547:名無しNIPPER[saga]
2018/12/10(月) 18:41:34.86 ID:cTCnWpQ+0
 ジークマイヤー「ふおお…なんと…」 
  
 ビアトリス「っ…!」シュイィーッ! 
  
  
 吹き荒れるソウルの雨に敵対者たちの動きが鈍り、ジークマイヤーの注意が散漫になる中、ビアトリスは突如変わった自陣の戦法に対応すべく、ソウルの太矢による狙撃を再度行う。 
 狙撃はやはり一定の効果があり、敵対者たちは竜狩りと一騎打ちに興じている仮面の騎士を除いて、次々と撃ち抜かれた。 
 だが敵対者たちはビアトリス同様に不死立っている。エストが彼らの傷を癒す限り、必殺足り得ない加撃をするだけビアトリスの魔法が損耗されるのみ。 
  
  
 ダン! 
  
 ビアトリス「やはり…!」 
  
  
 それを知ってか、ソウルの雨から逃げ回りつつ隙を伺うなどというまどろっこしさを捨て、一直線にコブラへ向かって走り出した者がいた。 
 斧槍を持った重鎧の騎士。彼の眼はフルフェイスの兜に隠され、情熱に燃えていた。 
 グウィンドリンが広げた雲は徐々に薄くなり、ソウルの雫も数を減らしていく。 
  
 シュバン!! 
  
 そのフルフェイスの兜をソウルの太矢が撃ち抜く。 
 兜には踵程の大きさの穴が空き、穴の闇からは脳漿が吹いた。 
  
 ガッ! 
  
 ビアトリス「なにっ!?」 
  
 しかし重装の騎士は倒れず、駆ける脚には淀みすら無い。 
  
  
 ボグシャアアーーッ!!! 
  
  
 スモウの大鎚を上半身に貰い、おびただしい量の血を鎧の隙間から噴き出しても… 
  
  
 ガッ! 
  
 ビアトリス「ば、馬鹿な!」 
  
 ギャリギャリギャリィ!! 
  
  
 重装騎士は力強く踏み止まり、大鎚側面に身体を擦り付けるようにしてスモウの得物から脱出し、再度コブラの元へ走り始めた。 
 重装騎士の胆力に敵対者たちは歓喜して、動きを一つに一斉に地を蹴った。 
 狙いは面倒な砲台。弾幕を展開するだけの能力を持つグウィンドリンである。 
  
  
 ブオオオォーーッ!! 
  
  
 天井の雲から振り続けるソウルの雨に加え、グウィンドリンは右手の杖から新たにソウルの雲を放ち、更なる雨を降らせた。 
 重装の騎士を除く敵対者たちの脚は再び回避を強制されたが、彼らに焦りはない。 
 彼らの目的は砲台の無力化にある。左手の盾で矢を受けたならば、右手の剣で敵を突けば良いのだ。 
  
  
 ドガーッ!! 
  
 ビアトリス「グッ!」 
  
  
 重装騎士はビアトリスを跳ね飛ばし… 
  
  
 ジークマイヤー「止まれいっ!!」ガコォーン!! 
  
  
 ジークマイヤーの横振り左手で受け… 
  
  
 ジークマイヤー「おおお!?」バギーッ! 
  
  
 左手を振ってジークマイヤーごとツヴァイハンダーを払いのけた。 
 左手の手甲からは折れた骨が突き出たが、重装騎士の走りは揺るぎない。 
  
  
 レディ「クッ…!」サッ 
  
  
 レディはコブラを片手で支え、余った手でフランベルジュを握った。 
 しかしフランベルジュは半ばから折れている。とても全身全霊を賭けて振り抜かれるであろう斧槍を受けきれる状態では無い。 
 だがそれを承知でレディは剣を構えた。その命を捨てることになろうとも、レディはコブラと共に死ねるならばそれも本望に思っていた。 
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