461:名無しNIPPER[saga ]
2018/08/31(金) 02:39:06.66 ID:hhbAPIgm0
ビアトリス「せ…先生…」
ジークマイヤー「今は嘆く時ではない!この者は先の私の奇襲に、短刀を捨て盾で応じた!この手癖の悪さは一人では手に余る!」
二人の不死の動揺を仮面の騎士は感じていたが、クレイモアを構え、二人に斬りかかりはしなかった。
心乱す者には後手こそが必殺足り得る。騎士は甘い誘惑を発しているのだ。
ジークマイヤー「私が突貫する!貴公は魔法で援護を!」ダッ!
ビアトリス「わか、分かった!」
誘惑に引っかかったジークマイヤーは、ツヴァイヘンダーを掲げて仮面の騎士に駆けた。
その後ろでは、ビアトリスが杖を掲げて、まさにソウルの太矢を撃たんとしている。
母の仮面「………」ダダッ!
ジークマイヤー「む!」ブオッ!!
急に駆け出した仮面の騎士へ向け、ジークマイヤーは咄嗟に得物を振り下ろす。
ドゥーーン!!
しかし、その騎士の習いによる咄嗟の行動こそ、仮面の騎士の求めるものだった。
ジークマイヤーの振り下ろしは、仮面の騎士の盾に弾かれ、空を斬る。
全ては一瞬の事であり、ビアトリスの太矢はまだ杖の先端部で生成されている段階にある。
だが、驚愕するにはその一瞬で充分だった。
カァン!
ジークマイヤー「え?」
ビアトリス「!?」
仮面の騎士は盾を残し、クレイモアを投げ捨てた。
指に嵌めた指輪も同時に捨てていたため、石床に当たった指輪が跳ね、宙を舞う。
ジークマイヤーの胴を薙ぐ好機であるにも関わらず、仮面の騎士は攻撃手段を自ら放棄したのである。
胸を貫かれると覚悟していたジークマイヤーは素っ頓狂な声を漏らし、ビアトリスの詠唱はコンマ数秒ほど遅れた。
そのビアトリスから見ると、仮面の騎士は大の字に体を広げるジークマイヤーの陰に隠れている。
二人の不死はすでに、仮面の騎士が持つ、数ある必殺の間合いの中にいたのだ。
シュゴォーーッ!!
ジークマイヤー「!!」
ビアトリス「!!」
ジークマイヤーの背中を突き抜け、自分の体を貫いた力に、ビアトリスは見覚えがあった。
ビアトリス「ソウルの…槍…?」
ガシャーン…
ビアトリスの目の前から、重鎧が石床に当たる音が大広間に響く。
ビアトリスは消えゆく意識の中、肩を貸したコブラに顔を向けた。
ビアトリス「………逃げ…ろ…」
コブラ「ビアトリス……おい、よせっ!」
コブラを支えていた力は淡くなり、ついには消え、ビアトリスはその場にへたり込んだ。
うなだれた頭からは三角帽子が落ち、耳の下あたりで切りそろえられた金髪が、黒い装いの中目立った。
母の仮面「次はお前だ、コブラ」
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