184: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2015/10/28(水) 20:47:59.93 ID:DQnmIat7O
 今日この時間にこの駅前にいるのは、説明しようと思えば簡単だ。 
 単に、光との約束を果たすためである。 
 強引、というより一方的に取り付けられてしまった約束だが、連絡手段がないので断ることもできないし、できれば助けてやりたいという気持ちは本物だった。 
 だからわざわざ髪もスプレーで黒く染めてきたのだ。 
 しかしそれを言えば、雪姫の追求は免れないだろう。 
 最悪、偽デートとはいえ雨に伝わる可能性も――― 
  
 「(待て、なんであいつが出て来る……?)」 
  
 なぜ自分は雨にこのことが伝わることを恐れているのだろうか。 
 数秒の思考の後、光がそれを嫌がっていたから、とということを漸く思い出し、ジュウはほっと胸を撫で下ろす。 
 ジュウは既に思考を打ち切っているため気づいていないが、なにに安心したのかすらジュウ自身わかっていない。 
  
 「柔沢くん、雨のこと考えてるでしょ」 
  
 「え?」 
  
 雪姫の言葉に思わず反応してしまってから、ジュウは自分のミスに気が付いた。 
 こんなあからさまな反応をすれば、誰にだってそうだとわかる。 
  
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