モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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507: ◆lhyaSqoHV6[sagasage]
2018/11/08(木) 06:22:52.14 ID:LkNOvbtJ0

むつみ「(今だっ!)」

むつみは自分を狙う拳銃の、その引き金に掛かった指が僅かに動いたのを視認すると、瞬時に射線軸より身体をずらした。
直後、乾いた発砲音と同時に、弾丸の様に駆け出す。


むつみ「これは正当防衛ですよ!」

背に下げた鞘から忍刀を引き抜きつつ、拳銃を持った方の腹部を柄頭で打ち抜く。

「ぐ……が……っ」

想定し得ない一撃を受けた黒装束の一人は拳銃を取り落とすと前のめりに倒れこみ、そのまま動かなくなった。


むつみ「(刃を当てるわけにはいかない……峰打ちでっ!)」

むつみは勢いそのまま、もう一人の黒装束を直刀の棟で打ち据える。

むつみ「(っ!? 躱された!?)」

だが、その剣閃は空を切るばかりだった。

相手はむつみの攻撃が届く直前に、後ろ飛びで距離を取っていた。
突如として攻勢に出たむつみの動きに動じることなく即座に対応したところを見るに、戦闘慣れした手練れであろうことが推測できる。



「小娘が、ふざけやがって……!」

黒装束は反撃に転じることなく、腕に装着された端末を何やら操作している。

「現れ出でよ……ッ!! フレアブラアアァァアスッッ!!!」

むつみ「うわっまぶしっ」

そして、何事かを叫ぶと、薄暗い通路が閃光に包まれた。



目を眩ます程の光が晴れると、むつみの眼前には小部屋の天井までを覆うほどの体躯を誇る巨大な生物が立ち塞がっていた。

むつみ「えぇっ!?」

その形貌を認めたむつみの顔が驚愕に染まる。


むつみ「な、何……あれ……っ!?」

地球上に存在するどの生物とも似つかないものであったためだ。



全身は赤銅色の鱗状の物体で覆われ、二本の脚で直立し、背部からはコウモリの羽を太くごつくしたような二対の翼が生えている。
上半身から伸びる腕部の先端には土木作業用のツルハシと見紛うほどの凶悪な鉤爪が生え揃っており、頭部から僅かに覗く牙も大きく鋭利だ。


その姿はまるで──


むつみ「ドラゴン……?」

おとぎ話の中の、怪物そのものだった。


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