巫女さんや修道女が登場するギャルゲーを作りたい
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30:1 ◆dIh5.xYwa.[sage]
2014/05/10(土) 12:22:45.51 ID:Rzw1as5co
・望美クリス1
教室での自己紹介から始まった一日が終わり、放課後となった。秋の夕刻、橙赤色に染まるの校舎の中庭を、少し人目を気にしながら歩く。向かう先は特別教室棟の端。真希が飛び降り自殺を図った場所だった。
「ここで真希は見つかったのか……」
煉瓦造りの建物の周囲に張られた芝生。昼休みには生徒たちが集まって、食事をとる姿も見られるという。そこで真希は、横たわっているのを発見された。
特別棟の校舎を見上げると、真希が飛び降りたとされている博物室の出窓が見える。と、三階にある博物室のさらに上、校舎の屋上の柵の外に、不意に人影が躍り出てきた。
「離して!」
「それはできない! あなたの中の悪魔を祓うわ!」
柵を乗り越えた女の子の腕を、別の女の子が掴んでいる。
「もう嫌なの! 生きていたくないの!」
「悪魔にそう思わされているだけ! 心を強く持つのよ!」
「離してよ、クリス! あなたもろとも飛び降りてもいいんだからね!」
「私はこう見えて重いからそうはいかないわ! 考え直して!」
どうやら自殺をしようとしている生徒と、それを止めようとしている生徒のようだ。
クリスと呼ばれた少女の、金色の髪が風に舞う。彼女は制服ではなく、教会で見るような修道服を着ていた。
「見ている場合じゃなかったな」
仮に重いというのが本当だとしても、柵の外に居る生徒を止められるかは修道服の少女の握力の問題で、そう長くもつとも思えない。
「飛び降りても無駄だ。ここには僕がいるぞ」
両手を広げて呼びかけた。
「女の子一人なら受け止めてみせる!」
自殺志願の女子生徒がこちらを見る。
「な、何言ってるの、あんた。飛び降りた人にぶつかって死ぬ人だっているのよ?」
「不意打ちならともかく、僕は君が降ってくることがわかってるから、死にはしないだろう。さあ、こい」
「私もお勧めしないわ」
修道服の少女が口を開いた。
「死ななくても深刻な怪我を負うでしょう。人を救おうとするあなたの心は素敵だけど、やめた方がいい」
「そうは言っても、ここで人が死ぬことには抵抗があるんだ」
「引く気は無いのね。それなら……」
ひらりと、修道服の少女は柵を乗り越えて、屋上から飛び降りてしまった。そのまま芝の上に転がるように着地する。立ち上がった少女の、青い瞳がこちらを見た。
「一人では難しくても、二人でなら受け止められるわ!」
「お……おお!」
二人並んで、一斉に両手を広げた。
「さあ、どこにでも落ちてこい!」
「神のみ名において、あなたの悪魔を祓ってみせる!!」
屋上の女子生徒はしばらく逡巡した後、柵の中に戻っていった。
「諦めてくれたのか……?」
「たぶん。あの子を追っていた先生がそろそろ追いつく頃だし、ひとまず大丈夫でしょう。ありがとう、助かったわ」
「僕は何をしたわけでもないけどさ。それより君、校舎から飛び降りちゃったけど、怪我はない?」
「あの高さからなら、パラシュート降下と速度は変わらないのよ。訓練を積んでいれば大丈夫」
これまでの人生でそんな訓練を積む機会はなかったが、どうやらこの子は違うらしい。
「私はクリス。あなたは?」
「坂上良雄。今日この学校に編入してきたんだ」
「良雄ね。あなた、才能があるわ。悪魔祓いの才能が」
そういえば先ほども悪魔を祓うと言っていた。この子が君島さんの言っていた、教会の娘さんなのだろう。
「僕は普通の家庭の出身だし、特別信仰心があるわけでもないから、悪魔祓いなんてできないと思う」
「家柄なんて関係ないわ。私は信仰心で悪魔を祓っているけど、本当に必要なのは信仰の厚さでもない」
クリスはにこりと笑った。
「人を救いたいという心だけなの。闇を裂く光のような……」
「夢中だったけど、あの子を救いたかったのかはわからないよ」
ただ、真希が飛び降りた場所でまた人が飛び降りるのが嫌だった。
「それでもいいわ。また会いましょう」
修道服の裾を翻し、クリスは駆けていった。
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