382: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/20(木) 17:53:37.82 ID:v4+DVNQXO
 打撃の一つ一つが重く、それ以上に鋭い。 
 ジュウほどの打たれ強さがなければ、とうに昏倒しているだろう。 
 ジュウは自分のスタミナに自信を持っていた。 
 そして、その時が来た。 
  
 「――っ!!」 
  
 ほんの少しだけ、円の攻撃が緩んだ。 
 ジュウは待ちかまえていたその隙を逃さず、円の死角から抱え込むように腕を伸ばす。 
 円はその腕に目もくれず、次の攻撃を打ち込もうと腰を引く。 
 しかし、気付いた時にはもう遅い。 
 指先が服に触れるその寸前、ジュウの視界から円が消えた。 
 直後、顎に鋭い痛み。 
 バク転のように回避した円が、そのまま膝でジュウの顎を撃ち抜いたのだ。 
 意識と視界が揺らぎ、隙だらけのジュウの腹に最後の蹴りがめり込む。 
 背中の鈍痛に、壁の冷たさを感じる。 
 瞼が落ちる寸前、落胆したような彼女の表情が焼き付いた。 
  
  
 〜〜 
  
  
 「――目が覚めたか?」 
  
 起き抜けに聞こえた声に、ジュウはゆっくりと振り向いた。 
  
  
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