604: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:09:00.45 ID:HRQM2WMiO
そこだけは何時になってもずっと暗い食堂と隣家のあいだの狭い路地というか隙間から猫が一匹飛び出てきた。猫は着地すると、その猫は白と黒のぶち猫で右眼のまわりの黒い模様が眼帯みたいに見えた。ぶち猫は育ちすぎて鉢植えから地面まで伸びた葉先が鋭尖頭の葉っぱの下を背中を掻くようにして歩き、ふと白い方の眼を永井にとめると腰を下ろし頭をあげ、ぱちくりと両眼をひらいた。
猫の行動をみていたアナスタシアはしゃがんで、できるだけ猫とおなじ視線になろうとした。
アナスタシア「コーシュカ」
中野「猫のこと?」
アナスタシア「ダー。にゃんこのこと、です」
中野「にゃんこ」
アナスタシア「にゃんこ、です。にゃー」
アナスタシアにつられて中野もしゃがみ猫の鳴き真似をして、ぶち猫の気を引こうとした。二人はミャウミャウ言ったり、指をならしたりしてみるが、猫は永井を見上げたまま動かなかった。永井はスマートフォンを見ていたが、ため息をついてポケットにしまうと道路の向こうを行き来する車や自転車をぼーっと見つめ出し、猫に視線をやることはなかった。
猫が前足を永井のスニーカーの上に置くと、永井はようやく猫を見下ろした。猫はにゃーおとひと鳴きして甘えたがっているみたいだったが、永井はズボンのポケットに両手をつっこんだまま何もしないで無感情でいた。
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