391: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/21(金) 19:52:55.30 ID:gxCPCOG4O
 銀子は腕を伸ばし、真九郎は無意識に後退った。 
 その悲痛な表情が見ていられなくて、咄嗟にまくしたてる。 
  
 「ま、まだ依頼が残ってるし、それに最近仕事も順調なんだ。ようやくきちんと稼げるようになって、ほら、今は銀子の借金も返し終わっただろ? 伝手も増えたしそれに――」 
  
 「もういい」 
  
 銀子は吐き捨てるようにして、真九郎の言葉を遮った。 
 立ち上がって、布団に潜り込む。 
 真九郎は軽く深呼吸をして、銀子を見遣る。 
 完全に丸まってしまって、表情も見えない。 
 仕方なく背を向けて、真九郎はドアノブを握った。 
  
 「銀子」 
  
 「…………」 
  
 「……また来るから」 
  
 返事は無く、そのままドアを閉めた。 
  
 『ばか』 
  
 ドア越しに聞こえた声は震えていた。 
 真九郎は左肘を抱えて、銀子抜きで問題をどう解決するべきか、溜息を吐いた。 
  
  
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