60: ◆c6GooQ9piw[saga]
2016/02/20(土) 19:45:37.15 ID:8m/ElpKNO
ほむら「……ほんの一週間ほど前までかしら。この町には、あの赤髪の魔法少女……佐倉杏子ではなく、もうひとりの、別の魔法少女がいたのよ」
ほむら「その少女の名前は……巴マミ」
ほむら「彼女は、自分で望んで魔法少女になったわけじゃない。ある日、家族全員で事故に遭い、死にそうになっていたところにキュゥべえが現れ、契約により自分だけ生き残ってしまったのよ」
ほむら「その後は、魔法少女として数年間、ひとりきりで魔女と戦い続けることになる。こう言ってはなんだけど、こんな境遇の魔法少女としてはよく生き延びた方だと思うわ」
ほむら「境遇自体は、魔法少女としてはそれほど珍しくない。しかし、それほど経験を積んだ彼女でも、結局は魔女に殺されてしまった。それが、一週間前の話よ」
さやか「……待ってよ、この町にいたなら、この学校の生徒じゃなかったの? 誰かが死んだなんて話、聞いたことないけど」
ほむら「魔女の結界の中で殺されれば、死体は絶対に見つからない。彼女は、永久に行方不明者のままよ」
さやか「そんな……」
ほむら「わかったでしょう? 魔法少女なんて、そんなにいいものじゃない。たった一度の願いのために、一生後悔することになるわよ」
さやか「……」
さやかは少し間を置いて、口を開いた。
さやか「……その巴マミって、どんな魔法少女だったの? やっぱり、あいつ……佐倉杏子みたいな、自分勝手な奴だったの?」
一瞬、返答に詰まった。
ほむら「……知らないわ。私も、会ったことがあるわけじゃないもの」
さやかに契約させないためには、巴マミもそのような魔法少女だったと答えるべきだったが、何故か、それを口にすることは躊躇われた。
さやか「……」
ほむら「話は以上よ。貴女が愚かな選択をしないように、祈っておくわ」
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