季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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22: ◆MhRo2YnWE.V/[saga]
2016/09/30(金) 13:34:28.23 ID:pRXmeXlp0
 お弁当を受け取った俺の顔を、幸子が覗き込んでいる。

「驚いていませんね。予想してました?」

「まあ、公園にわざわざ寄り道してやることと言えば、そんなに選択肢もないかとは思っていた」

 動物も連れていないし、まさかスカートの幸子がアクティブな遊具を持っているってこともないだろう。
 昔は彼女に付き合って運動をしたことはあったが、最近はそういうこともないし。
 ただ、全く意外でないかと言えばそうでもない。

「でも、幸子の料理は久しぶりだ……」

「この前に食べてもらったのは……二年以上前でしたっけ」

 まだ幸子がアイドルをしていた頃だな。
 ……あの時は確か、肉じゃがとカレーだった。車の中、別れ際に突然でかいタッパーを二つ渡されてびっくりしたものだ。
 なんだこれ、と聞いたら、

「作りすぎてしまったので、あげます! ボクの料理を食べられるなんて、最高に幸せものですね! 感想とか聞かせてくださ……くれてもいいんですよ!」

 と言って、幸子は急いで車を降り、走って行ってしまった。
 とりあえず家に持ち帰りおそるおそる食べてみると普通の味で、毒などは入っていなかったので安心した旨を伝えたら、不機嫌になったのを覚えている。

「あの時のリアクションの薄さは忘れられない想い出です……」

「……職業柄かな」

 アイドルのプロデューサーというのは、女の子が作った何かを受け取る機会が多い方の職業ではあるのだ。
 大して美男子でも口が上手いわけでもない俺でもそうだ。


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