提督「劇をしたい」龍驤「あのさぁ、さっきからなんなの」
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207: ◆zqJl2dhSHw[sage saga]
2016/01/10(日) 22:48:14.59 ID:Vl0atwsQ0

加賀は俯き、自分自身が今の瑞鶴と同じ頃の時期を思い出していた。

『素晴らしいです。稽古を始めたばかりとは、とても思えませんね』

始まりの正規空母は時間を割いて稽古を付けてくれた。

稽古終わりの間宮アイスも楽しみのひとつだった。

『流石は加賀さんね』

かつての相棒で、いまもまた相棒の彼女。

切磋琢磨し合える関係はとても素敵なものだった。

的中率で負け、的中数で勝ち、その他にも競いあったものだ。

おひつを何杯おかわりできるかの勝負では辛くも勝利できた。

『加賀! 今日はよう頑張ったな。そろそろこれは加賀が使うべきやな。流星改、大事に使ってな。妖精さんも頼んだで?』

かつての同僚、いまの秘書艦はことある毎に頭を撫で、褒めてくれた。

当時、妖精の声はまだ聞こえていなかったが、秘書艦の声が大きいのであまり気にならなかった。

小さなことでも大きな声で褒められ、多少の恥ずかしさはあったことは疑いようがない。

しかし、気分が高揚したこともまた事実だった。

この鎮守府で先輩空母から受け取ったものはこんなにもあった。

後輩空母には何を与えられただろうか。

瑞鶴「けどもう大丈夫。加賀が気に掛けてくれていることだけは分かったから。あとは私が褒めてもらえるくらいになるだけだから」

加賀「……そう」

何も与えられてはなかった。褒めたつもりになって、指導できたつもりになっていた。

感情表現が苦手なことは自覚していた。

自覚していたが、矯正する努力を怠っていた。

その結果が今につながっている。

乗り越える時が来た。

『妾の子にでもできたんだから』

加賀は否定する、これは自分の言葉ではないと。

本当に否定したいのであれば行動で示す必要がある。

簡単なことだ、事実を伝えてやればよい。

頭を撫でて今の射は良かったというだけでよい。

加賀「……」

加賀はそのような自分を見なければいけない恥ずかしさで行動に移すことができなかった。

加賀「なんという無様でしょうか……」

瑞鶴「顔真っ赤だけど本当に大丈夫?」

加賀「えい」

顔を見られた事が引き金になった。

瑞鶴の顔を加賀の胸部装甲に押し付ける。これで瑞鶴は加賀の顔を見ることはできない。

加賀「いいですか、瑞鶴。今から話すことをよく聞きなさい」

今までの分を清算する時が来た。




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