769: ◆8zklXZsAwY[seko]
2019/01/26(土) 22:00:06.82 ID:ymR8HEsBO
シャッターは下りなかった。警備システムはすでに奥山が掌握していて、すべてを操ることができた。
ボタンを押した警備員の頭蓋骨が散弾で吹っ飛ばされた。衝撃によって警備員は顔面から壁にぶつかり鼻骨が折れたが、彼はもう痛みを感じることはなかった。糸の切れた操人形のように警備員の膝がくにゃりと折れ、床に倒れた。
田中たちは検問ゲートを突き抜け、通路へ進入する。そのさい高橋とゲンがそれぞれ左右の側面を銃撃しながら警備員をさらに牽制した。金属探知機を越えると、ゲンはわれがちに逃げ出そうと出口に殺到している社員たちのほうを振り返った。そのようすは増えすぎた個体数を調整するためみずから入水するレミングの迷信を思わせる有り様だった。騒ぎを聞きつけ駆けつけてきた警察官はパニック状態の群衆に行く手を遮られて一向にビルのなかにに入れないでいる。ゲンは視界の中心に警官をおさめつつも狙いはつけず、何発か群衆にむかって発砲した。銃弾は警官にはあたらず、周囲の人間の背中や首に命中した。
田中「奥山!」
ゲンが銃撃しながら通路まで後退してきたとき、田中がインカム越しにタイミングを告げた。直後、田中の声に反応したかのようにシャッターが下がり、エントランスと通路を遮断した。
田中「ロビーを突破。十五階、社長室に向かうぞ」
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