713: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/11/04(日) 21:08:12.45 ID:jiMS7eDVO
戸崎「聞いている通りですね」
部屋の照明がつけられた。戸崎は椅子の背もたれに少しだけ背中を預けると、李の説明が甲斐から聞かされていたものと合致していることについて考え、李のほうを向いて訊いた。
戸崎「たとえば図面にないような隠し部屋等、そういったものは本当にないんですね?」
李「ありません」
戸崎「警察のビル内警備は?」
李「許していません。ビル周辺の巡回は増えましたが、社長は警察批判で有名ですから。『真に安全を守れるのは民間企業だ』と」
戸崎「わかりました」
甲斐の持論はともかく、警察の介入がないのは──少なくとも、作戦開始時において──戸崎たちにとってもメリットがあるとはいえた。
リストの五人目が殺害された際、現場から一人の生存者が発見された。それは周辺警護にあたっていた警官で、警護計画の内容を知ることができる立場にいた。
すでに社内に発生しているかもしれない内通者をこれ以上増やす必要もなかった。
戸崎「李さん、あなたはなぜリストに?」
戸崎はふと、リストに記載された人物を調査しているときに覚えた違和感を本人にぶつけてみた。
戸崎「ただの社長秘書。狙われるポジションの人間とは思えないのですが」
李「いえ、当然です」
李は感情はおろか意思決定さえも抑え込んだ無表情を作り、応えた。
李「わたしは、狙われて当然……」
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