388: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/21(金) 19:51:35.35 ID:gxCPCOG4O
 返事を聞いて安心した真九郎はドアノブに手をかける。 
 銀正の話では今日は機嫌が悪いということだったが、声の感じからするとそれほどでもなさそうだ。 
  
 「何の用?」 
  
 部屋に入ると、真九郎を一瞥もせずに言い放つ。 
 相変わらずパソコンに向かってキーを打ち込んでいて、おそらく仕事中だろう。 
 真九郎は単刀直入に切り出した。 
  
 「仕事を頼みたい」 
  
 「断るわ」 
  
 「実は――え?」 
  
 思わず聞き返す真九郎。 
 銀子は再び、顔も上げずに繰り返した。 
  
 「断るわ」 
  
 取り付く島もない、とはこのことだろうか。 
 しかし、真九郎には断られる理由が見当たらなかった。 
 前回の分は入金してあるし、借金もしていない。 
 最近はコンスタントに仕事をこなしているし、今回の報酬の分だって確保済みだ。 
 銀子の雰囲気から、冗談を言っているわけでも意地悪をしているわけでもない。 
 そもそも、仕事に関してそんなふざけたことを銀子がするはずがない。 
  
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