過去ログ - 上条「…死体?」土御門「ああ、屋上と体育館裏で見つかった」
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戦場の孤狼
[sage saga]
2010/06/27(日) 02:07:37.02 ID:keb1pI20
窓の端に自分の座席の隣にいて、心配そうに自分の顔を見ている黒髪の地味目の女性が映る。
「………」
俺はその女性の顔を見ず、そっとその女性の左手を自分の人指し指全部と小指の一部が欠けている傷だらけの右手で握りしめた。女性の頬に 紅が差す。何度も、身体を重ねているのに何時まで初々しく、変わらない。
可愛い、と感じた。しかしそれでも心を揺らがず、それがわずかに哀しかった。
彼女は赤みを帯びたまま、聞く。
「本当に。もう、本当に…これが最後なんですね」
「……ああ」
俺はさっきの言葉をもう一度だけ、吐く。
彼女はその言葉を聞くと、微笑み、俺の肩に自分の身体を預け、目を瞑った。
彼女は純粋すぎて、良い子だ。…だが、それだけに残念だ。
もし彼女が目を瞑らず、もう一度俺の顔を見ていたら、この自分の嘘を見破れかもしれないのに。
嘘。
あの白いシスターは気づいていたのかも、しれない。
それでも彼女は協力してくれた。最終的には自分達を破滅に導くかもしれない仕事を。
『自分はどんなに他のものを裏切っても、これだけは裏切れない』
初めて自分の手で殺した友人の言葉を思い出す。
今なら彼の言葉の意味と重さがわかった気がした。
この気持ちだけは、裏切れない。
今日、『彼』と『彼女』達だけでもなんとかしなければ。
最後にしなければ――
「……一方通行……フルチューニング……」
そう言い、車の窓で見た自分の顔は醜く、歪んでいた。………。
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