215:名無しNIPPER
2016/12/21(水) 05:44:12.90 ID:2QTtJEOU0
光の粒子は炎に引き寄せられ、渦を巻く。
観念したコブラは眼を固く閉じ、事が過ぎるのを待つことに決めた。
クラーグ「!」
クラーグは何かを察知したのか、空いている手も炎にかざす。
光の粒子はまとまり、炎の表面を波のようにうねり始め…
シュボン!
クラーグ「………」
炎を押し潰し、散らばって消えた。
同時にコブラも眼を開けたが、その顔は現状を掴めない様をよく表していた。
クラーグ「これは……」
コブラ「おいそんな意味ありげな所で言葉を切らないでくれ。胃が痛くなってくる」
レディ「どういうことなの?」
クラーグ「信じがたい事だが………こうなってしまっては、受け止めるしかないな…」
クラーグ「貴様の内にある者は、ソウルでも、ましてや人間性でもないようだ」
コブラ「!?」
コブラは目を見開き、自身の耳を疑った。
ソウルが減ると気を失い、得ると気力が充実するという現象を、コブラは受け入れはじめていた。
その矢先の、信じがたい言葉である。
甚だ不満な、他人の魂で動いているという実感さえも幻想だったのだ。
レディ「それって……」
クラーグ「ただならぬ者と思ってはいたが……まさか測りきれん程とは…」
コブラ「測りきれないってどういう事だ?俺に何が起きているんだ?」
クラーグ「……貴様、ソウルを吸った事はあるか?」
コブラ「あ、ああ、そいつはもう何度も…」
クラーグ「では、人間性を吸った覚えはあるか?黒く暖かな、灯火のような姿をしている者たちだ」
コブラ「そいつは見てないぜ。何か問題?」
クラーグ「それはありえん。人間性を溜め込む者を屠ると、稀に人間性がソウルと共に抜け出るのだが」
クラーグ「ここに来るまでに貴様は幾多の異形を手に掛けたはずだ。北の僻地のデーモンを殺さぬ限り、病み村に入る事はおろか、ロードランにすらたどり着く事かなわぬはず」
コブラ「………」フフッ
クラーグ「覚えがあるのであろう?」
コブラ「ああ……確かに、あんたの言う通りだ」
コブラ「だが納得できないね。人に嫌われる奴には心が無いと言われるが、これじゃまるで人形だぜ」
クラーグ「恐らく、貴様に宿る人間性に似た輝き……もしくは貴様自身が、人間性を怖気させるのだろう」
クラーグ「だが、貴様は傀儡という訳でも無い。傀儡ならば我らは既に死んでいる」
コブラ「………」
776Res/935.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20