙に浮いていた。

フードの暗闇から、不気味な光がふたつ光った。それは、まるで
人魂を思わせるような、青白い、微かだが、冷たい炎。

死神は声なきこえで吼える、叫ぶ。姿なき身体を仰け反られば
現れるは揺らぐ3つの青い炎。

炎は、立ちふさがる三人にむけ、ひとつずつ放たれる。
その速さは遅いが、まるで意思があるかのように、ふらふらと
不気味な軌道を描きながら三人に向かう。



42 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/03(日) 21:54:52.95 ID:emJs71ezo
>>37
あげてみう
43 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 21:59:31.80 ID:A4lNdse0o
>>40
「効率的に人類を減らすには、なかなかいいぞ、戦争はな。
 幾らなんでも私が一人一人斬り殺していく訳にもいかんしな。
 メイザースにも言っている。円環の目的を達した後は、メンバーを皆殺しにすると、な。
 ……アイツもアイツで、肝が座っている。お好きにどうぞ、と言ったからな奴は」

現実的に世界最強になろうとしている、ジェーン。
当然、現実的に考えれば人類を皆殺しにすることなど不可能。
ならば、効率的に沢山の人間を殺すにはどうすればいいのか――、そう考えれば、戦争や疫病が上がるだろう。
そして、ジェーンは戦争を世界最強への手段、道具として使用すると決め、この組織に入っている。
4柱の中でも、円環に服従しているわけではない独特の立ち位置なのがこの女だった。

「さあな。あの男の悪の根源が、その欲望だからかもしれんが。
 少なくとも、私を一緒にしてくれるな。流石に殺意が湧いてくる」

はぁ、と溜息を吐くジェーン。
相手の態度も最もだ、と思いつつ、酒瓶を傾けた。

「……ちょっと待て」

相手の言葉を受け取って、思案顔。
たっぷり数秒考えた結果。

「どうにも、上手くいかん。
 そもそも、他人に堅物と思われた所で、私が困ることもないだろうに。
 戦う上で今の口調が不利だというのならば直すことも吝かじゃあないが、今のところ必然性が見当たらんよ」

わずかに視線をずらすと同時に、今のままでも困らない、と言う。
また、必然性が無い、必要ないとも付け足した。

「いや。調味料は別のポーチに確保してあるしな。
 食材は、この土地だ……、まあ困らんだろう」

どうやら、野外料理をしようとしているようだ。
ということは、森を見たという事は……?
44 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/03(日) 22:10:26.11 ID:ElMqeAhho
>>41
「そこが眼かよ...ふわふわ浮いて幽霊じゃねぇか!」

順手に持ったナイフを前に構えながら
死神の攻撃を、相手の出方を見る
相手に攻撃が当たるかは微妙だ、人が切れた以上物質であると信じたい
周りを確認する、一般人の多くは逃げたのか
逃げてないの人間が二人ほど見え、片一方は知り合いだが死神を前に話す隙もない

死神の放つ青い3つの火炎
うちの1つが自分へ向けて
この距離での飛び道具──、威力は未知数
射程も不規則な軌道で把握できない
防ぐも攻めるも手元の得物が“コレ”しかないのだ
やることは決まっている───!

「っ...はぁッ!」

降ろされる斬撃。
少年は放たれた炎をナイフの当たるギリギリまで引きつけ
持っているナイフで斜め上から炎へ向けて振り下ろそうとする
その動作で炎をかき消せれたら上々
無理でも、軽く2mは距離を離せるバックステップすれば良い
少年は足裏に力を込める
たとえ防ぎ切れなくても、この炎は不規則な軌道で
たいしてまっすぐ離した距離は詰めないだろう
まだ、少年には余裕がある──。
45 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園662013/02/03(日) 22:13:04.51 ID:k0FZ4Fppo
>>42
/まだ大丈夫でしょうかっ
46 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 22:13:50.83 ID:relThsqio
>>43
「なるほど、言われてみれば確かにそうだね。
 戦場に出れば、必然的に戦闘力の高い人間と出会うし。
 ちなみに私は見逃してよね。私はキミより弱いから殺してもキミの株は上がらないよ」

円環が終わればメンバーを殺す……面白い考えではあるが、それは見ている立場での話。
巻き込まれるのは御免だ。

そして、クリオネはずっと考えていたジェーンの戦闘スタイルについての考えを終わらせた。
初めに会った時に「近接型とは思えない」といった事、脱衣所で体のつくりについての考えを述べた事。
そして、今「斬り殺す」と言ったことから、ジェーンは近接タイプの剣士と推測した。

「私は新人だから、与えられた情報をただただ信じるしかないんだよ。
 だから一人そんな奴が居たらみんなこうなんだ……って思っちゃう訳」

人からの情報をただ信じる……我ながら笑ってしまう。

「ははっ、何それ。やっぱ堅物じゃん」

そして真面目なのだろうか。
自分の発した言葉に対してわざわざ真剣に考えるとは……

しかしながらクリオネの口調には意味がある。
初めからこの喋り方でこの性格だった訳ではない。
今ではすっかりこれが素になってしまったが。

「土地……?まさか狩りでもしようって言うわけ?」

イノシシでも狩ってくるつもりだろうか。
どこまで男らしいのやら。
47 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/03(日) 22:16:14.42 ID:emJs71ezo
>>45
はいおけです
48 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園662013/02/03(日) 22:17:54.29 ID:k0FZ4Fppo
>>47
/それでは投下させていただきますー

>>37
「ねぇ」

その声は、歩く男に向けられたものだろう。幼い少女のそれは、男の後ろから発せられる。
男が後ろを振り向けば、そこには男より頭1つ以上は背の低い人影が、黒いローブを羽織って立っている。
人影の情報と言えば、それぐらい。

だが、男と同じく、その人影もまた"死体に恐怖していない≠アとは確かだった。

人影は更に口を開く。

「この人たちの『結晶』、取っていっても良い?」

男にとっては意味不明な言葉だろう。なにせその『結晶』とやらは、人影にしか理解していないものであるから。
男の答えがどうあれ、人影は死体の1つへと近寄るとしゃがみこみ、腰に付けられた瓶のコルク栓をとって死体の傍へと置く。

しゃがみこんだ際に見えたフードの中は、灰色の長い髪はボサボサ、そして頬に大きな切傷の後を付ける、声に違わぬ少女だった。
……異常者が此処に、2人居る。
49 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/03(日) 22:18:32.14 ID:cDTOozrso
>>41

(よし、意識はこっちを向いたみたいだな)

一先ず一般人を敵の意識から遠ざけることに成功した彼は、ここからが本番と言わんばかりに拳を握り、

「本当に不気味なヤツだな……」
透明人間がフードを被っているかのようなその顔面に思わず声を漏らす。
そして、そこに燃え上がる青炎に、何か来るかと身構えて。

そして、敵に相対する3人にそれぞれ1つずつ飛来する火の玉を、

「―――遅いぜ!」
読みにくい軌道を見て、それならばとフードの死神を中心に大きく円を描くように―――大通りを横切り、そのまま死神にとってのサイドを取ろうと駆け出した
その動きで炎をやり過ごした。もしも追尾性能などがなければ、だが。


(アイツは恐らく近距離戦……ならば俺は距離取って行かせてもらうぜ!)
紫音(>>29)の得物を見て彼は近距離タイプと判断する。
それならばとこの男はぐ、と右拳を握りしめ。

      グラッディサーム
「行くぜ、『天使の残渣』!」

彼の編み出した能力名を叫ぶと同時、握った拳を纏うように緑に光る粒子が現れる。
攻撃行動はまだせず、次の敵の行動に備えている。
50 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/03(日) 22:21:05.49 ID:EGpoMgmMo
>>41
「死神と幽霊は違う、違ってほしい……」
自分に言い聞かせるように、そう呟く
そうしなければ、足が竦んでしまいそうだったから

少女もまた、以前に姿を見かけた少年を見かける
もう一人は制服を見るに、手慣れであろうことは推測がつく

「これって……」

その不気味さは、噂に聞いた人魂を連想させた
青白くもわずかに冷たさを感じさせるそれが、
不気味な軌道を描き、自分を確実に追い詰めらんと、
ゆったりとこちらに向かってくる

自分以外の物を燃やさせれば、この火は消えるだろうか
少女はこの惨殺劇によって生まれているであろう、
自分の近くに落ちているかもしれない死体を探す

もしも死体を見つけたならば、水準よりは強いその握力で、
人魂に投げつけようと試みる
51 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 22:27:10.55 ID:A4lNdse0o
>>46
「……何時かお前が私より強くならんとも限らん。
 私だって鍛えてこのレベルだ、お前も鍛えればこうならない保証はない。
 要するに……芽は摘む、という事だな。安心しておけ、少なくとも今のところはお前を殺すことはしない、今のところは、な」

油断も、容赦も、慢心も無い。
獅子は兎を狩るにも全力を尽くす、というが、この女はまさにそれ。
恐らく、武器を一つも持たない幼子相手だったとしても、この女が油断をすることはない。
堅実。それが、ジェーンがカラミティ・ジェーンであるが所以。

相手の飄々とした態度は、度胸があるなと思う。
だからこそ、いざというときに思い切った行動に出れたり、冷静な発想で飛躍した行動を取れるかもしれないとも思う。
故に、ジェーンはクリオネの事を脅威だと認識して、いつか倒すべき相手にリストアップした。

「……困らんからどうでも良い。
 口調を直すよりは鍛錬するなり、人を一人でも多く殺すほうが有意義だ。
 無為、無駄だな、その手のどうでもいいことに力を割くのは」

ゲームなどの効率厨はよくうざったがられる傾向にある。
この女、現実世界を効率的に攻略しようとしている、効率厨だった。
まあ、他人にそれを強いるわけではなく、自分でそれをひたすらに貫いているだけだからまだマシだったろう。

「狩りという程大仰なものではない。
 ……少し待ってろ、近くに鹿が居る」

一言そう呟くと、近くに転がっていたこぶし大の石を拾い上げて。
その場で立ち上がると腕を振り上げて――振りぬいた。
ひゅぅ、と風切り音が響くと同時に、茂みの中に吸い込まれるように石が飛翔。
ごしゃり、と生々しい音が続いて、何かが崩れ落ちるような音が聞こえ、音は消えた。

一連の動作全てが、最適化された機械のような精妙な動き。
才能のあるものがそれにあぐらを掻いても、この様にはなりはしない。
気の遠くなるような鍛錬が、彼女の記憶野に完全に動作を焼き付けていた結果の、今の投石だった。

「鹿が一匹。
 子鹿だからな、二人で食うにはちょうどいいだろう。
 少ししたら私は捌きに行ってくるが――、折角だ。
 覚えたいというなら、レクチャーしてやらなくもないぞ?」
52 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/03(日) 22:28:37.12 ID:emJs71ezo
>>48

「…………………」

男の歩みがピタリと止まった。呼び止めたのは幼い少女の甘い甘い天真爛漫な声で
男は緩慢に振り向いた。乾いた灰色の目に写ったのはローブを来た野良犬の様な人影

野良犬の様な人影はふとしゃがみ込んだ、男が返答を迷う隙に乾いた人の過去形の側
しゃがんだ人影は野良犬の様な少女であった。彼女はコトリと硝子の小瓶の封を解く

「………………取れないと思うぞ、結晶とやらは。俺が飲み干しちまったからなそいつら」

男は奇妙なだが同種に壊れている少女を見ながら紡いだ。やや呆れた声色の声だった

/よろしくお願いしますね?
あと携帯故に簡単にしか返せません、ごめんなさい
53 :GM:黒外套[sage]:2013/02/03(日) 22:33:32.61 ID:vz55QASno
>>44
幽霊とはいったが、果たして。しかし、この外見のイメージからは
そう思ったとしてしかたがないだろう。

青白い人魂を思わせる炎はまるで『物質』が真っ二つにへと
切れたかのように、地面にへと落ちる―が。

突如、地面から青い光が漏れる。地面にへと着火したのだ。
炎は少しずつだが、まるで泥が溶けるかのように、じっくりと勢いを増しながら広がっていく。
このままいればこの炎に巻き込まれることだろう。


>>50
偶然にも、そこにはおそらく鎌の餌食なったのであろう片腕があり、
少女はそれを迫り来る人魂にへと投げた。

炎は片腕にあたり、青白い業火が勢いよく燃え上がる。
腕は、まるでその炎に喰われるかのように少しずつ黒ずみ、しぼんでゆく。
そして、炎は血まみれた地面にへと燃え移った。


>>49
円を描き、死神のサイドをとったのはいい、しかし、不気味な炎は
やはりふらふらと執念深く、意思をもっているかのように彼を
追う。まるで炎は重さをもっているがごとく、少しずつ
下に向かっているかのよう見える。

>>all
青白い炎があたりを満たす中、死神は宙にへとさらに高く浮く、ちょうど、
人の頭くらいの場所だ。影が、ちょうど三人を避けるかのようにぬめりと
浮かび上がる。

そのままゆったりと、アゲートのほうにへと向かい、その両手の鎌
を構え、勢いよく、首を捉えて振るう。
血塗れ、光を反射するその鎌の切れ味は見ただけでも相当なモノだ。

死神は丁度、高くあがっているがゆえに、下にかがめばそれ以上に
追撃は望めないだろう。

54 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 22:41:37.55 ID:relThsqio
>>51
「怖い怖い……一生なら良かったんだけどね」

私はお姉様と一緒に暮らす。
その平穏を壊そうとするなら戦うだろう。
……真っ向勝負とは限らないが。

「ストイックなことで……。
 キミほど強さに執着する人間に会ったのは初めてだよ」

単なる憧れからくる「強くなりたい」などいくらでも見てきた。
そしてそいつらが死んでいく瞬間も。

目の前で立ち上がるジェーン。
鹿をその石で倒そうと言うのだろうか……

黙って見ていると、その一つの石で本当に鹿を仕留めたのだ。
自分にはできない芸当。
流石に四柱で近接に自信があるだけのことはある。

「そうだね、折角だから教えて貰おうかな。
 サバイバル教室みたいで面白そう」

ジェーンが小鹿を捌きに行くならクリオネも面白半分で付いていくだろう。
55 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園662013/02/03(日) 22:44:37.73 ID:k0FZ4Fppo
>>52
「……飲み干した、って? 血の事?」

少女の言葉も異常だが、同時に男の返答も異常だ。
長年……というほどでもないが、殺人鬼をしている少女。このような返答を聞いたことがなく、ただ首を傾げるばかり。
だが、人間の体内で飲み干せるものと言えば体液……殺人鬼ならば血であろうか。
そのような結論に至った少女は、しゃがみこみながら男にそう尋ねる。聞けば聞くほどこの場には似合わない、少女の声で。

「……だったら大丈夫! お兄ちゃんが血を飲み干したって、『結晶』は取れるの!」

少女が置いたガラス瓶を見れば、その中に何も入っていないと言うことがわかるだろうか。
それは錯覚ではなく、"実際に何も入っていない=B近づいて見たって、それは変わらない。
なのに少女はにこりと笑うと、続ける。

「人間には自分では見えないし触れない『結晶』が身体の中にあって、それが集まると『あの人』が帰ってくるの!」

不可解。言葉はそれに尽きるだろうか。
そんな『結晶』、聞いた事も無いだろう。当たり前だ。そんな物世界中何処を捜しても見つからないのだから。
しかし少女の言葉は、それが実際にあると信じて疑わない口調だ。
『あの人』というのも、男には分かりっこない物だし、それに1番不可解なのは、男のことを「お兄ちゃん」と呼ぶことだろうか。

とにかく、少女の言葉は不思議に満ちている。

/了解しましたー
56 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 22:52:14.75 ID:A4lNdse0o
>>54
「死ねばどんなに崇高な理由があろうが、どんな悪人だろうが等しく肉塊だ。
 最強になりたいと口にするのは簡単だが、それを貫くには死なないだけの強さが要るからな。
 肉塊になりたくないのさ、だから強さを求めている」

死ねば皆只のタンパク質の塊になるだけ。
極悪人も、聖者も死ねばただの肉。それが、ジェーンの考え。
どんなに尊い夢を持とうが、死ねば肉塊。
だから、肉塊に成り下がりたくないジェーンは、死なないために力を求める。
世界最強になるには、ただ鍛えただけでも、ただ覚悟を携えただけでも指先すら掛からないと思っていたから。

「良いだろう、教えてやる。
 ……もう少し、お湯に使ってからだがな。
 芯まで身体を暖めなければ湯冷めしてしまう。ここの湯は比較的温まりやすい湯だがな」

出る前に、ともう一度湯船に浸かり。
空の月に向かって、手を伸ばす。そして、握りつぶすように手を拳にして。
月はよく手に届かないもののように云われるが、人は月に行った。
しかし、人類史上人類を根絶した人類は一人も居ない。だから、己のやろうとしている事は月に行くよりも難しいと思う。
だが、それでこそだ。それを目指すからこそ、面白い。
酔狂とはよく言ったものだが、正気のままにジェーンは月より遠い所を目指していた。

「……行くか」

そう言うと、ジェーンは湯船から上がり脱衣所に歩いて行く。
みずみずしい肌は水を弾き、ほのかに桃に上気した顔は、どこと無く扇情的。
まあ、扇情的かと思えば、一皮むいてみれば戦場的なのだが。

「こっちまで鹿を持ってくるから、待っていろ」

ローブだけで、白い外套は着ないまま。
身軽に沢を一飛びで飛び越え、森の中に飛び込んでいくジェーン。
数秒後には、肩に子鹿を担いで、脱衣所の近くまで戻ってきた。

「さて、この木が良い感じか」

丈夫そうな木を見繕って、鹿を逆さまに枝からぶら下げた。
その後、水を組み立て式バケツに汲んできたりしつつ、クリオネが着替え終わるのを待つだろう。
57 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/03(日) 22:57:44.71 ID:cDTOozrso
>>53

「チ……追っかけてくるたぁ厄介だな!」

荒々しく声を上げ、緑光を纏った右の拳を、殴りつけるように勢い良く炎へ翳す。
すると、緑の粒子は拳を離れ、こちらもゆっくりとしたスピードで火の玉へと漂う
そして、その2つが交わった瞬間に、それは生じた。

「吹っ飛びなァ!」

生じたそれは突風。風向きは海悠のいる場所から遠ざけるように火の玉に向かい風。
火の勢いをかき消すか、あるいは火の玉を吹き飛ばしてしまうかのように、強烈な風が吹き荒ぶ。

そして本体、死神を一瞥すると、

「俺かよッ!?」
敵の持つ鎌は、人々の血を吸い赤く染まり。それでも未だ勢いは収まらないように見え。
万一捉えられてしまえば、人の命などひとたまりもないことが伝わってくる。

しばしば言われるが、大鎌の形状を考えればその刃より内に入れば安全。だが。
(これを見て尚飛び込むのは、正直度胸が要るぜ……!)

しばし竦み、しかしなんとか自分を取り戻して。何とか取った行動は自ら体勢を崩すこと。
それにより重力に従って身を落とし、首への一撃は紙一重で回避して。

(髪持ってかれた――――ッ!!)

内心悲鳴を上げながら、それでもなんとか両手を地につき。腕をバネにして力を蓄えながら、敵の次の攻撃を待つ。
58 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/03(日) 23:00:15.15 ID:emJs71ezo
>>55

少女は言葉を楽しげに紡いだ。常人にはそして狂人にも理解出来ない彼女の世界観を
男は瞳をすぅと細めた。彼の視線は空っぽの小瓶にそして花を摘んでいる様な少女へ

二人は路地裏にいた。だが彼と彼女の世界の温度は冬と夏の様に食い違っていた。

「…………観測出来ない2g、か」

白く光る街灯がパチパチと瞬きをした。まるで静かな狂人達に怯えているようで。

男はかつり、と緩慢に足を踏み出した。路地裏に足音が響いて少女の側へ歩み寄った
男は表情を変えていなかった。凍りついた彼の色はただ夜の砂漠の様に乾き冷たい。

「戻ってきそうか?その『あの人』とやらは」

男はポツリ言葉を吐いた。からかいも侮辱も何も無い表情と同じ平坦な言葉であった
59 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 23:08:03.94 ID:relThsqio
>>56
「ま、それは当然ね。死んだら何の意味も無い。
 そして死んだらその先の楽しい事件を知ることも出来ない」

死なないことが自分の目的だったクリオネは、その考えを理解することはできる。
今はそれよりも大切な目的が出来てしまったが、死なないということは当然変わらず重要である。

ジェーンはただの戦闘狂ではない。
先走って死を早める阿呆ではないのだと改めて認識する。

「キミはやっぱり上を見るんだね。
 ……私はこっちの方が良い。目の前の水面に浮かぶ月」

下を見て、水面に浮かぶ月に手を伸ばす。
ここなら届く。いつでも傍で、手の届く範囲に……

ジェーンと一緒に脱衣所まで来ると、ジェーンは早々に鹿の元へと飛び出していってしまった。
仕方がないので体を拭いて服を着る。
外に出ると、何とも狩猟民族のような光景が目に入る。

「準備できたわけ?」

一体これからどうやるのか。
クリオネには見当もつかない。
60 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園662013/02/03(日) 23:12:12.63 ID:k0FZ4Fppo
>>58
「『結晶』を集めれば戻ってくるから、絶対戻ってくるの!」

男とは違い、少女の言葉には感情が篭っている。喜びや、期待だろうか。
『結晶』を集められる喜び、そして『あの人』が戻ってくる期待……少女の心の殆どは、それに支配されている。

死体の傍に置いていた瓶を手で掴み、また他の死体の傍へと置く。
そんな異常行動を起こす少女の顔は、まるでお菓子に手を伸ばすようにキラキラと輝いていた。

と、少女はふとそんな男が気になった。
顔を上げて男と視線を合わせると尋ねる。

「お兄ちゃんは、どうしてこんな所に居るの? ……後、何で表情が無いの?」

単純に、言葉の意味そのままの質問だ。深い意味や意図は隠されていない。
聞きたくなっただけ。何人もの人間を『飲み干して』殺害する男が、何故この場所に居るのか。
言葉からも顔からも全く感情が読み取れない、その理由。

純粋なのだ、この少女は。
61 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/03(日) 23:13:32.70 ID:EGpoMgmMo
>>53
「燃え尽きるんだ、色んな意味で」
片腕を投げつけたにも関わらず、平然とその様子を観察するも、
地面へと燃え移る炎を見るや、後退しはじめる少女

あの腕のようにはなりたくない、そんなことを思いながら

そして後退しつつも、建造物等含めて周囲の地形を把握しようと、
あたりをきょろきょろとしはじめる

戦略を立てるにも、人魂から逃れるにも、
状況把握は必須、と少女は感じていた
62 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/03(日) 23:16:35.07 ID:ElMqeAhho
>>53
切る事ができる、切断をする事が
その事実だけで作戦は立てることが可能だ
この炎は軌道が不規則なだけで速さはほとんど無い
余裕のある目視できるのなら迎撃も容易い

「....え?」

だが、まだ終わっていなかった
切断された炎の破片は地面に落ちてアスファルトを溶かして燃え広がる
炎の熱自体は相当な物だろう
この死神に近づいている人間は自分だけらしい

他人の援護に手を回す必要もない
しかし、死神は少しずつ浮翌遊していく
そんな相手にナイフしか無い少年はまともな攻撃が使えることができる無い

どの道様子見だ
アスファルトを焼き尽くす炎を除けつつ
バックステップで距離は離せる
奴の鎌は間違いなく強力な武器だが、当たらなければ十分だ
鎌の攻撃範囲から少し離れ攻撃のチャンスを伺う
63 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 23:17:42.48 ID:A4lNdse0o
>>59
「ああ、今から血抜きだな。
 沢の水は清浄だから、血抜きの後水に晒すには十分だ。
 ……まず、ちょっとした刃物が有れば十分だが、首を落とすぞ」

そう言って、ポーチからナイフを取り出すジェーン。
所謂ボウイナイフと呼ばれる、ナタのようなそれは、只の市販品だ。
そこら辺のホームセンターなどでも買うことが出来る、切れ味が鋭いわけでもないそれ。
それをしゅる、とゆるやかに振りぬけば、ごとん、と鹿の身体から首が落ちる。

「血が出てくるが、これで出切るわけではない。
 本当ならある程度時間を掛けて抜くんだが……、腹が減っているからな。
 本来ならば血が抜けるまで、数分ほど放置だが、今回は簡略的な行程だ」

そう言うと、吊るした鹿を手で掴み上げる。
足のほうを両手で持ち、クリオネとは逆方向に向けて――鹿を振り回し始めた。
遠心力で血が吹き飛んでいくため、確かに理にかなっているが、色々とありえない光景だ。
魔術師のような外見の、パッと見では長身痩躯の女が鹿を一匹持ち上げてぶんぶんとバットスイングのように振っているのだから。
30秒ぐらいそうして鹿を振り回した後は、素知らぬ顔で鹿をもう一度枝に吊るし。

「じゃあ、今から皮を剥ぐ。
 子鹿だから、なめし革が欲しいなら後で脳なめしでもやっておくが。要るか?」

皮を引っ張りながら身の間にナイフを入れながら、ゆっくりと刃を入れていく。
半分ほど皮が向けた所で、一息に引き下げれば、一気にべりべりと皮が引きちぎれていった。
5分もしないうちに、屠殺場でぶら下がっているような――お肉≠ェそこには現れていた。
64 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 23:29:01.08 ID:relThsqio
>>63
「そのままじゃ食べられないんだ……」

切って内臓を出して焼くだけかなーと考えていた。
どうやら自分の想像よりはるかに多くの工程を必要とするらしい。

「うぇ……」

血は嫌と言うほど見慣れているが、それでも動物の解体ショーが平気な理由にはならない。
最近までずっとスラム街で暮らしていた割には、現代っ子のような考えのクリオネには少々刺激が強かった。

そして目の前で回る鹿……おそらく今後一生見ないであろう光景だ。
その瞬間は、奇妙な光景に意識を取られて解体の気持ち悪さを忘れることが出来た。

「い、いや……要らない、遠慮しておくわ」

手の平を前に出して拒否の姿勢。
必要のないものだし、それにこの光景を見ながらでは欲しいとは思えなかった。

「手馴れてるんだね。ここまでちゃんと形になると私でもちゃんと見れるよ」

良くある形の肉だ。本などにも載っている。

「これからどうするの? 何を作るの?」

料理は以前教えて貰ったシチューしか知らない為、肉の調理法を良く知らない。
65 :GM:黒外套[sage]:2013/02/03(日) 23:30:27.32 ID:vz55QASno
>>57
炎は、突風にかき消され、裂かれるかのように空にへと
消えた。

髪が舞い散る中、黒い外套の死神もどきは
攻撃するかと思いきや、そのまま大鎌を振り切った位置
のまま、ふらりふらりと宙を浮く。ちょうど、青い白い炎の
光を外套で遮がれた。そして、次の獲物を探すかのように
フードを動かす。
その行動はまるで海悠に背をそのまま無防備で向けるような
もの。露骨なまでにがら空きだが、この動きからして死神は
意思をもっているとは言い難い。

>>61
あたりには至る所に散らばる、血飛沫と横たわる死体
そして海悠があたかもいないかのように大胆に背中を晒しており
青い炎が、後ろから外套を照らし、大きな影ができている―
少しずつ、影が斜めに動いているような気がする。

>>62
死神は海悠の元を離れ、今度は紫音の元にへと不規則に、そして鈍い動きで外套をはためかせながら
接近。青白い炎が、外套を右方に照らすと共に、影もあたかも生きているかのよう二左方にへと滑らかに動く。
下ろした鎌で袈裟斬りを決めるかのように、やはり首を狙って
再び鎌を大降りに振るう。
動きは遅くともその切れ味は凄まじい、切られれば出血は免れないだろう。

>>all
青い炎は三人を取り囲むかのように、そしてまるで炎の輪のリングを
作るかのようにねっとりと燃え広がる。
青い炎から漏れる光が、外套の至る所を照らす。


66 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/03(日) 23:33:43.15 ID:emJs71ezo
>>60

「…………同じだな、同じだ」

男はぺたりと己の顔に手を当てた。少女の言葉に己の表情に初めて気がついた様に
男の手はぐにゃと顔を歪めた。造形士が人形の顔を作る様に手を外すと笑み色がある

「君の行動理由と、私の行動理由は似たようなものだ」

男は微笑みを浮かべていた。糸目で穏やかな老人を思わせる疲れた様な笑みであった
穏やかな微笑みを貼り付けた男は、己を見つめる少女をまた眺めながら答える質問に

男はふと視線を外した。その先には少女の側、干からびた女性だったものがあった。
男は己の唇をゆっくりと舌で嬲った。紅い染みが拭われて彼の首が上下に揺れた。

「いつか『あの人』が戻ってくる事を信じ、その為に餌を探した」

「表情が無かったのは、それを表情が無くなるまで永遠とやってきた」

つまらないくだらないと答えた男は、少し肩を竦めたつまらないくだらないといった
淡々も答えた男は少女を見つめた。硝子の瞳には愉しげに作業をする彼女がうつる。

「しぃて言うのであれば、君に先輩と呼ばれるのが正しいのかもしれない」

「……そもそもなぜ兄と呼ぶのかが疑問だがね」
67 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/03(日) 23:41:22.28 ID:A4lNdse0o
>>64
「分かった。
 ……ああ、そうだ、趣味だったが酒と鍛錬以外にも有ったな。
 実は革細工が出きる。ちょっとした小物を作る程度だがな」

懐から、良い感じに使い古された皮財布を取り出してみせるジェーン。
どうやら、この財布は自作の財布のようだ。女らしさは欠片もないが、そこそこ普通の趣味だった。
まあ、材料を自力で調達してくる辺り、アレなのだが。

「屠殺業者は、これを毎日行なっている。
 私も、奴らほどには熟練してないからな、殺しの技はまだしも、食えるようにする技は修行中だ」

足回りなどにナイフを添わせ、レッグやバラなどと部位ごとに切り分けていく。
結構な分量だが、健啖家が入ればなんとかなる程度の量。
幸い子鹿のため、肉質は柔らかくて食べやすいだろう。

「香草焼きと、……そうだな……、スープにでもするか。
 乾燥野菜はあるから、水で戻してポトフ風にでもすればいいだろう」

何を作るか、と聞かれて香草焼きとポトフ、と答える。
そして、外套の内ポケットを漁って、いくつかのふくろを取り出して。
まず、普通の鍋とフライパンを組み立て、近くの石を拾って、積み上げ竈を作る。

「――燃料は……、これでいいか」

そう言うと、近くの木に蹴りを入れて叩き折って。
その後足で木を程よいサイズに分解すると、一抱え分持って帰ってくる。
木を火がつきやすい様に積み上げた後、マッチを擦って火に放り込み、火の燃え方を見る。

「じゃあ、まずはポトフだ。
 乾燥野菜は……、鍋に放り込んで似ておけばそれっぽくなるな。
 コンソメを放り込んで、暫く煮こむ、と。
 もも肉をぶつ切りにして入れておくか、こっちは」

その後、塩やハーブ類で味を整えていく。
それらの動作は、日々やっているようで慣れたもの。
レシピなどを口に出している辺り、一応確りとレクチャーする気は有るようだ。

「さて、香草焼きだが。
 肉は、肩ロースを使う。……そして、クレイジーソルトと幾らかのハーブ。
 これをふくろに入れて揉み込んでおく。暫く付けておくと味が染みて、臭みが消えるからな」

そう言うと、ビニール袋を取り出し、そこにステーキサイズの肩ロースを幾つか入れる。
そして、予め色々なハーブが混ざっている塩と、その他追加のハーブを投入。
ぐにぐにと肉に刷り込むようにふくろの外から揉み込むと、ポトフの火をジェーンは見ていた。

「……まあ、こんな感じだ。
 慣れればいつ山や平原に放置されてもとりあえず死ぬことはないぞ」
68 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/03(日) 23:49:31.18 ID:ElMqeAhho
>>65
「やっぱり...!俺狙いかよ!」

今、この死神を相手にしている連中で最も近いのは自分だ
必然的に自分が狙われて当然だが、明確な反撃方法の浮かばない中
正直、他の連中が反撃に走れる時間稼ぎになるぐらいでしか喜べない

振り下ろされる、鈍足でありながら無慈悲な斬撃
死神の鎌を使った攻撃。首を狙われる
それは大きな危機であり、同時にチャンスでもあった
彼が本領を発揮する、最大の機会
少しでも、タイミングを見誤ると死を招く

「はっ......っ───。」

紫音はその斬撃を除けるも受け止めるもしない
ただ、受け流す
振り下ろすされる鎌に対して、右手に持ったナイフによる切り上げを放つ
角度をつけて鎌へ立ち向かう
その際、ナイフを弾かれぬ様に左手でもナイフを抑えながら

上手くいったのなら、ナイフと鎌は火花を散らし受け流されるだろう
ただ、鎌の僅かな斬撃が左手の肘に傷を残して──だが

鎌はリーチが長く、威力がある分連続での攻撃が出来ない
振り下ろされた鎌を防ぎ切る事で必然的に隙が生まれる───!

紫音が狙うのはその瞬間だ
ただ、嫌な予感もする
自分たちを取り囲んだ炎が、何処か檻を連想させるからだろうか
69 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園662013/02/03(日) 23:50:41.70 ID:k0FZ4Fppo
>>66
「笑えるんだ! 良かった!」

とは言うものの、その笑みは男の年齢に似つかない老齢の疲れきった笑みで。
笑顔を零しながら、その表情に不安げだ。
彼にはもっと表情を見せて欲しいと、純粋に思っている少女だった。

「先輩……? だったら、余計"お兄ちゃん≠セよ、お兄ちゃん!」

「先輩は、人生の"お兄ちゃん≠セもん!」

自分と少女が似たもの同士だと言う、その発言は更に少女を喜ばせる原因となった。
どうやら少女の言う"お兄ちゃん≠竄"お姉ちゃん≠ヘそのままの意味とはまったく違っていて。
年下を除く見る人間全てが"お兄ちゃん"お姉ちゃん≠ナあり、また、人生の先輩という点でもその呼び方を使っているらしかった。

最後の死体から『結晶』を抜き取ると、腰に括り付けた麻縄に瓶を縛り付けて固定する。
まるで行うことが自然だと言わんばかりの手馴れた作業。事実、少女はこの作業を何年も毎日行っている。

「……貴方の『あの人』って、どんな人?
 私の『あの人』はね、とっても優しいの! お菓子を買ってくれたり、料理を作ってもらったり、いっつも傍に居てくれたの!」

彼の言葉に『あの人』という単語が出てきたからだろうか、少女はそう尋ねながら自分の『あの人』の思い出を語る。
それまで以上に、少女の口調は生き生きとしている。よほど『あの人』との話が出来るのが楽しいのだろうか。
70 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/03(日) 23:55:19.62 ID:relThsqio
>>67
「割と普通の趣味あるじゃん。四六時中戦いの事ばかりって訳でもないんだ」

材料を自分で取ると言うのは変わっているが、これは立派な趣味だ。
解体現場を見てしまった手前、あまり自分も欲しいとは思わないが。

そうこうしている内に料理を始めるようだ。
レシピを言いながら作ってくれるようなので、自分でも作れるようになるか。
……と思ったのだが

(……ポトフって何? 野菜を水で戻すってどういうこと?変形してるの? クレイジーソルト……変な塩?)

その言葉を全然理解できずに調理が進んでいく。
しかし、その言葉の意味すら分からないとは情けなくて言うことが出来ない。

「な、なるほど。よく解ったわ……」

胸を張って見せる。張るほど胸は無いが。

「料理が上手いなんて意外だね。武道一筋かと思った」

料理を覗き込んで感想を言う。
どれもこれも自分ではまねできそうも無いような物ばかりだ。
71 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/03(日) 23:57:36.81 ID:cDTOozrso
>>65

「くッ………あ?」
半ば覚悟していた続け様の攻撃は来ず。
拍子抜けしたような表情を浮かべた後、顔を引き締めて、

「テメ、舐めてんじゃねーぞ!」
悪態をついて、地についた両腕に込めた力を開放し、勢いよく腕を伸ばして。
そのままぐ、と体を捻りながら引き起こすと、そのまま紫音へ向かった死神を追う。

(なんだコイツは……意思ってモンがねーのか?)
(それにこの青い炎……何やら不可解だぜ)

疑問に思いながらも、その無防備な背に叩き付けるべく、右の拳を振りかぶった。

AMSWATの制服とグローブに隠されているが、彼の右手は鋼の義腕。力任せに殴れば、パンチの威力は人並み以上だろう。
72 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/04(月) 00:03:42.87 ID:dnJyaI2wo
>>65
逃げるという手は檻とも取れる炎の輪で封じられた
意思がない、だとすると本体でも存在するのか
死神に慣れないせいもあって影を見やりながらも、
不自然な点を整理する

意識が一人に向いている間に一人の攻撃
あの一撃は、少しでも疑問を晴らすきっかけとなろうか
73 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/04(月) 00:05:13.68 ID:/sghDnoZo
>>70
「ポトフっていうのは、野菜の入ったスープみたいなものだ。
 クレイジーソルトは、ハーブとか香草の入った塩。
 野菜は普通に八百屋で売っているものを使え。そのほうが美味い。以上だ」

相手が胸を張るのを尻目に、わかりづらかったであろう所を追記するように口にする。
もともと個人的に学んでいたもののため、教えるのは慣れていない。
教師としては、ジェーンは落第だったことだろう。

「武人じゃなくて、兵法家なものでな。
 戦場で栄養素が取れなければ、実力を従前に発揮することが出来ない。
 もしその時に全力を出さなければ倒せない相手が来た時、負けて死亡するかも知れん。
 武力が幾らあろうと、自分で自分の面倒も見れん奴は弱いんだ。まあ、誂えた場で戦うならばそれでもいいのかもしれんがな」

焼くぞ、と一言つぶやいて。
鹿の油をフライパンに落とす。と、行っても鹿肉自体が油が少ない赤身肉。
ヘルシーな食事になることだろう。

じゅわ、と肉が焼ける音と香ばしい香りが辺りに充満していき。
数分後には、こんがりとしながらも、中はある程度赤くレア気味に焼かれた鹿の香草焼きが完成。
適当に座りやすい石を持ってくると、二つ近くに転がして。

ポーチから皿とカップを取り出す。
そして、カップに玉ねぎ、キャベツ、鹿肉の入ったポトフを注ぐ。
その後、皿に香草焼きを二枚載せた後に、黒パンを二切れ皿に載せて、渡した。
ナイフとフォーク、スプーンを渡せば、ジェーンは静かに手を当てて食事を始めるだろう。

「……まあまあ、か。
 時間が有ればじっくりと血抜きをしたところだったがな。
 まあ、捕れたてだから癖はない。悪く無いだろう?」

食べればわかるが、鹿肉は癖がない。
また、赤身肉が大半の為、肉を食べている、といった確りとした感覚を感じるだろう。
幸い子鹿だったために肉質は柔らかく、簡単に噛み切ることが出切る。
74 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/04(月) 00:08:36.51 ID:frb69zgno
>>69

「…………私にとっての」

少女は興奮したように嬉しそうに『あの人』の事を語った。宝を紹介するように、
男は言葉を挟まずにただ聞いていた。見つめていたが意識は違う所に向いていた。

愉しげな言葉は記憶を呼び起こす鍵だ、男の脳では擦り切れたレコードが動き始めた
少女の疑問が紡がれた後男は目をつむった。僅かな間だが思い出の上映会が始まる

それは数百年の前の記憶であった。何度も見てノイズが混じり始めた過去であった。
だが男はふと自然に笑みを零した。瞼の裏では月光の下で微笑む女性の姿があった。

「…………私にとっての『あの人』は」

男は顔に再び手を当てた。口元が一度隠れ現れると自然な笑みは消え仮面の微笑みが
顔を抑えたままで男は紡ぎ始めた。声色に懐かしさと優しさと僅かな怒りを混ぜて。

「とても、とても綺麗な人だったよ。私には似合わない程のね、いい人であった」
「そして、とても愚かな人でもあったよ。優し過ぎた、そんな哀れな人であったよ」

男は顔から手を退かした。その瞳には感情をごちゃごちゃに混ぜた鈍く暗い光がある
男は少女の小瓶を見つめた。何も無いが壊れているがそこには確かに希望が満ちて、

「突然だが一つ問おう」


「…………奪った者を憎んでいるか?」
75 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/04(月) 00:17:15.48 ID:mwZZRF5do
>>73
「そ、そうなんだ……。いや、分かってたわよ」

一瞬素で受け答えしてしまった。
これでは強がった意味が無い。
しかし、今回の料理は特別難しい工程が無いので、教えるには向いている料理かも知れない。

「兵法家なんだ……確かに頭がキレそう。
 常に冷静沈着ってやつね」

一番相手にしたくないタイプだ。
豪胆な行動とは裏腹に、その思考は完全に理論派だ。

良い匂いがする。
肉を焼いているのを見て、減っていたお腹がさらに減ってくる……
ジェーンから受け取った料理を見て、まず一言

「おいしそうね」

肉を一口食べれば、ジューシーな味わいの肉汁が染み出し、口いっぱいに広がっていく。
癖のない肉と、調味料のバランスが最高で、野外で食べる食事として考えれば最高の逸品だった。

「うん、おいしい。私も今度作ってみる事にするよ」

腐ったパンと泥水で生活していた期間が長すぎて、大抵のものは美味しく食べられるのだが、これは素直においしいと思える。
自分でも作れるだろうか。一応レシピを聞いたしよく解らない用語も補足してくれた。
試しに今度作ってみよう。
76 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/04(月) 00:23:49.40 ID:/sghDnoZo
>>75
「……鹿肉じゃなくてもそこそこ美味いがな。
 この香草焼きのレシピは、出来るだけ赤身の多い肉にするといい。
 素材の味を生かす……どっちかというとガッツリと肉を食うためのものだからな。
 大きめの肉でやるとなかなかうまく行くと思うぞ」

そう言いつつも、ぱっぱと肉やスープを平らげていって。
ポトフにパンを浸して、口に運び、ほふぅ、と深く息を吐いて。

「スープ、お替りするか?
 まだ多少余っているからな、お前にくれてやってもいい。
 食わんというなら私が食うがな」

他の肉をパックに入れつつ、ジェーンはスープのおかわりを聞いて。
その合間に、もう一切れの香草焼きをさかなに日本酒を飲んでいた。
77 :GM:黒外套[sage]:2013/02/04(月) 00:24:54.16 ID:1ljX8vRao
>>68
紫音の狙い通り、斬撃は左手の肘に傷を残しながら、死神の
鎌は虚しくナイフに逸らされ、鎌は地面にへと突き刺さる。囲む青い炎は
死神の右方を照らし、影は紫音をよけるように左方にへと移動する。
現在の大きな隙、さらに死神と紫音の距離は近いうえに、鎌自体のその刃の
位置ゆえ、懐に入り込めばうかつに反撃することもできない。今攻撃をすれば簡単に
当てられるだろう。

だが、あまりにも迂闊だと思わないだろうか、この死神の隙の大きさと
動きは。まるで攻撃など受けても平気だといわんばかりである。

>>71
放たれた拳は死神に気づかれる事がなく、いとも簡単に
外套にへと、『めりこんだ。』
外套が、そして左方に浮かび上がる外套の影が拳の衝撃によって大きくはためく―それだけで
死神は何も反応を示さない。
それに、拳の手ごたえもあるにはあるが、何か気の抜けたような
感覚がするだろう。まるで、そこに『存在していない』かのように。

おそらく、普通の物理的な手段ではダメージは入らないようだ。

>>72
攻撃を受けたとしても一切の反応を示さないあたり
どうやら一筋縄ではいかないようだ。
青白い炎の光はエリアの後ろ、死神の左方、エリアの位置から外套をはさんで
後ろ側にへとうつる。
しかし、妙だ。横から見ているエリアにはよくわかるだろう
光がやたら頻繁に照る位置が変わっているということを。

青い炎の輪というのは、この死神の全体を照らし合わせられるには
便利な状態だろう。

>>all
死神はそのまま、鎌を抜き、そして少し浮かんだ後、まるで一気に刃
を地面に叩きつけるかのように左方に鎌を振り下ろす。
鎌から巻き起こる疾風と共に、鎌のように研ぎ澄まされた風の刃は
地面を、まるで投げ込まれた水の波紋のように走る。

おそらく、機動力をそぐためだろう、だがあまりにも地面に密着
しすぎている。
78 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園662013/02/04(月) 00:26:01.08 ID:aV9SC41Ho
>>74
「……そうなんだ。綺麗な人……会えるなら、私も会いたいなぁ」

親から聞かされた親戚にそう望むような、軽い願い事を1つ。
綺麗な人、といえば限りないが、少女は男の『あの人』を勝手に想像していた。
少女にとっては、綺麗な物ならそれを記憶していたいし、美味しいものならば食べたい。
純粋に、良い物に在り付きたいといった理論が展開されていて。先の発言もそれに乗っ取ったごく自然な願いだった。

ただ少女は、『あの人』の詳細を聞かない。
それは少女の『あの人』がどんな人物だったか、少女の記憶にないからだ。
優しかったのは覚えている。だが、綺麗だったかどうかはわからない。いや、優しかったこと以外の事を少女は記憶していないのだ。
だから男にも、『あの人』の詳しい人物像を聞かなかった。自分が答えられないのだから。

しかしその声を……先ほどとは違った、色々な感情が込められたそれを聞く限り、男は『あの人』をよく覚えているのだと少女には分かった。
どんな顔だったか、どんな身体だったか、どんな人物だったか―――少女は少し、男を羨ましく思った。

「―――……『あの人』は突然消えちゃったの。私の前で。 だから、奪った人なんて居ないの。
 もし奪った人が居るのなら―――……憎んでる、かもね。よく分からない」

突然虚空へと消え去った『あの人』。憎む憎まないの前に、どうして? という思いが少女には有る。
しかし、それでも大切な人を奪われたのは事実で……憎んでいるのは、確かだった。

「それじゃあ、貴方は?」

そして少女は、聞き返す。
79 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/04(月) 00:31:33.70 ID:mwZZRF5do
>>76
「肉の種類でそんなに味が変わるんだ……全部同じかと思ってた」

相変わらず食べるの速いな、と思いつつ肉を食べ終わる。
アツアツのポトフはこの冬の寒空にはぴったりのもので、体が温まった。

「いや、私はもういいよ。これがまだあるから」

ジェーンほど食べるのが早くない上、食べる量が少ない為、もうこれでいい。
もともと食事なんて大して量は必要ないのだ。
そうやって生活していれば慣れると言うもの。

「みんな結構料理出来るんだね。どこで習うんだろ」

ズズっとスープをすすりながら体を小さくする。
熱いものを飲んでいても、寒いものは寒い。
80 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/04(月) 00:36:34.56 ID:/sghDnoZo
>>79
「臭みとか、肉質とかで色々変わるな。
 刃の入り方も変わるが……、日本刀の切り方は和庖丁と一緒だからな。
 料理をしていると人の殺し方も上手くなる、かもしれんな」

日本刀も、包丁も引いて斬る刃物だ。
その使い方が似ていることを口にしつつ、要らないとのことでポトフを全て自分の器に注ぎ。
ふぅ、と息を吐いて具をかきこみながら、スープを啜っていた。

「私は師に最初の澪引きだけはしてもらったがな。
 殆どが独学だ。……普通の料理をするなら、料理本を買って見ながらやってみるといいだろう。
 どんなものでも己を高めるというのは悪くない。料理でも殺法でもな」

スープを飲み干し、直ぐ横の沢で鍋などを洗い始めて。
数分後には、手際よくふきんで鍋などを吹いていた。
81 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/04(月) 00:46:33.18 ID:FfcDiJ79o
>>77
「ッ...!!」

裂けた、自身の肘が約5cm程の傷を開いた
声には出さないが痛みは紫音の全身を走り抜けた
背骨の神経が暴れ出す、視界が歪む
けれど───、これで本気を出せる

「──『使役』...──『凝固』!」

傷口から溢れ出す筈の大量の血液
それは1滴たりともアスファルトへ滴る事なく傷口で固定された

(...これで、本腰を入れれる!)

だが、紫音は攻撃に出なかった
共に戦っているもう一人の攻撃を見たからだ
“効いてない”
その仲間の拳が通じないのを見えたからだ
物理攻撃は効かないのか──、
ならば、どうする?
弱点を見つけないと───。

思考している内に死神が動き出す
放たれた風の刃が地面スレスレに飛んできた

「ッ...───!どうなってんだ!」

地面スレスレの斬撃だ軽く飛び跳ねて回避行動に移ろうとする
刃が連続で多く、大量に放たれてこない限り、簡単に除けれるだろう
もし成功したなら、鎌のギリギリ当たらぬ位置で再び待機する
突破口の見えない相手に、紫音は少しだけ歯ぎしりをした
82 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/04(月) 00:46:43.09 ID:mwZZRF5do
>>80
「そういう事なら私は料理上手いかもしれないね。逆を言えば、人を殺していれば料理が上手くなるってことでしょ?」

クリオネはよく脳内で謎理論を組み立てる。
自分の都合の良い様に組み立てられたもので、根拠などは無い。

「本……本は今まで考えたことが無かったよ。今度探してみる」

なるほど、確かに専門書ならきっといい知識が得られるはずだ。
料理本を買いあさろう。

「……っと手際良いね。もう片付いてる」

自分がスープの残りを飲み終わった時には大抵のものが片付いていた。
片付けをしない自分とは大違いだ。

「なんだかんだで面倒見がいいんだ、ジェーンは」

人との関わりは不要と切り捨てるタイプかと、第一印象では思ったものだが実際は違った。
酒を分けてくれたり料理を作って教えてくれたり……後意外と饒舌だ。

83 :クラウン、血を操るだけの男2013/02/04(月) 00:48:46.55 ID:frb69zgno
>>78

「……………憎んでいるさ」

男は答えた、その言葉は現在進行形であり今も憎んでいる事を確かに表していた。
男は嗤った、綺麗な笑みで決してない歪みを歪んだ狂人が浮かべる壊れた笑みである

「俺は許さないよ、決して。『あの人』を奪ったこの世界を決して許さない」
「優しさを利用し肉体を穢し心を破壊したこの冷たい世界をね、許す事は出来ない」

まるで永遠と同じ部分を奏でるレコーダーのようであった。壊れるまで止まらぬ憎悪
心の傷は塞がらないと言わんばかりに、男は紡ぎ語りそしてふと我に帰り唇を閉じた

「失礼した。でも、だが」

壊れた笑みは仮面の笑みへと移り変わる、そして最後は冷たい無表情へと色を変えた
その様子に既に興奮は見られなかった、疲れたように気だるげに男は少女を眺めた。

「先程は私と君は似ていると言ったがどうやら多少は違うらしい」

「……まぁそれでいいのだろう、むしろそれでいいのだろうかな」

男は緩慢に手を伸ばし少女の頭をぽんと撫でた。痛みは無い優しさの気配を滲まて、
少女の視線を受けながら男はふわりと背中を向けた、これ以上言う事はないというか

「急にだが失礼するよ。『あの人』…いや、僕が君の血を欲しがる前に」

「君がこのまま生きてくれる事を願う、歪んでいるが綺麗なままの君でいてくれ」

コツリ、コツリ、と闇の中へと男は歩き出した。呼び止める事は可能であろうが

「……憎んではいけない、俺の様な夜を歩く死人になりたくなければ、ね?」
84 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 00:50:11.99 ID:6UTlrSFSo
>>77
「こいつ……ッ!」
コートは確かに触れた。だが、その先にあるはずの本体は、触れる感触さえ微かなものだったのだ。
思い出す。敵の外套の、その中身を。
先ほど自分は、透明人間のようだ、と思ったが。

(まさか、実体を持たないとでも言うつもりかよ……!)
幽霊。先ほどナイフの少年が言っていた、そんな言葉が脳裏に浮かび。
自然と、背筋がひやりとする感覚を得たところに、それは来た。

「な―――ッ!?」

それは地を這う風の波動。鋭く迫る空気の刃。
地面すれすれを行くそれは、距離さえ開いていれば飛び越えられたかもしれない。
しかし、殴りかかった直後の彼にそれは困難で。

「ぐ……ァッ」
飛び越える為に辛うじて片足は挙げたものの、踏み切る為に残された片足が風の刃の餌食となる。
結果、制服のズボンの裾ごと、足首を出血。痛みを堪えきれず声を漏らすと、倒れるようにしてその場に蹲った。

状況は奇しくも先ほどと同じ。死神の足元に男はいる。

(さ、さァ……今度はどう動く!?)
サングラス越しの瞳はまだ死んでおらず。
敵の反応を見て、そこから逆転の糸口を探る。
85 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 00:50:56.06 ID:yMz/+r7To
【ニュータウン空き地】
女性の一人歩きは危険なものだ。
戦前に比べるとかなり危険になったが戦後日本はやはり何処か平和ボケしている。
平和ぼけするのが早い。そんな世界のそんな国で長く生活しすぎた。

「その…困る。なんというか…わたしは帰らねばならんのだ。」
屋根を貸しているエリアが今死神と戦っている事も知らないし、
いないでもそんなに心配はしていない。これも平和ボケだ。

そして彼女自身、自分が誰かに襲われる等とは思ってもいなかった。
これが最も深刻な平和ボケだ。

3人組の外国人風の男達に壁際まで追い詰められた褐色肌の女性。
ただのナンパにしては強引すぎるお誘いに心底怯えている。
86 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/04(月) 00:57:13.60 ID:/sghDnoZo
>>82
「斬るのだけはな。
 煮込みや、焼き加減はまた別だろう」

そう言いつつ、なんとも言えない表情を浮かべて。
包丁を片手に、思案顔。どうでもいいか、と小さくつぶやいてジェーンは包丁をポーチにしまう。

「片付けは戦場での必須技能だ。
 自分が居た痕跡を少しでも残すと、そこに私がいた事がばれるからな。
 だからこそ、立つ鳥跡を濁さずと言うが、自分の痕跡を速やかに消すのは大切なことだ」

クリオネの食器も直ぐに片付け、水気を切って袋にしまい込み。
外套の内側に袋を入れれば、不思議なことに袋の膨らみは外から見えない。
恐らく何らかのマジックアイテムなのだろう。

「……さあな。よく言われるが、良くわからん。
 私の部下も、やたらと私に寄ってくるんだ。
 いつかは私に殺される、というのにな……全く、無為で、無駄だ」

僅かに口元を歪め、笑いとも取れないような複雑な表情を浮かべ。
本当に数分の間に食事などの痕跡を消しきったジェーンは、踵を返す。

「……円環のメンバーは全員私が殺す。
 だから、それまでは死ぬなよ? お前と戦うのは面白そうだからな、死ぬと私がつまらなくなる」

そう言い残して、ジェーンは地面を蹴って。
森の木の枝に足を引っ掛けると同時に、身体を振りぬいて跳躍。
木から木へと飛び移りながらその姿を消していくのだった――。

/*うおおお――! 眠い眠いぞ! ということでここらで乙でしたー!
 とっても楽しかったのですよー!*/
87 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 00:59:34.87 ID:U33IWv8Qo
>>85

「イヤがっている相手にナンパはいかんヨ、ナンパは」
3人組に囲まれた褐色肌の女性に近づくのは、黒のサングラスで顔を隠した中肉中背の男だ。
声だけならば少年なのだが、年齢不相応の白髪のせいで実年齢を若干わかりづらくしている。

「ていうか、鏡無いのカ?君達の家にはサ。
ナンパどころか、表に出るのも躊躇するような……アイヤー、
顔面だけ交通事故にあったってそんな顔にはなりやしないヨ」
88 :エリア 猫かぶり少女2013/02/04(月) 01:00:49.49 ID:dnJyaI2wo
>>77
「……青白い光って、人魂だよね
それが死神の周辺を動き回るって……
その人魂が本体ってこと?」
青白いそれに注目しての、一つの可能性として、
そんなことを呟く

「もしくは……、光に照らされているから無敵……
本体が出ない……」
これもまた可能性、可能性の問題

「あと一つ……、影に本体が潜んでる?」
後に言ったものほど、声を潜めての発言となっている

とりあえず、青白い球が気になった少女は、
肩からぶら下げていたポーチより、ナイフを取り出して
今照らされている部位めがけて、それを投げつけてみることに
89 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/04(月) 01:05:11.64 ID:mwZZRF5do
>>86
「別って……キミがそんなような事を言いだしたんじゃない……」

口を尖らせて抗議をしてみる。
さっきのジェーンの言葉には煮込み加減などことは言っていなかった。

「はいはい、また戦場ね。どこまで徹底してるのよ……」

ジェーンのセリフは戦闘と関係ないことを探す方が難しいのではないか。
クリオネはそんな風に思い始めていた。

「円環メンバーを殺すだなんて言わなければ、部下思いの良い上官に映るのかもしれないね。
 個人的には理解できないけど」

ジェーンのような面倒見のいい姉タイプは好かれるのだろう。
自分もそのタイプにやられた口だ。

「私は死なないよ。もちろん、キミに殺されることも無い」

目を細め、口元を上げながらも、その瞳は決意が籠っていた。
絶対に死なない。生き残って見せると……

ジェーンが居なくなった後、温泉街まで戻ったクリオネは適当な宿を探して一泊。
翌朝、温泉まんじゅうの箱を持って自宅へを帰って行った。


//お疲れ様でした。こちらこそ楽しかったです。
90 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園662013/02/04(月) 01:07:37.67 ID:aV9SC41Ho
>>83
「……やっぱり、憎んでるんだ」

この問を尋ねるということは、と思っていたがやっぱりそうだった。
しかし、その規模は少女よりずっと大きくて。世界を相手取る男はなんだか大きく見える。それは、身長差の問題だけでは無いだろう。
笑む男に一体何があったのか。詳しくは聞かないが、窺い知れることなら少女にも沢山有った。有り過ぎた。

確かに男と少女は似ているが、多少は違うという男の言葉に頷く少女。それは、少女自身感じていたことであった。
さっきの問が最たる例だ。男の怒りは、少女の遥か上を行っているように見える。

男に撫でられると、少女はふと自分のしている行為に疑問を持った。
『こんな人が居るのに、一体自分は何をしているのだろうか。あんなちっぽけなことで。』
そんな考えは直ぐに頭から消え去ったが、そう考えさせるのには男の存在は十分すぎて。

「……死人……」

男にはいろんな感情が湧く。哀れみだろうか、または励ましだろうか。優しさだろうか。或いは全部かもしれない。
確かに男は死人のように無表情だった。だが、確かに感情も有った。
まだ貴方は死人じゃない、そう少女は言おうと思ったが、もう既に男の姿は無く。

今までいろんなことを考えて生きてきた少女だったが、男は、少女に新たな考えを生ませた。
何か途轍もないもの。自分より高みに居る者の助言。それを背負いながら少女も、反対の方向へと歩いて行く――――――

/ではコレで〆ということで。絡み乙です
/ありがとうございましたッ
91 :クラウン、ただ血を操るだけ2013/02/04(月) 01:09:54.99 ID:frb69zgno
>>90
/絡みありがとうございましたっ
92 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 01:15:24.15 ID:yMz/+r7To
>>87
『なんだ、こいつ?』
中肉中背ヒスパニック系の男の一言に、長身痩身の男が続ける。
『アイヤーとかいったぜ(笑)いつの似非チャンコロだよ。』
ちなみにアルアルいう中国人は実在したらしい。
それを芸に取り入れたのが手品師のゼンジー北京である。
このような外国人用にカスタマイズされた国語をピジン言語という。
チャンコロは蔑称でチャンコーレン、中国人のマンダリン発音をカタカナ読みにしたもの。

三人目の背もあり筋肉質な男が口を開くわけでもなく自分の顔を挟んで上に上げ目を釣り上げた。
要するにからかっているのだ。

「あの…あの・・・?」
女性が何か言いたそうだ。しかし言葉に詰まっているようだ。
93 :GM:黒外套[sage]:2013/02/04(月) 01:17:01.16 ID:1ljX8vRao
>>88
エリアのナイフは、虚しく、やはり外套の中身を掠めて、エリアの
向こう側の『影』の頭にへとつきささる。

>>all
「■■■■■■■■■■――!」

死神は突然、鎌を落とし、顔を抑え、声にもならぬ、おぞましい
空気を撒き散らしながら絶叫をした。
突然、今まで虚であった外套の中身から、チカチカと青い光が漏れる。
フードの中身はまさしく、死神のイメージどおりの髑髏―しかし生々しい
肉がこびりつき、その絶叫の表情はまるで地獄のいる罪人のようである。

海悠の透明人間というのも、紫音の幽霊というのもどちらも半分あっていて、
間違っている。透明人間は直接の攻撃は受け付けるはずだし、幽霊ならば
この外套など羽織れない。

激しく暴れまわる死神、影はまるでナイフに固定されているかのように
ただ、ただ身体を激しくもがかせている。
そう、この死神の正体はうごめく影だ、影そのものを依身として
現界させているがゆえに、本体といっても過言ではない影を
刺されればもはや動けないも同然なのだ。

>>81
靴底のみを風の刃は切り裂き、無事、着地できた。
攻撃が利かないかと思いきやのこの状態である、間違いなく
今がチャンスである。


94 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 01:22:28.10 ID:U33IWv8Qo
>>92
「だから、知能零の猿野郎はイヤなんだよなぁ、
俺が紳士的に、消え失せロって言ってんだから、とっとと首つって[ピーーー]ば良いのニ」
挑発を呆と流し、淡々と男どもへの煽りの言葉を紡いでいく。

「ああ、お姉さま。心配は要らなイ、年に数回だけ人助けをしようという気になることもアルんだ」
一瞬だけ、褐色肌の女性に言葉を送ると、
半歩、後ろに下がり、右手で指鉄砲の構えを取る。

「ま、アレだよ。
とっとと失せないと撃ち殺しちゃうゾ☆」
95 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 01:26:30.53 ID:yMz/+r7To
>>94
『何言ってんだ?
 3人相手に何ができるよ?』
 長身痩身の男がフェイに歩み寄り、その襟を掴もうと手を延ばす。
96 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 01:31:38.83 ID:U33IWv8Qo
>>95
「そりゃ……もう」
延ばされた手へと右足で蹴りを試みる。

「色々と」
97 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/04(月) 01:33:26.16 ID:FfcDiJ79o
>>93
「え....」

自分の知る少女が投げた一本のナイフが影に刺さりこの死神は苦しんだ
まるで直接その体に刺さったように
ありない形でその死神は苦しんだ
──、それだけで十分だった

答えを頭の中で復唱する間もなく、紫音は走っていた
その苦しむ死神の脇を通って影へ向けて
ナイフで影を固定されてるのならば、容易に影へ辿り着けるだろう──。

「っ───...!!」

紫音はその影の上で立ち止まらずに駆け抜けるだろう
ナイフでアスファルトごと影を切りながら
胴体であろう影の部分を横一線に切るだろう

もし少女の攻撃が偶然でなければ、この攻撃がどれ程の威力を持つか
影へのナイフで体を固定され動けない所へ斬撃を与える
少々卑怯で気が引ける気もしたが
98 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 01:39:50.30 ID:6UTlrSFSo
>>93
「―――な、なんだァ?」
蹲った頭上から聞こえた、吠えるような叫びに顔を上げる。
無事な左足で地を蹴りバックステップ、右足の痛みにバランスを崩しそうになりながらもなんとか距離を取る。
そして改めて死神へと向き直ると、影の頭にナイフが突き刺さり、死神も頭を抑えている。これはどういうことか。

「なるほど……影が本体で、こっちに対応してるってワケだ」
動きも、そして傷も。
青い炎は攻撃以外に、影を操る意味も持っていた、ということだろうか。
とにかく仕掛けは分かった。ならば、

「殴るのもこっちにすればいい、ってことだよな」

言って、磔にされて動けない影に近づくと。
今度こそと言わんばかりに鋼の右腕を振り上げて。そのまま、勢いを載せて振り下ろす。
99 :ヴェルム[saga]:2013/02/04(月) 01:45:23.36 ID:dnJyaI2wo
>>93
「あたっちゃった……」
ナイフ投げは賭けでもあった
ともあれ、影の動きが止まるという、結果は出た
後は、二人がなんとかしてくれるだろう

今度こそ、少女はこのヒーローショーの観客となることを決める
100 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 01:46:14.14 ID:yMz/+r7To
>>96
腕を脚で払われては痛いではすまない。
長身痩身の男は弾かれた腕に痺れを感じる。
暗がりでわからなかったが街灯の元に見えるのは、
土気色の肌に青い目、混血児だろうか。青い目がフェイを睨む。
『やってくれるじゃねえか…。』
話し方から察するに帰化日本人の二世、三世以降だろう。

ヒスパニック、黒人、あと一人の筋肉質はおそらく白人の血が混じっている。
スラブ系ハーフ、白人の筋肉質がフェイに尋ねる。
『お前、異能か?それともノーマルか?どっちでもいいや。
 おい、こいつを囲むぞ。』
パァン!笑いながらヒスパニックは掌の中で銃声に似た音をたてる。

女性が「に、逃げてくれ。自分の身なら自分で守る。」
女性は膝が震えている。彼女も怯えながらフェイを止めようとする。
101 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 01:56:04.79 ID:U33IWv8Qo
>>100
「あのさぁ……勝ち目がない殺し合いはやめない?」
指鉄砲の銃口……人差し指が白人の筋肉質に向けられる。

(遠距離持ちが一番怖い……っと)

「あ、アンタにネ」
指先から放たれるは、時速280km/hの2mの棒。
拳銃弾程度の速度で放たれるソレは、当たれば痛いではすまない。

「逃げろって言ってもサ、残念ながら逃げ場所なんて無いんだヨ」
102 :GM:黒外套[sage]:2013/02/04(月) 01:59:00.48 ID:1ljX8vRao
>>97
紫音のナイフが、胴体の影を一閃する。

「アア゛ア゛ァ゛ァァァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛アァァ!!!」

影を斬られた本体は捻り狂うかのように、先ほどとは
さらに比べ物にならぬ絶叫をあげ、片手は目に、胴体を
腹にへとあて痛みを必死に堪えるかのような仕草を見せる。

青白く光るその顔は苦痛にゆがみ、外套の胴体からは青白い炎
が激しく、まるで血飛沫を撒き散らすがごとく火花を散らす。

>>98
そのうえにさらに追撃の、鋼の右腕の振り下ろしだ、死神の醜い、青白い顔は
面白いようにへこみ、そして炎を、その破片を周囲に撒き散らす。
もはや絶叫をあげることすらままならないのだろう、突如、うるさいほどにまで
響いた絶叫は小さな呻きにへと変わった。

>>all
外套のフードから漏れる呻き声とともに、そのもはや変わり果てた顔がわりの
肉塊の口あたりから紅黒い、ひとつの炎を勢いよく吐き出した。
その炎は汚れに汚れきった人魂、耐え切れぬ肉体から逃げるがごとく、
炎は空にへと舞い上がっていった。

魂が抜ける際の衝撃で、外套の中身から大量の炎が湧きあがった。
炎は、しばらくすると、まるでろうそくの火のように小さくなり、そして
風に吹かれ消えていった。

残ったのは、狩りに使われた紅く湿った大鎌と、炎に曝されたとしても、
まだなお原型をとどめている煤けた黒い外套、そしてあの死神だったとは思えぬ、
黒い灰だけだった。

//夜遅くまで続いて申し訳ありません、おつかれさまでした!
なお鎌と外套は戦利品として回収してもいいし、色々鑑識にまわすとかの
都合をつけてほっといてもおkです
103 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 02:09:34.91 ID:yMz/+r7To
>>101
『何?!』
これが見えれば、その棒の突きが見えれば対処はできる。
ただし見える人物が歴戦の戦士、異能、魔術師の中にどれだけいるのか。
彼らが見たのは棒が放たれた現象ではなく、棒が現れた現象だった。

スラブ系日本人はそのまま突き飛ばされ失神した。
ちなみにスラブ系日本人の能力は爆破で遠距離能力ではない。
『だからなんだってんだよぉ!』
黒人とスラブ人が同じ構えでフェイの周りを走って移動する。
そういえば黒人はさっきフェイを掴もうとしていたが…。

「どうしよう…どうしよう…」
あたふたする女性の事など目にも来れずナンパ師二人がフェイとの距離を詰めていく。
104 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 02:13:24.57 ID:6UTlrSFSo
>>102
「終わった、か。なんだったんだコイツは」
燃え上がり、そして鎮まっていく炎を見下ろし。ふ、と息を吐きだして。

(自然発生した異形?それとも、この間の例の組織が……いや、まさかな)
顎に手を当て、思案すること数秒。答えは出るはずもなく。

「わっかんねーな。情報部にデータだけでも送っとくか?……っと、いてて」
言いながら、右足を気にしつつしゃがみ込み。黒い灰と同じように黒いコート、そして大鎌を見る。

//お疲れ様でしたー!楽しませて頂きました!

>>97,99
「おいお前等、これ要るか?要らないなら俺が持ってくけど」
そう、共に戦った二人へ、しゃがんでいるAMSWATの制服を着た男が問いかける。
男の右足はズボンが破れており、そこから血があふれている。先の戦闘によるものであることは明らかだ。

彼の言う「これ」とは死神が残していったものだろう。余りにぞんざいな扱いである。
105 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/04(月) 02:18:52.54 ID:FfcDiJ79o
>>102
「終わった...のか?」

全身から炎を噴き出し、絶叫で辺りを埋め尽くすその姿は
まさに死、そのものだった
最後に大量の炎を噴き出し、
爆発したその姿を見て地獄の終焉を目の当たりにした

「全く...わざわざ怪我した意味ないじゃないか...っ」

常備してるのであろう包帯を傷口に巻く
能力で凝固していた血液を解放すると傷の痛みが走ったが、毎度のことだ

残った死神の遺品を見ても特に興味を示してない
鎌なんて持ち運びには不向きだし、
ボロ布を羽織っていなければならない程生活に困窮していない

「協力済まなかった、遺品は好きにしてくれて構わない。お礼はまた後日にでも」

男性と前に合っている名も知らぬ少女に会釈してその場から立ち去る
あとあとの警察の事情聴取とかは面倒なのと、自分が誰かに呼ばれて喜ばれる程の事はしてない
そう言った意思の表れだ
彼は救わねばならないと思っただけ、その後の報酬なんて興味はないからだ

彼は再び闇の中へ溶けて行く
今日も彼は、公の為に私を殺し尽くす
また何処かで、そのナイフを振るっているのだろう───。

/長い間お疲れ様でした!!
/駄文ばっかり送って申し訳ないですっ!
106 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 02:21:17.90 ID:U33IWv8Qo
>>103
「…………んー、一旦離脱りだーつ、距離取らせてもらうヨ」
そう言うと同時に、撃ち出すは40km/h、2mの棒。
発射された棒がフェイの目の前に現れると同時に、その棒の上に跳び乗る。

「パクリとか言うなヨー」

距離を詰める二人に対し、離脱を試みる。
107 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/04(月) 02:27:05.69 ID:dnJyaI2wo
>>102
「えげつないね……、幽霊じゃなくてよかったけど」
ほっと胸をなでおろしつつも、無事生き残ることができたことに感謝する
そのためにさりげなく、落ちていた腕を燃やしたりしたのには触れない

たまにはこんな日があってもいいかもしれない
そんな風に思う少女であった

//いろいろな意味で足を引っ張った感もありますが、
ともあれお疲れ様でした!

>>104-105
少年に会釈したあとに、遺品のほうへと近づいていき

「せっかくだし、鎌貰っていい?」
男のほうへと、期待を込めた眼差しを向けて
身長と鎌の大きさが不釣り合いな気もするが

巨大な武器というものを持ち合わせていなかった
この機会に手に入れておくのも悪くない、そんなことを考えながらも
108 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 02:31:25.00 ID:yMz/+r7To
>>106
『なんのパクリか知らねぇが…』
『足場を俺達の前に出すとはな!』
二人の男はそれぞれ棒を掴むと異能を使う。
三人とも同じ能力。掴んだものを爆破する力。
二本の棒に対して高負荷がかかり、折れるかもしれない。
もしも折れたとしたら足場の上でフェイはバランスを保てるだろうか。

さて件の女性は、拾った棒切れ端で失神したスラブ系をつついてみる。
「良かった、生きてるか…。安心はできそうだな。」
109 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 02:41:52.91 ID:6UTlrSFSo
>>105

「なに、お互い様だ。それにこっちは仕事でもあるしな」
会釈に応じて口角を上げ、手を挙げて彼を見送った。

>>107

「あ?あぁ、いいけどよ……」
先程より低い声色で応じた。

年下の女は苦手だ。この期待の篭った眼差しも、どこかで自分を苛つかせる。
目を瞑り、軽く首を振る。

こんな小さな女に扱えるものだろうか、と思ったが口には出さず。

「じゃあ布切れと灰はこっちで回収していくぜ。なにかの役に立つかもしれないんでな」
言って、小さな瓶を懐から取り出すと、黒い灰をそこに詰め始めた。
110 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/04(月) 02:46:29.22 ID:dnJyaI2wo
>>109
「ありがと!」
いつの間にやらスイッチが入っていた少女
にっこりとした、明るい笑みを浮かべて、鎌のほうへと近づいていき

……片手で軽々と、それを持ち上げた

「うん、わかった」
自分には灰も布きれも必要なかった
布きれぐらいならまだ自分にとっても価値があるものだったかもしれないが、
さすがにそれまでいただくのもまずい
111 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 02:48:50.98 ID:U33IWv8Qo
>>108
「別に棒を掴んでくれるのは構わないんだヨ」
棒が爆破され、ぶち折れると同時に棒から飛び降り……
ようとするが、足場を崩し地面にゴロゴロと転がる。

「あ〜、痛ァいなぁ、もう」
言葉と同時に構えるは指鉄砲。

「俺が平和的に解決しようとしてんだから、おとなしくぶち殺されろヨナ〜」
残り二人に向けて、1発ずつ棒を放つ。
77mmの280km/h、拳銃を撃つのとさして変わりはない。
112 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 02:53:33.09 ID:6UTlrSFSo
>>110

「……おう」

一方の男はまるで顰め面、俯いた顔とサングラスのせいで表情が読み取りづらいのもあるが
声色だけでも、虫の居所が悪いのは伝わってくるだろう

ふ、と大鎌を持てるのかどうかすら気になった男は、エリアの方をちらりと見る。
そして、軽々とそれを持った様を目撃して、

「…………。」

言葉を失っていた。
113 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/04(月) 03:01:30.44 ID:dnJyaI2wo
>>112
「……やめようか? これ」
さすがに人を不機嫌にしてまで、
猫を被り続ける必要もない
むしろ逆効果ですら思えてくる

どことなく淡泊とした口調へと切り替えた少女は、
冷たさを伴ってそう尋ねてみる

「うん、これいいかも
素手では厳しい相手との牽制で役立てそう」
誰もいないところで、両手でそれを振りまわしながらの一言
華奢な姿であるのだが


「……どしたの?」
言葉を失った男に向けて、概ね予想はつくが尋ねてみる
114 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 03:02:32.83 ID:yMz/+r7To
>>111
不安定な体勢からの刺突。当たるか?!

『俺のほうが速い!!』そう叫んだ黒人は遅かった。
フェイの顔面を吹きとばそうとしたのだろう。顔面の前に掌。
胸骨剥離骨折、空打ちの爆破の異能がフェイの髪を揺らす。
通常なら胸骨は折れない。最初に肋骨が折れる。
そして胸骨の骨折は気合や根性で乗りきれる痛みではない。
黒人は泡を吹いて倒れる。

ヒスパニック系は避けた。
が、超近距離の異能持ちトリオ。
相手に近づけない事を悟り『お前の面は覚えたからな』と
負け犬の遠吠えを放ち踵を返す。逃げるつもりらしい。

女性はただただ、その光景を眺めていた。そしてその続きを。
115 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 03:08:09.43 ID:U33IWv8Qo
>>114
「能力を知られた男を生かしておく気は無いヨ〜〜と、言う気も無いけド、
銃を持ってる相手に背を向けたらダメデショ」
目の前で倒れる黒人に対して完全に無視を決め込むと、

「残り……アー…………2発ネ、ブーッパ、ブッパ」
背を向けた男に対して躊躇なく77mmの280km/hを撃ち込む。


「ところでお姉さん、怪我とか無イ?」
116 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 03:13:00.26 ID:6UTlrSFSo
>>113
「普通の喋り方できるならそうしてくれよ……。体に毒だ」

これ、と彼女は言うが、その口調だけでなんのことか理解できる。
放った言葉は言いたい放題であるが、この男にとってはその通りなのだ。
猫を撫でるような声をやめてもらうだけでも、堪えようのない苛立ちはかなり収まってくれる。

「……いや、見た目に反して軽々と扱うもんだなあ、と思ってな」
能力によるものだろうか、とすら思いもする。先の戦いで彼女がそれを使っている様子も見えなかったし。

灰を掬う手はとめずに。しゃがみ込んで彼女を見上げる姿勢だ。
117 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 03:17:40.59 ID:yMz/+r7To
>>115
背面から肩甲骨を割られるヒスパニック系。
痛みの大小はともかく三人の中で最も治療の難しい骨折だ。
爆殺トリオは仲良く同じ広場で泡を吹いて倒れていた。

女性、ボルテックスはフェイに一言礼を言おうとしたが、
「そ、その、助けてくれてありがと…って。
 この程度の連中相手に怪我を負うわたしではない!」
誇りと恐怖心の間で出てきた言葉がこれである。
「お前こそ大丈夫なのか?
 足場を作った時に落下させられたように見えたが。」
118 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 03:23:43.83 ID:U33IWv8Qo
>>117
「トドメは……まぁイイか、じゃけん後で病院にぶち込みましょうネ」

倒れた三人を一瞥すると、褐色の女性に向き直る。

「アララ〜、余計なことしたかナ?でも、お礼は素直に言ったほうが良いヨ、本当ニ、さ」
ほんの一瞬だけ、何かを思い返すように空を見上げ…………
空には別に何も浮かんでいないことを確かめ、再度向き直る。

「俺は大丈夫ヨー、ちょっとしたバイクから飛び降りたみたいなもんヨ、若干痛い」
119 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/04(月) 03:24:10.07 ID:dnJyaI2wo
>>116
「癖と慣れって怖いよ、本当
どれが自分だったか忘れちゃうから」
鎌を振りながらも、そう言いつつ
あれを癖になるほど続けている、ということだろうか

「で、おにいさん……、やめとこう
あなたはまたどうして、あの口調を嫌う?」
参考程度に続けて尋ねてみる

「ちょっとだけ正解、殆ど後天的なものだけどね」
鎌を振る手を止めて、そう言い放つ少女
能力によるせいでも多少はあるものの、
修練によって手に入れた腕力でもあるらしい
一見そんな鎌を振り回す風には見えないものだが

「あ、私の能力は教えられないから
知られるとちょっとまずくて」
なんらかの能力を会得しているらしいが、
教える気はないらしい
120 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 03:27:38.92 ID:yMz/+r7To
>>118
「いや、やっぱりありがとう。助かった。
 ああいう手合いは苦手でな。」
 失神している三人組を見ながらそういう。
「バイクから飛び降りる…かなり危ない芸当だと思うが。
 本当に怪我はないのか?」フェイをよく見る。
121 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 03:34:50.05 ID:U33IWv8Qo
>>120
「やはり、礼を言われるのは良いネ」
言葉とは裏腹に、特に表情筋を動かすことはなく、
ただ単純に声色だけが喜びを表している。

フェイの体には、幾つもの銃創が刻まれていた。
古傷となったそれは、彼が最低でも数年も前には傭兵をやっていたことを伺わせる。
飛び降りでの傷は表面上見られないが、ほんの少しだけ右足をぶらぶらと動かしていた。
122 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 03:39:33.49 ID:6UTlrSFSo
>>119
「はん、演じ過ぎ……って奴か」
先ほど、口調を変えた時にはこちらが素であると勝手に思っていた。
だが、この少女には最早自分でも判別がつかないと言う。
いや、この言い方だと更に別の口調を使いこなすこともある、ということだろうか。

「今の言い直しは正解だぜ……」
サングラスのブリッジ部分を指先で押し上げて。

「初対面の奴にいきなり教えられっかよ……。
 ……苛々すんだよ。何でも他人に頼ればいいと思ってる。他人への迷惑なんて知ったことじゃない。
 それでいて、疑うことを知らない奴等が」
教えられないということは、それなりの理由があるということ。
そのことすらも悟られたくないかのように、後から理由を付け足して。


「ちょっとだけ、ね。どうやら訳ありみてーだな」
さらりと思考を読まれてどきりとする。そんなに顔を読まれやすかったろうか、自分は。

「そういう時は無能力者のフリしとくもんなんじゃねーのかよ……?」
軽く呆れ口調で。自分もそうだが、相手もなかなかガードが甘いところがある、と思いつつ。
123 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 03:42:05.25 ID:yMz/+r7To
>>121
「本当に助かった。上辺の言葉じゃない。」
 傷に目がいく。
「修羅場をくぐり抜けて来た男の、いや勇者の体つきだな。
 しかしその足はどうしたんだ?まさかさっきわたしを庇った時に?!」
124 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 03:46:05.50 ID:U33IWv8Qo
>>123
「勇者……ネ、馬鹿じゃ…………ゲホン」
勇者という言葉になにか思う所があったのか、何か言葉を発そうとして思い留まる。

「アー、これワ……」
先程棒から飛び降りた時に捻った様だが、素直に言うのも憚られた。

「偶々、そこで転んだんだよ、あいつらに絡まれる前ニ」
125 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/04(月) 03:53:30.52 ID:dnJyaI2wo
>>122
「そ、ほかにもいくつかパターンがあったっけ」
そんなことを言い出しつつ、複数の顔説は正しいらしく

「それはどうも」
鎌に目を見やり、それから男のほうへと振り向き

「詮索無用ってわけ、了解
疑うことを知らない人たちでこの世界が溢れたら、私は困るよ」
純真無垢な少女の姿を見て、誰もそれを疑わないからこそ、
成り立つこともあるものだ

「偶然だよ、偶然」
そう、偶然である
本当の本当に偶然である

「それもそっか、ありがと
アドバイスのお礼に、訳は、
主に私が損をすることに繋がるっていう意味」
やはりどこかでほころびが生じる、そんなことを考えながら
126 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 03:58:27.57 ID:yMz/+r7To
>>124
「ふむ?何か色々言いたそうだが。」
 目を覗きこむように見ている。
「一つだけわかる事がある。その傷、古傷ではないな。座れ。」
 傷の事は見抜かれたようだ。
 胸ポケットから湿布と包帯を取り出す。
「おそらく捻挫だろうが、大事をとって病院には行っておけ。
 とにかく応急処置だ。」
127 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 04:01:58.58 ID:U33IWv8Qo
>>126
「人間関係を円滑に回す為にワ、余計な事ヲ言わない事だヨ」
ボルテックスの言葉を軽く流し、おとなしく応急処置を受ける。

「ドーモ、お姉さま……お名前ヲ聞いても?」
128 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 04:12:13.41 ID:yMz/+r7To
>>127
「余計な事か…。それもそうだ。
 そして、言うべき事を言わぬ、言えぬも困ったものだ。

 そうだな、私としたことが名乗るのを忘れていた。
 私の名前はボルテックスだ。そなたが名は?」
129 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/04(月) 04:13:07.29 ID:6UTlrSFSo
>>125
「疲れる奴だな。もっと単純に生きたらいいのに」
ま、それが出来たら苦労ないよな。
そんなことはわかっていると言わんばかりにそう付け足して。
自分だって、組織内と友人を相手にしている時とでは違う顔をのぞかせる。
彼女はそれが少々多いだけなのだと、そう納得することにして。

「ハイハイ、どーせ俺の目は汚れちまってますよォ」
このグラサンのせいかね、と笑えない冗談で笑い飛ばす。
それがこの話を避けるのに一番の手段だ。
過去を遠ざけるためなら、いくらでも笑うし、笑われても構わない。
たとえ相手に見透かされていようとも。

「そんなこと言って、また読んでんじゃねーか」

「損、ね。よくわかんねーな。」
まあいいけど、と呟いてから立ち上がり。


「じゃ、俺もそろそろ報告して帰るわ。その鎌は任せたからな」
言って、灰を詰めた瓶と布を手に。
おめーもさっさと帰れよ、と言い残して。大通りを去っていった。
130 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/04(月) 04:19:29.15 ID:dnJyaI2wo
>>129
「汚れを知らない少女でいたかったよ、本当」
ため息交じりではある

「私も、そんなに目は綺麗じゃないよ
純粋じゃない」
相手になにがあったのかは知るところではない
しかし今日のところは、それが目的ではない


「うん、私にはお似合いだよ、これは」
どうやって持ち歩くかな、とか考えつつも、
わかってるわかってる、と返して、少女もまたどこへともなく
もしくは、いつもの場所へと去って行った

//改めて、皆様絡み感謝です!
131 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 04:28:31.75 ID:U33IWv8Qo
>>128
「マ、マ、細かい事は置いて置いてネ、俺はフェイ・イェンシーよろしくネー」
132 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 04:32:30.89 ID:yMz/+r7To
>>131
「ああ、よろしく。」
 立ち上がりそのまま微笑んだ。
「近くの商店街で金物屋をやっている。
 ちょっとした機械の修理もできる。
 気が向いたら顔を出してくれ。

 礼の代わりとは言ってもなんだが、値はサービスする。」
133 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/04(月) 08:41:41.20 ID:U33IWv8Qo
>>132
「アイヤー、サービスしてくれるなら何回でも行くヨ〜」
そう言ってヘラヘラとした笑いのようなものを浮かべると、

「んざ、俺は行くヨ。喧嘩の後は腹が減るからネ」
そう言うと、何処かへと立ち去って行った。



/申し訳ございません、寝落ちしてしまいました。
134 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/04(月) 09:15:06.70 ID:yMz/+r7To
>>133
「え?あ、お礼に食事でも…。」
 足早に去るフェイはもうすでに去っていた。
「とりあえず、救急車か。」
 チンピラ三人のために救急車を呼んでボルテックスも帰り路についた。
// いえいえ、お疲れ様です。
135 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン2013/02/04(月) 09:16:11.15 ID:yMz/+r7To
【過去の貯水タンク内】
 ある男はコンクリート壁に囲まれた部屋で目を覚ます。
 ベッドの上、全身を拘束された状態で監禁されていた。
 体中に刺された点滴針。これはなんだ?
 薬剤のパッケージを確かめるとそれは自分自身のための延命処置だ。
 しかしだれが?

 誰かの声が男の居る部屋に反響する。
「やあ、目が醒めたか君に良い機会をあげよう。」
 唐突に知らない男の声が聞こえてくる。
「君はAMSWATに登録している佐野史郎さん…だよね。」
 これはなんだ?なんなんだろう?
136 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン2013/02/04(月) 09:17:06.30 ID:yMz/+r7To
【過去の貯水タンク内】
『お前は誰だ?!』叫ぶベッドの男に声だけの男は語りだす。
「君は異形退治のための仕事に就いていて…四年と二ヶ月前の夕方の話だ。
 魔物が幼い事を理由にショットガンの引き金を絞るのを躊躇った退魔師がいた。
 僕も子供は好きだから君の気持ちはよくわかるよ。子殺しは後味が悪いよね。」
 人を挑発するような問いかけに男は再びもう一人の男に問う。
『お前は誰なんだ?』拘束されている佐野史郎は再び同じ台詞を叫ぶ。
「でもそれは規約違反。とは言っても僕は邪神局やらAMSWATの管理職じゃない。
 君に選択肢をあげよう。相手は人間の天敵である吸血鬼。そして君の相棒か。
 そうそう、君の拘束されている椅子には銀の弾丸が装填されている銃がある。」
137 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン2013/02/04(月) 09:18:31.68 ID:yMz/+r7To
【過去の貯水タンク内】
- ごめん…なさい、おじさん -
 若い女の子の声に佐野史郎は気付く。これは知り合いの吸血鬼。
『美羽!美羽もいるのか!』
- ごめんなさい、おじさん。わたし、お腹が空いて仕方ないの -
『美羽!』
- 血が吸いたい、啜りたい。おじさんの血が欲しい -

「さあぁあ、 選 択 の 時 だ 。
 君は五週間点滴で延命させ、美羽ちゃんは同じく一月絶食させておいたよ。
 駄目だよぉ。AMSWATや邪神局の人間が化物を相棒にするなんて、
 とんでもないルール違反だ〜よ〜ね〜♪」

 史郎と美羽はこれでも名の徹った傭兵だった。
 その二人は最高のコンビだと言われていた。
 怪異が化物を撹乱し、史郎が化物を仕留める。
「いやあ、ビックリしたよ。
 あの名物コンビの片割れも化物だったとはね。
 いやぁ面白い、実に興味深いよ君達は。」
138 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン2013/02/04(月) 09:19:31.36 ID:yMz/+r7To
【過去の貯水タンク内】
- わたし達、閉じ込められているの。おじさんの血しかないの。 -
『美羽?』
- わたし、お腹がペコペコ…でもおじさんの血なんて吸いたくないよ… -
『美羽!』
- でも吸いたい。吸いたくないのに、吸いたいの。どうすれば良いの? -
『美羽、どうしたんだ!俺の血を数百cc吸えばいいじゃないか!』
- 駄目!今のわたしだったら一口血を啜れば全部飲み干しちゃう! -

「美羽ちゃん、健気な良い女の子だよね。僕が惚れちゃいそうだったよ。」
『貴様!美羽に何をした!!』
「何もしない、何も与えない。そう、何もしなかったのさ。
 だから彼女は、一月程目覚めない君の横で食欲をずっと抑えて看護していた。
 君の血を狙いながら、君の身を案じていたんだ。ずっと、ずっと、ずっとだ。
 その点滴も、彼女が替えてくれたんだよ。三日に一度、君の血を見て我慢して。
 脈をとるのも三日程で覚えてくれるなんて、賢い子だねぇ。クククククク…。」
139 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン2013/02/04(月) 09:20:17.55 ID:yMz/+r7To
【過去の貯水タンク内】
 白鳥は二人に言った。
「君達に選択肢をあげよう。
 天敵を殺した方を自由の身にしてあげる。
 何時だって化物は人に、人は化物に殺される。
 さあ、お互いの体力が釣り合うのがこの一月だよ。」

 佐野史郎が叫ぶ!
『ふざけるな!俺らはコンビだ!ずっと一緒にやっていくんだ!
 協定違反?!知ったこっちゃねえ!吸血鬼が相棒だったらいけないのか!』
 白鳥はにべもなく言い放つ。
「化物に同情する様な男が化物退治の機関に登録したのがそもそもの選択ミス。
 正しい解答を選ぶことができないなら、死という罰ゲームを味わってもらうよ。
 ねえ、美羽?もうお腹が空いて仕方ないんだろう?
 そいつを喰い殺せば君は開放する。
 こう見えて僕はゲームのルールには忠実なんだよ。」
 美羽はもう血への乾きが限界だ。だから白鳥に確認する。
- 生き残った方は必ず開放してくれるんですか? -
 白鳥はしつこい確認に面倒くさそうに答える。
「当然。ルールは伝えただろう?生き残った方はこの貯水場から開放する。」
- そうですか。史郎さん! -
『美羽!やめろ!こいつが、こんなヤツが約束を守るはずが…』
- 史郎さん、そうじゃないんです。あいつの約束だって小さな希望だし… -
 人間よりも遥かに優れた身体能力で美羽は史郎の銃を奪いそして…
 …貯水場に鳴り響く銃声。そして血を吐く美羽。
 美羽は佐野史郎から奪った銃で自分の胸を撃ち抜いた。
140 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン2013/02/04(月) 09:21:42.10 ID:yMz/+r7To
【過去の貯水タンク内】
- 史郎さん、どうして貴方は吸血鬼じゃないの?わたしはどうして人間じゃないの? -
『美羽!美羽!何て事を!二人で戦えばあんなペテン師…簡単にたためただろう?』
- わたし…自殺のきっかけも欲しかったんです。 -
- 史郎さん、どうして貴方は吸血鬼じゃないの? -
- わたしはどうして人間じゃないの? -
- わたし達はどうして同じ存在じゃないの? -
- ずっと一緒にいたい人が百年も行きられない人だった -
- 貴方の死を見るのがずっと恐かった。 -
『馬鹿野郎!俺もだよ!美羽!美羽!
 美羽がいなきゃ俺は誰のために戦うのか分からねえよ…』
 背後に経つ白鳥は佐野史郎に嘲笑気味に語りかける。
「だって…四年前の貴方は引退を考えてたんでしょ?
 美羽さんを育てるために化物退治をしていたんでしたっけ?
 駄目ですよ〜。AMSWATに登録している人が化物を育てちゃあねえ…。」
 
『人を…人を玩具にしやがって。化物はてめえだ!』
 佐野史郎は白鳥景介に発砲し、そして何が起こったか銃弾を額に受けて倒れた。

「あれ〜?佐野史郎は生き残るはずだったんだけれどな。
 やっぱり、おれってギャンブルに弱いのかな。」

 美羽と史郎の遺体は寄り添うように重なり合っていた。
141 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/04(月) 21:46:07.83 ID:FfcDiJ79o
「っ.....」

まだ痛みは僅かに残っていた
包帯を外せば生々しい傷痕はそこにあるし
赤く染まった包帯がまだ血管の修復が終わっていないと知らせている

場所は街の大きな公園だった
舗装された道の隣には芝生の広場と池などがあり
そこの街灯に照らされたベンチにその人物は腰掛けている
左腕の肘、約5cmの傷痕を包帯を外して眺めている少年がいた

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

「能力使うのも面倒だしな...また傷が増えるが...」

少年の腕には傷痕が多くある
治癒こそしているが、痕は幾つも残っていた
こんな時間に1人ベンチに腰掛けて
傷付いた己の腕を眺める少年

時間も時間だ、街の微妙な治安のお陰で
この少年、怪しく見えるだろう
ここ大きな公園だ──、近道の一つや二つ
通りがかる人物がいても、おかしくない
142 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/04(月) 23:01:16.96 ID:AQ2sIQM8o
>>141
まだいらっしゃりますか……?
143 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/05(火) 05:37:04.06 ID:gzKkFKbko
>>142
/遅れて申し訳ないっ!いますのじゃーっ!
144 :クラウン、ただ血を操るだけ2013/02/05(火) 15:57:28.29 ID:k2hyVyalo

男ははぁと重いため息をついた。呆れた色と疲れた色が混じり合った呆気ないものだ
男は僅かに瞳を細めた。目の前の状況をどうするかそれが今の彼の悩み事であった。

「……潰されたマフィアの復讐と言ったか」

周囲をビルの壁に囲まれ四角い空が覗く薄汚れた裏路地、10人の男達が集まりて
言葉を発したのは黒服の9人に囲まれた男だった。存在感が希薄な地味な男である。
だがしかし地味な男が言葉を紡ぐと囲む男達が怯えるようにたじろいだ、力の差だ

「ドラマならいいのだが、現実には見たく無かったよ」

男が一歩足を進めた。緩慢な動きに男達に銃を構え圧倒的な実力差が彼らにはあった
145 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/05(火) 21:23:17.43 ID:F/TFoDweo
【商店街金物店】
トン、カン、トン、カンという金属を叩く音が休みを挟んで工房に鳴り響く。
暖をとるためのストーブの近くで一人の女性が、
鍛冶台に置いた鉄板を玄翁で叩きながら整形。
板が叩かれた面に向かって曲がりボウル状になっていく。
そんな工程で造られたボウルが彼女の脇に重ねて置かれている。
146 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/05(火) 21:30:07.05 ID:qbVqAGWLo
>>145
それは部屋で、数日前に持ち帰った血の染みついた鎌を眺めているときに聞こえてきた
金属を叩く音、そういえばここは金属を扱ったりもする、
そのような話を聞いていた気がした

タダ飯食らいというのも、ボルテックスが相手となると、なぜか罪悪感を感じる
そこで、ちょっとした行動に出ることを決意する
鎌は部屋に置いておき

「ねえねえおねえさん、何してるの?」
部屋より出てきて、そう尋ねる
実際金属に対する知識がまるでない少女にとっては、
猫でもなんでもなく、純粋な気持ちでその質問を発することができた
147 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/05(火) 21:41:43.50 ID:F/TFoDweo
>>146
声をかけられると手を止めエリアに振り向く。
「やあエリア、今日はでかけないのか?」
そう言うと小振りの金槌、玄翁を置いた。

質問の答はお仕事の話だ。
「注文が入ったから鍋をいくつかね。」
どう見てもボウル。取っ手がない。

「そういえば、仕事を教える約束もしていたね。
 あと、家具を買いに行く約束も。
 あ…そうだ。」
何かを思い出したように布を被せてある滑車付きのワゴンを運んできた。
「ベッドとラック、それから座卓は造っておいたから好きに使って良い。」
148 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/05(火) 22:50:33.94 ID:ZlYMBSk4o
>>147
「うん、おねえさんだけにお仕事任せて、
私だけ遊んじゃうと、迷惑かかるから」
最近出かけてばかりで、半ばタダ飯食らい状態であった

「取っ手のないお鍋……?」
どこをどうみても取ってがない
自分の目がおかしくなったのだろうか

「やった!、これで私もおねえさんの役に立てる!
じゃあ、おねえさんは師匠だね!」
教えてもらう以上は、師匠と呼ぶべきか
そんなことを思いながら

「そうだったそうだった、覚えててくれてありがと、おねえさん」
少女は忘れかけていたらしく

「す、すごい……」
ベットやラックに魅入られる
なにせ、"作った"というのだから
149 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪のスーツ男2013/02/05(火) 22:56:05.77 ID:W1W3791V0
薄暗い路地裏。 蔓延する血の匂い。 食欲をそそるその香りに 薔薇色の悪魔は笑う

路地裏に募る役者は三人
薔薇色の長髪と深紅の瞳が特徴的なスーツの男
艶のある黒髪と白磁な肌に清楚な身形。 儚げな人妻を連想させる 美しき女。
そして、まだ個として認識さえ難しい、生後幾月にも満たないであろう赤子である

『息子は...息子だけは殺さないで......!』

「んー...イ、ヤ♪ と言いたいのだけと
[ピーーー]気なら貴女もこの娘ももうしんでるわよね☆ミ」

「でも貴女達は生きてるの
あたしを楽しませるために♪
ここまで這ってェ、あたしの靴をペロペロしながら、『私を殺してください』って哀願したらァ、貴女の息子を返してあげるわァ♪」


女と男の距離はそう遠くは無い
しかし、問題は女の体にはイバラが巻かれ手足を自由に動かせないこと
次いで男にたどりつくまでの地面に 有刺のイバラが張り巡らされていること
其処を這えば、流血は必須
しかし逆らえば 男の手に抱かれた息子の命は......


(なぁんて、ゲームを初めて約数分♪
イイワァ、イイワァ♪
千切れたカーディガンから覗く肌ァ、血にまみれた美女の肢体!
蔓延する血の匂い...貴女の苦痛に歪む顔☆ミ)


「ほらほらァ、ハイハイか遅いわよぉ? まぁま♪
早くしないとあたし... この子を地面に落としちゃうかも......!? 」

『ふぅ...ぐ、フゥはぁ......』

「もぉ、待つ時間が暇だからルール追加ねぇ?
悲鳴をあげるのも禁止にしちゃうわぁ♪」


茨の上を這う女
笑う男、に抱かれる赤子
新たな役者は、正義か悪か?

どうやら舞台は 新たな役者を求めているようだ

入りますか? 入りませんか?
150 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪のスーツ男2013/02/05(火) 22:56:14.66 ID:W1W3791V0
薄暗い路地裏。 蔓延する血の匂い。 食欲をそそるその香りに 薔薇色の悪魔は笑う

路地裏に募る役者は三人
薔薇色の長髪と深紅の瞳が特徴的なスーツの男
艶のある黒髪と白磁な肌に清楚な身形。 儚げな人妻を連想させる 美しき女。
そして、まだ個として認識さえ難しい、生後幾月にも満たないであろう赤子である

『息子は...息子だけは殺さないで......!』

「んー...イ、ヤ♪ と言いたいのだけと
[ピーーー]気なら貴女もこの娘ももうしんでるわよね☆ミ」

「でも貴女達は生きてるの
あたしを楽しませるために♪
ここまで這ってェ、あたしの靴をペロペロしながら、『私を殺してください』って哀願したらァ、貴女の息子を返してあげるわァ♪」


女と男の距離はそう遠くは無い
しかし、問題は女の体にはイバラが巻かれ手足を自由に動かせないこと
次いで男にたどりつくまでの地面に 有刺のイバラが張り巡らされていること
其処を這えば、流血は必須
しかし逆らえば 男の手に抱かれた息子の命は......


(なぁんて、ゲームを初めて約数分♪
イイワァ、イイワァ♪
千切れたカーディガンから覗く肌ァ、血にまみれた美女の肢体!
蔓延する血の匂い...貴女の苦痛に歪む顔☆ミ)


「ほらほらァ、ハイハイか遅いわよぉ? まぁま♪
早くしないとあたし... この子を地面に落としちゃうかも......!? 」

『ふぅ...ぐ、フゥはぁ......』

「もぉ、待つ時間が暇だからルール追加ねぇ?
悲鳴をあげるのも禁止にしちゃうわぁ♪」


茨の上を這う女
笑う男、に抱かれる赤子
新たな役者は、正義か悪か?

どうやら舞台は 新たな役者を求めているようだ

入りますか? 入りませんか?
151 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪のスーツ男2013/02/05(火) 22:56:30.82 ID:W1W3791V0
薄暗い路地裏。 蔓延する血の匂い。 食欲をそそるその香りに 薔薇色の悪魔は笑う

路地裏に募る役者は三人
薔薇色の長髪と深紅の瞳が特徴的なスーツの男
艶のある黒髪と白磁な肌に清楚な身形。 儚げな人妻を連想させる 美しき女。
そして、まだ個として認識さえ難しい、生後幾月にも満たないであろう赤子である

『息子は...息子だけは殺さないで......!』

「んー...イ、ヤ♪ と言いたいのだけと
[ピーーー]気なら貴女もこの娘ももうしんでるわよね☆ミ」

「でも貴女達は生きてるの
あたしを楽しませるために♪
ここまで這ってェ、あたしの靴をペロペロしながら、『私を殺してください』って哀願したらァ、貴女の息子を返してあげるわァ♪」


女と男の距離はそう遠くは無い
しかし、問題は女の体にはイバラが巻かれ手足を自由に動かせないこと
次いで男にたどりつくまでの地面に 有刺のイバラが張り巡らされていること
其処を這えば、流血は必須
しかし逆らえば 男の手に抱かれた息子の命は......


(なぁんて、ゲームを初めて約数分♪
イイワァ、イイワァ♪
千切れたカーディガンから覗く肌ァ、血にまみれた美女の肢体!
蔓延する血の匂い...貴女の苦痛に歪む顔☆ミ)


「ほらほらァ、ハイハイか遅いわよぉ? まぁま♪
早くしないとあたし... この子を地面に落としちゃうかも......!? 」

『ふぅ...ぐ、フゥはぁ......』

「もぉ、待つ時間が暇だからルール追加ねぇ?
悲鳴をあげるのも禁止にしちゃうわぁ♪」


茨の上を這う女
笑う男、に抱かれる赤子
新たな役者は、正義か悪か?

どうやら舞台は 新たな役者を求めているようだ

入りますか? 入りませんか?
152 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/05(火) 23:10:11.49 ID:F/TFoDweo
>>148
「迷惑ではないよ。
 わたしも一人より、一緒に誰かがいてくれる方が嬉しい。
 師匠…は大袈裟かな。仕事中だけの店長くらいが丁度良い。」
 少し照れながら、優しい笑顔でエリアに話しかける。

「その鍋はまだ取っ手をつけていない段階でな。
 高い工作機械を買えば量産も早くできるが、
 手作りでも機械加工でも工程は同じだ。」

「少し加工の基礎をやってみるか?
 金属は固いから分かりにくいが、粘土に似た性質がある。
 これを塑性(そせい)という。元の形に戻ろうとする弾性もあるが、
 それを超えた高い負荷をかければ素直にグニャリと曲がる。
 叩いて引き伸ばして工作をして部品を作るんだ。試しに台の上で叩いてご覧。」
 そう言って銅板を取り出し、玄翁を差し出す。
153 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/05(火) 23:21:03.83 ID:ZlYMBSk4o
>>152
「そ、そうなの……?
嬉しいな……」
迷惑ではないと言われて、困惑気味な笑顔を浮かべる少女
やはり、彼女は今まであってきたほかの……人とはどこか違う気がする
そんな風に思うのであった

「取っ手って、後付けなの?
手作りって、大変じゃない?」
首を傾げながらも尋ねてみる

「粘土に似てるんだ
よし、それじゃあ」
差し出された銅板を、台の上に置き、
ほんの少しだけ力を入れて、銅板を叩いてみる少女

全力を込めたなら、岩をも砕くほどであるために、
常に少しだけ力を抜くことを意識しているのだ
154 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/05(火) 23:38:54.99 ID:F/TFoDweo
>>153
「エリア、どうかしたのか?
 思った事は言ってしまった方が良い時がある。
 気が向けばでいい。エリアの話を聞きたいな。」
 ボルテックスは腹の内にはあまり何かを抱える人物ではない。
 元々覇王として生きてきた時も何処か違う世界で素直に暴れていた。
 戦場で。
 面倒事を嫌う性格と、面倒事を抱える性質を併せ持った人物が彼女だ。

「鍋造りも数が多ければ大変といえば大変だが、
 手持ちの道具で叩くか機械で叩くかの違いしか無い。
 今は機材が揃うまで手作業になるな。

 金細工にはコツがいくつかある。
 この加工のコツは金属を細かく叩きながら固さの変化を感じる事だ。
 金属は応力に従って変形、切断される。硬くなればもろくなる。
 叩けば叩く程硬く脆くなる。手応えが変わったら声をかけてくれ。」
 力がかかると金属は脆くなる。それは金属を叩いて叩いて叩いて、
 職人ならばそのようにして体感で覚えるのが良い。 
155 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/05(火) 23:48:31.36 ID:ZlYMBSk4o
>>154
「ううん、おねえさんって今まであってきた人より優しいと思って」
心からそう思う
自分を見失っていたとしても

「私の話……?
うーん、本当の私を忘れちゃった話なら話せるよ」
あっけらかんと話す少女
しかし、その話題は少女にとって、自分の内面を明かすことに繋がる
だが、ボルテックスなら信用できる気がした、単純である

「そうなんだ……」
段階的に力を加えながらも、
ひたすら叩いて叩いて叩く少女
156 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/05(火) 23:57:58.11 ID:F/TFoDweo
>>155
「わたしは優しさに自信はないな。
 でも、わたしがそうじゃなくても優しい人が好きだ。
 だから、そう生きたいなとは思う。ありがとう。
 例えばわたしはエリアに優しくできているかな?」
 少し悲しそうな表情を少し浮かべる。
 しかし、その憂う表情はすぐに消えて、エリアの話を聞く。
「本当の自分を忘れた?どうして?」

 さて銅板を使った練習は案外簡単かもしれない。
 叩けば叩いた方向に叩いた所が凹む。
 が、硬くなった部分を叩くとヒビが走る。
157 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/06(水) 00:10:11.15 ID:/+LM2O1Jo
>>156
「そーなの?
私は怖いぐらい優しくされてるよ?」
そう、無意識に恐れてしまうような優しさ
無条件の優しさというものに触れたことはなかった
故に、そんな未知の感覚に恐れを抱いてしまうところがあった

「生きるためにね、この世の中で戦っていくためにね、ずっと自分を殺してたの
いろんな自分を作ったの、そしたらね、忘れちゃったの」
口調こそはいつもの子どもっぽい口調だが、
どことなく冷たさを漂わせている

だれかが魔法で自分を殺そうとするわけではない
少女の戦いは、ボルテックスの本当の命がけの戦いとはまた違った、
あまりにも小さな規模の戦い
魔法も力も関係ない、少女にとっては生きるための、戦い

そんな、世界という戦場に身を置くうちに、
少しずつ様々なものを忘れていったのだ

「あ、ヒビだ」
いろいろな方向に叩いてみたり、
どこをどう叩くとヒビが走るのかなどを、
銅板を見ながら考えてみる少女
158 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/06(水) 00:25:40.53 ID:YquTtnJ5o
>>157
「怖い?優しさが怖い?
 わたしはそれでも優しさが欲しかったかな。
 優しくされた事なんて殆どなかったからな。」
 ボルテックスは自分の作業は止めたままエリアの隣に座る。
「自分を作る?演じるとかそういった事だろうか。」

 ヒビを作ったエリアに見せるように、
「そうそう、叩くと硬く脆くなる。だからこうするんだ。」
 ガスバーナーを用意して着火脆くなった部分を炙る。
 熱いうちに叩いてクラックを埋めて見せる。
「熱くて危険だから注意して金属を炙るんだ」
 熱処理のうち焼戻しという加工で靱性を与える。
 熱を使って金属を硬くしたり柔らかくする加工を調質と呼ぶ。
159 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/06(水) 00:37:12.36 ID:/+LM2O1Jo
>>158
「どうして、優しくされたことがないの?」
やはり首を傾げて尋ねてみる

「うん、人に好かれなきゃダメだったから
演じれば演じるだけ、隔離していたはずの本当の自分が薄くなってったの」
例えなどを交えながらもそういう少女

「なんとかなるんだ……、あ、ヒビが元に戻ってく!」
その様が、そんな風に自分の目に映る少女
目を輝かせて、焼きつけようと言わんばかりにその様子を見つめている
わざわざこれをするために、作業を止めさせてしまっている、そんな風に思う
自分のためということに感謝の気持ちと、ほんの少しの罪悪感を覚える

「わざわざありがと、こうやって見せてくれたりして」
せめてお礼だけでも、そんな風に思い

160 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/06(水) 01:01:14.30 ID:YquTtnJ5o
>>159
「え?」
エリアの質問にはどう答えたものやら。しかし嘘は嫌だ。
「わたしは最近は人に優しくされている。だからこれはその前の話になる。」

異世界で多くの国々、人々を蹂躙して来た等のややこしい話は抜いて…、
「ふふふ、優しくされるはずはなかっただろうね。わたしは優しい存在じゃない。
 むしろわたしは人々に優しくするどころか、沢山の人達に酷い事をしてきた。
 だからだと思う。恐がられて、攻撃されて反撃し、そして恐がられて、攻撃されて、
 反撃すればまた恐がられて、襲われて、ついには自分から周りを攻撃し始めて、
 その繰り返しを重ねながら生きて来たんだ。」

一息置いてエリアに話しかける。
「どうしようもなかったのだろうか。
 わたしもエリアと同じだよ。人に嫌われ、憎まれるのが嫌になってここに来た。
 本当の自分も大切だけれど、新しい自分を見つけたくてここに来たんだ。
 エリアも薄くなんてならないで欲しい。新しい自分を見つけて欲しい。」
ひょっとしたら、ボルテックスはエリアに何か自分と重なる所を見たのかもしれない。

「礼は不要。時々手伝って貰うと約束しただろう?
 わたしが知っている事でエリアにわからない事があれば喜んで教えるよ。
 遠慮をするくらいなら、金属の全てを覚えてくれ。
 その…なんだ。無理強いはしないけれど…。」
161 :クララ(ブロンド美少女)ミミック2013/02/06(水) 01:12:10.00 ID:YquTtnJ5o
>>151
カッコッカッコッ…ブーツの足音が近づいてくる。
「ねえねえお兄さん?そして奥様?」
 フリルの多い衣服を身に纏った少女がそこに現れる。
「何をしているのかしら?狩りなら邪魔はしないけれど。
 狩られるのならば助けられないけれど。
 少しだけ興味深い事をしているわね。」
162 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/06(水) 01:22:23.13 ID:/+LM2O1Jo
>>160
「……それは必要だったからでしょ?
本当に優しくない悪い人はきっと、そんな風に苦しんだりしたりしないと思うから」
殆ど知らなかったボルテックスのことを、ほんの少しまた知ることができた気がする
その上で、どことなく自分と彼女は似たところがある気がした
生きている世界も環境も、まったく違う
しかし、必要に迫られて他者を蔑ろにしたという一点は、
確かに重なった気がしたのだ

「だから、おねえさんはもっと優しくされてもいいはずなの
おねえさんは根本的なところっていうのかな? それが優しい人だから」
悪い人間にはなりきれない、少女の目にはそんな風に映った

「新しい自分か、そっか
わからなくなっちゃったなら、もう一度作り直せばいいんだ」
そう言われて、思い立つ
これからは、自分を確立させていこう、そんなことを心に決めるのであった

「そうだったそうだった、
ちょっとずつ覚えてるよ? 忘れてないよ?」
強調しているあたりが怪しいところ
163 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/06(水) 01:43:26.81 ID:YquTtnJ5o
>>162
 覇道に入る必要性はあったのだろうか。
 自分はあったと信じて覇道に入った。だが覇道は虚しい道だった。
 いや、覇道は王道への道の一つだ。
 それでも今思えば、自分が生まれた村だけ守っていれば良かったかもしれない。
 なのに気がつけば国を乗っ取り、隣国を奪い、その隣国を奪い、それを繰り返していた。

「必要だったと信じたいけれど、わたしがやる必要はあったのかな。」
 異世界で王を演じていた元女王は口を開く。
 工房内の二階への階段下、そこに立てかけられた槌を見る。
「エリア。人を傷つけちゃいけないよ。心に痕がつく。
 何かを潰す事よりも造り上げる力の方が尊いと思う。」

「うん、少しずつ覚えてくれたら良い。」
 エリアの肩に両手を置く。
「背伸びもしないでいいぞ。最初は金属で遊べ。
 金属と仲良く慣れれば金物工や鍛冶に、
 木と仲良くなれば木工細工師に、
 土と仲良くなれば陶工に…材料や道具と対話すればいい。」
 怪しい部分なんてガン無視。実際に慣れの世界だ。
「この仕事をしたいならエリアも一人前になれるさ。」
164 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/06(水) 20:13:56.15 ID:basDX1+0o
寂しかった。

女は鼻歌をコンクリートの森の中で響かせた。
どこか調子外れな、しかし上機嫌な音色。
ここは、スラム街。どこかうらぶれた気配を感じさせる、冷たくて、悲しいところ。
普段ならば、荒んだ目をした老人や子供が這いずり、若者が通りすがる者を襲撃するような場所。
しかし、そこは今――色彩鮮やかな、文字通りの森へと変貌していた。

「んー、あー、んーんー♪
 んーんーんっあー♪」

何処か舌足らずで、普通の人間の歌声とは異なる声は、彼女が口から人語を紡ぎだすことが出来ないことを示す。
恐らく、その事実でこれまで困ったことも有っただろうし、悩んだことも有ったろうが、今の彼女の表情は笑顔だった。
乗り入れたトレイラー・ハウス付きトレイラーの屋根によじ登りながら、リリーは気ままにスラムの薄汚れた壁に森を書いていく。

そこに居たのは、1人のまほうつかい=B
薄汚れたオーバーオールに、恐らく浮浪者から借りたであろうダウンジャケットを羽織り。
邪魔な髪をカチューシャーで上げ、酷く焼けただれた顔の左半分を晒しながらも、女はひたすら創作に没頭する。
周囲の子どもたちは、トレイラーヘッドのライトが照らしだすその色彩に目を輝かせた。

「んー!」

最後の一筆が、踊った、雄弁に七色を紡ぎ出すその絵筆が、画竜点睛を完結させて。
直線距離50m、高さ20mの二枚のキャンバスに、生命の息吹溢れる森が、写し込まれていた。
にこにこ、と笑顔を浮かべながら女はトレイラーの屋根に大の字で寝転んで、んあー!と楽しそうに叫び声を上げ。
トレイラーをよじ登って、周囲の大人や子供が近づいて、話しかける。
それに声を返すこと無く、周囲の子どもと変わらぬような笑顔を浮かべて、きゅきゅ、とトレイラーに何かを書き込んで。
彼らから幾らかの食事とお金を受け取ると、少し外れた場所にトレイラーを動かして、リリーは降りる。
そして、暫くの間賑やかに談笑――といっても、彼女は言語を紡がないが――を交わし、しばらくすると彼らもねぐらに帰っていく。

「んーんー♪ あーんー♪
 んーっあー♪」

響いているのは、歌詞の無い歌。響く場は、木の無い森。
女は1人、ボロボロのパイプ椅子に腰掛け、七輪に手を当てて。
スラム街に突如現れた森の中で、深呼吸をするのだった――。
165 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/06(水) 20:42:29.05 ID:nruo5nEWo
>>164
目を疑う、とはよく言ったものだ
今自分の見ているものが信じ難いという感情に包まれる
寂しくも広大なスラム街の森
この巨大な石造りのキャンバスに描かれた巨大な絵画
それに思わず、足を止めて眺めてしまう

「これは...凄いな。油絵か?」

そんな言葉が溢れ出す
自分には絵心など皆無で絵の心得もないが
この絵の雄大さは視覚以上の何かで直に感じられる
いや、心得がないからこそか

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年

「...これは君が描いたのか?」

青年は女性に歩み寄りながら絵から目を離さずに
絵のすぐ前に、中央辺りで立ち止まって口を開いた
彼の目線は森の至る所、余すとこなく眺めている
絵を真剣に楽しんだいるようだった
166 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/06(水) 20:52:35.94 ID:basDX1+0o
>>165
絵の技量は、確かに高い。
だがしかし、それよりも――楽しいのだ、その絵は。
感情を溶かしこんだかのようにいきいきとしたその表現技法は、印象派と呼ばれるカテゴリに属するものだ。
絵画としては割りとポピュラーなそのジャンルは、写実主義とは異なり、イメージや主題を主に据えて描かれる。
彼女の生き生きとした感情を溶かしこんだ絵だからこそ、この森は石造りだというのに息づいているのだ。
そして、その森の吐息はきっと、知識など必要とせずとも感じられる。高尚な含蓄、薀蓄など必要ないのだ、ただ見て、感じれば良い。
それで何を感じるかは、見たものの自由なのだから。

「んー」

にへ、と朗らかな笑顔を浮かべる女。
ふと、まだ髪を上げたままだった事に気が付き、とっさに顔をそらす。
彼女の顔の左半分は、酷く焼けただれていたから、それを見ることで相手が怖がったり、嫌がらないだろうかと思った。
見られる事自体は特段なんとも思わないのだが、見ることで何かを思う人が世の中には居るのだ。
髪留めのピンを外し、手櫛で前髪を下ろせば、長い前髪で顔の左半分が完全に覆い隠されていた。

ほふぅ、と安心したような表情を浮かべれば、また気の抜けるような笑顔を浮かべて。
傍らのスケッチブックを取り出すと、色鉛筆をカンバスに走らせていく。
かなり筆が速く、一秒もしない内にそのスケッチブックが突き出された。

『そ、私が書いたんだよー。
 ちょっとお金なくて燃料切れしちゃってね、暫くここのスラムに場所貸してもらうことになったから。
 お礼にちょびっと頑張っちゃった、って感じなのだ!』

紙の上ではデフォルメした女のイラストが、びし、と謎のサムズアップをしていた。
なんとも不思議な雰囲気の女だ。暗い雰囲気を感じさせてもおかしくないのに、そんな気配を欠片も感じさせない。
くぅきゅるる、と腹の音を鳴らしながらも、自分の書いた森を見て、満足そうに鼻を鳴らしていた。
167 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/06(水) 21:09:54.18 ID:nruo5nEWo
>>166
彼女が自分の存在に気付く気配は感じ取れた
が、返事が無いのを不審に思い、彼女の方を向く
そして彼女の突き出したスケッチブックを視界に入れ文章を読む
彼女が喋らない理由は聞かなかった
こんな世の中だ、訳なんて聞く必要もない

「そうなのか...俺もこの手の絵は経験がないから図々しくは言えないが...
素直に惹きつけるものがあるな、万人が通りがかれば万人が立ち止まるような」

あんまり上手く説明できないけどな、と
肩をすくめながら視線を絵に戻してそう言った
実際は分からない、万人が通りがかっても絶対に万人が立ち止まるとは限らない
ただ彼はそれだけの価値があると素人目にそう言ったのだ
しかし、人を惹きつけるのは事実だ
彼のような人物がこういった芸術的な絵画を眺めること
知ってる人が見たら「似合わない」さぞ笑ってと一蹴されるだろう
彼自身もそう思っているが、この絵画の前でその道理はなかった
絵は心を動かすのだと、彼は心の中で考える

「...見物料金だ、どこに払えばいい?」

彼女のちょっと可愛い腹の音で現実へ意識が戻される
これだけの物を見れたのだ、其れ相応...とは言わずとも礼はしたかった
彼は財布から紙幣を数枚取り出してそう言った
見物料金の枠を超えてるのは...言うまでもない
168 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/06(水) 21:22:16.26 ID:basDX1+0o
>>167
「んー」

なんともむず痒そうな、照れ顔を浮かべて、髪をさっさと手櫛で直す。
素直に嬉しそうな表情を浮かべて、ぺこりと頭を下げて。
かりかり、とスケッチブックに色鉛筆を走らせれば、紙面にはありがとう、と言う言葉と照れながら頭を掻く女のイラストが有った。
言葉はあっても音はない為、イントネーションなどで文章に色は付けられない。
そのかわりに彼女の言葉は、イラストと笑顔で感情を伝えることができるのだった。

それでも、自分でも珍しいくらいの会心の出来で。
そんな出来たばかりのイラストを見てくれた見ず知らずの他人、絵を知らない人がこうして褒めてくれた。
それは芸術家として、一人の旅人として、その言葉も感情もなによりもの彼女の報酬となった。
先ほどのスラム街の人々の笑顔や、賞賛の言葉も、相手の言葉も、それらこそが金銭に替えられぬ何よりもの喜び、生きる糧。
もう既に心はお腹いっぱいで、しかしながら身体もお腹いっぱいにしなければ残念ながら人間は生きていけない。
相手の言葉に、ふんわりした喜びの幻想夢想は現実に引き戻されて、お腹が減ってる事を思い出す。

「あー……」

顎に人差し指を当てて、取り出された紙幣に視線をちらと動かして。
なにやら思案顔を浮かべるリリーは、1人納得したように頷いて。
とん、と立ち上がると大きなメッセンジャーバッグにスケッチブックと色鉛筆を放り込んだ。
バッグの中は、色とりどりの画材や拾った石が入り交じる、小学生の机の中のような、賑やかで懐かしい惨状で。
鞄をがしゃがしゃ言わせながら、おもむろに紫苑の手を取って、女はかけ出した。

「んっふっふー!」

妙に気の抜ける笑い声を従えて、女と青年は、かけ出して。
そう長い距離を走ることもなく、数分後には近くの公園にたどり着いていた。
案外健脚なのか、少し息を荒げるだけの女は、相手の方を叩くと、指先で何かを指し示す。
その先には、光り輝く屋台が一つ。よく焼けた肉の良い香りが周囲には漂っていて。
屋台で売られているのは、どうやらホットドッグや、ケバブサンドなどの、ちょっとした軽食のようだ。
言葉を紡げぬ美術家が求める報酬は、現物支給をご所望のようだ。
169 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/06(水) 21:39:33.60 ID:nruo5nEWo
>>168
「ん...?どうした?見物料いらないのか...?
それじゃあ、少々気が済まないんだが...」

スケッチブックなど多くの小道具を片付ける彼女の様子を見てそう思った
それでは自分の気が済まないと、言ったとおり
彼の恩返しスキルの発動で取り出した紙幣を仕舞うのは...と
彼女に手を引っ張られ、目的地についた時行動の意味を理解した

「そういうことか...なるほどね」

このお姫様は腹ペコで苦しんでおられるようだ
よく思い出せば自分も少々小腹が空いてきた
というか、甘い物を食べたくなってきた
彼特有の中毒症状だったりするかもしれないが気にしない方向で
立ち並ぶ屋台を見回した後

「じゃあ、何を買うんだ?何でもいいぞ」

と、屋台の商品を眺めてそう言う
彼もこう言っているのだ、遠慮する事はない好きな商品を好きなだけ頼めれる
先ほど見れた彼の財布にはそこそこの紙幣が見えた
先ほどの見物料金の数倍の量だ
頼み過ぎてお金が足りないなんて、そういうアホな展開はなさそうだ

言葉が喋れないのなら店員とも大変だろう
そう思ったのか自分の食べ物は後回しに、彼女の通訳役として一緒にいるだろう
170 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/06(水) 21:49:31.17 ID:basDX1+0o
>>169
『ちょっと待っててねー』

手をあわせて、ぺこりと頭を下げるイラストを描いて。
女は、屋台に駆け寄って、んー、と真剣に悩み始めた。
割と女性にしては健啖家な部類でこそ有るが、それでも常識的な大食いだ。
要するに、久々のまともなご飯なのだから、腹いっぱい食べるならば美味しいものを選びたかった。
なんとも貧乏旅が身体に染み付いている女だが、そのみみっちさもまた彼女にとっては面白いもの。

数分悩みに悩み切った後に、こくり、と大きく頷いて。
ごりごりごりごり、と怒涛の勢いで彼女はスケッチブックに筆を走らせて。
ひょい、とスケッチブックを見せた後に、じゅるりと涎が漏れてそそくさと涎を拭きとった。
色々と食欲やら、なにやらが口から溢れだしただけである、気にしてはならない。

『じゃあ、ケバブタコスと、チリドッグと、クラブサンドイッチでー……、飲み物にコロナビールが欲しいかな。
 あ、コロナビールは当然だけどライム付きで、瓶で頼んでくれるかな?
 ごめんね、お姉さんちょびっと腹ペコで、わっしゃわっしゃ食べちゃうかもだけど、気にしないでくれると嬉しいな♪』

そこそこの量を頼んだものの、この店の食事は割と安い部類だ。
酒をそれに加えたとしても、これだけ頼んでも2000円を超えることはない。
それでも、多分あの場で大金を押し付けられるくらいだったら、こちらのほうが遥かに彼女にとっては嬉しかった。

『お腹減ってるなら一緒に御飯食べない?
 旅先で知らない人とご飯食べるのって楽しくてさ、1人の食卓って味気ないし?
 おねーさんのお願い、聞いてくれると喜んじゃうかなーって』

んへへ、と気の抜ける声を漏らして、女はコテンと首を傾げて。
相手が買いに行くというならば、近くのベンチに座って待つことだろう。
紫苑が買いに言っている間、リリーはといえば、屋台の有る光景を見ながらそれをスケッチブックに書き起こしていた。
キラキラと煌く看板や、提灯。そして、空腹を誘うあざとい程に食≠感じさせる芳香を――色で表したかった。
故に、紫苑が戻ってくる前に、この新鮮な光景を下書きとしてスケッチブックに残しておきたかったようだ。
171 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 22:02:42.60 ID:I3f8pRc50
薄暗い路地裏。 蔓延する血の匂い。 食欲をそそるその香りに 薔薇色の悪魔は笑う

路地裏に募る役者は三人
薔薇色の長髪と深紅の瞳が特徴的なスーツの男
艶のある黒髪と白磁な肌に清楚な身形。 儚げな人妻を連想させる 美しき女。
そして、まだ個として認識さえ難しい、生後幾月にも満たないであろう赤子である

『息子は...息子だけは殺さないで......!』

「んー...イ、ヤ♪ と言いたいのだけと
[ピーーー]気なら貴女もこの娘ももうしんでるわよね☆ミ」

「でも貴女達は生きてるの
あたしを楽しませるために♪
ここまで這ってェ、あたしの靴をペロペロしながら、『私を殺してください』って哀願したらァ、貴女の息子を返してあげるわァ♪」


女と男の距離はそう遠くは無い
しかし、問題は女の体にはイバラが巻かれ手足を自由に動かせないこと
次いで男にたどりつくまでの地面に 有刺のイバラが張り巡らされていること
其処を這えば、流血は必須
しかし逆らえば 男の手に抱かれた息子の命は......


(なぁんて、ゲームを初めて約数分♪
イイワァ、イイワァ♪
千切れたカーディガンから覗く肌ァ、血にまみれた美女の肢体!
蔓延する血の匂い...貴女の苦痛に歪む顔☆ミ)


「ほらほらァ、ハイハイか遅いわよぉ? まぁま♪
早くしないとあたし... この子を地面に落としちゃうかも......!? 」

『ふぅ...ぐ、フゥはぁ......』

「もぉ、待つ時間が暇だからルール追加ねぇ?
悲鳴をあげるのも禁止にしちゃうわぁ♪」


茨の上を這う女
笑う男、に抱かれる赤子
新たな役者は、正義か悪か?

どうやら舞台は 新たな役者を求めているようだ

入りますか? 入りませんか?
172 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 22:02:52.94 ID:I3f8pRc50
薄暗い路地裏。 蔓延する血の匂い。 食欲をそそるその香りに 薔薇色の悪魔は笑う

路地裏に募る役者は三人
薔薇色の長髪と深紅の瞳が特徴的なスーツの男
艶のある黒髪と白磁な肌に清楚な身形。 儚げな人妻を連想させる 美しき女。
そして、まだ個として認識さえ難しい、生後幾月にも満たないであろう赤子である

『息子は...息子だけは殺さないで......!』

「んー...イ、ヤ♪ と言いたいのだけと
[ピーーー]気なら貴女もこの娘ももうしんでるわよね☆ミ」

「でも貴女達は生きてるの
あたしを楽しませるために♪
ここまで這ってェ、あたしの靴をペロペロしながら、『私を殺してください』って哀願したらァ、貴女の息子を返してあげるわァ♪」


女と男の距離はそう遠くは無い
しかし、問題は女の体にはイバラが巻かれ手足を自由に動かせないこと
次いで男にたどりつくまでの地面に 有刺のイバラが張り巡らされていること
其処を這えば、流血は必須
しかし逆らえば 男の手に抱かれた息子の命は......


(なぁんて、ゲームを初めて約数分♪
イイワァ、イイワァ♪
千切れたカーディガンから覗く肌ァ、血にまみれた美女の肢体!
蔓延する血の匂い...貴女の苦痛に歪む顔☆ミ)


「ほらほらァ、ハイハイか遅いわよぉ? まぁま♪
早くしないとあたし... この子を地面に落としちゃうかも......!? 」

『ふぅ...ぐ、フゥはぁ......』

「もぉ、待つ時間が暇だからルール追加ねぇ?
悲鳴をあげるのも禁止にしちゃうわぁ♪」


茨の上を這う女
笑う男、に抱かれる赤子
新たな役者は、正義か悪か?

どうやら舞台は 新たな役者を求めているようだ

入りますか? 入りませんか?
173 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/06(水) 22:07:55.65 ID:nruo5nEWo
>>170
「お、思ったより大食いなんだな...
俺みたいに太らない体質じゃないとマズくないか...?」

ダイエットに成功したあと、安心してしまい
ダイエット中以上に多く食べて最終的にもっと太るアレ
俗に言うリバウンドがあるんじゃないかと懸念していたりする
彼女が普段多く食べれないのならその可能性が気になったのだ
だが人の選択に口うるさく意見するのは失礼だ
彼女の肉体が自分と同じ食べても太らないという真実に期待しよう
そう思いながら、屋台で彼女の注文を店員に言い受けとって彼女に渡す

「そうだな...一緒に食べるか、ちょっと待っててくれすぐに俺の分を買ってくる」

そう言って彼は彼女をベンチに残して小走りで別の屋台に向かう

全く知らない出会ったばかりの人と食事
今回を含めて、最近増えた気がする
こんな事は血みどろな仕事関係でしかなかったのに
何となく、変わったのだと思った

彼が買うのは特製バニラアイスクリームにソフトドリンクのドクターペッパーだ
大の甘い物を好きだが、最近摂取していないので久々に、だ

「...俺が来るまで変な奴に絡まれてないよなー?」

口も聞けないなら不便だろうと、何出会ったばかりの人間心配してるんだと
少々お人好しの自分一面に頭を悩ませつつ
約5分後、両手に自分の食べ物を持って帰ってきた
174 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/06(水) 22:20:17.61 ID:basDX1+0o
>>173
『お帰りー!』

ぴょんぴょん飛び跳ねるSDリリーのイラストを添えて、戻ってきた紫苑を出迎える。
びりり、とスケッチブックの中のイラストを一枚取り出すと、それを空中に放り出し。
ぽんぽん、と空中になぜか浮かぶその紙を叩いてそこにものを置くように促すだろう。
まるで机のような質感でイラストが描かれたその紙からは、魔術に聡ければ魔力の波動が感じられる。
どうやら、机をイメージしたイラストの様で、空中に紙を強化させた状態で浮遊させて机にできるようだ。
なんとも便利極まりないが、夜の公園に紙が浮かんでその上に物が置かれているのは少々シュールかつ不安な図。
そんな事など気にしない様に当の本人は、、わくわく笑顔でご飯の歌(歌詞無し、ジャスラック申請中)を歌っていた。

『だいじょーぶだよ!
 おねーさん、これでも結構腕っ節には自身あるのよー。
 伊達に何年も一人旅はしていない、って訳ね! あと寒かっただろうからホッカイロどぞ!』

心配の声には、力強い笑顔を浮かべつつ、ホッカイロを差し出す事で返答とする。
実際問題、危険なはずのスラム街で、ニコニコ笑顔で壁画を書いている時点でどこかおかしい。
大抵の危険については、この女独特の毒気を抜いてしまうような雰囲気で粗方なんとかなる。
そして、旅人である事から危機察知能力は低いわけではなく、実力もこう見えてないわけではない。
要するに、口を聞けないだけで、それ以外は案外ハイスペック、それがこの流しの画家だった。

「はもふっ! もひゅっ!
 あんむっ! もふッ、もふまふもふー!」

早速、とばかりにチリドッグに齧り付く、いい年をした女。
ほっぺたにチリソースがくっついているが、大口を開けて一口チリドッグを食いちぎる。
ぷちり、ぷりぷりのフランクフルトの皮がはじけて、ぷるりと中の肉が舌で踊って口の中に肉汁を広げていき。
口の中に脂の旨味が広がる直後に、程よい辛味が波状攻撃として女の味覚を征服した。
パンのふわりとした食感と相まって、久々に暖かいまともなご飯にありつけたという実感をこれ以上ないくらいに彼女に感じさせた。

ごっくん。

喉が大きく動き、ふほー、と幸せそうに息を吐き出して。
いやんいやん、と身体をぐねぐねさせて本当に嬉しそうなリアクションを取った。
一個500円もしないチリドッグを一口喰ってこの幸せさだ、安いけれど人生楽しんでる女がそこに居た。
175 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/06(水) 22:22:51.38 ID:NPbrCRkGo
>>172
「ねえねえ、おにいさん?」

糸が張り詰められたようなこの場所には
似つかわしくない、無邪気な声が聞こえてくる
見れば、そこには金髪で碧い瞳を持つ、幼い少女
肩からはポーチをぶら下げて、大きな箱を背におぶる

「なにしてるの?」

……好奇心でもなく、かといって正義感というわけでもなかったた
今日はちょっとだけ、他に目を配る余裕があっただけのこと

血の匂いが鼻についた、ただそれだけのこと
少女はまた、血の匂いを嗅ぎつけた
176 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/06(水) 22:39:34.15 ID:nruo5nEWo
>>174
「あ、ありがとう」

彼女の妙なテンションには先程までの心配が不要に思えてくる
もしかして自分は心配性なのかと不安になってくる
ちなみに大正解なのが哀れであるとかは可哀想なので黙っておく

彼女に言われてその上に物を置いた
魔術の類だろうか、魔術師に会ったことはあってもこうマジかで見るのは
...と、興味深く思いドクターペッパーを紙の上に置いた後軽く指で触れてみた

「....っ」

ピリッと静電気のような
細い裁縫針が刺さるような鋭い痛みが一瞬指先を走って思わず指を離す
その様子はまるで怖いものに恐る恐る触れる動作にも似ていた
単に魔翌力に拒絶反応を持つ彼の体質だ、ろくに魔翌力の勉強をせず触れたのだ
これに彼女には非は一切ない
彼は痛みも口に出さずにベンチに座ってバニラアイスを食べようとする
まるで、痛みなんて気にしていないように

「...よく食べるな...ほら、口拭けみっともない」

彼女の元気な食べっぷりを呆れながらも見ている
途中で口周りのソースを拭こうと持っていたティッシュで彼女の口を拭こうとする
自分が食べるのそっちのけで彼女のお世話をしようとするのだ
間違いなく、というか絶対に誰かのお世話経験があるだろう
177 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 22:44:56.03 ID:I3f8pRc50
>>175

「あァん♪ お兄さんなんてえ、イ・ワ・ナ・イデ☆ミ
傷ついちゃうじゃないのよン★」

悪魔は少女を見据え大笑い
片手に持った『赤子』をブンブンと振り回しながら
おどけてみせた


「ンン♪ で? 何をしているかって?
見て分からないのン!?

ナニをしてるの、よ! キャハァン! いっちゃったぁ?
あたしったらハシタナイ娘ッ」

しかし、少女が無邪気に 男が邪悪に談笑に浸るあいだも
女は這い続けていた。 涙を流し 血を垂れ流し
悲鳴を圧し殺しながら 無心で ただ、男の足元を目指し這う

葉を目指し進む芋虫のような
哀れで 醜く 美しい女


『わ、わたしを...殺してぐだッ......』

「え? なぁに? きこえないわぁ? 」


無様に靴を舐めながら、男に顔面を足蹴にされ
ひしゃげた鼻と口に涙を垂らす女
なんと醜く 官能的なことか


舐めては蹴られ 舐めては蹴られ
そのやり取りは数回ほど続き
男は思い出したように、少女へと視線を移し


「ねぇ、この娘がグズだからあたし飽きちゃったワ」

「貴女、この娘を救ってあげてくれなぁい?
今からあたしがこのおもちゃを投げるから、受け取るか落とすかは貴女が決めてねん?

ちなみにィ、このグズは今日中に死ぬだろうから、受け取るのが救いか
落とすのが救いかは、あたしの知ったことじゃ無いけどネッ」



言葉を終えると同時に 赤子は少女に向けてほおられる


女はそれをみて悲鳴をあげ
男は笑いながら女の頭を踏み潰し


舞台は進み 観客は 新たな役者のアドリブに期待し 息を呑む


まぁ、観客なんて
いないのだけれど
178 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/06(水) 22:48:01.98 ID:basDX1+0o
>>176
『大丈夫?』

そう走り書きをして、チリドッグから口を離して首を傾げた。
さらり、と前髪がずれて、普段隠している左顔面が顕になり、とっさに隠す。
微妙に普段の元気な笑みとは異なる、ごまかすような笑顔は、ご飯中に見苦しいものをー、という感じだった。
何にしろ、悲壮感のようなものは感じられない。どこまでも、女は呑気で。
呑気なままに右手を伸ばして、くしゃりと紫苑の頭を撫でて、一人納得して手を離す。

『魔法、ダメ?』

と、珍しく、というより普段から真面目なのだが、呑気さを僅かに減じさせて。
女は、心配そうな顔で、紫苑の顔をのぞき込んでいた。
何かと面倒見は良いタイプであるリリーは、相手の反応を見て、心配せずに入られなかった。
まあ、口の端にソースがくっついている為、まったくもって微妙な光景となっているのだが。
んー、と呻きながら大人しくソースを拭かれて、子供扱いされたことに少し不満気な表情。

この女、外見から年齢がよく分からない女だ。
シワ一つ無いが、少女というにはどこか大人びた顔立ち、しかしながら振る舞いや表情は子供のそれ。
稚気と老成が入り交じる独特の雰囲気は、不安定さという美しさを内包して存在している。

「あー」

にへ、と笑顔を浮かべて、良い事を思い浮かべた――もとい悪いことを思い浮かべた様子で、リリーは相手に擦り寄って。
どこか色っぽい表情で、肩を寄せながらチリドッグを口元に突きつける。
恐らく、子供扱いされたことが不満で、ちょっと誘惑してみようとしているようだ。
子供扱いされたことが不満で、大人っぽいことという発想の時点で子供なのは突っ込んではならない点だ。
179 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/06(水) 23:00:24.16 ID:NPbrCRkGo
>>177
「話し方がおねえさんな話し方なんだねぇー」
口調こそは無邪気な子ども
無邪気さの下に隠すのは別の仮面

「ワタシコドモだからわからないの
ところで、それ楽しいの?」
一人の赤子が振り回されていて、
母と思わしき女性が赤子のために地を這っている
その程度の認識であった

理解に苦しむ少女は、首を傾げて見せながらも尋ねてみる
「救うの? 私が?
そこのおかあさんと一緒に殺すのじゃなくて?
……って、おかあさん生きてるの?」
幼いその唇から、息を吐くように発せられる
殺す、という言葉

しかし、流れに抗うことはせずに投げられた子どもを受け取る少女
あれほど振り回されて生きているものなのか、そんなことを思って脈を確認したりする
180 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/06(水) 23:06:37.94 ID:nruo5nEWo
>>178
「あ、あぁ...大丈夫だ」

ふと、感ずかれてしまったかと
少し悪い気がしてしまった、人を[ピーーー]のには慣れてるのに
こんな事で他人の心配をしていてはダメだと心の中で思う

「ダメじゃ...ない、むしろ教えて欲しいくらいだよ」

半分嘘だ、彼の肉体は一般的な魔法には耐えられない
少なくとも、彼の能力「禁忌・紫」の延長戦の魔法しか無理だ
それ以外は、素人に毛が生えた程度なら
それでも一歩間違えればどうなるか、自分にも見当がつかない
そんな彼が教えて欲しいと言うのも、少し前にあった戦いに起因している

口を拭いて不満なのか彼女のお色気攻撃
対するは彼の超絶無表情(哀れむような瞳付き)
対戦時間は約5秒だった

「...アホか、俺じゃなくてもっと心に決めた人に使えそういうの」

彼が目を逸らし、拭いたティッシュを丸めてソースが顔につかないように
グイッと彼女の顔の額を押しながら言った
あと割と効果ありで、彼は頭を抱えて目を逸らしてたりする

「あと...こういうの、隠さなくていいから
俺も気にしねぇし...見せたくないならいいけど」

そう言ってまるで相手の涙を指で拭く様な動作で彼女の前髪を少しだけ
周りに見えないが紫音には見える程度に上げる
顔の下にあるそれを見ても、彼は一切動じてなかった
単に照れ隠しの一環だが、まっすぐ彼女の顔を見た紫音は彼女にどう見えるのか
181 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 23:19:53.03 ID:FyrCgEBL0
>>179

「心もオネェさんよん? でも体は根っからの、オ・ト・コ♪

それに楽しいかなんて聞かなくても分かるでしょゥ? サイッコーにボッキものよぅ......♪ 」


次いで生きてるの? なんて質問に対し
女の頭を数度蹴り 小さく舌を打つ


「チッ 死んでやがる......
ァハ♪ 主様...今日も恵みにカンシャカンシャよぉん♪
今日も葡萄酒は美味しくてェ 他人の苦痛は ミツの味♪
堪らないわぁ...甘美だワァ.....アンッ...また絶頂ッ! 」


仰け反り 股間を盛り上がらせ
卑しく 気味悪く よがり 喘ぎ
少女をみつめ また、笑う


「脈ならあるわよん? その子はもうアタシの同属(はぁと)

心臓を潰さなきゃ死なないワァ? まぁ、約束を守るアタシは殺さないけどネン☆ミ 」


「[ピーーー]か捨てるか育てるか、それは貴女が決めなさいな?
アタシはそれを見ててあ、げ、る ★ 」


「まだまだたぎってるのよねぇ?
アタシってば ぜつ、りん? ダカラァ

はやくイカせてヨゥ?
たくさんイカせてェ?

じゃなきゃ、アタシの情欲、貴女への愛撫に変えちゃうわよン?」

182 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 23:20:01.15 ID:FyrCgEBL0
>>179

「心もオネェさんよん? でも体は根っからの、オ・ト・コ♪

それに楽しいかなんて聞かなくても分かるでしょゥ? サイッコーにボッキものよぅ......♪ 」


次いで生きてるの? なんて質問に対し
女の頭を数度蹴り 小さく舌を打つ


「チッ 死んでやがる......
ァハ♪ 主様...今日も恵みにカンシャカンシャよぉん♪
今日も葡萄酒は美味しくてェ 他人の苦痛は ミツの味♪
堪らないわぁ...甘美だワァ.....アンッ...また絶頂ッ! 」


仰け反り 股間を盛り上がらせ
卑しく 気味悪く よがり 喘ぎ
少女をみつめ また、笑う


「脈ならあるわよん? その子はもうアタシの同属(はぁと)

心臓を潰さなきゃ死なないワァ? まぁ、約束を守るアタシは殺さないけどネン☆ミ 」


「[ピーーー]か捨てるか育てるか、それは貴女が決めなさいな?
アタシはそれを見ててあ、げ、る ★ 」


「まだまだたぎってるのよねぇ?
アタシってば ぜつ、りん? ダカラァ

はやくイカせてヨゥ?
たくさんイカせてェ?

じゃなきゃ、アタシの情欲、貴女への愛撫に変えちゃうわよン?」

183 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 23:20:01.15 ID:FyrCgEBL0
>>179

「心もオネェさんよん? でも体は根っからの、オ・ト・コ♪

それに楽しいかなんて聞かなくても分かるでしょゥ? サイッコーにボッキものよぅ......♪ 」


次いで生きてるの? なんて質問に対し
女の頭を数度蹴り 小さく舌を打つ


「チッ 死んでやがる......
ァハ♪ 主様...今日も恵みにカンシャカンシャよぉん♪
今日も葡萄酒は美味しくてェ 他人の苦痛は ミツの味♪
堪らないわぁ...甘美だワァ.....アンッ...また絶頂ッ! 」


仰け反り 股間を盛り上がらせ
卑しく 気味悪く よがり 喘ぎ
少女をみつめ また、笑う


「脈ならあるわよん? その子はもうアタシの同属(はぁと)

心臓を潰さなきゃ死なないワァ? まぁ、約束を守るアタシは殺さないけどネン☆ミ 」


「[ピーーー]か捨てるか育てるか、それは貴女が決めなさいな?
アタシはそれを見ててあ、げ、る ★ 」


「まだまだたぎってるのよねぇ?
アタシってば ぜつ、りん? ダカラァ

はやくイカせてヨゥ?
たくさんイカせてェ?

じゃなきゃ、アタシの情欲、貴女への愛撫に変えちゃうわよン?」

184 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 23:20:09.07 ID:FyrCgEBL0
>>179

「心もオネェさんよん? でも体は根っからの、オ・ト・コ♪

それに楽しいかなんて聞かなくても分かるでしょゥ? サイッコーにボッキものよぅ......♪ 」


次いで生きてるの? なんて質問に対し
女の頭を数度蹴り 小さく舌を打つ


「チッ 死んでやがる......
ァハ♪ 主様...今日も恵みにカンシャカンシャよぉん♪
今日も葡萄酒は美味しくてェ 他人の苦痛は ミツの味♪
堪らないわぁ...甘美だワァ.....アンッ...また絶頂ッ! 」


仰け反り 股間を盛り上がらせ
卑しく 気味悪く よがり 喘ぎ
少女をみつめ また、笑う


「脈ならあるわよん? その子はもうアタシの同属(はぁと)

心臓を潰さなきゃ死なないワァ? まぁ、約束を守るアタシは殺さないけどネン☆ミ 」


「[ピーーー]か捨てるか育てるか、それは貴女が決めなさいな?
アタシはそれを見ててあ、げ、る ★ 」


「まだまだたぎってるのよねぇ?
アタシってば ぜつ、りん? ダカラァ

はやくイカせてヨゥ?
たくさんイカせてェ?

じゃなきゃ、アタシの情欲、貴女への愛撫に変えちゃうわよン?」

185 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 23:20:24.14 ID:FyrCgEBL0
>>179

「心もオネェさんよん? でも体は根っからの、オ・ト・コ♪

それに楽しいかなんて聞かなくても分かるでしょゥ? サイッコーにボッキものよぅ......♪ 」


次いで生きてるの? なんて質問に対し
女の頭を数度蹴り 小さく舌を打つ


「チッ 死んでやがる......
ァハ♪ 主様...今日も恵みにカンシャカンシャよぉん♪
今日も葡萄酒は美味しくてェ 他人の苦痛は ミツの味♪
堪らないわぁ...甘美だワァ.....アンッ...また絶頂ッ! 」


仰け反り 股間を盛り上がらせ
卑しく 気味悪く よがり 喘ぎ
少女をみつめ また、笑う


「脈ならあるわよん? その子はもうアタシの同属(はぁと)

心臓を潰さなきゃ死なないワァ? まぁ、約束を守るアタシは殺さないけどネン☆ミ 」


「[ピーーー]か捨てるか育てるか、それは貴女が決めなさいな?
アタシはそれを見ててあ、げ、る ★ 」


「まだまだたぎってるのよねぇ?
アタシってば ぜつ、りん? ダカラァ

はやくイカせてヨゥ?
たくさんイカせてェ?

じゃなきゃ、アタシの情欲、貴女への愛撫に変えちゃうわよン?」

186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2013/02/06(水) 23:32:21.45 ID:NPbrCRkGo
>>183
「ワタシハコドモダカラヨクワカラナイナ」
片言っぽくも無邪気さを装う
しかし、一つだけ確かなことを確認する

あの人間には、子どものフリなど意味すら成さないだろうことを

「さ、行ってらっしゃい
死んじゃったらそれまでね」
地面にゆっくりと、赤子を降ろす少女
逃げられないならそれまで
赤子を育てる甲斐性など持ち合わせていない

「おねえさんがなにを言ってるのかはわからないけどねぇ、
危ないことはしてほしくないな?」
ポーチに手を入れる少女
手さぐりでなにかを取り出そうとしてみる
187 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/06(水) 23:47:48.00 ID:FyrCgEBL0
>>186

「ァハ♪ 子供ってこんな光景でも冷静に対処出来るのネ

現代ッコてェ、怖いわぁ......
でもこれでその子にも期待できるわねン!
『立派』に『醜く』『貴女みたい』に生きてくれることをネガイマショ♪」

赤子は よたよたと立ち上がり
歩みを進める。 向かうは表街道
徐々に緑に染まって行く醜くい赤子は 街に辿り着き
人を食らい 人に殺され 無様に死んでいくのだろう
そんな怪物と 眼前の少女を並べ
汚い笑みを浮かべてみせた


「アーァ、カワイソ、カワイソ♪
ア、あたしってばバカだわぁ...あの子に貴女を襲わせればよかったのにネッ」


「ンー♪ でもドジッ娘なあたしも素敵ネ!
そんなアタシに愛される... 貴女がアタシはウラヤマスィー♪ 」


怪物の叫びと同時に 張り巡らされていたイバラが収束され
少女の視界を遮るように 柱となり
次いで彼女を潰さんと 柱は少女へとたおれこんだ

無論、隙も多い
故に単調なこの技は避けることも容易いはずだ


188 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/06(水) 23:58:44.82 ID:NPbrCRkGo
>>187
「女の子なら、ちょっとだけ願いたいね
ちょっとだけね」
人の性格は環境に寄る
経験の中で、そんなことを思うことがあった

……あれ、今あの人はなんていった

「今さらだけど、あの赤ん坊になにしたの?
……っ」
言い終わりと柱が倒れ込んできたのはほぼ同タイミングであった
後ろへと飛ぶようにして避ける

そして背負った黒い箱に、手をかける
189 :アカネ・イバラギ/赤目 赤髪 スーツ男2013/02/07(木) 00:17:24.11 ID:CIUNBBq90
>>188

「さっきもいったじゃなィい?
あたしの同属...つまるはなしが怪物ヨゥ★

薔薇色の化け物になったのン♪
この娘みたいにねぇ? 」


少女が飛び退き、柱が避けられ
その柱の背後から、先程まで這っていた 死んだはずの女が
現れ、少女へと肉薄し、歪なトゲに覆われた拳を その華奢な腹部に叩き込もうと 振り回す

その様子を眺める男は 楽しそうに 愛しそうに 口元を緩めていた
何処までも卑しく 決して自身で手を下すことはしない

醜くい怪物は へらへらと 笑む
190 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/07(木) 00:32:26.57 ID:B9+HF+dCo
>>189
いままで、そこに必然性が存在するのならば、
人から見て悪に相当する行為もやむなし、と考えていた
しかし、これはいくらなんでも……

「あー、ゾンビ……、同じって言ってたから吸血鬼?」
口調が冷たさを伴ったものに変化する
雰囲気も無邪気さが消え果て、代わりに無機質さが少女の雰囲気を支配する
箱から取り出したのは、赤く湿り染まった、人ほどの重さ
そして少女と不釣り合いなほどに大きな鎌
仄かに血の匂いを漂わせるそれを、自分のほうへとやってくる
女に向けて、振りかぶろうと試みる

どうやら、狩る気でいるらしい


191 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/07(木) 19:33:51.82 ID:F80omkp9o
>>180
『でも、私の魔術って普通とは違うからねえ。
 土台の知識は確かに確り身につけたけど、正直先生には向いていないんだよね、私。
 というかそれよりも、君がなにやら面倒な体質なのは分かったから、辛いとか痛いとか有ったらすぐに言ってね?』

そう紙に書き付けて、こてんと首を傾げた。
成る程、リリーの魔術は明らかに異質だ。
そも、人語の発音の出来ぬリリーが、魔術を使えるようになるまでに重ねた努力は計り知れない。
なにせ、呪文を一言も唱えられぬのに、並の魔術師以上の魔術の技量を誇っているのだ。
それは、普通ではない。普通ではありえない狂気じみた努力が無ければ、今の域には居ない、それで漸く並以上。
だからこそ、魔道に紫苑を引き込む気にはなれなかった。特に、己の魔術については、なおさらだ。

「うあう……」

無表情プラス哀れむ瞳付きの紫苑の攻撃で、リリーは1秒で涙目だ。
要するに、敗北である。しかしながら、相手もどぎまぎしていたから引き分けだ。
こっちもこっちで、何やってんだか、と思って微妙に気恥ずかしかったのだが。

前髪を僅かに上げれば、前髪の奥の火傷痕が良く見える。
ひどいケロイドとなった顔は、彼女の柔らかい印象に一抹の影を落としていて。
そのアンバランスさが、彼女の独特の雰囲気の起因の一つであるのかも知れなかった。
紫苑の視線を、ホログラムのように視点で色が七色に変わる虹彩を持つ義眼が、受け止めていて。
相手のその気遣いに、リリーはくすり、と笑みをこぼした。

『ご飯中だったから、ご飯美味しくなくなるかなーって思ってね。
 だって慣れてない人見たらビクッ!ってなっちゃうでしょー?
 私はいいんだけど、他の人が困るのが嫌だしさ、ね?』

先ほどの作業中も、スラムの人が気にしていなかったからこそ、邪魔な前髪を退かしてさらけ出していて。
要するに、リリー自身の不快とか、負い目があるから隠しているのではない。
自分の外見が、紫苑の様な優しい人以外に取っては、嫌がられるものだと自覚しているからこそ、隠していただけだった。
それでも、紫苑の優しさは嬉しくて、子供のようにあどけない笑顔を、大人の顔で浮かべてみせて。
指先を紫苑の胸元につつい、と走らせてありがとう、と伝えることだろう。
192 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/07(木) 20:04:08.61 ID:kvsKRkAZo
>>191
「まあ、並大抵の魔術すらできない俺にできるとは思ってないさ
ただ...使えなきゃいけない、強くある必要がある」

数日前の惨劇
罪のない一般市民が次々と死神に殺戮される場所に居合わせ
その場にいた他の人と死神をなんとか撃退したが、結果は散々だった
自分には何もできなかった、『あの人』が亡くなってから1人でも大丈夫なように
1人でも生きられるように頑張ってきたつもりなのに
己の未熟さに腹が立つ
その為に、己が身に反しても魔を欲する
彼の空虚に見えたその瞳にはこの時確かに“光”があった


「そんな傷は見慣れてる、俺だって袖の下は塞がった傷だらけでボロボロだぞ?」

と、彼は左腕を上げながらそう言った
捲らなければその袖の下は見えず、今は腕輪が少しだけ覗くだけだが

「だから...その、なんだ...礼なんかはいらない...うん」

彼女の感謝のメッセージを受けとってそう言って上体だけ振り返った
彼女に背中を見せる形で、思い出したようにバニラアイスを頬張る
振り返る一瞬見えた彼の顔が赤かったのは、言うまでもない
もちろん、先程の腕の傷云々は照れ隠し思い切りだ
さらに一気飲みしたドクターペッパーでむせたり
よほど恥ずかしいのだろう
こういう他人の純粋な好意や感謝に慣れてないのが彼なのだ
193 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/07(木) 20:11:06.90 ID:F80omkp9o
>>192
『――そっか。
 ……じゃ、後でおねーさんがおまじないをしてあげよっかなー?
 本物の魔女の本気のおまじないだから、すっごいよー?』

これでも本物の魔女であるリリーは、相手の瞳に有る光を感じた。
託しても問題がないだろう、そして相手がそれを必要としていることを認識して。
だからこそ、相手のために何かをしてやりたいと思った。
ナイト・スター・リリーは情が深い。紫苑のような頑張る少年を見逃すことなど、出来ないのだ。

「んっふふ」

不器用な笑い声を漏らしつつ、ケバブサンドを口に放り込んで。
次に、コロナビールの瓶の口から、さく切りにされたライムを押し込む。
そのビールをごっくんごくん、と喉を鳴らしながら呑み下していく図は、鯨飲馬食と行った様相か。
10分もすれば、リリーは幸せそうな顔で、お腹をぽんぽん叩いてベンチに背中を預けていた。
そして、ふと思い出して筆をスケッチブックに走らせた。

『そういえば、まだ名乗ってなかった。
 私のペンネームは、ナイト・スター・リリー。よろしくね?』

ぺこり、とお辞儀をしているイラストと一緒に、女は小さな手を相手に差し出して、笑う。
相手が慣れていないことなどつゆ知らず、朗らかな善意と好意を相手に向けていた。
194 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/07(木) 20:27:39.56 ID:kvsKRkAZo
>>193
「俺に扱える...いや、扱えない規格外なモノでも
教えてくれるなら、頼む」

彼は、善人だ
人生が、方法が、思想が、存在がなんであろうと
彼は常に誰かを救うために誰かを切り捨てる善人であり続けた
誰も彼も、全員を救うなど、不可能だと夢物語だと知っている
だが、諦めれなかった
今まで落としてきたモノ達を思うと、立ち止まれない
だから、力が欲しかった
それでもこの手で救えるものがあるのなら
切り捨てる数を、減らせれるなら
彼の眼には意思が宿っている

「俺は紫乃咲、...紫乃咲紫音だ」

彼女がスケッチブックを提示して話しかけてるのに気付いて振り返る
手で顔の半分を覆う姿は何とも滑稽というか
何処かおかしいというか可愛らしいというのか
やっぱりこういうのは誰が相手でも恥ずかしい、と
心の中でそう思えてきた

「...俺って何故こんなに弱いんだ...」

ふと、己の心の弱さに頭を抱える
理由としては彼が好意を受ける時期に受けなかったリバウンドだが
そんな事に気づかず、まるで己の修行不足を悔やむ修行僧の如く
本気で悩むならバニラアイスもドクターペッパーも喉を通らない筈だが気にしない方向で
195 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/07(木) 20:40:34.87 ID:F80omkp9o
>>194
『弱くてもいいと思うよ?
 弱いなら誰かに補ってもらったり、誰かを補ってあげればいいじゃない?
 ダメなのは弱いことじゃなくて、弱いことを受け入れてしまうこと。
 紫苑は弱いって自覚してるから、全然おっけーって訳! おねーさんもついてるしね!』

紫苑を慰めるような言葉だが、これはリリーの思想だ。
弱い事ではなく、弱いままで居ることを良しとするのが行けないこと。
そして、弱さを抱えていても、誰かにその弱さを埋めてもらえばそれでいい。
今、リリーは。相手の抱える弱さを知りたいと思って、その弱さに触れたいと思った、だから、リリーから曝け出す。

『私は、喋れないし、顔は火傷してるし、貧乏だし、社会不適合者だよ?
 争い事とか、しがらみとかが嫌でずっとあのトラクターで色んな所旅して回ってるの。
 多分、何か大切な物と向き合うことをやめちゃった私は、きっとすっごく弱いの。
 でもね? ずっと一つと向き合うのを辞めた私は、色んな人に出会えるようになった、色んな人生を見てきた。
 だから言うよ――紫苑、君は強いよ。ほんとうに強い。だって、誰かのために、何かのために力を求められる人間だ。
 それをエゴって言う人もいると思う、無茶という人も居ると思う。でも、私は君の在り方を綺麗だと思う。好きなんだ、君みたいな人間は』

ずらりと長文を並べ立てる、リリー。
相手に心を開き、相手が求めるものを描き出すのが、リリーの真骨頂。
薄いほほ笑み、そして感じられる魔力の脈動、生き生きとした鮮やかな色彩を含む、色とりどりのオーラ。
それらが、リリーから感じられ、リリーの指先が空に光の線を引く。

『術式作家ナイト・スター・リリー、今から臨時でこの場で開店するよ。
 さて、お客様。お客様の弱さを、お客様の求める物を、きっと私は用意してみせましょう。
 だから、紫苑? 私に君の弱さを、さらけ出して。……馬鹿になんてしない、確り見つめて、受け入れるから』

前髪を上げて、両目≠向けてリリーは紫苑に真っ向から目線を交わす。
群青色の右目と、虹色の左目が、優しい光を孕みながら、少年の心を汲み上げようとしていた。
そして、汲み上げた心で、魔術を組むのがこの魔女だ。きっと、紫苑の求めるものを彼女は創りあげようとしてくれるだろう。
196 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/07(木) 21:13:12.94 ID:kvsKRkAZo
>>195
「...ありがとう、本当に」

何故だろうか
この時、素直にこの言葉が出てきた
自分にも理由はわからない
ただ、今この時がこの言葉を口にするのが相応しいと
そう心の中で思うことができたのだろう

「俺の...弱さ....」

──言葉が詰まる。
景色が過ぎ去って行く──。
あらゆる情景が紫音の前を過ぎ去って消えて行く
これはなんだろうか、深く閉まって閉ざしていた記憶のカケラ

──鉄と火薬、爆音と悲鳴が通り過ぎる
この光景を何処かで見た
ずっと昔の名前も忘れた何処かの国だ
逃げ惑う彼らを尻目に引き金を引く
──逃げ去るよく知る誰かの首を切り裂いた
恐怖し逃げ惑う彼らを後ろから切り開く
溢れ出す鮮血が全身に降り注いだのを感じる
その時に俺は、泣いていたのを覚えていた
──か細い、機械越しの声を思い出す
自分の手で切り捨てた愛した女性の声だ
声と共に自分の嗚咽で溢れている
─、───。ある言葉が胸を通り過ぎた

「───あ、」

何かを、思い出した
無意識の海へ投げ捨てた、誰かの言葉を
記憶は全身を駆け巡るが、言葉に変えれない
自分の思いを口にできない
なんて表現したらいいのか分からない言葉を紡いで、思うままに口を開く

「...俺は...、ヒトになりたいんだ普通に生きて、普通に過ごす
それが...怖いんだ、俺の人生で切り捨てた人の数は分からない
それが正しいって思えたからずっとやってきた
けど...その為に、愛する人を捨ててきた
この手で、愛する人を殺して殺して殺し尽くした
...だから、戻れない...また自分はこの手で切り捨てると思うと...」

目頭が熱くなった
視界が歪み、何処か意識がぼやけていく
紫音の心は、壊れている
彼は誰か大勢を救う為に、少数を捨ててきた
その道で愛する人も切り捨てた
振り返ってはならないと
突き進むことが、正しいのだと
振り返っては切り捨てた人達に何を言っても償えない
この道を続けることが、彼らへの贖罪だと

その思考に固まった彼の真意は──、ヒトになりたい
普通に過ごし普通に生きて、愛する人を普通に愛せれるそんなヒトに──。
197 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/07(木) 21:28:19.37 ID:F80omkp9o
>>196
『――それが、君の弱さ、か。
 泣いていい、いや――泣いて?
 泣くことは、弱さに負けることじゃあないの。
 泣いて、泣いて泣きはらして、悲しみを洗い流すのが涙だから。
 きっと、泣いて泣いた君は、強くなって立ち上がれる』

視界が歪み、水滴が彼女の目の前でこぼれ落ちて。
何も言わずに、リリーは紫苑に身を寄せて、正面から少年の身体を抱きしめた。
背中を優しく叩き、頭を子供をあやすようにくしゃりくしゃりとゆっくり撫でて。
泣いてもいいと、女は言う。泣けと、存分に泣いていいんだよと、相手の悲しみを己のカンバスに映し込んで。
魔女もまた、静かに泣いた。静かに、静かに――しんしんと降る雪のように心身からは雫がこぼれて行き。
背中に指を滑らせながら、リリーは紫苑に言葉を投げかけていく。

『……君が思っているより、君は普通の人間だよ?
 だって、昔の事を後悔して今泣けているし、さっきだってあんなに私に優しくしてくれた。
 だからね、ヒトになりたいなんて言わなくていい――君は、十二分に人間なんだ、きっと私よりも』

少なくとも、今リリーの前にいるのは、傷だらけの心を見せて泣いている普通の少年だ。
だからこそ、その傷を抱きしめたかった。その傷を、癒したかった。
人を切り捨てた事、愛する人を殺したこと、リリーにだって有るのだ。
だが、リリーはそれを越えて今ここにいる、此処に個々として存在して、自分の人生を生きている。

『君に必要なのは――武力じゃない。
 その傷ついた心を癒すすべこそが、きっと一番必要なもの。
 ……ごめんね、私には君を抱きしめることくらいしか出来ないみたい。
 その代わり、もうちょっと泣いていいよ、落ち着くまでおねーさんが、面倒見たげるから』

強く、強く抱きしめる。
一人じゃないと、君を思う人はきっと居ると、誰よりも人間らしいよと。
言葉を紡げない女は、言葉よりも雄弁に動作で総てを物語ろうとしていた。
198 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/07(木) 22:03:39.50 ID:kvsKRkAZo
>>197
「っ...くっ....あ、あぁ.....」

言葉が出ない、発する事ができない
喉の奥から溢れ出す嗚咽止めることができない
紫音の口から溢れ出すそれは、少年の寂しくも悲しいそれだった

「ああああぁぁぁぁあああっっっ!!」

好きと言いたかった
また貴女の笑顔が見たかった
あの非凡であっても笑顔のあったあの日々に戻りたかった
ごめんなさいと、数えきれない程叫んでも返事は返ってこなかった
爆炎と爆風で溶けていく貴女の体を抱きしめることすらできなかった
貴女の眠らぬ空っぽの墓地で何度泣き叫んだか分からない

「あぁあああっ...!ああぁぁああああっ!」

止まれなくて止まれなくて
ずっと苦しくて、やめたくて
それでも何処かで見ている貴女を思うとその腕を止めれなくて
誰よりもヒトで有りたいと
生まれがなんであれ、どんな人生であれ
当たり前に生きたいという願いを踏みにじって
ただ一心に、殺し続けた
どんなに泥を被ろうと、どんな汚名を付けられようと
誰かを救えたという事実が支えだった

彼女の背中に手を回し、伏せた顔のまま紫音は思い切り涙した
涙腺なんて、あの時使い切った筈なのに
止めどなく溢れ出す
もはや自分の感情なんて分からない
何がしたいのかも、分からない
ただ一つ、彼に言えることは

───自分は、ヒトなのだ
誰かと一緒に、当たり前に生きれる事──
その事実で、十分だった

数分後、紫音は目を真っ赤に鼻をすすって泣き止むだろう
抱きしめられたその体勢のまま顔を上げ、彼女の方を見る
また恥ずかしそうにしているが、その顔は不思議と笑っていた
199 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/07(木) 22:14:47.54 ID:F80omkp9o
>>198
「あー」

言葉にならない、音が零れて。
至近にある紫苑の瞳を視線を工作させて、リリーは笑んだ。
ぽん、ぽん。安心させるように背中を叩いて、いつも通りの呑気な雰囲気を振りまいて。

『ちょっと、スッキリしたかな?
 ごめんね、おねーさんもあんまり役に立たなかったかも。
 でも、そうだね――、君にあげられる魔法は、一つかな』

背中に回した手で、文字を書いて言葉を伝えて。
リリーは、僅かに間を置いた後に、紫苑の頬に柔らかさを残して身を離した。
ぴりり、と魔力の残滓が紫苑の頬に感じられたことだろう。そう、キスだ。

『ちょっとしたおまじない。
 きっと君が素敵な子と出会えるように――ね?』

スケッチブックにそう書いて、気恥ずかしげに首を傾げて、僅かに目を逸らして。
らしくないことしたなあ、と心の中でつぶやいて。
女はんあー、と声を漏らしてぐぐぅ、と伸びをした。

空を指差す女。

指針の先には満天の星。
別にどうということはない、たまたま都会で綺麗な星空が有っただけ。
でもそれがどうしようもなくうれしくて、なぜか女は涙した。静かな、透明な雫が頬を流れて落ちていき。

『暫くの間は此処らへんに居るからさ。
 なんか有ったらスラムまで来てね? 出来る限り、力になったげる。
 じゃ、ちょっとほっぺたチューで恥ずかしいから私帰るから! じゃーね紫苑!』

そうスケッチブックに書きつけると、リリーはそそくさと帰って行こうとする。
呼び止めるならば、ぎこちない動きながらも、朗らかな態度で振り返ることだろう。
200 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋[sage]:2013/02/07(木) 22:33:40.44 ID:kvsKRkAZo
>>199
すべての溜まっていた感情を涙と共に流れ落とす
ありがとう、と呟いた彼の声は届いただろうか
それを確認する前に、頬に伝わる柔らかい感触
何だろう、紫音には経験した事がないものだ
まだ落ち着ききれてないので、頭が回っていない
数秒間──、彼女が立ち去ろうとするところで正気に戻る

「え....えええええぇぇぇっ!!」

ガタン、と思わず仰け反ってベンチから落ちそうになる
まだ感触の残る頬に軽く触れ、途端に顔が赤くなる
気が動転していた
何があったのか理解するのに使用したこの数秒がこの感触を記憶に強く刻む

「あ、ああ...」

パクパクと、口だけ動かし言葉にならないと言葉を発しつつ
彼女の背中を見ながら、呼び止めようとも思ったがあえて言わない

「...ったく、俺がこういう借り作ったままにする人間じゃないって知らないよな...
今度会ったら10倍にして返してやる...絶対」

冷たい夜の風に熱い頬は赤い
思わず口を覆って目を伏せるそれは何なのだろう
風にかき消されそうな彼の決意は彼女に届くのか──、

──今夜も夜空に流れ星が落ちている


/こんな感じで〆でしょうか?お疲れ様でしたーっ!
/こんな拙い文章に付き合って下さってありがとうございましたー!
201 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/07(木) 22:36:52.52 ID:F80omkp9o
>>200
/*お疲れ様でしたー! とっても楽しかったのですよー!
 此方も、昨日は途中で落ちてしまって申し訳なかったです!*/
202 :白熊 佐助 No.15エリゴス2013/02/07(木) 22:54:11.33 ID:ytmnvnW+o
【ロンドン、呪われた都――】

【この地は嘗て要塞化された地でもあった。】

【この地を変えたのは世界の敵を名乗る者――】

【その者は人々の悪性を引き出し、この地を地獄へと変えていった】

――――

【その事件から一月以上が経つが、隕石までも降り注いだ地獄――】

【やはり静けさを保ったままだ。所々に大きな爪痕を残している。】

【そしてこの呪われた都に立つ者が一人――】

「シモン・・・聞いてくれ・・・また、戦いが始まる・・・
 バミューダ・トライアングル・・・あの呪われた海で俺達は拠点を取り戻す。
 拠点・・・お前にも見せてやりたかったぜ・・・
 そして、その戦いにはアスモダイがリーダーを務める。
 メイザースが直々に選んだんだ・・・それだけ、その拠点が重要って事なんだろうな・・・」

ロンドン、俺はこの呪われた都で空を見上げる。
俺の仲間が此処で命を落とした。
巻き込まれたわけじゃ無いんだけどな・・・
アイツは組織のリーダーの為に・・・
そのリーダーは組織の力を高めるため、組織に召集を掛けている。
俺もその一人だ。戦いの前に、俺は死んだ仲間に挨拶に来たって訳だ・・・

【その男、金髪を持ち――】

【その男、耳にピアスを空け――】

【その男、タンクトップに身を包み――】

【その男、右手に腕時計を身に付け――】

【その男、肩には円環の楽園が持つ紋章を持っている――】
203 :アカネ・イバラギ /薔薇を操る吸血鬼2013/02/07(木) 22:59:14.78 ID:OFovVMEC0
>>90

「はっー!? 斬った斬ったきっちゃたぁ!? 
もう貴方ってばサイッコーよぉ 
さっきまで人間だった娘を平然と切るなんて、イッカレテルゥ♪」

鎌を出した少女を眺めながら男は笑い、動く屍となった女は無様にも特攻を続ける
その時点でのオトコの笑いは、何か別のものに対し向けられていてそれを隠すためにワザとらしく笑っているようにさえみえて

それを証明するように、男は言葉を付け足した

「で・も ★ 愚かでもあるわん? どうやってその娘を仲間にしたのか
いつしたのかもォ、考えなくちゃネン? 

ンマ! 答えなんて教えてあげないけどネェ
吐き捨てられた言葉が少女へと届くと同時に、少女の振り上げた鎌は女を真っ二つに切り裂き女が地に倒れこむかとおもえたが…

「いっつ! しょぅたぁい! ムゥーーーーーーーーーーーーーーーーチュ

女は倒れることをせず。 その分かれた肉体の狭間より 無数の棘を射出する
それは、男より送られた、少女への誘い
仲間にするための招待状。そして少女を人形へと変えるべく放たれた悪意の散弾でもあった


/遅れてすいません! おいときます!
204 :アカネ・イバラギ /薔薇を操る吸血鬼2013/02/07(木) 22:59:27.90 ID:OFovVMEC0
>>90

「はっー!? 斬った斬ったきっちゃたぁ!? 
もう貴方ってばサイッコーよぉ 
さっきまで人間だった娘を平然と切るなんて、イッカレテルゥ♪」

鎌を出した少女を眺めながら男は笑い、動く屍となった女は無様にも特攻を続ける
その時点でのオトコの笑いは、何か別のものに対し向けられていてそれを隠すためにワザとらしく笑っているようにさえみえて

それを証明するように、男は言葉を付け足した

「で・も ★ 愚かでもあるわん? どうやってその娘を仲間にしたのか
いつしたのかもォ、考えなくちゃネン? 

ンマ! 答えなんて教えてあげないけどネェ
吐き捨てられた言葉が少女へと届くと同時に、少女の振り上げた鎌は女を真っ二つに切り裂き女が地に倒れこむかとおもえたが…

「いっつ! しょぅたぁい! ムゥーーーーーーーーーーーーーーーーチュ

女は倒れることをせず。 その分かれた肉体の狭間より 無数の棘を射出する
それは、男より送られた、少女への誘い
仲間にするための招待状。そして少女を人形へと変えるべく放たれた悪意の散弾でもあった


/遅れてすいません! おいときます!
205 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/07(木) 23:15:33.17 ID:XRdm4W7Ko
>>204
人の黒い部分の寄せ集めの結果のような男
一つのパターンとはいえども、そんな男が目の前に立っている

それは仮面の奥底に眠る恐怖や生存欲といった感情を呼び覚ますには、
充分過ぎる物であった

しかし、それを表に出すことはない
出しては負けだ、そう少女は感じていた

「嫌っ……」
気付いた時には時すでに遅し
棘は幾らか突き刺さる
とっさに箱を盾代わりに使うことで、全弾直撃という事態は間逃れるが

//確認! そしてあえて幾らか受けてみる!
精神力次第では吸血鬼にならないと信じて……
206 :アカネ・イバラギ /薔薇を操る吸血鬼2013/02/07(木) 23:44:33.56 ID:OFovVMEC0
>>205

「あはっ! 食らったわねぇ、あたしのか・ら・だ
 お味はどうかしらん? たまらないんじゃなぁい?
 カラダが人を辞めようとする快楽と、あたしの かおりぃ? 」

今をもって、少女に埋め込まれた悪の棘
男は、最初からまともに戦う気などない。彼は、彼女の思うとおりの男
人間の負を掻き集めたかのような存在であり、他人の不幸を何よりも愉悦とし、求めているのだから
戦闘など、する必要がないのだ。全ては、新たな玩具を産み出す 布石。

男はその大きな赤い瞳をぬらぬらと動かしながら、彼女のもとへと歩み寄る
その全身から、『その場から動くな』という種の指令を、香りという形で発しながら

「ほらぁ、目覚めなさいな? 同属に
 それで貴女は大切な人を[ピーーー]のよ? 次に会うまでにその首をあたしに渡しなさいな♪ 」

その命令は彼女精神力次第では無効にさえ出来る。吸血鬼化もまた然りだ
しかし、彼女がカラダに棘を植え込まれたことに気付けなければ
ふとした拍子に、吸血鬼に目覚めるかもしれない。大切な人を[ピーーー]かもしれない

男は、お遊びのためだけに、少女に危険な因子を植え込んだに過ぎない
即効性など必要ない。永く 末永く 遊ぶために。 

焦らされて 焦らされて 最高の 絶頂を迎えるための 前戯(オアソビ)なのだから…
207 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/07(木) 23:59:52.10 ID:XRdm4W7Ko
>>206
「なっ……」
ある程度は理解していた
棘を介してなんらかの細工を施したのであろうことにも、薄々感づいていた

しかしすぐには行動に移せず、香りに一瞬だけ反応する
しかし……

「……私を舐めるなあぁぁぁぁ!」

細胞に働きかける、それが少女の根本を成す能力
能力を駆使すれば、自らの身体に働きかけることで、
棘すらも無効化ないし消滅させるかもしれない

子ども……、いや、獣の雄叫びであろうか
少女は虚空へと叫ぶ

例え自らの能力で無力化できなかったとしても、
少女は脆く儚い夢と共に生きてきた
そして、夢の一つがようやく叶ったのだ

こんなところで邪魔されるわけにはいかない

生きて帰らなければいけない、こんな場所で朽ち果てるわけにはいかない
こんなわけのわからない男の遊びに付き合う暇などない


少し前の少女ならいざ知らず、今の少女にはたった一つの心の支えが存在した
それが少女の心を、精神をより強靭なものへと変えているのだ

「お前なんかに、従うもんか……!」
少女は、怒りを露わにした
仮面でもなんでもなく、自らの意志で

そして一歩を、踏み出そうとする
208 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 00:07:20.16 ID:9BywG99I0
 よれた安物のスーツとコートに、適当に切ってくしを通しただけの金髪。
 どことなくくたびれた様子の青年は公園のはずれにあるベンチに腰かけて、懐をまさぐる。
 取り出したのは煙草の箱。『DEATH』と印字されたドクロマークのパッケージが異彩を放つ、英国製の煙草だった。

 慣れた手つきで一本振り出して銜えて箱を懐に戻す。
 代わりに手にしたマッチ箱からマッチを一本取り出すと、器用なことに片手でマッチを擦って火をつけた。
 そのまま煙草の穂先に火をともしてマッチを消した一連の動作は、20代と思しき青年にしてはいやに手馴れていた。

 ぼんやりと、青年は立ち上る紫煙を見つめながらベンチの背もたれに寄りかかる。
 空を仰ぐような姿勢のまま大きなため息をつくと、肺いっぱいに吸い込んでいた煙が口から洩れ、冬場の吐息のような薄靄をあたりへまき散らす。
 
「つかれた……」
 
 誰に言うでもないつぶやきは、しんと静まり返った公園にしみ込むようにして消えてゆく。
 星空がきれいだな、などと、公園に植えられた木々の葉の間から覗いている夜空に視線を投げかける。

 ぼんやりと、なにをするでもなく。
 ただ無言で身じろぎもせずに空を見上げる青年の隣には、コンビニで買ってきたおにぎりや缶ビール、そしてアツアツのホットフードの類がビニール袋に詰められて忘れ去られていた。
  
209 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 00:17:13.89 ID:c4TUo73lo
>>163
「でも、ほかの人がそんな優しさを併せ持っているかなんてわからないじゃない
お話に出てくるような、"魔王"みたいな人だったら、なんて思うと、ね……」

どれほどに身を案じても、やはり当事者ではないのが壁となる
感じた壁、それにどことなく歯がゆさを感じた

「……うん」
こくり、と頷いて 言葉を短く切る

こちら側の世界で、少女もまた人を傷つけた
さまざまな方法で、人を傷つけた

今さらただの子どもに戻ることはできなくとも、
そんな風に振る舞うことはできる

……もしかして、私も無意識のうちに
心に痕をつけていたのかもしれない
そのせいで、心を忘れちゃったのかもしれない


「まずは遊ぶだけでいいんだ
ここをこうして、ああして……」
なにかに従うかのように、しかしどこか無邪気に、
金属とじゃれ合うようにして加工を進める

自分の足で稼げるようになれば、きっと表の世界で生きていける
胸のうちに、新たな夢を浮かべるのだった

//遅くなりました! 返信します!!
210 :アカネ・イバラギ /薔薇を操る吸血鬼2013/02/08(金) 00:19:08.65 ID:Bp0vCcUI0
>>207

「アひゃぁアアアアアアアアアアアア
 ウゴイタァ!? あなたってもう、ホンットォにサイッコォにくれいじー★」

踏み出す少女。身を捩じらせ醜い喘ぎ声を上げる男。
己の香りの束縛に抗い、吸血鬼への変化をも感じさせない
しかし、ようやく 露になる 少女の感情。
それが、男への快楽を更に助長させ、情欲に溺れる 男

「その、怒りをあらわにした仕草★
可愛いッたらありゃしないわぁん! 
んっふ でも 今のでわかったわァ。あなた、大切な人が居るのネ」

少女を上目使いで眺めながら人差し指をチロリと舐めて

「なぁら、あたしは貴女を狙わない
あなたの大切な人。あなたのターニングポイント、ぜーんぶ見つけて、壊してあげるわぁ♪ 」


「うふ、ぐふふふ…あたしの名前はアカネ。アカネ、イバラギ。
 また、会いましょうね? 名前も知らない、女の子、さん? 」

次いで、男は全身を茨へと変化させ、路地の隙間を縫うように逃げ出そうとするだろう
無論、追う事も可能であるし、香りの支配がないいまなら、完璧な攻撃を狙えるはずだ
少女にその意思があれば…の話ではあるが
211 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 00:22:39.47 ID:LYZ42WMFo
>>208
一際強い風が吹いた。体の芯まで凍えるような冷風、ゆるいウェーブのかかった赤毛がたなびく。

「なあ、おじさん。それ食わないのか」

悪戯っぽい笑みを浮かべた少女は、男性を見つめて呟いた。
少女の履いた使い古された紺のジーンズは、この寒空の下で寒さを凌ぐには些か心もとない。
コートも手袋もマフラーもせず、見ている方が凍えそうになるほどラフな出で立ちで彼女はたたずむ。

「だったらそれ、オレにくれよ。腹減ってんだ」

寒空の下、しかしそんな寒さは気にせず明るい笑みを浮かべて、少女は男性にたかる。
気安げな仕草で男性の隣に座り込むと、無邪気にも鼻歌なんぞを歌い始めるのだった。
212 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 00:27:52.10 ID:c4TUo73lo
>>210
「壊せるものなら壊してみなさい
そんなことをしたら、私はあなたを、お前を……」
口調が冷淡さと怒りの入り混じったようなものへと変化する

「またなんて、訪れさせない
あなたは、ここで……!」
片手で、ポーチよりなんらかの物体を取り出す
持ち歩いているらしい手榴弾である

幾つかそれを取り出して、逃走を図ろうとするアカネの進路へと
またアカネ本人のほうへと、
栓を抜いた手榴弾を投げながら進む

もう静観なんて決め込めない
ほとばしる心に身をゆだねながらも、引くことを忘れる少女であった
213 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/08(金) 00:31:48.46 ID:Y6t8uouBo
>>209
「あ、そこは鍛冶台とトンカチで挟むように。
 そうそう、そんな感じ。」等と声をかけながら成形を手伝う。

 覇道の話についての彼女なりの結論はこうだ。
「魔王、覇王、賢帝、暴帝、昏帝、暗君、全て人の評価さ。
 喧嘩が強いだけでは誰も良い王様だなんて認めてくれない。
 誰か優しくて責任感のある人に仕えていたら魔道にも、
 覇道にも入らずにすんだだろう。
 他人に頼るという発想が全く無かった…。」

「少し休憩を挟むかい?」

// ご無理はなさらぬよう。 おかえりなさいませ。
214 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 00:32:00.80 ID:9BywG99I0
>>211
「……ん?」
 
 胡乱に宙をさまよっていた意識が引き戻され、青年は声の主を探して視線を動かす。
 この時期外を出歩くにしてはいやに軽装にすぎる服装の少女、その姿を視界に認め、青年は片眉を吊り上げる。

「おじさんって……あのなぁ、俺はまだ25にすらなっいちゃいないよ」

 そんなに老けて見えるかよ、と面白くなさそうに鼻を鳴らすと、青年はほぼ根元まで燃え尽きた煙草を指で挟んで携帯灰皿へと落とし込む。
 初対面にしてはやけになれなれしい態度で、さも当たり前のように隣に座った少女に肩をすくめると背もたれから体を起こして、

「初対面でおじさんよばわりのうえ飯をたかるとは……」

 呆れたようにつぶやくと、袋から適当におにぎりを取り出して一つ差し出す。
 なんだかんだぼやきつつも、食料の提供に異存はないらしい。
215 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 00:38:24.35 ID:c4TUo73lo
>>213
「へっ? はい
あ、出来てきた出来てきた」

「でも、他の人が素直に協力してくれるものなのかな?
わからないけど」
人を疑う癖は、やはり直りそうもない
心を許せるような相手は、ほんのわずかなものだ

「そんなことはともかく、バランスが大事ってこと?」
首を傾げて、自分なりにそう解釈して尋ねてみる

「うん、ちょっと疲れちゃった」
言って、ボルテックスに密着するようにして動く少女
216 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 00:44:06.00 ID:LYZ42WMFo
>>214
「ふぅん、まあ良いじゃんか。頂きまーす」

男性の話にはさして興味もないのか、少女は適当な返事のみを返しておにぎりを受け取る。
ビニールで包装されたおにぎりの開け方を知らなかったのか、開封作業中におにぎりは見る見る変形していくが、
しかしそれも気にせず、取り出したおにぎりを一口で平らげる。どうやら余程の空腹だったらしい。

「……おかわり!」

そんな少女におにぎり一つでは足りる筈も無く、彼女は図々しくも更に食料を要求する。
あまり調子に乗せると良くない……かもしれない。
217 :アカネ・イバラギ /薔薇を操る吸血鬼2013/02/08(金) 00:44:31.39 ID:Bp0vCcUI0
>>212

「んっふ? 貴女があたしをどうするのん?
闘いのイロハも解らない。あ、な、た、に 」

この狭い路地裏で『自身』の『一部』にころころと凶器を渡してくれる相手に
キミの悪い。 余裕の入り混じった笑みを浮かべながら首を傾げ

茨の一つ一つを操作し、その全てを少女へと投げ返す
手榴弾はピンを外されてから爆破までに数秒の間が置かれる
でなければ、投げた本人の目前で爆破され、自爆になってしまうから

更に言うなれば此処は小狭く壁に包囲された路地裏であり
男のように隙間を潜れないのならば、逃げ場が極めて少なく…

「アッハ♪ イバラギマジックはっつどーう
 茨ちゃんたちぃ? あの子を囲んで焼き殺しなさいな♪」

次いで、その爆風を囲うように地面から少女を囲い突き抜ける無数の茨
手榴弾を投げ返すことが出来ないように。爆風がこちらに来ないように。少女が逃げられないように

たったの一手に、あらゆる嫌がらせを詰め込むのが、彼の遊び方。
もし、爆風の中で彼女が生きていたとしても、その爆炎と塵煙のなか、まんまと男は逃げ遂せている居るだろう
頭に残る、薄気味の悪い笑い声を残しながら、だ 
218 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 00:52:11.47 ID:9BywG99I0
>>216
「よくないよくない、ぜんっぜんよくないぞ」

こちらの話に興味はないらしいと理解すれば、なんだか無性に悔しくなって青年は念を押すように重ねる。
開封に手間取る少女をよそに、自分は半ば冷め始めたフランクフルトの包みを手にして封を切った。
串刺しにされた太めのフランクフルトに添えられていたケチャップとマスタードをかけ、豪快にかじりつく。
冷めていてもうまいものはうまい。空腹だったらしい胃が歓喜とともに動き出すのを感じながら、青年は一瞬でおにぎりを片付けた少女に、

「もっと味わって食べれれないのか?」

半ばあきれた様子で、新しいおにぎりを差し出す。
袋の中には明日の分もと買い占めたおにぎりが詰まっている。
219 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 00:54:48.56 ID:c4TUo73lo
>>217
「……っ」
怒りに身を任せた結果、冷静さを欠くという失態を犯す
しかし、手はある
鎌の大きさは少女と同じほど
元々鎌が入れられていた箱を降ろして
その中に飛び込むことで、
なんとか事なきことを得る

箱一つを犠牲にしてしまったわけではあるが

少女は刻み込む、かの男の名を
そして実感させられる、自身の幼さを
220 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/08(金) 00:58:44.51 ID:Y6t8uouBo
>>215
「上手いもんだね。始めてだとは思えないよ。」
 子供扱いしている部分もあるが、
 それでも学習意欲の高さと丁寧さには感心する。

 さて返事を聞いて困った顔をする。
「上手く言えないけれど、そういう信用や信頼じゃないんだ。
 そうじゃなくてわたしが言いたいのは…性分?領分?
 わたしは王様になる器じゃなかったんだ。器量のお話だね。
 ほら、美味しいものを食べたい時はコックさんにお願いするだろう?
 馬車の車輪が壊れたら大工さんに、服が欲しかったら仕立屋にお願いする。

 あ、エリアが思っているような信頼ならバランスのお話だと思うよ。
 世の中にはズルい人や欲張りな人、卑しい人も多いからね。」

 休憩所のソファに深く座りエリアを拒絶せず肩を引き寄せる。
「この世界は完璧じゃないけれど良い世界だと思う。」
 目の前の湯沸しポッドとティーバッグ、お菓子を見るだけでそう思えてくる。
「自分の仕事を持っている人が仕事をしてくれるからお茶を簡単に楽しめる」
 日用品、工房の工具、工房そのもの、そして様々な店がならぶ商店街。
「わたしがやろうとしていた事は例えれば、
 この街の全てを自分一人で回そうとしていた事に近い。
 そしてきっとそれは無理な事なんだと思う。」
221 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 01:02:42.16 ID:LYZ42WMFo
>>218
「なんだよ、変な奴だなぁ」

他人とコミュニケーションを取る機会が少ない少女にとって、男性の反応は不思議で仕方なかった。
何事も自分本位で生きてきた少女にとって、他人を理解することは難しいのかもしれない。
けれども、まあ。そんなことは食事の前では些細なことか。男性の言葉の後でも少女は意に介さず。

「はむっ……ふぅ。味わってるよ、胃袋の中でね」

やはり一口。まるで吸い込むかの如くおにぎりを飲み込んでしまった。
そしてそして、やはりまだまだ食い足りないのか、食料の詰まった袋の中を覗き込む。
222 :アカネ・イバラギ /薔薇を操る吸血鬼2013/02/08(金) 01:04:03.54 ID:Bp0vCcUI0
>>219

「あぁん、ゾクゾクしたわぁ
 でも滾りが収まらないの…♪
 だから彼女は生きている? 素敵な素敵なお人形ォ☆ミ」

男は一人、その一子馬鍬ぬ肉体に月光を浴びながら
自慰に耽り、彼女を思い出す。
自身の茨を彼女の姿へ変化させ、壊す壊す なんどでも

今夜の快楽を 一夜に流れるこの夢を 永遠に 心に刻み 笑うため…

/からみありおつでしたぁ!
/エリアちゃん可愛かったです、羨ましい・・・///
223 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 01:11:44.29 ID:c4TUo73lo
>>220
「そ、そうかな? えへへへ」
赤くなりながらも、反発することなく受け入れる
その様は本当の子どものよう
同じ顔を演じ続けているせいで、それが染みついたのか、
あるいは自然体によるものなのかは、本人のみぞ知ること

「王様……、今さらだけどおねえさんってすごい人だったんだね」
反応が今さらである、特に驚いた素振りも見られないのは、
いろいろと話を聞いて、苦悩していることをなんとなく理解したからであろう

「つまり……、馬車の車輪が直せない大工さん
服の作れない仕立て屋さんみたいな状態、ってこと?」
少女なりに解釈して、そう尋ねる

「同感、度を過ぎた欲は身を滅ぼすことになるけどね」
実際、欲を利用していた時期もある
今でも時々利用している

「凄いことをしようとしてたんだね」
はっ、とした様子で
ようやく、事の大きさを理解したようにも見える
実際、少女は今になってことの大きさを理解した

「うん、良い世界
今は、本当にそう思う……」
肩に頭を乗せようとしながらも
信頼できる人がいるというのは心地よい
224 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 01:12:59.30 ID:9BywG99I0
>>221
「うぐぐぐ……はぁ」

 文句の1つでも言ってやろうか。
 そう思わないではなかったが、あいてはからかっているのではなく、どうやら本心からわかっていない様子。
 そんな相手に突っかかるのは時間と労力の無駄であるし、なによりも大人げないだろうと自制心を働かせ、ため息で据えべ手をあきらめた。
 
「なるほど、そうかいそうかい」

 これ以上はやらんぞ、と最後のおにぎりを差し出して、青年はやけっぱちに缶ビールに口をつける。
 息継ぎなしで一気に缶を干して、

「今日はとことんついていない」
225 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 01:16:19.70 ID:c4TUo73lo
>>222
これが一夜限りの出会いとなるのか、
はたまた長きに続く因縁の始まりにでもなるのか

それは神すらもわからないことであるのかもしれない

//お疲れ様でした!
アカネさんのあのブレなさ、素敵です///
226 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 01:23:04.44 ID:LYZ42WMFo
>>224
疑問符を浮かべつつも、少女は差し出された最後の一つを受け取る。
先ほどまで手こずっていた開封作業も、どうやら開け方に気が付いたのか、非常にスムーズだ。
そのまま順調に取り出したおにぎり。それが最後の一つということでやや名残惜しげに見つめ、迷う素振りを見せながらも。

「あむっ」

それでも自分の流儀を変えるつもりは無いらしい。例の如く一口でそれを飲み込み、満面の笑みで。

「美味かったぞ、ごちそうさま!」

男性に向かって素直に礼を述べた。大変図太く失礼な少女だが、しかし感謝の気持ちはあるようだ。
そしてそのままビールを飲み干す男性の横顔を見つめて。

「……何か嫌なことでもあったのか?」

真顔でそう聞いてしまう辺り、本当に邪気の無い……自覚のない人物なのだろう。
227 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/08(金) 01:27:08.39 ID:Y6t8uouBo
>>223
「そうだよ。エリアならすぐに一人前になれるかもしれないね。」
 そしてお茶を一口飲む。
「違うよ服を作ろうとした大工さん。
 車輪を直そうとした仕立て屋さん。

 それがあたしだったんだよ。
 今思えばあたしに国を作れたことなんて一度もなかった。
 作った更地を国にしてくれた皆にお礼を言って来れば良かった…。」
 寂しそうに呟いてから、楽しそうに笑い始める。
「そうだね。あはは…欲に身を焼かれる前に身を引けて良かったよ。」

 エリアを見て一言「友達もできたし」と付け加えた。
「大工さんといえば…家具を見に行ってみる?」不意に尋ねる。
228 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 01:30:39.97 ID:9BywG99I0
 最後のおにぎりを前にやや感慨深げな様子の少女。
 それを横目に、青年はフランクフルトを平らげ、ハッシュドポテトを取り出して開封する。 
 ちらりと横を一瞥。さも嬉しそうな笑顔でおにぎりを平らげた少女に目を細めると、何を思ったかもう一つ新しいおにぎりを取り出して、彼女に差し出す。

「サービスだ」

 ぶっきらぼうにそれだけ口にすると、例はいらんと言いたげに手を振って自分のポテトを一口。
 そして新しいビールを開封して口をつけ、ちびちびとポテトをかじってゆく。

「ん〜仕事とか、まあいろいろさ」

 休日お構いなしの朝からの呼び出し。書類整理、お偉方の接待。その他もろもろの雑用。
 極めつけは、隣に腰かけた無遠慮かつ純粋な少女だったが、それは口にしないでおく。
 どだい、彼女を『ツイていない』要因の一つと感じるのは、ただ疲れているからにすぎず彼女のせいではないのだ。
229 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 01:41:43.15 ID:c4TUo73lo
>>227
「だといいけど、ね
そのためにも、いろいろと覚えないと」
とは言われるものの、先は長そうだ
ため息一つつきつつも、

「………」
やはりいざという時に、言葉が浮かび上がらない
気の聞いた台詞でもかけるべきなのかもしれない

しかし、やはり思いつかないもの
そう思うと、やはり苦しさを覚えてしまう
「……じゃあ、またいつか戻った日に、
お礼を言えばいいんだよ」
いつの日かお礼を言えばいい
気負わないでほしい、そんな思いを込めて

結局弟子まがいのことをして、その技術を受け継ぐ以外に、
なにもできやしないのか
人とこうやって接するのは、あまり得意ではなかった

「友達……、そう言われたのは初めて
心から友達って言ってくれた人は、おねえさんが初めて」
泣くことはしない
かわりにいつものどことなく薄い笑みではなく
本当の意味で屈託のない笑顔を浮かべるのだった

「あ、行きたい!」
そして不意に立ち上がるのであった
230 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 01:43:42.11 ID:LYZ42WMFo
>>228
男性の差し出したおにぎりが、少女には輝いて見えた。期待せずに得た幸運の味は格別。今日は人生で2番目に幸運な日だ。

「おじさん、ちょっと変だけど良い奴だな」

それはもはや見慣れた光景か。気付くとおにぎりは胃袋の中で。
そしてそれと引き換えに得られた賛辞は語彙の少ない彼女の中では最上のものと言っても過言ではないかもしれない。
いかに空腹と言えど成人に満たない小柄な少女の体、おにぎりを4つも飲み込めば腹も満たされる。
食欲が満たされた少女の、その次なる標的は退屈。

「仕事?おじさん仕事してるのか」

元々好奇心旺盛な少女だ。見ず知らずの男性の話に強く興味を抱いたらしい。
231 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 01:49:01.92 ID:9BywG99I0
「ちょっと変は余計だぞ」

 もはやオジサン呼ばわりも気にならなくなってきた。
 一瞬で飲み込まれたおにぎりに対して、呆れが感心へと変わりつつあるのを感じながら、青年はビール缶を傾ける。
 
「ああ、仕事してるよ。肉体労働メイン、時折暇なデスクワーク」

 投げやりに答えて、半分以下に減ったビール缶を揺らす。
 煙草が吸いたい気分だったが、隣に少女がいるために吸うことはかなわず、青年は背もたれに寄りかかってもう何度目かも知れないため息をついた。
232 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/08(金) 01:49:25.63 ID:Y6t8uouBo
>>229
「仕事はゆっくり覚えていけばいいさ。
 きっと大丈夫だから。」
 髪を撫で小さな友人を励ます。

「いつか戻った日か。そうだな。
 あの別れは永遠の別れではない。
 お礼を言いに、いつか里帰りでもするか。」
 自分自身をも励ますように呟く。
「元気が出てきたよ。ありがとう。」

「じゃあ、行こうか。
 身体を冷やさないよう暖かい格好で。」
233 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/08(金) 01:54:11.89 ID:c4TUo73lo
>>232
「うん、そうだよね、そうだよね!」
励まされてか、少しだけ力が湧いた気がした
他の友達……、とはちょっと違う人たちとは違って、
本当に友達といえる人

「本当に? よかった……」
そしてほっと一息

「うん、行こう!」
一旦部屋に戻って、コートを取ってくる少女だった

//時間も遅くなってきましたし、
キリも悪くはなさそうなので、このあたりでまた凍結もしくは〆をお願いしたい次第……
234 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/08(金) 02:00:10.50 ID:Y6t8uouBo
>>233
「エリアは不思議な子だね。
 さてと…」
 ボルテックスは奥の廃材置き場に向かい、しばらくしたら
 軽いエンジン音を鳴らしながら軽トラックに乗って戻ってきた。
「居るものは店で決めよう。足元に注意してな。」

 はて…この店に軽トラックなんてあっただろうか。
 廃材置き場に廃車ならあった記憶もあるかもしれないが。

// 了解しました。 お付き合い感謝です。
235 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 02:08:42.03 ID:LYZ42WMFo
>>231
「ふぅん、いいなぁ」

その日暮らしの少女にとって、仕事があるというのは羨ましいことだった。
たかだか14歳ぽっちの少女には定職なんてある筈もなく、そして社会の仕組みも分からない。
だから今回のように恵んでもらったり、たまにアルバイトをする以外では財産を得ることも出来ない。

「それならおじさん、オレに仕事を紹介してよ」

なるべく忙しくなくて、世界中を旅しながら出来る仕事って無いかな?なんて。
無邪気なのか、それとも社会を舐めているのか。冗談半分で少女は男性に掛け合う。

/すみません、レスに気付いてませんで遅れました……
236 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 02:13:34.80 ID:9BywG99I0
>>235
「いいもんじゃないよ。子供のころのほうが気楽だ」

 自分が子供のころ、仕事という存在にあこがれていた。
 お金は自由にできるし、制約もないのだろう。そんな無邪気なあこがれ。
 だが大人になって仕事につけば、自分の時間が減少する代わりに責任ばかりが増してゆく。

「仕事? おれのところは、ろくな案件あつかってないよ」

 世界中たらいまわしだし、命かけてるし。
 そんな言葉を付け足して、青年は肩をすくめる。

/いえいえ
237 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 02:24:47.39 ID:LYZ42WMFo
>>236
「今の時勢、子供だからと言って気楽なだけじゃだめなのさ」

拗ねたように口先を尖らせて、少女は小さく反論した。実を言うと少女はあまり大人が好きではない。
大人はズルい。嘘が上手で、少女をただ利用しようとするだけだった。

「だから別に、ろくな仕事でなくたって良いんだ。どうせボク自身も、ろくなモンじゃないから」

少女は知りたかった。自分が何なのか。自分に何が出来るのか。自分は何のために生まれて来たのか。
そのためだったら、自分のためなら。命を懸けても構わないと、そう思っているのだ。
238 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 02:35:33.96 ID:9BywG99I0
>>237
「気楽は今のうちに享受するべきだぞ、あとで取り立ててももらえない」

 だいたいマセたこというんじゃないの、と苦笑いして、青年は残ったビールを飲み干す。
 たしかにこの時代、子供はただ子供らしいだけではいられないかもしれない。
 だからこそ、青年は子供のままでいられる時間を大事にしてほしかった。

「仕事はしっかり選ばないといけないぞ。へんなところに就職すると厄介だ。
 それと、あまり自分をろくでもないなんて言わないほうがいい。君がろくでもないかどうかというのは、きっとこれからの人生が決めることだ」

 なんだかそれっぽいことを口にしてすべてを煙に巻こうとしているような。
 青年は自分の口にした言葉が、発したそばから舌の上で砂になるような違和感を感じながら、顔をしかめる。

「それに俺の紹介できる仕事はちと『良い仕事』とは言い難い」
 
 怪物ハンターみたいなものなんだ、と。
 いい年して魔法使いを名乗るような、そんな気恥ずかしげなはにかんだ笑顔とともに。
239 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 02:50:58.07 ID:LYZ42WMFo
>>238
「ふぅん、よくわかんないけど……」

気楽を教授?と疑問符を浮かべて、しかし少女は考えるのが面倒になってうやむやなまま納得してみせる。
ただ、男性の言葉にも理解できる部分はあった。自分を形作るのは、これから先の自分の行いだというその言葉。
それはこれまで自身の生まれや過去に囚われ続けていた少女にはない発想だった。

「おじさん、やっぱり大人なんだね」

煙に巻かれるどころか納得してしまう辺り、単純というか、騙されやすいというか。
それはよく言えば純真。悪く言えば染まりやすい性質なのかもしれない。
少女は何色にも染まる可能性を秘めた、透き通るような色の刃。やりようによっては、それを男性の望む色に染めることが出来るだろう。

「怪獣ハンター……かっこいいな」

貴方がそれを望むかどうかは、また別にして。
240 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 02:57:10.85 ID:9BywG99I0
>>239
「もらえるものはもらえるうちに」

 これならわかりやすいだろ、と理解していない様子の少女に視線を向ける。
 何の疑問ももたず、自分の言をうのみにして大人だと判じた少女に、青年は食うか?とビニール袋からゼリーを取り出す。
 良くも悪くも幼く、きっと純粋なのだろう。
 見ず知らずの男に飯をたかる警戒心のなさといい、きっとどこかで世界の善意を信じているのだ、と。青年はそんな感想を抱いた。

「かっこよくない。血みどろで、救いようがなくて、死人が出る。そんな仕事、いやだろ?」
241 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 03:06:01.41 ID:LYZ42WMFo
>>240
「ああ、それなら聞いたことあるよ」

ようやく釈然としたのか、やや曇った表情からようやく笑顔が覗き込む。まるで曇り空の切れ間から顔を出した日の光のように。
男性からゼリーを受け取って、それは更に輝きを増す。どこか安心しきった、柔らかな日差しのような笑み。

「血が出たり、痛いのは嫌よ。でも、それは誰かがやらなきゃいけない仕事……そうでしょ?」

笑顔と同じく、徐々に柔らかくなっていく口調。その言葉遣いは先ほどまでと比べて女性的に聞こえるかもしれない。
242 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 03:21:30.24 ID:9BywG99I0
>>241
「あとで後悔したくないなら今受け取らないと」

 明日の分のはずの食料は大分減っていて、かいなおせばいいかと開き直った青年は、自分もゼリーを手にしてふたを開ける。
 少女が笑っているのを見れば、ゼリーを挙げた甲斐があったと満足げにうなずく。

「そう、誰かがやる。そしてその誰かは、本来俺たち大人であるべきなんだ。戦争にしたって何にしたって。俺たち大人が負うべきものだ」

 受け売りだがね、と付け足してスプーンをゼリーに突き刺し、ひとすくいして口にはこぶ。
 愚鈍、でくの坊、朴念仁。とりあえず鈍感の象徴として同僚に語られている青年は、少女の変化に気づいていない。
243 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 03:36:11.83 ID:LYZ42WMFo
>>242
「……食べ物だったら受け取るんだけどなぁ」

今回みたいに……と付け足して、少女はやはり一口でゼリーを平らげる。もう何度目だよこれ……。
コンビニで購入したゼリー。しかし少女にとっては滅多に口にする機会のないデザートの類。
もっと味わって食べても良いのではと思わないことも無いが、しかしそれが彼女の流儀であるなら放っておくほか無いだろう。
幸せそうな横顔を見るに、余計な口を挟む必要はなさそうだ。

「責任でもなんても、何か背負うものがあるってコト。ボクにはそれが羨ましいな」

少女らしさを見せたのは一瞬だけのことだった。それも恐らくは無自覚だったのだろう。次の瞬間には、また別の空気を纏って。
そして物思いに耽る。そもそも、大人とは何なのだろう。秩序の無い混沌とした世界において、その線引きは非常に曖昧だ。

「……ボクはどうすれば、オトナになれる?」

自身の中で反芻される答えのない問い掛けに耐えられず、少女は思わずそう口にした。
244 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 03:49:10.27 ID:9BywG99I0
>>243
「食欲すさまじいな……」

 早食い王選手権に出れば優勝するのではないだろうかと青年は真剣に脳内検討してみる。と、表彰台の上で満幅の笑顔を浮かべる少女のイメージが簡単に組みあがって、おもわずくすくすと笑いがこぼれた。

「そういえば、よほど腹が減ってたみたいだけど、飯食えてないのか?」

 ふとうかんだ素朴な疑問。そもそも普通の子供なら、見ず知らずの人間に食料をたかったりはしないだろう。
 ホームレスには見えないが、ならばなんなのか。それが青年には気になった。

「背負ったらそうも言えないよ。責任にはいろいろな付属物が多い」

 ストレスは増えるし、いいことはあまりないよ、と。
 ややげんなりした様子で苦笑いを浮かべたのも一瞬のこと。少女の問いに、思案するように黙り込む。

「そもそも大人とはなんなのかってのもあいまいだよ。
 法的に言えば年齢がその基準だろうけど、歳をとっても子供みたいにふるまうやつもいる。
 俺だってそもそも自分が大人といえるのかどうか、そこに自信はない。
 ただまあ、自分のことを自分で決めて、その選択に責任が持てるなら、それは大人といっていいんじゃないかな。
 残念なことに、大人になる方法とやらはおれにはわからないけど」

 君は大人になりたいの? ゼリーをちまちまと口に運びながら、何の気なしに尋ねる。
245 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 04:05:16.60 ID:LYZ42WMFo
>>244
「うん。この国の通貨、持ってなくてさ」

ジーンズのポケットから取り出したガマ口の財布には様々な国や地域の紙幣・貨幣が詰め込まれていた。
その中身から察するに、どうやら少女は色々な国を渡り歩く旅行者のようなものらしい。
真冬の公園にラフな服装で現れたのも、恐らく温暖な気候の地域から渡来した名残だろう。

「……よく、わからない」

仕事を、責任を与えられた男性を見て、少女は羨ましいと思った。
けれど、それがイコール大人になることとは、少し違うような気がした。
少女が欲しいのは、自己だった。己自身を、その存在意義を、世界に認めさせたい。
そしてそのためにはまず、他の誰よりも自分に認められなくてはならないのだ。

「そもそもボクって、人間なのかな」

少女は小さく、呟く。水面に波紋を広げるようにさりげなく。そして自分自身の心を掬うように、そっと。
きっと、その真意は男性には伝わらないだろう。きっと、意味不明だろう。だから答えは求めない。
きっと、それは自分の力で、時間をかけて探すべきモノ。手に入れるべきモノなのだから。
246 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 04:20:28.40 ID:9BywG99I0
>>245
「家は?」

 財布の中の、複数の国々の金銭。
 両替すればそれなりの額になりそうだが、少女はそれをしなかったらしい。
 あえてやらなかったのか、それとも別の事情か。おそらくは後者だろう。

「それ、日本円に変えてやろうか」

 そりゃ、わかるわけないわな。俺にだってわかってないんだから。
 そんな独白じみた返事とともに、最後のゼリーをスプーンですくう。
 青年にとっての大人像だってそもそもあいまいで、これが大人だといえるだけの形が形成されていないのだ。

「ずいぶん哲学的な問いだけど、生物学的に見れば人間なんじゃないか?
 そういう意味での問いでないなら、おれに答えは用意しかねる」
 
 ただ俺と会話している君は、俺の目からすれば人間だよ、とも付け足して。
 なぜそんなことを口にしたのかは自分にだってよくわからなかった。
 むこうだってそんなあいまいで意味のとらえかねる質問に明確な答えを期待してはいないだろうけど。

「化け物ハンターっていう仕事柄、いろんな奴にそういうことを聞かれる。
 たとえば人狼だとか、人の形をした怪異だとか。
 論点がずれるけど、俺の持論からすると人語を理解して意思疎通ができる知能があればそれは人間だ」

 青年は、自分がいつのまにか砕けた口調になっていることにも気づかず、空を見上げる。
247 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 04:37:58.73 ID:LYZ42WMFo
>>246
「前に住んでた所は旅に出る時に引き払ったんだ。だから今は宿無し」

着の身着のままの旅。自分ならそれなりに上手にやれるだろうと高を括って出発したのである。
ただ、広い世界を前に少女は大層無知でちっぽけな存在だった。何せ通貨の両替の方法すら知らなかったのだから。
……というか、そもそも国や地域ごとに使用される通貨が違うことさえ、この国に来るまでは知らなかった。

「えっ……良いの?」

男性の申し出に、少女は意外そうな表情で応えた。ただで食料を貰い、その上通貨の両替まで。
如何に少女が図太く世間知らずとはいえ、流石にそろそろ申し訳ない気がしてくる―――。

「じゃあ、お願いしよっかなー」

が、これを断る手はない。そうすればしばらくはこの国で暮らすのに不自由しない筈だ。


「生物学的に……か」

少女には学がない。故に生物学と言われてもイマイチぴんと来ないが、それでもニュアンスは伝わった。
肉体の構造と、そして意思疎通。その二つがあれば人間だと、男性はそう言ったのだと理解する。

「じゃあ、おじさんはお仕事で人狼や人の形をした怪異と出合った時――」

何だか自分を認めてもらえた気がした。今回のように手を差し伸べてくれる人は他にも居たけれど。
しかし自分の存在まで肯定してくれる人は居なかった。だから彼の言葉が嬉しい。
少女にとって、それはもしかすると初めての希望だったかもしれない。

「その人たちのことは、殺さないんだね!」
248 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 04:51:35.41 ID:9BywG99I0
>>247
「……そらまたずいぶんと思い切ったことを……」

 親御さんはどうしたのだろうか、と疑問に思わないではないが、今はこんな時代だ。
 きっとなにかしら理由があるのだろうし、そこにまで踏み込むのもためらわれて、アーサーは自分の財布を取り出す。

「いいさ。それほどの手間でもない」

 両替所まで行くのは面倒だった。少女の財布の中身をざっと見た感じの金額分だけ自分の財布から抜き取って、彼女に手渡す。
 正確な金額がわからかったのでやや多めに水増しした札束は、しばらく生活する分には困らないだろう。
 青年は場合によっては単独で活動しなければならなくなる都合上、現金を多めに持ち歩く癖をつけていた。

 「そう、生物学的に。生き物としてってことで――」
 
 何の気なしに続けようとして、青年は口をつぐむ。
 ――その人たちのことは、殺さんないんだね!
 と。どことなく嬉しそうな少女。それが何に対しての歓喜なのかは、青年にはわかりえない。
 ただその様子がなぜだか引っかかった気がして。

「そうだね。基本的には、殺さない。その意思もない」
 
 何が引っ掛かったのか。それがわからなくて眉根を寄せ、苦悶するように口をへの字にゆがめて。

「俺たちの受け持つ仕事は『周囲に害を振りまく存在を捕縛、殲滅すること』なんだ
 だから普通にしている相手なら、人狼でもヴァンパイアでも仲良くやっていくけど、そうじゃない相手もいる
 人間に当てはめれば、善良な市民と、殺人犯ってところだ。
 相手が何もしないなら、害をなさないならかまわない。そうでないなら、害があり、人を傷つける存在なら、俺たちは留めないといけないし、場合によっては殺し、殺される
 って、ちょっと話の中身が重いな。すまん」
249 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 05:13:11.63 ID:LYZ42WMFo
>>248
「ボク、思い切りの良さと愛嬌だけが取り得だから」

滅多に言わない……というか言えるだけの頭もない冗談。それを自分で言葉にしておいて、少女は小さく笑みを零した。
少女の財布の中身を男性が入れ替える。少女には現在の通貨価値など知り得ないため、そこは男性を信頼して任せるしかない。
きっと彼が多めに見て水増ししてくれたことも、この少女には伝わらないだろう。彼女はただ興味深げに男性の手並みを拝見するのみだ。

「へへっ!おじさん、ありがと」

これで目下の不安は解消した。物事を深く考えない性質の少女だったが、こればっかりは胸を撫で下ろす想いである。

「……そっか」

男性の言葉は正しい。正義も悪も信条にない少女でさえ、それは理解した。けれど。
けれど彼は言った。「それ」を人間と認めた上で、害をなせば殺す―――と。
それなら少女は「どちら側」だろう。今まで自分が清廉潔白に生きてきた自信など、どこにもない。
奪い、盗み、騙して。たくさんを傷つけて生きてきた。少女のせいで潰えた命も、あったかもしれない。

「それならおじさんは……」

その肉体は、鋼鉄と血肉が混じったハイブリッド。都合よく人に、そして機械に擬態する身体。
その肉体は、男性の性質も、女性の性質も持たぬ、半端な容れ物。いつか変性する身体。

「いつかオレのことを殺す、かもね」

もしかするとずっと前から、少女は人では無かったのかもしれない。
250 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 05:29:48.59 ID:XKiDsf4/0
>>249
「その二つはこの先きっと役に立つ。必ずな」

 少女の財布の中の、様々な国の貨幣を自分の財布へと収める。
 あとでどこかで両替するとして、大分重くなった気がする財布をポケットへ戻す。

「ああ。それが仕事で、使命だ」

 青年は少女から目をそらして、どこか遠くを見つめるかのようにそっと目を細めた。
 自分は兵士だ。自分でその道を選んで、血と硝煙の修羅へと足を踏み入れた。
 その選択を後悔したことはない。ただ、それで苦しんだことはある。
  
 敵なら殺す。でなければ自分が死に、仲間が死に、無関係の人が死ぬ。
 それでもそれは向こうだって同じことで。
 たとえば、人里に迷い込んだクマが害獣として駆除されるように。
 結局自分たちの言う害というのは、自分たちが決めた尺度でしかない。
 それでも、やれと命令されたら迷いもよどみもなく、ただ機械的に実行するべきなのだと。
 そう理解してこの道に入った時から、きっとこんな会話をすることもあるのだろうと。

「君がどういう事情を抱えているかは知らない」
 
 覚悟はした。敵なら殺すしかないのだ。
 ただ、それでも。青年に、この無垢な少女に面と向かって『殺すかもしれない』と。 
 
「ただ、今君は俺の敵じゃない。
 それは紛れもない事実だ。大事なのは今、俺と君がどういう間柄なのか、だ」
 
 言い切る勇気だけは、持ち合わせていない。
251 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 05:43:33.30 ID:LYZ42WMFo
>>250
人を化け物たらしめるのは、その身体の差異などではなくて。性質の違いなどではなくて。
結局、一線を越えるかどうか、それだけ。少女は男性に、そう言って欲しかったのかもしれない。
人を化け物にするのは、心で。身体は関係ない、と。

「おじさんは優しいね」

本当は化け物なんて言葉、聞きたくもなかった。それでも彼に問い続けたのは、縋りたかったから。
誰かの優しさに触れて、そのぬくもりと共に認めてもらいたかった。

「おじさん、手を」

握って、と。少女は差し出す。己の右の手のひらを、男性に向けて。
そこにどんな意図があるのか。それとも、意図など無いのか。それは少女にしか分からない。
252 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 05:50:33.00 ID:XKiDsf4/0
>>251
「優しくなんかない。決して、決してだ」

 念を押すように重ねて、青年は自嘲の笑みを口元に刻む。
 ちらりと脳裏をかすめたのは、自分が葬ってきた敵。
 そして、何のためらいもなく、敵を殺すための戦闘機械として戦っていた頃の自分。
 血の池にどっぷりつかった自分の姿。緩みかけた感情の栓を閉めなおして、青年は重々しい溜息をついた。

「手、かい?」

 言われた通りに、青年は手を差し出した。
 銃を撃つ人差し指の腹が固くなり、撃鉄を起こす親指の皮がすり減り、ナイフを握りすぎてタコのできてしまった、岩のように固い掌。
 みれば手のひらから腕にかけて伸びる大きな傷があって。

「手触りが悪いかもしれん、俺の手は」
253 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 06:07:19.57 ID:LYZ42WMFo
>>252
ふっ……と口元だけで、少女は微笑んでみせる。目を俯かせていたせいで、男性の目を見ることは出来なかったが。
今なら、先ほど彼が述べていた言葉が理解できる。少しだけそんな気がした。
彼の抱える責任や重圧。それが一瞬だけ垣間見えた。けれど、それだけ。自分にはどうすることも出来ない。

「……ありがと」

おずおずと、遠慮がちに男性の手の平に触れる。自分のものと比べて大きなその手は傷だらけ。
乾いた手触りの中に紛れて、所々に硬い皮膚の芽。デコボコしていて、硬くて。そして―――。

「あたたかい」

重なった、少女の手のひらの体温。ふたつの熱が交わり、互いを融かし合って。
しかし気が付くと、それは冷え切っていた。つい数瞬前に感じたぬくもりが嘘のように、少女の手は冷え切って。
それは寒気を感じるほどに。まるで金属のような無機質な温度で、しかし紛れもなく少女の手のひらの温度で。

「でも私は……冷たい」

スルリと、少女は逃げるように手を離した。少女の用はもう済んだらしい。男性の下から一歩引いて、彼女は黙り込んだ。
254 :アーサー[saga]:2013/02/08(金) 06:15:30.11 ID:XKiDsf4/0
 少女の手は小さくて、瀟洒な白磁を思わせた。
 すこしだけそれがうらやましい。傷まみれで不恰好の自分の手は、実のところあまり好きではないから。
 でもそれとおなじように、少女は手の冷たさに何か思うところがあるのだろうか。
 自分の手は暖かい。少女の手は冷たい。
 きっとそれは一つの線引きだ。
 ひどくちっぽけで。その癖にとても残酷な、明確に過ぎる差異。
 ざらざらと、舌の上で言いようのない砂のような違和感がのたうっている。

「冷たいな。確かに」

 でもそれがどうしたというのだ。
 青年はそう思う。それが線引きだったとして、それがいったいなんだというのか。
 今自分たちはこうして会話している。お互いの存在を認め合ったうえで。
 それで十分じゃないのか?

 手にひらに残った少女の冷めきった体温。
 それが『掻き消えていく』その奇妙な感覚に、青年は拳を握りしめる。
255 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 06:36:18.34 ID:LYZ42WMFo
>>254
「……」

何も、言えなかった。ただ、確認のために。自分の中で踏ん切りを付けるために触れた、ぬくもり。
彼の手はあたたかく、そして自分の手は冷たい。そうして別れの言葉を告げる。それだけのはずが。

「……――て」

なぜ、こうも名残惜しく感じるのだろう。離れ難く思うのだろう。答えは求めていない。聞きたくもない。
私を認めてくれる、優しい人だったから―――『やめて』
でも、彼は化け物を駆逐する。世界を止闇から守る人―――『いや』
もしかすると、いつか化け物になった私を殺すかもしれない悲しい人―――『聞きたくない』
化け物として。だけど彼にだったら殺されても良いかもしれない。そう思い始めている自分が―――『やめて』

やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて―――。

「――――やめてったら!」

全ての思考を放棄して、少女は叫ぶ。男性はさぞ面食らったことだろうが、少女はお構いなしに。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――」

何かに苦しみ、もがき始める。
256 :アーサー2013/02/08(金) 07:16:02.30 ID:Xtg1JCvIO
>>255
風化してゆく手のひらの感触。
白くなるほどに握りしめた拳胸元に引き寄せて、青年は懐の拳銃の重みを知覚した。
化け物を駆逐するための銃だ。
加工済みの徹甲弾をフルチャージした、鉄の凶器。

いままでその銃を向け、命を奪い去ってきた相手。
そしていま、目の前に佇む少女。
その二つが同じだとは思えなくて。
否……それを認めたくなくて。

「俺は……」

何を揺らいでいる。
自分は兵士だ。任務のために余計な感傷は捨てさるべきだ。
認めてしまえと、自分の中の「アーサー・ヴィショップ准尉」という兵士の部分がささやきかける。
それと同時に、アーサーという一個人の、青年のアーサーとしての部分が、彼女は人間だと囁いている。

俺はどちらであるべきなのだろう。
兵士か、一個人か。
殺人機械か、人間か。
堂々巡りにはいった思考がメビウスのように終わりのない廻廊へ迷い込む。

あの娘は、彼女はいま、自分と話して、笑いあって。
それでも彼女の手は冷たくて、ニンゲンではなくて。

「おれは……おれは………っ!」

意識を強制的に引き戻す少女の叫び。
ギョッとしてそちらを向けば、苦しげに悶える少女がいて。

「お、おい……大丈夫か!?」

思考より先に、青年は少女に駆け寄っていた。
257 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 07:50:20.07 ID:amknFbTJo
>>256
布を裂く音が響いた。少女の肩口から鋭利な金属のエッジが顔を出す。
それを皮切りにして変性が身体中に発現していく。
細長い指は鋭い切れ味を持つナイフ、手のひらには砲門。
今まで少女が飲み込んだありとあらゆる物が彼女の意に反して具現化させられていく。

(来るな……)

制御の効かない震える身体。悶え苦しみ、少女は拒絶する。
冷たく無機質でグロテスクな身体。自分が化け物だと知られてしまう恐怖。

(見るな……)

(ああ、お願いだから……)

「たすけて」
258 :アーサー2013/02/08(金) 08:01:40.17 ID:Xtg1JCvIO
>>257
「ーーーーっ」

手を延ばした矢先、ぎらりと輝く刃じみた鉄片が突き出す。
真っ白になる思考。空白のような間断を経て、青年は歯ぎしりするほどに奥歯を噛みしめる。

「大丈夫か! おいしっかりしろ!」

これまで何度も「怪異」をみてきた。
なかにはいまの少女のように発作を起こした者もいる。
その末に死んでしまったものも。
もちろん、最終的に自分が手を下した者も。

「おれの声が聞こえるか!?」

たしかにこの娘は生き物としての人ではないかもしれない。
それでも、ほんのわずかな間でも触れ合ったのは事実で。

なにより、たすけを求める相手を見捨てる思考を青年は持ち合わせていない。

いま自分に何ができるのかなんてわからなくて、それでも何かしたくて。
怪我するのも構わず、少女の手を取ろうと臆せずに手を伸ばす彼の目には、恐怖でもなんでもなく、そうあれと決めた決意だけが浮かんでいる。
259 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 08:15:18.92 ID:LYZ42WMFo
>>258
激しくなる動悸。ズブリと音を立てて具現化したのは触手じみたコード群。金属のチューブが腕に絡みつくようにそこから生えてくる。
手術用のメスが太ももの辺りに、携帯電話や車のボディ、金属製の皿。いつ飲み込んだかも覚えていない剣や銃弾。
次第に禍々しい人殺しの道具に埋もれていく少女。

「あっ……あっ……」

震えが止まらない。視界がぼやけて映像が遠のく。眼球があったはずの空間には、カメラのようなレンズがはめ込まれていた。
体が冷たい。それは金属のように重く冷たい。硬くて冷たい。動けない。ああ、誰か熱を―――。

「おじ……さん」

重なった手が、少女を思考の沼から引きずり出す。その手から伝わるぬくもりに勇気付けられて、少女は震えが納まるのを実感する。
荒れた呼吸が徐々に収まり、体が少しずつ動くようになっていく。冷たい金属の体、少女の頬にぬくもりが伝った……。
260 :アーサー2013/02/08(金) 08:24:12.81 ID:Xtg1JCvIO
>>259
ほっそりとした少女の指先がナイフに変わっていたせいで、その手を握った青年の手はズタズタに切り裂かれていた。

しかし青年はそれを気にした風もなく、変貌を遂げた少女を見下ろして、案ずる視線を注いでいる。
怪我の痛みには慣れている。
それでも、苦しむ他者の姿は何度見ても見慣れるものではない。

「意識をしっかり。深呼吸して」

できるだけ穏やかな口調を心がけて、青年は言い聞かせるようになんども同じ言葉を重ねる。

「おれが見えるか?」
261 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 08:56:53.79 ID:LYZ42WMFo
>>260
「平気……です」

呼吸を落ち着かせて、少女はゆっくりと立ち上がった。
変性は相変わらず解けぬままのため、その風貌は相変わらず禍々しい、冷たく硬い金属の身体。
よろめきながらも自分1人の力で立ち、男性から再び一歩距離を置く。この体では、きっと近付いただけでケガをさせてしまうから。

「平気、見えるよ。おじさんこそ、見て。ワタシのこの体を」

醜く、そして鋭利な輝きに包まれた醜悪な身体。人殺しの道具でしかない、化け物の身体。
本当なら見せたくも無い己自身の姿を、敢えて男性の前に晒しその目に焼き付ける。

「見ての通り、ワタシは正真正銘の化け物。おじさんにとっては、駆逐すべき獲物」

そう言葉に出して、じんわりと胸が痛んだ。けれど、その痛みをかみ締めて、少女は言葉を搾り出す。

「でも、貴方は言った。殺す必要のない化け物も存在すると。共に生きていける化け物は確かに居ると。だから―――」

血に濡れた両手。人を傷つけることしか出来ない体を以って、少女は。

「だからワタシは化け物でも、貴方の隣に居られる化け物に―――それが許されるワタシになりたい」

金属片に覆われた少女の顔面。その表情を窺い知ることは出来ない。けれど、予想することなら……出来る。
それはほんの少しの不安と、緊張。そして根拠のない確信が入り混じった問い掛け。

「……それまで、ワタシのことを待っていてくれる?」

僅かに小首を傾げて、少女は自身の未来を紙飛行機のように虚空へと投げ打つ。
その行き着く先に、一体どんな答えが待っているのか。それはその時が来るまで誰にも知ることは出来ないだろう。
262 :アーサー2013/02/08(金) 18:11:32.01 ID:XKiDsf4/o
>>261
「無理するな……横になったほうが……」

変質した少女の身体はまさしく凶器でできていた。
どことなく鎧じみたトゲトゲしい異物の身体。
触れただけで切り裂かれそうなほどに鋭いエッジの効いた鉄の鈍色。
切り裂かれて血の滴る手を少女に伸ばしかけ、青年は腕をおろした。

「あぁ……しっかり、見てるよ」

きっと、本当はあの姿を晒すのも抵抗があるだろうに。
それでも、自分に向かって「しっかり見て」と少女は口にした。
その意味を、その覚悟を噛みしめるように、アーサーは少女の前に相対する。

「…………」

自分は狩人で、少女は獲物。
殺し屋とその標的。そうなり得る危うい関係だ。
シーソーの上に立った自分たちは、きっとすこしのきっかけで敵対する不安定な立場にいる。

青年は少女の言葉に頷く。
例え危ないバランスの上の、蜃気楼のように不確かなものでも、たしかにそこにあるのだから。
あるのなら触れられる。
あるのならば分かり合える。

綺麗事だとわかって、理解した上で。
青年はもう一度、少女の言を肯定するように頷く。

「待つさ。幸いにして気は長いほうなんだ」

だから待つよ、と。
自信を持ってそう告げる。

自分は殺し屋だ。戦闘機械だ。
それでも人間だから。人でありたいから。
彼女とも分かり合えると、たとえ人であろうとなかろうと共に生きていけるのだと。
幻想であっても、それを信じている。
263 :アン・スコット・マクミラン[saga]:2013/02/08(金) 23:52:12.70 ID:8cH7tf27o
>>262
「やっぱり、おじさんは優しいね」

ちょっと変わってるけどさ―――と付け足して。無機質な金属片の向こう側で、少女は微笑む。
冷たい身体と鋭利な刃、少女は牙を持つ獣。人と機械、その垣根を越えるモノ。
自分の身体のどこまでが人間で、どこまでが機械なのか。最早それすらも分からないけれど、それでも。
それでも、願う。物であるより、者でありたいと。ヒトとして、あの人の隣に立っていたいと。そう願わずにはいられない。

「それじゃ、待ってて。言っておくけどワタシ、時間にはルーズな方だから、きっと長い時間待たせることになると思うけどさ」

破れた衣服を翻すように、少女は男性に背を向ける。一歩ごとに踏みしめる足取り。そこには迷いも、淀みもなく。
ただ未来に向かって、踏み出す歩み。その足場は非常に脆く危うい。けれど、少女にとっては何より心強い味方。

「それでも待っていてくれる人が居るなら、その人の元へ」

彼らの道は一度交わり、そして再び分かれる。今は別々に進む果てしない道のり。
時間をかけて、しかしふたりはいつか再び交差する。きっと訪れると信じる、その時を胸に秘めて。

「ワタシはきっと、帰るから」

夜の闇の中に、少女の姿は消えていく。愛の言葉のように華奢で、しかし抱擁のような力強い決意を残して。
燃えるような熱は今も残る。凍りついた心を融かすような、希望の熱。
少女はそれを道しるべに、暗闇の中をひたすらに前へ。いつかその先で、自分を認めてくれるであろう誰かに出会うことを信じて。
彼女の旅は、もう少しの間だけ続くことになるだろう……。

/長時間に渡るロールありがとうございましたー!
/終盤からどんどん混乱しておかしなことになりましたが……しかし今回はここで一区切り、ということで!
/また機会があれば……というか是非今回の続きが出来たらと思います
/その時は再びよろしくお願いしますねー!
264 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主2013/02/09(土) 01:22:30.12 ID:eQZitFyqo
【商店街金物店廃材置き場】
「まさか、金属の塊が空を飛ぶとは思いもしなかったな。
 あたしの世界にこういうのは無かった。上手く使えるか?」
 目の前には仕事を終えたロッキードSR-71。
 1999年には退役した超音速・高高度偵察機。
 1950年代後半から1960年代にかけて米国のロッキード社と、
 スカンクワークスに開発され、今は飛べなくなった黒い鳥の残骸。

「少しくらい無理をすれば取り込めるか…」
 ボルテックスは64tの鉄の固まりに触れる。
「わたしの名前は鉄鋼鬼神、ボルテックス…。
 ブラックバード…わたしの槌と鎧となれ。」

 深夜の商店街に鳴り響く金属音。
 舞い上がる土埃。
 そこに現れた金属製の巨人が呟く。

「こんな所でいいだろう。この世の王は円環の中に非ず。」
265 :アーサー[saga]:2013/02/09(土) 05:03:23.76 ID:tGsRpu8P0
「やさしいかな?」
 
 変わってる、はよけいだぜ。そう苦笑して、青年は肩をすくめる。
 自分は優しくなどないのだ。ただの殺人者、ただの殺し屋。外道畜生の同類に過ぎない。
 戦闘を効率的にこなすために自己を一つの兵器とした、軍用の殺人機械。
 彼女の体は人ではないだろう。それでも、そのありようは、純真な心は人間のものだ。
 それなら自分は、人の体をした、人の皮をかぶったただの殺人機械に過ぎないのではないか。
 他者の命を奪い、それによって金を得る。思想も理念も理想もない、ただの意思なき殺戮人形ではないのか。
 湧き上がる自己嫌悪を無言で押しとどめ、青年は少女の言葉に耳を傾ける。
 
 立ち去る少女の後ろ姿はか細くて、どことなくはかなげなのに、前へと進んでゆく足取りは力強い。
 青年は遠ざかる少女の背にかける言葉を持たない。どんな言葉をかければいいのかもわからず、そもそもなにかいうだけ野暮な気さえして。

 「ああ……待ってるから」

 せめて、だからこそ。
 青年は血濡れの手を握りしめ、闇にかすんでゆく少女の姿をひたと見据え。

「また、な」

 自分は待とう。
 彼女が待ってほしいといったのだから。せめて自分はここでまとう。
 自分は殺し屋。いつ果てるともしれぬちっぽけな命だが、せめてこの約束だけは果たして見せよう。
 そう心に決めた青年は一人、夜更けの公園にぽつんとたたずみ、空を見上げた。

/い、意識が飛びまくってこんな時間に……
/長々とお付き合いいただき感謝感謝!すごく楽しめましたし、また機会を見つけてぜひぜひ!
/愚鈍を極めているうちのアーサーを今後ともよろしくおねげえします
/では乙様ですた!
266 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/09(土) 16:52:34.47 ID:8Aml62bOo
―とある海外の港町―

「はぁ……メイザースも面倒なこと言ってくれるよね」

海にほど近いカフェでコーヒーとクラブハウスサンドを目の前にしながらぼやく赤毛の女。
オープンテラスで、目の前には海が見える。

「大体、海外の話ならそっちの人員を呼べばいいじゃん。私行く必要ないよね」

左肘をテーブルについてカップの縁をなぞる。
クリオネは今日行われる作戦のために海外にまで出向いたのだった。

そんなクリオネは気乗りしないと言った感じの表情でとりあえず作戦時間までの暇つぶしを探す。

(この街の裏にはどんなものがあるのかな……ちょっと覗きに行くのも面白いかも)

暇つぶしにギャングや犯罪者がうろつく裏路地の方へ行く人間はあまりいないだろう。
ただ、クリオネにとってはあくまで散歩程度にしか考えていないのだが……

何やら店が混んできた。
こんな中途半端な時間に客が増えるの珍しい。

いまいちやる気のないクリオネはこれからどう暇を潰すか。


//一応一人芝居ですが、当然絡みも歓迎します。
267 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/09(土) 17:19:02.12 ID:8Aml62bOo
テーブルに乗せられた料理を片付けると、席を立つ。
そのまま店を出て、港ではなく街の中の方へと歩いて行く。

(あんまり人が多いところは嫌なんだよね……)

赤いコートのポケットに手を入れて歩く先は、おしゃれなバーでもなければお土産屋でもない。
大通りから離れていけば、徐々に姿を現していく闇の世界。
街灯の光が届かないほどに入り組んだ道の先。

ギャング、犯罪者、浮浪者……
その場所は全てを受け入れるが、その全てに優しくは無い。

「おい嬢ちゃん、こんな所で1人か〜?」

ほら来た。
こんな場所に若い女性一人で歩けば、ものの5分もしないうちに絡まれるのだ。
それは一人ではなく、複数人。
クリオネはすぐさま4人の若い男に囲まれる状態になる。

(ふふっ……)

その状況に置かれながら、クリオネの口元を見ればわずかに笑っているのが見える。
臆することなど一切していないのだ。

(やっぱこうじゃないとね……まぁ作戦の前の準備運動ってところかな)

いまいち反応の薄いクリオネに対し、徐々に機嫌の悪くなっていく男4人。
今にも襲い掛かってきそうだ。
268 :桐峰 凛 "嘘刀 八重桜刻雨"(旅する少年)2013/02/09(土) 17:27:02.79 ID:pPPNdtS+o
>>266


ー 同時刻。 港町の裏路地。ー

「……………………。」

この狭い路地。
普通はここまで賑わうことはないだろう。
この暗い路地。居るとすればギャング。犯罪者。
その者達がその"賑わい"の元なのなら、何も可笑しいところはない。
だがその"賑わい"の路地で賑わっていたもの。
それは悲鳴。
生ある者の喚き。

「……………………。」
少年は喋らない。
血が刻まれた、制服。
刀。
その全てが少年を表していた。

不思議なのは(ー 少年が路地でギャングを蹴散らしているのも不思議だが。)

そこには血が一つも飛び散っていないこと。
そして、明らかに斬られているものの、相手の身体には傷一つついていないことだろうか。

「……………………。」
少年は動かない。ギャングらしき男達が逃げた後も。
刀をしまい、静かに佇む。



//初参加です。
まだ下手ですが、よろしくお願いします。







269 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体[saga]:2013/02/09(土) 17:42:24.68 ID:8Aml62bOo
いい加減しびれを切らした男の1人がクリオネの腕を掴みにかかる
……が、その手は空を切り、流れるような動きで男の横を通過する。
無駄のないその動きは、ただ流水に身を任せているかのようだ。

「やっぱりつまんなーい」

振り返ったクリオネが、腕を掴もうとした男の姿を捉える。
その男の姿は、先ほどとは違う……そう、腕が一本足りないのだ。

クリオネはすれ違いざまにサーベルを生成。
一瞬で腕を切り落としてサーベルを消滅させたのだ。
腕力の無いクリオネの戦い方だ。

ここで激情して襲い掛かってくるかと思いきや、4人の男は叫び声を上げながら逃げて行ってしまった。
単純に骨のないチンピラだったらしい。

>>268
「あーあ、準備んどうにもならなかったよ」

拍子抜けの男どもを追い払った後、路地の探索を続けるクリオネは、一人の男を見つける。
途端につまらなさそうな顔をしていたクリオネが、口元をゆがませる。
まるで面白いものを見つけたかのように。

『待て!! 警察だ!』

クリオネは男がいる路地の入り口辺りで壁に寄りかかり、腕を組む。
生成した人形は、この街で見かけた警察を模したものである。

警察のドールは警棒を持ち、刀を持つ男に近づいていく。


//イベントまでの準備運動的なものですので、割とすぐ終わらせてしまいますがよろしくお願いします。
270 :桐峰 凛 "嘘刀 八重桜刻雨"2013/02/09(土) 17:58:59.03 ID:pPPNdtS+o
「………‼………。」
少年は目を閉じる。
少年は刀を抜く。
まるでそれがわかっていたかのように。

"嘘刀 八重桜刻雨"
この刀の名。生あるものを斬れず。生なきものを切る、この刀。
殺せない刀。

その刀を鞘から抜き、、

「………………抜刀、櫻の型。」
聞こえないくらいの声で小さくそうつぶやく。
すると斬撃が警官らしきものに襲いかかる。
この間、少年は集中するため目を閉じていた。動きも、せず。
ただ一つ動いたものがあったが、
それは動いたのは風で揺られた制服だけだった。




271 :桐峰 凛 "嘘刀 八重桜刻雨"2013/02/09(土) 17:59:52.33 ID:pPPNdtS+o
>>270
安価つけ忘れ、>>269です
272 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体[saga]:2013/02/09(土) 18:10:32.42 ID:8Aml62bOo
>>270
(あれだけの人間が倒れているにもかかわらず、血が一切流れていない……あの刀、受けてみようか)

ドールが切られても自分には一切害は無い。
相手の能力がどのようなものかを知る為にも、敢えてあの斬撃を受ける。

『逮捕するー!』

作り物の人形にあの刀がどのような効果をもたらすのだろうか。
警察のドールは男に向かって突進し、右手に持つ警棒で男の腹部を突こうとするだろう。
斬撃は一切避けないので、その斬撃でドールが真っ二つにならなければだが……

斬撃が作り物のドールでも切れるのであれば、男に到達する前に胴から真っ二つになってしまうだろう。
273 :桐峰 凛 "嘘刀 八重桜刻雨2013/02/09(土) 18:27:43.45 ID:pPPNdtS+o
>>272
「…………………!」
瞬間、目を見開く。
その瞳は何かを確信し、自身に満ちた瞳だった。
そして目を見開いた瞬間、ドールが真っ二つに斬れる。
綺麗な切れ方だ。

この刀はどうやら、人形は、切ることができるらしい。


「…………………。」
斬った後。少年は既に前の人間を見ていた。
まるで観察でもするかのように。
この少年は何を考えているのだろうか。
そこからは何も窺い知ることはできない。

少年は動かない。静かに佇むだけ。

274 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/09(土) 18:35:01.46 ID:8Aml62bOo
>>273
(へぇ……攻撃は普通に物理。だったらあの血が出ない絡繰りはなんだんだろうね)

真っ二つになったドールは地面につくことは無く、その前に光の粒子となって霧散した。
そんなドールのことなどもう気にしていないのか、クリオネは男の方をじっと見る。

「その刀、面白いね。どんな仕組みなのさ」

男との距離は詰めず、相変わらず路地の入口当たりの壁に寄りかかっている。
近接戦闘型と言うことは判明したため、迂闊に距離を詰めることなど出来ない。

「それに、こんな所でギャング相手にケンカするなんてやんちゃなんだ」

その口元は吊り上り、この普通とは言えない状況を楽しんでいる。
275 :桐峰 凛 "嘘刀 八重桜刻雨2013/02/09(土) 18:48:54.90 ID:pPPNdtS+o
>>274
前にいる相手を見つめながら…
「………この刀は斬っても切れない刀。」
少し強めにそう語る。
勿論。此方も距離を詰めようとはしない。
そして、また黙る。

暗い空気の中、
強めに刀の鞘を握り、一呼吸置いてから…


「………ケンカ。そう見えるのならそれでいい。」
その声はどこか淋しげで、冷たい声だった。
その少年の後ろには、女性が倒れていた。
息はあるようだ。
全身が傷だらけだ。
恐らく。恐らくだが、この少年がやったわけではないだろう。


276 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体[saga]:2013/02/09(土) 19:00:48.02 ID:8Aml62bOo
>>275
「なんか難しい事言うんだね……」

切っても切れない刀……しかし先ほど確かにあの刀はドールを切った。
何か発動条件があるのだろうか。

いずれにせよ、もうすぐ作戦の招集時間なので一戦交えて確かめる訳にもいかない。

「その女はキミがやったんじゃないよね」

男の後ろで倒れる女性を指さす。
もし、この男がやったのであれば倒れている女性に傷は無いはず。
わざわざあのギャングたちと異なる方法で攻撃する理由は無いだろう。

「ふーん……なるほどなるほど」

なにがなるほどなのか分からないが、勝手に納得している。
あの場に居たもので女に危害を加える可能性がある人物は、目の前の男かギャングの二択。
そして目の前の男ではない事はほぼ確定なので、必然的にギャングとなる。
そのギャングを追い返していたと言うことは……女性を助けたと言う事だろうか。

そのような展開がクリオネの頭の中で構築されていく……

「ってやば。召集の時間に遅れそう」

暇つぶしの予定がいつの間にか大分時間を使ってしまった。
流石にメイザースの命令をすっぽかすわけには行かない。

「もう少し話していたかったけど、時間切れ。じゃあね」

壁に寄りかかるのをやめ、路地から出て行こうとする。
左手を上げて、バイバイと言った風に振りながら表通りの人ごみに消えていく。


//すいません。早いですが、飯食ってからイベントに参加するのでこれで〆させてください。
//ありがとうございました。
277 :桐峰 凛 "嘘刀 八重桜刻雨2013/02/09(土) 19:07:40.78 ID:pPPNdtS+o
>>276
「…………………。」
黙って去って行くのを見送る。
そして振り返り

「…………………。」
この少年も、また去って行く。
女性はほったらかしにして。
去って行く様子を女性は見ることしかできなかった。


そして少年の姿は夜の闇へと消え去った。

//絡みありがとうございました!
とても楽しかったです!
できたら、また絡みをお願いします!
本当にお疲れ様でしたー。
278 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 20:40:52.02 ID:1KVfFA5xo
風が吹いた。
天気は、小雨。わずかに風が強く、艦橋に立つ女のローブがばさりと揺れた。
広大な海、そこの名は――バミューダ・トライアングル。
魔の三角地帯とされ、昔から船が遭難、飛行機が失踪する場所として名を轟かせる。
今そこに、どこから現れたのかはわからないが、兎角船が四隻存在していた。
中世頃の帆船だろうか、木製のその船は時代錯誤といっても良い、だがしかし――その船は外見不相応の実力を持つ。
並の航空からの攻撃ではそうそう沈むことはなく、移動速度も早い船は、近隣の防衛部隊のヘリや戦闘機を海の藻屑へと作り替えていった。

今この瞬間にも。

「詰まらんな。
 私に減らされる為にやってきたのかは分からんが、流石に張り合いが無い。
 全部食っていいぞ、赤月。……貴様の、最後の晴れ舞台なのだからな。
 私には理解できん。が――、死にゆく者をわざわざ殺してやる程空気がよめないわけでもない。
 命令には従おう、メイザース。船を、引き上げるぞ貴様ら」

女の背後で、ヘリが上空から引きずり落とされた。
それを成したのは、海の底から飛び出したクラゲのように透き通った真紅の触手。
それがヘリを絡めとり、海中に引きずり込んだのである。上空からの攻撃もそれらの触手がヴェールとなり防御をしている。
取れる手段はそう多くはない。例えば――、上空から戦闘能力を持つ能力者を投下し、内部から殲滅する、とか。
そういった手段くらいが、この艦隊を落とす術となることだろう。

『――さて、始めようか。僕らが世界をひっくり返す第一歩を。
 聞け、悪よ。僕は君たちの肯定者だ。君たちが居て良い世界、君たちが悪を貫ける世界を作る。
 その為の一手、世界に一石を投じる術が――この海上戦だ。僕とアンドラスが船を引き上げるまでの間、君たちには持ちこたえてもらう。
 ……信じているよ、だから任せる。任せたよ』

どこからか、あどけない少年の声がする。
悪には甘美に、善には邪悪に、中庸にはそのどちらにも聞こえる声。
僅かに集中しているような、硬い気配を感じさせる声色は、少年の本気を感じさせた。
そして、意識は強く善――敵に向けられた。

『やあ、世界の正しき側。僕はメイザース、世界の敵だ。
 ここで僕らの目的を達成すれば、君たち正しき側とは大分戦力差が縮まるだろう。
 そうすれば、またあのロンドンの様な事が起こるかもしれない、ね?』

彼らにあえて危機感を懐かせるような、警戒心を煽るようなそんな言葉。
恐ろしいのは、数百人以上の人死が起きる事を、まるで世間話のように変わらない振る舞いで紡ぐこと。
少年の真意は分からない。だが――ここで戦わなければ、世界は確実に傾いていく。
第三次世界大戦以降、復興しつつ有るこの世界を、彼らはまた引っ掻き回そうとしている。
平和を求めるもの、調和を求める者達に、彼らはほうって置ける存在だろうか。
少なくとも、ここに来たる者達は、放っておけない人間だ。故に、戦え――善悪よ。

ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ、円環の楽園至高の四柱の一人、アスモダイ、カラミティ・ジェーン、剣王。
無数の二つ名を持つ最強の個の一人が、一番艦に立つ。
もう既に数十のヘリと戦闘機が落とされ、死体の沈むこの海で。
ただ一人、魔術師然とした女は何かを待ち構えるように、口元に歪んだ笑みを浮かべて立ち尽くしていた。
隙は無い、容赦も無い。四柱は今宵二柱参加している。

悪は倒すべきもの、そう決めつけられ、倒されてきた悪。
それらが、今宵。善に牙を剥く。
刮目するべきだ。歴史が変わる瞬間が、いまここから始まるのだから。

「――絶滅させてやろう。来い、全世界。
 ピラミッドの頂天に私が立つには、私以外の総てが邪魔だ。だから死ね。
 戦闘機やヘリ如きの、魂の篭らぬ鉄の塊で我らを止められると思うな。
 かかって来い、己の力と、己の意志で……な」

【拠点の引き上げ進行度:不明(探査行動を取れば分かるかも知れない)
 海面の様子:海の表面に赤いゼリー状の物体が確認できる、内部には大量の死体が内包されている模様】
279 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 20:52:32.50 ID:8Aml62bOo
>>278
船の甲板で1人の赤毛の女が海を眺めている。
手すりに両手を載せてどのようなものが海底から出てくるのかを見てるようだ。

「なーんか……想像よりも大事になってるね」

戦艦4隻に対してこうも軍事的攻撃を仕掛けてくるとは。
まぁ、現在世界を賑わせている円環の楽園から大体的に声明もあればこうもなるか。

今甲板に見えるのは海を眺めているクリオネだけ。
もう少し警備などが充実していればクリオネも楽が出来るのだが。

そもそもこれだけヘリや戦闘機を落としておいて、まだこの船を落とそうとする奴がいるのだろうか。
とりあえず命令だから居る訳だが……
280 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/09(土) 21:01:47.15 ID:DbFK53jJo
>>278
「キャッキャッキャ! アレがメイザースだってよ、葉流」

「僕より小さな子みたいな声だけど……あれが、世界の敵みたいだね」

どこからか聞こえる敵の首領の声。2つの人影は、ヘリに乗りながらもそれをしかと聞いていた。
あどけなく、それでいてマフィアのボスのような危険な声。まだ幼い少年でも、それはしっかりと分かった。
それより、と少年の隣にいる男は言う。


「ケッケッケ! 葉流よぉ。あの船、そんじょそこらの攻撃じゃ沈まないらしいぜ?」

「丁度良いね。"パラシュートが要らない≠けだ。 ……それじゃ、行くよ。フォール、『身体強化』!」


防衛部隊のヘリは、時間が過ぎるごとにガラクタとなって海へと沈んでいく。
そんな中、そのヘリの1機から「何か」が落ちてくるのを、至高の四柱の1人である彼女は見ることが出来るだろうか。
それは爆弾でも、何かの機械でもない。"生身の人間=Bそんな物が、一番艦の甲板付近へとダイブしてくるのだ。

数百m、数十m、そして数m……程なくして、それは大きく硬質的な音を立てながら着弾……もとい、着地する。
傷1つ無い、灰色のパーカーと茶色のズボン。腰には、大きな二つのホルスターとポーチ。
黒い髪と、悪魔が乗り移ることで紅く光っている、その瞳。

「さて……テメェが俺達の敵みたいだな! 覚悟しろよ、ケッケッケ!」

少年に乗り移る悪魔が、甲高い笑い声を響かせる。

/よろしくお願いいたします!
281 :雨宮涙子[saga]:2013/02/09(土) 21:05:17.51 ID:5vZHoZ0io
>>278-279
小雨が降りしきる海上。磯の香りを纏った潮風が女性の身を包み、体の芯まで冷え込むような悪寒が彼女の内側を駆け抜けた。

「此処は私の望む世界じゃない」

波が荒れ狂う海面。そこで波紋のひとつすら起こさず彼女は佇んでいた。まるで水の上に立っているかのように。

「だからお願い。連れていって」

一歩、帆船に向けて歩み出す。彼女は確かにそこに立っている。

「ここではない、どこか別の世界へ」

彼女の周囲を漂う、帆船の一隻。その甲板からこちら側を覗き込む女性の瞳を、雨宮涙子は確かに捉えた。

/よろしくお願いしますー!
282 :白熊 佐助 No.15エリゴス2013/02/09(土) 21:08:32.69 ID:RBVWcaVpo
『ジェーン・・・この戦いではアンタが参加するんだよな。
 メイザースが派遣したのか、アンタが自分から参加を志願したのは知らねぇが・・・
 アンタや組織に恥をかかせる戦いはしないつもりさ・・・よろしく頼むぜ・・・』
バミューダ・トライアングル・・・メイザースの召集を受け、俺は配備についている。
拠点奪還作戦・・・だが、メイザースは四柱の一人であるジェーンが参加している。
メイザースの懐刀・・・あの人が参加すると言う事は、組織にとってあの船が重要だって事だろう・・・
俺はそのジェーンにテレパシーを送る。
そして、四柱と言えばもう一人・・・

『クラウン・・・この戦いではジェーンが参加している。
 四柱であるアンタなら、この戦いが如何に重要かが解るはずだ。
 俺も四柱が二人も居る戦いで見っとも無い真似を晒すつもりはねぇ・・・』
クラウン・・・あの人も四柱の一人だ。
俺はこの人にもテレパシーを送る。挨拶ぐらいはしておかねぇとな・・・
あの人はアスモダイに・・・ジェーンに負けたと聞いている。
それまでは偉大な王だったと聞いているが・・・

『ムルムル・・・アンタはロンドンに居たんだってな・・・
 俺はエリゴスの名を貰っている。そして名前は白熊 佐助だ。
 この戦いでは四柱が二人も参加している。ロンドンより甘くは無いぜ・・・』
ロンドン事変に居合わせ、便乗した女が組織に入ったって話はバアル・・・レオンの兄貴から聞いていた。
あの女がそうだろう・・・俺はその女にテレパシーを送る。
まぁ、ロンドン事変の生き残りでメイザースから名前を貰った女だ。心配する必要は無いだろう・・・

「ククッ・・・お前達にも感じているだろう・・・
 人々の苦しむ声・・・叫び声・・・泣き喚く声・・・
 その声を上げる愚かな民衆の姿が・・・
 ロンドンでの惨劇が頭から離れない筈だ・・・
 また聴く事になるぜ・・・ククッ・・・さぁ、俺にも聞かせてくれ・・・
 お前達が痛みに苦しむ声を・・・恐怖に泣き喚く声を・・・
 死に快楽は無い・・・だが、生は時に苦痛を与える!!
 聞かせてもらうぜ・・・お前達の苦痛を!!」
この戦いではメイザースが全世界に向けて宣戦布告を行っている。
魔の海域と呼ばれる場所だが、この様な場所でもインターネットとかで流す奴等は居るだろう・・・
だったら、インタビューに協力してやらないとな・・・

「お前達の選択肢は二つ!!死による開放・・・
 そして生による苦痛・・・寛大な心を持って、俺が選ばせてやるよ!!
 ククッ・・・ハハハハハハハッ!!」
自分によって爆笑しているが、我ながら悪趣味だぜ・・・
とは言っても、此処に来る様な連中も只で死んだり苦しんだりするような連中だとは思わないけどな・・・
283 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 21:13:17.53 ID:1KVfFA5xo
>>280
「――ほォ」

無謀にもそこからパラシュートも開かずに落下してくる影を見た。
即座、女は動く。艦橋に転がっていた銛を拾い上げ、一歩を踏み出し、身体をひねる。
バネのように身体を駆動させて、女の手から空中へと銛が投じられ。
落下していく相手とすれ違うように銛が飛翔、葉流の背後で何かが爆発する音と衝撃を感じたことだろう。
炎上しながら海へと落下し、飲み込まれていくヘリ。生身の投擲で、女はヘリを落としていた。

「如何にも。私がお前たちの敵だ。
 さて――殺してやる。お前の総てを私が根絶してやる、絶滅させてやる。
 かかって来い……正しい者=v

魔術師然とした女は、腰を落として構えを取った。
ローブがはためき、闘志で空間が軋みをあげような幻視を感じさせる。
魔力が僅かに発露していき、女の全身に薄く魔力が膜のように展開されていった。
フードの奥から除く鳶色の瞳から映る感情は、見えない。波紋の浮かばぬ水面の瞳、気配。
重心を低くし、右半身を前に出した構えは隙が極めて少ないもの。

女の体勢は、待ち。
相手が動き次第、此方も対応して動き出すことだろう。
水面は、不自然な波が有る。何かが脈動しているような、不気味な気配。
それらは、時間経過で徐々に増していた。
284 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 21:15:36.51 ID:8Aml62bOo
>>281
「何あれ……?」

クリオネは奇妙な光景を目にした。
1人の女が海の上を歩きながらこちらへ向かってくるではないか。

「まぁ……この状況で船に向かってくるのなんて敵しかないんだけどさ」

その敵がこちらへ来ているにもかかわらず、クリオネは武器を抜くことも手すりから離れることもしなかった。
相変わらず手すりに手を載せて眺めているだけだ。
ただし、眺める対象が海から人に変わったわけだが……

「ねぇ、そこ海の近くだし寒くない? こっちに来て一緒に引き上げを見物しようよ」

女がある程度近づくと、あろうことか右手を振って呼びかける。
まるで戦闘の意思など無いかのように笑いかけている。

(あの女の能力は空中に浮遊する能力、もしくは水分を操る能力の2択……もし後者ならこの環境での勝ち目は薄いか)

笑いかけるその裏では対象の能力の分析を始めていた。
正面切っての戦闘は得意ではないが、どう戦ったものか。
このまま帰ってくれればいいのだが

//よろしくお願いしますー
285 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 21:19:10.87 ID:8Aml62bOo
>>282
何やらテレパシーが送られてきた。
確かこれはメンバー全員が持っている能力だったか

『何? 忠告のつもり?……やめてよね先輩風吹かすの。キモいから』

折角の忠告だったのだろうが、クリオネは全く真に受けなかったようだ。
それどころかこの返しである。
286 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/09(土) 21:23:41.07 ID:LrirqQoQo
別に世界を守る気で居るわけはなかった
責任感もなければ義務もない
しかしやっと手に入れた一つの幸せを、
また壊されるかもしれない

耳にした惨劇が、自らに降りかかることを防ぐべく、
金髪蒼目の少女は一人、数ある船のうちの一隻
その甲板に佇む

少女がいつからそこにいるのかはわからない
肩よりポーチをぶら下げて、
血の匂いをふりまく大鎌を片手に
287 :雨宮涙子[saga]:2013/02/09(土) 21:28:37.06 ID:5vZHoZ0io
>>284
「……」

存外友好的な敵勢力の反応に、彼女は内心戸惑った。
甲板の上で見知らぬ女性が浮かべる笑顔。猜疑心を抱きつつ、しかし涙子にはその裏を読み取ることなど出来はしない。

「海の下に何があるのか。私にはどうでも良いの」

だから彼女は困ってしまう。甲板の上の女性はとても悪い人間には見えず、そして自分に死をもたらしてくれるようにも思えず。
しかしそれでも、彼女にはやらなくてはならないことがあるから。仕方なく、そうする他ない。分かりやすく。

「ただ、貴方たちを止めなくてはならない。それだけ」

ただ、分かりやすく敵対するのみ。でなければ、彼女の望む死は、いつまで経っても訪れはしないのだから……。

ざあ―――と。海面を覆った赤い膜を切り裂くように、水が溢れ出す。それは恐らく、女性が持つ何かしらの能力だろう。
戦いの幕開け。命の火の導火線は、もうすぐそこまで迫っている。
288 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/09(土) 21:31:01.17 ID:DbFK53jJo
>>283
「キャッキャッキャ! あの女、生身でヘリ落としやがったぜ!」

すれ違った銛は、多分自分達が落ちるコースを逆走してヘリへと突き刺さったのだろう。今まで乗せてきてくれたヘリを。
背後の爆音を聞いて直感した少年は、さらに悪魔の声で確信した。コイツはヤバい奴だ、と。
それと同時に、少年は決心する。なんとしてもこいつ達の作戦を成功させるわけには行かないと。
悪魔も、終始爆笑してるワケではない。相手の彼女と向かい合って、始めてその声のトーンを下げる。

「……くっだらねぇな」

「そうだね。……根絶なんて、させないッ!!」

叫ぶ少年の背中。そこから皮膚を突き破って出てくるのは2本の平べったい『手』。
ただの手ではない。長さ3m、幅1mほどの平麺のような巨大な黒い手はあたかも少年が生やした翼のよう。
しかしそれはれっきとした武器。そして右側のホルスターからもう1つの武器であるデザートイーグルを取り出した。弾は、装填済み。

(あの格好……魔術師? ……なら、近接で一気に攻める!)

その見た目どおり、過去に彼女に敗れ去ったものと同じ様に捉えた少年はまず『手』を生やして近距離の戦闘へと持ち込もうとする。
ダッシュ、そしてデザートイーグルから2発を彼女に撃ち込もうとする。しかしそれは予備戦力。
3mまで近づくことが出来れば、本命である『手』の片方を、上から下へ、彼女を押し潰そうと動かすだろう。
289 :白熊 佐助 No.15エリゴス2013/02/09(土) 21:35:29.36 ID:RBVWcaVpo
>>286
「よう、ガキ・・・ククッ、俺の素晴らしい言葉を聴いて赴いてくれたのかい?」
甲板に現れたのは一人の少女・・・
金髪に蒼目・・・アメリカ人か・・・?
ガキとは言え、何らかの異能って奴を持っているんだろう・・・
そうでも無ければこんな場所に来るとは思えない・・・
と言うか何時からいたんだ・・・?
それに、あの手に持ってる大鎌・・・武器なんだろうが、血の匂いが凄い・・・
人殺しに躊躇はしませんと言わんばかりの・・・下手すりゃ、“こっち”側じゃねぇのか?

「やるぜ・・・やるぜ俺は!!」
気にしても始まらない・・・
俺は二本のナイフを召喚し、それを両手に一本ずつ手に持つ。
そして右手に持ったナイフを少女に向かって投げる。
狙いは肩からぶら下げたポーチ。ただのファッションとは思えない・・・
確かめてみる必要がある・・・!!

【その男は右手に腕時計を身に付けており、左利きだと言う事が解る。】
【左利きである彼が右手で投げると言う事は、彼は逆の手で投げている事を意味する。】
290 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/09(土) 21:39:39.97 ID:Ur/rALhYo
「正しい・・・か。」

茶髪の、ローブを着た長身の青年は、戦艦の甲板に立ち、赤いゼリーがたぎっている怪異の
海を見て、先ほど、このテロの首謀らしき言葉に対して思考にふける。
別に、正義とかそんなものでこれに参加したのではない。なぜここにいるかと
問われれば、明確に返せる気がしない。

名誉がほしいのだろうか―。

あまりの、自身の心の醜さと虚栄心に、海でたぎるゼリーを重ねた。この
ゼリーのように、自身の心はまだ見返しを求めている。なんと愚かなことか。
ウィズは、一通り自身をいつものように自嘲した後、杖を持った。

その出で立ちは、これから戦いを挑む者のそれではない。
291 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 21:41:07.10 ID:1KVfFA5xo
>>288
「銃と――異能か。 手数で言うなら私の1.5倍だな。
 だが、それがどうした? 尽く絶滅すればいいだけの話だ」

相手が姿を変えたのを見て、女は口元に笑みを浮かべる。
背中から生えた巨大な手、そしてデザートイーグル。
遠距離は銃が担当し、近距離から中距離は腕が担当するマルチレンジであると判断。
だが、気にすることはない。要するに総て潰してしまえば勝てるのだから、全て潰せば良い。

「成る程面白い。
 しかし、足りんな。この程度では足りん」

二発の弾丸が飛翔するが、その時点でその場に女は居ない。
半歩分右に飛び、銃弾の射線から身体をズラしたのである。
そして、その直後に距離を詰めた相手が手の片方を振りぬいていく。

「ふッ!」

手に対して、魔術師のごとき格好の女は――拳で対抗する。
地面をだん、と強く踏みしめ、真上を見定めながら右足を踏み切る足にして跳躍。
左腕を身体を捻り上げるような螺旋の動きで振り上げ、手に直接叩きこもうとする。
その動作の全てが、迷いなど一つも感じさせること無く、淀みなく完了されていく。
気の遠くなるような異様な修行の果てにたどり着いたであろうその動きは、魔術師のそれではない。

駆け抜ける腕に纏う微弱な魔力の膜に波紋が走る。
もし触れれば直撃の瞬間に、大魔術もかくやという莫大な魔力が拳から直接叩き込まれるだろう。
鋼鉄程度の強度ならば、その一撃で粉々に粉砕してもおかしくはない。

この女、魔術師ではない。
――膨大な魔力を持つ、只の武人だった。
292 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 21:43:13.99 ID:8Aml62bOo
>>287
(間違いない……!あの女の能力は液体操作)

それまでとはまるで違う海の挙動。
このタイミングでそれだと言うことは、これはこの女の仕業。
だとするならこの女の能力は液体操作で確定。

「って待った待った。ストップ!」

右手の平を前に向けて、戦闘体勢に入るのを止めようとする。
円環側の人間としてはあるまじき行為だが。

「実は今回の作戦気乗りしないんだよねー」

「大体、この船一隻を沈めた所で大局は変わらないよ? だったら2人で事の顛末を見てるのも良いでしょ」

あろうことかメイザースの命令を無視するような発言。
戦う気があるのだろうか。

「それにね……私戦うの好きじゃないんだよ。元々、この組織だってメイザースに弱みを握られて無理やり手伝わされてるんだから……」

「だから、そんな所に居ないでこっちに上がっておいでよ」

「ここだけの話、その中には触手が居てメイザースが意のままに操ってるんだよ。そこに居たらどんな能力者でも引きずり込まれちゃうよ?」

何を思ったか、甲板から梯子をおろし、いつでもこちらへ上がってこれるようにしてしまう。
何を考えているのやら。
293 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/09(土) 21:49:01.84 ID:LrirqQoQo
>>289
「……さあ、どうだろうね」
感情を感じられない…… 抑えているともいうのかもしれないが
ともあれそんな冷たい口調での一言
年端もいかないという言葉が似合うような、
そんな幼い女の子

鎌さえ持っていなければ、もしかすると別な見え方をすることになったかもしれない

「……召喚魔法か」
片手でポーチより、素早くナイフを二本取り出す
投げられたナイフをナイフで弾こうと、
それは少女の手より放たれる
294 :クラウン・クラウン/重力球を操る2013/02/09(土) 21:53:03.33 ID:/jGPdt8Y0


「…気に喰わないな。蝿にも成れぬ蛆虫の分際で…僕の領地を這いずるとは。
 沈んでいろ、御前らに盟主の邪魔などさせぬ」

至高の四柱が一人『バイモン』の名を冠す者
逸話では空を支配する堕天使だと云われている彼は今
船首に立ちその紅顔を醜く歪ませ、空を飛び回る人間達を眺めていた

そこで、頭の中に響く、佐助からのテレパシー

「…! 余の前で、いや僕の戦いの前でアスモダイの話をするとはね…
 本当なら今すぐ殺してやりたいが。親愛なる盟主様の命令…良き鼓舞となった感謝するよ、佐助」


悪魔の頭に血が上る
冷たい潮風等では誤魔化せないほどに頭が厚くなる
殺したい、壊したい

少女のような少年は憎き記憶に脳内を支配されながら
八つ当たりの矛先を、探していた



お待たせしてすいませんでしたぁ!
295 :雨宮涙子[saga]:2013/02/09(土) 21:59:27.26 ID:5vZHoZ0io
>>292
「私も……」

ほんの数瞬だけ逡巡して、しかし彼女は思い切りよく梯子に手を掛ける。
弱みを握られて―――という言葉を丸々信じることは出来ないが、目の前の女性はどこか憎めない。
やりずらさのような物を感じて、結局彼女はどっちつかずになってしまう。自覚はあるが、悪い癖だ。

「戦いは、好きじゃない」

ゆっくりと時間をかけて、涙子は甲板に登る。ようやく女性と同じ目線まで到達して、一呼吸。そして―――。

「でも、私には目的があるの。貴方のことは、別に嫌いではないけれど」

降り注ぐ雨。その勢いがにわかに強まる気配。涙子は甲板の上で、黒いこうもり傘を差して。

「それでも目的のためなら戦わなきゃ、いけないの」

覚悟に満ちた瞳を、執念を感じさせる視線を、目の前の女性に投げかける。
296 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/09(土) 22:05:14.44 ID:DbFK53jJo
>>291
「速い……ッ!!」

「何、それでもコイツにゃあ…………」

魔術師は魔法だけに頼り、身体能力はあまり良くないのが通例だと、教わったことが有る。
しかし先ほどの銛でその話がまるで役に立たない例外だと既に分かっている。
そう思っていたのだが、まさか、アレほどまでとは思っていなかったらしい。思わず歯噛みする。相手は、例外中の例外かと。

次いで振り下ろされる『手』。悪魔は、避けようともしない相手に油断していた。
重さは約50kg。鋼鉄並の強度を持つこれを、易々と受けきれるはずが無い。そう思っていた。


が。


「ぐ…………ッ!!? ああああアッ!!!」

「フォール!?」

絶叫を上げたのは、悪魔の方。
咄嗟に手を引きその魔翌力の塊の直撃を受けずに済んだが、左の『手』は半壊。ボロボロと落ちる『手』の残骸は、魔翌力になって空へと消えていく。
少年はまたも直感する。彼女は、魔術師などではない。武人……格闘家。しかし、膨大な魔翌力を持っている。
一発の拳から放たれるのは、大魔法クラスの魔翌力……『手』や『武器侵食』では、確実にやられるのはこちらの方だ。

ならば、あまり好きではないがと少年は思い。

「フォール! 『身体侵食』!!」

瞬間、少年の背中から伸びた『手』は一瞬で消滅し、代わりに少年の瞳が先ほどのように紅く光る。その瞳の下の頬には、バーコードのような同色の短い帯が描かれる。
同時に少年の動きは格段に速度が上昇し、一気に彼女との距離を詰めていく。そのまま近づくことが出来れば、彼女の腹へと、左腕で掌底を打ち込もうとするだろう。
威力は彼女の拳とは比べ物にならないが、そこそこの威力はある。
297 :白熊 佐助 No.15エリゴス2013/02/09(土) 22:06:54.13 ID:RBVWcaVpo
>>293
「チッ・・・!!」
アイツがポーチから出したのはナイフ・・・しかも二本・・・
やっぱりポーチに何かあったのか・・・!!
しかもそのナイフで俺のナイフを弾きやがった・・・
それにしても・・・

「おもしれぇ・・・タイプだぜ?アンタみたいな奴・・・!!」
感情を感じさせない奴・・・機械みたいな無表情ロボット人間・・・
そう言う奴ほど、苦しむ声や姿を引き出してみたくなる・・・
この耳で苦しみ声を・・・この目で苦しむ姿を・・・
焼き付けたくなってくる・・・!!

「ククッ・・・気に入った・・・最高のプレイをやろうぜ!!切り刻んでやるよ!!」
俺は小雨で揺れる船を、自分の運動神経を使って疾走する。
向かう先は奴の正面・・・!!
そしてもう一本のナイフを構え・・・!!

「スラッシュ!!」
ナイフを振り上げるようなモーションを一瞬だけ見せ、
そしてその直後に、しゃがみ込んで蹴りを試みる。
ナイフの動きはフェイント・・・掛け声に乗ってくれればいいが・・・
狙いは足元・・・大鎌を持ってるんだ・・・
重そうな武器を持って足元をやられれば・・・!!
298 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 22:11:48.18 ID:8Aml62bOo
>>295
「そう……分かり合えないんだね、私たち」

甲板の上で決意に満ちた目を正面に見る。
雨がうっとしい……
しかしこの雨が、この雰囲気を作るのに一役買っているのだろうか。

「だったらさぁ……」

先ほどよりも低い声に突然変わる。
右手を顔に当て、少し目を閉じた後、再び開かれる目は先ほどの目つきとは全く異なるだろう。

「キミはここで死ぬしかないよねっ!」

踏み出す一歩。
女の背後にサーベルを持たせた雨宮涙子と全く同じ容姿をしたドールを生成し、袈裟から切りかかる。
同時に逃がすまいと、一瞬で自分の右手にサーベルを生成して、右下から左上へと切り上げを行う。
誰もいないはずだった甲板で突然の挟撃。
とは言え、攻撃はそこまで重くない上、左右は開いているのだが。

「あっはははははは! 何が目的の為よ、キミはここで死んで目的は果たせないんだよ」

戦うのが嫌い……よく言うよと言った具合の豹変だ。
今のクリオネはただ残虐で、戦い好きの女に見えるだろう。
299 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 22:14:40.88 ID:1KVfFA5xo
>>296
「そんなに大きな的≠私の前に置くのが悪い。
 ――さて、それで終わりか、詰まらんぞ?」

地面に着地する女は、仁王立ち。
揺れる船上に置いても、彼女の重心が揺らぐことはない。
体表に纏っている魔力は、極めて微弱。一瞬のみ、莫大に開放して威力を発揮している。
要は、ホールから水を垂れ流すよりも口を抑えたほうが威力が上がる原理だ、絞り込んで一点集中での開放のほうが、強い。
彼女の行動のすべては、戦闘的利点に繋がるようになっている。今の挑発も、何もかも、だ。

「……ほう、早いな」

掌底を叩きこもうと、かなりの速度で接近していくる相手。
それを見て、にたりと女は笑み、地面を踏む。
掌底は確かに突き出され、彼女に触れた。だがしかし、手応えはない。
掌底が腹に触れたまま、後ろに同じ勢いで飛んでダメージをかなり減少させたのである。
柳に風、暖簾に腕押し。剛柔併せ持つ在り方こそが、この女の本領。

「キャラァッ!」

そのまま、一歩を踏み出し女は頭を相手の鼻っ面に叩き込もうとする。
そう、頭突きだ。魔力をある程度込めたそれは、ダメージ云々よりも隙を相手に作る目的が強い。
頭突きで隙が生まれたならば、相手の左腕を取り――腕を逆側に折り曲げようとする。そう、関節破壊だ。
単純な動作である、肘を右手で抑え、手首を左手で掴み関節を曲がらない芳香に曲げるだけの技。
だが、人間である以上、関節を逆方向に曲げられれば当然関節は破壊されるし、腕を使えなくなる。

着実かつ堅実に、この女は己の勝利を取りに来ていた。
円環の四柱という生き物は、こういう存在だ。
300 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/09(土) 22:21:52.70 ID:LrirqQoQo
>>297
「機械ロボット人間……、か
人聞き悪いなぁ、おにいさん?」
にっ、と、笑顔を浮かべる少女
笑顔は、年相応のそれである

……さて、と
いつもみたいに猫被って行こう
気負い過ぎるのもよくないし、
冷静さを忘れると、また同じ過ちを繰り返すことになるかもしれないから

「遊んでくれるの? おにいさん
うれしいな、友達いないから」
無邪気な仮面こそ、自分を保てる仮面

無邪気な口調でにこにこと
恐ろしい変貌っぷりは、
今一度現実を認識した少女の覚悟

「でも、乱暴なことは嫌だな……?」
ポーチの中身がナイフだけとは限らない
自分へと近づいてくる男へと、
忌まわしい記憶を植え付けた手榴弾を5つほど、栓を抜いて
男の進路を塞ぐようにして
あるいは男に向けて投げる

鎌は片手持ちである




301 :クラウン・クラウン/重力球を操る2013/02/09(土) 22:24:09.16 ID:/jGPdt8Y0
>>290
「…気に喰わないな。蝿にも成れぬ蛆虫の分際で…僕の領地を這いずるとは。
 沈んでいろ、御前らに盟主の邪魔などさせぬ」

至高の四柱が一人『バイモン』の名を冠す者
逸話では空を支配する堕天使だと云われている彼は今
船首に立ちその紅顔を醜く歪ませ、空を飛び回る人間達を眺めていた

そこで、頭の中に響く、佐助からのテレパシー

「…! 余の前で、いや僕の戦いの前でアスモダイの話をするとはね…
 本当なら今すぐ殺してやりたいが。親愛なる盟主様の命令…良き鼓舞となった感謝するよ、佐助」


悪魔の頭に血が上る
冷たい潮風等では誤魔化せないほどに頭が厚くなる
殺したい、壊したい

少女のような少年は憎き記憶に脳内を支配されながら
八つ当たりの矛先を、探していると

「キミが、いや、今夜はいい…か
 貴様が我に抗うものか蛆虫ィ!? 僕は今気が立っているッ
ふん、悪いとも思わぬが今から八つ当たりをする」

視界に入るは少年。杖を持っていることから推察するに、恐らくは魔道師
自身の弱点ともいえる 打撃 斬激 を司る者とは思えず
内心で、圧倒的な勝利を確信していた。まぁ、圧倒的かそうでないかの差こそあれ
彼は自身の敗北など想定したことなどないのだが


「我が名はクラウン・クラウン。偉大なる王にして死の偶像(アイドル)…
呑み込め『闇雲』!! 奴を海の藻屑とかえろ」


不意を撃つ様な形で、ウィズカーバーへと大小複数の黒球を放つ
それは一つが一つが膨大な引力を発しているが、強力な打撃などをあてれば破壊は容易い
されど防げなければ、その体に無数の風穴を開けることになるのであろうが
302 :雨宮涙子[saga]:2013/02/09(土) 22:25:26.62 ID:5vZHoZ0io
>>298
「……えっ」

突如変貌したように、態度を変えた女性の言葉。それが一瞬、雨宮涙子の思考を鈍らせる。
回避行動は取れない。反射的に2つの刃から顔を背けて、彼女を両手を前に突き出し、盾にするように―――。

「……!?」

ぞわっ―――と。背筋に再び悪寒が走った。瞬間、涙子は諦めの境地に達する。恋人は常に、彼女に寄り添うのが定めか。

「……やっぱり、私は今日も死ねないの」

二つの刃を受け止めた、それは圧縮された水によって精製された、水鞭。
術者の意思や認識とは関係なしに、雨宮涙子に害を為す者から彼女を守る、青白い恋人。
水によって形作られた2つの鞭は、まるで生物―――大蛇蛇のように身をくねらせて鍔迫り合いを繰り広げるサーベルに絡みつかんと画策する。
303 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/09(土) 22:34:59.92 ID:DbFK53jJo
>>299
「……コイツ……ッ!!!」

悪魔は姿があったならば歯軋りをし、今にも彼女に単身飛びかかりそうな声を上げる。
自分の分身である『手』を破壊された上、挑発をされては沸点の低い悪魔は直ぐに怒り狂ってしまう。

「……ッ!! クソッ!!」

対して少年は、悪魔の声を聞こうとも挑発を聞こうとも冷静では有るものの、その掌底を避けられたことに焦る。
しかもその方法は、『同じ速度で後ろに跳ぶ』。並大抵の格闘家でも、そんなことは出来ない。
そう、彼女は強い。もしかしたらとんでもない相手と戦っているのかと戦闘中ながらそう思う。

「……ッ!!」

しかし、少年にも考えはあった。そしてそれに、相手は乗ってくれたようで。少年は歯を食いしばる。

相手の頭突きは少年に直撃したものの、それよって少年が隙を生むということは無い。
なぜなら、『身体侵食』で得た防御力は元々銃弾一発を防ぎきるほどのものであるから。そして、魔術には滅法強いから。
そして、それで怯むほど少年は甘く生きていないから。

「――――――……ハァッ!!」

隙が出来ていれば破壊されていたであろう左拳を軽く引き、相手の喉元に向かって撃ち出そうとする。
と同時に開いた右手で持ったデザートイーグルで、今度は脚部を狙った3連発。相手の動きを止めようとするのが狙いだ。

強い、確かに強い。だが、少年はやられっぱなしで帰るわけには行かない。
相当の意地というものがあった。
304 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 22:36:33.69 ID:8Aml62bOo
>>302
「!?」

2本のサーベルを止められたクリオネは一瞬驚いた表情をするが、すぐに元にも戻す。
避けながら反撃を仕掛けてくるという予想をしていただけに、この結果は少々予想外。

(止められたっ……いや違う。この女は間違いなく反応できていなかった。この能力は……っ)

オートで防御を行う能力だと言うのか。
防御の判定は何だ?いくつまで防御できる?強度は?
すぐさま分析を行いたいが、さすがに情報が無さすぎる。

「挟撃されてその場にとどまるなんて馬鹿じゃないの?」

挟撃を行っている2人は、まるで鏡のような動作で空いている左手に短めのレイピアを生成する。
少なくとも鍔迫り合いでこの蛇のような水は動けないはず。
ならばとサーベルをくれてやると言った勢いで鍔迫り合いに付き合いながらも、左手のレイピアで再び攻撃を仕掛ける。

正面に居る自分は女の心臓部を狙う。
しかし、本命は後ろのドールによる攻撃。
その攻撃目標は左足の腿の部位。
305 :白熊 佐助 No.15エリゴス2013/02/09(土) 22:39:58.87 ID:RBVWcaVpo
>>300
「ヤバッ・・・!!」
走る途中、俺は此処でブレーキを掛ける。
手榴弾まで出てきた・・・
しかも栓を抜いて・・・自分の乗った船で、しかも魔の海域と呼ばれる場所で爆弾を投げるとは・・・
そんな状況で船にダメージを与える事のリスクを考えていないのか・・・
いや・・・それとも覚悟か・・・
やられる覚悟も無い奴に、そんな真似が出来る訳も無い!!

「気に入ったぜ!!」
俺は踊るように身体を回転させ、その勢いで左手に持っていたナイフを投げる。
敢えて正面からな・・・覚悟を持って向かってくるなら、俺もそれに応えないとな・・・
そして利き手で投げれば当然、狙いも付きやすい!!
狙いは足元・・・鎌は片手で持ってやがるが・・・揺れる船の上だ・・・
上手くいけば立つ事も難しくなるだろう・・・!!
306 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/09(土) 22:41:15.17 ID:Ur/rALhYo
>>301
「―!」

突然の、激怒の声のほうに振り返れば、彼に迫るは
不気味な黒い球。今まで思考にふけっていたがゆえに、回避
ができないところまで球が迫っていた。

杖で叩き落とせるか―
いちかばちかの賭けだ―。

ウィズはすぐさま手に持っている杖を両手でもち、
自身に当たりそうな黒球のみを狙って、まるでその外見からは
似合わぬ杖捌きで、黒球を破壊した。

クラウンの、ウィズが魔道師という推測は確かに正しい。彼は
魔道師だ。
ただし、魔道師をそれたらしめる魔道は彼は一切使えない。
それに、彼はあまりにも魔道師にしては破格の身体能力、そして
棒術の才能をもっている。
クラウンの推察とは、彼の実態はあまりにも真逆であった。

まさか、壊れるとは―。

一か八かでやって壊れる球を見て、安堵をしながらも、それを放った
死の偶像である悪魔を、多少、哀れみ―舐めてかかるような眼で見あげる。

「八つ当たりだなんて、随分悪魔らしくないな。藻屑に変えられるなら
変えてみろよ。」

挑発を思わせる不敵な微笑みを浮かべながら、悪魔を蔑んだ。

といっても打算9割だが。
相手は冷静さを失っている―。この調子なら挑発し続ければ
いずれは憤怒するだろう、この能力を見るあたり、パワーで攻めるような
能力ではない、冷静さを失わせればなんとか対処できそうだ。

307 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 22:46:06.05 ID:1KVfFA5xo
>>303
「ほ、う」

己の頭突きを受けた上でも、相手は怯むことはなかった。
その事実に、素直に女は称賛の声をあげる、素晴らしい、と。
その上で、相手の撮った行動を見て、したたかである、と思った。

三発の銃声、喉元への拳。
それらは、確かに強力な攻撃だ。
当然のように三発の銃弾は女の右足を打ち抜き、血を飛び散らせた。
しかしながら、皮膚の表面に傷がついただけで、機動力を落とすようなダメージではない。
異様に硬いのだ、この女は。
そして――、首筋への拳は、軸をずらすことで回避して。

「――硬いな、成る程。
 魔力に強く、物理に硬い。成る程、成る程面白いな。
 良いだろう、全部まとめて――砕いてやる」

女がにたりと笑い――、右腕を振りぬいた。
踏み込んだ甲板が、まるでベニヤ板のように容易に粉砕する。
女の拳は、只の正拳。先ほどのように魔力を込めたでもなく、高い威力を持つでもない。
その代わりにジャブとして高い速度を持った、当てることだけを目的とした打撃。
だがしかしもし当たれば、相手の『身体侵食』を無視して、普通に腹部にダメージを負うこととなる。

女の異能である夢幻泡影の発動だ。
彼女の周囲に居る限り、彼女から妙な重圧感を感じることだろう。
しかし、それ以上の変化は見受けられない。だがしかし、この空間内において。
ジェーンも葉流も≠らゆる防護を失い、生身の防御力しか発揮しないようになる。
要は、攻撃力は据え置き、防御力の強化は全て解除。一撃の威力が完全にそのまま伝わるようになる。
それを教えるはずは無いが、それに気がつくことが出来れば、この隙のない女が相手でも勝ちを掴み取ることが出切るかもしれない。
308 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/09(土) 22:48:46.82 ID:LrirqQoQo
>>305
船を沈めて、道連れにする
それもまた一つの手段か

例え自らに死神が微笑んだとしても、
その微笑みから目を背ける手段が少女には備わっていた

しかしそれを呼び起こすことは、すなわち人であることをやめること

「……ッ、痛いよ、おにいさん……」
それは鎌を持たないほうの手……、左手に突き刺さる
目が潤ってくる
なにかを懇願するような目で、男を見つめる

そして直後、痛みのせいなのかは定かではないにしても、
体制を崩して片膝をつく
309 :雨宮涙子[saga]:2013/02/09(土) 22:56:08.70 ID:5vZHoZ0io
>>304
目の前の女性と比較するまでもなく、戦闘において雨宮涙子はほとんど無力である。
故に認識は追い付かない。目の前で起こる脅威に対しても、身を守る術は無い。
そんな彼女だったからこそ、恋人は寄り添うのかもしれない。遠くから見つめるには、些か危なっかしい人柄であったから。

「ぐっ……あぅ」

正面から心臓部を狙ったレイピアの一閃。それを受け止めたのは、ボール型に圧縮された水のブロック。
しかし、現在の反撃レベルでは、この程度の防御で精一杯だろう。
背後からの一突き。悲鳴は辛うじて押し殺す。貫かれた腿部から溢れる、血。

力が抜けたように、うずくまりかけて。そしてその瞬間、貫かれた傷口から迸る、赤い閃光。それも液体操作の一環か。
光と見間違えるような真っ赤な輝きを放つ液体、それが腿部に空いた傷穴の前後から。
女性と、そしてドールに向けて。まるで刃ような一突き放たれる。
310 :白熊 佐助 No.15エリゴス2013/02/09(土) 23:01:38.80 ID:RBVWcaVpo
>>308
「ククッ、そんな物かよ・・・そんなモンじゃ無いだろう?
 その血の匂い・・・明らかに“こっち側”の人間を思わせるような・・・そんな匂いだ・・・
 香水にしては、キツ過ぎるぜ?」
ポーチの中身も気になるが、その血生臭い鎌も気になる。
アイツは何かを訴えるような目で見ているが・・・

「此処には俺の盟主も居る。俺が名前を与えるように言ってやろうか?
 仲間にならないかって誘いだ・・・
 まぁ、この痛みとは比にならないぐらいの苦痛を味わう事になるがな・・・」
そのまま痛みつけるのも良いが、これほど悪を思わせるような奴を放って置くのも勿体無いよな・・・

「その刃を今、此処で向けるか・・・後に世界に向けるか・・・お前が判断しな・・・」
当然、俺の立っている場所には手榴弾もある。
此処を動けば、アイツに対して失礼だろう・・・
それなりの覚悟を見せないとな・・・
とは言っても・・・コイツを仲間に迎え入れ、他の奴等がどう思うかは知らないけどな・・・
311 :クラウン・クラウン/重力球を操る2013/02/09(土) 23:02:02.44 ID:/jGPdt8Y0
>>306

悪魔らしくない。その言葉が、彼の脳内で木霊する
自分は悪魔である以前に王である。と、自負し 驕り、四柱の独りに煮え湯を飲まされ
挙句、またも四柱の独りに殺害され、地の底に地獄の果てに沈められた過去を思い出す
そこから這い上がったときに己は誓ったのだ。王である以前に悪魔であれと

『誇りを捨てろ、驕りを置いていけ。
 誇っている限り、驕っている限り。お前の全ては私に届かん』

そう吐きすてられたから悪徳に染まったというのにだ
このような人間に 脆弱な人間に 悪魔らしからぬ 等と吼えられるとは
最早、己の司る闇の引力でさえ、頭より下に血を寄せることも出来まい

「吼えるな、小僧め…闇は沸々を湧き上がる物…大海から溢れた雫を滅した程度で思い上がるなよ!?
潰せ、呑みこみ潰せ 津波と成ってェ! おしつぶせェ!」


少年の読みは的中だ。悪魔の予想は外れ、少年の読みは大的中。悪魔は怒りに身を任せ
水のような性質を持つ闇を操り、津波のような形とさせ、少年へと放つ

しかし、それは余りにも単調。悪魔は今、少年の掌のうえで踊らされていた
312 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/09(土) 23:06:50.30 ID:DbFK53jJo
>>307
(硬ぇ……皮膚に傷が付いただけかよ……ッ!!)

悪魔はいつの間にか感情が怒りから冷静にシフトしていたようで、彼女を撃ち抜けなかった銃弾を見て歯噛みする。
高い攻撃翌力、異様すぎる量の魔翌力、そして銃弾をも通さない防御力。彼女に弱点は無いというのか。
……そうやって思考していた所為か、少年共々、彼女の拳への反応が遅れた。

「ッ!! 葉流ッ!!」

「……っうっ……ぐ……」

(……侵食の防御力が……!?)

幾ら相手のそのジャブが高い攻撃翌力を持っていなかったといえ、ICODで日夜訓練をしているといえ、少年は少年だ。
ガードを超えて腹部へと直撃する拳が小ダメージなどということは無い。
後ろへとたたらを踏む少年。何とか倒れずに済んだが、良い状況とは決して言えなかった。

「葉流、何かおかしいぜ……何か、何かがおかしい……」

「分かってる……だけど、戦わないわけには行かない!」

ぐずぐずしていると、また彼女からの攻撃を喰らってしまうだろう。それならば、手数を稼ぐのが1番良いと少年は判断したようで。
そのまま彼女へと向かっていく。今度は拳を使わず、銃で相手を斃しに行く!

デザートイーグルの装填数は7発。その後2発を胸部へと打ち込もうとする少年。その可否に関わらず、少年は弾丸を装填しなくてはならない。
僅かな時間での装填。それは確かに、隙になりうるが。
313 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 23:07:18.76 ID:8Aml62bOo
>>309
(通ったっ……オート防御は完全じゃない)

そんなことで気を抜いたつもりは無い。
だが、それまで操っていたのが全て水であり、当然攻撃に使用してくるのも水だと無意識に頭の中で思って居たのだ。

傷から出る血の刃に対する反応が遅れ、防御も回避も間に合わない。
両方とも、血の刃をもろに受け、その胸を貫いた。
心臓部への一突き……普通の人間ならこれで死ぬが……

胸を貫かれた両名はぴたりと動きと止めた。
まるで命を抜き取られたかのように……
先ほどまで騒がしく喋っていたクリオネも今は沈黙し、全く喋らない。

気づくだろうか、背後のドールはまだしも正面のクリオネからも血が一切流れていない事に。

ぱちぱちぱち……

甲板への出入り口の方から聞こえてくる手を叩く音。
そちらから出てきたのは……

「あっはっはっは、ご苦労様。人形と遊ぶのは楽しかった?」

クリオネだ。
雨宮涙子の正面に居る女と全く同じ容姿の赤毛の女が手を叩きながら近づいてくるのだ。
一方、動かなくなった2体は光の粒子となって徐々にその姿を消していく。
314 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/09(土) 23:14:38.19 ID:8lPPBFYUo
>>310
「確かにこの鎌は使い込んでるけど、
私がこんなにしたわけじゃないもん」
頬を膨らませ、むっと言わんばかりの表情な少女
決して正義の側に立てるような人間でないことは確かであるが

「仲間……?
私みたいなお荷物を、仲間にしてもいいの?」
きょとんと首を傾げながらも、どことなく嬉しそうにも見える
それが仲間という言葉に対してなのか、
はたまた自身も悪の側であることの自覚からなのか

あるいは別の理由からなのかは、その表情からは読み取れない
その無邪気なそぶりからは、読み取れない
315 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 23:17:04.82 ID:1KVfFA5xo
>>312
「――通ったな」

一言、事実確認のようにそう呟くと、女は腰を落として構えを取る。
相手の腹部に深々とめり込んだ拳には、いきいきと肉を殴り飛ばした感覚がある。
女の練度も有り、これから先は只の打撃がかなりの威力を発揮する状況となった。

「ッ、と……ッ、ふ!」

相手の弾丸を、足さばきで避けようとする女。
胸部への直撃は避けたが、脇腹に掠った一発が、女の身体から鮮血を吹き出させる。
明らかに、先ほど足に直撃した時よりも浅い入り方だったというのに、出血が大きい。
これは、どういうことだろうか?

しかしながら、相手の攻撃を凌いだ女は、一気に距離を詰めに――行かない。
足元を踏み抜き、飛び散った無数の木材の群れ。
それら尽くに蹴りを叩きこみ、先端の鋭い木材を飛び道具のように発射したのだ。

「――うラァ!!」

普通ならば、隙を狙う程度の攻撃でしか無いそれ。
だがしかし、今の状況であれば、十分に攻撃≠ニなる一撃だ。

>>ALL
唐突に、水面が揺れ動いた。
ぐわんぐわんと水面に大波が生まれ、船が揺れ動く。
足場を船の上としている者達は、船から皆を落とさんとばかりな大波が生む揺れに対処しなければならないだろう。
状況が拮抗している場ならば、ここから状況が動いてもおかしくはない。

また、海の底から感じられる気配が、より近づいてきている。
魔力の胎動が、この水面に影響を起こしているのだろう。
徐々にメイザースの言う拠点が、表へと引き上げられてきているのだろうか。
316 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/09(土) 23:21:11.83 ID:Ur/rALhYo
>>311
よし、結果は上場―!

もはや一種の罠とすら思わせるようなあまりにも単調の攻撃を
見て、彼は内心でほくそ笑んだ。とはいえもしかしたら罠
なのかもしれないという不安もあるのだが。

とはいえ、今は間違いなくチャンスであることには変わりない―。
ウィズは津波に向かって走り、闇の水の津波に向かって杖で殴った
後、津波の軌道に対して横にそれて、クラウンの元へと杖をバトンのように巧みに回しながら
迫る。

先ほど津波を殴ったのは、この闇の水らしきものをかわしたさいに、もしかしたら後ろから
操って攻められるというのを防ぐためである。殴れば固まるのなら、殴って先に
固めてしまえば後から操るのはかなり難しいだろう。

「てぇー!」

そしてそのまま、回した勢いで、杖をそのまま滑らせるかのように両手でもって
、クラウンに向かって肩を狙って叩きつけるかのよう振り下ろした。

杖を回転させた勢いで振るわれる叩きつけは所詮、樫の木であろうと
当たれば痛みは避けられないだろう。

317 :白熊 佐助 No.15エリゴス2013/02/09(土) 23:27:05.44 ID:RBVWcaVpo
>>314
「荷物になるかどうかは、お前次第だ・・・ちょっと待ってろ・・・」
無邪気な表情・・・誘いを素直に喜んでいるのか・・・
それとも、自分が悪と言う自覚が・・・?
まぁ、そんな事を気にしてたら幹部はやってられない。
円環の楽園は自由主義が多い。俺を含めてな・・・

>>315
「・・・・・・・・!!」
水面が・・・揺れている・・・!!
船のゆれがヤバイ・・・
立っているだけで精一杯だ・・・!!
それに何か気配を感じる・・・海からか・・・?
メイザースが・・・何かやっているのか・・・?
だが、俺にはやるべき事がある・・・!!

『メイザース・・・聴こえるか・・・俺とやりあってる相手・・・
 少女だ・・・円環の楽園として、迎え入れたい。
 組織に刃を向けた奴を迎え入れる事に反対する者も居るかもしれないが・・・
 血生臭い奴だ。野放しにしとくのも勿体無いと思ってな・・・』
メイザース・・・あの方にテレパシーを送るのは初めてだ・・・
通じるのかどうかも解らない・・・まぁやってみなくちゃ、これを伝える手段は他に無いだろうな・・・
普段何処に居るのか、俺にも解らない。此処でテレパシーが通じなければ、この言葉を伝えるのは難しいだろう・・・
318 :雨宮涙子[saga]:2013/02/09(土) 23:27:40.14 ID:5vZHoZ0io
>>313>>315
「う……ああっ」

人形の消失と同時に、腿部を貫いたレイピアも消失する。栓の抜けた蛇口のように、傷口からは一瞬血液が迸るが。
しかし、液体操作の賜物か、それはすぐに収まり血液の循環は通常通りの働きを取り戻す。
ただ、それでもダメージが失われるわけではない。その場で踏ん張ることも出来ず、雨宮涙子は左膝を付いてうずくまる。

「楽しいことなんて……何も無いっ」

青ざめた表情で、吐き捨てるようにそう告げる。彼女にとって、生とは苦しみ。そして痛みとは、生の実感。
一体それのどの部分を、楽しいと感じることができるだろう。痛みは彼女に怒りと絶望を。

「私に在るのは絶望と、死への憧れだけ」

そしてPale loverにはより強い力と権限を与えることになるだろう。ざわざわと揺れる波。船が大きく傾き揺れ動く。
一瞬宙に浮いた女性は、しかしその能力によって精製された水の人型に支えられたその場に留まる。
一方その瞬間を熟知したようなタイミングで、青白い恋人は奔る。それは海中から湧き出た、水の柱。
一本、二本、三本と。巨大な質量の海水を圧縮した暴力的な水の奔流が順々に。赤毛の女の元を目掛けて降り注ぐ。
319 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/09(土) 23:31:58.69 ID:8lPPBFYUo
>>317
「そうなんだ……ッ」
直後、船を通じて感じる揺れ

体制を崩していて、さらには怪我まで負っていた少女
その場に踏みとどまる余力もなく、鎌は瞬時の判断で手放したものの、
少女はそのまま海へ落ちてしまった
320 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/09(土) 23:34:15.24 ID:8lPPBFYUo
>>319 変更
落ちてしまった→落ちかける
放っておけば、もしくは少女を押したならば、
すぐにでもそのまま少女は海に真っ逆さまだ
321 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 23:36:30.87 ID:1KVfFA5xo
>>317>>319
『――やあ、エリゴス。
 君の言っていることは、分かった。――肯定しよう。
 その少女が悪であり、僕ら共に歩むことを望むのであれば。
 彼女が我らと共に立っても、構わない。歓迎しよう。
 ……君は頼みが一つある。僕らの拠点を引き上げるまでの間、その彼女を見極めることだ。
 一応は敵だったんだろう? だとしたら、その意志が真実であるかどうか――それを確かめて欲しい。できるね?』

即座に、エリゴスのテレパシーには、声が戻ってきた。
穏やかで、いつも通りに世間話を交わすような、そんな印象。
だがしかし、有無を言わさぬ色も有る声だ。

仲間にするのは良い。
だがしかし、責任は己が持つことと、見極めることを頼むこととした。
それを了承したならば、それ以上メイザースが何かを言うことはない――筈だった。

だが、落下するエリアを触手が受け止めて。
触手を通して、エリアの脳裏に、少年の声が響いてくるだろう。

『初めまして、お嬢さん。
 僕は、メイザース。……どうやら、彼が君を仲間にしたいみたいでね。
 少し、彼と――エリゴスと、話をしていてくれるかい?
 もう少ししないと、僕が出てこれないから、手が離れたら君に会いに行こう。
 アンドラス、頼めるね?』

そう言って、触手は少女を絡めとって、甲板に戻していった。
静かに触手はふるりとふるえて、また海の中に戻っていく。
もし今の少年の声が甘美に聞こえたのならば。――それは、悪の素質が有るということだ。
322 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/09(土) 23:38:24.52 ID:DbFK53jJo
>>315
「!!」

「……おいおい、まさか……」

まさからしいね、少年は心の中で悪魔にそう告げる。明らかに防御力が無くなっている。自分も、彼女も。
それが相手の能力ならば、先ほどのジャブが確かなダメージになり得た事も、今の銃弾が彼女の脇腹から出血させたことも合点が行く。
しかし、その仮定は逆に、少年達にとって脅威となりうる。――なぜなら。その場合、勝負は単純な攻撃翌力の勝負となるのだから。

(どうしても近づかせるわけにはいかねぇみたいだな、葉流!!)

「そうだね……くッ!!」

その状況下で自分が勝つ為には、遠距離戦へと持ち込むしかない。攻撃を喰らえば、ゲームセットになりかねないのだ。
『身体侵食』で得たのは防御力だけではない。全般が強化され、特に反射神経は群を抜いていた。
とはいえ、それだけで無数の木材の槍を全弾避けきるのはやはり無理があったらしく。1つ、2つと、少年の脇腹と足を掠めていく。
その度に小さく声を漏らすが、まだ戦闘の意思を失ったわけではない。瞳の奥に、炎が燃える。

「フォール!! 『武器侵食』、『D-BREAKER』!!!」

少年の瞳の赤が消えると同時、今度は瞬時にホルスターから抜いた一艇の拳銃……ライジングブルが赤い紋様に覆われていく。
そして少年は、左手に持ったライジングブルと、右手に持ったデザートイーグル。その2艇で同時に彼女に狙いをつけ、発射する。
デザートイーグルは7発を全て撃つつもりで、相手の顔、胸、腹、脚と身体全体を狙っていく。
そしてライジングブルも彼女の脚を狙うが……それが着弾すれば、小規模ながら爆発が起こる。小規模とは言え、熱は相当なものだろう。

(―――くっ……揺れる……落ちれば……どうなるか分かったモンじゃない!!)

撃つごとに揺れる船。辛うじてバランスを保ってはいるが、このままだと何れ体勢を崩しかねない。
そしておちれば謎のゼリーのような物体。それがなんなのか分からない以上、落ちるのは得策ではない……頭の片隅で、そう考える。
そうならないためにも1番必要なのは、負けないこと―――それは、少年にとって無謀とも言える挑戦である。
323 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/09(土) 23:41:01.01 ID:8Aml62bOo
>>318
(ってそんなのあり!?)

大きな揺れに気を取られている間に巨大な水柱。
防ぐ術は……無い。

その全ては直撃し、その手、その足、首を容赦なくへし折っていく。

……

「で? キミは死にたい訳?」

経った今攻撃を受けて死んだと思われたクリオネが、突然雨宮涙子の左後方の手すりに寄りかかって腕を組んでいる。
その姿は一切傷を負っているようには見えない。

「だったら死ねばいいじゃん。今海に飛び込めば? なんなら今すぐ私が殺してあげる」

今度は右の貨物の上に座っている。
クリオネが同時に2人居るのだ。

「ほら、今すぐ死になさいよ。自殺でも良いよ」

「誰もキミなんか必要としてないんだからさ、死にたい時にさっさと死ぬのが一番だよ。私の仕事も片付くしさ」

雨宮涙子のの正面に光の粒子が集い、クリオネの形を作っていく。

3人のクリオネ。誰が本当のクリオネか。
本当のクリオネは居るのか……
324 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/09(土) 23:45:37.09 ID:RBVWcaVpo
>>319-320
「しまった・・・!!」
俺がメイザースに送り込むのが遅かったのか・・・
このままじゃアイツが落ちる・・・!!
海には赤月・・・アンドラスが居るが・・・
いやダメだ・・・自分から人殺しが趣味だと言う奴だ。
考えていると・・・

>>321
『メイザース・・・!!ありがとう・・・!!
 当然・・・!!俺も男だ・・・!!やってみせるさ・・・!!』
メイザースから返事が返ってきた・・・
確かに、さっきまで敵だった奴を迎え入れるって言うんだ。
その責任を持つのが当然だよな・・・
325 :クラウン・クラウン/重力球を操る2013/02/09(土) 23:49:23.72 ID:/jGPdt8Y0
>>315-316

慢心し、憤怒し、冷静さを欠く。故に彼は強く、故に彼は弱い
万物を支配する力を持ちながら、一本の刀を振るう女に屠られたように
万物を呑み込む闇を操りながら、ただの少年に杖を振るわれる
怒りで我を忘れていた悪魔は、その迫り来る杖に対し 一切の防御行為も回避行為も取れなかった…

─────しかし、突如として悪魔の状況は好転し 船上は横転をしてみせた

その偶然は、メイザースが親愛なる盟主が力を貸してくれたかのようにも思えた
何よりも美しく、また何よりも力強い。彼の後ろ姿が 傾いた船上にて宙へと投げ出された悪魔の脳裏に過ぎる


(盟主…その助けに感謝します…
 こともあろうに、貴方直々の命で奢るとは…忠実な下僕失格だ)


海に魔翌力が走り 三番目の船は大きく傾き その勢いで宙に放り出された悪魔は 結果として偶然にも少年の杖による一撃を回避することとなる
転じて、己の身に纏われた闇の衣を操り、宙に浮いたままながらも自由な行動を可能とさせた
状況は確実に悪魔にとって好都合な方向へと傾いている。この船のように、大きく、大きく傾いたのだ

先ほどは読み負けした悪魔であったが、今回は少年の読み違い
黒水は衝撃に対し硬化反応を行うが、その衝撃が消えれば再びその性質を取り戻す
故に、先ほどの津波は少年へと迂回し


「慢心を捨て、『誇りを捨てろ、驕りを置いていけ。
 だったか? アスモダイ…
 悪かったな佐助。そして礼を言う。この任務の重大性、貴様に問われたばかりだというのにな」
「故に童よ、僕は今から本気を出す。主の魔翌力を感じ頭も少し冷えた。
 開け、天国への門。冥界の煉獄を吐き出すのだ」

宙に浮く悪魔が手を翳すと其処から膨大な熱柱が噴出し、少年を挟み撃つように、悪魔は彼を攻め立てた
326 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/09(土) 23:51:34.08 ID:8lPPBFYUo
>>321
「……うん」
その声はどことなく甘美に、惹かれるものを感じた
それはやはり、自分のかつてのおこないを悔いる心のせいであろう
蝕手に巻かれながらも、返事をする

>>324
「ねえねえ、おにいさんたちの組織って、どんな組織なの?」
噂でした聞いたことのない組織
迎え入れられるならば、それを聞いてからにしようと考えた

痛みを感じているはずなのに、平然とした振る舞いで

327 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/09(土) 23:56:25.80 ID:1KVfFA5xo
>>322
「まだだ――熱が、足りないな。
 私が笑うには、まだ――。そう、まだ足りないッ!!」

木の槍を回避しつつも、かすめてダメージを喰らう相手を見る。
確かに強い、異能と二人分の思考力、それと銃器、組み合わせれば強力だ。
だが、それだけでは彼女の心を揺らしはしない、燃やしはしない。
まだだ、まだ有るだろう、もっと先を見せてみろ。そう、女は相手を挑発する。

「――危ない、な」

地面を踏み鳴らし、斜線から身を避けながら先に進んでいく女。
頬を弾丸がかすめ、脇腹の肉をえぐり、全身に傷を刻みながらも、まゆ一つ動かさずに前進していく女。
異様な度胸だ。己の死が怖くないのか、それとも己の死を一つも信じていないのか。
どちらにしろ、恐れの余り身体を硬直させるよりは数億倍マシな行動だ。

目の前で起きた爆発が、女を飲み込もうとした。
そして、それを見て漸く女が表情を変えた。
面白いおもちゃを見たような、そんな子供の表情、稚気と言って良いそれ。

「只の――蹴り、それが私の必殺だ。
 お前のような大層な技も必要ない、首を折れば人は死ぬ、心臓を潰せば人は死ぬ。
 爆発など使用せずとも、腕一本、足一本で人は死ぬ、銃など要らんよ、そこらの木材で十分だ」

爆風を吹き飛ばして。
空を引き裂くようにして、一本の木が少年の喉元へと飛んでくる。
これも、そこら辺に飛び散っていた木の破片を蹴り飛ばしただけ。だが、速度が早い。
この戦闘、一時でも気を抜けば、何方も死ぬ。何方が死んでもおかしくない。そんな戦いだ。

「なんだ、落ちたくないのかお前。
 良いだろう、落としてやる。……私は魔術師でもない、拳闘家でも、武術家でもない。
 ――兵法者、兵(ツワモノ)の法(コトワリ)を貫く者だ。そして、戦争の鉄則は、汚い手を使ったほうが強い、という事だな」

そう言うと、燃え上がる甲板に、衝撃がさらに加わる。
ぐらぐら、みしみし、べきべき。何かが砕けていくような、不穏な音。
いつの間にか、女の両手には剣が握られていた。昔の日本軍のサーベルのような、片刃の軍刀。
それらに魔力をまとわせて、女は横に一閃振りぬき――戦艦の前と後ろを切り分けたのだ。
半ばまで斬撃が通っているため、まだ船の体裁を取っているが、徐々に状況は変わっていく。
この海上の状態であれば、後十数分で船は真っ二つとなって、海の藻屑と貸すだろう。
互いに攻撃は十二分に効く状態。女もまた、全身に大きな傷を追っている。
勝負を決めるならば、ここから一気に攻め抜くしか無いだろう。それもまた、彼女の仕込みでは有るのだが。
328 :雨宮涙子[saga]:2013/02/10(日) 00:01:17.75 ID:3TbmbGhgo
>>323
目の前に複数出現した女性の姿に、雨宮涙子は言葉を失うが―――。

「……飛び降りも首吊りも、服毒も。全部時間の無駄だった」

しかし、それも一瞬だった。自分の能力だって、同じようなことは出来る。もちろん精度は段違いに低いだろうが。
しかし相手がそれに特化した能力者だと考えれば、別に驚くようなことでもないと気が付いた。

「如何なる形で死を求めようと、彼の前では全てが阻止されてしまう。だから……」

彼女は、弱い。本当は理解している。自分は死を求めているのではなくて、生きることから逃げているだけなのだと。
女性の言葉はもっともだと、自分自身でもそう思う。それを踏まえて生きる勇気があれば、きっと誰かの役に立てるはずなのに。

「だから、誰かに殺されるしかないの。彼を―――Pale loverを上回る力を持つ、誰かに」

それでもその勇気が、彼女にはどうしても湧かない。とことん自分本位なのだ。だから頼る。他人の力に縋るしかない。

「さあ、貴方は私を殺してくれる……?」

女性が生み出した分身に相対するように、精製される水の人型。鋭い爪や牙を持つ、二足歩行の命を持たぬ三体の獣。
水で形作られた筋肉繊維をしならせて、彼らは同時に飛び掛る。右腕の鋭い爪が、3人の女性に向けて―――。
329 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/10(日) 00:15:08.94 ID:v7LefE3Bo
>>328
「私にとってはうらやましいけどねーそんな便利な能力」

貨物の上に座っているクリオネが言う。
攻撃に対してオートで守ってくれるなら生存能力に関してはこれ以上と無い。

「私は慈善事業で殺しをしてる訳じゃないんだけどね……まぁ死にたいって言うならいいよ」

「殺してあげる」

雨宮涙子から見て左と正面にいるクリオネは大型の縦を生成し、飛び掛かってきた水の人型に押し当てる。
飛び掛かると言うのはミスだ。空中に居ればその分回避が難しくなる。
シールドバッシュは攻防一体の素晴らしい技だ。

一方、貨物に座っていたクリオネは、その場から右に飛び、1回転した後小型のラウンドシールドとサーベルを構える。

「キミだけ楽するのは良くないんじゃない?」

「キミを殺してくれるのに最適な相手を用意してあげるよ」

雨宮涙子の後ろに生成するのは、再び雨宮涙子の姿をした人形。
ロングソードを両手で持ち、一歩踏み込んだ後に袈裟から振り下ろす。

『私が私を殺してあげるよ』

雨宮涙子の声まで真似るおまけつきだ。
330 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/10(日) 00:15:24.03 ID:a2KyUV0ho
>>326
「メイザースとシモン・・・いや、ガープが説明しているはずだぜ・・・
 それに、個人主義が多い組織だ。何がやりたいかは、自分で考えな・・・
 虐殺を楽しむも良し、人から物を盗むのも良し・・・だが、俺達はメイザースへ絶対の忠誠を誓っている。
 本気で円環の楽園として、メイザースにその名を貰うつもりなら・・・お前も忠誠を誓え・・・
 メイザースの寛大な心に反する真似をした場合は・・・解っているよな?」

メイザースの声を聴いて惹かれたのか・・・
だが、突然現れた組織だ・・・良く解らないって言うのも頷ける・・・
とは言っても、説明するのも未だ早い・・・
だったら・・・

「死と共に歩む覚悟はあるか・・・
 悪徳と共に生きる勇気はあるか・・・」
死、人は死に直面すると理性を保てなくなる事がある。
戦いにおいて、死に直面する状況は多くなる・・・
そして悪徳・・・常人なら、人殺しをやり続けていると心が痛むらしい・・・
俺には解らないが・・・いや、忘れたのか・・・
それは頭に纏わりつき、自分を破滅させる事になるだろう・・・
俺はその質問を、少女の目を見て聞く事にした。

「応えろ・・・面接だ・・・」
本当の悪を見極める能力は、俺には無いだろう・・・
だったら、聞いて見るだけだ・・・!!
331 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/10(日) 00:18:29.43 ID:ExmJZfYGo
>>327
(コイツ……)

悪魔は彼女を見る。まるで、思考の中に恐怖などという感情が全く無いかのような彼女を。
銃弾に当たりつつ、なおも進んでくる彼女を。敵対するものに圧倒的な威圧感を与え続ける彼女に。

悪魔はこの世に落ちてきてから、初めて「恐怖」というものを味わった。



「クッ……ケハッ……キ  ャ  ッ  キ  ャ  ッ  キ  ャ  ッ  キ  ャ  ッ  !  !  !」



だが、悪魔は嗤う。今までよりもずっと狡猾そうに、相手に不快感を与えるその笑い声を響かせる。
同時に、少年の喉を貫かんとした木材の槍を、少年の意志無くして生えてきた右の『手』が受け止める。
防御ではなかった。単純に、握り締めて勢いを殺し、止めただけ。左の『手』はまだ半壊しているが、悪魔にはもう関係が無い。

「フォール……?」

「……確かに、人はあんな木材で死んじまうほど儚い物だが――――――それはお前も同じじゃねぇのか?」

そんな言葉と同時に、悪魔と思考を共有した少年は走り出す。手には、デザートイーグルが1艇だけ。
だが、それだけではない。『手』は既に床を漁り、此方へと飛来して落ちた木材の片々……即ち槍を十数本掴んでいた。

つまり。

「 お ぉ ぉ ら ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ っ ! ! 」

それを、超人的な腕力で彼女に負かって投げつける。
散弾銃のようにバラバラに投げられたそれは彼女と同等、いやそれ以上のスピードで彼女へと飛来するだろう。
少年はデザートイーグルの連射。木材の槍と銃で、一気にケリをつけるつもりなのだろうか。少なくとも、先ほど彼女が振った軍刀は見えていたはずだが。
332 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/10(日) 00:21:50.73 ID:vCXOgY2+o
>>316
「うわっ―」

突然、大波によって発生した震動に煽られ、姿勢を崩した。
先ほど打とうとした男も、跳ね上がって、宙に浮いている。
船が傾くという事を感じたウィズはすぐさま、近い
砲台に向かって駆けて、そのまましがみつく。

>>325
「なに、固まるんじゃないのか!」

どうやら固まった後にひたすら殴って壊さないと再び
動き出すらしい。
迂回する津波に対して、再び勢いよく縦横斜めにと杖を
幾度も振るい、津波を固め、壊そうとする矢先

「がっ!」

津波に対処する事に夢中になり、彼はクラウンから目を
離していた。ゆえに、突然噴出した熱柱など対処できる
はずはなく、彼は左腕をその業火にて焼かれた。

うめき声を上げながらも、それ以外はとすぐさま
熱柱の軌道から飛び込んで外れた。

「ぐっ・・・・」

空に浮かぶ悪魔を見上げながら、彼は呻きながらも
考える。とはいえ、相手は浮翌遊。こちらは空を飛ぶ
術などもっていない。

―考えろ。相手を引きずり落とすか、それとも自分が
あそこまで飛ぶ方法を。あきらめてたまるか。

不屈を胸に、生き残るために、青年は悪魔を出し抜くための
方法を考えるため、じっと、悪魔の周囲を観察する。


333 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/10(日) 00:26:33.25 ID:YJq7W5M0o
>>330
「そうだっけ?」
思い出そうとしながらも
少なくとも、先ほど説明を受けた覚えはない

「やりたいこと……、一つだけある
虐殺でもないし盗むわけでもないけれど、私が生きるためにしてきたことが
でもあれは、今思うと悪いことなのかもしれない」

この世界で生きるためにしてきた、一つのこと
それをこの世界で続けるならば、世界の改革も必要なのか

もっとも、それは大切な今を捨てることにも繋がりかねない選択
仲間の代償は、あまりにも大きくて、重いもの

「生きている限りは死は付きまとうもの
そして、私は今も昔も、悪と共に生きてきた
例え恨まれても、人殺しは専門じゃないけれど」
その目は暗くも据わっていた
専門ではないということは、人殺しの経験もあるのであろうか

少女の思う悪とは、どのような悪なのであろうか
しかし少女がそれを語ろうとはしなかった
334 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/10(日) 00:30:28.52 ID:rwbj063zo
>>331
「ち、ィ!」

初めての舌打ちは、しかしながら多分に喜びを含んだもの。
己を追い詰めてくれる相手が居るということは、相手を殺せば此方が一歩先に進めるということ。
少しでも強くなれば、それだけ最強に近づいていく、それが嬉しくて仕方がない。
襲いかかる無数の木片、銃弾。それを前に女がとった手段は、単純だ。

目の前に、壁が立ち上がった。
己の目の前の甲板を切り分けて、踏むことで板を目の前に展開。
一歩後ろに下がって、また同じ工程を三度繰り返す。
それによって、確実に木片は防ぎきって、貫通した銃弾の威力は下げることが可能。
防御するのではない、当っても大丈夫なようにするのが、女の取った手段だ。
そして、腹部を貫通した銃弾は、女の背後の甲板にめり込んで。

口から血を零しながら、女が己の目の前の木板を蹴り飛ばして。
悠然と、一歩二歩と歩みを進めていく。

「死ねば肉塊。死ねば、人はただの屑に成り下がる。
 何を成すでもない、何を起こすでもない、何も出来ないまま死んだ人間は、肉でしか無い。
 だから――私は死なない、死ねないんだよ」

己も同じ、そう認めた上で、女は二刀を構えた。
かん、と刀身同士を打ち合わせて、すぅ、と息を吸い込んで。
腰を落として、右の太刀を肩に担いで、左の小太刀をだらりと下げて構えを取った。

「一振 、骨喰=B
 ――――起きろ、餌の時間だ」

そう言った瞬間に、女の右腕が振れて、斬撃が甲板に奔る。
ずらり、と甲板に衝撃が響き、一気に船の破損が進み、船の随所に水が侵入し始める。
揺れが来た、その瞬間に女は甲板を蹴り、一気に相手に距離を詰めに行った。
335 :雨宮涙子[saga]:2013/02/10(日) 00:37:45.73 ID:3TbmbGhgo
>>329
巨大な盾の突撃。その質量とスピードが生み出す威力は計り知れず、人型は成す術も無く―――溶ける。
形態を維持しているから分かりづらい。しかし、Pale loverが使役するのは液体である。それがどんな形状であろうとも。

ズブリと音を立てて解き放たれた人型は。元の形、即ち無形の存在へと戻されていく。
そうなってしまえば、如何に巨大な盾といえどその進行を妨げるのは難しい。
女性の足元に零れ落ちた水。盾に纏わり付く水滴。それが意思を持ち再び禍々しい刃を形作る瞬間。
即ちそれは―――避け様のない凶刃と化すのである。無数の刃が、今度こそ2人の女性に手をかけんと振るわれる。

そしてもう一体、未だ形状を保ったままの人型が、飛ぶように移動する女性を追走する。


「……もう、疲れたの」

自身に降りかかる刃を見ようともせず、雨宮涙子は呟く。こんな方法は、今まで何人もの暗殺者が試してきたものの一つに過ぎない。
自身の眼前、女性が作り出した人形との境界に出現した水壁。それがロングソードを受け止め、飲み込んだことを確認するまでもなく。
彼女は絶望に暮れる。一体、私はいつまで生かされ続けるのだろう。
336 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/10(日) 00:41:56.20 ID:a2KyUV0ho
>>333
「気に入った・・・アンタの覚悟・・・応えてやる・・・」
人殺しは専門じゃない・・・
それは俺も同じだ・・・人の命を弄ぶような悪趣味・・・
コイツは違うだろうがな・・・もっと別の・・・コイツがやりたい事って奴か・・・
奴の勇気・・・覚悟・・・本物の筈だ・・・
信じたい・・・コイツを・・・!!

「申し遅れた。俺は白熊 佐助。またの名をエリゴス。No.15のエリゴスだ。」
俺は少女に名前を名乗る。
本名と、メイザースから貰ったもう一つの名前を・・・

『メイザース・・・彼女は俺の面接を突破して見せたよ。
 彼女にとっての悪が何なのかは未だ解らないが、彼女には覚悟や勇気がある。
 俺は彼女の悪だけじゃなく、覚悟や勇気を信じたい・・・!!
 彼女を、信じてやってくれないか・・・!!』
俺はメイザースにもう一度テレパシーを送る。
そして・・・

『赤月・・・すまない・・・礼を言い忘れた・・・
 彼女を助けてくれたんだよな・・・有難う・・・』
俺は赤月、アンドラスにもテレパシーを送る。
337 :クラウン・クラウン/重力球を操る2013/02/10(日) 00:48:50.27 ID:LjQjkrRn0
>>332

(さてと、ここからどう責めたてようか
 奴は僕の能力の性質に気付き軽快な快進撃を見せ付けてきた
あの判断力は警戒に値するね。先のように冷静さを欠いてたら、今頃は僕が藻屑だったか)

こちらの動向を伺う少年と、冷静さを取り戻し同じく潰し方を考察する悪魔
能力の圧倒的な質量差を利用し責める手もあるが、それは聊か警戒心に欠ける
奴は今だ杖を用いた棒術しか使っていないのだ。眼前の少年ならば小細工を弄し不意を突いて来る可能性も十二分

(ならば、いっそのこと船ごと沈めてしまおうか…
 船員達も僕や盟主の為に[ピーーー]るのなら本望だろうて)


結論として。悪魔は船の破壊を実行することとなった
右手を翳し、空に膨大な数の黒球を発生させ、船を宙に浮かせていく
船上は先ほどの波に打たれた時のように、ぐらぐらと揺れていく、しかしそれを利用スレば悪魔へと近接戦を用いることも難しくは無い

「童よ。今から僕はこの船を破壊する。天高く供物を掲げ、空にいる蛆虫どもを巻き込み船とともに沈めてみせよう
 八つ当たりではなく仕事の為にね」

だが、だからこそ、感情のままに動いていたときよりも残酷に確実に、少年の命を狩に行く

「開け、天極の門よ。 
 吐き出せ、コキュートスの煌きを」

またも、軽く右手を翳し、何かを呟いただけ
それだけで、悪魔の右手より、絶対零度の氷塊を少年へと向けて放つ
更に船上に突き刺さった氷達は甲板を凍てつかせ
その攻撃には少年の足場を悪くし、海へ堕とそうとする悪思も混ざっていた
338 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/10(日) 00:50:09.01 ID:YJq7W5M0o
>>336
「ありがと
……私はエリア エリア・レミリア」
名乗られれば名乗り返す
ましてそれが、自分によくしてくれようとする相手ならなおさら

「おにいさん、なんだかんだでやさしいんだね
……はあ、ちょっと疲れちゃったよ」

痛みに顔をゆがめることもなく、
ゆっくりと白熊と名乗る男のほうへと近づいてくる
どことなく気の抜けた表情、に見える

それは警戒を解いた証か
なんにしても、やさしいと少女は評した

悪も善も関係なく、やさしいと
339 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/10(日) 00:55:02.49 ID:v7LefE3Bo
>>335
(とは言ったものの……実際あの女を殺す必要は無いんだよね)

メイザースに言われたのは時間稼ぎ。
相手を殺せなんて命令は一切受けていない。

サーベルを持ったクリオネが、各人形の様子を確認すると、
”あー、これは無理だね”
と言う感想に至った。

その感想通りに、一度は盾で攻撃を防いだ2人のクリオネが無残にも切り刻まれてしまう。
あの水の人型は破壊されても形を変えて即座に反撃が出来るようだ。
そうとわかれば迂闊に破壊も出来やしない。

(本体を潰さない限り無限に再生を続ける人形……そしてその本体は常にオート防御がある……)

それなりに時間を稼ぐことは出来るかもしれないが、それでは面白くない。
残った最後のクリオネは、一直線に雨宮涙子に向かって走る。

「防げるものなら防いでみなよっ、ロンド!」

クリオネの発話と同時に、雨宮涙子の周りに囲うようにして4体のマネキン人形。
全員ショートソードが一本だけという装備だ。
雨宮涙子を模した人形を加えれば5体の人形と接近するクリオネ。

雨宮涙子を模した人形は、ロングソードが飲み込まれていてもその力を緩めることは無い。
とりあえずオート防御のシステムに自分は防がなくてはならないと言うアピールをしておくためだ。
そして5方向からの同時攻撃。
クリオネは雨宮涙子から見れば右前方から接近してくる形になる。
背後から水の人型に追いかけられている為、必然的に速度は速い。
340 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/10(日) 00:55:24.30 ID:rwbj063zo
>>336>>338
『良かった。……1人でも仲間が増えるのは、有難いことだ。
 これから先、戦いがたくさん起こる。そのためには、一人でも多くの力が必要だからね。
 船から落ちないように、その子を見ておいてくれ。
 もう少しで――僕らも表に出るから』

それだけを伝えて、少年からの念話は断ち切られた。
しかしながら、その後、君たちは感じるだろう。
水面の振動が、より細かく、大きくなっていることに。そして――莫大な魔力が、近づいてきていることが。

>>ALL
皆が感じたことだろう。
水面に異変が有る。艦隊の中央部に大渦が生まれた。
その渦の中心から、何か真鍮でできたプロペラのようなものが見えるだろう。
またその渦が生まれることで、船はひどい揺れに襲われ、ともすれば転覆しかねない程の大波に襲われる。
半壊しかかった船ならば、そのまま砕け散りかねないほどの強い圧力が周囲には襲いかかっていた。
341 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/10(日) 01:00:55.27 ID:ExmJZfYGo
>>334
「クソッ!!」

「器用なことも出来んじゃねぇかクソアマ……ッ」

甲板の壁を見て、マガジンを叩き込んで装填を終えていく少年と、少年の中で口角を歪ませながら相手へとそう吐き捨てる悪魔。
やはり彼女は兵法家……戦術を知り尽くした知将とでも言うべき存在か。勝つ為の戦略を練る天才。
水上戦、そして船の上においても、戦略はごまんとあるのだろう。自分達はただその掌の上で踊らされているだけ。
全うな戦法では勝ち目は無い。かといって、相手の裏をかけるだけの頭が、自分達には有るだろうか。

「……いや」

例えそれが無くても、今は、彼女を倒すしか自分達に道は無い。
よく見れば、彼女も相当のダメージなのだろう。口から血を零して刀を構える彼女はまだ動けそうだが。

「……ケッケッケ、世界の敵はさっさと[ピーーー]! こっちにとっちゃ、テメェが肉になってたほうが都合が良いんだよ!」

自分達もそれ相応のダメージを負っている。動けなくなるのも、そろそろ考えておいた方が良い。
それならば、早く勝負をつけなくてはいけない……いや、つける! 今、この自分の手で!
嗤う悪魔は、あえて彼女を挑発する。早く決着を着けるためには、そのほうが良い!

「さっきは壁なんてモン見せてくれたが――――」

『手』は自分の傍の甲板に拳で穴をあけ、そこから板を剥がしにかかった。簡単に剥がれる板を持ち、若干振りかぶって―――

「そんなら、これを喰らいなぁっ!!!」

―――フリスビーの要領で、相手へとブン投げる。『手』の腕力と遠心力、直撃すれば、甚大なダメージとなるだろう。
しかも相手は距離を詰めようとしている。相対的に、単純な速度よりも早く感じるはずだ。

しかし、所詮は木。あの甲板をいとも容易く切り裂いた刀で寸断されてしまうだろう。
だからあの板フリスビーは囮。本命は――――その板の所為で見難いだろうが、少年が構える、レイジングブルの一発だ。
本来これは『武器侵食』用。生身で撃てば腕が折れる可能性だって有る。―――が、少年は狙いをつける。

その板が切り捨てられれば、もしくは回避されれば―――狙いをつけた弾丸は一直線に、彼女の胸へと飛んでいく。
342 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/10(日) 01:07:55.88 ID:a2KyUV0ho
>>338>>340
「あぁ、よろしくな・・・エリア・・・」
優しい奴だ・・・それを甘さと言う奴もいるが・・・
警戒を解いた・・・俺を信じてくれた証拠だろう・・・

「・・・・・・・・・!!」
メイザースのテレパシーが切れた・・・
それに、明らかに水面の振動が大きくなってる・・・!!
この感じ・・・魔力だ・・・!!魔力がメイザースが何かやってるんだ!!

「あれが・・・レオナルド・ダ・ヴィンチ・・・なのか・・・?見てるか、シモン・・・!!」
水面から見えたのはプロペラの様な物・・・
だが、渦の規模がヤバイ・・・!!
船が沈みかねないほどの・・・

「エリア・・・アンタの覚悟・・・俺は本物だと信じてる!!
 だったら、落ちるとは思ってねぇだろ?」
メイザースは落ちないように見ていろと言っていたが、これで落ちれば俺の目は節穴だって事だろう・・・
俺も、このまま行けば俺達まで吹き飛ぶだろう・・・
だが、メイザースは此処に俺や仲間が戦っている事を知っている。
メイザースが俺達を捨て駒にする事は無い筈だ・・・!!
俺は敢えてこの圧力を受けると言う選択肢を選んだ。
343 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/10(日) 01:10:58.42 ID:rwbj063zo
>>341
相手の言葉、相手の動作、相手の意志。
それらを込めた最後の一撃を前に、女は動く。

「――無為」

左腕の小太刀を振りぬく女。
体中のバネを使ったその動作は、残像すら残しかねないほど流麗に進んでいく。
木の板を寸断するどころか、不思議なことに一閃で粉微塵にする女。
その上で、襲いかかる銃弾を見て――右の剣を振り下ろす。
左の剣の勢いを活かす形の剣は、なお速く、そして正確に――一発の銃弾とぶつかり合った。
刀身とぶつかり合い、両断される弾丸は、女の肋骨を砕き、肺に穴を開け、もう一発は女の顔に掠り、耳の一部を引きちぎった。

「――――ハッ、ハハッ……ッ!
 ハハハッッハハハハハハ――――――ッ!!」

傷だらけで、片肺に傷を追って血に塗れる女は、しかし高笑いを響かせた。
口から吹き出す鮮血が泡立つ生々しい音を響かせて、女は相手を睨みつけた。
血で汚れた前髪から除く鳶色の瞳は、異様なほどに澄み切って、静か。

「私の勝ちだ」

一言そう言い切って。
ごん、と眼の前に有った断面を全力で蹴り飛ばす。
魔力の奔流が駆け抜けて――あろうことか、蹴りで船に最後のトドメを刺してみせた。
甲板の前方向三分の一が引きちぎれ、海へと粉砕しながら落下していく。
このまま海に飲み込まれれば、防衛部隊が回収するまではまともに戦線に戻ることは出来なかったろう。

女の役割は時間稼ぎ。
そして、女が己の勝ちだ、と発言したということは――?
344 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/10(日) 01:14:29.65 ID:vCXOgY2+o
>>337->>340
「船ごと沈めるだと―!」

宙に浮く船を見て、驚愕と予想外のあまり苦々しい
表情と声を出した。
なるほど、そんな事をすれば、こちらを即死に追い込むなど
造作もないだろう。

それとともに襲い掛かってきた氷塊を前転で咄嗟に
かわす。散らばった氷が、あたりを凍らせる。

さいわいにも船は浮かんでいた事により、大渦の影響は
まぬがれたが、それでも強い圧力は彼の体を押さえつける。

どうすれば、どうすれば―?

考えるウィズにそのとき、まるで揺れが彼の全身を巡るような感じがした。
そう、揺れが人に伝わるにしては、あまりにも体内に伝わりすぎるような
しているのだ。浸透すると言った方が正しいだろう。

なんだ、これは―。

揺れの『勢い』が、圧力の押し付ける力が、彼の内部にへと満ちる―。
チャンスは、いましかない。

今、悪魔が彼を見れば、彼のまわりにはまるで透明な『靄』が出ていた事だろう。
魔翌力にも、あらゆる力にも属さず、ただその力は自然なる物理、『勢い』の力。
彼が今まで気づかずに、微弱ながらも行使していた眠れる力は、あまりの衝撃の強さにまるで
刺激を与えられたかのように異能が目覚めたのだ。

ウィズは、そのまま揺れで得た勢いに乗りながら、走り出し、そして加速を狙って氷の上を
持ち前の運動神経で滑りながら悪魔へと突き進む。氷での加速は限界があるだろう。
普通ならば。

「いっけぇーーーーー!」

雄たけびをあげながら進む青年は、まるで加速の限界を無視してどんどんすばやくなり、
やがて茶色の弾丸と化し。

悪魔にへと向かって、右手の杖を一気に、打ち抜くかのように突き出す。
氷の上での加速、そして圧力、ゆれの力によって増幅されたその突きは
衣を打ち破るに十分な威力をもっているだろう。
そして、衣で衝撃は軽減されることはない、その反作用さえエネルギーに
加えて突きはさらに加速し、生身の体を貫くほどの威力と化すだろう。
345 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/10(日) 01:16:23.48 ID:YJq7W5M0o
>>342
「うん、甘いともいうかもしれない
でも言わせておけばいいよ」
直後に大きな揺れに襲われる
この感覚に関しては理解できなかったものの、
再び態勢を崩しかけていると、近くに鎌が落ちていた

それを船に突き刺して、なんとか落ちまいと耐え凌ぐ
突き刺せなければ、再び海へと真っ逆さまであろう

が、下手に船へと損害を与えると、そのまま壊れてしまう可能性も
しかし、ほかに手段が思いつかなかったのだ
346 :雨宮涙子[saga]:2013/02/10(日) 01:17:00.35 ID:3TbmbGhgo
>>339-340
降り続ける雨が頬を濡らした。足を射抜かれた雨宮涙子は、その場から移動することは出来ない。
故にPale loverは術者を守るため、5方向から襲い来る敵に対して迎撃せざるを得ない。
そしてそれは必然的に、広域をカバーする範囲攻撃である必要が出てくる。
つまりこの場合、術者以外は誰が何処に居ようと関係はない。求められるのは、範囲と威力と、そして―――速さ。

ゴポッ……と泡音を立てて、次の瞬間、人形と雨宮を隔てていた水壁が爆散する。
雨宮涙子を中心にして巻き起こった爆発。射出された水の弾丸はひとつならばそこまでの威力は持たない。
しかし、上下左右360度を広域的にカバーした弾丸はまるでショットガンの如く、至近距離では幾つもの弾丸を見舞い強大な威力を発揮する。
仮に近距離でこれを浴びてしまえば、大きなダメージからは逃れられないだろう。
しかし、逆を言えばこの攻撃を掻い潜りさえすれば術者本人に致命的なダメージを与えることも可能かもしれない。

刹那の瞬間、大きな振動と共に発生した大波が甲板を、ふたりの足元を猛烈な勢いで駆け抜けていった―――。
347 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/10(日) 01:21:56.32 ID:rwbj063zo
>>ALL

甲板が揺れる、船が揺れる、海が揺れる。
空を覆う暗雲が、次第にひきさけ始めた。
海に大きな渦が生まれ、その渦の中心から、何かが現れる。

――小さな町か、集落といったサイズ。
船としては明らかに大きく、そしてその形状は船というには余りにも異質すぎた。
円盤状の外見のそれは、レオナルド・ダ・ヴィンチのヘリコプターを思わせる外見か。
それが、メイザースの言う船の招待、円環の楽園の拠点だった。
艦橋である上部には木々が生い茂り、鮮やかな生命の賛歌を歌い上げるような、生きた船。
その艦橋から、皆を見下ろす二つの影があった。

「やあ――諸君。
 メイザースだ。円環の楽園の盟主をやらせてもらっている。
 この船の名は――レオナルド・ダ・ヴィンチ。嘗ての大芸術家は、魔術師でも有ってね。
 彼の作品から組み上げた船であり――僕らの城であり、家だ。取り戻したよ、皆のお陰で」

朗々と響く、少年の声はテレパシーではなく、生の声。
白い髪、白銀の瞳、白いローブ、白い肌。
色彩という者を全て抜き去らなければこうはならないであろうほどの、白。
無垢そのものの外見の少年は、しかし悪の頭領を名乗り、世界の悪を標榜する。

「――さて、皆。
 どうやら、今日この場で新たな仲間ができたようだ。
 エリゴスが引きぬいてくれたようでね、嬉しい限りだ。
 近い内に話させてもらうが、闘う気の無いものたちは、引いても構わないよ。
 だが、戦いたい、引きたくない。そう思う者については、その意志を肯定する=B
 存分に意志を通せ、存分に悪を貫け、存分に好きにしていい。君たちの健闘を――祈っているよ」

穏やかな笑み、水面は不思議に波を失っていた。
星明りの下、白い少年は闘う者達を見下ろして。

「後は――正しき側、君たちだね?
 徒労だったようだね、ご苦労様。――今後も、君たちの徒労を僕らは待ち望む。
 悪にひっくり返されたくなければ、壊されたくなければ。
 全力で来い、全世界。――僕らは世界を少数で敵に回しているんだ、全力だよ。
 だから、真摯に向かう気があるなら。この世界を思うならば――本気でかかって来い、僕らが相手だ」

宣戦布告。
世界を愛す者達に投げかける、敵意。
わかりやすい挑発を投げかけた後に、少年はまた笑みを浮かべて。

「では、これより撤退だ。
 君たち悪魔は、皆ここに戻ってくることが出切る。
 念じるといい、さすらば君たちはたどり着く――この船にね?
 あと、エリアちゃん。君は特例だ、エリゴスと一緒にこちらの船に来るといい、あとで話をしよう」

それだけを結びの言葉として、メイザースは背を向けて船の中に入っていこうとして。
振り向きざまに一言、言葉を投げかけた。

「Fortes fortuna adjuvat.
(運命は、強い者を助ける)
――この世界は――――……いや、何も言わないでおこうか」

最後のつぶやきは、誰の耳にも、きっと届かなかった。

【円環メンバーはこれより、念じることで即時撤退が可能となります】
348 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/10(日) 01:27:28.78 ID:a2KyUV0ho
>>347
「シモン・・・お前にも見せてやりたかった・・・」
エリアは・・・心配ないだろう・・・
もう仲間なんだ・・・
俺達も念じれば、船に上がれる・・・
だが、メイザースは何かを言っていたような・・・
まぁ良い・・・此処を抜ける事が先決・・・
俺は念じて、その場を撤退する事にした。
349 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル2013/02/10(日) 01:28:37.22 ID:ExmJZfYGo
>>343>>347
ゾクリ、少年も悪魔も寒気を感じ取る。
板が一瞬で微塵になったことではない、剣が銃弾を斬り、両断したことでもない。

自分の体を銃弾で貫かれてなお――――――彼女は高笑いを響かせている。
その狂気の眼差しは、彼女が灰を穿たれているとは思えない、そんな印象を彼らに残し―――。

「!!」

「しまっ……!!」

言い終わる前に、少年の体は"浮く=Bいや、自分達の居る前方部分が沈んでいく―――。
手は届かない。そのまま、海へと沈んでいくだけ。必死に手を伸ばすも、それを掴む者は誰も居ない。

彼女は、自分の勝ちだ、と言った。途端、ふと視界の端に捉えたのは巨大な渦。その中心に見える羽。
此処で、彼ら円環の楽園が何をしようとしたのかを思い出せば、その正体は直ぐに予想できて――――。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ……!!」

彼らの拠点の飛行船。海へと落ちる直前、少年はその姿を目に焼き付けられる。
現代のような飛行船ではなく、まるでダ・ヴィンチの制作物のようなその形状。上部には、木々が生い茂っていたのだろう。

微かに、メイザースの声も聞こえた。その言葉は、少年に悔しさだけしか残さない。



(くそっ――――――……僕は、何も出来なかったのか―――――――――)



直後、何かが海に落ちる、ドポンという音がした。

/乙でしたっ!
350 :クラウン・クラウン/重力球を操る2013/02/10(日) 01:32:59.67 ID:LjQjkrRn0
>>344


「蛆虫の分際で僕の力を利用しただと…!?
 面白い! 這うことしか知らぬ蛆虫が己の意思で滑ることを覚えたか!
 だが、それをも撃ち破ってやろうぞ!」

何処までも加速し、やがては弾丸の如く音を切裂く少年
その姿に、悪魔は、宿敵アスモダイを重ね合わせ 小さく息を呑んだ
眼の前のコイツを倒せずに奴を殺せるはずもないのだから

「藻屑と成れぃ! なもしらぬ童ェ!」

その弾丸に、己の拳を交える。絶対的な防御力を誇る衣を以ってして
彼と同じく、身を預けた球体ごと彼へと飛び、重力加速度を合わせその威力を増強し…

杖の弾丸 黒の弾丸が 空にて交じりあい
数瞬の間を置き、何かが割れるような音が空に響いた


「僕の、衣がァ!? 
 開け門! 今すぐに! 」

彼の一撃により貫通させられた、その衣
悪魔は自身が乗っていた球体に自らを取り込ませ、天獄門を利用し、擬似的な瞬間移動を行い

────────逃走を図った


この堕ち行く船の上、少年の安否は分からないが
任務や命令を除外視するのならば
この勝負。紛れも無い少年の勝利であろう
351 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/10(日) 01:37:01.68 ID:v7LefE3Bo
>>346>>340
「……!?」

何か嫌な予感がした。
あの壁が泡音を立てた瞬間、クリオネは攻撃を止めて飛んだ。
飛び散る散弾に少しでも当たる部分を少なくしようとしたのだ。

「つぅうううっ!!」

何とも噛み締めたような苦痛の声を上げながら甲板を転がるクリオネ。
前方からの散弾はラウンドシールドを使いながら多少防ぐことが出来たが、背後の人形からの散弾までは手が回らず、
結局左足に2発、腹部に一発、背中に2発、左肩に1発の弾丸を受けた。
その傷から流れる血を見れば、このクリオネが本物であると分かるだろう。
完全に攻撃の態勢に移行していた他の人形たちは全て至近距離で散弾の餌食となってしまった。

「はっ! 奥の手って言うのは隠しておくものだね……お互いにさっ!」

散弾を受けた衝撃で吹き飛ばされながら右手に作るのは一本の刀。
その切っ先を単純に雨宮涙子に向ける。こんな距離では届くわけも無いが……

その瞬間、クリオネの持つ刀がすさまじいスピードで伸びる。
クリオネの能力はあくまで武具を作ること。
だが、作った後の武器を伸縮させたりすることはできないが、刀身を常に生成し続けることが出来れば、伸びる武器を疑似的に再現できるのではないか
その考えの元作り出されたのがこの伸びる武器。
もっとも、伸びるだけなので伸ばした後はもう消すしかないのだが。

しかし、その刀身が伸びきる前に大きな衝撃が船を襲う。
船を横転させる勢いの波と衝撃で、クリオネは大きく飛ばされ、伸ばした刀身の感触を確かめることすらできなかった。
何処に当たったのか……そもそも届いたのか。
また防がれたのか。

それらが分からないまま仕方なく伸ばした刀を消滅させ、自分の身を守ることを先決とする。
クリオネはかぎ爪の付いたロープを生成し、とりあえず身近な手すりにひっかけて船から振り落とされたり流されたりしないようにとする。

その姿は完全に無防備だ。
352 :エリア 猫かぶり少女→エレミア<大人エリア>[sage]:2013/02/10(日) 01:38:38.55 ID:YJq7W5M0o
>>348
また動かされる歯車
彼ら……、のうちの限られた人たちには伝えるべきか、
自らの能力を

ポーチより布きれのようなものを取り出す
それに包まり、しばらく時が経過したなら、

その姿からは幼さが消え去り、
大人の女性ともいうべき、そんな姿へと変化していた

身につけていた服装も、
どういう原理か今のエリアの身長に合う大きさへと変化していた

念じて招待された場所へと向かえるならば念じる

駄目だった場合は、その時に考える
353 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:???体[saga]:2013/02/10(日) 01:39:30.59 ID:v7LefE3Bo
>>351
最後のシーンは、手すりに?まるではなく、撤退にしてください。
転がりながら、念じてその姿を消したと言うことで
354 :Ring of Utopia:Part2【バミューダ・トライアングル海戦】[saga !蒼_res]:2013/02/10(日) 01:39:59.51 ID:rwbj063zo
>>349
/*お疲れ様でしたー!*/
355 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/10(日) 01:53:11.89 ID:vCXOgY2+o
>>350
貫いた。自身の杖が、この黒い球体を。

やった―。

自身の心の中で、敵を打ち倒したという歓喜が生まれるも
球体に取り込まれるクラウンを見て、すぐさまその歓喜は
苦渋にへと代わった。

逃げられた―?

先ほどの、衣を貫いたエネルギーはもはや残っておらず、彼は
そのまま堕ちゆく甲板にへと落下する。
船は大きな音をたてながら壊れ、彼はすぐさま砲台にへと上り、水を凌ぎながら
崩れ行く戦艦を見つめる。

「どうに・・・帰ればいいんだ・・・。」

最大の問題。彼は砲台で頭をかかえながらも、これから帰る方法を
考え始めた。

//おつかれさまでしたー
356 :雨宮涙子[saga]:2013/02/10(日) 01:53:38.48 ID:3TbmbGhgo
>>351
ぽたぽた、と。足元を流れる水流に朱が混じる。
一瞬遅れて精製された水の盾は、無為に虚空をさ迷った。

「……ふ、ふ」

ドロリとした血液が喉に絡まる。弱々しい呼吸と共に掠れた笑い声が漏れた。
胸を突いた刃。溢れる血が、止まらない。

「……あはっ」

それでも彼女は。


「あはははははははははははははははは」

彼女は笑い続けた。その命の鼓動が止まる、最期の瞬間まで。

「……」

それはもう、話さない。

「……」

それはもう、笑わない。

「……」

しかし―――。

「……」

それはまだ、死んでいない。何故ならPale loverが操作するのは、全ての液体。
ある時は水であり、ある時は硫酸であり。そしてある時は―――血液。
循環させる。損傷した臓器など、まるで初めから無かったかのように。

「……ころ、して」

雨宮涙子は、生かされる。
357 :クラウン・クラウン/重力球を操る2013/02/10(日) 02:01:45.20 ID:LjQjkrRn0
>>355
ありおつでしたー!
358 :ヴェルナー2013/02/10(日) 21:57:20.23 ID:5SEm8Xgko
「うぅむ、まったくつまらん」

夜の街角で、ひとつのちいさなビルが炎上している。
マフィアの事務所だったビルで、襲撃されて燃やされたらしい。

らしい、というのは通報時の情報だけが頼りだからであり、確実とはいえないのだが……

「事務所前でホトケが3人、か」

銃弾で穴まみれの死体を見下ろし、消防が消化に当たる風景を眺めながら、ヴェルナーはしばらく回ってこなさそうな自分の出番を理解した。

やれやれと肩を竦めて、すこし歩いた先にある公園のベンチに腰掛ける。
自分の出番ーー雇われ刑事の仕事までは時間がある。
それをベンチで潰すつもりらしい。
つまらなそうにベンチに腰掛け、火事の様子をチラチラと眺める男に、声をかける者はいるのだろうか。

/亀レスでよろしければどーぞ
/とりあえずおいておきます
359 :大神 恭子/異端審問官2013/02/10(日) 22:02:50.68 ID:8thkzSVYo
どことなく重い色の空であった。
最近はこんな色の空が続いている――少なくとも、大神はそう感じている。

多発する犯罪、テロ、紛争。外の世界を眺めてみれば、暗いニュースばかりだ。
人々が心をふさぎこんでしまうのも分かる。

つい最近も海上で大きな事件――戦闘――があったらしい。
多くの人々が傷をおい、その痛みを背負って生きている。混沌とした世界。
そんな時勢だから、平和であった頃に比べて救いを求める人は増えている。

ここは教会。神聖なる場所だったり、救いを与える場所だったり場所。
「………………」
箒を持って、教会の入口を掃除する女性――時折、手を止めては新月の空を眺める。




360 :大神 恭子/異端審問官2013/02/10(日) 22:32:54.53 ID:8thkzSVYo
>>359
//すみません、下げます
361 :大神 恭子/異端審問官[sage]:2013/02/10(日) 22:33:25.35 ID:8thkzSVYo
>>358
「……火事か?」
ベンチに座った男性に声をかける女性――まだ少女という形容ができる若さだ。

服装もしっかりと着こなしており、髪型も整っており、一見すればなんら異常は無い。
だがその表情は冷たく、瞳も鋭く尖ってどこかを見ている。

偶然そばに居た人物に話しかけた。と、いうものではなく、火事の関係者あるいはその出来事に詳しい人物に話しかけている。と、いう調子があった。
362 :ヴェルナー2013/02/10(日) 22:47:32.61 ID:5SEm8Xgko
>>361
「ん? ああ、火事だよ」

ベンチに腰掛けたままヴェルナーはなんの気なしに答えた。
懐から煙草をとりだし、古めかしいデザインのそれを一本咥えると、女性の方を見る。

一般人にしては雰囲気が尖りすぎているな、というのが感想だった。
一瞬、精査するように女性を見つめたあと、ヴェルナーはマッチを擦って煙草に火を灯す。

「マフィアの事務所でな。いま消化している」
363 :大神 恭子/異端審問官[sage]:2013/02/10(日) 22:56:44.74 ID:8thkzSVYo
>>362
「大きな火事にならないと良いが」
男に続いて、夜に光る炎を眺める。

「マフィア?」
冷たい調子の言葉が僅かに揺れる。詳しい情報を引き出せるとは思っていなかったのだ。
「……火事の原因はなんだ?」
マフィアという状況を考えれば、火事の原因は色々なことが考えられる。
364 :ヴェルナー2013/02/10(日) 23:08:10.47 ID:IHpEFalIO
>>363
「あの分ならすぐに消えるさ」

入れるのはまだ先になりそうだけど、と付け足して、マッチの火を消す

「ビルの前に射殺されたホトケが数人。抗争なんじゃないの?」

あんた堅気じゃないだろ、と。
そう問いかけるように視線を投げかけ、ヴェルナーは紫煙を吐き出す。

「まあ最近、円環やらなんやらで治安も悪いしな」
365 :大神 恭子/異端審問官2013/02/10(日) 23:20:11.51 ID:8thkzSVYo
>>364
「そうか」
炎から視線をそらす。耳をすませば消化の雑踏が聞こえてきそうだ。
「殺してから火を付けた……なんであれ、物騒だ」

「近所に暮らしているんだ、何が起こったのかは知っておきたい」
男の視線を受け、それに答えるように呟く。
「お前が考えているようなものじゃ……無いよ」

「円環の楽園か」
つい最近のこと、また大きな事件を起こしたと聞いている。
「悪い事件が続いている。良い事ではない……」
366 :ヴェルナー2013/02/10(日) 23:28:10.88 ID:iEpoJx/Po
>>365
「民間人は今のところ犠牲になってないそうだ」

携帯灰皿に灰を落として、火災現場の方を見やる。
遠くの炎に照らされた横顔には深い憂いが浮かんでいた。

「別に詰問したりはしないさ。気楽にしなって」
肩を竦めて苦笑し、煙草をふかす。
第一に彼女が何者であったとしてもいまのヴェルナーに関係のあることではなく、燃える事務所に関係のある者であるなら、いちいち他人に声をかけたりはしないだろう
よしんば自分の読みが外れていても、現状不利益をこうむりもしないのだ。

「なにがしたいんだろうね、あいつら」
367 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/10(日) 23:35:53.59 ID:YA2ni4x7o

じとじとと、雨。

道を行き交う人間達の足が早まる。

屋上から見えるは色とりどりの傘の花畑。



雨で濡れきった道路。
決して睡眠には向いているとは言えないそれに、フェイ・イェンシーは倒れていた。
誰も相手をする者はいない、
雨が……否、血塗れのその体が、通行人の親切心を洗い流した。

「…………あ〜、死ぬ、これはやばい奴だ、ワ」
368 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/10(日) 23:45:22.52 ID:JuWRRY1uo
>>367
通行人に溶け込んでいるように見えても、
傘を差さないでコートを着ている女性は、
屋上からの光景に、不協和音を醸し出す

胸元ほどにまで伸びた金色の髪に、
蒼い眼を持つ、そんな女性

人々のそんな歯車から外れたような、そんな女性は、
血塗れたその体を見ても、見捨てようとせずに、声をかける

それが本当に善意からくる行動なのかは、彼女のみぞ知ることではあるが

「どうなされたので?」
どことなく落ち着き払った、不自然なまでに焦りの見えてこない口調で、
屈みながらも、そう尋ねてみる
369 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/10(日) 23:50:27.77 ID:YA2ni4x7o
>>368

眩む視界の中に、異人女性を見る。
否、視界の中に近づいてきたのだ。


「すわ、幻覚か。 不肖フェイ、幻覚を見るに至りしカ……なんつて」

余りにも、まるで昼下がりのティータイムと変わらない、様な、
彼女の声から、自分の状態すらもそう錯覚してしまった。

「いや……ちょっと、通り魔に背後からヤラれた上に空腹デ……」

強調するは、空腹の部分。
とにかく腹が減っていた。
370 :大神 恭子/異端審問官2013/02/10(日) 23:52:10.10 ID:8thkzSVYo
>>366
「今のところ、か」
「何事も……なければよいが」
火事の炎からは視線を完全に外して、男の方を見ている。

「おかしな人だ。……起こったばかりの事件の情報を、こんなに簡単に一般人に教えて良いのか?」
違和感……というほどでもないが、話していて不思議な相手である。

「……強行的な世界平和の実現だろうか? それくらい、世界は駄目になっているということか?」
「正しいやり方では次々に起こる犯罪に対応できないし、本当に間違っている物事を正すには、力しか無い」
「この世で悪を唯一裁くことが出来るのは……悪である。と、いうことだろうか」
男性の呟きに、ゆっくりとだが長い意見を話す。
それから長い台詞に少々疲れたようで、息を吸い込んだ。

「……けれど、あいつらのやり方に俺は納得はしない。間違っているよ」
371 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/10(日) 23:56:48.87 ID:JuWRRY1uo
>>369
「お気を確かに、私はただの人間ですから」
やはりその口調は柔らかくも不快感を与えるようなものではなく
しかし、感情が見えてこないという意味では不気味ともいえるのかもしれない

「やられたと言うことは、怪我を負っているのでは?
怪我のほうは、気にせずともよろしいので?」
心配しているようにも、やはり聞こえない

しかし、ゆっくりと言葉を並べて、半ば形式的にそう尋ねる
血を見るからに、怪我を負っているように見えたのは確かだ
372 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 00:03:21.44 ID:cvDWs6lio
>>371

「……アイヤー、ただの人間かどうかだなんて、言葉だけじゃ証明不可能ヨ。
まっ、俺はどっちでもいーけどネ」

「大事なのは…………」

余りにも、感情の見えない彼女の声に抱くは不信感。

大量の血液がべっとりとついた体で、ふらふらとフェイが立ち上がる。

体のあちらこちらについたナイフの傷跡、そしてそれに見合わぬ大量の出血。
…………否、よく見ればそれは返り血であると気づくだろう。

「アンタが、俺を助ける気のアル、アンギル様なのか、あるいは、
追い剥ぎなの、カ?」
373 :ヴェルナー2013/02/11(月) 00:05:03.92 ID:OBy08wczo
>>370
「今晩中は大丈夫じゃないかな」

立て続けの行動は犯行の足跡を残すことになりかねない。
そんなヘマをしてくれればある意味警察も楽なのだ。

「封鎖前に現場見た野次馬が言いふらしたおかげでみんなに筒抜けさ」
だからといって漏らしていいものでもなかろうが。
不真面目なのか、あるいは意図があるのか。
あるいが両者なのかもしれない

ヴェルナーは女性の意見を静かに聞きながら、煙草を咥えて紫煙を吐き出す。
そして女性が語り終えると同時に、燃え尽きかけの煙草を携帯灰皿に落として、

「争いを争いで塗りつぶすのがやつらのやりかただそうだ」

そこでため息をつくと、

「ま、机上の空論以前の問題だな。気に食わないし望みも薄い。そんじょそこらのテロリストと根幹で大差がないよ」
374 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 00:10:23.16 ID:DaohaKc9o
>>372
「幽霊ではありませんよ?」
少しだけ、力がこもっていた気がする
しかし、本当にただの人であるかどうかなど、
確かに言葉だけは証明できないものがあるだろう

「そうですね……、これ食べます?」
肩よりぶら下げていたポーチからなにかを手さぐりで取り出す
コンビ二で売っているような、三角おにぎりだ
375 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 00:13:52.21 ID:cvDWs6lio
>>374
「……別に、ゴーストQでも俺としてはどーでもイー」

どうでもいいと、否定の声。
次に鳴るは、ぐるぐると空腹の虫の音。

差し出された三角おにぎりを、奪い取るように……否、実際奪い取り。
ガツガツと獣じみて食らう、喰らう。

「ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ
ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ
ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ
ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ
ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ」
376 :大神 恭子/異端審問官2013/02/11(月) 00:17:33.45 ID:/qfDIeCYo
>>373
「嫌な夜が続くか……」
仮にこの事件の犯人が捉えられても、それは一つの事件が終わるだけ。
大神は、それだけではなく大きなこの嫌な世界に呟いていた。

「こんな所にいて良いのか?」
火事の関係者ならば、色々な仕事があるのではないか、と。
この辺りは火事の現場からやや遠い。

「最近の組織では一番規模があるうえに、何よりも勢いに乗っている」
一般人を不安にさせないために有耶無耶にされていた記憶があるが、バミューダトライアングルでの事件は円環の楽園が勝利したと言ってしまってもいいだろう。
「今、最も厄介な相手なのかもしれないな」
377 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 00:18:17.54 ID:DaohaKc9o
>>375
「私にとっては重要なことですので」
微笑みながらもそう言ってみたならば、
三角おにぎりを奪い取られる

「手がお早いのですね
しかし、ただとは一言も口にした覚えはありませんよ?」
こんな台詞を吐かなければ、
きっと先ほどから崩さない微笑みに、
邪気など感じられなかったかもしれない
378 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 00:21:58.79 ID:cvDWs6lio
>>377
「足が無かったり、
夜枕元に化けたり、
太陽を怖がったり、
お経で体が半分消えてもアンタは人間だヨ」

興味無さそうに、奪い返されたおにぎりへとよだれを垂らす。

「タダより高いものはない、人に恩を売るっていうのは世界で最も高級な買い物ヨ?
とっとと、飯寄越せヨ」
379 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 00:32:11.10 ID:DaohaKc9o
>>378
「お気持ちだけ」
しかしどう考えてもそれは人ではない
幽霊嫌いの女性は、そんなことを思いつつ

「300円を支払っていただくか、
ちょっとした雑用をしていただけるのであれば」
恩などという、儚く弱く脆く形もない物よりも、
目先の利益を優先する

そんな考えが、垣間見えてくるかもしれない
380 :ヴェルナー2013/02/11(月) 00:32:53.75 ID:OBy08wczo
>>376
「毎日どこかで人が死んでいる」
奴らが捕まっても変わらない。
イタチごっこに甘んじる他ない警察機構。
その脆弱を嘆くように、ヴェルナーは鼻を鳴らした。

「燃えているうちは仕事がない」
仮に鎮火しても余熱が残るうちは入れない。
入れるようになるまであと数時間はかかるだろう。

「それに悪を集めているし、実力もある」
バミューダでの戦いの顛末。ロンドンの破壊。
いまだに尻尾すらつかめぬ敵は確かに強大で手ごわい。
しかし、それでも、

「奴らには死以外に行く先はないさ」
381 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 00:37:03.29 ID:cvDWs6lio
>>379
「そもそも、人間とは一体何なのかって…………まぁ、どーでもイカ」

人間の定義、命に余裕がある時に暇つぶしに考えている事。
それを口に出そうとして、特にどうでもいいかと思い直す。
今は目先の食料が大事なのだ。

「金は無いヨー、飯くれたら働くヨー」
382 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 00:40:54.68 ID:GL5PCH51o
>>381
「死んでいない方のことをいうのかと
……とすると、吸血鬼はどちらに入るのやら」
人と生者を一緒に考えている節がある様子
もっとも、今は交渉中であるわけだが

「わかりました、では働いていただきましょうか
どうぞ、こちらを」
言って、三角おにぎりを再び手渡す
383 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 00:45:01.39 ID:cvDWs6lio
>>382
「人間は知性に宿る……と、俺は思うガ…………そんなことはどうでもいいんだヨ」

手渡されたおにぎりを再び口の中へ。

食う、喰らう。

獣じみた咀嚼。

味を気にする余裕はなく。

生命を直接胃袋にぶち込んでいく。


「ごちそうさまでした……っと」
合掌し、一礼。

「んで、何をすればいいんダ?」
384 :大神 恭子/異端審問官2013/02/11(月) 00:52:35.01 ID:/qfDIeCYo
>>380
「人は死ぬ。けれど、死ななくても良い命が多く死んでいる」
何もうつさない表情のまま、言葉にだけ熱意がこもる。
「それを守りたい。けれど、正しいやり方でだ。
円環のやり方は正しくない。間違っているんだ」

「……そうか」
もともと自分に関係のある話ではない。
深く追求する理由は無かった。

「独特の存在感でカモフラージュしているが、あいつらは悪だ」
「悪いことには、負けていられないか」

「では、後のことはよろしく。早く事件が解決すればいい」
「悪い夜が訪れないように」
祈りの言葉。 悪いことがおこらないようにと、神に祈りを捧げることに慣れた調子で男性に送る。

そして、踵を返して夜の街へと歩み出した。


//では、時間なのでこの辺りで落ちさせてもらいます。ありがとうございました
//お疲れさまでした
385 :ヴェルナー2013/02/11(月) 00:57:33.60 ID:3AC9fPIDo
>>384
「とくに他者の殺し合いに巻き込まれるなんてのは遠慮ねがいたい」
肯定も否定もなく、ヴェルナーは言葉を重ねる。
「私はそういう死人を増やしたくない」

新しい煙草を加えて火をつけ、火災の明かりを見つめながら、ヴェルナーは女性の言に頷いた。

「ああ、あとはまかせてくれ」
「良い夜を、そちら気をつけてな」

立ち去る背中を見送ると、ヴェルナーは火災の鎮火を待って椅子によりかかった。


/おつさまでーす
386 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 00:58:29.40 ID:GL5PCH51o
>>383
「人は知性に宿る……、ですか
とすると……」
なにか言いかけて、
フェイがおにぎりを食べ終えていることに気付く

「ああ、仕事の話でしたね」
思い出したように呟くと、

「私、生きるためには少々あくどいことにも手をつけておりまして
ある夫婦の奥様に、自分というものがありながら不倫関係を築いた夫を懲らしめる
もしくは殺してほしい、というような依頼を受けていまして……」
夫婦間の裂け目すらも、金を手に入れるための手段として利用するらしく

「なかなかに女癖の悪い夫らしく、私が付け入る隙を見せていただきまして」
口調にはやはり一切変化が見られない

「あなたへの依頼というのは、対象……夫ですね、に見つからないよう尾行しつつ、
私が合図したら、対象に峰うちを仕掛けてほしいのです」
依頼の説明をする女性
387 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 01:03:56.66 ID:cvDWs6lio
>>386
「…………そう、人間は知性を捨てない限りは、
いや人間をやめたとしても、知性がある限りはそれは人間として、
まぁ、本人が望むのならば……人間に定義されていいと思うヨ、俺。
まっ、戦場で脳みそ以外機械を見てればサ、そーなるよ」

戦場での日々を思い出す。
懐かしむ程、昔ではなく。
そして、その日々が昔になる前に……きっと再び訪れるのだろう。

ほんの少しだけ、口元に苦々しい微笑みを浮かべる。

「あ〜、了解了解。峰打ちはそこそこ得意ヨ」
388 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 01:14:17.02 ID:GL5PCH51o
>>387
「確かに、戦場では人間は一つの歯車と同じような扱いですからね
……歯車ならば、まだマシなほうでしょうか」
戦争ですべてを焼き払われた記憶
その記憶は、時が経ても自らを縛り付ける

ほんの少しだけ、目を閉じる

「そう言っていただければ幸いです
では私は、この先の広場で落ち合う約束がありますので」
というと、広場へと向けて歩きはじめる

追ってみれば、恐らくターゲットもそこにいるのだろう
389 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 01:18:51.38 ID:cvDWs6lio
>>388
「どっちでも、いや……どうでもいいサ。戦場は生き残った奴が正義ダ。
例え、歯車だろうがなんだろうが、ぶち殺されて肉屋に並ぶまでは……人間は人間で、俺は俺ダ」

言葉を紡ぎ、紡ぎ、そしてほんの少しだけ熱くなってしまった自分を恥じた。

「アイヨー」

そして何事も無かったかのように、ついていく。
390 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 01:28:28.43 ID:GL5PCH51o
>>389
「そう、生き残ることができなければ、すべて終わってしまう
だから私は、そのためなら手段を選ばないのです」
不意に立ち止まり、熱くなったフェイに対して、ほんの少し冷たさを伴った、
けれども丁寧な口調で

目的の場所に到着したなら、広場にいるのは、
どこをとっても平凡そうな、モテるようには見えない、そんな男
しかし結婚しており、不倫関係まで築いているという、そんな男

さきほどまでのどことなくおっとりとした雰囲気が、
時々垣間見せる妖艶な仕草によって打ち消される

そして、しばらく話していたかと思えば、二人そろって歩き出す
人気のない裏路地のほうへと
391 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 01:34:49.37 ID:cvDWs6lio
>>390
(手段を選ばない……いや、俺は選べなかった)
エレミアの言葉に、吐き出そうとした言葉を飲み込む。

別に、どうでもいいのだ。
それよりも大事なのは目の前の的/敵。

「…………アイヤ、あれだネ」
男の姿を確認する。
100人の適当な男を集め、そして平均的なパーツの全てを組み合わせれば、どこまであの男に似せられるだろうか。
ふと、どうでもいい空想が頭を過ぎった。

「モッテモテだね、羨ましイ」

尾行尾行。
392 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 01:45:27.57 ID:GL5PCH51o
>>391
手慣れているらしい女性は、
時折誘惑とも取れるような、思わせぶりな行動をとるといったことをして、
近くの路地裏に誘い込む

すべては報酬のために

そして、気付けば人気のない路地裏
あまりにも平凡に見える男性は、女性に気を取られてかフェイに気づかない

平凡な男が女性に牙を剥こうとした、まさにそのタイミングで、
女性はフェイへと、小さくウィンクをする

闇討ちの合図である
393 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 01:50:05.16 ID:cvDWs6lio
>>392
成程、と独りごちる。
おあつらえ向きの舞台、特にこういう暴力沙汰には。

右手が指鉄砲の形を取った。

【浮気症と】

右人差し指から放たれるわ、2mの棒。

【こんな場所に来るような危機感の無さと】

フェイ・イェンシーが棒を担いだら用心せい。

【そして俺が空腹だったこと、それを後悔して…………】

突撃。

【[ピーーー]。】/フェイは男の頭上へと、棒を振りかぶる。
394 :エレミア 金髪蒼眼の女性[saga]:2013/02/11(月) 02:04:36.32 ID:GL5PCH51o
>>393
「ウガッ!」
短くうめき声をあげたかと思えば、
力なく、女性に倒れ込むようにして地に伏せる

それを女性は、遠慮なく蹴飛ばす
どことなく微笑んだような表情のままで

男は向かいの壁に吹き飛ぶ

「自分のほうが優れている
そう思い込んだ人間ほど、警戒心を薄れさせるものですからね」
表情は変えないものの、どことなく呆れを感じさせる

「では、私はこれで
お手伝いいただき、ありがとうございます」
ポーチより携帯電話を取り出しつつも、どこかに去って行った
男は放っておいても問題ないのだろう

//眠気が限界なのでこのあたりで……
絡み感謝です&お疲れ様でした!
395 :フェイ・イェンシー[sage]:2013/02/11(月) 08:48:07.91 ID:cvDWs6lio
>>394

「ドーモ」
壁にたたきつけられた男、そんなつまらないものに目を引かれることはなく。
彼女の感謝の言葉に、気怠げな返答を送る。

去っていく彼女を、単と見送り。
「いや、いいんだけどサ。なんか割に合わない気がするんだよナ」

ぼやきながら去っていった。

/こちらこそ絡みありがとうございました!
396 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 16:29:04.76 ID:ZkZLANfjo
「……なんなのこいつ等!?」

それは油断か慢心か。
普段であればこんな状況でも余裕を持って敵を打ち倒せる……しかし

(流石に傷が……っ!)

そう、先日の大規模戦闘において決して軽くは無い傷を負っていたクリオネはその注意力も対応力も普段と比べて激減していた。

そんなクリオネを取り囲んでいるのは10を優に超える数の人間。
……いや、人間と呼ぶにはいささか抵抗のあるその容姿。
生気の感じられない色の肌に所どころ腐りかけた肉。
焦点の有っていない目……まるで映画に出てくるゾンビのようだ。

(斬っても斬ってもキリが無い……っ! しかも斬っても痛がるそぶりすら見せない……)

突如としてスラム街の一角に現れたゾンビはその数の暴力でクリオネを追い詰めていた。
逃げるにしてもこの数を突破しなければ他の道に入る事すらできない……
目的の分からないゾンビ相手に未だ傷も魔力も回復していないクリオネが持っているのはサーベルとラウンドシールドのみ。

ドールを出そうと思えば出せるが、数に限りがある。
失敗すれば打つ手なし。早々出せない……

(さて……命乞いも通じなさそうな相手だし、どうしようか)

その頬に一筋の汗が流れる。
流石にこの状況ではいつもの余裕が無いようだ。


//少なくとも今日中は反応できますので気長に待ってます。
//雑魚相手に無双したい方、クリオネを助けたい方よろしければどうぞ。
397 :葛葉[saga !蒼_res]:2013/02/11(月) 16:44:07.98 ID:X6YVwa/to
>>396
「ほぅ、困ってるのかの――クリオネ?」

そんな、どこかで聞いたかもしれない声が、クリオネの背後から聞こえて。
とん、と一つの影がクリオネの前に着地した。
目の前に居たゾンビに向け指を突きつけて、口元で何かをつぶやけば。
次の瞬間にはゾンビが火炎に包まれて、断末魔の叫び声を響かせた。

「んっふっふ〜、商店街の看板娘、葛葉参上なのじゃ!」

ずびし、とクリオネに向かって振り向きながら、キャピィ☆とピースサインでウィンクをする葛葉。
見た目こそ幼いため違和感は無いが、色々とダメな気配しかしない。
クリオネが怪我をしている事を認識した上で、ふぅむ、と思案して。

「自分の身は守れるかの?
 ここいらで小奴らに暴れられると儂も迷惑での。
 まあ――要するに、人生の先輩に相手は任せて任せておけ、という事だの。
 無理そうなら一旦連れて引くが――どうする?」

普段は紫色の髪と瞳を持つ少女は、今はその瞳の色を黄金に変じさせていた。
漏れ出している強い妖気は、彼女が人ならざる者である事を如実に示す。
手元に握る鉄扇をぱん、と閉じて少女は後ろのゾンビに視線を向けた。

「治安が悪くなると客足も遠のくからのう。
 ――少々覚悟をして貰おうかの。なァに、皆纏めて浄土に送り返すだけじゃよ。
 心配することはないの、そのまま彷徨い続けるのも酷じゃ。皆、儂が終わらせてやる」

ゾンビたちに大して、憐憫の色を多分に含んだ声を欠ける葛葉。
徐々にじり寄って来るゾンビの群れに、葛葉は目を細めた。
南無妙法蓮華経、小さくそう呟いて。いつの間にか、葛葉の握る扇子は錆びついたボロボロの短刀と変生していた。
髪の色が黄金へと変わり、服装は多分にアレンジの加えられた小袖と緋袴を身につけて。
腰からは豊かに毛を生やした九つの尾、頭からは三角の形を取る一対の獣耳。
静かに一歩を踏み出して、商店街振興組合の組合長が、ゾンビ退治に繰り出した。
398 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 16:44:52.72 ID:X6YVwa/to
レス色変更ー
399 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 17:04:37.59 ID:ZkZLANfjo
>>397
「えっ……?」

周囲のゾンビに全神経を向けていたクリオネは、突然の声に思わず素の声に戻ってしまう。
それは普段の声より少し高い、年相応の声だった。

「葛葉!? なんでこんなところに居る訳……?」

口調と声色を何時もの感じに戻し、今この場に居る訳が無い人物に尋ねる。
葛葉は商店街に居るはず……こんな表の世界から遠く離れた場所にわざわざ来るなんて。

しかし、実際に目の前でおちゃらける葛葉は以前旅館で会った時そのものだった。
間違いなく葛葉だろう。

「……誰に言ってるの? べ、別に助けなんて要らなかったし」

葛葉から視線を外し、口を尖らせる。
実際の所、葛葉が来なければこのゾンビ相手にどうなっていたか分からないが、それを素直に言う性格は持ち合わせていない。

「ちょ、ちょっと葛葉!」

クリオネが危険を知らせようと葛葉を呼ぶ。
葛葉に燃やされたゾンビはその姿をボロボロと崩しながらも、尋常ではない生命力と欠如した痛覚によって倒れる事なく、葛葉に襲い掛かる。
襲い掛かるとはいっても、他のゾンビに比べて力が無く、葛葉に覆いかぶさるようにして抱きつこうとする。

突然の乱入者によって燃やされたゾンビの仲間に見向きもせずに、燃えるゾンビの他に4体のゾンビが手を前に出しながら葛葉に襲い掛かる。
掴みかかりからの噛みつき。ゾンビの常套手段だろう。

クリオネの後ろに居るゾンビも、同時にクリオネをターゲットにして襲い掛かってきた。
普段の身の軽さからは考えられないほどに鈍い動きだが、掴みかかりからは身をかわし、反撃に2回斬り付ける。

相変わらず痛覚など無いかのように斬られた部位を見もせずに再びクリオネを襲う。
何とか今の所躱してはいる様だ。

400 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 17:14:41.76 ID:X6YVwa/to
>>399
「ッカカ! ま、そういうならばそういうことにしておこうかの?
 ちょーっと邪気というか、腐臭というかそんなもんを感じての。
 たまたま近くじゃったから様子見に来たらこれじゃよ――ま、クリオネが無事でよかったがの?」

相手のつよがりを前にも、普段の様子を変えずに葛葉は笑って。
クリオネが、危険を察知した瞬間に、葛葉はとっさに行動を起こした。
行動は――前蹴り。
この小柄さでの蹴りであるが、葛葉は人ではない、それも獣の要素を多分に含む。
要するに、格闘が出来てなんぼの生き物である、妖狐。それの蹴りであるからして、当たれば吹き飛ぶのは道理と言えた。
数m分ゾンビを吹き飛ばして距離を取ってから、はぁ、と嘆息して。

「ふむ、こういう輩は燃やせば大概動けなくなるものじゃが、大分丈夫だの?」

死して尚そう簡単に止まることを許されぬ――か。
小さくそうつぶやくと、足元の地面に短刀を突き刺し、呪言を口にした。

『赤鉄――鉄鬼陣』

その呪言が紡がれた直後、短刀を中心に亀裂が広がっていき、クリオネと葛葉を囲むように亀裂が円を描き。
直後、その亀裂から無数の槍衾が生まれ、その穂先にゾンビを突き刺そうとする。
もし突き刺されば貫通した槍の群によってゾンビの動きは封じられ、また武器に纏わり付く炎によって徐々にゾンビ達は燃やされていくだろう。

「ふむ、今巻き込んだ分はこのまま陣を構えていれば倒せるが――。
 討ち漏らしの数が多いの。今の分を倒してから、直ぐ陣を解く。
 じゃから、ほれ、クリオネ。もうちょっと近寄ってくれんかの? 怪我しとるじゃろ、無茶は禁物じゃよ?」

尻尾の先をクリオネの手にからませて。
くいくいと此方に寄ってくるように提言をするのであった。
401 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 17:29:59.03 ID:ZkZLANfjo
>>400
「私がこんな所で死ぬわけないでしょ」

一瞬本気でやばいと思ったことは秘密だ。
にしても、葛葉が居る商店街からこの場所までは決して近くなどではない。
それでこのゾンビたちを察知したのだから、やはり葛葉の能力は相当高いと改めて認識した。

前蹴りで吹き飛ばされたゾンビは着地後数回転がった後に体を痙攣させながら徐々に動かなくなった。
ゾンビは痛覚が無い為体が動く限り動き続けることが出来る。
体全体を破壊する火炎はゾンビに対して有効だが、破壊する速度が斬撃や打撃などに比べて時間がかかる為に、燃えてから動けなくなるまで時間がかかる。

要は燃やしてから少し経てば殺してしまえるので、葛葉が放った槍に貫かれて身動きの取れなくなった状態で燃えるゾンビはなすすべもなく体を崩壊させていく。
クリオネが手こずった相手をこうも簡単に片づけるとは……

ゾンビは2人を囲っていたが、密集しているという訳では無い為まだ数は残っている。
いつの間にか最初クリオネを囲っていた数よりも多いのではないかと思うほどだ。
葛葉の技によりだいぶ数は減らしたが、その数は未だ10数体いる。

それらがゆっくりではあるが、二人に向かって歩いてくる。
他に何も見えてないかのように一直線に。

「え? ちょ、ちょっとなんなの?」

尻尾で手をつなぐとは器用なことをする。
そんなことを一瞬頭に過らせながら葛葉のすぐ隣まで近づいていく。
402 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 17:42:03.33 ID:X6YVwa/to
>>401
「ちょっとばかし尻尾の中に隠れておいてくれると嬉しいのじゃよ。
 怪我しとる子を戦わせる程、母性がない訳じゃないからの、要するに大人しくしておいてくれんと、儂が本気出せんのじゃ。
 というわけで、ちょびーっと大人しくしておいてくれるかの?」

頼み込むように、葛葉はそうクリオネに言って。
了承すれば、尻尾の中にクリオネをしまいこもうとするだろう。
もふもふの尻尾に囲まれると、まるで羽毛布団のように居心地がいいはずだ。
そして、ゆっくりと此方に近づいてくるゾンビの進み具合を見て、タイミングを測り、陣を解く。

「要するに、近づかせず終わらせりゃいいんじゃろう?
 じゃったら、今からお主等は一歩も動けんよ。そのまま、儂が浄土に送るからの」

陣を解いてから、ほっそりとした両の手を両側に向ける。
そして、妖力を練り上げながら、黄金の瞳を両方にちら、と向けて。
妖力の開放と同時に、その妖力に指向性を与えんと、意志を込めて呪言を唱えた。

『赤礫』

両の手から、溶解した鉄が生み出され、手元で楔へと生成される。
数多の楔が、ゾンビたちの足元を驟雨のように撃ち貫き、地面へと磔にしようとするだろう。
もし足が外れて、地面を這う事となっても、その場合は胴体に楔が打ち込まれ、地面へと固定されることとなる。
そして、そのまま楔に纏わり付く狐火の欠片によって身体を燃やされ、近づくこと無く焼かれていく事だろう。
それが無理ならば、右手の短刀を握りしめ、ゾンビの群れに真っ向から退治することとなる。
403 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 17:58:08.23 ID:ZkZLANfjo
>>402
「へ……?」

尻尾の中ってどういうこと……と言うより先にもふもふの毛の中に包まれてしまう。
何と暖かい場所だろうか。
ゾンビに囲まれている戦場とは思えないほど暖かく、安心感に満ちている。

痛そうなのでサーベルを消し、大きな毛の毛布の中で体育座りの態勢でとりあえず事が済むのを待つことにする。

一歩一歩距離を縮めるゾンビたち。
葛葉の雨のような攻撃を鈍足なゾンビたちが避けられるはずもなく、次々と動きを止めていく。
”あ゛ー”と人とは思えないうめき声を挙げながら、動きを止められたゾンビたちは見る見るうちにその体をその炎によって崩されていく。

中には諦めずに脚を失ってもなお這いずって進もうとする者も居たが、その手は葛葉に届くことは無く灰と化す。

見れば、あれだけ居たゾンビたちは葛葉によって一瞬で片付けられ、周囲は焼けたゾンビたちが大量に転がっているのみ。
ゾンビが焼けた強烈な臭い以外は脅威となる物は無いだろう。
何処から出てきたのかもわからないゾンビだが、とりあえず増援は無いようだ。

「……ねえ、終わったの?」

ゾンビたちの声や足音が聞こえなくなった事で、もう終わったのかと思ったクリオネは尻尾から首から上だけを出す。

「……ってやだ、この匂い」

ゾンビの脅威は消えたが、代わりにこの匂いがクリオネを襲った。
404 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 18:04:48.54 ID:X6YVwa/to
>>403
焼け焦げたゾンビの群れの中に悠然と佇む妖狐が一匹。
そして、クリオネが尻尾から顔を出すと同時に、葛葉が唐突に地面に崩れ落ちた。
尻尾が何か痙攣するかのようにばたばたと動いて、中にいるクリオネの身体を弄り回し始めるが、悪気はない。
ただ、あんなところとやそんなところをふさふさ尻尾で色々しちゃうかもしれないが、事故だ。仕方がないね。

「うぎゅうあ――……ッ!」

鼻を抑えながら、ぶんぶんと頭を振って涙目になる葛葉。
よく考えてみればわかる。人間の嗅覚のクリオネがそれだけ酷い反応をするのだ。
狐はイヌ科の動物。そして、葛葉は妖狐であり、獣の要素を含んだ人妖だ。
この臭気、まともで有れるはずが有るだろうか?

「臭い臭いっ! ダメなのじゃ! ちょいと引くぞ、クリオネ!」

鼻を抑えながら、うあーッ、と鳴き声を上げて。
懐から術符を取り出した葛葉は、地面にぺたん、と符を貼り付ける。
次の瞬間には、光りに包まれて薄暗い土蔵に現れていたことだろう。
土蔵の中には、そこかしこに怪しい骨董品やら、魔道具的なものが有る。
405 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 18:20:22.84 ID:ZkZLANfjo
>>404
「ちょっ……」

顔を出した途端ガクンと下がって舌を噛むかと思ったクリオネは、抗議の声を出そうとしたその瞬間……

「んなっ……!」

言葉を発するより前に自分を包んでいる尻尾が振り回され、必然的にクリオネも振り回されることになる。
先ほどから言葉と言う言葉を発せられないクリオネである。ちょ……とか、な……とかしか言うことが出来ない。

「待って待って! あっははははははは、どこ触って……ってちょっと……ん……・あぁ…・…っくぅ……っ!!」

前半と後半の反応が違うのは、途中で触られた場所が違うのだろう。
具体的にどこかと言うと……


ともかく、クリオネがいろんな反応をしていると急に目の前が真っ白になり、その匂いが消えた。
触ってくる尻尾に夢中だったため、葛葉が符を地面に張り付けたシーンを見ていないクリオネは何が起こったのか分からない。

「はぁ……はぁ……え? ここ…………どこ?」

何やらぐったりとしたクリオネが尻尾から這い出てみるとあまり目にしたことのない物が並んでいるではないか。
四つん這いになりながらとりあえず手近なものを眺めえいる。

406 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 18:29:08.78 ID:X6YVwa/to
>>405
「はー……ッ、はー……っ、ふへぇ……」

こてん、と土蔵の床に大の字になって寝転ぶ妖狐が一匹。
ううー、とまだ匂いにやられているのか、尻尾を不機嫌そうにぱったぱったとそこら中に叩きつけている。
その度に、埃が周囲で舞って、なんとも言えない光景を生み出していた。
耳はぺったりと頭に張り付いており、どれだけ匂いが辛かったかを想像させるだろう。
しばし蹲ったり呻いたり尻尾を振り回したりした後に漸く涙目になりながらも、正気を取り戻した。

「ふっふー、儂の家じゃ!」

先ほどまでのもろもろを全て無視した上で、何故か得意げに無い胸を張る。
うぅ、臭いと小袖の匂いを嗅いで、ふるふる、と頭を降る。
そして、ふとクリオネが怪我をしていることを思い出した葛葉は、これ幸いといった調子で。

「そうじゃ、服も匂いこびり付いとるし、儂の服を貸してやろうかの。
 ついでに怪我の面倒も見てやるから、怪我の消毒がてら風呂に行くのじゃ!
 ほれほれ、そこらの骨董下手に触るとびりびりだったりぬるぬるしたりえろえろするから、やめておくのじゃよー」

そう言うと、尻尾にクリオネを包んで、また勝手にクリオネを輸送しようとする。
さっきのように変な所は触らないように気をつけている様で、安心の輸送クオリティをお届けする。
気がつけば、瞬く間に葛葉の家の脱衣場に連れて来られていることだろう。
葛葉はと言えば、ひょいひょい、と服を脱ぎ捨て洗濯機に和服を放り込んでいた。それでいいのかは分からないが、割りとぞんざいな扱いである。
ふと振り向いて、狐は耳をぴょこぴょこと動かして。

「ついでに、クリオネの服も洗ってしまうからの。
 一緒に洗濯機に入れておいてくれるかの?」

と問いかけた。
407 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 18:41:46.08 ID:ZkZLANfjo
>>406
「ごほっ……ちょっと埃舞うからやめてよ」

手を口にに当てて抗議をする。
ようやく葛葉に対して何か言えた気がする。

「そういえば店やってるって言ってたっけ……え?」

そうして再び並べてある品を見ようと思った矢先、体が浮く。
まだ四つん這いになっている状態から尻尾で絡め取られ、本人の意思とは関係なく運送されていく……

ようやく脱衣所で下されて立ち上がる。
2本足で立つのは久しぶりなような気がしてくる。

「え、ええ、分かったよ……」

葛葉の言われるがまま、服を脱ぎ始めるクリオネ。
……と

(あれ? なんか知らないうちにまた葛葉のペースに……)

前回もそうだった気がする。
次会った時はこうならないようにと考えていたのだが、まるで成長していない。

葛葉に習い、来ている服を全て脱いで洗濯機へ。
しかし、その内の赤いコートだけは別で……

「これは……ダメ。手でちゃんと洗いたいから」

それだけは洗濯機へは入れずに服などを置いておく棚へ一旦おいておく。

服を脱いだことで、クリオネの傷がさらに露わになる。
全身の擦り傷などはもちろん、腕やお腹、背中、太もものあたりに包帯が巻かれている。
それらはまだ塞がっていないようで、血が滲んできている。
先ほどの戦闘で傷が開いてしまったようだ。
408 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 18:52:10.43 ID:X6YVwa/to
>>407
「ん、コート以外はじゃあ儂に任せてもらおうかのー」

相手がコートだけを別にしたのを見て、細かいことは言わずにコクリ、と頷いて。
洗濯機に、何か怪しい壺から取り出した紫色の液体を放り込む。
そして、洗濯機の蓋を閉じてスイッチを入れた。オカルト的なのか、現代的なのか。
よく分からないが、本狐曰くは、よく匂いも落ちて綺麗になる、との事だ。

人仕事終えた感有る表情で、額をきゅっ、と擦って。
クリオネの身体を見回すと、んー、と思案顔。
普段ならば怪しい手つきで飛びかかりそうなものだが、今日は珍しく真面目な様子だ。
と言うよりは、そうすべきではい時にそうする程、空気の読めない狐ではないだけだが。

「うおー……、痛そうじゃの。
 仕方がないの、儂特性の薬湯を引っ張りだすかの?」

そう言って、脱衣所脇の棚を漁って、大きな風呂場の戸を開ける。
二人入ってもまだ余裕がありそうな風呂に、匙で救った緑色のペーストを放り込む。
そして、手でぐりぐりとかき回せば、森を思わせる深緑のお湯が生まれていた。
満足気にその湯船を見て、ちょいちょいと此方へクリオネを手招きする。

「包帯がくっついとるからの、まずゆっくり剥がさんと痛いじゃろ?
 儂が剥がすから、ちょっとこっちで座ってくれるかの」

どうやら、葛葉は確りと治療をするつもりのようだ。
拒否するならば、手を引きつつ、こっちこっちと引っ張ってくるだろう。
409 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 19:02:08.13 ID:ZkZLANfjo
>>408
「ちょっとそれ大丈夫なの……?」

どう見ても洗濯機に入れる洗剤ではない。
このくらいはクリオネにも分かるのだが……
入れた服がおかしなことにならないと良いのだが大丈夫なのか?

体をじっと見てくる葛葉だが、それに対して不快感を覚えたりはしない。
ほぼ相手に寄らず体を見られたくらいで怒り出すクリオネではない。
しかしながら前回の反応とは違う葛葉が不思議なようだ。

「別にこのくらい……っ!」

と、一歩前に出ようとした時、ガクッと体が落ちる。
倒れはしないが、明らかに大丈夫と言った感じではない。
先ほどまでは戦闘中だったので痛みもある程度忘れられていたが、今になって傷が開いた痛みが来たようだった。

「っ……全く、拒否しても無理やりするくせに……」

葛葉の元へ歩いて行き、指示通りにそこへ座る。
その座る動作は比較的ゆっくりで、いつもの様に座ると痛みが走るようだ。
410 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 19:11:30.22 ID:X6YVwa/to
>>409
「儂調合の洗浄剤じゃよ。
 並の洗剤よりよく汚れも匂いも取れるからの、問題なしじゃ」

そう言いつつ身体がガクついているクリオネを見て、ほれみたことかといった表情を浮かべる。
経験上、死ぬほどの傷ではないにしろ、自分の友人(一方的)が辛そうにしているのを見るのはつらいものが有る。
此方に寄ってきて座ったクリオネの頭を、よしよしと柔らかく撫でると、自分の無い胸をぱん、と叩いて。

「これでも、六つ子の母じゃったからの、子供の面倒を見るのは癖なんじゃ。
 じゃから、気にせず儂に身を預けると良いの!」

これでも元母親だ、子供の面倒は任せとけ、と。
明らかにクリオネより小さく、幼い外見言動の少女が言った。
それでも、その声色と気配の優しさは、相手に安心させようとする感情が多分に含まれていた。

「湯、掛けるぞ?
 それほど染みんじゃろうが、痛いのは多少我慢してくれると有難いのじゃ。
 痛み止めの術も有るんだがの、余りそういう物を使うのも良くないからのう」

薬湯を桶に汲み、静かに身体に流していく葛葉。
それほど染みることはなく、じんわりと身体を温めていくだろう。
傷口には、痛みと言うよりはぴりぴりとした痺れるような感覚が来るはずだ。
そうして、暫く湯を掛けて身体を暖めつつ、身体の汚れを手で落としていった。
素手で肌に触れているが、手つきは怪しくもなんとも無く、確りと汚れを落とす手つきだ。

「……ん、大分くっついた面も解れてきたの、剥がすぞ?」

大分包帯がふやけてきたのを見て、ゆっくりと包帯をはがしていく。
乾いていた場合は、べりべりと剥がれていく包帯だが、湿っているため、案外簡単に剥がれていく。
暫くむず痒い感覚はするだろうが、痛みはあまり感じず、包帯を剥がされていくことだろう。

手慣れた動作は、彼女の経験からなのかは、分からない。
411 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 19:23:18.81 ID:ZkZLANfjo
>>410
「……子ども扱いしないで」

座って小さくなるクリオネはぼそっと小さな声で主張した。
口を尖らせて葛葉から目を逸らすその姿はどう見ても大人には見えない。

しかしそんな声に怒っているわけではない。
むしろその優しい声に安心するような感覚すら覚える。

「んっ……痛い。もっと優しくして……」

実際にはそんなに痛くない。
が、自然とそんな事を言ってしまうのは反射だろうか。

剥がされていく包帯。
不思議と痛くないその場所が露わになっていく。
その全てが剥がされると、開きかかった痛々しい感じの傷が見える。

流石にこの状態であのゾンビたちを相手にするのは厳しいものがあっただろう。

「……大したことないでしょ、こんな傷」

とはいえ正反対の事を言ってしまうクリオネ。
いつもこんな感じなので葛葉も慣れただろうか。
412 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 19:48:02.60 ID:X6YVwa/to
>>411
「なんじゃ、儂が子供っぽいから悪いのかの?
 なんなら前みたいにわがままバディでぱふぱふしてもいいんじゃが――、おっぱい枕はお預けじゃの。
 兎角、お前さんの身体の世話が先じゃ。いくら儂でも傷物は優しく扱うからの、まあいっつも優しいんじゃが」

軽口を叩きつつも、ぽんぽん、と頭を優しく叩き。
相手の声に応じて、より優しく、柔らかい手つきでクリオネの身体に触れていく。
細く、柔らかい手がクリオネの肌の上を這い、優しく傷口の汚れを落としていった。
包帯をはがしてみれば、中々に深い傷。そして、その直後のクリオネの強がり。

「おなごが身体に傷を作って大したことない、とか言っちゃダメじゃよ!
 全く、折角可愛いんじゃから、もう少し自分のことに頓着するべきだと思うんじゃがの。
 儂なんてもう、銀河一ぷりちーでナウでヤングなギャルじゃからの、日々あんち……なんじゃったかの、とにかく完璧ギャルなのじゃ!」

もっと自分を大切にしろ、と微妙に怖くない怒り方で説教しつつ、開きかけの傷口に薬湯を掛けていく。
傷口の雑菌を洗い流し、自然治癒力を高める作用が薬湯にはある。
よもぎのような独特の匂いがするが、葛葉が確りと作った品であるから、効果は確かである。
暫く開いた傷口に薬湯を掛けると、体の様子を見て、ん、と頷いて。

「よっし、これで傷の洗浄は大丈夫じゃ。
 とりあえず体温めないと、怪我で体力落ちてて体温落とすと危ないからの。
 というわけでぱっぱと頭洗って、風呂にはいるのじゃよ!」

ズビし、と謎ポーズを取ると、そのままクリオネの頭にシャワーを掛ける筈だ。
おとなしくシャワーを浴びれば、葛葉の小さな手がクリオネの頭に触れ、こしこしと頭を洗ってくるはずだ。
葛葉の使っているものと同じシャンプーであるため、葛葉の尻尾と同じ匂いがするだろう。
413 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 20:00:40.69 ID:ZkZLANfjo
>>412
「よく言うよ……人を散々振り回しておいて」

口を尖らせながらも頭を叩いてくる葛葉には無抵抗。
どうにもこっちの棘を取ってくるような葛葉はやり辛い。

「あっそ……」

「別にこんな傷服着てれば見えないし……まぁ、私が可愛いって言うのは否定しないけど」

これでも容姿の良さで食べてきた時代もあったのだ。
自分の容姿が武器になる程度に良い事は把握している。

それにしても葛葉はいちいち若い言葉づかいをしようとしてかえって失敗している。
それが少し面白くて、ふっと笑みがこぼれた。

髪の毛をわしゃわしゃと洗ってくれる葛葉に対してクリオネは大人しくしている。
ここで暴れるほど空気が読めない訳でもないし、そもそもそんな体力が無い。

(ああ、なんか良い気持ち……)

目を閉じればそこには葛葉から感じる安らぎがより一層感じられるような気がした。
シャンプーの匂いが葛葉と同じで、まるで包まれているような感じがするからなのか、その表情は緩み戦場で相手を嬲り殺す女とは思えない顔をしている。
そう、年相応といった感じだろうか。
414 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 20:15:08.84 ID:X6YVwa/to
>>413
「何時か、心を許して、体を委ねたい相手が出来た時に、出来るだけ綺麗な体を見せたいとは思わんかの?
 クリオネの言うとおり、お前さんは可愛いんじゃから、見えないところまで気を使ってなんぼなのじゃよ。
 全く、儂も人のことは言えんが、やんちゃはほどほどに、じゃよ。するなとは言わんがの、死んだりしたらそれまでなんじゃから。儂も悲しいしの」

説教と言うよりは、忠告といった体だろう。
ぽつりぽつりと、相手に押し付けるのではなく、言い聞かせるように。
わしゃわしゃとクリオネの頭を洗いつつ、そういって自分を大切に、と再度言うのだった。
暫く頭を念入りに洗った後に、シャワーを掛けて泡を流していく。
傷口に泡が掛からないように、髪を貞子のように前の方にわさりとやって、湯を流して丁寧に泡を落とす。
しばらくしてすすぎ終わると、クリオネの髪にトリートメントを付けて、暫く座っているように言う。

「ちょーっと枝毛が有ったからの、髪もカサついとったし。
 疲れているのは分かるんじゃが、もうちょっと確りケアせんと年取った時にツケが来るぞー。
 というわけで、きっちりヘアケアなのじゃ。儂のお気に入りじゃから、完璧じゃよ?
 儂の尻尾と髪のさらさらもふもふはこいつと妖術のお陰じゃからの! 今なら二つセットで3890円!」

何故か通販の売り文句のような発言をしはじめる葛葉だが、ノリだろう。
とりあえず、葛葉が髪を洗い終えるまでは、トリートメントは付けておけ、との事。
そして、葛葉も小さな尻を風呂場の椅子に置き、頭を洗い始めるのだった。

「ううーむ、髪やら尻尾やら沢山毛が有ると大変なんじゃよ。
 まあ、尻尾の手入れも髪の手入れも乙女の作法じゃからの!
 未亡人じゃからって適当にしてたら女として恥じゃよ、恥!」

そう言いつつ、長い髪をお湯で濡らし、洗い始める葛葉。
尻尾にもシャンプーを垂らして、尻尾同士を器用にこすり合わせて泡立たせていく。
起伏の少ない体が、尻尾の生み出す泡で覆われて、もこもこの羊気味になりつつあった。
415 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 20:28:11.89 ID:ZkZLANfjo
>>414
「…………」

葛葉の言葉に対して即座に言い返すことが出来ない。
そんな日は来るのだろうか……いや、来る。
絶対に来させてみせる。
普段強がりを言って見せているが、実際の所内心はいつも不安が渦巻いている。
本当に出来るのか? いつまでかかる? いつまで戦い続ければ良い?
いつか来る安らぎの時。そんな話を出されてクリオネはうつむいてしまう。

「とりーとめんと……ってなんなの?」

何やら見知らぬものが髪に付いたので、毛先をつまむ様にして確かめてみる。
なにやらぬるぬるしている……こんなものが何になるのだろうか。

言われた通り座っていると、隣で毛を洗う葛葉を横目に見る。
髪も尻尾ももさもさしてて洗うのが大変そうだなーと思いながら、尻尾の泡立ちを見て驚くのだった。

(何これ……可愛い)

そーっと手を伸ばしていく。
ターゲットは葛葉の尻尾だ。
誘われるようにその尻尾まで伸ばした手は、泡の中にある尻尾本体を握ろうとするだろう。
416 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 20:34:12.07 ID:X6YVwa/to
>>415
「知らんかったのか……女子力低いのう、クリオネ。
 とりあえず、髪をサラサラにしてくれるものだとでも思っとけばいいのじゃ。
 あといい匂いになるし、枝毛もできなくなるし、完璧じゃの!」

女子力が低いとギャルに言うおばあちゃんの図、シュールである。
その間も、もふもふ尻尾は泡を作り、わさわさした髪もアワアワになる。
人が髪や体を洗っても到底こうはなるまい、と言ったレベルの泡だらけで。
いっつも風呂に入る度にこれである葛葉は別だが、クリオネは違うだろう。
鼻歌を歌いながら泡だらけになる葛葉は、背後から迫るクリオネの魔手に気がついていない。

「みぎゃ!?」

背筋にぞくぞくとした感覚が走り、ぴーん、と葛葉の耳が立ち上がる。
ぶるり、と体を震わせて、ん……、と声を漏らして振り返り。

「な、なんじゃなんじゃ!
 洗っている最中って割りと敏感じゃから、あんまり触られるとそのじゃな……!
 えーっと、困るのじゃ!」

要するに、触られると弱いらしい。
あれだけ器用に動かせる尻尾だ、当然のように敏感で。
洗っている状態で、十二分に刺激を受けている今の状態で、わしづかみにされると要するにヤバかった。
417 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 20:44:29.39 ID:ZkZLANfjo
>>416
「じょ、女子力……?何それ聞いたことないけど」

「まぁ、髪が良い感じになるならいいか。見た目良いに越したことはないしね」

前髪をくるくると回しながら感触を楽しんでいく。
今までトリートメントなど使ったことが無いクリオネだが、その髪は綺麗だった。
トリートメントなるものを知ったからには今後さらに美しくなるだろう。

そんなことをしている内に、伸ばしていた手が葛葉の尻尾を捉える。
本当に掴めるとは……

「ははっ、やわらかーい」

その感触が気に入ったのか、優しく握って見たり弄って見たり……
尻尾の中で振り回されたお返しと言わんばかりに弄っていく。

「え〜? どう困るの? ねぇねぇどう困るの?」

体を葛葉に寄せていき、右手はその尻尾を握り続けている。
何時もはこっちがやられているのだ。たまにはこちらから攻めなくては。
418 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 20:53:13.40 ID:X6YVwa/to
>>417
「はわふ……う……、うぐぐ、力が抜ける……!
 そんな変な手つきで触るでないのじゃ! せ、せくはらー!」

いつもの葛葉がやっていることを逆にやられ返してみると、こんな物である。
頬を赤らめ、時折体をぴくぴく動かしては、身を捩って。
尻尾を力なく、わさり、わさりと揺らしてその度に、声を漏らす。

「んっ……あ……ぅ、は……ぁん、ちょ、やめ……っ」

ぴん、と立っていた耳がぺたん、と下がって。
泡の中の体が見えないのが逆に艶めかしい。
少し目尻の下がってとろんとした目をクリオネの方に流すと同時に、金色の瞳がきゅぴーん、と光った。

「さ……ぁん……ぅ、流石に……んっ……この儂も……ひぁ……っ。
 お、おこったぞー! うりゃりゃー!」

気合を入れて、一気に九尾の尻尾がクリオネに殺到していき。
クリオネの傷に障らない程度にくすぐり回して、ついでに全身を洗い倒していく。
数分後には、不思議と湯船には泡が入らないが、洗い場の中は泡だらけとなっていたことだろう。
そして、起伏の無い体で勝ち誇ったように風呂場の椅子に仁王立ちし、勝ち誇っている狐が一人。
当然その間も尻尾で色んな所を洗い倒している筈だ。
419 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 21:06:19.04 ID:ZkZLANfjo
>>418
「何がセクハラよっ! そんなことで騒ぐたまじゃないでしょっ!?」

「ほらほら〜!」

笑いながらその手を強めていくクリオネ。
その弱弱しい目を見てゾクッとする気持ちを得ながら勝ちを確信する……っ!

「って、え!?」

握っていたはずの尻尾が突如として反旗を翻してきた。
握っていた尻尾とさらに他の尻尾が一斉に襲って来れば、クリオネはなすすべもなく尻尾に飲み込まれていく……

「ちょっとやめ……っ! て……んっ……馬鹿そこ洗ってないでしょっ……! あん……わ、分かった……悪かった……から……」

クリオネの説得も空しく九尾の餌食となる。
全身を洗っているのだろうが、明らかにそれとは異なる意図を感じる。
必死にやめてと声を出そうとするも、向こうが上手。上手い事声を出すことが出来ない。

「はっ……だめ……それ……以上、は…………っっ!!」

死闘?の結果勝ち誇る狐と見下ろされている女。
クリオネは倒れ、荒い息遣いを見ると勝敗は一目瞭然だった。
420 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 21:14:49.46 ID:X6YVwa/to
>>419
「ふぅ……はぁ……、か、勝ったぞー!
 こ、これでも魔王なんじゃぞー! あんまり弄るとこうなるのじゃ!」

ずびし、と指を突きつけて、黄金の瞳をくわっ、と見開く葛葉。
恐らく脅しのつもりだが、いかんせん覇気が無いし、顔は赤らんでいるし、色々とアレでダメダメだ。
なにやら虚しい気分やら賢者モードになった葛葉は、そそくさとシャワーで泡を流していく。
自分にもコンディショナーをつけると、はぁ、と溜息を付き、全体にしみこませるようにしてから、すすいだ。

「ほれ、悪かったの。
 さっさと流してやるからこっちに来るといいのじゃ」

そう言うと、クリオネを抱き上げて、椅子に戻そうとするだろう。
そして、クリオネの泡やらコンディショナーも落としていく。
数分後には、洗い場の泡なども完全に綺麗になって、先程までの死闘は嘘のようになった。

「争いは何も生まんな!
 さあって、さっさと風呂に入って晩飯でも食べるのじゃ!
 ちなみに遅い時間じゃし、傷が心配じゃからクリオネは今日は泊まりじゃよ! 服乾かす時間もあるからの」

どうやら、勝手に葛葉はクリオネを止まらせるつもりだったようだ。
何方にしろ、すすぎ終わると、葛葉はとてとてと湯船に向かって歩いて行き、湯船に肩まで浸かる事だろう。
長い髪はタオルで纏めて湯船に入らないようにしており、クリオネの頭もまたタオルでまとめられる筈だ。
421 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 21:24:55.52 ID:ZkZLANfjo
>>420
「はぁ……はぁ……く、悔しい……」

一矢報いることが出来なかった悔しさを握りこぶしと表情で存分に表す。
相手がやっかいなドSキャラならさらに喜ばせてしまいそうだ。

気を取り直して葛葉に椅子へと戻してもらい、コンディショナーや先ほどの戦いで付いた泡を流していく。
思えばなんでこんなことになったのやら……

「ま、また勝手に決めて……。良いけどさ……」

葛葉と一緒に湯船へと入る。
と、そこで葛葉に髪をまとめられるが、そこで思い出す。
クリオネのうなじには円環の紋章が刻まれている事に。

「!?」

バッと葛葉から紋章が見えないように正面を向く。
もう見られたか……いや、先ほどのおふざけでもう見られているかもしれない。
見ただけでこれが円環メンバーの証とばれるとは思えないが、それでもやはりなるべく人に見られたくない。

「……いや、あの……ん……」

葛葉を振り払ってしまう形になり、気まずさを覚える。
湯船につかって紅潮した顔を葛葉から背けてしまう。
422 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 21:34:03.34 ID:X6YVwa/to
>>421
「なんじゃ、儂に惚れでもしたかの?」

己から一気に距離を離し、顔を背ける相手をみて、ぬふふー、と笑い声を漏らしつつ軽口を叩く葛葉。
その瞳は穏やかで、クリオネの不安を払拭するような気配を感じさせる。
肩まで風呂に使って、んー、と幸せそうに吐息を吐いて、薄目を開いて、ゆっくりと言葉を紡ぎ出し。

「この世の粗方の悦楽と悪徳も、徳心も研鑽も積み重ねたからかも知れんがの。
 別に儂は、お前さんが悪人だろうとそうでなかろうと、クリオネが好きじゃからお主の世話を焼いとるんじゃ。
 じゃから、そんなに気にしなくてもいいんじゃよ? まあ? そうやって? 頬を赤らめてそっぽ向かれると?
 ……ぬっふふー、いたずらしたくなっちゃうかも知れんがのう?」

尻尾を湯船からひょこ、と飛び出させて。
妙に滑らかかつ淫靡な動き――まるで触手のような――を見せてみる。
いつも通りの強気な様子の方がそれらしいと思って、変に気を使わせたくなかったのだ。

「悪人だどうだ気にするんじゃったら、儂も昔沢山罪を重ねとるよ。
 それでも今こうしてのうのうと生きていて、さっきみたいにおなごにセクハラして。
 それでも、生きていていいんじゃよ。世の中やったもん勝ちじゃからの。
 ま、今の儂は大分会心気味じゃから、清く正しくいやらしくを信条にしとるんじゃがな!」

ぬっははー、と高笑いしつつ、ちゃぷ、と腕を動かし、体に薬湯を刷り込ませるようにして。
んー、効くのう、と恍惚な表情で、と息を吐く。
葛葉曰くは、傷の治りが早くなるのと、肌がつやつやになったりする効果があるらしい、美容向けだった。
423 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 21:55:36.74 ID:ZkZLANfjo
>>422
「は? バカじゃん……そんな訳ないでしょ」

肩を小さくして、つぶやく。
相変わらず視線は外したままで顔は紅潮している為、相手が男なら勘違いさせてしまいそうだ。

「わ、分かった、分かったからその動き止めてよ……っ!」

両手を前に出して尻尾から身を守ろうとする。
早々いつもやられるわけには行かない

(あんな気持ちい……じゃなくてくすぐったいの……)

「そりゃあ……そうなんだけどさ。
 でも私は別に改心してる訳でもないしね」

葛葉が変わらず自分に接してくれる。
そんなことが今の自分をどれだけ安心させたことか。

なんだかんだ言ってクリオネは葛葉に心を開きかけている。
そんな相手に拒絶されたらと思うと、恐ろしくなるのだ。
一度心を許した相手には嫌われたくない。
そんな当たり前の感情だが、クリオネの心はそれを色濃く映していた。
424 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 22:01:14.09 ID:X6YVwa/to
>>423
「――大切なのは、儂にとって好ましいかだけじゃしのー。
 要するに、クリオネが悪人になろうが善人になろうが、儂は変わらずお前さんの事が好きという事じゃの!
 あいらびゅーくりおーね、じゃ!」

そう言って、クリオネの所へ寄って、背後に移動すると、優しくぎゅっ、と抱きしめる。
背後からは豊満な母性の感覚が感じられることだろう。
そして、穏やかな大人の女性の声で、頭をくしゃりと撫でて。

「あんまり強がっていても疲れるだけ。
 偶には素直になれる人とか、場所。作っておいたほうがいいのよ?
 頑ななのは悪くないけど、硬すぎる物って折れやすいともいうものね。力を抜くのも大切なこと、ね?」

子供に言い聞かせるような、そんな穏やかでゆっくりな声色でそう言って。
暫くクリオネを抱きしめると、ばしゃあ、と湯船から出る音がする。
振り返ってみれば、仁王立ちで尻尾をぷるぷるして水切りしている幼い外見の狐が居ただけだった。
425 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 22:10:26.64 ID:ZkZLANfjo
>>424
「私別に葛葉に好かれるような事した覚えないけど……」

色々と世話を焼いてはくれるが、会ったのはこれで2回目。
普通、あって2回目の得体のしれない女にここまでするだろうか……

そんなことを思いつつも、その好意を受け取ってしまう。
葛葉は自然にクリオネの中へ入ってきたのだった。

そんな事を言っていると、ふと感じられる背中のぬくもり。
これは先ほどまでの葛葉ではなく、大人の葛葉だろうか。
そのいつもと違う口調でクリオネを諭すようなセリフ。

「………………うっさい」

顔を鼻の下まで沈めてブクブクと息を噴き出す。
湯船の中で体育座りで小さくなりながらするその行為は、母親に怒られた子供のようだ。

葛葉の水切りが終わるの見て、クリオネも湯船から出る。
そのまま葛葉と一緒に脱衣所へ行き、体をふき始めるだろう。
426 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 22:18:32.28 ID:X6YVwa/to
>>425
「放っとけないんじゃよ、クリオネみたいな子はの。
 それに、いじり甲斐が有るしのー! ぬっふはー!」

楽しげに笑いつつ、ぱたぱたと脱衣場へ行く葛葉。
量の多い髪をわっしわしとタオルで吹き、ドライヤーを使おうとするが。
思案した葛葉は、指先で軽く陣を描き、術を起動。一気に髪と尻尾の水分を程よい量まで脱水した。
同じくクリオネにも同様の術を使用し、髪を乾かすことだろう。

「よーっし、髪も梳いた所だしの。
 儂の服を貸したらぱっぱとご飯を食べに行くのじゃ!」

手早く自分とクリオネの髪を梳いて、自室へとタオルを巻いて歩き出す葛葉。
服がないため、クリオネも同じくするしかないだろう。
幸い、何かの術を使っているのか廊下まできっちり暖かいため、風を引くようなことは無い。
葛葉の自室にたどり着けば、ぱっぱとガーゼと包帯と軟膏で治療をされた後に――。

「うーむ、赤毛でくぅる系の顔立ちじゃしの。
 ……よーっし、このゴスロリじゃ!」

そう言って、葛葉はクリオネにフリルだらけの黒を基調とした服を着せようとする。
この家に来た時点で、魔王軍の部下だろうが、円環の楽園の構成員だろうが、葛葉の着せ替え人形にされるのは必然。
何方にしろ、服がない。出された服を着るしか無い状況だが……。
兎角、なにかしらの服を着れば、葛葉もいつの間にかホットパンツに黒タイツ。上はもこもこのコートといった格好になっている。
髪と瞳も、気がつけば紫色の人間擬態モードとなっており、完璧変装モードだった。
427 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 22:27:59.20 ID:ZkZLANfjo
>>426
「熱っ……くない……」

葛葉の術によりすさまじい速度で体と髪が乾いていく。
この便利な技は自分も欲しいなと思いつつ……

葛葉に続いてクリオネも歩き出す。
そうして葛葉の部屋まで付いていくが……
唯一葛葉と違うのは、タオルを巻いていない事だろうか。
体が乾いた時点でクリオネの中ではタオルの役目は終了し、体を隠すと言う選択肢は出てこなかったらしい。

「……これしかない訳?」

渡された服は見るからにまさしくと言った感じのゴスロリ服。
着る服に関して特にこだわりは無いが、単純に似合うのかどうかが不思議だった。
しかし、流石に変えてくれとも言えないし、そもそも言って変えてくれるような性格はしていないだろう。

渡されたゴスロリ服を身にまとい、近くにある鏡を見る。
すると、少しだけ口元が緩む。実はこういう服が好きなようだ。

「って葛葉はゴスロリじゃないってどういうことよ」

この服は他人に着せる為だけに持っていたとでも言うのだろうか。
428 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/11(月) 22:44:07.66 ID:yXvVo3rRo
近々、子どもの行方不明事件が増加傾向……らしい
年端もいかない子どもを見つけては、
物で釣り、どこかで連れ去っていく

警察等は警戒を呼び掛けるも、効果は薄く
捜査も難航を極めていた
しかし、ある時期から子どもを狙った事件が減少しはじめた……らしい

そして、とある街の、人気の少ない場所でもまた

『なあ、お嬢ちゃん』

「……黒いサングラスの……、多分おじさん?
なあに?」

『おじちゃんについてきてくれたら、
なんでも好きなものを買ってあげよう』

「え? なんでも!?」

『ああ、なんでも
さあさあ、車に乗り込んで』

今まさに、無邪気そうな年端もいかない、
肩からはポーチをぶら下げた、また大きな箱を背負う
そんな小さな金髪の女の子が
サングラスのおじさんに連れ去られそうになっているのであった
429 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 22:46:25.23 ID:X6YVwa/to
>>427
「儂も着るから有るんじゃがの。
 他人に着せるほうが楽しいじゃろ? 儂も切るとなるとその服は面倒じゃからな。
 というわけで、今日のゴスロリはクリオネだけじゃ。ぺあるっくの方が好かったかの?」

んくくー、と意地悪そうに笑って。
葛葉は似合う似合う、と本当に楽しそうに褒めていた。
そうして、暫くクリオネをからかってから、外にご飯を食べに行こうと提案。

「近くにいい店があるんじゃよー。
 儂が誘致したんじゃがの、みおつくしって店が有っての。
 なんでも色々出してくれるし全部美味しいし安いし、女の子は可愛いしで完璧なのじゃ!」

と、べた褒めしつつ、外に出て行く葛葉。
数分も歩かない内に、みおつくしの前にたどり着いていたことだろう。
そして、戸を開けて、のれんをくぐって。

「開いとるかのー?」

と問いかけるのだった。

/*この次レス、おおさかさんお願い出来ますでしょうか?*/
430 :大坂澪2013/02/11(月) 23:03:16.95 ID:Jz4nuRyY0
>>429
「はいはい、開いてますよー!」

中から、元気な声が聞こえてくる。いつもの澪の声だ。
来客を招き入れるために店先に出ると…
声で予想はついていたが、そこには以前からお世話になっている人(?)の姿が。シチューの作り方を教えてあげたクリオネも同時に見える。

「あらー、二人ともどうしたん!?お知り合いやったの?
取りあえず中に入って入ってー!」

お互い知った仲の二人を見て、中に招き入れる。

「なんや、ビックリしたわぁー…こんな二人も来るとは思わんかったわ…」

澪は、驚きと共に
嬉しくもあった。親しい人が店に来てくれるのを、実は楽しみに待ってたりしていた。
こうなれば、腕を振るわねば…澪はがぜんやる気になっている。
431 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 23:12:13.43 ID:ZkZLANfjo
>>429>>430
葛葉に連れてきた貰った店は自分も知っている店だった。
なにせ、先日ここの経営者に料理を教わっていたのだから。

「澪、今度は客として食べに来たよ」

片手をあげて澪に挨拶をする。
以前、店を出る時に今度は客としても来ると言ったばかりだ。

そんなクリオネの姿はなんとゴスロリ姿。
ちょっと恥ずかしそうにする時もあるが、意外とこの姿は嫌いじゃないようで、服の裾を弄って見たりしてまんざらでもないようだ。

「正月の旅館で知り合ったの。とんでもないセクハラ狐だったけどね」

横目でそのセクハラ狐を見る。
ちょっとジト目だ。

「今日はなんか色々あってお腹すいちゃったよ……」

とりあえず、案内されれば大人しくその席に着くだろう。
しかし、まだ注文も決まっていないようだ。
そもそも何があるのかも知らない様子。
432 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 23:15:44.84 ID:X6YVwa/to
>>430>>431
「んふふー、今日はクリオネを泊める予定だったからの。
 折角だから良いお店を――と思ったんじゃが、知り合いだったかの?
 ま、どっちにしろ澪のご飯は美味しいからの! 今日もおいしいのを頼むのじゃ!」

腰に手を当てて、無い胸を張る葛葉。
いつも通り、妙に偉そうだが、威厳が無いためどちらかと言うとコミカルだ。
ぱたぱたと中に入りつつ、いつも通り落ち着くの、と独りごちる。

「なんじゃセクハラ狐とはー!
 クリオネだって、風呂場で儂の尻尾いじってくんずほぐれつだったのにの!」

プンスカしつつも、お座敷に腰を降ろして落ち着いた様子。
というか、今の発言の中でいくつか既に突っ込みどころが存在しているだろう。
クリオネのお腹すいた発言で、ご飯を食べに来たことを思い出して。

「そうだの。
 クリオネがちょっと怪我してての、儂もちょっとムラムラしてるもんで。
 なんというか、元気の出そうな物が食べたいのじゃ! あと儂にはお稲荷さんも追加でお願いします」

と、澪に注文を出す葛葉であった。
いつも通りアバウトな注文だが、この注文の仕方は、澪が作るならば失敗はないと信じているからであった。
433 :大坂澪2013/02/11(月) 23:33:42.43 ID:Jz4nuRyY0
>>431-432
「へへへ、二人とも食べに来てくれたんやなぁー…へへへ…」

何とも嬉しそうな表情の澪。こうして二人に料理を食べさせてあげられるのが、幸せだ。

「葛葉さん、セクハラ狐や言われてまっせ
…私は否定出来へん。」

セクハラ狐。うん、旅館の時やその他諸々…弁護の余地は多分無い。…が。

「…ん?クリオネもくんずほぐれつ…?」

あれれ〜?おかしいぞ〜?(某名探偵風)
セクハラはそこのちっちゃい狐だけじゃなかったのか…

「…私は大丈夫やろか…」

…ちょっと不安になりつつ、丁度腹もすいたということで注文をとる。
何か元気の出る料理という注文だ。

「さてと、何か元気になるもんやねぇ
…よっしゃ、ちょっと待っててな!」

そう言い残して厨房へ向かう。
作る料理は秘密らしい。すぐに調理をおえて出てくるだろうが…

…厨房内
「クリオネちゃん、似合うとったなぁ…あの服のチョイスは、まあ察しがつくけど…」

何か可愛い服を着たクリオネ。その姿が妙に気に入っていたり。
434 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/11(月) 23:40:38.09 ID:ZkZLANfjo
>>433>>432
「わ、私は何もしてないわよ……葛葉がしてきたから仕方なくって言うか……」

結局はしているのである。

葛葉が勝手に注文をしてしまったが、クリオネは何も知らないので帰って助かった。
と言うか、あのアバウトな注文で通じるのだろうか……
澪はそれで厨房へ下がってしまったが。

「……き、聞こえてるよ……」

小さな声で澪の感想が聞こえている事を漏らす。
しかし悪い気はしない。たまにはこういう格好もありなのかもしれない。
少し嬉しそうな顔で服についているフリルを弄って見たり……

「この店は葛葉がここに呼んだんだっけ?」

確かさっき自分が誘致したとか言っていたような……
435 :葛葉[saga]:2013/02/11(月) 23:44:27.98 ID:X6YVwa/to
>>433>>434
「セクハラじゃなくてすきんしっぷなのじゃよ!
 コレがむさ苦しいおっさんならたしかに問題じゃろうがな……、儂は見た目は只の可愛い女の子☆
 じゃから何の問題もないのじゃ! 女の子同士じゃからな!」

色々と詭弁を口にしてみせる葛葉。
だがしかし、想像してみるといい。おっさんと可愛い女の子がくんずほぐれつと、可愛い女の子同士がくんずほぐれつしている図だ。
間違いなく後者の方が微笑ましいし、前者に比べて犯罪臭がしない。要するに問題なしだ。

「うむぅ! 美味しいごはんを待ってるのじゃー!
 あ、勝手にお冷注いどくからの!」

そう言って、お冷を注いだコップをお座敷のテーブルに置き。
ブーツをよいしょ、と脱いでお座敷に上がるのだった。
そして、お座敷に座りつつ、まんざらでもなさそうなクリオネの様子をみてにたりにたり。
可愛い女の子が可愛い服を着て、嬉しそうにしている図を見て喜ばない奴が居るだろうか?いや居ない(反語)

「そうそう。
 散歩してて道に迷っての。そしたら澪と出会ってご飯を食べさせてもらったのじゃ!
 んで美味しかったんじゃがの、客足が少ないと聞いてお礼にここまで引っ張ってきた、という訳じゃの。
 今じゃ商店街の看板娘その2になってくれて儂もホクホクじゃ! ちなみにその1は儂じゃよ?」

水を飲みつつ、軽口叩きつつ、経緯を説明していった。
いつも通り、強引かつ適当、しかしながら相手のことを思いながらの行動の結果だったようだ。
436 :大坂澪2013/02/12(火) 00:00:38.72 ID:Kage8z1X0
>>434-435
「し、仕方なく…ね。スキンシップね。…うん。」

二人の言い訳がいっぺんに飛んでくる。…こういうところは似たもの同士か。まあいいや。
うん、仕方ないよね。不可抗力だよね。女の子同士なら許されるもんね、多分。

厨房で料理中。妄そ…ゲフンゲフン可愛い想像が口に漏れていたらしい。忠告を受けた澪は、調理中のタコをぎゅっとしている。
だってしょうがないじゃない。あんな可愛いものを見せられて反応しない女の子なんていないもの。

「…あら、失敬。思わず口に出てしまいましたわね、オホホホホホ…」

焦りのあまり口調が変わってますよ大坂さん。

しばらくして、厨房から出てくる。手には二人だけのための料理が。

「はい、お待たせー!
クリオネちゃんには海鮮丼とカニの味噌汁や!
タコやイカにはタウリンが含まれていてな、滋養満点やで!
カニの味噌汁もええダシか出てるよ!
葛葉には…ジャン!
厚揚げの甘辛煮にお稲荷さん、豆腐と揚げの味噌汁や!」

それぞれの注文のツボを抑えた料理。勿論味は抜群だ。
ささ、どうぞと早速勧める。
437 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/12(火) 00:12:37.90 ID:TcSGcxXio
>>435>>436
「な、なんか随分と適当だね……」

そんな初めて会ったような状況で良く誘おう思ったものだ。
やはり葛葉はお人よしに分類されるだろう。まちがいなく……

そんな話をしていると、澪が料理を出してくれた。
何と早い調理だろうか。
出て来たものは海鮮丼と味噌汁……だが、クリオネにとってこの海鮮丼は非常に珍しい食べ物だった。

「魚って今まで1,2回しか食べたことないんだよね」

スラム街において日持ちしない生魚など論外。
そもそも存在しない食べ物なのだ。

澪が言うには体に良いらしいが、果たして味の方はどうだろうか……

「ん、……おいしい!」

海鮮丼なるものは初めて食べるが、この食べやすいさっぱりとした味は今のクリオネにはぴったりだった。
新鮮な魚介類の味が、ほくほく熱い白米と共に口に広がり、最高のハーモニーを奏でる。

そしてこの味噌汁。
海鮮丼だけでは少し重く、飽きが来てしまう所にこのアクセントとなる味噌汁がさらに食欲を増進させる。
ただの味噌汁ではなく、カニの出汁が存分に出た海鮮丼と相性抜群の逸品だ。

これにはクリオネも大満足で、言葉も忘れて食べ続ける。
438 :葛葉[saga]:2013/02/12(火) 00:17:34.60 ID:CvAAJvbOo
>>436>>437
「……むぅ……、今度揉む、揉みしだく……!」

静かな口調で不安を煽る言葉を垂れ流す葛葉が一匹。
わきゃわきゃと手を動かして、なんとも不穏な手つきだ、いやらしい。
そうしつつもワクワクと澪の料理を待っていて、厨房から出てくるのを確認した瞬間に、ぱぁ、と顔を輝かせた。
現金な物だ、先ほどの不穏さなどどこに言ったかというほどに上機嫌に、目の前の料理を見ていて。

「いっただきまーす!」

両手をあわせて、行儀よく――ちょっと元気だが――頂きます。
割り箸を割って、まず味噌汁に手を伸ばし、口元におわんを運び、啜る。
いいお出しの味と、味噌の香りがしてとても美味しい。おあげもふわふわで、豆腐は絹で葛葉の好みをコレでもかとくすぐってくる。
もうこれだけで十二分に幸せなのに、まだ二つも葛葉を幸せにする物がある。もう、完璧に骨抜きである。
男をモノにするなら胃を掴めばいいとはよく言うが、魔王を倒すのにも胃を掴めばいい。
多分澪と喧嘩して澪の料理が食べられなくなれば、葛葉は2秒で降伏するだろう。魔王軍呆気なし、だ。

「んー……っ、おいひぃ……」

幸せそうに量の頬に手を当てて、いやんいやんとする葛葉。
本当に美味しそうにご飯を食べる魔王である。なごみ系だ。
お稲荷さんに箸を伸ばし、半分に切って口元に運び、咀嚼。
じんわりとお揚げに染みたつゆの味が口の中に広がり、酢飯がほろりと口で広がる。
ああ、狐でよかった。心の底からそう思う。お揚げを食べ続けること数千年、真のお揚げ料理に出会い申した。
やっぱり美味しい、何百年か昔の己の伴侶が、足繁く祀られていた神社に油揚げを供えていたことを思い出す。
心も胃も満たされる味だった。
同じく美味しそうにしているクリオネを見て、葛葉は嬉しそうにして。

「んっふふー! 儂が作っても好かったんじゃがの、やっぱり澪のご飯が好かったのじゃ!
 お揚げお揚げで儂は大満足じゃぞ!」

澪に対して、称賛の声を出しつつ、次は厚揚げの甘辛煮。
箸を伸ばし、摘み、口に運び、咀嚼。じわり。甘辛の汁が口に広がる。
美味しい。多少味が濃いが、そこにお稲荷さんを食べるか味噌汁を口にふくむことでエンドレスループだ。
ウォオン、葛葉はまるで火力発電所だ! と言った体裁で、葛葉もクリオネも黙々と、しかし幸せそうにご飯を平らげていくことだろう。
439 :大坂澪2013/02/12(火) 00:28:22.08 ID:Kage8z1X0
>>437-438
「へぇ…生魚は珍しいか?食べてみ食べてみ!美味しいから!」

さあさお食べと自信を持って勧める。果たして反応は…
上々だ!喜んでくれたようだ。
幸せそうに食べる姿は、(服は関係なく)大坂も幸せにした。
…こちらも。葛葉が喜んで食べてくれている。若干魔王型無しな気もするが。

「…えへへ…うんうん、良かった良かった!
そないに喜んで食べてくれるのが、私の一番の幸せや!」

そう語る彼女の顔は、食べたわけでもないのに満たされたような笑顔だった。
この瞬間。この瞬間のために彼女は真心を込めて料理を作る。
来客が幸せになって帰ってくれるのが、一番の目標であり、彼女自身の生き甲斐だ。
440 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/12(火) 00:34:39.99 ID:TcSGcxXio
>>439>>438
「ん……ありがとう、おいしかったよ」

食べ終えた後にごちそうさまと言う習慣は無いが、その味に礼を言う。
傷だらけの体には最高の料理で、このお礼の言葉は自然と口から出た。

箸をテーブルに置いて、水を一杯。
この店に来て良かったと心から思える。

多分、今のクリオネはかなり自然な感じで笑みを浮かべているだろう。
普段の作った笑みではなく、心からの。

「流石澪だね、私に料理を教えただけのことはある」

なぜか偉そうではある。

「葛葉はやっぱりお稲荷さんが好きなんだ……狐に関する本に書いてあった通りだね」

とは言えその読んだ本は作り話の本だったが、本当に狐はお稲荷さんが好きなようだ。
現に目の前にいる狐は幸せそうに頬張っている。
441 :葛葉[saga]:2013/02/12(火) 00:37:57.29 ID:CvAAJvbOo
>>439
十分ほど立った後に、葛葉は静かに箸をお盆において。
静かに手をあわせて頭を下げて、口を開く。

「ごちそーさまでしたのじゃ!
 いやはや、やっぱり澪のご飯は最高だの!
 油揚げの時点で最強なのに、澪の調理が加わるともうなんといえばいいか分かんなくなるのじゃ!」

狐の属性は金で、金の属性の食べ物は揚げ物が多い。
例えば、ねずみの天ぷらだったりなのだが、この時代で手っ取り早く金の要素を取り入れるにはお揚げがちょうどいい。
そして、それを美味しくたくさん食べたとなれば、その充足感足るや想像を絶するものである。
なにせ、今の葛葉の肌ツヤは、もち肌のつやつやで、髪の調子も良くなった上に、ちょっと周囲に漏れた妖気で少しキラキラしているレベルだ。
毎日ここでご飯を食べていれば近いうちに魔王としての力も完全復活できそうな勢いだ。

「狐は揚げ物が好きでの。
 今見たとおり、お揚げとか天ぷらを食べると、つやっつやで元気になるのじゃ!」

これは、陰陽五行説的にオカルトを信じるならばガチの話だ。
だからと言って画面の向こうの皆さんは、お揚げや天ぷらをたくさん食べないように。
妖狐だからアンチエイジングされるが、他の人は揚げ物食べすぎは太るだけだ。

「んはー、幸せじゃのー。
 美味しいごはんを可愛い女の子に作ってもらって、目の前には可愛い服来た可愛い子が居るとは。
 儂、酒池肉林じゃな! ここ文字通りの桃源郷じゃないかの!?」

はっ、と顔を上げて、ここが天国だったか! と今更なことを発見。
うへへー、と緩みきっただらしない顔を二人に晒すのだった。
442 :大坂澪2013/02/12(火) 00:50:58.22 ID:Kage8z1X0
>>440-441
二人共食べ終わったようだ。
お互いに各々の料理を堪能したようで、こちらも満足げだ。

「美味しかったか!そら良かった!
どや、なかなかのモンやろ?ああいう新鮮な料理は美味しい上に体にいいもんな!」

偉そうなクリオネには負けじとドヤ顔。
少なくとも料理には経験に裏打ちされた絶対的な自信がある。

対する葛葉は…

「おーい…だらしないぞー
…ま、それだけ私の料理に満足してくれたってことやな!」

結局大坂もへへへーとにやけている。二人の親しい客を見ながらニヤニヤが止まらない。
店内は世知辛い社会も吹き飛ばしてしまうような幸せな空気で包まれていた。

「さ、ほな食器を洗わなあかんなぁ…へへへ」
食器を洗いながらニヤニヤ。いいかげんにしなさい。

「二人ならいつでも大歓迎やでー!また来てな!」


443 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/12(火) 00:58:44.91 ID:TcSGcxXio
>>441>>442
「別に葛葉の為にここに居る訳じゃないんだけど……」

何が桃源郷だ。
葛葉の接待をした覚えは全くない。
クリオネはジト目で葛葉を見る。

料理も食べ終わり、葛葉も同様に食べ終わったようで、クリオネは席を立つ。

「澪、おいしかったよ。……また来るね」

調理場の方を見ながら最後に一言。
そうした後に葛葉と共に店を出ていくだろう。

店を出た所で思い出す。
そういえば葛葉の家に泊まるんだったかと……

この冬の空でこのゴスロリ服は少々寒い。
室内なら気にならないが、意外と風を通すのだ。

「この商店街は……温かいところだね」

体は確かに寒い。
だが、不思議と心は寒くなかった。
444 :葛葉[saga]:2013/02/12(火) 01:04:52.65 ID:CvAAJvbOo
>>442
「ん! 明日は仕事じゃからの、今日は早めに帰るのじゃよ。
 また今度来るから、お釣りは返さなくていいのじゃー!
 今度はじっくり酒でも飲みに来るからのー!」

そう言って、葛葉は万札をカウンターにおいて、店を後にしていく。
店の戸を開け、ぱたぱたと手を振って、店を出て行った。
そして、寒そうにしているクリオネの手を小さな手で握って、クリオネの言葉を聞いて。

「家族が欲しかったからの、皆家族みたいな暖かい所を作っちゃったんじゃよ。
 ――クリオネがそう思ってくれたなら、儂も嬉しいのじゃ。
 いつでも、何か有ったらここに来るといい。……儂も、澪も、皆きっと助けてくれるからの。
 さーって、今日は一緒に寝るのじゃぞ! 調子が悪くなるといかんし、儂もセクハ――ゲフンゲフン
 帰るのじゃー!」

クリオネの手を引いて、笑顔の狐は楽しく駆け出す。
過去に重みを背負っている者と、今この時点の重みを背負っているもの。
背負っているものは違えど、どこか分かり合えるものはあるかもしれない。
願うべくは、この商店街がクリオネに取っての安息の地にならんことを。
そう心の底で思いつつ、どういうセクハラをしようかワクワクしつつ、家路に付いて行くのであった。

/*っと、こんな感じで乙ですかねー!
 くりおねさんもおおさかさんも乙でしたー!*/
445 :大坂澪2013/02/12(火) 01:17:05.43 ID:Kage8z1X0
>>443-444

「うんうん、またいつでも来てや!今度はまた、別の料理でも教えたろ!
葛葉も…せや、みおつくし直伝お稲荷さんを教えたる!」

色々教える気満々で、店を後にする友に手を振る。
二つの幸せを噛み締めながら、大坂は後片付けを始める。
お金は万札が一枚。こんなものは別にいらなかったが、突き返すのもアレだからもらっておこう。
二人は一緒に帰って行った。クリオネはきっと、小さいけど大きな安心感と、ちょっとばかりのセクハラを感じながら今晩を過ごすのだろう。
そこに、少しでもいいから自分の料理の満足感も割り込めていたらなぁ、と思っている。
446 :宍戸ジョーウェイン(無駄にダンディなおっさん)非常識レベルサイコキノ2013/02/12(火) 17:44:10.26 ID:43LcolJjo
この世には居るものだ。
異能力者を凌駕する戦士と魔術師が。

そして、この世の中には居るものだ。
世界の勢力図を書き換えてしまう超能力者が。
彼らは常に衛生軌道に乗った人工衛星に見張られている。
「だからさ…俺を困らせないでくれよボーイズ。」

赤毛に碧眼のアメリカ人がチンピラに話しかける。
「一緒にショーツを編みながら落ち着こうぜ。」
挑発の言葉としては異例だが、十分にふざけている内容だ。
しかしこの男は本気で言っている。
女性用下着がこの男の頭の中の全てだ。

事の発端はしつこいナンパから一人の女性を守ること。
しかし、この男に守られている女性もそろそろ引いて来た。

「ああ。パンティストッキングを泣かせちゃいけないぜ。」
これは、このやり取りはなんだろう。
447 :ジャン・ジャック・ダニエル2013/02/12(火) 18:31:33.93 ID:srbZw7Xpo
久々に街に出たら、チンピラに絡まれている友人をみつけた。
たまたま、である。
前に顔合わせしたのは何年まえだったか。
いまどきマニアしか着ないようなカウボーイスタイルの衣服。腰のSAA。

懐かしいものだな、などと苦笑して、ダニエルは男へ近づいた。
みれば、友人は女性をチンピラからかばっている様子。
会話の内容は激しく噛み合っていないが、それがあの男なのだ。

「やあジョー。どうした?」

気さくに手を上げて近づきながら、ジャン・ジャック・ダニエルはチンピラをみやる。
どこにでもいるような無個性なだらしない衣服。
あんなふくならスーツのがましだと思いながら、ダニエルはジョーの近くへ立つ
448 :宍戸ジョーウェイン(無駄にダンディなおっさん)非常識レベルサイコキノ2013/02/12(火) 18:49:53.39 ID:43LcolJjo
>>447
『なにこれ?』
ナンパ師のそれはまともな反応だ。
『いやいや、本当になんだこれ?』

英国の友人をみかけるとジョーは誰にも当たらない拳銃のグリップから手を離す。
「どうやら勝利の女神が俺にお気に入を寄越してくれたらしいぜ…。
 運が良かったな。俺が抜いたら12発だ。それ以上は生き残れないんだぜ?」

『いや、意味わからないんですけれど。』
『ていうか街中で抜くなよおっさん。』

そのような突っ込みを受けるとジョーはヒュ〜♪と口笛を吹く。
「腰に物をぶら下げている奴に因縁付けたらそうなるだろ?カウボーイ?」

『カウボーイじゃねえし、おっさんに因縁つけた覚えないし。普通にナンパしてただけだけど?』
449 :ジャン・ジャック・ダニエル2013/02/12(火) 19:13:43.83 ID:srbZw7Xpo
>>448
ふむ、と思案するように顎に手をやる。
ダニエルは若い男たちとジョーのやり取りをみながら、ある程度納得した様子で肩を竦める。

ジョーウェインは悪い男ではない。
決して悪人などではなく、善良な人物であるとダニエルはよく理解している。
が、悪人ではないが紛れもない奇人変人であるのは確かである。

常に心はカウボーイ。
西武開拓のウェスタンスピリッツと、「下着」への熱き思いを忘れぬ変人。
まずもって常人では会話が成り立たぬ。
現に、ジョーを前にして若者たちはややたじろいだ様子だった。

「ジョー、そこまでにしておいてやれよ」

ここはなんとか収めねばなるまいと、ダニエルはジョーと若者の間に割って入り、

「若いの、迷惑料を払うからどこかで食事でも取りなさい」

日本の紙幣を数枚握らせると、早くどこかへいけ、と視線で語りかける
450 :宍戸ジョーウェイン(無駄にダンディなおっさん)非常識レベルサイコキノ2013/02/12(火) 19:24:30.74 ID:43LcolJjo
>>449
『お、おっさん。俺ら遊び相手探してるだけでさ…こんなに貰えないぜ。』
ナンパ中の男がそう言うと、女は答える。
『あの、その遊び相手探しが迷惑なんです。』

「ふっ…女にふられるのも若い時分のいい思い出さ。
 なあ、バッツンゴム、もっさりブリーフボウイ?」

『何言ってんだ!おれのパンツのゴムには余裕があるんだよ!』
『あの帰っていいですか?』
このわけの分からないやり取りに呆れて女は去って行く。
せっかくだからと迷惑がられていたナンパ師は、
絡まれていた女性を『駅までおくって行く』と言って去っていった。

「そんな形で始まる恋もあるのかねぇ。」
451 :ジャン・ジャック・ダニエル2013/02/12(火) 19:32:52.33 ID:srbZw7Xpo
>>450
「なかなか謙虚な若者だな」

感心したようになぜか頷いて、ダニエルは立ち去る若者たちを見送る。
あの女性がまた若者たちにナンパされるかどうかはさすがにダニエルの関与するところではない。

「あんな始まり方をしたらどこかで物悲しくなるのではないかな」

知らんがな、と肩を竦めると、ダニエルは英国の安タバコをポケットから取り出した。
ジッポで火を付け、いつも通り意味不明を振りまくジョーへと向き直る。

「元気にしていたか?」

久々の友人は前といささかも変わりがないように見える。
ダニエルは周囲を見回し、ここではなんだから喫茶店にでも入らないかと提案する。
452 :宍戸ジョーウェイン(無駄にダンディなおっさん)非常識レベルサイコキノ2013/02/12(火) 19:42:57.93 ID:43LcolJjo
>>451
「時に安い葉の方が質が良かったりするな。
 マニトウとかコルト、ドミンゴ、ドラム。」
 色々とすっ飛ばしてタバコの話に食いつく。

「さてダニーは相変わらず戦争屋をやっているのか?」
 喫茶店には行くという事で話を続けながら旧友に尋ねる。
453 :ジャン・ジャック・ダニエル2013/02/12(火) 19:50:56.89 ID:srbZw7Xpo
>>452
「上物の葉巻よりコインで安タバコだ」

ジョーとの会話の秘訣は話題にこだわらない事。
急な話の展開を気にした様子もなく、煙草を指に挟んで燃え殻を携帯灰皿へ落とす。

「ラッキーストライクがこのあたりではなかなか見かけなくて困る」

そういってダニエルが煙草の箱を見せる。
ロゴはどこか名も知れぬマイナーなもので、文字からして中東圏のものだろうか。
一昔前にあったような古めかしいデザインの箱で、市場で見かける事はまずないだろう。

「私の本職は戦争屋だからな。先月まで紛争に紛れ込んでいた」

煙草はそこでの戦利品だ、とつけたして、行きつけの喫茶店へ足を向ける。
454 :宍戸ジョーウェイン(無駄にダンディなおっさん)非常識レベルサイコキノ2013/02/12(火) 19:55:36.07 ID:43LcolJjo
>>453
「戦場なんて面白いもんじゃないぜ。
 英国紳士の嗜みってもんかね。」
喫茶店での会話はやや弾み、しばらくの談笑を楽しむ。

// すみませんが、抜けます。
// お相手いただいたのにすみません。
455 :ジャン・ジャック・ダニエル2013/02/12(火) 20:08:39.75 ID:srbZw7Xpo
>>454
「そんな嗜み存在せんよ」

苦笑してコーヒーを頼んだ

/いえいえ、おつかれさまです
456 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/12(火) 21:26:45.48 ID:TzVQ2ZEwo
華やかな街並み、見ていて飽きない光景
数日後に控えた「バレンタインデー」とやらに街は色付いていた
赤や桃色で飾られた棚に幾つものチョコレートが並んでいる
同時に、それを指差し微笑ましい雰囲気を醸し出す男女の2人組も多数見える
一方で殺気めいた視線を向けている1人の男性も多数

なんともアンバランスな現場に1人の少年がそこに居た
無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

「.........」

専門店でもないのにここまで大量のチョコレートがあるのか
と、少年がガラス越しに店内を眺める
どうも聞くところによると他者との親睦を深め合う日というものらしい
最も、そんなに深い関係の人物が彼にいるだろうか
きっと片手で...両手で数えれる
故にわりと周りの雰囲気に溶け込めてない彼はそんなチョコレートを見ながら

「....美味しそうだな...」

ヨダレを流しているエフェクトがきっと似合うような
そんなちょっと場違いな台詞を言いつつ少年は店内のチョコレートを眺めている
457 :シフォン&キツネ[saga]:2013/02/12(火) 21:58:14.89 ID:5kYh//Mdo
>>456
華やかさとチョコレートのような甘さに溢れる、そんな光景に見えた
バレンタインデーというのは記憶にある
実際、それで苦い経験もしたものだ
身内のせいで、なのだが

「この甘い空気はどうにも……」
質素な服装でありながらも、腰にはホルダー
そして童顔なそんな少年が、男たちに殺気を向けられることはないだろう
なぜならば、隣にいるのは黄色い手入れされた毛並みを持つ、キツネなのだから
キツネと二人っきり、溶け込めないどころか浮いているともいえるのだろうか

「……いくら空腹でも、店襲うのはやめておいたら?」
時期的にチョコレートに興味を寄せるのは別におかしいことではない
そして店に張り付いてる少年を見つけて、妙な勘違いをして今に至る

458 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/12(火) 22:19:32.54 ID:TzVQ2ZEwo
>>457
“店を襲うのはやめろ”
彼は商品の方を見ている時にそんな事を言われて少し驚いた
どのくらいかと言うと、頭をガラスにぶつけ少し悶えるくらい
見てみれば声の主は初対面の人物だ
今までキツネを連れた人物に会った記憶はない

「生まれてこの方18年...今まで初対面の人に店を襲うなと言われたよ...
あと、誰も襲うとかは言ってない...」

いくら周りの男性陣の共通点、女性を連れていないという
そんな項目を自分が満たしていたとしてもあの中に加わるのは何故か嫌だ
そんな事を初対面の人物に言われて少ししょぼんとして少年の方を向く
キツネを引き連れている彼は殺気集団には分類されないのか
そんな素朴かつ意味のない疑問を浮かべながら

「...何でも親睦を深め合う日というもの近付いてるらしいんだが
君はその日について何か知ってるのか?俺はこういう事に疎くてな...」

日常からかけ離れた、常軌を逸した生活を送ってきた
ある人物のお陰で今このようにこういった日常に目を向けるようになったのだ
という訳で「バレンタインデー」なるものに興味を持ってるらしく
生まれてこの方18年のくせにバレンタインも知らぬ彼はガラス越しの商品に目を輝かせつつ
少年に問いかけたのだった
459 :シフォン&キツネ[saga]:2013/02/12(火) 22:32:52.89 ID:5kYh//Mdo
>>458
「ん、そういう風に見えただけって話
あの血走ったっていうのかな、ともかくそんな目だったから」

そういえば、彼はあの中に参加しないのだろうか
そう疑問に思えたのがつい先ほどのこと

嫉妬に縛られるのは嫌であった
自分に徳をもたらさない行動をとって、なにがもたらされるだろうか

そしてバレンタインについて問われて

「……実験台にされる日だよ」
『美味しいチョコレートを作る日!』
マイナスイメージを伝える少年
甲高い声が、少年の声に重なるようにして聞こえた気がする
隣にいるのはキツネ
460 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/12(火) 23:05:22.33 ID:TzVQ2ZEwo
>>459
「...俺の知ってる狐は喋らないんだが」

こんな世の中だ
目にする新しい物に気を取られてたらキリがない
自分だっていろんなモノを見てきた
数々の戦場を走り抜け、いろいろな生と死を見てきた
だが、喋るキツネは初めてだ
見たことというか、存在を知らなかった
思わず一歩、少年とキツネに距離をとる

「実験台か...そんな殺伐としたイベントなのか...?」

この「バレンタインデー」は危険なイベントなのだと驚く様子d
周りの微笑ましい男女の雰囲気がそうには見えないからだ
まだキツネの意見が近そうな気がする

「...男性が受け取る側...でいいのか?」

少年が指差すのは店内の客寄せのイラスト
まさにバレンタインの雰囲気のイラストだ
女性が男性に渡しているものだ
やはり、このイラストからもそんな実験台という不穏なものは感じない
少年はそういう所を疑問に思うのだろう
461 :シフォン&キツネ[saga]:2013/02/12(火) 23:20:31.70 ID:5kYh//Mdo
>>460
『あたしが特別なの! 普通の低能なキツネと一緒にしないでよ!』
子どもっぽい口調で反論する、キツネ
それは人と同じような、自然な話し方

「僕にとっては」

それなりに旅を続けてきて、バレンタインも何度か経験した
しかし、いい思い出なんて一つもない
せめて、今年ぐらいはいい思い出を作りたいと、しみじみ思うのだ

『あんな奴のいうことなんて気にしないでいいよ!
それより、これ食べてみてよ』
キツネを飼っているのかもしれない少年のポケットを勝手に漁り、
包みに覆われたチョコレートをその小さな手に持ち、
少年に手渡そうと足元まで歩いてくる
きつね大きさを見てみれば、子ぎつねぐらいの大きさだ

……子ぎつねの手作りなのだろうか?

「そう、僕らは受け取る側
元々はチョコレートを売るための企画だったって話を聞いたことがあった気もするけど、
今はいろんな黒い話を聞くようになった」
指を指されて、そう答える
旅を続けていると、様々な恐ろしい話を聞くものだ
それだけではないのであるが
462 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/12(火) 23:34:55.10 ID:TzVQ2ZEwo
>>461
「あ、あぁ...ありがとう...」

男性が受け取る側ならこのキツネはメスなのだろうか
人生初のバレンタインのチョコをキツネからいただくという
なんともレア?な体験をしていたり

「黒い噂か...こんな街の人間が喜べ...てないかもしれないが
こういう明るいイベントも糸が引いてるのか...」

少年も素人とはいえプロの元で5年間鍛えられた俗に言う殺し屋だ
こういういい気のしない話には敏感だ
今はまだしも、時間があればまた調べよう

手の中でキツネから受け取ったチョコを転がして考えてるとふと思う
これのチョコはこの世にも珍しい人の言葉を話すキツネが作ったのか
...流石に無理がある
お菓子作りというか、甘いものには一家言ある少年にはにわかに信じれなかった

「...これは君が作ったのか...?
失礼かもしれないが...その前足で....?」

ある意味差別みたいに聞こえるかもしれないのであまり堂々と言えないが
とても信じれない、板チョコを細かく切る包丁を持つ事もできない
純粋な疑問だった
463 :シフォン&キツネ[saga]:2013/02/12(火) 23:47:13.12 ID:5kYh//Mdo
>>462
話し方やチョコを手渡したところを見ると、恐らくメスなのだろう
渡したのはあくまでもキツネであるのだが

「嫉妬みたいな、負の感情を生み出しやすいのだろうね」
男女の関係を利用するようなこのイベント
ある意味では爆弾ともなりえるのかもしれない、
と旅の中で少年は一人考えていた

いくら手のように前足を使うことができたとしても、
所詮足は足、その疑問ももっともであるが

『うん、人に化けられるんだ、あたし
別に人だけじゃないけど』
人に化ければ、包丁も持てる

『ねえねえ、それより早く食べてみてよ』
「やめておいたほうがいいと思うけど」
期待を込めた口調と、つぶらな瞳で見つめている、キツネ
そしてどこか顔を顰めている少年
464 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/13(水) 00:00:55.17 ID:CWaIbEnio
>>463
「負の感情...ねぇ」

ふと、自分の今までの人生を思い出しつつ
そういった黒いモノが決して自分とは関係のない物では無いと
むしろ、自身そのものだ
人の形をした負、それが自分自身なのだと


「キツネだから化けれて人になれるか...
何というか...この世界は変わった物が多いな、本当」

もはや驚かない
こんな世の中で生きてくれば、奇妙奇天烈な出来事に出くわす
むしろ出くわさない人がいるのだろうか
自分の想像の域を超える事象も多々あるだろう
この調子じゃ全知全能の神様が降臨しても世間はわりと普通な気がする

キツネのつぶらな瞳
こういう物には本当に弱い
自身の甘い物大好きのお陰で是非とも食べてあげたいが
飼い主?の少年の視線
それとごく普通の常識、知らない人からモノを貰わない
だが、そこで折れそうになるのがきっと少年のいいところだ

「君の意見を聞こう...このチョコは何があると思う」

既に何か混入されてる前提で話してる
効能不明の薬物か、それとも死に至る劇薬か
失礼な気もしたが、一応聞かないといけないと思う

逆にいえば少年が何も混入してないというのに清き一票を投じれば
きっと食べてくれるかもしれない
465 :シフォン&キツネ[saga]:2013/02/13(水) 00:13:01.87 ID:VOSPBwNio
>>464
「ほんの些細な、人と人との感情の縺れからくるのだけど、
意外と馬鹿にできない、と思うよ」

言いながらも、この世界の黒い部分もまた知るが故に、
不意に思い返してみる
直接的な場面に出くわした第三者として、
そんな現実味に欠ける経験しかなかった

「人は皆、負だと僕は思うよ
少なくとも、心の綺麗な人にあったことはないから」
そんな立場であっても、振り返ることはできる
それが経験からの結論であった

『すごいでしょ』
自慢げな口調であるが、キツネである

「死ぬことはないk」
『ほら、大丈夫なんだって! 心配性だね』
飼い主のお墨付き、なのだろうか?
キツネの声がなにかを遮ったようにも聞こえたかもしれないが
466 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/13(水) 00:27:35.96 ID:CWaIbEnio
>>465
「その意見には賛成だ、人は負で構成されている...
だが、少し違うな...」

その通りだ、人は負でできている
どんな高尚な人物でも、心の“闇”を持っている
人には見せずとも隠し続ける闇が
だが、彼は最後を否定する

「心の綺麗な人はいる、どんなに泥だらけになろうとも最後まで負と戦った人
俺みたいな泥だらけな存在をヒトにしてくれた人」
「...そんな人たちを、俺は見た」

瞼の裏に浮かぶ誰かの顔
今は彼女らを語る時ではない
ただ、その人達のお陰で自分があり続けられるのだから
だから、彼はまだ絶望していない
世界にはまだ───光で満ちている

「...わかった、わかったから...食べればいいんだろ...」

密かに能力を起動させる
万が一、仮にも体に害を与える薬物の場合
血中に溶け込まないように難しいが血管中の血液を使役させる
完全な除去は無理でも、6割は防げれる
彼の能力は血液の使役だ
本当はしたくないのだが、念には念をいれて

「...いただきます」

ヒョイと、口の中にキツネのチョコを投げ込んだ
467 :シフォン&キツネ[saga]:2013/02/13(水) 00:42:03.15 ID:VOSPBwNio
>>466
「よっぽど、己を強く持った、純粋な人なんだね
子どもでない、そんな人にあった君がちょっとうらやましいよ」
現実を知ると、人は汚れていく、闇が芽生えていく
そんな闇に飲み込まれる人々を見ているうちに、
どこかで諦めていたのかもしれない

「でも、よくよく考えると君も負と戦ってるなら、
僕の覚えている中で初めての、負に飲み込まれていない人なのか」
自分も飲み込まれたつもりはない
いや、飲み込まれないために旅をするのだ

そして、そんな旅のさなかで、運命になぞりながらも、
負に身を任せ切っていない人に出会えたのは、ある種の幸運か
『……?」
目を見開いたままの子キツネ
理解できるほど成長していないのだろう、きっと

『どう? どう?』
期待を視線に乗せるキツネとは別に、

「時々なぜか唐辛子が入ってたり、
行商で売るための媚薬が入ってたり、
チーズが入ってたりするけど、って言いたかったんだよ」
薬品だったりチーズだったり唐辛子だったり、味音痴なのだろうか
なにも入っていないチョコレートならば、普通に販売されているそれよりも美味しいもの
なにかが含まれているか、なにも含まれていなかったかどうかは、
これを食した者のみぞ知ること
468 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/13(水) 01:04:27.23 ID:CWaIbEnio
>>467
「負は人の根元であり、否定すべき存在だ
それを否定し続ける事で人は人たらしめるんだ」

それを受け入れたら、この世界は再び燃える
新たなる戦火が人を焼いて大地を溶かし、空を紅色に染まるだろう
それを止めるために、生き続け戦い続けてきた
彼の行動、正義と悪の境界を分かつモノ
それが負なのかもしれない


食した瞬間、新世界への扉が開いた気がする
あらゆる過去の情景が過ぎ去っては消えて行く
それはまるでタイムマシンに乗ったような
人の手では成し得ない味の極地
食べた人物を魅了し、思考を固定する

「...キツネの皮って...売れるっけ」

ただでさえ死んでる目が、死んでいる
彼の言葉は本当か嘘か
でも、その手には彼の所持するナイフ持っている
甘い物に一家言ある故に、許せないのだろう
もっとも、被害をを加えずすぐにナイフをしまうのだが
よっぽど味は酷かった見たいだ
469 :シフォン&キツネ[saga]:2013/02/13(水) 01:22:23.54 ID:ngllfsQjo
>>468
「否定すべき存在……、うん
否定することで避けられた戦いもあるはずだから」

そう、確かにその通りだ、しかし

「……負の定義はきっと人によるんだろうね」
築き上げられた価値観、それこそがことがらを負と認識するか否かを決めるのか
人にとっては負でも、自分にとってはそうではないことがらもあるのではないのか

しかし、強固な価値観といったものを持たない少年には、
まだ答えは導き出せない

『おいしくないよおいしくないよおいしくないよ!
売れないよ売れないよ売れないよ!!』
少年の影に引っ込むようにして、前足で頭を守るようにして震えているキツネと、

「……こんな試作品らしいチョコレートの試食を毎年させられ続けると、
実験台にされる日だって叫びたくならない?」
顔を青ざめさせながらも、控えめな口調でそう尋ねる
ナイフに恐れをなした……というよりも、
このチョコレートの毒牙にかけられたことを思い出しているのだ
470 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/13(水) 01:39:25.77 ID:CWaIbEnio
>>469
「正義の反対は別の正義である...負を否定する俺の行動が...
他の負を増長させる...そんな要因にならないことを祈るよ」

それでも、少年は荒野を駆ける
それが果てのない永久の旅であっても
彼が見てきた地獄を続けさせない為にも
切り捨てた命への強迫観念ではなく、自分の意志で
たとえ方法がどれほど深くとも
どれほど負に近くても、彼は曲がりなりにも「正義の味方」なのだ


「...君の気持ちがよく分かった...オエ」

吐き気までやってきた
食道の辺りでせき止めて一線は越えさせない
こんな酷いものは初めてだ、というか初めてでなければ困る

「...これなら俺が作った方がマシだろ...
名前を教えてくれ...今度教えてやるから...」

口を手で抑えつつ、青白い顔をしながら少年はそう言った
彼らは知らないだろうが、彼はそれなりに料理はできる部類だ
甘い物好きなせいか当然というか、必然というか甘い物は特に得意なのである

「俺は紫乃咲...紫乃咲紫音だ...ォェ」

体調不良を全力で抑えつつ、壁に手をついて姿勢を支え
やっとの思いで自分の名前を口にした

よっぽどの味だ、治したいと思っても当然だろう

471 :シフォン 旅人[saga]:2013/02/13(水) 01:51:42.27 ID:ngllfsQjo
「なるほど、なら旅人同士、改めてよろしく」
なんのために剣を振るい、なにを得て旅を終えるのか
まだなにも、正義も悪もすらも手さぐりであるが、
それでもこの旅をやめる気はない

「……チョコレートを欲しがる人達に、無料配布しようかな」
もうあたりなんてないのでは、と本気で思ってしまった

「……なんか、ごめん
変わって謝る」
深々と頭を下げつつも、

『あたしはキツネって名乗ってる
フォックスなんて言ってくれたらそれっぽいかも』
「僕はシフォンと名乗ってる
よろしく、咲紫音」
と挨拶しつつも、

「僕らはそろそろ行かないといけない、このチョコレートを処分するために
口直しに、なにか向こうの店で買うといいよ」
言って、チョコレートが買えるだけのお金を投げ渡すと、
被害が拡大しそうな予感を残して、どこかに去って行った

//申し訳ありませんが限界……!
絡み感謝です&お疲れ様でした!
472 :紫乃咲紫音:雰囲気も薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/13(水) 05:34:13.50 ID:CWaIbEnio
>>471
/遅れましたがお疲れ様でしたー!
473 :千早[saga]:2013/02/13(水) 23:40:19.70 ID:NlP+6bSao
夜の街を歩く銀髪の女性。
その美しい髪は、冬の夜空にマッチして何とも絵になる光景だ。

ただし、その恰好がまともならの話だ。
街を歩く千早は、赤を基調としたノースリーブのドレスをを着ていて非常に浮いている。
そしてそのドレス一枚で歩いている姿は、見ているだけでも凍えそうだ。

そんな恰好で歩きつつも、寒さをまるで感じさせない顔で両手には大量のチョコレートが入った箱を持っている。

「……こんなに頂いてしまっても、私(わたくし)食べられません」

眉毛をハの字にして困った顔をしている。
確かに持っている箱の量は、一人で処理するには多すぎる量である。
474 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 00:00:19.38 ID:BAi1kPZGo
>>473
「街がそわそわしてる…。どうしてだろう。」
バレンタインデーをしらない螢子は売れ残った花の詰まった籠を片手に街を歩いている。
そこで一人の女性を見つけた。この季節に赤ドレスだけの人は目を引く。

大量の荷物も気になるが「寒くないの?」と声をかけてみる。
475 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/14(木) 00:05:35.47 ID:kbPhiYy1o
>>473
(なんでこんなにも沸いているんだ、理解ができない。)

呆れ顔で周囲を見ながらも、右手には本をもつ茶髪の長身の
ローブを羽織った青年。男共はチョコレートがもらえるかどうかで躁鬱の波に飲み込まれる
バレンタインデー前日にすら、脇目も振らず真顔で読書をしながら
大通りを歩く。生真面目過ぎるその姿は、あたりからは相当浮いていた。

(こんなものはチョコレート屋の陰謀だと考え...?)

まるで冬のように冷たい思考を持った青年は、ノースリーブのドレス、そして
なにより本来は逆の性別がそうなるべき状況に置かれている女性に目がついた。
普通、日本なら二枚目の男がそうなるべき状況である。

(なんだあのチョコレートの量は・・・?新種のパフォーマンスか?)

彼にとっては珍しいその状況、恐らくチョコレート屋が特売をしているだと思ったのだろう。

「あのー、すいません、チョコレートをひとつください。」

ウィズの手に持つは財布。どうやらチョコレートを売っている営業の人と勘違い
したらしい。
うまくいけば、この青年にチョコを売りつければ、それなりの収入と身の軽さが得られるが・・・?
476 :千早[saga]:2013/02/14(木) 00:09:10.86 ID:JJHXIKhdo
>>474
「え……」

見知らぬ声に足を止め、その方向を見るとやはり見知らぬ人。
花をいっぱい持っている事から、花売りだろうかと思ったが、その理屈なら自分はチョコレート売りだ。

「ええ、私は寒さには強くて、真冬の今でも寒さは感じていないのです」

面識のない人だが、誰に対しても人当たりの良い性格として作られている千早はにこやかな笑顔を相手に向ける。

「そうだ、もしよろしければチョコレートを食べませんか?」

「頂き物なのですが、私一人では食べられなくて」

手に持つチョコレートの箱を1つ差し出す。
中には丸いトリュフチョコレートが6つ入っている。
477 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 00:16:20.24 ID:BAi1kPZGo
>>476
「寒さに強い?」
それはこの時期なら限度を超えた話であるように
感じられたが、それは置いておく事にした。

美味しそうなチョコレートを見て少し考える。
「ん…。無料では貰えない。それは悪い。お花と交換する?
 チョコレート屋さんなんでしょ?」
478 :千早[saga]:2013/02/14(木) 00:17:29.41 ID:JJHXIKhdo
>>475
どういう訳か別の方向からも知らない声。

「ちょ、チョコレートですね。一つ700円に……」

しまった……
と途中まで声を出してから思った。
先ほどまでチョコレートを売るバイトをしていたため、つい反応してしまったのだ。

ちなみにこのドレスは、店長が変わったキャンペーンガール企画として千早に着せたものだった。

「あ、いえすいません。これは売り物ではないんです」

「頂き物なのですが、お1ついかがですか?」

にこっと笑いながら、トリュフチョコレートが6つ入った箱を差し出す。
つまりこの箱は売れ残りだ。
479 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/14(木) 00:30:59.24 ID:kbPhiYy1o
>>478
「え、そうなんですか?」

ああ、すいません、と声をかけながら、差し出されたトリュフチョコレート
を受け取った。
生活上、こういう娯楽的なお菓子はあまり買えないので、かなりウィズに
とってはありがたかった。

「あの、頂き物って、男の人がチョコレートをもらうような?」


何らかの含みがあるような、懐疑的な言い方。彼の中では、この大量の
チョコレートに関して、ひとつの結論に達していた。
チョコレートは男がもらうものという固定観念にとらわれているがゆえの
結論、それは

この女性はもしかしたら女装をしているのかもしれない

いや、別に疑ってはいないのだ。態度には出ているが。もちろん、
この結論に至った本人自体が「なにを馬鹿な」と思っているのだ。
ただし、態度には出ている事に、彼は気づいていない。
480 :千早[saga]:2013/02/14(木) 00:40:16.22 ID:JJHXIKhdo
>>477
「寒さには強いのですが、暑いのはめっぽうダメで……」

一般的という事が頭の中にない千早は、その不自然さに気が付かない。
寒さに強い自覚はあるが、それが度を越した話とは思って居ないようだ。

「そんな、受け取れません。これは私がタダで頂いたものですから、それで人様から何かを要求することは……」

困ったと言った風に交換の申し出を断る。

「それに私はチョコレート屋さんではありません。先ほどまでチョコレート屋さんのバイトをしていた者です」

「そしてこれはその売れ残りと言う奴です」

だから何も気にする必要はないと言って、チョコレートを受け取る様に促す。

>>479
チョコレートを受け取ってもらえた事に対して、千早は満足そうに笑って見せる。
少しでもこの大量のチョコレートを処分したいのだ。

「え、えっと……」

チョコレートを受け取ってくれた男性から向けられる疑いの視線。
そのセリフのアクセントなどの言い方で、なんとなく何の疑いがかけられているかを察してしまった。

そして、男性は気づいていないかもしれないが、女装を疑うあまりその視線は開いた胸に集中し始めている。
それなりに露出度の高いドレス、しかも胸の部分開いている為、そこを凝視されると流石に恥ずかしい……

「あの……えっと、……その……困ります……」

だんだんと小さくなる声。
恥ずかしがるあまり、やや背中を丸めて肩を閉じる。
しかしながら、そのポーズは意に反して胸を強調するポーズとなってしまい、先ほどよりさらに見やすくなっているだろう。
481 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 00:45:46.18 ID:BAi1kPZGo
>>478
「横からごめん…つまり一つ700円…
 花に換算すると…ひい、ふう、みい…
 計算ができない。パンジーを全部あげる。」

>>479
「男の子が女の子にチョコをあげるお祭り?」
 少し考えて「面白い日がある」と呟く。

「あと、よくわからないけれどあなたは失礼な事を考えていると思う。
 気のせいかもしれないけれど。。。」

>>480
「北国のひと?」と結論付け追求はしないことにした。
今はまずチョコレートの話だ。

「わたしが売っているお花も摘んだ物や育てた物だから大丈夫。」
チョコは受け取る。しかし、花籠を置き売れ残りの花でコサージュを作りはじめる。
「売れ残りでもなんでもプレゼントは交換するものだと思う。」
482 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/14(木) 01:11:54.51 ID:kbPhiYy1o
>>480
「・・・。」
(なんで困っているんだ?もしかして勘付かれた・・・?)

困っている事を勘付かれた事に対して心の中で、多少の動揺し
胸を強調するポーズ、二つの山の深い谷はそれはまごうことなき女性がもつ象徴。
普通の男性ならば興奮などするだろうが彼は遊びっ気など一片すら
ない生真面目過ぎる男、疑いの目と真剣な顔、どうみても女性に向ける目ではない。

(もう、やめよう、こんな不毛な思考は。世の中には考えていいことと
悪い事がある。)

これ以上考えると余計、混乱の深みにはまるのでやめることにした。
次は、これをどうとりつくろうか―。

「あ、いや、別に、変な事なんか考えていませんよ。趣味なんて
人それぞれですし・・・。」

とにかくとりつくろわなければ―。そんな余計なお気遣い丸出しの
ぜんぜんフォローになっていない、最後のほうとか特に。喋るその顔はやっぱり真顔である。

>>481

「失礼な事?ハハ、まさか。気のせいだ。知らぬが仏と日本の
ことわざであるだろう?まぁ、そんなことより」

さりげなく話題をずらす。今はこの状況から抜け出さねば
なるまい。

「知らなかったのか?まぁ、人が死んだ日に男女の愛の誓い
っていうのもいささか気が引けるが。」

首をすくめながら、皮肉そうに言った。ウィズにとっては
バレンタインデーというのは聖職者が死んだ日という側面が強く
わりとこういう事に関してはいささかナイーブであった。


483 :千早[saga]:2013/02/14(木) 01:20:24.94 ID:JJHXIKhdo
>>481
「北国……ではありませんね。作られたのはこの国ですし」

さらっと言ってしまうが、”生まれた”ではなく”作られた”と表現する。
千早にとっては変わったことではない為、他愛ない世間話をするような口調で言う。

「美しい花ですね……」

目の前の花を愛でるような優しい瞳で、籠の花を見る。

「それもそうかもしれません。……ここでお断りするのも無粋と言うものですね」

「……それは、花で作る飾りですか?」

器用に花で形作っていく姿を見て、素直に感心している様だ。
その目は初めて見るものを目にしたように興味津々なようだ。

>>482

「しゅ、趣味……」

確実に勘違いされている気がする。
しかしながら、

「勘違いなさらないでください、私女です。その証拠に触ってみてください!」

……と大胆に胸を触らせるような事が出来る千早ではない。
あくまで淑女なのだ。

「……チョコレートはお好きですか? このチョコレートはアルバイト先で余りものとして頂いたものなのですが数が多すぎて……」

「よろしければもっといかがでしょうか?」

何とかしてチョコレートを減らしたい千早はとりあえずもう1つ進めてみる。
484 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 01:27:38.88 ID:BAi1kPZGo
>>482
「でもお姉さんの胸ばかりみている。」
 若いどころかまだ少女だが女性だ。
 男性の振る舞いやその視線に対しても目ざとい。

「人が死んだ日?
 …思い出した。セント・バレンタインデーなんだ。
 チョコをあげたり貰う相手がいないから忘れていた。」

>>483
「作・・・る?」
 そこは引っかかる。
「嘘でもここで生まれたと言わないと変な人に狩られると思う。」
 時に狩る立場に立つ彼女からの忠告だ。

 コサージュができるまで手を動かしながら、
螢子は「そう、お部屋にも飾れるよ。」と話す。

「今年はパンジーの開花が早い。もうちょっと…
 …できたよ。」花で作った細工を千早に差し出す。
「チョコをくれるなら、わたしからもプレゼントだよ。」
485 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/14(木) 01:56:50.34 ID:kbPhiYy1o
>>483

・・・あれ?これドンドン悪い方向に行ってなくね?
なんでこうも裏目に出るのだろうか。
と、とりあえずチョコレートだ。話題をずらせ。さっきから
ずらしまくっているが気のせいだ、気にするな……

「ええ、ありがたいです。いやぁ、なかなかこういう嗜好品
は買えるほど余裕がなくて。」


基本的に糖分をとるほど経済的に余裕がない彼にとっては
このチョコレートはまさに話題ずらしと二つの意味で天からの恵みであった。

>>484
「・・・。そういうものなのか?」

まったくわかっていない。枯れているどころか目覚めてすらいない。
勉強しすぎて悪い意味で頭がガチガチである。

「そうそう。知っているとな、なんというか、後ろめたしくなってな・・・。」

「学校とかで、そんな雰囲気とかはなかったのか?だいたい
誰しもがもりあがるらしいが。」

あげたり、貰う相手がいないという言葉に対してウィズは
多少の疑問を抱く。
目ざとさがある年齢だ、バレンタインデーという日に友達
からチョコなどをもらってもおかしくはない。
486 :千早[saga]:2013/02/14(木) 02:03:28.80 ID:JJHXIKhdo
>>484
「狩られる……? 誰かに恨みを買われるようなことをした覚えは無いのですが……」

ついこの間まで研究所から出たことも無い自分が誰かから狙われるなどとは考えもつかないようだ。

「素敵ですね。わかりました、このチョコレートとその花飾りを交換いたしましょう」

花の種類は分からないが、目の前にあるこの花のコサージュが素晴らしいことは分かる。
見ているだけで癒されると言うものだ。

千早はそのコサージュを受け取り、代わりにチョコレートの箱を差し出す。

「ではこれを……私が作ったものではないのですが」

少しだけ申し訳なさそうな顔をする。
こんな素晴らしい手作りの品を貰ったのに自分はバイト先で貰ったあまりもののチョコレートしかないという事に、やはり多少なりとも引け目を感じているのだろう。


>>485
「それならよかったです。私としてもこれだけの量を食べるのは難しいですから」

まだ見られていた恥ずかしさが残るのか、少し顔を赤くしながらもう一つ箱を渡す。

千早も全く金が無い生活をしているが、だからと言ってチョコレートを主食に生活が出来るように体が出来ているわけではない。

「なぜチョコレートなのでしょうね……」

ふと疑問に思っていた事が口から出る。

「普段から売っているチョコレートを、改めてこれだけ大々的に売り出す理由はなんなのでしょうか」

バレンタインのキャンペーンガールとして売り子をしていた千早だったが、肝心のバレンタインの事を知らなかったらしい。
単純に、バイトの急募があった為よく解らないが生活費のために応募して働いていたのだ。
487 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 02:14:06.56 ID:BAi1kPZGo
>>485
「気にしなくていい。
 わたしは学校には通えなかったから。
 だから、そこは気に病まなくてもいい。」
 ちょっとした人並みの嗜虐心だろうか。
 年上の少年をからかうのが面白くなってきた。

 いちいち一言を気に病む彼の前でなら不幸自慢という悪趣味も楽しめる。
「親しい人がいないならチョコレートというプレゼントを交換する意味もない。」

>>486
「あなたが何者であっても、自分が造られた存在だと言ってはいけない。
 誰が人で無くても、それがどんな人であっても、
 人でない事を理由に付け狙う悪趣味な連中がいる。」

 コサージュを作り追えたら千早に渡す。
「少し派手になったかも。でも、これがチョコに対するわたしの気持ち。」
 派手な色彩になってしまったコサージュを渡し、そしてチョコレートを受けとる。
「わたしはバレンタインデーについては詳しくない。よく知らない。
 ただ、特別な…好きな人?意中の男性に女性がチョコをプレゼントする日らしい。」
 
488 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/14(木) 02:38:24.63 ID:kbPhiYy1o
>>486
「いえいえ...」

なぜ赤くなっているかはわからない。ちなみに
彼は女性経験はほぼ無に等しい。それがゆえのこの
有様である。

「もともと、贈り物っていうのは色々な種類があったらしいんですけど
チョコレートがついてくるようになったのはイギリスでハート型の贈答用の
チョコレートが発売された事が由来らしいです。ハートは愛の象徴って
考えるととても縁起がいいですしね。」

話題ずらしというよりは、彼自身、気づいていないがやけに饒舌
になっていた。なにげに雑学は割と知っているのだ。
といっても友達がいないから本を読んでいる機会が多いだけなのだが。

「まぁ、それでもって、バレンタインデーはチョコを送る習慣がある、つまり
チョコを買う人が増えるって事で。この時はチョコを買ってくれる人が増える、
つまり稼ぎ時ってわけです。」

あ、すいません、ちょっと説明が長くなってっと一言謝った。どうやら
熱が入ったと自身で自覚したらしい。

>>487
「あ・・・。」

一瞬、彼の顔がピクっとひきつった。焦りの表情である。
地雷を踏んだか、内心ではかなり慌てている―というわけではないが。
ナイーブの彼には効果覿面、少女に踊らされる魔術師(17)、なかなか滑稽である。

「まぁ、学校がいい場所っていうのも限らないしね・・・。それに
親しい人がひとりもいないっていうのはさびしいじゃないか。」

ウィズはそういうと、先ほど千早からもらったチョコレートを
蛍子にへと差し出した。

基本、ウィズにとって学校というのは、友達と交流する場所などという
意味はもはやなく、堕ちこぼれに等しい枯れにとってはただ勉学に打
ち込むだけの、息苦しい牢獄にしか過ぎなかった。

そんな現実を見せたくないのだろう、苦し紛れの行為という
側面もあった。
といっても、本当は親しい人なんていないなんていうのはさびしいという
お人よしの理由だが。
489 :千早[saga]:2013/02/14(木) 02:47:39.19 ID:JJHXIKhdo
>>487
「そういうもの……なのですか」

少ししゅんとなりうつむき加減になってしまう。
自分が作られた存在で、周りとは異なる生まれ方をしている自覚はあるが、そのことが自分にマイナスに働くとは考えていなかったのだ。

「これは……! ありがとうございますっ!」

「このくらい派手な方が華やかで良いと思います」

受け取ったコサージュを眺め、とてもうれしそうだ。

「なるほど……求愛の証としてチョコレートを渡すのですね」

「ですが、店長から頂いたこのチョコレートは求愛と呼べるのでしょうか……」

もし、チョコレートの量と愛情の量が比例するのであれば、バイト先の店長であるおじさんは千早にぞっこんという事になってしまう。

>>488
「なるほど、よくわかりました」

「博識なのですね、私も見習わなければ」

突然饒舌になって説明を始めたウィズに対して、気を悪くするどころかむしろその知識に感心しているようだ。
千早も相当に真面目な性格をしているのだった。

「でも……ふふっ。
 人に解説している時はとても生き生きとしていますね」

先ほどまでと打って変わって喋り始めたウィズに対して、つい笑いが出てしまった。
490 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 03:03:26.25 ID:BAi1kPZGo
>>488
「いじめるのはやめておこう。
 スラム育ちだが縁あって教育は受けられている。
 読み書きもちょっとした計算もできるぞ。だから気にしていない。」
 クスクスと笑いながら答える。
「あなたは初心だな。でも女はズルいもの…。
 そんな調子なら悪い女に引っかかった時に苦労すると思う。」

「あ、チョコレートはお姉さんにもらったからあなたが食べて…。」
 千早と交換したチョコを見せる。
「えっと…お名前は?わたしは螢子。」

>>489
「わたしは人の子だが親はもういないからわたし達は似ている。
 あなたは…危ない感じがしない。コサージュ、気に入ってもらえて良かった。
 褒めてくれてありがとう。」

 さて、求愛のチョコ…どこかで聞いたことがある。
「仲の良い人にあげる友チョコというのがあったと聞いた事がある。
 それならば気に入った人なら別け隔てなくあげてみるのも良いかもしれない。
 例えばお友達とか。もしくはお姉さんとお兄さんが少し付き合ってみるのも手か。」
 恋はお試しキャンペーン。そんなわけでもないが思いつきで言ってみる。
491 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/14(木) 03:19:41.08 ID:kbPhiYy1o
>>489
「,,,まぁ、本を読むぐらいしかやることがなくて。話し相手とか
あまりいなくて一人の機会が多くてですね。」

―それはウィズにとっては自身を象徴する、辛い思い出。苦笑しながら
語るその姿は多少の影があるが、饒舌さはそれを美味い具合に隠していた。

「そうですかね・・・。まぁ、友達にもセンセイとかあだ名つけられますけど。」

初めてできた友達、そしてつけられたあだ名は、不思議と心地が良かった
ものだ。17年も友のいない日を過ごせば、その暖かさはかなり
しみるものだ。

>>490
「おいおい、いじられていたのか私は・・・。参ったな、自分自身
あまり女性と関わったことがなくて。」

げんなりした顔で一言。でも、不思議と悪い気分はしない。
というのもいじられた事すらなかったのだが。
蛍子のいうとおりまさに悪女に弱いタイプだろう。といっても
誘惑はあまりにも経験がなさすぎて鈍い反応だったりといろいろ特殊だが。

「ああ、そうなんだ。それはすまんね。」
「私の名前はウィズだ。よろしくたのむ。」

そういって、彼は蛍子に手を差し伸べた。俗に言う握手である。

>>489-490
ウィズは、空を見上げて、ローブから懐中時計を取り出して
時間を見る。かなり長居してしまった。

「ああ、もうそろそろ時間だ。自分は帰るとするよ。ふたりとも
お気をつけて。」

ウィズは、通りの向こうにへと、手を振りながら去っていた。

/眠気が限界なので落ちます、絡みありがとうございました
楽しかったです。

492 :千早[saga]:2013/02/14(木) 03:25:50.94 ID:JJHXIKhdo
>>490
「似ている……ですか」

自分を作った研究者は、一体どのような目的があったのか。
研究所のデータが消滅した今ではわからない。

「では、似た者同士ということでこれからもよろしくお願いします。
 今度色々と教えていただきたいこともありますから」

「私はXシリーズ……ではなくて、千早……千早と申します」

危うくいつもの様に型番から自己紹介をしてしまう所だった。
先ほど指摘されたばかりだと言うのに。

「なっ!? ……そ、それはいけません。恋愛は神聖なもので、軽い気持ちで行ってはいけないと情報にあります」

顔を赤らめて焦り始める。
明らかに間違ってそうな知識を埋め込まれてだ。

>>491
「そうでしたか。しかし先生と言うのは的を得ているかもしれません。向いているかもしれませんよ」

にこやかに笑いながら、先ほどの解説ぶりから見た感想を言う。

「ええ、そちらこそ」

去っていくウィズに対して綺麗にお辞儀をして、その姿を見送った。

//お疲れ様でしたー
493 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 03:26:49.22 ID:BAi1kPZGo
>>490
握手を取りながら答える。
「ウィズ…覚えた。」
普通の視線と、獣が獲物を狙う目の混ざった視線でその目を見る。
「おやすみなさい…。」
494 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 03:32:30.66 ID:BAi1kPZGo
>>492
「本当に初心なんだ。
 …イカ臭いという言葉がある。」
 いきなり何かを言い出した。
495 :千早[saga]:2013/02/14(木) 03:38:54.22 ID:JJHXIKhdo
>>494
「イカ……烏賊ですか? チョコレートの匂いはしますが、海鮮類の匂いは全く感じませんね……」

その言葉の意図がまるで分らないようで、見当違いの返しをしてしまう。

「初心……と言うのは否定できません。やはり私には経験が圧倒的に不足していると感じていますから」

現に千早はまだ2年しか生きていない。
その千早が百戦錬磨の反応をするのは夢のまた夢だろう。
496 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 04:07:13.32 ID:BAi1kPZGo
>>495
「話を飛ばしてすまない。
 イカ臭いというのは男性の分泌物の話だ。
 個人的にはプールの更衣室の匂いに似てると思う。」
 少し間をおいて、続ける。…いや、続けるのは辞めだ。
「わたしは…千早より子供だけれど生きているよ。
 だから千早はきっと大丈夫だと思う。」
 話は人生経験の方に戻す。
 相手が生後2ヶ月だとは知らないし思えない。
「わたしより積み重ねたものが千早にあると思う。」
497 :千早[saga]:2013/02/14(木) 04:21:12.68 ID:JJHXIKhdo
>>496
「匂いに関する知識はまだ足りないようです。プールから塩素系の匂いと推察できますが、実際に嗅いだことが無いので……」

人間から分泌する成分についての知識は多少あるが、それらがどのような臭いを発するかまでの知識は無かった。
今後、それらの知識も得ていくのだろうか……

「そう……でしょうか。ありがとうございます、とりあえず私は私なりに生きて行こうかと思います。
 そして何のために生きていくかをその中で見つけたい……」

目を閉じて、少しだけ考えにふける。
己の存在意義を見出すために、毎日を生きている状態なのだ。

「随分と長話をしてしまいました。私はそろそろ失礼いたします」

と、綺麗な形の礼を一回すると再び歩き出そうとする。

「もしよろしければまた会ってお話ししましょう。もっといろんなことを聞かせてください」

一度だけ笑いかけながら振り返り、その後まだ処理しきれていないチョコレートを抱きかかえたまま帰路に着くのであった。

//そろそろ眠いので、この辺で〆させてください
//ありがとうございました。
498 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成2013/02/14(木) 04:29:49.00 ID:BAi1kPZGo
>>497
「あの匂いが近いと思う。
 千早さんは生き方を考える歳なのか…。
 わたし…生きていく方法しか考えられない。」
 その日々を生きていけるかが課題の少女は、
次の生き方を考え始めても良いかも知れない。
「ありがとう千早。あなたと会えてよかったかも。」
 そう言って二人は抱擁しあって別れた。
// こちらこそありがとうございます。
// おやすみなさい。
499 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち[sage]:2013/02/16(土) 00:35:24.01 ID:xtDRsMkT0
雪がにわかに降り出しており寒風が容赦なく吹き抜ける。
陸橋の橋げたの足元、たき火のほのかな灯りに照らされる1角が遠くからでも見えるだろう。

「いぬにく、いぬにく〜」

たき火に近づくと、正体不明の肉を焼いている少年の姿を見つけるだろうか。
格好は少し汚れたサイズの合わない服に女物の青色のコートという不思議な恰好。
焼きたての肉を頬張り、楽しそうなひと時を過ごしていた。

ただ、外でよくわからない肉を食べているということに目をつむればの話である。
文明からかなり離れたこの少年に来客はあるのだろうか。
500 :リィンフォース【銀髪の女性】2013/02/16(土) 00:54:55.96 ID:NAFn2vBh0
>>499
 すべての仕事を終えたその帰り道。
 使い古したトレンチコートを胸元に掻き寄せるようにして、降りしきる雪風をこらえる。
 風にコートがたなびき、束ねただけの長い銀髪がさらわれてしまうが、それを気にするよりもまえに、寒さが身に堪えた。
 
「…………?」

 ちらほらとともった街灯とは違う明かりが意識を引き寄せる。
 ちょうど進行方向、百メートルほど先の端の足もとで弱弱しく輝くソレに、女性は首をかしげる。
 ホームレスだろうか、と思いはしたが、こんな風の中出歩くとは思えない。女性は足を止めず、思案しながら光源へと近づいてゆく。

 それが焚き火の明かりだと判別できる距離になるころには、そのすぐそばに小柄な人影も視認できて。
 女性はその子供と思しきシルエットに目を細めると、帰り道からそれて橋げたへと下ってゆく。

「こんな場所で、何をしているのだ?」
501 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち[sage]:2013/02/16(土) 01:06:54.39 ID:xtDRsMkT0
>>500
『こんな場所で、何をしているのだ?』

不意に自分の頭の上から問われて、先の唄を中断してしまう。
そして、声の方にゆっくりと顔を向ける。
火の灯りに揺らめきながら照らされる顔かたちは、風になびく髪も併せてきれいに見えた。
少年はよく焼けた肉を火から離してから、女性に屈託なく答える。

「きれーなおねえさん、こんばんわ。
いま、お肉を焼いていたんだ。今日のごはんだけど、おねえさんもたべる?」

こんばんわに合わせて、頭をちょこんと下げる。
頭を上げて、少年は遠ざけていた肉とそれを突き刺していた鉄串のようなものをつかんで差し出した。
502 :リィンフォース【銀髪の女性】2013/02/16(土) 01:25:29.89 ID:NAFn2vBh0
>>501
 女性の見立て通り、焚き火のそばにいたのは少年だった。
 まだあどけなさを残した顔立ちの子供が、こんな寒い夜に一人で焚き火。
 いかに治安が悪化して孤児が増えているとはいえ、そうそう見かけるものではない。
 
 女性は少年の保護者が近くにいない者かと周囲を見回した後、人気の絶えた周囲の闇から少年へと視線を戻す。
 
「こんばんわ、だな。いや、私はもう食べた後だ」

 差し出された肉。その心遣いはありがたいが、女性は確かに遅すぎる夕食をとってからあまり時間がたっていない。
 「満腹でな」と付け足して、礼儀正しくお辞儀する少年に、問いかける口を開く。

「君は一人か? 親御さんはいないのか?」

 もしいないとすれば、行くあてはあるのだろうか。
 身寄りのない子供は孤児同士で寄り合って生活するものだが、この少年はそういうグループに所属するようにはみえあなかった。
503 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち[sage]:2013/02/16(土) 01:40:16.76 ID:xtDRsMkT0
>>502
パチパチとはじけるたき火に枝を投げ込みながら、火を保つ。
ずっと火が持ってくれるなんてことは幻想である。
寒い中、二人を包む火は今の所十分な光量と熱量を放っていた。

「お腹いっぱいなんだね。じゃぼくが食べちゃうね」

左手で差し出していた串をそのまま口に運ぶ。
赤身と思われるものは次々と噛み千切られあっという間に消えてしまった。

「うーん、もるもっとだったぼくにはおやごさんは無いと思うな。
あと、おやごさんって何の事?」

親という概念が欠落し、代わりにモルモットという言葉で充てられているこの少年。
つまるところ、逃げ出した実験動物がここにはいるのだ。
証拠となるかわからないが、たき火の裏には肉を削がれた犬の皮が転がっている。
504 :リィンフォース【銀髪の女性】2013/02/16(土) 01:49:12.20 ID:NAFn2vBh0
>>503
「ああ、すまないな、気を利かせてくれたのに」

 少年が豪快に肉を噛み千切る。
 あっという間にその大きさを減じた肉だったが、はたしてこれは子供の食べっぷりだろうか。
 最近の子供たちはこうも食欲に満ち溢れているのかと思ったが、それにしてはどこかが引っ掛かる気がして――

「モルモット?」

 奇妙な単語。実験動物をしめすそれに、女性は顔をしかめると、少年のすぐそばにしゃがみ込んで目線を合わせる。
 ぱちぱちと薪が爆ぜる音。吹き付ける風のなか、女性はほんの一瞬だけ思案して、

「親御、つまりは父親や、母親だが…………失礼を承知で尋ねるが、君、何者だ?」
 
 別になにかやましい考えがあるわけではない。
 ただモルモットという言葉が引っ掛かっただけ。そして女性が、そういう存在に敏感なだけ。
 
505 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち[sage]:2013/02/16(土) 02:07:21.05 ID:xtDRsMkT0
>>504
「気にしないで。文字を教えてくれるおじさんが『きれいな人にはやさしくしなさい』っていつも言ってたから
うまくいかないときもあるとも言ってたし」

手についた肉汁も舐めとって、別の肉塊を串に刺して焼き始める。
その顔は言うまでもなく楽しげな子供のそれであった。

「そ、もるもっと。いつもぼくはモルモットのアノマニスって言われてたから」

素性と言う訳では無いが、不穏な言葉がポンポンと出てくる。
そして、親御さんという言葉の意味を聞くと。

「お父さんやお母さんのことなんだね!教えてくれてありがとう!でもね……」

少年は上体を捻り、右腕に遠心力を乗せて突き出す。
瞬間右腕は腕の形ではなく、幾本の触手になって女性の体を拘束するだろう。
その状況、きっと少年は何事も無いように観察しているのであろう。
人外の腕に驚くことも無く。
506 :リィンフォース【銀髪の女性】2013/02/16(土) 02:17:01.95 ID:NAFn2vBh0
>>505
「ふむ……文字を教えてくれるおじさん、か」

 知人がないわけではないらしい。
 その事実を記憶のメモ帳に書き留めると、肉の調理に取り掛かる少年を観察する。
 いやに手馴れているように思えるのは、こういった生活が長い証拠だろうか。

「モルモット……モルモット、か」
 
 いったいだれがどういう意図で、などと野暮なことを聞く必要性を、女性は感じなかった。
 きっとこの少年は自分の生きている世界、あるいはそこに近い位置にいるのだと。勘がそう告げるのをよそに、女性は少年の動作に目をすがめ、

「――っ! くっ」

 一閃された触手を回避するにはさすがに距離が近すぎ、体勢が悪かった。
 見れば少年の腕は腕などではなく、触手そのもので。女性はしくじったな、と胸中に舌打ちして、現状でできることを模索する。

「なるほど……こういう、ことか」
507 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち[sage]:2013/02/16(土) 02:31:57.15 ID:xtDRsMkT0
>>507
「そう、ぼくはモルモットのアノマニス」

わずかばかり、もの悲しさを含んだ声が絞り出される。
さっきのあっけらかんとした気楽さから、痛い所をえぐられるような、そんな状態。

「知ってるよ。僕のこの腕が普通じゃないことは。
みんなこれを見ると驚いたもん」

稀に、見慣れて驚かないものもいたが、そんなのは計算の内に入れない。
第一、母数が少なすぎる。

「ねえ、おねえさん。答えて。
おねえさんはどうしてぼくが誰かって聞いたの?
正直に答えないと川で泳いでもらうからね」

虚勢と恐怖が立ち振る舞いから見えるだろうか……
怖い顔のようなものをしているが、その実足は震えている。
追っ手を恐れるあまりの行動であった。
508 :リィンフォース【銀髪の女性】2013/02/16(土) 02:42:03.59 ID:ubBZzvo70
>>507
「なる……ほどな……」

 ふん、と鼻を鳴らして女性は苦笑する。
 それは少年へ向けたものではなく、うかつな質問の仕方をした自分への自嘲のそれだが、少年がそれを理解し得るかどうか。
 自分が置かれている状況を意に介した様子すらなく、余裕すらにじませた動作だった。
 そして少年をひたと見据え、ため息ひとつついて、

「人の腕ではない。たしかに、見れば驚くだろう。普通はな」

 普通はな、と最後に付け足した部分にほんの少しだけ力を込めて、女性は体から力を抜く。
 抵抗しても少なくとも今は益がない。向こうはこちらに危害を加えることを主目的としていないのだから、まず落ち着いてたいおうすべきだろう、というのが女性の思考の帰結だった。

「モルモット、などとふつうは使わない。それに普通の孤児にしても一人でこんな場所には来ないだろう。実験動物などと自称すれば、いやでも興味は沸くだろう」

 それと寒いのは苦手だから川はやめてほしいのだが、と。
 最後に付け足したその一言だけはどこか懇願する響きがあって、女性は怯えを隠しきれていない少年と同じように、ほんのかすかにふるりと身を震わせる。
 
 
509 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち[sage]:2013/02/16(土) 03:01:03.05 ID:xtDRsMkT0
>>508
自分の触手を見て叫ばれなかったせいもあるのだろうか、興奮が冷めて少しだけ拘束が緩む。
抵抗するでもなく、最初から敵意も無かったため、先ほどの行為は一種の警告行動ともとれるだろうか。

「じっけん……そうだったね。モルモットはじっけんどうぶつだ……」

背中に虫が這いずるような感覚と一緒に全身が粟立つ。
それを無理やりに抑え込んで、会話に焦点を戻そうと努力する。

「知ってたよ。ぼくがおかしいこと。
それと、ぼくはここに住んでるんだ。家はあっち」

少年の指差した方向には、廃材とブルーシートのバラックが建っており。生活の感じがわずかに見えた。

「きれいなおねえさんには優しくしなきゃいけないから、今日は川に落としたりしないで返してあげる
でもね、今日はもうお話したくないんだ」

少しだけ安心した様子でそういうと、少年は乱暴に触手から女性を解放する。
おそらくは突き飛ばした感じになるだろうか。

「じゃあね。こんどあったら、お友達から始めたいけれど……」

本当は近づきたいけれど、恐ろしさのあまりに突き放してしまうほど、記憶が重くのしかかる。
触手を右腕に戻すと、少年は逃げるようにバラックの中に引きこもってしまった。

//ごめんなさい。これで〆させてください。
510 :リィンフォース【銀髪の女性】2013/02/16(土) 03:08:32.50 ID:ubBZzvo70
>>509
「そうだ。だからあまり人前では使わないほうがいい」

 優しく諭すように、女性は少年に語りかける。
 ほんの少しだけ緩んだ拘束にほっと溜息をつきたい気分をこらえて、女性は少年の言葉に耳を傾ける。
 そして彼が示した方向を見やって、いかにもといった風情の簡易的な家屋に目を細めた。
 
「うむ、その判断には感謝したい。私は寒いのが苦手だ。
 それと、気分を害して済まなかった。もうしわけない」

 勢いよく、まるで放るかのように体が解放されると、女性は滑らかな動作でバランスを取って着地する。
 
「また、もし会う機会があれば、な」

 乱れた衣服を手早く直して、立ち去る少年の背中を見送った女性は、どうするかほんの少し悩んだ後、自宅へと足を向けた。

/おつさまでしたー。初仕様キャラなので具だ具だでした、もうしわけない!
511 :イベント【ブラッディバレンタインデー】[saga]:2013/02/16(土) 21:00:29.43 ID:766aOIFZo
この日本という国では、ヴァレンタインという行事に対して大変熱心であると言える
クリスマスにしろキリスト教信仰でもない癖に、祭事を行うのは他国にとっては不思議な事なのだろう
深い意味も知らず、ただ何となしに何かめでたいことがあるのだという浅はかな知識のままに、周りと同調する為に祝う
無為、だが意味を付けるにはもってこいの理由として色々と考えられている
ヴァレンタインならば女子が想う男子にチョコをあげる、というのがそれに当たる
どこの企業が手をこまねいたのかは知りかねるが、キリスト教信仰の国では少なくともこの様な事はしないという
淡いピンクのレトリックに溢れて、いつか飽和しそうな勢いの街は、二日遅れのバレンタインデーに賑わいを得ている
L.M.G.の街興し──事実上L.M.G.が中心となって行うバレンタイン祭り
人目を構わず愛し合うカップルが跋扈する中、トマスは半ば苛立った表情で片手を挙げている
拡声回路を口元に添え、はい注目と言ってるにも関わらず誰もそちらに向こうとはしない
振り向く少数は相手のいない者──バレンタイン祭りに相応しい者達
トマスは大きく舌打ちし、伏目である筈の目を見開いて、しかし冷静さを欠いてはいけないと呼吸を大きく一つ
そして

「……ブッ殺すわよ?」

場が凍りついたのを確認すれば、話を続ける

「L.M.G.主催ブラッディバレンタインデー。皆様参加頂き有難う御座います
さて皆様には今から殺し合い……もといチョコ争奪戦を行って貰うんだわ
勿論参加者のみの争奪戦ですがイチャイチャしてる奴は周りに目を配りなさい
まぁバトロワでどんどん絡みに行きなさいよ?いいわね?
さて、位置についてぇ……」

言い放つ

「よぉい──どん!」

開始宣言が成され、一斉に虎嘯が沸き立つ
同時、トマスは後ろ髪に手を触れ、紐で縛り始めた
512 :葛葉[saga]:2013/02/16(土) 21:10:07.47 ID:1cCIhT/3o
「――ぬっははは……ッ!
 せっかくのバレンタインじゃったのに、出張でチョコが貰えんかったからの!
 おのこもおなごも、皆儂に押し倒されてきゃっきゃうふふじゃ! ぬっふふふふふ!!」

他の血走った参加者とは、別の血走った目付きの獣が一匹。
紫色の髪と瞳が良く目立つ、幼い外見の少女だ。
格好はホットパンツにダッフルコート、黒タイツ。よくある冬の装いで、そこそこ動きやすそう。
その外見に見合わない重厚な作りの鉄扇が右手に握られ、肩から下げたポーチは四角形に膨らんでいた。

「よっしゃー!
 儂の獲物は、何処じゃ――!?
 ぬっふははー!」

馬鹿っぽい高笑いを響かせる少女は、ぱたぱたと四肢を駆動させて夜の街を駆け巡り始めるのだった。
513 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 21:10:56.33 ID:PyufuhdKo

ベアトリス・セイクリッドは困惑していた。何故、自分がこのイベントに駆り出されているのだろう。
いや、不満が有るわけでもないし拒否権があるわけでもないのだが。L.M.G.に所属している限り。
だがしかしある日突然「チョコ作って16日に集合。詳細は後に発表」とか上司に言われて狼狽するばかりだ。

「え、えっと……とりあえず、争奪戦ということですよね……。」

そう、争奪戦である。プラチナブロンドのポニーテールの聖女は盲目の双眸を歪ませていた。
半ば吹き荒れる様な風に乱れる修道服を片手で抑えながら、辺りの音に耳を傾ける。
ぐるぐると巻かれた布切れの右手にはチョコが、左手には盲目者の為の白杖が―――。

「と、とにかく副官長様の機嫌を損ねちゃ駄目よ、ベアトリス――――はぁ、交換とかじゃ駄目なのかしら。」

「とりあえず……今日は、無礼講ですからね、パンドラ?」

はぁ、と何やら複雑な表情を浮かべながらベアトリスはトマスの声に背を押される様に歩き出す。
一体、誰に出会うのやら。願わくば荒波立たずに対応の困る人間(変態)に出会わない事を祈るばかりだ―――。
514 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/16(土) 21:12:38.00 ID:mGV9XWSro
>>511
「何がバレンタインよ……ばっかじゃないの?」

トマスの開会宣言が行われた場所から少しだけ離れた公園。
クリオネはこの馬鹿らしいイベントに参加していた。

いつかお姉様に渡すための練習でチョコレートを作っていて、その流れで参加してしまったイベント。
しっかりチョコレートの箱を持ってイベント会場まで来たのは、意外とクリオネが真面目な性格をしているからかもしれない。

コミック本サイズの箱を片手で上に軽く投げたりしながら、冬の夜に対戦者を探す。

「ってか、そんなに知り合いも居ないし私狙われないんじゃない……?」

このままタイムアップ直前までぶらぶら散歩でもしていれば、少なくとも一個は確保できる。
そして、最後にトップの奴を襲えば勝利だ。

敗北すれば、優勝者にラブラブチョコを渡すことになる可能性がある。
100%ではないが、その可能性があるのなら負けるわけには行かない。
515 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/16(土) 21:13:41.59 ID:4HIzh9ZWo
>>511
「バトルロワイヤル・・・生き残れば賞金10万・・・。」

茶髪の長身のローブを羽織った、魔術師らしき風貌の青年が
一人、ごちた。
分が悪いのか、良いのかと聞かれれば微妙だろう、なにせ
一人倒せば10万ならまだしも、「生き残れば」なのだ、ここがネックだ。
とはいえ、欠金である今は手段は選べまい。

(・・・まぁ、なんとかなるだろう。)

いつからこんな雑な性格になったのだろうか、自分は。
(いくぞ―。)

一人、チョコではなく賞金目当ての魔術師は、持ち前の杖をもち
修羅と獣溢れるこの町を散策しようと、踏み出した。

フェイントでできるだけ魔術師っぽく―。
516 :シンラ/黒ローブの生物2013/02/16(土) 21:18:03.34 ID:xXGYLEjX0
「十万円...十万円十万円十万円......!
バレンタイン過ぎてからみんなに会えてないし...
手作り一個じゃこころもとないけど...!」

街中をかける黒衣のナニカ
獲物をさがし駆け回る

全ては、まぁ、ぶっちゃけおかねのために!
517 :大神 恭子/異端審問官2013/02/16(土) 21:20:31.49 ID:dmOKMaXro
「過激なのは……好みではないが」
楽しい(?)お祭りの最中を、少々複雑な気持ちで歩いている。
所属している組織の名を冠して出来事でなかったら、間違いなく今この場には居なかったであろう。

「とはいえ、人の心に活気が戻るのは良いことだが――」
どうにも、主催者の目論見が別のところにある様子なのが気がかりであった。

透明な袋の口を輪ゴムで閉じただけという安っぽい袋ながら、しっかりとチョコレートも自作してきている。
「グチグチ言っていても仕方が無い。……やる、か」
決意を改めて、雑踏の中へと歩き出した。
518 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/16(土) 21:23:21.05 ID:MpEm0wAd0
>>511
 バレンタイン。
 男の生きていた頃、そんなイベントはついぞ経験しなかった。
 彼の出生国、かつての一次大戦で敗戦し、多額の賠償金と汚辱をかぶらせられたドイツ。
 貧困と他国へのコンプレックス。そのなかで培われた鬱屈した向上心は、若者たちからどれだけの青春を奪ったのだろうか。
 
「あれから、もうそろそろ90年、か」
 
 1944年の極寒。閉ざされた雪の地獄と、押し寄せる赤軍。
 白き雪原を同胞と敵の屍で埋め、流された血は雪を溶かして大地を染める。
 そこで戦い、命を落とし、ついぞ報われることのなかった戦友たち。彼らの屍は吹き付ける風にさらされたまま、埋葬すら許されなかった。
 懐かしい仲間の面影を幻視して、男――ヴェルナー・シンクレールは拡声器ががなり立てる女性の声に意識を向ける。
 
 眼前に戦いが迫っている。
 日本という東洋の神秘を内包したこの国独特の『バレンタイン』が、ヴェルナーの120年の人生のなかで、恐らく今までに経験しえなかった戦いが。
 闘志は十分。体力も十分。
 そして野望も、十二分に満ち足りている。
 
 聞けば日本のバレンタインは恋愛関係あるいはそれに近い感情を持つ男女にとって特別な意味があるという。
 ヴェルナーは思う。自分の生前の何と味気なかったことよ、と。
 貧乏な魔術師の家にまれ、軍に入り、女性とかかわることもなく訓練に明け暮れた青春。
 成人したとて、自分は女性に声をかけることすらしなかった。
 その分、今日、この場を楽しもう。死んでいった仲間の分も。今こうしてここに立っている幸福をかみしめて。
 目指せ、チョコレート。できれば女子のものを。
 立ちふさがる者あらば実力を持ってこれを排除せよ。
 味方などいない。ここはこれから乱戦の場となる。
 
 身に着けた機甲服は、寒風の中で兵器の鈍色を放っている。
 かつて戦場でともに駆け抜け、そして自分とともに死滅したはずの、『人ならざるモノ』の姿。
 ただ昔と違うのは、顔を覆う面をつけずにその鋭い眼光をさらけ出していることか。
 腰にはチョコレートで自作した弾薬箱。手には非殺傷のゴム弾を充てんした相棒、MG34。

 女性の声が、拡声器で戦の開始を告げる。
  ヤーヴォール 
「 了 解 !」

 ヴェルナーは一人、周囲とはどこか異質でずれきった闘志を胸に、雪の街へとその黒衣を疾らせた。

 
519 :シフォン チョコと金と職に飢えた旅人[saga]:2013/02/16(土) 21:25:41.36 ID:cbgtxxWbo
>>511
バレンタイン、様々な文化にふれていれば、
おのずとそういったイベントの話も耳に入れることとなる
恋人がチョコを手渡す日、と少年は聞いていた
バレンタインにまつわる話も、また耳に入れていた

聞いた話によれば、この日はもっと輝いた日として受け入れられていると聞いていた

しかし、少年にとっては文字通り地獄を見る日であった
それを聞いてしまった旅仲間の作る新作チョコの実験に付き合わされて
その記憶に焼き付けらたのは忘れ去ることすら叶わない、悪魔の味

バレンタインのことを血のバレンタインデーと呼んでいる、
黒髪で中性的な顔立ちの少年がこのイベントに参加した理由

それはおいしいチョコレートを食するため、そしてバイトを探すため
できれば賞金のため

そんな思いを胸に、夜の街を彷徨う
人一人を殺しかねない、そんな旅仲間から預かったチョコレートを握りしめて
その先で出会うはチョコか獣かそれとも……
520 :トマス【L.M.G異端審問副官長】──銀短髪[saga]:2013/02/16(土) 21:26:48.14 ID:766aOIFZo
>>515
普遍が少しでも異変すると、案外気づきやすい者なのだ
特有の雰囲気と言うものがあり、俗に言うオーラの様な物
今のトマスはそれに当たる。短い髪を動きやすい様にと後ろで縛り、動かないようにする
髪は女の命と言うが、トマスの場合はケアをしなくてもそれなりに清潔さは保てる体質
本当にそんなものが有るのかは分からないが、トマス自体面倒だとそれで納得しているつもりらしい
と、そのトマスがいつしかロンドン塔で出会った未熟な青年──名前はどうだったかは分からないが魔術回路についての研究を授けた者──と出会った
トマスはその伏目で青年を値定めでもするように見つめると、ため息一つ

「まだまだ、ね……それじゃぁ私のチョコレートは渡せないわ」

トマスの傍には一冊の浮遊する辞書に乗っている可愛らしいハート形の包みに入れられたチョコレートらしき物
口の端を吊り上げて挑発するように、見定め買わないことを決心した者の様に、踵を返して背後を見せた
521 :葛葉[saga]:2013/02/16(土) 21:28:58.33 ID:1cCIhT/3o
>>513
「さッ、儂にチョコをよこすのじゃ、そこのおなごよぉ――ッ!!」

びしり、と大神に指を突きつけ叫びを上げる一人の人影。
紫色の髪の毛はアップにまとめられており、動きやすくなっていた。
平時は紫色にカモフラージュされている瞳には金色の光が過ぎり。

「別に、チョコじゃなくても愛が貰えればそれでもいいんじゃぞー!
 ぎヴ・みー・ちょこれーとなのじゃ!」

身も蓋もない事を叫びつつ、両の手をわきわきと動かせてにじり寄ってくる幼女。
なんとも気の抜ける光景。だがしかし、その体捌きは並大抵のものではない。
この変態、実力者だ。
522 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 21:35:19.76 ID:PyufuhdKo
>>521
/レス間違い、ですかね?大神さん宛でしょうか……?
523 :葛葉[saga]:2013/02/16(土) 21:36:37.73 ID:1cCIhT/3o
>>522
/*うごげァ! ごめんなさいー! ベアトリスさん宛です申し訳ない!*/
524 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 21:37:34.03 ID:PyufuhdKo
>>523
/了解致しましたっ では暫しお待ちを……
525 :クリオネ 人形使い 人形:1体[saga]:2013/02/16(土) 21:37:37.40 ID:mGV9XWSro
>>517
まずい……他がつぶし合うまで自分は参加しないはずだったが、参加者であろう人物を発見してしまった。
こうなったらクリオネの性格上、スルーするという選択肢は無い。

生死が関わらないのであれば常に面白そうな選択肢を取るのだ。

物陰に隠れたクリオネは、一体のドールを生成する。
中年太りの禿オヤジ……普通の女の子なら真っ先に避けるべき対象だ。

(ふっふっふー、キモオヤジにたじろいでいる間に……)

「お嬢ちゃん……お、おじさんにチョコくれないかなー」

下品な笑いと共に正面から話しかける。
526 :シフォン 旅人[saga]:2013/02/16(土) 21:42:44.46 ID:cbgtxxWbo
>>513
そんなこんなで街を彷徨っていた少年
そしていかにもやる気のなさそうな、しかし口ぶりからして参加者らしい女性が目に映る

「すみません、少しいいですか?」
目上の相手らしいので、敬語を使い、そう声をかけるのは、
黒い髪の、顔立ちにはあどけなさを残す少年

別にこのチョコさえ手放せられれば、交換でも構わない
そんなことを思いながら
527 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 21:47:32.84 ID:PyufuhdKo
>>521

「ひっ…………っ!?」

びくん、と身体が思わず竦んだ―――声の主は、幼い少女か?
耳を済ましつつ、声のした方へと向き直る。肌に突き刺さる様な感覚が危険を告げていた。
声の感じからすれば決してそう危険分子ではないのだけど――――あぁ、これ危ない人(変態)だ。

「えっと……確か、副官長の説明で―――賞品と罰ゲームが、えっと」

聖女、回想中―――回想終了。罰ゲームはともかく、優勝賞品の10万は魅力的じゃないか。
だとすれば無理矢理参加させられたイベントであろうと、全力でやるべきではないだろうか。

そう、全ては10万円の為―――果ては教会の修繕費の為に!!

「断りますっ!私には使命がある……ですので、貴女には渡せ、ひっ!?」

キッ、と顔つきが変わる。そうだ、新たな住人も加わったあの教会の為に戦わなくてはならない。
それに副官長様も喜んでくれるに違いない。そう息巻いたのだが、近づく変態色のオーラに思わず見を縮こませた。

かたーん、と白杖を取り落とし、危うくもう片方に持ったハート型の包装されたそれを抱きかかえて守る。涙目です。
走れば揺れ、甘ったるい匂いすら放つ豊満な胸に抱かれたそれは―――勿論、手作りだ。
528 :大神 恭子/異端審問官2013/02/16(土) 21:50:40.50 ID:dmOKMaXro
>>525
「……」
声の方へと振り返る。しばらく、無感動な瞳で相手を眺めていた。

「こいつが欲しいならば、力尽くで奪い取ってみせろ。
というのが、今日のルールだろ?」
ふぅ……。と、一呼吸を置き、挑発的な目をしながらオヤジを見返す。もちろん、その招待には気がついてはいない。

左手で右腕の手首を掴み、右の腕を裏、表と素早く動かす。
黒いグローブに光が反射するだろう。

「さあ、行くぞ」
そんな風に、いつの間にかやる気が燃え上がっている様子であった。
529 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/16(土) 21:51:51.66 ID:MpEm0wAd0
>>516
 雪の街を疾駆する、黒い獣。
 檻から解き放たれた猟犬さながらに、獲物めがけて大地を駆る。
 
 その視線が、街中を同じように走り回る黒衣に目を止める。
 敵だ、と。すでに意識を手放して戦闘のための思考に切り替えた脳が、その黒衣を瞬時にカテゴライズする。

 Q.敵にあったら?
 A.見敵必殺!

 即断即決、もはや狩人と化したヴェルナーはMGを抱え、身を包む装甲をこすり合わせながら跳躍、少年の進行方向へと滑り込む。

 目的は女子のチョコなどという痛々しい120歳童貞魔法使いは、久しい戦場のにおいに毒されすでに初志を忘却の彼方へと投棄していた。
 今の彼はチョコのみを目当てに動く一つの機械に過ぎない。

「待たれよ、少年」

 なんともまあ、痛々しい話である
530 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/16(土) 21:52:19.74 ID:4HIzh9ZWo
>>520
「―!その声は・・・。」

聞き覚えのある声、あの崩壊したロンドン塔で聞いた、魔術が
使えぬ自身を掬い上げてくれた、恩師。
なぜ、こんなところに―。そうか、これはLMG主催・・・。

ウィズは、先ほど声をしたほうを振り向く。おなじみの辞書と
そしてその上に載っているチョコレート。そして、結ってある短い銀髪
の背後。

「なんで―。」

背後を向いている、声をかけて向いているというのは
自身が、戦うの価しない、そうか、見定めか。
「確かに、自分はまだ魔術の一切も使えていない。」

けれど、今でも、少しくらいは、何かを得ている
はずだ。だから―。
「命懸けで、獲りに行きます―!」

金とチョコレートを―!
杖をバトンの如く、数回回転させ、そのままトマスの元へと
駆ける。
ただ、今の彼は、あまりにも彼らしくなく感情的。しかし、前とは違い
『喰らいつく』という意気があった。

531 :葛葉[saga]:2013/02/16(土) 21:54:40.16 ID:1cCIhT/3o
>>527
「ぬっふふー……、良い度胸をしておるのう……!
 この日の為に油揚げで妖力を練り上げた儂に死角はな……、ぼよんぼよんじゃの!」

相手の視線を真っ向から受け止め、強い視線を返す変態。
そして、じりじりと近づいていったその直後、チョコレートを抱きかかえる相手を見て、ずきゅーん、と心を打ち抜かれた。
視線の方向性と、その鼻息の荒さ、コメントを考えれば理解できるかもしれない。
要するに、ぼよんぼよんをばよえーんとしたかった、それだけだ。

「うぐぐ……、ぶっちゃけ遊びの為にチャリで来た儂とは覚悟が違うのう。
 じゃが、儂だって女の子とか男の子ときゃっきゃううふしたいんじゃよ!」

そう言うと、びょーん、と飛び上がってベアトリスの目の前に着地。
両の手をわきわきと蠢かせると、ほれ、と何かを付き出した。
和紙で包まれた、まるで和菓子のような包装のチョコレートだ。
にこり、といい笑顔を浮かべて、チョコレートを差し出しつつ。

「折衷策を提案したいんじゃが、お主のチョコと儂のチョコ、交換しないかの?
 最終的に誰のももらえなくて自分の食べると悲しいしの。これなら互いに傷は無いしのう。
 どうかの?」

要するに、葛葉は誰かのチョコレートが欲しくて。
それを達成しつつ、相手を傷つけない策をこうして提案するのであった。、
532 :クリオネ 人形使い 人形:1体[saga]:2013/02/16(土) 22:02:07.77 ID:mGV9XWSro
>>528
(あんまり気持ち悪がらないね……てか武人みたい)

ドールの眼を通して大神の様子を見る。
たじろぐどころか完全に交戦状態になっている。

それならと、街特有の小道を使用して、大神の後ろに出れる道に行く。
挟撃作戦だ。

『ぐへへー、後から後悔しても遅いんだよー。うおー』

適当なことを喋らせて、ドールに突撃させる。
両手を大きく広げて大神に抱き着こうとするのだ。

「今だっ……!」

小道を使って大神の背後に回り込んだクリオネは、ドールの突撃と同時に大神へと走る。
手には生成したロープを持っていて、ドールが抱き着きに成功して動きを封じたらそのまま縛ってしまう算段だ。
533 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 22:04:29.80 ID:PyufuhdKo
>>526
/複数はまずそうなので、今回は申し訳ないっ

>>531

「―――――――っ!?」

ぼよんぼよん―――その擬音はまさしく自分の胸の事を言われてるのだろう。
シスターとはまさしくそういう事柄に耐性がないイメージが付きがちであるが、まさしく。
そう、まさしく彼女も耐性はない。故に顔が真っ赤である。セクハラには弱いベアトリスであった。
思わず、胸を隠す様に身体を背けておどおどと震えていた。心臓の音が鼓膜を揺さぶる。

「そ、そうなんです。私には今、お金が必要なんです……で、ですからこのチョコはっ」

「渡せませ」と途中まで言いたくて、言えなくて。目の前に飛び上がり、着地する気配を感じた。
怖い、何が怖いって凄い邪悪な動きを感じた。というより先の言動と動きで先入観が云々。

だが、彼女の口から次いで紡がれた言葉はあまりにも優しい折半案で。

「………も、勿論!それならいいんです。ふふ、ごめんなさい、怖がってしまって」

「そうですね、やっぱりチョコは交換するものです。奪い合うなんてそんな……あの、お名前を聞いても宜しいでしょうか?」

「私の名前はベアトリス・セイクリッドと申します。お口に合うか、わかりませんけど……」

にっこりと満面の笑みを浮かべて頷くベアトリス。膝を折って、彼女の身長に合わせつつ胸元に抱いたチョコを差し出す。
交換にと彼女が差し出した和紙で包まれたチョコレートを受け取る。なんとも平和的な解決策―――地獄から一転、天国と言った所でしょう。
534 :トマス【L.M.G異端審問副官長】──銀短髪[saga]:2013/02/16(土) 22:08:19.39 ID:766aOIFZo
>>530
青年、魔術師の卵の彼の力量はロンドン塔でじっくりと感得させて貰ったし、成長度の高さも見せてもらった
大器晩成型、というより成長が杭か何かで桎梏されている様にも思えた
彼に何があるかは分からないが、爆発力、成長が始まればそれは彼を広い範囲に渡って多い尽くす事であろう
杖を持って突っ込んでくる彼を評する様に、見下すトマスは再び後ろ髪に触れ、縛った先端を優しく包み込むように持つ
その前に本を遠く、ビルの屋上へと飛ばして避難させた
相当な距離だし、人気も無い場所なので横取りの心配は無いと言って良いだろう
トマスは片足を後ろにやり、深く腰を降ろすことによって助走の準備を始めた
身体能力は皆無だと云うのに──何か訳があるのか
青年はこの事を、前回のロンドン塔での戦いを通して普遍ではない事を確認する事ができるだろう

「行くわよ?」

問いかけるようにして言えば、右足を軸として左足の力を刹那入れ、そして力を抜けば軽く一回転する
伴った身体は何も変わらないが、ただ一つ変わるところがあった
後ろ髪の先端。結ばれた先が長くなって銀長髪となっている
纏う雰囲気が濁流の様に激しく変わる──これは近づいてはならない者に与えられる特有の殺気

「来なさいよ」

言えば、再び腰を降ろす。今度は近づいて来たところを右足を軸とした左足での全力の蹴り
横薙ぎの踏襲が青年を襲うことになるだろう
535 :あまつき・しんこ / 女の子だよっ[sage]:2013/02/16(土) 22:09:26.66 ID:xXGYLEjXo
>>529
>>529

「あぅ...わたしになにかごようですか.....?
わたし...力が無いので逃げ回っていたのですが.....
もしや、貴女も敵ですか!? 」

男に道を阻まれた黒衣のナニカは するりとフードを下ろし
その貌を露にさせた...が
結果として言おう、アランの判断は間違いであると

黒衣のナニカは 少年ではなく 少女であった....


「ぅぅ...わたしお姉ちゃんのためにも負けるわけにはいかないのです.....ぐすん...」

茶色のショートヘアを部分的にピンで止め
動作に会わせて猫っ毛がふわふわと揺れる少女は
その瞳を涙に潤ませながら 小さく 震えていた
536 :葛葉[saga]:2013/02/16(土) 22:11:36.14 ID:1cCIhT/3o
>>533
「ぬふふー! ぼよんぼよんなシスターさんからチョコもらったのじゃー!」

もらったチョコレートを、ほんとうに嬉しそうな顔で眺めつつ、ポーチにしまい込む変態。
ぱっと見なら只の小学生にしか見えないため、その絵面だけならば微笑ましいものだ。
ただし言動や気配から色々とアレな気配がほとばしっているためどうしようもなく現場は恐ろしいのだが。

「そうじゃのうー、やっぱり強姦より和姦の方が精神的にも良いしの。
 おっと、シスターさんじゃったな。えっちぃ話題は苦手そうじゃのう……、むしろワクワクしてくるのじゃが」

にたり、といい笑顔を浮かべる葛葉。
どうやら、肉体的にではなく、言葉でベアトリスを責めるようだ。
純真な女の子に色々と色々な事を吹きこむのもまたロマン、だめだこいつはやく何とかしないと。

「儂は葛葉。
 花丸商店街の振興組合長じゃの、よろしくなのじゃベアトリス!」

そう言って、小さな手を差し出す葛葉。
たおやかな白魚の手は、先ほどアレな動きを生み出していたとはとても思えない。
537 :大神 恭子/異端審問官2013/02/16(土) 22:15:48.22 ID:dmOKMaXro
>>532


「い、っはあ!!!」
気合いを込めた声を響かせ、
一度、自分のお腹の辺りまで膝を引き上げ、そこからオヤジの大きなお腹に狙いを定め、真横にストレートキックを繰り出した。

問題なく当てられると踏んでか、威力を重視した過剰なほどに大ぶりな蹴り。
その分、攻撃の速度や与える衝撃は非常に大きい。足が風を切る音も僅かながら響く。
仮に腕でガードしたとしても、『ズンッ』という重く鈍い音が響き渡るだろう。
適当な防御では体勢を保つ事も難しそうな一撃である。

動きはどこか大ぶりで、余裕を持ち過ぎている。
背後からの接近には気がついていないようだ。
538 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 22:22:02.02 ID:PyufuhdKo
>>536

「あの、その言い方は……ちょっと……」

どうやら彼女に悪気はないし、彼女なりのジョークなのだろう。
だけど、やっぱり直接的な卑猥な語彙は苦手である。胸を片手で隠しながら苦笑する。
気配から察するに小学生くらいの身長なのに―――うん、世界は広いです。

「〜〜〜〜〜〜っ!ほんとに、そういう発言していると返してもらいますよっ!?」

「ほんとに、まったく、もう……あまり、大きな声でそういう事を言ってはいけません」

いつもなら説法を長々と説く所である。いや、この子はきっと聞かないんだろうな。
若干というよりも結構引き気味の表情で、やはりベアトリスは苦笑していた。

「はい、葛葉ちゃん。私はL.M.G.に所属しています。小さいのに、組合長さんなんですね」

凄いですねぇ、と柔和な笑顔を浮かべてベアトリスは葛葉の頭を撫でようとした。
なんだかんだと言ってもシスター。優しい聖女を地で行く彼女はセクハラ発言も不問としていた。
とはいえ子供扱いをしている。もし、そうされるのが嫌いなのであれば――少しばかり失態。
539 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/16(土) 22:22:08.26 ID:MpEm0wAd0
>>535
 銃口は油断なく敵を捕らえ、鋭敏な殺気を宿した視線は照準をひたと見据える。
 鍛えた肉体は戦うためのものである。
 肩幅に開いた足は高機動と反動制御。
 ストックを抑える肩は銃を固定し、グリップやバレルを握る手はただ敵をその歯牙にかけるために。
 錬鉄のごとき意志と極限まで特化された身体。
 その二つさえあれば、迷いなどなくMGは敵を撃ち抜く、

――はずだった。はずだったのだ、がだ

「ヴぇ?」
 
 思わず珍妙かつ情けない声が漏れる。
 自分が少年だと思った敵は実は少女であったというのもさることながら、いたいけなその容貌に引鉄にかけた指がひくんと痙攣する。
 
 まず熟考。
 相手は女子である。男子ではなく、女子である。
 それも随分と愛らしい少女であって、こちらに恐れをなしたのかふるふると震えている。
 
 いやまてそれがどうしたというのか。立ちはだかる障害は武力によって排除せよと決めたはずで――
 そこでヴェルナーはある事実に気づく。自分が目的を果たすためには女子に銃を向けねばならないという事実に。

 想像してみよう。黒い機甲服の機関銃男が、少女に銃を向けチョコを狙う姿を。
 はっきり言って犯罪者、変態のにおいすら漂いかねない。
 
「ちょっとまて、わたし。ならばいったいわたしは何のためにここへ来たのだ……いやまてやはり女児に銃を向けるわけにはいかない……後味が悪いぞ、どうする。どうすればいいんだ……」

 なんでそんなことに気づかなんだ、と。
 自分の愚かさ加減とその甘さに打ちひしがれながら、ヴェルナー・シンクレールはかの有名な「考える男」像のような姿勢でうんうんとうなり始める。
540 :クリオネ 人形使い 人形:1体[saga]:2013/02/16(土) 22:24:29.33 ID:mGV9XWSro
>>537
『うぎゃーっ』

汚らしい叫び声と共に、ミドルキックを直撃させられたドールは大きく吹き飛ぶ。
近くの壁に激突し、その動きを止めた。
ドールはその力を失い、徐々に光の粒子となってその姿を消していく。

(マジ……? 蹴り強すぎない……?)

対して魔力を込めていないドールとは言え、一発の蹴りであそこまで吹き飛ばすとは……

しかし、自分に対しては無警戒。
これは勝機!

「迂闊だねっ!」

抱き着きは失敗したが、接近は完了した。
クリオネは持っているロープを大神の上から前に回し、そのまま腕ごと胴体を縛ってしまうつもりだ。
541 :葛葉[saga]:2013/02/16(土) 22:28:18.93 ID:1cCIhT/3o
>>538
「そ、それは困るのじゃ!
 ロンリーヴァレンタインの埋め合わせをしなきゃ儂、らぶらぶ成分抜けて死んでしまうのじゃ!」

セクハラとイチャラブ成分と女体と男体は葛葉の日常の潤いの要素だ。
そして、此処の所はセクハラ分は満ちていたのだが、イチャラブ成分が抜けていた。
だからこそ、こう――気持ちの入ったチョコレートが欲しかったのだ。
それを返せと言われれば、それは最早死活問題。商店街の存亡に関わるレベルの大問題だ。

「うぇへへへー、コレでもきっちりやっているのじゃようー!
 もっと褒めてくれると嬉しいのじゃ!」

頭を撫でられれば、先ほど説教されたのを忘れたように、歳相応(?)の態度を取る。
そのままごろにゃん、と狐の癖にぎゅう、とベアトリスに抱きつこうとするだろう。
もし抱きつければ、そのまますりすりと頬ずりをしてくる。動物の子供のようななつきっぷりだった。
まあ、密着して見えない表情は、してやったりと激しくゲスい表情なのだが。
542 :大坂澪2013/02/16(土) 22:29:31.01 ID:Xknnxiv90
「さて…遅ればせながら、バレンタインにかこつけた実験台探しを…」

料理は得意。…でも、実はチョコレートは作ったことがなかった。
そんな彼女が初めて作ったチョコレート。
わざわざ板チョコを溶かして四苦八苦したシロモノだ。
ついでに賞金も出るということで、店の足しに…と目論む。

そんなこんなで彼女はチョコレートの実験台探しに街をさまよいだした。
543 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/16(土) 22:31:27.75 ID:4HIzh9ZWo
>>534
―構え?

おかしい、ロンドン塔では結界を張り、自身に有利な状況を
構築した上で、遠距離の攻撃を仕掛け、自身への危機を最小限に抑える―いわば策士のような戦い
方であったはずだ。

「っ―!」

彼女には間違いなく似合わない、彼にしてみれば違和感がある
ような、体術的な動き。
結われた銀の長髪。そして、先ほどとは違う、噴出す
かのような殺気。
だが、身体能力には代わりはない、フェイントと
考えるのが妥当。そのまま突っ込む―!

そのまま杖をもち、後ろにへと回転させて、勢いをつけトマスを杖で
打とうした時に横からの殺気とともに襲い掛かる、先ほどの行動を
写したかのような横薙ぎに、あっけに取られた。

まさか―。

「本当にするなんて」という衝撃とともに、青年は脚を文字通り『掬われた。』
とはいえ、このままで終わるわけはない、そのまま杖を地面に、埋めるかのように
打ちつけ、それを軸にして、掬われた際の高低を利用してそのまま体の重心を
トマスに向け、そのまま蹴りを放つ。

才能頼りの荒業。蹴りをかわし、
その軸である杖さえ掬えば彼の仕切りなおしを阻止できるだろう。
544 :あまつき・しんこ / 女の子だよっ[sage]:2013/02/16(土) 22:33:25.22 ID:xXGYLEjXo
>>539

「大丈夫ですか...? 何だかつらそう.....
わたしの胸もちくちくします...... あ、もしかしてチョコをもらいにきたかた? 」

潤んだ瞳を徐々に輝かせながら
こくりと 小動物のように首をかしげてみせて


「でも...うぅ...今はチョコはあげられません...後日ならわたしの手作りもあげられるのに......

おにいさま...? 今はあめちゃんで我慢していただけませんか......?

はい、あ〜ん」


ふわふわと 猫っ毛を揺らし
何だか甘い香りを仄めかせながら
柔らかな笑みを浮かべるしんこは

右手にココア味のキャンディをつまみ
自分よりもずっと長身の男の口にいれようと......

「うーん! うーん!
あぅぅ...とどきません...
おにいさま...ちょっと屈んでくれたら......」

爪先を伸ばすもやはり届かず
男に抱き付くような体制で転んでしまい

涙目になりながら 上目遣いで問うてみた
545 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 22:37:31.64 ID:PyufuhdKo
>>541

「もう、それならそういった発言は自重してくださいね……?」

煩悩を表に出し過ぎると碌なことにはならないとベアトリスは言う。
彼女自身、所属するL.M.G.にすら確かにそういった部類の思考は持ち合わせる事もあるだろう。
それでもそういう風に表出して、というのは中々見ない―――やはり、苦手である。

葛葉の言葉に深刻な思いが見えたので、ベアトリスはそれ以上は何も言わなかった。
彼女は純粋に手作りのチョコが欲しかったのだろう――うん、私のチョコが彼女を幸せに出来たならそれで良い。

「あら、甘えん坊ですね……はい、葛葉ちゃんは凄いですね。良い子ですね」

「これからも頑張ってくださいね。たくさんの人を楽しませて、幸せにしてあげてくださいね?」

抱きついてくる葛葉を拒否する事はなく、こちらも暖かく抱擁する。ぎゅう、と抱きしめられれば密着する身体。
ふわり、と香水を付けない彼女の身体から香りが漂う。安堵を齎す様な、鼻孔を擽る香りだ。
葛葉の要望通り、彼女を褒めてやる。頭を優しく撫でながら、ベアトリスは微笑んでいた。

盲目である故、表情は見えない―――だから、葛葉がとんだゲス顔をしている事なんて露知らず。
自身の豊満のそれを押し付けている事になっているが、彼女が先の説教で静まっていると”信じて”いた―――。
546 :大神 恭子/異端審問官2013/02/16(土) 22:37:44.86 ID:dmOKMaXro
>>540
突き出した足を、無言で戻す。
遠くへと吹き飛ぶオヤジを見れば、本の少しだがスッキリとした気分であった。

「何?」
蹴飛ばした男が、光だけを残してその姿を消す。その姿を見てやっと何かがおかしいと思い始はじめる。

それから目を細めて意識を集中し始めたのと、クリオネの「迂闊」と、いう言葉が聞こえたのがほとんど同じ瞬間。
「抜かったか……ッ」
別の相手の存在に気がついた時には、既に身体にローフが巻きついていた。
547 :シフォン 旅人[saga]:2013/02/16(土) 22:37:56.35 ID:cbgtxxWbo
>>542
「ああ、このチョコレートをさっさと手放したい……
……あ」

いろいろあって街を彷徨う、黒髪のあどけなさを顔立ちに残す少年
そして実験台を探す女性を見つけて

「……ちょっといいですか?」
ようやく見つけた手の空いた人間、そして少年はそう声をかける
548 :葛葉[saga]:2013/02/16(土) 22:43:24.41 ID:1cCIhT/3o
>>545
「うへへへへぇ……」

緩みきった笑い声と表情で、葛葉はベアトリスにしばし抱きつき続けて。
くんかくんかすりすりもふもふぽよぽよひとしきりした後に、ほふぅ、と満足気に息を吐きながら体を離す。
ご満悦といったところだろう。もう、こうふにゃふにゃになった骨抜きっぷりだ。言うなれば『ほぼイきかけました』だ。

「ありがとの、これで儂もちょー満足なのじゃ!
 ベアトリスのわがままぼでぃで儂も幸せじゃからの! チョコのおまけに商店街振興券じゃ!
 遊びに来てくれたら儂がベアトリスを幸せにしてやるのじゃよ! 美味しいご飯と優しい人たちが沢山じゃから!」

微妙にゲス要素というか、突っ込みどころは有ったものの。
このままいい話で終わらせようとしている狐が居た。文字通りこの狐、狐に摘もうとしている。
お互いにがんばろうの、とぴょん、と飛び跳ねて小さな手でベアトリスの頭を撫でようとして。
しばし頑張った後に、振興券1000円分を握らせると、じゃーのー! と手を振って次の犠牲者を探しに行こうとするだろう。
549 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/16(土) 22:46:41.68 ID:mGV9XWSro
>>546
「あっはははははは。マヌケ過ぎ」

大神を縛る事に成功したクリオネはとても満足そうだ。
これで大神の腕を封じることが出来た。

何重かに巻かれたロープから一本長いロープが出ているような形で、首輪ならぬ胴輪のようになっている。
その一本出たロープを右手で握っている。

「何が言いたいか……分かるよね?」

口元を歪ませながら右手で握るロープを軽く引っ張る。
要はチョコレートを渡せ、さもなくば……
というお決まりのパターンだ。
550 :トマス【L.M.G異端審問副官長】──銀長髪[saga]:2013/02/16(土) 22:47:04.17 ID:766aOIFZo
>>543
今目の前で行われている動作は、今のトマスは何度も見た──否見てきた、と言った方が良いだろうか
何度も何度も歴史を彷徨う内に戦争を繰り返し繰り返し、そして戦いの術を得てきた
今のトマスは本来のトマス・デ・トルケマダという霊が、南兵庫黎明の体を完全に乗っ取った状態
つまり、今ここで表現するのならばトマスが行動しているのではなく、黎明が行動しているということになる
黎明はトマスを欲した。故に彼女はトマスと名乗り
トマスは黎明を欲した。故に彼女は黎明と名乗る
黎明とトマスに共通するのは圧倒的な情報量の多さ──帰納法
黎明は身体能力と帰納法を活かすことによって異常とも取れる行動を成す事が可能だ
だがしかし、黎明は甘んじて青年の攻撃を受けた
それは痛みの軽減と次の行動へと転じるため防御の姿勢に特徴を持たせる為でもある
攻撃が当たるであろう腹の辺りと足元に手を当てる
しかしそれをするためにはこの伸び切った体をどうにかせねばならない

「……!」

先程の外した蹴りに体重をかけ、一気に一回転すれば、それと同時に青年の蹴りが腹の方に当てた腕へと吸い込まれる
姿勢が姿勢なだけに後ろへと後退り、衝撃に耐えきれず押し倒されてしまった
だが足を捉えようとしたお陰か青年も一緒に倒されるかもしれない
つまり青年は黎明に馬乗りになっている状態になってしまうということだ
この危機にどう対応するのだろうか
551 :大坂澪2013/02/16(土) 22:48:07.48 ID:Xknnxiv90
>>547
「はいはい、何でしょー?」
(キタ!実験台!このチョコレート団子餅、とくと味わってもらおう!)

いつも通りの明るい声で、返事をする。
手には、チョコレート団子餅なるものが。…味見はしてない。

「えーっと、チョコレートを交換してくれるん?」

少年に問いを投げかける。はいと言われれば、このチョコレート団子餅を交換するだろう。
552 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/16(土) 22:48:34.76 ID:O21Z7Jn+0
>>544
「なんと……なんと……こんないたいけな少女に銃は向けられない……たとえチョコのためであっても」

 純真で、そしてうるうると湿った輝きを帯びた瞳がこちらを向いている。
 そこにかさねて、首をかしげる動作。現代における萌えだのなんだのと無縁のヴェルナーであったが、その威力は絶大。
 かつて赤軍の大群に機甲服ひとつで挑みかかった歴戦の勇士は、少女の動作ひとつで完全に破壊された。
 
「…………しかたないさ、そういうルールの争奪戦なんだから
 ………………はは……飴? 大好きだよ、あめ」

 胡乱な目を鈍色の空へさまよわせ、ヴェルナーは自嘲の笑みとともに低く押し殺した笑い声を漏らす。
 みなぎっていた戦意が瞬時に喪失され、冷静さを取り戻したヴェルナーは、目の前でココアキャンディーをつまんだ手を伸ばす少女を見やる。
 
 残念だが敗北も致し方あるまい。
 というより自分はいったい何を考えてあのようなテンションでいたのかがすでに思い出せなくなりつつある。
 
 無理な体制がたたって転んだ少女を抱きとめると、ヴェルナーは言われた通りにひざをついて屈んだ。
 思考の冷静な部分が罠を疑えとがなり立てていたが、それがどうしたというのか。
 ここでしゃがまねば後悔するような気がして、ヴェルナーは一切の勝利をあきらめる。
553 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 22:50:15.83 ID:PyufuhdKo
>>548

「んっ……ちょっと、こそばいです……よ?」

あんまり動かないで欲しいです、ともぞもぞと身体を動かしながら頬を赤らめた。
見えないが、見えないが明らかに何か匂いを嗅がれたり揉まれたりしてる気がする。
とはいえ勘違いだと申し訳ないし――そうこうしていると葛葉は離れて。

「ふ、ふふ、満足してくれたなら良かったです―――あら、良いんですか?」

「優しい人が……えぇ、是非また伺いますよ。んっ、それじゃまた会いましょうね」

漸くこそばい感覚から解放されてやや息が切れ気味であったが。
葛葉が喜んでいると感じたのでそれで良かったと微笑む―――握らされた復興券に更に微笑み。
優しい人ばかり、と商店街を誇りに持つ葛葉が眩しく見えて。

頭を撫でられ、微笑から恥じらう様な満面の笑みに変わる。狐につままれたとは思っていないようだ。
また、と別れを告げながらベアトリスもまた落ちた白杖を手に歩き出すのであった―――。
554 :シフォン 旅人2013/02/16(土) 22:52:37.15 ID:cbgtxxWbo
>>551
「……てっきり襲われるものだとばかり」
力ずくで奪われることを覚悟していた、そんな口ぶりである
その黒い瞳を丸くしている
そしてその問いに頷いて、
綺麗に梱包されたチョコレートをポケットより取り出し、手渡そうとする
555 :大坂澪2013/02/16(土) 22:57:39.30 ID:Xknnxiv90
>>554
「いやいや、ええんやで〜♪」

交換成立。チョコレートと交換でチョコレート団子餅を手渡した。
…食べたら分かると思うが、餅の生地とチョコレートが絶望的に合ってない。
取引としては…ぶっちゃけアンフェア。
556 :あまつき・しんこ / 女の子だよっ[sage]:2013/02/16(土) 22:59:18.16 ID:xXGYLEjXo
>>552

「えへへ...背中おっきいな....わたし、家族に男性が居ないから...不思議な気持ちです」

男の胸に抱かれたまま
一度だけ深呼吸。 かつて憧れた男の背中。
自分にチョコレートをくれた男の背中

抱きつくまで思い出せないとは 情けない


斯くして少女は屈んだ男の方を向き
左手で頬に触れながら 右手でキャンディを口内に直接いれて


「おひげちくちくです...剃らないと女の子に嫌われちゃいますよ...? 」


そ・れ・と ♪


「あのときはチョコレートをありがとう。お兄さん
だから、おかえしのチョコは 待ってて、ね! 」

男の頭上を目掛けて
空からタライが堕ちてくる
......物質生成。
かつて男もみたであろう光の物質。

それが今、男の意識を奪わんと、堕ちてきて


「でも...やっぱりわたしは...貴方みたいなかた、好きですよ.....?
意味はちょっと違いますけど... 憧れ でしたから」

なんて 最後に目を合わせて 微笑むのだった
557 :大神 恭子/異端審問官2013/02/16(土) 23:00:11.42 ID:dmOKMaXro
>>549
「油断をしていたのは事実か……」
所詮は遊技、所詮は茶番という油断と慢心があったのは事実だ。
この ヴァレンタイン というものに対する熱意が、自分だけ足りないのかもしれない。――今更何と言ってもみっとも無い言い訳に過ぎない。

状況は芳しくない。
炎でロープを焼く事はできる。が、燃えるロープや着ている服は自分の炎では無いため、自分の身体を焼いてしまう事になるだろう。
狼に変身する事もできるが……この状況であればロープは『自分が身につけているもの』になってしまう。 布の効果で変身後に持ち越されてしまうため、一時しのぎにしかならない……。

「無論、言いたい事はわかる……が、そう簡単に渡せるか」
こんな風にされてマヌケ呼ばわりもされてしまっては、簡単に引き下がりたくはない。

拘束されていない足を大きく上げて、クリオネの腕へとつながる紐を絡め取ろうとした。
逆にクリオネを引っ張って体勢崩しを狙うのであった。
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2013/02/16(土) 23:02:52.34 ID:cbgtxxWbo
>>555
「……ここで食べたほうがよろしいでしょうか?」
首を傾げつつも、女性を見上げるようにして尋ねる少年

ちなみに少年の手渡したチョコレート
見た目はいたって普通のチョコなのだが、
食べてみると普通のチョコレートに交じって様々なお菓子の味がする

それらが主張し合い噛み合わず、
結果的にチョコレートの質を落としてしまっているのだ
559 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/16(土) 23:10:34.64 ID:mGV9XWSro
>>557
バレンタインに対する熱意。
それを考えるならクリオネは全くない。
とりあえず面白そうだから仕掛けただけで、バレンタイン自体をどうこう考えてはいないのだ。

「……ってまだ粘るわけ?」

先ほどの蹴りから、大神が足技を得意としていることは想定できた。
だが、念のためと距離を取っていたためとっさの蹴りを止めることが出来なかった。

自分に対する蹴りであれば距離を開けていればいいのだが、今回はロープを狙った蹴り。
裏目に出てしまった。

「やばっ……うわあっ!」

とっさに握るロープを引っ張られたため、バランスを崩す。
ロープを引っ張る力は思った以上に強く、つまずくどころか正面へ転んでしまう。

ここで致命的な問題が発生する。
ロープが手から離れてしまったのだ。
このロープはクリオネが能力で作ったのもであり、クリオネの手から離れると消滅する。

つまり、クリオネが転倒したと同時に待っているのは拘束具の無くなった大神な訳だが……

560 :大坂澪2013/02/16(土) 23:11:39.63 ID:Xknnxiv90
>>558
「…どうぞ♪」

意味ありげな溜めのあと、勧める。…分かっている。あれはたぶん、不味い。
…ところで、一つ忘れていないだろうか。これはチョコレート「争奪戦」だということを。
賞金のため、彼女はこっそり不味いアレを食べた瞬間の隙を狙っている。
561 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/16(土) 23:14:39.57 ID:O21Z7Jn+0
>>556
「君が小さいんだ。わたしはそんなに大きくないさ」

 この子にどこかで会った気がした。
 それは果たしてどこだっただろうか。そもそも気のせいかもしれず、ヴェルナーは差し出されたキャンディに視線を止める。
 
 自分の戦いは早くもここで終わりを迎える。
 その確信があった。しかし悪くはない。飴をもらえたのだから。
 なんともまあ情けなくそのうえガキくさいのだろうとわがことながらため息が漏れそうになる。
 それもまあ、仕方あるまい。
 
「ん……髭、か……そらないとな」

 手甲に覆われた手のひらで顎に触れる。無論感触はないが、じょりじょりと髭の音がした。
 たしかに伸ばしすぎたかもしれない。

「チョコ? わたしが?」
 
 はて、いつの話だろうか。
 記憶を探ってもこのような少女にチョコをあげたことはないはずだが。

 頭上に気配を感じてもヴェルナーは動かなかった。
 諦念などではなく、納得したうえで。せめて自分でさしだそうと、腰の弾薬箱をまねたチョコを少女に差し出して。
 頭頂に鈍痛。視界が揺らぐ。
 
 わんわんと鳴り響く耳なりの中で、不思議と少女の声が聞こえる。
 わたしになにをあこがれたというのだ……。こんなわたしに……
 その問いは声になることはなく、刈り取られた意識が沼に沈む。
 少女の微笑みを、瞳に焼き付けたまま。
562 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 23:15:00.37 ID:PyufuhdKo

「ふふ、チョコレート頂いちゃいましたね……和装、の様ですね」

手触りから葛葉と交換したチョコは和風なそれだと手先で感じていた。
何はともあれ交換で済んで良かったというもの―――。

「ですが、これ以降は決して渡せませんね。優勝の為というよりも……」

そう、そんな理由ではなく知り合った少女から頂いた手作りの品。
これを奪われるなど笑止千万―――10万円よりも遥かに価値のあるチョコ。

「ですがこれは相手方のを奪ってしまえば、私は同じ事をしてしまう……」

「あぁ、困りました。奪うも奪われるのも嫌で、優勝はしたいなど……困りましたよ、本当に」

つくづくこのイベントに向いていない性格である。
大事そうにチョコを抱いて、白杖片手にプラチナブロンドの盲目の彼女は歩いていた。
563 :シフォン 旅人2013/02/16(土) 23:20:52.80 ID:cbgtxxWbo
>>560
「……僕のは、食べないのですか?」
争奪戦であることを忘れていなければ、
先に食べるべきかなどとは聞きはしない

ついでに少年のチョコレートもまた不味い、
かつてあのチョコレートを食べた彼ではない少年を昇天させかけたほど不味い

似たようなことを考えていた少年は、
邪念が言動に込められないようにして、そう尋ねてみる
564 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/16(土) 23:24:46.18 ID:4HIzh9ZWo
>>550
「うぐっ―!」

彼の先ほどの蹴りは、杖を軸として、絶妙なバランスで行われている
いわば曲芸に等しい技である
そんな絶妙なバランスで均衡を保っている状態に、攻撃の際の衝撃
そして脚を捉えられるという要因が重なれば必然と倒れる。
したがって、彼は人生で初の、未曾有の事故にぶつかる事になる。

絶妙なバランスでなりたった蹴りを当てたはいいが、つかまれた事
など考えていない、そのまま視界が下にへと揺らぎ―。
そのまま写るは、女性の身体、そして女性特有のやわらかい(胸にあらず)
触感―。

「あ。」

見事といわんばかりの馬乗り。今、ウィズがいるのはトマスの腹
あたり、幸い手はふたつ山のギリギリ真横の地面である。
女性に疎い、というか女性経験0のガリ勉の彼でさえ、流石にこの状況は
動揺が隠せず

「・・・。」

赤らめるを通り越して、人物が人物なのでどちらかといえばアチャー・・・的な
ニュアンスを含んだ驚きである。
動揺にガラ空き、どう料理するも勝手だ。


565 :大神 恭子/異端審問官2013/02/16(土) 23:25:09.35 ID:dmOKMaXro
>>559
「……簡単に諦める訳にはいかんのでな」
チョコレートなどどうでも良いのかもしれない。
ただ自分の失敗を挽回して、成長に繋げたいという気持ちがあった。

ロープを絡め取り、その間は片足で身体のバランスを保ち続けるというのは、身体能力に自身がある大神でも簡単な事ではなかった。
「っ……と」
足を使った抵抗は成功して、思惑通りにロープの拘束から解放された。
それに加えて相手は大きく体勢を崩しており、反撃の絶好のチャンス――なのだが、身体のバランスは直ぐには戻らない。
軸を取り戻す、足を引いて地面につける。などといった細かい動作がいくつも重なって、クリオネには多少の時間ができることになった。

体勢が整い次第、大神はクリオネを捕らえようとして距離を詰めるように駆け出す。
566 :あまつき・しんこ / 女の子だよっ[sage]:2013/02/16(土) 23:28:47.44 ID:xXGYLEjXo
>>561

「忘れたの? なんて言わないよ?
だってぼく、あのときと見た目も違うし...色々変わったんだから! 」

「でも種明かしはまた今度...ふふ、ちゃんとチョコはあげるから」

少女は あまつき・しんこは
チョコの弾薬箱を一口かじると 余りを自分のチョコと共に物質生成で産み出した箱にいれ

天高くに浮翌遊させ その場を去り行く
男が風邪をひかないよう
癒しの力を送った そのあとで
567 :大坂澪2013/02/16(土) 23:30:03.41 ID:Xknnxiv90
>>563
「ん…そんじゃま、頂きましょうか」

一口ぐらいなら問題なかろう、これは普通のチョコだし。
そう思って口にした次の瞬間。
…げっ、何コレ。

「〜!!」

思わず口に手を抑える。
ヤバい、マズい。味的な意味にもマズいが状況的な意味でもマズい。スキを作るはずが、スキを作らされるとは。

(…っチィ!こらヤバいかも…)

とっさに背を向けてチョコがフリーパスにならないようにはしたが…

568 :トマス【L.M.G異端審問副官長】──銀長髪[saga]:2013/02/16(土) 23:35:06.20 ID:766aOIFZo
>>564
物の見事に彼はやってくれた
ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、長髪が光の粒となって天に登って行く
魔力で固められた髪であったのだろう、段々と先程までの殺気は薄くなっていき、髪が短髪になる頃には完全になくなっている
伏目のトマスは眼鏡越しにこの状況を直様把握し、黎明は良くやってくれたと黎明とは違う笑みを見せた
馬乗りになった状態では何もできない
だが、この状況を記録する事は容易だ

「誰かぁん助けなさぁい」

ワザとらしく、艶っぽい言い方で助けを求めてみた
これがもし他人に見つかったらどうなるであろうか──

>>562
聞こえているだろうか、上司の助けを求める声が
彼女の聴力なら、可能かもしれない
569 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/16(土) 23:35:15.90 ID:mGV9XWSro
>>565
「いったーい……」

クリオネは脚の擦りむいた部分を抑えながら立ち上がる。
一瞬で距離を詰められなかったのは不幸中の幸い。

だが、結局クリオネは立ち上がったばかりの状態でろくに作戦も無いまま大神の接近を許してしまった。

「い、今の一瞬で決められなかったのがキミの敗因になるよっ!」

言ってはみるが、実際どうするか……
もう大神は目の前まで迫っている。
この距離では間にドールを生成する時間の余裕が無い。

「もうっ! 仕方ない」

とっさに一本の薙刀を作って、一歩踏み出して下から上へ切り上げる。
普段ドールを介してだが扱っている武器なので、問題なく使うことはできるが、如何せんドールと違って筋力が圧倒的に無い。
故にその速度も攻撃の重さも不十分である。
570 :シフォン 旅人[saga]:2013/02/16(土) 23:40:20.59 ID:cbgtxxWbo
>>567
「……ごめんなさい、旅仲間のチョコレートが不味くて」
手を大きく仰ぐと、風が巻き起こる
そしてふわりと浮きあがり、そして女性の前方へと風を起こすことで移動する

そうして落下しながらも、手を伸ばしてチョコレートの奪取を試みることに
571 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/16(土) 23:51:15.39 ID:PyufuhdKo
>>568

「―――――――っ!」

聞こえた、聞こえてしまった。この声は副官長のものだろう。
そう遠くない所をふらふらと歩いていたから聞こえたし、彼女の聴力だからこそ―――。

いや、それはともかくあの副官長が随分と”わざとらしい声を使う”。
とても嫌な予感がする―――が、これは行くしかないのだろう。それこそが使命である。


………


「……………ふ、副官長様、大丈夫ですか?」

「助けてと聞こえたのですが――― 一体何がありました?もう一人、気配も感じるのですけど……」

辿り着いたベアトリスにはその破廉恥な光景は眼に映っていない。盲目故に、目に映る情報は得られない。
だがしかし、誰かもう一人の気配があるのは感じた。それはどうやら男性の様で、副官長は女性で。
はっ、と合点が言った様にベアトリスの表情が曇る。まさか、その男性は副官長を――――。

先の少女が思い出させる。「強姦より和姦」と言った彼女であるが、それが男性であるならば?
世の中には多種多様な趣向の人間が居る―――葛葉と違い、後者よりも前者の変質者ならば!!

「―――――今、襲われているのですか……っ!?」

L.M.G.に狂信し、上司を絶対とする彼女の導いた結論はそれだった。目が見えている場合と同じ勘違いである。
上司である彼女の一言さえあれば、ベアトリスは直ぐにでも禁忌の右腕を解放し聖女から”殺戮の権化”と成るだろうが―――。


/わ、わぁーい?
572 :大坂澪2013/02/16(土) 23:51:28.04 ID:Xknnxiv90
>>570
「…アンタがそのつもりなら容赦せんよ!」

直接奪いに来たのが幸いした。落下の直線的な動きなら、回避も出来る。
落下の軌道を読み、手の届かないところまで後ろに避ける。

「…せいぜい挫けんようにしいや!」

そして着地するであろうタイミングで、着地点に液体空気を放出。
足下は零下100度の冷気で凍る。勢い付いているとまず足を滑らすだろうが…
573 :大神 恭子/異端審問官[sage]:2013/02/16(土) 23:52:37.74 ID:dmOKMaXro
>>569
「怪我をさせたか……悪いな」
微塵も悪気のなさそうな声を響かせていた。

「同じ相手に、二度も敗れてたまるか」
大神はロープで巻きつけられたことを一度の敗北と認めていた。
ロープではなく何らかの武器を突きつけられていれば、致命傷であっただろうし、幸運がなければ脱出もできなかった。


「真剣……っ?」
青く輝く刃を認識すると、反射的に足を止めて1mほど引き下がる。
一撃が致命傷になりかねない、剣を持った人物を相手に勢いで飛び込むのは危険なことだと判断をし、間合いを取り直す。

「……本気か?」
白刃を向けられたとなれば、対峙する側は一撃が死に直結するかもしれず、たまったものじゃない。
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2013/02/16(土) 23:56:46.52 ID:cbgtxxWbo
>>572
「……っ」
それなりに勢い付いているせいで、このままいけば足を滑らせて、
そのままチョコレートが手から離れてしまう可能性が脳裏に浮かぶ

なら……

落下しながら、団子餅を口に放り込む
そしてそのまま落下して、足を滑らす
575 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/16(土) 23:57:58.20 ID:4HIzh9ZWo
>>568
「なん・・・だと・・・。」
(そうか、これは―。)

仲間を呼ぶための策―!見事にかかった、やっぱり策士だったか・・・!


やけに声が艶やかなのはあまりにも動揺しまくってもはや今、どうすればこの
状況を脱するかを考える彼の頭の中には入っていない。流石、(悪い意味で)女性経験0である。
まずい、この状況だとどうみても勘違いからの処刑ルート行きなのは
あまりにも明白、さぁ、どうする・・・・どうする・・・!

1・・・口を塞ぐ→むしろ悪化するだろう。後の祭りだ。
2・・・今すぐどいて逃げる→いや、間違いなくこうしたのだから逃げる
事は算段に入っているだろう。
3・・・

>>571
策を思いつく前に増援が現れた。見事なまでのチェックメイトである。
だが、こんな状況でもこの男の本質はほとんど何にも動じない(内心は動揺しまくっている)
ガリ勉である。よって

>>568
ウィズは迅速にトマスから立ち上がり、誤解をされぬようできるだけ
真顔を維持しながらスッーっと何事もないようにどいて
先ほどの状態を維持しようと離れていく―。

ちなみに脚のほうはガラ空き。掴んで寄せてそのままそれっぽく
すれば見事に事態はややこしくなるだろう


ウィズは完全に詰んでいた。チェスで言えば、隅っこに追いやられ
さらにクイーンとルークが待ち構えているような状態である。
576 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/17(日) 00:04:58.54 ID:hFNO9NV+o
>>573
「本当に悪いって思ってるならチョコ渡したら?」

それで本当に貰えるなら何の苦労も無い。
明らかに相手は悪びれていないし。

「ふんっ……二回どころじゃなくて向かってくるたびに負けるんだよキミは」

挑戦的な笑みを浮かべているが、正直この状況は圧倒的に不利だと考えている。
なぜならば、相手の手の内が全く分からないからだ。
こちらの能力を晒してしまった上に相手の能力が不明……これはマズイ。

「本気も何も、奪い合いでしょこれは」

「奪い合いに冗談も本気もあるわけないじゃない」

これは遊びだ。
遊びなのだが、幼いころより奪い、奪われの生活をしてきたクリオネは、遊びと言えど奪い合いに負ける事に激しく抵抗がある。

先ほどはとっさにリーチの長い薙刀を出したが、これは本来クリオネ自身が使うものではない。
そこで、薙刀を消して、サーベルとラウンドシールドをを新たに生成する。
これが本来のクリオネ本体の装備だ。

左手に持つラウンドシールドを前に出してジリジリとゆっくり近づいていく。
577 :大坂澪2013/02/17(日) 00:05:56.84 ID:5TqCOrHH0
>>574
「んなっ…!」

食べた…!?そんなバカな!?あれを!?
きっとマズいはずだ…!それなのに…食べた…
これではチョコレートを「奪う」という選択肢は無くなったということになる。
…が。それは同時に、相手は手持ちのチョコが無いということでもある。
ならば、こちらが襲う意味は無くなる。

「…どうすればいいんや、これは…」

戦う意味を失った彼女は途方に暮れる。さて、どうしたものか…
578 :トマス【L.M.G異端審問副官長】──銀長髪[saga]:2013/02/17(日) 00:10:14.02 ID:T6bSJnHMo
>>571
L.M.G.は今回の様に地方自治体として街興しを頻繁にする理由として存在を赦される事がある
している事は確かに違法だが、それが表立って無かったら良いのだ
表立っている事がもし善行ならば殊更に赦されるだろう
異端審問で処されるのは裕福な者かL.M.G.に楯突くものだけ
L.M.G.は近づき難い友人の様な物だと、トマスは思う
助けを求めたのはこの事が分かってのこと──ベアトリスが助けに来るという事を先読みしていた
彼女の聴力は素晴らしいものだと、噂では聞いていたがこれ程までとは予期していなかった
そして従順さ。これに於いては完璧。異端審問官の鏡だ。後でチョコをやろう
トマスは馬乗りにされた状態で言う

「ベアトリスぅー、たぁすけてぇんこの男の人が急にハァハァ言い出して押し倒して来たの……」

ベアトリスは聴こえるだろうか。微かな、トマスの心臓と同期して揺れる空気の振動が
トマスが発言するたびに揺れているということは何か裏が、疚しい事があるということ
だが相反するように青年の息遣いもまた、怪しいものである
ここでベアトリスは試されるであろう
ベアトリスがどう判断し、どう行動するか、を

>>575
慌てて立ち上がる青年を見て、再び不敵な笑みを浮かべる
このままベアトリスと戦わせるのも面白い
だがそれは全てベアトリスの意向に従うまで──今回はこの青年、利用されてしまった、という事である
と言っても突発的なもので、挑発した時急に思いついて直ぐに計画を立てたのだが案外上手く行った
これ以上望むものはあるまい、とそのまま襲われた後のように項垂れる
579 :大神 恭子/異端審問官2013/02/17(日) 00:17:49.42 ID:V2nx0aimo
>>576
「嫌だ。……欲しいなら、奪い取ってみせろ」
自分のチョコレートを渡すのは、自分よりも強い相手。そういうルールであったハズだ。

「結果は……やってみれば分かる」
トレンチコートのボタンを外して、傍に投げ捨てる。
露出した腕が冬の風に触れて冷たかったが、重い上着が無くなった事で動きやすくなった。

「そうだな……その通りだ」
「まだまだ、私も甘いな」
目の前の人物は、冗談も本気も無しに自分から奪うために戦っている。
そんな相手と戦うには、自分の意思には甘さが目立つ。
「……維持でも奪い取る。お前には絶対に負けられない」

一度、両腕を背中にまわす。
再びクリオネの視界に手が戻った時には、二つの手にそれぞれ二本ずつ苦無が握られていた。
「はっ!」
一歩踏み込みながら、左手に握っていた苦無二本を、クリオネに投げつけた。
580 :シフォン 旅人[saga]:2013/02/17(日) 00:19:16.06 ID:VB6rxFfyo
>>577
相手が自分と同じような策に基づいて、あのチョコを作ったのであれば、
恐らくその味はいつも食べさせられるあのチョコ以上の不味さ

下手をすると、発狂して命を落としてしまうかもしれない
しかし、奪われるよりもましだ

妙な矛盾をはらみつつも、ともかくそういった決意のもとで、餅を食らったのだが……

「……おい、しい……?」
下手な加工がなされていないのであれば、
ただ餅の生地とチョコレートが噛み合っていないだけであるならば

それを少年は、美味と感じるだろう
それほどまでに、少年の味覚は狂っていた

なにかすごく大切なことが抜けている気もするのだが、
少年は気にする様子もないらしく
581 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/17(日) 00:26:47.69 ID:CeUgphkXo
>>575 >>578

果たしてトマスの発言は本当なのだろうか。答えは否であるはずだ。
ベアトリスは何も見ていないし、知らないがウィズは無実なのだ。
いや、それが何処からの事を言うのか―――ともかく押し倒したという部分については無実か。

「そう、ですか―――そこの男性、覚悟してください」

だがしかし、ベアトリスにとって真理がどうであるかはどうでも良かった。
上司である彼女が黒といえば黒、白といえば白だ。ベアトリスの思考回路は至極単純。
L,M,G,が全て、それに連なる同士が血、上司ともなれば親よりも絶対者―――ベアトリスの右手の聖骸布のレプリカが解放される。

現れる脈動する赤黒い皮膚、聖女に似つかわしくないグロテスクに隆起する肉腕。
血湧き滴る右腕は久方ぶりの解放に邪気を辺りに散布する―――魂を搾取せんと荒れ狂う様に。

それに伴い代償として”右腕”に奪われた視力が一時的に戻る。閉じた眼が開、紅い瞳が露見する。
回復した視界に映るのはやはり”襲われた後の様に項垂れる副官長”と”動じた様子のない男性”だった。

「はぁ、はぁ、はぁ――――副官長から、離れ、なさい、神に背く不届き者っ!」

もはやチョコなんてどこにいったんだ。いや、確りとベアトリスの懐に仕舞われているのだけど。
並ならぬ殺意の奔流を以て、このイベントに殺戮がやってきた―――誰か止めてあげてください。切実に。
582 :クリオネ 人形使い 人形1体[saga]:2013/02/17(日) 00:27:45.77 ID:hFNO9NV+o
>>579
「強情……キミ一回負けたでしょ?」

先ほど縛られたことを負けとカウントしている。
それならばさっさと渡せと煽る。

(……っ!? 暗器!)

背中に腕を回した時点で、それが暗器の類を用いるとすぐにわかった。
なぜならば、自分自身が能力の発現前は暗器使いだったからだ。

ラウンドシールドを斜めにして苦無を防御する。
斜めにすることで、苦無の力が100%盾に伝わらなくなるからだ。

「……あれ? いつまでもこっち見てても良いのかなー?」

にやりと笑うクリオネ。
直後、大神の3歩ほど後ろに1体のドールが出現する。

その姿は大神恭子そのもので、一歩踏み込んで先ほどオヤジのドールに放ったミドルキックをそのままお返しする。
583 :大坂澪2013/02/17(日) 00:27:55.24 ID:5TqCOrHH0
>>580
「いや、その、えーっと…」

何と言えばいいのだろうか。そのチョコレートを食べちゃったらもう戦う理由がないことを伝えなければ。

「…食べてもたら、もうアンタは手持ちなし…
つまり私はどうしようもないんやけど…」

…まあ、感想を聞いてみるのもいいだろう。どんな味かぐらい聞いてもいい。

「…あれ?」

予想外の返答だった。美味しい…?

「ちょっ、ホンマか…?それ、実験的に作ったんやけど…」

たまらず聞き返す。まさか美味しいと言われるとは思っていなかった。
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2013/02/17(日) 00:39:52.77 ID:lo83tFlso
>>578
(な・・・何を言っているんだ・・・。)

あまりにも唐突な豹変にウィズは混乱をした。もはや弁論する
余裕すらない。
あまり見ない姿というのはもちろんだが、この艶やかな声と
突然の言動は彼を混乱させるには十分。

そしてなにより

(何を企んでいるんだ・・・。)

普通の男ならすぐさまこの状況を察して青ざめるだろうが
生憎、彼はそんな性的な知識なんぞひとつも持ち合わせていない。

>>581

そのため、なぜベアトリスが怒っているかという事も
理解できなかった。いや、正確にはあまりにも
混乱しすぎて思考の余地すらないといったところか。

「覚悟もするもなにも・・・。」

しかし、その混乱にはピリオドが打たれる。生々しさを絵にしか
かのような、まるで化け物の腕をそのまま切り取って貼り付けたかのような
アンバランスな右腕。
解放のさいに放出された邪気はウィズを正気に戻すには十分
すぎるものであった。

「神に背く・・・。一体何のことだ!合意の上(での戦い)だ!」

もちろん、本当に理解できていないので彼から泥沼にはまってしまうのであった。
(狙いは間違いなく自分―。このままだとトマスを巻き込む。)
そう考え付くとすぐさま茶色のローブを羽織った青年はトマスから逃げるように、右方にへと
駆ける。
まずは、誰もいない場所に誘導することが専決だ。

バレンタインデーは旅行に行ったらしい。ここを支配するは勘違いというなの
悲劇で生まれた混沌(カオス)のみだ。
585 :大神 恭子/異端審問官2013/02/17(日) 00:42:42.10 ID:V2nx0aimo
>>582
「そうだ……あの敗北は認める。
だが、納得ができていない。だから、渡せそうに無い」
理屈ではない。。強情と言葉通りの状態なのだ。
「だから、力で奪い取ってくれ。それなら、納得をできそうだ」

苦無は簡単に弾かれてしまったが、元々牽制で打ち込んだものである。
それで、仕方が無いだろう。

「わざわざ教えてもらわなくても……!
余裕のある態度は、あまり気持ちの良いものでは無かった。

背後を振り返りその人形よ動きを見れば、先ほどの自分と同じ動きの蹴りであった。――あの男にならば、楽に当てられると考えて繰り出した不必要なくらいに大振りな蹴り。

自分の写しである動きを良く確認し、細かい右へのステップで蹴りは避ける。
「ふっ……」
そのまま一歩踏み込んで、自分の姿した人形の顔面を狙って、ストレートの拳を打ち込んだ。
586 :シフォン 旅人[saga]:2013/02/17(日) 00:43:49.17 ID:VB6rxFfyo
>>583
「はい、確かに食感こそ微妙に違和感が感じられたわけですが、
中のチョコレートの味は、これまで味わったことがないほど美味なものでした」

もしもこれまで味わってきたチョコレートというのが
あの兵器にも似たチョコレートであるだけとするのなら……

「……そういえば……
とりあえずいただいたチョコレートぐらいは食べたかったので」
少年にとっては美味らしいチョコレートの余韻に浸りつつも、
はっとした様子で、いろいろと抜けているらしい
一応少年的には目的を果たしたことにもなる

「実験作とは思いませんでした、本当に」
屈託のない笑顔で言い放つあたりは、世辞抜きでそう言っているのだろう
587 :クリオネ 人形使い 人形1体[saga]:2013/02/17(日) 00:51:49.66 ID:hFNO9NV+o
>>585
大神の蹴りを完全に模したが為に、隙間で模してしまったようだ。
自分の技故に、対処も完璧でありドールはあっけなくその強烈なストレートを食らい、地面へ倒れた。

「挟撃されてその場にとどまるのは……馬鹿のすることだよねぇ!」

だが、大神がクリオネ本体とドールどちらを迎撃するかは問題ではない。
迎撃されなかった方が攻撃を当てればいいのだから。

「貰ったーっ!」

クリオネは大神に向かって走り出し、大神がドールに構っている間に接近しミドルキックを放つ。
なぜサーベルで攻撃しないのか。
それは、大神の技で大神を倒すという何とも気持ちい状況を先ほどクリオネが考え付いてしまったからだ。
588 :トマス【L.M.G異端審問副官長】──銀長髪[saga]:2013/02/17(日) 00:55:48.96 ID:T6bSJnHMo
>>581
ベアトリスの能力であるパンドラは、見るに耐えないものであった
流石にこれはやり過ぎたか……もう少し彼女のことを知るべきであったか
否、だがこれで彼女の使い方と使い道が分かった──過去にもこんな人間は幾度と無く見てきた
だいたいの人間は主君に一生忠誠を誓ったまま死ぬか他に懐柔される
ベアトリスの場合前者が当てはまるであろう。これを見る限りでは、だが
十分に理解できた、十分過ぎる。だからこそ、未来ある青年を殺してしまいそうなのを止めなければならない
トマスは項垂れた体制を整えて、何時もの伏目に直せば眼鏡をくいと上げて、声音低く言った

「もうイイわ。貴方の素晴らしさは十分過ぎる程に理解できた──完璧だわ、貴方」

上司であるトマスの賛美はベアトリスの胸にどう留まるのであろうか、はたまた留まらないのだろうか
これだけでは恐らく止まらないであろう。だからこそ言葉を続ける

「これ以上の事は私は望まないわ。この青年は私を襲おうとしたわけじゃない、貴方をテストしたかったの」

本当の事だ。嘘はない。望まない、という言葉を強調して言うのは従順な者に良く効果を発揮する物
ベアトリス、今後の付き合いはもっと深くなっていくであろうが──もしかすれば唯ならぬ物をL.M.G.は抱え込んでいるのかもしれない
トマスはベアトリスを諌める様にして、遠くに飛ばしておいたハート形の包みに入れられたチョコを、本を介して持ってこさせる
青年には申し訳ないが、今回はベアトリスを立たせてやりたい
本をベアトリスの胸に押し付けて、落ち着きなさい、と再度念を押した


>>584
青年の方に目をやり、片方の瞳を閉じて済まない、と送る
青年との付き合いもベアトリス同様深くなって行くであろう
その時は如何なる形で接することになるかトマス自身も分かっていないが、できることならば此方側に引き摺り込みたい
だがL.M.G.は録に顔合わせもしておらず、組織としては不十分
これからの発展の途中で彼は引き込もう、と決心したトマスは青年に謝罪と感謝の意を込めて手を差し伸べた

もし彼が魔術回路の生産、しかも体内に埋め込まずとも体に影響を与える力を持った魔術回路を作ることができるのなら
今の身体能力と合わせ、新しいタイプの魔術師が出来上がる事であろう
ロンドン塔でもそうだが、身体能力において黎明とほぼ対等に渡り合えるということは、歴史を超越する一歩手前でもあるのだ
決して言い過ぎではないな、とトマスは苦笑も含めて笑う
それは今はまだ対等ではないが、いつかは対等の位置に来いという暗示でもあり、トマスの内心でもあった
差し伸べた腕の時計をちらと見ると、もうそろそろ終了の頃合いだが、隙を見て終了宣言をするか
589 :大坂澪2013/02/17(日) 01:02:06.18 ID:ilcwEcCP0
>>586
「そうか…美味しかったか…うーん…」

予想外の返答に、しきりに首を傾げている。
あれが美味しかったとは…彼の味覚はどうなっているんだろう。

「ま、まあ美味しかったならそれでええわ!
ほな、このまま喋っているのも何やし、この辺で!」

もはや彼女がここに居続けて彼と話す理由はない。
彼に背を向けてその場を去ろうとする。
590 :シフォン 旅人[saga]:2013/02/17(日) 01:06:13.84 ID:VB6rxFfyo
>>589
「はい、がんばってくださいね
僕もお先に……」

いろいろと間違っているわけではあるものの、
一応の目的を果たした少年は、また人ごみの中に紛れるのであったとか
591 :大神 恭子/異端審問官2013/02/17(日) 01:06:49.13 ID:V2nx0aimo
>>587


「そうだ……確かに、足を止めるのはよくないことだ」
理解はしていても、動けなかった。
人形を破壊できるような攻撃を繰り出してから、すぐに動き出すような余裕はない。
「手の内を明かさずに勝てるような相手ではない……か!」

足を微かに下げて上半身を折り曲げる動き。
徐々に大神の身体が歪んで、崩れるように見えるだろう。

僅かな時間のうちに大神の人としての身体は歪んで無くなり、その代わりにその場には四足歩行の獣が現れる。
「……アウッ!」
中段へのキックは、人間上体の大神を狙ったもの。
狼に変身をした大神はその小柄さ生かして、クリオネの足元を走り抜ける。
592 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/17(日) 01:16:26.53 ID:hFNO9NV+o
>>591
取った!
この状況で今更回避行動など取れるはずがない。
そう確信していたクリオネは、大神の体の構造自体を変化させるという回避パターンを全く予測できなかった。

「はぁ!?……そんなのあり!? ……ってやばっ」

完全にあてられると言う確信があった為、全体重の乗った蹴りが空を切れば必然的にバランスを崩す。
元々格闘戦が出来る訳でもないクリオネが、そのまま体制を立て直すことなど出来るはずもなく、そのままお尻から地面へ倒れる。
慣れないことなどする物ではない。

「またこのパターン……」

結局獣化した大神の目の前で尻もちをつくクリオネの構図が出来上がった。
最悪のパターンだ

「ちょ、ちょっと待って……噛まないで、噛まないでよ」

右手を前に出して襲ってくるなと言った風に静止を呼びかける。
593 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/17(日) 01:19:20.01 ID:CeUgphkXo
>>584 >>588

「そ、そんな合意の上―――トマス副官長、本当なんですか?」

失望がベアトリスに襲いかかる。そんなバカな、誇り高き我らが副官長様が和姦などと。
思わずその発言にベアトリスは後退りし、涙ぐむ素振りさえ見せた―――信じられない、と言った風に。
視線をトマスへと寄越して、『違いますよね?』と否定の言葉を望む眼を向けるが。

「―――――ぁ、そう、なんですか。申し訳ありません、私、早合点してしまい……」

「でも、安心しました。そうですよね、合意の上というのは、私へのテストだったんですね。良かった」

しゅんとした表情から一転、安堵した表情を浮かべたベアトリス。思考は既に違う方向へシフトしていた。
襲われている副官長はいなくて、同意した副官長もいない。それに襲っている不届き者もいなかった。
それはなんて素晴らしい事なんだろう―――不意に胸に押し付けられた本に思考は更に落ち着いて行く。

地面に落ちた聖骸布のレプリカを右腕に纏い、右腕の厄災を沈静化させて―――。

>>584

「あの、申し訳ありませんでした。とても失礼な事を言ってしまいましたね……本当に、申し訳ありません」

先ほどの怒り狂った様な威勢は何処へやら。淑やかな聖女の様に、深々と礼をする。
パンドラが眠りにつき、視力がまた失われるまでまだ少しだけあった。目元を少し濡らして、自責の念に打たれながら彼を上目遣いで見上げていた。

「あの、許して頂けますか?お詫びと言ってはなんですが……このチョコは、頂いたものなので駄目なんですけど」

もし、失礼でなければ後日、手作りのモノを用意させて頂きます―――そう言って、再度深々と謝罪をした。
594 :大神 恭子/異端審問官[sage]:2013/02/17(日) 01:32:09.71 ID:V2nx0aimo
>>592
能力を使った回避は成功したようだ。
クリオネの転倒を見れば、落ち着いて振り返り、狼の姿のままでクリオネの目の前の立つ。
突き出された右手の他に抵抗が無ければ、前足を使ってクリオネにのしかかろうとする。前足は牙を閉じているので怪我の心配は無い。
「……ガァッ!!」
そのまま近距離で牙をむき出し、相手を威嚇してみせた。

「……本気で噛みはしない」
恭子の声で人語が放たれる。
狼が話しているのは街がいないのだが、その言葉は狼の口とは別の場所から響いていて、不思議な感覚を感じるかもしれない。
595 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/17(日) 01:40:08.68 ID:hFNO9NV+o
>>594
(ま、マズイ……調子に乗りすぎた)

思いつきで格闘戦を仕掛けた結果がこれだ。
せめて相手の能力を探ってからにすべきだった。

「本気ってことは軽くなら噛むってこと……!? 冗談やめてよ」

何とかこの状況を打破したいが……オオカミにのしかかられているこの状況では身動きが取れない。

「分かった、引き分け……引き分けにしよう……」

何を言うかと思えば、圧倒的に負けているこの状況で引き分けの打診。

「キミは一度私に負けている。それに、もしかしたら私には何かの秘策があってこの状況を打破することが出来るかもしれない」

「そこで、私のチョコとキミのチョコを交換して±0でどう?」

ダメと言われればそれまで。
クリオネにこの状況を打破する策など無いのだから。

596 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/17(日) 01:50:16.16 ID:lo83tFlso
>>588
「テスト・・・?」

突然止まったベアトリスの動き、そしてトマスの明かした
事実に、一瞬だが、思考がとまった。

(どういうことだ・・・。あそこの女性と、トマスは同じ組織にいるということか。)

トマスのほうを見やれば「済まない」と申し訳のなさそうな視線が
自身に注がれていた。
なるほど、そもそものところよく考えて思い出してみればあの女性の副官長などという呼び方
の時点で同じ組織にいる、そしてトマスは彼女より上位の立場にいるという事が
明白である。そう考えれば、自身の選択はかなり迂闊であった。

「なる...ほど。」

冷静に今までの出来事を整理して、自身を納得させた後
ウィズは手を差し伸べるトマスのほうに歩く寄る。

「流石に試験員にされたというか、まぁ、気分はよくないですが―。
あ、立てますか?」

謝罪と感謝の意を汲んだのだろう、ウィズ自身も
項垂れているトマスに、差し伸べる。手をつかめば
立つのを手伝ってくれるだろう。

>>593
「いえいえ、大丈夫です。お気になさらずに」

本当に怒ってはいなさそうだ―。まるで当たり前の事を言われたように
平然としながら応える青年。
突然、神に背くなどといわれて驚いたが、自身は生憎、魔術師と
神に背くような人間だ。言われ慣れているがゆえにそこまで失礼には感じていない。
まぁ、そもそも神なんぞこれっぽっちも信じていないが。

「それに神に背くなんて職業上言われなれてますし。いえいえ、手作り
なんてとんでもない・・・。」

そんな、頭を下げないで、と謝罪をやめさせようとした。なんというか、
ずっと続きそうな気がする。

手作りか―。
まさか自分がバレンタインデー遅れてもらえるなんて思っても
見なかった。

ぶっちゃけいって恐縮です―。
597 :大神 恭子/異端審問官2013/02/17(日) 01:54:33.92 ID:V2nx0aimo
>>595
「必要ならば……噛む」
二つの前足も、その気になれば鋭い爪が飛び出す。
「人形を作って後ろから……噛まれたく無ければ、そんな事は考えるな」
深く黄色目で、クリオネの顔を覗き込んでいる。

「引き分け。そうだろうな……」
クリオネの提案は、それが当然だというようにあっさりと受け入れる。
「俺も、勝ったとは思っていない。
単に能力に関する情報にアドバンテージがあっただけ、運が良かっただけだ。……次に戦えば、どちらが勝つかは分からない」
「今のコレと、一つの負け……どちらも不意打ちである、確かにプラスとマイナスは0だ」
自分の事は勝ちとは表現しない。納得がいかないのだ。

「一度の勝っているお前にチョコレートを渡し、今のこの状況だからお前のチョコレートを貰う……まあ、筋も通っているな」
598 :トマス【L.M.G異端審問副官長】──銀長髪[saga]:2013/02/17(日) 02:01:14.30 ID:T6bSJnHMo
>>596
使っちゃって悪いわね、と呟き、立ち上がり様に尻を叩いて埃を払うとトマスは何かに納得したかのように頷いた

「また今度会う時は、魔術回路の端くれでもいいから見せて頂戴ね?」

>>593
災厄は沈み、殺気は諌められて消え去った
安堵を心の中で認めたトマスは、何か強大な物を持つ感触と言うものを味わった
このようなものは帰納法でも感じた事がない、つまり黎明でも与えられたことのない新鮮な感情だ
だがしかし勘違いが甚だしくはないか、とベアトリスに押しやった本を自分の傍に浮かせて回収する
溜息一つ、組織を纏め上げる難しさと苦悩を噛み締めながらもう一人の異端審問官、大神の事を思う
この人間もまた一癖あると聞いた。だからこそ強大な力となり得るのだ
個性が強ければ組織も強くなるだろう、と思いながら靴を脱いで巨大な本を氾濫図書の一部展開によって召喚し、それに飛び乗る
ベアトリスの住む教会にも興味がある。それなりに大きな教会だそうだが──
まぁまた今度行ってみるに越したことはないな、と空高く舞い上がるとともに、また深い溜息をついたのであった


/ぐあー自分落ちますね

599 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/17(日) 02:03:37.09 ID:hFNO9NV+o
>>597
「わ、分かってるって……」

狼姿の大神から視線を逸らす。
自分の王道バターンを読まれてちょっと面白くない。

(よし……何だかわからないけど要求が通った)

正直この状況で要求が通るとは思って居なかった。
”チョコレートを渡さなければ殺す”
この一言で相手は完全に勝ちを収めることが出来たはずなのだ。
少なくともクリオネが相手の立場なら、この阿呆な要求を呑むことは無い。

「さあ、だったら解放してよね。こんな状態じゃチョコレートを出せやしないよ」

ここですぐさまチョコレートを出すことはしない。
まずこの押さえつけられている状況から脱出しなければ……
600 :大神 恭子/異端審問官2013/02/17(日) 02:14:50.08 ID:V2nx0aimo
>>599
「……分かった」
後ろ足を使ってクリオネから降りる。二人の間にはほとんど距離を開けない。
心のどこかで信頼をしていないのが現れているのだろう。

その位置で、また姿を変える。やはり変身するのに時間はかからない。
今度の姿は人間の形をしているが、耳や尻尾があって、狼人間とでもいう中間の形態であった。

「これが、俺のチョコレートだが……」
そう言って、身につけていた袋を手渡す。
「交換になると、主催者の思惑とは違うが……まあ良いか」
601 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/17(日) 02:15:39.29 ID:CeUgphkXo
>>596 >>598

「いえ、失礼な事を言ってしまいました。あまつさえ危害を加えようとまで……」

青年が怒っていないのは分かったが、どうにもこちらの気が収まらない。
勘違いから禁忌である異能を解放し、彼を傷つけようとしたのは如何なものか。
もし副官長が止めてくれなければ今頃は―――やはり、きちんと謝罪しなければ。

「いえ、また後日お渡し致します。せめてものお詫びです」

「私はベアトリス・セイクリッド、L.M.G.に所属しております。また何れ、伺いますので!」

根っからの真面目な性分なのかもしれない。謝罪をやめさせられ、頭は下げなくなったが。
ちゃんとその内、手作りで遅れたバレンタイデーを届ける様だ。

青年へと名乗り、彼から名乗りを聞いたならばベアトリスは微笑み記憶する。

異能により作り上げられた巨大な本で飛び去るトマスを見送り、それを追う様に彼女もまた立ち去るだろう。
既に閉じた瞳に光は映らず、白杖を片手に青年へとまた再び一礼して―――。


/私も落ちまするぅ……
602 :クリオネ 人形使い[saga]:2013/02/17(日) 02:26:52.14 ID:hFNO9NV+o
>>600
(やっぱりこの女……甘いよね)

立ち上がったクリオネは内心いつ仕返しをしてやろうかとすでに考えていた。
助けてくれてありがとうなどと微塵も思っていない。

クリオネはコートのポケットから箱を取り出す。
手作りチョコレートが入った、ピンクの包装紙に包まれたちょっと可愛らしい箱だ。

「……はい、これ」

大神のチョコレートと全く同じタイミングで自分の箱を渡す。
こういった取引はどちらかが先に渡すという事があってはならない。

ちょっとだけ不満そうに差し出した箱の中には、ハート型に作られた見た目は見事なチョコレートだ。
ピンクの包装紙にハート型のチョコと、クリオネとは思えないチョイス。

なぜこうなったかと言うと、料理を作ったことが無いクリオネは、店員のいう事を素直に聞き入れ、結果可愛らしい物が出来上がったという事だ。

しかしながら一口食べれば分かるだろう……その想像を絶する苦さに。
クリオネが作ったチョコレートは、
”どうせなら本格的に作った方がおいしいわよね”
という理論に基づいた、カカオ豆から作った完全自作チョコレートだったのだ。

しかし、問題はそこではない。
クリオネは何と、そのチョコレートに砂糖を入れていない……つまりはカカオ100%のチョコレートなのだ。

「じゃあね、私のチョコレート食べれるんだから感謝しなさいよ」

チョコレートの感想を聞く前に、クリオネはもらった袋のチョコレートをぽりぽり食べながら背を向けて去っていくのだった。


//ここいらで〆で良いでしょうか
//なんか色々すいませんでした
603 :ウィズ・カーパー2013/02/17(日) 02:37:30.82 ID:lo83tFls0
>>598
「ええ、わかりました。あまり進んではいませんが…。
できるだけ早く完成させます…恐らく先になりますが。」




>>601
「え、ええ…」

ああ、この人は優しいを通り越して優しすぎるな、とふと思った。
しかし、ここまで優しすぎると逆にこちらが何かをいう時に言い辛くなるな…と
内心で苦笑をした。

「私はウィズと言います。」

やはりトマスと同じ組織。しかし、トマスよりこちらのほうがいかにも宗教から
流れを汲むL.M.Gらしい。
真面目で信仰深い、まさにうってつけだろう。どのように使うのにも。

帰って行くベアトリスを見て、ふと杖と瞳を思い出した。いかにも魔術が使えず
そして杖をもつあたり、目が見えないのであろうか。
思索にふけつつ、手を振って一礼をかえした。

//おつかれさまです!
604 :大神 恭子/異端審問官2013/02/17(日) 02:39:47.49 ID:V2nx0aimo
>>602
「次は勝つ……次は、な」
大神は大神で、再戦を望んでいるらしい。
仕返しされるというのは、次の戦いがあるという事で、案外に喜ぶかもしれない。
あくまで、可能性の話だが。

「分かった、貰っておく」
表情は感情を読み取らせないし、直接的なお礼の言葉は無いため、大神の心情は読み取りにくいだろう。
「俺のは苦いからな。……まあ、期待せずに食べろ」
クリオネの包装に比べれば、大神のは貧相である。

「主催者も居なくなった。もう、終わりだな」
「さよならだ……悪い夜が、訪れないことを祈っている」
名前も知らない相手に、祈りの言葉を送った。


「ちょっと苦いな……う、む」
一人、貰ったチョコレートをかじってそう呟くのであった。

//こんな遅くまでありがとうごさいました
//俺こそ、色々とすみませんでした
605 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/17(日) 21:29:45.46 ID:C7+I0pDTo
歴史の厚みが視覚や触覚、嗅覚からでも感じ取れる
本の厚みと埃の厚みは比例するのだろうか
自分の周囲にある分厚い本達はここが自分達の居場所と言わんばかりの埃の王座を作っていた

某国某所、某大図書館
その古い文献を扱うさながら洋館のような旧図書館棟は古今東西あらゆる蔵書が揃っていた
埃の厚みは手入れの無さか管理も隣の立派な新図書館棟の仕事だ、受付には誰もいない
新図書館棟から行けば誰でも入れる場所で管理も荒い故に置いてる物はそう珍しくないが

「えーっと...呪い、陰陽道...占星術...あった、魔術魔術....」

ゆうに身長の5倍はあろうかという天井まで達する本棚というか本壁
その使い勝手の悪そうな本棚の周りを見回りようやく発見
手にとった茶色い革の表紙の分厚い本は他でもなく魔術の文だった
綴られた読みにくい筆記体の文章を読みながら背中を本棚へ預ける少年

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

「............」

この図書館は迷路だ
受付近くに置かれた案内板も古ぼけて読めるものではない
いざこの旧図書館棟に立ちいれば、探しものが違ってもこの少年と会うことぐらいあるだろう
606 :アラン2013/02/17(日) 21:37:43.96 ID:hdMrddzeo
>>605
暇な時は本を読む
その本すら尽きたなら図書館へ

アラン・J・ロックウェルは読み尽くした本の代替を探して、図書館へと足を踏み入れた。

元から本を読むのは好きなタチだ。
いまでこそ兵士などという因果な商売に身をやつしているが、昔は兵役の合間に語学へてをだしたものである。

とにかくどんな本でもいい。
ゲテモノであろうが名作であろうが読めるものはよみ、その中身に価値の有無は問わない。

漆黒のコートに同色のスーツという地味な姿ながら、古ぼけた図書館においてアランの姿はことの他目立つ。

そんな彼が本より先に見つけたのは紫髪の人物。珍しい髪型だなと思いながら、彼と同じ書棚へと本を求めて近づく

/亀レスですがよろしいか?
607 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/17(日) 22:14:59.02 ID:C7+I0pDTo
>>606
「やっぱり難しいな....」

魔術理論から魔術回路の運用
基本的な思想から基盤の魔術運用に至るまで
どれも一夜漬けでできるようなものではない
決して難しい術式ではないのだが
自分のこの肉体───、魔翌力に極端に反応する身体
一種のアレルギーの様なものだ
これでは、ロクに扱う事もできない
そう思っていると、視界の端に人が見えた

「....ん」

漆黒のコートにスーツの男性
間違いなく年上できっと同業者か、そんな雰囲気を感じ取る
彼も探しものだろうか
狭い道を譲ろうと本棚に寄ったときに彼の顔を見た

何処かで会ったような顔
思い出せない年単位で遡る過去に至る
ずっと前に会ったような顔だ
誰だっただろうか、紫音は首を傾げつつ彼を見る
その視線はきっと彼も気付くだろう

/私も遅くなるかもですーっ!
608 :アラン2013/02/17(日) 22:26:50.43 ID:hdMrddzeo
>>607
「ん〜宝石魔術はっと」

アランは最近、行使可能な魔術の範囲を広げることに意識を傾けている。
自分の身体は欠陥品のようなものだ。
元々魔翌力貯蔵にだけは秀でていたものの、行使できる火の属性と虚の無属性のどちらにおいても術強度に乏しい。
それは魔翌力を制御する体回路そのものの欠点であり、それを改善するために『鍛錬回路』なるものを身につけてみれば、今度は硬直化し汎用性に劣る始末。

結果としてアランという魔術師に対する評価は、結界という限られたジャンル及び基礎の基礎においては非常に優秀。
されど汎用性に欠け、結界と強化術以外においては三流に毛が生えた程度。となる

その分知識は保有している。
使えぬならせめて知識だけは、とかき集め続けた魔術知識は並以上であり、もとより一分野への専攻化傾向がある魔術師にあるまじき分野の広さが売りであった。

そんな彼が目を付けたのは回路を外部へと委託し、魔翌力分だけを負担する宝石魔術。
生身の肉体を使用する通常魔術より汎用で劣るが、使えぬよりはマシである。
それに使い捨てである分出力もあげやすい。

そんなわけでアランは宝石魔術に関連しそうんは書籍を探していた訳であるがーー

ふと視線を感じた。
先ほど道を譲ってくれた人物のものであろう。
それに反応して無意識にそちらを向き、こちらを見つめて首をかしげた彼に、同じように「はて」、と首を傾げ、

「何処お会いしたことが?」

なぜだか始めて見る顔ではない気がして、珍しい紫髪が記憶にちらつくそのままに、質問してみる

/ではお互いノロノロとw
609 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/17(日) 22:49:02.74 ID:C7+I0pDTo
>>608
「あ、いや...なんでも.....」

見間違いだろうか、とてもそうには思えない
ずっと前に会って言葉を交わす程度には知人だった気が
確証の得られない問いにはっきりしない答えを返してしまった

この手の同業者であろう人物と会うのは珍しくはない
年単位ともなると棺桶との対面が多数だが
脳内に引っかかる何かを思い出そうとふと視線を落とした

「.....あ」

彼の着ている黒いコート
自分ものと同じ色だと思っていたが、一瞬
何処かの情景が視界を横切った
モノクロで不確定な映像だが、間違いなく過去と思える記憶だ

自分の育て親の女性とこの目の前の男性
真剣な眼差しで何かしらの話し合いをしている
きな臭い、“仕事”の話だろう
自分も混ざりたいと、言って親に軽くあしらわれている
それ以外にも多くの記憶、時に同じ目的で銃を構え
僅かの時間だが一緒に仕事をした記憶
そんな僅か数秒の記憶が所々、抜け落ち欠け落ちて思い出す

「───エリーゼ・アランスキー...覚えてなくて結構です....聞き覚えはありますか」

現在と彼女を繋ぐ唯一の糸
過去の人物である彼女、その存在を証明する記憶の存在に思わず目を逸らしたまま
つぶやく様に彼に問いかけた

そう言った彼の姿はあの時とはずいぶん変わったいる
目付きももっと穏やかで背はもっと低かった
紫髪ももっと黒に近かったし、何よりあの時は親の背中について来たがる子供だった
彼の呟くその名前を、もし覚えているのなら
その彼女の側についていた仕事柄似合わない少年を思い出すだろう───。
610 :アラン2013/02/17(日) 23:24:34.68 ID:hdMrddzeo
>>609
「ん、そうか?」

記憶力には自信がある方だが、思い出せないものもある。
どこかでみたような気がして、アランは口元に手をやる。
アランの人生において、子供に関する記憶はほぼすべてが戦場の中にある。
たとえば、難民キャンプで飢餓と共に死んでゆく子供達。
たとえば、民兵に陵辱される女児や、不釣り合いなAKとともに殺しを教え込まれる少年。
そして、自分が手にかけた幼年兵士の骸。

どれもこれもこの少年とはかぶらない。
そもそも、この少年の人種はそういった少年兵の扱われる地域とは無縁なように見受けられた。
となれば記憶違いだろうか。

平時において子供と関わることはない。
部下である葉流やその他のごく少数を除いて、子供などという無邪気なそれらと自分は隔絶された位置にいる。

「こちらも記憶違いらしい。すまなかった」

結局は意味もないデジャヴのようなものだと結論付け、アランはコートの裾を翻すようにして目当ての本を探しに背を向ける。

少年が問う。
その言葉を意識して思考するまえに、今しがた漁ったのとは別の記憶が、目の前にちらついた。

エリーゼ・アランスキー、その名を持つ知人は一人しかいない。
もう何年経つのかな、などと意味もない感慨が胸をよぎり、アランは書架へと伸ばした手を下ろす。

「懐かしい名だ。久しく聞かなかったが、いいやつだったと記憶している」

だった。
そう、エリーゼはいまや『だった』という過去形で語られる。
だった、は過ぎ去りし時間やもう触れることができないモノに使われる言葉だ。
いいやつだった、楽しい時間だった、得難いものだった。
だった、だった、だった。
『だった』が人に使われる時の御多分に洩れず、エリーゼはすでにこの世にはいない。

人は一度肉体的に死に、その存在の忘却によってさらにもう一度死を迎えるという。
ならばかつて肩を並べた彼女は、まだ生きているにちがいない。

「その名前を知る君は、むかし彼女のそばにいたあの子かな?」

ゆったりと振り返り、少年を見据える。
靄のかかった記憶の中で、女性の後を追うようにしてついて回っていた少年。
あの頃よりいくぶんか大人びたようにみえるのは気のせいではあるまい。

少年のはいごに、かつての戦友の姿を幻視しながら、アランは懐かしいその姿に思わず笑みをこぼした。
611 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/17(日) 23:47:59.58 ID:C7+I0pDTo
>>610
ドクン、意識せずとも聞こえた自身の動悸が全身を駆け巡る
年月と共に消え行きどれほど繋ぎとめようと崩れゆく彼女の記憶
溢れ出しそうな血流がその記憶と共にあらゆる情景を思い出させた
顔を上げたその彼の目は、その昔の少年と何も変わらずに───

「お、お久しぶりです....」

思い切り頭を下げていた
ぎこちなく、まるで初めて会った時のよう
喜怒哀楽、どれにも当てはまらぬ説明し難いような
それでいて感情の伝わるまっすぐな顔
仕事の話で彼女のオフィスに行った際に戸棚の影から顔を半分覗かせて警戒し、
眉を顰めた目でこちらを見てた少年
初めて会った時にはこんな幼かったのに
次に会った時には身体と釣り合わぬ拳銃を構えていた少年だ

紫音も決して多くはなくとも、共に戦場を駆けた人物を
育ての親であるエリーゼと変わらぬ尊敬の目で彼の背中を追った事を思い出した
それは淡くも全身で思い出せる確かな記憶
この感情はなんだろうか
目頭が熱くなるこの感情が

「....3年ぶりですか...おじさ...じゃなくて、えっと...」

昔の呼び方が自然とこぼれ出た
おじさん、おじさん、と今になってなんて失礼な呼び方だったろうと
遅くなって反省している
そして新しい呼び方をなんて言おうか、そんな事を迷ってるようだ
612 :アラン2013/02/17(日) 23:59:41.23 ID:hdMrddzeo
>>611
「3年と少しぶりってところかな?」

やはり間違いない。
あの少年だ、いつも自分たちの近くで憧憬の眼差しをこちらへ向けていた、なつかしい少年だ。
ずいぶん大きくなったものだと感心する傍、そのくせにまだ細っこいな、などと飽きれもする。

しっかり飯は食えているのか?
寝床はあるのか?
金はしっかり手に入っているのか?

数年隔てた邂逅に、思わず感情の栓がゆるむ。
溢れそうになる郷愁を押さえつけ、質問したいこともすべて呑み込んだ。

「大きくなったな」

まずはその一言から。
そしてかつてそうしたようにニヤリと笑むと、ごわごわの手のひらで彼の頭をくしゃりと撫でる。

まさかあの少年とここで会うとは思いもしなかった。
エリーゼの死を知ったのは、彼女の死から半年もあとのこと。
いても立ってもいられずに探しにでたとて、少年を見つけられる訳もなく。

二度と会うこともないだろうと思っていた少年にどう声をかけていいか悩んだ挙句、

「アラン、でいいさ。好きに呼んで構わない」

どっかで落ち着いて話さないか? と
いまにも泣き出しそうな様子に苦笑して、
そう問いかける
613 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 00:20:39.31 ID:5ZzW+KY2o
>>612
溢れ出しそうな記憶の波と言葉にできない感情が彼の慟哭を誘発しそうになる
だが、この恩師に会ってそんなことではみっともない
仕事柄、今までエリーゼもアランも命の危機はあっただろう
その度に視界を歪めていた少年よりも成長した姿を見せないと
今更気付いたが、どうやら自分は涙もろいようだ

「は、はい...アランさん」

それでもやっぱりぎこちなくて
ちょっと距離を感じてしまうくらいには大人っぽくなったみたいだ
少しだけ、寂しいかもしれない

この大図書館は外に小洒落た喫茶店がある
時刻も時刻だ、店内には人はまばらで座った喫煙席には誰もいない

「好きな煙草の銘柄...変わってないならありますよ」

そう言って道中で買った煙草を差し出す
記憶が正しければ、彼はよく酒や煙草は好まなかった
身体に悪いだの、仕事に支障が出るだの
度々エリーゼやアランの煙草を指摘していた気がする
年取って丸くなったのだろう
614 :アラン2013/02/18(月) 00:31:06.73 ID:0IaNxtJVo
>>613
「よろしい。別におじさんでもいいんだぜ、紫音くんや」

呼び名が変わって、ちょっとだけ寂しい気もした。
それもまあ、仕方なかろうとは思う。
この少年も其れなりに苦労を積んだのだろうし、自分とて数年まえのままではない。

実のところ、アランは老化とは疎遠な位置にいる。
それは体内に宿した怨念と言うべき屍者どもと、それらが育んだゆがんだ奇跡のせい。
しかしその代償として肉体は刻々と、ゆったりとではあるが確実に蝕まれてゆく。
踏破した戦の数だけ心は冷え切り、触れてきた死者の数だけ肉体は軋んでゆく。

外見の年齢はさほど変わらないのに、どこかやつれた笑顔で、アランは紫音を伴って喫茶店へと足を踏み入れる。

そして適当にコーヒーを注文すると、ポケットからマッチを取り出して、

「おれは永遠にスモーキンジョーの世話になるって決めてるんだ」

差し出されたタバコをありがたそうに受け取る。
むかしと違ってタバコにうるさくなくなった紫音に複雑そうな笑みを返し、堂に入った動作で火をつけた。

615 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 00:53:15.99 ID:5ZzW+KY2o
>>614
「...美味しいのですか?それ」

メニューを見つつ、その煙草の事を言った
そんな身体に危ないものなんか吸いたいわけじゃないですけど
と、興味ありげにだが口では否定するどこか素直になれてないのか
ただ、この国で喫煙できる年齢がいくつか不明だが
彼も吸えることは吸えるだろう

「コーヒー二つで、...いいですよね?」

来た店員への注文を確認する
ブラックを頼むのだが、紫音はコーヒーに入れるであろう砂糖やミルクを用意している
昔からの極度の甘党は変わらないようだ

「...今日は何をなさっていたのですか?」

あんな図書館で出会うとは思っていないのでふと気になった
紫音は自身の使える魔術について
彼の体質は魔術運用に極端に向いていない
魔翌力の大元の才能は常人を遥かに上回る
だがそれを扱う体質が弱い
水を流す源流は立派でも流れるパイプは穴だらけなのだ

昔にエリーゼも同じことで悩んでいた
エリーゼ自身はほとんど魔翌力を扱えないのでどうにもできないとよく嘆いていた筈だ
616 :アネット2013/02/18(月) 01:08:36.32 ID:0IaNxtJVo
>>615
「煙草? そりゃうまくないなら金は払わないよ」

マッチの火を消して携帯灰皿へ押し込む。
そして指の間に煙草を挟んで、質問への返事と共に紫煙を吐き出した。
思えば自分がタバコに手を出したのは18の頃だったか。
紫音とそうたいさない頃には不健康な大人に囲まれてなれない煙草片手に大人ぶったものである。

「ん、二つでお願い。あとなにか軽食、
適当なもの」

砂糖とミルクに、あいかわらずの甘党か、
とこれまた懐かしい風景を思い出して、
アランは自分の分の砂糖を手にする。
普段はブラックだが、甘いのも嫌いではない。

「今日は、本を探しがてら宝石魔術に手を出してみたんだよ」

俺の体質は教えたっけ? と逆に尋ねてみる。
元の体回路が脆弱であり、その上に使える属性そのものが限られている。
その上に体質変容によって特化してしまったとあっては、限られた属性の単純な魔術しか扱えない。

それでも十分といえば十分なのだが、アランは満足していなかった。
617 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 01:24:34.22 ID:5ZzW+KY2o
>>616
「おじさんはまだ魔術を使えるからいいです...
ただ俺はまだ見様見真似で...」

本で読むような単純な知識
師に手ほどきを受けた訳でもなく、分かりやすい図と文章で描いた術式
送り込む魔翌力量、属性も何もかも完璧であっても身体が耐えられない
お遊び程度の魔翌力量出なければ身体が悲鳴を上げる
今まで成功したのは己の血液操作能力の強化
それしか上手くいった試しがない

「....おじさんは羨ましいです...昔からずっと立派です...」

そう言ってコーヒーと軽食のサンドイッチが届けられる
迷いのない動作でコーヒーの良さの半分ぐらいを占めるであろう苦味を消し去るように
ミルクと砂糖を入れる

紫音はまだ未熟だ
背中を見て一生懸命ついて来てても経験不足
彼が独り立ちできる様になる前に彼の師であるエリーゼはこの世を去った
その後彼は全力でエリーゼの思う世界の実現の為に走った
だが、運命は非情だ
そんな彼女の思いは殺菌される炎の中で溶けていった


何とか生活はできているが、彼は未だにそんな自分の実力不足を嘆いている
618 :アラン2013/02/18(月) 01:35:58.07 ID:0IaNxtJVo
>>617
「まあそう言うなよ
使えるには使えるが、使い勝手のいいのは強化だけだ」

どれも反動がつよい。
体時間操作は回避不能のダメージを。
鍛錬回路からの強化とて所詮は小手先。
挙句切り札の『帝国』など使おうものなら命が削れる

魔術師として20年以上費やし、結局その程度。
真に命を託すのは肉体と手にした凶器のみである。

「立派……か。そう言われるとどうもむず痒い」

だばだばと注ぎ込まれる砂糖に軽く戦慄を覚えはしても顔には出さない。
健康の心配をしないわけではないが、
そこは自分の口出しするところではなかろう。

「結局、俺は銃とナイフを頼るしかない。
本当に危険になった時、訓練を重ねた技術以上に役立つものなんて持っていないさ」

半ば以上本音だった。
アランにとって魔術とは補助でしかない。
その技術だって、それ以外に適性を見出せないがために極めたものにすぎないのだから。
619 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 06:00:54.38 ID:5ZzW+KY2o
>>618
「俺にはその技術も半端なんですけどね...」

懐に仕込んだナイフ
彼の持ち歩く唯一の武装で最も得意とする武器
だがこれも我流だ、戦場で死なないように必死に覚えたものだ
街の不良を相手にするなら造作もないが、相手が相手ならなす術もない
他人も守れず、自分もロクに守れない

「訓練か...俺もおじさんみたいに強い人に教えて貰いたいな...」

ふと、そう呟いた
きっと忙しいから、時間なんてないから
この業界は遅れる者が切り捨てられる世界だ

今でこそ知り合いで仲良くできていても
いつか仕事では敵同士になるかもしれない
そんな甘い世界を生きていた覚えはない

そんなワガママが通じないと
心の何処かで思えるお陰でずいぶん諦めたように紫音は喋っていたのだ
そういった彼の心情も、口ぶりや雰囲気から感じ取れるだろう
620 :アラン2013/02/18(月) 06:36:23.83 ID:+yisLyyMo
>>619
「そりゃ人生の半分以上を注ぎ込んだんだ、情けない技量じゃこまる」

懐と腰に一挺ずつ。
40口径の拳銃と、もう10年近く使い続けているナイフを1本。
それだけが普段の持ち物であり、最も得意な組み合わせ。
ナイフと拳銃によるインファイトと中距離の組み合わせで、いままで駆逐できなかった敵などいない。

なにも誇れるものなどない半生だった。
人殺しの手管に長け、ほんの少しだけ大人になって、殺人機械になっただけ。
それでも自分の努力は身体にしみついている。それは、本当に小さな、兵士としての自慢。

「なあ、紫音…………なんで君は戦う道を選んだ? なぜ、力を欲する?」

諦念を滲ませた少年のつぶやき。
アランはそれに気づかなかったとでもいいたげに、質問を押しかぶせてコーヒーを啜る。

銜えた煙草からくゆる紫煙に視線を転じ、霞と消えるそれをぼんやりと見つめる。

自分も10代の頃は力を欲しただろうか。
思い出されるのは、自分を送り出した父と祖父の影。
そしてまだまだ青かった自分と、気のおけない戦友たちの幻影。

まだ子供でいられた頃の自分が、自信なさげな眼前の少年にたぶるようなきがした。
きっとそれは間違いだろう。
自分は戦いなど選ばなかった。
ただそれが父を楽にできると信じ、語学へ手を出す数少ない手段だと信じただけ。

それでも、いや、だからこそ。
少年がなぜ戦うのか。それが知りたい。
621 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 07:01:01.91 ID:5ZzW+KY2o
>>620
「俺は...」

言葉が詰まる
理由はエリーゼの死にある
きっとこの人はエリーゼの詳しい死因を知らないだろう
その手の世界では其れなりに有名人だったエリーゼの死因は
「ウイルステロに巻き込まれた」ということになる
あの時の事は思い出したくもないが真実は
“自分自身の手でエリーゼを殺した”のだ
その事実に何度押し潰されたかわからない
愛した人を殺した事実を受け止めるには彼女の遺志を受け継ぐ事しかなかった

「...エリーゼの目指した世界に辿り着きたいから...」

彼女はよく世界平和世界平和と言っていた
自分は不器用で銃しか持てないが多くの人を救いたいと
死んでしまうかもしれない人々を助けるのが私の義務だと
そう言っていて志半ばで去った彼女を受け継ぎたいと
それが理由だった

「...夢みたいな、バカバカしいですよね...」

思えば彼女は年の割に子供っぽくてまっすぐな人だった気がする
そんな夢物語を堂々と言っていたのだ
彼も彼女もアホらしいと切り捨てれるようなそんな理由で戦っていた
622 :アラン2013/02/18(月) 07:13:51.97 ID:+6m2hagIO
>>621
「…………」

一瞬、少年が言いよどむ。
その間隙がなんであるのかアランは知り得ない。
無論、エリーゼの詳しい死因など知る由も無い。
その場に居合わせた訳でもなく、半年遅れて友人の死を知っただけの身にそんなことわかるはずがない。

それでも、紫音という少年の内奥の苦悩だけは、それだけは感じ取れた。
戦う理由などというものは、まだ若い彼にとってペラペラと語れるものではないだろう。
無言でその先を促したアランは、指先で燃え尽きかけた煙草を携帯灰皿へ落とすと、紫音の言になにも言わずに頷く。

懐かしい。
仕事に必要だと自分をひつ捕まえて、「世界平和」の理想を説いた女の姿が。
懐かしく、記憶の中の死者たちとともに薄れてゆく彼女の影が。
紫音の肩口を介してそれを幻視しながら、アランは在りし日の記憶に浸る。
懐かしい友の声を聞きながら。

「バカバカしい。バカバカしくて呆れたくなるが、まさかな」

アランは容赦なくそれを切り捨て、コーヒーの残りを飲み干した。
その顔に張り付いているのは、兵士のそれではなく、少年じみた笑顔。

「だが、まさかそんなバカバカしい夢を信じた"同志"と人生二度目の邂逅とは、因果じゃないか、なかなかに」

湿った青い瞳で紫音をみつめ、心底楽しそうに。
623 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 07:33:02.49 ID:5ZzW+KY2o
>>622
「...ホント、バカみたいですよね」

叶えれる筈もない夢を一心に追いかけ
届くはずのない理想を描き続ける
そんな大馬鹿者の背中を自分もまた追っていた
血の繋がりはなくとも、その意志は引き継がれる
その願いへ手を伸ばす、そんな彼女が紫音の隣
笑顔以外の表情が似合わない、いつまでも子供だった彼女の姿があった気がする

「...お願いがあります」

覚悟を決めたような声だった
今の自分にエリーゼは越えられない
彼女の理想を今の自分には成し得れない
空高く虚空のその先にある明星には届かない
───だから

「僕を───強くして下さい」

エリーゼと並べるように
空の上にいる彼女に笑われないように
そして、一人の息子として
亡き母親を忘れることのないように

今までのような切り捨ててきた、殺し続けた人達への後ろめたさではない
紫乃咲紫音、彼はエリーゼ・アレンスキーの子として──

紫乃咲紫音は頭を下げて彼にそう言った
624 :アラン2013/02/18(月) 07:57:15.03 ID:+6m2hagIO
>>623
「笑いたくなるほどにな。いい歳して笑えてくる」

世界平和なぞ戯言に他ならない。
人類みな兄弟など言えるほど穏やかな時代ではない。
延々と各地で戦争が繰り返され、日に何万もの人々が殺されてゆく。

世界平和を目指すなどと。
そんな事をいう大馬鹿ものは、ディスプレイに閉じ込められたキャラクターですら今日日口にしない。

だがしかし、そんな理想を掲げた女がいたのだ。
その女の戦いを手伝ったバカな男がいたのだ。
そしていま、それを引き継ごうという少年が、自分の前にいる。

「願いを聞こう、君の願いを」

人の想いは引き継がれてゆく。
途切れる事なく連綿と。誰かがそれを後へ伝える。
自分はいつか死ぬだろう。誰に想いを引き継がれることもなく。
いままで看取ってきた戦友たちのように。
戦いで死ぬか、怨念に食い潰されるか。いつ果てるとも予見できぬ、紙っぺらのようなそれであっても。
せめて友の理想と忘れ形見のために。
そのために尽くして、自己満足でも意味を見出せたなら。

「強くしてやる、俺の持ち得る技術で」

自分に残されたのが死者の夢の熾火だと言うなら、それを後へ伝えてやろう。
志半ばで朽ちた彼らへの手向けとして。

それがきっと、自分にできる数少ない善行だと信じて。
625 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 08:13:02.96 ID:5ZzW+KY2o
>>624
「ありがとう...ございます」

言葉が途切れ途切れに漏れる
今まで何度悔しがったか、自分の非力さを
どれだけ崇高な理想を掲げても成し得れなかった
そんな己を変えれるかもしれない
もう嘆くことはないのかもしれない
そう思うと、己の内に閉じ込めた感情が涙と共に再び溢れ出た
───本当に、みっともない

「...今日はもう遅いです、また会った時に鍛えて下さいますか...?」

時刻は既に丑三つ時
時間帯としては、もう真夜中だ
お互いにするべき仕事もあるだろう
時間があった時に手合わせお願いしますと
あふれる涙を拭きながら紫音はそう提案した

そういったまっすぐな所もそっくりで
生まれが違っても子は親に似るのだろう
626 :アラン2013/02/18(月) 08:21:53.92 ID:+6m2hagIO
>>625
「礼はいらんさ、彼女からもらった報酬のうちだ」

礼を受け取るのが気恥ずかしくて、肩を竦めてそれを流す。
それに、これはきっと自分のためでもあるのだから。
たとえどんなものでも。
殺人のために練磨された技術であっても、誰かに遺せるならば、それはこれ以上ない幸運ではないか。

泣きじゃくる紫音頭に手を延ばして、ぽんぽんと撫でてやる。

「そうだな。おれはいつでも空いているから、適当に連絡でもくれ」

そういって差し出したのは名刺と、すこしの金。
それにメモを添えて、必要物を揃えておけと付け加える。
最後にハンカチを投げてよこすと、涙をふけよ、と意地の悪い笑みを浮かべる。
627 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/18(月) 08:38:57.30 ID:5ZzW+KY2o
>>626
「別にハンカチなんか...」

それでもやっぱり素直になれないのか
渡されたハンカチを受け取りながら不満げにそういった
まだまだ意地悪されるのが嫌いなお年頃

受け取った名刺を大切にしまって再び目線を上げる
その目は怯えていた最初とも、最愛の親を失った虚ろな目ではない
しっかりと“生きている”目だった

「それじゃあ、俺もそろそろ...」

会計を済ませて時計を見る
時間を確認してるあたりきっと仕事の予定があるのだろう
ちゃんとやっているようだ
根はしっかりした子だ、大丈夫だろう

最後に紫音は一礼して立ち去ろうとする
その時、誰か懐かしい声がアランの耳に聞こえた気がした

『案外しっかりしてんじゃん、こりゃアランさんがお世話になるんじゃねーの?ふふっ』

まるで小馬鹿にするような明るい女性の声は
ポンとアランの背中を叩いて去って行く少年を一瞥して
安心そうに笑い、霧のように溶けていく
628 :アラン2013/02/18(月) 12:54:07.89 ID:aYnITgpIO
>>627
「使っとけよ、泣きっ面よりましさ」

懐から煙草の箱を取り出す。
一本銜えてマッチで火をつけ、紫煙をくゆらせる。
昔は良く、こうやって紫音をいじっていたようにおもえた。

あの頃は小さくて怯えがちな子供で。
そしていまは、弱いくせして一丁前に頑張ろうとする直向きな少年。

「ああ、用事があるんだろう?」

予定を気にして時間通りに動くくらいには成長したらしい。
かくいう自分も数時間後は機上の人。
半日もすれば鉄火場に身を投じる立場だ。

立ち去る少年の、細っこい癖して力強い背中。
聞こえた声は幻聴か……あるいは……

「やかましいやい……ったく、からかうなよ」

かつて肩を並べたその気配が。
夢を語ったその声が、ゆっくりと霧散して行く。

年甲斐もなく熱くなった目頭を指先で抑え、アランはため息を一つ。

「さて……おれもいくかね」

すべては世界平和のために。
ともと語らったバカみたいな幻想のために。
まずは……そう、難民キャンプの一つでも救いに行こう。
629 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 18:41:45.25 ID:8t2td46to
「うぅ……どうしたらいいんでしょうか……」

夜の公園で途方に暮れる一人の少女……いや、少年。
少女のような顔に、薄いブロンドの髪が肩より少し下まで伸びていれば、それは少女に見えると言うものだ。
しかも、その服装は紺色のポンチョトレンチコートにひざ下までのスカートと、完全に女物である。

手に持つトランクケースを見るも、入っているのはメイド服と小物が少し。
お金なんて入っているはずもない……

「このまま飢え死にしてしまうんでしょうか……」

ベンチに座り、うつむいてため息を一つ。
夜の街で少女にしか見えない少年が、一人でうつむいて座っていれば、声をかけてくるのは善人か悪人か……
630 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 18:51:27.04 ID:nzAxGgnwo
>>629
「あう?」

そんな、舌っ足らずな意味のない音律が少年の上から降り注いだ。
見下ろしていたのは、一人の女だった。
顔の左半分を長く伸ばした前髪で隠した変則的なボブカット。髪の色は鮮やかなオレンジ。
青色の瞳は、穏やかに細められており、眠いんだかそうでないんだかよく分からない気配。
服装は、何処ぞで買ったのかも分からないような、安っぽいスカジャンに、ダメージジーンズという格好。
清楚な顔立ちと所作だからこそ、そのホームレスのような格好が嫌に目立つ。そして、女の穏やかな雰囲気を逆に引き立てる。
肩から掛けた鞄から、大きなノートのようなもの、所謂スケッチブックを取り出す女は、おもむろにスケッチブックに何かを書き始めて。
数秒後に、相手の目の前にそのスケッチブックをつき出すだろう。

『何か困っているみたいだけど、お姉さん力になっちゃうよ!』

ニコニコ笑顔を振りまきながら、そんなお人好しな発言をする女。
言葉が喋れないのか、筆談で会話をしようとしているようだ。
どこからどう見ても無害以外の何者でもない気配の女は、相手に視線をあわせて、こてんと首を傾げるのだった。
631 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 19:04:13.58 ID:8t2td46to
>>630
「ふぇ……?」

誰かに声をかけられるとは思ってなかった由良は、その突然の声掛けに間の抜けた反応と取ってしまう。
かけられた声が、全く意味不明の物であったことも、由良の思考を一瞬停止させるのを手伝っただろう。

見れば、スケッチブックで意思疎通をしようとしている様だ。
それにしても、いきなり力になると言われても、困るだろう。

だが、それは世間一般での話。
切羽詰まった由良は、その申し出に甘えざるを得ないのだ。

「あ……あの、えっと……」

元々、気の弱い由良が知らない人に話しかけられれば、頭ではきちんと話さなければならないと分かっていても言葉に詰まる。
眼も泳ぎ、目の前の女性を全体像を図らずとも見てしまう。

(あ、なんかいい人そう……)

前のご主人様より優しいかな。
なんて考えつつ

「わ……、ぼくを買ってくれませんか?」

たった今会った人に対し、自分を買ってくれとせがむ。
その言動は間違いなく頭のおかしな人に分類されるだろう。

「なんでもしますっ! 掃除、洗濯、料理……はちょっと出来ないかもしれませんけど、他にもなんだってします」

必死に訴えかけてみる。
何とか餓死を回避したい。
632 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 19:14:01.05 ID:nzAxGgnwo
>>631
僕を買ってくれませんか、という言葉。
それを聞いて、僅かに目を見開いて、なんとも言えない苦笑を浮かべる。
みなまで聞いて、うんうんと女は何も言わずに頭を縦に振って。

『残念ながら、私には君を買える程のお金はないんだよね。
 ……ううん、人間を買う事自体、ちょっと違うかなって思うんだけど。
 でも、力になってあげるのは間違いないからさ。まず、君がどういう状況なのか、教えてくれない?
 切羽詰まっているのは分かるけど、ちょっと落ち着いて。ね?』

そう、スケッチブックに書き付けて。
女は静かに目を細め、細く、しかしペンだこ等の目立つ働く手≠ナ少年の頭をくしゃりと撫でた。
相手の態度に困惑すること無く、しかし即座に同意を返すわけでもなく。
どういう状況なのか、何を求めているのかを、女は相手に問いかけようとしたのだ。
最後にスケッチブックにちょっとまってて、と一言書きつけると同時に、女は踵を返して走りだす。
数百m先に何かの屋台のような物の影が見える。途中で足を滑らせて一回顔面から転んだが、フラつきながらまた走りだす。
数分後、両手に大きな紙コップに入ったほかほかのココアを2つ持って女は戻ってきて。

「んー!」

どうぞ、とばかりに意味不明な言葉と同時に、ココアを一つ差し出した。
甘くて暖かくて。甘いものが暖かいなんて、それは小さいとはいえど幸せのかたちだ。
633 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 19:23:34.63 ID:8t2td46to
>>632
「あ、あの、ごめんなさいっ! そうですよね……いきなりそんなこと……」

そう、ここは奴隷市場ではない。
そこいらの人に自分を買ってくれと言ってわかったと言う人は居ないだろう。
冷静に考えれば分かる事だが、由良にその判断力は無かった。

「あっ……」

危なげな感じで買ってきてくれたココア。
きっと自分にくれるのだろう。
そんな小さな優しささえ、今までくれる人は居なかった。

「その……ありがとうございます」

ちょっと小さくなりながら両手でココアを受け取る。
うん、美味しい。
そして、この冷え切った体を温めてくれる一杯のココアは、今の由良には最高のごちそうだった。

「あの……ぼく奴隷なんです。でも、ご主人様に捨てられてしまって……」

言葉にしていく最中、だんだんとその視線は下へ降りて行ってしまう。

「だから……その、新しいご主人様を見つけないといけないって言うか……」

「お金は要らないんです。死なない程度の食事と、犬小屋があれば良いですからっ」

そう言って上目づかいに相手を見る。
捨てられた子犬のようだ。
634 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 19:34:43.32 ID:nzAxGgnwo
>>633
「ん」

短く声を漏らしつつ、相手の身の上話を聞いていくリリー。
うんうん、と頭を縦に振りながら、少年の言葉を噛み砕いていき。
上目遣いに此方を見る視線に、女は僅かにたじろぎ、どうしようか、と考えた。
まずはココアを飲もう。冷めたら悲しいし、と僅かに現実逃避をしつつ、ココアを啜る。
口の中には幸せの味が広がっていき、ついついほんわかした表情となった。
無言で女は相手の傍らに座り込み、ココアをもう一口口元に運べば、コップを置いてスケッチブックに走り書きを始めた。

『先に言っておく……書いておく?けど。
 私は、君を奴隷にする積りも無いし、私はご主人様になるつもりも無いよ。
 私は誰かを縛るのも嫌だし、縛られるのも嫌だからさ。君に枷と首輪を付けて悦に浸れる人間でもない』

拒絶の言葉が、少年にはかけられた。
主人になる積りは無く、奴隷を必要ともしていない。
まっすぐに少年に視線を向ける女の表情は、真面目そのもの。
群青色の深い色の瞳は、穏やかながらも確りとした思想の光を感じさせる。
だけど、とスケッチブックにつなぎの言葉が書き付けられて。

『君が、君自身として自立するまでの間なら。
 私の手伝いとか、見習いって事で一緒に居てあげてもいいかなー、って。
 いつまでも奴隷なんて、私が嫌だからさ。奴隷を辞めたくないなら、悪いけど私は面倒見れない。
 君が君自身の人生を歩むことを望んで、その為に今を凌ぐ場所が欲しいならさ。
 ――おねーさんは喜んで前途ある少年の未来を助けてあげたいかなーってね?』

と、自立することを条件に、下働きをしないか、という提案だった。
奴隷よりも遥かに良い条件を、逆に女が提案してきたのだ。
自分の意志、自分の足で立ち上がれない人間は、人ではないと思っている。
人間らしく生きて欲しい。そう思うから、女は少年を地の底で這いずらせ続けるのではなく、上に引き上げようと思っていたのだ。
635 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 19:47:45.40 ID:8t2td46to
>>634
「はうぅ……」

主人になるつもりは無い。
はっきりとした意思表示に、ちょっとだけ涙目になる。
これからどうしようか。
先ほどの悩みが再び心の中を支配し始める。

……が、

「てつ……だい?」

完全にここで切られるかと思って居た矢先、話しの続きを見る。
それは、奴隷としてではなく、人権のある人間としてそばで働かないかと言う提案だった。

由良の思考は一瞬止まる。
今まで考えもしなかった事だ。
自分に新しい道があるなんて、考える権利も無いと思って居たし考えようとも思わなかった。
それをいとも簡単に提示してくるなんて……

「うれ、しい……ですけど」

「えと……えっと……どうして、そこまでしてくれるんですか……」

恐る恐る聞いてみる。
ここで自分を買って、あらゆることにこき使うなら分かる。
奴隷は要らないと言って切り捨てるなら分かる。
しかし、目の前の人は自分に新しい道を提示して、その助けをしようと言うのだ。
未だかつてそんな人に会ったことは無い。

少年は、その好意の真意が分からなかった。
臆病なのだ。
636 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 19:55:28.41 ID:nzAxGgnwo
>>635
「んー」

こくり、と少年の呟きに首肯を返す女は、柔らかな表情。
そして、もっともな疑問を聞いて、んー、と又声を漏らして。
ココアを口元に運び、こくりこくりと喉で嚥下して、ほふぅ、と幸せに息を吐いて。
スケッチブックに手を伸ばし、きゅきゅ、と何かを書き始めた。
相手の不安げな表情も消し飛ばすような、子供のような表情で。書き上がった文章を少年に付きつけた。

『私は、奴隷だったわけじゃないけどね。
 ……でも、あんまりいい生まれでも育ちでも無かったんだ。
 世の中の色んな汚い所とか、怖い所も見てきて知っててね。
 だから、ってわけじゃないんだけどさ。
 簡単に言うと、頑張っている人を見逃せないのさ、おねーさんはね!
 それに、ずっと奴隷なんて悲しすぎるし、私の夢は皆幸せだしね。
 って訳で、おねーさんの夢の為に協力するのだ、少年ー!』

その文章を見せつつ、女は己の顔の左半分を隠す髪を掻きあげる。
酷い火傷痕が目立ち、義眼の入った顔は女の雰囲気に一抹の影を落とし、また過去を想像させるファクターだ。
だが、その顔で女は力強く笑ってみせる。大丈夫、安心してと。
言葉を紡ぐことの出来ない女は、表情と雰囲気だけで己の感情を伝えようとしていた。
637 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 20:09:42.04 ID:8t2td46to
>>636
そんなことを声高々に言える人がこの世に何人居るだろうか。
この世多くの人は自分の事が一番大事だのだ。
世のため人の為と謳っている善人集団だって、いざとなれば自分が一番かわいい。

そんな人はいくらでも見てきた。
奴隷として働いていたときに、屋敷に訪れる金持ち達。
ご主人様に募金のお願いに来るどこかの団体。

……ご主人様だってそうだ。
自分を捨てて遠いところへ行ってしまった。

「あの……っ」

声が震える……女性の明るい声とは裏腹に少年の声は徐々に上手く出なくなっていく。
しかし、それは決してネガティブな感情によるものではなくて……

「ぼく……なりたいですっ……人に………」

それは絞り出した声。
由良が初めて、奴隷から人へ上がる為の第一歩。
情けなくも、涙が流れ、嗚咽が混じった声でその一歩を踏み出したのだ。
638 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 20:17:37.98 ID:nzAxGgnwo
>>637
「んう」

意味の無さない声を、納得の体で漏らして。
無言で女は手を伸ばし、くしゃりと少年の頭を撫でて、柔らかく抱きしめた。
背中を静かにぽんぽん、と叩いて泣き止むまで女は相手を抱きしめ続けるだろう。
そして、相手が泣き止むか落ち着くかすれば、女はゆっくりと体を離し、スケッチブックを相手に見せる。

『よーっし、まずは自己紹介と行こうか少年君?
 私はナイト・スター・リリー。本名は別にあるけど、まだ君には教えない。
 何時か私が教えていいと思った時に、私の名前を君に託すから。……そうだねぇ、一人前になった頃かな?
 んでもって、職業は旅の絵描きさん。特技は……一応魔法をチョビっとかじってるかな。
 あんまり美味しいものは食べさせてあげられないし、定住も出来ない貧乏生活だけどさ。
 それでもいいなら、私は君に寝床とご飯を提供してあげる。当然、君がやることをやるなら、って条件付きだけどね』

と、女は朗々と自己紹介。
格好や雰囲気から、自由人の気配は漂っていたが、職業は旅の絵描きと描かれている。
文字通りの無頼の民なのだろうが、だからこそ定住できない、安定していないと前持って伝えておく。
それでもついてくるならば、女は笑顔で相手を受け入れることだろう。

ココアのコップを軽く振って下に溜まったココアを混ぜつつ。
女はココアをまた口に運んで、幸せそうに息を吐く。
ココア一つでここまで恍惚の表情を浮かべられる人間はそうはいない。人生を楽しんでいるのだろう。
639 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 20:31:32.23 ID:8t2td46to
>>638
「……っ……っ!」

体を女性に預けたまま、体を震わせる。
人はこうも温かいものなのか……少年が今まで感じたことが無いものだった。

長いようで短い抱擁の時間。
やがて落ち着いてきた後に体を離すと、この心暖かな女性が自己紹介をしてくれた。

そこで自分がまだ名乗っていない事を思い出す。
自己紹介もせずに自分を買ってもらおうとしていたのだ。

「あ、はいっ。ぼくは由良……早乙女由良と申します。
 特技は、掃除と洗濯と……その色々な人のお世話が得意です。あと、えっと……精霊術って言う変わったものが使えたり……」

「その……美味しいものも要りません、定住する場所も要りません、どんなことだってします。ですからっ……私っ……じゃなくて、ぼくを連れて行ってください」

深々とお辞儀をして、新しくついていく人に挨拶をする。
この人は、奴隷を必要としないと言った。
自分を解放して、人にする手助けをしてくれると言った。

でも、その言葉に反してしまうかもしれないけど、自分はこの人にお仕えしたいと心から思った。
心からついて行きたいと思った。
640 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 20:40:10.63 ID:nzAxGgnwo
>>639
「ん!」

確りと挨拶ができるのはいいことだ、そう思って由良の挨拶に、此方も満足気な笑みで答えて。
ニコニコ笑顔で、由良の手を取り、暫くの間ぶんぶんと手を上下に振っていることだろう。
見た目は少女と言えない程度には成熟した外見なのだが、動作が子供っぽいためどこかアンバランスな印象だろうか。
多少は信頼してもらえたかなーと、思いつつ女はスケッチブックに手を伸ばして。

『じゃ、行こっか!
 一応、今後のしごととか、由良の寝床とかも確保しなきゃだしねー。
 毛布と寝袋は余ってたし、ご飯の備蓄はあるから、絵が売れるまではちょびっとひもじいかもだけど、我慢してもらうね?』

そう言って、女は由良の手を握って歩き出す。
数分歩けば、この公園の駐車場に辿り着き、さらに歩けば大きなトレーラーが有った。
トレーラーにはトレーラーハウスが装着されており、どうやらこれに住みながら旅をしているようだ。
ハウスの入り口の鍵を開けて、一歩先に中に入ると、ちょいちょいと手招きをした。
ハウスの中は、生活感あふれる空間だ。外から見る感覚の二倍くらいの広さだろうか。
ところどころに絵が描かれており、空間の中には穏やかかつ賑やかな魔力が漂っていた。
寝袋が3つほど転がっており、ハウスの隅には脱ぎ捨てた服やら下着が散乱していて。
大量の画材の入った木箱が3つほど。そして、安楽椅子と看板も立てかけられていた。

『さーって、ここがリリーのスーパーハウスなのであるー!
 って訳で、寝袋は余ってるから、下に毛布敷くなりして、開いたスペースで好きに寝てくれていいよー。
 ご飯は、ちょっと今パンと缶詰くらいしか無いけどそれでもいいなら食べちゃう?』

と、ちょっとした中の説明をして。
ひょい、と由良に向けてふわもこしたクッションを一つ放り投げるだろう。
尻に敷け、と言っているのだ。
641 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 21:06:53.60 ID:8t2td46to
>>640
「わわっ……」

いきなり繋がれる手。
その温もりは心地いが、ぶんぶん振られるとびっくりする。
ちょっとかわいい人だなと思ったのは内緒だ。

「はいっ!」

元気よく答えた由良は、リリーの後ろをちょこちょこと狭い歩幅で付いていく。
その顔はにこやかで、ベンチで座っていたときの悲壮感は欠片も無い。

到着したその場所は、トレーラーハウスだった。
定住先が無いと言うのはこういう事だったのかと納得する。
歩いて世界中を回って、山の中でキャンプを想像していたので、思っていたより良い生活だ。

以前仕えていたお屋敷はとても広かったが、実際に寝泊まりしていた場所は小屋みたいなものだったので、あれは住んでいたとは言わないだろう。

「すーぱーはうす……素敵ですね。
 あ……ちょっと待ってください」

受け取ったクッションを汚れない場所に一度置く。
トランクケースを持ったまま、車の陰まで走っていく。
リリーからは見えない場所で、もぞもぞと何かをやっている様だ。
聞けば、布のこすれる音が聞こえるだろう。

「お待たせしましたっ、リリー様」

再び両手でトランクケースを持って飛び出してきたのは、メイド服姿の由良。
膝より少し下まで伸びたスカートで、典型的なデザインだ。

「改めて、よろしくお願い致します。
 お食事の給仕ならぼくが」

奴隷はやめろと言う事だったが、そのことを覚えているのか忘れているのか……
完全にお仕えします体制だった。
642 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 21:14:14.90 ID:nzAxGgnwo
>>641
何をやっているのかなー、と車の陰に消えていった由良を見て、こてんと首を傾げて。
まあ戻ってくるまでココアでも飲んで和んでいよう、と思う。
ふはー、とのんびりとココアを飲んでいた所、唐突に現れたメイドに目を見開き。

「ぶぉっへ!?」

びっくりして少しというか盛大にむせた。
暫くげっふぉげっふぉとしていたが、深呼吸して落ち着いて。
ぱちくりと瞬きして、よく分からない表情を浮かべた。

『あれ、由良って男の子だよね……?
 いや、服がそれしかないなら仕方ないんだけどさ……えーっと、それでいいのかい?』

どうやら、異性装については慣れていない模様で。
どうコメントしたらいいかどうか分からないといった様子だ。
と言っても嫌がっている訳ではないし、似合っているなあと思っているのだが。

「んーん」

食事の給仕は、と言う言葉に女は首を振る。
そして、きゅっきゅとスケッチブックに文章を書いて。

『私は、由良を奴隷にはしない、って言ったでしょ?
 まあ、確かに色々手伝ってはもらうつもりだけど、ご飯とかそういうのは当番制にしよ?
 それに、まだ由良はここ慣れてないわけだし。ここはおねーさんの手料理のご相伴に預かるといいのだよ!』

ずびし、と人差し指を突きつけてウィンクするリリーのイラスト付き文章だ。
そう言った直後に、かりかりとスケッチブックに何かを書いて、ぱし、と壁に破った紙を貼り付けた。
その紙には、一日置きに交互に料理の当番にする事が書かれていた。ただしリリーが面倒なときは由良がやること、と追記されていたが。
まあ、下働きしてもらう以上、それくらいしてもらっても良いだろう。
643 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 21:29:52.00 ID:8t2td46to
>>642
満面の笑みで登場した由良。
リリー様なら歓迎してくれる……そう思って居たのだが、どうやら困っている様子。

「あ……これですか……。男……なんですけど、
 持っている服はさっきまで着ていた服と仕事用のメイド服しか持っていません……」

だんだんと複雑そうな顔になっていく由良。
男らしくなりたいと思って居る反面、ずっとしている女装がまんざらでもないと思って居る自分に何とも言えない気持ちになっているのだ。
先ほどまで来ていた服もスカートなので、結果由良は男物の服は一切持っていない事になる。

「ずっと仕事はこれでやっていましたから、リリー様がお嫌でなければこれで……」

ちょっと肩を狭めて顎を引く。上目使いで本当に良いのかな迷っているのだろう。
そもそも女装は以前のご主人様に命じられたものだ。
他の人もみんな女装を求めるかと言えば、それは全く違うのである。

「あぅ、そうでした……。
 では、今日の所はリリー様にお任せいたします」

実際の所、由良はあまり料理が出来ない。
お屋敷では、コックが居たし、そもそも奴隷に食べ物を扱わせることはしなかったのだ。

しかし、”リリーが面倒なときは由良がやること”という記述をみて、思わずクスッと笑ってしまう。
こういうちょっとしたことが可愛いなと思ってしまうのだ。

「えっと、では今日はどんなお食事があるんでしたっけ……?」

クッションの敷いて、その上に正座する由良。

644 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 21:41:13.56 ID:nzAxGgnwo
>>643
『うーん、だったらお仕事中はそれって事で。
 男の子なのに男の子ものの服持ってないのは困るから、今度お金入ったら買ったげるね?
 なんだかんだで可愛いから別に嫌ってわけでもないからねー。このこのー』

リリーは、相手の質問に対してと、間の策を取ることとした。
男向けの服を買った上でも、異性装をするというならば、それもひとつの個性だろうと思う。
だからこそ、リリーは由良に選択肢を作ろうと思ったのだ。何方を選んでもいいのと、何方かしか無いのは全く違うから。
そんな態度を取りつつ、リリーは由良の頭をくしゃりくしゃりと優しく撫でるのであった。
そして、由良に今日の晩飯のメニューを聞かれて。
ぴきり、とわずかの間を置いた後に、ごそごそと木箱を漁って何かを取り出した。

『ズバリ! 秋刀魚の蒲焼サンドイッチ!
 缶詰のさんまをパンに挟むだけの簡単ゴハン!
 ……いや、ね? ぶっちゃけここの所絵が売れてないから、ちょっとひもじいかもだけど。
 でもでも、お金入ったら美味しいご飯食べようね? って事で今日はコレでごめんね!』

取り出したのは、さんまの缶詰とパンだ。
なんともミスマッチな組み合わせのそれを見つつ、んー、と声を漏らして。
近くの画用紙に火のイラストを書くと同時に、缶詰を紙の上に置く。
蓋を開けて魔力を込めてしばらくすれば、熱された缶詰がそこにあった。
パンもついでに上においておけば、良い感じに暖められてふかふかである。
そのパンを半分に割り、間にさんまの蒲焼をはさみ、栽培していたかいわれを引きちぎって挟み込む。
なんともわびしい食事だが、それを由良に差し出して、リリーは静かに手を合わせるのだった。
645 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 21:53:27.54 ID:8t2td46to
>>644
「わぁ……ありがとうございますっ」

両手の平を組んで、胸の前に持って行く。
お祈りっぽいポーズだが、完全に女の子である。こんなんでも男らしくなりたいと密かに思って居るのだ。

「でも……そんな何から何まで申し訳ないです……
 私はそれだけのものをリリー様に返せるでしょうか……」

ここまでしてもらってさらに今度服を買ってあげるという事だが、流石に申し訳ない気分になる。
自分はまだ全く役に立っていないし、これから役に立つ確証もない。
もちろん、精いっぱい仕事をするが、恩を返し切れるかどうか。

「おいしそうですね。ひもじくなんてありません。
 立派なご飯ですし……リリー様と一緒ですから……」

両手でパンを持ちながら上目づかいにリリーを見る。
もうすっかり懐いてしまっているようだった。

「頂きます……って持った時から思ったんですが温かいです」

先ほどの様子から、火のイラストが関係あるのだろうかと思う。
冷たいものを想像していただけに、これは嬉しかった。

「それが……さっき言っていた魔法ですか?
 ぼくのより便利そう……」

一応かじっているなんてレベルじゃない。
こんな便利な魔法を軽々と使えるなんて良いなと素直に思う。
646 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 22:01:02.29 ID:nzAxGgnwo
>>645
『だったら、一人前になったら美味しいご飯をおごってくれるかな?
 私、美味しいご飯大好きだから、それが一番嬉しいかなって』

朗らかに笑いつつ、ご飯でも奢ってくれれば良いと言うリリー。
何かと適当で大雑把な生き様だが、だからこそこんな在り方でいられるのだろう。
ご飯を奢るだけじゃ足りないというならば、考えれば良い。
考えに考えて、喜んでくれるだろうと思ってしてくれる恩返しは、きっとどんなものでも嬉しいから。

「んふふー」

ぶいっ、とピースサインをするリリー。
得意げな顔でホカホカの秋刀魚の蒲焼サンドを食べていく。
暫く頬張りつつ、右手の指先で床に文字を直接書いていった。
魔力の光で文字を描いているのだ。単純な術式だが、無挙動で簡単に発動できる辺り、熟練度が伺えた。

『私は喋れないからねー。
 だから、喋れない私が魔法を使うにはすっごい頑張るしか無かったのさ。
 魔法とか興味あるなら、ちょびっとなら先生になってあげられるからね。理論系の質問だったら気軽に聞いてくれると嬉しいな』

そう書き付けつつ、一口一口味わいながら食べていく。
正直な所魔術師としての練度はそこそこ上位レベルだ。
少なくとも他人に基礎を教えられるくらいの実力は身に着けていた。
647 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 22:14:45.77 ID:8t2td46to
>>646
「あ……っ、はい! わかりましたっ」

リリーにならって、こちらも満面の笑みを浮かべる。
きっとこの人には一生頭が上がらない。
でも、絶対に一人前になってこの人に認められたいと思った。

もぐもぐと温かいサンドをかじっていく。
一口がとても小さいが、確実に由良のお腹を満たしていく。
食事とはこんなにおいしいものだったのか。

話しを聞くと、リリーの苦労の一端がうかがえる。
喋ることが出来ないという事は、詠唱が出来ないという事。
魔術系の本をいくつか読んだことはあるが、喋れない魔術師のことなど一切書いていなかった。

「ぼくも、魔法使ってみたいな……
 ぼくの精霊術は細かい調節が出来なくて、正直日常で役に立つことが少ないんです……って言うと契約した精霊に怒られちゃうんですけど……」

少しでも力を付ければ、役に立てるかもしれない。
それなら、リリー様の為にいろんなことが出来るようになろうと思い始めた。

「精霊術は、基本的に精霊が使用する術を自分の体を介して発動するだけなので、小さな火を起すとかが出来ないんです」

炎の精霊と契約しても、炎が自在に操れるわけではない。
それが出来たらとても便利なのだが。


648 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 22:26:30.96 ID:nzAxGgnwo
>>647
『精霊かー、私の術は基本的に無色のマナに意識で色つけてる系だからね。
 精霊契約は……ほら、呪文唱えられないから上手くコミュニケーション取れる自信無くてね。
 でも、そうだねえ。ちょびっと今度、魔法陣とか魔法円の書き方でも教えたげる。
 作図の為にちょびっと数式とか覚えてもらうけど、割と簡単なところから教えてくからさ』

リリーの魔術は、所謂魔法陣などの応用だ。
術式を文章で記述し、それらを規定の並べ方をすればそれで魔法が発動するのが魔法陣。
それに極限までの独自性を組み合わせたのが、リリーの術だ。
要は、膨大な基礎を積み重ねた結果の、不思議な魔術というわけである。
まじめに魔術トークをしつつも、リリーはサンドイッチを食べ終えて。ぱんぱん、と手を払う。

『んあー、ごちそーさま!』

床にそう書いてから、両手を合わせて頭を下げる。
そうして頭を上げれば――、後ろにごろーんと転がって胸元にクッションを抱いてごろごろし始めた。
なんともフリーダムかつだらしない限りだが、食後の満腹感やらなにやらでほわほわの表情は微妙に和む。
649 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 22:36:33.53 ID:8t2td46to
>>648
「ありがとうございます。ぼくも今みたいな缶詰を温める魔法が使えたら、リリー様の手を煩わせることも無くなりますしね」

勉強には自信が無いが、これもリリー様のお役にたつためと気合を入れる。
どんなスパルタでも喜んで受けよう。

おそらくリリーは相当な腕を持っている。
リリーの特訓に耐えられれば間違いなく使えるようになるだろうと信じる。

「……ごちそうさまでした」

とリリーと同時に食べ終わる由良が見たものは、何とも情けないリリーの姿だった。
食べた直後にこれとは、なんともだらしが無い……

「リリー様、食べてすぐ横になるのはお体に触りますよ。
 ……片付けはぼくがやりますね。普段はどうしているのでしょうか?」

空いた秋刀魚の缶詰や、台を拭く物は無いのだろうか。
立ち上がって周りを見渡してみる。
650 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 22:43:56.37 ID:nzAxGgnwo
>>649
『様づけ禁止ー! 私が呼び捨てなんだから、由良だって呼び捨てでいいんだよー?
 せめて、さん、で許して欲しいかなって。様付けとかちょっと背筋擽ったくなっちゃう』

由良の質問に答える前に、呼び方を変えて欲しい、とお願い。
ごろーん、と体を転がして、由良の隣に転がり込みながら上目遣いだ。
最初のイメージと大分違うが、どっちも彼女の本質であり、素だ。
人間誰しも自分のテリトリーだと多少は気が緩むものだ。緩み過ぎだが。

『えーっとねー、缶詰はそこら辺のスーパーの袋に入れて隅っこに置いといてー。
 ある程度数がまとまったらゴミ捨て場とかに捨てておくからね。
 でー……、台拭きはね』
「んっ!」

ごそごそと手近な袋を手にとって、ひょいと差し出すリリー。
そして、台拭きだが、着古したシャツを切っただけのものだ。
廃品の活用とも言えるだろう。指さした先のダンボールにはいくつかのリリーの古着がある。
適当に使っていいらしい。

そして、よく見回してみれば、この部屋の中が大分散らかっていることが分かるだろう。
芸術家というものは得てしてなにか癖があるのだが。
この女の場合は、かなり適当でズボラな所が問題点だった。
651 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 22:54:08.73 ID:8t2td46to
>>650
「ふえっ!」

いきなりごろごろと近くにやってきてこの上目使い。
卒倒しそうだ……
ああ、なんかリリー様の匂いが……
とか考えてません。

「あのっ……あのっ……
 えっと、リリーさ……さ……ま」

リリーから目を逸らし、結局呼べない由良であった。
ちょっと距離が近くて恥ずかしいからか、その顔は少し紅潮している。

「や、やっぱり無理ですーっ」

リリーから離れて、台の上にある空き缶を持って袋に入れに行く。
とりあえず、他のごみが入っていた袋があった為、それに入れて邪魔にならない場所へ。

リリーの古着を手に持ち、これで拭くのは抵抗があるな……
なんて思いつつ、とりあえずはこれしかないようなので仕方なく使用する。

「あの……リリー様、よろしければ、ここの掃除をさせていただきたいのですが……」

流石にこの散らかりようでは物の場所が分からなくなるだろう。
それに衛生上も問題ありそうだ。
初めに公園で会った時は少し抜けているが、しっかりとした女性に見えたのに意外とこんなのなのか……



652 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 22:59:59.60 ID:nzAxGgnwo
>>651
「むー……」

なんとも言えない表情を浮かべながら、去っていく由良を見送って。
まあ慣れてくれば名前で呼んでくれるかなーと楽観主義だ。
そして、由良のその提言を受ければ、ん、と声を漏らして。

『じゃあ、お願いしたいなー。
 あと、私はだらしないんじゃなくて、オンオフが確りしてるだけなんだから!
 やろうと思えばできるんだよ? やらないけど!』

色々とダメだった。多分、高位の魔法使いだというのに旅人をしているのも、そこら辺からだろう。
何かと型にはまらない女は、自由に生きているのだ。
そうしながら、おー、と真面目に働く由良を見て、感心するリリー。
此処数十年の間定職についたことが無い上に、気楽な旅人生活のリリーは、きっちり働く由良を見て見習わなければ、とちょびっと思った。
おそらく明日の朝には、低血圧でうあー、と呻きながらそんな思いなどどっかにほっぽってしまっていることだろう。

『よーっし、じゃあ私は由良の寝床を整えよー!』

そう言って、いそいそと開けたスペースに毛布と寝袋を置いていくリリー。
んー?と疑問混じりに首をかしげると、何を思ったのか自分の寝袋の隣に寝袋を置く。
ノリで添い寝のようだ。冬は寒いから近いほうがいいよね、と思った結果らしい。
653 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 23:12:51.84 ID:8t2td46to
>>652
「はいっ、お任せくださいっ!
 リリー様はちゃんとできるお方だと分かっています。でもこれからはぼくがやりますからね」

やろうと思えばできる。
出来ない子の典型的な言い訳だが、それを知ってか知らずか笑み崩さないまま掃除に取り掛かる。

しかしながら、これはかなり散らかっている。
とりあえず、ビニール袋を手に持ち明らかにゴミである物を入れていく。
同時に、散らばっている服やら下着やら本やらを分類分けしてまとめておく。
これだけでも大分見た目は違うはずだ。

最終的に、畳むものは畳み、本はタイトルが読めるものは50音順、アルファベット順にならべて端においておく。
しかし、これを今この時間だけでやりきるのは不可能だ。
数日かけてしっかりやろう。

「申し訳ありません……これらをやりきるには少々時間がかかってしまいます。
 場所によっては道具も必要ですし、数日かけてやっても構わないでしょうか……?
 いえっ……あの、もちろん直ぐにやれとおっしゃるなら徹夜でやりますっ」

未だ奴隷根性が残る由良は、出来ないと言う事に抵抗と言うか若干の恐怖がある。
出来ない、ミス……これらは全てタブーだ。
やった瞬間殴られるか、他のお仕置きをされる。

もちろん、リリーがそんなことをしないのは分かっている。
頭では分かっていても、長年体と頭に染みついたものはそうそう抜けないのだ。

「……あの、その位置は……」

とそこで寝床の位置に気が付いたらしい。
あまりにも近い……
女っぽいと言ってもこれでも思春期の男。
これはあまりにも……
654 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 23:17:26.59 ID:nzAxGgnwo
>>653
『んーっと、寝よー?
 私寝ちゃうからさー、由良もちゃっちゃと寝ちゃおうよ。
 毎日こつこつやっていったほうが、一気にやるより疲れないでしょ?』

そう、寝袋に肩まで入った状態でうつ伏せになって手を伸ばして、まるでダイイングメッセージかのように伝えた。
綺麗になった室内を見れば、おー、と声を漏らす。
こんなに綺麗だったのは何年前だったろう。少なくともここ数年はこんなに綺麗ではなかった。
善き哉善き哉と思いつつ、にゅっ、と寝袋に頭まですっぽり入り込んだ。

『寝袋すっぽり入った状態でいたずらとか難しいでしょー?
 術巡らせてるとはいえ、冬はやっぱ冷え込むしね。
 くっついたほーが暖かいよ?』

と、リリーの方は全く持って来にしていない模様。
確かに寝袋にすっぽり入ったミノムシモードに、色気もクソもない。
655 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 23:24:51.56 ID:8t2td46to
>>654
「は……はい……」

ゆっくりとした、間の抜けた答えに拍子抜けする。
自分は何を恐れていたのだろうか。
自分を拾ってくれたこの方が、たかだか掃除が終わらないだけで起こるものか……

少しだけ目を閉じて、失礼なことを考えてしまったと心の中でお詫びをする。
こんな事を言うと、きっとリリー様は怒るだろうけど、自分はやっぱりリリー様に仕えたい。

そうした後、巨大なミノムシに近づいて行き、ふふっと笑ってしまう。
顔だけ見えるその姿がちょっと面白かったのだ。

「では、失礼いたします」

メイド服姿ではすさまじく入り辛い……
当然であるが、非常に苦労して何とか入った。

「とっても温かいですねっ」

台詞の最後が思わず上ずってしまう。
目の前にリリーの顔があったからだ。
656 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/18(月) 23:27:47.28 ID:nzAxGgnwo
>>655
「んー!」

ニコニコ笑顔で、由良の言葉にこくりと頷く怪奇ミノムシ女。
数分もすると、隣からすぅすぅと静かな声が聞こえてくるだろう。
異様に寝付きが良い女の不思議な脱力感は、なんとも眠気を誘ってくるかもしれない。

「うああう……」

おやすみ、と言いたかったようで音律とテンポ自体はおやすみのそれで声を漏らして。
むふー、と笑顔を浮かべてリリーはそのまま夢の世界へと旅立っていくのだった。

/*うへへー、こんな感じでおっけーですかね?
 とっても楽しかったのですよ! お疲れ様でしたー!*/
657 :早乙女由良[saga]:2013/02/18(月) 23:33:25.30 ID:8t2td46to
>>656
「あうあぅ……寝てしまいました」

こっちがドキドキしているのに相手はこんなにあっさりと寝てしまうなんて……
自分も早く寝よう。
そう思って目を瞑るもなかなか眠れない。

リリーが近くにいるから?
それも大いにあるだろうが、今日はいろいろなことがありすぎた。
自分の人生の転機となるこの一日に未だ興奮が収まらないのだ。

結局、由良が寝付いたのはそれから数時間後で、翌日寝坊した由良がリリーに半泣きになりながら謝るのは、また別の話。

//とても楽しかったです。お疲れ様でしたー
//初めて動かすキャラに付き合ってくださりありがとうございました。
658 :フロスト・ユリアス・シェパード2013/02/19(火) 20:26:27.35 ID:8BDZ2w+zo
大英帝国。
あるいはアルビオン、白の国とよばれたそこの、首都。

年間を通して霧の出現日数が多く、そのことから霧の都とよばれることもあるロンドンはいま、復興のさなかにある。

円環の楽園の襲撃によりパイプラインは寸断。
降り注いだメテオにより歴史のある建造物や繁華街は壊滅し、ロンドン橋は崩落。
挙句に都市戦闘でそこかしこが炎上したとあって、そこはさながら戦場跡の様相を呈している。

崩れ落ちた建物はそのまま野ざらしに。
火災のあった場所には建造物の骨組みだけが所在無く佇立し、道端には家を失った人々がテントを張っている。

つい先月からこのロンドンへと集まり始めた復興ボランティア団体のカラーゼッケンが、色褪せた街並みを駆け回っている。
救援物資を詰めたダンボールを搬送する者。
設営された復興指揮のテントと現場を行き来する者。
被災者へ手を差し伸べる者。

その様子を眺めながら、青年は街角へと佇んでいた。

丁寧に手入れされたプラチナブロンドを風に揺らし、色白の頬を寒さで赤らませた線の細いシルエット。
まだ幼さのかけらを残したその面貌はともすれば女性のようにも見えるが、その外見とは裏腹に、彼が着込むジャケットには軍の印がつけられている。

ユニオンジャックと英軍のワッペン。
その下には、第22SAS連隊の部隊章。

半ば唖然と、青年は自分の母国の惨劇を見つめている。
ぼんやりと佇む彼は、その容貌と衣服のギャップ故か周囲から明らかに浮いていた。
果たして、彼に声をかけるものはいるのか、どうか。


/ためしにロンドンにぽいっ
/だれでもどーぞ。復興のお手伝いできたとか、治安維持のための雇われだとか理由はお任せします
659 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/19(火) 21:12:10.39 ID:oeqvpwOuo
>>658
ICOD JAPANの制服を着た童顔の男がロンドンをぶらついている。
いつもならば海外赴任を面倒がる閑人が日本国から積極的に参加していた。

戦後、国家間の外交的な牽制の道具でなく爆破テロの道具へ変わった。

ICODから円環の楽園は核武装可能な状態であるかを確認してくる事。
それが今回の任務だった。

英国には管理されている核物質の総量、総数に不審な点がないかを
IAEA(国際原子力機関)の査察官等と共に国防省の関係者、OHMDの
お偉いさんやら等と会談し、確認する必要がある。
結果は現在も追跡調査中ではあるが、現時点でその異常は認められないとの話だった。

「杞憂だったのはめでたいんだが、結構荒れてるな。
 写真で見たロンドンとえらい違いだ…。」

仕事も終わってガイドブック片手にうろつき、キョロつく東洋人。
地元の人間から見れば何人かはわからないが、まあ制服でうろつく東洋人も目立つ。
さてはてその視線にはフロストもいて、たまたま目が合った。
660 :フロスト2013/02/19(火) 21:58:03.44 ID:8BDZ2w+z0
>>659
 自分の祖国がこうも破壊しつくされて、フロストは喪失感とも悲しみともつかない奇妙な陰鬱さを味わっていた。
 昔よく通っていた玩具店も、行きつけの弁当屋も。
 何もかもが灰燼に帰した。自分の目の前で、目と鼻の先で。

「…………ちくしょう」

 感情に任せた罵り声。自分がこんなことを口にするにはいつ以来だったか。
 やるせない気持ちとともに視線を逸らせ、青年はこちらを見つめる東洋人の顔に目を止めた。

 服装からしてPASF――それもICODの職員だろう。
 手にしているのはガイドブックで、まだこの町に慣れ切っていないのが一目瞭然。
 その様子に、観光気分か、と半ば反感めいた感慨が胸をよぎったが、青年はそれを飲み下した。
 
 かつてはここも観光都市だったのだから。
 ここまで破壊しつくされても、大英帝国の首都ロンドンは、いまだに歴史的建築物が残る。
 仕事の息抜きにそれらを見て回ろうという人物がいても何らおかしくはないだろう。

「あの……なにか?」

 とりあえずも、まずは声をかけてみる
661 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/19(火) 22:27:51.88 ID:oeqvpwOuo
>>660
「いや…特に。
 え〜っと、あなたは地元の人かい?」
 発音に癖はあるが中々聞き取り易い英語で答えた。
 所謂カタカナ英語独特の訛りがある。

 話しかけてきたフロストのワッペンを見る。
 任務中だったら邪魔したのかな…等と思い手っ取り早く身分を証明する事にした。
「大量破壊兵器拡散防止部隊の小寺京太郎少佐です。
 ロンドン事件による大量破壊兵器の盗難に流出が無いか、
 及びその原料の管理についても調査するよう要請を受けて来ました。」
 凛とした姿勢で敬礼し、もう片方の手で身分証を提示する。
 制服と証明、そして敬礼もICOD正式のものだ。騙りではない。

 英国の事は英国だけでやりたくとも、なにせ相手はあの円環の楽園である。
 そして英国では戦前から"真の Irish Republican Army"を名乗るテロリストが存在する。
 このご時世に大事件が起これば他国の茶々も入るというものだ。
 そして今は行政委託を受けた企業も一緒に乗り込んでくる。
 頼もしく感じようとも、気分の悪い物であっても、土足で他人が入ってくる事に変わりはない。


「あ〜、その〜」
 しっかりした態度も急に弱気な物に変わり…。
「任務にかこつけて余計な事はしないんで気を悪くしないで欲しい。
 俺だって東京がこうなったら、俺らみたいなのが来るのはちょっと嫌だしさ…。」
 ため息をつきながら喋りにくそうに言う。

// 所で海外を舞台にするのは実験的なロールですし、参加希望の方が増えたら入れるようにしませんか?
662 :フロスト2013/02/19(火) 22:41:12.82 ID:49CAvsRX0
>>661
「ええ、生まれはここですけど」
 
 小寺に対応する青年は流ちょうなイギリス英語で答える。
 そして相手のカタカナ英語に、こちらの言語は不慣れなのだろうか、と思案しながら、

「英国陸軍第22SAS連隊、対テロ専門ユニット属、フロスト・ユリアス・シェパード中尉です
 こちらは喪失した人員と装備の補充のためにここへ」
 
 やけに流ちょうな日本語で返事をよこす。
 差し出された身分証と相手の顔を照合、そしてIDに目を通し、本物の係員らしいことを確認する。
 フロストは納得したのかうなずくと、今度は自分の身分証――SASのものと、AMS特殊戦コマンドの両方を見せる。

 SASの階級は中尉。
 そしてAMSにおけるそれも、同じく中尉。
 フロストは24歳だが、この年では昇進が早いほうである。
 祖国の悲劇に消沈はしても、それはそれ。軍人として恥のない、きっちりとした対応を見せると、フロストは小寺の自信なさげな物言いにかすかに笑んで、

「いえ、自分はあなた方の活動にはなにも思うところはありませんよ。同じ軍属、目的も同じですし、なによりも今は人手がほしい」

/あいあい〜いいですよ〜
663 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/19(火) 23:00:49.45 ID:oeqvpwOuo
>>662
「Ouh La La! Where did you learn Japanese language?
 ( ありゃ?日本語はどちらで学ばれたんですか? )
 しかも、わたしの英語よりあなたの日本語の方が美しい。
 それならばここはお互いに自分の意思を伝えやすい言語、
 わたしは日本語で、あなたは英語のままでお話しませんか?」
 そう言いながらSAS,AMS特殊コマンドの身分証を確認。
 本物のSASであり、AMSを介しての繋がりもある事に安心する。
「わたしの方が上階級で、歳も近そうなのに、
 あなたの方がよほど軍人として凛としていますね。
 お恥ずかしい姿をお見せして申し訳ない。
 フロスト中尉ですか。改めてよろしくお願いします。」
 京太郎はフロストに握手を求めて右手を差し出す。

// ではこのまま絡み待ちも続けつつ回しましょう。
664 :フロスト2013/02/19(火) 23:08:48.90 ID:49CAvsRX0
>>663
「日本のほうに派遣されたりもしているのです、ですからそこで
 ええ、かまいませんよ。まあ、自分からするともう英語も日本語も差はないのですけど」

 つとめてにこやかに応対して、フロストは自分の身分証を懐へと収める。
 話しやすそうな相手でよかった、と内心胸をなでおろしながら、そういえば核兵器が持ち出されかねない状況だったのだと理解して、思わずゾッとする。
 核兵器など使われてほしいものではない。

「ええ、よろしくおねがいします、小寺少佐
 自分は幼少よりそういう家系にいたから骨身にしみているだけですよ」

 しっかりと握手を交わすと、周囲を見回す。
 ボランティアの多いここでは会話もしにくかろう。

「どこか落ち着けるところに行きませんか}

/了解〜
665 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/19(火) 23:27:10.22 ID:oeqvpwOuo
>>664
「日本に赴任されていたのですか。
 そこが東京都ならば、街のどこかですれ違っていたかもしれませんね。」
 緊張は程よく解け話もし易くなってきた。
「NBC兵器、つまり核兵器、生物兵器、化学兵器の持ち出しが懸念されていました。
 今のところはその心配は無いとの報告を受けていますのでご安心を。」
 大量破壊兵器持ち出しの懸念があれば情報の守秘もありうる。
 まあ懸念があっても「安心です」と公知されるか広報が沈黙するものではあるが。

「それにしても軍職の家系に生まれられた方であるというのは心強いですね。
 わたしの身の上を隠しておいては仕事に差し障りが有りそうなので白状しますが、
 わたしは警察あがりなので軍という組織の活動に疎いのが実情です。」

「そうですね、移動しましょう。
 建造物の無事なテナントではバーも営業が続いているようですよ。」
 地図でなくガイドブックを使う理由はそこで、
 観光目的でなくとも土地勘のない外国人にはそちらの方が役立つからだ。

 とはいえ、目の前に生粋のロンドン人がいるのでガイドブックも不要だが。
666 :フロスト2013/02/19(火) 23:32:41.84 ID:49CAvsRX0
>>665
「ええ、ここ数年ほど向こうで」

 このあたりで唯一生き残った喫茶店兼用のBARへと足を向け、行きかう人々の間を縫うように移動する。

「彼らの目的は科学技術による兵器ではなく、あくまで呪的なそれであったということですか」

 ロンドン塔のしたから持ち出された呪的な財宝の数々。
 それとは別に多くの金銀財宝があったが、そちらには手が付けられていない。

「ああ――警官からの、なるほど
 自分の実家はもともと騎士の家系なんですよ
 いわゆるところの“女王陛下の所有物”ってやつです」

 
667 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/19(火) 23:56:25.22 ID:oeqvpwOuo
>>666
「たまにまた日本に遊びにいらして下さい。」
 と、歓迎の気持ちを社交辞令っぽく。

 そして手帳を取り出すとページをめくりながら話しはじめる。
「彼らはテロ団体と言うより思想団体としての性格が強いようです。
 悪役を演じる…いや、善悪の概念の上であえて悪を示す…感じでしょうか。
 何にせよ、構成員の中には世界の滅亡を企む人物が一個人としていても、
 組織としてはそれを目的とはしていないように見えますね。

 手段は呪術でも科学兵器でもいいのでしょう。
 しかし何か彼らなりの矜持があるようです。」
 これは小寺京太郎の個人的な想像。しかし根拠はあるようだ。

「Sir.の家系ですか。格好いいじゃないですか。
 となるとOHMD以前、HMAF辺りの血統にあたるのでしょうか。」
 そこまで話しているうちにバーの扉に手をかけ手が止まる。
"有色人種はお断り"
 札ではなくカラースプレーによる落書きだ。地元の不良少年だろうか。
668 :フロスト2013/02/20(水) 00:00:02.58 ID:kWc92wfy0
>>667
「無論です。あそこはいい国だ」

 それに、あそこには大事な人や事務所がある。

「矜持があろうとなかろうと、それがテロ行為であることに変わりはない。
 かれらの目的がどうあれ、自分たちは戦わねばならないのですが」

 スプレーされたドアを無視してあけると、どうぞ、と入店を促す。

「嫌な話です、戦争なんて」

 店内をつかつかと進んで適当な座席を見繕い、

「まあ、そんなとこです。いちおうOHMDですし」
669 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/20(水) 00:17:43.61 ID:U5YV15JYo
>>668
 フロストのこの一連の行動と言動に感心する。
「あなたの決断は早くて、見ていて気持ちの良い物ですよ。」

 店に入るとフロストの隣に座りストレートのスコッチとチェイサー(水)を注文する。
「彼らについての扱いについてはあなたと同意見です。
 矜持を考え読んでみようというのは彼らの行動基準を推理して戦う方法を
 探ろうという…まあ刑事の癖とでも言いましょうか。」
 用意されたつまみのポテトチップスを齧りスコッチを一口飲む。
「というのも、彼らの行動を予測できたら仕事も楽なんですがね。」

「ロンドンの破壊、バミューダの騒動が最近の大事件。
 他にも細かい円環メンバーの手による物らしき事件。
 資料に纏めてみたんですが、変な結論しか出ないんです。」
670 :アラン2013/02/20(水) 00:22:21.47 ID:kWc92wfyo
>>669
「いまどき人種差別なんて、するほうが白い目で見られる世の中ですからね」

褒められてにっこりと微笑むと、マティーニを注文する

「結局のところテロリズムを武器にする相手との対話は望めません。
ならば対話では無く腹の探り合いと先手合戦、ですか」

テーブルに頬杖をついて、運ばれてきた酒のグラスを手にすると、軽く掲げる

「変な結論?」
671 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/20(水) 00:32:02.05 ID:U5YV15JYo
>>670
「そう、腹の探り合いと先手合戦。
 しかし、出てきた問題は彼らの目的です。」
 乾杯すると結論を語り出した。
「例えばメイザースはまるで悪党を保護しているようにしか見えないのです。
 その先の利益もはっきりしないまま、悪党を集めてはいますが、
 集めるだけ集めて束ねている様子もない。目的が全く見えない。」
 グラスをテーブルに置いて続ける。
「弱点のはっきりしない厄介な連中ですよ。」
672 :フロスト2013/02/20(水) 00:35:44.48 ID:kWc92wfyo
>>671
「悪を全肯定する、でしたっけ?」

円環の首魁がことごとく提唱しているその謳い文句。
はたして彼らの目的がどこにあるのか、は非常に気になるところではある。

「そもそも弱点なんてあるんでしょうかね
拠点すら判然としないというのに」

すでに2度も出し抜かれ、そのくせして向こうのいどころは判明どころか噂すらつかめない
673 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/20(水) 00:50:27.73 ID:U5YV15JYo
>>672
「弱点がない群生した菌のようなイメージですね。丸焼きにしないと止まらない連中。
 そんなわけで円環関係ではPASFも他の団体と連携を強化すべきだと上申してみました。
 例えば傭兵斡旋協会やAMSWAT、様々な組織に交渉人を送ってくれないかと。
 現在は返事待ちの状態です。」
 グラスの中で氷が鳴る。
「あ、そうだ。ロンドンの復興支援についてですが、これはフロストさんには吉報かも。
 シベリア鉄道への支援と同時に国連から英仏海峡トンネルの復旧資金が増額されるようです。
 復興は大変でしょうけれど、資源があれば失業者問題もなんとかなる。
 月並みな言い方で申し訳ないですが、応援しています。がんばってください。」
674 :フロスト2013/02/20(水) 00:57:23.02 ID:kWc92wfyo
>>673
「彼らは大地が焼け野原でも生き残りそうですね」

ややげんなりした様子でそうつぶやくと、Barの据え置きテレビで報道されるニュースに目を向ける

「どこもかしこも大変ですが、協力なくして平和もなにもない、ですか」

マティーニ口をつけ、舌さきで転がして嚥下する

「みんな決定がはやくて助かります
これから世界中どこも大変なことになるからこそ……助け合いが大事になる」

と、フロストの携帯が鳴り響く
フロストはそれを耳に当て、何事かやり取りしたあと、

「申し訳ない、小寺さん。
部下がよんでいますので、自分はこれで」

またいつか、と。そう言い残してフロストは立ち去る。

/すみません、ちとこんな時間から用事が舞い込みまして
/勝手ながらここで締めてもよろしいですか?
675 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM2492013/02/20(水) 01:03:58.20 ID:U5YV15JYo
>>674
「どうぞおかまいなく。」
 そう言うと小寺も連絡が入ったので店を出ようとテーブルに5千円札を置く。



「あ、両替してない分だった…」
 改めてポンドを置いて店を後にする。
// 〆了解です。お相手ありがとうございました。
676 :千早[saga]:2013/02/20(水) 14:23:54.91 ID:kQZwn4WIo
急きょ廃棄になった研究所がある。

そんな情報を手にした千早は、その研究所へ向かっていた。
木々の生い茂る山間にある研究所は、まるで人目から遠ざけるようだ。

「ふぅ……やはり、なかなか遠いですね」

ようやく遠くに研究所の姿を目にすることが出来た。
廃棄されて間もない為、まだ形は完全に残っているようだ。

日が沈むまでに調査を終えたいと思い、朝から出発したのだが、それでも思った以上に到着に時間がかかってしまった。

自分の出生に関して知る必要がある。
その為に、関係のありそうな研究所に調べに行くが、あの研究所が当たりかどうかはまだ分からない。

普通、研究所が破棄される場合はデータを残すはずはない。
ただし、向かっている研究所はまるで一夜にして人が逃げるように廃墟となったという。

何かある……
だが、同時にそれならば何かしらの情報がまだ残っているかもしれないと言う期待を胸に足を進めていく。

研究所はもうすぐだ。

//一応一人芝居の予定です
677 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 14:35:18.48 ID:kQZwn4WIo
ようやく研究所に到着する。
近くで見ても、まだ形は残っていると分かる。
所どころひび割れたり、蔦が絡みついているのはそれなちに時間が経っているから仕方が無い事だろう。

見た所入り口は一つ。
半開きになった自動ドアは、千早が横になりながら入るので精一杯だ。

「んっ……。ダメですね、これ以上は開かないようです」

力を入れて、ドアを開かせようにも完全に固まってしまっていて動かない。
当然、施設の電源は落ちていて、ドアの隙間から見える内部は暗闇に閉ざされている。

リュックサックを担いだままではドアを通れない。
右手にリュックを持ち、横歩きで半開きのドアを通過する。

一歩足を踏み出せば、聞こえるのは自分の足音のみ。
昼間だと言うのに、暗闇と静寂に包まれたその空間は、異様な不気味さを放つ。

「何も見えませんが……ここで訳にはいきません。
 施設の電源を入れる装置……もしくは予備電源などあればいいのですが」

研究所であれば、外部からの電気供給が無くとも動くように自家発電が出来るはず。
その為のスイッチを探す事が、最初の目的だろう。

千早はリュックから懐中電灯を取り出して、灯りをともす。
正面の一部分しか見ることはできないが、それでもこの状況では希望の光だ。

やけに響く足音と共に、千早の研究所探索は幕を開けた。
678 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 14:49:13.07 ID:kQZwn4WIo
入り口から足を進め、廊下に居る千早。
懐中電灯の灯りを時折壁や天井に向けて、不審なものが無いかをチェックする。

(一夜にして人が消えた研究所……危険が無いはずがありません)

幸いにして、位置口付近の廊下には何もなかった。

少し進んでいくと、開けた場所に出る。
ここから分かれ道のようだ。

「正面と左右、3つの扉……ですが、正面の扉は電子ロックが閉じた状態で止まっている。
 右の扉は……鍵ですか」

必然的に、今進める場所は左の扉のみ。
左の扉は、一般的なドアで、ドアノブを回せば難なく開くことが出来た。

もはや日の光など入らない研究施設で、一人進んでいく千早。
当然、心中穏やかではない。

しかしながら、それを表に出さないように気丈に振る舞いながら進んでいく。
一度表に出すと、そこから一気に恐怖が膨れ上がりそうなのだ。

「ここは……事務室?」

廊下を一度右へ曲がった所で、廊下の右側に一つの部屋を発見する。
懐中電灯の光で、部屋の中を見回すと、いくつかの書類と寝具があった。
事務室と言うよりは守衛室のような物なのか……

「この部屋には研究資料はありませんね……
 しかし鍵が一つ」

机に散乱していた資料を見ても、めぼしいものは無い。
ただの業務日誌のようだ。
その机にぽつんと置かれている一つの鍵。どこかで使えるだろうと思いポケットへ入れておく。

その後、これ以上の探索は無意味として部屋を出る。

この時、もっと慎重になるべきだったのだ。
資料一つ一つに目を通すべきだった……と、千早は後々思うかもしれない。
679 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 15:01:28.50 ID:kQZwn4WIo
守衛室を出た千早は、廊下をさらに先へと進む。
正面に見えるのは鍵のかかったドア。

「先に鍵を見つけておいてよかった……」

先ほどの部屋で手に入れた鍵を鍵穴へ……
すると、それはぴったりと合ってガチャリと音を立てる。

ギギギ……
と少し重たい音と共にドアを開ければ、すぐさま下へ降りる階段だ。

「地下……あまり気乗りはしませんが」

コツコツコツ……
ゆっくりと、慎重に階段を下っていく。
怖いからと言って止まっていてはここへ来た意味が無い。

階段を下り、もう人つのドアを開くと大きな部屋に出る。
ライトの光を動かせば、いくつもの培養カプセルとおぼしきものがある。
大きさは人間が十分に入れるサイズで、中身がある物は無いようだ。

「この研究所は……当たりでしょうか」

いきなり知りたい情報が得られる研究所に来られたと、少し来たかいがあったと内心思う。
これまで危険な物も無い為、順調にいくだろう。

ライトの光を動かしながら、足を進めていく。
千早が部屋の中央辺りまで来た……その時

「……っ! 誰です!?」

視界は端に高速で動く何かを捉えた気がした。
暗闇の中である為確証は無い。
だが、確かになにかが暗闇の中で動いた気がしたのだ……
680 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 15:16:22.50 ID:kQZwn4WIo
途端に動けなくなる千早。
恐怖から?
半分当たりで、もう半分は迂闊に動けば攻撃されるかもしれないからだ。

完璧な人間を目指して作られた千早だが、所詮は生まれてから2年。
計画も完璧ではないし、千早の精神年齢は精々肉体年齢より少し上くらいだ。

いくら気丈とはいえ年頃の女の子がこの状況に陥れば、恐怖に身を支配されるのは当然の事。
手に持つライトが僅かに震える。
照らす先が揺れていることを見れば明白だろう。

唾を飲みこみ、一歩下がる。
しかし、最初に驚いた時に振り返ってしまったのだ。
つまりその体の向きで一歩下がったという事は、位置的には先に進んでいるという事で……

それを知ってか知らずか、とにかくこの場から離れたいという思いでゆっくりと足を後ろに動かしていく。
ゆっくりだった足の動きは、徐々に早くなって行き、ふと後ろを見て扉を確認すると、体をそちらへ向けて走り出す。

急いでドアノブに手をかけ、先の部屋へと駆け込む千早。
何時もの冷静さはいつの間にか消えていた。

「はぁ……はぁ……」

ドアを閉め、そのドアに寄りかかって息を正す。
何とか逃げ切った……
何から逃げているのかもわからないその状況は、千早の精神力をすさまじい速度で奪っていく。

その場から先を確認すると、現在位置は廊下であることが分かる。
しかし、それまでの廊下とは打って変わり、まるで工場の様に大小さまざまなパイプや見え、床は金網の様になっている。

先へ進むしかない……
息を整えた千早は、先へと進むのであった。
681 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 15:34:11.93 ID:kQZwn4WIo
廊下の先にある扉を開けると、そこはまるで動力室のような作りだった。
動いている機械は無いが、どこかに動かすスイッチがれば電力が回復できるかもしれない。

神経を収集させながら歩いて行く。
部屋は意外と広く、さまざまな機械が置いてあるため一直線に奥まで行けないようになっていた。
まるでどこかの工場だ。

ガンッ
何か物が当たるような音が突然すれば、当然千早は急いでそちらを向く。
神経を研ぎ澄ませていた故に、わずかな音にも過敏に反応するのだ。

「だ……誰かいるのですか……?」

小さな声で呼びかけるも、答える声は無い。
動く影も見えないし、音もしない。
敵は居ないとホッと少し安心した……その途端、僅かばかりの空気の動きを背後に感じる。

「何っ……ぐうあぁ!」

とっさに首だけ動かして後ろを見るも、回避も何も間に合わず、背後からの攻撃をもろに受けて吹っ飛ばされてしまう。
千早は近くにあった機械を囲っている金網に直撃する。
人間をここまで吹っ飛ばす力を持つものが、この部屋に隠れていたと言うのか……

気がつけばライトが無い。
今吹っ飛ばされた時にどこかへやってしまったようだ。
焦る千早……リュックを探り、何か灯りが無いかと手を動かすが、そこで気づく。
リュックが切り裂かれている。
よく見えないが、中に入っていた物も2つか3つに分かれていて使えそうにない。

(リュックサックが無かったら背中から切り裂かれて即死だった……)

リュックはもう破棄し、辺りを見る。
ライトが見つかれば良かったが、どうやらどこかへ落ちた衝撃でスイッチがオフになったらしく見つからない……

(この部屋で電力を復旧させることが出来れば……)

何も見えない暗闇の中、見えない敵に恐怖しながらスイッチを探し始める。
682 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 15:51:07.19 ID:kQZwn4WIo
見えない敵を相手にすると言うのは、想像を絶するほどに消耗するものだ。
今この瞬間に右に潜んでいるかもしれない、左に潜んでいるかもしれない。
それとも真上? 後ろ? ……突然正面に現れるかもしれない。

右手で壁を触りながら、ゆっくりと部屋の奥へ進んでいく。
この精神状況では完全に疑心暗鬼。
僅かな目の錯覚にも過敏に反応し、体をビクつかせる。

これまでの経験から、あの敵は無音で行動できる。
あの敵を相手にするには、視覚に頼らざるを得ないが、この状況では不可能。

電力を復旧させるスイッチがあれば……
無かったらどうするか。
そんなことは今は考えない。

壁伝いにゆっくりと進む。
しかし、本人は警戒しているつもりでも、極限状態の千早の警戒範囲はかなり狭くなったいた。

すぐ後ろに居る敵に全く気付きもせずに……

ゆっくりと進む千早。
その真後ろに居る敵。
敵は、その口からえらく長い舌を伸ばして千早の顔の方へ持って行く。

「まさかこんなことになるなんて……しかし私は死ぬわけには…………っひっ!」

ペチョッと左頬へつく嫌な感触。
それは間違いなく自分以外の何かだった。


「っく!……氷柱舞っ!!」

近くにいるならこっちのものだと言わんばかりに、自分の周囲に無数の氷柱を地面から出現させる。
近くにいるなら串刺しになる……
が、手ごたえ無し。

「はぁ……はぁ……っ」

服で頬につく唾液のような物を拭きながら思わず走り出す。
もうそばまでいる。
全く気が付かなかった。
このままでは殺される……

そんな思いで走りついた先は、行き止まり。
左右に金網があり、奥によく解らない機械が一つ。

見えるレバー。
これしかない。これでだめなら……
683 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 16:01:56.52 ID:kQZwn4WIo
ガコン……
レバーを降ろした千早が次に目にするものは……
部屋の全体だった。

灯りは付いたのだ。
ようやく部屋全体が見渡せるようになった。
電力は復旧したようだ。

「な……何とかなりました……」

そうして姿を現すのは一体の異形。
4本足で立ち、長い舌を持つその姿は、見ただけで身の毛のよだつ姿だ。
顔を見れば、目が無いのが分かる。
視覚に頼らずに行動できるようだった。

「さっきはよくもやってくれましたね……」

太ももに付けていたホスルターから銃を抜き、2発発砲する。
それに合わせて異形はこちらへ向かってジャンプしてきたのだ。

尋常ではない跳躍力とスピード。
だが、千早は完全に冷静さを取り戻していた。

「上に逃げるのは下策ですよ……氷塊弾っ!」

千早の周りに出来た無数の氷塊。
それが一斉に空中に居る異形に放たれる。
いくら異形とは言え、空中に居るその状況で回避行動がとれるはずがない。
体にいくつもの穴を開けられた異形は、千早にたどり着く前に地面へ落ちる。

「私の体を舐めた罰です……」

改めてみてみると、部屋はそこまで広くなかった。
灯りの有無や精神状態で、部屋の広さまで錯覚していたらしい。

意外と直ぐに見つかった懐中電灯を手にその部屋を出る。
もうリュックサックは使えない。
684 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 16:17:30.02 ID:kQZwn4WIo
灯りがついたのは研究所全体のようで、今まで暗かった廊下や部屋が一斉に明るくなった。
地下で最初に見た動く影は、どうやら先ほど倒した異形のようで、ダクトを使って追ってきたらしい。

培養カプセルの1つが割れているのを見ると、どうやらあれは何かの実験生物の様だった。

3つの扉があった最初の部屋まで戻ってきた千早。
右のドアについている鍵は持って居ないので、正面の電子ロックのドアへ。

主電源が落ちたことで、パスワードを持っていなくても入れるようになっていた為助かった。
先へ進むと、多くのパソコンに大きなモニター。
おそらくここで情報を見ることが出来るだろう。

「人造人間……もしくは人工能力に関する研究は……」

一番奥にある最も大きいパソコンの前に座り、起動する。
ログインにはパスワードが必要なようだ……

「当然と言えば当然ですね……」

残念ながらパスワードの情報を持っていない。
研究に関連することなのか?
しかし、その研究に関することを何も知らない。
だからこその調査なのだが。

(プロジェクトの名前……人の名前……ランダムの文字列……)

ランダムの文字列なら知るすべはないが……

「CODE:X-005-chihaya……」

自分のコードだ。
そんなものが登録されている訳も無い。
そう思いつつも、他に何も思い浮かばないのでダメもとで入れてみる。

   ・
   ・
   ・
―認証完了ー

まさかあるとは……
研究成果の一つに過ぎない自分の名前がなぜパスワードに設定されているのか……
今考えても分かるはずもない。
とにかく、パソコンの中身を検索し始める。
685 :千早 E:色々入っているリュックサック[saga]:2013/02/20(水) 16:30:31.81 ID:kQZwn4WIo
結論から言えば、直接自分に関することは書いていなかった。
だが、推測は出来た。

まず、この研究施設は自分のいた研究施設とつながりがあった。
そして、この研究施設は、生物兵器として異形を作る研究をしていたようだ。
先ほど倒したあれは、そのなれの果てということらしい。

正直、もうこの時点で割と察しはつく。
生物兵器と関係がある研究所で全く別の事をやっているとは考えにくい。
つまり、自分のいた研究所も生物兵器に関係する。

そこで自分が生まれたという事は……
そう、完璧な人間を作ると言うのは建前で、その真相は完璧な生物兵器を作ることだったのだ。

そして、その過程で生まれたのが人工的に能力を付与して作られた自分。
自分は兵器なのだ。


一通り調べた千早は、椅子の背にもたれかかり、手をぶらんと下へ下げた。

「欠片も想定していなかったわけではありません……
 しかし、実際にこうして調べて分かってしまうと」

自分はこれからどうすればいいのだろうか。
兵器として作られた自分は、兵器らしく破壊と殺戮を行えば良いのだろうか……

この間あった少女、シンラになんて言えばいいのか。
”自分は兵器でした。みんなを殺すために生まれました”
そういえばいいのか?

もう日が暮れる。
答えが出ない思考のループを抱えたまま、千早は帰路に着くのだった。


//一人芝居は終わりです。一人で勝手にスレを消費してすいませんでした
686 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 18:45:35.45 ID:kQZwn4WIo
可愛い女の子が街を歩けば、声をかけられるのはよくあることだろう。
可愛い”女の子”ならの話だ。

「うぅ……あの、通してください……・……」

スーパーのレジ袋を両手で持ち、メイド服を着た由良は、ナンパをされていた。
よくある……でも少し強引な手口だ。

由良を壁際に追い詰めて3人の男が逃がさないように囲っている。
相手は男だと言うのに……

しかし、由良からしてみれば3人の男に囲まれることは怖い事である。
男ですと言えば済む話だが、うまく口が回らない。

「いいじゃんいいじゃんー俺たちと遊ぼうよー」

半ば強引な手口の男連中に、由良は連れ去られてしまうのだろうか。
687 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 19:58:39.67 ID:gEBOGf0uo
>>686
壁際に追い詰められている"女の子=B対して追い詰めているのは男達3人。
それはナンパと言うには少々強引で。街の誰の目にも留まっているが、怖くて誰も止めに入ろうとしない。

「……」

しかしながら、その4人の横に誰かが近づいてくるのが分かるだろうか。
その方向を見れば、それが少女だと分かるだろう。印象的なものといえば、頭に乗せたキャスケット帽だけか。
そんな少女が、4人に近づいてくるのだ。

「……何してるの」

開口一番、それは抑揚の無い声。あまり、何を思っているのかが分かりにくい声だ。
しかし、この状況を芳しく思っていないということはその4人から見ても明らかだろう。囲う男3人にとっては、不快にさえ思われるかもしれない

少女からしてみれば、メイド服の少女―本当は男だが―が怖がっているのを見過ごすわけには行かなくて。
この街も中々冷たいな、なんて思いながら、コートのポケットに手を入れる。その中には、カードの束が入っていた。
688 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 20:08:23.34 ID:kQZwn4WIo
>>687
「ふぇ……?」

涙目になりながらもう駄目か、ごめんなさいリリー様……
なんて思って居たら、聞こえるのは男以外の声。

眼尻に涙を浮かばせながらそっちを見れば、まだ少女だと言うのに芯の通っていそうなしっかりしていそうな女性が一人。
助けてくれるのだろうか?
いやしかし危険だ……なんて思いつつも未だ声に出せないのだった。

「はぁ? なんだてめえ?」

初めに声を出したのは、彼方に最も近い……由良から見れば左を塞いでいた金髪のチャラ男。
その軽薄な振る舞いにお似合いのチャラチャラした格好で彼方に一歩近づく。

「外野はすっこんでろ…………って結構かわいいじゃーん」

明らかに敵対心むき出しで声をかけられたにも関わらず、彼方の容姿を見るや一転。
ナンパの対象を増やすことにしたらしい。

「ねえねえ、俺たちとちょっと遊びにいこうよ」

そう言いながら金髪のチャラ男は彼方の右肩に手を乗せようとする。
後の二人はなにやらニヤついているだけだ。
689 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 20:21:14.38 ID:gEBOGf0uo
>>688
「……」

明らかにチャラチャラしてそうな男が1人近づいてくるも、勿論少女に行く気は毛頭無く。
未だメイドを囲む2人を睨むこと無く、右肩に置かれた手をパシッと払い、
ただ落ち着き払った態度で、少女はポケットに入れていた手を出す。―――その手には、一枚のカード。

何もそのカードを使って物理的に倒そうなんて思っているはずも無く。
しかし、その容姿からは想像もつかないような速さで男の首へと手を伸ばし、カードを首につけようとする。

―――そのカードがタロットカードだと、詳しい人なら分かるだろう。分からずとも―――

       (棒の8、その意味は電気)
「―――――W  E  I  M  I E 」

―――能力は発動するのだが。

少女が小声でそう言えば、忽ちカードから電気が溢れ出す。殺す程度ではない。スタンガン程度の暖気。
しかしそれは、簡単に男の意識を刈り取ることが出来るだろう。
690 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 20:23:14.44 ID:gEBOGf0uo
最後から二行目
「暖気」→「電気」です、すみません
691 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 20:34:28.99 ID:kQZwn4WIo
>>689
「なっ……ちょっと気が強すぎんじゃないのー?」

どこかで訓練されたのかと疑うほど、その男のセリフはことごとく不快に聞こえる。
台詞のチョイスからイントネーションに至るまで、全てが人を不愉快にさせる要因を秘めていた。

「はわわっ……」

そんなことしたら殴られちゃいますー。
由良が必死に訴えかけるが、それは心の中の叫び。
当然彼方に届くはずはなく、届いたのは女の子らしい驚きの声だけ。

「良いからちょっと……っっ!!!」

チャラ男が彼方に掴みかかろうとした瞬間、先に動いた彼方の術が直撃する。
チャラ男はその後の言葉をつづけることなく、地面に倒れこんだ。

「おいっ! タクヤ君! ……てめえ、よくもタクヤ君を」

残りの二人は完全に標的を彼方へと変えたようだ。
怒り出した2人はそれぞれポケットからナイフを取り出した。

「さ……流石にまずいです……」

自分はどう動く?
このまま助けてくれた少女が襲われるのを見ているだけか?
男らしくなりたいんじゃなかったのか……?

否!!
ここで少女を見捨てるようなら男じゃない。
リリー様になんて言われるか。

「我が契約に従え”シェイド”! ダークミストッ!!」

由良が叫んだ途端、由良の足元から真っ黒な霧が立ち込める。
その速度は尋常ではなく、1秒もしないうちに由良の周りはほとんど目の前すら見えないほどに黒い霧に覆われた。

「た、助けてくれた方、こっちに来てくださいー」

彼方の方へ走って行った由良は、彼方の片手を掴もうとするだろう。
掴めたなら、そのまま突っ走って近くの公園まで連れて行く。
692 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 20:45:42.20 ID:gEBOGf0uo
>>691
1人を無力化したことで、残り2人の意識がこちらに向くのは最初から分かっていた。
だからその間にあのメイドには逃げてもらって、こちらは倒せば良いと―――そう思っていたのだが。

どうやら相手は武装していたらしく。簡素ながら、ナイフは敵を殺傷するのに効果的で。
それが2人もいるのだからちょっとヤバイかな、なんて思ったり。
しかし、逃げるわけにも行かず。新たなカードを取り出そうとしたところで――――先ほどはあんな女の子らしい声を出していた、メイドの声が。

「……おぉ」

……どうやら、あの子も能力者だったらしい。そんな素っ頓狂な声を出して。
真っ黒な霧が男達を覆うのを少女は見ていることしか出来ず、そしてメイドにされるがまま、近くの公園まで連れて行かれるだろう。


「……ありがとう」

最初に声を発するのは意外にも少女のほうだ。
イギリスでは銃器使いと戦った少女だったが、ナイフ持ち二人に勝てるかは分からなくて。
しかも先ほどの黒い霧のような補助技を持ち合わせていない少女は、相手を傷つけなければあの状況を脱出できなかったというのもあった。
693 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 20:54:44.16 ID:kQZwn4WIo
>>692
「はぁ……はぁ……」

何とか男達を巻いたようだ。
あー怖かった、と内心まだドキドキだ。

そんなんで、自分の息を整える事に集中していた由良は彼方の声でようやく現状を理解する。
……知らない女の子の手を握っている。

「あっ! ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!」

急いで手を離して頭を下げる。
勝手に手を繋いでここまで連れてきてしまった。
怒られると思ったのだろう。

「うぅ……あの、助けていただいたのはこっちで……
 その、ありがとうございました」

ちょっと顎を引いて上目づかいに彼方を見る。
しかし内心彼方に対しても少し怖がっていて、これで何かを請求されるのではないかと思って居るようだ。
694 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/20(水) 21:02:11.88 ID:2MFq/4EYo
冷たい風が吹き抜け、ツンと鼻を突く空気が肺を満たす
少年は瓦礫の山、建物は殆どが崩れ燃え尽きている
そのかつての面影のない某国の一角の街の入り口に立っていた
目の前には石造りの石碑には戦没者慰霊碑がある
ここには3年前におきたウイルステロの鎮圧に命をかけた勇者の名前が刻まれていた
総勢150名以上に及ぶ勇者
彼らはテロのさなか骨も残さず燃え尽き、墓の中には誰も入っていない

「.............」

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年

彼はその手に持った造花のカーネーションの花束を慰霊碑に置く
季節外れと知っていても、構わない
造花とか、季節外れとかその方がきっと似合ってる。ただ渡したかったのだ
魂だけでもここに眠るあの人に

この慰霊碑はこの辺りの道を通れば大抵目に付く目立つものだ
この時間に少年が1人でいるのだ、余計目立つ
通りがかった人もいるかもしれない
たとえテロ鎮圧に関係がなくとも、この街を知らなくても
命をかけた彼らに花の一本も手向ける人がいるかもしれない───。
695 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 21:05:01.10 ID:gEBOGf0uo
>>693
「……?」

いきなり頭を下げ始めるメイド。対して少女は何をそんな一所懸命に謝っているのだろうと首を傾げた。
別に手を握られたくらいで怒ることなどまず有り得ないし、其処まで潔癖症でもないし。
というより汚くも無いこのメイドに手を握られて、怒るものなどそう居ないだろう。そう考えて。

「……人を助けるのは当たり前だから。私は別にヒーローとかじゃないけど」

先ほどと同じ、抑揚の殆どない声。しかし先ほどとは違い、何処か温かみが有る声。
上目遣いのメイドには、その無表情がちょっと怖く感じられるかもしれないが……まぁ、そんな声でプラスマイナス0かもしれない。

少女の言うヒーローとは、メディアで取り上げられるヒーローのことだろう。
自分は彼らみたいな存在ではないが、人として困ってる人を助けるのは義務だと……そう言いたいらしい。

少女はおもむろにポケットから財布を取り出すと、近くにあった自販機から温かいココアを2つ買い、1つをメイドに差し出した。
どうぞ、と3文字の言葉。飲めということだろう。
そして少女が、メイドみたいに口数が多めではないことも分かるかも知れない。

696 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 21:23:46.32 ID:kQZwn4WIo
>>695
「当たり前……ですか」

その当たり前が当たり前である人が何人居るだろう。
少なくとも、あの時通りかかっていたその他の通行人は、その当たり前は当たり前ではない。

リリー様に続いて、この人もとてもいい人なんだと思う。
今まで嫌な人ばかり見てきたせいで、どうしても初めて会う人は悪い人だと思ってしまう傾向にある。

あんまり口数も多くないし、常に一定の波で喋る人だが、心優しい人だと由良には分かる。
色んな人を見てきたせいで、ある程度話せば人の外見だけでない何かを感じ取れるようになった。

「あ、ありがとうございます……」

ビニール袋を片手に持ち、空いた手でココアを受け取り一口。
この前リリー様も同じことをした。
この街ではココアが流行っているのだろうか……

「あの、ぼく早乙女由良と申します。その……お強いんですね」

男3人に立ち向かっていった少女の姿は、男らしさを求める由良にとっては輝いて見えた。
697 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 21:34:49.23 ID:gEBOGf0uo
>>696

「そう、当たり前」

今までの喋り口から見て、このメイドは優しい人物なんだなと分かる。
さっきだって大声の1つでも上げればいいのに、それをしなかったのは優しいこのメイドの人柄なのだろう。
……単にあの3人が怖かっただけかもしれないが、まぁそこは置いておくとして。

「……別にそんなことはないよ。……あなたも相当、強いみたいだけど」

謙遜とかではなく、負けを味わったことのある少女の言葉は何処か真実味があった。
あのイギリスでの1件は、少女にそう語らせる程度の精神的ダメージを残していたのだった。
……そして、このメイドの先ほどの霧。間違いなく能力で、それも……多分あれだけではないだろう。
ちょっと控えめに、あなたも、能力者なの? なんて聞いてみる。

「私は彼方。由良、よろしく……?」

そうやって握手を求めようとしたが、その手が止まった。先ほどの、メイドの言葉だ。

『「あの、《ぼく》早乙女由良と申します。――――』


「……もしかして、男?」
698 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 21:41:37.64 ID:kQZwn4WIo
>>697
「そうでしょうか……少なくとも、ぼくより精神力は強そう」

なんて言って肩を狭めて小さくなる。
怖くて声も出せなかった自分は、精神力が弱いのだろう。

「あ、ぼくのあれは精霊術です……ってご存知ですか? 精霊術」

以前は通じたが、誰に対しても通じるものなのだろうか。
世間一般があまりわからない由良は、精霊術がメジャーなものなのかどうかも分からない。

握手かと思ってこちらも手を出しかけたが、その手を止めて少しひっこめる。
彼方の質問のせいだ。

「あ、あの……その、男……です。
 そう見え………ませんよね、やっぱり」

ちょっとしょんぼりしてしまう由良。
女装メイド男に引いてしまっただろうか。
699 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 21:52:20.02 ID:gEBOGf0uo
>>698
「精神力……まぁ、色々経験してるから」

色々。確かに少女は色々と経験していた。
そこいらの同年齢の女子よりは、精神力が強いのだろう。強すぎるのかもしれないが。
銃で撃たれたというのは、その最も大きな要因の1つだろう。

「……分からない。私は、コレしか使えないから」

実際少女も、精霊術がメジャーかどうかは分からなかった。なぜか、それは少女が取り出したカードの束。タロットカードの所為だ。
タロットカードだけに頼って此処まで生きてきた少女にとっては、他人の能力にてんで知識がない。

「でも、良い響き」

……しかし、精霊術、という名前は少女の胸に確りと刻まれたのだった。

「……」

メイド……由良の問いに、少女は答えることが出来ない。出来れば、男に見えると言いたい。しかし、
  ど  う  見  て  も  女  で  あ  る  。 あの男達が間違えるのも無理はないだろう。
ちょっと迷って、嘘を言うのはどうかなと思って。でも、術を出したあのときの彼には男らしさが垣間見えて。

「大丈夫、由良は十分男らしい。……ほら、握手、しよう?」

結果的に、少女は手を差し出した。……大丈夫、嘘は言っていない。
700 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 22:03:17.83 ID:kQZwn4WIo
>>699
経験……由良も確かに経験は豊富だが一方向に激しく傾いている。
色々なことを経験したとはあまり言えない。
いつか、自分もいろいろなことを見聞きして彼方のような精神的な強さが欲しいと思った。

「……これは、タロットカードですね」

先ほど男を一人気絶させた時に使っていた物だ。
どうやらこれを媒介として効果を発動できるものと見た。

「不思議な能力もあるんですね。ぼくは今まで精霊術しか知りませんでしたから」

「精霊術は本当は強いんですけど、使うぼくがあんまり強くなくて出来ることが限られちゃってるんですよね……」

体の強くない由良が強力な精霊術を行使すれば、発動より前に体が耐えられない。
その為、精霊術でもごく一部しか使えないのだ。

「…………うぅ」

黙ってしまう彼方。
それはそうだろう、自分のような男がメイドの格好をしてうろついていたのだ。

「男らしい……ですか? うわぁ……ありがとうございますっ」

ぱあっと花が咲くように由良が満面の笑みを浮かべる。
男らしいと言われてとてもうれしかったようだ。
そうして元気よく握手に応じる。

……とってもかわいい笑顔を浮かべながら。

「ぼく、男らしくなりたいってずっと思ってたんです」

しかし、実際は年を重ねるごとに逆を行っているのだが。
701 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 22:17:31.34 ID:gEBOGf0uo
>>700
「そう、さっきのは棒の8。電気って意味だけど、時の流れって意味もある」

一枚、山からカードを取り出した。棒が8本、斜めに描かれているそのカード。
由良の予想は当たっている。カードをかざして詠唱すれば、意味に応じた効果が出る。
幼い頃からタロット占いに勤しんで来た少女だから身についた能力、といえるだろう。

「私にとっては、そっちの方が不思議だけどね。
 ……そう。でも、さっきのは結構便利だなって思った」

相手をその名の通り煙に巻くあの黒い霧は、少女にとって羨望の対象だった。
傷つけずにあの状況を脱する……いくつか補助用のものはあるが、あの状況ではそのどれもが使えなかっただろう。
出来ることが限られてるといっても、あの技は欲しいなぁなんて思ったり。

「――――……う、うん。男、らしく。とっても男らしいと思う……」

こういう時、少女はどういう顔をしていいか分からない。握った手も、その声も、その笑顔も、全てが女っぽい。
正直、彼は本当に男なのかと疑いたいぐらいである。……気を紛らわせるために、ココアを一口飲んだ。

「……そうだ。タロット占い。未来とか、占ってあげる。……どう?」

と、そこで自分のなんだかもやもやした気持ちを紛らわせる画期的な方法を思いついた少女は、タロットカードをシャッフルし始める。
その独特なシャッフル方法は、カードをの上下もバラバラにするものだ。
彼女が……いや、彼が了承すれば、占いたいことがあるなら言って。とも告げて。
702 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 22:30:12.14 ID:kQZwn4WIo
>>701
「カードによって発動する効果が違う……ちょっとだけ精霊術と似ているかも」

契約する精霊によって使用する術が決定する精霊術と少しだけ似てるのかななんて思ったりして。

「さっきの……あれですね。あれは、闇の精霊シェイドが持っている術なんです。
 精霊術って言うのは、契約した精霊が持っている術を自分の体を介して発動できるもので、術を貸してもらってるって言った方が良いのかな……」

確かに先ほど使用した術は逃亡には便利だ。
他にも補助系の術はいくつかあるが、攻撃系の術で使用できるものは少ない為、単独での戦闘力は低い。

「嬉しいなぁ……ぼく、いつも女みたいとか言われいていたので、いつか見返してやるって思ってたんです」

片手でグーを作って胸の前へ持って行く。
……こんなんでも男らしさをめざしているのである。

「タロット占い……ですか」

占いの類は全くやったことが無い。
んー、と少し考えて、一つお願いする。

「じゃあ……ぼくは、一人前の人になれるでしょうか?」

こんな質問でも良いのか……
よく解らないが、由良の当面の目標は一人前になって自分を拾ってくれたリリー様に恩返しをすることだ。
703 :アラン2013/02/20(水) 22:36:56.21 ID:Hb2CiuJJ0
>>694
声をかけようと思ったのはほんの一瞬のことだった。
夜の慰霊碑を前にぽつんと所在無げにたたずむ紫音の隣に立ち、持ってきた花を献花する。
150名の冥福を祈って作られたその碑に、アランは静かに首を垂れる。

墓碑の下には誰もいない。
何もかもが『滅菌』されて消え去ってしまったから、遺品すらもない。
そしてそれは、アランの友人ほぼ全員に言えることだった。
この場所で、人を救おうと奮戦して死んだ人々だけではなく。
第二次湾岸で、多くの戦友が核によって蒸散した。
第三次大戦で、ともに戦った戦友の亡骸は回収すら許されずに燃やされた。

この墓碑とて、そういったもろもろの一つ。
先に逝った友たちの功績を讃えるだけの空虚な墓標にすぎない。

「また会ったな」

いままで顔を合わせることがなかったのがウソのように思える。
なにせ2連続で行き先が被ったのだから。むしろ今までが嘘であったかのようにすら思えた。

「おっかさんの冥福を祈って、か」

そういって取り出したのは、未開封の煙草と酒のボトル。
それを花とともに供えて、アランはもう一度、静かに祈りをささげた。
704 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 22:39:11.37 ID:gEBOGf0uo
>>702
「なるほど。……ちょっと似てるかも」

違うのは、戦闘能力が使用者の力量によって変動する、といった点か。
此方の場合は、力量というのは単にタロットの知識なのだろうが……。やはり、この能力は運が良かったのかもしれない。
……「闇の精霊シェイド」というその響きがちょっとかっこよかったと思ったのは、秘密だ。

「うん。……がんばって」

そのポーズは男らしいのだが、いかんせんその他の全ての要素がアレである。
応援しているのは本心だが、少女はそんな彼を見ているとそういった普遍的な、小学生並みの励まししか出来ないのだった。

「一人前の人になれるか……分かった」

なるほど、なんとなく気の弱そうな彼にぴったりの質問だ―――少女はそんな言葉を頭に浮かべ。
やがてシャッフルが終われば、カードを広げて彼に差し出すだろう。

「一枚選んで。それが由良の答え」

出来ればクイーンとか女帝のカードは出てきて欲しくないな……と思いながらのそんな言葉も添えて。
705 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 22:45:32.77 ID:kQZwn4WIo
>>704
「契約する精霊が多ければもっといろんなことが出来るんですけどね……その辺に居るものではないですし……」

雷の精霊と契約すれば、先ほど彼方がしたようにして自分一人であの状況を打破できるようになるのだろうか。
……おそらく無理だろう。

「応援ありがとうございますっ……それでは男らしく、これでっ」

1枚選んだカードは、男らしく一番端っこで下にある目立たないカード。
どこか男らしいのか。
706 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 22:53:54.69 ID:gEBOGf0uo
>>705
「……だ、大丈夫。由良はもっと強くなれるから。……」

そのうちに、新しい精霊と契約したり、既存の精霊の技が強化されたりするのだろうと予想を立てて。
しかし、今の由良を見ると……口をつぐまざるを得ない。


由良が選んだ男らしい一番端っこのカード。
少女が表にすると、そこには立派な玉座に座り、立派な口ひげを蓄えた男のカード。
由良が全くタロットに疎いといっても、このカードが少なくとも女性ではないということは分かるだろう。
……少女は軽く、息を吐いた。安心した。しかも、この場面で一番出て欲しかったカードだ。

「コレは、皇帝のカード。意味は、男性的とかリーダーとか。
 ……あと他に、強さって意味もある。直接的な意味ではないけど、一人前の人には、なれると思う」

しかし、70枚以上もある全タロットカードの中でコレを引き当てる由良の運……いや、運命。
冗談ではなく、本当に一人前の人間になれるのかも知れない。

飲み干したココアの缶をくずかごに投げ入れ、由良の反応を待った。
707 :早乙女由良[saga]:2013/02/20(水) 23:03:16.21 ID:kQZwn4WIo
>>706
「皇帝……男性的……リーダー……」

見せられたカードを眺めつつ、その説明を聞いていく。
初めは理解できない……が、徐々にその意味を頭で理解していく。

「やったぁ! 皇帝ですっ! 男ですっ!」

そしてその全てを理解した時、由良は大いに喜び始める。
キャッキャと笑い、喜ぶ姿は未来の皇帝なのだろうか。

「ぼく、立派な皇帝になりますっ!」

帰ったらリリー様に報告しなくちゃ……
……ってやばい!
由良は重大なことを思い出す。
今持っているスーパーのビニール袋の中身はリリー様の夕食だ。
ここで悠長に話をしている場合ではない。

「ご、ごめんなさいっ! 人を待たせているんでした!
 あの……っ、このお礼はまた必ず!」

そう言って急いで公園の外へと走り出す。
お腹が減って倒れているご主人様に食事を届けなければ……!

//っとこんな感じで良いでしょうか
//久しぶりに彼方さんと絡めて面白かったです、ありがとうございました。
708 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式[sage saga]:2013/02/20(水) 23:09:21.64 ID:gEBOGf0uo
>>707
「頑張って。私は応援してる」

と、言っている途中に彼は駆け出して去っていってしまう。
あの喜びよう、喜び方は完全に女だったが、まあでも、人に希望を与えられたなら、良かったのだろう。

誰かを待たせているようだったが、そんなこと自分が突っ込むべきところじゃない。
自分によって、1人でも幸せになってくれたら。そんな思いを持って、少女は今日も街を歩くのだった。

/はい、おつかれさまでしたー!
/自分もクリオネさんと絡めて良かったです!ありがとうございましたー!
709 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/20(水) 23:49:33.54 ID:2MFq/4EYo
>>703
「今まで、贈り物らしい贈り物をしてこなかったので...
季節外れとか、あの人毎日が祭りぽかったし...気にしないでしょ」

ロクに記念日とかロクに守ってもらえなかった日々だったのだ
自分がこうやって季節外れでも構わない筈だ
視線を向けずとも誰が来たのかはわかっている
彼と似たような目的でこの場所に立っているのだ、きっと来るだろうとは思っていた

「...もし、エリーゼの魂がまだ生きてるなら
きっと指差されて笑われるんだろうけど...とても楽しかったんです...
あの危なっかしい毎日が...とても」

戦争という戦争をかいくぐり、あらゆる戦闘行為を鎮圧する
その行為自体は決して一言で言い表せる程楽ではないけど
そこで過ごした日々は忘れ難い思い出だった───。
だから、この場所にやってきたのだ
エリーゼが眠ってるなら、もっと思い出せる気がして
だが、同時に苦しかった──。

「.......」

この惨状を作ったのは他の誰でもない自分だ
この上なく無責任で、自分みたいな人間が生きてる事が
こんな場所に飄々と現れることが許されるだろうか
紫音の顔は硬く、罪人のように暗いのだ

/遅れて申し訳ありませんでしたーっ!!
710 :アラン2013/02/21(木) 00:09:40.57 ID:nf4xM6K90
>>709
「むしろ季節を気にするあいつはあいつじゃないな。頭の中が毎日カーニバルだったような女だ」

 最初に『お試し』で仕事を終え、そのままバディ契約のバカ騒ぎにつき合わされた懐かしい記憶がある。
 毎日なにかしらの面白そうなものを見つけ、ばかみたいに明るくふるまっていた。それが記憶の中のエリーゼだ。
 きっと死んでも楽しくやっていくに違いないと、初めて会った時から確信していたほどに。

「魂なんてそんなあいまいな言葉、お前も使うんだな
 いや――お前だからこそ、かもしれないけど」

 死者が死んだらどこに行くのか。
 ある者は無に帰すといい、あるものは地獄と天国へと選別されるという。
 死に付随する精神の解釈というのはそれこそ幾千とあるわけで、べつにアランはどれを支持するわけでもない。
 ただ――学説的な正否はさておいて、その行き先の一部を、自分は知っている。
 緩く握った拳を胸に当てる。シャツの下のドックタグ、そのさらに奥で脈打つ鼓動。自分の命そのものに同化した膨大な数の意思たち。
 この場に焼き付けられた無数の死に感応して、ざわざわと騒ぎ出すそれら。もしも紫音が敏感な性質なら、アランの周囲で薄く揺らめく人々の影が見えるかもしれない。

「何考えてるのかは知らないが、死人は死人だ。しゃべりもしないし、お友達でもない。思いつめるのはよせよ、死人に義理や懺悔なんざ、自分を食いつぶすだけだ」
711 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/21(木) 00:31:47.85 ID:8bvsmN3No
>>710
「えぇ...そうですよね」

今はない、自身の手で切り捨てた存在を何で気にしていたのか
自分でも忘れろ。思い出すな。と誓っていたのに
だが、そうやって誓う必要がある時点で忘れることなどできない
紫音は───、優しすぎる
それでいて、一種の歪みきった正義感を引き継いでいた
かつて“ヒトになりたい”と、普通に生きる事を望んでいた
あの頃の比べたら随分収まったが、それでも彼の正義感は強い
切り捨てた者へどうしても、申し訳がないから

ふと、アランの方向を振り返った
彼の周囲にいる“それ”は間違いなく視界に捉えることができた
それはまるで幽霊のようで、そこから空気中に流れる魔翌力を肌で感じれた

「おじさ...ん?」

紫音にはそれがなんなのか理解できない
ただ、間違いなくそれが通常の状態ではないということか
思わずアランの側に駆け寄る

そこに溢れ出す魔翌力があるなら、
紫音の肌を浸透する内側の痛みに紫音は顔をしかめる
魔翌力を魔翌力と理解し、触れることで紫音に痛みが走る
712 :アラン2013/02/21(木) 00:46:52.38 ID:nf4xM6K90
>>711
「死者はいかなる要求もしない。であるならばこちらも死者へ与えるべきではない。
 死者は葬られるべきなんだ。それは概念的にも物理的にも、両面的な意味を持つ。
 死者というものを正しく取り扱えないならそこにあるのは破綻だ。自己とその周りのすべてを巻き込む。
 俺たちは一介の殺し屋にすぎず、煉獄を歩くツーリストに過ぎない。煉獄の旅人は善人であるべきではないんだよ」

 優しさなど切り捨ててしまえ、と。
 正義のお題目を掲げようと、自分たちは殺しを手管に主張を通しているだけに過ぎない。
 その理念がいかに崇高であれ、自分たちは『武力をもってして主張にそぐわない相手を[ピーーー]』
 そのありようはある意味テロリストのそれであり、悪の側面が付随する。
 極論ではあったがそれがアランの主張であり、ある意味でいえば紫音への最後通牒であった。

 正義を掲げて修羅へ身を落とすか。あるいはヒトとしてまっとうに生きるために、今までを否定するか。
 正義とは猛毒に似ている。それが強ければ強いほど自己を侵し、周囲すらも侵食していく。
 これより先に行くならば、相応の覚悟なしに足を踏み出すな、と。
 アランは紫音に熟考を促す。

「触れないほうがいいぞ。侵食するからな」

 自分の周りでたゆたう有象無象の魂魄たち。
 決して解放されることのない無間地獄へと内包され、永遠の苦しみを煮詰める坩堝に溶かされてゆくそれら。
 外界へと犠牲を求め、自らのように悲惨な結末を周囲にふりまこうとするその悪鬼どもに触れたならば、膨大な泥のような魔翌力と、入り混じりすぎて形式すら定かでなくなった怨嗟が感じ取れるだろう。

 
713 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/21(木) 07:01:31.14 ID:8bvsmN3No
>>712
自身の強い信念がどの面から見ても善とは限らない
この世に悪などない、存在するのは様々な正義だと聞いたことがある
ならば逆もあるだろう
この世には善などなく、存在するのは誰かを[ピーーー]悪しかない
理解していても、その事実は飲み込めない
アランの言うようにそれ相応の覚悟───、修羅へ堕ちないといけない
その事実は理解してもしきれないが
ふと、この街を焼き尽くしたあの頃の自分は“文字通りの修羅だったのではないか”と

「......っ」

考えただけで吐き気がしてきた
今まで感情を殺して命の灯火を消してきた
その行為を今更ながら、自分は後悔しているのか
単にこの思い出深い土地にいてどうかしてしまったのか
ただ、心の底に甘さや優しさを十分に持ち、他人の好意に弱く
それでいて自身の正義の体現によって世界が救われる事を強く望み
不器用にも人々を傷つける悪を切り捨てる事でしかなし得れない
そんな歪んだ彼は、止まることなど不可能なのかもしれない

「.....ん、く────あッ!」

触れるまでも、ない
迷い狂いする魂の叫びは膨大な魔翌力と共に全身に叩きつけられる
それはここで今でも自分を呪う怨霊にも見え思わず後ずさった
こんな地獄を───

「こんな地獄を───...おじさん」

これほど悪を、呪いを背負っているのだ
間違いなくアラン自身に何らかの影響があるだろう
恐らく、害を与える何か
こんなモノを背負う彼は、紫音にとって急に遠い存在と感じてしまう
714 :アラン2013/02/21(木) 08:03:34.41 ID:Wa9XQWwIO
>>713
どれほど大義をかかげようと。
どれほど人をすくい上げようと。
結局自分は殺し屋でしかない。平和のためと偽って、武器により死を振りまく。
そこに果たして正義はあるのか。
正義のためだと。世界を平和にするためだなどとどの口がほざくやら。
自分たちの信奉する正義と平和のために銃を手にすれば、それに反する誰かが死ぬ。
その事実を噛み締めてなお、自分は歩みを進める。
進めねばならなかった。そしてそうする以外を知らなかった。
いままぜ自分の手にかけた者の為に。
殺しこそが、自分の歩いてきた人生だから。

誰かを救わんと劔を振るえば、散って行った者たちの骸が道をなす。
その上を、自分は歩む。
古今東西あらゆる屍者とその怨嗟を肩に背負い。
自分は正義の味方にはなりえない。
そう理解しているからこそ、世界平和に憧れたのだ。

隣の少年に、それだけの覚悟はあるだろうか。
自己の正義の為に血と屍の道を敷き、その上をゆく覚悟が。
悪鬼羅刹へ身を投じ、慈悲なき守護者足るだけの意志が。
正義の旗を掲げることにより、その行いの悪を背負う決意が。

結局のところ自分にはそれだけの覚悟はなかった。
正義を掲げることにより、世界の悪をも背負うなどという冗句にもならない悪趣味を。
その重荷を、責を負うだけの勇気がないから。
悪でも正義でもなく、ただ『平和』などという曖昧で不定形なモノを求める一つの機構になったにすぎない。

「地獄は生まれ故郷みたいなものさ、いまとなっては、だけど」

その結果が、体内に宿した悪夢だった。
老若男女問わず敵を殺し、その屍の上に立った自分を呪う煉獄。
いまとなっては自分そのもの、あふれる怨嗟すら体の一部にすぎず、膨れ上がる悪意は身体を蝕んでいく。

殺した命を背負い、彼らの嘆きを背負い、その苦痛を背負う。
背負いたくて背負ったわけではない。
選んだ道の先に、それを背負うべき責任が付随しただけのこと。
しかしだからこそ、自分の選択であるがゆえに負わねばならない。
715 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/21(木) 14:26:18.65 ID:8bvsmN3No
>>714
地獄を宿す苦しみ
そんなものは想像もつかない
嘆き苦しむ人々の嘆きを幼い頃の自分は聞いたことがある
ただそれを何年間も、その命の限り背負い続ける呪い
目の前の男性を知っていたつもりだった
彼のことを理解したつもりだった
そんな地獄一つ知らないくせに、知っているなんて烏滸がましい

「おじさん....」

何を言えばいいのかわからない
自身の正義を全うする強さも
誰かを理解する苦しみも知らない自分に怒りすら覚える

彼には正義を全うする覚悟はある
だが、“全盛期”でない彼がその正義を成せば、それはヒトではなくなる
ただ一つの命令をこなし続ける機械と変わらない
ある少女は言った「君は自分が思ってる以上に普通の人間だ」と
彼の望む、ヒトであると
それが崩れるのが、その少女の言葉を嘘にしたくなかったから

正義の味方なんて、自分にはできない

「おじさん。俺、目指すものがあるんだ
正義を成して、ヒトであり続けれる道を...」

一つだけ思いついていた
今の自分に成せる、唯一の正義を
ただそれはあまりに傲慢で、この墓で眠る彼女にも申し訳が立たないかもしれない
ただ、「こうしてみたい」「こうでありたい」という願望だ
こんなもので守れるものは少ない、世界という大きな器から
この両手で抱きかかえる程しか救えないだろう
ただ、アランの目を見て語るその瞳は芯のある深みのあった眼差しだった

迷いのないその眼は───。
716 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/21(木) 21:10:04.13 ID:vZbM4also

ベアトリス・セイクリッドは盲目である―――。

とある街中、帰路に着くであろう人々の雑多で賑わう中を彼女は歩いていた。
傍目から見れば珍しい、修道服の女性。プラチナブロンドのポニーテールが歩く度に揺れる。
それにリズムを合わせる様に肌をあまり露出しない、修道服の上からでも分かる胸部も震えて。

彼女の眼は閉じていて、その手には盲目者の為の道標といえる白杖が握られていた。
その右手に巻かれた紅い布もあって、怪我を負った盲目者と人々は思う。
この街の人間は親切であった。彼女が歩けば道は開き、対面から歩いて来る人間は避けて歩く。

ベアトリスもその事には気づいていた。耳は良く、人の気配の感じからなんとなく感情の読み取りも出来ない事もない。
例えば悪意などには彼女の臆病な性格上、人一倍敏感だった。だから、眼が見えなくてもそういった類はそれなりの頻度で避けられる。

『――――――危ないっ!!』

だが、突発的な害意に対応出来るほど彼女は優れてはいなかった。例えば不意に後ろから殴打されたり、上から物が降ったり。
それを回避するには彼女の右手の”悪意”を解放せざるを得なく――――だが、それを彼女は良しとせず。

「――――――え?」

今宵、彼女を襲った突然の不幸は通行人の自転車であった。それは些細な、ベアトリスの不注意でもあった。
雑多に紛れる自転車の音を聴き逃し、差し掛かった横道からの自転車に気づけなかった。
だから、このままでは彼女は自転車の突進を身体の側面で受ける事になるだろう―――ブレーキは踏まれたが、速度は相当なものだというのに。
717 :鬼塚詩音(巨漢の少年)から魔法警察シオン(少女へ)2013/02/21(木) 21:29:02.98 ID:oVeg6orYo
>>716
「間に合うか?!…変身!」
 声変わりも低い男らしい声がベアトリスの耳に聞こえる。

「防護服射出!」
 男の声がしたのと全く同じ位置から少女の声が聞こえ、
 帯状の物が無数にベアトリスと自転車乗りに飛んでくる気配。
 伸びる帯は二人をそれぞれ包み込もうとしている。

 間に合えば防護服は二人を守るはず。
 自転車は多少なり傷つくだろうが。
 
718 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/21(木) 21:37:57.75 ID:vZbM4also
>>717

無理に掛けたブレーキ音、危険を告げる叫声。
気づいた時には運が悪かったと諦めるしかなく、ベアトリスは驚く間もなく自転車に衝突する。

「―――――……ぁ、っ!?」

だが、痛くない。確かに多少なり衝撃は身を奔るが自転車に衝突したとは思えない。
耳に聞こえるのはカラカラと車輪を回して地面に倒れた、自転車の破損音。
自転車に乗っていた男性と自分はといえば―――何やら、帯の様なもので守られているらしい。

「これは……あの、大丈夫ですか?お手を……すいません、横道があるとは気づかなくて」

自転車から転んだものの、怪我はなかったであろう男性に手を貸し立ち上がらせる。
お互いに謝罪し、礼を述べられる―――はて、とベアトリスは首を傾げる。男性の礼は彼女の背後に見える恩人へである。
ベアトリスはこの危機を救ってくれたのは誰だろう、と辺りをキョロキョロと耳を澄ませて探す。

白杖を片手に、少し不安気味に歩きながら先の声の主を探す。また、ぶつからなければいいのだが―――。
719 :魔法警察シオン(女リーゼントのロリ)魔法の警察装備と身体強化2013/02/21(木) 21:47:32.45 ID:oVeg6orYo
>>718
布のような質感の帯が、金属のように砕け、
ゆっくりと警官の礼服の様な姿に修復されていく。

「間に合ったか。」

二人の無事に安堵のため息。そこにある気配も声も一人のものだ。
その少女の声の出所はかなり低い。ならば想像される身長もかなり低いだろう。
彼女がいた所にはさっきまでたしか男がいたはずだが…彼はいない。

というより青年が少女に変わった?

自転車の主には「自転車は悪い事をしたな。」とだけ。
720 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/21(木) 21:57:04.69 ID:vZbM4also
>>719

「あの、すいません―――この辺りに、男性と女性の方が二人、いませんでしたか?」

「多分、私と先ほどの自転車の方を助けてくれた……と、思うのですが」

ベアトリスはそこに存在を感じる少女に訊ねる―――なんとも言えない違和感があった。
確か、「防護服」と言った声はこの辺り。男性の声と、女性の声が聞こえたと思うのだ。
故に彼女はそこに居る少女へと訊ねる。それは全くもって勘違いなのだけど。

「確か、防護服……とか、言っていたのですけど――――」

自転車の男性は壊れた自転車を引いて帰路に着いた。
残る彼女は眼が見えない故に未だその場に残り、”彼ら”を探す―――。
721 :魔法警察シオン(女リーゼントのロリ)魔法の警察装備と身体強化2013/02/21(木) 22:08:58.47 ID:oVeg6orYo
>>720
「姉さん、その男は俺だ。」と少女が答えた。

「この世の中にはそういう魔法もあるらしい。
 今の防護服を使うための条件がこの姿だ。」
 ベアトリスの杖を見てなるほどと頷く。
 出会い頭の接触事故なら目が見えていても
 起こりうるが盲人ならなおさら危険なものか。

「怪我はないかい?」
722 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/21(木) 22:15:37.15 ID:vZbM4also
>>721

「―――――えっ?」

訊ねた相手がそれは自分だと主張する。それも女性の声で。
声色から察するにどう考えても女性で、よく聞けば先ほどの声の持ち主かもしれない。
だが、男性でもあるというのはにわかに信じ難かったのだが―――。

「はぁ……魔法、ですか。そういった類の、現象もあるのですね……」

決して異能や魔法といった類のものは珍しくない世の中。
だがしかし、魔法体系によるものと説明されれば尚更不思議であった。

「えぇ、怪我はありません。危ない所を助けて頂き、有難うございました」

深々、と礼をする。少し彼女――いや、彼の存在に驚きつつもだ。
723 :魔法警察シオン(少女)から鬼塚詩音(少年)へ2013/02/21(木) 22:23:44.12 ID:oVeg6orYo
>>722
「秘儀らしいから詳しいことは言えないし、
 言えたとしても魔術に詳しいわけじゃない。」

 襟にかけてある無線に声で命令を出す。
「変身解除…」 - 装備解除シマス -
 声のする位置が高くなっていく。
 声質は太く低く変化していく。

 ベアトリスの身を守っていた防護服も弾けて消えた。
「姉さんは見たところシスターさんかい?
 俺は鬼塚詩音、変身時はシオンの名を使っている。
 特に聖書のシオンと関係はない。ウタネの音読みだ。」
724 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/21(木) 22:33:49.37 ID:vZbM4also
>>723

「秘儀……ですか。不思議、ですね……」

本当に不思議だ、とベアトリスは感心するように耳を澄ませていた。
”彼女”が返信を解けば”彼”が姿を現した。ベアトリスはやはり驚いた様に。
身を守っていた防護服が消えたことに気づいて、少し着崩れていた衣服を直して。

「はい、教会に暮らしております。L.M.G.という組織に所属しています」

「私の名前はベアトリス・セイクリッド―――ウタネさん、ですね。危ない所をどうも有難うございます」

名乗り、再度礼を述べる。彼女の一挙一動はゆったりとしていて、柔和な雰囲気を纏った人柄だった。
根っからの聖職者とも言える印象を与えるだろうか。ベアトリスは面上げて、笑みを浮かべていた。
725 :魔法警察シオン(少女)から鬼塚詩音(少年)へ2013/02/21(木) 22:39:59.26 ID:oVeg6orYo
>>724
「L.M.G.…日本にもあったのか。」
 彼はあまりL.M.G.に詳しくはなく、キリスト教関係で内輪の裁判を
 していたり、怪異の退治を行なっている組織といった認識だ。
「礼には及ばないさ。たまたまできる事をしただけだ。」
 絵に描いたような聖職者の様な彼女を見てその笑顔に安心した。

「もう時間も時間だ。教会まで送ろうか?」
726 :ベアトリス・セイクリッド[sage]:2013/02/21(木) 22:51:56.84 ID:vZbM4also
>>725

「ふふ、私はこの国でしか活動していませんけどね」

外国に飛ぶ事はない。彼女を一人で国外へ放つほど、L,M.G.も緩くはない。
彼女は何時だって監視下であらなければならないし、自由をそれほど与えてはいけない。

「その、たまたま出来る事を実行に移せる……それが、貴方の美徳です」

「私は今日、貴方の様な人に助けて頂いて嬉しいです」

にっこり、と微笑む彼女は心底感謝していた。聖女の如く笑顔に明かりを灯し。

「いえ、そう遠くありませんので。それでは、また――――失礼しますね」

そこまでさせてしまうのは恐縮だ、とベアトリスは困った顔で申出を断る。
教会までそう遠くもない。ちゃんと注意しながら歩けば、先ほどの様な事故もないのだから。

頭を一度下げて、ベアトリスは去って行く。盲目者にしては確りとした足取りでもあった。
後には彼女の髪の香りか、甘ったるい匂いと―――聖職者あるまじき、僅かな負の気配だけ。


/こんなところで〆ですかね?お疲れ様でしたっ 
727 :魔法警察シオン(少女)から鬼塚詩音(少年)へ2013/02/21(木) 23:00:12.60 ID:oVeg6orYo
>>726
「宗教関係はよくわからん世界だが、あんたは良い聖職者に見えるぜ。
 美徳…か。そういうものか?」
 当たり前に動いたつもりだったが、そう言われて悪い気はしない。

「ああ、縁でもあればまたあうかもな。」
 そう言って、さっていくベアトリスをしばらく見送り詩音も街の中へ消えて行った。

// お相手ありがとうございました。機会あればまた。
728 :アラン2013/02/21(木) 23:59:18.53 ID:lVe2/gWV0
>>715
「しょぼくれた顔すんなよ、意外と便利なんだぞ、こいつら」

 アランにまとわりつく魂魄の群れは、どことなく鎖のように見える。
 自己を拘束し、奈落へと引きずり込もうとする鎖。
 それに抗わねば自身すらも怨嗟に飲まれ、抗えば鎖は肉に食い込み血肉を食む。
 しかしそれに囲まれてなお、アランはいつも通りに困ったような苦笑を浮かべた。

「自分の選んだものだからな。
 同情されるつもりはないし、だれかにしてやるつもりもない。
 無論それは慰められるようなものじゃないし、理解してもらおうなんてのも虫が良すぎる話だ」

 なれた手つきで煙草を取り出し、アランは一本銜える。
 そして片手でマッチをすると、煙草の穂先へとそれを運んだ。
 マッチの先で小さく揺れる灯火に、死者が群がる。
 それが敵だと言わんばかりに、飲みつくさんと集まった思念によって火がかき消された。

「当たり前のことだが、赦しなんてものもない。
 神に祈ればどんな罪でも許されるなんて都合のいい考えにすがるつもりもない。
 だから背負い込むしかないんだよ。捨てることもできやしないんだ」

 自分に言い聞かせるようにしてそこまで口にして、アランは腹立たしげに紫煙を吐きだす。
 煙草の穂先の小さな明りが、鉄のような硬質さを宿した横顔を薄く照らしている。
 薄闇の中で青く光る一対の燐光は、この世ではないどこかを見据えているかのようで。
  
「言ってみろよ、何を目指すのか。
 聞くだけは聞いてやるさ」

 肯定もなく、否定もしない。
 ただその志を聞くだけはしてやる、と。
729 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 00:24:39.69 ID:Z4cwckGqo
>>728
「...俺に世界なんて救えない、
なら、心に決めた誰かを守る───その為の剣になりたい」

誰も彼もではなく、誰か
たった一人を守り抜く、騎士に
心に決めた誰かの為に命をかけ、守り続ける
そんな人物になりたいのだと──、紫音はそう言った

自分らしくもないと、思う
暗殺者や傭兵として生きてきた自分がこんな人生を送れるとは思えない
ただ、ヒトのままで自分が信じる正義を成すにはこれしかない
紫乃咲紫音が機械人形で人々を救済する姿を“彼女”は望むだろうか
きっと───望まない
きっと───笑えない

「たとえ世界がその人を否定しても、その人を守る...
たった一人の為の正義の味方になりたいんだ...」

子ども同然の夢物語だ
親の思想は子に伝播していくものなのか
こんな無茶は、きっと成し得れない
誰かを守る事の困難さを知っているならなおさらだ
ただ、彼の言葉には迷いはない

アランから見れば、子ども同然子どもの子ども同然の夢
その決断がどれほど愚かで、待っているのは間違いなく困難だ
それはアランも紫音自身も理解してるだろう

730 :アラン2013/02/22(金) 00:49:31.88 ID:7kD7y6GL0
>>729
「…………そうか」
 
 ただ一言、ぽつりとそう漏らす。
 そこに嘲りの色はなく、むしろ憂いと一抹の羨望が混じっていることに、紫音は気づけるだろうか。
 指先で煙草をもてあそび、燃え殻を地面に落として、アランは紫音を見やる。
 うらやましい。誰かひとりのためだけに命を懸けると、そう言い切れる少年が。
 口惜しい。すでに個人のためだけに戦うにはあまりに多くの罪を犯した自分が。

 ふつ、と胸の奥で妬みに似た何かが沸き起こる。
 しかしそれはおくびにも出さない。宿主の奥でざわめいた仄暗い感情に狂喜乱舞する死者どもをねじ伏せ、燃え尽きかけの煙草をブーツで踏みつける。

「うらやましいよ。そう生きると、まだ選択できるお前が」

 自嘲、自分の生き方そのすべてを嘲る酷薄な笑み。
 それは同時に紫音への声援でもある。幼少を見知った、あるいみ自らの子といえなくもない少年の、苦難の人生への。
 俺のようにはなってくれるな。俺のように、死を引き連れて死を目指すような道化には。
 
 煙草を失い、手持無沙汰になった手が、紫音の頭へぽんと乗せられる。
 そしていつもするように、頭を2度3度と撫でて、

「俺は昔、言語学者になりたかった。それが今じゃこのザマだ
 お前はしくじるなよ。俺を反面教師にすることだな」
731 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 06:55:29.74 ID:Z4cwckGqo
>>730
少し前まで紫音はエリーゼの志を十二分に引き継いだ存在だった
世界を救うその為に己と切り捨てるべき犠牲を厭わない
そんな機械人形だった彼がヒトになると夢をみた

「...手遅れなんてありません
世界の何処かにはおじさんの願いを叶える場所があります───。」

世界はおじさんの思う以上に広いんです、と
撫でられた頭に反抗するように生意気にもそういった
だが、事実でもある
世界各地を渡ってあらゆる人々を見てきたから
人々の喜怒哀楽に触れてきたから、そう言えるのだ
世界にはアランへ希望を与えるものがいると───。

「俺も偉そうに言いますけど、未だに体はって守れる人なんて...」

彼に同性愛云々の感覚はない
つまりは、心から好きと言える女性だ
親の愛という名の鉄の防壁で今まで恋人なんて作ったことない
恋人いない歴=年齢でピュアな彼には難しい課題だ
だが、思い出す途中で蒸気を噴いた様に顔が赤くなった
誰か思いついたのだろうか
顔を伏せたり、いくら戦場を駆けて人々に手をかけた殺し屋でも
根っこの部分は未だに純情なのだ
732 :アラン2013/02/22(金) 15:20:19.91 ID:lF3Km2sIO
>>731
「そうなら、いいんだけどな」

どうだろうね、と苦笑した男の瞳には、透徹しきった諦念の色。
もはや素顔とすら言えるほどに馴染みきった寂しげな苦笑を浮かべたまま、アランは紫音の頭から手を離す。

渇きは癒えない。
どれほど綺麗な景色を目の当たりにしても。
極上の生活に身を浸したとしても。
絶世の美女と共に夜を過ごしたとしても。
悲しいと思うことはある。
嬉しいと思うこともある。
苛立ちもするし怒りもする。
それでも、渇ききっているから涙だけは流せない。流さない。

渇きを埋めてくれるものなどこの世にあるとは思えなかった。
そもそも何が自分の潤いを奪ったかすら理解できていないのだから。

ならばせめて、自分らしくありたい。
「叶わない願いの為に老いさらばえて朽ちるのは御免だよ」

そこから先、続けるはずだった言は飲み下す。
結局、希望を持てる紫音が妬ましいのだ。
まっすぐ突き進んでゆけるその姿が眩しくて、自分の汚れが嫌でも目について。
救済などないと、いまさら救われるのは遠慮すると、そう何もかもを突っぱねて、アランは話題をそらす。

「お、顔赤くして、なんか心当たりの相手がいるんだな?」

ほれほれ話してみな、と紫音の肩をどつく。
733 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 15:41:19.49 ID:Z4cwckGqo
>>732
もちろん、この生き方を無理やり変えるつもりもない
所詮紫音は逃げただけだ
己の正義“は”貫いてると虚勢でしかない
かつて『私』よりも『公』
『少数』よりも『多数』を生かす生き方しか知らない彼が
こういう考えをできるようになったのは紫音にとって一種の成長だろう
他の人間には衰退に近いかもしれない
だがそれでも、紫音は心の中でアランに諦めて欲しくはないとは思う

「い、いや!なんでもないっ!!ただちょっと変な女がいただけだ!」

あからさまな動揺
そう言って紫音は自分の頬を触る
あの頬に触れた柔らかい唇の感触は、こんな時に限って鮮明に思い出せる

俺に勇気をくれた人
俺にこの道を示した彼女
彼女今はどうしてるのだろうか───。

「ってェ!!なに思い出そうとしてるんだ!俺!」

1人ノリツッコミ
頭を抱えるその姿は純情な思春期の男子高校生か
というか、年齢的に紫音はその部類の人種に分類された
紫音は念仏のように「あの人は恩人」と呟いて落ち着こうとしている

なんというか───、若い
734 :アラン2013/02/22(金) 16:13:51.86 ID:OHTHmTZJo
>>733
「…………ほう?」

それまでシリアスだった雰囲気が霧散する。
アランの眼は獲物をとらえた肉食動物のソレ。
慌てた紫音にすっと目を細めると、じと、とその奥を見通すかのように視線を据える。

「思い出すようなナニカがあった、と」

ふむふむと得心した様子で頷く。
そして心底愉快だといいたげな笑みをたたえたまま、紫音に一枚のシートを差し出す。
ゴムである。
アレにつけるゴムである、まぎれもなく。

あからさまなからかいだが、さて効果はいかほどか。
735 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 16:27:15.08 ID:Z4cwckGqo
>>734
「勘違いしないでよおじさん...俺は別に...そんな変な意味で...」

心底愉快そうに笑う彼にもうどうしたらいいのか分からず
悔しそうに見上げながらもしどろもどろに呟く
時折吹く強い風、春一番がまさに今の季節を思い出させる
春、始まりの季節である

「ちょっと!聞いてるのおじさ...ん?」

何か薄いシートを渡された
それを理解するのにかかった時間は約2秒

手渡されたそれは、紛れもなくソレで
どういった用途に使い、どういった意味を持つのか
目にしたことはあっても買った事はない
手にした事もないそれを───

「アンタは何を...

───、思い切り握りつぶして

常備してんだああああああああっ!!」

それを思い切りアランの顔面にプロ野球選手顔負けのフォームで投げ返した
それは、豪速球と言っても過言ではないスピードで飛ぶ

哀れ、こんな純情くんの手に渡らなければ本来の用途に使われただろうに───。
736 :アラン2013/02/22(金) 16:33:48.18 ID:OHTHmTZJo
>>735
「HaHaHaHaHa……」

愉快愉快と豪快に笑うアラン。
ふきつける風が黒いコートをはためかせ、凍りついた紫音とアランの間をさらに冷え冷えとさせる。

コンドームは常備が基本。
それがアランの(いらない)流儀である。
しかし少年がそれを軽く受け流せるはずもなく、

「ぐぉあ! 眼が……眼がぁああああ!」

シートは見事に顔面的中。
アランはその場を転がりまわる。

「こ、コンドームつけないやつは挨拶できないやつだっていうじゃないか……
おれもこれ以上"当てる"わけにいかないわけでだな」

しかも発言が不穏である
737 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 16:45:54.57 ID:Z4cwckGqo
>>736
「そ!そんなものを持つなんて非常識!
そんなのいつでも使えるようの準備じゃないですかあああっ!!」

心が童貞の紫音くんに冗談は通じないようだ
人並み以上の正義感はどうもこういった小道具に対する偏見を強めるらしい
いや、偏見というか事実だが
とにかくこういうネタには弱いらしい
その点は親の思想を受け継いでないようだ

「ぜえー...ぜえー...ゲホッゲホッ...
こんな慰霊碑の前で避妊具出される彼らの気持ちを察しなさい...ゲホッ」

きっと苦笑いで自分達を見てるのだろう
息を整えながら、アランに近付き、しゃがみこんで言う
その声は、笑顔で言うがその背後に感じる邪悪な気配の仮面のようで

「二度と変なことすると...次は本格的に潰しますよ...?
あなたの『ピーー』を...思い切り」

つい内股になりそうな事を言って
ついでに紫音の背後に見えるどこか懐かしい女性の邪悪な亡霊が中指立てつつ
そう言って立ち上がった

ある意味立派になったようだ
小さい子の成長には涙が伴うものだが、きっとそれは眼球直撃に影響だろう
738 :アラン2013/02/22(金) 16:51:17.08 ID:OHTHmTZJo
>>737
「はんっ! 殺し屋に非常識もクソもあるかってんだ!」

売り言葉に買い言葉。
威勢良く怒鳴り返して立ち上がり、懐かしき旧友の亡霊に向かって、睨みを利かせる。

どだいこの程度でへこたれるアランではない。
毎日下ネタと罵詈雑言の飛び交う世界に生きる男である。
ちなみに余談だが、軍隊に入ったばかりのアランは純粋で言葉遣いも柔らかく穏やかな青年であったという。

「俺のブツは金属製でな、あいにくと」

ニヤリと笑んだその顔にはシートが張り付いている
739 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 17:03:23.07 ID:Z4cwckGqo
>>738
『テメェ...シオンノカラダヲ、ケガスノヲテツダッタラ...コロス。』

よく考えれば、この亡き彼女のお陰で純情に育った紫音くんだ
いわば、清らかな彼を望む亡霊は紫音には聞こえぬ不思議な声を
目の前に転がるアランを見下ろしながら言った
最大の障壁、死してなお妨害するか──。

「カッコ良くないですよ、その顔
...あー!打ち明ける相手間違えたよ!もう...」

そう言って彼はこの場から歩き出す
もう用事はすんだ、当初の予定のお墓参りは済んだし
アランに自分の心境を伝えることも終わった

だが、このギャグ時空
割と真剣な決意が下ネタとギャグで汚れたのに御機嫌斜め
それもそうだろうが、彼はどこか安心していた

この告白で彼の自分に対する目が相変わらずという事が
今まで通りの信頼できるおじさんであり続けてくれることに
そういうことのお礼をいえばいいのに
素直に言えない紫音くんは年相応か
740 :アラン2013/02/22(金) 17:31:42.39 ID:Ii9ldn3IO
>>739
「いつまでも子供扱いしなさんなよ……捨てる相手さえ間違わなきゃいいじゃないのさ」

そのような障壁まったく意に介さぬ。
殺せるものなら殺して見せよビッチ師匠、そう囁きかけて鼻を鳴らす。
第一下ネタはこの2名の得意分野専売特許である。

「まあそういうなよ。
好きな相手ができて、もしもの時にないと困るだろ? 一発目から命中させたいならべつにいいが」

立ち去る紫音の背中にいらぬアドバイスをさらにいくつも重ね、アランはゆったりと歩き出す

相変わらずピュアな息子(だと本人はとらえている)の様子に満足気な笑みを浮かべ、つぎはどうからかおうかなどと考えながら
741 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 17:46:24.09 ID:Z4cwckGqo
>>740
「だ、だから命中とか変な事言わないで下さいっ!」
『がるるるる...』

歩き出した足を止めて振り返って
安定の赤面で叫びながらそう言った
後ろの邪悪な亡霊も肉食動物を彷彿させる唸り声を上げながら
不機嫌そうに、その場から走り去って行く──。


「...ばか」

走りながら一言
ある程度距離を離して立ち止まって息を整える
荒い心臓の鼓動は止まらない
再び彼女を思い出す──。

彼女の笑顔、彼女の雰囲気、彼女の優しさ
その全てが止めどなく思い出される

「(...そんな風に言われまくったら、本当に、好きになっちゃうじゃんか...)」

その唇の感触を10倍で返してやると
そう誓ったのを思い出し、再び赤面する紫音くんなのだった───。

/こんな感じで〆いいですかー?
/絡みありがとうございましたーっ!
742 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 20:15:44.10 ID:YJVv8DEoo
突如街に出現し、世間を賑わすバベルの塔。
その頂が何処にあるのか、それを外から確認することは出来ない。

先日、冒険者一行が第一階層をクリアしたことで、外の入り口付近に第二階層へ直通のエレベータがある。
一度クリアした階層は通らずに、未クリアの階層へ行けると言う仕組みだ。

本日、バベルの塔を探索するメンバーはどうやら2人のようだ。
2人はエレベーターへ乗り込み、第二階層へ……

エレベータを下りると、正面に木製の扉が見えるだろう。
見ても特別仕掛けらしきものは確認できない。

このままさっさと進んでしまうか。
もしくは、参加者で自己紹介を行うか……
いずれにせよ、道は現在一つしかない。
743 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 20:22:41.15 ID:Z4cwckGqo
>>742
重苦しい空気に思わず息を飲む
依頼とはいえ、こんな場所に行くのは初めてだ
何があるのか分かったものではない──。

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年

その少年は自分の隣にいる見覚えのある少女を一瞥し、肩をすくめる

「君とは前にも会ったかな、妙な縁があるものだ...」

そう言って扉の前へ、
危険な罠があるかもしれない
慎重に扉を開ける

「さて...何がお出ましだ...?」

音を必要以上たてずに、中を覗き込もうとするだろう
部屋の間取りや罠、敵の有無などを確認する───。
744 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/22(金) 20:30:03.23 ID:46a69tl7o
>>742
突如街に出現した、謎の塔
いかにも怪しげなその響きに、興味が引かれない道理はなく

肩ほどまで伸びた金色の髪が目を引く、青い目を持つ小さな女の子
背に背負うは女の子には不釣り合いな大きさの箱
肩からはポーチをぶら下げて、くすぶる好奇心を友達に、
スキップを思わせる足運びをしながらエレベーターに乗り込む

そうして乗り込んでみたなら、縁を思わせる少年の姿を見つける

「うん、久しぶりお兄さん!
あかいいとって糸で結ばれてるのかな?」
以前よりもより無邪気さや子供らしさを感じられるかもしれない言動と雰囲気
遊び気分、そういった風に女の子の様子が少年に映るかもしれない
それでもむやみに飛び込む真似はしないらしく、少年の背に隠れるようにして、
扉の向こう側を覗き込む……
745 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 20:32:53.86 ID:YJVv8DEoo
>>743>>744
中を覗き込めばそこには見える。
重苦しい雰囲気などどこへやらと言った具合の明るい部屋。
部屋全体にピンクの壁紙が貼られ、ぬいぐるみや数々のファンシーグッズがいたるところにおいてある。
甘ったるい少女趣味の部屋がそこにはあった。

入り口から確認できる特徴的な物としては、部屋の左奥に山積みになった小さなぬいぐるみ。
入り口のすぐ左から聞こえるオルゴールの音。どうやら部屋の左手前にオルゴールが棚の上に置いてあるらしい。
そして、部屋の右端の棚には西洋人形が数体おいてある。
746 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 20:43:38.02 ID:Z4cwckGqo
>>745
「これは...子供部屋?」

予想を裏切られた気分だ
てっきり名状しがたい異形の化け物でもいるのかと
薄暗い湿った通路かとも思ったが全くの予想外

「...ただの...女の子の部屋だな」

扉を開けて中
紫音は部屋の真ん中へ向かう
目に付くあらゆる人形や置物を視界に入れる
そして、同時に出口がないか探すだろう
どこか不気味な気がする部屋だ、早く出たい気持ちがある

「(...嫌な予感も十分にある)」

懐のナイフを右手で握り
左腕の包帯をとって傷口を晒す
荒事の為だ、まだ少女に見せないように
>>744

「っと、珍しい物だからって勝手に触れるなよ?
罠の可能性もある」

一応、少女に注意しておく
もしかしたら、こういうモノが好きかもしれない彼女には無理な注文かもしれない
だが、この置物たちも無意味で置かれてる訳ではないはずだ

それが鍵か、罠か───。
747 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/22(金) 20:56:21.67 ID:46a69tl7o
>>745
「うわ、持ち帰りたいな
お話したいな」

どう見ても違和感のありすぎる光景
予想を裏切られた少年とはまったく異なった反応を示す少女
餌のついた釣り糸に食いついた魚のような少女は、
山積みのぬいぐるみのほうへと駆けていく

>>746
「大丈夫だよ、多分
なにかあったらあとはよろしくね」
少年の忠告を後目に、その足を止めることはなかった少女
突っ込んでいった少女は、罠を明かして脱落するのか……

駆けながら、箱を手に持っておく少女
748 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 20:59:56.13 ID:YJVv8DEoo
>>746
部屋を支配しているのは、バベルの塔とは不釣り合いのファンシー空間。
そして、どこかで聞いたことがありそうで無いオルゴールの音楽。

見た所、入ってきた扉以外に出入り口は無い。
山積みになった小さな人形たちはとんでもない数で、その山の高さは人の身長ほどまである。
入り口の外からは角度的に見えなかったが、入り口右にも棚がありそこにも大小さまざまな人形が置いてある。

部屋を見渡す紫音だが、もしタイミングが合えば気づくだろうか……
部屋の右にある西洋人形の眼球が一瞬だけ動き、紫音の方を見たのを。

>>747
ぬいぐるみの山は人の身長ほどまで高く積まれている。
人のぬいぐるみ、クマのぬいぐるみ……さまざまな人形がそこにはあった。
抱き着いたり、山へダイブしたりして見ても、ただぬいぐるみの感触が気持ちいいだけだ。

しかし、お話はしてくれない模様
749 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 21:11:32.28 ID:Z4cwckGqo
>>748>>747
目が、あった
部屋に鎮座する不気味な西洋人形と──。
無機質なその目が動く瞬間を視界に捉える
人形の不気味な挙動に思わず歯を食いしばる

「....───っク!」

ドクン、と血液が回転を始める
無意識でこの人形に恐怖を覚えた
左足を下げて右半身を西洋人形へ向けるように体を向ける

いつでもナイフは取り出せる
コートの袖に隠した左腕の血液はいつでも使役できる
戦力はいつでも強化できるように魔翌力転換の準備を
襲いかかってきてもいいように
せめて、後ろで忠告も聞かずに遊ぶ彼女は守らないと──。
そして、この異形を理解する必要がある

「....何者だ」

ゴクリと息を飲みながら西洋人形への視線をずらさずに
睨みつけるように問いかける

意思の疎通など無理かもしれないが、この部屋でそう言った常識は不要だ
750 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/22(金) 21:12:42.66 ID:9Ecb9qEso
>>748
『ちょっと遅れたけど間に合ったー!』

そんなふうに書かれたスケッチブックを掲げて、中に入ってくる女が居た。
前回と同じく動きやすい活動的な格好の女である。
右手には色鉛筆を握り、眼鏡越しの瞳は、わずかに警戒の意志を見せて、きょろきょろと辺りを見回した。

(探知の絵、かなー?)

まず地面に旗の絵を書き、道に迷わないようにマーキング。
同時に、スケッチブックに目とレーダーのイラストを書くと、その紙をフロアの床にゆっくりと置く。
魔力を巡らせれば、この部屋の中にある魔力や生命の反応を探知しようとし始めるだろう。
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2013/02/22(金) 21:20:04.22 ID:46a69tl7o
>>748
「突進ー! うわ、ふかふかで気持ちいいー
……でも、喋ってくれないの? 寝てるのかな?」
常識が欠けているのだろうかこの少女は
勘違い(?)してポーチよりナイフを取り出して、
くまのぬいぐるみを一つ手にもって、その腹にナイフを突き刺してみる
表情一つ変えずに

>>749-750
ぬいぐるみにナイフを突き刺したりして遊ぶ(?)、そんな役にたたなさそうな少女もいるにはいる
一瞬だけ顔がひきつったように見えたのは、その妙な状況を感じ取ったためか
752 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 21:33:15.21 ID:YJVv8DEoo
>>749>>750>>751
…………
………
・・…

「……ばれちゃった?」

暫しのにらみ合いの後、一体の西洋人形の口が開いた。
それに続き、隣の人形も口を開く。

「もー、目を動かすからばれちゃったじゃなーい」

何とも緊張感のない会話である。

「この人たち何しに来たのー?」

「先に進みたいんじゃない? 上の階層へさ」

とうとう首まで動かして、二体の人形で喋り始めた。

「なるほどねー……でも無理だよね」

「うん、無理無理ー」

「「だって……」」

2人で顔を合わせていた人形が、突如紫音の方へ向いた。

「君達もうここから出られない」

「出られない」

「あははっ」

「はははははっ」

気づけば、2体どころか部屋の全ての人形が笑い出した。
そこで、ようやくリリーの探査魔法による探査が完了する。
その結果は……ぞっとするような数の生命反応。
部屋に置いてある全ての人形とぬいぐるみから反応が出ているのだ。

「死ぬっ……死ぬっ……あはははははっ」

「はははははははははっ、くけっ……けっ……けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけっ」

笑い出すのと同時に、オルゴールの音が変わる。
綺麗な旋律を奏でていたはずのオルゴールは、いつの間にか気味の悪い不協和音を奏でていた。

同時に、綺麗なピンク色の壁紙がベリベリとひとりでに剥がれ初め、徐々に壁の色が錆びたような色に変色していく。
人形の眼球は外れ、髪はところどころ抜け落ち、山になっているぬいぐるみは綿がでてボロボロになっていく……

エリアがナイフを突き刺したくまのぬいぐるみ。
それも例外なく、部屋の変化に合わせて不気味に変化していた。

「痛かったぞー、痛かったぞー、イタカッタゾー」

大きな口を開けて、突然エリアに襲い掛かるだろう。
何もしなければ、首に噛みつかれて生死にかかわる。

その他のぬいぐるみは、なんの力か空中に浮かび始める。
いつの間にか、その手には包丁やらナイフやらが握られており、一斉に襲ってきた。
リリーに4体、紫音に4体。
それぞれ手に持つ刃物で体を突き刺そうとしてくるだろう。
753 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 21:51:31.15 ID:Z4cwckGqo
>>752>>750>>751

「これはっ....!」

不気味に喋り出す狂気的な人形たち
途中で参加してきた女性に反応する間もなく
宙に浮かんだそれらの人形が刃物を持っている

それだけで十分だ、ようやく本番だ
全身の全神経を尖らせる、細胞の一片まで酸素を送り込む

「リリー!そっちの4体は任せるぞ!
そっちのお前も!無茶はするんじゃないっ!」

2人に声をかけて自身の敵を見る

『創造』──、左腕のにじんだ血液から新たに血液を創り出す
『使役』──、創造した約1リットルの血液を己のコートの袖を弾き左腕に武装する

右手に掲げたナイフを、飛んでくる目標へ向ける
4体全てを1本のナイフで同時には捌けない

自分から見て右方向の2体、それらを迎え撃つ
腕の長さはこちらが分がある
人形の武器を弾くよりもその首や四肢
それを狙って切り落とそうとする

残りの2体──、こちらに手を回す暇はない
故に、鉄にも劣らぬ血液の鎧を身に纏った左手で「突く」
相手の人形の斬撃は生身の部分じゃなければ届かないと判断する
この一撃で砕ければ上々、無理でもナイフで攻撃した2体の後まで待ってもらうために
席に帰って頂くために、突こうとする
まっすぐ飛ぶ一撃と、右手で別の相手をしているために躱す事もできるかもしれない
ただ、手の切っ先は鋭い
もろに当たれば人形の身体などゆうに砕けれる
754 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/22(金) 21:52:05.60 ID:9Ecb9qEso
>>751>>752>>753
にこりと笑顔を浮かべて、ぱたぱたと女は少女に向けて手を振った。
なんとも気の抜ける雰囲気の女である。
だが、何となくだが場馴れしている雰囲気も感じさせ、安心感は有る。
魔力を徐々に巡らせつつ、リリーは瞼を閉じて、見えてくる探知の世界に意識を落としこんでいった。

「あう!?」

感じたのは、異様な数の生命の反応だ。
この部屋自体が罠だったのだろう。もはや、この状況から逃げられるはずは無い。
飛びかかってくる4体の人形、エリアに襲いかかる一体、紫苑に飛びかかる一体。
部屋の雰囲気は完全に代わり、空気が死んでいるように思えた。

(高速描写――、火槍)

スケッチブックに高速で炎のイラストを描き、そこに棒を追加する。
絵に手を触れて魔力を練り上げれば、彼女の周囲に5つの火を纏った槍が生まれだす。
ぐるり、と螺旋状にその槍は回転し、四体のぬいぐるみ達に向かって飛翔。
また、残りの一発は一直線にオルゴールに向けて飛ばされて行くのだった。

同時に、両手につけていた手袋を外す女。
両手には、虹色の雫のタトゥーが刻まれており、指先からは魔力が静かに迸る。
口元で音律を紡ぎ、迅速に女は一対の腕を振るい、魔術を構築していくのだ。

『――守りの陣を構築するよ。
 だから皆、10秒待って。その間に私が陣を組み上げる』

そう空中に指先を滑らせて書くと同時に、ぱん、と手を叩いて。
女は地面に手を付けて、一心不乱に何かの絵を描き始めた。
色は灰色と茶色。形は鋭角、極めて硬質な印象だ。
755 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/22(金) 22:02:05.50 ID:46a69tl7o
>>752>>753>>754

「……幽霊は嫌いだよ
思い出すから」

その不気味さは、少女にとっては幽霊屋敷に思えた
手に持った金属で形作られた『箱』を、ぬいぐるみの口に放り込む
つまりは身代わりにする
その際に箱を開けて、一つの武器を取り出す
唯一無二の得物、刀身が赤く染まった、血の匂いを漂わせる、
少女には似つかわしくない大きさの大鎌

そして少女は駆ける、その足運びに気楽さは見られない
リリーがなにかをするという、であるなら彼女から離れるのは得策ではない
張り詰めた笑顔を一つ、リリーに返すと、
リリーたちのほうへと合流することを試みる
756 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 22:10:39.76 ID:YJVv8DEoo
>>753
小さなぬいぐるみ達の戦闘能力は雑兵程度。
あまりにも弱いそのぬいぐるみ達は、紫音の攻撃により首を飛ばされる。
一体一体が弱いからこそ、この量なのだろう。

左手による攻撃も、突進中のぬいぐるみに躱せる訳もなく直撃する。
壁まで吹っ飛ばされて中の綿まで飛び散ったぬいぐるみは二度と動くことは無かった。

>>754
ぬいぐるみはよく燃える。
炎の槍を受けたぬいぐるみ達はボロボロと崩れ去りながら床へ落ちて行った。
さらに、オルゴールを攻撃したことにより、オルゴールは木端微塵となってその不協和音を停止させた。

>>755
クマのぬいぐるみの顎の力は思った以上に強く、口に入れられた箱は見る見るうちに変形していく。
ベコベコに凹んで所どころ牙が中まで貫通している所を見ると、中に入っていた物はもう壊れているかもしれない。

>>ALL
「きゃははははっ、もうみんなここから出られないんだよー」

真っ先に紫音に話しかけた西洋人形が皆に向かって笑いかける。
よく見れば、目の色が先ほどと異なり真っ赤になっている事が分かるだろう。
ちなみにほかの人形たちの眼は黒い。

直接襲ってきたぬいぐるみ達は撃退できたが、未だその数は多い。
中央に固まったメンバーを囲うように数十ものぬいぐるみ達が包囲していく。

そして……示し合わせたかのようにそれら数十体のぬいぐるみ達が一斉に襲い掛かる。
先ほどと同じ、突進からの刃物による突き刺しが目的だ。
耐久力は低く、起動も一直線だが、割り当て的には一人10体ほど。
凌げるか……?
757 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 22:23:49.21 ID:Z4cwckGqo
>>756>>754>>755

予想通りの戦闘力だ
ただの人形が武器を持ったに過ぎない
ただ、この数が圧倒的だ
最初の4体の何倍か───。
ナイフでも左手の突き、薙ぎ払いでも難しい数
低い性能を数でカバーしているのか

「っ...!───クソッ!」

本当は退くのはやりたくないが、この状況で無理はできない
自分が倒れたら自分の周りにいた人形が一気に彼女たちに襲いかかる
自分の存命が彼女たちの命にも繋がっているのだ

「頼んだぞ、リリー!!」

彼女の作る守りの陣に賭ける
この数十体の人形の攻撃に耐える間に自身も強化魔術を行使する必要がある
生命力を魔翌力へ、転換する強化魔術
今のような乱戦時には向かない、隙を見て発動しなければならない
時間的にこの陣が耐え切れば、発動できる──!

陣へ退却しつつ、無茶苦茶でもナイフを振るい人形を倒さずとも弾こうとする
左手で陣を築くリリーの援護
リーチも短く完全には弾ききれないかもしれないが
力任せに人形を弾き飛ばそうと横殴りに左手を振るう
758 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/22(金) 22:30:00.78 ID:9Ecb9qEso
>>755>>756>>757
指先で地面にイラストを描き続け、人形たちが跳びかかる直前だ。
最後に一筆を描き終えて、一閃空中に文字を書き付けた。
口元を僅かに弓のように歪めて、女はその文字――タイトルに魔力を巡らせた。

『作品名:ハリボテの一夜城』

直後だ。
リリーを中心に、紫苑とエリアを守るように、円状に壁が地面からせり上がる。
ベニヤ板を十枚重ねたくらいの弱い板で、板の表面には城壁そっくりな絵が描かれている。
文字通りのハリボテ。数分で作り上げた一夜城なのだから、仕方ないとは言える。
それでも刃物の直撃を防ぐことは出来て、刃物は次々とベニヤ板に突き刺さっていく事だろう。
引きぬいて再度攻撃するか、ベニヤ板を壊しに掛かるか。何方にしろ、ある程度相手方には隙と時間ができるはずだ。

『――さってと。
旅の絵描きリリーさんなんだけど、とりあえず自己紹介は後でで。
……あの紫音君に話しかけてた人形が多分コアなんじゃないかと私は思ってるの。
命令を下していたのもあの人形だし、あの人形だけ眼の色が違ったの。
……この陣、持ってあと数秒。陣を私が崩すから、それと同時に赤い目の人形に集中攻撃、お願いしていい?』

こてん、と首を傾げて、女はわずかに笑みをこぼす。
危険だらけのこの状況でも、女はいつも通りの呑気な様子を崩さない。
それは、二人を安心させるための振る舞いであったが、この二人なら大丈夫だろうという思いからでもあった。
二人が了承するにしろしないにしろ、女は即席で皿に床にイラストを描いていく。

『作品名:ハリボテの一夜城 一夜で焼き討ち』

追記したイラストは、城が燃えているイラスト。
板の表面に炎が生まれ、次第に生まれた防壁に炎が纏わりついていく。
ぱきり、ばきりと防壁は崩れていくが、その中で炎で人形を巻き込もうとするだろう。
同時に、女は足を振りかぶって、目の前の防壁を全力で蹴飛ばし、開けた道に人差し指を差し、皆に駆け出すように頼んだ。
759 :エリア 猫かぶり少女[sage]:2013/02/22(金) 22:40:12.20 ID:46a69tl7o
>>756>>757>>758
身代わりにする前に鎌だけは取り出していた少女
金属の箱を失ったのは、大きな痛手だが
しかし、命には代えられなかった

「……わかった」
コアらしき人形を集中攻撃というその案に乗る気らしい少女
それ以外の手を考える余裕はなかった

隙を見計らい、鎌を両手で握って駆け込もうと試みる
人形が一体だけこちらに向かってきたなら、
その人形を鎌で斬り伏せてでも進もうとするであろう

760 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 22:48:51.00 ID:YJVv8DEoo
>>757>>758>>759
出現した壁に躊躇することなく突撃していく数十体の雑兵。
張りぼての城の中にまで、ぬいぐるみが当たってくる音が聞こえてくるだろう。

ざくっ、ざくっ……とそれぞれ手持ちの包丁やナイフでその城壁を崩そうとしていく。
まるで黒ひげ危機一髪だ。

絶え間ないその猛攻で、徐々に穴の開いていく城壁。
ついに、その刃は最後の一枚を抜き、その隙間からぬいぐるみの眼が見える……

「きゃはっ、いつまで引きこもってるのー?
 怖い? 怖いよねー、徐々に自慢のお城が壊されていくんだもん。
 壊されたら死んじゃうよ? 死んじゃうよ、ねぇねぇ」

錆びた部屋に似合わない明るい声が、その城内にも聞こえるだろう。
……が、それもここまで。
リリーの発動した炎によって、城を囲んでいた全てのぬいぐるみが一斉に焼き払われる。

「…………え?」

炎を前に目を見開いて驚く人形。
棚に座りながら、焼け落ちていくぬいぐるみ達を見る。

「うそ……私の…………私のぬいぐるみ達……」

「死ね……しね……しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね死ね!!!!」

それまでの余裕は完全になくなり、怒りに身を任せる人形。
突如、数十本の包丁が人形の正面に現れ、三人それぞれに向かていく。
人形はその場にずっと座っているのみで、この包丁の壁を越えれば容易に攻撃できるだろう。
761 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 23:08:22.87 ID:Z4cwckGqo
>>760
薄く、即席の防壁だが問題ない
耐えうる数秒間があれば、紫乃咲紫音の魔術は発動できる
命の天秤から己が魂のかけらを削り取る───。

「転換(トレード)、───

防壁が解放し、リリーの指示が飛ぶ
心臓にくる痛みを乗り越える
血中の異物を無理矢理押し流す感覚
痛いのは一瞬だ、駆け抜けろ

───、開始(オン)!!」

1工程の短い暗示の呪文
それを口にしただけで、傷口を起点に発動し腕を覆う程度の血液に鎧は肩口の辺りまで伸びる
その血液を救うように右手で抉り取る
先程の強度は全く違う、強度は自在に操れる

抉り取とった血液は今度は右腕を覆う
飛んでくる包丁を捌く際に利き腕を守るためだ
両腕を鮮血の鎧で身に纏った紫音はその包丁に突き進む

「はあ───ッ!!」

そして行ったのはその鎧を纏う腕で、包丁の上から下へ、薙ぎ払いを行おうとする
もしできたなら自身の前を飛ぶ包丁を弾き、同時に隣の包丁を巻き込む
自分の道を切り拓いて後方の仲間へ包丁が飛ばないようにする配慮だ

もし道を切り拓けれたなら、その人形へ思い切り駆けるだろう
魔術の副作用で胸は痛むが、まだ行ける
762 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/22(金) 23:15:18.01 ID:9Ecb9qEso
>>759>>760>>761
防壁を蹴飛ばして、リリーは一気に目の前に飛び出して。
ぶすりぶすりと周囲でぬいぐるみが燃え尽きてくるのを見て、相手の怒りを強く感じた。
現れた数十本の包丁が、一斉にリリー達に迫り来る、だがリリーは怯えない

とっさに地面にしゃがみ込み、全力で魔力を込めながら、青緑色で曲線と螺旋を描いていく。
イメージは、流れ。より鋭く、より強烈に渦巻き、逆巻く――風。
イラストを描くと同時に、女はその絵に魔力を込めて、魔術を発動した。

『作品名:追い風、向かい風』

戦場に一陣の風が吹く。
襲い来る包丁の勢いを削ぐと同時に、前に進む二人の背を押すように。
天つ風が狭い部屋の中を吹き荒れ、人形の体勢すらも崩そうとする。
攻撃力自体は欠片も存在しないが、リリーの本領は後方からの支援だ、これこそが本懐である。

「うっ、あー!」

意味のない声に、意志を込めて。
進めと女は二人に意識を伝えるのであった。
763 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/22(金) 23:24:51.58 ID:46a69tl7o
>>760>>761>>762
一瞬の隙、それは自身の体に干渉するだけの時間を与えた
彼らに負けてはいられない、ここが正念場

胸のあたりで鎌を構えて、人形のほうへと突き進む
迫りくる包丁を、その大鎌の刃で弾く
腕に刺さったとしても、痛覚は一時的に遮断した、痛みは感じない
命ある限りは、人形へと突き進む
鎌を振るうために
764 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 23:31:39.59 ID:YJVv8DEoo
>>761>>762>>763
向かってくる包丁は、リリーの援護によってその勢いが落ちていく。
攻撃力の損なわれた包丁は、紫音の腕を傷つけることが出来ずに叩き落されていく。

紫音の働きによって大分道が出来、エリアに向かう包丁の数はかなり減っただろう。
腕や足にかすって切り傷が出来るかもしれないが、致命傷となる軌道を描く包丁は全て紫音がはじいてしまった。

接近する2人……

「ちょ……ちょっと待ってよ……なんで私がこんなっ……!!」

言葉を最後まで吐くこともかなわず、紫音の切り開いた道をたどったエリアの一振りで真っ二つになる人形。
どうやらこの人形が司令塔らしく、もうこの部屋で動く物は無い……

落ち着いて部屋を見れば、全体が廃墟の様に錆びた中に一つの亀裂が壁に入っているのが分かるだろう。
それは、位置口から見て左側の壁で、亀裂の隙間から奥を見れば、今いる部屋と同じく錆びた色の廊下があることが分かるだろう。


765 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/22(金) 23:39:57.90 ID:YJVv8DEoo
>>764
位置口ってなんだよ……
入り口ですすいません
766 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/22(金) 23:43:37.52 ID:Z4cwckGqo
>>764>>762>>763

弾ききれない斬撃が脚や胴を裂く
だが、そんな事を言っていたらキリがない
足りない技術は体を張って補う

「っ....がっ...!」

包丁は皮膚を裂き、地面に突き刺さるが刃に血は付いていない
紫音が傷付き開いた傷は瞬時に溢れ出す血液でふさぐ
絆創膏以上に固めた傷口が彼を突き進ませる───。

そして、少女の大鎌が西洋人形を切り刻む
それと、同時に全ての不可思議な攻撃は止まったようだ
先程までの緊張が抜けて急に痛みがぶり返してきた

「っと...いてて...」

思わず座り込んで傷の具合と辺りの確認
そこで壁の亀裂を目にする
先程の戦闘の余波か、さっきまでない気はしていたが
ただ、紫音は痛む足を引きずりつつ中を覗き込んだ
767 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/22(金) 23:47:28.52 ID:9Ecb9qEso
>>764
ごめんね、と心の中で小さく呟いて。
女は巡らせる魔力を切り、板を消失させた。
ほ、ふう、と一息ついて一瞬意識にゆとりを持たせた後に、また引き締めた。
壁に生まれた亀裂を発見すると、リリーは亀裂に向かってゆっくりと歩いて行き、その隙間から奥を覗きこむ。

「んあ……」

なるほど、といった様子で女は数歩下がって指先を壁に滑らせていく。
描くのは、目と耳の絵。探知の魔術で、奥の廊下に何が有るか予め探知しておこうとする。
皆にもそれを伝えるために、リリーは空中に文字を描く。

『皆、疲れただろうから、私が探知回している間休憩していてくれるかな?
あと、久々ぶりだね紫音、元気そうでよかった、かな?
そこの子は初めましてだよね? おねーさんは、ナイト・スター・リリー。
旅のお絵かき屋さんだけど――今日は二人のお手伝いがお仕事、だね』

二人に言葉を見せつつ、エリアには自己紹介。
ぺこりと頭を下げて、へにゃりと気の抜ける笑顔を浮かべるのだった。
そして、おもむろに肩掛けバッグから包帯などを取り出して。

『――というわけで、紫音は足見せてもらえる?
怪我してる足で進むの、大変だろうしね』

紫音の治療をする、と言い出すのだった。
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2013/02/23(土) 00:05:17.93 ID:tpGB0zlOo
>>764
一時的に痛覚を消しただけ
いつかは痛みが体を襲う

確かな手ごたえをその手に感じると、
鎌を足元に一度置いて、そしてゆっくりと座り込む
壁の亀裂に目をやりながら

そして、自分に声がかけられたことに気づく

「うん、初めましてナイトおねえさん
私はエリア」
足を伸ばしつつ、笑顔でそう挨拶する
見た目は幼い子供そのものである

痛覚さえ消せばこの程度痛覚さえ消せばこの程度
永遠とそんなことを頭の中で繰り返していたのは秘密
769 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 00:07:17.64 ID:X29n+Wn+o
>>766
中を覗き込むと、全体の錆びた廊下がL字になっているのが分かる。
ある程度直進すると、直角に右へ曲がった作りだ。
そして、突き当りにはぼろい木製のドアが一つ。

>>767
探知魔法に反応は無い。
少なくとも、この先の廊下に敵が待ち構えているという事は無いようだ。
770 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/23(土) 00:19:19.55 ID:iiASb0dso
>>769>>767>>768

「まだ部屋はありそうだな...」

亀裂の先に見える廊下を眺めつつこの狂気が続く事に少し嫌気がさす
それにメンバー唯一の怪我持ちだ
怪我することで強くなれるとか言うが足手まといにならないように
張り切り過ぎるのも禁物だが、ここで引っ張るぐらいの勢いがないと
リリーとエリアと名乗った少女のやり取りを見て初対面なんだなと
そう思ってると、リリーに話しかけられる
傷を治してくれるらしい

「あぁ、ありがとう...リリ

ふと、言葉が途切れる
思考が停止したり
少し前に出会った知人とのやり取りを思い出したのだ
ここでは多くは語るまい、ただリリーとは目を合わせずにそっぽを向いて
顔を赤くしつつ、念仏の様に何かを呟いている
ある意味熱っぽいのだろうか

「あ、ありがとう...悪いな...」

彼の足は傷口からあふれる血を能力で固定し
一時的な止血を施してるだけに過ぎない
強化魔術使用中で使用する魔翌力量を減らすべき今の彼は止血に魔翌力を使っている
あまり長続きはしないだろう
771 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/23(土) 00:23:46.94 ID:xGiW42v4o
>>768>>769>>770
『エリアちゃんね、よろしくねっ』

にこり、と声を出せない女は、文字で挨拶を交わす。
指先で十字架の陣を描けば、ある程度の痛みは緩和されることだろう。

『んー? なんかあったのー?』

つつい、と地面にそう書き付けつつ、手早く傷を治療していく。
ガーゼを傷口に当て、圧迫するようにきつく包帯を巻いていく。
何度か強く巻いていって、止血をすると同時に解けないようにした。

『――んー、安全そう』

一言壁に書きつけると、女は一歩先へと歩み出す。
錆びた廊下の色彩は、女にとってはあまり好ましくないものだ。
だが、少なくとも危険の気配はないために、女はゆっくりと歩みを進めていくだろう。
辿り着いたドアの前、リリーは足を止めて、んー、と声を漏らして首を傾げる。

『危ないかもしんないから、ちょーっと私は準備するね。
二人も、ドアの向こうにちょっと意識向けておいてくれるかな?
私、魔術師だから突発的なアレには本当弱いからね……』

苦笑をこぼしつつ、色鉛筆を手にとってスケッチブックに筆を走らせる。
数分も掛からないため、警戒してからドアを開けても構わないかもしれない。
772 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/23(土) 00:37:08.29 ID:tpGB0zlOo
>>770>>771
「……まだ部屋あるんだ」
i勢いよく立ち上がって、服などについた、かもしれないほこりを払いつつ
あんな仕掛けがまだ残されていると思うとめまいを感じた
戦闘面では恐らく一番の足手まとい
そう思うと、ため息もつきたくなった

二人のやりとりを遠くより見つめていて、エリアは一人頬を膨らませる
自分の存在が忘れられたような甘い雰囲気に、少しだけ不機嫌な気持ちになったために
でも子どもにはよくあること、と思われる

辿り着いた扉のほうで、無言で大鎌を構える
不機嫌ながらも、冷静さは欠かしていない
むしろ、塔に訪れた時よりも落ち着いている
773 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 00:46:39.71 ID:X29n+Wn+o
>>770>>771>>772
三人がは古ぼけた木製の扉にたどり着く。
警戒しつつ、その扉に近づいていくが……

ギギギ……

と扉の向こう側でかすかに聞こえたのが分かるだろうか。
扉に近づいた三人なら気づくかもしれない……

その瞬間……!
大きな風切り音が扉の奥から聞こえる。
そのわずかコンマ数秒後、巨大な振り子ギロチンが扉を突き破ってくるだろう。
ボロボロの扉など、遮蔽物として機能しないほどのそれは、ぴったり壁に引っ付けば回避できるだろう。
が、扉の前で固まっている3人がそれを察知して避けることが出来るだろうか……?

もし、そのギロチンでリタイアしなければ先へ進めるだろう。
奥は、縦にも横にも恐ろしく広い空間で、全体が整地させていない石造り。
洞窟のような物だ。その為非常に足場も悪い。

200mほど先に、壁を削り取って作られたであろう階段がある。
そこを上れば上の階層に行けそうだ。

774 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/23(土) 01:01:37.67 ID:iiASb0dso
>>773>>771>>772
「あ、これで足の痛みも....───ッ!!」

リリーに治療を受けた脚は自身の能力で止血の必要もなくなった
これで幾分楽になる

そして、一瞬気の抜けたその時
それは普段からの戦場を駆け抜けた経験か
それともただの男の勘か
扉の向こうで聞こえたソレがなんなのか理解し想像する
圧倒的な恐怖と全身の冷や汗
最悪の終末が頭をよぎる
決断は早かった、行動も伴った

「───ッッッ、伏せろ!!」

魔術の準備をするリリー、扉を警戒していたエリア
後者はともかく、前者は魔術に気を取られて反応できないかもしれない
魔術の準備がなんだ、リリーは無理矢理でも抱きかかえるように
エリアにもその腕を引っ張ろうと手を伸ばす
もし二人とも壁側に寄せれたならば
上手くいったなら壁と紫音の間に、2人がいる形になるだろう
自分もギロチンに当たらぬように出来るだけ壁に寄ろうとするだろう

背後を通り過ぎる剛風
命を全力で奪い取るカラクリが誰の命も取らずに通り過ぎるのを目を瞑り、祈る
775 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/23(土) 01:07:03.70 ID:xGiW42v4o
>>772>>773>>774
「う、あ!?」

唐突に襲い来る振り子ギロチン。
リリーは、魔術師である。冒険者や、武術家のたぐいでは決して無い。
しかも、いまこの状況で、リリーは絵を書くことに注視してい為、即座の動きが出来なかった。
要するに――振り子ギロチン、回避不能、という事だ。
とっさにリリーは手元のスケッチブックを掲げ、魔力を一気に巡らせていく。
衝撃をスケッチブックに組んでおいた防御術式で飲み込もうとするも、その速度威力、重量は最悪といっても良い。
右腕に激痛が走り、びきりと嫌な音が響くと同時に、己の体を引っ張る力を感じ、それに身を委ねた。

「……っうあ……」

壁に背を預けて、右腕を抑えながらうめき声を漏らすリリー。
幸い死んでは居ないが、ダメージを何一つ受けていないわけでは無さそうだ。
少なくとも、このダンジョンに居る間、まともに右腕を使えるとは思えない。
まず間違いなく骨に罅が入っていると見ていいだろう。

『……あ、ありがと紫音。
うあー、おねーさんうっかりしちゃったなあ。
ちょっと右腕すっごい痛いから、あんまり戦力になれないかも。
左利きだから絵は書けるけどね、ごめん』

申し訳なさそうに苦笑を零して。
リリーは、取り落としたスケッチブックを拾い上げて、完成した術式のページを切り取り、手に握りしめた。
額に脂汗が浮かんでいるが、歯を食いしばって痛みを堪えて。
少し無理しているものの、いつも通りの笑顔を浮かべて、先に進もう、と目線で語った。
776 :エリア 猫かぶり少女2013/02/23(土) 01:17:28.93 ID:tpGB0zlOo
>>773>>774>>775

「原始的……!」
ギロチンを止める……? 却下
認識せども、行動は伴わなかった少女、そこで自分の元へと伸びてきた手
それを掴めば、鎌ごと少女は少年に引き寄せられる

僅かな油断は、一人の女性に怪我を負わせるという結果を招いてしまった
ふと、自分が別の行動を取っていたなら……しかし後悔したところで結果は変わらない
その考え自体が思い上がりかもしれない

「ありがとう、おにいさん……
し、死んでないよね、おねえさん……?」
声が思わず震えてしまった
777 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 01:26:32.28 ID:X29n+Wn+o
>>774>>775>>776
死亡者0。
不意打ちの振り子ギロチンをとっさの判断で切り抜けた三人。
それぞれ安否の確認や、治療を行うのも良いだろう。
それらが済み、先に進もうとすれば岩場のようなごつごつした床に歩き辛さを感じるかもしれないが、それ以外は順調に足を進めることが出来る。


100mほど歩き、部屋の中央ほどまで歩いてきた三人。
すると、地震だろうか?地面が揺れ始めた……!
何か来る――――っ!?
その瞬間、部屋の右側の壁が大きな音を立てて砕け散った!
その奥から出てきたのは、10mはあろうかという岩石人形(ゴーレム)だった!

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

理性を感じさせないその咆哮は、耳を塞がなくてはならないほどに強烈なのだ。
見れば、ゴーレムの眼の部分のは真紅に染まってる。

「私のっ! 私のっ! わ゛たじの友達をよくもっ!!!」

「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」

巨体に似合わないすさまじいスピードで迫ってくるゴーレム。
接近したゴーレムは、三人の中心に向かって巨大な拳を振り下ろすだろう。
特定の人物を狙ったわけではない雑な狙い。
だが、その拳の大きさゆえに、狙わずとも三人を同時に殴れるだろう。
778 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/23(土) 01:43:26.63 ID:iiASb0dso
>>777>>775>>774

「みんな生きてるようだな...怪我人が1名いたが...
都合よく当て木に使えそうな木片はある、腕に当てておけ」

何もしないよりマシだ、とリリーの右腕を治そうとするだろう
布は持っていたハンカチを破って包帯代わり
手際も良く、すぐ終わらせるだろう

「大丈夫かエリア、きっとあともう少しだ...頑張ろう」

そう言って震える声の彼女の頭をぐしゃぐしゃと撫で
笑顔で安心させるように言った
そして、岩場でできた部屋の中へ
そして息を飲む異形の存在であるゴーレム立っている
轟く轟音、耳障りなあの人形の声か
暴れ出したゴーレムが、自分達へ向かう

「....転換開始(トレード・オン)」

岩石に巨体が襲いかかる前に唱える
心臓にハンマーを打ち込まれたような激痛で紫音の能力を強化する
隙を見て、いましかない

「固まるな!ばらけるんだ!」

そう叫んで、自分はゴーレムに向かう
目的はまず囮だ
ゴーレムの気を引いて2人に叩いて貰わねばならない
自分はその2人の盾になる───。

「ぐっ...あああああああっ!!」

飛んでくる拳を、前に飛ぶように躱そうとする
成功したなら、巨体故にゴーレムも視界から消えて懐に潜り込めるだろう
779 :ナイト・スター・リリー[saga]:2013/02/23(土) 01:51:57.62 ID:xGiW42v4o
>>776>>777>>778
『だいじょう……ぶい?
いや、普通に骨に罅いっちゃった位だから、多分大丈夫かなー』

そう言いつつ、苦笑を零して。
女は右腕に指先を滑らせながら、魔術を発動していく。
固定と鎮痛のちょっとした応用で、安静にしておけばとりあえず問題ない状況に持っていっておいた。
当然、紫音に貰った木も当てれば、少なくともじゃまになることは無さそうだ。

そして、先に進んでいけば――壁を壊して現れる、巨大なゴーレム。
恨み事を叫びながら、全力で襲い掛かってくる、その巨体。
それが拳を振り下ろしてくる瞬間に、リリーは一歩後ろに飛んで、左手に持った絵を放り投げた。

『――悪いけど。
私だって、君たちにやられる訳にはいかない』

そう地面に書き付けた後に、放り投げた絵に魔力を巡らせる。
眉間にシワを寄せ、痛みを堪えてから術式に意識を向け、起動。

『一発だけ、防げるから。全力で、倒しに行って!
作品名:女神の抱擁ッ!!』

絵が光り輝きながら消えていき、紫音とエリアの背後に光の塊が生まれた。
それは瞬時に弾けると、二人の体に纏わりついていく。
一度くらいならば直撃を食らっても防ぐことが出来、身体能力もかなりの勢いでバックアップされる。
その分、魔力の消費は極めて多く、集中も必要となるため、今のリリーは鎮痛の式なども切り、痛みをこらえながら、瞑想状態へと意識を持って行こうとしていた。
780 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/23(土) 02:04:33.41 ID:tpGB0zlOo
>>777>>778
最後にこんな怯えを感じたのはいつの日だったか
死が目前に迫ったからなのだろうか
心を締め付けられるような、暗闇に閉じ込められるような、
しかしそんな暗闇にも、光は差し込んだ
『頑張ろう』笑顔でのその一言は、
少女にとって一歩を踏み出させるだけの力を感じさせた

「……ありがと、おにいさん」
ほんの少しだけ頬が赤くなるも、視線はゴーレムに向ける
最悪盾ぐらいにはなれるだろう
生きてかえるという目的は変わらない
しかし、見捨てるなんて真似は絶対にできない

「……おねえさん……」
怪我を負ってでも、立ち止まらない人もまたいる
臆病風など今さらだ
大鎌を構え直す
鋼鉄すらも切り裂く大鎌の切れ味
最悪両断はできずとも、傷を負わせることはできるだろう
足に力を込める、一時的に強化された身体能力

「いっけぇぇぇぇ!」
強化された体で、拳を飛び上がって回避を試みる
ゴーレムに向かって、その赤く染まった鎌を振り下ろす

さて、どこまでうまくいくものか
781 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 02:10:49.98 ID:X29n+Wn+o
>>778>>779>>780
ゴーレムの眼を見ると、その真紅の輝きは時折消えかかり非常に不安定になっていることが分かる。
最早思念だけで動いているそのゴーレムは、本来であれば最低限の形を形成しているだけでやっとなのだ。

視界から消えた紫音を追うように下を向き、足を数歩後ろへ動かす。
その動きはよろよろしていて、今にも倒れそうだ。

だが、そんな状態でも攻撃をしてくるゴーレム。
数歩下がったことで視界に紫音を捉える。
左手で救い上げるように紫音を攻撃する。

紫苑に攻撃を行ったことで、エリアの攻撃を真っ向から受けてしまうゴーレム。
何とかつなぎとめている状態のその体は、大鎌によってあっさりと切られてしまう。
体の大きさが幸いして切断には至らないが、ダメージは十分だ。

「う゛あぁぁあああああ!!!」

苦悶の声をあげながら、そのバランスを崩す。
だが、バランスを崩しつつも最後の攻撃を目の前に居るリリーへと放つ。
倒れこみながらの振り下ろしだ。
のしかかりに見えなくもない……

その側面や背後はがら空きで、いくらでも攻撃を入れることが出来るだろう。
だが、最早その必要すらないかもしれないが……
782 :GM:【バベルの塔〜第二階層〜】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 03:00:29.20 ID:X29n+Wn+o
思念だけで動くゴーレムは、自らの体を制御しきれずに自壊する……
崩壊していくゴーレムの瞳も崩壊に合わせて形を崩していき、それは赤い涙を流しているようにも見えるかもしれない。

ゴーレム崩壊後は何の仕掛けも発動することなく、静寂に包まれる空間。
目の前の階段を上ればこの階層はクリアだ。

各々怪我をしながらも、リタイア0という上々の結果だ。
お互いを庇いつつも上へ登っていく。

階段を上がれば、この階層の入り口と同じ作りのフロアに出るだろう。
先ほどまでの不気味さは無く、完全に第二階層とは異なる場所に出たと実感できる。

先の扉を開ければ第三階層スタートだが、この消耗した状況で先へ進むのは自殺行為だ。
ここは大人しく近くにあるエレベーターで撤退すべきだろう。
次来たときはこの場所からスタートだ。

―第二階層クリア―

ここからはもう自由に変えることが出来る。
傷の手当てもあるだろうし、早めに帰った方が良いかもしれない。

//寝てしまった方もいるようですので、ここで打ち切りとさせていただきます。
//こんな時間までお疲れ様でした。また、時間配分を失敗して申し訳ありませんでした。
783 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 20:10:39.39 ID:X29n+Wn+o
……夜、それは多くのものが仕事を終え家族団らんの一時を楽しんでいる時間。
日本軍の兵器工場がある街に立つ、摩天楼の屋上に一人の女性が居た。

「そろそろ時間かな……」

無人の摩天楼屋上から見るその景色が、今から血と混乱で溢れかえるのだ。
実に悪の組織らしくて良い事じゃないか。
手に持つ懐中時計が、一秒一秒時を刻んでいく……
55……56……57……58……59……

「さあっ! ショータイムだよ……!」

両手を広げるクリオネ。
その瞬間、クリオネを中心として屋上に巨大な魔方陣が出現する。
魔力増幅の機能を持つ魔方陣は、クリオネの能力を極限まで高めていく……

あふれ出る魔力光。
クリオネの髪と同じ、真紅の魔力光が摩天楼の頂きで嵐のように渦巻く。
その時、風と共にクリオネの魔力が街全体へとリングの様に広がった。

クリオネの魔力が通った場所に次々と出現するドール。
それらは全て中世の兵士を思わせる鎧を装備し、両手持ちのロングソードの武器で統一されている。
クリオネの脳内で、それらのドールに一本一本魔力の糸を繋いでいくイメージをする。

クリオネと言う司令塔を得たドール達は、たちまち街を攻撃していく。
初めに攻撃の対象となったのは警察署だ。
兵器工場を落とす際に増援として来られても面倒だからだ。

とは言え、街中に出現したドールの軍勢は警察署で手いっぱいになるほど無能ではない。
警察署を襲うタイミングと兵器工場を襲うタイミングはほぼ同時だ。

まず数の暴力で兵器工場の入り口を突破したドール達は、徐々に内部への進行を進めていく。
日本の軍隊もドール相手に隊列を組んで銃撃による防衛をするも、死なない無限の兵士たちは銃弾が頭を貫通しようとも相手の兵に接近して斬りつける。
銃で撃てば死ぬ。
そんな常識を覆された兵士たちは統率を失い始め、人によっては逃げ出す者もいた。

大混乱の街、襲撃される兵器工場。
突如現れたドールの軍勢は、完全な統率によって進行を進める。

街から摩天楼を見れば、頂きで渦巻く真紅の魔力光がはっきりと見えるだろう。
魔術に精通していないものでも、この混乱の原因があそこにあると推察できるほどに異質である。

「あははっ! 最高に面白いショー始まりだよっ!!」
784 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 20:10:54.44 ID:X29n+Wn+o
摩天楼の入り口前。
ここを突破されて摩天楼内部に入られれば、クリオネ本体を抑えられる。
ここを突破されるわけには行かない為、クリオネは自身の持つ戦力をこの場所に1つ置いてあった。

「さあて……誰が来るかな?」

その人形は2mの長身で、幅もある巨体だった。
しかし、着ているものは袴と、なかなか雅である。
顔には能面を被っていて、素顔を見ることが出来ない為、ある種の不気味さを感じるかもしれない。

手の裾は長く、ぶらりと下げたその手の先まで見ることが出来ず、何を隠し持っているか分からない。

「円環至高の四柱として……期待してるよ、ジェーン」

同じ場所を守る人員として、最高幹部の1人であるジェーンが居る。
いざとなれば壁として使おうと言う魂胆だ。

今はただ待つのみ。
この摩天楼を落とそうとする者が来るのを不気味な姿でじっと……
785 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/23(土) 20:23:05.27 ID:xGiW42v4o
「――役は果たす。
それ以上でも以下でもないが、少なくとも不真面目に働くことは無い。
メイザースの命も有るからな。相応の気構えでは行かせてもらおうか」

入り口前に立っていたのは、一体の人形ではない。
白い裾が風に踊った。空の光を浴びて、女は人形の傍らに、ただ佇む。
まるで魔術師のような格好。黒いローブに白い外套を纏い、外套のフードを深く被った女だ。
立ち居振舞いに隙は少なく、ただ瞑目してその場に沈黙を維持して立っていた。
目を薄く開き、耳から聞こえ、目に映る光景をただ見定める。

「……どうせ、来るのだろう。
老若男女、人人ならざる、好悪、善悪関わらず。
今宵――私の前に立つ者は、死ね。それが、私の役割だ」

一言、そう己の意志を良く通る声で宣言すると。
女は腰を落として、深く息を吸い、精神を集中し始めた。
これだけ大きな戦闘だ、油断はもとより無いが、ある程度は準備をしておいたほうがいい。
体勢を構え、心を構えたならば、もはや準備は完了。
万全にて、敵を女は待ち望む。

――ここに立つは、円環の楽園、至高の四柱。
災害、カラミティー・ジェーン、剣王――数多の二つ名を背負う女の名は、ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ。
傍らには、いつかは殺す予定の同胞の人形が一つ。
二体が摩天楼の入り口前に立ちはだかり、君たち正義の敵となり、壁となるのだった。
786 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 20:34:39.30 ID:bdHkqHi7o
>>783
「来たか…」
工場敷地内には件の工場までたどり着くために
必ず通らなければならないロータリーに囲まれた広場がある。
ライダースーツに身を包んでそこに待機していた。
大型二輪車、GSX1300R隼にまたがり、
フルフェイス越しに乱入者達を睨む。

持ち物はスラッグ弾、いくつかのグレネード弾。
ただし銃も砲も持っていない。弾薬だけ持っている。
今すぐに使える武器は巨大な槌が一本のみだ。

丁度金物屋の奥に溶鉱炉が欲しかった。
報酬の良い仕事を見つけ傭兵登録もすませた。
あとは任務をこなすのみ。

エンジンキーを回すとDOHC4バルブ4気筒エンジンが唸り始める。
787 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/23(土) 20:34:43.41 ID:rgA5bDxe0
>>785>>784
「始まった、か」

兵器工場に駐留する部隊が戦闘を開始し、事態に備えて即応待機していたPASFが活動を開始。
警察署方面では治安機関とドールの熾烈な戦闘が始まり、防衛隊とドールが市街戦の様相を呈し始めた中、ヴェルナーは独りごちた。

耳に挿し込んだイヤホンには混戦状況の更新が飛び込んでくる。
日本軍は苦戦しているようだが、紛れ込んだPASFはいまだに十分な統率下で戦闘をしているらしい。

「……ならば私も、責務を果たすか」

がしゃり、と鎧が鳴る。
身を包みこむ漆黒の戦闘甲冑。艶消しの黒はあまりにも深く、夜の闇の中にあって、闇よりもさらに色濃い。
兵器としての鋭敏さと、どこか野生の獣じみた獣性。中世風の甲冑と、手にした近代銃器。

相反するいくつもの要素を孕んだそれは、ヒトならざるモノの権化か。
ヴェルナーはフェイスガードマスクを手にして、それを顔に当てるようにして装着する。

紅い双眼が煌めく。
骸骨、あるいは餓えた狼のようにも見えるその面相。
暗視機構を備えた紅い瞳が闇の中に浮かび上がり、鬼火のように揺らめく。

そこに人の気配はない。
あるのはただ、強烈なまでの殺気と、透徹しきった意思。

「状況を開始する」

手には機関銃、腰にはサーベル。
甲冑が一歩踏み出し、それが合図のように高らかに響き渡る。
788 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/23(土) 20:36:45.78 ID:uN2QFjDZo
>>783

「何事かと思った来てみれば……ただ事じゃあない、って感じだな?」

ひときわ高いビルの屋上、そこを中心に描かれた円を見上げて、小さく呟く男が一人。
男は栗色の短髪に赤いスポーツサングラス。そしてAMSWATの制服姿で、

「そこら中に人型のが湧いてるな。どう考えてもここが中心だろうが」

ならば昇って行くしかねえよな、と結論付けて。
くい、と中指でグラサンの橋を持ち上げ、摩天楼へ侵入しようと、向けて歩みを進めるが、

>>784,785

「……そりゃそうだよな。無防備に『ハイどうぞ』とはいかねーか」

視界に入った二人―――或いは一人と一体を、瞳だけで交互に見る。
この状況だ、敵と見て間違いはないだろう。

(人形の方は恐らく近距離型……が、どう見てもなにか隠してるよな)
(女の方は……どう見ても魔術師タイプ。だが外見だけじゃ想像もつかないのが苦手だぜ)

とにかく油断は禁物。そして同時に、この事態を収めるためには―――

「突破優先……!」

とはいえ突っ込んでやられていては意味が無い。腰を落とし、いつでも動けるような姿勢で敵の動きを様子見る。
789 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 20:43:35.80 ID:OVtYI9pJo
>>786
「・・・・・・・・・・・・・」
ハーフメットを被り、俺は400ccのバイクを転がしている。
型が古いし、もう出回ってないが・・・ちゃんと走る。年代モノって奴だ。
目的地は、とある兵器工場。仲間が襲撃の為に摩天楼から魔術の準備をしている間、俺は独自で襲撃に向かっているわけだ。
その途中、工場敷地内に必ず通らないといけないロータリーに囲まれた広場がある。
俺はそこでバイクを止める。バイクを止めた理由・・・

「よう、アンタも祭りの参加者かい?」
俺はとあるライダースーツの奴に話しかける。
銃火器こそ持ってないが、スラッグ弾にグレネードを持っている。
恐らく工場側の護衛だ。それに、あの大きな槌は一体・・・?
790 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 20:49:22.95 ID:X29n+Wn+o
>>785>>787>>788
来た……
この騒動の中心を抑えるべく、摩天楼に近づく影を確認する。

「数は2……ふふっ、死んじゃうだけなのに……バカだよねぇ」

若干うつむき、顔に影を灯していた能面の人形は、近づく影を確認すると真っ直ぐ前を見据える。
能面の奥を窺い知ることは出来ず、表情から何かを察知することは不可能だろう。

「じゃあジェーン、足手まといにはならないだろうけど壁としてよろしくね……
 まずは挨拶をしておこうか」

ゆっくりと両手を上げ、腕の裾がずり落ちてようやく手が見える。
その手には、大きく湾曲した剣だ。
片手で持つには大きすぎるその剣を、軽々と両手に一本ずつ持ち……投げる!

高速で回転しながら、ヴェルナー、海悠両名に対して一本ずつその刃が向かう。
通常、クリオネの能力で生成した武具は、手から離れれば消滅する。
クリオネからの魔力供給が無くなるからだ。
だが、今日この場に限り術式より街にはクリオネの魔力が溢れている。
しかもここはその中心部……手から離れた武具が消滅するには数秒のタイムラグが出来る。
ゆえの普段ならあり得ないブーメランのような投擲攻撃。

まずは挨拶代わりだ。
791 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/23(土) 20:54:17.98 ID:xGiW42v4o
>>787>>788>>790
「――来たか」

魔術師の様な格好の女は、近づく気配を目ざとく発見する。
ごきり、と首を動かし、目をフードの奥から眇めてみれば、目線の先には影が2つ。
サーベルと機関銃を装備した甲冑が一つと、AMSWATの制服を来た男が一人。
ふ、ん。鼻を鳴らして、ゆらりと女は一歩を踏み出した。
陽炎のような掴みどころがない独特の動作。女の背から、相手側に向けて風が吹き、女のローブがばさばさと風に揺れた。

「通さん。なお、帰すつもりもない。
ここで死んでいけ。それが、お前らに与えられた選択肢だ」

女にしては比較的低い声が、抑揚無く発せられて。
風に揺れるフードを抑え、右腕を横に伸ばせば、突風は引いていった。
女の能力でもなんでもなく、風が引いたのはただの偶然。
だが、その偶然を必然としたかのように、女の挙動と風が止まるタイミングは、一緒であった。

「それでも突破する、それでも死にたくないならば。――掛かって来い。
貴様らの尽く。この私が――絶滅≠ウせてやる。
任された以上、役を果たさんのは女が廃る、からな」

っく、と喉を震わせて笑い声を僅かに響かせて。
隣の人形が刀剣を投擲すると同時に、女もまた動作を開始した。
ごうん。周囲の空間に嫌な衝撃音が響き渡り、直後。
ジェーンを中心とした半径5m程のアスファルトに大きな亀裂が入る。
右足を、地面にたたきつけた結果として、地面を粉砕する威力が発揮された。
次に、左足を地面に叩きつければ、衝撃音が再度響き、アスファルトの大きな塊が十数個跳ね上がった。

「――シィァッ!!」

轟音が重なって響いて、一瞬。
女の周囲に浮かんでいたアスファルト塊は、女の周囲から姿を消して。
高速で飛来する砲弾として、飛来する剣の隙間を埋めるように飛翔してきていた。
速度は早いが、物自体は只のアスファルト。当たりどころが悪ければ骨が砕ける程度の威力だろう。
回避する事は不可能ではない。
792 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 20:56:51.39 ID:bdHkqHi7o
>>789
「祭り?
 確かにこの戦場の様な雰囲気は嫌いじゃない。
 いや、はっきり言う。わたしは戦が好きらしい。」

 相手もバイクに乗っている事を確認する。
「良い事を思いついた。騎馬戦の心得はあるか?」
 エンジンを噴かせながら白熊に尋ねる。

 左側につけた金具に大鎚をかけるとクラッチを切り2速に入れる。
 そしてエンジンを十分に回転させると二速発進。
 白熊に向かって走りだして左手に大鎚を構えた。
 
793 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/23(土) 21:04:12.34 ID:rgA5bDxe0
>>790

敵影2つ、片方は知っている。
たしかジェーンとか言っただろうか。先の海戦にも顔を見せた女――外見に惑わされると死にかねない。

ヴェルナーは表情のうかがえぬ鉄面の下で静かに戦力分析を行う。
もう一人の敵に関する詳しい情報はなし。
ただし周囲の状況や都市部からの報告からして、あの女がドールの償還にかかわっている可能性。
となれば攻撃方法は人形か、あるいはそれ以外の異能と推察。
ただし格闘などの接近戦は候補から外してよいだろう。明らかに拠点防御の姿勢に入っている。

ジェーン。
こちらに関しても情報は少ないが、近接戦型だとは聞き知っている。
防御力に優れ剣の腕も並み以上というのが知りえる唯一の情報であるが、となれば極力中距離での戦闘を行いたい。
しかし剣術以外の技量――魔術や異能のそれは未知数であり、結局自分は相手のことを何も知りえない。
それは戦略的観点からすれば好ましからざる状況である。

「――――――ちっ」

クリオネの投擲。
鈍色の剣閃とともに飛来する刃を回避しようという思惑はしかし、ジェーンの放った石つぶてによってつぶされる。
残念ながら後方に退避する余地はなし。さりとて前身も危険となれば、とりえる手段は手元にただ一つ。

手にしたMG34が火を噴いた。
銃口から噴き出した発砲炎が閃光を膨れ上がらせ、聴覚を聾する射撃音が連続する。
吹き荒れる7.92mmマウザー弾、その狙いは肉薄する石つぶてであり、発揮された効果は『破砕』。
石を打ち落とし、そのままジェーンにまで短連射を浴びせかける魂胆だ。
794 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 21:05:05.29 ID:OVtYI9pJo
>>792
「・・・・・!!」
先に発進しやがった・・・
出遅れたが、俺もそれに合わせてバイクを発進させる。
だが、こっちは400cc・・・大型相手じゃパワーが違う・・・!!
と言うか俺は17だから大型の免許が取れねぇ・・・!!

「やるぜ・・・やるぜ俺は!!」
俺は正面衝突を避け、少しだけハンドルを切ってバイクを前進させる。
そして、左手からナイフを一本だけ召喚し、そのナイフを投げる。
狙いは相手のバイクの前輪・・・!!パンクさせれば転倒させる事ができる!!
795 :海悠・アゲート[sage]:2013/02/23(土) 21:09:58.49 ID:uN2QFjDZo
>>790.791,793

「不気味な仮面しやがって。女の方も、融通効かなさそうだしよ」
毒づきながらその挙動を見定める。
この距離から腕を振り上げたということは、ここからの動きはかなり絞られる。

そして、その予想通りに、

「―――当たりだぜ!」

予想が可能なら回避もまた容易。
投げられる寸前から回避行動として、二人のいる位置を中心として、通りを横切るように駆け出した。
結果としてアスファルトの群と回転して来る剣とをやり過ごす。

(しかしあの女のほう、なんつー怪力……それともあれが能力か?)

どちらにせよ、得た速度を[ピーーー]意味もない。

「そのまま行くぜ!」

疾駆にて礫の群を抜けた男は、勢いを殺さずそのまま方向を変える。
能面の人形に接近戦を挑むべく、しかし直線ではなく大きく弧を描いて走って向かう。
796 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 21:17:31.22 ID:bdHkqHi7o
>>794
 クラッチはまだ3速、強引にクラッチペダルを踏む。
 2速に入れて急制動、減速させて前輪を守る。

「お前はナイフ使いか。良い狙い、良い腕だな。」
 そしておそらくだが普通のナイフ使いではない。
 分厚いゴムタイヤを刃物の投擲で切り裂くのは通常不可能だ。
 できると考えての攻撃だろうとボルテックスは予想する。
「わたしはボルテックス、お前は何者だ。」

 片手運転でコントロールを失いながらもボルテックスは
 大鎚を振り上げながら白熊に向かって加速していく。
 すれ違いざまに殴りつけてくるつもりらしい。
797 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 21:19:49.65 ID:X29n+Wn+o
>>795>>791
「私に相手して欲しいの……? いいよ、殺してあげる」

不気味な面構えに似合わない可愛らしい声で、向かってくる海悠の方を向く。

「ジェーン、とりあえずこっちはこっちでやるけど、危なくなったら助けてね」

どうやら相手は一対一にもつれ込ませるようだ。
とりあえずその作戦に乗ろうじゃないか。
だが、ピンチになったらジェーンに助けを求めて囮にしよう……なんてことを内心考えていた。

「キミの相手はこの、戦闘用傀儡人形”阿修羅試作型”がしてあげる」

両手に持つのは、幅の広い片刃の剣、柳葉刀だ。
2本の柳葉刀を手に海悠を迎え撃つ。

海悠に向かって一直線に向かう阿修羅。
両手の柳葉刀を前にだして、正面を防御する形で接近する。
接近が完了すれば、右に体を逸らしつつ、左手で相手の胴を横なぎに切りつけるだろう。
798 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/23(土) 21:21:13.74 ID:xGiW42v4o
>>793>>795>>796
石礫を驟雨の如くに撃ち放ったジェーン。
視界の向こうでは、銃弾で石つぶてを粉砕していくヴェルナーの姿。
石礫の壁を粉砕し、間を縫うように数発の弾丸が女に迫りくる、が。

「ふ、んッ」

一息気合が入り、女の右腕が前方へと横薙ぎに振るわれる。
ローブの袖が空気を孕みバサリと音を立てると同時に、銃弾と袖が衝突。
衝突の瞬間、腕から膨大な魔力が解き放たれ銃弾を真っ向から打ち砕く。
右腕を前に付き出した状態で、するりと体を前へと進めていく女。

女にとっては大したことをしたわけではない。
袖に魔力を纏わせながら腕を振りぬき、銃弾を粉砕しただけだ。
だがしかし、それを技量と魔力のゴリ押しで成功させるその胆力、実力はこの女だからこそのもの。
大したことを当然のように行う女は、一種異様とも言えただろう。

「――成程。割りと状況判断力は高いようだな。
素人ではないのは分かっていたが、中々楽しめそうだ」

一言、そう相手に称賛の声を漏らした後に、女は進む。
一歩でまたもアスファルト塊を数個浮かばせ、もう一歩進む際にそれらをヴェルナーに打ち出す。
そのアスファルトの後ろにぴったりと張り付きながら、ジェーンは疾駆する。音を出さず、体勢を崩さない超練度の摺り足だ。
古流武術などに見られるその技法は、鍛えぬかれた体幹と、重心の感覚を持っていなければ実戦で使うことなど出来ないもの。
ましてやこの足場でその動作を可能としている女の練度は、かくやというものである。

「任せろ」

クリオネの声には一言ちいさく答える。
囮にされようがなんだろうが、この女が怒ることもないし、動揺する事も無い。
覚悟が決まっているのだから、何があろうが知ったことではない。対応するだけだ。
799 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 21:24:07.83 ID:OVtYI9pJo
>>796
「申し遅れた。俺は円環の楽園に属する一人。メイザースからエリゴスの名を貰っている。
 そして、名前は白熊 佐助だ。」
礼儀が解る奴だ。気に入った・・・!!
だったら、それに応えないとな・・・!!

「さぁ来い!!やるぞ、ボルテックス!!」
俺はもう一度ナイフを左手に召喚し、それを構える。
そして投げず、そのまま片手で真直ぐ進む。
そのまま行けばボルテックスの攻撃範囲内だが、敢えて俺はその覚悟に応える!!
800 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 21:32:34.89 ID:bdHkqHi7o
>>799
「円環の楽園か。聞いた話の印象とは随分違うな!」
加速しながらコントロールを取り戻しながら加速。
3速、4速まで入った。

「いざ陣城に勝負ッ!!」
互いに真っ向から作用する力の乗った激突。
常識で考えれば車両と武器の重量、車両のパワー、
そしてリーチの勝る武器を持っているボルテックスが有利だ。
しかし相手は異能、ナイフを精製するだけが能力の全てでもないだろう。

襲撃に使われているクリオネの人形は多いが人は白熊一人のようだ。
奥の手の一つや二つは持っていると考えるのが妥当。
しかし今は小手調べにぶつかりあうしかない。
801 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/23(土) 21:37:01.49 ID:rgA5bDxe0
>>795>>797>>798
海悠が迂回するようにしてクリオネへ突撃する。
それに続きたいのはやまやまだが、阿修羅の威容を遠方から眺める以外に自分にできることはない。

ジェーンが放った石つぶての第二波が迫る。
マウザー弾が弾かれたのは確認済み。おそらくは防弾装備ではなく何らかの異能か魔翌力障壁。
どうやら相手は剣術だけではないらしい。そう理解すればこそ、そんな強者を前にして沸き立つ闘志にヴェルナーは口元をゆがめる。

あるいは80年前のように、いまなお自分は軍人らしい。
思い出される雪の地獄、紅く染め上げられた雪原と群れなす屍。
敵も味方も、死者を踏みつけ、敵陣へと吶喊してゆく機甲猟兵たちの黒い背中、鉄の肩。

「なるほど…………おもしろい」

MG34に装填されていた分の75発をすべて石礫のカーテンとその向こうにばらまき、素早くカバーを開放。
背中に集積懸架された弾倉を流れるような所作で差し込むと、『装填したばかりのMGを横に放り投げて』しまう。
銃に興味がない? 否、であれば弾薬を装填したりはしない。
ならばなぜ捨てたかといえば、このまま接近を抑え込みなおかつ銃器でダメージを通し続けるのが不可と判じたからに過ぎない。

あわよくば後で再利用しようというのか、あるいは別の意思か。
彼の背にはいまだ一挺の突撃銃と、腰にマシンピストルがある。
かれの思惑は鉄面ですべてを覆い隠したヴェルナーにしかわかりえないことであり、彼の動作には一分の迷いもない。

空いた手が腰へ伸びる。
つりさげられたサーベルをつかみ、滑らかに抜刀。
骨太の刀身が揺れる紅い鬼火を反射して煌めき、装甲甲冑ががしゃりと鳴る。
802 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/23(土) 21:41:31.51 ID:uN2QFjDZo
「ッッッ―――中身女かよォ!?」

うわ、向こう狙えばよかった。
途方も無い後悔が海悠を襲うが、もう遅いし戦場で考えることでもない。
そもそも向こうも女なのだ。だったらせめて顔の見えないこっちの方がマシか、などと考えて……

(……いやいや集中しろよ終いにゃ死ぬぞ!)

舌打ち一つ、思考を切り替える。足の動きは緩めずに、握った両の拳から赤の粒子が溢れ出る。

「試作型なんか出して良いのかよ?そのでかい図体、スクラップにしてくれるぜ」

接近してくる阿修羅に、ならばと此方は勢いを緩める。
そして歩く程度の速度まで落とした時点で、接敵。
胴体へ放たれた横薙ぎの一閃を、左の前腕で受け止める。

響くのは肉裂け骨砕く音とは違う、より鋭い異音だった。
見れば。刀で破れた制服の下に、鋼の光が覗いている。
彼の右手の義腕で、強引にも刃を受け止めたのだ。

「いッ――」

無論ノーダメージとはいかず、金属同士の衝撃が体幹へ響き渡る。
だが、それを生身で食らうよりは相当な軽減で。


「―――てぇーぞこの!」

仕返しとばかりに、左の拳を阿修羅へ放つ。
先程からそれが纏っていた赤い粒子は、彼が叫びを上げると同時に炎へと変換し。
文字通り『燃える拳』となって、人形を襲う。
803 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 21:41:52.01 ID:OVtYI9pJo
>>800
「いや、アンタの聴いた話も事実かも知れないぜ?」
ボルテックスが聞いた話がどんな話かは知らないが、予想は付く。
先ずは噂の原点。シモンの襲撃だ・・・アイツはロンドンを地獄へと変えた。
恐らく、非情な奴が多いとか、変人揃いとか、そう言った噂だろう・・・それなら、大体的を得ている。
俺もそうだ・・・生きた人の苦痛や悲鳴を聞いて快楽を得るとか言う悪趣味を持っている。
人の命を弄ぶような人間だ・・・

「やるぜ・・・やるぜ俺は!!」
バイクの重量、パワー・・・そして武器の射程・・・
どれもボルテックスが勝っている・・・
だったら・・・

「いっけぇ・・・!!」
俺はそのままバイクをスピンさせ、わざと転倒させる。
転倒し、スピンしたバイクはそのままボルテックスのバイクへと向かっていく。
勿論俺はバイクから降りたけどな・・・
804 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/23(土) 21:42:55.89 ID:uN2QFjDZo
/安価ミス多すぎですね……>>802>>797,798,801宛です
805 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 21:54:50.65 ID:X29n+Wn+o
>>802
接近中ジェーンの方をちらっと見るも、まぁ向こうの方は大丈夫だろうと判断する。
もっとも、たとえピンチでも摩天楼内部に入られそうになるまで救援に入るつもりは無いのだが……

「試作機は量産型より強いって相場が決まってるでしょっ!」

そう、この阿修羅は消費魔力が高すぎるために今まで使えなかったのだ。
それを、この場で試験的に運用してみようと言う魂胆。
もっとも、試験的とはいえその性能は普段使用しているドールの性能を遥かに凌ぐ。

「へぇ……面白いもの付けてるじゃん」

防がれた攻撃を見て、相手の腕が生身ではない事を知る。
同時に相手の反撃を確認。
すぐさま空いている右手でガードをする。
柳葉刀は幅が広い。剣を横にし、その幅を使用して、相手の燃える拳を防ぐ。
が、相手の攻撃力は思った以上に高く、そもそも防御することなど考えられていない柳葉刀は根元付近で折れてしまう。

しかし、そんなことを一切気にしている様子は無い阿修羅。
鍔迫り合いの様になっている状況で、ぐっと能面を相手の顔に近づける。

「ねえ知ってる? 阿修羅って腕がいっぱいあるらしいよ…………こんなふうにさっ!!」

突如、阿修羅の胴体やや背中がわから、袴を突き破って出てきた2本の腕。
同じく両手に柳葉刀を持ち、それぞれ海悠の右太ももと左太ももに狙って切りつける。

806 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 21:56:00.99 ID:bdHkqHi7o
>>803
「はははは、それならば退治しておくのもい…え?」
 バイクの重量と力、速度の勝負をバイクそのものでつけようとしたのは正解だったか、
 GSX1300R隼は前につんのめりボルテックスと一緒に空高く放り飛ばされた。

 放り上げられて白熊の頭上も超えて彼の背後に落下する
 ガツンとアスファルトに金属が叩きつけられる音。
 そしてアスファルトと金属が擦れる音。
 悲鳴も上げる暇なく絶命したのかボルテックスの声はしない。
 ただガシャンと大きな音が白熊の背後から聞こえた。


「…良い判断だったと思うぞ。
 あのまま殴られれば、お前は…死んでいたかもしれない。
 ただし伸びた寿命は…ほんの数分かもしれないがな。」
 いや、相手の女は生きていたようだ。
 そして金属が折れる音と金属が擦れる音、金属がぶつかる音が今も続いている。
 キンコンカンとリズミカルに続いて、大きな何かが立ち上がる気配がする。
807 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/23(土) 21:56:59.69 ID:xGiW42v4o
>>801>>802>>805
「――ふ、ン」

全弾を受けきるつもりなどは当然無いジェーン。
イシツブテを打ち砕きながらも数十発の弾丸がジェーンに迫り来る。
同時に、ジェーンは足さばきを駆使しながら袖や裾に銃弾を巻き込み、軌道を変化させながら移動。
魔力や体捌きを駆使したその動作は、まるで舞姫であるかのような優美さを以てして実行された。

数発の弾丸がジェーンの服を貫き肉体に当たるが、貫通することは無く、僅かな傷を与えるのみ。
服には幾らか血が滲んだものの、致命傷とはなっていない上に、動作に支障は無さそうだ。
相手のように甲冑を着込んでいるわけでもなく、衣服が防弾繊維でできているわけでもない。
だというのに、この女。異様なほどに頑丈な肉体をしていた。銃弾が通らない体というのは非常識極まりないと言える。

「歩法で潰す」

一言そう呟くと同時に、ジェーンの動作が異様に加速する。
地面に張り付くような前傾姿勢となったジェーンは、獣のごとくに加速したのだ。
前方向に倒れこむような重心移動で、体重を前方向に逃し、効率的に加速。
また、大凡大抵の武術ではあり得ないような独特の動きであるため、対処が取りづらい。
くん、と足首が器用にサスペンションの役割を果たすと同時に、一気に体勢移動。
統べるような動作でヴェルナーの左脇に入り込むと、地面を強く蹴ってその場で体を回転させながら跳躍。

ジェーンは、空から隕石を落とせるような人間ではない。
闇雲の様に、あらゆるものを吸収する異能が扱えるわけでもないし、天候を支配し、風水雷を操作する様な大規模な異能を操ることも出来ない。
茨を使役し命を奪い、命を力に力を蓄えることも出来ないし、人形を扱うなんて事は決して出来る筈が無い。
ジェーンが出来るのは、普通に五体を駆使して闘うだけ。時折それに剣と魔力が追加されるだけ。

――だというのに、この女は円環の楽園の幹部に居るのは、ただ単純にこの女が強いからだ。
普通に強いのである、この女は。
拳が強い、蹴りが強い、体捌きが強い、魔力が強い、速さが強い、意志が強い、戦術が強い。
説明は必要ない。見れば分かる。銃弾を生身で防ぎ、アスファルトを一歩で粉砕するこの女を見て、弱いと断ずるものが居るだろうか。
まず、居ないといっても良い。だから強い。だから彼女は、特筆する点が無いのに異能者剣士術師揃いの四柱に居る。

(――負けられないさ。
負けるのは、私の私に対する裏切りだ。だから、勝つ、殺す、絶滅させる。
……全ては、私が世界最強に。唯一絶対、唯一無二になる為に。死ね、私以外の全ては――)

「――――死ね」

一言。規定事項の様に女はつぶやき。
十分な加速を得た女は、胴回し回転蹴りを相手の頭上から振り下ろしていく。
重力の加速、肉体の回転、重心の支配、膨大な魔力。それらを複合した故の高威力、高速の一撃。
それは、相手の頭蓋を粉砕する為に放たれる一撃で、名など無いが女の必殺技である。……まあ、どの一撃も必殺と言われればそれまでなのだが。
808 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 22:08:01.96 ID:OVtYI9pJo
>>806
「これで終わっちゃ面白くねぇだろ・・・」
俺は立ち上がり、ナイフを二本、召喚する。
そして、そのナイフを両手に一本ずつ手に持つ。

「楽しもうぜ・・・摩天楼の決着が付くまでな・・・!!」
摩天楼ではムルムルとジェーンが戦っているらしい。
今回の作戦のリーダーはムルムルだ。
アイツは摩天楼で何か大きな事をやるらしいが・・・
だが俺は・・・

「やるぜ俺は・・・!!」
そのナイフを持ったまま、踊るように身体を一回転させる。
ボルテックスの気配は背後・・・恐らく俺の後ろに回ったんだろう。
だが聴こえるのは金属の音・・・アイツ・・・あの女はライダースーツだった筈・・・
槌・・・だが、これは金属が折れる音・・・そして擦れる音・・・
何か別の武器を持っているのか・・・?それとも・・・
だが、あの音はボルテックスが出しているんだろう・・・
俺は音を聞き、ボルテックスが居るであろう場所を予想してナイフを構える。
俺の聴覚や予想が当たれば、俺はボルテックスの正面を向いている筈だ・・・!!
809 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 22:14:52.59 ID:bdHkqHi7o
>>808
なんか3mくらいのロボットが立っていた。
810 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/23(土) 22:17:15.22 ID:uN2QFjDZo
>>805
「だったらこいつを倒せりゃ、量産型が来ても心配無しってぇワケだ!」

物は言いよう。だがそれは事実だろうか。
自身を奮い立たす意味でも彼は叫び、炎を燃やす。

「良いだろ?俺の相棒、戦友よ」

その発言からして、彼がこの義腕に愛着があることが分かるだろう。
そして刀を殴り割った拳を引き寄せ、このままの勢いで突破しようと一歩を踏み込んだ瞬間に、それは来た。
能面が突如自分の顔の正面に現れたと思ったら、敵の体越しにビリビリと衣服の裂ける音。

「んなの有りかよ―――ッ!」

足は。足は拙い。
戦闘において、足を、機動力を奪われることだけは避けなくてはならない。
今回の場合は尚更で、この戦闘のあとも摩天楼を昇らなければならないことも考えると、これは余りに拙すぎる。
故に彼は咄嗟の行動に出る。


自ら踏み込んだ軸足をもう片方の足で強く蹴り上げた。
進んでバランスを崩した身体は重力に従い地面に吸い寄せられ、仰向けで倒れて阿修羅を見上げる。

(さ、て。よりピンチに陥った気がしないでもねーな……)

手は指で地面につき肘を立て、背が地につくほど倒れ切らないよう身体を支え。
四法腕になった人形の、次の行動を待つ。
811 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 22:23:58.46 ID:OVtYI9pJo
>>809
「げっ・・・」
後ろを見た瞬間、俺の視界にはとんでも無いモノが映っていた。
何だあれ・・・ロボットか・・・?しかも3メーターぐらいある・・・
ボルテックスなのか・・・それとも・・・

「まさか・・・だとしたら・・・!!」
今回の作戦は日本の兵器工場の破壊・・・
此処では円環の楽園に対する兵器開発が進められているらしい・・・
対円環用兵器・・・まさか・・・!!

>>805>>807
『ムルムル・・・ジェーン!!やばいぜ!!
 ムルムルが言ってた対円環用の兵器。
 たった今、完成したかもしれない・・・!!
 工場の近くに3メーターぐらいのロボットが立ってる!!
 俺はその化け物の近くに居るが、何時まで持つか・・・!!』
あの俺の前に立っているのが例の兵器なのかもしれない。
俺はそれを報告するため、摩天楼で戦っている二人にテレパシーを送る。
812 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/23(土) 22:31:47.58 ID:dqWdsKku0
>>807
「非常識な――――」

機関銃弾を弾き飛ばす。まだ理解できる。
直撃弾を『生身のまま受け止める』? クレイジーを通り越して感嘆の声しか出てこない。
相手の動きは早い。優雅でありながらかつ効率を追い求めた身のこなしは一つの芸術といえたが、それを行うのが稀代の女武人だというのだから笑えない。

MGは捨てておいて正解だった。ただ長いだけの代物など価値がない。
重石を捨てた分いくらか軽くなった体を理解すると同時、ヴェルナーは残りの武装もマシンピストルをのぞいてすべて除装する。
はがれおちる装備、足元に散らばる鉄どもをじゃまだと一蹴し、肉薄する敵に視線を据える。

「――――ふん……なかなかに芸達者と見えるが……」

サーベルを構えきる前にジェーンが加速した。
地面を這うような前屈姿勢での急速な加速と吶喊はさながら弾丸、しかしヴェルナーはそれに感嘆することもなければ瞠目することもない。
敵の技量に驚いて取り乱しても何かが好転するわけでもなし、どだいヴェルナーとてそれなり以上の戦乱を駆けた男である。化け物じみた連中など、手合せした相手を挙げていけば枚挙にいとまがない。

ヴェルナーは魔術師である前に軍人であり、軍人である前に戦士であった。
魔術師の家系に生まれながら知識以外にまともに引き継ぐものもなし。
結界師としても中途半端であれば、その他の魔術などてんで才能がない。
魔具そのものの扱いに長けはしても、あれは誰にでも扱えるがゆえにその価値がある。

唯一自身の真価を見出せたのは鉄と血のなかにのみ。
銃を抱え、銃とともに走り、銃とともに寝る。
剣を手にし、剣とともに戦い、剣とともに戦場を駆ける。
敵が一歩で二間を駆るなら、自分は一歩で三間駆る足を。
敵が一拍に二度剣を振るうなら、自分は一拍に三度剣を振るう腕を。
敵が二太刀を耐えるなら、こちらは三太刀耐える肉体を。

魔術などというものは結局要素に過ぎない。
軍人にとって銃とはそれがすべてでなく、任務のために必要な備品でしかないように。
真に頼るべくは自身の肉体。そして精神力。
冬の地獄を潜り抜け、今再びここに立つ肉体を。
億万の死者にさいなまれ、怨霊とともに生きながらえているその精神力を。

信ずるはただ己が躰のみ。
頼るべくはただ自らの精神のみ。

ジェーンが跳ねる。
それは僥倖、いかに相手が早かろうと落下に転ずる間に速度は掻き消える。
自由落下の勢いそのままに振り下ろされるジェーンの脚はしかし、全身を駆使して魔翌力を纏った殺人の一撃。
なるほどこいつは強敵だ。肌がびりびりと震える。それとは逆に、躰の芯が灼熱して燃え盛っている。

頭頂めがけて振り下ろされる神速の一撃に、ヴェルナーのサーベルが応対する。
開かれた脚は渾身の力とともに大地を踏みしめ、全身の筋肉が甲冑もろともに迎撃態勢を整える。
あるいは戦車の突撃すら抑えきるかもしれない。そう思わせるほどに、装甲甲冑は城壁じみた雰囲気をにじませている。
ヴェアヴォルフ――あまたの血を吸い、人狼の名を冠した数打ちのサーベル。
量産品にすぎず、しかし頑健さはどのような剣よりも秀でた戦争のためのそれが、注ぎ込まれた莫大な魔翌力を宿して蒼い軌跡を描き、ジェーンの脚と接触する――

/すみませんおくれましたぁ!
813 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/23(土) 22:32:38.08 ID:xGiW42v4o
>>811
『――生き残ることを最優先にしろ。
完成したからといって、即座に動かすはずはないだろう。
試運転もしないまま、出来たばかりの機体を動かすか? ましてや、人間一人にだ。
それは、対円環の兵器ではない。――だが、危険なことには変わりないだろう。
だから、生き残れ。こいつらを始末したら、そちらの援護に向かう』

念話を飛ばし、そのまま戦えとジェーンは提言。
考えて見れば分かる。完成したばかりの兵器を即座に運用するはずはないということが。
だからそのまま3mの兵器と戦えとジェーンは無茶ぶりをした。
しかしながら、生き残ることを最優先にしろともアドバイス。
生き残れば、ジェーンかクリオネの人形が支援でやってくるかもしれない。
814 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 22:35:19.87 ID:X29n+Wn+o
>>810
「あははっ、それは無理だよ。だってキミはここで死ぬんだよ? この先なんてあるわけないじゃん」

高めの声で楽しそうに笑うその声は、とてもこの事件を引き起こした張本人には聞こえないかもしれない。
いや、かえってこのセリフの中にある狂気をみれば、事件を起こしたのも納得するかもしれないが。

「ちょーっとかっこいいかも。後で私も同じもの作るから良いもん」

意外とかっこいいもの好きなのかもしれない。
戦闘が終わったら義手っぽいガントレットを作って遊ぶことだろう。

「ってそんなのあり……!?」

隠し腕による奇襲を見事に躱された……しかも全く予想外の方法で。
だが、その後の格好はなんともマヌケで如何にも殺してくださいと言っている様だ。

「あっははははははははっ! 何それ? 女の子をしたから眺めて楽しい?」

仰向けに倒れた海悠を見下ろしながら大笑い。
クリオネの中ではこれはもう勝ったとほぼ確信する状況だ。

「せっかく阿修羅っていう名前でヒントあげたのに……つまんなーい」

持っている三本の柳葉刀を消し、一本の大剣を作り出す。
四本全ての手で持つそれは、人の身長よりも大きい。

「残念だけどここまでだね、ばいばい」

高く振り上げた大剣を一気に振り下ろす。
この状況に若干の油断があるその大振りは、相手に対処をする時間を与えてしまうかもしれない。

>>811
兵器工場を襲撃中のエリゴスから通信が入ってくる。
どうやら3mのロボットが出現して、それが日本軍の新兵器と言う話だが……

『落ち着きなよ、私の情報では日本軍の新兵器は戦闘機だよ。
 ロボットを作っている話なんて聞いたことないよ』

おそらく日本軍の兵器とは別口で出現したものだろう。
少なくともクリオネが持つ情報にロボットは無い。
815 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 22:38:42.28 ID:bdHkqHi7o
>>811
 よく見ればバイクはない。
 そしてそのロボットの外観は隼に似ている。

 機械人形が話し始める。女の声だ。
 というよりボルテックスの声そのものだ。
「安心しろ、わたしだ。これはわたしの異能。
 機械を甲冑にする事と機能を取り込む事を同時に出来る。」
 ポールウェポンだったはずの大鎚も片手武器に見える。

「傭兵斡旋協会を通して日本国に一つの提案を提出してある。
 対円環の兵器のトレース…まあ、許可が降りるとも思えないが。」

「お前の考えている事はわからないが、恐らく結果的には同じ事が起こりうるな。」
 秘密兵器を破壊しても、それをトレースしたボルテックスがいれば復元が可能。
 日本政府が許可すればボルテックスが工場に入った時には秘密兵器がもう一機増える事になる。
 工場防衛の任務を受けたボルテックスは戦術でなく戦略を立てていた。
 敵に遅れを取らずに、自分も工場内に入ることができるなら兵器は守れる。

「白熊佐助、いやエリゴス。もう一つ絶望をくれてやろう。」
 ガチャガチャと音を鳴らし右腕を銃の形に変形させるとスラッグ弾を発砲する。
816 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/23(土) 22:51:17.75 ID:xGiW42v4o
>>812
相手の在り方と、ジェーンの在り方はある一点では似ているかもしれない。
何かを突き詰めて突き詰めて、一つの結論へ至ったかのような生き様なのだ。
ただ、ジェーンが辿り着いた答えは、この世界の敵として振る舞う事を決定させた。
世界で一番の存在になるために、己以外の全てを皆殺しにして、世界一になる、それがジェーンの求めている夢。
夢のためにジェーンは生きている。それ以外の全てを捨て去って、それのみのために全てを得て。

24時間の内、多い日は30時間の修行をジェーンはする。
歪んだ時間の空間の中で、もはや摂理すらも無視した修行に次ぐ修行、実戦に次ぐ実戦を重ねてきた。
全ては、強くなるために。日々の食事も、日々の睡眠時間も、日々の余暇も。全てを勝利につぎ込んできた。
ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウは勝つために生きている。この世界に勝利するために鍛えている。

狂気とも言える勝利への渇望、他者を根絶する意志。
それが、ジェーンの肉体を駆動させ、ジェーンの精神を強固なものにして見せていた。
何よりも信頼出来る武装は、己のみ。他者など不要、ただ己一人が強くあればそれで十二分。
敵が強い?ならば敵より強ければ良い、敵より圧倒的な戦闘力を振るえば良い。

それを可能とする為に、それを可能としたのがジェーンだった。
無色の魔力。周囲の空間に色を付けず、只歪ませるだけの強大な力。
その無色は、彼女の本質。純然たる武の在り方を思わせるようなもの。
相手が振りぬくサーベルと、女の蹴りが真っ向から衝突し――拮抗する。

「――――しゃァらァ!!」

雄叫びと同時に、拮抗を崩すようにジェーンは足先から魔力を放射する。
遠距離攻撃が出来るほどジェーンは魔力を飛翔させる事は出来ないが、ただ単にに解き放つことならむしろジェーンの特技と言えた。
蹴り足から放射される魔力は、物理的な衝撃を纏いながら、ヴェルナーを吹き飛ばし距離を作ろうとするだろう。
何方にしろ、ジェーンもまたその反動で後ろに飛び、膝のサスペンションを上手く扱いながら、着地する。
ぼんやりと月空を見上げて、ふぅ、と小さくため息をついて、ジェーンは体を動かした。

「……剣を、抜くか――――」

次の瞬間には、女の手には一対の軍刀が握られていた。
左には大太刀、右には小太刀。何方も日本刀の刀身をサーベルの拵えにした、旧日本帝国軍の一部の軍人に見られた軍刀拵え。
大太刀も小太刀もその両方が見るからな業物。それを無骨な軍刀に貶めて見れば、日本刀は美術品から殺戮の道具へと打って変わる。
肩に大太刀を担ぎ、右半身を前に突き出すような半身になり、小太刀を前方向に突き出し、腰を落とす。

「私がやっているのは、誰にでもできることにすぎん。
だが、誰にでもできることを極めた数で、誰かに負けるつもりは――無い」

じりじりと間合いを読みながら、ついに刀を抜いた女は、小さく呟いて。
己の強さを信じるからこその、絶対的な揺らぎの無さで、女は相手の前に立っていた。
これが円環の四天王。ジェーンと同格が、あと三人。この組織には存在しているのである。
817 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 22:52:50.26 ID:OVtYI9pJo
>>813
『ハハッ・・・そうだよな・・・冷静に考えればそうだよな・・・
 いや、あまりに衝撃的だったから・・・
 まぁ、本当にヤバイと思ったら逃げるさ・・・
 未だ命を捨てるつもりはないんでね』
確かにそうだ・・・
冷静に考えて、仮に完成したとしても、出来立てホヤホヤで来るわけが無いか・・・
頭がどうかしてたぜ・・・
まぁ、言われなくても生き残るつもりだったさ・・・
本当にヤバくなっても、逃げる手段はあるからな・・・
>>814
『戦闘機だと?なるほど・・・ロボットじゃないのか・・・
 いや、日本ってそんなイメージあるじゃん・・・二足歩行とか・・・熱くね?』
これで確定した。
あれは工場で造られたんじゃない。
工場とは無関係の兵器・・・!!
だとしたら、あれは・・・!!
>>815
「やっぱりてめぇか!!ボルテックス!!」
良く見たら、アイツが乗ってたバイクが無くなっている。
それに、ロボットの外観がさっきのバイクと良く似ている。
機械を甲冑に・・・融合したのか・・・!!
それに・・・

「なるほど、だったら野放しに出来ないよな・・・!!」
ボルテックスが言ってる事が本当なら、奴は日本と言う国に関わっていると言う事になる。
日本の兵器と融合し、秘密兵器をもう一つ増やそうって考えもあり得る・・・
だとしたら、俺個人の敵ではなく、円環自体の敵となり得る。

「・・・・・・・・!!」
奴が撃ったのはスラッグ弾。
あの右腕は散弾銃の役目を果たしているのか・・・
だが俺は、両手のナイフを使って踊るように弾を弾いていく。

【スラッグ弾をナイフで弾いていく様は常人の域を超えている】
818 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/23(土) 23:05:01.12 ID:uN2QFjDZo
>>814

「言ってろよ、畜生め…!」

彼女の言葉のいちいちが気に障る。しかしこの状況ではそう取られても仕方ない面もある。
結果、反論は内容のないものに留まって。
しかし決して諦めてはおらず、サングラスの奥の瞳は挑戦的に阿修羅を睨み上げている。


「女の子ってナリじゃあねーだろ……それに俺ァ女は苦手なんだ」
素顔を能面で隠した上で2mの巨体を持つそれはとても「女の子」には見えないという。

「悪いが日本文化には造詣が浅くてな。そのアシュラってのは虫の仲間なのか?」
そして敵の動きを見定めて、その大振りの刃を見て、振り下ろされるより前に、


「無様でもなァ!」


動く。

地面についた指の中、掌と地面の間に、緑色の粒子を一気に放出。
そしてそれらを一気に、風に換え、地面に噴出する。

「おっせーよ―――!」

生じた風を推進力に、両腕をバネに、足を踏ん張り、腹に力を込めて、勢い任せに立ち上がる。
さらにその勢いのまま、右腕、義腕を前方へ、阿修羅へと向けた。
それを合図にするかのように、鋼鉄の腕に折りたたまれたブレードを展開する。
そして、振り下ろされる刃の下をくぐり抜けるように、前腕から肘まで覆うような形状のブレードを押しこむように、体ごと阿修羅へ突撃した。
819 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 23:12:55.79 ID:bdHkqHi7o
>>817
「普通のナイフも、普通のナイフ術をも超えているな。見事なり白熊佐助ッ!」
 日本政府との関わりはないが、傭兵斡旋協会ならそれぞれ地元政府とのパイプを持っている。
 彼女が提出した書類が運良く物分かりの良い議員や官僚の手に渡れば、
 ボルテックスはその新兵器についての知識を得る事にもなる。
 そして工場を守る理由はなくなるわけだ。
 何処ででもそのレオナルド・ダ・ヴィンチに対抗できる兵器が造れるのだから。

 ボルテックスの所属は商店街振興組合。
 軍事どころか内政にも関わりのない一つの商店街の懇親会だ。
 だがそこには魔王がいて霊、動物、機械、そしてもう一人何かを操れる怪物が暮らしている。
  幽貴妃、鉄鋼鬼神、駆迅喚雷、そしてもう一人が劍亂劫火を慕っている。
 その商店街は国防上、良くも悪くも大きな意味を持つ通りになっている。
 今、白熊の目の前に居るのは機械の怪物。鉄鋼鬼神である。

「ナイフでスラッグ弾を弾いた?!」
 しかし白熊も円環。相手がいかな強者であっても、自身もそうなのか。
「しかし、弾いたという事は食らえばただでは済まないという事だろう?
 反撃の手段はあるまい?攻撃手段であるバイクもわたしへの攻撃に使ったな。
 祈る神がいるなら神に祈れ。悪魔に魂を売ったなら悪魔に祈れ。」

 ボルテックスは両腕から弾丸を射出できるように変形し散弾とスラッグ弾を打ち出す。
820 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 23:22:11.58 ID:OVtYI9pJo
>>819
「悪いな、死ぬつもりは無いんだ。
 期待のルーキーが仕切っててね・・・
 此処で死んだら恥だろ・・・?」
だが、奴の言っている事は正解だ。
異能を持ってしても、身体自体は生身の人間。
まともに当たれば立つのは難しくなるだろう・・・
と言うか今のアイツの攻撃をマトモに受ける訳には・・・

「格好良いが、読めてるぜ・・・!!」
両腕を変形させた・・・
恐らくあれは弾丸を射出させる形だ。
よって、弾丸のパターンを読みやすい・・・!!
俺は両腕を見て、弾丸を放たれた瞬間に全力で横に走る。
そしてそのまま走り続ける。向かう先は奴の後ろ!!
あの巨体だ・・・そう簡単な旋回は出来ないだろう・・・!!
821 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 23:27:38.89 ID:X29n+Wn+o
>>820
クリオネは迷っていた。
エリゴスに救援を出すかどうかだ。
エリゴス自体の生き死になど心底どうでも良いが、このままエリゴスが敗北すれば他のドールまでやられて工場襲撃が失敗に終わる可能性がある。

自らが3mの人形であるインペリアルを使用するからこそわかる。
生身の人間が、3mの巨体を相手にするのは非常に難しい……

だが、阿修羅を動かしている以上迂闊に援軍は……

ここでエリゴスを見捨てるか、救援を出すか。
それらのメリットとデメリットを天秤にかける。

(仕方ない……)

『エリゴス、救援をあげる。1分持たせれば私から素敵なプレゼントが届くよ』

このまま任務失敗にはさせたくない。
負担は増えるが、救援を出す。

//次のターンでクリオネの救援が来ます。

>>818
「これでも中身は立派な女の子だよ……それと、阿修羅はなんか神様の一種らしいよ? 
 神様なんて信じてないけどさ……てか、このかっこいい人形見て虫は思いつかないでしょ」

これでも阿修羅はかっこいいと思って気に入っているらしい。

「―――っ!?」

油断大敵。
この状況で勝ちを見ていたクリオネは、海悠の突然の行動に反応が遅れる。
大剣の一振りを躱された阿修羅に、海悠のブレードが直撃する。

「ぐうぅっ!!」

胴部分にブレードごとの突進を食らった阿修羅は、後ろへと吹き飛ばされる。
ガシャンと重量感のある音と共に地面に倒れ、持っていた大剣は手から離れてしまう。

「あんた……ぶっ殺すよ……」

ゆっくりと立ち上がる阿修羅。
着ている袴のお腹の部分がパックリ裂けて、中の素体の部分が見えるだろう。
だが、肌色の素体部分は斬撃によって傷つきはしたが、内部まで貫通することは無かったようだ。

再び四本の手に柳葉刀を装備し、一歩踏み出す。
先ほどの衝撃で、能面にひびが入っている事が分かるだろう。

今にも駆け出すであろうその時……

「うわーん……!」

小さな少女の泣き声が、その戦場に聞こえるだろう。
脇の茂みから、小さな少女が泣きながら歩いて来るではないか。

「おかさん……どこー?」

このまま歩いて行けば、2人の間に入る事になり戦闘に巻き込まれるだろう。

「今いいところなんだよ……ガキがじゃましないでよっ!」

海悠に向かう足を止めた阿修羅は、なんと迷子の少女に柳葉刀を一本投げつけたのだ。
822 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 23:33:16.92 ID:bdHkqHi7o
>>820
 白熊の読みは当たっていた。
 身体が大きくなった分、重くなった分だけ旋回のスピードは遅くなっている。

 遅くなっているが重くなっている。常人が食らえばそれでミンチになるだろう。
 ガシャリ、ガシャリと足音を立てながら振り向く。そして腰上の動きは存外に速い。
「わたしは破壊と蹂躙の宿命を背負っている。
 この運命…好きではないが、今はありがたい。」

 ボルテックスの槌が白熊佐助を追う。
 それは早く、速く、そして重い打撃攻撃だ。

 そう、いつの間にか右腕は銃の形から腕らしく変形していた。
 変形する、変態する能力者で恐ろしいのは変化の早い連中だ。
 そしてボルテックスはその一人だった。

「時間をかけすぎたな…」
 白熊の乗ってきたバイクに目をつける。
 取り込んでしまおうと企んでいるようだ。
823 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/23(土) 23:36:21.40 ID:bdHkqHi7o
>>821
3分、白熊は持つのか持たないのか。
勿論ボルテックスは円環メンバーの交信内容など知らない。
824 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/23(土) 23:36:50.85 ID:dqWdsKku0
>>816
かつて自分は国家のために戦った。
ナチス党などという鬼畜外道のためではなく。
プロイセン軍人としての誇りのために、自らが信じたもののために、級友と家族たちのために。

いまとなっては過去の形骸に過ぎない。
戦場に朽ち、亡骸は埋葬されることもなく、味方と敵の屍のなかで大地の肥やしとなり、そのまま消えるはずだった。
それがどういった因果か、今再び肉体を得てここに顕在している。

すでに肉親はこの世を去り、肩を並べた戦友たちは散ってしまった。
守るべき故郷はすでに自分のものではなく、命を賭すべきものすらない。

ジェーンと、自分。
一つの方向へとひた走り過ぎるあまり振り切れてしまった。自分たちの相似はそこにあるのだろう。
同じく武人として、力を求めた者として、ヴェルナーはそのことを肌身で感じ取っている。こいつはきっと同類だ、と。

だが同時に、自分たちは決定的に違うのだと、それもわかり切っていた。
この女は自分の追い求める者のためだけに戦っている。
目的がありそれに対して武力という手段を欲したのではない。
武の極みを、手段そのものを目標に据え、それだけを一途に求め続ける、ひとつの概念に近いかもしれない。

つくづく相容れない相手である。
自分は武人だがそのまえに軍人だ。武のために征くのではなく、守るべきものがあり、それを守り抜くために武を欲する。
すでに自分には、守るべきものなど何もない。
しかし自分を終わりのない地獄から救い上げた憎らしい“子孫”が信奉したちょっとした理想を守るだけの義理が残っている。
武を求めて戦うのではない。
消え去った分の空虚を埋めるだけの何かを探すために、そして親友の理想を守るためだけにここにいる。

「――――――――ぬんっ!」

振り上げたサーベルがジェーンの脚とかち合った。
瞬間の拮抗、殺気が交差し魔翌力同士の競り合いが衝撃波を生じる。
一瞬後に吹き荒れた魔翌力風はジェーンのそれ。瞬時にその事実を把握すると同時、たたらを踏むことなく、軽くバックステップして崩された姿勢を立て直すあたり、さすがにヴェルナーも手練れである。
本来軍人とは銃を頼りに戦うものであるが、この男は例外的と言っていいほどに近接戦に長けていた。

「ただでは勝てぬ、か」

サーベルを構えなおす。
延長された柄を両手で握り、刃先を落として相手を見据える。
すでに抜刀している女の姿、紅い眼越しに見えるその様相は、どこか鬼神じみた気迫を伴っていた。
彼女の手にある刀は自分のそれとは根本が違うのだろう。
数打ちなどではなく、最初から一本モノとして作られた業物か。
肩に担ぎ、小太刀に手を添えて半身になったその姿勢は見たことがない構えだったが、ヴェルナーの意識はそこではなく、敵の手にある刀へと向けられている。

業物と数打ちでは分が悪い。
後手にまわって様子を見るか、先手を打って流れをつかむか。
その思案はほんの一拍にも満たず、ヴェルナーは地を蹴る。

紅い燐光が尾を引き、黒が疾駆する。
それはあたかも鎖の束縛から解き放たれた猟犬のようであり、ヒトどころか獣ですら出しえないような俊敏さと共に肉薄、ジェーンめがけてサーベルを横一閃。
そのまま剣先をふるうのではなくぴたりと止め、斬ったかどうかなど頓着せずに持ち上げた刃先を袈裟がけに振り下ろす。

/おそくなりすぎわろち…ごめんなしゃい
825 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/23(土) 23:44:51.82 ID:OVtYI9pJo
>>821
『あぁ、有難う・・・!!』
そうだ・・・これは俺だけの戦いじゃ無いんだ・・・
攻撃手段の無い俺は逃げるしかないと思っていたが・・・
まさか、後輩に助けられるなんてな・・・
>>822
「破壊と蹂躙か・・・」
その宿命に相応しい見た目と攻撃・・・
とうとうあの槌を振ってきやがった・・・!!

「うわぁ!!」
避けられない・・・
俺は打撃を受け、派手に吹き飛ばされる・・・
身体中に激痛が走るが、俺はそれでも立ち続ける。
ムルムルが応援を遣すって言ってるんだ・・・
意地を見せないとな・・・

「喰らえ!!」
俺は左手に持った一本のナイフを投げる。
狙いはボルテックスの脚・・・ボルテックスの転倒を狙う!!コンクリぐらいは刺せるが、一本じゃ心許ない・・・
俺は異能を使い、そのナイフを三本に分身させる。幻とかじゃない。
三本とも狙いは脚だ!!
バイクが盗られるのは不愉快だが、そんな事は言ってられない!!
欲しけりゃくれてやる!!
826 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/23(土) 23:48:50.56 ID:X29n+Wn+o
>>822>>825
3mのロボット。
その詳細が分からない以上中途半端な援軍では意味が無い。
ナイト……メイデン……これらでは火力が無さすぎる。
インペリアルを出せればいいのだが、流石に魔力増幅装置を使っている今でも阿修羅とインペリアルの両方を遠隔操作するのは不可能だ。
やはり間を取ってアテナか……

そう判断したクリオネは、全長2mで前線鎧に身を包んだドール・アテナを生成して送り込んだ。
まだエリゴスが生きていれば戦力になるだろう。
2本の身の丈ほどもあるショテルを手に、工場の戦場へとその身を落とす。

馬鹿正直に入り口からは入らず、脇の壁を壊してボルテックスの横から出られるように内部へ入る。
少し到着が遅れるが、まぁ良いだろう。

予定通り、ボルテックスの側面に出たアテナはそのまま接近して攻撃を行うだろう。
ばんざいの形から、2つのショテルを同時に振り下ろす。

「まだ生きてる? これは貸し1ってことで良いから」

827 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/23(土) 23:50:42.05 ID:xGiW42v4o
>>824
「そも、勝たせるつもりがないのだから、ただだろうが何を賭けようが。
――お前は死ぬだけだよ。私が殺すからな」

一言。その決定したかのように自信のある言葉で、相手の呟きを切って捨てて。
動くことのないジェーンの安定した構えは、切っ先を一ミリもブレさせる事なく殺気を充満させていた。
五体の随所に殺意が巡り、気迫が巡れば、もはやその体は異様な精神で完全に操作される者となる。
メイザースは他者を支配する事が出来るが、ジェーンは己を自在に支配することができる。
武術の一側面として、自分自身を自由に操ることが有るが、自己の掌握という一点について、ジェーンは絶対的な練度を誇る。
自己の肉体すらも勝利のために必要な道具としてしか見ていない女が、道具を理解していないはずがない。
足元から脳天まで、ジェーンの感知していない場所は、存在していなかった。故に、相手の接近にもジェーンの肉体と精神は揺らがない。

「――――ふン」

眼前に迫りくるヴェルナー、振りぬかれる刃先。
異様な速度だ、そうジェーンは思う。肉体強化が出切るわけではないジェーンの身体能力は、生身のそれだ。
だからこそ、その速度は通常に走っただけならば出すことは出来ないし、その一閃の威力も生身では出せない。
だが、それがどうした。目が、そう語った。気配が、相手の剣閃に殺意を向けた。

「ふ、っし……ィ!」

相手の一閃、横薙ぎはゆらりと体を陽炎のように動かして、回避。
その後の袈裟懸けの一閃は――音を出さずに停止した。
不思議な感覚が有っただろう。低反発素材に触れたかのような、柔らかい力。
反発しないのに、掛けた力の尽くが殺されていくような、繊細な技法。
小太刀で相手のサーベルを受けたジェーンは、相手の力と微小に拮抗する力加減で相手の剣閃の力を逸らし、誘導したのだ。
サーベルを振りぬいた腕の、外側に移動するジェーンは、相手の脇腹に向けて一閃の斬撃を放つ。

当たるにしろ当たらないにしろ、ジェーンは高速の摺り足で距離を取り、相手の出方を待つことだろう。
ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウは、油断をしない。
相手の戦闘力の高さはわかっており、それならば下手に押していくのではなく、相手の技量を完全に見極めることを優先していた。
828 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 00:02:58.27 ID:2QBUQ16/o
>>825
 脚の骨、シャフトに当たる部分は一本のナイフを弾いたが、
 変身後の血管等にあたるチューブには二本のナイフが刺さる。
 この現象が持つ意味は?

「くッ…やはり普通の投擲術じゃないのだな。」
 傷はつくが余裕はまだある。
 白熊が乗ってきたバイクを片手で掴むと融合と再変形を始める。
「ん…あ!くぅ!」ガシャン、ガシンと音を立て再び姿を変える。

「このくらいの装甲があればナイフは避けられるか。」
 再び白熊の方に近づき、しかし動きが悪い。
 重くなったからだろうか、それともほかの理由があるのか脚を引きずっている。

 新しい姿で右腕をまた変形させる。気のせいかさっきより口径がでかい。
「さようなら白熊佐助。」
 気のせいではない、グレネードランチャーと化した腕から弾を撃つ。
829 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 00:05:39.81 ID:2QBUQ16/o
>>826
「ぐ!このような伏兵がいたのか?」
 これはいい反応だろう。
 転送されてきたアテナに咄嗟に反応した。
 とはいえ、攻撃を防ぐだけで精一杯だが。
 大鎚をもってショテルを防ぐ。
830 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/24(日) 00:05:41.24 ID:gKwbOdGXo
>>821
「ハン、そりゃ遠慮無く殴れるってなもんだ」
女にしても、神様にしても。殴るのに躊躇いなんてないのだから。

大剣を取り落とし、大きく背後に吹き飛んだ敵。
そこに追撃をかけるべく、着地するやいなや自らの背後、肩口から緑の粒子を噴出させる。

「いいねぇ、その殺気。俺はいつでもその気だぜ?」

乾いた唇を舌でペロリと舐めて。
腹部に傷をつけてもなんら変わりなく立ち上がる様は流石は人形、と言ったところだろうか。
だがいつまでも持つわけではあるまい。一気に畳み掛けてしまおうと、再びブレードの右腕を前に構える。
そしてこちらも飛び込もうとした瞬間に、場違いなほど無防備な泣き声が届いた。


「な――――ッ!?」


嘘だろう、何故。逃げ損なっていたのか、救護隊は今どこに。
そんな疑問が脳内をグルグルと駆け巡っている。しかし、その中心で重たい存在感を放つものがある。

それは一つのビジョン。

倒壊するビル、逃げ惑う人々、。
空を覆う巨大な異形。
小さな娘の泣き声、母の背中。赤。そして―――

「と……父、さん……」

不意の内に漏れる声。そしてぐ、と堪えるように歯を食いしばり。

「―――止めろよォォオおおおおお!!」

身体の向きを変え、最早身体のバランスなど考えずに、闇雲に風を背から放ちながら。


そして少女と投げ込まれた柳葉刀の間に飛び込むと、大きく手を広げる。
その結果、風に煽られた刃は、義腕の付け根、肩から深々と突き刺さった。

「ぐ、ァ……ッ!」

痛みと殺しきれない勢いで、彼はその場に倒れ伏す。
そして少女を見上げると左手で路地を指さし、掠れた声で逃げろと示した。
831 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/24(日) 00:12:03.35 ID:jNZgEyz2o
>>826
『まぁ何とか生きてるさ・・・兄貴の所のビールで良いか?だけど1って・・・』
2や3もあるのか・・・
兄貴って言うのはバアルの事だ。
アイツは俺達を家族のように接してくれている。
そして、兄貴の所って言うのは円環のメンバーが良く使ってるバーの事だ。
まぁ、拠点がある以上は使わない可能性もあるけどな・・・
何れにせよ、助かったぜ・・・
>>828
「すっげぇやらしい声・・・」
いやいや、んな事考えてる状況じゃねぇ・・・
やっぱり変形したか・・・だが、動きが悪いな・・・
重さか・・・脚を引きずってる・・・効いているのか・・・?
だけど、右腕の口径が大きくなってる様な・・・

「マジかよ・・・!!」
グレネードランチャー・・・
流石にこれは喰らえない・・・!!
俺は全力で走って避ける。
そして走った先はムルムルが送った人形とは逆の方向。
囲うように走れば俺か人形のどちらかを視界から消す事ができる!!

「・・・・・・・・・・・」
そしてもう一度、右手でナイフを投げる。
狙いはやはり奴の足・・・!!引き摺っている足の方だ・・・!!
固そうな奴に色々な場所を狙っても意味が無い・・・!!
だったら、同じ所を狙ってダメージを蓄積させる!!
とは言っても・・・俺は左利きだから、本来より威力は落ちるが・・・
832 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/24(日) 00:21:18.69 ID:eS+MVLdco
>>827
「ほざけ、――――ここで屍を散らすがよい」

マスク越しのくぐもった声が応じる。
その声は気負った様子もなく、威嚇する響きもなく、言動の割にことのほか静かで穏やかであった。
もとより、群れなす戦車と銃火の中に飛び込んでゆくような、そんな部隊を率いた男である。
動じず、心をざわめかせることもなく、敵を屠る事のみに特化された思考によどみはない。
近代戦争にあるまじき近接戦、白兵による密集集団戦で練磨された肉体はすでに人外の域へと達しかけている。
爪先から頭のてっぺんまで張り巡らされた神経は戦闘で高翌揚し、地を蹴る感触ですらこそばゆいほど。
視線一つ、呼吸一つとってもそれは殺しに最適化され尽くしている。
サーベルの柄はしっかりと握り、振り下ろす腕は力まずに。
足の踏み込みと共に、鉄すら断ち割る斬撃を放たんと全身は躍動する。
まさに機械的というよりない緻密極まりない動きである。

小手調べの横一閃は回避された。
ついで間をおかぬ袈裟は老練な技によって動きを止められる。
はなから初撃で取れるとは思っていない。
とはいえ、これは流石に見事な腕前。
感嘆の意を示す代わりに鼻を鳴らす。

相手の勢いは衰えず、むしろ気迫は増すばかり。
肌に痛いほどの濃密な闘気の塊は、久しくで合わなかった強敵の強大さを如実に表している。
思わず舌なめずりをしながら、ヴェルナーの意識は半ば無意識にジェーンのあとを追う。

敵は素早くこちらの横へ移動、そのまま脇腹めがけて繰り出される一撃。
目にも留まらぬ疾さ、こちらの攻撃へ対処したあととは思えぬ動きだった。
斬撃は装甲甲冑を持ってすれば十分に受けられる一撃だが、ヴェルナーはそれを良しとしない。

装甲は強力である。
しかし貫通されないとは限らない。
相手がなんらかの異能を保有する場合、呪的防護程度で防ぎ切れるわけがない。
装備に慢心せず、ヴェルナーは身をよじって静止していた剣先で迎撃に向かわせる。
ジェーンの斬撃が装甲表面を削り、サーベルとかち合って火花を散らす。

そのまま追撃を加えようにも、反撃姿勢を整える前に相手は距離を置いている。
互いに小手調べだ。
相手の技量を測り、推察し、その上で打開策を練る。
833 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 00:21:31.10 ID:tXPOMRkJo
>>830
海悠のとっさの判断により、突然の乱入者に怪我は無い。
少女に向かって逃げろと支持するが、少女に触ったことで分かるだろう。
その少女には体温が無い。
見れば、その瞳も精彩に欠け生きているとは言えないものだった。

「……ふふっ」

阿修羅の方からもう堪えられないと言った具合の噴き出す笑いが聞こえるだろう。
徐々にその笑い声は大きくなっていく。

「あっははははははははっ! あーっダメ! もう笑っちゃうよっ!」

大声を上げて笑う阿修羅に釣られて、海悠の助けた少女も笑い始める。

「ホントにキミはバカだねっ……そんなの放っておけばいいのに自分から刺さりに来ちゃうなんて」

海悠の助けた少女は、徐々に光の粒子となって消えていく。
そう、これはクリオネが作り出したドールだった。

「人を助けて自分が大怪我なんて……ホントギャグだよっ。
 でもこれで私の形勢は不利じゃなくなった。それどころかもうキミは満身創痍じゃないか」

そう言いながら、ゆっくりと海悠に近づいていく。


>>829>>831
「キミの命はビール一杯分の価値しかない訳? 今後私の事はムルムル様って呼んで」

ボルテックスを見ながら数歩後退する。
流石に相手が相手なだけにエリゴスの方を見て心配している余裕はない。

エリゴスとは逆方向から弧を描くようにボルテックスに接近する。
体勢を低くしつつ、正面にショテルをクロスさせながらの突進。
その後、エリゴスが狙った場所と全く同じ、脚の部分をクロスさせたショテルで鋏の様にはさんで切りつけるだろう。
834 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 00:31:42.78 ID:2QBUQ16/o
>>831
 グレネード弾の爆発と爆風がどんどん近づいてくる。
 とはいえアテナのおかげで両手からの乱射という悪夢からは救われる。
「い…いやらしいとか言うな!」
 照れ隠しが悪夢のような攻撃に直結する。左腕からのスラッグ弾の連射だ。
 棒のように突っ立っていれば粉々にされていただろう。

 カン!カン!キン!
 ボルテックスはナイフでは対処できない状態になったようだ。
 ただしこの工場は兵器も製造している施設である。
>>833
 右腕はムルムルに向けられる。
 相手はまっすぐにこちらに向かっている。
 ならばその突進に斜めに入りすれ違いざまのグレネードの一撃を撃つ。
 当たれば洒落にならない事態が待っているはずだ。 
835 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/24(日) 00:35:16.83 ID:mXjmManho
>>832
「――ほう。今の一撃、よく防いだ」

一言、それだけを言って。
女はくっ、と喉からきしんだ笑い声を響かせた。
相手の技量は、異様に高い。少なくとも、並大抵の相手ではないことが分かる。
だからこそ――

「――今のうちに、命を摘んで置かなければな」

己が世界で一番強い生き物になるための障害になると、そう思った。
両手の軍刀が、ざわりと異様な気配を周囲に漏らし始めた。
道を照らす電灯が、不意に火花を散らし始め。途端に機能を停止し始めた。
ぞわりざわりと、異様な空気はジェーンに収束し、ヴェルナーへ一点に集中して向けられる。
俯いた顔、だらりと刀剣をぶら下げるような独特の構えは、死神か亡者の類にしか見えない。

「私の前に立つ者は殺す、私が見た者は殺す、私に近づいた者は殺す、私から逃げる者は殺す。
男は殺す、女は殺す、人間は殺す、化け物は殺す、子供は殺す、青年は殺す、中年は殺す、壮年は殺す、老年は殺す。
殺せるものは殺す、殺せないものも殺す。私は私以外の全てを種類手段場所時間問わず――――殺す」

殺す。
殺意を口にするのは簡単だ。だが、この女の場合は殺意がもはや武器になりかねない。
何があろうと何であろうと、ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウは対象を殺害する為に生きている。
自分以外の全てを殺していけば、いつか自分一人になる。その時が世界で一番強くなった時だ。
だから、自分一人になるために、自分以外を消していこう。いつからだろうか、武を極めていった中でそういった思いを抱くようになったのは。
だが、どうでもいい。迷うのも、過去を見定めるのも――世界最強になる為には不要なこと。だから、捨てる、殺す。

「だから死ね。命令だ。私のために死ね、私の夢のために死ね」

そう言って、ジェーンはその場から姿を消した。
直後、だ。
ヴェルナーの周囲のビルの壁に無数の亀裂が入り、爆散する。
天から降り注いでいくのは、無数のガラスの破片。驟雨のごとくに、重力という燃料を食い荒らして透明の刃は地面に牙を剥く。
ビルの壁を蹴りながら上空に陣取っている白い外套の女が一人、ジェーンだ。

――月を背に、はるか高みから相手を見下ろす女は、不気味そのもの。

そして、相手にもしガラスが命中したならば理解できる。
只のガラスが相手の装甲を貫いてくる≠ニいう事が、だ。
836 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/24(日) 00:37:44.06 ID:gKwbOdGXo
>>833

「何が…おかしい……!」

左腕で上半身を持ち上げ、身体を翻してなんとか阿修羅へ向き直る。
右腕小さくを動かすと、付け根の刃がめり込んで悲鳴を上げる。
それを何とか顔に出さないように堪えているが、恐らくは隠しきれずに伝わっていくことだろう。

「どうした、早く逃げ…・…」

立ち上がる。いつまでも逃げずにいる少女を見る。
何故だか笑い始めたその少女が、自分が守ったはずのその少女が―――


「………え?」

消えた。

分からない。

どういうことだ、これは。

耳には、やたら耳障りな女の笑い声だけが響いている。


「お、おい……教えろよ……。どういうことなんだよ、これは……!?」
「確かに助けたはずだ……、俺はちゃんと助けたはずだろう!?」
「父さんとは違う、俺はちゃんと、この手で―――」

震える声で、まるで助け、救いを求めるかのように。
近づいてくる四ツ腕の能面に、声を投げかける。
837 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/24(日) 00:46:35.58 ID:jNZgEyz2o
>>833
「此処で仲間の命を重んじるなんて俺か兄貴ぐらいさ・・・」
ビール一杯分の価値か・・・
そう考えてる奴も多いかもな・・・
個人主義の多い組織だ・・・
メイザースの下で動いているが、それが終われば俺達は・・・
最も、こんないけ好かない奴に様付けつもりは無いがな・・・
>>834
「げっ・・・」
ナイフがまるで効いてない・・・
流石は変形ロボット・・・もう融合しすぎてナイフが効かない状態になったのか・・・
それにこの工場は兵器を製造している施設でもある・・・
例の新兵器と融合すれば・・・それこそ勝てない・・・!!

「逃げる訳には、いかねぇよな・・・」
俺が続いて両手に召喚したのは二本のククリナイフ・・・
ククリならさっきのナイフよりも威力はある・・・
ムルムルが戦っているんだ。戦える限り、未だ逃げる訳には行かないよな・・・
838 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 00:48:11.46 ID:tXPOMRkJo
>>834
「そうは近づけさせてくれないって訳ねっ!」

右腕をこちらに向けた時点で、何らかの攻撃が来ることは予測できる。
そこで、重い巨体を感じさせない横っ飛びでグレネードの直撃を避ける。
そのまま地面を回転しながら多少横に距離を稼ぐ。

元々少し迂回するように弧を描いてボルテックスに接近していたため、これでボルテックスの斜め後ろを取ることに成功する。
正面に居るエリゴスと挟撃をかければ隙は生まれるか……?

賭けるしかない。
そのままボルテックスの背後から接近し、先ほどと同じく足を狙う。
左手を右の方へ引き、渾身の力での横なぎだ。


>>836
「はぁ? 何言ってんの?
 キミが体を張って守った子供は、おマヌケなことに私の作ったドールだったんだよ」

相も変わらず楽しげな口調で一歩一歩近づいていく。
そこで、ふと阿修羅が歩みを止める。

「分かる? キミがした行為は全くの無意味なの……こんなものを守ってバカだよねぇ」

先ほどの少女の人形をもう一度作りだし、右手で頭を鷲掴みにして持ち上げる。
全く力の入っていない少女の人形は四肢をぶらんとさせていた。

「せっかく守ったものが私の罠で、しかも……」

「助けて……お兄ちゃん……」

なんてちょっとした演技を少女の人形にさせた後

「けーっきょく守れないんだよっ!!」

思いっきりその少女の人形を地面に叩きつけた。
海悠の目の前で全身が砕け散る少女の人形。

その後ろでは楽しげな能面の阿修羅。
839 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 00:48:49.92 ID:tXPOMRkJo
>>837
安価忘れですー>>838
840 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 01:01:41.44 ID:2QBUQ16/o
>>837,>>838
 能力は変形と融合だが変幻自在というわけではない。
 特にチューブは守らないといけない。
 それは血管や神経の代わりを務めている部品だ。
 しかしボルテックスには盾がある。
 融合したのはバイク、つまりカウルが盾になりうる。
 強化プラスチックの装甲と盾で白熊の攻撃を止め、撃つ。
 撃つ!撃つ!撃つ!撃つ!…当たらない。
「ちっ…照準が定まらないな。」
 白熊も手練れだが、二体一の戦いに人形潰しのオマケ付き。
 上手く狙いを定められない。それでも戦わないといけない。

 ボルテックスは白熊を倒すことを優先することにした。
 3.5mに500kgの巨体で大鎚で白熊に襲いかかる。
 受けることは許されない、避けることしかできない重量級の打撃だ。

 しかしそこへムルムルの脚への攻撃が重なる。
 横薙ぎの足払いは彼女を一度でも倒れさせるには十分だ。

 いま、ボルテックスは横に倒れている。
841 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/24(日) 01:03:29.77 ID:eS+MVLdco
>>835
「…………」

紛れもない強敵からの賛辞にヴェルナーはしかし、無言で応じた。
言を交わすより先に、手にした刃をみやる。
ほんのかすかにではあるが中ほどに傷が入っていた。
流石に格がちがう、どれほど頑健であっても量産品である。

「………………摘まれてたまるかよ」

肌が粟立った。
じんわりと侵食するように、うすら寒い異様な雰囲気があたりに充満する。
弾ける電球は意識の埒外だ。
明らかに何かが行使された。そう理解すればこそ、ヴェルナーはそっと周囲に視線を走らせる。
結界? あるいはなんらかの仕掛けか?
徐々にその曖昧な雰囲気が収束していき、それはジェーンから自分めがけて収斂する。
幽鬼、あるいは武を求める亡者。
すでに死人のヴェルナーにとって不定形のモノは恐るに足らないが、眼前のアレはモノがちがう。

「…………戯言を……」

ただ一言ポツリと。
ジェーンの誰にいうでもない意志表明を切って捨てる。
くだらない戯言だ、と。
嫌悪感から出た一言などではなく、本当に価値を感じていない。
そんな、なにも宿さない素っ気ない声である。
そんなモノに意味はなく、価値もない。
心底理解不能なモノを目の当たりにした時のように、ヴェルナーは片眉を釣り上げるのみ。
それとて鉄面に覆い隠され、判然としない。

「遠慮させてもらおう。貴様が一人で[ピーーー]、わたしは御免蒙る。夢を所望するなら永眠して楽しむがいいさ」

ジェーンの姿が書き消える。
まず警戒すべくは接近。周囲に敵影及び気配なし。
ビルの壁面が爆散する。
見上げるまでもなく、大量のガラス片とコンクリの塊が頭上へ飛び散っていた。
その合間を縫うように登って行くジェーンをチラリとみやり、ヴェルナーは先ほど周囲に充満していた寒気に意識をはせる。

あのように殺しに特化した女が無駄をするとは思えない。
とすれば、何かの布石のはず。

ざわざわと首筋が何事かを訴えかける中、ヴェルナーは意識を介さずして、手頃なビルへと弾丸よろしく突撃する。
壁面に亀裂があろうと、倒壊させられる道理はない。どだいそんな事をするなら最初からそうしているだろう。

ビルの屋内へ飛び込もうとした肩に鋭い激痛。
顔をしかめもせずにそこに目をやると、装甲を貫通してガラス片が突き刺さっている。
何事かを判ずるまもなく、脇腹にも1本。
そして足をかすめる痛みが一度。

ビルに転がり込む。
そのまま膝立ちにしてガラス片を引き抜く。

「…………なるほどな」

装甲に傷などない。
どだいガラス片が貫通できるものでもなし、となれば物理的に通されたのではない。
装甲を無視された。
つまりはそういうことか。
842 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/24(日) 01:08:17.83 ID:gKwbOdGXo
>>838

「…………」

言葉も出ない。これではまるで道化だ。
自分の中の葛藤とか、過去とか、そういったものを乗り越えられたはずだったのに。
全部、敵の掌の上で踊ってみせたようなものではないか。

「く……」

やめろ、そんな物を俺に見せるな。
頼むから、『助けて』なんて言わないでくれ。

偽物の少女が叩きつけられる瞬間、耐え切れずにサングラスの奥の瞳を閉ざす。
それでも自分にはっきりと伝わる、少女の死。

しかしそれが偽物だというのなら。

「じゃあ、俺は……何を信じればいいんだよ……」

無防備に立ち尽くす。動けないままだ。
843 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/24(日) 01:14:25.18 ID:jNZgEyz2o
>>840
「どうした・・・?当たってないぜ・・・」
撃ってくるが、当ててこない・・・
照準が合わなくなってきたのか・・・?
だが、それでも俺を狙ってくる・・・
大槌・・・さすがに当たれないな・・・
俺は後ろへ、奴に視界を残しながら、走って避ける。
そして体を回転させ、再び構える。

「横に倒れている・・・ムルムルがやったのか・・・?」
脚払いか・・・さすがだ・・・だが、元々ボルテックスは俺個人の敵だった・・・
まさか後輩に助けられるとはな・・・

「・・・・・・・・・」
俺はククリナイフを投げ付ける。
狙いは傷ついた脚・・・
倒れているからと言って、また立ち上がられたら話にならないからな・・・
844 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/24(日) 01:16:41.59 ID:mXjmManho
>>841
ヴェルナーが、ビルの中に飛び込み、ガラス片を引きぬいた数瞬後だ。
唐突、ヴェルナーの居る階層の天井が尽く崩壊し、崩落していくのだ。
瓦礫の雨は、数にして天井3つ分。飛び上がったジェーンは、床を切断しながら下まで降りてきているのだ。
それらの瓦礫も、またヴェルナーの装甲を無視して、その威力を発揮し、衝撃を与えることだろう。
ヴェルナーの装備の強みであるだろう装甲、それが尽く潰されている。これが、ジェーンの力なのだろうか。

「――そろそろ、か。
止めを刺せるかは怪しいが――、もう少し戦っておこう。少なくとも、命令が降りるまでは、な」

瓦礫の雨の向こうで、女の声が響く。
異様なまでに落ち着いた、純然たる殺意を背負う存在感。
だが、まだ全てを出し切っている気配はなく、底知れない威圧感を放っている。
メイザースが己の武威や実力をひた隠しにするタイプであれば、ジェーンは実力を発揮する事を躊躇わないタイプの人間だ。
だが、今の時点での発揮ぶりでもまだ底が見えていない。
この女の本気は、何処に有るのだろう。

「……餌の時間だ。骨喰」

一言そう小さく呟き、女は瓦礫の奥で構えを取った。
小太刀を肩に構え、大太刀を前に突き出す先ほどと真逆のそれ。
深く息を吸い、未だに降り注ぐ瓦礫の雨の中で、女は相手に直線的な殺意を向け、意識を惹きつけようとしていた。
845 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 01:23:03.64 ID:2QBUQ16/o
>>843
ガキン!ガチャン!ギゴガガギ…キン!
チリリリリリリ、シャコン!シュルル…シュルル!

さまざまな金属音が鳴り響き白熊のバイクも戻ってきた。
鉄の巨人は大型バイクに乗った女性に戻る。
そしてボルテックスは防衛対象である工場に向かって走る。

ここは工場。それも最新鋭の戦闘機を作っている工場だ。
許可はないが、非常時の行動としては悪くない。
彼女はレオナルド・ダ・ヴィンチを落とせる兵器を取り込むつもりだ。

点々と血痕を残しながら工場へ向かう。

846 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 01:23:31.02 ID:tXPOMRkJo
>>840>>843
そろそろクリオネ本体の魔力も尽きる。
いい加減に決めなくては……

破壊工作は進んでいるには進んでいるが、如何せん戦闘に魔力を割きすぎて予定よりもだいぶ遅れている。
この場で決めなくては工場の完全破壊は無理だ。

「じゃあもう気は済んだでしょ? いい加減に死んでよね」

右手で持つショテルをボルテックスの首へと振り下ろす。

>>842
「何を信じるかって? この世で自分以外信じるものなんてあるわけないじゃん」

一歩……海悠に近づく。
このまま手に持つ剣で首をはねて終わりだ。
そう思い、右手を軽く上げたその時。

「くっ……」

ぴくっと動きが止まり、左手でお腹の傷を軽く抑えている。
見れば、お腹の傷から少しだけだが光の粒子が出ていることが分かるだろう。

流石に阿修羅を出しながらアテナで救援に向かったのは失敗だったかもしれない……
847 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 01:24:42.16 ID:tXPOMRkJo
>>846
>>840>>843宛ては無しで良いです。
848 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 01:29:52.19 ID:2QBUQ16/o
>>843,>>846
 人の力で金属の塊を断つのは困難だろう。
「ぐッ!」
 傷つけられながらもロボットは這いつくばって逃げる。
 そしてそのロボットは、息切れしながらバイクに乗った女性に変形を解いて戻る。
「面白い事を思いついた。新兵器の性能は、お前たちで試そうと思う。」
 ハヤブサのエンジン音が鳴り響き、ボルテックスは護衛対象の工場へ向かった。
849 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 01:33:10.95 ID:2QBUQ16/o
>>847
// ありでも大丈夫ですよ。
850 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 01:35:43.74 ID:tXPOMRkJo
>>848
「まずい……っ。あの建物には製造中の戦闘機がある。
 もし、あいつの能力が融合であれば……」

やらせるわけには行かないと、魔力の切れかかったアテナはその後を追う。
未完成品とは言え融合されればろくなことにならない
851 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/24(日) 01:36:56.77 ID:jNZgEyz2o
>>845>>848
「しまった・・・!!」
分離を始め、ボルテックスは工場へと走っていった・・・
俺のバイクじゃアイツには追いつかない・・・
奴の目的は工場の新兵器・・・
それと融合するつもりだ・・・!!

「チッ・・・」
今の俺じゃ奴には勝てない・・・!!
だが、これで諦めた訳じゃない・・・

「あたれぇ!!」
俺はもう一本、残ったククリナイフを投げる。
狙いは奴の背中・・・ただ投げただけじゃ届かないだろう・・・
俺はナイフに魔術を吹き込む。
魔術の吹き込まれたナイフは真直ぐと、伸びるようにボルテックスの背中を追いかける・・・
これなら逃げられても届く筈だ・・・!!
852 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/24(日) 01:40:33.96 ID:eS+MVLdco
>>844
崩落した天井が落ち着いた頃になって、がれきの海から何かがこすれる音がした。

「つくづく狂ってるな……」

もうもうと立ち込める煙の中、嘲るような声が響く。
じゅっと音がして、闇の中にほのかな明かりが浮かび上がる。
ヴェルナー・シンクレールは粉塵まみれの中、愉快そうな笑顔を貼り付けて煙草を銜えていた。

余裕綽々といった様子である。
すでにヘルメットと鉄面そのものは取り外されーー否、彼の足元でひしゃげている。
装甲を無視したがれきの雨であったが、それをしのいだのは装甲ではなく彼の拳。
正確にいえばそこにある魔具であり、それが生じさせる高温の火焔、そしてそれなり以上の幸運である。

無論のこと無傷ではない。
爆発させるようにして『焔拳』で致命的な瓦礫を溶解させ軌道をそらしたとて限度はあり、頭部からは血が流れている。
肋骨が何本かへし折れて内臓へ突き刺さり、肋骨は一部粉砕、肩の骨は外れている。

しかしそれでも、ヴェルナー・シンクレール『中佐』は愉快そうに笑っていた。

彼にとって……彼ら第131機甲歩兵大隊の隊員にとって窮地とはすなわち愉悦にすぎない。
困難な状況を打開し戦場を駆け巡るかれら猟犬にとって、装甲甲冑とはその獣性を抑え込み、そして血肉を食らう楔にすぎない。

骨が砕けようと、肉を断たれようと。肺腑を抉られ臓物をかき回されようと、足を止めることはない。
力付き朽ち果てるまで。
甲冑などという容器で獣性を抑え込み、抗い難い死へ突撃して行く狂犬。

そもそも初期の甲冑はなんの機能もないガラクタにすぎなかった。
彼は、ヴェルナーはその時から、この甲冑と共に戦い続けている。
弾を防げもせず、補助機能もなく重いだけだった相棒と共に。

サーベルは幾分か刃こぼれしていたが、また十全に戦える。

ヴェルナーが立つ。
すでにこの世を去った戦友たちの亡霊を従えて。
揺らめく鬼火、闇の中で陰影を深く刻み込んだ鎧たちが、地獄へとジェーンを招こうとしている。
853 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/24(日) 01:42:40.12 ID:gKwbOdGXo
>>846

「そうか・・…そうだったな」

自分以外に信じられるものはない。クリオネはそう言った。
だが、海悠には違って聞こえた。

少なくとも、自分だけは信じられる。信じなくてはいけないのだ。
自分のしたことがどんな結果を生んだとしても、自分が自分を信じられずにどうする。

阿修羅が近づいて来るのが分かる。
こいつが敵だということも分かる。

ならば自分はどうするべきか。
「分かっているさ」

目の前で阿修羅が、腹部を押さえている。粒子が出ているのは、魔力の枯渇だろうか。

「だったら、この機を逃す手はない、よな……!」
最早素早くは動けないが、今は幸いにも敵のほうから近づいてきてくれている。
自分はただ左手を伸ばし、そこで粒子を操ればいい。

纏う粒子は緑色。敵の腹部の裂傷に向け、左の拳が竜巻を纏って放たれた。
854 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/24(日) 01:51:35.40 ID:mXjmManho
>>852
「――やれやれ、そんなに私を楽しませたいか。
剣を抜かせた時点で大分本気なんだがな。
……業≠使うことになるかと思うと、正直苛ついているよ」

立つヴェルナーの気配を感じて、にたりと笑む。
本来、笑いとは攻撃的なもの。そして、ジェーンは平時は笑わない、決して。
眉一つ動かさない鉄面皮の女が笑うという事自体が、異様とも言える事態。
女は肩に担いだ小太刀を持つ手に力を入れ、魔力を込めながら遠距離から振りぬいた。

「魔剣骨喰――――牙剣飛翔」

衝撃波を放つことが出切るのが、骨喰の持つ特殊効果の一つ。
その衝撃波を応用し、剣圧を圧縮する砲塔として衝撃波を発生。
圧縮された剣圧は、一発の不可視の弾丸と化して、空を駆ける。
威力は絶大、速度は超絶。だがしかし、単発のその一撃を回避するのは、今のヴェルナーには難しいものではない。

だが、その全力の剣弾を放った直後、逆に左の魔剣――一振を肩に担いだジェーンが見える筈だ。
犬歯をむき出しに、煌々と蒼い瞳を輝かせ、一振に膨大な量の魔力を込めていく、ジェーン。
何が来るのかは分からない。だが――これは、間違いなく、コレまでの非常識な練度の攻撃の中でも格の違うもの。

「魔剣一振――――――」

構えを取り、ヴェルナーを見据えながら、ジェーンは気を高めていく。
剣弾で殺されてくれるなよ、ここまでたどり着いてくれと、逆に祈るような気概すらも感じられた。
この女の本質もまた、獣。
855 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 01:53:10.36 ID:tXPOMRkJo
>>853
(まずいっ……操作が間に合わないっ!)

そこらの雑魚とは違う実力者相手に、2か所同時に戦闘を行っていたことでクリオネの処理能力は限界に達していた。
今までは何とか小細工で隠していたが、ここにきて魔力の枯渇。
クリオネの脳内では、魔力枯渇に対する処理と海悠の攻撃に対する処理を同時に行うことはもうできなかった。

「―――しまっ!」

直撃。
海悠の放った竜巻の拳は、阿修羅を後方まで吹き飛ばし、さらにその風の本流は阿修羅の傷口から素体の中へ入り込み内部からも破壊する。
外部からの攻撃には強く作ってあるが、内部からの攻撃は想定していない。
素体全体に所どころ穴が空き、立て膝をつくので精一杯の様子だ。

「ふざけないでっ! 私がっ、あんたなんかに……っ!」

能面の亀裂はさらに広がり、全体にまで及んでいる。

「う゛あああああああああああっ!」

背中からさらに二本、腕が生え計六本の腕を持って海悠に突進する。
武器は無い。おそらく掴みかかりか何かしらの攻撃を行うようだが、突進速度は先ほどに比べると非常に遅い。
856 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 01:54:02.00 ID:2QBUQ16/o
>>850
「これも罠なんだけれどね。
 かかれ、かかれ。引っかかれ。」

- まて!此処から先は立入禁止だ! -

 工員達の声も無視して工場の奥へ進む。

>>851
 その手は悪手だった。
 ハヤブサの加速性能は世界一とはいえないが最高速の312km/hは伊達ではない。
 ギネスブックに載るバイク。ゼロヨンでは9.97秒で最高速にのるモンスターマシンだ。
 異能を帯びた白熊のククリナイフもそうそう追いつけない。
 工房内についてからブレーキをかけると背中に白熊のククリを受ける。
「痛ッ!こんな能力も持っていたのか。
 でも、今回の闘争はわたしの勝ちだな。」
 ボルテックスは工房内にある対円環の楽園の戦闘機をトレースする。
 あとは部品だ。脚と背中の傷を引きずって、他の工房へ向かう。

 材料があればその最新の秘密兵器は再現できる。
 ボルテックスは他の戦闘機の工房へ移動し始める。
857 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 02:00:13.14 ID:tXPOMRkJo
>>856
「くっ……流石に追いつけない」

アテナのスピードは速いが、ボルテックスが工場に入ることを止めることはできなかった。
これ以上好きにさせる訳にはいかないと、ボルテックスに続いて工場へと入る。
858 :白熊 佐助 No.15エリゴス[saga]:2013/02/24(日) 02:01:44.99 ID:jNZgEyz2o
>>856
「なんて奴だ・・・」
逃げられた・・・
次に会う時は奴は戦闘機となっているだろう・・・
奴は俺個人の敵ではなく、組織の敵となる・・・
何時かは潰さないとな・・・

「ボルテックス!!敢えて言うぞ!!憶えておけ!!」
聴こえてるか解らないが、俺は叫ぶ。
俺の前で組織の敵となり得る行動や言動をやってみせたんだ。
野放しにしとく訳にはいかない・・・
俺はそれを叫んだ後、レオナルド・ダ・ヴィンチへと帰還した。

//お先に失礼します。
859 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 02:03:31.36 ID:tXPOMRkJo
>>858
//お疲れ様でしたー
860 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/24(日) 02:06:58.20 ID:eS+MVLdco
>>854
「女性を楽しませるのは本望だが、君相手となると名誉なのかどうか」

煙草を指先で弄び、燃え殻を落とす。
そして吸いかけのそれを地面へ捨てて踏み消すと、立っていた大きな板状の瓦礫から降りる。
瓦礫は足場として不安定だった。
降りた先は粉塵まみれの地面。そこに転がる鉄面を蹴ってどけると、自分のサーベルを見やる。

まだ持つだろう。相手がなんであれ、あと3、4打はなんとかなるはず。
そして身体。いくつか内臓が止まっているが、そもそも自分は死人である。
常人よりはよほど頑丈なのだ。

獰猛な笑みを浮かべるジェーンを前にして、ヴェルナーは至って平常通りだった。
もとより特別なアイテムなどまともに持ち合わせていない。
装甲甲冑といくつかの愛用品のみであり、ジェーンのように何かしらの秘儀もないと言える。

状況は圧倒的に不利。
彼女が溜め込んでいる一撃をなんとかするにせよ、その次をどうするかが焦点。
対してこちらの武装はサーベルとクラップ・シュパーテン、そしてマウザーM712マシンピストルのみ。

なんともお笑い種だだったが、悲観はしていない。
即応できるように、深呼吸。
剣を構え、体を半身にしてつま先に意識を向ける。

闘気は十分。
針よりもさらに細く鍛錬された意識が、ジェーンへと収斂する。
861 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 02:09:47.38 ID:2QBUQ16/o
>>857
 あくまで依頼された任務は新兵器の護衛でトレースではない。
 トレースは保険だ。

工場の最初のブロックにボルテックスらしい金属の異形はいた。
「保険はとったよ。それに本物の秘密兵器も無事。
 戦闘機だったのだね。なかなか意外な落ちがついたよ。」

 恐らくボルテックスだろう。
 機械で出来た人型はアテナに右手を向けて機銃を連射する。
 秒間で何発だろう。というより何十発、何百発なのか。
 情けも容赦もない徹甲弾の連射がアテナを襲う。

>>858
「わたしはお前の顔も声も姿勢もなにもかも覚えたぞ。」
 そう言って工場へと向かったのだ。
862 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/24(日) 02:16:48.67 ID:gKwbOdGXo
>>855

「本当だぜ。今の俺なんかにやられるなんて」

そもそも腕を追加させてみせた時点で、ある意味勝負は決していたのだ。
そして、その後の自分を失った状態ですら、敵は自分にとどめを刺さなかった。
彼女は楽しんでいたのだろうか、あの状況を。

「とにかく、俺もオメーもまだまだ未熟者ってことだ。だからよ」

六本に増えた腕で飛びかかってくる。あれじゃあ蜘蛛だな、と思うがそれは脳内に留め。
突進してくる阿修羅の六本の腕のうちひとつ目掛けて、柳葉刀を投げつける。
それは、先程まで右肩に刺さっていたものだ。強引に抜き取り、返すと言わんばかりに投擲した。

「再戦希望だ!互いに強くなって、またやろうぜ!」
言い放ち、苦痛を堪えた表情で。

続く動きで右拳を開いてみせると、彼の周囲の空気が緑と赤の粒子に満ちる。
この戦いの中で放出してきた魔力を再度操り、一箇所へ凝縮させているのだ。
そしてそれらは更に濃く集まり、掌の中へ収まって。

「俺はAMSWATの海悠・アゲート。お前は!?」

エネルギーの塊であるそれを義腕の先に球体で留めながら、海悠は最後の力で吶喊する。
それを阿修羅の顔面、既に罅割れ崩れそうな能面へと叩きつけるために。
863 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/24(日) 02:21:49.49 ID:mXjmManho
>>860
は、と静かに息を吐く。
今の剣弾を避ける時点で、並大抵の実力ではないことは分かっている。
だから、見せてやろう。自分の本気の――一端を。
体を限界まで捻り、全身に気力を巡らせ、そしてジェーンは地面を蹴った。

「――――乱牙之顎」

地面を擦り上げるような、地面を舐めるような低い姿勢からの、切り上げ。
膨大な魔力と共に振りぬかれるその斬撃は、地面の全てを弾丸へと作り変える。
振り上げた時点で、無数の瓦礫の欠片が弾丸となった。振り上げた状態で、既にジェーンは空中に位置して。
空中でジェーンはいつの間にか両手で大太刀を握り、振りかぶる体勢へと変わっていた。

守りを捨て去った、完全攻撃の業。
二刀の強みは防御であるが、こと攻撃については一刀の方が当然強い。
手数では劣っても、一撃の威力には二刀と一刀には限りなく遠い隔たりが存在しているのだ。

故に、ジェーンが刀を両手で握ったという事は、本気の斬撃を放つという事と同義。
地上からは瓦礫の牙が。それを防ぐならば、空中からより恐ろしきジェーンの一閃という牙が襲い来る。
広範囲殲滅、逃げ場を奪う下顎の一撃。
一点集中、一撃必殺の上顎の一撃。
単純ながらも、それらを全力で行えば十二分以上の必殺技となる。
空中で静止しているかのような一瞬の間を於いて――張り詰めた糸は、切れた。

「キィィィイィィイイェァ――――――――――――ァィィィッッャヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!」

空間をびりびりと震わせる、裂帛の気合。
世界を引き裂かんかと思われる金切り声を響かせて、鬼気迫る一閃が、空から――奔る。
864 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 02:30:22.89 ID:tXPOMRkJo
>>861
「間に合わなかった……!」

ボルテックスが戦闘機と融合する。
これにより、戦闘機を破壊しても蘇生される可能性がある。

「くうぅ……」

両手を前にだして、腕やショテルで防御しようとするも、すさまじいまでの機銃には防御策は無くその体に穴を開けていく。
最新型の重火力の戦闘機なのだ、流石にアテナ一体ではどうしようもない……

「ふざけてっ……」

一歩、また一歩と後退していくアテナ。
クリオネの持つ実用的な戦力で2番目の強さを誇るアテナ。
それが手も足も出せずにこうもやられるとは……っ!

「でもねっ……! キミは私たちの相手をし過ぎたよ。目的は達成されたからね……ここは引くとするよ」

そういうと、アテナの眼から光が消え、防御姿勢を解除した。
全ての銃弾を一身に受け、至る所から光の粒子が漏れ出す。
やがて、その姿を保てなくなりあたかも初めからその場に居なかったかのように姿を消した。

>>862
「うっさい! いちいち身を挺して他人を守るような……そんなんで死んで何になるのさっ!!」

その叫びはまさに心からの叫びだった。
嘘偽りのないクリオネの本心。

「――――っ!!」

海悠の投げた柳葉刀が右腕に当たり、6本の腕が5本へ。
さらにその衝撃で体制が崩れ、追撃の一撃を回避することが出来なかった。

割れる能面。
その奥には、無機質なのっぺらぼうと、赤く光る2つの瞳があった。

仰向けに倒れこむ阿修羅。
もはや立ち上がる事は出来ない。

「言い訳はしない……油断して負けたのは事実だからね、今日はこれで勘弁してあげる。
 ……クリオネ……、キミを殺すのは、円環の楽園の一柱ムルムルことクリオネだからね。その時まで待ってなさい……」

そう言って徐々にその姿が崩壊していく阿修羅。
もはや体を保っている力すらなかった。
865 :Ring of Utopia:Another operation【ドールマスター襲撃】[!nasu_res saga]:2013/02/24(日) 02:32:38.53 ID:tXPOMRkJo
>>ALL
徐々に兵器工場を破壊していくドールの軍勢。
多勢に無勢……計画開始当初は、工場の完全破壊が出来るかと思われていたが……

「くっ……! そろそろまずい……」

一部の者たちが予想以上にドールを破壊し、そのおかげで予定よりも大分時間がかかっている。
さらには阿修羅とアテナすら破壊されたというイレギュラー。
クリオネの消耗は増大していき、これ以上術を続けていくことは困難と言える。

兵器工場の奥で、一つの爆発が起こる。
それは、一つの機械を木端微塵にするには十分な物だ。

「工場の破壊率は大体3〜4割程度。
 まぁ……完成品を破壊出来ただけで今回の成果としては十分か」

先ほど爆発を起こした建物にあったのは、最新型の戦闘機の完成品。
高機動、重火力を両立させ円環の拠点である"飛船レオナルド・ダ・ヴィンチ"を攻略するために作られていた物である。

今回の作戦は、円環に対して即座に脅威になりえるあの戦闘機を破壊することが最も大きい目的であった。
可能であれば、組み立て中の戦闘機や、他の細かな兵器や戦艦なども破壊したかったが、予想外の抵抗にそれは叶わず……

クリオネ的には第一目標が破壊出来たので、とりあえず半分成功として撤収の準備を始める。
徐々に術を縮小させていき、摩天楼から離れた場所に居るドールから次々と姿を消していく。

それまで大暴れしていたドールが、突如として動きを止めて光の粒子となって行く。
ドールと戦っていた者は、これ以上攻撃にさらされることは無いだろう。

徐々に摩天楼の頂きで渦巻いていた魔力光も小さくなっていき、やがてその姿を完全に消した。
クリオネは、円環のメンバーに向けて最後のメッセージを飛ばす。

『壁役ご苦労様。キミたちのおかげで私は安全な所から楽しめたよ。また私の駒役で動いてね、それじゃあ後は逃げるなり死ぬなりしていいから……じゃあね』

明るい声で、協力者にとんでもない言葉をかけるも、そろそろクリオネの方も限界の様でその場に膝をつく。

「はぁ……はぁ……
 何これすっごいキツイ…………二度とやらない」

そんな言葉を吐いて、意識の途切れる最後の最後で"飛船レオナルド・ダ・ヴィンチ"への転送を念じてその場から姿を消すのだった。

//これより撤退可能です
//イベントはこれで終了という事で、皆さまこんな時間までお付き合いくださりありがとうございました。
866 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/24(日) 02:39:46.88 ID:imVnnPHKo
>>863
つくづく因果な一日だと、ジェーンを見つめながら自嘲する。
剣弾の鋭い一撃を紙一重で回避し切ったヴェルナーはサーベルを右に構えたまま、左手でマシンピストルを引き抜く。

狙いなどどうだっていい。
相手は空中にいて距離も近いのだから。どうせなら使い切ってやろうという程度の話である。当たったならそれは神様の思し召しに違いない。
一瞬と間をおかずに10発が弾切れし、それをゴミ同然に投げ捨てた。
迫る石の弾幕。回避は当然間に合わない。
そもそも回避したところでどうなるものでもなし、ジェーンの餌食になりかねないだろう。

「ったく………………脚部強化ァァァァァアアアッ!」

甲冑により増強されていた脚部に魔翌力が集中する。
激痛、限界を無視した強化に足が軋んだ。
だからどうした、わたしは未だに生きている。
生き残ってこそだ、何もかも。
こんなところで死んでやるのは御免蒙る。

無理な強化で骨にヒビが入ったのがわかった。
つま先を足元の瓦礫へ引っ掛け、渾身の力を込めて蹴り上げる。

破断する音、筋肉が逝った。損壊は不明。
砕ける音、無理な強化で骨が粉砕された。

跳ね上がった瓦礫が、足と引き換えに石弾の大部分を弾き飛ばして何処かへと飛んでゆく。
致命的な損壊を受けて機能を停止させた足が地面へつく。
重心は健在な足へ預け、こみ上げる激痛を奥歯を噛んで抑え込む。

死がすぐそこに存在している。
すぐ頭上、こちらへと太刀を振り下ろしながら落下してくる。
迎撃にはいささか心もとないとはいえ、クラップ・シュパーテンに持ち替える余裕などなく。

サーベルを振るう。
『焔拳』の詠唱と共に、最後の魔翌力をすべて注ぎ込んで。
いままでともに歩いてきた愛剣を信じて、焔をまとい文字通り炎上しているそれを、ジェーンの刀と交錯するようにして振り抜いた。
867 :ボルテックス (ライダースーツと強化FPSのプロテクター) 主に機械を操る能力 - 工場防衛側 -2013/02/24(日) 02:40:14.52 ID:2QBUQ16/o
>>864
 目的を達した?
 新兵器の破壊が目的ではなかったのか。
 まあいい、任務は達成した。報奨金も出るだろう。
「考えるのは誰かに任せればいい。
 わたしは新兵器破壊を阻止したし、その意味も失わせた。」
 これで良しとするしかないだろう。
「さて…」

>>865
「さて…あの人形を潰して行けばいいのか?」
 金属音を鳴らしながら新兵器に変形して工場からでる。
 ここからはすでにボルテックスの一人舞台だ。
 人形は機銃掃射を受ける。

// お疲れ様でした。良いイベントに感謝します。
868 :【至高の四柱アスモダイ】ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ[saga]:2013/02/24(日) 02:50:39.90 ID:mXjmManho
>>866
「ギィィィエァアアアアアアアアアアアアア――――――――――――――――――ァアアアアッ!!」

一閃が交錯。
刃と刃が喰い合って、直後、軌道が僅かに逸れる。
相手の足場が崩れ、それによって状況が変化した。
要するに――ジェーンの刃と拮抗していた剣の軌道がずれて、ジェーンの一閃がすり抜けた。
ごうん、と衝撃音が響き渡り、ヴェルナーの周囲の瓦礫の全てが粉微塵と化した。

「…………ッ」

ぼたり。
何か液体の溢れるような音がして、ざわりと人影が瓦礫の向こうで動き出した。
右頬に深々と傷を刻まれ、また肩の骨が露出し、浅く骨にも一閃入っている傷。
先程までの異様な防御力が無かったかのような、まるで防御力が存在しないかのような<_メージを負っている女。
頬の血を手で拭い、ぺろりと舌で舐めて。胡乱な瞳をヴェルナーに向けて、ゆらりと立って口を動かす。

「ッッハ……ッ、ッハ……!
 ッハハハハハッハハハハハハッハハハハハハハハッハアアハハハハハハハハハハッハハハッハハハハハッハハハハハハハハハハ――――ッ!!」

己にここまで傷死ねを付け死ねたもの死ねは久し死ねぶりだ。
だから、滾死ねる。殺意死ねが湧く、死ね殺したくてたまらない、その命死ねを死ね摘死ねみ取りた死ねくてたまらない。
刈り取り死ねたい、終死ねわらせたい。私以外に強者は必要ない、私に勝てる人間は要らない、必要な死ねい死ね。

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

笑いは、唐突に止まる。
異様なまでの無表情、能面のようなそれ。
吹き出す鮮血と相まって、凄絶で壮絶な立ち姿の女は、踵を返して歩き出す。

「――次は殺す」

一歩踏み出せば、ジェーンはそこには居なかった。
風が吹く。一陣の風が。
……戦闘は、終了した。勝敗は、どちらの軍配が上がるのだろう……。
869 :海悠・アゲート[sage saga]:2013/02/24(日) 02:51:00.16 ID:gKwbOdGXo
>>864

「そんなことはまだ分からねえよ、けどな。
 いつかはそれを見つけるさ。それまでは保留だ」


「仮面の下もやっぱり不気味じゃねーか……」
倒れる阿修羅を飛び越え着地すると、肩で息をしながらそれを見下ろす。

「クリオネ。オーケー覚えた。
 次に会う時も戦場だぜ」

言って、阿修羅が消えていくのを見届けると。

「ったく、マジで未熟すぎんぜ……」
背中の傷を撫でながら、AMSWATの本部へと向かっていった。

>>865
/お疲れ様でしたー!
870 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/24(日) 03:00:20.20 ID:imVnnPHKo
>>868
「ぬぅぅあぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!」

刃が触れ合う。
衝撃、轟音。世界が揺れ、ヴェルナーは弾き飛ばされた。

ごうんごうんとひどい耳鳴りがしてる。
地面にうつ伏せになっていた身体を起こそうとすると、左肩から先の感覚がない。
切り落とされたかとそちらを見やれば、袈裟懸けに浴びせられた斬撃が胸筋を引き裂いているのが理解できた。

重傷だ。
しかしまだ死なない。
この程度で[ピーーー]るわけがない。

哄笑するジェーンの声に視線を向け、最悪の場合を想定してサーベルを構える。
火焔をまとわせたせいで刃は黒焦げ、衝撃で中ほどからへし折れていた。

憎悪を叩きつけられるような、罵倒を浴びせられる。
ヴェルナーはどうやら無傷では済まなかったらしい相手の様子を見聞し、ジェーンの断ち去り際に一言。

「二度と会いたくない、もうこないでくれ」

ひどく迷惑そうに、ぼそりとつぶやくのだった。・

/おつかれさまでしたーグダグダで申し訳ない
871 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/24(日) 22:26:32.55 ID:saie7LzFo
震えるような獣の遠吠えが、しんと静まり返った夜の静寂を揺らす。

「なんだか不吉な夜ね……って、いてて」

金色に輝く月光を浴びて、暗闇の中で少女が呟いた。闇に紛れているためか、その表情は窺えない。

[……まだ、痛む?]

同じように闇に紛れ、もう一方の少女が問いかける。
その声の端から漏れた不安。もし彼女たちの会話に耳を傾けるものが居たなら、きっとそれは筒抜けだろう。

「平気よ。だから、警戒を怠らないで」

明るい調子でそう言い放った少女の言葉が強がりでしかないことも、きっと。

[……まだ夜明けまでにはずいぶん時間があるわね]

少女たちの長い夜。夜明けが訪れるのは、まだ先のこと。
872 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/24(日) 22:37:20.38 ID:KyGZpF/oo
「っ....なんだかんだで、いつも傷は増えるな...」

夜の公園は静寂に満ちている
視界の端に落ちる小石の音でも確実に捉えれる程の停止
耳を満たすのは、時々吹き始める強めの風
電灯の光が発する電気音だ
時間帯も時間帯だ
周りには誰もおらず、孤独が逆に苦しく感じるような場所だ
ただ一人、灯りの下のベンチに座る人物がいる場所を除いては

そこにいたのは「黒」そして「紫」という印象を与える少年
無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

「...傷は増える一方、あんまり活躍はできない上に怪我ばかり...
こりゃ、鍛えないと...痛っ....」

服をたくし上げ、その引き締まった細い筋肉質の胴体
そこに巻かれた所々赤く染みている包帯を突きつつ
痛みであろう苦悶の表情を見せる彼の姿
傷は幾つか、複数存在し痛々しく見える

間違いなく、時間帯と場所とは釣り合わない
不思議な光景に見えないことはない
873 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/24(日) 23:10:53.14 ID:saie7LzFo
>>872
風の音に紛れて響く、2つの足音。なおも静寂に包まれた夜の公園。

「いったぁーい!あのバカ犬、いきなり襲い掛かってくるなんて!」

そんな暗闇の中で、苛立ちを纏った少女の声がのん気に響いた。

[……姉さん、静かに。誰か居るわ]

電灯に照らされたベンチの下。そこに居座る影を、少女の片割れが鋭い警戒の視線で捉えた。

「なによ。もしかして、また追っ手なの?」

どこか冷たく暗い印象を与える人影を前にして、姉妹を一気に警戒を強める。
そんな少女たちに相対して、彼の人影は何を思うだろうか。

/>>871は取り消しでお願いしますー
874 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/24(日) 23:22:54.54 ID:KyGZpF/oo
>>873
「傷口はさほど、ただ出血が....ん?」

ふと、先程まで自身の鼓動ですら感じ取れる程の静寂が崩れる
この場に似合わぬ、女性の声が聞こえてきたのだ
視線の先の2人の少女
双子に見えるその少女へ顔を上げて焦点を合わして存在を確認する

「......こんばんは、お嬢さん方」

目があってしまって無視もできまい
それにこういう場合には挨拶をするのが普通だと思う
ちょっと前まで寡黙、冷徹だった彼も
知る人が見れば随分丸くなったと言うのは別の話

だが、彼の挨拶が彼女にどう思われるか
まるで「...待ってましたよ」と続けて言う彼女の言う追っ手に
彼の黒基調の服装がそう連想するかもしれない

「......っ!」

と、今頃気付いたのかたくし上げてた服を思い切り降ろす
晒していた引き締まった細い筋肉質の腹部や胸部を隠したのだ
恥ずかしかったのか焦って隠す彼は追っ手...なのか?
875 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/24(日) 23:38:41.60 ID:saie7LzFo
>>874
ほんの数瞬、見つめあった3者。彼らの時が動かしたのは、たくし上げられた服を思い切り下ろすその動作。

[……]

少女たちからすれば、その動きは武具を取り出そうとしているようにも見えてしまう。だとすれば、彼女たちの取る行動はひとつ。
それは先制攻撃。やられる前にやれは霧崎家の家訓だ。

[死ね]

故に少女の片割れは間を置かずに飛び掛る。刃のように鋭く固められた右手の指先を男性の胸に向けて。
振りかぶり、そして突き立てるように―――!

「だめよ、菫!」

しかし動作は停止する。男性の胸まで、あと数センチという所で。飛び掛ったはずの少女は、ピタリと動きを止めた。

「その人、追っ手じゃないわ。しかも、ケガをしてる」

[……!]

その言葉に諭されるように、少女は男性の傍から一歩後ずさる。
もちろん、彼女たちは尚も警戒を怠ることはせず、男性には疑いの眼差しが向けられ続けていることは言うまでもないが。
876 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/24(日) 23:54:15.85 ID:KyGZpF/oo
>>875
「ッッ!!!」

それは一瞬だった
当たり前のように人に胸板を晒すほど常軌を逸する存在ではない
ただ、服を降ろそうとしている時の刹那
音が遅れてくる、聴覚を振り切る一撃
その瞬間彼の右手がコートの裏側
懐に仕込んでいたナイフを握──。

彼女の指先が、自分の胸元数センチに止まる
早かった、無意識に行った防御が間に合うか微妙だった
攻撃した彼女が退く事で、少年の緊張の糸は解けた

「....随分、ど派手なご挨拶だな」

一息ついて、彼女らへ問いかける
声の口調から怒ってるなどの怒りは感じられない
むしろ、余裕を持って接してるように感じる
本心は割とびっくりしたわけっではあるのだが

少年も、コートの裏側、懐のナイフを握ったままだ
少年の稼業は廃業も視野に入れつつある殺し屋に近い存在だ
こういった状況には慣れている
───、少年もまた、彼女らを警戒していた
仕方ないといえば仕方ないのだが
877 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 00:08:07.73 ID:ygWoXTdyo
>>876
「急にごめんなさいっ。あたし達ちょっとばかり、気を張ってて」

お互いの間を行き交う張り詰めた空気。
しかし少女の口から漏れたのは、そんな空気など一蹴してしまう程のん気で間の抜けた言葉だった。

「でも見たところ、貴方の方も取り込み中みたいね。クマにでも襲われたの?」

片割れの少女より更に一歩、明るい声を漏らす少女は無警戒に男性へと歩み寄っていく。

[……姉さん、少しは用心して]

それを横目に小さくため息をつく、もう一方の少女。

「あたしは霧崎菖蒲。そっちは妹の菫よ。びっくりさせちゃったお詫びに何か手を貸しましょうか?」

しかしそれも気にせず、菖蒲と名乗った少女は人懐っこい笑みを浮かべた。その表情から、敵意は感じられない。
878 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 00:22:09.35 ID:i6wqzyiko
>>877
謝ってきたのは多少落ち着きがある方か
襲いかかって来た少女を止めた彼女を見て
一応、会話はできるようであると認識はする

「...この傷はちょいと荒事のお陰だよ、
よく言えば名誉の傷で悪く言えば足手まといってやつだ」

片割れの動きとそれに反応した彼女
間違いなく、自分みたいに社会の闇を生きた存在だろう
この程度なら意味が通じるだろうとその反応を見る
予想が合えば十中八九その手の存在だ

「俺は紫乃咲だ。紫乃咲紫音
心遣いありがとう霧崎、そうだな...」

彼女の顔から悪意が感じられない
変に疑り深いのも失礼だろう
とりあえず、懐のナイフから手を離して

「事情を説明してもらえたら、いいかな?」

襲ってきた理由
あんな殺しにかかる一撃を何とか止めていた
ただのシリアルキラーなんて事はないのだろう
暗に彼女の言う「追っ手」について聞きたいようだ
879 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 00:36:01.85 ID:ygWoXTdyo
>>878
「なるほどね。あんまり詮索はしないでおくけど……そういうのって、良くないと思うわよ?」

菖蒲はどちらかと言えば察しの良い方ではない。闇の濃い場所に身を落としかけても、しかし姉妹は限りなく白く潔く。
けれど男性の風貌や雰囲気が、彼女にそれを悟らせる。同じ世界で、しかし違う生き方を選んだ目の前の男性。

「ふうん、紫音ちゃんって言うんだ。ふふっ、かわいい名前」

一見同じ目線、同じ温度で会話しているようで。

「事情……ね」

「……実はあたし達、命を狙われてるのよ」

しかし案外、彼らの距離は遠い。

「どっかの意地悪な殺し屋に……ね」

それはもう、絶望的なほどに。
880 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 00:55:07.24 ID:i6wqzyiko
>>879
「殺し屋...ねぇ」

彼女たちのどこか現実味のない空虚な言葉が胸を突く
と、同時にどこか嫌な親近感もある
まさに自分がその殺し屋だからだ。最近廃業気味なのだが

目の前の人物は、どこか不気味だった
先程の一撃も今の言動も
先程の様なこんな事を普段からしている人物とは思いたくない
その逃亡劇のせいだと──。

「質問、いいか」

唐突に彼女たちに聞いてみた
聞かねばならないと、本能が言う
問わねばならないと、理性が疼く
それが自身のあるべき姿なのだと言われる
そうしているのが紫乃咲紫音であり続けられると感じる

「...その逃避行は...疲れたか」

彼女たちがその追っ手から逃げる事でどう感じているのか
どのような負担がかかっているのか
それを聞きたかった、それで自分は
───、紫乃咲紫音は何ができるのか、と
881 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 01:06:39.40 ID:ygWoXTdyo
>>880
「疲れた?そうね……」

男性が何故そのような事を問うたのか、少女には分からない。

「ひとりだったら、きっとね。でも」

けれど、質問の答えは知っている。初めから考えるまでもないのだ。

「私には、菫がいるから」

背後から寄り添うように、片割れの妹が菖蒲の手を引いて。

[……姉さん]

掴んだ手のひらを、ぎゅっと握った。そのぬくもりが囁きかける。決してひとりではない、と。

「だから疲れてなんか、ない」

ぬくもりや優しさは、時に力となり、支えとなる。それがあるから、少女たちは倒れずに済んでいるのかもしれない。
882 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 01:19:32.01 ID:i6wqzyiko
>>881
「なるほど、いい答えだ」

良かったと、心の中で安堵した
彼女たちの精神を追い詰めるほどの相手だと
見捨てるわけにはいかなかったから
どうせなら、誰にもマークされてないほとんど使ってない
ほとんど未使用の隠れ家の一つを貸してやろうか
もしくは、自分がその殺し屋を止めてやろうなど
ついつい相手に気を使う、悪い癖だ

「...逃げるあてはあるのか?」

それでも聞いてしまった
困った人を何と無く放っておけない
ここで「彼女たちなら安心だ」「気にかける必要もない」
と、見捨てれないのもお人好しだからだ
つくづく悪い癖だ、ヒトらしく生きるおかげで相手を気にかける
いらぬ心配ならそれでいい
彼女たちが本当に放っても大丈夫だと思えるようになれば
この心の葛藤を忘れれる

他人を気にしなければいられない
そんな優しいが、素直には言わない
紫乃咲紫音の優しささった
883 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 01:29:32.43 ID:ygWoXTdyo
>>882
「あては……無いこともない、かしら」

曖昧に、しかしどこか確信めいた言葉。ふたりには確かに逃げ場は存在する。
しかし、彼女たちにはそこが何処なのか、何処にあるのかを知る術がない。

「あのね、あたしたち……」

そこまで言いかけて、菖蒲はしばし逡巡する。初対面の人間に聞かせるような話ではないから、それも当然か。
しかし、結局その沈黙は破られることになる。ほんの少しでもいい。少女は楽になりたかった。

「あたしたち、空間操作系の能力者に強制トリップの力を与えられた流転者(トリッパー)なの」
884 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 01:46:56.83 ID:i6wqzyiko
>>883
「ふーん....」

曖昧な返事だが、間違いなく安住の地という訳ではないだろう
もしくはそこへの移動手段がない
そのどちらかか、とにかくすぐに行ける
終点のはっきりする道のりではないのだけは理解した

「(やれやれ...こりゃ、本当にほっとけないな)」

この辺りで近い隠れ家は確かそう遠くない筈だ
割と俺も使う隠れ家だった気がするが他のは遠過ぎる
片付けができてないが構わないか、と
彼女らの安全には変えられない

「流点者...?ふむ...話を聞こう
聞くだけならタダだ。少し興味もある」

そう言って彼は立ち上がった
辺りを見回す、彼女の言う追っ手を探す
本当に追われてるなら、ここでのんびり立ち話という訳にもいかない

「......小走りでいい。あそこの車まで走れるか?」

小声で彼女たちにギリギリ聞こえる声でそう言った
指差す方向には駐停車禁止の看板の近くに停められた車だ
彼のものではないだろうが、拝借するつもりらしい

885 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 02:04:32.57 ID:ygWoXTdyo
>>884
「流転者っていうのは、様々な時間や空間を漂流する旅人のこと」

恐らく流転者について予備知識が無いであろう男性。少女にはそんな彼に自身の境遇を上手に話せる自信はない。
そもそもこの話を聞かせるのは彼が始めてだ。これまでここまで親身になって話しを聞いてくれる人はそう多くなかった。

「あたしと菫は此処に来る前も様々な世界のいろいろな時間軸に飛ばされて旅をして来た。そうして各地を転々とすることで追っ手から逃げていたの」

途方も無い話だ。信じてもらえる確証はどこにも無い。それに信じてもらえたところで、何も変わることはない。
なぜなら次のトリップが強制的に発動してしまえば、きっと姉妹と紫音が会うことはもう二度とないだろうから。
それに流転者に掛けられた異能を解くことが出来るのはただひとり。それを施した術者のみだ。

「こんなバカみたいな話、信じられる?」

せっかく出会った優しい他人が、ただの他人になってしまう。今の菖蒲にはそれが恐ろしく、しかしもうどうでも良かった。
握りっぱなしの手のひらが、菫の体温に包まれていく。それだけで何もかもがどうでも良かった。


「そりゃ、平気だけど……あれって貴方の車なの?」

少女たちは二人して怪訝そうな表情で男性を窺う。どうやら彼女たちは緊急事態とはいえど、犯罪を良しとはしないらしい。
886 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 02:19:59.02 ID:i6wqzyiko
>>885
「当たり前だ。信じるに決まってる
君だって俺を信じてくれたんだから」

俺がその追っ手かもしれないのに
その術式を施した人間かもしれないのに
その自分を無関係だと信じてくれた
それだけで十分だ、それ以上の理由があるだろうか
彼は車まで走りつつ、彼女らに微笑を見せてそう言った

「レンタカーだ、駐禁取られて面倒ごとに巻き込まれる車を助けて上げるんだ
明日には元の場所に返しておくよ」

そう言って早々に彼は乗る
キーは付けっ放し、このご時世にはよくある
指紋検査機能の防犯云々の装置もない
エンジンを掛けて燃料確認問題なし
すぐにでも走り出せる

「...君たちの自由だ、乗れば君たちに少しばかりの安全は保証する
トリップが発動したら無意味というのも理解している」

後方のドアのカギを開ける音がする
手を数センチに動かせば触れれる距離にドアはある

「...それでも、俺はここで君たちを終わらせたくはない」
887 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 02:39:01.44 ID:ygWoXTdyo
>>886
「……あたし」

たくさんの世界を旅して、色々な人に出会った。優しい人、そうでない人。しかし相手が誰であれ、関係を築くことは出来なかった。
時間が足りなかったし、何よりそれは失うと分かっている絆。それを築いたところで意味など無い。傷つくだけだと思っていたから。

「……」

だから少女は今になって、他人と深い関わりを持つのが恐ろしいと感じ始めていた。
もし彼に頼って、しかしその支えを失ってしまうとしたら。その時自分はどうなってしまうのだろう。
もしかしたら壊れてしまうかもしれない。もしかしたら生きることに疲れてしまうかもしれない。もしかしたら―――。

[……その時は私が傍にいるわ]

優しく、だけど力強く手を引いた微かなぬくもり。そうだ。何を怖がっていたのだろう。
あたしには既に、永遠に変わらない絆がある。それだけで、どんな悲しいことにも耐えていける……。

「……あたし」

勢いよく、俯いた顔を上げる。迷いも畏れも、そこにはもう無くて。

「あたしだって、終わりになんてしたくない!」

あるのは未来と希望と、そして絆と―――。


『  残   念  』

獣の遠吠えが、空気を揺らす。黒い体毛に覆われた、巨大な体躯。頬まで裂けた口。その隙間から覗く牙。そして鋭い爪。


『お前たちは此処で終わりだ』

舞い降りたのは、絶望の使者。
888 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 02:52:47.42 ID:i6wqzyiko
>>887
「ッ.....ようやく、お出ましか」

そこに現れた黒き獣
威圧感だけで押し潰される、心臓が圧迫される
冷たい息を吐きながら社外へ出る
懐から、ナイフを取り出した
事情を把握しきれない時点で早計だがこれだけは分かる

この存在がその彼女たちを絶望に陥れる絶対的な悪
さっきも言った───、これだけで十分だ

「...こいつから離れろ。俺が食い止める」

そう言って彼は胴と脚、左腕の包帯を解く
見てしまったから、彼女が望んでいるものを
───彼女が守りたいものを、

「こういう気分なんだな───、決まっている誰かを守るって」

それはとても清々しく
不思議と、心地よいものであった

能力を発動
『使役』『固定』で血液を操作する
左手を鮮血の強靭な槍へ
脚と胴には鉄に劣らぬ鎧を作り出す
───、こいつの出方を見る
889 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 03:08:57.49 ID:ygWoXTdyo
>>888
『出しゃばるな部外者。邪魔をするなら貴様から殺してやるぞ』

迎撃の態勢を取る紫音を一瞥して、獣は低く唸るような声で威嚇する。血に濡れた両腕の爪が指先から更に伸びていきその長さを増していく。
それを見て、姉妹は数歩後ずさる。がしかし、その場から離れて逃げようとはしない。

「ありがと、紫音さん。でも、逃げられない。此処に来る前に一発浴びちゃって、本当はさっきからずっと上手に右足が動かせないの」

ホントにドジでしょ?とおどけてみせた菖蒲。それは一目で虚勢だとはっきり分かる。
その言葉に続いて、片割れの妹・菫が一歩前に踏み出す。彼女は特に怪我はなく無事なようだが、姉と紫音を置いて逃げるきはないらしい。

『……?(おかしい。標的のガキが1人のはずだが……なぜ2人居る?)』

一瞬、獣はその動きを止め逡巡する。それは混乱といって良いだろう。理由はともかく、この状況でそんな隙を見逃す手は無いはずだ。
890 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 03:26:53.53 ID:i6wqzyiko
>>889
「煩いぞ毛ダルマ。お前の臭いが移る」

明らかな挑発を放ってなお、紫音の思考は冴えていた
今自分のできる最大限の性能を発揮できる
何故だろうか、視覚も聴覚も、全てが
不要な情報は思考する前にカットされている

「.....おい菫、一つ聞きたい。あいつは生き物か?
切れば赤い血の出る、生物...物質だよな」

概念的な存在、霊魂や人々の意志の結晶なんてモノになると勝ち目はない
彼奴に勝つには最低限、生き物であって貰わないと困る

その確認だ、策無しに勝てる相手ではない
全力でぶつかり合う必要がある

「お前の戦い方を知らない、だから自由に戦ってくれ
...菖蒲を守るんだ、分かるな」

菫の強さは折り紙付きだ
紫音自身が保証する、彼女の刺突は神速だ
敵では恐ろしいが味方では心強い

「...転換開始(トレード・オン)!」

能力強化、動脈に異物が流れ込み心臓を締め付ける感覚
痛みと吐き気は逆に紫音の思考を回転させる

地面を蹴る、守って勝てるほど甘くない
この毛ダルマに攻撃の暇を与えない───!!
放つのは左手の刺突
音を割って距離を縮める一撃を、その肉体
骨と骨の間──、肉へ叩き込もうと、全力で放つ
891 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 03:47:11.10 ID:ygWoXTdyo
>>890
[……追っ手が雇った殺し屋の1人。会ったのは2度目だけど、間違いないはず]

視線は敵に向けたまま、菫は早口で答える。菖蒲を庇い戦う必要がある以上、菫は一瞬たりとも気を抜けない。
こうなってしまうとあまり加勢は期待できないかもしれない。


僅かな予備動作で飛び出した紫音。その動きと速度で接近されれば、大半の者には対処の仕様が無い。

『雑魚の癖に、面白い異能だ。それに速いな』

しかし、この場合、彼はその「大半」には分類されない。何故なら彼もまた特別な力の持ち主であり―――。

『  だ が 遅 い  』

そしてその速度は身体能力を強化された紫音を僅かに上回るものである。
放たれた槍の一閃、鮮血の輝きを放つ紅き流星の瞬きは。最小限の動きで回避、僅かにわき腹の肉を損傷させたのみ。
そしてその反撃として繰り出されたのは、こちらも同じく一閃。ただし刃は5つあるため、正確には五閃と表現するのが正しいだろう。
それは獣の右腕から繰り出される、鋭い爪による斬撃。5つの刃が紫音の頭上から降り注ぐ。
892 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/25(月) 04:07:30.95 ID:i6wqzyiko
>>891
「ぐ────あ、」

早い、こちらを圧倒的に上回る
僅かにこちらの斬撃が通っただけ──。
そして繰り出される反撃
奴の五つの刃、一発一発に文字通りの必殺があるのだろう
当たる訳にはいかない
俺が倒れたら誰が彼女たちを守るんだ
反応は早い、避けれる。躱せれる
飛んで来る刃に対しさらに奴の懐へ潜り込もうと“飛ぶ”
奴の振り回す腕には目もくれず
俺が行うのは、ヤツの絶死にのみ

耳のすぐ横で爆音が鳴り響く
鼓膜が暴れ狂い、衝撃波は全身を叩きつける
それでも───。

「うおおおおオオオオオォォォ!!!!」

何故そこまで行けるのか
何故そこまで己の命を顧みない事ができるのか

逆手に持った紫音のナイフ
狙うのはヤツの顎を下から上へ突き上げようと
最大限のチカラを込めて骨もなく柔らかな部分へ打ち込めるか───
893 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/25(月) 04:22:36.01 ID:ygWoXTdyo
>>892
『なッ!?』

左右に避けるでもなく、後ろに後退するでもなく、紫音の選択は前進。敢えて死地に赴く、それは予想外の動き。
命を賭した一撃。それは確かに獣の肉を裂き貫いた。飛び散るおびただしい量の鮮血。出血は……咄嗟に盾にした左腕から。

『ぐっ……おおっ!』

獣は痛みに悶え、吼える。跳ねるように移動して一旦紫音からは距離を取る。この戦闘で始めて知覚した死への恐怖。
しかし戦士にとってはそれさえも極上のスパイス。真の快楽とは恐怖を乗り越えた先にあると、彼は知る。故に。

『くっ……ふはははははははは』

故に彼は笑う。

『ははははははははははははははははははは』

笑う。

『侮っていた。貴様は雑魚などではない』

なおも笑みは消えず。

『その力に敬意を表して、一瞬で決着を付けてやろう』

未だ無傷の右腕を構え、紫音の動きを待つ。

/すみません、こちらから戦闘ふっかけておいて申し訳ないのですが、よろしければ一旦中断して頂けないでしょうか?
/可能であれば明日の夜かそれ以降に再開させて頂ければと思うのですが……
894 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋2013/02/25(月) 07:54:56.71 ID:i6wqzyiko
>>893
「が───、あ。はっ───」

防がれた。
瀕死の一撃を狙った斬撃もヤツによって止められる
あと一歩、いやあと半歩で届くのに───。

敵わない。越えれない
肉体に重圧をかけ、身体を強化しても届かない
俺に、はこの敵を、倒せれな、いのか
重圧をかしたこの肉体が、解放を訴える

「(....ダ、メ....か。俺には...無......)」

怪物の無傷の右腕
そこから放たれるどんな攻撃も躱すことを不可能───。

全身から力が抜け、倒れこむ紫音の姿───。

『────、.................、.........。』

聞こえたのは、誰かの声だった
懐かしくも消えていった優しくも厳しい声だった気のする
お前はここで終わる男じゃないと
女の子ぐらい自力で守れと

「転換、....開始」

その呪文はヤツの耳に届くだろうか
倒れこみ、地面に伏すと見えたその動きはフェイントに過ぎない
倒れるその瞬間、ヤツの視界から消える瞬間に“駆ける”

「.......ッ!!」

ヤツのように圧倒的に技量の上の相手をする時にすべきことは
奇襲、これに尽きる
ヤツは間違いなくこちらを見下している相手だ
ヤツが勝利を確信するその時を

駆ける
ヤツは俺の足に気付くか
後ろからヤツの凶刃が飛ぶ
あと少しだ───、頼むから逃げ切れてくれ

左手の鮮血の剣をヤツの後ろ足へ───
もし当たっても当たらずともまだ攻撃は終わらない───!
895 :千早[!nasu_res saga]:2013/02/25(月) 19:11:31.02 ID:CLpQzftVo
スラム街にほど近い街を歩く銀髪の少女。
軽くウェーブのかかった髪をなびかせて歩けば、通り過ぎる男は必ず見るほどに目立った。
しかしながら、当の千早の気分は晴れない様子。

(私の進むべき道は……)

このまままっすぐ進んでしまうとスラム街に突っ込んでしまう。
……が、千早は歩みを止めようとしない。

「ならばいっそ、こちら側の世界で歩むべきでしょうか……あるいは」

思いつめた表情で、ひたすら歩くその先に何を求めるのか。
いや、何も求めていないのかもしれない。
896 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 20:12:29.88 ID:LfpyMqbmo
>>895

そこからそう遠くもない場所にとある女性が。
彼女は右耳の下部に指を当てながら嫌面を見せていた。
最もそれらは彼女自身の艶やかな金髪に掻き消される事は間違いないとして。

「いや、私本当は休職中なんだけど」

『そんなことを言わないでくれ。こちらも人が足りんのだ』

同業者のおっさんからの依頼。地位としてはこちらの方が上ではあるが、何故か馴れ馴れしい。
別に構わないけれど、娘にもその態度だと嫌われると思うといつか言ってやりたい。

内容というと……また戦犯の追跡。嫌になるね、面倒だし何も得しないし。
なにか良い口実でも無いものかとくるっと見回してみると、なにやら怪しい子が居たではないか……
という以上にあっちスラムだし。ぽやぽやしてて危なっかしいなぁ。

「あー、迷子かどうか判らないけどそれっぽい子発見ー、保護しに行くんで。んじゃ!」

プチッ。

「さて、いきますか」

そろそろ中に入ってしまいそうなその銀髪少女の背中を追うべく走り出す。
自分が男ではなくて良かったと思うべきか……?まぁこんな街じゃ警察機能してないだろうけど。

//まだいらしたら……
897 :千早[saga]:2013/02/25(月) 20:23:55.47 ID:CLpQzftVo
>>896
落ちぶれたものの行きつく先。
そんな街に行ってなお、自分の居場所が無かったら……?
正直スラム街に行っても何か当てがあるわけでもないが、今はとにかくする事が欲しかった。
何かをしていないと、潰れてしまいそうだ。
世界中でたった一人になった感覚。

(良心の呵責が崩れ去ったその時、私は兵器として動き始めるのでしょうか……)

考え事をしながら、うつむき加減で歩く千早は後ろから追ってくる人物に気づかない。
後十歩ほどでスラム街との境界線に到着してしまう。

周囲へ気を配ることが出来ていない千早を後ろから呼び止めるなり、腕を掴んで進行を止めたりすることはたやすいだろう。
898 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 20:35:20.35 ID:LfpyMqbmo
>>897

少なくとも今の彼女にとって、少女はただの迷子の子という認識でしかまだない。
普段察しのよい彼女も、少女の心情など汲み取ることは出来はしない。

……すぐ追い付いた。数十mしか離れていなかった故当然のことではあるが。

全く、この子の親は何処へ行ったのやら。

ぬっと手を伸ばし、少女の右肩に手を掛けた。
そして掛けるのだ、「おーい」というありきたりな声を。

なおその手の人差し指はピーンと張っているため、振り向けばさくっと頬に刺さる(比喩的)。
なんともガキ臭い悪戯……
899 :千早[saga]:2013/02/25(月) 20:42:42.19 ID:CLpQzftVo
>>898
「へっ……? ……ふにゅ……」」

肩に手を掛けられると、間の抜けた声と共にそちらの方を向く。
足音はしたはずなのだが、手を掛けられるその時まで本当に気が付いていなかったようだ。

そのおかげで見事にトラップに引っかかった千早のほっぺは、むにゅっと音がしそうな位気持ちよく凹んだ。
ようやく状況を理解した千早は、一歩下がって咳払い。

「な、なんの真似ですか? ……私(わたくし)に何か御用でも?」

その口調は、敬語の中に不機嫌さが混じり、ただでさえ浮かない気分なのがこの悪戯でさらに悪化してしまったらしい。
警戒するような目つきと、体を斜に構えて不測の事態に対応するようにするのは、戦闘訓練の時に身についた癖だ。
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2013/02/25(月) 20:43:30.37 ID:vdde57B/0
真面目に彼女募集中です。童貞卒業したいです
14〜31までの女の子メールください
ちょっと病弱な女の子とかタイプです
写メ送ってくれたらこっちも顔写真つきで返信します

osakaanticamera@gmail.com
901 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 20:57:11.30 ID:LfpyMqbmo
>>899

「む……」

柔らかいなぁ……いやそっちではなくて。
なんというか、これは……。
一瞬、軍隊の近距離戦闘訓練でもしている気分になった。
そして思ったより大きい。何がとは言えぬけど。

「そっちはまぁ……わかってると思うけど見ての通り危なっかしい所だし、入らないようにってね」

この女の構え、明らかに戦闘向けのそれである。
そんな人がこのような場所に入るということは何か良からぬ事でも起きるのかという疑念は払拭出来ない。

「そんなところにわざわざかわいこちゃんが入る必要性もないし、ね?」

払い除けられて行き場を無くしていた右手で、自らの後頭部を軽く掻いた。
902 :千早[saga]:2013/02/25(月) 21:08:28.31 ID:CLpQzftVo
>>901
「分かっております、ですが……」

眼を閉じて、一拍間を置く。
どういうつもりで自分を止めるのか分からないが、今戻るわけには行かない。
自宅へ帰って一人になれば、この精神状態ではきっと押しつぶされる。

「ですが、私の進むべき道を探すためにこの先へと参ります。
 私を必要とするもの、私を使ってくれるもの……それらがあるかもしれません。
 もし、無理にでも止めると言うのであれば……」

その瞬間、千早を中心に周囲の温度がぐっと下がる。
所どころ空気中の水分が凍り、街灯の光を反射しながら地面へと落ちる。

「あなたが私の道を示してくれるわけでもないでしょう?」

自分はこんなにも好戦的だっただろうか?
頭の中に残っている冷静な部分がそう考えるが、如何せん今、頭の中を支配しているのは冷静な千早ではない。
903 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 21:28:10.88 ID:LfpyMqbmo
>>902

「進むべき道……?」

ああ成る程。だからそちら側へ行こうとした、と。

「だからと言って、目の前で人が闇堕ちしていく様っていうのは……私としては見たくないかな?」

少しばかり肌寒くなった。北欧の出身だからこの程度では問題ない。

「身勝手かもしれないけどね、止めさせてもらう。
 絶望するなら中年になってから、と私の伯母も言っていたしね」

ロード、AM D.E.。
閃光と共に表れるひとつのそれ。

「ハローワークなら、連れていってあげるよ」

少し本末転倒な事態に陥ってしまった気がしないでもないが、しかし彼女には闇での世渡りの厳しさと自らの過ちを知ってもらうのもまた手のひとつ。

「さあ、来るなら、おいで」
904 :千早[saga]:2013/02/25(月) 21:40:22.99 ID:CLpQzftVo
>>903
「闇に落ちる……そうと決まったわけではありませんが……」

そう、あくまでも探しに行くだけ。
そっち系の道に入る可能性が高いと言うだけで、積極的に入りたいという訳ではない。
つまり……拠り所が欲しいのだ。

「わかりました……。邪魔をすると言うのであれば、少々この場に留まっていただきます」

眼に力が入る。
相手が戦闘態勢に入ったことで、こちらも完全に切り替える。
実戦経験は乏しいが、一通りのプログラムは入っている。

「ふっ……! 氷柱舞」

後ろへのバックステップと同時に出したのは、地面から突き出る氷柱。
自分とクレールに境界線を張る様に、横並びに5本の氷柱が相手の太ももに狙いを付けて飛び出る。
バックステップしたことによって相手との距離が離れるが、同時に氷柱が相手に届くまでの時間もその分伸びてしまった。
だが、能力のしれない相手とこの至近距離に居るよりかは良いと判断する。
905 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 21:59:51.31 ID:LfpyMqbmo
>>904

「言っておくけど、九割九部くらいの確率で堕ちちゃうから……」

そして無惨な結末を迎える。
やってみなきゃ分からないという言葉は、つまり俗にいう死亡フラグだ。
補正がなければ大抵死ぬ。

攻撃、きたか

「む、寒いと思ったらそういうことかっ!」

流石に育った環境的に寒冷地仕様とは言え氷柱耐性があるわけはない。
右ステップで、正面からこちらの足を潰さんとする氷柱をかわてみせた。
そして、もしそれらに追尾性でもあれば厄介である、とAMD.E.の先端部の銃口から低威力の粒子砲をマシンガンのように乱射してそれらの破壊へと転じた。

「そういう力かぁ。どれくらいの範囲か知らないけど当たるのは危ないって気がするね」

バッ、と左腕に装着したそれを名も知らぬ女に突きつける。
906 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/25(月) 22:10:43.39 ID:9WQ8CTu3o
「参ったな……こうも雨に降られては。」

青と雲の灰色が交じり合った青竹色の空、燦々と雨が降り続く中にて一人の長身の青年がため息をつきながら
屋根があるバス停のベンチで座っていた。
茶色の髪に、こげ茶色のモダンを思わせるようなローブを羽織っていた―そのいかにも魔術師らしい
恰好は浮世離れしている印象を与える。

「バスまであと二時間か。」

ローブから、金色の盤の懐中時計を取り出し、それを見ながら憂鬱そうに
言葉を漏らした。
ポツポツと、規則正しい雨音の中、空を見つめていた。それを見る目は
黄昏さと郷愁に溢れていた。
907 :千早[saga]:2013/02/25(月) 22:13:30.38 ID:CLpQzftVo
>>905
「それならばそれで構いません……それが私の運命、私の進むべき道だったという事」

今の千早には冷静さなど無い。
自暴自棄と言っても良いその思考が、千早の脳内を支配していた。

クレールの放った弾丸が氷柱を粉砕していく。
能力で作ったものとはいえ、結局はただの氷。分厚く作ってあるわけでもない氷柱がそれらを耐えられるわけも無かった。

「当然、当たればただではすみません……殺す気はありませんので、どうか大人しくしてください。

向けられた武器。その性能がまだわからないが、千早のその目に恐怖は無い。
真っ直ぐにクレールの眼を見据える。

「……氷塊弾っ!」

一時の静寂から一転。
千早は相手の射線から離れるように右へ飛びつつ、4つのこぶし大の氷塊を飛ばす。
銃弾ほどのスピードは無いが、それでもその質量から、当たれば相応のダメージがあると分かるだろう。
4つの氷塊の内、2つは右足、残った2つを左腕に狙いを定めている。
908 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 22:47:08.61 ID:LfpyMqbmo
>>907

破壊したかどうか、確認をとる必要性は全く無かった。


「改善の余地があるのにしないというのは、それはただの妥協と怠慢だよ」

齢18の小娘が吐けた言葉ではないな、と内心笑う。
しかし私自身の言葉に間違いはないと自信をもって言える。
モノクルが、きらりと光を反射させた。

「大人しくすればいいのはどっちさね?」

やはり、氷塊の射出は可能。360度オールレンジと考えたほうがいいだろう。

迎撃。バシュン、バシュンとこちらが撃ち出したのは4つの見た目赤いグレネード弾、のようなものだがその通りではない。
それらは後部から推進剤を吐きながら自由自在縦横無尽に動き回る自在兵器。
扱うには難しい兵器だが彼女にはその適性もある。
それらは先端部の若干細目の銃口を持ち、また同じく先程のものより威力に劣るとは言え必要十分な威力の粒子ビームを出すことが可能。

「撃ち落とす」

左目を大きく見開く。そして左手を軽く振りおろすと、"彼ら"は全ての氷塊を潰してみせた。
飛散したなかで、大きめの破片のひとつが顔面に到達し掛けるも、それは右手によって難なく受け止める。

「人は、これらの攻撃が当たっても死にはしないようになっているから……安心してね」

ぎょろり、と非科学的……生物的に自在兵器は向きを変える。それはさながら人の眼のように。
そして縦一列に並び、そして一斉にビームを射出した。わざと、彼女には当たらないように、少し避けて。
横に伸びるそれはレスリングのロープのようであり、それらは持続して存在する。

「そのロープがなんのために張られたかは、わかるかな」

逃走はさせない。スラムへ続く道をそれは封鎖するように向けていた。
909 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/25(月) 22:48:15.72 ID:Pxd2hjKEo
>>906
「私ってもしかしてあめおんなっていうのかな?」

雨は嫌いじゃない、でも雲は嫌い
暗い色は気持ちを暗い色にするから

黄色いレインコートを羽織って、長靴を履く、そんな小さな女の子
髪はフードに覆われているものの、その目は青い
一人で小さな水たまりに自分から足を踏み入れて、それで生じる
水しぶきやそれがはねる音を楽しむことで、感じている煩わしさを吹き飛ばす

そのさなか、ベンチで周囲に憂鬱さを振りまく一人の青年を見つける
そんな雰囲気に惹かれてか、少女は遊びながらも声をかけることにした

「ねえねえおじさん、おじさんはどうしてそんなに嫌そうな顔をしているの?」
言葉を飾るわけでもなく、ただ一言そう尋ねるだけである
910 :千早[saga]:2013/02/25(月) 23:00:09.00 ID:CLpQzftVo
>>908
「このわずかな時間で人の全てを見抜いたかのような発言。あなたはさぞお偉いのでしょうね……」

そんな言葉しか出ない。
自分を思っての言動に対しても素直に答えることが出来ない。
頭ではそれではいけないと理解している。
だが、それとは裏腹に自分の言動を制御できないでいる。

「なぜです? なぜ今しがた会ったばかりの私にこうも干渉しようとするのです?
 私がこの先へ行って何をしようとあなたの知ったことではないはずですが」

体の向きはクレールに向けたまま、ちらりと横目にビームロープを見る。
容易に突破は出来ないのだろう。出来たら張る意味が無い。

スカートの内側に隠し持っていた銃を左手に、ナイフを片手に持ち構える。

「私を止めてどうしようと言うのですか」
911 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/25(月) 23:01:58.91 ID:9WQ8CTu3o
>>909
「お、おじさん……。」

先ほどの黄昏と郷愁が入り混じった目からそれが一瞬消えて、驚愕と
衝撃とともに目を見開いた。
そして、声の主を見るため、振り向いた。

(おいおい、自分はそんなに老けて見えるのか?いや、このくらいの年齢なら
そういわれてもしょうがないのだろうか。)

「い、一応17歳だからさ、せめてお兄さんで勘弁してくれないかな?」

怒ったら負けだ、というか今はそんな気分じゃないのだが。
自身に言い聞かせつつ、諭すように言った。
顔には青筋はない。絶対にないのだ。

「嫌……そうな顔か。質問を質問で返すようで悪いが、そんな顔をしていたのか?私は」

本人はにはどうやら自覚はないようで、不思議そうに少女に問うた。その目は
少女に向きながらも、水たまりを見ているようにも見て取れる。
―あまり雨には良い思い出はない。というのも、私が実家を出たときも
こんな空だったような気がする。
駆られるのだ、自責の念と後悔と、まるで自身の心の中を空で投射されているような
そんな感覚が
912 :エリア 猫かぶり少女[saga]:2013/02/25(月) 23:14:33.90 ID:Pxd2hjKEo
>>911
(そーなの?)
「……わかったよ、お兄さん」
妙な間があった気がしなくもない
さらにさりげなく青年から距離を取ろうとしている風に見える

「うん、なんていうのかな……
友達から借りたおもちゃを壊したときみたいな顔っていうのかな……?」

最近内面も幼くなってきたのではないか……、そんな思いが頭をよぎりつつも、
そんな遠回しな表現を使う少女
913 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 23:24:52.18 ID:LfpyMqbmo
>>910

「偉く振る舞う作法は知っているけど、別に偉くなったことは一度もないね」

と、突発的に買い言葉を発してしまったわけだが、本当はそんなこと言いたいわけではない。
私は、ただ……

「確かに君を放置して見て見ぬ振りするのも賢い選択だし、この御時世そうする人のほうが多い事だって分かってるよ。
 だけど、私はそういうの見逃せなくてね、言うなれば御人好し?」

考えてみれば自分勝手な話だと思わないでもない。
彼女の自由意思を奪っているという考え方だって罷り通る。

「だとしても、私は今君を見放せばきっと後悔する。だから止める」

右腕を天に掲げ、そして産み出す。
降ってきたのは二つの剣。それらは柄同士を繋げ、双刃のスピアとなった。
一見すると実体刃のようにみえるが実際はビーム発振機であり殺傷性がない(突いた場合は別)。
914 :千早[saga]:2013/02/25(月) 23:36:26.24 ID:CLpQzftVo
>>913
こんな戦いに必然性は無い……
ならばなぜ止まれない?
自分の感情を制御する術を知らないからだろう。
普段は非常に冷静かつ大人びた性格の千早だが、ひとたび感情が暴走した時に自制する方法を身に付けていないのだ。
やはり、なんだかんだでまだ生まれて2年しかたっていない千早は色々と経験不足なのだろう。

「お人好し……そうですか。気持ちは分かりますし、止めようとすることに対して理解はできます
 ……ですが」

左手に拳銃を構えなおす。
その瞳に少なからず力が入るが、同時に迷いも映る。

「今この体を御する術を、私は持ち合わせておりませんっ!」

2回の銃声。
狙いは武器を持つ右腕。
当たれば着弾点から半径数センチを凍らせる氷結弾。

同時に求めているのかもしれない。
今、この自分を止めてくれる存在を。
915 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/25(月) 23:51:31.63 ID:LfpyMqbmo
>>914

制する術を……?

彼女は私の言葉を理解して、考えてくれている。
こんなことをしてもどうにもならないと……
ならどうして止まってくれないのだろうか。体を押さえつけることが出来ない?何かに操られでも?分からないけれど、止めることなら私の得意分野だ。

「なら、私は力ずくで押し止める……っ!」

まずはあの氷弾を。
しばらく氷結して使い物にならなくなるがしょうがないと、左腕の複合兵器を地面に突き立て攻撃を防ぐ。

「私は軍属しててね、体は鍛えてるんだよ」

そして、その盾を踏み台にして跳躍。
一気に間合いを縮め、リーチで勝るそのスピアを用いて左手のナイフを叩き落とさんと振りかぶった。
916 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/26(火) 00:03:11.28 ID:FVU8QraSo
>>912
「……」

距離をとる少女を見て、内心、私は頭を抱えた。一体、自分が何をしたのだ。というより
最近はこんな事がやたら多い。なんだ、自分は女運が悪いのか?
それとも普段の行いが…
愕然とする青年。表面には出さなくても心のなかでは割とショックを受けているのだ。

「友達から借りたおもちゃを壊した……か。あながち、間違っていないのかも
しれないな。まぁ、それみたいなことがあってね。」

皮肉と郷愁、様々な重さが入り混じった、言葉とともにうなずいた。
傷つけるという意味では、恐らく少女の言葉と同じようなものなのだろう。
だが、傷つけた物は、友達から借りたものよりも遥かに重いものだ。
そう、二度と戻らないかもしれない、遥かに重い。

―■■■なんか、大嫌いだ!

自分が放った、あのときの言葉が、頭を巡る。雨の音がなるたびに
この言葉がふと脳裏に浮かぶ。いや、こびりついているものが
現れるといってもいいのだろう。

「君にはさ、家族とかいるのかい?」
雨が降る地面を見ながら、ふと、漏らすように言った。
917 :千早[saga]:2013/02/26(火) 00:06:15.39 ID:B3vfm8R9o
>>915
「私だって、戦闘訓練は受けていますっ」

ここで、自分は兵器だから強いと言わなかったのは言ってしまうと完全に自分の道を確定させてしまいそうだったから。
近接戦闘……問題ない。遠近共に十分に戦える能力を持っているのだから。

「……くっ!」

とっさにナイフを前に突出し、スピアと相殺させようとするも明らかに小さいナイフの方が不利。
その上、筋力も武器に体重を乗せる技量もあちらの方が上。
ナイフはその手から遠くに弾かれてしまう。

「ならばっ……!」

腰を低くし、自分の右側に氷柱を一本出す。
その氷柱は出現と同時に外側が砕け、一本の剣に姿を変える。

「氷剣……受けていただきます」

右側に出た氷剣を左手で取り、一歩踏み込んでそのまま振りぬくようにして胴薙ぎの一閃。
切れ味は通常の剣と同性能だが、如何せん強度が低いのが難点である。
918 :エリア 猫被り2013/02/26(火) 00:32:37.02 ID:JvUbHeDN0
>>916
「………どうしたの? おじさ……おにいさん」
距離を取ったのは、相手の人間性を計れなかったため
下手に無目的で、自分にとって知らない大人の人に近づくと、
痛い目に遭うという、自身の教訓にそった行動
コートの下の怪我のせいで力が出ないため、
襲われると押し切られる恐れがある
そんな可能性をぼんやりと頭に浮かべていたのだ

しかし、どうやら杞憂だったらしい
ゆっくりとベンチのほうへと、水たまりを軽々飛び越えながら近づき、
そして青年の隣に腰掛けた

「家族……?」

家族……いた、いた
そう確かにいた

「家族同然の人ならいるけど、家族はもういない
でも私は家族よりもその人のほうが大好き」
地面に届かず、遊ばせていた足がその動きを止める

「……どうして?」
僅かに震えを伴った声
幸せな家族……、そんな夢をみていた
そうであったと思い込んでいた

その記憶がはじけ飛んだのは、いつの日のことだったか
あるいは、今はじけ飛んだのか
少女にはわからない、しかし震えを伴わせるなにかが、
自分を飲み込もうとしているのはわかった
919 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/26(火) 00:35:19.90 ID:7u+vCLDro
>>917

「なら、ワンサイドゲームにはならなくて済みそうだね」

手応え有り。ナイフを弾くことは出来たようだ。
が、しかし……見通しが甘かった。
相手は氷塊を投げたり程度しかしていなかった故、精度は言うほど高くないと判断していたのだが、どうやら違うらしい。

着地して間合いはほぼゼロ。
至近距離。そう、銃器のみになれば体術に頼らざるをえまいと考えたしかし……相手は氷を文字通り自在に扱う
ことが可能らしい。
目前には氷製の小綺麗な刃が私の腹を引き裂こうと向かってきているのが見えた。

今から迎撃武器生成も間に合わない、ならば現状の戦力で対処するしかない。

……あるじゃん

「とぅ!」

それは、唐突に飛んできた。
彼女の左腕と脇腹の空間、否そのすこし奥から。それは槍のようで、右手のツインスピアを丁度半分にしたような形状をしていた。
狙いはその氷剣を握る手首。当たろうがぶったぎれることはしなくても多少は痛みに苛まれることだろう。

右手に保持しているスピア、もとはと言えば突撃型の自在兵器二機を繋ぎ合わせたものであり分離もまたしかり。
920 :千早[saga]:2013/02/26(火) 00:50:43.69 ID:B3vfm8R9o
>>919
相手は落下中であり、対処は困難。
これは取った……そう思ったが、甘かった。
着地と同時に斬りかかった自分と同じタイミングで向かってくる武器。
これは無理だ、躱せない。

「ぐっ……」

完全に彼女の影に隠れていたところからの不意打ちに反応することが出来ずに攻撃を受ける。
手首に直撃を受け、苦痛に顔をゆがめる。
氷剣も手から離れ、手持ちの武器は無い……

「氷壁っ!」

地面の一部を凍らせ、滑るようにして後方へ下がる。
同時に、今までいた場所に人の身長を超える氷の壁を作り出す。
さらにワンテンポ置いて、氷壁から棘の様に無数の氷柱がクレールへ向かって突き出るだろう。

下がりつつ左手首を少し抑えるも、当たり所が悪かったのか予想以上に痛む……
921 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/26(火) 01:14:25.52 ID:FVU8QraSo
>>918
おじさんと言いそうな気がしたが気のせいだろう。気にしすぎは
良くない。
ちなみに少女が警戒している事など微かでさえ頭に浮かんでいなかった。
青年は少女に気を使うように、ベンチの端のほうにへと動いた。

「そうか。私には同然の人がいないからね、羨ましいよ―。」

若者とは思えぬうらぶれた雰囲気をかもす青年は、言いそうになった
瞬間に、何かを思い出し、飲み込もうとする少女を見て、自身が迂闊
だったと悟った。
青年にひとつの考えが浮かぶ。もともと、この少女は家族がいて幸せだ
ったのだろうか―と。

「何かを思い出させたのなら、すまない。自分はあまり家族でいい
思い出なんてないものでね……。」

罪悪感に駆られたあまり、青年はばつが悪そうな顔をして
頭を下げた。
自身にとって家族などほとんど重荷にしかならなかったのだ。
名誉、実力、期待、プレッシャー、期待に沿わなかったら汚物扱い―。
そんな風に扱われた自分にとっては、家族など邪魔なもの同然なのだ。
922 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/26(火) 01:21:58.67 ID:7u+vCLDro
>>920

これではスタンスがぐちゃぐちゃだ。
一撃翌与えるまでに、よもやここまで時間がかかるとはおもわなんだ。

そして目の前に氷壁が聳え立った。
私は、非常に嫌な予感がした。
アイアンメイデンなる大量の棘の天井が降り注ぐと言うものを思い浮かべてしまったのだが、どうやら的中したらしい。
こういう勘はよく当たる。
せめて頭部だけでも、と右腕を翳したが……しかしその程度で防ぎきれる量でもなかろう。

「まずったなぁ……」

無慈悲に、それは突き刺さる。
右の太股を、腹部を、右腕を、そして覆いきれなかった右目へ……
モノクルごと、氷塊は右目を、脳を、劈き死に至らしめる……筈だった。
しかし途中で氷柱は弾け飛び、飛散する。

何故だ。誰しもがそういった疑問を抱くだろう。
答えは当の目を見れば分かる。

彼女は、力なく地に伏す。それと同時にスラムへの道を封鎖する自在兵器(とあとひとつ)を除きすべては消失してしまう。

視線を、女に。
その右目、本来そこに有るべき物はなく、機械仕掛けの、自らの力で造った義眼が埋め込まれるのみであった。

「」


あちこちを凍傷に侵され、横たわる彼女は、ただ見つめていた。
923 :千早[saga]:2013/02/26(火) 01:31:34.79 ID:B3vfm8R9o
>>922
「……ふぅ……」

勝負は決したか。
この必然性の無い戦いは、やはり空しい結果しか生まないのだろう。

「……なぜです?」

一つ分からない。

「その兵器。巨大さを見れば、相当な出力が出せるはず……
 ならば最初から高出力で制圧すれば、脆い氷ごと私を倒せたはず」

思えば、相手の戦い方はこちらを気遣いながら戦っているようだった。
それに引き替え、こちらはただ感情のままに相手を倒しに行った。

これではまるで子供だろう。
今更になって、千早は冷静になり始めていた。
924 :エリア 猫被り2013/02/26(火) 01:37:28.05 ID:YGuR5zCc0
「優しくて強くて色々とすごくて……
あの人に拾われたことは、私の人生でも一番の幸せ!」
どうみても小学校低から中学年ほどの、
小さな女の子の口から、人生という言葉

同然の人の話題になり、その表情に明るさを取り戻して、青年の顔を見つめる
その青い瞳には年相応のあどけなさが

「思い出した? なにを?」
ぽかんとした表情、しかし目に残った一筋の跡は、
その表情に違和感を加える

話題を無理やり変えることで、踏みとどまる少女
思い出したくない、しかし向き合う日が来るかもしれない、
そんな記憶から今は逃げるため

「……いい思い出がない……、私も似たようなものなのかもしれない
今私の面倒を見てくれる人のためなら、死んだってかまわないと私は思うけど、
かつての本当の家族に対しては、そうは思えない」
少女もまた、家族に対する暗い思い出を持っているらしい
その目はどことなく、小さな少女というより、
一人の女性を思わせる、そんな目だった
925 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/26(火) 01:44:52.45 ID:7u+vCLDro
>>923

ぐぎぎ、と聞こえてきそうな程にぎこちなく、そしてゆっくりと口を開く。

「…………たしかに、たお、すだけなら………げほっ、それでじゅーぶんかのうだ」

ぶわっ、と赤い花を咲かせる。

「けど、わた、のもくてき、……おすことじゃなくて、君がやみおちするのお、そしするためだし」

倒すことに意味はない。と

「これで、わかったしょ……?じぶんのや、ろうとしていたまちが……い」

目を、閉じる。
926 :千早[saga]:2013/02/26(火) 01:55:13.35 ID:B3vfm8R9o
>>925
「くっ……」

手の平を顔に当てて考える。
私は何をしているのか……自分は兵器ではないと信じたい一方でやっていることは兵器そのものではないか。

走ってクレールに駆け寄る千早。
クレールの傷と脈を診る。

「まだ生きれますね? ……私の道は未だ見つかりませんが、今私の行おうとしていた行為が過ちだったと分かりました」

服を破り、クレールの傷口を塞ぐ。
応急処置だが、いくらか出血は少なくなるはずだ。
思った以上に傷が多い……自分の服の面積がどんどん少なくなっていくが、そんなことはまるで気にせずに目立つ傷は全て塞いでいく。

「生きてください……私を、恩人殺しの罪人にしないで」

最後に上着を一枚被せると、その場を立ち去る。
帰り際に公衆電話で救急車を一台手配して。

「今はまだ、行くべき道が見えません。ですが、いずれ見つけた時には必ず報告させていただきます」

そう言って歩き出す千早の方角は、スラム街とは逆方向だった。

//ありがとうございました。とっても楽しかったです。
927 :ウィズ・カーパー[sage]:2013/02/26(火) 02:17:33.17 ID:FVU8QraSo
>>924
「人生か......まだ小さいのに随分と重いんだな。いいな、似たような人は
いるが、まあ......ね。」

同情や憐み、それらを含むような慮ったような、蟠っているかのような表情。
こんな年頃は人生の事など考えず、ただ遊びに没頭したり
するような幸せな頃なのに、もはやこの考えに行き着いている事に
ウィズはなんといえばいいのかわからぬ、複雑な心境に囚われた。

「いや...なんでもないんだ。知らなくても良い事もある。今は
まだ早い。」

歳相応のあどけなさの瞳にある一筋の後を見て、彼は察して
すぐさま話題を変える事を察した。
―自重しろ、人の事など根掘り葉掘り聞くような事ではない。
自分自身を戒めた。

「そう・・・か。かつてはそうだとしても今、守れるものがあって
幸せなのか。」

微笑みながら、自身の中に、少女に対する多少の羨望を感じた。
年齢とはかけ離れたあまりにもできすぎた精神。まるで自分より
数年長く生きているのではないかと思わせるばかりの覚悟。
そして、女性を思わせる目。

ひょっとして―。

「そろそろ時間か。」

青年はベンチを立ち上がると、停車したバスにへと歩みを進めた。
どうやら相当な時間がたっていたらしい。

「過去よりも、今に目を向けられる、羨ましいよ。」

ポツリと呟きながら、彼はバスにへと乗った。


//そろそろ眠気が・・・おつかれさまでした
928 :クレール・ST・レゾナンス[sage]:2013/02/26(火) 02:29:26.02 ID:7u+vCLDro
>>926

名も教えてくれなかった女性が去って数分もしたところで。

「死ぬかと思った……」

と呟きながら、腹部に軽い"氷傷"を持った彼女は姿を現す。

「作ってみたのは初めてだけど、まぁ上出来な感じだね、これ」

八つ裂きにされたのは、彼女の能力によって作られた紛い物の体。自在兵器は、剣や銃器に限らない。
犬のように振る舞った爆弾だとか、用途は様々だ。
>スラムへの道を封鎖する自在兵器(とあとひとつ)
あとひとつというのは、あの偽物の事である。右目が紛い物というのもブラフであって、実物の方は失ったりしていない。
小さな鏡をポケットから取りだし、右目元を確認する。

いつすり変わったかと言うとまさに氷壁が建てられた直後である。
自ら視界を塞いでくれたのもあって思ったより簡単に事が進んだ。

多少卑怯な気もしたけど、彼女は分かってくれたようだし。

「一件落着ってところかな?」

彼女の置いていった上着を拝借、ばさっと羽織る。
そこに死体に限り無く近かったものはもう存在していない。

――私は、ほくそ笑みながらその場を後にするのであった。ちゃんちゃん。

尚、救急車は溶けかかった氷塊しかない現場に無駄足を運んだ模様。

//ありがとうございました!この手は卑怯だけど確実に生存させるならこれかな、と
929 :エリア 猫被り2013/02/26(火) 02:37:17.78 ID:YGuR5zCc0
>>927
「……また会えるといいね、お兄さん」
見送って、そして考える
自分はただ逃げているだけ、後ろを取られたら、
そのままどこかへ落ちていくのだろう
そして少女もまた考える、初対面の相手に根掘り葉掘り聞くのは、失礼なこと
まして自身の詮索を避けてもらった恩もある

心を決めなければならないか
ふと、そんなことを考えた

奪われた子どもとしての生活を今一度楽しむために、
水溜まりを蹴って、少女は駆けていった

//お疲れ様です、楽しかったです!
930 :大神 恭子 /異端審問官[sage]:2013/02/26(火) 19:56:38.24 ID:blTJSSbAo
「満月の夜……か」
灰色の犬耳を頭に生やした少女が深夜の新世界を歩く。
「何時もの事だが、やはり落ち着かない日だ」
両の腕も灰色の毛で包まれており、足も同じような状態で、靴は無く裸足だ。背中では尻尾が揺れている。
そして、深く鋭い獣の目。これを見たものは、犬よりも狼を連想するだろう。そういった鋭さが目には秘められていた。

このような自分の力を扱えない状態で仕事をするわけにもいかず、寝床にいても血が騒いで寝られはしない。
つまるところ、時間をもてあまし、ただ目的もなく街を歩いている訳である。
「アゥ……」
目的がないというのは、今の大神に良いことではない。気を抜けば月に遠吠えをしてしまいそうだった。
931 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/26(火) 22:03:33.62 ID:Oo/HG/LVo
>>894
肉弾戦に於ける双方の実力はほぼ互角。しかし彼らが置かれた状況は必ずしもイーブンとは言えない。
第一に、コンディションの差。無傷でこの場に現れた男と、そして先日の戦闘で負傷した状態の紫音。
第二に、庇護の対象の存在。何も省みる物のない男と、姉妹を庇う紫音。
この二つの要因が真剣勝負に及ぼす影響は深刻。最悪それが勝敗を決定付けることさえあり得る。

『終わりだ』

状況的に圧倒的に優位な男。その頑強な獣の体に仕込まれた天然の凶器。敗北の要因は時間と共に失われていく。
しかしそれでも男は信じる。目の前に立つ少年の強さ―――彼が放つ輝きを信じる。
この程度のことで倒れる相手ではない。故に男には微塵の油断もない。

紫音の放った一撃は、文字通り閃光の如き速さで。しかしそれは奇襲とはなり得ない。

『……貴様はよく戦った』

少年の放つ剣。男はそれを避けない。先ほどの紫音に習って、前へ。
敢えて距離を詰めることを選んで、その威力を無力化する。そして追撃の前に、無傷の右腕を紫の首元に向けて差し出し掴みかかる。
刃に触れた右の足。表面の皮が切り裂かれて血液の奔流がとめどなく溢れ。しかしそれは致命傷にはほど遠い。
もし紫音が彼の行動を回避出来なければ、紫音は首根っこを掴まれて宙に浮くような格好になるだろう。
932 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。[sage]:2013/02/26(火) 22:16:47.54 ID:TXBrLLAq0
繁華街に並ぶビルの空きテナントの一室。
そこには少々見慣れない光景である。

「いやあ、親の七光りは不幸にも効力があるんだねえ」

人一人が入りそうな袋と、帽子とコートの揃った中年。
中年ならば、すぐに繁華街のバーにでも行きそうなものであるが、今日はここに在る。

「えっと、今日はここで不審火があって、原因は焼身自殺で、近くの資材に引火して崩落、と」

懐から取り出した不穏な内容の紙を読み上げると男は袋を右手で何か所か触れ、近くの柱に左足を押し付ける。

「おっと、中々の美人さんじゃないか。もったいない」

一通りの始末が終わった後で、袋のジッパーを男は開けた。
中からは、若い女性の顔があった。
933 :大神 恭子 /異端審問官2013/02/26(火) 22:21:23.44 ID:blTJSSbAo
>>630
//すみません。引き上げるのでキャンセルで
934 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/26(火) 22:58:48.72 ID:KGvIZewjo
>>931
「...終わらせる...!」

まともにやりあっては絶対に勝てない
故に卑怯かもしれない戦いかもしれない

脚へ向けた斬撃はヤツを動きを止めるかもしれない
紫音が放った斬撃がヤツの姿勢のバランスを崩すかもしれないからだ

「が、───離せよ..!!」

首に後ろを引っ張られる感覚
それでも軽症、それでも間に合わず
紫音はヤツの魔の手から逃げ切れず首根っこ捕まり、宙に浮くだろう

浮かんだ状態でも抵抗し、その首うぃ掴む腕を外そうと
無駄と分かっても力を込めて外そうとする

限界か、圧倒的な力の差を埋めるには厳しいか───。
それでも、紫音の瞳は諦めていなかった
守りたい者を守らずに[ピーーー]るかと
己が正義を全うするまでは──と。
935 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/26(火) 23:29:10.81 ID:Oo/HG/LVo
>>934
『……ここまでだな』

大きく裂けた口の端から、黄ばんだ色の鋭い牙が覗いた。紫音の首を掴む腕の力が少しずつ強まっていく。
ギリギリと音を立てて、それは最終的に彼の首を粉砕するまで力を加えられ続けるだろう。
未だ光の失われない、少年の瞳。強い意志を宿す、少年の瞳。彼は最後まで抵抗し続けるはずだ。
だが、紫音の命運は今や完全に男の手に握られている。男がその気になれば生かすことも、殺すことも可能で。

『そろそろ死n―――』

そしてその終わりはすぐ傍まで。
ぐるり、と。瞬間、世界が反転した。


[死ね]

男の死―――という形で、それは急速に終わりを迎える。
毛むくじゃらの引きつった笑みが上下逆転して、男の全身から力が抜けていく。
紫音の首を掴んでいた巨大な手のひらも、ゆっくりと開かれて。頚椎を捻じ切られた巨体はその場にゆらりと倒れ込む。

そのすぐ後ろで、双子の片割れが静かに息を漏らす。血しぶきに彩られた黒髪は、夜の街灯の下で紅く煌いた。
始めて味わう、人を殺める感触。しかしそれよりも背後で俯く姉の姿を予想して、霧崎菫は憂鬱に頭を悩ませるのであった。
936 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/26(火) 23:41:23.56 ID:KGvIZewjo
>>935
「が、───ぐあ....」

ギリギリと締められる首
肉が引き締まり骨が締め付けられる音がする
それは意識を現世から解き放つ魔の手
喘ぐその息が自身の限界だと己の肉体に刻み込む
一瞬見えたあらゆる過去の風景
これが走馬灯か、と何処かで自分の敗北を飲もうとした瞬間

───、急にその手が緩み紫音の体はアスファルトの地面へ落ちた

「痛っ!!....てて...」

急に体を地面にぶつけてさっきまでの透き通った冴えた思考が元に戻る
事態がよく分からず戦闘のダメージが残り痛む体を動かして
取り敢えず、守っていた双子の方を向く

「だ、大丈夫か!...二人とも!」

息を切らせつつも、虚勢を張ってか
元気に振る舞いながら紫音は二人の元へ駆け寄った
その目は不安そうであり、怪我がないか等いろいろと気にしている
937 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/27(水) 00:06:08.79 ID:3p3ujcvQo
>>936
「……平気、です」

重い口を開いてそう告げるのが、菖蒲には精一杯だった。
これまでどんな困難を迎えても、人の命を奪うことだけは絶対にしなかった。それは菖蒲と菫の暗黙の了解。
しかしその禁を、菫は破った。菖蒲は怒る。菫に対してではなく、彼女にそうさせてしまった自分の弱さに。

[……紫音さんの方こそ、ケガしています]

そんな姉を前にして、菫は自身の選択を悔やむ。つい先ほどまで、彼女は菖蒲の笑顔を守るために目の前の少年を見捨てることを真剣に考えた。
けれど、そうはしなかった。きっと紫音を見捨てたら、菖蒲は今と同じように怒り、そして悲しんだであろうから。
それに目の前で危険に晒される命を見捨てられるほど非情になることは、さすがの菫にも出来なかった。
それなら自分はもっと早く、助けに入るべきだっただろう。そうすれば紫音に無駄なケガを負わせることもなかったのだから。
今はただ、目の前の少年の優しさや気遣いが辛かった。自分は狡い。彼の前では余計にそう実感して辛く思える。

[……手当てを、しましょう]

そう申し出たのは、狡猾な自分自身から目を逸らす為だった。姉の笑顔を守れない弱い自分から、目を逸らすため。
菫はそんな自分のことが、本当はずっと嫌いだった。子供の頃からずっと、ずっと。

薄汚れた高校の通学鞄の中から、菫は真っ白な包帯とガーゼと消毒液を取り出すと。

[……座ってください]

近くのベンチに腰掛けて、淡々と紫音に呼びかけた。
938 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/27(水) 00:24:38.77 ID:Ngr3wQWHo
>>937
「あ、あぁ...」

菫に言われるままベンチに腰掛ける
怪我した部分、頬や腕、古傷が開いて腹部や脚等数こそ多いが
それぞれの傷は対したものではない
彼女の用意した道具で十分防げる

前にもこうやって、傷を治療してもらっていたなと
つくづく自分の実力の低さが目に映る
傷を受ける、正確には自身の鮮血を晒す行為が能力発動の鍵だ
少々特異故に、傷を受けることに躊躇いがないのか

「.....ありがと、君がやらなかったら俺があそこで倒れてた
そして悪かった、君の手を汚した事を」

素直な感謝と真っ直ぐな謝罪だった
彼女が自身の手を汚して今の自分が生きている
守ろうだの誰かを守りたいだの言ってる身では滑稽だが
彼は自分が切り捨てられかけた事に気付いているのか
たとえ知っていても、何も言わない
彼も同じことで人々を殺し続けたのだから

「......ある程度安全な場所なら知ってる
君たちがよければ、そこへ行こう...君たちに恩返しがしたい」

治療を受けながら二人に聞こえるように呟く
奇跡的に先の戦闘で大破せずに停車された盗難車がまだ残っている
939 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/27(水) 00:45:39.27 ID:3p3ujcvQo
>>938
[……私の方こそ、ごめんなさい。本当はもっと早く、やるべきでした]

傷口にガーゼを当てながら、張りの無い声で菫はそう零す。
優しい言葉をかけられればその分だけ、胸を刺されるような痛みが少女を襲った。
けれどそれを表情には出さず、菫は黙々と治療に専念する。

目の前の少年が持つ強さが、羨ましいと思った。その優しさが、眩しかった。
身勝手な自分に無いものを持つ彼が堪らなく妬ましい。傍に居るだけで身を焼かれそうなほど。

[……恩返しなんて、要りません。助けてもらったのは私たちの方だから。それに]

やっぱり私は狡くて。他人の素直な優しさが大嫌いな。

[……私たちにはもう、この世界に留まれる時間が残って居ないから]

嘘つき、なんだ。本当に、どうしようもないくらい。
940 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/27(水) 01:06:04.90 ID:Ngr3wQWHo
>>939
「飛んで行っちまうのか...嫌だな、それ」

そうポツリと星の煌めく夜空を向いて呟く
また伸ばした手が届かないのか
二度と会えない世界へ消えてしまうのか
自分が相手に何かしらの感情を持てば、相手は何処か遠くへ
どんなに泣き叫んでも会えない場所へ
それはとても───、嫌だった

───、紫音の目は悲しく。とても儚そうに見えたのだった

「だから、それから守ってやる
目の前でそんな顔されちゃあ、黙ってられねぇよ」

そう言って紫音はベンチから立ち上がる
そしてその光のある瞳で、2人を視界に入れた

「君たちを守りたい───、こんな理由じゃダメか?」

彼は人一倍他人に好意に弱く、恩返しの思いが強く、信念の硬い少年だ
そして今は、信念で動いている
守りたいと思う『誰か』を救うため
目の前の彼女たちを見捨てれなかった
941 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/02/27(水) 01:30:31.21 ID:3p3ujcvQo
>>940
[……それは]

こんなに真っ直ぐな想いを向けられて、拒める筈がない。
狡い人だと、菫は思う。素でこれなのだから、尚のこと性質が悪い。
言葉に詰まって、とうとう姉に視線を向ければ。

「それなら、ひとつだけお願い」

彼女はもう、俯いてはいない。ただ、どこまでも前向きないつもの菖蒲がそこに居る。
時には勝ち気で挑発的な彼女が。だけど今は、ひとりの少女として。

「手を、握っていてください」

自分たちの存在する証を。そのぬくもりを。何処かに残したい。誰かに刻みたい。
そうしなければ、姉妹はお互いの中でしか生きていけないから。

震える手を、しかし凛と差し出して。菖蒲は菫に微笑みかける。
それに応じて菫も、おずおずと紫音に手を差し出す。

流転者のトリップを阻止することはそれを仕掛けた術者のみにしか許されない。姉妹はこの世界、この時間から消失する。
けれど、ふたりが存在した証だけは、何人にも消し去ることは出来ない。
それを今、姉妹は紫音と共に証明する。そうあることをただ願う。
942 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/02/27(水) 04:16:29.70 ID:Ngr3wQWHo
>>941
「手...?これでいいのか」

ぎゅっと、その手を握りしめた
その手は細く柔らかくそして、やわらかかった
冷たい風が逆に彼の温かい手を引き立たせるせる
また男性が女性2人の手を握るのはなんとも珍しい光景ではあった

だが紫音はまだ悲しみが残っていた
今ここにいる少女たち
彼女たちともう会えなくなると思うと紫音は途端に目を伏せる
守りたかった彼女たち、それが消えて行くのが
我慢できぬほど、悔しかった

だから───、これだけは伝えないと

「忘れないよ、君のこと」

───、そう。ポツリと呟いた
どちらに言ったのかは分からないが、シチュエーションや雰囲気
あらゆる面から見てまるで恋人に言うようなそんな顔であった

943 :ヴェルナー・シンクレール2013/02/27(水) 16:09:15.94 ID:udB0pbdLo
平日の昼下がり。
帰途につく学生や、買い物帰りの主婦。
はしゃぎ回る子供の声が幾重にもかぶさり、にわかに活気付き始めた、街の一角。

鍛冶屋や鉄砲店が軒を連ねるその通りには、己の得物に拘りを持つ者や、その手の趣味人がちらほらと散見される。

そして、街全体の中でもやや浮いた雰囲気の中でさえ、その男……ヴェルナー・シンクレールは悪目立ちしていた。

適当に切った頭髪と、飾り気はないが彫りの深い顔立ち。東洋人風だが、瞳は青。
別段それは目を引くほどではないが、いまの彼は重傷者であった。

頭に包帯を巻き、緩めたシャツの襟元から袈裟懸けに巻きつけられた包帯にはほんのりと赤が滲んでいるように見える。
190cmもある長身は肩に上着を引っ掛けた逞しい体は、「傷病者」という追加要素により遠方からでも嫌に目立つ。

「これで5軒、か」

周囲の視線が痛い。
一刻も早く帰りたいところだが、いますぐに動くだけの体力も残っておらず、ヴェルナーは今しがた出てきたばかりの鍛冶屋を振り返る。

ヴェルナーの手には、鞘におさまったサーベルが握られている。
今日怪我を押してまでここにきたのはこのサーベルを修理するためであったが、5軒回ってそのすべてで断られていた。

「難儀だな……ってて」

肩を竦め、体の痛みに呻く。
なんとも情けなくて、彼はしょんぼりと肩を落とす。
そもの動作はどことなく哀愁がただよっていた。
944 :リリアーナ/魔法剣職人[sage]:2013/02/27(水) 16:30:10.84 ID:0xVbW0VZ0
>>943
「ふぁ……」
鍛冶屋――鉄砲屋――武器屋――欠伸をする少女の目の前を、何でもない景色が流れていく。
ちょっとした用事があり、早起きをしてまで訪ねた街だが、結局目的は叶わなかった。
「……どうしましょう?」
連なる同業者達の店。昔は他の職人たちに敵意を燃やしたこともあるが、今は自分はそんなことを気にはしていない。
そんないまのリリアーナにとって、いまのこの通りは意味がない退屈な通りであった。

「あ、れっ?」
同じ通りを歩く一人の男性――包帯ぐるぐる巻きで非常に目立つ存在――いくら退屈であっても、関わらない存在だが、見知った顔な話は別だ。

「あ、あの……」
人波を縫って、ヴェルナーのもとへと歩み寄る。
近くで見れば包帯の痛々しさや、暗い表情が見て取れた。
「大変そうですね……一体、どうしたのでしょうか?」

今の身体を引きずって歩いているのは、どこかただ事ではないと感じられた。
「といいますか……私のこと、覚えてます?」
声をかけておいて、覚えてもらってなけらばいい笑い話である。
945 :ヴェルナー2013/02/27(水) 16:39:58.02 ID:udB0pbdLo
>>944
アテが外れ、この辺りで有名な鍛冶屋はすべて「ハズレ」だった。

どうにも、へし折れたサーベルの修復はできないらしい。
ならば新調しようとも思ったが、どの店のものも強度に劣る。

思い出されるのは、このサーベルを叩き折ったあの女剣士。
手合わせした感覚を思い起こすだけで背筋に冷たいものがはしり、同時に体の芯が灼熱する。

あの女とは、またいずれどこかで対峙する。
そんな確信じみた予感があるからこそ、急ぎ新しいサーベルが欲しいのだ。強度に長けた一振りが。

しかしそのめどが立たなければいかんとも。
暗澹たる心中をため息にのせて吐き出すのと、声がかけられるのは同時。

「はい?」

ヴェルナーはサーベルを握ったまま、女性の方を見やる。
どこかで見た女性……どころか名前も知っている相手。
覚えているかなどと問われずとも、すぐに名前が口をついて出た。

「あれ? リリアーナさん? どうかしました?」

温泉以来だったか?
最後に混浴云々、機会があれば云々。そんな会話をしたようなしていないような。
何はともあれ知人である。


946 :リリアーナ/魔法剣職人[sage]:2013/02/27(水) 16:57:13.12 ID:0xVbW0VZ0
>>945
「覚えてくれていたのですね……ありがとうございます」
小さく頭を下げる。名前を覚えていてくれたのは素直に嬉しいことだ。
しかし、いまはそれどころではない。

「どうしたか。 じゃあありませんよ。 それを聞きたいのは私の方です」
「何をどうしたのです? そのような状態を引きずって歩くだなんて」
包帯を巻いたまま街を歩く必要があるのだろうか。
ヴェルナーのダメージについて詳しいことは分からないが、軽い怪我だとは思えない。
何か、ただごとではないというのはその姿を見ていると理解できた。

「何か……」
ヴェルナーの――一瞬、サーベルに視線を向けた。
「何か、お手伝いできないでしょうか? 今のあなたは、なんだか危なっかしいです」
947 :アラン2013/02/27(水) 19:52:38.57 ID:2YDSioRIO
>>946
「会話した相手の名前は忘れませんよ」

はははは、とちょっとやつれた笑い声。
本人としてはごく普通に笑ったつもりだろうが、はたからみれば少々元気がない。

「あいや、これはちょっとした事情がありまして…………」

怪我のことを指摘されれば、おはずかしい、などと苦笑いして罰が悪そうにほおを掻く。
実際軽い怪我ではない。
袈裟懸けの斬撃をサーベルで受け止めきれず、深々と一太刀。
体内の骨が何本かへし折れ、内臓器官もいくつか破損している。

ありていにいって瀕死と言ってもおかしくない。
赤が滲んだ包帯をみれば、それはわかるだろう。

「そんなに危ないっぽいですかね?」

参ったな、と肩を竦め、


「じつはサーベルを直すか新調したくて」
948 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/27(水) 20:30:30.94 ID:0xVbW0VZo
>>947
「でも……『リリアーナさん』では堅苦しいですね」
複雑な気持ちを表す調子が、言葉にも含まれていることだろう。歳上であるヴェルナーに さん を付けて呼ばれるのは妙な気分だった。
それに、前に話をした時に確か自分の愛称を伝えたはずだ。
「もちろん、今の呼び方でもいいですけれど……」

「事情」
下がっていた眼鏡を、指ですくい上げる。
「聞かれたくない、事情でしょうか?」
小さく首を傾げる。下がった眉が作り上げるのは、小さな困惑の感情を秘めた表情。

「色々と、危ないです」
「貴方の体調はもちろんですが……その体調を押してあるく貴方の精神も危ないと思います」
本当に危ない。と強めの調子で話す。

「……サーベルですか」
口を閉じて、視線を足元に落とす。細い目をしてそのまま僅かな間考え込んだ。
「それは、どのような?」
949 :ヴェルナー2013/02/27(水) 20:49:03.26 ID:udB0pbdLo
>>948
「ああ……もうしわけない。どうにもさんづけが……呼び捨てのがいいですかな?」

肩を竦めて、伺いを立てるようにどちらがいいでしょうかねと首を傾げる。
容姿からしておそらく30代と見えるヴェルナーだったが、恐縮して身を縮めている様子はどこか子供のようでもあった。

「いえ、言えない事情などではないんです。前にもいいましたが自分は戦士、戦に生を見出す人種でして」

もったいぶった言い回し。そして一瞬の逡巡を挟んで、ヴェルナーは躊躇いがちに口を開く

「円環の楽園、彼らとの戦いで不覚をとりました」

自分の肩口に手刀をぽんとあて、その時のものであると説明する。
そして「精神が危ない」といわれれば悩ましげに眉根をよせて、

「……たしかに、まともではないですね」


「製造されて以来の相棒でしたが、先頭でへし折られまして。頑強さがウリの一振りでしてね、直せる刀鍛冶がいない」
950 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/27(水) 21:09:12.29 ID:0xVbW0VZo
>>949
「リリアーナ、あるいはリリーと。そう.呼んでもらえると気持ちが楽です」
肩をすくめるヴェルナーをみれば、なんとなく笑顔が漏れた。

「円環……」
言葉が途切れる。それを日常の会話にするには、話題が重すぎる。
「相当な、使い手が?」
ヴェルナーの実力は、身のこなしやその魔翌力を見れば自然と想像できる。
その人物と戦うとは――並のことじゃない。
「いえ、あの……そういう精神が危ないというのは、意味では無いのです。
無理をしているうえに、自分の無理に気がついていない。そういった、精神が強すぎるからこそ、危ない。……というのは、考えすぎですか?」
眉根を寄せたヴェルナーを見れば、さらに言葉を続ける。
「まともじゃない。……というのは、良い表現ではないんです。
まともすぎて、まともに見えない。とでも言うのでしょうか?」
自分の考えを伝えようと言葉を探し続けるが、良い言葉は浮かばなかった。

「それなら……私が力になれるかもしれません」
顔をあげて笑顔を消し、真面目な表情をする。
「あくまで、かもですけれど……これでも一応、私は剣の職人としての技術を持っています」
「そのサーベル、見せてもらえますか?」
951 :クリオネ[saga]:2013/02/27(水) 21:18:19.61 ID:TuSvR+MVo
とある居酒屋。木造の内装は、おしゃれとも取れるが、ならず者でも入る事の出来る場所であるとも取れる。
カウンター席といくつかの丸いテーブル席がある中、クリオネはテーブル席で1人座っていた。
白ワインのボトル1本とグラス、そしてチーズ盛り合わせ。
チーズと言えば赤ワインと言う人が多いかもしれないが、意外と白でもイケるというのがクリオネの考え
……ではなく、特に食べ合わせを考えていないだけだ。好きな物を合わせているだけである。

(流石に派手に動き過ぎたね……しばらくは魔力が無くて何もできないよ)

先の作戦により、魔力を使い果たしたクリオネは充電中の身。
人形1体作れるかどうか怪しい身で、戦闘などもっての外だ。

……が、騒動に巻き込まれるのがクリオネの運命なのか3人の若い男がクリオネに近づいていく。
魔力が全快の時であれば騒動は歓迎なのだが。

「おい、ねえちゃんちょっと付き合ってくれよ」

自分が以前、本で読んだサキュバスという種族だったら良いのにな……と思う。
その本には他人との性行為によって魔力を奪えると書いてあった。
今、魔力の回復をしたい自分にとっては非常に欲しい能力だ。

しかしながらクリオネにその能力は無い。
無い事を考えても仕方がないのだが……困った。
普段であれば適当に煽って、相手が怒って手を出したら返り討ちにすれば良かった。
だが、今日に限っては魔力切れの為そうはいかない。
1人、2人であれば振り切れるが、3人では少々厳しい。下手に断って面倒事になったら分が悪い。

地味なピンチにちょっと困ったなと言う顔をしつつ周りを見渡す。
誰か適当な正義感溢れる奴に押し付けて逃げてしまいたいなと思いながら……
952 :アラン2013/02/27(水) 21:40:25.18 ID:udB0pbdLo
>>950
「じぁあ、リリー、と」

わたしのことは好きによんでくれていい。
そう付け足すと、はにかむような笑顔を浮かべる。

「相当以上の手練れ、相手にして2太刀ですんで強運だった」

鬼神、そう表現する他にない。
人ならざるものである自分を追い詰めたなど、並大抵のことではない。
あれこそ人外だ。
戦うための怪物、ありえざるイレギュラー。

「どうでしょう。危なっかしいとはよく言われるので、たしかにあなたのいうとおりかもしれません」

リリアーナの言にうんうんと頷いて、そっとため息を一つ。

「たしかにもう少し、じぶんの体に気を配るべきだった。


ヴェルナーはじぶんのサーベルをリリアーナに差し出してすきにみてくれていいと好きに見てくれていいとつけたす
「あなたが剣職人だったとは……意外です」
953 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/27(水) 21:54:37.70 ID:c65DeZ6io
>>951
「あれれ〜?お姉さんこういう店じゃビールからはじめてポン酒か焼酎でしょ。」
 三人組の男を無視してクリオネに話かけてきた男までいる。
 サングラスをかけているが表情が緩く、凄みも全くない。
 ヘラヘラした雰囲気のシャギーのかかったオールバックの青年だ。
954 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/27(水) 21:58:40.05 ID:0xVbW0VZo
>>952
「それでは、私はヴェルナーさんと」
「親しみをこめて、です」

「……面白くない話ですね。そんな人が円環に。
いえ、円環だからそのような人が?」
ふぅ……と、息を漏らす。
「円環の楽園。頭の隅に入れておきましょう」



「その敬語も、なんとかなりませんか?」
「なんだか、むずかゆいですよ」

「でも、危なっかしい人は好きですよ」
男らしいじゃないですか? と。
「しかし……危なっかしい状況は嫌いです」
見てて辛いものがあります、とも。

「私も、他人から剣職人に見られるだなんて思っていません」
「あまり、堂々と職人を語ってもいませんしね。 貴方は特別ですから、名乗らせてもらいました」

「少し時間を下さい。……色々と調べますから」
「ええと、素材は?」
眼鏡をあげて、額の上に重ねる。
そうして、剣に触れながら肉眼でサーベルを調べる。

「あれ、製造されて以来の――?」
まるで、剣が生まれた瞬間から扱っていたかのような話し方だった。
何故か違和感があった。 剣が? あるいは持ち主が? 何かの時間が……?
「……い、いえ。なんでもありません」
955 :クリオネ[saga]:2013/02/27(水) 22:02:54.36 ID:TuSvR+MVo
>>953
「キミの趣味なんて聞いてないんだけど……」

この男……持っている円環の人物の情報に一致する。
たしか……アモンとか言った気がするがまだ確定ではないか。

クリオネはジト目になって乱入してきた男を見る。
どうせならもっと正義感溢れる熱血好青年が乱入してきてほしかったと内心思いつつ……

「何だおめえ? すっこんでろよ」

いきなり入ってきて目当ての女性に話しかけた男が気に入らないのだろう。
イラつきを隠さずに白鳥の方を向き、その右肩に手を掛けようとする。
956 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/27(水) 22:14:38.26 ID:c65DeZ6io
>>955
 苦笑しながら「それは残念。」とクリオネに答えた。

 右肩に手をかけられ男達にも反応する。
「ああ、ごめんごめん。無視するつもりじゃなくてさ。
 その、彼女を見逃してあげてくれないかな。
 この女の人…知人に似ていてさ。

 その…死に別れた女房とね…。」

 チャラチャラと、ヘラヘラとした雰囲気が消える。
「俺が奢るからさ、この女性だけは放って置いて欲しいんだ。
 そうでないなら、僕も…覚悟はできている。表にでるよ。」

 そう言って三人のゴロツキにこの店で一番高い十二年物のスコッチを差し出す。
957 :クリオネ[saga]:2013/02/27(水) 22:25:08.87 ID:TuSvR+MVo
>>956
「ふっ……」

とっさに笑いが噴き出てしまうが、手で口を押えて隠す。
初めて会った円環の同僚を捕まえて
”死に別れた女房と似ているんだ……”
なんて言われて笑わないはずがない。
大体私はまだ17歳(おそらく)だ。どれだけ若い女房だ……

そんなことを思いつつも、クリオネに絡んでいた三人の男は差し出された酒を見るや態度を一変。

「あ……? なんだ、話の分かる奴じゃねえか……へへっ」

その酒の正確な価値を知ってか知らずか、男の1人はそのスコッチを受け取り嬉しそうだ。

「おい、女なんて放っておいて今日はこれで飲もうぜ」

どうやらスコッチを受け取ったのがリーダーだったらしく、残りの2人を連れて出口へ向かって行く。
待ちきれなかったようで、店から出る前に瓶のふたを開けて一口飲んでしまっていた。

「…………キミの女房はさぞ可愛い人だったんだろうね」

まだちょっとだけにやけながら、ワインを一口。
958 :アラン2013/02/27(水) 22:36:07.40 ID:udB0pbdLo
>>954
「どうかよろしく、リリー」

にっこりとほほえんで恭しく一礼。
これが精一杯の明るい演技なのか、素の性分なのかはヴェルナーしか知りえない

「かれらは危険だ……破壊しか残さない…………っとと?敬語もだめ?」

そっかーなどと腕を組んで、なにごとかボソボソとつぶやく。
いわれたとおり敬語をやめようと意識しているらしい

「マチズモ的だがたしかに危なっかしいのは男らしい。ただ巻き込まれるのはいやだがね」

おかげでこのざまさ、などと自嘲して、

「そうか……ただ名乗らない相手から教えてくれるなんて名誉だね」

リリアーナがもし、サーベルの刃の付け根を見たなら、そこには1930年代の製造年数と、かの有名な鍵十字ハーケンクロイツが目に入っただろう
つまり……紛れもないナチスのものであり
959 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/27(水) 22:36:39.58 ID:c65DeZ6io
>>957
「ありがとうございます!お疲れ様です!
 …そして一人は永遠の別れになるのかもしれないねぇ。」

 毒を飲んで助かるか、助からないかのゲーム。
 それは彼の十八番のうちの一つ。

 景介は三人の男達が店から完全に出て行く前に、
 懐からアンプルとケース入りの注射器を取り出し机に置いた。
「あ、そうそう。忘れ物ですよ…。」

 そしてクリオネに向き合って言った。
「全部嘘にきまってるでしょ。未婚で独身だよ。
 恋愛経験はあるけれどふられちゃったし、それ以来フリーさ。」
960 :クリオネ[saga]:2013/02/27(水) 22:48:23.27 ID:TuSvR+MVo
>>959
まだ毒入りだと気づかない男たちは、ついにその店を出て行ってしまう。

「話には聞いてたけど、性格最悪だね……アモン」

机に置かれた物に手を伸ばし、それを確認する。
すると、やっぱりね……という表情に。

「毒薬入りの酒で釣り……私なんかには恐ろしくて思いもつかないよ」

そう言うと、クリオネは注射器を手に持ち、親指を押し込む。
中に入っているアンプルは弧を描きながら地面へと流れていく……

「そりゃキミみたいなのと結婚しようとする奴なんて居ないでしょ……
 座れば? お礼に安酒一杯くらいなら奢ってあげるけど?」

そう言うと皿からチーズを1つ取って口の中へ。
961 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/27(水) 23:04:36.87 ID:c65DeZ6io
>>960
「ムルムルじゃないかなと思って声をかけてみたんだけれど、
 自信がなくてね。一応、当面の仲間は庇えたみたいだね。」

 席につくと机の上で両手を組んで種明かしをする。
「連中は鈍感だったがそれが幸いしたね。あの酒は普通の高級酒さ。
 目的はその解毒剤と称された毒薬を自分で注射してもらう事だったんだ。

 毒を盛ったと嘘を付き、解毒剤と偽った毒薬を渡す。
 すると、結構な割合で相手は自殺してくれるんだよ。」
 時々酒にも毒を入れるんだけれどね、と笑いながら。

「それにしても失礼だね。
 世の中には僕みたいなのに従属したがる雌豚だって結構いるんだよ。
 彼女達の生き方を否定するのは良くない事だと思うな。

 それにこうやって平和に場をおさめた方が僕らには都合いいでしょ。
 僕には前科はないけれど、君はそろそろ行政にマークされてるんじゃない?」
962 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/27(水) 23:13:06.19 ID:0xVbW0VZo
>>958
「私は、人から聞いた情報でしかないので、詳しくは語れません」
危険だと教えられても、どこかハッキリとしない。
「けれど、どうしてでしょう? 私もいつか円環の組織とは関わる事になる予感があります……」

サーベルを手にとって、様々な角度から眺める。
「興味深いですね」
「しっかりと目覚めている」

「それから……多くの戦いを乗り越えています。この剣そのものが戦いに目覚めている」
「こうであれば、むしろやりやすいぐらいですけれどね」
ブツブツと呟くのを繰り返しては、一人うんうんと頷くのを繰り返す。

「新しいサーベルを作るよりも、一度このサーベルを分解した後に、再び形成するのが良い」
「剣の形が崩れただけで、素材そのものはまだ壊れてはいない」
「だから、これは使い回したほうが……」


「すみません、お待たせしました? ヴェルナーさん、分かりました。
打ち直すのはそれほど難しい事ではありません」
「壊れていますが、素材の欠落はほぼありません。それに、形質もはっきりとしていますから」
なおせそうだと、簡単に言い切った。

「……けれど、ただ直すだけではダメだともおもいました。
剣の破壊の跡を読み取ったとこその相手の力の凄まじさが分かりました」

「この剣には、何が必要でしょうか?
具体的な答えが出せないのならば、ヒントだけでも良いです。実際にこの剣を握っていた貴方なら、分かるはずです。
いえ……その答えは貴方にしか、分かりません。 私はあくまで剣の職人。剣を振っている分けではないのだから。」

「そのヒントさえあれば、貴方により良いサーベルを送れると思います」
963 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/27(水) 23:14:46.04 ID:0xVbW0VZo
//追加です

>>692
剣の誕生年や付けられた紋章については、尋ねるタイミングを逃してしまった。
964 :クリオネ[saga]:2013/02/27(水) 23:18:18.21 ID:TuSvR+MVo
>>961
「この組織って思ったより仲間意識が強いよね。
 入る前はもっと殺伐としてるかと思ってたけど」

空になった注射器を再び机に置くがネタバラしをされると、それは思った以上の手だった。

「ふふっ……これは私が思った以上にあくどい方法だね。
 手を下すのはあくまでも相手って訳だ」

その時の相手の反応は是非見てみたいなと思うのと同時に、こいつは常に警戒すべき相手だと判断した。
仮にも悪の組織だ。寝首をかかれることも想定しなくては。

「これは失礼……でも、豚にまで気遣うほど良い性格してないから」

白ワインのボトルを手に持つも、どうやら空だったようだ。
店員を呼び、同じものを頼む。
キミは……? と白鳥に注文を聞く。

「私の存在自体はマークされてるかもしれないけど、私の顔はまだそこまで知れ渡ってないはずだよ。……実際私が素顔を晒したのは、バミューダトライアングルの一戦だけ。
 前回の作戦で表に出たのは全てドール達だったしね」

965 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/27(水) 23:26:13.55 ID:c65DeZ6io
>>964
「仲間意識…ねぇ。
 一蓮托生な部分がそうさせてるだけだろうね。
 面が割れてないなら上手いことやってるんだな。」
 感心したように言う。

「手を下すも下さないも、僕の興味はそこにはない。
 自分の未来を選択する姿を見たいだけさ。」
 景介は手の内を楽しんでいるようにも見えるクリオネが気に入ったようだ。

 注文に対しては「同じ物を」とだけ。

「まあ、なんだ。前回のお仕事…になるのか?
 それについてお疲れさん。お代は持たせてもらうよ。」
966 :ヴェルナー2013/02/27(水) 23:35:12.70 ID:udB0pbdLo
>>962
「かかわらない方がいい。傷つくだけだよ」

どこか憂えるような声音。
ヴェルナーは細めた目をリリアーナへと向け、剣の様子を確認する彼女に魅入る。

剣の扱い方をみればその者の技量がわかる。
その点彼女は一流かそれに類すると、彼女のヴェルナーは感じ取っていた。
丁寧でありながらその深奥を見えているような、剣と会話をしているかのような雰囲気。
それは奇妙だが同時に興味深くもある。

「戦いに目覚めるってのはどういうことだい?」

ぎらりと鈍く光る刀身。
かつて雪原で幾百の命を吸ったサーベルの刃はどこか猟奇的だ。
ともすればそこに殺した者共の怨嗟でも詰め込んでいそうな気さえする。

「まあ袈裟懸けに破壊、刃を両断せしめる相手だからな」

渋い顔でそう漏らしたヴェルナーは、何が必要かという問いに、一拍ほど押し黙った。
じぶんしか知りえないサーベルの必要とするもの。共に何万リットルの血を浴びてきた友。
もしそんなサーベルが何かを欲するなら……

「……………血か、犠牲か……そいつは無銘だが、経てきた時間と経歴は並じゃない。わかるのはそれだけかな」
967 :クリオネ[saga]:2013/02/27(水) 23:39:19.86 ID:TuSvR+MVo
>>965
「一蓮托生……ねぇ。
 この組織に本気でメイザースと同じ志を持っている人間は何人居るんだろうね」

他ならぬ自分自身、メイザースの志に共感して組織に入ったわけではない。
あくまで自分の目的の為だけに所属しているのだ。

「なるほど、キミは結果よりも過程を楽しむクチって訳? ははっ、良い趣味してるよ」

注文を聞いた店員が下がっていく。

「奢り? 男どもを追っ払ってくれた上に奢りなんて、気前がいいんだ」

ま、貰えるものは貰うからね。
と言って、近くにいた店員を呼びとめてローストビーフを頼んでしまう。

「ホントに疲れたよ……あんなこと二度とやらない。
 思いつきでやったは良いけど、おかげでこっちの魔力はすっからかんだよ……」


968 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/27(水) 23:48:28.93 ID:c65DeZ6io
>>967
「その前に気になる事があるよ。
 メイザースに具体的な志はあるのかってね。
 まあ、無くても構わないけれどね。
 いや無いほうが面倒がなくて良い。」

「この奢りには毒は入ってないぜ。
 ていうか力を出し惜しみしないならいずれ手の内は全部バレてしまう。
 丸裸にされてしまったら能力の強い弱い以前の問題が出てくる。
 二度とやらない、か。それもまた良い選択肢かもしれないね。
 自分の異能は隠したほうが良い。強かれ弱かれだ。」

「手の内と言えば…俺の異能を目撃したガキが居る。
 厄介な相手だが、気が向いたら適当に消しといてくれないか?
 無理には頼まないが。…壁に入り込んだり好きに形を変える奴だ。
 金も人脈も使って探しているんだが中々見つからないんだ。」
969 :クリオネ[saga]:2013/02/28(木) 00:02:01.08 ID:YQvaKuVmo
>>968
「志……と呼べるものがあるかは分からないけど、少なくとも明確な目的はあるみたいだったよ。
 前に話したときそんなような事を言ってた気がするし」

無い方が面倒が無くていい…・・・
つまりこいつもメイザース自身に共感して組織入りしたわけではないということか。
メイザースは異分子を抱え過ぎではないだろうか。

「それはそうでしょ。ここの奢りで私に貸しを作ったって、踏み倒すのが目に見えてるでしょ。
 上っ面以外で人に感謝なんてしないし」

そう、それが自分にとって損なことであれば今までどんな借りがあった人物でさえも裏切る。
そうやって生きてきたのだ。

「その考えには共感するね。手の内は常に隠すべき……持っている情報の量が勝敗を分けるもの。
 まぁ、今までやむを得ず戦闘になった事は数回あるけど、私の顔と能力を同時に知っているのは一人だけ。
 派手に動いたにしては上々でしょ」

そう言うと、店員が白ワインのボトルを2本とグラスを2つ、ローストビーフの皿を持ってきた。
白鳥が同じものでと言うから、テーブルにボトルが2本になってしまった。

クリオネは、白鳥側に置かれたボトルを手に取り、片手で白鳥のグラスへと注ぐ。

「何それ……? それじゃあ分からないよ。
 名前は? 体の色とか、声とか……もっとあるでしょ」

聞いた限りでは何やら面白そうな奴だ。
興味がある。
970 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/28(木) 00:06:38.76 ID:xwGbqweLo
>>966
「一つ、理解してもらいたいことがあります。
私は、剣を打つ職人です。凶器を作る武器商人でありません」
一度サーベルから視線を離し、ヴェルナーに視線を戻す。
「私は貴方を信頼しているので、剣を打てる事を明かしました。
しかし、もしも私の剣を 剣以外のものとして扱うようなことがあれば、私は貴方を信頼できなくなります。……その心配はなさそうですけれどね」
このサーベルを見ていれば分かります。

「貴方と対峙したという、その円環の剣士。 その人は、まさに凶器の使い手と言えるでしょう」
「……こんなのと戦って、よく生きてますね。貴方も普通じゃないと思います」
ヴェルナーとその円環の使い手を比較して、リリアーナが何故ヴェルナーを信頼しているのかを説明する。

「歴史書の残るものでは無くても、使い込まれた武器はどれも大きな力を宿すものです」

「イエス様を貫いた槍である聖ロンギヌスは、聖人の血を受けて聖槍へと昇華したというお話はご存知でしょう?」
「物質がその行いにより、より高度な存在へと変わっていくというのは当たり前のことなのです」
少私の教わった魔術の話ですが。と、付け加える。
「私、人に説明するのは苦手なんです。分からなければちゃんと説明できるように、まとめておきますが、必要でしょうか?」


「多くの戦いを乗り越えたこの剣は、より戦いに適したものに変わっている。
だからといって、切れ味がよくなるとか、そのような、大げさなものではないのですけれど……」
「同じ武器をずっと扱っていれば、馴染んできたと考えるでしょう?
同じように扱われている武器も、使い手が馴染んできたと感じるのです」
「さらに詳しく言えば剣に人に扱われるという感覚は無く、むしろ剣は人を扱うのだと……話がそれましたね」
咳払いをして、ヴェルナーとの会話に戻る。
剣のこととなれば、いちいち話が長くなるのだ。

「犠牲……経験、時間。なる、ほど……」
顎に指を当て、難しい表情をする。
971 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/28(木) 00:14:12.39 ID:PPP/dY/5o
>>969
「その目的もわからないと来たもんだ。
 なあ、俺が言うのもなんだが一組織として異分子…
 …いや、反乱分子すら抱えている気がしないか?」
 だからこそ。
「俺は円環内でも自分の全てを曝け出す気になれないね。
 君も手の内は晒せないと、そう思うのか。
 つまり、俺も君も円環の楽園に入る前と生き方も振舞いも何も変わっていない。」
 互いの不信感。これを放ったらかしのメイザースは面白くはあるが不気味な存在だ。

「目撃者か。目撃者はブロンドで紫色の瞳の…多分女の子だな。かなり幼い。
 腕力が人間の子供より強い。いや、普通の大人を超えている。
 そして…手足が伸びた。そして壁に溶け込んだ。」

972 :クリオネ[saga]:2013/02/28(木) 00:25:43.83 ID:YQvaKuVmo
>>971
「あるいは……私たちの行動は、メイザースにとっての大局に一切影響しないのかもね。
 それか、そんな私たちの行動や思考まで読んでいるとか」

それはそれで気に入らない。
あのメイザースのなんでも解ってますよ感がたまらなくムカつくのだ。

「それで……キミは今自分を引き合いに出したけど、キミは自分がこの組織にとっての異分子や反乱分子だという自覚があるわけ?」

少なくとも、今までの会話でメイザースに忠誠を誓って居るタイプではないことは分かった。
だからこそ、この人物が裏切る可能性の高さを知りたい。

「なんか怪物みたい……」

そんな奴に心当たりは…………あった。
以前、廃ビルの一室で見かけた宝箱を守る少女。
たしか特徴は一致しているし、逃げる時にそんなような事をしていた気もする……それが白鳥の指している人物かどうかは分からないが。

「わかったよ。そんな面白生物、私が見たら放っておかないだろうし、気に留めておくよ。
 殺すかどうかは分からないけどね」
973 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/28(木) 00:34:39.35 ID:PPP/dY/5o
>>972
「俺は相乗り。今なら反乱するつもりもないよ。
 忠義は要らない、そういう約束だったしね。」
 白ワインを煽る。
「ただ・・・選んだ組織は簡単に捨てたくないね。
 今は円環の楽園のアモンさ。」

「人の人生なんて選択の連続じゃん。
 それを途中で投げられるもんだなんて思ってないさ。」

「ま、その化物については面白そうな話が入ってきてるけれどね。
 円環の楽園の構成員が飯事みたいな家族ごっこをしているかもしれない。
 していないかもしれない。確かめてみるのも面白いけれど、別ルートから
 探ってみるのも面白そうだ。AMSWATの連中でも弄ってみるかな?」
 ニヤリと笑ってグラスを傾ける。
 
974 :クリオネ[saga]:2013/02/28(木) 00:44:30.48 ID:YQvaKuVmo
>>973
「ふーん……ま、それなら良いんだけどね。
 私は私の目的のために、メイザースの目的を達成してもらわなくちゃならない。
 だから、反乱分子が居るなら潰さないといけないんだよ」

反乱分子になるかもしれない存在が、反乱分子を潰す。
我ながら何かおかしいなと思いつつグラスについだワインを飲む。

「それもそうだね。選択の連続の結果、私もキミもここに居る。
 どれか一つ、別の選択肢を選んでいたらここに居なかったかも……」

それが人生の面白いところでもあり、辛いところでもある。
一つの選択が命取りになることだってある。

「家族ごっこ……?
 なかなか面白そうな事をしようとしてるんだ。その話、具体的に動いたら話を聞かせてほしいね」

自分と自分に近しい人物以外であれば、どんなことになってもお構いなし。
面白い方向へ転がってくれるのであれば、是非首を突っ込みたいところだ。
975 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/28(木) 00:52:10.14 ID:PPP/dY/5o
>>974
「メイザースが成功しようが、失敗しようが俺には関係ない。」
 グラスを置いて何の感情も無く言い放った。
「面白そうだから協力はするが、おれのスタンスはその程度だ。」

「円環かそうでないか、ただの犯罪者か只者じゃないか気になる女が居るだけさ。
 そいつが円環のメンバーだったら…飼ってるお譲ちゃんにも手はだせないな。
 さてと、俺はそろそろ帰って寝るがあんたはまだ飲むかい。」
 テーブルに万券を置いて立ち上がる。
「とりあえず、仲間に出会えたのは面白かったよ。
 俺はアモン、白鳥景介だ。あんたは?」
976 :クリオネ[saga]:2013/02/28(木) 00:58:26.72 ID:YQvaKuVmo
>>975
「なるほど……とりあえずは裏切らないってことで覚えておくよ」

という事は、面白くなくなったら裏切るという事。
この男の言葉を信じるのであればそういう事だ。

「せっかく来たローストビーフをまだ食べ終わってないからね。私はまだいるよ」

そう言って、ようやくローストビーフに手を付ける。

「ムルムル……って言うのは知ってるでしょ。組織のメンバーにいちいち名前を教えるつもりは無いよ」

組織内では悪魔の名前を使用するようにメイザースに言われている。
必要以上になれ合う気のないクリオネは、悪魔としての名前を知っていれば十分だろうといった具合に名前を名乗らなかった。
977 :白鳥景介 (オールバックの青年) 効果反射能力2013/02/28(木) 01:01:45.16 ID:PPP/dY/5o
>>976
「Ok、ムルムル。
 ま、酔っ払いすぎて道端で眠らないようにな。」
 ケラケラ笑って会計を済ませた彼は店を後にしようと暖簾を上げる。
// お付き合いありがとうございました。
// このシーンはこの辺りで〆としませんか。
978 :クリオネ[saga]:2013/02/28(木) 01:06:19.03 ID:YQvaKuVmo
>>977
「誰が……ま、酔いつぶれたらその辺の優しいお兄さんに助けてもらうから良いよ」

そう言ってアモンを見送る。
さて、まだまだ魔力が回復しないクリオネ。
これを口実にしばらくはメイザースの招集に応じなくていいと思うと、なんだかいい気分になった。

//オッケーです
//ありがとうございました。
979 :ヴェルナー2013/02/28(木) 21:59:12.58 ID:onIwiIK6O
>>970
「剣は……剣だよ。剣の剣たるため以外の扱い方ってのは私にはわからない」

剣とはすなわち兵器である。
となればその役は"殺人道具"であり、むしろそれ以外の用途を思い浮かべることができない。
ヴェルナーはつまりそういう返事をよこしたわけで、はたしてリリアーナの言わんとすることとはずれているのだろうが。
自覚をしていないヴェルナーは、奇妙な話だななどと首を傾げる。

「アレは異質な相手だったが、剣の破損だけでそれは見抜けるものなのか?」

わたしとて修練した兵士だからな、となぜか誇らしげにやや胸をそらす。

「武具に限らす用途により変質するものは数多い。それはわたしも知っている。
説明は大丈夫、わたしもそちらは心得がある」

リリアーナの言葉に相槌をうったり返事を挟んだりしながら、やや饒舌な彼女の様子からよほどこの方面に増資が深いのだなと納得する。

「ただのスコップが血を吸って凶器に変幻した事例もある。そのサーベルも同じく、血肉を食む存在だ」
980 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/28(木) 22:21:37.67 ID:xwGbqweLo
>>979
「剣は剣……確かに、そうですね」
一度、大きく頷く。
「それでも……同じ殺人道具だとしても、それを何のために扱うのか。それが、大切だと思います」

「私は殺人道具を作る職人です。
事実として、私が打った剣で殺められた人も沢山います」
人殺しは良くないなどと言うつもりはない。 闘争は必要なものだ。――人は争うことをやめない。

「他の使い方は、分からなくて良いんだと思いますよ。私、今の貴方の扱い方が好きですから。ふふふ」
ヴェルナーのサーベルがよほど気に入ったらしく、笑顔を見せた。


「理屈では説明できない感覚によるものですけれど、どんな扱い方をしているのかを感じられる気がするのです」
精密化された技術ではなく、自然に磨かれた精神だからこそ感じられるものがある。
「……でも、はずれることが多いですね」
戦闘の昂揚、追い詰められた恐怖。 武器を握った人間は簡単に変わる。
瞬間的に与えられた傷で、その全てを理解できはしない。

「貴方とこの剣の性質から考えるに、妙な小細工はしない方が良いのかもしれませんね。
硬く、鋭く、美しく……ただ、剣らしく、彼らしく、私らしく……そんな剣が似合うと思います。」
981 :ヴェルナー2013/02/28(木) 22:36:33.67 ID:onIwiIK6O
>>980
「剣とは崇高なものだと昔祖父から聞かされた
騎士の魂、その理念と誇りをまとったものだ、と」

ふと思い出したことを口にして、ヴェルナーは郷愁に駆られた。
その表情に一抹の寂寥感がよぎり、伏せられた眼が孤独げに青く揺れる。

「それをただの人斬りの道具に貶めるか、剣を剣たらしめるか、それは使用者しだいなのだと」

自分はどちらだろうか。
人斬り包丁をぶら下げた畜生と、あくまで剣を剣として扱う武人と。

「わたしの扱い方……か。そんなに、いいものだったかな?」

戦う理由もなく、守るべきものもなく。
ただ他者の理念を間借りしてたっているだけの自分に、このよう褒められるだけの何かがあるとは思えなかった。

「ふむ…………でか問うが、わたしその剣をどのように扱っていると思う?
印象的なものでいい」

ちょっとした好奇心に任せて質問を繰り出し、相手の返事を待つ。
久しく平静なままだった心が弾むのは、剣を語らえる相手を見出せたからだろうか。

「もともとそれには機能などない
ただ硬く、折れない硬質さのみをたのみとした一振りだ
そこを理解してもらえて嬉しい」

そう微笑んだヴェルナーのかおは、どことなく少年じみた幼さのようなものが混じっている
982 :リリアーナ/魔法剣職人2013/02/28(木) 23:20:04.54 ID:xwGbqweLo
>>981
「やっぱり、戦士の家系だとそういうお話を聞いて育つのですね……。
人殺しの道具には違いはないのだけれど、その内には数多くのものが秘められているのです――?」

視線をヴェルナーへと戻せば、リリアーナが知り得ない感情に瞳が揺れていた。
その奥深い青色には、まるで吸い込まれるような感覚を感じた。

「私は、剣を扱うのが大好きです。
自由に研究して、やりたいように武器を作る。昔はそうでした」
深く、大きな吐息を漏らす。
「けれど最近は、後のことを考えるようになりました。私が扱った剣は、その後どうなってしまうのかと……それで、私の剣をおかしな使い方をされるのはダメなことだって、今は思っています」
「こんなことまで考えてしまうのは、くどいでしょうか?」

「良い、悪いは見かたによって変わってしまいますから……善悪はともかく、私は好きなのです」

「難しい質問ですね……印象ですか?
あくまで私の印象ですから、外れていても文句はなしですよ」

「なによもり感じられるのは、強さです。 折れない強さ。
その強さは、ただ硬いということてまはありません。その中に柔らかい物があるから、それは硬い物よりも強い……?」

「すみません、なんだか話していて恥ずかしくなるんですけれど、コレ」
983 :クララ(ブロンド美少女)ミミック2013/02/28(木) 23:41:41.08 ID:PPP/dY/5o
【スラムへ続く道 通称"親不孝通り"】
 場違いなほど整った衣服に髪型。
 ウェ―ブがかかったハーフコートの美少女。
 肌は桃色で白人というよりアルビノといった感じか。
 紫色の瞳がギラついた瞳を一つづつ覗きながら歩いている。
「この辺りだったと思ったのだけれど…。」

 お譲ちゃん、良いアルバイトがあるけどやって行かない?
 お譲ちゃん可愛いねぇ、うちの店で働いてみない?
 お譲ちゃんこんな時間に何してるの、行く所がないならうち来る?

 無視。
 善悪で言えば悪党寄りなのだろうけれど、
 襲えば後が面倒な程度の良識人達に用はない。

 探しているのは攫った女を売り物にしている業者だ。
 中には誘拐した後、文字通り逃げられない身体にして売る業者もいるという。

「そのくらいなら食べちゃっても良いわよね。」
 多くの男性が性欲を満たすために存在するこの通りで
 食欲を満たそうと、無防備に歩きまわり、そして得物を釣る。
 しかし得物は中々かからない。 
984 :アラン2013/02/28(木) 23:54:27.77 ID:G6r/EYe/o
>>982
「昔は意味がわからなかったんだがな
戦う身になれば理解できるようになったよ」

いまはもう面影すら見出せない故郷の眺め。
父と母、妹の声が聞こえる長閑な平野。一瞬の幻覚だ。
その眺めに混じった懐かしい女性の面影すら、切ない記憶の靄に紛れてしまう。
目の前のリリアーナの立ち姿に、もう逝ってしまった女のすがたを幻視したヴェルナーは、そっと目を細める。

「くどいもんか
武器を作る側が武器のその後を気にするのは当然だよ
わたしにはそれがよくわかる
わたしとて、自分の力を振るう結果を気にしてしまう」

ヴェルナーの視線がサーベルに刻まれたハーケンクロイツへととまる。
複雑な色合いに揺れる瞳には仄暗いなにかが映り込み、奇妙の無表情な顔は苦悶しているようにすら見える。

「そうか。好きと言われたなら、このまま変えずにいたい」

折れない強さは自分が望んだものだ。
ひたすらに強く。他に流されず我を突き通すだけの強さを
だが柔らかい部分などあるのだろうかと、自己を疑ってみもする。

「すまない、たしかに聞いていて恥ずかしい」
985 :リリアーナ/魔法剣職人2013/03/01(金) 00:06:01.74 ID:iKZ1j8XMo
>>984
剣についた語りたいことは山ほどあるが、一度この場は収めようと言葉を切った。

「さて、と。突拍子な展開になってしまいましたが……」
ヴェルナーのサーベルを、両腕に持ち直す。
「この私でよければ、貴方の剣をつくらせていただきます」
お願いします。 そう、頭を下げた。

「そこで、このサーベルは私が持って行ってしまっても大丈夫でしょうか?
この剣を打ち直して、貴方の新しい剣にするのです」
小さく首を傾げて、ヴェルナーに許可を求める。

許可さえもらええば、このままお暇するつもりであった。
すじにでも剣の準備を始めたいところだった。
986 :アラン2013/03/01(金) 00:37:41.31 ID:8475hB93o
>>985
「ああ、もちろん、ぜひいい剣を仕上げて欲しい」

頭を上げてくれよ、と苦笑いして

「ぜひこちらこそ」

しっかりとお辞儀をする
987 :リリアーナ/魔法剣職人2013/03/01(金) 00:52:25.04 ID:iKZ1j8XMo
>>986
「あ……そうです」
ポケットの手帳から切り取った、一枚のメモをヴェルナーに手渡す。
リリアーナの連絡先が記されていた。
「連絡に使える方法、教えてください。
剣が出来上がったら、連絡をするので」

「それでは、また今度。
今日はありがとうごさいました」

//それでは……色々と雑でしたが、絡みありがとうございました
988 :ヴェルナー2013/03/01(金) 12:09:51.70 ID:VhjbW33xO
>>987
「ん、わかった
あとで連絡しておくよ」

メモを財布へと収め、しっかりと頷く

「こちらこそ、恩に切る
ではまた」

/こちらの不手際大連続……おつさまでした
989 :霧崎菖蒲&霧崎菫[saga]:2013/03/01(金) 12:44:54.21 ID:KMR6OpoYo
>>942
「それならあたしたち、まだ生きていられる」

人が生きるのは常に誰かの心の中で。他人から認識されねばそれは死んでいるのと同じ。
様々な世界、様々な時間で。彼女たちの残した痕跡は、しかしすぐに上書きされてしまう。
故に姉妹は行動を共にするお互いの内面でのみでしか存在し得ない。
誰と出会いどんな関係を築こうとも、それはひと時の物でしかないから。けれど。

「紫音さん、ありがと」

けれど少年は言った。忘れない―――と。
瞬間、胸の奥で鼓動が瞬いた。それは自分の存在がこの世界に根付いていく実感。
即ち、生きているということ。誰かの心の中に、居場所が出来た喜び。

数刻の間、姉妹は紫音の体温から震える程に漏れ伝わる慈愛を一身に受けて。
そうやって浮き彫りになる他者の存在から、逆に自身の存在を明確にしていく。
もう身体の震えは止まっていた。けれど、いつか再びこのぬくもりが恋しくなる日が来るだろう。
またいつか、この人に会えたら。どちらからでもなく、そう想う。きっとそれは叶わぬ願い。

「……さよなら」

その言葉を最後に、世界から2人分の質量が失われた。けれど、それはとても些細なことだ。
ふたりの少女が消えて、しかし世界は明日も明後日もお構いなしに回り続ける。
一陣の風が吹けば、彼女たちが残した温度さえ容易く消え失せて。
そんな無慈悲な世界に痕跡を残すことに、果たして意味はあるのだろうか。それは分からない。
けれど、今はただ願う。ふたりが出会ったお人よしな少年に幸あれと。そして願わくば、いつか再び彼の元に―――と。

/数日に渡りお付き合い頂いてありがとうございますー
/というか、ほとんど此方の都合で引っ張り回してしまってごめんなさい
/お許しが頂けるなら、また是非ご機会をと思います。それではお疲れ様でした
990 :紫乃咲紫音:雰囲気さえも薄い素人殺し屋[sage]:2013/03/01(金) 12:59:05.89 ID:Z8xD0TwHo
>>989
/こちらこそ、寝落ち等で遅くなってしまいまして本当にすいませんでしたーっ!!
/今後とも紫音くんをよろしくお願いしますっ!
991 :クリオネ2013/03/02(土) 20:37:42.73 ID:LhAyTw8Zo
「やっと開放された……」

夜の街を、疲れた面持ちで街を歩く赤毛の少女。
時折首がガクンと動き、意識を持っていかれそうになっている。

「……眠い……」

夜の街をフラフラと危なっかしく歩く赤毛の少女。
時折首がガクンと動き、意識を持っていかれそうになっている。

かろうじて人にぶつかったりはしていないが、傍目から見ても症状危ないとわかる。

「ん……」

片手で目をこすり、欠伸を一つ。
常に周囲を警戒しているクリオネらしからぬ状況だ。
992 :大坂澪2013/03/02(土) 21:03:25.89 ID:ubJYYU2r0
>>991
夜道を歩くワンピース姿の少女。
買い物袋を提げて鼻歌交りに帰宅中。
と、目を引く赤毛が目に入る。見覚えのある後ろ姿。

「おーい、どしたん?お疲れ?」

足取りおぼつかなく、見るからに危なっかしいので、声を掛ける。
このままではいつ転倒するや、もしくはぶつかるか分かったものじゃない。

「しっかりしいや、コケてまうで…」

一応気をつけるように言うが、果たして聞こえているか…
993 :クリオネ2013/03/02(土) 21:15:10.48 ID:LhAyTw8Zo
>>992
「……」

なにか聞こえたような気がする。
聞き覚えがなるようでないようで……いまいち働かない頭では判断することが出来ない。
仕方なく立ち止まり、ゆっくりと首をひねって後ろを向けば、やや霞んだ視界に映る見知った顔。

「あれ……? 澪……」

あの美味しい料理が食べられる店の店主である、澪が目の前にいる。
どうしてここにいるのだろう……この頭では考えられない。
それどころか、わけの分からない思考まで口から出てしまう。

「なんで澪がここに……? 私現場に居るんじゃなかったっけ……。 あれ? 自宅だっけ……
 でも澪が居るってことは店にいる……?」

ぼそぼそと喋りながら澪に向かって歩いて行く。
ろくに質問にも答えずに歩くその足取りは、今にも次に足を踏み出したら転ぶのではないかというほどだ。
994 :大坂澪2013/03/02(土) 21:26:40.26 ID:ubJYYU2r0
>>993
「…あー、こらダメやわ。心ここにあらず、やな…」

想像以上にお疲れのようだ。現在地も分かっていない。これはどうしたものか…
取り敢えずまずは彼女を安全な場所に移さねば。若い女の子が夜の路上で寝てしまっては、何が起こるか分かったもんじゃない。

「ほら、掴まりや。ウチまで連れて行くわな…」

疲れた彼女を半ば背負うような形で、一緒にゆっくり歩き出す。
片手には買い物袋、背には疲れ切った人。…ちょっと大変だけど、何とか歩みを進める。

「…大変やな。大丈夫か?何かあったんか?」

それでも案ずるのは自分ではなく疲れた彼女の体。
995 :クリオネ2013/03/02(土) 21:32:46.18 ID:LhAyTw8Zo
>>994
「ん……」

澪に触れて体に直接刺激を得たことで、少しだけ目が覚める。
とりあえず、今澪につかまりながら街を歩いているという現実を認識できる程度には回復した。

「ん? んー……3日くらいろくに寝てないっていうか……」

それでもやや呂律が回りきっていない寝ぼけた声になっている。
一応それでも説明しようとしているらしく。

「依頼で……人追って……て……」

しかし、今度は澪に体を預けた安心から眠気を増していく。
なんとか歩きながらも、体重を澪に預け、このままでは澪の肩に頭も預ける勢いだ。
996 :大坂澪2013/03/02(土) 21:46:33.67 ID:ubJYYU2r0
>>995
「3日間寝てないんか!?無茶したらアカンで…」

3日間寝ていない。そりゃそうなるわけだ。事情は分からないが、相当大変なことだったのだろう。
…自分は1日でも寝ないと翌日厨房内で倒れるだろう。刃物を持ちながら集中力を欠くのはもってのほかだ。

「取り敢えずウチでゆっくりしていき、体壊してまうから…」

もう殆ど寝ながら歩いている状態だ。しょうがない、疲れているんだもの。
しょうがないから、もうおぶって歩くことにしよう。
優しくそっと背負うと、ゆっくり歩き始めた。
16歳とは思えない背中の安心感。ゆっくり休みなさいというように。
何とか自分の家、その前まで辿りつく。
店舗の二階の部屋まで
997 :大坂澪2013/03/02(土) 21:49:11.76 ID:ubJYYU2r0
>>996
/途中送信してしまいました…
店舗の二階の部屋まで上がれば、そこは澪の自室。
ここなら心置きなく休めるだろう…
998 :クララ(ブロンド美少女)ミミック2013/03/02(土) 21:57:22.78 ID:O02S2qAZo
【スラムへ続く道 通称"親不孝通り"】
 薄汚れた街では場違いなほど整った衣服に髪型。
 ウェ―ブがかかったハーフコートの美少女。
 肌は桃色で白人というよりアルビノといった感じか。
 紫色の瞳がギラついた瞳を一つづつ覗きながら歩いている。
「この辺りだったと思ったのだけれど…。」
 捕食生物として幼いことは有利にも不利にも働く。

 お譲ちゃん、良いアルバイトがあるけどやって行かない?
 お譲ちゃん可愛いねぇ、うちの店で働いてみない?
 お譲ちゃんこんな時間に何してるの、行く所がないならうち来る?

 少女を加入する非常識なスカウトは無視。
 善悪で言えば軽く悪党寄りなのだろうけれど、
 襲えば後が面倒な程度の良識人達に用はない。

 探しているのは誘拐した女を売り物にしている業者だ。
 中には誘拐した後、文字通り逃げられない身体にして売る業者もいるという。

 多くの男性が性欲を満たすために存在するこの通りで彼女は食欲を満たそうと
 無防備に歩きまわり、そして得物を釣る。しかし得物は中々かからない。
「人攫いはこんな所にはいないのかしら?」
 ガラが悪くてもこの地区の治安はそこそこ維持されてる。
 しかも人通りの多い街中で突然子供を誘拐する者は中々いないだろう。

「あてが外れたわね。」そういうと彼女は人通りの少ない路地裏に入っていく。
999 :クリオネ2013/03/02(土) 22:00:47.47 ID:LhAyTw8Zo
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1000 :クリオネ2013/03/02(土) 22:13:14.87 ID:LhAyTw8Zo
>>996
「ん……うん
 ……ありがと」

何時に無く素直なクリオネ。
人が最も素の出る場面というのは、案外こういった場面なのかもしれない。

澪の背中で体に抱きつきながら、ゆっくりと意識を沈めていく。
クリオネが人前で寝ることは非常に珍しい。
いくつかの例外はあるが、基本的にどんな相手でも寝首を掻かれないようにと意識して、仮に寝たとしても仮眠状態にして何時でも不測の事態に対処できるようにしている。
だが、今は人前……それも人の背中で本格的に眠っている。
その顔は、普段の張り詰めた表情や冷酷な表情などが無く、17歳前後の歳相応の可愛らしい顔をしていた。

家の二階に着いてもクリオネはまだ目を覚まさなかった。
よほど疲れていたのか、それとも澪の背中が安心できる場所だったのか……

澪に降ろされて、部屋の布団の中に寝かされる。
初めは安らいでいた表情だったが、少したつに連れてだんだんと険しい表情になっていく。

「ん……はぁ……はぁ……やぁ……」

何やらうなされているような感じだ。
足を折りたたみ、背中を丸めてまるで外敵から身を守る様に小さくなる。

「い、や……嫌だよ……一人に…………しないで」

その瞳はうっすらと涙を浮かべていた。
放っておけばそのうち起きるかもしれないが……
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