557:名無しNIPPER[saga]
2019/01/16(水) 08:34:30.87 ID:cUl7YnTu0
 スッ スッ スッ スッ… 
  
  
 ジークマイヤー「な、なん…?…なんだ?何をしている!?」 
  
 ビアトリス「幻影?……虚像なのか…?」 
  
 オーンスタイン「…これは…」 
  
  
 石床の上を空振りし続ける両脚など気にも留めていないように、仮面の騎士は、石床を組む一枚の石版の上で駆け続けた。 
 だが、仮面の騎士の足音は大広間中を駆け回り、一団の周りを取り囲んでいる。 
  
  
 デーモン槍の騎士「はは…はははは!お前らはもうおしまいだ!他の英雄様と同じく、お前らはロードランを彷徨う仮面の悪霊の餌食になるのさ!」 
  
 ジークマイヤー「ぬ、ぬかせ!このような幻術、今すぐにでも…」 
  
  
 ドカーーッ!! 
  
  
 ジークマイヤー「!!」 
  
 デーモン槍の騎士「ぐはっ…お…お前…」 
  
  
 無力となった敵対者の重鎧の胸から、赤黒く濡れた大刃が突き出た。 
 オーンスタインが見ると、進まず駆けていたはずの仮面騎士は消え、代わりに敵対者の背後に、かの騎士は仮面を覗かせている。 
  
  
 父の仮面「すまないが、私の狩りに野良犬はいらないんだ」グチュルルルッ 
  
 デーモン槍の騎士「………」ゴポ… 
  
  
 片肺を貫通した特大剣を心臓にねじ込まれ、デーモン槍の騎士は瞬時に絶命した。 
 その骸に向かい、ビアトリスのソウルの矢が飛んだが… 
  
  
 ドシャッ 
  
  
 ソウルの矢は、石床に崩れ折れたデーモン槍の騎士の頭上を通過した。 
 仮面の騎士の姿は無い。 
  
  
 ビアトリス「なんだ…これ…」 
  
 オーンスタイン「グウィンドリン様!私を置いてお逃げください!この者の手、この竜狩りの命捨てずしては阻めません!」 
  
 グウィンドリン「何を言う。我は…」 
  
  
 ブワオォン!! 
  
  
 竜狩りを引き止めようとグウィンドリンが伸ばした手を、オーンスタインは振り返りもせず跳躍。 
 石床に槍を払い、神々にのみ許された力、白霧を放った。 
 霧は一団と竜狩りの間に壁の如く立ち込め、大広間を二つに区切り、竜狩りと仮面の騎士を正門から切り離した。 
  
  
 グウィンドリン「貴公…!」 
  
 レディ「本当に死ぬ気…!?」 
  
 ジークマイヤー「いかん!このジークマイヤー、助太刀に馳せ参じまするぞ!」 
  
  
 竜狩りの捨て身の策に、ジークマイヤーは僅かながら助力にならんと霧に突進した。 
 だが霧は硬く閉ざされており、ジークマイヤーのカタリナ鎧は音もなく霧に受け止められるだけだった。 
 仮面の騎士はその霧の大広間にあって、グレートソードの切っ先を石床に置き、杖持つ老紳士のように落ち着いていた。 
  
  
 グウィンドリン「何故だ…何故こんな勝手を……我には命じた覚えも、つもりも無いのだぞ!」 
  
 ビアトリス「グウィンドリン様!お気を確かに!」 
  
  
  
 父の仮面「なるほど、神はこうして霧を作り出していたのか。珍しい光景だ」 
  
 オーンスタイン「………」 
  
 父の仮面「しかし、私は誤った選択肢を選んでしまったようだ。あの騎士は生かしておくべきだった」 
776Res/935.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20