モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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208: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/08/03(水) 22:41:25.68 ID:vTRpaymho

「なんて、イルミナPの奴は意気揚々と宣言していたが、それに扇動される連中はまぁ憐れなもんだな」

 高速道路を走る一台の大型トラック。
 ぼやきながら運転席に座るのは上半身裸で、腕を窓から乗り出している男。
 その男は明らかに高等教育を受けていないような頭の悪そうな風体と、一般人からすれば関わり合いたくないような堅気とは思えないような鋭い眼光を持つ男であった。

 そんなチンピラ然とした男の名は『エイビス』と通っており、こんな成りをしていてもイルミナティの直下組織の一つであり総戦力の6割ともいえる『イルミナティ騎士兵団』の総括である。
 相応の実力と地位を持つ彼だが、今この瞬間はやる気のなさそうな表情と肘を乗り出した腕で頬杖をしながら片手で運転を行っている。

 退屈そうな彼が繰るトラックのメーターに示されている速度は優に150キロをオーバーしており、高速道路真っ只中であるにもかかわらず紙一重で多くの車を置き去りにしながら進んでいた。

「確かにすることは間違ってはねぇが、結果はちがうだろ。

確かに神を地に落とすことはできるが、かといって自分たちが神になれるわけじゃない。

まぁ過程が真実である以上、愚図なスポンサーどもには耳触りがいいんだろうが……」

 天界などとは次元断層によって明確な境界線が存在しており、『境界崩し』はそれを取り払う術式である。
 しかし仮にそれを実行したとしても、互いの法則が混じり合いはするが、人が神に格上げされるという保証はない。
 確かに既存の神々は、『顕現』という形ではなく『堕天』に近いかたちで次空間ごと引き摺り落とされるので大幅な弱体化をするであろうが、その逆の可能性はほとんどありえないのだ。

 つまり、神々が座から引きずり下ろされたとしても、人の『格』そのものには何ら影響を与えることはない。
 それどころか、流入した天界の法則にただの人間が耐えられる保証すらないのだ。

「まぁ情勢を読み取れず、『財閥』やら何やらの側に付かなかった無能連中がどうなろうが知ったことはないんだがな。

せいぜいこっちに充分な資金流してくれればそれで結構なこった」

 エイビスはハンドルを軽く左右に切りながら、隣にいる一般車からトラックまで所かまわず体当たりしながら進む。
 彼のトラックの後続は、すでに多くの煙が上がりながら車の堰が出来上がっているが彼の気にするところではなかった。



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