213:名無しNIPPER[saga]
2016/12/14(水) 10:46:32.69 ID:nuiv5cNS0
 クラーグ「貴様らの処遇についてだが…」 
  
  
 四人の不死「!」ピクッ 
  
  
  
 クラーグ「命は取らん。ソウルにも用はない」 
  
  
 四人の不死「………」ホッ… 
  
  
 コブラ「ほう、そりゃありがたいね」 
  
 クラーグ「だが人間性は置いていってもらおう」 
  
 四人の不死「!?」ピクッ 
  
 コブラ「それはさっきの話と食い違うぜ?人間性を失えば亡者になるんだろ?」 
  
 クラーグ「全て寄越せとは言わん。そこの不死どもにも用はない。そこいらの人間性では、妹の病を癒すにも一時しのぎにしかならぬと、はるか昔から我は気づいていたのだからな」 
  
 クラーグ「この機は逃せぬ。エンジー」 
  
  
 卵背負い「は、はっ!」 
  
  
 クラーグ「この男を抑えろ」 
  
 エンジー「仰せのままに!」ガシッ 
  
 コブラ「ちょ、た、タンマ!」 
  
 レディ「待って!病気を治すのに、なぜコブラの人間性が必要なの!?」 
  
  
 クラーグ「混沌の火は、力持つ者を大樹、炎、蟲、もしくはその全てに変じさせる。力持つ者の性質を受け継ぎながらな」 
  
 クラーグ「我が妹は混沌の火を宿した事により、我と同じく炎を纏う蟲となったが、その身に己の性質を変じさせる程の毒を入れてしまった」 
  
 クラーグ「それゆえ、毒を卵に込め身より出そうにも、蟲入りの卵しか生じぬ」 
  
 クラーグ「混沌の火に人間性を結びつかせ、蟲としての性質を弱め、卵から蟲を除き、代わりに毒を入れようともした………しかし、痛みを数瞬消すのみだった…」 
  
 クラーグ「もはや手は無い。無論、干からびる程吸うわけでは無い。全てを吸い尽くしたところで、それを身に入れられるほど、我が妹は丈夫ではないのだからな」 
  
  
 コブラ「手は無いって言ったって、吸われる方の身にもなってくれ!」 
  
 レディ「なるほどね。だからそこらじゅう卵だらけだったのね。合点がいったわ」 
  
 コブラ「レディもなんとか言ってくれ!俺は枯れちまうよ!」 
  
 レディ「私もなんとかは言いたいわよ?でも、ここで貸し借りは無しにしておくべきだとも思うのよ」 
  
 レディ「これで晴れて『おあいこ』という事にしてくれないかしら?」 
  
  
 クラーグ「無論、そのつもりだ」 
  
  
  
 ボッ!    シュボボボボ… 
  
  
  
 膝から下を、エンジーと呼ばれた卵背負いにホールドされたまま、コブラは目の前の炎を見た。 
 炎はクラーグの掌の上で踊っており、ぬるい熱を漂わせている。 
  
  
 クラーグ「闇霊どもの所業に似るが、この炎は本質から異なる」 
  
 クラーグ「混沌の火は人間性を求めるゆえ、貴様の眼には同じに映るだろうがな」 
  
  
 魔女の言葉と共に、炎は輝きを増してコブラの口元に近付き… 
  
  
 シュオオオオオオオ… 
  
  
 唇の隙間から、光の粒を吸い出しはじめた。 
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