8: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/02/24(水) 23:42:03.62 ID:CXQiijtko
  
 あっけない挨拶をすませ、ふたりは青黒い闇の中へ踏み込んでいった。 
  
 ミュウツーはその後ろ姿を、ひやひやしながら目で追う。 
  
 昏い木々に紛れて、ふたりの姿はすぐに見えなくなった。 
  
 やかましいジュプトルの声だけは、まだかすかに響いている。 
  
  
 しばらくするとその声も聞こえなくなった。 
  
 小石が池に沈み、だんだん見えなくなっていくさまを想像する。 
  
  
 急に、あたりがしんと静まり返った。 
  
 ふと見ると、ヨノワールもまた、ふたりの消えていった方を見ている。 
  
 ぼうっとしている。 
  
 何か思うところがあるらしい。 
  
  
 ミュウツー『どうした』 
  
 ヨノワール「まえと ちがいます」 
  
  
 重い声がする。 
  
  
 ミュウツー『なにがだ?』 
  
 ヨノワール「あの ふたり」 
  
 ミュウツー『そうなのか?』 
  
 ヨノワール「わかりませんか」 
  
  
 こちらを見もせずに、ヨノワールはそう問いかけてきた。 
  
 わからないから尋ねているんだ、とミュウツーは思う。 
  
  
 ミュウツー『……お前の方が、あいつらとは長い』 
  
 ヨノワール「ながくても……なかが、いいのでは ないです」 
  
 ミュウツー『それでも、私の知らない、以前の姿を知っているのだろう』 
  
 ミュウツー『私は……』 
  
 ミュウツー『私はなにも知らないが』 
  
  
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