45:名無しNIPPER[saga]
2015/12/20(日) 00:11:05.01 ID:aKfQVv85o
  
  昼休みになると、夕也が俺の方に寄ってきた。 
  
 「おい」 
  
46:名無しNIPPER[saga]
2015/12/20(日) 00:11:34.75 ID:aKfQVv85o
  
  有希のせいか麻衣のせいかわからないけど、昼飯を人質にとるとは嫌がらせにもほどが 
 ある。今日弁当がないならないって朝に言えよ。俺はそう考えた。俺が何をしたって言う 
 んだよ。まあ、仕方ない。弁当がない以上学食か購買にでも行くしかないな。俺が席を立 
 ったとき、二見が俺の方に近寄ってきた。 
47:名無しNIPPER[saga]
2015/12/20(日) 00:12:20.83 ID:aKfQVv85o
  
 「出遅れちゃったけどそこのベンチが空いてるね」 
  
 「うん」 
  
48:名無しNIPPER[sage]
2015/12/20(日) 00:12:54.52 ID:aKfQVv85o
  
 今日は以上です 
 また投下します 
49:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:37:13.93 ID:Xae/YECko
  
  放課後になっても気持ちは少しも落ちつかなかった。有希の怒りとそれに対する俺の反 
 発のせいだ。有希が麻衣のことを大切に思っているにしても今朝の俺への苦言や怒りは行 
 き過ぎている。昼休に二見の手作りの弁当を二人きりで食うという思いがけないイベント 
 のせいで、俺の気持ちはややおさまったのだけど、やはり午後の時間に考えれば考えるほ 
50:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:37:44.05 ID:Xae/YECko
  
  日が暮れかかった頃、街路灯の灯りにほのかに照らされた自宅のドアの鍵をまわして中 
 に入ると、家の中には全く照明が灯っていなかった。両親がいないのはいつもどおりなの 
 だけど、今日は麻衣もまだ帰って来ていないらしい。いつもなら妹と一緒に帰りに買い物 
 して、帰宅後妹が夕飯を作るんだけど、今日は麻衣を無視して勝手に帰ってきてしまった。 
51:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:38:14.61 ID:Xae/YECko
  
 「それで?」 
  
 「・・・・・・それでって。あたしお昼にお兄ちゃんと会えなくてすぐ後悔して」 
  
52:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:38:43.68 ID:Xae/YECko
  
 「おまえ、夕飯は食ったの?」 
  
 「お兄ちゃんも食べてないんでしょ」 
  
53:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:39:11.21 ID:Xae/YECko
  
  麻衣に依存しているとはこういうことなのだろう。俺たちの生活は両親が俺たちに与え 
 てくれる生活費に拠っているにしても、それを形にしてこの生活を成り立たせているのは 
 麻衣のこういう働きによるものだ。そして、麻衣は自分のそういう犠牲的な働き方に関し 
 てはこれまで苦情一つ口にしたことがない。俺は昼飯を食えなかったくらいでエキサイト 
54:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:39:38.68 ID:Xae/YECko
  
 「思っていたより並んでないね。これならあまり待たないんじゃない?」 
  
 「よかったよ。もう腹減って倒れそう」 
  
55:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:40:08.20 ID:Xae/YECko
  
 「でもね。お兄ちゃんとは仲直りできたけど、あたしはお兄ちゃんとお姉ちゃんがけんか 
 していることが辛いよ」 
  
 「それはどう考えても俺のせいじゃねえぞ」 
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