モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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479: ◆lhyaSqoHV6[sagasage]
2018/11/02(金) 04:53:14.10 ID:SO93X4Vj0

宇宙連合支配領域の片隅に、とある惑星があった。
名をオールドオースチン。

地表のほとんどが土砂とむき出しの岩盤に覆われており、
その赤茶けた外観から想像出来る通り惑星環境は極度に乾燥しているため、宇宙に住まう多くの知的生命体にとって入植に不適な星である。
だが、過去には豊富な鉱物資源の採掘産業により繁栄を迎えたこともあった。



オールドオースチン最大の街、パンゴリン。

ウルトラスーパーレアメタル目当てにやって来た山師連中で賑わったのも今は昔。
産出量の減少と共に人口も減り、現在は居住者も訪れる者も無くなり、その街並みは朽ちるに任せられていた。

そんな中、およそ半世紀ぶりに一人の来訪者がやって来た。
砂塵が吹き荒れる中を歩いて来た旅人然としたその人物は、寂れた──といった表現を通り越し、もはや廃墟となりかけの酒場の前で足を止めた。
そのまま入り口のスイングドアを押し開け店内に入ると、警戒した様子で辺りを伺う。
目深に被ったフードの奥の、その表情は窺い知れない。



「ナンニシマスカ?」

長年のメンテナンス不足により会話ルーチン回路が壊れかけた給仕ボットが、久方ぶりの客に声を掛ける。
客である旅人は「あるものでいい」と一言。

ボットは背後の戸棚から年代物の宇宙リカーのボトルを取り出しグラスに注ぐと、他にも用意する物があるのか、店の奥に引っ込んでいった。
それを見届けた旅人は軽く息をつき、フード付き外套を脱ぐと、ボロボロになったバーカウンターの椅子に腰かけた。

人気のない辺境の惑星にやってきてなお周囲を警戒する様子から察するに、厄介ごとに巻き込まれたか、あるいは自ら引き起こしたか──。
いずれにせよ、お尋ね者の類であろうことが想像できる。


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