555:修正版[saga]
2019/01/16(水) 07:07:10.18 ID:cUl7YnTu0
 そして、その事実を見抜いていたのは、デーモン槍の騎士だけではなかった。  
  
  
 ゴリゴリゴリ…ガキン!  
  
 レディ「?…今の音は…」  
  
 オーンスタイン「大扉の仕掛けが動いた!スモウ!」バッ!  
  
 スモウ「!」ドドッ!!  
  
  
 大広間の隅に設けられた回転式のレバーが、ひとりでに動くと、開かれたままの大扉が閉じ始める。  
 スモウは大扉へ駆け、オーンスタインは回転式レバーの元へ跳んだ。  
 レバーには透明な手が掛けられていたが、その手はオーンスタインの接近を感じとり、透明な特大剣を抜き…  
  
  
 ガゴオォーーッ!!  
  
 オーンスタイン「しまった!」  
  
  
 オーンスタインの槍が振られる前に、レバーの可動部を叩き斬り、仕掛けを破壊した。  
 制御機構を失った大扉は動作を止める事なく、ゆっくりと正面入り口を閉ざし始めたが…  
  
  
 ガキッ!!  
  
 ジークマイヤー「おおっ!」  
  
  
 張りつめられたスモウの両手が、その動きを阻害した。  
  
  
 スモウ「………」ミシミシ…  
  
 グウィンドリン「何事か」  
  
 オーンスタイン「失われた濃霧の指輪でございます!構えよ!不死達よ!」バヒュッ!! 
  
  
 レバーの防衛に失敗したオーンスタインは、グウィンドリンの元へ跳びのき、槍を構えると共に不死達に警戒態勢をとらせた。  
 グウィンドリンと、コブラを抱えたレディを守るように、二人の不死とオーンスタインは円周防御の陣を組む。  
  
  
 デーモン槍の騎士(濃霧の指輪だって?……じゃあまさか、こいつは…)  
  
 オーンスタイン「姿を全く消した敵が、大扉の仕掛けを打ち壊したのです!ご注意をッ!」  
  
 ジークマイヤー「敵!? 敵などどこにいるのです!?」  
  
 ビアトリス「だから姿を消していると申されているだろっ!浮遊するソウルで探ります!」ヒュイィッ…  
  
 グウィンドリン「濃霧の指輪…白猫アルヴィナの封印せし失敗が何故…」  
  
 オーンスタイン「掘り出した者がいるのでしょう。不死達よ、この陣のままスモウの元へ」  
  
  
 姿の見えない新たな敵対者を警戒しつつ、二柱と四人はスモウがこじ開けている扉を目指す。  
 遅々としたその歩みは、欠如なく警戒意識を維持するためのものだが、歩みは事実、謎の敵対者の動きをある程度は封じた。  
 下手に歩みを速めれば、重装のジークマイヤーか、素早く動けぬビアトリスか、得物を折られたグウィンドリンか、コブラを抱えるレディか、いずれかの脚は必ず乱れる。  
 敵対者はその乱れを期待し、オーンスタインはその乱れを抑えた。そして観念したのは敵対者の方だった。  
  
  
 シュイイィーッ!!  
  
 ビアトリス「!」  
  
 ジークマイヤー「えいやぁぁーーっ!!」ブン!  
  
  
 浮遊するソウルは姿なき敵対者を明確に感知し、敵対者が立つであろう地点へ向け飛んで行った。だがソウルの光球は全て空を抜け、宙空で消えた。  
 ジークマイヤーは特大剣を上段に構えたが、振るべき相手が見えないのでは、構えはむしろ隙となった。  
  
  
 ギンッ!!  
  
  
 しかし、その隙を活かしたのはオーンスタインだった。  
 味方の隙は敵の隙になり得る。ジークマイヤーの眼前を通り過ぎた十字槍の横一閃は、確かに金属を削り…  
  
 ジークマイヤー「お、おお…」  
  
  
 恐らくは跳び退いたのだろう。何者も立たぬ空中からは一筋の赤色が流れ、僅かに石床に滴った。 
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