37:名無しNIPPER[saga]
2015/12/16(水) 00:30:52.85 ID:OtBfvlRMo
  
  俺の言葉なんか全く聞かずに有希は言いつのった。 
  
 「麻衣ちゃんが嫉妬したり怒ったりした時、あんたはすぐに麻衣ちゃんの手を握ったり肩 
 を抱いたりあーんしたりとか、そういう姑息な肉体的な接触で麻衣ちゃんを惑わせたりし 
 たらしいじゃない」 
  
  どうしたらこんなひどい誤解ができるのか。麻衣は結局俺のことを誤解したままだった 
 のか。俺はため息をついた。 
  
 「あのさあ。昨日は二見の財布を拾ってやった俺に、あいつがお礼を言っただけなんだ 
 ぜ」 
  
 「だけど、麻衣ちゃんは」 
  
 「だけどじゃねえよ。おまえ、麻衣のことを心配してるふりをして、気にいらない俺に言 
 いたいことを言ってるだけじゃねえの」 
  
 「・・・・・・違うよ」 
  
 「本当は俺のことが気に入らないだけなんだろ? だったらもう俺に話しかけるなよ」 
  
 「ち、違う」 
  
 「夕也と二人で仲良くしてればいいじゃねえか。何で俺のことなんかそんなに構うんだ 
 よ。気に入らなけりゃもう俺には話しかけないでくれ」 
  
 「・・・・・・何で」 
  
 「何でじゃねえよ。おまえは大好きな夕也のことだけ気にしてりゃいいだろ。もう俺と麻 
 衣のことは放っておいてくれよ」 
  
  俺は何でこんなにエキサイトしてるんだろうか。夕也とべったりな有希への嫉妬なの 
 か。情けねえな俺。 
  
 「じゃ、もう行くから」 
  
 「あ。ちょっと待って」 
  
 「おまえも早く行かないと遅刻するぞ」 
  
  俺はもう有希の方を見ずに教室に向かって歩み去った。 
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