601: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:01:22.24 ID:HRQM2WMiO
武内P『それは……あとで話したほうがいいでしょう』
プロデューサーは苦しげに言葉を濁して通話をおえた。
あたりはかなり明るくなりはじめていた。時刻は午前六時をすこし過ぎた頃。中野が言うには、プロデューサーと合流するのは二時間後の午前八時とのことだった。
中野は助手席でうたた寝している永井を起こし、事情を説明した。
怒りこそしなかったが、アナスタシアが思ったとおり永井は不機嫌そうに顔をしかめた。まだ眠っていたいのに邪魔されたのが不機嫌の理由のような態度だった。
永井「僕がそいつに見られたらどうすんだよ」
中野「トランクに隠れてればいいじゃん」
中野はいたってまじめに答えた。
ひとりでこっそりとトランクに隠れる永井を空想すると、アナスタシアはなかなか愉快な気持ちになった。とはいっても、永井がそんなことをするつもりがぜんぜんないことは、ふてくされた様子で背もたれに沈みこんでいる姿をを見なくてもわかりきっていた。
永井「お腹すいたな」
眠気をにじませた声で永井がぼやいた。そのひとことでアナスタシアたちも思い出しかのように空腹を自覚した。
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