68:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:52:27.02 ID:tRPk/B7zO
  
 布に覆われた窓の外。 
  
 雪降りしきる街の中で、人々の命はオークの手によって次々と奪われていく。 
  
 悲鳴を無視して、懇願哀願を無視して、オークは嬉々として人体を破壊していく。 
  
 鋸、斧、鉞、鶴嘴、棍棒、鎌。様々な道具で、様々な殺しを愉しんでいる。 
  
 絶望が口にした通りの有様だった。 
  
 杖がなければ歩けぬような老婆も、親に抱えられなければ動けぬ赤子だろうと関係ない。 
  
 老若男女関係なく、等しく無惨に殺されている。 
  
 街の至る所で悲鳴が響き渡る。 
  
 その頃には、少女も気付いていた。 
  
 何が起きているのか分からないが、とても怖いことが起きているのだと。 
  
 少女は母の胸に顔を埋め、母は少しでも悲鳴を遮るようにと、娘をきつく抱き締めた。 
  
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