508:名無しNIPPER[saga]
2018/10/25(木) 17:00:42.56 ID:movsWp0q0
 窮地に追いやられたコブラはついに、捨て身の奥の手を使うことを決心した。 
 自身の精神力が続く限りにサイコガンを撃ち続け、金獅子と金山の両方を討ち滅ぼすという作戦は、恐らくは成功するだろう。 
 サイコエネルギーは敵を追尾し、金獅子の左手には一本の雷が握られるのみである。 
 一発が相殺される事を踏まえつつ、念押しも含めて最低限七発は撃つ必要があるが、コブラの決心は揺るがない。 
 致命傷を負い、出血を続ける肉体が、精神力の疲弊に恐らくは耐えられないとしても… 
  
  
 オーンスタイン「………」スッ 
  
  
 金獅子が自身の右手を眺めた瞬間… 
  
  
 ジャキン! 
  
  
 コブラはサイコガンを構えた。 
 サイコガンのエネルギーメーターが眩く輝く。 
  
  
 フッ… 
  
  
 その輝きの強まりに比例するかのように、金獅子の左手の雷は弱まり、失せた。 
  
  
  
  
  
  
 オーンスタイン「貴公、やはり只の人では無いな」 
  
  
  
 コブラ「!?」 
  
  
  
  
 不意に語りかけられたコブラは驚愕した。 
 神が人の言葉を話したからではない。言葉に敵意が全く無いことに衝撃を覚えたのだ。 
  
  
 オーンスタイン「スモウ、鎚を収めよ」 
  
 スモウ「………」ズッ… 
  
 レディ「えっ…?」 
  
  
 それはレディも同様であった。 
 眼前の金山が鎚を収めたことに、現実感を覚えることができなかった。 
  
  
 オーンスタイン「貴公は我らの知る人にあらぬ者。不死立つこともなく、呪いも受けず、それらの兆しすらも無い」 
  
 ズボッ 
  
 コブラ「ぎっ!?」 
  
  
 不意に槍を抜かれたコブラは、声を裏返して悶絶した。 
 転げる体力こそは無かったが。 
  
  
 ヒュオオオォォ… 
  
 コブラ「?」 
  
  
 そのコブラの腹に空いた刺し傷に、金獅子の騎士は手をかざし、太陽色の暖かな輝きを染み込ませた。 
 太陽色の輝きはコブラを中心に光の波動を放ち、コブラの負傷を瞬く間に癒していく。 
  
  
 オーンスタイン「我らが大王、太陽の光の王の封印……我らが壊すことまかりならぬ」 
  
 オーンスタイン「その上に、貴公に見える闇は深淵を孕まず、かえって眩くすら見える。我らが討つべき者ではない」 
  
 オーンスタイン「スモウ、お前は不死どもを介抱し、決して通すな」 
  
 スモウ「………」コクッ 
  
  
 オーンスタイン「我はこれより常ならぬ者らを連れ、我らが女神の元へ謁見に向かう」 
  
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