84:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 23:22:40.17 ID:e5rLf//zo
  
 「いいの、いいの。それよか麻衣ちゃん今日も本当に可愛いね」 
  
 「だから。人前で抱き締めるのはやめて、お姉ちゃん」 
  
 「何々? 人前じゃなければいいの?」 
  
 「そういうことを言ってるんじゃありません。とりあえず離して」 
  
 「冗談だって」 
  
 「もう。ブレザーの下でブラウスが乱れちゃったじゃない」 
  
 「あはは。ごめん」 
  
  有希と麻衣との微笑ましいやりとりが、今朝の俺には妙に気に障る。気にしすぎなんだ。 
 でも、もうこの二人の茶番をやり過ごせる気がしない。 
  
 「あのさ」 
  
 「うん?」 
  
  有希が可愛らしく顔をかしげた。 
  
 「今日は夕也は一緒じゃねえの?」 
  
 「お兄ちゃん」 
  
 「うん」 
  
 「あいつ、寝坊でもしたの?」 
  
 「さあ」 
  
 「さあって何だよ。いつもみたいに夕也の家まで迎えに行ったんだろ?」 
  
 「・・・・・・行ってない」 
  
 「え」 
  
 「夕の家には行ってないよ」 
  
 「何で」 
  
 「あたし、妹ちゃんにはもう遠慮しないことにしたの。ごめん妹ちゃん」 
  
 「あたしは別にいいけど」 
  
 「それでね、夕にももうこれ以上迷惑はかけられないし」 
  
 「おまえ、今日は迎えに行かないって夕也に連絡した?」 
  
 「してない」 
  
 「そしたらあいつ、ずっとおまえのこと家で待ってるかもしれないじゃんか」 
  
  有希が黙って俯いた。 
  
 「メールとか電話とかなかったのか? 夕也から今朝」 
  
 「ないみたい」 
  
 「黙って置いてけぼりとか普通するか? これまでいつも二人で登校してたのに。ずっと 
 家でおまえを待ってるかも知れないだろ、夕也は」 
  
 「夕には酷いことしてるのかもしれないけど・・・・・・あたしもう決めたの」 
  
 「決めたって何をだよ」 
  
 「昨日あんたに話たことを。あたしもう迷わないし後悔もしないから」 
  
 「お姉ちゃん」 
  
 「あんたの返事はせかさないしずっと待ってる。でも、あたしはもうこれまでみたいな四 
 人仲良しの関係じゃ嫌だから」 
  
  俺は有希の態度にけおされてそれ以上、有希を追及できなかった。 
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