235:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:42:31.29 ID:my8qAWPQo
  その日の昼休み、僕はこれでさっきから何度目かわからなくなっていたけど、朝の出来 
 事を思い返してそのことの持つ意味を考えていた。朝の校門の前で、どうして麻衣はあそ 
 こまで僕に肩入れしたのか。副会長と僕のトラブルなんか彼女には全くかかわりのない話 
 だった。麻衣はきっと、浅井君のことは生徒会副会長として知っていただけで、面識すら 
 なかったはずだ。副会長が僕が生徒会室に顔を出さないことで責めていた言葉を聞いて、 
236:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:49:24.49 ID:my8qAWPQo
  
  あまり食欲はないけど午後の授業中にお腹が鳴ったりすると恥かしい。僕は購買で余り 
 物のパンでも買うことにして席から立ち上がった時、教室のドアから誰かを探しているよ 
 うに室内を覗き込んでいる下級生の姿に気がついた。 
  
237:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:49:53.79 ID:my8qAWPQo
  
 「正直、ネットを見るだけならどんなのでもいいよ。普通に量販店で売っている安いノー 
 トとかでも十分でしょ」 
  
 「それがよくわかんないから聞いてるのに」 
238:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:50:22.51 ID:my8qAWPQo
  
  その夜、僕はうちの部の副部長が密かに開設し管理人をしている裏サイトを覗いてみた。 
 そのサイトはくだらない校内の噂や、どうでもいい悪口で盛り上がっている低レベルの掲 
 示板だと僕は断定していたから、このサイトを見るのは久しぶりだった。 
  
239:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:51:02.27 ID:my8qAWPQo
  
  典型的なリア充の麻衣を守ってあげるのは普通なら僕なんかに割り振られる役目ではな 
 かった。でも、優と池山君や遠山さんと広橋君の複雑な愛憎関係に巻き込まれている麻衣 
 は多分、今ではこんな情けない僕しか頼る相手がいなかったのだ。 
  
240:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:51:55.62 ID:my8qAWPQo
  
  麻衣は僕の腕の中から抜け出して、身体を真っ直ぐにして僕の方を見た。 
  
 「お兄ちゃんの相手が二見さん以外の人なら誰でもいい。でも裸で縛られてる姿を誰にで 
 も見せるような二見さんがお兄ちゃんの彼女なのは許せない」 
241:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:52:24.99 ID:my8qAWPQo
  
  その夜、麻衣にキスされた興奮と、もう引き返せないところまで踏み込んでしまったと 
 いうストレスとが僕の中でごちゃごちゃに交じり合っていて、僕にはその感情を制御する 
 ことができず結局捨てアドの作成すら手がつかない有様だった。 
  
242:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:52:56.58 ID:my8qAWPQo
  
  そのせいか、あるいは麻衣にキスされて興奮していたせいか、翌日目を覚ました時僕は 
 自分の身体に異常を感じた。体が妙に重くそして気だるかった。喉にも痛みを感じる。そ 
 れでも僕は時間を確認すると慌てて身支度をして登校しようとした。既に遅刻ぎりぎりの 
 時間になっている。 
243:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:53:25.40 ID:my8qAWPQo
  
  これらの疑義に対して優はセルフタイマーで撮影したとか、後手縛りも縛られているよ 
 うに見えるだけだとか言い訳してスレの住民を宥めていた。 
  
  まさか、池山君なのだろうか。僕は麻衣から池山君の数少ない趣味の一つが写真撮影だ 
244:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:53:55.76 ID:my8qAWPQo
  
  僕は戸惑いながらもとりあえず母さんのからかい気味の誤解を解いた。それにしても麻 
 衣が僕の家を訪ねて来るとは予想外にも程がある。以前からいきなり教室に訪ねて来たり 
 したことはあったけど、まさか休日に自宅に尋ねてくるとは考えたことすらなかった。 
  
245:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:54:24.53 ID:my8qAWPQo
  
  僕の熱を測り終えた麻衣は、僕の額に当てた手をそのままにしていた。そして不意に小 
 さな身体を僕の方に屈めた。今度は彼女の唇は前より少しだけ長い間、僕の口の上に留ま 
 っていた。 
  
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