過去ログ - 一方通行「……ハッ、松坂牛!」
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997:ビリィ[sage]
2010/04/26(月) 17:13:00.34 ID:zlMoaAc0
あと少しだけ残ってるし先が続かないネタ残しといてもいいよなこれ!
あとちょっとだしな!
うん!


 闇の中を、白い華奢な背中が進んでいた。
 コツ、コツ、と現代的なデザインの杖をつきながら、少年にも少女にもみえる背中はひたすらに進む。
 やがてお目当てのコンビニまで辿り着くと、白い背中は自動ドアの向こうへと消えていった。
 そんな背中を最後まで見届けた少女は普段は浮かべることのない、怒りにも似た憤りの感情をその顔に貼り付ける。

「簡単には許してあげないんだから、ってミサカはミサカは今ここに宣誓してみたり」

 一方通行の携帯が着信を告げたのは午後6時を過ぎた頃である。
 グループの仕事もなく、前日にコーヒーを買い貯めていた彼は欲望の赴くままにベッドで眠っていたのだが、睡眠中の反射が使えない今、彼は小さな物音でも目を覚ます。
 携帯の着信音で一方通行が即座に目覚めたのは当然といえた。
 表示されている名前は、黄泉川愛穂。
 ピ、と通話ボタンを押す。彼女から直接電話がかかってくることは珍しい。無視をしてもよかった気がしたが、なんとなく、彼の指はボタンを押していた。

「もしも、」
『打ち止めがいなくなったじゃんよ!』

 一方通行がもしもし、を最後まで言う前に、慌てたような声で黄泉川が叫んだ。
 あン、と一方通行が眉間に皺を寄せる。

「クソガキが、いなくなったァ?」
『朝元気良くお姉様に会いに行くって言ったっきり、戻ってこないんだよ!』

 お姉様。それはすなわち御坂美琴――学園都市第三位の電撃使いのことだろう。
 だったらそいつに連絡すりゃイイ、と一方通行は覚めきっていない頭で考えた。

『桔梗が御坂美琴に連絡したんだけど、あっちも会ってないって言うじゃん』
「あァ? ンだそりゃあ」

 一方通行はぐしゃぐしゃと自分の髪を掻き乱し、携帯を持ち替えた。
 よくわからないが、打ち止めが失踪したらしい。
 それも、一方通行が数秒前まで考えていた「子どもによくある失踪」ではないようだ。
 打ち止めは一見すると普通の子どもだが、抱えているものも背景も常人の想像を絶するものがある。
 一方通行が傍を離れた今でさえ、狙われる理由は十分にあった。

(……『上』かァ?)

 打ち止めを攫うとしたら、それは彼女が妹達の上位個体であることを有効活用しようと考える連中だろう。
 土御門あたりに確認すれば、その愚か者はすぐに洗い出されるに違いない。
 そう考え、わかったと短く返答し通話を終了させた一方通行は、黄泉川の声が焦っているにしては低すぎたことや、その後ろで芳川桔梗が声を殺して笑っていたことに気づかなかった。
 ここで彼は気づくべきだったのかもしれない。


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