以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/22(水) 17:39:00.98 ID:XizhoylJ0<>ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・新規の方から「誰が誰だかわからない」等の要望があったため、議論の結果コテハンは「推奨」となりました。強制ではありませんが、一考をお願いします
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1427265184/】
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/】<>【異能と異能の物語】能力者スレ【紡がれ続け幾星霜】 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sagesaga<>2015/04/22(水) 17:58:00.86 ID:BEfopkOY0<> ?? <> ◆my2He3rcPs<><>2015/04/22(水) 18:11:46.45 ID:nuZJnhlDO<> いちおつ! <> ◆3inMmyYQUs<>sage saga<>2015/04/22(水) 18:15:20.21 ID:+Bpu38imo<> >>1乙! <> レツ・ダンセツ ◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 16:55:05.61 ID:nb+xwDGRo<> 【夜の繁華街】
【そこは昼とはまた違った様相を見せておりネオンの光があたりを照らす】
【その光と闇のコントラストは見るものを魅了する】
【しかし昼間より闇が濃いのは事実】
【そして闇に紛れた犯罪も多い】

……今の所不良少年・少女はいないか……
後は怪しいやつを職務質問するだけだな

【そんな街を何処かの警察を思わせる服を着た】
【整った白い髪をした男が鋭い眼光でパトロールをしている】
【左肩にはSCARLETのワッペンが貼り付けられている】 <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 17:24:22.68 ID:jGlsjkjm0<> >>5
【彼は今日もまた繁華街を物色する】
【強者を探すため、昼間に出来ない娯楽を求めるため】
【彼はいつも通りの黒いロングコートを着込み、フードを被って顔を隠しながら同じルートを歩き続けていた】
【そんな時】

あれは・・・?
SCARLETか・・強そうではあるが、あまり問題を起こしたくは無いな・・・

【彼は意外な迄に常識人である、こういった組織の連中と戦闘を行う際は機関全体に影響が及ばぬよう戦うべき時にしか戦わない】
【そう言った理由で一度は自然に人混みに紛れようとしたのだが】

面白そうだ・・・眺めてみるか。

【彼はSCARLETの同行を監視し、ある程度情報を得ようと言う考えから人混みの中を歩きながら一定の距離を保ち続ける事とした】 <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 17:36:19.08 ID:nb+xwDGRo<> >>6

……

(さっきから歩いている時に感じていた)
(最初は気のせいかと思った)
(しかしどうやら気のせいではないらしい)

【自分をつけている人物に気がつく】
【どうするべきかレツは思案する】
【とりあえずほうっておくという選択しはレツにはない】
【角を曲がり表通りからは見えない道に入る。ネオンの光が当たらない暗い所だ】
【壁には排水管やら換気扇やらがあり室外機が地面にある】
【そして相手の死角に入った時レツは身軽な動きで壁をよじ登る】
【もし相手が同じく角を曲がればすぐさま地面に降りて相手の逃げ道を無くし】
【職務質問という名の強制捜査に入るつもりだ】 <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 17:52:30.73 ID:jGlsjkjm0<> >>7
【男は突然角を曲がり、裏路地らしき道へと入っていった】
【あまりにもタイミングの良い行動、此はつけていた事に気付かれたのだろうか】
【彼は左腕で少しだけ刀を押し出し抜刀直前の状態にする】
【此方が曲がり角を曲がった瞬間に襲ってくる事も有り得るだろう、万全の準備の元歩みを進める】
【そして臨戦体制のまま、ゆっくりと足音を発てずに裏路地へと入っていく】
【そこは排水菅や室外機のみが置かれた薄暗い裏路地であった】
【見開かれた彼の左眼が赤く煌めく】

(いない・・・?まさか逃げられたのか)
(その程度の能力者だったと言うことか・・?だが不自然だ、暗いとは言っても人が走っていれば気付くはず・・・)
(気配はある・・・何処だ・・・?)

【彼は右手を刀の柄に触れさせ、完璧な迎撃体制で進んでいく】 <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 17:58:50.93 ID:nb+xwDGRo<> >>8
【相手が目論見通り入ってきた時】
【表通りへ続く道の地面へ降り立ち相手の逃げ道を防ぐ】
【ここから逃げようとするならば奥へ行くしかないが土地勘が無ければいけない】

そこまで。人を尾行していた上に姿が見えなくなったら戦闘態勢
不審者以外の何物でもないですね。職務質問に応じてもらえますか?
応じてもらえないのなら令状とって強制執行することになりますけれども……
強制と任意、どちらがいいですか

【淡々と説明するような口調で言う】
【そして、さらに暗闇の中、レツの肘から先と膝から下に銀色の光が走りギラリと光った】
【こちらも戦闘態勢に入っているのだ】 <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 18:10:20.19 ID:jGlsjkjm0<> >>9
【突如、背後に男が現れる】
【どうやら壁を登り、上で待機していたようだ】

(落人注意か・・・面倒な事だ・・・)

【途端彼は顔を変え】

良いさ、質問に応じよう。その後は俺の質問に応じて貰うがな。
さぁ、どうした?hurry hurry 俺も質問をしたいんだ。

【捲し立てるように言い切った。彼はこういった行為をする事に関しては機転が回る】

(さぁ、どう来る?あぁ来る?そう来る?強者らしい質問をしてくれよ。後になって命乞いはよしてくれ。) <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 18:16:29.54 ID:nb+xwDGRo<> >>10

【相手の様子にこちらも覚悟を決め】

それじゃあ聞きますね……貴方は何者ですか?
身分を明かしてください

【相手が何者であるかとやけに響き渡る声で問うた】

(さて……蛇が出るか鬼が出るか)

【間違いなく疫ネタに出会ったと確信している】
【もっともだからといって引くつもりはレツにはさらさらないが】 <> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/23(木) 18:23:40.96 ID:2lXB92H3O<> 前989

【分かりにくい言葉ではあったが、何とか理解しなくてはならなかった】
【何かより一層の情報を取れないかと考えているとき、ユンイェに変化が起こった】


 お、おい……どうした?


【突然のことに驚いた様子でニグレドは声をかけた】
【慌ててユンイェに近寄り、差し出された掌に映る地図に目を向ける】


 ……ここに運べばいいんだな、わかった


【手短に返事をしてニグレドはユンイェを抱え込んだ。機械の重量に顔をしかめたが、今は気にしている場合ではない】
【地図の内容を頭に叩き込み、いざ歩き出そうとしたとき、ユンイェの最後の言葉がニグレドの耳に届いた】


 ────────……………だとするならば

 お前は、出会う人間を間違えたのかもしれないな…………


【聞かれることのない独白は、悲痛なものだった】
【振り払うようにニグレドは頭を振り、顔をあげたときにはいつもの固い表情に戻っていた】
【今度こそ彼は走り出し、契約書のない依頼を遂行し始めた────】


//お疲れ様でした!またよろしくおねがいします! <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 18:45:14.71 ID:jGlsjkjm0<> >>11
【彼は自分に何者なのか、と聞いてきた】
【そして此方をしっかりと見つめて来る】

(さて、此はもう正々堂々と明かしてしまえば良いか、うん、やたらと曖昧な返答をしても俺が質問できなくなるだけだ)
(機関ナンバーズと言う事だけは大事になるのは避けたいから言わないでおこうか。それならば・・・)

俺は、吸血鬼だ。それも特異で特殊で異質な吸血鬼の部類だな。
それでいて戦闘狂と来ている、まぁ世間一般で見たらとんでもない糞野郎だな。
さて、此で良いかな、"腕が一瞬光る"御仁。
俺も質問をして良いだろうか。早めに事を済ませたいんだ。
御前は・・・強者か・・?

【彼は前半をこれぞ正にと言った満面の笑みで返答した】
【それはもう、清々しいを通り越して阿呆なのではないかと言えるものである】
【そして後半を目付きを鋭くし、探るように問いかけた】 <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 18:53:07.61 ID:nb+xwDGRo<> >>13
【身分を聞いたら種族が答えとして返ってきた】

(これは……何か隠しているな)

【とりあえず聞き出せたことだけでも目の前の相手は立派な危険人物だとレツは分かった】
【なら野放しにはしておけない】

自分が強者かどうかは知りませんがSCARLETに所属するだけの力はあるとだけ答えておきます
後、身分を明かしていただけませんかね……今のは答えになっていない
種族と性格は身分とは言えませんからね

【語気を強める。ここまで来ても手を出せないのがもどかしい所だがSCARLETは警察と自警団に近い組織であるがゆえに】
【先制攻撃は基本的に出来ないのは仕方がない】 <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 19:03:05.86 ID:jGlsjkjm0<> >>14
【彼は誤魔化しの効かない表情で、もう一度聞いてきた】

だから、戦闘狂だと・・・えぇいあまり意味は無いか。仕方がない。
そう・・だ・・な
[カノッサ機関No.15]と言えば・・・答えになるかな・・?

【彼はそう言うと少しだけ不敵に笑った】
【そして、彼は抜刀する。そのまま右腕を前に構えた】

さて、とSCARLETだと言うことはもう解りきっている。紋章を見たからつけてきたんだ。
ここまで言ってしまえばもう戦わない訳には行かないだろう?俺も、御前も、
もう我慢がならないんだ。強いんだろう?強いなら良し、さぁ、始めよう。
hurry up <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 19:10:54.38 ID:nb+xwDGRo<> >>15

なるほど……怪しい、怪しいと思っていたが
カノッサ機関の連中だったか……
それならば……斬る!

【口調が変わり冷徹さすら感じさせる声で言う】
【レツがその身に纏わせるのは剣気】
【これから本格的に戦闘に入るのだ】

カノッサ機関の連中は一人残らず殲滅する
それが誰であろうと……日常の敵となるものはこの私が許しておけない

【そして相手に挨拶とばかりに刃としての性質が付加された右手の手刀を相手の左肩から右わき腹にかけて】
【袈裟斬りにせんと浴びせようとする】
【刃としての性質が付加されているため見た目は普通の手刀でも本物の刀のように斬れる】 <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 19:29:04.31 ID:nb+xwDGRo<> >>15
/すいません。ご飯があるので次の返信遅れます <> メリッサ・ハーレイ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/23(木) 19:29:13.42 ID:lK38+IZko<> >>前スレ998

【少女はむすっとした表情のまま、後ずさりした分の距離を詰める。露骨に動揺してしまったのが気恥ずかしいのかやや俯いてはいたけれど】
【「……クイズが好きなわけ?」なんて適当にはぐらかすと、もうボロを出さないよう黙って返答を待つのだった】


………能力が、呪い?


【――男の独白を受けて、少女がそう呟き返すのにはほんの少し間があった】
【白緑色の瞳が驚いたように見開かれている。いちいち感情を隠すのが下手な少女だが、これはやや奇異な反応だ】
【……といっても、少女にはいまのやり取りだけで男の力を推理できる能力もなければ、心理戦のための頭脳も心構えもない】
【男の抽象的な言葉から、何かを察せられたわけではないのだけれど。……ただ、自らの人生に賭けても受け入れられない台詞が、そこにはあって】


それは……もったいないことを言うわね。
私だって昔は、この力のせいで周りとうまくいかなくて、こんなもの要らなかったって嘆いたこともあったけど……。

……いまは違う。この力を必要としてくれるヒトも、居場所も、私は手に入れた。
自分の未熟や周囲の悪意をぜんぶ能力のせいにして――――昔の私は、何も見えてなかったのよ。
貴方の力がどんなものか知らないけれど、きっと貴方のそれにも、相応しい場所というのがあるはずだわ!


【――火に油を注がれたように。少女は突然身を乗り出すようにして男へ一歩近づき、こんなことを吠え始めるだろう】
【少女のなかの何に火がついたのかはわからないが、何が火をつけたのかは明白だ。能力は『呪い』だというその理屈に、少女は激しく反発したのだ】

【……だけど、いきなり見ず知らずの相手の主義主張に必死に食ってかかったって、いきなり考えをねじ曲げられるはずがない……】
【そんなことにも気づかないほど、少女は冷静さを欠いて白熱していた。それは、やや病的とさえいえる反応だ】

/>>1乙です! <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 19:29:33.92 ID:jGlsjkjm0<> >>16
そう来なくてはなぁ!!ハッハァ!

【彼は袈裟斬りの要領で降り下ろされる手刀を刀で受け止める】
【そして、勢いよく後ろに宙返りで飛び退いた】
【そのまま刀を両手持ちに切り替え、相手の右足から斜め上へと逆袈裟斬りを繰り出す】

さぁ、避けてくれよぉ! <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 20:00:49.19 ID:nb+xwDGRo<> >>19

その必要はない

【レツは刃としての性質が付加された手のひらを広げた形の左手で相手の刀を防御した】
【それと同時に鍔競り合いに持ち込もうとする】
【もちろん片手と両手では片手──つまりレツが負ける】
【しかし少し持ってくれればいいのだ】
【そして相手の腹を貫かんと右手で貫手を放つ】
【もちろんこれも刃としての性質が付加された手でだ】
【そのためこの攻撃は本物の槍のような攻撃になる】
【一瞬でも鍔競り合いになれば防御は出来ないとレツは睨んでいた】 <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 20:01:03.93 ID:nb+xwDGRo<> >>19
/ただいま戻りました <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 20:15:52.24 ID:jGlsjkjm0<> >>20
【男は左手で刀を防御する】
【そして、鍔競り合いに持ち込もうとする行動に】

それを待っていたんだよ。

【彼は刀を荊へと変化させ、攻撃するでなく周囲の壁に突き刺し、取り囲む形で発動する】
【それは今までの戦いの中で編み出した接近戦での対応の仕方】

黒荊=円断

【周囲を防御すると共に自分のテリトリーに侵入した敵の右手の攻撃を円断で捕らえる】
【防御と攻撃の一体技、黒荊=拒絶壁と言った所か】

さぁて、どうする・・?今すぐにでも腕を切断することは出来る。だが、それでは面白くないだろう? <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 20:24:03.04 ID:nb+xwDGRo<> >>22
/すいません。【彼は刀を荊へと変化させ、攻撃するでなく周囲の壁に突き刺し、取り囲む形で発動する】
とありますが誰を取り囲んでいるのでしょうか?
後、円断で捕らえるとはどういう行動なのでしょうか?
固有名詞はなるべく使わず一般的な言葉で説明してくださるとわかりやすくて大変助かります <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 20:26:50.13 ID:jGlsjkjm0<> >>23
/説明不足でしたね。取り囲むのは今現在此処にいる二人、円断は対象に荊を巻き付けて輪切りにする技です。 <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 20:38:31.75 ID:nb+xwDGRo<> >>22
>>24
【鍔競り合いに持ち込もうとしたが相手の刀がいばらとなった】
【だがそれならば左手が攻撃に使える】
【相手の右わき腹を狙って左手刀で攻撃する】
【もちろん刃としての性質がある】
【そして巻きつかれた右手に関しては刃としての性質を持っているため】
【切断するのは容易くない。なぜなら刃というものは鋭く硬いのだから】
【逆に巻き付いているいばらを振り払い切断しようとする】

/それなら「自分のテリトリーに侵入した敵の右手の攻撃を円断で捕らえる」
の部分は確定ロールですよね?レツの右手に巻き付いているという行動
(即ち切断する直前であり、そうでなくともこちらに不利な状況)を確定で行っているわけですから
今回はいいですが次回から気をつけて下さいね <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 20:54:18.49 ID:jGlsjkjm0<> >>25
【男は自由になった左腕で攻撃を仕掛ける】
【只でさえ密着している状態での攻撃、それは易々と彼の右脇腹に突き刺さる】

すまんな・・この荊は硬いんだ。鉄のようにな・・・

【口からは血を吐きながら彼は振りほどこうとする右手に向かって言う】
【少なくとも一瞬で絶ちきると言う事は出来ないだろう】

さぁ、此で、準備は完了だ。are you ready?

【彼は男の首元に突っ込み、頸動脈に噛みつこうとした】
【物語に登場する吸血鬼の如く】

/捕らえる、ではなく捕らえようとする、が適切でした。申し訳ありません。以後気を付けます。 <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/23(木) 20:59:14.99 ID:M7XQMYkCo<> 前>>997
えぇ、どうぞ……できれば手短に

【右手で剣を構え、左手は無防備にさらけ出してそう答える】
【痛みには強い方ではあるが……それでも痛いのは嫌だし、さっさと終わればいいなぁと思う次第】

っつ……!

【クローザの牙がその白い肌に食い込み、赤い液体があふれでてくると同時に、小さな苦悶の声が漏れる】
【だが、協力するからには耐えねばならない……歯を食い縛り、痛いほどに剣を握り、痛みに堪えて終わるのを待つ】
【だが、そんな状況にあっても目だけは閉じずに彼をじっと見る……もしもの時には、すぐに行動に移すためだ】
<> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 21:08:07.21 ID:nb+xwDGRo<> >>26

……ッ

【頸動脈に噛み付かれたらどう考えても致命傷だ】

舐めるなよ!吸血鬼!

【わざと左前腕部に噛み付かせ左腕を犠牲にする】
【左腕からおびただしい血が流れる】
【刃としての性質を解除しわざと左前腕を噛ませたのだ】
【なぜなら刃となった腕に噛み付けばその硬さから相手はすぐに離れるからだ】
【そして相手が自分を噛み付いているその隙に】
【刃としての性質を持った右の膝から下で相手の左内ももを斬り裂こうとする】
【人間なら身体の内側には動脈が流れている】
【つまりそれだけ致命傷になりやすいという事だ】
【そして同時に体全体を大きく動かせ右手の拘束を断ち切る】

俺の刃(やいば)は鉄も断ち切る! <> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 21:17:51.08 ID:jGlsjkjm0<> >>28
【瞬間、男は左腕をわざと噛ませた】
【男は荊を絶ちきり、右腕で攻撃を仕掛ける】
【途端に彼は左腕を離し、後方に飛び退く、そして周囲の荊を収束させ、周囲の壁を砕きながら自分と男の両方に全方向から迫らせる】
【このまま行けば男にも自分にも大量の荊が突き刺さる事だろう。元より此を狙っての行動であった】

切断型にはどうしても不利になりやすいからな・・・地形を使う攻撃ってものもある・・・

【彼は不敵に笑った】 <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/23(木) 21:26:42.93 ID:C9FiNfN90<> >>27
.......,..ぷはっ

【血液を飲むその喉の音の後にゆっくりと口を離した】
【てっきり、我を忘れて吸い尽くそうとするかもしれないと】
【そう思っていたならば、結構拍子抜けだとも思うだろう】

あー...、そうだ、な。.........少々苦味があるが...この味、だ....
懐かしい...数十年ぶりかな...? 甘い、甘い...血の味は.....

【口角からは血が滴り落ちていて、不覚にも笑っていた】
【その微笑は、長らく待っていたモノをようやく得られた子供の純粋ささえ感じる】

【ゆらりと、力無く立ち上がる】
【だが、先程までの自身へ向けた殺気まがいの衝動の押さえ込みは消えていた】

....どうだ、見た感じ...どうかな...? オレ...

【逆に爽やかというか、どこかスッキリしたというか】
【間違いなく、出会った当初とは違う】

【言葉ではしづらい、力を感じる】
【身体の筋力は間違いなく向上している。】
【長い間栄養の回らなかった筋肉はその細く引き締まった身体を残しつつ、その一片までも息づくのを感じる】

【それでいて、人狼の持つ何処か妖艶とも言い難い不思議な眼】

【闇を駆け抜ける人狼────その本来の純血の血統を感じる事が出来た】
<> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 21:35:18.34 ID:nb+xwDGRo<> >>29

【避けられないと判断したレツは】
【相手へ向かって走り右手を大きく振りかぶり力をためる】
【そして相手の右胸に目掛けて貫手を放つ】
【それは今までのどの攻撃よりも単純にして速かった】
【またこれは相手に近づき前面からの攻撃を相手の体によってシャットダウンするという目的がある】
【背面からの攻撃は当たるしかない】 <> レツ・ダンセツ
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/23(木) 21:40:06.39 ID:nb+xwDGRo<> >>29
/すみません。そろそろ落ちないといけないので
明日の17:00〜か 置きレスに移行してもらっても構いませんでしょうか?
誠に申し訳ないです <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/23(木) 21:45:28.72 ID:M7XQMYkCo<> >>30
いっつつつ……やっぱ痛いなぁ、はやいとこ治してっと……

【恐れていたこともおきず、ほどほどに吸われて解放されたクローフィ】
【痛みに顔をしかめているも、傷の方は事が終わってすぐから治り始めている】
【ただ、クローザが魔力に敏感ならわかるかもしれない……治るのにつれ、彼女の内に秘める魔力も結構な勢いで消費されるのが】

ん?そーですねぇ……さっきまでとは結構見違えりましたね
なんというか、力がみなぎってそうだし……あと、目ですね
きちんと前を向けているというか……なんというか、いい目をしています



<> アルカード<>sage saga<>2015/04/23(木) 21:46:17.22 ID:jGlsjkjm0<> >>32
/了解です。置きに移行して起きますねー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/23(木) 22:22:50.14 ID:KaKYWWj90<> 【桜も終わりを告げ、晩春の気配が漂う。春の雨はしとしとと降り注ぎ、アスファルトを濡らす…そんな日の夜の、とある街】
【昼間は宗教的に重要な地にある都市として様々な人で賑わう街―――ゼン=カイマも、深夜ともなると静か。】
【舞台はそんな街の外れにある、人通りの少ない小さな路地―――】

【―――ただでさえ人通りの少ない道だ。深夜ともなればもう道を通る者はおらず、閑散としている】
【そんな路地の隅に、何かが倒れている。明かりも乏しく、近づかなければ一体何が倒れているか分からないだろう】
【近づけば、徐々にその正体が人≠ナある事も分かるだろうか。さらに傍に寄れば、女性である事も分かる筈で―――】

【絹糸のようなブロンドの長髪は汚れも目立ち、降り続く雨に打たれ濡れて肌に張り付いている】
【マリンブルーの瞳を持つ目は、今にも閉じられそうに弱弱しく開いている。澄んでいた筈の瞳には光は無く】
【左目元に泣き黒子を持つ整った目鼻立ちの顔も少し苦しそうに歪む。首元には十字架のネックレス】
【着用しているのは水色の服とズボン。病衣だろうか、薄手の布地は雨に濡れて薄らと体が透ける】
【……透けた布地から見える体は傷だらけで、胴や足、腕の至る所に包帯の跡が見て取れる。さらに―――】

【―――その女性は、左肩から出血していた。流血というより、包帯から血を滲ませているような様子か】
【雨に打たれて濡れた服に、包帯越しに染みた血が薄く赤く染まる。見れば、呼吸も荒く苦しそう】

【どう見てもただ事ではない様子の女性。道を通りかかる人はいるのか、いたとしてどんな反応をされるのか】
【兎に角、傷だらけで倒れている女性の姿が其処にあった――――】 <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/23(木) 22:26:34.52 ID:C9FiNfN90<> >>33
悪いな...無理させた...オレの為になんか

【意識が保てれる】
【衝動を押さえこめる、これは彼女のお陰だ】
【彼女の身体を張った協力があってこそだ】

改めて礼を言う...ありがとう

【彼女の目線に合わせて、まっすぐ言った】
【その不思議と引き込まれるような瞳は亜人種独特のものだ】
【クローザのものは全然、微弱なものだが強力なものはいわゆる魅了の魔眼と言われる】
【もちろんクローザにはそんな御先祖様のように異性を無条件で引き込むような強力なものではない】

【だが、クローザはそれができた一族の末裔】
【クローフィはクローザの目線がムダに気になる程度に感じるかもしれない】

...今、血が胃の中にあるのは分かる
お陰か、変な衝動もないよ

【腹が減らない限り、衝動はないのだろうか】
【現時点じゃ分からないが時間が経てばどうなるのだろうか】
<> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/23(木) 22:45:38.37 ID:M7XQMYkCo<> >>36
いいですよ、どうせすぐ治せますし魔力も家に帰れば補給できます
まぁボランティアみたいなもんですよ

【傷が治り、噛まれていた手をひらひらさせて心配ないアピール】
【実際、代償があるとしたら彼女の痛み程度……まぁ、それなら我慢すればいいだけである】

どういたしまして、効果があったようでよかったです
…うーん、なんだか不思議な眼ですね……比喩でなく、本当に何か力を感じます

【魅了の力は、微かながらも気づけるほどには復活しているのだろう】
【その招待には気づけないながらも、何か感じてはいるようだ】

……あ、でもこの治療って、何度も反復して血を吸わなきゃいけないんでしたっけ?

<> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/23(木) 23:06:30.72 ID:C9FiNfN90<> >>37
...なんだ? 目?...見るか?

【そう言って、再びクローフィを見る】
【だから、そいいう目線が気になるというのに...この男は】
【まだ効力は消えていない、普通にクローフィも魔眼の力に気付くかもしれない】

そうだな...繰り返す事が大事とは聞いた事がある...
今回の場合、血がなくなる名前にまた少しづつ飲むって事か...?

【空腹で暴れる前に、腹を見たせておく】
【今までとは違う血を飲む必要がある】

...一応、からの小瓶がある
君さえよければ、その血を頂きたい...

【人間と吸血鬼のハーフである、クローフィの血】
【他にはお目にかかれない貴重なものだから】
【時間をかけて、少しずつ飲んでいけばいいと思われる】
【今の様に、意思がはっきりするのなら飲みまくるよいう事もないだろう】 <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/04/23(木) 23:11:14.07 ID:3aQxjuZMO<> >>18

【後ずさりを続けていた少女がこちらに詰め寄ってくるのをみてかすかに表情を動かす】
【やっと警戒以外の感情をこっちに向けたものなので少し興味ありげに少女の言い分を黙って聞く】

【少女の言葉にはどういう意味が含まれているのであろうか?敵対か、憐れみか、同情か、同調か】
【いくら思考しても理解はできない。感情のままに動くというものは逆に読みにくいものだ、そう考えながら】
【少女は自分に何を伝えたかったのだろうか?癇に障った自分に単に反論をしただけなのか?】
【まぁ、いい。考えてもわからないし理解もできないがまぁそういうことにしておこう、と自己完結し言葉を出す】

あなたの言い分もわかりますが単に逆も然り、という奴ですよ

【本当は何もわからないが話を進めるために少女に同意しておく】

貴方が異能を手にして何かを得たように失った者もいるのですよ、誰とは言いませんが

【ハハッと表情たえず笑わせながら続ける】

そうですね、こんなお話を知ってますか?
触れたものを黄金に変えてしまう腕を持った王様のお話です

【手ぶりを加えながら詰め寄ってくる少女に向かってゆっくりと歩いていく】

その王様は神様に願ったそうです。『触れたものを黄金ににする腕が欲しい』と
そして神様は願いを叶えた

【近づきながら俯く少女を見下ろすように見つめる】

しかし、非情にもその腕は何もかもを黄金に変えるのです、石も、草木も、食べ物も、川も、そして───

【俯く少女の顔を体を曲げて覗き込む。表情は不気味なほど変わらず笑い続ける】

──『大切な人達さえ』

【しばらくして少女から離れ後ろで手を組む】

最後は王様が神様に頼んで願いを解いてもらいましたという結末になります
このお話、貴方にはどう思いますか?

【少女の反応を楽しんで待つように見つめる。正直からかい半分なのだがこの少女なかなかどうして面白い】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/23(木) 23:22:01.54 ID:5jWpg6jK0<> >>35
/まだいらっしゃったりとかしますでしょうか……? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/23(木) 23:26:18.46 ID:UeyTuwG/0<> 【路地裏――――今宵其処は噎せ返るほどに濃い血の臭いが充満していて】
【足元に散らばるのは数多くの骸達。そのどれもが自警団の者達であると知るのは容易いこと】
【被害者が自警団、となれば。加害者は必然的に――――】


「フフフ――……そう、コレで貴方は私の物。カラダもココロも全て私の物…………
もう誰にもあげないわ…………貴方は私の物なのだから……」

【其処に立つのは一人の女。黒いドレスを纏った姿であり、髪も双眸も同じ色なのだから宛ら闇が具現化して在るかの様】
【白い手で頬を撫でる相手は、この場の唯一の生き残りであろう。歳はまだ若く、見るからに半人前】
【恐らくは初陣だったのだろうが、其れが運の尽き。まるで仲間がゴミ同然に殺されて行くのを見てただ震える事しか出来ず】
【結果として、なされるがままだ。吐息の掛かる程の距離に迫られたって、命乞いをする事すら叶わない】
【半ば思考を放棄した状態。口付けをされた所で、僅かに身体が動く程度】


「さあ、一緒に行きましょう……?大丈夫よ、もう怯えないで安心して暮らせる場所へ連れて行ってあげるわ……」

【間も無く転移陣が展開される、が】
【其れが発動するまでにはもう少し時間を要する。故に、仮に誰かがこの場に踏み入ったならば】
【自警団の青年を抱いたまま、そちらへと視線が移されるのだが】









【――――夜の公園。この時間にもなれば遊ぶ子供も居らず、静寂に包まれている筈だったが】
【今宵はブン、ブンと何度も風を切る音が響いていて】
【見遣ればいるのは栗色の髪をポニーテールに纏めた一人の女子生徒。歳は漸く高等部に入った程度であろうか】
【手にしているのは無骨な木刀。振り上げては振り下ろし、振り上げては振り下ろしなんて単調な作業をひたすらに続け――――】


「四十八、四十九、ごじゅ………じゅ……ぅ…………っ!!」

【回数は言葉に出していた通り五十回。額に浮かんだ汗を手の甲で拭えば、呼吸を整えるように一度深く息を吸って】
【長い吐息と共に木刀をその場に落とす事となる。最早拾うだけの気力も無くなる程に疲れたのか、落ちた木刀をそのままにフラフラとベンチに寄って】
【どっかりと腰を降ろせば項垂れるようにして身体を休める事だろう】


「つ、疲れたぁ…………。ううん、でも町の平和を守れるようになる為にはもっと頑張らなきゃっ!
本も読んで沢山研究したし、私だって何時かきっと自警団の人達みたく……!」

【一人呟いたのは所謂将来の夢。大方自警団だとかの正義の味方に憧れでも抱いて居るのだろう】
【――――とは言え、素振りを見れば太刀筋はずぶの素人同然であり何より鉄芯の木刀でも無い物を50回振って疲労困憊なのだから実力もたかが知れる】
【精々喧嘩でちょっと強い程度の実力者。自分だけでは現実を見る事が出来ないとは何とも悲しい事】

【何であれ街灯の下で行っていたのだから良くも悪くもその姿は目立っていた筈で】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/23(木) 23:28:34.91 ID:KaKYWWj90<> >>40
//はい、おりますよー! <> メリッサ・ハーレイ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/23(木) 23:45:55.11 ID:lK38+IZko<> >>39

【何か、狂信的とも思えるものを抱えてはいるようだが、彼女もやはり年頃の少女だ】
【一度爆発した感情はそう簡単には抑えられない。それが逆に少女の内面を覆い隠す簑になったのだとしたら、僥倖と言うほかないだろう】
【実のところ、その奔流の裏にあるのは敵愾でも憐憫でもない。――いまこのとき、少女は男ではなく自分を見て激昴していたのだ】
【これでもし、男が反論してきていたら――相応危険な部分まで喋っていたかもしれない。知らず、少女は彼の無感動に救われていた】


わ、私だって! 能力を得てすべてがうまく行っていたわけじゃ……!
……な、なによ急に。おとぎ話……?


【まるで手応えのない男の反応に、少女は猛犬のように噛みついたが、鷹揚と近寄ってきた男に出鼻を挫かれ黙り込む】
【少女は女性として平均的な身長しかない上、常日頃体を鍛えているわけでもない。それが大の男に詰め寄られるさまは、まるで追い込まれた小動物のようで】
【――目と目があって、「ひっ」というちいさな悲鳴が喉奥で木霊した。張り付いた笑顔が彫像のように無機質に思え、視線を合わせているのが不気味だった】


(……な、なによ、なんなのよ………)


【けっきょく少女は一言も発することなく、男の話を脳裡に焼き付けることになるのだろう】
【意味もなく跳ねる心臓をどうにか抑えつけて、息を整えると、取り急ぎ考えをまとめてか細く感想を吐き出した】


かっ………悲しいお話ね。
でもその人は望んで力を手に入れたんでしょう? だったらそれは、自業自得よ。
だいたい何もかもを黄金に変えてしまう腕なんて、そいつの強欲さの具現みたいなものじゃないの……。


【毒を吐くように辛辣に、牽制弾じみた言葉が宙を舞う。自身の能力を特別と思う一方、大人の汚さを憎んでいるような、子供のような台詞】
【ただそれは、確固たる主張というにはあまりにも頼りない。少女の視線は言葉と一緒に宙を惑って、男に合わせられることはないのだろう】
【……端的に言えば、場の雰囲気に怯えているのである。もっともそれを慰めてやる義理だって、男にはいっさい存在しないのだけれど】 <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/23(木) 23:48:06.75 ID:M7XQMYkCo<> >>38
いや、やめときます……あんまり見てると変な感じがしてくるんで
もしかしたら魔眼かもしれませんね、祖先でそういう能力を持つ人はいたりしましたか?

【こちらに向けられた視線と合わせたくなく、横を向いてしまう】
【だが勿論嫌っているわけではなく、その眼の力が嫌なだけだ】
【人狼の能力というのは、詳しくないが……こうも妙だと、それはそういうことなのであろうと推測する】
【少し血を飲んだだけで見えてくる、その力の片鱗……興味深いものだ】

いいですよ、あとで連絡先も教えておくので必要になったらまた会いましょう
さ、小瓶を出してください

【彼の申し出を快諾し、右手に持っていた剣に左の手首を押し当てる】
【小瓶の準備ができたら、それで腕を切るのだろう……最初からこうしてた方がよかったかなと、今さらになって思う】
【綺麗な切り傷の方が、痛みも治癒に必要な魔力も少なくてすむ】
<> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/23(木) 23:59:57.85 ID:C9FiNfN90<> >>44
魔眼...? いや、よく分からないが...

【間違いなく、魔眼持ちは先祖にはいただろう】
【それもかなり近い系統にだ。親や兄弟というレベルだと思う】
【それでも知らないというのは、彼の過去に何があったのか】

すまないな...見ず知らずの他人にここまでしてくれるとは

【小瓶に注がれる彼女の血】
【クローザを救いうる、第一歩になるかもしれない救いの手だ】
【クローフィが注ぎ終わるのを横で見ながら】


そうだ、こういっちゃあなんだが...これは俺の気持ちだ...治療費などで使ってくれ

【血の注がれた小瓶を受け取って、クローザは懐から少しばかりの札束を出す】
【間違いない、紙幣だ】

だいたい100万ぐらいか...持ってても使わないんだ。
物で済ませたくないんだが感謝の気持ちだ。受け取ってくれ

【そう言って紙幣を手渡そうとする】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/24(金) 00:08:50.85 ID:JSebB/bo0<> >>35

【花の香りさえ掻き消すような雨の中、明らかに刺激のある匂いが辺りに漂い始めるだろうか】
【ぴちゃり、ぴちゃりと小さく水をはね飛ばす足音が彼女に近付いてくる】
【それに布が雨粒を弾く音も、どうやら近寄る人物は傘は持っている常識人らしいのでいきなり襲われるような事もないだろう】

【彼女が頑張って目を開いてくれるのなら、先ず気になるのはただでさえ霞む視界が 灰色がかって見えることだろうか】
【理由は単純、その人物が煙草を吸っているからだ、よく見れば使い込まれたキセルを口にくわえていて】
【そこからどんどんと見えてくるであろう姿を説明していくと、一番に目立つのはベージュのボンディングコートを羽織っていること】
【そこからは黒いシャツと青いジーンズ、鎖骨の下あたりには控えめな真珠のネックレス】
【歳はもう50は迎えているが、皺が少ないと或いはそれよりも若く見えるかも知れない】
【そんな栗色の髪を後頭部で留めた髪型の女性、仕事はここゼン=カイマにある病院を仕切るドクター兼ナースだ。以前騎士団の一人が入院していた あの小さな病院の………】

雨なんで近道して帰ろうとしたらこんなところで会うなんてねぇ………………
ホラホラ、ここで寝てると風邪引くよ……?肩なら貸してあげるからさ。
…………しかしなんだい、病室から出てきたのかい?そいつはアタシの病院のじゃないけど、立場上患者ほっとくわけにもいかないからね……

……詳しくは、後でちゃんと聞かせてもらうよ。

【女の名前は……そう、ヘレンだったか、以前見舞いに行った時にも見ただろう】
【それにあの病院は意外と長い、ある程度知った仲でも不思議ではない筈】

【マリアが身を委ねてくれるのなら先ずは自分の病院に向かうのだろうけど】

/では是非…… <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/24(金) 00:15:25.57 ID:ETggbc5yo<> >>45
ふぅん……これから力が戻るにつれてその眼の力もわかってくると思いますけど、平和的なのだといいですね

【魔眼というのは強い能力だ、見つめるだけで効果を発揮するのだから】
【だが、それは制御がきかないという欠点を持っている……危険な力であれば、うかつに目も開けなくなる】
【そういう類の力でないといいんですけど、と呟いた】

困ってる人を見ると放っておけない質でしてね、大した犠牲もないですし構いませんよ

【どうせ治ると思うと、どうしても体を傷つけることへのハードルが低くなってしまうが、今回はそれがいい方に働いたと思うべきか】
【スッと剣を動かすと、綺麗に手首の血管が切れたのだろう──結構な勢いで血が瓶に溜まっていき、満ちたところで傷が塞がる】

いやいや、こんな大金受け取れませんよ治療費なんてものもかかりませんしかかってもこんなに使うわけないし……っとと

【目の前に差し出された札束を前に、治った手と首をブンブン降っていると、少しよろめいてしまう】
【傷は塞げても、失われた血は戻っていないようだ……献血直後のような、軽い貧血状態なのだろう】

<> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/04/24(金) 00:25:05.45 ID:EwtY+sHgO<> >>43

なるほど…なるほどなるほど。面白い答えです

【怯える少女の答えを聞いて後ろで組んでいた片腕を顎に置き何度か頷く】
【再び、いやさっきよりも強く警戒されている事を理解するが会話する分には事は足りるだろう】

それでは…貴方は悲劇の象徴とされるであろう人魚姫のお話も自業自得、と。当然彼女もそうなる事を望んだのですから

【まぁこの返答は肯定であっても否定であっても構わない。もともとこの質問に答えはない】

強欲さの具現、ですか。なかなか面白い例えです。
ですが例え望まずその腕を貴方が手にしていたとしたら果たして貴方はその腕を物語の王様と違う用途で使うことができるのでしょうか?

人という生き物は、いえ人ではなくても何かを望む願望はあるものです。それは果たして悪なのでしょうか?

【人差し指を突き出し少女に言う。異能であり普通でもある少女はどう返答してくれるのか】
【それを待ち望み言葉を続ける】

「能力を得てすべてがうまくいったわけではない」?
私は『これ』を得てから全てを失いましたよ <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/24(金) 00:27:49.76 ID:HRO89wtV0<> >>47
お、おい! 大丈夫か...?

【彼女の貧血気味な様子を見て思わず手を出す】
【よろめいた身体を支える様に、肩に触れる】

俺が言えた義理じゃないが、お互い...自分の身体を大事にしないとな...

【亜人種だからだろうか】
【傷が治りやすく、痛みに人間以上に疎い】
【だからこそ、自分を大切に出来ないところがある】

家、近いのか? 送るぞ

【こんな時間に貧血気味の少女を置いていくなんてできない】
【亜人種と知れればどういう扱いを受けるか分からない】
【化け物狩りに会うともっと面倒だ】

俺の身体は大丈夫だ。心配するな

【見れば彼の左腕の傷も血は完全に止まっている】
【クローフィの血のお陰だろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/24(金) 00:30:25.11 ID:O/Jm/fgl0<> >>46

――――……、…―――

【その目が女性の方を向く事は無かった。無視している訳では無い―――反応すら出来ないのだ】

【……事態は、身を委ねるかどうかを彼女――マリア自身が決められる程の状態ではなかった】
【まず、肩を貸せば歩けるような状態ではない。自力で立つことも困難、意識も朦朧としている……そんな状況】
【傷だらけの上に体力の消耗が激しい事が見て取れる。さらには、魔力すら完全に底をついている……】

【当然、掛けられた声に対する応答も無い。ただ、消え入りそうなほど小さく呼吸をしているだけで】
【恐らく、誰かが其処に居る事を認識しているかどうかすら怪しい。―――事態は思っているより危険だ】

【出血も激しい。肩にまかれた包帯は彼女自身の血で真っ赤に染まり、今もなおじわりと滲み出ている状態】
【骨折した足で無理に歩いたからだろうか、すらりと美しかった筈の足も腫れて熱を持っている】

【間違いなく言えるのは、一刻も早く処置をしなければ不味いという事。こうしている間にも体力は減衰の一途を辿り】
【このままでは間違いなく力尽きてしまうだろう。――――彼女の身は、目の前の女性に委ねられた】

【抱きかかえるにしても、背負うにしても、何の抵抗も無いだろう。―――いや、動く力も残っていないというのが正しいか】
【そんな彼女に、目の前にいる女性はどのような対応をするのか―――】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/24(金) 01:05:57.53 ID:UK4YIIlao<> >>48


……そ、そうよ。
望んで得た力、望んだ結末のためのリスク。そいつらは目の前の"選択肢"からそれを選んだんでしょう。

その責任は――――自分で負うべきだわ。
そもそも"選択肢"すらない人だって、いるんだから……。


【体に走る怖気を抑えつつ、少女はどこか不気味な問答をやり過ごす。言っていることは本心だし、そこには実感からくる説得力もあったけれど】
【それが綺麗事だということは、頭のどこかで理解していた。自分の命でも償えない責任もあるということを、少女は最近知ったのだ】


な、なによ……! 私は、私は……、"選択肢"がないほうの人間だったわよ。
お父さんもお母さんも普通の人だったのに、なんでか私だけおかしな力を得て生まれて……。
望むことが善か悪かなんて知らない! 「例えば」じゃないの、望まず腕を手にした側の人間なのよ、私は!

腕を物語の王様と違う用途で使うことができたか? ……できなかったわよ。できるわけないじゃない。
自分も周りもボロボロにしちゃったわ。こんな些細な力のせいで……!


【――そして。裁きを下す神官のように突きつけられる人差し指が、再び少女の心に火をつけた】
【今度は狂信に浮ついた論理ではない、まとわりつく怯懦もいまばかりは振り払って、今度こそ明確に男へ向けての敵意が打ち放たれる】
【ヒステリックな怒りが夜の空気を赤く染め上げた。少女は自分がひどく平静を欠いていることに気づきつつも、言葉を止められない――】


力を得てからすべて失ったっていうなら、貴方も私と同じでしょ? 貴方だって、望んでもいない力を押し付けられたんでしょう?
だったらなんで思わないのよ。……自分は悪くないって! 自分を認めてほしいって!!
私だって、最初は力を憎んでいたけど――もう、疲れたの。これ以上自分の力を……自分を憎むのはイヤ。

――この呪いに、呪い以外の意味が欲しい!
貴方は……そう思ったことはないの? ただひたすら、自分が憎いだけなの?


【異能であり普通でもある――そのたとえは実に正鵠を射ていた。少女は能力者でありつつも、一般人の価値観を捨てられずにいる】
【もし仮に、どこにでもいる一般人が、突然身に余る力を得たら。軋轢の果てにぜんぶめちゃくちゃになって、その果てに"凡人"は何を考えるのか】
【……どこにでもいる少女は、度重なる自己否定に疲弊して、自分の能力に意味を欲しがった。それをくれるものに、全力で縋る道を選んだのだ――】

【すべて言い切って、少女の荒い息は次第に収まっていく。それと同時に――初対面の人間に自分は何をここまで熱くなっているのか、と】
【そんな当たり前の事実が少女の頬を赤く染め、相貌を俯かせる。「ご、ごめんなさい」という恥ずかしそうな謝罪だけが、宙に解けていく……】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/24(金) 01:10:19.27 ID:O/Jm/fgl0<> >>46>>50
//すみません、始まったばかりなのですがそろそろ落ちなければならず……
//明日・明後日は20時以降ならずっと空いておりますので、持ち越しか置きレス移行をお願いします……! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/24(金) 01:29:31.06 ID:JSebB/bo0<> >>50

【ほらとマリアを担ぎ上げてみるが……どうやら自分の足で立つという意思はないようだ】
【反応もなし、それでいて虫の息、急いで手当てをしなければと医者としての本能が過る】

………………あら……こいつはちと不味いんじゃないか……?
(随分こっぴどくやられたみたいだね……、早いとこ運んだほうが良いかな)

【どう見てもボロボロ、満身創痍だ。包帯はその意味を成さなくなってきているし 骨の擦れた足は腫れ上がっている】
【まさに急患というわけだ、ならば救わなくては、彼女を……マリア・シャリエールを】

ウチに着くまで頑張るんだよ…………でないとアンタの旦那に顔見せ出来ないよ……!
アンタもその嫁としての意地を見せておくれ、とにかく、ここで死ぬべきじゃない…………!

【しかしいくら女性だとしても大人一人を運ぶのは骨が折れるというもの、ヘレンも若いわけじゃない】
【だからといってぐずぐずしていたら間に合わない、背負うのでは遅い】
【ならばと彼女はくわえていたキセルから、すぅーーーっと思い切り煙を吸い込んでいく】
【その理由は煙草としてではない、"能力"の火種として使うためだ】

【そして肺いっぱいに溜め込まれたであろう煙を今度は思い切り吐く、するとどうだろう】
【大量の煙が形を変えて宙に浮くベッドになったではないか、それに煙草の臭いも吐いた時の方が薄くなっている】

【その種は簡単、彼女が煙と魔力を混ぜ合わせて実態のある煙を作り出したのだ】
【驚異的な肺活量と魔術の腕に長けているからこその芸当だが……今は詳しく話すような状況ではない】
【先ずはマリアを抱き抱え、煙のベッドに乗せる、煙は固くもなく柔らかくもなくといった感触だ、臭いは少し気になる程度、今の状況ではそんなことも気にしないだろうが】
【うまく乗せられたのなら煙を掴んで引っ張っていく、これなら非力な人でも素早く簡単に運べるということか】

【落とさないように慎重に進みつつ、自分の病院へと急いでマリアを運んでいく】
【出来るだけ全力で向かうと、入口のドアを蹴り開けて真っ直ぐに集中治療室へと運び込んだ】
【時間が時間だからか他の人はいなかった、だがそこは医師、開いた傷口にもう一度包帯を巻いたり、骨折は副木にしっかりと固定】
【汚れは温かいタオルで優しく拭い、雨で冷えた身体には毛布をかけていた】
【寝かせたのも当然普通のベッド、煙の方はそちらに移すと霧散して消えていった】

……………ほら、これでも飲んで落ち着きな。

【てきぱきと一人で3人分は動いたかと思うと、マリアの前にマグカップを見せる】
【中身は温かいココア、身体を暖めるためのものだろう】

>>52
/了解です!では明日の8時頃からの再開ということで……!
<> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/04/24(金) 01:51:49.63 ID:aDFJezYhO<> >>51

【熱くなり一通り喋り終わって謝る少女に「いえ、お構いなく」と一言】

それにしても…フフフ

【少し声を出して笑い「失礼」と咳払いを一つ。この少女は本当に面白い】
【この少女は凡庸である。どこまでも。それが不釣り合いな異能を手にしたことで崩れていのだろうがそれでも壊れかけの凡庸であろうとしているのだろう】
【自分やその他大勢とは違い苦悩し、抗い、留まろうとする。その姿勢に興味が惹かれる】

私は自分を憎みはしてません。憎んでいるとするのならこの『呪い』とあとは自分を否定する環境くらいですよ。結局私は我が身が一番可愛いですからね

【やれやれ、とそれらしいポーズをとり軽く溜息をこぼす】

自分は悪くない、認めて欲しい…それで貴方が呪いの意味をつくっているように、私は呪いに抗っているのですよ。まぁ長年にわたってそれも難しいことと気づいたんでまぁ───

【両手を広げて体を大きく見せる。暗がりの一点だけ明るいこの場所。世界にここだけしか存在してないように錯覚させる】

───まずは世界に私を認めさせる事にしました。それが私の選択肢です

【少女の方を見つめしばらくして手を下ろす】

私も選択肢はない人間でした。憐れな黄金の王です。しかし貴方はそれでも意味を求める。一方私は意味などはないと思っている。似ているようでここまで違うとは人とはやはり面白いものですね

【フフフ、と男の含み笑いが静かに響いていく】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/04/24(金) 02:07:43.23 ID:xx31Ggtro<>

【──時は、数日前に遡る。第三世界歴2015年4月22日──】




【水の国/フルーソ】


【大通りから一つ、2つ、みっつ ──筋の数を数えなくても、すぐに『その場所』は分かるだろう】
【普段はあまり人通りの多くない通り。その一角は、熱に包まれていた。──とある店から、炎が吹き出ている】
【先ほど、爆発音が鳴り響いてからまだ間もない。野次馬も、消防も、まだ姿は見えなかった ──が、】



……文明国の官憲は鼻が利きすぎる。



【男が1人。──季節は既に春だというのに、彼の周りだけが『落ち窪んだ』様な、暗い雰囲気を漂わせていた】
【そう見えるのは、男が季節外れのローブを纏っているからだろうか。それとも、低く通る、彼の声音のせいだろうか】
【瞳だけは闇中の誘蛾燈の様に、蒼い。口と顎に髭を蓄えた男は、右手で煙草を燻らせながら、遠巻きに佇んでいた】



「──申し訳ありませ ン。見失った様で ス。」


【──しゅるり。と。脇の路地から、もう一つ。影が、這い出て≠ォた】


【彼の傍らに現れたのは、一言には名状しがたい『存在』。──人影≠ニ言うには、余りにも細長い】
【背丈は二メートルは越えているだろう。それでいて、幅は人の半分ほど。腕も足もない、黒いカーテンを被った様な外見】
【本来、顔のある部分には角が3つ生えた仮面。 ──その前面には、機関≠フ紋章があしらわれていた】


構わない。……狗は棒で叩かれれば、我先に逃散するものだ。
護衛の君達に追い首まで取れ、とは言わないさ。私を守り切ってくれただけで、十分だよ。


──が。 やられたまま、というのも、幾分罪神閣下の沽券に関わる。彼らを呼び戻そうか。


【店内で引火が起こったのか、再度、爆発音が鳴り響き、炎は高々と天上に踊った】
【それを背に、男は微笑う。 ──獲物を見つけた死神が嘲笑うような、純粋な笑みだった】


/深夜ですが、投下だけさせて頂きます。
/明日の夜ぐらいまで待機しておきますので、それぐらいの時間から本格開始でよろしければ、ぜひ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/24(金) 02:21:58.55 ID:UK4YIIlao<> >>54

【後先考えず暴走してしまった後悔がよほど大きかったらしい。男の含み笑いを受けて、少女は顔を林檎のように真っ赤にした】
【ふだんから迂闊なところがある少女だが、それにしたってこの男と話しているとどうにも調子が出ない――話してはいけないことまで話しそうになる】
【握り締めていた珈琲を一気にぜんぶ飲み干し、無理矢理平静を装うと、少女はまだ熱の残った視線を男へ向けた】


(………………、)


【――まるで演劇だ。ぽっかり空いたちいさな光の世界で嗤う黄金の王。それが少女の胸にもたらすのは、言い知れぬ孤独と恐怖】
【それは、どこにでもいる"凡庸"には、あまりにも眩しすぎて狭すぎる世界だった。呪いに抗うなんてできやしない。たぶん少女は、生涯そこには立てない】


そうね。誰とも知らない相手とこんな妙ちくりんな会話をして、しかもけっきょく噛み合わないなんて……。
ほんと、滑稽すぎて笑っちゃう。……意味もなく晴れやかな気分になってる自分が一番、笑えるけど。


【はぁ、と息を吐くと、少女は自販機横のゴミ箱に空き缶を突っ込んだ。すこし休憩に出ただけのつもりが、本当におかしなことになったものだ】
【――ふふっ、と。少女はそこで始めて、明るい表情を見せるだろうか。ちょっとだけ自嘲交じりだけれど、凡庸でどこにでもあるような、ささやかな笑顔】
【だけど、いつまでも普通の少女ではいられない。たとえ自分の本質がそれだとしても、いまの少女は"特別"を装わなければならない立場にいる】

【すべてを装って騙くらかしていたら、いつか本当に、それが自分の"意味"になるかもしれない。そうであったらいいなと、子供のように願って――】


悪いけど、私、そろそろ行くわ。仕事が残ってるから。


【――もし、少女にもう少しうまく"特別"を演じられる器用さがあったのなら……】
【あるいは、目の前の男を自らの"組織"へ勧誘することもあったかもしれない。たしかに意見は違ったけれど、放っておけない何かは受け取れたから】
【けれど最後まで、少女は凡庸さを捨てられなかった。呪いに抗うという男の意思を捻じ曲げるほどの意志の強さも、図々しさも、やはり少女にはなくて】


……あの、私がこんなこと言うのはたぶん、間違ってるんだろうけど。
そ、その……私も頑張るから。貴方も頑張ってね、いろいろと。


【……その代わり、にはならないが。去り際に、こんな不器用でお節介な台詞を吐くのが、いまの彼女の精一杯なのだった】
【少女は男に背を向けて、暗がりの奥へ歩み去っていこうとするだろう。もしまだ何か用があれば、いまの内に言うのが良いか】
<> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/04/24(金) 03:06:43.58 ID:eaIoeLN3O<> >>56

滑稽ですか、それは上良。今宵の出来事には意味はないのですから。それでも貴方は意味を探しますか?

【舞台役者のようにお辞儀をして少女のに顔を向ける。だが彼役者ではなく少女の反応を楽しみにしている観客側にいるつもりである】
【男の表情は当初と変わらず依然として笑っているようだ】
【異能ながらも凡庸、異能に悩むも意味を見いださんとする、通りかかっただけとはいえ良い収穫だ。久々に『人間』にあった気がした】

【少女が仕事があると去ろうとする。仕事?このような少女が?と思ったが先ほど彼女が言った必要としてくれる居場所や人という言葉を思い出しそういうことだろうと理解、口を塞ぐ】

【少女の捨て台詞。それはあまりにも凡庸であまりにも意外だった】
【クスッと笑い凡庸な少女に答える】

私の名は───好きに呼んで下さい、また会ったその日に本当の名を教えて差し上げましょう

【名など無くしたはずである。名など記号にすぎない。だがまぁこの凡庸な少女にはそれすら意味を見出すことが出来るだろうか?期待はないが興味を持ってそう言葉を発する】

間違ってなどありませんよ。お互い成就する事を祈ってます

【背を向ける少女に小さく手を振る。少女から自分が見えなくなるまで】





【面白い会合であった、もしかしたら自分もこの『呪い』と凡庸な少女のように向き合っていた可能性もあったのだろうか?など考えながら視線を落とす】

【視線を落とすとそこには中身が半分ほど入った極彩色のパッケージの飲料水。なんとなく自分の買ったものなので捨てるのも気がひける】
【この飲料水を飲み干すのに悪戦苦闘を強いられたがその話はここでは蛇足となろう】


/絡みありがとうございました!寝落ちの件は本当に申し訳ないです <> メリッサ・ハーレイ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/24(金) 03:29:32.76 ID:UK4YIIlao<> >>57


さぁね。そんな簡単に見つかったら、私だってこんな思いはしてないわ……。


【自分がいつの間にやら演じ手扱いされていることにはまったく気づかず、少女は男の芝居がかった挙措を呆れ顔で見つめる】
【けれどわずかな畏怖を孕んだその双眸は、そのうちに窄められ、呆れ顔は苦笑いに変わっていった】
【……学校での成績なんて何の役にも立ちやしない。何かに意味を見い出すことほど深淵な難問はない。今宵の出会いがどう変じるかは、これから次第なのだろう】


そうね……うん。だったら私も、いまは"非行少女"のままでいいわ。
――それじゃあ、さようなら。不思議な不審者さん。


【優等生だったころのことを思い出して、少女は背を向けたまま微かに笑った】
【こんな夜中に変な男と変な会話をして楽しんだなんて、本当に不良になったみたいだな、なんて】
【もう自分は不良に憧れた優等生じゃない。比べものにならない泥沼の暗黒に足を踏み入れていることを……今日はすこしだけ忘れられた】

【少女はそうして、からかっているのか単に辛辣なんだかよくわからない口調で、"不審者さん"の元を立ち去る――】
【次に会うときに、自分と男の『呪い』がどんな風に変わっているのか。その恐怖と期待を、胸のうちに秘めて】


/二日間お疲れさまでしたー! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 11:59:38.07 ID:OKIIpyzzo<> 【夜の国・極北地域】

【陽光の届かないこの国でも、最も寒冷かつ暗澹としているのがこの土地だ】
【人跡未踏の地点も多く、永久凍土や氷河もよく見られる光景で】
【そんな真っ暗闇の中にただ一箇所だけ、松明で照らされたクレヴァスがあった】

【氷河か、或いは凍てついた山の裂け目に出来た洞窟のような形状で】
【松明はその入口に置かれている。キャンプや人の活動の形跡も有ることから】

【おそらくは、誰かがその内部を探索した――或いはその途中だと分かるだろう】
【が、問題が幾つかあった。一つは洞窟入り口の形状である】
【本来、氷河などで形成される洞窟は裂ける≠ニいう表現の通り】
【フチが鋭く尖っているものだが、これは丸いのだ。まるで強引に溶かした≠ゥのように。】

【それからもう一つの奇妙な点は、キャンプの周囲に『温かいコーヒー入りのコップ』が有ることだった】
【温かい。つまり湯気が立っているということはつい先程まで誰かが此処に居たはずで】
【その誰もが此処に居ない=\―洞窟から出てきていない。それがやはり、また妙なのだった】 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 12:42:09.85 ID:UR9lkkhk0<> >>59
【彼は夜の国の北部へと足を運んでいた】
【何て事は無い、只、月を見たいからそれだけの理由だ】
【元来人狼は月と夜を好む、この国の人のいない場所は月を眺めるのにうってつけであろう】

【そんな時、彼は一つの奇妙な場所を見つけた】
【一見すると只の洞窟、松明があることから人間が立ち入っている洞窟なのだろう】
【だが、問題はその洞窟の形状であった。本来氷河等に出来る洞窟の入り口は水滴が雨風に吹かれ、重力により垂れ下がり、鋭く、規則性の無い形状のはずだ】
【だが、その洞窟は明らかに丸い、丸すぎるのだ。何か工事車両でも持ち込み、無理矢理にくりぬいたように丸い】

【彼は興味本意で歩みを進める、すると人がいるであろうキャンプが設置されていた】
【彼は顔をしかめる。此処でも人に会わなければいけないのかと】
【だが、そのキャンプには人がいるであろう形跡があるにも関わらず、気配がまるで無いのだ】
【五感の優れた彼が捉えられない程慎重に動いているとでも言うのか。そんなはずはない】
【其処には誰一人としていないのだ。まるで突然消し去られたかの如く、誰もいない】

・・・・・・・・

【彼は周囲を警戒しながら洞窟の深部へと歩みを進めていった】 <> ロゼッタ
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/24(金) 13:04:01.40 ID:iJA1rheDO<> 【広場──朝市】

【この広場では毎日朝から昼を少し過ぎたあたりまでやっている市場がある】
【魚や肉類、果物に野菜といった日々の暮らしに必要不可欠な食品から】
【果ては鍋や刃物、或いは絵描きが絵を売っていたりと「何でも揃う」ことで近隣では少し名の知れた市場である】

【営業時間終了までもうじきといった時間。そこで、1人の女が買い物をしていた】
【ありふれたジーンズに黒いシャツを着た、背の高い女。黒い艶やかな髪や紅い瞳も、夜の街では目を引く要素になり得たかもしれない】
【──どこかの勤め人という風でも、主婦という風でもない。どちらかというと、夜の世界の人種だろう】
【太陽が真上まで昇りきっている時間。真っ当な人間ならランチでもとっている頃合いなのだが】
【買い物をしている女は、ひどく眠そうな表情を浮かべているのだ。まるでさっき起きた、と言わんばかりに】


……おまけしてくれる? あぁ、そう、ありがとう
どうせなら客の1人でも紹介────はぁ?
ったく……あんたは出すだけ出して金払い最ッッ悪じゃない
リンゴはお代にはならないの……その腐ったカボチャ頭によく叩き込んでおくことね


【リンゴを2つに、パンにミルク。女はそれだけを買っていった】
【店主の軽口に罵詈雑言を叩き込む。元から悪かった機嫌は今の会話で更に悪くなってしまった】
【──ふらり、と女は市場を後にする。眠いせいか、注意散漫かつ、足取りも不安定】
【いくら人は少なくなってきているとはいえ……誰かとぶつかってしまうかもしれない】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 13:06:26.69 ID:G0h/wXfro<> >>60

【洞窟は奥へ進むほど"氷河らしさ"を失ってゆく。氷の壁面はやがて岩と砂利の灰色が多分を占領し
【奥へと傾斜する床を見れば水が流れていくことに気付くか。氷が溶け出しているのだ】

【足元に気をつけて進めば、一段と広い氷のドームに辿り着くものの】
【そこには嫌な予感をそのまま具現化させたような、幾つかの死体が転がっていて】
【冒険者風の装いを見れば、彼らこそ先に見つけたキャンプの主とわかるだろうし】

【もしも傷口まで覗く勇気と好奇心があれば、その異様さにも気付けるはずだ】
【切られた、とすれば傷は粗い。裂かれた、とすれば傷が丸い。思い起こされるのは洞窟の入り口だ】
【なにより遺骸は焦げ臭かった。まるで焔そのもので傷を与えられたかのようで】


【もしここまでを見てなおも進むのであれば、奥へ続く道の前に立ちはだかる】
【大きな穴を何とかせねばならないだろう。これもやはり溶け出したのか、その幅は6mほど】
【飛び越えるには少々広すぎるが――もし冒険者の持ち物を探れば、鉤爪の付いた古いロープが見つかるだろう】 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 13:24:25.76 ID:UR9lkkhk0<> >>62
【彼は眼前に転がる複数の死体を目にした】

(此処に放置していたら可哀想だろうな・・)
(この洞窟から出して、好き放題に腐らせて朽ち果てさせてあげようじゃないか・・・)

【彼の人間嫌いは最早狂気である】
【そして、彼は目の前に存在する大穴を見つめ】
【次いで死体が所持しているロープに気がつく】
【些か出来すぎているとも取れるこの状況、彼は自分の興味を満たすため進むこととした】
【彼はロープを向こう岸まで投げ飛ばし、鉤爪を引っ掻けると】
【片手でロープを持ち、助走をつけて一気に跳躍した】
【跳躍距離5m、ちょっとした陸上競技大会に出られるのでは無いだろうか】
【そのまま岸の縁から数m下の壁に足を付けると】
【ロープを手繰りながら、上へと登っていった】

ロープは・・・必要だな

【彼は器用にロープを纏めると、肩に担いで先に進む】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 13:39:50.76 ID:OKIIpyzzo<> >>63

【断崖を登りきり、奥の道。そこには最早、氷等というのは少数派で】
【言うなれば春先の山の様なもの。物陰に白いものが見える、そんな程度】

【そして此処に来て圧倒的な変化が現れる。それは人の手が入った階段≠セ】
【偶然意志が積み重なった、などという物ではなく、比較的段差も高め】
【奥へ進むためか上へ向かう為か、かつての人類か――それに近い存在が設置したのだと分かるだろう】

【道中ではやはり死体が目につく。時として足に穴が空けられていたり、そもそも腰から下が分離していたり】
【凄惨極まる事は言うまでもないのだが、傷口はやはり焼かれたようになっていて】

【そしてその全てが、階段を這い上がる格好――つまり、上へ向かおうとする姿勢で死んでいたのだ】
【まるで『何かから逃れようとする』かのようだった。階段は、それから程なくタイルの床へと変わり】
【偶然なのか、そういうデザインなのか。壁に十字架の形状を模した穴が空いて、奥へ続いている】

【まるでその奥を隠すように蒸気の幕がかかっていたが、身を焦がすほどの熱気ではない】
【意を決して入ったなら―――石を積み上げた小屋のような神殿と、ただ一つだけの人影が見えるだろう】 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 13:51:36.73 ID:UR9lkkhk0<> >>64
【彼は確信していた。この先には自分と同じ類いの存在がいるであろうと】
【だが、彼は自分の興味を満たしたいのである。ただひたすらに歩みを進めていく】

【そして彼は最早氷の洞窟等面影すら無い場所にたどり着く】
【其処は明らかに人為的に作られたであろう。石階段であった。途中にある死体を気にも留めず踏み越えて進んでいく】
【上りきった先に見えるのは十字の壁と蒸気の幕、此がRPGならばダンジョンボスが待ち構えているであろう場所】
【彼は蒸気を潜り抜けた。先に見えるのは建物だろうか。人が住むと言うよりかは神殿のような建物】
【そして、一つの人影】

・・・・・・・・

【彼は静かに能力を発動する準備をしていた。彼のとっておき、虚像の能力を】
【只、静かに狼は機を待つ】
<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 14:03:21.54 ID:OKIIpyzzo<> >>65

【人影。袖や裾、肩周りなどは非常にゆったりとした服装であり、髪は腰の辺りまで伸びている】
【背も高いが女性であろう事は察せられるか。最も特徴的な外見はといえば】
【それはつばの広い帽子と、紫紺のマント――魔女≠ニいう単語を彷彿とさせるその人物は】


――あら、まだ生き残りが居たのね?
  勝手に女性の寝所に立ち入ったのだから、対価は高く付くわよ―。


【振り返りざまに、この空間への侵入者へと5本の炎の杭を撃ち放つ】
【空中の魔法陣から僅かにコンマ数秒のラグを持って放たれたそれは】

【いずれも実態を持たず、肉を穿てば傷口を焼くだけで消えてしまうようなもの】
【つまり直撃を受ける前に迎撃できれば良いのだ。しかしそれが出来なければ】
【狙いは四肢と頭部。左右の手足と額へと、その炎杭は高速で飛来する――!】 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 14:21:50.57 ID:UR9lkkhk0<> >>66
【瞬間飛来する銃弾のような閃光】
【彼は焦げ臭い臭いと光からそれらを炎だと理解し、左足で勢いよく踏み込み右方向へと回避した】
【それらが実像が行った行動、発動させた虚像は逆の方向へと回避している】
【虚像を発動している間、実像はほぼ認識できない存在となる。彼はそのまま小屋の屋根へと駆けていく】

(・・・・・・・あの女、魔術師か・・?それとも異形・・・)

【彼はそう考えながら虚像を女へと疾走させる。無論、攻撃は出来ないが】
【彼は暫く様子を見るつもりなのだろう】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 14:30:32.08 ID:OKIIpyzzo<> >>67

【実像・虚像が共に左右へ避けた事により、炎杭は背後の壁に突き刺さるが】
【そのまま"焼失"して姿を消す。炎に特化した魔術だったのだろう】


あら――随分、脚が速いのね?
  他の子達とは大違い。何かもっと…――動物的な動き、ね―?


【振り向いた魔女の顔は、帽子の影になってよく見えない】
【しかしその手には水晶球のような光る球体を持っていて、それが一際強く輝くと】
【"認識している敵"――つまり、虚像へと強烈な熱波が襲いかかる】

【熱の波は目には見えない。しかし、床や壁、天井を焦がして進むために】
【おおよそ何処にあるのかは把握できるだろう。そして、その範囲は圧倒的に広く】
【速度は風の如し。直接視認出来ない、熱を伴う衝撃だと思えば良いか】

【凡百の魔術ではない。熱波を放った直後には、既に次の一撃を用意し始めている様子が見えた】
【――だが、やはり敵として認識しているのは虚像なのだ。神殿―小屋の上の彼には気付いていない】
【奇襲することは十分に可能だ。勿論、その後の反撃を恐れなければだが。】 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 14:48:26.64 ID:UR9lkkhk0<> >>68
【女は手に持った水晶らしき球体を輝かせると衝撃波のような物を発生させた】
【それは猛烈な速度で周囲の壁の温度を上昇させながら突き進む、恐らくは熱を帯びているのだろう】

(やはり、魔術の類い・・か・・・)

【彼の虚像は両腕で防御しながら衝撃波と同じ方向に飛び退く、衝撃を少しでも軽減するためであろう】
【彼の虚像は熱波に当たると同時に吹き飛ばされ、白銀のオーラが揺らめく】
【恐らくは後1、2撃で虚像は消え失せる】

(狙うは消える寸前、技を放った後・・)

【彼の虚像は再び左右交互に跳躍しながらジグザグに進んでいく】
【魔術を誘発させるためであろう】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 15:01:26.59 ID:OKIIpyzzo<> >>69


――…? 随分と物静かで、不思議な人ね。
 まるでオーラで出来た意志のない人形のようだけれど…――。


【熱波は直撃。にも関わらず、相手が大きな声を上げるでもなく】
【そして何よりオーラが揺らいだこと。それが魔女の判断に変化を加えたらしく】
【直後に再度の攻撃をするのではなく、多大な魔翌力を溜め込むと】

【数秒の合間を挟んで、開放。放たれるのは、先程と同じく熱波であった】

【だが、その範囲と威力は桁違いだ。魔女を中心に、全方位へと広がるそれは】
【小石すらも真黒に焼きつくす程の高熱を伴って、しかし速度はやや遅めに室内を燃やす】

【回避の方法はいくつかあるが――強いて確実な策を上げるとすれば部屋から出ることだろう】
【壁以外に盾になるような物も無し。敵、と思っていた相手がどうも怪しい】
【そう考えての全範囲攻撃らしく、やはり手加減は一切無いものだった】 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 15:17:26.18 ID:UR9lkkhk0<> >>70
【女は第二撃を放たず、そのまま少しの間何かを溜め込むような動作をすると】
【突如、先程とは違う、全方位への攻撃を放った】
【それは先程の攻撃よりも少し遅く周囲を焦がしていく、まともに食らえば消滅必至】

【彼は小屋から飛び降りると部屋の外周を走り、出口へと向かっていく、虚像は壁の方向へと熱から逃げるように走っていく】
【彼は出口に辿り着く寸前に虚像を解除した】
【彼は顔を覆う軍帽とコートの隙間から一瞬だけ女を一瞥する】
【そして蒸気の壁飛び込んだ】

(どうやら、分が悪いな・・・) <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 15:39:14.08 ID:OKIIpyzzo<> >>71

【熱波は速度が遅い分、部屋の外周を駆け抜ければ脱出は比較的容易】
【蒸気の壁もやはり身を焦がす、というには程遠い以上――】


…――あら、散々掻き回し挙句に尻尾を巻くの?
 それも良いけれど…――逃げるのならば容赦はしないわ


【そのまま洞窟を駆け上れば逃げることは出来る。しかし、僅かに一瞬目が合うと】
【敵と認識した男を追うように、無数の炎杭が放たれる】
【その数は目で確かめるには多すぎる程であり、オマケに追尾性があるようで】
【男が洞窟から逃げ出るまで、真っ直ぐに追って刺し貫こうとするだろう】

【加えて、逃げるという選択をしたなら、道中の大きな穴が問題となる】
【ただでさえロープを使って渡った道。今度はのんびりしている暇も無いのだ】
【敢えて炎杭の中を掻い潜って魔女の元へ向かう道――或いは穴に落ちてしまう、なんて道もあるが――。】 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 16:04:44.63 ID:UR9lkkhk0<> >>72
【彼は階段を駆け降りる。駆けると言うよりかは最早跳ぶと称した方が良いかのような速度】
【女が放った杭が蒸気を抜け、此方に迫る。どうやら逃がす気は無いようだ】

(殺せなかったのは残念だが、嫌がらせはさせてもらおう)

【彼は走りながら周囲の壁に蹴りを加えていく】
【それは、ある程度規則的に左右の壁に大きな亀裂を走らせ、崩していく】
【そう、洞窟を壊す気でいるのだ。】
【彼は直接攻撃する能力を何一つ持ち合わせていない代わりに異常なまでの身体能力を持っている】
【そして、彼は先程の氷と岩が入り乱れる空間を疾走する。後方からは未だに追ってくる杭】

(・・・・・・・・)

【彼はニヤリと笑った】
【壁を崩しながら、崩した壁の破片を杭に当たるように仕向け始めたのだ】
【先程避けた際に杭は壁にぶつかり焼失した。それを利用して彼は杭を回避していく】

/杭の解釈は多段ヒットはしないと言う解釈で良いのでしょうか?
<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 16:19:58.03 ID:OKIIpyzzo<> >>73

【杭は何かにぶつかる直前で方向を変え得る程の機動性を持っていない】
【故に壁際まで寄った男が瞬時に回避を行えば、壁面に深く突き刺さり】
【岩をも溶融させ、氷などは深部まで水に変える程の威力を見せる】

【――問題はその威力が"自在"ではないということか】
【高威力、かつ半自動追尾。恐らく魔女の手動ではないのだろう】

【10、20と突き刺されば、徐々に洞窟は崩落を始めてゆく】
【少なくとも深部への通路は完全に岩で塞がって――そのまま続けてゆけば】
【やがて入口へ戻る頃には、洞窟全体が飲まれる事になるだろう】
【男に必要なのは落石に巻き込まれず、如何にして脱出を図るか――その一点だった】

/そうですねー、何かに刺されば消失するので多段ヒットはしません。 <> ルー・ネブカドネザル<>sage saga<>2015/04/24(金) 16:41:15.30 ID:UR9lkkhk0<> >>74
【彼は自分を追尾してくる杭の数を確認する。およそ半分程まで削れただろうか】
【彼は大穴を飛び越えるべく、天井にロープの鉤爪を投げつける】
【鉤爪が刺さったのを確認してロープを片手に持ち、穴の縁を蹴りつけて飛び越える】
【飛び越える最中に軍帽の端とトレンチコートの裾を杭が掠める】

(ちぃっ・・・使える服を・・・)

【向こう岸にたどり着いた彼は死体の真ん中に立ち、杭の方向へと向き直る】

(くれてやるよ・・・こいつらを貫きたいだろう・・?)

【彼は死体の首筋を鷲掴みにすると杭に向かって死体を投げ始めた】
【これ以上壁を壊すと自分も巻き込まれかねない。それを見越しての行動であった】
【やがて、全ての死体を投げ終わる】

(全て打ち緒としたのか・・・?)
(ともかく、今は逃げることが先決だ)

【彼は元来た氷の道を駆け、松明を蹴り飛ばして凍土を駆けていった】
【月夜を駆ける狼の奇妙な遭遇であった】

/ここら辺で締めとさせて頂きます。
/絡みお疲れ様でした。ありがとうございました〜 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 16:48:46.04 ID:OKIIpyzzo<> >>75

【真っ直ぐに男を狙う炎の杭は、その間に障壁――つまり死体が加われば】
【その"障壁"をひたすらに穿ち、焼き、焦げ臭い肉塊へと変えてゆく】
【壁面に当たったものも多かったのだろう。追尾してくる杭は減り】

【やがて男が洞窟から飛び出せば、数秒もせずに全てが崩落する轟音が鳴り響く】
【蹴り飛ばされた松明もそこに飲まれて、周囲は星と月の明かりが照らすばかり】

【まさか、あれほどの術者が生き埋めに――もしそう考えでもしたのなら】
【それが正しくないとすぐに分かるだろう。何故なら、崩落を更に凌ぐ爆発音が】
【凍土を掛ける狼の背後に、ビリビリと耳を打つほど激しく届くのだから】
【或いは、また出会う事があれば―。地底の魔女は、溶岩のように地表へ姿を表して、闇夜に消えた】

/お疲れ様でしたー!こちらこそ、お付き合い頂き感謝です! <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/24(金) 20:22:57.04 ID:PTKettFno<>
【この繁華街の1番の目玉といえば世界有数の豪華ホテルのカジノだろう】
【ホテルと同じぐらいデカくて、豪華で、最高のもてなしと興奮で楽しめる場所】
【しかしそれは勿論のこと金のあるやつかツキのある奴の話で夢は一瞬で冷める】

はぁぁ…負けたぁ…今日は…特に……

【その例として丁度いいのが程々離れた灯りも薄暗い通りの自販機の横で肝コーヒー】
【片手に歩道の柵に座り込む男。サングラスに洒落たシャツとスーツ、高級な時計と】
【わかりやすく気取り屋のギャンブラーの風貌だ。負け組の負のオーラがドロドロと漂う】

やっぱ、カジノはセコいんだよ…絶対操作してんだろ…クソ

【テンプレートな負け惜しみを吐き捨てるように言う。カジノがこの街の陽ならここは陰で】
【うら寂れた雰囲気であるのは潰れた店、ボロボロのアパート。ろくな奴は居ない】

次はぶっ潰してやろう……まあ……はぁ…どうやって帰ろう… <> 五月雨 天音<>sage saga<>2015/04/24(金) 20:26:49.70 ID:3h0Qveky0<> >>77
/いらっしゃいますか? <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/24(金) 20:30:10.99 ID:PTKettFno<> >>78

/流石に聞かずとも居りますよ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/24(金) 20:47:01.39 ID:O/Jm/fgl0<> >>53

【病院に担ぎ込まれたマリア。この時点で彼女は意識を失っており、消耗が激しかったことが見て取れる】
【やがて然るべき処置を行われた後ベッドに寝かされ―――目を覚ますのは其れから数十分後だろうか】
【微かに目を開けて、今自分がどこに居るかを把握する。ここは……―――病院、か】

―――……ありがとう、ございます。

【差し出されたココアをそっと一口飲む。か細い声で礼を述べる彼女に、いつもの元気は無い】
【治療により一命は取り留めたマリア。しかし、体の傷は処置出来ても心の傷は負ったままで】
【目を覚ました彼女の表情は、何時もの凛々しさや穏やかさが無い。澄んでいた筈の瞳は虚ろに宙を向く―――】

【何があったかは、彼女の口から語られることは無い。しかし、ゼン=カイマに居るなら思い当たる話がある筈だ】
【―――彼女の夫でありこの街の長であるフレデリック・シャリエールが、一週間以上音信不通だった事。】
【その彼が、つい最近この街に帰って来た事。―――帰って来て、次々と街の教会を襲った事。】
【そして――――最も彼女の心に深い傷を刻んだ事実。フレデリックの体が、アーグに乗っ取られた事―――】


【時は数日前に遡る。】

【最愛の夫が、何の連絡も無いまま一週間以上も姿を見せない―――其れだけでも彼女の心は不安で押しつぶされそうだった】
【彼が何も知らせないまま姿を見せないような人間でない事は、彼女が一番よく知っている。―――何かあったに違いないのだ】
【其処に、彼が帰って来た。安心したのは束の間―――彼は次々と教会を襲う。何の理由も告げぬまま、何も口を利かぬまま】
【この時点で彼女の心は折れる寸前だった。一体何があったのか分からないまま、夫が自分達の街を、人を、傷つけていくのだから】

【――――そして、折れかけた彼女の心にとどめを刺す報せが届く。フレデリックがアーグに乗っ取られたという、彼女にとって最悪の報せが―――】
【現在は、再び彼は行方をくらましている。アーグに乗っ取られた夫の体も、アーグに追い出された夫の魂も、何処にあるのか分からない―――】



【それからは、らしくない言動が続くだろう。たった今傷だらけで倒れていて処置を受けたばかりだというのに、無理に起き上がろうとするのだ】
【止めなければ、また無理をして立ち上がろうとするだろう。この傷で歩ける筈がないのに―――何かに焦るようにして、居なくなった彼を探そうと出て行こうとする】
【当然、その体では何もできる筈がないのに―――】

――――行かなきゃ……、……あの人を探さないと……―――

【―――うわ言のように、そんな言葉を口にするのだ。無理にでも止めてやらねば、この状態で出れば恐らく今度こそ命が危ない―――】
<> 五月雨 天音<>sage saga<>2015/04/24(金) 20:58:53.63 ID:3h0Qveky0<> >>77>>79
ああ、、。もう、バイトにしてはヘビーすぎよ。

【私はカジノのウェイターもどきのようなバイトをしていた。】
【まあ、金持ちでも上流階級からカジノ狂いまでの様々な人種を相手しなければならない。】
【その苦行たるや、、想像してください。それだけでも本当に疲れるから。】

【私は化粧を落として、薄めな化粧に変えるとバックを持って外に出た。】
【こないだの戦いでの傷は、もう癒えていた。】
【慣れよ?こういうのは本当に慣れ。】

【しばらく歩くと、悪態を吐く一人の男性がいた。】
【こういうのはほっておきたいのだが、あまりにも途方に暮れている様子が私の足を止めさせた。】

あの、、大丈夫ですか、、?

【私って、本当馬鹿だわ。】
【でも、こんな人でも持ってるはずよね。】
【《生きてるって感じさせてくれる物》をね、、。】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/24(金) 21:31:06.22 ID:JSebB/bo0<> >>80

(厄介…………だね、心のケアっていうのはその場で出来るものじゃない)
(身体の傷よりも時間が必要…………この分じゃ暫くは休ませた方がいいかもね)

【相当なショックを受けたのだろう、何でも彼女の夫であるフレデリックが教会を潰して回っているという話だ】
【勿論彼がそんなことをするような人間ではないことは知っている、だからこそ、誰よりもそれを知っているマリアが一番影響を受けてしまったのだろう】
【聞いた話では肉体こそフレデリックだが、その中身があの暴虐の化身、アーグだというのだ】

【マリアの心の傷の原因は十中八九これだろう、愛するものを 況してやあの怪物に奪われ、動かされるなど耐え難い筈だ】
【それは分かる、分かるがここで止めなくては彼女が危険なのだ】
【ヘレンはマリアの両肩を軽く押すようにしてベッドから立ち上がらないように引き留める】

その怪我、況してやその足じゃあ満足に探し回れるわけがないだろう。
探すったって宛がある訳でもなかろうに、それに仮に見つけられたとしてどうするつもりなんだい?

どうしても行きたきゃアタシを押し退けられるぐらい元気になってからだね、分かるかい……?
これはドクターストップ、アタシはアンタよりアンタの現状には詳しいんだよ?
そのアタシが止めるんだ、もし今出ていこうとするのならベッドにくくりつけてでも阻止するからね……!

【だから落ち着きなとマリアを諭す、何しろ今のフレデリックはアーグなのだ】
【マリアのこの怪我で叶うわけもなし、かといって一人でどうにかなる相手でもない、今の彼女に必要なのは休息だ】
<> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/24(金) 21:36:04.95 ID:PTKettFno<> >>81

【缶コーヒーは直ぐに空になる。それよりも先にホットも冷める】
【その前から心は冷えきってるし空っぽだ。勿論財布の中身も】

……え?

【彼はうなだれた頭をあげる。長い前髪がサングラスにかかる彼は】
【こんな夜更けでも、暗い夜道でもサングラスをかけている。そう考えると不思議だが】
【明るいカジノ帰り、かつ目線を隠したいギャンブラーの性や技と思えば不思議でもないか】

大丈夫……じゃない…もう煙草も買う金も残ってない。あー、クソッ…
あそこでもう一回見てりゃ勝てたはず………

【帰るに帰れない程金が無い。腕時計を質に入れなかっただけまだマシと思いたい】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/24(金) 21:57:13.30 ID:UK4YIIlao<> 【夕刻――――公園】

【そこはこの一帯ではいちばん大きな公園だったけれど、この日はあいにくの雨だったこともあり、人気はまったくない】
【多少の雨ならむしろ楽しもうというような子どもたちも、さすがにひとりきりで雨を浴びてはしゃぐほどの元気はなくて】
【"しとしと"というにはちょっと強く、"ざぁざぁ"というにはちょっと弱い、まばらな雨音。それだけが、この場を支配しているようにみえ――】


    CaRod Wiz Ista, Baoz A`nIkt TbRie s/qh WoMia,
 <きょうは月が綺麗だから わたしと一緒に踊りましょう>


【――けれど、なにかの偶然か、酔狂か。もしもその場を通りかかるものがいたならば、かすかな"歌声"に気づくことができるかもしれない】
【なにか、特別な力が働いているようだ。発音自体は意味不明なのに、意味だけが直接心に伝わってくる――そんな不可思議なうたが、聴こえてくる】

【声色は高く、空気に溶けて透き通るよう。美しいがどこか無機質にも思え、感情が読みづらい、うら若い少女の声】
【音源は公園のずっと奥、柵を超えた藪の裏側のようだ。もし、そこへ近づいていったなら……】


……なんて。きょうは、お月さま、みえないけど……。
それでもいっしょに歌ってくれる?


【――いた。季節はずれの雪みたいな肌。肩口で揃えた髪はまるで天蚕糸を束ねたよう。両の瞳には、仄かな青色がささやかに主張している】
【およそ色素というものが抜け落ちた、おかしな外見の少女だ。白すぎて透明にすらみえる背中は、雨で煙った大気に溶けて、いまにも消えそうだった】
【けれど……そんな浮き世離れした風体とは裏腹に、肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧に三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められており】
【空色のフリルワンピースにグラディエーターサンダル、乳白色のレインコートという服装からは、ほんのかすかに年相応の可愛らしさも感じられる】

【……そんな人形みたいな少女が、さも当然のようにカエルに話しかけているのだから、よけいに珍妙な光景になっていた】


CeAlIsm WoAs OnSis, UfJak IcUtk DbAlRio, HlKin TeEbt LaAlNome, Siom UmAwz LpAlSua Naz ErAlJym.
 <石の下の虫たちも 木の実つつく鳥たちも 血肉食む獣たちも ざわめく草木たちだって――、>


【しかも、それだけでは終わらない。げこっ、とカエルが鳴いたのを合図に少女は再び歌いだし――目の錯覚か、あたりの木々や草花が発光しはじめる】
【淡い鶸色の燐光に包まれながら、まるで意思が宿ったかのように、カエルの鳴き声がつたなく輪唱して――】

【ぶ厚い雲のむこうで太陽が落ちていくこの時間帯。たったひとりの音楽会が、世界の片隅で開かれる】
【――そこへ近づいてきた誰かが、礼儀正しい聴衆であるのか、それとも邪魔者であるのかは、いまはまだわからなかった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/24(金) 22:01:37.35 ID:O/Jm/fgl0<> >>82

【家族を、夫を、何よりも大切にしていた彼女。だからこそ、その最愛の人を奪われたという事実に平静を保てる筈が無く】
【後で聞かされる話だろうが、話を聞かされた当時は相当に取り乱したらしい。普段は温和で穏やかな性格にもかかわらず―――】

【そんな状況下だからだろう、彼女は傷ついたまま無理をしようとする。恐らく自分の状況も分かっていないだろう】
【今その体で探しに行った所でどうする事も出来ないのに、何かに取り憑かれた様に起き上がろうとする―――が】

―――でも……でも、行かないと……!離して、下さい……早く、早くあの人を助けに行かないと……!

【当然と言えば当然だが、止められる。探すどころか歩くのもままならぬ現状で、行かせる訳には行かないだろう】
【だが―――押し留められてなお立ち上がろうとする。尤も、軽く抑えつけただけでも立ち上がれない程にその抵抗は弱弱しいが】
【小さな声で、呟くように言葉を紡ぐ。「行かないと」―――その言葉を、何度も、何度も。心の傷は、体以上に深刻なようだ】

【落ち着け、と言われて落ち着ける状況でもあるまい。こうしている今も、大切な人がどうなっているか分からないのだから】
【……此処まで冷静さと判断力を欠いた彼女の姿は初めてだろう。戦いの場ですら、こんな状況に陥ることは無かったのに―――】

―――……

【ともあれ、押し留められている間は動くことは無いだろう。不安に押しつぶされて憔悴しきった表情が変わる事も無いが……】
【心も体も傷だらけの彼女に、今必要な事―――それは、目の前の女性が一番よく分かっている筈だ】
<> 五月雨 天音<>sage saga<>2015/04/24(金) 22:03:28.23 ID:3h0Qveky0<> >>83
はあ、、思い出したわ。
あなた、あのギャンブラーだったのね。

【思い出せたのは僥倖なのかな?まあ、あと少し、という言葉にはギャンブラーは弱いってことを象徴したような負け方だったから覚えていたのよね。】
【そんなことは置いといて、ちょっとしたおせっかいでも焼こうかしら。】

あなた、、一つ質問に答えてくれたら、、帰り代位は奢るけど?

【全く、花の10代半ば過ぎが言っていいセリフではないわね。】
【スタイルはそこそこって自負はあるけど、人生経験が足りてなさすぎね。】
【さて?どうするのかしらね。】

【一応、彼とは3m弱離れてるわ。】
【下手な能力を使ってくる程度なら、まだ対処できる範囲内だわ。】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/24(金) 22:25:51.72 ID:PTKettFno<> >>86

そういうアンタは…どのディーラーかウェイトレスだ?
…ギャンブラーなんて幾らでも居るのによく覚えてたもんだね

【サングラスで背がやたらに高くて痩せてて…まあ頭ひとつ目立つ人物だから】
【それに大酒飲みだから何度も何度も世話になっていたかもしれない。覚えていないが】

答えられる質問だったらね

【彼は彼女に対して警戒したりする様子もなく、実際そんな考えは全くない】
【ただ何かを考えごとをように首を手で触りながら話半分に聞いていた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/24(金) 22:35:42.81 ID:JSebB/bo0<> >>85

【どうやらマリアの混乱は想像以上のものらしい、錯乱と言っても正しいほどだ】
【自分の状況すら満足に理解できていない、それなら尚更外に出すわけにもいかなくて】

(言葉は聞こえていても届かず……か、アタシだけでどうにか出来そうにもないね)
(ここは一つ、救援でも呼んだほうがいいかねぇ…………)

【今のマリアは普段の振る舞いや姿勢からは想像も出来ないような姿で】
【どんな言葉をかけても、壊れたラジカセのように 帰ってくるのは同じ台詞のリピートだけ】
【流石に不味いと考えたのか、ポケットから携帯を取り出すとその場で何処かに電話を掛け始めた】

……………………ああ、もしもし……?"カランコエ"で合ってるかい?

【コールしたその先は『カランコエ』…………マリアの運営する孤児の為の施設だ】
【誰が電話を取るのかは分からないが、とにかくこの状況を打開できる人物が必要だった】
<> 五月雨 天音<>sage saga<>2015/04/24(金) 22:48:31.91 ID:3h0Qveky0<> >>87
丁度、貴方の近くを通りかかっただけよ?
大酒飲みだから、「ある程度」の監視代わりって言われたわ。

【「ある程度」ね。】
【まあ、能力者がバイトとして雇われて監視を命じられるなんて厄介ごとしか匂わないわ。】
【だから、私も彼に対してはまだ気を張っている。】
【声をかけたのは自分だ。勝手だとはわかっている。】

【彼に先を促される。質問の先だ。】
【首に手を当てる様子は、少々は話を聞いてくれる体勢を作ってくれた証だろう。】

多分、答えられるはずよ。
なんせ、質問そのものは短いから。

【私は質問する。】

貴方にとって《生きていると感じさせてくれる物》は何?
私は、自分にとってのそれを探してるのよ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/24(金) 23:02:18.84 ID:O/Jm/fgl0<> >>88

【正常な判断力を失っているのは、彼女の様子から見て間違いない。―――このままでは、明らかに不味い】
【もし体が回復したとしても、無謀な行動をしかねない。一人ではどうにかなる相手ではないというのに―――】

――――

【―――電話のコール音が鳴る。三回ほど鳴った所で電話に出たのは、少女の声だった。まだ幼い、10歳程の……】

『……はい、ティアです。―――はい、カランコエであってます。その、……えっと、どういったごようけんでしょうか?』

【たどたどしい敬語で応答する、電話の向こうの少女。……電話越しでも伝わるだろう、その声に不安の色がある事を】
【小さな可愛らしい声は、どこか不安げだ。頑張ってその不安を我慢して押し留めているような……そんな声だ】

【―――現在の少女達の状況は、何とも心細い物だった。父親が居なくなって母親が大怪我をして……今は子供達だけで家にいる状況】
【ただでさえ父親代わりの人が居なくなったというのに、母親代わりの人までも危うい……その不安は、察するに余りあるだろう】

【そう―――マリアの行動は、愛する子供達を不安にさせているのだ。其れを分からせてやれば、あるいは―――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/24(金) 23:02:20.02 ID:UK4YIIlao<> >>84
/いったん取り下げておきます <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/24(金) 23:03:23.76 ID:ETggbc5yo<> >>49
いやぁ、思った以上に貧血ってきますねぇ……えぇ、大丈夫

【そう言って再び自身の足でしっかりと立つ──が、この分だと普段のように自由に戦ったりは到底望めないだろう】
【帰り道に何かあったら、恐らく何もできずにやられるのみだ】

そうですね、じゃあ護衛お願いします
お礼はそれでチャラってことでどうでしょう?
【自分の現状を認識した上での折衷案】
【何も受け取らないのもかえってよくないかもしれないが、護衛をするということになれば納得してもらえるだろうか】 <> アーグ
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/24(金) 23:15:00.50 ID:OKIIpyzzo<> 【夜・小高い丘の教会】

【――燃えていた。白い木板で作られた古い教会が、パチパチと音を立てながら燃えていた】
【鐘突きの塔は半壊して崩れており、火炎の中には数名の牧師や修道女が倒れていて】
【当然のように、全員が死んでいた。ただ一人を除いて――その場に生者は存在せず】


ふむ……何とも素晴らしいじゃあないか。一呼吸ごとに馴染んでゆくぞ
 血管から細胞の一つ一つに至るまで、じっくりと魔翌力が伝わってゆく感触…――。
 
 く……フフッ……!あの時の天啓、やはり勘違いなどでは無かったようだな……!


【巨躯。180cmを超える大柄な男が、その場におけるただ一人の生き残りであった】
【特徴的なのは純白のマントと襟の黒羽のファー。何処か刺々しい出で立ちであり】

【燃え盛る教会の中から、誰かのうめき声がした。しかし直後にこの男が一つ、詠唱をすると】
【炎が逆巻き、爆炎が上がる。かろうじて残っていた教会の骨組みすらも消え去って】
【轟音と業火にうめき声の一つも、全て飲み込まれた。夜であるがゆえに、この火災はひどく目立っていた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/24(金) 23:25:43.46 ID:JSebB/bo0<> >>90

【電話に対応した声はまだ幼い、それに親が居ないことが影響しているのか、その声も不安定だ】

ティアちゃん、だね……?こんばんは、おばさんは近くの病院で医者やってる人なんだけど……
あなたのお母さんがちょっと元気なくしちゃっててね、怪我もひどいから今 治療中なんだけど
その……ね、電話越しでいいからお母さんを励ましてあげてくれないかい……?

………………マリア、アンタの"家族"からだよ。

【相手が子供ならヘレンも気を使って出来るだけ優しい口調で話しかける】
【夜だからか声は抑えている、少し距離を置いたベッドのマリアには微かに聞こえる程度だろうか】

【そしてティアがヘレンの頼みを了承してくれるのなら電話をマリアの耳元に近付けるだろう】
【家族が大切ならば、その声ならばもしかすれば彼女に届くかも知れない、それで本の少しでも気力を取り戻してくれれば……】
<> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/24(金) 23:26:51.11 ID:PTKettFno<> >>89

俺がブラックジャックで持ってかれた額を考えりゃ
酒なんてほんのサーヴィスじゃない…まあいいよ

【彼は懐から煙草を取り出した。安い紙箱のどこにでもあるデザイン】
【何気なくそれに火を付ける。彼からすれば煙草なんて無意識に吸う】
【本能みたいなものの1つだった。まあ中毒とも言うのかもしれないが】

そんなもん……そんなことは無いよ。そもそも、そんなことを考えても居ない
生きているなんて考えてる時にだけ気にするんだ。俺はそんな哲学は知らないよ
今を生きてりゃ、そんなことを気にする暇もない。シフトでも増やしな

【彼は立ち上がった。煙草の煙を吐き出すとあの負のオーラは取り払われて】

そんなことより、彼処の従業員なら手伝えよ。…金を倍にして取り返す。
…まずいくらか貸してくれ。チップがいる。…ポーカーのルールは?知ってるなら
アンタはウィンクしてくれればいい…クビになる?…1日いくら貰ってるんだ?
すがりつくぐらい立派な給料じゃないだろ?それに、バレやしないさ…

【何をするかわからないがグレーゾーン…多分ブラックなゾーンの事だろう】
【伸るか反るか。少なくとも彼は笑って、自信は有りげに見得る】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/24(金) 23:27:06.22 ID:hiUyeFjD0<> >>84

【春の雨は少し暖かいような、冷たいような、けれど、ぬるいと言い切るには無粋なような、不思議な温度】
【だんだんと暗くなる世界は曖昧な温度に満たされて、ぱしぱしとそれこそ無粋な傘に弾かれていく音がする】
【戯れに傘をくるりと回してみて、空模様を見上げる。――まだ止みそうにない、それでも、別に雨は嫌いじゃあない】

…………――、?

【こん、ころり、と、硬い足音がする。男とするには軽く、高く、分類するなら、軽い女のヒールの足音】
【かすかに聞こえてきた声に傘を持ち上げ首をかしげるのは、確かに少女だった。ただ、まだ、距離は少し遠く】
【少し不思議そうに眼をぱちくりさせて近づいてくる足音、それは、やがて、蛙と、少女の、不思議な合唱を眼前に見出し】

――わあ、

【雨の粒に乱反射する草木の光が広がって、或いは、御伽噺に出てくる夢の国に紛れ込んだよう、洩れるのは小さく感嘆の声】
【ぱしぱしと傘が雨粒を弾く音は雨音の中の異彩、踵の足音もある。洩れた声も――鈴の音に似て、よく目立つ】

【真っ黒の髪の少女だった。髪は腰ほどまで長く、ようく手入れされているのか、雨にも膨らまず真っ直ぐに伸び】
【瞳は左右で色が違って、左が黒、右が赤。どこか蛇に似るような丸い釣り目、右耳には宝玉の欠片のピアスをあしらい】
【首筋には黒くレース編みのチョーカー、古びたような赤い布地のワンピースは、ところどころに黒色をあしらって】
【黒い付け袖はふんわり膨らむ姫袖、華奢な指先で捕まえる傘はかわいらしく、いわゆる少女趣味な様子で】
【足元は高く太い踵のブーツ。背中に結われた飾りのリボンのながぁい尾っぽ、その先端が傘からはみ出して、濡れていた】

…………こんばんは、歌っていたのは、あなた?

【そんな少女が公園の外から声を掛けて、首をかしげる。声を掛けて存在を示せば、後は公園の中へと向かい】
【相手が拒まないようなら、会話に支障のない位置まで近づくだろう――そうして、】

傘はなくて大丈夫?

【なんて尋ねて、そちらに向けて傘を傾けるのだった】
【ひとなつっこい笑顔。どうやら現れたのは、色素の薄い彼女にとって、敵ではなさそうな――】 <> 五月雨 天音<>sage saga<>2015/04/24(金) 23:47:36.73 ID:3h0Qveky0<> >>95
全く、、。まあ、そんなもんなんですかねー。

【ちょっと拍子抜け。正直、拍子抜け。】
【まあ、人間としてはこんな風に生きてる人が多いのだろう。】
【ただ、出来たら、もう少し面白いことが聞きたかった。】

【すると、彼から一つお誘い。】
【そんな誘い、普段なら乗るわけがない。】
【そう、普段なら。】

【私は月を見上げる。】
【比較的綺麗な月だった。そんな月に狂わされた、、それでいいと思う。】

やらないわよ。ただ、、、。

【幾つかのチップと共にチェスの駒を投げた。】
【種類は、、クイーン。】

まあ、選別よ。ちょっとはロマンチックな所へ連れて行くとかいいなさいよ。
そうすれば、もう少し違ったわよ?

【そのクイーンはした部分が取れるようになっていた。】
【それを開ければ、スロットの見取り図と赤い✖印。】
【そう、私が働きながらちょっと小遣いを稼いでいる場所だ。】
【そろそろ、バレかけていたので明け渡すにはちょうどいいでしょう。】

まあ、質問の礼分よ。あまり遣りすぎたら、知らないわよ?

【それ以上は責任は取れない。】
【取る必要もないし。】

がんばりなさいな。

【私はそういって、その場を立ち去ろうとする。】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/24(金) 23:48:23.29 ID:UK4YIIlao<> >>96

【――雨音を弾いて歩くかん高いヒールの音。いつもは気配に敏感だけれど、いまはそれに気づけない】
【もともと少女も大声で歌っていたわけではないが、楽しげな歌は靴音を消してしまって――なにより本人が、夢中になりすぎていた】
【けっきょく、そのちいさな"聴衆"を透明な少女が認識したのは、ていねいに声をかけられてからで……】


うん……そうだよ。あなたは、だぁれ?


【はた、と歌が止まる。やっぱりなにか特別なモノがあの歌には秘められていたようで、周囲の発光も止まって】
【いつの間にやら集まっていたカエルたちが、げこげこっと声を上げ、数匹を残して我に帰ったように逃げ去っていく】
【次いで少女は立ち上がる。不思議と警戒心が薄いのは、その黒くてかわいい女の子の声が優しくて、とても粗暴そうには見えなかったから……】

【……それを人は"油断"というのだろう。本当は、彼女が近寄ってくるのを静観している場合ではない】
【少女の本能に刻まれた絶対の行動原理に従うならば――ここで、殺しはせずとも脅しぐらいはかけるべきだったのだが】


うん、へいきだよ。雨にあたるの、冷たくて気持ちいいから好きなんだ。
……それより、あの。いまのうたのことは、できれば誰にもいわないでいてほしいの。おねがい。
ごめんね……つい楽しくって歌っちゃったけど、ほんとは、あんまり人に聴かれちゃいけないものだから……。


【差し出された傘の主へ素直にお礼をいって、少女は白磁のような手のひらを宙に向けた。冷たく固まった無表情が、すこし楽しそうで】
【それからちょっとばつが悪そうに、少女はちまっと頭を下げるだろう。人にお願いごとをするのは慣れていないのか、ぎこちない挙措だ】

【"秘密"を知られてしまった――それは本来、こんなお願いだけで終わらせるような、ささやかなものではないのだけれど】
【どこか懇願するように、少女は呟く。心なしかそのか細い輪郭が雨霧にほどけて見えて、かき消えそうな不安を表しているようでもあった】

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/24(金) 23:56:19.80 ID:hiUyeFjD0<> >>98

【近づいて、声を掛けて。気付かれてしまったなら、魔法が終わってしまったのを認識する】
【それは少し残念で、ずっと聴いていたかったような気もする。見ているだけで、綺麗だったのだから】
【だけど同時にそんな不思議な彼女のことを知りたくもあり、だからこそ声を掛けたのが、この少女の人懐こさだろう】

わたし……わたしはね、えっと……名前言えばいいのかな?
りんね、だよ。鈴の音って書いて、鈴音。それでね、えーと……、……。

……――とっても綺麗な声だった、ごめんね、邪魔しちゃって……。

【だぁれ、誰何にしてはかわいらしく尋ねられ、彼女は想定していた質問ながら、少し困ってしまう】
【だあれと聞かれてだれだと答えるのが正解だろう。困ってしまって、結局、名前を教えただけに留まる】
【何か他にも言えることはありそうだが、まだ言いたくないらしい。――その代わり、彼女の歌声に言及し、】

【ちなみに蛙が逃げてしまったときには、少し残念そうだった。蛙、蜥蜴、かなへび、蛇、そう言う類が大好きなものだから】

そうなの? 風邪引いちゃうよ、まだ、夏の雨みたいに暖かくないし――、

――あ、そっか……ごめんね、綺麗な声が聞こえたから、来ちゃったの――、……。
…………うん、内緒にする。誰にも言わない、ほんとだよ。……だから、もう少しだけ、ここに居てもいい?

【冷たくて気持ちいいのだといわれてしまうと、なんとなく傘を無理強いするのもひどいように思えて】
【傾けた傘からぴちゃぴちゃと水が滴っていく、――数秒すれば、彼女は傘を元のように持ち上げ、自分を守り】
【誰にも――と、慣れない様子でお願いされれば、一瞬だけきょとんとする。するのだが、すぐに、分かったように頷いてやる】
【誰にも言わない。その代わりに――もう少しだけあなたとお話したいのだ、と、そう尋ねるのだろう】

【もしも頷いてもらえるなら、嬉しそうに笑ってから、この場に残ってくれた蛙へと、しゃがんでから手を伸ばす】
【にこにことしているからかえるが好きだと分かる。人懐こい、――というよりか、生き物が好きなのかもしれない】
【だけれど頷いてもらえないなら、――きっと、立ち去ってくれるのだ】 <> 辻風文
◆itU.KV85RU<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:20:37.62 ID:X7LW7K2s0<> >>93

【辺りが月明かりに照らされる刻】
【じりじりと地面を照っていた太陽は身を潜め大空は暗闇に染まっていた】
【そんな中の紅い焔はどうしても目立ってしまうもので】
【スクープを狙う記者を誘っているようであった】

おや、教会で火災とは珍しいですね。
ですが、鐘の塔がくずれてしまっているようですね・・・。
これはただならぬ予感がします。

【刹那、教会が爆発を起こした】
【轟音と火焔を周囲に撒き散らしながら】

ちょっと、嘘ですよね!?
無神論者の襲撃か、はたまた機関の襲撃か・・・。
ともかく行ってみないことには!

【市民の心の支えとも言える重要な教会が破壊されることは滅多とないことであり】
【ただただ神官やシスターたちの無事を祈るのみであった】
【到着したのは爆発して数分後といったところか、犯人はまだその場に留まっていることだろうが】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/25(土) 00:24:32.96 ID:fXFFB1pYo<> >>97

自分を探してる暇があるなら魂に火をつけな
…強いていうなら”生きなくちゃならないって思うもの”は愛だよ
生きてるから生きてるんだよ。それが答えだ

【生きてたって死んでたって別にどっちだっていい。俺は俺であるなら】
【それ以外はどうだっていい。目の前の道を駆け抜ける事に全力を尽くす】
【シンプルな生き方を好む。リアリストには絶対はなく、相対しか無い】

【彼はチップと駒を受け取って。全てを理解するとつまらなそうに】

なんだよ……俺がやるのはこんな当たり設定の小遣い稼ぎじゃない
そんなの…つまらない。誰かが落とした金を拾って何が楽しいんだ
フェアじゃない。俺ならもっとデカいゲームをプレイする…タイマンだ

…まあ…でも……俺が今どうこうしてどうなることじゃない
大人しく中古のディーゼル車にでも乗って帰るよ

【彼の言う”デカいゲーム”とはなにか。ルーレット?バカラ?いや、そんなものは】
【胴元の手の上で遊んでるだけだ。本当のゲームは対等なテーブルで行う】
【行き交うのはチップやカードじゃない。もっとシンプルに金と命だ……でも彼は言わない】

【髪の毛を掻きながら彼はまたカジノの方へ足を向けた。中古のディーゼル車という例えは】
【まあそれが買えるぐらいは稼いで帰るという意味らしいが…まあどうだっていいことだ】
【宣言通り、彼は情報の手助けもあってそこそこ稼ぐだろう。しかし、喜びは(多少しか)しない】

【後日、そのカジノは新聞のトップに名前が出ることになるだろう…しかしそれはまた別の話】



/こんなところでしょうか?お付き合いいただいてありがとございました! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:25:58.34 ID:xebe0qj4o<> >>99

【黒い少女が話せる距離まで近づくと、少女はついっとその顔を覗き込むだろう。……これは悪いクセなのだけれど】
【礼儀だとか挨拶だとかの前に、つい興味が勝ってしまう。色のちがう瞳が特に物珍しいみたいで、透けた青の視線が左右に振られて】


すずの音って書いて……? ううん、えっと……りんね、でいい? 
……あ、わたしはイクス。イクス・ヴェーラだよ。

ううん、いいよ。ほんとはこんなところで歌ってたわたしが悪いの。
でも……褒めてもらえてうれしいな。


【……どうも漢字のたぐいは苦手らしく、「鈴の音」の説明はよくわからなかった様子。でもとにかく名前は覚えてくれたようだ】
【少女は自分も「イクス」名乗り返して、とりあえずお辞儀する。覚えたての礼儀作法はこういう場ではちょっと堅苦しい】
【――それはどちらかといえば、一曲歌い終えて観客に頭を下げる歌手のようだっただろう】
【声を褒められて、イクスはちいさく笑顔を浮かべる。歌うのも聴いてもらうのも好きらしい――だめとわかっていても歌いたくなってしまうほどに】


だいじょうぶだよ。わたし、ふつうのひとより頑丈だから。

ありがとう、りんね。こっちこそごめんなさい。
……ね、それより、りんねもカエルさんが好きなの?


【吹けば飛びそうなほど希薄にみえるその体からはちょっと想像できないけれど……イクスは自分の胸に手を置いてそう断言し】
【鈴音が秘密を守ってくれるひとだとわかったなら、嬉しそうに笑って、最近生まれたばかりの"申し訳ない"の表情を浮かべるのだろう】

【そして――ちいさく頷くと、鈴音に目配せしてちょっと歩く。近場の大きな木の根元、雨具がなくても多少は雨が防げる場所へ】
【……自分は"ちがう"からいいけれど、「ひとは風邪を引く」ということを、イクスは知っていたから】
【鈴音がついてきてくれたなら、木の根元にしゃがみ込んで、そこに残っていた一匹のカエルをつつきはじめるだろう】

【でぶっちょな見た目のとおりの温厚な性格なのか、それともさっきの歌で懐いたのか、カエルは逃げない】
【――もちろん、イクスも。あなたも好きなのという問いは、ここにいてもいい、いっしょに話そうという誘いでもあった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:29:13.86 ID:it21/im80<> >>94

【―――幼いとはいえ、ティアは子供達の中では最年長。皆のお姉さんとして振舞うしっかり者なのだ】
【現在も、親代わりの二人がいない状況で彼女が何とか皆を纏めている。自分より小さい子がいる中、頑張っている】
【料理や身の回りの家事をこなし、二人の帰りを待っている。―――きっと、電話も率先して出たのだろう】
【そんな歳の割にしっかりした少女も、流石に寂しさを隠すことまでは出来ない。どうしても声に不安が宿る……】

【―――マリアが病院に居る事を知らされると、少女は少し元気が出たような声で応答する。】

『―――おかあさん、そっちにいるんですか?えっと、……はい!かおかあさんにかわってください!』

【少しでも元気になるなら、少しでも母親の声を聞けるなら―――そう思ったのだろう。直ぐに代わって欲しいと告げて】
【マリアに代われば、ティアは心配そうに声を掛ける―――】

『もしもし、おかあさん!?』

―――……ティア?……どうしたのですか……?―――もう遅いのですから、……早く寝ないと……

『どうしたのですか、じゃないよ!おかあさん、どうしたの!?』

……だいじょうぶ、ですよ。……心配しないで……―――

【―――やはり、心身ともに摩耗しきっていても母親は母親なのだろう。】
【ボロボロの状態になって、それでも電話に出れば娘の事を気遣い、心配させまいと「大丈夫」と言ってしまうのだから】
【……しかし、ティアには声を聞くだけでマリアが大丈夫じゃない事がすぐに分かる。―――血は繋がらずとも、彼女はマリアの娘なのだから】

『……しんぱいするよ。わたしも、みんなも、おかあさんのこと、だいすきだもん。
 だいすきなおかあさんがいないとね、しんぱいなんだよ。

 ―――おかあさん。あのね、いまお家におかあさんもおとうさんもいないでしょ。
 わたしも、みんなも、すっごくさびしいの。……ねえ、おかあさん。……はやくげんきになって、かえってきて。
 おかあさんは、おとうさんがいなくなってさびしいんでしょ? ……ティアもね、おかあさんがいないとさびしいんだよ。』

―――――!

【―――そう、マリアが夫の事を心配しているのと同じように、子供達もマリアの事を心配しているのだ】
【誰よりも彼女の無事を願う子供達がいる。―――その心を裏切ってまで、無理をしてフレデリックを探すなんて出来ない】
【だって、子供達も夫と同じくらいに大切なのだから―――。】
【自分の無理が子供達を心配させている事に、漸く気付いた。―――もう、子供達を心配させるようなことはしない】

―――ティア、寂しい思いをさせてごめんなさい。……そうですよね、私が元気じゃないと……、……あなた達が心配しますよね……。
……すぐに元気になって、帰ります。ティア、その間のお家の事は任せましたよ―――

 『……おうちはだいじょうぶ。ティアが、しっかりがんばってるから。
 おりょうりも、せんたくも、ちゃんとやってるから。……だから、はやくかえってきてね。』

……ええ。―――ティア。

『……なに?』

……ありがとう。

『―――えへへ。それじゃ、はやくげんきになってね。ばいばい。』

【―――電話はそこで切れる。……声は届いたのだろう、幾分かマリアの様子は落ち着いたようで】
【依然不安げな様子は残っているものの……先程までと比べれば、精神的にも安定しているだろう】
【あそこまで言われて、無理は出来まい。心配している子供達の為にも、早く治さねば―――】 <> アーグ
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/25(土) 00:30:19.42 ID:SIxpZlulo<> >>100

【爆発の数分後となれば――駆けつけた時には、もう生存者は居ない】
【火勢は凄まじい物があり、生き物のようにうねって木材を飲み込んでいて】

【その正面に置かれたベンチに平然と腰掛けているのが、例の男性であった】
【よりによって、衣服はより高位の聖職者がまとうそれであり】
【しかしニヤリと笑う顔は醜悪にも思え、"死"を前にしても平然としすぎている】
【その様子は何処か、人を待ちかねているかのような雰囲気すらあって】


……む、っ?何者だ、火事の野次馬でもしに来たか。
 だとすれば見頃は既に去ってしまったぞ、ちと来るのが遅かったな
 もう少し早く来ておれば、苦悶の声の一つも聞けたものを…――。


【――見た目は若い。20代か、いって30前半の外見なのだ。しかし、その口調は】
【どこと無く老人のようにも思えるもので。そして、衣服と言動が全く一致しておらず――。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:35:13.64 ID:5ceFp9iC0<> >>102

【顔を覗き込まれても、彼女は嫌な顔ひとつしなかった。ただ、少し目を気持ち程度に丸くしただろうか】
【それでも動物相手に大丈夫だよと笑いかけてやるみたいに笑って、少女の気が済むまで、瞳でも、顔でも見せてやる】
【それから「色が違うの、ふしぎ?」なんて尋ねてみせ、興味を示したりするなら、「昔は黒かったんだよ」と教えるはず】

うん、それでいいよ――イクス、ね。イクスちゃん、のほうがいいかな――。
……でもね、とっても綺麗だったけど、とっても、不思議だったの。なんだろ、な……。

知らないのに、知ってるみたいで……。……何かの歌なの?

【この少女は基本的に他人を呼び捨てで呼ぶ傾向がある。だけれど、ときおり、何の気まぐれかそんなことを言い出す】
【ぺこりと慣れない仕草で頭を下げるのをどうにも優しげな目で見、笑ってもらえたなら、小さく拍手してみせる】
【それから言うのはそんなことだ。少し不思議に思っていたこと、なんでだろう、知らない言葉のはずだのに】
【どこかで聞いたのだろうか、なんて、思っているに違いない。――基本的、テレビとかには疎いから、よく分からないのだ】

そっかあ、……でも、もしも風邪を引いちゃったらね、きっと、苦しいよ。
わたしもね、たぶんひとより丈夫だけど……、たまーーーに、ね、熱出しちゃうと、とっても苦しいもの。

……うん、蛙は好きだよ。あと、蜥蜴とかも好きなの――でも、一番好きなのはへび、かな。

【丈夫なのだと聞けば、どこかで納得するような顔をしながらも、そんなことを、伝えるのだろう】
【丈夫だからってあんまりに無理なことをすれば、結局どこかでがたが来る。そして、それは存外苦しくて】
【“人間を模している”以上それくらいは仕様なのだろうけど、――風邪とか熱は、いまだに慣れず】

【相手の歩みより少し遅れて、黒色も木陰にもぐりこむ。それで傘を閉じて、幹に立てかけて】
【イクスが突っつく蛙を見たがるようにしゃがみこんで、……こちらも、また、やわい力でつんつんとしだす】
【あんまり強い力ではないが、蛙は人間の体温で火傷することもあるらしい。あんまりよろしくないことなのだろうが、】

【――残念ながら止める役のひとが居なかった。だから、彼女は、「蛇とかは好き?」なんてイクスに尋ねるのだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:35:54.89 ID:UyJhig+/0<> >>103
/申し訳ないのですが凍結をお願いしたく……
/明後日26日に再開か置きレスでお願いします……! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:45:44.98 ID:it21/im80<> >>106
//了解です!それでまた日曜にお願いしますねー!ただ、日曜は0時以降はロール出来ないので……それ以降は置きレスになるかもです
//一旦お疲れ様でした! <> 五月雨 天音<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:47:35.64 ID:yzxY+C8u0<> >>101
//乙でした!!強引な切り方になって申し訳ないです!! <> 辻風文
◆itU.KV85RU<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:52:23.87 ID:X7LW7K2s0<> >>104

【確かにそこにいた】
【ベンチに座り込む男性が一人、燃え盛る教会の前で】

いやはや、聖職者が聖なる教会を焼き払うとは。
まあ、そんな聖職者もいることでしょう。
自らの宗教に嫌気が差したりもしましたかね。

【がさがさ、とジャンパーのポケットの中を探して】
【取り出したのは一枚の紙、であろうか】

まあ、野次馬で大体あってはいるんですが・・・。
私、中央新聞社の辻風と申します。
「報道者」ゆえ、正義にも悪にも肩入れしない、特殊な立場ですが。

【名刺には「特務課」と聞き慣れない部署が書いてあることだろう】
【能力者、もとい異能保有者のみの部署であるが】

まぁ、こんなことをお聞きするのもなんですが・・・。
なぜ教会をお襲いになったのですか?

【単刀直入に伺いを立てる】
【まぁどんな返答が来ようとも、あまり気にしない・・・つもりであるが】 <> アーグ
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/25(土) 00:59:06.44 ID:SIxpZlulo<> >>109


ほう、記者か……!これはまた、特上の野次馬が飛びついたものよな。
 だが今この状況で我を前にし、尚も引かぬ根性は気に入った……ふむ…――。


【愉快そうに眉を動かして、ゴツゴツとした手で名刺を受け取る】
【少なくとも無差別に殺人を行う狂信者、ではないらしく】
【改めて、鷲のように鋭い瞳を相手に向けると】


なに、簡単な話よ。世にはいくつかの宗派があってな、大凡は"異端"だ。
 最も正統なる信仰とは、およそ100年から前のゼン=カイマのそれだが……

 ……生憎と、この教会では全くの異端。傍流中の傍流である邪教を広めておった
 故に、この私が粛清した。『ゼン=カイマ』の大司教である『フレデリック』がな。
 時に貴様……神をどう思う。私のしたことは、神から見て善か、それとも悪か?


【答えは何とも言いがたい物だった。しかし、どうにも口は軽い方らしく】
【事実か否かはともかくとして名前まで答え――加えて、一つの質問をするのだった。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/25(土) 00:59:53.75 ID:UyJhig+/0<> >>107
/ありがとうございます!その日には舞台裏でも呼び掛けておきますので! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/25(土) 01:07:34.85 ID:xebe0qj4o<> >>105

【これも悪いクセのひとつで――人の目をみて話すのは良いことなのだけれど、案の定それを勘違いしているらしく】
【鈴音が拒絶しないことを許可と受け取って、人形じみたなにを考えているかまったくわからない顔が、ぬぬっと鈴音を観察しはじめる】
【……けれどそれは、言ってしまえば生まれたての子供のそれと同じものだ。そこにある純粋さと好奇心は、彼女の説明で右の赤色に感嘆を示して】


イクスちゃん? ……そんなふうに呼ばれたの、はじめてかも。

――ううん、えっと。実は、わたしも知らないの。
昔のことはおぼえてないけど、この歌のことはおぼえてて……よくわからないけど、好きなんだ。


【歌は好きだけど――歌のことには詳しくない。なんともアンバランスな答えが鈴音へ返されるだろうか】
【困ったように首をかしげて、すこしばかり事情を明かす。もっともそれは、明かす事情がなにもない、という答えだけれど】
【あの歌が、あの言語がなんなのかは、実は本人にもいまいちわかっていない。ただなんとなく、歌っていると元気になる、それだけ】

【――突き詰めていけば、たぶんなんらかの"異能"だというところに行き着くのだろうけれど……】
【イクスの表情をみればわかるだろう。本人にとっては理屈なんてどうでもいいのだ。ただ好きというだけで、満足しているみたいだった】


風邪、かあ……ふぅん。苦しいのは、いやだね。
でも、わたしは病気になったことがないから、きっとだいじょうぶだよ。


【やはりというべきか、イクスにはうまく"風邪"という状態が理解できないようだった】
【なったことがないものを実感しろというのはむずかしい。加えて風邪は苦しいものだと聞けば、こわいのであまり興味ももてず】
【けっきょく、特に根拠もない自信でそれをはねのけると、また指先でカエルとじゃれつきあう……】


わたしは、動物さんはみんな好きなんだ。あと、木も、草も、土も。――なにも言わないけど、お話できるから。
ねぇ、りんねは、なんでへびさんやとかげさんが好きなの?


【ふたりの少女からこれだけつっつかれても、不思議なことにカエルは逃げなかった。害意がないのが伝わっているみたいに】
【もちろん怪我をさせてしまえば逃げてしまうだろうけれど、雨のおかげだろうか、幸いにもいまのところそういう気配はなく】

【カエルもヘビも、トカゲも。イクスもまた生物全般が好きらしい。植物類も好きというので、もっといえば"自然が好き"といったところ】
【――"なにも言わないけど話せる"という言葉の意味はよくわからないが。きょうみたいに、木や動物によく歌を聴かせているのかもしれない】
【やがてイクスの視線は、カエルから鈴音へと。その純朴な青色は、鈴音の好みの理由へ向けられた――】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 01:17:33.65 ID:5ceFp9iC0<> >>112

【じっと目を見つめられれば、色違いの両眼も、なんだかお姉さんぶった優しさで、じっと見つめ返し】
【満足いくまで見せてやるだろう。流石にあんまり見られると恥ずかしさもあるのだが、――なんだか、】
【この子は子供みたいだ、と、思ったなら。恥ずかしさも薄れる、――子供は好きだ。問題はない】

そうなの? ……どっちがいいかな、どっちで呼ばれたいか――決めていいよ。

そっか――でもとっても素敵な歌だね、誰かに聞かせられないの、残念ってくらい……。
……あ、でも、わたし、聞けたから。運が良かったのかな? お散歩してて良かったあ――。

【それで、どうやらその呼び名が始めてらしいと聞けば、少しきょとん、と、目を丸くするものの】
【すぐにそんな風に尋ねるのだ。どう呼ばれたいかって、“ちゃん”をつけるのか、つけないのか、或いは】
【全く別の呼び方を提案するのか。きっとどれだって頷いてくれるだろう、この黒色は、そんな子だ】

【――歌のことは知らないというのにも、別に機嫌を損ねた様子はなかった。そっかあ、なんて、むしろ少し残念そう】
【「素敵な歌なのに」と改めて呟く、それから、ちょっと気の抜けたように笑ってみせて――】
【さっきのイクスを真似するように、あー、あー、なんて、歌うように声を出してみるのだろう】
【鈴の音によく似た澄んだ声は、それだけならとっても綺麗だ。だけれど、ただ真っ直ぐに出しているだけ】
【歌に必要な技能とかは――たぶん、この黒色は持っていない。そして、それが異能かどうかも、どうでもよさそうだった】

そう、頭がね、ぐわぐわするの。それで、咳が出たり、ぼーっとしたりして……。
……だけど。あんまり雨には当たらないほうがいいよ、風邪引いちゃうかも、しれないもの。

【風邪の説明。なかなかに難しいものだ、症状はその時々によって変わるし、それ以上にたくさんある】
【とりあえず王道な説明をしてみたが、イクスがその自信で跳ね除けてしまうと、ごそりとポケットを漁り】
【黒いタオル地のハンカチを取り出すと、或いはその頬っぺたでも拭ってやるのかも、しれなくて】

イクス“   ”は、みんなとお話できるの? ――いいなあ、わたしは、おはなしできないの。
……わたしがね、とかげとか、蛇とか、好きなのは。……なんだろ、にょろにょろしてるからかな?

【ちゃん付けがいいなら、彼女はここでそう呼ぶ。とりあえずそれを余談として、彼女の声はひどく羨ましそうだ】
【いいなあと呟いて蛙の頭をつっつく。指先の仕草で蛙の皮が少しよって、眉間に皺が寄ったようになり、嫌そうな顔】
【それをよしよしと撫でるように直してやりながら、告げる理由は――なんだろう、とてつもなく適当だ】
【「うろこがあるところ」とか言い出すけど、魚が好きとは別に言わない。長いのが、好き――?】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/25(土) 01:49:01.30 ID:xebe0qj4o<> >>113


うーん……じゃあ、イクス"ちゃん"かなぁ……。
誰にもそう呼ばれたことないから、なんだか、ええっと……なんて言えばいいんだろう。


【呼び名なんて、実はべつに気にするタイプでもないのだけど。自分でもわからないうち、イクスは真剣に考え込む】
【搾り出した答えは"ちゃん"付けのほうだった。さっきそう呼ばれたとき、いままで感じたことのなかった想いを感じたような気がしたからだ】
【……それを"新鮮"と正確に表現するにはイクスの情緒はやや幼すぎたけれど、「とにかく、気に入ったの」といって、イクスはすこし笑ってみせた】

【――軽く声を出した鈴音に、イクスは意外なくらい食いつくだろうか。ちょっと目も見開いている】
【「りんねも歌うたうの、好き?」と、微量ながら熱を感じる声色で。自分の好きなものを好きといってもらえるのが嬉しくて、期待しているのか】
【どうあれ、イクスはその真っ直ぐな声色をへただともうまいとも言わないだろう。「きれいだね」と、ばか正直な賞賛をこぼすだけで……】


そうなんだ……りんねがそこまでいうなら、すこしはひかえようかな。
雨は好きなんだけど、お服もあんまり濡らすと怒られちゃうし……。
……んっ……。


【自分も風邪を引く可能性がある、というところはけっきょく、納得することはできなかったみたいだけれど】
【雨が好きとはいえ、それは鈴音の忠告を頭ごなしに否定するほど強い願望でもない。とりあえず、理解はしてくれたようだった】
【意見も、そしてハンカチも素直に受け入れて、イクスは軽くうなる。頬を拭かれるなんてしょっちゅうあることじゃないので、くすぐったかったようだ】


うん……ふふ、すごいでしょ?
……でもわたしも、"なんとなく"なんだけどね。わたしの意思をわかってもらうことはできるけど、わたしは動物さんの言葉、わからないの……。


【かなりめずらしく――イクスはちいさく、しかし確かに得意げに、胸を張ってみせる。それもまた、歌うのと同じぐらい好きなのだろう】
【ただ、それも完全とはいえないらしかった。こちらの意思は伝わるけれど、向こうの意思は"なんとなく"しかわからないという、】

【……そういえば、さっきの歌。あれは発音は意味不明なのに、歌詞の"意味"が直接心に伝わってくる、そういうモノだったはずで】
【あの曲――あるいはあの言語をもちいれば、動物にも同じように"意味"を直接伝えられる、ということかもしれない】
【もちろん動物はあの言葉を喋ることも歌うこともない。声帯以前に知能が備わっていないのだから当たり前で】
【けれど……とりあえず敵意の無ささえはっきり伝われば、あとは案外"なんとなく"で十分なのかも。ちょうどこのカエルが、イクスに懐いているように】


にょろにょろ? うろこ? ……それって"かわいい"の? それとも"かっこいい"の?
へんなの……あっ、でも、見ていておもしろいと思うのは同じだよ、わたしも。


【……それはそうと。鈴音の好みはやはりというか、イクスにはちょっとむずかしかったらしい】
【見ていておもしろい、というのは彼女なりのフォローのつもりだったのか、やっぱり素直な感想を言っただけなのか……】
【イクスは、「へびさんって、足も手もなくて体も長ぁいのに、よくあんなに早く動けるよね」なんて心底不思議そうに付け加えるだけだった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/04/25(土) 02:00:27.90 ID:x+XGL/e/O<> マリアはまーた固定化と置きレスか。
みなさん、マリアは新規と絡む気はないらしいですよ。
自分語りで返信に時間を掛け過ぎなのに自覚なしなのも問題であり相手が可哀想ですねー。ぷんぷん。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 02:02:53.08 ID:5ceFp9iC0<> >>114

【「じゃあ、イクスちゃんね」。そう言う声は少し囁くようで、そうすると、鈴の音の声は不思議と暖かで】
【普段のどこかりんとした金属質な声よりも人間らしい。普段が人外めいた声だというわけではないけれど――】
【気に入ったのだと聞けば、よかった、なんて、笑うのだろう。一切の曇りもない、本当に純粋に笑ってみせて】

あ――、うん、好き、だよ。あんまり……その、最近の歌とか、分からないけれど……。
……だけどね、わたし、みんなが知らないとっておきの歌を知ってるの。

わたしと、――わたしのだいすきなひとしか知らない、特別の歌なんだよ。

【ちょっと熱の篭るイクスの声。少しびっくりした目をしてしまうのは失礼だろうか、だけれど、同時に嬉しそうでもあり】
【こういう話が好きなのかと気付けば、その話を選んで続けていく。最近の歌は知らない、歌手とか、アイドルとか】
【四十八人居るらしい奴とか?全く知らない。だけれど、続く言葉は少し自慢げで――誇らしげにも見え】
【子供が特別な玩具をもったいぶりながら自慢して見せてくれるような声音。悪戯っぽく、イクスを見つめるなら】

【知りたい?と尋ねているようでもある。頷くなら――歌ってくれる、の、だろうか?】

【「それがいいよ」と言いながら頬っぺたを拭ってやる。「もう少し暖かくなってから、やろ?」とも続け】
【今はまだ寒い日もある。そんな日に雨を浴びたらそれこそ風邪を引いてしまいそう。平気と言うかもしれないけど――】

でも。みんなに言葉が通じるなんて、すごいよ。わたし、だって、そんなのできないもの。
わたしが話しかけたって、みんなには伝わらないの。……イクスちゃんだから、きっと、出来るんだね。

【いいなー、いいなー、そう何度か繰り返す。本当に羨ましそうだ、動物に、こころが伝えられるだなんて】
【そうしたらもっと野生動物と遊べそうなんて下心はあるけど。――けっきょくは、動物好き】
【それでもイクスだからと言うときは瞳を細め、改めてイクスの真っ直ぐな瞳を見つめてから――うん、と、頷き】

かわいくてね、かっこいいの!

【どっちもだった。もうぺたんと両手を合わせて、指を絡ませて、にこにっこと笑って】
【「それにね、綺麗だよ――」と付け加える。「やわらかいし……」と付け足したのは、あんまり、関係ないけど】

ううん……なんでだろ。今度へびさまに聞いてみるね。

【――そして、蛇好きそうな彼女でも、そこはよく分からなかった。多分筋肉とかが独自にすごいのだろうけど(?)】
【きょとんと不思議な目をしてから、呟く言葉は少し変。へびさま……蛇様。なんだろう、蛇の知り合いでも居るのだろうか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/25(土) 02:33:19.07 ID:xebe0qj4o<> >>116

【こくり、とイクスは黙って頷くだろう。感情を表すことは苦手だけれど、他人の感情を受け取ることにはすこしづつ、慣れてきた】
【自分にはまだ出せそうにない、ふわりとした柔らかな声。その優しさがこそばゆかった。……この感情は、前にも感じたものだ】
【鈴音の笑顔につられて、なんとなしにイクスも笑う。このひとも「お姉さん」みたいだなぁ、なんて思いながら――】


とっておきの、歌?
――――わたし、知りたい! 聴かせて!


【浮世離れした挙措からはあまり想像できないが、実はイクスは少なくとも鈴音よりは、流行歌に詳しかったりもする】
【といっても、そのアーティストのファンと対等に話し合うほどの知識はない。一番はやっぱり、メロディや歌詞や、浮かんでくる情景や……】
【そういう、きわめて抽象的なもの。まだ未熟だけれど――透明な少女は透明であるがゆえ、先入観のない澄んだ感性をもっている】

【――その感性が、やさしくてきれいな鈴の音が奏でる"とっておきの歌"を、心から欲していた】
【"だいすきなひと"の正確な意味をまるで理解していないところはまあ、しかたないけれど……乞う声色は、いままでよりずっと弾んでいる】


わたしだから、できる?
……そうかな……そうなのかな。……えへへ。


【動物たちや森の木々。おしゃべりはできないけれど……音楽に国境はない、と誰かがいった】
【"話せないなら、歌えばいい"。本人はただ好きで歌っているだけなのだけど――歌だからこそ伝わっているものが、たぶんそこにはあって】
【すごいって褒められて、それに漠然と気づいたのだろうか。羨む鈴音の言葉に、イクスは照れくさそうに、はにかむように笑った】


かわいくてかっこよくて、綺麗でやわらかい……。
うぅん、そっか……わたしもこんど、もっとちゃんと見させてもらおうかな?

――へびさま? へびさまって、だれ?
あっ、「さま」っていうぐらいだから……もしかして、ふつうのへびよりもっとかわいくてかっこよくて、綺麗でやわらかい子なの?


【動物全般は好きだけれど、裏を返せば特別大好きという子もいない。けれど……鈴音にそこまで絶賛されると、なんだか気になってきて】
【もっとしっかり観察すれば、鈴音が感じたすごさを自分も感じられるのかもしれない。そう思うとにわかに期待も膨らんでくる】
【そこへ――"へびさま"という、おかしな単語が飛び込んだ。わき出た興味がいっきにそっちへ向いて、イクスは身を乗り出すだろう】
【……まあ、その純粋さと無知さゆえに、イクスが想像できたのは「もっとすごいへびさんなんだろうな」という程度のものだったけれど】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 02:42:23.74 ID:5ceFp9iC0<> >>117
/申し訳ないです、眠気がひどくなってきたので、凍結お願いできますでしょうか?
/今日は用事ない予定なので遅くても夜には待機していられるかと思いますっ <> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/25(土) 02:48:20.51 ID:xebe0qj4o<> >>118
/はい、了解しました〜!
/ただ実は、明日はできればイベントの方に参加したいなぁとか思っておりまして……
/置きレスに移動していただくか、もしくは日曜に延期していただけるとすごく助かりますです……申し訳ないorz <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 02:49:42.50 ID:5ceFp9iC0<> >> <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 02:51:58.03 ID:5ceFp9iC0<> >>120はミスです、すいません

>>119
/了解しましたっ、それでしたら、日曜日も多分どこも行かないと思うので
/日曜日の適当な時間に再開、って感じでお願いできたらと思います!
/ひとまずお疲れ様でした、おやすみなさいませー <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/25(土) 05:57:41.82 ID:xa30QIGg0<> >>92
...了解したよ

【そう言って彼はフードを再び被って彼女を守る盾のように】
【護衛する為に彼女の前に立ってその道中を守るだろう】

【途中、雑多な雑談でも交わしながら】
【もしかしたら、あったかもしれない大きな障害を切り抜けて二人は歩き続ける】


【クローザにとって彼女との出会いが何よりの救いになりえた】
【生きる事が出来るかもしれないと】


【彼の足取りは間違いなく】
【出会った時よりも力強く、迷う事はなかっただろう────】

/そしたらこの辺りで〆という事で...
/長い間ロールありがとうございましたー!!
/返信遅れてすみませぬ...! <> 辻風文
◆itU.KV85RU<>sage saga<>2015/04/25(土) 11:04:16.65 ID:X7LW7K2s0<> >>110

「なるほど、ゼン=カイマ教が本流であるはずだ、と。
 木の幹から伸び出た小枝を折るような感じと言ったらいいでしょうかね。」

【まぁ、宗教内の対立はどこにでも存在するようなもので】
【どこぞやでは「金で罪は救われる訳がない」と教会が襲われたようだが】

「私的に、ではありますが・・・
 神からみて善となるでしょうね。
 あなた方からみて、この教会が邪教を広めていたというならば、あなた方のとった行動は正しいでしょう。」

【神は人々にとってシンボル的存在であり、実在しない】
【シンボル化されているが故、人々の心はそれによって支えられる】
【実在しないがゆえ、人々は神を「創造」、もとい「想像」することができるのであろうが】

ほぉ、それにしても大司教様ですか・・・。
高位であられるのに、なぜ自らご行動を?

【大司教という発言、その上聖職者の服】
【相当な高位の人物であろうが、なぜ自ら行動するのか、不思議であった】 <> アーグ
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/25(土) 11:35:55.83 ID:SIxpZlulo<> >>123


左様。小枝を折る……剪定よな。まさに言い得て妙というものだ
 加えて言うならば、その小枝は腐臭を放つ病に掛かっていてな?
 折らねばいずれ樹木そのものが腐れてしまう。道理として、当然の帰結であろう

 ……しかし、そうか。貴様から見れば、神はこれを善と捉えるか。
 生憎と私の考えは違う…――神とは絶対で、善悪で測れるものではないのだ
 
 貴様の考え、私個人としては嬉しくもある。だが神とは尺度ではない
 人という矮小な存在の為すことを、逐一監視されているはずもない。
 故に、私はこの行為を善とも悪とも思わぬ。……やはり、この問答は面白いな


【神は想像の産物、というよりは実在するが人の観点で捉えきれぬモノ≠ニして考えているのだろう】
【ならば何故そんな存在を信じるのかとも思えるが――語り口には絶対の自負が滲んでいる】
【何か、理由があるらしかった。義腕の右腕を膝の上に置いて】


王が動くようなものだ。国であれ、騎士団であれ、人であれ……そうではないか。
 頭が動かねば手足は動かん。故に私自らが率先して動いておるのよ
 高位であるということは即ち、責任も計り知れぬということ。これもまた、力持つ者の義務であろう


【――記事にするのなら、十分過ぎるくらいなインタビューの内容だろうか】
【やはり、随分と饒舌だ。剛毅な外面に比べて、随分と澄んでキレる頭脳をしているようで】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/25(土) 14:28:06.52 ID:5ceFp9iC0<> >>117

【――その歌は、別に秘されたものではない。イクスの歌声のように、隠さなければいけないものではない】
【だけれど彼女は誰にも歌って聞かせてこなかった、どうしてか。それは、自分でもよく分からないのだけど――】
【それでも、この子になら聞かせてもいいと思ったのだ。素敵な歌を盗み聞きしてしまった贖罪、その意味があってもなくても】

あんまり、……歌は上手じゃないけど。その、――わ、笑わないでね、?

【今までよりもずっと元気に求めるその様子を見て、なぜだか急に恥ずかしくなる。そんなに、期待されてしまうと】
【真っ白の頬を僅かに赤くして、そんな言い訳をしだすのだから、――あんまり気は強いほうではないのだろう】
【笑わないで、と、念押しして。ほんの数秒、赤く熱くなってしまった頬を両手で押さえていたのだけど――】

【そのうちに覚悟を決めたのか。すうと吸い込まれる呼吸、その代わりに吐き出されるのは――澄んだ、歌声で】
【歌らしい技能はやはりない、ただ真っ直ぐに、旋律を吐き出していくだけの、歌。だけれど、その声は】
【森の奥にあるだあれも知らない、水底まで見通せそうに澄んだ泉のような、そこに流れ込む小川の水のような】
【なぜだか美しい水の景色を連想させるような、不思議なもの。なにより、声もそうだが、旋律も不思議に聞こえ】
【人間が作る曲とはどこかが違う。どれだけのCDやレコードをひっくり返しても、類似品は見つからないような――】

【――だって、蛇が作った歌なのだ。何百年も前の蛇が、自然を、大きな川を見て、うたったもの】
【蛇に声帯はないとか、そんなことはひとまず置いておいて。ついでに言うと視力も悪いのだとか、それも置いて】
【水辺に暮らす蛇の世界から見渡した世界をうたう歌、そいつが無駄にロマンチストで、その後声帯を手に入れてしまったから】
【こんな八百年もあとまで伝わってしまった歌――或いは黒歴史かもしれないけど、美しい旋律ではあり】

【時間にしてはほんの二、三分だろうか。長いものではない、終わりそうになるにつれて、】
【頬は赤くなるし声は弱くなるしで恥ずかしさに負けつつあるのがどうしようもなく弱気で、ただ、】
【歌い終わり、小さく息を吐き、「どう?」と尋ねる表情は。真っ赤だったけれど、どこか自慢げなような、誇らしげなような】

……へびさまはね、わたしのね、お母さんより、おばあちゃんより、ずっと前の、ご先祖様なの。
うん、――とってもすごい蛇なんだよ。とっても、大きくて、優しくて、――だいすきなの。

むかし、ね、寒くて眠れないときとか。よく歌ってくれたのが、今のお歌なの。

【それでも顔の赤さは後を引く。へびさまというのを説明しながらも、その手は熱い頬を包むように触れていて】
【だいすきらしい。そう言えば視線は動いて、自分の左手の薬指を――そこにある指輪を見とめて、優しく笑い】
【それから声は懐かしげになる、――「最近歌ってくれないなあ」なんて、気付いて浮かんだ抗議も洩らしながら】

/おかえししておきますー <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/25(土) 14:34:24.68 ID:CeSZ+YY8o<> >>122

//すごい綺麗にしまってるんで、このままでもいっかな……
//こちらこそ、グダグダになってすいません……
//ありがとうございました! <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/04/25(土) 14:38:35.51 ID:IMgX1U0Yo<> >>122

//すごい綺麗にしまってるんで、このままでもいっかな……
//こちらこそ、グダグダになってすいません……
//ありがとうございました! <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/04/25(土) 20:40:05.58 ID:MgWyTL1Co<> /イベント前に申し訳ないのですが、>>55で再投下させて頂きます <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/25(土) 20:43:58.63 ID:X7LW7K2s0<> 【フレイア近郊の広場にて・・・】
【能力者一同を載せた飛行艇二艇が着陸した】

今回の作戦は、現在敵対組織の侵攻下にあるフレイアを防衛すること、
そしてその敵対組織に所属している能力者3名の撃退となる。

【淡々と長髭を顔から生やした老兵より説明がある】
【その軍服に付いている階級章は中佐、結構上階級のようだが】

能力者諸君には、この作戦を成功させ、敵の元へと落ちようとしているフレイアを救っていただきたい。
とりあえず、緊急時に援護が可能なよう、通信機を渡しておく。
緊急事態に陥った際にはこれを使ってくれ。
すぐに兵士が向かう。

【能力者一人ひとりに通信機が渡されていく】
【その後、配置が言い渡されていき】

武運を祈る!
ぜひとも作戦を成功させてくれたまえ!

【その後髭面の中佐は飛行艇へと戻っていった】
【そして作戦開始を告げるサイレンが鳴り響いた】

【能力者達は自らの配置へと散り散りになる】
【そしてそこで兵士が殺されていく凄惨な光景と、赤々と染まる道を見ることになるであろうが】

【中央のイグニス通りでは獣の手足と耳をした少女を】
【東側の炎天通りでは夜風になびく銀色の髪をして、鈍く輝く拳銃を手にする女性を】
【西側のイフリート通りでは砲撃をする背の高い女性を】
【それぞれの通りにわかれた能力者は見ることとなろうが】
<> アルカード<>sage saga<>2015/04/25(土) 20:48:46.13 ID:J1TBDkLC0<> >>129
【彼は中佐からの説明を聞き終わり、通信機を受けとると一目散に駆け出した】
【すぐにでも強者と戦いたい一心で駆け出す、こう言うところは子供っぽい】
【人の死体には目も暮れず、走りながら刀を抜刀し、コートを靡かせ駆けて行く先には獣のような少女がいた】

さて・・・君が相手か・・・ <> アルフレド・フェリシアーノ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/25(土) 20:56:45.84 ID:xebe0qj4o<> >>129

【西側・イフリート通り】


(…………、ヤツか)


【――苛烈な砲火の飛び交う中、屋台の物陰に隠れるように、ひとりの青年が息を潜めている】
【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年だ】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はデニムジーンズに膝丈ブーツという服装で】
【腰や上半身、両太股にはポーチ付きのベルトが巻き付いており、左胸の上と腰の左右にはホルスターがある】
【そして――そこから抜かれた奇抜な形状の二丁拳銃は既に、その役目を果たすべく彼の両手に構えられていた】

【――ばさり、と風が吹き抜ける。ストールが靡いたなら、その下にある紋様に目が行くかもしれない】
【シャツの左肩には"水の国警察"を示すエンブレム。右肩には"SCARLET"のエンブレム。二つの意匠が、青年が正義の使徒であると告げている】


……僕はアルフレド・フェリシアーノと申します。確かライドさんでしたよね。
僕は見ての通り、近接戦闘は得意ではありません。前衛、お願いできますでしょうか?


【まず、同じ配置に付いた仲間――事前の作戦会議で聞いたライドという男性に、青年は丁寧にアルフレドと名乗り】
【自分の得意とする役割を告げるだろう。拳銃を構えているとおり、この青年は後衛型のようだ】


――そこの女、止まれ!!


【――そして。無事理解を得られたならば、アルフレドは物陰から飛び出し、背の高い女へ両手の拳銃を向けて警告するだろう】
【敵の能力や性格が見えてこないうちは、いきなり発砲するのは危険と判断したか、とりあえずまだ引き金は引かない】
【この戦いにおける最初の一手は、女性と、そしてライドの行動次第と言ったところか――】


/アルフレドです、主催者様&ライドさんの方、よろしくお願いします! <> アルカード<>sage saga<>2015/04/25(土) 21:01:01.08 ID:J1TBDkLC0<> /主催者さんクローザさんよろしくお願いします <> ライド・シュバルト
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/25(土) 21:03:00.23 ID:go8bfh8mo<> >>129

承知しました。中佐

【ライドはそう言い通信機を受け取る】
【そして配置に向かった】

>>131
分かりました。前衛は任せて下さい
【ライドはアルフレドと名乗った人に対して作戦に肯定の意を伝える】


【途中の血の色で染まった道や死体などからは目を背けたくなったが】
【ここから目を背けるのは凄惨な現実から目を背けるような気がしたため】
【その光景を目に焼き付け、この現状を創りだした者への怒りを燃やす】

配置はここか……あの女を排除すればいいのだな

【相手となる女を見つけ自分の特殊警棒のような伸縮式の棒を伸ばし180cm程の長さにする】

お前がこの騒動を起こしている者の一人か!

【ライドは詰問するように言う】

/主催者様、アルフレド様 よろしくお願いします
イベントスレでは東側 イフリート通りで 今は西側のイフリート通りとなっていますが
相手は合っているでしょうか? <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/25(土) 21:07:11.30 ID:xa30QIGg0<> >>129>>130

【血の匂いが鼻腔を刺す】
【決して不快ではない、むしろ心地いい】


.......さて、と


【使い古された黒の革のコートを身に纏い、フードを被った青年】
【黒のフードから覗かせるのは闇夜の具現 】
【本来右目があるべき場所に薔薇が刻まれた狼を思わせる骸骨の仮面 】
【左目から覗く瞳は鮮血を思わせる】

【ヘリから見える風景が自分が戦場に来た事を思わせる】
【その戦場の空気を感じ取り、ヘリを降り立つ】


...さーってと...どちらが相手かな...?


【大通りに見える敵影を覗きながら】
【自分と共闘するかもしれない味方かと思われる人物を一瞥しながら】 <> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/25(土) 21:09:28.08 ID:mfGZKVwwO<> >>129

【ニグレド・ユーリエフは炎天通りにたどり着いた】
【立ち向かっていった兵士たちが殺戮され鮮血に彩られた通り。だが剣士がそれに動揺することはない】


 ……これは酷いな


【ニグレドの口から無味乾燥とした言葉が紡がれた。言葉とは違い、彼は酷いなどとは感じていなかった】
【彼の瞳は兵士たちへと向けられてはいるが、それは慈悲や悲哀などではなく、ただ単にその損傷から敵を推察するためだ】


 …………敵は……強そうだな


【小さな一言。だが先ほどと違いそれには熱が、沸騰する前の感情が込められていた。無意識に、剣士の口が小さな弧を描く】
【鍛え上げられた腕が持ち上がり、無骨な手が背中の大剣の柄を掴む】
【全長一五二センチメートル、刃渡一五センチメートルもの巨大な剣が軽々と引き抜かれた】
【そのまま真っ直ぐに剣が振り下ろされ、空気を斬る重い音が響いた。一八五センチ近い背丈の剣士の抜剣は、それだけで威圧感がある】


 ……さて。お前が、革命軍だかなんだか、か?
 色々と事情がありそうだな……話し合いで終わらせられるのなら、そうすべきだと思うんだが、どうだ……?


【目の前に立つ銀色の髪の女に、ニグレドは戦う前の言葉をかけた】
【話し合いで終わらせられるのなら。そんなことを言いながらも、彼はそれで解決するとは思っていない】
【そして何よりも、彼の気づいていない本心は、それが最良とさえ思っていなかった】

//ニグレドです。よろしくお願いします <> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/25(土) 21:14:48.67 ID:9DAu4ReDO<> >>129(主催/炎天通り)
>>135(ニグレド)

【炎天通り──そこに1人の能力者が立つ】
【男だ。それも、まだ若い男だった。顔立ちは東洋人のソレ──櫻の国の出身者だろうか】
【腰には一振りの刀。剣士か。服の上からだと筋肉があるようには見えず、どちらかというと優男のよう】
【ワイシャツにズボンというやたら質素な服装だが、その素材はそれなりのものだった】


──ぁ、あぁ、あ……き、来てしまい、ました……
あっ、あぁ……こ、これは、ひどい……ひぃい……
……ふ、ぇえ──し、しかも……て、敵、って……じっ……女性……あぁあぁああぁあ…………


【…………。…………──もう一度言おう。 男 だ 】
【彼が女であればまだこの光景もマシだっただろうが、残念ながら彼は男。ヒィ・イズ・ア・ボーイである】
【彼が剣士であるのは一目瞭然。なのに覇気の欠片もないのは如何なることだろう】

【……彼は移動中、パートナーたる男に名を名乗った。その名前は、とある警備会社の冠するものと同じ】
【いずれ跡継ぎになる存在。勘が働けば、そのような発想にもいたるだろうし】
【たまにその警備会社のPRとして、雑誌の隅に彼の顔写真が載っていたりもするのだ】
【なのにこの反応。軟弱者と罵られても文句の一つも言えない性格だ】
【おまけに打破すべき相手が女と知ってビビる始末。天辰警備会社の未来はきっとない】

【──更に情けないことに、彼はニグレドの後ろからそろりそろりとついてきてたのだ】
【要は壁代わりである。鬱陶しいことこの上ない。女には声をかけず、男の影に隠れる。──何故彼は男なのだろう】
【今のところ、櫻は何のモーションも見せていなかった。能力の発動も、その刀を抜くことすら、まだ、ない】

/よろしくお願いします <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/25(土) 21:25:24.46 ID:X7LW7K2s0<> >>131 >>133

【自警団の兵士たちに向け砲撃を行っていた長身の女性は呼びかけで動きを止め】
【アルフレドとライドの方へと向いた】

ほぉ、ついに排除部隊のお出まし、ってか。
あんたらが相手をしてくれるのか?

【この惨殺が至って通常である、というような顔をして応える】
【手には無反動砲、装甲は分厚い金属という重厚な装備をしているのが目に入るであろう】

まぁ、相手をしてくれるならとことんやり合おうじゃないか。
こちとら手加減はしねぇぜ?

【肩を回しながら長身の女は言った】
【どうやら先手は相手方にあげるようだが】

>>130 >>134

【獣、というべき格好をした、まるで狼のような少女は】
【いまだに自警団の兵士をその身の素早さで蹂躙していた】
【だが、不意に動きを止め】

なにか、気配がするよ・・・?

【背後より近づくアルカード、そしてこちらを覗き込むクローザに勘付いたようで】
【とりあえず、近づいてきたアルカードに返答をおこなうようだ】

そう・・・、なのかな?
排除部隊がこっちにくるって話は聞いてたけど。

【アルカードの質問に応えるやいなや、地面をその足で蹴り】
【アルカードの左腕めがけて鋭い爪でもぎ取ろうとする】

君、ともう一人が僕の相手なんだよね?
先に僕から行かせてもらうよ?

【どうやらこちらは先手必勝、という模様であるが】

>>135

【おそらく、2名には女性が拳銃を所持しているのは見えたのであろうが】
【なぜか爆発音が響いているのである】

倒しても倒してもまだまだ来るわね。
楽しい夜になりそうね!

【拳銃からマズルフラッシュを伴って射出された銃弾は赤く】
【どの兵士にも命中しなかったが、次の瞬間ー】

   「エクスプロージ」

【女のこの一言で銃弾が爆発したのである】
【この後に女は背後からの声に気づき】

えぇ、私は革命軍の一員よ。
そもそも、話し合いで解決することのなかった問題を解決するために武力を用いているのだけれど。

【拳銃を腰のaホルダーに戻し、男の方へと振り返る】
【どうやら後ろのもう一名の男には気づいていないようだが】

>>133
//すいません、ミスってました・・・
【西側の炎天通りでは夜風になびく銀色の髪をして、鈍く輝く拳銃を手にする女性を】
【東側のイフリート通りでは砲撃をする背の高い女性を】
となります、本当に不手際が多く申し訳ありません・・・
<> アルカード<>sage saga<>2015/04/25(土) 21:31:35.77 ID:J1TBDkLC0<> >>134
【彼は後ろに立つ男の気配と少女の攻撃態勢に入る気配を同時に察知した】

おや・・お前が俺と共闘する強者か・・?まぁ、足は引っ張らないでくれよ。
さぁ、来たかっ!
>>137
【彼は突撃してくる僕っ娘に向け、右手に握った刀を後方に飛び退きながら袈裟斬りの要領で降り下ろす】
【まずは様子見と共闘相手の能力を理解する事が先決】
【それまでは無理に攻撃するのは控えるべきだろう】
【そう思っての防衛行動だ】 <> ライド・シュバルト
◆1XELifMljM<>sage<>2015/04/25(土) 21:35:18.70 ID:go8bfh8mo<> >>137

舐めていやがるな……後になって手加減はしないぞ!

【まずは相手に向かって近づこうと走り出す】
【近接型のライドは近づかないとほとんど手も足も出ないからだ】
【そして走っている途中で露店を支えていた細い柱を手にし】
【振動を加え相手に向かって投げる】
【振動により攻撃翌力が増しているためそれは投げ槍のような攻撃となるだろう】
【だがそれは相手に近づくための布石でしかない】 <> アルフレド・フェリシアーノ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/25(土) 21:42:20.40 ID:xebe0qj4o<> >>137


…………貴様、何故こんなことをする?


【あちこちに散らばる命の残骸――その中心にいるくせ何も感じないかのように話す女性に、アルフレドの相貌に激情が宿る】
【それでも口調だけは冷静に、アルフレドは静かにそう問うだろう。……聞いたところで無駄だ、とは思っていても】
【そしてその裏で、素早く思惟を巡らせる。武装は無反動砲と金属装甲。見た目からは、高い防御力と攻撃力の代わりに機動力に劣るタイプと思われた】
【生半可な攻撃は通じないだろう。となれば――アルフレドはまず、女性の全身を観察し始める】

【――こちらには、分厚い金属を破壊できるほどの攻撃力はない。装甲の"隙間"を探しているのだ】


貴様はこの惨状を見て、何とも思わないというのか?
――――フザけたことを!!


【そして……もし"隙間"が見つかったならばその部位へ、見つからなかった場合は右膝を狙って、アルフレドは右手の拳銃を発砲する!】

【二丁の拳銃はそれぞれ、どちらも黒い特殊魔鋼をベースに白い強化パーツで覆われ、各所に緑色のエネルギーラインが走った近未来的な外観だ】
【そして今使ったのは、上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガン】
【『Kibrit』と名付けられたそれは、緑光を発する風属性の魔力で作られた"空圧弾"を射出――――、】

【もし直撃した場合、着弾と同時に圧縮空気が弾け、成人男性の全力の拳に匹敵する強い衝撃が女性を襲うだろう】
【弾速は実弾とほとんど変わらない亜音速なので、見てから回避するのは難しいが――威力としては、金属の装甲なら十分防げる程度だ】

/あまりお気になさらず〜 <> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/25(土) 21:42:46.33 ID:mfGZKVwwO<> >>136


 ………………はぁ


【感情が表に出づらいこの男も、流石に今回のパートナーには呆れかえっていた】
【頭の片隅にあるその名前と写真。実際に会ってみればまさしく金持ちのおぼっちゃまという感じだ】
【これから死地に赴くのでなければ笑って済んだのだろうが──】


>>137


 そう……だろうな。でなければテロなど起こすわけがない、な……


【途切れ途切れの、何かを抑えたような声でニグレドは言葉を返した】
【柄を握る剣士の両手に力が篭る。ニグレドの頭が微かに項垂れる】
【話し合いで解決できないことにショックを受けたのか────もちろん、そんなわけはない】


 ──────それなら、お前を殺しても問題はなさそうだな


【顔を上げたニグレドは、歪な笑みを浮かべていた】

【地面を強く踏み込んで剣士が駆け出した。銃を警戒して女の左側へ回り込むように】
【片側に回るのは銃弾を回避するためだけではなく、背後の櫻が反対側へ回れば挟み撃ちになるからだ】
【ニグレドは彼に何の指示もしなかった。剣士であれば、すぐに気づくはずだと考えたからだ】 <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/25(土) 21:49:27.09 ID:xa30QIGg0<> >>137
なんだりゃそりゃ...俺と同じかぁ?


【目の前の獣の少女の姿に仮面の中で呟く】
【自分と同じ亜人種なのだろうか】
【最近、この手の出会いが多すぎると、呟いた】


問答無用か...話し合い気もねぇのか...!


【獣少女が刀の男に突っ走ろうとする姿を見て悪態をついた】
【もうこれ以上被害を出す前に彼女を止める必要がある】

【今、彼女は自分ではなく男を見ている】
【前衛をあの男がするのなら自分は────】


【ギュルンと、己の能力で荊を両腕に具現する】
【本来、腕に巻かれたその荊をロープの様に伸ばす】

【伸ばした先は露店の柱】
【それだけ大きな動作だ。男を相手にしていても彼女も見る事は出来るだろう】
【邪魔さえしなければ、荊を伸縮させ、露店の上に登るだろう】

>>138
もうしばらく頼んだぞっ!!

【彼の技量は分からない】
【だが得物が得物だ。近距離戦が得意なのだろう】
【しばらく、彼女を抑え込んでくれればいい】
【そう、仮面の下からの篭った声で叫んだ】 <> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/25(土) 21:52:47.60 ID:9DAu4ReDO<> >>137(主催/炎天通り)
>>(ニグレド)

(あ、あれ……銃を持っているはず、なのに──爆発音、が……)


【ちらりと見えた拳銃。続く爆発音。この奇妙な「ズレ」に、櫻は違和感を覚えた】
【しかし続く女の言葉で、彼女の能力(ちから)と言えるものの片鱗が見える】


(……あれ、「後から爆発」、するのか。少し、厄介かもしれません、ね……)
(えぇと、爆発、爆発…………って……!)

ひぃいぃい……! いっ、いきなり過ぎませんかぁあぁああああぁあ────!?


【たんっ。地面を蹴る。空気が流動し始める。ニグレドの思考通り、櫻の反応は早かった】
【しゃらんと涼やかな音を立てて抜刀。軽やかに風を切り、彼は走り出す】
【ニグレドとは異なり、櫻は今にも泣きそうな表情。それでもニグレドと息を合わせることが出来たのは、こんな彼でも「跡取り」だからだ】
【女の右側に回り込もうと走る。櫻が刀を抜いたその時、妙な熱気や湿気のようなものが周囲に溢れたが、すぐに火の国の乾いた風にかき消された】
【両サイドからの接近──百戦錬磨に見える男と、甘ったれたように見える男。女はどちらを、撃つか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/25(土) 22:12:17.97 ID:X7LW7K2s0<> >>139 >>140

総統が命令した、ただそれだけのことさ。
彼は私の命の恩人だ、働きをもって彼に報わなければならんだろう?

【その返答とほぼ同時、風圧弾と小さな柱がこちらへと向かう】
【柱は胴体部の装甲へと命中し、装甲を少し窪ませたのみであったが】
【問題は風圧弾のほうだ】
【胴体部と脚部の装甲の間の小さな隙間、そう、腰である】
【そこに気づいたか、見事に腰へと命中する】

うおっ、なんだっ!?

【風圧弾が弾丸の形を解き、圧縮空気となり長身の女をふっ飛ばした】
【吹っ飛びつつも先ほど風圧弾を放ったアルフレドへと無反動砲を放つ】
【直撃すればひとたまりもないが、なんせ無誘導だ、避けるのは容易である】
【どうやら着地時に体勢を崩し、よろめいているようだ、チャンスである】

>>141

そうね、久しぶりの強者との殺り合いだわ。
精一杯楽しみましょう?

【左側へとせまるニグレドを無視し、前へとかける】
【刀も持たない天辰のすぐそばを通りつつ、先ほどとは違う青い弾丸を地面へと放つ】
【そのまま天辰の背後へ陣取るつもりのようだが】
【もし天辰が抜刀し、女を斬りつければ状況は圧倒的に防衛側有利となりそうだが】

>>138 >>142

【ガキン、と少女の爪とアルカードの刀が鍔迫り合いを起こす】
【押し通す気は無いようで、すぐに鍔迫り合いを解き】
【体勢を立て直してから、クローザの方を向き】

あぁ、さっきの気配は君だったのか。
君も僕の相手なんだろう?

【だが、露店の屋根へと登れる四肢はないようで】
【再びアルカードの方へと向き直り】

さて、もう一回やろうか?

【アルカードの元へと駆けていく】
【狙いは右足の大腿部と腰の間の関節、これを外すつもりのようだが】
【その途中でクローザの攻撃があればこの行動を中断せざるを得ないだろう】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/25(土) 22:17:11.13 ID:X7LW7K2s0<> //すいません、>>143の書き込みを見ておりませんでした・・・
//天辰・ニグレドペアの書き込みを修正します


>>141

そうね、久しぶりの強者との殺り合いだわ。
精一杯楽しみましょう?

【だが、そんなことを言っている暇などなく】
【両サイドから迫り来る天辰とニグレドの対処に少々悩んだあげく】

いいわね、連携攻撃。
だけど、そうとは行かせないわ・・・?

【拳銃から放たれた青い弾丸、その向かった先はー】
【「甘ったれた男」の方であった】
【この攻撃にどう対処するか、そしてニグレドの行動はいかに】
<> アルカード<>sage saga<>2015/04/25(土) 22:21:10.64 ID:J1TBDkLC0<> >>142
【彼は男の能力を見て率直な感想を述べる】

・・・・俺と同じだと

【そう、この荊の能力、自分の持つ荊の能力と酷似しているのだ】
【彼はかつてない確信と共に鍔競り合いを解く】

(此は優位に立てる・・・)
>>144
【彼は少女との鍔競り合いを解き、少女をしっかりと見つめる】
【そして、一度刀を地面に突き刺すと】
【途端に刀は荊へと変化する。それは瞬く間に彼の身体の周囲を覆った】
【未だ、彼は防戦一方である】 <> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/25(土) 22:23:59.18 ID:mfGZKVwwO<> >>145>>143

【櫻はニグレドの予想通りの動きをしてくれた。これで挟撃ができる】
【女の反撃はひとまず櫻へと向かったが、下手にフォローをしては接近のチャンスを逃す。剣士にとっては致命的だ】
【初撃ぐらいは防げなくては戦いなどできはしない。瞬時に判断してニグレドは更に女へと距離をつめた】


 いや、それで十分だ…………!


【単なる挟み撃ちでなくとも、攻撃が片方にしか向かないのであれば既に目的は果たしている】
【接近したニグレドは大剣を女の胴へと一閃。高速の水平斬りが迫る!】 <> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/25(土) 22:30:38.29 ID:9DAu4ReDO<> >>145(主催/炎天通り)
>>147(ニグレド)

【接近の最中、櫻は思考を巡らせる。先程見た女の能力をどう攻略し、ニグレドとどう協力しあうかどうかについてだ】
【彼にとって、ニグレドは随分な手練れに見えた。迷いない決断力も、獣の如し覇気も、大剣を軽々と振り回す剛腕も】
【あらゆる要素が、熟練者がパートナーであることを示していた。──足は引っ張りたくなかった】


(爆発爆発爆発爆発……あれにどう対応する!?)
(し、湿らせる? でもたかが雨が降ったくらいで「能力の産物」がどうこう出来る気もしませんし……!)
(えぇとえぇと……ちっ、近付いて──あぁ、そうあれは男あれは男あれは男あれは男ただ髪の長い男!!)

(…………って、「やっぱり」僕か──!!)


【弱い方から確実に処理する。それは戦場において定石とも言える一手】
【自分がニグレドよりも貧弱に見えることは百も承知。故に、女の攻撃に対して驚きはしなかった】

【接近。迫る弾丸。櫻の目が大きく開かれ……】
【────ば、ち……ッッ! 紫電が突如迸る。空間から唐突に現れた電流は、放たれた凶弾を撃ち落とす】
【尚も櫻は疾走を止めない。放った「電流」が弾を対処すると予測していたからだ】
【青い弾丸。それがそのまま落とされ、櫻に害をなさないのなら──】
【ニグレドからワンテンポ遅れ、櫻は女の右横から「ニグレドの水平斬りの直後」に、頭から垂直に刀を振るう!】

/遅くて申し訳ない <> アルフレド・フェリシアーノ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/25(土) 22:32:04.56 ID:xebe0qj4o<> >>144


ふざけるな――――!
その総統とやらの命令が、これだけ多くの人の命より重いというのか………ッ!?


【接近を試みて牽制を入れたライドの動きと女性の動きを理性で解析しつつ――青年の感情の方は、既に義憤を抑えられずにいた】
【ギリッ、という自分の歯軋りがいやに冷たく頭に響く。やはり話し合いの余地はないのか――】

【……他方、感情を越えた場所にある彼の理性は、自らの空圧弾が有効であったのを見逃さなかった】
【装甲の隙間も狙えないほど細いものではない。加え、中身の女性には化け物じみた耐久力などは存在していないらしい】
【無論、さすがにこれで終わるとも思っていない。無反動砲による反撃も想定の上、アルフレドは斜め前の屋台の陰へと飛び込むだろう】
【無傷とは行かず、彼女の砲撃は今まで隠れていた屋台を吹き飛ばし、その破片が背中に小さな傷を付けるが――戦闘に支障のあるレベルではない】


(体勢を崩したか――――今はライドさんもいる。ここは、攻める!!)


【アルフレドが体勢を整えたのと、女性がよろめいたのを見咎めたのがほぼ同時。一瞬の思考の後、彼は左手の方の拳銃の引き金を引き】
【下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる回転式多砲身機関銃――ハンドサイズのガトリングガンが、一斉に火を噴くだろう!】

【『Nara』と名付けられた左の拳銃は、一発一発の威力は低いものの、一秒間に数十発にも及ぶ細かな魔弾をバラ撒くことが可能な銃だ】
【加え、マガジン内の術式が弾丸の属性を"火属性"へと変えている。数え切れない‘’火の魔弾"は女性のほぼ全身へ拡散して迫るだろう】
【ただし既に述べたとおり、弾丸の威力自体は低い。金属装甲ならノーダメージで防げてしまうはずだ】

【しかし問題は、火属性の弾丸が"熱"を帯びていること。それが何十発と"金属装甲"に降り注いだ場合――】
【金属が一気に熱せられ、身を守るはずの装甲が逆に女性の全身に火傷を負わせることとなるはずだ。この攻撃を全弾受けるのはかなり危険である】 <> ライド・シュバルト
◆1XELifMljM<>sage saga<>2015/04/25(土) 22:33:31.70 ID:go8bfh8mo<> >>144

命令で動く狗か!俺とは合わないな!

【そして自分の攻撃による装甲の凹み具合を見て】

これは正面から破るのは無理だな……

【しかし、少々活路が見いだせた】
【胴体部と脚部の装甲の間に可動の為の小さな隙間があるというのなら】
【他の可動部──つまり関節部にもあるとライドはみた】

(無反動砲については彼を信じるしかないな)

【自分の隣を過ぎていった弾を見てそう思う】

ここだ!

【相手の左肘の裏の関節を自分の獲物の棒を能力の振動で攻撃力を上げ叩きつけようとする】 <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/25(土) 22:49:52.54 ID:xa30QIGg0<> >>144

【露店の屋根には登ることは出来た】
【そのまま男と女性の鍔迫り合いの場の横につける様に屋根を走る】

................っ!

【走りながら、再び腕に荊を宿す】
【斬り合いをしている女性の足を仮面の中から睨む】

.....ハァッ!!

【腕を二人に向けて振るった】
【再び伸ばされる荊は女性の脚を狙い、巻きつけようとする────!】

【もし成功すればそのまま荊を引っ張ってバランスを崩そうとするだろう】
【女性の体重が異常に重いでもない限り可能の筈だ】
【失敗すれば荊は自分の反対側の露店に突っ込んでしまうだろう】

>>146

無茶はするなよ...!

【あの男と女性の力量は同等か】
【だが、女性の能力が分からない】
【何がきっかけて戦況が変わるか計り知れないので男にはあの女性を抑えていて貰いたいと思う】 <> ライド・シュバルト
◆1XELifMljM<>sage saga<>2015/04/25(土) 23:13:06.95 ID:go8bfh8mo<> >>144
>>149
/すいません。そろそろ落ちないといけないので落ちます
誠に申し訳ないです <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/25(土) 23:14:14.86 ID:X7LW7K2s0<> >>147 >>148

術式が無効化されたっ!?

【天辰の紫電が弾丸に向けて放たれた】
【その紫電が命中した弾丸からは青色が抜けており】

まずい、斬られるっ!

【とっさの行動だったが、しゃがみ込みなんとかニグレドの水平斬りは回避するも】
【天辰の刃が迫るー、これには女も予想しておらず、左のニグレドがいる方に横っ飛びするのだが】
【遅かったのである】

痛った・・・ッ!

【右足の大腿部を斬られて出血している】
【側面の3cmほどとはいえ、血が大量に出ている】

ふふ、面白くなってきたわね。
二人で仲良く私から離れるといいわ。

【ニグレドと天辰の連携攻撃を恐れ、大剣の反動で動けないであろううちに三メートルほど離れた後拳銃を構える】
【そして邪魔がなければ、拳銃を撃つ、放たれた弾丸は水色、着弾はおそらく二人の少し前であり、先ほどの弾丸よりは色は淡いが】
【効果はいかがなものなのか】

>>146 >>151

うあっ!?

【不意に荊が足をすくい、狼のような少女はバランスを崩す】
【だが、何かを企んでいるかのような笑みを荊を放ったクローザにみせ】

バランスを崩されて、攻撃できないように見えるでしょ?
でもね、僕はこんな状況でも君の相方の動きを封じるくらいできるんだよ?

【すると狼のような少女は何かの魔法の詠唱を始める】
【荊で全身を覆われているアルカードの地面に水色の六芒星が灯り】
【二人のうちどちらかが詠唱を中断させない限りアルカードの身に何か起こるのは事実である】

>>149 >>150

ここにいる市民たちは私達をずっと貶して差別してきたんだぜ?
それなら私は市民の命より、こんな私を救ってくれた総統の命を優先するがな。

【立ち上がるまでしばらくのディレイがある】
【立ち上がったすぐ後であったが、銃弾がこちらに迫ってきたのであった】

ふふっ、そんな攻撃はあまり効かないぜ?

【中にいる長身の女に熱が届くまでしばらくある】
【だが、そこにレイドが飛ばした柱が膝に命中し、前のめりに倒れこんだ】

まったく、連携攻撃とは厄介だな。
先にニアーから倒してしまおうか!

【倒れこんだ状態から無反動砲を構え、ライドへと放つ】
【ライドが倒したおかげか、魔弾は表面を熱する程度にしか命中しなかったようだ】
<> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/25(土) 23:28:38.65 ID:mfGZKVwwO<> >>153>>148

【自身の攻撃は回避されたものの、櫻の攻撃が当たればそれで良し】
【振り切った剣の慣性を剛力で強引に消し、即座に追撃に入る】
【拳銃を構える女へと、一歩目を踏み出すが────】


(……銃口の向き先が地面、か)


【銃弾が放たれる直前の僅かな時間。魔術により強化された視力と思考速度が銃口の向き先を捉えていた】
【直接狙って来ないのであれば、着弾時に効力を発揮するタイプだと予想ができる】
【しかしそれを櫻に伝えるには時間が足りない】

【二歩目を踏み出し、力を上へと変換。跳躍して弾丸が穿たれる地点から飛び出しつつ、上空から女を強襲】
【落下を利用しつつ大剣を真っ直ぐに振り下ろした】 <> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/25(土) 23:33:24.68 ID:9DAu4ReDO<> >>153(主催/炎天通り)
>>154(ニグレド)

【女に向けて迸り、銃弾を落とした電流。これが彼の──天辰 櫻の保有する能力であることは間違いない】
【ゆらりと、彼の周囲に熱気が漂う。湿気を孕んだ、肌に張り付くかのような鬱陶しく重い大気だ】
【これも彼の持つ異能だとすれば──先程の雷電は櫻の能力の一部にしか過ぎない】


(…………水色!? 一番始めの銃弾は「赤」くて「爆発」──次は青く、今は水色……)
(──な、ら……氷結かその類いの魔弾が来る……!?)


【仮に女が放った弾丸が櫻の予測通りのものならば、着弾点周囲に居るのは危険過ぎる】
【一旦距離を取るか。だがそれは女に付け入らせる隙を与えてしまうことになる】
【しかし接近しようにも、銃弾と女の言霊よりも早く、この距離を駆け抜ける自信などない】

【櫻はニグレドと異なり、魔術により高速化された思考など持たない。故に、魔弾を視認した時には既に遅い】
【彼が出来たのは、精々が全力で後ろに跳躍することだった】
【魔弾が効果を示しても、その範囲から可能な限り逃れようとしたのだ】 <> アルフレド・フェリシアーノ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/25(土) 23:36:20.07 ID:xebe0qj4o<> >>153


差別だと…………!?


【敵はこれだけ多くの人の命を奪った相手。どんな理由であれ許されるものではない――アルフレドはそう思っている】
【だがそれは、その理由を無視していい理由にもならない。怒りを抑え、アルフレドは女性に問い返すだろう】
【緊急に召集されたアルフレドには、このフレイアの裏で起きていた事柄について詳しいことがわかっていないのだ】


(ライドさん…………! ……いや、彼を信じるんだ。
 ここは――――ひたすら撃ち続ける!!)


【ライドの一撃が通り、女性が彼に無反動砲を構えたところまでは見えたが……余波を避けるために一度屋台の裏に戻ったため、そこから先は見えず】
【助けようにも、この距離ではかえって邪魔になる――彼の無事を祈る他ない。今はそう判断し、アルフレドはその隙にさらなる攻勢に転じるだろう】
【左の『Nara』の最大の利点はその連射速度と弾丸の数。このまま撃ち続ければいずれ金属は完全に熱せられるはずだ――】

【更に、今度はそれだけではない。忘れてはならないのは、彼の得物が"二丁"拳銃ということ】
【アルフレドはそのままの体勢で両手をクロスし、右の『Kibrit』もまた女性へ向けると、頭に狙いを定めて風の空圧弾を発砲するだろう】
【右の『Kibrit』による一発の空圧弾が頭部に。左の『Nara』による無数の炎熱弾が全身に。炎と風の"一斉射撃"が、倒れ込んだままの女性に迫る……!】

【――少なくとも反撃がくるまで、引き金はこのまま引き続けられるはずだが】
【攻撃に集中している分、この攻撃の間アルフレドの足は一時完全に止まる。もしこれを凌げたなら、逆にチャンスにもなり得るかもしれない】 <> アルカード<>sage saga<>2015/04/25(土) 23:51:19.88 ID:J1TBDkLC0<> >>151
【彼は男の声掛けに素っ気なく応じる】

無茶なんてしないさ。少なくとも相手の能力をある程度見るまではな。

【彼は内心、この男共戦いたいと考えていた】
【だが、今は自分が戦いたいと言う理由で此の作戦に参加したのだ。】
【勝手な行動は許されない】
【それに十分な報酬も付いてくる。今ここで此の作戦をおじゃんにしてしまったら元も子もない】
>>153
【少女の突然の詠唱に内心驚く】
【彼女はてっきり自分と同じ近接戦闘向きの異形かと思っていたのだ】
【まさか遠距離の詠唱魔法を使ってくるとは、予想外である】
【だが、彼は難なく荊を元に戻し、応戦する。】

済まんな、俺も偉業なんだ

【彼は接近して袈裟斬りを放つ】

/遅れて申し訳ない <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 00:00:42.51 ID:gR5JPK6j0<> >>154 >>155

【先ほど放たれた水色の弾丸】
【それは天辰の予想通り、氷結の術式を持つ弾丸であった】

「フリージング」

【女がそう唱えた瞬間、地面に氷の層が広がっていき】
【道幅いっぱいにひろがりきった】

逃げたりするのは勘弁してほしいわね。
剣士さんたち。

【クローザの攻撃をすでに見切っていた女はステップを踏んで避け】
【クローザの着地を待つかのように地面へと赤い銃弾を放った】
【着地した瞬間に術式を作動させるつもりのようだが】

>>156

そう、差別だよ。
私達のような、貧困家庭生まれはとくにひどかったね。

【そんな中救ってくれた「総統」というのは彼女にとって命の恩人なのかもしれない】
【市民は憎き敵、そんなところであろうか】

っく、流石に熱くなってきちまってるな。
その銃弾に何か仕込みやがったな?

【ようやく気づいたが、すでに遅い】
【その上風圧弾がまた迫りつつあるがー】

私の能力はデストロイヤーなんだよ。

【瞬間だった、無反動砲の口径の1.5倍はありそうな魚雷が走り出した】
【足はがら空きだったが、女は女で熱と風に蹂躙されつつある】
<> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/26(日) 00:11:59.56 ID:S39fwjJgO<> >>158
//レスの真ん中らへんの【クローザ〜】の部分はニグレドのことですか?
//それとも何か抜けてるんでしょうか? <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/26(日) 00:15:41.41 ID:4h0JYqSO0<> >>153
こりゃまた...とんでもない奴だな...!!

【バランスを崩した程度じゃあ攻撃手段があるのか】
【ならば、その身を潰すしか止められないのか】

【今、左腕の荊で女性の動きを封じている】
【その状態で右腕を振るい、荊を伸ばす】

【その先にあるのは、女性に向かって伸ばされる】
【だが、僅かに女性の後ろに逸れていくだろう】

【邪魔さえしなければ、紙一重で当たらないであろう荊は女性の背中を掠る】
【そのまま露店の商品棚を勢い良く吹き飛ばすだろう】

【だが、外した荊はミスリード】
【狙いは吹き飛ばした武器露店の商品棚】
【数本の刃物を巻き取って手に入れる事に気付くだろうか】

>>157

いい調子だっ...!! そのまま!

【自分がこの場所で戦えているのは彼のお陰だ】
【自然と上手く前衛後衛で分かれているのが良い】
【この調子が続くのが望ましい】

...大丈夫か!?

【女性の詠唱に何かが起きると予感したのか思わず叫んだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 00:17:24.65 ID:gR5JPK6j0<> >>159
//すいません・・・
//名前を書き間違えておりました・・・
<> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/26(日) 00:20:56.98 ID:S39fwjJgO<> >>161
//了解です!

>>155>>158

 ちっ……!


【攻撃を回避されたニグレドは着地後、即座に横に飛ぶ】
【女に接近などはせず、まずは弾丸の範囲から逃れることを優先した】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 00:26:57.95 ID:gR5JPK6j0<> >>157 >>159

しまっ・・・!

【少女の左足は荊に固定されてしまっていたのである】
【それにこの袈裟懸け、対処しにくい攻撃だが】

そういや、僕には爪があったね。
魔法の詠唱は止められるし、まったくもってがっかりだよ。

【いつの間にかアルカードの背後にあった魔法陣は消え去っており】
【もう魔法攻撃を受ける心配もなくなったのだが】

君の攻撃が邪魔なんだよね。
じゃあ君を氷漬けにしてあげるよ。

【先ほどの魔法陣よりかは一回り小さい魔法陣がクローザの足元に現れるだろう】
【詠唱も先程より早く終わりそうだが、どう対処するか】
<> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/26(日) 00:27:10.24 ID:1sfGQrsDO<> >>158(主催/炎天通り)
>>162(ニグレド)

わ、わ、わ、わ…………!!


【やはり氷結か。そう思うよりも、地面に広がった氷を避ける方が先だった】
【相手は自然現象である氷だ。捕まってしまえば動けなくなるのは目に見え、て……!】

【ぐ、と櫻の足がいきなり動かなくなる。ひぃ、と足元を見れば、辛うじて逃げ遅れた左足が僅かに氷に埋もれていた】
【氷の強度がどれほどのものか分からないが、確かにこれでは逃げるどころではない】
【相手の能力を予測出来ていたのにこの醜態。情けなさに泣きそうになるが、今は泣いている暇がないことは彼が一番分かっていた】


(ま、まずいです、これは絶体絶命の大ピンチってやつに違いありません……!)
(で、ですが危ないのはむしろ、彼女に近いニグレドさんの方……!!)


【足が震えそうになる。恐怖で歯が鳴りそうだ。でも、その感情に呑まれてはいけない】
【歩けないのなら、接近できないのなら、能力を使うまで。──す、と女に指先を向ける】
【ばち、と先程のように電流が迸る。乾いた空気の中を切り裂くように、雷電が女へ疾駆】
【通常の電流と異なるのは──確実にニグレドを一度避けてから、女へ向かったことだ】
【この男。ある程度電流の方向性をも操れるのか……?】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(中部地方)<>sage saga<>2015/04/26(日) 00:28:40.63 ID:DFwKpMQ3o<> >>158


だったら……差別される痛みがわかるというなら、尚更こんなことは止せ!
こうして力の無い人々を一方的に蹂躙することだって、その"差別"と同じだろう!
お前は、今まで自分を差別してきたクズと同じ事をしているんだぞ……!?


【……アルフレドは確かに信念を持って警官になったが、それは悲しい過去があったからでも差別されたからでもない】
【職務上、こういった相手とは何度もやり合ってきたが――その度に歯噛みする。彼らの思いを、恐らく自分は完全には理解してやれないのだろう】
【それでも、彼にも絶対に守りたい"正義"はある。届かないとわかっていても、アルフレドはそんな綺麗事を叫ばずにはいられなかった】


ッ――――な、何だコレは……!?


【こちらの狙いに気づかれることも、ある程度の反撃があることも想定済みではあったが――流石にこれは、驚愕せざるを得なかった】
【この巨大なモノが一体どこから現れた? ……気づけば完全に不意を突かれ、今更逃げても間に合わないタイミング】
【回避が不可能なら相殺するしかない。アルフレドは女に向けていた『Nara』の炎熱弾を集中させ、魚雷に攻撃を加えるだろう】

【――この魚雷が通常のものと同じ、爆薬を積んでいるものならば。炎熱弾の高熱がそれに着火し、両者の間で大爆発を起こすだろうか】


グッ…………ああぁッ!!


【爆風がアルフレドの体を襲い、大きく斜め後ろに弾き飛ばす。彼はそのまま露店の一つへ突っ込んでしまうだろう】
【爆風による衝撃波と火傷に加え、露店に叩き付けらた打撲と擦過傷。体のあちこちに、わずかだが血が滲み始めたのが見えるか】


まだ、まだ終わらないッ――――喰らえ!!


【大ダメージを負ってしまったアルフレド――だが、まだ。戦えない傷ではない。何より、心が死んでいない】
【露店の残骸にもたれ掛かったままの体勢で、アルフレドは両手を女性へ向ける。三度『Nara』の炎熱弾斉射が女性に襲い掛かるだろう】
【そして同時――先ほど空圧弾を放った時に"引き続けたまま"にしておいた『Kibrit』の引き金を、離す】

【――『Nara』の炎熱弾もこのまま喰らい続ければ、そろそろ金属の熱が皮膚を焼くレベルになるかもしれない。しかし、】
【先ほどは風の弾丸を囮に火の弾丸を当てたが、今度は逆だ。『Kibrit』の銃口から、今までの数倍に匹敵する出力の魔力弾が射出される!!】

【『Kibrit』は単発式である代わり、引き金を引き続けることで魔力をチャージして強烈な弾丸を放つ機能を持っているのだ】
【狙うは最初と同じ腰部分の装甲の隙間。だが今回の空圧弾は、まともに当たれば骨を容易に折り砕くほどの威力を持っている――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 00:33:30.52 ID:gR5JPK6j0<> >>162 >>164

さっきとは一味違うのをみせてあげるわ。

【一体なんのことやら】
【先ほどと何が一味違うのかさっぱりわからないが】

「バーン」

【先ほどのエクスプロージとは違い、広範囲な爆発】
【だがそのぶんダメージも小さいであろう、あたったかどうかは別として】
【だが、ニグレドに集中し過ぎ、天辰のことは目に入れていなかったため、雷電ももろに喰らい】

あぐっ!?

【突如、女の体に電流が流れた】
【どうやら痙攣を起こしているようだ】
【やると言ったらいましかない、チャンスだ】
<> アルカード<>sage saga<>2015/04/26(日) 00:37:20.38 ID:yWNVFblY0<> >>160
【彼は青年の足元へと少女の攻撃対象が移った事に気付き、咄嗟に声を上げる】

青年!下だぞ!

【此が彼に出来る精一杯の援護だ】
【彼も少女に攻撃を仕掛けている】
【それも、こう言った状況でしか使い用の無い大技を】
>>163
【彼は少女に降り下ろす袈裟斬りを寸前で一部だけ荊に変化させた】
【瞬間的に増える剣筋、それは無数の荊による他方向斬撃】
【回避されれば隙は大きいが、こう言った状況でなら使いやすい】

吸血鬼・・・・侮るなよ <> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/26(日) 00:42:03.58 ID:S39fwjJgO<> >>164>>166

【爆煙の中にニグレドの姿が消える。だが、次の瞬間に煙の尾を引きながら女へと駆け抜ける】


 手ぬるいな……この程度では!!


【爆発で服の一部が焦げているものの、致命傷にはいたっていなかった】
【そのまま接近、大剣を胴に叩き込む!】 <> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/26(日) 00:50:01.21 ID:1sfGQrsDO<> >>166(主催/炎天通り)
>>(ニグレド)

【小さな龍の如く、電流が女に向かう。続く悲鳴で、攻撃が効いたことを確信】
【分かる。今なら確実に彼女を仕留めることが出来る……!】


────天龍!


【呼ぶは己が刀の銘≪天龍≫ 】
【足は動かねど、細身の刀を振るう腕は尚健在──それで十分だ】
【照準をあわせるよう、刀の切っ先を女に向ける。び、と刀身が光を纏い】
【──放たれるのは天を断つが如き雷の一閃……!!】 <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/26(日) 00:59:55.19 ID:4h0JYqSO0<> >>163>>167

.......なっ!?


【男の声に周囲に意識を飛ばす】
【足元の魔法陣に思わず声を上げる】
【自分に魔術の知識は無いがこれが危険な物だと理解する事に時間はかからない】

【逃げる暇は無い────ならば】

...クソっ!!


【一か八か、露店の商品棚を破壊した荊を伸縮させ手元に引き寄せようとする】
【同じ種類のナイフが4本程だ】

【だが狙いは手元に持ってくる事ではない】
【持ってくるその最中、その刃で女性を引き裂くつもりだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 01:07:49.82 ID:gR5JPK6j0<> >>168 >>169

【痙攣しているのが完全に仇となり】
【結局は両者の攻撃を一身に受けることとなった】

ぐあっ・・・、助けて・・・、くだ・・・。

【なんとか体をねじり、ニグレドの攻撃脇腹のみの被害で済む】
【天辰の攻撃で、ついにo行動不能と化したー】

【このまま死ぬのか、と思っていた時だった】

「そこどきやー!うちが助けに来たやでー!」

【おそらく2名の目に入るのはバギーを運転する関西弁の女と助手席に座る弱気な男】
【救助に来たようだが】

「ったく、こんなになるまでむりしよってからに・・・。まぁ、助かっただけましやんな。」
「ほな、お兄さん方、またなー!」

【バギーは一瞬にして走り去っていくだろうが】
【止めさせるのも、そのまま見送るのも自由だ】
<> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/26(日) 01:15:00.84 ID:S39fwjJgO<> >>171>>169

【櫻の攻撃が直撃。放置しておいても死にそうではあったが、ニグレドは更に追撃すべく剣を振り上げる】
【しかしそこにバギーが乱入。ニグレドは咄嗟に跳躍してバギーを回避した】


 …………これ以上戦っても無駄か。仕事は終わりだな


【追跡も可能だったが、既に大勢が決していたためにニグレドにはその気が起きなかった】
【加えて依頼内容は撃退。仕事としてはこれ以上、何かをする必要がなかった】


 あまり手応えのない敵だったな、天辰櫻


【剣を肩に担ぎ上げながら、ニグレドは近くにいるであろう櫻に声をかけた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 01:17:24.86 ID:gR5JPK6j0<> >>167

【両者の攻撃はすさまじいものであった】
【多方向からの斬撃、そしてナイフによる攻撃に爪で応戦し】
【なんとか詠唱を続け】

フロジアストッ!

【周囲の水蒸気が魔法陣の上に凝縮されていく】
【やがてそれはおおきな水の塊となり】
【のちに凍るだろうが、クローザは巻き添えになるだろうか】

【が、この魔術の発動で集中が切れたのか。攻撃に応じれなくなってきている】
【集中が切れた今こそ攻める時期だが】
<> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/26(日) 01:27:49.21 ID:1sfGQrsDO<> >>171(主催/炎天通り)


仕留め、…………ひぃ!?


【から、と≪天龍≫を取り落とす。能力を用いたせいか、身体が重く感じた】
【けれど、確実にもう相手は動けない。ならば後は依頼者に彼女を引き渡すだけ、…………】
【──だったのだが。直後に暴走したバギーが介入。そのまま女を乗せて走り去ってしまった】

【思わずぽかんとした表情を櫻は浮かべ──十数秒後。ようやく、相手に逃げられたことを悟ったのだ】

/主催の方お疲れ様でした!


>>172(ニグレド)

【話しかけてきたニグレドが見るのは、まずはアホっ面晒してバギーを見送る櫻の表情だろうか】
【その上まだ足は氷に突っ込まれたまま。お世辞にもカッコいいとは言えない姿だった】


……っうぇ? は、ひゃい……いえ、その……
ああいう方はその、ほら、僕1人では倒せなかったでしょうし……
へへ、へ……ニグレドさんが居てくださって、本当に良かったです


【ふにゃりとした笑みを浮かべ、櫻は彼にそう答えた。心底安心したような表情はまるで女が浮かべそうなものだ】
【その後思い出したかのように刀を鞘に納め、氷に捕えられたままの足を動かす】
【ぱき、という音はしたがまだ抜けそうにはない。一方の本人は、「あれ?」だの「ふぇえ」だの、人を苛立たせる鳴き声をあげていた】
<> アルフレド・フェリシアーノ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 01:39:55.38 ID:DFwKpMQ3o<> /主催者様へ、>>165でお返ししてから一時間ちょっと返事が来ておりませんので一応確認だけ……
/気づいていらっしゃいますでしょうか? それともまだ返信を作成中でしょうか?
/もし内容になにかまずい部分があったとかであれば、今からでも対応いたしますのでー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 01:51:00.53 ID:gR5JPK6j0<> >>175
//申し訳ないです、気づいておりませんでした・・・

>>165

クズといえども、わたしは市民を襲ったりはしていない。
少なからずとも、力のないものを殺したということはないんだが。

【力のないもの、である市民たちは先に避難していたため、a残った自警団とやりあってただけである】
【魚雷がまもなくアルフレドに命中するであろうとき、背中に軽度のやけどを追いつつ立ち上がった】

【だが、それは結合部を露出してしまうという致命的なミスを犯してしまっていた】

ふふっ、その火力、素晴らしいだろう。

【命中弾を喰らわせ、したり顔で満足する女だった】
【が、まだアルフレドは立つことができたのである】
【鈍重な女は風圧弾の攻撃に対処する術を持っておらず】

ぐっ・・・あッ・・・、何をッ・・・!?

【腰の骨が砕けてしまったのである】
【これでは鈍重な装備のせいで立ち上がることもできなくなってしまった】

【相手に傷を負わせることはできたものの、勝つことはできなかった】
【悔しいが、ここは撤退しかなかろう】
<> ニグレド・ユーリエフ
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/26(日) 01:58:57.81 ID:S39fwjJgO<> >>174

【櫻の応対にニグレドはあからさまに嫌な顔をした。内心をあまり表に出さないこの男が、だ】
【自分から声をかけておいてなんだが、どうにもニグレドは櫻が好きにはなれなかった】


 どうだろうな、あれぐらいならお前一人でもどうにかなった気がするが……
 というより、何とかならなくては跡取りなど務まるまい


【渋々といった様子で答え、「まぁ、いいか」と付け足すと来た道を帰るべく歩き始めた】


//お疲れ様でしたー <> 天辰 櫻
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/26(日) 02:07:24.07 ID:1sfGQrsDO<> >>177

【ニグレドのそんな表情を見て、櫻はへへ、と困ったように笑った】
【随分と気弱で、おまけに鬱陶しそうな男だ。恐らく櫻としてはニグレドのことを割りと気に入っている】
【自分にはない気力も、腕力も、実践経験だって相手は持っているのだ。尊敬、が一番近い感情か】
【ニグレドにしてみれば迷惑な話だろう。こんな軟弱男に好かれても嬉しくもなんともない】


あっ……ま、待ってくださいよニグレドさん!
あのっ、こ、今度いろいろ教えてください……!!


【かんかんと、氷を叩く。壊れない。がしがしと引っ掻いてみる。壊れない】
【そうしているうちにニグレドは歩き去り──通りには、情けない表情をした櫻だけが残されたのだった】

/お疲れ様でした! <> アルフレド・フェリシアーノ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 02:19:28.76 ID:DFwKpMQ3o<> >>176


……違う。違うんだよ。
だったら、この周りに散らばっているモノはなんだ。この大量の血は、この死臭はなんだ?
最初に会ったとき、お前は傷を負っていなかった。お前と自警団員たちの戦力差は歴然だったはずだ。
……殺さず逃がすことは、出来なかったのか? 少しでも力を持っている人間なら、殺しても何とも思わないのか?


【アルフレドは怒りと悲しみの織り交ざった表情で首を振った。彼が言ったのは必ずしも、市民の事ではない】
【極めて現代的な警官である彼は、騎士道精神というものを信じてはいないのだ。市民でないからといって、死んでいいとは思えない】

【――向かってくる火の粉を払うのは仕方がない。だが本当に、ここまでやる必要は本当にあったのか? アルフレドはそう問いかける】
【それにさっき、女性は市民たちを敵と認識しているようだった。……なら、今回は避難されたから"殺そうにも殺せなかった"というだけなのではないか】
【アルフレドの言葉は、そういう意味でもある。少なくとも市民は殺していない――という程度では、彼はまだ女性を信用できないようだ】


――もう終わりだ。どんな理由があれ、僕は警官として、お前を捕らえなければならない。
お前の……いや、"総統"とやらの目的は、一体何だ? お前たちは、これから何をするつもりだった?


【渾身の空圧弾が女性の戦闘能力を奪い取ったのを確認すると、アルフレドはよろよろと頼りない動作で立ち上がる】
【脇腹を左手で抑えて痛みに耐えつつ、『Kibrit』を女性に向けたまま、ゆっくりとそちらに近づいていくだろう】

【歩きつつ、女性に質問をぶつける。――もちろん、答えるか答えないかは自由だけれど】
【たとえ答えようが答えまいが、近寄ることに成功したなら、アルフレドは女性を拘束して無線で仲間を呼ぼうとするはずだ】

【このままいけば、女性の身柄は火の国の自治組織に引き渡され、逮捕されることになってしまう……】
【なんとか自力で逃げるでも、仲間が助けに入るでもいい。捕まらず撤退するなら今しかない】
【幸い、傷を負ったアルフレドから逃げるのはそう難しくはないはず――捕まるか逃げるか、女性の運命は、彼女か彼女の仲間の行動次第だろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 02:28:42.47 ID:gR5JPK6j0<> >>179

あんたは警察官か・・・。
私はもう捕まっちまうのか?
それじゃあ死は免れねえな・・・。

【仕方がない、と一言】
【総統の目的について話そうとしたその時だった】

「おーい、あんた、大丈夫かー?」

【サルベージ部隊の到着、すなわちフレイアからの撤退の開始であった】
【脱兎のごとくサルベージ部隊が逃げ出した後、この街には数人のu能力者と、生存した自警団員のみがいた・・・】
<> アルフレド・フェリシアーノ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 02:36:51.03 ID:DFwKpMQ3o<> >>180


(……ちっ……!!)


【その時、女性から感じたのは諦観。捕まることが死に繋がる、という趣旨の台詞が気にはなったが――】
【あと一歩で目的を引き出せるというところで、アルフレドは無数の人の気配を感じる。……咄嗟の判断、】

【――救助部隊が来たのか。なら、この場に留まっていては的になるかもしれない。悔しいが、今の傷でこれ以上戦うのは難しい】
【冷静な思考と強い口惜しさとの板挟みになって歯噛みしながら、アルフレドは女性から離れて路地の一つに隠れる】
【そこで女性がサルベージ部隊に回収されていくのを、黙って見送るだろう。仲間にも無線で連絡するが、あの撤退速度ではおそらく追いつけまい】


………一体何者だ、奴らは………?


【戦いは、終わった。ずるずると壁に背中を預けて座り込むと、冷たさと熱さが同居した声色で、アルフレドは呟く】
【これですべて、終わりだといいが――残された謎と陰謀の匂いは、彼がそう判断することをどうしても許してはくれなかった】


/これで終わりでOKかな?
/お疲れさまでしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>!red_res sage saga<>2015/04/26(日) 02:43:14.74 ID:gR5JPK6j0<> 作戦終了です。お疲れ様でした。
これでフレイアの無事も確保できました。

【中佐の顔には満面の笑み】
【戦いは終わった、あとは帰るだけだ】

【某所にて】

「どこかでかい都市を落とせないもんなのかねー。
 せめて首都侵攻の「セイウチ」を成功させるために・・・」

「それなら、バーニングラードなどいかがです?」

「そうだな、ぜひとも次回はバーニングラードをo侵攻するとしようか・・・。」

「我らが革命のためにも、頼みましたよ?」

「あぁ、次はマ(JAMMING)

//参加者の皆様お疲れ様でした!
<> アルカード<>sage saga<>2015/04/26(日) 07:52:15.12 ID:/8dt7ag+0<> >>170
【青年は逃げることなくナイフで応戦する】
【彼は何処と無く自分に似た雰囲気を青年に感じていた】
【能力、奇妙な容姿もそうなのだが、それ以上に似ているのは戦い方だ】
【回避することに専念せず、戦闘と言う行為その物に意識が向いている。通常に人間には到底出来ない考え】

俺の鏡写しか・・・冗談抜かせ・・・

【彼は青年の作り出した隙を見逃さなかった】
>>173
【少女は魔法の発動に意識が向いていたのか少々反撃の精度が落ちる】
【今が好機と言わんばかりに彼は荊を刀に戻し】

・・・喰らえぇ!

【左上、右下、腕への突き、横一閃、逆への振り払い、蹴り、袈裟斬り、返す手の逆袈裟】
【吸血鬼の人間離れした身体能力による斬撃を放つ】
【少女の意識が魔法に向いた瞬間に放つ高速の乱舞を受け止められるだろうか】 <> クローザ・F・ローズン<>sage<>2015/04/26(日) 08:32:22.19 ID:4h0JYqSO0<> >>173
手元が...お留守だぞ...!!


【氷の塊は自身を巻き込むように生成されていく】
【足元から凍らされたら身動きも満足に出来ないだろう】
【不快な冷たさが足先から伝わるなか、女性が隙だらけなことを見逃さなかった】

【トドメは彼に決めてもらおう】
【>>183の斬撃を確実に当てる為に──。】


動くな...よ...!!


【手元に引き戻した荊を再び彼女の首へ放つ】
【避けなければ荊は彼女の首に巻きついて締め上げる事が出来る】

【だが、伸ばしきった荊に命を奪うほどの縛り上げる力はない】
【狙いは防御出来ない状況を作る事】

【自分の首が紐に巻きつかれた場合、反射的に解こうと手はその紐を掴むだろう】
【そう、身体は防御なんて出来なくなる】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2015/04/26(日) 09:16:08.95 ID:gzHoEg8uO<> 0220 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2015/04/26 01:13:36
クソ新規
スカスカの中堅
固定化置きレスの権化古参

ひでぇコミュニティだな

0221 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2015/04/26 01:16:40
過半数が下位と害悪になるに1000ペリカ

0222 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2015/04/26 03:37:18
クローザ→寝落ち
アルカード→寝落ち
ライド→事前の予告なしで途中離脱

新規・・・イベントなめとんのか



0224 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2015/04/26 07:27:54
495 名前:クローザとかの人[sage] 投稿日:2015/04/26(日) 07:22:44 ID:wXuiygAg0 [30/30]
今起きましたーっ いつでも返信してくださいませー

イベントで寝落ちしても謝りはしないんだな


0225 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2015/04/26 07:40:39
寝落ち凍結はもはや当然の権利だからな

0226 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2015/04/26 09:09:57
その二つを同列に並べるのは可笑しいと思うけどな
凍結はマリアみたいに連発したり最初から凍結前提でやってる癖にレスが尋常なく遅いとかじゃない限り
まだ赦せる範囲内の物だしそもそもルールにも反してない
寝落ちはただの不手際だし故意的じゃなかったにしても失礼極まりない
その上謝罪すらないんだから舐めきってる、酷すぎだろコイツ犬山以上の糞害悪、消えろ <> ロゼッタ
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/26(日) 12:36:03.92 ID:1sfGQrsDO<> 【広場──朝市】

【この広場では毎日朝から昼を少し過ぎたあたりまでやっている市場がある】
【魚や肉類、果物に野菜といった日々の暮らしに必要不可欠な食品から】
【果ては鍋や刃物、或いは絵描きが絵を売っていたりと「何でも揃う」ことで近隣では少し名の知れた市場である】

【営業時間終了までもうじきといった時間。そこで、1人の女が買い物をしていた】
【ありふれたジーンズに黒いシャツを着た、背の高い女だった】
【──どこかの勤め人という風でも、主婦という風でもない。どちらかというと、夜の世界の人種だろう】
【太陽が真上まで昇りきっている時間。真っ当な人間ならランチでもとっている頃合いなのだが】
【買い物をしている女は、ひどく眠そうな表情を浮かべているのだ。まるでさっき起きた、と言わんばかりに】
【紅い目は半開き。普段は整えられているであろう黒い髪も、軽く櫛を透した程度だ】


……おまけしてくれる? あぁ、そう、ありがとう
どうせなら客の1人でも紹介────はぁ?
ったく……あんたは出すだけ出して金払い最ッッ悪じゃない
リンゴはお代にはならないの……その腐ったカボチャ頭によく叩き込んでおくことね


【リンゴを2つに、パンにミルク。女はそれだけを買っていった】
【店主の軽口に罵詈雑言を叩き込む。元から悪かった機嫌は今の会話で更に悪くなってしまった】
【──ふらり、と女は市場を後にする。眠いせいか、注意散漫かつ、足取りも不安定】
【いくら人は少なくなってきているとはいえ……誰かとぶつかってしまうかもしれない】 <> <>sage<>2015/04/26(日) 15:35:04.31 ID:51WH9diLO<> ヒステリー起こすとかほんと面倒な奴 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/26(日) 15:47:56.75 ID:5rpILReO0<> >>103

…………ああ、貴女のお母さんならすぐそこのベッドに寝かせているよ。
それじゃあ、マリアに代わるから…………

【ヘレンの手にもややくすんでいる金の指輪が見えていた、彼女にも家族は居る】
【だから母と娘、互いが互いに抱く感情はよく知っている。マリア達もきっとそれと同じだから】
【彼女なら ここで止まる、彼女は大切な家族を蔑ろにしてまで動くような人ではない】


……良い娘さんじゃないか、ここまで言われて まだ探しに行くなんて言わないだろう……?

分かったらその娘の言う通り、早く元気になることだね。
ところでアンタ、キッシュ好きかい?ちょっとデカく作っちゃってね、一切れでも手伝ってくれたら助かるんだけど…………?

【ツー、ツーという音が代わりに流れ始める、ティアも伝えたいことを伝えられたようだ】
【会話の一部始終を聞いていたヘレンは、電話をマリアから受け取るとそう言った】

【そして夜食に食べないかと誘うのはキッシュ、ちなみに具はトマトとアスパラガス。病人というわけではないのだからゆっくり食べれば問題はなさそうだ】
【もし食べると返事をしてくれるのなら まずは消毒液と薬剤の臭いが気になるここから、一階の病室のベッドまで移し替えて】
【それからさっさと皿に乗せてミルクと一緒に運んでくれるだろう】

【勿論、食後には痛み止めやら何やらをデザート代わりに飲むことになるのだが……病院である以上それはどうやっても避けられない未来だ】
<> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 15:59:16.16 ID:DFwKpMQ3o<> >>125

【爛々と目を輝かせる――という表現が見合うレベルまで、少女は感情を高ぶらせられないようだったけれど】
【仄かでも、それに類する期待の想いがイクスの全身から発せられていることが、よく見れば感じられるはずだ】
【下手とか上手いとか、そういうのを超えた純粋な情動が。恥ずかしげなようすの鈴音に対し、イクスはちいさく頷いただけだったが、】
【溶け入るように、静かに。それでいて確かに存在する人間として、少女は耳を澄ませるのだった】


(………………、)


【――、――――押し黙り、息をも殺す。この歌声には一切のノイズが存在してはいけないのだと、イクスは思った】
【目を閉じて感じれば、水鏡の体がずっと深くへ溶けていく。……いつからか心の底にあった、昏く冷たい海底の原風景とは、なにもかもちがう】
【誰がどんな目的で作ったのまではわからないけれど、うろこのように幾重にも折り重なる美しさが、どこか古びた蒼色の世界を連想させて――】

【人形どころか硝子細工にでも変じてしまったように、イクスは最後まで微動だにしなかった】
【……聴いたことはないけれど、聴いたことのあるような歌だったのだ。込められた八百年が、偶然にもイクスの裡のいちばん奥底をくすぐった】


…………すごい、すごい! りんね、上手………!
お歌も、なんていうか……優しく流れていって、ずっとずっと透き通ってて……えっと、とにかく! すごかったよ!


【――曲が終わり、すこし間があって。はっと思い出したように、イクスは立ち上がると、なにか手をぱたぱた振りかざしはじめる】
【湧き出てくるなにかに成すすべがなかった。自分の好みなんてわからないけれど、この曲の"なにか"が自分の琴線を撫でていったことだけはわかって】
【すくない語彙を振り絞って、イクスは賞賛の拍手を続けるだろう。いままでの儚さはどこへやら、はしゃいでいる、と表現しても事足りる喜び方だ】
【どうも一発で覚えてしまったらしく、イクスは口の中でなんどもフレーズを繰り返す。慣れない笑顔もすこしだけ、板についてきたような気がした】


そう、なんだ……。いいなぁ、わたしも会ってみたい。
そういうひと、わたしにもいたらなぁ……どうやったら作れるのかな?


【すこし経って、ようやくちょっとは落ち着いたか、イクスは軽く息を吐くと、取れてしまったフードを被りなおしてもう一度座り込む】
【"へびさま"を語る鈴音があまりに幸せそうだったので、とても羨ましそうに呟いて、イクスは虚空をぼーっと眺めるだろう】
【「あなたがなってくれない?」とカエルに語りかけてみるも、げごっと頼りない返事があるだけで、残念ながら脈はなさそうだった……】


/お待たせしました、お返しします……! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 16:04:20.78 ID:cM93rj/I0<>
>>188

――――ええ……可愛い娘を心配させてまで、これ以上無理は出来ませんよね。
不安のあまり、目が曇っていたのかもしれません。子供達の心配する顔を、見えていませんでした……

ふふっ―――元気になるには、食べないといけませんね。頂きます!

【電話が切れた後の彼女の表情は、少し穏やかになっていた。……どうやら、見失っていた大切な物を見つけたようだ】
【ヘレンの言葉に、小さく微笑みを作る。焦りと不安は何時しか薄らいだようだ】
【勿論夫の事が不安ではないと言えば嘘になる。今だって押しつぶされそうな気持ちは変わらない。でも】
【―――ここで自分が潰れたら、護るべき子供達もその不安に押しつぶされてしまう。】
【しっかりしなければ。母として――――】

【しっかり子供達を護る為にも、早く元気にならねば。有難く夜食を頂くことにした彼女は】
【一回まで運ばれた後、無理をしてすっかり空いてしまったお腹を満たすべく、キッシュを頬張る事だろう】
【「美味しいです!」と微笑みと共に感想も付け加えて。……その後の薬には苦い顔をしていたが……】

【……さて、夜食も食べ終えればしばらく此処に入院することになろうか。】
【元気は出たとはいえ怪我が一朝一夕で治る訳は無いから……早く子供達の下に戻りたいが仕方あるまい】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/26(日) 16:41:20.48 ID:5rpILReO0<> >>190

そうそう!それで良いんだよ。
まったく…………心配させてくれちゃって、そいつをさっさと栄養にして治しておくれ。
……ああそれと、治療費は旦那からふんだくってやるつもりだから 退院しても諦めないことさね。

【キッシュを頬張るマリアの姿を見れば、先程とは明らかに違う表情となっていて】
【しっかりといつものマリアに戻りつつある、美味しいという感想には「当たり前だよ!」と強気に答え、……その勢いを残したまま薬もグイグイと飲ませようとするだろう】


………………それじゃ、いよいよ聞くんだけど その傷は一体誰に襲われたんだい……?
まさか階段でバナナを踏んづけた、なんて話でもあるまい…………

もしかしてアーグとかいう奴の手先かい、アタシで良ければ話してみな……?

【マリアが食べ終えて、此方も食器を片付け、落ち着いてきた頃、ふと切り出す】
【彼女はアーグを直接的に見たことはない、先日に訪ねてきたマリアの同僚から少し聞いただけだ】
【患者の事を何も知らないわけにもいかない、良ければ話してくれないかと尋ねて】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 16:57:59.24 ID:VnPLIgmc0<> >>189

【歌っている間、ずっと、ずっと、必死だった。恥ずかしさも忘れるくらい、一生懸命に歌うのは】
【“あのひと”がだいすきだから。それもあった、だけれど、それよりも、この歌が好きだったから】
【寒い夜に何度も聞かせてもらった。寂しくて泣いてしまった夜に何度も歌ってもらった。だいじな、うた】
【その旋律を乱してはいけない、一つたりとも、何度も聴いた完成品から、狂わせてはいけない】
【それだのに終わりを意識して急に恥ずかしくなってしまったのは失敗だったが、そこが歌手(プロ)とは違うところ】

【――それでも、気弱で恥ずかしがりの一般人にしてはよく歌えたほうだろう。終われば、安堵したように息を吐き】

……――わたしも、ね、だいすきなの。いっぱい歌ってもらって……聞いてたら、よく、眠れたの――。
へびさまがね、自分の。だいすきなひととの子供の……赤ちゃんのために、最初は歌ってあげたんだって。

【真っ赤な顔ながらも、褒めてもらえて嬉しそうだった。イクスのなんともはっきりしない褒め言葉も、】
【だって自分だってこの歌の好きなところを言葉で表せといわれたら難しいだろうと思うから、気にならない】
【それよりも、真っ直ぐに――言葉よりも確かに伝わってくる表情や感情の機微で、喜んでくれたのがよく分かり】

……も、もう覚えちゃったの?

【口ずさむのを見ると、ぎょっと……とまでは行かないが、それなりに驚いたようだった】
【ふわぁと感心するような吐息を洩らして――、イクスの唇から零れる音階を聴いて、きちんと歌えたと再確認するのだ】

ううんと……、わたしはね、生まれたときからずっと一緒だったの。
だから、きっと、全く同じものは――手に入らないかも、しれないけど。

――いつか、きっと、とっても大切だって思うひとが見つかるの。
抱きしめてもらったら、泣きたくなっちゃうくらい好きだって思うひと――、

…………あ、でも、絵本であるんだよ。蛙だって思ってたら、魔女に魔法を掛けられた、王子さまだったの。

【自分と彼は、生まれてくる前からの運命みたいなものだった。仕組まれた運命だって、彼女にとっては本物なら】
【それを再現するのは難しそうだと首をひねって、――だけど、同じくらい大切なひとなら、見つかるかも、なんて】
【ちょっとお姉さんぶった顔で、声で、言ってみる。「……でも、焦らなくって、いいんだよ」なんて付けたしてから】

【蛙とそんな関係になろうとするイクスを見て、もしかしたら王子様かも――なんて、くすくす笑うのだった】

/ただいま戻ったのでレスお返ししますー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 17:02:04.63 ID:cM93rj/I0<>

>>191

【治療費は……まあ、夫が何とかしてくれるだろう。助けてやることが出来れば、の話だが】
【―――ああ、しっかり治して助けに行かねば。心配させたお詫びに、治療費を払わさせる為に―――】

【……さて、訊かれるのはマリアが負った傷の話。当然だろう。こんな酷い傷、気にならない方が可笑しい】
【助けて貰った恩もあるし、話をしよう。―――マリアは、静かについ数日前の出来事を語る……】

―――この傷は、ある島に行ったときに負った物です。
……ドラクレア島、という島を知っていますか?あそこには、過去の記憶が現実化して存在しているのです。
その中に、崩壊前のゼン=カイマもありまして……―――驚きました。何もかも、昔の姿のまま残っているのです。

……そして、その中でカニバディールという盗賊に襲われました。名前くらいは聞いたことがあるでしょう?
彼が、私を傷付けた張本人です。……私から魔術関係の書物や貴重品などを奪おうとしたようです。
彼はカノッサのナンバーズでもある男で、当然その力は強く……少し間違えていれば、私も命を奪われるかもしれなませんでした。
でも、彼の本当の恐ろしさは其処ではなく……己を悪と知り、尚もその道を進む事です。
……彼はアーグの教えに大きな影響を受けていました。「神を信じさえすれば、如何なる悪行も改める事無く救われる」と……
―――それと、……

【―――そこまで話した所で、マリアは口ごもる。……まだ言っていない事実があるようだ】
【この先に、彼女の不安があるのかもしれない。―――さあ、どうする。訊くか、訊かないか】
<> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 17:26:04.45 ID:DFwKpMQ3o<> >>192


大好きなひとと、赤ちゃんのため………?
………だれかのための歌だから、りんねの声は、あんなにすごかったの?
わたしの歌は………わからないけど。もしかすると、誰かのための歌、だったのかな………。


【どうして鈴音の顔が赤らんでいるのかは、実はあまり理解できないないのだけれど。語られる追憶のなかにはなにか、暖かいものがあって】
【茫然としたような質問。それはすぐに自分の体の内側にも浸透していって、理由もなく脳裡に残るいくつかの歌を追想させる】
【……大好きな歌じゃなかったら、きっとこんなふうには思わなかっただろう。胸が締め付けられるような感じがあって】

【かつて愛する誰かのために、自分が作った歌だったのか。それとも自分を愛してくれた誰かから受け取った歌だったのか】
【それをなにも覚えていないということを――ようやく、イクスは寂しいと思った】

【無意識に。それを慰めるかのように、イクスはやや視線を俯けて"へびさま"の歌を繰り返す】
【さすがというべきなのか、音程も音階も、ほぼ完璧だ。ただなにかが足りないような気がして――その自信のなさが、声をか細く変えていたけれど】


そう、なんだ。………ほんとに、わたしにも見つかったら、いいなぁ。

その絵本、そういえばわたしも知ってるよ。
ふふっ………でもあなたは、たぶん王子さまじゃないね。おなか空いちゃったのかな?


【一瞬だけ……自分の"所有者(マスター)"のことを思ったけれど――そこに、鈴音のいうような想いはないように思えた】
【命令以外のこともお世話してくれるし、心からいやと思う命令はしなくていいとも言ってくれた。たぶん、優しいひとなのだ】
【……誰かが誰かに平然と命令する関係を当然と思うイクスには、優しいひとに映っているのだ。すくなくとも】

【けれどやっぱり、それはちがう。抱きしめてもらったこともないし、捨てられちゃうのを思うと怖いけれど、それは泣きたくなっちゃうくらい"好き"じゃない】
【――もしかしたらいたかもしれないけれど、少なくともいまは、いない。イクスはその処理できない想いを、目の前のカエルにぶつけていたけれど】
【残念ながら……王子さまの第一候補は突然ぴょんと跳ねて、藪の奥に消えていった。眉をハの字にした薄い笑いは、きっと苦笑いと呼ばれるもので、】

【――――いつの間にやら、雨は、止んでいる。そのことにまだ、イクスは気づいていない】
【もう日も落ちてあたりは真っ暗になって、"その時間"が迫っていることにもまた、同様に】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 17:38:57.26 ID:VnPLIgmc0<> >>194

……そうかもしれないね。だって、動物にも、木にも、花にも、届くんでしょ――?
そんなの、“ただの”歌なわけが、ないの。誰かのためかもしれないし、もしかしたら……。

……もっとすごい、何かのため、かも。――ごめんね、わたしには、よく分からないけど……。

【――そう言われて、彼女は、きっとそうだと思った。知らないはずなのに、意味の届く不思議な歌】
【それだけでなく、動物、木、花、もしかしたら、空にも、風にも、水にも届くかもしれない、不思議な歌声】
【特別な才能も特にないなら、それがどんな歌なのかを探ることも出来やしない。申し訳ないように笑ってから、】

でも、そうなら……、やっぱり、内緒にしてたほうが、いいね。
……わたしで良ければ、いつでも聴くよ。覚えられたら、一緒に歌えるかもしれないし。
森の中でも、街外れの廃墟でも、どこでも平気。だれもいないところに一緒に行って――うたうの。

もちろん、――イクスが、それでよければ。

【やっぱりこれは秘するべきか、なんて、思ったのだった。だけれどイクスは歌うのが好きそうだから――】
【それを歌うなと言ってしまうだけの権限は彼女にない。だから、歌いたければ聴くし、なんなら、】
【一緒に歌おうかなんて誘ってみるのだった。「どう?」なんて尋ねるように首をかしげてみせ】

きっと見つかるよ。……でもね、焦ったら、きっと、間違えたひとに勘違いしちゃうの。
そしたらとっても悲しいから――、ゆっくりでいいんだよ。まずは、――お友達からかな?

【――それから、ふっと、優しく手を出すのだ。もちろん殴るでも打つでもなく、もしも叶うなら】
【その綺麗な髪色で彩った頭を優しく数度撫でてやろうとして――、「ね、」と呟き】

……それとも、わたしが、蛇の子だって気付いたのかも。
ねえ、イクス、帰らなくて大丈夫――? 良かったら、わたし、送っていくよ。

【それを終えれば、或いは拒まれれば、ふわりと立ち上がる。暗くなってしまったけれど、時間は大丈夫かと尋ね】
【ついでに言うと立ち上がるときに掴まってもいいように手を伸ばしていた。にこりと笑って、返事を待ち】 <> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 18:03:32.29 ID:DFwKpMQ3o<> >>195

【……こくり、と。イクスは首を縦に振るだろう。鈴音の推測したような内容を、考えたことがないわけではなかったから】
【漠然とだけれど、自分がおかしいってことはわかっている。ここに生きているひとたちとは、なにか、決定的にちがう】
【――ある意味で、鈴音のような人間はやっかいなのだ。こんな異常の塊にも変わらず接してくれて……たまにそれを、忘れそうになるから】


うん。それはぜったい守らなくちゃいけないことだから、やっぱり人前では歌えないよ。
でも……鈴音は内緒にしてくれるって言ってくれたし。"その後"の処理については、なにも言われてない。
……だから、いいよね。もう知られちゃったんだもん、しかたないよね。
誰に向けた歌だったのかは思い出せないけど、いまは――鈴音や、お友だちのために、歌ってもいいんだよね?


【ほんとうは、うたいたいのだ。誰かのための歌というのがこんなにもきれいだと知ってしまったら、試してみたくてしょうがないのだ】
【好奇心と高揚感に負けて、自分に言い聞かせるような文言。鈴音の優しい言葉がそれをどんどん増幅して、イクスは顔を上げて立ち上がるだろう】
【それでいいかなんて、聞くまでもない。いっしょに歌ってくれる誰かがいたらきっと楽しいんだって、それは知ることができたから】


うん。ありがとう、りんね。……あ、でも、"お姉さん"も友達でいいのかな?

――そうだね。そろそろ、帰らなきゃ怒られちゃうけど。
りんね……最後に――わたしの歌の続き、聴いてほしいな。


【頭に置かれたちいさな手に、イクスの手が重なった。降ったばかりの雪のように冷たく淡い手のひらには、相変わらず生気が希薄だ】
【けれど……「イクス"ちゃん"って呼んでくれなきゃ、や。お姉ちゃん」なんて。いったいなんの本に影響されたんだか】
【いつか読んだ台詞を自分に当てはめて、甘えているのだと気づかないまま甘えながら、月白色の瞳が一瞬だけいたずらめいて輝いた】

【――鈴音の手を握る。レインコートを脱いで、一歩木陰から抜け出す。これが今宵、最後のお願いになるだろう】
【鈴音が来て中断してしまった最初のあの歌を、もう一度。今度はひとりきりの音楽会じゃなく、鈴音といっしょの音楽会に仕立てたいと、イクスは頼んで】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 18:12:54.32 ID:VnPLIgmc0<> >>196

【だって、自分だって、人間と違うのだ。同じように――人間と少し違うかもしれないひとを】
【それを排除するなら、自分だって排除されなければならない。そして、それは嫌だった。だって、彼女は】
【人間として生きたい。人間として生きて、人間らしく普通に暮らして、人間みたいに、しあわせになりたい】

……――うん。わたしでいいなら、イクスちゃんの歌、いくらでも聴く。
別の歌だっていいの、えっと、なんだっけ……、……えーと。この前流行ってたやつ――。

【――少しだけ安堵していた。この歌を聴いたなら消えてもらう!みたいな展開になりやしないかと、少しだけ】
【この前流行ってた奴じゃ何にも分かりはしないが、それくらいに最新歌には詳しくないのだ。テレビで軽く聴く程度でしかなく】
【それから小さく口ずさんでみる旋律は。確かに去年の暮れ程度に流行った曲だ、ありのままっぽい(?)】

わたしも、友達にしてくれるの? ――してくれたら嬉しいな、わたしも、イクスちゃんのこと、友達って思うね。
……もちろん、いいよ。いくらでも、聴いてあげる――。

【わあ、と、少し嬉しそうな声を出す。いや、少し、より、もう少し嬉しそうな――楽しそうな声】
【そんなことを言われるとは思っていなかったのだろう、掴まってくれた手を、優しく引っ張り上げながら】
【蛇の子孫を自称する割にその手は暖かい。よいしょ、と、小さく呟きながら――悪戯っぽく怒られれば】
【一瞬しまったという風な表情を浮かべて、「ごめんね」と素直に謝るのだろう。やはり、まだ慣れなくって】

【傘を回収して、一緒に木陰から出て行く。雨が齎した水の匂い、空から降りてくる夜の冷たさ、】
【だけれど繋いだ手が自分の体温でぬくまっていくのを感じていれば、寂しいとか、悲しいとかは、思わない】
【引っ張られるなら引っ張られ、どこかに誘導されるなら誘導され、イクスの言うとおりに動く彼女は】
【「どうしたらいい?」なんて、悪戯っぽく、囁くように尋ね――首をかしげていた】 <> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 18:43:33.33 ID:DFwKpMQ3o<> >>197

【イクスは笑った。――これまでいろんなひとと出会って、おかしかったり楽しかったり寂しかったりした】
【ひどく痛めつけもしたし、呆れさせもしたし、悲しませもしただろう。それはたぶん、これからも変わることはない。異常は、そう簡単には"ふつう"になれない】
【それでも……、"ふつう"を目指してみようかなと、透明な少女は思い始めていた。鈴音の黒や赤のように、なにか自分にも、"色"がほしいなって】

【目まぐるしく変わる鈴音の表情も、澄んだ声も、すべて透明にとけ込ませて。イクスは「そこに座ってて」とだけいうだろう】
【――そして、少女は歌うのだ。ざわりと、その存在の全霊を、世界へ解かしていくように、】


    CaRod Wiz Ista, Baoz A`nIkt TbRie s/qh WoMia,
<きょうは月が綺麗だから わたしと一緒に踊りましょう>

CeAlIsm WoAs OnSis, UfJak IcUtk DbAlRio, HlKin TeEbt LaAlNome, Siom UmAwz LpAlSua Naz ErAlJym.
<石の下の虫たちも 木の実つつく鳥たちも 肉を食む獣たちも ざわめく草木たちだって>

     EoAin LsRaw, EoAin K`aUr e/qw DnEt.
<みんなみんなで手を取るの みんなみんなで笑い合うの>


【――概念にまで到達する神域の言語が、それが"鍵"たるべく強化されたイクスの体から魔力と生命力を吸い上げ、具現する】
【共鳴するように、自然が鶸色の燐光を発した。動物や虫たちがふと動きを止める。魂に直接語りかける声が、不思議と彼らを落ち着かせる】
【聴くものが聴けばとてつもない学術的価値のある高尚なその言葉が描き出すのが――絵本のなかみたいな幼稚でふわふわした世界観なのはおかしいけれど】


V`aMin f/qn AwZum CsMyhn KaUr HyUzi, ZeHub Yasoe SgTio, Naz TuMya RiAus N`gSni F/qn LeNka.
 <水面の波がリズムを取って そよ風が弦をつまびく 合図の鐘はお山が鳴らすわ>


【……たぶん、こんな機会はめったにない。イクスの心が"命令"を振り切って飛び跳ねることは、本当にまれだから】
【実際、このあとイクスは自分の浅慮を恥じることになるだろう。自身の存在意義を損なってしまったとさえ思うかもしれない】
【だけど、いまは――子供のころ、楽しさのあまり周りが見えなくなってしまうような。そう、ありがちな若気の至りというやつが、イクスに歌を止めさせない】


   GnLtIu, N`iTua y/qn UnKrta. H`rSrYag e/qw LwIes.
<さあ 高らかに歌いましょう 世界を光り輝かせましょう>

  E`nRein s/qh Giat Ahtz YkRas, KuSel Lultz T`eCad f/qn EdWir.
<声色は天高く 祝福は地の果てまで きっと消えずに届くはず>


【淡い光が踊り子のように舞い、心なしか楽しげに。ヘビとカエルが隣り合って逃げもせず、茫然とそれを眺めている】
【空気は震えて楽器のようだった。透明な少女は、光り輝く木や草や花や、集まってきた動物たちの色を映して、いろんな存在に変わった】

【――周囲の色に、少女は侵食されていた。気のせいじゃない、肌や髪が本当に透け始めている】
【本人は気づいているのか気づいていないのか。それはちょっと転んだだけで、ガラスのように砕けてしまいそうで】
【だけど、いまはちがう……。どうせもう曲は終わる。友達に心配はかけたくない。いまはまだ、その時ではないのだと――――】


  NuYat SeRue SpGayt, Ubsz S`tErc TiUry s/qh SnSata.
<やがて陽は昇るけれど この夜はわたしたちのもの>


【――そうして、春から冬へ遡る。白雪を溶かしていた春の日差しは急に冷え込んで、再び雪が降り始める。……それは、そんなふうにも思えた】
【ちいさな口が閉じて、休符ではない沈黙。解けかけていた輪郭が元に戻って、元のイクス・ヴェーラがちゃんとそこには存在している】
【いつしか光も止んで、舞台は公園に。動物たちは正気に戻ったように慌てて森へ消えていく。……そこにもう、"異常"はなくなっていた】

【……気づいたらいきなり隣にヘビがいるので、相当びっくりしたらしい。そんな様子の"王子さま"を、イクスは軽く抱え上げると】
【ぎこちなく、「ありがとうございました」と一礼する。後はただ――観客からの感想を待つことしかできない】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 19:03:07.14 ID:VnPLIgmc0<> >>198

【“ふつう”。それは、普通のはずなのに、とっても、とっても、難しくて、何度も諦めそうになった】
【それ以上に、きっと、諦めた――違う、彼女は妥協してしまったのだ。絶対に愛してくれる、自らを喚んだひとへ】
【だけどそれが悲しいかとか駄目なことかとかは分からない。――そんなのより、今は、イクスの歌が聴きたい】

――――。

【言われた場所に座る。濡れている地面には流石に座れないので、しゃがみこんで、膝をそろえて、ぎゅっと抱える】
【それでわくわくした目を向ける、――まるで、大道芸人がバルーンアートをしてくれるのを待つ子供のよう】
【そういうところでは子供っぽさがある。というか、基本的に子供ぽい子なのだ――とは、余談だけど】

【そうして聞こえてくる旋律。紡がれる音は、言葉は、絶対に知らないと言い切れる。どこで聞いたこともないのに】
【まるで夢の中では違う国に行っても言葉が分かるみたいに――ここが夢の中みたいに、全ての意味が分かる】
【色違いの瞳を閉じてしまえば、きっとここは夢の中だと錯覚しそうになる。風景が瞼の裏に浮かんで見えて、】
【不思議に思って瞳を開けてみれば、世界は黄色とも黄緑とも取れない色で煌く。ああ、夢なんだ、そう思ってしまうほど】

【夢と現実の境界が揺らぐ。この瞬間だけ、自分が人間なのか、蛇なのか、それとも違うのかも分からなくなる】
【或いは。イクスの歌が持つ力、動物にさえ届くという言葉が――彼女、人間じゃない、蛇の部分にまで届くのかもしれない】
【人間としての自分、蛇としての自分、どちらでもない自分――全てが揺さぶられて、ふと、泣きたくなるほど】

【――違う、そう思ったときには、きっと涙が落ちていた。ぱたりぱたりと落ちた涙は、ただ、濡れた地面に何も跡をつけず】
【けれどそれを拭うことも出来ずに聞き入る。不思議な歌、どこまでも深くまで届くみたいで――その感覚は、】
【始めてへびのうたを聴いたときにも似るのかもしれない、と、ふと、――思った。しかし、その思考は歌声にうずもれ】

【イクスの姿が端から透けているのに気付けば、ひどくびっくりするのだが。止めたくない、そう思ってしまう】
【もう少しでいいから聴いていたかった。だけれど、そうしたら、イクスがこのまま消えてしまうのではないかと】
【それが恐ろしくて、けれど聴いていたくって、――姿勢が崩れて、膝をついてしまう。手を伸ばしたのは、ずっと遅れて】
【逡巡している間に歌は終わる。気付けば目の前のイクスは元通りの色味、透けているはずもなく、そこに居て】
【残されるのは曖昧な姿勢の黒色だけ、歌が終われば、魔法が解けたみたい。す――と、正気も取り戻されて】

あ……、……。

【やっとここがどこかを思い出したみたいに彼女はきょろきょろと視線を動かす。それから、慌てたように涙を拭い】

あの――、……ごめん、ね、わたし、よく分からない……。
よく分からないけど――、なんでだろう、こんな歌、始めて聴いた……ううん。
二回目だ……、二回目だけど。――あのときは、泣かなかった――……。

【気付けばぺたんと座り込んでいた。涙を拭った手で顔に触れていたらば、それに気付いて】
【慌てたように、或いは驚いたように、立ち上がる。それで、ぱたぱたとスカートを叩いて――】
【まだ少し魂の抜けたような、すごいものを見るような、そんな目でイクスを見るのだろう。――けど、それは畏れではない】
【だからと言って、その表情が示す感情に名前を付けるのは、――ひどく難しいように思えたけれど】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 19:25:59.77 ID:VnPLIgmc0<> >>198>>199
/申し訳ないです、食事してくるので次のレス少し遅れますー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/26(日) 19:26:08.46 ID:5rpILReO0<> >>193

【ドラクレア島、確かアーグや六罪王までも根城にしているという島】
【不思議な島と聞いてはいたが まさか本当にそんな場所があるとは。それを話すマリアの言葉も嘘だとは思わない】

【それにカニバディール……此方も聞いたことはある、昼の国でも何度も話題に出てきた悪党】
【ヴェンドゥラーを襲った事件だってある、知らないと言うのは新聞も入らない田舎者ぐらいだ】
【その男に襲われたと、成程 マリアの傷の具合から見てかなりの苦戦を強いられたらしかった】

へー、そいつはアタシも驚きだね、そこなら以前のゼン=カイマをもう一度見られるわけだ。
(こりゃ一丁、行ってみた方が情報収集には確実かも知れないね……)

そんでカニバディールって奴と交戦になったわけだ、悪党ってのは何処にでも現れるもんだね。
そうかいそうかい、そいつは幸運だったじゃないか、生きて帰れただけで十分だよ。
しっかし気に入らない奴だね、変な教えを吹き込むアーグもだが、神への信仰を自分の悪の方便にするなんざ腹が立つったらありゃしない……!

………………む、それと………なんだい……?
嫌なこと思い出させるようで悪いけど、出来る限りは話してくれないか?

【ヘレンは訊くことを選ぶ、勿論マリアが嫌ならば無理に聞くわけではないが】
【出来ることなら話してほしい、それが彼女の想いであった】
<> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 19:37:34.62 ID:DFwKpMQ3o<> >>199

【――本人としては。この歌の力も価値にも無自覚なイクスという子供としては、ちょっと特技を自慢したいというぐらいの軽い気持ちだったのだ】
【生きとし生けるものすべての"魂"へ意志を届かせるほどの領域に自分が立っていたことも、その代償として、自らの存在を消費していたことだって】
【あの夢幻のセカイの中心にいたはずの少女にはわかりはしなかった。――褒めてもらえる、と盲目に信じていたのだ】


えっ………あ、あれ、………ぁ………?
りんね………? どうしたの? 二かいめってなに? なんで泣いてるの?
……涙は悲しいの証だってマスターは言ってた。じゃありんねはいま、悲しいの?

どうして………わたしのせい? わたしが、うたったせい………?


【少女はなにも知らない――だから、こんなふうに、心のなかに嵐が吹き荒れるかのような経験は、当然のように初めてで】
【イクスの動揺を感じ取ったのか、手元からカエルが逃げ去っていく。それを止めることもできず、イクスは鈴音によろよろと手を伸ばすだろう】
【――カエルの王子が幸せになるべきは、王女さまとであって……呪いをかけた"魔女"では、絶対にない】

【そのうち人形はどうすればいいかわからなくなって、とにかく鈴音の涙を拭こうとするだろう】
【雨はもう、止んだはずなのに。おかしい。こんなのはおかしい。すこしずつ――すこしずつ、イクスは後悔の色に侵食されていって】


ご……ごめんね。ごめんなさい。
わたしがいけなかったんだ。命令も破っちゃった、怒られちゃう、捨てられちゃう……。

――も、もう、≪響刻語≫は二度と使わないから!
歌ったりしないからから………っ、でも、でも、楽しかったの。だから、あの、おねがい………。


【もはや、どうしていいやらわからない。――そんな風情。いろんな感情をたくわえて成長した"少女"としての一面が、いっせいに悲鳴を上げた】
【――≪響刻語(セクトジア)≫と。いままで言ったことも聞いたこともない台詞が飛び出したことにも……自分がひとつ"思い出した"ことにも気づかず】
【すがりつくように、イクスは鈴音に呼びかける。鈴音がいまどう思っているかなんてわかるわけないのに、勝手に嫌われたと思いこんで】

【捨てないで――と。まるで自分を道具と思っているような言葉で、イクスは精いっぱいの必死さを絞り出して吠え続ける――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 19:58:18.12 ID:cM93rj/I0<> >>201

【……訊かれると、彼女は再び言葉を紡ぐ。いつか向き合わねばいけない事実だ、先送りにしても仕方ない】

彼ら……カニバディールやアーグは私達を狙い続けるとも言っていました。

……その後、あの人は……旦那様は彼らの手に落ち、精神をアーグに乗っ取られました。
彼らの言う通りに狙われて―――捕まるどころか、体を利用されてしまっているのです。
ご存知ですか?彼が教会を襲い、人々を傷付け殺しているという話を……―――
……きっとアーグは、誰かが止めぬ限り旦那様の体で人々を傷付け、殺し続けるでしょう。
いずれは私や子供達にも矛先が向くでしょう。――――だから――――

―――私は、子供達を護る為に彼を止めなければなりません。殺し続ける彼を……倒す事になるかもしれないのです……!
世界で最も愛した人の体に刃を向け、傷つけ……―――場合によっては、止めを刺さないといけないかもしれない……!
私には―――その覚悟が、ありません……中身が彼じゃないと分かっていても、彼を傷付ける事は……出来ません……!

……仮に私がやらなくても、世界の「正義」が其れを行うでしょう。
「人々を護る為」、「巨悪の悪逆を止める為」、あの人を傷付け、倒そうとするでしょう。
……私は其れを、黙って見ていられないかもしれない……!

私は……どうすれば良いのですか……!誰かを傷付け、殺し続ける彼を前に……どうすれば良いのですか……!


【―――その顔は悲壮感に満ちていた。】
【彼女が最も愛した男を、彼女の手で傷付けなければいけないかもしれない。―――そんな、残酷すぎる現実】
【子供達を護る為に夫を傷付け、場合によっては命を奪う事になるかもしれない……―――そんな、胸が張り裂けそうな壮絶な覚悟】
【どうしようもない残酷な現実を前に、彼女は立ち尽くしていた。その目に涙を浮かべて―――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 20:13:50.46 ID:VnPLIgmc0<> >>202

【泣いてしまったことに後から少しだけ後悔する。だけど、泣きだしたのもいつなのかよく分からない】
【もしかしたら思っていたより感受性が強かったのだろうかとかぼんやり考えて、思ったよりも適当なのかも】
【なんてことをしていたら、イクスの表情がどんよりと曇っていくのに気付いた。雨はもう止んだのに、】
【「あ――」と小さく洩れる声は驚きか、後悔か、しまったというよな顔をして、彼女は目を執拗にこすり】
【涙の痕跡を隠してしまおうとするのだけど――もう遅い、気付かれてしまった。何の言い逃れも、出来ないくらい】

あ――違うの、違うの、イクスちゃん、……その、悲しいんじゃなくって、辛いんじゃなくって、

【一度目は、始めてあの蛇と会った夜。いろんなことが怖くて苦しくて、泣いて、泣いて、眠れなかったとき】
【会ったばかりだのにずっと知っていたような声の彼は、眠れるまでずっとずっと歌ってくれた。抱きしめられなくて悪いと、謝って】
【おんなじような気持ちになった。少し違うけど――そう、心に、心の一番奥まで、しみこんでくるようなうた】

【不安がらせてしまった、と、彼女は今度こそ本当に悲しくて泣いてしまいそうな顔をする。それで、伸ばされる手を】
【よろよろと不安そうな手を、ぎゅっと握ってあげて――大丈夫だって、大丈夫だよって、囁いてやり】
【だけどその声が少し震える。そんなの不安を煽るだけなのに、分かっているはずだのに、泣きそうになって】

ううん、わたしが、一緒にしようって言ったの。だから、イクスちゃんは、悪くないし――。
“わたしは”怒らないの、怒らないし、捨てない。あなたのこと、モノみたいに捨てたりなんて、しない。

【だけど、相手が不安がれば不安がって必死さを見せるたびに、こちらが落ち着いていくような、感じがする】
【――いや、少し違う。落ち着かなければいけないと思うのだ、こっちのほうが大人、だから、守らなきゃいけない】
【泣かせることはあるかもしれないけれど、叫ばせるのは失格だと思うから。――手が繋げていたなら、それを引いて】
【そうでなければ、両手を広げてやって――受け入れてくれるなら、ぎゅっと。抱きしめて、頭を撫でてやろうとするのだろう】

≪響刻語≫ってよく分からないけど――、とっても、とっても、素敵なちからだって、思うよ。
泣いちゃって、ごめんね……。でも、あなたのせいじゃないの。イクスちゃんは、何にも、悪くないの。

【もしそれを受け入れてくれたなら、その手はびっくりするくらいに優しくって、不思議なくらい】
【――いつか、同じように捨てられたくなくって泣いたことがあった。そんなとき、自分は、きっとこんな風に撫でられたかった】
【かすかに香る甘さはシャンプーだろうか、石鹸だろうか。それとも服の洗剤の香りか。どれにしろ、彼女からは甘い香りがした】

/戻りましたっ。お待たせしてしまってすいませんです! <> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 20:34:52.15 ID:DFwKpMQ3o<> >>204

【「泣きたくなっちゃうくらい、好き」――と、鈴音はさっきそんなたとえを持ち出していた】
【それほどの"好き"を、自分はまだしらない。だからよくわからないんだ。ついさっきまでそう思っていたけれど――】
【悲しいという感情はもう知った。いまだってそうだ。……だからきっと、この感情は、「泣きたくなっちゃうくらい、悲しい」だと思う】

【そのはず、なのに――鈴音を傷つけてしまってとても悲しいのに、一滴も涙が出てこない】
【胸が苦しいとき、人は涙を流すはずなのに、どれだけ目を見開いてもなんにもでてきやしなかった】


………、うん、うん………。
りんね……おかしいの。わたし、なみだ、涙がでないの………。


【握られた手は暖かい。掛けられる声はやさしくて嘘がない。正気は失っていても、そこにだけは気づくことができて】
【だから鈴音がそのまま続けていれば、だんだんと、イクスも平静に帰っていくはずだ。嫌われるわけでも捨てられるわけでもないと、理解できるはずだ】
【……けれど、肩の震えはとまらない。泣けないという衝撃が――自分はひとではない、いつか透き通って消えるだけの幽霊なのではないかと、そんなふうに、】


あ…………。

わたし、すこし思い出したよ。あの言葉は≪響刻語≫っていうの。
……それ以上のことは、なにもわからないけど……。
このまま思い出していったら、いつかは、泣くことも思い出せるのかな………。


【その想いは、簡単に流してしまえるほど軽いものではなかったけれど。……すくなくとも、いまこの場は】
【鈴音の抱擁には、その甘い匂いには、それを一時でも忘れさせてくれるなにかがあった。かすかにうめいたあと、イクスは自分から鈴音にすがりつくだろう】
【……腕のなかの矮躯からは考えられないほど、その力は強い。動揺のせいで加減できていないのか、すこし痛いくらいかもしれない】

【――顔を胸に埋めたまま、イクスはぽつぽつと語る。思い出したのは、言語の名称という、いまのままではなんの意味のもないことだけ】
【いつか、人並みに泣ける日が来るのだろうか。自分は"ふつう"になれるのだろうか。おそらく誰にも答えを出せないハズの問いが無責任に流れ出す】
【それでも――自分が最初から、泣けない"モノ"として創られたのだとは――それだけは、どうしても思いたくなかった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/26(日) 20:41:01.13 ID:5rpILReO0<> >>203

そう…………か、そいつはまあ 言ってしまえば仕方のないことなのかも知れないね。
大丈夫…………アンタはそれでいいんだ、愛する人を傷つける、それも自らの手でなんて 出来る方が珍しいんだよ、割り切れなくて当然だ、アンタは普通なんだから。

どうすればいいかなんて、例え誰かが答えてくれたとしても きっと納得なんて出来ないさ。
ただ、一つだけ言えることがあるね………………妻であるアンタが 旦那を信じなくてどうするんだい……?

【マリアの苦しみを受け止めて、それでも紡いだのは、フレデリックを"信じること"】
【もし妻さえも諦めてしまったら 誰が彼を救ってやれるのか、ヘレンは彼女にそう伝えて】

例えどんなに辛い現実があったとしても、何処かに可能性の欠片はきっと落ちている筈だよ。
だからアンタはそれでもと言える女で居な、フレデリックが簡単に終わっちまうような奴かい……?
そんなことはないだろ、アンタはそれを信じて 自分に従っていけばいい。

【それからマリアの頭を強めに掴んで髪をくしゃくしゃとする】
【彼女はどうしようもなく少し雑だが、その手にも 母親が持っている温かさがあった】
【歳を考えればヘレンの子もマリアと近い年齢の筈、マリアの母親が生きていたならその逆もまた然り、だ】
<>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/04/26(日) 20:45:40.88 ID:boD6B4kko<> />>55で再投下します
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 20:57:24.64 ID:VnPLIgmc0<> >>205

【抱きしめたイクスの身体、間違えても捨てられてしまうなんて思えないように、ぎゅっと抱きしめて】
【それだけじゃ足りないのを知っているみたいに、頭を何度も撫でてやる。何度だって、撫でてやって、抱きしめる】
【それで少しでもその心が落ち着くなら。落ち着かせるだけの力が自分にあるなら、――ただ、一生懸命やるだけ】

……あのね、悲しかったり、辛かったりすると、涙が出るけど……。
それより、たくさん、こころが辛くって、悲しくって、痛いくらい、苦しいと……涙ってね、出なくなるの。

だから、悲しくっても、辛くっても、泣きたくっても、泣けないとき、あるの。――だからね、変じゃないよ。

【イクスがそこまで悲しいのかは、今は関係なくて。泣けないとショックを受ける彼女に、囁くのは】
【悲しくても涙が出ないときだってある、と、そんなことを教えるように。だから、おかしくない、変じゃないって】
【ひとだって泣けないときがある。だから泣けないのは異常なんじゃなくて、そういうときもあるよ、と】

そっか。≪響刻語≫って言うんだね、――それ以上のことは、今はいいの。
だって、わたし……イクスちゃんが思い出してくれたから、あのお歌の言葉が≪響刻語≫って言うんだって、分かったんだから。

……うん、きっと、思い出すよ。だけどね、わたしは、出来るなら――。
悲しくって泣いちゃうより、嬉しくって泣いちゃうような涙のほうを思い出して欲しいし、
そうじゃなくっても。泣いてるより、笑ってるあなたの顔が見たいな。だから……お姉ちゃんに、みせて?

【それ以上が分からないことだって悪いことじゃない、それよりも、今は、あの不思議な言葉の名前を知れたから、それでいい】
【手は変わらずに抱きしめるし、よしよしと撫でる。時折ほんの気まぐれのように指で軽く髪を梳いてやったりもして】
【笑顔を見せて欲しいとお願いするときは、じっと、イクスのほんの少しだけ青い瞳を覗き込んで、――】
【嫌がらないなら、こつん、と、額同士をごく弱い力で合わせようとするのだろう。それで、】

へびさまが教えてくれた、元気の出るおまじないなの。

【なんて、ちょっと悪戯っぽく、笑うのだった】

【――なんてことない、軽く額をあわせただけ。それだけだけど――自分がしてもらったときは、嬉しかった、おまじない】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 21:10:58.43 ID:cM93rj/I0<> >>206

―――信じる……

【―――やり場の無い、解決の糸口も無い、そんな残酷過ぎる現実を背負い、彼女は苦しんでいた】
【そんなマリアに語り掛けられた言葉……―――それは、どんな状況に於いても彼を信じる事】
【如何なる状況でも、どんな絶望を前にしても、彼を、自分を、信じるという事―――】

……―――私は、あの人の妻です。世界中の誰よりもあの人の事を知っています。
あの人は―――こんな事で終わったりはしない。ええ、そうですとも―――


……信じます。旦那様の心を……信念を……信じてみます。
こんな事で負けたりしないと……きっとまた、私に笑顔を見せてくれると……信じてみます。

―――もう、私は諦めません。あの人の為に……―――あらゆる希望を、可能性を、力が及ぶ限り探してみます。
夫を信じ、精一杯出来る事をする……それが、妻の務めで御座いますから―――

【―――いつ以来だろう。こうやって、誰かに頭を撫でて貰ったのは。】
【こうやって、どうしようもなく不安な心を優しく諭されて勇気づけられたのは。】

【気が付けば、彼女の顔には何時もの凛々しい優しさと微笑みが戻っていた。海色の瞳に、光が戻っていた。】
【―――もう迷わない。どんな事があっても、妻として彼を信じ続ける―――そうすれば、希望が見つかるかもしれないから】

【……張りつめた心が安らいだからだろうか。暫くすれば彼女の目は眠そうに閉じかける】
【無理も無い。彼が居なくなってから、彼女はずっと気を張り続けていたのだから―――きっと、疲れてしまったのだろう】 <> イクス・ヴェーラ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/26(日) 21:34:02.69 ID:DFwKpMQ3o<> >>208


………ホントに? ホントに、そうかな?


【胸元から顔を上げないのは、涙も流せない冷たい顔を見られたくないから。もしかしたら悲しい顔だって、出来ないかもしれない】
【か細い声が助けをもとめるようにさまよう。鈴音の言葉が事実なのか気休めなのかの判断は付かないけれど――】
【ちょっぴりだけは、怖さも消えたのかもしれない。ふるふると体を震わせると、目線だけを黒と赤に合わせる】

【そこにある、消え入りそうに薄い青色は、――――】


………う、ん。うん、わかった。
わたし……もっといろんなこと、探してみる。もっといろんなこと、勉強する。
それで、どんどん思い出していったらきっと……りんねみたいに、できるよね。


【すぐにイクスはまた胸元に顔を埋めるだろう。頭を撫でられるたび、掻き抱く腕の力は強くなる】
【さらさらの髪は目の覚めるような白ではありながら、澄んだ川の流れを思わせた。ほんの少しの蒼色が、そこにあったモノの残滓のようで】
【……しばらくそのままでいたけれど、やがて気持ちもゆるんで、観念したのだろう。勢いをつけて、イクスは顔を上げた】


りんね………お姉ちゃん。ありがとう………。


【こつん、と額同士がぶつかる。お互いの顔がずっと近くにみえて、表情を隠すことなんてできなくなる】
【――――見開かれた瞳も、硝子細工の相貌も。人形(モノ)としてそこらに並べておくにはちょっと、歪みすぎていた】

【自分の成長なんて、けっきょく自分じゃわからないものなのかもしれない】
【……あんまり自信はないけれど、それでもどうにか、イクスは笑顔をつくった。お姉ちゃんに安心してほしいと思えるぐらいには――彼女は"ふつう"だった】


――わたし、もう行かなきゃ。帰ったらちゃんと、ごめんなさいってしないと……。
あのね、りんね。――今度はもっともっと歌うまくなって、聴かせてあげるから。
≪響刻語≫じゃなくて、ちゃんとこっちの言葉になおして、もういちどあの歌を歌おうと思うの。

……ほんとは前からやろうと思ってたんだけど、言葉のリズムも違うし、メロディも考え直さなきゃだから、ひとりじゃむずかしくて……。
でも、わたし頑張るよ。頑張って……ちゃんと、りんねもいっしょに歌えるように、作りなおすから。

……いまは、ばいばい、だけど。
だから、きっとまた、会ってくれるとうれしいな…………。


【――すこしばかり、時間が経ちすぎたか。公園の方ではもう街灯が点灯して、またちょっと小雨も降り始めている】
【ほんとはもっといっしょにいたかったけれど――戻らなければ。鈴音が許してくれたように、『マスター』にも許してもらわなきゃならない】
【鈴音の甘い匂いをもう嗅げないのは寂しかったけれど、イクスはある程度落ち着いたころ、ふと離れていくだろう】
【レインコートを着直しながら――"約束"らしきものを口にして。泣かせてしまったあの歌を、今度は二人でいっしょに歌えるようにしたい、と】

【友達が、明日の約束をする。そんなふつうで当たり前のこと……イクスはなぜか月を見上げて、鈴音の返事を待つだろう】
【なにか意味のある動作だったのか。あるいは単に、照れ臭かったのか。それは、月光色に染まる表情からはわからないけれど】


【返事がどうあれ、イクスは帰路に就く。――わたしにも、"色"がほしい。わたしにも、"涙"がほしい】
【そんな、人形のままでは決して生まれることのなかった想いを胸に、少女は夜道に解けて消えていく】
【……その透明の背中にはすこしだけ、黒と赤が背負われているようにも、思えた――――】


/ここらで〆、ということで……!
/二日間ありがとうございました! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 21:51:06.59 ID:VnPLIgmc0<> >>210

【「うん、そうだよ」】
【そうやって返す言葉は無責任にも聞こえるだろうか、だけれど、本当の気持ちのつもり】
【泣けなくって叫んだことが、自分にもあった。どうして泣けないのかと、一人で癇癪を起こして、暴れたことが】
【だから、その気持ちは、少しだけど分かるつもり――気のせいかもしれないけれど、もしも同じ気持ちなら】
【こうやって撫でてもらえれば――きっと自分は、こうしてもらいたかったのだと、思うから】

それで。いろんなこと、探して。いろんなこと、勉強して。いろんなこと、思い出して……。
……面白いことがあったら、教えて欲しいな。わたしも、――イクスちゃんが面白いって思ったこと、知りたいの。

【強く強く抱きしめられる。少し痛かったけれど、それをやめさせようとは、ちっとも思わなかった】
【変わらず優しく撫でてやりながら、抱きしめてやりながら、そんなことを、囁いて】
【相手がどんな風な反応をしようとも、「約束だよ?」なんて言ってしまう。ひどい話――かも】

うん、……だいじょうぶだよ、きっと、きっと、だいじょうぶなの。
だけど、無理はしないで欲しいの。……頑張ってるのに、頑張ってるのに、頑張るのは、苦しいから、ね――。

【人間みたいになりたいと思うこと。自分はそれが出来たといえるほどに、人間だろうか】
【人間になれたとは、きっと、まだ言えない。でも――おんなじように頑張るイクスよりは、きっと、少し先に居る】
【それでも見えないほど遠くではないはず。だったら、少し戻ってでも――手を繋いで歩くのも、いいのかも】

――――こっちの、ことばに? そっかあ。……ふふ、楽しみにしてるね。
きっと一緒に歌うの、約束だよ……、……それでね、わたしね、UTの酒場でお仕事してるの。
何かあったら、困ったりしたら――きっと、来てね。……それも、約束。

【それは。そういう発想は、彼女になかった。そういうものだと思って、あの発音を覚えればいいかと思っていた】
【けれど異国語を覚えたことのない彼女には、こちらの言葉に直してくれるというなら――それは確かにありがたく】
【それが出来たときには一緒に歌おうと、改めて約束する。必要なら指きりもするだろう、それから教えるのは】
【自分が普段どこに居るのか――どこに来れば会えるのか。そして、何かあったら頼ってといって、それも約束にして】

【月を見上げるイクスを見て、ひとまずは大丈夫そうだと安堵する。……なんなら、最後に一度頭を撫でてやり】
【「またね」と言う言葉で、見送る。その姿が見えなくなれば――小雨の中、再び、傘をばっと開いて】
【濡れたブランコに腰掛けながら――ひとり、さっきイクスが歌ってくれた旋律。誰にも聞かれぬように、小声で真似てみたという】

【――そう、これは余談になるのだけれど。イクスはどこで気付くだろうか、彼女の、ほんの悪戯】
【きっと、最後、頭を撫でたときだ。その髪に、一輪の花を差し込んでいた、こっそり、そっと、ないしょで】
【桜色の魔力で形作られた、桜の花。「純潔」の花言葉を持つ花を、きっと綺麗な心を持つ、あの子に】

/おつかれさまでしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/26(日) 21:54:59.82 ID:5rpILReO0<> >>209

ふふ、良い顔になったじゃないか!
それでいい、アンタはそれでいいんだよ、アンタはマリア……シャリエールだから。

とにかく探せ、模索しろ、そして必ず見つけ出して 取り戻してみせろ!
女には女の意地がある、今のアンタにやってやれない事はない……!分かったね?

【彼女の覚悟と決意を後押しするように激励の言葉をかけるヘレン】
【これならきっと大丈夫、彼女はまだ闘える、きっともう一度立ち上がってみせる】
【その気力があれば怪我の治りだって焦らなくても平気だろう、ゆっくり休んでいれば 案外早く退院できるはずだ】

【そんなやり取りをしていると、いつの間にかマリアもこくり、こくりと頭が不安定に動き始める、睡魔が訪れたのだろう】
【当然と言えば当然、彼女は無理に身体を動かし回っていたのだから、それなら今は身を委ねて沢山休んでも神様は罰を当てたりはしないはず】

だいぶ疲れが貯まってたね…………いいよ、時間を気にせずぐっすりと眠るといい……おやすみ。

【マリアが寝付くのを静かに確認してから、ヘレンもそろそろと自室に戻るのだった】
【………………鳥のさえずりに起こされたなら、カーテンを開ければいつもの昼の国の太陽がそこにはあって】
【雨上がりに濡れた草木は乱反射を繰り返し、平和な一時を教えてくれる】
【部屋にはしっかりと松葉杖も用意されていた、しばらくはこれでという事らしい】

………………こいつはやっぱり、放ってはおけないねぇ…………

【小さな待合室でヘレンは(時間帯的に言うと)朝から紫煙を吹かしていた、最早日課らしい】
【片手の新聞にはこう書かれていた、また昨日、教会が何者かによって焼き尽くされたらしかった】

/それではここで!ありがとうございましたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 22:18:21.67 ID:cM93rj/I0<> >>212

……ええ。きっと―――あの人を、取り戻して見せます。

【人は一人では生きらない。誰かと繋がって初めて生きることが出来る―――これは、彼女の信条だ】
【今回も、そうだ。きっと一人では立ち上がれなかっただろう。一人では絶望に押し潰されていただろう】
【―――背を押してくれたから、立ち上がれた。元気を出せて、前に進む力を持てたのだ】

【……と言っても、まだ本当の意味で立ち上がる事は出来ない。だって足が折れているのだから】
【怪我を治さねばどうしようもあるまい。……全てを取り戻す為にも、まずは自分の体調を取り戻さねば】
【怪我を治すには、安静にして休むのが一番良い。だから―――今は、休もう】

【久しぶりに安らいだ心に、疲れの波が押し寄せる。―――まどろみが深い眠りに変わるのに、そう時間は掛からなかった】
【次に目が覚めるのは翌朝遅くになるだろうか。深い眠りに就いたのが、本当に久しぶりだったようで―――】

//はい、此方こそ有難う御座いましたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/26(日) 23:55:04.04 ID:cS0SjzRK0<> 【静まりかえった夜の街。この時間に出歩く者と言えば精々旅人だとかその程度】
【――――さて。そんな街の公園に備えられたベンチに一人の姿。緑色のローブを纏った女が座っていて】


「良し……これで下調べも終わったし、今できる事はこれで全部かな……?」

【隣には積み上げられた学術書。見る者が見れば其れは遺跡や遺物に関する事が記されているのだと分かるだろうし】
【そうで無い者が見たとしても少なからず専門的な物であると理解出来る筈で】
【「ん――――」なんて声と共に背伸びをすれば時計を見遣る。時刻は夜更けと言っても差し支えない時間】
【憂鬱げに溜息を吐いたならば積んでいた書物を膝の上に移動させて】


「思ったよりも遅くなっちゃったな……どうせならこのまま直接行っちゃっても良いんだろうけど……
ううん――――まだ宿が空いてるとも限らないし……」

【果たしてこの時間、宿に空きの部屋などあるのだろうか】
【無ければ無いで今からでも己の目的を果たしに行くか、でなければまた別な街へ行って宿を探すか】
【瞬く星々を眺めながらぼうっと考える様は正しく悩める人】
【加えて、ベンチは灯りの下に備えられているのだからその姿もよく目立つのだけれど】










【深夜の墓場。――――ともなれば、不吉であり誰も近寄る者が居なかったのだけれど】
【今宵は其処に禍々しい気配が満ちていて。魔力だとかを感知出来る者ならば其れが所謂“瘴気”である事が知れるだろうし】
【そうで無い者だとしても本当的に“危険な何か”と感じ取る事が出来るだろうか】

【見遣れば、居るのは紅いドレスを纏った一人の少女】
【金色の髪に、朱色の双眸――――見てくれだけならば、本当にただの子供なのだけれど】
【瘴気は、紛う事無き少女本人から発せられていて】


「――――古い世界にさようなら。新しい世界にこんにちは
今宵私アリスが紡ぐお話しは希望絶望人間達の楽しいお話…………なの、だけれど」

【墓石に腰を掛けたならばブラリブラリと揺らされる脚】
【まるで暇を持て余した子供がする其れであり、悪魔の気配とはほど遠いのだが】
【――――不意に、土の中から突き出た一本の腕。肉が削げ、所々骨が露出して居る其れは、恐らくは埋められた者と考えて間違いは無く】
【其れを皮切りに、次々と墓の中から這い出てくる死者達。宛ら、一昔前のゾンビ映画のようで】


「みんなお話出来ないのね?それじゃあつまらないわ、つまらない
自分の好きだった人も自分の子供の頃も、きっと自分自身の事も忘れているのだもの。それじゃあ詰まらないわ」

【たった数分の内に、墓は死者の呻く声と這いずる音だけで支配される事となる】
【――――遠くからでも異変に気付く事が出来るのは、先ず間違い無いであろう】
【実際に現状を目の当たりにし、どの様な行動を取るのかは訪れた者次第】
【手当たり次第に抹殺するか、見つからないようにと逃げるか。それとも、中心で退屈そうに座る少女に話し掛けるか――――】 <> ジャック・リップス
◆dn54E2RmZ6<>sage<>2015/04/27(月) 20:44:01.44 ID:x+9k8kOso<> 【暗がりを歩く男が居た。彼を見ても誰もがとなりを通り過ぎる。普通の青年であった】
【煙草を咥え、帽子を被り、ロングコートが風にたなびきながら歩き続ける】
【手には上質なウィスキーの箱。彼はそれを大事そうに抱えていた】

「・・・〜♪」

【唯の気まぐれだ。唯の気まぐれだったが。彼は選んでしまった。その道を】

「・・・〜♪・・・・・・・・・おいおいっ」

【歩けば歩くほどに嫌な雰囲気。彼はそれを感じ、溜息を付くが引かない】
【そうして歩いていけば・・・死者の宴が行われていた】
【そして、その真ん中の少女を見つける】

「こんにちは、お嬢さん。お友達でもお待ちですか?」

【そう、気づけば少女の前に現れた彼、ジャックリップスはニヒルに笑い少女に言った】

>>214
///もしよければ。新規ですがかまって頂ければ嬉しいです。もし誰か特定の人を待っているのであれば無視してください <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/27(月) 20:54:38.47 ID:hHI0B+jWo<> >>215
/あっと、自分は>>214の方ではないのですが、ご助言をば。
/こちらはスレ=ルーム、というような感じではなくて、投下文に対してそれぞれ絡む
/いわば同時進行の場所になっています。

/ですから投下があっても、それが昨夜ではもういらっしゃらなかったりするわけです。
/そんな時は『まだ居らっしゃいますか?』と聞いてみたり
/自分から投下文を考えてスレに置いておくと良いかと思います。
/何かと勝手も違うかと思うので、是非舞台裏の方で質問などして下さればっ。 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/27(月) 22:35:22.56 ID:qt92+9k/o<> 【廃ビル】

【午前8時23分に某高級カジノの搬入口近くで現金が、輸送車から出された8時27分に強奪される】
【通報を受け直ちに現場に向かうが犯人が逃走して10分後。検問を敷いたのは40分後であった】
【金庫係と警備2名は無事。防犯カメラの映像によると犯人はマスクをかぶった2名】
【3時間後、容疑者と思しき人物1名と銃撃戦になるものの逃走を許す。証言によって1人は判明】
【強盗3件と薬物で6年の懲役で仮釈放中の男。2時間後には全国手配へと切り替えられた】

【そして現在。その街から遠く離れた此処は都市開発の煽りで放棄された区画で幾つもの建設途中の】
【ビルが並ぶ。映画じゃ危ない取引に使われるが実際はホームレスの寝床が殆どだ。そのビルの1つ】
【車が止まっていた。銃痕に割れたガラス、タイヤの1つはバーストしていた。血痕が中へ点々と続く】

【階段を登り、建築途中のビルのフロアでそれは途切れる。既に事切れた強盗犯の片割れが居た】
【右手に拳銃を握り、近くにはショルダーバッグ。札束がいくつか見えた。そいつは眺めながら死んだ】

【すると、外で何か音がする。見ると車が大きく派手に燃えていた。メラメラと大火に包まれていた】
【誰かが、登ってくる。炎に映った人影が血痕を追って階段を登ってやって来るだろう】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/28(火) 01:19:44.25 ID:PXOW+BIgo<> 【地の国・ニュードレファス】

【先日の六罪王ベクターによる襲撃と、その余波によって】
【ほぼ更地と呼んで差し支えない、そんな街の一角を男が歩いていた】
【服装はジーンズに白いシャツというラフなもの。髪は柔らかな金髪で】

ここまで綺麗に破壊されると、復興する気も湧かないね。
地震に空爆、オマケに動く殺戮マシーンの大暴走。

……怖いなぁ。ここに引っ越さなくて正解だったよ

【独り言、だろう。周囲には付き添いも見えず、気が触れているようにも見えない】
【ただ妙なのは――立ち入りが容易ではないハズのこの場所に】
【道具のたぐいを一切持たずして彼が立っている事。ただその一点ばかりが異様だった】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/28(火) 12:20:22.35 ID:PXOW+BIgo<> /夕方頃まですが、>>218で再募集します。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/04/28(火) 13:28:09.36 ID:q1+5jZ2Vo<> 【公園】

せっ…と!

【拳が何も無い空間を突く】
【短い黒髪を襟元で切り揃え、前髪も額を隠す様に横一文字に切り揃えられている少女の拳だ】
【縁の無い眼鏡から覗くのは髪と同じ黒の瞳で、少し視線を下げれば白いシャツの襟を細く赤いリボンで締めているのがよく目立つ】
【チェック柄のスカートの左側に有る筈の打ち刀とロングソードは今はベンチの上に置かれていて】

はっ…!

【肘が空を裂く】
【その動きにこそ澱みは無い。しかし熟練者のそれに比べると拙い動作だ】
【しかし体の動作を確認する様に1つ1つ丁寧に。しかし身体が冷めない程度に素早く】
【自分の思い描く動作が出来る様に「練習」している。剣を振るだけが鍛練ではないのだ】 <> ??????
◆/iCzTYjx0Y<>!nasu_res<>2015/04/28(火) 14:55:48.72 ID:1rr1aTrM0<> 【止んでいた風が動き出す。少しずつ、遠くへ届かせる様静かに、不気味に。】
【決して、吹き荒れる様な物では無い。どこか染み渡っていくような、緩い風が大地を凪ぐ。】
【ゆっくりと、しかし着実に。哀しみや切なさを湛えて、孤独な風がすぅっと―――遠くまで、抜ける。】

【地の国 工業大都市アズテリオスの中心部、ある総合病院の地下施設で事件は起きる。】
【重傷者や大罪を犯した犯罪者等の"ワケ有り"な患者を、拘束しながら施術する緊急治療室"Silent Emaegency Room"】
【通称"SER"の一角、運び込まれた患者の中でも、最も危険度が高いと判断された者が収容される『Level 14』のベッドの上に"彼女"は居た。】

『経過は。』

「良好ですよ。身体の怪我はほぼ完治したと言っても過言ではありません。」

『―――身体の方は、か。』

「ええ。どうしても、"精神状態"の方だけは―――、まだなんとも言えない状況ですね。」

『……では、"人格"の方は?』

「……さて。目覚めて、そして会話をしてくれない限りはなんとも……、外見では、判断しかねますよ。」

『箱を開けて、出てくるのは陽気なガンマンか。それとも、報告にあった件の"彼女"か……
 はは。まるでギャンブルだな。厄介な患者を抱えてしまった物だ。―――監視を怠らないでくれたまえ。』

「無論ですよ。それに、国軍の方も彼女に"会いたがって"いますからね、目を覚まし次第連絡を―――、ん?」

【ブツ―――ブツ、ブツ。無機的な機械の音が、生命を繋ぐ証を小刻みに揺らし続ける。】
【よくわからない機械から伸びる多量の管が、"彼女"の身体へと繋がれており―――それが、ゆっくりと震え始める。】
【機械の反応が大きくなる。生命線と心臓の鼓動を刻むリンクがけたたましく輝きだし、規格外の生命力と、"魔翌力"が吹き荒れだす―――ッ!】

『―――目覚めた! ……だが、馬鹿な! なぜだ、この魔翌力遮断空間の中で、どうしてこんな事が……ッ!?』

「紫色の"波動"……、まさか、これが報告にあった"負の魔翌力"かっ!?」

『……本質的に通常の"魔翌力"とは異なるというのか……! エネルギーの遮断ができん! このままでは―――ッ!』

「た、退避っ! 全員避難しなければ! 軍に連絡を――――――――――――――――――――」

【ゴウ。という破裂音。余りにも容易く、超合金製の隔離扉は吹き飛ばされ。】
【防護壁が緊急展開し、非常事態を告げるサイレンが院内に鳴り響く。急いで警備隊が駆け付けるが】
【脱出した"彼女"が発する圧倒的な負のエネルギーをまともに浴びて、彼等も次々に吹き飛ばされていく―――。】


    あはは。                    ふふふ。

            ふふふ。 
                        ふふふふ。 

          ふふ。                    ふふ。
 ふふふふ。          あっははははは。
                                 うふふふ。


        ふふふ。       ふふふ。 ふふふ、        ふっふふ。
         

                                     みんなばかね。
                           レインをかんたんに、たおせるとおもった?

【―――吹き飛ばされた地下から、紫色の輝きを灯した"悪魔"が、宙を舞って飛び出していく。】
【そのまま、その影は"戦火"の匂いと、人間の恐怖、怒り、哀しみに誘われ―――"ある場所"へと向かう。】
【この日、地の国及び世界各地を"新たな"ニュースが飛び回る事になる。曰く―――】
 
                 【"―――隔離されていたセリーナ・ザ・"キッド"、病院を破壊し脱走―――"】

                        【"―――その精神は"別の誰か"によって奪われている状態と考えられ―――"】
<> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/28(火) 17:58:44.93 ID:7U7UOqDrO<> >>219
//もういらっしゃらないですかね……? <> リーべ
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/28(火) 19:15:45.86 ID:a6NUELFDO<> 【とある病院──入り口付近】

【ウィン、と大きな自動ドアが開き、1人の少女が病院から出てきた。夜色の長髪と瞳の、18歳ほどの少女だ。】
【病院から出てきたわりに、随分と顔色は良い。風邪で薬を──というわけではなく、恐らく退院直後なのだろう】
【ぐぐ、と少女は大きく伸びをする。すぅ、と深呼吸をして、薬臭くない空気を満喫する】


ん────っはぁああぁあぁあ!

ふっふーん! やっぱり外の空気はいいな! 元気が出るし何より自由だ!
入院という状況も楽しめたが精々3日が限界だな!
いやほんと、ジンジャーには感謝しか────


【──ず、ずん。唐突に大気が震え、大地が悲鳴をあげる】
【彼女の持つ能力は「振動」に関わるものだったが、今の揺れに関してはまったくの無関係だ】
【何事か……まさか能力が暴走したのか。そう思い、若干顔をひきつらせて周囲を見る】
【遠く──遠くで、黒煙が上がっていた。それが>>221によって起こされたことを、彼女はまだ知らなかった】


……な、なんだあれ────


【もくもくとあがる黒煙を、ぽかんとした表情で見つめ続ける】
【あそこに駆けていったところで、あまりに時間がかかりすぎる。救助活動をするには、この場所からでは間に合わない】
【唖然──まさにそんな表情で、夜色の少女は病院の前でただただ立ち尽くしていた】

/安価つけていますが投下文です <> ミドナ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/28(火) 20:48:29.45 ID:viMdi4q0o<> 【何処かの路地】

【月の光も星の光も届かない。隘路の奥は一メートル先も見渡せない。そんな闇が支配する世界の端で、ひとりの女が彷徨っていた】
【――褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、二十代ぐらいの女性】
【髪型は肩口までのセミロングだが、長い後ろ髪をたてがみのように跳ねさせた、かなり野性的なアレンジが加えられている】
【そして服装もまた、上半身は暗い赤色のチューブトップと白色で丈の短いファー付きコートを合わせたヘソ出しの格好に】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツを合わせて生足を露出した、全体的にやたら露出度の高い服装だ】


……………さて。ここ、何処なわけ?


【――時折、ぽっかりと、自らの中に"空白の時間"が生まれることを、女は最近になって自覚するようになった】
【やってくる明日に怯えながら過ごしている女にとって、それは最初こそ、不安定な精神状態がもたらす錯覚のように思われたが】
【これは明らかにおかしい、と気づくのに時間はかからなかった。今もそうだ――何故自分がこの道を歩いているのか、女は一切覚えていない】


………………、まあ、ぜんぶ、今更よね………。


【こんなモノを集める趣味は断じてない――どこかの遺跡からの出土物のような古めかしい物品が詰め込まれた鞄を、女は背負っている】
【自分の意志で背負っているのか、誰かに背負わされたのか。わかっているのは、自分はこれを"父"の元へ届けなければならないということだけ】
【――頼りない歩調が、それすらも彼女の本当の望みでないことを示している。生きる目的を失った世捨て人そのものの風体で、】

【そんな女の姿を、格好のカモと思う者もいるだろう。あるいはその逆もありえるかもしれない】
【いずれにしても――自らに関わろうとする酔狂な"誰か"に、女が自分から気づくことはないはずだった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/28(火) 21:28:12.90 ID:q01BcrPd0<> >>224
/まだいらっしゃいますかー? <> ミドナ
◆Oo..Ykgy2o<>sage<>2015/04/28(火) 21:29:56.35 ID:viMdi4q00<> >>225
/おりますよー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/28(火) 22:02:19.73 ID:z2az24AD0<> 【春は終わりを告げ、夏の足音が近づく。青空から照りつける日差しは、じっとりと肌が汗ばむ程に暑く】
【道行く人を見渡せば、半袖の人や日傘をさす人も目立つ―――そんな日のとある商店街の一角の道】

【連休が始まりお出かけ日和とあってか、商店街は賑わいを増している。家族連れなんかも目立つ】
【商店街が企画したイベントもあるようで、子供連れは其れを目当てにしている人もいるのだろう】
【道行く人々は、各々目当ての店や場所に歩みを進めていく―――】


……これで、今日の晩ご飯のぶんは買えたよね。
―――おとうさんもおかあさんもいないんだもん……わたしが、しっかりしなきゃ……――――

【―――そんな中、道行く人に紛れて小さな少女が一人で歩いている。十歳前後だろうか】
【マリンブルーの澄んだ瞳を持ち、白いキャップの下から伸びるポニーテールにした鮮やかな赤髪は日差しに映えて】
【マリンボーダーのシャツに、デニム地のホットパンツを穿く。其処から伸びる手足は細く、背丈も年相応に小さく華奢】
【背格好は幼いのだが、何か少し大人びたような雰囲気。子供らしからぬ責任感を持っているような……】

【少女の近くに保護者らしき人はいない。迷子だろうか?……いや、迷子にしては不安そうな素振りは無い】
【両手に大きな袋を提げ、中には食料品やら生活必需品やらが沢山入っている。……お使いにしては、量が多すぎる】
【小さな体で大きく重い荷物を運んでいるせいで、歩くのが大変そう。時々ふらふらとしていて足取りがおぼつかない】

あ…っ―――

【そして―――とうとう少女は躓いて転んでしまう。両手に荷物を持っていたせいか咄嗟に手を突くことが出来ず】
【道の真ん中で顔からどてっと倒れる。……相当痛い転び方をしたが、大丈夫だろうか。】
【商店街の道の真ん中で派手に転んだ少女。まだ起き上がらないが、救いの手を差し伸べる人はいるのだろうか―――】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/28(火) 22:06:46.63 ID:q01BcrPd0<> >>224

【彼女に聴こえるのは最初は車の過ぎる音だった、それも少し遠くて 外の世界のような】
【黒塗りのリムジンバスの中で男が話していた、一人はふくよかな中年の男、そしてもう一人は老齢の男。どちらも軍服を着用している事から職業など簡単に判る】
【胸元に縫い付けた星から見て、中年が下、老人が上の立場に位置する人物だろう】

「…………それで、此度は六罪王と直接干渉はしないと……?」
……支援はする、だが私自ら交戦することは少なくなるだろう、これも 決定したことだ。
「では 後は部下にお任せになると…………、しかし何故っ…………」
伝えることは伝えた、後は君達を頼って……………………

【何やら中年の男は不満げで納得していない様子だが、老人が無理に話を終わらせると】
【何か、違和感を感じて口を閉じた、「どうかしましたか?」と中年が伺うが 無視するように強引に車を止めると扉を開き 走り出していた】

「ああちょっと、"レッドライン"殿…………!?」

【確かに近くに 似たような感覚があった気がした。勘違い、気のせいと言われればそれまでだが、どうしても直感を信じずにはいられなかった】
【闇の中を進むと 遠くに白いものが見えて立ち止まった、似ている、あの女性の髪に……】
【かつかつと軍靴を鳴らして早足で近付いていく、その音で彼女も気が付くだろうか】
<> ミドナ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/28(火) 22:26:30.22 ID:viMdi4q0o<> >>228

【女は歩き続ける。背後で聞こえた車の音など気にするべくもない。何のために、と言われれば、】
【……何のためでもない。強いていえば仕方がないからだ。現状、こうする他に手がないから。他に、生きる意味がないから】
【ここ数ヶ月で"感情を殺す"ことにも慣れてきた。かつての生活を思えば窮屈すぎて死んでしまいそうだけど――戻らないモノに想いを馳せるのは、無駄だ】


(………"レッドライン"………?)


【ゆえに。それが聞こえてしまったのが、女にとって幸運であったのか不幸であったのかはわからない】
【ただ、事実として聞き逃せなかった。刹那にして、心の奥の方に固くしまっていた、いつもと違う酒の味が唐突に蘇ったような、】
【――直後。金色の両目が怯えたように見開かれた。女の脳裡に最初に浮かんだのは当然、"逃走"という最も楽な選択肢……】


――――が、ッ………うっ………!!


【けれど女に、新しい選択肢を提示したモノがあった――その身に刻まれた、忌むべき拘束と隷属の印が、体の内側を"壊せ"という絶叫で染め上げる】
【激情に反応し、真紅が褐色の肌を蹂躙していった。その辛苦の呪刻は瞬く間に女の理性を蝕んで、"ジジジッ"と朱色の光が背中で弾け――】

【……だが。それが何故であったのかは女にもわからないけれど、】
【少なくともこの時、打ち勝ったのは女の理性の方であった。必死で感傷を押し殺し、血を流さんばかりに拳を握り込んで耐え抜く】
【その代償として精神力を一気に消耗し、女は細かくうめき声を上げながら、その場にうずくまってしまう】
【老人がそのまま進んだならば――両腕で自らの体を掻き抱いた幼子のような女性を発見することになるだろう】

【迫ってくる軍靴の音。それが意味するモノがなんなのかを理解していても――女には、為すすべがない】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/28(火) 22:50:10.22 ID:q01BcrPd0<> >>229

【彼女にとって、過去とは呪いになってしまったのか】
【その身体に感触がフラッシュバックすればするほど、拒絶することも大きくなって】
【縛られた心をつついて反応させてしまえば 彼女の苦しみが渦になって湧いて出てくるのだ】

【闇に浮かんだ赤い光とうめき声は それを物語っているようだった】
【それでも彼女は衝動を押し殺していた、辛いのならば吐き出せばいい筈のものを 彼女は耐えていたのだ】
【過度な希望を持つのは到底現実的ではないが…………まだ彼女は 戻れるのかも知れないという思考が老人には生まれていた】

………………ミド……ナ…………?

【ゆっくりと彼女に近付いて、出来るのなら肩に手を触れてそう呼ぶ】
【ブラック、彼にとって彼女の名はエイダではない……ミドナなのだから】
<> ミドナ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/28(火) 23:07:40.34 ID:viMdi4q0o<> >>230

【ミドナ、と――そう呼ばれた女の肩に、老人の掌が乗せられる。小刻みに震えているのがわかるだろうか】
【一瞬、またも呪刻の真紅の光が蠢いたように思われた。その場に居続けたなら、殺気……に近いものを、老人にも感じられるはずで】


………やめて………。
その名前で呼ばないでよ………ブラック。


【――けれどそれも、一瞬のうちに収まる。ミドナはその掌に自らの手を重ねると、そっと引き離そうとするはずだ】
【成功したならば、ミドナは老人から……ブラック・レッドラインから一歩離れ、そっと振り返る――】

【……ズタズタの金色が、虚しそうにブラックを眺めるだろう。無理矢理に抑えつけた感情は、内包する怒りも悲しみも綯い交ぜにして"無"を作り出す】
【その痛ましい努力の甲斐あってか、今のところミドナに襲いかかるような気配はないはずだ。話をするならばチャンスではあるのだが、】
【今の情けない自分の姿を、あの優しかった老人に見られてしまって。遠い虚ろの中でわずかに、恐怖の色がくすぶっている】

【神に見放され――いや、神に見初められ、無惨にも墜落した一羽の"緋色の鷹"。その成れの果ては、既にすべてを諦め、自棄になっているように見えた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/28(火) 23:45:58.30 ID:q01BcrPd0<> >>231

【弱々しく剥がされた掌を 悟ったようにぐっ……と閉じてその感触を確かめる】
【自分の全てを「仕方がない」にして、虚無を写し出すミドナの瞳】
【飼い慣らされた獣はただの糸で足を縛るだけでさえ逃げる事を諦めるという話がある、今の彼女にはそれと近いものを感じていた】

【自分を見てほしくない、昔の名前で呼ばれたくない、それが見ていてとても痛々しかった】
【彼女は戻れないのか、いや、きっと戻ることは出来る、否定と肯定が頭を支配するような感覚があった】

………………それでも、私は貴女をこう呼ぶ、呼び続ける…………
……戻って来い、ミドナ…………皆、貴女を孤独になんてしなかった……!きっとこれからも………………

【平を上にしてすっと差し出される手、彼女を道具として扱う冷たい"父親"のそれとは違う、鉄の匂いが染み付いた温かな"他人"の掌】
【今の彼女が自分から触れられるかは分からない、ただ、しわくちゃの手は確かにそこに存在していた】
<>
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/28(火) 23:53:33.02 ID:uZZ9WI4po<> >>227
まだいらっしゃいますか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/28(火) 23:59:14.36 ID:z2az24AD0<> >>233
//居るには居るのですが、2時ごろには落ちると思います……それでも宜しければ! <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 00:01:01.63 ID:9YcfFqFbo<> >>227 >>234

大丈夫…ですか?

【人影が覆いかぶさるように少女の目前へ。見上げればしゃがんで手を差し伸ばす女性】
【20才そこそこだろう。手入れの行き届いた長い黒髪はべっ甲柄の髪留めで後ろで1つにまとめ】
【華美ではない必要最小限の化粧をきめ細やかな白い肌に施していた】
【特徴的な切れ長の目にかけた銀縁の眼鏡もフォーマルなもので服装も黒のスーツである事から】
【何処かししらの会社勤めであると用意に見て取れる。差し出された指先も白く細くしなやかで】

ダメよ。気をつけなきゃ

【そう言って、上着のポケットからシンプルなハンカチを取り出す。拒否しないならばそっと顔でも】
【拭いてあげることだろう。ちなみにハンカチの隅に入ったロゴを見るとそこそこなブランドのものだ】
【もっと言うならばスーツからシャツ、靴、腕時計。シンプルで地味目だが総額で車でも買えるだろう】


/了承しました!よろしくお願いします <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 00:19:42.17 ID:dkvtEeLl0<> >>235

……っ、うぅ……

【転倒した際に結構大きな音がしたことから、衝撃も強く痛かったことだろう。でも】
【幼い少女は、泣いたりすることは無かった。我慢強い子なのだろう……こんな事では泣かない、って】
【見上げれば、其処には知らないお姉さんがいる。心配して駆け寄ってくれたのだろうか】

だ、だいじょうぶです……っ―――
ありがとうございます……

【本人は大丈夫と言っているけれど、顔を打った上に膝も擦り剥いている。白い肌の膝小僧には痛々しい傷が出来ていて】
【大騒ぎする程では無いけれど、額から血も流れている。流石に痛くないと言えば嘘になるだろう】
【その証拠に、少女らしい可愛らしい顔は何かを我慢するように強張って歪んでいるのだから】

【このまま血を流している訳にも行かなから、おとなしく血と土埃に塗れた顔を拭いてもらう。】

……―――っ!

【そして、差し出された手を握って、無理に立ち上がろうとする―――が、痛む足に力が入らないらしく】
【小さな体がぐらりと揺れて、もう一度しゃがみこんでしまう。我慢強くても、痛みには敵わない】
【この調子で、大荷物を再び持って歩けるのだろうか―――】 <> ミドナ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/29(水) 00:22:01.07 ID:iRSCXstSo<> >>232

【親譲りの金の瞳が、ブラックを睥睨する。悠然と空を駆け抜ける鷹のような、"自由"を目指していた頃のそれとは、もう違ったけれど】
【――ぐっ、と。ミドナはブラックの表情を見て、一瞬溢れ出しそうになった何かを抑え付ける。叫び声はすべて、心の内に平らげる】
【それは……認めよう。ブラックを傷つけたくないからだった。呪刻の暴走がどんな結果を齎すか、その最中のことをミドナは覚えていられない】

【どうしても――神の傀儡となった、まだ一度も話したことのない、実の父を放っておけないだけで】
【決してブラックや、かつての友たちと敵になりたいわけではないのだ】


……ねぇ、ブラック。
あたしさ、パパに会うまで自分の年齢も知らなかったの。もちろん、自分が本当は『エイダ』っていうことも、知らなかった。

――懐かしいな。そのミドナって名前、自分で考えたのよ。
昔押し込められてた牢獄みたいな部屋の外んとこに、『3-D7』って区画番号みたいなのが割り振ってあってさ。
3のDの7番だから、<ミドナ>ってわけ。幼稚すぎて笑っちゃうでしょ?


【必死の呼びかけ。父親とも自分とも違う手のひらを、ミドナは両手で包み込むだろう。……涙の浮かんだ目で、首を振りながら】
【それは、誰に語りかけているのだろうか。誰かが話してくれと頼んだわけでもないのに、ミドナは自分勝手に回想する】

【――目は虚ろなままで、口から勝手に言葉が飛び出す。それは当のミドナにしてみたって予想外の事だった。黙って逃げるつもりだったのに】
【くだらないゴロ合わせの名前は、かつては気に入っていたはずなのに、今となっては自分の無価値さを象徴するもののように見えて仕方ない】


何も持ってなくて、空っぽで、薄汚くて。いいように飼いならされてた頃の話よ。
他にも言おうと思えばいくらでもある。なんなら聞いてみる? そしたらわかるんじゃないかしら。
……あたしみたいな女、図々しく正義の味方なんて張ってた方が、きっと間違いだったんだって。


【何も見ていなかった瞳が、そこでようやくブラックを射抜く。……失望されてしまうことへの恐怖と、退廃的な諦観で塗れた、子供の様な瞳だ】
【ミドナは壁際に向かって鞄を放り投げると、いい加減な態度でその隣に腰を下ろして体を壁に預ける。汚泥を被った壁で汚れるのもお構い無しに】
【少なくとも今、ここにいるのは抜け殻のような女だ。エイダでもミドナでもなく、ヒトですらない。本人の言葉を借りれば、『3-D7』……】

【ここでこの女と話していても何かが得られるとは限らない。むしろ、失うことになるかもしれない】
【それでも望むのなら、彼女の隣に座ってみてもいい。――何も保障はないけれど、『ミドナ』が帰ってくる一縷の望みに賭けたいのならば】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 00:22:30.14 ID:qZfzI51g0<>
【――――月光と星々の明かりのみに照らし出された森の中】
【普段ならば平穏で在ろうこの場所も、今宵ばかりは魔獣達の唸りに静寂も打ち破られ】
【その方向を見遣れば一人の少女が魔術を用いて魔獣達を葬っている事が知れるか】


「人々を無意味に殺めるのならば我々教会が処罰します
血には血を以ての償い。血でしか止める事が出来ないならば、其れはイリニ達の役目です」

【純白のローブに白銀の髪。同じ色の双眸は感情を浮かべる事も無くただ魔獣達を敵として認識しているだけの様】
【色々と記すべき事はあるのだが――――何より特筆すべきはその手に装備された“手甲”の様な物だろうか】
【其れは大きな魔力を漂わせており、たった一薙ぎでも獣達にとっては致命的な一撃】

【程なくして、その森に舞い戻ったのは静寂。無数に転がる骸の中、ぼうっと立っているのはその少女のみ】
【辺り一面が朱に汚れる中、その少女だけは汚れる事無く純白を保ったままで】


「任務の完遂を確認。取り逃した存在は零だとイリニは確信しました
――――少し休んでから帰還します、とだけ告げてイリニの報告は終了します」

【徐に取り出したのは水晶だ。恐らくは通信機代わりなのだろうが――――其れに報告をすれば、再びその場でぼうっと立って月を見上げる事となる】
【魔獣達の咆哮だとか魔力だとかを辿れば此処に辿り着くのはそう難しい事でも無い】
【そして、この場を訪れた者が見ることになるのは上記の通り。血にまみれた中、少女が一人月を見上げているなんて状況】
【声を掛けるにせよ、何にせよ。白の少女は感情を浮かべる事も無く其方を見遣ればじっと視線が送られて】









【――――夜の公園。この時間にもなれば遊ぶ子供も居らず、静寂に包まれている筈だったが】
【今宵はブン、ブンと何度も風を切る音が響いていて】
【見遣ればいるのは栗色の髪をポニーテールに纏めた一人の女子生徒。歳は漸く高等部に入った程度であろうか】
【手にしているのは無骨な木刀。振り上げては振り下ろし、振り上げては振り下ろしなんて単調な作業をひたすらに続け――――】


「四十八、四十九、ごじゅ………じゅ……ぅ…………っ!!」

【回数は言葉に出していた通り五十回。額に浮かんだ汗を手の甲で拭えば、呼吸を整えるように一度深く息を吸って】
【長い吐息と共に木刀をその場に落とす事となる。最早拾うだけの気力も無くなる程に疲れたのか、落ちた木刀をそのままにフラフラとベンチに寄って】
【どっかりと腰を降ろせば項垂れるようにして身体を休める事だろう】


「つ、疲れたぁ…………。ううん、でも町の平和を守れるようになる為にはもっと頑張らなきゃっ!
本も読んで沢山研究したし、私だって何時かきっと自警団の人達みたく……!」

【一人呟いたのは所謂将来の夢。大方自警団だとかの正義の味方に憧れでも抱いて居るのだろう】
【――――とは言え、素振りを見れば太刀筋はずぶの素人同然であり何より鉄芯の木刀でも無い物を50回振って疲労困憊なのだから実力もたかが知れる】
【精々喧嘩でちょっと強い程度の実力者。自分だけでは現実を見る事が出来ないとは何とも悲しい事】

【何であれ街灯の下で行っていたのだから良くも悪くもその姿は目立っていた筈で】

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/29(水) 00:34:04.18 ID:f+uDu5I9o<> 【静寂がゆっくりと手を伸ばしつつある夜】
【町中の公園でさえも例外ではないのだがしかし今宵はそれも例外】
【響くのは息継ぎと空を裂く音、煌めくのは銀の輝き】

……っそ、っりゃあッ!!

【子供たちが遊ぶ遊具とは離れた芝生の上で刀は踊る】
【それは風音のように絶え間なく、時間にすれば凡そ3時間程延々と苦悶の声に耐えながらも続いていた】
【銀の刀を握る手は皮が潰れているからか赤い雫が溢れ緑をマーブル模様に鮮烈に上書きをする】

四方、一遍……――――――ッ!

【折れそうになる心を言霊で御する青年】
【伸びる白き髪もしかし今は赤い斑点に濡れて街灯に揺れる】
【微かな血の香の下で光る瞳は赤と紫白、車のライトのように影の下で妖しく蠢くよう】

【ただ己を叩き鍛える為に、剣である為に身を費やす】
【集中の先にある専心の域を目指すための舞いは傍から見たならば遠回しの自殺に見えるやもしれない】

…………ッ……まだ、足りない……!!

【弧月を描き切先は伸びる、一振り毎に刀の特性である「退魔」の気質が宙に舞う】
【微かな血の香りと厳かな退魔の気質、そのどちらかあるいは両方か「聡い者」ならば気が付くか】
【いっそ鬼気迫る演武に声を掛ける者はいるかどうかは先の話……】 <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 00:47:03.09 ID:9YcfFqFbo<> >>236

【できるだけ優しく、彼女は額をハンカチで押さえて血を止めようとする】
【擦りむいた膝も何とか拭いてあげようとするが生憎、治療できるようなものは持ちあわせて居ない】
【とにかくハンカチが汚れても、少女を汚さないように怪我をしているところを優しく抑えて】

大丈夫じゃないでしょ。いいから、任せて。
…親御さんは近くにいるの?呼んでくる?

【静かな口調だが少女のやせ我慢はバッサリと斬り捨てる。見るからに痛そうなんだから我慢なんて】
【子供がすることじゃない。彼女は親の所在を問うたが、直ぐに来れないのであれば彼女は少し考えて】

近くで私の知り合いがお店やってるから、そこで休みましょう?…心配しないで。私を信じて。
困っている人を見捨てるなんて出来ないの。無責任なことを私にさせないで。…ね?

【彼女の目はまっすぐだ。多分、知らない人についってちゃいけませんと教わっているはずだけれども】
【状況が状況だし、自分で言うのもなんだが彼女は悪い人には見えない。ただのビジネスウーマンだ】
【逆に頼み込むように彼女は説得する。意思は固い。そっと少女の頭をなでる】
【少しでも少女が頷けば、彼女は携帯電話を取り出し、そしたら直ぐにでも1人の板前姿の青年がやってきて】

貴方は荷物を拾ってあげたら、店に戻ってきて。

【そう指示したなら、しゃがむ向きを変えて少女におぶさる様に促す。細い肩に首に、うなじであったが】
【造作もなく軽々背負いあげると涼し気な影の落ちた路地にある、小さな小料理屋へ足を向けるだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 01:08:38.29 ID:dkvtEeLl0<> >>240

【「普段なら痛いものは痛いと言っていただろう。親に甘えたり泣きついたりもしただろう。でも】
【今は父親も母親もいないのだ。家族の最年長として、自分がしっかりせねばいけないのだ―――」】
【―――そんな子供らしからぬ気負いと責任感が、無理に痛みを我慢させていたらしい。】

……おかあさんは、入院中なの。おとうさんは、……――――
―――いまは、いないの。

……わかった。―――えへへ……お姉さんの目、おかあさんににてる。
きれいで、やさしい目。こまった人をほっとけない、って……おかあさんと、いっしょだね。

【―――親の事に触れられると、母親は入院中であると告げるが……父親の話で、一寸言葉に詰まる】
【何か、言いたくない事でもあるのだろうか。少し辛そうな寂しそうな表情を一瞬だけ見せて】
【結局、作り笑いと共に「今はいない」という言葉で誤魔化す。―――無理をしているのは、一目で分かるだろう】
【平気そうに取り繕うけれど、両親が共に家に居なくて、幼い少女が大丈夫な筈がない―――】

【……女性の言葉に頷いたのは、彼女が自分の母親に少し似ていたから、らしい】
【困った人を放っておけない人柄が、真っ直ぐな瞳が、自分の母に似ていると……そう言って笑う】
【初めて見せた、取り繕った作り笑いじゃない子供らしい笑顔。きっとこの笑顔の方が、この少女には似合っている】

【その後は、大人しく背負われる事だろう。不思議と、その背中の温かさに張りつめた心が安らぐ―――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2015/04/29(水) 01:12:21.45 ID:0CE0ycZq0<> >>237

………………笑うことなど……出来るものか…………

【ミドナの名前の由来を聞いたとき、ブラックは小さく呟いた】
【拒否を込めた手で包まれた掌、それを受けると指先が痺れたようにさえ感じた】

【笑うことなど出来ないという意味は、後で教えてくれるだろうか】
【一見似た境遇の彼女にブラックは昔を思い出していた、今でも忘れることはない記憶】
【彼も正装が汚れるのを気にしていないように ミドナの隣に話に聞き入るように座った】

【施設で育ったという共通点、動物園の熊かサーカスのグリズリーか、違いと言えばそんな所】
【一方は作業のように餌を与えられて育てられ、一方は芸を教え込まれて使われる、ただそれだけ】
【ふとブラックが口を開く、彼女の話を聞いたのなら 自分も話せるだけは話してあげよう、そんな半義務的なものだが、似た境遇なら親近感のある話にもなるはず】

………………私の名前、知っているでしょう……?
私もそれこそ下らない名前…………以前、私も施設の出身だと話したことはありましたな。
この名前…………即興のようなもので、何故かは忘れましたが 自分で考えた名なのです。

私こそ孤独、自己で呼び名を決め、他者との繋がりを作らぬまま過ごしてきたのです。
しかし…………避けていた筈なのにいつの間にか誰かと繋がってしまっていた、年を重ねると変わってしまっていた。
そう……貴女とも出会ってしまった、時間というのは思い通りに動いてくれないものだ。

…………私に逃げ道は用意されていない、しかし 貴女にはまだ時間は残っているのではありませんか……?
何も緋色の鷹でなくとも 別の静かな道に分岐することも………………

【自分の名前の由来も、名付けた理由さえも忘れてしまった彼、きっとそれはどうでもいいことだったのだろう、でなければ忘れるはずもなくて】
【幼なじみや友人どころか名付け親も必要なく生きてきた、なのに自然と繋がりは生まれていて】
【ミドナには時間がある、繋がりを治すのは十分可能だと教えようとしていた】

/すみません、眠気が限界に近づいてきたので凍結をお願いしたく……!
/明日も19時頃から空いていますので! <> ミドナ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/04/29(水) 01:18:00.52 ID:iRSCXstSo<> >>242
/了解しました! ただこちらは明日、もうちょっと遅い時間帯でないと居ない可能性があります……
/まだちょっとわからないですが、帰宅次第舞台裏の方でお呼びしますので! とりあえす、今日のところはお疲れさまでした〜! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/29(水) 01:19:22.43 ID:f+uDu5I9o<> >>238

【耳を澄ませたならばふと聞き慣れた音があった】
【空を断つ音、どこか鈍いながらもその本質を間違う事はない】
【鍛錬を終えた青年は届く音にふと足を止める】

(この時間に鍛錬なんて奇特なヤツもいるもんだ……)
(まあ、オレも人の事は言えないんだけど――――――――)

【努力を重ねる人の姿の、その邪魔にならないように遠くから見つめ誰へでもなく心の内で呟く】
【青年の掌には紅色の滲む包帯が巻かれ、吹いた風がちくりと触れて声を漏らす】

――――――――……よう、終わりか?

【痛みに耐え己の理想をひたむきに目指す姿】
【言うまでもなく自分は他人でしかないが、どこか心に響く物があり】
【ならばと鍛錬の合間を見て声を掛けてしまうのも仕方の無い事か】

【喩え素人であろうとも同じ「刃」という物を見出した同士として、放つ切先を持つ者として】
【色違いの双眼は確りと木の刃を見つめ、薄く笑みを浮かべて……】

/もしよろしければお付き合い願います! <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 01:33:52.80 ID:9YcfFqFbo<> >>241

【少女を背負いながら彼女の言葉に耳を傾ける。気遣いながらゆっくりと歩く】

…そう。私は、母にあったことが無いわ。父のこともほとんど覚えていない。
でも、私はそれでいいの。今はもっと大切な家族がいるから。

【淡々と静かに話す。けど冷たいわけじゃなくて例えるならば涼しいような雰囲気か】
【少女の気持ちを組んで何か気の利いたことを言おうと思ったがこんな話しか出てこなかった】
【親の居ない寂しさを長らく忘れていた。気の利かない口下手な自分を彼女は少し恥じた】

…そう。優しいなんて初めて言われたわ。

【今は少し優しいかもしれないが、普段は無口無表情無感情。それだけならまだしも目は基本】
【刀の刃の様に鋭くて、視線1つで斬りつけると世間の評判はもっぱらだ。だから、素直に嬉しかった】
【背負っているから少女からは見えないだろうけど、彼女は少しだけ笑った】

【白木の美しい格子の引き戸の開けると何席しか無い、小さな小料理屋。営業はまだだったが店主の】
【白髪で髭の割烹姿の男性が待っていた。礼儀正しく頭を下げて】

『お久しぶりです、お嬢。お役に立てて嬉しく思います。用意は揃っていますから、奥の座敷を使って下さい』

【そう言って奥の小上がりへ案内する。救急箱やら濡れたタオルやら、必要な物は全て揃っていた】
【彼女は少女を下ろせば、手際よく治療を始めるだろう。店主は気を使わせないようにその場からは離れる】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 01:40:15.40 ID:qZfzI51g0<> >>244
【――――学生服というその身形からして冒険者だとかでは無い。寧ろ、其れ等からは程遠くも思える人物】
【鍛錬にしては余りにも我流で有り、型も何も無し】
【どちらかというならば、子供が勇者だとかに憧れて木の棒を振り回す姿にも似て】


「本当にこんな事で強くなれるのかなぁ……でも、危ない所に行ったら邪魔になっちゃうだろうし…………
――――?少し休んでから――……わぁぁぁッッ?!」

【無論、気配を察知する事に長けている筈も無い。ベンチから転げ落ちるかの用に驚けば、そのままあたふたと逃げようとするのだが】
【……改めて見直してみたならば、人間。悪しき人物か否かは分からないが……少なくも、急に襲いかかる様な輩では無いと判断したのだろう】
【胸を撫で下ろし、心臓の鼓動を落ち着かせる様に呼吸を正したならば】


「――――もう少し休んでから、再開しようかなって思ってました
それより、と言うか何と言うか…………あのー…………其れは怪我、ですか?

まさか誰かと争って〜、何て事は……あははは…………無い、ですよね?」

【先ず視線が向けられるのは血の滲む包帯だ。鍛錬はするが、戦闘は基本的に関わらない】
【故に、掌から滲む様な血を見る事も少なく――――何処か臆したような声色】
【基本的には活発な性格なのだろう。慣れない敬語丁寧語を交えつつも第一に問うたのはその傷の訳】

【世間話よりも何よりも、先ず逃げるべきか否かと自問自答】
【その動揺は余りにも分かり易いでろあろうが――――】

/もしかすれば途中で切り上げ等々になってしまうかもしれませんが、宜しければ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/29(水) 01:51:45.92 ID:f+uDu5I9o<> >>246

生きていれば怪我のひとつでもするだろうさ……
と、格好良い事を言ってはいるけど……まあ、なんだお前と似たようなモンさ

【その型は我流、図らずとも自分と同じ闇雲に見出した物】
【だからこそ感じ入る物があり、狼狽える少女に落ち着けとばかりに宥めて】

ご生憎様、剣を振るう相手くらいは心得てる
期待に添えないようで申し訳ないけど少なくとも敵ではないからそう怯えるな

しかし夜に鍛錬なんて良い趣味だな……我流か、お前?

【視線の向く先の掌をぷらぷらと揺らす、その中に今は刃は無い】
【己に課した鍛錬を終えた後、というのは少女とて十分に理解出来るだろう】

/ではよろしくお願いします! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 01:59:30.01 ID:dkvtEeLl0<> >>245

……それじゃあ、お姉さんはわたしといっしょだね。
―――わたしも、ほんとの≠ィ母さんとお父さんのこと、おぼえてないから……
でも、今の家族がいちばんすきだよ。おかあさんも、おとうさんも、みんな大切なわたしの家族なの。
えへへ……さっきはおかあさんといっしょだったけど、こんどはわたしといっしょだね。

【涼やかな彼女の声とは対照的に、少女の声は明るく無邪気で温かみのある印象だろうか。】
【その持ち前の明るさで、自分と一緒だと告げる。―――曰く、本当の両親は覚えていないらしい】
【……どうやらこの少女、天真爛漫な見た目とは裏腹に複雑な事情を抱えているようだ。】

【でも、そんな複雑な境遇を抱えながらも明るさは失っていないらしい。】
【共通点を見つけたからだろうか、少女は女性に懐いているようだ。……一方的かもしれないけれど】
【母親とも似ていて、自分ともちょっぴり似ている。そんな女性の事に親しみを感じたらしい】

【切った張ったの世界ではきっと向けられることは無かったであろう、親しげで明るい感情】
【少女の純粋な好意に触れて、彼女は何を思うだろうか―――】


【親に連れられて外食に行った事はあったが、小料理屋なんてのは初めて】
【背負われたまま店内に連れられれば、少女は物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回す事だろう】
【女性は、お嬢≠ニ呼ばれていた。「えらい人なのかなぁ……」なんて少女は思ってみたり】

【やがて連れられるがままにお嬢≠ネんて呼ばれた彼女と共に奥へと入れば】
【特に騒ぎ立てる事も無く治療を受ける事だろう。途中、傷口が沁みて顔を歪ませるなんて一幕もあったけれど―――】

【治療を終えれば、「えっと……、ありがとう、ございました」と、ちゃんとお礼も言うのも忘れない】
【……さて。治療も終えた所で、これからどうするのだろう?】

//すみません、予め申し上げていた通りそろそろ落ちなければならず……凍結お願いします!
//持ち越しなら、いつ再開にしましょうか?私は明日も大丈夫ですが…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 02:11:02.18 ID:qZfzI51g0<> >>247
「ま、まあ……そうなんだろうけど…………」

【害意が無い、と知れば取り敢えずは落ち着く事か】
【鍛錬を積んだ者が強い訳では無い。況してや、少女の様に実戦経験も薄く闇雲に鍛えているとなれば尚の事】
【――――木刀を拾い上げ、訝しむ様な視線を消す事無く向き直り】


「朝から夕方まではガッコーがあるし…………先生や風紀の人に見つかったら大変だから――――
が、我流なんてそんな格好いいモノじゃ無い!ですよ!

えっと……剣とかよく分からないですけど、見よう見まねで振ってたら私も強くなれるかなあ、って
ほら、最近はカノッサだけで無く色々な事件が多いじゃ無いですか
自分で自分の身を守れれば良いな―、って言うのと……それから…………自警団の人達みたく、格好良く人助けをしてみたいななんて……」

【学生とは中々に大変なもの。確かに女生徒が一人でブンブンと振っていれば問題視される可能性もあろう】
【「本当は寮に住んでいるんですけど、こっそり抜け出して……」誰に悪びれる訳でも無いのだが、舌先をちょろりと出しつつ肩を竦め】

【話を聞けば夢見る少女。強さに憧れる――のでは無く、正義の味方にでも憧れているのだろう】
【強さとは、飽くまで其れに必要なモノ。最も、自身の考えた適当な鍛錬では非効率的である事に変わりは在るまい】
【其れを自覚しているのか、溜息を吐くのだが】


「――――そーいえば、オニーさんも戦ったりするんですか?
悪い人達とか、魔獣とか…………もしそうなら、オニーさんのお話しを少し聞かせて貰っても……?
いえ、是非聞かせて下さい!後輩を育てる為だと思って!ねっ、ねっ!」

【ふ、と視線を上げれば。適任かどうかはまだ分からないが、丁度良く話を聞ける相手が居る】
【目をキラキラと輝かせたならば躙り寄るのだけれど――――其処に、先程までの警戒だとかは無い】
【有無を言わさず話させる。まるで、そんな意思が読み取れて】 <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 02:16:50.50 ID:9YcfFqFbo<> >>248
/明日は私も夕方以降ならば居りますのでその頃再開ということで!
/取り敢えずレスをしておきますので今日の所はお休み下さいませ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 02:20:00.65 ID:dkvtEeLl0<> >>250
//了解です、ではまた19〜20時ごろに参りますね!それでは一旦お疲れ様でした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/29(水) 02:36:44.87 ID:f+uDu5I9o<> >>249

学生は勉強しとけ……と言いたいけど所詮同じ穴のムジナだしな
偉そうになんか言えやしねーし……まあ、なんだろう目立たないように上手く頑張れ、うん

【少女と青年、紆余曲折が互いにあれど始まりの点は同じ】
【我が儘にただ愚直に剣を振る、その姿……―――――――】
【これで建設的な言葉でも与えられたならばいいのだが、愚直とはつまりは言葉のままの意味】
【頬を指先で撫でなんともふんわりとした励ましかどうかさえ怪しい言葉を零し】

お前……あんまり頭良くないだろ、いや勉学の成績とかは別として……

いいか憧れを持ち過ぎるのも悪だぜ、悪いが戦いなんて野蛮な手段に格好良い事なんて無い、所詮は命の削り合いだ
明日とも知れぬ命を糧にして続ける賭けみたいなモン……いつか手元に残るのは無残な自分の姿だけ

【夢見る少女に現実で戦う青年の言葉は辛辣だ】
【霞にも似た物を求め走った先にある崖から落ちた時に気が付いてはもう遅い】
【やれやれと溜息ばかりに零す……が、しかし】

【番えられた矢がただ一言で折れる理由もないのも事実】

……最近は獣か、どこぞの森で可怪しくなっちまた犬ともしれない獣を倒した
後は遺跡に潜ったり……死に掛けたり、戦場に出向いたり……死に掛けたり……

【期待に沿うように言葉を選ぶがどれも歯切れが悪い】
【安易な発言をして結果少女の命を無意味に費やす、そんな可能性が無いともいえない】
【息吹いた芽だからこそ、そこに与えるべき物は慎重に選ばなければならない……】
【しかし青年とて未熟の身、何をどう伝えるべきかを思考し悩み首を傾げる】

要するに、身の丈に合わない事をしようとするとだな……
喩えばお前が急に戦場に向かうなんて事をすると十中八九、つーか100パーお亡くなりになる
なんで憧れを持つなとは言わねーけど自分の命を守れるライン位は自分で理解しとけよな……ってコレでいいのかオレは……?

【身振り手振りというのは様にならないがそれだけ一生懸命という事】
【気持ちばかりが先行してしまうのはきっと少女に危うさを感じたから、そしてその危うさは自分も持っているから】
【そっと少女の瞳を覗きこむ瞳はやはりというか先達の癖にどこか不安を含んでいたという】 <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 02:43:49.20 ID:9YcfFqFbo<> >>248

そうね。…一緒ね。

【少女の明るい声を聞きながら、少し考えていた。自分がこれぐらいの頃は】
【一体、どんな風だったかと。こんなに笑顔で立派にやっていただろうか、色んな】
【悩みが吹っ切れたのは17,8の頃だ。ずっとひたすらに刀ばかり振っていた―――】

【それでも少女と同じように不幸せだったわけではない。今も十分に幸せだ。この娘もそうで】
【あってほしいと思う。純粋に優しい気持ちになれたのは久しぶりだ。それは職業が関係してる】

【丁寧に手際よく治療をする。何度もしつこいぐらいに「痛くない?」だとか「大丈夫」とか言って】
【治療を終わらせる。少女の頭をまた1つ撫でて、微笑んで】

はい。どういたしまして。挨拶もできて、立派よ。

【とすれば、調度良いタイミングで店主が戻ってくる。手には少女の落とした荷物があって】

『ウチの若いのが持ってきました。…片付けはあしに任せて、どうぞ休んでって下さい』

ありがとうございます。…奥様はお元気?

『ええ…元気すぎるぐらいで。…会長もお変わりないようで、噂はかねがね』

ええ、元気すぎるぐらいです。

【丁寧な塗りのお盆にはグラスのアイスコーヒーとジュースが乗っていた。店主は救急箱何かを片付ける】
【店主が下がると、彼女は一口コーヒーを飲んでから急に思い出したように】

そう言えば名前を伺ってなかったわね。私は霧崎舞衣、よろしくね。
…後でお家か、何処かまでクルマで送って差し上げるから心配しないで。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 02:58:42.53 ID:qZfzI51g0<> >>252
「失礼しちゃうなぁ、もう。私はこう見えても中々に優秀なんだよ?
遺跡についての授業だって、こっそりその道のプロの人に教えて貰って学校で一番なんだからね!
後は魔術もすこーしだけなら扱えるし、運動だって得意だし…………その他のはからっきしだけど……」

【頭良くない、との言葉に対しては頬を膨らませて反論する事だろう】
【――――だが。言葉を聞き取ってみれば、謂わば好きな教科だけ点数を取れるタイプの人間】
【まあ、言ってしまえば興味外の教科は軒並み低空飛行】

【一点特化型の人間と考えれば将来それなりの冒険者とはなろうが――――今は、学生だ】


「――――……でも、生かす為に殺しちゃうのと自分だけの為に殺しちゃうのだと全然違うと私は思う!
だって、悪い人から弱い人達を守るのは当然の事だよ!話し合いなんかで解決出来ないのはもう今までの事で分かりきってるしさ!
殺さないに越した事は無いだろうし、私だって――…………

それに、今まで救った人達だって残るよ。絶対――――」

【殺すのは仕方ない事だ。何であれ、殆どの生物は他者を殺して生き長らえているのだから】
【だけれども、人間はどうだろう。力が有る事を良い事に不必要に命を奪い――ならば、それに対抗する力だって在るべきだ】
【それが少女の言う正義なのだろう。意味も無く刈り取られる命を守る事が】

【青年の話を聞いたならば、より一層目を輝かせるであろう】
【ただ良い事ばかりを語らないのがリアルにも思える。変に良い事尽くしだと教えたならば、子供扱いされているとでも怒ってそっぽを向いたのだろうが】


「勿論分かってるよ!でも、成長するためには少し背伸びしないといけないって先生達が言ってたよ!
弱い魔物とかなら私だって倒した事はあるんだけど…………でも、やっぱり魔物と人とじゃ違うし…………

でも、さっきの話を聞く限りオニーさんも沢山戦ってる感じかな?
うーん……自警団の人とか、SCARLETの人とかでも無い様に見えるけど…………?」

【年頃だ。気持ちが先走り無茶をする事は確かに多いであろう】
【――――或いは、既に何回か経験しているのか。弱い魔物、の程度は知らずとも僅かには戦闘経験もある様で】

【ふと、気付いた様に視線を返したならば。何故、青年が多くの戦闘を経験したのかと】
【殺戮者にも見えない。同時に機関の者や自警団の者にも】
【――ならば、何故。何の為に闘っているのかと言葉に加えて】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/29(水) 03:25:38.69 ID:f+uDu5I9o<> >>254

(ああ……なんだろうコイツ……)

【一点特化型、恐らく青年が学生だったらば少女と同じような成績になる】
【要するに自分が好きな物に関しては良い点数、それ以外はまあなんというか……】

生殺与奪にしてもオレは未だひよっ子だから多くは語れねーさ……
つーか人間個人個人にそれぞれ答えがあるからなんともいえねーかなあ

【自分の心は自分だけの物、誰一人として侵せはしない絶対の領域】
【ならばそこに寄り添う答えさえも同じ事、苦心し痛みに悩み嗚咽を撒き散らしながら導き出すべき物】
【現に少女の言葉は間違いではないのだから】

墓場漁りないし退魔師ないし冒険者ないし傭兵……要するに武力を売る人間ってトコ
性分かな、どうにも一つの所に縛られるのが苦手でね、組織に属さず好き勝手やってる……
そんなヤツが何の為にと聞かれたならばそりゃ結局は自分の為でしかない、自分の意地を通す為ただそれだけ

とは言うけどな、余計な力を持って増長してる連中が目障りってのもあるけどね……

【剣はただ剣として在れば良い、そこに多くを語る事は無い】
【ただそれでは少女は納得しないだろうから差し当たってありのままを伝えてみる】
【浮かぶ瞳に熱も冷たさも無い、ただ平常なままの自然体は先に進もうという熱量を持つ少女にどう映るのか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 03:42:11.22 ID:qZfzI51g0<> >>255
「ふうん……じゃあ、フリーター?」

【青年の言葉をただ“フリーター”の五文字に収めてしまい】
【せめてまた別な言い方をすれば良いモノを、ただ思った事を口にするのだから】
【表裏の無い性格なのか、やはりただの馬鹿なのか――――恐らくは、そのどちらもだが】


「もっとこう、代々伝わる何々の為〜とかすっごいのがあると思ってたんだけど…………
こう聞いてみると、意外とそんな深い理由も無かったりするのかな……」

【戦闘とは命のやり取りであり、ならば其れを行うに相応しい信念を抱いて居るとでも思って居たのだろう】
【――――だから、思っていた事と異なる答えが返って来たならば小難しい表情を浮かべて見せ】
【正解など無い事は分かっている。だが、“正義”を目指す自分からすれば…………】


「やっぱり難しいなぁ……悪い人なら自分の欲求を満たすためだー!とか何とか、気持ちいい位に言ってくれそうだし
良い人なら、人を守る為だー!とか言いそうだけど
……オニーさんのは、私にはまだ分からないや。その内分かる様になれば良いんだけど」

【他者の考えが理解出来ない訳では無いのだが――――理解しがたいものもある】
【青年の其れとて、その内の一つ。その内分かる様になれば何て言葉は結局は希望であり】
【歩む道も異なれば考えとて変わる事。小首を捻って自分なりに解釈しようとは試みるけれど、やはり現段階では叶わず】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/29(水) 03:59:07.12 ID:f+uDu5I9o<> >>256

間違ってないが何かムカツクなオイ……

【少女の言葉に貶めるような意味はないのだろう】
【だがそこもそこでなんとなし、天然で言われているからこそちょっとだけムッとなって】

そうそう所詮はそんなモンだよ少なくともオレにとってはな
ただ闘う力があるからそれを生業にして、んでもってせめてまともな方に使いたいからってだけ
ちゃちな正義心と嗤うも善し、そもそもそこまで胸を張って「正しい事してます!」なんざ恥ずかしくてなあ……

【青年は最初に力があり、次にそれに寄り添う心がある】
【しかし少女は最初に心があり、それを正しいモノとする為に力を求める】
【違いがあるとするならばその一点、紙一重とは云うもののそれは捻れの位置と言えなくも無い】

お前の答えはお前のモノ、別にオレが何をどう思って戦ってるかなんか気にする必要は一切ない
好きなように生きて好きなように[ピーーー]ばいい、好きなようにしたいからこそその為の力として刀を握ってるんじゃないのかお前は

……しかしなあ、似てるとは思ったけど何処と無くどこかがズレているっていうのはあるもんなんだな
惜しむらくは剣の技量が未発達って所だが……そうだな、折角だ剣を学びたいか?
お前には直向きさがある、それが実を宿せば……存外面白くなりそうだろう、無論オレも我流だが戦場流儀は知ってるぜ

【似ているようで似ていない青年と少女】
【ならば同じ技量を宿した時に戦ったならばどちらが勝つのだろうか】
【単純な好奇心と、少女の内に燻る熱さに寄せられて慣れもしない事を口にする彼の】
【その瞳は何処と無く空に浮かぶ月のように鋭くもあり柔らかくもあったという】

/と、時間も時間ですのでこのあたりで一度切り上げさせていただいてもよろしいでしょうか?
/当方明日でしたら18時からおりますので! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 04:04:35.32 ID:qZfzI51g0<> >>257
/了解であります!ただ、恐らくはこちらは午後の11時半辺りから漸く再開可能となるかなと……
/もし時間的に厳しければ次の此方のレスで〆るか、或いは置きレス移動できると幸いであります!
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2015/04/29(水) 04:40:30.17 ID:BKVlgC2lO<> >>258
/当方何時でもお待ちいたしますのでおきになさらず
/置きスレでも何でも如何様にでも対応出来ますので! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 11:30:30.86 ID:PADq8gquo<> 【ドラクレア島】

【水の国の転移ゲートから容易に訪問可能なこの島でも】
【恐らくは最も目立つ建造物。ATLASという、逆さまの塔の根元部分】
【入り口にあたる箇所に、一人の男が居た。白いYシャツとジーンズのラフな格好で】
【手にしているのはスケッチブックか。塔により掛かるように座って、空を眺め】

伝説の海魔レヴィアタン……空飛ぶ大きなクジラって感じだね。
あんな生き物が存在してるっていうのも驚きだけど
それを使役していた人物が居たのも中々……前任者のお友達だったかな?

んー……上からのアングルが欲しいな。背中を見てみたい。

【――塔の周囲を回遊する、巨大なクジラのような魔物が存在する】
【名はレヴィアタン。全長2kmほどもある、この塔の守護者であり】

【男はその海魔をスケッチしているようだった。そして、アングルが足りないと呟くと】
【塔の内部につながる扉へと手を掛ける。出入口はどうやらこれだけらしく】
【上層部では時折爆音が轟きすらしているものの、男は気にする様子もなく、平然とドアノブをひねり――。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 11:37:02.43 ID:dkvtEeLl0<> >>253

ううん、大丈夫。―――ふふっ、やっぱりお姉さんっておかあさんみたいだね。

【お姉さん≠ヘ何度も何度も少女に気を遣って、話しかけてくれた。「痛くない?」「大丈夫」って―――】
【―――そういえば、いつか公園で転んだ時も、母親がこうやって心配しながら優しく手当をしてくれたっけ。】
【同じように、何度も痛くないかと訊きながら……。―――ああ、やっぱりこの人はおかあさん≠ノ似てる】

【その心遣いに彼女の優しさが垣間見えて、少女は彼女に優しい母親の姿を重ねていた】
【治療が終わってちゃんとお礼も言えば、おかあさん≠ニ同じように頭を撫でて褒めてくれて……】
【……撫でられる手の暖かさに、少女は心地良さそうに微笑む。――それはきっと、母親に撫でられた時と同じ顔】
【すっかり彼女に懐いた少女の顔に、もう無理をしたような作り笑いは無い―――これが、きっと少女の自然体なのだろう】

【さて。店主が少女の荷物と飲み物を手に戻ってくれば、少し言葉を交わして下がっていく】
【頼んでいた訳では無いけれど、きっと気を利かせて持ってきてくれたのだろう。あとで、ちゃんとお礼を言わないと……】

【ジュースを飲んでいると、彼女は思い出したように自己紹介をする。】
【……そういえば、こんなにお世話になっているのに互いの名前すらまだ知らなかった。】
【勿論少女も笑顔で名乗り返す。こんなに親切で自分に優しくしてくれる人に、名前すら教えないなんて失礼だもの】

えっと、わたしはティアっていうの。えへへ……よろしく、おねがいします!
あ、そうだ!あのね……舞衣さんって、よんでいい?

【―――と、自己紹介も終えた所で少女のお腹がぐぅと鳴る。一人で買い物を頑張っていたせいで、お腹が空いたらしい】
【我慢強い少女は何も言わないけれど―――きっと優しい舞衣さん≠ヘ聞き逃さないのだろう】
【折しも此処は小料理屋。食事をしながら少女の事をいろいろ訊くのも悪くないのではないだろうか―――】

//お返ししておきます! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 11:58:55.17 ID:Nj0p9XIVO<> >>260


 ──────おい待て、そこの暇人

 暇つぶしをするなら、俺も付き合ってやろう


【扉に手をかける彼を、男の声が制止に入った】
【後ろを振り返ればそこに居たのは赤黒い外套に身を包んだ長身の魔術師。東洋人の風貌を持つ三十代程度の男だった】
【左腕にはやや大きく古い書物を抱えていた】


 まさか島内探検の最中にお前と出くわすとはな……ここは、お前の庭なのではなかったのか?


【意外な遭遇に皮肉ったような笑みを浮かべ、同じような言葉を向ける】
【なお、暇人なのはお互い様のようである】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 11:59:40.97 ID:JGbKi+G5O<> >>260
//まだいますでしょうか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 12:00:37.77 ID:JGbKi+G5O<> //しかし先客がいらっしゃいましたか……引きます、ごめんなさい <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 12:07:35.14 ID:PADq8gquo<> >>262

――暇人とは酷いなぁ、ボクだって仕事はしてるつもりだよ?
もっとも、ご同僚が優秀だから仕事の量は少ないけどさ。

【扉にかけた手が止まる。ふと振り返れば、その表情は微笑み。】
【ジャングルならではの蒸し暑さも気にしないような、涼やかな顔付きで】
【男の手にした書物に目を向けるものの、咎めることなく向き直り】

庭ってほどじゃないさ。特に、記憶が具現化した所はね。
なにせ内部の状態は人によって変わることもあるんだからさ
ゼン=カイマなんか、あのお爺ちゃんが入ったりすると……あぁ、いや……。

……ところで、キミも暇なんだろう?
だったら一緒に登ろうよ。この塔の一番上まで、ボクと一緒に。

【そう言って扉を開いてみせる。エントランスなのか、黄色を基調とした狭い部屋があり】
【奥にはエレベーターが二つあって、片方は中層まで】
【そしてもう一方は上層まで通じている様子だった。階段のたぐいは見受けられなかった。】


>>263-264
/申し訳ない、又の機会がありましたら是非とも! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 12:15:29.33 ID:Nj0p9XIVO<> >>265

ふん、ベクターか……
あの怪物が真にどの程度のものか、一度戦ってみたいもんだがな

【地の国の首都を崩壊させたその男の名は、この魔術師でさえも知っていた】
【もちろん、正義故の対抗心など持ち合わせておらず、純粋な好奇心だけを向けているわけだが】

昔のゼン=カイマか……そんなに興味ねえな。あんまり宗教は好きじゃない
あのジジイがガキの頃とかなら興味あるがな

……ほう、六罪王のガイドつきの探検か。娼婦どもに自慢できそうだな
いいぞ、付き合ってやる

【随分と偉そうに応対すると開いた扉の中へと入っていく】
【周囲を適当に見回して、エレベーターの前で一旦止まった】

どうせ探検するなら、細かく見て回った方が面白いだろうな

【そう言って中層行きのものに乗り込む】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 12:26:18.85 ID:PADq8gquo<> >>266

あんな化け物と戦ってみたいなんて、奇特な人だね?
ボクは話をするのだってゴメンだよ。握手したら手を折られそうだ
それに、他の六罪王共も完結させてやるなんて言われたら……

【クスリと笑いながら『怖いよね』と言うのは、あながち冗談にも聞こえない】
【純粋に恐れているわけではない様子だったが――ともかく】

【アインが中層行きのエレベーターに乗れば、自身も後に続く】
【内部は狭いように見えて、いざ乗ってみると15人は乗れそうな程で】
【おそらくは魔術で空間を拡げてあるのだろう。高度な技術が垣間見える】



さあ、それじゃあかつての六罪王が仕切った城の探検ツアーを始めようか。
まずは行ける所までこれで行って……あぁ、伝え忘れてたけど

……ボクはここに入るの、初めてだから。
この塔に関しては機関が建てたものじゃないからまともな資料もなくてさ

【あっけらかんとそう告げながらボタンを押す。柵が締まり、グン、と鉄の箱は動き出す】
【しばらくすると外部の風景が前後左右に広がり、その高度は増していって】
【数分と経たずに目的地へ。チリン、と鈴の音がして柵が開くと】

【――到着地点は、広い書斎。横20m、縦にも10mはあろうかという本棚に加え】
【豪奢なデスクや家具が整然と置かれた、恐らくは主人用の部屋だろう】

【ただし今は誰もおらず、髪や調度品が床に散らばって、荒れていて】
【もう少し上層からは時たま大きな音が聞こえてくる。窓から外を見れば】
【そこは既に空気も薄く思えるほどの高所。強い風が隙間から吹き入れていた】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 12:35:18.95 ID:Nj0p9XIVO<> >>267

【エレベーターの中が広げられるのが分かると「ほう」と感嘆の声をあげる】
【魔術師の性か、ただ空間が広がってるだけだがそれを興味深そうに見ていたが】

 って、初めてかよ!
 それじゃガイドにならねえじゃねえか……

【ダグラスのちょっとした告白に軽く肩を落とした】

【広い書斎に到着し、エレベーターから出てまた周囲を見渡すと】

 おぉ……!
 こりゃあすごい。これだけの広さに本棚があれば、いくらでも本が入りそうだな!

【感嘆の声をまたあげて、子供っぽく目を輝かせていた】
【左腕に抱えていた本を外套の中にしまい込むと一番近くの本棚に駆け寄って何があるかと漁りだす】

 ……うん?
 ここって塔の中だろう? なんだってこんな立派な書斎があるんだ?

【目の前の光景のせいで疑問が吹っ飛んでいったが、冷静になってみると妙だった】
【ダグラスの方に向き直りつつ、アインは訪ねた】 <> リーべ・上 ロゼッタ・下
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/29(水) 12:42:47.09 ID:JwQFKa3DO<>  【街中──オープンカフェ】

【休日の昼間。道路に面したこのカフェは程よく混んでいた】
【何せ天気は晴れ。かつ暖かい。仕事や家庭のことを忘れ休日を楽しむには丁度よい1日なのだ】
【カフェの注文はほぼセルフ方式。皆がカウンターに置かれているパンや甘味などを思い思いに取り、適当な席に座っていく】
【──外におかれた席に座っている少女もまた、休日を楽しんでいる1人なのだろう】


んんっ……天気もいいし食事もうまい! 病院食も悪くなかったが、こういうところに慣れると粗末に見えたな
ふふん、地の国では偉い目にあったが、今日くらいは忘れておくか……
セリーナはまた行方不明だしベクターのことは今考えたくないし他の六罪王は何してるのかわっかんないしな!
あー、今日も平和今日も平和! 平和ってことにしたいぞ!


【少女はそんな独り言をいって、食事を楽しんでいた】
【夜色の髪に夜色の瞳をした、18歳くらいの少女だ】
【テーブルには携帯端末が置かれており、その画面上には様々なニュースが写し出されている】
【やれ今日のワンちゃんだとか、やれどこぞのアイドルが、とかその類いのものばかり】
【幸いにも彼女の入院中に大きな事件はなかった──火の国のクーデターがあったが、そもそもあれは本来彼女が無視するタイプの事件だった】
【「今日も平和だなー。」 そう言って、彼女はパンを一口、かじる】



 【広場──朝市】

【この広場では毎日朝から昼を少し過ぎたあたりまでやっている市場がある】
【魚や肉類、果物に野菜といった日々の暮らしに必要不可欠な食品から】
【果ては鍋や刃物、或いは絵描きが絵を売っていたりと「何でも揃う」ことで近隣では少し名の知れた市場である】

【営業時間終了までもうじきといった時間。そこで、1人の女が買い物をしていた】
【ありふれたジーンズに黒いシャツを着た、背の高い女だった】
【──どこかの勤め人という風でも、主婦という風でもない。どちらかというと、夜の世界の人種だろう】
【太陽が真上まで昇りきっている時間。真っ当な人間ならランチでもとっている頃合いなのだが】
【買い物をしている女は、ひどく眠そうな表情を浮かべているのだ。まるでさっき起きた、と言わんばかりに】
【紅い目は半開き。普段は整えられているであろう黒い髪も、軽く櫛を透した程度だ】


……おまけしてくれる? あぁ、そう、ありがとう
どうせなら客の1人でも紹介────はぁ?
ったく……あんたは出すだけ出して金払い最ッッ悪じゃない
リンゴはお代にはならないの……その腐ったカボチャ頭によく叩き込んでおくことね


【リンゴを2つに、パンにミルク。女はそれだけを買っていった】
【店主の軽口に罵詈雑言を叩き込む。元から悪かった機嫌は今の会話で更に悪くなってしまった】
【──ふらり、と女は市場を後にする。眠いせいか、注意散漫かつ、足取りも不安定】
【いくら人は少なくなってきているとはいえ……誰かとぶつかってしまうかもしれない】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 12:46:21.84 ID:PADq8gquo<> >>268

そりゃあ、ねえ?だって此処の六罪王、機関を傘下に収めた上で
魔界を征服しようとしてたっていうんだから。
地震を素の力で起こしちゃうベクター並に、ボクは怖いと思うわけでさ

【肩を落とした彼に比べて、ダグラスはと云えば肩をすくめてみせ】

【本棚には様々な書物が収められていた。純粋に名作、と呼ばれる詩集や小説】
【初級から研究書に至るまでの多彩な魔術の教本。帯も背もページも白い辞典】
【意外にも子供向けの絵本すら置いてある。かと思えば、砂漠の民の記したサバイバルブックがあり】

【とにかく、その蔵書は多彩だった。所有者はよほど知識に飢えていたのだろう】
【見たところ結界も無い。持って行くことも不可能では無さそうで】

立派な書斎があるってことは、誰かが此処で暮らしていたんじゃない?
それこそ、例の六罪王とか……ほら、紅茶も淹れてあるし。
あくまで要塞や儀式の場じゃなくて、居城……根城だったんじゃないかな

【窓際のテーブルに置かれた紅茶のセットは、まだ湯気が立っている】
【いくつかのカップは割れていたが、無事なものを取り出すと】
【ダグラスは平然とその紅茶を注いで、砂糖を足してから一口飲み】

【――部屋には他に目立つものは無い。だが、大型の潜水服のような物が片隅に転がっており】
【あるいは扉も二つあった。一つは恐らく外――塔の外郭に出るものらしく】
【もう一つは奥まった場所にあるから、寝所につながるのだろうか。】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 12:57:19.99 ID:Nj0p9XIVO<> >>270

【大量にある様々な書物に魔術師は興奮を隠せない様子だった】
【本を手に取れば「なんだこれは」と呟いたり、また別のを見れば「これは!」と叫んでみたり】
【知識に貪欲だという点においては、この部屋の主とアインは同じであるようだった】

 ははっ! いいじゃねえか!
 六罪王なんて派手な名前なんだ、でかい事件起こすか、でなけりゃこういうバカでかい拠点でもなけりゃあな!
 それに比べてなんだお前は。もっとこう……なんだ、かっこいいことしろよな

【見聞きしたことのない六罪王の趣味に大喜びしつつ、目の前にいる六罪王には批判的な目を向ける】
【派手好きのアインとしては、ダグラスは地味なのである】

 さぁて、どんなやつが住んでたのかなんとなくは予想がつくが
 寝床でも見れば確定するだろうな

【ある程度書物を漁った後は、部屋の奥へと進み出す。寝所の方だ】 <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 13:00:52.56 ID:h9vZXTlB0<>
【水の国】
【昼下がりの人通りの多い広場を、小さな子供がひとり歩いていた】
【ふわふわとした柔らかそうな金髪に、透き通るように白い肌が特徴的な少女はどこか人形を連想させる】
【そんな年端もいかぬ少女は両手に大きな兎のぬいぐるみと、赤いプラスチック製のバケツを持ち歩いているようだ】
【…見るからに少女が持つ荷物にしては多すぎる】
【その足取りもふらついていて危なっかしかったのだが――、】

「む、…おもい……。」

【ドンッ】

「……!? 」

【と、不意に背後から襲い掛かる衝撃】
【思いがけない出来事に対処のできない少女の細い足はカックリとバランスを崩し、前のめりに倒れてしまう】
【持っていたバケツから沢山の色とりどりの硝子玉が溢れて、周辺の石畳にバラバラと散らばっていった】
<> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 13:05:02.17 ID:Nj0p9XIVO<> >>270
//次10分前後遅れます、すいません! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 13:10:41.19 ID:PADq8gquo<> >>271

いやだなぁ、どこかの神様が七つの大罪にも"怠惰"って、有るじゃないか
ボクはそれでいいのさ。全員がベクターに右ならえじゃ面白くないだろう?
……それに、前準備はしてるんだ。詳しくはまだ秘密だけどね。

【批判的な目線にも、ダグラスは笑って応えてみせる】
【実際、六罪王と言われても覇気がない。紅茶を嗜む姿は良いところの御曹司にも似る】
【――が、底が知れないという見方もできた。そこは個人の解釈次第であり】


【足を寝所に向けて扉を開けたなら――それは、予想と同じか。異なるだろうか】
【クローゼットや小さな本棚、円鏡の付いた化粧台はともかくとして――】

【目につくのは3つ。まず天蓋付きの、大きなベッドが部屋を占有していた】
【その色合いは全体的にピンクが多く、レースやフリルも目立つ作り】
【少女趣味――或いは、高級娼館のそれに似ていた。そして、シーツには血が散っていて】

【第二に目につくのは、そのベッドの下。乾いた男の手がはみ出していた】
【生きているとは思えない。ゴミの処理を面倒がってそこに押し入れたかのようであり】

【そして最後。これは武器というべきなのか、赤熱した鉄の棒の様なアイテムが転がっていた】
【強い火の魔翌力を秘めているらしい。しかし、安易に触れて良いものか】
【というのも、魔翌力の性質が活火山≠ノ近いのだ。下手に扱えば、どうなるかの保証は出来なかった】

【――それから、これは部屋に入った瞬間に気付くことであろうが】
【室内に篭った匂い、香り。甘く蠱惑的で、頭がクラクラするようなそれは】
【何か、魔性の存在が長く居座ったようで。ダグラスは平然としているが、恍惚に包まれそうな芳香だった。】


>>273
/了解です!どうぞ焦らず、ごゆっくり! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 13:29:48.64 ID:Nj0p9XIVO<> >>274

【部屋に入った瞬間、立ちくらみがしたかのようにアインの上半身が揺らいだ】

……な、なんだ? 何か、居たのか

【舌がもつれる。頭にモヤがかかったようになり、今いち思考がまとまらない】
【五秒かそこら、短い時間が経ってから、アインの全身から魔力が放出された。同時に彼は自分自身に対して精神魔術を発動】
【魔力により外部の魔力を遮断しつつ、自分の精神を魔術で調節するという、強引な防衛策だった】

【それからアインは軽く頭を振る。息をつくと、様子が元に戻ったようだった】

精神系はそう得意じゃないんだがな……
お前、よく平気だな?

【ダグラスに声をかけつつ、アインは寝所を見回し始めた】
【クローゼット、本棚、ベッド、ピンクにフリル、化粧台────】

──────女かよ!!

【思わずアインは叫んだ。書斎の様子から勝手に男だと予想していたのだ】

あーあーあー……これはこれで、だいたいどんな人間が予想がつくな
美女のフリしたババアかねぇ……俺も人のこと言えねえが

【ベッドの下からはみ出る男の手を足で軽く蹴り飛ばして、どこか微妙な顔をしてアインはため息をついた】

なんかよく分かんねえ怪しげな武器もあるしよ
いやしかし、六罪王で魔術師、か、これは?
ますます興味が湧いた。まず間違いなく俺よりも強力な魔術師だろう
今こいつはどうしてるんだ、ダグラス?

【書斎から予想される知識量。塔を根城にできるという事実から、魔術師は素直にこの場所の主を自身より上だと判断した】
【興味が出た、と呟くアインに微かな緊張感が現れていた。かの人外の大司教を前にしたときのように】

//お待たせしました!
//全部拾ったら長くなっちまったよHAHAHA! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 13:45:08.44 ID:PADq8gquo<> >>275

……? 平気って、この部屋の匂いのこと?
いや、特に何も……香水の匂いかな。気にはなったけどさ。

【気を強く持てば落ちるほどの芳香ではない。だが、ダグラスはといえば】
【そもそもそれを気にしても、術にかかっているような素振りもなく】
【その後にアインが叫べば子供のように笑ってみせるくらいな様相で】

【蹴飛ばされた手は、大きなベッドの下に消える】
【中で他の何かにぶつかったのか、鈍い音が聞こえるだけで】

今は……多分、上で戦ってるはずだよ。この塔の記憶のベースは
最終決戦時=\―つまり、さっきから聞こえる物音は戦闘の余波だろうね。

……見に行ってみる?勿論、巻き込まれないようにだけどさ

【先程から響く物音、主が不在の書斎。ダグラスの言葉は真実だろう】
【もう一方の扉を出れば塔の外郭部分に出る。それは延々と続く螺旋階段であり】
【時折、踊り場から内部に続く扉が存在するのである】

【実際は高度からして、低音や低酸素に悩まされるのだが――】
【そこもまた建築の妙。魔術によって、空間が防護されているらしく】
【もし外郭の回廊に出てもその手の心配は要らない。ダグラスも紅茶を飲み終えて】
【テーブルにカップをおきながら首を傾げ、外にでる扉を指差すのだった】

/お帰りなさいませ〜、もっと長くてもいいのよ(誘惑)
/尚こちらの都合で16時頃に一度離脱せねばなりませんので、お伝えしておきます! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 13:51:45.54 ID:Nj0p9XIVO<> >>276

【ダグラスの言葉につられて、アインは真上を見る。天井の、その更に先を】
【この向こうに、この塔の主がいる。膨大な知識を収めた上位の魔術師が存在している】
【そして“彼女”は、過去の記憶上ではあるが────戦っている】

──────っ!!

【逸るようにアインは扉へと駆け出した。音が出るほど強く扉を開け放つと、書斎を通って塔の外郭部分へ出る】
【ダグラスがついてきているかなど確認もせずに螺旋階段を走って塔の頂上を目指す】
【上位の魔術師が戦いを──つまり、魔術の行使をしている、そのもう見られないであろう光景を見るために】


//なお長くすると比例して遅くなる模様。た、多少はね?(震え声)
//了解です、そのときまた言っていただければ! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 14:07:54.79 ID:PADq8gquo<> >>277

……へ?あ、ちょっとキミさぁ……!

【途端に駆け出したアイン。虚を突かれたように、ダグラスが動くのは一歩遅れ】
【元より運動が得意ではないタイプであるがゆえに、その姿は一度消え】
【階段は登れば登るほどに音を増す。途中、大きな白い扉が吹き飛んだ】

【一瞬であるが見えた術は、まるで火山の噴火を思わせるようなものだった】
【火山岩を交えた熱線。直撃を受ければ身を焦がすどころか、溶けてしまいそうな】
【そういう、極度に火属性に寄った一撃が扉を振き飛ばすのである】

【しかしこれも戦いの一端なのだろう。記憶のおぼろげな光はすぐに消え】
【部屋を覗いても荒れ果てた残骸が有るばかり。そのまま屋上へと向かったなら】


【やはり、そこが最終到達地――無数の水球が宙に浮き、そこから触手のように水が伸びていて】
【術者一人に対して、立ち向かったものは4から5名だろうか。その全てに攻撃を与えていた】

【術者の容姿は、端的に言えば魔族。ベースは人間の女性であり、橙色の髪は長くそこかしこがカールして】
【特徴的なのは瞳。多重の円はそれだけでも誘惑の魔術をかけるのに十分な素質を持ち】
【頭部に伸びる捻くれた双角は魔族の証左。背には翼が、腰からは先の尖った尻尾も伸びている】
【しかし悪魔というよりは――夢魔。或いは淫魔に近い。ボンテージに包んだ肢体は、蠱惑的な魅力を持っていた】

【彼女の手には先程の鉄の棒の様な武器と同じ性質を持った、小型の砲塔が装着されていた】
【恐らく彼女が自作したのだろう。傷だらけではあったが、その半魔は尚も健在で、戦っていた】

/了解であります! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 14:16:51.01 ID:Nj0p9XIVO<> >>278

うおっ……!?

【目の前を遮断する業火に思わず後ずさる。後に残るのは熱の余韻ばかり】
【魔力から生成した水を振り回して熱気を吹き飛ばし、部屋の中を覗いてもやはり何もない】
【記憶の再現とはいえ、当たればどうなるか、アインはまだ知らない。死んでいたかもしれない】
【そうであったとしても、その可能性など彼の頭には浮かばなかった。ただ急いで屋上に行かなくてはならなかった】

【そして屋上に彼はたどり着いた】

……やっぱり、人間じゃなかった、か

【その姿を視認してアインは口を引き結んだ】
【目の前には壮絶な戦いの記憶が再現されている。術者は一人に対して敵は複数。魔術に魔力も強大なものだった】
【アインの足はその場から動かなかった。今はもう見られないであろう高度な魔術の全てを、その目と記憶に収めたかった】
【自分という異質がこの場に現れたことで、この素晴らしい光景を邪魔してしまうことだけはしたくなかった】

おい、ダグラス! 俺がこの場に現れたからって、記憶の再現なんだから影響はないんだろうな!?
……っていねえじゃねえか!!

【後ろに向かって大急ぎで、影響が出ないか確認のために叫ぶ、が、恐らくダグラスはまだ追いついていないだろう】
【苛立った様子でアインはまた前に視線を戻す。それぐらい、彼にとって価値のある光景だった】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 14:43:39.49 ID:PADq8gquo<> >>279

【生憎と――否、当然というべきか。ダグラスはまだ追いついていないらしく】
【確認の声に対する答えはない。つまり、影響が出るかどうかはわからない】

【少なくとも目で見る分には、記憶の世界の半魔は生身の存在に思えたし】
【額に流れる血や、息遣いの生々しさや、魔術回路の反応も】
【全てが現実のソレとまったく違わず――徐ろに、手の砲塔を構えれば】


――『ただの人間如き』がさァ……!何時迄もウジ虫みたいに這いずってッ!
 私の……私達の邪魔をするなァァァァァァァァァ―!!!


【これも記憶の中の咆哮なのか――耳を劈くような叫声と共に、魔翌力が砲塔に集中する】
【先ほど見た火山の噴火にも似た一撃。それが再度、広い範囲へと撃ち放たれる】

【火山弾を交えた熱線。言葉にするのは単純だが、それを実行するのは並みの術ではない】
【熱の温度は鉄すらも溶かすほどであり、ほとんど自然のマグマに近い、純粋な火の魔翌力で構成されていて】
【破壊力で言えば早々比類するモノは無い。まさに半魔ならではの、凶悪な威力を伴った大魔術であった】

【――そして、その一端はアインの居る位置にも届く。火山弾はすさまじい早さで飛来して】
【熱線も、減退しつつも及ぶだろう。避けるか逃げるか、或いは迎撃するか。】


【しかしまた、その一方で立ち向かう勇者たちは各々の戦い方で反撃を試みてゆく】
【稀代の大魔術者である半魔も、やはり必衰。その傷は増え、やがては膝を付き―。】 <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 14:52:56.07 ID:9YcfFqFbo<> >>261

そう?そうかしら。…お母さんはどんな人なの?

【アイスコーヒーを飲みながら何気なく聞いてみた。母親のイメージは】
【世間一般のものしか知らない。それは少し…いや相当ハードルが高いものだ】
【だから実際はどんなものかは気になっていた。気がつけば自分もそういう歳が近い】

【少しだらしないが靴を脱ぎ捨てて、足を伸ばしてくつろいでいた。咎める人も居ない】
【その姿は母よりも少女に近い。スーツ姿だがタイトなスカートではなくパンツスタイルだから】
【礼儀正しい顔をそつなくしているが結構、実際の内面は男性的な面も強いのかもしれない】

ええ…構わないわ。

そうだ…折角ですから何かいただきましょうか。……中島さん?

『はい』

何かお料理頂けますか?

『はい、何を…お作り致しましょう』

そうね…ティアちゃん、何がお好き?

【見て分かる通り和の店でお通しにふきの煮物が出る季節だが子供が喜ぶものではないだろう】
【だがそんな細かいことを気にする必要はない。メニューらしきものは一切無いのが自信の現れだ】


/お返ししておきます。夜頃までは用事もあるので置き風味進行となってしまいますが
/一応、居りますのでよろしくお願いします <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 15:11:13.18 ID:Nj0p9XIVO<> >>280

【熱、息遣い、破壊音、叩きつける熱風。どれを取ってもここは本物の戦場。記憶の再現であることなど忘れて当然であるほどだ】
【アインの額には汗が滲んでいた。喉は渇き、肌が焼ける感触さえしてくる】
【だがそんなことは気にもならなかった。ただただ呆然と、アインは目の前の全てを見つめ続けていた】

……『ただの人間如き』が邪魔をするな、か
…………まったくだ。一体、奴らが何を生むというのか、何を生み出せるというのか

【記憶からの絶叫に呼応して、アインもまた小さな言葉を続けた】
【視界に広がる凄まじい業火。吹きすさぶ熱波に思わずアインは顔を腕で庇った】
【更に一端が迫り来る。魔術師の理性は避けろと告げた。回避ならば難なくできる。だが────】

────うぉおおおおおおおおおおおおっ!!

【絶叫と共にアインの右腕が前に突き出される。更に魔法陣が展開。そこから放出されたのは火の魔力で構成された炎の柱だった】
【轟音。火山弾と焔が激突する。片や万全な状態、片や疲労困憊な上に魔術の端切れ。そうであってもアインの魔術は押し込まれていた】

くっ……やはり“このまま”じゃ無理か……っ!!

【更に片腕を添えて、アインは魔法陣を重ねた。魔力の波濤が火炎の表面で波打ち、昇り、先端へと達した】
【その瞬間、火山弾の勢いが急激に抑え込まれた。衝突の断面からは何故だか水蒸気が生じていた】
【しかしそれでも尚、足りない。勢いが減ろうとも更に火山弾は進み────アインの姿を飲み込んだ】

【魔術師の身体が吹き飛ばされて床を転がる。片手をついて強引に回転を打ち消し、なんとか止める】

うぐっ……くそ、“全力”でこれか……!

【赤黒い外套は焼け焦げて、顔の表面は熱で黒ずんでいた。なんとか致命傷を避ける、それが限界だった】
【両手をついて起き上がったアインの目に飛び込んできたのは、半魔の女が膝をついたところだった】
【アインの表情が驚愕に変わっていく。彼にとっては信じがたい光景だった】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 15:25:27.22 ID:PADq8gquo<> >>282

【膝を付いた半魔。――そこからの展開は、ビデオテープに修正を加えたように】
【遅くなり、早くなり、時として停止すらして再現される】

【まず半魔の背後に猩々のような魔族が出現した。頭部は皮のない頭蓋であり】
【恐らくは、勇者に与するものなのだろう。その人物の術によって】
【半魔はその力を奪われる。――そして、その姿を更に変える】

【少女だった。成人の女性に思えた半魔は、13歳ほどの小柄な身体に姿を変えた】
【それこそが真の姿なのかもしれない。だとすれば、人外にしても法外の存在だ】
【その姿に何らかの弾丸が撃ち込まれ、魔翌力の量は激減し――】

【――そうして、決戦は終わってしまう。あくまでもこれは記憶の世界】
【そして、強大過ぎる存在にも何らかの弱点や限界点が在る。】

【そういった事実を、アインの眼前で証明するような一幕だった】
【やがて屋上に居た勇士たちも、魔族も、全てが姿を消し】
【攻撃に寄る残骸も次第に消えて、まっさらな舞台がその場に残される】

【やはり現実とは法則性が異なるのだろう。しかしよく見れば】
【半魔の身に付けていた、赤いルビーのイヤリングが落ちていた。】
【女性用の装飾品だが、高い魔翌力が込められているのはすぐに分かるはずで】


【それから、階下から足音が聞こえてくる。その軽さからして、ダグラスだろう】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 15:48:56.53 ID:Nj0p9XIVO<> >>283

【残りの“映像”は、この記憶が敗北で終わったのだと決定づけるものだった】
【全てが消えたとき、アインは膝から崩れ落ちた。両手を床につけ、打ちひしがれた】

な、何故だ……何故あれほどの魔術師でも敗北する!?
傲慢だったからか!? 例え弱点があろうとなんだろうと、圧倒的な力の差があればそんなものは無関係のはずだ!!
一体なぜ負けるんだ…………!!

【アインは、己に絶対の自信を持つ魔術師だ。今の段階でさえ、誰かに敗北することなど想像もしていない】
【確かに誰にも弱点が存在する。アインは今までに何度も上位の魔術師と戦い、幸運もあって勝ち続けてきた】
【自分より強い相手と戦うときは頭を使う。そうすれば相手を打倒できる。経験からアインは理解していた】

【“だからこそ”、自分が負けることはないと思っていた。そのことを理解さえしていれば、負けることなどないと】
【────目の前の光景は、そんなレベルではなかった。あれだけの力があれば弱点があろうとも負けないはずだ。しかし負けたのだ】
【その歴然たる事実は、アインの、この魔術師の根本的な価値観を打ち砕いた】

なんだ、何が足りないというのだ……!
それほどまでに正義とやらは強大だというのか、個人では抗いようがないほどに!!
強大な個人は、無能な群衆に必ず負けるとでもいうのか…………っ!

【個人と集団、その関係性がアインの考えの根幹に突き刺さっていた。それもまた過去からくるものだった】
【アインは握りこぶしを床に叩きつけた。無力感を吐き出すように、何度も、何度も】
【──顔を上げたアインの瞳には、暗い炎が灯っていた】

…………違う。違う違う違う!!
俺が、俺が証明してみせる……個人の力で何もかもを支配できると、全てを超越できると……!

優れている個人が無能な群衆に殺されることなど、“絶対に間違っている”んだっ!!

【己を奮い立たせるように魔術師は叫び声をあげた。全てが消え去った塔の頂上で】
【──いや、残ったものが一つだけあった。アインが立ち上がり、前を向くとそれは小さく光った】
【一歩ずつ、慎重に歩いて、アインはそのイヤリングを拾い上げた】

……持っておくか。装飾物は好きじゃないが、久しぶりにいいだろう

【冷静さを取り戻した声で呟いて、アインは自分の耳にそれをつけた。耳の重みが、この光景を思い出させるように】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/29(水) 16:07:14.02 ID:PADq8gquo<> >>284

……まったく、一人で走って行っちゃうから困ったよ。
魔術師っていうのは腰が重いように見えて
自分の趣味のこととなると、本当に気が早いというか…――。

その様子だと……何か見れたのかな。
素敵なイヤリングじゃないか、アイン。

【魔術師の慟哭に応じる声はない。強いて言えば、それは実に気軽で】
【少なくとも魔術の素養に関しては、まったく無いような男のもの】

【どうやら、塔の周囲を回遊する海魔のスケッチをしていたらしい】
【小脇に抱えたスケッチブックには事細かに鉛筆が走らされた後があり】
【だからこそ辿り着くのも遅れたのだろう。気にするふうでもなく、イヤリングを指さして一言褒め】

……さあ、この後はどうしようか?まだお散歩を続けてもいいし
いっそ他の場所に行ってみたっていい。僕も見ていない場所が沢山あるんだ

それとも、キミは今すぐ帰って研究でもしたい感じかな?

【この後はどうするか、と尋ねかける。風のウワサでは、この塔では以前】
【かの名高い宝玉が発見されたという話もあるし、島には様々な場所がある】
【とはいえ選ぶのはアインの自由だ。時間も、少なくとも余ってはいた】

/っと、16時ですのでここで凍結かサクッと切って頂ければと思います
/ちょっと次のお返事は24時ごろまで出来そうにないので、判断はお任せします! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 16:11:01.09 ID:dkvtEeLl0<> >>281

わたしのおかあさん?えっとね……舞衣さんみたいにとっても優しいの!
お手伝いしたらあったかい手でなでてくれたり、カゼを引いたりしたらずっとそばにいてくれたり……
あ、でもたまに怒られるかも。そのときはこわいかなぁ……
お料理も上手で、いつもおいしい料理を作ってくれて……―――あとはね、とっても強い≠フ。
最近いっぱいこわい事件がおきてるでしょ?わたしを、そんな怖い人から「絶対に守る」って……
去年、街が鬼≠ノ襲われた時も、戦って護ってくれたんだよ。

……でもね、最近それで怪我しちゃったの。さっき、入院してるって言ったでしょ?
わるい人と戦って、怪我しちゃったんだって。えっと、だれだったっけ……カニ、バ……なんとか、っていう人。

【ティアが語る、母親の事。その言葉の端々から感じ取られるのは、何よりも子供の事をを想う母親の情】
【母親はいつだって子供の事を愛し、気に掛けている。その愛情を、ティアもしっかりと感じ取っているようだ】

【―――母親の愛情には、優しさと同時に子供を護る強さ≠熨カ在した。】
【何があっても子供を護るという、確固たる意志。その為には自分が傷付いても構わないという、強い覚悟……】
【舞衣も立場上様々な強さ≠ノ触れただろうが……子を思う母の強さ≠燒{物の強さだ。】

【ティアの口から語られた、優しく強い母親の姿。舞衣はその姿に何を思うのだろうか―――】


【食事が出来ると分かれば、ティアは目を輝かせて喜ぶ。我慢していたけれど、相当空腹だったのだろう】
【無邪気に喜ぶ姿は何とも微笑ましく、年相応の幼い可愛らしさがある。屈託のない笑みが、顔に溢れて】
【リクエストは、迷わず「からあげ!」と元気よく答える。よっぽど好きらしい】

【出来上がるのを待つまでのティアは、それはもう嬉しそう。今か今かと待っている―――】

//了解です!此方も今から7時ごろまで出かけなければならないので、ゆっくりお返し頂ければ! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/04/29(水) 16:16:05.08 ID:Nj0p9XIVO<> >>285

【今度こそ全てが消えた光景を目に焼き付ける。まるで夢でも見ていたかのようだった】
【そこに追いついてきたダグラスの声が聞こえてきた】

別に……何が見れたわけでもない。何も変わらん
それに似合ってるとは皮肉だな。中年のおっさんが女物のイヤリングをつけて似合ってるなんてことがあるのか?

【アインは振り返り、嫌味な笑みを浮かべる。そう言いながらも褒められて悪い気はしていなかった】

六罪王をお供にして探検ごっこなんてのはそうできるもんじゃない。研究は後回しでいいだろう
塔の中でも別の場所でも、お前の良さそうなところに連れて行くがいい

【まだまだアインも探検し足りない様子。またも偉そうな態度で続ける意志を伝えるのだった】

ところで、全く無関係な話だが……

────六罪王とやらは、どうやってなるんだ?

【なんてことのない噂話をする気軽さで、赤衣の魔術師は芸術家にそれを尋ねた】

/もうちょっと続けさせてほしいなと思うので凍結で!
/ただこちらのお返事は明日の夕方とかになるかもしれません……すいませんが、お願いします! <> /でんマス<><>2015/04/29(水) 17:33:45.51 ID:JwQFKa3DO<> >>269
/まだ募集中です <>
◆A3Dw.QYNcc<><>2015/04/29(水) 17:37:33.90 ID:JwQFKa3DO<> /Oh……トリ変えます <> エリス・パルム・フラーテル ◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 18:17:40.20 ID:h9vZXTlB0<> >>269

「……栄養、ふそく。どこかで栄養ほきゅう……所持金、ゼロ……。」

【街中、グルルと獣の呻き声のような…空腹の印を奏でる少女がひとり】
【年齢はちょうど10歳くらい。腰まで届いたふわふわとしたハニーブロンドの髪と灰色のワンピース、そして両手に抱えた兎のぬいぐるみが特徴的だ】
【その少女、エリス・パルム・フラーテルは、街の中を漂う美味しそうな食べ物の匂いに鼻腔をくすぐられては、この世の終わりかのように落胆の色をその表情に滲ませる】
【力のない動作でポケットからカラフルなビーズで出来たポーチを取り出す】【がま口である辺り財布代わりのようだと分かるだろう】
【しかし口を地面に向けてもそこからは何も出てこない。空っぽである】

「どこか…試食をだしてる…店……あ。」

【もちろん、一銭もない状態で食事が出される訳がない】
【人で賑わう街の中、餓死寸前にまで追い詰められつつあるエリスであったが――ふと、あるものが目に留まる】
【オープンカフェだろうか。複数人の人々が屋外に設置されたテーブルで楽しく談笑しながら食事をしているのが見てとれた】
【テーブルの上に置かれている食べ物に釣られ、ふらふらとカフェテラスの方へと歩いてゆく】

「……おいしそう。」

【しかし、いざ目の前に訪れてみると、ある意味自殺行為であったと気付くエリスである】
【ちらりと偶然エリスの近くで一人で食事をしている少女のテーブルに置かれている食事類を見て、羨ましそうにぽそりと一言】
【もっとも、少女がエリスの言葉に気付いてくれるかどうかは分からないけど】

/まだいらっしゃれば…
<> リーべ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/04/29(水) 18:34:15.81 ID:JwQFKa3DO<> >>290

【もぐ、と食べているパンを咀嚼する。す、と携帯端末を操作し、次のニュースを見る】
【──なんとなく、近くを見る。街行く人々に目をやり、視線を動かし……ふと、自分を見ている少女がいることに気付いた】
【何故見られているのかはわからないが、見られているのは確か。声をかけない理由はなかった】


おーい、どうしたお前ー!
そんなとこに突っ立ってると、人にぶつかるぞー?


【客たちの談笑のせいか、少女の呟きは聞こえていなかったらしい】
【だが、夜色の少女は相手のことが気になったのか、近くまで寄るよう手招きをする】
【──彼女のテーブルに近寄れば、はっきりと食事の内容がわかるだろう】
【香ばしく焼かれたパンに、新鮮そうなグリーンサラダ。ウィンナーとオムレツ】
【内容としては、昼食というより朝食寄り。ブランチ、というものが正しいのだろうが──】
【食事の匂いですら少女の気を狂わせそうになっているのだ。実物なんてみたら、どうなってしまうのやら】

/ここにいるぞー! <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 18:49:45.87 ID:h9vZXTlB0<> >>291

「     ッッ」

【相手の少女が呼んでいるのが聞こえる】
【まさか言葉が聞こえていたのか?そんなことを考えつつ、言われた通りにそちらへと近付いてみた】
【だが、しかし。そこでエリスは目の当たりすることとなる―――空腹の限界に達しているときに見る食べ物の、破壊力を。】
【香ばしそうな匂いと共に目に映ったのは、宝石とも違わぬ色とりどりの主食類、野菜、肉!(※極度の空腹によりフィルター補正が掛かっております)】
【若干くだらないようで大切な理由で言葉を失ったエリスであったが、ここで硬直しても訝しげな目線で見られてしまうだけ】
【ここは、恥を忍ばなければどうしようもないと判断した】

「……ひとつ。」

【ふるふると細く白い指を一本立て、相手へと言葉と共にジェスチャーマークを示す】
【その顔は兎のぬいぐるみに隠れ相手側からは見えないものの、明らかに照れてしまっているのが見てとれるだろう】

「ひとつ……パンを…!」

【普段あまり感情を表に出さないタイプであると思っていたが、やはり生物的な本能には逆らえないらしく】
【なんともみっともないことに、見知らぬ人に食べ物を恵んでもらおうとしてしまうのだった】

/では、よろしくお願いします! <> リーべ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/04/29(水) 19:01:36.20 ID:JwQFKa3DO<> >>292

【ぬいぐるみを持った少女が、近付いてくる。だが、近付いてきたはいいものの一向に要件を言おうとしない】
【一体なんなのだろう、と首を傾げようとしたその時──小さな小さな声が、聞こえたのだ】
【恥を忍んで他者に食事をねだる。幼い少女にそのようなことをさせておいて断るのは、人の風上にも置けぬ連中だけだ】


……お前、親はどうしたんだ? あぁ、いや……別に、食べてからでもいいが


【──相手のことを哀れに思ったのか。夜色の彼女は、しっかり焼かれたパンだけでなくウィンナーを2本ほど取り、相手に差し出す】
【いろいろ聞きたいことはあったが──まずは少女の空腹を満たす方が先だろう】
【そう考えた彼女は、相手にあまり多くのことを聞かなかった】 <>
◆A3Dw.QYNcc<><>2015/04/29(水) 19:11:22.19 ID:JwQFKa3DO<> >>292
/すみません、食事のため次遅れます <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 19:17:59.51 ID:h9vZXTlB0<> >>293

「……!ありがとう、パン、すき…!」

【差し出された食べ物を見てエリスの表情は心なしか明るくなる】
【表情からだと驚いた表情にしか見えないかもしれないが、その喜び感情はその言葉に顕著に現れている】
【ぺこりと頭を下げると相手の少女の向かいの席に座り、まずは頂戴したパンを小さく千切って食べてみた】
【一口といえども食事は食事。空腹の身にはよく染みた】

「……おや、親?わたしに親など、いない。最初からひとり。」

【相手の言動の一つには質問が含まれていたと、空腹で見境がなさそうだったものの一応聞いてはいたらしかった】
【食事を摂る手を止めることはなく、すらりと流れるような軽い調子でそう答えてみせる】
【まるでそれが当たり前だと言うように、あっさりとした様子で。】 <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 19:19:21.56 ID:h9vZXTlB0<> >>294
/了解です〜 <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 20:03:27.91 ID:9YcfFqFbo<> >>286

そう…いいお母さんね。私も、そうなれるかしら…。

【彼女は多くは話さない。元々口数も少ないほうだし口下手で感情表現も乏しい】
【それだけ呟いて、少し考えるように遠くを見つめていた】
【料理もできるし、撫でてあげることも出来る。強さなら負けていない筈だ。どんな相手だろうと】
【倒せなかった相手は居なかった。どれもこれも家族を守るためだと信じて、今も疑わない】
【しかしそこには、私には母親の様な優しさの強さはあるのだろうか。それは別種の強さだ】
【でも、それは母親にならないとわからないことかもしれない。幾人の親がそれらについて考えたか】

蟹…?さあ…。……お母さんは自警団とかなの?

【悪い人ってのは幾らでも居て、彼女の担当は凶悪さは低いまでも根深くしつこい社会悪の方で】
【逆に機関なんかは専門の組織に任せて、関わらないようにしているためそっちの方面の知識は薄い】
【けれどもUTとは個人的な付き合いもあるし、立場柄いろいろな情報は一般人よりも入ってきやすい】

からあげ…できますか?

『居酒屋なら何処にでもありましょうや。構いません』

【そう言って店主は厨房へ。1時間もかからずに、直ぐに出来上がって持ってくるだろう】
【大皿に乗った料理はひと目で味がわかるぐらいで皿から箸まで考えぬかれた盛りつけ方であった】

『こちら唐翌揚げと…一品じゃ何でしたんで真鯛のアクアパッツァです。それと箸休めに山菜を』

相変わらず、器用ですね。

『ありがとうございます。会長のご趣味のお陰です』 <> リーべ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/04/29(水) 20:19:52.75 ID:JwQFKa3DO<> >>295

【ありがとうとの言葉に、少女の表情も自然と綻ぶ。ふふんと笑い、2切れほどパンを相手側に皿ごと移動させた】
【かといって、夜色の少女が食べる分のパンがなくなってしまったわけではない。1枚だけ、オムレツが乗っていた皿にちゃっかり移されていた】


……最初から1人? …………ん、そうか──


【親はいない。その言葉に、少女は驚いた。ぬいぐるみなんてものを持っていたため、孤児ではないという思い込みがあったのだ】
【しかし、言われてみれば納得はする。普通の親であれば、幼い子供をこうなるまで放置などしない】
【あまりにも自然に返された言葉に、なんて返事をしようか迷った】
【──結局、相手が食事を終わるまで答えは出なかった。最初の質問をして以降、彼女も自分の食事に集中することにしたのだ】

【そして、互いの食事が終わったあたりでもう一度彼女は問いを投げ掛ける】


……さて、空腹は満たされたか? まだお腹がすいているようなら、追加で食事をあっちからとってくるぞ?
ま、私としてはどちらでもいいんだが……

それより、お前のこと、聞かせてくれないか?
私はリーべ。リーべ・エスパス
親がいないと言っていたが、普段どうやって暮らしているんだ?
1人でちゃんと身を守れているのか? えぇと、それから────


【まだ空腹であるならば、宣言通りに彼女は追加の食事を持ってくることだろう】
【少女……リーべ・エスパスの質問に答えるのであれば、まずは腹を満たしてからでも遅くないはずだ】

/ただいま戻りました! <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 20:48:26.34 ID:h9vZXTlB0<> >>298

「増えた…!」

【食べれるものが増えればより一層嬉しそうな言葉を紡ぐ】
【いくら無表情といえども内面は見た目通りであるらしく、その姿は人畜無害そうな少女そのものだった】
【そんなこんなでエリスは満足するまで食事を続けていたのだが、やはり先程の返答で会話が終わる訳でもないようで。】

「大丈夫、お腹はいっぱい。とても満足。」

「……そうか、リーベ。ちゃんと覚えた。わたしは、エリス・パルム・フラーテル。硝子ざいく職人。
 この街から歩いて何日間もある森の中でくらしてる。森は聖域。つよいものでない限り、悪しき者は入れない。」

【相手の言動から身を案じられているのだと、なんとなく分かった】
【こんな容姿で親がいないというのは、やはり街では珍しいことなのだろうか、と思いつつ質問には特に嘘をつくこともなく答える】
【森について付け足したのは、まあリーベという少女に心配無用と言いたいからだろうか】

「親はいない。なぜいないかは、知らない。最初からあの家で生きているのは、わたしだけ。
 今日は街に硝子のざいりょうを買いにきた。」

【次の言葉は少し考えながら、といった様子で答えた】
【親がいない理由は曖昧なようだ】 <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 20:48:38.99 ID:h9vZXTlB0<> >>298

「増えた…!」

【食べれるものが増えればより一層嬉しそうな言葉を紡ぐ】
【いくら無表情といえども内面は見た目通りであるらしく、その姿は人畜無害そうな少女そのものだった】
【そんなこんなでエリスは満足するまで食事を続けていたのだが、やはり先程の返答で会話が終わる訳でもないようで。】

「大丈夫、お腹はいっぱい。とても満足。」

「……そうか、リーベ。ちゃんと覚えた。わたしは、エリス・パルム・フラーテル。硝子ざいく職人。
 この街から歩いて何日間もある森の中でくらしてる。森は聖域。つよいものでない限り、悪しき者は入れない。」

【相手の言動から身を案じられているのだと、なんとなく分かった】
【こんな容姿で親がいないというのは、やはり街では珍しいことなのだろうか、と思いつつ質問には特に嘘をつくこともなく答える】
【森について付け足したのは、まあリーベという少女に心配無用と言いたいからだろうか】

「親はいない。なぜいないかは、知らない。最初からあの家で生きているのは、わたしだけ。
 今日は街に硝子のざいりょうを買いにきた。」

【次の言葉は少し考えながら、といった様子で答えた】
【親がいない理由は曖昧なようだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 20:51:55.01 ID:dkvtEeLl0<> >>297

なれるよ!だって舞衣さん、おかあさんににてるもん。
雰囲気は私のおかあさんとはちょっぴり違うけど……舞衣さんもすっごく優しいって、わたしは思ってるよ!

ううん。おかあさんはね、ただの主婦だよ。……むかしは騎士≠セったんだけど、今は引退してるの。
戦ったのは、おかあさんが大司教の奥さん≠セったから……その悪い人に、狙われたんだって。

【……普段感情表現が乏しくて無表情な彼女が、子供相手にはこんなに優しく笑顔で接することが出来ているのだ。】
【もし自分の子供を持てば、きっと優しく強い母親になりそうだ。……母親になる前に、伴侶を見つけなければいけないが】
【そのうち彼女にも分かる日が来るのかもしれない。命に代えてでも護りたいと思える存在がいるという事を】
【女は弱し、されど母は強し―――護るべき存在がいる人間は、強い。】

【……続けてティアが話す、彼女の母親の素性。大司教の夫人であるから、その悪人に狙われたと言うのだ】
【此処まで話せば、もしかしたら最近のニュースを把握していれば彼女の母親についてピンとくるかもしれない】
【古の大司教アーグの復活の件……舞衣の耳にも届いているだろうか。そのアーグが敵視しているのは「現在の大司教」だったが―――】

【から揚げが運ばれて来れば、ティアは本当に嬉しそうな顔をする。目をキラキラ輝かせて、宝物でも見るかのように】
【「ね、ね、頂いていいですか!」なんて訊いたりする。OKを貰えれば、頂きます!と元気よく声を上げて食べ始める事だろう】

【から揚げの他にも魚料理がある。其方にももちろん手を付けて、「おいひい!」なんて頬張りながら笑顔になって】
【流石に子供は食欲旺盛だ。小さな体のどこにそんなに入るのだろうか……】 <> リーべ
◆my2He3rcPs<>saga<>2015/04/29(水) 21:05:17.25 ID:JwQFKa3DO<> >>299-300

──硝子細工職人?

ふふん、これは失礼したな。てっきり、親も住処もない子供だと思っていたが……その歳で職人とは驚いた!
聖域の森だなんてすごいところに暮らしているんだな、世の中にはまだまだ面白いことはたくさんあるみたいだ!
お前、思ってたよりすごいんだなエリス! ふふん、これだから街に出るのは楽しいんだ!!


【──そう。てっきり、エリスのことを孤児の類いだとリーべは勘違いしていたのである】
【けれどそんなことはないと知り、心なしか彼女の表情は明るくなる】
【それというのも、孤児相手なら少し難しい話をしなければならないと考えていたからだ】

【──硝子細工職人。果たしてそれはどんな仕事なのだろうか。少なくともリーべの頭の中では今、硝子の兎がぴょいんぴょいん跳ね回っている】
【悪を拒む聖域に関しても、その単語は十分にリーべの興味を惹いた。そんなものはお伽噺の中だけの存在だと信じていた】
【すごい、すごいと急に子供のように彼女ははしゃぎだす。脳内のメルヘンフィールドや硝子ウサギに1人で勝手にテンションが上がっているようなのだが──】


────、…………ところでエリス
お前……硝子を買うお金は、あるのか?


【ぴた、とリーべの動きが止まる。相手はつい先程まで食事にも困っていた少女】
【硝子の材料、だなんて明らかにパンより高そうなものをエリスが買えるのかどうか──】 <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 21:23:25.62 ID:h9vZXTlB0<> >>302

「……え、そ、そう。わたしすごい。仕事は誇り。」

【さて、相手はどう出るか…そうエリスは勘ぐっていた】
【今までもこうやって職業を名乗ったことはあったのだが、信じてくれない人の方が多かった】
【なんだか怪しまれているような気もしたし新しい言い訳をこっそりと考えていたのだが―――相手の反応は予想外なもの、というか信じてくれたようで。】
【いつもとは違うその反応にきょとんとした顔をしてしまうが、すぐにハッと我に返ったと思えば、えっへんと誇らしげにまだ無い胸を張ってみせる】
【相手の少女は疑っているのか、素直なのかよく分からないらしい】

「……ここまでの宿代、それから『たくしぃ』を使ったせいで、お金消えた。
 『たくしぃ』の主人、優しかった。しかし、お金はいっぱいとられた……家に帰るお金もない。」

【その話題を振られると突如エリスの纏う空気がどん底にまで重くなる】
【ぽそぽそとバツの悪そうな様子で語るのはここまで来るまでのなれそめだ】
【簡単に要約すれば、『タクシーの使用によってお金が吹っ飛んでいった(それがそこまで料金を伴うものと知らなかった)』ということだろう】
【勿論普段遠出するときと同じような金銭を持ってきたにも関わらず、それだけでは賄えなくなるとは、一体どこでタクシーに乗ったのやら】
【何はともあれ家に帰れないというのは死活問題】
【一体どうしたものだろうか】 <> リーべ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/04/29(水) 21:39:27.81 ID:JwQFKa3DO<> >>303

……。…………、…………あぁ


【あぁ。つい出た一言であった。世間はなんとも田舎者にはつらくあたる】
【リーべ自身が田舎出身なだけあって、エリスの気持ちはなんとなくわかった】
【わかったのだが──これからエリスをどうしたものか】
【この街に滞在するのであれば、リーべは自室に泊めればいいと思っていたのだが……】
【如何せん、目的地はここから歩いて何日もかかるらしい。……この街の滞在費を建て替えたところで、どうにもならなさそうだった】
【かといって、見捨てるというのはあまりに薄情な選択だった。となれば────】


……よし、エリス。こうしよう
私がその、硝子の材料を買ってやろう。それで、お前を森まで送ってやる!
途中までは頑張って「跳んで」いくけど、あんまり遠いようならちょっと知り合いを呼んで、私と交代してもらってお前を森に送り届ける!

その代わり──お前が作った硝子細工をひとつ、私にくれないか?


【「どうだろう?」──そう、リーべはエリスに問いかけた】
【硝子の材料費。それがいくらかかるかは知らなかったが、とりあえず出せる費用は出すつもりだったし──】
【森への帰り道。何日かかるかは分からないが、途中まではリーべ本人が付き合うつもりであるらしい】
【彼女自身、この街からあまり離れるわけにはいかないのか──道中、付添人が交代するであろうとの条件付きではあったが】
【ともかく、金銭のないエリスには破格の提案であることは確かだ】
【明らかに嘘などつけなさそうな夜色の少女──彼女のことを信じるかどうかは、エリス次第だった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2015/04/29(水) 21:42:50.47 ID:JwQFKa3DO<> />>303
たびたび申し訳ないです、次遅れます…… <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 22:01:02.54 ID:h9vZXTlB0<> >>304

「……『跳ぶ』?リーベ、飛べるのか?」

【材料を買ってきてくれる…その言葉には大きく反応したのだが、その後の言葉のせいで訝しげな表情に。】
【確かに、世界にはエリスと同じく、様々な能力者が居ると家の本で、見たことはあるものの、飛ぶ人はあまり聞いたことがない気がする】
【少し考え込む様子を見せるエリス】【少しだけ迷っている素振りを見せていたのが最終的に顔をあげる】

「……分かった。硝子さいく、あげる。その代わり、硝子と送迎、おねがい。」

【その言葉を信じてみることにしたようだった】
【タクシーの件もあって若干邪念もあったが、今のところ打開策はこれしかないような気がするし、何よりリーベは自分に食事を与えてくれた】
【とりあえず食事の恩を信じてみようという、そんな考えから至った答えだそうだ】

「ここでは作れないから家に帰ってから、つくる。完成品はつきそいにんに渡しておくから。
 とりあえず質問。おきもの、そうしょく。どちらがよいか。」

【どうやら恩のことも考えているのか家で作りたいと思っているらしい】
【例のごとく、心理テストめいた質問をする】【どちらを選ぶかはお相手次第】


/了解しました! <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 22:14:51.87 ID:9YcfFqFbo<> >>301

騎士……大司教……?……なるほど。

【彼女は仕事柄いろいろな情報を知っておく必要がある。そのため時事は人よりも】
【詳しい自信がある。専門でなくともこのような有名な話は簡単に気づくことが出来る】
【聖都の大司教。そこからニュースをたどり警察機関が極秘にしている機関の名簿を】
【脳内で思い出して検索する。導き出された名前とキーワードを組み合わせて大体を察する】

…カニバディール…カノッサ機関の人間ね。貴女のお母さんの相手は。

【それだけ呟いて、彼女は箸を取った。静かに目の前の料理を口へ運ぶ。静かに上品に気をつけて】

流石ですね。私はこの方に料理を習ったのよ。昔はウチのお抱えだったから
…ああ、そうね。お母さんが入院して大変でしょう。いつでも此処にいらっしゃい。

『ええ…はい。お嬢が言うなら、最善を尽くさせて頂きます』

【そう言って静かに店主は頭を下げた。彼女は少女が元気良く食べるのを微笑しつつ見ていた】


/返信が遅くなりましてすみません。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 22:43:12.90 ID:dkvtEeLl0<> >>307

え、カノッサの人だったの!?……そっか。おかあさん、そんな危ない人と戦ってたんだね。
怪我はしちゃったけど……生きて帰ってくれて、よかった。

【舞衣の言葉を聞けば、ティアは驚いたような声を上げる。―――まさか、相手がカノッサだったとは】
【……カノッサの名前はこの世界では子供でも知っている。その力と恐怖も当然知っている事だろう】
【だからこそ、母親が対した人物も相当危険だったのだろうと推測できる。生きて帰ってくれて幸いだ】
【怪我ならいつか治る。でも―――死ねば、二度と会えないということを、少女は知っている】
【一度親を失ったからこそ分かる。生きていてくれる事こそが、一番の幸せなのだと―――】

【なおも料理を食べ続けるティア。流石店を開いているだけあって、その味は折り紙付き】
【母の味も慣れ親しんだ美味しさがあるのだけれど、店の味もまた一流の美味しさがある。】
【尤も、細かい味の違いが分かるほどティアは大人ではないけれど。でも、美味しいという事は子供でもよく分かる】

【こんな美味しい料理を食べに「いつでも来ても良い」なんて言われれば、それはもう嬉しいわけで】
【舞衣の言葉に、ティアは嬉しそうに頷いて「ありがとうございます!」とぺこりと頭を下げて一礼】
【こういう所で礼儀をしっかり弁えている辺り、母親の躾の良さが伺える……】

【出された料理を粗方食べ終えると、ティアは改まったように舞衣の方に向き直る】

えっと、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです!

あのね、舞衣さん……ひとつ、お願いがあるんだ。
わたし、今日舞衣さんにいっぱい親切にしてもらったから……お礼をしたいの。
お世話になりっぱなしじゃ、ダメだもん。舞衣さんが私にいっぱい喜ばせてくれたから……こんどは、わたしが舞衣さんを喜ばせたいな。
ね、ね、何かわたしに出来る事は無い?なんでも言って!

【無邪気さの中に感謝の気持ちを忘れない少女。沢山お世話になったから、少しでも恩返しがしたいと言う】
【尤も、怪我をした幼い少女に出来る事など限られているだろうが……何か頼めば、小さな体で一生懸命頑張ろうとするだろう】 <> リーべ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/04/29(水) 22:46:42.88 ID:JwQFKa3DO<> >>306

【断られてしまったら、他に何ができるだろう──そう、リーべは考えていた】
【基本的に彼女は、他者の決断を尊重する。故に、イヤだと言われればそこまでなのだ】
【けれど……「おねがい」と言われてその心配も杞憂に終わった】
【荷物を抱えての跳躍は一苦労なのだが、自分から言い出したことだ。なんとかなるだろう】


ふふん、「跳ぶ」と言っても、羽やら翼が生えたりするわけじゃないからな!
そのあたり、期待されると若干困ってしまうが、跳べるには跳べる!!

それと……「置物」か「装飾」か……。うぅん、どうしようかな
ま、装飾だとうっかり壊してしまいそうだから、「置物」で頼む!
じゃあ、行こうかエリス! 硝子細工の材料は私の財布と体力と腕力を考慮してくれると助かるぞ!


【──そう元気よく言うと、がたんとリーべは席を立ち硝子細工の材料を売る店へ移動をするはずだ】
【このカフェは前払い式らしく、そのままカフェを出てもいいらしい】
【リーべに硝子の良し悪しなど分からないため、硝子店への道筋や「商談」などは完全にエリス次第となるはずだ】
【硝子を買い終えたら適度な雑談を交えつつ、街の出口へ向かうだろうか】

/ただいま戻りました! <> エリス・パルム・フラーテル
◆lSY3..STRk<>sage saga<>2015/04/29(水) 23:13:00.81 ID:h9vZXTlB0<> >>309

「…そー、少し残念。」

【分かりやすく飛ぶといったら翼を連想していたせいか少し落胆した様子を見せる】
【もっとも翼もなしに跳べることもよくよく考えたら凄いのだが、エリス的にはある程度ファンタジーめいたものの方が良かったらしい】
【まあ些細なことは置いておいて、一先ずは材料探しに出ねばなるまい】
【相手のご所望は置物。折角だし大きな材料も買ってみてみようか…。】

「ぜんしょ、する。えと、それじゃ……」

【少し返事が曖昧だったのは値段はともかく、腕力と体力面でちょっとギリなラインになりそうだからか】
【まあ安さでいくのなら硝子の塊を買ってしまった方が早いだろう】【砂から作りたいところだが何時も買う砂はお高いし、場合によると重さもキツいし。】
【そんなことを悩みつつ最終的には小振りの砂袋3つと硝子の塊がひとつといった風に落ち着いた】
【割とずっしりとした重量感だがエリスにとっては必要最低限な荷物だそうな。】

【少し時間が経った後には街の出口に到着する】
【相変わらずぬいぐるみを抱き抱え、荷物持ちをしているであろう相手に向き直る】

「それじゃ、よろしく。」


/すみません!寝落ちしそうなので今日はここで落ちます…!できれば凍結をお願いしたいです
<>
◆A3Dw.QYNcc<><>2015/04/29(水) 23:16:26.05 ID:JwQFKa3DO<> >>310
/了解です!
/明日は昼過ぎからいますので、そのあたりに一度返信させていただきますね! <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/29(水) 23:16:51.84 ID:9YcfFqFbo<> >>308

きっと貴女のお母さんは黙っているはずでしょうけど、知っておくことも大事よ。
知ってあげて、もっと愛してあげて。…難しいことだけど。

【死が隣合わせの状況に身を置きながらも母をこなす見ぬ女性を素直に尊敬する】
【親と子の両方の立場で彼女は考えて、素直に言葉にする。伝わるかどうかじゃなくて】
【自らの生身の感情に近い言葉をいうことが大事なのだ。感情に届けるには、言語ではない】

【同じように彼女も食べ終えて(食べ方は野暮ではないが男性と比べても食べるスピードも量も大だ)】
【やはり少し豪気というかリラックスできて粗が少し出てしまって口を拭いた後口紅を直すことはなくて】

いいのよ。私は貴女に会えただけで十分幸せなの。その分沢山、お母さんを喜ばせてあげて。
家族は大切よ。何よりも。……送ってあげるから。少し待ってて、車を取ってくるから

【また彼女は微笑みながら、少女の頭を撫でるのだった。涼し気な目元に、口調は自らの意見ははっきり】
【言って、席を立った。店主に頭を下げて、外へ出ると数分後には怪物が唸るようなエンジンの音が聞こえる】

『お嬢がお戻りになられましたので…どうぞお気をつけて』

【外に止まっているのは小さなハイブリッドの軽…ではなくて真っ赤なスポーツ車。車に興味がなくても】
【高級だとわかるブランドの更に高級モデルの高級仕様。スピード違反をしても取り締まれないぐらいだろう】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 23:27:41.88 ID:qZfzI51g0<> >>257
「だってだって、特に所属もしてないならきっとそうだと思ったんだもん!

何が正しいのかなんて分かんないけど…………
でも、多分自分で思った事をするのが一番かなって……」

【少女にとっての善悪はまだ曖昧だ。己の中で確立させたモノは無い】
【経験が浅く、世界を知らないのだから当然と言えば当然なのだが――――】
【其れでも、やがて抱いた自身の考えこそが正しい答えになる事は理解して居る】
【果たして其れを抱く事が出来るまで生きていられるのか。それは、分からないけれど】



「そう、だけど……でも出来るならあまり殺さないで勝ちたい
悪い人だって、生きてるんだから――――何て言うんだろ…………牢屋の中で反省して貰って、それで……」

【そして世界を知らない故に甘い。根っからの悪人は改心する事は無いと言うに、それでも出来るならば殺したくは無いと】
【叶わない理想論である事は語る自身も理解して居るのか、それでも尚真剣に語り】
【――――もし実力を身に付けても不殺を通す事は厳しいであろう。自分の手を汚したくないだけの我が儘と嗤われる事とてあろうが】
【それでも、少女はその考えを捨てる事は無く】


「…………うん。全部見よう見まねでするよりも、誰かに教わった方が良いとは思うし学びたいけど――――」

【其処まで言って、青年の言葉の意味に気付くのだろう】
【パッと表情を明るいモノにすれば其方を見遣り】


「本当?!ホントにホント?!私に教えてくれるのっ?!
じゃあじゃあじゃあ、おししょー様になってくれるの?!」

【まだ明確に自分が教える、とは聞いていないが。其処は早とちりするのが少女の性だ】
【我流のままで鍛えるよりも、よっぽど早く実力を身に付ける事が出来る――――】
【だからこその喜び様だ。純粋というか何と言うか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/29(水) 23:43:27.76 ID:dkvtEeLl0<> >>312

わかった。―――世界中でたった一人のおかあさん≠セもんね。
今もおかあさんは大好きだけど……もっともっと、大切にするから。

【―――そう、血は繋がっていなくても母と呼べる存在は世界にたった一人しかいない】
【それがどれだけ有難く貴重な事か、少女は幼いながらもきっとよく理解しているだろう】
【今だって母親の事は大好きだ。でも―――もっともっと知って、好きでいたい】
【母の苦労を知り、子供として労わりたい。それが一番の恩返しだろうから―――】

そっか……うん、わかった。舞衣さんがそう言うなら、お母さんをいっぱい喜ばせなきゃね。
でも―――いつか、舞衣さんも喜ばせたいな。えへへ……わたし、舞衣さんが好きだもん。ホントだよ!
家族も大好きだし大切だけど……舞衣さんも、わたしにとっては大切なんだから。
大切な人の笑顔が見たいって思うのは……ヘンじゃないでしょ?

【そういって屈託なく笑うティアの目に、冗談や嘘の色は混じっていなくて】
【舞衣の事が好きというのも、嘘ではないのだろう。家族は大切だけれど、舞衣も大切だと】
【今日は親切にされっぱなしだったけれど……いつか、喜ばせてあげたい。そう本心から願う】

【さて。見た事も無いくらい高級そうな車に乗せられれば、ティアは物珍しそうにキョロキョロするが】
【暫くすればうとうととしだして……やがて数分もすれば、すやすやと寝息を立てていることだろう】
【きっと疲れていたのだ。目を覚ませば、もう彼女の住む街付近まで着いているだろうか―――】
【(因みに、家の場所は車に乗った時に舞衣に告げている。ゼン=カイマの中心部の一角だ)】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/29(水) 23:53:49.28 ID:f+uDu5I9o<> >>313

バカ言え、オレなんか未だ師を名乗るに値しないっつーの
そもそも誰かに何かを教えるなんて事は不慣れだしな、教えられて精々剣の構え方とか程度……
なんで模擬戦の中で見て「盗む」或いは「慣れる」、そんで最終的に戦闘技能を「養う」

【少女と比べれば歳は上ではあるが青年も未だ若く老成するには遠い】
【そんな未熟な刃を少女に預けるなどと無責任な事は出来ない、何よりも彼女の為】
【であれば剣を学ぶとは即ち、仮の戦いの場を経験させるという事】

一番大切なのは集中力だとオレは思う、水滴のみが岩に穴を穿つ
ただ心を細くするといっても一朝一夕で出来るってんじゃないのはお前にも理解るだろう?
こればかりは毎日の鍛錬で少しずつ養うか、戦場に等しい場所で研ぎ澄ますしかない

【心に形は無い故に、強さを身に付ける事さえも簡単ではない】
【刀が何度も叩かれ鍛えられるように幾多の練磨を経て鋭くする物だ、と引き抜いたナイフを街灯に照らす】

と言ってもいきなり戦場にポイーなんてのはご法度なんで、まあやるとしたら模擬戦か
ただ、今日はお互いに疲労が多いだろうからまた今度にしておくかね……
そうさな、大体この時間にオレも鍛錬に来ているからその時に会ったなら相手をしてやるよ

【善か悪か、その苦悩がより現実となって迫る時がきっと少女に訪れる】
【その時こそ心の強きが問われる事になる筈だ、ならば矜持までは教えられないでも】
【せめて折れぬ靭やかな心くらいは、或いは共に養う事は出来るのではないだろうか】

【翳したナイフはふと銀の輝きを零し、どこか少女の行く末を案じているようにさえ見えたという】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/30(木) 00:15:20.98 ID:l4OJsLh+0<> >>315
「ええー……もっとこう、滝に打たれてる私を達観した目で見るとか……吊り橋にぶら下げて集中力を養わせるとか……
ほら、刀とは何だ―!って意味深に聞いたりとかしないの?」

【抱く師の幻影は恐らく漫画等々で創り出されたものであろう】
【――――地道な積み重ねよりも、最初から派手に行いたがるのは歳相応とでも言えるか】
【果たしてこの少女が実力を備えた暁、本当に戦場を駆ける救世主となれるかは疑問だが】
【それでも、少なくとも場を明るくする程度ならば担えるだろうか】


「それにそれに、師から弟子に継がせる技だー!って感じに何か凄い技を伝授して貰ったりとか……無い?
積み重ねていくのが大切なのは分かってるけど、でもやっぱりカッコイイ技とか覚えたらモチベーションも上がるかなって……学校の友達にも自慢出来るし……」

【そも、正義の憧れを抱いたのだって若しかすれば創作が一因を担っている可能性も有る】
【――――或いは何時かの体験がだとかなのかもしれないが、それは少女にしか分からぬ事だ】
【青年の言葉に対し、我が儘を漏らす所を見る限りでは憧れを抱くだけの者だけれど】


「むぅ……模擬戦でも、痛いのはヤダよ?
あ、おししょーの名前教えてよ!ずっとおししょー様でも味気ないし、これから教えて貰ったりするのに名前を知らないのも変だもん

私はナキ=フォルティス!見ての通りピッチピチのJKだよ!
おししょー様もこんな若い子に教えられるなんて幸せ者だねぇ」

【技術は身に付けたいが痛いのは嫌だ。まあ、甘ったれては居るが戦いから遠い身からすれば当たり前の台詞か】
【さて、今日は訓練を行わない代わりに自己紹介とばかりに自身の名を告げて】
【要らぬ台詞まで付け加えれば、青年の脇腹を肘で突っつくのだろう。その時の表情と言い、言い回しといい。女子高生――――よりも、親父臭いけれど】 <> 霧崎
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/04/30(木) 00:22:53.76 ID:ef8rdnmOo<> >>314

【彼女は車を運転しながら考えた。少女の母、大司教の妻ならばさぞ立派な】
【人だろう。だが、私はどうだろうか。正義であると信じているけれどそれをまた】
【この少女には本当のことを言えないのも事実だ。私の背には刺青がある。運命の証だ】
【龍は任侠の刀は生まれの振り向く女は自分の為に生きる覚悟の証だ。それでも】
【それを隠さなければならないことは知っている。それもまた正しいこともわかっている…それでも】

【考えるのをやめて、ハンドルを握り直した。飛ばさなくてもそう遠くはなかった。普段はアクセルを】
【限界まで攻める癖があったが、今日は制限速度にも見たないぐらいゆっくりとタイヤを転がした】

……起きて。…着いたわ。

【教えられたとおりに車を運転し、少女を起こす。ヘッドライトが点滅して路肩に寄せていた】

何かあったら、連絡して。何でもいいの。お母さんによろしくね。
戸締まりちゃんと気をつけて、体冷やさないようにするのよ?……それじゃあ、お休みなさい。

【パワーウィンドウを開けて、名刺を彼女に手渡す。世界的な大企業の名前と会長秘書という役職】
【名前と電話番号とEメールアドレス。四割菱のロゴが隅にあるだけのシンプルな名刺だが十分だろう】
【少し名残惜しそうで、変な間をあけてしまってまた少し笑ってから、彼女はクルマを勢い良く走らせた】

【後日、テレビでも見れば、ダム復興のため有力者と企業代表が会談。なんてニュースが流れている】
【その映像の握手をする背広姿の人間の後ろで彼女があの無表情の鉄仮面で映ったりしているだろう】
【ただ、ニュース後で企業母体がマフィア組織であるから癒着や談合が…など大人たちは議論していた】


/勝手ながらこの辺りで〆にさせていただきます。
/お付き合いいただいてありがとうございました! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/30(木) 00:37:12.52 ID:Mf0Fcphc0<> >>317
//はい、此方こそ有難う御座いました!
//眠気が襲って来ておりますので、〆は明日起きてから書かせて頂きます……それではお疲れ様でした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/30(木) 00:43:16.51 ID:VwqE7dsMo<> >>316

んな事すんのは漫画かドラマの中だけだろうに……
つーかやりたいのか滝行とかそういうの……変な趣味だなお前……

【果たしてこの子は本気で言っているのだろうか、色々と心配になっている様子】
【しかしまあそういった修行らしい修行に憧れるというのも年頃だからこそなのだろう】
【数年後思い出して枕に顔を埋める時が今から楽しみだとは口にせず】

無いよ、技なんざ無いよ?そも下手に型に嵌ると動きばかりに囚われるってのはまあある話だからな
最初の内は基本の動作を自分で見つけ出して、そこからどう効率良く刃を巡らせるかを考える
それを繰り返す内にやがて「技」と云われる物になってくる……っつーモンなのだよ、なんで基本的に自慢できる華やかさは無い

【世の全てが華々しい物でないように、剣の世界も同じ事が言える】
【美しい技を扱う剣士の影には苦節延々と続き血の滲むような努力が刻まれている】
【そしてなによりもその努力こそが己を育む土台となる】

ばーか、疲れる位に木刀を振れる人間が痛いの嫌だなんて嘘を言うんじゃありません
ま……こんな時間にそれだけやってるてのは評価してるんだぜ実際、まだまだ甘いっちゃ甘いけど意志はあるんだろ

【今はけたけたと笑いながらもナキという少女の訓練は端から見つめていた】
【凡そ木刀を振るなどという行為は年頃の少女がやる事とは思えない、その時期を犠牲にしてでも鍛えている姿】
【露骨に褒める事はしないでもその行いにはきちんした評価をしていて】

うわあいJKだすっごいうれしい……ってバカかお前は……
名前はエルフェス、さっき言ったように冒険者……ええい貴様慣れ慣れしいヤツめ模擬戦の時覚えてろよ
一生頭が上がらないくらいにコテンパンにのしてやるからな……

【歳はそう遠くはないかもしれないが平素のテンションの違い故か若干エルフェスが飲まれ気味】
【そもそも女子供の扱いに慣れていないというのもあるが、これはなんというか歳の近い叔父さんの心境】
【なんて恐ろしい言葉が一瞬浮かび、いやそれは拙いと激しく首を横に振るのであった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/30(木) 01:06:25.47 ID:l4OJsLh+0<> >>319
「えー……自分だけの技を創って、悪い人達に『そ、その技は……!バカなぁぁぁぁ!!』とか言わせてみたくない?
仲間のピンチ!だがその時、ナキの放った必殺技が仲間を救った!!とかカッコイイと思うんだけど……」

【恐らくは本気なのだろう。敵とやらの台詞を熱演するくらいには】
【――――或いは。彼女の振るう刃が二つ名となる日も来るのかも知れない】
【所詮は未来の話であって、全ては“かもしれない”の話。少女の志が無くならなければ、或いは】


「む……おししょーが褒めるなんて私ってば見込みアリ?
ふふん、私だって他の子が甘い物を食べたりしてる時に自分なりに努力してるんだからとーぜんだよ!」

【少しでも褒められれば嬉しそうにするのは素直な性格の表れなのだろう】
【少しばかりドヤ顔混じりであるのが、まあ人によっては所謂“ウザく”見えるかもしれないが】
【落ち込むときがあるのか、と問いかけたくなる位に明るさと人懐っこさ】


「そうそう、お肌に張りがあってスタイルも良いじぇーけーが……ってもう少し嬉しそうにしてくれたって良いジャン!エルフェスおししょーのバカ!!

私だってビックリさせる位に頑張るんだから覚悟しててよね!
ぜっっっったい!!子供扱いさせないんだからね!」

【こんな馬鹿でも女。一応は。――――再び頬を膨らませて拗ねた様な様子を見せれば、爪先で青年の脛を強かに蹴って】
【正直言って腕に自信は無い。況してや今までが今までなのだから、一太刀入れる事すら出来ない可能性の方が遙かに大きいのだが】
【それでも、自分を奮起させるかのように言い放って。やがては小さく笑って見せるのだろう】

【――――ふと時計を見遣れば、時も良い頃合い。何よりも「あ、やば……」なんて漏らした呟きを聞き逃していなければ】
【寮生、と言って居た筈が……さて、普段この時間まで門が開いているかと言われればまあ有り得ない話】
【追求されるよりも前に、やっちゃった。何てウィンク一つと共に誤魔化すのだから仕方ない子供】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/30(木) 01:25:52.72 ID:VwqE7dsMo<> >>320

考えられる余裕が出来るくらいに鍛錬に慣れたら好きにすればいいさ
しかし世の中には取らぬ狸の皮算用とかいう言葉があってだな、今は取り敢えず目の前の事に集中しとけ
あっちもこっちも手を付けてそれで本筋が回らないんじゃ意味ねーからな

【まず成すべきは基本の土台作りであり、それが最も辛い箇所】
【付きっきりで指導する訳でもないので余裕は生まれるだろうがその余裕をどう扱うか】
【宿す熱意が嘘でなければ自分でも感じられる程の成果も生まれよう】

人間その気になれば外見なんざ幾らでも変えられるしなー、中身が伴ってれば喜び甲斐もあるってもんだけど
差し当たってお前だとなあ、うーん……としか言えない、まあオレに一太刀でも入れられたなら喜ばなくもないが……
っつ……前言撤回人様の脛を蹴るような子は知りません、一太刀入れる間も無く地に落とすから覚悟しとけ

まっ、苦汁を舐めたくなければ真摯に直向きに頑張れ……
次に会った時にはオレが普段してる鍛錬でもついでに教えてやるからさ

【どうしようもなくこの少女は前向きらしく、どうにも釣られてしまいそうになる自分がいる】
【ならばその前向きさが良い作用を及ぼす事を期待してしまうのは仕方の無い事だろう】
【いつか相対する時がもし来たならば、楽しみだとさえ思えてしまい笑みも溢れてしまう】

おい学生……いや話し掛けたオレも同罪だけども……
じゃなくて、ウィンクしてる暇があったら踵を返してとっとと帰れアホっ!勉学関連だと流石に責任取れねえぞオレは!!

【洒落てみせる本人よりもエルフェスの方が遙かに慌てて声を荒げる】
【ぺしん、なんて叱り気味に頭をはたいて何をと青年の顔を見上げたならば割りと真面目な顔】
【無論その下はこれでもかというくらい狼狽えているのだが、こういう所も日頃の練磨の成果なのかもしれない】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/30(木) 01:48:47.42 ID:l4OJsLh+0<> >>321
「いたっ……あー、もー!!エルフェスおししょーってばそんな突っ慳貪だと女の子からモテないよ!
もっと女の子をいたわんなきゃぜっっっっったい何時か泣かされるんだから!

そ・れ・に。私には学校の高い塀だって簡単に上れちゃう物があるんだから心配ご無用っ!
本当は遺跡とかで使ったりする物らしいんだけど、譲って貰ったんだよ!」

【――――実際、学園での生活を見ずとも何と無く理解出来よう。問題児であると】
【それも、素行の方面で。虐めだとかは寧ろいじめられっ子を助ける側なのだろうが】
【深夜徘徊だとかされれば風紀委員も教師も良い顔をしない筈だ】

【――――然れど、本人は慣れているのだろう。真面目な表情で帰れと言う青年に対し、ケラケラと笑いながら一つの物を見せる】
【かぎ爪に、縄を繋げたような物。出っ張りだとかに引っ掛けて、高い場所を上ったりする時に用いる其れ】
【用意周到とでも言うべきか、寧ろ泥棒稼業の方が向いているようにも思えるが】


「それじゃあ、約束だよエルフェスおししょー。次に会ったら模擬戦だからね!
それまでに変な所で死んじゃってたりしたら花だってあげにいかないんだから!」

【とは言え、見回りの時間だとかもある。ヤバいと漏らしたのは、その事についてか】
【最後に掛けた言葉は、次に会う時までお元気で――――なんて素直な言葉では無い】
【冒険者とは常に死と隣り合わせ。だから、次に会う時までに死んでいたら許さない。それを少女なりの言葉で紡ぎ】

【ポニーテールに纏めた髪を揺らし、走り去る姿はまるで部活の練習を終えた生徒の様】
【後ろ手を振る姿も、直ぐに闇の中に消えて】

/それではこの辺りで……!
/二日間お相手有り難う御座いましたですよ!また機会がありましたら是非是非!
/お疲れ様でありましたっ! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/04/30(木) 02:14:18.14 ID:VwqE7dsMo<> >>322

元より1人と生きる身、モテなくても何の不都合もないねッ
たわ言を垂れてる暇があるならとっとと帰れ帰れ、指導役に見つかって怒られても知らねーからな
つーかむしろ見つかって痛い目にあっちまえってんだ

【素行の悪い訳ではない問題児、人間的に悪ではない分指導役の方々にとっては悩みの種のような気もする】
【そんな人間を相手に安易に相手をしてやると言ってしまった事を今更後悔するには遅く、ふぅと大きく息を吐いたのは】
【これからの事を腹を据えて確りと付き合ってやろうという自分への活で】

【しかし「遺跡」という単語、まさかとは思うが自分の見知る遺跡関係者の縁者かなんて】
【いや流石にそんな事はあるまいと自分のくだらない考えを一笑に付す】

安心しろ死んだら化けて出てでも付き合ってやる、約束だけは破らねーさ
ほいほい気を付けて帰れよ、っていっても野盗に襲われるようなナリはしてねーか、ほいじゃーなっ!!

【いっそ清々しい別れの言葉にはこっちも同じように】
【後腐れも無く極々日常的な会話のままに別れを告げる、ここだけ切り取れば平和な一場面だろう】
【されど青年は軍場にある剣、次とも知れぬが彼が約束と言うならば破りはしないのは必定としてある】

【ならば次の機会には互いに振るう物を手に、出会う時となるのだろう】

/ありがとうございました!
/お疲れ様でした! <> リーべ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/04/30(木) 13:13:30.36 ID:TwKVrfDDO<> >>310

【残念、と言われればリーべもさすがに苦笑いを浮かべるものの、エリスの気持ちが分からないわけではなかった】
【飛べるだなんて言われれば、誰だってメルヘンちっくな翼を思い浮かべる。こればかりは言い方に問題があったなと思う一方で──】
【じゃあ、「あの」移動方法を他になんて表現すればよかったのだろう、だなんて少し悩んだりもした】

【ともかく硝子店につけば、しばしリーべは暇になる。エリスがモノを選んでいる間、リーべはどこかに電話をかけていた】
【その会話ぶりから察するに恐らく相手は「付添人」なのだろう】


だーかーらー、別にいいだろう! お前ののーりょくならお前自身に害はない!!

「────! ──、────!!」

とにかく頼んだぞ! ふふん、たまには外に出るんだな!
部屋の外は怖くなんかないからな、むしろ面白いものがいっぱいある! わかったな!

「──、────。…………」


【リーべの言い分は、おおむねこんな感じ。だいぶ無理矢理感のある「お願い」だったが、電話が切れた以上、一応相手も承諾したのだろう】
【そしていざお会計の時間になれば、ちょっとだけほっとした表情を浮かべるのだ──値段だけでも現実的でよかった、という安堵だった】
【荷物を持つと多少しんどそうではあったものの、なんとか運べるといった様子】
【彼女の気質を考えると、どちらかといえば硝子の塊を壊してしまわないよう神経を使っているようにも見え──】


……じ、じゃあやるか
ふふん……お前が見た目通りの体重だと信じているぞエリス!
これでめっちゃ重かったらさすがの私もしんどいからな!!


【それだけ言うと、何を考えたのかリーべはその場にしゃがみこむ】
【いや、しゃがみこむというより、この姿勢。もしかして────】


……うん? あぁ、そうか! まだちゃんと説明はしていなかったな!
でもほら、習うより慣れろっていうし!! 説明は後だ後!

────ほら、背中に掴まって。振り落とされないよう、しっかりな!


【「ほら!」……にっこりと笑い、リーべはそう言った】
【あぁ、確かに彼女は、「飛ぶ」ではなく「跳ぶ」と言っていた】
【その意味に気付ければ……だいぶしっかりとリーべにしがみついていた方が吉、だと分かるか】

【エリスがリーべの背中にしっかりと掴まれば、彼女はまたにかりと笑い──】
【──ど! 何かに突き飛ばされたかのような感覚。急上昇。横を見れば高層ビルの屋上がすぐそこに】
【しばし上昇した後、重力に従い落下。地面に着く前に再度衝撃のようなものが来て、上昇──!】
【上昇と落下を繰り返し……彼らは確かに「跳んで」いた。「飛翔」ではなく跳躍の延長だが、確かに宙を移動していた】
【これなら徒歩より遥かに速い。なにせ空には渋滞はおろか道も存在しないのだから】
【「こっちでいいのかー!?」 風を切りながら、リーべが問いかけてくる。楽しいのだろうか、ずいぶんとご機嫌な声だった】

/お返ししておきますねー! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/04/30(木) 22:36:09.02 ID:yInY2iOqo<> >>287

【アインの『似合っているなんて』という言葉には、子供のように無垢な笑みを返すことで応じた】
【真面目なのか冗談なのかは相変わらず分からない。が、『行こうか』と誘えば】
【無防備な背を見せながら歩いてゆく。向かう先はエレベーター。一度、塔の外に向かい】

六罪王になるには……まあ、試験や承認が要る訳じゃないからね。
強いて言えば、『俺が六罪王だ』と何処かで名乗りをあげれば良いんじゃないかな?

例えばボクが月を落としたり、ベクターが暴れまわったりするようにさ。
勿論、その上で生き残るだけの力も要る。……キミもなってみたらどうだい?
機関への忠誠がなくても良いんだ。結構、便利で楽しい立場だから。

【何処へ行くとは言わないまま、ダグラスはジャングルの道なき道を進んでゆく】
【何度か通っているのか背の高い植物は倒れていたが――此所はやはり、野生の王国なのだ】

【ふと茂みを抜けたとき。二人の前に、まさに今食事中とばかりに口元を赤く染めた】
【鱗に覆われた巨躯、絶滅したはずの希少生物――T-レックスが姿を見せる】
【これは仕込みでもなんでもないのだろう。流石にダグラスも口をつぐんで、足を止めて。】

/結局こちらがお返事遅れて申し訳ない!
/本日これからでも大丈夫ではあるのですが、今しばらくは時間がかかりそうでして……
/詳しくは後程、舞台裏で!とにかくお返事をさせてもらうのです <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/04/30(木) 23:18:26.00 ID:Mf0Fcphc0<> >>317

【彼女の本当の身分が何なのか、きっと後ろで可愛らしい寝息を立てる少女には分かっていないだろう】
【でも―――きっと、純粋な少女に身分や地位なんて関係ない。彼女の中にある優しさを、知っているから】
【いつだって、変わらぬ明るさと変わらぬ笑顔で接するだろう。「舞衣さん!」って、親しげに―――】

【やがて車は自宅の近くに停まる。】
【安全と乗り心地に最大限留意した運転のお陰で、少女は家に着くまで一度も目覚めることは無かった】
【これもきっと、舞衣の優しさが為した心遣いのお陰なのだろう。少女は其れに気付かないけれど……】

【彼女に起こされると、眠い目を擦り車を降りる。此処まで運転してくれた彼女に「ありがとう!」とお礼を言って】

うん、ありがと!おかあさんに、舞衣さんのこと一杯お話するからね!
舞衣さんも、元気でね!……えへへ―――また、会いたいな。おやすみなさい!

【何かあったら連絡するように。戸締りに気を付けて。体を壊さないように―――なんだか、本当に母親みたいだ】
【ティアの事をこんなに気に掛けて心配してくれているのだから……やっぱり、良い母親になりそう】
【世間じゃ無感情で冷たい印象を持たれやすい彼女だが……とんでもない。本当はこんなに優しいのだ】
【ティアは、きっとその優しさに触れて舞衣を気に入ったに違いない―――】

【名刺を受取れば、大切そうにポケットに仕舞って。……名残は惜しいが、今日は此処でお別れ】
【最後の最後にもう一度、舞衣にとびっきりの人懐っこい笑顔を見せて―――車が走り去っていくのを見送った】

【後日、舞衣の下に電話が来るだろう。『大好きな舞衣さんの声が聞きたかったから』なんて理由で】
【その他にも、困ったことがあれば真っ先に舞衣を頼る。―――もう、少女が無理な責任感で苦しさを我慢することは無い】
【だって、彼女にはとっても頼れる人がいるのだから――――】

//改めて、お疲れ様でした!お付き合い頂き有難う御座いました! <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/01(金) 21:07:20.60 ID:TZ/YZyMWo<>
【鼻を突くのは炎の匂い。火薬の匂い。血の匂い。争いの匂い。それはつまり、人間の匂い。】
【耳を貫くのは誰かの悲鳴。痛みに震える断末魔。恐怖に怯える叫び声。それはつまり、人間の音。】
【目に映るのは死体。山の様な死体。死体。死体。干からびた死体。血の抜けた死体。人間の、亡骸達。】


  ―――――――――――――――――きらい。


【ドクン。心臓が波を打つ。胸のどこかに大嫌いな感覚が染み渡っていく。】
【消えない。どこまで逃げても消えない。そればかりか、自分を追いかけるかの様に。】
【いつもいつも、過去は彼女を捕えようとする。そんな毎日が嫌で、彼女は遂に目を覚ました。】


 きらい。きらいだ、こんなもの……こんな、みにくいもの、だらけの"セカイ"なんて……―――――きらい。


【なら、滅ぼしてしまえ。目障りな過去を思い出させる、こんな世界など。】
【逃げられないのなら。忘れられないのなら。いっそ全て、"消し去って"しまえば良いのだ。】
【そう、彼女は目覚めた。過去を消す為。過去を彷彿させる現在も消す為。過去から繋がる、未来も消す為。】


 "ここ"はきらい……いちばん、きらい……"むかし"が、あふれてる……いやなにおい。きらいなにおいが、いっぱい。


【"吸血"の名を持つ絶海の孤島に、一匹の悪魔が降り立った。】
【その手に握られるのは、魔弾を穿つ双対の引き金と、悪意を宿して呪われた銃身。】
【そして―――天溶かし地砕く、禁断の巨砲。古の歴史から紡がれた、人の争いの権化たる、"鉄の筒"。】

  
 
               ぜんぶ……うちぬいて、やる。  



【人が悪魔に最も近い生き物ならば。その人間が産み出した武器こそ、真の悪魔と言えるだろう。】
【その身に宿すは悪意と殺意。復讐と逆襲。終わりなき人の争いが、血の通わない鉄の文明を加速させる。】
【銃(つつ)とはつまり、その最先端にいる―――最も醜悪なモノ、負の歴史を代表する、呪われた技術の象徴。】

【炎でも、氷でも、風でも、闇でも、地でもない。この悪魔が司るは正に―――"銃"、そのもの。】
【負のエネルギーを火薬とし、悪意のトリガーが引き絞られた時、放たれるは悪魔の咆哮。嗚呼、銃が唸る。】
【邪悪で、残虐な、命を奪う為の冷徹な唸り声が上がる。そして、獲物はほかならぬ、人間とその文明。そう―――】



【自らの文明を、破壊する為。人は銃を生み出したのだ。】
【然らば銃も、それに応えよう。その身を悪魔に落し、銃は吠える。】



【―――ドン、という炸裂音。"ドラクレア"島の中央から北西に進んだ地点。】
【周囲に存在していた遺跡や、襲いかかってきた巨大な昆虫、恐竜、魔物等全てを"吹き飛ばし"。】
【爆発的な―――通常の能力者や魔術師にはあり得ない程、多量の魔力を渦巻かせ、破壊の権化、銃の悪魔が降臨する。】



【悪魔の名はレイン。】


【またの名を、セリーナ・ザ・"キッド"。】


【いや、今はこう呼ぶのが正しいか―――"ダーク・スリンガー"。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/01(金) 21:26:19.52 ID:lgWtCvLZ0<> 【街中――道沿いにあるコーヒーショップ】
【店内に入ればふわりとコーヒーのいい香りがする、チェーン展開された、どこにでもあるその店は】
【コーヒーやらなんやらを自分の好みの味に出来たり、呪文が唱えられたり、そんな感じに有名で】
【その店の一角――いろんな甘い系の調味料が置かれたテーブルの前に、人影が一つあった】

ふむ……、……、――もっと入れるですの。
「マシマシですの!」ですのー!

【見れば少女とも女性とも言いづらい年頃の“彼女”。紙コップの中身を味見して、通っぽく唸ったなら】
【無駄にキリッとした顔で呟く、そして手を伸ばすのは蜂蜜のビン――だぱぁと垂らし、垂らし、――垂らしまくり】
【きっとそれだけでめちゃくちゃ甘くなっただろう飲み物をテイスティングして、今度は、ココアパウダーとか入れだし】
【見ているだけで胸焼けしそうに甘ったるい何かを誠意製作中らしい。――ああ、そういえば、なんだか独り言に返事があった気がして】

【もし誰かが振り返るなら――激甘ドリンク製作に関わっていない左手に気付くはずで、それは、不自然に顔の脇に持ち上げられ】
【そしてその手には、パペットが――人形劇に使うような人形が嵌め込まれていて、なぜだか、その人形から声がする】

【透き通るように金色の髪の彼女。瞳は透き通りそうなほどに真っ青で、頬っぺたはほんわり赤く、背が小さい】
【若草色のワンピースにフリルで縁取った白のエプロンドレス、靴は艶のあるパンプスで、爪先はまあるく】
【何より目を惹くのはその左腕。はめ込まれたパペットはデフォルメ調ながらも彼女を模したようなデザインがされて】
【ただ不思議に髪だけがサラサラと妙にリアリティ溢れた、ちぐはぐのパペット。ぱたぱたと動く手は操られているのか、それとも、】

ふふふ……、蜂蜜となんかよく意味の分からないパウダーを振りかけまくってやったですの!

【さらにしばらく彼女はわちゃわちゃとある意味錬金術めいてげろ甘味覚破壊ドリンクを造っていたのだけど、】
【数度の味見の後に満足したようなドヤ顔を浮かべ。人形も手をぱたぱたしながらですのですの鳴いて、光景は至って渾沌めくなら】
【それでも、ただ、にんまりと満足げな顔――なんにもなければ窓辺の席に陣取るのだろうけれど】

【腹話術なのか何なのか喋る人形、常識外にぶち込まれた蜂蜜や粉の量、無駄に元気なその様子】
【十分に誰かの目を惹く可能性はあって――というか、店員が若干迷惑げな目で見つめていた】 <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/01(金) 22:06:35.04 ID:ZqvJuUcSo<> >>328
【とあるコーヒーショップ】
【コーヒーに一味どころか何味加えてるんだかわからない少女を、テーブル席から眺めている人影が一人】

……若いっていいなぁ……

【透き通るように白い髪に白い肌、その中で存在感を放つ赤い瞳が目立つ、15かそこらの女の子】
【目立つ風貌の割に服装は、若草色のシャツにミニのスカート、その上に赤いジャケットと平凡もいいとこだが、こういうチェーンのコーヒーショップにはこれくらいがちょうどいいのかもしれない】
【向かいの席におかれた紙袋は、彼女がショッピングでも終えた後なのだろうと見る人に予測させる】
【そんな、今時の女の子といった一日を満喫している少女だったが】
【無邪気に調味料で遊んでいる女の子を見てると、そんな似合わない一言が漏れてしまうものだ】

【何気なく漏れた、そんな一言】
【静かな店内だと、意外と聞こえてしまったりするのだろうか】

//絡みよろしいでしょうか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/01(金) 22:17:14.61 ID:w/UxUexmo<> >>327
【荒野と化したその「何処か」】
【絶望そのものである何かが、アナタが産まれたその場所】

【小さく地面を踏み締める音を立て】
【絶望/アナタを眺める「人」が居た】

【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の……誰だろうか?少なくとも両者に面識はない筈だ】
【炸薬より強烈な魔翌力の奔流が奔る前から「其処」に居たのか、それとも突然現れたのかも定かで無い】
【確実なのはその「誰か」が アナタの視界に納まる位置に。声すら簡単にかけれる場所に立っているのは確かな事で】

沢山の人を見てきた

【声は男のもので】

復讐に駆られる人も。名を上げたい人も。唯々己が力を高めんとする人も
ただ、な

【少しどころかかなり胡散臭いこの男は芝居がかった風に指を立て、提案する様に言葉を続ける】

君程の絶望を纏った人はそう見る事は無い
故に――――俺っちは君に「興味が有る」
どうか、少し話をしてくれないか

【自殺志願者と取られてもおかしくない事をハッキリとアナタへ告げる】
【好奇心は猫をも[ピーーー]】
【しかし死ぬ事への恐怖より、生きる事の喜びより】
【唯々今はアナタへの「興味」が勝っていて】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/01(金) 22:18:16.29 ID:lgWtCvLZ0<> >>329

【ふんふふーんと鼻歌が聞こえてくる、特製かつ取っておきのすばらドリンクを右手にしっかと握り】
【自分の鞄を置いていた窓際の席に戻ろうとした――ちょうどそのとき、少女の声が、店内にふっと響き】
【だけれど上機嫌な“本人”は気付かず、気付いたのは――そう、左手に嵌められた、パペット】

「ちょっと待つですのー!」

【むきゃーっと響き渡るボイスは、そう、彼女(人間のほう)に似ていると、気付けるだろうか】
【デフォルメされているとは言え見た目も似ていて、声もそっくり。それならば、なんだか、恐ろしいような不思議なような】
【とかく本人が口を動かしていないなら、やっぱり腹話術か、……彼女(人形のほう)に意識があるのか、】

「アナタに言われると、ちょっと嫌味に聞こえますの!」

【というか、いきなり発された声に彼女(人間ry)がきょとんとした顔をしているなら、多分、自律しているのだ】
【少女はしばし瞳をぱちりこさせていたのだが、人形に「ちょっと!」なんて言われると、少し慌てたように】
【人形の体を操り――ずびしっと、指のない手で、相手を指差すようにしてみせると】

今年で21歳ですの!

【にこりと笑って見せて、少女が答える。言葉に合わせて人形は胸を張るような仕草をして――】

【自分の席に戻ろうとしていた少女はなぜだかそちらに足を向けると、ことんっと紙コップを相手の座る席に置こうとし】
【何も言わないままで居るなら一度窓辺の席に戻って、自分の荷物を持って、戻って――あれ、戻ってくるのだ?】
【そして向かいの席に荷物があると知ると隣の席から椅子を拝借、それなりに空いている店内なので咎められることもなく】

こんばんはですの! 「オソロですのー」

【ばすーんとそこに座って、さも、さあこれから一緒にお茶をしましょう!なんて顔を、するのだ】
【なんというか人懐こい、悪く言えば馴れ馴れしい。オソロと言うのは、まあ、服の色合いの話をしているのだろう】
【似たような色味の服だ。少女はにこにこしているし、人形は手をぱたぱたさせている。――うるさい茶会に、なりそうだった】

【(もちろん、なんだこいつと拒んでしまうのもアリだろう。なんなら店員に言えば、通報しては――くれない、かも、しれないけど)】

/ウン年振りの子なのであれですが、それでよろしければ……! <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/01(金) 22:30:44.81 ID:TZ/YZyMWo<> >>330

【―――衝撃波が風となって、がらんとしてしまった一角に吹き荒れる。】
【『銃の悪魔』が纏った、ボロボロの"コート"がそれにたなびいて、大きく魔の影が揺れる。】
【服装の下に見える素肌はまさに、爬虫類や昆虫のそれにも等しいような異形其の者と化していて―――】

【見かけだけで言うならば、まさに"テンガロン・ハット"と"ロング・コート"を羽織った"ガンマンの亡霊"―――。】
【強烈な紫色が輝き、"負"のチカラを内包する魔力をドロドロに垂れ流しながら、その悪魔はゆっくりと、声の方を振り返った。】

【そう、声―――掛けられる筈の無い声が、"ダーク・スリンガー"<悪魔の銃使い>の耳に入る。】
【絶望。興味。ハナシを聞きたい。そんな単語の数々が、脳裏に流れ込んでくる。相手は誰か。知らないヒトだ。】
【ならば、向こうはどうだろう。ワタシをしっているのか。どうでもいい。知っていてもいなくても、結局結果は何も変らない。】


 
  ――――だ、れ……? なんで、ここ、いる……?

                          わからない…

 わからない……          
                   だれ?           だれ?

 ころしてやる。      うっちゃえ。       うっちゃえ。     だめ。

 しらないひと。                      はなしがしたい。
              よくわからない。
                         だまされるな。
  こいつもきっといっっしょ。 
                         "れいん"をいじめる。    せかいといっしょ。

 うそつき。   うそつき。   うそつき。うそつき。うそつき。うそつき。うそつきうそつきうそつきうそつきうそつき―――――



【声が、多数の声が返答となって現れた"彼"の耳に反響するだろう。】
【同じ声量、おなじ声色。同一人物のソレに間違いはないが、多重に聞こえてくるソレ。】
【悪魔たる所以だろうか、物騒な単語や戸惑いも交じり合ったその言の葉は最終的に"決別"を導いた。つまり―――】


    ―――はなすこと、ない。


【構えられた銃口。引き金に指がかかる。】
【肩から袈裟懸けに装備していた"ウィンチェスター"のレバー・アクション・ライフルを】
【まるで重量を感じさせないほど静かに、自然な動作で構え、片手で照準をつける―――銃口の先には、>>330】

【銃口にエネルギーが溜まっていく。凄まじいまでの波動、魔力の集約。】
【弾丸が放たれれば、それは一筋の魔光となって一直線に>>330へと襲い掛かるだろう―――ッ!!】 <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/01(金) 22:38:46.63 ID:ZqvJuUcSo<> >>331
おぉっと聞こえてましたか、これは失礼……ん?

【悪気があって思ったことではなくても、聞こえてしまったらこうも言われるだろう】
【ということで素直に謝るわけだが──てっきり腹話術だと思っていたのが、まるで少女の意思とは関係なく発された台詞としか見えない少女の様子に、戸惑う】
【それはそうだ、自律人形なんて普通の人間は見たことないだろう】

へぇ、そうだったんですか……え、ほんとに?

【そして彼女の実年齢を知り、再び驚くことになる少女】
【見た目だけならともかく、不思議ドリンク製造にいそしむ様をみていれば当然ではある】

へ?あぁ、こんばんは……おそろ?
……あー、確かに、そんな感じですねぇ
こういう色、好きなんですか?

【そして最後に、突然の茶会の始まりに面食らうのである】
【とはいえ、それは立て続けの驚きの中で思考が追い付かなかったことが大きな原因であり】
【おそろの意味を解して話を広げる辺り、決して嫌ではないのだろう】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/01(金) 22:47:25.29 ID:lgWtCvLZ0<> >>333

【完全自律式のお人形さん。大した仕掛けも見受けられないなら、なにやらすごい技術の気配を感じる】
【……のだが、肝心の本人(形)がこんなノリなのですごく見えない。そして、手を動かすのは手動であるなら】

ですのー。気付いたらこんな歳で――、のう、ばあさんよう、歳は取りたくないですのう。
「そうですのう、じいさんよう……」

【こくりと首肯する。ですのという語尾はもはや癖みたいなものらしい、或いは鳴き声のようにも聞こえ】
【かと思えば二人でなんだかそんな遊びをしだしたり、仲良しではあるらしい――仲良し、なのだろうか、これは】

「好きですの! 若葉の色ですのー!」
春の色って感じですの、生命の息吹を感じて欲しいですの! さあ!

【現在二十歳。そして今年で二十一歳。残念ながら、頭のほうは小学生並――だろうか】
【よく言えばとっても明るいというか元気だ。若葉色で春の色だから生命の息吹を感じろなんて無理強い】
【ばーんっと両腕を大きく広げて見せ、人形の手をぱたぱたさせる。人形もそのうちに「さあ」「さあ」と言い出し】

【なんだこの状況――となってきたところで、「まあ、ただの好みですのー」と少女が言って、腕を下ろす】
【それで謎のやばいほど甘そうなドリンクを一口、最高においしそうに表情を蕩けさせたなら】

アナタは何を飲んでるんですのー? ……ふっふっふ、私たちは!
「特製蜂蜜コーヒーですのー!」

【急に相手の飲み物が気になったらしく、尋ねてくる。そしてタメて、タメて、発表するのは】
【これが元はコーヒーだったという事実。「飲んでみて欲しいですの」「めちゃウマですの!」なんて畳み掛けるから】
【その事実に驚くよりか、どうやって断るかを考えるほうが先かもしれないけれど――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/01(金) 23:03:30.82 ID:w/UxUexmo<> >>332
【「彼」はアナタの声を良く聞いている…のだろう】
【少し俯く様にして耳を澄ませ、アナタ「達」の声を聞く】
【気になる単語は幾つか有った。アナタの事を何も知らぬと言う歯痒さに後押され、此方から声を出そうとして―――】

―――――うおっ!?

【戦闘慣れしている人々から見れば圧倒的に「遅く」】
【男は向けられた銃口に反応…いや、思わず身を竦めた】
【その動作が偶々。男を魔弾の軌道から僅かに外してくれて】
【魔弾は男の着けていたお面の耳部分に当り、頭皮等の一部を削って往った】

ぃ……よいしょお!

【その衝撃で、少し仰け反る様になった男は勢いを着ける様にして上半身を元の位置へ戻し】
【はやる動機を抑える様に小さく深呼吸してから……ゆっくりと自分の頭を指差して】

次は死んでやる
【上手く当てれば。そう言わんばかりに割れた割れたお面から覗く黒の目でアナタを見つめながら銃に見立てた自分の指を自分のコメカミに当てて】
【先程の反応を見れば分かるだろう。この男は「戦いに身を置く者ではない」だが】
こっちに当てても同様。 此処に当てれば苦しんだ末に「そう」なる
腕に当てれば嘆くし、足なら逃げる事もままならねえって
【コメカミに当てていた手で自身の胸、そして腹を叩いて見せてから】
【しかし死の恐怖にへたり込まず、逃げようとする足をその場に置き続けるだけの強さが有った】
【それを可能にする「興味」 自分が「そう在りたい」と思う生き様が有った】
【だから……】


…飛鳥馬 東(あすま あずま)
ああ、俺っちとした事が失礼だった。まずは名前を知らねえと何にもならねえよな?

【自分から名乗りもしないなんて不躾だったとまずは謝罪する】
【まだこの男は会話を試みているのだ】
【「希望」も、「絶望」も、見届ける】
【誰とでも共に喜ぶ為に。誰も知らない絶望を嘆く為に】

この俺っち、飛鳥馬東は君が何故哀しんでいるのか教えて欲しい

【自分が格好いいと思う事に嘘を吐かない為だけに彼は其処に居る】 <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/01(金) 23:10:34.42 ID:ZqvJuUcSo<> >>334
……意外と年月ってあっというまですしねぇ、私も笑ってはいられませんよー
だからこそのいいなぁ発言ですし

【やや間があったのは、目の前の人形が何者なのかを考えたから】
【でもすぐに投げ出してしまう──知識もないのに考えたって無駄だと気づいたから】
【それなら、この年下系お姉さんと楽しくお茶会してた方が有意義だ】

生命の息吹……あーなるほど……なるほど?
あぁ、結局そういうところに落ち着くんですね

【こういうパワフルガールの勢いには勝てないようで、なんともあやふやな反応しか返せずにまごまご】
【でもテンションが戻ってくれて一安心、心が若い人の活力ってすごいなぁと今度は心の中で呟いたり】

私のはただのカフェオレですよー、何にも手を加えてはないので面白いことは何にもないですね

【まだほんのりと湯気が感じられるカップには、とても見慣れたであろう色をした液体が入っていて】
【少女のいうとおり、面白味はなさそうだ──精々、ブラックはきついのかなぁとか程度の情報しかなさそうである】

蜂蜜ですかー……まぁ、字面的には普通なんですけどねぇ
え?私が?いやーあはは……せっかくのオリジナルドリンクの一口目を頂いちゃ悪いですよ、うんうん

【一味加える分には美味しいと聞いたことはあるが、さっきの入れ様だとどういうことになるのか……と思っていたらまさかの提案に再び面食らう】
【無下に断るのもどうかと悩んでの返答は、ぶっちゃけ問題の先送りでしかなさそうだ】


<> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/01(金) 23:15:19.22 ID:TZ/YZyMWo<> >>335

【よく分らなかった―――彼の男は、なんだか不思議な雰囲気を纏っているように見えたからだ。】
【強運の持ち主か。確かにその通りだろう、まぐれかも知れないが、最初の一撃を彼はうまい事"回避"していた。】
【そして同時に、度胸の据わった男でもあるようだ。単なる死に損ないや、そこいらのチンピラとは根本的に違う―――異質。】

【そう、異質感。"レイン"の心の奥底に感じ取れた不思議な感覚はまさに、それだった。】
【この男、自分が死ぬのを恐れていない。それは死なないと分っているから、とか、腕に自身があるから、とかではない。】

【ただただ、本当に死すら恐れないほどこの男は好奇心のみで動いているのだろう。】
【"レイン"にはそれが不思議に思えた。死の恐怖に勝るほどの何かが、ニンゲンにはあるのか。】
【そんなものがあるなんて、考えた事もなかったのだ。銃口は、変らず彼を向いていたが―――しかし。】

 
        ―――わからない。 だれ?   なに? 

                おかしい。
  そんなの、へん。            へ んなおとこ。

                           みたこともない。きいたこともない。

 いみがわからない。  あずま。 あすま。 どっち? どっちも。

                  あずまあずま。あすまあすま。

                                        なまえ?


          ―――れいん。れいんは、れいん。せりーな、じゃない。れいん。

 れいん。           れいん。
                         わたしは、わたし。   
         れいん。                             れいん。


【まるで暗示を掛けるように、彼女(悪魔)は言葉を発していた。レイン。そう、名乗る。レイン。】
【雨の名を持った悪魔は、しかしなおも銃口をつきつけたまま、不思議な雰囲気の男に疑問を投げかける。】


  あずま。  きいて。  だれ?                      なんで、はなしかける。
                       なに?  あなたは、なに?  こわい。
  わからない、から、こわい。                 
                                  かなしんでいる?  れいん。

  れいんがかなしんでいる。       
                           そんなわけ、ない。  どうして?
    わかるの?  れいんのことが?          かなしい。  かなしい。
                   れいんはかなしい。  かなしくない。


                        ―――かなしい。れいん、ひとりだから。すこし、さみしい? かなしい……かも、。

【言の葉が、濁流の様に流れ込んでくる。悪魔は確かに言った。一人ぼっち。寂しい、と。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/01(金) 23:20:34.28 ID:lgWtCvLZ0<> >>336

はー、時間って本当にあっという間ですの!
「何かしてたかって、何にもしてないんですのー」
気付いたらパッと魔法みたいに!
「この歳なんですのー」

【なんて、続く言葉はなんとも息があっていた。ほんのコンマの間もなく、すらすら続いていくのだ】
【この歳だなんて人形が言うのはおかしな話だが、まあ、その辺はご愛嬌……だろう。きっと】

でもでも、アナタも生命の息吹ですの!

【なんて、やっぱり、元気だ。夜だというのに元気、一日このテンションなのだろうか――つかれそうだけれど】
【彼女にとってみればこれで普通なのだから疲れない。つまりずっとハイテンション。付き合う相手が大変なだけ】
【「若葉系女子ですの」と言っていたのは人形か、少女か、どちらだったろう。よく分からないくらいに、声は似ていて】

そんなの気にしなくていいですの……、あ、じゃあ、ちょっと待つですの!

……ぷはー! さあ、どうぞですのー! 輪舞曲人形特製の、蜂蜜コーヒーですの!
「遠慮せずにぐぐーっと!」

【一口目。一口目と言うにはあんまりに味見した記憶があるが、まあ、その遠慮の気持ちは分かる】
【新雪を踏むのは嬉しい反面、どこか気が引けるものだ。そう言う感じだろう……と彼女は配慮して】
【なんとホットの飲み物をグッと飲む! ……なんて、蜂蜜だばぁしまくったので、ぬるくなってしまっているのだ】
【そうして一歩目の足跡をつけてしまうと、これで遠慮なんて要らないですのとばかり、差し出すは紙コップ】
【それも、一番ちっちゃいやつとかじゃなくて、結構大きいやつだ。めちゃくちゃ量がある。ここは地獄だろうか――】
【いえコーヒーショップです、なんて、言ってる場合でもない。彼女はひたすら、蜂蜜コーヒーとやらを差し出していて】

【――というかその名前にも突っ込みどころがあった。輪舞曲“人形”。名前なのか、ハンドルネームなのか、それは謎だったけれど】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/01(金) 23:31:53.56 ID:uBo9E3kAo<> 【廃ビル】

【区画整理が頓挫してゴーストタウンに生まれ変わった街】
【犯罪防止に街頭だけが点々と灯り、住人は不良やホームレスが少し居るだけで】
【建設途中だったり解体途中だったり完成したもののオープンしなかったものもある】

【建設途中のコンクリートとモルタルだけのビル。何故か7階にフッと薄く明かりが付いた】
【そこは何もないフロアが広がるだけの場所だが光量のあるランプがあって、誰かがそこに居た】

【影のような人間で、やせた背の高い男だった。黒のシンプルなスーツ姿でシルクの青いネクタイ】
【サングラスをかけていた。右手にはリボルバー式拳銃が握られていて。そいつは何かを見ていた。彼の】
【足元には誰かが倒れていた。動かなかった。コンクリの床に赤い痕が沢山残っていた。男の死体だった】
【その周辺だけ丸めたマットレス、ボストンバッグ、食料品のダンボール…と生活する為に必要な物が全てある】

…何だ?

【物音がすれば、彼は振り返った。とっさに銃を構える。撃鉄を起こす音がフロアに響いた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/01(金) 23:33:18.66 ID:lgWtCvLZ0<> >>336>>338
/申し訳ないです、ちょろっとやることが出来てしまいましたっ
/次少し遅れてしまうかもしれないです、ただあんまりに遅れはしないと思いますので
/お待ちいただけたらと思います……すいませんっ <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/01(金) 23:44:55.04 ID:ZqvJuUcSo<> >>338
何にもせずに歳だけ食うと……耳がいたいですねぇ
ところで、その人形さんはおいくつで……?

【彼女の言葉に、意図せず痛いところを突かれて苦笑する──まさに、自分自身が時折悩む内容だったり】
【そういう話題を避けようとしたかったのか、純粋に興味によるものだけなのかは、自分でもわからなかったが、人形の「歳」とやらを尋ねてみる】
【この言いぶりからすると、こっちも21歳とかなのだろうか……それはないだろうと思いつつ、でももしかしたらとも思う】

私が生命の息吹かぁ、だといいですけどねぇ
どっちかというと枯れてる方な気もするしなぁー……

【その言葉の定義はよくわからないが、元気とか活力とかだとするとどうなんだろうと思う】
【別に引きこもってるでもないが、散歩が趣味なんていう隠居老人みたいなライフスタイルは、どうも枯れてるようにしか思えない】

あー……えー……うーん……
……そうですね、じゃあお言葉に甘えて少しだけ……

【断るのと傷つけないこと、両方やるのはやはり厳しかったようで】
【わずかに稼いだ時間では他に方便も思い付かず】
【そのまま唸っているも、純真な瞳の前では何もできず】
【仕方ないと腹をくくり、差し出された紙コップに手を出し、口元に近づけ──そっと、一口目をすする】

<> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/01(金) 23:45:24.02 ID:ZqvJuUcSo<> >>340
了解です、ゆっくりまってまーす <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/01(金) 23:54:48.50 ID:w/UxUexmo<> >>337
【東と名乗った男は一度両手を上げて何も持っていない事を示してからゆっくりと腕を組む】
【組んだ腕は丁度鳩尾の前辺りに置かれ、先程言った頭も、胸も、腸の詰まった下腹も守れていない】
【単に楽な姿勢をとった。それだけの事だろう】

おうおう覚えやすくて ぃーい名前だって自負してるってーの
この可愛い猫さんのお面…今ちっと壊れちまってるけど…まぁコイツと合わせて「アズにゃん」とでも呼んでくれってーの

【可愛らしいだろう?男は腕を組んだまま親指を自身の顔…と言うかお面に向けて。少しトーンの上がった声で問いかけた】
【話しに応じてくれる事。自身の興味に答えてくれる事。この男がそれを喜ばしく思わぬ訳が無く】

レイン、「君」はレインだな。
覚えておくってーの。 こんな強烈な思い出をくれたからな!忘れられねえだけかもな!かーっ!

【他ならぬアナタがそう言うなら、彼は否定すまい】
【アナタはレイン。他の誰でも無い。自分が知っている「君」はレインだけなのだから】
【いや…彼ならば例えアナタが他の「誰か/君」になったとしても―――】


なに、大丈夫だってーの。レイン

【言の葉の濁流の中で。男はまずその一言を告げる】

今から俺っちが君を知る。
今から俺っちが君を応援する。肯定する。
とまぁ…すこぉし難しい言葉を並べちゃいるがな

【ニッとお面で隠れて居ない口元と、片方の目元が喜色を浮かべ】

ま。寂しいなら今から友達になろうぜ。レイン。
態々言葉にするような事でも無いけどな!かーっ!

【小恥ずかしいと思ってはいるが「それ」が生き様なのだから仕方あるまい】
【誰とでも喜び、悲しむ。 手助けこそ出来ないがそれを共有できる人間になりたいのだから】
【余談だがこの男の友人は少ない。】


でもさ、レイン
君はただ寂しいからこんな風に周りを壊したのかな?

【彼女が寂しがっているのは「知れた」】
【しかしこの場の荒野と化した景色とは結びつかぬ】
【「何故?」 知りたがりは彼女に問う】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 00:09:12.43 ID:rWWYtD+Xo<> >>343

【こんな切羽詰った―――とは言え、先程よりは少し軟化はしていたがそれでも銃を突きつけられながら】
【その銃を突きつけている相手目掛けて"アズにゃん"と呼んでくれ、とは―――恐れ入った、この男頭が可笑しいらしい。】
【無論、この場合は悪い意味ではなく、褒め言葉としての"悪い"だ。この男の飄々とした態度は、明らかにレインを困惑させたのだ。】

 
                   ―――あず……にゃん。

              にゃん?      おかしい。  やっぱり?

  あたまがわるそう。      そんなことない。             
                                    へんだよ。

               へんなのはれいんもいっしょ。  みんなへんだよ。
       
  れいんのほうがへん。 
                            せかいのほうがへん。

 かわいい……かわいい?                かわいいとおもう。
                  かわいいことはない。 かわいいよ。    
                                    わすれさせないよ。れいんはここ。
  ずーっとここ。
               おもいしらせてあげる。 れいんはいきてる。 
                                        わすれさせない。 


       とも、だち。                          ともだち?
                        れいん、の?
                                     ともだち。ともだち。
                
【言の葉の数が増え、まるで自問自答を繰り返すかのように鳴っていく。】
【かわいいお面。忘れられない。その二つは、少しだけ、ほんの少しだけレインの態度を軟化させ。】
【当然だ、友達になってくれる、とまで言われれば―――レインは銃を、下ろした。悪魔の魔力が少しずつ―――少し、ずつ。】


                   【きえていくかのようにみえた。だが、最後の質問がまずかった。】


【ただ寂しいから? 勿論、違う。別の理由がある。何の理由か。どんな理由か。】
【寂しさに端を発する何かではなく、もっと根源的な彼女の破壊衝動。それはなんだったか。】
【思い出せ。思い出せ。思い出せ。なぜ撃った。思い出せ。思い出せ。なぜ壊した。なぜ死なせた。なぜ、なぜ、なぜ、なぜなぜ。】



【―――瞬間、ドラクレア島の"からくり"が作動した。レインの中に生まれた強い観念が、】
【過去への想いが、恐怖が、トラウマが、悪意が、殺意が渦巻き、この島特有の"フラッシュバック"現象を巻き起こす。】
【まず最初に、訪れた変化は空間の変形。二人のいる付近の地形が歪み、じめじめとしたジャングルからカラっと晴れた荒野へ変化し】


【―――そして、照り付ける太陽が容赦なく体力を奪う中、―――東には見えるだろうか。】
【広大な大地、地の国の果て、どこかの田舎の荒野で―――ジリジリの日差しの中、歩くヒトの群れが。】
【いや、正確にはそれはヒトではない。ヒトと認めてもらえなかった、悲しい人種たちだ。脚と、手とに鎖を施されて】
【ぞろぞろと、荷物を持って一列に歩いていく彼らを、馬に乗った別の人間たちが上から鞭で叩き、たたき、肌を焼き潰す。】

【そしてその中には―――まだ物心もつかぬであろう、"少女"の姿もいくつか混じっており――――――――――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/02(土) 00:17:29.24 ID:rnMJ+MsV0<> >>341

【はて、と、少女の仕草と言葉が止まった。それは、人形の歳を尋ねられたときから】
【まるで――分からない、或いは知らない、もしかしたら“ない”みたいに】
【きょとんと止まってしまって、数秒、十数秒、――】

「7つですの!」

【その沈黙を破ったのは人形のほう。フリーズしてしまったかのような少女の変わりに、彼女はそう答え】
【七歳なのだという。それなら同い年ではなく、後から手に入れた、ということなのだろうが――】
【不思議なことに、少女のほうは全く分からない顔をしていたのだ。そんなの知らない、と、そういわんばかりに】

……でも、ちょっと落ち着いてるのも、羨ましいですのー。

【それで、少し後に復帰する。なんだか腑に落ちない顔をしていたが、それもそのうちに消えるだろう】
【はーっとわざとらしくため息など吐いてみせて、そんな風に言う。机にぐでんと寄りかかって――或いは突っ伏して】
【ただそれでも相手が蜂蜜コーヒーを飲むときは、瞳をキラキラさせて見上げ――にんまり、わらう】

【その味を表現するなら、甘味の暴力だろう。どんな甘いもの好きな女子でも悲鳴を上げそうなほど】
【ダイレクトに脳髄まで突き刺さるように甘い。甘すぎてなんだかもう分からないくらいに、甘ったるい】
【どんな初期の虫歯でも末期みたいに痛みそうに甘い。ひっくり返って悶絶しそうなほど、或いはそれ以上】
【ていうか啜った時点で甘い。口に入ってなくても甘い。コーヒーの匂いよりも蜂蜜の匂いがダイレクトアタック】
【これまたどっさり入れていたココアパウダーとバニラパウダーはどこかへ消えて、残るのは蜂蜜ばっかりで】
【こんなの赤子に飲ませたら一発で昇天できるだろう。というか、大人でも、昇天しそう――】
【後味に蜂蜜の激甘さと生クリームのコクを残して、その一口は終わる――だろう、永遠にも感じられそうな地獄】

おいしいですの? 「ですのー?」

【――だけど、彼女(ら)にとってはこれが最高においしいらしい。多分、どっか、大事なネジが足りていない】
【具体的には味覚あたりを司るネジがぶっ壊れているらしいのだ。うふふぅと楽しげに彼女は笑うと】
【初めての手料理を彼氏に食べさせた彼女みたいに、すっごい笑顔で、返事を待っているのだった】

/おまたせしました! <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/02(土) 00:42:23.15 ID:aEmWe2y1o<> >>345
【突然止まってしまった場の雰囲気に、おや?と首をかしげる】
【なにか不味いことを言ってしまったか……と思ったら、人形の方が先と変わらぬ調子で答えてくれたので、そうではなさそうだとほっとする】

7つかぁ、なら私なんかよりずっとも若いんですねー
それくらいなら何かすることが見つかってなくても、悔いることはないんじゃないですかねぇ

【そう返して話を続けるも、持ち主の方の表情には疑問を覚える】
【もらいものだったりするのかなぁ、なんて想像してみたりするが、今は目の前の話に集中することにした】

何かまっしぐらに飛び付くほど魅力的な何かがあれば、違うんでしょうけどねぇ
生憎、そういう存在にはなかなか出会えてなくて

【活力ある生活には、それを向けるための目標が必須】
【それが明確に持てないでいるのは、少しもどかしいものだ】

【……とまぁ、そんな冷静な思考を続けられるのも、蜂蜜コーヒーを口に含むまで】
【その恐るべき甘味に危うくむせかけるが、なんとか堪える】
【年頃の女の子らしく、甘いものは好きだが……物には限度があるというもの】
【なぜこれを一気に飲めるのか──目の前の少女と自分の味覚は恐らく違う風にできているのだろう】
【それだけなら個性というだけだが、問題はキラキラした目で見てくる彼女たちをどうするかだ】

……そうですね、中々悪くないと思いますよ?
蜂蜜が効いてて、独特の味が出てますね

【蜂蜜コーヒーのカップを置き、喉に絡み付く後味を堪えて笑顔を作り、当たり障りのない言葉で誉めてあげる】
【嘘を吐いたり駆け引きをするのは慣れている彼女だったが、自分の味覚に嘘をつくというのは初めての体験であった──できれば次はないと信じたい】
【そのまま空いた手で自分のカップを持ち、口直しに一口啜った】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 00:46:05.92 ID:cyRgQHqEo<> >>344
【男にとっては何の事は無い。名乗るついでに「アズにゃん」という渾名を教えるのはいつもの事だ】
【それよか大事なのは自分の興味と自分の着けてるお面が可愛いと判断されるかどうかだ】

おうおう、可愛いってぇの。
俺っちの愛らしい性格なんかも有ってより際立つってぇもんよ

(世界の方が変……否定?それとも単に困惑してるだけか…思い知らせる…)
(怨恨かその辺か?)

【ふざけた様な態度を取りつつも「興味」には正直だ】
【濃縮された様な言葉の中からレインの真意を探り、「知ろう」としている】

【だから…つい先ほどの様な言葉が出たのだろう】
【―――何故?と】



【レインの銃口が自身の方から外れた直後に、最初感じた「絶望」が再び蘇る】
【自身が思い出させた。自分が引き金を引いた。 それを彼は後悔し――――――】


……ああ、大丈夫。

【――――しない。逃げ出す事も当然無い】
【悪意と殺意が景色を塗り替える中確りと男は立ち続け】
【レインに言った言葉をもう一度繰り返す】

俺っちだけでも「知りたい」んだ
其れだけ誰かが悲しんでいる理由を

【それは名も無き花の1つ1つに名を着ける様な、気の遠くなる「夢」】
【彼はレインの「悪夢」を体験する事になる】


……あっつ

【最初に感じたのは暑さ】
【櫻の国とは違って湿気の少ないカラッとした暑さだ】

聞いてた通り、変わった島なんだなぁオイっと
っと、なんだあれ?
つーか。レインは?

【枯れた景色の中、まず見つけたのは人の列】
【それを注視する前に軽く辺りを見渡してレインの姿を探すだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 00:50:11.93 ID:q+wWOZCyo<> 絶海の孤島か、ドラクレアねえ……
吸血種かそれとも龍種か、まあどっちが出ても碌な事にはならないのは明白かしら

【『過去の記憶が集積する島』】
【安息所からやがて深きジャングルに変わるだろうその境目】
【今や高く昇った月を見上げ紫煙を燻らせる女性の姿があった】

……というか、そもそも遺跡と言っていいものなのかしら?
久しぶりの本業だからって息を巻いて勇んで来たのは良いのだけど……
まあ蓋を開けてみない限りは分からないのでしょうけど……それにしても不味いわねコレ……

【淡いランタンの灯りに照らされるのは錆色の髪と瞳】
【黙っていればそれなりという顔の造形はしかし可愛気という物は廃しているように毅然として】
【忌々しそうに咥えた煙草も相まって暗に「近寄るな」とさえ言っているような雰囲気】

魔翌力の流れを整えるだか何だかって渡されたけど……
不味いしイライラするし待ち人は来ないし……傭兵って基本的に時間に律儀だと思ってたのだけど
呑気な顔して来たなら顔面に砲撃叩き込むかー……

【白煙は天に伸びて月に溶けるようにやがては消える】
【都会から離れた島、澄んだ空気は空を近づけ満点と輝く、遠い話】
【ふと傍らから取り出した銃はどこぞの天に昇った女神の名を持つ魔銃だった】

あと十分まって来なかったら先に行っちゃいましょ
それか少し戻って誰かいたら適当に言い包めて連れ去る、うんこれで行きましょう……
そもそも近接役が1人もいないで探索なんてした日にはそれこそお陀仏だろうし……あーあ、最初に声を掛ける相手を間違えたわホント

【待てども来ない待ち人に業を煮やし気味に銃口を暗がりに向ける】
【ずしりと重たい感触だけが確からしい物、樹海を越えた先には或いはもう既に】
【この島の特性の中にあるのかもしれずならばその霞のような世界の中で魔術師は何を見るのか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/02(土) 00:50:35.22 ID:rnMJ+MsV0<> >>346

【なかなか悪くない。その言葉に少女はぱあぁーっと表情を煌かせ】
【そうでしょう!と胸を張るみたいにですのですの言っていた。本当に鳴き声みたいとは余談だが】
【人形も手をぱたぱたさせて嬉しそうだ。――その手を動かしているのは少女なのは置いておくとして】

そうなんですの! 蜂蜜をたぁーっぷり入れないと、この味は出ないんですの!
「蜂蜜は高いから、家だとやらないですの!」

【ひっどい話だった。こんなにも蜂蜜をだばだば入れるから、到底家じゃあやりたくないと】
【だからこういう店に来てやるのだと――たあーっぷり。その言葉は入れた量に比例するようにようく伸ばされ】
【自分がとっておきにお気に入りの飲み物を褒めてもらえれば彼女は上機嫌そう、そうして、返してもらった紙コップ】
【ふんふんと鼻歌を歌いながら飲んで――、ふと、気付いたようにその手を止める】

良かったら、これ、あなたにあげるですの!
「このおいしさが分かるアナタと!」
私たちの友好の証なんですの!

【「わぁー」って言いたくなるような感じだった。性質が悪いのが、これが、完璧に善意から出ていること】
【無難な言葉を頑張ってひねり出してくれた彼女に対するこれが仕打ちだ。もっと飲んでいいよ、と、むしろあげるよ、なんて】

私たちはまた新たな蜂蜜コーヒーを作るですのー。

【にっこにこしながらもう一杯作る宣言に、店員さんが固まった……のは、目の錯覚ではなく】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 01:00:23.88 ID:rWWYtD+Xo<> >>347

【はて、レインの姿―――レインの姿、か。】
【そもそも、先ほどまでの"レイン"は、まさに悪魔の身なりをしていた。】
【素肌は爬虫類や怪物のそれのように分厚い鱗に覆われていて、外骨格の様な棘が節々を覆う。】

【その皮膚を隠すように着込まれた巨大なロング・コートとハット。帽子の中に隠れてはいても】
【間違いなく其処にあるのは"人面"ではなく悪魔の頭部―――紫の眼が光る、鉄で出来た髑髏の様な面皮。】
【身の丈はそれこそ2mを雄に超えるほど巨大、取り憑かれた"ガンマン"という表現はまさにそれ其の者であって―――】

【然らば、これが"レイン"の過去を追体験しているとはわかっても】
【そもそもの"レイン"がどのようなニンゲンなのか、背格好なのか、髪色なのか】
【それを判断する術は恐らく、男にはまだない筈―――だが、明らかに浮いている存在がいた。】


 『オイ、なにしてやがる。遊んでんじゃねェンだぞ? さっさと働け!』

 『クソッタレが、安い奴隷なんぞ買い付けやがって……もっと体力のある奴らはいなかったのか?』

 『これで全部だよ、最近はどこも取締りが五月蝿くてサツの眼を掻い潜るのも一苦労ってんだ。』

 『ケッ、湿気てやがる……おォい! 冗談だろ、倒れてる場合か、さっさと運べ! テメェはそのために生まれてきたんだよ!』


【馬に乗った男数人が、ああでもない、こうでもないと言い合いをしながら、"奴隷"の行列に鞭を打った。】
【酷い物で、一発打たれればそこが蚯蚓晴れを通り越して皮膚が裂けるほど痛めつけられ、奴隷達はただ呻く。】
【何かしらの資材を担ぎ、歩け、働け、止まるな、と鞭打たれる列の中央から少し後方にかけて―――小さな、少女がいた。】

【髪色は金髪。少しクセのついたロングヘアは伸ばしっぱなしで、太陽に照らされよく透けていた。】
【ただ本来はキレイな筈のそれには泥や灰が大量につき、そしてその少女の表情はとにもかくにも、虚ろで―――。】



 『―――オイ。オイ。テメェだよ、そこの男。こんなところで何してやがる?』



【ガチャリ。東の背後から、リボルバーのハンマーを起こす音が聞こえるだろう。】
【追体験。だが、此処にあるのは一つの仮想現実。侵入者に対して、記憶が抵抗をし出した。】
【東を排除しようと、現れたのは奴隷承認の"用心棒"。構えた銃を突きつけ、東を今にも撃ち殺そうと―――する。】

【そして次々と、奴隷を率いていた男達も"此方"へと視線を向け始める。】

【―――勘付かれた、か。】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 01:05:05.13 ID:rWWYtD+Xo<> /失礼。奴隷承認、ではなく「奴隷商人」ですた。orz <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/02(土) 01:15:19.75 ID:aEmWe2y1o<> >>349
あはは……確かに、この量はお財布的には厳しそうですよねぇ

【これはひどいという言葉を飲み込んで、同調してみせると共に心の中でご自由に使われまくってしまったお店に同情する】
【ここで同情できるのは、自分の危機は去ったと思い込んでいたからだが──まさか、残りをあげようと言われるとは思わなかった】
【一難去ってまた一難、少女の顔が笑顔のまま固まる】
【だが、一度嘘をつきはじめた以上もう止まれない──嘘は、突き通さねば意味がない】

わぁー、いいんですか?とても嬉しい話ですねぇ

【固まった笑顔のまま感謝の言葉を吐き出す少女】
【無垢な二人組の喜びようを今さらパーにできるはずもなく、紙コップに手を伸ばす】
【そして、二人が次の蜂蜜コーヒーを作りにいったところで、思いきって一気にコップの中身を無理矢理流し込む】
【そしてそのまま自分のカフェオレで殺人的な甘さを中和──途中でむせて吐き出したりしなかったのは、自分で自分を称えたい】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/02(土) 01:22:47.36 ID:rnMJ+MsV0<> >>352

【「そうなんですの!」だなんて彼女はちょっとした愚痴みたいに言う、そりゃあ大変だろう】
【このペースで使っていたら一週間もビンがもたなそうだ。その前に死にそうでもあるけれど、】
【この子は多分大丈夫なのだろう――糖尿病、そんなの知りませんね】

【ぴしりっと固まってしまった少女の笑顔に、ただ、人形も、彼女も、気付けなかった】
【笑顔であるのを見て「わぁ喜んでくれてる」みたいな顔をする、ほんとうに、きづいていなくって】

どうぞですの!
「遠慮しないで欲しいですのー」

【なんて言って、なんなら手の動きでどうぞどうぞとやっている。ちなみに、他に飲むと言い出した人はもちろん居ない】
【それからじゃあ自分たちの分を改めて、と、お財布片手に新しいコーヒーを頼みに行く。それで、戻ってくるのは数分後だ】
【その間、相手に何があったのかとか、全く知らない――故に同情も出来ず、知ったとして、同情できたのだろうか?】
【底のほうに蜂蜜が沈殿してさかさまにしないと垂れてこないようなコーヒー。そしてそれは、きっと、コーヒーじゃないのに】

……そうだ、私たち、アナタの名前が知りたいですの!
私たちは輪舞曲人形って言うですの――。

――この蜂蜜コーヒーのおいしさが分かるアナタとは、仲良く出来そうですの!

【そして戻ってきた彼女は、すでにコップが空なのを見て、目を丸くして、それから嬉しそうにする】
【席に座りながら尋ねるのは彼女の名前だ。出来立てのはずなのにすでにぬるいコーヒーを飲みながら、】
【やっぱり変な自分(たち)の名前を告げ、それから――許されるなら、彼女の手をがっしと握ろうとするだろう】

【その目はやっぱり真っ直ぐに輝いて――始めて分かってもらえた、と、純粋に喜んでいるようなのだった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 01:34:22.44 ID:cyRgQHqEo<> >>350

………やっべ、俺っち道知らねえんだけど

【見渡せど自分の知るレインの姿は見当たらず】
【てっきりレインと一緒に過去を見るとかそんなんかなー、と】
【そんな風に彼らしく楽観してたら失敗するという良くある光景】
【とは言え良くあるならば人間慣れる…と言うか東の性格的にすぐ前を向けるものだ】
【とりあえずは人間の列の方を注視して―――】

……

【言葉は無かった】
【飛鳥馬 東は善悪問わず肯定しよう】
【誰かを殺したい。誰かを救いたい。世界を変えたい。 如何な理由が有ろうと…いや、そう思う理由が、そう思う激情が有るからこそ彼はそれらを肯定できる】
【故に、今真正面に居る「外道」に…と言うか彼等の食い物にされている人々には思う事が有るのだが】

――――(あ、コレやべえわ)

【いつもならば、会話を試みようとするのだろう】
【しかし撃鉄が引かれる音と、何処か現実的でない「不自然」な殺気を感じとった】
【咄嗟に着けているお面を真上に指で払って……】

―――インスタント・エンチャント

【直後、空に放られたお面が激しく発光する】
【擬似太陽の如き其れは視界に納めると一時的に視界を白く塗りつぶす筈だ】

よっしゃ!退避!!

【流石に多人数…と言うか1対1でも戦闘とか無理!】
【そう言わんばかりにスキル欄の1つを埋める「逃げ足」を駆使して適当な岩場か何かの影へ逃げようとするだろう】 <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/02(土) 01:43:10.53 ID:aEmWe2y1o<> >>353
えふっ、けふっ……ん゙、名前ですか?
私はクローフィ・チャイカと申します……覚えておいてもらえると嬉しいですね、えーと……輪舞曲人形さん?

【なんとか、戻ってくる前に表情は整えられたが喉はまだ甘さがこびりついているようで】
【それを軽い咳で取り払ってから、自らの名を名乗ったところで初めて、彼女の名の違和感に気づく】

えーと、私「たち」の名前というのは……なんでしょう、コンビ名的なものなんでしょうか?
なら、二人の名前も知りたいところですが

【私「たち」の名前という言葉と、輪舞曲人形という名前というには相応しくない単語】
【すぐに思い当たるとしたら、二人のコンビとして名乗ってると考えるのが筋だろう──彼女もそう思い、その上で個々の名を尋ねる】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/02(土) 01:52:34.19 ID:rnMJ+MsV0<> >>355

クローフィ……「チャイカさんですの!」

【なんて、相手の名前を復唱するのにも息が合う。左手のパペットを顔によせ、ぱたぱたさせながら】
【逆にこちらの名前を呼ばれれば、こくこくと頷いて、それが名前だと示す。……大概、疑われるものだから】
【慣れてはいるし不愉快ではない。“だって、生まれたときからの名前だ”】

……? これが私たちの名前ですの!
「そうですのー、これ以外の名前なんて、ないですの!」

【少女はきょとんとする、人形は、当然ながら表情は変わらない。――しかし、どこか、不穏な気配を放ったように思えた】
【人形の年齢といい、固有名といい、チャイカが求めるものは。……これ以外などと、どこか強調したように聞こえ】
【そして二人の言葉を信じるなら、少女の名前も、人形の名前も、ないのだという。二人としての名前しか、そこにはないと】
【少女は全く違和感のない顔で告げる、だが、人形の放つ気配は――少しぴりぴりとしているように思え】

「……そろそろ帰るですの、スーパーの半額惣菜を探しに行くですの!」
――あ! そうですの、私たち、お買い物に行こうとしてたんですのー。

【そんな“彼女”が次に何をするかと思えば、どこかに行こうと促すことだった。この場から、或いは逃げ出すように】
【買い物に行こうと少女に促せば、少女も、あっと思い出したようにするから、これは、元々決まっていたことなのだろう】
【買い物前のお茶という感じだったのだろうか。まあそれはどうでもいいことで、】

【なんにもなければ彼女らは立ち去ってしまうだろうから――現に、もう、立ち上がろうとしていた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 01:58:51.25 ID:q+wWOZCyo<> >>350>>354

――――――――……

【待ち人を待つ事も飽き戻って付き人という名の被害者を探すのも面倒】
【元々単独で行動する事を善しとする性格故に、魔術師がそのまま1人で樹海を進む選択は容易に想像出来た】
【魔術師自身その選択に後悔はない、何よりも自分で決めた事なのだから】

【しかし、まあ敢えて言うのであれば一縷の期待を込めて進んだ先には自分の記憶ではない世界が広がっていた】
【というのは少しばかり予想外ではあったのだけど……】

……っ、あっつい……なにここ……

【平時の魔翌力の昂ぶりの無い魔術師はならばその感覚も人と同じ】
【予想し得ない暑さ、それに加えて眼前に広がる異風景に呆然とし白昼夢の類だろうと頬を抓ろうとさえ思った】
【しかしこの土地は「かの土地」である、自分に記憶が無いならばそれは他の者の記憶はてさて誰の想い出に巻き込まれたのやら】

【暑さの中で咥えた煙草をポロリと落としやがて視界を脳が理解する頃】

何かしらこの不愉快な所は……

【奴隷商というのは当たり前に行われていた事である、それは知識として理解はしている】
【今の世までの変遷の中で当然に必要であった事だろうしそれを否定するのは今の文明を否定する事に繋がり兼ねない】
【歴史とは積み重ねでありその堆積の中には悪もあっただろう、そう当然の事】

【だからとて、目の前の蛮行をそ知らぬ顔で通り過ぎる事など出来る理由も無し】
【気に入らない事は気に入らないと主張せずにいられない、直情型の女……そこで不意に陽炎がざわめき魔翌力が目覚める】

あらあら可哀想な人達ね揃いも揃って辛気臭い面を浮かべてこんな中で並んで歩く
まるで死神の葬列、縁起も悪すぎて烏だって腐肉を食らおうとしないでしょうね……嫌だわ、下賎な香りがあちこちと

【或いはこの場所が奴隷という制度を正当化し、ここの住民が奴隷を人間以下だと扱っていたならば】
【その魔術師の言葉は奴隷に向けられた物だと思うのだろうが、かの魔術師の言葉はひとつの狂いも無しに奴隷を扱う人間たちに向けられている】
【何も直接関わっている者達だけではないここに住む者達、ここに居る者全てへの宣戦布告に等しい言葉】

人の身でありながら人で無しなんて目障りで困るわ
せめて区別が付くように、アタシがキレイにしてあげましょう……―――――――

【く―――と弧月のように唇が嗤えば一瞬の閃光が大地を駆ける】
【魔術師としての魔弾は熱を持たぬ力としての砲撃、狙われるは銃を掲げた用心棒なる人物】
【この場この時に於いて奴隷を扱う側の最大戦力であろう者を明確に狙うという行動は、この場で一番の武力を持っているのが魔術師であるというのを周囲に理解させる為】
【直情的でありながら一方で最適の行動を、それを示すように魔術師の周囲には停滞する魔弾が無数に展開され】
【ならばその意味とは動けば全て叩き潰すという事に他ならず】

/お二方よろしくお願いします! <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/02(土) 02:07:25.05 ID:aEmWe2y1o<> >>356
ふぅん?そうなんですか……まぁ、名前を二人で共有しちゃいけないなんてルールはないですしね

【正直な話をいうと、もっと突っ込んで色々と聞いてみたいところだった】
【だが、人形の雰囲気が変わったことに気づいて止める──ここで人形がこの話を避けたがってることに気づけないほど、彼女は愚かではなかった】
【そんな、まるで人形の方が主人といったような様子も気になったが……今は聞かないでおこう】

おっ、なんだか初めて年上感のある台詞を聞けたような
私はもう少しゆっくりしていきますね……では、またどこかで

【恐らく元からそういう予定はあったのだろうが──それを人形から言い出したところを見るに、これを引き留めてもあまり意味はないのだろう】
【ならば、無理に追う必要もないだろう──口直しにコーヒーを買い直そうと、彼女も席を立つ】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 02:13:58.30 ID:rWWYtD+Xo<> >>354>>357

【―――死神の葬列。言いえて妙、という所だろうか。】
【だが少しばかり表現を変えても良いのならば―――むしろ死神ではなく】
【彼等は死人。墳墓の中に蠢く廃人。亡骸に命の火を無理やり灯された、哀れな人形達。】

【―――鞭を振るっていた男の一人が、異変に気付いた。周囲の魔力量の変化。】
【暑さには慣れていたが、これは太陽の照りでも岩場の照り返しでもなく、もっと純粋な"熱量"。】
【灼熱、そう言い換えても過言ではない程の爆発的な魔力が渦巻き、現れた新たな"侵入者"の存在を示す。】


 『なッ……うおっ、まぶし―――ごわァッ!?』


【インスタント・エンチャント。東の仮面が発した光で、銃を持っていた男の手元が、狂う。】
【視界を強烈な光で遮られた彼は闇雲に腕を振り回し、銃弾を連射するが、岩場に隠れた東には届かず。】
【そして背後より、背中で感じるのは熱量の増大―――そう、侵入者の放った無数の魔弾が、用心棒の背中に殺到した。】


 『―――ジェイクがやられた。アイツ等を消せ。目撃者を村から出すなよ、奴隷商売はバレちゃ終いだ。』

 『あいよ。おら、お前ら仕事だ。アレを捕まえろ。オラッ! なにやッてんだ! 動け!』

 『あそこの岩場だ、独り隠れてるネズミをとッ捕まえて来い。ケリー、オレとオマエはあそこの魔術師の相手だ!』


【リーダー格の男が、鞭打って数人の奴隷を動かす。すると、奴隷達は怯えながらも】
【東が隠れた岩場へと走っていき、そのまま東を捕まえられたなら、引きずり出そうとするだろう。】
【無論、接近に気付き逃走する事は可能だ。その場合、彼等奴隷を何とかする必要は新たに出てくるが―――】

【そして次に、カズネに対して動いたのは奴隷商三人だった。】
【奴隷の列を指揮するリーダー独りはそのままに、三人の商人はそれぞれ、】
【馬を凄まじい速さで走らせながら左右、前方の三方からカズネへと接近していく―――!】


 『ヒャハハハッ! わるくねえ、オマエも奴隷にして売り払ってやるよ!』

 『たまらんなァ、コイツは高値がつくぜ。』

 『―――ま、その前に俺たちで愉しませてもらうがね。』


【左右から迫った男二人は手に握った自動拳銃を撃ち放ち、カズネへと攻撃を開始。】
【その射撃の中、猛然と突撃をしてくるのは前方の一人。馬の蹄を高く振り上げ、そのまま蹴飛ばそうとするだろう―――ッ!!】


【―――列の中には、どこかで見た髪色と、クセっ毛の少女が独り。】
【カズネならば、"ブルーとも翡翠とも取れない"その神秘的な瞳の色と、金色の髪の組み合わせには見覚えがあるやもしれぬ―――。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/02(土) 02:14:43.35 ID:rnMJ+MsV0<> >>358

ごめんなさいですのー! また今度、会えたらお話するですの!
「……――、」

【両手を軽く合わせてぺこりと頭を下げる。金髪碧眼の彼女がやると不思議だが、櫻の真似だろうか】
【そのくせ人形は沈黙を貫き、喋らない。それとも本当に腹話術だったのか、――そんなの、きっと、嘘だろう】
【喋れないただの腹話術人形がどうしてあんなに険悪な気配を出せるのか。“これ”は確かに意識を持ち】

【だけど少女はそんな不穏に気付かないらしい。或いは気付けないのか、――それはまだ分からないけれど】
【蜂蜜コーヒーを潔い角度でガッと飲み干すと、別れの言葉を言いながら――ゴミ箱に紙コップを入れてから、店から出て行く】
【結局人形から別れの言葉は無かった。どうやら機嫌を損ねてしまったらしく――からりと、退店を示す、ドアのベルの音】
【金髪が夜に翻って、そこまま人ごみに紛れていく。そうして、店には静寂と平和が戻った】

/おつかれさまでした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 02:41:05.23 ID:cyRgQHqEo<> >>357>>359
おろ――――っと、うわぁ

【何だか「場違い」とも取れる魔翌力量】
【逃げる際にチラリと見た方向には割と胡散臭げ(?)な恰好の人物が居て】
【――――見るからに闘う気満々で若干ヒいたのは内緒にしておこう】

俺っちとしてはこの「過去」の行く末を見届けるのが目的だったんだがなぁ……

【彼の目的はレインの「絶望」「悲しみ」の源を知る事であった】
【故に極力「何事も無いように進めていく」事が望ましかったのだが……】

ま、しゃあないか
気を取り直していきまっしょいっと

【岩場に隠れつつ懐から予備のお面(色違い)を出して着けると準備は万端。自分を狙う銃持ちの奴ももう居ないのだから…何とか出来る】
【身体能力強化の指輪を使って硬い動作で跳び上がると岩場の上に若干足首を痛めつつ着地する】
【奴隷達が自分を追って岩を登りだしたら…】

インスタント・エンチャントっとな

【跳び上がりつつ。そう唱える。 インスタント・エンチャントその名の通り微かな時間だけ何かしらの力を付与する力である】
【対象は…跳び上がる直前まで自分が居た。奴隷達が登り始めた岩そのもの。付与効果は「ゲル化」】
【それも一瞬だけ。触れていた手足が微かに埋まって抜けなくなる程度。 救出には未だ岩に登り始めて居なかった人達の手が必要になる筈で】
【最悪時間稼ぎにはなってくれるだろう】

さって……これがレインの夢なら、本人が居る筈なんだけどね―――っと

【別の岩へと跳び移り、キョロキョロと辺りを見渡して人々を観察して首を捻る】
【当然である。そもそも東はレインが元人間だなんてつゆ知らず、元よりあの異形チックな姿と思っているのだから】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 02:44:47.55 ID:q+wWOZCyo<> >>359

あ……きれた……言葉を介する前に直ぐ暴力なんだもの
呆れる前になんかいっそ可哀想だわ……

【この場に於いて一番に暴力を扱ったのは果たして誰であったのか尤もそう問われた所で「それが何か?」と素っ気ない態度を取るのは目に見えているし】
【迫る弾丸を控えていた魔弾の炸裂で弾き飛ばし、そして再装填された魔弾が脈絡も無しに左右から迫る男二人の急所に向けて放たれるというのも目に見えている】

【目には目を歯には歯を、暴力には蹂躙を】
【たったそれだけのシンプルな答え】

(ああ……そういえばここって多分誰かの記憶の中なのよね……)
(それならちょっと試してみても、まあ問題ないか……過去を改竄してるってのでも無いしね……ふふふ)

【魔術師というのは通常の職業ではない、魔という字が意味するのは人の常識の外という事】
【故にその流れに居座る人間は異質であり、その行動全てが一般人のそれとは異なる事などまあよくある話】
【加えてここが記憶の世界であるという認識もあってか、魔術師は少しばかり羽目を外す】

セット、ガントレット……ええとアイツはなんて言って殴ってたっけ……まあいいや
魔翌力を添えて魔弾として放出する力を直接拳に重ねて放つ、実戦でやるのはどうかと思うけどそこはご愛嬌ってことで―――――――ッ!!

【纏う魔翌力は不意に微かな熱を持つ、魔女と呼ばれる力の一端をほんの僅か右手に纏わせ型も何も無い形で構える】
【なんて事はない魔術師の言ったままの純粋な殴打、違う点があるとするならば照り付ける太陽に近しい熱と力を宿すというだけ】
【だがそれも肉薄したならば身を焦がす事さえもあるだろう、そしてそれはやはり躊躇い無しに馬蹄に向けて突き放たれる】

骨くらいは残ればいいけどね……なんてッ!!

【一振りの中で陽炎が幾重にも重なり揺らめくのはこの場所の気候も相まっての事】
【馬にとってはそれこそ命に関わり兼ねないが騎乗する男にとっては軽い火傷程度になるか】

【そこまでは実際の戦いの中での事】
【熱を持ちながらも冷静に、魔術師は視界に映る1人の姿を捉える】

(――――――――……厄ネタか、幸先が良いと考えるべきなのかしら)
(でもねえ……人様の記憶を覗き見るなんてやっぱり良い気はしないわ、歴史を漁るアタシが言うなって話かもだけど)
(しかも……コレって結局過去の記憶の再生なんでしょ?ここで何をした所で過去が変わるってでも無いし、ホント無情な世界だわ……)

でも、だからって……何もしない理由にはやっぱりならないもの……

【幼いながらも見知った姿、記憶の主が誰であるかは考えるまでもない】
【見るべきではなかったと思った、しかし見てしまったのならば過去が変えられない物だとしても感じた事をしなければと強く思う】
【全ては自己満足だと言われれば否定のしようが無い、しかしそれさえも問題ではない】

【なによりも力を持ったのは自分の意地を高い壁の向こう側へ貫き通す為なのだから】 <> クローフィ・チャイカ<>sagesaga<>2015/05/02(土) 02:57:22.56 ID:aEmWe2y1o<> >>360
えぇ、楽しみにしてますね!

【先程までの、人形と少女の息のよさはどこへいってしまったのか】
【この状況には気づいていないであろう少女向けに笑顔で別れの挨拶を交わしながら、人形の方の様子をうかがう】
【先程の名前の件は、触れてはいけない問題だったらしい……人形とサシで話していたら、色々わかるのかもしれないが、今はどうしようもない】

【そのまま、人混みに紛れていく二人を見送りながら、やけに機嫌の悪い店員からコーヒーを受けとる】
【口直しにと頼んだブラックは、あの甘さのあとでもやはり苦かった】

//お疲れさまでした! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 12:17:10.01 ID:kbAD+HFNO<> >>325

なんだ、意外と単純だな……
……お前でもなれるなら、俺でもなれる気がするぞ

【なんてことを言ってアインはまた若干批判のこもった視線をダグラスに向けていた】
【口には出さないながらも、“本当にこいつは六罪王か”ぐらいは思っていたり】
【もちろんそれはダグラスの性格や、彼の実力を目にしていないせいなわけだが──】

【ジャングルの中を進む。草木や茂みをアインは鬱陶しそうに押しのけながらダグラスに続いていた】
【そして狭かった視界が広がった瞬間に、その巨大な体が目に飛び込んできた】

おーおーおー、こいつはあれか、いわゆる“恐竜”ってやつか!
生物や考古学には全く興味はないが、やはり知られざるものを目の当たりにできるのは興奮するな!

【単純なところがあるアインは珍しいものが見れて声を大きくしていた】
【もしかするとそのせいで恐竜の注意を引く可能性もあって】

……で、どうすんだよ、あれ
六罪王、お前なんとかしろよ。六罪王だろ

【自分が大声を出したというのに、アインはその対処をガイドになすりつけようとするのであった】
【もちろん、何ともならないときのために魔術の準備はこっそりしているわけだが】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 12:28:52.37 ID:rWWYtD+Xo<> >>361-362

【離れた位置から、新たな侵入者―――この場における第三の存在である、カズネを認識する東。】
【一方のカズネが東をしっかりと、この過去の"濁流"における自身と同じ"潜入者"である事を認識しているかは】
【まだこの時点では分らなかったが―――ともあれ、これで二人の人間が熱砂の記憶に飲み込まれた、という訳であった。】


 『―――――――っぁ、ぁぁ……。』


【インスタント・エンチャント。その第二の能力が開花し、簡易的な"液状化"現象によって】
【東を追っていた奴隷の人間達は手足を岩場に阻まれる。丁度、スライムの中に体が埋まるかの様に―――。】
【これを目撃した、奴隷を率いる独り―――リーダー格の男は、東をハッキリと"能力者"である、として認識を改めた様だった。】

【別の岩場に移った東からは、少し離れた位置に奴隷たちの隊列が見えるだろう。】
【だが当然の事として、"悪魔"の姿は見えることがなく―――列にいるのは通常の人間達、のみ。】
【そうこうしている内に、リーダー格の男は次の一手を打ってきた。肩に乗せていた一匹の"鷹"を飛ばすと―――。】


 『―――行って来い、狩の時間だ。』


【追い立てるようにし、鷹が急上昇、そのまま東の頭上をヒラヒラと舞っていく。】
【そして今度は上空から、羽を翻して直角に急降下―――東の顔面に、鋭い爪を立てようと襲い掛かった!】


【―――その一方で、カズネの応射によって魔弾が炸裂し、"左右"から迫っていた二人の奴隷商は撃ち抜かれる。】
【射抜かれた彼らの身体は血を流す事も無ければ仰け反る事も、悲鳴を上げる事もなく、ただ"黒い煙"の様になって霧散する。】
【そう、今カズネと東、両名の前に存在するのはあくまで仮想の世界。此処に映し出されるのは幻影と、形を持たない意思の泥人形達。】

【故に―――ただの一撃、ニ撃では完全にその"闇"を払う事は出来ず。】
【魔弾によって身体を削られつつも、奴隷商はひるむことなくそのまま、馬を走らせた。】
【完全に消し去るには相応の攻撃が必要、という事だろう。これらは無意識的に、レインが生み出した"防衛手段"。】

【過去を見られまい。過去を悟られまい。そういった強い観念が、トラウマと記憶の混濁に混ざり合って生成される"兵隊"。】
【つまり、二人が相対しているのはまさに"レイン"の自我意識その物でもあり―――。】

 『―――――――お、わァッ!?』

【直撃。馬蹄を貫いたガントレットが、ゼロ距離から魔弾を射出するという無茶苦茶な"拳撃"によって弾かれる。】
【そのあまりの熱量に馬の影は完全に消え去り、馬上の男は脆くも地面へと叩きつけられた。が、しかしまだ息はあり。】
【それと同時に、両翼から先ほどの二人がカズネへと迫る。大きな一撃を撃ち放った隙を狙って、両名が投げかけるのはロープ。】

【丁度西部劇のカウ・ボーイがやるのと同じ要領で、彼等はわっかの付いた縄をカズネへと放ると】
【左右からそれぞれ、魔弾を撃ち放つ両手を絡めとってしまおうとするだろう―――捕まれば、脱出は容易ではない。】


【―――ドンパチが激しくなってきた頃、隊列の中で明らかに"異常"な反応を見せる少女が独りいた。】
【資材を引き摺り、顔を震わせ、脚がガクガクと揺れ始めると、その場にしゃがみ込む―――金髪の少女だ。】
【歳の頃はまだ8歳か、そこらだろう。過酷な環境に弱音を上げたのか、それとも―――彼女は"怒って"いるのか。】

【自身の意識と過去の中に入られて―――"怒り"に震えているのか。】
【対抗しようとして、無意識の内に奴隷商を戦わせているのだろうか。】

【だとすれば―――カズネには自明の事だったが、東にとっては大きな情報となりうる。】
【そう、その少女こそがまさに―――この"過去"の混濁の特異点であり、原点なのだから。】
【隊列の中に、他の奴隷とはあからさまに別の反応を見せる少女が一人―――これは、矢張り。】

【彼女の―――レイン、の正体か。】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 12:59:34.58 ID:rRCl8aSZo<> >>364

【巨大な爬虫類の祖。それを前にして、興奮するというのは】
【きっとダグラスも一緒なのだろう。ただ怯えるだけではなかったものの】
【アインが大声でその感情を表すと、些かぎょっとしたように彼に振り返って制するが】

【――時すでに遅し。耳を劈くような咆哮が二人を襲い、地響きとともに大恐竜は向きを変え】
【明らかに二人を襲うという意志を持って、しっぽを揺らしながら走り始め】

……あぁもう、こっちに来ちゃったじゃないか!
上手くやれば迂回して……え?ちょっ、ボクより君の方が魔術でドーンとさぁ……!

【さながら反応は賢い子供。ひとしきり反論を述べて文句を重ねると】
【肩を落として溜息をつき――直後に、彼は耳を塞ぐ。そのまま現実逃避をする、のではなく】


【理由は背後。ダグラスを起点として、半円状に無数の銃火器が出現したのである】
【戦艦の主砲やトーチカの砲台。或いはもっと古式なマスケット銃やらも含めた、『火器』というイメージの具現化】
【数十以上の銃口は、ほんの数秒も立たずにこちらへ突進する恐竜に向けて撃ち放たれる】

【その轟音は、耳を塞がねばしばらく聴覚が狂うほど。あえて事前に『耳をふさげ』と言わなかったのは】
【恐らくちょっとした仕返しか。――硝煙が晴れると、恐竜の肉体は6割ほどが四散していて】
【実行者であるダグラスはといえば、それを見てからアインの方に振り返り、ニヤッと笑うのだった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 13:17:21.03 ID:kbAD+HFNO<> >>366

ははっ、ほら見ろこっち来てるぞ! 頑張れよ六罪王!
バカ言え、大事な恐竜を魔術で吹き飛ばすなんてことできるわけ……おい、何してるんだ?

【案の定こっちに向かってきた恐竜に対して、アインは指差して笑っていた】
【ダグラスがどうするのかと目を向けてみれば顔を、いや耳をふさいでいる】
【もちろん何故そんなことをしているかはダグラス、そして恐竜しか見てないアインにわかるわけもなく──】

【直後、まさしく耳を劈くほどの轟音が至近距離から発せられる。衝撃と勘違いするほどの音圧にアインの身体が仰け反り】
【それから遅れて彼は両耳を手で塞ぎにいった。当然、その一瞬で彼の聴力は殆どが吹き飛んでしまった】
【苦痛に眉を歪めながら前を見ればそこには肉塊に近い状態の恐竜が。隣にはむかつく顔の六罪王が】

おまえ、なんだ、しかえしか!
ガキじゃ、あるまいし、なにしやがる!!

【アインの文句も途切れ途切れ。というのも自分で自分の声が大して聞こえていないのだ】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 13:33:08.88 ID:rRCl8aSZo<> >>367

フフッ……ボクだって畑の案山子じゃないんだから。
やれって言われたからやったまでさ。キミのご指示通りに、ね?
……あ、って言っても聞こえないんだっけ。いやぁ、ごめんゴメン。

【アハハ、と無邪気に笑いながら、アインの肩をポンと叩き】
【自分が創りだした大砲を跨ぎ、平然と恐竜の死骸の方へと歩いて行くと】
【残骸から大きな爪を取って、『お土産に良さそうだね』なんてポケットに放り込む】

【――もうしばらくすれば。つまり、アインの聴力が回復すれば】
【改めて『ゴメンね?』と――笑いながらだが、言葉をかけて】

いやぁ、実はああいう戦い方は初めてだったからさ。加減がわからなくて。
頭のなかの『銃火器』っていうものを具現化させたんだけど……

……あ、っと。そうだ、お散歩の途中だったね。こっちだよ、こっち。

【改めて、ダグラスは歩き出す。向かう先はもう近いのか、ジャングルの少し向こうから】
【煙突の煙が見えていた。工場のそれよりも大分大人しい、平和な煙だ】
【島の反対側からは何やら爆音が聞こえていたが――ダグラスは気にする様子もなかった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 13:50:19.01 ID:kbAD+HFNO<> >>368

【ダグラスが何をいっているかは聞こえなかったが、いつもの調子で弁明しているだろうということ】
【それと無邪気に笑ってるのだけはわかった。それが余計にアインを腹立たせた】

【──しばらくして耳が聞こえるようになってもアインは若干不機嫌だった】
【「あーくそ、まだ耳鳴りがしやがる」なんて言いながらダグラスの話を聞いていたのだが】
【その弁明に魔術師は驚愕した】

……頭の中のものを具現化するとかどういう能力だよ、お前は
それが本当なら、一体何ができないっていうんだ

【ダグラスが見せた能力、そしてそのちょっとした説明はアインの想像だにしていないものだった】
【巨大な物体を瞬時に破壊した部分だけを取っても戦闘能力が高いと言える。それだけでないならば尚更だ】
【そうくると、ダグラスは六罪王としては申し分ないのだが──】

まぁでもお前は悪の親玉って性格してねえしなぁ

【アインはやっぱりぶつくさと文句を続けるのだった】
【ダグラスの後を追いながら、彼もまた島の反対側の気配に気づいていた。そしてダグラスとは違い、それに多少意識を向けていた】

なんだ、妙な気配だ……それにこの魔力の感じは覚えがあるな……
…………まぁいいか

そうだ、おい六罪王
あの逆さの塔の頂上で戦っていたやつのことを知ってるんだろう?
あいつのことを教えてくれないか?

【道中、アインはふと思いついたようなフリで、聞き出したかったことをダグラスに切り出した】
【普段ならば殆ど命令口調の彼が、これに関してだけは言い方を正していた。それだけ、重要なことだった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 13:50:59.14 ID:cyRgQHqEo<> >>362>>365

かっ、ゴメンよ!でも捕まる訳にはいかねえってーの!

【先程まで居た岩場に微妙に埋まった人々に手を上げて謝る事も忘れない】
【まあ怪我はさせてないから許してくれるだろう…多分。】

【さて、探せど見当たらぬレイン…そういやあの子性別どっちなんだろう?と東は反対方向に首を傾げ…どうしたものかと唸りとも溜息ともつかぬ息を吐き】
【空から降って来る様な風切り音にふと視線を上げると】

ちょ、おまっ!!

【急降下してくる鷹の一撃を避けも反撃もせず…と言うか出来ず】
【思わず両手で頭を抱える様に防御姿勢を取る…当然鋭い爪は東の腕の肉を削いだ】
【痛いという声を出そうとする、が、それを我慢しようと歯を食いしばろうともする。結果漏れたのは低い唸るような声で―――】

…超!脱兎!アゲインだってーのぉぉ!!

【一瞬石でも投げて鷹を撃ち落とそうか…とも考えたが無理と判断したのも一瞬】
【となれば「逃げる」 躊躇いは無い。痛いのは嫌だし戦闘なんてものはぶっちゃけ門外漢なのだから仕方ない】
【即興でなくその為に作った身体能力強化のエンチャントを施した指輪。それを利用しているからか割と素早い…尤も、加減を誤れば自壊するのだから割と綱渡りである】

【「どう」するのが正解かなんて東には分からない。そもそもそんな事を悩む人かすら怪しいものだ】
【だが確かなのは…悪人と呼ぶには「人が良すぎる」事位か】
【そのせいでたった今へたり込んだ少女がやけに目について……】

かーっ!つくづく面倒事が好きな手前が嫌いになるってーの!

【多分 東は彼女がレインであるとは気付いていない…冷静さも地頭も足りねば情報もまだ足りなすぎる】
【ただ何となく。へたり込んで大丈夫だろうか? とそう心配になっただけの事だろう】
【やるべき事の解らぬ彼には「それだけ」が次やるべき事への道標と成り得る】


知ーらね!もう俺っちも好きにするってーのー!かーっ!

【当初の予定である見届ける事すら出来ない状況。もう1人も好き勝手暴れている】
【ならばもう自分は非戦闘員らしく潔く逃げるべきだと思う】
【その過程で つい今しがたへたり込んだ少女を拉致ってみようかと―――――――迷わず武装した奴隷商も居る、奴隷達の列へと駆けていく】

【1人で逃げるにゃ心細いし、少女を見捨てるには少し人が良すぎた。】
【この「夢」の終着点は分からないが…いや、終わりなんて無いかも知れないからこそ】
【「自分がやりたい事」をやらない理由にはならないのである】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 14:31:34.49 ID:rRCl8aSZo<> >>369

出来ないことは……なんだろうね?
単純な論理で行けば、ボクが想像できないことは実現不可能だけどさ
あぁ、後は魔術とか。あくまでも物理的な創造物だけ、って所かな。

【――それをさして消耗した様子も見せずに実行するのだから、底知れない】
【体力や性格面は一般の機関員よりも劣る点が多いとしても】

【果たして、その能力の最大値がどれほどのものなのか】
【その点を考慮すると、ダグラスという男が六罪王を名乗るのも】
【あながちおかしなことではない。そう思えるような一幕が、やがて銃火器の消失と共に終わり】

……キミは彼女にご執心って感じだね、アイン。
さっきも言った通り、ボクが知ってるのは資料の範囲内だけど…――。

まず、彼女は半魔だ。悪魔と夢魔……淫魔かな?
その混血児で、詳しい出生は不明。魔界からこっちにきて
機関には老人のフリをして加入し、すぐに六罪王の座に上り詰めた

ところが、彼女は自分の目的のために機関員を率いて古龍の討伐を始めたのさ
そこで正体をバラし、風の国にATLASを喚び出し
最終的には機関を味方に付けて、魔界を征服しようとしていた……らしいよ。

……あ、そういえば彼女。リリアは機関を裏切る形になったわけだけど
それを粛清した娘が居たかな。ベイゼっていう、元No.3の娘でさ
関係が深かったのは他に、あのカニバディールと……あとは、セリーナ・ザ・"キッド"も縁があったとか。

【『これで満足?』と聞きながら歩を進めると、ふと拓けた空間に出ることとなる】
【そこには一軒家があった。レンガ造りの、そこそこ大きな三階建て。】
【煙はその煙突から出ているものだった。クッキーでも焼いているのか、香ばしい匂いが漂っていた】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 14:44:38.09 ID:kbAD+HFNO<> >>371

【想像を現実に変える力。表現が正しいのだとすればこの上ないほど万能に近い能力だ】
【なのであれば、ダグラスが六罪王を名乗ることはなんらおかしなことではない、とアインは認識を改めた】
【見方によってはあのベクターよりも厄介かもしれない、とさえも。もっとも覇気とかそのへんがないので喧嘩は売らないが】

別に執心してるわけじゃない。同じ魔術師として興味があるだけだ

【ダグラスの何でもない一言にわざわざアインは弁明をした。左耳のイヤリングのせいで説得力がない】
【その短い説明の間、アインは一言たりとも口を挟まなかった】
【集中するその様は、おとぎ話を聞く子供のようでもあるし、教えを請う生徒のようでもあった】

……思ったより複雑な話だ

【アインの感想は短かった。魔界という異世界に、機関の利用、セリーナ・ザ・“キッド”という有名な名前】
【一つの戦争がそこにあったことは、想像に難くなかった】

で…………今は封印か、魔界か?

【続いた問いは彼女の結末についてのものだった】
【視界が開けて家が見えるとアインは若干、眉をひそめた。ジャングルの先にレンガ造りの家があっては誰でも驚く】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 14:55:31.76 ID:rRCl8aSZo<> >>372

今は魔界の何処かで、大悪魔の監視のもとで幽閉されてるとか。
刑期がどれくらいかは忘れたけど、もしかしたら
彼女が戻ってくる頃には人間は居なくなってるかもしれないね。

まあ、その辺は是非さっき言った三人の誰かに聞いてみてよ
特にカニバディール。彼は指と目を彼女に奪われた、なんて話もあるからさ

【カニバディールといえば、今や世界を騒がせる機関の巨魁だ】
【六罪王でこそ無いが、下手をすれば彼らよりも名は売れているかも知れない】

【そんな人物が指と目を――だとすれば、相当な悪女だったのだろう】
【記憶の世界ではまだ子供であったが、魔族とはそういうものなのか】
【それとも彼女自身が悪辣だったのかは、今では推し量るしかなく】

……さ、沢山歩いて沢山話したんだ。疲れただろう?
クッキーとレモネードでも堪能してさ、ここで休憩していこうよ

【レンガ造りの一軒家。その扉を平然と開け放って、ダグラスは中に入ってゆく】
【手招きしてアインも誘い込み――まず、そこにはキッチンとリビングが一体になった部屋があり】
【そして三人の"記憶"が存在した。男性、女性、黒髪の子供。家族らしいことはすぐに分かるだろう】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 15:09:12.68 ID:kbAD+HFNO<> >>373

…………やはり生きてる、のか

【記憶の最後の映像。確かに決定的な敗北ではあったが、明らかに彼女は消滅していなかった】
【アインはその事実を噛みしめるかのように呟いた。彼の胸中に安堵と焦燥が入り混じった奇妙な感情が沸き起こった】
【魔界に魔族、世界に名を馳せる二人に、それ以上に名の知れた組織の構成員。世界の中心から外れていた彼にとって、遠い話だった】

【記憶の世界での彼女の姿、それが見た目相応なのか、それとも違うのか。それさえもアインにはわからなかった】
【確実なのは、今の彼では同じ力の域に達していない。それだけだった。やはり人間のままでは────】

……ちょうど休憩したかったからいいが、これはなんだ?
お前の能力もむちゃくちゃだが、この島もそうだ。何か関係あるのか?

【招かれるままに家の中へと入り、適当に物色をし始める】
【ドラクレア島の“記憶の再現”という特徴は、どこかダグラスの能力と類似性があるように感じられた】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 15:20:58.09 ID:rRCl8aSZo<> >>374

【アインの呟きに対して、ダグラスが肯定を意味する頷きを送った】
【彼女は生きている。会えるかと言えば全く、何とも言えない所だが】
【ともあれ、話を終えて家に入れば、ダグラスはグラスを2つ用意して】

この島については、ボクは何も。強いて言えば砂浜の休憩所は用意したけどね
あくまでも記憶を具現化させているのは"別の力"だよ、アイン。

……それと此処はボクの家だ。そっちの人がパパで、こっちはママ。
ボク自身の記憶から形になっているから、向こうはボクらを認識出来ない。
ホログラムに近いかな……といっても、触れることは出来るけど

【新聞を読む、丸いメガネと鼻下に整ったヒゲの生真面目そうな男性】
【淡い金髪と青い瞳。スラリとした長身の、優しげな女性】
【黒髪を耳のあたりで揃えて切った、クレヨンを手にした少年】

【――マックスウッド家、というわけか。あまりにも普通の家庭で、拍子抜けするかもしれない】
【グラスに薄黄色のレモネードを注いでアインに差し出し、小皿に盛られたクッキーを薦める】
【何とも平和な光景だった。テーブルの椅子を引いて『座ったら?』と声をかけて】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 15:50:49.46 ID:kbAD+HFNO<> >>375

別の力……? アーグのジジイじゃなさそうだな

【グラスを用意するダグラスを横目に、手近な椅子にアインは座り】

……凄まじい能力を持っている人間が、実はかなり普通な家庭の出身
そんなのは俺ぐらいだと思ってたんだがな

【そう言って、彼の続けた答えに少し驚いた表情を浮かべた】
【彼が驚いたのはそれだけではなかった。幼少期の記憶、この平和な光景に他人を立ち入らせたのも驚きだった】

お前は……何故、六罪王なんかに?

【レモネードを一口飲み、魔術師は浮かんだ疑問をそのまま口にした】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 15:55:42.43 ID:kbAD+HFNO<> //時間かけた上にすいません、ちょっと超遅い昼食とってきます! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 15:57:04.66 ID:q+wWOZCyo<> >>365

いやに耐久高いわね場所も関係してんのかしら……―――――――っ!?

【煙を上げる拳の手応えは確かにあるがどこか曖昧で魔術師は心の中で首を傾げる】
【記憶の世界など流石の彼女でも始めての経験、通常の場所と勝手が違う事がようやく分かり】

【それも踏まえさて次はどう行動したものかなんて考え始めた矢先】
【獲物を絡めとる蛇の如く魔術師の両腕にロープが巻きつき締めあげられる】
【斬撃、砲撃の類は受けた事はあってもこの手の攻撃……というか束縛は慣れてはいない】

……っく……くくく、あまぁい……

【記憶の中といえどどうやら痛みはあるらしい】
【まるでそれが幸いとでも言うように自らの動きを制限されてもなお「魔女」は嗤う】

捕まえて、なんて考えちゃダメじゃない
最初から[ピーーー]気でやらなければこの私はそうそう易くもまして優しくもないのに……ッ!

【途端、その熱量は炎という確かな姿を以って世界に現れる】
【魔翌力の昂ぶりはそれだけで熱を持ちやがて焼き尽くす為の焔を纏う】
【魔女を縛り付けるロープさえも例外ではない、全身を包む赤はあらゆる物に差別なしに降りかかる】

(…………まあ、これだけやれば他の人間の目もこっちに向くでしょうね)
(あー……やっぱりこういうケースだと負荷高いわコレ、すっごいなんかダルい……)
(ダルくて長く持つかはわからないんだから早くあの子を保護してよね旅人さん、そうすれば私もとっとと逃げ出せるんだから)

【逆巻く炎の中で同じく真紅に染まった双眸は1人の少女と1人の青年を見ていた】
【やり過ぎたか、申し訳ないと思うが少女をこの場から引き摺り出すにはひとつ騒動でも起こさねばどうしようもない】
【結果魔女が痛みを被るが全ては自己満足の為、後悔などそこには無く】

【青年が少女を連れ出したならば魔女は安堵の表情を浮かべ】

/すいません遅くなりました! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 16:11:37.35 ID:rRCl8aSZo<> >>376

【アーグではない。それを仄めかすように、意味深長な笑みを見せ】
【自分もまたグラスを傾ける。甘さは控えめの、目が醒めるような一杯だ】
【疲れた身体には良い。一方でクッキーはしっとりとしていて、ふわりと甘く】

六罪王になった理由は……まあ、強いて言えば
新しい観点が欲しかったんだ。芸術家としてね

例えば、有名なゴッホやルーベンス、或いはレンブラント。
彼らは様々な手法で素晴らしい絵を書いたけど、あくまで一芸術家だった。
じゃあ"悪の極致"という目線に立てば、彼らの見えなかった世界が見えるかも知れない。

……そうしたら、もしかするとボクでも彼らに肩を並べられるかもしれない。
だから六罪王になったんだ。悪いことをしたいんじゃなく
世界で最も悪と呼べるだろう立場から物を見たかった。理由はただ、それだけだよ。

【機関への忠誠や、世界への復讐や支配は全く関係がない。私的な理由】
【六罪王としては恐らく、異端だ。根っからの悪党ではないが、罪悪感を覚えない】
【一般的な家庭に生まれ育った歪な天才。ダグラスというのは、そういう形容しがたい男だった】

>>377
//いえいえ〜、お昼ですしのんびりいきましょう
//ご飯もどうぞゆっくり食べちゃってくださいな〜 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 16:21:38.99 ID:rWWYtD+Xo<> >>370>>378

【飛び立った鷹の鋭い一撃は、深くダメージを与える事は叶わず。】
【浅い切り傷のみとなったが、それでも確かに"攻撃"が及んだのは紛れも無い事実。】
【そう、襲われるのが記憶の幻影とはいえ、実際に攻撃されれば傷は残る、なら命を奪われれば―――】

【その先の事は考えるまでもない。鷹は再び上昇すると、大きく旋回を開始。】
【新たな"エンチャント"によって高い機動力を確保した東のことを、上空から冷徹に見下ろす。】
【同時に、その鷹を操る奴隷商のリーダー格の男もまた、鋭い眼を光らせていた。殺さねば成らない、と―――】


 『……速いな。逃げ足だけは一流―――なっ!?』


【だがその次に、東が取った行動にはさしものリーダーも驚かされた。】
【まさかこちらに向かって突撃してくるとは。いい度胸だ、奴隷商の男は下を巻いた。】
【そして口笛を吹いて合図を出すと、鷹がそれに鋭く反応し、再びの急降下を開始。攻撃が始る。】

【まず最初の一手は背後より、鷹が東に襲い掛かった。その爪で背中を思い切り切り裂こうとしてくる。】
【そしてニ撃目は、奴隷商の男による物。持っていたレバーアクション式の連発銃を構え、正面から東を―――狙う。】
【鳥がエモノを執拗に追い立てて、猟場に導かれたエモノをハンターがトドメの一撃で仕留める。典型的なハンティングのパターン。】


 『―――奴隷は渡さん、一匹もな。』


【真っ直ぐ策を弄さず突撃すれば、このまま挟撃されてしまうが―――攻撃を要請しカズネを頼るか】
【或いは策を持ってこれを看破し、上手い事少女を助け出すか。時間は少ない、選択の余地も余りない―――!】



【そして、カズネに襲い掛かっていたロープを持った奴隷商たちは】
【まんまと両腕を縛める事に成功し、下品な笑い方で馬を近寄らせていく―――が、しかし。】
【そこから急激に発せられるのは驚異的なまでの熱量。縄はあっさり燃え尽き、馬の影すら焼き尽くされる―――!】


 『はっ、うっ、うゎっ……!?』

 『なんだ、こりゃ……離れろ、火薬が―――っ!?』


【当然、馬が焼き尽くされれば男達は地面へと叩きつけられ。同時に、炎が男達の所有していた】
【銃火器類の火薬に次々と引火し始め―――炸裂。皮膚を焼かれ、炎に飲まれ、そして火薬が破裂し彼等は消えた。】
【しかし、最後に残っていた独りがしぶとく、火炎に塗れながらも懐の酒瓶を取り出すと、カズネめがけ投擲するだろう―――そう。】

【着火点の中央であるカズネにも"炎"を喰らわすべく、アルコールの入った瓶をぶちまける事で】
【彼女をも炎に飲み込もうとしたのだった―――! まさに最後の悪あがき、そしてカズネの位置から見えるだろうか、】
【件の"旅人"―――東もまた窮地に立たされている。恐らくは、これが最後の正念場となろうか―――!】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 16:48:16.90 ID:kbAD+HFNO<> >>379

【話を聞きながら、アインはレモネードとクッキーを交互に口にしていく】
【クッキーは一回か二回で一枚を消費するしレモネードも一度に結構な量を飲み干す】
【ダグラスと違い、食事に関してはかなり適当で、食い合わせだの何だのを気にする様子がまったくない】

ふーん……

【ダグラスの語った理由に一言相槌を打つと、レモネードを一気に煽って飲み干して、グラスを机に置いた】

……ならやっぱり、俺でも六罪王になれそうじゃないか
意外と俺とお前は仲良くやれるのかもしれんな……芸術なんてものはさっぱりだが

【そう言ってアインはダグラスに向かって指を差す】
【何か単一のもののために立ち位置を変える。そうしたくなる“何か”がある。その一点においてアインはダグラスが似ていると感じたのだ】
【そして何よりも、見えなかった世界を見るために──その理由が生まれる切欠をアインに与えたのも、ダグラスだった】

//ただいま戻りました! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 16:58:30.03 ID:rRCl8aSZo<> >>381

……あぁ、勿論。六罪王という一点に関しては、ボクほど不適格な人間も居ないからね
魔術に造詣が深くて、探究心がある。君の方がよっぽど向いている筈さ

良ければ……今、枠が一つ空いてるんだ。六罪王のね
アイン、キミが最後の一人になってみるのも良いんじゃない?
ボクから推薦して、手続きもしたっていい。……勿論、良いことばかりじゃないけどね?

【アインよりもゆっくりと、久々の味を楽しむというように】
【クッキーを一枚食べるのものんびり。レモネードなど、減っているのも曖昧なくらいで】

【そうして提案するのは、彼が六罪王に就任してしまえばいいというものだった】
【確かに、機関の戦力や情報網を使えるという一点においては、破格の申し出に違いない】
【ただし世界中の敵となるのだ。味方も増えるが、それ以上に敵も増える】

【自由な立場とは言え、責務も重い――それをどう捉えるかは、無論個人次第であった】

/お帰りなさいませ〜! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 17:00:43.89 ID:cyRgQHqEo<> >>378>>380

かーっ!夢だってのに痛いってどういう事だってーの!
夢から覚めて、起きるどころか永眠なんか勘弁だってぇ!

【命が惜しいとは思わないが進んで死んでやろうなんて事も思う訳も無い】
【後ろから迫る鋭い爪に冷や汗をかきながら走って走って走って――――】

撒けるか畜生があああぁぁぁぁぁ!!

【最高速度で鷹になぞ勝てる道理はなく、思わず叫んで】
【今にも追いつかれそうなこのタイミングしかないと判断した東は…「跳んだ」】
【走る勢いをそのままに、両手を後ろ頭に組んで腕で頭を挟んで。両足を曲げて…ダンゴ虫みたいに空中で丸くなった】
【殴り、蹴られる程度ならばこれ以上ない見事な「防御態勢」と言えるだろう】
【しかし空中に居るという事はそれ以上の「回避」は出来ないという事。跳んだのならばそれ以上の加速は見込めぬという事】
【1人と1匹のハンターからすれば唯の「いい的」と言えるだろう】
【そしてそのひ弱な身体で銃弾を防げるのか。猛禽の鋭い爪を防げるのかと言えば―――】

砥ぎ師舐めんなよクソァ!!

【―――防いで見せよう】
【彼の手に嵌めた2種のエンチャントの指輪の内の1つ。硬化を使用する】
【体を「関節ごと」鋼の様に硬化するそれを】
【その特性故に身体能力の強化と同時に使う事は出来ず、だから一時的に「跳んだ」のが理由の1つ】
【敢えて「撃たれる」為に鋭い爪を突き立てられる為に跳んで見せたのが理由の3割程】
【真向からは闘えない逃走特化としての手練手管は無駄に熟練されていて】

【では…そんな鋼の塊に思い切り爪を立てんとした鷹はどうなるだろうか?】


んですぐに解除ってなァ!!

【着地の直前程に硬化を解除。強化を使い直して彼はもう一度駆け出すだろう】
【奴隷の列に一度入り込めば下手に撃たれる事も無いだろうと踏んで――――】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 17:19:58.28 ID:kbAD+HFNO<> >>382

【──ダグラスの提案が聞こえていないかのように、アインは窓の外の風景に目をうつした】
【少し前の図書館襲撃事件。アインは何度かそれを実行してきた。それ故に“国家の敵”になれる自負があった】
【だが六罪王は“国家の敵”ではなく“人間社会の敵”と言っても過言ではない存在だ。まさしく、桁が違う】

【加えて、アインという男は自分以外の人間を基本的に信用しない。何かをするにしても集団より己一人の方が確実とさえ思っている】
【確かな存在は自分だけ。そんな男にとって組織など足手まといの塊か、そうでなくとも邪魔者でしかない】
【従って、アインにはカノッサ機関に加入したり、まして六罪王になる理由などなかったのだ────】


【────そう、今までは】


…………俺も、お前と同じでな
成し遂げたいことがあり、越えたいものがあり、極めたいものがある
そのためには、少しばかり世界というものに興味を持つ必要があるらしい
それに……あの女が“何故”負けたのか、“何に”負けたのか、探さなくてはならない

そのためには、同じ立場に立つ必要があるな……


【窓からアインが顔を戻す。そこには激情などなかった。ただ暗く灯る冷たい炎のような意志があった】

頼めるか、ダグラス?
どうにも、俺はそういう細々とした手続きが苦手でな

【そんな気配も、次の瞬間にはなくなって、アインは小さく笑いながらお使いを頼むような気軽さでこう続けた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 17:27:44.96 ID:q+wWOZCyo<> >>380>>383

人の身で、扱えもしない力を持つからそうなる……
尤も現世の事でないのだから何の教訓にもならないのだろうけどね

【男達が消える姿は夕暮れに溶ける影のよう、真紅の担い手は黄昏に立つ証人】
【生者必滅、真紅の髪、瞳には誰にでもない憂いを帯びて】

さて、悪いけどそろそろ始末をつけなければね――――――――…

【或いはアルコールによる炎でなければ魔女の体表を焼く事は叶ったのかもしれない】
【例えるならば……かの昏い紫の炎、或いは対する属性の物であれば未熟である魔女の因子には効果があっただろう】
【されど所詮人の理、その下位に位置する物程度ではこの魔女にとっては微風も等しく】

……撃っているのだから撃たれても、まして殺されても文句は言わないで欲しいわね

【掲げる右腕を中心に幾重に合わさった魔術式が展開】
【ステンドグラスのように透き通ったそれはしかし陽炎を纏い、ならばそれは攻撃の手段として在るという事】
【歯車が噛み合うような音と共に回転していた式が固定、砲身が整えば魔翌力の装填が始まり―――――――】

【地に落ちる流星にも似た軌跡が3つ地を駆ける】
【誘導式魔翌力炸裂弾、名の通り目標に向かい進み接近した瞬間に魔翌力を飽和させ小規模な爆発を起こすという物】
【銃を持つ男の左右から1つずつと上空から頭上を狙うように1つ、執拗とも思えるそれは「逃がさない」という意思表示】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 17:38:16.94 ID:rRCl8aSZo<> >>384

【窓の外には小さな庭があった。背の高い木が一本と、よく手入れされた花壇】
【咲き誇るチューリップには蜂が留まり、鳥が柵の上でさえずっている】

【天蓋に届きそうな塔の上や、ジャングルの真中か、砂浜よりも】
【よほど落ち着く空間だ。考えことをするにはちょうど良いだろうか】
【男性が新聞をめくる音や、少年がクレヨンを動かす音も耳に心地よく】

……勿論、手続きは全部任せておいてよ。キミが今夜帰る頃には
世界中の機関員がその名前を知っているようにしておくからさ。

さて、それじゃあ一つだけ決めてもらう事が有るんだ
六罪王の異名、或いは渾名……今でなくても良いんだけど、それを決めて欲しい
キミがどういう人物で、どういった目的を持っているのか。

それを端的に表せる……そんなコードネームがあると、きっと便利だ
後はこれを渡しておくよ。機関員が持つ、便利な端末をね。

【グラスを置いて両手を組み、真っ直ぐ向き合いながら応じると】
【手元に小型の端末を具現化させ、テーブルに置いてアインに差し出す】
【純粋に高性能の携帯としても使える上、機関の情報や連絡手段にも使えるものだ】

【手にすれば指紋や声紋の認証が始まり、彼個人の端末として認識される事となり】
【連絡事項を見れば――早速、新たな六罪王の就任についてダグラスからの通知が入っている】
【見れば、ダグラスも同じ端末を持っていた。ともかくこれで――アインも機関の一員となったのだ。】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 17:43:15.30 ID:rWWYtD+Xo<> >>383>>385

【直行する男、迎え撃つ狩人、狙う猟鳥。三つの運命が交錯する、その瞬間―――】
【真っ先に動いたのは、東だった。リーダー格の男が引き金に指を掛けるよりも少しだけ、早く、】
【かつ背後から襲い掛かる鷹の爪が突き刺さるよりも更に速い―――たった寸刻の差が、勝敗を分けた。】

【鉄と鉄とが、ぶつかり合う強烈な音が響き渡る。跳躍した東の体が】
【また新しいエンチャントによりその属性を変え、鉄よりも硬い皮膚へと変化を遂げると】
【真正面から踊りかかった弾丸をキレイに、防ぎ切る―――そして同時に当然の如く、鷹の爪は―――】


 『―――――――――――――――――ッ!!!』


【両指の付け根からバキリ、と凄まじい音を立てて圧し折れた。鷹が高度を失いそのまま墜落。】
【黒い靄となって霧散し、そしてその隙に東は素早く列の中へと逃げ込めば―――奴隷商も弾丸を、撃てない。】
【当然だ、自分の"商品"を殺す事は出来ない。殺す寸前まで痛めつける事はまだしも、本当に命を奪っては元も子もない。】


 『チィッ……!!』


【苦虫を噛み砕いたような表情になる奴隷商。東は少女の確保と離脱に成功するだろう。】
【そしてカズネに対し、執拗な攻撃を繰り返した最後の一人は、といえば―――逆に、窮地に立たされていた。】
【放った攻撃が全く効力を為して居らず、その上カズネが反撃に躍り出る。こうなってはもう、この男に為す術はないも等しく。】

【向かい来る三方からの魔弾を受け、一つ残らず身体に命中させられると、彼の影は霧散した。】
【これで残るは本当にリーダー格の男一人、只彼のみとなったが―――彼も離れた位置のカズネは攻撃できず。】
【そして二人には見えるだろうか、消された影が再び列の付近に"集約"し始めているのが―――恐らく、彼等はまた復活する。】

【そう、消し去るのも容易なら、復活するのもまた容易。この記憶の濁流の中で、彼等は無限に増殖する。】
【戦えど戦えど、消耗する一方になる事は勘の良いカズネにならば直ぐにでも分るだろう。そして、今特異点は東の手に。】


【―――離脱。記憶の混濁を抜け出すには、まず東と合流し―――"あの少女"にハナシをする必要がありそうだ。】
【そう、カズネも見知った顔の―――尤も、この頃はまだ現在のように大人びた容姿ではなかったが―――それでも】
【恐らくは"彼女"の幼少期と思わしきその存在を、どうにかすれば或いは。この混濁の中から抜け出す事も、可能か。】

/ごめんなさい、ちょっと一時間ほど抜けますのでお返事はゆっくり気味でだいじょうぶですよ! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 17:58:57.66 ID:kbAD+HFNO<> >>386

あだ名……コードネーム?

【テーブルに置かれた端末を手に取る。その瞬間に端末の登録が始まった】
【いつもであればこういったものに興味を示すアインだったが、彼はただ静かに、足元を見つめていた】
【ダグラスにコードネームを決めろと言われ、彼は悩んでいた】

【いや、何の名にするかなど既に決まりきっていた。選択肢は一つしかなかった。故に彼は悩んでいるのではなく、躊躇っていた】
【それはかつての呼び名。彼があえて捨てた半身。悪に染まる前の、眩しい記憶の名残】
【始まりを意味する言葉を名乗るより前の、真の意味での彼の根源。振り払おうとしても振り払いきれないもの】

……そんなもの、決まりきってる

【アインは再び顔をあげた。そこには決意のような強さと、郷愁のような弱さがあった】


────…………≪混沌(ロード・ケイオス)=


【その名を、彼は一文字の全てにいたるまで、重々しく言い放った】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 18:00:34.40 ID:cyRgQHqEo<> >>385>>387

【弾丸を防いだ東も流石に衝撃まではどうしようもない】
【正直言うとむっちゃ痛いのだがアチコチ固まってるおかげで当たった瞬間は声すら出なかった】

っしゃあ! 覚えてやがれドサンピンがあーってなぁ!

【割と痛みこそすれ無事列の中を通って通過していく】
【その際ついでと言う様に件の少女を引っ掴んで小脇に抱えて逃げていくだろう】
【小悪党みたいな捨て台詞を吐いていくのだからどっちが悪役か分かったものではないが】


【真直ぐ真直ぐ走って大分離れた場所。多くの「商品」それも自分がちょっと岩に埋めたものも含めればそれを引き連れてすぐに追いつくと言う事は考えれない】
【その為奴隷商達の視界から逃れると彼は……】


……ゴメン、ちょっと待って。凄い脇腹痛いってーの

【日頃の運動不足が祟って動くのが凄く辛い状況になっていた】
【もしカズネが追いかけてきたならば彼女にも同じ言葉を言う筈だ…真横にぶっ倒れたまま。】

【とは言え飛鳥馬は何から話すべきなのかの整理もキチンとしていこうとはしている】
【その前に少女の容体、及び感情を可愛らしい(本人談)のお面越しに見てみようとして】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 18:08:29.79 ID:rRCl8aSZo<> >>388

【『混沌』――分かりやすく、かつ深淵を孕んだコードネーム】
【そういったものが一番良い。いつもの微笑みを浮かべて、また頷き】

了解したよ、六罪王アイン。改めてよろしくって所かな
これで、キミは晴れて人類の敵だ。あのベクターもキミの同僚。

……そうだ、キミってこの後は暇なのかな
もしそうなら、機関の本部を案内するよ。
何かと便利だし、運が良ければナンバーズや他の六罪王にも会えるしさ

【同格となった魔術師に対して再度提案するのは、機関本部への誘い】
【休憩も済んだ。となれば、確かに言ってみるのも悪く無いだろう】
【或いは、それより先に何か聞いておくのも良し。やはり、そこは自由だった】

/よろしければこの辺りで『機関本部案内しました〜』という感じで
/サクッと締めちゃってもいいですし、続けちゃってもOKであります故〜! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 18:25:23.38 ID:kbAD+HFNO<> >>390

【背もたれに背を預けて、深く息をつく。さしものアインにとってもここ数分は気楽な時間でなかった】

これで多少はアーグのジジイに対して偉そうに振る舞えるな
何せこっちは大悪党の名を手に入れたんだ……まぁ、あまり気にしなさそうだが

【なんて冗談を言って笑ってみせて】

島のガイドに六罪王就任の手続きに、今度は本部の案内か?
むしろお前がどんだけ暇なんだって話だろこれ……ん?

【そう言ったところでアインが何かに気づいたように窓の外に視線を向ける。そこには先ほどと同じで花壇ぐらいしかない】
【だが彼はそこに、いや、その先をただ真っ直ぐに見つめていた】

いや……行くところができた
どうやらこの島の効力は、俺にもしっかりと働くようだな

就任の手続きは頼んだ。本部の案内とやらも、また別の機会でいい
何かするときは呼んでやる。戦力が必要なときは呼べ

【手短に言うとアインは椅子から立ち上がって、ゆっくりと家の外へと向かう】
【彼はダグラスを誘いはしなかったが、後をつけることもできるだろう】

//選択肢を跳ね返してターンエンドだ!
//ついていっても、ここで締めてもどっちでもOKです! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 18:25:34.35 ID:q+wWOZCyo<> >>387

(向こうは世界側からバックアップがあるものねえジリ貧になるのは当たり前、か……)

【腕に纏わせた魔術式を解除し一息、とは行かないようで件の影はそれ故に変幻自在どころか無限らしい】
【魔女の焔とて流石に相対するには気が疲れるのか半ばうなだれるように肩を竦めるが、どうやら彼は事を成したらしく】
【ならばここに長居する必要も無いだろうと魔女は最後の大きな花火の準備を始める】

貴方達の執念がどれ程も物かは知らないけれど、霞くらいは掛けさせて貰うわね

【魔術式を接触衝撃式に変更、掌はそっと地面に向けて魔翌力を装填し放つ】
【砲撃と同時に辺りに土煙が舞えばそれは煙幕として魔女や彼らの逃避行を隠す】
【やがて土煙が晴れた頃には姿も形も無い】

……げっほ、げほ……後先考えないのもダメね
口の中すっごいザリザリするじゃないの!気持ちわるーい!!

【魔翌力の昂ぶりも収まったカズネの髪と瞳は元の錆色に戻って】
【歳相応と思える口調仕草でローブやらに被った土を払っていた】

全く大の男が情けない、と言いたいけれどその子を引っ張って来てくれたから褒めてあげるわ
ありがとねどこぞの誰かさん?ああ、アタシの名前はカズネ……見ての通り今は魔術師よ

……と、夢の主の其の子だけど多分アタシが知ってる子かもしれないわ
セリーナかそれとも……どっちの名前で呼べばいいか分からないけれどね、大丈夫そうかしら?

【身を乗り出し飛鳥馬の横から少女の顔を覗き込む】
【揺れる長い髪は風に揺れ、女性には似つかわしくない土の香りが溢れる】
【果てさて今のお姫様は何を宿し何を思うのか……】

/すいません急遽食事に行く事になってしまい……
/2時間程席を外します、ご迷惑なようでしたら自分を抜かして進んで頂いて構いませんので! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/02(土) 18:46:36.96 ID:rRCl8aSZo<> >>391

まあ、今は暇なもんさ。僕らの代わりにベクターが動いているからね
その代わり、一度ボクや君が動けば立場は逆転するんだ
こういう時くらい、休みを楽しんでもいいんじゃないかな?……ん?

【本部への案内や手続きよりも、興味をそそられる何か】
【それをアインが見付けた事に気付くと、自分もまた窓の外に目を向けるが】
【自分に見えるのは花壇だけ。小首を傾げながらクッキーを口にし】

……そう?それじゃあ、また会った時にでも本部へ行こうか
戦力に関しても……期待されたら困るけど、ボクの事もいつ呼んでくれても構わないよ

【『またね』と告げると、ダグラスはアインの背を見送る選択を取った】
【久しぶりの自宅だ。――すでに存在しない、なんて話はしなかったが】
【六罪王の一人はそちらを楽しむことにした。島に強く、大きな闇が渦巻き始めていた】

/了解であります!でしたら晩御飯もあったりするので、この辺で!
/又の機会がありましたらよろしく頼むのです!ありがとうございましたー! <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 18:57:24.83 ID:rWWYtD+Xo<> >>389>>392

【上手い事少女を救出し、その場を離脱することに成功した東。】
【そしてその東と、自身の脱出の為に砲撃で煙幕を張るという手段に出たカズネ。】
【両名の素早い判断・迅速な行動によって奴隷商達から逃げ出す事には成功、危機は去った。】

【―――ともあれ、記憶の中にいるのは確かだ。】
【完全にこの世界から逃げ遂せない限りはまだ、安堵するには少し速い。】
【巻き起こした煙にむせるカズネと、慣れない疲労で倒れた東、両名を覆う運命はまだ、好転しない。】


 『――――――――――ぃや……こわぃ……。れいん、ここ、いや……。』


【―――さて、話は主の状態へと移った。】
【そう、セリーナ―――セリーナ・ザ・"キッド"。東も彼方此方を廻っているならば】
【ニュースや何かで名前を聞いた事はあるだろう、カノッサと相対する組織"UNITED TRIGGER"の創設者。】

【その幼い時の姿こそがまさに、この土と汗と灰とで汚れ、体力を消耗しきり、痩せこけた少女なのである。】
【現在の陽気な姿とは、似ても似つかないほどの様相ではあるが、特徴的な少しクセのある金髪や、青の瞳だけは】
【この頃から変っておらず、そのまま現在に受け継がれているようだ。目の前の少女は憔悴しきった様子で、怯えた声を発する。】


 『ぃや……かぇして……れいん、は、もど、らない、と……こ、ろされ―――――――――』


【頭を抱え、小さく身体を振るわせるのは矢張り、先ほどの奴隷商に怯えているから、だろう。】
【レイン。東はともかく、カズネは耳にするのは二度目だろうか。そう、あの地の国での激戦時に一度。】
【カズネはこの少女と相対している。正確には、この少女が意識を乗っ取った"セリーナ"と、ではあったが。】


【ここで、疑問が生じるだろう。】

【まず、彼女はカズネが以前交戦した時の事実から分るように、セリーナの中に存在する"別人格"だ。】
【だがしかし、今カズネと東がそれぞれ存在するのはまさに、記憶の混濁の中。つまり、セリーナの過去を垣間見ている。】
【その過去において、この少女はセリーナではなく、"レイン"と、そう名乗っているのだ。つまり、この事実から導き出されるのは―――。】

【―――セリーナ・ザ・"キッド"は以前、セリーナ・ザ・"キッド"ではなかった、という紛れも無い事実。】
【ならば、一体何時からレインと名乗るこの少女は消え去り、セリーナという人格が生まれ、現在に至るのか。】
【異常な状態の中、レイン、そしてカズネと東、三人を取り巻く周囲の空間が"ぐにゃり"、と突如捩れ始める―――!】

【まるで周囲に"銀幕"が張られ、映像が流れていくかのように―――】
【三人を包む空間に、"なんらか"の風景が次々に映し出されていく。その内容は、様々だ。】


  【―――奴隷の中に紛れたレイン。】  【―――毎日の様に甚振られる奴隷達。】

                 【―――人権を無視した惨たらしい奴隷の扱い。】

【―――脱走に失敗し拷問を受ける奴隷。】  【―――碌に食事も与えられず、毎日の様に働かされる奴隷。】

  【―――その奴隷の中に生まれ、育ったレイン。】     【―――ある日、雷雨の酷い夜、落雷が奴隷達の小屋を襲った。】

       【―――炎上し、崩れ去る小屋。】             【散り散りに逃げ出す奴隷。】

【―――用心棒の能力者を使い、奴隷達を追い立てる商人。】【―――奴隷が逃げ込んだ村を破壊し、証拠隠滅を図る商人。】

【そしてそのなかで―――レインがある老人に保護される。】 【だがレインは、怯えて心を開けない。】【打つ手がない。】

【老人はその土地で昔、名の知れた賞金稼ぎだった。】【能力者だった。】【記憶を"封印"する能力を持っていた。】

【―――そして、レインは記憶と共に封印される。】【人格はそのとき分離してしまった。】【救ったつもりが、救えていなかった。】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/02(土) 19:08:12.18 ID:kbAD+HFNO<> >>393

【────アインは一人でジャングルの道なき道を進んでいた】
【好奇心旺盛な彼としては、かの巨大組織の本部なんてものはすぐにでも飛びつきたいところだったが】
【しかし今回に限っては優先すべきことが現れてしまっていた】

【鬱蒼と生い茂る木々を抜けた先には広大な空間が広がっていた。ジャングルを出た瞬間に、冷たい空気が魔術師の肌を撫でた】
【彼の眼前にそびえていたのは巨大な城。おとぎ話にも出てくるような、立派で完全な造形の建造物だった】
【異質な点はただ一つ────城のその全ては、氷によって形作られていた】

【城の周囲には他に何もなかった。ただ生き物を拒絶するかのように凍える風が吹き抜けるばかり】
【アインはそのまま城へと進んでいき、氷の門の前で立ち止まった】
【彼の前に、人影があった。太腿までの長さの、汚れ一つない真っ白な着物に、背中まで届く白い髪。すらりと伸びた脚に色白の肌】

【そこにいたのは17歳程度の少女だった】
【記憶に過ぎない彼女は言葉を発することはなかった。ただそこに存在しているだけだった】
【アインもまた、ただ立ち尽くしていた。話すこともなかった。ただ、一言だけ────】


──────ラヴィーナ


【────彼はその少女の名を口にした】


//お疲れ様でしたー! またよろしくお願いします! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 19:27:52.75 ID:cyRgQHqEo<> >>392>>394
かーっ、バカスカ撃ったり斬ったりは苦手なんだってーの……ぐふぅ

【体力が戻ってきたのか体を起こす】
【とは言え突然の運動に吃驚した胃がちょっと痙攣しかけている。一度深呼吸して内臓も落ち着かせ】

ぃよし。 初めましてってなぁ!俺っちは飛鳥馬 東(あすま あずま)ってモンよぉ!
宜しくお2人さんってな!……ぉえ

【ちょっとテンションを上げていくには早かったか】
【大きな声を出したら痙攣しかけていた胃が反応する。飯をまだ喰って無くて良かったと本気で思う】

セリーナ……あー?うん?
さっきレインが言ってた名前の様なっと……「セリーナじゃないよ、レインだよ」…うん?

【根無し草且つ正義も悪もお構いなしの東にとって、セリーナの名は日常よりも先程レインが溢していた名前だと言う事の方が印象的で】
【幾ら彼でも「そう」であるのではないかと言う「予想」はついた】
【別人格?か何かか?と言うか、今目の前の少女は何と言った?】
【「れいん は もどらない と」  「れいん は」 「れいん」】


   手前(てまえ)さん女の子だったの!!!?

【唯の異形でしょうと思っていた人(?)が正真正銘女の「人」だったという衝撃が思わず口から出てきた】
【視界がぐにゃりと歪んだのはその直後…】


【早回しの映像…いや、「夢」を映像と言っていいのか】
【イメージをそのまま「観て」 多くの情報を頭に流し込まれ 理解させられる】
【「他人」の全てを見終わった時…自分の所在を確かめる様に大きく息を吐いて】

………セリーナじゃないよ、レインだよ

【「彼女達」が言った言葉を一度、繰り返して】

…本当に?

【彼は「彼」としての疑問を口にした】
【本当に「れいん」は「せりーな」とは無関係なのかと】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 21:16:23.27 ID:q+wWOZCyo<> >>394>>396

恐い……か、……

【凄惨と一言で語るには重すぎるかつての出来事】
【父を母を喪った魔術師とはまた違うカタチの「痛み」】
【違うが故に少女を理解しようにも経験無くして共感は在り得ない】

【左手の煙草に火を灯しながら見つめる瞳は飛鳥馬にとっては冷たく映るかもしれない】

(貶められて当たり前の日常、生憎と父と母もいて普通の生活を送っていたアタシには分からない)
(まあアタシも善良な人間ってでも無いしね、こればかりは性分だし……善人ぶるのも嫌いだし……でも)
(腹が立つのは変わらないけどね――――――――…)

【全てを焼き尽くす事は出来るだろう、しかし仮初の過去を燃やしたとて何になるのか】
【向き合うべきは今を生きる1人の人間だ彼女を相手に魔術師がどれだけの事が出来ようか】

(本音を言えばこんな過去なんて腹が立ってしょうが無いわよ、そりゃあねえ?)

【老人、名前も姿も知らない彼が行った事は仕方の無い事】
【恐らくその時に出来た最適の手だったのだろう、或いはもっと深い考えがあっての事か】
【それを問うにも時の隔たりは大きく、ただ紫煙を吐き空虚なスクリーンを見つめる】

喩え恐くても戦わなければならない時は来るものよ
だって恐い物はこっちの心情なんて知った事ではないもの、唐突に現れて唐突に攫っていってしまう

【父を母を喪い打ち拉がれた少女が過去に居た】
【頼る者も周りにはいない自分がこの世に独りだけとさえ思う程の孤独、泣けども喚けども差し伸べられる手はない】
【絶望と諦観の中で死んでしまえばそれで楽だったのだろうが、しかしその少女は戦う事を選んだ】

【弱い自分と決別する事を選び、そしてここに立っている】

死にたいだなんて言わせないわ、アタシがここに居るのだからそんな甘えは許さない
ついでに逃げ出すのも良い機会だし止めましょうか?丁度良いじゃない、この場この時は向き合う為に整えられたと思えば

【少女にとってはただただ辛辣な一言でしかない】
【善か悪かで言えば間違いなく後者だろう、それでもと魔術師はある言葉を思い出す】

結局よ、救われる救われないはその当人の問題でしかない……心は魂はその個人にしか理解出来ないのだから
だから勝手に救われて勝手に希望を見出すしかないじゃない、自分と戦うって事はそういう事……
でも……そうね、飽くまで戦うのは貴方だけだけど1人で打ち拉がれそうで倒れてしまいそうならその身体くらいは支えてあげるわレイン

【レインという少女とセリーナという女性、別れてしまった2つの人格とでも云えばいいのか】
【始末をつけるとすればその一点と自分の過去に打ち克つ事、そのどれもが当人である彼女達で始末しなければならない】
【過去とは恐ろしい物だ、それは変える事など出来ない事実として横たわっている元より勝機など薄い】

あらゆる事をだからといって戦わない理由にしては、いけないのよ……レイン、セリーナ
今まで積み上げてきた物を無為にしない為にも、生き抜く為にも――――――――

【空に浮かぶ星々は何も語らない、語らずのままあらゆる物に光を与える】
【奴隷であろうとなんであろうとそれは同じ事、加えて云うならば今ここに居る魔女は少しばかり他人に優しく厳しいし】
【何よりも手に届く距離に居る、見守る瞳は赤く照らすように輝いて……】

(まあ、嫌われちゃうかもしれないけどね……それでも立ち上がれるならいいでしょう)
(人間1人嫌って、それで生きる力が得られるなら……アタシとしては本望だしね、だから頑張りなさい……)

/おまたせして申し訳ありませんでした! <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/02(土) 21:27:34.63 ID:KC0RoJkno<>
【街中】


【水の国、大通りから幾つか筋を離れたところに、建物の焼け跡が有った】
【少し前に大規模な火災≠フ起きた場所だと、ニュースでも見ていれば知っているだろうか】
【数日前までは警察か、消防かの規制線が張られていたが、今は取り払われている。かと言って、近寄りたい場所でもないだろう】

【──その焼け跡から、扉を開けて出て来た人物が1人】


……けほっ、けほっ。


【黒い髪に黒い瞳の、どこにで居そうな若者だ。──右手を包帯で吊り下げている以外は、だが】
【アイロンを掛けていないのか、よれたシャツに、スラックス。中で色々と物を触ったのか、体中に煤がついていた】
【彼は今しがた出て来た建物を振り返ると、ため息。そのまま暫く、その場に立ち尽くし──】


うーん。──何も残ってない、か。


【── 見る人が見れば、こう思うだろう。「火事場泥棒だ」、と。】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 21:48:06.02 ID:rWWYtD+Xo<> >>396-397

【空間の歪みが消えていく。此処で、語られた事実は結局の所以下の通りだ。】
【まず第一に―――セリーナ・ザ・"キッド"という人間は、元来存在してはいなかった、と言う事。】
【父や母が誰なのかまでは遡る事が出来ないが、確かに言える事は、生まれながらにして"奴隷"として育てられ】
【全てが変る"落雷"の日まで、奴隷の中で生き抜き、歪んだ価値感を抱えたまま存在していたのは"レイン"だった、という事】

【そしてそのレインが、落雷を機に偶然命を救われ、ある"老人"によって助け出されたと言う事。】
【しかしながら、奴隷の世界しか知らなかった幼い彼女は、救いの手であったその老人さえもを、恐怖の対象として】
【全て跳ね除けてしまっており―――その結果、老人はレイン、もとい"少女"その物を救う為に、過去の記憶を封印した、と言う事。】

【恐怖の記憶を能力によって封じられた少女は、レインではなくなり、結果健康に育ち】
【その老人に卓越した銃の技術を教えられ、そして"セリーナ"という人間に育っていったのだった。】
【しかし、封印した記憶の中にはなんと、レインの人格が残っていた。単に記憶を封じただけでは無かったのだ。】

【それはその、老人の誤算であり―――同時に、当時幼い命を救う為にできた、"限界"でもあった。】

【つまり、東の質問に答えるならば確かに、そう―――レインとは、セリーナではない。】
【そしてもっと言うならば、そもそもセリーナの身体はセリーナのモノではなかったのだった。】
【今こうして、怯えながら震える少女が元来の持ち主。事情があって彼女は封印されていただけ。】


    【―――記憶の混濁が、少しずつ薄れていく。ドラクレア島の中へと、周囲の景色は戻りつつあった。】

【そして同時に、姿を現すのは先ほどまで東が見ていた"悪魔"の格好―――少女は現在の姿を取り戻していた。】
【記憶の混濁は完全に消え去り、三人は元いた場所―――ドラクレア島の内部へと確かに戻ってきていたのであった。】
【となれば、レインも少女ではなく、現在の成長した―――とはいえ、事情があって現在は悪魔の姿となっているが―――に】
【戻ってしまうわけで。そのまま悪魔の姿のレインは膝から崩れ落ちると、息も荒いままに"悪魔化"の状態を解除して―――。】

  ……こわく、ても……たたかう、……できる、はずない……
 れいんは、いじめられてた……、それが、あたりまえ……なのに、せりーなはちがった。
  せりーなは、わたしがねむってからずっと、しあわせにすごしてた……くやしい……ずるい……!
 わたしだけ、いつも、こわいのとたたかわなきゃだめで!! せりーなは、あなたはどうなの!?
 にげだせるなら、にげだしてるよ!! でも、でも、にがしてくれないじゃない!!
 いまだって、むかしのことはこうやって、わたしをいじめるじゃない! わすれるな、おもいだせ、って!!

【―――悪魔化の状態が解けて、現れたのは先ほどの少女が成長したその姿。】
【セリーナという人格と、レインという人格、二つの心をもった独りの女性。金髪が、島の風に靡く。】
【必死に縋りついた。カズネの言葉を否定するように。戦う事なんて、出来るはずがない、と。どうしようもない、と。】

【だから暴れた。だから壊そうと思った。過去がこんなにも辛く、ずっとレインを追いかけてくるなら。】
【セリーナという人格が、幾多の戦いで弱まり、そして人格を乗っ取り返した今こそ。やってやろうと思った。】
【世界を壊してしまえばいい。そうすれば、怖いものは全部消えうせ、過去は思い出さなくて良くなるに違いない。】
【手に入れた悪魔の力を暴走させ、全てを破壊する為に。レインは怯えたから故に、銃を撃っていたのだった。】

 だいたい―――どんなに、たたかっても……れいんのからだは、けっきょく……

 せりーなのものに、なっちゃうんじゃない……せりーなが、ぜんぶ、うばっていくんじゃない……!

 わたしはまた、きおくのなかにとじこめられちゃう……そんなの、そんなのいやなの……れいんだって、れいんだって……!!


【だが、結局の所今吐露している気持ちが全て、なのかもしれない。】
【レインはただ、普通に生きてみたかった。セリーナと身体を取り合う事などせず。】
【無論、事情を知らないセリーナはレインから身体を奪ったワケではないが、つまりは、そういう事だった。】
【別の体。そして、それを移植する技術さえ、あれば―――、或いは。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/02(土) 22:05:23.87 ID:u+gCua9S0<> 【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 森】

……297ッ……298ッ……299ッ……!

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【ひょろっとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫が】
【棍の一端を両手で握りしめ、バットの様に横ぶりに素振りしている】
【既に寒さは薄れ切った時期であるにもかかわらず、荒く呼吸が漏れるその口からは、白んだ吐息が吐きだされていた】

――――300ッ!!
っ、はぁ……ぅ……ッ、ったく……こんな重いもんを、1年前まで俺が振りまわしてたなんて、信じられねぇや……
……はやいとこ、筋肉つけなきゃよぉ……不味いよな…………

【ブォン、と重々しく風を切る音を残して、居丈夫は息を切らしたまま立ち尽くす】
【人目につかない中で行われていたその行為は、相当に負担のかかるものだったらしく、ブンブンと手を振って疲れを振り払っている】
【額から、一筋の汗がつぅっと流れ落ちた。暗い森の中に響くのは、わずかな声だけである――――】



【――――所変わって、櫻の国 草原】

――――所詮、こんなものかしら?
私の居場所を嗅ぎつけたのは褒めてあげるけど……手傷の1つも負わせられないなんて、所詮、烏合の衆ってわけね……

【右袖に瑠璃溝隠(ロベリア)、左袖に池を伴った雪景色、そして背中に満月をそれぞれあしらった、派手な赤地の櫻の衣装を優雅に身に纏い】
【艶やかな光を纏った黒い長髪を、金の簪と共に複雑に頭上に編み上げて、丸みを残しながらも目鼻立ちのすっきりした顔に、紅の口紅が色を添える】
【首から、紐に通され、額に特殊な印の様なものを刻み込まれている、4つの頭蓋骨をぶら下げている、身長160cm前後の女性が】
【思い思いの形で武装したらしい、足元に転がる4つの死体を見下ろしながら、白けた表情で佇んでいる】
【4人の武装は、人を殺めるには十分と思われる刀や鉄球など、殺傷能力の高いものが揃っていたが、対象となったらしい女性には、傷1つ見つける事は出来なかった】

……さあ、死んだぐらいじゃ済まさないわよ…………あなた達の身体は、みんな私のものになる……!

【両手をその場に翳す女性。直後――――4つの死体はミキサーにかけられた様にその場で爆ぜ、粒子となって女性の指先に吸い込まれていく】
【その装備も、遺品も――――ものの10秒ほどで、そこには人間の存在した痕跡が、欠片も残されずに消え失せてしまう】

……パウルもいたら、喜んだかしら?

【踏み荒らされた草の跡だけを見つめ、女性は小さくため息をつく】
【紅の映える口元に、先ほど死体を吸い込んだ、ほっそりとした指先がそっと添えられた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/02(土) 22:29:24.48 ID:lSobTTz2O<> >>400
//絡んでも大丈夫でしょうか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/02(土) 22:32:11.82 ID:u+gCua9S0<> >>401
/はい、まだ大丈夫ですよー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 22:37:35.41 ID:cyRgQHqEo<> >>397>>399

【凄惨な「過去」を見た】
【生憎と自分はセリーナと言う人は知らない。レインと言う少女にだって初対面だ】
【だから数少ない今回の出会いの内から言葉を選ぶしか無く…顎に手を当てて―――】

カズネだっけ?まぁ彼女が良い話してるしな、横から口出しするのも悪いかも知れねえよ?
でも少しだけ、俺っちとの話の続きをしようじゃねーの

【顎に当てていた手を軽く上げて振って見せながら「レイン」の前へ行き】
【崩れ落ちたレインの前で屈んで目線の高さを合わせると】

辛いよな。それを君が「過去の事だ」と消化するには空白の時間が長すぎるのも同感だ
まぁ俺っちが言っても軽い同情にしか聞こえねえかも知れねえけどよ…その辺は気性ってモンだ。許してくんな

【パンッと手を合わせて拝む様に相変わらず軽い感じで謝って】

一切合財投げ出したいってぇもんだよな?
瞼に焼き付いた思い出毎、目に映るモノを壊したって気が晴れるか分かったもんじゃねえ
「そう」した方が君は救われたかも知れねえって

【でもな、と彼は言葉を続けて】


 「レイン」 君は過去から逃げれないって
 「レイン」 君が幾ら力を振るった所で虚しいままなのに変わりは無い
どれだけ抗おうと辛いものは辛いままだ。

【冷たい言葉を、聞きたくも無い筈の言葉を淡々と並べて】

……「独りぼっちは寂しい」って、言ったのは君自身だろ?

【「アナタ」 は 「れいん」 は寂しがり】
【出会ってからの時間は極短いだろう。アナタの過去だって傍観しただけだ】
【だが言葉を交わした。飛鳥馬 東は「アナタ」を「知る」為に会話をした】
【そして―――】

大丈夫だってーの

【出会ってから、言う事は変わりない】
【飄々とした態度と笑みで、他の誰でも無い「レイン」と彼は会話している】

辛い事は無くならねえけどよ、楽しい事を重ねる事は出来るってぇもんさ
無理して向き合う必要もねえってもんよ。嫌なモンは嫌なんだから必要無けりゃ目ぇ逸らしとけ

やり方が分からねえなら……俺っちが教えてやるさ

【そう言って屈んだまま、右手を差し出して】

「友達になろうぜ、レイン」 俺っちはまだ君の事を知ってやる
俺っちが知った凄い誰かの話をしてやる

話してる間位は、辛い事を思いだす暇が無い位な

【君の事が知りたい。君以外の事も知りたい。】
【好奇心と、ちょっとのお人好しさ。 それだけしか彼は持ち合わせていない様で】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 22:37:47.86 ID:q+wWOZCyo<> >>399

(あーあ……ただ本当にどうしようもない子だったら跡形もなく焼却するつもりだったのに)
(アタシも結局の所はあの傭兵となんも変わらないあまちゃんなのかしら……)

【景色は代わり現世へと戻る、その頃には煙草の灯火は消えて】

一つの身体に二つの人格か、その様子だと共存は難しいのかしらね……
(まあ、今の今まで抑圧されていた感情がはいそうですかと直ぐに納得出来るならあの姿になんかならないものね……)

【レインとセリーナ、どちらに思い入れがあるかといえばそれは後者である】
【共に過ごした時間が全てではないがそれは尺度にはなり得る、セリーナだけを尊重するならば】
【或いはカズネがより人から離れるとしてもレインという存在を消し去る事は可能だろう】

(でも、それをやっちゃったらそれこそ人で無しよね……)
(何よりもアタシがアタシ自身を許せなくなっちゃうもの、あー……甘い)

【二つの人格、その両方を納得させるには結局身体を二つ用意するしかない】
【カズネ個人としては二人が理解し合い一つになれば良いのだが、長い時の流れはそれさえも難しくさせるのだろう】

悔しいなら抗いなさい恐いならば牙を向けなさい恐いならば打ち克ちなさい、そうする事でしか貴方の安息は得られない
過去を思い出した所でそれが何だというのか過去は所詮過ぎ去った事でしかない、今は無理でも強くなったならそう思える時も来るでしょう
そもそも生きる事ってそんなに楽なことばかりじゃないでしょう?辛くてどうしようもない痛みばかりの連続、それが人生よ……

ひとつ話でもしましょうか、貴方とは種類が違うけど一時絶望してしまった少女の話を……

【人生は痛みしかない、それでも諦める事はしなかった】
【語るのは魔術師の幼い頃の事、父と母を唐突に喪って空っぽになってしまった話】
【ただ人間として素のままの強靭さが違うのだとしたら魔術師とレインには隔たりがある、理解し合えないかもしれない】

【しかしここで意味するのは、心が折れても再び立ち上がった人間が「傍に居る」という事】
【誰にも語るべきではない事を語る意味とは其処にある、炎は何も燃やすばかりではなく暖かさを与える物だ】
【少女は不意に暖かさを覚えるだろう、それはただ単に魔術が頭を撫でたというだけ】

【見上げたならばそこにはどうにも歯痒そうな悔しそうな表情を無理に笑顔にしている1人の人間が居た】

(手段が無いこともないのよね……大体他人頼りになるけどそれも人生だし)
(アタシが迷惑掛けるのなんていつもの事だしね、まあなんとかなるでしょう……なんとかするわ、我が名にかけて) <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(島根県)<>sage saga<>2015/05/02(土) 22:47:42.94 ID:thbYaKM50<> >>124

「なるほど、人の行為を監視する存在であると。
 そのような考えは全くなかったですね、勉強になります。」

【宗教を信仰していない辻風には神という存在をあまり知らない】
【今回のアーグの発言は勉強になったようで】

「確かに、リーダーたるものが動かなければしたの者は動かない。
 鳥類の狩りの時のようですね。」

【鳥類の狩りはリーダーが先陣を切り、その後をしたの者共が動く】
【そんな感じであろうか】

「さて、私はそろそろ、編集の時間ですので・・・。
 ここいらで失礼させていただきます、ありがとうございました!」

【インタビューに満足したのか、万円の笑みをアーグに向けた】
【翌日、アーグの名は潜めて火事の件は新聞に掲載されたようだ】
/こんなかんじでいいですかね
/ありがとうございました。 <>
◆ae6/jrAOto<>sage saga<>2015/05/02(土) 22:48:32.40 ID:lSobTTz2O<> >>400>>402
【ドサ――――突如森の中に響いた、何かが落ちた音】
【そこまで大きい音とは言えないが、人並みの聴覚があれば感付けるだろう】
【続いて辺りに聞こえるは、枝葉が揺れ、擦れ合う音。まるで、其処だけ強風が吹いているが如く】
【その音と同じ刻、方角。森に現るはひとつの影】

 …………

【人影はかなり小柄で、140cmあるかも怪しい程。10歳程度の少女であろうか】
【新雪のような白銀色のロングヘア、水色に近い青色に染まる双の瞳】
【服装は黒く、シックに纏められ、それなりに良い育ちであることも分かるかもしれない】
【見た所は、ごく普通の、特に変わった点は見られない少女≠ナある】

 ……あ、あった

【先程――――あの音が響くまで、男の周囲に人など居なかっただろう、果たしてこの娘は何処から来たのか……?】
【察しが良く、さっきの音を踏まえて考えれば、その謎は解ける可能性が】

//それでは前者の方でお願いします <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/02(土) 23:01:02.72 ID:2A69NUXco<> 【廃ビル】

【区画整理が頓挫してゴーストタウンに生まれ変わった街】
【犯罪防止に街頭だけが点々と灯り、住人は不良やホームレスが少し居るだけで】
【建設途中だったり解体途中だったり完成したもののオープンしなかったものもある】

【建設途中のコンクリートとモルタルだけのビル。何故か7階にフッと薄く明かりが付いた】
【そこは何もないフロアが広がるだけの場所だが光量のあるランプがあって、誰かがそこに居た】

【影のような人間で、やせた背の高い男だった。黒のシンプルなスーツ姿でシルクの青いネクタイ】
【サングラスをかけていた。右手にはリボルバー式拳銃が握られていて。そいつは何かを見ていた。彼の】
【足元には誰かが倒れていた。動かなかった。コンクリの床に赤い痕が沢山残っていた。男の死体だった】
【その周辺だけ丸めたマットレス、ボストンバッグ、食料品のダンボール…と生活する為に必要な物が全てある】

…何だ?

【物音がすれば、彼は振り返った。とっさに銃を構える。撃鉄を起こす音がフロアに響いた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/02(土) 23:02:48.28 ID:u+gCua9S0<> >>406

はぁ……まあいい。しばらくは、本気で酒断ちしなきゃならないみたいだしな……
……良い頃合いか、んじゃ、帰って冷や水でも煽って――――ッ、ぁ……?

【流れ落ちる汗を、振り棄てる様に拭い去って、居丈夫は構えていた棍を下ろしてぐっと身体を伸ばす】
【そうして、そのまま一息ついた所で――――何かが落着する様な音に、気が付いた】

ん――――――――?
――――スーレル(光)・エル(光)・ジー(安定)・ルー(レベル1)……『マジックライト』

【半ば反射的に、音がしたと思しき方向を見つめる居丈夫】
【じっと目を凝らすと、暗闇の中に人影が蠢いている事に気付く。こんな場所にいる人間など、自分以外にないものと思っていた居丈夫だが】
【ともあれ、相手の姿を確認するべく、居丈夫は明かりを確保する】

【――――不思議な言葉の羅列――――魔術の詠唱だろう――――を口にすると、光の球がぽうっと浮かび上がり、周囲をぼんやりと照らしだした】

あん?
……おいお嬢ちゃん、一体こんな所で何をしてるってんだ?
こんな所、君みたいな子供が1人で来るようなもんじゃねぇぞ……?

【明かりが照らした出した影の正体を認めると、居丈夫は訝しげにその影――――少女に声を掛ける】
【つい先ほどまでは、その場に居なかったはずの少女。それは居丈夫もほぼ確信していた】
【と言う事は、つい先ごろ、不意に現れたと言う事で――――ともあれ、何をしているのかと声を掛けるのが先決だと判断したのだ】 <> セリーナ・ザ・"キッド"(レイン)
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/02(土) 23:04:42.19 ID:rWWYtD+Xo<> >>403-404
【ぎゅ、と両拳を握り締める。海に近い孤島の、乾いた土と砂が、拳の中で圧迫されていく。】
【―――わからない。なぜ、この二人はこんなにもレインを構ってくれるのか。単なる好奇心からか。】
【それとも本当にお人好しなのか。若しくは、底抜けの阿呆か―――だが、正味理由などどうでも良かった。】

【重要なのは、目の前にいる人間がまたも、"手を差し伸べてくれた"―――という、事実。】
【そう、これは結局の所、あの時と同じだ。かつて、"老人"がやったのと同じ様に、彼等は手を差し出した。】
【独りは過去を見ずに俺を見ろと言い、友達になろうと手を差し出す。もう独りは泣くな戦え私もそうしたと言い、頭を撫でる。】

【レインはまだ疑っていた。本当に、全てを破壊しても自分は虚しいままなのだろうか。】
【本当に、過去やかつての記憶と戦う事など出来るのだろうか。寂しさや恐怖に打ち勝つ事等出来るのだろうか。】
【本当に―――本当に、友達になることなんて、出来るのだろうか。本当に、目の前の貴女のように、立ち上がる事が出来るのだろうか。】


 ―――むなしい、っ……まま、そんなの……! だって、じゃあ、どうしろっていうの!
 
 れいんには、こわすしかない……それしか、やったことない……にげるの、しかできない……!


【だが、重要なのは出来るかどうかでも無いのだろう。】
【レインは二つの手が差し伸べられた今、確かに感じていることがあった。】

 
 ……やったこと、ないのに……でも、なん、で……れいん、いま……、


【―――友達になりたい。立ち上がりたい。】
【彼女は出来る出来ないはともかく―――カズネと、東の両名を前に、今確かにそう感じていた。】
【そう望んでいた。何故かは分らなかった。本当に出来るのかどうかも。だけど、彼女は強く思う。誰かと一緒に居たい。生きて生きたい。】





 ……おねーちゃん、みたいに……、なれ、るかな……?

 おにーちゃんと……ともだち、……できる……?


【やっと、そんな言葉が出てきた。見た目は20を超えている大の大人が、子供のような声で】
【滅茶苦茶に涙を流しながら、嗚咽の中でやっと―――そんな、弱気だけど本音の言葉を吐き出した。】
【尤も、精神上今の彼女は実際に『子供』となっているのだから、理論上は仕方が無い絵面、なのだが―――。】
【それでも、セリーナという女性の情報を知っている人間には、それはそれはさぞかし異常な光景に見えたことだろう。】

【震える身体をそっと、二人に寄り添わせる。彼女は遂に、差し伸べられた手を掴んだ。】
【愉しい事を重ねていける、友達になりたい。心が折れても立ち直れる、強い女性になりたい。】
【生まれた願望は新たに、生きる希望へと繋がっていく。破壊の衝動ではなく、もっと単純な―――】

 
 ……―――レインも……いきて、いたい……。


【生きたい、という欲求へ。彼女はようやく、目覚めた。】
【死にたい人間はいない。つらい過去を捨てられる人間もいない。】
【ならば、生きるしかないのだ。直視して、偶に目を逸らしながら、それでも。】

【人は人なのだから、生きるしかない。それをずっと、彼女は知らずに此処まで来た。】
【だがいまやっと、二つの優しい手が彼女を暗黒の縁から解き放った。レインは確かに言った、生きたい、と。】

【―――充満していた負の魔力も消え去っていく。そして、レインことセリーナは―――ばたり、と気を失った。】
【仮に次、目覚める事が会ってもレインは暴れまわろうとはしないだろう。もう、彼女は単なる悪鬼では無くなったのだから。】
【ひとまず、これにてダーク・スリンガーというセリーナの"暴走"は幕を閉じる―――だが、まだ重大な課題が一つ残っていた。そう。】

【如何にして、彼女と彼女を分離させるか―――これには高度な魔術や技術が必要となるはずだ。】
【序に言えば、移し変える先の"体"となる器も―――カズネにはもう、検討が付きつつあるようだが。】
【ともあれ、こうして一つの夜が過ぎていく。その後もレインの様態は変らず、安定していた―――。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/02(土) 23:27:13.63 ID:cyRgQHqEo<> >>404>>409

………おやすみ。「レイン」
助けてやるって、言えないのは情けない限りだが。な。

【夢に向かって進む君に幸あれ】
【力なんて持ち合わせぬ彼はそう願う事しか出来ない】
【彼は傍に居るカズネの様に強く在れ、立ち向かえなんて言葉は言う資格は無い】

あっと。
成り行きとは言え余計な話を聞いちまったってもんよ
一応謝らせてくれよ

【カズネへ向かって「いやスマナイ。」と一度頭を下げる】
【なるべくカズネの表情を見ようとしないのは気を使ってか】

……あ、あと出来ればこの子そっちに渡して良い?
倫理的にいっろいろ拙いってぇもんがあるし

【寄り添ってきているレインの事だろう】
【一応  一応うら若き乙女である。野郎である飛鳥馬がどうこうする権利は有るまい】


つかおっかない…つか厳しい人だなぁアンタ

【ここまでの流れでのカズネへの印象がポロリと漏れて】 <>
◆ae6/jrAOto<>sage saga<>2015/05/02(土) 23:32:03.07 ID:lSobTTz2O<> >>408
【背後で灯る、ほのかな明かり。少女の耳に入るは男の声】
【それはこの深い森の中、自分以外の存在があることを示す】
【敵か、味方か。攻撃的か、友好的か。それはまだ分からない。もしかしたら怪物の類かもしれない】
【少しの恐怖心もある、しかし正体を掴めない方が余程怖い】
【仮に怪物であったとしても、さっさと飛んでしまえば此方のものだろう……と考え】
【何かを片手に持った少女は、意を決して顔と視線を気配≠フ方に向けた――――】

 ――だ……誰、なのです?

【薄明るい光源に照らされるその影は――――1人の偉丈夫だった】
【少し怯えているのか、そよ風が囁くような、小さな声で少女は尋ねる】
【背丈の差、そして宵闇の暗さも加わる。彼女が其方を恐れるのも、無理はない――例え、敵意がなくとも】

 えっと……私はこれを落として……探してただけ
 貴方こそ……何をしてたの?

【男が投げかける質問。それに答えるように、少女は何らかの袋を男に見せる】
【これがさっきの音の正体かもしれない……そして、彼女はそれを「落とした」と言う。男はどう考えるだろうか?】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/02(土) 23:38:15.83 ID:q+wWOZCyo<> >>409>>410

今は安らぎに身を任せて眠りなさい、次に目が覚めた時に戦えるように
一歩でも進んだなら後ろに在る進んで来た道が背中を押してくれる、貴方は今一歩進んだ
だからきっと大丈夫、倒れそうならば支えるわ……約束くらいは守るもの

【いつかの時代に災厄の母と呼ばれた者がいた】
【確かにその者は多くを滅ぼした、しかし彼女の行った事は全てが災いであったのか】
【少なくとも当代の人間はそうそう悪い人物ではないのは確かだ】

【母とは元より、そういう者に与えられる名前なのだから】

(――――――――……あー……どうしよ今から大変だわー……)
(ほうぼう探し回らなきゃだし、どれだけの人にアタシは頭を下げればいいのかしら?)
(まっ、いいけどね一度言った事は引っ込めると気分悪いもの)

【ぽんぽん、とレインの頭を撫でながらカズネは今後の事を憂いながらも】
【どこか清々しい表情なのは自分が得られなかった愛情を自分が誰かに与えられたかもしれないから】
【ふうと一息吐けば先程までの厳しい魔女の姿は消えていて……】

この子の身元については委細承知しました、というか男になんか預けられるもんですか

―――――――で?貴方は貴方で一度言った事を引っ込めようなんて事は勿論しないでしょうね?
いやアタシは別に心根優しい人間だから好きにすればいいとは思うわよ?でも「もしも」の時があったなら
相応の、っていうかそれ以上の代償を払って貰いに遊びに行くからそのつもりでね?

【次に浮かぶのはいつもの笑っていない笑顔でそしてそれは彼へと向けられている】
【長々とは語るカズネだが要するに「言質はとった」という事、それが意味する事は多分理解るだろう】

おっかなくて結構よ甘やかせてもしアタシが死んだ時にこの子が自分で立てなければ意味もないでしょう
基本的に人間は1人で生きるべき、と思ってるから……それにもしもの時に備えてこそ智謀に長ける魔術師というものよ

【ふふん、と胸を張りどこか誇らしげに語る魔術師】
【他人の評価を気にしない人間というのはいつの時代も迷惑極まりないのは、仕方ないと納得して受け流すのがベターなのかもしれない】

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/02(土) 23:47:33.24 ID:u+gCua9S0<> >>411

……誰、か…………まぁ、何と答えたもんか……
――――ただの魔術師だよ。『流れ』のな……

【恐る恐ると言った様子で問い返してくる少女に、居丈夫は返答に窮した様子を見せる】
【――――魔術師と言う名乗りは、その服装を見れば、すぐに了解されるだろう。コートに三角帽子――――典型的とも言って良い、魔術師の格好だ】
【更に言えば、場を照らし出している光は、居丈夫の行使した魔術のものによる明かりである】
【ただ、自分自身の身分や肩書と言えば、それぐらいの事しか口に出来ない、そうした意味で『流れ』の人間なのだろう】
【偶々現われた少女を目の当たりにして、居丈夫の方も名前を名乗ると言う発想が、抜け落ちていたのかもしれない】

ん…………?
あぁ、俺はトレーニングだよ。……ちょっとヘマをして、死にかけたせいで……1年前に比べて随分と身体が鈍っちまったからな
こういう生き方をしてる人間にとっては、身体ってのは資本さ。ちゃんと鍛え直しておかないと、おちおち仕事もしてられねぇからよ……

【少し熱気を放散している居丈夫は、言葉通りにある程度の疲労を引き摺っているらしい】
【――――190cm近い長身は、少し細い印象を感じさせる。それは絶対的な体格としてもそうだが、身に纏っているコートが、わずかにだぶついているのだ】
【衣服に対して、相対的にも居丈夫はどこか体格が小さい。恐らくは、その分がロスした体力と言う事になるのだろう】
【手にしている金属製の棍も、どこか重そうに携えている居丈夫は、本来ならばもっと『居丈夫』だったのかもしれない】
【――――それでも『魔術師』と言う、頭脳派の人間に印象が寄る肩書からすれば、上等な運動量にも見えるかもしれないが……】

んー……なんだそれ?
こう言っちゃなんだが、夜の森ってのは結構危険なもんだぜ? それ、そんなに大事なもんなのか?

【袋だけを見たのでは、居丈夫もそれがどういう品物なのかは分からない】
【ただ、夜の森が必ずしも安全ではないと言うのは、自分でなくても広く認識しているものであるはずだ】
【それでなお、それを1人で探していたのかと、居丈夫は更に問いを重ねた】

(……「落とした」、ねぇ…………となると、この娘は恐らく……)

【落下音と、少女の現われたタイミング。不可解な点はそこに尽きる。だがその答えは、魔術師にもある程度『アタリ』がついている様で――――】

【残存魔力 10/11】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/03(日) 00:03:42.90 ID:XY6hmLumo<> >>412

かーっ!わっかい癖に小姑みたいな言い様だってーの!
そもそも俺っちが友人を裏切る理由なんて有りゃしねえってーのによお!

【両手で耳を塞いで「あー」と声を出してカズネの声をシャットアウト】
【まるでお小言を嫌う子供の様な対応である】
【まぁ先程のレインとの会話で立ち向かえと言うカズネと逃げちゃえ逃げちゃえと甘やかすコレは真逆の在り方で有ると言うのは明白か】

そう言う手前(てまえ)さんこそこの子……子?うん?まぁいいか
レインが自立するだけの手助けはするって事だよな?「それだけ」は、期待しても――――

【レインをこの「子」と言っていいのか?20超えてるのに大丈夫か?と思ったがそれは一旦端に置いておき】
【自身に力も、深い繋がりも無い事は解っているからか。一番大事な事をまず確認し】


………え?智謀?
火力特化のトリガーハッピーってぇもんじゃ―――

【生憎と彼女の自己評価とは裏腹に、東の視点から見てきたカズネの姿はどうも…】
【圧倒的な魔翌力量で圧[ピーーー]る火力〇カ的な印象が強いらしい…非常に残念な事に】 <> 音無 小町
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/03(日) 00:08:50.09 ID:z1Nlqzqgo<> 【時刻はすでに真夜中、深い暗闇に包まれた町並みを街灯の光だけが照らしている】
【小洒落たレストランの薄暗い明かりに照らされたそのテラスで、もくもくとディナーを楽しむ二人の少女がいる】
【皿の上のステーキを綺麗に切り分けながら食べていると、片方が端末に新たな情報が入った事を着信音で知ることになるだろう】


……おいブレン、新しいニュースだ……六罪王とうとう六人揃ったみたいッスよ
あーよかったッス……いったい何回『六罪王なのに六人いない』ネタを今日までにお前の部下共に振られたかお前知ってるッスか?
これでもう「三人そろって六罪王!」とか言われないで済むッスよ

「うちの連中がごめんねー……でもこれで私たち機関はマジに波に乗ってる状態になったはずだし!
あいつらのほうはUTのトップが現在戦えない状態どころかむしろウチの利益になる行動をとりつつあるって話を聞いてちょっとホクホクしてる所だし!」


【片方は茶色の長い髪を左右でお団子状に丸め、もみあげを鎖骨の辺りまで伸ばした形の髪型】
【濁った鳶色の瞳にレンズがやや大きい丸型の眼鏡をかけ、灰色の生地に赤、黒、黄とややカラフルで大き目なボタンのシャツ】
【その黒いスカートに逆五芒星のバッジを取り付けた、白地に黒の菱形のマークが縦に並んだソックスに茶色のローファーの少女】

【もう片方は肩のあたりまで伸びた長い金髪の髪の上に、"??"と書かれた缶バッチと、コマチと同じ逆五芒星の缶バッチの着いた丸い布の帽子】
【ぱっちりと開いた目からはエメラルドのような翠色の瞳が覗き込み、まるで西洋人形を思わせるような顔立ち】
【首元に赤いリボンを結んだ紺のブレザーに、赤と黒の縞模様のスカートに黒色で厚手のタイツで足を包んだ少女だ】

【このレストランは特に機関の所有する建物というわけではない、にもかかわらず堂々とテラスで食事を取る二人】
【他の客は皆建物の中で食べているのだがガラスの向こうには時折二人の方を臆病そうに視線をやりながら居心地悪そうに食べる客たちがいる】
【一般市民は誰も彼女たちと食べようとはしない、うかつに彼女たちの傍に近寄って厄介事に巻き込まれようとする奴はほとんどいないようだ】
【彼女たちも自分たちから避けようとする客や従業員達の様子を気にも留めず、自分の情報を聞こうとする豪胆な者もまるでいない事を確認しながら】
【それでも比較的知られてもダメージを少なくできそうな情報のみを二人でやり取りしている事だろう】


絶好調!もはやだれもアタシたちカノッサを止められる者はいない……ってか
景気が良くて何よりじゃないッスか、六罪王が揃っちまった以上はこの先気楽に仕事もできるだろうし黒字も増えて万々歳ッスよ
さぁてブレン、お前も負けちゃいられない……"錬成"できるレベルまでレアメタルは揃ったんスか?

「あ、あともうちょいほしいし、ここまでいろんな手を変えて90%くらい揃えてきたけど万全を期すならあともうちょい手に入れておきたい訳、オーケー?
もしよければ次は光の国の輸送路とかにカチコミかけて奪れるだけ奪ろうかと思っているんだけど……どう?」


【などと堂々と悪だくみをする彼女たちの周りにはまだ2,3ほど腰かけられそうな丸テーブルが存在する】
【悪の戦闘者の傍で堂々と食事を行える豪胆な者が存在するのならば、彼女たちの傍で食事を取りながら声をかけることも可能だろう】

/今日明日あたりゆっくりと小休止入れながらロールしていこうと思っております、途切れ途切れでよければぜひお声をおかけください <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/03(日) 00:12:26.27 ID:/Y21nzNO0<>
【路地裏――――今宵其処は噎せ返るほどに濃い血の臭いが充満していて】
【足元に散らばるのは数多くの骸達。そのどれもが自警団の者達であると知るのは容易いこと】
【被害者が自警団、となれば。加害者は必然的に――――】


「フフフ――……そう、コレで貴方は私の物。カラダもココロも全て私の物…………
もう誰にもあげないわ…………貴方は私の物なのだから……」

【其処に立つのは一人の女。黒いドレスを纏った姿であり、髪も双眸も同じ色なのだから宛ら闇が具現化して在るかの様】
【白い手で頬を撫でる相手は、この場の唯一の生き残りであろう。歳はまだ若く、見るからに半人前】
【恐らくは初陣だったのだろうが、其れが運の尽き。まるで仲間がゴミ同然に殺されて行くのを見てただ震える事しか出来ず】
【結果として、なされるがままだ。吐息の掛かる程の距離に迫られたって、命乞いをする事すら叶わない】
【半ば思考を放棄した状態。口付けをされた所で、僅かに身体が動く程度】


「さあ、一緒に行きましょう……?大丈夫よ、もう怯えないで安心して暮らせる場所へ連れて行ってあげるわ……」

【間も無く転移陣が展開される、が】
【其れが発動するまでにはもう少し時間を要する。故に、仮に誰かがこの場に踏み入ったならば】
【自警団の青年を抱いたまま、そちらへと視線が移されるのだが】











【路地裏。日々諍いが絶えることは無く、常に新しい血が古い血痕を上塗りしていると言い表しても良い其処】
【今宵も又罵声が飛び交って居るのだが――――奇しくも、その内の一つに女の声が混じって居るのが聞き取れるだろうか】
【もし覗いてみたならば、其処には修道女が一人居る事が知れる筈だ。攻撃的な赤色の髪――――その表情は、見るからに不機嫌である事を表していて】


「はァ?あんまり巫山戯た事ばかり言ってるとアンタの頭かち割るわよ
大体にしてね、アンタ等が束になって掛かってきたところでアタシには傷の一つも付けられない事位分からないの?

アタシがこうして優しく言っている間にさっさと――――チッ」

【大柄な男数人に対して、女が一人。多勢に無勢、所では無いのだが……女は勝ち気な態度を崩さず】
【それが癪に触れたのだろう。男の一人が殴りかかろうとするのだが――――展開はあっという間】
【殴りかかったはずの男が気付けば地面に顔を強く打ち付けていて、さらけ出した後頭部を思いっきり踏みつけられる、なんて状況】
【其れを見た残りの者達は恐れを成したか、慌てる様にしてその場から逃げ去ってしまい】


「ちょ、待ちなさ――――アアアアア!!もう!!アンタのせいで他の奴等全員逃がしちゃったじゃないの馬鹿!!」

【他の者達を取り逃がした苛立ちを気絶した男に全てぶつけることとなる】
【――――端から見たら異様な光景だ。何しろ、修道女が男を踏み続けているのだから】
【声を掛ければ鋭い視線が向けられるし、関わりたくないからと静かに通り抜けようとすれば肩を掴まれる】
【――――この場面に遭遇してしまったのが不幸。逃れる術は無く】 <>
◆ae6/jrAOto<>sage saga<>2015/05/03(日) 00:15:04.86 ID:R/H3l9RJO<> >>413
 ……魔術師さん?トレーニングをこんなところで……?
 私も魔法みたいなもの≠ヘ使えるけど、そこまで強くないの……

【薄暗い中、少女の眼に写った姿がハッキリとすれば……男の出で立ちを今一度確かめる】
【……なるほど、その容貌――――帽子にローブは、彼女の知る中での典型的な魔術師≠ニやらだ】
【続く発言に、彼女が能力者≠ナあることををほのめかす一言が混ざった。……男の仮説は、あながち間違いではなさそうである】

 うん、大事だから拾いに来たの……
 ……危ないことは分かってるけど……ね

【少女は片手で持っていた袋を、胸元で抱え直した。その言葉や仕草から、余程大事なものである様子】
【森に限らず、夜は大体危ない。……彼女が10歳程の少女であるから、それは尚更である】
【実際、彼女は帰路についている途中だった。その危険性を踏まえて、早めに帰る筈であったのだが……少々遠出し過ぎた模様】

 ……?
 どうしたの?

【男の微妙な表情変化――――少女は、何かを察したようなそれに対して敏感に反応したらしく】
【50cm程ある身長差を埋めるように、長身の彼の顔を見上げた――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/03(日) 00:25:06.53 ID:+Uednq9G0<> >>417

そりゃなぁ。『こんなもの』を振り回すのに、人がそばにくるかもしれない場所で、出来ないだろ?

【右手に握った棍を、軽く翳して見せながら苦笑する居丈夫】
【――――金属製のそれは、確かに全力で振るわれれば相当に危険な鈍器と化す】
【万が一にも、予想外の形で他人に当てる様な事になるのは避けたかったのだろう】

はぁ、ん……なるほど、な…………
(それが何かは……言いたくは無ぇんだろうな。ま……深くは詮索しなくても、って話なんだけどよ)

【抱え込む様にして確保される袋。それを見据えながら居丈夫は小さく頷いて見せた】
【危険を承知で、と言う事は、相当に「無くしたくない」ものだったのだろう。抱え直すその仕草にも、そんな心情が垣間見える】
【それほど大事な物とは一体何なのか。興味が無い訳ではないが、あまり深く詮索するのも失礼な話になる】
【軽く相槌を打ちながらも、居丈夫はそれ以上の追及をしようとはしなかった】

ぁ……あぁ、いやなに…………君、飛翔か、空間移動の類の力を持ってるだろ?
俺が何か勘違いをしてなきゃ、ついさっきまでこの近辺には、誰もいなかったはずなんだ
……ま、それで……ちょっと不思議に思ってよ?

【ほんのわずか、胸中で逡巡しただけの事なのだが、どうやらそれを少女に感づかれてしまったらしい】
【居丈夫はそれを、素直に疑問と言う形で少女へと告げた】
【詮索と言う訳ではないが、突然現われた少女に対して、軽い興味が向いたのだ。正に「突然現われる」事の出来る何かを、持っているのだろうと】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/03(日) 00:41:02.08 ID:F0d8RkTzo<> >>414

人生経験が豊富という意味で受け取っておくわ
まあ、そう言うのであればこれ以上は余計な事は言わないわよ少なくともアタシからはね

【けけけけ、という擬音が合いそうな笑い顔というか嘲笑い顔】
【平時に至っては基本的にカズネという人間はこんな感じらしく】

無論、でなければここまでアタシが関わる筈もないでしょう
興味の無い事には付き合わない人間なのよアタシ、いいでしょ白黒ハッキリしてるんだし

ああ、でもちょっとだけ貴方を頼らせなさい……アタシの腕力じゃこの子を運べないから運んでね、男だから余裕でしょ?

【気に入らない物は気に入らない、潔癖といえば潔癖な扱い辛い人種】
【そうとも言い換えられるが悪い人間ではない、その点に関して云えば彼とて同じ事だろう】
【それはさておき、魔術師はその名の通りその性別通り腕力が無いらしく大見得を切った手前なんとも情けなくはあるが】
【島の拠点までレインを運ぶようにとにっこりお願いをする、大艦巨砲主義――――青年の見立て通り

【その期待に沿うように脅迫めいた魔翌力を纏わせ】
【無論それは悪戯レベルの行為、しかしながら微かに揺らめく陽炎はなんとも恐ろしくもあったとかなんとか】 <>
◆ae6/jrAOto<>sage saga<>2015/05/03(日) 00:52:12.37 ID:R/H3l9RJO<> >>418
 そうよね……
 変な質問して、何かごめんなさい……

【……まあ、当然であろう。万が一スポッと手から抜け、人に向かって飛んでいけばそれこそ惨事】
【まだ未熟ゆえにか弱い少女――――自分に当たれば、まず大怪我するであろう】

 ひしょう……何で分かったの……?
 私がいきなり現れた……から?

【ビンゴ。確かに少女は空を飛ぶ能力の持ち主である】
【当てられてしまえば嘘をつく必要は無い。そもそも嘘をつく理由も無かったが……】
【木の葉が大きく揺れたことも、彼女が起こした風に煽られたと考えれば辻褄が合う】

 そうなの……私って、不思議?

【しかし、両手でこの袋――――小柄な少女と比べれば少し大きいそれを抱えれば、間違いなく両手が塞がる】
【おまけに、彼女の身体の何処を探しても羽やプロペラ、ましてやロケットなどが付いている様子は見られない。一体どうやって飛ぶのか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/03(日) 01:11:04.28 ID:+Uednq9G0<> >>420

おいおい……何も謝る事ぁないだろ?
ま、それにそう言うのとは別に、やっぱりなぁ……衰えた身体を鍛え直すなんてのは、1人の方が気楽だろ?

【何か少女を委縮させてしまったらしい事に、居丈夫は苦笑しながら宥めに掛かる】
【見様によっては、確かに1人でこの暗がりの中、金属の棒を振り回している光景は、奇矯に映っても仕方がない】
【その事は、居丈夫自身もある程度は理解しているのだろう】
【また、居丈夫は1人で集中したい意志があった様で、進んで人気を避けてもいたらしい】
【孤独にトレーニングに励む姿勢は、相応に打ち込みの深さが現われたものなのかもしれない】

まぁ、そんな所さ
結構な高さから、何かが落ちてきた感じがしたからなぁ。で、さっきも言ったが、ついさっきまでこの近辺には誰も居なかったんだぜ?
こりゃ、高い所を移動してた誰かが何かを落としたか、本人が降りてきたか、じゃねぇかなと思ったんだよ

【軽い推論には過ぎないが、居丈夫はその思考の過程を少女に説明する】
【筋道を立てて、脈絡にそい物事を組み立てる。それはまさしくロジカルな思考であり、理性の働きである】
【他愛ない事かもしれないが、居丈夫は少なくとも、「大男 総身に知恵が 回りかね」等と言われるような類では無いと言えるだろう】

――――いや、そこまで取り立てて不思議って事は無ぇんじゃねぇか?
だってよ…………レル(風)・フェン(飛翔)・ゼル(自身)・ビン(レベル2)……『ウィングウィンド』!

【フッと軽く口元から笑みをこぼすと、再び居丈夫は魔術を行使した】
【スペルの詠唱を結ぶと――――居丈夫の身体が風に包まれ、ふわりと地面から浮遊する。そしてそのまますぅっと、木の高みにある枝まで飛び上がって見せた】

っと…………こんなとこさ。俺にだって似た様な事は出来んだ。だから別に、少なくとも俺にとっては、取り立てて不思議って訳じゃねぇよ

【木の枝に軽く掴まってみせると、そのままゆっくりと地面まで降りてくる居丈夫】
【地に足が着いた瞬間、身体を包んでいた風が残滓となって駆け抜ける。居丈夫としては、人が空を飛ぶのは不可能な事ではないと実証したのだろう】

【残存魔力 8/11】

/すみません、そろそろこちらは限界が近いです……持ち越すか、この辺で切るか、お任せしますー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/03(日) 01:14:03.43 ID:XY6hmLumo<> >>419

かっ。前向きなこって
…ま、嫌いじゃあねえけどな

【本来聞くべきでは無い話まで聞いてしまった】
【それもあるが此処まで話してカズネの人と成りはイメージ出来。信頼とまではいかずとも、ある程度はカズネの事を尊敬しているつもりだ】
【その事をポンと口に出すのは彼の性分だろう】

かっ!なら一先ずは安心しとくってえの
そう言えばレインともう1人…セリーナだっけ?手前(てまえ)さんの知り合いかい?

【ある程度尊敬しているからこそ、彼はアナタに殆どを託す事にした】
【自分に出来る事等限られている事だし】
【そして世情に疎いのか、セリーナと言う人物についてどんな人なん?と尋ねてみて】

あっと…まぁそれ位は甲斐性ってぇもんだな
失礼しやした お嬢さんっと



―――――だから冗談でもその不穏な空気は止めて下さいってーの!

【溢れた魔翌力を感じてお面の下でブワッと冷や汗が出てきた】
【大げさ…とも思えるかも知れないが彼を見れば分かるだろうか】

【腕は「夢」の中で受けた傷がある。レインの身体を引き取って持ち上げているが、それは身体強化の指輪が有るから出来る事だ】
【服の下では背中や腕にも鷹や銃弾がぶつかった衝撃で痣も有るし、カズネが来る以前にレインの放った弾丸によって側頭部が抉れて其処も血が流れている】
【ハッキリ言おう。こいつ、弱い。 悪戯程度の魔翌力でも身の危険を覚える程には――――】

【その癖、「レイン達」の夢へと入り込んだのは何故だろうか】

…不躾な質問だがよ。1つ聞きたい
手前さん、夢ってもんは有るかい?

【レインの身体を抱えて、突然そんな事を聞いて】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/03(日) 01:25:49.35 ID:F0d8RkTzo<> >>422

ええ、知り合い……語ってもいいけどそういうの本人と交流して自分で理解した方がいいわよ
アタシが教えてもそれは「アタシの知ってるセリーナ」でしかないから、まあ頑張りなさい
ここまでやってあの子もそう悪いようにはしないだろうしねー……

【セリーナを抱えて歩く彼より先んじて前へと進む】
【問われた言葉に魔術師はしかし答えない、それは自分で探せとだけ】
【相も変わらず突っぱねた態度だが、セリーナ本人を目の前にしてそれを語るのは躊躇われたというのが本音】

一言で現すなら、元気な子……かなあ……
アタシとはある意味正反対かもねー―――――――

で?夢だっけ……特に考えた事もないわね、必要性を感じないわ
ただ明日を生きるのに必死だからそれから先のことは全部明日のアタシに押し付けるようにしてるの

【夢、どうにも答え難いというかそもそも考えた事もなく】
【小さく唸りながらも応えたのは行き当たりばったりなモノ、智謀とは何だったのか】
【しかしその答えはつまりは未来に何が起きても受け入れるという事と等しく】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/03(日) 01:38:17.19 ID:XY6hmLumo<> >>423
おうおう、シャイでウブなお兄さんに初対面の子と話せってか
中々酷い人だってーの

【等と明らかに心にもない悪態を吐いて】

あー、え、……ううん?
…戦闘時はどっこいどっこいなんじゃね?

【戦闘時のカズネの印象もさる事ながら、それ以上に元気なレインと言うのは想像し難いらしく】
【余計な事とは分かっていても思わず口から言葉は出る】

あーらら。残念だってーの…小さい目標はーとか聞いたら今はレインの事って言われるだろうしなぁ

……・ま、それならそれでしゃーねえかって。
ところで、何処に向かっているんだい?

【本当に残念なのだろう、大き目の溜息が出た。それからカズネの後ろを着いて行きながら目的地について尋ねる】
【ぶっちゃけ…土地勘とか無いし】 <> ルナ
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/03(日) 01:51:01.23 ID:AmqiMLbe0<> >>416

【死体の散乱する凄惨な通り。その少し脇に逸れた暗がりから、ルナは慎重に様子を伺っていた。】

(あれは…。間違い無い、No.5,錯愛<Aマンテ=コンキスタ…‼)

【時間は少し遡る。ルナがこの日の任務を終え、彼女が使役する大鴉(おおがらす)の背に乗り、帰路に着くため闇夜を滑空していた時のことである。】
【ルナはその良く利く夜目と天性の繊細さによって、何か大きな悪寒を感じたのである。彼女はそれを「ぞくり」とした気分、程度にしか捉えていなかったが。】
【滞空し、少し迷った後に違和感の原因を突き止めるべく高度を下げていく。悪寒の原因はどこかの細い路地から生じていた。】
【血を流して争う人間達が見えた。悪が意気揚々と跋扈する世界である、それは何ら特別な光景では無かったのだけれども、彼女の心は強い動揺へと駆り立てられた。】
【何故なら、そこで青年達を一方的に蹂躙していた黒衣の女にルナは見覚えがあったからだ。鴉の背から飛び降り、無傷で着地した彼女は身を隠して観察する。そして疑念は確信へと変わった。】

(…まさか、こんな場所で出会うだなんて思っていなかった…。最上位ナンバーズがどうして雑兵を相手に…?)

【息を潜め、うすら汗を浮かべながらルナは思案する。彼女は一般構成員に過ぎないが、何せ100人から存在するナンバーズだ、比較的下位に属する『数字持ち』についてルナはそれほどの興味を持っていない。】
【しかし今眼前に存在しているのはその中でも5本の指に入る怪物である。冷静を常とする彼女でさえ、その緊迫の表情は隠せない。それほどルナはアマンテに対し脅威を感じていた。】
【『彼女らナンバーズの頂点に君臨する者は、純粋な戦闘力においてならば武闘派でない六罪王を凌ぐこともあるのではないか?』。それは彼女が以前から想像していた可能性であった。】

(もしも、彼女が私の『目標』に賛同してくれるのなら…。いえ、まだ彼女のことはほとんど何もわかっていない。勧誘は早計…?)

【ルナは自身のある『計画』についての協力者を求めていた。協力者たるに相応しい条件は何に於いても戦闘能力の高さが一番である、そう彼女は考える。】
【しかし同時に、仮に強力な人物を自陣に引き込めたとしても、相手が制御の効かない化物であるならばそれは計画の遂行に支障をきたす。】
【関わるべきか、せざるべきか。測りきれない邪悪を目の前にして、彼女の額から一滴の汗が滴り落ちた。】

/投下文上側に対しての投下です。まだいらっしゃいましたらば…
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/03(日) 02:26:51.19 ID:F0d8RkTzo<> >>424

シャイな人間がこんな事に関わろうとなんて思うわけないでしょうに
あら?今更ねアタシは酷い人間よ、そこの所はどうぞよろしく

【そろそろ拠点施設まで辿り着く頃か、僅かばかりの文明らしさも視界に映る】

アタシもまともじゃないからね、そういう一般人的な目標とかは別に良いかなーって
こんな世の中でしょう?明日とも知れない身で余計な考えをすると碌な目に合わない気もするし

【記憶の世界の出来事などまるで嘘のよう】
【それだけこの島の異質さが露わになった夜、或いはここに現れた者達は過去に出会いたい理由があるのかもしれない】
【彼も、彼女も、そして魔術師も……】

ああ、この辺りでいいわ一度療養して様子見ね
帰り方は……って言うまでもないわね転移を利用してきているのでしょうし行き先は水の国になってる筈だから
向こうに戻ってもこの子の事を気にかけてあげてね……それがアタシ達の責任だから

で、アンタも取り敢えず身体のダメージを治しなさい怪我してるでしょうに、無理する人間は嫌いでないけどね

【安息所の適当な椅子にでもレインを降ろすように言ってカズネもその傍らに腰を掛ける】
【精神的な疲労と肉体的な疲労、異質な体験をしたというならば尚の事それは飛鳥馬とて変わらないだろう】
【一先ずはここで区切り、と……魔術師も背を伸ばす】

【飛鳥馬が転移陣へと向かい帰るのであればふと魔術師は口を開く】

そうね……アンタの夢については次の機会にでも聞いてあげるわ
少なからず出会う機会はあるでしょうからね、だからそれまで精々生き残るようにね

【言葉に驚き振り返れば魔術師はレインの頭を撫でている】
【別れ際さえもサバサバと無味乾燥と云えばその通りだが、今宵の出来事の一端に関わったという事と】
【魔術師の性格を考えればそれが最大級の礼だというのは簡単に理解るだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/03(日) 02:48:48.52 ID:XY6hmLumo<> >>426

かはは、ああ。とっても意地の悪い人だって

【不快ではないが、その言葉は言う必要は無いだろう】
【拠点の影が見えだすと小さく声を漏らし】

高望みするのは人の自由だって
夢はでっかく大きく。 他人には持ってて欲しいんだがなぁ

っと、そんな便利なモノが有るのか。それじゃ、俺っちは一足先に帰らせて貰うよ
…暇さえありゃ様子を見に来るさ。ま、毎日が休日なんだがな!かーっ!

【転移陣の存在を初めて知ったと言う様に、感心した様な声を漏らす】
【レインを降ろすと、それじゃあお先にと軽く手を上げて―――】

……かっ!恰好つけるのは男の特権よ!
痛さのやせ我慢も含めてな

【そう、自分は精一杯「強がっている」のだ。無粋な事は言わないでくれよと肩越しに苦笑して見せてから】


袖触れ合うも多少の縁ってな…俺っちの国の諺よ
だから「また」な。友人の友人さんよ

【目に見えて驚きなんてするものか。アナタが人の為に戦える、厳しく在れる人だと今回存分に知ることが出来たのだから】
【ああ次は…アナタ達の何を「知れる」のか】

【楽しみだと彼は言って、転移陣の中へと消えて行った】


//長らく絡んで頂き感謝!有難う御座いました!
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/03(日) 03:14:02.53 ID:F0d8RkTzo<> >>427

―――――――特権か、その考えは嫌いじゃないわ

【痛みに耐える事、歯を食いしばりながら必死に前に進もうとする姿】
【人間という生物に美点があるとするならば、力の在る無しに関わらず苦境にこそ立ち向かおうとする姿勢こそそれだろう】
【思えば彼と少女には何の縁もない、それだというのに我が身を顧みずに彼は進んだ】

【馬鹿げたことと否定する人間もいるかもしれない】
【しかし彼の行いこそ尊いものだ、喩え誰一人として賞賛せずとも佇む魔女だけがそれを識っていた】

ああ、でもその場のノリで変な技使うもんじゃないわね……すっごい腕痛いもん
罅くらいは入ってるかもしれないし、よかったー運ぶの頼んで……

【ひらひらと躍らせる右手は、記憶の世界で馬と真っ向から立ち向かった時の腕】
【魔翌力を纏わせていたからとて肉体的には女性と変わらず、結果若干腫れ気味で言わずもがな痛い】
【強がりというのは確かに誰かに言及されたく無いものだ、なんて今になってしみじみと思う魔術師だった】

それはさておき……ここからが正念場よね、一体どれだけの事がアタシに出来るのかしら
ううん……やらなければならないんだけど思いついた事と出来る事はまた別の話なのよね
現実問題として、やっぱり課題は大きいか……まあでもねレイン、一度言った事を曲げる方がアタシにとっては痛いから安心してなさいな

【一番母の愛が欲しい時期に得られなかった少女は今となっては与える側】
【ならばその空白を他の誰かに体験なんかさせたくない、いじらしいそんな想い】
【矮小だがそれこそが魔術師の原動力となって、そしてまたいつか焔は舞うのだろう】

/お疲れ様でした! <>
◆ae6/jrAOto<>sage saga<>2015/05/03(日) 11:51:19.08 ID:H/Bz9My8O<> >>421
 すごい、風の竜の仲間……?
 ……つまり、飛ぶのって意外とよくある?

【――――浮かんだ。大男の身体が宙に浮かんだ】
【まさか、自分の親戚以外に翼も無く飛べる術を得た人がいるとは。世界は広いものである】
【少女は僅かに驚きながら、その一部始終を見ていた】

【――――さて、見上げると同時に枝と枝の間から垣間見える空。既に其処には無数の星が散りばめられていた】
【はっと思う少女。少し道草を食い過ぎたであろうか。ともかく、これ以上遅くなってしまえば……】

 あ……さすがにもう帰らないと……
 えっと……では、さよなら

【袋を抱え直せば、渦巻くような旋風が吹きはじめる。丁度、渦の真ん中に彼女が居て――――】
【ふわりと足が地面を離れる。やはり、原理的には男のそれとは似たようなものか】
【このまま上昇、上昇――――枝葉の隙間を抜ける時、やはり鳴るガサガサ、という音】
【ある程度の高度を確保すれば、少女は何処へと飛び去ったという――――】

//途中寝落ちごめんなさい……
//やや強引な〆で申し訳ありません、拙いロールにお付き合い感謝します……! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 12:34:13.79 ID:nWt0XfU6O<> 【ドラクレア島】

【絶海の孤島から、昼間でもはっきりと見えるほどの巨大な光が一筋の線となって昇っていく】
【光は空へと届き雲に大穴を穿ち、消えていった】
【十秒、あるいは二十秒経った後、同じような光が輝き、同じような角度で直線を描いて上空へと消える】
【二発、三発、四発とその現象は続いていく】

【光の発生源の場所は孤島の中、ジャングルにできた開けた広場だった】
【そこに居たのは一人だけ。赤黒い外套を身にまとった長身の男。黒い短髪に東洋人の顔を持っていた】
【右手に持った二又の槍の穂先が空に開いた穴に向けられていた。手には力がこもっている】

【切っ先に魔法陣が二重に展開。周囲の空間に魔力が充実していき、魔法陣の中心に光源が現れる】
【次第に光源は大きくなっていき、破裂。極太の熱線となって放出されていく】
【多量の岩石を含んだ熱線は幾度と繰り返してきたように空へと突き抜けていった】

【魔術師の額には汗が滲んでいて、表情は苦悶に満ちていた】

────…………違う

【同じプロセスを踏み、もう一度魔術を放つ。額から汗が流れる】

………………違う

【三度目。疲労で腕が微かに下がったが、構え直す】

………………違うっ!!

【四度目。魔術の反動で腕が逸れて全く別の方向へと熱線が進んでいった】
【苦痛の声をあげながら魔術師は槍を地面へと突き刺し、杖代わりにして項垂れた】
【大粒の汗が地面に流れ落ち、魔術師の肩は呼吸で荒く揺れていた】

……はぁっ……はぁっ……はぁっ……!

何故だ……! 何故“同じ形”にさえならないっ!!

“あの魔術”は……一体、どうやって…………っ!!

【疲労と焦燥、そして苛立ちが魔術師の声を満たしていた】

────うぁあああああああああああっ!!

【怒りと苛立ちのままに咆哮をあげて槍を真正面に突き出す。感情をぶつけるように魔術を発動】
【魔法陣から射出された熱線は、今までで最も小さく、目の前の木々を軽くなぎ払って道を作る程度だった】
【その結果に魔術師は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。疲労と集中力の欠如が原因だった】

くそっ……ここらで、限界か

【乱暴に槍を地面に突き刺し、魔術師はその場に座り込んだ】

【空へと突き抜けていった光、ジャングルを水平に貫いた熱線。そのいずれを辿ってもこの場所に到着するだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 15:56:03.11 ID:FsEseyZdo<> 【海岸――高さ50mは堅いだろう崖の上、時刻は夕日が沈み始めるころ】
【犯人が追い詰められて自白しそうな雰囲気のその場所に、それとは程遠そうな者が1人、よくわからないポーズをとりながら立っていた】

「………………」

【それは全身真っ黒な毛に覆われている奥二重でコワモテ、エルフ耳で2mの身長の悪魔だ】 【頭部には二本の鋭く禍々しい赤い角を持っている】
【黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、首にはマフラーの様な長い紫色の毛を持ち、他にも所々に紫色や赤の模様や毛を持っている】
【鋭く赤い牙と同じく爪を持ち、手足や尻尾の先の方は紫色で、いかにも悪魔だと思わせる尻尾の先端には赤い棘がある】
【赤い棘は肩や手の甲、アキレス腱の位置にもあり、先端に赤い爪を持ち紫色の翼膜な黒い悪魔の翼を背から生やしていた】

【近くには、コウモリの羽の付いた一眼レフカメラ、レフ板や照明器具を持った二足歩行のコウモリ――】
【……となると、状況は見えてくるだろう、何故こんな危ない所に立っているのかというそれは】

「……よォーし、撮ォォれたなァッ!」 「指ィ名手配書の写ァ真、こォれなら俺様の良ォさが更に伝わるだァろうぜェ」

【写真撮影、までは良かったのだが……そう、この悪魔は指名手配犯の"邪禍"】
【指名手配書に使われていた写真が気に食わなかったようで、なんと自分で撮影したそれを採用させるつもりのようなのだ】

「人間形態や半悪魔形態の顔も割ァれたしな、追加してもォらわねェと……フゥゥゥルカラー3枚セットで超ォォオ得だぜ、クククッ」 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 16:58:38.91 ID:nWt0XfU6O<> //>>430でまだ募集してます <> ◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/03(日) 18:45:57.23 ID:cZ0u+uzLo<> >>405
/気付くのが遅れて申し訳ないです
/良い具合にまとめて頂いたので、これにて。
/お疲れさまでした〜 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 19:10:58.58 ID:FsEseyZdo<> >>430
/まだいらっしゃいますか? <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 19:17:33.33 ID:nWt0XfU6O<> >>434
/いますよー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 19:37:55.92 ID:FsEseyZdo<> >>430

【島のとあるジャングルの中、一人の存在がそこを歩いていた】

「……ふゥむ、こォこが例の島か」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「噂が本当なら、俺様が歩いてちゃアやァばいんじゃアねェーの?」 「第三形態じゃア到ォォ底歯ァの立ァたねェ奴が出ェてくるぞ」


【――――それからしばらくしてのことだった、熱線を放った主に、この者が近づいたのは】

「……やァ、行ィき倒れ君」

【とても焦げ臭い理由についてはあえて言うまでもないし、衣服が青白い蛇皮と山吹色の蛇皮製になっているとか、】
【その上に朱色の結晶の鎧を纏っている理由についても、説明する必要はない】

「危うく溶ォけるとォころだァったじゃアなァいか……まァ、そォれはおォいておいて」
「久々だな、テメェー」 「まッ、元気そうで良ォかった良ォかった」

【それは皮肉なのか否か、表情は笑っているが――両腕を組み、座り込む魔術師を見下ろすのだった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 19:43:16.63 ID:nWt0XfU6O<> >>436

【乱れた呼吸のまま魔術師は顔をあげる。焦燥感に駆られ暗い意志が灯る瞳が向いた】
【だが目の前にいたのが知った相手だとわかると、自嘲じみた笑いを浮かべてため息をつく】
【その動作で、彼は平静さを取り戻した】

いつぞやのか……こんなところで何をしてる?

【立ち上がってアインは槍を手に取り、消失させた】
【それから額の汗を腕で拭い去る】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 19:59:51.70 ID:FsEseyZdo<> >>437

「ククッ、ちょオーっと探索しにきただァけだ……良ォい素ォ材を探すためにな」
「そォしたらうーっかり、火ィ柱と遊んじまったって訳」

【ひとまず、纏っていた鎧を脱ぐその者――鎧が闇となれば、その口部の中に吸い込まれてゆく】
【それから、一つため息を付きながら手で顔を数回扇ぐ。汗をかいている様子はないが、結構あつかったらしい】

「テメェーこォそ何しィてたんだ、あァっちこォっちに光柱ぶゥちまけやがって」

【どの程度当たったのかは不明だが、とにかくダメージを負ったことに対して半ば八つ当たりの様なものをしたいらしい】
【ぶっきらぼうな口調で、そして身長差(片方は210cm以上)を活かした視点からの視線で、相手に問いかける】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/03(日) 20:01:12.56 ID:rx2MkrEco<> 【酒場】

【人の感覚によって多少の誤差はあるもののこの辺りの治安は悪いと誰もが認めるだろう】
【なんせ警察も自警団も賄賂を貰うし、影にはブラックマーケットができてるし昔から住む老夫婦も】
【ハンカチと拳銃は常に携帯している。そんな場所だから酒場の1つや2つ潰れるのも珍しくはない】

【その酒場の看板は落っこちてガラス窓は全て割れ、ボトルは倒れてグラスは砕けてテーブルは穴だらけ】
【壁には剣撃の跡、天井には雷が落ちたような焦げ跡。空薬莢が散らばり、折れた大剣がカウンターに突き刺さる】
【何があったか説明するのも野暮なので省略。残っているのは店主と1人の痩せた背の高い男だけだった】

…よくこんな場所でやってけるね

【サングラスをかけた背の高いライダースジャケットの男。腰には革のガンベルトとホルスタに2挺のリボルバー式拳銃】
【けど撃った様子は無くて半にやけに笑いながらロックグラス片手に煙草を吸ってカウンターに腰掛けていた】

『先祖代々の店、守りのが当主の役目よ。オイ、オマエもドデカイ強盗ならドンパチ手伝うよ。それかツケ払う』

【丸眼鏡で小太りの店主は手にしていたライフルを棚に戻し箒を手にとって片付けを始めた。看板はオープンのままだ】
【どうせ店にいるのだからクローズにはしない。これでもいいという無頓着な客が来たなら儲けれる。かろうじてドアはあった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 20:12:59.74 ID:nWt0XfU6O<> >>438

【アインもかなり暑いようで、わざわざ簡単な魔術を使ってまで冷風を作り出していた】
【アインを中心に心地よい風が周囲に放出されていく。それに合わせてアインの左耳についているルビーのイヤリングが揺れていた】

ふん、俺にも色々と事情があってね……
生きていたんだからいいだろう。上に撃ってたのに当たってたら灰も残らんぞ

【見下ろされながらも尚、挑発的な笑みを向けながらアインは邪禍を見上げていた】
【当たったからといって悪いなんてことは微塵も思っていない。当たる方が悪いと言わんばかりだ】

お前にとっての良い素材があるかは分からんぞ、ここは記憶の再現をする島だ
恐竜やら空飛ぶ龍やらなら、俺も見かけたがな。狩りにでも行くか?

【そう言ってアインはジャングルの奥地、霞む山を指差した】
【ほかにもこの島には様々な場所があるらしく、見渡すだけでも地形の豊富さがわかる】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 20:32:16.05 ID:FsEseyZdo<> >>440

「ククッ、俺様の熱耐性を舐ァめるんじゃあねェぞ」
「剛朱晶の強炎魔の鎧(脱いだが)に、太陽と光の輝蛇の服、足りねェなら炎煙の流雲龍等も足ァそう」
「第一俺様には"魂吸技"も"魂反射技"も、なァんなら"魂反転技"だァってあァる……"エネルギー"で俺様に立ァち向かおうと思うなよ」

【……相変わらず負けず嫌いか、その者は自分の灰をも残さないことは不可能だと、挑発し返す】
【相手の方から流れてきた冷風に対して、魔翌力の霧の塊を少量飛ばせば――それが当たった冷風のみ、"逆向きの温風"にへと変わる】
【遠隔かつ少量故に温風はすぐに、冷風に飲まれて消えてしまう】 【その為、何をしたのか気付かず終わる可能性もある】

「……やァはり、そォーいう島か」 「俺様の記ィ憶が再現さァれたら本当危ねェなこォりゃ」
「まァよい、そォの時はその時だ――素ォ材は大事だからな、狩ァりでも何でも良ォいから案内してもォらおうか」

【視線を辺りに向け地形の豊富さを再認識するも、その事に驚く様子はあまりなく――いや、多少の関心位は示しているが、その程度だ】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 20:53:16.66 ID:nWt0XfU6O<> >>441

……わかった、わかった
確かに、“今の俺”じゃ足りんかもしれんな

【アインは言い返してくる邪禍に向けて両手を挙げて、降参だと示してみせた】
【彼が疲弊するまで魔術を撃ち続けていたのは“ある魔術”に近づけるためだったが】
【それにはまだほど遠い。それ故に彼は“足りない”と言われて反論する気が起きなかった】

お前の記憶とやらも興味があるが、今はよそう
先日、いい場所を見つけたから連れて行ってやる

【そう言うとアインはジャングルの奥へと歩き始めた】
【その場所に何度か行ったことがあるのか、ジャングルの中には不自然な道が出来上がっていた】
【しばらく進んだ先にあったのは暗い洞窟だ。開いた入り口から冷えた空気が漂い漏れている】

【アインは魔術で光源を作り出すと、無言のまま洞窟の中に進んでいく】
【少し進んだあたりで、洞窟の壁際で動くものが見えた。直径(?)にして五センチぐらいの小人だ】

この洞窟は魔力が充満していてな
ああいう感じで、魔力だけで構成された生き物が自然発生するんだよ

【洞窟の中を進みながら、アインは小人を指差して解説を入れる】
【洞窟が魔力で満たされていることは、感覚が鋭くなくともすぐにわかるだろう】

【不意にアインが立ち止まる。目の前には二つの道が続いていた】
【「さて、どっちがなんだったか」──なんてアインは呟いている】
【片方からは魔力の塊が無数に、もう片方の道からはもう少し大きい魔力がいくつか感じ取れる】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 21:11:22.26 ID:FsEseyZdo<> >>442

「あァ、やァめときな……"魂もォろとも粉々にさァれたくねェなら"、……な」

【作り笑い。傲慢でプライドの高いこの者だが、己の記憶にある存在に対して憶えるのはけして良い感情ではない】
【出来る限り隠しているつもりなのだろうが、鈍感でなければその表情に曇りがあることを認識できるだろう】

「ほォう、たァしかにエネルギーに満ィち溢れていて住ゥみ良い場ァ所だ……ちょォーっと"脱ゥがせて"貰うぞ」

【その者の身体が変化したかと思えば、それは全身真っ黒な毛に覆われている奥二重でコワモテ、エルフ耳で2mの身長の悪魔と化す】
【頭部には二本の鋭く禍々しい赤い角、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩、首にはマフラーの様な長い紫色の毛を持ち、鋭く赤い牙と同じく爪】
【他にも所々に紫色や赤の模様や毛がある、手足や尻尾の先の方は紫色で、悪魔の尻尾の先端には赤い棘】
【赤い棘は肩や手の甲、アキレス腱の位置にもあり、先端に赤い爪を持ち紫色の翼膜な黒い悪魔の翼を背から生やしていた】

「消耗した魔翌力はこォこで補ォ給してんのか? まァーどォっちにしろ、"喰ゥらいつくさねェから"安心しな……多ァ分な」
「なァんなら分ァけてやァっても良ォいんだぞ? 勿論有ゥ料だァがな……ククッ」

【そう言いつつ、壁際にいた小人をつまみ上げて――口の中に、ひょいと入れようとするだろう】 【止めることは容易い】

「分岐路か、どォっちがどっち……って憶えてねェのかよッ」 「せェっかくだァから俺様はこォっちの赤い道を選ぶぜ」

【(おそらく)赤くはないし何がせっかくなのかはともかく、もう片方の道――つまり、少し大きな魔翌力が幾つか感じられる方に足を伸ばそうとするだろう】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/03(日) 21:22:33.75 ID:tkxYQbGBo<> 【街中】


【繁華街を行く人々が、次々に振り向き、何事か、と足を止める】
【彼らの間を颶風の如く過ぎ去る1つの影、それから、風を切るように追い越す3つの影】


はっ、 ……は、っ──。
……もう、しつこいっ!! 付いて来ないでって言ってるでしょ!!ばか!!アホっ!!


【──先を走るのは、まるでパーティから飛び出てきました、という感じの青いドレスを身に纏った少女だった】
【ヒールを履いている為か走りにくそうにしているが、それでも捕まらないのは、人混みのせいだろうか】
【後から彼女を追う三人の男達は、人々と肩をぶつからせ、既に彼女とは大きく差が開いていた】


ふぅ。……ふっふっふ。図体が大きくても、良い事ばっかりじゃないわよねー。
まぁ、この私の逃避行を邪魔しようとしても、ざっとこんな感じ!ってコトで──ふふふーん。


【少女は人混みを抜けると、長く、艶やかな白い髪を振り乱して、軽く振り向き舌を出す】
【彼らは依然、抜けるのに手間取っているらしかった。今の内に撒いてしまおう、と、通りの角を意気揚々と曲がり──】



……え、っと ──。 ……ナニコレ。


【そこで眼に飛び込んできたのは、通行止め≠フ文字。──見れば、途の奥では重機が行き交い、大規模な道路工事をしていた】
【右、左、上。くりくりと瞳を動かして抜けられそうな場所を探すが、見つからない。と言うか、そもそも無いのだろう】

【──ずさり、と後ろで、三対の足音の止まる音がした。振り返るとそこには、息を切らした三人の、スーツ姿の男達──、】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 21:24:59.70 ID:nWt0XfU6O<> >>443

本当に人外とはな……ここ最近、妙に縁がある

残念だがここは別に休憩所ってわけじゃない。人間じゃないお前にとってどうかは知らんが
魔力に満ちた場所に行けば魔力が回復するってわけでもねえしな……あった方が早いが

【邪禍が小人をつまみあげると小人はじたばたと暴れ、「ぁぅー!」なんて声をあげて威嚇(?)する】
【それを口の中に入れようとしたところで、真下から小さな影の触手が伸びてきて小人をひっつかみ、地面へと降ろした】

そいつは気に入ってるんだから食うなよ……

【一言文句をつけてから、邪禍が選んだ方へとアインも進んでいく】
【道なりに進むと今度は開けた空間に出た。天井も高く、飛び回れる程度に広い】
【地面や壁に天井はどこもかしこもでこぼこしていて、洞窟特有の構造をしている。他にこれといったものはない】

【二人の目の前には影のように真っ黒な獣が何匹か眠り込んでいた】
【どれも高い濃度の魔力で構成されていて、全長で五メートルはありそうな大きさだ】

さて、向こう側に行きたいんだが……

【アインは両腕を組みつつ、邪禍に視線を送った】
【開けた空間の先にはまた通路が続いている。静かに通れば起こさずに済みそうだ。また戻るという手もあった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 21:44:51.65 ID:FsEseyZdo<> >>445

「ほォーう、まァだ疑ってたのか……見ィての通り、俺様は超ォォ強ェ悪魔だ! 憶えておいて貰おうか」

【ビシィッ! と人差し指で指しながら、強い口調で言い放つ悪魔】
【余談だが、先程より数センチ程身長が高く見えるだろう――角の分もあるし、踵が地面についていない(そもそもないのか?)という事情もあるのだ】

「なァら……遠慮無く喰おうじゃアないか」 「……ちィ、"幽霊との味の違い"でもみィてみようかと思ったのに」

【小人を地面に降ろされれば、どことなくふてくされたような顔を見せる悪魔……けれども、それ以上小人に手を出そうとはしなかった】


「…………うゥむ、ステーキか……刺ァし身か……いィや煮ィ込みも……丸ごとも悪くねェな………………」

【視線の先に映るだろう悪魔、何やらブツブツ呟いている様子で……きちんと聞こうと思えば、ろくなことを考えていないことがわかる】
【相手の話は耳半分に、その獣を観察すべく、"いつも通りの歩調で"その後ろに回り込もうとする】

【素足かつ趾行だが、抜き足差し足というわけでもない。地面の凹凸具合によっては、アキレス腱〜踵の位置から生えた鋭く硬い大棘が当たる事もある】
【――はたして獣はどの様な反応を示すか】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/03(日) 21:45:16.78 ID:Iwp/PQnKo<> >>444
【一人の少女が絶体絶命の状況に追い込まれているとき】
【その角に存在する雑居ビルの屋上に、一人の人影】
【夜とはいえ、この時期には少々暑そうな黒いコートに身を包んだ、背の高めな女性だ】

……

【本来は明かりのない屋上で、右手に明かりとなる炎を出し、その明かりのもとでなにかを静に読んでいる】
【綺麗なセミロングの黒髪をそよ風に靡かせながら本に没頭する様は、揺らめく妖しげな明かりも相まってどこか神秘的】
【だが、彼女がこんなとこで本を読んでいるのは宿代がもったいないというだけの見も蓋もない理由──まぁ、それはどうでもいい】

………ん?

【本に集中しているようだった彼女だが、周囲への警戒はしていたようだ──眼下での物音に、気づいたらしい】
【恐らくは彼女には関係のないことなのだろうが、だからといって無視するのも不注意な話──一旦本を閉じ、屋上の端まで寄って下を覗きこむ】
【もし少女が上を見たら、微かな明かりと闇夜に目立つ金色の瞳が目に映るだろう】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 21:55:12.00 ID:nWt0XfU6O<> >>446

【獣に近づいていく邪禍をアインは面白がっている感じの笑みを浮かべて眺めているだけだった】
【静かに獣たちは眠り続けていたが、音が立っていなかったにも関わらず、邪禍が近づいただけで伏せていた目を開いた】
【大きく、ぎょろりとした瞳が邪禍に向く。巨体が持ち上がっていき、巨大な牙が並んだ口が開く】
【その直後、ここどころか洞窟全体に響くほどの咆哮。その音で他の獣たちも次々に起き上がり、邪禍に牙をちらつかせ始めた】

【最初に気がついた獣が巨大な脚を振り上げ、その爪で邪禍の身体を引き裂かんと襲い掛かる】
【更に一体が右、もう一体が左から俊敏な動きで飛びかかってくる。巨体に似合わぬ速度だ】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/03(日) 22:01:40.03 ID:tkxYQbGBo<> >>447


……い、いや、ちょっと考えよ!、ね!?
私思うんだけど、そんなに無理して私連れて行かなくても良いんじゃないかなー?
ほら、例えばさっ。一回私を信じて、ここで現地解散にしてみるとか!絶対帰るから!

──、って、この体勢どうなのよ!?一応私、乙女なんですけどっ!!うわーん!!


【──女性が下を覗きこむと、既に少女は男の1人に担ぎ上げられている】
【男達も何やら言い返しているようだが、口の動きしか見えない。この距離で響く、少女の声が大きすぎるのだ】
【乙女はこんな大声で叫ばないだろうし、うわーん、とかわざとらしい泣き声も出さないだろう】


……。あっ。

【と。──持ち上げられた視界は上空へ。此方を見る女性】
【周りの人は、興味の視線こそ向け、誰も助けてくれそうにはない】
【あの人が救世主になってくれるかは分からないが、こうなればやけっぱちだ】


……た、タスケテー!ツレサラレルー!!


【両手両足をわちゃわちゃと動かしながら、女性に猛アピール(with棒読みの叫び声)】
【何だ何だ、と男達も立ち止まり、ビルの屋上を見上げて──】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 22:19:12.30 ID:FsEseyZdo<> >>448

「むゥ、起ォきたか……まァ良い」

「どォれ、喰ゥわれたくねェならおォとなしくしな、おォとなしくすゥれば食ァべてやるぞォォオオーーッ!」

【――三方から獣が迫る、ここで悪魔は退くかと思えば逆にッ! 向かっていったのだ、獣の方へと!】
【そして超低空飛行によって、最初に気が付き襲いかかってきた獣の下(通れる隙間がなければ脇)を通りぬけ、反対側へと向かいつつ】
【ある程度獣たちが己の視界の範囲に収まるだろう所で振り向けば】

「こォの洞ォ窟は良ォい……"俺様は地ィの利を得ェている"」 「アイン、見ィてな……俺様が召喚しィか脳のねェ奴じゃアねェーって事をなァァアアッ!!」

【悪魔の身体から無数の黒い棘……濃い魔翌力の塊で出来たそれを生み出したかと思えば、発射!】
【一発一発の威力はなかなかであり、更に"生命と変化の、混沌の魔翌力"が身体を蝕む効果もある。そしてこの棘弾は"跳弾"する】
【狙いが甘い理由はそれだ、適当でも跳ねてるうちにいつかは当たるだろうという考え】 【(アインには当てない、そんな考慮は勿論一切ない)】

【但し、跳弾すると威力は幾らか減り、そしていつかは跳ねずに消える】 【その際、悪魔の魔翌力が辺りに撒かれるだろう】
【通り抜ける時に受けただろう背中の大傷からどす黒い血と、強い魔翌力の霧を出しながら、悪魔は結果を見守る】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/03(日) 22:22:07.11 ID:RCBocC68o<> >>449
……あ

【少女がこっちに助けを求めてきた途端、「やってしまった」という表情をする女性】
【彼女としては、関係の無さそうな事態ならそのままスルーしようと思っていたのだが──どうやら、とても面倒なことになりそうだ】

…………

【ここで彼女がとれる選択肢は二つ、このまま放っておくか手を差し伸ばしてやるか】
【どっちにしろ、自分がここにいるというのが眼下の人々に知れた以上、ここからは移動しないと静かな環境は構築できなさそうである──この騒動が収まったとしても、屋上に謎の女性という状況は野次馬が普通に湧きそうだ】

……はぁ、今日は厄日か何かなのかしら

【そう一つ溜め息を吐き──そのまま、ビルから飛び降りる】
【回りの人々が息を呑むなか、女性はまるで音もたてずに着地し、黒服たちに向き直る】

せっかく、静かに本を読んでいたのに……何なの、この騒ぎは? <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 22:29:43.41 ID:nWt0XfU6O<> >>450

【獣は振りかぶった爪を真っ直ぐに振り下ろした。だが既に邪禍はすり抜け、地面を削るだけ】
【三匹の獣が後ろを振り向いたときには遅く、射出された無数の棘が次々に獣の身体に穴を穿ち】
【苦痛の咆哮をあげながら三匹ともが消滅、魔力となって周囲の空間に霧散していった】

あぁ、もううざってぇな……こっちに飛ばしてんじゃねえよ

【跳弾して向かってきた弾丸の一つ一つをアインは影を伸縮させた幕で弾き飛ばしていた】

【他の獣たちもこぞって邪禍に襲いかかろうとするが何匹かは跳弾に阻まれ、また何匹かは着弾して消滅していく】
【だが獣の数は多く、中々減っていかない。遠巻きに様子を見ているのも数匹いる】
【跳弾の勢いが減ってきたところで更に数匹の獣が壁や天井を飛び回りながら邪禍に接近、一斉に飛びかかってくる】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/03(日) 22:37:52.23 ID:tkxYQbGBo<> >>451

【女性の着地を見て、「只者」ではないことを悟ったのだろう。黒服たちの表情が変わった】
【彼等は互いに顔を見合わせると──その内、リーダー格らしい男が一歩、前に出る】


「……ご迷惑をお掛けして申し訳ない。
 私共は、その──こちらの方の、身辺警護を行っている者でして。
 すぐに立ち去りますので、平にご容赦頂きたく── 」 『 ──痛ッ!!』


【リーダー格が振り向くと、少女は自らを抱える男の手を噛み、束縛を脱していた】
【そのまま脱兎のごとく、リーダー格の横を駆け抜けると、女性の後ろへ。彼女を盾にしながら、囁きかける】


……嘘よ、嘘。
あの人達、私を攫って船に乗せて櫻の国にでも連れて行くつもりなの。
ほら、前のアイツなんて、いかにもな顔してるでしょ? だから、その、──


【「……助けて。」】

【──少女はそう言って、女性のコートの裾を掴む】
【嘘をついているのは彼女だというのは、丸わかりだ。黒服たちも、やれやれ、という顔をしている】
【だが、最後の言葉は本心≠ナあることに違いはなかった。少女の顔を見れば、今にも泣き出しそうに、口元を引き締めている──】 <> ???
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/03(日) 22:38:52.35 ID:rx2MkrEco<> 【交差点】

【なぜだか今日のこの街の空は明るくて、でも月明かり隠す程雲は深く】
【それが降りてきたような濃霧がこの交差点一体を覆い隠していた。信号も見づらくて】
【クルマは4方すべての道で立ち往生…開け放されたドア、割れたフロントガラス、飛び散った血】
【濃霧が理由じゃない。惨劇が起こっていた。警官が銃を撃ち尽くし、無線機に叫ぶ】

『本部!本部!…ああ!!どうなってんだ!!応答して下さい!本部ッ!!!』

【その背後から、チェインソウが彼を貫いた。エンジンがバリバリ響いて、彼奴はそれよりも甲高い笑い声】

ヒャハハハハ!!アァイラヴクラァンヴェリィイイイジャァァアアアム??!!!

【2mはあろうかというピエロが笑っていた。カラフルポップな衣装に、メイク、チェインソウ、返り血】
【チェインソウのスタンバイ音がダウダウダウダウ鳴り響いた。笑っていた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 22:44:31.34 ID:FsEseyZdo<> >>452

「おォい……散るんじゃアねェ、喰ゥのが面倒になァるだァろうが」

【アインの文句を全く聞いている様子のない悪魔、ただ獣が消失していく事に対して嘆くのみ】
【ぱちん、と、指が一つ鳴らされた――それを合図に、消失した跳弾の魔翌力が集まり形を成してゆく――】

「――"ディルムレーディスプ"……魂を喰らい吸収するッ!」

【それは巨大な口部を持った化け物の様な形だった、そして狙いは――】
【飛びかかってくる獣が優先!】 【それに向けて急接近、その大きな口部を開けて獣たちを喰らわんとする】

「気ィづいたか? さァっきの跳弾は俺様の一部だ……こォいう閉ェ鎖空間、しィかも魔ァ力が満ィちているとなァれば回収率は高い……」
「喰ゥらって喰ゥらわれなッ! そォして俺様の糧となァれ!」

【飛びかかる獣を回避はしない、故にそれにより受けるダメージはけして小さなものではない】
【だが、それに怯まず、"魂を含むエネルギーを喰らう悪魔の一部"による攻撃は続行された】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/03(日) 22:51:42.13 ID:p3cLA/gWo<> >>453
……なるほどねぇ

【そう一言呟いて、腕を組んで見せる女性】
【よくあるお話なのだろう、おてんば姫と手を焼く親衛隊といったものか】
【普通に考えたら、ここは放っといて立ち去るのが賢明だと100人中99人が思うだろう】

……

【でも、普通に立ち去るのは面白くない──読書の一時を邪魔されたという苛立ちもあるし、こう衆目を集めた以上今晩は宿でも取らねば静かにはいられなさそうである】
【でも、それには手持ちが少々厳しい……ここで、この少女に対価として要求するのも、面白そうである】

──そうね、私は今最高に機嫌が悪いの
ということであなた方で気晴らしでもしようと思うわ、この子を……そうね、三日間ほど借りようかしら

【そう言って、右手で懐から取り出したのは古めかしいフリントロック銃】
【それを男たちに突き付け、意地悪げに微笑む】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 22:52:13.34 ID:nWt0XfU6O<> >>455

【洞窟を跳ね回り、侵入者を食らわんとした獣。だが逆により巨大な怪物に喰われ、吸収されていく】
【濃厚な魔力で構成された獣を吸収すれば、その分、獲得できるエネルギーも多いだろう】
【邪禍に飛びかかりダメージを負わせた獣も、怪物の口の中へと消えていった】

【獣たちにも本能による恐怖があるのか、先ほどまでの勢いが消え、たじろいでいた】
【それでも数匹は邪禍に、更に別の個体は愚かにも怪物の方へと向かっていく】
【攻撃の仕方も今までと違い単調で、ただ愚直に突撃するだけだ】


//すっかり書き忘れてましたが、確定でコロコロしちゃって大丈夫です! <> ワザイワ・エスパス<>sage<>2015/05/03(日) 22:57:13.84 ID:FRytS9eS0<> >>454
【『ソレ』は予感より遥かに濃厚な直感】
【無論、濃い霧が視界を遮り音を霞ませる】
【しかしそれすらも凌駕する物、獣の域に到達するほどの絶命の匂いに対する嗅覚】
【そして濃霧をつき抜け、紫の影が惨殺の宴へと舞い降りた】

わーお!

【踏みしめた血糊がパキパキと凍り付く】

ねーねー!コレやったのピエロさん?
あ、たしかクラウンさんだっけ?それともジョーカーさん?

【このあまりにも異常以上に異常でサイケデリックな空間において正常な言葉こそが異常】

でもさ、『こういうコト』する人ってみーんなリーベおねぇちゃんの敵なんでしょ?

【「だったら」と背中に背負っていた蛇矛と戟を組み合わせた様な黒い長物を構える】

ピエロさんは僕がやっつけるよ!

【自身の愛しい姉の影響か、無意味に相手を殺害する奇声を上げる男(?)を攻撃する事を告げる、以前なら確実に無言で頭を狙っていたのだからこれも成長と言うべきか…】

えーい!

【可愛らしい掛け声と共に放たれるドリル状の氷の弾幕、牽制の意味合いも強いが広範囲にばら蒔く故に狙いはかなり甘い】

//それでは宜しくお願い致します! <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/03(日) 22:58:22.79 ID:jQZyQIXxo<> >>453
……なるほどねぇ

【そう一言呟いて、腕を組んで見せる女性】
【よくあるお話なのだろう、おてんば姫と手を焼く親衛隊といったものか】
【普通に考えたら、ここは放っといて立ち去るのが賢明だと100人中99人が思うだろう】

……

【でも、普通に立ち去るのは面白くない──読書の一時を邪魔されたという苛立ちもあるし、こう衆目を集めた以上今晩は宿でも取らねば静かにはいられなさそうである】
【でも、それには手持ちが少々厳しい……ここで、この少女に対価として要求するのも、面白そうである】

──そうね、私は今最高に機嫌が悪いの
ということであなた方で気晴らしでもしようと思うわ、この子を……そうね、三日間ほど借りようかしら

【そう言って、右手で懐から取り出したのは古めかしいフリントロック銃】
【それを男たちに突き付け、意地悪げに微笑む】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 23:06:59.04 ID:FsEseyZdo<> >>457

「俺様は悪魔だ……そォして"魂喰者"でェもある」 「なかなか悪くなかったぞ、テメェーらの味は」
「どォれ、おォかわりもくれるのか!」 「俺様は貰えるものなら病気だァろうと貰う質でなァ」

【魔翌力を喰らい、悪魔のつくりだした化け物はその大きさを、濃度を、上げる。】
【その化け物を己に接合し――邪禍自身が、その頭部を巨大な口部に変形させる】

「"レード・リゲスト(いただきます)"」

【手を地面につけ、口部を獣たちの方に向け――大きく開き、そして閉じる】
【クワガタムシとかそういうレベルではない、挟むだけじゃあ無く食べるのだから】
【咀嚼はしない、"吸収する"のだから口部だって本来は不要なのだ……口部で食べる動作は、単なる趣味】

「おーい、通れそォーだぞォー」

【己が傷を負っている事を気にも止めず――残った獣に、食べるモーションを見せつつアインに声をかける。姿はそのままで】


/了解です! <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/03(日) 23:11:44.19 ID:tkxYQbGBo<> >>456


…… えっ。

「……成程。 残念ですよ、私は。できるだけ、穏便な手段で済ませたかったのですが。
 武藤!藤並ッ!! アレ≠ナ片付けるぞッ!!!」


【──女性の言葉を聞くと、少女の目線は、足元から彼女の後頭部へと移った】
【まさか、味方をしてくれるとは思っていなかったのだろう。現金なもので、瞳が喜色を湛えていた】
【そして、返答を受けた黒服は、リーダー格を中心に、三角形の形で陣形を組み──】



「……  咐 =@ぅ ぅ  ぅ  〜〜〜〜 ッ!!!」


『……      覇 =@ぁ ぁ  ぁ ーーーーッ!!!』


[……   也  =@ぁ ぁ   ぁ ────ッ!!!]



【バリィん!と、彼のグラサンが砕け散る──それは、その身から発する覇気′フに違いない】
【三者三様、掛け声とともに、『拳法』の構え。余り統一性がないが、それが逆に、個々の実力≠際立たせる】
【さながら、白虎≠ノ朱雀=A青龍≠フ構え、と言った所だろうか。 三位一体となって、隙がない】
【摺足で地面を鳴らしながら、右へ、左へ。宛ら演舞の如き歩様を終えると、女性から五メートル程の場所で止まると──】



「……  咐 =@ぅ ぅ  ぅ  〜〜〜〜 あーーーーーーーッ!!!」


『……      覇 =@ぁ ぁ  ぁ ーーーーおおおおーーーーーッ!!!』


[……   也  =@ぁ ぁ   ぁ ────んんんーーーーッ!!!]



【── まだ続くらしい。同じような動きを再び始めた】
【先ほどまで気圧されていた周囲の人々も、写メとか撮り出している。それ程に、演舞としては見事だった。演舞としては。】

【── まぁ、 今狙ってしまえば、鴨撃ちだろう】


/確定でぶっ倒して頂いて大丈夫です <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 23:13:38.46 ID:nWt0XfU6O<> >>460

おーおー、食い散らかしちまって

【呼びかけられたアインは呆れたような感心したような声をあげて通路の方へと向かう】
【吸収されていく同胞を見て獣たちは完全に恐れをなし、一目散に逃げ惑い始めた】
【広場にいた無数の獣は、すっかり姿を消していた】

本当にお前は悪魔で、豪語するぐらいには強いみたいだな
しかし……その見た目と戦い方、なんとかならないのか?

【なんてことを言ってアインは肩をすくめてみせた】
【悪魔であることとその実力を目の当たりにして、アインは邪禍を認めざるを得なかった】
【それでもこんなことを言い出すのは、単に負け惜しみに近いものがあるわけだが】 <> ???
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/03(日) 23:16:21.94 ID:rx2MkrEco<> >>458

【趣味の悪い映画のような、悪い夢みたいな世界。それでも血の匂いがリアルだと訴える】
【此処は現実だ。どう見てもそうにしか見えない。こんなことが起きていても紛れも無い現実だった】
【警察は何をしているんだ?他の人間はもう死んでしまったのか?無線機からはノイズしか流れない】

【白塗りの顔に赤い丸のチーク、大きく強調した口は裂けたように笑い】
【スプラッタムービーのような状況でも奴の血走った目だけはやけにリアルで】
【それをギョロリと現れた人間に向けて、ニヤヤァァと笑って唱えるように彼は言う】

ユゥアドリィムイズマイドリィムインドリィミン
アイノゥユァドリィミンバッユァノットアンダスタンユァドリィムス

【その両手に持ったチェインソウのレバーを引いいて、チェインを唸らせると】
【闇雲に何度も何度も振り回して、飛んできた弾幕を叩き砕いた。当たりに氷の破片が散らばり】
【一部がピエロを貫いても、血を垂れ流しながら、風船を配る時と同じように笑うのだった】

バッド…ドリィムス……バァアッドドリィム……バァッド―――

【エンジンの回転をフルスロットルまで上げて、ピエロはチェインソウを振り上げながら走りだした】

ヒャアアアアアアアアドゥノットカァムトゥミィィィイイイイ???!!!!

【範囲までくればその馬鹿げたサイズのチェインソウと馬鹿力で乱れるように振り回すだろう愚直な】
【攻撃だがそれ故に近距離で正面からやり合うのは危険だろう。何度も何度も振り回すのだから】 <> ワザイワ・エスパス<>sage<>2015/05/03(日) 23:31:48.98 ID:FRytS9eS0<> >>463
【本来なら苦痛で笑顔なんて絶対にうかべられないであろう状況でなお狂ったように笑うピエロ、いや、狂ったようにと言う表現は適切ではないかも知れない、訂正が許されるのならば】
【明らかに狂っている】
【この一言につきるであろう、まさに悪夢の権化】

えっと、横文字はむつかしくて好きくないよー

【辺り一面の血の海が先程の氷柱が刺さった場所やその欠片から徐々に凍り初めて赤黒いスケートリンクの様になる、そしてバックステップで距離を取ると先程息絶えた警官であったまだ暖かい命の残りを垂れ流す物体を戟に突き刺して真上にほおりなげる】

血塗れかき氷(ブラッティアイスエイジ)!
無理・無理・無理・無理!
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理いぃぃぃぃぃぃぃィィィィィィィィィィィィィイッ!!!!!!

【残像すら見える速度で振り回す戟が遺骸を砕くと共に骨や臓物が見える肉塊を歪な氷塊に変えて血の氷で出来たフィールドを高速で滑らせる】
【尖った重くて固いものが高速で襲う、しかも円を描く様に駐車してあった警察車両に複雑に反射して軌道も読みづらい、かくして五つの肉が殺害された怨みを晴らすようにピエロへと迫る】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/03(日) 23:39:07.37 ID:NVs42/+so<> >>461
……悪いけど、茶番に付き合うほどには暇じゃないわ

【そういい放ち、何の躊躇もなく銃の引き金を引く】
【そこから放たれるのは、銃弾ではなく人間の頭ほどもある大きな火球──それが男たちの足元に命中し、炸裂する】
【さすがに見敵必殺としないのは多少の優しさはあったのだろうか、さすがにこれで死ぬことはないだろうが、動きを止めて煙幕による目眩ましには十分だ】

さ、行くわよ──ちょっと失礼

【そのまま少女の方に向き直ると、返事を聞くでもなく少女を抱き抱え、颯爽と走り出す】
【野次馬どももなんのその、するりと合間を抜け、時には飛び越えて疾風のごとくその場をあとにする】

//遅くなりました…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/03(日) 23:49:03.47 ID:FsEseyZdo<> >>462

「肉体がねェからだ、あァったら食ゥい散らかす前に血ィをぶゥちまく」

【立ち上がりつつ頭部のサイズをダウン、少なくとも幅は元々のそれに近くなり、角も見えるようになった】
【――ダウンした分はどこに行ったのか、それは……傷がボコボコいって治る様子を見ていれば、簡単に理解できるだろう】

「当ァァたり前だ、俺様は超ォォ強ェんだよ!」
「――ククッ、俺様は普ゥ段は召ォ喚術を使うから問題ねェだろ、そォれに外じゃア消ォ耗が激しいからこォーいうのはあァんまりしィねェ」

【縦に大きく裂けた口部から2つの長い舌を出し、それを蛇のようにうねらせつつそう喋る悪魔】
【ひと通り喋り終わったかと思えば、その頭部を元のそれに戻す。声が全く変化していなかったことから、形状自体はどうでも良いらしい】

「そォもそも、悪魔形態だァって結構燃費悪ィんだァからな――悪ィというか、流ゥ出が激しいって感じだがよ」

【そして、奥の通路に向けて足を進める悪魔】 【心なしか、先程より機嫌が良さそうだ】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/03(日) 23:52:33.95 ID:tkxYQbGBo<> >>465


あっ!…… ふぅ……流石に、ね。 ──って!!

【──少女は銃弾が炸裂した先を見て、安心したような顔をした】
【流石に殺されては寝覚めが悪いと言うか、そこまでは望むところではない】
【「何だこれは!」、と、前置きに比して何の捻りもない声が、煙幕の中から聞こえる中、彼女は抱えられる】


だ、だからこれは、乙女としてどうかと思うんだけどっ!!
……あ、でも同性なら大丈夫なのかな。 ──うーん。 って危ない危ない!!当たる落ちるっ!!


【されるがままに運ばれる彼女は、道中も色々と五月蝿い──と言うか、当然と言えば当然の反応か】
【野次馬のスレスレを通れば声を出し、飛び越えればきゃー、と、叫び声をあげる】

【──それほど遠くに行かなくとも、暫くすれば、黒服たちが追って来る気配もなくなるだろう】

/はい、大丈夫です大丈夫です <> ???
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/03(日) 23:53:12.56 ID:rx2MkrEco<> >>464

【バウバウバウバウ!!何度も何度もやたらめったらにチェインソウをぶん回す】
【アスファルトも削り飛ばして、泣き叫ぶ軋んだような音とともに閃光を飛び散らして】
【だが、何度もぶん回してピエロは疲れたのか手を止めるとバフゥン!ううう…とチェインソウは大人しく】

イヒヒヒヒヒヒ……アイムスケァリィ…アイムスケェアリィ……スケアリィ…スケアリィ……

【ブツブツと呟いていたかと思うとまた高笑いしながら血走った丸い、黒い目を向けて】
【高らかにチェインソウを掲げ、唸らせるとまたもチェインソウを振り回しながら突っ走りだした】
【その体力は底なしなのか、エンジンは彼の動力源かと思われるぐらいに唸り、唸り突っ込む】

【バリバリとぶん回して邪魔になるものは、迫り来るものは何でも叩き斬った。チェインソウはうなり続ける】

ドンカムトゥミィィィイイ!!アイムスケェアリィ!!アイムスケェアリィ!!アイム―――

【ブァンと薙いだ。その時、ピエロの血走った目が見たのは迫り来る氷塊だった。最後に見たものだった】
【それは顔面に突き刺さって。完全に貫いた。衝撃が彼のスピードを完全に潰して、足を取られて勢い良く倒れ】

【無かった。エンジンの音は止まらなかった。頭を完全に失ったピエロはそのまま踏ん張って、チェインソウを】
【振り上げると、ぶん回しながらもまだ前進を続けた。だが頭を失ったからか、フラフラと足取りはおぼつかない】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/03(日) 23:59:28.81 ID:nWt0XfU6O<> >>466

ほう……悪魔様も色々と事情がおありのようだ
燃費が悪いんじゃ、中々維持も手間取りそうだな?

【邪禍と合流して、アインは通路の先へと進んでいく。奥からは更に高濃度の魔力が感じられる】
【そのまま進んでいって辿り着いたのは行き止まりだった】
【一番奥の壁際、岩が不自然に盛り上がったその上に、宝石のように鈍く輝く球体が鎮座していた】

あったあった。洞窟探検ツアーの目的はあれだ
あれぐらい濃縮されてれば、お前としても不足はあるまい?

【球体はかなり高濃度の闇の魔力で構成されている。補給に儀式用、武具精製と用途は幅広そうだ】
【アインは球体にはさして興味がないらしく、手で邪禍に先に進むように促していた】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 00:03:51.85 ID:GjoA0fTfo<> >>467
……ふぅ、これで撒けたかしら

【五分ほど走り、すでに黒服も野次馬もいないのを確認して足を止め、少女をようやく降ろす】
【多少息は乱れてるが、人一人抱えて走っていたのだから当然だろう──むしろ、それにしては涼しい顔をしているくらいだ】

じゃあ、面倒なのもいなくなったし……あなた、なんであの黒服から逃げてたの?
相応の対価──そうね、あなたと私が過ごす宿でも提供してくれるなら、しばらくあれを追っ払うくらいはしてもいいけど

【前置きもなく、こちらの用件を切り出す】
【要は短期のボディーガードみたいなものだ、どうやら大したことのない相手のようだし、あれを追っ払うだけで寝床が確保できるなら彼女としてはありがたいところ】
<> ワザイワ・エスパス<>sage<>2015/05/04(月) 00:12:23.95 ID:OthJQjZG0<> >>468
な…なんで!?

【男の娘は顔を青ざめさせていた】
【何故なら今までこの幼い少年にとって幾つかあるの基準、例えば死】
【尻尾をちょんぎっても平気なとかげ、鋏をもいでも脱皮の回数が残っていれば再生できるカニ、真っ二つにしても平気で分裂するひとで】
【しかし、普通に考えれば人間は頭をもいだら活動を停止する】
【当たり前だ、命令を下す脳がないのだから、首を切り落として瞬きをするくらいならまだ常識の範囲内としよう】
【だがこれは明らかに違う、今まで人外の存在と闘ったことはある】
【だから種族によっては手足の四、五本もいでも再生が効く連中がいることは知っているだがこれはまるで…】

おねぇちゃんのお話の中のオバケ…

【一瞬、自分は夢を見ているのではないかと思った】
【目が覚めればそこには最愛の愛しい姉がいて、一緒朝ご飯を食べて…】
【しかし此処でいけないと首をふって現実逃避を振り払う】

たとえオバケでも…戟(コレ)で『居なくなる』まで叩けばいいんだもん!

【この些細な恐怖を払拭する為の勇気、それが勝利を急がせる】

UHYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!

【長い紫髪をたなびかせ、氷のフィールドを滑りピエロの手前1m程の時点で体を倒してスライディングをその足に叩きつけようとする】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2015/05/04(月) 00:14:13.54 ID:j38E/Gpx0<> 【深夜の墓場。――――ともなれば、不吉であり誰も近寄る者が居なかったのだけれど】
【今宵は其処に禍々しい気配が満ちていて。魔翌力だとかを感知出来る者ならば其れが所謂“瘴気”である事が知れるだろうし】
【そうで無い者だとしても本当的に“危険な何か”と感じ取る事が出来るだろうか】

【見遣れば、居るのは紅いドレスを纏った一人の少女】
【金色の髪に、朱色の双眸――――見てくれだけならば、本当にただの子供なのだけれど】
【瘴気は、紛う事無き少女本人から発せられていて】


「――――古い世界にさようなら。新しい世界にこんにちは
今宵私アリスが紡ぐお話しは希望絶望人間達の楽しいお話…………なの、だけれど」

【墓石に腰を掛けたならばブラリブラリと揺らされる脚】
【まるで暇を持て余した子供がする其れであり、悪魔の気配とはほど遠いのだが】
【――――不意に、土の中から突き出た一本の腕。肉が削げ、所々骨が露出して居る其れは、恐らくは埋められた者と考えて間違いは無く】
【其れを皮切りに、次々と墓の中から這い出てくる死者達。宛ら、一昔前のゾンビ映画のようで】


「みんなお話出来ないのね?それじゃあつまらないわ、つまらない
自分の好きだった人も自分の子供の頃も、きっと自分自身の事も忘れているのだもの。それじゃあ詰まらないわ」

【たった数分の内に、墓は死者の呻く声と這いずる音だけで支配される事となる】
【――――遠くからでも異変に気付く事が出来るのは、先ず間違い無いであろう】
【実際に現状を目の当たりにし、どの様な行動を取るのかは訪れた者次第】
【手当たり次第に抹[ピーーー]るか、見つからないようにと逃げるか。それとも、中心で退屈そうに座る少女に話し掛けるか――――】









【夜の公園。昼間は子供達の活気に包まれる其所だが、夜ともなれば流石に人は居ない――――筈、なのだが】
【今宵は其処に植えられた木の根元に一人の姿。学生服を纏った……大凡高等部と思われる女学生】
【手にしているのは木刀なのだが、まるで精神を統一するかの如く瞼を閉じて】


「――――――ハァッッッッ!!!」

【舞い落ちる一枚の葉。カッと目を見開けば、手にしていた得物を横に一閃】
【見事に木の葉は砕かれ――――……無かった。寧ろ、掠りもせず“惜しい”の“お”の字にすら届かない現実】
【虚しくも地面に落ちた葉を眺めながら、ポリポリと頭を掻いて】


「可笑しいなぁ……漫画とかだと簡単にしてるのに全然出来ないや…………
もっと、こう…………ズババァーン!!って感じにしなきゃ出来ないのかな?」

【曰く、修練の一環。然れど其れはどう見ても漫画やらアニメやらでしか見ないモノだ】
【再び瞼を閉じたならば、木刀を構えて――――】

【さて、こんな時間にそんな事をしているのだから端から見てもよく目立つ】
【何より路地裏から遠い場所。人通りは少ないとは言え、疎らには在るのだから何者かがこの奇妙な光景を目の当たりにする事も否めない】
【女学生がこの時間まで一人で居る事を咎める者か、ただ奇妙に思った者か。或いはまた別な何かを抱いた者か――――其処までは分からないけれど】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 00:23:02.44 ID:b2IQOGobo<> >>470


あ、あははー。……ちょ、ちょっと待っててね。

【なぜ逃げていたのか、という問──嘘はバレバレなのだが、今更本当の理由を言うのも小恥ずかしい】
【笑って誤魔化すと、ご丁寧なことに向こうの角まで駆け、そこから顔を出して辺りを伺う】
【黒服達の姿が見えないことを確認して、漸く安心したのか、ため息をつきながら帰って来た】


うん、撒けたみたい。ありがとう。
……で、宿、だったっけ。お金なら持ってるから、大丈夫だと思う。
少し行きたい所があるから、一晩だけ、って事なら。……うん、多分大丈夫。うん。


【大丈夫、大丈夫、と繰り返す彼女は、それでも何やら不安そうだった】
【──何が心配なのかは分からないが、ドレスの懐から、折り畳んだ札を取り出し──】


…… あの、これで足りるのかな。


【── 恐らく女性は、黒服達の言葉が紛れもない真実だったと知ることだろう】
【差し出された札の枚数は、最高額のものがいち、じゅう、……にじゅうか、それ以上】
【この年頃の少女が持ち歩くには多すぎるし、この年頃の少女が、それだけの金で足りるか、と不安に思うこともおかしいだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/04(月) 00:30:53.87 ID:LoGYaYYEo<> >>469

「本当維ィ持が面倒だぜ……だァから俺様は混沌を撒ァいてんだよ、俺様は混沌そォのものだァからな」
「混沌が広まりゃア、"燃費解消"、"維持楽勝"ッ!」 「悪魔形態かそォれ以ィ上の姿で居ィるのが苦ゥじゃ無ァくなる」

【目的はそれ以外にもありそうだが……この言葉は嘘では無さそうだ】
【悪魔は嘘をつくのが得意かもしれないが、ここで嘘をつくメリットがあるとも思えない】

「ほォう……"宝ォ玉"や"龍ゥ宝石"の様な物か……悪くねェな」

【先程、獣が襲う前から食べる気満々だった悪魔なのだ、貰えるものならなんでも貰う質でもあるそれが興味を示さないわけはなく】
【球体に向けて近づこうとする……が、一旦足を止めて魔法陣を目の前に生成】

「……俺様は知ィっているぞ、罠の存在をな……警戒するに越ォしたことはねェ」 「出ェてこい、糸蜘蛛!」

【そこからいずる闇は形を成し、そして全身に蜘蛛糸を纏った10cm程の蜘蛛となる】
【その蜘蛛の臀部を球体に向けさせ、糸を発射!】 【どうやら、糸で球体を掴んでここまで引き寄せようというつもりのようだが……】 <> ???
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/04(月) 00:36:12.63 ID:v/n7+GnOo<> >>471

【雲間から月が見えた。真っ赤な、いや、紫、もしくは黒い…何にしろ不気味だ】
【濃霧は以前あたりを包み、血が辺りに。誰の血だ?ピエロの殺した人たち?ピエロの?】
【その霧が明かりどころか音さえも遮っているかのごとく静かだった。ピエロの笑い声が無くなると――】

――――ヒィィィイイイ、ハァアアッハッハッハアア!!!!

【あの甲高い声が響いた。目の前のピエロの頭は無い。そこには何もない無いのにも聞こえた】
【辺りにかかる霧のせいでどこからその声が聞こえているのか全くわからない。何重にも響き渡る】

シィズメイキン…シィズブレイキン…シィズリビルド…シィズライティン…シィズトゥキン…シィイズ

【バウバウバウバウ。チェインソウのアイドリングする音が声を遮る。掻き消えてノイズだけになる】

――――!!!!

【スライディングを食らったピエロは前のめりに倒れる。その時、チェインソウを振り上げて】
【自分が倒れこむよりも先に、チェインソウを振り下ろして一撃を食らわせんとした。その破壊力は】
【見たらわかる。だが愚直な一撃だ。避けさえすればそれはアスファルトに食い込んで火花を散らして】
【バリバリバリバリ地面を切り裂くが、チェインが切れると共にエンジンは煙を上げ始めて、爆発するだろう】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 00:41:08.51 ID:24Ki7uAEo<> >>473
それだけあれば余裕ね……年には見合わないけど身なり相応ってとこかしら
いいわ、交渉成立──一晩、めんどくさいのは追っ払ってあげるわ

【相手がきちんとお金を持っていて、内心一安心しながら契約成立を告げる】
【行きたいところ、とやらはよくわからないが──まぁ、最初は一人でいこうとしていたのだろうし、そんなに無茶な場所でもないのだろう】

さて、行きたいところがあるって言ってたけど……まずはそこに連れていってあげるべきかしらね?
事情は、道中ででも聞くとして

【少女の様子を見る限り、色々と抱え込んでいるようだ──ゆっくりと聞くには、色々と面倒そう】
【さらには箱入りお姫さまときた──方針を丸投げしてもことは進まないだろうし、こちらからこれからの指針を提案する】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 00:42:24.15 ID:RGNS20VtO<> >>474

意外とお前、注意深いというかなんというか……
まぁ、いいんだがな

【糸によって球体はあっさりと引き寄せられて邪禍の手元に入るだろう。特に罠などもないようだ】

そいつはここの高濃度の魔力が自然に固まってできたものだ
まぁ、使い道なんてものは、わざわざ教授するまでもないだろ

さて、ツアーはこれで終わりだが、何かあるか?
何もないなら、疲れたんで俺は帰って飯食って寝るが……

【そう言ってアインは来た道を戻り始めた。洞窟から出るのなら、入り口までは一緒になるだろう】
【外はすっかり暗くなっていた。洞窟の出入り口では小人が数人(匹?)木の棒らしきものを何やら振り回している】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 00:48:17.83 ID:lUUfLdVvo<> 【ドラクレア島】

……うーん、迷ってしまった。右に行けばいいのかな?
それとも左か……というか僕はどっちから来たんだっけ?
あぁもう、早く帰ってあの子達の"調整"をしないといけないのに……。

【密林の中を、一人の男が彷徨うように歩いていた】
【白衣にメガネという、如何にも研究員ですという出で立ちの男性は】
【見たところ30代と若く――ふと見れば、白衣の袖には逆五芒星の刺繍があった】

【がさがさ、と草をかき分ける音は周囲にも響く。――無論、ケモノもそれを耳にするわけで】
【彼の背後には一頭のサーベルタイガーが迫っていたのだが、未だ気付く様子は無く――。】 <> ワザイワ・エスパス<>sage<>2015/05/04(月) 00:57:34.58 ID:OthJQjZG0<> >>475
【先ず、月が異常だったサイケデリックな限りなくルナティックに禍々しい月の光】
【そして頭を無くした筈の人物である筈の声】
【醜悪なる怪異】
【幾ら狂気の紫色とは言えども背筋に冷たい物を感じてしまう】
【死して尚、毒の針を遺す蜂がいる】
【命尽きて尚、毒の毛を使って児を守る蛾がいる】
【絶命して尚、毒の肝で命を脅かす河豚がいる】
【しかし、幾ら彼らとて】
【向かって来ることはない、断じて無いのだ】
【だがこの道化師はその常識をも容易く越えてきた】

ひぃ!?

【ドギツイメイクを施した顔がなくなったところでその奇抜な衣装と唸りを上げるチェーンソウ】

そ、そそ、そんにゃ物で僕をたおそうったってむ、無理なんだからね!

【焦りすぎてややツンデレ風味になりながら戟を握る手に力を込めてチェーンソウにぶつける】

ギャリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリィ!!

【飛び散る火花、空気が震える振動】
【此方の武器は幾つもの素材を組み合わせて作られた技物、しかし、それが一気に頼り無く感じる程の切迫した状況】
【咄嗟に両足を腹に付くほどに折り畳んでから両足蹴りを道化師のドテっ腹に叩き込もうとする】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/04(月) 01:00:03.62 ID:LoGYaYYEo<> >>477

「俺様は欲ォしいモノを手ェに入れる為なら何でもするかァらな」
「罠のせいで手ェに入らないなんてのは勘弁だ」

【手元に引き寄せた球体を観察しつつ、蜘蛛を肩に来させる悪魔】
【念のためなのだろう、辺りの様子や気配に違いが現れないかを警戒しているのは】

「そォーだな、――とォころで俺様はやァられたらやァり返す質でなァ」
「まッ、案内料とォかくゥれェは出ァしてやるよ」 「富、食料、エネルギー、……」
「……とォにかく望んだ何かを出ァしても良い、俺様の気ィが向ゥいたらだがなァ!」

【何もなければ洞窟から出るだろう悪魔、姿を人間風のそれに戻しつつ指先から魔翌力を出して固める】
【この形は小人……造形は手抜き過ぎるが動きはそれなりのそれを、木の棒的何かを振り回す小人の元に混ぜようとする】
【今度は食べるつもりはないらしい、混ぜようとしたそれに魂技系のエネルギーは感じない】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 01:01:55.16 ID:b2IQOGobo<> >>476

【余裕、と言われると、少女は安堵の表情を浮かべた】
【次いで方針を問われると、少し考える。近くの掲示板に地図を見つけると、確認して、戻ってきた】
【──世間知らずでは有るが、物の分からない、という訳ではないらしい】


……うぅん。少し遠いみたいだし、そこまでして貰っても悪いから、明日、一人で行くわ。
だから、宿探しのほうが先かしら。──えっと、その辺りは任せたいんだけど。

……ふぁ。

【思わず、といった感じで出た欠伸に、右手で口元を抑える】
【人差し指には、菊の花をあしらった指輪が嵌められている──これもまた、高価そうだ】
【──恥ずかしそうに彼女は笑むと、「そういえば」、と、誤魔化すように続けて】


名前、聞いてなかったわね。 ──私はリナ。 あなたは?


【その後、彼女達は宿を探すことになるのだろう】
【──宿で彼女がやたらはしゃいで、風呂一つ入るのにも一苦労したり】
【寝起きが非常に悪く、女性を少し苦労させるかも知れないことは、また、別の話だ】


/時間も遅いですし、キリもいいのでこの辺りで失礼します!お疲れ様でした! <> ???
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/04(月) 01:06:40.84 ID:v/n7+GnOo<> >>479

【チェインソウは幾つのrpmだか知らないが相当な回転数でプレッシャーをかける】
【どんな立派な道具であろうとライオンと戦車じゃ話にならないようにチェインソウは力強い】
【だがそれを扱うピエロはやはり頭を失ってか、蹴られれば簡単にバランスを崩してしまう】

――――!!!

【だがピエロは巨体で、パワーも重量もある。差は歴然、踏ん張って立て直すと直ぐ様振りかぶって】
【またもチェインソウを振り下ろしてきた。エンジンの音はいつまでも、心臓の鼓動すら掻き消して】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 01:09:25.42 ID:RGNS20VtO<> >>480

ほう、悪魔のくせに律儀だな
そうだなぁ…………

【邪禍の提案にアインはしばし考え込む】
【小人たちは小人が新しく混ざると棒を振り回すのをやめて、首を傾げながら入ってきた小人を遠巻きに見始めた】
【どうにも警戒している、らしい。何やら仲間内でひそひそと話している】

……まぁ、そうだな。俺が街で暴れるときに気が向いたら手を貸せ、それぐらいでいい
カノッサ機関の兵力もあるが、雑兵ばかりでは盛り上がりに欠けるからな

じゃ、俺はもう帰るぞ。あまりそいつらをいじめるなよ

【最後にまた小人について注文をつけると、アインはジャングルの道を戻っていった】

//夜も更けてまいりましたので、このへんで
//お疲れ様でしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/04(月) 01:22:17.92 ID:LoGYaYYEo<> >>483

「律ィ儀とォかそォーいうモンじゃアねェ……俺様は"等価交換"を好む、そォれだけの話だ」

【表情は崩さず声のトーンもそのままで、冷静そうに律儀ではないと否定する悪魔】
【等価交換も似たようなものな気がするが、おそらく何かが違うのだろう、多分】

「良ォいだろう、逆ツケにしィとくぜ――最近は暴れてねェからな、丁ォ度良い」
「わァかった、程々にしィとくよ……多分な」 「んじゃアな」

【にやり、と、邪悪な笑みを浮かべつつ……アインが去るのを確認すれば】

『ピヨピヨ』 『ニャーン』 『ピャー』

【……自作手抜き小人を増量し、組体操やらなにやらをさせて小人たちを困らせていたとかいないとか】

/お疲れ様でしたー <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage<>2015/05/04(月) 01:26:43.46 ID:8Y6VFvJ2o<> >>478


(過去の存在する島。ドラクレア島──こんな所に来て何を期待しているんだか……)
(はあ。……ていうか、何処ですか?ここ。)

【その近辺。もう一人の男が迷っていた。二重の意味で迷う男は】
【考え事をしながら歩いていたせいで気づけば密林の中。偶然にもこの場面に出くわしたのだった】


……!

【男は白衣の男に迫る猛獣を見るや、音も立てずに右手を付きだした】

【──その猛獣もまた、背に猛獣が迫ってきている事には気づいていただろうか】
【白衣にその爪が突き立てられるよりも早く、男の右手から這い出る無数の鎖≠ェサーベルタイガーに襲いかかる】
【鎖≠ヘ蛇の様に蠢き。その巨体を絞め落とさんと巻き付いてかかる──】


そこの人。危ないですよ。

【と、そこでようやく警告である。彼が振り向いたのなら、そこに居るのは奇妙な格好の男だった】

【黒髪を野暮ったく肩まで伸ばし、深々とシルクハットを被った鷹の眼光≠持った男】
【漆黒のスーツを身に纏い、星柄のモノクロマントを羽織る。黒尽くめ、故に両手の手に】
【付けられた白い革手袋は良く映える】


(……あの刺繍)

【逆五芒星の刺繍に気が付いたのは、彼が、救いの手を差し伸べた後だった】

<> ワザイワ・エスパス<>sage<>2015/05/04(月) 01:34:44.06 ID:OthJQjZG0<> >>482

だ、駄目だ…僕じゃ一撃に乗せる重さが絶対にあのピエロさんに負けてる
もっと…もっと重い一撃じゃ無いと…

【何時もはそれを手数で補っている、しかし相手はチェンソウ】
【刃そのものが回転して振動する武器には人力で音速を越える動きも分が悪い】

焦っちゃ駄目…リーベおねぇちゃんも言ってた…

【先程迄の戦闘…深いダメージを与えられたのは人の肉体を飛ばした時…他は氷のドリル…両足蹴り…】

そうだ!僕は別に戟(コレ)に頼らなくても良いんだ!

【今まで戟に依存していた故に疎かにしていた部分、自身の四肢、能力】

リーベおねぇちゃん…僕に…力を貸して!

【再び降り下ろされるチェンソウ、しかしその動きは最早先程の戦闘からでも充分に見切れる】

はぁ!

【自身の唯一の獲物である戟、それをチェンソウと地面の間につきたてて受けると柄の部分を蹴るとバックステップで距離を取る】

先ずは加速する!

【周り止められた警察車両、それに向かって走り出すと車体を蹴ってピンホールの様に加速して別の車体のボティへ、それが五回目を数える時には既に幼い少年は紫の尾を引く光線の様になり宙へと躍り出る】

UHYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!

【更に空中に作った氷が砕ける程の力で蹴って加速すれば怪異のピエロに向かって飛び出す姿は流星の如し】
【放たれるは両足を開いて繰り出す挟み蹴り】
【その足の間に作られた氷の刃はさながら】
【憐れな獲物の腸(はらわた)を貪る極寒の顎(あぎと)となりて道化師へと迫る】
【題して】

ケルビンバイト!

【全身の筋肉を瞬時に冷却することで初めて実現する超駆動、初めて使う技であり若干のムラは否めないが死力を尽くしたこの技、極れば唯では済まされないだろう】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 01:39:38.74 ID:lUUfLdVvo<> >>485

【狩人は狩られる経験がない。だからこそ、接近する"猛獣"に気付かない】
【大蛇の如き鎖に身を巻かれたサーベルタイガーは、しばし巨躯を震わせ】
【全身の筋肉を躍動させて抵抗を試みるものの――如何せん、獣に過ぎず】
【一分ばかりもすると"ボグッ"という音を立てて、肉体を弛緩させ】

う、おぉっ……。何なんだい、この生き物は……?
図鑑に乗っていた、古代の生物によく似ている気もするが……ぁ。

……いや、済まない。気が付いたらこんなジャングルの中でね。
やらなきゃならない事が有るんだが、困ったものだよ
生憎と、僕は根っからの研究者で探検者では……とにかく、ありがとう。

【研究者――彼はといえば、背後の音に驚いて尻もちを付いていた】
【サーベルタイガーの死と共に気を取り戻し、メガネをクイと上げて】

【それから、何とも垢抜けた対応でシルクハットの男に礼を言うのだった】
【なんというか、とても人の良さそうな男。髪の色は黒く、目は対照的に青く】
【背はひょろりと高い。差し伸べられた手をとっても体重は軽いほうだと分かるだろう】

【同時に、白衣の何処にも武装が無いことも分かるハズであり】
【些か奇妙な状況であることも同様に分かる。衣服の埃を払う姿は、何とも無防備で】 <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage<>2015/05/04(月) 01:58:43.60 ID:8Y6VFvJ2o<> >>487

【サーベルタイガーを絞め[ピーーー]と鎖はシュルシュルと巻き取られていき彼の右手の中に吸い込まれていく】
【『ゲプリ』。小さな、とても小さな音だったが、何かを喰らった様な音と共に一滴の黒い魔翌力≠ェ滴り落ちた】


ははあ、研究者さんですか……。
確かにこの密林に生物研究をしに来たという訳では無さそうですね。

【驚き尻もちを付く人の良さそうな男。その逆五芒星が似合う様にも見えないが】
【いや、だからこそ。彼に興味を引かれた男はその無防備さにキラリと目を付けて微笑んだ】


見たところ、武装などもされて居ないように見えますし、
先ほどの様な凶暴な獣が出ては心配ですね。
差し出がましいですが、私が護衛をさせて頂いてもよろしいでしょうか。

【そもそも、この男は何をしに来たのだろうか、この島に理由も無く来る者が居るはずもなく】
【自分の用を無視して人助けをしようだなんて微笑む彼の表情は妙に胡散臭いと言えるだろう】

<> ???
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/04(月) 02:07:32.07 ID:v/n7+GnOo<> >>486

【振り下ろされるチェインソウ。それは相手を引き裂くこと無く何もないアスファルトを削る】
【バリバリバリバリ轟音と火花が飛び散って。チェインが裂けた音が強烈に響いた。そしてエンジンに】
【絡まってチェインソウの砕け散りそうな悲鳴が鳴り響く。エンジンがオーバーヒートしてそれは爆発した】

【小さな爆発で、辺りに多少の破片が飛び散っただけに過ぎなかったがそれを握りしめていたピエロの腕は】
【違う。十分な被害。両腕が吹き飛んだ。だが叫ぶ口はもう既に頭ごと存在しない。身を捩らせて体が叫ぶ】

【そんなヤツへのトドメは間髪入れずに刺された。防ぐ手立ても避ける為の目も無い。されるがまま受け入れる】
【ピエロの巨体は引き裂かれる。一刀両断。不死のようなピエロも鋼の肉体を持っているわけではなかった】
【簡単だった。そんなヤツを倒すのは。頭と腕を失って胴も切り裂かれて、ピエロはその場に崩れ落ちた】
【もう動き出す様子はなかった。ヤツは死んだ。バラバラになってやっと、ヤツは動き出すことはなくなった】

すぅごぉい。スゴイスゴイ。あんなの倒しちゃうなんて。思ったより、すっごいの出てきちゃったから
ありゃー、今回はバッドエンドかなーって思ってたんだけど。お陰でハッピーエンディングだよぉ
あの人のトラウマは強烈だね。まあ、あんな記憶なら仕方ないけど。こんなに強くて酷い夢になっちゃうなんて

【血の匂いの充満する、霧の奥の奥から、手を叩く音と声が。無邪気な少女の声。彼女も濃霧の中から】
【現れる。ショートカットのブロンドの少女だ。飾り気のない、シンプルな服装をしていた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/04(月) 02:09:04.66 ID:zyOJHbBHo<> 絶海の孤島か、ドラクレアねえ……
吸血種かそれとも龍種か、まあどっちが出ても碌な事にならねーのは確かか、うへえ……

【『過去の記憶が集積する島』】
【安息所からやがて深きジャングルに変わるだろうその境目】
【紫白と赤、色違いの瞳は浮かぶ月を見上げ不意に吹いた風に白い髪が踊る】

どう考えても無傷で帰るのは無理だろうなあ
こちとら病院の常連になっちまってるってのに、また通う事になったら嫌だなあ割りとマジで

【淡いランタンの灯りに銀色のナイフが猛々しく輝く】
【大樹の傍らに腰を降ろしている青年の装備は近接戦闘を意識した物か】
【ナイフの鞘は言わずもがな、各種戦闘用の装備をこれでもかと取り付けて】

しっかし遅いな、待ち合わせ場所はこの辺で間違いないし……
時間も合ってる……なんか怪我でもしたんかな……まあ、いいや後10分して来なかったら帰ろ

【退屈そうに背を伸ばす青年はどうやら誰かと待ち合わせをしていたらしいが】
【約束を反故されたのだろうか、待てども待てども来ない待ち人にいい加減痺れを切らしたのか】

先に進みたいとも思わねーしなあ、記憶が再生される島……
ドラマチックなのはいいんだけど記憶喪失の奴が行った所で何が起きるかわかったもんじゃねーし
開けたくない宝箱だってそりゃ……あるもんなあ

【先を進めば秘されていたモノが蘇る】
【進まなければ蘇るモノなど無い、選択の自由は与えられているが故に】
【彼は選択を躊躇い、ただただ道の先を見つめ……】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 02:11:59.02 ID:lUUfLdVvo<> >>488

【滴る黒い魔翌力、或いは咀嚼を終えた際の音。その二つに関しては】
【この研究者、目ざとくメガネの向こうで視線を向けていた】
【最も、だからどうするというのではなく――髪をガリガリと掻き】

えぇ、生物研究なんて柄じゃないんで。
ボクの専門は薬学なんですよ、人類の役に立つ学問です。
……まあ、最近は予算も削減されて上手くいってないけど……え?

あ……あぁ、それは勿論……。護衛してくれるのなら願ったりかなったりだから。
君はマジシャンのような格好をしているが、腕が立つようだしね
いつか鎖の戦闘データでも……あぁ、うん。いや……なんでもない。

【人付き合いは苦手ではない。しかし余計な一言や、独り言が多い】
【研究者だというのは事実だろう。身についた行動が、全てそれらしく】

……じゃあ、まずはここが何処で回りに何が有るかを調べよう。
幸い少し行ったところに教会が有るようだし
そこの鐘突き塔にでも入らせて貰って……そういえば、名前は?

【教会。それというのも鐘の音が聞こえるのと、木々の合間に十字架の造形が見えるのだ】
【研究者はそこに行こうと提案しつつ、忘れていたとばかりに名前を聞く】

【自分が先に名乗ったりしない辺りが、また何とも学者らしく】
【もし聞き返さなければ名乗らない可能性すらあって】
【――やがて自己紹介が終われば、その教会の方へとすたすたと歩いてゆく事になる】
【道中、目立つ獣は少ない。何事も行動しなければ、やがて巨大な聖堂群の中へ】

【――――ゼン=カイマと呼ばれる地へ、足を踏み入れることになる。】 <> ワザイワ・エスパス<>sage<>2015/05/04(月) 02:19:25.66 ID:OthJQjZG0<> >>489

【ピエロの体を切り裂き、軽やかに着地】
【…できる筈もなく地面に這いつくばる様にたおれこむ】

うぅ、あ…あ…

【慣れない大技の代償は大きく、全身の筋肉と骨格が悲鳴を上げる】
【これでは暫くの間は身動ぎすらままならないだろう】

だ………れ………?

【既に混濁しつつある意識の欠片と深紅の瞳が一人の金髪の少女を見つける】

ハッ……ピィ…エンド?
あぁ、リーベおねぇちゃんの……好きな……ヤツ…だ……ね…………うっ。

【死闘によって被った疲労とダメージは仰向けになることすらに激痛を伴わせた】

夢……記憶………一体……何を…言っている…の? <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage<>2015/05/04(月) 02:35:04.52 ID:8Y6VFvJ2o<> >>491

ははあ、薬学者さんでしたか。どういった研究を……?
私は見ての通りのマジシャンで……

──ああ、どうも。失礼しました。
私、リロードというものです。リロード・ザ・マジシャン。──貴方は?

【自己紹介を済ませ他愛の無い会話をしながら歩いて行く】
【目を光らせていたが。何か出るという訳でも無く少々がっかりしていたが】


噂には聞いておりましたが少々驚かされますね。
これは所謂『過去の記憶が集積する島』……。その特性で現れたもので……?

【やがてたどり着いた孤島の中に存在する聖堂群を見て、驚きの表情を見せた】
【おそらくリロードはこの島に来て間もないのだろう、】
【この島の特性というものを目の当たりにしていない】


(だとするなら、私の過去も……)

【顎に手を当てて何かを考えているような表情を見せるが、】
【今はその事は考えない事にする。首を降ってもう一つ、質問を投げかける】


いや、行きましょうか。鐘突き塔に入って上から目的地を探すんでしょうか。

【白衣の男の目的地をまだ知らない。彼が歩いて行くのなら護衛らしく周囲に目を光らせながら付いてく事だろう】


<> ???
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/04(月) 02:37:14.97 ID:v/n7+GnOo<> >>492

私はただの観客よ。夢を、見てる、少女。夢見る少女だったらロマンチックだけど

そ、そ。夢。彼の持っている夢を私は見たの奥の、奥の、奥まで全部見てみて彼は
一体何なのか、見てみたのよ。夢は記憶に起因されるわ。フロイトって知ってる?彼はこう言った。

夢は現実の投影であり、現実は夢の投影である。


まあ、いいじゃない。夢なんだから。明日は楽しい夢を見ましょう

それにしても貴女は何なのかしら。彼の本能が作った機構かしら。それとも現実に居るのかしら
…何でもいいけど貴女はとってもいいわ。今度のお話にはぴったりね。是非、私の夢にも来て欲しいの
ねえ、私を助けに来て。私は、囚われているのよ。だからお強い方が沢山なのよ
もっと貴女を知りたいけれど、もうこの夢はお終いなの。終わってしまったから、帰らなくちゃ

【散々ひとりで話して。相手に理解してもらおうという素振りは全くない。話すだけ話せば】
【飽きたように彼女はあくびをして…挨拶もなく、また霧の中へと消えていった】
【本の数十秒後には霧はすぅと晴れだして、ただいつもの街へ戻る。だがしかし、惨劇はそのままだった】
【何もかもそこだけは変わらない。だが、ピエロは居ない。その代わりに居たのは病院着の痩せた男の死体】
【ピエロと同じ死に方で、同じ場所に倒れていた。直ぐに、警察、救急、自警団…などがやってくる】

【後日、ニュースでは異常者の凶行とだけ書かれて、霧もピエロも少女も何も出てくることはなかった】



/こんなかんじで〆にさせていただきます。お付き合いありがとうございました! <> ワザイワ・エスパス<>sage<>2015/05/04(月) 02:47:31.84 ID:OthJQjZG0<> >>494
【いきなり訳のわからない事を捲し立てる少女】

フロ……イト…?

【しかし明らかにこの現象は異常以上に異常】
【知らせなければ…姉に】
【その時点でこの少年は気を失った】
【そして翌朝の報道に目を通した後に痛む体に鞭打って我が家へと帰る】
【只でさえカノッサ機関だけでも脅威だというのにこれ以上何かが出てきたら社会のバランスすら揺るがしかねない】
【故に伝えなくてはならない、さながら匣船を創ったノアの様に…と言っては少々大げさだが】
【それでも伝えなくてはならなかった】
【かの夢に囚われた少女の事を】

//はーい、お疲れ様でした!
//とっっっても楽しかったですよ!いづれまたロールいたしましょうね!
//それではお休みなさい! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 02:51:42.59 ID:lUUfLdVvo<> >>493

……私に研究を語らせると、一昼夜は君を拘束してしまうから。
ただ簡単に言えば、一錠の薬で"能力"を開花させる研究だよ
すでに一部は成功しているんだ。勿論、コストも手間も非現実的だけれど

それと、名前はヴィルヘルム。
私の名前はヴィルヘルム・フォン・グライツ……正確には、ヴィルヘルムZ世だ。


【――ゼン=カイマの聖堂群は見事なものだ。彫刻、色彩、荘厳さ】
【どれを取っても、まるで街全体が芸術作品として成り立っているかのようで】
【記憶の中であるらしいとはいえ、人々はみな生活をしていた】

【衣服が衣服だからか、聖職者だらけの中ではやや目立つが――ある教会に入り】
【司祭に事情を伝えれば、案外にあっさりと鐘突き塔の上へたどり着くこととなる】

【周囲に見えるものはジャングル。遠くには山、逆さの塔、巨城】
【そしてある場所には一軒家らしい煙と――ヴィルヘルムが目を留めたのは次の箇所】
【白い箱状の建物が見えた。そこがどうやら、彼の目的地らしく】

……うん、間違いなく僕のいた研究所だね。
みんなが無事だと良いんだけど……ところで、キミの"鎖"って…――。


【―――ゾクリ。そんな感覚を覚えざるを得ない忌まわしい視線が、リロードに向けられる】
【何処から。それは街の最奥にある大聖堂の前から。誰が。巨躯の大司教が。】

【大司教――背は2mをゆうに超えている。異相の老人で、もしリロードがニュースを見ているなら】
【彼が聖都スラウロットにおける洪水被害の首謀者・アーグという存在に酷似している事に気付くだろう】
【聖人のような雰囲気を纏いながら、悪魔にも似る。その視線が、遠く数百メートルも先からリロードを射抜いていた】

【無視、しても良い。或いは壁に隠れるという手もあった。】
【あくまでここは記憶の中の世界。ただ偶然、力あるものが異端者を発見しただけかも知れなかった】

/隊長、眠いであります!よろしければ凍結をお願いしたく!
/当方は明日の夜であれば空いておりますが、ご都合は如何でありましょうか? <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage<>2015/05/04(月) 02:56:46.34 ID:8Y6VFvJ2o<> >>496

/了解しました!こちらもその時間帯で大丈夫です。 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 02:59:01.49 ID:lUUfLdVvo<> >>497
/ありがたや……でしたら明日、18時前後に再会出来たらと思います。
/昼も散発的にお返事出来るかもしれないので、そこは場によりけりで一つ。
/ともあれ、一度失礼致します!お疲れ様でした〜! <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/04(月) 04:20:19.40 ID:8Y6VFvJ2o<> >>496

【田舎者の様に物珍しそうに見回しながらリロードは歩く。だが、それは彼自身もそうで】
【白衣と奇術師のコンビはどこに出しても可笑しな組み合わせだが、ここでは特に浮いていた】
【そのことに付いてなんだかゾクゾクしますね、なんて変態じみた事を言いながら付いていくのであった】

【能力を開花する薬。リロード自体が能力者であるため、薬自体に興味は薄かったが、その分野への興味はあった】
【話を聞いた段階では移動途中だったため心に留めて置いたが、目的地を確認し向かう道すがらにでも確認しておこうと……】


ヴィルヘルムさん。──少々伺いたい事が……。

【それはヴィルヘルムが何かをリロードに問いかけようとしたのと同時になってしまったが、リロードからの質問は中断される事となった】

【寒気が走ったのだ。かつて正義の組織と共に戦っていた事もあったがこの数年、】
【最近はまともに活動していない彼は聖都の事件もアーグという存在も小耳に挟んだという程度の認識だ】

【そもそも、リロードは未だその視線を知覚すらしていない。感情ではなく、本能≠ェその視線を避けろと叫んでいた】
【咄嗟に隠れようとするリロードだったが、その動きに相反するものが居た。彼の────右腕≠ナある】
【相反する動き。即ち、その視線の主に対してエサを目の前にした猛犬が涎を垂らす様に、どす黒い魔力を垂れ流しながら彼の右手は突き出されていたのである】


(コイツ────!私の言う事を……!)

【結果。リロードは鎖に繋がれた飼い犬の様に、その場に留まる形となってしまう。その奇妙な光景をヴィルヘルムはどう思うか】
【そして、先程は一滴垂らしただけだったどす黒い魔力。機関がばら撒いていた『哲学者の卵』によるものだという事には気づくのだろうか】
【心の闇を増幅させる『哲学者の卵』。人間的な本能は「逃げろ」と言っているが、ソレに対して闇は反逆の叫びを上げている様に見える】


(この先に一体何が……。)

【リロード&リリース。リロードの能力は存在の出し入れ。光の情報を取り入れる事により視力を超えて遠くのものを見る事も可能】
【それにより、視界に捉えた巨躯の老人。リロードは言うことの聞く左手に1枚のトランプを出現させ、そこに視覚情報を小型テレビの様に映し出しヴィルヘルムに見せてみる】


あの、ヴィルヘルムさん。めっちゃ見られてるみたいなんですケド。なんなんです、このおじいさん。

【おじいさんと来たか。数百M先を射抜く眼光の持ち主。聞こえて無ければ良いものなのだが】

<> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 11:08:26.78 ID:uLH5Xdqto<> >>481
……お姫さまには、もう大分遅い時間なのかもね
そういうことなら、さっさと宿をとりましょ

【地図を見て判断できるということなら、彼女の言う通り目的地には自力でいけるのだろう】
【仕事が楽になるならありがたいことだし、彼女の方もお疲れの様子だし、宿探しが先決のようだ】

それだけあれば、不自由はしないだろうし……ん?
あぁ、そういえばそうねユーフィーと言うわ、一晩よろしく

【一晩だけとはいえ、確かに名前も知らないでいるのは過ごしにくいだろう】
【そういう実利的な発想から、こちらも名乗ってみせる】
【結構、人付き合いにおいては淡白な性格なのだ】

【まぁ、それでももらうものをもらうからには、やるべきことはきっちりとやる】
【奔放なリナに手を焼くことになっても、憎まれ口を叩きつつ世話してやるのだろう】


//寝落ちてラスト遅くなりましたごめんなさい
//お疲れさまでした!

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/04(月) 12:06:40.95 ID:DqfsM27f0<> >>429

……風の、竜?
いや、俺はただ、魔術が使えるだけの人間に過ぎねぇよ。飛ぶのが、意外とよくあるのかどうかってのは、分かりかねるけどよ

【――――純粋に、居丈夫は人間である。ただ、普通の人間に出来ない事をいくつか出来ると言うだけの話だ】
【単身での飛翔と言う現象が、どれほど一般的なものなのかは、居丈夫にも計りかねる事なので、断言はしなかったが……】
【魔術に精通した人間と言うのも、そこまで多いものではない。それを思えば、まだ居丈夫も珍しい部類に入る人間なのかもしれない】

ん? ……あぁ、そういや、もう良い時間な訳か
あぁ、空の道ならこんな事を言うのも何だろうが、気をつけて帰れよ!

【自らの生み出した明かりの中にいて、つい見過ごしてしまっていたが、既に夜は更け掛かっている】
【確かに、あまり長居をするものでもないだろうと、居丈夫は少女の飛翔を見送って、その背に別れの言葉を投げかける】
【空を飛び去っていくその姿は、やはり普通の人間とは峻別されるものなのだろう】

……さて、俺も水飲んで、肉喰らって……ゆっくり休養して、身体を養いますかね……
改めて……レル(風)・フェン(飛翔)・ゼル(自身)・ザン(レベル3)……『ウィングウィンド』

【トレーニングを終えて、身体が疲れている事を、今さらながらに居丈夫は思い出す】
【先ほどの飛翔魔術を再度行使して、夜空へと飛び出して行った】
【――――残る明かりがゆっくりと解け、消えていく。後に残るものは、もう何もなかった】

/遅くなりましたが、乙でしたー! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 18:57:57.36 ID:lUUfLdVvo<> >>499

……その鎖、やはり自由に制御出来ているわけじゃないらしい。
ちょうどそのことを聞こうと思ってたんだよ
さっき、妙な魔翌力が感じられたから……しかし、問題は…――。

【ヴィルヘルムが話そうとしていたのは、まさにリロードの使う鎖と腕に付いてだったらしい】
【が、時すでに遅しと言うべきか。その暴走を目にすると押し黙って、メガネをかけ直し】

【今すぐどう出来るものでもないのだろう。『困ったね』と髪を書きながらカードを見る】
【その向こうにいる老人は、目元と口元を布で覆っていた】
【背も曲がっているが――まるで何かを隠すよう。なにか、醜悪なものが背筋を撫でるような視線であり】

……さあ、なんだか偉そうな神官って感じだけど。
生憎と僕には年寄りの知り合いなんて一人しか居ないし、彼はもっと紳士的だ

とりあえず場所はわかっているんだし……逃げる、っていうのはどうかな?
良い予感はしないしね。研究を手伝ってくれそうな人間も
研究対象の少女も居ないし……あ、いや。とにかくほら、下りようじゃないか

【――異形の老人が手をかざしたのは、ヴィルヘルムが塔を下る階段に足を掛けた時だった】
【それは"干渉"の魔術。黒い魔翌力を孕んだ男の右腕を、恣意的に暴走させんとする術である】

【聞こえているというのか。いやそもそも、この距離がありながら術を発動できるのか】
【その時点でおどろくべきことだが――果たして、術の効果は如何程のものか】
【これはいうなれば、取り付いた悪霊に力を与えてしまうようなもの。悪意のこもった戯れであった】

/遅れましたが、お返事しておきます!
/ここからは普通にやりとりできますので、都合の良いときに再開をお願いしますです <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/04(月) 20:12:33.51 ID:8Y6VFvJ2o<> >>502

【ヴィルヘルムが知らないと分かるや能力に使用したカードをヒラリと落とすと映像は消え、唯のカードに戻った】


ええ、見ての通り……うまく付き合えていると思っていたのですがね…‥…。
この島に来たのも、この──いや、そんな話をしている場合ではない感じですね。

……『RELOAD』……。

【老人に対してむき出しの殺意を放つ右腕を左手で掴むと強引に抑えこむと】
【忌々しい右手をその鋭い眼光で睨みつけると溢れ出る魔力が次第に収まっていく様に見える】
【実際は、収まっていくと言うよりは力を吸収して強引にねじ伏せたのである、原因──こちらを射抜く視線から逃れるまでは消えそうにない】


……よし。その提案には乗らせて頂きます。行きましょう。早く、行きましょう。
立場が逆になりそうなのでお願いしたいのですが、こんな状態だ、
悪いけど少しばかり貴方の研究所に居させて頂いても……。……ッッ!!

【視線に背を向けてヴィルヘルムについて行こうと歩みだした刹那であった】
【老人が術を放ったのは。突如リロードは感情を露わにした様な表情を見せると】
【再び向き返り、数百m先に向けて飛びかからんとした勢いで叫びを上げた】


「クソジジィィイイイイイイイイ────!!俺≠ノ今ッ!何をしやが、ガッグギャァアアアアアアアアアアアアッッ!アアアッッ!」

……大丈夫、です。行きましょうか。

【その次の瞬間には、まるで断末魔の様な叫びが鐘突き塔の中で反響した】
【抑えこまれたはずの魔力が再び溢れださんとした右手に──ナイフが突き立てられていた】
【確かにリロードの口がリロードの声で喋っていた。だが、口調から何から何まで違っていて喋らされていた様な叫び】
【リロードは少し額に手を当ててから冷や汗を拭うと顔を上げると何事も無かったかの様に彼に付いていこうとするのだった】

/お待たせいたしました、それでは本日もよろしくお願いします。
<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 20:29:37.63 ID:lUUfLdVvo<> >>503

【ごくり、と研究者は唾を飲んだ。自身には感じ取れなかったが】
【恐らくあの老人は"何か"をしたのだろう。そして、対する男の腕は】
【『彼自身とは無関係な自我』として意志を発したのではないか】

【――想像することしか出来ないが、自身の腕にナイフを突き立てるという】
【あまりにも強引な止め方には、壮絶なまでの説得力があった】
【数秒、沈黙。汗が頬を伝って――行こうという言葉に、コクリと頷いた】


【それからは、思っているよりも障害は少ない。教会の人間たちは】
【先ほどの声はなにか、いや大司教様が何かをなさったらしいぞ】
【そんな話をしていただけで、幸い二人は人目を忍んでこの記憶を脱出出来た】

【これは余談だが――『如何しましたか?』という問いに、ある老人は】
【なにやら面白いネズミが入り込んでおった≠ニ答えたとか――さて。】


【ジャングルを無言で駆け抜けて、白い小箱のような入り口に辿り着き】
【何桁かのキーワードを打ち込み、網膜判定や声紋認証を終えると】

さあ入ってくれ。妙な場所だが、どうやら私の研究所で違いないようだから。
勘違いして攻撃を仕掛ける護衛も居ないし、気難しい研究者もいやしないからね。

……まずは治療か。その腕のナイフ、抜いてしまっても良いのかい
私は専門家じゃないが、止血と包帯を巻くくらいは出来る。
他に何か……出来ることがあるなら、護衛のお礼をしたいが。

【地下へ降りる階段を進みながら、ヴィルヘルムはリロードにそう尋ねた】
【やがて電気の通った地下通路に辿り着き、出てすぐ右の部屋に入ると】
【そこは休憩室なのだろう。テーブルを囲むソファにロッカー、奥には仮眠室も見えて】
【医療キットをごそごそと取り出すと、治療の可否を問いかけて】

/こちらこそ、よろしくお願いしますね〜! <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/04(月) 20:57:35.11 ID:8Y6VFvJ2o<> >>504

【「おじゃまします」だなんて、行儀の良い事をする余裕も無く】
【休憩室にたどり着いてはまずソファに腰を下ろすとナイフに手をかける】

【覚悟をした様な表情と共に右手に突き刺さったナイフを引きぬいた。苦悶の表情を見せるが】
【先ほど、こちらを射抜いていた老人はもう居ない。殺意を向ける先無き今、右手が暴走する事も無く。グーパーを繰り返し自由に動かせる事を確認する】


すみません。お願いします。

【それを確認するとふう。とようやく息を付いた。彼が手当をするならば勝手に動く腕がソレを阻む事も無い。先にナイフを抜いたのもソレを確認するためである】


礼ですか。そうですね……ならばまず、貴方の素性の確認をさせて頂きたい。

改めて自己紹介をさせていただきます。私はリロード。リロード・ザ・マジシャン。
──かつて≠ヘ、所謂、正義の組織等に参加していて戦ったりしていたものです。


……ヴィルヘルムさん。その白衣の逆五芒星の刺繍。貴方はカノッサ機関の研究者という事でしょうか?

【──だとしたならばどうなのだろうか。ヴィルヘルムが機関員だとしたら、彼が正義の意思を持つものならば敵≠ノなる事になる】
【だが、刺繍を見た上で彼の護衛を買って出たこと、研究室に付いてきたこと。かつて≠ニ付けた事またから先に素性を明かしたのは】
【無条件に敵意を向ける事は無いと伝えるためだ】

<> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 21:01:49.22 ID:sVJhsHaCo<>
【郊外】


【街の中心部を離れ、住宅街も抜け──背の低い建物がぽつ、ぽつ、と点在するだけの地域】
【そこの三叉路に立てられた看板の前に人影が一つ】



 ……えっと。 北がこっち……ん? あっち?



【年の頃は16,7と言うところだろうか──白い髪を、腰ほどまで伸ばしている少女だ】
【身に纏った青いパーティドレスは、派手なデザインではないにしろ、こんな場所では大いに目を惹く】
【──、「菊花」をあしらった指輪を嵌めた右の人差し指で、地図をなぞっては、きょろきょろと周囲を確認していた】



……右に行ったら北で、森だから、逆でしょ?
あ、でもこっち側からも道が伸びてる──あー、もう!……ユーフィーさんに地図見て貰えば良かったかも。
こうなったら取り敢えず、適当に…… うぇっ!また道が分かれてるっ! ぐぬぬ……。



【どうやら典型的な「迷子」らしい。かれこれ十五分は、この辺りを行ったり来たりしている】
【疎らな通行人は彼女を横目で見るには見るが、皆忙しいのか、声を掛けることもなく通り過ぎて行く】
【──既に日は沈み始めている。このままでは、夜の郊外に少女が一人、と、些か物騒な事態になるだろうか】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 21:18:10.70 ID:lUUfLdVvo<> >>505

【コクリと頷くと、腕の傷の処置を始める。確かに医者のような丁寧さは無いが】
【経験は有るのだろう。溢れる血を一度拭き取り、止血から包帯結束まで】
【激しい痛みを伴うことは確かだが、だからと言って処置を止める事はなく】
【一貫して黙々と手当をして――終わる頃には、『上手くいった』とニヤリと笑い】

……素性の確認?……正義の。あぁ、なるほど……。
そう、その通り。僕は確かにカノッサ機関の人間だよ

と言っても、ナンバーズや六罪王という連中には縁もゆかりもない。
"こちらの世界"では、此処がやりやすいんだ。研究費も出るし
場所の提供もしてくれる。以前居た場所よりもしがらみは少ないしね

ただ……嫌われているのは確かだ。正義という人達からすれば、特に。

【まっすぐにリロードの目を見ながら、ヴィルヘルムはそう答えた】
【嘘はないように思える。ただし、引っかかる言葉もいくつかあって】
【仮にリロードが義憤に駆られでもすれば、すぐに殴れる。そういう無防備さも備えていた】

【――さて、そんな折に背後の扉が小さくキぃ、と音を立てた】
【もし気付いて振り向けば、二人の少女が居ることに気付くだろう】
【髪の色は桃色と、抜けるようなスカイブルー。なんだか対照的で、あどけない二人だった】 <> ディック
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 21:19:50.77 ID:6yKVtGqvO<> >>506

……おっせえなぁ


【そんな三叉路の近くにある建物の壁際で、退屈そうに欠伸をする青年がいた】
【薄いブロンドの色をした短髪に、神父などが着ているいわゆるカソック。首からは十字架をさげている】
【身長は一五◯センチ程度と、青年というには随分と小さかった。歳は十代後半かそこらだろう】

【待ち人のために彼はここに留まり続けていたわけだが、暇つぶしがてらそのへんに目を配ると、当然少女が目に入る】
【もちろん、これといった理由もないのですぐに目を離す。だが五分しても彼女はそこにいる。十分しても。十五分経ってもまだいる】
【右へ行き、左へ行き、立ち止まったと思えば地図らしきもの見て、また右へ行ったと思えば左へ──】

【──迷子だと気づくなという方が無理な話だった】
【青年──神父はそれに気づいてにやりとほくそ笑んだ。もうどう見ても悪巧みを考えている顔で】


よし……暇つぶしがてら、金でもふんだくってやるか……!


【そう決めた瞬間、善じゃないが善は急げと言わんばかりに建物の影から飛び出し、まっすぐに少女の元へ向かった】


そこのお嬢さん、何やらお困りのようですね?
ここで出会ったのも主のお導き、よろしければお手伝いを致しますが……?


【温和そうな笑顔に温和そうな声を付け足して、神父は少女に声をかけた。背が低いこと以外は完璧だ】
【こんな時間に神父が出歩いていることは珍しいことなのだが、少女はどう思うだろうか】 <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 21:37:44.36 ID:sVJhsHaCo<> >>508

【──通りに背を向け、悩み続ける彼女のすぐ後ろで、男の声が聞こえた】
【途端、彼女はぶるん!と身体を震わせる。 相当集中していたのだろう】
【白い髪を風に揺らしながら、振り向く。 言葉から察するに、相当立派な『神父さん』なのだろう】


……わっ!──と、びっくりしたぁ……。
あの、少し道が分からなくって……。教えて貰えれば、助か──


…… 、えっと。 神父、さん──で、いいの?


【──向けた視線がダウン。勢い余って胸元の十字架に視線が向き、再びアップして、漸く顔を捉えた】
【青い瞳がぱちくり。 それだけで彼は、彼女が『何』を思ったのか分かるだろう】
【少女であるとはいえ、彼以上に身長はある。眼前の彼の姿は、『神父さん』とは些か離れていた】
【無論、その疑問符には、こんな時間に外を出歩く神父は珍しい、という要因も入っているのだろう──】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 21:38:57.99 ID:wxS5jmeoo<> 【夜の公園】
【月明かりと街灯だけという頼りない光のもとでは、あまり長居はしたくない場所】
【そのベンチに座って本を読んでいる、一人の女性がいた】

…………

【黒いコートに黒い髪と、宵闇に溶け込んでしまいそうな風貌】
【それでも実際には目立って見えるのは、その金色の瞳のせいだろう】
【薄明かりのもとで本を読めるくらいには中々優秀な視力を有してあるであろうその目は、離れたとこでも見てとれる】
【彼女は、手元に広げた一冊の古書に没頭しているようだ──ページをめくる音以外に、物音もたてないでいる】
<> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/04(月) 21:42:20.82 ID:8Y6VFvJ2o<> >>507

【処置の後、ニヤリと笑う彼に胡散臭さを感じずには居られなかったが、「ありがとうございます」と礼を言った】

【そして彼の素性だが。こちらの世界>氛氓サの表現に付いてはピクリと来るものがあった】
【だが、どうとでもとれる表現である。それについては今回は掘り進める事もなく】

【彼が語るヴィルヘルムの素性。リロードが受けた印象は、機関という】
【組織自体に強く肩入れしているというよりはある程度、自分の研究をやりたいようにやっている人間】
【ただし、機関という組織が彼という存在を容認しているという事は、】
【彼の『研究』というのは決して全ての人間に受け入れられるものでは無いものであると想像が付く】

【まだ信用し易い。但し、彼の人間性に付いては未だ分からない】


そう、良かった。違っていたら恥ずかしい思いをするところでした。

【良かった。そう言ってリロードは話を続ける。今の所、突然殴りかかったりする様子は無い】


では本題に入ります。カノッサ機関がばら撒いていた『哲学者の卵』という道具について、
研究に携わっていた事は、或いは情報をお持ちでは無いでしょうか。先ほどの事ですが、知っての通り私の右手には────

【どうにも今日は話が途切れる日である。本題に入り、要件を語りだした言葉が遮られる】
【扉の音に反応してリロードは振り返る。彼の目に映る二人の少女、こんな場所に居る事に】
【どこかきな臭い匂いを感じながらも、彼女たちが何か言うより先に──「どうも、こんにちは」と子供を相手にするような優しげでもなく普通に挨拶する】

<> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 21:52:49.99 ID:8KODPQpIo<> 【夜の公園】
【月明かりと街灯だけという頼りない光のもとでは、あまり長居はしたくない場所】
【そのベンチに座って本を読んでいる、一人の女性がいた】

…………

【黒いコートに黒い髪と、宵闇に溶け込んでしまいそうな風貌】
【それでも実際には目立って見えるのは、その金色の瞳のせいだろう】
【薄明かりのもとで本を読めるくらいには中々優秀な視力を有してあるであろうその目は、離れたとこでも見てとれる】
【彼女は、手元に広げた一冊の古書に没頭しているようだ──ページをめくる音以外に、物音もたてないでいる】
<> ディック
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 21:53:19.46 ID:6yKVtGqvO<> >>509

【自称神父は──いや実際神父なんだが──はそれはそれは聖職者らしい微笑みを湛えていた】
【邪気を全く感じさせない清らかな笑みだ。まぁこんな低身長では逆にそれも子供っぽく見えそうではあるが】
【とにかく、そんな顔をしてた。そんな雰囲気も出してた。何考えてるかは別として優しそうな感じを出していたのだ】

【振り返った少女の視線がダウン、つられて神父の視線もダウン。見つけた先には十字架、いつも鏡で見てるやつだ、うん】
【上がってきた視線を追っかけて、相手の瞳と出会う。神父はまだにこにことしていた】
【少女の返事が聞こえてきた。何故か疑問系だ。自分を神父かどうか疑っているように聞こえる。そしてその理由は────】

【────プツン、と何かが切れる音がした】


────…………てっめぇええええええええええええええええええ!!!!
俺のどこが神父らしからねえっていうんだ言ってみろよコラァアアアアア!!
どっからどう見たって立派な神父じゃねえか神父らしい笑みと声も“作って”やっただろうがどんだけ苦労すると思ってんだよあれ!!
“ちょっと”背が高いからって偉そうにしやがって迷子のクセしやがってよぉおおおおおお!!


【怒号。まるでチンピラのような口調に変貌】
【周囲の通行人も何事かと振り返り、チビが喚いてるのを見て「なんだ子供か」と思って元に戻っていく】
【神父はおまけに地団駄まで踏んでいるせいで見た目と背丈と言動の三重苦で余計に子供っぽく見える。案外、子供かもしれない】


大体なんでてめえはこんな郊外で地図まで持ってんのにこんな三叉路ぐらいで十五分もうろちょろしてんだよおかしいだろ!!
目ぇついてんのかコラ! 背丈に栄養行きすぎて頭に足りてねえんじゃねえのか! 地図読めねえのかよお前は!!!!


【余程コンプレックスなのか、罵倒にまで背丈が関わってきている】
【そんな感じでブチ切れながら、神父は少女の地図に手を伸ばす。ちょっと上に持っていけば取れなくなりそうだが……】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 21:53:32.88 ID:awMxKIXCo<> //連投されてたごめんなさい <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 22:02:05.17 ID:lUUfLdVvo<> >>511

【相手がまず話を、となればメガネをクイとかけ直す。癖なのか、改めて髪を掻くと】
【なんというか――不思議そうな顔付きで、質問した相手の顔を眺めて】

いや、ええと…――生憎だが、私は『哲学者の卵』というのを知らない。
名前からは少々想像が付かないが……それは、機関の製造物なのかな?
キミの右手に関することとなると、どうやら魔翌力に関する…――あ、こらこら。

「『――こんにちはっ!おじさんだあれ?』」

……すまないね。うちの子なんだ、"アンジェル"と"ケミッシュ"と言ってね
二人とも、お客さんが来るとこうして興味津々で……。

【声はほとんど同時。まるで双子だが――顔立ちは似ている、という程度】
【どちらも利発そうで、リロードが挨拶したお陰かにこりと笑い】
【ヴィルヘルムはといえば扉の方に行って二人の頭を撫で、待っていてと促すと】

【これまた聞き分けがいいのだろう。少女たちはこくりと頷いて引き返し】
【去り際に『後でねパパ!』という言葉を残し――そうしてようやく、扉が閉まる】

……それで、哲学者の卵だったね。私は知らないし、魔術の研究家でもないんだ
ある程度、異能というものには詳しいつもりだが……。

【――と、簡潔に答えをまとめる。それから、『コーヒーでも飲むかい』と尋ねかけた】
【YESと答えれば、ヴィルヘルムはその用意に入ろうとするだろうし】
【別に話題を振れば、話はそちらに行くだろう。】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 22:11:21.59 ID:sVJhsHaCo<> >>513


【いきなりの怒号に、再び彼女の身体が跳ね上がった】
【彼がどうして怒っているのか分からず、再び瞳をぱちくり】
【──その内、彼の言から何となく、どこが癇に障ったのか、おおよそ見当がついた】


えっ、うぇぇ……?


【ドン引いた声を出しながら、1歩、2歩と後ずさり──これが大男相手なら、涙でも浮かんでいたのだろうが】
【正直、あんまり怖くない。だが、困惑はする。どうしようか、と、考えながら、彼の言葉を聞いていると──】


──だっ、誰がアホよっ!! そっちこそ、身長低い上に心も狭いって!!
地図ぐらい読めるわよ地図ぐらい!!方角が分かんないのっ!!
って、……うわっ!! ちょっと、触らないでよ!!


【頭が足りてない、という言葉には、此方もカチンと来たらしい】
【罵声に罵声を返しながら、胸元に地図を抱きしめて守ろうとするが、彼の手がそれを奪おうとする】
【必然的に地図を互いに奪い合う形となり── 】


     あ。

【 ビリッ=@】



…… 、 もういい。 どっか行ってよ。


【気づいた時にはもう遅い。地図は綺麗に真っ二つ──見れば、彼女は唇を引き締め、泣きそうな顔をしている】

【彼の手の方の切れ端には、一つの地点に「丸」が付けられていた】
【此処から数分の『墓地』。 ……、まだ、十分に読み取れるが、さて】 <> ディック
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 22:22:54.80 ID:6yKVtGqvO<> >>516


身長低いだと、低いだと!! ついに言いやがったなこのクソアマが!!
言っていいことと悪いことがあるって親に教わらなかったのか、ついでに方角も教わってねえのか!!


…………あっ


【ぎゃあぎゃあ喚きながらの争奪戦。そのせいで地図が真っ二つ】
【しばらく固まっていた神父だったが、泣きそうになっている少女を前にして、みるみるバツが悪そうな顔に変わる】
【無理に奪うつもりはなかったので事故だ、と言うこともできたが、言い訳に過ぎない】

【なんと声をかけたものか、悩んでいるとふと地図の印が目に入った。これなら案内もできそうだ】


あー……おい、悪かったよ、泣くなよ
真っ二つになったぐらいなら地図だったら読めるって。案内してやるからよ!


【地図に記された地点を指で示しながら、神父は少女に向けて申し訳なさそうな顔をしながら謝る】
【許されるかはどうにも分からなかったが、少なくとも神父には案内する意思があった。金儲けのことは既に忘れている】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 22:37:38.09 ID:sVJhsHaCo<> >>517

【──とぼ、とぼ、と。 少女は地図の切れ端を地面に投げつけると、背を向け、去って行こうとする】
【もう自棄っぱちなのか、地図上の目的地とは反対の、向かって右の方向へ】


……ほんと。


【と。 彼の声が聞こえたので、立ち止まり、振り返ってみる】
【流石に泣いてはいなかったが、つっけんどんな口ぶりと、じとーっとした目だった】


…、…じゃあ、連れてってよ。
じゃないと、許さない。警察に電話する。
襲われそうになったって言って、拘置所に突っ込んで貰う。3日ぐらい。


【──こっちも悪いには悪かったが、なけなしの地図を裁断されてしまったのだ】
【地図の有ったこれまででも散々迷ったのに、これからの道程は、まさしく『暗夜行路』である】
【そうなれば、今のところは、彼に恨み節を弾きながらも、着いて行くしかないのだった】


【── もし、彼が彼女を、地図のままに導くのなら】
【数分間の気まずい沈黙と共に歩いた後、随分と広い『墓地』の入り口に辿り着くだろう】
【立派な門の横には、戦没者墓地≠フ文字。 まだ中に入れる時間らしく、門衛が敬礼とともに、門を開いてくれる筈だ──】 <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/04(月) 22:40:03.24 ID:U3bFtAzhO<> 【とある豪華列車】

【黄昏時を走るその列車の一車両のレストランで男が一人テーブルにて食事とったいた】
【男は常に笑っているような顔をしていて肩より少し長い薄い茶髪を後ろで結って垂らしている】
【顔には骨董品らしきモノクルをつけており一見育ちの良さそうな顔立ちと立ち振る舞いをしているが灰色のロングカーディガン、ワイン色のチノパンとラフな格好をしている】

【男はカチャカチャとナイフとフォークを使い皿をつついて料理を口に運ぶ】
【しばらく噛み締めると紙ナプキンで口を吹き一息つく】

やはり高いだけあってここの食事は素晴らしい、食事だけでも乗った甲斐があるというものです

【中身の入ったグラスを傾け口につけ、車窓からの景色を見る。黄昏時ということもありグラスに光が反射する】
【男は片手に持つグラスを自分の目線まで持ち上げ自分の目線まで持ち上げニヤリと口を歪ませる】 <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/04(月) 22:43:07.03 ID:8Y6VFvJ2o<> >>515


お子さんがいたのですね。
……良くしつけられているようで、私が子供の頃なんて父の言う事なんてまともに────……。

【なんて、干渉に浸りそうになるのを首で降って抑えこむ】

ご存知では無かったですか……。では、そうですね。
……質問ではなく異能という分野に付いて携わる方へのご相談≠ニいう形にさせてもらってもよろしいでしょうか。
あ、すみません。頂きます。ええと、ブラックは飲めないのでミルクかクリープもお願いしてもいいですか。

【ヴィルヘルムの申し出に付いて頷いて肯定する、】
【すると準備を始めるその背中に向けて語り始める】

【異能を開花させる薬の研究をしている話を聞き近い力を持った『卵』に付いて分かる事が無いかと】
【思ったのだが、それに関しては当てが外れてしまった様だ。ナンバーズ等に縁もゆかりも無いと言っていた以上】
【その可能性は少し残念な表情を見せたものの、すぐに切り替えて話を続けた】


『哲学者の卵』とは、今はわかりませんが、貴方の所属しているカノッサ機関がばら撒いていた。
ええと、

【何処からとも無く年季の入ったメモ帳を出現させるとペラペラとめくり出す】
【開いたページをテーブルの上に広げてヴィルヘルムがコーヒーを入れるのを待った】
【指差すのはパッセルより、「シェン・ロンド」という男から得た情報と書かれたページと書かれ二重線で強調された一文】

「埋め込まれた者の負の感情により孵化し新たな能力と悪の心を芽生えさせる」
……見ての通り右手に埋め込まれておりましてね。──精神汚染や感情の昂ぶりを最近もろに受けてしまうんですよ。
あの時──塔から降りる直前。突然騒ぎ出した様に右腕が単独で意思≠持ち、勝手に動き出す。

──そこで、『哲学者の卵』に付いてではなく、
異能に携わる者として聞きたいのですが、異能の制御・コントロール、感情の抑制……それらについて。何か可能な事は無いでしょうか?

【先ほど、見せたように自身の意思に背いて動き出す右腕。暴走時は体にくっついているだけの『他人』である】
【そうなればリロードの意思では操れない。ならば他人の意思や異能をコントロールしてしまえる様な手段は無いだろうか──】

<> ディック
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 22:48:02.28 ID:6yKVtGqvO<> >>518


わかったわかった。ほら、ついてきな


【手短に答えて神父は地図で示されていた方角へと歩き始めた】
【本当は拘置所を避ける方法は色々と持っていたのだが、あえてそれは口に出さなかった】


全く……待ってたやつはこねえし仕事はしくじるし、散々だぜ……


【気まずい沈黙は元来お喋りな彼にはかなり苦痛だった。思わず独り言を漏らしてしまう】
【仕事というのは彼女から金を吸い上げることだったのだが、今となってはそれどころではないし】
【何やら重要そうであることは少女の様子からわかっていたので金を取る気もなくなってしまっていた】

【そうして二人は墓地に到着した】
【門衛の敬礼に対して神父は深々とお辞儀をし、また門が開けば墓地に入る前に十字を切る】
【要するに門衛の前でまた“良き神父”を演じているのだ。それらが終わってから墓地へと足を踏み入れた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/04(月) 22:48:31.04 ID:hUMOpfzA0<> 【街中――児童公園】
【街灯といえば公園の周りにある程度、常なら薄暗いのだろうが、今宵は満月】
【明るいというほど明るくもないけれど、暗いと言い切るほど暗くもない。そんな中で、明らかな異質が煌いて】

高い、高――い、

【頭よりもずっと高く、三メートルほどの位置で浮かぶのは誰かの忘れ物だろうか、お人形さん、それも、幼児用の抱き人形】
【体はソフビでも両手足は布製なら、抱き上げられ、吊るされて――だらりと垂れて、ほのかに死体めき】
【その周りをふわふわと浮かんで煌くのは勿忘草色の靄。ラメパウダーを振りかけたよう、時折煌く、魔力色】

【その光景の下に佇む影があった。少し癖のある金髪、毛先だけが淡くピンクに染まった、不思議な毛色】
【あどけなさを残す顔は、ただ、瞳だけが嫌に鋭く。さもつまらないように光景を見上げる口元など、への字に結ばれ】
【くすんだような白のワンピース、裾は足元までのびて、袖も長く、見える素肌といえば、顔、指先、その程度】
【足元は踵のないサンダルで、身長は小柄。百四十と少し、小学生程度の身長しかない――少女が独りで】

【人形は変わらず空中で踊る。或いは踊らされて、その場に存在するひとがたは、どちらも表情をぴくりとも変えず】
【あの勿忘草の靄が少女の能力なのはすぐに見て取れた。――ついと少女が手を持ち上げ、その指先を曖昧に動かすと】
【靄はいっそう力を得たように人形を操る。少し乱暴なようにも見えたが――人形に悲鳴をあげるような機構は、存在しなかった】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 22:58:20.92 ID:wxS5jmeoo<> //>>510>>512取り消します <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 22:58:45.36 ID:YR7byQSno<> >>522
【本来、こんな時間には人がいるはずもない児童公園】
【そこで一人の少女が遊んでいるというのも中々に不思議な光景だが、そこへと向かう足音が公園へと近づいていく】
【そしてその足音がいくらか大きくなってきたところで、件の少女はもしかしたらその主の姿を視認できるかもしれない】

……

【黒いコートに、黒い髪と、黒づくめの色をした、女性だ】
【だが、この暗い中では隠れてしまいそうなその姿も、金色をしたその瞳によって存在感を放っている】
【彼女は、手元に一冊の古書を広げてそれを読みながら公園の方へと歩いてきていた】

……ん?
なんだ、先客か……

【そのまま近づいてくるかと思いきや、ある程度の位置でふと顔をあげ、少女たちを視認する】
【恐らくは、音で気づいたのだろう──どうやら一人でいられる場所が欲しかったようで、踵を返してしまう】
【もし声でもかければ、立ち止まったりするかもしれないが……】
<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/04(月) 23:02:11.45 ID:lUUfLdVvo<> >>520

【ふむ、と唸りながらコーヒーの用意をする。お湯はすでに用意されていたから】
【自分にはミルクと砂糖をたっぷりの、カフェオレにすら思える一杯を】
【そしてリロードにはミルク入りの物を。それぞれテーブルに置くと、手を組んで】

なるほど……誰が作ったのか知らないが、兵器としては大したものだ
敵に撃ちこめば、後は悪いことをしているだけで敵が自滅してくれる。

……そして、キミはそれに困っている。よし、理解したよ
その上で私の見地から言えることは、薬物に寄る対症療法だ

先ほど話した通り、私の研究は薬剤に寄る能力の開花を目指している。
対照の研究として能力を封じ込め、消し去る……
これはまさに、敵性能力者に使う機関の兵器になるわけだが、それもあってね

【つまり、哲学者の卵という存在。そしてそれがもたらす個別の異能】
【それそのものを薬剤によって消失――或いは抑制する、という手段だ】

聞いた分だと、その"卵"はガンにも似ている。感情という細胞を糧に増えているからね
だとすれば腕を切って落すか、そうして薬剤で封じ込めるか。

……問題は、その薬と言うものが開発途中であるということだよ
完成すれば立派な発明だ。しかしそれにしても、身体の一部に集中して
能力を消すなんて真似は出来やしないし……あぁでも、注射のような形にすれば……。

【まだ可能だ、と。――まとめてしまえば、リスクも効果も不明な薬によって】
【腕の、或いは持ち主自身の全能力をロストさせてしまえば良いと言う】

【この口ぶりだ。頼めば実行に移してくれはするだろうが、如何せん保証が無い】
【どうなるかは全くの不明。まあ、当然といえば当然の話ではあったが――。】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 23:05:18.14 ID:sVJhsHaCo<> >>521

【──墓に入ると、商魂たくましい初老の女性が、花を売っていた】
【彼女はそれを買い求めると、「ん」、と言葉を話すこともなく、彼に差し出す──持て、ということか】
【彼が荷物持ちになるにせよ、ならないにせよ、そのまま墓場の奥に進んでいく──】


【──奥へ】

【── 更に奥へ】

【──  もう少し、奥へ】


【先程の三叉路から墓の入口までよりも、長い時間、歩んだだろう】
【それほどこの墓地は広い。 ……それだけ戦没者も多い、という事になるのだろうが】
【将校達の物らしい、大きめの墓が増えて来た頃、彼女はようやく立ち止まった】


……ここ。──ゴメンなさい、付きあわせて。


【彼女がそう、しおらしい言葉を発したのは、時間によって怒りが収まったからなのか】
【それとも無事、目的地まで案内してくれた礼も含んでいるからなのか】
【──それらも勿論あるのだろう。 だが、それ以外の何か、静かな感情も感じられた】


【 Zerhard Lkiner=@】

【 大きな墓石には、そう刻まれている。「ゼアハルト・ルカイナー」とでも、読むのだろうか】

【──もしかすると、「ルカイナー」という名には憶えもあるかも知れない】
【討論番組や政治番組によく出ている、『オネエ言葉』の政治家と同じ名字だ。一度見れば、そうそう忘れないだろう】
【尤も、テレビも新聞も見ない、と言うのなら別だが──】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/04(月) 23:05:24.52 ID:hUMOpfzA0<> >>524

【ずっと頭上で靄が煌く、煌いて、捕らえた人形を、ずっと、ずっと、無遠慮に躍らせる】
【時折ソフビの腹はぎちぎちと音すら立てそうに握りつぶされて、解放されて、本当の子供ならすでに死んでいそう】
【それを変わらない無表情のままで見上げ続ける少女と言うのもなかなか不気味だ。ある意味、都市伝説になれそうな――】

……ずいぶんと古びた本なのだね、内容は?

【しかし。やはりと言うべきか、少女は相手に気付き、そして、声まで掛けてくる】
【それでいて興味を惹いたのはその手にある本だったようだ。それがなければ、きっと、何もなく見送っていたくらい】
【だけどそれをしなかったなら、その程度には本が好き。――視線が人形から逸れて、相手へと向いたなら】
【真っ赤な鉄靴を履かされた母親のように踊り狂っていた人形は、ぐらりと揺らぎ――ぼたり、と、地面に落ちる】

おっと、……こんばんは。

【少女はそれをなんとも思わないように、あんまり興味がないように、視線も向けず。おや、と、】
【忘れていたというように少しあんまり印象のよくないような笑みを浮かべてみせてから――そんな、挨拶を投げる】

【絵本のように煌きを纏う勿忘草色の靄は、するりと降りてきて少女の周りで踊る。ただ、何か敵意があるわけではなく】
【そのうちに――飽いたように、うっすらと、じんわりと。消えていってしまうだろうから、気にする意味は特にない】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 23:19:58.57 ID:0nbyw2xPo<> >>527
……街の古本屋に眠ってた、魔法書よ
まだ途中だけど、多分召喚魔術についての

【やや間があったのは、言うのが単純にめんどくさかったから】
【でも、その程度の労力を惜しむのもどうなのだろうと思い、投げ掛けられた質問に顔だけ振り向いて答える】
【そこから見える横顔は、少々めんどくさそうに見えた】

こんばんは……この本のことが、気になるの?

【地に堕ちた人形には目もくれず、ただ少女を見つめて挨拶をする】
【こちらから投げ掛ける質問も本についてな辺り、その手の話題以外にはあまり興味ないようだ──もしあるとしたら、普通なら人形の方について聞くだろう】
【精々、少女の回りに煌めいていたそれを、綺麗だなと内心思った程度だ】
<> ディック
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 23:20:21.85 ID:6yKVtGqvO<> >>526

【差し出された花に対してはむっとしながらも口答え一つせずに持った】
【さしもの彼も──墓場では一言たりとも口を開かず、ただ黙って少女の後に続く】
【数分だろうが、数十分だろうが、文句一つ言わずに歩き続けた】

【周囲の風景が変わってくると、彼はそれらへと目を配った。道沿いには立派な墓石が続いていた】
【戦争というものに対しては神父はこれといった関わりを持っていなかったが、それでも彼の面持ちは沈痛だった】
【少女が立ち止まれば、彼もまた彼女の数歩後ろで立ち止まった】


…………いや、いい


【先ほどまでとは全く違う少女の言葉に、神父も小さな声で返すのみだった】
【その墓石に刻まれた名には彼も見覚えがあった。政治家の名前はあまり覚えない方だが、有名だったために覚えていた】
【だがそのことを今切り出すことは憚られた。少なくとも、この墓場にいる間は】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/04(月) 23:25:29.03 ID:hUMOpfzA0<> >>528

そうかい、――いいね、古い本は好きだよ。
魔法書となると読めないものの方が多いのだけれど……。

【「キミは読めるのかしらん」】
【そう言葉を続けて、少女はほんの僅かに首をかしげる。本は好き。特に古い本が好き――らしい】
【けれどその類は苦手だというのが知れて。それなら、あんまり、そう言った才能はないよう】
【少しだけ残念なように眉をひそめてから、少女はそちらにふらり、歩もうとして――】

【足元の人形を踏みかけて、それでようやく思い出したようにする。再び、靄の塊が一つ現れ】
【人形をついと持ち上げて、――近くの木に引っ掛けてしまう。ひどい悪戯だ、なんにも理由はないのだけど】
【強いて言えば何かが気に食わなくて。……そしてそれを説明する気も言い訳する気もなくて、それで、】
【邪魔者が居なくなれば、少女はようやっとそちらへ歩みだす。とはいえ、それは、ひどくゆっくり】

本が好きなのだよ、……煩わしいようならば、黙るけれど。

【それでいて、きちんと距離をつめるでもない。中途半端な位置で彼女は立ち止まると】
【つんと釣った眼をぱちくりと瞬かせ、視線は真っ直ぐ本へと向かう――やはり、興味津々なのは、本へ対してらしい】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/04(月) 23:34:27.00 ID:sVJhsHaCo<> >>529

【──墓石は、その威容と対照的に、どこか寂しかった】
【汚い、と言うわけではない。寧ろ手入れはよくされている様で、暮れゆく日を反射して輝いている】
【だが、そのお仕着せの綺麗さが逆に、無機物的な『寂しさ』を感じさせる】

【 人の手で捧げられた、供え物もなければ 】
【 人の手で置かれた、花の枯れた名残も、  ── 、有機的≠ネ、温かみがない 】

【 恐らくは、長い間、誰も参ってはいないのだ】
【だから、『戦没者』として立派にパッケージされ、立派な墓石が載っていても、寂寥感が漂う】
【──刻まれた十字は祈りの印と言うよりも、吸血鬼の墓標の様な、暗いものにも見えた】



…… 。 、ごめん、 花、 ── 。


【少女は彼の方に顔を向けないように、手だけを差し出して、花を受け取ろうとする】
【少し詰まった、細い声音。 先程の元気が嘘のようなそれを聞けば、彼女が顔を見せない理由も分かる】

【──もし、彼が花を彼女に渡したなら少女は墓石の前にそれを置いて、暫く、背を向けたままだろう】 <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/04(月) 23:39:25.39 ID:8Y6VFvJ2o<> >>525

【ヴィルヘルムの言葉を頭の中でまとめ顎に手を当てて考える】


……卵℃ゥ体には未練がありましてね。
……完全に消せない≠ニいう事であれば、それはそれで都合が良いのです。

……何、リスクがあるというならば気にはしません。

【リロードが右手を弄ると。カチリ。と何かが外れる音がする。そして、テーブル上に置かれたのは腕だった】
【まごうことなき、右腕=Bその付け根には義手≠神経接続するための連結部が取り付けられている】


なにせ、こんな状態ですから。──どうしてこうなったかに付いては、答えかねます、正直、よくわからないので。

【だが、彼がどこまで人体に精通しているかは分からないが、先ほど包帯を巻いた際には間違いなく生身】
【手袋をはぎ取れば。甲には義眼が埋め込まれ、手のひらには穴が開いており、牙が生え口の様になっている】
【一つの生物にも見えるこれは血液も出ていた事から、右腕は単独≠ナ生命を維持しているという事が分かる】



私の希望としては、
右腕が勝手に動き出す事を抑制し、余計な追加能力の発動を妨げたいのです。
……但し、卵℃ゥ体を破棄したい訳ではない。という形ですね。
……貴方に頼めるのは能力の部分になるんですかね。……能力が抑えられた感情の方も──いや、それはわからないか。

面白いですし、便利なので適度に餌を与えて遊んでいたのですが──育ち過ぎてこの有り様なんですよ。
……最悪、義手にすれば良いですし。なんなら実験動物にでも────。

【ヴィルヘルムの考えた切って落とす≠ニいう条件は既に満たしていた。ならばこんな腕処分して義手にでもすればいい】
【だが、リスクを分かった上でわざわざちぎれた腕を接続し、試行錯誤しながら遊び道具にしている。要するに──イカれている≠フだ、この男は。】

【育った≠ニいうレベルでは無い気もするが、哲学者の卵の力とか色んな要素が重なり合ってこんな事に──普通はならない気もするが】
【実験動物にでも、と冷たい目線を浴びせられた右腕は「ギっ!」と何やら動き出そうとするも。どうも怪我をしているせいかまともに動く様子はない】

【右腕を差し出して、「お願い」しようとする。必要なら対価を支払うとも添えて。尤もこんな訳の分からないものを扱えないと蹴ってしまう事も可能だ】
<> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/04(月) 23:42:11.07 ID:8Y6VFvJ2o<> >>532
/最後の文章をくっつけ忘れました、あっても無くても大丈夫ですが!

【何処か──寧ろ、可笑しな事になってしまう事を望んでいるかの様に見えるその瞳に対してヴィルヘルムはどう応えるか──】

<> ディック
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/04(月) 23:44:05.92 ID:6yKVtGqvO<> >>531

【綺麗に整えられただけの墓石。神父の目にさえ、それは寂しく映った】
【だとするならば、その墓を参りに来た少女の心情は推し量って余りある】
【この神父は死者に対して何か思うことはない。“死ねば全ての苦痛が終わる”からだ】

【だからこそ、目の前にまだ生きている少女の、想像できる境遇が物悲しかった】
【もちろん、確証などない。むしろ、その境遇が嘘であればいいだろう、とさえ感じた】
【差し出された手に、神父は無言のまま花を手渡した】


…………まぁなんだ、こうして出会ったのも何かの“運命”だろう
こう見えても神父だからな、死者に祈りぐらいは捧げなきゃなんねえな


【あえて彼はそれを口にしてから、少女の後ろで十字を切った】
【全く見ず知らずの相手でも、それでも誰かが今、この人物に祈りを捧げている。それを示すために】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/04(月) 23:48:56.43 ID:wxS5jmeoo<> >>530
この手のは、暗号化されてたり魔法でプロテクトがかかってるのもあるからね……
これが生き甲斐みたいなものだし、大抵のものは読めるわ

【そう、事も無げに言ってのける女性──この手のものは、どうやら専門のようだ】
【もし興味があれば、尋ねてみたらテクニックなど教えてくれるのかもしれない】

別に、構わないわ……もうすぐ、これも読み終わるところだったし
……目、通してみる?この本は文字さえ読めれば大丈夫だろうけど

【タイミングとしては、ちょうどよかったらしい──読んでいた本をそちらへ差し出しながら、そんなことをいう】
【同じ読書通ということで、少し興味があるようだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2015/05/04(月) 23:53:52.99 ID:j38E/Gpx0<> 【森の深く――――雲一つ無い夜空。今宵は無数の星々が瞬き、月の光も十分な光量で辺りを照らしていた】
【其処に、切株に座る人影が一つ。纏う物は修道女の其れであり、腰には双銃が提げられていて】
【不意に吹き抜ける一陣の風。奇妙な事に、左腕が通っている筈の袖がパタパタと揺らされ】


「全く……死ににくいのも便利なのか不便なのか今一分かり辛くなっちゃうよね
左腕の再生か終わるのももう少し時間が掛かりそうだし――――……面倒だなぁ」

【その様子と、言葉から察するに隻腕。然れど本人は悲観した様子も見せず、面倒だと呟けば溜息を吐くのみで】
【何をする訳でも無し。ただ何と無く夜空を見上げたならば、「今日は平和だなぁ」なんて言葉を漏らして】

【さて。此処は森の中でも少し開けた場所】
【故に遠目からであろうとその姿は容易に見つける事が出来るだろうし】
【或いは物音だとかを頼りに此処を訪れる者も居るかも知れない】
【――――何であれ。一足先に新たな存在の気配に気付けば、其方へと視線を送るのだけれど】











【路地裏。日々諍いが絶えることは無く、常に新しい血が古い血痕を上塗りしていると言い表しても良い其処】
【今宵も又罵声が飛び交って居るのだが――――奇しくも、その内の一つに女の声が混じって居るのが聞き取れるだろうか】
【もし覗いてみたならば、其処には修道女が一人居る事が知れる筈だ。攻撃的な赤色の髪――――その表情は、見るからに不機嫌である事を表していて】


「はァ?あんまり巫山戯た事ばかり言ってるとアンタの頭かち割るわよ
大体にしてね、アンタ等が束になって掛かってきたところでアタシには傷の一つも付けられない事位分からないの?

アタシがこうして優しく言っている間にさっさと――――チッ」

【大柄な男数人に対して、女が一人。多勢に無勢、所では無いのだが……女は勝ち気な態度を崩さず】
【それが癪に触れたのだろう。男の一人が殴りかかろうとするのだが――――展開はあっという間】
【殴りかかったはずの男が気付けば地面に顔を強く打ち付けていて、さらけ出した後頭部を思いっきり踏みつけられる、なんて状況】
【其れを見た残りの者達は恐れを成したか、慌てる様にしてその場から逃げ去ってしまい】


「ちょ、待ちなさ――――アアアアア!!もう!!アンタのせいで他の奴等全員逃がしちゃったじゃないの馬鹿!!」

【他の者達を取り逃がした苛立ちを気絶した男に全てぶつけることとなる】
【――――端から見たら異様な光景だ。何しろ、修道女が男を踏み続けているのだから】
【声を掛ければ鋭い視線が向けられるし、関わりたくないからと静かに通り抜けようとすれば肩を掴まれる】
【――――この場面に遭遇してしまったのが不幸。逃れる術は無く】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/04(月) 23:55:48.83 ID:hUMOpfzA0<> >>535

へえ、羨ましいものだね。うちにもあることはあるが、読めないもののほうが多いし――。
読めても分からんよ。そういった方向は専門外でね、……ああ、そもそも専門なんてなかった。

【どうやら、彼女の家にも似たような本はたくさんあるらしい。ただ、読めるかどうか、それは別で】
【それに、読めたって、魔術的なことはよく分からない。勉強すればいいのだろうけれど、その気も薄い】
【そういう学術的な本より、もっと、お話みたいなものが好きだ。……とは余談だが。それでも、】
【少しは羨ましげにするから――もっといろんな本を読んでみたい、そんな気持ちはあるのだろうが】

……構わないなら少し借りようかしらん。

【それも暗号化なりプロテクトなりが施されているのだろうかと思いながら見つめていた、そんなとき】
【読むか――と尋ねられれば、もちろん、読みたい。読めなかったとしても、読んでみたくはあるのだ】
【それだけでなく、字さえ読めれば――なんて言われれば、なおさら読みたくなる。ぱちくり、瞬きひとつ】

【貸してくれるというなら借りる。中途半端な距離を今度こそ詰めて、彼女はその本を受け取ろうとするだろうか】
【遠くからでも物を受け取れる――そんな能力、さっきの勿忘草色の靄を使わなかったのは、】
【信頼と言うには未熟でも、今ここで襲われることはないだろう。その程度の信用では、あるようだった】

/申し訳ないですっ、次のレス少し遅れてしまいます……
/よっぽど遅くはならないと思いますが、三十分くらいでしょうかっ
/不都合なようでしたら、明日にでも引き継いでもらえたら…… <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/05(火) 00:04:26.21 ID:8sP7p+vUo<> >>532>>533

【取り外された――しかし確かに生身である右腕を見て】
【ヴィルヘルムの反応は"困ったな"というようなものだった】
【溜息。しかし眼鏡越しにじっと腕を眺めて、静かに考えをまとめ】

……能力の抑制については、腕に試験中の薬剤を投与すれば良い。
感情の起伏が問題だというなら、即効性の強い鎮静剤も渡そう

ただし、どんなことになっても……副作用や不具合が出ても、責任は取らないよ
こんな奇異なケース、"総統閣下"だって持ち込まないんだから。
いや、彼なら……ともかく、やれるだけやってみよう。"これ"、借りてもいいだろう?

【そう言うと『腕』を慎重に掴み取ろうとして、『コーヒー飲んで待っててよ』と告げ】
【すぐ隣に併設された部屋に姿を消す。その際に、奥の部屋にカプセルが見えて】
【その内部に、水溶液に使った赤髪の少女が見えるかも知れず】

【――そのまま任せるのであれば、およそ20分程でヴィルヘルムは戻ってくるだろう】
【施した処置は注射。能力を抑制する、試験薬で最も強い物だと云い】

【しかし注意点として、薬が完全でない事も同時に告げるのだった】
【抑制できる事もあるが、暴走するほどになれば効果は薄まる】
【だからその際は、錠剤を飲んで強引に心を落ち着ければ良い】

【そう言って30錠程の薬が入った小瓶を、腕と一緒に手渡すのだった】
【効果は強烈。しかし、自身の感情にも悪影響を与えるということで】

使いすぎれば、いわゆる鬱状態になる可能性もある。
感情の起伏がなくなるというのは人としての死だよ、とてもつまらない事だ
……出来れば、そんなものには頼らないでくれると嬉しいね

【冷め切ったコーヒーを飲みながら、ヴィルヘルムはそう締めくくった】
【ちなみに対価は要らないとのことだった。少なくとも、命を救われた借りがあり】
【それを返すのにはこれで十分だろう――と、コップを置くのだった】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/05(火) 00:04:31.83 ID:LHPkWD/yo<> >>534

【──花を添えると、墓石は幾分、温かみを取り戻した、様にも思える】
【それは単に見る側の問題であって、客観的には何も変わっていないのかも知れない】


……あなた、思ってたよりと良い人みたいね。ふふっ。


【だが、──彼の言葉を聞いて、風に揺れる髪を抑えながら、振り向いた少女は】
【その顔に、これまでは見せたこともなかった、優美で、柔らかな笑みを浮かべていた】
【少なくとも、彼女の心は、少しだけでも救われたのだろう】

【かつり、かつり、と、ヒールを鳴らしながら、彼女は墓石から離れる】
【見れば既に、日は半分ほど沈みかけていた。そろそろ帰らねば、門が閉じられてしまう】


私、リナ。……苗字はだいたい、分かるでしょ?
家から抜け出して来たの。変な黒服に私のこと聞かれたら、知らない、って答えてね。

それで──


【「 あなたのお名前は何かしら、『神父さん』 」】


【──そう言って彼女は、今度は年頃の女の子が浮かべるような、明るい笑みを浮かべた】
【同時に、こくり、と首を傾げる。 彼からなにも話がないのなら、彼女は墓地の出口まで、彼と歩むだろう】
【先程よりも口数は多く、どうでもいい様な話にも、楽しそうに── 】


【──そして、墓地を出ると彼とは逆方向に歩み去ってゆく筈だ】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/05(火) 00:21:02.38 ID:s5ZasI0Io<> >>537
魔法書、家にあるの?なのに読めていないなんて勿体ない……
なら私が読ませてほしいくらいだわ、すごく興味がある

【魔法書の存在を聞いて、わかりやすく目を輝かせる──どうやら、結構な学者気質らしい】
【すでに最初の気むずかしさはなく、気分もいい方に昂ってるようだ──とてもわかりやすい】

いいわよ、私は私で読んだ内容をまとめないといけないから
そうしないと、せっかく読んでも抜けちゃうしね

【そう言って、近づいてきた少女に本を差し出す】
【あまり、警戒はしていないようだ──本好きと知って、気が緩んでいるらしい】
【渡された本は、大分古びて痛んでるものの分厚くがっしりとしたものだ──それを、落とさないようにそっと差し出す】
【表紙の表題からして、文字は古い時代の古語のようだが──開いてみると、それが読めれば妙なギミックなどは仕掛けられておらずきちんと読めるとわかるだろう】

//構いませんよー、私の方は01:30前後で抜けるんでそこで持ち越しか終了かは任せます <> ディック
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/05(火) 00:25:55.32 ID:Zt5kAgrWO<> >>539


ふん…………良い人かどうかは知らねえな


【褒められても神父は素っ気ない態度をとっていたが】
【少女の笑みを見て、満更でもなさそうな笑みを浮かべていた】

【墓石から離れていく少女に神父はまた黙ったまま後ろを歩いていたが】


仕方ねえなぁ、黙っててやるよ。いつもならタダじゃ働かねえが、地図代だ

……名前か? ……………ディックだ


【神父さんと呼ばれて彼──ディックは、微かに嬉しそうにした】
【そして名前を尋ねられると一転してイタズラめいた顔をして、その名前を口にした】

【それから道中は、神父は元来のお喋りな性質を披露してどうでもいい話をしながら歩いた】
【行きと帰りでは随分と違う空気で、彼もまたどことなく楽しそうにしていた】
【そうして、二人は墓地の出口にたどり着いたのだった】


あ、おい……
ここに来るまで迷子だったのに、一人で帰れるのか?


【そう言ってディックは少女が望めば案内を買って出て、街まで連れて行ってから別れるだろう】


//このへんで終わりでしょうか? お疲れ様でしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 00:28:46.62 ID:bScPvH9Z0<> >>540

……キミが良ければ差し上げようか、どうせ家にあっても、使わないのだし……。
黄泉返しに関するものばっかりだけども。嫌いなんだ、そういうのは。私にとっては不用品だよ。

…………ああ、そう言ってしまうのはかわいそうだけれど。苦手なんだ、昔にちょっとね。

【興味がある。そう彼女が言うなら、少女はそう返すのだ】
【興味があるならもらってくれないか、なんて、本当に必要ないのだろう。本が好きな割りに――】
【――なぜと言うなら、少女が言ったのが本当だろう。昔に、何かがあったのだ】
【よりによって、死者をどうこうしようと言う本ばかりだと言うなら。――“何”があったのかは、分かりそうなもの】

どうもね。

【ふらりと近づいて、ふわりと受け取る。あんまりに重たいようなら、少し彼女の細腕には扱いづらく】
【また勿忘草色の靄を出すのだが――そうでなければ、本は扱い慣れている。多少なら、重たいものも問題なく】
【この靄がどんな能力なのかは、分かるようで、まだ少し分からない。ただ――そう、相手を害する素振りはないから】

それともうちで読んだほうがいいかしらん。本は持って行くかね?
両親のものだけれども。……ま、もう何年も戻ってないのだから、いいと思うのだよ。
そもそも、要らんから置いていったのだろうし。……どうするかい。

【ぱらりと開いた頁に書かれるのは古語、昔の言葉は、まあ、時間が少し掛かるが、それなりには読める】
【立ったままで少し読み進めた後――彼女はそんな風に尋ねるのだった。うちの本を持って行くならば、】
【どうせならついでに家で読んだほうが座れるし、まあ、いいんじゃないか――なんて、思いつきだけれど】

【――とかく、彼女にあんまり未練はないようだった。相手が欲しいといえば、家まで案内するだろうし】
【そうでなければ、ここでこの本を軽く読んで返却するのだろう。それは相手に任せられて――】

/戻ってましたっ。お待たせしましたです <> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/05(火) 00:34:45.38 ID:nLMk2Sfso<> >>538


【総統閣下=B彼がかつて退屈な授業を休憩の時間にしていたとしても名を知る人物だなんて】
【思いもせず、彼が腕を取るならば「よろしくお願いします」と言ってコーヒーを口にした】
【ちらりと見えた光景。かつてはゲームや漫画の中の研究室の様な光景にも指を回してどうにもワクワクしてしまう】

【中身の無いコーヒーカップの中に映る自分の顔を覗き込みながら待つこと20分──想像よりも早く終わった様で】

【彼の説明を聞いて受け取った腕をくるりと回し、袖の中に通すとカチリ、と音がした】
【神経や諸々を接続する痛みや不快感に顔を歪ませるが、接続完了──さて、どうなっているか】

【軽く動かして見るが変わった様子は見えない。額の瞳と手のひらの口は閉じ、眠っている様だった────】
【その事に付いて、満足そうな表情を見せると、軽くシルクハットを直し向き直った】


──もう少しばかり、無茶が出来そうですね。

【白紙の出来たキャンバスにさて、なにを書き込んでやろうかと考えている様だが】
【あの老人の術を喰らい、さらには投薬による抑制。黒で塗られ、】
【さらに上から白で塗りつぶしたような不安定な状態には変わりない──しばらくは安静にした方が良いだろう】


薬に関しては了解です。まあ、今は眠っている用ですので出来るだけ自前で済ませられる様に気を付けます。
無理を言って申し訳ない。ともかく、ありがとうございます。──こちらからお願いした訳ですし何が置きても恨みはしませんよ。

──結果、貴方の研究成果とブツかる事になるかもしれませんがね。

【「まあ、その時はよろしくお願いします」と冗談の様に言うが。が、闇の力が抑えられた以上】
【おそらく彼が付くのはヴィルヘルムと反対側の勢力となる。──研究者である彼がそれをどう思うかは分からないが】

<> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/05(火) 00:39:19.68 ID:LHPkWD/yo<> >>541

【──案の定、道が分からないらしかった少女は、ぎくり、と足を止め】
【バツが悪そうに、ディックの方へと帰って来る。 ……楽しげな会話は、もう少し続きそうだった】

/お疲れ様でした! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/05(火) 00:41:37.29 ID:8sP7p+vUo<> >>543

私の研究成果と……あぁ、そうだね。だと良いんだが。
流石に能力というのは奥が深くて、咲かせるだけでも不安定だから。
花やペットのように、望んだ種別を得られれば……これは、また別の機会に話そうか

……さあ、そうしたら家に帰って暫くは安静に。
私は医者ではないが、馴染むまでは大人しくしたほうが良いに決まっているからね

【コーヒーを飲んだら帰ろうか、と言葉をかけながら、自身はあっさりと飲み干して】
【相当に甘い液体だったはずだが、彼の様な人種には問題にならないらしく】

【やがてリロードが何かの話題で話をするか、或いは別件が起きなければ】
【来た道を戻るようにして、二人は地上へ出ることになるだろう】
【そこでお別れの小話でもすれば、珍道中は一先ずの終わりとなるだろうか】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/05(火) 00:48:20.29 ID:cWAg+NnMo<> >>542
中々ブラックそうな本ね……でも、その辺の知識は手薄だったしありがたいわ
……あぁ、私の目的は知識の収集で実践ではないから、そこは心配しないで大丈夫

【確かに魔法のカテゴリーとしては忌み嫌われがちなジャンルであるが、彼女にとってそれは気にすべき問題ではない】
【大事なのは、既知か未知かの一点──その点で考えると、彼女の蔵書はとても魅力的】
【もし実践にでもするのかと思われて話が潰れたらたまらないと、慌てて付け足した】

あら、早速いいの?私としては願ったりかなったりね……
なら、あなたが大丈夫ならそちらまで取りに行かせてもらっても構わないかしら?善は急げとも言うし

【どうやら、今晩の私はついているらしい──そんなことを、心のなかで思う】
【フラりと立ち寄った公園で、まさかこんな収穫があるとは思いもよらなかった……たまには、いいこともあるものだ】
<> リロード・ザ・マジシャン
◆60/reloads<>sage saga<>2015/05/05(火) 00:56:48.77 ID:nLMk2Sfso<> >>545

【立ち上がると、くらりとめまいがする。薬の影響もあるだろうが思えば今日は少し疲れた】
【はは、と苦笑すると接続したばかりの腕を馴染ませる様に軽くストレッチをして】


……ですね。少々疲れた。

【ふう、と息を付けば彼についていき地上へと出れば】
【彼が研究所にそのまま戻ればそこで別れ、】
【また移動をするならばその先までの護衛を申し出るだろう】

【変わらない事と言えば、別れ際には再度礼を言って握手を求め】
【応じずとも、最後に彼はマントを翻してこう言うだろう】


──さようなら、ヴィルヘルムさん。また会う日まで。

【はてさて、強制的に押さえつけられた闇≠ヘ彼の思惑どうりになるか】
【爆弾≠ニなるか──それは神のみぞ知ると言った所だろうか】


/ロールありがとうございました! <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/05(火) 00:57:46.15 ID:LzjUMFNwo<> >>536
/絡んでも大丈夫でしょうか <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 00:59:07.42 ID:bScPvH9Z0<> >>546

大体読んだがね、ほとんどが眉唾だよ。そもそも、そんな魔法があるのか知らないけれど――。
……ああ、前怪しげな店主に聞いたときはないと言っていたな。ないんじゃないかしらん。

【両親はいろんな本を持ち込んだ。読んでみたけれど、それで人が生き返るとは、思えなかった】
【悪魔と契約する方法とかなら、まだいい。錬金術の本も、まだ許す。もっとくだらない本も、たくさんあった】
【結局、人を生き返らせる方法なんてないんじゃないかしらと呟いて、彼女は曖昧に首をかしげる、】
【そうして、冷たい視線を地面に刺して――どうも、この話は乗り気じゃないようだ。相手のテンションに反比例して】

構わんよ。じゃあ行こうか、――あんまり遠くない。
数が多いから後で郵送してやってもいいのだけど。ま、……まずは現物を見たほうが良いだろうから。

【一度彼女の視線は相手をじっと見つめる、それで、確認するようにして――ふむと小さな声】
【相手の表情や声で、なんとなく分かったのだろう。彼女が、あの子たちを大切にしてくれそうな、感じ】
【とりあえずどんな物があるのかだけでも見せたほうがいいだろうと言って、彼女は相手に背を向ける、それで、】
【「こっち」だと誘って、歩き出すのだろう――ちなみに、身長のせいか、その歩みはあんまり速くはなく】
【のんびりと散歩のようなペースになるだろう。涼しげな風が吹きぬける、道中、楽しく話してやろうという気概も無いのか】

……そうだ、キミの名前は?
私はアンネリーゼ、――長いならリーゼでいい。慣れてる。

【道中でただ一度名前を尋ねただけだった。話題を振られれば答えただろうが――】

【――そして場面は、彼女の家の傍に移る。道のすぐ脇には川が流れていて、足元は煉瓦敷き】
【小洒落た家が多く、二人が目指した建物も、大体そんな感じだった。――煉瓦で造られた、洋館】
【古びて大きな鍵で施錠されていて、彼女は短く「ここだよ」と教えたと思うと】

昔、両親が図書館をやっていて。本はほとんどここにあるから――ああ、鍵を取ってくるから待っていてくれるかな。

【何にもなければ、そのまま、裏手のほうに行ってしまうのだ。もちろん、すぐに戻ってくるだろうけれど――】
【個人経営の図書館。蒐集癖や読書好きが高じて、趣味がてらやっていたもの。やっていた時期は、今から十年以上前】
【もしかしたら知っているかもしれないが、知らなくても問題はない。趣味ゆえ、変わった本があると一部の人に有名ではあったが――】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/05(火) 01:05:51.68 ID:8sP7p+vUo<> >>547

【別れ際の握手はしっかりと交わす。久々に人と長く話した】
【それだから楽しかった。そんな小話も交えてみて】


【――ところが、だ。去り際にいざリロードがマントを翻せば】
【そこにはヴィルヘルムは居なかった。それどころか】
【地下につながる研究所すらも、全く存在しておらず】

【しかし手には確かに処置の後と手の温度が残っていることだろう】

【確か、ドラクレア島の特色といえば――記憶が具現化すること、だったか】
【ゼン=カイマ自体もそうだった。だとすれば、彼自身が】
【ヴィルヘルム・フォン・グライツという人間も、記憶の存在だったなら】

【勿論答えは出ない。代わりに、ジャングルの鳥類がはためいてゆくばかりであった】

/お疲れ様でしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 01:07:43.94 ID:h1BDHT9r0<> >>548
/長時間は難しいかと思われますがそれでも宜しければ! <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/05(火) 01:13:50.29 ID:LzjUMFNwo<> >>536 >>551

【森の奥から全く景色と似合わない物音が、オレンジの丸い明かりが2つ】
【一定のリズムを刻む音、エンジンの音だ。だが元気のない全力で最小限のパワーという感じ】

どこまで行っても…はぁ…森ばかり……モリッシーもポケットに入りきらないな…こりゃ

【それを手で押す男は疲労困憊で妄言のようなことを口走った。知る必要なんてない。全部妄言】
【砂埃だらけの髪の毛、同じように汚れた黒のスーツ、赤いシャツ。全くもって森には不釣り合いである】
【それにサングラスだ。こんな場所でも彼はかけっぱなしで歩いていたのだった。呼吸はもう限界だ】

西…西はどっちだ……こっちだったはず…

【持っていたコンパスはもう全方向にグルグル回ってる。買った時からそうだった気がしないでもない】
【ついに脱出と思って顔を上げたが、まだ森ので月の光が降る中に修道女が居て、彼は悟ったように】

ついに…俺も…死んだか…

【あっちゃ〜しまったと、頭を抱えて、ため息を付いた】


/気にせずいつ落ちちゃっても大丈夫なので気軽な感じでよろしくお願いします <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/05(火) 01:18:16.26 ID:OZILvxj8o<> >>549
そうね、今までもそういうデタラメ魔法書ってのには何回か引っ掛けられてるし
でも、そのなかにマジの物が混じってたりするから気が抜けないのよ……見つけられたときの喜びは、計り知れないけどね

【それに、眉唾だったとしても活字は好きだし──と、付け加える】
【そうやって価値のあるものを発掘するのも、彼女の楽しみなのだが──どうやら、少し好き勝手に話しすぎたらしい】
【話し終わってようやく相手のテンションを悟り、「すまない」と一言添える】
【魔法という技術には、いい思いを抱かない人もいることを知ってはいたはずだが──ついつい、忘れてしまう】

そうね、百聞は一見に如かずとも言うし
私はユーフィー──よろしくね、リーゼ

【実際に現物を見るのには乗り気なようで、すぐに賛成してくる】
【そして二人して歩き始めるわけだが──こちらも、本来饒舌な性質ではないので、話題をふることもなく】
【名乗り返しただけで、道中の会話は終わってしまう】

図書館を──それはすごいわね、色んな宝が眠ってそう
えぇ、ありがとうね

【その当時は別の場所で知識の収集をしていたので、その存在は知らなかったが──彼女の説明を聞いて、期待に胸を昂らせる】
【恐らく、なかにいれてもらったら放っておいたら一日くらいは平気で蔵書に没頭していそうだ──そういう性質の人物である】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 01:30:26.96 ID:h1BDHT9r0<> >>552
【――――気怠そうに、と表すべきだろうか。然れど得物に手を伸ばしていない事から敵意を感じ取る事は無いであろう】
【ただ、何者かの気配がしたから確認の意味を込めて視線を送った。その程度の事だったのだが】
【恐らくは自分を見た感想であろう言葉を聞いたならば呆れた様に溜息を吐いて】


「あのねぇ…………確かにボクは死神なんて素敵な名前を貰ってたりするけど、節操なく殺し回るわけじゃ無いんだからいきなりそんな言葉を投げられるのは心外だなぁ
大体にしてさ、こんな森の中で何で態々そんな物を引いて歩いてるのかな。訓練だと言い張るには随分窶れてるけど
どっかの樹海みたいに自殺の名所でも無いんだから、変な事考えないでよ?」

【男に対して場違いだ、と言うけれど。修道女がこんな場所に居る事の方が余程場違い】
【何故男が此処を訪れたのは分からない――――が。少し前の呟きを思い出せば何と為しに検討もつく】
【星々を見上げたならば不意に突きつけた指。正確には、男の少し頭上を指し示していて】


「因みに、西はキミが今来た方向だよ?
…………西、西と呟きながら真逆に進んでるんだから良く分かんないけど……どっかに行く最中?」

【星座の位置だとかから方角でも特定したのだろう。無情にも告げられるのは、男の目指していた方角は真逆だ――と】
【苦労を重ね、疲労困憊の中歩み続けた者にとっては何とも酷い話か】
【「それとも、ボクに何かご用だった?」そんな言葉を紡ぎ、反応を待つのだけれど】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 01:33:27.88 ID:bScPvH9Z0<> >>553

【時間にしてほんの数分。戻ってきた彼女は、その手に、じゃらりと古びた鍵束を携え】
【建物といい、古びたものが好きなのだろうか。もちろん、これを建てたのは彼女ではないだろうけど】
【待たせたね、なんて言って、がちゃんと鍵を開ける。そうして、ユーフィーを室内に招きいれ】

【明かりを灯せば、中にはたくさんの本棚がある。といっても、いわゆる図書館のようではなく】
【元々はただ普通に人が暮らすための洋館なのだろう。そこに、いろんな場所に本棚を置くことで図書館にしているy】
【そのために変な位置に本棚があったりして――まあ面白い。ただ、ここいらにあるのは、普通の本だ】

普通じゃない本は奥に置いてあってね。こっちにあるのは普通のもの。
こっちにあるのも貸し出すよ、欲しいならば持って行ってもいいけれど――この辺りのはよく読むから。

【明かりをつけても薄暗い室内。外はあんなに明るいのに――と思えば、全ての窓は暗幕に隠されて】
【元図書館と言うこともあって貸し出しもしてくれるらしい。ごく小規模、少女に把握できる限り、だけど】
【ただ、まあ、この辺のはお気に入りだからあんまり譲渡と言う形にはしたくないらしい。なんて、呟きながら】
【ドアを開け開け奥にいざなっていくのだろう。いくつかの鍵の掛かったドアを開けた後など、なんとも埃っぽく】
【あんまり立ち入らないのが知れて――封印されているみたいだった。もちろん、魔術的な要素は、ないけれど】

……さあ、ここだよ。ここのものなら何でも持って行ってもらって構わない。

【そして、やがてその部屋にたどり着く。他の部屋と変わらない洋式の扉、しかし、鍵はどこよりも厳重で】
【それを開けてやって、扉まで開けると――黴と埃と、それから魔力の匂い。全てが吹き溜まって、なんとも重たく】
【自分が入るよりも先に相手を入れようとするのだった。入れば、相手の後ろを追いかけるように、部屋に入り】

悪いね、埃っぽくて。窓がないんだ、この部屋は――、

【「せめて扉を開けておこうか」なんて呟いて、また明かりをつける。久しぶりの明るさに、埃はわっと空中を舞い】
【――中には本棚がいくつか。全体的に埃っぽく、喘息の人間ならそのうち死ねるだろう。そんな具合で】
【本棚にあるのは、さっき言ったとおりに、黄泉や生き返りに関連するものばかりだ。呪術だの、錬金術だの、そんなジャンルが多い】
【たまに全うに怪我を治す術などの本もあるのだが――開けば、治療も行き過ぎて蘇生にまで話が及ぶ代物で】
【ほとんどがただの本なのだが、時々魔力の篭った本もある。まがまがしい気配を持つ本もあり、その辺りが特に気を惹くだろうか】
【よっぽど危ない本はなさそうなのだが――いや、一冊だけ。血と血を幾重にも塗り重ねたような、特別重たい雰囲気の本があり】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/05(火) 01:39:21.17 ID:1FdOY7Fko<> >>555
//すいません、当方眠気が辛く今晩は落ちます……
//続けるかは任せます、続ける場合は張り付けるのは明日19~20:00ほどからになるかと <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 01:47:12.52 ID:bScPvH9Z0<> >>556
/了解ですっ、それでしたら、明日再開ということにしてもらえたら嬉しいですー
/その時間で大丈夫だと思いますです。ひとまずおやすみなさいませですっ <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/05(火) 01:47:33.11 ID:LzjUMFNwo<> >>554

【頭を抱えて色々考えていた。これから天使に連れて行かれるのか、賛美歌流れる中】
【審判にかけられるのか、まあきっと地獄かな…でも悪者の中ではマシな方だし良いことも】
【してるから差し引き0ぐらいにならないものか……などとコンマ数秒の間にグルグル――】

―――生きてる?…マジで?…ハァアア…よかった…

【一転、ガッツポーツ&安堵の表情で魂が抜けるぐらいの長い長いため息を吐いた。マジで死んだと】
【思ってたんだろう。暗い森の中1人で疲労困憊なのだ。それにこの男は心身ともに強い方ではない】

…検問、張ってたんだよ。普通はこんな道は後回しにするのに、暇だったのかしらないけど
向こうの336号線ね。私道に潜って、よくわからん道に入ってったらこうなった
336号線から北西に走る道に入ったから253線に抜けてルート15から16番ハイウェイに行けるはずだった
………なんでかな……何でだと思う?

【そんなの知るか。彼はそんな質問を投げかける。自分事をブツブツ喋って話も聞かずマイペースなやつだ】

東かあ……じゃあもう東でいいかあ……別にどっちでもいいんだよ。朝、さ。なんかこう……パッと、ね
西だな…って。西に行こうぜって…

【もうわけわからないけど、検問を避けて、適当に突っ走ってるのだからろくな人間じゃないのは確かだ】

……用ね……用……あー……ううんと………

【間がいちいち長い。まどろっこしい。テンポが悪い。イライラする】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 02:04:54.10 ID:h1BDHT9r0<> >>558
「うーん…………そうだねぇ……客観的に見た答えで悪いんだけど……其れはキミが抜けてるからじゃない
いやいや、別に悪口を言いたいから言ってる訳じゃ無いんだよ?
だけど普通に考えで私道を走っている内に森の奥でしたー、なんてさ……暇潰しに目隠しで運転でもしてたの?」

【所謂ジト目だ。私道を走っていたはずが森の中に潜り込んでいた――――そんな話を聞けば、当然の反応かも分からないが】
【更にガッツポーズも加われば肩を竦め、「やれやれ」と言わんばかりに苦笑いを浮かべ】
【「それに」と続けたならば指していた指を立てて】


「別に後ろめたい事が無いなら検問ぐらい普通に通過しても良いんじゃ無い?
――まあ、後ろめたい事があったから避けてきたんだろうけど。ボクは自警団でも警察でも無いから飲酒運転でも何でも関係無いけどさ

仮に、キミがカノッサだとか凶悪犯だとかなら…………本当に“死んで貰う”事になるよ
特に、カノッサに関しては全然良い印象が無くてね
もし殺されたなら身体も軽くなるし、壁も通り抜けられるからキミが行きたがってた西には簡単に行ける様になるけど」

【凄む訳でも無い。寧ろ、緩んだ笑みを見せながらその言葉が紡がれるのだ】
【――――故に、異質。冗談の様で、全く冗談に聞こえない。何よりも、腰に提げる銃が其れを証明する事となるか】
【何よりも命を尊ぶ筈の修道女が命を殺めると言い放つのだ。尤も、其れは機関の者達或いは数多くを殺してきた悪人に対してのみ】
【窃盗こそ泥等々は自分の管轄外だ、と暗に告げているのだけれど】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/05(火) 02:29:15.77 ID:LzjUMFNwo<> >>559

急に森になったら流石に俺だって気がつくさ。けどね…こう…ちょっとちょっと森になってくじゃん?
なんかけもの道ぽかったけど…まあ何処かにつくだろうと思ってたら…まあ…こう……反省するよ

【手でジェスチャで何か森とか道とか丸いモヤモヤとか長いくちゃくちゃとか表現しているが伝わるのは】
【そういう感覚系の能力者でないとわからないレベルで分からないしジェスチャと話はほぼ合致しない】

後ろめたい事があったからこんな目にあってるんだろ。アタリマエのことを聞くなバカっ

【馬鹿はこいつなのになんだか凄え偉そうだ。ボサボサになった髪の毛をワシャワシャ掻いて】

…そんなこと言われてバカ正直に名乗る奴が居るか。折角、生きてたのに撃たれちゃかなわない
まあ…カノッサとかその辺のテロリズムとは関係ないよ。イデオロギーだのポリシーとは無縁だ
凶悪犯……凶悪のつもりは無いなあ…殺しも出来ないチンケな泥棒だよ。前のシゴトの相棒がしくじって
死んじまって逃走の計画が全部ポシャったんだ。…まあ……いいや……信じるか信じないかは
任せるけど、信じるのが宗教家の仕事の1つじゃない?これでも信心深い方だよ俺は

【ニヤリと笑ってみせたが疲れきった顔には若干のホラーだ。サングラスだし、ガリガリだし】
【余裕そうに笑っていたのだったが、何の前触れもなく急に倒れるのであった。全部が唐突すぎる】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 02:47:36.83 ID:h1BDHT9r0<> >>560
「分かった。少しずつ森になっていくとして……それはもう、本当に少しずつ森になっていくとしてだけど
――――何で其の時周り右をしなかったのさ。もしかしてジクザグに進んでたら〜なんて変な事……言ったりしないよね?」

【分からない。否、普段は“飛んでいる”のたから道に迷う事とは無縁だけれど】
【其れでも何故バイクでこんな場所に迷い込んだのか。結局は、全ての疑問は其処に帰る】
【――――けれど、其れを知った所で今更何かが変わる訳でも無し。深く追求する事は無く、変わりとして短な溜息を吐いて】


「言っちゃ悪いけど、ボクはこんなナリをしてても神サマは嫌いだよ?
そもそも信じちゃいないしさ。大体にして本当に神サマが居るなら……キミはよっぽど嫌われてるみたいだ
信心深い人をこんな辺鄙な場所に導くんだから――――って、ちょ、ちょっと?!」

【男の話を聞いても銃に触れる事は無い。と、言う事は。少なからずその言葉を信じては居るのだろう】
【泥棒だ、と明かされても咎める事が無い辺り色々と可笑しな所は有るのだが……そんな事は、修道着を纏いながら「神は嫌い」と言い放つ前では些細な事】
【兎にも角にも、この森から出る方角を示して自分も教会に戻ろうか何て考えた矢先の事】
【ふと気付いた頃には、見事この大地に伸びているのだから流石に驚きの声を上げて】


「あのさぁ……キミ、よくそんなんで泥棒稼業なんて出来るね。今刑務所に入っていない事がボクには奇跡に思えるよ……

ほら、立てる?ったく、これじゃあバイクに引き摺られてる情けない大人だ…………
此処に其れを置いていっても良いなら、街まで送ってあげるよ?」

【近づいたならば、片手で襟首を掴んで立ち上がらせる事だろう】
【其れが叶ったならば、バイクにでも寄りかからせて】
【続けたのは、近場の街まで送る何て提案だ。然れど、それの代償として此処にさっきまで乗っていたであろう物を置いて行く事となる】
【獣も居るし、魔物も居るかもしれないこの場所。一日二日放置しただけでも結果は容易に想像出来るだろうが】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/05(火) 03:06:08.41 ID:LzjUMFNwo<> >>561

走り出して、振り返るのは嫌いなんだ。同じ迷うならこっちの方がいい
何処までも行けるはずなんだよ。意志と運命が絡み合えば必ず…

【心的な迷いを嫌った。迷わないからこそリアルで迷う。思慮が足りないとも言い換えれる】
【言い方はやけにかっこよかったが考えればそういうことだし、ぶっ倒れているしかっこ悪い】

違うんだよ。祈るのが大事なんだよ。祈りは無意味だけど、必要なことだよ。…マジでマジで
神様なんて居てもいなくても知ったこっちゃない。要は祈りだ。祈りが全部だよ全部

【襟首を掴まれながらまたカッコつけたような理解できるような出来ないようなことを口走っていた】
【立ち上がったのなら寄りかかりながら、なんだか頭をフラフラさせて】

二、三日身を潜めれるならどこでもいい…取り敢えず水取って…カバンに入ってるから
…それも盗品だから別に構いやしないよ。どうせどっかで焼き捨てるんだ

【ちゃんと計画を立てるプロには実行した後、報道を抑えさせたり証拠や情報を消したりして捜査を打ち切らせる】
【係の人間ってのが居てそれが掃除を終わらせるのには3日あればいい。掃除が終わるまで逃げれば良かった】

【彼の言うカバンはバイクの後ろにくっついていてファスナーを開ければ三日前の新聞や札束、拳銃など】
【詰問したくなるものが沢山詰まっていた。身分証は3人分あるし、ペットボトルもまあ一応ある】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 03:25:23.85 ID:h1BDHT9r0<> >>562
「キミねぇ……偶には振り返らなきゃ、自分の足跡も分かんなくなって帰る所も忘れちゃうよ?
大体にしてさ、何処までも行けるって下手をすればそのまま地面突き抜けて地獄まで落ちそうに見えるけど
其れがキミの言う何処までなら別にボクが口出しする事でも無いんだけど」

【言われた通りに鞄を開けば、目当ての物を取り出すのだろう】
【その最中に金だ何だと勿論目に映りはするのたが――――変に深く関われば面倒に巻き込まれそうだ、と見て見ぬ振りをして】
【器用にも片腕でキャップを開けてやれば、其れを差し出し】


「身を潜める、って言っても…………ま、近場の農村なら宿もあるしあまり人が来るわけでも無いから良いかな
ボクもそろそろ教会に戻る時間だ。空の旅を満喫、なんて事は出来ないけど
ほら、さっさと必要な物を持ってさ。多分、もう此処には戻って来れないよ?」

【空の旅。転移の魔法では無いのだから、少なからず不穏な言葉にも聞こえるだろうか】
【急かすように身支度を調えさせ、其れが終わったならば。不意に、男と手を繋ぐ事となる】
【恐らくは何だ、と考える間も無く靴の底は地面から離れ――――数秒も経たぬ内に、遙か上空へと舞い上がっている事となろう】


「あー……聞き忘れたけど。早いのとか高いの、平気かな?
いや、無理でも後戻りするのに時間掛かるから我慢して貰うけどさ…………」

【何事か、と女を見ればその背には純白の翼を生やしていて】
【――――それにしても、問うのが遅かった。答える前には高速の飛翔が行われ……出来る事と言えば、精々手荷物を落とさない様にする事と手を離さない様にする事】
【絶叫マシン何ぞ足元にも及ばぬ不安定な空の旅が数分続く事となり……空の道を行く分、目的の農村に着くのも早いのだが】

【農村上空で停まれば、ゆっくりと下降して男を地面に立たせるのだけれど】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/05(火) 03:56:40.82 ID:LzjUMFNwo<> >>563

…行くしか無いんだよ。地獄だってどこだって

【彼は一言だけ言った。何よりも重かった。これが彼の全てだ】
【少しシリアスな雰囲気で、今にも死んでいくような気配だった】

あ…ありがと。いや、でもまあ……こうして助かってんだからやっぱね
正解だったんだよ。そういうもんだって…俺はいいんじゃないかな

【水を飲んで、また気の抜けた様に適当な事を話していた。下手すりゃ死んでいても】
【おかしくないのに器がでかいのか既に壊れちゃってるのかよくわからないが】

【荷物も別に持って行こうなんて思わなかったので全てそのままにした。どうしてもって】
【ものも無かったし、必要な物は身につけていた。まあ別にそれでいいじゃないか】

…ん?空?…空って…ちょ、うわっ

【されるがままに手を握って、強引に空へと連れて行かれる。驚いているのだが、反応は薄めだ】
【まあ元々、フワフワしているから慣れてるんじゃない…ってのは皮肉で、そんな彼が言ったセリフは】

…重くない?大丈夫?女の子にこういうことしてもらうのは申し訳ないっていうか…ホント大丈夫?

【妙に気遣いしていて、ずっと心配ばかりしているのだった。変に優しくて、本当に泥棒か怪しいものだ】
【ついたときもまずは相手のことを気遣っていて…どうやら空も高速も、強い方だったみたいだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 04:09:33.54 ID:h1BDHT9r0<> >>564
「んー?重いよ?そりゃボクだって特別力持ちって訳でも無いし
本当に悪いって思ってるならその内何か奢ってくれれば……って思ったけど、よくよく考えれば其処で使うお金もキミのじゃ無いんだよね…………
じゃあ、特には無いかな。あ、そうそう。ならボクの所の教会かゼン=カイマにでも寄付しといてよ

彼処の教会もまた壊されちゃったみたいだし。ずっと荒れたままって言うのも不憫だからね
――――その原因を除かない限り、ずっと解決しないのかもしれないけど」

【空を飛びながらも返す言葉は、特に力んでいる風でも無く】
【――――ただ、それでも男を置いた後は腕を回していることから重い、との言葉は本当だったのだろう】
【対価として求めたのは“寄付”。それだって「気が向いたら」と付け加えられているのだから強制でも無く】


「それじゃ、ボクは教会に戻るけど…………
嗚呼、そうそう。ボクがキミを連れてきたのは他の人達には内緒だよ?
それと、捕まってもボクの事を知らせないこと。只でさえ面倒事の最中なのに、まーた別な事に巻き込まれるのはごめんだからね」

【取り敢えずは目的を果たした。クスリ、と小さな笑みと共に別れ際そんな言葉を残して】
【――――間も無く、その姿も再び上空へと消える事となる。遙か上空、見えるかどうかも分からないけれど】
【手を振ったならば、その姿も彼方へと失せて】

/時間も良い感じてすのでこの辺りで……!お疲れ様でありました! <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/05(火) 15:34:51.02 ID:LzjUMFNwo<> >>565

いや…あの…ごめんね。奢るから奢るからちゃんと…
どうせ、誰の金だとしてもパンケーキの味もステンドグラスの美しさも変わんないよ
俺がいくら盗んだところで奴らはなんともないんだ。現に、世の中は何一つ変わってない
寄付ってのもなあ……なんか恥ずかしいよね。敬虔さか下心を感じて

【そこらの人間が寄付をするのは敬虔さの証だが、ろくでもない人間が多額にするのは】
【それで許しを請う、または許してもらったと自己満足に浸りたいように見えてしまうのだ】
【どっちにしろ教会からすれば金なんだからいいのかもしれないが、彼はなんとなく好きじゃない】

ん…ああ…言うつもりはないけど…わかったよ
それと、ありがとう…サンキュー。マジで
あっ、そうだ…あーっと………そうだ……アンタ一体何なの?……って居ないか

【名前を聞こうと思ってももう居なくて、ポケットに手を突っ込んでぼんやり見上げながら見送った】
【それからこの先どうしようかなあとタバコに火をつけてぼちぼち考え始めた】


/ありがとうございました!おつかれさまでした <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/05(火) 19:01:17.52 ID:sOjtAQ0dO<> 【街中】

【本屋の自動扉を長身の男が抜けてきた。赤黒い外套を羽織り、左耳には女物のルビーのイヤリングをつけているという】
【なんだか変わった格好の男だ。顔は東洋人風で、三十代前半といったところ】
【腕には紙袋を抱えていて、開いた口からは本や新品の紙といった雑貨が顔を覗かせていた】

【今、彼は本屋から出てきて、一歩目を踏み出したところだったのだが────】

──────「にゃーん!!」

【物陰から偶然にもタイミング良く飛び出してきた野良猫が、男の足に思いっきり激突した】

いってぇええええええ!!

【男は情けない大声をあげながら重心を崩し、前方へと重力に引っ張られて落下!】
【要はずっこけたのだ。それに伴って腕に抱えていた紙袋が彼の手元から脱出。空中へと旅立っていき──】
【──重そうな本やら重ねてまとめられたやっぱり重そうな紙やら、小物やらが、散らばっていく】

【もしかすると通行人の誰かに辞書みたいな厚さの本の角が当たったりするかもしれない】
【あるいは単に目の前に落ちて通行の邪魔をするか、こけた男自体が邪魔だったりするかもしれない】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/05(火) 19:11:16.46 ID:g8HtvQi4o<> >>555
図書館というには洗練されてるわけでもないけど、それも味があっていいわね……うちも真面目に本棚で管理した方が、見映えがいいのかも
悪くない提案だけど、何はともあれ魔法書からね

【まるで始めて公園に来た子供のように、部屋の様子を興味深そうに見渡している】
【魔法に関わるものに限らずとも、こういった雰囲気はお好きなご様子】
【話を聞く限りでは、彼女の家にも本は色々あるようだが──今の彼女なら、聞いたら色々と話してくれるのかもしれない】
【それくらいには、目の前の少女に気を許している】

ケホッケホッ……なるほど、色々な本があるようね……玉石混交って感じだけど
一先ず、これとこれと……ん?

【急に環境が悪くなって咳き込んでしまうが、その程度で引き下がるような柔な体ではなく】
【本棚まで寄っていって、いくつかの本から感じられる魔力を頼りに有望そうな書物をリストアップしていく】
【そうやって順々に眺めていると、一際異彩を放つ一冊の本が目に入った】

何かしら、この本……迂闊に触れると面倒なことになりそうだけど
リーゼ、この本について何か聞かされていたりする?

【第一印象は、パンドラの匣といったところか──見るからに危険な香りがプンプンしているが、恐らくはそれに見合った中身もあるのだろう】
【ユーフィーとしてはすぐにも開いてみたいところだが、さすがに命は惜しい──本の所有者に、情報を当たってみる】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/05(火) 20:02:03.22 ID:qJGhId8qo<> 【公園】
【春の陽気に誘われてか子供達も元気に外を駆けずり回るこの頃】

いってぇ!ちきしょ!かーっ!

【人目も憚らずそう声を上げるのはベンチに座ったこの人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性である】

【後ろから見れば分かるがお面の下の頭には包帯を巻いており、今は腕に負った傷にガーゼを当てて包帯を巻き直している様で】

痕が残らねえかだけが心配だってーの
特に頭よぉ…ハゲになんねーだろーな。コレだけは怨むってーのーかーっ…かーっ

【溜息とも愚痴とも言えない様な息を吐き】
【隙間が目立つ程に乱雑に腕に包帯を巻くと、銃弾でちょっと抉られた側頭部をポンと叩いて】

いっ――――てぇ!!!

【自分で叩いた側頭部の傷の痛みに思わずもう一度叫ぶのである】 <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/05(火) 21:42:22.59 ID:C+j49gQxo<> 【それは夜中の公園での出来事だった】
【黒い紳士服に身を包んだ屈強な男たちがベンチに座っている人物を複数人で中腰で取り囲み、首を垂れている】
【彼らは静かに息を整え、やがてその人物に叫ぶだろう】


『―――――剛太郎さん……25歳のお誕生日!おめでとうございますッ!』

『『『おめでとうございますッ!!』』』


あ、ああ……そっか、今日俺の誕生日か
なんか突然呼び出されたから何の用事だろうと思ったけど……ありがとう、ちょっと嬉しいよ


【ベンチに座っている人物は柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、きりりとした目元に真っ赤な瞳、整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【首には常に彼の妹からプレゼントで貰った赤いマフラーを巻いているのが特徴的な青年だった】

【その青年は突然呼び出されやや戸惑いながら―――もっともマイペースに柏餅など食べているが】
【ともあれ、その好意が素直にうれしかったのか、やがて彼は屈託なく笑顔を零す事だろう】


『後でゼンにお誕生日プレゼントを用意しておきますのでどうかお受け取りください!ゴウさん!』

うん、ありがとう
……そっか、俺もうそんなトシになるのかぁー、もうこの世界に来て4年くらいは経っちゃったんだな
なんかもう自然とこの世界になじんで普通に仕事して生活しちゃってるけどな。……実際治安以外は結構悪くない所だしこの世界

―――よっしわかった!プレゼントは後で受け取るからとりあえずはパーッと飲もうぜ!酒買ってくる酒!


【レシート後で"WILD"に出しといてください!とか背中に声を受けながら、久方振りにうれしそうな顔で公園を飛び出すであろう青年】
【いい年して誕生日で浮かれ気味なムードで街に飛び出すモノだから……もしかすると偶然街中でぶつかったり、えらく目立つ様子の彼の姿が目に入るかもしれない】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/05(火) 22:09:20.51 ID:8sP7p+vUo<> 【水の国・中央博物館】

【――30分前、博物館の正面に数台の大型トラックが突如として現れた】
【荷台からは数十人の重装歩兵。彼らは銃器を手にして博物館へ侵入し】
【警備の人員を即座に制圧、拘禁。客は殺さず追い出し、美術品を運び出し始めた】

【強盗、にしては大胆かつ大集団。――なにより、歩兵のヘルメットには】
【いずれも逆五芒星が刻まれていて、如実にどういった連中かを物語っており】


【そして現在も美術品の運び出しは続いていた。そのトラックを守るように】
【車列の前に折りたたみ椅子を置いて、ルービック・キューブで手遊びをする男が一人】
【白いワイシャツにジーンズ姿。ふわりとした金髪で、視線は手元に集中しており】

青をこっちにやると、白が二つ戻ってくる。
じゃあ先に赤を動かして……でも、そうすると緑が崩れる、か。

……難しいなぁ、これ。本当に解けるように出来てるのかな?

【一言で言えば、不気味な様相だった。兵士たちは全員が運び出しに回っており】
【護衛といえばこの無防備な男ただ一人。それも、彼は名の知れた人物でもあったのだ】
【六罪王、ダグラス・マックスウッド――さしもの自警団も、遠巻きに強盗を眺めるより他に無く―――。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 23:05:42.85 ID:bScPvH9Z0<> >>568

……どんな本が好きなんだい、やっぱり魔道書?
うちは基本的には普通の本ばっかりなものだから。ほとんどが親の趣味だけれども――。

ああ、絵本は子供たちで決めたものが多いかね。好きにしてよかったんだ。

【がちゃりがちゃりと扉を開けながら。話すのはそんなこと、たくさん本があるとなれば――】
【どんなものが多いのだろうと気になってしまうのが性、仕方ないもので、どうしようもないこと】

【それで、最後の扉を開けてやって。正真正銘の行き止まり、あるいは吹き溜まり、そこにあるのは、アヤシイ本ばかり】
【その中でも特に態度の悪いのは――まあ、やっぱり、“その”本だ。血を幾重にも塗り重ねて何度も乾かしたような、色の】
【くすんだ、それで居て深い、或いは不快な色味。鉄臭さはとうに消えて、ただ、古びた血の色だけが残る本】
【それは表紙だけでなく頁すらも。というか――血だまりに何度も何度も沈めたように、全てが旧い血の色合い】

それは……なんだったかな。何か聞いた気がしたのだけれど。忘れてしまったよ、……なんだったかしらん。

【「私も読んだことはなくって」と少女は言葉を続ける。結局判明したのは“正体不明”。ただ、全うなものでないのは明らか」 
【強いて言えば開いただけで魂を喰われるようなことはない、そこまで見境の無い奴ではないため――】
【勇気を出して開いてみれば、何とか正体は分かる。その実、悪魔を召喚するための媒体になってくれるものらしい】
【自分じゃない他人の血を用意して、目当ての魔術の頁を開いて、本を血に浸し、呪文を唱える。そんな、呪われた系譜の本】
【ただそれでいて効果は大したほどではなく、呼べるとして低級の悪魔程度。それさえもむずかしく】
【ほとんどは何にも起こらないまま終わる。使用者はただ悪戯に他人を傷つけるばっかりの――趣味の悪いトラップのような】
【まがまがしい気配こそすれ、何の設備もなく置いておけた程度には安全。――安全と言えるのかは、別として】
【本物の呪いに使えそうな本と比べたら、子供の玩具みたいなものだ。ただ、人の血を吸いすぎたきらいはあるのだが】

……ああ、悪魔を喚ぶのだったかな。……悪魔?

【しばらく考え込んでいた彼女は、数十秒かそこらして、やっとそんな声を洩らすのだろう】
【確かに昔に説明された気はするのだけど――まあ、彼女が子供の頃にやってきたものだ。うろ覚えだった】
【それで居て目次を見る限り、確かに「死者を生き返らせる」なる項目があり――蒐集者にはそれが目当てだったのだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(空)<>sage<>2015/05/05(火) 23:10:30.86 ID:C+j49gQxo<> />>570取り消しで

>>571


―――おまえらッ!!そこでなにしてる!?美術品強盗か!?


【突如、その強盗集団の元に馳せ参じる人影が無防備なその男の方向めがけて走ってくるのが見えるだろうか】

【その人物は柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、きりりとした目元に真っ赤な瞳、整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【首には常に彼の妹からプレゼントで貰った赤いマフラーを巻いているのが特徴的な青年だった】

【遠くからこの異常に感づき馳せ参じて来たようなのだが、―――なんだかえらく締まらない恰好をしている】
【というのも、彼はなぜか右手に柏餅を頬張り、左手に複数の酒の缶が入ったコンビニのビニール袋をぶら下げているのだ】
【そして―――まるで抜身の人斬り包丁のような気迫を纏って現れたその青年は折りたたみ椅子に座って手遊びいているマイペースな男を前にして】
【ちら、と運びだしている兵士に目をやり、再び男を目にやり、とやっていくうちに―――なんか毒気が抜け、穏やかな顔つきになると】


……えーっと、その、おまえら美術品強盗でいいのか?なんかお前だけずいぶんとのんびりしてるけど
リーダーはお前か?……せっかくの25歳の誕生日パーティが潰れるのも残念な気持ちになるから一応忠告するけど
銃器を手に客追い出して美術品を運び出すって絶対悪いことしてるよなお前ら、今のうちにやっぱやめるって言ってやめにしないか?今ならジョークで許してもらえるかもだぞ?


【俺もいろいろ言っておくからさ、などとえらくおっとりした様子で口にするのはなんか間の抜けた奇妙な説得】
【―――もしかしてあまり強そうじゃないから戦闘者じゃないと思われてるのだろうか】
【そうだとすればやはりまだまだ戦士としては青そうな若者だが、一応本気で彼は強盗たちに説得を持ちかけているらしい……なんだこいつは、天然か?】

/と言うわけで、まだいらっしゃいますかー? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 23:23:47.31 ID:h1BDHT9r0<> 【夜の公園。昼間は子供達の活気に包まれる其所だが、夜ともなれば流石に人は居ない――――筈、なのだが】
【今宵は其処に植えられた木の根元に一人の姿。学生服を纏った……大凡高等部と思われる女学生】
【手にしているのは木刀なのだが、まるで精神を統一するかの如く瞼を閉じて】


「――――――ハァッッッッ!!!」

【舞い落ちる一枚の葉。カッと目を見開けば、手にしていた得物を横に一閃】
【見事に木の葉は砕かれ――――……無かった。寧ろ、掠りもせず“惜しい”の“お”の字にすら届かない現実】
【虚しくも地面に落ちた葉を眺めながら、ポリポリと頭を掻いて】


「可笑しいなぁ……漫画とかだと簡単にしてるのに全然出来ないや…………
もっと、こう…………ズババァーン!!って感じにしなきゃ出来ないのかな?」

【曰く、修練の一環。然れど其れはどう見ても漫画やらアニメやらでしか見ないモノだ】
【再び瞼を閉じたならば、木刀を構えて――――】

【さて、こんな時間にそんな事をしているのだから端から見てもよく目立つ】
【何より路地裏から遠い場所。人通りは少ないとは言え、疎らには在るのだから何者かがこの奇妙な光景を目の当たりにする事も否めない】
【女学生がこの時間まで一人で居る事を咎める者か、ただ奇妙に思った者か。或いはまた別な何かを抱いた者か――――其処までは分からないけれど】










【――――一つの都市に存在する図書館。古今問わず様々な本が並べられており、その書架の数は実に膨大】
【例え幼少の頃から此処に住もうとも、一度や二度の人生では読み切れない程の数…………と記せば、想像も出来るか】
【そんな場所と言えども、常に開門している訳では無い。流石にこの時間ともなれば職員達も去っている筈なのだけれど】
【…………不思議な事に、気配が二つ在った。其れも、敏感な者であれば外からでも感じ取る事が出来そうなものだ】


「闇の中。広がる波紋。止まぬ雨は何時か朱に変わる。病を拡げまた雨は続く」

【図書館に入ったならば、先ず一人の黒いドレスを纏った少女が映るだろうか。暗がりの中でも目立つのは銀の髪。きっと、其れだって存在を際立たせる】
【不思議なのはふよふよと身の回りに幾冊もの書物を浮かべさせている事だ。自身の手には、一冊も収まっておらず】
【宙に浮かぶ内の一冊を手に取り、適当に開けば其れだけで満足したのか閉じて再度浮かべさせる何て事を繰り返しており】
【魔術の類であると理解するのはそう難しくも無い筈だ。――――そんな事も飽きたのか、最後の一冊も終えてしまえば戯れに細い手を縦に一振り】

【その動作一つで書物達は本来収まっているべき場所へと飛んで行くのだから不思議なもの】
【――――自分たち以外の新たな来訪者の存在に気付いたのは、其れ等全てが収まり終えてからか】
【髪と同じ銀の双眸が――人によっては冷たくも思えるその目が、真っ直ぐと向けられる事となり】
【少女から何か問う事は無い。だからこそ、かえって不気味にも思えるだろうか】

【――――何故この場所に居るのか。何をしているのか。咎めるも咎めぬも、その者の自由】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/05(火) 23:28:56.00 ID:g8HtvQi4o<> >>572
そうね、基本的にはそればっかり読んでるわ……普通のも、読まないわけではないんだけどね
へぇ、そうなの……本好き一家という感じだったのね

【別に普通の本が嫌いというわけではないし、それらを読んで人並みには面白いとも思う】
【ただ、魔法書に対しての情熱がそれを凌駕しているというだけのこと──つまりは、優先順位の問題だ】
【それは、本を読むようになった頃に最初に触れたのが魔法書だったからなのかもしれない──人とは少々異なる経歴をもつ彼女は、リーゼの普通な読書歴に、多少の憧れを覚える】

そう……
まぁあからさまなセキュリティはかかってなさそうだし、開けてみるしかないわね

【出来れば事前情報を得てから手を出したかったが、ないのなら仕方がない──念のため、少し離れるようにリーゼに言ってから、そっと本を開く】
【こういうものに対しては、気張っても気張りすぎることはないが、今回は杞憂であったようで、特に何かが起こるでもない】
【そのまま飛ばし飛ばし中身を読んでみると、大体の所は掴めたようだ】

そのようね……少々コストは重たい術式みたいだけど
まぁ、実行したりしなければ何もなさそうね──とりあえず、危険なものはなさそう

【概要を把握したところで、件の本を閉じて辺りを見回す】
【よくよく考えてみれば、今までずっと放置されていても問題がなかった時点で爆弾級の何かがあるわけではないのだろう】
<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/05(火) 23:29:47.97 ID:8sP7p+vUo<> >>573

……ん? あぁ、見ての通り美術品の強盗だよ。
お察しの通り主犯はボクで、部下に手伝ってもらってるのさ
ちなみにボクの名前はダグラス…――よろしくね?

【気付くまでに数秒。手元の遊具を止めて顔を上げれば】
【にこりと笑って青年に向かい合い、言葉を返す】

【やっていることも、その内実も想定の通りだ。カノッサ機関手動の犯罪行為】
【そして、ただ一人軽装の男が護衛であり、主犯であり】
【加えて言えば、六罪王らしかった。――覇気と云うのは、全くないが】

それで……申し出はありがたいけど、ボクは止める気はないよ。
此処に置いておくよりも、こっちで管理した方が安全だからね

作品への愛ってやつさ。……それで、君は一体誰なのかな
UNITED TRIGGERか、それともSCARLET?自警団か、単なる義士か……
……あと10分も待ってくれれば、僕らは退散するんだけどさ

【椅子から立ち上がることはない。見た感じでは武装も全くなく】
【兵士たちは青年を一瞥はしても仕事を止める様子は見えないままで】
【むしろ平然と、ダグラスは青年に身分を尋ねるのだった。それこそ、世間話でもするかのように】

/居ました!よろしくです〜 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/05(火) 23:38:36.68 ID:bScPvH9Z0<> >>575

私は絵本が好きなものだから。あとは……毒の入った、ケーキのような。

【好きな本のジャンル、絵本、毒入りケーキ。……ちょっとよく分からないのだが、つまり、】
【甘そうな見た目で実はエグいようなのが好きなのだ。子供が泣いて放り投げ添うな、そんな本が】

【――とりあえず離れていろといわれれば一歩二歩と離れる。とはいえ狭い室内、あんまり変わらず】
【なんなら部屋から出ることも考えるのだが、それで“本”がどうにかなっても――困るのだもの】
【開いたことのない本。というか不気味だったので特に触りもしなかった本。その中身がどんなものなのか】
【離れながらもとっても気になるように彼女は視線を注いでくる、――そうして開かれて、ただ、なんにもなくって】
【少し残念そうにしながら――「思ったより平気なのだね」なんて呟き、また近くへと戻り】

持っていくかい? 他のも持って行ってもらって構わんよ、何冊でも――。
ああ、なんなら、郵送でもしようか。それとも運ぶのを手伝おうか。何十冊ともなると難しいだろうけれど。

【興味ありげにその手元を覗き込みながら、そんなことを尋ねる。その子を連れて行くのか――と】
【ついでに他の子も連れて行ってもいいと、また告げて。郵送、運ぶのの手伝い、そこまでしてくれるらしい】
【というか大体暇なのだろう。それでいて、自分は読む気のない本を持って行ってくれる――とってもありがたい】
【基本的に本は読んであげたいタイプだ。それでこそ本が喜ぶと思うタイプ、だから、ずっと引け目ではあって】

キミが読んでくれるならば私も嬉しいのだよ。本たちも喜ぶだろうし――……、
もし良かったら暇なときにでも何か読みに来ておくれな、茶程度なら出すよ。ティーバッグだけれど。

【「菓子はないな」と呟いて少女は本棚のほうに視線を動かす、それで、どんな本があったかを思い出すように】
【背表紙をなぞりながら眺めて――百四十二センチしかない身長、自分の頭より上にある本を見出すと、】
【さっきの勿忘草色の靄を出して。そして、それが、まるで見えない手でもあるかのように器用に本を取り出し、少女に手渡し】

こんな本はどうだろう。

【――十四歳くらいの少年少女が喜びそうな、カッコいい()系の本だった。黒魔術。もちろん効果のない完璧なるニセモノである】 <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/06(水) 00:00:26.19 ID:upBdKgH0o<> >>576

【何の気もなく名乗ってくるダグラスに流石に面喰った青年、きょとんとした表情を見せるが】
【しばらくしてちら、と自分の服のポケットに目をやって過去に見た情報の事を脳内で反芻し始める】
【ダグラス、確か前にどこかで……腕を組んで少し考え込んだのち彼は答えに辿り着く】


ダグラス……ダグラス?ダグラスって確かに六罪王にそんな名前のヤツがいるって情報貰ってたような……
え、じゃあやっぱおまえがこいつらの……この強盗を率いてるリーダーって事でいいのか?合ってるのか?
……六罪王なのかぁ、その割にあんまりパワフルじゃなさそうだなぁ

―――という事は、能力か魔術によるアウトレンジの攻撃か……味方の支援のどっちかがお前の得意分野なのかな?


【と、そこまで呟いたところで彼はす、と何の気もなくさらにダグラスの方向にさらに接近してきた】
【間合いは一歩半、それこそ会話するのに適した間合い―――だが同時にここからならば彼自身もダグラスに確実に攻撃を行える位置に立つ】
【離れた位置の相手を攻撃するのに優れているのかもと推測した彼は、対等の立場で戦闘を行える距離まで勇敢にも近づいてきたのだ】

【人柄や雰囲気に反してなかなかに場数を踏んでいるのか……見た目に騙されることなく彼はダグラスへの警戒を強める】
【だが、平然と自分に自己紹介を求めてきたダグラスの問いかけに、やや毒気を抜かれたようにす、と両手をズボンのポケットに入れて首を傾げながら】


……よくわからないんだけど、まあここの作品がいいものだってのがわかるのは俺にもなんとなくわかるけど、ダグラスの物じゃないじゃん
となると、やっぱりやっていることは泥棒で……それが行われるよりも前に俺はお前の事を止めなくっちゃならないよな
あ、俺の名前は剛田 剛太郎。日本人で今日25歳になった。仕事は国立図書館の警備員で正義組織の人間じゃない。でも俺はあいつらの事気に入ってる、いい奴らだしな


……まあそういうわけで、今から良心が痛むから俺はこれからぶん殴ってでもお前に盗みをやめさせるぞダグラス、やめるんだ


【再び彼の気迫が鋭い刃物のような物へと変わっていく―――しかし威圧しいつでも攻撃を開始できる用意をしているが、まだ攻撃はしてこない】
【理由は、ダグラスがまだこちらに敵意を向けて攻撃をしようとしていないからだ……基本、暴力がそんなに好きじゃないのかやめる様子を見せたらすぐやめるつもりなのか】
【たとえ六罪王であろうと、戦意のない者には彼は攻撃を仕掛けないらしい、気の優しい気質なのか―――あるいはまだ甘いのか】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 00:07:18.72 ID:xK/zQBFgo<> >>577
毒入りケーキ……あぁ、そういうことかしら
中々キツいのが好きなのね、私は毒入りキノコみたいのばっか読んでるけど

【すぐにはピンとこなかったようだが、少し考えたらなんとなく察したようだ】
【絵本とそれとだと、大分方向性が違うようにも思えるが──人間の趣向なんて、そんなものだろうと気にしない】
【彼女自身の趣向──趣向というより、魔法書がそんなんばっかだという気もするが──も、大概である】

そうね、これそれあれ……ん、これくらいになるけど、いいかしら?
それは大丈夫、この前物質転送の魔法の本を見かけてね──せっかくだから、それでも試すわ

【そんなことを言いながら、懐から取り出したのは一冊の古ぼけた本】
【開いてみせると、そこには印刷された文字でなく今の文字で手書きで書かれた数々の魔法の手順──どうやら、誰かが様々な魔法を一冊にまとめたものらしい】
【それを馴れた手つきでめくっていき、とある一ページを見ながら何やら唱えると──彼女が選んだ10冊ほどの本が、光に包まれてその場から消える】
【「よしっ……」と呟く彼女の顔は嬉しそう──まるで、初めてのおもちゃで遊ぶ子供のようだ】

ん?──なるほど、眉唾系の本ね
そうね、気になるのは一先ず送ったわけだしここらで趣味に走るのも悪くないかも
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 00:16:08.69 ID:YW/3sXF30<> >>579

ああ、毒キノコも好きだよ。……基本的には何でも読むものだから。

【基本的には雑種、ただ、好んで選ぶなら、そういった――甘い、或いは苦い、そういうものが好き】
【なんなら携帯小説とかそういったジャンルのものも読まないでもない。……というか、結構面白がって読む性質】
【ただそれでもユーフィーの言うような魔法書は読まないのだが。ただ、興味がないわけではなくって】
【読み方や扱い方が分かれば、読み出しそうな――現に、今、さっきの本を興味深げに覗き込んだりしていたわけで】

構わないよ。いっそ全部持っていってもらっても……ああ、それだと大変かしらん。
また欲しくなったら取りにおいでな。いつでも構わないから――……いや、夜は寝ているのだけど。
夕ごろなら起きていると思う……がね。

【夜は寝ている。それは分かるのだけど、夕なら起きている、というのは、つまり、その間は寝ている?】
【だとしたらそれなりに不健康な生活をしているらしい。……いや、見れば、ある程度は想像がつく】
【細い手足に不健康めいて白い肌。とてもじゃないけれど、健康的な生活をしているようには、見えなくって】

【――だけれどそんな彼女の目も、目の前で魔法か魔術かを見れば、煌いたように見え】
【始めて見ただのそんなのを呟くかもしれなかった。それで、許されるなら、その本を見たがって】
【見せてくれるなら、新しい玩具を手に入れた子供みたいに――しばらく、ぺらぺらと頁を捲るはずで】

ほとんどがこんなものだよ。変な本はさっきのアレだけ、――だったと思うけれど。

【貸してもらえていたなら、本に視線を落としたまま。そうでなければ、本棚をじっとり見つめて】
【時々気になるのを手にとって開いて戻したりしながら。まあ、確かに、その他の本は平和なものばかりだ】
【“猿でも出来る人体練成”とか。もちろんまともなことは書いていない、そんなものだらけで――】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/06(水) 00:16:21.14 ID:SmfDyky0o<> >>578

六罪王の誰も彼もが、あのベクターみたいなパワーお化けだと思わないで欲しいね。
……ところで、ボクはキミの考え方には反対だよ

美術品は作者のものだ。誰がどんな値段で買い、どんな証明書を持っていても
その作品は原作者が所有するものさ。死んでも、永久にね。
……だから博物館だって正統な権利は無い。そこだけ正しておこうか

【接近を図る青年を止めることはなく、遊具を手放すことすらせず】
【脳天気なのか自信があるのか、足すら組んで椅子に座り続ける】
【淡い日光が髪を煌めかせる。それこそ、彼自身が画になりそうな格好で】

へえ、日本人……キミもあっちの出身≠ネんだね。
生憎とあの国のことは浮世絵程度にしか知らないけれど……

……ボクと戦うのなら、一応『やめておいた方がいい』と忠告するよ
殴るなら殴ればいい…――ただ、ボクの身の回りにはいろいろと不思議なことが起きるんだ
例えば、そう――輸送機から落ちた鉄骨が偶然キミに落ちるとか=c…さ。

【ただ静かに、何かが近付く気配がした。ある瞬間には、日光が遮られた】
【時間にして二秒後――剛太郎の立っているまさにその場所に、数トンはある巨大な鉄骨が】
【まるでダグラスの言葉を具現化≠オたかのように、凄まじい勢いで落下してくる】

【しかも数は一本ではない。周囲四方、まるで流星のように何十と降り注ぎ】
【青年を一息に潰してしまおうとするだろう。防御は、考えないほうが良いか】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 00:38:44.90 ID:xK/zQBFgo<> >>580
雑食なのね、いいじゃない
広い分野に知恵を持てるのは、結構羨ましいわ

【「結構一点特化だと、世間話とかするのに不便なのよ」と、ぼやいてみせる】
【それもそうだろう、魔法の話で盛り上がれるような人間がそうどこにでも転がってるはずはなく】
【彼女は人付き合いが悪い方なのだが、それにはこういった点も関係があるのかもしれない】
【だからこそ、リーゼとはこう気を許して話せるのだろう──本という共通項のおかげである】

夕方ね、分かったわ……また、読むものが無くなったりしたら、お邪魔しようかしら

【結構乱れた生活習慣を思い起こさせるその発言にも、特に感じ入るところがないのは自分もそんなものだからなのだろう】
【インドア派同士、結構似ているものなのかもしれない】

【それは知的好奇心においてもなようで、初めてだという魔法に目を輝かせるリーゼに、彼女も悪い気はせず】
【彼女の申し出に、二つ返事で答えて本を渡す──「私が自分で作ったものだから、読みにくいかもしれないけど」なんて、言いながら】
【めくっていくと、そこには転送の魔法以外にも召喚術や治療術、他にも雑多に色んな種類の魔法が記されている】
【これを作っていき、最終的にはあらゆる魔法を網羅するのが、彼女の生き甲斐なのだ】

そのようだね──結局は、玉より石ばかりって感じかな
普通の古書店とかよりは、玉の比率は高めだけど
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 00:46:14.13 ID:YW/3sXF30<> >>582

【本を貸してもらえたなら、彼女はひどく嬉しげだ。とはいえ、基本的に仏頂面の顔はそのままなのだけど】
【何より目がきらきらしていたし――表情も緩んで。夢中、そんな言葉が、今の彼女にはきっと似合う】
【ぺらぺらと頁を捲くったり戻ったり、時々何が書かれているのかが分からなければ、尋ねたりして】

これを? キミが? 作ったのかい、……へえ、すごいのだね。
私もたまに原稿用紙と戦うことはあるけれど――こういうものは書けないから――……。

【まだ視線は紙面だった。それはもう面白がって読んでいる、だから、言葉もどこか上の空で】
【時々執筆めいたことはやるのだが、もちろん本業ではないから、こんなに形にしてみたことはないし】
【金でもあれば別だろうが、そんな余裕もあんまりない。だから、ほとんどが、原稿用紙の束のまま】
【そういうのを思えば、こうして形になっているのは羨ましく、それ以上に凄いと感じ――】

……この前、ね。不思議な本屋の店主に聞いたのだけれど、やっぱり、そこにも“そんな本”は無いようだったよ。
だったら、彼らも常識的な方法では見つけられないんじゃないかしらん。見つかってしまっても困るのだけど……。

【そんな――つまり、人を生き返らせる、本当の方法が書かれた本。ほいほいとあっては困るのは当然として、】
【本物の魔法使いみたいな人物がやっていた店にもないなら、もしかしたら、世界のどこにもないんじゃないかと】
【少しばかしの楽観視。或いは現実逃避、見つかっては困る――とは、ひどく個人的な都合の発露】

羨ましいね――、キミは魔法使い?

【ただそんなのはやっぱり本に夢中なままで喋ること、数秒後には、きっと何を言ったのかもよく覚えておらず】
【結局数十秒か数分か後に本を返してくるまでは、ちゃんとした会話をしてくれそうにない。言い方を変えるなら、】
【それだけユーフィーの本が面白かったということで。やっと返そうとしながら、尋ねるのは、そんなことだった】 <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/06(水) 00:56:53.79 ID:upBdKgH0o<> >>581

【ぴくり、と眉をひそめて聞こえてきた名前に剛太郎は反応を示すだろう】


ベクター……ジンジャー博士たちをやった奴か。博士が手も足も出ないなんて……ショックだったよ
でもみんなが武闘派じゃないってのはわかる、お前は……とりあえず芸術家なのはわかった

作者の物、か……うーん、言われてみればそう、なのかなぁ……っあッ!いや待った!
そうだったとしても取り出していいのはお前の作品だけってことになるぞ!あっぶね!そこは流されないからな!


【……一瞬、納得しそうになったのはもう見逃しようがない。素直すぎるというか人を疑う力が若干甘いというか】
【ともあれす、とポケットから手を抜き出し―――左手を腰に引き、右手を前に差し出して戦いの構えを完全に取り出す】
【―――だが、なんとなくに口走った言葉に対して反応したダグラスに、剛太郎も若干動揺を見せる】


―――……っ、ちょっと待て、今お前……"あっちの出身"って、それどういう意味……

                                                         ―――……  ッ !?は、葉隠流 『向日葵』!!


【すでに戦いのため研ぎ澄ましていた五感を全開にしていたが故に、そして素直に彼の言葉を聞いていたために、事前に『何が起こるか』を感じ取ることができた】
【動揺で硬直しそうな体から必死に力を抜き、今から降り注ぐその鉄骨に対し―――猫足立ちを参考に考案された待ちの構えによって考えるよりも先に対応することが出来たのだ】
【一本、二本、三本―――けたましく衝突音とともに地面にぶつかり突き刺さる鉄骨を縦横無尽のその足さばきで回避していく】

【最後の一本が彼のすぐ傍、右斜め前に突き刺さり終わった所で―――彼は身動きを止めたまま、ぶわっ、と全身から滝のように汗を流し始めていた】
【息も絶え絶えに、今なおダグラスに向けられるその構え、その右手が見るからに震えているのが分かるだろう】
【―――死ぬところだった、今の一瞬で。それを考えるよりも先に理解した剛太郎は震えるような声でやがて、声を発するだろう】


―――……な、なに、が……おまえ、今、俺に何を……!?

(……なんだ今のは!?コイツ……今何をしたんだ!?あ、危なかった……急に『陰って』……飛行機の『エンジンの音』が聞こえたから
そしてこいつが自分で鉄骨が落ちるって言った後になにかが落ちてくる気配を感じ取ったから……すんでのところで避けることが出来たけど……
もしうまくいかなかったら……今俺ここでマジに死んじまう所だったのか……!な、なんだコイツ、ヤバい、よくわからないけどこいつはヤバいッ!!)


―――お、俺に……いったい何をしたッ!!葉隠流 奥義! 『疾風迅雷』!!

(……頼むから間に合ってくれよ……!)


【ぎり、と歯軋りしながら彼は気持ちを入れ替え、深く前傾姿勢を取ってダグラスに接近!】
【その速度まさに疾風迅雷、速度に重きを置いたこの技でダグラスの腹部めがけて勢いよく頭突きをぶちかましに行くだろう!】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 01:03:17.95 ID:xK/zQBFgo<> >>583
結局は、写本と大して変わらない程度のことだけどね……他の本で読んだことのうち、大事だと思う部分を書き残していくの
そんな創造的なことでもないから、楽なものよ──精々、手が疲れるくらいかしら

【凄いなどと言われたのはどうやら気恥ずかしかったようで、少しくすぐったそうに笑いながらそう付け足す】
【彼女が原稿用紙に向かって、何を書こうとしていたのかはわからないが──恐らく、そっちの方が大変で、凄いことだと思わずにはいられない】
【1を集めて10を作っていくのと、0を1にするのでは労力が全然違う】

確かに、完成された蘇生術の本は見たことがないわね……研究途上で終わってたりするのは、希に見るけど
命の制御って、難しいんでしょうね──完成されたものは、きっとないんじゃないかしら

【そう、少し寂しげに言う彼女の視線は特にこれといったものを見るのでなく、宙にさ迷っており】
【何か、遠い記憶の中にあるものを見ているのかもしれない──命の制御、そこに何か思うものでもあるのだろうか】

自分では、そう名乗ってるわ──もっとも、細かい定義とかは知らないけど
人より魔法についての知識はあって、ある程度は扱える存在──正確にはこんなところ
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 01:13:12.44 ID:YW/3sXF30<> >>585

だけれど……私には出来ないもの。それとも出来るのかしらん、原本を写すだけなら――。
……だとしても何も理解していないのだから、出来ないのと変わらんね。
三つの子供が宇宙構造について本を見て写したって、なんら意味はないのだから。

【だけれど、きっと、彼女に尋ねたなら。原稿用紙にお話を記すことだって、零を一にするのとは違う、と答えただろう】
【いろんなものを見たり聞いたり知ったりして、或いは読んだりして。たくさんある知識を一にするのだ、そう言う意味では】
【彼女がしていることの、逆のような――どこか似ているような。とかく、零から一とは、違うと少女は思っていて】

無くていい。するべきでないよ――、それに、そんな大きな罪をいったい誰なら背負えるのだろう。
それとも、どんな十字架だって負えるというなら――その人には叶えられるのかしらん。叶えてしまうのかしら?

……だとしたらどっちみち、その程度の覚悟だってことさね。方法が見つからないなんて言っているうちは――。

【すぱりと少女は言い捨てた、こちらもこちらで何かがあったよう、――そもそも】
【この家には両親が足りない。彼女が“彼ら”と呼称したのが両親だとしたなら、なおさら身近な誰かが欠けたのではないか】
【だってわざわざこんな部屋まで用意させ、こんな本ばかり置いていくのだ。赤の他人――という線は薄く思え】

…………――始めて見た。

【なんて、言葉は、少し感激気味だ。なんてたって絵本好きなのだから、そういうの、きっと憧れる性質なのだ】
【ちっちゃな背丈で相手をじっと見上げる、何より、自分に出来ないことが出来る人間は、凄いと思う】
【それが魔法だなんてもっと凄く思えて――まあ、つまり、(子供っぽいところが、珍しく見えてしまっているらしい)】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/06(水) 01:22:34.59 ID:SmfDyky0o<> >>584

【最終的に周囲に林立した鉄骨は25本。全てが大地を砕いていて】
【一本でも直撃すれば即死だっただろう――だが、ダグラスを見れば】
【彼は全く回避をしていないにも関わらず、鉄骨は彼に掠ってもおらず】

――『キミに何かした』んじゃあない、ちょっと能力を使っただけさ。

それにしてもいい動きだね、惚れ惚れするよ。
お察しの通り芸術家だからさ。運動はとっても苦手なんだ

【『疾風迅雷』――強撃の頭突きに対しての反撃は、実に用意なものだった】
【それは壁を用意する≠ニいうもの。無から有を、自身と剛太郎の間に】
【コンクリート製の垂直な壁を用意したのである。縦2m、横50cm、厚さは10cmほどで】

【もしそれを砕ければ、ダグラスへの攻撃も通るだろうが】
【否であれば、壁の向こうにいる男は無傷となる。そして成否に関わらず】
【さらなる攻撃が剛太郎を待ち受けていて――壁の左右に、新たな生成物が出現する】

【それは左右10丁ずつのマスケット銃。威力は現代の拳銃、とまでは行かないまでも】
【殺傷能力を保った長筒は、全ての銃口が青年に向けられており】
【頭突きが壁を叩いた瞬間に、その火蓋は切って落とされることとなる】

【20丁の一斉射撃。しかも近距離――完全に相手を[ピーーー]為の、加減のない一撃であった】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 01:38:44.28 ID:xK/zQBFgo<> >>586
なるほど……確かに、それも一理あるわね
どっちにしろ、本人の教養が必要と……まぁ、それは時間をかけて身に付けるしかないわ
それに一番手っ取り早いのが、多分本だけど

【思わぬ反論が来て、得心した様子のユーフィー】
【だが、教養の問題となるとリーゼとユーフィーで差が生じるのは仕方ないだろう──生きてきた年月が違うのだから】

そうね……命っていうのは、一定期間で終わるから生きるのが楽しいんだと思うし
知識欲という意味では気になるけど、使うのは──ちょっと、ね
必要以上に生きるのは、みんなが思うほど得ばかりでもないわ

【一体、彼女の回りでどんなやり取りがあって、何故彼女は両親がいたであろうこの家に一人でいるのかはわからない】
【それに、知ろうとする必要もない──他人の問題にむやみやたらに首を突っ込むほど愚かでもない】
【だからこそ、自分の考えを話すしかない──彼女もまた、「みんな」に対してそんなことを思っているのだろう】

まぁ、珍しい職業だろうからね──職業ですらないかもしれない
パッと見せれるのは、これくらいが精々なんだけど

【純真無垢な眼差しで見つめられて、悪い気はしない──得意気な顔をして両の手を広げて、右に火球、左に水球を産み出してみせる】
【せっかく本をいただいた相手なのだ、これくらいのことをして見せたってバチは当たらないだろう】

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 01:41:54.56 ID:YW/3sXF30<> >>588
/申し訳ないです、眠気がひどくなってきまして……
/遅れてしまってさらにで恐縮なのですが、引き継いでもらうのは大丈夫でしょうか?
/明日は昼間でかけるかもしれないので、また夜からの再開か、置きに移動でも私は大丈夫ですので…… <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 01:44:54.37 ID:xK/zQBFgo<> >>589
//構いませんよ、こちらは昼からでも多分可能です(もしかしたらちょいちょい離席入るかもしれませんが) <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 01:48:56.12 ID:YW/3sXF30<> >>590
/ありがとうございますっ、明日返せるようになり次第お返事返しますので
/そちらの都合がついたときに返してもらえたらと思いますっ
/ひとまずお疲れ様でした、また明日よろしくお願いします! <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/06(水) 02:37:53.83 ID:upBdKgH0o<> >>587

【やはり能力者か―――それを聞いて改めてごくり、と剛太郎は唾をのむ】
【当然ながら彼もまた六罪王の事は聞いている、これまで表舞台に現れた六罪王は誰もがすさまじい脅威として君臨しており】
【彼の友達を初めとした正義組織関係者たちは皆六罪王により幾度も、深刻な危機へと追い込まれたものだった】

【そして……そんな相手に一介の武闘家が一対一の戦いを挑むなどそれこそ無謀、それは剛太郎もわかっていた】
【しかしわかっていてもなおハッキリと立ち向かってしまうのは、彼の中にもなにか譲れないなにかがあるからなのだろうか】

【ともあれ、剛太郎はこの一手で発動する奥義を誤ったのだけは間違いない、『柳緑花紅』ならともかく、基本的に速いだけで通常の突進にすぎないこの技では】
【コンクリートにみしり、とやや大きなヒビを入れる事には成功しても、彼一人の膂力ではそのコンクリートを一撃で破壊するのは不可能、よって必然的に―――弾き飛ばされる!】


―――ぐ、ああッ!!うっ、なんだ……今度は間に……『壁』が現れた……?こいつの能力……『出現』か?
どっかからモノを取り出して……俺に向けて『出現』させた……さっきは鉄骨入りの飛行機を、今はコンクリの壁を……その次は―――


                   ―――――…… はっ、葉 隠 流 『梅 花』 ァ !!


【タンッ!!と即座に背後へ跳躍しながら彼は両手で、優しく包み込む梅の花を模した守式の構えを取る】
【この奥義は唯一彼の相棒と相談しながら編み出した結果、魔翌力を練りそのエネルギーを次の攻防力へと転化させることもできる物】
【唯一この20丁のマスケットをしのぎ切る方法が存在したならばもうこの技しかない―――】

【マスケットの銃口、その向きから弾道を察知―――その中で喰らったらその時点で致命傷であるのはどの銃であるかを見極めたところで火ぶたは落とされた】
【剛太郎へと飛来する弾丸、一発、二発と彼の頬と肩をかすめ、三発目が左胸を打ち抜く前に弾道に添えられた彼の『梅花』が弾丸を―――手の甲の肉を削がせながら急所から反らす】
【そのまま四発目は右肩、五発目は左下腹部に被弾、胴の真ん中に来る六発目は同じく『梅花』で反らし切り、七発目は右腿に被弾】
【―――だが、腹部の重要部位辺りを狙う八発目に手の甲の肉を差し出した直後、彼の見極めたタイミングとズレた九発目が右の二の腕を貫通したことでガードが開いた!】


―――うっ、ぐ、ぐう、っ、がっ、あっ、ああ!!!ぐああっ!!がっ、あ!!


【そのまま十発目が右鎖骨の真下に着弾、十一発目が開いたガードをすり抜け腹部を貫いた所でいよいよ虫の息、本格的にガードが開く!】
【ダメだ、もはや頭部を打ち抜くであろう十二発目が防ぎきれない、誕生日は一転して命日になりここが墓場になるか―――】

/続きます <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/06(水) 02:38:49.74 ID:upBdKgH0o<> >>592続き


『―――Anfang(起動)!』『Boden:zur Stromung(地から流)』『Stromung:zum Stahl(流は鋼に)』『――――Das Schliesen(準備).Mauer(障壁)―――!』


【―――だが、天はまだ彼に死ぬ定めではないと言わんばかりに状況は彼を窮地から守った】
【一発目が発射された時点からすでに超高速で―――この世界の言語ではない言葉を早口に唱える者が近づいてきていた】
【……最初彼がダグラスに話しかけている時、酒を置いておもむろにポケットに手を入れていたが―――あの時ポケット内のアイテムで救援を読んでいたのだ】
【流石の剛太郎も六罪王、味方たちが案内も苦戦した連中を相手にたった一人だけで勝てる、などとは侮ってはいない】

【救援を送ったのは無論自分の相棒だ―――高速詠唱によりすでに障壁を張り終えた赤茶色の子犬が彼の頭上へと跳び、銃弾を弾き】
【そのまま彼の間に割って入るように重厚なフォルムの棺桶が割って入り残りの弾丸から剛太郎をギリギリの所で守るだろう!】

【全ての攻撃が終わった所で彼はがくり、と膝をつく、すでに体中血まみれだが、特に腹部にもらった一撃が深い、剛太郎が必死にその傷を抑えて止血しようとしている】
【そんな彼に対して子犬が一喝―――いつにもまして感情的に剛太郎に怒鳴り散らし始めるだろう】


「―――この戯け者がァッ!!図書館の一件で学ばなかったんかッ!勝ち目のない相手にたった一人で挑むなと言ったじゃろうがッ!!」

……ぐっ、だ、だか……ら、真っ先にムクに助け求めたじゃん……!で、でもありがとう……助かった、とりあえず俺、まだ……死んで、ない……


【ゲホッ!と大きくむせると、その場で勢いよく吐血、地面が赤く染まる―――だが彼は怯まない】
【相棒と愛機、二つがそろった所で彼は懐から六角形のアイテムを前に差し出すと―――その腰にベルトが巻かれることだろう】
【ここまでやっても勝ち目はまだ見えぬ相手―――だがとりあえず、たった今彼が生き延びる目が見えてきたのだった】

/ではとりあえずこのお返事を!お疲れ様です、また後日! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/06(水) 02:59:23.19 ID:SmfDyky0o<> >>592-593

『出現』……そうだね、だがそれはボクの能力の一面に過ぎない。
鉄骨、ライフル…――次は何を使って欲しいのかな?
あまり戦闘の経験が無いからね、こっちのアイデアは少し貧困なんだよ

【ヒビの入った壁の向こう、ダグラスはやはり立ち上がりもせず】
【椅子の上で、手元の正六面体を眺めながら言葉を返す】

【先ほど見た通り、覇気は全くない。武装もなければ、体格も良くはない】
【だが――能力が際立って、異常と言えるほどに強烈であり】
【その全貌は未だ見えないままに次の策を練り、クスリと笑って】

……おや?救援が来たと思ったら、また珍しい相手だね。
しゃべる犬、か……犬。そうだ、次のアイデアが湧いてきたよ

以前、一枚絵を書いたことが有るんだ。それはそれは大きなキャンバスにさ
油絵で何度も塗り重ねて……毛の一本まで細かく書いたから
ものすごく時間がかかったのを覚えているよ。あの、"ケルベロス"の絵はね

【剛太郎がベルトを身に付けるそのタイミングで、新たな一手が繰り出される】
【コンクリートの壁も、20丁のマスケット銃も踏み壊して、巨大な獣が出現するのである】

【それは三頭犬――地獄の番犬とも呼ばれる、伝説上の化け物であった】
【体高は3mほど。真黒な毛並みと飢えた牙が、如何にも獰猛そうな印象を与え】
【実際、そうなのだろう。口元から滴る唾液は、舗装された地面に触れるとジュウと音を立てて煙を上げ】

【やがて僅かな間を置いて、巨大なケルベロスは青年へと爪牙をむき出しにして襲いかかる】
【そのまま立ち尽くせば、全身をバラバラに引き裂かれてしまうことは容易に予想出来る、が】

【先ほどの鉄骨や銃撃と違って、まだ動きが予想できるのだ】
【牙と頭の数、それから爪にさえ気をつければ――あくまでも敵は、生き物なのだから。】

/ちょっとだけ余裕があったので、これだけお返しておきますっ!
/それではまた後日お会いいたしましょう!お疲れ様でしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/06(水) 13:00:21.59 ID:5LG6w5vNo<> 【公園】
【春の陽気に誘われてか子供達も元気に外を駆けずり回るこの頃】

いってぇ!ちきしょ!かーっ!

【人目も憚らずそう声を上げるのはベンチに座ったこの人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性である】

【後ろから見れば分かるがお面の下の頭には包帯を巻いており、今は腕に負った傷にガーゼを当てて包帯を巻き直している様で】

痕が残らねえかだけが心配だってーの
特に頭よぉ…ハゲになんねーだろーな。コレだけは怨むってーのーかーっ…かーっ

【溜息とも愚痴とも言えない様な息を吐き】
【隙間が目立つ程に乱雑に腕に包帯を巻くと、銃弾でちょっと抉られた側頭部をポンと叩いて】

いっ――――てぇ!!!

【自分で叩いた側頭部の傷の痛みに思わずもう一度叫ぶのである】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2015/05/06(水) 13:04:50.54 ID:09/vUvqZO<> お前敬語もまともに使えないし下手だしで嫌われてるんだからスレ出て来んなよ <> アイン ◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 14:36:11.77 ID:97wdzYZYO<> //>>567で再募集します <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 16:53:55.22 ID:nTWKKLuYO<> >>567

──おっと、そういえばインクを切らしていましたね。危ないうっかり忘れるところでした

【街中を独り言を呟きながら歩いてくる薄い茶色の髪をした男。肩より少し長めの髪を後ろで髪を纏めて垂らしていて顔には片眼鏡、常に笑っているような顔が特徴的である】
【キョロキョロと歩きながら顔を動かし本屋らしき看板を見つけてそこに足を向かわせる】

【家から持っていった物とはいえお気に入りとなりつつある万年筆だ。あまり使えない状態のままにはしたくはない。それに書くものがあるかないかでは大きく違う事もある、常に何が起こるかわからないので補充しておかないといけない】
【そんな事を思いつつ本屋に足を運ぶ。本屋ならばインクの一つや二つ置いてあるだろう】

【本屋で近づいてあたりで猫の鳴き声、ノラ猫だろうと目を向けずに足も止めない】
【その後直ぐに大声が響く、猫のような可愛らしいものではなく男の声だ】
【とっさに顔を上げると目の前には辞書のような本が飛んできている。避けれる距離でもないし防御のしようもない】
【あぁこれが他の『メンバー』ならばスマートにかわしたり本をキャッチしたりとするのだろうか。当たる直前にそんな事を考える】

【小粋な音を立てて本は男の額にヒットする】
【大きく仰け反り倒れそうになるが足を大きく引いて踏ん張りギリギリ立って入られた】

…まったく…本当に……どうなって…

【額を手で押さえ顔を上げる。男の顔は笑っているようだが怒っているような気もするし泣きそうな気もする】
【周囲をみると倒れている長身の男。散らばった本。風に飛ばされていく紙など】

本当にどうなっているんですかね…これ?

【正直見たままの状況では理解はできなかった】

/もしもまだ居ましたら <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 17:01:26.63 ID:97wdzYZYO<> >>598
//おうふ、いるのですがちょうど今から出かけねばならないところでして
//恐らく一時間か一時間半で戻って来るかと思いますが……それでもよろしければ <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 17:14:14.48 ID:nTWKKLuYO<> >>599
/了解です、遅くて申し訳ありませぬ
/自分は明日朝が早い故日付けが変わる位の時間になりましたら凍結または置きになってしまうかと…重ねて申し訳ないです <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 18:46:29.52 ID:97wdzYZYO<> >>598

【本屋の前には倒れた男と散乱した物が】
【男の方は手早く起き上がったために騒ぎにはならなかった】
【痛そうに顔を歪めながら彼が目の前を見ると、そこには不運にも本とぶつかった人がいた】

……何してやがる、ぼけっと見てないでとっとと拾うのを手伝え!!

【睨むような視線を向けながら男が怒号をあげる。醜態を晒した羞恥のせいか、非常にバツが悪そうだ】
【男は足元にある紙袋を拾い上げる。同時に、彼の足元の影が立体的に盛り上がり、触手のような形状となって物を拾い始めた】
【魔術の嗜みがあれば、それが魔術によるものだということがわかるだろう】

【幸いにもあまり遠くに物は散らばっていないので、拾い集めることは容易だ】
【もちろん無視して文句の一つを言ったりするのも自由だろう】

//お待たせしました、よろしくお願いします! <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 19:08:53.44 ID:6SLt097zO<> >>601

……はぁ?

【横暴な態度に思わず額にシワが寄る。何故自分は睨まれて怒号を浴びせられるのだろうか。理不尽にしてもほどがあるだろう】

【ふざけるな、と一言でもかけてやろうかと思ったが地面をみると影が蠢き自由に動き回っているのをみて相当なやり手である事は理解できる、普段なら無視するがこれは無視して色々いちゃもんをつけられても面倒だ】
【溜息をつきながら散らばった紙を集める。できるだけ軽く、できるだけサボっているように見せぬように】

……謝ることも知らないとは、これだから老害は厄介なんですよ

【ボソッと小さな声で不満を漏らす。聞こえているかどうかはわからないが不意に口から漏れてしまった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 19:23:03.38 ID:97wdzYZYO<> >>602

【散らばっていた物が次々と紙袋に運ばれていく。当人よりも影の方がよく働いている】
【突っ立ってるだけの男はかなり不機嫌そうだったが、聞こえてきた声でそれが余計に加速した】

誰が老害だ、誰が! まだそんな歳じゃないだろうが!

【小さな声に大きな声で言い返す男。彼の見た目の年齢は三十代ぐらいで、おっさんではあった】
【ただ実際には彼の年齢は五十代であり、老害という評価はあながち間違ってもいなかった】
【そうこう言っている間に、無事全ての荷物が回収し終わったようだ】

まったく慌てたぜ……まさか猫に激突されてずっこけるなんてな……
おい、悪かったな。それくれるか?

【そう言って男は片手を差し出した】
【口調が幾分か柔らかになっているのは、多少の罪悪感があるためだろう】
【先ほどは羞恥と焦りで声を荒げた、というわけだ】 <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 19:37:41.32 ID:6SLt097zO<> >>603

【自分の小声が聞こえて声を荒げたのを聞いて露骨に面倒くさそうな顔をする】
【それにしても何故自分は三十代程の男に老害など言ったのだろうか?とっさに出た言葉とはいえよく自分でもわからない】

…それはそれは災難ですね、その猫が黒猫だった事を祈っていますよ

【やっと謝罪を耳にしたがこれまでの理不尽に流石にこの一言で許す気は起きないがだからと言って報復するいい案は生憎ない】
【渋々あまり多くはない紙の束を男に差しだそうとする】
【渡す際に紙の束をチラッと見る。よくわからない言葉の羅列で理解するためにまじまじと見る】
【それが不都合かどうかはわからないが】

/次の返しは少し遅れます。申し訳ないです <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 19:46:27.28 ID:97wdzYZYO<> >>604

【紙の束は魔術に関することが書いてあるものや、新品で白紙のものもいくつかある】
【専門性の高い内容らしく、魔術に長けていなければ理解することは難しそうだ】
【じっと見ていることに気がついた男が、首を傾げてみせた】

なんだ、興味があるのか?
興味があるならこれから家に帰るところだ、謝罪ついでに招待しようかと思うが……

【紙の束を受け取り、紙袋に詰めながら男はそんなことを提案した】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 19:46:49.28 ID:97wdzYZYO<> /了解です <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 19:58:08.57 ID:YW/3sXF30<> >>588

そうだろうね。きちんと理解した人間の言葉を何度だって繰り返して分かるまで読めるのだから。
言葉で聞くよりも目で見るほうが覚えやすい。私だけかも分からんが――言葉は忘れてしまうのだもの。
物覚えがあんまり良くなくってね。悪くはないと思うのだけれど……。

【本を書こうとする人間なんて、まず、その事柄について、普通以上に詳しいのがまず当然で】
【そんな人間らがわざわざ分かりやすく書いてくれるのだから本は素晴らしく知識の種になる、もちろん、】
【種は水をやったり肥料をやったりしなければ育たないものだし――育つものもあるけれど――読むだけでいいとは言わないけれど】

……ま、ある日突然に死んでしまった人間が、楽しかったのかは分からんがね。
だけれどそれが分からないからと言って生き返すのは無粋だろう、何より冒涜だと思うし――、

――それでまた前のように暮らせると思うなら、本は好きだったようだが、馬鹿としか思えないのだよ。

【適当に選んで開いた本。ばたむと閉じれば、ぶわっと埃が舞って、鬱陶しいように彼女は眉をひそめる】
【顔の前で手をぱたぱたやりながら、「たまにはこっちも掃除しなければいけないね」などと呟く辺り】
【本当にこちらは放置してあるのだろう。だって、入り口のほうの本棚は、埃なんてほとんどなくって――綺麗だった】

…………それが凄いのは分かるのだけれど。
悪いね、本がどうにかなっては困るから、火と水は遠慮してもらえるかしらん?

外でならてばたきの一つでもしてあげられたのだけれど。

【本を戻して振り返る、そうすると、そこには、――非日常めいた光景。ただ、彼女は、眉をひそめて】
【結構嫌そうな顔をするのだった。なぜなら、ここは図書館で、本とは紙で、――水も、火も、ご法度だから】
【とりあえずここで見せたのは少し失敗だったらしい。ただ、彼女が実際に言うとおり】
【場所がここでさえなければ――もっと、凄いと、素直に言えたのだが】

/お返ししておきますっ。一回三十分ほど抜けますが、お戻りになるまでになるだけ済ませておきますので! <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 20:46:36.54 ID:FEKKTCYhO<> >>605

【声をかけられて我に返り紙を手渡す。書いてあった内容は全く理解はできなかったが】

【これは魔術関連だと聞き家に招待すると問われた】
【魔術なんて物はからっきしで未知の領域だ。興味なんて物は持ってすらいなかった】
【ただこれ以上面倒は御免だ】

あー、私はこれから買い物がありまして、ありがたい申し出ですが………

【そこで少しだけ思考が回る。魔術、未知の領域、やった事のないことだ。思いついてもいなかった。もしかしたらだがこの呪いを解く手がかりになるのかもしれない】

……いえ、たった今暇になりました。感謝を無下にするのは失礼なことですね。快く招待されましょう

【笑ったような顔を崩さず訂正する。今度は少しばかり期待できそうだ、そう思いながら】
【魔術とは年季の業、男だけではなく少なくとも多くの人間はそういうイメージがあるだろう】

(伊達に年を食っていないところくらい見せてくださいよ……)

/遅くなりました、ただいま戻りました <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 20:59:02.51 ID:97wdzYZYO<> >>608

……?

暇になったというのなら、まぁいいか。では、我が家に招待するとしよう

【唐突な返答の転換に怪訝な顔をした男だったが、相手がそういうならとすぐに納得した】
【それから彼は手招きをして路地裏へと入っていく。表通りから離れるかのように奥へと進み】
【通りの喧騒が遠くに聞こえるぐらいの場所にたどり着いて、彼は立ち止まった】

このあたりでいいだろう、人に見られると面倒だからな……

【そう言って男が宙で手を開くとその手に収まる形で二又の長槍が現れた】
【矛先が地面に突き刺され、彼の足元に魔法陣が現れる。微風を生じさせるほどの多量の魔力が魔法陣から溢れていた】

この上に乗れ
俺の家は生憎と遠いんでな、転移魔術を使わせてもらう

【槍を両手で持ち、魔法陣を睨みつけたまま男はそう声をかけた】
【彼の指示通り魔法陣に乗れば、二人の周囲が魔法陣から吹き上がる魔力で包み込まれ】
【それが収まったときには周辺の風景は森林の中へと一変しているだろう】


//おかえりなさい! <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 21:19:43.74 ID:A0lsTGJYO<> >>609

【連れられるがままに路地に歩く】
【しばらくしてからか魔法陣を展開、乗れと一言かけられる】
【予想はしていたが転移魔法というやつか、便利なものだ】
【その場で発生させ、好きなところに好きな時間に好きな量を移動できて───】

──その上ノーリスクですか……

【少しだけ暗い声が出た。顔もそれ相応一瞬とはいえ笑いも外れたのかもしれない】
【そう思わせるくらいにはこの転移魔法は嫌になる。見られているかは知らないがこんな顔にもなる】

【溜息を一つ、額に手をあてとりあえず冷静になる。いつまでも腐ってはいられないものだから】

はいはいただいま行きますよ〜

【顔を笑いに戻し魔法陣に足を踏みいれると周囲が一変した。やっぱり便利なものだ。ここら辺は自分のも使っていてそう思う】

おやいい物件ですね、ここら辺がリビングですか?

【とりあえず湧き上がる嫌な気持ちは嫌味にぶつける事にした】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 21:30:13.02 ID:97wdzYZYO<> >>610

嫌味にしてはキレがないな
ともあれ、ここはうちのリビングじゃない……所有地のようなもんだが

【嫌味に対して軽く笑って返し、男は森の奥へと歩き始めた】
【森の中では鳥の囀りが聞こえていて、柔らかな風が吹いている、牧歌的な雰囲気だ】
【それらとは別に五センチ程度の大きさの小人がいて、足元をちょこまかと動いている】

【ほんの数分歩いて二人は木造の家に到着した。外観はログハウスのような感じだ】
【家の周辺には特に小人がやたらと集まっていたが、二人を見ると森の中へと走り去っていった】

そうそう、さっき何やら言っていたようだがな
転移魔術はお前が思ってるほど簡単じゃない。俺だからなんとか使えるレベルの代物だ

【転移前の呟きが聞こえていたらしく、苦労話をするかのように男は持ち出した】
【とはいえ、若干の自慢も含まれてはいたが】 <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 21:42:57.52 ID:xK/zQBFgo<> >>607
それが普通だと思うわ、聞いただけで即座に解する人なんて一部の天才だけ
私たち凡才は、文字にして時間をかけなきゃそんなことは出来ないわ──それを積み重ねれば、秀才にまではなれるでしょう
なる気があるかは知らないけど

【確かに、学問をする上で筆記用具を必要としないような化け物も世の中にはいる──が、そんなことはユーフィーも出来ない】
【本という肥料が確立されている以上、それを摂取すれば自と上へは辿り着く──それにどれ程時間がかかるかは、個人差あるが】

そうね……生者のすべきことは死者を偲び、その存在を忘れないであげること
それが自然の定めなのだから、覆そうってのは愚策ね……覆された方はたまったもんじゃないわ

【本の管理状況を見る限りでは、彼女はここの蔵書にまつわる想い出によい感情を持っていないのだろう】
【この本のかつての持ち主が、何を成し遂げようとしていたかはしなんとなくでしか予想できないが──悲しいことだと思う】
【魔法を専門とする存在としては、そうとしか思えない】

っとと、それもそうね……ごめんなさい
普段これを明かりにして本を読んでたりするから……迂闊だったわね

【少々、ここがどんな場所であるかに無神経だったようだ──素直に謝り、火球と水球を消す】

それじゃ、そろそろここを出ましょうか……ここでしたかったことは一先ずさせてもらえたし、くつろぎの場としては少々埃っぽいしね
<> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 21:53:03.55 ID:g4wh0NiDO<> >>611

【軽く笑った男に対し「これは厳しい」と軽く笑いながらついていく】
【ところどころで鳥の声などが聞こえ、自然も多く綺麗な場所だ。足元を歩く小人を見た時は少し驚いて声が出そうになった】
【正直幻想上の生き物は初めて見た。これからは認識を改めないといけないのだろうか】

【家の目の前についた頃に男に声をかけられる。声に漏れていたのは無意識だった。色々とボロが出てる自分に嫌になってくる】

これでなんとか、ですか。あなたの嫌味には大層キレがあるようですね

【少し言い方にイラっとしたが男なりにフォローでもしているのか?なんにせよ簡単であってたまるものか。これで容易と言うものなら今頃手のひとつのふたつは出てたのかも知れない】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 21:57:07.95 ID:YW/3sXF30<> >>612

そうさなあ――私は、凡才でもいいと思うのだがね。
当人が満足していればそれでいいよ、無理してまで賢くなることに意味があるかしら。
必要に駆られてからでもいいんじゃないかとね、――ま、勉強は苦手なんだ。計算だとかね。

【学校に行ったことがなかった。昔は確かに行くことになっていた気がするのだけど】
【その頃になってみればいろんなことがあって、それどころじゃなかった。結局、そんな話は流れてしまった】
【そのままずるずると過ごして今だ。自主的に勉強しても良かったはずだが、それも、なんとなくしないままで】
【本を読める程度の頭はあるはずだが、微分積分のやり方だとかは普通の本には出てこない。だから、知らないのだ】

【――なんて自分の怠惰を言い訳してみて。肥料も肥料で種類を間違えたり、時期を、量を、間違えると植物を殺すもの】
【たぶん彼女は間違えている、そして、それをどこかで気付いている――けれど、見ないふりで、根ぐされを起こしたみたい】

…………じゃ、ま、出ようか。今度キミが来るまでに掃除をしておくよ。きっと――だけれど。
なんせ用事もなくってね。年に一度か二度ほど彼らから本が届くのを突っ込む程度なんだ。

【「今ので本が減ったから、次は置き場所に困らなくていいね」】
【なんて呟いて、少女は相手に外に出るよう促す。死者がどうとか――そういうことにはだんまりで】

茶でも飲んでいくかい? 菓子は無い……いや、前に買ったクッキーがあったかしら。
賞味期限が過ぎてない保証は無いけども、確認してみようか。ところで過ぎていても何週間までなら食えるのだろうね。
ああいう乾いたものは大丈夫そうだと思うのだけど――バターの風味が真っ先に死にそうだとは思うよ。

【行きは自分が先導して、帰りは相手を先導させて。今度は扉を閉め閉め、二人は入り口のほうに戻るのだろう】
【途中で気になる場所があれば見ていくことも許されるのだが。部屋の扉には、大雑把ながら本の内訳があり】
【そうでなければ入り口のほう、休憩がてら茶でも飲んでいくなら、また別の部屋に案内されるのだが――】

【流石に夜も遅くなってきた。そろそろお暇を、ということなら、別段彼女も止めることはなく】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 22:03:06.10 ID:97wdzYZYO<> >>613

……やれやれ、フォローにはならんか
慣れないことはするもんじゃないな

【ため息を一つついて、男は扉を開けて相手を中に招き入れる】
【中もまた外観通りの見た目になっていて、一般的なログハウスとなんら変わりがない】
【だが彼は更に奥へと入っていき、階段に辿り着くとそれを降りていった】

【その先にあったのは巨大な書斎だった。上階と同じ程度の広さに所せましと本棚が並べられている】
【棚に並んでいるのは魔導書の類だがそれだけではなく、生物図鑑や詳細な地形が描かれた地図など、多岐に渡っている】
【書斎の一番奥には大きめの机が二つ。片方は本やら何かが書かれた紙やらが広がっていて雑然としていた】

紅茶に品種に好みはあるか?

【出す飲み物について尋ねながら、男は抱えていた紙袋から本を取り出し、机に置いた】
【部屋の中にあるもう一つの巨大な机には、外にもいた五センチ程度の小人が何匹(人?)も乗っかっていて】
【自分の体より大きい羽ペンを抱えて、白紙の本に何やら記入していた】
【そんな作業風景が、その机の上でいくつも広がっている】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 22:15:43.28 ID:97wdzYZYO<> //次ちょっと遅れます <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 22:20:05.96 ID:xK/zQBFgo<> >>614
それでもいいと思うわよ、生きる道は無限にあるんだし
まぁ、必要になってから始めても間に合うかは知らないけど──道は無限でも、進むのに使える時間は有限だからね、人間というものは

【人間の先を見る目なんてものはたいしたものではなく、何をしようにも気づいたときにはもう遅いということはよくある】
【だからこそ、人は自然の摂理を覆そうとするのかもしれない──それがいやなら、遅くなる前に、時間を有効に使わねばならない】
【そんなことを思いながらの、忠言】

別に構わないわ、そこまでさせるのは悪いし
そうなの……あれ、じゃああの本は持っていかない方がよかったんじゃ?

【本を届ける人がいるということは、それを利用したいと思う誰かがいるはず】
【にもかかわらず、通りすがりの者が持っていってもいいというのは、どういうことなのだろうか】
【……まぁ、予想はつくが──確認の意も込めて、尋ねてみる】

野ざらしにでもされてなければ、大丈夫でしょうけど……でもいいの?そこまでしてもらっちゃって
こちらから返せるものは、あまりないけど

<> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 22:24:24.17 ID:g4wh0NiDO<> >>615

【連れられるがまま階段を降りるとそこは広い書斎だった】
【これだけの本に囲まれる空間は自分の元々いた実家以上だ】
【よく見ると小人が幾つか確認できた。彼らが掃除でもしているのだろうか?というか彼らは俗に言う召使いの類なのだろうか】
【魔道書以外の本も多数ありさながら図書館といったところだろうか】

【小人を眺めているとそれは多種多様な動きをし、人形劇でも見ているようだった】

そうですね…好き嫌いはありませんが高い茶葉を好んでいる程度ですかね

【男の問いに笑いながら答える。実際そういう高い趣向品を好んでいるので好みと聞かれるとそう答えるしかない】 <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 22:24:59.63 ID:g4wh0NiDO<> >>616
/了解です <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 22:49:29.47 ID:YW/3sXF30<> >>617
/うわあ申し訳ないです、見逃してしまってました!
/今から急いでレス作るのでもう少しだけお待ちください……! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 22:58:33.48 ID:YW/3sXF30<> >>617

……構わないよ。どうせ送った本を確認しに戻りもしないのだから。
それで叱られるようなら間違えて捨てたとでも言っておくから。

【本はいつだって一方通行、送られてくるばっかりで、何かを送り返せ、という指令も届かない】
【いつだって本と、暮らしていくだけの金だけが届く。それと、本当にどうでもよくて興味も持てない、短い手紙】
【いや、長かったかもしれない。よく覚えていない、届いた後形式的に一度読んで、埋めてしまうのだから】
【茶のもてなしがいらないようなら、相手の後ろを歩きながらぱちくりして――「そう」などと呟き】

いい。ここにあって読まれないくらいなら、誰かのところで読んでもらったほうが私も気が楽だよ。
本は読まれるために書かれたのだから、閉じ込めたっきりで全うできなくしてしまうのは――酷だろう。
私ならば気が狂うね、誰かに読んでもらってこその本で、それが仕事なのだから。赤子が泣くより分かりづらいけどもね。

【結局、本は持っていって欲しかったのだろう。或いは“彼ら”への反抗、本をどこかにやってしまうことで】
【困らせてやりたい――なんて自覚していない気持ちが少しだけある。遅れた反抗期みたいな、或いは、拗ねた子供のような】
【ただもちろん言葉にしたような気持ちもあって。ただ拗ねただけではない、本のことも考えて、誰かに手渡したかった】

……じゃ、また、本でも読みにおいでな。いつでも歓迎するよ、居れば――だけれど。
こっちに居なかったら裏に回っておくれ、そこにも居なかったら、どこかに出てるだろうが。
奥に家があるんだ。聞いた話だと元々こっちが本家だったらしいのだがね、本棚が増えすぎて住めなくなったと。

【返せるものなんて要らなかった。強いて言えば、ここにある本を読んでくれる、目と手になって欲しい】
【つまり、またいつか遊びに来て欲しいと彼女は言って、冗談めかして、「安全なクッキーがあるといいね」と言い】
【とりあえず入り口のほうまで戻ってくると――「じゃ、お帰り?」なんて、改めて尋ねるのだった】

【ただそれは追い返す言葉の色合いではなく。居ても、帰っても、どっちでも――と、大したこだわりはなさそうで】

/見逃してしまってすいませんでした……お待たせしましたっ <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 23:05:01.32 ID:97wdzYZYO<> >>618

おい……お前の方がよっぽど嫌味じゃねえか

【呆れたように男は答えると、一旦上へと戻っていった】
【小人は机の上以外にも床の上や本棚の隙間、本の上と至る所にいて】
【それぞれ寝ていたり、何か話をしている風であったり、あるいは何故か喧嘩したりもしていた】

【しばらくして上階から男がカップと箱詰めされたクッキーを乗せたトレイを持って降りてきた】
【そうすると男の周囲に小人たちが集結。「ぁー」だの「ぅー」だの合唱をし始めて】
【男はその集団に細かく砕いたクッキーを、まるで鶏とかに餌をやるように撒き始めた】

悪いが俺は茶葉の良し悪しはわからん。安物で我慢しろ

【一通り終えて彼は机の上にカップを二つ、隣の別の机にカップを一つ置いた】
【机の上にも小人が集結して、カップに入ったミルクティーをどうやってか飲んでいる】

さて、と。さっきは悪かったな
何をそんなに捻くれてるかは知らんが、ひとまず謝礼をしようじゃないか
何がいい?

【そんなことを言って、男は椅子に座って紅茶に口をつける】
【彼の対面には椅子があったが、その上には邪魔な服が置いてあった】
【その服には逆五芒星──カノッサ機関のマークが入っていた】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 23:05:14.58 ID:97wdzYZYO<> >>622
//お待たせいたしました <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/06(水) 23:22:40.40 ID:xK/zQBFgo<> >>621
そう……なら、ありがたく頂くことにするわ
本を死蔵としないためにも、ね

【分かっていた回答が、帰ってくる──彼女固有の事情としても、彼女のポリシーとしても、この状況は嫌なようで】
【ならば、もらっていかない理由もない──死蔵のままでは本が泣くというのは、同意見だ】

ありがたいわ、魔法書を探すのって結構骨が折れるし……
そうね、あまり遅くまでいさせてもらうのも悪いし……今宵は、ここまでで
読むものが無くなったら、またお邪魔させてもらうわ

【そういうことなら、来ない理由はない──ここにある本目当てに、また遊びに来るのだろう】
【だが、今日はもう帰らせてもらうつもりのようだ──別にクッキーが怪しいからではなく、単にそろそろ眠いというだけだが】
<> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/06(水) 23:31:24.74 ID:g4wh0NiDO<> >>622

【男が階段を上っていくと魔道書の一つでも手にとって見ようかと手を伸ばすが小人の視線に耐え切れず手を引っ込める。そうこうしているうちに男が戻ってきた】
【小人にクッキーの欠片を与えているシーンはさながら親鳥から餌をもらう雛であった】

まぁ、別に嫌いというわけではありませんし、たまにはこういう趣向も良いでしょう

【カップを置いたのをみて、紅茶の方を見る。普段から高いものを好むが別に安物が嫌いなわけではない。純粋に高いものを好んでいるだけである】

【この男謝っているのにどこか鼻に付く。話がこじれそうなのでそこはあえて口には出さないが】

何がいいって貴方、そんな漠然と言われても──

【そこまで言ってハッとする。何故そこにこのマークがあるのか。答えは一つそういう事なのだろう】
【椅子を探していると目に入るそれは言葉とは動きを封じるには充分だった】

/おかえりですー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/06(水) 23:38:26.26 ID:YW/3sXF30<> >>624

そうしてやっておくれな。好きなだけ読んでやって、――ま、飽きたら、誰かにでも譲ってもらえれば。

【そうやってぐるぐる廻る、最終的に縁があればまた戻ってくるかもしれないし、そうじゃなくったって】
【読みたければ、同じ本を買い戻せばいい――よっぽど珍しいものだったら話は別、になってくるのだろうけど】
【そんな本でも、死蔵するくらいなら欲しい人に。そう思う性質――だった。そりゃあ、少しは、もったいなく思うけど】

気をつけてお帰りよ、別段治安が悪いわけでもないがね。よく深夜にうろついても生きているし……。
たいがい起きると太陽が引っ込んだ後なのでね、散歩しようと思うと夜になる。――この辺りは平和だよ。

……ああ、表のベルは壊れているから、大声でも出しておくれ。自警団が来る前には気付くだろうから。

【やっぱり帰るということなら引き止めない。ぱちぱちと瞬きしてから、玄関の扉を開けてやるのだろう】
【そんな非行少女的お墨付きをもらっても嬉しくないかもしれないが、実際、この辺は比較的治安のいい町並みで】
【それから思い出したように遊びに来たときの注意点を伝える、――ベルを直すつもりは、なさそうだ】
【――とはいえ、そのほんの気持ちふざけたような声を聞けば、冗談とも分かりそうだ。ベルが壊れているのは確かでも】

じゃ、また。あの子たちを頼んだよ、煮るなり焼くなり――とは言うけれど、それはやめてあげてほしいけれど。

【そうして、玄関先まで送っていってやって――なんなら表の道まで出て行って】
【それで、今宵は別れということになるだろう。空には綺麗なお月様、しんとした街並みには、川のせせらぎが聞こえ】
【建物内がどうにも暗幕に密室と根暗な雰囲気だったので、一気に解放されたような気持ちになるかも。まあ、】
【弁護しておくと、生命に支障をきたさない程度には換気している――のだ。余談だけれど】

【最初は棒立ちで見送って、途中で、気付いたように緩く手を振った】
【それで相手が見えなくなるまで――とはいかず、ある程度背中が小さくなれば、彼女は室内に戻り】
【彼女に見せてもらった魔法書を思い返しながら――魔術について書かれた蔵書を、開いてみるのだった】

【(血色の本。低級悪魔を喚ぶことすら難しい本は、ただ、規格外の使い方をすれば)】
【(たとえば一人の血だけでなく、二人、三人、――いくつも数えて百、二百、千、それだけの血を集めれば)】
【(それなりの悪魔でも喚べてしまう。そういう抜け道があったのだけど、その本を見出した人間は、気付いていたのか)】

【まだ禁忌を探し始めたばかりの彼ら。あんまり必死でなかった二人が――出来るなら頼りたくないと置いていった、本】
【厄介払いみたいに他者に押し付けたのがいいことだったのか、悪いことだったのか、それはまだ、――わからないけど】

/おつかれさまでした!途中不手際が何度かあって申し訳ないです……! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/06(水) 23:41:59.23 ID:97wdzYZYO<> >>625

【小人たちはぽりぽりぽりぽりとクッキーの欠片を食べ、ミルクティーに群がり】
【食べ終わった個体から順にそのへんで寝始めた。たまにクッキーの取り合いをしているやつもいるが】
【「ぁぅー!!」と叫んだりして若干、うるさかった】

俺は見てのとおりの人間だし、そこに置いてあるとおりの“立場”だ
もっとも、その立場についたのはつい最近だが……

【男が動きを止めたのに合わせて、彼は椅子の上に置いてある服を指差した】
【カノッサ機関の一員であれば、つい最近に加入したその人物の名を知っているはずだ】
【その名はアイン。六罪王ダグラス・マックスウッドによって追加された六人目の六罪王】
【その立場と、この場所に揃っている物を見れば、彼が行えることの幅広さはわかるだろう】

お前は、何か唐突に俺の家に来る気になっていた
何か理由があるのではないかと思ったんだが、俺の気のせいか?

【肘掛けに頬杖をつきながら、アインはそう続けた】 <> ベル
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/06(水) 23:49:18.60 ID:cfCXGaaZ0<> 【深夜、もはや人の気配の無くなった公園。聞こえてくるのは離れた街道を走る車の音と、池に棲む蛙の鳴き声くらいのものである。】
【ゲコゲコ、と一匹の蛙が喉を震わせてから池へ飛び込んだ。何の変哲もない、この公園における一般的な光景であった。】
【奇妙な点があるとするならば、その蛙の体躯が実に5メートルはあろうかということ。その体中が鋼鉄の装甲によって覆われていたこと。】
【そしてその背には一人の少女がしがみついていたこと、くらいだろうか。】

うわあっ!…やっぱり水遊びが好きなのか?その辺りの習性は蛙のままなんだね、君。

【中学生くらいに見える少女であった。濃紺のロングヘアーに同じく濃紺のセーラー服を着用しており、その上から白衣を羽織っている。】
【口ぶりから察するに、彼女はこの蛙の飼い主か何かなのだろうか。突然の行動に驚いたようで、跳ね返った池の水を頭から被ってしまったようだ。】

あーあー、僕の白衣が…。まあ、白衣ってのは汚れてもいいように作られたものだからなあ、構いやしないか。
しかし人目に付く場所では問題だ、とはいえ…人っ子一人通らないんじゃあ意味が無いな。せっかくこの「フロッグマン」の実験体を探しに来たっていうのに…

【誰に話しかけるでもなく、ぺらぺらと一人語り続けるのはこの少女の癖のようだ。語りの内容から人を探しているようだが、その内容はどうも物騒である。】
【公園の中央、電灯に照らされて少女と巨大蛙は通りかかる人間を待っている。一人のサラリーマン風の男が遠目にその光景を目にすると、仰天したのちに何も見なかった振りをして、逃げるように家路へと急いだ。】



/明日、早く起きねばならないため今夜はあまりロールできませんがそれでも宜しい方がいましたらば… <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/07(木) 00:13:17.62 ID:7ucnlq9VO<> >>627

【ハァ、と深く溜息をこぼす。ここまでVIP中のVIP、ましてや自分の上司に当たる人物だったとは思わなんだ】
【男は機関にとっては協力的ではない。別に非協力的でもないが単に面倒ごとが嫌なだけで組織も利用しているに過ぎない】
【よってあまり連絡網などは疎かったのだがそれでも最後の六罪王が、という連絡は知っていた。知っていたのだがそれがまさか】

まさかそんなお方が道端でずっこけているとは…

【魔術の類は詳しくわないが相当なのだろう。だが正直第一印象は拭えない。初対面でアレであったためになおさらだ】
【とりあえず気持ちと第一印象をリセットさせるここにいるのは自分の上司。六罪王なのだと】
【再び溜息をつくと最後の六罪王。名前はたしか…アイン、だっただろうか?その問いに答える】

まぁご想像の通りなのですが、あなた方のようなお方には私のような矮小なものの悩みなど理解しなくて良いものなのですよ

【当然自分のこの願いなどは能力者なら理解されない。強大であるなら強大であるほどなおさらだ。それに自分を中心に世界が回っていると考えるような方達だ。話が通じてもこの考えは機関に不要とされても仕方がないようなものだ】
【無駄足にはなるがここは口を塞ぐべきだ。相手がどういう人物かわからない以上この考えは危険だ。もしあのベクター様のようなタイプだったら一巻の終わりなのだから。そう思いながら】

/申し訳ありませんが明日が早いので凍結か置きでお願いしたいです。明日の夕方には戻っているの思うのでそれ以降となりますが… <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/07(木) 00:29:06.72 ID:7bGCxvKUO<> >>629

俺も人間でな、歩いてればこけることもある

【ずっこけた六罪王はあっけらかんとしていた、いやしようとしていた】
【だがやはりかっこ悪かったことは自覚しているようで、口を引き結んでいた】

……ククッ、卑屈のくせに上から目線。中々面白いやつだな、お前
自分は何か重大な悩みを抱えてはいるが、しかしそれは理解されるものではない
それ故に自分はどこか素晴らしい人物だと勘違いしながらも、“我々”に比べれば無能であるということに違いはない
そんなところか……負け犬だな

【ナンバーズの返答に、アインはそれはそれは愉しそうな笑みを浮かべていた】
【予想のいくつかは正しい。彼は自分を中心に世界が回っていると確信しているし、能力について理解もない】
【しかしいくつかは間違っていた。機関にとって必要かどうかなどアインにとってはどうでもいい】

【ベクターと似たタイプでありつつも、彼ほど自己“完結”している方でもなかった】
【自らが言い出したことである以上、報酬として何事かを与えるつもりではあるのだ】

まぁ、なんだ
素直に相談事を持ちかければ内容によっては応じてやる
中途半端に卑屈になるのなら俺は知らん。そのへんを這い蹲っていろ、無能などに用はない

【とはいえ、アインにとって目の前の男がさして重要でないのも事実】
【わざわざしつこく聞いて願いを叶える義理もないために、こう答えるのが限度だった】

//了解です。こちらも夕方ごろから応対できるかと思います
//では今日のところはお疲れ様でした <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/07(木) 08:10:44.15 ID:rVyRMfpKo<> >>626
えぇ、本棚の肥やしにするのは避けるわ
スペースとしても、本の価値としても勿体無い

【彼女の想いは、どうやらきちんと伝わったようだ──こうお願いされたからには、ちゃんと意味のある蔵書として活用するのだろう】
【そのために、譲り受けたのだから】

繁華街の方や路地裏に行かなければ、夜でもそんなものよね
……でも、たまには太陽の日差しを浴びるのも良いものよ?

それでちゃんと自警団が来る辺り、平和ね……わかったわ

【彼女自身も夜更かしなり夜遊びはする方で、どこなら平和かというのはある程度わかっているようだ】
【でも、あまり昼夜逆転生活が続くのも吸血鬼でもない限りよろしくない──そんなわけで、軽く忠言を挟む】

好きに使わせてもらうわ、煮るなり焼くなりはしないけど
……じゃあ、またそのうち

【魔法使いなんて陰気な肩書きを持っていても、やはりきれいな空気というのは恋しいもので】
【新鮮な空気を味わいながら、別れの言葉を告げる】
【そしてそのまま、彼女の家を離れていくのだろう──振り返るでもないので、彼女がある程度のところで引っ込んだのにも気づかないのだろうが】
【人付き合いは、ドライな方なのだ──あんまり親密なのも、疲れる】

【その後、譲り受けた書物を調べていくうちに悪魔召喚の秘める可能性にも気づくのかもしれないが】
【どのみち、実行しようとするつもりもないので軽く考察するのに留まるのだろう──厄介払いに押し付けられたというのも、気づかないで】

//最後寝落ちててすいません……お疲れさまでした <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/07(木) 15:46:17.59 ID:KNYxmXIpo<> 【公園】
【春の陽気に誘われてか子供達も元気に外を駆けずり回るこの頃】

いってぇ!ちきしょ!かーっ!

【人目も憚らずそう声を上げるのはベンチに座ったこの人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性である】

【後ろから見れば分かるがお面の下の頭には包帯を巻いており、今は腕に負った傷にガーゼを当てて包帯を巻き直している様で】

痕が残らねえかだけが心配だってーの
特に頭よぉ…ハゲになんねーだろーな。コレだけは怨むってーのーかーっ…かーっ

【溜息とも愚痴とも言えない様な息を吐き】
【隙間が目立つ程に乱雑に腕に包帯を巻くと、銃弾でちょっと抉られた側頭部をポンと叩いて】

いっ――――てぇ!!!

【自分で叩いた側頭部の傷の痛みに思わずもう一度叫ぶのである】 <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/07(木) 16:25:21.76 ID:n8B8u6GtO<> >>630

────ダンッッ!!

【不意に大きな音がした。テーブルの上には骨董品らしき万年筆が突き刺さっている】
【突き刺した主は勿論自分だ。目の前の六罪王、アインの言葉の食い気味に手が出てしまった。これでは言い逃れはもう無理だろう】
【まぁ手は早い方ではない様には思える。殺すようなタイミングは多々あったのでその都度自分は死んでるとなると三回は死んでいるのではないだろうか?】
【とは言っても「言いたいことはそれだけか?」となる可能性大いにあるわけで】

【それでも別に無意識などで動いてはいない。ただ単純にムカついたからだ】

(なんでこう…偉そうな奴はいつもこんなのばかりなのでしょうかね)

【かつて父だった人間もそうであったように、大空を飛ぶ鳥が空に焦がれる雛鳥の気持ちも知らぬように】
【ここまで来たのならばもはや避けることはできないだろう、口を塞いでこの場をやり過ごせたとしても目の前の男はきっと不要なものは容赦なく切り捨てるタイプの人間だ。かつての父がそうだったように】
【後で死ぬか今死ぬか、ならばここで不本意ながら話して六罪王によって散った命となった方が話題にもなろう】

………ご覧の通り現在インクを切らしておりましてね、何か書くものをいただけるとありがたいのですが

【表情をいつも通りの笑みにし、あっけらかんとした声に戻す。言い終わった後男が持ってきた紅茶のすすりクッキーをひとつ口に運ぶ】

(最後の食事がクッキーと安物の紅茶とは参ったものです…)

/ただいま戻りました <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/07(木) 17:48:17.17 ID:KNYxmXIpo<> //>>632で19時ごろまで待機しております <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/07(木) 20:56:32.72 ID:20N6IqhGO<> >>633

【男の強烈な反応にアインは笑みを深くした。人の心をあえて折るのも彼の趣味だった】
【だが事態は彼の思うとおりには進まなかった。結局、相手は口を割ることはしないままだ】
【アインは退屈そうにため息をつくと、紙袋から新品のインクを取り出して、それを男へと放り投げた】

てっきり「お前に何がわかる」系の台詞でも来るのかと思ってたが……意外と我慢強いじゃないか
卑屈さも、ここまでくれば一種の才能か

【感心したような言葉をかけてから、アインは紅茶を一口飲む。それから手元にあった本を広げた】
【もう既に興味が失せたらしく、それきり声をかけてくる様子はない。もちろん、かけられれば応対はするだろう】
【森の元きた場所へ行けば、転移用の魔法陣が置いてある。それで帰ることも可能だ】

//遅くなって申し訳ありません! <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/07(木) 21:34:06.14 ID:ehf3UXrdo<>
【街中】


【家族連れやカップルの行き交う商店通り。華やかな町並みに、人々の賑やかな声が響く】
【立ち並んだ出店では様々な土産や菓子が売られ、それを買い求める人々は、一様に明るい顔】

【そんな中──買い物客の休憩のためだろうか、設置されたベンチに座った少女は、浮かない表情だった】



……怒られるわよね、絶対。 ……はぁ。



【白い髪を腰ほどまで伸ばし、青いパーティドレスを身に纏った彼女。いかにもお嬢様然としている】
【──華美な服装の者も多いとはいえ、その姿は、ウィークデイの街中では十分に目立つものだった】


【──この少女を見た者は、若しかしたら、こんなことを思い出すかも知れない】
【数分か数十分か前、いかにも『SP』といった感じの男達に見せられた写真。それに写った少女に似ている、と】
【彼等によれば、「家出した」との事だった。 礼はするから見つけたら教えてくれ、と、連絡先も渡されただろう──】


/1時ごろには落ちますが、よろしければ <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/07(木) 21:53:41.28 ID:tIacGpK5o<> >>594

【ここは試合場ではない、ゆえに無慈悲に己の命を刈り取る必殺の一撃が飛び交う事を覚悟しなければならない】
【だが試合ではないおかげで―――戦闘中であろうと治癒の呪文を使用する事も許される】
【現状、手当てしないと本当に命がない、というダメージは腹部、その一点に集中してムクが治癒を行うだろう】

【『ロックバックル』を手にベルトを発現させ、相手の動きを警戒しながら治癒の呪文を腹に受ける剛太郎――単刀直入に今必要な事を相棒に述べる】


―――ムク、確かあんた、『嗅覚』で相手の魔翌力の流れをかぎ分け、探知する事ができたよな……
まだ、全貌は……見えてない、けど、あいつは……能力を使っていろんなモノを『出現』させる事ができるみたいなんだ……
それも、ギリギリまで……『何』が『どの辺』に現れるか読めない……だからムクの『鼻』でこれからどの位置に現れるかを教えてくれ

「ふん、『直前』にどの位置に現れるかだけわかればなんとか反応は可能、というところか?
……いいだろう、おまえは死なせるわけにはいかんからな、請け負おう、それととりあえずこの一番深い傷の出血だけ止めるのものう」


【必要事項だけ理解して頷くムクが……突如、治癒を止めるだろう】
【無論全ての傷の処置など不可能だ、ダグラスに次の一手を打たれる前に治癒を使えるのは実戦の速度から考えて一か所が限界】
【致命傷につながる大怪我をふさぐのが関の山なのはすでに理解している事だ、だがムクがその手を止めたのはそれだけが原因ではない】
【剛太郎がダグラスの話にすでに疑問符を浮かべる中、ムクの行動の中断にもう一つ疑問符を浮かべることとなったが】


……アイデア……?ケルベロスの絵……?いったい何の話を……ん?
ムク、どうしたんだ……なんだか、震えてないか?

「―――剛の字、すでに『感知』を行うまでもなかった……『来る』ぞ……前からとんでもなくヤバいのが!」


【もう片方の手に赤い鍵を手にしながら剛太郎は、目の当たりにした。その獰猛な三つ首の獣を】
【剛太郎にも知識くらいはある―――この世界でも伝説上の存在として語り継がれる三つの頭部を持った地獄の番犬】
【この世界でも実在は未だ確認されてない、神秘の塊のような獣―――その獰猛さを露わにした顔が三つとも今自分を噛み砕こうとしている事を自ずと悟る】

【嘘だろ……という言葉が自然と彼の口から零れる。だがその後半ば反射的に手に取った鍵を『ロックバックル』をねじ込むと】


変 身 ッ !!


【叫びと共にガチャリ、とひねって錠前を起動させると同時、彼もケルベロスに対応するべく前に飛び出し始めるだろう―――その姿を変えながら!】

/続きます <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/07(木) 21:54:33.53 ID:tIacGpK5o<> >>637続き

「―――『Flare≪フレア≫』 Lock-free』


【内側から赤く開いた錠前をベルトの中央部に押しこむと金属を叩き割る様な甲高い音が鳴り響く】
【ブル、と空気が震え剛太郎の身体が銀色の、というか鉄の色をした何かのエネルギーに包まれる、そしてその同時に棺桶型の魔術礼装が彼の後ろに移動した】
【錠前に連動するかのように棺桶が開くと……そこから赤いエネルギー玉に包まれた炎のナイフのような物が姿を変えて行く剛太郎に接触する】

【バリン!と割れると…無機質でのっぺりしたシルエットの戦士が登場すると同時、赤い炎のナイフが入ったエネルギーが肩や胸のプロテクター、仮面のパーツになる】
【胸と肩などでつなぎ合わせその顔の前面に仮面のパーツががっしりとはまれば…】

【顔の正中線を赤い刃が突き出した横縞の溝のついた防護の鉄仮面の下から赤い複眼を覗かせた異形の顔立ち】
【肩や胸に肩衣半袴を思わせるデザインの堅いプロテクターで覆われた肘や膝に鮫肌のようにザラリとした手触りのサポート】
【手の淵や踵は鋭く尖った鉄となっており……本気を出して叩きつければ本当に斬れそうなデザイン】

【――――魔術の鎧を身にまとった異形の武者と化した剛太郎がケルベロスの動きに反応しながら思考を巡らす】


(ケルベロス……!なんだコイツ、ケルベロスを……実在してるかもわからないような生き物を平然と『出現』させやがった!
なんだよこれ、どっかから呼び出してるとかそんな感じじゃない、この世界でも空想と呼ばれてるような存在をそう簡単に『召喚』できるとは到底思えないし……)

(……『空想』、犬を見て浮かんだ『アイデア』……思い浮かんだものが『出現』……)


―――まさかこいつの能力……『頭に思い浮かべたモノを現実に出現させる能力』か!?


【剛太郎の六感が正答を導き出しつつある、難しい事を考えるのは苦手そうだが理屈ではない物を感じ取る感性は鋭い】
【思いついた通りに実在不明の存在をさも当然のように『出現』させるこの規格外の現象はそう推測しなければ説明がつかないという事に辿り着いたのだ】
【想像通りの物が頭から現実に飛び出してくる、おそらくはダグラスの性能に見合ったモノであったならばなんでも―――!】

【しかしこの状況に置いて救いなのはケルベロスの攻撃その物は通常の三つの牙や爪、それもまっすぐ向けてくる単純な攻撃であることか】
【ならば簡単だ、三つの牙が己を噛み砕こうとする前に彼は身を低くして前に飛び出し―――】


くらえッ!!葉隠流 混成技!『睡蓮』、からのッ!『山茶花』ァ!


【三つ首のさらに下の顎めがけてもぐりこんで放つ混成技!―――剛太郎の狙いはこうだ】
【噛み砕かれるよりも前にその3つの牙と視界が届かぬ下段へと踏み込んでそのまま下から上へと混成技を放ってカチ上げる!】
【まず右と左の顎めがけて発射するのは上段それぞれ右や左斜め上へと突き上げる諸手打ち、成功したならその攻撃された左右の首にのけ反ったことで引っ張られ動きが止められた所で】
【怯んだ真ん中の首の顎めがけて上段蹴りを放つ!―――その上その全ての攻撃の威力は上がり炎の魔翌力までおまけされている連撃、これが通じれば流れを変えることも可能か―――!】

/今日もお返事を返しておきますね <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/07(木) 21:54:47.85 ID:tIxW1u+OO<> >>635

【投げられたインクを今度はちゃんとキャッチ突き刺さっている万年筆を引き抜きテーブルで手際よく入れる。しばらくしてから万年筆の先を拭き取り手元から手帳を取り出して試し書きとばかりにサラサラとペンを走らせる】

実際、わからないでしょう?いや知りたくもないだけでしょうか?

【明らかに興味を無くしているのだろうか。六罪王の面々は興味がないものには基本的に非情だ。道端の虫けら以下の存在だろう。ならばここにいるのも得策ではない】
【不明な点は多すぎるが六罪王だ。本当に虫けらのように潰されかねない】

【ビリッと手帳を破きそれをテーブルの上に放つ。ヒラヒラと紙が落ちていく。それが彼の目に入る位置にいくかはわからない】

さて、あなたの興味もなくなったというわけでそろそろお暇させていただきます
…あぁそうそう、六罪王なのですからせめて茶葉くらいは部下よりもいいのを使用した方が良いですよ。部下に示しがつきませんから

【「私みたいなね」と続け階段を上る。ここの場所はよくわからないがとりあえずいつまでもここにいるわけにはいかない。自分に興味がない六罪王と同じ空間など導火線どころかニトログリセリンだ】

【しかしまぁこれから顔を合わせるかもしれない以上この認識は結構危うい。自分に興味を持つかわからないがとりあえず───】

【男がテーブルの上に置いた上には『オウル・F・フレスベルグ』と三度書いてあった】
【そして家の入り口に差し掛かる男は手帳を取り出し万年筆で三度『オウル・F・フレスベルグ』と書いた】
【時を同じくしてテーブルの上の紙から時が擦れ、消えていき、白紙に戻る。これが男が『呪い』という由縁だがこの現象の意味が果たして理解できるだろう?】

【───名前を書き終わり入り口のドアノブに手を伸ばす。そもそもこの行為は本を読む男がテーブルの紙を見ていないと意味はないしそもそも名前と理解されなければいけない。加えつけに自分が起こした現象だと思われなければ意味ないわけで】
【そんな事は分かっている男これくらいしか方法がないわけで、どっちに転んだにしても厄介なことには変わりはない】
【しかしこの現象を理解したのならば、六罪王は入り口の男をどうするのだろうか?】

《署名現在・手帳内×3》 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/07(木) 22:12:13.02 ID:20N6IqhGO<> >>639

【男がいなくなった後、アインは視界に偶然入ったその紙に目を向けてみた】
【オウル・F・フレスベルグ──なるほど、名前だろうというのはすぐに理解できた】
【ちょうどそのとき、オウルが上階で名前を手帳に書き入れた影響で、紙に書かれた名前が消えていった】

……?
なんだ、書いた字が消えるのがそんなに凄いのか……?

【上階の様子を知らないアインからは、オウルが書き出した名前が消えたようにしかみえなかった】
【確かに不思議な現象だ。魔術師はしばし本から目を離して首を傾げながら考えにふけってみたが】
【それ以上の何かしら興味を引くような面白い仮説にたどり着くことはなかった】

【結局、六罪王がオウルを追いかけることもなく。無事に彼は街へと戻ることができるだろう】


//すいません、明日が早いためにここらで寝なくてはなりません
//これ以上引き延ばすのも良くないかと思いますので、このへんで〆させてもらいます
//二日間ありがとうございました。お疲れ様でした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/07(木) 22:14:07.87 ID:jcGeqh9f0<> >>636

―――もしもし、其処のアナタ。

【―――ベンチの後ろから、不意に声が掛かる。少しハイトーンの、少女らしい可愛らしい声】
【振り返れば、其処はベンチに座った少女と同じくらいの年恰好の少女が微笑んで立っているだろう】

【歳は、まだ成年に達していないくらいだろうか。細身の体躯は、スレンダーと言うより少し華奢な印象を受ける】
【目は垂れ目気味、瞳は茶色。前髪を切りそろえたショートカットの髪は黒色。肌は艶やかで綺麗な白色。】
【服装はベージュのニットチュニックにモスグリーンのスカート、黒いタイツの組み合わせ。手には水色の水玉模様の傘】
【背には何やら重そうな鉄製の箱を背負う。―――ベンチの後ろに立つのは、そんな姿格好をした少女だ。】

【姿や表情を見れば、少なくとも夜に一人の少女へ危害を与えそうな悪意は持っていないのが分かるだろう】
【「隣、座ってイイ?」と訊いて、了承を得れば鉄の箱を地面に下ろして少女の横にちょこんと座って】


―――アナタ、さっきの人が捜してた女の子だよネ。なんか沢山男の人が捜してたヨ。
……なにか、あったノ?大丈夫、無理やり連れてって突き出すようなことはしないから……よかったら、話してみテ?


【そんな事を訊く。―――少女の表情からも、何かあったのは間違いなさそう】
【答えてくれるかは分からないけれど……お節介焼きな彼女は、一人で座っている少女を放っておけなかった】

//まだいらっしゃれば! <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/07(木) 22:31:05.85 ID:ehf3UXrdo<> >>641


…… わっ。 ……ど、どうぞ。

【声を掛けられれば、少女は小さな声で驚きながら、体を跳ねさせた】
【後ろを向くと、少女。自分より少し歳は上にも見えたが、同年代であることには違いない】

【少しだけ安心して、彼女のために場所をあける】
【──少し長居しすぎたかな、と。考え始めたところで、再び彼女の声が響いた】


……うぇー。


【「沢山男の人が捜してた」──追手はすぐそこまで迫っているらしい】
【いや、別に意地を張って帰りたくない、という訳ではないのだけれど。複雑な気分だ】
【しかし彼女は、少女に年貢を納めさせに来たわけではないらしい。困ったような笑みが、自然と浮かぶ】


えっと、その──家出?みたいな。……あ、いや、別にね。
親に対する反抗とかそういうのじゃないんだけど──。……、ちょっと、帰るタイミング無くしちゃったの。
……あー、そうかぁ。 「沢山」かぁ。あはは……はぁ。


【──先ほど、少女の写真を見せてきた男達。道行く人に手分けして尋ねている彼等は、十人ではきかなかっただろう】
【更に通信機で、「他の隊」とも連絡を取っていた。──、彼女にも、少女が『一般人』ではないと察せるか】
【乾いた笑い声で、更に落ち込んだ少女の方はといえば、大事になっている≠アとに凹んでいるようだった】 <> オウル・F・フレスベルグ<>saga sage<>2015/05/07(木) 22:51:11.51 ID:y8wKL/AdO<> >>640

【扉を開け、外に出る。存外解放的なものだ。とりあえず手帳のページを破り細かくビリビリ小さくして紙吹雪のように放る】
【これで名前としては意味はなく、いずれ紙も自然に帰るだろう】

【今日は厄日だ、頭に本は当たるしいちゃもんはつけられるしそれが自分の上司、六罪王ときた。さらに言うならその六罪王には落胆された】
【これから組織で動く際は厄介なことにはなりそうだ。もっとも六罪王のような気まぐれ連中が興味がないものを覚えているかはわからないが】

【考えてもどうしようもないことであとは野となれ山となれ。そう考えるしかないもので、それ以上考えても不毛だろう】
【来た道を歩いていくうちに転移魔法の魔法陣を発見。いつ見ても嫌になる】

…名前が消えるから、なんて理由で異能を手放したいなど言うのは理解も同意もないでしょうに…ねぇ、最後の六罪王、アインさん

【独り言が森の中に溶けていく】

それでも、名前を失ったときあなたは自分を自分だと証明できる何かはあるのでしょうか?
私は、今もできてませんがね

【転移魔法の魔法陣に足を踏み入れ光に飲まれる。どこに出るかはわからないがそこが道ならば仕方あるまい】

/お疲れ様です、絡みありがとうございました! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/07(木) 23:11:40.98 ID:jcGeqh9f0<> >>642

【見た所、彼女は何処かのお嬢様だろうか。見た目も綺麗だし、自分には縁の無いドレスを纏っているし】
【なにより、家出すれば警察以外の人が数十人体制で探すのだから……相当な人であるのには違いあるまい】
【少し羨ましいけれど……少女にとっては、それが頭を悩ませている原因になっているようだ】
【「沢山の人が捜している」、と。そう告げれば、少女は何だかさっきよりさらに落ち込んでしまっている……】

あはは……そっかそっか。
アナタはそんな大事にするつもりは無かったのニ、知らぬうちに大騒ぎになってたんだネ。
ウン、あれじゃあ逆に帰りづらいよネ……

【少し事を起こせば大騒ぎになる。些細な事が大事になる……確かにそれは少し辛い】
【勿論、可愛い娘を心配して四方八方を調べる親の気持ちも分からないことは無いのだけれど……】
【―――すると、黒髪の少女は何か考えがあると言った風ににこりと笑う】

フフッ―――それじゃ、ワタシが公的権力≠使って何とかしてあげル!
驚いタ?私、SCARLETの一員なんだヨ!エヘヘ……そうは見えないでしョ?

【おもむろに鉄の箱から取り出して見せたのは、緋色の腕章。SCARLET―――確かに、そう書かれている】
【この少女、なんと自警団の上位組織・SCARLETの一員だった。……とてもそんな人物には見えないけれど……】
【いたずらっぽく笑うと、少女にこの状況を解決する作戦を伝える。その内容は―――】

……親御さんにハ、私の方から「SCARLETがお嬢さんの身柄を保護したから安心して」って連絡してあげル。
そうすれば、親御さんも安心して捜索を中止するでしョ?ふふっ……これでもう、沢山の人が捜す事もなくなるよネ。

でネ、「今日は遅いから此方で一晩泊まらせて、明日帰す」って言うカラ。今すぐ帰るなんて、気まずいもんネ。
一日経てば、きっとほとぼりも冷めるヨ。今日は帰らず、明日こっそり帰ればイイ。―――どうカナ?

もしそれでいいなら、私の家に連れてってあげル。今日はゆっくり泊まっていきなヨ!

【―――提案するのは、SCARLETの公的機関としての信用を利用(悪用?)したプラン。】
【SCARLETが保護していると知れば、きっと家からの捜索の手も退くだろう―――どうだろうか?】
【もし提案に賛成してくれるなら、早速自宅に連れていくことになるけれど―――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/07(木) 23:22:10.41 ID:7raqySih0<> 【――――血腥い臭いに包まれた路地裏。臓物が飛び散る其処で、唯一傷も無く立つのは女一人】
【辺りに散乱する血に濡れた衣服を見れば、被害者は自警団の者達であると容易に想像出来ようか】
【それも、一人二人では済まない。全ての肉片を掻き集めれば、優に10人分は越える筈であり】


「言った筈よ…………?貴方達には興味が無い、と……
其れなのに着いてくるなんて馬鹿な子達ね……?」

【黒いドレスに、同じ色の髪と双眸。まるで“闇”が具現化したかのような存在】
【肉片に注ぐ視線は怒りも哀れみも、どんな感情が含まれる事も無く。簡単に表すならば、無関心】
【飛び回る五月蠅い蠅を叩き潰した、程度の認識。靴が汚れるのを気にすることも無く、ピチャリピチャリと路地裏の奥へ進んで】


「ふ、ふふ…………今日はどんな子を連れて帰ろうかしら……」

【――――血の臭い、と言うのは存外遠くまで届くモノであり】
【加えるならば、少し前まで激しい戦闘の音やら呻き声やらが聞こえて居たのたから場所の特定は容易だ】
【仮にこの場所に辿り着いた頃には女は背を向けて歩き出しているのだが――――……暗がりの中、手の甲にぼうっと浮き上がる“逆五芒星”から女の所属する組織も理解出来よう】
【誰かがこの場所を訪れたのだとしたならば……ピタリと足を止める事となる。振り返りもせず、声も掛ける事は無いのだが――――どの様なこうどうを起こすか。それは訪れた者次第であり】












【街と街を繋ぐ、長い坂道。上の街は商業が盛んであり、下の街は宿などが多く存在する何て特徴があり】
【――――道には多くの街灯が設置はされているものの、流石にこの時間ともなれば人通りは疎ら】
【そんな中、目立つ存在が一人。制服を纏う所から、女学生であると見て取れる】
【歳は恐らく高等部の1年生だとかが妥当。ポニーテールに纏められた明るい茶色の髪は、どことなく活発な印象を与え】


「はぁ〜……全くもう、一人暮らしは大変だよ……
いやいや、私はまだ寮に住めてるから良いのかもしれないけど

それでもやっぱりルームメイトは居ないし、なーんかテレビに話し掛ける人達の心境も分かる様な……っと」

【抱えているのは沢山の食材が入った紙袋。その一番上に置かれた林檎がグラグラと揺れていて】
【位置を正そう、としたのが最初の過ち。思わず屈んだ所で、其れは紙袋から落ち坂道をコロコロと転がり始め】


「あっちゃー……こんな時に拾うのもめんどくさ――――おっ……おオッ?!」

【次に、手を伸ばして重心を前にズラしたのが第二の過ち】
【当然、坂道なんかでそんな事をすれば前に前にと身体は進もうとするのだから――――結果として、転ばぬ様にと足は坂を駆けて下り】
【加えて重心は紙袋を持つが故に前に置かれたままなのだから、最早自力で止める事は不可能】


「ちょッ?!どいてどいてーっ!!!やっぱ退かないで、誰か止めてーっ!!!」

【勢い良く坂を下る少女。ぶつかれば怪我をせずとも痛い思いをする事は間違い無く】
【止めてやるか、不幸にも衝突してしまうか。或いはそのまま見送るだとか――――それは、この場面に出会したもの次第なのだろうけれど】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/07(木) 23:29:52.72 ID:ehf3UXrdo<> >>644


【──彼女の箱から取り出されたのは、SCARET≠フ証左】
【この世界において、相当程度に高度に、信用性の担保と成り得るものだ】
【彼女の案は、まさしく名案といえる。 保護者も頭ごなしに叱るわけには行かないだろう】


……あ、うん。ちょっとびっくりしたわ。
そっか、SCARET≠フ人か。……うん、多分、「普通」ならそれが良いんだと、思うんだけど。


【明るく、優しい彼女につられるように、少女も微笑み混じりに言葉を紡ぐ】
【──、だが、その内容はどこか、奥歯に物が引っかかった様なものだった】
【「気を悪くしないでね」、と。大きくため息をついて、前置きをすると──】


…… それはちょっと、逆に、マズいかな。
多分、『もっと大事』になるって言うか、「政治的問題」になるって言うか──。


【何か込み入った事情でもあるのだろうか、彼女は申し訳無さそうな顔をしながら、彼女の提案を断った】
【それにしても、物騒な言葉が飛び出てきた。「政治的」という接頭詞の付く家出とは何事だろう】

【──ごめんなさい、と。 小さく言葉をつけて、彼女は一層、落ち込んでしまった】


/申し訳ないんですが、もう少し短めでも大丈夫なので、早めに返せますでしょうか……
/こちらの文とか会話とかも、適当に切って頂いて大丈夫ですので <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/07(木) 23:45:01.44 ID:jcGeqh9f0<> >>646

―――せ、政治的!?

【―――少女の口から飛び出た予想外の言葉に、流石に彼女も素っ頓狂な声を上げてしまう。】
【政治的問題とはどういう事だ。というか、この少女はいったい何者なんだろうか……?】
【どこかのお嬢様かとは思っていたが、これはただ事ではない。さて、どうしたものか】
【彼女は眉間に皺を寄せて首をひねる。一体どうすればいいのやら、と……】
【哀れ、少女はさらに落ち込んでしまった。心なしか黒髪のの少女の方も若干落ち込んでいるような……】

【……ここはもう、単刀直入に聞くしかない。少女の素性が分からなければ、解決する事も出来ない。】
【恐る恐る、訊いてみる。この少女が、一体何者なのか―――】

政治的問題、かぁ……アハハ……
……ひとつ、 訊いていいかナ。ねぇ、アナタは一体何処のお嬢さんなノ……!

【SCARLETが保護すれば政治的問題になるような人物だ。鬼が出るか蛇が出るか……彼女の正体や、如何に。】

//了解です!遅くなって申し訳ないです……! <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 00:02:28.08 ID:NahjdZ0lo<> >>647


うん。……政治的。

【──問われると、少女は足元に向けていた視線を、彼女に向ける】
【瞳には申し訳無さと、情けなさと、色々な感情が同居していた──少なくとも】
【自らの生まれを無闇矢鱈に標榜することはしないだろう、と思える様な、印象だった】


まだ名前、言ってなかった。……私、リナ・ルカイナー≠チて言うの。
──私の兄貴ね。レオポルト・ルカイナー≠ネのよ。


【 『レオポルト・ルカイナー』 】


【テレビや新聞を見る人ならば知っているだろう──水の国の貴族であり、『政治家』でもある】
【討論番組で「女言葉」を話す男が居れば、まず彼だと言って間違いはない】

【それだけならば問題はないのだが──、問題は、大の「自警団嫌い」ということだ】
【……曰く、「夜警は軍と警察に任せておけ」とか、「素人のまね事」とか】
【しょっちゅう言い放っては、自警団側の論客と喧嘩になっているのを、見たことがあるかも知れない】


……多分、「自分の妹がSCARETに保護された」ってだけで、怒ると思う。


【──はぁ、と。 最後に大きなため息を吐いて、彼女は押し黙ってしまった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 00:25:22.42 ID:UmTGA9Ol0<> >>648

……あー……

【黒髪の少女も、「あの人かー……」という感じの反応をする。】
【その名前は聞いたことはある。というか、自警団組織に居るのだから嫌でも耳にする】
【だって、彼は自分達を目の敵にしているのだから。……正直、あまり気分の良いものではない】
【命懸けでやっている仕事を「素人の真似事」と罵られれば、そりゃ堪ったもんじゃない】
【言いたい事は色々あるけれど……まあ、それをこの少女に言うのは筋違いだろう】
【……少女も、そんな人を兄に持って色んな意味で苦労しているようだし……】


【―――暫く、彼女はああでもないこうでもないと考えていたが】
【遂に色々と面倒くさい事を考えるのを辞めて、吹っ切れたようにおもむろに立ち上がり―――】

―――ええい、面倒くさイ!だったらもう「友達の家に泊まってた」って事にすればイイ!
身分を隠せば私なんてただの女の子だヨ、言い訳なんて幾らでも出来ル!
ほら、さっさとついてくル!こんな所でため息ついてうじうじとしてても仕方ないヨ!
それともそのままベンチで追っ手と不審者に怯えながら一晩明かすノ!?

【腕章を鉄箱に仕舞い込めば、半ば強引に少女の手を引こうとする。……大丈夫なのだろうか、これで】
<> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 00:41:02.56 ID:NahjdZ0lo<> >>649

【彼女の反応を見て、やはり、いい気持ちは抱かれていないのだ、という事は分かった】
【──兄が嫌いなわけではない。だが、一部の人から嫌われている、というのは、意識しなければならない】
【そして、世間は往々にして、血の繋がりを思想の同一性として捉える。犯罪者も、政治家も、一緒だ】

【目の前の彼女も、今は優しいけれど。 ──多分、嫌な顔をして離れて──】





……うぇっ!? い、いや、ちょっと、聞いてた!?
ダメだって、迷惑かか──ぅ。 ゃ、……その、でも──!!


【がしっ!っと掴まれる右手。そのまま強引に立たされると、人差し指の菊花の指輪が街灯に反射して、きらりと光る】
【──ここで一晩明かすのか、と言われると、返す言葉もない。事実、数日の逃避行で持ち金は底をつきかけていた】
【だからこそ、おとなしく帰って叱られるか、と悩んでいたのだ。】


【──道々、少女は「いや」、とか、「でも」、とか偶に言葉を吐くだろうが、されるままに連れて行かれるだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 10:18:40.89 ID:UmTGA9Ol0<> >>650

聞いてたサ、兄貴が怒るんだろウ?―――ふふん、怒られたって構うもんカ!
兄貴が自警団嫌いだとか、そんなこと関係あるもんカ。私はそんな所で一人でいるリナを放ってないヨ!
私はつばめって言うノ。ふふっ―――今からリナの友達になるから、覚えてネ!

【―――結局彼女は、リナを放っておけなかったのだ。政治的問題だとか、そんな事を抜きにして】
【人通りの多い場所とは言え、深夜に少女が一人きりで居るなんてどう考えても危険に決まっている】
【後であの小憎たらしい兄貴に怒られたって、構うもんか。もし怒られたって、あとで謝れば済む話だ】
【でも―――リナがそのまま一人でベンチに居て怖い目に遭えば、きっと取り返しがつかない事になる】
【リナがあの政治家の妹だなんて、そんなの関係ない。そんな事は、リナへの優しさを捨てる理由にはならない】



【リナの手を引いて無事に路地を抜けると、もうすぐそこに春燕の間借りしているアパートがある筈だ】
【天音を引き連れて二階の自室に案内する。扉を開ければ、中は割と広々としたワンルームになっている】

さ、入っタ入っタ!殺風景な部屋だけど、吹きさらしのベンチよりは居心地も良いと思うヨ!
お腹減ってるでしョ?何か食べル?それとも……その様子だとずっと外に居たんだよネ。先にシャワー浴びル?

【屈託のない笑顔を見せて、彼女はリナを自室へと通す。】
【中にあるのは木製の可愛らしいベッド。目を引くのは本棚にずらりと並んだ東洋医学薬学の本】
【あとは机に、椅子、テレビなど最低限の家電。小さな鉢植えに植わっているミニサボテンは彼女の趣味だろうか】

【リナに投げかけられた言葉を聞けば、きっと分かるだろう。―――彼女は、本当にただリナを心配していただけだと】
【ご飯やシャワーは、きっと一人で逃避行を続けていたリナには必要だと思っての事。―――さて、リナはどうする?】


//お返ししておきます! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/08(金) 13:45:23.42 ID:tAL4jzglo<> >>637-638

フフ……Exactly≠チて奴だね。そして、ボクはこの能力に絶対の自信がある。
生憎と、ダグラス・マックスウッドという人間には魔術の才も
運動に向いた骨格も備わっちゃいないけれど…――負けないよ、絶対にね?

【直感から導き出された剛太郎の言葉に、ニヤリと笑ってダグラスは答えた】
【空想を現実にする力。無論、全て自由ではないだろうが――】

【――少なくとも、その能力によって創りだされたケルベロスはハリボテではない】
【荒々しく爪を鳴らしながら飛びかかってゆく。だが、常人を超えた青年の動きは】
【その更に上を行った。三頭犬の懐、下方より繰り出された打ち上げは左右の頭部を捉え】

【ぐらりと揺れた巨体の中央、真中の頭へと蹴りが叩き込まれるとなる】
【そこに炎の魔翌力が付加されているせいかケルベロスの三ツ頭は燃え上がり――ではなく】

【まさに油絵の具が溶け落ちるように、ドロリと液状になって毛が落ちる】
【しかし地獄の番犬がそれで怯むはずもない。蹈鞴を踏むと直ぐ様青年に向かい合い】

その魔術の鎧、単純に身体を守るだけじゃなくて動きも良くするみたいだね?
ボクも似たようなのを着たことがあるけれど……フフッ
どこまでやれるか、その鎧と比べて見るとしようか。

【ダグラスの言葉に反応するように、ケルベロスの頭が剛太郎を向くと】
【向かって右の頭からは炎を、左の頭からは氷結の。それぞれ強烈なブレスを放ち】
【青年の肉体を激しい温度差のある――それも広範囲の攻撃が襲う事となる】

【加えて中央の頭は歯をギリギリと食いしばり、何事かに備えているような様子があって】
【流石に伝説上の怪物という強靭さもあって、そう簡単には倒れてくれそうに無かった】

/こちらもお返事をしておきますね〜 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/08(金) 17:55:04.47 ID:a3dPtXvio<> 【公園】

誰かに伝えるべきなんだろうがなぁ

【ベンチに腰掛け、腕を組んで唸る人が居る】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性である】

と言っても俺っちはレイン…つーかセリーナとか言う人の知り合いは知らねえしっと
どうしたもんかなぁ、かーっ

【参った参ったと知恵熱でムズつく後頭部を掻くと】
【側頭部の傷に微かに手が当たって痛っと声を漏らし】

かーっ、悩むなんて俺っちらしく無いじゃねーかってーの
こういう時は―――

【ベンチの下に有ったノボリを立てる】
【そこにはシンプルに、「刃物”等”、砥ぎます」と書かれており】

果報は寝て待てってな!かーっ!

【そう言って腰掛けていたベンチに横になる】
【閑散とした公園、そこにある唯一のベンチを占領する形で有り】

【何よりこの人物、商売の届など出さずに勝手に商売をしている様で…】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 18:22:10.60 ID:NahjdZ0lo<> >>651


……お邪魔します。

【玄関でヒールを脱ぐと、きっちりと揃えて部屋に上がる】
【医学の本以外は特に変わった所もないが、リナは珍しそうに部屋を見回していた】
【──名家の令嬢だ。アパートに入ること自体、そうそう無いのだろう。若しかしたら、初めてなのかもしれない】


──、あ。 ……いや。ご飯は、流石にそこまで、お世話になったら悪いわ。
お邪魔していて言うのもなんだけど、気にしないで。


【部屋のミニサボテンに目を奪われていたところで、つばめの笑顔が眼に飛び込んできた】
【──彼女が善意から、自分を助けてくれようとしているのは分かる】
【だけれど、だからこそ、無条件にそれに甘えるのは気が進まなかった──、 のだが】


でも、 シャワーだけは貸して貰えたら── 【 ぐぅ=@】


 【  響き渡る、乙女のお腹  】


【──、多分、この後、顔を真赤にした彼女は、つばめの薦めに従って、シャワーを浴びるのだろう】
【身を清めても、結局は着ていた服を着直すことになるのだけれども】
【手持ちの服は身に付けた分しかないから、仕方ない。 ──尤も、つばめが貸してくれるのなら別だが】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 18:52:51.34 ID:UmTGA9Ol0<> >>654

【ちゃんと靴をそろえたり、何の変哲もないアパートを物珍しそうに見回すあたり】
【リナという少女の育ちの良さも伺える。庶民の暮らしもきっと珍しく見えるのだろう】
【何せ貴族の御令嬢だ。ワンルームのアパートなんて、見た事も無いのだろうか……】


【流石にご飯は……と遠慮するリナ。世話になりっぱなしは気が進まないのだろう】
【けれど―――体は正直だった。乙女の腹の虫が鳴るのが、はっきり聞こえて】

ふふっ―――ウン、ご飯作っとくネ。

【つばめは、意味ありげな温かい笑顔を浮かべる。顔を真っ赤にするリナが、少し可笑しくて】
【……結局、リナがシャワーを浴びている間につばめはキッチンに向かうのだった】



【リナが浴室から出て来ると、部屋に美味しそうな匂いが満ちている事に気付くだろうか】

【テーブルの上に並べられたのはサラダと焼き鮭、高菜のお漬物にご飯、さらにお味噌汁付き。】
【勿論全て手作り。「どうかナ?」なんて、感想を訊いてみる。】
【庶民の味なんて、リナには初めてだろうか。喜んでくれれば嬉しいのだけれど……】
【(因みに、味はなかなか美味しい。一人暮らしをしている事もあって、料理の腕はあるのようだ)】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 19:12:13.24 ID:NahjdZ0lo<> >>655

【──シャワーを浴びたリナは、服こそ同じものを着ていたが、さっぱりとした様子だ】
【髪の毛はゴムで括ってサイドテール気味に。 毛先を体の横に垂らしていた】
【部屋に戻ってくると、用意されていた食事。 ──「わぁ」と、思わず声が出る】


すごい。これ全部、つばめが作ったの?──って、当たり前か。


【椅子に座って、「頂きます」と手を合わせる。 メニュー自体を見たことがない、という事はないらしい】
【貴族の家と言っても現代的な水の国の話だし、王侯程に大金持ちだという訳ではない】
【──、口ぶりから察するに、料理人ぐらいは居るらしいが】

【箸をつけると、所作こそきちんとした物ではあるが、黙々と料理を口に運ぶ】
【ひと通り口をつけたところで、つばめの問いかけ。 ── 一旦箸を置いて、笑みを浮かべる】


うん。 美味しいわ。本当に美味しい。
……ごめんなさい。こんなに美味しい物までご馳走になって、私、何もできなくて。

【笑みに混じって、まだ幾許かの「申し訳無さ」が残っている】
【──だけれども言葉とおり、何ができる、という訳ではない。 せめてリナは、深々と、頭を下げた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/08(金) 19:19:35.47 ID:+fMoSZqD0<> 【街中――たそがれ時の川辺】
【しゃらしゃらと水の流れていく音がする。昼よりも涼しげな温度は、ただ、夏を連想させる程度には生ぬるく】
【それでもせみの声がしないからか、まだ涼しく思えて――或いは、じゃらじゃらとした水の音のお陰かもしれないけれd0】

よい、しょ……。

【――そんな川の傍。じゃりりと砂利を踏んで擦る音がして、ついでに言えば、鈴の音のような声と――魔力の匂い】
【見てみればそこには少女が一人で川に両手を突き出すようにして立っていて――その手から、滔々と魔力が溢れ】
【水や空気にじんわりと浸みこんで行く。時折、あふれ出した分が桜色に煌いて、まるで桜の花弁のように飛んでいき】

【数分もしない間に水面に変化が訪れる。徐々に桜色の魔力が溶け込んでいったそこ、今ではすっかり薄桜色に染まり】
【「えい」なんてひどく気の抜けた覇気のない掛け声をきっかけに、そこが、見えない手につかまれたようにずるう――と】
【持ち上がり、鎌首をもたげ、まるで大きな水の蛇のようになる。その頭の中には、たったひとつ、小さな銀の鈴が見え】
【思い通りにいったのか少女は嬉しげに顔を破顔させると、今度こそ集中して魔力を水蛇に注ぎだし――】

【真っ黒な髪は腰の高さまで伸びて、ただ、右耳の上のところを、三つ編みのように編みこんで】
【瞳は丸目でも少し釣った形、黒色と赤色の色違いをはめ込んで。右の耳には、片っ方だけのピアスをあしらい】
【黒のシャツは袖の広がった姫袖で、背中は編み上げになっていて。赤いスカートは何段も重ねたフリルのミニ丈、】
【左右で長さの違うオーバースカートは細やかな刺繍が施されて。足元は、踵の分厚い、ストラップシューズ】

【――少女に懐くように頭を寄せていた蛇がそのうちくすぐったいように身をよじらせる、すると、】
【水面のほうからぱきぱきとかすかな音がして――ぴしと立ち上がってから倒れこむように覆っていくのは、桜色の鱗】
【魔力で作り出された無数の鱗、それが大蛇の身体を覆っていき、やがては、ほんとうの蛇のようにしてしまう】
【そのうちに少女は上手に出来たのを見ると、きゃあきゃあと嬉しげな声と、蛇の頭を撫でだすから、その声はよく響き】
【何より水面から生える桜色の鱗の大蛇――その光景は、どこか不思議で】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 19:35:25.85 ID:UmTGA9Ol0<> >>656

【美味しいという言葉が聞けたなら、つばめは嬉しそうに微笑む。】
【料理を作る人にとって、「美味しい」という言葉は何よりも嬉しいもの。それを聞ければ、作った甲斐もあったという物】
【でも―――その後に続く「ごめんなさい」という言葉には、否定するように首を横に振る。そして、もう一度笑顔を見せて――】

ふふん、何を謝る必要があるのサ!リナは何も悪いことしてないのニ。
頭を下げるより、「ごめんなさい」って言うより……―――「ありがとう」って言葉が、聞きたいナ。
私は其れだけで十分だヨ。……あ、もしもう一つ欲張りを言うなら―――

―――もっと、私と仲良くなって欲しいナ。建前や言い訳の「友達」じゃなくてサ、本当の友達になりたイ。
リナは「何も出来ない」なんて言ってたけド……そんなことないヨ。友達になってくれたラ……私はそれが一番嬉しいナ。

……私ネ、ちょっぴり寂しがりなノ。お父さんも、お母さんも、家族なんてみんな居ないかラ……
だからサ……―――いっぱい、友達が欲しいんダ。

【「仲良くなりたい」―――そんな事を言うのだった。きっとリナにも出来る、仲良くなるくらい誰でも出来るって】
【寂しがり、と言うのは嘘ではない。この歳で親も親戚もおらず一人で暮らしているのだから……】

【……つばめは、リナの返答を待つ。世話焼きで、お人好しで、少し寂しがり―――そんな少女に、リナは友達になってくれるのだろうか】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 19:54:42.68 ID:NahjdZ0lo<> >>658

【──つばめの話を聞くと、彼女は少しだけ、驚いたような顔をした】
【それは彼女の返答が意外な物であったから、というのは勿論だけれど、それ以上に──】


……私もね、父親と母親が、物心ついた頃には居なかったの。
兄弟が三人居たから、寂しくはなかったけど、ね。……でも、あんまり友達は居なかったなぁ。
家が家だから、誰とでも付き合える訳じゃないし。 こういうのも、初めて。


── 、 だからね、私、つばめにそう言って貰えて嬉しいわ。


【つばめと自分の境遇が、少し似ていたからだろう】
【とは言っても、自分のほうがマシだ。……と言うよりも、恵まれている】
【だからこそ、リナは彼女の「寂しさ」を埋めてあげないといけない──、というのは、少し傲慢だろうか】

【会話の途中から、リナの浮かべた笑みは、先程までの、どこか「他所行き」のものではなく】
【──ごく普通の、活発な少女が浮かべるような、明るいものだった。そして】



……私で良ければ、喜んで。 ──、 それと、「ありがとう」。


【──「冷めるから食べちゃうわね!」、と、再び箸を取り始めた彼女。幾分、砕けた、明るい様子だった】
【彼女本来の性格は活発で、──少し、お転婆と言っていいものなのだろう】
【どうやら、「友人」に対して遠慮するのはやめたらしい。 何なら、おかわりを貰ったりもする】

【──これから、眠るまでの間。 リナとつばめは、色々なことを、笑顔とともに話す筈だ】


/すいません、いい感じの所なのですが九時頃まで落ちます……
/キリもいいですし、〆てしまって頂いても構いませんのでー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 19:59:49.05 ID:UmTGA9Ol0<> >>659
//了解です!此方も夕飯で少し落ちますので丁度良かったです!
//9時ごろまでにはお返ししておきますので! <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/08(金) 21:04:17.59 ID:QyfuGkgro<> >>652

【当たりかよ、とだいぶ臆した様子の声でそうこぼすのがダグラスの耳にも届くことだろう】
【ダグラス自身の『エネルギー』と『出力』に釣り合っているものであるならばなんであろうとその場に生み出すことが出来る】
【どこまでが限界かなど知るよしもないが、少なくともケルベロスのような『幻獣』などは問題なく呼び出せてしまう事はすでに見ての通り】

【あまりにも反則的すぎる、と彼は素直に思うだろう。だいたいの物はなんでも創り出せてしまう能力など、これまで見た中でも規格外だ】
【剛太郎の見立てでもダグラスは前線で戦う戦闘者の体格をしていない、一撃でも当てることが出来ればその時点でかなりこちらに有利になるはずだ】

【―――だが、そこまでが遠い、あまりにも遠すぎる……!これほどの力の差を誇る存在、これこそが『六罪王』の実力か―――!】

【勇猛に放たれた『炎牙』の力を込めた混成技が決まる、確実な手ごたえ―――それに違和感がある事に剛太郎も気が付く】
【ケルベロスを攻撃したところから油絵の具のような物が流れ落ちた……先ほどケルベロスの絵を絵具で描いたと言っていたのとも関連があるのか?】
【それが零れ落ちるまでは間違いなく血の通う筋肉や骨の感触がしたのに……なんとも奇妙な能力だと剛太郎は改めて思う】


(……絵の具みたいになって垂れてきやがった、なるほどこうしてみるとなんか『芸術家の作品』っぽいな)

……敗色、濃厚な戦いなんて……珍しくもない、よ
それでも、俺だって負けない!強い奴だからって……なんでもかんでも力づくで持っていくのはおかしいぞって
その意見を変えるつもりは俺には全くない!……六罪王が相手だって、俺は曲げないからな!

「―――……っ!?『梅花』でガードしろ剛の字!来るぞッ!」


【ケルベロスの次の攻撃は避けきれそうもないと判断したムクの指示で一瞬早く『梅花』の型が発動するが】
【冷熱の二重砲を受けたことで剛太郎の纏う『炎牙』のボディに―――異変が起きている?】
【ガードでダメージをやや軽減した所まではよかったが、問題はその温度差の激しい二重攻撃を受け続けている事で―――】


―――……が、ああああッ!いっ……ぐ!、ムク!まずいッ!この温度差攻撃はヤバいぞ!
燃えたり冷やしたりと急激に温度の変わる攻撃をボディが受け続けてるせいで―――フレアの魔翌力がうまく出せない!
パワーが全然でないぞ!フレアのままじゃ危険だ!

「…・・・チィッ!ならばフォームチェンジじゃあ!ガッチガチに固めとけいッ!」


【熱と炎の力を操るフレアのボディに同時に冷気と火炎を当て温度を上げ下げされる事で、循環している炎の魔翌力が不安定になりはじめているのか―――!】
【このまま受け続けるのは危険すぎる、判断するや否やムクが今も攻撃を受け続けているムクに銀の宝玉の埋め込まれた鍵を投げ込む】
【ブレスの攻撃を受け苦しみながらも―――剛太郎は『炎牙』の鍵穴に手渡された鍵を差しこんで即座にひねる!】


「―――『Metal≪メタル≫』 Lock-free』


【赤色の複眼と肩衣半袴の形をした装甲が銀、というより鉄に近い色へと変色していく】
【切れ味鋭そうな日本刀と和装の鎧を組み合わせた如きフォルムから、やや洋風の重厚な騎士の如き分厚いフォルムへと変化】
【何より大きな変化はその背中に―――手裏剣にもヘリのプロペラにも見えなくない大型の円形武器がセットされたことだろうか】

【剛太郎はその武装『メタルファンスピナー』を背中から取り外すと左腕のアタッチメントにセット、すると左腕を軸にスピナーが回転を開始】
【そのまま回転の風圧でケルベロスのブレスを押し出して均衡状態まで持ち込もうとたくらむだろう―――!】


【無論、中央の頭が何かを狙っている事も気が付いている、だがすでに姿を変え次の行動の準備もできた、何が来ようと全力で迎え撃つだろう―――!】

/はい、本日もよろしくお願いします! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 21:16:19.69 ID:UmTGA9Ol0<> >>659

【返答を聞くまでのつばめの表情が少し緊張していたように見えたのは、きっと気のせいでは無い】
【そして―――リナの答えによって、そんな緊張の面持ちは満面の笑みへと変わる。】

……えへへ、その言葉が聞きたかったんだヨ―――、うん。「どういたしましテ!」

―――嬉しいナ、やっとリナのホントの笑顔が見れたヨ。
リナって、こんなに明るくて元気な表情になるんだネ。……ほんとニ、素敵な笑顔ダ。

改めテ……―――私と友達になってくれテ、ありがとウ。
ふふっ―――、……これからもっともっと、リナの笑顔が見れれば嬉しいナ。

【初めて見せてくれた、作り物なんかじゃない心からの笑顔。それは、とても明るくて元気良くて】
【寂しさなんて吹き飛んでしまうような、元気を貰える……そんな笑顔。きっとこれが、本当のリナの姿】

【気が付けば、リナは本当の友達として遠慮せずに接してくれている。それがとっても嬉しくて】
【「ウン、幾らでも食べてネ!」って、人懐っこくて優しくて柔らかい笑顔を見せる】

【願わくば、これからもっと笑顔になりたい。笑顔にさせたい。勿論、友達として―――】




【夕飯を食べ終えて食器も片付ければ、つばめは寝るまでの間リナとお喋りをする】
【大体は他愛もないガールズトークだったが……一つだけ、少し真剣な話を挟む。どうしても聞いておかなければいけない事……】

……そういえば、一つ訊き忘れてたネ。―――どうして、リナは家出なんてしたのサ。
着の身着のままでお金もないんじゃ、いずれ困るだろうニ……何か、あったノ?
勿論言いたくないなら言わなくてもいいけド……良かったら、教えて欲しいナ。
私、リナの友達だかラ―――もし何か困ってたり悩んでたりしてるなサ、力になりたイ。 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/08(金) 21:35:16.26 ID:tAL4jzglo<> >>661

意見を曲げない……その志は素晴らしいと思うよ。
一本気な人は好きだからね、純粋でとても綺麗だからさ

……だけど、ボクは"六罪王"だ。やりたいと思ったことがあれば
それ相応のやり方で我を通すよ。其処には何の矛盾もないだろう?
君は自分の思いを通せば良いし、ボクはボクのやりたい事をやるだけ……フフッ、更に変身かな。

【炎と氷のブレスは相手の変形と風圧による抵抗で、均衡に近い状態まで押されるが】
【それ以上の状態にはそうそう持っては行かせてくれないらしく】
【伝説の生物に相応しい火力を放ち続けつつ――やがて、中央の首が大きく震え】

【直後に、咆哮。しかし単なる遠吠えではなく、それは超局所を狙った音波の攻撃に近いもので】
【ただケルベロスの正面に立っているだけでも肌が叩かれるような衝撃と、耳を通した頭脳への揺すぶりが】
【非常に短期の周波で迫るのである。目に見えないが、しかし喰らい続ければ】
【それは如実な症状となって青年を襲うだろう。目眩、吐き気、頭痛、視覚や聴覚の一時的な喪失】
【そして、集中を乱し立っていることすらも危うくする。――無論、これは受け続ければの話ではあったが】

音っていうのは恐ろしい物だよね。どんな硬い鎧だろうがすり抜けるんだから
……いや、下手に気密性の高い物を着ていると内部で反響するのかな?
まあ、どっちにしても攻め手はいくつか用意しておいて正解だったわけだけど……

……さあ、そろそろ10分だ。美術品の搬出も終りに近いはずだけれど…――どうかな。

【狂犬の向こうで、そんな声が聞こえた。大柄なケルベロスのせいで姿は見えないが】
【椅子から立ってトラックの方を眺める、そんな気配。まるで戦いに集中していないかのような素振りを見せる】
【六罪王としての余裕か――或いは慢心か。遠くで、大型車両のエンジンがかかる音がして】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 21:40:12.02 ID:NahjdZ0lo<> >>662

【リナはベッドの上に腰掛けながら、彼女と楽しげに話していた】
【──、『その話題』が出ると、少しだけトーンが落ちる。 落ち込む、と言うよりも、思慮する、といった風だ】


 ── お墓参り=Aしたくて。


【彼女は苦笑して、「……これじゃ分からないよねー」、と。──確かにそうだろう】
【墓参りなら、家出せずとも普通にすればいい。 何か込み入った事情があるのだろうか】
【──ベッドの上に置いていた枕を抱きしめ、その上に顔を置く形になると】


……昔っから、兄貴──あ、一番上の、「レオ兄」ね。つばめも知ってるあの人。
その兄貴は、お父さんとお母さんの墓参りに行きたがらないの。
私が行くのにも、あんまり良い顔はしないし。

それでも何年か前までは、真ん中の兄貴と行ってたんだけど、……失踪しちゃってさ。
だから、それからはお墓参り、行かせて貰えなくなったわ。


【──次兄が失踪、というのも、相当重い話題だが】
【彼女はその辺りを受け入れているらしい。 あっけらかんと、家を出て行っただけ、みたいなノリだ】
【勿論、相手がつばめだから、ある意味では家庭の『恥部』であることも明かせるのだろう】


── で、その事で何日か前、レオ兄と喧嘩しちゃったの。
「レオ兄はお父さんとお母さんのことどうでもいいの!?」……って。
……それで大喧嘩になって、パーティに行く途中、隙見て逃げ出しちゃった。


【お墓参りにはもう行ったんだけどね、と、言葉を〆る】
【単なる喧嘩の延長線にも見えるが──、それにしては、「普通」ではなかった】
【──だが、彼女は既に目的を達しているようだ。 その方面での助けは、必要ないだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 22:11:39.70 ID:UmTGA9Ol0<> >>664

そっか―――お墓参りに行きたかったのに行かせてくれなかったんだネ。それで家出を……
……うん、やっぱり兄貴の方が間違ってると思ウ。

……お墓だとしても、お父さんやお母さんが存在していた証があるんダ。それが、どれだけありがたい事カ……
アナタ達には、ちゃんと血の繋がった両親が居たんダ。
もうこの世には居ないとしても、その繋がりを大事にするのは絶対に間違いじゃないヨ。

―――私なんて、お父さんやお母さんが存在していた痕跡すらどれだけ探しても見つからないもノ。
家族がいた事すら分からなイ。寂しくても、お墓参りすらできなイ。……小さい頃から、ずっと独りぼっちだっタ。

だから……私には、お墓に眠るお父さんやお母さんに会いに行こうとしないお兄さんが間違ってると思ウ。
どんな理由があるとしても―――家族の縁は掛け替えのない物だヨ。それを蔑ろにしちゃいけなイ……

……なんて、ちょっと暗い話題になっちゃったネ。
ともかく、リナがやりたい事をやれてたならそれでいいヨ!あはは……―――


【取り繕うように笑うつばめ。―――それでも、やっぱり寂しそうだったことに間違いは無い】
【「家族が居ない」―――その意味は、「両親が死んだ」ではなく「両親が存在しない」だった。】
【一体、どういう事なのだろうか。人間が生まれるには、間違いなく父親と母親が必要なはずだが】
【その両親が、「いた痕跡すら無い」とは―――】


【……家出の理由も分かった所で、もうそろそろお休みの時間だろうか】
【とはいえ、ドレスで寝る訳には行かないだろう。つばめはごそごそと押入れから使っていない水色のパジャマを取り出して】
【「サイズ、合ってたらいいんだけド……」と言いながらリナに手渡す。つばめとリナは体格も似ているから問題ないか】
【(最近泊めた別の友達は胸のサイズが合わなくて内心悔しかったのは内緒。……リナは大丈夫だろうか)】

【因みに、今晩はベッドを二人で共用することになる。少し狭いけど、友達を床に寝かせる訳にも行くまい―――】

//次で翌朝起きる場面まで持って行って下さって構いませんので! <> ユーフィー<>sagesaga<>2015/05/08(金) 22:20:29.34 ID:WGPfnkMKo<> >>657
【少女が不思議な遊びをしている、とある町中の川辺】
【そこへと近寄ってくるは、これまた一人の女の子】

ふぅ……やっぱり、五月暑い……

【つば広の帽子に、涼しげな白いワンピース】
【青銀の透き通るような長髪も合わさり、とても涼しげ──というか、この季節にはむしろ寒そうでもある少女】
【だが本人はそうでもないようだ──だるそうな足取りで川辺へ近づく辺り、涼でもとりたいのか】
【そのまま岸に座り、靴を脱いだ足を水に浸し、束の間の涼しさに癒される──そんな予定で来てみたら、目の前にはとても幻想的な光景が広がっていた】

わぁー……

【桜色の大蛇と、それを手なづけているかのような女の子】
【まるで物語の中か何かのような光景に、暑さも忘れて目を奪われている】

//まだいらっしゃいましたら <> 霜降 氷雪<>sagesaga<>2015/05/08(金) 22:23:11.62 ID:WGPfnkMKo<> >>666
//名前欄ミス…… <> 照垣燐鬼
◆rrHt9B4adXq4<>sage saga<>2015/05/08(金) 22:26:32.73 ID:k85ebPND0<>
【繁華街の片隅】

【裏路地に入りかけた其処にはすぐ側にあるレストランの青いプラスチックのゴミ箱があって、蓋が閉められたそのゴミ箱の上では丸々と太った野良猫が目の前の人物をひどく威嚇している最中で】

……ねえ、猫ちゃん、お話ししましょう? 
お姉さんは全然怖い人じゃないから、ね? 
【野良猫の視線の先には一人の少女。年は十七歳くらいで】
【前は目元、両側は顎の下、後ろは肩甲骨の下で切り揃えた蘇芳色の髪に襟を左前に合わせた赤い着物を着ていて】
【大方引っかかれたのだろう、片手の甲をさすりながら野良猫に話しかけている】

【野良猫はこれ以上ないというくらいに尾を起てて声をあげているのだが、少女はあろうことかそんな野良猫におずおずと手を触れようとする】

【聞いたことのないような声を発してその場から逃亡する猫】
【取り残された少女は「やっぱり駄目よねえ…………にゃんにゃ……」などと呟きながらしょんぼりとした表情で先程まで野良猫のいたゴミ箱の上をじっと見つめる】
【とはいえど、これらの一連の流れを見ていたりその呟きを聞いていた者があれば其方を見て誤魔化すようにミステリアスな雰囲気を漂わせ、これまたミステリアスな笑みを浮かべながら「……何か用かしら? 貴方も迷い人なの? 」なんて声を掛ける訳だが】

<> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/08(金) 22:28:44.34 ID:QyfuGkgro<> >>663

……まさに、『王様』って訳か……圧倒的な力で押しつぶす絶対者……!
改めて腹の底から理解した……カノッサの大幹部に上り詰めるからにはやっぱり『力』を何かしら有してる、という事だな……!
なんでも望むままの物を出す能力なんて持っていれば―――それくらいには上り詰められるか……!

「備えろ剛の字!次が来る!」


【ギリギリ均衡状態まで押し返すことが出来たが次の三つめの首が放つ攻撃は防ぎきれる保障はない】
【何が来ようと迎撃してやる、という気持ちで受けて立った剛太郎に向けて―――音の攻撃が降りかかる!】
【頭の中身をぐちゃぐちゃにかき乱されるかのようなすさまじい轟音が降り注ぐ―――!】


なっ、これは―――がああッ、ううっ、あああああ―――――ッ!!!特大の『音』の……ぐうッ、『攻撃』……!

「ぬうッ……この、『騒音』はたまらん……!頭が割れそうな痛みが走るわい……!」


【思わず攻撃を止めて両手で耳元のパーツを抑えようとするが―――完全には防ぎきれない】
【悶えるように苦しむ剛太郎はついに眩暈を覚え、片膝をついて完全には立ち上がれない状態になってしまう】
【両手で頭部を抑え、うまく立ち上がれないほどのダメージ―――その後ろでもムクがすぐ傍で地にふせ前足で耳を必死に抑えようとしながらうずくまっている】

【そんな中、抑えきれない剛太郎の耳がダグラスの言葉を聞き取って、トラックがもうエンジンをかけ始めようとしている事がわかる】
【まずい、ただでさえ敗色濃厚なのに……このまま美術品まで取られてしまったらぐうの音も出ないほどの大敗を期してしまう―――】


「いかん、あれがお前の言うちょったトラックか!盗人どもがトンズラこく用意を終えてしまったようじゃあ!どうする剛の字!」

―――このままじゃ……クソ、逃がす、かよ……!こうなったら、『アレ』やってやる―――ムク、そのまま耳抑えてろよ!


自分の『咆哮』には耐えられても俺の『叫び』に耐えられるかな!?
                       葉隠流 奥義ッ!!『高 山 流 水』!!  キィィィィィィィアアアァァァァァァァァァ――――――――――!!!


【この局面で選ぶ奥義は―――目には目を、歯には歯をとばかりに―――音には音の奥義を!と言わんばかりに突然剛太郎が叫び始めた!】
【普段はムクや共に戦う仲間も巻き添えにしかねないのでめったに使わない特殊な奥義―――ムクがしっかり耳をふさぎ始めたのを見て彼もためらいなく使用した!】
【声にするのは男性離れしたすさまじい高音―――ケルベロスの物とは波長が違う『騒音』の力でこちらも相手の方向へと向ける】

【ケルベロスやダグラスがこの『音』で行動できなくなる―――とまではいかなくとも聞きなれない音で不意を突かれほんの数瞬相手の手が止まってくれればそれでいい】


(そして―――おまえらを逃がしはしねぇ!くらえッ!!)


【相手の効果はどうなのかはひとまず放っておき狙いを一度美術品を積んだトラックに変更し、膝をついたまま狙いを定めると】
【まるでブーメランのように勢いよく投擲!苦し紛れの一撃ゆえあまり精密でもなく追尾などもできないが、狙い通り前輪に刺さればトラックの発車が出来なくなる――!】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 22:31:18.61 ID:NahjdZ0lo<> >>665

【つばめが貸してくれたパジャマに着替えると、彼女はぴったり!と喜んでいた】
【 ──つまり、「問題ない」ということだ。良かったね、と言うべきか、悪いのか】


 【 ── 】


…… 、ん。


【深夜。 ──何があったわけでもないのだけれど、突然目が覚めた】
【二人でベッドを使うのは狭いので、つばめと体が触れ合っている。 それも何か、嬉しかった】
【寝返りを打って、彼女と顔を見合わせる形になる ──、そういえば、さっき、おかしなことを言っていた】


(……「痕跡すら見つからない」、っか。 ──そりゃあ、寂しいわよね。)
(私だって、キース兄はどこに居るか分からないけど生きてるでしょうし。)
(うん。 何だか私、『贅沢』みたい。 ……や、贅沢なのは知ってるけれど。)


…、… よしよし。


【──何だか無性に、彼女を撫でてやりたくなった】
【起きないように、静かに、つばめの頭を撫でる。 ……そうして暫くしたら、満足して、また眠った】


 【 ── 】


【そして、朝】


おはよう、つばめ。 ──私、そろそろお暇するわ。


【つばめが起きる頃には、リナは既に布団からは出て、ドレスに着替えているだろう】
【音を消したテレビの前から向き直って、彼女に笑顔を向ける。 ──家に帰る決心が、ついたらしい】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/08(金) 22:34:32.14 ID:+fMoSZqD0<> >>666

【おおきなおおきな水蛇は、……いや、今の状況だと、中が水とは到底思えず】
【それなら呼称すべきは桜色の鱗を持った大蛇、とかになるのだろうか。――まあ、それはどうでもよくって】
【黒髪の少女へ顔をすりすり甘える仕草をしているのを見るに悪い子ではないようなのだが、】
【見ようによっては少女が一人、化け物蛇に襲われているようにも見えたとは余談、だろうか?】

…………――、?

【だけどそこを勘違いさえしなければ、(少女が楽しげなので、あんまり勘違いは出来なさそうだったけれど)平和な光景】
【真っ先に訪れた人物に気付いたのは蛇のほうで、少女の頭を小突くようにして後ろに注意を向けさせると】
【少女が不思議だって振り向き、「あ――」なんて零す声は、恥ずかしいのか、驚いたのか。或いは、どちらでもあり】

――こんばんは。

【ほんの数秒して、彼女はそんな風に言葉を紡ぐだろう。鈴の音とよく似た声音だ、とっても、涼しげな声】
【少し恥ずかしがって頬を染めてはいるが、浮かべた笑みはどこか人懐っこい。蛇のおでこへと、そっと手を沿え】
【言葉ではなく「動いちゃ駄目だよ」と伝えるみたいにしながら――、それで、少女は僅かに首をかしげ】

お散歩? ……ごめんね、この子を作る練習してたの、こんなに上手に出来たのは、初めてだったから――。

【相手がここへ来た理由を尋ねて、次いで、この蛇がここに居る理由と、はしゃいでいた理由とを告げるなら】
【怪しいものじゃないと言い訳するみたいにも見え。――それなり以上には怪しいのだが、嘘は吐いていなさそうだった】

/アンネリーゼの中身ですが、それでよろしければ大丈夫ですよーっ
/そして気付くのが遅れまして申し訳ないです…… <> 霜降 氷雪<>sagesaga<>2015/05/08(金) 22:51:52.47 ID:WGPfnkMKo<> >>671
…………あっ、こ、こんばんは……

【目の前の光景に魅入られて、ボーッとしていたようだ──挨拶をされ、ワンテンポ遅れてから返事を返す】
【それで我に返ったのだろう、自分が二人──いや、一人と一匹?──の時間を邪魔してしまったことに気づき「あ……ごめんなさい、お邪魔しちゃったみたいで……」と、頭を下げる】
【挨拶の時点でか細い声だったのが、さらに小さくなって消え入ってしまいそうだ──だいぶ内気な性格らしい】

そんな、感じですね……いえ、私は別に…
あの、作ったというのは……?

【最初っから怪しいという印象は一切持たずにこの光景を見ていた彼女には、その弁解は元より意味はなく】
【別に邪魔をされたのではないという旨を伝えた上で、あの蛇の正体について早々に聞いてみる】
【だがその口調は、怪しんでいるというより好奇心に満ちていて──少なくとも、マイナスの感情は伺えない】

//PCが違えば許されないかなーって…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/08(金) 22:56:25.32 ID:UmTGA9Ol0<> >>670

【―――ずっと一人だったが故に、横に親しい人の温もりを感じるのが心地よくて、安心できる気がして】
【いつしかつばめは深い眠りに落ちていた。勿論それは夜中にリナが起きた時も変わりなく】
【きっと横ですやすやと寝息を立てているのが分かるだろう。暗くて、安らかな寝顔は見えないかもしれないが……】

―――りな……、……そばに、いて―――……

【そっと撫でられると、そんな寝言を呟く。……やっぱり心の奥では寂しかったのだろう】
【当然だ、家族が存在しないなんて寂しくない筈が無い。……だからこそ、友達と言う繋がりを欲したのだろう】
【天涯孤独の少女は友達と言う繋がりを得て、撫でられながら安らかに眠り続けるのだった―――】


【翌朝】

【早起きのリナは、つばめが起きる頃にはもう着替えも終えていた。】
【寝ぼけ眼を擦って、「おはよウ……」と返す。もうそろそろ帰るという言葉を聞けば、少しだけ寂しそうにするけれど】

―――そっか、もう帰るのネ。……ウン、兄貴に元気な顔を見せてやりなヨ。きっと心配してたんだからサ!
だって、そうでしョ?喧嘩したって、兄貴にとってリナは世界でたった一人の妹なんだかラ!

……何処に行ってたのかって聞かれたら、「友達の家に行ってた」って言えばいいヨ。―――間違いじゃないでしショ?ふふっ……
―――また、遊びに来てネ。いつでも待ってるかラ!

【―――最後は、いつもの人懐っこい笑顔で見送るだろう。また会える日を、心待ちにして】
【今日は此処でお別れだけれど、きっとまた友達として会える日が来るから……寂しくなんて、ない】
【嘘。……ちょっぴり、寂しい】

//ここで〆という事で、お疲れ様でした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/08(金) 23:01:54.88 ID:+fMoSZqD0<> >>672

【挨拶が帰ってくれば、黒髪の少女はまた笑ってみせて。ただ、相手の声が小さくなっていくのを聞くと】
【「ううん、大丈夫だよ――」なんて、なるだけ優しい声で言うのだろう。そうすれば、鈴の音の声はいっそう不思議になり】
【なんとも言い表せないようになるのだった。そう声を掛ければ、ぱちくり瞬いて――相手を、緩く見つめ】

えっとね……わたしの能力なの。……能力かな? 能力だよね。
それで、ほんとは、鱗とかないんだけど――作ってあげたらどうかなぁ、って、思って。

でもね、ずっと上手くいかなかったの。鱗ってたくさんあるし、綺麗に並べるのが上手に出来なくって――。

――だけど、今日は上手くいったみたい。ほら、結構綺麗だし……あ゛、ここ、曲がってる――。

【どうやら、この蛇は彼女の能力によって作られたものらしい。その割りには生き物めいて動くのだけど】
【額に置いていた手をするりとずらすと、その位置だけ、蛇の身体から鱗が消える――見えるのは、水の身体】
【うっすらと桜色に染まった水の塊。そんな本性が垣間見えるのだ、けれど、それも、また手を翳せば鱗は戻り】

【若干どや顔めいて自慢――自慢する彼女だったが。ほらと蛇の首筋を撫でて――鱗の歪みに気付く】
【見れば確かにその位置だけ鱗が変にうねっていて――確かに失敗なのだが、少し誤魔化すように彼女は笑うと、】

…………へび、こわくないの? 

【そう尋ねるのだった。女子というのは蛇を嫌うひとが多い。そんな印象を持っているからか】
【なんともない顔で立っている彼女が、不思議と嬉しくて――尋ねた目は、さっきの気まずさを少し薄めて】
【期待するような、楽しみなような、そんな感情を僅かに覗かせるなら――少し、子供っぽい性格が窺えるようだった】

/そちらが大丈夫でしたらよろしくおねがいしますー! <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/08(金) 23:02:42.37 ID:tAL4jzglo<> >>669

【目には目をと放たれる超高音の反撃は、いくつかの大きな効果をもたらした】
【まず第一にケルベロスの攻撃を止めたこと。狂犬の聴覚にダメージを与えたのか】
【それとも使役者であるダグラスの集中が乱れたのかは分からない】

【だがブレスが止んだ事によって剛太郎には大きなチャンスが回ってくるのは確かで】
【円形武器――スピナーを投擲するだけの時間は、しっかりと稼げた】

【――しかしトラックの動きは止まらない。理由は至極簡単なこと】
【スピナーがタイヤに触れる以前に、別のものに当たったからであった】
【ポタリ。液体の滴る音が小さく響いて、男のシャツが赤く染まってゆき】

く、ッ……ふ、フフッ……。
美術品は貰って行くと言ったじゃないか、"ヒーロー"……!
どんな手を使っても…――ボクの覚悟ってやつだよ、これはさ

【スピナーはダグラスの右腕に深々と突き刺さっていた】
【充分すぎるほどに重い傷。なにより、物を作って防げばよかった物を】
【"敢えてそうしなかった"。――笑っていたが、額には汗が滲んで見えて】

【その直後には再びケルベロスが動き出し、ダグラスと剛太郎の間に入り】
【合間にダグラスはトラックへ乗り込み、エンジンの始動音は容赦なく鳴り響く】
【最早それを止めることは出来ないが――地獄の番犬は、未だ青年の前に立ちはだかっていて】
【攻撃に及ばなければ、やがてダグラスの後を追って消えるが――どうするか。】 <> 霜降 氷雪<>sagesaga<>2015/05/08(金) 23:28:28.72 ID:WGPfnkMKo<> >>674
【大丈夫と優しげに声をかけられたことで、少し安心したのか──「……ありがとうございます」と言う声は、最初に挨拶したときくらいの大きさにはなっていた】

作ってあげる、ですか……細かく一枚づつ……?
……大変そう…

【それが、話を聞いて目の前で修正してるのを見た彼女の、第一印象】
【彼女も造形に関わる能力はあるが──こんな精密さでなにかをできるとは到底思えない、自分とは格が違う】
【そんなことを思いながら、どや顔の彼女にぱちぱちと拍手──素直に賞賛の念でいっぱいのようだ】

うーん……本物の蛇は、確かに苦手ですけど……
……怖いというより、綺麗だったから……あと、あなたが楽しそうに触れあってたのも……

【確かに、言われてみると不思議だなぁと思いつつ、少女の質問に答える】
【結局のところ、最初からこの子をそこいらにあるような蛇と同一の物とは認識していなかったのだろう──現実離れしたその風貌の前では、現実的な恐怖は発生し得ない】
【さらに、可愛らしげな女の子がそれと一緒に戯れているとなれば──恐れというものが第一印象になることは、なかったようだ】 <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/08(金) 23:29:17.86 ID:QyfuGkgro<> >>675


―――――――なっ!?


【狙ったタイヤには当たらなかった―――外したのではない、手裏剣に似たスピナーのブレードが別の物に突き刺さったからだ】
【剛太郎は膝をつき、ボロボロの体を抑えながら信じられないと言った様子でダグラスを見据える―――】
【狙いは決していい加減な方向には飛ばなかった、だがそのスピナーをなんと、ダグラスが己の腕を犠牲にしてまで遮ったのだ!】

【剛太郎の思考が乱れる、息を乱しながら己の思考に飲まれ始める、『なぜ右腕で受けた?』『なぜあの能力で防がなかった?』】
【『そしてそれに理由があったからやむを得ずああしたとして、傷を負ってまでなぜそんなにも美術品を追い求める―――!?』】
【全身の痛みと体力の消耗が彼の冷静さを奪い、思考を塗りつぶす、『いったい何なのだ?このダグラス・マックスウッドという男は!?』】


な、なん、で……くそ、当たら、なかった……持ってかれ、ちまう―――!ま、待て……!


【視界に写った足止めしようとするケルベロスと、ダグラスが乗り込んだトラックめがけて彼はその鎧に覆われた手を前へと伸ばし】
【片膝に力を入れて、よろ、と立ち上がろうとするだろう―――しかし、ケルベロスの目的が剛太郎の足止めだけで、終わり次第戻るならばそれはすぐだろう】
【なぜならば必死に立ち上がった剛太郎はよろ、よろ、と前に進もうとするが―――やがて、ばたん!と前に倒れ伏せてしまうからだ】

【全身に受けた銃創、寒暖差によって大きく消耗させられた体に音の暴力が脳をゆらし平衡感覚をボロボロにされたのだ】
【―――もうとっくに剛太郎の体は限界を迎えていた、変身すら解けない状態のまま前のめりに倒れそのまま気を失ってしまうだろう】
【相棒の犬がキャンキャン泣きわめく、あまりにもダメージが大きすぎる剛太郎の状態を危険と判断し、すぐに処置を行わなればならない事を理解しているからだ】


「剛の字ッ!おいしっかりしろ!目ェ覚ませ!死ぬんじゃないぞ馬鹿野郎!
おまえはいずれカノッサ機関をも滅ぼす一振りの『妖刀』になる素質を持つ男!死なせんぞ、絶対に死ぬんじゃないぞ!
―――善の字ッ!何をやっちょる急げ!剛の字がやられた!危険な状態じゃあ、すぐにどこぞの病棟に送るぞ!」

『―――もしもし!?了解分かったッス!ちょっと待ってくれ!後1分!もうちょっとッス!―――クソォなんてこったッ!!』


【剛太郎のW-Phoneを引っ張り出して通信するのはこの剛太郎の弟分に当たる人物だが、今彼を回収すべく近づいているらしい】
【もはやダグラスを追うものなどいない、剛太郎の奮闘むなしく美術品はすべてダグラスの戦利品として略奪されてしまったのだ……】


【―――――もはやだれもが認めるしかない。剛太郎の『完全敗北』が決定した瞬間だった……】 <> リナ
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/08(金) 23:30:07.25 ID:NahjdZ0lo<> >>673

【 ──つばめに別れを告げて、朝の街に出る】
【電車を乗り継いで、フルーソの郊外へ。 駅から程無いところに、ルカイナーの屋敷はあった】
【代々受け継がれた、洋風の煉瓦造り。 広い庭で作業をしていた庭師が、彼女の姿を見つけて、主人を呼びに行った】


「随分とお久しぶりね、リナ。何処に行っていたのかしら。
 ……と聞くのもアホらしいわ。護衛から、墓場に花があったって聞いたわよ。」

『……えーーーと、レオポルト様。その、あんまりレナ様を──』

「黙らっしゃい。アンタ余計なことには口煩いのね。だから三十路にもなって男が居ないおブスなのよ。」


【── きぃ、と。 大きな玄関扉が開いて、現れたのは長身の男だった】
【仕立てのいいスーツに、胸元には菊花≠フ紋。髪は癖の強い黒髪で、中性的な雰囲気を漂わせていた】
【それに、後ろには赤い髪をした秘書の女性。……が、一蹴されて、おかしな声とともに崩れ落ちる】


……そうよ、悪いかしら──っ!


【──ぺしっ=@。】
【男の右手が、リナの頬を叩く。 ──後ろの秘書が、小さく声を上げた】


「まずは謝罪もできない妹に、育てた覚えはないわ。覚えておきなさい。
 アナタを今回探すために、32人が動いたわ。アタシとアナタの、兄妹喧嘩の延長線みたいな、くだらない騒ぎの為にね。
 ──、全員に謝りなさい。 頭のすっからかんなお嬢様になるんじゃないわよ。」

……。 はい。

「行くわよ。今日の予定は。」

『……え、あ、はい!えーっと、まずはロロケルム少佐とミリアダム軍事産業に── 、』


【──、兄の言っていることが正しいと、リナには分かる】
【自分がいきなり居なくなれば、どれほどの大事になるのは分かっていたのだ】
【……だが、だからこそ、つばめが言っていたように、「心配している」のだと、思いたかった。示して欲しかった】


【──  去りゆく兄の背を見ながら、彼女は少しだけ、泣いた】


/最後遅くなってごめんなさい!お疲れ様でした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/08(金) 23:38:48.68 ID:+fMoSZqD0<> >>676

【どうやら彼女は魔力で造形するような能力の持ち主らしい。歪んだ鱗を直そうとして、】
【他の部分も直すことになって、さらに他の部分も、他の――とやった辺りで、つんと視線を逸らし】
【じとーっと横目で問題の部位を睨んだ後、「しらない」なんて小さく呟いていたのは、余談だが】

うん、一枚ずつ――、……ううん、なんだろ、頭いっぱいいっぱいになるけど……。
細かいものを作るのは好きなの、だから、あんまり嫌じゃないよ。

【細かい作業が好き。それは性格のせいもあるけれど、ちょっとした事情のせいもある】
【細かいものを作り慣れているのだ。逆に言えば大きいもののほうが苦手、それならば――】
【――わざわざこんな大きな蛇でやる必要はないように思うのだけど。ちょっとした挑戦、なのだろう】

あ――そっかあ、そうだよね……。……――うん、でも、良かったね。怖くないって――。

【本物の蛇は苦手。それを聞くと彼女は、少しきらきらしていた瞳を、残念そうに伏せてしまって】
【それを見ると、めちゃくちゃ蛇好きらしいのがよく分かる。そっかあ……なんてもう一度無意味に呟き】
【けれどそのうちちらりと大蛇を横目で見ると、まあ、まあ、そんな様子で――よしよしと頭を撫でてやり】
【主人が凹んでいたので一緒に凹んでいた大蛇も、撫でてもらうと嬉しそうだ。……もしかして、意識がある類なのか】

……――ねえ、その格好、寒くない?

【なんてしばらくよーしよしよしと撫でていたのだが。ふと、彼女の視線は蛇から相手へと移ろい】
【丸い目がぱちぱちするときは不思議がっていたりする証拠。――実際、数秒もすればそんな問いが投げられ】
【こちらはこちらで春の割りには結構ごっさりした布地の多い服なので暑そうに見え。それなら、もしかしたら、寒がりなのか】
【緩く首をかしげながら少女は尋ねて。――その横で、蛇も、真似するように頭を傾けていた】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/08(金) 23:53:43.22 ID:tAL4jzglo<> >>677

【倒れ伏す青年のほんの十数m先を、轟音を立てて数台のトラックが駆け抜けてゆく】
【その一台、ダグラスが乗り込んだ物からは、去り際に血の付いたスピナーが放り捨てられ】
【其処には血文字で簡潔に一言。『水の国で待つ』と記されていた】

【――ダグラスのものとされる邸宅が水の国郊外に存在するのは事実だ】
【もっとも現在は廃墟であり、かのドラクレア島への転移ゲートが置いてあるばかりだが】


【青年がそれ以上抵抗しないことを悟ると、ケルベロスも大きな足音を立てて走り去り】
【やがて美術館からは今まで拘束されていた警備員が、間を置いて自警団の面々が】
【それぞれ、倒れ伏した青年の元に駆け寄って――後は、ひたすらに治療となるか】

【後日、剛太郎の元に――と言うよりは、その後には大々的なニュースとしてもだが】
【かの水の国・ダグラス邸に複数台のトラックが乗り込み】
【無数の物品を邸内に運び込んだ痕跡が在るらしいことと、巨大な黒い犬】
【つまり、ケルベロスが同じ敷地内に入り込んだ。その事実が告げられることとなった】

/キリも良さそうですので、この辺で!
/凍結を挟んでのお付き合い、ありがとうございましたー! <> 霜降 氷雪<>sagesaga<>2015/05/08(金) 23:59:37.65 ID:WGPfnkMKo<> >>679
そうなんですか……すごいなぁ
私だったら、すぐ投げ出しちゃいそう……

【いったい何枚あるのか……数えるのも面倒なほどの鱗を整形するなんて、相当に神経のすり減る作業だろう】
【それを完璧ではないかもしれないが成し遂げるというのは、すごいと思う──呟きは聞こえなかったことにした】

あーっと、その……ごめんなさい、普通の蛇はだめで…

【みるからに残念そうな反応に、また声が小さくなってしまう──分かりやすく後ろ向きな様子】
【そんな調子でも、撫でられて嬉しそうにする大蛇の様子に少し笑みを取り戻す──本当は怖いと思ってもおかしくないような相手でも、しぐさが可愛いとむしろギャップで効いてくるものだ】

あぁ、よく言われるんですよね……
体質で、結構熱に弱くて……むしろ、これでも暑いくらいで
それで、ここに……川辺なら、少しはましかなって

【この話をされるのは慣れているようで、特に嫌な顔もせずに自分の事情を話す】
【ついでに、川辺まできた理由も──彼女らがいなければ、そのまま軽く足を浸からせたりしたのだろう】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/09(土) 00:09:11.01 ID:CskPH6Kc0<> >>681

【そんな言葉を聞いて、少女は少し嬉しそうだった。というよりどこか自慢げで、】
【褒められて嬉しい子供がそっけない顔をしたときのような――唇を噛んで、笑みを堪えるときの顔】
【それでいてどこか恥ずかしげ。ただ言えるのは、すごいでしょうと胸を張ることは、なくって】

あ――ううん、いいの。えっと……、だって、蛇って、にょろにょろしてるし……。

【それから彼女は慌てたように手をぱたぱたさせる。それで、仕方ないよ、なんて、言いたいのだろうけど】
【基本的に蛇、その他は虫類が大好きなため、嫌いっぽいポイントがよく浮かばない。結局、】
【挙げられたのはそんな不確かな言葉だし。何より、自分がにょろにょろしているところが好きなので――どうしようもない】

……でも、とっても、かわいいんだよ。

【それに、そんな言葉が自分で許せなかったらしい。じいと向ける視線で必死に訴えかけ】
【仕草が比較的幼いのと、童顔なせいで幼く見えるのだが――彼女、身長は百六十もある上、靴の底も十センチ近くと高く】
【少女としては結構でっかいので、なんというか、それがミスマッチで――ただ、それが妙に似合ってもいて】

【「この子でよければ、遊んでみる?」なんて、せめて好きになってもらいたくて、提案するのだけど――】
【もちろん無理強いではない。嫌だと思うなら、断ってしまって、大丈夫だろう。それで怒るような子では、ないはずだ】

――そうなの? じゃあ……、えっと、夏って……。
わたしも、暑いのはあんまり得意じゃないけど――、……そっかあ、今日って、暑いんだ……。

…………――あ。ごめんね、邪魔だったかな? 片付けよっか――。

【今日ですら暑い。そう言われると彼女は、少しだけ驚いたようにしながら――きょとりとあたりを見渡し】
【不思議な言葉を聞いたというように、スカートの裾をつまんで持ち上げたりしながら、そんな風に呟くのだろう】
【そうやって少し生足を露出させてみるも、対して違いは分からないし、寒いとも暑いとも、思えなくって】
【強いて言えば長い靴下を留めるガーターベルトの金具がちらりと見えただけで、――彼女は少し慌ててスカートから手を離すと】
【相手が涼を求めてこの場所に来たなら、自分たちは邪魔だろう――と。そう、尋ねてみるのだった】

/ごめんなさいです、明日ちょっと早いので、ここで一度引き継ぎにしてもらいたく……
/明日は多分夕方には帰ってこられてると思いますので、夜からでしたら再開できますー <> ベル
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/09(土) 00:09:16.08 ID:yRPs7st30<> 【人里から離れたとある森の中。生い茂る樹木に遮られて、月の光すら僅かにしか届かないその暗闇は人の侵入を拒むかのようだった。】
【闇の中で何かが動いている。その『何か』は、ぐちゃ、ぐちゃ、と音を立てながら熊の死肉を喰っていた。】
【なんとか夜目を効かせれば、腐肉を貪るその主が巨大な蜘蛛であることがわかるだろうか。それも並大抵の大きさでは無く、高さにして優に4メートルはあろうかという化け蜘蛛である。】
【その大蜘蛛の背に乗る者が一人。濃紺のロングヘアーに同じく濃紺のセーラー服を着用しており、その上から大きな白衣を羽織っている。】
【異形を従えるかのような少女は、食事を続ける眼下の生物を眺めながら言った。】

ジャイアントキリング…ってやつなのかなぁ。いや、この熊君よりどう見てもうちの蜘蛛の方が大きいものな。単なる弱肉強食ってところだね。
それにしても熊を噛み砕く蜘蛛ってのは中々見れるものじゃ無い、つくづく僕の「生物の巨大化技術」には恐れ入る!…うふふ。

【誰が聞いているでも無いのに、少女は一人語りながら悦に入ったように微笑む。この大蜘蛛の危険性は一目瞭然であるが、背に乗る少女もまた危険な雰囲気を纏っている。】
【口振りから察するに、蜘蛛は少女の制作物であるらしい。よく見れば、蜘蛛の体の各部は機械的な装甲で覆われていることがわかるだろう。サイボーグ、そんな表現が似つかわしい。】

ただ熊君一匹を倒せたってだけじゃあ実用品とは言えないな。「能力者」はそれこそ人によっちゃあ熊どころかライオン千匹にだって値するんだから。
この「実験動物・スピンスター」が実戦で通用するかどうか…。それはやっぱり能力者との戦闘によって判断するべきだろううね。
…ロケーションとしては失敗だったな。こんな森の中、人の通る気配もなし…。研究所から近いってんで横着したのがいけなかった。
さて、どうしたものか…。もう少し人のいそうな方へ繰り出してみようかしら。

【少女は未だ食事を続ける蜘蛛の背の上で、独り言をつぶやきながら思案する。闇の中で、気味の悪い咀嚼音と水音だけが響いていた。】
<> 霜降 氷雪<>sagesaga<>2015/05/09(土) 00:16:22.10 ID:yXYRiF0To<> >>682
//了解です、ただ明日は私の方が20時頃からかつ明後日が早いのであまりいれないかもです…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/09(土) 00:19:42.92 ID:CskPH6Kc0<> >>684
/うーん、それですと、置きでゆっくりやったほうがいいかもですねー
/ただ置きはちょっと……って感じでしたら、全然こっちで進めても大丈夫ですので
/そこらへんはお任せしますっ、お好きなほうに返信もらえたらそちらのスレでお返ししますー
/ひとまずお疲れ様でしたっ <> 霜降 氷雪<>sagesaga<>2015/05/09(土) 00:25:40.20 ID:yXYRiF0To<> >>685
//では、後程置きの方で返させていただきますね
//とりあえずのところ、お疲れさまでした <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/09(土) 00:52:01.34 ID:9cFw0Xt3O<> 絶海の孤島か、ドラクレアねえ……
吸血種かそれとも龍種か、まあどっちが出ても碌な事にならねーのは確かか、うへえ……

【『過去の記憶が集積する島』】
【安息所からやがて深きジャングルに変わるだろうその境目】
【紫白と赤、色違いの瞳は浮かぶ月を見上げ不意に吹いた風に白い髪が踊る】

どう考えても無傷で帰るのは無理だろうなあ
こちとら病院の常連になっちまってるってのに、また通う事になったら嫌だなあ割りとマジで

【淡いランタンの灯りに銀色のナイフが猛々しく輝く】
【大樹の傍らに腰を降ろしている青年の装備は近接戦闘を意識した物か】
【ナイフの鞘は言わずもがな、各種戦闘用の装備をこれでもかと取り付けて】

しっかし遅いな、待ち合わせ場所はこの辺で間違いないし……
時間も合ってる……なんか怪我でもしたんかな……まあ、いいや後10分して来なかったら帰ろ

【退屈そうに背を伸ばす青年はどうやら誰かと待ち合わせをしていたらしいが】
【約束を反故されたのだろうか、待てども待てども来ない待ち人にいい加減痺れを切らしたのか】

先に進みたいとも思わねーしなあ、記憶が再生される島……
ドラマチックなのはいいんだけど記憶喪失の奴が行った所で何が起きるかわかったもんじゃねーし
開けたくない宝箱だってそりゃ……あるもんなあ

【先を進めば秘されていたモノが蘇る】
【進まなければ蘇るモノなど無い、選択の自由は与えられているが故に】
【彼は選択を躊躇い、ただただ道の先を見つめ……】 <> 剛田 剛太郎
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/09(土) 01:00:51.39 ID:uFCgah9Lo<> >>680

『―――ゴウさんッ!!無事かおいッ!!』

「来たか善の字!一刻を争う!お前も手伝え!」


【―――予告通り1分後、剛太郎たちの元へと空から降り立つ者がいた】
【現れたのは―――竜だった。全長は3、4mほどのだいぶ幼い竜。近年に生まれたばかりなのではないかと思われる個体だろう】
【その竜の背中より、血相を変えて飛び降り、剛太郎の元へと馳せ参じる者がいた】

【灰の短髪の上にいつも泥で汚れた頭のタオルを巻き、首には金のチェーン、腕には紅白のリストバンド】
【鍛え抜かれた上半身を包む、同じく泥で汚れたタンクトップ、ズボンは膝が白く色あせた青のジーンズで便所サンダルを履いた青年だ】
【涼宮 善太郎―――彼はかつての探索で手に入れた卵から孵した古龍の子を孵し育ててからというもの、、今は時折移動手段として頼っていた】

【すでにムクの指示を受けた自警団の面々に『ライドコフィン』の中に詰められ、倒れ伏す剛太郎の状態を見て善太郎は顔を青くするだろう―――】
【同時に彼らによって変身を解除してもらいその姿を現した剛太郎の状態は散々なものだった】
【肩や腹部からは血を流しておりその顔は青ざめ血の気は全く感じられない、意識など全く戻る様子もない】
【ムクは彼を自作の棺桶の内部に詰めた時点でこれを即座に操作を開始し、緊急治療のため機能をフル稼働させ彼のダメージの回復を行っていた】

【その後ろ、彼を乗せて飛んできた竜が『―――』、とよく聞き取れない声で何かを唱えると、その体が光に覆われる】
【―――光が止んだ所に立っていたのは一人の少女だった、見た目の年頃は16,7ほどのやや年若い少女、気品に満ちたその表情も口から除く八重歯も相まってだいぶ幼く見える】
【赤紫色の髪の毛を背中まで伸ばした眩いストレートヘア、胸元が網目になった黒い光沢にスカート部分に銀のフリルがついたのノースリーブのワンピース】
【その指先には女の子らしく彩られた赤いネイル、そして黒の棘のついたブーツを履いた少女】

【―――だが、その場にいた誰もがこの少女の事を『明らかに人ではない』事を改めて認識する】
【なぜなら可愛らしい少女の姿にはなっているがそれでもなお頭には二本の太く大きな角が、お尻からはどこか刺々しい尻尾が生えふりふりと動いていたからだ】


"……あら、ゴウタローボロボロになっちゃってるわね、こんなにコテンパンにやられてるゴウタロー初めてみたかも"

『―――んなもんみりゃあ分かんだろうがッ!!……くそったれ、よくわかんねーけど剛太郎さんがここまで一方的にボコボコにされるなんてよ……!
いったいどんなヤバい奴とやりあったんだ…・…!?とりあえず『リズ』!おめーが棺桶ごとゴウさんを"WILD"が手配してくれる病院に運べ!』

"え、ええー!?こんな見るからに重たそうなの運ばなきゃいけないのぉ!?そういうのは『お兄ちゃん』にやってもらってよねゼンタロー!"


【つべこべ言ってないですぐ行け!と叱咤され少女は再び竜の姿に変わり、早急に彼の体を搬送するだろう】
【その後病院に担ぎ込まれた剛太郎は緊急治療を施され当分の間病室に入院生活を送る事となる】
【彼は治療が終わったその後も結局その日のうちに目が覚めることはなく、次に意識が戻ったのは当日から3日以上経ってからの出来事になる】

【目を覚ました彼は病床に付きながら詳しい情報を交換し、結局自分が敗れ美術品は奪われたのだという事を知ると】
【その現実を深く受け止め、ぎり、と歯を強く噛みしめながら一筋の悔し涙を浮かべることになった】
【―――その後、そのまま入院が決まった剛太郎が見ていたテレビにダグラス邸に美術品が運び込まれたらしい事がニュースでやっているのを目の当たりにする】
【窓の外から彼の様子を見守るムクの方をちらと見ると、彼はぽつりと言葉をかける事だろう】


「此度は本当に手痛い『敗北』をした。さぞ悔しかろう。……しかしお前はこんな所で終わりはしない
生きてここに帰ってきたことが儲けモンじゃあ。……生きてさえいればやり直しは聞く、じゃから……あまり気負うなよ」

……わかってる、ありがとう


――――……次は、次は絶対負けねえ……ちくしょう、絶対負けねえからな―――!!


【ダグラスが残したメッセージの事を頭に浮かべながら、剛太郎は決意新たに復活の時を待つのだった―――】

【剛田 剛太郎――――再起不能】
【to be continued…】

/はい、こちらもこれでおしまいです、誠にありがとうございました! <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/09(土) 01:28:51.07 ID:LBqwK3elo<> >>687
【過去と現在、その二つが同時に存在することで紡がれる未来、まさに混沌そのものともいえる島】
【そこで一人、誰かを待つ青年の耳に何者かが動く音が聞こえてくるだろう】

【草を踏み分けつつ、慎重に進んでいるらしいその足音は、少しずつ彼の下へ接近している】
【待ち人、ではないことはすぐに彼にもわかるはずだ。やがて、腐臭を漂わせながらジャングルとの境界線の前へ姿を現したのは】
【人に近い姿でありながら、異形と形容すべき存在であった】

【身長は2メートルを超えているだろう大男だ。角ばった顔つきに昏い光を放つ黒い瞳】
【短めに切り揃えられた黒髪。ジャングル用の装備だろう、その身を迷彩服と分厚いベストで包んでいる】
【足に履いているのは黒いゴム長靴。これだけは、装備の中で浮いて見えるだろうか】
【だが、それよりも目を引くであろう箇所は、大男の額。面積いっぱいを埋める黒い瞳の巨大な眼球がそこに埋まっていた】


【太い四肢で空気を掻き分け、ゆっくりと進んでいたその男が青年に気が付いて三つの視線を向ける】
【両目と額の単眼、全てが細められ、無遠慮な観察するような目つきで青年を眺めまわした】
【もし彼が、指名手配書や昼の国のニュースを見たことがあれば、この大男が指名手配犯であると気が付くかもしれない】

――――白髪にオッドアイ、銀色のナイフ……エルフェス、というのはお前か?

『……んだと?』 「……確かか?」

【初対面のはずの怪人物がそう呟くと、その背後からもう一つの人影が進み出た】
【こちらには、彼も覚えがあるだろうか。大男と同じく、全身を迷彩服で包んだジャングル用の装備だが、その異形は変わっていない】

【一つの身体に二つの頭と四本の腕。向かって右の蒼白い肌に白髪の頭と、左の浅黒い肌に乱した黒髪の頭】
【本来の位置から生える細い両腕。脇の下辺りから生える黒い両腕。白濁した瞳と爛々と光る黒い瞳】
【迷彩服の上に装着した黒いベストの両胸の部分に、白い字でNo.50と記されている】
【その二つ頭の異形の男たちは、青年の姿を目にした瞬間、四つの瞳を見開いた】


『てめぇ……てめぇ、覚えてるか? 俺たちを覚えてるかよ、ええ? クソガキ……』
「……我々は忘れていない。ひと時たりとも、忘れたことはないぞ……」

やはりそうか。こんなところで、奇妙な偶然だな――――

【ドラクレア島。過去が集まるこの島で、どういう縁か現在の存在として青年の前に現れたのは】
【いつか雪に閉ざされたあの場所で戦った、過去の因縁であった】

【青年にあった自由を奪うかの如く、眼前に突き付けられた選択肢。ジャングルの中に進むか。安息所に取って返すか】
【それとも、この場で迎え撃つか。待ち人の到着を待つか。突如降ってわいた悪意の化身たちが、青年に選択を迫るかのようににじり寄ろうとし始める――――】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/09(土) 02:20:36.60 ID:RRvd6/Nho<> 【路地裏】

【無計画に建てられたビルやアパートメントが作り上げた都会の迷宮】
【昼も夜も明かりは乏しく、空が遠く。何かしらが常に起きて居るが外へは知られない】
【ここの住人は迷宮から出ることを許されていないかのようであった】

【ある一角で錆びたシャッタの前で座り込んで煙草を吸っている男が居た。ヒライとよく名乗っているが】
【偽名だ。良く知られた名前はロッソで、連続強盗犯として指名手配された時の名前はこれだった】
【背が高く痩せていて、サングラスは常にかけていた。手配犯としての唯一の証拠がこれだったからだ】
【右にチェンジポケットのついた三つボタンの黒いスーツを着ていた。大概これを着ていて全てオーダーメイド】

【彼は右手に付けた腕時計を見た。三角形の変なデザインだが文明が滅びても動き続ける程の性能がある】
【人を待っていた。顔も名前も知らない。合言葉がある。路地裏という場所と深夜という時間もあって誰も通らない】
【もし、誰か通りかかれば彼はタバコを吸う手を一旦止めて、頭を上げて言うのだった】

……アンタ、明日の天気を知っているか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/09(土) 03:51:48.35 ID:mYv1OAozo<> >>689

(気配……1人じゃないな……)

【己の感覚の内に入る者の気配に身体をピクリと揺らし、確りとナイフを握り締める】
【場所が場所だ、敵である存在の方が多いのは道理加えてその何者かの足取りは隠密めいている】
【そしてやがて辺りに散らばる腐臭が確信させて……】

人に名を尋ねる時は先ずは自分から、と教わらなかったかモンスター
んでもって悪いがオレの知り合いにはアンタみたいなガタイの良い奴は確かいなかったんだがね……?

【三つ目、果たしてその目の理由がなんであるかは見当は付かないが通常でないというのは確か】
【加えてその出で立ちは凡そここに観光に来たというのでもあるまい、何やらよろしくないカードを引いてしまった】
【さてどうして捌いたものだろう―――――と考えている内に聞き覚えのある声が耳に届く】

―――――……っは!なんだなんだお礼参りにでもしに来たのか
こんな辺鄙な所によくもまあ雁首揃えていらっしゃったなあ!今度はどこを斬られに来たんだ兄弟
今の内にオーダーしておけばお望みの場所とお別れさせてやることもやぶさかでないぜ

【その双児の子ら、いつか己が刃を振り下ろした相手がそこには居た】
【まさか時を経てこの島で邂逅する事になろうとはお互いに思うまい、相手の恨みはその時の流れの分濃いか】
【ならばその淀み、この場この時で再び断つというのも悪くはないだろうが些か部が悪い】

【はてさてと視線だけを動かして見やる、行く道と帰る道】
【問答無用で襲って来るというならば相対しなければ隙も得られないだろうが】
【或いは過去の集まる島、彼らとてこの特別の領域に何かを求めてやってきたのだろう】
【ならば本来の目的は自分の命などではない筈と、細めた視線は彼らの行動その指先細部までを見透かして】

/本当に申し訳ありません、気が付くのが遅れてしまいました……
/当方、今日は一日おりますのでお付き合いいただけるならばよろしくお願いします……
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/09(土) 19:07:22.75 ID:nuwaHJGuo<> 【公園】
【この公園は昔から猫が集まることで有名だ。正式名称は殆ど知られていないが、通称が猫公園であることは近所では常識である】
【さて、今日は小雨が降っているためこの公園は静かである、いや、人の声がしないだけであり】
【実際はそんなに静かではない。聞こえるのは、多数の猫の声と、そしてもう一つ――】

「ククク……"ヤーツァタウン計ェ画"はまァだまだ準備に時ィ間がかァかりそうだからな、俺様が思いついた名ェ案で隙間を潰そう」
「名案、そォれは……こォいつらの力を使い、人間共を俺様の元へつゥかせる!」 

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「俺様特製、猫寄せ装ォ置によォって集まったこォの猫の力でェな……ククク…………さァすがは猫公園……大量だ」
『にゃー』 『にゃーにゃー』 『にゃーん』 『まーお』 『シャー』

【何やら不穏なことを言っているようだが、猫だるま状態なのでとても威厳がない】
【しかし、猫パンチが華麗に入ったり、ガッツリ引っ掻かれたり、とにかく散々な目にあっているにもかかわらず動じないのはある意味肝が据わっているのだろうか】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/09(土) 19:53:40.48 ID:LBqwK3elo<> >>691
ああ、これは失礼した。私はカニバディールという。どこにでもいる、ケチな犯罪者だ
モンスターとはひどいな、これでも私はれっきとした人間だよ。少しばかり、能力が見た目に反映されるタイプというだけの話だ

そうだな、お前と私とは今はじめて会った。だが、私の仲間とお前とは、そうじゃあない

【能力によって手に入れたという異形、それにしても気味の悪いことに変わりはないだろう】
【悪いカードを引かされた青年だが、予想に反していたのは異形どもも同じだ。表向きは平静を繕っているが】
【盗賊仕事の一環として、過去の情報や珍しい物資を求めてやってきていた異形どもにとっても、副首領の因縁の相手との邂逅は喜ばしいとは言えなかった】

『おーおー、口の減らなさは前の時とまるで変わっちゃいねえなあ。てめぇこそなんだ、こんな辺鄙なとこで何してやがんだ、ああ?』
「それはありがたいな。だが、されるばかりでは申し訳ない。お前も今のうちに、潰されたい場所のリクエストをしておくことを勧めよう」

『あー悪いが、残りの腕はもう斬り終わってるから遠慮しとくぜ。そら、どうだ見事なもんだろ。こうまで正確に切り離すのにはずいぶん苦労したんだぜ』
「お前がずいぶんと綺麗に落としてくれたからな……それでも、揃えるには時間がかかった。これ以上落とされるのは、御免こうむる」

『俺らの一対にもう一度手を出すってんなら』「原型を失うくらいの覚悟はしておけ」

【言いながら、双子は迷彩服の袖を捲りあげた。そこに刻まれた、腕周りを一周する傷跡】
【それが、四つの腕全てに、寸分たがわず同じ位置に付けられているのだ。以前、青年が切断した兄の細い右腕と見分けがつかないほどの傷】
【その言葉の通り、自らの手で切り落とされた腕と同じように残りの三本の腕を切断し、接合手術でつなぎ直したのだ】
【一対にこだわる双子の異常性も、以前にも増す形で健在らしい】

気持ちはわかるが少し抑えろ、オーギュスト、ギュスターヴ
今はスクラップズ首領と副首領してここに来ているんだ、そうだろう?

さて……お前が何の目的でここの来たのかは知らないが、この境界線で立ち往生しているところを見ると
このジャングルに踏み込むかどうか、迷っていたのかね? どうしても決断できないなら、我々が後押ししてやろうか

(過去を映し出すこの島の領域にこの男を踏み込ませれば……財団Wとの繋がりも明らかになるかもしれん)

【そういうと、殺意は見せずされどドス黒い悪意を漲らせて。大男と二つ頭が動く】
【大男は懐から抜いた大型拳銃で、青年の足元に向けて発砲しようとするだろう】
【二つ頭は、以前の戦いでも見せた能力、その四本腕からそれぞれ泥と砂を絞り出し】
【青年に向けて、飛ばそうとするだろう。銃撃と泥砂、いずれも殺そうとして放たれたものではない。青年をジャングルの方へと追い立てようとしているのだ】

【ドラクレア島の持つ特性を利用しようという盗賊どもの思惑を前に、青年はどう動くか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/09(土) 20:20:15.41 ID:mYv1OAozo<> >>693

おうおう……カニバディールねえ……
(約束も反故されるし、なんだよ今日は厄日かよ……)

【その名を耳にした事がある勿論悪い方の意味、悪名というカタチで】
【最悪との出会いという偶然、約束の反故という偶然――――】
【余談ではあるが後者に関しては青年が日にちを勘違いしていただけである】

ち、やかましい偏執狂共めそこまで拘るとはな見た目と同じくぶっ飛んでやがる

【怖気、というのを久しぶりに感じた】
【それ程までの執着心を彼らは持っているまともな腕を切り離して再び付けるなど正気の沙汰ではない】
【ある一定のラインを越えた想いというのはいっそ醜悪ですらある、と誰が語った言葉だったか】

――――――……あーあ……まあ、そうなるか

【追い込み漁、構えられた銃と腕を見つめながらふとそんな単語を思い出す】
【彼らの目的は調査の類か、ただ自分ではなく調度良い実験動物が居たので利用しようという所】
【厄日で済むならば良いが……などと考えつつ銃声と汚泥に踊らされるがままに密林へと足を進める】

【途中幾らか反撃の機会を伺いもしたが実質3対1、分が悪いのは言うまでもない】
【密林特有の判別のつかない光景が幾らか通り過ぎた後に、この場の全ては不意に深い霧に包まれる】

【過去が目覚め今に仮初を得て蘇る】


【景色は赤、その赤色が血の香だというのは戦場に在る彼らならば極々自然に理解るだろう】
【周囲は木々に彩られているがしかしそれは密林のそれではなく樹海の類、しかし一般と違うのは立ち並ぶ木々の全てが赤く染まっている事】
【通常のモノとは異なる生態系、例えるならば肉を得た植物とでも云えば良いサンプルでも取るのも良いだろう】

【試しに木の肌に切り込みでも入れたならば立ち込める血の香の原因の一つだというのが分かる】
【紛れもない「血」は人の物、或いは獣の物と交じり合った異形の代物】
【木の中に脈打つのが血であるならば吸い上げたのだろう、右も左も分からない中で進み歩いたならばそこかしこに人・獣問わずに死体が転がっている】
【この場は一夜限りの異界、いつの時代どこの場所かも分からないが通常とは異なる空間であり身の回りの全てが敵だ】【果たして記憶の根源は何なのか】

【今の所は「血塗れの森」から敵意の類は感じられない】
【或いは別の場所での戦闘に性能の全てを割いているから、などと予測は立てられるだろうが所詮は予測】
【警戒をしないに越したことはあるまい、と……暫く進んだならば人間の気配、数は1つだがこの場を1人で歩くとなるとその存在の危うさも予測出来ようか……】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/09(土) 20:44:48.39 ID:CskPH6Kc0<> 【街中――大通り沿い】
【がやがやとしたいつも通りの賑やかさが通りに溢れて、ただ、平時と少し違うところを探すとするなら】
【道沿いに並ぶ店のショーウィンドウによく見受けられる文字列、「お母さんありがとう」――それと一緒に】
【明日がいわゆる“その日”であると日付も書かれたりしていて。というか、大概のそういったチラシには書いてあり】

明日――明日を乗り切れば終わりだわ……やっと終わるのね、地獄の日……!

【道に面するカフェ。湯気をあげるコーヒーを前に机に突っ伏すのはどうやら女が一人】
【お母さんありがとうと書かれたチラシの貼られた窓を目の前に“それ”を地獄などと表現する彼女は、】
【ずるずると這うゾンビのような動きで頭を持ち上げてコーヒーをすすると】
【「甘さが足りない」なんて言い出して角砂糖をいくつか落とし。それで、また、疲れたようにずるずると机に崩れ落ち】

【――暗い紺色の髪は腰に少し届かない長さ、前髪も後ろ髪も綺麗に切り揃えられ】
【瞳も髪と同じ色味をしているのだが、今は疲れのせいかもう少し暗く見える錯覚。きつすぎずに釣ったまなこのかたちで】
【服装は白のシャツに赤いプリーツのミニスカート。しめたネクタイはどこか制服ぶるようで】
【ただ当人が制服なんて年頃に見えないので、そんな感覚は少し薄れ――】 

これじゃ母さんに花を持って行く余裕もないじゃない……。
やっぱ早めにやっとくべきだったわね、……、それだと二週間は前になるじゃないの――。

【ぶちぶちと呟きながら、時折コーヒーを啜って、また死ぬ。それを繰り返す彼女は、なんとも不満げに声を洩らし】
【ただよっぽどうるさいわけではなく、大通りの賑やかに隠される程度。ざらりと長い髪をかき上げると、頭を支え】
【「毎年言ってるわねコレ」なんて呟いて、自嘲げに笑う――何か問題があるとしたなら、】
【休日のこの時間のカフェ。空き席はもう尽きて、相席も繰り返されたあと、彼女の前くらいにしか、空いた場所がないことだった】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/09(土) 20:46:18.43 ID:LBqwK3elo<> >>694
ああ、その通りだ。以後お見知り置き頼むよ

【にたりと笑って見せるその表情の醜悪。悪名の通りの人物であると、感じ取れるだろうか】
【約束の日にちを間違えるという、本来ならば日常の一ページに収まる程度のズレが、まさかこのような状況を生み出すことになろうとは】

『てめぇから見りゃあそうだろうなあ。だが一対は俺らのアイデンティティーだ』
「一対はこの世でもっとも美しい在り方だ。それを平然と崩した貴様こそ、我々からすれば異常だ」

【まともに話が通じる存在ではない、とはわかったことではあっただろうが】
【この双子は、ある意味でその到達点の一つなのだろう。一対に対する執着が常にその根底にあり、他を受け付けない】
【その見た目以上に、異形どもの内面は醜く歪みきっている】


そらどうした、遠慮することはない。お前の過去にあってくるといい
わざわざこんな場所に来たんだ、追憶を見に来るという目的もあったのだろう? 我々が付き添ってやろうじゃあないか

【決して油断せず、同時に傷を与えないように。牽制を繰り返して、異形どもはエルフェスを追い立てていく】
【しかし、その足が止まる。周辺を包む濃霧。そして嗅ぎ慣れた、戦の匂い。死の匂い】

「……どうやら、目論見は通ったな。ここからは、彼奴の……いや、彼奴の記憶とは限らないか?」
『俺らのじゃねえのは確かだな。慣れた感じはするが、見覚えはねえ。こんなもん見てたら、まあ忘れねえよなあ』

……樹海、か? 先までの島の密林とは違うな。この赤い木を見ろ、なかなかに興味深い……
いくつか、持ち帰るとしよう。手を貸せ、デュアル

【この状況で己の欲望に走る異形ども、赤い樹海を前にして怯えて見せるほどまともではない】
【カニバディールが取り出したサバイバルナイフで木に切り傷を入れ、流れ出した液体を長い舌で舐める。幾度も幾度も味わった、あの血の味】
【人の物、獣の物。複数が紛れていることを、異形の舌は看破した。やがて、三つの怪物が歩を進めた先に、その原因が見て取れた】

『まあた、愉快なとこに出たな。記憶の中でまで殺し合いだぜ、笑えるよなあ』
「周りの木はこいつらの血を吸っていたわけか。養分が労せず手に入って、羨ましい限りだ」

……過去とはいえ、ここの記憶は我々にも影響する。油断はするなよ、下手を打てば食われるのはこちらだ

【いいながら、血塗れの森を慎重に、しかし臆さずに異形どもは進んでいく。敵意が感じられずとも、油断はせず】
【そこへ、近づいて来る気配。一つ。数ではこちらが優るが、数だけで対抗しきれない相手がこの世に多く存在することは身を以って知っている】

【異形どもが咄嗟に分散して、それぞれが大きな木の影へと身を隠す。濃霧も利用し、相手の視界から逃れようとする】
【まずは、やってくる相手を確認するつもりだろう。その後どう行動するかは、相手の正体や行動次第となるだろうか】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/09(土) 21:16:45.89 ID:s/sMgJXAo<> 【路地裏】

【――どこまでも暗く、見通せぬほど澱んで、何もかもを飲み込む闇。それが無造作に氾濫するこの場所において、悲鳴なんてものはきっと日常茶飯事で】
【銃声と男の唸り声が連続したとしても、そこに住まう者たちにとっては何ら特別なことではないのだろう】
【誰も、何も、男を助けようとなどしない。日常の裏にあるここは、そういう世界なのだから……】


ひひっ――――ひひひはははははははははははッッ!!!
オラ逃げろ逃げろォ!! 無様にもがいてみせろや羽虫がァァ!!!


【悲鳴を引き裂いて、狂気じみた哄笑が路地を満たした。――追跡者は、見るに耐えないドス黒い感情に表情を歪めた、若い男だ】
【目を痛めそうに鮮やかな橙色の髪。長い前髪の隙間からは、地獄の釜でひたすら煮込んだようにドロドロに濁った青色の瞳が覗いている】
【外見の方はライダースジャケットにダメージジーンズ、シルバーアクセサリーをいくつも身につけた服装で、まるで粗暴さの権化のよう】
【"金十字"の意匠が施されたピアスが、男が引き金を引くたびにジャラジャラとその存在を主張する――】

【男は狂気じみた追跡者から必死に逃げる。このままこの路地を一直線に走り抜ければ、表通りへと抜けられる】
【表と裏では流れている法則が違うのだ。そこまで行けば、追跡者がどれだけ残虐非道だろうと軽率な行動は出来ないはず】
【……その考えは間違っていない。だが一直線ということは逃げ場がないということで――次の瞬間、男は両足に鉛玉を埋め込まれていた】


「ひっ、ひぃっ………!」

ククッ、鬼ごっこも終わりのようだなァ………?


【あともう少し。あともう少しだけ時間があれば、この男は助かるかもしれない。だが本人にはもう、その時間を作るだけの力は残っていない】
【追跡者はゆっくりと、もったい付けるようにして男の頭に銃口を向けようとする。――あと数秒で、男の人生は終わるだろう】
【だが万にひとつ、男が助かる可能性があるとするならば、それは――第三者による介入以外にありえないはずだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/09(土) 21:28:30.79 ID:mYv1OAozo<> >>696

「また獣か――――――――…」

【嘆息混じりの声はくぐもっていた】
【人影は2mに届かんとする長身、それを守るように身につけた白銀の甲冑鎧は受けた血に滴り妖しくも美しく輝いている】
【血を吸い込みじっとりと重くなってしまったマントを踊らせていたその人は周りの変化を悟ってかふと歩みを止めてぼうと立ち尽くす】

「流石にこうも飽きもせずに襲われると気が滅入るというか、血の匂いが染み付いてしまうというものだなあ……」

【戦場、或いは異界に居るというのにその言葉はまるで日常の中にいるように張り詰めた物がない】
【否、その人間にとってはこの状況こそが慣れた日常というだけ血湧き肉踊る戦場こそに在るべき者】
【傭兵や騎士といった存在は全て戦う為だけに作られた純粋な芸術品だ】

【ならばその騎士然とした者が掲げる剣も同じ物、目の前に立ちはだかる物の一切を切り崩し打ち倒す物】
【極まった銀に包まれた両刃の豪剣、扱う者の身長に肉薄するほどの長さの剣はやはり同じように血に濡れ】
【幾多の異形を屠ったのだろう刀身に肉片がこびり着いて異臭を放っていた】

「はて、知恵がある獣というのは矛盾しているようだが……こんな場所ならば仕方無い事なのか」
「――――――――…まあ、なんであろうと関係は無い、か……」

【振り翳す左手には由来の知れぬ魔方陣、眩い光を一瞬放ったならば】
【木々に隠れた者達をそれぞれ囲むように銀の剣が3つ、その切先を向けて現れる】
【空中に静止したそれは刃を向けながらもしかし放たれる事はなくならばその目的はその場に縛り付ける為の物】

(数多ならば考えないでもないがこの程度ならば、一振りか……)

【本物の剣は右手に掲げた豪剣ひとつ、呼吸も無しに力みも無しに番えられた刃はくるり円を描いて放たれる】
【通常ならば木々に隠れた彼らに刃が届く事はないが、異界に在る存在に通常などという贅沢な事は在り得ない】
【白刃は音もなく木々を切り倒し彼らの首を絶たんと夜を切り裂く……筈であったが、担い手は攻撃の瞬間に僅か刃を下げる】
【ならば切先の軌道は表皮をなぞる程度で終わり切り裂き割れる事はない】

「……いや、違うかこれはそこに居る御仁ら申し訳ないまさかこの深度にまともそうな者達が居るとは思わなかった」
「既で刃を下げたが怪我は無いだろうか、なければ良いもし命を落としたならば墓の1つでも拵えるのでそれで勘弁願いたいが……」

【切り落とされた木々からは鮮血がこれでもかという程に宙に踊り出す】
【赤色の雨の中、溢れる台詞はいっそ優雅にされど生々しくあり隠れていた彼らに渡される】
【異常の世界の中で普通に振る舞う者がいたとするならば、それこそが真に忌避すべきものだろう】

【血が噎び泣くこの森で未だ正気を保ち認識を正しい物とする銀の姿】
【相対して果たして彼らは何を思うか】

/おまたせいたしました! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/09(土) 21:40:24.30 ID:N5r4FABLo<> >>695

【虫の息の様な声を漏らす女性(アナタ)の目の前に、横から2つの手が伸び】
【それはすぐに叩き合わさってパァンと大きな音を立てる】

かーっ!生きてるかいお嬢さんってなぁ!
死にそうな顔してちゃ幸せが逃げちまうぞ

【ケラケラと笑う様な声は、たった今驚かせるように女性の目の前で手を叩いた人物のもの】
【見れば見るからに胡散臭い、祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性が立っていて】

何かお困りかってーの?
手前(てまえ)さんだけ何だか難しい顔してらぁ

【口元は声音と同じ笑みを浮かべたまま】
【互いに見知らぬ筈なのに男は馴れ馴れしくそちらに話しかけて】

//まだ居りますれば <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/09(土) 21:55:34.04 ID:pCuM972eo<> >>697

【もはや死以外に哀れな運命はあり得ない―――そう思われた男の運命に転機が訪れる】
【だが、彼の命を助けに来た天の救いかどうかは定かではない、足音を立てて現れたその一人の人物はずいぶんと風変わりな様子だったからだ】
【具体的に言うと……そいつは法の外に存在するこの路地裏を、信じられない事にノンキそうに歌を歌いながら現れたからだ】


―――……オラは死んじまっただぁ〜……オラは死んじまっただぁ〜♪っと……ん?
なんだアイツら、殺し合ってらあ……全くいつ来てもこの辺は本当に治安が悪くていけねえなぁー……へっ、物好きな連中だぜ
おーうそこの彼氏ぃー、なーに遊んでんだァー?ずいぶん盛り上がった様子みてぇだがなあ


【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織り、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【首からはそこそこ値の張った一眼レフのカメラを下げ、腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた男性だ】
【顔はよく見えない、だが口元から零れるその笑みと歩きながら歌う様子から機嫌が良いらしく、えらく足取りも軽そうだ】

【フードパーカーの男は近づいてちらちらと追われた側と追った側、二人の男を交互に見直しながら言葉を続ける】


えらく殺気だってるじゃねえのよぉお前さん、そこの哀れな見た目のあんちゃんは何やらかしたんだ?
おたくの組の資金を半分くらいごっそりそこの野郎が持ち逃げしやがったのか?そりゃあ大変悪い事だわ、うんまったく悪い事してるな
まあ実際は何が何だかワッケわかんねえがさっさと返して土下座してやれよぉ、こっちのジャラジャラのお坊ちゃんもちったぁ慈悲を見せてくれるかもしれねーぜ?


【路地裏に現れたその謎の通りすがり男はえらくなれなれしい態度で訳の分からない状況を勝手に決めつけるような話をし始める】
【どうも彼の危機に正義感を疼かせて立ちはだかった好青年という感じの人物ではない、いったい何者なのだ?この男は】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/09(土) 22:02:17.16 ID:LBqwK3elo<> >>698
【聞こえてきた声と共に現れる、霧の濃さの中にあっても浮かび上がるような、甲冑の輝きと返り血の色】
【鎧の奥から聞こえる声を聞きもらさぬよう神経を集中させながら、異形どもは観察するような視線を彼へと送る】

(この状況下であの立ち居振る舞い、あの返り血……相当な実力者らしいな)
(恐らくは、戦場が生活の一部となった専門家……騎士か傭兵か。さて、どうすべきか……)
(敵対は避けたいところだ。戦闘においてはアマチュアの域を出ない我々では、歯が立つまい……)

【その長大な剣とこびり付いた死の香り、美しさと凄惨さが同居するその有様を前にして】
【なおも自分たちの損得勘定を脳内で転がしていた異形に、切っ先が突き付けられた】

な――――!!
「ぬぅ……!!」 『あぁ……!?』

【突如出現した銀色の剣。空中に浮かぶそれらを睨み返す。先の見たことのない魔方陣と併せて】
【ドラクレア島がこの場にもたらしたこの空間が、自分たちとは違った世界であると思い知らされる】
【同時に、その騎士がどれほど尋常ならざる存在であるかも。いや、その認識をさらに上塗りする、迫りくる刃】

(なんだ、あれは……!? 周りの障害全て切り倒して……こんなところで――――!!)

【眼前の剣に縛られ、動こうにも動けない。このような場所で、自分たちの罪のツケを払うことになるとは】
【――――いや、悪運はまだ尽きていなかったらしい。薄く裂かれた表皮からわずかに滲んだ血を冷や汗が流す】
【まだ生きている。その理由は、攻撃を花った張本人自身から語られた】

(九死に一生を得た、か……)
……幸いにして、大した怪我はございません。おい、そっちも大丈夫か?

「……ああ、問題ない」 『おー、平気だよ……』

【森を更なる赤い色で染め上げる、鮮血の噴水を横目に。異形どもはゆっくりと木陰から進み出た】
【その言動、殺してしまっていたのなら、といった動揺の欠片もない言葉。所詮、ただの悪漢たる自分たちとは違う、真なる生と死の境に立つ者】

【現れた異形の者共、騎士であれば獣たちで見慣れているかもしないが、この盗賊どもは騎士の目にはどう映るだろうか】

……こちらの方こそ、隠れ潜んだ不作法、大変失礼をいたしました
ここがどこかも定かではないうちに迷い込んでしまい、この場の状況を目の当たりにして恐怖に駆られた我々の浅薄さ故のことでございます……

貴方様は……騎士様、でしょうか……?

【ともあれ、異形どもは取り繕うことを選んだ。異形ではあるが、これまでの経験からこうした表面上の振る舞いは慣れていた】
【揃って姿勢を低くし、されど意識はしっかりと彼に向けて。まずは探りを入れる意味で問いかける。あくまで、無力を装いながら】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/09(土) 22:19:26.70 ID:mYv1OAozo<> >>701

「人、とは些か具合が違うか……ああ、いや独り言」

【赤の世界の中にあれど彼らの姿は些か悪目立ちをしている】
【異種異形の類はこの森の中で見慣れたがしかしそれはそれという話でしかなく】
【兜の中で人知れず目を見張りながら独り言ちる騎士が居た】

「いやいやそちらも息災であるならばこちらとしても幸いだ、獣狩の夜に人を殺したのでは情けない」
「最悪の中にあれど状況としては十全だろう、尤もこんな深度まで迷うなんて芸当がそう簡単に出来るなんて納得し兼ねるが」
「となれば、少ない知恵を絞って考える限り貴公らはイレギュラーだろう?」

【召喚した剣達はいつの間にやら虚空に融けて消えている】
【掲げた剣は背中の鞘へと収められ今は刃は隠される、極めて理性的な動作はやはりこの中では異質】
【しかしそれは何も騎士だけではあるまい、彼らも同じくして……】

「取り繕わなくて良いさ、貴公の本性はそんなつまらない物でもないだろうに」
「ふふ、騎士だと思うのならば騎士という人種に上面だけの物が利くものかよ……」
「恐怖に駆られる、のではない……君達は恐怖を繰る側の人種だ、この森とはまた違う血の香りがするものなあ」

【きゃらきゃらと嗤うようにどこか不遜な態度が崩れる事はない】
【遠くで正体も分からぬ異形の鳴き声が響いているというのに、それさえもここにいる彼らにとっては障害にはなり得ない】

「特に貴公、己の腸の中にどれだけを飼っているんだ……悪癖とは言わないがね」
「因果を囲い過ぎてもいつか食いつぶされたりも、存外するものだぞ……」

【騎士装束の者は異形の1人に言及する】
【その瞳は戦場で鍛えられ養われたのだろう、ある種看破めいた性能を宿しカニバディールという男を向いている】
【騎士はふと思う、或いはこの男が身の内に数多を宿すならばこの森は男の拡大版と解釈出来るのではないだろうかと】
【危険な芽は刈り取るに越した事は無い……が、今の使命を反故にする訳にはゆくまいと刃へ掌は伸びることはなかった】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/09(土) 22:27:16.14 ID:s/sMgJXAo<> >>700

【――あとは人差し指をほんの少し引くだけで終わる。その段階で、追跡者の男が想定していた"悪い事態"は二つだ】
【ひとつは男が何らかの抵抗を見せること。もうひとつは、正義の味方気取りの阿呆が乱入してくること】
【とはいえ、そのどちらのパターンになろうが男には切り抜けられる自信があった。人ひとりブチ殺すなんて、その程度の作業でしかないはずで、】


………ひひっ、わかってんじゃねぇか。そうだよ、今まさにイッチバン愉しいところなんだ。
でよォ――それがわかってて、オレの愉しみに水差しやがったテメェは誰だ? 


【濁った瞳が新たな乱入者を睥睨する。男に加勢する素振りもなく、かといって逆に加勢する算段にも見えない】
【――想定外。その目的が読めないために、追跡者は一時停滞を選ぶ。這い蹲った男にとっては、それは結果的に幸いだった】


「コイツは"GIFT"だ、土下座する程度じゃ許してくんねぇよ……!
 そ、それよりあんた! 助けてくれ!! 金はいくらでも用意するからッ!!」


【男は通りすがり相手に恥も外聞もなく命乞いを始めるだろう。両足はもう使い物にならないが、両腕はまだ動く】
【這い蹲って表通りに飛び出し、そこらの一般人に警察を呼ばせ、到着までの間保護させる。成功するかは微妙だが、このまま死ぬよりはマシだ】
【とにかく時間が必要だった。本当に助けてくれなくとも盾ぐらいには使えるはずだ。コイツが何者かは知らないが利用させてもらう――】

【……そんな汚い打算を俯瞰する追跡者は、意外なことに動かなかった。何も持っていない左手を無造作に乱入者へ向けただけだ】
【乱入者がこの命乞いにどう対応するのか、その反応を見るつもりなのだろう。青色の中の狂気は今はまだ燻っている】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/09(土) 22:39:23.45 ID:LBqwK3elo<> >>702
お気になさらないでください、自分たちの姿についての自覚はありますれば……

【どうやら、かの騎士にすら自分たちの異形は異質なものとして認められたようだ】
【この異界ですら異常性を発する自分たちに、今更ながら自嘲をかすかに覚えた】

お互いにとって幸いであったなら、何よりです
……お言葉通りでしょうな。しかし、迷ったことに違いはありません
――――そうなるかと。こことは違う世界から、少々変わった形でここに足を踏み入れた次第です

【剣が消えれば、どうにか冷や汗もひっこめる。剣が鞘に納められれば、異形どもも立ち上がった】
【狂気の具現化のようなこの場所で、その動作はかえって異質とすら見えるものであったが、それは異形どもの言えたことではないだろう】


――――下手な芝居を見せた、申し訳ないね
試せるものは何でも試すのが性分なんだ、騎士相手に上っ面が何かの間違いで通用すれば儲けものだろう?
黙っていても首を落とされる可能性もあるとなれば、なおさらだ

『……さあて、俺らが操る恐怖がこの森の中でどこまで目につくかわかんねえがな』
「少なくとも、死臭の濃密さはそちらが上に思えるが」

【森を跳梁跋扈する獣たちの声を、距離を測るように聞きながら。異形どもは眼前の騎士から目を逸らさなかった】

ほう、わかるのかね? 自分から見せない限りは、見抜かれたことはなかったのだが……
ご忠告はありがたく聞いておくが、こればかりは私の意志ではどうにもならない部分もあるんだ
せいぜい、因果に喰い潰されないように気を付けることにしよう

【その末路が、やがて自分が間違いなく迎えるものだろうことをわかりながら、カニバディールは彼の言葉を受けた】
【己の一端を見事に看破したその観察眼に舌を巻きながら。同時に、一瞬騎士の中に揺らめいた、こちらへの殺意らしきものも感じ取る】

さて……我々は、この森を歩こうと思うのだが。そちらがよろしければ、同行させてもらえないか?
何しろ、右も左もわからない場所なのでね……

/すみません、今度はこちらが少し出なければならなくなりました……
/なるべく早く帰るようにしますが、少し遅れます…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/09(土) 22:52:04.68 ID:CskPH6Kc0<> >>699
/申し訳ないです、本読んでて気付きませんでした……
/ちょっともうだいぶ眠たくもあるので、また後日機会があったときに絡んでいただけたらと思います
/本当にすいませんでした……! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/09(土) 22:58:14.93 ID:N5r4FABLo<> >>705
//はーい、またの機会にー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/09(土) 23:05:40.41 ID:mYv1OAozo<> >>704

「その匂いも上手く隠せたならば私とて騙せたのだろうが、染み付いた物は取れないだろうさ」
「これまでの行いがその人の顔に出るように日常的に重ねてきた物はそう簡単には離れない、君達も無論私も」

【屍を幾ら築いたかなど考えた事もない、そう言ったならば彼らも頷くだろうか】
【尤もこちらは職業としての行いであり彼らの行いが何を根源としてのものかは分からない】
【だがどちらにしても私欲の為だけに血を流すのだから両方とも救えないのは同じだろう】

「まあ多くは語るでもないだろう、お互い碌でもない人間だ言葉を重ねるだけただただ無意味」
「ああ……案内したいのは山々なんだが私も迷ってしまっていてね、下手に枷を増やすとどうも因果に囚われるらしい」

【どうとでもないように血脈の流れる木に背中を預け腕を組む】
【この森の光景を録画したならばそれなりのホラーかパニックの映画にでもなりそうだ】
【ただ演じている中に騎士装束なんて時代錯誤の者も居るので売れそうにはないが……】

「数日前にある程度の人員を率いて今回の異変の原因を狩りに来たのだが見たとおり私以外は皆食われてしまってね」
「そもそも団体行動が出来るようには私は出来ていないというのに偉い人間というのは身勝手に要らない枷を与えるから困った物だ」
「それはさて置き、幸い一日の内に単独行動が出来るようになり枷も外れて喜んでいたのだが使命は使命、そういう訳だ」

【与えられた使命は「異変の討伐」その使命を果たさない限りは騎士はここから出る事は出来ない】
【心理的な拘束を騎士は「枷」と呼んで己に課す、言ってしまえば自分のルールに殉じているというだけ】
【喩えそこに自分の命が関わるとしても関係の無い事、騎士とは全て使命に生きる者である】

「迷いながらも変異の大きい方へと歩きながら獣を打ち倒しやがて君達と遭遇した……というカタチかな」
「もし君達が逃げたいというならば変異の少ない方へと歩いて行けば良いだけだ、無論異形の襲撃はあるだろう」
「命を落としたら運が悪かったとでも思えばいい、それに君ならば中身の幾らかを零した所で痛くもないだろう……脱出は出来るだろうさ」

【語るに孤軍奮闘しここまで来たという事だが奮闘といった様子は無く、むしろ散歩の様相に近い】
【随分と命の軽い言葉で帰るならば帰れとだけ、言った時に先程の有象無象の獣の声が一際大きく辺りに響き】
【加えて微かに地が揺れる、明確な意志を以ってこちらに近づく何か……それを感じてか騎士は腕組を解き音も無く剣を構える】

「前言撤回だ残念ながら君達はそう簡単には帰れないようだ、私に出会ってしまったのも生憎だ」
「それもそうだな、異形とは云えど1つの生態系を壊そうとする人間をそのまま放っておく筈もないだろう」
「死にたくなくば君達もなんとか奮闘した方が良いよ、相手に理性という優しいものはないからね」

【時は待たないまま全ての者に等しく降りかかる】
【異形の獣が姿を現すまで時間はあれど刻限は迫る、戦備を整えるならば今の内にした方が良いだろう】

/了解であります! <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/09(土) 23:17:35.75 ID:pCuM972eo<> >>703

【顔の上半分が隠れたフードの下、えらく機嫌が良さそうに口元に笑みを浮かべながら彼は向き直るだろう】
【声色と下半分の顔立ちから察せられる年頃は20代半ばごろだろうか―――口元だけだがやや端整なルックスに見えなくもない】
【何がおかしいのかケラケラ笑いながらフードパーカーの男はその問いに答えるだろう】


―――オレはちょっとそこを通りすがっただけの野郎さ、ただの通りすがり。見た目はもしかすると『武者修行中』の"ボクサー"かなにかに見えるかも、だが

まーアレだ、そんなに楽しいんだったらよかったじゃねえか、それにひきかえオレって奴はさあ
近頃はストイックに暮らし過ぎてて娯楽が少なくていけねえ、気分転換にうめえ飯や酒や女でもその辺でかっくらって来ようかと思ってたんだわ
そしたらずいぶん盛り上がってる所だったからよお、ちっとオレも混ぜてほしい気分になったのよ


【興味本位、おおよそ正義感からの行動とは思えない発言―――事実言ってる通りなのだろう】
【たんにおもしろそうだったから気分転換か何かで近づいてきたという事でアタリのようだ、路地裏を歩いてる人間など、こんなものか?】
【追われている男が自分に縋ってくるのを見ると、彼ははちらりと彼の服のポケットを全て確認してから、少し腰を低くして男の目線に近づきながら】


なに?"GIFT"だ?……ああー、そうだ、思い出したわ……前に新聞で読んだわその名前
能力者を支配者層にとか言ってる陣営どもの組織なんだっけか?なんだよお前そんなでかい所敵に回しちまったわけ?
そりゃまただいぶ面白おかしい事やらかしちまったなあお前さあ!

用意なんざ必要ねえよ、欲しいモンは自分で手に入れるしやりてぇ事は勝手にやる、―――……例えばこんな事とかさぁ!!


【もしもポケットが財布か何かで膨らんでいたなら直前にフードの男はそこからおもむろにスリ取っていくかもしれない】
【仮にそんなものがなかったとしても彼が最終的に行う行動は一つだ】
【―――なんと、この男は助けを求めてくる哀れな羊に対し、あろうことか勢いよく拳を振りぬき力任せに殴り飛ばそうとしてくるだろう!】

【顔面めがけてすさまじい勢いで放たれた一撃、ガードせず接触したならばその部位が砕け、昏倒するかもしれないほどの威力】
【そしてあわれにも喰らってしまったならば、そのまま殴り飛ばされた勢いで思いっきり遠くに跳ね飛ばされてしまうだろう―――!】

【―――ただし、その向きはついさっきまで彼が目指していた『表通り』の方向だ、まともに喰らったならば望み通り出られるだろう、意識を保っていられるかは彼次第だが】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/09(土) 23:30:55.29 ID:RRvd6/Nho<> 【路地裏】

【無計画に建てられたビルやアパートメントが作り上げた都会の迷宮】
【昼も夜も明かりは乏しく、空が遠く。何かしらが常に起きて居るが外へは知られない】
【ここの住人は迷宮から出ることを許されていないかのようであった】

【ある一角で錆びたシャッタの前で座り込んで煙草を吸っている男が居た。ヒライとよく名乗っているが】
【偽名だ。良く知られた名前はロッソで、連続強盗犯として指名手配された時の名前はこれだった】
【背が高く痩せていて、サングラスは常にかけていた。手配犯としての唯一の証拠がこれだったからだ】
【右にチェンジポケットのついた三つボタンの黒いスーツを着ていた。大概これを着ていて全てオーダーメイド】

【彼は右手に付けた腕時計を見た。三角形の変なデザインだが文明が滅びても動き続ける程の性能がある】
【人を待っていた。顔も名前も知らない。合言葉がある。路地裏という場所と深夜という時間もあって誰も通らない】
【もし、誰か通りかかれば彼はタバコを吸う手を一旦止めて、頭を上げて言うのだった】

……アンタ、明日の天気を知っているか?
          <>
◆SwXWg9i6yU<>sage<>2015/05/09(土) 23:48:35.22 ID:mfbdwbpe0<>
【ここは昼の国"首都グランツ"────街同様に広がる晴天は闇を知らず、太陽は沈まない──無限の世界に存在する奇妙な街】
【時刻は丁度深夜────日付が変わる時の境界線を越えた辺りだろうか。
しかし、街の何処かに存在する時計か、己が身に付けている腕時計などで確認しない限り、分かることはない筈だ──少なくとも"此処"に初めて足を運んだ者はそうだろう】
【そして同じく────この世に生を授かって初めて、文字通り"生まれて初めて"この摩訶不思議な現象が当たり前の国、"昼の国"へとやって来たカーミラ・ツェペシュも己の体感時間を狂わせていた】
【赤い刻印────右掌に刻まれたNo.66の番号より上に──手首に付けられた腕時計で時間を確保しようとしないのは、その行動を"とっても意味がない"からだ】


あ──………………ミスったわね。
私としたことが……まさか壊れた時計を付けてくるなんて……。


【広大無辺な晴天を見上げながら──足元に転がってる空き缶を虚しく蹴り飛ばす。
己の安易な行動を嘲笑する反面、其処がチャーミングポイントだと過大に評価をする。果たして自分に甘いのか、厳しいのか分からない】
【しかし、彼女が他人に対して厳しいのは明らかで────それを証明するが如く、先程蹴った空き缶は冷たい地表を転がり、やがて地面に身を倒す血塗れた人間へと衝突した】
【虫の息である人間────数は三人。
うち一人は既に人生から外れ、魂を天へと返したようで指の一本すら動くことはない】


悪いわね。私の時計壊れてるから貴方が付けてるその腕時計貰うから。
多分────………見るからに値が高い時計だから、恋人もしくは身内からのプレゼントだろうけど、貴方もう死ぬからいいわよね?


【口を開いて声を出そうとする男性。
しかし、喉を物理的に潰されているのかそれは叶わず────更には呼吸すらまともに出来ていない】
【女性は────従来のドレスとは異なるスタイリッシュなドレスを身に纏ったカーミラ・ツェペシュは、聞かれてもいない説明を──せめてもの慈悲といった形で男性へとしながらNo.の刻まれた右手を使い、銀色の文字が刻まれた腕時計を奪い取り、右腕へと付けた】


さて────………ノルマの心臓数は確か四つだったわね。
もう三つは集まったに等しいから……となると、残り一……か。
久しぶりに何か企んだかと思えば"心臓"を集めてこいだなんて……。
本当……困ったものね──………。


【一人一つ────その身に宿す、生命の灯火を成す心臓をツェペシュは躊躇いなく、慈悲もなく、当たり前の様に──誰に話すわけでもない独り言を呟きながら、人体から抜き取っていく】
【既に人生を全うした男性も、時計を奪われた男性も────唯一の女性である人物も、皆、体に拳ほどの──いや、それより多少大きな"穴"を開けられ鮮血を噴水の様に飛び散らせながら、絵の具の様に垂らしながら心臓を奪われた】

【持ってきた冷凍ボックスに摘み取ったそれらを仕舞うとツェペシュは、手に付着した真っ赤な血を、同じく赤い舌で舐めながら動かなくなった人体を────遺体を見下した】
【昼の国、首都グランツの裏路地で起きた小さな事件はまだ終わらない────カノッサ機関No.66、カーミラ・ツェペシュは四つ目である心臓が付近にないかと、あたりを見回した】



<> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/09(土) 23:57:45.51 ID:s/sMgJXAo<> >>708


ハッ、ペラペラと聞いてもねえのに口が回る野郎だなオイ。
だが生憎、オレも娯楽には飢えててなァ。特に最近は、余裕面でナメた真似しやがるクソを這い蹲らせてなぶり殺すのにハマってんだよ。
悪ィがコレはオレの愉しみだ。それを分けて欲しいってんなら……相応の代金は払ってもらうぜ?


【呆れたように吐き捨てながら、追跡者は口元を歪めた。仮にも殺し合い――否、単なる虐殺と言うべきだろうか、その現場で】
【銃を持った相手を目の前に平気な顔で戯言をまくし立てられるその気概。邪魔ではあるが、嫌いではなかった】
【軽く向けていた程度だった左手の人差し指を乱入者へ向けるようにしながら、男は牽制なのか挑発なのかわからない台詞を吐く】


「う、うるせぇ! とにかく財布でも何でも持ってけ! 欲しいもんは何でもやる、とにかく早く助――――」


【……流石に裏の住人と言うべきなのだろうか。血みどろになっても"その手"には慣れているようで】
【フードの男が自分の財布をスリ取ろうとしたのには目敏く気づいた。といっても抵抗する力は残っていなかったし、】
【逆にそれを口実に自分を助けろと迫るだろう。……ちなみに言うだけあって、財布の中身はそこそこ良い】

【――だが。不合法な手口を見破る勘と、物理的な反射神経はまったくの別物だった】
【顔面に向かって放たれた無慈悲な暴力――悲鳴はない。反応すらできなかった。男はそのまま吹っ飛ばされ、どじゃりと無惨に地面へ転がるだろう】
【そうして、意図してか意図せずか訪れるチャンス。……だが男の意識は、残念ながら無くなっていた】
【路地から大痣のできた顔だけを表通りに覗かせた奇妙な格好。世話の掛かる話だが、あと一度蹴り出してやればそれで終わりなはずで、】


オイオイ、そいつはオレの獲物だっつったろうが?
ひひっ……だが、なかなか痛快な愉しみ方知ってんなあオマエ! オレも一発加勢させてくれよ、なァ!!


【けれど、今それをやろうとすれば待っているのは"死"だ。男が吹っ飛んでいったのとほぼ同時、追跡者の男は引き金を引いた】
【右手に構える拳銃。発射された銃弾はたった今吹っ飛んでいった男の頭部へ向かうだろう。守ってやらなければ彼の死は確実だ】

【――そして、それだけではない。同時、"何も持っていないはずの左手"からも銃弾が発射され、フードの男の腹部を狙う!】
【ターゲットを消すだけと見せかけて、邪魔者も一緒に葬ろうという腹だ。銃も無く唐突に発射される銃弾に、果たしてフードの男は対応できるか】
【唯一、前兆らしい前兆といえば――そういえばつい先ほど、この男はそちらを"左手で指差していた"ようだったが】 <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/10(日) 00:43:49.04 ID:LQLE9arbo<> >>711

―――イヤッハァ!!ビンゴッ!!おいおめー今の見たか!?助かるかもと思った惨めな間抜け面が吹き飛んでったぜ―――ッ!!
意識がトぶ前に確かに!『まさか助けてくれそうな奴にぶん殴られるなんて』とか全く考えてもみなかったってばかりに信じられねえって顔をオレに向けてやがった!
ただでさえ頭に鳥のフン落とされたみてーに泣きそうになってた顔がもっとひでぇ形に変わっちまったぜ!大爆笑No.1!!今年一番のヒットかもなあ!

――あーもう腹の奥底から『ざまミロ&スカッとさわやか』な笑いがこみあげて来てしかたな―――うおっと!?


【フードパーカーのポケットの手を深々と突っ込みながら男は意気揚々と会話を続けていた】
【殺気まみれの男を前にして人を食ったような態度を崩さない―――今まさに自分に向けられつつある危機に気が付いていないのか?】
【そして、突如目の前の男が銃を向けて男を殺害しようとするのを見た後―――ちら、と明らかに自分に指さされた『何もないはずの左手』の方を見た後】


――――ヘーイ、ひでーじゃねーかボーヤ!もう殺しちまうのか?もう少しオレを楽しませてくれてもいいじゃあねえか、なあ?


【ダンッ!と右手と左手の人差し指を動かした追跡者の動作に反応するように、彼は左斜め前に―――凄まじい足裁きで前進する!】
【そういえば"ボクサー"を自称してたが―――それはあながち嘘でもなかったらしい】
【俊敏なフットワークを駆使して急接近しながら―――ポケットからいつの間にか赤い皮のグローブらしき物を装備した拳を露わにする!】

【そして彼の狙いは右腕の銃を持っている腕めがけてスナップを効いた高速の"ジャブ"を彼が引くのとほぼ同時に放つだろう】
【もし当たったならば男の頭を狙う弾丸の狙いは発射前に其れ―――彼の腹部に着弾し、とりあえず『即死』するのだけ防いでくるだろう】
【それもうまい具合に器用に―――ちり、と彼の腹部その物は貫かず若干脇をかすめ切り傷だけ作り、どろりと流血し始める事になる】


【―――なんだこの男は、本当に何が狙いだ?】
【まず彼は『善人』なのか『悪人』なのかがわからない、とりあえず言葉にしているのは先ほどからまぎれもない悪人の言葉なのは間違いないのだが】
【その割に彼は追跡者が追われる哀れな男の命が助かるように動いているように見えなくもない、だが実際には腹を打ち抜かせ『苦しみ』を長引かせる結果を生み出しつつある】
【本当にすぐには死なせず苦しめたいのか―――それとも先ほどの言葉は真意を隠すためで本当は全部『彼の命を助けるための行動』で腹を撃たせる結果は狙ったものではなくミスか?】

【地味にマリオンの見えない拳銃を前にして、こちらに銃弾が飛び交おうとしているのをなんとなく感じ取ることができたようだし―――実力も見えない、何もかもが『不透明』な男だ】 <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/10(日) 00:46:31.75 ID:LQLE9arbo<> /すいません訂正です
/×【それもうまい具合に器用に―――ちり、と彼の腹部その物は貫かず若干脇をかすめ切り傷だけ作り、どろりと流血し始める事になる】
/×【それもうまい具合に器用に―――フードの男を狙った弾丸は腹部を貫かず、ちり、と若干脇をかすめ切り傷だけ作り、どろりと流血し始める事になる】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/10(日) 00:51:06.82 ID:LFHxXdbUo<> >>707
だろうな。昨日今日ついたものじゃあないんだ。魂に染みついてしまっているのだから、仕様がない
薄汚い異形も白銀の騎士も、その点だけは同一か

【二つ頭は頷くだろうが、三つ目の大男は違った。いくらの屍を踏み越えてきたのか、わからずにはいられないその能力】
【それゆえに、この森より遥かに規模は小さいものの、その身の内に無数の因果を抱える怪物と成り得たのである】
【ただ、双方とも救えぬ罪業を抱えているということは、異形どもも同意するところだろう】

その通りだな。罪人同士、この血みどろの森の中で問答をしていても仕様がない

『なんだ、あんたも迷い人か。よどみなく歩いて来るもんだから、勘違いしたぜ』
「(枷……? 我々を指しているのか、それとも……)」

【たいていの人間が気味悪がって触りたがらないだろう木に平然と寄りかかる彼に、異形どもも平然と返す】
【騎士装束もさることながら、メイクでも着ぐるみでもないが故に作り物じみても見えるこの異形どもの姿があっては、よくてB級ホラーに成り得るかどうか、といったところか】

ふむ……相応の人員を揃えたのだろうとお見受けするが、それが一人を残して全員とはな
厄介な相手がいるのか、余程数が多いのか、その両方か……いずれにしろ、宜しくないね

『そりゃあ難儀な話だなあ。その使命が終わらねえと、森の外に出ることも出来ねえってか』
「我々のような下賤には想像のつかぬことだ……思えば、騎士という人種には初めて会ったな」

【明かされた枷の正体。彼自身が持つ、騎士としての使命そのもの。自分たちとは遠い存在だと】
【異形の盗賊たちは呟く。あるいは、己のルールに忠実という点では、やはり似通っていたかもしれないが】

我々がいるこの近辺が、異変の大きい場所ということかね。いよいよ、危うい話になってきたな
ああ、その点に関しては言う通りだ。多少削れてもどうにかなる。私が生きていれば、そこの双子も取り返しがつく

さて、ならば我々は失礼するとしようか。お互いの幸運を祈って――――

【騎士の言葉の上で踊る命の価値の軽さには、今更言及することもない】
【その言葉に従い、異形どもが歩を進めようとしたところで。盗賊の耳にも聞こえた。こちらを捕捉されたという事実】

……どうやらそうらしい。何、貴方と出会ったこと事態は不幸中の幸いとしておくよ

『ったく、リスクは承知しちゃいたがよ……めんどくせえなあ』
「ぼやくな。このまま、ここで食い殺されるよりはマシだろう」

【ここからは、騎士とは別にそれぞれが戦闘態勢を取るだろう。大男は、夜目の効く単眼を見開き】
【右手に拳銃を、左手に肉切り包丁を握り、牙を剥きだしつつ己の肉体に意識を張り巡らせる】

【双子の方も、四本の腕をくねらせながらゆっくりと戦意を高ぶらせていく】
【白い両手から泥が、黒い両手から砂が溢れだし、それぞれ泥のこん棒と砂の刃に変化していく】

【後は、迫る気配を意識から外さないように。異形どもは迫りくるその時を待った】

/大変お待たせしました…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/10(日) 01:06:32.76 ID:d/6q5dG80<> 【とある病院。其処には日々数多くの患者が運び込まれ、常に病室に空きが無く】
【24時間体制で診療しているのだから昼夜問わずに人の出入りも激しい】
【――――そんな病院の中庭。普段ならばこの時間、患者も居ない筈なのだが……どう言う訳か、今宵は一人の子供の姿】


「そっか……もう外はそんなになってるんだね
僕も自分の足で外を歩いてみたいな……」

【ベンチに座り、指に止まらせた小鳥に語りかけるのは少女だ。歳は恐らく15歳前後であろうか】
【肌も透き通るように白く、髪も色素が抜け落ちたかのような純白。それなのに、瞳だけは血の様に紅く】
【――――アルビノ、と呼ばれる存在。実際、小鳥に言葉が通じている様な節も所々に見え】


「……うん。何時か一緒に色々見ようね
僕も、沢山友達を作って――…………」

【元より虚弱体質なのだろう。咳き込んでしまえば中々に止まらず、其れを見る小鳥は心配そうに小さな鳴き声を上げ】
【――――夜も遅い、と言う事もあり咳の音とて中々に響く。更にはこの病院、数多くのクスリも販売しているのだから旅の者達が愛用していたり、なんて事もある】
【少女の姿も闇に反して白なのだから、見つけやすいかもしれないけれど】








【月光に照らされる森の中。其処に響くのは魔物達の咆哮】
【見遣れば其れは人と同じ形をしていて――――知識、或いは戦闘経験があるならば其れは曾て“人間”で在った存在だと知れるか】
【今となっては思考するだけの力も無く、満たされる事の無い空腹を満たそうと延々生物を殺めるのみ】
【そんな中、乾いた音が数回。どれもが見事に心臓、又は頭部を破壊して居り】


「死んだ後も良い様にコキ使われる何て大変だよねぇ……
――――ま、安心してよ。原因は突き止めてるしキミ達の遺体も手篤く埋葬するように指示してあるからさ」

【遅れて空から舞い降りたのは純白の翼を生やした一人の修道女】
【両手に持つ双銃がその職らしからぬ印象を与えるが――――……】
【無駄な弾痕を残す事無く一発で葬ったのは彼女の優しさか、一人その場で月を見上げ】

【――――場所が場所だ。そして今宵は月が明るい事もあり、見つける事は難しくも無く】
【“音”だって存外遠くまで響いたのだから場所を特定するのも難しくは無い】
【仮にその場を訪れて見れば、翼を生やしたその通りの女が一人月を見上げている姿が視界に入るのだけれど】 <> 照垣我鬼
◆rrHt9B4adXq4<>sage saga<>2015/05/10(日) 01:06:51.73 ID:7OayGIvW0<>
【櫻の国・天ノ原】

【とある区域、とある大通り──】

【響きわたったのは「何しに来やがった!? 」「目障りなんだよ屑が! 」という怒鳴り声と何かを蹴りつける音】
【その音の方を見たのならば、地元民らしき数人の男が何かを蹴ったり石を投げつけたりしている姿があり】
【その中心には一人の青年の姿があって】
【蘇芳色の少し長めの髪に黒いレザージャケットとパンツ姿の二十歳前後の青年】
【額や身体のあちらこちらに血を滲ませ、ボロボロの姿になってもなお何かを大事そうに抱えてうずくまっている】
【鈍い音と青年の呻き声が聞こえても道行く人々は彼らを見る事も助けようとする事もしない】

「大体、まだ生きてやがったのかよ? 図々しいなお前! 」
「そうだそうだ! 屑の家系の癖に他人様の前に醜い姿曝してんじゃねえよ」
【男達は罵詈雑言を浴びせながら青年を蹴りつける】
【その何発目かが入ったようで青年は蹴り飛ばされてしまう】
【その拍子に抱えていた物が男達の足元へ転がり出る】
【それは、櫻では珍しいだろう白いカーネーションの花束で】

「おいおい、此奴花束なんか大事そうに抱えてやがった」
「笑えるぜ、そんなのあげたってテメーからじゃ誰も喜ばねーよ」
【男達は下卑た笑みを浮かべ、花束の上に足をかざす】

……ッ!? 
やめろテメェら! それは……
頼む……やめてくれ……やめろ──!!
【男達が何をしようとしているのか気付いたらしく青年が悲痛な叫び声をあげる】
【だが男達はそんなの聞こえるかと言わんばかりに花束を踏みつけようとしており──】


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/10(日) 01:13:39.22 ID:k1mJaMpjo<> >>714

「来るぞ、構えろ――――――――……」

【騎士は呼吸を細く、その身体のありとあらゆる物を戦いの為へと変貌させてゆく】
【鎧から立ち上るは闘気、騎士の人生その中の研鑽により身につけたひとつの性能】
【あらゆる精神の汚染から自らを守る、極限まで鍛え上げた理性が故のもの】

【地が揺れる音が大きくなる、ひとつひとつと鼓動が鳴る度に近づく】
【近づく度に木々がなぎ倒される音が大きくなる、森を裂いて進まなければいけない程の獣】
【相対するのは相当以上の異形であるのは間違い無い、それこそ図鑑などに出てくる通常の物であろう筈もなく】

【やがて音が止まれば、それは接敵の合図】

『――――――――■■■■■■』

【声はない、声帯らしい器官も無いのだろうその姿その全貌は定かではない】
【ただひとつ暗がりに浮かぶ巨大な瞳だけがぼうと現れ騎士をそして来客達を見つめる】
【元の姿さえも分からない腐肉に覆われた瞳は僅か光を宿しならば鏡のようにこちらの姿を映す】

【それはまるで「獲物を見つけた」と語っているように、数秒の邂逅の後にまた闇に消え】
【そして唐突に闇の中から人の腕を無数に乱雑に繋げたような腕が幾多も伸びこちらに迫る】
【血を吹き出しながら骨を剥き出しながら伸びる掌に掴まれたならば最後、常人には計れない力で闇の中へと引きずられる】

【暗視が利けば闇の向こうも伺えるだろう、そこに在るのは「口」というには冒涜的なモノ】
【ただすりつぶす為に捕食した骨を鋭く加工し腐肉に突き刺した、生体粉砕機とでも言える捕食器官】
【畝る腐肉の向こうには消化液の類でも詰まっているのだろう、飲み込まれたが最後砕かれ溶かされるのは目に見えよう】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/10(日) 01:17:19.39 ID:Hppu94QOo<> >>712

【"両手"の拳銃で発砲しようとしたその時――そこで起きた出来事を、男は僅かに目を見開いて、ひとつも逃さず観察する】
【さる"GIFT"メンバーである男ですら、気を抜けば見逃しそうなほど素早いジャブ。……だがここは、かろうじて見切ることが叶った】
【右腕への攻撃も、左手の"見えない拳銃"の回避も、それ自体は両方成功する。しかし次の瞬間にはもう、男は後退して距離を取っているはずだ】

【銃を持ったまま至近距離の格闘戦に持ち込まれるのは不味いと判断したのだ。ここは攻撃より、防御を優先して行動する】
【――この一本道で、相手があのレベルの速度が出せるなら、銃で戦うのは不利か。男は両腕を背後に回し、新しい武器を取り出しながらそう考えた】


やれやれ、面倒くせえ奴だなオマエ……。 まぁ、オマエがソイツを庇ってるのだけは十分わかった。
オレからソイツを奪って一人で愉しもうとしてるにしても、ソイツを助けるために演技してるにしても、やることは同じだ。

―――今度はテメェがオレを愉しませてくれるってこったろォ!? ええ!? 通りすがりのボクサー君よォォ!!!


【狂ったように叫び、男はそちらに突進していくだろう。ボクシングの動きではないがやはり戦い慣れているようで、十分に素早い】
【そのまま懐に入ることに成功したならば、男は左手に構えた"サバイバルナイフ"を右肩目掛けて突き込むだろう!】
【牽制を兼ねた小振りの攻撃――突いてから戻すまでが速く中々に捕らえ難い一閃だが、その分威力は低くなっている】

【だが、そちらは本命ではない。その攻撃の傍ら、男は空いた右手を小さく振るう。注意していなければ気づけないほど、軽く】
【――成功すれば、既にピンが抜かれた"見えない手榴弾"が、腹部に銃撃をもらって呻いているあの男の下へと転がっていくはずだ】
【痛みで意識は取り戻したようだが、その激痛は彼から動く力をも奪っていた。本人に逃げる術は、無い】

【追跡者の方の攻撃を捌いた上で、なお彼も庇うとなれば、当然相応の危険はあるが……】
【隘路ゆえ自爆を危惧したのか、手榴弾は破片を撒き散らすタイプではなく爆風で攻撃するタイプのものだ。幸い、攻撃範囲自体は狭く】
【予めピンを抜いていたとはいえ、爆発するまでには一秒程度のラグがある。果たして、どう動くか――】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/10(日) 01:35:18.66 ID:LFHxXdbUo<> >>717
【騎士の言葉を受けて、異形どもが各々の抱える凶器を構える】
【その視界の端で、騎士もまた戦闘態勢を取るのが見える。目に見えると思えるほどの闘気】
【鍛え上げ、研ぎ澄まされたまさに刃がごとき精神で敵に相対する騎士とは対照的に】
【異形どもは、むしろこれから遭遇するであろう敵に近い、醜悪な悪意でもって臨む】

【汚泥の中を這い進みながら蓄積させた邪悪が、今眼前に現われようとしている敵へと向けられる】
【やがて進行音の代わりに姿を見せた規格外のサイズの瞳と、カニバディールの死臭と溶け込む腐肉の臭気】

【わずかに視線をかわし合った。後は、敵対するばかりだ】

『おおっと、いきなりかよ!!』 「だが、簡単にはいかんぞ」

……興味深いな。あのつぎはぎのような腕に、あの口……獲物から奪ったもので組み上げたのか?
なかなかに愉快なことをしてくれるじゃあないか……連中にも知性があるのか、さもなくば知恵を上回る高度な本能か

気を付けろ、あの骨で作った口にひとたび捕まれば、奥の消化液で溶かされて終わりだ!!

【暗闇を見通すカニバディールの単眼が、その冒涜的な有様と獲物を砕き潰す凶器を見て取った】
【その怪物たちの方にこそ、自分たちに近しいものを感じつつ。されど、躊躇うことなどあるはずもない】

さて、別世界の生物にどこまで通じるか――――!!

『ケッ、迎えに出すならもう少し綺麗な手を使者によこしたらどうなんだ!?』
「油断するなよ。切り落とした後に、念入りに潰せ」

【異形どもが、迫る腕たちに戦意を向ける。まずは、カニバディールが発砲。腕を正面からぶち抜くよう照準を合わせて】
【それに加えて、左手の肉を操作し膨張させようとするだろう。そのまま、肉塊と化した左腕を振り回して手を薙ぎ払おうとするだろう】

【一方の双子は、泥のこん棒と砂の刃を組み合わせながら襲ってくる手をあるいは殴打し、あるいは斬りつけていく】
【めちゃくちゃに見えて、決して敵との、互いとの距離を離しすぎず、手が掴みかかりにくい位置を探りながら、異形どもは戦闘を展開していく】

【だが、このまま攻勢が続けば、後がなくなっていくだろう。どうすればここを切り抜けられるか。それを考える余裕もなく】
【盗賊どもはただ武器を振るい。無数の手を退けながら、どうにかこの場を凌ごうと周囲に視線を巡らせ続けていた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage<>2015/05/10(日) 01:35:50.61 ID:dOIuxCqc0<> >>710

【ジリジリ照りつける太陽、炎天が世界を、人を狂わせる。ほとばしる鮮血は少しだけ蒸発して、辺りに独特の臭いを撒き散らした。】
【嗅ぎ付けて来る野生は、たった一人の少年。慣れない悪臭に右手の甲で鼻を押さえ、ためらうことなく苦虫を噛み潰したような顔をした。】

【見た目はどちらかと言えば、その太陽によく似合っているのかもしれない。青を基調とした幾何学的な模様のヘアバンドと、】
【それに見合った、青と白とオレンジの配色、複雑な模様の民族的な服装。黒髪黒目の、身長や顔つきから推測するに16,17ぐらいの少年だ。】
【目を引くであろうものは、右頬に刻まれた絆創膏のようなタトゥーや、ネックレスのそれなりに大きい赤い宝珠。不意に太陽の光に反射して、より一層輝きを増す。】


・・・。


【奇妙な天候に堪えたのかぼうっと虚ろになっていた瞳も、この時ばかりは話が違った。生命の本質を抜き取られる有り様を見たのだから、当然だろうか。】
【しかしだからと言って、狂気に犯されて急に襲いかかるわけでも、逆に背を向けて走って逃げるわけでもない。この少年は、なぜか冷静だった。】

【周囲を見回していたのなら、もしかしたら目が合う事になるかもしれない。だとしたら、少年が向ける眼差しは、先に彼女が周囲の遺体に向けたそれとまったく同じだ。】
【見下す―――どちらかと言えば、哀れだとかかわいそうだとかそういう色合いが強いそれ。そして少年は先に、視線を切るのだろう。】

【それからは特にとる行動はない。向かい合う相手には最大限の警戒をしているが、それだけ。ただ佇んで、亡骸に対して十分に弔うことしか出来なかった。】

<>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/10(日) 02:11:29.03 ID:iQU8Ezlz0<> >>720

【狭く、細い路地裏の空気に混ざる遺体の腐臭と血の薫香────地に横たわる三人だった三つの遺体から漂う異種と鮮血のフレグランスが不一致ながらに鼻を刺激する】
【そんな香りに対して言い知れぬ幸福感、満足感を感じ────四つ目の心臓を真紅の瞳で確認すればカーミラ・ツェペシュは歪んだ破顔を見せた】
【高鳴る鼓動を隠そうとしないで────己の脈打ちが早くなることを体感しながら、再び人体から器官を取り出す感覚を味わえると想像すると嫌でも興奮してしまう】

【身を回転させて、意識も体も全てをたった一人の少年へと向ければ────恍惚まであと一歩手前の様な表情を浮かべて舌で唇を舐めた】
【見るに察して、少年であろう人物は己と同等に足元で最後を迎えた烏合の衆を見下しているが────正確に表せば、少年とツェペシュでは若干違うが、やはり近いだろう────兎に角、三つの遺体を前にして精神を取り乱したり、恐怖を感じなかったりしない故に、些かそれが疑問に感じれた】


お前、こんな場所で何をしている?
私や"こいつら"を見てもビビったりしないあたり──…………気でも狂ってるのか?
と、そんなことを言ってしまえば、私も気が狂っていると言っている様ね……今の発言はなかったことにして。


【足を一歩前に運び、自身の疑問を消費するべく問いを少年へと投げる】
【ただの雑談ではあるが────これが少年の最期になるであろう、人との会話ゆえにツェペシュは少しの時間雑談をしてあげても良いなどと考えていた】
【其処にあるのは唯一の慈悲であり、あまりにも厳しき優しさである。
決して少年を逃がそうとはしないで、それが偶発的であろうと殺しの標的になったら、必ず仕留めることを誓い、躊躇わない】
【カノッサ機関に身を置くからといった理由でもなければNoを持っているからという事由でもない。
この小さな事件を見られたからなでといった犯罪者らしき普遍的な道理でもない。
ただ単に。そう、たった一つの理由で──カノッサ機関も事件も関係無しに、"命令された"からだ】
【勿論、そんなことを少年に話す義理もなければ、丁寧に今から少年を殺すと説明するつもりもない】

【少年と数分────いやたったの数秒対談を済ませば、躊躇なくツェペシュは少年の心臓を抉り取る為に襲うだろう】
【それはなんの前触れも無しに、予備動作も見せず、警告すらしないで────】

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/10(日) 02:22:43.51 ID:k1mJaMpjo<> >>719

「……なんだ、手緩いな――――――――」

【こちらの事は気に掛けるなと言わんばかりに一振りで数十の触腕を切り結びながらも】
【この攻撃に疑問でもあるのか騎士は首を傾げていた、どうにも今まで自分を襲っていた時と調子が違う、と】

『■■■■■■――――――――』

【数多の触腕はしかし獲物を掴みとる事は無い】
【異形の腐肉が本能ばかりで塗り固められた生物の模造品であるならば相対する彼らは理性の住人】
【乱雑混迷な攻撃など児戯に等しく、声も無く崩された触腕は大地に倒れ地に溶ける】

【だがこの貪欲な者達が本能で覆われた者達がその程度で諦める筈もない】
【一度は引いた触腕はその身に骨の刺という新たな装飾を以って再度と迫る、数は先程と同じく無数】

「……ちっ、やはり来たか……貴公ら気をつけろよ奴らあの骨を振り回すばかりかこちらに飛ばして来るぞ!」

【離れた位置で騎士は触腕を切り裂きつつ放たれる骨の弾丸を器用に避けながら警句を告げる】
【見れば地面を抉り深く埋没する程の威力、生身で受ければ致命傷となるのは確実か】
【最初に騎士と連れ添った者達の多くもこの攻撃にやられたというのは1つの余談】

【争い続く地表の外、奇妙な赤い葉が生い茂る頭上で僅かにモノが這いまわる音が微か】
【葉に隠れ潜むのは肉腫とでも言うべき大きな肉塊、膨れたそれはカニバディールが言及したように消化液が満載されている】
【少しでも衝撃があれば表皮は避けそしてそれはカニバディールの頭上へと重力に従い溢れ落ちるだろう、そして今僅かに肉が裂け始め】
【一滴二滴と鼻のつく腐臭を立ち込ませ堰が壊れる時が近づくが果たして……】 <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/10(日) 02:35:36.78 ID:LQLE9arbo<> >>718

【自分からすかさず離れた追跡者に見せつけるように、シッ、シッ、と男のジャブが空を切る】
【―――フードから時折見え隠れするその男の眼、その奥にどこかギラギラとした『熱』を感じることができるかもしれない】
【今の所この男がなぜこんなにも二人に絡んでくるのかはまるでわからないが、ただ一つだけ感じることがある】


……ふふん、半分正解さぁボーヤ、だがそれだけじゃねえ―――アイツを奪おうとしているだけじゃあねえのさ
まだわからないか?ん?そういやぁお前さんの所属している"GIFT"ってなぁ無能力者共を差別する思想が一際強い連中の集まりなんだってなぁ?
ずいぶんくだらねー趣味をお持ちだと思ったもんだが、それならばオレの真意がわからねえのも無理はねえ

―――オレは『無差別』の方が大好きなんだ……言ったろう『武者修行中』だって。ハナっから……テメーら『二人両方』が狙いよ!


【―――この男は今明らかに追跡者の男を『獲物』として狙っている、初めからこの男、追跡者の男を襲うつもりでいたのだ!】

【フードの男も即座に前進を開始、その両腕を前に構え、ボクサーの基本的なファイティングポーズを取りながら―――ダンッ!!と再び地面を強く踏みしめて】
【そのまま追跡者に接近を開始する―――しかし妙だ、彼は細かく刻むような足裁きだけの速度で近づいてくる、直前の踏み込みの勢いはほとんど使用していない】
【さっきの妨害時も、今のもだ。ではなぜ彼は無駄に震脚を二度も発生させているのか―――?】

【そして、攻防が開始されたなら、まず牽制のナイフに手ごたえを感じることが出来るだろう】
【放たれた一撃は右肩のど真ん中を貫きまではしなかったが、若干の回避をしたことで側面の肉をザクリと切る結果になってしまい】
【じわじわと彼の肩のパーカーの赤色がさらに深くなりはじめるが……彼の口元の笑みはさらに強く、深く露わになる】


―――いっつぅ!……ほーう動けるヤツだなぁ、戦い慣れはしてる感じか?
動きもキレがあって若々しいぜ……全くちょいと妬けちまうな、だが……『小細工』のほうはまだ甘ぇ、まだまだ……これから


【追跡者の目にファイティングポーズを取るフードの男の両腕がくっきりと視界に入れることが出来るだろうか】
【その両の拳を覆っているそのグローブの全貌も見えてくる―――よく見るとそのデザインはずいぶんと風変わりだ】

【まず通常のボクシンググローブとは違いキックボクシングなどで使用されるオープンフィンガーグローブである事、拳を保護しながら器用に何かを摘まめそうだ】
【もう一つ妙なのは―――手首から内側を覆ってる部位、まるで武者の鎧の『籠手』のような固い素材でできており、ちょっとやそっとの攻撃もたやすく受けられそうだ】
【そのグローブの籠手部分に―――かつん、となにかがぶつかる音が追跡者の耳に届くことになる】

【―――何の音だ?いやわからないわけがない、フードの男がわからなかったとしても追跡者の方はわからなければならない、今のは『自分が投げた手榴弾』が籠手にぶつかった音だ!】

【追跡者の男の狙ったポイントより若干手前で爆発が発生する―――!】
【放った手榴弾が偶然か、狙ってか?そのどちらかの要因で籠手にぶつかってしまったせいで狙った位置に落ちず爆風が本来のポイントより手前で発生する】
【その結果追われていた男に降りかかるダメージは―――またしても『致死量』に?至らない、本当に生殺しのように息の根が止まる瞬間がゆっくり、ゆっくりと遠ざかっていく―――!】
【しかしその痛みでもしかしたら目が覚める結果になるかもしれない】


―――さあさあがんばんなぁ!アイツを殺してしまいたいんだろう?もっともっと頑張らないとアイツ逃げちゃうぜぇ!!



【異様に高いテンションで叫びながらその妙な籠手型グローブの拳をぎり、と深く握りしめると】
【そのまま素早く顔面、胸部、左肩の順に再び風切り羽のように軽やかなジャブが追跡者めがけて突き刺さる!】

/遅れました!すいません! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage saga<>2015/05/10(日) 02:40:25.18 ID:dOIuxCqc0<> >>721

【歩み寄られる一歩、それに同期して少年は間合いを取る。彼女と自分の距離を、必ず一定にするように動いたのは警戒心ゆえだ。】
【生き物の本能としての勘だった。近くで3人が殺されているから、という論理的な理由が無くても、少年には彼女の殺意が読み取れた。】


はら、へった。肉、食いたい・・・けど、おれとお前は、ちがう。おれはニンゲンの肉、食わない。


【ジリジリと煽られる恐怖心は、確かに少年の中にあった。だからこそ、精一杯のジョークで切り返す。少しだけ楽になるだろうと。】
【少年が質問に答えることはなかった。相手に主導権を握らせたくなかったから、結果的にはそういう効果になっただろうか。】

【間合いの詰め方、彼女の表情、漂うオーラ、全てを総合すれば分かる、間違いなく彼女は襲いかかって来るということ。】
【ならば戦闘態勢に移るしかなかった。相手がどの様な手法で殺しにかかってくるか、出来る限り頭を回転させて考える。】
【しかし情報が余りにも少なすぎた。結果的に少年は、首元の宝珠から彼にとって大きすぎない程度の銃剣を取り出す。】
【これが少年の能力、そう見て間違いないだろう。赤の光がぼうっと浮かび上がったかと思えば、実体として少年の手に収まっている。】

【銃と剣が一体化したそれ、ならば近接にも長距離にも対応出来ると踏んだのだろうが、どうだろうか。】
【右足を後ろへ少しずらして、腰を落とす。あらゆる可能性がまだ残っているのだから、視界に彼女と背景を入れる。】
【様子を見る、出方をうかがう、これが少年のすることだった。先に余計に手を出すと痛い目に会う、なんとなく分かっていたからだ。】

<>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/10(日) 03:12:50.09 ID:iQU8Ezlz0<> >>724

腹が減った────……………そう。
私もお前と同じでお腹が空いているわ……でもお前と違って、私は─"人の肉を食う"。
でも、ふふふっ……………お前の肉が美味いか不味いか……今は如何でもいいし、さらに言えば、お前を食べようか食べまいかなんて迷ってすらいない。

【鋭い眼光を少年に向けながら、踏み出した一歩に合わせて引いた少年の一歩に更に合わせて一歩足を前に運ぶ】
【人を食べる────それは文字通り人肉を口で食すということだ】
【そんな猟奇的な行為をする女性が果たして少年と同じ人間という種族かはさて置き────質問に返答をしない少年を追撃しようともしない】
【それどころか、逆に少年の考えた末に発せられた冗談に乗っかりあくまで雑談を続けた。その行為に意味を持つかと問われれば、否の一言に尽きるが、ツェペシュはやはり対談を選択する】


なんだお前?
まさかその武器を使って私と戦う────殺し合いでもするつもりか?
だとしたらそれは……クッ……本当に……クハッ────…………アハハハハハハハハハハッ!!
嫌でも笑ってしまうじゃないの! そ、そんな一丁前に構えて、クハッ……私を笑い殺したいのかしら?


【殺意を表に出していたつもりはなかったが、どうやら"捕食者"としての本能的な殺意を晒し出していたようで────冗談と冗談が刹那的に交わされた雑談は強制終了】
【先手こそしてこないが、戦う意思を見せてきた少年を前に思わず笑い声が出てしまった】
【銃と剣が一つとなった武器を構えて此方の出方を伺う少年の判断は正しいのだろう────先に相手へとカードを見せることは己への不利に転ずる】
【数々の戦を乗り越えて、カノッサ機関でもその頭角を見せつつあるツェペシュも、そんなことは分かっていた────があまりにも少年が愛しく思えた】
【恐怖を感じた筈なのに、背を見せないで立ち向かう勇気ある姿に────怯みながらも此方に張り合おうとする少年の姿に──そんな少年を見て思わず愛しく感じ、そして哀れに思えた故に笑ってしまう】


ハァー──…………すまない、すまない。
あまりにもお前が可愛く思えてな……なにも馬鹿にしたつもりはない。
まあ、逃げないということは私とやり合うつもりが────覚悟があるということよね?
なら、その覚悟を見せてもらえるかしらッ! 心臓を抉り取られたくないならねェッ!!


【始まる死合の合図は、カーミラ・ツェペシュの雄叫び────赤い血で水玉となっている大地を強く蹴り上げると、一直線に少年の元へと駆け出した】
【ツェペシュと少年の距離は近いか遠いかの二択で問われれば遠いのだろうが、ツェペシュの素早さから察するに、二人が接近するのに時間はかからない】

【むしろ、時間は限られているだろう。この局面で少年を取る行動は不明な故に、此方も彼の武器から予測される戦闘スタイルを考えて、行動をとる】
【ツェペシュは己の右掌から赤黒色の禍々しい太い杭を生やすと、それを何時でも突き刺せるように掌に力を込める】
【もしもツェペシュが少年へと接近出来たのならば、その杭を持って少年の心臓を狙い突き刺そうとするだろう】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/10(日) 03:21:36.41 ID:Hppu94QOo<> >>723

【――拳が数度、眼前で唸る。それが狙うのは間違いなく自分。油断できる相手ではないとは先ほどの一合で感じたが、何よりも】
【自分にはない色の"熱"が自然と男を高ぶらせた。延焼するように、男の瞳にも熱が宿る。……ドロドロと溶岩のように流れる、粘ついた熱が】


………なァーるほどなぁ。ひひッ、ハナからオレと遊びたかったワケだ。
『狙う』のはしょっちゅうだが『狙われる』のは久々だ――――クッ、面白ェ!!


【男はこのとき、ようやく――退屈な任務に従事するGIFTメンバーではなく、マリオン・リヴァーズという本来の"狂人"として、覚醒した】
【ナイフに僅かだが手応えを感じる。満足のいくダメージにはならなかったが、確かに香る鮮血が脳内に満ちていくのを感じる】
【その傍ら、理性が敵の装備と投げた手榴弾の顛末を射抜いた。単純に弾かれたか――それとも、】

【視界の端で、涙と罵声を垂れ流しながら、どうにか腕の力だけで逃げ出そうともがく"羽虫"が見える】
【だが、どのみちあの怪我ではすぐ逃げ出すことはできないし、逃げられてもそう遠くには行けないはず。今や彼は"第二目標"にすり替わっていた】
【これで、彼の生存率は幾ばくか上がったが――必然、フードの男の生存率はその分だけ下がる。狂人の瞳の熱は、これですべてそちらへ注がれることになるのだから】


ひゃァーーーーーはははははははははははははははァァァァ!!!!
もうヨボヨボで体が動きませんってかぁ!? 冗談じゃねえ、腰がヘシ折れるまで踊り狂ってもらうぜェェ!!!
オラ、その派手なオモチャは見かけ倒しか!!? もっとオレを愉ませろや――――!!!


【鋭いジャブが三発、マリオンへ飛翔する。だがそれすら燃え上がる炎の火種となるばかりで、男が臆すことはなかった】
【……あろうことか、このタイミングで一歩前進。顔面に向けられた最初の一発を、半ば頭突きのようにして強引に額で弾く!】
【続く胸部への一撃は右手で受け、最後の一発は左半身を引いてかわす。いや――ただ避けるためだけに半身を引いた訳ではない、】

【――それは回避であると同時に"溜め"だ。次の瞬間、引き絞った左手に握られたサバイバルナイフが男の右腕を横薙に切り払う!】
【先ほどの様子見とは違う本気の一閃だ。鋭く強く、しかも回避をそのまま攻撃に転用したお陰でカウンター気味の避けにくい一撃になっている】
【当たれば相当の深手を追うことになるだろうが……どうにかいなせれば、大振りな分隙も大きいと言えるだろうか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage saga<>2015/05/10(日) 03:54:36.21 ID:dOIuxCqc0<> >>725

【そして初めて、少年は死体を見たときにすべきだった顔をした。冗談のつもりが、それは他ならぬ真実へ。】
【ニンゲンの死体は、何度か見たことがあった。そもそも、生き物の死と、自分は距離がそれなりに近い。だからこそ、驚きはするがそれは軽かった。】
【しかしながら彼女はそれだけではない。ニンゲンを肉として見ている、そういうことだった。得も言われぬ嫌悪感が、全身を襲う。】


・・・ッ!


【と同時に、少年の小さなプライドが揺れ動いた。自分は、自分の戦い方、そして能力に誇りを持っているのだ。】
【自在に武器を構築し手元に収めることが出来る、そんな天性の才能をオモチャと同程度だと評価されたことに、純粋な憤りを感じた。】
【その辺り、まだ少年なのだった。言葉にはしないが、歯を思い切り噛み締め、グリップを強く握ったところを見れば、言わずとも分かる。】

【しかしだからと言って、怒りに任せて非合理的な行動を取るほど、少年は愚かではなかった。相手の俊敏性には驚きながらも、冷静に事を進める。】
【自分を刺し殺すに十分な太さを持つ杭を確認すると、それが凶器だと断定。なるべく引き付けながら、既の所でかわす。】
【それから跳躍して、一回身を翻して、体が地面に着くまでの間、少年は一度トリガーを引く。その動き、彼もやはり人離れした敏捷性を持っていた。】

【射出されたのは、弾丸と同程度のサイズ、魔力のこもった赤色の玉だ。普通の弾丸と同じスピードでそれは進む。】
【彼女の身体真ん中を目掛けて発砲したのだが、着弾した場所に問わず、それはぶわっと広がっておよそ半径1mが一瞬火の海へと変わることだろう。】
【それはオモチャと呼ぶには決して相応しくない火力であった。そのまま被弾したのなら、普通の人間であれば黒焦げになることは間違いない。】

【しかしこれは牽制というか、相手を怯ませて戦意を喪失させるという狙いの方が大きかった。ただの少年ではない、そういうアピールだ。】
【そもそも別に、自分は、正義を振りかざし彼女を制止しようと試みている訳ではない。つまり彼女は単に、降りかかってきた火の粉なのである。】
【相手にとって自分を殺すことに利益はあっても、自分にとって彼女を殺すことに、何のメリットもない。無益なのだ。】

【反撃さえしてみたが、今のが彼女に無事着弾、燃え上がって死ぬとは一切思えない。それどころか、きっと次の手を用意してくるはずだ。】
【反撃と反撃の応酬が続けば、最終的にはどちらか一方が必ず死ぬ。それが分かっていたから、少年は、他の可能性を模索していた。】


/すみません、ちょっと眠気がマックスなので今日はこのあたりにしていただければ・・・
明日は時間は未定ですが夜なら空いてますが、どうでしょうか? <>
◆SwXWg9i6yU<><>2015/05/10(日) 04:05:15.02 ID:iQU8Ezlz0<> >>727/了解ですー。
では返信はまた夜にしますねっ。
取り敢えず一旦、お疲れ様でした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(福岡県)<>sage saga<>2015/05/10(日) 04:06:34.65 ID:dOIuxCqc0<> >>728
/ありがとうございます、ではまた夜に・・・ <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/10(日) 04:23:04.35 ID:LQLE9arbo<> >>726

……いいねぇ、実にギラギラしてやがる……さぁてこいつ、どんな風に"魅せ"るかね……
今ここで華々しく散らせて見せるか、それとも――――……それはコイツ次第というわけだ

―――さあもっと見せてみろボーヤ……もっとお前の『渇望』を、"飢え"を!……お前の欲する物がなんであるかをオレに曝け出しなぁ!!


【ぽつり、と非常に聞き辛そうな声色で何やら意味深な事を呟いた後、突然目の前の若者にそう叫ぶ】
【フードの向こうから一挙手一投足を舐めるように見定め始めているのが分かる、後ろの男が『今もなお[ピーーー]ない』状態になっているのも見逃さない】
【その上で敵対するこの若者に全てをぶつけ合う事を望む事だろう―――何が目的なのだ、フードの男はこの若者から何を読み取ろうとしている!?】


"GIFT"の……!なんといったか?よく知らねえが、とにかくボーヤ!
いい鍛え方だ、美しいぜ―――そのギラついた"飢え"で、心の奥底からの本能で何を望む?興味があるねぇ……!

しかしやはり荒削りだぜ、あまりにも見え見えだねぇ―――……そんじゃあ
あいにくアップ不足でまだちょいと"生温い"が……"コイツ"を喰らってみるか?―――……ッケケッ


【荒削り、という評価を最もわかりやすくカラダに染み込ませようと言わんばかりに―――続いての大ぶりな横薙ぎの一撃をフードの男は完璧に見切った】
【――突如、ガクンと力が抜けたような――――リズムの大きく崩れそうな動きをこなして右斜め下に身をもぐりこませその本気の一撃を見事回避する!】
【変則的なフットワーク技術を使っての回避、そしてこちらも大振りを振るって隙だらけの相手の左斜め上に見えるその顎めがけて狙いを定めたならば】
【同じくここぞとばかりに振りぬかれた本気のパワーでアッパーカットを発射する―――!今や虫の息のあの逃走者を一撃で表まで跳ね飛ばしたあのパンチを】
【今度は己の右腕にしかと力を込め、躊躇いなく籠手式グローブの拳を勢いよく叩きつけ、KO負けをいきなり狙ってくるだろう―――!】
【まともに喰らえばいかにガードしようと昏倒してしまうかもしれない強力な拳、これを防げるか―――?】

/と、ここで流石に眠くなってまいりましたので、ここで本日分は一度凍結したいなと思います <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/10(日) 04:26:39.58 ID:LFHxXdbUo<> >>722
【騎士の言葉は、盗賊どもの耳にも届いていた。普段はこの程度ではない、ということか】
【それならば、何か他意あってのことか。そんな疑問も、眼前の腕への対応にかき消されていく】

【闇雲に振り回される腕たちでは、騎士はおろか盗賊どもすら捉えきれず】
【されど、彼らの執念と本能は更なる攻撃をもって襲い掛かる】

それはまた……器用なことをしてのけるのだな、あの獣どもは……

『チイィ、厄介な野郎だ!!』 「ぐ――――これは、いささか……!!」

【騎士の仲間たちをも屠り去ったという獣の飛び道具は、異形たちの身も削り取っていく】
【泥砂で骨を撃ち落としながら動き回る双子の身体を、逃した骨がいくども削っていく】
【増して、その図体と動きの鈍さを持つ大男では回避仕切ることは出来ない。肉を膨らませた防御が主となる】

【その身を、その肉を、骨が削っていく。いつ終わるともしれぬ攻勢。その中で】
【カニバディールは確かに聞いた。そして、鋭敏な嗅覚で感じとる。己の頭上】

上か――――!!!

【叫ぶと同時、カニバディールはその場から飛びのいた。奇しくも、己の能力と似た奇襲に対するため】
【分離した肉塊、湛えられた消化液。まともに浴びれば、命はあるまい。カニバディールの叫びを受けて、デュアル兄弟も骨に割いていた意識を】
【頭上に向けつつ、消化液の範囲から離れようとするだろう。無論、この間に放たれた骨は異形どもを襲い続け】
【消化液による致命傷を回避する代償として、異形どもの膝を一度、地につけることとなるだろう】

/大変申し訳ありませんでした…… <>
◆Oo..Ykgy2o<><>2015/05/10(日) 04:28:22.18 ID:Hppu94QO0<> >>730
/了解しました、明日は1日空いておりますので、好きな時間にお声を掛けて頂ければっ
/お疲れ様でした、お休みなさい! <>
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/10(日) 04:30:10.60 ID:LQLE9arbo<> /はいです、夜ごろに再び顔を出すことが出来るかと思いますので!それではまた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)<>sage<>2015/05/10(日) 05:20:20.99 ID:k1mJaMpjo<> >>731

『■■■■■■――――――――……」

【腐肉の主は恐らくはほくそ笑んだのだろう】
【奇襲を避けるカニバディールとデュアル兄弟、避けるという行動は良い】
【致命を避けるのであればそれは構わないのだしかしその隙を原初の生命体は逃がしはしない】

【その行動原理は生命力の収集】
【彼ら程の者達を取り込んだならばきっと大きな実を付ける事になる】

「――――――――…だが忘れて貰っては困るな、この場にいるのは何も彼らだけではないだろう」

【地面が蒸散し立ち込める腐臭の中で無慈悲な触腕が彼らを裂き断つ】
【されど忘れるなかれこの場には銀を称える騎士が居る、騎士の持つ刃は鋭き物】
【一振りで幾重にも重なる斬撃は迫る腕、放たれる骨片さえも微塵と還す】

「本能のまま、或いはそれも生物としては正しい姿なのだろうがなあ……」
「だからとてそれをそのまま受け入れる程我ら人間は安易には生きてはいけない業も背負っているのだよ――――――」
「無事か貴公ら、と聞くも愚かか……何せ私が剣を振るったのだ無事でない理由も無し」

【剣閃烈火、切先から溢れる血はさながら退廃の芸術のように夜の森に舞い踊る】
【不思議と心落ち着けるような銀光はならば膝を落とす彼らにはどう映るか】

『■■■■■■■―――――――!!』

【そんな一時さえも掻き消すように一際大きく獣の咆哮が鳴り響く】
【憎悪、憤怒恐らくはその類の感情に近しい叫びと共に何やら巨大な質量の物が地面を蹴る音が1つ】
【瞬間僅かばかり届いていた月光が遮られる】

「な、っ!頭上か――――――――!……ッ!」

【騎士の直上から飛来する巨大な肉塊、その全てを捉えられないまま圧倒的な質量に襲われ銀色は伸し掛かられ姿を消す】
【現れた肉塊、旧き伝承を綴ったならば「腐肉の獣」と呼ばれるその姿がいよいよ彼らの前に露となる】

『■■■■……■■■■■■■――――――――」

【立ち上がったならば木々の高さに届くであろう雑多な腐肉で形作られた巨大な汚らしい犬】
【無論世間一般で知られる「犬」とは様相が異なり、肉体の全ては人かどうかも定かではない継ぎ接ぎだらけの身体】
【加えて下半身からは形成されておらず例えるならばナメクジのように溶けた肉で形取られていて】
【ならばその牙は骨、そして左右の瞳は互い違いの大きさで彼らを睨み、僅かばかりと笑みを浮かべたように見えさえもする】

【ずるずると這いずり廻るように進む、未完故の身体から瞳が溢れるが凡そこれに常識は通用しない】
【内に蠢く魑魅魍魎は視神経を内部に引き込んで瞳を正しい位置へと収め再びと視線を向ける】
【歯列も何もあったものではない巨大な顎を大きく開き、ならばそれは「食らう」という意志の現れか】

【不意に伸びた両腕がカニバディールとデュアル兄弟の頭上から振り下ろされる】
【先程の触腕とは質量の違う剛打の一撃、掌に所狭しと並ぶ骨の爪は受けたならば裂傷さえも負ってしまうだろう】
【ただ本能のみの獣に近しい攻撃は奇策らしい物も無い、速度もあるが回避に専念すれば可能となる】


【数多の生命体の集合、そう聞いたならば弱点らしい物さえも無いように思えるだろう】
【しかし獣とは本来炎の類を嫌う物、そして……数多を持つならばそれを束ねる核という物もあるのが道理】
【獣の額、奇しくもそこにはカニバディールのように瞳を宿しそしてそれは心臓のように拍動を繰り返していた】

/いえ、こちらのレスが遅く申し訳ありません
/本日でしたら15時以降であればいますのでその時に再開という形でよろしいでしょうか? <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 15:57:39.73 ID:WZnmA/eDO<> 【広場──朝市】

【この広場では毎日朝から昼を少し過ぎたあたりまでやっている市場がある】
【魚や肉類、果物に野菜といった日々の暮らしに必要不可欠な食品から】
【果ては鍋や刃物、或いは絵描きが絵を売っていたりと「何でも揃う」ことで近隣では少し名の知れた市場である】

【営業時間終了までもうじきといった時間。そこで、1人の女が買い物をしていた】
【ありふれたジーンズに黒いシャツを着た、背の高い女だった】
【──どこかの勤め人という風でも、主婦という風でもない。どちらかというと、夜の世界の人種だろう】
【太陽が真上まで昇りきっている時間。真っ当な人間ならランチでもとっている頃合いなのだが】
【買い物をしている女は、ひどく眠そうな表情を浮かべているのだ。まるでさっき起きた、と言わんばかりに】
【紅い目は半開き。普段は整えられているであろう黒い髪も、軽く櫛を透した程度だ】


……おまけしてくれる? あぁ、そう、ありがとう
どうせなら客の1人でも紹介────はぁ?
ったく……あんたは出すだけ出して金払い最ッッ悪じゃない
リンゴはお代にはならないの……その腐ったカボチャ頭によく叩き込んでおくことね


【リンゴを2つに、パンにミルク。女はそれだけを買っていった】
【店主の軽口に罵詈雑言を叩き込む。元から悪かった機嫌は今の会話で更に悪くなってしまった】
【──ふらり、と女は市場を後にする。眠いせいか、注意散漫かつ、足取りも不安定】
【いくら人は少なくなってきているとはいえ……誰かとぶつかってしまうかもしれない】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 16:01:32.24 ID:HXqfrYZeo<> 【公園】

【日曜日の昼下がり、本日はお日柄も良く、散った桜の花弁が地面に作った桃色の絨毯で遊び回る子供達の姿が目に入る】
【───だが、その子供達の一部はある物に興味を惹かれているようだ、彼等の視線の先に入るのは一人の男と一匹の犬】
【双方真っ白な姿形をしていて、男の方はこの時間のこの場所には中々不釣り合いな純白スーツに身を包んでいる】

だーかーら!このボールは転がすんじゃなくて乗るんだっつーの!

【撫で付けた金髪を振り乱し、青い眼で傍の犬を怒鳴り付ける男。しかし怒鳴られているとうの本人(本犬)はどこ吹く風で、頭に?を浮かべている】
【真っ白でふかふかの毛並みに包まれたサモエド犬と、真っ白で金髪な男の間にあるのは大きなボール、何やらそれの使い方が問題のようで】

いいか!このボールの上に二本脚で立ってだな、そのまま移動する!それだけだ!

【…どうやら、男の方は飼い犬に芸を仕込もうと四苦八苦しているらしい。全く言う事を聞かれていないが】

よしわかった!俺様がまず手本を見せてやる!
こう……こうやって、よっ……こう!簡単だ……ろっ!?

【やがては、何故か男の方が自分で玉乗りを始めてしまった。危なっかしくふらふらしているがどうにか乗れているようで、その姿は非常に滑稽だ】
【手本を見せられた犬の方はというと、アクビをして耳の裏を掻いていた】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 16:11:20.97 ID:ropWPIy3O<> >>735

【さしもの朝市もこの時間では客足もそう多くはない】
【おかげで大した喧騒もなく買い物ができる。眠気さましには程々に良い、といった雰囲気だろう】
【ところが必ずしも程よい騒がしさであるとは限らないようで────】


──だからさっきから言ってるだろうがジイさん!
これは古文書で! 俺には読めて! 他のやつには読めないんだから!!

だからそんなふざけた値段ふっかけてねえで、さっきの値段に戻しやがれっ!!


【騒いでいたのは中年の男。赤黒い外套を身にまとった長身の男が、古びた本を持って老人を怒鳴りつけていた】
【以前と違って彼の左耳には女物のルビーのイヤリングがついている】

【どうやら買おうとしたところで足元を見られたらしく、ひたすら「元の値段に戻せ!」と怒号をあげていた】
【しかし売り手の老人の方は聞く耳を持たず、「けど気が変わっちまったからねえ」とか言ってのらりくらり】
【男の方は今にも魔術をぶっ放しそうな勢いだったが──とにかくうるさかった】

【そんな騒音が女の真正面にあるのだ。うるさい上に、邪魔だろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 16:24:42.36 ID:QOkDVNSDo<> >>736

【桜吹雪が巻き起こる、けれど風が強いとかそういうわけではない】
【足音を聞けばわかる、走っていないがやたら強いそれは男に向けて近づいてきていた】

「なァーあんた、面白そうな事してるなァ〜」

【それはガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

「俺だってそれやれそォーだ! ちょっと貸してェ〜」

【……何故か相手に張り合おうとしている、男であった。】 【こいつ、もしかしなくとも馬鹿なのかもしれない】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 16:34:54.23 ID:WZnmA/eDO<> >>737

【市場をすり抜けていく風が、心地よい。多少悪くなった機嫌が、それだけで元に戻りそうなほどだ】
【──だがそれも、真正面の邪魔な騒音がなければの話だ】


…………。………………。……………………ちっ


【戻りかけた機嫌は急転直下。斜め45度ではなくもはや直角】
【普段の接客スマイルはどこへやら。浮かべるのは般若も真っ青な怒り顔】
【もう頭の中は蝿や蚊を叩き潰すかのように目の前の騒音を駆除することしか考えていない】
【というか、もう中年の男をヒトとすら認識していない。「雑音の塊」、以上終了】
【以前会ったとか会わないとか、それ以前の問題だ。「彼は彼女の機嫌を損ねた」……ただそれだけで彼女は全力を持って己が魔術を行使する──!】


   【 ──── ず、が、ががががががが! 】

【女の周囲に、近くの建物から伸びていた影がざわりと集結。大樹ほどの太さに成り、鞭の如くぐわりとしなる】
【そのまま影の鞭は女の前方へ長く長く伸び──ぐあんと大きく作動。店やら店主その他商品もろとも、男へ向かい鞭が叩きつけられようとする!】
【いくらなんでもやりすぎだ。男はともかく老人が影鞭を喰らえば御陀仏間違いなし。周辺の店だって巻き沿いを食う始末】
【せめて男だけを……という発想。少なくとも今の彼女には欠片たりとも浮かばぬようだ】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 16:49:34.79 ID:HXqfrYZeo<> >>738
いいか!こーやって……って見ろよ!!

【わざわざ手本を見せてやっているというのに知らん振りな飼い犬を怒鳴り付けるも、やはり飼い犬は知らん振り】
【何かに勘付いたのか気紛れか、さっさと何処かへ走って行ってしまった】
【玉から降りようにも変にバランスを崩せば尻餅をつきかねない今の状況、どうにかしたくてもどうにか出来ず】

ちょ……おいこら!何処に行くんだよ!?俺様を置いてくなー!!

【あゝ無情、哀れにも飼い犬に置いて行かれた飼い主は、迫って来る者の気配にも気付かず】
【地面を均しているような足音がして、恐る恐る振り向くと、目の前に飛び出たおっそろしい容姿に「ヒッ」と声を上げながらバランスを崩し、ドシンとボールから落ちた】

あいっつつつ……うおっ!?何だお前怖ッ!顔怖ッ!?

【盛大についた尻餅で痛む尻を撫でつつ顔を上げるが、再び見てもやはり怖い、やたらと強面なその男の顔に声を上げた】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 16:55:10.42 ID:ropWPIy3O<> >>739

【ぎゃあぎゃあと値段交渉という名の喧嘩は続く──風を切る妙な気配がしたのは一瞬だった】
【小気味いい音と共に影の鞭が男、とその周辺を薙ぎはらう!】
【中年の男はロケットのように吹っ飛んでいき、露店は崩壊。店主の老人も露店だった木材の中に消えてしまった】


……いってぇな、どこのバカだ!!
誰に喧嘩売ってんのかわかってんのか!!


【起き上がった男はただでさえ怒っていたのに怒りが更にヒートアップ。逆に言えば、それだけで済んでいる】
【腰あたりに当たったのか、そのへんをさすってはいるが大した怪我もしていなかった】
【怒りに燃え上がる男はさっそく元凶がいそうな方向を見たのだが────】


あー……? どっかで見たな、お前……どこだっけ


【以前と違う格好に気だるそうな雰囲気。おまけに自分以上に怒った顔】
【おかげで魔術師は一度会ったはずの相手が誰なのか思い出せずにいた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 17:06:02.54 ID:QOkDVNSDo<> >>740

「あれェー、犬どっか行ったぞ犬、てかあれって誰の犬なんだァ? ノラ?」

【どこかに走っていった犬、彼はそれを目の前に居る男の飼い犬とは認識していなかったようだ】
【わかりやすく疑問の表情を浮かべるものの、すぐに"どうでもいいや"】 【その表情が続いたのは僅かだ】

「おいおい、俺ってそんなに顔こえェーかァ?」 「なァーみんなァ、どォ? どォ〜?」

【公園に居る人々に対して話しかける彼】 【返事は帰ってこないが、わりと遠巻きに見ている様子がある意味返事なのだろう】

「おッ、玉GETォォー!」 「なァー、あんた、玉って言うのはよォ〜、こォーやって乗るんだぜェ〜〜」

【そして、男が先ほどまで乗っていた玉がフリーになったのを確認すると、その玉に両足で乗っかろうとするだろう】
【身体能力はかね見た目通り。体幹もよく、仁王立ちなのに安定感はばっちりだ(体重の問題かもしれないが)】
【ただしこの行為、止めるかすぐに下ろすかしなければ、あるいは玉が約0.1tに耐え切れるのでなければ、玉が死ぬおそれがある】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 17:25:41.57 ID:WZnmA/eDO<> >>741

【男の視線の先には超絶に不機嫌そうな女が1人。苛立ちはまだ収まらないのか未だに影が周囲でざわついている】
【その上男に怒鳴られ余計に般若顔。もはやオーラ的な何かが見えそうだ】


…………ちっ。うるさいわね自業自得じゃないうるさいのがいけないのよ
だいたい────、…………。…………あー?


【ずず、と影が踊る。男の態度のせいで第ニ波が放たれそうになる】
【だが「どこかで見たな」との言葉に、僅かに女の動きが止まった】
【──睨むように男を見る。普段は艶かしい視線を送るはずの赤い瞳だったが、機嫌が悪くなればただただ怒りを極端に示す色にしかならない】
【「あぁ……」相手が誰なのか、やっとわかったような声を女はあげた。火傷に被われた男──確か以前はそうだったはずだ】
【ちっ。また舌打ちをする。一度抱かせた相手に、このような醜態を見せてしまった自分に苛立っていた】
【……しゅるしゅると、影が収束していく。数秒もすれば、女に集っていた影たちはあるべき場所へと戻っていった】


…………ふん、悪かったわね


【影魔術──珍しい術だった。気だるげな表情も、かつての客を相手にしているせいか多少は普段のものに戻りつつある】
【赤い瞳に、黒い髪。他人をまったく省みない態度──それで思い出すことができるだろうか】
【けれど女は以前とは違い、だいぶ「気の抜けた」格好だ。髪の手入れも適当だし、化粧も必要最低限。娼婦のプライベートなど、こんなものなのだろうか】
【ふん。女は不満げに息を吐き、形ばかりとは言え謝罪を呟く。どうやら機嫌はまだまだ、治っていなさそうだ】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/10(日) 17:33:28.54 ID:Hppu94QOo<> >>730

【燃え滾るような狂気の中、僅かに残ったマリオン・リヴァーズの理性はフードの男の目的を探っていた】
【とはいえ、フードの奥の瞳に秘されたままのそれはそう簡単に読めるものでもない。だがそれでもいい。結局"やることは同じ"なのだ】
【……手足を落とし全身を切り裂き目玉を抉り出し、無様な命乞いを嘲笑ってやりながらジワジワと嬲り殺す――その血みどろの理想系】

【無論、実力の伯仲している相手にそこまで圧倒的な展開が訪れるとは限らない。だが、それすらもどうでもいい】
【――殺すのだ。荒ぶる狂気のままにこの男を『ブチ殺す』。先ほどの一合で額から流れ出た血を舐め取りながら、マリオンは瞠目した】


クハッ、余裕ぶっこいてんじゃねぇ!!
オレの飢え? オレの望みだぁ!? そりゃあ逆にオレがテメェに聞きたいところだねェ!!!


【右肩に続けて右腕。まずは右手全体を使用不能にしてやろうという目論見だったが――瞬間、敵の姿が真下に落ちる】
【空を切る左手、だが焦燥はない。"荒削り"という評価は確かなものだが、その荒さも突き抜けてしまえば決して"未熟"とイコールではない】
【突如として、グラッ、とマリオンの身体が横に揺れるだろう。……振り切った腕の勢いに引き摺られるように自ら体制を崩し、意図して転倒したのだ】


それとなァ―――"生温い"なんて自分で分かってるような攻撃が、オレに通じると本気で思ったのかよォ!!
温いお遊びやってんじゃねェんだ!! テメェとの殺し合いが退屈なら、先にあのクソ虫をブチ殺させてもらうぜェ――――!!!


【――そして、同時。バチッ! と火花が散ったような音と共に、その身体が闇に解けるように消えていくだろうか】
【"物体を不可視にする"……それこそがこの男の能力なのだろう。先ほどは銃や手榴弾に能力を使用していたが、それを今度は自分の身体に使用する!】
【そして放たれるアッパーカット――右手に何かを殴り抜いた感触は伝わってくるはずだが、その手応えは完全ではないはずだ】

【どうやら顎には当たらなかったが、それ以外のどこかに当たって後方へ吹き飛ばすことには成功したようだ。そこそこのダメージにはなったはずだが、】
【"ガギン"という金属音の直後、前方で火花が連続する。銃撃だ――咄嗟にナイフを捨てて持ち替えたのか、左右二丁による連続射撃が襲い掛かる!】
【左の二発はフードの男の両脚へ、右の二発は瀕死の方の男の胴体へ。体勢が悪いのか狙いはやや雑だが、発射の瞬間が全く視えないのは厄介か――】

【そして――それらの攻撃がどういう結果に終わるかに関わらず、マリオンの身体はその能力によって透明になったままだ】
【相当の訓練を積んだのだろう、姿はもちろん気配までほぼ完全に消えている。となれば、後は物音を手掛かりに判断するしかないか】
【……銃撃の直後、フードの男から見て左方向に微かな足音と、右方向に"からん"という金属の擦れるような音がするはずだが――?】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 17:37:29.15 ID:HXqfrYZeo<> >>742
あ?いやあいつは俺様の……ってあいつ何処行きやがった!?おーいホワイトベッセール!!

【言われてから、そういえばと逃げた飼い犬の事を思い出す。センスが光る名前を呼んでみるも、出て来る事はなかった 】

……つーかお前!お前のせいでベッセルが怖がったんだろーが!
聞くまでもなく怖いっつーの!なんだよその眼怖っ!?

ていうか俺様が乗りたかった訳じゃなくてだな……ってちょちょちょ待て待て!!潰れる!潰れる!

【立ち上がって地面をダンダン踏みながら強面の男に怒りを露わにする…が、まるで猫と大型犬の喧嘩のようだ、全く相手にされていない】
【勝手に話を進めて玉乗りを始める強面の男だが、それを慌てて止めようとする白スーツ、安物のビニールは余りの重さに耐え切れる筈も無く、球場から楕円形に変形し、やがては『パァン!』と音を立てて破裂してしまった】

……あーもー!なんなんだよお前は!?

【破裂したビニールの欠片がひらひらと舞い落ちる、頭に乗った一欠片を地面に投げ付けながら、強面の男を指差して睨み付ける】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 17:37:48.29 ID:ropWPIy3O<> >>743

【第二波の予感。魔力を感知した男の影が微かに蠢く。同じ術を男も扱えた】
【周囲は初めよりもよほど静かになっていた。露店は倒潰していて、立っているのは二人だけ】
【なんだか妙な雰囲気だ。相手が誰だかわからないまま、男は出方を待っていたが】


あぁ、お前か……


【ここでようやく男は相手が誰だったかを思い出した。スラウロットにおける戦闘で火傷を負った際に出会った女だ】
【なるほど、そうだったのかー。あのときの綺麗な女だったかー、と男の記憶がみるみる蘇っていき】
【それに応じてみるみる男の表情が、こう、残念なものに変わっていった】


……お前か
なんだ……寝起きか……仕事してないときの娼婦なんて会うもんじゃねえな……


【相手は完全に仕事じゃないときの状態。男のちっぽけな夢が粉々に打ち砕かれるような状態であった】
【がっくりと肩を落として、地面に転がっていた古文書を男は拾い上げた】
【困ったように頭を掻くと、とりあえず女の元まで歩み寄った】


あー、なんだ……何してんだ、こんなところで
朝飯か? 朝飯なのかそれ?


【そう言って彼は女が持っているものを指差す】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 17:59:57.58 ID:QOkDVNSDo<> >>745

「ほわ……えェーっと、とにかくあんたの犬だったのかァー、でもどっか行ったぜェー」
「でも俺のせいじゃアねェーって、俺オオカミとかの腹見たことあるしよォー、きっとあっちにエサとかあったんだって」

【どうしても自分のせいではないと言いたいらしく、ややまぶたを閉じて相手を見る男】
【本人としては見ているだけなのだが、感じ方によっては睨んでいるように見えなくもない】

「あとだな、この目は怖がらせるためじゃアなく見るためにあるんだ、あとビーム」
「……えェ? 違うのォ?」 「俺はてっきり玉乗りバトルをするのかと……」

【破裂してもなお仁王立ちのままで意に介せず、ポーズを解除したかと思えばビニール片を一つ捕らえて】

「俺ェ? 俺は俺だァーッ!」 「ここで正義の味方とか悪の味方とか言えたらカッコ良かった気はするけど、俺はどっちでもねェしな」

【それにしてもこの男、返事になっていない返事に対してここまで得意げな顔を見せられるものだ】
【あと、声が凄く大きい。ライブくらい大きい。】  <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 18:00:16.89 ID:WZnmA/eDO<> >>746

【明らかに落胆する男を見て、女の表情がまた歪む。この手の反応が予想できたからこそ、余計に腹立たしかった】
【しかし客に会ってしまった以上、再度舌打ちをするわけにもいかないし、効くはずもない八つ当たりの攻撃をするのも無駄に感じた】
【はぁ、とまたため息をつく。寝起きのせいもあり完全な娼婦としての対応は出来ないが、会話に応じる程度の努力はした方がいいだろう】


…………朝食よ。何、文句でもあるかしら
だいたい夜遅くまで仕事してるのに、健康的な生活をわ・た・し・に、求めるわけ?

普通に考えて起きれるわけないじゃない、むしろ今日は早起きした方よ。それに寝起きは食欲ないの
それに何よ残念そうな顔して。娼婦だって人形じゃないのよ夢みたいのなら後2時間後にでも出直してくることね!


【……努力はしたのだ。会話する、努力は。一応。効果があるかどうかは定かではないが、少なくとも喋る意思は確かにあった】
【けれど声のトーンは普段より遥かに低い。不機嫌さは未だ隠しきれず、滲むどころか爆発してしまっている】

【確かに男の言う通り、寝起きの娼婦になど会うものじゃない。夢はぶち壊しだし思い出すら粉砕されかねない】
【おまけに出直せとの注文までつけてきた。……かさ、と朝食が入ったビニールが揺れる】
【リンゴにパンにミルク。娼婦の朝食にしてはかなり安上がりな気もするが、やっぱりこんなものなのだろう】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 18:07:04.12 ID:ropWPIy3O<> >>748

【夢が壊れた。むしろあの夜が夢だったのだ。あれはなかったのだ。いや、あったんだが──】
【ロゼッタの努力のおかげでアインの顔はどんどん残念そうなものに変わっていく】
【今度は彼がため息をつく番だった。娼婦はこんなもの、彼自身が言ったとおりなのだ】


……なに、お前二重人格なの? 別人なの双子なの?
あの艶かしいお前は……いや、いい。俺も寝起きはそんな感じだしな

はぁ……じゃあいいよ、二時間ぐらい待ってやるよ……


【すっかり落ち込んでしまったアインは路地裏の方に寄っていって壁際に座り込んでしまった】
【寝起きの状態で会話するのもしのびない、そう思って彼は待つことにした】
【──娼婦一人の状態で落ち込む。六罪王だろうがなんだろうが、男は男だった】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 18:12:10.78 ID:HXqfrYZeo<> >>747
答えになってねーッ!つーか声でけーよッ!!

【Q.「お前は誰だ」 A.「俺は俺だ」という謎の問答、馬鹿でかい声に耳を塞ぎながら負けじと声を張り上げて】
【なんだか、遠巻きに見ていた子供達が段々と近くに寄ってきた気がする。漫才コンビとでも思われているのだろうか?】

玉乗りバトルって何だよ!?目からビームが出るような奴とそんな事する訳───

……えっ!?ビームでんの!?その目から!?

【その時は流していたが、よく考えればトンデモ過ぎる発言だ、目からビームとかロボットか何か?】
【というより、それを本気に信じるのも信じる方だが、少なくともこの男はマジビビりしている。その発言に説得力を持たせるだけの雰囲気が強面の男にはあるという風にも言い換えられるが】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 18:26:22.40 ID:QOkDVNSDo<> >>750

「俺は俺だから俺ってしか言いようがねェーだろォーがァーッ!」
「あと、声ってよォ〜〜、小さくしようと思うと疲れるんだよォーッ!」

【声は大きいし言い方も強いしで、傍から聞けば怒っているように聞こえるかもしれない】
【しかし表情を見て欲しい、とても楽しそうなのである。言い争っている表情とはとても思えない】

「ほら、玉にどれだけ乗ってられるとか、玉転がしで100m走とか……色々やれそォーじゃん!」
「というわけで股に玉を挟みながら走り幅跳びで勝負しようぜェ〜」

【玉乗りの後半の前提が無くなった事は気にしない、というか気づいていなさそうだ】

「ビームくれェ目から出るだろォ〜、こォーんな感じによォ〜ッ!!」

【右眼に暑苦しい魔翌力が集中したかと思えば……発射!】 【狙いは勿論エース……の顔】
【ビーム故に速度はそれなりで、当たると暑苦しく棘々した"物理的"刺激を受けるだろうが、威力自体は大したことない】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 18:28:08.75 ID:WZnmA/eDO<> >>749

【苛立ちが止まらない。寝起きのせいもあるが空腹のせいもあるのだろう】
【自分のイメージのためにすぐさまここを離れた方がいい気もしたが、彼の余計な一言がこれまた気に障った】


……艶かしいですって? は、それは結構! あーりーがーとーおー
でも何? 二重人格? 別人? 双子? 何よまだ夢でもみたいわけ?
女なんてみんなこんなものよ残念で、し、たぁ!
勝手に勘違いして勝手に夢見てお金落としてくれるんですから男って単純で楽な生き物よね!

はン! その中でもあなたときたら最低レベル。こーんな分かりやすい反応初めて!!
あなたがあなたじゃなかったら2時間と言わず半日以上待たせっぱなしにするところだわ、ふん!


【──落ち込んだアインに、怒涛の追撃。彼女の中に慈悲という言葉はあるのだろうか。いや、きっと無い】
【かつかつかつかつ……! と靴音を立て、ロゼッタはかなりの速さでその場を去っていく。どうも相当ご立腹らしい】
【後に残されたのは何かを失ってしまった最後の六罪王。だが傍目からは、女にフラれた哀れな男にしか見えなかった】


【そして2時間後。一応約束は守るらしく、ちゃんと彼女は戻ってきた】
【艶やかな黒髪。ボディラインが強調された高価そうなドレス。きゅ、と施されたルージュにアイシャドウ】
【まるで別人だ。双子と疑うのも無理はない。が、残念ながら同一人物である】
【多少遣りにくそうな表情は浮かべていたが……彼女はあの囁くような声で「お待たせ」と言うのだ】
【夢を自分からぶち壊しておいて尚、夢を与えようとするスタイル。間違いなく彼女は、心の底から娼婦であった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 18:38:54.76 ID:ropWPIy3O<> >>752

【ぶすぶす、と効果音が聞こえてきそうな言葉の嵐。既に凹んでいるアインの心が更にぽきぽきと折れる】
【夢を見せる職業の人間が自ら夢を破壊する。こんな壮絶な連携に耐えられる男などいようものか、いやいない(反語)】
【ロゼッタがいなくなった後のアインはまさしくフラれた男だった。もうなんか、死んだような目をしていた】

【──そして二時間後。待っている間に彼は古文書を読んでいた。体育座りで】
【来ないんじゃないかという気もしていたが、そんなこと関係なしに彼はもう動く気力がなかった】
【意外なことにロゼッタはちゃんと約束を守ってくれた。足音が聞こえ、声をかけられれば、アインは顔をあげる、のだが】

【こう、白けたような目というか、「え、でもお前あれだろ?」みたいな目を向けているのである】
【完全に破壊され尽くした夢はちょっとやそっとじゃ直らないのだ。アインの目には二時間前の姿が見えているのだ】
【口元もなんか「えー」といいそうな、そんな形になっている。言いはしないが、しないが】


……なに今更ばっちり決めてんのお前


【だめだった。彼なりに堪えようとした言葉が勝手に出てきてしまった】
【多分、一番言ってはいけない言葉なんだろう。だが彼は言ってしまったのだ!】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 18:41:16.56 ID:ropWPIy3O<> //すいません、心が折れたんで次遅れます!! <> エース・セブン ◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 18:51:13.68 ID:HXqfrYZeo<> >>751
いやその馬鹿でかい声の方が疲れるだろーが!お前じゃなくて周りが特にな!!

【対するこの男、楽しそうな表情とは正反対にかなり本気の怒り顔、だというのに声の大きさとかガタイの違いからか全く怖くない】
【それが余計に滑稽で、生暖かい笑いを誘う】

玉乗りどこ行った!?股に玉挟むってそれ玉乗りですらねーよ!!バラエティー番組かよ!?

いや普通ビームは目から出ねーよ!!……いや待てその目をこっちに向けんな待て待て待てやめ───

【ビームなんて目から出る筈がない、しかし出てもおかしくない、だから冗談だとも思えず後退り】
【やめろやめろと繰り返すも、それが聞き入れられる筈も無く、発射されたビームは綺麗に吸い込まれるようにエースの額にヒット。ビシッと弾かれて仰け反ったエースは、そのまま後ろへとぶっ倒れる】

【…思い切り後頭部を打ってしまったようだ、情けなく目を回している】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 18:58:25.80 ID:WZnmA/eDO<> >>753

【僅かにあげられた口角。細められた目──何も知らぬ者が見ればしっかり騙されてくれるのだろう】
【だがあの醜態というか、本性を見せつけた後で騙される者はそうそういない。むしろ通用するとでも彼女は思っていたのだろうか】


   …………。……………………。


   【 思 っ て い た ら し い 】


【表情は再度不機嫌まっしぐら。舌打ちどころか殺意がばっちり見える始末】
【もうこうなったら隠す理由など存在しない。「その言葉」を言ってしまったばかりに、女が夢を見せる努力は完全に放棄される羽目になる……!】


────はぁ!?

何よせっかく落ち込んでたからフリくらいはしてあげようと思ったのに何その言い方!!
しっかり2時間も待っているし、その癖その言い様! あなた女性経験本当にあるのかしら!

あぁ、本ッッ当にサイアク。これだから寝起きなんて人に見せたくないのよそれもこれもあなたがあんなところで騒いでいたのが悪いのよ!
ふん……一夜限りの関係ってこれだから楽ね。傷だらけのあなたの方がどれだけ魅力的に見えたか!


【低い声でこれでもかと出てくる罵詈雑言。当たり前だが彼の一言は地雷の中でも最大級のものだったらしい】
【折れているであろうアインの心に投げ掛けられる容赦ない口撃。折るのだけでは飽きたらず、粉砕しようとしているのかもしれない】
【──ある程度本音と本性をブチまければ、満足したのだろうか】
【ふん、と息をついて「……で、買うの買わないの」とこれまたど直球の商談に入るのだった】

/了解です! 思う存分ポキポキしてきてください <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 19:07:31.20 ID:QOkDVNSDo<> >>755

「大丈夫だなれるなれる、なれるから安心しなァー」

【常人なら肉が攣りそうな、よくわからない謎のポーズを決める男】
【ビシィッと相手を指して威嚇……はしていないが、人によってはそう見えるかもしれない】

「お、そう言えば股に挟んだら乗ってねェーじゃん! あんたスゲーなァ〜!」

【本気だ、本気でこの男は相手の指摘を"凄い"と思ったようなのである】

「えェー、出そうと思えば出るだろォー、俺のパートナーだって出せるぜェー」

「ヘケケケ! どうだ、これが俺の必殺技、ヘケメトビームだ!」 「…………おォーい、起きろォー」

【相手の近くにしゃがみ込み、先程から握っていた玉のビニール片を捨てつつ頬をペチペチと叩こうとする】
【ちなみに、先ほどのビームより普通に痛かったりする】 【なお、これで起きなかった場合は軽いバックブリーカーをかけようとし】
【その体勢のままぐるぐる回ろうとする奇行に走るため、注意が必要だ】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 19:27:02.94 ID:HXqfrYZeo<> >>757
【どうやら、相当強く頭を打ったらしく、頬を叩かれても尚目を覚ます様子が無い、段々と頬が腫れてきても尚】
【そんなもんだから、等々担ぎ挙げられてグルグル回されてしまうが、そうなってからようやくハッと目を覚ましたようだ】

……うーん…ここが天国……じゃねぇぇーーーっ!!!
地獄だ!地獄だよこれ!!地獄のメリーゴーランドじゃねーかぁぁぁーーーーー!!

【ベタなセリフでボケる暇も無く、ぐわんぐわんと回る視界に揺れる三半規管、ドップラー効果でウィンウィンする叫びを響かせながら、顔中の液体をスプリンクラー染みてばら撒く】
【…と、その時!遠くから走ってくる白い影!それは何だ?いや、その正体をエースは知っている!】

ハッ!?あれはホワイトベッセル!ホワイトベッセルじゃねーか!!俺様のピンチに駆け付けてくれたのか!?

【遠くの方から猛ダッシュで駆け寄ってくる真っ白な毛並み、フワッフワの毛皮に包まれたサモエド犬、その名はホワイトベッセル!】
【なんだかんだ言っても飼い犬と飼い主、パートナーなのだ!飼い主がピンチとあればどんなに遠くからでも駆け付ける!】

助けて!ホワイトベッセル!助けてぇー!!

【そろそろ体の中身が遠心分離してきそうになっているエースは、やってきた救いの手に助けを求めて泣き叫ぶ】
【飼い主の助けを聞き付けたホワイトベッセルは、エースを振り回す男の元へと走り寄り───そのまま素通りしていった!どうやら遊ぶポイントを変えようとしていただけのようだ!】

……この裏切り者ぉぉぉぉーーー!!!

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 19:40:25.01 ID:QOkDVNSDo<> >>758

「ヘキャキャキャキャキャ! まわるーまわるー、俺ーたーちィー!」

【背中で叫ぶ男とは裏腹に、とても楽しそうな様子のこの筋肉ダルマ】
【しかもこいつ、体温が高い。明らかに好調なので新陳代謝が高いだけなのだろう】 【つまり物理的にも暑苦しいのだ!】

「あれはさっきの犬じゃアねェーか! 一緒に遊ぼうぜ!」

【ぐるぐる回りながらも結構周りの様子がわかるようで、近づいてくる犬がさっきのそれとわかれば声をかける】

「って、なんだよォー、遊ばねェーのかよォ〜〜」

【そして通り過ぎれば残念がる、なおこれによって回る行為が止まるとは言っていない】

『はぁ……まったく。』 『そろそろやめなさい、ヘケメト』 「ヘッキャアーッ!」

【さすがに見かねて立ち上がったのは、近くのベンチに座っていた女性】
【20代前後に見え身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【女性は2人に近づくと、姿勢を低くし……その脚を前から杖で一発!】 【その際、魔翌力的なものが男に流され……】
【バランスを崩した男は、軽く慣性をつけつつ顔から地面にへとダイブ。砂埃が舞う】
【エースはこの男をクッションにしやすい位置にいるし、もしくは他の方法で受け身等を取れるかもしれない】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 19:56:56.68 ID:HXqfrYZeo<> >>759
もー誰でもいいから助け……うえっぷ、マジで誰か……

【そろそろ色んな意味で限界だ、汗と涙と鼻水ならまだしも、それよりやばいものが巻き散らかされかねない】
【飼い犬すら頼れないエースは、もうグロッキー状態で叫ぶ元気も無くなって、ただ助けを求めるのみ】
【もはやこれはどうしようもなく、このまま冒涜的なスプリンクラーと化すしかない…と、思われた瞬間!】

【エースを担いでいた男が、近くにいた女にすっ転ばされ、遠心力だか慣性だかよくわからない力学的エネルギーを伴ってぶっ倒れる】
【その影響を大きく受けるのは何を隠そうエースの方で、エクストリームスポーツじみたフォームでぶん投げられたエースは、そのままスポーンと飛んで行って、近くの植木に顔面から突っ込んだ】
【衝撃で揺さぶられた木から季節外れのカブトムシが落ちてきて、地面に落ちたエースの頭に綺麗に乗っかる。その上、漸く犬がエースを心配して戻って来た】

……も……もう玉乗りはこりごりだ……

【オチがついたところで何処からともなく拍手喝采、完全にコントかと勘違いしていた人々から、拍手と小銭の雨あられ】

/申し訳ありません、次のレス少し遅れます <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 19:59:20.36 ID:Grhk1+nyO<> >>756

【既に心が折れきっているアインの表情は罵詈雑言のせいで変わったりしない】
【変わったりしないが、どんよりとしたオーラはどんどん悪い方向に濃くなっていったりしてる】


……俺だって、前のお前は良かったぞ、色っぽいしよ
それがなんだ、寝起きのぼさぼさ見られたぐらいでそんなに怒りやがって……
あんな姿みた後じゃ、同じ目で見られないのは当然だろうに……


【口を尖らせながらちょっとだけ反抗。二時間経って言い返す気力ぐらいは戻ったらしい】
【だがそこに六罪王の影などないのだ。娼婦に罵詈雑言をぶつけられて体育座りして落ち込んでる男しかいないのだ】
【ダグラスが見たら────あまりにも悲しいのでアインは考えないことにした】


二時間も待ったし、買うとも……はぁ
俺の家に移動するが、いいな?


【古文書を外套にしまいこみ、ため息つきながらアインは立ち上がった】
【彼女が了承すれば、彼は足元に魔法陣を展開して、隠れ家のある森へと転移するだろう】

//心の力が回復したので戻りました! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 20:18:31.18 ID:QOkDVNSDo<> >>760

「何すんだよォー! いきなりパワーダウンされるとバランス崩すっていつも言ってるじゃあないか」
『ですが、これ以上回してたら死にますし』 「あと、ダウナー早くといてくれ、ダウナー」 『すぐに切れます』

【顔を砂と擦り傷でいっぱいにした男は、すっ転ばしてきた女性に向かって怒る……】
【……いや、そんなに怒っていないか】 【おそらく知り合い以上の関係なのだろう、雰囲気は和やかだ】

『……さて、あなたは大丈夫ですか?』 『いえ、返事はしなくても何となくわかりますが』

【そして、飛ばされた男の方に向けて歩いてくる女性。先程の男とはなかなかのウェイト差だ】
【しかしその表情は読めない、心配しているのか否か、どちらかもわからない――無表情なのだ、この女性は】

『後始末は私の役目です。どこか具合の悪いところがありましたら、酔いから部位欠損まで色々と治しますよ』

【先程の男と同じく、しゃがみこんで相手の様子を伺う女性――頬を叩いたり、ましてやバックブリーカースピンをかけたりなんて事はしない】
【顔に乗っているカブトムシを捕まえて逃がそうと手を伸ばしながら(工夫はない)、もう片方の手で杖を構える】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 20:20:57.60 ID:WZnmA/eDO<> >>761

【「──ちっ」 ついに客に舌打ちをしてしまうロゼッタ。彼女にとってもはやアインは「取り繕うべき客」ではない】
【反抗をされれば当然睨む。おまけにピン・ヒールで踏もうとすらする】


……今、何か言ったかしら。寝起きの、ぼ・さ・ぼ・さ・ぁ?
ふん、確かにそうだったでしょうけれど普通は言わないものよこのダメ男!
それに何その表情。いい歳したオヤジが口尖らせて、気ッ持ち悪いのよ!


【踏まれれば当然痛い。ただですら痛いというのに、思い切り力を込めて踏もうとするのだ】
【避けてしまえばそれはそれで舌打ち→睨み付けるコンボ。どうやら見た目通り、プライドは相当高いらしかった】

【けれどいつまでもこうしてはいられない。相手は自分を買うと言ったのだから、それなりの場所に移動しなくては】
【──場所がホテルではなく、相手の家というのが多少意外だったが、拒む理由もない】
【そのまま2人は魔法陣にて彼の家へと向かうのだ】

/おかえりなさいませ <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 20:29:15.18 ID:Grhk1+nyO<> >>763

【いい年したオヤジ。最近おっさん呼ばわりされていなかったアインにこの一言は効いた】
【おまけに踏まれる。いつもならまず間違いなくそんなことはさせないし、してきた相手は良くても殺すが】
【今の彼にそんな気力は残されていなかったのだった】

【二人は森へと転移。そこは木々に囲まれ木漏れ日の降り注ぐ清らかな場所だった】
【悪の魔術師が住むには随分と平和な光景で、あまり似つかわしくない】
【鳥のさえずりなんかも聞こえてきて、動物などもいるようだった】

【アインが案内した先にあったのは少し大きめのログハウス】
【出入り口付近には五センチぐらいの大きさの小人なんかがうろついていたが】
【二人が来ると蜘蛛の子を散らすように逃げ出していった】

一応、ここが俺の家になる

【そう短く説明して、アインは家の中へと入っていった】
【内装も外観から想像できるとおりのもので、玄関からいくつか部屋が繋がっていて】
【それぞれ台所に寝室、リビング的な部屋となっている。ただの民家、といった感じだ】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 20:33:49.08 ID:HXqfrYZeo<> >>762
……ヒィッ!?なんだお前目ェ怖ッ!あいつの知り合いか!?

【ビームを撃たれたりグルグル回されたり投げられたり、散々な目にあってヘロヘロ状態なエースだが、顔を見せた新手の女性の顔を見てまたビビる】
【主にその眼が問題で、さっきまで自分を振り回していた男のソレと似ている為に知り合いだと判断】
【引き剥がされまいと顔に爪を立てるカブトムシに「いでで」と声を上げてから、涙目で男女を見る】

……ったく、なんなんだお前ら?新婚旅行に来た魔界のカップルか何かか?マジで勘弁してくれよ……
あー、いや、大丈夫だから、いやもう本当に大丈夫、何ともないから何もしないで、マジで

【『具合が悪ければ診てやる』とは言われるが、あんなに恐ろしい者の知り合いに体を診られるのはごめんだと首をブンブン振る。犬は尻尾をブンブン振る】
【それから、ぶつかった植木を支えに立ち上がり、ずれた眼鏡を上げる、フレームが歪んだせいだまたずり落ちたが】

……ったく、散々な目にあったぜ……三回くらい死んだかと思った……
い、いやまあ俺様が本気出したら一発で抜け出せたんだが?ギャラリーを賑やかす為にわざとやられてたんだが?

【とかなんとか、誰に言っているのか去勢を張り出した、情けない事この上ない】
【しかも、投げられた小銭を足でこっそりと引き寄せている、意地汚い】

/ただいま帰りました <>
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/10(日) 20:48:07.95 ID:6kKXh2zMo<>
【街中】


【十分ほど前から、繁華街の街角に、一人の若者が立っていた】
【歳は二十代中盤頃だろうか、黒い髪に黒い瞳。シャツにジーンズと、ラフな格好だ】
【── と。電話がかかって来たらしく、懐から端末を取り出し、耳元に当てる】


はい、森島です。遅いですよロロケ…… え。「見つかったからもういい」?
ちょ、ちょっと! 手伝ったらご飯奢ってくれるって──! ……あっ!


【通話が切れ、小さな叫び声をあげる。信じられない、という様な呆然とした表情で、端末をしまった】
【大きな音を立てて腹が鳴った。──奢りをあてにして朝から何も食べていない自分も悪いのだが、腹が立つ】



…… 、あー、もう!



【腹いせに、足元の缶を蹴飛ばす。 ──、が、当たりどころが「良すぎた」のだろうか】
【少し転がす程度の筈だったのに、缶は宙を舞い、人混みの方向へ ──】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 20:48:16.57 ID:WZnmA/eDO<> >>764

【アイン。以前は別れ際にホテル中の客を虐殺していった、傲慢で非道な魔術師】
【そんな彼が住む場所なのだ。人跡未踏の荒野や、焔が闇を切り裂く火山地帯にでも出るかと思いきや、転移したのは森の中】
【思ったより平和そうな場所を見て、ロゼッタは唖然とした表情になってしまう】
【怒りを先ほどまでで粗方発散したというのもあったが──この場所を見て多少毒気を抜かれたかのように、ロゼッタの罵詈雑言は息を潜めていた】


……あ、あぁ──そう。……随分と、普通のところにいる、のね
もっとこう……お屋敷みたいなところだったり、崖っぷちの小屋を想像、していたのだけれ、ど……

それと、ねぇ……ね、ねぇ。さっき、何かいなかったかしら?
小さくて、虫みたいに──こう、その。潰したくなるような、何か


【アインに付いて、家の中へ入る。ぱっと散っていった小人も気になったし、室内の「普通さ」も違和感しか与えない】
【──要は、小人がいたこと以外は「思ったより普通」なのだ】
【予想していた家が如何程な悪の魔術師邸なだけあって、想像と現実のギャップに戸惑いすら覚える】
【かつん、こつんと室内をついて回る。すでに表情は怪訝そうなものになり、足取りもどことなく慎重だ】

/ごめんなさい、次はこちらが遅れます <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 20:53:15.71 ID:QOkDVNSDo<> >>765

【相手から引き剥がしたカブトムシを手に乗せ、空高く掲げればそれは羽ばたいて】
【――おそらくはどこかに行くはずだ、おそらくは】

『そうですか? これは義眼ですよ義眼、ちょっと多機能なだけで怖いものではありません』
『まあ、あれと知り合いなのは否定しません』

【そしてカブトムシを離しフリーになった手の指を左眼に"入れる"――けれど、潰れたりはしない】
【どうやら黒い部分は本当に空洞らしく、眼は内部で浮翌遊しているということか……しかも触っても大丈夫らしい】
【この行為自体常識的ではない、しかし彼女は表情一つ変えず当たり前のようにこなす】

「魔界じゃあなくて別世界から来たんだ」 「あとアウの治療の腕は確かだぞォー、大丈夫ならいいけどよォ〜」
『ついでにカップルではなく、一人暴走族とストッパーです』

【起き上がったかと思えば2人に対して近づいてくる男、砂はあんまり払わず】

「で、ところで……本気出したら一発で抜け出せるって本当かァ〜?」
「ちょっと試してみてェーから――四の字固めかけさせてくれェ!」

【これは……熊の構え!】 【擦り傷とか砂とか気にせず、相手に対して熱い視線を送る男。女性が居る為か、すぐには襲わないようだ】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 21:01:14.82 ID:Grhk1+nyO<> >>767


そんなに警戒するなよ……第一、そんなに広い家を持ったって使い道がない
ただ、お前のご期待に沿うものも、ちゃんと用意してあるぞ
その虫っぽいのもいるが……潰すなよ?


【呆気にとられているロゼッタにアインは意味深な笑みを浮かべてみせる】
【そのまま客間にでも通すかと思いきや、アインは部屋の奥にあった階段を降りていった】
【短い階段の向こう、地下一階に広がっていたのは────巨大な書斎だった】

【通路や壁際に並んでいるのは普通の本棚。だがその数が個人の範疇を超えている】
【ほぼワンフロア全てに所せましと詰められているのだ。当然、その殆どが本で埋まっている】
【種類も魔道書・地形図・古文書……と多岐にわたっている】

【アインは書斎の更に奥へと進む。進んだ先には開けた場所。そこに大きな机が二つ置かれていた】
【片方は明らかな作業用。メモ書きに読みかけの本、書きかけの本、ティーカップにちょっとした道具まで】
【もう片方の机の上には小人が大勢。各々が羽ペンを持って白紙の本に何かを書き出している】

【アインは作業机の上に持っていた古文書を置いて、椅子に腰かけた】


……とまぁ、お前が予想していたのはこんな感じなんじゃないか?


【両腕を広げて、自慢するようにアインはロゼッタに語りかけた】

//了解です! <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/10(日) 21:23:53.71 ID:HXqfrYZeo<> >>768
へー、義眼なのか、じゃあただの厨二デザ……いやそれ義眼ってレベルじゃねえ!!
なんだそれマジックか!!

【だから義眼だって言われて(ry】
【とにかく何でもかんでも驚く奴だ、一般人目線で見れば無理もないかもしれないが、こんな一般人離れした奴がこんな反応ばかりなのもどうだろうか】

【そんなのもあったが、男が期待の表情で近づいて来て、構えを取るもんだから大問題。自分の虚栄のせいだが、引き攣った笑みを浮かべて固まる】

い、いやー……まあ、その、えーと……だな……

き、今日はこの辺で勘弁しておいてやる!!

【当然、そんな事がこの明らかにパワー系な男に対してできる訳がなく、あたふた目を逸らしながら言い訳探し】
【結局、何処かで聞いた事があるような捨て台詞を吐いて一目散に逃げて行く、その後を追って行く犬と一緒に、公園をダッシュで去って行った】

/お疲れ様でしたー <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(山形県)<>sage<>2015/05/10(日) 21:36:28.73 ID:QOkDVNSDo<> >>770

『いえ、科学です』 「どォーせなら眼に水が入り込むの防ぐとこまで作りこんで欲しかったんだけどなァ」

【あっさり、そう答える女性。科学の力で眼孔内で浮翌遊しリアルな動きも出来る義眼が作れるのかはともかく】
【その表情のせいで嘘なのか否かを読み取ることは難しいだろう、隣の男が"へーそうなんだ"的表情を浮かべているから尚更だ】

「あ、おいこら逃げるんじゃあねェーーぜェッ!!」

【逃げる男を追いかけようとする、見た目も中身もパワータイプらしき筋肉男】
【しかし、先程転ばされた時に術でもかけられていたのだろう、それがまだ解けていなかったようで】
【いつもの力で走ろうとしたその時、バランスを崩して本日二度目のヘッドスライディング!】

『パワー・ダウナーを足首に一点……いえ、二点集中! すぐに切れると言っても、直接接触+局部に対しての作用は結構長持ちしますからね』
「チクショオーーッ!」

【近所迷惑レベルの声を上げつつ、拾い損ねただろう小銭をちゃっかり集めてからどこかに去るのだった】

/お疲れ様でしたー <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/10(日) 22:09:48.33 ID:WZnmA/eDO<> >>769

【意味深な笑みを見て、ロゼッタはさらに表情の怪訝さを深めることとなる】
【期待に添うものと言われてしまえば、怪しげなものしか浮かんでこないからだ】

【──かん、かん、かん……短い階段を下りて行く。怪訝な表情は浮かべれど、地下の存在そのものが、どこか彼女の心を躍らせていた】
【かん、かん……少しだけ呼吸が早くなる。怪しいものしか想像出来ないとは思ったが、もし──もしも】
【か、ん……もしも彼が、その実力通りの魔術師であるのなら、この、階段の先には……】


   ────…………!!


【息を飲んだ。そこにあったのは、溢れるような本の山。窒息しそうな程の文字列】
【古書独特の香りで息が詰まりそうになり、この場所そのものの計り知れぬ価値に、身体が動かなくなる】
【奥に進むアインの背中を暫し見送り、慌ててその後をふらつきながら追う】
【書斎の奥。その場所へ至り、アインがロゼッタに語りかけても尚しばらくの間彼女は茫然と書庫を見て──やっと、僅かな言葉を絞り出した】


すごい……。……すごい、わ……これ────
ね、ぇ……触って……読んでは駄目、かしら……
私、こんなところ……初め、て。魔導書も、古文書も、こんな、に……
どんなのがあるの、かしら……黒魔術に関する、もの、は──


【娼婦とはいえ、彼女も魔術師の端くれ。魔導書や古文書に、ある程度の興味はあるらしい】
【小人のことなど既に意識の外だった。それより重要なものが、目の前に溺れそうな程あるのだから】
【──抱かれている時よりも、甘い声だったかもしれない。それほどまでにこの場所は、彼女にとって魅力的な場所だった】

/ただいま戻りましたー <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/10(日) 22:17:36.22 ID:Grhk1+nyO<> >>772

【両腕を広げたままアインはロゼッタの言葉を待った】
【彼女はしばらく言葉を発しなかった。気に入らなかっただろうか、と微かにアインの表情が曇った】
【だが、その後のロゼッタの反応はアインが予想していたよりもずっと良いものだった】


……ふふ、そうだろう、凄いだろう!
ここにある殆どは自前の写本だ、原本は別の場所にある
だから、読みたいのなら好きなものを取れ。黒魔術についてのものがいいなら、そうだな……


【アインの表情は明らかに晴れやかだった。自分が集めたものに感動されて嫌がる人間などいない】
【まして彼は“己こそが”と自負のある魔術師なのだ。その分、喜びも大きい】
【ロゼッタの注文に答えるように、彼は本棚から本を一冊取り出して彼女に投げ渡す】

【その一冊は黒魔術に関する基礎が記されたもの。ロゼッタが既に知っていることも書いてあったりするだろう】
【他にも本は沢山ある。アインはロゼッタにそれらを好きなように取らせるだろう】

//おかえりなさいませー
//すいません、そろそろ寝なくてはならない時間に……
//凍結か〆るかはお任せいたします。どんな形でもこちらは大丈夫です
//明日は夕方頃からお返しできるかと思います。ひとまず、お疲れ様でした <>
◆A3Dw.QYNcc<><>2015/05/10(日) 22:20:06.71 ID:WZnmA/eDO<> >>773
/了解です。では明日の夕方ぐらいから再開でオナシャス!
/こちらの返信は明日のお昼前後にさせていただきますね
/では一旦、お疲れさまでしたー! <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/10(日) 23:10:07.59 ID:SBSN8Gx8o<> >>744

【くすり、と感情に任せて聞き返してくる追跡者、マリオンに対してフードの男はただ笑みをこぼすと】


―――学生時代のテストの点数聞いても期待できそうにねえ台詞だなァ〜ボーヤよぉー
疑問文に疑問文を返してるようなヤローの脳みその出来なんざ誰に期待できる?……へっ、知りたきゃ吐かせてみな
お前さんが先に喋った上で後もう一発でもオレにそのナイフを叩き込めたなら褒美込みで教えてやるさ


【振った拳に返ってきた手ごたえが薄い事に、ひゅう、と男はやや楽しそうに口笛を吹く】
【先ほどの良い身のこなしといい戦闘センスの高さは確かであることを肌で感じる、逸材だ、と素直に認めていく】
【彼が能力で姿を消したとしても、動揺は一切見られなかった―――やはり見抜いてたのか、、しかしいつ、どうやって見抜いたのかはわからないが】

【マリオンが姿を消した後、彼は落ち着いた様子でその場をうごかない】
【突如、右足の側面、その薄皮を銃弾が切り裂き、雑な狙いで外れた銃弾が左足のすぐそばの地面をバチッ、と削るのを感じる】

【―――まさかとは思うがこの男、銃弾の軌道が見えているのか?超高速のパンチの応酬の世界で生きるボクサーは自ずと動体視力が鍛えられるとは言われているが】
【それにしても異様だ、動かなくても自分の足に深手を負わさないという事を見てから判断できるなど……非常に考え辛い、なにか『仕掛け』があるんじゃあないだろうか】
【ちらり、と胴体を打ち抜かれた男の方向を見るだろう、流れる血の量を冷静に見たうえで彼はのんきな調子に喋り始める】


……あと2、3分って所だなああっちの可哀想なボーヤ、あのダメージじゃあまず助からねえ
結局助からなかった自分の運命を呪って無念の涙でも流し始める頃じゃねえの?悲しみを漏らして嗚咽まみれのきったない死に方になるだろーよ
せめてお前さんに『即死』させてもらえればまだ『救い』はあったろうに……かっわいそうになあ、オレはああならないように気を付けよーっと


【透明になって姿が分からなくなり、追いつめられているハズの彼はケタケタ笑いながら彼は己の懐に悠々と入れる】
【―――取り出したのはナイフだ、刃渡り18cmほどの品を余裕いっぱいにオープンフィンガーの指で摘まんで取り出すだろう】
【ふと、左と右、両方から音がするのを感じ取りながらも彼は言葉を続ける】


―――サイズからして二つの銃に込められてるのは合計あと4発って所か
そしてそれを撃っちまったらお前はもうその銃を撃てなくなる、だから頑張って残りでオレの急所を撃ち抜く算段をしなきゃあなぁ
生き残られたらリロードなんて出来ねえ、音で場所がバレた挙句弾切れの隙なんか見せたらオレなら瞬間7発は入れられる

かくれんぼを続けたいか?優位を保つべく一発で仕留めたいよなあ、頑張ってしっかりと狙いを定めてぶっぱなせ―――こんな風に、さ!


【ヒュンッ!と彼がその懐から取り出したナイフを左方向、足音の下方向へと放つ!】
【思いのほかスナップの聞いた投擲だ、人体はもちろんコンクリートくらいなら貫通するかもしれない、鋭いナイフ投げもできるのか―――!】

/帰りがたいへん遅くなりましたが、今お返事お返しします <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/10(日) 23:32:54.67 ID:d/6q5dG80<> 【夜の公園。昼間は子供達の活気に包まれる其所だが、夜ともなれば流石に人は居ない――――筈、なのだが】
【今宵は其処に植えられた木の根元に一人の姿。学生服を纏った……大凡高等部と思われる女学生】
【手にしているのは木刀なのだが、まるで精神を統一するかの如く瞼を閉じて】


「――――――ハァッッッッ!!!」

【舞い落ちる一枚の葉。カッと目を見開けば、手にしていた得物を横に一閃】
【見事に木の葉は砕かれ――――……無かった。寧ろ、掠りもせず“惜しい”の“お”の字にすら届かない現実】
【虚しくも地面に落ちた葉を眺めながら、ポリポリと頭を掻いて】


「可笑しいなぁ……漫画とかだと簡単にしてるのに全然出来ないや…………
もっと、こう…………ズババァーン!!って感じにしなきゃ出来ないのかな?」

【曰く、修練の一環。然れど其れはどう見ても漫画やらアニメやらでしか見ないモノだ】
【再び瞼を閉じたならば、木刀を構えて――――】

【さて、こんな時間にそんな事をしているのだから端から見てもよく目立つ】
【何より路地裏から遠い場所。人通りは少ないとは言え、疎らには在るのだから何者かがこの奇妙な光景を目の当たりにする事も否めない】
【女学生がこの時間まで一人で居る事を咎める者か、ただ奇妙に思った者か。或いはまた別な何かを抱いた者か――――其処までは分からないけれど】










【櫻の国。最早誰も訪れる事が無くなる程に朽ちた神社】
【普段ならば一つの気配も無い筈なのだけれど――――今宵は、其処から妖気を感じ取る事が出来て】

【石畳の階段を上ったならば、見えるのは風化した鳥居と小さな社であろうか】
【――――社の前に立つのは、巫女装束を纏い翡翠の首飾りを下げた一匹の妖狐】
【目を瞑り、手を合わせている所からして参りでもしているのだろう。然れど、廃れた場所に神も残るのかは疑問だが】


「…………」

【其れも終えれば、神社から去ろうとして――――新たにこの場に訪れた者と出会うとすれば、そのタイミング】
【耳と尾を立てて居る事から余程驚いている事も知れるだろうか。抱くのは敵意だとかでは無く、怯えた様な――と表すのが適切で】
【元より害意を抱いた者がこの場に訪れたのだとすれば少女にとっての不幸】
【或いは、漂って居た妖気に疑問に思って訪れた者だとすれば――――話はどの様に転がるか】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/10(日) 23:54:08.33 ID:Hppu94QOo<> >>775


(……………、)


【挑発を受け流しながら、マリオンは小さく眉根を寄せた。この距離で銃を乱射されて、冷静に弾道を読むなんてことが可能なのか】
【――これまで何十と様々な猛者とやり合ってきたが、その中でも相当に人外じみた男だ。何より"実体"が見えてこないのが恐ろしい】
【今、実際に実体が見えない状態にあるのはこちらだというのに――敵は余裕を崩さない。それが苛立たしくもあり、より高揚を煽る要素でもあった】

【当然だがマリオンは声を出さない。目の前の敵の戯言じみた台詞と、ひゅうひゅうという死に体の男の微かな喘ぎだけが響く】
【このまま戦いが長引けば、とりあえず当面の目的は達成される。後は如何にして"愉しむ"かだが――、】


――――ひひッ! 悪ィがなぁ、オレは力任せに銃ぶっ放すしか能のないアホ共とは違ェ!!
"不意打ち"の材料はいくらでもある………俺が使える"飛び道具"はコイツだけじゃねェ!!


【ジジッ、という音と共に、マリオンは再び姿を現す――飛来したナイフの先は右足、狙いはほぼ正確だったといえるだろう】
【しかし、こちらもこの相手がそこらの雑魚ではないことは既に認めていた。どころか、油断すれば一瞬で喰い殺される"強者"の類であると】
【――故に、こちらの位置を察知して反撃してくるところまでは想定済み。ただ、相手の投擲技術だけはやや想像を上回ったか】
【右足を引いての回避はほんの少し間に合わず、側面を切り裂いて出血が服を濡らす。痛手ではあるが……それは"左手を引く"動作にはなんの影響もない】

【マリオンの左手にはもう拳銃はなかった。代わりに袖口から細い"ワイヤー"が伸びており、引く動作にあわせてそれが一気に縮む】
【ワイヤーの先には、ついさっき捨てたものと思われるサバイバルナイフ。それが勢いよく引き寄せられ、男へと迫っていくだろう!】
【フードの男がナイフの投擲のためにこちらを向いていれば、ナイフはちょうど背後から襲いかかることになる。避けなければ左脚を切り裂かれることになるか】
【そして駄目押しとばかり、マリオンは残った右手に握られた拳銃も発砲。こちらの狙いは腹部――挟撃の形での攻撃が、男に迫る!】


(………さァ、どう動くよ、怪物ボクサー君――――?)


【あのGIFTのメンバーという割に――マリオンの能力は、直接攻撃には使えない弱々しいものだ】
【それゆえにこうした奇襲攻撃を最も得意としている。……それを相手が、能力なのか実力なのか、とにかくすべて見切れる力があるとなれば】
【先ほどのアッパーも腹部を掠めて鈍痛を発している。たった今斬られた脚の傷も決して軽くはないし――"流血"はこの能力には一種の鬼門だ】
【……これも全く通らないのであれば、癪だが、こちらが不利と言わざるを得ない。その事実に憤怒を感じつつも、その程度の状況判断が出来ないほど"坊や"でもなかった】 <> ???
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/11(月) 00:41:36.51 ID:86dn3WQWo<> >>777

(―――冷静だな、結構……強かで己の持ち味をよーくわかってる野郎だ……いいねぇ、期待通りじゃねえの)


【挑発してもまるでスキを見せない事を逆にやや嬉しそうなそぶりを見せるフードの男が再びファイティングポーズをとる】
【張り詰める空気、研ぎ澄まされる五感、―――それがマリオンの姿を再び捉えた時、この男も行動を開始する!】
【見える姿、その右手には銃が、もう片方にはなにかきらん、と光る細い物―――それが空気中のチリと反射して一瞬この男の目にも映る】

【ワイヤーで攻撃を狙っている―――そこまで一瞬で理解した上で彼は大きく身を低くした】
【ただの低姿勢という感じではない威圧感、もしかしなくてもこれは溜めの姿勢か、投擲が命中し脚から流血した時点で彼の行動は決まっていた】
【仮に別方向からの攻撃を行ってもそれよりも早く距離を詰めて拳を当てる自信があった、だから脚へと迫るナイフも恐れるつもりはない】
【―――今度は外さない、フィニッシュだ、と内心思った所で】


「―――――……フレッド!?貴様フレッドか!?」


【突如不意を突いたように上がった男の声にあ?と目を見開きながらわずかに固まった事で反応がわずかに遅れ】
【左足、ではなく身を低くした事で左腰の近くをすっぱりとナイフで切り裂かれる結果になった、そこそこ深く斬られたのか血がダラダラ流れ始める】
【あーあ、と残念そうな様子を見せた直後、―――マリオンの目の前の空間が爆ぜたように感じられただろう】

【溜めからの突進、その速度で一気にマリオンとの距離が詰まっていく】
【あげくさも当然のように弾道を籠手型グローブの鉄甲部位で塞ぎキィン!と音を立てて防がれてしまう】
【目と鼻の先、というところまで距離を詰めたところで、見知らぬ声に名を呼ばれた男は右腕をしっかり引き絞り】


――――ほんじゃあ今度こそ……『黄金の右』ッ!!くらいなァ――――!!


【今度こそ真っ向からその拳をマリオンの顔面めがけて力一杯に振りぬくだろう】
【繰り出される右ストレートの威圧感は、対応する前から悟らせる、まともに喰らえば顔面がひしゃげて思いっきり背後に跳ね飛ばされる結果になるだろう、と】
【左腰元を切り裂かれてもなお十二分に威力の乗った拳が放たれる―――!】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/11(月) 01:10:50.90 ID:/+xbTR6Io<> >>778

【背後からはワイヤーで巻き取られたナイフ。それに前方から音速で迫る銃弾。――避けられる可能性を検討はしていたが、コレには自信があった】
【常軌を逸した反射神経、動体視力。あるいはもっと別の何かか。例えそれがあったとしても、反応することと避けることとは違う】

【――が。それを見逃さなかったのは果たして幸運であったのか。敵が背後から迫るナイフに気づき、"その上で"攻撃に転じたのをマリオンは見た】
【ゆっくりと流れる刹那の中、何者かの声。そのお陰で深手を負わせることには成功したが、ほぼ同時に放ったはずの銃弾はいとも簡単にいなされ、】


っぐ、ぁあああああッッ――――、


【引き寄せたサバイバルナイフを握り込み、マリオンは辛うじてソレを受け止める。――受け止めてなお、全身を駆け巡る猛烈な衝撃】
【右肩の傷も左腰の傷も、この男には無に等しいのか。身体に満ちる狂気の衝動を一瞬上回るほどの驚愕と共に、マリオンは吹き飛ばされる――】



―――く、くひッ、ひひっ、

ひゃァーーーーーーーーーーーーーーーはははははははははははははははははははははははははははははははァァァ!!!!!


【……普通ならそこで終わりだった筈だ。だが殴り飛ばされるのと同時――ほとんど無意識のうちに、マリオンは右の拳銃の引き金を引いていた】
【悲鳴にも絶叫にも、嬌声にも聞こえる笑い声。それが天を裂くのと同じ速度で、残りの"三発"が男の顔・胸・腹の三箇所へ連続して吐き出される……!】
【能力は弱く、体術と小細工で立ち回る。そんな小賢しいマリオン・リヴァーズに唯一特筆するものがあるとすれば、この"執念"だ――】
【この銃弾に込められたのは悪足掻きじみた意図ではなく、まさしく妄執。果てのない狂気が生む意思の力――事ここに至って、この男はまだ嗤っていた】

【攻撃が成功するかどうかに関わらず、マリオンは叩き付けられた壁に身体を預けるようにして、フードの男を睨むだろう】
【空になった銃を捨て、新しいサバイバルナイフを右手に補充。ボロボロの身体で、両手にナイフを構えた近接戦の構えを取る】
【……まだ、目は死んでいない。濁り切った瞳には変わらず一片の清澄さもない。地獄の業火のような熱が、膨大な殺意と共にそちらへ向けられるが――】 <> 熊出の人
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/11(月) 01:44:29.00 ID:1JI5KNQP0<> >>776

/まだいらっしゃいますか? <> フレッド
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/11(月) 02:13:24.47 ID:86dn3WQWo<> >>779

「……な、なんという事じゃあ、剛の字の見舞いでも寄るかとほんのちょいと近道を選んだだけじゃったというのに……
気まぐれで選んだ先の道で、こんな事が待ってようとは……!!

―――フレッド!貴様こんな所で何やっちょる!?……全く何十年以来じゃあこうして貴様のツラを見るのは!?」


【マリオンが残りの弾丸を発射したのに対して彼も冷静沈着に対応、顔と腹へと向けられた弾丸には籠手で受けるが】
【残りの弾丸は左鎖骨付近に着弾、若干唇を噛みしめるような素振りを見せながら吹き飛ばされたマリオンの方を見た後で】
【即座に声が下方向に目をやる―――するとそこには愛らしい見た目の赤茶色のトイプードルがおり、フードの男の方向に近づいてくるのが分かる】


……んだぁこのクソ犬?おめーなんでその名を知ってる?……ああいやこれ犬が喋ってんじゃねえな、魔術で犬に自分の言葉を喋らせてんのか
そんなアホな趣味もってそうな奴と言ったら……わかった、おめームクだべ?おいおいお前の方こそまぁだくたばってなかったのか!?おでれーたなあ!
最後に会ったのおめーが"実刑"くらってしょっぴかれて以来だろ?まじで10年とかそんなレベルじゃねー再会だなぁオイ!

「今まで何をやっちょった!?ずっと連絡もよこさずうろつきおって!……あそこの若造は確か"GIFT"の構成員じゃったか?名前はマリオン・リヴァース
いやそれ以上に……なんじゃあそのザマは!?お前ほどの男が……"五発"も喰らわされたのか!?あんな青二才の若造に!?

……ガッカリさせおって!若き日は世界最強かもしれんと思わせたほどの『伝説級の無能力者』のお前が……"世界"を3度も救ったかつての英雄達の一人が、なんてザマじゃあ!」


【―――かつての英雄、伝説の無能力者】
【そんな言列を並べてくる喋る犬に対して、彼は呆れたようにグローブの指先で頭を掻きながら】


おめーなーそれ40年くれーは昔の話じゃねえかよー、……そりゃ秘伝の"アンチエイジング"の力で見た目は若々しいままにはしてるがよ?
それでもトシを重ねるごとに筋肉は思ったようにパワーは発揮しねえし、すぐ息も切れちまうんだ……もう最終ラウンドまでスタミナもたねえんだぜ?
それになにより……こちらのニンジャボーイが思いのほか侮れない奴だったのよ、全く持って本当に若い連中の伸びしろときたら……

よーう、マリオンとか言ったかニンジャボーイ?……約束だったからな、教えてやるよオレの方の"望み"を……と言っても動機なんざ単純なモンだ
―――単純な話、オメェら『全部』が邪魔くせえんだよぉ。だからぶっ潰す事に決めたわけよ、―――で、とりあえず最初のターゲットを"GIFT"に決めたわけよ


詰まる所本日の所は『宣戦布告』しに来たのよ。お前らをぶっつぶしてぇってな……つまり今日のは、ほんの挨拶代りだ
今日決着がつけられるとまでは思っちゃあいない、よって……続きを後日にしようかと思ってるんだがどうよ?


【―――"GIFT"に、宣戦布告?】
【約束というのはさっき言ってた……『もう一発でもオレにそのナイフを叩き込めたなら』とか言ってた奴だろうか】
【……年老いたとか自称しているが動きは正義組織の連中にも負けず劣らずの戦闘力だった、そんな"敵"がまた一人増えたらしい】

【挨拶代り……本当にそのつもりなのか、彼からは戦意が薄れ始めている……ここで勝負を一度お預けにするつもりか?】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/11(月) 03:01:05.65 ID:/+xbTR6Io<> >>781

【銃弾が一発、確かに届いた。僅かだが表情が歪んだのを確かに捉えた。それだけでも、この男には十分すぎた】
【――次はどこを引き裂いてやろうか。腹を捌いて手を突っ込んでやるか。指を叩き落として二度と拳が握れないようにするも良い】
【自分の劣勢などまるで関係ない。止まることを知らない、無尽蔵かつ不屈の狂気――それこそがマリオンの"飢え"であり"望み"だった】


(…………………、あァ? なんだぁコレは?)


【敵から仕掛けてくる様子はない。ならばこちらから――そう考えていた矢先。珍妙な乱入者によって戦闘は中断される】
【決して気を抜いたわけではないが、少しだけ毒気を抜かれたのは確かだった。それにフレッドと呼ばれた眼前の敵からも、敵意は薄れてきている】
【ただ――このフレッドという男がどんな出自であるかは知らないし、それが何だろうと関係ない。GIFTの大儀と、マリオンの"意志"を打ち切る理由にはならない】
【――だが。伝説級の"無能力者"という台詞だけは、絶対に聞き逃せなかった。マリオン個人としても、GIFTの構成員としても、だ】


く、クククッ……黙って聞いてりゃオマエ、なんだそりゃあ!!?
世界を三度救った英雄サマが堂々帰還を果たして、しかもムカつくからオレらを叩き潰しますって!!?
ひひひッ、はははははははははははッッ!!! しかもそれが"無能力者"だぁぁ!!? くははははッ、こりゃあ傑作だぜオイ―――!!!


【大胆すぎる『宣戦布告』を受け取って、マリオン・リヴァーズは笑いを止められなかった。それは嘲笑でもあったが、単純にその言い分が"愉しかった"からでもある】
【大言壮語を吐くだけあって、フレッドの実力は相当のものだ。英雄だとか伝説だとかの大仰な肩書きにも一定の説得力はあった】
【――が、それでこの男が萎縮するはずもない。老体一人に叩き潰されることを危惧するほど、マリオンはGIFTという組織を甘く見てはいなかったし】
【何より――個人として、逆に喜びすらも感じる。本当に"伝説の英雄"とやらを、それも忌々しい"無能力者"をこの手でブチ殺せるのなら、これ以上に"愉しい"ことはない――】


あァ、あぁ、いいぜ、乗っかってやるよ。オレも今日はここで引く。……それに、邪魔も入っちまったみてェだ。

だがそうだな……フレッド、とか言ったかジジイ。最後にひとつ聞かせろや。
テメェが戦うのは、"正義"とやらのためか? それとも――単に、オレ達が気に入らないだけか?


【劣勢だったのは自分の方だったにも関わらず、マリオンはナイフを仕舞うと余裕ぶった口調で戦闘体勢を解くだろう】
【その余裕は単なる空元気か、はたまたまだ"不意打ち"の手を残していたのか――それはわからないが、とにかく今日はここで終わりにする気になったようだ】

【――そして、マリオンが壁に体を預け、意味ありげに笑いながら"最後の質問"を飛ばしたのと同時。表通りの方から女性の悲鳴が聞こえてくるだろう】
【くいっ、と親指で指差した先には……通りの出口に、ぴくりとも動かず投げ出された両脚と、大量の血だまりが見える】
【……あの男だ。必死の思いで表通りから抜け出したところで力尽き、今になってようやく通りかかった一般人に発見されたといったところか】

【"正義"のためか、ただ気に入らないからブン殴りたいだけなのか――結果的には散々苦しんだ上で死ぬこととなったあの男を見て、】
【フレッドはどう思うのか。怒るのか悲しむのか、それとも平気な顔で流してしまえるのか。マリオンがフレッドに問うたのは、そういうことだ】 <> フレッド
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/11(月) 03:35:16.86 ID:86dn3WQWo<> >>782

【狂気に満ちた高笑いをすました顔で受け止め続けるフレッド……適当なところでそれを遮るように】


大変ウケたようで何よりだねえボーヤ、気に入っていただけたみたいでうれしいぜ
やる気マンマンでかかってきてくれた方がオレにとってもやりがいがあるぜ……楽しみだ、お前ら"GIFT"の『悲鳴』の聞ける瞬間が

「―――変わらんな、フレッド……未だにそんな調子なのか」


【旧友に会ってもなお、この期に及んでまるで改める様子のないフレッド、それを予想していたかのように呆れてため息をつくムク】
【どういう関係かは知らない、犬から聞こえる声は結構な年を食った男の物であるようだし、そうとう昔からの付き合いであるという事が予想されるだろう】
【そして、質問を受けた所で女性の悲鳴が聞こえる―――フレッドは眉一つ動かす様子も見せなかったがムクの方はその男の躯をみて苦い顔を見せる】

【しかし、その直後に―――フレッドの前に出ながら先に口を開く事だろう】


「―――当ててやろうかフレッド、お前の答えを。
……お前のスタンスは絶対今も変わっちょらんじゃろう。『テメェらが気に入らねえから』―――そう言って戦地へと足を運ぶ奴じゃったよ、昔からお前はな」

クケッ、よっくわかってんじゃねえかムク。覚えてるもんだなあ?
死んだら死んだ奴が悪い。生きてオレの邪魔になってる奴も悪い。―――だから喰らう、そんだけ

「やっぱな。……お前っちゅう奴はおおよそ善人とは程遠い生き物じゃからのう……しかしそんな奴でも、コイツに命を助けられた奴はいる。それが真実じゃあ」


【そこだけ明確にはっきりとマリオンに伝え終わったならば、彼は突如姿を現したその犬を引き連れて背を向けるだろう】
【路地裏の奥の闇へと。やがてほんの数秒でその姿も見えなくなるほど遠ざかる。最後にちらりとマリオンの方を向きながら】


あばよマリオン、またお会いできる時を楽しみにしているぜ


【と、淡々と一言だけ別れを告げ、完全にその場から気配を消してしまうだろう】 <> マリオン・リヴァーズ
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/11(月) 04:02:29.16 ID:/+xbTR6Io<> >>783


ひひっ、いいぜェ……フレッドっつったかオマエ。
無能力者ってところもいちいち余裕ぶったその性根も、まるっと全部いけ好かねぇクソジジイだが……そこだけは好感が持てる。
――――クソつまらん義憤やら大儀やら、そんなモンの為に向かってこられるよりはよっぽど面白い。


【フレッドの返答を聞くと、マリオンは満足したように笑うだろう。……この野獣のような男に好感を持たれるのが良いことなのかはさておき】
【口が裂けんばかりの狂笑がフレッドとムクを迎えるはずだ。気の向くまま好き勝手に壊し回るという意味で、コイツはオレと同類だ、と。そう感じたから】
【くだらないお題目で覆い隠された小綺麗な戦争よりも、ただ純粋に、剥き出しの殺意を愉しみたい――このジジイなら、それが期待できるかもしれない】


ひひはッ、じゃあなァクソジジイ!
次はこんなもんじゃ終わらせねえ。もっともっと愉しい趣向を用意して待っててやっからよォ……。
GIFTを叩き潰したいんなら、まずオレを殺しに来い。……ククッ、オレもその時を楽しみにしてるぜェ?


【そんな思惟と共に、マリオンは白熱する狂気に目を剥いてフレッドを見送る――粘つく殺意と燃えるような挑発だけが、その場に残されて】
【表では既に騒ぎになりかけている。売人を始末するという本来の任務はこれで終わったことだし、後はこちらも立ち去るだけ】

【……だが男は、ギリギリまでその場に残っていた。怪我の度合が酷かったのもあるが、足りなかったのだ】
【その場に残された闘争の臭いが、男を引き留めた。戦って殺すしか能のなくなってしまった狂ったアタマが、今宵の"敗北"を埋め合わせろと叫んでいた】
【――早急に次のコロシが必要だ。でなければ、狂ったままでいられない。身に宿した擬態の力がほつれて、心の一番奥の"擬態"すら剥離してしまいそうで、】
【脳内に走るノイズ――その閃光の奥で"マリオン・リヴァーズ"の笑みを反芻して、男はやがて帰って行くだろう。狂気のまま、更なる闘争を求めて……】


/お疲れさまでしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(空)<>sage<>2015/05/11(月) 04:41:44.80 ID:86dn3WQWo<> >>784

【戦いから離脱してしばらくした後、彼らは街道のど真ん中を歩いていた】
【久方振りに出会った二人の旧友、その片割れの犬ががちらり、と不敵な男の顔を見ながら】


「……あの倒れて死んどった男、助けんかったのか」

いやぁ?出来る事なら助けてもよかったさ、元々あいつもオレの獲物だったしなぁ
ただ貰えるもんはもらっちまったし、もう十二分に楽しませてもらったから……あんなもんでいいかなあと思ったんだ
いや、いやいや!やっぱ本腰入れて助けとくべきだったかなあーそっちの方がお得な思いできる所だったかも、だし


【ケタケタ笑いながら彼は犬を通じて喋る旧友の方向を向く】
【とりあえず表面的には男を助けなかった―――どころか殴った事を何一つ悪びれた様子も見せない】
【結局この男は狼藉を働く以外に何もやらなかった、行動には何一つ仁義にあふれるような行動もない】
【そしてそのことはムクも重々承知なのだろう、とばかりに、それ以上は問いただそうとしない】


……マリオン・リヴァーズ、か
"GIFT"がどんなモンか実際に確かめに行ってみれば……予想以上にいい収穫だったぜ
あいつはオイシーよ、そして……オレが思ってた以上の『逸材』だ……クケッ、喧嘩売りにいって正解だった

「……ふん、貴様が何やろうとしちょるのかは知らんがワシの邪魔だけはするなよ……」


おう、またな……また顔を合わせたら酒でもいっぱいやろうや
もっとも……それがいつの事になるかはわからねえけどな……クク、キ……おっと、いけねぇいけねぇ……


【突如姿を現したムクの旧友らしき男、フレッド】
【"GIFT"に宣戦布告を行ったこの男、果たして正義の味方たちの敵なのか、味方なのか―――それは今なお『不透明』であった】

【to be continued…】

/お疲れ様でした!
/本当に遅くまでお付き合いいただき感謝いたします…… <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/11(月) 15:11:05.90 ID:FSFexszDO<> >>773

【本を投げ渡されれば、手荒く扱うことなどなく慎重にページを捲る】
【いくら写本とは言え、眼前のものが古書であることには代わりない。それに所有権は彼にあった】
【社会の鼻つまみ者である娼婦ながらに、不思議と書物や所有者に対する礼儀はなっていた。ページを捲る。仕事の時のような、緩やかな指の動きだった】


【しばらくの間、ロゼッタはその場で魔導書を読み耽る。何故娼婦が魔術師で、何故貪るように書物を読むのか】
【そんな疑問がどうでもよくなる程に、彼女は本に没頭していた。途中疲れたのか、椅子ではなく本棚の前に座り込むぐらいだ】
【途中で何回か、彼女は読む本を変えた。その全てが黒魔術/影魔術に関するもの】
【最後まで読まずに、時折ふらふらと蝶のように、あちらの本へこちらの本へと読み物を入れ替える】
【なにかを探しているようにも見えたし、知っている項目が多い本だったのかもしれない】
【とにかく彼女は本に夢中だった。表情は真剣で、言葉も彼にはかけず独り言を思い出したように紡ぐだけ】
【──寝起きの娼婦も珍しい。けれど、こんな表情を浮かべている彼女は、寝起きを見られること以上に珍しいかもしれなかった】
【妖しげな笑みもなければ、囁くような声もない。呼吸で胸元が上下し細い指が紙上を撫でる】
【静寂の空間。彼女の生きている音と紙の音が、はらりとするだけの空間】
【明確な隙、だった。きっとこれこそが、彼女が誰にも見せることのない本当の「素」なのだろう。そしてそのことを、彼女自身も気付いていなかった】


【何冊、読んだだろうか。どれ程、時計の針は動いただろうか。はぁ、と彼女は大きく息をつき、ぐぐと控えめなのびをする】
【ようやく意識が本から離れたのか。もしかすると同じ体勢を取り続けた疲労から、離さざるを得なくなっただけかもしれない】
【けれど再び彼女が書物に思考を沈ませることはなかった。少しばかり周りを見て、彼の姿を探す】
【近くにいるならばその場から。近くにいないならば家の中を探して、彼に声をかける】


ふふ……ごめんなさいね。つい、夢中になりすぎたわ
それにしてもすごい数よね──写本なのでしょう? 全部
あなたがそういうマメな性格だなんて、ちょっと意外だったわ
それとも……ふふ。写本の魔術でもあるのかしら


【──昼過ぎのあの不機嫌さは、もう完全に消えていた。あるのは古書に対する充足感と、まだ読んでいたいという気持ちだ】
【疲労のせいか、ゆるりとした声でゆったりと彼女は話す。「寝起き(アレ)」の方が特殊だったのか、その口調は以前会った時と然程変わらなかった】
【違いがあるとするならば、まだ意識が書物から抜けきっていないことか。心地よいだるさが、どこか彼女の中にあった】

/昼過ぎとかいっておいてもう夕方前……申し訳ないです
/お返ししておきますねー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/11(月) 16:04:08.50 ID:zUTUgRnno<> 【公園】

誰かに伝えるべきなんだろうがなぁ

【ベンチに腰掛け、腕を組んで唸る人が居る】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性である】

と言っても俺っちはレイン…つーかセリーナとか言う人の知り合いは知らねえしっと
どうしたもんかなぁ、かーっ

【参った参ったと知恵熱でムズつく後頭部を掻くと】
【側頭部の傷に微かに手が当たって痛っと声を漏らし】

かーっ、悩むなんて俺っちらしく無いじゃねーかってーの
こういう時は―――

【ベンチの下に有ったノボリを立てる】
【そこにはシンプルに、「刃物”等”、砥ぎます」と書かれており】

果報は寝て待てってな!かーっ!

【そう言って腰掛けていたベンチに横になる】
【閑散とした公園、そこにある唯一のベンチを占領する形で有り】

【何よりこの人物、商売の届など出さずに勝手に商売をしている様で…】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/11(月) 19:53:30.39 ID:g6P7V44ho<> 【街中】

【暗くなり始めた都会の人混みの中で1人だけ頭ひとつ抜けている男。こういう時、高い背は】
【悪目立ちする。サングラスをかけ、Tシャツジーパンにトレンチコートを着てぶらぶら歩いていた】
【足早に家路につく人混みの中ではすごく邪魔で、それでもマイペースに街頭が灯るのを見ていた】

【片手には缶ビール。平日だがもう既に結構いっている。そんなダメ人間も一応これでも世界を股にかけた】
【泥棒で指名手配もバッチリの有名人のはず(たぶん)なのだがこれといった】
【シゴトがなければ酒を飲むか博打で負けるかヤケ酒を飲むぐらいしかすることがない】

はぁ……もう、こんな時間か……UTもアレだし…あいつらも忙しいし…暇なの俺だけだな

【泥棒仲間は大抵、本業(会社員だとか密売人だとか)があって平日の殆どは社会人だ】
【何かと縁のあるUTはここのところ込み入ってるし、元々立場柄ブラブラ行くのも気が引ける】
【飲み屋に行けば何かと面倒に巻き込まれがちだし、ギャンブルするほど手持ちもない…】

【大人ってのは自由だが自由すぎて退屈だ。それに言うほど自由でもない…アルコールの回った頭では】
【そんなくだらない事しか考えられなかった。帰ろうにも帰るところなんて無い。大人と泥棒は悲しいものだ】
【アルコールにやられて物思いにふける足取りは覚束なかった。通行人から邪魔で、それに不審だ】

<> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/11(月) 20:20:52.69 ID:KE4t5hENO<> >>786

【本を受け取った後のロゼッタにも、またアインは驚いた】
【優れた術師であることはわかっていたが、才能によるものだと考えていたのだが】
【本に向かう彼女は勤勉そのもの。あまりにも意外な姿だった】

【静かに本を貪るロゼッタをアインは決して邪魔をしなかった】
【彼女がそうしている間に、老人から手に入れた古文書の解読をして過ごし】
【あるいは、椅子に座ったまま物思いにふけていたりした】

【そしてロゼッタに声をかけられて、彼は彼女へと頭をあげたのだった】

お前がそれほどまでに熱中するとは思いもしなかったぞ

【そう言うアインの顔は喜びが隠しきれない、といった感じだった】
【行っていることがなんであれ、彼は魔術師だ。魔術に興味を持つ人間は好ましかった】

俺の世間からの評判は悪いからな、ちょっと油断するとあいつらは本を燃やしやがる
それを防ぐには写本するのが一番ってわけだ……それに、俺がやってるわけじゃない

【アインが指差した先には大きめの机。小人たちがその上で写本作業を続けている】
【机の端や床の上にはぐったりと寝ている小人が数匹。今もまた、写本作業を何匹かが交代していた】
【こうやって絶えず写本作業をしているのだろう──この小人が】

//すいません、遅くなりまして <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/11(月) 21:09:42.62 ID:FSFexszDO<> >>789

【熱中するとは思いもしなかった。そう言われれば、彼女は少し困ったような笑みを浮かべるのだ】
【書物を読んでいる姿など、他人に見せたことがないのだろう。どう反応していいか困っている──そんな笑みだった】
【「少しね、ほら……私だって、使うもの」そう気まずそうに返す。素直な喜び──そんな綺麗な感情は、なんとなく苦手だった】

【気まずさを隠すように、アインが指差す方を見る。先ほどから視界の端をうろうろしていた小人たちがそこにいた】
【まさか、この虫みたいなのが写本をしているというのか。いや、実際にしているのだから疑いようはないが、しかし……】


…………、コレが写本、しているの?
いえ、本を燃やされることへの対処方が写本だってことは理解できるし納得よ?

でも…………これ? これが写本? 嘘でしょ? というか……この子たち、文字とか理解出来るの?


【にわかには信じがたいことだった。交代で作業を行うことに知性の欠片を感じられはするが──】
【小人たちを見るロゼッタの表情は複雑だ。まるで寝起きの娼婦を見たかのような顔をしている】
【それでも多少興味はあるのか。写本作業をしている1匹(?)の小人にそろそろと指を伸ばし】


…………。……………………。………………………………。


   【  ぶ  に  】


【潰す。全力で潰しはしないが、桃を凹ませるノリで小人をつつく】
【小人が抵抗しようが嫌がられようがお構い無し。ぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにと無心でつつく】
【もはやこれは義務感だ。何故だかこうしなくてはいけないという感情に駆られ、ひたすら潰す】
【ぶにぶにぶにぶに。目に光がない。ぶにぶにぶにぶにぶに。潰す。潰す潰す潰す】
【小人の反応など完全に無視。傷口フェチ(?)といいこの光景といい、もしかしてこいつ虐めっ子なんじゃなかろうか】

/気付くのが遅れました、ごめんなさい <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/11(月) 21:21:30.67 ID:KE4t5hENO<> >>790

【気まずそうにするロゼッタがアインには少し面白かった】
【あの娼婦がそんな顔をしていては、面白くないわけがない】
【くくっ、なんて音を立てて彼は笑うのだった】

文字が読めるわけじゃない。そいつらは見えてる「記号」を写してるだけだ
だが面白いことに、意思の疎通はできるみたいでな……

【アインが小人たちの方へと顔を向けると、それに気づいたかのように各々がアインを見返していた】
【ロゼッタが見れば、やはり彼ら(彼女ら?)はロゼッタを見返して、何やらひそひそ話を始めるのだ】
【そんな中の一匹をロゼッタの指がつつくと──】

「ぁぅー!!」

【鳴く。何やら怒った感じで】
【ぶにぶにぶにぶにと引き続き突かれ続けるとそれに応じて叫び声的なものをあげるのだ】
【それだけでなく小さな手足をじたばたじたばたと暴れさせるが、力が小さすぎて効果がない】

【仲間の危機を感じ取ったのか、他の小人たちも集まってロゼッタの方に顔を向け】

「ぷっ」
「ぷっぷっ」

「ぷっぷっぷっぷっ」

【──なんか、飛ばしてる】
【いや、特に何も出てはいないが、口を尖らせて何やら破裂音を出している】
【どうもこれが威嚇らしい。何の効果もなさそうだ。可哀想だが小人はロゼッタの餌食になり続けるしか──】

……何イジメてるんだ
それでも俺の使い魔みたいなもんなんだぞ、いじめるなよ

【流石に飼い主がため息まじりに止めに入った。すっかり呆れかえっている】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage<>2015/05/11(月) 21:33:52.11 ID:KE4t5hENO<> //ぶにぶにつつかれたんで次遅れます!!(激怒) <> ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/11(月) 21:35:13.35 ID:FSFexszDO<> >>791

【アインの言葉が聞こえているのかどうかも怪しい。そのレベルで無心につつく】
【潰す。潰す潰す。潰す潰す潰す潰す潰す。暴れようが叫ばれようがひたすら潰す】
【だがなにかを飛ばされ(?)、流石に一度彼女は動きを止め──】


────何よいっちょまえに威嚇でもしてるの!?
小さいくせに生意気よ、な・ま・い・き!

それに虐めてなんかいないわよだいたい使い魔とはいえたくさんいるじゃないこんなに! うじゃうじゃと!
それとも何!? あなたこの子たちみんなの見分けつくの!? ジョンとかタマとかエミリーとか名前でもつけてるわけ!?


【ぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶに】
【ぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶに】
【ぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶに】
【ぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶに】

【もはや暴走状態。大量の小人に威嚇されその上アインに呆れられてイラっときたのか】
【つつく速度も相当早くなっているし口調も寝起き怒りモードの時そっくりだ】
【もう彼女を止めるには言葉では無理だ。実力行使に、出なくては──!】

/ぶにぶに了解でっす <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/11(月) 22:12:35.52 ID:KE4t5hENO<> >>793

いや、見分けは正直つかないが……

【ぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶにぶに】
【ぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっ】
【いじめっ子と小人たちの謎の攻防戦が繰り広げられる。一体いつ終わるのか】

おい、そんなにつつきまくると……

【アインが何か言おうとしていたがきっと今のロゼッタには届かないだろう】
【小人たちは何か吹いていて、突かれてるのは暴れていて、ロゼッタも暴れていて──】
【収拾が全くつかない! そんなわけのわからない状態でついに小人が怒った】

「ぁぅー!!!!」

【 が ぶ っ ! 】
【突かれていた小人が妙に素早い動きでロゼッタの指に噛み付いたのだ!】
【クッキー(餌)を噛み砕く小人どもの牙は案外痛い。こう、じみーに痛いのだ】

//戻りました。さぁ反撃開始だ(白目) <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/11(月) 22:37:55.65 ID:FSFexszDO<> >>794

【届かない。アインの助言はまるで聞こえていない。ぶにぶにぶにぶにとつつきまくる】
【しかもだいぶキてるのか、「何が(・ワ・)まだぷにぷにするです? よ! 潰す潰す潰す潰す潰す」などと危ない独り言まででる始末】
【だが行き過ぎた行為には天罰が下るというのが世の常。その白い指に無情にも、小人の鋭き牙が突き刺さる──!】


──────────ッッッッッ!!

いっ……いったぁあぁ────い!


【よもやこんなに小さな虫(ロゼッタ視点)に噛みつかれるとは思わなかったのだろう】
【そもそも牙があること自体分からなかったし第一歯なんてないとばかり思っていたのだ】
【故に認識外から割り込まれたダメージは肉体ばかりでなく精神にまで傷をつける。大きくあがるロゼッタの悲鳴。そこに混ざる小人の怒り】
【もうその場は阿鼻叫喚。甲高い声のフルコーラスだ。しかも悲鳴の直後に女のヒステリックな文句が混ざり──】


最低! 最低最低最低最低最低!!
なに!? なによこいつ! ふざけてるの!? いったいのよ誰に噛みついてると思ってるのよ潰す潰す潰す潰す潰す────ッッッ!!
虫のくせに生意気! 小さいくせに! 最ッッッ低!!
なんなのよ痛い痛い痛い痛い痛いちょっとあんたぼさっとしてないでこいつなんとかしなさいよ────!!


【とりあえず小人をなんとかしようと全力で腕を振り回す。女は長身なだけあって、腕もすらりとしているが】
【そんな腕をぶんぶんとブン回されたのだ。その末端も末端に噛みついている小人にかかる力は並大抵のものじゃない】
【しかもこの女、こうなっているのは自業自得のクセして小人だけでなくアインにまで文句を言い出す始末だ】

/ごめんなさい、今度はこちらが落ちなくてはならず……
/続けるかどうかはおまかせします。明日も今日くらいの時間帯にお返しできるかと
/それと、返せる時間帯が安定しないかもしれないので、継続の場合は置きに移行していただくとありがたいです
/ではひとまず、お疲れさまでした! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/11(月) 22:44:49.30 ID:KE4t5hENO<> >>795

【がじがじがじがじ────】
【小人の怒りはもちろん収まらない。噛み付いた指に更に何かこう、牙を立てている】
【とはいえ、大きさがあまりにも違いすぎた。ぶんぶんとロゼッタが腕を振ると】

「ぁーぅー!」

【なんて情けない鳴き声をあげてぴょーんと空中に放り出されていった】
【そのまま床に華麗に着地。他の小人たちと一緒にまた「ぷっぷっ」と謎の威嚇を開始】
【一連の流れを見ていたアインはため息をついて、呆れてものも言えないという感じだ】

お前は……いい女なときとそうでないときの差が激しいな……
そもそもこいつのどこが虫だ。どんだけいじめっ子なんだよお前は……

【アインは机の上にある缶を開けて中からクッキーを取り出し、細かくして小人たちへばらまく】
【各々が降ってきたクッキーを取ってはぽりぽりと食べていた。そう、これが餌だ】
【更にカップにミルクティーを淹れて机の上に置くと、それにも小人たちが群がっていく】

//了解しました、次からは置きに移動しますねー!
//おやすみなさい <> サフィア/照垣我鬼
◆rrHt9B4adXq4<>saga sage<>2015/05/12(火) 00:27:34.66 ID:TQRByZwe0<>

【とある川】

【音もたてず静かに流れていく川、その中程は夜の暗闇の所為で水面が見えづらいのもあってか少し深そうで】

【その川の岸辺、川の中程をじっと見つめながら佇むのは一人の少女】

【年は十五歳前後。ハニーブロンドのセミロングに赤紫色のパーカーに裸足といったいでたちで】
【履き物はというと黒と水色のボーダーのニーソックスと赤茶色のショートブーツが彼女から少し離れた場所に揃えて置かれている】

【少女は何を思っているのか深刻そうな顔付きで川面をじっと見つめていたが、やがて決心したような面持ちで「よし……」と小さく声を掛けると中程を目指して川の中に入っていこうとする】





【路地裏】

【表通りのやまない喧騒の合間に微かに聞こえてくるのは誰かのすすり泣き】

【その微かな音につられてこの場所に出向いたのならば、其処にあるのは奇妙な光景】

【蘇芳色の少し長めの髪に黒いレザージャケットとパンツ、白のワイシャツ姿の二十歳の青年】
【髪はボサボサ、服は所々汚れてボロボロな上に彼の身体の彼方此方からは血が滲んでいて】
【そうして蹲っているのだが】

【その両腕に大事そうに踏みにじられて汚れた白いカーネーションの花束を抱えているうえに件のすすり泣きは青年から発せられていて】

【……要するに大の男が花束を抱えてすすり泣いているという現状なのだが】



<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/12(火) 22:21:12.39 ID:w+5tB+2A0<> 【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 森】

……18ッ……19ッ……20ッ!
っぅおぁー……腿もふくらはぎもギンギンしてやがる……!

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【ひょろっとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫が】
【肩に棍を担ぎ上げ、屈伸運動――――言うところのスクワットを繰り返しながら、呻き声を挙げている】

【――――棍には、両端に水の入ったバケツを2つづつぶら下げており、身体の震えが伝わるのと連動して、チャプチャプと憎らしい音を立てている】

……ストリングス、サプルネス、スタミナ……やっぱ足からか……?
っ、ぐ……くそ、そろそろ身体も戻ってきてくれれば良いんだがよ……!

【肩から棍を下ろし、ぜぇぜぇと荒い呼気を整えようとする。バケツが下ろされ、チャプッとわずかに地面に零れ落ちた】
【分泌された汗を撫でる様に、爽やかな夜の風が一陣、駆け抜ける――――】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

……『セリーナ・ザ・"キッド" 死傷者多数出して逃亡』……ね……
……回復したら、彼にも知らせなきゃいけない、か……

【明るいピンク色の長髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、前髪をやや膨らませる様にセットしている】
【紫色に着色されたカジュアルジャケットと、レギンスとハーフパンツを組み合わせて着用している】
【――――目元にレンズ、両耳に円形のボディ、後頭部に装着用の調節器が一体化した、機械的なバイザーをつけている、身長160cm前後の女性が】
【薄汚い壁に寄りかかりながら、携帯端末の画面を物憂げな表情で覗き込んでいる】
【何らかのメールニュースでも見ているのだろう。その文面と思しき語句をポツポツと口に出しながら】

……まさか、こんな事になっちゃうなんて思わなかったって、ね
……もう、会う事も笑い合う事もないんだろうな…………しょうがない、か…………っと

【端末を仕舞い込み、ため息と共に足元の新聞紙をサッと払う女性】
【直後、バサッと空から一匹のカラスが痙攣しながら、そばに墜ちてくるのを見つける。女性は白けた様子で、肩をすくめていた――――】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/12(火) 23:30:24.42 ID:w+5tB+2A0<> />>798取り消しで <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/13(水) 12:32:33.80 ID:TEzlyljgo<> 【昼の国・宗教都市ゼン=カイマ】

【すでに夏のような日差しが降り注ぐこの街の一角で、大きな火の手が上がっていた】
【場所は街の中央に程近い教会。突如爆発が起きて、ということらしかったが】
【どうにも事故ではないらしい。何故ならば、現場には火球を無数に展開する"魔女"が居たからだ】

【紫のマントにつば広の帽子、それから黒の長髪と見るからに術師である彼女は】
【今一度、起爆性を持った火球を教会の壁に放つ。轟音と共に白煙が上がり】

フフッ、随分と警備が甘いこと……聞いていたよりも温いわね。
あの方の時代は、もっと歯応えがあったと記憶しているけれど…――。

【――魔女が攻撃する教会は特別な意味を持つ場ではないが、現在とある人物が幽閉されている】
【無論、それを誰しもが知っているわけではない。知らずとも、攻撃されていることは事実であり】
【今現在も守備に就いていた騎士が二人、瓦礫のなかで呻いていた】

/四時頃で一度切らねばなりませんが、よろしければー <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/13(水) 19:51:00.26 ID:xsnyKu9m0<>
「はぁ…」

【とある街】
【そこの中心部に存在する公園の広場にて、ぽつんと噴水の所に腰掛け溜息を吐く女がひとり】
【昼間こそ人で賑わうそこであるが現在の時刻は夜であり、広場はおろか公園内にさえ女以外の人影はぱっと見では見当たらない】
【どうやら女は一人で、否。『二人』でこんな人気のない場所へ訪れているようだった】

【仄かな街灯と噴水の水飛沫に反射して輝く白銀の髪と月色の瞳…そんな美しい髪と瞳を持つ女】
【未だ幼さを面影に残す女の腹はまるで、いやどうみても、妊婦のそれであった】
【膨らんだ腹部を摩りつつ、その手の動きはぎこちなく何故か怯えているようにも見える】
【ノースリーブのワンピースに薄手のカーデという服装のせいか心なしか顔色も悪い】

「私…これからどうすればいいの?」

【柔らかな声音は弱弱しく言葉を紡ぐ】
【夜の公園に身重の少女、しかも衣服以外の手持品は一切見受けらえないのだ】
【どう考えても怪しい光景、それに気付く者は果たしているのだろうか】

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/13(水) 20:24:37.30 ID:g2yGNLIG0<> >>801

【昼間は遊んでいる子供達の歓声や憩う人々の姿で賑わう公園も、夜になると寂しいもので】
【人影は見当たらない。当然か、もう夕飯時なのだから皆自宅に帰ってしまっているのだろう】

【そんな公園を、もう一人の女性が通りかかる。】
【鳶色の長髪にブラウンの瞳を持ち、タイトスカート白いシャツのスーツ姿……仕事帰りだろうか】
【端正で穏やかな顔立ちは優しげで、およそ恐怖感や不信感を与えるようなものではない。】
【手には買い物袋。中は夕飯の材料だろうか、玉子やらひき肉やら玉ねぎやらが入っている】
【容姿「は」20代半ばから後半辺り。すらりとした体型や艶やかな肌はは若々しさを持っている】
【……まあ、不審な人物ではなさそうだ。どこにでも居そうなお姉さん、くらいの印象を抱くだろうか】

【彼女は目的があって公園を訪れた訳では無く、単なる帰り道として公園を横切ろうとしただけ】
【―――だったのだが。ある物が……いや、ある「人」が目に入ったことで、足が止まる】

(……あれは―――?)

【―――見れば、こんな時間に少女が一人で居るのだ。いつもはこの時間は誰も居ない公園なのに】
【少女が夜に公園で一人でいる時点でおかしい。だが、それ以上に注目すべき点が一つ】
【その少女は―――妊娠しているようだ。お腹が大きく膨れているのが遠目からでも分かる】
【どう見てもおかしい。少女の事が不安になった彼女は、少女の方へと速足で歩み寄り】
【怖がられないように、柔らかい微笑みと共に優しく声を掛ける――――】

……もしもし。大丈夫ですか?顔色が優れないようですが……

【―――彼女の声は、穏やかで優しいものだった。緊張感と警戒心を抱かせないような】
【まずは、怯えた表情を和らげれば良いのだが……】

//まだいらっしゃれば! <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/13(水) 20:45:19.92 ID:xsnyKu9m0<> >>802

「ひゃあっ!?は、はい!?」

【物思いにふけっていたのだろうか】
【俯いていた女は近付いてくる人物に気付かなかったようで、声を掛けられると同時に素っ頓狂な声をあげる】
【びくっと身体を震わせるとあわあわとした様子で顔を上げる】
【ああどうしよう。ここなら人もいないと思ったのに!そんな叫びを心の中で抑えつつ、半泣き状態の少女がまず目にしたのは……】

「……あ。」

【とても綺麗な女性であった】
【予想していなかった人物に少女は目を丸くするものの、すぐに心配されているのだと気付いて】

「あ、は、はい!大丈夫、です。少し散歩をしてたら、その、気分が悪くなってしまっただけで…休んでればもう少しで元気になるとおも、思いますので…」

【なんとも歯切れの悪い言葉で相手の女性に心配はいらないという旨を伝えようとする】
【しかし少女は嘘を吐くのが苦手なのだ。身振り手振り、言葉の節々等から即興で誤魔化そうとしているのは見え見えだろう】
【体調が優れていない訳でもないし、散歩をしている最中でもない、ほとんどが嘘】
【こんな自分の身を案じてくれた女性には申し訳ないが、嘘を突き通すしかないのだ】

「だ、だから、あなたは早くあなたのお家に帰った方がいいですよー…なんて。」

【気弱な少女が言える精一杯の突き放すような部類に入る言葉】
【信じてくれるか、というよりも黙認してくれるかはお相手次第】

/よろしくお願いします! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/13(水) 21:19:34.93 ID:g2yGNLIG0<> >>803

【出来るだけ驚かせないように注意していたのだけれど……結局驚かせてしまったみたいで】
【少女は見るからに驚いたと言った風に素っ頓狂な声を上げたり慌てふためいたりしている……】

【はにかむように苦笑いしながら、微笑みを交えて「ごめんなさいね、驚かせちゃったみたいで……」と謝る】
【心配して声を掛けたのに、驚かせてしまっては逆効果。びっくりさせるつもりは微塵も無かったのだけれど】
【……まあ、公園で一人でいるところで知らない人に声を掛けられたら驚くのも無理はないか。なんて思いつつ】

【―――返って来た少女の言葉は、歯切れの悪いものだった。……―――この少女、たぶん嘘をついている。】
【きっと、嘘が苦手な子なのだろう。誤魔化そうとしているけれど、……誤魔化せていない】
【なにか嘘をつかなければいけない理由があるのかもしれないけれど―――ならばこそ、ますます放っておけない】
【相手は身重の少女だ。少女の「少し散歩していただけ」という言葉が嘘だとするならば……恐らく、行く当てもないのだろう】

【黙認する訳には行かない。一人の人間として、母として、この少女を放っておく訳には行かない―――!】

ふふっ―――貴女は、素直な人なのですね。……隠し事をしても、すぐに仕草に表れちゃいますもの。
財布も鞄も、何も持たずに散歩に行く人なんていませんよ。……嘘をついてでも、隠さないといけない事があるのですね?
―――大丈夫ですよ、貴女の隠している事について訊こうとは思っていません。でも……

……お腹に、赤ちゃんがいるのでしょう?そんな貴方が、こんな時間に一人でいてはいけませんよ。
―――帰るあてはあるのですか?

【……そう、この少女に帰る場所があるのか―――それが問題だ。】
【一見して、この少女は何も持っていない。ただ行く当てもなく、途方に暮れて公園に居たのではないだろうか】
【ただでさえ不安定な妊娠中の身。落ち着く場所が無いとなれば、母子ともに危険だ……】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga sage<>2015/05/13(水) 21:36:33.52 ID:QC0i5WPJ0<> //>>797で再募集します!  <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/13(水) 21:47:38.73 ID:xsnyKu9m0<> >>805

「い、いえ。私が勝手に驚いた、だけなので…気にしないで下さい。」

【謝る女性に少女は驚いた表情を見せ、尚一層困惑してしまう】
【どうして貴方が誤ってしまうの。私が悪いだけなのに。お願いだから謝らないで。悪いのは私だけでいいんだから】
【少女の心の中を掛け巡るのは戸惑いと申し訳なさと、罪悪感】
【気にしすぎだろうというレベルだがこれが少女にとっては平常運転なのだ】
【自分が悪いと何もかも抱え込む鬱屈な心】【それは自分が不幸であるという単なる自己陶酔か、それとも】

「……う、ごめんなさい…。」

【女性の穏やかな声に思わず息詰まってしまう少女】
【素直という言葉は少女にとって勿体無いくらいの言葉であったが、女性がこれしきの嘘で引き下がる訳もない】
【嘘をついてしまってごめんなさい、と言わんばかりに羞恥で顔を赤らめて俯いてしまう】
【下を向くってとてもいいことだ】
【優しい声も、綺麗な人も、蔑みも、奇異を見る目も、現実も何もかもに向き合わなくて済むから】

「か、帰る当ては…ないですけど。で、でもでも!私って身体は丈夫なんです!野宿なんてもう何回やったのか覚えてませんし、食べれる草とかも分かります!
 この、その…お腹の子も丈夫だから…だから平気なんです、よ?」

【下を向いたまま空元気のままに饒舌に喋り出す】
【大丈夫。この女の人はとても聡明で、勘がいい人だろうから、私が貴方を拒絶してるって、きっとわかってくれる】
【何故か最後の言葉だけ妙に確信した物言いであったが、おべんちゃらはそこで途切れ、ぽつりと】

「……だから、おねがいですからこんな私を、見ないで…。」

【「貴方は私にはまぶしすぎる」、僅かに震える声でそんな言葉を口にした】


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/13(水) 22:31:18.94 ID:g2yGNLIG0<> >>806

【……どうやら、この少女が抱え込んでいるのはお腹の子供だけではないようだ】
【下を向く少女が紡ぐ言葉は、なおも己や彼女を誤魔化すようなものばかり。……そして】
【最後に一言。―――「『こんな』私を、見ないで。」と、震えるような声で】

―――

【分かっている。彼女は自分を拒絶している。放っておいて欲しいと思っている。でも―――】
【―――だからこそ、放っておく訳には行かない。こんな少女を、一人にしたくはない。】
【そんなに自分の事を悲しく思う貴女を、そんなにも悲しげに下を向く貴女を、一人には出来ない―――!】

……貴女がどんな貴女であろうと、私は構いません。それに……少なくとも、誰かを悲しませるような人じゃない。
貴女は、何でも自分で抱え込んで己を蔑んでいるようですが―――私はそれが、貴女が優し過ぎるが故と思えてならないのです。
「こんな私」?……いいえ、貴女はそんなに蔑まれるような人間ではありません。―――少なくとも私は、そう思っています。

―――帰るあてが無いなら、私の家に来ませんか?
娘を持つ身として、貴女に色々アドバイスも出来るかもしれません。私が妊娠してたのなんて、もう13年前の事ですが……
……大丈夫です、私は拒みませんよ。―――「こんな私」を蔑んだりはしません。
何でも抱え込み過ぎると、その内抱えきれなくなってしまいます。だから―――私にも、貴女を支えさせてくれませんか?

【これはお世辞でも取り繕った言葉でもなく、本当に心から掛けた言葉だ。―――彼女の瞳を見ればそれが分かる筈】
【決して、少女の事を蔑んだりはしない。妊娠している身を心配こそすれ、奇異の目で見る事も無い。ただ、優しく】
【―――そっと、手を差し伸べる。恐る恐るでもいいから、その手を握ってくれることを望んで……】

//すみません、遅くなりました……! <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/13(水) 22:58:49.01 ID:mQkVh+aCo<> 【街中】

【暗くなり始めた都会の人混みの中で1人だけ頭ひとつ抜けている男。こういう時、高い背は】
【悪目立ちする。サングラスをかけ、Tシャツジーパンにトレンチコートを着てぶらぶら歩いていた】
【足早に家路につく人混みの中ではすごく邪魔で、それでもマイペースに街頭が灯るのを見ていた】

【片手には缶ビール。平日だがもう既に結構いっている。そんなダメ人間も一応これでも世界を股にかけた】
【泥棒で指名手配もバッチリの有名人のはず(たぶん)なのだがこれといった】
【シゴトがなければ酒を飲むか博打で負けるかヤケ酒を飲むぐらいしかすることがない】

はぁ……もう、こんな時間か……UTもアレだし…あいつらも忙しいし…暇なの俺だけだな

【泥棒仲間は大抵、本業(会社員だとか密売人だとか)があって平日の殆どは社会人だ】
【何かと縁のあるUTはここのところ込み入ってるし、元々立場柄ブラブラ行くのも気が引ける】
【飲み屋に行けば何かと面倒に巻き込まれがちだし、ギャンブルするほど手持ちもない…】

【大人ってのは自由だが自由すぎて退屈だ。それに言うほど自由でもない…アルコールの回った頭では】
【そんなくだらない事しか考えられなかった。帰ろうにも帰るところなんて無い。大人と泥棒は悲しいものだ】
【アルコールにやられて物思いにふける足取りは覚束なかった。通行人から邪魔で、それに不審だ】 <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/13(水) 23:00:34.79 ID:xsnyKu9m0<> >>807

「それは…だけど、私は…」

【じわり】
【誰かを悲しませるような人ではない】
【その言葉には少女の心を抉る、最大の一撃に等しいものだった】
【未だに地面を見ながら何かを否定しようとして言い淀む】【『それ』は出会ったばかりの人間にそう簡単に言えるものではない】
【『それ』は自分にとって最大の奇跡と懺悔が折り重なったものなのだから】
【そのまま無言でいようとする少女だったのだが…】

「……っっ!」

【じわり】
【女性の言葉に少女が悲鳴にも似た声を漏らす】
【跳ねるように顔を上げた少女の顔は、なんとも情けない、涙を堪えている姿だった】

「……なんでですか」

【じわりと】
【視界がブレる。涙が溢れる。悲しい?ううん、嬉しくて止まらないのだ】
【さっき下を向いたときから本当はきっとずっと嬉しくて堪らなかった】【相手への罪悪感は相手が言葉を重ねるうちになんとも自分勝手な感情に変わっていった】
【本当に自分勝手でいやな、自分だ】

「どうして見ず知らずの私に、こんな…こんなに優しくしてくれるんですか?見るからに変な、私を。」

【どうしてこんな気持ちになってしまうのか】
【どうして自分をこんな気持ちにさせるのか】
【つっかえつっかえの言葉で相手に尋ねる】【少女には純粋に相手の優しさは理解ができないことだったから】

//いえいえご気にせずに…!
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/13(水) 23:41:57.53 ID:g2yGNLIG0<> >>808

【俯いて目を合わせないようにしていた少女が、顔を上げてくれた。】
【―――その顔は、涙を堪えていたものだったけれど。でも、ちゃんと顔を上げてくれた。】
【「まぶしい」なんて言って、目を逸らさずに……下を見ずに、自分の事を見てくれた。】

【―――やがて少女の涙が堪え切れずに溢れる。堰を切ったように、とめどなく。】
【……涙は、嬉しさや悲しさといった感情が心の器からあふれた時に流れるもの。】
【この少女の涙は、何の涙だろう。……少なくとも、悲しみの涙では無いような気がして】

そうですね、もし理由を挙げるとすれば……―――わたしもかつて貴女と同じだったから、でしょうか。
昔の私も、大丈夫な訳がないのに大丈夫なふりをして……無理をして笑っていました。
心が潰れてしまう寸前まで、ね。―――その時、どうして私の心は潰れなかったと思いますか?
……私の心を支えてくれる人がいたからですよ。

貴女と同じの痛みを知ってるから……貴女の心が潰れてしまう前に、手を差し伸べたかったんです。
貴女には、支えきれない体と心を支える人が必要だと……そう思ったのです。
ふふっ……もう一度、言いましょう。「あなたを支えさせてくださいな。」―――

あと、もう一つ言っておきましょうか。―――貴女は、決して変ではありませんよ。
ただ、ほんの少し優し過ぎるだけです!

【……もう一度、手を差し伸べる。微笑んで、少女が手を取ってくれるのを待つ―――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/13(水) 23:48:36.77 ID:H/ZFB4NB0<> 376 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![sage] 投稿日:2015/05/13(水) 20:43:19.69 ID:bVEviH900 [1/2]
マリアは勝手なシンパシーを感じて新規に苦行を課すのをやめろ

378 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![sage] 投稿日:2015/05/13(水) 22:51:24.22 ID:Ot/PcElO0
あのマリアの絵ばっか描いてるやつ下半身臭くて気持ち悪いわ
どうせロールしてんのかどうかも知らねえ空気なんだし消えて欲しいわ

379 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![sage] 投稿日:2015/05/13(水) 22:57:14.61 ID:bVEviH900 [2/2]
マリア周り全部気持ち悪いわ
マリアはまたアホみたいに時間かけて自己満足ロールやってるし <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/13(水) 23:54:46.62 ID:H/ZFB4NB0<> 380 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![sage] 投稿日:2015/05/13(水) 23:51:22.13 ID:Gy5EnYIt0
あいつらの内輪と自己満足ばかりで成り立つロールとそれが内輪とは言え絶賛されるの見てると自分がロールしてるの馬鹿らしくなってくるわ
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2015/05/13(水) 23:58:46.23 ID:H/ZFB4NB0<> 382 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![sage] 投稿日:2015/05/13(水) 23:56:45.40 ID:bVEviH900 [3/3]
マリアのどこが自己満足って、何でも自分のキャラで解決しようとする所だわ
今絡んでる新規も初投下で悩み解消されたらキャラとして死ぬだろうが
<> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/14(木) 00:12:04.40 ID:hl0hY/Rz0<> >>810

「貴方が…?」

【女性が話すのは昔のお話】
【心がつぶれそうになるまで彼女は笑っていたのだという】
【少女はその話を不思議そうな表情で聞いていた。じっと相手を見てもそんな過去があったことなんて微塵も想像できなかった】
【それは彼女の言う『心を支えてくれる人』のおかげなのだろうか】

「…………。」

【優しい言葉に差し出された手】
【それを若干戸惑いの表情で見る少女…まだ困惑した様子は見受けられるものの、そこにはもう拒絶する色もない】
【数拍置いて少女は無意識にか深呼吸をしていた】
【その行動から見えるのはかなりの緊張、そして何か覚悟を決めたような…そんな決意】
【涙の引っ込んだ瞳で前を見据え、勇気を振り絞って。相手の指先にちょんと少女の指が触れる】

「、………し…です。」

【ぽそぽそと消え入るような言葉】
【それはそのままそよ風にでもかき消されてしまいそうな声だったがちゃんと耳をすませば聞こえる筈だ】

「あ、アイゼルネ・ユングフラウ、です。あの、その…よろしく、お願い…します。」

【たどたどしい言葉でそう告げ少女…アイゼルネ・ユングフラウは生まれてはじめての握手を交わす】
【その顔はほんの少しだけ笑顔を浮かべていたのだった】

//すみません。眠気で次レス来るまでに寝落ちしちゃうかもしれないので一旦落ちても大丈夫でしょうか…?
//次のお返事は多分本日の夕方くらいになってしまうのですが…
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/14(木) 00:16:02.48 ID:4XkkYkN40<> >>814
//了解です!私の方は明日なら19時以降は空いておりますので、またそれくらいの時間にお願いします! <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/14(木) 00:19:20.81 ID:hl0hY/Rz0<> >>815
//わかりました!では一旦お疲れさまでした…!また夜によろしくお願いします! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/14(木) 00:30:59.39 ID:FUwN0XDu0<> 【とある病院。其処には日々数多くの患者が運び込まれ、常に病室に空きが無く】
【24時間体制で診療しているのだから昼夜問わずに人の出入りも激しい】
【――――そんな病院の中庭。普段ならばこの時間、患者も居ない筈なのだが……どう言う訳か、今宵は一人の子供の姿】


「そっか……もう外はそんなになってるんだね
僕も自分の足で外を歩いてみたいな……」

【ベンチに座り、指に止まらせた小鳥に語りかけ。歳は恐らく15歳前後であろうか】
【肌も透き通るように白く、髪も色素が抜け落ちたかのような純白。それなのに、瞳だけは血の様に紅く】
【――――アルビノ、と呼ばれる存在。実際、小鳥に言葉が通じている様な節も所々に見え】


「……うん。何時か一緒に色々見ようね
僕も、沢山友達を作って――…………」

【元より虚弱体質なのだろう。咳き込んでしまえば中々に止まらず、其れを見る小鳥は心配そうに小さな鳴き声を上げ】
【――――夜も遅い、と言う事もあり咳の音とて中々に響く。更にはこの病院、数多くのクスリも販売しているのだから旅の者達が愛用していたり、なんて事もある】
【少女の姿も闇に反して白なのだから、見つけやすいかもしれないけれど】











【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/14(木) 15:06:29.81 ID:dKyhhOYhO<> 【地の国・首都郊外】

【かつてこの地で最も栄えていた都市は新たなる六罪王、ベクターによって壊滅状態となった】
【ニュー・ドレファスから間もない場所。地面から突き出した岩が点在する荒野に奇妙な魔力が渦巻いていた】
【その発生地点は異質な物どころか草一つ生えていない荒地。存在していたのは一人の男だけだった】

【大雑把に整えられた黒い短髪に東洋人風の顔つき。長身に血のように赤黒い外套を羽織っていて、裾が脚まで続いていた】
【髭のない顔はそのせいで若々しくも見えるが年齢は三十代前半といったところ】
【左耳には大きめのルビーのイヤリングがあり、日光を妖しく反射している】
【右腕は前へと向けられていて、やや細い指先には鈍く輝く小さな球体が持たれていた】

ダグラスに俺にベクター……六罪王も色々だな
お披露目の段階でこの有様だが。さて、俺にどこまでやれるかな……

【男の独白には落ち着きの中に隠しきれない興奮の色があった】
【指先の球体が周囲に漂う魔力の発生源だった。男が微かに意識を集中させると、球体の輝きは強さを増していく】
【次第に輝きは高まっていき────球体から膨大な魔力が弾けだした】

【地響き。地の底から唸るような音と共に、大地を引き裂きながら巨大な岩石が男の目の前に出現】
【凄まじい勢いで隆起していき、少しずつ減速。停止するのと同時に、魔力の波が引いていった】
【岩石は数十メートルは軽くあるほどの高さとなって、男に大きな影を落としていた】

……これで、最後の確認は終了か

【男の口から安堵の息が漏れ出す。腕で額の汗を拭い、足元の地面に腰を下ろした】
【彼の周囲には地面に描かれた円形の図形に、大きめの世界地図、いくつかの紙とペンなどが転がっている】
【荒野の中にただ一人いる男を見つけることは簡単だろうし、せり上がった岩石を見つけるのはもっと容易だろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/14(木) 19:26:36.31 ID:4XkkYkN40<> >>814

【恐る恐る、とっても緊張しながらだったけれど……それでも、そっと指先と指先が触れ合って】
【―――やがて、手が握られる。触れ合った手の温かみが嬉しくて、拒絶しないでくれた事が嬉しくて】
【ほんの少しだけ、笑顔を見せてくれた事が嬉しくて―――彼女は、柔らかい笑顔を見せる。】

【消え入るような声でも、ちゃんと耳に届いた。この少女の名前―――アイゼルネという、名前が。】
【名乗ってくれたのだから、此方も名乗らなければ。ちゃんと、名前を覚えて貰えれば嬉しいな―――なんて】
【そんな事を想いながら、微笑みと共に自分の名前を告げる。】

アイゼルネさんですね?―――はい、覚えました!
私は神谷皐月って言います。ふふっ……こちらこそ、宜しくお願いしますね!

【―――握手と、自己紹介と、笑顔を交わして】
【少しでも、皐月という女性をアイゼルネという少女が受け入れてくれたなら、嬉しい―――】


【さて、こうして互いの名前も知った所で……そろそろこの公園を出て落ち着ける家に向かおうか】
【幸い、家は此処からそう遠くは無い。徒歩十数分もすれば着けるくらいの距離にある】
【……とはいえ、アイゼルネは妊娠している。比較的近距離を歩くのも、結構な負担になるかもしれない】

そろそろ、帰りましょうか。……私の家はそう遠くありませんが、一緒に歩けますか?
身重ですもの、無理をしてはいけませんよね。ゆっくり行きましょう!

【皐月は、最大限アイゼルネに気を遣って歩くだろう。いつもの倍の時間をかけても決して無理をさせようとはしない】
【途中で歩くのが辛いと言えば、きっと立ち止まって一休みするだろう。無理せずゆっくり進んでいけばいい―――】

//本日も宜しくお願いします! <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/14(木) 19:39:33.31 ID:D/R0LDNYo<> 【街中】

【暗くなり始めた都会の人混みの中で1人だけ頭ひとつ抜けている男。こういう時、高い背は】
【悪目立ちする。サングラスをかけ、Tシャツジーパンにトレンチコートを着てぶらぶら歩いていた】
【足早に家路につく人混みの中ではすごく邪魔で、それでもマイペースに街頭が灯るのを見ていた】

【片手には缶ビール。平日だがもう既に結構いっている。そんなダメ人間も一応これでも世界を股にかけた】
【泥棒で指名手配もバッチリの有名人のはず(たぶん)なのだがこれといった】
【シゴトがなければ酒を飲むか博打で負けるかヤケ酒を飲むぐらいしかすることがない】

はぁ……もう、こんな時間か……UTもアレだし…あいつらも忙しいし…暇なの俺だけだな

【泥棒仲間は大抵、本業(会社員だとか密売人だとか)があって平日の殆どは社会人だ】
【何かと縁のあるUTはここのところ込み入ってるし、元々立場柄ブラブラ行くのも気が引ける】
【飲み屋に行けば何かと面倒に巻き込まれがちだし、ギャンブルするほど手持ちもない…】

【大人ってのは自由だが自由すぎて退屈だ。それに言うほど自由でもない…アルコールの回った頭では】
【そんなくだらない事しか考えられなかった。帰ろうにも帰るところなんて無い。大人と泥棒は悲しいものだ】
【アルコールにやられて物思いにふける足取りは覚束なかった。通行人から邪魔で、それに不審だ】 <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/14(木) 20:34:45.35 ID:hl0hY/Rz0<> >>819

「神谷皐月、さん…。は、はい!よろしくお願いします…!」

【優しい笑顔にどぎまぎした態度になってしまう少女】
【まだ動きは緊張しているのかやっぱりどこかぎこちない】
【それでも繋いだ手だけは離そうとはしないあたり、少しは信頼しているということだろうか】

「あ、え、えと…大丈夫です。歩けます…、えっと……ゆ、ゆっくりで、はい、お願いします…。」

【普段なら、お構いなく。なんて言って遠慮してしまうところだったが、相手の女性になら少しばかり甘えてみてもいい気がした】
【決して悪い意味ではないのだが…多分、大人の余裕、というか包容力のせいだろうか】
【母親であるがゆえのそれならもしかして自分もいつかこんな感じになれるのかな、とか思案しつつ】

「神谷さんは…素敵な方ですね。なんというか、その、ひだまりみたいな暖かさを持ってて。
 私のことを優しいって言ってくれましたけど、貴方はきっと私より何倍も何十倍も優しい、人です。」

【そんな言葉を口にする】
【少し頬を褒めつつ紡ぐそれはアイゼルネなりの相手への褒め言葉だ】
【結局それを言った後に堪えきれなかったのか「や、やっぱり今のは忘れてください!」なんて言い出すのだけれど】
【そんなことをしつつもアイゼルネの歩みはしっかりとしていて、とてつもなく遅いというわけではない模様】
【案外目的地には早く着くかもしれない】

/あああごめんなさい!大幅に遅れてしまいました!
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/14(木) 21:12:40.80 ID:4XkkYkN40<> >>821

【握った手を離さないなら、そのまま手を繋いで歩いたのだろうか。勿論、皐月はそれを拒否することは無く】
【むしろ、手を繋いで歩くのが嬉しかったりもした。なんだか信頼してくれたような気がして―――】

【「ゆっくり」と言われれば、皐月はその通りにゆっくり歩く。歩みをアイゼルネに合わせるようにして】
【皐月自身も、歩くのはそんなに早くない方なのだけれど……でも、勿論急かすような事はしない】
【家もそう遠くは無いのだ、急ぐ必要なんて無いのだから……】

【……そんな道中で、ふとアイゼルネがポツリと呟く。素敵な人だ、って……そう言って、褒めてくれた】
【その言葉を素直に受け取って、嬉しそうに微笑む。最後の「私より……」という言葉は、穏やかに否定するけれど……】

ふふっ……ありがとうございます。陽だまりみたいな暖かさを持てているなら、嬉しいです。

でもね―――やっぱり貴女も、とても優しい人だと思いますよ。
だって、そうでしょう?……こんな風に、私の事を褒めてくれるんですもの!

【「おばさんになっても、褒められるのって嬉しいんですよ!」―――そう言って、母親に褒められた娘のように明るく笑う】
【忘れて、なんて言われたけれど……嬉しかったんだもの、きっと忘れる事は無いだろう。】


【やがて、我が家に到着。二階建ての木造一軒家の前では、近づいてくる母の声を聞きつけた娘が立っていた】

「……――――お母さん?あ、お母さん!おかえりー!……あれ?そちらは、どなた?」

【まだ13歳程の少女が、可愛らしい動物がプリントされたパジャマ姿で皐月をお出迎え。皐月とそっくりの顔立ちだが、娘だろうか】
【その少女はくりっとしたブラウンの瞳に流れるような黒い長髪を持ち、お気に入りの小さなウサギのぬいぐるみを抱えていた】
【背丈はまだまだ小さい。 成長期とはいえ体つきは華奢で、発展途上といったところか……そんな少女は】
【何やら誰かを連れて帰って来た母を見つければ、驚いたように目を見開く。……まあ、母親が知らない誰かを連れて帰ってきたなら当然の反応か】
【驚く娘に、挨拶と自己紹介でもしてあげて欲しい―――】

//いえいえ、此方は全然気にしていませんので! <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/14(木) 21:36:02.25 ID:hl0hY/Rz0<> >>822

【相変わらず自分を肯定してくれる意見を言われるのは苦手だ】
【そう思いつつアイゼルネは少し困ったように笑う】
【こういう時にはどんな顔をして、どんなことを言えば分からないから、自然とぎこちない風になってしまう】
【それがなんだか、少し申し訳なかった】

「あ、ありがとうございま…って、お、おば…!?そんなことないですそんなことないです!まだまだお若いですって…!」

【女性の言葉の一部にはぎょっとして訂正を求めてしまう箇所もあったけれど一応会話は無事成立中】
【口下手なアイゼルネからしたら割と大きな進歩かもしれない…尤も支離滅裂なところは支離滅裂なのだが】
【そんな会話を交えつつ歩いているとどうやら女性の自宅に着いた模様】
【と、出迎えしている人物がいた】【少し驚いてからそういえば先程の会話で女性は、妊娠を十数年前に経験したと言っていたことを思い出す】
【顔に女性の面影がある女の子、見た目の年齢から察するに女性の娘であることは確かだった】

「え?あ、はい。私はその、アイゼルネ・ユングフラウという者でして…その、暫くの間、こちらにお世話になることになりまし、て……」

【…大丈夫ですか?、と。明らかに歳下な少女に逃げ腰の自己紹介のようなものを披露するアイゼルネ】
【果たして可愛らしい少女の回答は如何に】
<> マーシャル・T・ロウ
◆NGq/R3Vx.6<>sage saga<>2015/05/14(木) 21:52:10.99 ID:KaJkiyZho<> 【自然公園】

【よくよく考えたら最悪のタイミングだった。正義側の柱といえる彼女が六罪王に捕まった時、自分は白い天井を眺めていることしか出来なかったのだから】
【アーグとの戦いで負った傷が深く、今まで蓄積されてきた激戦の痕にまで悪影響を及ぼした挙句の長期入院。――――だがそれも、今日で終わり】
【全身に渡る数々の傷、それらのメンテナンスを丁寧に済ませた。身体への不安はないが、長い間トリガーを引けていないのは少々不安だ】

……――――ま、わざわざ山登ったとこの公園来たんだし……銃ぶっぱなしてもセーフだろ……。
ずーっとつまんねぇ魔力コントロールやなんやらのトレーニングしか出来なかったんだ、こんくらいは。

【青いソフト帽。白シャツに灰色のジレ、帽子と同じくらい真っ青のジーンズ。首にはペンダントとしてぶらさげられた宝玉、左胸にはSCARLETの紋章】
【久しぶりに味わう「いつもの格好」に少しながらの違和感と感動を覚えながら、男は離れた大木に向かって標準を合わせた。左手には、青い銃】
【――――紺碧の瞳を見据えて、大木に敵の姿を重ねる。カニバディール。そしてベクター。自分が長期入院する原因を作ったアーグも、勿論】

こんの……クソボケファック共がぁぁっ!!!!!

【敵が3人なら銃弾も3発、男の叫びと共に銃声が夜に広がる。空を割いた3つの鉛玉が年季を感じさせる太い幹に「1つの痕」を作る】
【2発外した――――のではなかった。2発目3発目が初撃の軌道を完璧になぞっていた。初撃が生み出した穴に、3つの弾丸がすっぽりと収まっていた】
【……上出来。小さく笑うその男の精神は昂っていた。今すぐにでも取り返したいという想いが病み上がりの身体に充満していたのである】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/14(木) 22:17:23.37 ID:4XkkYkN40<> >>823

ふふっ、嬉しい事を言って下さるのですね。まだまだ私も捨てたもんじゃないのでしょうか……!

【まだまだ若いなんて言われると、皐月は嬉しそうにする。若く見られるのは、悪い気はしない】

【もうすぐ40歳。アラフォーにどっぷり足を突っ込んでいる彼女は間違いなくオバサンなのだが】
【その若作りな見た目や性格のせいで、実年齢よりかなり若く見られることがしばしばある】
【……で、間違えられるたびにこうやって喜んでいる。】
【……若く見られると嬉しくなる事自体、オバサンである証拠のような気もするが……】


【家に着けば、娘がお出迎え。見知らぬ人が母親の横に居て、少し驚いたけれど】


「そうでしたか!えへへ……家族が増えたみたいで、嬉しいです!
 えっと、私は神谷衣織と言います!アイゼルネさん、でしたよね?よろしくです!」
 
【自己紹介されれば、人懐っこい笑顔で応じる。どうやらこの少女、人見知りしない性格らしい】
【母親譲りの快活さと、年頃の少女らしい明るさと人懐っこさを持つ。こんな少女だから、きっと緊張しなくても大丈夫―――】

【そうして家族の自己紹介も終えた所で、神谷親子は「さ、入って下さい!」とアイゼルネを迎え入れる事だろう】
【三人は廊下を通ってリビングに向かう。ソファとテレビや机のある、ごくごく普通のリビングルーム】

【皐月は「お夕飯、作ってきますね!」と言い残してキッチンへ。暫くは衣織とリビングで二人っきり】
【衣織は、早速新しい家族(?)に興味津々。奇異の目とは違う、子供らしい純粋な好奇心でアイゼルネの顔やお腹を見つめて】
【「えっと、お腹に赤ちゃんがいるんですよね?どんな子なのかなぁ……。動いたりするんですか?」なんて訊いてくる】
【今はまだ幼い衣織だって、きっとその内「お母さん」になる日が来るから―――きっと、気持ちを知りたいのだろう】 <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/14(木) 22:50:00.95 ID:hl0hY/Rz0<> >>825

「家族、ですか…あはは、喜んで頂けたなら私も…嬉しい、です。
 衣織ちゃん、ですね。はい、こちらこそよろしくお願い致します…」

【家族、家族…その言葉にはどこか甘美なものがある】
【生きている者が少なからず求めるもの、或いは生まれて最初から手に入れている数少ない繋がり…それが家族】
【それを手にしたいと思うことすら諦めていたアイゼルネにとっては、それは嬉しいで言い表せるものではなかった】
【その言葉だけで心の中の空虚がほんの少しだけ埋まった気がした】

「お、お邪魔しまーす……」

【二人の勢いに負け、言われるがままに家に上がるアイゼルネ】
【小声でそろそろと歩いてゆくとリビングへとたどり着いた】【特に変わったものはない】
【が、アイゼルネは部屋全体を物珍しいものを見るかのように周囲を見回したりする】

(…え、え!?行っちゃうの…?ど、どうしよう、いきなり二人きりはさすがに…!)

【いやだーちょっと待ってよ神谷さーん】
【…なんてことを内向的なアイゼルネが言える訳もなく、心の中でパニクった声をあげつつ、そのまま皐月を見送るかたちに】
【このまま沈黙の数十分を過ごしたらどうしよう、気まずくて死んでしまう…そんなアイゼルネの心配もどうやら杞憂であったようで、衣織の方から話題を振ってくれるようであった】
【しかしその質問もなかなか返答するのに難しい】
【いや、赤ちゃんがいるのは一目瞭然であるし時折お腹を蹴ることもあるから、そこいらはちゃんと肯定しておくのだが…】

「どんな子、ですか…どんな子なんでしょうね。ううん、あまり想像できないかもなぁ…。」

【出来れば私に似た子ではありませんように。と心の底で願っていたり】
【お腹の子供の話とこれからの生活のことを考えると頭の隅を掠めるのはまだ話していないひとつの秘密】

「とりあえず、生まれてからのお楽しみ、ですかね?」

【それを今もなお隠して笑ってみせる】
【興味津々な女の子に向かって馬鹿正直に現実を話すほど、アイゼルネも馬鹿ではない】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/14(木) 23:13:22.18 ID:4XkkYkN40<> >>826

「うーん……そうですね、生まれてからのお楽しみです!元気な子かなぁ、可愛い子かなぁ……
 わたしも、いつかお母さんになるのかな。子供がいるって、どんな気持ちなのかなぁ……」

【生まれていないのだから、想像できないのは仕方あるまい。衣織は少し残念そうにするけれど、それ以上訊くことも無く】
【生まれてからのお楽しみと言われると、どんな子か想像してみたりしている。少女らしい、まだ見ぬ将来への思案】
【当然、アイゼルネの抱える秘密には気付くことは無い。幼く純粋な衣織は、まだ皐月ほど秘密に敏くはないようだ……】


【その後は他愛もない話をして皐月の夕飯が出来る事になるのを待つことになるだろう】
【その中で、衣織は不思議な事を尋ねてくる。好きな色と、好きな花……なぜそんな事を聞くのだろうか】

ね、ね、アイゼルネさん!ちょっぴり変な事を聞きますけど……アイゼルネさんはどんな色が好きですか?
あとは……どんな花が好きですか?良かったら、教えて欲しいなーって……

【これくらいの質問なら、きっと本当の事を隠す必要もなく話せるだろう。】
【話してくれれば、衣織はその情報を紙切れにメモすることになるが……どうしてそんな事を知りたがったのだろうか】
【(その答えは、後々分かっていくことになるけれど……今は秘密のようだ)】

【そうしているうちに、キッチンからデミグラスソースの良い匂いが漂ってくる。……そろそろ夕飯も出来上がる頃か】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/14(木) 23:37:07.32 ID:Rb7gb6l4o<> />>800で再募集いたします。 <> アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/14(木) 23:45:39.18 ID:hl0hY/Rz0<> >>827

「ふふ、きっと衣織ちゃんは素敵なお母さんになれますよ。子供ができたらどんな感じかなって、その時に分かるはずです。」

【敢えて自分の感想は入れない】
【自分が考えていることなんて何の参考にもならないと思ったから】【ナイーブな感情からではなく本当の本当に、役立たずどころのお話ではないのだ】
【何はともあれこうして試行錯誤をして成長してゆく子供の姿を見ることはとても微笑ましい】
【自分の子供もこんな風に成長していくのかな、とちょっと考えてしまったり】

「え?色と花ですか…うーん……色は黄色とか暖色とかが好き、かな。それと花、は」

【思いがけない質問に不思議そうに首をかしげるアイゼルネ】
【真剣に考えようとするが特段好きだという花も色も存在しない…強いて言うなら赤以外であろうか】
【好きなものではなくとも気になる花でもよかろうとダメ元で記憶を探ってみて……そしてある記憶を見つける】

【よく晴れた日のこと】【白の花が咲き誇る庭園を二人は歩いていた】
【男は静かに笑って自分の方へと向き直る、そしてこう言うのだ『この花は全て君への手向けである』と】
【そう、あれは確か……】

「アネモネ、ですかね。特に真っ白のものが。」

【数分考えて出した答えは黄色とアネモネ。】
【派手すぎず、地味すぎず】【アイゼルネらしい答えであった】
【何故かそれをメモする衣織に首を傾げるアイゼルネだったのだが、ふと台所の方からの薫りに気をとられる】
【一体どんな料理が来るのだろう、と思いつつ、なんとなく衣織にも声を掛けてみた】

「もうそろそろ出来そうですね…、何が出てくるんでしょう」

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/15(金) 00:13:53.93 ID:g2prK1Ku0<> >>829

【良い母親になれると言われれば、衣織は無邪気に笑う。もうすぐお母さんになる人にそう言って貰えたのが嬉しかったらしく】
【その笑顔は、さっき皐月が褒められた時に見せた笑顔ととても良く似ていた。―――親子って、そういう物なのだろう】
【他にも、微妙なしぐさや表情が皐月そっくり。髪の色以外、本当に皐月をそのまま小さくしたような子だ】
【なら―――成長すれば、皐月のような人になるのかもしれない。】

【――――アイゼルネの答えてくれたのは「黄色」と「アネモネ」だった。】
【特に珍しい答えでもないのだけれど、衣織は其れをしっかりと紙切れに書き記して大事にポケットに入れて】
【「教えてくれて、ありがとうございます!」と一言微笑んでお礼を言う。……この情報がどんな意味を持つのだろうか……】

【台所から薫る匂い。もうすぐ完成なのだろう、空腹の夕飯時に食欲のそそる香りが広がってくる】
【アイゼルネに声を掛けられると、衣織は無い胸を張って母親の料理の腕を、自慢げに語る……】

「そうみたいですね。……ハンバーグ、かな?
 えへへ……自慢じゃないですけど、お母さんのお料理はおいしいんですよ!食べたらきっとビックリします!
 さ、ダイニングに行きましょうか!」

【二人がダイニングに行くと、テーブルにはサラダと褐色のソースがかかったハンバーグの載った皿が並んでいた。……いや】
【ハンバーグにしては、少し色が白いような……?―――その答えは、皐月が教えてくれる】

あ、衣織もアイゼルネさんも来たのですね!ふふっ、今日の夕飯は豆腐ハンバーグです!
妊婦さんですもの、カロリーは控えて体重管理をしっかりしなきゃいけませんよね。
さ、頂きましょうか。アイゼルネさんはこっちに座って下さいな!

【四角いダイニングテーブルを囲む椅子。勿論アイゼルネの席も用意されていて】
【こうやって食卓を囲んで夕食を食べるのは、家族ならではではないだろうか。……少しでも喜んでくれれば嬉しいのだけれど】
【「いただきます!」と手を合わせれば、各々食べ始める。】

……どうですか?残り物とはいえ、私の手作りですが……

【皐月はアイゼルネに感想を訊く。気に入ってくれたら嬉しいのだけれど……。】
【因みに、味は結構美味しい。娘が自慢するだけのことはあるようだ】
<> サフィア・エレファリス
◆rrHt9B4adXq4<>saga sage<>2015/05/15(金) 00:24:25.06 ID:6LoOQld40<>
>>800 >>828

【少女がそれを見つけたのは、ある意味必然ともいえる事だった】

【以前あったゼン=カイマの大司祭との邂逅】
【その折に「来てみると良い」などと言われたこの都市】
【だが彼女がゼン=カイマを訪れたのは「来てみてと誘われたから」なんて単純な理由などではなくて】
【以前の邂逅の後に起きた幾つもの教会襲撃事件。それを起こしたのが他でもない大司祭本人なのだと風の噂で聞いて】
【ただ、確かめたかっただけだった。】
【あの過去を悔いていた大司祭が本当に再び過ちを犯したのか? と】

【その答えを探そうと来たその場所で起きていたのは、爆発の後に起きた大火】
【そして、其処にあったのは一人の魔女の姿】

──やめろ
答えろ、此処で何をしている? 
【不意に、魔女に掛けられる一つの凛とした声】
【彼女がその声に其方を見たのならば、そこにはハニーブロンドのセミロングに赤紫色のパーカーを羽織った十五歳前後の少女が立っているだろう】



/まだ大丈夫でしたら……! 
<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/15(金) 00:36:05.21 ID:8phueJ3uo<> >>831

【凛とした声、少女のそれ。魔女はそれに応じて振り返りながら】
【背後に無数の火球を作り出し、常に攻撃に移れる体勢に入る】
【火球は個々が1mほどもある強大なもので、魔女の実力が窺い知れる】

……あら貴女、此処の人間では無いようね?
十字架も無し、ローブも無し……旅行者にしては、随分と肝が座っているようだけど

なあに、小さなレディ? 私は命令に従って仲間を救出しているの
生憎だけれど『止めろ』だなんて言葉、聞くわけには行かなくてね。

【クスリ、と口元が歪んだのが見えるだろう。しかし、目元は帽子で隠れてよく見えない】
【仲間――これも噂程度だが、以前聖都スラウロットが洪水に見舞われた折】
【ゼン=カイマによって、アーグという悪霊の部下が捕えられたという話があったが】

【そこまで、考えが行き着くかどうか。――魔女は、他所者の少女の出方を伺うようだった】

/居ました!よろしくお願いしまっす! <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/15(金) 00:40:08.46 ID:3YXRzkBC0<> >>830

(あ…やっぱりそっくりだ。)

【衣織の微笑んだ顔が先程見た皐月の笑顔にかちりと当て嵌まった】
【本当によく似ている…髪色は多分お父さん似なのかもしれない、詳しいことはよくわからないけれど】

「へえ…!そうなんですか?それじゃあ食べるのがとても楽しみです」

【衣織からの話を聞けば、その褒めっぷりに俄然食事が楽しみになってしまう】
【根暗といっても彼女も一応はヒト】【食事を前にしてしまえば心なしか明るくなってしまうものだ】
【衣織に連れられてダイニングの方へ行くと、既に調理は完了しているようで、テーブルに置かれた美味しそうな品々が目に入る】
【豆腐で作られたハンバーグだと知るとおおーと関心を持った声をあげて白めのハンバーグを凝視する】
【尤もすぐに食べてしまうのだが】

「…!わ、美味しい…!……です!」

【いただきます、と言いつつ二人に続き手を合わせる】
【早速箸で豆腐ハンバーグを一口サイズに切ってからぱくりと食べてみる】
【と、思わず口走ってしまった賞賛の言葉に慌てて語尾をつけて誤魔化す】【食い意地があるように見られてしまったら恥ずかしいとか思ったり】
【一気に熱くなる顔を悟られまいと下を向き、もぐもぐと食べ進める】
【ハンバーグは勿論、サラダもとても美味しい】【残り物とは言いつつもちゃんと食べる相手のことを思って作られた料理だと、そう感じた】

「はあ…とても美味しいです。衣織ちゃんが言っていた通りお上手なんですね」

【自分には到底作れっこないものだ…主に手先の器用さ的な意味で】
【何はともあれアイゼルネはその料理にとても満足しているようだった】

<> サフィア・エレファリス
◆rrHt9B4adXq4<>saga sage<>2015/05/15(金) 01:06:06.23 ID:6LoOQld40<>
>>832

【振り返る魔女、魔女の背後に浮かんだ無数の火球】
【その大きさに少女は少しばかりたじろぐがそれでもなお魔女を見据える】

確かに……私は此処の人間じゃないし、ただの観光客でもない
寧ろ、教会とか聖職者とか嫌いな質だけど
……命令? 出したのは此処の大司祭? それとも此処の大司祭に教会を襲われた聖職者? 

……まあ、誰でも良いけど──
【少女は呟くと魔女の方へと一歩前へ出る】

こっちも貴女を見過ごす訳にはいかないんだよ
幾ら大嫌いな聖職者っていっても他人が傷つけられてるのを見てるだけとか寝覚め悪いし、さ! 
【言うなり魔女の方へ駆け出す少女。魔女の左腕へと手を伸ばそうとする】
【魔女の左腕に触れて凍らせるのが目的のようだ】
【なお、凍結した場合即座に破壊、氷を溶かす事は可能である】


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/15(金) 01:08:39.99 ID:g2prK1Ku0<> >>833

ふふっ……良かったです!遠慮せずどんどん食べて下さいな!

【喜んでもらえたなら、料理を作る側としても嬉しい物。やっぱり美味しいと言って食べて貰えるのが一番だ】

【冷蔵庫に残っていた有り合わせで作った豆腐ハンバーグとサラダ。共に妊婦の栄養バランスを考えたもので】
【カロリーは控えめで、より満腹感を得られるように。見えない所に皐月の心遣いがあったりする】
【材料は残り物だけれど、愛情と調理技術で作った料理。美味しく感じて貰えれば何よりだ―――】

【皐月と衣織も、自分の分を食べ進める。毎日食べるからこそ、母親の手料理は美味しく感じられる】
【……というか、毎日作らなければならないからこそ母親の料理は上達するのだろう】
【(昔は皐月も料理が苦手だった。何度も作るうちに腕も上達していったようだ……)】

あら、ありがとうございます!お母さんですもの、お料理くらいちゃんと出来ないとね。
そうだ、また後で色んな料理を教えてあげましょう!簡単な料理なら、きっと貴女も美味しく作れますよ!

「アイゼルネさんの手料理、いつか食べてみたいです!……その前に、私ももうちょっとお料理がうまくなりたいです……」


【―――そんな風にして、夕飯の時間はお喋りと共に過ぎていく。】
【アイゼルネの食べる速さが早いか遅いかは分からないが、ともかく食事が終われば食器を洗って片付けて】
【それも終わればリビングで団欒、あるいは入浴。……衣織は何か用があるらしく急いで自室に戻っていったが】

【何か話したいことがあれば、皐月は応じるだろう。何もないなら皐月の方から入浴を勧めるだろう。】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/15(金) 01:11:49.04 ID:8phueJ3uo<> >>834

フフッ……正解、といえば正解ね。ただし彼は先代も先代
百年ほど前の大司教だけれど……そう、見逃してはくれないのね。
それなら良いわ、ただ貴女を焼き尽くせばいいだけだから――!

【言葉と共に駆け出した少女の動きは、先手を取るに十分で】
【魔女の左腕にも手は届くだろう。しかし流石に属性を操る達人と見え】

【自身の腕が凍ることを察知してか、即座に手を引いて飛び退り】
【文字通り、腕に火を灯して解凍しつつ――巨大な火球を3つばかりも少女へ放つ】
【火球は触れるだけでも肌を焦がす高火力。加えて3つが合わさると】
【巨大な爆発をも引き起こすというものだった。防御よりは回避が有効、か】 <> サフィア・エレファリス
◆rrHt9B4adXq4<>saga sage<>2015/05/15(金) 01:37:12.68 ID:6LoOQld40<>
>>836

百年前の大司祭……? 
(フレデリックじゃない……? だとしたら“仲間”って……? )
【一瞬思案する、も直ぐにやめ戦闘に専念する少女】
【それもその筈、此方は氷で相手は焔。属性的にも分は悪い】

【迫る三つの火球。慌てて回避を試みる】
【一つ目は反対方向へと飛び、二つ目は地面に転がるような形で避けたものの三つ目は少しばかり間に合わず端が右上腕を掠る】
【更に避けた事により火球は残っている筈だが……】


<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/15(金) 01:47:13.70 ID:8phueJ3uo<> >>837

【一つ、2つ目の火球は回避され――少女の背後で結合、轟音と共に爆発し】
【強い衝撃が周囲を襲い、熱波が頬を撫でるだろう。その火力は桁違いだ】
【火炎に特化した魔女というわけか。その魔翌力は留まる所を知らず】

あらあら、凍結の力を持っているようだから少しは期待したのだけれど
その様子ではもう終わり?戦意喪失で不戦勝も良いけれど、ねえ……。

……その程度の実力では、あの方の名を明かす必要も無いわ
私はね、お嬢さん。とても忙しいの……"彼女"を開放するお仕事で、ね?

【先ほど凍結した左腕は平然と燃え盛って、既に氷の影響を消し去りつつあった】
【しかし相対する属性として苦手なのは魔女も同じなのだろう。未だ片腕は扱いきれず】

【次手。背後に展開した火球が一箇所に収束すると、それは巨大な一本の槍と化し】
【鉄とも木とも異なった、火炎の魔翌力を結晶化させた戰槍へと姿を返す】
【そして、それを少女の胸部めがけて撃ち放つ。その鋭さは、見た目と寸分たがわぬものであり】

【――しかし、魔女が展開した火球はその槍に収束されている】
【故に、今であれば魔女は無防備でもあって。上手く回避すれば、或いは――。】 <> サフィア・エレファリス
◆rrHt9B4adXq4<>saga sage<>2015/05/15(金) 02:14:22.96 ID:6LoOQld40<>
>>838

【背後からの強い衝撃。少女の身体はその爆風で倒れ】
【右腕を庇いながら起こす身体。その耳に入るのは「もう終わりか」「その程度の実力では主の名を明かす必要もない」という言葉】
【また駄目なのか、とぎりと軋る歯】
【否、まだいける。身体は動く。やはり右腕を庇いながらふらりと立ち上がって】

【魔女の次の手。具現化された巨大な炎の戰槍。少女はそれを見つめる】
【空いた魔女の背後の空間。魔女を護るものは多分ない】
【それに気付いた瞬間、少女は右腕を抑えたまま再び駆け出す】
【自らの胸を捕らえようとする炎の戰槍。それを左方向に避けて】
【右腕から離した左手。力強く握り締める拳】
【少女の右肩を穿つ戰槍】
【これで良い、右なんかくれてやる──】
【痛みに耐えつつも魔女を見据える少女】

────ッだァァァァァァッッッ!!!! 
【その左拳に凍結の力を乗せ、叫び声と共に魔女に殴りかかろうとする】


<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/15(金) 02:25:11.44 ID:8phueJ3uo<> >>839

【炎の槍は、触れるだけでも肉を焼く。肩を穿てば、痛みはどれほどか】
【少なくとも魔女は、それで少女が止まると思っていたのだろう】
【自信家なのだ。火炎には絶対の自信を持っているからこそ、笑んでいた】

【――しかし止まらなかった。握りしめた少女の拳が魔女に迫ると】
【やはり、そこは相性か。とっさに避ける事など出来ず、殴打され】

【そしてそこから、極端な現象が発生する。魔女の肉体が一気に凍りつくのである】
【少女の全力でもそこまでやれるものか分からない、が――この場合、話は単純で】
【魔女は火炎に特化していた。だからこそ、凍結や水の力に極端に弱かった】
【本当に、それだけの事。やがて膝を付き、そこで完全に動きを止めて、死に―――】

『――お生憎ですけれどお嬢様、その方は死にませんの。
 私と同じく"半不死"なのだから……まあ、ダメージは大きいのではなくて?』

【声はサフィアの背後からだった。先ほどの爆発のせいか、壁が一部崩れていて】
【そこから一人、這い出すようにシルクハットを被った女性が姿を見せる】
【同時に凍りついた魔女の肉体が、不死鳥のそれのように燃え上がり――。】 <> サフィア・エレファリス
◆rrHt9B4adXq4<>saga sage<>2015/05/15(金) 02:54:58.94 ID:6LoOQld40<>
>>840

【じくりと右肩を蝕む激痛。しかし、その痛みよりも大きく感じられたのは相手を殴った手応えで】

【激痛に飛びそうな意識の中、にやりと笑う少女】
【私はやったんだ、ざまあみろ、私には力がない? 見なよ、私にもあるじゃないか──】

【しかし、その笑みは魔女の様子が変わるにつれ次第に消えていく】
【肉体が凍りつく。少女の能力の程度では考えられない事だ】

──なに、これ……
【戸惑いと脅えが入り混じった表情で、凍りつき死に逝く魔女を見る少女】
【少女の脳内にノイズが走る】
【ノイズ混じりに映し出される光景。凍りついていく一人の女の姿と、その女のものらしきノイズ混じりの声】
【“サフィー、よクもやっテクれタわね……”】
【──違う、こんなのは、記憶にない! 】
【少女は目を瞑り、頭を振り】
【そして、背後から聞こえた女の声に現実に引き戻される】

……半不死……? 
【ゆっくりと振り向き、相手の姿を視界にとらえる少女】

貴女が大昔の大司祭の仲間……って奴? 
どうするの? 貴女も私と戦うつもり? 
【少女はシルクハットの女を見ており、魔女の様子には気付いていない】

<>
◆iBPkBgx72E<>sage<>2015/05/15(金) 03:11:21.74 ID:8phueJ3uo<> >>841

【シルクハットを被った女性は、全身が真っ白だ。ドレス肌も、瞳さえも】
【そしてよくよく見れば、全てが粘性の体液に覆われた――いうなれば】
【そう、ナメクジのような存在である事が見て取れるだろうか】

【そんな彼女はにこりと笑って少女の『仲間か』という問いに答えると】

『……いいえ。何故なら私は死にたくもなければ、戦う気も無いからです。
 仲間の中でも特別、争い事は好きではないものでして。それに――』

【――全身に火が灯った魔女は、さながら炎の精霊の如く火勢を強める】
【しかし、シルクハットの彼女が手を震えば多量の"水"が出現し】
【その水が魔女の火を消し去って。まるで闘志を掻き消すように、場は一挙に静まり返り】

『貴女はお若いですわ、お嬢様。こんな場所で死ぬのは勿体ないこと……。
 ……よろしければ今度、ドラクレア島にいらしてくださいませんこと?
 お茶を用意して歓迎致しますわ。……望むなら、大司教の事もその折に。』

【ドラクレア島――昨今、何かと話題にされる"記憶が集う島"の名だ】
【なんでも、有象無象の記憶が再現される不思議な土地であるらしいが。】

【女性はそれだけ言うと、一つ礼をしてからわなわなと震える魔女に近付き】
【ぴしゃりと頬を打ってから、彼女を引き連れて悠然と都市を後にする】
【魔女は――従うしかなかった。明確な力関係があるのだろうが、最後の瞬間】
【帽子のフチから、蛇のような殺意が篭った視線を少女に向けて――そして、二人の半不死は姿を消した】

/ちょっと眠気が強くなってきてしまったのでここまで、ということでっ!
/深夜帯にも関わらずお付き合い頂きありがとうございましたー! <> サフィア・エレファリス
◆rrHt9B4adXq4<>saga sage<>2015/05/15(金) 03:41:19.38 ID:6LoOQld40<>
>>842

【女に戦いの意思がないと聞けば、少女は「そう、なら構わないけど」とだけ返す】
【とはいっても少女は内心肩を撫で下ろしていた。ただでさえもギリギリ勝てたような相手なのに連戦などしたら次こそ死んでしまいかねない】
【幾ら向こう見ずといえどその辺りは分かっていた】

ドラクレア島、ね……
悪い奴とお茶会する趣味なんかないんだけど
【少女は苦笑を浮かべると女の動向を見守る】
【だが、殺意を向ける魔女と目があうと此方もちらりと睨み返す】
【そうして二人が去ると】

……真意を調べに来ただけなのに大変な事になっちゃったなあ……
まあ……良いか……私にも、力はあるって……分かった、し…………
【やはり右腕の大怪我が堪えたのかぱたり、と意識を失って倒れる】
【そして、ゼン=カイマの者に病院へと運ばれるのだった】



/絡みありがとうございましたー

<> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/15(金) 07:44:06.69 ID:3YXRzkBC0<> >>835

「ほ、本当ですか…?私、本当に何もできないんですけど……」

【料理を教えてくれるという言葉は嬉しさ半分不安が半分】
【アイゼルネ一人で作ってしまうとダークマターに成りかねない…が、皐月が引率してくれるなら多分問題はないだろう】
【…その分食器類を割ったりしそうだが】

【多少の雑談を交えつつも、ささやかな晩餐は遂に終わりを告げる】
【よく噛んでから食べるタイプなのでおそらく一番最後か、二番目辺りに食べ終わったのではないだろうか】

【そんなこんなで食事も終わり、どの家庭でもゆるりとくつろぐ時間帯になる】
【何をしようかと少し困っていたところでお風呂を勧められてしまったのでお言葉に甘えることにした】
【ありがとうございます、と深々とお辞儀をしてから脱衣所にそそくさと入って行く】
【それから30分程時間を置いて、アイゼルネはお風呂から出てくるだろう】

//すみません途中で寝落ちてました…
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/15(金) 12:10:03.25 ID:g2prK1Ku0<> >>844
//いえいえ、時間も遅かったですしどうかお気になさらず!
//こちらは今日は帰るのが21時くらいになりそうですので、宜しければ再開はそれぐらいの時間でお願いします! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>sage<>2015/05/15(金) 18:24:38.62 ID:0SNxWM5jo<> />>818で再募集します
<>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/15(金) 19:19:58.21 ID:kESV5sHo0<> >>818
>>846

【────地の国・首都郊外】

【カノッサ機関・幹部の一人──六罪王"ベクター"の知名度を上げる要因の一つとなった舞台である"此処"は僅かな時が経った今なおも変わらず壊滅状態で────地の崩壊とは対照的に平和な蒼天のみが、彼の影響を受け付けていなかった】
【小鳥のさえずりとか子供達のはしゃぎ声、微風の優しい音────それら全てが失われた無音の旧都市】

【そんな栄えを失い、もはや過去の中心都市となった舞台から少し離れた位置に足を運んだ女性が一人────】
【白い肌に肩まで届くウェーブのかかった銀と白の中間と言ってもいい様な髪色、真紅の瞳を持つ、赤いドレスを着ている少女ほどの容姿をした女性の名は、ラミア・ツェペシュ────"ベクター"、"アイン"、"ダグラス"等六罪王と同じカノッサ機関に身を置くナンバーズである】

【ナンバーズといえば、六罪王に引けを取らないカノッサ機関の幹部として組織を支え"カニバディール"やナンバーズ落ちを始めとした猛者達が集う地位でもあり────今回、始めて表立った行動を起こそうとしている彼女も例外ではなかった】
【そんな彼女が────ツェペシュが此処に足を運んできた理由はただ一つで──】


なにかしらね──…………この魔力は……?
つい最近、六罪王の被害を受けた場所から近い位置でこんなアホみたいに魔力を垂れ流す人がいるなんて……呆れた。
人が少ないとはいえ、これじゃあまるで自分から見つけてくださいって言っているものね……。


【地の国の何処から普遍的とは言い難い魔力の流出を感じたからである────】
【最初、この魔力を探知した時は場所など分からずに奇妙な現象だと思え眉を顰めただけだったが────いざ、地の国に足を運んでみれば、流れている魔力の流出源は簡単に見つけ出せることができた】
【丁度、建築物も人も木も存在しない荒野が此処から少し近い位置に存在していることを思い出したツェペシュは、魔力の発信源である自分の浅はかな行為を嘲笑しながら、自身が見出した魔力の集合場所へと足を進めた】


へぇ………凄いわね貴方。
これは、石造かなにかかしら?
見た所────人を連想したようではないけれど────…………?


【魔力を頼りに辿り着いた先に見えたのは、無の位置に座るつ男性と巨大な岩石。静寂の空間の中、漂い蔓延する魔力はいつの間にか消滅していて────代わりに存在していたのは男性から漂う微かな疲労感だけだった】
【冷たいのか、はたまた暖かいのか分からない地表に腰を下ろしている男性の付近に転がるペンや紙────それと地上絵の様な大地に書かれた図形と地図を不思議に思いながらも、ゆっくりと近付き興味本位で声をかけた────男性が六罪王とは知らずに】

/よろしくお願いしますっ

<>
◆SwXWg9i6yU<><>2015/05/15(金) 19:45:41.89 ID:kESV5sHo0<> >>847
すみません。
いないようなので、取り消しでお願いしますっ。
確認せず申し訳ありません! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/15(金) 19:47:54.51 ID:ubu2POLOO<> >>847

【地面に座り込んでいた男は目の前にある世界地図に視線を落として、思案に意識を沈めていた】
【誰も来ないであろうからこそこの場所を選んだのだが、意外なことに訪問者が現れた】
【女の声に気付いて、男は地図から顔を上げて声がした方を見た──居たのは、年端もいかない少女だった】


……子供が一体、何の用だ?
こいつは魔術による産物だ。別に芸術品ってわけじゃ……いや、俺にとってはそうだが
ともかくお前が見て面白い類のものじゃないぞ……


【男は素っ気ない態度で返事をして、視線を地図へと戻した】
【特殊な状況であるとはいえ、現れたのは見た目の上では子供だ。男にとって、今はまだ興味の対象ではなかった】
【加えて相手がナンバーズであり、こちらが六罪王だとしても、当然のように誰がナンバーズであるかなど男は知らない】

【男の手許では球体が指先で転がされていた。鈍く輝き続けるそれからは、独特の魔力が放出されている。周辺に漂っていたものと同じだ】
【地図にはいくつかの印がつけられていて、走り書きのようなメモが続いていた】
【周辺に点在している円形の図形は風に煽られた砂が被さって細かな形状がだいぶ消えていたが──】

//よろしくお願いします! <>
◆SwXWg9i6yU<><>2015/05/15(金) 19:49:49.34 ID:kESV5sHo0<> >>849
あ、いらっしゃりましたか!
ではよろしくお願いしますっ <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/15(金) 19:49:52.79 ID:ubu2POLOO<> >>848
//あ、一応いましたが、いかがいたしましょうか? <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/15(金) 19:50:23.79 ID:ubu2POLOO<> >>850
//了解です! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/15(金) 20:09:32.40 ID:g2prK1Ku0<> >>844

【入浴するのにも、深く礼を言ってから入るアイゼルネ。丁寧で礼儀正しい性格が垣間見えるけれど】
【皐月は「そんなに畏まらなくてもいいんですよ、ゆっくりくつろいで下さい!」と苦笑いする】
【そんなに気張らなくても良いのに、もっと自分の家にいるくらいの気持ちでいてくれたらいいのに、と】
【そんな事を思いながら、アイゼルネが浴室から出て来るのを待っているのだった―――】


【―――ゆっくりと湯船に浸かって温まってくれただろうか。アイゼルネが風呂から出てきたのが分かると】
【二回からとてとてと階段を駆け下りる足音が聞こえる。その足音は浴室まで近づいてきて】
【浴室前の洗面所兼更衣室のドアが、おもむろに開かれる―――(もしかしたら、まだ服を着ていないかもしれないけれど)】

「じゃーん!アイゼルネさんに、プレゼントがあります! 
 アイゼルネさんの為に、部屋着を作ってみました!えへへ……喜んでもらえれば嬉しいです。
 このプレゼントをきっかけに、これから一緒に住む私の「お姉さん」にいっぱい喜んだり笑ったりして欲しいなって――― 
 さ、着てみて下さい!―――どうですか、似合いますか?」
 
【衣織が持っていたのは、黄色の布地を使ったワンピース型のマタニティドレスだった。】
【前面の裾には白い花の刺繍があしらわれている。白い花びらが重なった花―――そう、アネモネだ】
【先程好きな色と花を訊いたのは、この為だろう。プレゼントを喜んで貰いたかったのだ】
【家族として、「お姉さん」として―――衣織もまた、アイゼルネの事を受け入れていた】

【アイゼルネは着の身着のままだった。ということは勿論、部屋着の類も持っていなかっただろう】
【服を一着だけしか持っていないのは何かと不便。寝る時も流石に妊婦の為のパジャマはこの家には無い】
【そんなアイゼルネの為に、彼女が入浴している最中に衣織が作ったのが、このワンピース】
【妊娠中の彼女に合わせて腹部前側の布地を大きくとり、ウエストの締め付けの無いゆったりとしたもの】
【手作りの部屋着、アイゼルネには気に入って貰えるだろうか―――】

【(因みに、採寸した訳でもないのにサイズはピッタリ。服の完成度も中学生の家庭科レベルなんかでは無く)】
【(店で買ったといっても信じられる程の、丁寧な仕上げ。これは、衣織の異能と言って差し支えないレベルの才能だ―――)】 <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/15(金) 20:10:04.71 ID:kESV5sHo0<> >>849


あら、子供だなんて酷いわね。
まあ──こんな容姿だから勘違いされても仕方ないけど……。


【自身の容姿が少女ほどの年齢に見えることは分かりきっていたようで────男性の言葉を気にする様子は見せない】
【彼の口調から察するに、己に興味を抱いていない、それどころか今は邪魔な存在でしかないと理解したツェペシュは軽く笑うと、男性が視線を落とした地図へと此方も視線を向けた】


ねぇ……さっき貴方、この岩は魔術による産物とか言っていたけれど────なら此処から感じた魔力は貴方のモノってことかしら?


【地図を見ながら、ふと先程男性が言っていた言葉を思い出す────二人の付近に聳え立つ岩石が魔術による物だとすれば、やはり先程探知した魔力の流出源は彼なのだろうか────】
【確信────ほぼそれに近いものをツェペシュは感じていたが、それでも男性に問いかけたのは話題を途切れさせない為であり、己の見解に自身がないわけではなかった】


────………って、聞かなくても貴方の指先が転がしている球体から察せって話よね。
ねえ、それ私にも触らしてよ────。


【興味を持たれないとしても、ツェペシュはあの魔力量の所為で目の前の男性に興味を抱いていた】
【ゆえに、ここで話題を途切れさせない為に投げた質問だったが男性が弄る球体と二人しかいない空間に漂う魔力を感じて、自分の質問は浅はかなものだったと痛切に感じたツェペシュは、それを誤魔化そうと彼が指先で転がす球体に触れようと手を伸ばした】
【手を伸ばしたと言っても、指で触れようとはしないで男性の手ごと掴むつもりなのか、右手の平を広げている】
【その掌の上にはナンバーズの刻印──赤い文字で66と刻まれているが、男性に見えるか見えないかは分からない】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/15(金) 20:28:55.15 ID:ubu2POLOO<> >>854

【「こんな容姿だから……」──その言葉に男は呆れたようにため息をついた】
【荒野の真っ只中にせり上がった岩石なんてものに興味を示し、大人びた口調で話す】
【彼自身がそうであるのも相俟って、相手が見た目通りの年齢でないと予想するのは難しくなかった】

【男の指先から手のひらへと球体が移り、手がそれを隠すように握りしめる】
【軽い握りこぶしを作ったまま腕が跳ね上がり、伸ばされた女の手を弾き飛ばす】
【男の眉は不快感によって歪められていた】


無礼な女だな。これはお前程度が持つにはあまりにも高尚な物体だ
これが何なのか、知りたいのなら教えてやるが触れることは許さん


【魔力を放出する球体は男にとって特別な物体であったのか、それに触れようとしたことが男の怒りを呼んだ】
【態度も口調も、どちらも尊大なもの。男は目の前の女を理由なく見下していた】
【己の力への自信が、男に横暴な言動を取らせることを許していた】

【男が偶然、視界に入っていた手のひらを見つめる。そこにあったナンバーズの刻印に気がついた】
【すると男はもう一度、ため息をついた】


なんだ、ナンバーズか……
こんな僻地で何をしている。ここはあのベクターが破壊し尽くして、何も残っちゃいない


【この男にとっては、強大なベクターも立場上は同じ。故に男は軽々しくその名を口にした】 <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/15(金) 20:42:06.98 ID:3YXRzkBC0<> >>853

「ふう…」

【丁度いい温度の湯に浸かり終わり、脱衣所で着替えをしつつアイゼルネはほっと溜息を吐く】
【ここまで落ち着いた感情でいるのは一体いつぶりだろうか】
【昨日まで定住地も碌に決めることもできず、各地を転々としていたことがまるで嘘のように感じられるほど、アイゼルネはちょっぴりこの家に馴染みつつあった】
【だが、とアイゼルネは自然と首を横に振る】
【いつまでもここにお世話になる訳にもいかない、それは自分にとって絶対のこと。寧ろもっと居たいなんて甘えた考えは捨ててしまって、今のうちに家から出てみたりしても────】
【と、悶々と考え事をしていると突如扉の開く音が】

「い、衣織ちゃん?……って、きゃああ!私まだ服着てなかったです!」

【ノックもなしに入ってきた黒髪の少女にぽかんと口を開けるアイゼルネだったが、着替えの途中だったことを思い出すと慌て出す】
【幸い全裸という一番こっぱずかしい姿でないだけまだマシだが、身につけているのは下着と白のレースが可愛らしい雰囲気を醸し出すワンピースタイプのランジェリーだけ】
【アイゼルネがやけに慌てているのはそのランジェリーワンピースのデザインがなんというかこう、大半の部分が透ける素材で出来ちゃっていることのせいだろうか】

「プレゼント…?わあ、すごい…!」

【主に慎ましげな胸を両腕で隠した状態で顔を上げる、とその表情は半泣き顔から驚きへ、そして歓喜のものへと変化する】
【衣織が作ったというのはとても手作りとは思えない、黄色地に白のアネモネが咲き誇る、素敵なワンピースだった】
【その色と施された刺繍を見て、あの質問の意味にようやく合点がいった】【まさか、これを作るための質問だったなんて───】
【タイミングよくアイゼルネはまだ来ていた青のワンピースを着ていなかった、その服を受け取って、期待の眼差しを受けつつそれを着てみる】
【サイズは寸分違わずアイゼルネの身体に丁度良い作りとなっているところも驚くべきところ…どうやってサイズが分かったのかと聞くのは野暮な気がするのでやめておこう】

「……うれしい。とっても嬉しいですっ、衣織ちゃん…!」

【こんな自分のために───感謝の気持ちは涙へと変わり、泣きながら衣織にお礼を告げる】
【ただ泣いている訳ではなく、とても嬉しそうに顔を綻ばせながら】


<>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/15(金) 20:49:03.02 ID:kESV5sHo0<> >>855


あらっ……怒らせちゃったかしら?


【弾き飛ばされた手を摩りながら、揶揄う様な顔付と男性の高圧的な態度を逆撫でするかの如き口調で彼同様に眉を顰めた】
【クスクスと上品に────何処となく気品を感じさせる笑い方をしながら、不快そうな表情を此方に向ける男性を可笑しく思う】
【見た目に反して────というより、口調や雰囲気からは想像出来ないほどに分かりやすいというか、からかいやすい人物といった印象を男性に持ったツェペシュは、彼が先程視線を落としていた地図に一瞬だったが、再び視線を向けた────】


ふぅん……なら教えてくださる?
それがなんなのか────………魔力の集合物質みたいなものだったら笑うから……あ、あとその地図の印も──ね?


【見下されていることは口調や態度から理解出来たし、それを察するに時間はかからなかった。しかし、此れほどまでに分かりやすくぞんざいな扱いをされたことは久し振りだった様で────若干、ムキになったが、それを男性に見せたくないと思えた】
【興味を持ったのは目の前にいる男性一人の存在ではなく、男性・魔力・岩・ペン・地図・紙・図形──これら全てが要となり、ツェペシュの興味を引いた要因であったゆえに、男性の申し出を拒否する意味はなかった────というよりも、男性が教えてくれると言った球体よりもツェペシュは、地図に書かれた印の方が引っかかっていた】


フフッ……見えちゃったかしら?
エッチね、貴方は──女性の見られたくない部分を見るなんて────………まあ、ベクターみたいに化け物ではないけどね。
貴方は──……カノッサの人間? それともGIFT? 悪いけど、私には貴方が正義の味方には見えないわ。


【手に刻まれた数字を見て溜息を吐いた男性に対して、再び感じた弄りがい。彼の反応は面倒くさそうなもので────人が困る場面を見るのが好きなツェペシュの心を擽るのには十分だった。
といっても、男性の溜息はツェペシュに対して呆れの意味も込められているだろうが────】
【地の国出身である人物なら聞けば恐怖し震えるか、恨み怒るかのほぼ二択に分かれるであろうベクターの名前を軽く口から漏らした男性は只者ではない──そんなことは、最初に感じた魔力で分かりきっていた】

/すみません。次の返信が非常に遅れます。 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/15(金) 21:03:09.12 ID:ubu2POLOO<> >>857

【女の笑い声は余計に男を腹立たせて、眉間の皺は更に深くなっていった】
【誰かにからかわれる、というのはプライドの高いこの男には本来我慢がならないことだった──が】
【女の口調や笑い方が、さる友人に少しばかり似ていたがために、殺す気にはならなかった】

【エッチね──などと言われれば、男は不愉快そうに鼻を鳴らす】
【相手の容姿が口調に似合ったものであればそれなりの対応もしただろうが、見た目が子供では違和感ばかりだ】
【しかし一連のやり取りで、男にも多少話しをしようという気が出てきていた】


上司の顔と名前ぐらいは知っていてもらいたいものだがな……
まぁ尤も、六罪王になったばかりだし、これといった活動もしていないから知らなくても無理はないが


【男は遠回しに自分の立場を答えた。呆れたような口調ではあったが、知られていないことを仕方ないとも思っていた】
【直近に六罪王になったのは一人。更に未だに何の動きも見せていないことで、選択肢は一人に絞れるだろう】
【それから男はまた地図に視線を落とす。そして顔を上げると、手を開いて小さな球体を見せた】


宝玉……聞いたことは?


【男が口にした名は、この世界では一部で知られた超常的な物質】
【持ち主に強大な力をもたらし、この世界を恐怖に陥れた数人、あるいは世界を救ってきた人間たちが持っていたこともある】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/15(金) 21:24:20.48 ID:g2prK1Ku0<> >>856

【ドアを開けるとアイゼルネはまだ下着姿のままで、あたふたと慌てていた……どうやら、着替えの途中だったようで】
【シースルーのレース地で出来た布越しに、彼女の肌が見える。……多分、それが原因で慌てているのだろう】
【同性とは言え流石に裸を見られるのは恥ずかしいだろう。けれど、衣織はあまり気にしていないようで】
【満面の笑顔と共に、手に持っていたワンピースを渡す―――】

―――

【―――彼女の顔が驚きの色になって、それから喜びの色に変わっていく。】
【衣織はその表情を嬉しそうに見ていた。―――だって、彼女を驚かして喜ばせたかったのだから】
【これからもっと、一緒に喜んだり笑顔になったりしたい―――このプレゼントは、そんな気持ちの表れだった】
【まだ彼女の事は何も知らない。抱えている秘密も、一人だった理由も……何も、知らない】
【けれど―――それでも仲良くなりたかった。一緒に住むお姉さんとして、親しい人として……】

えへへ……こんなに喜んで貰えてうれしいです。
アイゼルネさんの嬉しそうな顔、私は大好きです!だから……――
―――これから、もっともっと私と一緒に笑顔になってほしいですっ!

【その涙に応えるように、衣織は笑顔を送る。―――その笑顔もまた、アイゼルネに負けないくらいに嬉しそうだった】



【さて、部屋着もプレゼント出来た所で衣織はアイゼルネと入れ違いに入浴する事になるだろう】
【居間には皐月がいる。今しがたプレゼントされたワンピースを披露するのも良いかもしれない―――】 <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/15(金) 21:48:20.85 ID:3YXRzkBC0<> >>859

【自分の嬉しそうな顔が大好きなのだと、衣織は言う】
【そんなことを言われるのは初めてのことだったので嬉しいのかピンと来ていないのかよく分からない気持ちになってしまう】
【だけど…、自分も衣織や皐月が微笑む姿を見ていると何処か安心することがある】【そして、この人には笑っていてほしいと気付かないうちに願っている】
【恐らく、衣織が言っていることはそれと同じことなのだろう】【他の人の幸せは自分にとっての幸せに繋がってゆくのだ】

「本当に、嬉しいんです。誰かから贈り物を貰うってこんなにも幸せなことだったんですね。
 私も…笑っている自分で、いたい。それは私のためでもあって───お二人のためにもなれるから。」

【涙を拭って今度こそしっかりと笑ってみせる】
【家に訪れた当初のアイゼルネと比べれば、幾分か打ち解けたような印象を受けるだろう】

【お風呂に入るという衣織に一旦別れて、彼女から貰ったワンピースの裾を揺らしながら、居間の皐月の元へと向かう】
【多分、皐月は衣織が自分のために服を作ったということを、自分より先には知っていると思うから、驚かれることもないかもしれない】
【しかしこのまま着ている姿を見せずに寝るのもアレだし、寝る前くらい挨拶をしなければ些か忍びない】
【居間の皐月にそそくさと近付いてお風呂の件等諸々のお礼を述べる】
【そして…遠慮がちにワンピースが似合っているかどうか尋ねてみることにした】

「あ、あの、神谷さん…!今日は何から何までありがとうございました…。その、もうなんてお礼を言ったらいいか、わからないです。
 衣織ちゃんからもこんな素敵なものを……え、と。ちゃんと似合って…ますかね?」


<> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/15(金) 22:02:23.82 ID:O3lQZ42qo<> 【公園】

【仄かな月明かりが照らす中、誰もいない公園の端で、フードを目深に被った人物がひとり佇んでいる】
【……黒いロング丈のパーカーに白色のTシャツ、下は赤チェックのフレアスカートとローカットスニーカーという服装の少女だ】
【背丈は平均的だが、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた太眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的で】
【漆で染めたように艶めく黒髪はパーカーのフードの隙間から乱雑に流れ出て、夜の色とは違う雅やかな黒色を主張していた】


………あぁ、もう、うるさいわね。
気分じゃないって言ってるの。黙っててくれる?


【少女は滑り台の柱に体を預けるようにして、視線をやや上に向けている。……繰り返すが、公園には少女ひとりきりだ】
【では携帯で誰かと話しているのかと思えば、彼女は両手をポケットに突っ込んだままで。苛立ち混じりの台詞が、誰もいない公園にぽつぽつと響く】

【鬱陶しそうに表情を歪める姿は、その服装も相まって、櫻の情緒が香る品の良い顔立ちとは裏腹のスレた不良じみた雰囲気を彼女に付与していて】
【加え――なにか、少女の周囲の空気がおかしいことに気づくだろうか。妙に空気が澄んでいるというのか、教会や寺院の中のような"神聖"な静寂が辺りを支配している】
【……この時間に人気のない場所を平然と出歩く時点で普通ではない。かといってそこらの不良と断定するには、少女は飛び抜けて異質だった】

【いずれにせよ。少女は別に公園を封鎖しているわけではない。この場所がいつも通り万人に開かれている以上、誰かがやってくる可能性もあるわけで――】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/15(金) 22:23:11.60 ID:g2prK1Ku0<> >>860

【アイゼルネの笑顔を見れば、衣織も笑顔で返す。―――そうして笑顔を交わすと、心が打ち解けた気がして】
【こんな笑顔を何度でも見たいと思うのは、きっと不思議な事じゃない。……だから、また喜ばせたい】
【……そうして、アイゼルネと入れ違いに衣織は入浴する事になる。】
【(ごそごそと服を脱ぎ始めて、露わになる体はまだまだ発展途上。……平たく言えば、色々と小さい)】



【居間で一人で本を読んでいた皐月は、アイゼルネが来ると本から顔を上げて】
【着ている服が変わっているのに気付くと、驚いたような顔を見せる。衣織が服を作っていたのは知らなかったらしい】

まあ、衣織ったらいつの間に……ふふっ、あの子ったら。
ええ、よく似あってますよ―――貴女の表情も、少し明るくなったような気がします!

……アイゼルネさん。私は貴女にはプレゼントできるものがありませんが……
―――貴女の居る場所・帰る場所なら、いつだって用意できますからね。此処が、貴女の家です!

【似合っているかと訊かれれば、微笑みと共に頷く。実際、心なしか表情が明るくなった彼女に黄色のワンピースはよく合っていた】
【皐月は衣織みたいなプレゼントは無いけれど……この家が、少しでも彼女の心の居場所になればいいと思っている】
【改めて、その事をアイゼルネに告げる。―――此処はもう、貴女の家でもあるのだと。】

【―――その後、もう少ししたら就寝という時間か。】
【皐月はベッドでは無く布団を敷くらしい。畳の部屋に並んだ布団が二枚―――その一つはアイゼルネの分という事か】
【元は衣織が使っていたものを引っ張り出してきたのだ。サイズは皐月のものと同じだから、小さ過ぎるという事は無いだろう】
【因みに衣織は去年中学進学の際に買って貰った自室のベッドで寝る。流石に中学生にもなって母親と一緒という事は無いらしい】
【横になって休むか、もう少し話をするか……それはアイゼルネ次第】
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(宮城県)<>sage<>2015/05/15(金) 22:23:35.25 ID:1TYQi1IR0<> 【水の国、都市近郊】
【怪しげな人影が一人、静まり返った住宅街を行く】
【中肉中背。季節外れにも厚手の黒いローブを着込み、フードを目深に被っているため、顔立ちや性別は遠目には分かりづらい】

……これも……。いや、違う……そう、……ああ、もう少し……。

【彼とも彼女ともつかない人影は、街路樹の幹に何かを押し当てては離れ、別の木にまた押し当てては離れ】
【何やらよくわからない行為に没頭しながら、路地の影から影へと渡り歩く。その言動はどこからどう見ても、不審者のそれである】

……。…………、違う、こう…………。

【もし道行くものがこの奇行を無視する事なく、不思議に思って注視したなら、人影が手にしているのが大粒の琥珀である事に気づけるだろう】
【ほとんど未加工な原石同然の石だが、透き通った輝きを放つそれは、随分な値打ち物に見える】
【然るべき所に売れば、きっと高値で捌けるだろう。見る人が見れば、その石が何やら濃い魔翌力を漂わせている事も分かるはずだ】

【魔翌力を帯びた宝石を身に付け、ぶつぶつと呟きながら暗い夜道をゆく人影は、一体この閑静な住宅街で、何をしでかすつもりでいるのか?】
【事の次第を見守っているのは、今はまだ、夜空に光る月だけだ】 <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/15(金) 22:29:29.36 ID:WvzFt3Vmo<> >>861


【── 彼女のその言葉に「応ずる」言葉が、何処からか飛び出てきた】


 …… ごめん、いびき出てたかな。


【外っ側にハネた金髪。眠たげな蒼の瞳の──少年と青年の境目、といった人物だ】
【丁度、少女と同じ歳頃だろう。菊花≠フペンダントを首から下げている】
【急に暑くなった季節に合わせるように、夜には少し肌寒そうな、白いシャツを着ていた】

【……彼が出て来たのは、近くの山型遊具の中からだ。言葉から察するに、中で眠っていたらしい】

【──眠たげな表情は、レイリスフィード学園≠ノ籍を置いていたなら、知っているかも知れない顔だった】
【水国貴族、『ルカイナー家』の御曹司。 …、…尤も、取り立てて優秀だ、という噂も聞かないのだが】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/15(金) 22:48:39.77 ID:Xm7jmDM+0<> >>863

【今時期の風は生ぬるくって気持ちいい、寒くなく、暑くなく、こんな時期の夜が一番好き】
【空を見上げてみればつんと尖ったお月様、前を見てみれば――なんか怪しいひとが居たものだから】
【別に観察してやろうと思ったわけではないし、通報してやろうと思ったわけでもないのだが、ふっと足が止まり】
【もしかしたら相手に気付かれるかもしれない。人影の後方、十メートルほど後ろで――急に立ち止まった、だれか】

――、……?

【真っ黒の髪を腰まで伸ばした少女だった。右耳の傍の髪を編みこんで、髪飾りでそっと飾り】
【丸くて少し釣った眼は左右で色が違って、左が黒、右が赤。露出した右耳には、宝玉の欠片をあしらったピアスを付け】
【細い首にはチョーカーと、シャツは黒布で、袖は半そでだが、姫袖の付け袖をつけていて。指先はフリルに隠れ】
【ミニのコルセットスカートは深い赤色。薄手のタイツと編み上げのサンダルを履いて、余った紐はくるぶしで蝶々にされ】

【魔力の匂いだ、と、思った。どちらかと言えば魔力に敏感な彼女は、きっとすぐにそれに気付き】
【気付いてしまえば、なおさら相手の行動が気になる。何をしているのか――ぱちくりと丸い眼は相手の仕草を追い】
【というかこちらも欠片とは言え宝玉なんて身につけるので、基本濃い目の魔力を垂れ流しているのだが。他人事な顔をして】

……――こんばん、は。
えっと……、さがしもの、とか、ですか?

【しばらく眺めた後の第一声はそんなものだった。こつこつと足音を鳴らして、近づいて、そう話しかける】
【なんてことなく意味もなく両手をぺたんと合わせて首を傾げながら――、向けた笑顔は、それなりに人懐こく】
【きっとなんの他意もなく、本当に不思議がって話しかけてきたと分かる――そんな表情を浮かべていた】 <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/15(金) 22:53:10.42 ID:O3lQZ42qo<> >>864

【――ビクッ、と。自分のものでも、話しかけていた"誰か"の声でもない別の誰かの声が聞こえた瞬間、少女の肩が軽く跳ねた】
【さながら野生動物のような、素早く本能的な反応だ。少女は即座に体を起こして声のした方へと向き直る】
【よく彼の台詞を聞けば悪意がないのはわかるはずなのだが……初対面の人間を無条件に"敵"とみなして身構えてしまうのは、少女の欠点のひとつだ】


………誰よあなた。こんなところで何してるわけ?


【十代の少女らしからぬ凄みを帯びた視線がそちらへ向けられるだろう。黒曜石のような瞳は色濃い警戒に染まって更に黒みを増して見える】
【……たとえばここに居たのが、素行の良いどこぞの大企業の御曹司とかだったのであれば、彼が同じ学校の生徒であると見抜けただろうけれど】
【残念ながら、排他的きわまりないこの少女が知己以外の顔を覚えているわけもない。自分のことを棚上げに、不審者扱いの失礼な台詞を吐き捨てるだろう】

【そんな事情なので、むしろ逆にそちらの方が、この少女に見覚えがあるかもしれなかった】
【フードの下にある不機嫌そうな顔……幸徳井佳乃という少女は、レイリスフィード学園では"不良"としてそこそこ有名だったりする】 <> アイゼルネ・ユングフラウ
◆4JxTYkzBfA<>sage<>2015/05/15(金) 22:57:30.00 ID:3YXRzkBC0<> >>862

【どうやら衣織は母親にも秘密にしていた?らしく】
【皐月が驚いているのを見て「え?あれ?お母さんにも言ってなかったのかな…」等々独り言のオンパレードで相変わらず締まらない】
【それにしても入浴していた時間があったといえども、衣織一人でここまでのものを作ってしまうなんてすごいことだ】
【仮に彼女がお針子さんになったらすぐに一人前として働けてしまうことであろう】

「そ、そう…ですか?そう言っていただけると、嬉しいです。」

【似合っていると言われればちょっと嬉しそうな顔に】
【内心明るい雰囲気のこのワンピースは自分の陰鬱な姿には合わないかもしれないと不安を抱いていたのだが似合っているならそれはそれで、とても嬉しい】
【尤も、服の製作者さんがちゃんと自分に配慮してベストなデザインを作ってくれたのかもしれないが】

「……居られる場所、帰れる場所……、………っ、はい…!」

【自分はどこにも帰れない者だと思っていた】
【自分の帰る場所なんて世界中のどこにもないと泣いていた】
【そんな日々を思い返しながら、アイゼルネは高まる鼓動を押し隠しはっきりと返事をしてみせた】
【二人と一緒にいることがずっとであるという訳ではないし、もしかしたら自分がふらりと何処かに行くかもしれない】
【でも、もし】
【心が辛くて折れそうになった時は……少しだけでいいから自分が居れるスペースを空けていて欲しい】
【そんなことを願ってみたり】

「では、おやすみなさーい…和の文化圏布団を真近で見るのははじめてです。」

【そんなことを言いつつ敷かれたお布団をじっと見つめる】【確か…噂によれば櫻の国で多い形式のものだとか、そうでないとか?】
【近くで見物するどころか今日からそれで寝れるのだから人生何が起こるか分からない】
【興味深そうにひときしり観察したあと、ようやくアイゼルネは 眠りに就くべく布団に潜り込む】
【床の上で寝るものだから硬いと思っていたがそうでもなかった】
【と、眠りに落ちる寸前だろうか】【ゆっくりとした口調でアイゼルネは一言だけ呟いた】

「……また、明日も…よろしくお願いします。」

【その一言だけ】
【その一言だけでアイゼルネがどれだけその親子に救われたかきっと分かるはず】
【孤独の少女はようやく帰る家を見つけたのであった】
<> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/15(金) 23:09:44.14 ID:WvzFt3Vmo<> >>866

【彼女から帰って来た言葉は、(当然ながら)つっけんどんな物だった】
【──、が、この少年は、それをまるで一顧だにせず、遊具の穴から這い出て、立ち上がると】
【たっぷりと時間をかけて、服についた埃を払う。 そうしてやっと、育ちの良さそうな笑顔を、少女に向けて】


……そろそろ、本格的に暑くなってくるから。


【と、空を指して一言。 ──これで十分伝わる、と思っているのか、沈黙が数瞬、場を支配した】
【そこで初めて、流石に言葉足らずだと思ったのだろう、言葉を続ける】


だから、今の内に陽の下で寝ておかないと、勿体無いと思って。
──でも、少し寝過ぎたみたいだ。起こしてくれてありがとう。



……  幸徳井さん … 、…で、良かったっけ。 うん、その髪の色は、確かそうだよね。


【記憶と眼前の人物を同定するには、少し時間がかかったが、思い出したようだ】
【「クルト・ルカイナー」と、最後に自分の名前を名乗って、少年は彼女に右手を差し出した】
【──握手、という事だろうか。 だとすれば相当、タイミングを間違えているようにも思えた】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(宮城県)<><>2015/05/15(金) 23:14:37.13 ID:1TYQi1IR0<> >>865
【後ろ暗い行為に及んでいるにしては、人影は随分と無用心に見える。普通、こういった人種はもう少し人の視線に敏感なものだが】
【足を留めて凝視しようが足音を立てて近付こうが、まるで気付いていない素振りだ。それ程にこの作業(?)に熱中しているのか?】
【しばらくして、挨拶を受けても、依然、人影は振り向かないまま】

……む。職質か?いや、職質ならば有無を言わさずに、もっとこう、ぐいぐい来るはずだ。
では何だ……これはいわゆる所の……今風に言うと……アレだ。『プロ市民』の、『善意による通報』といった所か?
ふむ、参ったな。確か前にもこんな事が……。

…………ああ、違うようだな。失敬。それと、今晩は。良い夜だな。
探し物か。言い得て妙だが、どちらかと言えば『尋ね人』の方がより正確だな。というのも、僕は魔導師なのだが……。

【何やらぶつくさぶつくさと失礼にも程がある独り言を並べたてた後、緩慢にそちらに振り向いてフードを外した】
【まだ若い、青年だ。線の細い顔立ち。男にしては長いプラチナブロンドの髪を、紙紐で頭の後ろに括っている】
【彼は少女を一瞥すると、彼女が今し方彼の独り言で挙げられたような手合いでない事を悟ったらしく】
【頭を下げて軽く謝罪し、挨拶を返した】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/15(金) 23:24:16.83 ID:Xm7jmDM+0<> >>869

【声を掛けたら振り返るものだと思っていたから、少女は一瞬「はてな」と言う顔をするだろう】
【もちろんそれも振り向かねば見えないものだから、彼にとっては関係ないことだろうけれど――、】
【少しだけ困ったように眉を下げる。だけれど、そのぶつぶつ声をきちんと聞き取れたなら】

えっと……、わたし、ここの市民じゃないよ、――お家は夜の国にあるの。だから、
ただのお散歩で――、えっと、何かしてるみたいだったから。……探し物でもしてるのかな、って。

【返す声はだいぶん柔らかで人懐っこく聞こえる。多分よく分からなかったのだ、市民ではない、と、返答しながらも】
【それからきょとりと視線を動かして、彼が辿ってきた木を見返していく。なんてことない、ただの木のようだけど】

……ひとを探してるの?

【なんて考えていたら彼のことばが続いて、彼女は、一瞬とっても不可思議な声を出した】
【どうして木を触ったりしながら歩くのがひと探しに繋がるのかが分からないのだろう。はてな……と、さっきと同じ顔をし】

――――、え、と。わたしで良ければ、手伝うよ――。

【とりあえずよく分からなかったけれど、彼のことを否定はしないのは性格だろう。頭の脇にはてなを浮かべながらも】
【なんにも分かってないままで、だけど、手伝いをしたいなんて言い出す。にこりと笑ってみせて――】
【でも無理にじゃないの、とか、そんな風なことばを、後から気付いて、少し慌てながら続けたはずだった】 <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/15(金) 23:27:14.95 ID:O3lQZ42qo<> >>868

【こちらもずいぶん厳しい口調で問いかけたつもりだ。不機嫌になったり萎縮されたり――あわよくばそれで逃げ帰ってくれたり――という展開は予期していたのだが】
【帰ってきた答えに理解が追いつかず、思わず「は?」という素っ頓狂な声が漏れる。なにを返していいやらわからず、少女は沈黙を享受する羽目になった】


…………起こしたつもりは一切ないしそんなバカみたいな理由で野宿を決行する意味がさっぱり理解できないわよ。
クルト・ルカイナー………ふん、お坊ちゃんの考えることはわからないわ。日差し浴びすぎて頭やられたんじゃないの?


【クルトと名乗った少年を半目で睨みつけ、佳乃は呆れたように溜息を付いた。逃げ出す気配どころか、こちらの悪意をまるで意に介した様子がない】
【こういうタイプがいちばん苦手なんだ――内心そう思っていたところで。当然のように差し出される掌、】

【……一瞬、なぜか佳乃の方が萎縮したように見えた。うっ、と困ったような顔をした後、バツが悪そうにそれから目を逸らし、一歩下がって腕を組む】
【どうやら握手に対する返事は"拒否"であるらしい。……まぁ、自分が幸徳井佳乃であることを否定しないあたり、他人のフリで無視する気もないらしいが】
【台詞は相変わらず辛辣だ。ただ、ルカイナーという名の意味までは思い出せずとも『良いとこのお坊ちゃん』という(身勝手な)印象だけは思い出したらしかった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/15(金) 23:30:13.73 ID:g2prK1Ku0<> >>867

はい、おやすみなさい。ふふっ……布団もなかなか寝心地が良いんですよ?

【本当に、何の変哲もない布団なのだけれど……布団は初めてなのだろうか、物珍しそうに見るアイゼルネ。】
【皐月は櫻の国出身で布団も馴染み深いのだが、生まれる国が違えば当たり前のものも珍しく見えるらしい】
【観察する姿を微笑ましく見ながら、皐月もまた布団に体を横たえる。ふかふかの布団は、至福の時を齎す―――】

【―――その、寸前。横からポツリと呟かれた一言は、ちゃんと皐月の耳にも届いて】
【……その一言に込められた想いも―――きっと、届いた筈。】

―――ええ。また、明日。

【―――そう、また明日も明後日も。居場所は、変わらず此処にある】



【翌日以降も、アイゼルネはこの家に居る事を拒まれることは無いだろう】
【皐月は仕事、衣織は学校で日中は二人とも家に居ないが……晩になれば、二人とも帰って来る筈】
【二人とも、身重の彼女への心遣いを忘れない。家族のように親しく接すると共に、決して無理をさせないようにしている】

【合鍵もアイゼルネに渡される。いつでも何処でも自由に出入り出来るように、と】
【妊婦なのだから、あまり無理は出来ないかもしれないけれど……】

【勿論、妊娠中の悩みや相談なんかも喜んで受けるだろう。何せ出産まで体験しているのだから、経験談は豊富】
【「不安なことがあったら、いつでも相談して下さいね!」なんて、皐月は自信ありげに告げたりするのだった】

【……まだ、彼女が妊娠している理由や何処から来たのかという秘密は分からないけれど】
【勿論無理に訊く事はない。いつか、教えて貰える日が来れば……それでいい】

【二人に出来るのは、彼女が居るスペースを作る事。―――二人はいつでも、笑顔で待っている】

//此処で〆という事で、お疲れさまでした! <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/15(金) 23:44:16.47 ID:WvzFt3Vmo<> >>871


【彼女の表情の変化は見て取れた。 ──嫌なら仕方ない】
【宙ぶらりんとなった右手を、意に介さず引っ込めると……彼は周囲を見回す】
【──何をそんなに見回す必要があるのかは分からないが、そうしながら、返答】


日差しは浴びてないよ。あの中に居たから。
……でも、ちょっと喉は渇いたかな。脱水症状の方かも知れない。


【真面目な顔で、山型遊具を指さす──その返しは、彼女の機嫌を更に損ねるだろうか】
【悪意を悪意として受け取っていないのだろうか。だとすれば、彼女が怒るのも当然だろう】

【そうして、一頻り、四方八方を見回し終わると、再び佳乃へと向き直り ──、】


僕を起こしたつもりがない、って事は、誰かが居ると思ってたんだけど。
誰も居ないね。 ──もしかして、猫にでも話しかけてた?


【「幸徳井さん、意外とそういうタイプなんだ」 ──と。 笑顔。 嫌味のない、笑顔】
【彼女の方からしたら、たまったモノではないだろう。 イメージの押し付けである】

【だが、言葉は人口に膾炙すれば真実になる、とも言える】
【この誤解を放置しておけば、彼女は「動物に優しい系不良」としての名を轟かせてしまうのかも知れない──】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(宮城県)<>sage<>2015/05/16(土) 00:00:29.07 ID:E3eMthpR0<> >>870

成る程、夜の国かね。それはまた随分と遠出するものだな。旅行者か何かなのか……ん?散歩?
それはまた、驚いた。「ちょっとした散歩」で国境を越えるとは、なんとも活動的なお嬢さんだ。
……不躾な質問だが、そのピアスの魔翌力から察するに、転移魔術か何かかな。とすれば、同業者?

【一方の青年。振り向いた当初は強張った表情で、少女に対する警戒も顕だったが、柔らかな物腰にすっかり毒気を抜かれたようで】
【はきはきと能弁に、少女へと応答した。少女が夜の国から来たと言えば、彼は驚いたように目を丸くする】
【しごく軽い調子で問い返すのは、宝玉の欠片をあしらったピアスの事だ。どうにもこの青年、細かいことを気にするたちらしい】

いや、厳密に言えば人ではない。木霊だ。歳経た木に宿っていて、力のあるものなら何でも良い。
円滑なコミュニケーションが図れる類のものならば尚良いが、あれらにそういった事を期待するのは不毛だろう。
再度言うが、僕は魔導師でね。専門は無い。魔女術(ウィッチクラフト)、錬金術、呪術、方術、喚起、何でもやる。
だか強いて得意な魔術を一つ挙げるなら、それは紛れもなく精霊魔術だ。

……手伝ってくれるのか?それは有り難いな。実を言うと、この辺りの地理には疎いんだ。

【頭上に疑問符を浮かべる少女の為に、掻い摘んで説明する青年。彼の言うところによれば、どうも尋ね人は人間でなく精霊の類らしかった】
【不審極まりない仕種で木陰から木陰へと渡り歩いていたのは、街路樹が精霊の宿り木かどうか、一本一本吟味していたかららしい】
【彼は恥じたように目を逸らして一つ頭を掻くと、嬉しそうにくつくつと喉を鳴らして笑い、それから少女に礼を述べた】 <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 00:00:42.01 ID:/daRHJaNo<> >>873

【引っ込められた右手を、黒色の視線はフードの奥でやや気まずそうに眺める。……ちょっと罪悪感を覚えているようにもみえる】
【だがかといって謝るでもなく、誤魔化すようにもう一度「ふん」と鼻を鳴らして、佳乃は黙ってクルトの台詞を聞き、】

【……だからだろうか。「あっそ」と適当に返した後、佳乃は「そういえば」と唐突に切り出し、親指で適当に真後ろを指すだろう】
【その先をよく見れば、木陰の見づらい位置に自販機が置いてあるのが見えるだろうか。喉が乾いたなら買ってくれば、ということなのか……】
【佳乃はそれ以上なにも言わない。単なる気まぐれか、それとも握手を拒んだ贖罪のつもりか、その辺りはクルトが自分で判断するしかない】


ちっ、違うわよ、失礼な奴ね。

けど、いいわ。知りたいなら教えてあげるわ。
――――私の中にはね、"神様"がいるの。その人と話していたのよ。


【佳乃の額にきれいな青筋が浮かぶ――悪意がない分対処に困る。怒鳴り散らしたいが、そうしたら自分だけが子供みたいじゃないかと】
【……実は小動物が好きなのも事実で時々気まぐれに話しかけてみたりするのも事実なのが、見透かされているようで余計に神経を逆撫でする】
【このままでは"不良"以上に厄介きわまりないレッテルを貼られてしまう――そう考えた佳乃が咄嗟に放ったのは、こんな台詞だった】
【「自分の中には神様がいる」……一般人にいきなりこんな台詞をブチ撒ければ引かれるのが必定だ。危ない奴と思わせて、クルトを脅かす気らしい】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/16(土) 00:12:02.89 ID:k6yMbP700<> >>874

うん、お友達……あ、ううん、えっと。知り合いのひとがね、書いてくれたの。
お家は夜の国だけど、お仕事は風の国だし――、他にもいろんなところ、行くよ。

……あ、えっとね、これは――その、わたしが“そう”だから持ってるんじゃなくて。
預かったものなんだけど……、えっへへ、元は、赤かった、んだけど……。

【どうやら彼の推測どおりだ。彼女がここに来たのは転移の魔術を使ってのことで、帰るのにも使うのだろう】
【それにしても友達と呼ぶなとでも脅されているのだろうか。単なる仕事として依頼した、ただの顔見知りでないのは確かそうで】
【だってそんな仕事だけの付き合いならそんな言葉は必要ないのだろうし。――まあ、それは、どうでもいい余談で】
【話が宝玉の欠片へと動けば、彼女はなんともばつの悪いように笑う。笑って、……頬を軽くかいて、誤魔化していた】
【まあ。預かったのはいいけれど、何かいろいろあったのだろう。ちなみに、今は、限りなく白い水色……月白色をしていて】
【割れた欠片であることといい、右耳だけと片方しかないことといい。どうにも、不完全な印象だけど――】

こだま……って、精霊さん? わあ、わたし、見たことないよ――。
こんなところに居るの? もっと――、森の中、とか。そういうところに居そうだけど。

【少女はそんなの気にしないみたいに木霊について興味を寄せているのだった。わあ、と、きらり目を輝かせ】
【さっきまで彼がなんやしていた木に触れてみる、それで、「この子には居ないの?」だなんて尋ね】

――わたしやってみたい、そういうのやったことないし、魔術も、まだ、へたっぴだけど……。
えっとね。転移の魔術を書いてくれた子が、たまに教えてくれるの。忙しいみたいだから、いつもじゃないけど――。

【それで、改めて、手伝いをさせてくれないかとお願いするのだ。才能はそれなりでもまだまだな腕前、師には程遠く】
【それでも何かお手伝い出来るなら――したい。興味を惹かれたのもあるし、それなりにお人よしな性質でもあるのだろう】
【「道もあんまりよく分からないけど」……ひどい言葉が聞こえた気がする。聞こえなかった振りもアリだろう】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 00:25:20.22 ID:e97QFkljo<> 【廃ビル】

【ある街の繁華街から少し外れると薄ら寂れた様なエリアがある】
【街灯も少なく、風紀的に良くない様な店と人が住まう社会の裏側の場所だ】
【それの外れには潰れたビルや倉庫郡。昨今の不況やら何やらでこうなってしまった】

【その中の1つ、廃墟のビル。上階をぶち抜いて作った高級レストラン。今は埃だらけの赤絨毯と】
【シャンデリア、少しのテーブルと椅子が残るだけ。街の夜景が、月が見えた。…物音が隅のほうでする】

【それは影のような人間でやせた背の高い男だった。黒のシンプルなスーツ姿でシルクの青いネクタイ】
【この暗がりでもサングラスをかけていた。右手には美しい彫刻が施されたリボルバー式拳銃が握られていて】

【足元には誰かが倒れていた。壮年の…また男だ。壁にもたれかかり、目を閉じて。腹部は真っ赤に汚れていた】
【右手で押さえたまま、死んでいた。左手にはなにか別のものを握りしめて、既に事切れていた。…臭いはしない】

…何だ?

【物音がすれば、彼は振り返った。とっさに銃を構える。撃鉄を起こす音がフロアに響いた】 <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 00:28:49.63 ID:FxbQs3ESo<> >>875

【──その言葉には、流石に、彼も驚いた様だった。 瞳が少し、大きく開かれる】
【先ほどまでは好き勝手に動いていた舌も、動きを止めると】


…… 神様。


【そう、一言だけ残して、彼は彼女の傍から離れていく。目論見は成功したのだろうか】
【見れば、彼女を追い越して ──、 自動販売機に近寄ると、音を鳴らして硬貨を入れる】
【どうやら、飲み物を買いたかっただけらしい。 缶を「二本」、両手に持って、戻ってきた】


みかんと林檎、どっちがいいかな。 ──僕はどっちでもいいや。
でも、みかんの方はつぶつぶが入ってるから、嫌いならやめた方がいいよ。


【そう、益体もないことを話しながら、彼女に差し出し──受け取られたとしても、そうでないにしても】
【近くのベンチに座る。 顔を少し上にあげて、立っているのだろう彼女の顔を見据えると】


幸徳井さんは、櫻の出だよね。 ……や、間違ってたらごめん。
なら、憑物筋……、って言うと、神様に失礼か。 なんて言うんだろう、分からないや。
それに、わざわざそんな……。 ……まぁ、僕の方の説明はどうでもいいか。


──何か失礼をしていたなら、ごめんなさい。


【ぱん、ぱん、と柏手を打って、一礼。 ──嫌味ではない。至って、真面目な表情だ】
【──突拍子のないようにも思える彼女の言葉を、クルトは信じていた】

【……途中まで、ぐだぐだ言っていたのは、「信じた理由」の説明だろうか】
【だが、面倒になったのだろう。途中でやめてしまっていた。結果、馬鹿にしているような印象も残ってしまったのだが】 <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/16(土) 00:30:52.48 ID:vzuBnIWhO<> >>858

【ほんの少し────たったの僅か、数十分にも満たない時の中で交えた会話ではあったが、男性の性格──というよりはプライドとでも表した方が正しいか。兎に角、男性のプライドが世間一般的に見れば高い方だと理解できた】
【そんな彼が此方の逆撫でに反応する様な様子を見せるのを面白がってか、眉間の皺を深くするたびにツェペシュは男性に負け劣らない見下した雰囲気でそれを嘲笑する】

【此方のからかいにレスポンスをしてくれる男性はツェペシュにとっても久しぶりの面白い奴といった類に括られたようで────投げた冗談を打ち返してきた男性の不愉快そうな様子をしつこく笑う】


上司────……………ああ、成る程ね。
貴方が最近、六罪王になったっていう……確か名前は──………………エイン? だったかしら? フフッ……残念、六罪王の席取られちゃった。
ま、別に私が狙っていたわけじゃないからいいんだけど………ふぅん、貴方が六罪王ねぇ……。
そう言われてみれば、確かに納得するかもしれないわ……。貴方の魔力とか、正義の味方に見えなかったりとか。


【上司と言われて、最初はよく男性の言っている言葉の意味が理解できていないようだったが、さらなるヒントと悩みの沈黙を終えればやっと男性が何者か察しがついたようで、名前こそ間違えているがしっかりと彼の話は機関の噂から聞いていたようだ】
【六罪王────男性がその席に座ると分かるやいなや、足元から毛先までを見定めるかの様に鋭く──何処と無くいやらしい目線で見始める】

【彼が機関の重役だと知れば、納得出来た先程までの高圧的な態度や常識に囚われない魔力量】
【この様な男性がどの様な手段を使用して空いた席に腰を下ろしたのかまでは知らないようで、彼を推薦した六罪王の名前は上がらなかった】


まあ────………風の噂程度だけど。
まさかとは思うけど、それがそうなのかしら?


【彼が六罪王と知ってもなお、態度を和らげないのはそもそもな話、六罪王といった役職を敬っていない──もしくは認めていないからなのか】
【先程もベクターの名を呼び捨てしたことからツェペシュの場合、おそらく前者だとは思うが──────】

【男性が口に出した単語は──ツェペシュも耳にしたことがあった】
【しかし、詳しく聞かれても伝説程度の知識しか、話しか知らないツェペシュは知っているか否の二択で問われれば、吐き出される答えは微妙な位置になるもので】

/遅れてすみません






<> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 00:48:49.16 ID:/daRHJaNo<> >>878

【驚き戦いて、黙って去っていく背中――学園に入ってからというもの数え切れないほど見た光景だ】
【今更それを悲しいとも思わない。むしろ佳乃は内心ガッツポーズをしてそれを見送るだろう。……体の内側の方で溜息が聞こえた気がしたが気にしない】
【これで厄介事は消えた。とっとと帰ろう。そんな風に考えて踵を返した瞬間、「ガコン」という聞き慣れた音が耳に届いたのは、幸いだったのか不幸だったのか】


――――、は?


【まさか、と思い振り返って、佳乃は唖然とした表情で瞠目した。戸惑って棒立ちでいるとクルトはベンチに座り、平然とジュースを勧めてくる】
【……しばし、その表情で静止した後。次に浮かんだのは呆れ、怒り、そしてなにやらヤケクソになったような激情】


あ、あなたって人は…………。
いいわよ、上等だわ。そこまでするなら見せてやろうじゃない――――!


【ぷつん、となにかが切れる音を、佳乃と佳乃の中の"神"は聞いた。その瞬間――周囲の空気が一気に、締め上げられるのがわかるだろうか】
【佳乃の側に流れていた"なんとなく"の神聖さでは済まない。明らかに異質、異常、なにか能力の類の影響とわかる"聖"の気が、周囲一帯にバラ撒かれる――】
【なんの変哲もない公園が、丸ごと聖域に塗り替えられていくように。――もしクルトがこれを攻撃の意と取ってくれたのなら、佳乃の思惑通りなのだけれど、】


『こ、これ佳乃! なんと失礼なことを――――!』


【……ヒトの身ではあまりに息の詰まるこの空間。クルトがそれでもこの場に留まるならば、どう見ても様子のおかしい佳乃を見ることができるはずだ】
【荒々しく口の悪い生意気な少女が一転、どこぞのお嬢様みたいに上品に、ふつうの少女のようにおろおろと慌てふためいて】
【クルトが逃げ出さないとみて、いよいよ二重人格の芝居でも打ち始めたか? ……にしては、なんというか、オーラが異質すぎる気もするけれど】

【極限まで血迷った佳乃なのか、それとも本当に佳乃以外の誰かなのか。そんな人物は、はたとクルトに向き直り】
【『これはどうもご丁寧に……』と一礼し、林檎のジュースを受け取って、その隣に腰掛けようとするだろう】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 01:08:14.74 ID:fKHJILxWO<> >>879

【名前を間違えられてまたも男は不愉快げな顔を──しなかった】
【ただ静かに女を鋭い視線で見抜いていた】


“ロード・ケイオス”、もしくは“アイン”だ


【静かな声で男は二つの名を同列に名乗った。呼ばれる名として、どちらでも良い、と】
【視線を──まるで見定めるかのような視線を受けて、彼はただゆっくりと右手を女へと向けた】
【指先に挟まれた宝玉が小さな輝きを放つ。それだけで──膨大な魔力がそこに集中した】

【次の瞬間、微かな閃光。魔力の塊と思しきものが女のすぐ隣を切り裂いていく】
【背後にそびえ立つ巨大な岩石に魔力が命中。微かな切れ目が入った岩石はそこから瞬時に崩壊していった】
【岩の塔が崩れ落ちて荒野に落着。轟音を響かせながら大地を振動させ、砂埃が周囲に舞い上がった】


ナンバーズだか魔術師だか知らんが……無礼な振る舞いは程々にしておけ
────二度目はない


【そう、六罪王は冷たい声で言い放った】
【実力が判明しておらず、かつ礼儀を持たない相手にこの男は純粋に冷酷だった】
【友人に似ているという理由で初めは許したが、それがそもそも例外だったのだ】

//遅くなりまして
//おかえりなさい! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(宮城県)<><>2015/05/16(土) 01:13:15.16 ID:E3eMthpR0<> >>876

ふむ、ふむ。それは何とも、多忙な事だ。その友人だか知り合いだかも、中々にできる同業者のようだな。
転移魔術をそうも気軽に使いこなす術師など、僕の知人にも両手の指ほどしかいない。そもそも知人の数自体、そう多くもないのだがね。

……やはり、不躾な質問だったな。済まなかった。僕はどうも昔から、こういった人の感情の機微には疎い。流してくれて結構だ。

【雄弁にして、多弁。しかし、どうにも一言二言ばかり余計な事を口にしてしまうのが、この青年の生まれ付いての欠点らしい】
【気まずそうに言い淀む少女の仕種に気付き、彼は申し訳なさげに眉を寄せる。少女は気にせずとも、自分の気が済まないのだ。今度は深々と頭を下げ、無礼を詫びた】

君の疑問も尤もだ。ふつう、彼らは自然の中にこそ在る。雑木林に、深い森に、山中に……或いは未踏の魔海に。
しかし、そういった如何にもな見た目にばかり気を取られて、多くの術師は肝心な真実を見逃す。

例えば、『このベッド・タウンがほんの十年二十年前までは、非常に自然豊かな山だった』という事実などを、だ。

【さて。暫くすると彼は、木霊について簡単な講釈を垂れる。まあ、誰だって知っているような、ごくごくさわりの話だ】
【続けて彼が述べたのは、この住宅街の成り立ち。山を切り開いて作られた住宅街……まあ、これもよくある話】
【だが二つ並べると、これがまた別の意味合いを帯びてくる。要はこの青年、掘り出し物を漁りに来たのだ】
【多くの精霊術師にとっての盲点となる街の中に、ともすると未契約の強力な精霊がいるかも知れない、と】
【成る程、話だけを聞けば浪漫に満ちているが、果たしてそう上手くいくものか?】

……その木にも、居る。だが小さいし、弱い。他の自然との繋がりを欠いている。

僕に言わせれば、この通りを設計した人間は情緒に欠けている。山奥のベッドタウンならば、もう少し自然を売りにするべきだろう。
何処も彼処もアスファルトで塗りたくって、芸が無いったらない。僕なら緑道にするね。生け垣があれば……桜並木なんかも良い。
足下は赤煉瓦で舗装された小径だ。自然との調和。ふふん。瀟洒だとは思わないか?

……あのさ。何を言っているんだ、君は。僕は『手伝って貰えるならば有り難い』と言ったんだ。
手助けを受けるのは僕なのに、君がへこへこしてどうする。
猫の手も借りたい状況だ。経験の有無なぞ構うものか。解ったら、君も早く支度をしたまえ。ほら。

【まあ、事が上手くいくか否かはさておき、彼の中で少女が自分を手伝ってくれるというのは決定事項のようだった】
【経験の有無も、実力の程も関係ない。彼女自身の意思こそが何よりも肝要なのだと青年は告げて、手にした琥珀をほいと手渡す】
【彼女がそれを受け取れば、自身も袖口からもう一つ琥珀を取り出して(どうもスペアがあったらしい。用意周到な事だ)足早に歩き出す。木霊捜しの始まりだ】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 01:14:13.02 ID:fKHJILxWO<> //すいません、次ちょっとだけ遅れます <> クルト・ルカイナー ◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 01:14:46.07 ID:FxbQs3ESo<> >>880


【 ── 聖=@に、公園が包まれていく 】


【静謐なる空気、清浄なる空気 ── 草木までもが、「塗り替えられて」いく】
【こうなったのは、クルトのせい、なのだろう。 だが本人はと言えば、ベンチに座したままだった】
【……驚いていない訳ではない。 事実、先程よりも真ん丸と、瞳は見開かれていた】


………… あ。 ……「そう」、か。


【──固まっている内に、目の前の佳乃の様子の変化に気づいた】
【だが、此方には彼は、「納得」した様だ。 こんな御業を見せられた後なら、大抵予想はつく】
【或いは案外、頭は回るのか。──ジュースを渡しながら、腰を浮かして彼女の場所を作った】


……すいません。怒らせるつもりは──、なかったって言うと、嘘になるけど。
ちょっと、面白くて。 ……一回、自販機の方に行ったのはやりすぎだったか──。


【── ……。 先ほどまでの「天然」っぷりは、わざとだったらしい】
【全部が全部、嘘、という訳でもないのだが。例えば、これを「攻撃」と受け取らなかったところとか】
【隣に座った少女≠ェ、「神」であろうことには考えがついているというのに、左手で頭を抱えているところとか──】





……幸徳井さん、怒ってます……よね。 ……何か、お詫びの、良い方法とか……。


【 ── 隣の「神様」に向かって、深刻な表情で、人間関係の相談を始めたところとか 】


【──確認だが、これでも、彼自身、驚いてはいるのだ】
【目の前の状況がぶっ飛びすぎていて、足元から固めたいのだろう。──が、問題はそれが、「彼基準」である事か】
【自分でも何を話しているのか、意味が分からないのかも知れない。 だからと言って、あんまりだろうが】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(宮城県)<><>2015/05/16(土) 01:15:12.47 ID:E3eMthpR0<> >>876
//すみません、お待たせしました。もう遅いですし、もし時間が押してるようでしたら
//早々に切り上げるか、後日に持ち越すように致しますが……いかがなさいましょーか? <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/16(土) 01:21:45.83 ID:k6yMbP700<> >>885
/申し訳ないですっ、ちょっと眠気が来ちゃったしてる感じなので
/そちらさえよろしければ明日に引き継いでいただけたら嬉しいなと……
/その場合でしたら明日は暇なので、こちらが手空き次第レスお返ししておけるかと思いますっ <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/16(土) 01:39:00.47 ID:b53htCll0<> >>881


【ツェペシュの絶対的な線引き────からかいの力量とでも言い表すべきか。それは他者を弄る際、相手を怒らせずされど不快な思いをさせるということ】
【そのギリギリの境界線上で相手の歪む顔を見ることを楽しみたいツェペシュにとって、名前を間違えたのに表情を変えなかったアインの様子はあまり好意的ではなかった────が同時に自身がその境界線上からアインを引っ張ってしまったと、簡潔に言えば怒らせたと察することができた】


じゃあ────…………"ケイオス"って呼ばせてもらうわね。
不思議と貴方にはそっちの呼び名が似合っている気がするから。
別にこれは、からかいとかではないわよ?


【教えられた二つの名を頭で復唱すると、果たして何方で男性の名前を呼ぶか一瞬だったが迷いを見せる】
【先程感じた魔力を思い出し、付近に佇む岩石を横目で見れば彼は"ロード・ケイオス"の呼び名がしっくりくると思えた】
【しかし、やはりその呼び名で彼をいちいち呼ぶにはいささか長いと考えれたゆえに、ツェペシュは男性を"ケイオス"と呼ぶことに決めた】


【男性が────ケイオスが先程と違う雰囲気を醸し出しいるのはやはり境界線上から引っ張ってしまった所為だろうと察しがついたツェペシュは、内心ため息を吐いた】
【今更ながらに六罪王を軽く怒らせてしまったことに対して後悔────しかし、ケイオスをからかったことを悔やむことはない】


────…………………?


【視線に反応して見せたケイオスの行動────此方に向けられたのは先程彼が指先で転がしていた球体で──数分前の会話から考えるにそれが宝玉であろうことは理解できていたが、問題はそこではない】
【彼が────ケイオスが此方になんの目的を持ち合わせてかの宝玉を向けているのかが問題であり、ツェペシュは疑問を抱いた顔付で彼を見た】


────……………………ッ!!
 あらあら……………なんだやっぱり────貴方も化け物なのね、ベクター同様に。
もっとも私は彼と会ったことなんてないし、貴方達六罪王に礼儀を振る舞おうなんて考えてもいないけど………流石に無礼がすぎたかしらね、ごめんなさい。


【────刹那、向けられた宝玉から放たれた閃光は高速で自身へと向かってきて、背後の岩石をいとも容易く破壊をした】
【一瞬の驚愕────この世に命を授かり久しぶりに感じた心臓の鼓動が早くなる感覚】
【その体内で起きている現象を収めるかの様に自身の鼓膜を振動させたのは、背後の轟とケイオスの冷めた声だった】

【やはり六罪王というだけはあると身を持って感じたツェペシュは先程とは違い少しばかりではあったが振る舞いを改めた】
【しかし、あまり変わっていない】
【ツェペシュはあの閃光に若干の恐怖を覚えつつもケイオスを敬う様子は見せないどころか、それを口へと出した】
【その真意は単純で────己の上司ではないからだ】




<>
◆SwXWg9i6yU<><>2015/05/16(土) 01:39:37.16 ID:b53htCll0<> >>883
りょーかいですっ <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 01:44:29.53 ID:/daRHJaNo<> >>884

【なにはともあれとりあえず一息、と思ったのか。受け取ったジュースを空けて流し込み、佳乃は深く息を吐いた】
【……もちろんクルトの弁解はすべて聞こえている。その横顔を見るに、どうやら怒っているわけでも呆れているわけでもないようだ】
【むしろ……それはこちらの台詞だと言いたくなるかも知れないが、彼女は突然の状況に戸惑っているようにみえた】


『あの………クルトさんでしたね。
 ――怒るなど、とんでもありません。むしろこちらこそ、数々の無礼をお詫びさせてください。
 うちの佳乃がご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした』


【しばしの沈黙の後、考えがまとまったのか、彼女はふと立ち上がる。そして……改めて、深々とクルトにお辞儀するだろう】
【その体からは相変わらず、さっきまでの佳乃とは桁違いの"異能"が垂れ流されている。本当に"神"かどうかはともかく、確かに人の世の理を外れた力だ】
【だがそれとは裏腹に、表情はなんとも弱弱しい。仮に佳乃の言葉が真実ならば、この状況は『人間に懺悔する神』という非常にちぐはぐなもので、】
【もしかしたら、いまクルトはとんでもない偉業を成し遂げたのかもしれなかったけれど――ともあれ。彼女はしゅんとした表情のまま顔を上げる】


『えっと、それでですね……きっと信じられないでしょうし、信じろと強制する気も毛頭ございませんが……。
 わたくしは幸徳井佳乃ではございません。"天限"と申します。
 ……自ら神などと名乗るのもおこがましい話ですし、そうですね……佳乃の身体をすこしだけ借りている、"憑き物"の一種とお考えくだされば』


【可能であればもう一度クルトの隣に着席すると、佳乃は続けて迷妄というしかない台詞を吐き始めるだろうか】
【佳乃――いや、本人の言を借りれば、天限か。彼女は慎重にクルトの表情を伺うようにしながら、自らの正体を明かす】
【最後に「あ、もちろん無害ですよ?」と若干冗談めかした調子で付け加えた後、再び彼女は押し黙るだろう】
【……これも、それはこちらの台詞だと言いたくなるかもしれないが。突拍子もない話をしている自覚はあるのか、なんだかだいぶ気まずそうではあった】


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(宮城県)<><>2015/05/16(土) 01:46:55.03 ID:E3eMthpR0<> >>886
//おっと、すみません見逃してましたっ
//かしこまりました。自分も明日は早く帰れるので、レス確認次第追ってお返しします。
//あれでしたら雑談で声掛けますねー。それではお疲れ様です、おやすみなさい! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ <>sage saga<>2015/05/16(土) 01:49:19.07 ID:k6yMbP700<> >>882>>890

【「そうなのかなあ」と彼女は小さく呟く。自分がまだ未熟なせいか、“彼女”の凄さは分からないらしい】
【ただなぜだか構ってくれて、助けてくれて、優しくしてくれる。そんな認識だ、そうして、友達でさえない】

……ううん、いいの。…………でも、やっぱり、預かったものだし。
ちゃんとしてなきゃ駄目だったよね、――あーうー、怒られちゃうかなあ……。

【「でも、ずっと会ってないの――」。やっぱり彼女は気にしていなかった様子で、むしろ、気になるのはそっちだ】
【明らかに性質が変わってしまったりしているので、怒られるんじゃないかとひやひやしている。数年前の約束だが、】
【こうも重たい価値のものに対してだと反故にも出来ないだろうし。彼女は頭を抱えて、謎の鳴き声をしばし発して――】

…………そうなの? ここって、山だったんだ――。

【――いたのだが。ここがつい最近まで山だったと聞けば、それも忘れて瞳をきょとんとさせ】
【確かにそう言う目で見てみれば、新しい家ばかりなように思う。それなら――居るかもしれない、なんて、思えてくる】
【単純なようだが、少し子供っぽいところのある子なのだ。見た目の年齢なら十六程度、それなら、歳相応にも思えるか】

え――、ほんとっ? 居るの? わあ、そうなんだ……、……こんにちはー?

【前言撤回。こうも木霊が居るという言葉にはしゃぐのを見れば、十六よりもいくらか幼くも見えかねないし】
【むしろ本当の年齢を記すなら今年で二十二と大問題だ。夜中だのにきゃあきゃあ騒いで、最終的には木に挨拶など投げ】
【「見えたりしないの?」なんて尋ねてくるし、「おしゃべりできないのかな――」なんて呟いているし、】
【結果として彼の話を半分以上右から左へ流して、最期瀟洒じゃないかと尋ねられれば、「うん」なんて、空っぽすぎる】
【(聞いてなかったのが明らかだった。だって、顔、めちゃくちゃ聞き逃していたときの顔をしていて)】
【(しまった――というよな顔をしているのだ。視線なんて、横に逸れていたし、逸れまくっていたし)】

【……少し怒られたようにも思えて、彼女はほんの少しだけ首を竦める。一瞬だけ、きゅっと目も閉じてしまうし】
【その反応を見れば、怒られるのを非常に恐れている子なのだということも分かる――だろうか。けれど、】
【琥珀を手渡してもらえたなら、そうでもないと理解してきたのか、すぐにぱあ――と表情が明るくなっていき】

――――ねえ、ねえ。わたし、どうしたらいいの?

【こんこんとヒールの足音を夜に響かせながら――足早の彼の後を、ちょこまか、きっときちんとついていくのだろう】
【むしろ少しくらいなら小走りかもしれない。それで、これで、どうしたらいいのか。そんな問いを投げる】
【手には琥珀を宝物のように抱きしめて、声は嬉しげに弾んで、なんだか――とっても、わくわくしているようだった】

/お返事までの間に書いちゃいましたのでお返ししておきますっ
/また明日よろしくおねがいしますー! <> ケイオス
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 01:57:38.32 ID:fKHJILxWO<> >>887

【岩の塔の崩壊による風圧で足元に置かれていた紙は地図などが吹き飛んでいく】
【それらはケイオスの後方で黒い影に包まれて引き戻され、再度彼の足元に戻された】
【外套についた砂を手で払って、ケイオスは三度目のため息をついた】


……まぁいい。立場上、今回“だけは”許してやる


【短い謝罪ではあったが、それだけで六罪王は納得した】
【流石の彼も、ただ力を見せつけただけで最敬礼しろというほど非論理的な考えは持てなかった】
【そう、己の直属の上司でないのならば、敬意を払わないのは当然だ】

【そして、ケイオスはまた地面に腰を下ろした。適当に手繰り寄せた紙や地図をもう一度広げていく】


で、なんだったか……宝玉と地図だったか?
さっき言いかけたが、こいつはその宝玉だ。名を『地脈の宝玉』という
名前のとおり地脈……ではなく地中に走っている、魔力の発生源に関する力を持っている
だから、さっき破壊しちまったが、ああやって岩石をせり上げるぐらいは容易というわけだ


【指先の小さな球体を掲げながら、彼はそれについての説明をし始めた】
【怒りが収まったから説明する気になった、というのもあったが、元々この男は疑問を示した相手に答えることを好んでいる】
【六罪王である前に魔術師であり──つまり学者気質がそうさせていた】

//お待たせしました <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 02:09:20.37 ID:FxbQs3ESo<> >>889

【天限、と、クルトは口の中で繰り返した。 その存在そのものは、彼にも信じられる】
【──、さっき、佳乃が「神様」と言ったときから、半分ほどの確信はあった】
【「動物好き」という風評を覆すために「神憑」と名乗るなど、本末転倒だからだ】


……そこは信じますよ、天限さん。意外と、話しやすいんですね。……クルト・ルカイナーです。


【先程から、「敬語」になっているのは ──何と言うか、「友達の母親」みたいな感じがするからだろうか】
【佳乃とはまだ友達でもないのだから、単なる言葉のあやではあるのだが】
【……そもそも、神的存在にタメ口を使えるほど、ルカイナーの家格を絶対視してはいない】


【── それから少しの間、気まずい沈黙が場を支配する】
【聖なる空間に包まれているはずなのに、空気が重い。 何が意外と話しやすいだ、である】
【何か話題はないだろうか。 と、考えて、 ──そういえば、と、思い当たった】


天限さん。


……さっき、幸徳井さんと握手をしようとしたとき、「変」な感じがしたんですよ。
あ、ジュースどうぞ。温くなるんで。……彼女らしくない感じ、と言うか。
嫌なら嫌って言いますよね、彼女。あぁ、でも──僕はさっき知り合ったばっかりなんで、間違いかも知れない。


【一度話し始めてしまえば、滔々と。 天限相手にも、独特の間合いで話を続ける】
【いつの間にか、この空間にも、「神」相手にも、慣れているようだ。そして、先程の佳乃の様子も、目ざとく覚えていた】
【……だとすれば矢張り、クルトは佳乃が怒るのも、無理はない根性をしているのかも知れなかった】 <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/16(土) 02:17:52.45 ID:b53htCll0<> >>892


【倒れた柱の風圧で紙や地図がその場から離れて行くのは見えたが、ケイオスの背後に飛んでいった際に、彼の体とそれらが重なった為に後方でなにが起きたかは分からなかった、というより気がつくことはなかった】


あら、意外と優しいのね。


【てっきり何かしらの制裁が下されると身構えていた手前、ケイオスの許しに拍子抜けしたツェペシュは指を口元に当てクスクスと笑う】
【立場上──そんな単語に反応を見せないのは、上司でないと言ったがやはり全体的な括りで見れば六罪王は彼女の上に立つ存在だからで、彼女自身もそれを理解していたからだ】

【砂埃がまだ微量に舞っている中、地面に腰を下ろすケイオスを見たツェペシュは此方も彼と話し易くする為に身を少し寄せて、ゆっくりとしゃがみ込む】
【広げられていく、地図や紙を見てもやはり説明なしではこれらが一体なんなのか理解することは不可能に近いようで────目を凝らしながら、図太く二つを眺めるが答えが見出されることはなかった】


へぇ、"地脈の宝玉"………やっぱりそれが宝玉なのね。
で、それは今私達が座っている地面の中に存在する魔力に干渉するわけ………随分なアイテムね。
じゃあ、地図は考えるに地脈の宝玉をより効率良く使うアイテムで………印は大量の魔力が走ってる場所を表しているのかしら?


【ケイオスの説明からは、先程の様な冷たさは感じない、寧ろ教える者に通ずる雰囲気さえ感じた】
【地脈の宝玉と名を言っていたが、やはり他にも存在するのだろうか────わざわざ固有名詞されているほどだ、おそらく違う宝玉もあるに違いないと予想する】
【彼が掲げた宝玉の力は大地に魔力に関するようで────地図と言えば土地をより理解するに必要な物。宝玉と地図が関係している可能性は高いとツェペシュは考えた】
【実際にどんな関係があるかは分からないゆえに、ツェペシュの考える限りの答えをケイオスへと予想として放った】
<> ケイオス
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 02:39:12.37 ID:fKHJILxWO<> >>894

【女の洞察はある程度正しかった。正解を答えた生徒を見るかのように、ケイオスは薄く微笑んだ】


無礼な振る舞いが可能な程度には賢いようだな……大体はお前の予想どおりだ
とはいえ、こいつは単体ではそれほどのものじゃない。精々、地属性の魔術を強化する程度だ

────真価は別にある


【そう言って魔術師は更に笑みを深くした。それだけで彼は邪悪さを纏った】
【多くは語らないまま、ケイオスは立ち上がった。彼の足元の影が蠢き、立体的に持ち上がって周りの紙と地図を絡め取る】
【それらは引き寄せられて、足元の影の中へと消えていった】


話してやれるのはここまでだな。お前が生きていれば、意味もわかるだろう
宝玉の確認も終わったし、俺は帰るぞ……


【ケイオスが手を地面に向けるとその先で魔法陣が出現。彼はそのままその上に乗った】
【呼び止めればまだ引き返したりもするだろうが────】


//すいません、眠気が限界でして
//レスは〆てる感じになってますが、何かしたいことが残っておりましたら、明日また引き続きやることもできますので……
//もしくは普通にこのまま別れたってことにしてロールを終えてもいいので、どちらでもお任せします
//とりあえず今日はお疲れ様でした。おやすみなさい <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 02:41:56.75 ID:/daRHJaNo<> >>893


『ごめんなさいね、色々と唐突で……あの子ったらいきなり交代するんだから』


【神にしてはなんとも人間臭い、不安げな表情でクルトの反応を待っていた天限だったが……どうやら受け入れてもらえたようだ】
【それを確認すると、『お手数をお掛けします』と重ね重ね申し訳なさそうに頭を垂れ、天限はちょっと楽しそうに苦笑いを浮かべるだろう】
【本人がまったく言及しないあたり、この垂れ流されているオーラは無意識のものなのか。それさえなければ、本当にどこにでもいる母親のようだ】


『あぁ、それは――……いえ、散々暴言を吐いてしまいましたし、言わなければいけませんね。
 あの子はその、少々事情を抱えていまして。佳乃にとって、「他人に直接触れる」ことはある種の禁忌なのです。
 不快に思われたならごめんなさい。けれどそこは、どうか気を遣ってあげてください……』


【その問いに、天限は一瞬だけ口ごもる。けれど佳乃が無礼を働いた手前言わずにいられなかったか、あるいは……娘の名誉を回復しようと思ったのか】
【幸徳井佳乃には、「他人に直接触れることができない」性質があるのだと明かすだろう。それも"禁忌"なんて言葉を使うからには、相当根深いレベルで】
【……佳乃本人がそもそも群れるのを嫌うというのもあるけれど、この強い制約も、彼女が人を遠ざけ続けてきた理由の主たるものだ】

【さっきも、クルトから向けられた友好の意に腹が立ったわけではない。ただ、直接触れることになる"握手"は突っぱねざるを得なかったのだ】
【このレベルだと、当然日常生活にも影響が出る――そう考えると、彼女が不良と呼ばれ始めた背景に、なんとなく察しが付くところもあるかもしれない】


『……それにしても、クルトさんは肝が据わっていますね。わたくしのような人外を相手にもう落ち着いておられる。
 ルカイナー家、たしか貴族のお家柄だとか……?』


【一通り話し終えると、林檎ジュースをちびっと流し込み、『美味しいですね、これ』と天限は笑う】
【安い缶ジュースも、神にとっては逆に新鮮だったのか。クルトがちゃんと話を聞いてくれることもあって、天限はかなり上機嫌のようだ】
【今度はこちらから話題を振ろうとするだろう。……佳乃も知らなかった、クルトがルカイナーの家柄だということは、果たしてどこで知ったのか】
<> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 03:03:15.51 ID:FxbQs3ESo<> >>896

【 「禁忌」 】


 …… なるほど。 ……不快?──、あぁ、そうか。そっちもなるほど。


【ある意味では、その言葉の領域にも近い天限が、わざわざその言葉を使ったのだ】
【それは恐らく、「そのまま」の意味なのだろう。 ならば、仕方のない事だ】
【──と。 結論づけてしまう様な所が、天限から言わせると、肝が座っている≠フかも知れない】

【そして、天限が逆に、彼に問い掛けると── 】



…………まぁ。  ──物知りですね。



【先程から、どちらかと言えば饒舌だった彼の口ぶりが、初めて鈍った】
【……彼があまり、「そのこと」を快く思ってはいないのだろう、ということは、天限にも分かるだろうか】
【誤魔化すように、みかんジュースを口に含む。 「禁忌」とまではいかないが、ということか──】


/すいません、ちょっと眠気が限界です……
/次のレスで〆て頂くか、持ち越しをお願いして宜しいでしょうか
/一応、明日は一日空いていますので <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/16(土) 03:03:29.17 ID:b53htCll0<> >>895


あら、もっと素直に褒めてもいいのよ?
それにしても────………ふぅん、真価は別ねぇ……。
中々、面白そうじゃない……それ。


【向けられた邪悪な微笑み────それに反応するかの様にツェペシュが見せたのは同様の邪悪な破顔だった】
【地脈の宝玉の真価が果たしてなにかは分からないが、ケイオスの表情から察するに余りいい物ではないのは確実で────六罪王となれば尚更いい方向に考えは進まない】

【ケイオスの影に引きづり込まれて行く紙や地図を怪奇な現象を初見したかの如き好奇な瞳で見つめる】
【地脈の宝玉を手に入れていることから、ケイオスはてっきり地属性の魔法を使用すると考えていたが────どうやら外れてしまったようだ】


もう帰るのかしら? そう、それは残念ね。もう少し貴方から──……ケイオスから詳しい話を聞きたかったけれど、どうやらそれはまたの機会のようね。
私は烏合の衆とは違ってそう簡単に死なないから、貴方の言う"意味"が分かる時を楽しみにしてるわ。


【魔法陣に乗るケイオスを呼び止めようとはしないのは、再び近い機会に会うことになると抽象的ながらに思えたし──近い機会でないとしてもいずれ出会うだろうと考えられたからだ】
【荒野から離れて行くケイオスの姿が見えなくなるまで見送ったツェペシュは、たった一人となった荒野に立ちながら、蒼天を見上げ──────】


六罪王"ロード・ケイオス"────アイン……フフ、宝玉なんて面白い物手に入れちゃって……。


【右掌を強く握り締めながら呟く】
【その表情は何かを楽しみに待つ期待に満ちていると同時にケイオスに見せることのなかった邪悪なものだった】

<>
◆SwXWg9i6yU<><>2015/05/16(土) 03:04:10.84 ID:b53htCll0<> >>895/〆という形でっ、お疲れ様でした! <> 幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 03:06:23.55 ID:/daRHJaNo<> >>897
/了解です、こちらも明日は一日空いておりますゆえ、明日続きをということで〜
/本日はお疲れさまでした! <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 03:08:42.79 ID:FxbQs3ESo<> >>900
/ありがとうございます、では一旦お疲れ様でした! <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 05:07:37.44 ID:/daRHJaNo<> >>897

【納得してもらえたようならば、天限もほっと胸を撫で下ろす。そこにいかにも神らしい峻厳さなどはなく】
【全体的に柔和で温厚で、良い意味で感情豊かだ。どうやら彼女は比較的人と近しい、友好的なスタンスを貫いているようだった】


『あら……? クルトさん?
 
 ……………あっ、その、申し訳ありません! もしや、聞いてはいけないお話でしたか?
 わたくし、人の世の機微……"こみゅにけーしょん"というんでしたか、そういうものにはどうも疎く……面目ありません』


【彼女としては気軽な質問のつもりだったのだろう。ジュースを少しずつ飲みつつのんびり待っていた天限だったが、クルトの様子に首を傾げ】
【しばらくしてやっと、自分もまた彼の触れてはいけない場所に触れたのだと気づく。佳乃の顔で慌てふためいて謝罪するのも、なにか妙なものがあるけれど】
【とりあえず――それ以上は聞かず、代わりにやや焦ったような顔で、今度はルカイナー家の話をどこで知ったのかを白状し始めた】


『わたくし、最近は佳乃の体に意識を委ねておりまして。だいたいは眠って体を休めているのですが、時折目覚めて意識を外に向けることもあるのです。
 それで……佳乃は覚えていないようでしたが、学園で、クラスメイトたちが貴方の噂をしているのを偶然耳にしまして、ですね……。

 ですからその、別にわたくしは、神の力などで貴方の素性を知ったわけではありません。
 みだりに外界へ力を発することは、わたくしにとっての"禁忌"ですから……』


【……といっても、蓋を開けてみれば単純な話だ。佳乃の体の中に居る天限が、佳乃がたまたま聞いた話を佳乃の代わりに覚えていた、というだけの】
【さらに、自分が神の力のようなモノを使ってクルトのプライベートに踏み込んだ、とは思われたくないらしく、聞いてもないのに勝手に釈明まで始めるだろう】
【特別な理由もなく自分が外界に力を振るうことはない、と天限は主張する。なにもしていなくても外に出てきてしまう"聖"の威容はどうしようもないが……】

【神は少女のように、クルトの顔色に一喜一憂する。――それにしても、気づいたら"禁忌"の話ばかりしているような】
【なんとも間が悪い。はぁ、とばつが悪そうに溜息を付いて、天限はどうにか新しい話題を探そうとするけれど】
【"こみゅにけーしょん"には疎いと自分で言ったばかりだ。肩身が狭くてたまらない。……天限は迷った末、援軍を呼ぶことにした】


……、……………ッッ!!!?


【次の瞬間、新しい異変がふたつ――ふっと、天限の体から"聖"の気が薄れていったかと思えば】
【彼女の顔が一気に真っ赤になり、クルトから距離を取ってベンチの端の方まで退避していくだろう】
【……やや羞恥の度合いが大きいけれど、その憮然とした瞳は明らかに天限のものではなく、幸徳井佳乃本人のものに戻っている】

【そしてもうひとつ――突如純白の光がパーカーのポケットに宿ったかと思えば、そこから白い蛇のようなモノが飛び出して佳乃の首元へ巻き付き】
【『さぁ佳乃、元々無礼を働いたのは貴方なのですから。改めてご挨拶なさい』と、その蛇……いや、小さな"龍"が声を発するだろう】
【――天限だ。どうやら佳乃の体を借りるだけでなく、別々に会話もできるらしい。龍を構成しているのは恐らく櫻の国に伝わる"式神"の術式か】

【ともあれ、これで天限だけでなく佳乃も、再びクルトと対面することになったわけだが……】
【…………沈黙。結局、佳乃の方からも話題が出てこないのは案の定というべきなのか。神だのなんだのはさておいて、見ている分にはなかなか愉快なコンビだった】


/目が冴えちゃったので先にお返ししておきます…… <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 12:11:37.69 ID:FxbQs3ESo<> >>902

【なるほど。 と、三度目の首肯。──天限の思った通り、彼女の「力」を疑っていたのだ】
【……もし、彼女がそういう、「全知」の力を持っていたなら。そんな事を、少し考える】
【佳乃にも天限にも関係のない、身内の話なのだが ──、その間、押し黙ってしまっていた】


 ………… 。


【──考えこむと、「自分の世界」に入ってしまうのは、彼の悪い癖だった】
【外界の「感覚」が、殆ど遮断される。二人の兄にも、妹にも、昔から度々注意されたが、治らなかった】
【結果として、『レイリスフィード』に入学した後も、あまり友人は出来なかったのだ。「無視」されて気持ちのいい人種は居るまい】


【……気が付くと、天限≠ヘ、自分から少し離れた位置に座っていた】
【またやってしまった、と、後悔。彼女の顔に目を合わせると、先ほどまで楽しげだった天限も、ぶすっ、としてしまっている】
【何か「蛇」みたいなモノが首元に巻き付いているが、暇潰しだろうか。 ──、何か、話題を──】





…………………… 幸徳井さんって、意外と可愛いですよね。




【  う わ ぁ  】


【散々悩んだ末にでた言葉は、相手が天限≠ナあり、しかも母親の様な存在だからこそ、言えた言葉だろう。『可愛らしいお嬢さんですね』というのと、ほぼ同義である】
【本人相手に目を合わせて、こんあことは言えない。── 「可愛い」というのは、「面白い」というのも多分に含んでいるのだが。どちらにせよ、歯の浮くような台詞だ】
【それにしても、何だか今日は調子がいい。「聖」の雰囲気のせいだろうか、次から次へと、お世辞半分本音半分の言葉が出て来る】


【 「不良だ、って聞いてたけど、少し正直だから、勘違いされるのかな。」 】

【 「僕、あんまり人のこと覚えられないんですけど、髪の色が綺麗だから覚えてたんですよ。」 】

【 「優しいですよね。わざわざ、自販機の場所も教えてくれたし。」  ── etc.etc】


【────勿論。 問題は、「こみゅにけーしょん」の相手が違うことだろう。ある意味では、合っているのかも知れないけれども】


/お返ししておきます、宜しくお願いしますー <> ケイオス
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 13:56:53.73 ID:fKHJILxWO<> >>899
//お疲れ様でした! <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 15:34:21.51 ID:/daRHJaNo<> >>903


……ちょっと、どうするのよこれ……。

『あ、あなたがいきなり入れ替わるからではないですか……』


【角とたてがみ、爪の生えた両手。この"龍"の姿が本来の天限なのか……あとは手のひらサイズでさえなければそこそこ威厳のある姿だったかもしれない】
【……いや、どちらにせよ無駄か。佳乃となんとも情けないひそひそ話を繰り広げる姿は、神というよりマスコットじみている】

【こちらもこちらで、この空気をどうするか考えるのに必死で、クルトの様子が一瞬おかしかったことに気づく事は出来なかった】
【お陰で、「無視された」なんて思うこともなかったけれど……この後の展開を考えれば、ここで気づいておくべきだったのかも知れず】


――――、………。…………。

………………――――――、は?


【本日三度目の間抜け声。この時点で佳乃はもう、天限にいろいろ勝手にぶちまけられてただでさえ恥ずかしかったというのに――】
【『あらあらまあまあ』という面白がるような声が首筋から聞こえるが、それもどんどん遠くなっていく。クルトの台詞だけが清澄な空気を揺らす】
【……しばらく呆然とクルトを眺めていた佳乃だったが――やっと引き始めた顔色が、また佳乃の顔を染めていった】


ばっ――――はぁ!?
あなた、ば、ばっかじゃないの!!? いきなりどういうつもりよ、何が目的!!?
こ、事と次第によってはただじゃおかないわよ………っ!!


【噴火というのが一番相応しいだろう。顔を真っ赤にしてベンチに両手を叩き付け、佳乃はクルトに向かって激しく怒鳴りつけた】
【こういうことを言われたのが初めてというわけではないけれど――頻繁に言われるような生活は送っていない。だいいち慣れられるものでもなく】
【自分でもなにをどう言っていいかわからず、最終的には喧嘩まで吹っ掛けそうになる始末。むろん憤怒の八割ぐらいは照れで構成されているのは明白だ】

【……かつてないベクトルで慌てふためく佳乃を尻目に、『ふふっ、ふふふふっ』という軽快な笑い声が首元の龍から発せられる】
【式神の声として使用しているのは佳乃のものなので、一見すると腹話術のようだが……クルトにとっては逆に、この龍が天限だとわかりやすいかもしれない】


/遅れてすみません……! <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 16:26:31.45 ID:FxbQs3ESo<> >>905


【食って掛かる「天限」を見て、そこで初めてそれが「佳乃」なのだと気づいた】
【首元の龍が笑っている。 成程、何だか便利なものだ。 いつの間に入れ替わったのだろう】

【──と、理解したのだがクルトはまるで、表情を変えない。 「やってしまったらしまったで仕方ない」、と、思っているのだろうか】
【眠たげな瞳のままで、彼女の怒声を聞く ──、のだが、】


 ……何が目的とかさ、そういうの、ないと思うけど。


【むっとした──のだろうか。表情が僅かに曇り、唇をとがらせる】


別に事も次第もないよ。 僕のこと、馬鹿にしてる?……いや、そうか。
幸徳井さんは、そういうところが、アレなのかな。 ちょっと、馬鹿だよね。
──、大体、ただじゃおかない、ってのは何さ。 そんな態度取るから、不良と間違われるんだよ。友達も少ないだろ。


【褒め殺しの次は、批判……と言うか、思ったことを、そのままぶつけ始める】
【馬鹿じゃないの、と言われて馬鹿にしてる?と訊き返しているのだから、多分彼は馬鹿で間違いないのだろうが】
【その馬鹿にちょっと馬鹿、と呼ばれるのは、彼女も心外だろう。 ──佳乃の誤解は放置したままで、言葉を続け】


分かった。 ──来週、弁当作ってくる。一緒に昼飯食べよう。


【……。 何が分かったのだろうか。 ここまで話して分かっただろうが、彼は説明なしに話を飛ばす】
【何がどうなって、そういう結論になったのか。或いは、殴り飛ばすか否かは、佳乃と天限が察するしかないのかも知れない】


/こちらこそ、お待たせしました <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 16:44:34.70 ID:/daRHJaNo<> >>906

【ふー、ふー……と。佳乃はひとしきり言い終えると息を荒げてクルトを睨み、垂れて来た変な汗を強引に拭い取る】
【なんだか野良猫みたいな警戒の仕方だ。そもそも純粋に褒められたわけで、警戒するようなところではないはずなのだけれど】
【……それを素直に受け入れることはできないらしい。例の"禁忌"の話以前に、この少女はどうも相当不器用なところがあるようで、】


なっ…………、

『クルトさんの言う通りですよ、佳乃。あなたはいちいち気を張りすぎなのです』


【別になりふり構わず暴力を振るっているわけでもないのにいつの間にか不良呼ばわりされていたのも、友達があまりいないのも、事実だったからこそ】
【「おまえは馬鹿だ」と、よりにもよってたったいま馬鹿呼ばわりしたばかりの相手に正面から言い返されて、佳乃は思わず絶句した】
【もちろんそこまで言われてこの少女が怒り出さないはずもなく、すぐに反論しようとするのだが――この件に関して、天限はどうやらクルトの味方らしい】
【状況は二対一。母親が反抗期の子どもを叱りつけるみたいな口調で言いつけられて、さすがにもう押し黙るしかなかった……】

【……「なによこの三者面談状態は」とか、「こいつよりにもよってリチャードの奴と同類だわ最悪」とか、佳乃は不貞腐れたようにブツブツ呟き始め】
【もしかしたらクルトにとって聞き覚えのある単語も含まれているかもしれないが――ともあれ、それもクルトの次の台詞が飛び出すまでだった】


……ちょ、ちょっと。ちょっと待ちなさい。なにがどう「分かった」のかさっぱり分からないのだけれど。
なにがどうなって、私とあなたが一緒に昼ご飯を食べることになってるのよ。


【幸い、ここまでで既にだいぶ出鼻を挫かれていたので、いきなり殴りかかることはなかった。その代わり、佳乃は頭痛を堪えるように頭に手を当てて】
【とにかく説明しろ、とクルトに要求するだろう。……横で『あら、それは素敵ですね!』と楽しそうにしているちっこいのが非常に鬱陶しい】
【いつの間にやら完全に彼に主導権を握られてしまっている――佳乃は腹いせ交じりに林檎ジュースを流し込み、返答を待つことしかできなかった】 <> ロゼッタ・上 リーべ・下
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/16(土) 16:47:36.00 ID:UqMA9QFDO<>  【路地裏】

【ばしゃ、と水袋でも落としたような音がした。遅れて、囁くような嗤い声が聞こえてくる】
【──ふふ。ふふふ、ふふ。声の主は、くつくつと嗤っていた。雨の気配に紛れ、つんと血の香りが混じってくる】
【声や臭気を辿るならば、最終的にはある女の元に到る。まだ女は、嗤っていた】
【女の足元には、酷く損壊した死体があった。服装からして、恐らく少女だったモノ】
【…………服装から性別を判断しなければならない程に、その「元」少女は傷んでいた】


──ふふ。ダメね、まだ月も昇っていないのに。せっかくヴラドのお金で買った服なのに、汚れてしまったわ……
あぁ……ふふ。う、ふふ……ふふ、ふふふ。次はどんなドレスがいいかしら──

【長身の、女だった。赤い瞳と艶やかな黒髪を持つ、女】
【女は高価そうな黒のドレスを身につけていたが、その裾は血で汚れてしまっていた】
【くつくつと、女は嗤う。気にかけているのは、数十分後に買う新しいドレスのことだった】



 【公園】

【雨の匂いがしていた。まだ地面は濡れていないが、傘を持っていなければ不安になる天気だった】
【そんな中、公園のベンチに座って考え込む1人の少女がいた。夜色の瞳と夜色の長髪の、18歳程の少女だ】


うぅん。今のところ5人、か。あの時一緒に戦ったライラやギアとも話をしてみたいけど──なかなか会えないものだな
ともかく、「あいつ」がまた動き出さないうちにみんなとはもう一度話を……
……えぇと。カミナに場所とってもらって、みんなが集まれる日確認して、えぇと、えぇと

……。…………あぁもう! 人は好きだがこれだから集団になると面倒なんだ!
やること多すぎてわけ分からなくなりそうだ! も────!!


【少女はしばらくの間ぶつぶつと独り言を呟いていたが、しばらくすると怒ったように大きな声をあげてしまう】
【──その際、うっかり能力でも発動させてしまったのか。彼女の「声」に乗って衝撃波が発生】
【ずがががが! と地面を抉りながら、発生した衝撃波は公園の入り口へと向かう──!】 <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 17:06:48.36 ID:FxbQs3ESo<> >>907

【説明しろ、と言われても──とでも言いたげな、不思議そうな表情をクルトは作った】
【聞き覚えのある名前を聞いて、少しぼーっ、としていたせいか、彼女が何を訊きたいのかよく分からない】


なにが、って……僕、下宿してるから、昼は自分で弁当作ってるんだよ。
だから、ひとつ作るのもふたつ作るのも、手間は変わらないからさ。
好物とかあったら、教えてよ。

【──多分、怪訝を通り越した彼女の表情は、それでは氷解しないのだろう】
【そこで初めて、「あぁ」、と理解。 だが少し、説明するのには骨が折れる】
【多分、思ったことをそのまま言えば、また彼女は怒るだろうし。……、間を置いて、うん、と頷き】


…… 、だから、さ。


さっきも言ったけど、僕、幸徳井さんのこと好きなんだよ。
だから、友達になりたい。……で、友達なら、昼ぐらい一緒に食べるだろ。そういうこと。
──、あぁ。勿論、嫌なら断ってくれても構わないよ。 でも、僕は君と、もう少しお話したいかな。


【少し直截にすぎるが──この位はっきり言わないと、彼女には伝わらないだろう、と思った】
【多分、「友だちになろう」だけでは、彼女には通じない。 なら、理由を探さねばならない】
【本当のところを言えば、半分ぐらいは「すぐムキになるのが面白い」からなのだが ──まぁ、抽象化すれば、「好き」でいいだろう】

【──後は適当に、天限がフォローを入れてくれる筈だ、と。軽く笑んで、天限に目配せした】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 17:22:01.25 ID:w4cgnajhO<> 【水の国・首都フルーソ】

【この世界の中でも豊かな自然に囲まれたこの国は比較的人口が多い】
【その首都であるフルーソもまた例外でなく、通りを様々な人種が盛んに行き交っていた】
【そんな雑踏を、カフェテラスの席から眺めている男がいた】

【顔つきから、年齢は三十代前半くらい。短く大雑把に切りそろえられた黒髪に平坦な顔の造形と、東洋人的な風貌をしている】
【長身に血のように赤黒い外套を羽織っていて、長い裾が脚まで続いていた】
【左耳には大きめのルビーのイヤリングがあって、陽光を受けて輝いている】

……思ったよりうじゃうじゃいるな

【店内もカフェテラスも客でごった返していた。隣接する通りもやはり忙しなく人々が流れていっている】
【店はほぼ満席なので、誰か来れば店員がこの男の席と相席になるように誘導するだろう】 <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 17:26:53.00 ID:/daRHJaNo<> >>909

【天然なのかそれともわざとなのか、「いや、そうじゃなくて」と佳乃は低い声で言い、ジト目でクルトを睨みつける】
【やはりどうにもペースを掴みかねる相手だ。実はとんでもない曲者なのかも――などと脳筋思考で考えてしまうのも佳乃の悪い癖で】
【……呆れてしまったのか佳乃はそれ以上なにも言わなかったが、『佳乃は和食が好きですよ』と、こっそり天限が呟いたのが聞こえるだろうか】


…………、………。

……………わ、わかったわよ………仕方ないわね。
なんで私なんかと……物好きなヤツ………。


【友達になりたい、と。クルトの意見を総括すれば結局そういうことだったわけで――佳乃は軽くめまいすら覚えた】
【いちいち直接的というか、踏み込みが鋭い。ここまで純粋に好意を示されてそれを無碍にできるほど、佳乃も本物の不良にはなりきれていない】
【なにやら意味深に目配せを受け取って張り切り始めた天限もいるし、ここは分が悪い。佳乃は仕方ないから付き合ってやる、というような態度で了承した、】

【……などと本人は思っているが、その表情はどう見たって「仕方ない」というだけの顔ではない。困惑と照れが入り交じった恥ずかしそうなものだ】
【心底物好きだとは思った。理由はどうあれ、こんな寄ってくるものぜんぶ弾き返すような女に構おうとするなんて、変な奴もいたものだと】
【しかし、それに嫌悪感を覚えたわけではない。相変わらず無駄に意地を張りながらではあるけれど、見えない"握手"の手を、佳乃は今度こそ握り返す――】 <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 17:42:50.07 ID:FxbQs3ESo<> >>911


……だから、物好きでもないって。

【──彼女の言葉に、クルトは笑顔を返した】
【その後まもなく、そろそろ帰る、と言って、彼は公園を去っていくだろう】


【次の週の初日。 約束通り、クルトは弁当箱を2つぶら下げて、彼女の前に現れるだろう】
【わざわざ教室まで迎えに来るのだから、いやに目立つ。ましてや、二人共校内の有名人だ】

【どこで食べるのかは彼女に任せるだろう。弁当箱の中身は、天限に教えてもらった通り、和食が中心だった】
【いやに手が凝っている、と思うだろう。 腕は彼女の舌次第、だろうが、一般的に見て上々の部類には入るだろうか】
【……やたらと「味はどう」とか、「美味しいか」とか、──『素直』な言葉を引き出そうとするのが、余計かも知れない】


【──その後も、彼女が拒まないのなら、週に何度か、彼は同じようなことを繰り返すことになるのかも知れない】 <> 幸徳井佳乃
◆Oo..Ykgy2o<>sage saga<>2015/05/16(土) 18:07:14.16 ID:/daRHJaNo<> >>912


『ふふっ、良かったですね、佳乃』

………………うるさい。


【……あの気恥ずかしいやり取りからしばらく。クルトが去っていって取り残された二人は、こんな短いやりとりを交わしたあと】
【自分たちもまたその場から去っていくだろう。色々と複雑な佳乃の心中を察してか、天限もそれ以上喋ることはなかった】
【この縁が面倒事に繋がらないでほしい、と願う佳乃と、この縁を結べてよかったと考える天限。……その答えが出るのは次の週のこと】

【すこし名前が出る場面があったので気づいていたかもしれないが、前にクルトと話したリチャード・トラヴィスと佳乃は知り合いらしい】
【弁当を持ってクルトが現れたとき、二人は一緒にいるはずだ。佳乃の渋い表情からするに、本人は"腐れ縁"という程度の認識のようだが――】
【それはまた別の話か。ともかく、ついに来たか、と――なにか戦場にでも赴くような表情で、佳乃はクルトを誰もいない屋上へ連れて行くはずだ】

【――とはいっても、やっぱりそれは佳乃の考えすぎで、たかだか同級生と話をするのにそこまでの覚悟が必要なわけがなく】
【天限もうまく間に入って仲裁し、なんだかんだで普通の友人同士のように昼食をとることができるだろう】
【……「おいしい」と素直に弁当の感想を告げる佳乃の顔が、なぜか恨みがましかったりもするけれど……】
【後で天限に聞いてみれば、佳乃は料理どころか家事スキル全般が壊滅的で、(一応)女子として複雑な気分なのだろうと教えてくれるはずである】


『………クルトさん。なにかと面倒くさい子ですが――これからもどうか、よろしくお願いしますね』


【そして――週に何度かこの集まりが開催されるようになったある日、天限はわざわざ佳乃の体を借りて、丁寧にこんなことを告げるだろうか】
【それ以降は、天限が現れないケースがちらほら見られるようになる。……考えてみれば、娘とその友達の会話に、いちいち母親が出しゃばるのも変な話か】

【なにはともあれ。すこししばかり不器用なカタチだけれど、ここに新たな友誼が結ばれた――それはたぶん、めでたいことで間違いないはずだ】


/ここらで〆、ということで大丈夫でしょうか?
/二日間ありがとうございました! <> クルト・ルカイナー
◆ItbpQ6xKnU<>sage<>2015/05/16(土) 18:13:14.20 ID:FxbQs3ESo<> >>913
/はい、大丈夫ですー
/なんか書こうと思ったんですが、綺麗に〆て頂いたので、これにて失礼します!お疲れ様でした! <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 19:20:15.07 ID:e97QFkljo<> 【廃ビル】

【ある街の繁華街から少し外れると薄ら寂れた様なエリアがある】
【街灯も少なく、風紀的に良くない様な店と人が住まう社会の裏側の場所だ】
【それの外れには潰れたビルや倉庫郡。昨今の不況やら何やらでこうなってしまった】

【その中の1つ、廃墟のビル。上階をぶち抜いて作った高級レストラン。今は埃だらけの赤絨毯と】
【シャンデリア、少しのテーブルと椅子が残るだけ。街の夜景が、月が見えた。…物音が隅のほうでする】

【それは影のような人間でやせた背の高い男だった。チェンジポケットの付いた三つ揃えのブラックスーツ】
【シャツは白、シルクの青い細身のネクタイ。この暗がりでも濃いブラウンのサングラスをかけていた】
【右手には美しいエングレービングが施された大きめの口径のリボルバー式拳銃が握られていて】

【足元には誰かが倒れていた。壮年の…また男だ。壁にもたれかかり、目を閉じて。腹部は真っ赤に汚れていた】
【右手で押さえたまま、死んでいた。左手にはなにか別のものを握りしめて、既に事切れていた。…臭いはしない】

…何だ?

【物音がすれば、彼は振り返った。とっさに銃を構える。撃鉄を起こす音がフロアに響いた】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>sage<>2015/05/16(土) 19:35:03.50 ID:w4cgnajhO<> //>>910でまだ募集しております <> 荒零<><>2015/05/16(土) 20:21:32.80 ID:9u7mXcHLO<> >>910
【青年は今、食事の宛に困っていた】
【今は最も客の多い時間、何処もかしこも満員の店ばかりで空腹を感じ歩き出してから長い時間が経過していた】
【そうして幾度目かの店の扉をくぐる行動を終え、店員の接客を待とうとすると意外なまでにすんなりと店内に通された】
【どうやら相席ならば用意できるとの事、長時間の空腹故に最早一人か相席か等を選んでいる暇は無い】
【彼は店員に促されるまま店内へと入り、三十代程の男との相席となった】

腹ぁ……減った……後五分以内に食事を取らねぇと俺の胃に超魔導的な現象が起こっちまうレベルだこんちくしょう……

【彼は帽子を取りながら安堵の溜め息をつき、席へと腰を下ろす】
【そうして、思い出したかのように目の前の男へと声をかける】

えぇっと俺があんたと相席になったんだが、特に問題は無いかい?無いならすぐにでも注文させてもらいたいんだ。俺の胃が食物を求めている。超魔導的な現象が起こるのを見たくないなら問題は無いと言ってくれ、それかはいかイエスで答えてくれ。

【彼は目の前の男に捲し立てるようにそう言うと背もたれに寄りかかりながら注文をするべくメニューを開いた】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 20:24:14.41 ID:e97QFkljo<> >>915
//取り消します


>>908
/今からですが大丈夫でしょうか <> リーべ/ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<><>2015/05/16(土) 20:25:34.06 ID:UqMA9QFDO<> >>918
/ええんやで(にっこり) <> 荒零<><>2015/05/16(土) 20:25:58.41 ID:9u7mXcHLO<> >>910
/新規でございます。拙い面もあるやもしれませんがよろしくお願いします。 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 20:27:19.36 ID:e97QFkljo<> >>908

【背後から迫る足音。彼女には『目の前の事』で気が昂っていたなら気が付かないかもしれない】
【その足音は手を伸ばす。彼女の腕をとったなら、男の力で、無理矢理にでも振り向かせるだろう】

…………。

【そいつは見たことがあるだろう男性で、彼女の長身よりも更に高く、それでいて頼りないほど痩せていて】
【右側にチェンジポケットをつけた三つ揃えのブラックスーツを着て、シャツは白、ネクタイは細身の黒】
【何よりもその目を隠すような濃いブラウンのサングラスが特徴的だった。彼は腕を掴んで、中々話し始めずにいた】

…やめてくれ。

【酒と煙草で焼けたしゃがれた若い声が呟くように言った。「やめとけ」でも「やめろ」でも無く、そう言った様な言い方をした】
【きっとこの「元」少女も同じようなことを言っていたのではないだろうか。何度も何度も。彼からはあのタバコの臭いがした】


>>919
/優しい世界 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 20:30:03.11 ID:w4cgnajhO<> >>917

【男の視線は雑踏に向けられていて、店員に声をかけられてからその青年に気がついた】
【席につくなり明らかに大慌てな状態の青年と相席になって、男は呆れた感じで笑った】

確かに超魔道的な現象とやらは見たくねえな……っていうか選択肢ねえじゃねえか
わかったわかった、何でもいいからとっとと頼め

【こうも原始的な理由で切羽詰まってるのが相手では、無下にするのは人間として無理だ】
【ひらひらと男は軽く手を振って、これ以上青年が酷いことにならないようにした】 <> 荒零<><>2015/05/16(土) 20:43:22.89 ID:9u7mXcHLO<> >>922
【彼は目の前の男の了承の返事を聞くやいなやすぐに店員を呼び注文を始めた】

そうだな、これとこれと後珈琲を2つ頼むよ。1つはこっちの人にな。

【彼はそう言って注文を終えるとメニューを閉じて机の端に置いた】
【そうして男へと向き直ると】

おっと、勘違いしないでくれよ。別に金を取ろうとするだとか割り勘に持ち込もうとするためとか考えちゃない。単純に奢りだ。相席を了承してくれた事に対してってとこかな。
それよりも珍しい格好だな、あんた。エクソシストか占い師みたいだよ。タロットカードを使ったりして占いなんかは出来ないのかい?出来たら面白いな。

【彼の興味は相席になった男に向いたようで注文した品が届くまでの間、暇潰しと言ってよいのだろうか。ともかく男と会話をしようと試みた】
【エクソシスト、占い師、何処か的外れな彼の質問は果たして男の機嫌を損ねないだろうか。そんな考えは微塵も無い様子で彼は男へと話しかける】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/16(土) 20:45:47.23 ID:UqMA9QFDO<> >>921

【足音が迫ってきても、最初彼女は振り返ることすらしなかった】
【気が昂っていたのかもしれないし、乱入者がいたところでどうにでもなると思っていたのかもしれない】
【けれど無理矢理となれば話は違ってくる。ぐい、とあっさり彼女は彼の方を向かされ──未だ口元に宿る笑みを、彼にも向けるのだ】
【──頬には僅かに、返り血がついていた。それを彼女は気付いてすらいない】

【彼の方を向かされてしばらくは、彼が誰だったかすら思い出せないようだった】
【スーツにサングラス。彼は何処にでもいそうな姿だった。面倒な正義気取りが、と思いもした】
【けれど、どこかで嗅いだことのある匂いを彼から感じ取ったところで女は怪訝そうな表情を浮かべ】
【焼けたような声を聞いて──彼が誰だったかをようやく思い出すのだ。……ヴラド】


…………もう、やめているわヴラド
ふふ。……それより、どうしてそんな声を出すの。……赤は嫌い。だから────?


【ふふ。女は嗤った。昂った表情ではなく、少し落ち着いた声色で嗤っていた】
【気が違ったのでも、異なる人格なわけでもない──彼女は紛れもなく、あの時の女だ】
【女は彼に問いかけた。宥めるような言い方。それはまるで、彼女が罪など犯していないと思っているような言い方だった】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2015/05/16(土) 20:52:44.80 ID:CdYvYfM60<> 【辺境の遺跡】
【人里離れた森林地帯、明るい内でも行商人や旅人程度しか通らないその中にひっそりと佇む遺跡】
【ピラミッドのような形状をしたソレには無数の草の根が絡みつき、過去に存在した文明の面影もあまりない】
【綺麗な月明かりだけが照らし出すその場所に、踏み込む者が一人いた。】

情報によればここか………さっさと済ませるとしよう。
―――今更俺みたいな大罪人が一人消えようが誰も気にしたりしないがな。

ただ………ある程度のケジメはつけさせて貰うぜ、自己満足の為にな。

【誰に語り掛けるでもなくぽつりと独り言を話すその人物】
【黒いロングコートをフードまですっぽりと被りこんでおり口元程度しか見えることはない】
【背には鞘に収まった灰色の淡い光を放つ剣が背負われており、微弱だが魔翌力が発せられている】

【そしてそのまま遺跡の内部へと侵入しようと歩みを進めていく】
【この人物から発せられる魔翌力や気配につられてやってくる者は―――】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 20:53:13.09 ID:w4cgnajhO<> >>923

【青年の注文を聞いて男は怪訝な顔をしたが、続いた言葉に少しだけ驚いた様子だった】

律儀な男だな……店の都合なんだから、気にすることはないだろうに

【そう言いつつも、その気遣いに男は上機嫌そうな笑みを浮かべた】

占いはできんな。未来読むより未来を作る方が好みでね

【男の腕が上がり、右手の人差し指が真上を向く。その指先に、一瞬で火が灯った】
【いわゆる魔術というものだ。この格好は、つまり魔術師だからしているものというわけだ】
【青年の質問はそれほど的外れでなかったし、自分に興味を持たれることが嫌いでない男は機嫌良く答えていた】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<><>2015/05/16(土) 21:04:39.29 ID:UqMA9QFDO<> /ヒライさんの方、ごめんなさい次遅れます <> 荒零<>sage saga<>2015/05/16(土) 21:11:00.47 ID:9u7mXcHLO<> >>926
へぇ、未来を作るね。中々格好良い事を言うな。何処かの権力者か何かかい。

【そう問いかけようとした瞬間、男が行った行動に彼は眼を丸める】
【男の指先に灯った炎、揺らぎながら煌めくそれを見つめながら彼は声を発する】
【その声には先程とは打って変わってもっと話を聞きたい、更に情報を手に入れたいと言った興味と感心に満ちた声音だった】

いいや、前言撤回だ。こいつぁ凄い、あんたは魔術師かい。
こんな街中で魔術師に出会えるとはやはりこの世界は侮れないな。面白い事に満ちている、目的を忘れて遊び呆けてしまいそうだ全く。
いや、何でも無い。まぁ同族は引かれ合うと言うことかな?何を隠そう俺もちょっと……ね。

【そう言うと彼は同じように右腕を上げ、人差し指を立てると】
【指の先で氷塊を造って見せた。その氷塊を指先で二、三度回転させると今度は指を鳴らしてから氷塊を一瞬で氷の花へと変えた】
【その過程を男に見せつけるようにしながら、彼は氷の花を机の上へと置いた】
【そうして男へと自慢気に笑いながら】

どうだい?俺もこう言うことを少しは出来るタチでねぇ。こう言う技が出来る奴から情報を集めながら旅をしているんだ。俺もあんたもお仲間って事だな。 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 21:11:07.54 ID:e97QFkljo<> >>924

【彼は目をそらし顔を背けた。死体を見たくないからじゃない。逃げたのは彼女の】
【口元に湛えた笑みからだ。何処か遠くを見つめたまま彼は話し始める】

……嫌いなんじゃない。苦手なんだ…血が
血は……臭いがするだけで何か嫌なことを思い出しそうになる

【取った手を、思い出したように離した。「すまない」とだけ一言言う。彼は手を取っていた事も】
【忘れていたというよりも気がついていなかった様だった。衝動的な行動だった。正義を気取った訳】
【ではない。それだったら義憤というかそう言った何かしらの理由がわかるはずだったが、彼には】
【なぜそうしたのかが自分でもわからなかった。ただ哀しかった。少女への同情か?それでもない気がする】
【だがついて出た言葉はそんな感じだった。理由もなくて、彼は慌てて取り繕うようにそんなことを話した】

アンタのことに干渉する様な立場じゃないってことはわかってる。…すまない

【今日2度目の謝罪をする。本来なら『なぜこんなことを』だとか色々と問いただすべきなんだろうけど自分の】
【立場だとか相手のことだとか本心だとか色々と混乱して言葉が出てこなかった。ポケットを漁り、煙草を取り出す】
【ライターを擦るのが何度も失敗した。昂っていたのは自分のほうだったのか。冷静に見せかけるのが精一杯だった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 21:33:12.93 ID:w4cgnajhO<> >>928

【青年の指先で氷塊が現れ、更に氷花へと変わる】
【それを見た男は少し驚いた、というより、呆気に取られたかのような顔をした】
【だがその表情は次第に、懐かしいものを見るかのような笑みに変わっていった】

氷、か。“良い力”を持っているな……

【静かな声で男はそう呟いた。明らかに、彼はその力に思い入れがあるようだった】
【それ以上を語ることはないまま、彼の表情は世間話をする他人のものに戻っていった】

そうだな、仲間とも言えるだろう
情報がほしいのか? お前が欲するようなものを持ってるかはわからんが、知識には自信があるぞ <> 荒零<>sage saga<>2015/05/16(土) 21:42:28.56 ID:9u7mXcHLO<> >>930
【男の知識には自信があると言う言葉に少々の期待を持ちながら、彼は自分が探し求めている事を問うこととした】
【彼は右腕のYシャツを捲ると、手首の下辺りに記された[第八天魔王]と書かれた荒々しく達筆な刺青らしき物を男へと見せた】
【そうして左手でその文字を指差しながら彼は男へと問いかける】

俺はだな、こいつについて情報を集めてるんだ。まぁ今のところ全くもって進展は無いんだがな。図書館やらでは一通り調べたんだがまるで情報が見つからん。何が図書館だ、まるで役に立たねぇじゃねぇかと言う話だな。
ともかく、この文字について何か知っている事があったら教えてほしい。魔王と言った存在やらがあるのなら、特に。

【彼は真剣そのものと言った目付きで男を見つめると腕の文字を強調するように腕を前に出した。その文字について男が何かを知っていると言う確証は無いが賢人であるだろう男への期待は大きかった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 21:50:51.58 ID:w4cgnajhO<> >>931

【青年の右手首に書かれた文字を見てすぐに、男の表情が苦々しげに歪められた】

なんだそりゃ……全く知らんな、聞いたこともない
魔王、なんて派手な存在も聞き覚えがないな。せいぜい、六王ぐらいか……

【男の答えは残念なことに完全な敗北だった。彼が口にあげたのはこの世界の一部で信仰されている神々の名だ】
【それも恐らくは青年の求めるものとは違うだろう】
【男はしばし黙り込んで、記憶から何か手がかりはないかと探し求めたが、やはりそれらしいものは見つからなかった】

豪語しておいてこれとは情けないな……すまん

【頭こそ下げないまでも、男は続けて謝罪の言葉を口にした】
【相手がたとえ助ける義理のない人間だったとしても、自信を示しておいて何もできないというのは男のプライドが許さなかった】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 21:54:33.93 ID:w4cgnajhO<> //食事につき、次ちょっと遅れます <> ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/16(土) 22:04:34.66 ID:UqMA9QFDO<> >>929

【「そう?」──血が苦手な理由を暗に尋ねたのは彼女の方なのに、女は素っ気なくただそう言っただけだった】
【男が咄嗟に自分の手を取ったというのも、後に続く反応から何となく理解できた】
【この血溜まりが彼のどこかを刺激でもしたのだろう。けれどそれ以上彼の深みに触れれば、面倒事を招きかねないことを女はよく知っていた】
【たまに聞く話だった。客の事情に深入りしたせいで変な同情心を起こし、不運に見回れる娼婦の話】
【そんなものはニュースにすらならない。娼婦が路地裏の染みになったところで誰も気にしない】
【──それを知っているからこそ、彼女は彼にそれ以上のことは聞かなかった】


……ふふ。最近ね、よく謝られるの。あなたで2回目
娼婦に謝るなんておかしな話……ほら、やってあげるわ


【相手の混乱を見てとったか。火がなかなか点かないライターを、女はそっと取ろうとし】
【彼が何もしないなら、そのままライターを擦って男のタバコに火を灯す】

【女の細い指には、血などついていない。ドレスの裾と、頬。そこにだけついている】
【武器もなにも持たぬ娼婦──どう罪を為したかは分からない。だが、それを聞いても女が素直に答えてくれるかは定かではなかった】
【彼女の仕事はウソをついて夢を売る商売なのだ。それに何より、彼自身が冷静ではなかった】

/ただいま戻りましたー <> 荒零<>sage saga<>2015/05/16(土) 22:07:54.17 ID:9u7mXcHLO<> >>932
ふむ、六王ねぇ……俺には関係のあることには思えないな……

【彼は男のNoの返事に少々落胆しながら、仕方の無いことかと諦め半分な気持ちもあった】
【魔王等と言う大層な名前、それが図書館や様々な記録媒体のどれにも残されていないと言うことは自分がこの世界において相当イレギュラーな存在であると言うことを意味していた】
【只でさえ突然目が覚めたらこの世界にいたと言う状況、自分が圧倒的に異質かつ、異様な存在と言うことを理由付けるには十分な事だったのだがこうまでして蜃気楼のような自分の素性の一片すら掴めないとなると最早自分は永遠に謎のままなのでは無いかとも思えてしまう】
【そんなことを思っていると注文した品と二杯の珈琲が机に置かれた。自分が求めていた、この店に自分が入った理由が目の前に置かれた時、彼は自分が酷く空腹だと言うことを思い出した】
【そして空きっ腹に襲いかかる食欲の激流、彼は自然とYシャツの袖を戻し食器を手に取ると珈琲を片手に徐に注文した品を口に運び始めた】

そう言えば俺って超魔導的な現象が起こる寸前だったんだよな。此方だけ食事にさせて頂くが悪く思わないでくれ。
あぁそうそう、俺の質問に大して真面目に答えてくれてありがとうよ。殆どの奴等には「んなこたぁ知るかすっとこどっこい」とか言われてぶん殴るのが定石になっていたからなぁ。
ともかく、感謝するよ、魔術師の親父。 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 22:28:59.74 ID:e97QFkljo<> >>934

【彼は火をつけてもらって、煙草に火を灯した。乾いた煙はどんな状況でも変わらない】
【こんな場所でも落ち着くための状況を作ってくれる。成分がそんなふうに作用しているだけ】
【かも知れないが、それだと味気ないし、本当にそんな風に感じるのだからこっちが事実なんだ】

【肺いっぱいに煙を溜めて、ニコチンが脳にまで達すると直ぐに体中の血がクールダウンするのがわかる】
【ひと吐きで冷静さを取り戻して、いつもの『自分』を構築し直すとやっと何を話せばいいか台本のセリフを思い出せた】

……シゴトに文句をつける主義じゃないんでね。…だから、感謝もする。ありがとう

【自分を取り戻しつつも、目線は明後日のままなのは、本当に血を見たくないからなんだろう。演じる役を思い出して】
【セリフを書き上げる。アイツならどうするんだ?考えろ。……自分の中での葛藤だ。ほんの一瞬の出来事だった】

それに……それでも、ただの娼婦を気取るつもりか?
ジャック・ザ・リッパーもアンタなら解決できそうだ <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 22:31:49.20 ID:w4cgnajhO<> >>935

【落胆する青年にかける言葉を男は持ち合わせていなかった】
【彼はただ黙ったまま、青年に奢ってもらった珈琲に口をつけた】
【すると彼は苦虫を噛み潰したような顔をした。珈琲が苦かった──のではない】

…………親父、か……まぁ親父だが……

【外見の年齢は三十代前半。実年齢は五十代のこの男は、未だに自分の年齢を気にしていた】
【オヤジどころかジジイなのだが、以前誰かにそう言われたときは酷く落ち込んでいた】
【いつまでも若くいたいのは女ばかりではないわけである──】

まぁ、大した力になっていない以上、礼などいらん
普通の人間では中々答えにくいだろう。何せ、俺でも知らんことなんだからな
あまりそいつらを責めてやるな

【表情を取り繕いながら男はそう言って、また珈琲の器を傾けた】
【『馬鹿が馬鹿なのは仕方ない』──そうやって言ってしまえるぐらいに、男は自信家だった】

//お待たせしました <> 熊出の人
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/16(土) 22:44:49.37 ID:x+DNk6J+0<> >>925

/まだいらっしゃいますか? <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/16(土) 22:48:31.07 ID:UqMA9QFDO<> >>936

【──煙が周囲に漂う。以前この香りをなんて思ったのかまでは覚えていないけれど、悪くない匂いだと感じた】
【タバコを吸う男は嫌いではない。何かに依存しなくては生きていけないことを、独特の香りが証明してくれている】
【無臭の男などつまらない。潔癖な人はそう得意ではない。完璧な人間なんて大嫌い──
【そう思っている彼女だからこそ、こんな場所でもまるでカフェにいるかのような会話が出来た】
【大体、少し邪魔な赤い置物があるだけのこの場所と洒落た店とで、話す内容が変わるわけでもなかった】


……そうね、私はただの娼婦。少し手癖の悪い、ただの娼婦よ
ふふ──それとも何かしら。世紀の大悪党でいてほしい? こんな場所にいる誰かを使って、憂さ晴らしをするような、ただの娼婦なのに


【礼は笑って受けとる。真剣な感謝の言葉はもどかしく、聞き慣れなかった。笑う以外の反応なんてよく知らない】
【ただの娼婦を気取るのかとの言葉にだって、そうだとしか言えない。何も企んでいるつもりもないし、足元の誰かに怨みがあったわけでもない】
【何となくイラついたから、こうしただけ。気が立てば地面の缶は蹴り飛ばすし、タバコの本数も増える。それと同じ】
【少し基準はずれているだけで、ただの娼婦なのだと彼女は言う。ふふ、と赤い瞳が笑っていた】 <> 荒零<>sage saga<>2015/05/16(土) 22:51:09.11 ID:9u7mXcHLO<> >>937
【男は親父と言った途端に少々渋い表情になる】
【眼前の男が作った些か不満気な表情と言葉に対して少々訂正を入れて言い直す】

いや、すまん。気にしてたか。まぁあれだよ、若くても老けてても心が若ければいつまでも若者だぜ的な思いでいればきっといつかは親父と呼ばれなくなる日が、
いやこれでは大してフォローになってないな、まぁ努力だな、うん。猛烈に努力。俺みたいなのが言うのもあれだけどな。

【彼は何とも言えない表情を作りながら男へと両手を合わせる】
【彼なりの謝罪の句は男にとって謝罪と受け取れる物だっただろうか。ともかく彼はそれだけ言い終わると再び食事を口へと運び始める】
【少しずつ食事のペースが速くなり、頼んだ2つの品はおよそ十分程で微塵も残さず彼の胃へと収まってしまった】
【見た目以上に大食いなのだろうか。そんなことを気にもしない表情で彼は男へと話しかける】

さて、と食事も終わった事だし俺はそろそろ行くとするかな。
じゃあな、親z……お兄さん……?いやそれもおかしいな。いや、おかしいって訳じゃ無いんだが、そうだな魔術師殿、これで良いかな
そう言えば名前を言っていなかったな、俺は荒零。第八天魔王と言うのはまぁ能書きレベルのもんだな。それじゃぁ魔術師殿、またいつか会おう珈琲は気にするなよぉ。去らば。

【そう言うと彼はジャケットを羽織り、特徴的な中折れハットを被って店を出ていった】

/申し訳ない。睡魔が酷いのでここら辺で〆で良いでしょうか?
/短い間でしたが絡みありがとうございました。至らない点もありましたがお疲れさまでした! <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/16(土) 22:56:08.60 ID:w4cgnajhO<> >>940
//お疲れ様でした!
//またやりましょー <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 23:09:47.02 ID:e97QFkljo<> >>939

【何も感じない彼女とは違い。彼は目を背けたままだ。血は苦手だという言葉は本当だ】
【だからこうしている。ある意味彼はピュアとも言える。限りなく一般人に近い…つまらない人間に見えるか】

けれど、手を汚しちゃいないね。
…世紀の悪党になるのなんて簡単さ。何をするかじゃなくて、誰にするかだ
少なくとも俺はそうだった。血を見てビビってる俺でも悪党になれる

【彼は煙草をくわえて、煙を吐き出した。間があった。それから、背を向けて、1歩、2歩歩いてから】

俺もアンタも、嘘をつきすぎているよ
…構わなけりゃ、少し話そう。でもここは嫌いだ……俺にはどうしても

【それから、構わずに歩き始めた。何処に行くにも当てはない。特に話すこともないはずだ】
【でも彼は哀しそうな様子のまま、そんなふうに誘う。あまりにも下手くそな誘い方だった】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/16(土) 23:27:53.08 ID:UqMA9QFDO<> >>942

【ライターを持ったまま、彼の話を聞く。どことなく、返すタイミングを逃してしまっていた】
【悪党のなり方も、手が汚れているかどうかも本当はどうだってよかった。既に手遅れなことを言われても、何も感じなかった】
【──ふと、最初の出会いを思い出す。彼は女に、金だけ渡して立ち去ろうとした変わり者だった】
【ふふ、と笑みが零れる。血が苦手なのに路地裏をさ迷い、アウトローを気取る彼は矛盾した存在だ。つまらないとは思わない。見ていて少し、面白い】


……嘘をつくのは、いけないのかしら。つき続ければ本当のことになるかもしれないのに

ふふ。……あなたって変わり者なのね、ヴラド
でもその不器用さは嫌いにはなれないわ。最初に会った時も、そうだったもの


【ふふ、とまた彼女は笑った。以前も彼女は、こんな風に囁くような笑い方をしていた】
【かつん、こつん、とピン・ヒールの音を立てて、彼女は彼の後をついていく。ライターはしまわず、手に持ったままだ】
【──ぽつ、と地面に小さな染みがいくつも出来た。緩やかに、雨が降り始めてきていた】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/16(土) 23:47:48.65 ID:e97QFkljo<> >>943

【振り返りもせずに彼は歩く。長い足で大股に、ゆっくりと歩く特徴的な歩き方だった】
【片手をポケットに突っ込んで、もう片方で火のついたままの煙草を挟んでいた】

どんなに精巧に嘘をついたって自分だけは騙せない
……だから、自分を騙す嘘だけはつけないんだ

【でもそれをいつまでもつき続けていた。彼も嘘は得意なはずだ。けれども真と偽の間で】
【自分は自分を混乱させるだけだった。それでもそうしなくては生きていけない。今ある真実すら】
【嘘になってしまうかもしれないからだ。手放したくない一心で嘘をつき続ける】

器用に生きてみたいとは思うね。でも、出来ないだろうし…したいとも思わない

【雨が降り始めて、彼は見上げた。煙草が消えてしまう前に何処か屋根を探さなくちゃならない】

…雨か。何処かに入ろうか。…と言っても、その格好じゃ何処にも行けないか?

【血の付いたドレスを見て、少し笑った。彼に余裕が見え始めていた。頬を拭ってやろうと手を伸ばす】
【そういうイタズラをしたくなるぐらいに落ち着いていつもの『役柄』へと戻りつつあった】 <> ジャンクちゃん
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/17(日) 00:05:14.19 ID:MRe4Grhko<> 【火の国・とある川原にて】

ttps://www.youtube.com/watch?v=2bosouX_d8Y

【月明かりに照らされる水面を前に、静かに歌を歌う少女がいる】

【白と黒、ロングスカートの侍女服を着たいやに小柄な少女だった】
【銀色のカフスボタンが袖に付いた黒を基調とした丈がくるぶし部分まであるロングドレスの最もオーソドックスなデザイン】
【そして長い黒髪を黄金でできた三日月の髪飾りでポニーテールに束ねて、耳部分にはアンテナヘッドホンのようなセンサーがついている】

【日が沈んで、すっかり静かになった時間帯―――ややひんやりした空気に触れながら少女の歌に酔いしれる者たちもいた】

【黒い短髪を若干しゃれた状態に整髪料で整えた、自身満々の顔つきとは裏腹に若干年若い印象を与える顔立ち】
【新品同様の真っ白な白衣に身をまとい、その下にはストライプのブラウスに真っ黒なスラックスをはいており】
【その首には髑髏模様が際立つ奇妙なデザインのネクタイを首に絞めている、極めて大柄な男性―――そして、その人物は今、女性の乗った車椅子を押している】
【黒くつややかな髪の毛を腰まで伸ばし、その目には大きな丸眼鏡、薄手の黒いセーターに青色のジーンズという簡素な服装の女性だ】
【静かな空間に流れる歌声、それに酔いしれている最中に、ぽつり、と女性が呟くだろう】


『―――へぇ、しばらく離れているうちにうまくなったね、ジャンクちゃん』

「けっこうびっくりしたろう?ずいぶん"気持ち"のこもったいい歌を歌うようになったよ……
正直、オレもジャンクちゃんもここ最近はずっと根を詰めてばかりだったからな……やっと一息つけた感じだ」

『―――ホントに?こうしてみてもまだまだ疲れているように見えるけど?』


【車椅子の女性に指摘され、ややバツが悪そうに頬をかく白衣の男性―――ジンジャー・ユースロット】
【ここ数日、特に気にかかっていた一件はまだ解決していない……UTの長がいまだ不在となっているこの一件】
【セリーナ・ザ・"キッド"はいまだ戻らない、―――拘束を抜け出し、現在目下捜索中である……無論、この男も現在捜索中だ】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 00:13:51.96 ID:1qLVFI7DO<> >>944

【「詩人ね」──彼女はそう言って笑った。自分だけは騙せない。その言葉が、きいきいと耳障りな音となって頭の中に響く】
【うるさいと叫びたかったけれど、まだ嘘をついている最中だ。娼婦を演じている以上、それは出来なかった】
【かつん、こつん、とヒールの音が静かに響く。きい、と手に持つライターを、爪で引っ掻く。ただの八つ当たりだった】


……本当、矛盾している人。嘘つきなのに、不器用で、器用に生きてみたくはないなんて
ふふ──私とは真逆ね、ヴラド。器用に生きたいし、嘘だってたくさんつくわ
あなた、普通の女の子には嫌がられそう。変に気取っている時もあるけれど、本心は隠さないでしょうから


【嘘もつく。自分だって騙す嘘もつく。器用に生きて、強かに生きて、笑っている女。それが彼女だった】
【空は見上げなかった。曇天とは言え、そこに月があるかもしれない夕暮れ時。月は、見たくなかった】
【ふふ、とからかうように彼女は言った。不器用な男より、器用なプレイボーイの方が世間の女の子に人気があるのはよく知っていた】


今はお店には入れないわね。変な噂が立っちゃうもの……あなたのお金で買ったドレスなのに、ね。残念
ふふ。でも濡れるのはイヤ……廃ビルでもいいわ。この辺りには、たくさんあるでしょう?
今の私たちにはきっと……お洒落なカフェやバーなんかよりも、そっちの方が似合うわ
BGMだって、ジャズやクラシックなんかいらない。──雨の音で、十分


【おとなしく、頬を拭われる。「ねぇ、そうは思わない?」──少し甘えるような声で、彼女は笑った】
【嘘つきの男女が2人。洒落た店で嘘を重ね続けるより、今は灰色の建物で笑う方が気分だった】 <> ???????
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/17(日) 00:36:04.17 ID:UFPJIb96o<> >>945

【さて―――静寂を打ち破るのは、何時の時代も汚らわしい機械の轟音だ。】
【美しい音色の少女の美声を掻き消すように、唸るV型8気筒の大排気量エンジン音を響かせて】
【少々下品なブルーのネオン・ライトを車体下部にこれでもかと搭載した、その大型マッスル・カーは現れた。】

【キャデラック―――最新型モデルのCTS-V。スポーツカーと同等の巨大なエンジンを搭載した、】
【セダンといえばセダンだが、ラグジュアリーとは大凡言い難いなんとも"○リケン"らしい馬鹿げた車―――が】
【河原を歩く一人の男性と、彼の連れである車椅子に乗った女性、そして歌声を響かせる少女の三人の前に、急停止する。】

【怪しげな真っ黒い塗装の車内から、随分と分厚いドアをガチャリ、と開けて降りてきたのは】
【これまたなんとも怪しげな―――というより、完全に"あちら側"の世界に住んでいるだろう人間だった。】
【車と同じか、それ以上に真っ黒な上下の高級スーツに身を包み、腕には銀色の機械式自動巻き腕時計、そして】
【スキンヘッドの頭頂部には蛇の刺青<タトゥー>を刻み込んだ、サングラスを掛けている"いかにも"といった風体の男。】


【そんな男が現れるや否や、ジャンクちゃん、そしてジンジャー・ユースロットの両名を目視するなり―――、】


 『―――大変、お忙しい中こうして突然お声を掛ける事をお許しください。』


【膝を突き、なんと丁寧に頭を下げて三人の目の前で"敬語"で名乗り始めた―――。】

 
 『ジンジャー・ユースロット―――いえ、WILD様とお呼びした方が良いでしょうか。』

 『そして、其方の方は"ジャンクちゃん"、ですね。お初にお目にかかります、こんな夜に申し訳ない。』

 『私の名前は―――"ジェル・ガドット・グライン"と申します。実は数日前より、ある"お方"の命で、貴方達を探しておりました。』

 『挨拶も無しにこうして現われ、そして突然こんな事を言うのは失礼に当たる、そう理解はしているのですが……、』

 『どうしても、我々には時間がない。どうか私のお話を聞いて、貴方達のお力を貸していただきたく存じ上げます。』


【その怪しげな風貌の男は、見かけとは魔逆の態度でそう話し始めた。】
【曰く―――数日前より、ジンジャー及びジャンクちゃんのことを"探していた"、】
【曰く―――時間が無く、そしてその両者に何かしらの事件に対し協力を仰いでいる――。】

【信用するかどうかはともかくとして、"WILD"の本当の名前であるジンジャー、という言葉を知っている事から】
【この男がなんらかの事情を通じて彼らの存在を知ったと言う事は想像に容易く、そして焦っているのもまた事実の様だった―――。】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/17(日) 00:38:40.97 ID:FUszvlEIo<> >>946

【詩人か。とまた少し笑う。くだらない自己嫌悪も他人からすればそう見えるのだろうか】
【マイナーなビートに載せてブルーズにでもしたてればミュージシャンにでもなれるのだろうか】
【…そんな考えもくだらない。自分も全部世界も。くだらない。くだらないなと笑うしか無い】

アンタは器用なんだろうね。夜が来るたびに嘘をついてきたんだろうさ。美しすぎる嘘だ
真実ってのは立派なもんじゃない。皆、嘘が好きだ。上手な嘘をつける人間はアーティストなんだ
だから………

【彼は其処で話をやめた。短くなった煙草を路地の壁へ投げ捨てた。少し気になった。普段はポイ捨てを】
【しないような人間だった。灰皿がないってのもあるがまた1つ自分へ嘘をついた。それが気になってしまった】

なら今度は白のドレスを買うといい。汚さないように気をつけて…もっと高いヒールも必要かな

【確かに廃ビルはいくらでもある。ちょうど良さそうなビルがあった。何が入ってたかしらないが他よりも幾分か】
【綺麗でマシだった。非常口か何かのドアには『立入禁止』の札がノブに針金で巻かれて、鍵がかかっていたが】
【彼には関係ない。ポケットからキーホルダー代わりのツールナイフを取り出して鍵穴をいじるだけで簡単に開いた】
【指を少し切ったのか、ちらりと見たが無視した。彼はサングラスを外す。暗い中も彼からすれば昼間のように明るい】
【目はあの時と同じ様に真っ赤で、不気味で、それでも瞳は見えない月の代わりのように輝いていた】

じゃあ…1つ嘘を覆そう。俺はウラドじゃなくてロッソだ。

【あの錆びたドアは真実への口火のように彼は切り出した。まあ、本当は、大した意味もないのだけれど】 <> ベル
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/17(日) 00:39:15.12 ID:qEub6Qim0<> 【どこかの国のとある海浜公園。昼間ならばサーファーや水泳客でごった返す場所だが、夜も更けた今見えるのは波に濡れた蟹(かに1)くらいである。】
【寄せては返すさざ波の音しか聞こえない波打ち際。月に照らされたその幻想的な光景から更に現実感を奪っているのは、宙に浮かんでいる一人の少女であった。】
【濃紺のロングヘアーに同じく濃紺のセーラー服を着用しており、その上から大きな白衣を羽織っている。その視線は一匹の蟹に向けられていた。】

どれだけ巨大になっても食べる物は同じ、か。まあそれはそうだよなぁ、僕ら人間だって体の大小で食べ物の好みが変わる訳じゃ無し。
でもあれ一匹じゃあお腹も膨れないんじゃないか?君は。ちなみに僕はカニは嫌いだよ。食べるのが面倒なんだ…って贅沢な言葉かな?うふふ。

【言って、目を細めて笑う。瞬間、少女の真下の空中からピンク色の長いゴムのような物が現れて伸び、目にも留まらぬ速さで蟹の体にべちゃりと付着した。】
【カメレオンの舌に良く似ている。突如出現した同じくピンク色の巨大な口のようなものの中へ向かってそれは縮み、口の様なものが閉じて蟹は消えた。】

その点君はいいよね、いちいちあの殻を剥かなくっていいんだからさ。…ものすごい屈強な胃袋と口を持つ人間だったら同じことができるのかな?ちょっと興味あるかも…。

【今度その実験でもしてみようかな、いやどうでもいいか、等と少女は呟く。少女は砂浜からおよそ4メートルほど上空に浮いたままであり、その姿勢は何かにまたがっているようだ。】
【その下の空間からジャリジャリと、歯で固いものをすり潰すような音が聞こえてくる。少女は月を見上げて、眠そうに一つあくびをした。】


<> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 01:06:38.34 ID:1qLVFI7DO<> >>948

【そう、夜がくる度嘘をついていた。昨日どんな嘘をついたかなんて、今日の嘘で塗り潰されて分からなくなっていた】
【ふふ、と女が笑えば、ついた嘘も忘れた嘘も許される。だから女は嘘をつき続ける】
【単純な話だ。くだらないと笑われながらも、皆嘘が好きだったし、皆嘘を求めている】
【ただ彼女はその世界に馴染んで、求められている振る舞いをしているだけだった。笑えば、すべてが許される世界で】

【彼が話を止めれば、彼女も追うことはしない。終わった話をほじくり返すのは、カップルの喧嘩だけで十分だ】
【白のドレスに高いヒール。どうだろうか、と女は困ったように笑う。──赤は栄えるだろうと思いはしたが、口には出さなかった】


…………嘘つきが白いドレスだなんて、いい皮肉ね
──ウェディングなんてあげるつもりはないし、あまり似合わない気もするけれど……
ふふ……でもいいわ。気が変わるまで、次のドレスは白にしてあげる
ヒールは赤がいいかしら。いつまででも踊り続けられそうな、赤い靴


【また笑う。赤い靴はほんの悪戯心からだった。けれど言ってから、似合わないだろうと改めて思う】
【白いドレスに赤い靴。パーティーが初めてなベベみたいな格好だと、笑ってみる。白。もう自分には、馴染みが無さすぎてよく分からない色だった】

【そして、サングラスを外して彼が名前を名乗れば、彼女は少し驚いたように息を止めた】
【ロッソ。名前なんて聞けないと思っていなかったし、またあの赤い目を見れるだなんてもっと思っていなかった】


──ロゼッタよ。ロゼッタ・ルゥ
ふふ。ひとつ本当のことを言ったら、私も教えてあげるわ
だってそうじゃないと、フェアじゃないもの。それに──その目は、嫌いじゃないわ
また見せてくれるなんて、思っていなかったから…………


【女もまた、ひとつだけ真実を言う。カーミラではなく、ロゼッタ。それが彼女を表す音だ】
【名前なんて意味はない──だからこそ、あっさりと言ったのかもしれない。隠す意味も、理由もなかった】
【フリなのか、本心なのか。囁くように笑って、彼女は彼の目を見ようとした。血のように赤い、不気味な色】
【彼女はこの目を気に入っていた。食事をしただけの客だなんて普通は2時間もすれば忘れるのに】
【彼のことを覚えていたのは、ただその赤い目が酷く印象に残っていたからだ】 <> ジャンクちゃん
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/17(日) 01:11:16.45 ID:MRe4Grhko<> >>947
【突如、ピタリ、と少女の歌声が止まるだろう】
【きょとんとした顔で、何かしらの疑問を抱いたらしくきょろきょろと辺りを見回し始める】
【すでにエンジン音を聞き取っていたジンジャーが"その直前"に歌を止めたジャンクちゃんの方向に顔を向けるだろう】

「―――どうした?ジャンクちゃん?」

あの、ハカセ……今『どなたかの声』が聞こえませんでしたデスヨー?……なんというか、ワタシに話しかけたような声が

「あちらに来ている"来客"の声ではないのか?……ずいぶんと重要そうな用事があるらしい
パプリカ、ちょっと話聞いてくるわ、待っててくれ」

【えらく強面な男がこちらに近づいてきていた―――それも表情を伺う限り本当に真剣な用事らしい】
【思いのほか焦りを見せているようだ、そのことを察したジンジャーはジャンクちゃんに手招きを行う、―――「ついてこい」という意味だ】
【男に近づいて会話を始めるジンジャーの背を、やれやれ、と言った様子で見守りながら一歩離れた位置から車椅子の女性は話を聞くだろう】

【礼儀正しい振る舞いで自分を―――"WILD"の名を呼ぶその男に真剣な面持ちで向き合いながら彼も言葉を返す】


「―――ああ、いかにも、私が"WILD"―――ジンジャー・ユースロットだ
私の居場所をずっと探させてしまったようだね、御仁……お見受けする限り緊急の用事かな?話を聞くよ」

夜分遅くまでご苦労様デスヨー、冷たいお茶でもいかがでしょうか?少々喉が渇いていらっしゃるのではと思いまして……


【ジャンクちゃんは手持ちの荷物から水筒らしき物を取り出すと、ジェルと名乗る男に向けて飲み物の入ったまっさらな紙コップを手渡す】
【中身は烏龍茶、氷で冷やしていたのか冷蔵庫から取り出したばかりのように冷たいのど越しだ、こんな時でも丁寧な対応はかかさない侍女のようだ】

【己の事を"WILD"、そしてジンジャー・ユースロットと両方の名前で呼んだ】
【一応、そう簡単に両方揃って知る事の出来る名前であるとは思ってはいない、何らかの手段を通じて知った人間なのは察することが出来た】
【丁寧に対応して差し支えない人物だと推測する、そして、彼が持ってきた話の内容はおそらく――自分たちにとっても重要な話である事も】 <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/17(日) 01:14:09.78 ID:TaAvaMG+0<> >>949

【冷たい夜風に吹かれて宙を舞う砂────心地の良い音色を奏でるさざ波、夜空を見上げれば幾万の星々が己を見つけてくれと主張するかの様に輝いている】
【人一人────人間の姿も影も見えない夜の海浜公園は昼とは一転して不思議で何処と無く神秘的な空間へと変貌していた】
【今宵の夜空は深淵を彷彿させるが如き闇色ではなく月明かりに照らされる海同様に美々しい藍色で────見るものを魅了させてくれる様な世界観を広げている】
【小鳥は既に夢の中だろうか────昼間では聞きなれた囀りは聞こえない。代わりに鼓膜を振動させたのはやはり波の音色で────夜なら聞こえても不思議ではない梟やコオロギの鳴き声はこの空間には存在しなかった】


フフッ──………夜の海も中々素敵なものね。
今日は朝から街の子供達に絵本を読んであげたり魔法の特訓をしていたせいでこんな風に心を休める時はなかったから……余計、感動的に見えるわね。


【静寂に心地の良い音響が加わっただけの空間に────女性一人の声と砂浜を踏む足音が混ざる】
【腰まで伸びた金髪のロングヘアに髪留めかお洒落か分からない従来のリボンよりやや大きく赤いリボンを頭に付ける────青いエプロンドレスを着た容姿十代半ばの少女が足音と声の主だろう】
【その少女は黒と茶色の中間と言い表すのが正しいであろう色を持つ分厚い本を抱えながら妖艶な瞳で目の前に広がる藍色の世界を見つめていた】


────………………? 誰か……いるの?
可笑しいわね…………確かに何か音がしたはずなんだけど……。


【幻想を体現した様な空間に浸りながら今宵までの時間を振り返ることから数秒たった頃に──耳へと入ってきたのは聞きなれない物音】
【砂利を踏む様な音に近いが──具体的にはまったくの別物であろうその音響の発信源をなんとなく気になった少女はその場から動かないで顔を左右へと向けて周囲を見回した】
【しかし、自身の瞳に入ってくるのはあいも変わらない砂浜と藍色の海と夜空だけで────なにか心霊的な現象に感じた少女は眉を潜めながらその場に座り込んだ】


気のせい──……かな?


【波がやってきてもギリギリ足の指先に当たらない程に海と近い位置に腰を下ろした少女は月明かりに照らされる海に移った自身の影を見つめながら先程の音は己の勘違い────聞き間違いだと考えた】
【少女の影から丁度少し先に存在するもう一人の少女の影に気がつくことはなく】

<> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/17(日) 01:33:10.10 ID:NUmcWzjho<> 【廃工場】

【入り組んだ路地裏の奥、闇の住人が跳梁跋扈する領域にそれは佇んでいた】
【最盛期はさぞ多くの人と物が忙しなく行き交う場所だったのだろう、大きな工場】
【今や見る影もなく、老朽化した建材と壁に這う植物が経過した時間の長さを物語る】

【中に入れば、穴が開いた屋根の下に広がる殺風景なかつての作業場が広がっている】
【端の方には作業機械の残骸や、朽ちかけたタイヤなどが放置されているが、それ以外は何もない広大なスペース】


【その中で蠢く複数の人影。このような場所にいる人種など、限られてくる】
【好奇心で無謀な潜入を試みた者か。何等かの目的があって来た者か。さもなくば、元々このような場所が住処であるか】
【この者どもは、三番目だった】

――――こちらのチェックは終了だ。スカーベッジ、終わったか?

[問題なく、ボス。……ここのアジトもなかなかに便利ではあったんですがねえぇ、いざ撤収となると名残惜しくもありますなあぁ]
[覚えてますかい、まだ地下トンネルを使い始めのころに、ここで武闘派の組織とかち合って……]

あの時はずいぶんと手こずらされた。苦労は多くとも、終わらせる時は一瞬だな

[いや、まったく……ブレインデッド、運び出しは済んだか!?]

〔お、お、終わらせた……オ、オ、オートマーダーに、は、は、運び出させた……〕

【最初に声を発したのは、身長2メートルを軽く超える大男だった。薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角ばった顔つきに短く切り揃えられた黒髪。口元から覗く鋭くとがった歯に異様に長い舌】
【昏い光を湛えた黒い瞳の両目。その額には、面積一杯を埋める巨大な単眼は埋まっている】

【もう一人は、鉛色の髪をオールバックにした彫りの深い顔立ちの男だった。髪と同じく鉛色の瞳、両耳と口元に鉛色のピアス】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベスト、迷彩柄のズボンに黒く分厚い軍用ブーツ】
【唇からはみ出す舌の外周には、びっしりと鉛色のピアスが付けられていた】

【最後の一人は、空中に浮かぶ人間の生首だった。ゴツゴツとした厳つい顔つき、太い鼻筋に縦に並んで突き刺さった三本のボルト】
【頭髪の代わりに、頭頂部に向かって捻じ曲がった鋼鉄の角が何本も生え、鉛色の瞳は無機質だが鋭い】
【首の断面はすり鉢状になっており、首回りには鉛色に光る首輪が嵌っていた】


【三体の異形は言葉を交わしながら、工場の奥へ進もうとしている】
【この広い空間だ、誰かが踏み込めば真っ先にこの異形どもが目につくだろう】 <> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/17(日) 01:34:39.12 ID:FUszvlEIo<> >>950

【廃墟はなんだか少し寒かったが、鉄筋の入ったコンクリートは外の雨の音をまろやかにし】
【何もない部屋はコンサートホールのようにエコーがかかる。声もなんだか篭っているようだった】

嘘に色は無いじゃないか。それに、何ものにも染まりやすいほうがウソっぽいだろ?
いいじゃないか新婦だって…神様の前で嘘をつく。コリント人への手紙だ。そういうもんだろ…
…好きにしなよ。ただ、ガラスの靴だけはやめておいた方がいい

【ヒールの色にまで嫌悪を示す程嫌っているわけじゃない。ネクタイを赤にするときもあるし、スポーツカーは】
【赤いほうが素敵だと思うし、唐辛子は入っていれば入っているほど好きだ。ただ赤ワインだけは飲まない】
【意外と敬虔なところもあって主の血であるアレは好きになれない。やはり、血がダメなんだろう】

…じゃあ、俺も言わなくちゃならない。ロッソは偽名だ。ある時、仲間と酒を飲みまくっていた。知らない奴にも
振る舞って店中の酒は殆どなくなっちまった。…朝になって、誰かがいった「あんたらは何なんだ」って
その時、誰も飲まなかった酒がテーブルに残っていたんだ。食前酒で、薬臭くて、変な味がするから誰も
…だからこう言ったんだ「俺達はチンザノ。俺はロッソだ」…って

これが本名に一番近い。…けど本名じゃない。忘れっちまった。本当に、知らない

【適当なところに彼は座った。椅子があってもなくても床に座って、背中を壁につける。片膝を立てて】
【窓の方でも眺めていた。雨は強くなるんだろうか。夜は深くなっていくばかりだ】 <> ジェル・ガドット・グライン
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/17(日) 01:41:09.92 ID:UFPJIb96o<> >>951

【とりあえず、話は無事に聞いてくれそうだ―――それだけで、グラインと名乗ったこの男は】
【ほっと胸をなでおろしていた。なんといっても、今の自分は傍から見れば怪しさ全開の車と人相だ。】
【何も言わずに突然目の前に現れたら、それこそ撃たれたって文句は言えないような、とまではいかないが。】

【ともあれ、此方が真剣である事を察してくれた様で、グラインは立ち上がると】
【ジャンクちゃんの優しい提案をやんわりと断りつつ、急いだ様に言葉を続けた。】


 『―――折角のご提案ですが、ジャンクちゃん、飲み物は後で頂く事にしましょう。』
 
 『……まずはこんな、怪しい私の話を聞いてくださり有難う御座います。実は今、私の知人が』

 『"とある女性"を保護していて。その方は、現在容態が優れない状況にありまして、詳しくは後ほど説明しますが』

 『まずはお二人に、その方の容態を見て欲しいのです。状況は一刻を争う―――とまで行きませんが、急いでいるのは事実です。』

 『その"女性"の名は―――いえ、語るよりも、これをお見せする方が速いでしょう。』


【そう言うと、男はスーツの内ポケットから"ある物体"を取り出して】
【そしてジャンクちゃんとジンジャーの両名へと見せる―――それは二人にとっても見覚えのあるもの、】
【いやむしろ、"見慣れている"筈の物、だろうか。金色の"コイン"が描かれたそれは一つの携帯型端末機であり―――、そう。】

【W-Phone。それも、このモデルは"あの"女性が所持していることを示す、特徴的なストラップまでついていて。】
【地の国、彼女の出身地である田舎町の名産品である、先住民族が作ったお守りの様な物がぶら下がったその固体は】
【紛れも無く、セリーナ・ザ・"キッド"の所有していた筈のモデルに違いない。製作者たるジンジャーには一目で分かるそれだ。】


 『―――車の中で、詳しい事は説明いたします。』

 『どうして彼女を保護したのか、今彼女は何処にいるのか―――、』

 『少し長くなりますが、今からお二人を、いえ―――お三方を、彼女の元へお連れ致したいと思います。』

 『どうか、彼女を救うのに協力して頂きたい。よろしくお願いします。』

【グラインは車の後部ドアを開くと、三人を連れて"彼女"の元へ急ぐとそう告げた。】
【返事をすればあとは車で少しの時間、とある場所へと向かうだけ、となるが―――果たして。】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/17(日) 01:49:53.71 ID:NUmcWzjho<> //こちら、次スレです

//【終わることのない】能力者スレ【戦いの系譜】
//http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1431794719/ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/17(日) 01:59:46.62 ID:7KCBpkkq0<> >>953
【――――不意に響いたのは、まるで空き缶でも蹴飛ばしたかのような音だ】
【辺りに警戒を払いつつ行動していたのならば先ず聞き逃すはずの無い高い音】
【侵入者が立てた音か、と辺りを見回したとするならば――――数秒と掛からず、その主を見つけ出す事が出来るであろう】


「グリースの馬鹿もドラクレアで調べたいことがあるとか言いながら出て行くし……その上、趣味の悪い変態達の巣窟を探し当てちゃうし
……まあ、鬱憤を晴らせるのならそう悪い事でも無いわね。況してや相手が見るからに“ソッチ”の住人なら尚更」

【何せ、隠れる事も無く堂々と入口から入って来るのだ】
【ただ、妙なのはその身形。自警団所属やSCARLET所属を示す其れを身に付けた訳でも無ければ、大々的に報道されている正義の味方の一員でも無い】
【言ってしまえば、修道着なのだ。神に仕える修道女が歩み寄るのだから無謀とも思えるのだけれど】


「面倒だけど“教会”としての仕事もこなせそうね。尤も、アンタ達がカノッサに所属していればの話だけど
ただの小悪党の集団なら手足を負って逃げられないようにした後牢にぶち込んで終わりにしてあげるわ
――――なんて、急に話されても分からないわよね?」

【教会。その単語はカノッサの者であれば知っている者も居るだろうか】
【ゼン=カイマでの騒動も然り。そして、機関に楯突く修道女も然り。――――否、知らずとも言葉からしてカノッサの敵対者である事だけは間違い無い】
【そしてこの女もまたその教会に所属しているとなれば。無駄に命を捨てに来たのでは無く、寧ろその逆】
【此処に集う一同の命を狩り取る為に訪れた存在である事が知れるであろうか】


「だから、一応聞いてあげるわ
引っ越しの最中に悪いけど――――貴方達は“悪者”かしら」

【其れは余りにも巫山戯た問いだ。お前は悪者なのかどうか――――など】
【線も細く、得物も持たない。或いは異能を秘めているのかも知れないが、発動している様子も無く】
【朱色の髪。其れと同じ色の双眸が、男達を睨み付けていた】
【“分からない者”からすれば丸腰の女だ。不意を突くようにして殴り掛かり一瞬で終えようとするのも、或いは警戒して距離を置くのも】
【――――何であれ女か敵である事に変わりは無い。先手を打たない今、男達の行動によって展開も大きく異なり】

/宜しくお願いしますっ! <> ベル
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/17(日) 02:01:00.65 ID:qEub6Qim0<> >>952

【くぁ、とあくびをついた後に、白衣の少女は周囲を見渡した。視線の遠くに人影を認めたようで、すると彼女は口角を上げて笑った。】

見てごらん、グラシリス。普通の人ならお預けだけど、もしも「能力者」だったら君の良い夕食になるんじゃないかな。

【先程までと同様に真下の虚空へ向かって語り掛けると、少女の体が動き始めた。砂浜には爬虫類を思わせる巨大な足跡が作られてゆく。】
【足跡の進みと共に、宙に浮いた彼女の体が揺れる。その光景はまるで少女を背負った透明な象が歩くかのようだった。】
【『足跡』はゆっくり移動を続け、やがて金髪の少女の近くへと辿り着く。どさりと音がしたかと思うと、浮翌遊する彼女の高度は1メートル程低くなった。】

やぁ。何、怪しい者じゃ無いんだ、ちょっと気になったものだからさ。同性だからナンパとかでもないってわかるだろう?
僕はベル。見ての通りに研究者だよ。君はなんていう名前の、どんな人なのかな。

【ベルは少女の態度にかかわらず一息にそう捲(まく)し立てた。その笑顔は一見、何らの邪気や害意を孕んでいないように見える。】
【しかし空気に腰掛けるように存在するその姿は、ただでさえ初対面の人間に対して強い不信感を与えるに充分すぎる程に異様だろう。】
【ベルは真っ直ぐ、微笑んだままで金髪の少女の目を見つめる。その表情は、面白い玩具を見つけた子供の様に楽しげなそれであった。】 <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 02:02:21.32 ID:1qLVFI7DO<> >>954

【そうね、と女は言う。「12時で嘘がばれてしまうもの」──王子様が迎えにくるのも、待つつもりはなかった】
【そんなガラでもないし、カボチャの馬車なんてまっぴらごめんだ】


ならしばらくは新婦のフリね。オレンジブロッサムを飲んで、初めての夜を何度も繰り返す──ふふ、悪くないわ


【白が似合わないこと以外は、随分と気に入ったようだった。特に、神様の前で嘘を、というのが気に入った】
【どうせすぐに汚してしまうだろう。次のドレスを買うまでの繋ぎとして、白は悪くなかった】


……記憶喪失? ふふ、ロマンチックね。本人にしてみれば、たまったものじゃないでしょうけれど
それでも、探したりはしないのかしら。自分なんてもの、道の端に落ちてはいないのは分かってるわ
……それとも、あなたには好都合だったのかしら。真っ白になったんでしょう?


【「嘘つきの始まりね」──彼の隣に、そっと腰を下ろす。たんたんと、雨がガラスを叩いていた】
【これから雨は強くなるのだろう。少なくとも、すぐには止みそうになかった】
【少しだけ、彼に寄りかかろうとする。露出の多いドレスのせいで、肌は冷えていた。雨の廃墟は、寒い。ほんのりとした暖かさが欲しかった】


/ごめんなさい、眠くなって参りました……
/このまま継続か、それとも〆てしまうかはお任せします
/継続の場合、明日は夕方ぐらいからいるとは思います
/では一旦、お疲れさまでした! <> ジャンクちゃん
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/17(日) 02:16:11.90 ID:MRe4Grhko<> >>955

【かしこまりました、と一度水筒をひっこめるジャンクちゃんをしり目にジンジャーが話を聞くだろう】
【怪しい見た目であろうとも基本的にまずは当たり障りのない会話から始める事には慣れている、なにより、彼からは敵意を一切感じない事は一目瞭然だったのだ】
【少なくともジンジャー達から見た目線では。―――そして、"女性"の危機であるのならばもう足を運ぶ以外はあり得ない】

【しかし、グラインと名乗った男が取り出したモノを見て、急にジンジャーの顔色が変わるだろう】
【取り出したのは―――よくご存じの品だった、なにせこのW-Phoneを作成したのは紛れもない自分なのだ】
【だが問題は、その機種の柄とストラップ―――前に見せてもらったことがある、これはセリーナが持っていたはずの品だ……!】

【ジャンクちゃんが目を見開き、両手で口を押えながら明確に驚きの表情を露わにするだろう、動揺からすぐには声が出ず、やがて一呼吸おいてから】


―――……こ、これは!そんな……いえ、間違いないデスヨー、これはセリーナさんのW-Phone……!
で、では……容体を見てほしい方というのは!……み、見つけてくださったのデスヨー!?貴方方が……セリーナさんを!

「……なるほど、とりあえずそうとう重要な用事であることはこの時点で理解したよMr,グライン
もちろんだ、今すぐ向かう。―――パプリカ!今すぐに向か……」

『はいはい、わかってる。じゃあいこっか?僕になにができるかわからないけど、とりあえず一部始終は見届けておきたいモンね』


【言うや否や、パプリカと呼ばれた女性はひょい、と座ったままの姿勢から勢いよく前に乗り出すと】
【―――そのままダンッ!と地面に手をついて、空中に軽やかに逆立ちの姿勢から跳躍するだろう】
【くるり、と空中で一回転した後、グラインが開いた座席に手を添えて、己の身を引き入れると―――ゆったりと腰かけながらパチン、と指を鳴らすだろう】

【すると、その合図とともにそれまで座っていた車椅子が―――ひとりでにガシャガシャ機械音を立てて折りたたまれたならば】
【そのままパプリカの方向へ車輪を使って近づくと、彼女は座ったまま悠々と折りたたまれた車椅子を回収するだろう】
【続いて軽く頭を下げながらジンジャーがその後に続きながら】


「……いや、私の"姉"が驚かせてしまい失礼、とりあえず彼女の同行も許可していただき感謝する
では、すぐに向かおう、詳しいお話を聞きながらね……」

ええ、いったい何がどうなっているのか……ぜひお聞かせいただきたいデスヨー
そしてそれ以上に可能な限り早くセリーナさんの元へと駆けつけたいと思います!ぐずぐずしてはいられないデスヨー、向かいましょう!

――――――……ん?


【最後、また背後を振り向くジャンクちゃん―――しかし自慢の探知機能には何も引っかからない】
【どこかが誤作動でも起こしているのだろうか、後でジンジャー達にメンテナンスを頼んでおこうか、と考えながら、再びグラインに礼儀正しく頭を下げて】
【そのまま二人の後に続いて車に乗り込み、話を聞く用意をするだろう】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/17(日) 02:30:26.66 ID:NUmcWzjho<> >>957
【盗賊どもは姑息であるがゆえに目ざとく、意識はいかなる時も周囲に張り巡らされている】
【故に、その音が響いた時点で全員が弾かれたように音の出どころへと向き直ることになるだろう】
【異形どもの七つの視線が、現れた修道着の女性のところで固定される】

……いきなり踏み込んできて、鬱憤晴らしとはご挨拶じゃあないか
仮にも聖職者が口にするセリフとは思えないな

【リーダーらしい大男の重苦しい声が工場内に反響する】
【警戒は解いていない。相手が一見してただの修道女に見えても、外見で油断することがどれほど危険か異形どもは知っていた】
【本人に見覚えはなかったが、その言葉の端々に聞き覚えのある単語、隠そうともしない敵意からおおよその察しはついた】

グリース……死神<Oリース・イムリンパルスか? 路地裏の悪党どもがその名一つで震え上がるような女傑を、気軽に呼び捨てるとは
お前も、よほどの地位の者らしいな。そんな相手に目を付けられるとは、我々も運がない
ゼン=カイマでの件と言い、教会に引きこもって祈りを捧げるに専念しておけばいいものを……

ああ、急に話されても全貌は理解しかねるな。だが、聞いたところで教えてくれる気はないんだろう?

【グリース。その名は、この異形どもも耳にしていた。ゼン=カイマの一件では、この大男は自らの目でその姿を確認もしている】
【その女性を呼び捨てる修道女。ここにいる時点でもわかるが、只者であるはずもない】
【敵対者。盗賊どもは正しく相手をそう認識した。対峙する女性と異形の間に、敵意と戦意が渦を巻き始めることになるだろう】


わざわざ聞いてくれるとは、ありがたくて涙が出るよ……
我々が悪者以外の何かに見えるなら、一度病院に行くべきだろうな

[ひひ……大層なもんじゃありませんがねえぇ『スクラップズ』ってケチな盗賊団のもんでございますよおぉ]

〔カ、カ、カノッサの敵……な、な、ならば、お、お、俺たちの敵だ……〕
恐らく、我々が機関員でなくとも同じだったろうがな

【返答しつつ、異形どもはわずかずつ動いていた。それぞれ距離を離し、修道女を囲うように展開しようとしている】
【その内に秘める実力は未知数。だが、その燃え上がるような朱色の瞳は、盗賊どもに彼女をただの丸腰の女と思わせなかった】

――――さて、お互いそうとわかればやることも決まっているだろうな?

【大男の言葉を合図に、両側に控える異形どもが動いた。生首は、朽ちかけた屋根スレスレにまで浮かび上がろうとし】
【ピアス男は、軍用ブーツで修道女から見て右横の方向に駆け出す。壊れた作業機械のある方角だ】

【大男は、その場にたたずんで動かない。だが、垂れ下がった太い両腕は、彼女が行動を起こそうとすれば】
【すぐさま攻撃に移れるよう、殺意を充満させていた。朱色の瞳を、単眼が真っ直ぐに睨み返す】

【浮かぶ生首。動かぬ大男。走るピアス男。まだ直接の攻撃はない。彼女はどう対応するだろうか】

/こちらこそお願いします! <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/17(日) 02:33:08.91 ID:TaAvaMG+0<> >>958

【海に映る影を見つめてから僅か数分────季節外れではないにしろやはり夜の海は肌寒い様で──夜風が少女の柔肌を刺激すれば分かりやすいほどに身を震わせて鳥肌を立てた】
【腰まで伸びた髪は優しく不規則ながらに揺れて────それを鏡写しした海に浮かぶ己の影も髪を揺らして、少女はそれをみて一人息を吐いた】
【そろそろ疲れた体に海の香りが染み渡り、砂浜特有のフレグランスを堪能した少女は癒された心のまま自宅に帰りたいと考えこの場を離れようと足に力を入れて、ゆっくりと立ち上がった】


──…………っ。


【さざ波の音響が静寂な夜の砂浜に響いた刹那────立ち上がった少女は自身の付近から何者かの気配を感じた】
【少女はそういった気配に敏感だとか────人より第六感が研ぎ澄まされているとかそんな能力は持ち合わせていないが────こういった無音の空間の中では、不思議と直感的に気配を探知できた】
【────といっても大体が気の所為で済まされて、事実それ以上のことはなかった。ゆえに今回も恒例行事と化した自身の勘違い、思い過ごし、神経質──と過去の体現から考えた少女はそのまま背後へと体を向けて────宙に浮遊する女性を見つけた】


ナンパじゃなくても……十分怪しいんだけど、貴女。
はぁ………私は"アリス"────"アリス・ルシフェー・ローズ"……魔法使いの王女様で……つまるところ"魔王"よ。


【研究員と自称するその女性は自身をベルと名乗って────怪しさ満点で此方に声をかけてきた】
【無邪気な笑顔を向けるベルに対してアリスは不信感に近い感情を──軽い敵意と言い表しても差し支えない心情を持ち合わせながらに自身の名を名乗る】
【魔王────なんて言えば聞こえはいいし、強いイメージが湧くかもしれない。聴く人によっては悪い人物像や強大な存在として想像されるかもしれないが──実際、少女アリスはそんな世間一般的な知名度を有する魔王とは別物の────ただの魔法使いの王女様なのであって──ようはこの少女、アリスは嘘をついていないのだ】


──……でそんな研究員さんが、私に何か用かしら?
生憎、絵本の読み聞かせ時間はとっくに終わってるし──……もし私を驚かせようとしたならごめんなさいね。
確かに宙に浮かぶ人間は珍しいけど………ね?


【────不信感、敵意、そんな二種の感情を持ったアリスだが直ぐにこの場から離れなかったのは逃げても意味はなさそうだと感じたからだ】
【子供の様な顔付を向ける女性をアリスは見た後に先に見える砂浜の足跡を確認して眉間に皺を寄せた】






<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/17(日) 02:34:51.21 ID:D6mZk/g9o<> 【かの地域に名前は無い】
【古くに発掘されとある組織に保護管理され秘匿された無名の領域】
【『変異域』とさえ呼ばれたからにはその厳重な管理体制の必要性も理解出来るだろうか】

【周囲四方を深い森に囲まれた丘陵地帯】
【領域の中央部には幾多もの石柱が並び立つ、何かの儀式の名残であろうその柱にはやはり旧い文字が刻まれている】
【もはやその文字さえも読み解ける者はおらずならばここは全てを終えた場所であり歴史より除外された場所】
【役目の終えた舞台はしかし今宵に限っては新たな舞台として息を吹き返す】

事前の準備はこれくらいでいいかしらね、刻限も悪く無いし星の並びに不具合は無い
並べた遺物もそれなりのモノだし術式だって文献漁ったし――――――――詰まる所全部やりきったし

【紅色のローブを夜風に踊らせ夜空を見上げながら魔女は囁く】
【彼女の足元には動力たる魔翌力も無しに幾重にも重なり絶えず稼働する魔術式が蠢き】
【各箇所の基点たる外周には作成目的さえも定かではない特級の遺物達が並べられ、月灯りに妖しくも美しく輝いている】
【広がる空はどこまでも澄み渡り……】

「全部やりきってその結果の借金塗れかね、金は浄不浄なぞ無いものだけどそこまで我が身を省みないのはどうかねえ
まあそれこそ全部今更さね私はなーんにも文句は無いよ対価を払ってるんだものねえ、こっちとしては利点ばかりで大助かりさ
ただ……親身になって言わせて貰うなら、ただの他人にここまでするのはどうなのかねえ」

うっさいわよ私はやるって決めた事は絶対にやるの、それを邪魔するなら神だってそれこそ婆さんだって容赦しないけど?
そりゃ老骨に鞭を打つようで申し訳ないとは思うけどね後になってギャーギャー言われたらたまったもんじゃないわよ
なんなら今の内にその口を縫いつけておくけどそれが嫌ならば黙ってなさい寿命減らすわよ婆さん……

【魔女の傍らでしゃがむ人影は辛辣な言葉を受けて嗤う】
【紅のローブとは対照的な白いローブに身を隠した背の曲がった老人、老婆は「そりゃいいねえ」などと朗らかに応える】
【魔女とは旧知の仲なのだろう、恐らくは遺跡に関連しそしてこの場の提供を対価に従い与えた者】
【1つの遺跡を管理する権限を持つからには相当の権力を持ちならば魔女に立ち並ぶ存在であるのも交わす言葉から分かるというもの】

「はいさね、場所の浄化は終わったよこれなら儀式・術式の最中で不具合がある事もないだろうさ
元々全てが終わった場所だからねえ……これ以上何かが加わる要素も少ない、零と聞くと覚えが悪いけどそんなのは目的次第、か……
確かに確かに魂のカットアンドペーストなんてのを行う限りはこういう場所が一番良い、けど――――――――……お前さんの考えにしては殊勝過ぎるねえ」

……ぐ、うっさいわよ……誰の入れ知恵でも別にこれが妥当ならいいでしょうに
魂なんて不定形なモノを移すんだから他の要素があったら混じるかもしれない、私が欲しいのは彼女っていう自律した自由な個人なのよ
だから混じる要素の無いここが良いの!以上!もう余計な事は聞かないで!

「はいはい、さて……外界からの侵入者及び術者防御用の隔絶式も問題ないねえあの小僧もそれなりの使い手か……
遺物を基点にするのは理に適ってる、けどねえ……使い捨てなのが痛いよ、杯も剣も珠も杖も特級じゃないかここまでするかねえホント容赦ないねえ」

【魔女の話など何処吹く風とばかりに老婆は据えられた遺物達を愛おしげに見つめ溜息を吐く】
【曰く特級の遺物、物体に力が宿るとするならばその多くは重ねた年代に因る所が大きい―――――故にこの選択】
【長い時を生きる老女は同じく長く存在する遺物に自分の姿を映し見、散り逝く定めを知るからこそ彼らが愛おしいのだろう】

【だが別離があるからこそ出会う物さえある今宵始まる出来事の為ならば失っても構わない】

あとは待ち人が来れば舞台は整うわ……それまでお互い魔翌力でも高めてましょうかアナスタシア……
「あいさ、心得たよ頂いた対価の分は確りとやるさ……それが使命ならね―――――――」

【二人の魔女は瞳を閉じ、静かな呼吸と共に力を巡らせる】
【刻限は来たりて全ての幕は上がる序曲が既に流れたのであれば物語は動き始める】

/セリーナさんの方、ジンジャーさんの方へ
/ひとまずレスを落として置きますので明日にでもよろしくお願いします! <> ジェル・ガドット・グライン
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/17(日) 02:36:28.90 ID:UFPJIb96o<> >>960

【顔色が変るのを見て、グラインは矢張り安心していた。】
【このW-Phoneの詳細が一目で分る、と言う事は即ち、―――彼らが、本物のジンジャーと】
【そしてジャンクちゃんである事に間違いなく。それを確かめる為にも"わざと"セリーナの名を明かさなかったのだ。】

【だがこうして、W-Phoneを見てセリーナの名が出てくるのであれば問題は無い。】
【グラインは自分の目の前にいる三人が、この数日間自身が探していた三人であることを確信すると、】
【どうぞ、と車の後部へいざなうだろう。尤も、その内の1人に関しては予想外の乗車方法で車に乗られたのだが―――。】


 『っ―――、車椅子が、あんな風に変形して―――、ふっ……。』

 『なるほど……貴方達に救援を頼んだのは矢張り間違いではなかったようです、安心しました。』

 『その驚異的な技術力、科学知識、そしてそれを応用する天才的な頭脳……貴方達なら、きっと彼女を救えるでしょう。』

 『ジンジャー様、そしてジャンクちゃん、それに―――パプリカ様、ですね。』

 『少し長旅になります、車内には簡易の冷蔵庫と飲食料を用意しております、毛布等もありますので』

 『どうぞご自由にお使いくださいませ。それでは、出発いたします。』


【パプリカ―――情報には無かったその女性が、大凡車椅子など必要だとは思えない程の身体能力を披露した事に】
【少々面食らいながらグラインは自身も登場席に乗り込み、ギアをニュートラルからドライブへ切り替え、鋭く車体を発進させた。】
【唯一、気がかりなのは車に乗り込む前にジャンクちゃんが一度だけ、後方を確認した事だが―――グラインは、気にせず車を走らせる。】


 『―――ええ。正確には、私の知人である"カズネ"という女性が、セリーナさんを発見いたしました。』

 『そのとき、彼女がいらっしゃったのはあの"ドラクレア島"です。恐らくは、戦いと血の匂いに誘われたのでしょう。』

 『彼女の精神は"ベクター事件"の時と同様に、セリーナさんのモノではなく―――"例の少女"に乗っ取られている状態でした。』


【そうして、グラインはドラクレア島での一件を詳細に語りだすだろう。】
【まず、第一にセリーナはレインと呼ばれるあの人格によって身体を完全に乗っ取られていたこと。】
【第二に、レインはドラクレア島で滅茶苦茶に暴れまわっていた事。それを止める為、カズネと男性が彼女を静めたこと。】
【第三に、ドラクレア島の記憶が蘇るという特異な環境下で、カズネ達はレインの過去を知り、その傷を癒すのを決めた、ということ。】

【そして―――現状、レインの精神状態は比較的落ち着いたものであり、】
【姉とも母とも呼べる存在であろうカズネに、べったりとくっついて離れない状態である、と言う事―――。】

【車はどんどんと加速し、人里はなれた方へと田舎道をぐんぐん駆け抜けていく。】
【田や畑、麦ととうもろこしのそだった広大な土地を抜け、一行を載せたキャデラックは森の深くへと入っていく―――。】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/17(日) 02:55:11.02 ID:7KCBpkkq0<> >>961
「悪いけど、アタシも好き好んで聖職者やってる訳じゃないのよ
――――と言えば語弊があるわね。だけど世の中お優しい聖職者様で満ちあふれてる訳じゃ無いわ

グリースを知ってるならその事も分かるでしょ
……嗚呼、方向性は違うけどアーグやフレデリックも同じかしら。命に無頓着に思えるもの」

【辺りを見回すのは、他に部下やらが潜んでいないか確認する為。或いは――――】
【男の受け答えに関しては一度鼻を鳴らすだけで終えて】
【然れど、最後に「話が早くて助かるわ」と加えれば徐に歩み始めるのだろう】
【向かう先は放置されたタイヤ。其れに触れるのだが、今の所は何が起きる訳でも無く】


「スクラップズ?……名前なら聞いた事あるけど――――こんな趣味の悪い集団だとは知らなかったわ
それにしても人員が随分と少ないわね?他のみんなは土の中で寝てるのかしら

……何だって良いわ。貴方が言った様に教える気は無いし、あっても話すだけ面倒だもの
それに、知った所で何かが変わる訳でも無いでしょ?

――――そう、アンタ達の敵。仲良くお喋りして終わりなんて事は無いのは……理解して居るみたいね」

【気付いた頃にはタイヤが消え、彼女の手に太いゴム製の鞭が収まっていた】
【見れば、鞭の所々に亀裂が走っており――――そしてタイヤが“消えた”事からも分かるとおりその鞭の素材はタイヤその物なのだろう】
【走り寄る男に対し、其れを勢い良く振り下ろして】

【振り下ろした鞭故に軌道は単純だ。だが、厄介なのは防ぎ難い事に加え鞭という得物自体が痛みを与える事に特化している事】
【成人男性ですらも痛みから数発で死に至る者も居る、なんて物を容赦なく振るうのだから】


「祈るのは趣味じゃ無いわ。だけど、今はアンタ達が祈るのに丁度良い機会じゃ無いかしら
どうか五体満足で生きて帰れますように――――ってね」

【聖職者でありながらも、その心は対極。敵ならば滅するまで、と】
【鞭で描かれる一閃を切り抜けられれば、其処からの反撃も可能であろうが】 <> ジャンクちゃん
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/17(日) 03:20:26.23 ID:MRe4Grhko<> >>964

『少々お行儀の悪い乗り方になっちゃったかもね―――生憎僕は昔のケガで足をあんまり動かすことが出来ないんだ
見ての通り多少はマシに動けるけど。一応それ相応の鍛え方はしてるからね……これくらいできなきゃレイリスフォードの先生はやってられないって』

「……まあ、そういうわけだからとりあえず大船に乗った気持ちでいてくれたまえ、これから何が必要になるのか見当もつかないが……
それでも悪いようにはしないさ……いよいよセリーナ君を確実に助けることが出来る、そう考えるとやっと心が安らかになるよ」


【やや得意げな顔をしている眼鏡の女性の方を見て、軽く流す様子を見せたジンジャーだったが】
【それでも車内での会話を聞くうちにその表情もどんどん険しくなっていく……例の少女、レインか】
【かつての六罪王たる半魔の力を借りて記憶を読んだ一件から表に現れはじめ、その身に溜め込んだ暗い感情を吐き出すべく暴れだしたその猛威】
【しかしそれでも彼らはそんなレインを否定することはできなかった、彼女が口にする言葉はセリーナのずっと胸の内に溜め込んでいた確かな感情だったのだから】

【ドラクレア島の情報も手に届いている―――過去の記憶が突如形となる不思議な土地であるとは聞いている】
【それが本当ならば、いずれ自分たちもなんらかの手段で調査は行わなければならないと前々から思っていた場所であった】
【そこでの一件でとりあえずレインの心を鎮めることが出来た、まずはその一点に安堵してから、言葉を続けるだろう】


……"レイン"が、表面に出現していた……なるほどデスヨー
ええ、カズネさんという方には感謝しなければなりません……何をどうするにも、まずは落ち着いてその場の全員が動かなければならない
ひとまず彼女が落ち着いてワタシたちの事を受け入れてくだされば……あるいは、我々もなにかしらの手段を得ることが出来るというものデスヨー

「しかし、どうしたものかな……その状態で我々はどういった助けになれるものかね?
……まあとりあえず実際に足を運んでみなければどんな行動を起こせばいいものかわからない、まずはお会いせねばならない……カズネ君と、レイン君に」


【ここでの話を聞いたうえで、どういった行動を起こすべきか思考を巡らせるうちに、やがて一行の乗った車が目的地>>963へと近づいていく】
【まずは会わなければならない、その場の当事者たちに会い、どういった考えがあるのかそれをすべて見たうえで次の行動が決まる事だろう】 <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/17(日) 03:26:43.04 ID:NUmcWzjho<> >>965
あっさりと言ってくれる。世の敬虔な信徒が聞いたら嘆くだろうな
残念ながらそうらしいね。それにしても、お前の場合は優しいとは反対方向に極端に振り切れているように見えるが

ああ、あの死神でも間違いなく聖職者というのだから笑える話だな
さて、フレデリックもゼン=カイマの事件以降はお前よりは丸くなっていたようだがな。今は、愉快な事態になっているようだが

アーグさんは、お前とは在り方が違うさ。彼のそれは、信仰の深さから来るものだ

【自分たちの異形を見ても平然として歩き出し、辺りを堂々と見回しさえする】
【見ようによっては不遜にも思えるその態度も、確かな実力を以ってなされれば相応の自信ということになるだろう】
【タイヤに触れるという行動は、何の意味があるのかはまだわからず。そのまま、触れるに任せることとなる】


悪趣味の度合いでは、修道服を血に染めて回るお前たちには負けるよ
さて、どうだろうな? 我々はどこにでもいる。土の中に限らず、どこにでもな

その通りだ、知って変わるものではない。それでも知ることは私の趣味だが。今回はそうもいかないようだな

無論の事だ。我々とて、お喋りですますつもりは毛頭ないね

【言葉を交わす間も逸らされなかった視線が、タイヤを鞭に変えるという彼女の異能を捉える】
【と、次の瞬間にはタイヤ製の鞭が空間を駆ける】

【鞭という武器は達人が振るえば、その先端の速度は音速にすら達するという。たとえ単純な軌道だろうと】
【その美しくしなる一撃を回避することは難しい。まともに食らえば、痛みで動けなくなることもあり得る】

[ひ、ひ……!!]

チィッ――――!!!

【目を離すことなく鞭より先に動いたために、大男の行動はどうにか鞭の軌道に追いついた】
【ボコボコと気味の悪い音を立てて、大男の右腕が急速に膨張していく。子供がこねた粘土細工のような肉塊が出現した】
【走るピアス男と鞭の間に、肉塊が割り込む。タイヤの鞭が、肉塊を強かに叩いた】

ぐぅ……!!!
[ボス!! こんの、クソ尼ぁ……!!]

【膨らんだ肉を盾としたことで重傷は防いだものの、鞭がもたらす激痛はさしもの大男もぐらつかせる】
【呻き、苦痛の色を表情に浮かべる。肉塊とかした右腕が、鞭の痕を残したまま工場の床に落ちる】

【大男はそのまま、右腕を引き戻そうとしつつ数歩後退するだろう。すぐには行動に移れないはずだ】


【その隙に、ピアス男が作業機械の残骸に到着した。薄笑いを浮かべながら、機械の残骸とそばのタイヤに両手で触れる】

[ひぃっひ……あたくしも、あんたと似たような芸を持ってましてね、一つご覧いただきましょうかあぁ!!]

【作業機械とタイヤが、ピアス男の腕にめり込んだように見えた、次の瞬間】
【機械の下部にボロボロのタイヤが装着され、上部にピアス男を載せた即席の乗り物が出現した】
【見た目は、ガラクタを無理矢理寄せ集めたような継ぎ接ぎの物体。されど、異能がそれを強引に稼働させる】

【タイヤが回転し、耳障りな金属の軋む音を立てながら作業機械の残骸が拘束で走り出す】
【そのまま、修道女に突進しようとするだろう。元がガラクタのため重量は見た目ほどないが、まともに食らえば無傷ではすむまい】

〔か、か、神のところに、お、お、送ってやる……〕

【浮かび上がった生首もまた動き出す。鉛色の瞳が不気味に光る、と工場の床に散っていた屑鉄や小石が】
【ふわりと浮きあがり、ゆっくりと動き出すだろう。自分と物体を浮翌遊させる生首男の異能】
【浮かんだゴミは、修道女の背後へと展開していこうとする。動きは遅い。が、これに意図せずして触れてしまうと】
【浮翌遊物はその場に固定され、触れたものを傷つける凶器と化すことになる。逆に、落とそうという意志を以って攻撃を加えれば、簡単に叩き落とせるだろう】

【浮翌遊物で相手の動きを制限しつつの突進。盗賊どもの連携は、果たして通じるか】 <> ベル
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/17(日) 03:30:48.12 ID:qEub6Qim0<> >>962

【少女アリスからの返答は、ベルにとって想定の範疇を遥かに超えていた。笑顔は引きつり、冷や汗すら浮かべている。】

…これは…驚いた。いや、マジに。嘘をついているようには全く見えないしね。それにしても魔法使いの、王女様…。

【平時は良く喋るベルであったが、今や紡ぐ言葉が見当たらないように狼狽している。それでもなんとか続ける言葉を見つけたようで、何かを諦めるようにして語り始めた。】


用と言えば用だったんだけど…。それは今無くなった、と言えるのかな。白状すると、君に『こいつ』の実験台になって欲しかったんだ。

【そう言うと、彼女が腰掛けている空気が色を帯び始めた。何も無いかのように見えていた空間に現れたのは、巨大なカメレオンであった。】
【緑色の肢体に、ぎょろりとした巨大な眼球が2つ。どこを見るでもなく、その瞳はぐりぐりと動き続けている。】

僕はカノッサに属する研究機関で、主に生物を母体とした兵器開発を進めている者なんだ。今は『動物の巨大化』を主題に研究を続けててね。
この大きなカメレオン…名前はグラシリスって付けたんだけど、これは僕が制作した実験動物だ。皮膚中の特殊な色素に手を加えることで本来の擬態能力を進化させて、背景と完全に同化できるようにした。
つまり、透明になることができるわけだね。僕がさっきまで浮いてたように見えたのはそういう理由だよ。

【長くなるのでベルは説明を省いたが、本来カメレオンは昼光性であり夜は眠っている。また、カメレオンは光の当たる部分しか自身の皮膚色を変えることができない。】
【完全にどんな環境下でも透明になれる、という能力はあくまで彼女の改造によって強化された特性である。】

あと、カメレオンが舌を伸ばして獲物を捕らえる速さってのは驚異的でね。言わばとても長いバネが口の中に縮めて押し込められてるって言えばいいのかな。
そいつを利用して舌先を強化し、鉄板くらいならその舌で貫通できるようにしてみた。これに擬態能力が加わった体高4メートルのカメレオン、となれば充分利用価値があると思ってさ。それの制作を決めた。
で、昨日メンテナンスを終えたこいつがどのくらい兵器として有用なのか、を見るためにそこそこ戦闘のできる相手を探していたんだ。
なんだけど…、どうも今のグラシリスの戦闘能力じゃあとても君に及ばない、ってことが分かった。せっかく出来上がった試作品を壊されても困るしね…。

【はぁ、とため息をつき露骨に落胆した様子を見せる。彼女はまだアリスの力量を目の当たりにしたわけでは無いが、直感と経験がそれを大まかだが掴ませた。】
【暫(しばら)くの間そうして落ち込んでいたが、しかし彼女は考え方を変えたようである。ばっ、と顔を上げたかと思うと、輝く瞳と満面の笑顔がそこにはあった。】

でももう良いんだそんなこと!それより僕は君の存在に俄然(がぜん)興味が湧いた!君は僕が今までに聞いたことのない様々な情報をきっと持っている!
聞きたいことが色々あるぞ、何から聞こうか…!そうだ、まず君の素性をもう少し詳しく教えてくれないかな?
魔法使いの王女様って言うのは、比喩で言っているのかな?それとも、本当にどこかの国の王女であり、かつ魔法を使えるっていう意味なのかな。

【ベルは興味を抱いたものに対して、その追及を止めることは決して無い。膨大な量の知識欲が、アリスに向けて放たれていた。】
<> ヒライ
◆8R7odKA9zA<>sage<>2015/05/17(日) 03:34:38.71 ID:FUszvlEIo<> >>959

嘘で着飾っても、愛は真実だった。…シンデレラは

【さっき引き合いに出したコリント人への手紙をまだ引きずっていたのかそんな言葉が出る】
【愛は妬まず高ぶらず誇らない。愛は寛容で、嘘であるかどうかなど関係はないのである】
【13章だけは何となく覚えていた。昔見た映画のシーンとともにプレイバックされる】
【でも娼婦の彼女からすれば少し皮肉に聞こえるのだろうか。そんなつもりは無いのだけれど】

記憶をトバしてもう何年も経った。…探したことは不思議とない。忙しかったってのもあるけど
夜、寝ると夢を見るんだ。記憶の断片のような……酷い悪夢だ。二度と寝たくないと思えるほど
…眠らなきゃ、明日は来ない。今日が永遠につづくんだ。記憶とともに明日も失った。過去も未来もない
あるのは今だけだ…だから今だけは失いたくない。けど、悪夢からは逃げられない…生きている限り

【彼は彼女の言葉を聞いて少し笑いながら「少し違う」と言って】

俺はドロボウのほうが先だ。ドライバーとして雇われてダウンタウンの角で銀行から出てくる奴らを
拾って200マイル離れた飛行場に送ったのが最初だった。その時は大金があるっていう情報はデマで
中古車1台買ったら無くなるような額だけ握りしめて、街中のパトカーを振りきったんだ
それからカジノ、証券会社、麻薬カルテル数え切れない程タタいて、ドライバーから立案者(シャグマーカー)になって
周りがパクられたり死んでくうちに俺が1番の古株になってた。

【強い雨は2人をコンクリートの檻に閉じ込める。窮屈でもない。嘘で縛られている方がよっぽど窮屈だ】
【嘘の仮面と真実の顔なんて実際は存在しないのかもしれない。全て嘘の仮面で、単に気に入ってるのを】
【素顔だと信じているだけかもしれない。或いは全て素顔なのかも。嘘と真実なんてそれぐらい曖昧なものだ】

【彼は寄りかかってきた彼女の肩を、腕を回して抱き寄せる。優しさに嘘も偽りも無い。優しさ自体には】
【自分のことを話しすぎたと、それきり彼は自分のことを話すことは無かった。しかし目はそらすことはなく】



/すみません。丁度、明日の夕方から用事が入っておりまして
/キャラさんを拘束してしまうのも何なので〆にさせて頂きます
/お付き合い頂いてありがとうございました!お疲れ様でした〜 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage saga<>2015/05/17(日) 03:54:58.20 ID:7KCBpkkq0<> >>967
「――――血で染まるのは、その血を吹き出す対象が居るからよ
刈っても刈っても生えてくる雑草みたいにしつこいアンタ達の様な輩がね

つまりはアンタ達が悪趣味だと思う血染めも、元々はアンタ達の責任な訳
この場で償ってくれるのかしら。なら、アタシは断罪人を務めてあげても良いわよ?」

【恐らくは飛び散ったであろう血肉。其れを浴びても尚顔色一つ変えない女は、やはり何処か異常なのだろう】
【驚きもせず、恐れる事も無く。手慣れた動きで鞭の先端を自分の手元へと戻し】


「……不思議とアンタ達みたいなのにも仲間意識があるのね
どっちかと言えば、味方を盾にしてでも自分は傷を負わないようにするのが普通なんじゃないの?

――――結局は全員打ちのめされるんだから同じ事だけど」

【数多くの経験を積んでいるのだろう。同時に、それだけの命も殺めているのか】
【狙った相手では無いか、先ずは一人の動きを鈍くした事を確認すれば残る方へと視線は向けられ】
【阻止する前に、既にこちらに対する反撃準備は終えられている。ならば、回避に専念するのみだが――――】
【分かり易い“突進”はまだ良い。問題は浮遊する其れ等だ】
【下手をすれば爆発物と化しているか、そうで無ければもっと厄介な物と化しているか……】


「にしても、アンタの口振りからしてアーグの事とかも知っていそうね?
ふーん……喋れなくなるくらいに痛めつけようかと考えたけど、それも止める必要がありそうかしら

――――生首にピアスにデカイ男、誰か一人を残せば十分か」

【背後には大小様々な浮遊物。前方からは勢いの良い突進】
【戦闘に秀でていようと、身体はただの女と変わり無いのだから突進の直撃だけは避ける事を考え――――】


「ちッ……!!邪魔くさいわねッッッッッ!!!」

【もう一つ。仮に浮遊物が爆弾と化していたとしても、そんな事をすれば男達も只では済まない、との判断】
【故に一か八かで浮遊物を潜るようにして回避するのだが――――その最中、身体の節々が斬られる事となろう】
【血が滲む、が。其処で留まれば逆に被害を大きくするのだと今までの経験から分かる事】
【突っ切る様にして脱した、かと思えば――――】


「アンタの異能も邪魔なのよッッッ!!首だけなら首だけらしく地面でも転がってなさいッ!」

【振り向き様、今度は鞭を浮かぶ生首へと振るう事となろう】
【其れは顎を横から砕かん程の勢い。何も脳を揺らすだとかでは無く――――もっと、単純だ】
【ただ強烈な一撃で以て叩き落とす。それだけの事】

/申し訳無いです、そろそろ眠気の方が危うく……
/こちらは今日用事がある故に夜の10時半辺りからならば再開可能かと思われますが、もし難しい様でしたら置きレス等々でもっ! <> スクラップズ
◆EQBB9rCCt1P5<>sage<>2015/05/17(日) 03:56:45.05 ID:NUmcWzjho<> >>970
/こちらもそろそろ危うかったので、ありがたいです……
/了解です、夜なら空いていますのでまたその時に! いったんお疲れ様でしたー <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/17(日) 04:17:17.60 ID:TaAvaMG+0<> >>968

【此方のレスポンスに対してベルが見せた反応は予想斜め上のもので────てっきり彼女の様な人間はあまり驚く様子を見せないと思っていた】
【引きつるベル笑顔。アリスはそれを見ると少し困った様な不思議な顔付で頭に一瞬ではあるがはてなを浮かべる】
【己の感情というか、考えと言えば正しいのかそれを上手く言葉に出来ていない──否、それを言葉にしたらこの様な形になったのか────始めとは違い口数が少なくなったベルの様子を見て、ますます困り顔を浮かべるアリスは、首を傾げて彼女は何をしたいのかと疑問に思った】


こいつ────………………?
──────………………ッ!? い、いやぁっ!? な、なにその気持ち悪い生き物ッ!


【『こいつ』と言われてもアリスの視界には宙に浮かぶベルの姿しか存在せず、彼女が一体なにを指しているのか理解できなかった】
【彼女同様、宙に浮かんでいるから自身の目線では姿を確認出来ないのかとも考え一度夜空を見上げるが────煌びやかな星々が輝いているだけでやはり他に何かあるわけでもない】
【いよいよベルの説明が分からなくなったアリスは、強い口調でなにか物言いをしようて目つきを鋭くさせて睨みをきかせようとした刹那────無色の空間が色を持ち、やがてベルの指していた"こいつ"が姿を現した】
【身震い────アリスは目の前にいる生き物──常識に囚われない巨大さを持ったカメレオンの所為で、女性らしい悲鳴を静寂な空間の中あげて鳥肌を立てた】
【対象が定まっていない所為か視点を合わせないで巨大な目玉を縦横無尽に動き回すカメレオンの姿を見て、アリスは一歩、二歩と後退して両足を海へと入れてしまう】


カ、カノッサ──………? あ、ああ……なんだ貴女カノッサ関連の人なんだ……ふぅん……。
わた、私も丁度カノッサに知り合いがいるけど…………そ、そっかぁ……動物の巨大化──………へ、へぇ……グラシリス、いい名前……だと思う……うん。
す、凄い能力ね………だから……ね?
出来ればー……また透明に……あ、いやなんでもない!


【決して目線をカメレオンに合わせようとはしないで────挙動不振になりながら、グラシリス同様に目を動き続かせる】
【分かりやすいほどに苦手意識を晒すアリスは冷や汗と鳥肌のおかげで体に気持ち悪い感覚が巡っていると体感して────それを堪えながら必死にベルの話に合わせる】
【しかし、まさか彼女がカノッサの研究機関で働いているとは予想していなかった様でカノッサ機関の知り合いの姿が脳裏をよぎった】
【カメレオンの能力はやはり皮膚の色を変えるらしく、ベルの説明を聞いて何故彼女が宙に浮かんでいたか理解するアリス】
【できればカメレオンを再び透明にしてもらいたいという反面、姿が見えなくなってしまうと何をされるか分からない恐怖がある】


成る程、つまりその……カメレオン──……ヒッ!? グ、グラシリスさんと私を戦わせようとしたわけね?
私は別に構わなー……………………………………嫌だけど……。


【ベルの説明を全て聞いたことにより、大体彼女の目的は分かった】
【別に戦うことが嫌いなわけではないし、寧ろ自身の魔法を強化する機会と考えれば好都合である】
【しかしながら、アリスはカメレオンなどを始めとした様々な生物が苦手な故に、今回ばかりは拒絶反応を見せた】
【丁度ベル本人も戦わせることを拒んでいるし──ここはひとつ無害のままやり過ごしたいと切に願うアリスは何かを決意したのか本を一段と強く抱いた】


え、いや、ちょ、ちょっと落ち着いて!? 答えるから! 答えるから落ち着いて!
────………………はぁ……。
えっと…………なにから話せば……まあ、そうね。
貴女の言う通り、私は魔法使いで国の王女────……というよりは次期王女なんだけどね。


【いきなりテンション高い様子を見せてきたベル。アリスはそれにたじろぎながらも興奮しているベルの熱気を抑える様に両手を前に出してドードーと────】
【魔法使いが珍しいのか。とそんな疑問を持ちながらもベルに自身の説明を始める】
【といっても大体は彼女の推測通りであり、最初に説明した同様に────魔法使いであり国の王女──正確には次期王女である】


/すみませんっ。
時間的にもそろそろキツイので……〆か凍結かはお任せします!
一旦、ありがとうございましたーっ。



<> ベル
◆/Pbzx9FKd2<>sage<>2015/05/17(日) 04:33:42.49 ID:qEub6Qim0<> >>972

/了解です、ロールは続行したく思いますので、その方向でよろしいでしょうか?
/続きをこちらがなるべく早めに本スレ(ここ)で返しますので、それに対して都合の良い時間帯に再開していただけると嬉しいです。
/有難うございました! <>
◆SwXWg9i6yU<><>2015/05/17(日) 10:09:50.56 ID:TaAvaMG+0<> >>973/ありがとうございますっ。
此方ははやけれは18時頃からロールできますので、その時またよろしくお願いします! <> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<><>2015/05/17(日) 11:40:42.18 ID:1qLVFI7DO<> >>969

【「なら、私は赤い靴で十分ね」自嘲するように、彼女は笑った】
【彼女にとって、愛なんてものは嘘にしか過ぎない。愛していると囁いて跨がれば、金がいくらでも手に入った】
【寂しいか? なんて聞かれてもまるでそんなことはない。真実の愛なんて、気持ちが悪いだけだった】
【ガラスの靴より、死ぬまで踊り続ける赤い靴の方がまだましだ。いつか足を切られても、別に構わなかった】

【たたん。たん、たん、たん。雨が強くなる。壁の隅から雨水が漏れ出して、床を僅かに濡らしていた】
【彼の話を、彼女は静かに聞いていた。今日は随分と、口数が多い気がする】
【前の話なんてそんなに覚えちゃいないけれど、彼が長々と話すタイプでない印象はあった】
【たたん。たん、たん、たん。また少し、寒くなる。雨は嫌いじゃないから、降られる分には一向によかった】


……過去が呼んでいるのよ、きっと。嘘をつくな、って
多分泥棒をやめたところで、悪夢は見続けるわね


【「けれどね」──そう、話を区切る。ふふ、と笑い、彼の腕を受け入れた】
【冷えた肌に、男の手が触れる。愛なんてなくていい。少しの優しさと快楽、それとタバコがあれば、満たされた気にもなる】


あなたの言う通りだとも思うわ。悪夢から逃れても、また別の悪夢に捕まるだけ
だったら……少しぐらいいい夢を見ても許されると思うわ
少なくとも、ここにいる私たちは現実で、今だもの


【赤い目が、こちらを見てくる。彼女もまた、赤い視線を返す】
【あるのは今だけ。その通りだ。彼女だって、昨日の嘘も明日のセリフもすぐ忘れてしまうのだ】
【覚えているのは今起きていることと、生きるために大切なこと。例えば、赤い目をした彼の名前ぐらいは忘れないかもしれない】

【拒まれなければ、吸い込まれるよう彼女は彼に口付ける。頬に唇。首筋にだって】
【やんわりと押し返されれば、「変わらないのね」と笑い、雨が止むまで彼に抱かれているだけだ】
【けれど彼が嫌がらないのならば──その先は分かりきっていることだった】
【どのみち雨が上がるまでの時間潰し。あと数時間もすれば、嫌な月が出てきてここを出る羽目になるのだ】
【背中への口付け。彼は空を見て、彼女は見ない。──あの時と同じような別れ方をするのだけは、はっきりしていた】

/了解です!
/こちらこそ、絡んでいただいてありがとうございました。お疲れさまでした! <> ベル
◆/Pbzx9FKd2<>sage<>2015/05/17(日) 16:05:34.52 ID:qEub6Qim0<> >>972

【アリスが巨大カメレオンに見せた反応に対して、ベルは少し意外そうな表情を作る。だけどすぐに納得した様で、汗を浮かべながら目を閉じて一人うなずいた。】

うぉう。あー…。ごめん、僕が悪かった。そうだよなぁ、うら若き乙女とあれば普通そういう反応になるよなぁ…。
なにせ、普段から虫に蛙に蛇、ミミズに囲まれてる毎日だから。…何だか妙に新鮮な気分だ。

【彼女の所属する生物研究部門にも多く少女研究員は存在するが、元々アリスのように生き物に対して拒絶反応を起こすような者がそこでの勤務を望むはずも無い。】
【同好の士と共に研究室に閉じこもり、紛れ込んだゴキブリを素手で掴んでは外に逃がす。そんな生活を送る少女が大半を占める場所に生きるベルは、自分達が変わり者であることを今更ながらに認識した。】

そうだな、…よし、これでどうだろう?こいつが居ることに変わりは無いけど、見た目的に幾らかマシになったんじゃないかな?

【そう言う内に、カメレオンの体色はみるみる黒くなっていく。数秒もすると、その巨体はまるで大きな影の塊のようになった。】
【もはやシルエット以外に認識できるものは無い。見ようによっては真っ黒な大岩にも見えるだろう。】
【そして彼女は、さあ準備は整ったとばかりに質問攻めを再開した。うんうん、へぇ、等と相槌(あいづち)を打ちながら、目の前の少女アリスに対しての理解を深めようとする。】

へぇ、本当のお姫様なのか!これは凄い!それで、それは一体どこの国の?
風、水、地、火、雷辺りの大国かな?それとも、もっと小さな?櫻ってのは容姿的に違うよね。差支え(さしつかえ)が無いならば、是非とも聞かせてほしいんだ。

【言いながらベルはカメレオンの背から飛び降り着地する。砂浜へ座り込み、視線はアリスへ向けたまま、立てた両膝の下で手を組んだ。】




<>
◆iBPkBgx72E<>sage saga !red_res<>2015/05/17(日) 16:36:41.08 ID:o4xv3fe6o<> 【水の国郊外・ダグラス邸】

【広大な敷地、多彩な彫刻に噴水の仕掛け、或いは巨人に見せかけた時計台】
【その奥に佇むシンメトリーな造りの洋館――此処が、六罪王が一人】
【ダグラス・マックスウッドの邸宅であった。もっとも現在は廃墟に近く】
【庭は雑草が生い茂り、彫刻にも苔や鳥の巣などが散見される有り様だった】

【今日、この日に人員が募られたのは、先日発生した美術館での強盗事件が発端であった】
【件の強盗、首謀者はまさにダグラスその人。止めに入った青年一人に重傷を負わせ】

【そして美術品を積みこんだトラックは、この屋敷の敷地内に入っていったのだ】
【元より六罪王の館である、とUTなどから情報が提供されていたことや】
【かのドラクレア島に通じるゲートが館の外にあることからも、調査を望む声が多く】


【―――敷地内には、まず防犯装置の類は無い。ケルベロスが居る、なんて報告もあったのだが】
【その姿は見えず、さして問題もなく諸兄は館の正面から侵入することが出来るだろう】
【そして、入ってすぐのエントランスには一人の男。若い金髪の人物が二階の踊り場に立っていた】


やあ、よく来たね。此処が何処で僕が誰か……それは分かっているだろう?
 だから詳しい説明はしないよ。僕から言いたいことはたったの二つだ。

 一つ…――美術品を取り返したいのなら、この館の地下を目指す事。
 ただし相応の覚悟をして貰うよ。色々と防衛策は講じてあるんだ
 死んでも、怪我をしても、他の何かがあっても文句は言わないでね?

 2つ目……これは僕からの提案だ。最近、少し頭の中がごちゃごちゃしてきてね
 色々と有るんだ。記憶であったり、能力であったり……沢山詰め込んである。
 それを"掃除"してきて欲しい。請け負ってくれるなら、願いを一つ聞いてあげるよ
 勿論、一人ひとつだ。全員で一つなんてけちな事は言わないさ……さあ、選んでもらえるかな?


【エントランスの構造は単純だ。左右に階段があって、ダグラスの居る二階踊り場へつながり】
【その下、階段の合間には大きな両開きの扉が有る。構造からして地下へ行くものだろうが】
【現在は柵が掛かっていて飽きそうにない。その側面の壁には何かを差し込む穴が一つ】

【それから、エントランス一階の左右に扉が一つずつ。絨毯で道ができているからすぐに分かる】
【二階は行ってみないと分からないが、構造は似たようなものだろうか】

【そして――エントランスの何もない空間に現れる扉が、およそ4つ】
【一つは月が描かれている黒い扉。どこかひやりと冷たく、潮の香り】
【一つは機関の逆五芒星が描かれた扉。その向こうからは――コーヒーの香り、だろうか】

【続く三つ目は、この世界では見覚えがないであろうシンボルが描かれていた】
【扉は赤。白い丸が中央にあって、その丸の上には鉤十字が在り】
【きっと何かの旗か象徴だろう。扉の奥からは、硝煙の香りがしていた】

【最後の一枚は真っ白で、香りも無い。とても静かな雰囲気の扉。】
【そこに誰が居て何があるのかは想像もつかない。ただ、その選択肢も存在した】


【――無論、この提案を無視したっていいだろう。第三の選択肢として】
【ダグラス自身を攻撃するという行為も可能だ。その場合、狭い館での戦いとなるが】
【来訪者はどういった行動を取るかは自由――不気味なほど、行動の幅は広かった】
<> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 17:02:16.45 ID:1qLVFI7DO<> >>977

【かつん、とヒールの音を響かせその場を訪れたのは、1人の女。艶やかな黒髪に赤い瞳をした、長身の女だ】
【白いワイシャツに黒のパンツという質素な格好をしていたが、それは探索が目的であることを考えてのものだった】

【エントランスに入ると、彼女は1人の男を認める。恐らくは彼が、この邸宅の主だろう】
【見るのは初めてであったが──なるほど。確かに彼は…………】


──ふふ。六罪王ダグラスが六罪王らしくないことは聞いていたけれど、本当に「らしく」ないのね
はぁい。私はロゼッタ。ロゼッタ・ルゥよ。今日はよろしく

別に私は美術品を奪おうだなんて無粋な真似はしないつもりよ──元々あなたに少しだけ興味があったんだもの
それで……、………………っ


【相手が六罪王と知りながらもこの様子。機関員ですらなさそうだが、どうも間接的に彼のことは知っているらしい】
【敵意はなかった。あったとしても、この場で彼に襲いかかるなんて無謀な真似をやらかすのは余程のバカだろう】
【やんわりと女は笑みを浮かべていた。だが、4つの扉が現れるとその表情が苦々しく歪む】
【その能力を見て、ではない。扉のひとつに描かれた「月」を見て、笑みを崩した】
【す、と女の視線から月の扉が外される。どうやら月は嫌いらしい。そのまま彼女の手は、逆五芒星の描かれた扉へ伸びていく】
【そこに深い考えはない。月から早く逃げたくて、一番近くにあった扉を選んだだけだ】
【他の探索者やダグラスからの干渉がなければ、彼女はそのまま扉を開けて先にすすむはずだ】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/17(日) 17:20:43.68 ID:SuS8izi2o<> >>977
【まるでお話の中の金持ちが住む其れ、そのまんま想像し得る『お屋敷』を再現したかのような洋館───で、あったであろう】
【今や人の影も形もなくなって、鬱蒼とした雑草や手入れのされていない植木なんかを見ると、いくら元が華やかであったとしても不気味の一言に尽きる】
【おまけに、そんな屋敷に六罪王がいる。なんて人づてにでも聞けば、普通近付こうだなんて思う筈が無く……いや、普通は命惜しければその筈なのだ】
【こと、正義だとか悪だとかそういった漠然な小競り合いに興味が無く、自分の保身ばかりを考える、こいつのような奴は特に】

……しかし、その常識が通用しないのが俺様って奴よ

【「クックック」と喉を鳴らして不敵な笑み、それとは正反対の鼠のようにコソコソした動きが板に付いた男が、ガサッと植木から頭を出す】
【撫で付けた金髪に葉っぱと枝をくっ付けたまま、キョロキョロと周囲を見回し安全確認、周りに何もいないとわかると素早く次のポイントに隠れる】
【そうして、白い高級スーツが汚れるのも厭わずに、広い敷地を時間をかけて通り抜けると、他のメンバーに遅れて屋敷の正門に辿り着く】

【開いた扉からこっそりとエントランスを覗くと、そこで繰り広げられる他の探索者とダグラスの姿、そして会話が入ってくる】
【男───エース・セブンはほとほと呆れ果てた男で、ダグラスの姿に隠された何たるかなんかを見透かすような事は出来ず、その姿形そのままの情報を全くそのまま受け取った】

(……あいつが六罪王?マジで?何あいつただの人間じゃん、こんな所に住んでるからどんな化物かと思ったが……こりゃ他の六罪王も大した奴じゃないんだろうな、あのベクターとかいう奴も絶対あれ仕掛けだろ仕掛け)

(……まあいいや、馬鹿どもはどーせあの六罪王とよろしくやるんだろーし、その隙に俺様はお宝を頂いていくとするか)
(地下だな、地下……ハッ!わかりやすく牽制しやがって、映画じゃねーんだから屋敷に罠なんかあるかっつーの)

【恐ろしさを知り得ない無脳というのは、こういう時にはある意味羨ましいくらいに勇敢だ、話に聞いたお宝目指して、忠告に怯む事無く行くべき場所を決める】
【狙うは、地下にあるらしい美術品、トラックで運び込んだという事は山程ある筈だ。少しくらい持って行ったってバレやしない】

【他の奴が六罪王やその他の変な扉に気を取られている間に、エースは地下に続くと思しき扉を、目を顰めてグッと見遣る、よく見ると扉には柵があって、鍵穴らしき物も見える】
【『そりゃそうか』とエースは納得し、まずは鍵穴らしき物に嵌る鍵を探す事にした。抜き足差し足、他の探索者やダグラスに見つからないように、壁伝いに歩いてエントランス一階脇にある扉の内、向かって右側の扉に入り込もうとした】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage saga !red_res<>2015/05/17(日) 17:32:48.96 ID:o4xv3fe6o<> >>978

おや、キミは僕を知っているんだね。どんな噂を聞いたか知らないけれど
それをそのまま信じてくれれば、大体間違ってはいない筈さ。

……フフッ、月は嫌いかな。僕は生憎と、月が好きでね
女性を愛したことはないけれど、満月に恋をしていると言える自信があるよ
さて、その扉の奥には何があったか……気を付けて行ってきてね、ロゼッタ。

【逆五芒星の扉を開ければ――そこは、とある研究所の通路であった】
【しかし床には汚れや埃が目立ち、電気も途絶えがち。】
【推察するに、打ち棄てられた廃墟だろうか。"頭のなか"にしては、随分とリアルだ】

【続く道は二つ。一つ目は珈琲の香りを辿って、右側奥の部屋に向かうというもの】
【もう一つは左の道。崩れかけていて、電気も付いておらず】
【加えて火災でもあったのか天井も床も焦げていた。探索の価値はなんとも言えない、が――。】

>>979

【広く薄暗い屋敷だ。隠れるのが得意とあれば――ダグラスが気づく様子は無い】
【カメラ、探知機、ワイヤー等など。それらがない以上、扉へたどり着くのも比較的容易で】
【ぱたんと扉が閉まる折にダグラスの視線が向きはしたが、追手が来るような事はなかった】


【扉の向こうは薄汚れてこそいるが、立派な館の廊下、という感じ。】
【赤い絨毯にきれいな壁紙、小さな机の上に置かれた花瓶に、誰かの肖像画】

【さて、道は二つ。左はまっすぐ暗い道が続いており、右はすぐに左手へ曲がるもの】
【左はともかく――右手の曲がり角。その先からは何やら大型生物の唸り声がして】
【そろりと覗く分には問題無い、と思われるが―――。】
<> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 17:49:54.29 ID:1qLVFI7DO<> >>980

【──逃げるように、扉の奥へと進む。月が見えなくなったところで、しばらく跳ね上がった心拍数は収まりそうになかった】
【かつ、かつかつ、かっ。彼女の動揺を表すかのように、歩測が乱れる】
【しかし分岐点に来てしまえば、多少は落ち着きはしたのだろう。すぅ、と深呼吸をして彼女は一度足を止めた】


……月なんて、大嫌い。満月なんて見たくもないわ
まったく──ダグラスがどんなやつなのか気になってここに来たっていうのに
今度あいつに会ったら文句くらいは言わせてもらわないと!


【脳裏に、とある魔術師が思い浮かぶ。そもそも彼にダグラスの話を聞いたからこそ、ここに来てみたのだ】
【やり場のない苛立ちが沸いてくる。とりあえず浮かんだその顔に、大量の小人をぶつけることで苛立ちを解消することにした】

【──すぅ。また深呼吸をする。記憶の掃除をすれば、何か願いを叶えると彼は言っていた。断る理由は特にない】
【かつん。先程よりは落ち着いた足取りで、前に進む。記憶の掃除をしたいのであれば、人の気配がしそうな方に行くのがいいか】
【彼女はそう判断したのか。かつかつと音を立てて右奥の部屋へと向かう】
【──ざわり。彼女の周囲で、影が泡立った。何かが起きた時の保険だろう】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage saga !red_res<>2015/05/17(日) 18:00:31.01 ID:o4xv3fe6o<> >>981

【右奥の部屋に向かう途中、通路の足元に数本のワイヤーが張られていた】
【よくよく見れば全てつながっていて、片隅に空き缶が繋がっている】
【侵入者を告げる為のトラップだ。気付けるかどうかはロゼッタ次第だろう】

【また通路の左手には一度曲がれる箇所があるが、覗けば崩落した土砂で埋もれており】
【奥にかすかな光が見えるから、外に繋がっているらしいことが分かるだろう】

【――これらを踏まえて、部屋の前にまで辿りつけたなら】
【内部で人が動く気配、同時にコーヒーの香りも強まって】
【もしトラップに掛かっても居ないのであれば、奇襲を仕掛けることも出来るか。】
<> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/17(日) 18:02:06.23 ID:SuS8izi2o<> >>980
【こっそりと様子を伺いながら扉を閉める、閉める直前にダグラスと目が合った気がしてビックリしたが、扉を閉めても何も起きないので気の所為だと思う事にした】
【さて、屋敷の廊下に入ったのはいいが、どっちに行くべきか全くわからない、この広大な屋敷の何処に鍵があるか全くノーヒントだ】

【奥に何があるかわからない薄暗い廊下、右も左も嫌な予感しかしない……特に右側からは】

うわー……絶対なんかいるわこれ……やだなー……
でもこーゆー所に鍵があったりするよなー……いやだなー……

……取り敢えず、見るだけ見るだけ……

【曲がり角の先から聞こえる唸り声、その声から何がいるかわかるほど動物には詳しくないが、とにかくヤバい何かがいるのだけはわかる】
【ゲンナリとしたエースは、今ようやくダグラスの言葉がただの脅しではないと知る、とはいえここまで来て手ぶらで帰るというのも釈然としない訳で】
【唸り声の主が首輪と鎖に繋がれているのを願って、こっそりと曲がり角から顔を覗かせ、奥を確かめようとする。すぐに逃げられるように身構えながら】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage saga !red_res<>2015/05/17(日) 18:09:28.45 ID:o4xv3fe6o<> >>983

【曲がり角から奥を覗けば――大きな黒い塊が、ぴったりと通路を塞いでいた】
【よく見れば、それは犬だ。黒毛の大型犬――にしても大きすぎるくらいだが】

【特徴的なのは頭が3つあることだろう。今は凶悪なイビキを響かせながら寝入っている様子で】
【更にその奥を見れば通路は行き止まり。左側の壁には金属製の扉があって】
【この三頭犬は、何とも分かりやすい程の"護衛"なのだと理解出来るだろう】

【幸い、覗き込んだだけでは起きる様子はない。しかし、首輪も鎖もない以上】
【もし気付かれれば襲われる可能性は非常に高いだろう。滴る唾液は、絨毯を溶かしているようだった】
<> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 18:15:31.36 ID:1qLVFI7DO<> >>982

【──周囲に薄く展開していた「影」が、ワイヤトラップの存在をロゼッタに伝える】
【危なかった、と一息ついた。影をあらかじめ周りに出していなければ、確実に自分の存在を何者かに知らしめていただろう】
【ワイヤに触れぬよう、慎重に歩みを進める。途中で転びたくはないので、ピン・ヒールは脱いで手に持っておくことにした】

【ひたひたと、静かに部屋の前まで進む。何かあった時は「影」に変化して、崩落した土砂の先へ進んでみるのも面白いかもしれなかった】
【──ひた。しばし扉の前で息を潜める。人の気配に、コーヒーの香り。先程からずっと漂っていた香りの元凶はここだと判断し、そっと彼女は扉を開けた】

【……ぬぅ、と開けた隙間から、影で構成された触手を数本忍ばせる】
【その影は蛇の如く室内を這い、内部にいるであろう何者かに巻き付こうとするのだ】
【そして確実に相手の動きを拘束したという手応えがあれば、彼女は室内に入る】
【尤も、影蛇たちに異変があればその原因を探るために、どのみち室内の様子を覗き見る羽目になるのだが】 <> ジェル・ガドット・グライン
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/17(日) 18:22:33.31 ID:UFPJIb96o<> >>966>>963

【車椅子の女性が、あの"レイリスフィード"で勤務する教師だと言う事を知り、グラインは舌を巻いた。】
【なるほど、天才的な発明家であるジンジャーの協力者ともなれば、そういった人種が出てくるのも当然と言える。】
【恐ろしいのはそんな彼女が言うに、"基礎体力"もまた、あの学園で勤務するには必要な要素である、という部分だろうか。】


 『―――いえ。行儀が悪いだなんて、とんでもないですよ。』
 
 『普段私が、其方の後部座席に乗せているような"人種"と来たら、野蛮が服を着て歩っているような輩ばかりですから。』

 『パプリカ様のように、足が動かない連中も大勢いますよ。彼らの場合、"下手"を打ったケジメでそうなった者が殆どでしたが……。』


【しかし、パプリカの事情とはまた別に、このグラインが抱える事情というのも大凡複雑そうだった。】
【いや、むしろ複雑と言うよりは、格好の通りというかなんというか―――恐らく、裏の世界にべったり、なのだろう。】
【よく見渡せば、この車の構造も普通のそれとは違い、専用に防弾装備や消火器類、そして銃火器が足元に備えられている。】


 『行儀が悪いと言うのであれば、むしろ私のほうこそ謝らなくては。』

 『突然現われて、怪しい格好で怪しい車に乗せ、怪しい場所へ向かっている―――ふっ。』

 『普通信用されないものですよ、この手の人種は。ですが、貴方はセリーナさんの名前を見てすぐ反応してくれた。』

 『だからこそ―――矢張り、その様子ではレインさんの事も聞き及んでいるようですね。説明が早くて助かります。』
 
 『貴方達を選んで正解だった。これは技術力の有無だけでは、どうにも解決出来なさそうな問題でして。』

 『如何に事情を知っているか、そして如何に―――対象を大切に思っているか、それが試される問題です。』


【車は山道を抜け、とうとう未舗装の箇所へとタイヤを進めていく。】
【スポーツ仕様に足回りが固められたこのキャディでは若干、林道を抜けていくのも骨が折れたが】
【軋むサスペンションを他所に、グラインは迷う事無く暗闇の畦道を只管走り抜け―――そして、とうとう>>963が見えてくる。】


 『―――見えてきました、アレです。』

 『あそこにカズネさんと、そしてレインさんがいらっしゃいます。』

 『……では、そろそろお話しましょう。これから私たちが、貴方達にお願いしたい事は唯一つ。』


 
 『―――"からだ"を、用意していただきたい。人間の魂を、定着させる事の出来る、"肉体"を。』

 『いまからカズネさんが、レインさんの精神をセリーナさんの肉体から"引き剥がし"ます。』

 『そしてその、分離させた魂を、精神を、居付かせる事の出来るボディを―――貴方達に用意して頂きたいのです。』


【魂の、分離。そう、セリーナを、レインを、双方を救う最善手たる方法だ。】
【その一つの身体を別の二人で共有していくには、セリーナは余りにも多忙すぎる身である。】
【レインに身体を明け渡す期間を設ける、という選択肢はリスクが大きく、また不測の事態にも備えられない。】

【セリーナがもっと落ち着いた身で、かつレインが精神的に大人びているのであればまだしも―――】
【事情が大きく異なっている。レインのような幼い子供に必要なのは、単純に世界を広く、深く知っていくことだ。】
【しかしそれではセリーナの身体に限界が来てしまう。だから用意して貰うのだ―――ジンジャーに、"彼女の身体"を。】

【分離までは、カズネの力でどうにかする。だが、それから先を担う部分を、ジンジャーに任せたい。】

【魔術師と、科学者、この二人の共闘により、不可能を可能にする大きな儀式が―――今、始ろうとしていた。】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage saga !red_res<>2015/05/17(日) 18:29:55.24 ID:o4xv3fe6o<> >>985

【影蛇――その侵入、直後に手応え。ガチャンとマグカップが割れる音がして】
【もがく声が聞こえてくるが、どうやら拘束できたのだと分かるだろう】
【そうしてロゼッタが室内に入れば、部屋には二人の"女性"が居た】

【一人は赤い長髪。だが、奥のベッドで深々と眠り込んでおり】
【その様子からして怪我か病か、しばらくその状態なのだと分かるだろう】

なん、でっ…ありますか、この"影"はッ……!
そもそも、どうやってダグラス殿の能力に干渉して…く、っ――!!

【声の主、もう一人は薄汚れた白衣の――少女、と言って差し支えない外見で】
【髪はライトブルーと非常に目立ち、口調からして一般人ではないのだろう】
【全身を縛り上げられる形で侵入者を睨む。その手には、振るえない物のハンマーが握られていた】

【――ダグラス"殿"、そして『干渉』。どうやら彼女達がこの扉における"掃除の対象"らしい、が。】
<> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/17(日) 18:36:26.04 ID:SuS8izi2o<> >>984
【曲がり角の先を覗き込んだ瞬間に目に入ったモノ、それを認識した瞬間にエースは「ブーッ!」と噴き出してしまった】
【慌てて口を抑えて角に隠れる、余りの驚きで思わず吹いたが、再び確かめるにどうやらあの犬の奥に更に扉があるらしい】

おいおい冗談じゃねーぞ……あんなもん俺様の管轄外だっつーの、ベッセル連れてくりゃよかったかな……
何にしたって、あいつをなんとかしねーとあのあからさまに怪しい扉に行けねーぞ……何か無いか、何か……

【まさか、護衛の三頭犬を撃破して無理矢理推し通るなんて事は出来ない、曰く『頭脳派』なエースは、何とかして無血開城の方法を考える】
【暗い廊下の何処かに使える物はないかと視線を巡らせる、あるのは絨毯と、肖像画と、机と───】

……一か八か、だな。

【ごくり、とエースは唾を飲み込み、廊下にあったある物に手を伸ばす───机の上にあった花瓶だ】
【次の瞬間───ガッシャアァン!!≠ニ大きな音が廊下に響き渡った、花瓶が割れて鳴った音だ】
【その轟音は、三頭犬の目を覚まさせるには十分な音量だろう、そしてこの三頭犬が屋敷の護衛であるなら、音のした方向に向かう筈だ】

【そうでなくては困る、エースはそれを狙って、わざと花瓶を廊下の奥へとぶん投げて、三頭犬を呼び寄せたのだ】
【自分はその隙に、角にピッタリと体をくっ付けて三頭犬の死角に入ろうとし、上手く行けば三頭犬が離れた瞬間に素早く鉄の扉へと向かうだろう】 <> アイン
◆r0cnuegjy.<>saga<>2015/05/17(日) 18:39:53.80 ID:J/GZp/5RO<> 【風の国・首都エルジオ】

【水の国に並ぶほど自然豊かなこの国の首都は、やはり似たように様々な人々が行き交っている】
【あちらが混雑と呼べるのに対して、こちらはもう少し穏やかな賑わいを見せていた】
【気候が安定していて、夕方ともなるとさほど暑くないおかげか服装も様々だ】

【通りの端に観光用の大きい地図が掲示されている。その前に一人の男が立っていた】
【黒く短く揃った短髪に東洋人的な凹凸の少ない顔つき。長身に血のように赤黒い外套を羽織っている】
【顔からして年齢は三十代前半くらい。左耳につけている大きめのルビーのイヤリングがそよ風に揺れていた】

……田舎なんだか都会なんだか微妙だな
どうもこういう、若干牧歌的な国は好かん
住み心地は良さそうだが水の国の方が良かったな……

【男は地図の前で首を傾げていた。地図の道筋を目で追って、実際に通りの先を見て、また地図を見て──】
【そしてまた反対側に首を傾げる。まるで迷っているかのようだ】
【いくら様々な人種がいるとはいえ、こんな外套を羽織った男は他にはいない】
【目立つものの前にいることもあって、少しばかり目につくだろう】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage saga !red_res<>2015/05/17(日) 18:48:01.13 ID:o4xv3fe6o<> >>988

【エースの起こした小さな音で、三頭犬――ケルベロスは目を覚ます】
【ひどく眠りが浅いらしい。とはいえ、まだ起きたばかりだからか気付きはせず】
【座ったまま、伏せの格好で待機を続ける。そこに花瓶の割れる音が響けば――】


『「―――Grrrr,…――Goooooorrrreaaaaa―― !!!」』


【――凄まじい勢いで跳ね起きて、通路の壁を凹ませる程に突っ込みながら】
【強靭な四肢で即座に割れた花瓶の元へとかけだしてゆく】

【しかし、当然エースのことが視界にも入る。特に右端の頭はまっすぐにエースと目を合わせ】
【巨体は止まらずとも噛み付こうとし、着地を済ませるやいなや反転。】
【鉄の扉に向かおうとするエースのことを、背後から八つ裂きにしようとするだろう】

【しかし急げば扉に入る余裕はある。問題はどれだけ早く動けるか、ただそれだけであり】
【かつ、入ればそこが狭いながらも書斎であることが分かるだろう。本棚が幾つかあり、デスクがあり】
【何枚かのデッサンと、何かの鍵と、中庭への窓と。あとは工具箱が置いてあった】
<> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 18:49:33.99 ID:1qLVFI7DO<> >>982

【拘束の手応えが返ってくる。ふふ、と口元を歪めて室内に入れば、そこにいたのは2人の女】
【彼女たちの異能を警戒してか、ロゼッタは必要以上に相手に近づこうとしなかったが──すぐに相手を絞め殺すという真似も、しなかった】


……はぁい、頭の中の邪魔者さん? 正直なところあんまり私も状況が掴めていないの
ふふ……でも、あなたからはいろんなお話が聞けそうね

まずダグラスが、って質問なのだけれど──私をここに招いたのは彼自身よ?
何でも、記憶のお掃除をしてほしいんですって。ふふ、ふ……掃除。掃除、ねぇ
あなたたちをこのまま絞めてしまえば、お掃除は終わるのでしょうけれど……


【そこで彼女は一度言葉を切る。客でもなければ客候補にもならなさそうな相手に、遠慮はいらないと判断】
【ふふ、とまた楽しそうに口元を歪めれば、ぎりりと影の締め付けを強くする】
【痛みは感じるが、耐えられないものではない。息も出来るし会話も可能。けれどそのままだとうっすら痕は残りそうな程度の締め付けだ】


ねぇ。ここは本当に、彼の記憶の中なのかしら。そのわりに、随分と鮮明なヴィジョンよね
細かいところまで再現出来ているし──ちんけなトラップまで
けれど変な話だと思わない? 他人に、赤の他人に、自分の記憶の整理を頼むだなんて


【ふふ、とまた彼女は笑った。「ねぇ、あなたたちは彼の、何?」──少女にそう問いかける】
【一応赤い髪の女にも気は配っていたが、基本的には白衣の少女に意識は向けられていた】 <> ヴェール=カタストルフ<>saga sage<>2015/05/17(日) 18:54:38.47 ID:i++014csO<> >>977

【バンッ!と静寂な館に大きな音が響き扉が強く開かれる】
【音の主は黒いローブの男で深い緑色の髪が特徴的で扉を思い切り蹴飛ばして開けたようだ】
【深々とローブを被っていて人相はよくわからないが少なくとも良いとは言えないだろう】
【暫くして蹴り上げた足を下ろし館内へズカズカと入っていくと一人の男を見つけ顔を上げて睨みつける】

あぁ?テメェが悪名高い六罪王様か?ちとイメージを下回り過ぎてるんじゃねぇのか?

【見たままの感想をずらずらと並べる。確かに威厳は感じられるが戦うというタイプにはあまり見えない。青年を重症に追いやったというからにはさぞかし悪逆非道な顔をしているのだと思ったらむしろ整っている方だ】

六罪王とやらの面を拝めるって聞いてわざわざ来てやったが…案外つまんねぇ面してやがんなぁ、テメェ

【かの六罪王と言われる人物の顔を拝んで、あわよくばぶっ殺してやろう、そう思っていたがなんとなくだが気がそがれてきた】
【彼は知らないのだ。六罪王がどのようなものなのか。六罪王と呼ばれるもの達がどうしてそう呼ばれるほどであるのかを】

お行儀のいい装飾品なんていらねぇよ。かと言ってテメェの掃除なんて誰がやるかよ。でもまぁ───

【ダグラスの話を聞いて鼻で笑いながら一つの扉の前に立つ】

──ここは面白そうだ

【彼が立っているのは硝煙の香りがする鉤十字の扉の前。彼が望むのは闘争。飽くなき戦いの渦。それに惹かれて扉に手をかける】 <> エース・セブン
◆81It1xIT0A<>sage saga<>2015/05/17(日) 19:00:34.13 ID:SuS8izi2o<> >>990
う、うおおおおおおおおあっぶねええええええええええええええ!!!!

【死んだかと思った、目の前を大きな牙が閉じた瞬間は本当に走馬灯が走った】
【考えてみれば当然の事だ、頭が三つなのだから死角なんてこんな簡単に入り込める筈がない、浅はかな考えだった───と、脳内反省会をしながらエースは顔面が崩壊する程全力で駆けていた】
【逃げねば喰われる、戻る事はもう出来ない、とにかくもうあの扉にダッシュして飛び込むしか道は残されていないのだ】

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く!!!!
開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開けェェェェェェェ!!!!

【今だけなら世界新記録を塗り替えられるんじゃないかってくらいのスピードで扉へと駆け寄り、急いで扉を開ける、鍵がかかっていない事を願って】
【振り向く暇は無いが、振り向かずともわかる、間に合わなかったら死ぬ】

【金属製の扉が開くと、素早く身を滑り込ませ、扉を思い切り閉じる。金属製だから暫くは大丈夫か……大丈夫なのか?】
【三頭犬が部屋に飛び込んで来るような事が無ければ、一頻り息を整えてから、部屋の中を見渡すだろう】
【取り敢えず目に入った鍵をポケットにねじ込んでから、デスクを調べようとする】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2015/05/17(日) 19:20:30.72 ID:D6mZk/g9o<> >>966>>986

ようやくお出ましね丁度良いタイミングだわ――――――――

【この場に似つかわしくない鉄の駆動体の音】
【魔翌力の精錬に意識を割いていた魔女は目を細め彼らの来訪に安堵した】

説明は……まあ大体はしてくれたみたいだし要らないかしらね
聞いた通りよ客人、こちらが求めている物さえあればお互いの目的が果たせる
記憶とか精神とかそういう細かい事は全部こっちに任せてくれていいわ

「魔女よ、それよりも名乗りの方が先なんじゃないかね?お互いが知らぬままでは余計な事も増えると思うよ
私はアナスタシア……そうさねえ、どこぞの商会の前長と理解しといてくれれば嬉しいねえ……
この場所と使う遺物を提供させて貰ったよ、ああ報酬なら気にしなくていいそこな魔女と全部話し合い済みさ」

……ち、うっさい婆さんね……私はヒトツギ・カズネ
あの子の保護者、……保護者?なのかしら一応……ドラクレアで紆余曲折あってねその時に保護したわ
それでこのままじゃ彼女たちの生活に不具合が生まれるってことでちょっとアンタ達を呼ばせて貰ったわ、来てくれてありがと

【老獪さ宿すアナスタシアと鮮烈さを宿すカズネ】
【前者は老齢故の独特の落ち着きを放ち、後者は慣れない術式であるからかどことなく興奮気味だというのが見て取れる】
【世代差、とでも云えば良いのか尤もカズネという人間が歳を重ねたとて老女のようにはなりそうもない】

【式の中心には彼らの全てと関わりのある人物が安らかに眠っている】
【セリーナ・レイン、1つの身体に2つを宿す彼女ら、その彼女らの為だけに今宵は開かれる】 <>
◆SwXWg9i6yU<>saga<>2015/05/17(日) 19:33:36.50 ID:TaAvaMG+0<> >>976

【必死に自身の目線を巨大なカメレオンに合わせようとはしないで真横の砂浜を見たり──足元の砂に目線を落としたりとカメレオンの上に座るベルすら視界に入れようとせずに辺りをひたすら見回す】


──……ひぃ!? 蛙ッ!! へっ蛇!? ミミズゥ!?


【ベルの口から出てくる生物の名称を耳にする度に体を跳ねあがらせ身を震わす】
【目の前にいるカメレオンの姿を見ようしないでもベルを日常的に囲んでいる生物達の名前を聞いてしまうと、その姿が脳裏をよぎりやはり拒絶反応を見せた】
【何故疲れた心を癒しに来ただけなのにこの様な報いを────嫌な思いをしなければならないのかと自問自答するアリスの瞳にはうっすらと涙が浮かぶ】
【夜風の所為か────苦手な生物の所為かはいざ知らず。背筋に悪寒が走るとそれを食い止めるが如く両手で自身の華奢な体を抱いて瞳を強く閉じた】


ぇ────………………?
まだ……いるじゃない…………で、でも確かにそれなら平気……かしら?


【閉じた瞳のお陰でカメレオンの姿を含む景色が遮断されて代わりに見えたのは真っ黒な闇──────ではなく、ベルが蛙やミミズと戯れる姿】
【もはや逃げ道は失われた────満面の笑みを浮かべて遊ぶベルと愉快な仲間達の姿を薙ぎはらう様に顔を左右激しく振るう】

【しかし消えないイメージ。するとその閉じた瞳に映るベルが此方に話しかけてきた────否、声をかけたのはどうやら現実の彼女だったようで、涙目ながらに瞳を恐る恐る開いてベルとカメレオンの姿を見た】
【────子供騙し。アリスの頭に浮かんだ言葉だ。苦手なカメレオンの姿を見せない為には色を黒くして誤魔化す。いかにも子供騙しな手段だ────と考えながらも実際それが一番効果的且つ助け船であるのは事実だった】
【闇の様に全てが黒く染まった巨大カメレオンの姿は────アリスから見ればカメレオンを墨で描いた作品に見えた様で──首を傾げながら恐らくこれなら大丈夫だろうと────】


何処の国って聞かれても…………別に水の国とか昼の国みたいな大国でもなければ、有名な場所でもないわよ?
そうね〜…………貴女の言う通り────……もっと小さな国? かしらね。詳しい説明って言われても、何を話せばいいか分からないわよ…………。


【シルエットと化したカメレオンのお陰でやっとこさ普段通り話せるアリス────ではあったが、やはり目の前の女性の所為でやや押され気味】
【アリスが暮らしていた国は──ベルの上げた国々の様な大国でもないし、有名な国でもない】
【しかし、経済的には豊かな方で────それを説明する意味はないだろうとアリスは考えてそこは省いた】





<> ジャンクちゃん
◆LF1Ar7hXZw<>sage<>2015/05/17(日) 19:34:08.97 ID:X2kGx9VLo<> >>986>>994
【グラインが、自分は裏社会に居ついている事に関してずいぶんと謙虚な様子を見せるのに対して】
【ジンジャーは自信たっぷりに腕を組みながら、丁寧に言葉にしてくれるだろう】

「うん、確かに君は見るからにカタギの人間って事はありえない風貌をしているのは見て取れるさ、それは見ればわかる
しかし同時に……君が私を攻撃するつもりがなかった事も、大変困っていた事も私には一目でわかるのだよミスター
だったら例え君の見た目が怪しかろうとも力にならなきゃあな、"紳士"は時として男性の力にもなる気紛れを起こすこともあるのだ

―――それになによりも、仮に君たちが我々を攻撃するつもりで招いてきたとしても、"来るなら来い"、と受けて立てるくらいには私たちは強いのだよ」

『ちょっとやそっとの危険だったら僕たち7人とも父さんが生きてるうちにだいたい乗り越えちゃったからね、大丈夫
僕たちの弟のプラムなんかもっとすごいよ、マフィアのボスに婿入りする危ない逆玉やらかしてるんだから……』

【一目でグラインが『敵ではない』事を見抜く観察眼といい、仮に裏稼業の人間が送ってきた刺客であろうとも"受けて立つ"と答える大きな自信】
【そしてそれらに裏打ちされるのは彼らの高い実力あっての事、そんじょそこらの困難はいくらだって乗り越えてきたのだ】
【だから、今度も大丈夫―――必ず自分たちでなんとかしてみせる、そう強く決意を固める】

【―――しかし、そうして自分たちに差し出された要件は決して簡単にこなせそうな要件ではなさそうだった】
【目的地に到着してパプリカに再び車椅子を用意すると、迎えてくれたカズネたちに、「私が"WILD"、ジンジャーと言う。よろしく」と簡単にあいさつし、軽く握手を求めてくるだろう】
【しかし余裕をもって対応できるのはここまでだ、この局面で自分たちに求められる仕事は決して簡単なものではない事を知る】

【それは、セリーナとレイン、二人を同時に助けるには二人の体を用意しそれぞれの人生を歩ませてあげる事、それが一番だという結論だ】
【確かに、実際に分かたれた二つの魂が一つの体に巣食ってしまっているならば二つの体を作ってそれぞれに明け渡せばいい】
【至極単純な結論だ、だが……だからこそジンジャーとパプリカは自分たちに求められたことに関して険しい表情をみせるだろう】
【一方、ジャンクちゃんは説明を聞いた後、やや俯いて言葉をぽつり、とつぶやき始めるだろう】

……―――もうひとつの、肉体……レインの、彼女の……自由な人生を……彼女の、『命』を……
『……思ったより難しそうな注文じゃん、そちらの……カズネさんだったかな?実際にその人の心を分けて
取り出すなんて離れ業ができるなんて、もうそれが出来る人が見つかっただけでも奇跡的かも……ジンジャー、どう?できそう?』


―――――……不可能では、ない。……しかし聞いてくれ諸君、この一件はこの私にしてもかなり『難しい』注文だ


【深く、深く思考を重ね口にしたジンジャーの結論は『かなり難しい要件』、だという一言だけだった】
【重苦しい表情で、やっとの思いで口にした言葉がこの一言……何かしらの問題があるのだろうか】 <>
◆iBPkBgx72E<>sage saga !red_res<>2015/05/17(日) 19:52:28.29 ID:o4xv3fe6o<> >>991

【影の締め付けが強まれば、少女は苦しげに息を漏らす】
【白衣のサイズは大きいものの体躯は小柄、抑えるのは容易な事だった】

【――しかし、記憶の掃除や排除という単語を聞いても、格段驚く様子は無く】
【むしろ『ついに来たか』というような様子で―苦しげにだが―話を聞くと】

っ……此処は現実であって、そうでない場所でありますよ
"APO研究所"…――それをダグラス殿の能力で再現したのであります
ただし、"現実"にではなく"彼の思考の中"に、でありますが……。

……私の名は、ブランデン・ケミッシュ。元機関のNo.100…。
ダグラス殿の部下でありました。……水面下では今も、でありますが

【『出来ればゆるめて欲しいでありますな』と続けながら、意志を示すように】
【手にしたハンマーを床に放る。何か特殊な物のようだが、仕掛けはないらしい】
【そして、更に続けて『アーグをご存知でありますが』と尋ね返した】

>>992

おや、居らっしゃい。よく言われることだよ、本当に六罪王かってね?
でも考えてもみてよ、六罪王っていうのは全員別の罪を背負うものだろう?
何処かの神様が考えた7つの罪だって、それぞれ別のものだったんだから。

……おっと、お喋りはやめておこうか。その先に待つのは地獄だよ
もっともそういうのが好きな人種も居るのは確か……死なないようにね、お兄さん?

【――鉤十字の扉をあけると、その先には荒れ果てた街が広がっていた】
【石造りの建物が殆どだが、街路も建築物も、血と死体と、黒煙で覆われていて】
【上空には曇天。そして響くエンジンの轟音とプロペラの旋回、遠くで鳴る爆発の音】

【戦場≠ナあろうか。街のあちこちには、扉のソレと同じデザインの旗が見て取れたが】
【どれも燃やされたり、裂かれたり。さながらここは――敗戦国の一大都市、か】


―――『Freeze!』……動くんじゃねえ、妙な格好だな。
 ゲリラなら殺す、市民なら保護しろってお達しだ。……何人かって聞いてるんだぜ
 そんな髪の色、見たことがねえ。オイ、英語は理解できるんだろうな


【背後から銃を突きつけ、早口でまくし立てる男の声。――とんでもない場所に来た、それは理解できるだろう】
【そして、言語も場合によっては理解出来ないはずだ。そこはヴェールの知識次第だが――。】

>>993

【鉄扉を閉じれば即座にケルベロスが体当たりをしてくるが、扉はびくともしない】
【よほど強く作られているのだろう。むしろ周囲の壁のほうが心配なくらいで】

【――デスクを調べれば、出てくるのは十数冊に及ぶノートだ】
【開けば、全てが絵。"落書き帳"というところだろうか、花の絵から戦艦の艤装までが描かれており】
【その出来も千差万別。子供が書くそれもあれば、一部のノートには物騒なものばかりが精巧に書き込まれていて】

【持っていくのも自由、捨てるも放置するも同じ。他に探してみても、小銭が入った小袋があるくらいで】
【となると後は本棚、それから工具箱か。廊下のケルベロスは諦めたのか鳴りを潜めていた】
<> ジェル・ガドット・グライン&レイン
◆/iCzTYjx0Y<>saga<>2015/05/17(日) 20:03:35.32 ID:UFPJIb96o<> >>996

【車内では、グラインが"ふふっ―――"と笑いを零していた。】
【盗み見る様な形になってしまったが、W-Phoneに入っていた情報から探し当てたこの男、】
【セリーナの知人でかつ、この手の事案に何らかの対抗策を生み出せそうな人員、という事で的を絞っていた訳だが―――】


 (……なるほど、兼ねてより"正義"を掲げる連中を支えてきただけの事は、あるな。)

 (怪しいのを分かっていて尚、手を貸してやろうという深い器。そして、その上疑い続ける理知的判断も備えている。)

 (しかも仮に、俺が裏切ったところでそのときはそのとき、戦うなら相手をするだけと―――なんとまあ、自身に満ちている男だろうか。)

 『……ククッ。いや、全くその通りです。貴方達を選んで正解でしたよ、ジンジャー様。そして、パプリカ様。』

【W-Phoneをジンジャーに明け渡すと、内部の情報を幾つか閲覧した事を正直に話し】
【その情報を絶対に漏らす事は無いから信用して欲しい、と申し出るだろう。と、同時に彼は名刺を取り出す。】
【其処に書かれている彼の名は、先ほど名乗った"ジェル・ガドット"其の者であったが―――職業の欄には、こう記載されていた。】


 『セリーナさん、そしてレインさんを救出する為にやむを得ずその端末を覗き込んだ事をお許しいただきたい。』

 『ただ―――顧客の個人情報を漏らすようじゃ、私の仕事は勤まらない。』

 『だからもし、この情報が何処かしらに漏れた、という事態になった時には、この名刺に書かれた事務所に来てください。』

 『其処にいつも私はいます、処罰は何なりと―――受けるつもりです。』


【―――名刺に書かれていた職業名は、"運び屋"<トランス・ポーター>。】
【なるほど、確かに秘密裏に仕事を請け、気付かれずに事を成す裏稼業の定番である。】
【顧客情報を漏らす事は絶対にない、とそう語るのは職業柄生き残る為に必要だから、という事だろう。】
【そしてもし、仮にどこかにこの情報が漏れる事があれば、その時は自分を殺しに来てくれていい、と豪語する程。】
【この男もまた、魔術師カズネの友人というだけあって、自らの仕事に実直なプロ、という事だろうか。彼は真剣な眼でそう語った。】

>>994

 『カズネさん、お世話になっています。お二人、いや、予定にはありませんでしたが、』
 
 『もう1人の協力者と合わせて三人を此方にお連れ致しました。給金の方は何時もの口座に入れておいてください。』

 『―――ただ、お話を伺った限り相当、"使い込んでいる"みたいなので―――最悪、分割払いでも構いませんよ。』

 『それでは、私は車の中で待っています。常人には、とても耐えられない儀式になりそうなので、ね。』

【グラインはジンジャーの言葉を聴き、これが相当な"難産"に成る事をいち早く察したのだろう、】
【カズネには短く仕事の話を切り出し、自分は車の中で待機する、とそう申し出た。一礼すると彼は車に戻り】
【エンジンを切って目を瞑った。後は、全てが上手くいくよう祈るくらいしか―――彼に出来る事は、何も無かった。】

【―――そして、式の中央に丸くなって眠っていた"彼女"が、ゆっくりと目を開いた。】
【身につけていた毛布をはらり、と退かして、セリーナ―――否、"レイン"は眠たげに、目を擦り五人を眺めた。】
【ジンジャー、ジャンクちゃん、パプリカ、カズネ、そしてアナスタシア―――総勢五名の実力者による、壮大な儀式の始まり。】

【だが当の本人は、というと―――恐らく、以前は戦闘の場で目にしたジンジャーを見て不安になったのだろう。】
【起き上がったレインは四つんばいのままカズネの方に近付いていき、その洋服の裾をきゅーっ、と掴んで、その影に隠れた。】

 ……? かずね、あれ、だれ……? こわい、ひと……? まえに、たたかった、あのひと……っ、。

【か細い声でそういうと、紫色の目が鋭く、ジンジャーとジャンクちゃん、そしてパプリカを射抜く。】 <> ベル
◆/Pbzx9FKd2<><>2015/05/17(日) 20:11:27.70 ID:qEub6Qim0<> >>995

【何を話せば良いかわからない、そう語るアリスに対してベルは答えた。】

なに、なんだって良いんだ。君に関わるどんな話でも良い。君から感じたどこか妖しげな雰囲気に僕は興味を持ったんだよ。
例えばその君の国の名前とか、どんな特色を持つ国なのか、とかね。君が語りたくない部分は語らなければいい。
僕で言うなら、出身は風の国だ。緑が多くて昆虫採集にはとても適したところだよ。…あ、ゴメン!その手の話は苦手なんだったんだっけね。
それと、国民性は裏表が無いって一般的に言われるかな。少し自己主張が強い人が多いとも言われるけど、良い国だよ。

【自分を例に出しながら、出来る限り友好的に会話を続けようとする。】
【好奇心旺盛な彼女だが、嫌がる相手から無理に情報を聞き出すことは無い。もっとも、自身に敵対する相手にならばまるで話は変わってくるのだけれど。】

それから、君の持っている「能力」は一体どういうものなのか、とか。ちなみに僕は完全な無能力者だ。不思議な力なんて何も持っちゃあいない。
それに、人種…とかかな。僕は生まれついての純粋な「人間」だけど、この世界には亜人だの魔人だのと、人間に近しい種が色々といるだろう?
僕は、亜人とは「他の生物の特性を併せ持つ人間」。魔人とは「『能力者』の持つ能力とは別に、摩訶不思議な力を持って様々な現象を起こす人間」として定義してる。
…魔人に関しては少し曖昧だけどね。まあつまり、聞きたいのは君は純粋な人間なのかそうでないのかとかだ。

要は、君のことをもっと知りたいんだ。…駄目かな?

【そこまで言って、彼女はアリスの瞳を覗きこむ様に首を傾げる。駄目だ、と言われたならばきっと彼女は残念がるだろう。】
<> ロゼッタ
◆A3Dw.QYNcc<>saga<>2015/05/17(日) 20:13:46.02 ID:1qLVFI7DO<> >>997

【苦痛を隠そうともしない少女──ブランデンを見て、嬉しそうにロゼッタは嗤う】
【サディストなのだろうか。身を震わせるように笑みを絞りだし、僅かに拘束を緩めてやった】
【未だブランデンに巻き付く影蛇。それは彼女を締め付けながら、ぬるぬると彼女の表面を這い周り始める】
【蛇たちは僅かな湿り気を帯び始めていた。まともな感覚の持ち主であれば、不快な感触を味わうことになる】


ブランデン──元、機関。そう……。ふふ、なんとなく、納得いったわ
異空間みたいなものね、ここ。ダグラスの気が変わらない限りは誰にも侵入されない、安全なシェルター……
ふふ……でも御愁傷様。あなたのご主人様は、あなたたちを────、

────アーグ? ……名前は、知っているわ
つい何ヵ月か前も聖都を水没させていたけれど……直接は知らないの
それで……彼がどうしたのかしら? ふふ、紹介でもしてくれるの……?


【ハンマーに興味は示さなかった。武器が放られたことで、ますます彼女の意識はブランデンに集中する】
【確かに拘束は緩めはしたが──それでも、余程のことがない限り抜けだせはしないはずだった】
【ふふ、と囁くように彼女は嗤う。情報も大切だったが、目の前の少女が苦しみもがくのも彼女にとっては重要だった】 <> 1001<><>Over 1000 Thread<>
 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

ローカルルール変更に伴い、1000到達の報告が不要になりました。

<> 最近建ったスレッドのご案内★<><>Powered By VIP Service<>提督「ゲームをしよう」川内「ゲーム?」 @ 2015/05/17(日) 20:05:05.76 ID:r6J+bPMG0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431860695/

「誰も知らない鎮守府」 @ 2015/05/17(日) 19:56:28.33 ID:sUOWGqeP0
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平塚「あぁ・・・! イライラする!」 @ 2015/05/17(日) 19:55:49.32 ID:FYcdaHUh0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431860139/

京太郎「偶然が重なって運命の人」 @ 2015/05/17(日) 19:49:38.59 ID:kQAiBX6Vo
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P「貴音のことが知りたい」 @ 2015/05/17(日) 19:46:04.35 ID:SGvO7liS0
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アイマス雑談★64 @ 2015/05/17(日) 19:43:48.78 ID:sz4ix33e0
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実況「第1回最強電撃使い決定戦!」 @ 2015/05/17(日) 19:35:47.21 ID:aAgESXqb0
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【安価]提督「艦隊のアイドル歌唱力対決」【艦これ】 @ 2015/05/17(日) 19:16:01.67 ID:V9OHiWBi0
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