京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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66:スレ主 ◆EvBfxcIQ32[saga]
2016/08/27(土) 19:41:16.49 ID:k4AKpYPM0
「え、へ……へぇっくし!」


 体から熱が急速に奪われていく。

 冬場は雪で自転車が使えないことがほとんどだから、通学は徒歩だ。

 学校から歩いて30分と、こんなど田舎にしては恵まれた方な距離なのに、その距離がやけに長く感じられる。

 水を吸ったマフラーやコートが重くてたまらない。この分じゃあ、家まであと15分はかかるだろう。

 そんな時、後ろから車の音がした。バスだ。

 俺は一瞬迷ったが、こんな時だし仕方ない。普段は使わないし、たった一駅分だが、家への方向は同じだし乗せてもらおうと、駆け足で数百メートル先にあるバス停へ向かった。

 だが豪雨のせいで、視界が悪くて仕方ないし、足元もおぼつかない。


「え、ちょ、ちょっと………!」


 あと20メートルというところで、バスは後ろから走ってくる俺には気付かずに行ってしまった。

 この豪雨と暗くなった空のせいで、ミラーに映った俺を捉え損ねたのだろうと理解はできた。

 だがそれでも、俺は失望を隠せなかった。

 誰もいなくなった後の、屋根もない不親切なバス停で、一人呆然と佇む。


「なんだよそれ………」


 がっくりとうなだれ、バス停の表示の柱にもたれかかる。


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