441:名無しNIPPER[saga ]
2018/08/24(金) 05:10:58.15 ID:12eaXGY30
塀の先に降りたコブラは格子扉の内鍵を開けると、扉を解放し、仲間を招き入れた。
ローガンはビアトリスに促されて扉を潜ったせいか、思考の切り替えが緩慢になっている。
コブラ「おっと待った。何か聞こえる」
ジークマイヤー「ん?この音どこかで…」
そんなローガンを含めた仲間達をその場に留め、コブラはレディにフランベルジェを返すと、足音を殺して走った。
不死教会の近くで聞いた覚えのある、連続した金属への打突音が聞こえたからである。
音は、格子扉を抜けた先にある踊り場から、右手側に抜ける横道…
一応とはいえ、城内から聞こえていた。
コブラは踊り場を駆け抜けて、横道側の壁に伏せると、特大剣を構える。
そして思考の中でカウントを減らし…
ダダーッ!
音のする方へ一気に駆けた。
しかし…
巨人の鍛冶屋「? あんた 誰?」
コブラ「!?」ズザザーッ!
予想に反した者に予想に反した言葉を投げかけられ、コブラはかろうじて踏みとどまった。
巨人の鍛冶屋「武器 鍛えるか?」カンカンカン! カカカカカッ…
その巨躯に比べ、あまりに不釣り合いに小さい木槌で、巨人は時計職人の如くロングソードを叩いている。
腰掛ける椅子も小さければ金床も小さく、仕事場自体も彼の体格に比べて異常に小さい。
そこに押し込められるようにして収まっている巨人だが、気に病んだ様子は一切無い。
その態度は、コブラに呼ばれて集まってきた不死達を見ても、変わらなかった。
不死達の驚きは甚だ大きく、ローガンなども正気に戻るほどだったというのに。
ジークマイヤー「…たまげた…」
コブラ「ああ俺もさ。危うく叩き斬って跳ね飛ばされるところだ」
ローガン「巨人が鍛冶仕事をするとは……てっきり鍛治の神が人に命じて武具を作っているものだとばかり…」
ビアトリス「私も伝承が信じられなくなってきました…神を信じるデーモンに、神の武具を作る巨……はっ!?」
ローガン「おや、気づいたかね。ま、質問の権利は譲ろう」
ローガンに遠巻きに促され、ビアトリスは巨人に尋ねる。
ビアトリス「あ…あの、恐れながらお聞き致しますが、あなた様は鍛治の神でいらっしゃいますか?」
巨人の鍛冶屋「ん〜 … 俺 話す 苦手」
ビアトリス「そ…そうですか」
巨人の鍛冶屋「でも 鍛えるの 得意」
巨人「いつでもばんぜん」
カンカンカン! カン!
ビアトリス「………」
ローガン「うむ、取りつく島も無し」
ビアトリス「先生、話が通じません……私の言葉遣いが悪いのでしょうか…」
ローガン「言葉遣いが云々というより、そもそも会話に興味が無いか、鍛治仕事に集中するためにはぐらかしたか、という印象を受ける」
ローガン「彼の気を会話に乗せてやらねばな」
レディ「そういうことなら、たった今良い考えが浮かんだわ」
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