18: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 12:58:27.33 ID:ZBdgAUZjo
5
夜遅くに帰宅したほむらちゃんは、玄関で突然泣き出した。
大号泣だった。玄関へ迎えに出た私を一目見て。
私は、何かあったのか、知らないあいだに私が悪いことでもしたのか、と訊いた。
なんでもない、と彼女は震えるか細い声で応じた。
なんでもない。
なんでもないわけがない。
だけどその場は、それで納得したふりをして、寝室に連れていった。
優しく抱きしめて、背中をとんとん、としばらく叩いていると、
いくらか落ち着きを取り戻したらしく、まなじりを溢れる涙は止まっていて、お風呂を済ませてくる、とほむらちゃんは寝室を出た。
いくらか落ち着いたとはいえ、いまだ心ここにあらず、といった酷い様子だったから、
ひとりでお風呂に入らせるのは心配だったが、ひとりにして欲しい、と言われた私はそれを尊重した。
部屋でひとりになって、私は考えるしかなかった。
どうしてほむらちゃんが泣いていたのか。
いったい何が、あそこまでほむらちゃんの心をかき乱したのか。
心当たりは、一つしかない。
――本物の、鹿目まどかに会ってきたんだ。
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