女神
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2:名無しNIPPER[sage]
2015/11/23(月) 23:30:32.20 ID:2aggOrwDo

「お兄ちゃん」

「何だよ」

「またあの先輩だ。ほらいつも駅のベンチに座り込んで電車が来ても乗らないでスマホで
何かやってる女の人」

「おまえさ、そうやって人のことばっか噂する癖やめたら?」

「だっておかしくない? 駅で電車に乗らないでベンチに座ったままとか。それも毎朝だ
よ」

 あいつは、同じクラスの女の子だ。確か、名前は、二見だったか。そう、二見 優とい
う名前だった。そもそも、クラスの女にはろくに知り合いはいないのだけど、彼女の名前
だけはどういうわけか覚えていた。何だか、知り合いとつるまないあの子の姿勢に、少し
だけ感心したことがあるからかもしれない。

「ああ、あいつ同じクラスの二見ってやつだよ」

「お兄ちゃんあの人知ってるの?」

「だから同級生だけど、話したことは無いかな。つうかあいつ、あまり友だちいないみた
いだし」

「電車に乗らないでスマホ弄ってるけど遅刻しないのかな」

「ああ。いつもぎりぎりだけど遅刻はしてねえよ」

 それまで穏かに、かつそれほどの興味がないみたいに二見の話をしていた妹の顔が真剣
になった。

「ふーん」

「・・・・・・麻衣?」

「お兄ちゃん」

「何だよ」

「話したことないっていうわりにはあの人のことよく観察してるんだ」

 麻衣のこの手の話し方は別に今に始まったわけじゃない。俺にはその対処法がわかって
いたのだけど。

「もしかしてあの人に気があるの?」

 麻衣が俺を見つめてそう言った。


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