季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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◆MhRo2YnWE.V/
[saga]
2016/09/29(木) 15:03:25.29 ID:4gwQuLZH0
「いえ、本気です。よかったら、半分お金を払います。なんでしたら、7割くらいをお支払いしても」
「まてまてまて、急に何を言い出すんだ」
幸子が、俺の車を買い替えるお金を出す? 確かに、俺の車はずいぶんと年季が入ってはいるし、買い替えを考えていると話したこともあったが。
なんで幸子が半分も支払うつもりになっているのか。
「二人でお金を出せば、よりいいモノを買えるんじゃないですか?」
「そりゃそうかもしれないが、いや、だからそれ以前の問題として、なんでお前が出してくれるって話になるんだよ。俺の車だよ?」
俺は当然のことを言ったつもりだが、幸子もそれこそ自明の理であろう、とばかりに答える。
「だって、アナタの車に一番いっしょに乗っているのは私ですから」
「……それは、まあそうだけど」
仕事の時は会社の車を使うからな……。確かに、週に一回は会っている幸子が俺の車の一番の同乗者であることは間違いない。というか、他に乗せる相手がいるわけでもない。
しかしな、だからといって何も俺の車に金を払う必要まではあるまい。
と、思ったのだが、幸子は真面目な顔を、俺にずいと近づけるのだった。
「あの車とも長いお付き合いですけど、そろそろ私にはふさわしくはないと思うんです。背が伸びたからか少し狭いですし、道路の状態次第で揺れすぎます」
「ま、まあな……」
俺は割と愛着があるんだが、そんな風に思われていたのか。
そういえば、数回ほど幸子を乗せていた時にエンストしてしまったこともあった。色々な積み重ねで、幸子に不満が溜まっていたのか。
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